とある魔術の禁書目録 22フラグ目

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
ここは鎌池和馬氏著作、『とある魔術の禁書目録』のエロパロスレです
カップリングやシチュエーション、エロの有無を問わずSSは常時大歓迎。
ただし、特殊だったりや好みが分かれたりするシチュは投下前に警告しましょう(例 百合や調教、鬼畜や陵辱物など)。
投下前にカップリングの表記があるとなお良いです。
このスレは基本的にsage進行です。レスしたり投下したりする際はメール欄に半角で『sage』と入力しましょう。
次スレは要領が480KBを越えるか、レス数が950を突破した辺りで立てましょう。焦って重複しないように注意。
荒らし煽りはスルー。
ルールを守って、気持ち良く楽しみましょう。

前スレ
とある魔術の禁書目録 21フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1256077315/
2名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 02:59:27 ID:bkfP7zzV
過去ログ
とある魔術の禁書目録
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1144682421/
とある魔術の禁書目録 2フラグ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1160741334/
とある魔術の禁書目録 3フラグ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168450515/
とある魔術の禁書目録 4フラグ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173925452/
とある魔術の禁書目録 5フラグ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1184435294/
とある魔術の禁書目録 6フラグ目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191802991/
とある魔術の禁書目録 7フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197245107/
とある魔術の禁書目録 8フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203107365/
とある魔術の禁書目録 9フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210639825/
とある魔術の禁書目録 10フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219072030/
とある魔術の禁書目録 11フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225625574/
とある魔術の禁書目録 12フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229736089/
とある魔術の禁書目録 13フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1233681145/
とある魔術の禁書目録 14フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236084927/
とある魔術の禁書目録 15フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238177532/
とある魔術の禁書目録 16フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241373517/
とある魔術の禁書目録 17フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1245347100/
とある魔術の禁書目録 18フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1247681121/
とある魔術の禁書目録 19フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250227058/
とある魔術の禁書目録 20フラグ目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1252893000/

2chエロパロ板SS保管庫
(ライトノベルの部屋>とある魔術の禁書目録の部屋)
http://red.ribbon.to/~eroparo/


総合データベース
http://www12.atwiki.jp/index-index/
3名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 03:02:10 ID:SyCNyzc6
>>1
乙かれ様でーす。
4名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 03:08:15 ID:P4OSNmm5
>>1さん、お気をつけあそばせ。
その発言は、乙フラグですのよッ!
5名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 03:52:31 ID:KDBoEgEr
>>1乙です!
とミサカは惜しみない称賛をおくります
6名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 06:25:22 ID:ieZF8oj6
あうう……流石です>>1っ……!
そんな乙を開陳されたら、このスレの思い出は
全部一つに集約されてしまうに決まってるじゃないですかっ……!
7名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 06:35:31 ID:b4Y9f0vu
すごっ!すごいっ!!すごい>>1乙!!
8名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 12:44:09 ID:LL1w4dPd
1ィィィィィちィ乙ゥゥゥゥゥゥゥ
9名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 18:21:15 ID:uzm6P1b7
>>1乙じゃんよ
10名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 18:56:06 ID:aSyS9UHQ
>>1乙だなンて言わないンだからなァ!!
11名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 21:25:42 ID:lzLaDwym
カミジョーちゃんには>>1乙するするの課題をやってもらいますからねー!
12名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 23:17:26 ID:arJAguns
ボクぁ>>1乙のみならず、>>2>>3>>4>>5おt(ry
13名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 23:55:54 ID:az/s1lu3
乙ですの
14名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 00:19:02 ID:EpVXm+bU
何をすべきか、だと?なめやがって、>>1乙に決まってんだろうが!
15名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 00:26:54 ID:hyg/5K/h
まあ、あなた方卑しい異教のサルどもにはこの>>1がどれだけ乙なのか想像すらかなわないとは思いますがねー。
16名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 00:45:45 ID:FNf3IiuA
>>1。乙
17名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:00:50 ID:TZoeuLrb
根性ぉぉぉぉっ!!
すごい>>1おーつ
18名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:14:08 ID:EpVXm+bU
上琴分が不足してきた……
誰か俺に新鮮な上琴を恵んでおくれ……
19名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:16:12 ID:CTd8IKzu
作者が後書きで問いかけてた大覇星祭の真ヒロインは
俺にはどう見ても吹寄にしか見えなかった・・・
20名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:51:27 ID:gsvEjbr6
>>1
前スレ>>1000もGJ&乙
21名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:57:29 ID:IRgbIU0T
前スレ>>1000
GJ あわきんは凌辱系が良く似合う
22名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 03:36:14 ID:gSRTNbhd
>>18
知ってそうだが
上条「バリバリ?」 美琴「バリバリ違う!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi?bbs=part4vip&key=1257265267&ls=50
上条さんと美琴のいちゃいちゃSS
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1256470292/l100

23小ネタ:2009/12/09(水) 04:09:50 ID:XiJO91Qg


それは奇妙な二人組だった。五百人程度の客が収まるであろう映画館に二人きりというだけで異様なのに、中学生ぐらいの少女とそこら辺の路地裏にいそうなチンピラが肩を並べて映画を虚ろな目で見守っていた。
どこか犯罪の匂いを感じさせる二人組であったが、会話からは気だるい雰囲気しか感じられなかった。

「あー。やっぱ死んだか。まぁ、予想通りだなー。」

「お、浜面も超解ってきましたね。」

「そりゃぁな。どっかで見たことあるような映画のテンプレ通りの展開だからなー。まぁ、あの落下系ヒロインはこの映画の唯一の見所だったんだが…。」

「まぁ、浜面の頭の中ではあのヒロインはバニーさんに超変換されていたんでしょうけど、超残念でしたね。」

「そこまで俺をバニー好きにしてーのかよ…。」

がくーんと、脱力する浜面と呼ばれた少年は恨めしい目で少女を見る。

「うわ。超キモいんですけど。私までバニーに超仕立てあげたいんですか?」

「いや絹旗の貧弱な体じゃバニーは無理だな。それはバニーへの侮辱になる。」

絹旗と呼ばれた少女はビキィ!!とこめかみに青筋をたてると

「ほぅ。浜面は命が超要らないようですね。」

「おーい絹旗さーん?そ、その握りこぶしは何ですかー?って、おい!マジかよっ!?」

浜面が必死に座席から飛び出すと、ゴシャァァと愉快な音を立てて、浜面が背中を預けていた座席は無惨にも爆散した。

「うわぁ…ひでぇ。」

浜面はかつて座席であった残骸に顔を青くしながら黙祷を捧げると、キッと破壊神を睨み付けた。

「おいてめぇ!30分とはいえ、この糞みてぇなB級映画に付き合ってくれた、戦友になんてことしやがる!」

絹旗はふんと鼻をならすと

「超残念でしたね。浜面。これで浜面に味方するものはこの映画館には超いなくなりました。さぁ、超素直に死を受け入れ、超安らかに逝きなさい。」

「ヒィ!」

轟!!と再び死神の鎌(拳)を振り下ろす絹旗。それを必死にかわす浜面。
二人きりの映画館は、余りにも一方的な殺戮現場(キリングフィールド)へと変貌した。
24小ネタ:2009/12/09(水) 04:11:59 ID:XiJO91Qg
ドゴォン!バゴォン!
愉快な破壊音が映画館に反響する。その絶望的な破壊から浜面 仕上は必死に逃げ回った挙げ句、息を潜めて物陰に隠れていた。

「ちきしょう!何だってこんなことになったんだよ!!」

浜面は小声で毒づきながらチラリとスクリーンを見る。当然ながら、さっきまで呑気にみていたB級映画が映っていた。丁度今、クライマックスに差し掛かったようで、主人公の男が見るからに発泡スチロールで作りましたよー的な武器を持ったゾンビに追われている所だった。

「ちきしょう!絹旗の方がよっぽどホラーだぜ!」

浜面は、『もしこのB級映画が面白かったらこんなことにはならなかったのにー!』と、心の叫びを上げていると

「はーまづらぁ。超どこですかぁー?あんまり逃げ回ると超ブチ殺し確定ですよー。」

と、浜面としては思い出したくない台詞が、絹旗アレンジで聞こえてきた。

「それ!洒落になってねぇから!」

蘇る記憶に身震いしながら浜面はつい抗議の声をあげてしまった。

「やはりトラウマと言うものは超効きますねっ!」

浜面の心的外傷を見事に抉った絹旗はニヤリとあくどい顔を見せると、浜面目がけて一直線に進む。これは決して誇張でもなんでもなく、座席も何もかもを吹き飛ばして進んでいく。
彼女の能力は『窒素装甲』窒素を体に纏わせる事により鉄壁の防御ととてつもない攻撃力を誇るまさに化け物(レベル4)なのである。

「し、しまった!人の心を揺さ振ってくるとは…流石大魔王!」

「誰が大魔王かっ!」

25小ネタ:2009/12/09(水) 04:17:40 ID:XiJO91Qg
そんな感じの鬼ごっこ(浜面としては命懸けの)が30分程続いた後、浜面は遂に袋小路に追い詰められてしまった。

「遂に超追い詰めました。超浜面。辞世の句を詠ませる時間を超与えましょう」

さぁどうしてくれようか!フハハハハハーー!と、今にも高笑いが聞こえてきそうなオーラを醸し出しながら、大魔王は浜面ににじり寄る。
対して浜面はゼェゼェと息も絶え絶えに力なく大魔王を見つめていた。

「好きに…しろよ…。」

浜面はありったけの哀愁を込めてボソリ言ったが

「うわ。超キモいんですけど。浜面は何処まで行っても超浜面ですね。」

と、バッサリと切られてしまった。
完膚なきまでに打ちのめされた浜面はガクリとうなだれたまま動かなくなってしまった。

「フフン。心は超完全に破壊されたようですね。これ以上やるのは流石に超可哀想なので、バニーの件を撤回するなら許してあげなくもないですよ?」

と、慈愛の微笑みを浮かべる絹旗。それを受けて浜面は目に再び力を込めて、はっきりと言い放った。

「それは無理だ。バニー教の教えに反する(キリッ」

「……。」

ゴゴゴゴゴゴ。
地鳴りとも思える絶望的な雰囲気が絹旗を包む。

「言い残した言葉は超ありませんね?」

浜面に止めを刺す為に彼女は拳を振りかぶる。
それに足掻くように浜面は両手を絹旗に向ける。
そこで神のいたずらか、浜面の両手は絹旗の慎ましくも確かに主張するバストに吸い込まれていった。
26名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 04:26:03 ID:XiJO91Qg
初投下です。つーか人生初めてのssです。
19巻の二人が可愛かったので…つい書いてしまいました。
続きは書けたらいいなぁ。
27名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 07:15:35 ID:TllO7CDH
とりあえずGJ
最後まで書こうぜ!
28名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 07:31:49 ID:EuOeMpUS
>>26
GJです
この二人は超お似合いだと思います
続きを超所望しています
29名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 08:17:35 ID:sMkq0k5b
>>26
人生初SS乙かれさまー。きっかけが何であれ、書いて投下まで至った事に意味があるのさ。
さて、これから絹旗は、大魔王から純情乙女にジョブチェンジなのかな?
今後の展開、楽しみにしておりますので、書くの頑張って下さい。
……それにしても、バニー教ですか。メイド教以外にも色々あるものだな、禁書世界には。
30名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 09:28:31 ID:rjxrTW5P
五和と美琴と上条さんによる修羅場を原作でも見たいのう
31名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 09:48:55 ID:WJ4BulTL
とある哲厨の妄想スレ
32名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 13:07:07 ID:p1pKdIaS
浜面超愛してます! 浜面に超愛されて女になりたいです!



「ってきぬはたが寝言で言ってた」
「そんなこと超言わないです! そっちこそ寝言で、はまづら超気持ちいい、って言ってたじゃないですか!」
「超なんて言ってない」
「え?」
「え?」
33名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 13:24:12 ID:TZoeuLrb
言ったこと自体は否定しないのかw
34名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 14:00:33 ID:x8GPxXyn
>>26
スレ一番乗りにして初SS乙です。
2人のやり取りが非常にコミカルで面白かった。
文自体には改善の余地がまだまだある気がするけど、そこは書き続ければ良くなると思う。
とりあえず会話の「」の最後に句点は入らない。
続きを期待してます。

>>32
単純にフイタw
狙ったな!?
35名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 15:08:27 ID:4xNbMO4B
>>32
それはつまり浜面が部屋に忍び込んで絹旗が寝てる横で滝壺とヤッてたってことか!!
己〜浜面!!バニーで鼻血出すような初心な野郎だと思ってたのに・・・・
許さん!!!何故そこで絹旗も混ぜてやらんのだ!!
例え滝壺がもう揺ぎ無い嫁だとしてもやっぱり三人で幸せになって欲しいんだよ俺は!!
36名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 16:08:03 ID:+WPYgNdv
麦のんも浜面に御失心だから
浜面はアイテム完全制覇だな!
超羨ましいぜ……















あれ?なんか忘れてるような…
37名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 16:30:22 ID:kZBs1dPK
>>35
心の叫びに吹いたw
原作準拠だと、滝壺が退院してからがジェットコースターだから
何事もなく退院した展開かな。

ところで絹旗が所属させられそうになった敗残チームって
絹旗、心理測定、死角移動まではいいとして。最後は誰だったのか…
38名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 17:08:13 ID:hyg/5K/h
>>37
キルポイント生きてたっけ?
手塩のめぐっさんじゃないかしら。あのひと息継ぎ多すぎよね
39名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 17:37:14 ID:rIYeTo75
上条・一方通行・浜面。
三人が出合ったら即・殺し合いに発展しそう……テイルズのスキットや、舞台裏の風景のように雑談させたら逆に面白そうではあるが、上手く想像できないなぁ。
40名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 17:58:00 ID:Do5IAm7z
上条さんは浜面の顔覚えてるかなぁ?
上条ー一方通行間は打ち止めと御坂妹次第でどうとでもなりそうではあるが……
41名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 19:06:43 ID:WoSPWXI7
本スレだと上条さんに忘れられてる一方さんカワイソスネタが最近頻発するが
真に忘れられてそうなのは浜面だよな…
ここはいっそ綺麗さっぱり浜面を忘れた上条さんが滝壺にラッキースケベイベント発動する話でも書くべきか
42名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 20:42:22 ID:1rDnT4Mf
マギー>>1
43名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 20:42:39 ID:uFAA/4eb
上条ー一方通行間は、打ち止め、インデックスの件があるから、制御装置を取り返す
までは共同戦線を取りそう。
問題は、制御装置を取り返した後で、打ち止めを救う方法で
殺し合いになるかもしれないというところか。
44名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 21:51:47 ID:DSlupRfL
美琴さんに言わせたいセリフに巡り合ったので小ネタ一本。エロじゃないがネタ元がエロゲなのでここに持ってきた。

上条「…え?」
美琴「何よ、いらないの!?」
上条「あ、いや、つーか、これ、あれだよな、えーと、ば、ば、ば、バンジージャンプ?」
美琴「バ・レ・ン・タ・イ・ン・チョ・コ! つーか何でバンジージャンプなのよ、バンアレン帯ならともかく」
上条「いやすまん、あまりのことに脳が妙なことになっちまった…。つか何で俺に?」
美琴「は?」
上条「いや、だってお前、俺のこと嫌いなんじゃ…?」
美琴「……はい?」
上条「え、何でそんな何言ってるかわかんない的顔されるんでしょーか?」
美琴「…ちょっと待ちなさい。何でそういう風になるのか、端的にでいいから説明しなさい」
上条「だってお前、会うたび会うたび電撃浴びせるか罵声浴びせるか訳わかんないいちゃもんつけるわ…、って」
美琴(どんより暗雲)
上条「み、御坂さん?」
美琴「ぁぅ、思い当たるところが多すぎて反論できない…。と、とにかくっ」
上条「うお!?」
美琴「だからその、嫌いってことは無いから! ありえねーから! そもそも嫌いな奴に自分から声かけると思う普通!?」
上条「あ、あー…、そりゃそうか。…そーか、そうなのか、はは」
美琴「何よ? 何がおかしいわけ?」
上条「いや、てっきり嫌われてるか何かだと思ってたからさ。違うって分かってほっとした、心底」
美琴「え? (そ、それって、私に嫌われるのが嫌だったって事で、つまり、その!?)」
上条「俺はこれでもお前のこと、友達だって思ってたからな」
美琴「…あ、そう、友達。そう、友達ね、うん、そーよね、あははは…」
上条「御坂? どーしたんだお前、何か虚ろだぞ?」
美琴「うっさい黙れ鈍感トーヘンボク」
上条「な、何かこの常盤台のお嬢様がまた変ですよ!?」
美琴「てゆーか、これ! いるの!? いらないの!?」
上条「へ? って、ああ! いる、いります、よこせこの野郎三段活用!」
美琴「三つ目のは既に活用じゃないじゃない。ほら」
上条「サンキュ、御坂。…って、あれ? これ、まさか手作りか?」
美琴「な、ななな、な、何でわか!?」
上条「いや、ラッピングにしわが」
美琴「嘘!? あああ、ほんとだ!」
上条「…そか、手作りなのか。義理の割には手が込んでるっつーか」
美琴「義理…、じゃ、ない、わよ」
上条「…は?」
美琴「だから! 義理じゃないっつってんの!」
上条「…義理じゃない、って、え、義理じゃないなら、え?」
美琴「ああもう黙って聞け!! 私は、私はあんたが、あんたが…」
上条「……」
美琴「……」
上条「……」
美琴「……」
上条「……」
美琴「……」
上条「……」
美琴「……」
上条「…あの?」
美琴「……っ、うあああああああああ!!!!」
上条「うお!?」
美琴「だからもうつまりそのえーっとあのうあああ」
上条「ちょ、おま、何でビリビリしだしてんだよ!?」
美琴「うっさい黙れもうようするにこういうことよ食らえ、らぶらぶびぃぃいいいいいいいむ!!」
上条「だあああああああああああああああああ!?!?!?」

終わっとく
45名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 22:06:07 ID:HCDNcfYZ
おいおい、上条美琴に興味がなかったのになんだか可愛いじゃないからぶらぶびぃぃいいいいいいいむ!
GJ。萌えた
46名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 22:41:43 ID:vsUcGkMc
おいおい
すばらしいSSじゃないか
47名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 22:58:49 ID:KPk17GjT

まあ一応告白する事には成功してる…んだよな?w
48名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 23:07:43 ID:x8GPxXyn
>>44
最後が不幸だじゃ無いのが引っ掛かるけど、そんなものは全く関係ないくらいGJ(ゴッドジョブ)だ。
49名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 23:29:23 ID:FNf3IiuA
>>34
>とりあえず会話の「」の最後に句点は入らない
マジで!
小さい頃入れろって習ったんだが
50名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 23:31:50 ID:TllO7CDH
>>49
手持ちの小説を開いてみようぜ、今はほとんどつけている奴なんかいないんだぜ
省略してもいいものなんだよ
51名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 00:04:46 ID:WOxg6fgx
>>44
あう・・・あう・・・・
萌えたぁ・・・
52名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 01:51:50 ID:xS0MD+69
>>44
「ありえねーから!」がタイムリーですね。良く勉強されています。
何様だろう私。しかしGJ!
この調子でクリスマスネタ期待。
みんな無理して好きなヒロインでクリスマスネタ書いてみればいいと思うのよな!

それはともかく
夢の選択肢のひとの伏線回収いつになるんだろう…
気になって朝目が覚めない…
53名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 02:18:00 ID:havH4Xsk
>>52
…教皇代理…サボってないで仕事してくださいよ!
54名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 02:51:48 ID:V3/XDOOh
ぶっちゃけ、男としての株はもはや上条さんより
一方さんや浜面のほうが上だよな
55名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 02:55:05 ID:rxBQrvYx
しっかり本命一人に絞ってるからなあ
まあエロパロ的には上条さんみたいなフラグ乱立野郎のがありがたい訳だが
56名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 04:58:03 ID:/kC2xDDB
上条さんのフラグ乱立はこういう結果を生みます

「とうまはもっと反省するといいかも!」「日々強化されゆくその噛筋力!上条さんの頭はもう限界ですよ!?」
「本日の焼き加減はどのくらいがいい?レア?ミディアム?ウェルダン?」「生焼けで済ませてくれそうもないその高電圧!!!」
「何か言い残すことがあったら今のうちに言っておくことをお勧めします」「言い訳させてもらえるヒマも無い神速の聖人連劇ッ!」
「………酷いです。」「あああっ!いっそ殴る蹴るでもしてくれたほうが上条さん的にまだ救われる的に良心が痛いっ!」
「貴様に与えられるべきは水分でもCaでもなく物理的な制裁!」「近頃の通販はDDTの打ち方まで学べるのかぁっ!?」
「…………・…浮気者……・…・……!」「あああっ!淡々とした中にもたった一言の圧力が上条さん的に重いっ!!」
「あらあら。寝言を言っているのはこの口でございましょうか?」「笑顔は優しいのにグーの重みはシャレにならないですシスター!」
「全くこの卑しい駄犬はすぐ他のメス犬に尻尾振って。もう虚勢しちまいましょうかねぇ?」「何故に楽しげなのか知りたくないッ!」
57名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 04:59:17 ID:G/Xh6GdS
まだ個別ルートに入ってないからな
まぁ入ったら入ったで自分の好きなキャラじゃなかったと言って気が狂った萌え豚さんが一人くらいは暴れそうだが
58名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 07:40:14 ID:havH4Xsk
上条さんが個別ルートに入ったって、俺たちには自分だけの現実っていう強い味方がいるぜ!
59名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 07:48:47 ID:LPLtmh4a
ハーレム状態好きな俺はとらぶるとからんまみたいな最終回がいいんだけどな
60名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 08:59:44 ID:q4rH9uCh
>>54
上条さんは何か勘違いされている
よくあるヘタレ系ハーレム主人公と違って本当に硬派
61名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 10:25:00 ID:2o44aZnr
>>59
高確率でそんなかんじで曖昧になりそう万が一個別になるとしたら

本命・・・御坂美琴
対抗・・・五和
その他・・・神裂、■■、オルソラ、etc
大穴・・・インディグネイションさん
かな?主観はいりまくりだけど
62名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 10:33:42 ID:/IUC/Nhy
本命:御坂美琴
対抗:五和
大穴:御坂妹

あとはどっこいどっこいって印象
63名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 11:12:33 ID:kL1B8NYY
本命が美琴と言ってる時点で客観性に欠けるよな

どう考えても本命は姫神
64名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 11:44:54 ID:/GdyGStk
本命:インデックス
対抗:短髪
大穴:いつわ

と考えるのが当然かも
65名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 11:47:55 ID:q4rH9uCh
>>64
お前一人だけ浮いてるぞw
66名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 11:54:16 ID:vuA+k47T
上条さんもあれだが、インデックスさんも何気に無自覚のフラグ体質だと思う
しかも男を狂わす魔性系…
67名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 12:13:10 ID:2o44aZnr
>>66
甘いな、うちの美琴なんて同性すら狂わす(おもに人格が)超魔性系ですことよ
68名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 12:32:06 ID:Rmhg1XF0
俺の考えではインデックスと美琴のどちらかが本命だな
公式でもこの二人でダブルヒロインだって言ってた気がする
69名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 12:36:17 ID:fN8CnhiK
>>68
とある魔術の禁書目録っていうテーマでのヒロインではあるが
上条当麻という人物のヒロインではないんだぜ
70名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 12:40:50 ID:rxBQrvYx
何か原作読んでる限りはダブルヒロインってのは

ストーリー面のヒロイン:インデックス
恋愛面のヒロイン:美琴

って意味な気がするんだよね
まあ俺が上琴厨だからかも知れんけど
71名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 12:43:18 ID:+2DBFHsj
こんなに揉めるならヒーローもヒロインも一方さんでおk
72名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 12:59:32 ID:J9hCVrWI
キャラスレじゃ無いんだからそういうの止めようぜ
大穴とか貶しに近いじゃないか
73名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 13:21:21 ID:rGLlb31c
まったくだ、そのうち本スレみたいに荒れだすぞ
7437:2009/12/10(木) 13:30:49 ID:eT5NgbzO
>>35の心の叫びに免じてざらっと書いてみた。
色気のある展開を目指したけど無理でした。
足りない部分の設定は一部勝手に作ってある。
75絹旗最愛の憂鬱:2009/12/10(木) 13:32:08 ID:eT5NgbzO
「ただの映画には超興味ありません。この世界に低予算短時間芋俳優安設定のC級映画があるなら私のところに超来なさい、以上!」
「お前は一体何を言ってるんだ」
「憂鬱なんですよ超憂鬱」
今日も今日とて絹旗最愛と浜面仕上は場末としか言いようのない映画館に来ていた。例によって他の人気は全くない。
二人は薄汚い席の中列に並んで座っている。間にはビッグサイズのポップコーンが置かれていて好きに摘めるようになっていた。
妙にテンションが高くなっている絹旗に対して浜面は不機嫌である。恋人と部屋でいちゃついているところを呼び出されたので無理もない。
「ったく、憂鬱なのはこっちだぜ。せっかく滝壺が飯作ってくれてたのによ」
「あれ、彼女調理なんてできましたっけ。どうせ解凍食品の超盛り合わせじゃないですかね。最近のは出来がいいですし」
「お、お前男のロマンをなんだと思ってやがるんだ! 滝壺はなあ、指を絆創膏だらけにして恥ずかしそうに料理を出してくれるに決まってるだろうが!」
「さすが浜面思いこみが超キモイです」
一応前方のスクリーンでは今も映画が上映されているが、既に駄作を通り越して見るのが拷問の域に達する程のチープさ加減なので二人はもっぱら雑談に興じていた。
互い違いにカップに腕を突っ込んでポップコーンを囓る。二人で1カップなのは(主に絹旗の)カロリー調整のためだ。前日にケーキを食い過ぎたらしい。
絹旗がわざわざ浜面を呼び出して映画に繰り出したのは断じて甘い理由などではなく、ただの憂さ晴らしだった。
「それで超聞いてくださいよ浜面。絹旗さんなんですが、最近職場の雰囲気が超最悪なんです」
「職場って言うとあれか、壊滅した組織を集めて作った新チームだったか? 明らかにやばい気がしたんだが」
「流石にサボりも超限界でしたね。それで2,3仕事をこなしたんですが、流石の絹旗さんもストレス超溜まりまくりですよ」
「そりゃ殺し合った相手といきなり組めって言われても無理があるわな」
「いやそういう問題じゃなくてですね、純粋に相性が超悪いんですよ。心理測定は援交だかで超勝手に抜けるし、死角移動はあらゆる意味で超ウザいし、筋肉女は超空気読まずに仕切ろうとするし」
「なに、援交だと! あ、あのクレーン女けしからんな……どんなことやってるんだろうな」
「さすが浜面反応するところのキモさが尋常じゃないです」
少女に軽蔑しきった目で見られて浜面はゲフンゲフンと大袈裟に咳をして誤魔化した、誤魔化せたらいいな。
「つーか全然バラバラに思えるんだが、一体何を目的にした組織なんだ?」
「さあ? ホントに寄せ集めてみたって言うか、最近かなりのチームが壊滅したんで超急場凌ぎの何でも屋って感じですかね」
「あー、上のやることも結構適当だな」
「電話の向こうに『なんかさー、劣化『グループ』目指してみましたって感じだよね、あは☆』って言われましたよ超腹立ちます」
罵ってむしゃむしゃとポップコーンを頬張る絹旗。こいつはこいつで苦労してるんだろうな、と浜面は少しだけ同情した。
つまりストレス発散のために浜面を呼び出して趣味のC級映画鑑賞をしているというわけだ。それを思えば少しは許せないでもない。
おや?
76絹旗最愛の憂鬱:2009/12/10(木) 13:33:18 ID:eT5NgbzO
「つーかお前友達いないのか?」
「何超失礼なことほざいてるんですか突然。確かに休みがちですが、学校ぐらいは通ってますよ。超名門です」
「いや、映画見るなら同い年の女と見りゃいいだろうに。何でわざわざ俺を呼び出すんだよ……はっ!? いや、俺には滝壺が」
「まずその超侮辱な想像を抹消してくださいできれば脳ごと。あっちの知り合いを呼べるわけがないでしょう。自分が特殊だってことぐらい超自覚しています」
「あー……そういやそうか。わりい」
絹旗最愛は学園都市の暗部に蠢く有象無象に属する身である。自分もまた(かつては)一員である浜面は思い至らなかったことを一瞬真剣に恥じた。一瞬だけ。
「C級映画鑑賞なんて趣味に、曲がりなりにも名門校の女子を付き合わせられるわけないじゃないですか。浜面なら超使い減りしないですし」
「俺は耐久消耗材かっ!? ああもう、一瞬だけ殊勝に思って損した!」
「浜面ごときに同情される程超落ちぶれているつもりはありません。超心外です」
映画が終わり照明が戻ったが、二人は変わらず雑談を続けた。どうせ次の映画が5分もすれば始まるし、前の映画は品評にも値しない出来だった。
「ところで浜面は今何やってるんですか? 滝壺さんにバニーを着せるとか超言ってましたが」
「そりゃお前が勝手に言ってただけだろうが。それに俺は、まだ滝壺にバニーを着せるつもりはないぜ」
「まだとか超肯定じゃないですかね。っていうか、それじゃ何時なんですか?」
「決まってる」
そこで浜面仕上はふっと笑った。大切なことを心の真ん中に据えた、男の顔だった。
「滝壺を表の世界に戻してやった時だ。その時俺は、あいつにバニーを着てもらう」
一瞬の沈黙。絹旗は、曰く言い難い奇妙な表情を見せた。
「なんですかその、超重大な決意っぽく語られた超キモイ発言は。っていうか、単に滝壺さんから超拒否されてるだけじゃ?」
「馬鹿っ! モチベーションを高めるために敢えて目標設定してるだけだ。俺と滝壺はラブラブなんだよ!」
「焦り方が超怪しいんですが。どんな調子かは超知ってますよ、同じ部屋に住んでますし」
現状、滝壺理后と絹旗最愛は同じ部屋に寝泊まりしていた。
元はと言えば滝壺が入院中、絹旗が彼女の部屋をセーフハウス代わりに使っていたのだが、滝壺が退院したあともそのまま居着いている。滝壺自身の要望だった。
絹旗は外出している時間が多いので、部屋を訪ねてくる浜面とは居合わせたりすれ違ったりと様々だ。浜面と滝壺が二人でいる時に帰ってくることもある。
「こっちが仕事で超疲れた体を引きずって帰ってきたら、部屋でギシアンやってるのって超殺意が湧きますよね」
「ちょ、おま、見てたのか!?」
「浜面。一つ忠告しておきますが、コスプレ趣味は健全とは超言いかねますよ」
「余計なお世話だよコンチクショウ!」
顔を真っ赤にして喚く浜面と、恥ずかしげもなく続ける絹旗。
浜面仕上は恋人との情事を覗かれて開き直れる程すれてはなく、逆に絹旗最愛の表情は世間話のそれと全く変わっていない。
人生経験というよりも元々の性格の差が出ているようだった。話題は猥談に転がっていく。
「でも超正直、滝壺さんはあまり気持ちよさそうに見えませんでしたけどね」
「あ、ああ。それはな……やっぱ俺って下手なのか……ってなに言わすんだよ」
「どうでしょうね。単に感度が低いだけなのかも。女の子の体は超繊細ですから」
「じゃあ前戯をもっと丁寧にやるとか?」
「滝壺さんは超病み上がりなんですから、時間掛けると先にバテませんかね。というかそもそも、そういうこと超やらせるなって感じですが」
「し、仕方ねえだろ。滝壺が可愛いんだし、こっちは男なんだからよ」
「男の性質と浜面のキモさに対して私は超区別が付きません。まあしばらく控えたらどうですかね。愛し方ってのは色々あるという説もあるそうですし」
「そうか……まあそうだよな……仕方ないよな」
断腸、といった様子で浜面が目を閉じて自分を納得させる。幼子を捨てる母親のような真剣さだった。絹旗の視線が白い。
さておき、と彼女は話題を戻した。猥談終了。
77絹旗最愛の憂鬱:2009/12/10(木) 13:34:37 ID:eT5NgbzO
「それで浜面は結局今何してるんですか。ニートですか? 超ニートですか?」
「ちげえよ。とりあえず今は色々考えながらだな……」
「それをニートと言うんですよ。明日になったら超本気出すんですよね?」
「違うっつってんだろ! 昔の伝手辿って、色々話を集めながら、稼げる話を幾つか進めてる。先立つものは必要だしな」
「それって要するに超犯罪ですよね。アンチスキルに捕まって留置所に超ぶち込まれても引き取りませんからね」
「そんなへま、するわけないだろ?」
今まで十二回もぶち込まれたことは秘密だ。浜面も暗部の端にいる男。どうせまともなところで働けない。
そんな浜面に、ふと少女は提案をした。
「ふうん……それじゃあ浜面、こっちのチーム手伝いませんか?」
「は? 例の敗残チームのことかよ」
「はい。私の推薦ということで下部組織に超ねじ込めば楽勝ですよ。何しろ雰囲気が超最悪なんで」
「おいおい、そんなに俺のアシストが恋しいのかよ」
ふっと髪をかき上げる浜面。一方絹旗は塩気でべたついた手をウェットティッシュで拭っていた。あ、小指の爪が伸びてる。
「戯れ言はさておき。浜面って信楽焼の狸みたいで、そこにいるだけで超笑えるんですよね」
「俺のはあんなに垂れてねえっ」
「だから反応するところが超キモいです。アイテムの時も、浜面が来るまでは超ギスギスしてましたし」
「へえ、そうだったのか? そんなにチームワークは悪くなさそうに見えたけどな」
「麦野さんが超サドで、ブレンダさんを使いっ走りに。ブレンダさんは滝壺さんに陰で超八つ当たりして、私は離れたところでノータッチという状況でしたよ」
「お前ちゃっかりしてんな。つーか滝壺が一人損じゃないか、それ」
「だから滝壺さんは浜面に感謝してたんですよ。ブレンダさんが土壇場で裏切ったのも超そのせいだったのかも」
女性が集まった時の生々しさにおののく浜面。ちなみにブレンダが使いっ走りにされていたのは、彼女だけ強能力(レベル3)だったからである。合掌。
ともあれ、提案に対して浜面は考えた。
暗部組織に所属するということは、いうまでもなく命の危険に晒される。アイテムが壊滅した一連の抗争でも、彼は幾度も死にかけた。最大の危機は言うまでもなく『あれ』だが。
今の浜面には守るべき存在がいて、彼はどう足掻いてもただの無能力者(レベル0)である。自分から危険に近づくことなど断じて避けるべきだった。
しかし確かに絹旗の言う通り、表に出られない浜面が金を稼ぐならどうしても裏家業になるし、それなら危険に近づいているということは変わりない。
勿論危険の大小には差があるだろう。暗部組織に荷担した方が危険は大きいに違いない。が
「一応聞くが、その新チームにはぶち切れて襲いかかってきそうな超能力(レベル5)はいないよな?」
「超いません。何を心配してるかわかりますが」
「それなら……まあ、いいぜ。ヤバいことになったら直ぐ引っ込ませて貰うならな」
絹旗はその返答に、意外そうな顔をして目を丸くした。
「いいんですか? 自分で言っておいて超なんですが、滝壺さんのこともあるでしょう」
「滝壺のことを何とかするのにも、そういうところに近い方がいいかもしれねえだろ。それに」
絹旗最愛という飄々とした少女が、浜面仕上というろくでもない男に『助けを求めてきた』のだ。
滝壺のことに関しても、彼は絹旗に大きな借りがある。ある種の友情(戦友じみたもの)も感じている。放っておけるわけがなかった。
……とはいえ、そんなことを正面切って言えるような間柄でもない。
「それに、なんですか? 見返りに超キモい期待をしてるなら滝壺さんに超チクりますが」
「バニーも似合わないガキに用はねえっ! そうだな……あのクレーン女って華奢だけど色気があって結構」
「浜面殺す超殺す」
「何故っ!?」
有無を言わさず絹旗のアッパー一閃で浜面の体が中列から最後列まで吹き飛んだ。
学園都市は今日も平和である。
78絹旗最愛の憂鬱:2009/12/10(木) 13:38:40 ID:eT5NgbzO
以上。
滝壺が何事もなく退院したという設定です。
ブレンダの能力強度は適当。
キルポイントじゃなくて犬でも良かったけど、彼の尋常じゃないウザさを買って配役しました。能力名もそのまま採用。
ホントは絹旗がバニー着る?的な展開を目指したけど無理があったよママン。
79名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 13:43:45 ID:fN8CnhiK
フレンダ……

GJではあるがフレンダ……
8035:2009/12/10(木) 13:49:42 ID:Rmhg1XF0
>>78
GJ!!心の叫びを聞いてくれてマジ感謝!!その優しさに全俺が泣いた!!
心の叫びを聞いてもらった身としてはこんなことツッコむのは差し出がましいんだが……
フレンダ…
81憂鬱:2009/12/10(木) 13:53:14 ID:eT5NgbzO
>>79>>80
やばい素で名前間違えたwwww
ごめんなさい。まあフレンダだからいいよね!
82名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 15:03:03 ID:8BN9NMbP
さすがに首を縦に振れんだ…
83名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 16:35:53 ID:OsQLSqRX
>>78
GJ!
自分にも浜面のキモさが超伝わってきました。
フレ…ドンマイw
84名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 19:31:58 ID:havH4Xsk
>>82
俺はお前みたいな奴、好きだぜ?w
85名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 20:25:06 ID:TxN0MZ7p


>>70
主人公は最初はストーリー面のヒロインに憧れるけど
次第に主人公の相手役に惹かれていくパターンとか
ストーリー面のヒロインが人外等(天使、妖精、幽霊等)だと
ストーリー面のヒロインが消滅や死亡してもう一人のヒロインとくっついたりするパターンがメジャーかな

インデックスの場合だと何かしらの理由で死亡して
美琴が傷心の上条さんを慰めてカップリング成立が妥当か
86名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 20:39:01 ID:+2DBFHsj
うっわぁうぜぇーコイツ

んじゃ美琴が案の定殺されてインデックスが惜しくも崩壊して打ち止めがあと一歩だったのに崩壊して滝壺が残念ながら崩壊して、
主人公3人が鬼神となって世界を滅ぼすのがいいと思うわ。
よくあるだろ?ヒロイン全滅
87名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 20:47:01 ID:rxBQrvYx
俺の軽率な書き込みのせいで変なの呼び込んじゃってごめん
88名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 20:49:33 ID:fxLZ1AFK
あのさ上条×美琴の人は少し自重しようか。
他のカプまで批判するのはさすがに……な。

何が何でも自分のカプが正しいって言うなら、その妄想をエロパロ小説にして投下しようか。
89名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 20:51:50 ID:/kC2xDDB
俺の中のベストヒロインは吹寄だ
たとえ誰にも支持されなかったとしても揺るがない
大覇星祭は最高だった
90名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 21:06:50 ID:FXY9bo2r
いいぞもっと荒れろ
9137:2009/12/10(木) 21:40:14 ID:OgrZ6u3Z
フレ……なんとかに免じて続きをかいたお!
半日で書けたことが我ながら信じられないお!
ちなみに色気は全然さっぱりないお!
92絹旗最愛の憂鬱2:2009/12/10(木) 21:41:25 ID:OgrZ6u3Z
「あー、疲れたー」
「超お疲れさまです、浜面」
絹旗最愛と浜面仕上は場末としか言いようのない映画館の座席に座り込んだ。例によって他の人気は全くない。
二人は薄汚い席の中列に並んで座っている。間にはビッグサイズのポップコーンが置かれていて好きに摘めるようになっていた。
ぐったりと座席に沈み込む浜面に、けろりとした絹旗。同じ修羅場を潜ってきたにしては、性別年齢が逆転したような差である。
今日は以前に約束した通り、浜面は絹旗の仕事をアシストするために同行した。新チームの方に話は通っていたらしく、割とあっさり受け入れられた。
与えられた仕事自体は『何かしようとしている組織があるから探して潰せ』というオーソドックスなもので、チームの個々人が能力を発揮して滞りなく済んでいる。
それでどうして浜面が疲労困憊なのかと言うと、バラバラになろうとするメンツを繋ぎとめていたからだ。
「まー仕事自体は周囲でお膳立てして私が超突っ込むだけでしたけどね」
「そのお膳立てが大変だったんじゃねえか。一応、あの手塩って女がリーダーなんだから従えよ」
「いやー彼女は正直、リーダーに超向いてないですよ。あの中で大人だから立候補して、それが特に拒否されなかっただけです」
「確かに責任感の固まりって感じだったな。あいつ絶対アンチスキルだぜ、スキルアウトとしての勘が言ってる。車盗む時滅茶苦茶睨んでたしな」
「用事がすんだら戻しとけと超言われてましたよね浜面」
「黄泉川のバカと言い、なんでアンチスキルの女ってのは頭が固くて背が高くてジャージなんだ?」
「それは超偏見です。でも、他の三人が超個人主義なのに一人だけ統率主義だと痛々しいですよね。超空気読めって感じです」
浜面は手塩と名乗った女性のことを思い浮かべる。刃物のように鍛えられた体を濃紺のスポーツジャージに包んだ姿は軍人か格闘家という風情だった。
少なくともジャージの着こなしに関しては滝壺をも上回る逸材に違いない。一言一言を区切るように喋る女だった。話し方も滝壺に似ている。
「というか作戦立案も正直疑問なんですよね。私は盾なんだからもっと超突っ込むべきなのに、過小評価されてるんでしょうか」
「いや、ありゃお前のことを気に掛けてたんだろ」
「私を? 何故ですか。チームだけの繋がりですし、頑丈さなら超自信がありますよ」
「お前が確かに化け物だってことは知ってるが、ガキを突っ込ませるのに心咎める人間もいるんだよ。アンチスキルなら尚更だろ」
「あ、あーあー。そういうことですか。超謎が解けましたよ」
ぽむ、と手を合わせる12歳を見て、浜面はこの少女が今までどれだけ年齢に合わない扱いをされてきたのか考えかけて、やめた。
代わりに、ぽんぽんと絹旗の頭を優しく叩く。即座、低い弾道のストレートが浜面を4座席分横に吹っ飛ばした。
「ちょっと! 髪にポップコーンやら体液やら精液やらが超付くじゃないですか!」
「ご、ごぼっ! ちょ、ちょっと待て。最後のはついてねえ! 手ぐらい洗うわ!」
「だから否定の仕方が超キモイんです」
ハンカチと消臭スプレーで髪を掃除しだした絹旗の横に、腹を押さえながらよろよろと浜面が戻る。何故戻るのか。
しばらく二人はお互いの作業に専念した。片方は髪整える作業。もう片方は呼吸を整える作業。その間に上映されていたショートフィルムが終わる。例に洩れず駄作である。
会話を再開したのは浜面だった。空気を変えるために、最も下らない話題を選ぶ。
「そういや、あの死角移動って奴は……なんでずっと俺の後ろにいたんだ?」
「人の背後を取らないと落ち着かない習性らしいです。喋りも相まって超ウザイですよね」
「逆ゴルゴかよ。何が悲しくて男を背負って打ち合わせしなきゃいけないんだ」
「文句言わないでください。浜面が来るまでは手塩さんが背負ってたんですよ。裏拳と肘で吹っ飛ばしたことも一度や二度じゃありません」
「そこまでして背後に執着するのかよ。馬鹿なのかマゾなのかどっちなんだ」
「私の分析では前世で背後霊だったに超違いありません」
「それ前世って言うのか? つーか……まさかとは思うが、俺を呼んだ理由ってのはあいつを背負わせるだけじゃ」
「この映画基本的に駄作ですけど、端々で見られる出来の良さが更に悲惨さを煽ってますよね」
「あからさまに話題を逸らしやがった!」
93絹旗最愛の憂鬱2:2009/12/10(木) 21:43:52 ID:OgrZ6u3Z
二人ともずっと正面を向いたまま喋っているので、絹旗の目が泳いだことを浜面は確認できなかった。とはいえ態度で明白である。
よほどその頭をチョップしてやろうかと思ったのだが、また反撃で吹き飛ぶことは目に見えていたので我慢した。命拾いしたな、と心の中だけで捨て台詞を吐いておく。
ついでに最後の一人について話を変えた。
「そういや、あのクレーン女途中からいなくなってたんだが」
「ええ。彼女、自分の役目が終わると超帰っちゃうんですよね。チームワーク超皆無ですよ」
「まあ、お前や他の奴らみたいに直接戦う訳じゃないからな。根城を突き止めた時点でやることは終わってるし、いいんじゃねえの?」
「別に私としてもそれでいいとは思いますが。やけに心理定規の方を持ちますね。褒められたのが超嬉しかったんですか?」
浜面の起こした『奇跡』を知っていたのは(少なくとも当事者が浜面だと認識していたのは)新チームの中で心理定規だけだった。
そのせいか彼女はやけに浜面に対して好意的で、多少の因縁もある彼としてはひどく対応に戸惑った。鼻の下を伸ばしていただけともいう。
剥き出しになった華奢な肩と、幼さの残る端正な顔立ち。強調された胸は(大きさだけなら手塩の方が上だろうが)色気というものを完璧に制御し放出していた。
それらを思い出してだらしなく鼻の下を伸ばす浜面を、絹旗は携帯のカメラで動画として余すところなく撮影すると保存した。光量増幅装置付きの優れものである。
保存した動画をメールに添付し『他の女を思い出して鼻を伸ばす超浜面』と題名して滝壺理后の携帯に送る。1分ほどの間を置いて、浜面の携帯が鳴り出した(マナー違反)
『はまづら、他の女性って、誰のこと』
「うおおおおおっ! 滝壺どうしたんだいきなりっ!?」
携帯を取った浜面は電話口からの淡々とした、しかしどこか悲しげな声に、必死の弁解を余儀なくされた。それをまるで映画のように鑑賞する絹旗。次の上映まであと3分はある
「例えば、例えばだ! 滝壺、お前が和食だとしよう。御飯、味噌汁、焼き鮭、煮物、漬物と揃った日本の味だ。美味いさ、そりゃ最高だよ。けど、けどな。お前が和食だとしたら、あの女は洋食!
 どっちがいいとか、そういう問題じゃないんだ。タイプが違うんだよ!」
『つまりはまづらは、私に飽きたからその女性を食べたの?』
「違う! そうじゃない、そうじゃないんだ! 俺はもちろん和食しか食べないさ。和食一筋だ! 米は日本人の魂、毎日食べたって飽きるもんか。
 けど、ショーウインドウのビーフステーキを見て、唾が出ちまうことはあるかもしれない。それは体の反応であって俺の意志じゃないんだ!」
『はまづらの、意志じゃない』
「そう、そうなんだよ! 出ちまうもんは仕方ない。けど俺はそんな店には入らないし、和食しか食わない。滝壺だけで十分なんだよ、な? わかったか? わかってくれたか?」
『――――わかった』
「ああ、ありがとう。愛してるぜ、滝壺」
『私も、愛してる、はまづら』
携帯を切った浜面はやり遂げた男の顔で額の汗を拭った。キラキラと汗がスクリーンの光に反射して輝く。そんな浜面を横からジト目で非難する絹旗。
「なんとかなったか」
「いや超なってませんから。何なんですか今の言い訳、超キモいんですけど」
「うるせえな。お前こそいきなり何滝壺に送ってるんだよ! 恩を仇で返す気か!」
「べっつにー。ただ、滝壺さんの知らないところで超デレデレしてるってのは不義理じゃないんですかね。大体彼女の能力でデレデレさせられてたってことは考えないんですか?」
「うっ、そ、そりゃそうか……」
心理定規(メジャーハート)は人の心の距離を自在に調節できるテレパスである。そう考えれば、敵であるより味方である方が恐ろしい能力とも言えた。
またあの扇情的な恰好は、能力の発動を誤魔化すための一種の擬態なのかもしれなかった。実際、浜面には彼女の魅力だったのか能力の作用なのか分からない。
一気に頭を冷やして警戒心を再燃させた浜面に満足そうに頷いて、絹旗はふと気になったことを聞いてみた。最早映画など全く見ていない。
「そういえば、滝壺さんが和食で心理定規が洋食なら、私は超なんなんですか?」
「んー? そうだな。デザートじゃね? ショートケーキあたりで」
94絹旗最愛の憂鬱2:2009/12/10(木) 21:44:36 ID:OgrZ6u3Z
適当に答えてから、しまった!と浜面は身構えた。先程デリカシーのない例えと評されたばかりである。アッパーで最後列まで吹き飛ばされてもおかしくはない。理不尽だが。
が、攻撃は来なかった。
ガードのために身体の前で固めた腕から恐る恐る顔を出すと、絹旗は視線を逸らして斜め下を見ていた。映画の途中でなければ、頬が僅かに染まっていることにも気づけただろう。
「へえ……そうなんですか。浜面に取って私は超デザートですか。食事のついでに超軽く食べられちゃうような存在なんですね」
「いや、例え、例えだからな? あくまでただの」
しばらく気まずい沈黙が訪れる。それから逃れるための道具は都合よく、二人の前にあった。無言で映画に見入る。
超絶陳腐な駄作だった。厳粛な音楽と共にスタッフロールが流れる段になって、絹旗がポツリと呟く。
「まあ、チームには誰か貧乏くじを引く人が必要ですからね。超偶々今回は私だっただけですよ」
「そうかもな……」
浜面は、アイテムのメンバーであった金髪碧眼の少女を思い受けべた。彼女が、あんな死に方をしなければいけなかった人間だとは今でも思っていない。願わくば、絹旗があんな風にならないように。
目を閉じて、流れる厳粛な音楽に合わせて黙祷する。フレ……フレ……
「あれ? なあ絹旗。アイテムの4人目のあいつって何て名前だっけ?」
「ブレンダさんのことですか? 超薄情ですね浜面」
「あれ、最初の二文字『フレ』じゃなかったっけ? いやそうだ、間違いない」
「え、超そうでしたっけ?」
「フレ……フレ……フレンド!」
「なんか超友達っぽいですね。えーと、たしか…………スレンダーさんでしたっけ?」
「細めの方向でスタイルよさそうな名前だな」
しばらく二人で頭を捻るが、結局共に納得する答えは出なかった。あばよ、フレ……なんとか。お前は悪い奴じゃなかった。
「まあ貧乏くじを引く役目は、これからは浜面が背負ってくれそうなので超安心です。私は元々変人に振り回される立ち位置じゃありませんし」
「おま、またか、またかよ!? そういえばアイテムの時もお前は一人我関せずって顔してたな!」
「超当然です。それが私のスタイルですから」
素知らぬ顔でそっぽを向く絹旗に、浜面は自分が嵌められたことを知った。つまりそのために彼を新チームに引き込んだのだ。
怒りに震える浜面だったが物理的な攻撃は強能力(レベル4)たる彼女には完全に無意味である。せめてもの意趣返しに口撃に出た。
「そうそうさっきの例えだけどよ。お前がケーキだとしても、クリームの代わりに使われてるのはどう考えてもニトログリセリン」
「浜面超アッパー!」
≒浜面を超殺すアッパー。
浜面の体はセリフの半ばで盛大に吹き飛び、最後列を飛び越えて壁に叩きつけられた。
学園都市は今日も平和である。
95絹旗最愛の憂鬱2:2009/12/10(木) 21:49:32 ID:OgrZ6u3Z
以上です。
フレ……なんとかに奉げます。
ちょっと絹旗の良さが分かってきた気がする。
心理測定じゃなくて心理定規だった。1では間違えてた。
絹旗がお礼に何かするかな?と思ったけど全然そんな方向にはいきませんでしたママン。
96名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:02:15 ID:Iv4nRfnB
キャラの特徴がわかりやすくていいですなGJ
続きを期待!
97名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:19:14 ID:pa6kMIUJ
俺の中で絹旗×浜面は超正義
98名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:26:45 ID:OsQLSqRX
>>95
相変わらず浜面が超キモくて、絹旗が超可愛くてサイコーでした。
フレ…は、まあ、ねえ。
GJ!
99名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:42:44 ID:Rmhg1XF0
いいねこの関係ww
浜面と滝壺と絹旗の三人だからこそこの味がでるんだな
この絹旗の浜面に対する感情が恋の一歩手前みたいな感じがなんともいえん
浜面には滝壺がいることはわかってる、だけどちょっとだけ気になってしまう……
こんなもどかしい関係を抜け出すためにはやはり三人で幸せになるしかないな!!

え?麦のん?ターミネーターにでもなってればいいよ
最初は敵として出てくるけど次回からは改造されて味方として登場するんだ
そして浜面達を守った後はサムズアップしながら溶けた金属の中へ消えてくんだよ
あれ?なんか光の線がこっちに飛んでk……
100名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:46:57 ID:rDePufAt
>>95
映画館シリーズGJ!
浜面も懲りねー、つーか打ちのめされてもめげずに立ち上がるやつだなw
間違いまでネタにしてしまうとは恐れ入りました。
101名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 23:20:02 ID:tULf+x+8
>>95
いいねぇこの掛け合いすげー好きだわ。
滝壺を出してくる演出も憎いねw

フレ……さんには合掌。
102名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 23:26:32 ID:uYNtHDhj
お前らフレ……厨の俺が見てないところでよくもヌケヌケと…
だが>>95GJ
103名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 00:02:21 ID:1wwm1/4d
フレ……さんは、今電撃大王で大活躍中なんだぞ!
今にもビリビリ中学生にフルボッコにされそうなくらい…

そして>>95はGJ!激しく笑わさせてもらいましたw
104名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 02:27:16 ID:SYgR4bca
>>95
フレ…ンチさん?
フレ……ミングさん?
フレ………キシブルさん?

あれー?

ともかくGJ!
ssまとめスレの設定だっけフレなんとかさんが泣き上戸になるやつ。
あれ可愛かったなー。
そういやレールガン。
原作通りならもうすぐアイテム4がアニメでるね。
声が楽しみっす。
105名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 02:36:25 ID:ZCioxGXo
>>95
フレ・・・・・・イザードさんに合掌しつつGJ
106Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/11(金) 08:16:20 ID:FK8U/SVR
おはようございます。
>>52氏のクリスマスネタとのフリがありましたので乗らせて頂きました。
ワシリーサ×サーシャの非エロ。
『聖なる夜はまだ遠く』
3レスでいざ投下。
107『聖なる夜はまだ遠く』1/3 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/11(金) 08:17:04 ID:FK8U/SVR
『聖なる夜はまだ遠く』



 今は夜。
 極寒のロシアの大地に、しんしんと雪が降り積もる季節、ここロシア成教『殲滅白書(Annihilatus)』所有の古びたアパートメントの鎧戸から、微かに光が漏れていた。
 本部からほど近いこのアパートメントには、少女がたった1人で暮らしていた。
 名をサーシャ=クロイツェフと言う少女は、今日も過酷な仕事を無事に終えて、ゆっくりとくつろいでいる所だった。
 大嫌いな上司が作った、これも大嫌いな戦闘服をクローゼットにしまい込んだ少女は、シャワーを浴びてさっぱりした体に、ゆったりとしたサイズのひざ丈のナイトローブ姿で、今はテーブルに向かって何かの作業をしている最中だ。
 テーブルの上にざっと並べられた、一見、大工道具とも拷問用具ともとれるこれらはサーシャの大事な仕事道具――幽霊を狩る為の強力な武器なのだ。
 時折、たっぷりとブランデーを入れた紅茶を口に含みながら、入念にそれらの手入れをしていたサーシャは、手にしていたティーカップの中身が、不自然に波立っている事に気が付いた。
 ティーカップを置いて、改めて自分の手を見ると指先が震えている。
 サーシャはそこで、大きなため息を一つ付くと、
「第一の質問ですが、こんな夜ふけに貴女は何をしに来たのですか?」
「あらあらあらぁ? サーシャちゃんてば気が付いちゃったの? ん、もぅ。驚かそうと思ってそーっと入って来たつもりだったんだけどなぁ。これも愛の成せる技かしらね?」
 振り返りもせず発した言葉に答えたのは、いつの間にか出入り口に立っていた、真っ赤な修道服を着た金髪の女性だった。
「第一の回答ですが、最近は何かと物騒なのでアパートメントに防御結界を張っておきました。補足説明しますが、侵入者があれば自動迎撃するようになっています」
 そこで再びため息をつくと、椅子の上からひょいっと下りて、自分よりはるかに身長の高い、この招かれざる客人を見上げた。
「第二の質問ですが、ワシリーサ、貴女はどうやってここまで来たのですか?」
「え? 歩いてだけど、普通に」
 あっけらかんと答えるワシリーサに、三度目になるため息をつく。
「第一の反省ですが、次からはもっと強力な防御結界をはるようにします」
「そうして頂戴な。私じゃ無かったら今頃、私のかわいいサーシャちゃんが襲われちゃってたかもしれないじゃない? こうガオーって」
「…………」
 サーシャは、指先をかぎづめの様に曲げて襲いかかるような格好をしておどけて見せるワシリーサに、前髪の奥からシベリア永久凍土もかくやの冷たい視線を投げつける。
「第一の質問をくり返しますが、貴女は何をしに来たのですか?」
「気になる?」
「第二の回答ですが、正直聞きたくないですけれど、聞かないのもそれはそれで恐いので、質問を質問で返すなと言っておきます」
「素直じゃ無いサーシャたん萌えッ」
 突然意味不明な言葉と共に、今度は口元に拳を当てて片足を跳ねあげてなしを作るワシリーサに、サーシャは無言でテーブルの上にあるハンマーに手を伸ばした。
 すると、その行為を阻むようにワシリーサが、
「じゃじゃーん」
 そう言って、何処からか真っ赤な布状のものをサーシャの目の前に広げて見せた。
 一瞬、頭の中まで赤一色に染まったサーシャの動きが止まる。
 そこから、じっと観察するようにワシリーサが手にしたものを眺めた後、
「第一の指摘ですが、いい歳して『じゃじゃーん』などと言わないで下さい。そして第三の質問ですが、これは『マロース爺さん』の衣装ですか?」
 ロシアではサンタクロースの事をマロース爺さんと呼ぶのだが、確かに良く見ると、ワシリーサが広げているそれは定番の赤と白をあしらったサンタクロースの衣装によく似ている。
「第四の質問ですが、人の話を聞いていますか?」
「『じゃじゃーん』が駄目なら何て言えばいいのかしら? 『ゴゴゴゴゴ……』? いやいや『ドンッ!』かし――え? 何?」
108『聖なる夜はまだ遠く』2/3 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/11(金) 08:21:04 ID:VmG7uq1H
「第三の質問を繰り返しますが、それは『マロース爺さん』の衣装ですか?」
「そうそう、良く判ったわねぇ。シーズンに合わせて作ってみたのよ。かわいいわよぉ」
「第五の質問ですが、『冬祭り』にはまだ早いと思うのですが?」
 冬祭りとはクリスマスの事――ロシアのクリスマスは、成教の習いに従いユリウス暦の十二月二十五日に当る、一月七日に行われる。
 今は、十二月に入ったばかり。
 確かに少し早いと言えば早い。
「何言ってるのよぉ。来年なんてすぐそこじゃ無い?」
 そこで考え込むように一拍置くと、
「年末年始は、忘年会に、新年会に、大掃除に、年越し蕎麦に、『今年も最後までカナミンをよろしく』と『今年もカナミンをよろしく』の豪華2本立て観なくちゃいけなくて、もうホント大忙しなのよねぇ」
 困ったわぁ、とでも言いたげに頬に手を当てるワシリーサに、お前はいつ仕事をしているのか、と喉元まで出かかったサーシャだったが、やぶへびになる事を恐れて怒りを飲みこむ。
 それでも、くだし切れない怒りは、押し殺すように口を真一文字に引き結んで耐える。
(そんな何かを必死に我慢する健気な姿も萌えなのよねぇ)
 などと思われているとはつゆ知らず、乗せられまいと平静を装って話しかける。
「第六の質問ですが、それは誰が着る衣装ですか?」
「もちろんサーシャちゃんに決まってるじゃなーい! プレゼントよ。プ、レ、ゼ、ン、ト」
 満面の笑みを見せるワシリーサに、サーシャは気付かれないように視線を走らせて逃げ道を探す――正直もうこの馬鹿上司に付き合っていては身が持たない。
 一応、ワシリーサの動きも警戒しているが、その本人は、何だかご満悦の様子で持って来た服の説明を始めた所だった。
「まずは見て見てこれ! 一見、何の変哲もない定番の毛皮のマント。でも中はふかふかのムートンになってて、とぉーっても暖かいのよぉ」
 確かにマントの中は暖かそうだが、サーシャには、その奥にチラリと見えた何に目が釘付けになっていた。
(第一の憶測ですが、あのおぞましい形状にいささか見覚えがある気がします)
 そして、その視線に気づいたワシリーサは、これ以上ないくらい口元に笑みを浮かべると、マントに隠されていたそれを取り出して見せた。
 一見すると、ミニスカート状のバレオの付いた、セパレートタイプの水着のように見える。
 しかし、ブラに当たる部分の、白いムートンをあしらった赤い布地が、サーシャの戦闘服のベルトよりもっと細かったり、パレオから覗くパンツ部分が完全に紐だったりと、とんでもない代物なのだ。
 今の戦闘服より酷い! そんな裸の方がマシな衣装を私に着せるつもりなのか!?――その事実に全身総毛だっている最中もワシリーサの喜々とした説明は続く。
「ね? 一見セパレートの様に見えるでしょこれ。でもこれ新素材の超極薄シースルー生地のワンピースになってるのよぉ。だからフィットアンドヒートでサーシャちゃんのお腹が冷える心配無し!」
 テレビショッピングの司会の様に、変態水着――サーシャ命名――を誇らしげに見せるワシリーサを前に、サーシャは足もとに視線を落とすと、わなわなと肩を震わせる。
「あれ? 肩なんか震わせちゃってどうしたのかしらぁ? あ!? も、もしかして私のプレゼントに感動してくれてるとか!?」
 ワシリーサが場違いな言葉を発した次の瞬間、サーシャは、テーブルの中にずらりと並べられた武器から、最も破壊力のありそうなバールを手に取ると、
「第三の回答ですが、今度こそ本当の本当にクソ死にやがれこの馬鹿上司!!」
「プギュ!?」
 渾身の力で振り下ろした一撃は、ワシリーサの脳天を直撃した。
 轟音と破壊音は建物の外まで響き渡り、その衝撃でワシリーサの脚は、床板を突き破って膝の辺りまでめり込んでいた。
 天井から剥がれた漆喰がパラパラと音を立てて落ちる中、もしやしとめたか!? とにわかに期待の視線を送った先では――――、
「びっくりしたぁ……って、もう! また壊れちゃったじゃ無いお部屋。一応大事な備品なんだからさぁ、もう少し丁寧に使って欲しいわ」
 そう言いながら何事も無かった様に、よいしょっと床から脚を引き抜くワシリーサの姿に、サーシャは構わず追撃を加える。
109『聖なる夜はまだ遠く』3/3 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/11(金) 08:21:38 ID:VmG7uq1H
 ごうっという風斬り音と共に、バールが再びワシリーサの胴を横に薙ぐ。
 だが、
「ところで、ここに来た理由って、まだ答えて無かったわよね?」
「!?」
 これも何事も無かったかのように、ワシリーサはサーシャに笑顔を向けると、バールを構えた腕を掴んで、自分の懐に引き寄せた。
 掴まれた所から、瞬く間に全身に痺れが走る――体の自由を奪われたサーシャの手からバールが滑り落ちて、床の上で硬い音を立てた。
 そんなサーシャを、慈しむように胸の中に抱き込んだワシリーサは、妖艶に微笑みながら少女の顎に指を当てて上向かせると、喘ぐように息をしている顔を覗き込む。
「カッとなると見境の無くなる所なんか直した方がいいわよ。命取りだから、ね?」
「だ、第一の命令ですが、はなせ、こ、このばかじょう、しぃ……」
 必死に抵抗しようとするサーシャだが、自由になるのは、目と、口と、舌だけ。
 しかもその舌すら、徐々に呂律が回らなくなってくる始末に、
(第二の反省ですが、またしても勝てませんでした。補足しますと、一矢報いる事が出来ると考えていた事事態が甘かったです)
 すっかり弱り切って、徐々に瞳からも力が失われつつあるサーシャを前に、ワシリーサは小さくため息をつく。
「ま、私が言うのもなんだけど、もう二度とサーシャちゃんを危ない目に合わせるつもりは無いから。慈しみ、育むために、私は全てを捧げるわ。その為なら、御使いだろうと神だろうと、邪魔するものは、狩る――」
 呟きにしては、あまりに鮮烈な、胸に突き刺さる言葉に、サーシャの瞳が大きく見開かれる。
(第一の疑問ですが、冗談が呼吸している様なワシリーサがそのような事を言うはずが無い!?)
「だ、い、な、なの、しつ、もん、です、なんの、はな、し……、して、る……」
 さらにたどたどしくなった言葉で、何とか今の言葉の意味を聞き出そうとする。
 しかし、
「一応、採寸しないといけないと思うのよ。うん。いつも見てるとは言え布越しとかブイじゃ判らないでしょ?」
 もう、そこにいるのはいつものワシリーサだった。
「さあ、サーシャちゃんに質問。私はこれから何をするのでしょうか?」
「く、ぅ。だ、い、よ、ん……、かと……、わし、り、さ、かんが……る、ろくな、こ、あ、アッ」
 悲鳴を上げてサーシャがのけ反る。
 良く見ると、ワシリーサの手が、ナイトローブの袖口の奥に消えている――。
「あら? 下着は着けない主義だっけ? あ、でも、ブラはそろそろ必要かもね」
「クゥ……ン……」
 服の中では何が起きているのか?
 まるで子犬が甘える様な声を上げるサーシャの姿に、ワシリーサはにっこりとほほ笑む。
「ふふふ。心身共に管理をするのも上司の務め、とか何とか言ってみちゃったりして――きゃー、私ってカッコ良すぎっ」
「キュ……ゥ……ン……」
 軽口を叩きながらも、手指は休む事無く、服の中でサーシャの体にいけない悪戯を繰り返す。
 やがて、サーシャが腕の中でぐったりとするまで堪能したワシリーサは、上気して朱に染まった少女の体を軽々と抱き上げた。
「さぁー、サーシャちゃん。ベッドで続きちまちょうねぇ」
「……ゥ……ン……」
「ッ!? カ、カワユスギル」
 呆けたサーシャを前に、言語が若干怪しくなったワシリーサは、嬉々としてサーシャをお姫様だっこしたまま部屋を出て行く。
 だれもいなくなった部屋の中に静けさが訪れる。
 その静けさはまるで聖夜のようであった。
 後日、ワシリーサ所有のとある一枚の写真により、冬祭りの夜に殲滅白書の本部施設が全壊すると言う前代未聞の騒動が起きるのだが、そこで起きた事を語るものは誰もいない。
 ただ、ワシリーサが発した、『あの夜の出来事を胸に思えば、私は世界を敵に回しても戦えるわ』と言う言葉が、とある少女の心をいたくかき乱したのは事実である。
 ロシアの大地に真の静けさが訪れるには、まだまだ時間がかかりそうだ。



END
110Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/11(金) 08:22:40 ID:FK8U/SVR
以上です。
でわ。
111名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 08:32:29 ID:REyKZx8U

サーシャかわいいよっサーシャ
112名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 10:40:04 ID:JO6yGI2s
mikoto!mikotoooooooooooooooooooooooo!!!!
113名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 13:41:42 ID:D5uQOb28
サーシャかわええ―――――!!!!
114名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 14:19:35 ID:SYgR4bca
>>106
>>52でっす。GJW(ぐっじょぶわしりーさ)!
こんな上司欲し…
…ウーン
いらない…

ところでワシリーサって美尻っぽいよね。名前的に。
115名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 18:25:42 ID:UMxm/qY6
今更だが>>95、それなんて大冒険?
116名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 19:49:24 ID:SYgR4bca
どこまでホントかわからないが
むぎのん・田中理恵
きぬりん・キタエリ
らしいのよな。
でも禁書本編アニメの出番には三期が必要なのよな。。
117名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 22:01:43 ID:ylZYPB7x
>>116
代理、いったいどこからその情報を?
118名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 22:16:30 ID:h4bP4rfP
田中理恵ドラえもん映画主役ってマジすか
119名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 22:37:47 ID:SYgR4bca
>>117
つ、対馬目が怖いのよな。。
田中理恵スレで拾ってきただけなのよな…
テレスティーナなる新キャラも出るらしいのよな!

それはそうと
五和に
「大精霊チラメイドなのよなー!!」
って言ってるときの代理の顔が可愛すぎるのよな
120名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 22:40:40 ID:cHzBy0SW
天草式総出で「五和を応援するぞ!」って言ってるのは、
女教皇様が勝っちゃうと上条さんが上司になっちゃうからなのか?
121名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 22:43:39 ID:CNW3Hum2
その方が面白いからだろ
122名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 00:45:25 ID:jy79iqJH
五和は花澤香菜のイメージ
123名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 01:00:00 ID:RLmhZkkC
>>110
サーシャの口調パターンもさることながら、
変態上司の底知れなさが魅力的で目を引いたぜ。
時節ネタに随分と手間かけてますね、乙かれ様でした。
124名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 02:24:38 ID:FAE2cCEg
あとは浜面がフレなんとかさんに土下座しておしっこ呑ましてもらえば俺の欲望は完成する
125名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 08:28:40 ID:bEzrLIsf
>>116
このまま、超電磁砲(アニメ)が13話で終わらなければ、アイテム
出る可能性ありますよ。
 または、マンガ通り、幻想猛獣(AIMバースト)でちょっと出演か?
マンガだと3巻68ページ

 五和は実は未成年だけど、女教皇より年上で、薄倖だっだから幸せに
なってほしいと思っているのでは?
126名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 09:07:14 ID:RrEgrKA0
天草式が五和を応援する理由?
楽しんでるに一票
127名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 09:35:55 ID:KTmgwlzi
本当に応援してるなら建宮は、誘いに来た騎士団長とねーち
んをくっつける方向に動いてたはずなんだにゃー!
だから単純に楽しんでる、に一票ぜよ。

ま、こっちとしてもその方がねーちん焚き付けるにも都合が
「七閃ッ!!!!」ドグシャア
128名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 16:53:56 ID:gccP4TsE
堕天使エロメイドと、大精霊チラメイドの、
対決が見たいだけじゃね?
に一票!
129名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 17:17:00 ID:89i5uL15
>>128
気を付けたまえ!
無闇に上げると奴らに見つかるぞッ!
恐ろしい三大エロ天…
130名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 17:35:21 ID:kHas783I
最近絹旗が人気なのか?
VIPのハルヒと禁書のクロスSS書いてた人も絹旗絹旗言ってたし
131名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 17:54:12 ID:8wZcvNxj
>>130 19巻の影響が強いかと
すごいパンツとか
132名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 18:14:59 ID:DlGDbHBE
浜面超大好きなのに報われない娘だからな・・・
133名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 18:54:53 ID:jsstqRh2
遅まきながら浜絹滝SSの人GJ
134名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 20:04:59 ID:r0JI19Yv
>>125
なんかオリジナル展開らしいよ……
そのために原作と時間軸ずらしたとか何とか…

>>132
人気の無い映画館に二人で入るとか
普通ならバッチコーイな展開なんだがなぁ…

ところですごパはすごいパーンチの略なのか
すごいパーンツの略なのかわからないな
135名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 20:16:29 ID:KTmgwlzi
>>134
かまちーも噛んでるらしいからそう絶望的でもないみたい。
テレなんとかさんなるオリキャラでるっぽい。大原さやかさんらしいです。

しかし禁書
本家二期やったとしても11巻止まりな気がするなー
ラスボスビアージオかなー
しょぼいなー
136名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 20:23:03 ID:QcP/TuLu
いや普通に13巻までだろ
11巻とか中途半端もいいとこじゃねーか
137名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 21:02:34 ID:qrlLRGMn
そして禁書2期を1クールでやり過ごした後は一方さんのダークヒーロー編を映像化して欲しいなあ。
138名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 21:19:06 ID:bEzrLIsf
>>134
それはそれでありかも、一方さんが出れば、鬱エンドしかあり得ない
からやりずらいのは確か(禁書で解決するとはいってもねぇ)

>>135
ローマ正教ネタをするかどうかだと思う。現状、このネタは無視されている
から、これを無視するかどうかでかなり違ってくると思う。
 1期と同じスピードなら、ローマネタは無視、3期があれば、そこでまとめて
ということになるのでは?
139名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 21:41:31 ID:OzNoUWzr
去年は地方民だったから禁書1期はあんま見てないんだけど、スルーされてるネタって何があったっけ?
闇咲がスルーされたらしいのは知ってるけど

>>134
妹達と一方さんはやらないのかな?
140名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 21:53:30 ID:tMGO5Dzq
浜面なんて滝壺と絹旗にぐちゃぐちゃのエロエロにされてしまえばいい
141名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 22:06:45 ID:bEzrLIsf
>>138
ごめん、再確認したら、闇咲くらいですねスルーされたの
1期は6巻で終了しているから、ローマネタはそもそも無い。
あとビデオ見返したら、ラストで大覇星祭が準備中、ステイルが
日本への渡航を命じられているので7巻(オルソラアネェーゼ)を
やりそう。
142名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 22:19:53 ID:KTmgwlzi
>>141
そうよな。
ひのっちとお馬さんだけなのよな全スルーは。
あとにかかる伏線なかったからこその芸当よな。
ローラさんの前ふりもあるし、ちゃんと七巻からのはずよな。
2クール全力でやっても、単純計算で13いけるか非常に不安。。
でも罰ゲームとかゆっくりじっくり見せて欲しいのよな。。
143名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 22:44:43 ID:E+/3+E9R
仮に二期の放送が確定したとしても、8巻の一方さんと打ち止めの入浴シーンという
個人的に超重要シーンがカットされるんじゃないかと、先々恐々なのですよ
144名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:11:08 ID:yHcjbC7N
>>125
五和は上条さんとほぼ同い年って作中に表記あるけども
普通に15歳か16歳だろ・・・
145名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:15:43 ID:89i5uL15
毎回言われないと判らない訳か?
本スレでいいような話は向こうでやりなさいよ。
少しは>>140 のようなレスを見習ってネタになるような話をして欲しい。
差し合って、最近の浜面の人気に嫉妬。
とりあえず麦のんにでも捕まって、逆レでも食らってズタボロけちょんけちょんになればいい。
で、そんな内容が収められたVを観て、思わず欲情する滝壺と絹旗なんてのを見てみたい。
「ああっ!? はまづらのがあんなに苦しそうに……」
「うわー。超ズタボロくせにあんな状態って? やっぱ浜面は超キモいですね……」
「「ハァハァ」」
ダメだ。書かなきゃ良かった。
146名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:21:13 ID:bEzrLIsf
>>144
浜面のように無免許の可能性はあるけど、五和はバイク、自動車
小型船舶の運転は可能とのことだから、15,6と言うことはないはず。
(16巻、57ページの自己申告)
147名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:22:25 ID:jmpB8FIb
滝壺って浜面と絹旗の仲の良さに嫉妬とかしないのかな?
「だめ。はまづらはあげない……」みたいな感じで
それともあくまで自分の彼氏とじゃれ合ってる妹みたいな感じで見守ってるのかな?
148名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:25:48 ID:jsstqRh2
>>147
SS2の絹旗映画デートは15巻以前だっけ?
何にせよ滝壺と浜面15巻以前はあんま会話してなさそう
149名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:40:51 ID:OzNoUWzr
>>145
スマソ
俺もネタになるような話振るよ!

映画館とか部屋とかで超ぴらーん的なことをしつつ旗男的引力で押し倒しちゃえばいいと思うよ!
150名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:42:52 ID:yA+waYqs
最近上条さんを見ないな
151名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 23:55:39 ID:EkidIClW
上条さん→スタミナと射精量特化型。妹達相手だとちとキツいが
一方さん→(現時点で)対幼女特化型。今もこれからも打ち止めの穴にジャストフィット
浜面→硬くて太い。その威力は滝壺を虜にし絹旗の自動防御を貫通するほど
152名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 00:00:08 ID:iKCBTpS2
ああ、アニキャラスレに専用スレがあるのかと検索してみたら
アニメにはまだ出ていないんだよな・・・かといってラノベキャラ板は無いみたいだし・・・

浜面-滝壺-絹旗妄想スレはここしかないってことですかね。
153名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 00:31:44 ID:Ar/kG9y1
絹旗のパンツ見て、浜面が発情してしまうのはどう?

そこに「はーまーづーら…」

って、失望した滝壺が乱入。
154名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 00:41:17 ID:GT4HiknD
小ネタ

ロシアにて(フィアンマ戦後)
上条「毎度のようにズタボロになって勝利した訳ですが…、私上条当麻は納得がいきません!!!」
浜面&一方通行「?」
上条「他の二人には電波系パッツン少女とロリアホ毛幼女という労ってくれる女の子がいるのにどうして俺にはいないんだ!!これが駄フラグばかりの俺との差か!?」
一方通行「ンなこと言ってもなァ……」
浜面「てか何が駄フラグだよ…、お前しっかりあの赤い色でドギツイ格好の女の子としっかりフラグ立ててたじゃねぇか」
上条「いーや!あんなのフラグにならないね!あれがフラグなら今頃上条さんはハーレム作ってなきゃおかしいもん!女の子の裸を見てしまったことはあっても桃色イベントなんて一切ない!百歩譲って噛み付き失敗からのホッペにキスぐらいだ!」
浜面「ダウトだろそれ!お前が意識してないだけでもっと色々ある筈だ!具体的には女の子と同棲とかツンデレとの罰ゲームと称したデートとか!お前の私生活は詳しく知らないけど俺の勘がそう告げてる!」
上条「うるせー!思い当たる節がなくはないけど関係ねぇ!どうせお前みたいな電波系パッツン少女がドツボな奴にはわかんねぇよ!」
浜面「俺は滝壺が電波系パッツン少女だから好きになった訳じゃねぇよ!てか俺のツボはバニーさんだ!」
上条「さり気に惚気やがって…当て付けかよ!とバニーさんなら赤が最強だと思う上条さんは告げますのことよ!」
浜面「おい…、今なんつった?」
上条「バニーさんなら赤が最強だと…」
浜面「ふざけんな!バニーさんは白が最強に決まってんだろ!頭おかしいんじゃねぇの?」
上条「お前こそ寝ぼけてんのか!?バニーさんは大人の色気を漂わせる赤が最強だろうが!」
浜面「そんな訳ないだろ!あの白という清純そうな色と反比例する色気とのギャップが最強なんだろうが!!」
上条「んだと〜!?」
浜面「やんのかコラ?」
一方通行「くっだらねェな。バニーだのなンだの…」
上条「ロリコンは黙ってろ」
浜面「ツルペタ好きは帰れ」
一方通行「(ビキッ…)……てめェら覚悟は出来てンだろうなァ?」
上条「ツルペタではバニーは着れない、つまりこの話題に入る資格はねぇんだよ!」
浜面「ロリコンはロリコンらしくしてろ!」
一方通行「俺はロリコンじゃねェ!たまたま好きなヤツがロリだっただk…って何言わすンだごらァ!!」
上条「馬鹿め!そのセリフは今現在はロリコンである。と証明してんだよ!」
浜面「うわキモ〜!男のツンデレキモ〜!」
一方通行「てめェらはここで殺す!!」

ドガーーーーーーン!!!

サーシャ「赤いバニーが好きなら似たようなこの格好で迫れば…」
滝壺「はまづら…」(白バニーさんが好きなんだ、覚えておこう)
打ち止め「普段素直にならないあの人からあんなセリフが聞けるなんて、キャッ!ってミサカはミサカは(ry」

おわれ
155154:2009/12/13(日) 00:47:17 ID:GT4HiknD
14巻のデルタフォースの会話と19巻のカラーイラストで滝壺の姿が白バニーだったことから妄想
19巻で滝壺が白バニーだったのは浜面の趣味だと信じてる!!人形が白兎だったからかも知れないけど三点 
156名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 00:47:41 ID:Ar/kG9y1
そういえば、美琴の罰ゲームのSSって、結構あったよなー
157名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 00:48:34 ID:ycZ9S8/N
GJ
個人的にはかなりツボったwww
158名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 01:41:24 ID:ls69oCm2
>>154
仲良いなてめぇらww
GJ!
159名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 01:59:42 ID:i/h0cWHb
>>143
初回版の特典映像になったりしてw
160149:2009/12/13(日) 02:58:41 ID:KTBswOj+
自分で言ったから書いてみました。
上で投下されてる憂鬱とは作者が違います。
よって、設定も少し違います。
まあ違うとはいっても、浜面がヘタレなくらいです。
161名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 03:01:05 ID:KTBswOj+
「だー。超つまんねー」
「毎回思うんだがそんなツマラン連呼すんなら来んのやめようよ!?」
絹旗最愛と浜面仕上が毎度のごとく居座っているのは、薄汚れた映画館である。
今回は絹旗の要望によりさらにどマイナーな作品を上映する映画館であるため、場末としか言いようのない雰囲気は普段の二割増しであった。
「む、浜面超分かってませんね。こういうてんで超ダメダメな作品群の中にこそ、隠れた原石が潜んでいるのです。浜面だって前にアタリを引いたでしょう?」
「まあ確かにあのシースルーの作品は良かったけどよって痛てぇぇぇーっ!?コラ思い出し怒りで俺を蹴るんじゃねえ!」
「浜面の癖に!超浜面の癖にこの私を差し置いてアタリを鑑賞するとは!殺す超殺す」
絹旗はゲシゲシと割と洒落にならない力で浜面に蹴りを加えている。
痛ててーーーっ!といい年した男が女子中学生の手でかなり本気の悲鳴を上げているのはこの上なく情けなかったが、痛いものは痛いのだから仕方がない。
暴行を加えているうちに絹旗も落ち着いてきたので、話題を変えることにする浜面。
「ったく…。付き合わされてるのに蹴られるとか勘弁しろよオイ。というかなんで彼女持ちなのに他の女にホイホイ呼ばれてんだ」
「…浜面。妄想は超結構ですがそれを他人にまで超語らないで下さい。ぶっちゃけ超キモイです。超引きます」
「妄想じゃねえ!!お前だって知ってるだろうが!滝壺だ滝壺!」
いやまあ超知ってますけど、と絹旗はつぶやく。しかし、ああでも、と前置きした後に、
「滝壺さんに超聞きましたけど。浜面って超ヘタレですよね」
「げぶふぉっ!?い、いや、何を突然」
「二人っきりの時に超雰囲気作って超迫っても、超キスまでしかいかない男を世間じゃヘタレと超言います」
グッサァ!と絹旗の言葉は浜面の心を鋭利に抉っていく。
「んな事言ってもな…。滝壺だって退院したばっかだし、あまり無理はさせらんないだろーが」
「しかし女性が超望んでいるのですから男はそれに超応えるべきかと。ま、浜面には超無理かもしれませんが」
「いいや俺だってやる時はヤルね!なぜなら男はすべからく狼であって俺も男だから!!」
「そんな事言って浜面超ウブじゃないですか。病院の時とか私のパ、パンツの時も超鼻血だしてましたし。」
162名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 03:02:52 ID:KTBswOj+
パンツ、の部分で絹旗が少し赤くなったが、暗がりで自分のヘタレ疑惑弁明にいそしむ浜面は気付かない。
「あ、あれはだな、丁度のぼせたんだ!あとパンツの時はもう仕方ない!!そもそも俺は露出度が高い恰好が好きなんであって別にバニーフェチって訳じゃ――」
そんなこんなでヒートアップしてきた時、二人の視線がふとスクリーンに及んだ。
『ふァッ、あん、ああ…』
なんか丁度濡れ場に突入していた。
しかも結構過激にディープキスしていた。
そのまま画面内の二人はベッドインし、暗転する画面と、間を空けて明かりを取り戻する館内。
雑談に熱中していてほとんど見ていなかったが、どうやら先ほどの二人がそういう関係になるまでを描いた短編だったようだ。
話していた話題と相まって気まずいことこの上ない。
浜面はとっとと帰ろうと思い、
「お、おい、帰るぞ」
と声をかけて立ち上がった。
絹旗も気まずそうに立ち上がる。
と、ここで問題が起きた。
二人は映画を見やすいように館内の真ん中あたりに席取っており、しかも二人ともが無意識に相手側の出口から出ようと席を立ったのである。
二人の人間がお互いにそうするとどうなるか。答えは明白だ。
『ッ!?』
ゴロゴロと音を立て、共に絡み合って地面へと転がる浜面と絹旗。
そして、
(〜〜〜ッ…。…って、おい!?)
唇が重なっていた。浜面は即座に起き上がり、言い訳する。
「すっ、スマン!!いやでもホラ事故!な?ガチで事故だって!」
呆然として地面に横たわっていた絹旗だが、浜面の言葉を聞いて起き上がる。
「…超百歩譲ってパンツは良しとしましょう。いえ、超良くありませんが」
いやあれお前のせいじゃん!!とこの状況にも関わらず過去の弁明を行う浜面は完全無視して言葉を続ける絹旗。
「キスは無理です超ブチ殺しますがよろしいですかよろしいですねというかブチコロシ超確定いぃーーーーっ!!!」
「なんか超デジャヴーーーっ!!」
映画館への配慮を捨てた絹旗は、ドゴォ!!と『窒素装甲』による当たれば絶対に死ぬレベルの一撃を浜面に向ける。
叫びながら逃げる浜面を追いながら、絹旗は思う。
(あの空気であんな事になっておきながら超一瞬で言い訳を超始めるのが超ヘタレだっつってんですよ浜面ぁぁっ!!)
もしかしたら、少女が激怒する理由は浜面の想像とは少し違うのかもしれない。
それに気づく者は、まだいない。
本人でさえも。

超おわり
163名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 03:08:08 ID:iKCBTpS2
おお、いきなり超突っ込みですが絹旗のB級映画趣味の行動原理は原石を拾うことではなくて超ダメな映画に納得することだす。

しかしこのラブコメもっとやれ。
164名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 03:17:13 ID:KTBswOj+
>>163
指摘d
そういやそうだった…orz

まあシースルーの作品見れなかった事に落ち込んでたしそういう楽しみ方も多少はしてるって事で…
165名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 06:23:42 ID:6Qdhl+63
今過去ログ見てたんだが11フラグ目にすごいのがあった
87 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2008/11/08(土) 08:41:57 ID:m0tk1j9V
>>86
義手と義眼装備でそこからビームを放つ麦様ですね、わかります
166名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 06:59:36 ID:wF2xuBBx
レベル4相当の予知能力者ですねわかります。
167名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 07:02:44 ID:NBsdkaQn
>>146
禁書世界は12歳13歳のお子様ですら何ヶ国語も操れていくつもの技術スキルを持っている
万能人であふれかえってるんだから、その程度のスキルで大人扱いされてもな
それに、作中で五和の代名詞は「少女」となっている。対して、18の神裂さんは「女性」だ。
オルソラとかオリアナとか、18、19の人たちはみんな大人の女の人って扱いだから
たった二歳三歳差でも物凄い差があるってことなのだろうさ
168名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 08:16:00 ID:jfbRNDHR
上条「ちょっと他のアニメでフラグ立ててくる」
169名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 08:32:47 ID:WUIAhOGk
>>162
何だろうね?この超愉快な2人は?
グッジョブw
で、ひとつ言わせて頂きますと「ーーーーー」じゃなくて「―――――」の方が良いですよ。
次作期待。
170名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 08:52:05 ID:17dx3j8i
>>162
GJ!
171名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 11:34:57 ID:WUIAhOGk
>>168
それを聞いた万単位の女子が、「何が不満なのか」と大挙して押し寄せて、搾りカスになる訳ですね。分かります。
172絹旗最愛の憂鬱3:2009/12/13(日) 11:53:58 ID:mne9UM3j
浜面絹旗が流行りで嬉しいお!
また気楽な話を書いてみようとしたら、今度はノリの悪い話になったお。うまくいかないお。
滝壺には謝っておくお。
173絹旗最愛の憂鬱3:2009/12/13(日) 11:55:21 ID:mne9UM3j
「よお、待たせたな」
「人を呼び出しておいて待たせるとは超いい度胸していますね浜面の分際で」
この日、絹旗最愛と浜面仕上は場末としか言いようのない映画館で待ち合わせていた。例によって他の人気は全くない。
浜面は薄汚い席の中列に並んで座る。間にビッグサイズのポップコーンを、好きに摘まめるように置いた。
今回は、いつものように絹旗が浜面を映画に引っ張り込んだのではなく、浜面の提案で映画に来ていた。とはいえ色気のある話ではない。
正確には、相談したいことがあるという彼の申し出に、絹旗が勝手知ったる映画館を選んだのである。
「わりいわりい。出かける前に滝壺に捕まっちまってよ。誤魔化すのに時間かかっちまった」
「超反省している気分がありませんね。というか今の会話、超不倫してる間柄みたいで超キモいです」
「仕方ねえだろ、滝壺にできる類の相談事じゃねえんだからよ」
「そこで何故私なのかが超疑問なのですが、まあいいでしょう」
満更でもなさそうな顔で絹旗がポップコーンを齧る。むしゃむしゃ。
一方の浜面は表情を引き締めて深刻な顔になった。相談ごとを頭の中で纏めているのだろう。
そんな浜面の様子を見て、絹旗もやや態度を改めた。
滝壺に相談できないことと言えば、滝壺自身の体質のことか、新チームのことか、或いは彼の古巣のスキルアウトのことか。いずれにしろ少々厄介な事態かもしれない。
「滝壺のことなんだけどよ……」
「はい。なにか、体調の超問題ですか?」
「こう。最近滝壺とする時に、妙に声をあげるっていうかアクションが大きくてな」
「超ちょっと待て」
絹旗が手をかざして浜面の言葉を止めた。彼女の窒素装甲(オフェンスアーマー)なら、この状態から浜面を座席から引っこ抜いて遠投できる。
そして返答次第では座席の端までそうするつもりだった。
「それはいわゆる夜の情事とか、格闘技じゃないのに裸になってくんずほぐれずとか、超ぶっちゃけSEXですか?」
「そうだぜ?」
そうした。
何をいまさら言ってるんだ、的顔をした浜面の顔面を絹旗は空気越しにむんずと掴み、座席の端まで放り投げた。
どごんっ!と左側の方で音がしたが、絹旗は構わずスクリーンを眺める。そこそこ名作ではあるのだが、飽きるほどに見た映画だった。ふあ、と欠伸を漏らす。
クライマックスに差し掛かる辺りになって、よろよろと浜面が戻ってきた。首がおかしな方向にねじれている。
「お、お前な……いきなりしやがるんだ」
「それは超こっちのセリフです。何いたいけな少女に超猥談持ち掛けてるんですか」
「いや、いたいけっつうか物理的に痛い……OK降参だ参りました」
「大体、そんなことは浜面の超ろくでもない知り合いに相談すればいいじゃないですか。超いるんでしょう」
「ああ、いるにはいるけどな。あれはダメだ」
浜面は沈痛な表情で首を振った。既にオチを予期している絹旗は白眼で待機している。
「そんな相談してみろ。絶対仲がこじれるようなこと吹き込まれるぜ」
「超何故です」
「俺だったらそうするからだ」
「超麗しい友情を超ありがとうございます」
予定通りに絹旗の白眼ジト目が突き刺さったが、浜面はどこ吹く風だった。HAP(浜面後で殴るポイント)+1。
さておき、絹旗は思考を切り替えて考える。あまり認めたくはないことだが、この男には新チームのことで借りがある。それに一応滝壺に関わることでもある。
少し迷って、彼女は相談に乗ることにした。問題があるとするならば。
「言っておきますが、私はそういう経験が超ありませんから一般論しか述べれませんよ」
「いや助かる。ありがとよ」
深々と頭を下げる浜面を目の当たりにして、ああこいつは滝壺のことになると本当に真剣なんだと絹旗は思う。アホだけど。
(もしも私だったらどうしたでしょうね)
ふと絹旗は思い出す。少し前に新チームでの仕事で、心理定規に言われたことを。
『あら、貴方達、いつの間にか食い違っちゃってたのね。ふうん』
最初の言葉は二人に向けて。後の言葉は絹旗だけに向けて。
『10単位差か。ま、頑張りなさいな』
心理定規(メジャーハート)は他人との心の距離を読み取るテレパスである。
そこで言う食い違いとは即ち『浜面→絹旗』と『絹旗→浜面』間の心理距離に差があるということだ。そして絹旗への、面白むような哀れむような表情。
(鬱陶しい女です)
自分でもわからないあやふやなものを数字として突きつける女。絹旗が心理定規に抱いたものは、かつてのリーダーと同じ感情だった。
ともあれ、相談が始まる。
174絹旗最愛の憂鬱3:2009/12/13(日) 11:56:58 ID:mne9UM3j
「その前に浜面。一つ超確認したいんですが、滝壺さんの体調もありますし、そういうことは控えるように超決めませんでしたっけ?」
「いや、俺も我慢してたんだけどよ。滝壺がいいって言うから……俺も溜まってたし」
「浜面ごときに超セクハラされてますよ私。滝壺さんからってのは浜面の超脳内妄想じゃないんですか?」
「バカ言え。滝壺のあの恥らった視線、軽く震えながら囁く声、耳まで赤くした顔色、俺は全て脳に焼き付けたぜ」
「感動的なキモさですよ浜面。超(スーパー)浜面3とかそんな感じで」
あの無表情淡白無気力と三拍子揃った滝壺理后が自分から性行為を誘うとはちょっと想像がつかない。だからこそ浜面も相談してきたのだが。
「それだけじゃなくてな。実際にしてる時も、こう……」
「何ですかその超キモい手の動きは」
「いや、滝壺の様子をうまく表現できるかどうか不安でな。よし」
浜面は何かを思いついたように頷いて、座席を思い切り倒して仰向けに寝転がった。足は開き気味に放り出している。
突然の奇行に絹旗はドン引きである。
「大体こんな感じだったな……よし絹旗。足の間に入れ」
「ちょっと超なにしてるんですか超何させようとしてるんですかキモい超キモいです」
「状況を再現してるんだよ。別に変なことはしないから、ほれ」
「うう、超なんでこんなことに……」
ちょっと半泣きになりながら絹旗が浜面の足の間に入る。窒素装甲パンチで吹き飛ばせばいいだけなのだが、あまりのキモさに思考停止に陥ったらしい。
体勢としては正常位。ただし男女が逆である。ちなみに浜面は大真面目な顔をしている。変態だ。
「で、前の滝壺はこんな感じだな」
浜面は両腕を体の横に揃え、顔を横に倒して眼を閉じた。どうやら滝壺の様子を再現しているようだ。絹旗は相談に乗ったことを心底後悔している。
「浜面、もう細かいことはいいませんが、腰を細かく動かしてるのは超なんなんですか」
「言うのか言わないのかどっちなんだ。いや、単に振動をだ」
「超聞きたくありません! うう……」
「だからどっちなんだよ。まあいいや。で、最近の滝壺はこんな感じだな」
言って、浜面は両手を伸ばして絹旗の首に回して引き寄せ、同時に両足で絹旗の腰を挟み込んだ。視線はばっちり合っている。
体勢としては絹旗に浜面がしがみ付いてぶら下がる格好になっている。体格差があるのでかなり余り気味だが。
「〜〜〜〜〜〜っ!?」
「どうだ、全然違うだろ? それに前は声もあんまり出さなかったのに、最近はあんあんとだな……絹はべふほっ!?」
轟音。
ノーモーションで男に打ち下ろしの右(チョッピングライト)がぶち込まれた。浜面の体が一瞬深く沈みこみ、座席のばねで跳ね上がる。そこに今度は左のフックが炸裂。
ひとたまりもなく、浜面の体は向かって右に吹き飛んだ。悲鳴と共に座席を飛び越え、ほぼ減速せず側壁に激突。大の字に張り付いた体は、一瞬後床に落ちた。
普通だったら死んでいてもおかしくはない。が、超能力者(レベル5)を相手に生き延びた男は頑丈にできている。
「はー―っ、はー―っ、はー―っ……」
脅威を目の前から排除した絹旗は、ふらふらと自分の席に戻った。スプレー缶を取り出して火照った頬を冷やす。背もたれに頭を預けて真っ暗な天井を見上げると、頭に上った血が降りてくるのを感じた。
思考を整理する。議題は滝壺について。
絹旗は耳年魔の類である。性交の体験はない。なので条件は推定のものになる。
しかしそれでも、話に聞く滝壺の豹変は納得しかねた。
いわゆる性交と言うものは(男は最初かららしいが)回数を重ねるごとに快感を得られるものらしい。だからこそ浜面は下手なりに悩み努力しているのだろう。
それなら単純に慣れたということだろうか。否。彼には残念な話だが、おそらく滝壺は人よりも感度が鈍い。それは図らずも現場を目撃してしまった絹旗の感想だ。
理由は度重なる体晶の使用による感覚の鈍化によるものかもしれないし、単に生まれつきの性質なのかもしれなかった。
性交時に常に受け身を貫く、いわゆるマグロ状態なのも、結局はあまり気持ち良くないからだろう。滝壺にとって性交とはサービスであり、楽しむものではないのだ。
とはいえそれは浜面を愛していないという訳ではない。むしろ逆だ。愛しているからこそ『我慢』できる。
愛しているからこそ努力し、愛しているからこそ我慢する。
(超陳腐な悲劇ですね。お互いに超愛しているからこそ傷つけあう)
それが二人の間にある唯一の空隙なのかもしれなかった。
(……)
思考を戻す。
長々と推論したが、結局妥当な結論は一つだ。
息も絶え絶えで戻ってきた浜面に絹旗は結論を話した。
175絹旗最愛の憂鬱3:2009/12/13(日) 11:58:02 ID:mne9UM3j
「演技じゃないですかね」
「ぜえっ、ぜえっ、お前絹旗……何?」
「浜面のテクニックがいきなり超上達したとか、滝壺さんの感度がいきなり超上昇したとか、そんな可能性よりは滝壺さんの演技だと考えた方が超妥当だと思います」
「いや、まず何よりさっきの仕打ちについて弁明はないのかよ」
「超うっさいですよ浜面。いつまでもそんなことを気にしてるから浜面なんです。せっかく私が超答えてあげてるんですから大人しく浜面しとけばいいんです」
「一体俺の名前はどういう動詞かつ形容詞なんだ……で、えーと。演技だと?」
「普通に考えれば超そうじゃないですかね。心当たりはないんですか?」
「…………」
浜面が考え込む。滝壺がそんな演技をする理由を。
絹旗も考え込むが、それは浜面が考え込む理由とは違う。その場所は既に通り過ぎている。
滝壺にとって性交とはサービスである。要はそれをちょっと過剰にしただけに過ぎない。それは浜面にとっては認め難いことなのかもしれないが。
問題は何故それが今なのだということ。何か、そうしなければいけない理由でもあったのだろうか。
二人して黙りこみ、傍目には映画に集中しているように見えていた。そんな時、不意に絹旗の携帯が着信を知らせる(マナー違反です)
「もしもし」
『きぬはた』
「なんでしょう、滝壺さん。そちらからかけてくるなんて超珍しいですね」
『ごめんなさい、きぬはた。いま、何してる?』
「映画観てますよ。10分単位のショートフィルムなんですが、今日は超外れの日みたいです」
『はまづらも、一緒?』
「いえ? 何が悲しくてあんな超浜面と一緒に観なきゃいけないんですか。初見のラーメン屋で唐辛子大量に使うぐらいの超愚行ですよ」
咄嗟嘘をついたことに意味はない。体をかがめて、隣の男に内容が聞かれないようにする。
『でもはまづらは、最近きぬはたと、よく映画観てるって言ってた』
「いやー、それはあれです。世の中には一人で観るには超拷問の超C級というものがありまして。そういう時の超生贄程度には役に立ちますよ」
『でも、きぬはたは最近、はまづらと仲いい』
「超名誉棄損で訴えていいですか?」
『寝言で、はまづらの名前、何回も呼んでた』
「――――そ」
れは
「うわあ、初めて自分のこと超キモいって思っちゃいましたよ。その後、超殴るとか超殺すとか言ってませんでしたか?」
「そういえば、言っていた気がする」
言ってたのか。
その後、帰る時間と夕食について簡単な打ち合わせをした後、絹旗は携帯を切った。直後、頭を抱えてしゃがみこむ。
(超私のせいですか――――!?)
彼女の中で線が繋がってしまった。つまり『絹旗が寝言』→『滝壺が危機感』→『サービス演技』という流れだ。
滝壺と絹旗は同じ部屋で暮らしている。寝言云々も有り得るだろう。そして滝壺理后はその手の鎌をかける人間ではない。
意外だったのは、滝壺が絹旗を脅威と捉えて対抗してきたことだった。どこか捨て鉢なところがあり、その手の執着心はかなり薄いと思っていただけに。
やはりそれだけ浜面との関係が大事であり、そして不安だったのだろう。これで絹旗も第三者ではなくなってしまった。
そこまで考えたところで今度は浜面の携帯が鳴る(マナー違反です)来た!
176絹旗最愛の憂鬱3:2009/12/13(日) 11:59:26 ID:mne9UM3j
『はまづら』
「お、おお滝壺じゃねえか。どうした」
『はまづら、いま、何してる?』
絹旗は素早く手を伸ばして浜面の携帯に手を添えた。能力を使用し、窒素の層で携帯電話に伝わる周囲の背景音楽を変調させる。同じ映画を観ているとバレないように。
何事かと見返した浜面に、絹旗は身振り手振りで誤魔化すことを要求した。貴方に届けこの思い、でなければぶっ殺す。
「あ、えーとな。昔の知り合いと久しぶりに駄弁ってたんだよ。スキルアウトの時のな」
(ふう)
『はまづら、何か私に、隠してることない?』
(超直球キター!)
安堵も束の間、ど真ん中を貫かれて傍から聞いていた絹旗が凍る。だが意外にも、この対応は浜面が危なげなくこなした。
「なんだよ、隠してることって。俺がバニー好きだとかそういうことか?」
『それは、知ってる。はまづら、私の知らないところで、危ないことしてそうで、心配』
「大丈夫だって。自分の身の程ぐらい弁えてる。変なことには顔は突っ込まねえよ」
……思えば、絹旗の新チームの手伝いをする時点で、浜面は滝壺に隠し事を抱えているのだ。嘘をつくことに対する心構えは既にしていたのだろう。
そうさせたことに絹旗は後悔していないが、後ろめたい気持ちにはならざるを得なかった。だが、同時に薄暗い何かもある。
『はまづら、何かあったら、私に言って欲しい。私は、大能力者(レベル4)だから』
「おいおい、今のお前は……」
『私の『AIMストーカー』は一度記録したAIM拡散力場の持ち主を徹底的に追い続ける。例え太陽系の外に出たって私はいつでも検索・捕捉できる』
「なんでそこで唐突流暢に能力説明!? 俺は正真正銘の無能力者(レベル0)だし、滝壺お前能力使えないだろ!」
『じゃあ、私の『AINOストーカー』は一度記録したはまづらを徹底的に』
「怖えよ!」
(滝壺さんが超壊れてますね……)
背筋に冷たいものを感じて、絹旗は映画館の中を見回した。能力を使わなくても尾行は出来る。
当然、二人の他に座席の人影はない。が、最後列の向こうにある防音扉が今小さく開いていたような……気のせいだろう。
ともあれ浜面も、滝壺もいくつか軽い約束事(できれば今日の夕食に行く等)をした後、携帯を切る。ふう、と同時に溜息が漏れた。
珍しく、本当に珍しく絹旗が殊勝な顔をして浜面に小さく頭を下げる。
「超一応ですけど浜面には謝っておきますね。色々私のせいで超面倒なことなったみたいですし」
「いきなり謝られても超キモいぞ絹旗」
下げた頭でそのままヘッドバッドをかます絹旗。胸元に頭部直撃した浜面はその場で声も出せずに悶絶した。
そんな男を見下ろして、絹旗は深くため息をつく。それは諸悪の根源である自分に対する嘆息だった。
(それにしても、超どうしてこんな浜面ごときを、私は)
寝言で呼んでしまったのか。寝ていた時の自分を殴りたい。そうでなければ、こんな馬鹿な相談の当事者になることもなかったのに。
それでもどうしてか、絹旗最愛は憂鬱ではなかった。
今日も学園都市は平和である。
177絹旗最愛の憂鬱3:2009/12/13(日) 12:09:12 ID:mne9UM3j
以上です。
滝壺には謝っておく。
滝壺がマグロネタとか絹旗の寝言ネタはこのスレから拾ってきました。
滝壺の感度ですがこれは体晶の副作用でそのうち治る設定にしています。
関係を進展させようとするとどうしても深刻になって困るお……
あと一回で終わる予定です。
178名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 12:28:19 ID:ee/oKdIT
GJ
俺の中で絹旗の株が急上昇中
179名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 14:34:18 ID:n1uYpYh0
>>177
浜面……おまえが、バッチ来い!状態になってどうすんだw
こんなに長い話にするとは思わなかったぜい
大団円(?)に向け、浜面を殴り倒して頑張って下さい
180名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 14:37:45 ID:17dx3j8i
>>179
最高や!
181名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 14:38:25 ID:17dx3j8i
>>177だな。済まん
182名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 21:25:04 ID:EAtlrlnE
上条さんの学園生活って
吹寄や姫神と鍵がかかった体育倉庫で二人きりになってしまったり
体育の時に女子更衣室に突撃してしまったり
吹寄や姫神の体操服が何故か上条さんのかばんの中に紛れ込んだり
吹寄や姫神の縦笛の口の部分が上条さんの縦笛と交換されたりしてるんだろうなぁ
183名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 21:25:20 ID:Ar/kG9y1
GJ!
184名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 21:30:51 ID:fHKSWTvK
>>182
上条さんの縦笛を巡って醜い女の争いを繰り広げる姫神と吹寄か
185名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 21:37:40 ID:oOgjlJh8
だが待って欲しい上条さんは貧乏なので縦笛を購入できないのでは?

わりぃ、ちょっと縦笛貸してくれるか
とか言って誰かに借りてくるタイプ
186名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 21:40:00 ID:NBsdkaQn
そこでわざわざ常盤台中学に赴いてわざわざ
レールガンの住人たちとフラグを立てに行くんですYO!
187名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 21:57:05 ID:HVFCTAa6
美琴「そーいえばさ、初春さんってレベル1なのよね?」
初春「はい、そうですよ?」
美琴「でも私、初春さんの能力って見たこと無いのよね…。ね、どんな能力?」
初春「そそ、そんな! レベル5の御坂さんに言えるほど大した能力じゃないですよ!」
美琴「まーまー、ほら、純粋な好奇心というか」
初春「でも、レベル1なんて発火能力者なら指先にライターの火程度のものを出せる程度ですし」
美琴「うーん、なんかさ、隠してあるとつい見たくなることってあるでしょ?」
初春「それ、なんだかハッカーの論理ですね」
美琴「(ギク)ま、まー、ほら、それで、初春さんの能力ってどんなの?」
佐天「はーい! じゃあここで初春の親友である私から問題です!」
美琴「あ、佐天さん」
佐天「初春の能力は次のうちどれでしょう! 1番! 目に映るものは全部情報として処理できる、全景認識!」
初春「い、いきなり何を言い出すんですか!」
美琴「むむ、なんかいきなりそれっぽいのが」
佐天「2番! 触れてる植物が枯れなくなる、植物保存!」
美琴「そ、そうか! それで初春さんの頭の花はずっと枯れないのか!」
初春「み、御坂さんまで乗らないでください〜!」
佐天「3番! ついつい同性にスカート捲りさせたくなる、同性誘惑!」
初春「佐天さん!?」
美琴「むむっ、確かにそんな能力は口にできないかも…!」
佐天「4番! 原作と電磁砲で微妙に腹黒加減を差し替える、猫かぶり!」
初春「そんな各方面敵にまわす発言やめてください!!」
佐天「さー、御坂さん、どれ!?」
美琴「フィフティフィフティはあり!?」
佐天「なしです!」
美琴「くっ、難問だわ…!」
初春「こんなことで悩まないでください〜!!」
188名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 22:09:30 ID:KTBswOj+
>>187
確かに8巻口絵とか自分が捕まえたハッカーに呼び止められてもスルーする非情さは超電磁砲からは想像できないなwww
189名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 22:52:18 ID:fHKSWTvK
質問です
百合子たんはドMさんなんですか?
190名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:01:24 ID:oj6sMN0G
>>187
GJ
初春さんかわいいよ初春さん
確かに
容赦なく黒子に仕事振ったり
容赦なく怪我人の黒子ひっぱりまわしたり
あたまぐりぐりされたりしてるもんね。
でも超電磁砲でも
・風邪と称したサボりでパフェに挑戦
・幻想御手で黒子に逆襲を目論む
くらいはやってるんだよな。
ブラック初春(黒初春)かわいいな。
ロトン初春(腐れ初春)も好きだけど。
前にていとくん×ひとかたさんの妄想してた腐女子設定あったよね
191名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:02:01 ID:WUIAhOGk
>>177
楽しい! ひたすらに楽しすぎる!
この至福の一時が後一回で終わりだと!?
それは、不幸だ…。
192名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:03:24 ID:8WfPpdDZ
>>190
ところで初春は一方さん攻め派だったような気がするんだが
問題の画像を持ってないので定かじゃないが
193名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:08:21 ID:fHKSWTvK
そもそも初春が持ってたのは上条さん×一方さんの同人だぜ
194名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:28:33 ID:oj6sMN0G
>>192
ガゾウナンカ アルンデスカ…?
恐ろしい。。
見たくないような見たくないような
肝心のssの場所がわかんなくなっちった
曖昧ですんません

腐れ初春さんが浜面と一方さんに釣られてホイホイ尾行してったら
スパークシグナルに捕まってお尻を開発されちゃうの希望
195:2009/12/13(日) 23:29:07 ID:zCOGyMZO
以前「年内に通行止めを投下する!!」と喚いていた者です。
コテハンは「潤」です
小説を書くのは初めてで手間取っていますが、そろそろ完成させられそうです
ところで…先月から書き始めてそろそろ全角10000文字突破する勢いです。
モロ実況小説と化しているのですが、これはまだ許容範囲ですか?
それとも前戯を削ったりしてシェイプした方がいいですかね?

とりあえず、エロはないですが偽予告をテスト代わりに投下してみます。
ネタですので保管庫には入れないでいただくと助かります。


◆とある魔術の禁書目録 SS3
著/鎌池和馬 イラスト/灰村キヨタカ 定価:510円

「貴様ら無駄口叩いてる暇があるならついてきて少しは手伝いなさいッッ!!」吹寄制理のその叫びに
より、一端覧祭に備えての買い出しに出かけることとなった上条・吹寄・姫神・土御門・青髪ピアス
。巨大ショッピングモールにて上条当麻を待ち受けていた“不幸”とは……!?――『とある買物の幻
想殺し』。
夏休みが終わった九月。打ち止めの記憶が失われたと思い込み、どこかやる気の無い様子の一方通行
。そんな彼と同じく入院中の打ち止めがミサカネットワークで聞きつけた、“一方通行ロリコン説”
と“気になるオトコを焦らすマル秘テク”とは……?――『とある悪戯の最終信号』。
それはまだ、とある聖人と禁書目録が“親友”だった頃――。必要悪の教会にて開かれたクリスマス
パーティで、ハイになった最大主教がうっかり引き起こした大魔術とは!?――『とある聖夜の神裂火
織』。
第二位の超能力者に怪我を負わされたばかりの初春飾利の様子が最近おかしい。彼女の語る“颯爽と
現れ助けてくれた白い人”の話にどうにも嫌な予感がする御坂美琴は……!?――『とある恋話(コイバナ
)の超電磁砲』。
とある無能力者が下っ端として加入する以前の『アイテム』。第六学区のアミューズメントパークで
彼女達が過ごす休日とは……?――『とある娯楽の窒素装甲』。

『彼ら』の束の間の日常を描く、本編補完のSSシリーズ第三段!
196名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:36:43 ID:8WfPpdDZ
>>193
そうだっけ?あれ縦書きだったからてっきりそのまま縦読みかと思ってた

>>195
削らなくてもいいんじゃ!ないかな!
楽しみ過ぎて死ねる
197名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 23:44:31 ID:ls69oCm2
>>195
オラ何だかワクワクしてきたぞ!
削る必要ねぇと思いますよ?
198名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 00:04:20 ID:EHRWBrFC
>>189
超ド級のマゾです。本人は認めたがりませんが。

>>195
削らなくて!いいです!
むしろ削ってはダメだ
199名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 00:08:46 ID:gckDwKKe
>>195
テストの意味はよく判りませんが、期待出来る予感がします。
>全角10000文字
1レス45行、1行50文字で計算して、2250文字。
ま、15〜20スレだから久々大作な訳で、やっぱり超期待しよう。
削る必要?無い無い。
自分もそのレベルは投下したもの。
200名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 00:11:54 ID:gckDwKKe
>>199
2250字なら5〜10レスで収まるか。
アホだ、寝よう。
201:2009/12/14(月) 00:19:13 ID:14TMq907
>>196-199
みんなやさしい……っ!!
ご意見ありがとうございます。とりあえず削らないでおきますね。
えっえと…テストとか言ったのはちょっと日本語間違えたと言うか……
深い意味は無いです、すみませんでした
それでは、なるべく早くうpできるように善処します。
みなさんの期待に少しでも応えられるといい……な……←きもい
202チョ・ゲバラ:2009/12/14(月) 00:56:42 ID:6uBN5d95
それでは私も一発予告を。


「ここは何処……」
 見知らぬ部屋で目覚めた佐天涙子はそう呟いた。うだるように暑い。
「えっ?! きゃぁっ!! ななな、なんで、私、こんな格好してるの??!」
 佐天は下着しか身に着けておらず、清らかな処女の柔肌を惜しげもなく晒していた。
 なんだろう? 首に何か違和感がある。
(こ、これって、まさか……く、首輪???)
「目が覚めたかい?」
 部屋の奥から男の声が聞こえてくる。
「あ、あなたはっ!」
 見覚えがある。いや、決して忘れるはずがなかった。
「オ、オチンチンの人!!」
 まほろばの世界で運命と因果が交差するとき、佐天涙子の物語は始まる――!
 
 製作開始……予定?
203名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 01:08:11 ID:gckDwKKe
>>202
嘘予告ならいいけど、本気で投下するなら予告とか止めようよ。
あと、佐天の一人称は「あたし」ですよ。
204名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 01:10:40 ID:8w/Mt4B5
出来上がったものの投下予告ならいいんだけどね
205名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 01:12:07 ID:y2osQzrx
>>202
あ、あなたは犯りすぎ超電磁砲シリーズで有名な
チョ・プゲラ!

ただでさえ神々が多数飛来して至福のさなかだというのに
これ以上なにを脱いで全裸待機すればよいと言うのよな!
むしろ外で!外で待つのよな!

>>200
大丈夫!
見る限りあなたの文章には光があるのよな。期待大!
大作の到来を肌をさらしてお待ちしておるのよな〜。
ファイトなのよな!
206名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 01:25:36 ID:aRepNO1X
>>205
教皇代理、下の安価ミスってません?
207名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:42:31 ID:uZGP26uo
上条さんと添い遂げたいが、立体映像&彼の右手のせいで叶わない
それだけに、身体を貸してもらって擬似的に結ばれたいと相談するために
吹寄に力を借りようとする風斬・・・というシチュが見たい
208名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:47:41 ID:v0qlTRx5
>>207
でもそれだと風斬に死亡フラグ消滅フラグが立つからなあ・・・
209名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 09:43:53 ID:fRDNxipu
>>207
むしろ右手を使わせないように結ばれたいがために、必死で自分から奉仕する風斬が超見たい。
てか我慢できない。ちょっと書いてみる。
210名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 09:52:42 ID:Hu8QQZFg
右手に触れられないように四肢を柱に縄で縛り付けられてる
上条さんを幻視した。
211名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 12:27:27 ID:1zEb+kaS
>>209
やるからには絶対途中で投げ出すなよ
俺待ってるからな
いつまでもいつまでも
212名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 13:26:48 ID:VNns5FOR
>>208
単に上条さんが学園都市製の薄くて破れないビニールかゴムの手袋をはめれば問題解決じゃね?
213名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 13:51:32 ID:VNns5FOR
>>208
単に上条さんが学園都市製の薄くて破れないビニールかゴムの手袋をはめれば問題解決じゃね?
214名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 13:54:07 ID:VNns5FOR
ミスった。連投スマン
215名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 14:04:38 ID:tdJC/e7O
風斬を消滅(妊娠)させないように、ゴムを付ける上条さん

「相手を思いやる心は、一番大切だと先生は思うのです。
 皆さんも望まない結果を招かないように、ゴムはちゃーんと付けるんですよー」
「「は〜い」」
「それじゃあ、今日の授業はこれでお終いなのです」

ってな風景が脳内再生されてしまったではないか
216名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 14:41:00 ID:y2osQzrx
>>215
風斬を消滅(妊娠)させないように、ゴムを付ける上条さん
のはなしを聞いた左側のひと

「隣人を思いやる心は大切だと私は思いますねー。しかし皆さんは異教のサルとは違いますから、生殖をともなわない性交は固く禁止ですからねー。ゴムなど付けず、きちんと中出しするのですよー」
「「エイメン!」」
「それじゃあ、今日の講話はこれでお終いですねー」

ああ、変な電波が
217絹旗最愛の憂鬱4:2009/12/14(月) 17:23:22 ID:BQYsxIX5
最後書いたお!
最後になって場所は映画館じゃないお!
女の戦いだお!
淡々としていて短いけど気にするなお!あと色気ないお!
218絹旗最愛の憂鬱4:2009/12/14(月) 17:24:38 ID:BQYsxIX5
「おやすみなさい、きぬはた」
「超お休みです、滝壺さん」
学園都市の第18学区にある1LDKのマンションで、二人の少女が就寝の挨拶を交わした。
部屋の主である滝壺理后はシングルのベッドに、居候の絹旗最愛は脇のソファベッドで毛布を被っている。お互いの距離は2m程。服装は滝壺が就寝用のジャージ、絹旗がストライプのパジャマだ。
本来絹旗はリビングで寝ているが、たまには一緒に寝ようということでソファベッドを部屋まで持ち込んでいた。かなりの重量だが、絹旗の能力を使えば一瞬だ。
部屋の内装は滝壺らしく殺風景なものだが、所々にぬいぐるみや化粧品の類が置いてあるのは絹旗が持ち込んだり寄贈したものである。
滝壺がリモコンで消灯すると、すぐに部屋を夜の帳が包み込んだ。学生の街である学園都市の夜は静かだ。
「…………」
「…………」
沈黙。小さく呼吸をする音だけが部屋の中を反響する。
そうして30分も過ぎた頃。
ふと、シングルベッドから囁くような声。
「きぬはた、起きてる?」
「…………超起きてますけど、なにか?」
ソファベッドから返答。もぞりと寝返りを打ったようだった。
暗闇の中。滝壺は天井を見上げて、絹旗はシングルベッドに背を向けて、途切れ途切れに話をする。
「きぬはたは、はまづらのこと、好きなの?」
「…………」
「…………」
「…………」
沈黙。
「……よく、わかりません」
「うん」
「別に、あいつが好みかって言われれば、むしろ嫌いな面の方が超多いんです。超馬鹿だし、超アホだし、超不細工だし、超スケベだし」
「うん」
「そこは超否定しないんですか」
「私も、はまづらは頭は良くないし、あまりかっこよくもないし、ちょっとHすぎると思う」
知らないところで恋人にボロカス言われる浜面。
「でも、それでもはまづらは、私にとってのヒーローだから」
「……麦野さんを倒したのは、超偶然以外の何物でもないと思いますよ。それを当然として扱うのは、浜面には超重すぎます」
「超能力者(レベル5)を倒したからじゃない。私にとって、はまづらがヒーローなのは、私が本当に困った時に、助けに来てくれるから」
「…………」
滝壺が淡々と言葉を紡ぐ。その声音に誇らしさはなく、どこか暗いものだった。絹旗は体を丸めたまま、奥歯を噛んだ。
「やっぱり超わかってないじゃないですか。浜面は無能力者(レベル0)だし、精々車泥棒が超関の山だし、そんな風に思ってたらいつか超死にますよ」
「わかってる。けど、それでも私ははまづらを信じてる」
「そういうのを超妄想だと言うんです」
「本当は、私がはまづらを守らないといけないのに。私は大能力者(レベル4)なのに」
大能力者であることなどこじつけだ。そんなことを抜きにしても、滝壺理后は浜面仕上を守りたいと心底願う。
けれどもそれは不可能だ。能力が使えず副作用に苦しむ滝壺では物理的に不可能なのだ。
故に、滝壺にできることは信じることしかない。ネガティブな信頼。あとは精々、足手纏いにならないように自分を見捨てる程度だ。
だから
「だから……私が浜面を好きになっても超許してやる、ですか?」
「もしも、きぬはたがそうなら。私は、とても悔しいけれど、とても安心できる」
「……ふっ、くくくくくく……滝壺さんも超難儀なことですね」
絹旗が毛布の中で噛み殺すように笑う。
絹旗最愛が浜面仕上を守るのならば、それは滝壺理后にとって受け入れるべきことなのだ。自分の感情よりも、ずっと。
合理的な判断ではある。そもそも人を好きになることが、合理的であればだが。
「でもそれじゃ、私が浜面のことを好きだろうってのも、滝壺さんの超願望じゃないですか」
「きぬはたは、はまづらのことが、嫌いなの?」
「嫌いじゃないです。けれど、好きかって言われると超わからないです。だって合理的な理由は超何もないのに」
「ないのに?」
「……一緒にいても超気楽なんです。誰かと一緒に何かをしたいって思えたのは超初めてなんです」
絹旗最愛は12歳にして学園都市の最暗部に生きる少女である。
その人生の前半はモルモットとしての過酷すぎる能力開発に費やされ、失敗作の烙印を押された後は裏の仕事に回された。
そのこと自体を絹旗は何一つ悲観していない。彼女は若干12歳にして、既に熟年サラリーマンのような達観を得ている。
仕事は仕事として、余暇で趣味を楽しめればそれで生きていけると割り切っているのだ。そして彼女はその趣味を、他人と関わらず一人で映画を見ることに定めた。
絹旗はその能力が示すように、自分の心を守る強固な殻を備えている。
219絹旗最愛の憂鬱4:2009/12/14(月) 17:25:42 ID:BQYsxIX5
「私は一人で生きてきたし、一人で生きていけるんです。でも、浜面と一緒に映画を見るといつもより超楽しいんです」
「うん」
「これが友情だって言うのなら、超不本意だけど納得もできるんです。恋人としては欠点多すぎですけど、友人としてなら浜面だっていいところは超あるんです」
「うん」
「でも……浜面には滝壺さんがいると思うと、そういうところを見ると、そういう相談をされると……胸が超痛むんです」
「……うん」
いつしか絹旗の語る声には嗚咽が混じっていた。その表情を滝壺が見る術はない。絹旗が泣く姿など、誰も見たことがない。
明日になれば毛布に染みこんだ涙も乾いているだろう。けれど今だけ、彼女は年相応の少女になっていた。
誰もが忘れているかもしれないが、絹旗はまだ12歳の少女なのだ。
どうしてよりにもよって浜面仕上だったのか、その理由すら少女にはわからない。
ただ、それを自覚した時は既に先約済みだった。だから痛みに耐えることしかできなくて。
「超卑怯じゃないですか。私がそこにいてもおかしくなかったのに、滝壺さんばっかり超卑怯じゃないですか」
「私も、きぬはたのことが、ずっと羨ましかった。私にきぬはたみたいな力があれば、はまづらを守れるのにって、ずっと羨んでた」
隣の芝生は青く見える。
しばらく部屋に沈黙が戻った。絹旗の嗚咽が小さくなっていき、消える。
お互い、この奇妙な現状のことを考えていた。少しでもボタンが掛け違えばこうはならなかっただろうに、どんな偶然なのだろう。
「……超冷静に考えると浜面ごときを美少女二人が取り合ってるなんて超正気の沙汰じゃないんでしょうね」
「他人から見ればそうかもしれないけど、私は後悔していないし、浜面にもさせたくない」
「その決意にだけは負けます。物理的には超完勝ですけど、精神的には超完敗です」
もぞもぞと、絹旗が体を返してベッドの方に向ける。
また、しばらく静寂。
次に沈黙を破ったのは滝壺だった。
「きぬはた、取り引きしよう」
「薄々予想は付きますがどんなですか」
「はまづらを半分あげるから、はまづらを守って」
「……あのですね、ケーキじゃないんですから超簡単に分けないでください」
「でも、そういうことだから」
「滝壺さんは超そんなのでいいんですか」
「私には選択の余地がない。私だけならはまづらのために死ねればいいけれど、それじゃはまづらは幸せになれない」
幸せ。
絹旗は、不意に出てきたその言葉に面食らった。なんだろう、それは。そんなものには一度たりとも触れたことがない。
同時、得心したこともある。幸せになるという、そんな得体の知れないものを背に付けているから、滝壺はこんなにも強いのだ。
いつか自分もそれを求める時が来るのだろうか。
あるいは、いつの間にか求めていたからこそ、あんな男のことを好きになったのだろうか。
「……わかりました。けれどもう一つ超問題があるんですが」
「なに」
「これ超私達だけの話し合いですから。当の浜面の合意が取れてません。拒否されることも超考えられますよ。というか普通そうなります」
「ああ」
絹旗の指摘を、滝壺は鼻で笑った。いや、淡々とした調子なのは終始変わらないのだが、何故だか絹旗にはそう思えた。
「そんなの、バニースーツ着て迫ればすぐ落ちるから」
「……うわあ。恋人にそんな風に超見切られていることに同情すべきなんでしょうが、浜面なら超有り得そうで困ります」
バニーか、バニーならなんでもいいのか。
「はまづらも、きぬはたのこと、女の子として意識してる。だから」
「あああ、超すみません滝壺さん。泣かないで」
「泣いていない」
「それじゃ一緒にバニーでも着ましょう。なんか我ながら超有り得ない提案ですけど」
「一緒に?」
「いや、だって流石にその……超怖いですし」
毛布を被って顔を赤らめる絹旗最愛に
見えないながら、滝壺理后はくすりと笑って頷いた。

次の日。
恋人に呼び出されて部屋を訪れた浜面仕上を待っていたのは、赤と白のバニーだった。
「ぱんぱかぱーん。超おめでとうございます。浜面は浜面の分際で世界一ラッキーな男に選ばれました。幸運残量はこれで超マイナス突破でーす」
「はまづら、これからもよろしくね」
「ぶふっ!? おおおおなんじゃこりゃー! 天国か! 俺は死んだのか!? 誰か頬をつねってくれー!」
「リクエストに答えて、浜面超ストレート!」
≒浜面超愛してるストレート
浜面仕上は鼻血の尾を引きながら盛大に宙を舞った。
学園都市は今日も平和である。
220絹旗最愛の憂鬱4:2009/12/14(月) 17:26:41 ID:BQYsxIX5
以上です。
三人に捧ぐ。
最初に映画館ネタ書いた時はここまで伸びるとは思わなかったのでなにか憑いていたに違いありません。幸せになっちまいな!
後は任せた!グッドラック!
22135:2009/12/14(月) 17:47:44 ID:VNns5FOR
>>220
GJ!!お疲れ様です!!
俺なんかが何か何かしたわけじゃないけど、俺のあの心の叫びがこの素晴らしいシリーズが始まる要因の一つだと思うと何かこみ上げてくる物があるよ……
あの馬鹿な心の叫びを聞いてくれてなおかつこんな素晴らしいシリーズを作ってくれるなんて……
感謝しても仕切れねぇ!!
222名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 17:47:49 ID:PbHdyCoX
>>220
GJ!!!!!!!!!!
浜面・滝壺・絹旗好きの俺としては最高の展開かつ落ちだった
223名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 18:15:58 ID:5TPJ7Oj9
>>220
アイテムメンバーをそんなに気に入ってなかったけど、貴方のおかげで超好きになれました!
超GJ!
224名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 18:20:58 ID:tdJC/e7O
>>220
神が降りて、Sハイテンションになってたのかにゃーw
それにしても、二人の内面、掘り下げまくってますね
浜面、体を大切にして二人を幸せにするんだよ
せーの、バニー万歳!!
完結させた貴方に、惜しみないGJ!を送ります
225名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 19:28:02 ID:aRepNO1X
>>220
ああもう超GJ!
俺も触発されて一本書いたけど、やっぱ憂鬱の人のがいちばん最高です!

最後の鼻血はいったい物理的か精神的どっちで出たんだろうねwww
226名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 21:11:15 ID:m+opwW+k
>>217
大GJ。またネタ思い付いたらいつでもお寄せください
227名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 22:13:40 ID:gckDwKKe
>>220
すばらしいすばらしい!
そしてもう続きが無いかと思うと……
ああ、次が来るまでこの余韻、噛み締めておこうっと。
228名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 22:14:23 ID:60D6mju9
>>217
GJ、だがしかし何かが足りぬのである
なぜならここがエロパロ板だからである
つまり、この後ぬるぬるのぐちょぐちょな展開を期待するのは、場にそぐわないことではあるまい、ということである
と、あえて無茶振りしてみるのである

どうでもいいけど、後方の人真似てみたこの口調、なんか無駄に偉そうだな。今後自重しよう…
229名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 23:22:13 ID:HykEg2FI
第3王(ry
230名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 23:46:44 ID:7UBbAs/V
>>220
久々にきてみたら神が降臨してたw
この三人組は最高ですわ!
231名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 23:46:50 ID:ovfcBe5v
ぐ、ぐぐぐ、GJ!!!!

これだけ感情描写していて、どうしてこんなに綺麗に簡潔にまとめられるのか……
正直、羨ましい。
ネタがネタでおさまらない自分は、もうどうしたらいいのかと。
232名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 00:26:05 ID:iEpPZx25
>>220
GJなのですよー。素晴らしい愛を感じたのですー。
後日談エロの際には、中出ししか認めなませんからねー。

>>228
だいじょうぶですよー。敬虔なこのスレの住人ならそこのところ汲んでくれるはずですからねー。
まあ無知蒙昧な他スレのサルどもならいざ知らず、というところではありますがねー。

と同僚を励ましてみるテスト。
233名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 01:26:01 ID:Lirhfb7O
他の人の嘘予告とかの中に面白そうなネタがあったら勝手に書いちゃっていいのかしら
234名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 01:37:52 ID:6FKq9LVH
>>220
GJでありますた。心理定規も含めてみんな魅力的だったお!
絹旗は全編可愛く、憂鬱3の浜面には腹筋が、腹筋が……ぶふっ!
なんかこれに麦のんを加えたら、浜面の主人公補正も相まって、弱小勢力を築けそうな気がするなー。
235名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 03:24:56 ID:wxGJ9c61
初春×美琴か・・・
美琴がその気になれば・・・
236名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 04:25:08 ID:MKUp+bjj
佐天が思ってた以上にロリっ子で戸惑ってる俺
237名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 05:10:47 ID:x5BjJJjL
さてここのスレも久々に盛り上がってきたね。
238名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 06:41:24 ID:lWVs4ZJb
初春もやっぱり年上の高校生(上条さん)に憧れるんだろうか
239名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 06:44:08 ID:Xf9LNM1I
それは無いな
初春は人のコイバナに盛り上がって要らん世話を焼くタイプだ
まあそういうタイプは人に構うあまり、自身の婚期を逃していき遅れるわけだが
240名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 14:20:01 ID:rAgFmSEv
「……な、なんですか上条ちゃん、こっちの方じっと見て。
 言っておきますけど、先生は行かず後家じゃありませんよ」

>>233
まぁ話題振りみたいなモノだから書いても全く構わないと思いますけどね
たとえ他の人とネタ被っても作風違えば出来上がりは別物になるでしょうし
241名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 16:24:38 ID:n1M/jn8/
調べてみたら、絹旗って12歳だから性的同意年齢に達してねえ…
絹旗とHすると浜面には強姦罪が適応されるという。
242名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 17:03:00 ID:IuSIsywO
そこを突っ込まれてアワアワする浜面に燃えるんですね、わかりま
243名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 17:04:44 ID:h1nrZxAm
愛があれば超問題ないです
244名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 18:06:33 ID:rAgFmSEv
「そういえば、これって超立派な強姦罪ですね」
熱く上げていた喘ぎ声の合間から、絹旗が思い出したようにポツリと言った。
左の乳房にむしゃぶりつき、乳首を嘗め回していた浜面の動きが止まり、物問いたげな視線が向けられる。
「あ、いえ、私これでも超12歳ですから、性的同意年齢に超達してないんですよ。
 ですから浜面は、超いたいけで可憐な美少女を汚した超腐れ外道の犯罪者になるんです」
「おい、ちょっと待て!?」
ガバッ、と顔を上げ浜面が気色ばむ。
「ぁんっ!」
乱暴に離された乳房がたわみ、甘い刺激の信号に絹旗が声を漏らす。
空気に晒されたピンク色の乳首は、唾液に濡れ光り、ピンと固く屹立して自己主張していた。
「誰が外道だ、誰がッ!! いや、まあ、犯罪者ってのには反論できねぇーけどよ」
「何気に、いっつも超弱気ですね浜面は」
「あー、俺がスキルアウトで裏の世界に足つっ込んでんのは事実だしな。だけどな――」
浜面はいったん言葉を切ると、絹旗の顔に触れるほど顔を近付け真正面から目を覗き込む。
「最愛。お前の名前にあるように、愛があれば問題なんかないんだ」
絹旗は、浜面の首筋に両腕を回し、
「浜面のくせに、なに超真剣な顔して超キモイ台詞言ってんですか」
憎まれ口を叩いて、屈託のない笑顔を見せた。
「滝壺さんにしたように、私にも超中出ししてくれないと超許しません」
そうして、浜面の腰をギュッと両足で挟み込んで、膣内の肉棒をキューッと締め付ける。
ベッドですやすやと寝息を立てている滝壺の股間からは、浜面の愛の結晶が大量にシーツに滴っていた。
「ぉお、任せとけ」
どこか気弱げな台詞を吐いた浜面が、腰の律動を開始した。

……って光景を脳内再生してしまったではないか
頑張れ浜面!! 明日には黄色い太陽が君を待ってるさ!! ちゃんちゃん。
245名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 18:07:54 ID:emJSZcVy
デートしてる時に黄泉川先生とバッタリ遭遇。
性犯罪は罪が重いと黄泉川に言われて焦るんですな。 
246名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 18:19:06 ID:wchzqp6D
ならもう強姦しちゃえばいいじゃん
ちょっと書いてくる
247名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 18:41:25 ID:ZdtaP64m
「外見年齢10歳のガキが、勝手にネットワークを切断して、身動きのとれなくなったヤツに
ムリヤリ迫るのはどういう犯罪なンだ…」
248名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 19:08:07 ID:ydlyaJw/
白い人逆レイプ被害乙D.LActionの45だっけ?46だっけ?
249名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 19:39:20 ID:gIeGHxmj
第一の解答ですが、45で正解です。
第一の質問ですが、私の出番はまだなのですか。
250名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 19:59:18 ID:+PxN8gSM
とりあえず読んだよそれハァハァ
251名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:00:41 ID:wchzqp6D
>>246だけど即興で書いてみた

※浜面×絹旗ですがレイプものなので読みたくない人はNGにしちゃってください
252名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:01:00 ID:wchzqp6D
「はまづらが全然襲ってこない」
「……はい?」
 いつもの病室。いつものお見舞い。
 そこで絹旗最愛は耳を疑った。
「超すみません、なんか耳が悪くなったみたいです」
「だから、はまづらが全然襲ってこないの」
「……ああ、これは夢ですね、超とびっきりの悪夢なんですね」
 そう自分に言い聞かせて、絹旗は再び林檎をしゃりしゃりと剥き始める。
「ねぇ、きぬはた」
「なんでしょうか」
「はまづらがね、襲っ」
「超もういいです! もう言わないでください!」
 思わず林檎を握り潰してしまった。いけないいけない、最愛ちゃんったら悪い子。てへっ☆
「ってそうじゃなくて、超どうしたんですか滝壺さん!?」
「どうしたのきぬはた。今日のきぬはたはなんかおかしい」
「おかしいのはそっちです! 浜面は超浜面ですよ!? なのになに言っちゃってるんですか!」
「なにって、ナニ?」
「超不思議そうにとぼけて言わないでください! あんの糞浜面、滝壺さんに何吹き込んでやがんだあああああ!」
「きぬはたきぬはた、むぎのが感染ってる」
「おっといけないいけない……じゃなくて! なんでそういう話が出てくるんですか!」
「なんでって、はまづらは恋人だもの」
「そうですよ、浜面は滝壺さんの恋人で……え?」
 カランと乾いた音がする。可愛い最愛ちゃんはうっかりナイフを落としちゃったのだ。
「どうしたの?」
「すみません、これは超悪夢ですよね? 今の言葉は聞こえなかったものとして超処理します」
「きぬはた酷い。そんなに私とはまづらが付き合ってるのが嫌なの? ……もしかしてきぬはたも」
「超断じてありません!」
「……ならいいけど。それできぬはたにお願いがあるの」
「いやいやそれでも超よくないことがたくさんあるんですけど」
「はまづらはね、私の身体が心配だってどんなに迫ってもヘタレなの。だから最終手段使う」
「超スルーですか、もう超スルーなんですね、わかりましたよ。そのお願いとやらを聞きましょう」
「ありがとう、持つべきものは友、さすがきぬはた」
「嫌な予感しかしないので聞くだけ対策が練れます」
「それでね、だからお使いを頼みたいの」

253名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:01:15 ID:wchzqp6D
 ということで。絹旗最愛はお使いを頼まれた。
 なんでも、学園都市の裏ルートで手に入る神経に作用する科学的な惚れ薬と媚薬らしく、結構危ない代物らしい。
 いかにも怪しそうなバイヤーからスポーツドリンクのラベルが貼られた500mlペットボトルを受け取る絹旗。
 「君みたいな小さな子がこんな薬をこんな大量なんてねぇ……げへへ」なんてセクハラがましい目で見られたので殴り殺してやろうと思ったが、我慢。
 だが、これでいいのだ。絹旗は友人の貞操を守るために、これを病院の売店で買った適当なジュースとでもすり替えて渡せばいいのである。

 そうして、ペットボトルを片手に病院に戻る途中、この状況で最悪なものが目に入った。
 浜面仕上である。
 あっちも絹旗の存在に気付いたらしく、
「おーい、絹旗ー」
 なんぞと言いながら手を振りながら近づいてくる。
 逃げよう、と思ったが恐らく目的地は一緒だ。
「なんですか、今日も超浜面ですね」
 なので、適当にあしらって、病院に行かせないことにした。
「いやーちょうどいいところで会ったな。今から滝壺のお見舞いに行こうと思ってたんだ」
「そうですか、私もこれから行くところでした」
「じゃあ、一緒に行くか」
「そうですね」
 と、何も知らない浜面は無邪気についてくる。
(計画通り! 後は適当な裏路地にでも殴り飛ばしておけば超大丈夫ですね)
 などと考えながら、黒い笑みを浮かべる絹旗。
「あ、そうだ」
 そこで浜面がごそごそと何かを取り出した。
「こんなものを昔の仲間からもらったんだが、絹旗はこういうの好きだよな?」
「それは……!」
 それを見た瞬間、絹旗の目の色が変わる。
 浜面が取り出したのは、明らかに駄作であろう映画のペアチケット。
 しかもそれは知る人ぞ知る、上映している場所なんてほとんどないがC級映画好きは一度は見てみたいランキング万年二位の幻の映画のチケットではないか。
「なんでも結構レアなものらしいんだが……良さがわからないからなあ。滝壺と一緒に後で」
「超今すぐ見に行きましょう!」
 絹旗は浜面の言葉を遮って言った。


254名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:04:49 ID:wchzqp6D
 場所は移り変わって映画館。
 チケットは入手困難、のはずなのになぜか客はほとんどいない。というか絹旗と浜面以外はいなかった。
 映画が始まってすぐ、絹旗は持っていたペットボトルを隣の席の凹みに入れ、画面に見入ってしまっている。
 浜面はダウン寸前だ。これから恋人の待つ甘ーい病室へ向かおうとしたところにこんな映画を見せられていてはたまったものではない。
 ぐでっとしたまま、ただ時間の経過を待っている。
(喉渇いたな……)
 そこでふと浜面は思った。
 考えてみれば、映画を早く見よう早く見ようという精神ばかりが先走って、飲み物も何も買ってないのである。
 そこで目に付いたスポーツドリンクのラベルが貼られたペットボトル。見るからに未開封だ。
(絹旗のやつは映画に集中してるみたいだし、後で買ってやればいいか)
 と判断し、浜面はそれを手にとって開封。
 新品らしいプラスチックの割れるかちかちという音をさせながらキャップを取り外す。
 そして、それを飲もうと口に入れると、どろりとした何かだということに気がついた。
「うわ、なんじゃこりゃ!」
 思わず浜面は声を上げてしまう。
「な、何してるんですか!?」
 それに気がついた絹旗は驚いてそのペットボトルを取り上げた。
 だがもう遅い。一度口に入った以上、それは思わず嚥下してしまう。
 そうして、本来は薄めて使うはずの惚れ薬+媚薬の『原液』が、浜面の身体に吸収された。
「ちょ……これ飲んじゃったんですか!?」
「ああ、なんかヤバかったか……?」
「見るからに超ヤバいじゃないですかっ!」
「あれ……絹旗……?」
 ぼやーっと焦点の合わない目で絹旗を見つめる浜面。
「本当に超浜面ですね! 聞いているんです……か……?」
 その浜面が、絹旗に迫る。絹旗は、大能力者だというのに本能的な恐怖を感じた。
「ち、近づかないでください!」
 思わず浜面を突き飛ばす。
 その力は小さな少女のものではなく、浜面を思い切り吹き飛ばした。
「きゃあっ」
 だが、その衝撃で、手に持っていたペットボトルの中の原液が零れ、絹旗自身に降りかかる。
「な、なんですか……超なんなんですかこれは……」
 直接飲んだわけでもないのに、絹旗にもそれは効能を示した。
 身体は熱くなり、まともな脳が霞んだように思考能力が低下する。
 能力も上手く展開できず、意識が朦朧としてきてしまった。
 降りかかっただけでこれならば、直接飲んだ浜面は、どうなるんだろう。そこで絹旗は霞んだ思考で思いつく。
「きぃぬぅはぁたぁあ……」
 そこにゆっくりと迫る浜面。頭から血を流しながらもふらふらと近づく様はまさにB級ホラーだ。
「こ、来ないでください……」
 本格的に危機感を感じた絹旗は後ずさる。だが、浜面はそれよりも早く絹旗に飛びかかった。
「きゃあっ!」
 絹旗は映画館の固いコンクリートに押し倒される。背中から打って痛みを感じ、自分の能力が解除されていることに気がついた。
「なあ、絹旗……気持ちいいことしようぜ……」
 そこに正気を失った浜面が絹旗のワンピースに手を掛ける。
「や、やめてください!」
 拒否を示すが、浜面は止まらない。
255名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:05:20 ID:wchzqp6D
 ワンピースをめくると、年相応に可愛らしい白地のショーツが目に入った。
「可愛い下着だなあ……こっちも、まだ子供だし」
 そう言いながら、浜面は絹旗の小さな胸を揉みしだく。
「痛い、痛いです!」
 乱暴な浜面の手つきに悲鳴をあげる絹旗。だが浜面は止まらない。
「とか言いながら、こっちは濡れてるじゃねえか」
 今度はショーツの、割れ目の部分を指でなぞり上げる浜面。
「きゃぅ!」
 それに絹旗は敏感に反応する。先ほど降りかかった液体のお陰で絹旗の身体は感じやすくなっていたのだ。
 それの効能で、恐らくは濡れているのも事実だろう、と絹旗は思う。
「ちょ、超お願いします……やめてください……」
 だかこそ、絹旗はお願いする。能力の使えない今、腕力ではただでさえ大人の男で、しかも正気を失った浜面には勝てないのだ。
「こんなの反応して、お前もまんざらじゃないんじゃないか?」
「ひぅ!」
 服の上から乳首の辺りを摘みあげる浜面。絹旗は面白いように反応する。
「ほ、本当に止めてください……止めないと、滝壺さんに言いますよ……?」
 涙目になりながら、絹旗は最終手段を繰り出した。
「滝壺よりか、今は絹旗、お前の方が可愛い」
「えっ……?」
 虚を突かれて、絹旗は呆然とした。そこを狙ったように、浜面はワンピースを一気に捲り上げて、脱がしてしまう。
「ちょっ……浜面っ!?」
 絹旗の身につけているものが下着だけとなる。ワンピースの下から現れたブラジャーも、可愛らしい無地の白であった。
「可愛いなあ……絹旗は」
 そうして両手がワンピースで絡まって抵抗できなくなった絹旗の胸をブラジャーの上から揉む浜面。
「ひゃあっ……やめっ……」
「素直になれよ」
 さらに、首筋にキスをする。
「――ッ〜〜!」
 言葉を無くして身を固くする絹旗。そこへさらに浜面は攻め入る。
 ブラジャーを上にずらし、直接揉みだしたのだ。
「いやっ! やめてくださいっ!」
 揉んだり、乳首を摘んだりして弄ばれる絹旗はたまったものではない。だが、悲鳴を上げてもこの映画館では助ける人などいない。
「きゃああっ」
 調子に乗った浜面はピンク色の乳首を吸い上げる。
「硬く勃起してて吸いやすいぞ、絹旗の乳首」
「そ、そんなこと……っ!」
 ついでに言葉責めも忘れない。そこで絹旗は浜面の手が下に降りていくのを感じた。
 だが、気付いたときにはもう遅い。
「さーて、ここはどうなってるのかなっと」
 浜面は何の断りもなくショーツの中に手を入れ、秘部をなぞり上げる。
「いやあああああああああ!」
 すると絹旗は敏感に反応する。言葉では拒否を示すが、秘部は潮を吹くように、大量の愛液で満たされていた。
「指、入れるぞ」
「やめっ……やめてっ……!」
 浜面は乱暴に指を突き入れる。十分に濡れていた絹旗のそこは、食いつくように浜面の指を受け入れた。
「おお、絹旗のアソコ、ふやけるくらいにびしょびしょだぞ」
「あっ……いやっ……いやぁっ……」
 さらに浜面は指をかき回す。絹旗は身体を浮かせるほど反応し、浜面を楽しませる。
「いやああぁぁぁっ……!」
 やがて絹旗は一際大きく痙攣すると、ぐったりとしてしまった。
256名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:05:55 ID:wchzqp6D

「よし、これなら、大丈夫だな」
 そう言って、浜面はぐったりとした絹旗のショーツを降ろす。そして、足を開きやすいように片足だけショーツから抜く。
 次に足を開かせ、浜面は自分のそれを絹旗の入り口に押し当てた。
「……今ならまだ超間に合います……やめてください……」
 ぐったりとしたまま、絹旗は言う。
「そうは言っても、止まらないんだよなあ」
 だが、浜面は腰を推し進める。少しずつ、浜面の巨大なそれが、絹旗の小さな穴に埋まっていく。
「やめてください……! それ以上進んだら、滝壺さんが超悲しみますよ……!」
 そこでぴくりと浜面の動きが止まる。効果有りだ。
「まだ、ここでやめたら今日のことは秘密にします……! だから、お願いですから……」
「……ここまでやっておいて、合わせる顔なんかないよなあ」
 その声に絹旗はぞくりとした。浜面の声に悲痛の色と、覚悟の色が混じっていたからだ。
 そこで絹旗は自分で浜面の、最後の良心の呵責を打ち砕いてしまったことに気がついた。
「スマン、滝壺、絹旗」
 その言葉を合図に、浜面は一気に腰を推し進めた。
「痛ああああああああああああああい」
 処女を破られた痛みに、絹旗は大きな声を上げる。
 だが浜面は止まらない。処女の血をさらなる潤滑油として利用し、激しいピストン運動を開始したのだ。
「やめてくださいやめてください痛いです超痛いですだからやめてくださいあああああああああ」
 いくら言っても浜面は止まらない。
 むしろ、悲鳴を上げる度に浜面の動きは加速していくばかりだ。
「絹旗の中、キツくて、気持ちいい……!」
 浜面はそんなことを言いながら、さらに動きを加速していく。
「痛い痛い痛い痛い! お願いしますもうちょっとゆっくりに!」
 さらに加速。
「痛いです痛いです!」
 さらに加速。
「もう許してくださいぃっ!」
 絹旗は涙を流しながら言うが、正気を完全に失った浜面には届かなかった。
「で、射精そう……!」
 そこでふと、浜面が漏らした言葉に絹旗は新たな危機を覚える。
「や、やめてください! 膣内はダメです超ダメです!」
 だが、浜面は聞かない。
 まるでラストスパートをかけるかのように、さらに動きを加速した。
 絹旗はこの後を予感して、恐怖する。同時に、もしかしたら膣外に出してくれるんじゃないかとも、楽観的に考える。
「射精すぞ、膣内に射精すぞっ!」
 浜面は絹旗の最後の希望も容易く打ち砕いた。
 さらに一段と強く腰を打ち付けると、浜面は絹旗の膣内に己の欲望を放出する。
「う……そ……」
 さらに何度か、どくんと脈打つ感触がして、絹旗は浜面が膣内に出したことを実感する。
 絶望に精神を苛まれ、絹旗の意識は限界を迎えてそこで闇に落ちた。
257名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:06:30 ID:wchzqp6D



「起きて、きぬはた」
「ん……?」
 絹旗が目を覚ますと、そこは病室だった。
 目の前にいるのは滝壺。
 今までのことを思い出して、しかし今の状況に絹旗は目をぱちくりした。
「あれ、私は超眠っていたのですか?」
「そう、眠ってた」
「……なんだ、超夢だったんですね」
 その言葉に絹旗は心から安堵した。
 だが、次の瞬間、申し訳ない気持ちで一杯になる。夢とはいえ、この友人を裏切るような行為をしていたのだから。
「な、なんか私にできることがあれば超やりますよ!」
 償いをしよう、と思い立って絹旗は明るく振る舞って言う。
「じゃあ、ケーキを作る準備をしてほしい」
 滝壺は指を立てて提案する。
「ケーキ、ですか?」
「もうすぐクリスマス。みんなでパーティ」
「なるほど、そうとわかれば善は急げですね」
 よっし、と絹旗は立ち上がる。その瞬間、絹旗はふらりとよろめいた。
「大丈夫?」
「超大丈夫ですよ。無理な体勢で寝てたせいか、少し身体が痛むみたいですけど」
「そう。よかった」
 絹旗の言葉に安心した風の滝壺。
 そうして、言葉を続ける。
「はまづらが映画館で寝ちゃったって言って連れてきたときは驚いたけど」
「え……?」
 その言葉に、絹旗は固まる。
「そういえば、お使いのあれはどこにいったの? はまづらは持ってなかったみたいだけど……ってどうしたのきぬはた?」
 絹旗は何も答えられなかった。
 同時に、湿り気を感じる、太股。

 絹旗は、今度こそ、ふらりと力を無くして崩れ落ちた。
258名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:07:31 ID:wchzqp6D
という終わり
即興だから色々アレだけどごめん
絹旗が酷い目に合ってますけど大好きですよ
絹旗かわいいよ絹旗
259名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:36:02 ID:XyEMoc1h
GJ
しかしこの後どうなるんだww
260名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:41:12 ID:++QMBlYK
GJ
これは続きが気になる

しかし即興でよくこれだけ書けるなw
261名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 21:15:31 ID:qTg4xeqK
なにこの絹旗祭り。超GJなんですけど。

>>254
>チケットは入手困難、のはずなのになぜか客はほとんどいない。
入手困難だから客がほとんどいないんだろw
262名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 21:21:17 ID:NLaLOw7L
客が来ないのが最初から分かっているので、チケットも入手困難になる程度の数しか用意していないとか。
263名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 21:38:30 ID:rAgFmSEv
>>258
即興GJ! 速筆にも程があると俺も思いますよw こんなに書くの絶対無理だわw
さて、浜面関係のSSも十分堪能したことだし
クリスマス、ケーキ、パーティー、一つ愉快なノリのネタでも書いてみるか
264名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:03:03 ID:oycZ9k+6
>>259
下げれてないあなたと一緒に浜面は超ブチコロシカクテイでしょうよ。
265名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:12:10 ID:Lirhfb7O
>>252
超GJ!!
だけど初潮前のおにゃのこと無理にイタすと死んじゃうこともあるんだよ!って友人が力説してた
まあ中学生だからいいか!
266名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:17:35 ID:C7v/nqHH
>>261
あれ?頭悪くね?
それは入手困難なほど人気のハズなのにって意味だろ
267名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:31:32 ID:x5BjJJjL
>>258
GJ
出来れば続編を希望したい
268名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:40:34 ID:JwwU1MTl
>>262が正解だろうなw

それはともかく、学園都市だと年齢よりレベル重視だと思うんだ
犯罪抑止の為に、レベル3以上は成人同様の責任能力を求められる、とか
つまりだな、12歳でもレベル4の絹旗は大人と同じ責任能力を持たされている
=性交渉に至っても強姦は成立しない
逆に16歳の■■さんは現状確か無能力者なので未成年扱い
=性交渉すると強姦に当たる
という考え方はどうだろうか?
269名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:55:46 ID:Cjyqho5D
客が来ないのが分かっててチケットの数を絞るという行動に出るってことは需給の関係考えたら入手困難になることもないと思うんだが
270名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:05:09 ID:B1SNy4yh
こまけえことは(ry

俺らを悶えさせてくれるんだ、それだけでええやろ
271名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:12:41 ID:b223cfe+
>>258GJ!
絹旗職人は最近人を得てるな。待ち望んでたわ
272名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:13:42 ID:wchzqp6D
数を絞ってないし、入手困難なのに人がいないという超不思議現象がこういう映画にはよくあるんです
ってうちの嫁が力説してましたよ

続きは気が向いたらいつか書くかも
でも美琴のデレデレクリスマスのが魅力的で書くとしたらそっちが優先かも
273名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:18:49 ID:+KmTgORt
>>272
美琴のデレデレクリスマスも超楽しみだから大丈夫さ
274名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:23:13 ID:rWLQQYQk
>>268
その基準でいくとレベル3の打ち止めはOKでレベル2の妹達はダメって訳か
んなアホな
275名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:25:04 ID:GHQB7U0m
妹達とヤりたい酔狂な奴なんているのか?
276名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 23:27:46 ID:WLaeNiVy
一方さんの電極の充電方法とは、
打ち止めを抱くこと

…すまない言ってみただけだ
277名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 00:24:21 ID:PNIOWR2M
上条さん…固法先輩とのラブラブちゅっちゅっものがみたいです…
278名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 00:34:17 ID:L3lZUaS6
>>272
デレデレクリスマス超期待
279名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 00:47:56 ID:p8OlRYsM
>>276
19巻ラストの体力を消耗しきっている打ち止めの方から
かすれた声と潤んだ目で一方通行に
「充電…して?ってミサカはミサカはお願いしてみる…」
と弱々しく縋りついておねだりするのはどうだ
揺れる貨物列車に密航という状況も不謹慎だが何だかエロいしな


…まあ最中に一方さんが出血多量で死ぬだろうが
280名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 00:57:11 ID:48nMq9Gy
俺の中で打ち止めは、ミサカ<耳年増>ネットワークの影響で、何かっていうと一方さんに
性的にアプローチを迫ろうとするエロマセガキなイメージがあって
そして一方さんはそんな打ち止めのエロボケに対して、鉄の意志と理性でツッコミを返す
アッチ方面では意外に倫理的なイメージがある
281名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 00:58:23 ID:UZOOv4hz
そもそも一方さんに性欲は存在しているのだろうか……
282名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 01:04:35 ID:CqciGE4x
一方さんの相手をしてる女の子が自分から腰を振ってしまうと……
283名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 01:13:05 ID:DoidZ2AH
個人的にだけど、何故だか一方さんは性欲を持ってるイメージが沸かんw
284名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 01:17:43 ID:L78qDTfp
だが百合子ちゃんの場合だとド淫乱なイメージだぜ!
不思議!
285名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 01:24:01 ID:1pb83EQ1
「ケツ振りやがって誘ってンのかァ?」なんて台詞をはけるぐらいだから知識はあるとしても性欲は・・・無さそうだなw
286名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 01:28:49 ID:DfVcBr79
もはや種があるかどうかが怪しいぐらいだしな
287名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 02:52:23 ID:lct8R4du
結論 打ち止め超がんばれ
288名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 05:30:45 ID:bAuatyQA
今の変にストイックな悪党状態ならともかく3巻時点では普通に性欲ありそうに見える
つーか性欲がリョナ趣味に爆発中というか

今は打ち止めにそんな事したくないのでガッツリセルフ自重中故に性欲無さそうに見えている
…という個人的結論に達した
289名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 06:25:19 ID:QsasSGW9
黄泉川と芳川と打ち止めの入浴シーンなどに遭遇したら、
上条さんなら間違いなく顔真っ赤にして0,1秒で土下座を完了してしまうぞ

・・・でも一方さんは枯れてるから全然微動だにしないというw
黄泉川が「子供」と評したのもわからんでもない
290名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 06:56:24 ID:4EhA/53p
一方さんの性交と聞いて
ベクトル操作でピストン運動、とか訳の分からないモノが頭をよぎってしまった
ちょっと顔洗ってくる
291名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 10:39:11 ID:aWhWNg/W
「あら、こうやってこすられるのが好きなんですのね?」

彼女は脱いだパンツで俺のペニスをやんわりとしごいてくる。
俺はブラで目を隠されているが、見えなくても彼女の手のぬくもり、動き、感触が俺のペニスを通じて確実に感じている

「ああっ、黒子っっ、だめだよぉっ」

「あら、やめて差し上げてもよろしいんですのよ?」

そういいながら、手を弱めようとしてくる。

「い、いやっ、やめないで・・・もっとしてくださいっ」

「ふふ、私の下着でオチンチンしごかれて興奮するなんて・・・本当に変態ですのね」

彼女は必死で懇願する姿を見て興奮しているようだ

「ああっ、だめですっっ、もう出ちゃいますっっっ!!あああああっ」

「あっ、イクんですのね?いいですわっ、私の下着にだしなさいっ」

彼女は、俺がイクとわかると、ペニスをぎゅっと握り締め激しくしごきだした。

「あああっ、イクっ、イクッ、イくぅぅぅぅ」

俺は頭の中が真っ白になり、彼女の下着にザーメンを出した

「あははっ、いっっぱい出ましたわね」

彼女は興奮しつつも軽蔑した眼差しで俺のイき顔を眺めてくる


書くのめんどいからここまで
292名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 11:36:18 ID:+qXNCeqb
一方通行は血流操作(動脈が壊れていても能力で補正した)や、頭髪の育成促進が出来ていました。
近年は幹細胞に関する研究で、負傷により欠損した指を再生する事さえ可能になっています。
黒子が『生やして』と嘆願して、一方通行がそれを面白いと感じるか暇つぶしにと、エロゲに良くある「陰核→擬似男根」をやる……わけがないな。
293名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 12:42:33 ID:Hqq6IoDR
一方さんは打ち止め以外に興味ないから、誰がどこで誰とヤってようがどうでもいいよ
そして年下に対して面倒見がいい

つまり頼まれたら暇なときに限りそのくらいやってくれるよ!
294名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 12:52:54 ID:pwHOBkN7
>>292
「今日はミサカがあなたの穴という穴をズボズボして上げるね! ってミサカはミサカはあなたの事をおしたおしてみたり」
「テメッ!? 男の気分が味わいたいってそォ言う意味、だ、止めろッ!? ンなもン入る穴なンか――」
「今日のあなたは百合子ちゃんだから3つあるからもーまんたい! ってミサカはミサカはあなたの服を脱がしてみる」
「な、なンだこりゃ!?」
「ご都合主義ってこの事だよねー、ってミサカはミサカはど、れ、に、し、よ、う、か、な、と狙いを定めてみたり」
「止め――」
「えいっ!」
「ア――――――――――――ッ!!」

どっちかって言うとこんな感じのが想像出来ました。
295名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 13:16:06 ID:OYwFX2P4
アッー!クア
296名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 13:34:09 ID:zMS5g5UT
>>295
しかも後方なのよな……
ということはあの顔で受けなのよな……
な、騎士団長…

ちなみに
前方のヴ○○○
って興奮するのよな!
297名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 13:51:23 ID:DW5xGRPd
前方のヴ――なんとかさんと後方のア――なんとかさんか…
298名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 14:15:59 ID:jd69W7/9
>>293
ミサカネットワークの司令塔である打ち止めなら
一方さんを常時勃起状態とか耐久羞恥プレイも可能なのでは。

>>296
腐女子の第三王女が大興奮。
ドSだけど常識人の第二王女が諫める。
ガチレズの第一王女は我関せず。
そんなイメージ。
299名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 14:21:20 ID:L78qDTfp
第三王女はナイトリーダー×ウィリアム派なのか上条さん×ウィリアム派なのかどっちなんだぜ
300名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 14:34:43 ID:jd69W7/9
>>299
結論から言えば両方だろう。
友情の果てに結ばれるナイトリーダーとウィリアム。
しかし第三の男上条さんがウィリアムに迫る。嫉妬に狂うナイトリーダー。
こんな感じで。
301名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 14:38:56 ID:axmWJyuL
そう言えば、第二王女のSSがそのうち来るぞ来るぞと言われて久しいが一向に来ないなw
アックアッー!さんとヴィリアンのSSはあった気がするのに。
302名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 16:18:24 ID:y5/gmRWC
クリスマスが近いということで思いついた小ネタ投下します
原作を読んでない、アニメにわかなので細かい設定、呼び方しゃべり方など変な部分があると思いますが・・・
特に一方通行の言い表し方を忘れてしまったorz

内容は相変わらず一方通行×打ち止め(ほんの少し他キャラ)
303名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 16:21:23 ID:y5/gmRWC
「んっふっふ〜、んっふっふ〜くりす〜ます〜今日は楽しいクリ
スマスいやっほう、ってミサカはミサカはまだ歌詞もあやふやな
歌を鼻歌交じりに歌ってみる」

 今年も残り僅かになった12月中旬。子供なら誰でも浮かれる
この季節に、笑顔を振りまき上機嫌な打ち止めがそこにいた。
 今行っている作業は、クリスマスツリー飾り。色鮮やかな電球に、
サンタやトナカイの人形。冷たさは無いものの、雰囲気だけなら
負けない白いモコモコとした綿。他にもさまざまな物を飾り付けていく打ち止め。

「・・・・・・その歌詞、間違ッてンぞ?!」
 と聞いてない素振りをしつつ、そこにいる打ち止めを見守る姿が一つ。
 こちらは上機嫌な打ち止めとは、真逆と言っていいほどの不機
嫌さを漂わせている一方通行。
「ん〜っと、歌詞が違ったかな?!ってミサカはミサカはツリーの
天辺を見上げて考えてみる。あっ、まだだった。ってミサカはミサカは周りをキョロキョロしてみたり」

 ツリーの傍にある大きな袋。その中には、まだ封も開けあれてい
ないツリーの飾りらしきものがどっさり。昨日この二人が一緒に買
い物に行った際、買ったものだ。
 二人の保護者からも非難を浴びるほどの大量に・・・・・それと比
例して、付き添いで行った一方通行へのお叱りも増えたことは言うまでもない。

 その袋の中をガサゴソと探している打ち止めが、
「ねぇ〜、サンタさんは私がここに住んでいること知っているのかな?
ってミサカはミサカは切実な悩みをアナタに打ち明けてみる」
「ぬあン?・・・なンだッて、悪ィ聞きとれなかッた?」
 頬を少し赤らめ、そんな顔を俯き隠しながら再度問いかける打ち止め。
「んっとねぇ、サンタさんがちゃんと私の所に来てくれるのかが心配で・・・
ってミサカはミサカは―――」
「ほらよ、テメェが探してるのはこれだろ」
 目の前に現れたひと際大きな星が一つ。
「あ、ありがとう・・・これが相思相愛の仲。ってミサカはミサカはこれまた
最近覚えたての四文字熟語を披露して見たり」
「バカか、一人で言ッてな」
 と言いつつ深々とソファーに腰掛ける。

 打ち止めの両手よりさらに倍、それほど大きな星を両手に小さな体躯を
精一杯伸ばして天辺を目指す。
「んっと、これはなかなか手ごわい相手だな。ってミサカはミサカは天高く
そびえ立つ天辺を目指して『とうっ!!』ってしてみたり・・・」
 何を思ったのか打ち止めがツリーに体当たり、ジャンプして星をつけよう
と思ったのだろう。けれど、思いとは裏腹にダイブという結果が出てしまったのだ。
 幼い身体とはいえ、根っこがあるはずも無いモミの木を倒すには容易い。
「うわっっつ・・・・・・・」
 とツリーの反対側から何処からともなく現れた一方通行。ツリーが倒れるのを支えたのだ。

「全くよォ、届かねェなら椅子でも使えッてェの」
 まだ起き上がらない打ち止めを起こし、
「てへへっ、ってミサカはミサカは可愛くドジっ子を演じてみたり」
304名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 16:23:08 ID:y5/gmRWC
 言い終わる前に打ち止めを両脇から抱きかかえる。
「おお、これは高い高い。ってミサカはミサカはいとも簡単に星を
ツリーに装着してみる。椅子よりこっちの方が断然いいかも、って
ミサカはミサカは腕組みして二度うなずいてみたり」

 そんなこんなで完成したクリスマスツリー。
「あとはこのスイッチをオォォン、ってミサカはミサカは心をわくわ
くさせて電源を差し込んでみたり」
 いつも間にかに、夕闇が押し寄せ真っ暗になっていた部屋に煌
びやかに輝くツリーが一つ。
「ねぇ、さっきの質問なんだけど―――」
「来ンじゃねェの・・・たぶンだがな」
「そっか、なら大きな靴下用意しとかなきゃ、ってミサカはミサカは
アナタの部屋の靴下を漁りに行動してみるっ!」
 「ッて、テメエェェェ・・・勝手に入ンじゃねェ、ごらアアァァ」
 と二人の鬼ごっこが始まったようだ。


 その翌日、とある雑貨屋にあるコーナーをうろつく白髪の少年が
一人。その一角は『コスプレコーナ』
 季節柄か残り一着、さてどうしたものかと先ほどからうろうろ。そ
の場所を何度も往復し、人がいなさそうなタイミングを計りつつ手を伸ばす。
 そこに後ろからドタドタと走りよってくる足跡が一つ。
「ようし、ここならありそうだ・・・三件巡ってここにも無かったら・・・」
 現れたるは、髪がツンツン。主人公補正のためか、出会った女性
全てにフラグをたてまり、レールガンでも大人気の上条さん。
 お互いの顔を見合い、臨戦態勢に入るのにほんの数秒。
「テメェ、ここでも邪魔すンじゃねェよ!!」
「ちょっと待てよ、なんのことだ・・・それにってあああぁぁ、売り切れってふ、不幸だぁ」
「なンだ、これ目当てかァ?欲しいならくれてやるよ、ただし・・・」
 一方通行の不意打ち先制右ストレート、だがこれは空を切る、
「待ってって、別にお前が先に―――」
 なんだ、なんだと周りには野次馬が沸きつつあった。


 二人の騒ぎを聞きつけたのかとてもお早い登場である女性が一人。
「全く、せっかくお姉さまのサンタ衣装をこうして買いに来ましたのに
・・・・・・見つかるのはトラブルばかり・・・黒子不幸ですわ」
 少し小さなため息を吐きつつ、腕章をつけて気持ちを入れなおし、
人混みが多いため仕方なく輪の中へテレポート。
 急に現れた女性に野次馬は驚く中、
「あらあら、いつぞやの殿方じゃございませんの・・・」
 黒子の登場にもわき目も触れず、構わず拳が飛び交う。
「お二方・・・聞いておりますの?・・・・・・お・ふ・た・か・た!!・・・ジャッチメントですの!!」

                     おわり  
305名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 16:26:19 ID:y5/gmRWC
以上です。

最近だんだんと黒子も可愛くなってきた・・・だから黒子を出したかった。
エロがなくすみませんでした、ではでは
306名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 17:52:54 ID:pwHOBkN7
>>305
GJ。
やっぱり打ち止めはかわいいですねー。
私もよい打ち止め使いになりたいです。
307名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 20:29:35 ID:Hqq6IoDR
ぐっじょ。
一方さんの口調は、小さいつ(撥音)や小さいやゆよ(拗音)はカタカナに「ならない」よ。とアドバイスしてみる
カタカナになるのは小さい母音(ァィゥェォ)とンだけ。
308名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 01:10:55 ID:cNnnpxXA
GJ
通行止め好きだー
309名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 01:53:37 ID:hc+qoJOa
みさか、みさか妹でオススメSS希望
310名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 03:39:00 ID:1K3smjFF
>>305
GJ!通行止めはほのぼのする
311Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:17:48 ID:fW3Sw2iV
こんにちは。
一方通行×打ち止めを投下します。
エロありです。
でわ『心の距離』、11レスで投下。
ちなみに題と心理定規(メジャーハート)さんは関係ありません。
312『心の距離』1/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:20:19 ID:rX0rtgR+
『心の距離』



 街中を足取りも軽やかに歩く1人の少女がいた。
 打ち止め(ラストオーダー)と呼ばれるその少女の服装は、いつものワンピースでは無く、ピンクに無数のリボンとレースをあしらったロリータファッションである。
 楽しそうに、踊る様に、くるりくるりとその場で回ると、トレードマークの頭のてっぺんにあるアホ毛も、それに合わせてくるくると円を描く。
 その、まるで絵本の中から飛び出して来たお姫様の様な愛らしい姿に、すれ違う人たちは脚を止めて笑顔を向けるのだった。
「おい」
 そんな打ち止めの背後から不機嫌そうな声がかかる。
「なぁにっかなぁー? ってミサカはミサカは軽やかぁーに振り返ってみたりー」
 そう言って振り返った先には、上から下まで真っ黒のゴスロリルックで固めた少女が立っていた。
 服装とは対照的な、腰の辺りまである真っ白な髪をストレートと、前髪の影に見え隠れする赤い瞳が印象的なその少女は、その端正な顔に憮然とした表情を浮かべ、
「1人でさっさと歩いて行くンじゃねェ。テメエを探すのにどンだけ苦労するか判ってンのか? それから何度も言うけどよォ、テメエはまっすぐ歩くって基本的な能力が欠落してンじゃねェのか?」
 近づいてくる際に地面に突いた杖が、少女の苛立つ心を代弁するように乾いた音を響かせていた。
「それはミサカが調整に失敗したってそう言う事? ってミサカはミサカはあなたの失礼な物言いに憤慨してみたりっ」
「あァ? 誰もそこまでは言ってねェだろうが。そう言うのを世間じゃ『被害妄想』っつうンだよ、この馬鹿」
 そう言いながら黒ゴス少女は、杖を持っていない方の手を持ち上げると、打ち止めの額を細く白い指で軽く弾いた。
「痛ぁーい! ってミサカはミサカは涙目になって大事なミサカの脳への影響を心配してみたりぃ!」
「ざけんな、このクソガキ。そのくれェの事で一々脳ミソが破壊されてたら、とっくの昔に俺なンざこの世にいやしねェよ」
 額を押さえて涙目になる打ち止めを前に、黒ゴス少女――の格好をさせられた一方通行(アクセラレータ)は、自分のこめかみに人差し指を当てて、ぐりぐりと手を動かした。
「何かまだ機嫌が直らないみたいだね? ってミサカはミサカはあなたの不機嫌そうな顔を覗き込んでみたり」
「直る訳ねェだろが」
 そう言って大きくため息をつくと、
「テメエはよォ、少しは自分の置かれた境遇っつうもンを考えた事があンのか? 俺らはただでさえ狙われる身だ。それが何だってこンな人目を引くような格好で街中歩かなくちゃ――何だ? にやにやしやがって」
「あなたは本当に心配性だね、ってミサカはミサカはあなたに心配されるのが嬉しくて微笑んでみたり」
「チッ」
「それにそれにー、納得したからその格好したんじゃなかったっけー? ってミサカはミサカはさりげなぁっく突っ込んでみるー」
「ゥ……、クソッ! あァ、確かに覚えてンよォ。『目立つ格好して、目立つ場所にいる方がかえって襲撃者をけん制出来る』っつうンだろ?」
「そう! なぁんだー、てっきり黄泉川の言った事覚えて無いかと思ったよ、ってミサカはミサカは及第点の答えにあなたを称えて抱きしめて頭を撫で撫でしようと思うったけどッ、うーん!! と、ど、か、な、いーッ!」
「だッ!? おォ、コラ。な、にしやがンだァ、この、クソガキ! 人前でそォいう事ァすンじゃねェって、オォイィ! 人の話をォ、き、聞きやがれェ!」
「あの頂きに見えるミニシルクハット(しるし)を掴むまでミサカは諦めはしない! ってミサカはミサカは頂上目指して孤軍奮闘してみたりっ!」
「テメエは目的が変わってンじゃねェか!? このォ、何人ン体で登山気分を味わってやがンだ下りろコラァァァアアアアア!!」
「きゃあああああああああああ!?」
 必死の思いで打ち止めを振りほどいた一方通行は、上がった息もそのままに、ぐちゃぐちゃになった服装を整える。
「ッハ、ハァ、ハァ、ンッ……、クソガキが……疲れンだよ……ったく……」
 やがて服装も呼吸も整え終えると、彼が復活するまで隣で大人しく待っていた打ち止めに向き直る。
「いいかァ? よく聞け。じゃあ確かに目立つのは仕方がねェ。それは諦めるとしてもだ――何だって俺がこォンな女の格好しなくちゃいけねェンだよ? し、か、も、普通の格好ならまだしもよォ――」
 そう言って、鮮やかなレースが重ねられたスカートの裾を嫌そうにつまみあげると、
「ゴシックアンドロリィタってのは、マジあり得ねェだろ?」
313『心の距離』2/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:21:30 ID:fW3Sw2iV
 一方通行にしては珍しく、ちょっと弱気な、困ったような表情に、
(かわいいなんて言ったらここで裸にでもなりそうだから黙っとこう、ってミサカはミサカは喉元まで出た言葉をのみこんでみるー)
 打ち止めは、にやけそうになる顔を必死に我慢する。
「それも黄泉川が言ってたじゃない? ってミサカはミサカはまたまたあなたの記憶力を疑ってみたり。しかもあの時あなたもちゃーんと納得してたじゃない、ってミサカはミサカミサカは往生際の悪いあなたをビシッと指さして言ってみる」
「うぐッ」
 目の前に正論を突き付けられると、さしもの一方通行も何も言葉が出てこない。
 一方通行は思い出す――
『今用意できる変装はこれしか無いじゃんよ。この格好ならだぁれも黒ゴスちゃんが一方通行だって気付かないじゃん。ほらオッケー。これで2人仲良く出かけてくるじゃんよー』
 ――確かに黄泉川の言った通り、2人がこの表通りに出てからと言うもの、これでもかと言うくらい人目を引いていた。
 そして、誰も黒ゴス少女が男(アクセラレータ)だとは気付いていない様子だ。
 一度は自分の存在が隠されるのに反対したのだが、彼の力が抑止力になったのは昔の話。
(今の俺じゃあ、むしろ存在を知られねェ方が安全っつゥ事なンだろうなァ)
 その事実を思い知るに、一方通行は無意識に小さく舌打ちする。
 だから今の今まで、お互いに電話で連絡はしても、直接合う事は拒んで来たのだ――それが、これ以上打ち止めを危ない目にあわせない正しい方法だと信じて。
 しかし彼の考えとは裏腹に、打ち止めは自分を探して求めて何度も安全な場所から飛び出して来てしまう。
 その事実を前に一方通行は、自分の決意が大きく揺らいでいくのを感じていた。
 このままでは取り返しのつかない事になる――そう考えた末、あえて信念を曲げて打ち止めに会いに来たのだ。
 しばし、その複雑な思いに囚われていたせいで、気付けば打ち止めが心配そうに自分を見つめていた。
 しまったと感じた一方通行は、慌てて話題を変えようと努力する。
「あ、え……。し、しっかしよォ、急ごしらえって割には、ミョォにこう、俺の体にジャストフィットしやがンのは、どォ言う訳なンだかなァ?」
 そう言いながら、右に、左にしなを作って見せる奇妙な光景に、しばしあっけにとられていた打ち止めだったが、
「そんな事より今日は久し振りだから、たぁーぷりと付き合ってもらうんだから、ってミサカはミサカはあなたの背中を全力全開で押してみたり!」
「うォ!? バカッ、こ、危ねッ! い、いきなり押すンじゃねェ、このクソガキ! てかいきなりじゃなくても押すンじゃねェ! 俺は脚がわりィンだから勝手に歩くからテメエが合わせろ」
「それならさっさと歩いて欲しいかもー、ってミサカはミサカは今度はあなたの手を全体重で引っ張ってみるっ」
「だァァかァァらァァァアア! 押しても駄目なら引いてみろとか止めろって言ってンだろうがァ! うォ!? わ、判った! 俺が悪かったから手ェ引くのだけは勘弁しろォ。バランスが、取れねェだろうがよォ!」
 どなり声を上げながら、打ち止めに手を引かれてよたよたと歩く一方通行は知らなかった。
 実の所と言うか、一方通行が疑った通り、この黒ゴス衣装は芳川と黄泉川の2人が事前に用意していたのだ。
 しかも――、
(秘密のクローゼットにはまだまだいーっぱい衣装――何故か女物――があるのは黙っておこう、ってミサカはミサカは楽しい事がいっぱいあるのはいい事だよねって心の中で言ってみる)
 一方通行は、満面の笑みをさらに深くする少女に、そこはかとなくうそ寒いもの感じて天を仰ぐ。
(コイツがはしゃぐのは正直マジでウゼェが……、ま、今日一日くらいはな……、このツラ見たら我慢してやるしかねェよなァ)
 漠然とした不安とは別に、これならもっと早くに会うんだったなと感じていた。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


「こんどはあっちあっちー、ってミサカはミサカはショーウインドウに向かって突撃してみるー」
 ガラスが息で曇るほど張り付いていた打ち止めが、また別の店に向かって走り出す。
 先ほどからこうして、ずっとウインドウショッピングに興じている2人――と言えば聞こえは良いが、楽しんでいるのは1人だけの様である。
 今の今まで黙って付いて来た一方通行だったが、先ほどの決意もどこへやら、そろそろ我慢の限界の様子だ。
「うわぁー、かわいい子犬だよー! ってミサカはミサカはこの子の仕草に釘付けになってみたり」
「おい」
 ガラスに額を擦りつけて、中にいる子犬たちの気を引こうと奮戦する打ち止めをに、不機嫌さ全開でぶっきらぼうに声をかけた。
314『心の距離』3/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:23:18 ID:rX0rtgR+
 しかし、
「キャー! こっちこっち、こっちだよー! ってミサカはミサカはこの子気を引こうと必死にアピールしてみる!」
 聞こえていないのか、はたまた無視されているのか、打ち止めは一方通行に見向きもしない。
「おい、ラァストオォダァ! テメエは呼ンでンのが聞こえねェのかァ!」
「もぉー、そんな大声出さなくたって聞こえるよ、ってミサカはミサカはあなたの空気の読めなさにがっかりしてみたり」
 打ち止めに、軽くため息混じりに非難された上に、
「やぁーん! ころころしててかわいいー! ってミサカはミサカはこの子の愛らしさにメロメロになってみたりー」
 一方通行は、思いっきり目の前で無視された。
 その瞬間、彼のこめかみに太いミミズのような青筋が浮かび上がると、
「ラァアストオォォダァァァアアア」
「?」
 低い――まるで地獄の底から響いてくるような声に、打ち止めは背中に氷でも突っ込まれた様な悪寒を感じて飛び上がる。
 そのまま振り返った先にいたのは、
「テメエは自分の行動も省みずに、よくもまァ俺にそンな口がきけたもンだよなァ」
「あ、あのぉ……。な、何を怒ってるのかなぁ、あははは、ってミサカはミサカはあなたにさりげなぁく聞いてみたり」
「いやいやァ、ぜェンぜン怒ってなンかいねェよォ? ハハハ。むしろ楽しくて楽しくてよォ」
 その言葉通りに、黒いルージュを引いた唇が、ゆっくりと三日月のような笑いの形に裂けてゆく。
「そ、その割に肩なんか回してるのは何故かなー? ってミサカはミサカは危険を感じてあなたから遠ざかってみたりっ」
「あ? なァに逃げてンだよラストオォォダァァ。動くと狙いが外れンだろォが――俺ァテメエには無駄に痛ェ思いをさせたくねェンだよォ」
「じゃ、じゃあ平和的にお話で解決は? ってミサカはミサカはグッドアイデアを提案してみるっ」
「残念だが、そォンな選択肢はとっくにねェンだよなァ。じゃあ、覚悟はいいよなァ? 答えは聞いてねェけど」
「ひ、ひええええ!? こ、ここはひとつ超緊急事態につきミサカはあなたの演算しょ――」
「させっかよォ!」
「にひゅい――――――――――ッ!?」
 打ち止めがミサカネットワークに演算処理の停止指令を送る前に、一方通行は神業的スピード――これはミサカネットワークの力では無く、彼の怒りが起こした一種の奇跡だ――で、打ち止めの頬を抓りあげた。
「クカカカカカ。そうそう毎度毎度同じ手に引っかかるかっつうンだよォ!」
 今、痛みで集中できない打ち止めは、ミサカネットワークにオーダーを送る事が出来ない。
 それは、彼女の唯一にして最高の対一方通行への切り札を失う事を意味していた。
「ひゅふえ! ひ、ほふははひほふははひっ! ふぇひはははひははははわわっひふふー!!」
「ヒャハハハハハハハハハハ。なァに言ってンのかぜェン然判らないンですけどォ? ヒハハハ。少ォしは懲りたかァ、このクソガキィ」
「ふひゅへへ――――――――――――ッ!!」
 柔らかい頬を堪能するように、上下左右に引っ張りながら、ご満悦で馬鹿笑いする黒ゴス(アクセラレータ)と、言葉にならない叫びを上げて、腕にしがみつく白ロリ(ラストオーダー)。
 この奇異な2人組の姿に、街行く誰もが目を逸らして、見て見ぬフリを決め込んだ――ただ、1人を除いては。
「おい、何があったか知らないけどかわいそうだろ? もうその辺でやめてやれよ」
「アァ!? 今ァ大事な教育中なンだよ!」
 折角、生意気な打ち止めの鼻を明かしてご満悦だった所を邪魔されて、瞬時に怒りを爆発させた一方通行は、その怒りを込めた眼差しに殺意ブレンドして振り返った。
「大体テメエ誰にモノ言ってンだか判ってンだろォ……ァ……」
 何なら腕の一本も引き抜いてやろうかァ? と言う気持ちで放った筈の言葉は、目の前に立った人物の顔を見た瞬間に凍りついた。
 背丈は自分と同じくらい。
 黒髪をつんと立たせた少年は、あの時と同じように力強い眼差しでこちらを見据えていた。
 一方通行は、あまりの衝撃に打ち止めの頬を捕まえていた手が離れたことにも気付かない。
「……さい……じゃ……グフッ!?」
「?」
315『心の距離』4/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:24:07 ID:rX0rtgR+
 思わず零れそうになった心の声を、一方通行は自分の口を手で塞いで文字通り必死で飲みこむ姿に、かつて彼が『最弱』と呼んだ少年――上条当麻はしばし唖然とした後に、
「だ、大丈夫か?」
「ングッ、こ、こっち見ンなッ! クソッ、ち、近寄ンじゃねェよ!」
 上条に心配そうに顔など覗きこまれて、どんな顔をして良いか判らない一方通行は必死に背を向けた。
(チッ。なンで、最弱(コイツ)がここにいンだよ? いや、可能性は当然あったンだが、俺がそれを考えなかっただけだ。クソッ、どうすりゃいい? いや、焦る必要はねェ。無難にシカトキメてここから立ち去りゃ――)
「またまた助けてくれてありがとー! ってミサカはミサカはあなたに抱きついてみたりっ!」
「!?」
 この場を立ち去ろうとしていた矢先に、打ち止めに阻止された格好になった一方通行は呆然として振り返る。
 その目の前では、打ち止めが頭から勢いよく上条の横っ腹目がけて突進していた。
「うぐおっ! 脇腹が……不幸だ……って、誰かと思えば、お前、打ち止めなのかッ!?」
「あ! ミサカの事覚えてくれてたのね、ってミサカはミサカは嬉しくて頭をなでてみたり」
「あ、いや……どうも……」
 目線を合わせるためにしゃがみこんだ上条の頭を、満面の笑みで撫でる打ち止めと、少々困惑気味だが子供のする事とそれを受けいれる上条。
「そう言やお前、あれっきりだったけどあの後色々あっただろ? 大丈夫なのか?」
 あの後とは、神の右席、前方のヴェントが学園を強襲した時だ。
 あの時、打ち止めは風斬を制御するために異常な状態に置かれていたと聞いていた。
 その後は、黄泉川の家に引き取られて元気に暮らしているとは聞いていたのだが……。
「うん、全然問題無いよっ! ってミサカはミサカは走り回って元気な所をアピールしてみたりー」
「ははは。そうか。そりゃ良かったな――で、今日はどうしたんだ?」
「今日はデートなの! ってミサカはミサカは誰はばかることなく言ってみるっ」
「ブッ!」
「「?」」
 一方通行が、打ち止めの言葉に思わず吹き出してしまうと、それに気付いた2人の視線が集中する。
 その事に一方通行は慌てて顔を逸らす。
(こ、このクソガキィ、よりにもよって最弱に余計な事言いやがって……)
 そんな一方通行から、視線を打ち止めに戻した上条は、
「そっか、デートか……。楽しそうだなお前」
「うん、すっごくすっご―――――――く楽しいよッ! ってミサカはミサカはミサカの気持ちが少しでもあの人に届けばいいなぁなんて思いながら言ってみたり」
「うん?」
「あは、あははははははは……、ってミサカはミサカは照れ笑いでごまかしてみたりー」
 打ち止めの反応に、上条は状況が飲み込めずにキョトンとする。
 その一方、
(打ち止め……)
 一方通行は、先ほどはにかみながらそう答えた打ち止めの言葉が頭から離れない。
(俺はテメエの何を汲みとれていねェンだ?)
 急に湧き上がって来た、言いようのない焦燥感がじくじくと心を蝕む。
 打ち止めを守れなかった時とも、打ち止めと会えなかった時とも違う。
(何なンだァこの感じは……? 打ち止めは目の前にいるってのに、携帯で話してっ時より遠く感じンのはよォ……)
 やがて、焦燥感は孤独感に、孤独感は怒りへと変換されて行き――、
(クソッ! こンな所ァさっさと立ち去るに限るぜ)
 そう思った瞬には、杖の音も高らかに2人の間に割って入っていた。
「おい、もォいいだろテメエ。それともなンだ? 横合いから手ェ出して来て、人ン連れかっ攫うつもりか?」
「そ、そんなつもりは……」
「そんなつもりはねェったってなァ、結果そうなってンじゃねェかよ!」
「そ、それはアンタが往来で打ち止めに暴力なんか振ってるからだろ?」
「ざけンなボケ。ありゃコイツの我がままを直すための、キョ、ウ、イ、ク、テ、キ、シ、ド、ウ、だ」
「はあ? アンタ、何子供相手にムキになってんだよ? 小さいんだから少しくらい我がままだって仕方ないだろ?」
「はァ? 何寝言ほざいてンだテメエは? 大体、テメエは良くも知らねェくせにひとのカテイジジョウに首突っ込ンで来ンじゃねェよ」
「知らなくたって首くらい突っ込むだろ? アンタ、少しはこの子を大事にしてやれよ」
「ケッ。うちはスパルタ教育なんだよ。アマちゃンはアマちゃン同士、他所で乳繰り合ってくれよ」
「ち、乳くっ……て、このっ。お前ホントは打ち止めの事どう思ってんだッ!」
「あ? どォ思っていようとテメエに教える必要はねェなァ」
316『心の距離』5/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:24:57 ID:rX0rtgR+
「このぉ……可愛くねー奴だなッ! 俺は打ち止めの事――」
「ざけンなテメェ、死にてェのかッ!!」
「な、うへッ!? ゴ、ゴメンナサイ」
 何だか突然激高した黒ゴス少女の迫力に、上条は思わず条件反射的に謝ってしまう。
「ハァ、ハァ……俺が可愛くてたまるか……」
「(な、何で俺の周りに現れる女ってばこんなばっかなんだ? チ、チクショウ、不幸だぁ……)」
(……知るかこのタァコォ)
 上条の呟きに心の中で履き捨てた一方通行は、渦中の張本人のくせに楽しそうに傍観者を決め込んでいた打ち止めに視線を投げる。
「行くぞ、打ち止め」
 全ては終わった、とばかりに一方通行は上条に背を向けた。
「え? う、うん。じゃあまたね、ってミサカはミサカはちょっと後ろ髪惹かれつつもあなたの言葉に従ってみる」
 一方通行の後を追って、打ち止めも足早にそこから離れて行く。
 すると、先ほどのショックから立ち直った上条が、
「あッ!? な、なあ打ち止め」
「え? ってミサカはミサカはあなたに呼ばれて振り返ってみる」
「お前が探してた『あの人』ってのには会えたのか?」
「うん! ちゃんと会えたよ、ってミサカはミサカは即答してみたり」
 その言葉に、上条はにっこりとほほ笑むと、
「そうか、良かったな」
「うん! ってミサカはミサカはあなたの言葉に力いっぱい賛同してみたりっ」
 上条につられるように、打ち止めもにっこりとほほ笑む。
「なあアンタ」
「まだ何かあンのかよ、テメエは?」
「アンタは知ってるのか?」
 知ってるのかとは、打ち止めの探し人――つまり、多分、一方通行(じぶん)の事だ。
 一方通行は、あえて考える様なそぶりを見せた後、
「ああ……、どうしようもねェクズでクソでロクデナシなら1人なァ」
「そうか――じゃ、伝えてくれるか? 『打ち止めを幸せにしてやってくれ』って」
「ハァ?」
 上条の言葉に、これ以上ないくらい怪訝な表情を浮かべると、
「それはテメエが口出しする様な筋合いじゃあねェと思うンだけどなァ。どォ思うよ?」
 呆れを通り越して、感心する様な口ぶりでその事を指摘した。
「そ、そうか? そうだよな……。あれ、おかしいな俺? あれ? 何で?」
 何故急にそんな事を言いたくなったのか自分でも判らずに混乱する。
 そんな上条を見ていると、一方通行は苦笑せずにはいられなかった。
(世の中こォンなお人好しがのうのうと生きてられンだから不思議なもンだぜ)
「――おせっかいヤロォ。ンな事ばっかやってて、勝手にそこらの三下なンかにヤられンじゃねェぞ」
「……ぇ?」
 我に返った上条が聞き返した時には、既に黒ゴス少女と打ち止めは、背中を向けて手を繋いで歩き出していた。
 暫く、雑踏を無言で歩いていた一方通行だったが、
「あのヤロゥ、実は一方通行(おれ)だって気付いて言ってンじゃねェだろォなァ?」
「さあどうだろうね? ってミサカはミサカは考えても無駄だから適当に相槌を打ってみたり」
 その言葉に、チラリと打ち止めに視線を送ると、妙に満足そうな笑顔を向けられて、ドキリとした。
 何が嬉しいのか判らない一方通行だったが、そこでふとある事を思い出した。
「なァ、打ち止め」
317『心の距離』6/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:25:37 ID:iI9jngN6
「なに? ってミサカはミサカは急にあなたに名前を呼ばれてドキッとしてみたり」
「何で店ン中に入らなかったンだ? 金の心配なら要らねェンだぞ? 前にも言ったが、使う当てもねェ金が掃いて捨てるほど――」
「欲しいものは無いの、ってミサカはミサカはあなたに正直に言ってみる」
「あァ?」
「もう欲しいものはねぇー、手に入ったんだよ、ってミサカはミサカはあなたの右手にぶら下がってみたりー」
「…………」
「あれ? うっとおしいとか言わないの? ってミサカはミサカはあなたのいつもと違う様子に驚いてみたり」
 その言葉にちらりと顔を見たが、一方通行は何も言わずに視線を前に戻すと、
「ヤロウの気が変わって追って来ねェ内にさっさと行くぞ」
 質問とは別の言葉を返す。
 さらに、
「取り合えず腹ごしらえだ。折角出張って来たンだからよォ、たまにはちったァマシなもンでも食うとすっか」
 マシが何と比べてマシなのかは不明だが、2人でする食事は久しぶりだ。
 その言葉に、暫くキョトンとしていた打ち止めは、
「それなら『ファミレス』って所がいいなぁ、ってミサカはミサカは積極的に提案してみるー」
 拳を天に突き上げて、楽しそうに笑う打ち止めを横目に、
「ファミレスだァ? そンなにいいもンかねェ。俺ァあンまいい想いではねェンだけどなァ……」
 そうぼやきながらも、一方通行の足は既にファミレスへと向いていた。


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


 食事を終えた後も街中ぶらつき倒した2人は、今は夕暮れの近づく公園のベンチに座って休んでいた。
 手持ちの収穫はゼロ――結局、打ち止めは何一つ一方通行にねだりはしなかった。
 一方通行は、缶コーヒーの最後の一口を煽ると、深いため息をついた。
(少し離れ過ぎちまったのか……それとも会わねェ内にコイツが成長したのか……)
 あれから色々彼なりにアプローチしてみたのだが、結局、一方通行には打ち止めとの心の距離は埋められなかった。
『――少しはこの子を大事にしてやれよ』
(ンな事ァテメエなンかに言われなくったって判ってんだよ)
 頭の中を過ぎる上条の言葉に毒づいてみても、心の迷いが晴れる訳も無く、一方通行は再びため息をつく。
 自分では打ち止めの事を大切に思っていても、打ち止めが自分を好いてくれる実感が持てない。
(いよいよ致命的だなァ、こりゃ……)
 そして、また、ため息。
 ぼぉっと、そんな取りとめのない事を永遠と考えていた一方通行は気づいていない――今の無防備な自分を、心の底から心配そうに見つめている目があると言う事を。
(もう! 今日のあなたは本当に上の空だね、ってミサカはミサカは声には出さずに心配してみたりっ。こうなればとっておきの方法であなたを振り向かせるんだからっ! ってミサカはミサカは思いつきを即実行に移してみる)
 そう心の中で何かを決心した打ち止めは、急にベンチから下りると一方通行の目の前に回り込んだ。
「ンァ?」
「我がまま言ってもいいかなぁー? ってミサカはミサカはしょんぼりしているあなたに聞いてみたり」
「うン? 言う前に確認するたァ随分殊勝な心がけだなァ」
 その言葉に少しはにかんで見せた打ち止めは、
「あの……、欲しいものがあるんだけどぉ、ってミサカはミサカはあなたにおねだりしてみたり」
「お? 今更おねだりかよ? で、何だよ? 何が欲しいのか早く言ってみろ」
 一方通行は、じらす事も無く打ち止めに先を促す。
 内心では、これを突破口に打ち止めの気持ちを理解できるかもと言う気持ちでいっぱいな一方通行。
318『心の距離』7/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:26:13 ID:rX0rtgR+
 今、打ち止めが世界を欲しがれば、世界だって手に入れてやるくらいのつもりでいるくらいでいた。
 すると打ち止めは、そんな一方通行の頬を挟み込むように手を当てた。
「ゥン?」
 こンなひと気のない場所で耳打ちなンてないよいよ何が欲しいンだコイツァ? とそう不思議に思っても、別段何の警戒心も湧かない。
 むしろ早く話してみろと思っていた一方通行は――次の瞬間、打ち止めに唇を奪われていた。
 自身の唇に、柔らかい感触を感じて頭の中が真っ白になる。
 驚きに見開かれた真っ赤な瞳も、脳に何の情報も送ってこない。
 やがて気が付けば、目の前には頬を染めてはにかむ打ち止めの顔があった。
「……な、ンのつもりだァ、打ち止め?」
 やっとの思いで絞り出した言葉は、彼らしくも無く弱弱しい。
「あなたの唇はコーヒーの味だね、ってミサカはミサカはちょっぴり苦い大人の味にドキドキしてみたり」
「ナニを言ってやがる?」
「あの時みたいにして欲しいなぁ、ってミサカはミサカは恥じらいつつもお願いしてみたり」
 あの時みたいにして欲しい――その言葉に、かつて2人が共に暮らしていた頃に戯れに互いの温もりを求めあった時の記憶が蘇る。
「な、あ」
 気が動転して言葉も出ない一方通行に、打ち止めはもう一度口づけをした。
「最近はひとり身で何かと人恋しいの、ってミサカはミサカは冗談めかして本音をあなたにぶつけてみる。こんなミサカにしたあなたには責任をとる義務があるんだよ? ってミサカはミサカはきゃ!?」
「テメェ……自分が何言ってんだか判ってンだろうなァ?」
 乱暴に手を取られて言葉を遮られた打ち止めは、一方通行の脅しの様なセリフに無言でうなずいた。
 すると一方通行は、やおらベンチから立ち上がると、
「来い」
 打ち止めの手を引いて歩きだした。
 やがて一方通行は、人目の付かない様な場所に足を踏み入れて行く。
 夕日も街灯の光も届かない薄暗い雑木林の中、ひときわ太い幹に打ち止めを両手をひとまとめにして押さえつけた。
「ここでするン――――」
 困惑気味の打ち止めの言葉を遮る様に、一方通行は噛みつくように唇を重ねる。
 既に開かれていた打ち止めの唇にやすやすと浸入した一方通行の舌は、打ち止めの幼い舌の出迎えを受けると、挨拶代わりにその柔らかい舌に自分を絡めた。
「ンフッ、フッ、フッ」
 舌をくすぐる様に擦ると、むず痒さから打ち止めが鼻を鳴らす。
 次に、舌の根までギュッと絡めて絞り込むように強くしごくと、
「フホ、オ゛ォ、オンォ……」
 今度は喉の奥からくぐもった嗚咽が漏れる。
 やがてお互いの唾液がブレンドされたものを奪い合うように貪る2人の接合部からは、粟立った唾液と卑猥な水音が、とめどなく溢れていた。
「あぶ……」
 打ち止めが小さく呻くと、膝を震わせて落ちそうになる。
「ぷァ? まだ堕ちるには早ェ」
 そう言って打ち止めを幹に寄りかからせた一方通行は、打ち止めの目の前に両膝をついた。
 そして、打ち止めの着ているワンピースのボタンに手をかけると、外そうとするのだが、
「あァ? どォなってンだァこの服はよォ? クソッ、上手く、取れねェ……」
「ら、乱暴したら破けちゃうよ? ってミサカはミサカはあなたの事を手伝ってボタンを外してみたり」
 そうして、打ち止めは上から、一方通行は下から、ボタンを一つ一つ外して行く。
 やがて、ボタンの全てが外し終わると、一方通行は待ってましたとばかりに、すぐさま打ち止めのキャミソールの裾に手をかけて、いっきに胸の上まで託し上げた。
 目の前に晒される上気してピンク色に染まってた幼い上半身に、一方通行は息を飲む。
 そして打ち止めは、そこに感じる熱い吐息に小さく体を震わせながら、
「あ、あわ、慌てなくてもミサカは逃げないよ? ってミサカはミサカあァッ!」
319『心の距離』8/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:27:06 ID:rX0rtgR+
 逸る一方通行を落ち着かせようとした言葉は、右胸に感じた熱く湿った感触によって、儚くも打ち消された。
 一方通行は、じっくりと胸を舐め上げる。
 すると、ぷっくりとした小さな粒の感触がいつまでも舌の上に残って、彼を愉しませる。
 それは同時に、打ち止めに対しても、ゆるゆるといつまでも続く刺激を与え続ける事になる。
「あんッ……にげない……ていった……んん……」
 そんなとぎれとぎれの抗議の声など、今の一方通行の耳には届かない。
 彼が、今最も興味がある事、それは――、
「やッ!? そんな、ぜんぶッ、吸っちゃ駄目ぇ! ってミサカはミサぁぁあああ―――――ッ!」
 一方通行は柔らかいふくらみを口いっぱいに頬張る。
 そして、今度は口全体を使って、全てを堪能する事にした。
「ひぁ!? か、かんじゃだめぇ、ってミサ、カはミサカああああああ……」
 まず口を動かして弾力を愉しむ。
「くひっ!? こッ、こりッこ、り、もきゅ!? ぐりぐりしちゃらッ! はッ、ふくッ、ンッ」
 続いて先ほどと違うアプローチから、先端を舌先で入念に押しつぶし、
「ひはあああああああああああああああああああああああああ!!」
 最後は強く吸った。
 打ち止めが、悲鳴を上げてガクガクと体を震わせても吸う事は止めない。
 やがて、悲鳴も先細りになった所で一方通行は音を立てて胸から口を離すと、
「おいおい。まだ片方なンだからよォ、気ィやり過ぎてへばンなよなァ」
 そう言うと、今度は左の胸に吸いついた。
 再びもごもごと口を動かして小さなふくらみを頬張る一方通行に、
「あ、あなたって、ほ、ほんとッ、に、おお、おっぱい、がだいッ、す、すきだね、ってミサ、カは、ミサくか、アギッ!!」
 たどたどしくも、一方通行を茶化そうとした打ち止めの言葉が悲鳴に変わる。
「うるへェら。ひがひンらォあァ」
「キヒィィ……」
 カッと目を開いて震える打ち止めを、一方通行は下からねめつけながら、口封じの方法――硬くなった先端に喰い込ませた歯にさらに力を加えてゆく。
「ひはぁ……、イ、タぁ……、ち……ちぎれるよぉ……」
 既に敏感になっていた部分に与えられる過剰な刺激に、打ち止めは頭の中が真っ白になって行く。
「やらぁ……、ミサカのおひぁい……、な、なくな……うぉ……」
 白い喉をのけ反らせてうわ言のように呟く打ち止めを、じっと見上げていた一方通行は、そっと戒めを解くと、先端を口に含んで優しく舌で転がした。
「ふぁ……う……うんッ……」
 左胸から伝わるじくじくとした痛みと、生温かい舌が這い回る感触が、打ち止めの心に狂熱を送り込む。
 その狂おしい熱は徐々に体の奥に溜まり、やがては出口を探して渦巻く。
「ふは……ぁ……くる……し……たす……け……て……」
 涙を流して弱弱しくもがく打ち止めの声が一方通行の耳朶を打つ。
(チッ、調子ン乗り過ぎて虐め過ぎちまったか)
 狂おしい気持ちに溺れすぎて打ち止めを翻弄していた一方通行は、その声に少しだけ心を取り戻すと、口の動きはそのままに、打ち止めの下半身に両手を回すと器用にショーツを剥いで行く。
 その行為に大人しく従う打ち止め。
 その瞳は、先ほどの涙とは別の、何かを期待して潤んでいた。
 やがて、両の足からショーツを抜き取った一方通行は、その眼差しに答える様に、打ち止めの肉付きの薄い尻に指を食い込ませると、躊躇無く左右に割開いた。
「ひあッ!」
 打ち止めは、普段は空気を感じる事無い部分が晒される羞恥心ににわかに身をよじる。
 そんな打ち止めなどお構いなしに、一方通行は目指す場所を目がけて、両の指を進めて行く。
 打ち止めの柔らかい部分をもぞもぞと突き進む白い指――それらはやがてある場所に到達すると、そこに見合った動きを開始した。
320『心の距離』9/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:27:49 ID:rX0rtgR+
 一つは、息づく後ろのすぼまりを指の腹で丹念にもみほぐす様に刺激する。
 もう一つは、だらだらと涎を垂らす幼い淫裂を、これも指の腹で上から下までゆっくりとなぞりあげるのだ。
 そこに先ほどからの胸への愛撫も続けられているのだから、打ち止めは堪ったものではない。
 先ほどまで燻っていた炎が、ここぞとばかりに全身を駆け巡る。
「――――――――――――――――――――ッ!!」
 そして、声も無く一気に上りつめた打ち止めは、弾ける様に体を大きく震わせると、全身を弛緩させて倒れ込んだ。
「うォ!?」
 そんな打ち止めを抱きとめた一方通行は、ここで大きくため息をつくと、
「大丈夫か?」
 そう言って打ち止めの背中を優しくさすった。
 そのまま地面に膝をついて抱き合うようにしていると、
「あうう……」
「目ェ覚めたか?」
「あうう……ミサカ……」
「無理してしゃべンなくていい」
「ひさしぶりに……とんだきぶん……、てミサカはミサカは……はうう……」
「だから無理してしゃべンなくていいっつってンだろ」
「でも……きょうはさいごまで……、てミサカはぁ……」
「フン。ガキがマセた事ほざいてンじゃねェよ。大体お前の体格じゃ出来るわきゃねェだろ。もう少し育ってからにしろ」
「それって……おおきくなったら……もらってくれる……、てミサカは……ミサカ、は……きいてみたり……」
「そいつはどォかなァ? それまでにテメエの前に、もォっといい男が現れるかもしれねェだろォが」
 一方通行は、何気にそんな言葉を口にした時、自分の心が傷ついた事に気が付いた。
「ぇ……?」
「まァ、次ン時には、気ィ失わないくらいにはなっててくンなくちゃあ話にならねェな」
 打ち止めに聞き返される前に話を変えた一方通行は、先ほどの幹を支えに立ち上がる。
「ンじゃ帰――」
「待って、ってミサカはミサカはあなたの服を掴んでみたり」
「どォした?」
 打ち止めの必死な顔に、一方通行はいぶかしむ様な表情を見せる。
「あなたはまだだよね? ってミサカはミサカは聞いてみたり」
「必要ねェ」
 そォら来た、とばかりに切り捨てようとしたのだが、
「そんな事無いでしょ? ってミサカはミサカはあなたのスカートに悪戯してみたり」
「フゥッ!?」
 短く息を吐いて幹に体を預けた一方通行に、先ほどと形勢が逆転した打ち止めが、その顔に悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ほぉらこんなにしてて平気な訳ないよね、ってミサカはミサカはあなたの熱いものを捕まえてわくわくしてみたり」
「はな、せェ」
 スカートの奥――わざわざ、黄泉川の指示に従って履いたショーツを突き上げていた一方通行の分身がいた。
 それを小さな手でしっかりと握りしめた打ち止めは、その熱いものをショーツの上からゆっくりとしごく。
「ミサカひとりなんてフェアーじゃ無いよ? ってミサカはミサカは興奮気味に言ってみる」
「やめ、ろォ……。オマエにそ、ンなことォさせたいわ、わけじゃねェ……」
「ミサカがしたいからするんだよッ! ってミサカはミサカはあなたの下着を脱がしてみたり」
「ッ!?」
 乱暴にショーツを脱がされたせいで先端を布に擦られ一方通行は声を詰まらせる。
 そして、やっと窮屈なところから解放された分身は、先走りを滴らせながら打ち止めの目の前に姿を現したのだ。
321『心の距離』10/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:29:20 ID:rX0rtgR+
 赤黒く充血して、自身の先走りで先端を光らせたそれを目の前にして、打ち止めは熱い息を吐く。
「やっぱり大変な事になってたのね、ってミサカはミサカはあなたのものにそぉーと手を伸ばしてみる」
「くッ、や、めェ……」
 弱弱しく制止の言葉を吐き出した一方通行の声は、今の打ち止めにはとどかないらしい。
 打ち止めは、まずは恭しく両手を添えると分身に頬ずりをする。
「くはッ」
「今からミサカがらくにしてあげるね、ってミサカはミサカは熱いあなたに優しく話しかけてみたり」
 そして持ち方を変えると、小さな舌を突き出して、上から下まで丹念に舌を這わせてゆく。
「ッ……、くぁ……ゥ……」
「むあ。くふふ、何だか女の子を相手にしてるみたいだね、ってミサカはミサカはちょっと不思議な気分になってみたり」
「だれが……おンな……カハッ!」
 必死の講義も、再び加えられた愛撫にかき消されてしまう。
 先走りをこそげとり、代わりに唾液をまぶす行為に熱中する打ち止め。
 一方通行とは違う、丹念で優しく執拗な行為の繰り返しは、着実に彼を追い詰めてゆく。
 やがて、唾液をまぶし終えた頃には、一方通行は既に虫の息の状態だった。
「ふは。もうそろそろみたいだね? ってミサカはミサカはあなたに優しく聞いてみたり」
「あとはテメ……で、しまつすっから、はなせェ……」
「もうホントにあなたは強情だねっ! ってミサカはミサカは強硬手段にでてみたりッ! あむッ」
「くアッ!?」
 先端を小さい口に含まれた瞬間、一方通行の腰が大きく跳ねた。
 何とか持ちこたえられたのは奇跡に近かったが、それももう時間の問題だった。
 打ち止めの小さな舌が、先端の割れ目に触れると、一方通行の腰が再びしゃくりあげる様に跳ねた。
 途端に、口の中に広がるむせかえる香りに、打ち止めの頭の中は薄いもやに包まれて行く。
 もっとちょうだい――その気持と共に、窄められた舌先が割れ目を穿った瞬間、
「「ッ!!」」
 熱い迸りが打ち止めの口の中に広がってゆく。
 2度、3度と腰を跳ねあげながら、打ち止めを犯して行く背徳感と、我慢に我慢を重ねた末の開放感に、一方通行の瞳から一筋の涙がこぼれる。
 やがて放出が収まった頃には、打ち止めの口の中は粘ついたもので満たされていた。
 気を抜くとこぼれそうになるそれらを零すまいと、打ち止めは口元を押さえて流し込もうとするのだが、
「うこッ!? こほッ、ごほごほッ!」
「ッハ、ハ、ハァ、ハァ。む、無理すンじゃねェよ」
 一方通行は激しい脱力感に苛まれながらも打ち止めを引き寄せる。
「?」
「(馬鹿が……)」
 そう小さく呟くてから、涙目でキョトンとしている打ち止めの唇を乱暴に塞ぐと、口の中に舌のを差し込んで自分の残滓を全て吸いだしてしまったのだ。
「チッ。ンな不味いモン……」
 口の中に広がる自分の味に、これ以上ないくらい眉間に皺を寄せた一方通行は、口の中に溜めこんだものを吐き出そうとした。
 しかし、
「それはミサカのものなのに勝手に取らないでー、ってミサカはミサカはあなたの横暴に断固講義してみたりッ!」
「ヴン?」
「ほら! はやくミサカのお口に返してあーん!! ってミサカはミサカはあなたに向かって口を開けてみる! あーん!!」
「…………」
 どうしてもと言うのだから仕方が無い、と一方通行は再び打ち止めと唇を重ねた。
 ちょっと自分のを飲みたいなンて言われてゾクッとキタなンてありえねェから、とか自分の心を誤魔化しながら……。
「満足か?」
322『心の距離』11/11 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:35:02 ID:fW3Sw2iV
「うんッ! ってミサカはミサカは満足したんだよって答えてみたり。それでねそれでね、あなたはどうなのかなぁー? ってミサカはミサカはあなたはどうかなって心配してみたり」
「ッ!?」
「抵抗しなかったって事は気持ち良かったのかなぁ、ってミサカはミサカは自己満足気味に言ってみる。でもでもでもー、その顔を見るとぉー、ってミサカはミサカは思わせぶりに言葉を切ってみたり」
「…………」
 言葉も出ないとはこの事である。
 確かにあの時、一方通行は打ち止めの行為を、口では非難しても、体では拒否しなかった。
 否――拒否しなかったのでは無い。
 あの行為の最中、彼は心の底から満たされていた――だから拒否出来なかった。
(結局何だ? 寂しかったのは俺って事なのか……?)
 それは弱さではないのか!? ――そう思うと身震いが来た。
「もー! そんな顔されるとまた悪戯したくなっちゃうよ? ってミサカはミサカはあなたの事を抱きしめてみたりー」
「ばッ、テ、テメェ!?」
「あはははははははははははははは。うそだようそうそー、ってミサカはミサカはだぁい好きなあなたを困らせてみたりー!」
 一方通行は、こんな時は打ち止めの性格が本当にありがたいと思う。
 陳腐な表現になるが、彼にとって打ち止めはまさに『太陽』だ。
 そんな打ち止めが急に静かになったかと思うと、一方通行の頭に何かが優しく触れた。
「あなたはもっともっとミサカを信じていいんだよ、ってミサカはミサカはそぉっとあなたの頭をなでてみる」
「信じてるよ。自分なンかよりずゥっとオマエを信じてる」
「じゃあ、ミサカがあなたの事を信じればちょうどいいね! ってミサカはミサカは名案に満足してみたりー」
「ああ、頼ンだぜ。あンま期待してねェけどな」
「なにそれ!? さっきは信じてるって言ったのにー! ってミサカはミサカは頬を目いっぱい膨らませて講義の意味を込めてゆすってみたりー!」
「うおォ! 止めろコラァ! うがァ!? なァァァンでテメエはそんなに元気なんだよォォォ!!」
「へっへーん! それはきっと歳の差なんじゃないかなー、ってミサカはミサカはあなたの老後をちょっぴりしんぱいしてみたりっ!」
「ふ、ふざけんじゃァァァァああああねェェェェェェえええええええええええええ!!」
 こうして何時も最後は悪ふざけになって終わるのだ。
 何時までこの関係を続けられるのか? それは2人にも判らない事だった。
「ダァ、このォ、待ちやがれクソガキ!」
「待てと言われて待つ人なんていないんだよー、ってミサカはミサカは全速力で家までダァーッシュ!」
「ざけんじゃねェぞ!? その格好で帰られたら、アイツらのいいおもちゃじゃねェか!!」
 夕暮れの公園に、いつも通りに戻った2人の声が響き渡る。
 2人の行為が黄泉川(ほごしゃ)と芳川(おまけ)にばれるのは、もう時間の問題かもしれない……。



END
323Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/17(木) 12:35:46 ID:fW3Sw2iV
以上でした。
でわ。
324名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 13:00:29 ID:wyWll+71
>>323うおぉぉぉぐうっじょぉおおおぶ!
Aサイドさんの通行止めしかもエロが読めるなんて幸せ
ゴスロリ姉妹もっと見たいです!次回があるならクローゼットのコスプレコレクションに期待(爆)
325名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 21:15:00 ID:rUj5tazS
>>323
ン…? 黒のゴスロリ、赤い瞳……水銀とぅ…ゲフンゲフン
洞察、表現、通行止めの心の描写力に、ただただ圧倒されました。
心が深く結びついた二人には、是非とも幸せになって貰いたいものです。
保護者達にばれた続編が書かれることを願いつつ GJ!
326名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 21:53:32 ID:LG52rvcC
町中でお姉様の下着をテレポートさせてしまえばいいんだ
327名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 22:59:41 ID:iBcHCOdi
一方さんに転移能力使ったら、反射して黒子の服のほうが脱げるのか
328名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:56:47 ID:8AUKEAtf
上条さんにはテレポ効かないけど上条さんの“衣服”にはテレポ使えるんだろうか…

一瞬で脱がしたい時に使えるかも…
329名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 01:21:26 ID:d6aR5f+h
半袖ならOK
長袖や手袋なんかはNGじゃね?
イマジンブレイカーの範囲にもよるが
330名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 01:30:19 ID:vP19m4gW
>>323
ラブラブGJ
もっと、もっと、この二人を見てみたいと思った
やっぱ本番は無理気味だよね、打ち止め的に


一方「やっぱキツいか……だがなァ、入れなくてもこうやれば、お互い気持ちよくなれんだよォ!」
正常位での打ち止めフトモモ素股→打ち止め騎乗位で一方へ逆襲
まで幻視した
331名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 01:38:36 ID:ZqCk7E79
>>330
一方さんが幼女の×××にジャストフィットなほどの短小だったらいけるんじゃね?
332名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 05:15:09 ID:0DUPcwp5
>>331
……なんかアックアさんや浜面のイチモツがヴィリアンや滝壺に合わせた大きさな気がしてきた。
アックアさんがあのナリで短小包茎早漏とか嫌過ぎるが。
333名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 07:03:26 ID:6v/7G1Ij
アックアさんならマリアの慈悲がどうこうとか水属性の魔術がどうこうとかでイチモツの形を自由に操れそうな気がする
334名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 07:14:16 ID:dwZCh6Q/
一方さんなら血流操作でイチモツの大きさを・・・
ってこれは一応俺にも出来る
335名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 07:26:59 ID:N/lMBGs9
>>330
やっぱ無理だろっつって止めようとする一方さんにやだもんできるもんっつって食い下がって
もんのすごい時間と労力と気力と根性かけて本番に持ち込む打ち止めを幻視した
打ち止めは根性ありそうだからきっと頑張れる
336絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:20:54 ID:q7gG3fsP
後日談書いてみたお!
前半がコメディで後半に軽くHがあるお。頑張ったお。
要望は出来る限り取り入れたお。これで悔いはなかろうお。
337絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:21:54 ID:q7gG3fsP
「……うう」
「どうかしたの? 窒素装甲」
仕事中。
その日絹旗の属する新チームは路肩に止めたワンボックスバンの中で待機していた。
今日の彼等に課せられた任務は保険的なもので、少し離れた建物で行われている評議員の会談でなにかあれば駆けつける、けど多分なにもないよという微妙なものだった。
なので全体的にだらけた空気が漂っている。心理定規などは真っ先に帰ろうとした程だ。
車内にいるのは浜面仕上、手塩恵未、絹旗最愛、心理定規の四人である。死角移動は現地偵察に出ている。
浜面は運転席で、ハンドルに両腕をもたれさせて通りの景色をぼんやりと眺めている。手塩は死角移動と連絡を取りながら生真面目にタイムスケジュールを確認していた。
心理定規は退屈そうに携帯を操作し、絹旗は映画のパンフレットを眺めながら時折頭を押さえている。その表情は憂鬱そうである。女性陣は三人とも後部座席にいた。
絹旗の様子に気付いた心理定規が、からかうように声を掛ける。
「頭が痛むみたいだけど、二日酔いかしら。能力の不調なら先に言って頂戴ね」
「いえ、新しく試したピルが超合わなかったみたいです」
弛緩していた車内の空気が凍り付いた。
手塩の手から携帯電話が滑り落ちて軽い音を立てる。
絹旗が車内を見回して硬直した面々を見回す。あ、と失言に気付いて手を押さえるが後の祭りである。
最も早く再起動したのは手塩だった。
「ど、どういう、ことだ、絹旗!」
ドン!と床を踏み抜きかねない勢いで手塩が振り向き、絹旗に迫る。押し殺したような冷静さなど見る影もない。信じていた教え子が万引きをした瞬間を目撃した担任教師のような顔をしていた。
「お、お前は、まだ中学生、だろう。いや、去年までは、小学生、だっただろう!」
「え、ええまあ」
「そ、そんな歳で……した、のか?」
「おおおおおおおおお落ち付け手塩!」
お前が落ち着けという勢いで浜面が運転席から身を乗り出してくる。正直キモい。
「さ、最近の中学生は進んでるって言うし、恋人がいたって別に不思議じゃないだろ? 別にいい……」
「いいわけが、あるか!」
手塩が内装を力任せに殴りつけた。強化FRPの壁にびしりとひびが入る。人間凶器だ。
浜面はその鬼気迫る雰囲気と危機感に勢いを削がれて黙り込んでしまった。へたれである。それに元々罪悪感もあった。
「日本国刑法における、性交同意年齢は、13歳以上。それ未満では、例え合意があっても、強姦とみなす」
「まあまあ落ち着いてくださいね、手塩さん。自分が嫁き遅れそうだからと言って若い子に嫉妬しなくてもね」
突然手塩の背後に現れた死角移動は、即座に鉈のような裏拳一発で床に沈んだ。
「ましてや、経口避妊薬だと。あんなものを、成長期に口にしていたら、どんな副作用があるか、わかるものか」
「そ、そりゃそうだが……」
手塩のトーンが下がる。だが込められた熱は変わらない。怒りを押し殺した口調のまま、じっと絹旗を見据える。
脇にいた浜面が胸を突かれたように呻いた。対して、見据えられている絹旗はやる気なさげな半眼だ。
「絹旗、お前がしている、というのなら。その相手を、教えてくれ」
「教えたら超どうするんですか?」
「半殺しにして、留置場に、叩き込む」
浜面が無言でのけぞった。手塩の目は本気の炎で燃えている。例え相手が評議員であろうがやる気だ。いっそ全殺しになるかも。
絹旗は小さく溜息をついて、パンフレットに視線を戻した。
「超お断りします」
「どうして、だ」
「私が勝手にやってることです。超余計なお世話です」
「絹旗。お前はまだ、子供だ。感情も、未成熟だ。一生を決める、決断をするには、早すぎる」
「超笑わせないでください。薬漬けにしてこんな仕事させておいて、今更超子供扱いですか?」
「それ、は」
「確かに私達が法律云々に拘るのもおかしな話ですよね。正直逮捕されなければそれでいいというかね」
再度死角移動が手塩の背後に現れて茶々を入れる。手塩は背筋を駆使して、死角移動の顔面に自分の後頭部を叩き込んでダウンさせた。めこし。
「それと、これとは、話が違う。仕事の責任は、私が持つ。だが、お前はまだ、自分の責任を取れる、年齢ではない」
「はん」
今度こそ絹旗は鼻で笑った。パンフレットをその場に置いて席から立ち上がる。30cm以上の身長差と二倍以上の年齢差がある手塩を、真正面から睨め上げた。
「なんだか私が超いいように騙されていると思いたいみたいですけど」
右手を掲げて握りしめる。轟、と空気中の窒素が集まり車内に風が巻き起こった。
338絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:22:27 ID:q7gG3fsP
「超逆です。この大能力者(レベル4)『窒素装甲』絹旗最愛が、浜面仕上を力で超奪い取ったんです。そこのところを勘違いしないでください」
沈黙が落ちる。
…………
………あ
ぎぎぎぎ、と首を軋ませながら(イメージ音)手塩が運転席に振り向く。ひい、と浜面が小さく悲鳴を上げた。
正に悪鬼羅刹の形相だった。めちゃくちゃ怒ってます。
「浜面、貴様、そこまで、クズだった、とは」
「待て待て待て待て待て待て落ち着け手塩!」
だからお前が落ち着け、という勢いで浜面が首を振る。構わず、手塩の鉄拳が固く握られた。宣言通り半殺しにするつもりだ。全殺しかも。
残り数秒で男は弁明を余儀なくされる。ここが命の別れ目だった。
「別に俺はロリコンってわけじゃねえんだ! そもそも俺は色気のある大人の女性が好みであって、全てバニーが、バニーが!」
「浜面超ふざけんなキーック!」
手塩より先に、座席を飛び越えてきた絹旗の蹴りが浜面の腹部に突き刺さった。胃液を吐き出しながら後方のフロントガラスに叩きつけられる浜面。
びしりとフロントガラスに真っ白なひびが入り、直後に枠から外れて彼の体ごと車外に吹き飛んだ。ゆうに5mは滞空し、地面に叩きつけられる。
「ま、待て、浜面。貴様には、叩き込むべきことが、山程ある!」
一瞬呆気にとられた手塩が車外に飛び出すと、路上を転がっていた浜面が慌てて立ち上がり逃げ出した。つくづく頑丈な男だ。
ちなみに絹旗は別に逃がそうとしたわけではなく、単にむかついたから蹴りを入れただけである。
ワンボックスバンに残されたのは絹旗と心理定規だけとなった。死角移動は例によっていつの間にか姿を消している。
「やれやれ、これじゃ超仕事になりませんね。迷惑掛けてすみません。あと、心配してくれて超どうも」
「え、ああ、うん」
絹旗がパンフレットを拾って席に戻り、ふとドレスの少女に聞いてみた。
「ところで心理定規は、何処のピル使ってますか?」
「え、ええっ!?」
それまで黙っていた心理定規が、何故か携帯電話を取り落としかねない勢いで狼狽した。不審に思った絹旗だったが、すぐに自分で納得する。
「ああ、超もしかしてゴム派ですか? 確かに成長に悪影響でそうですし」
「え、ああ、うん、まあね」
「でもあれって気持ちよさが超いまいちじゃありません? それに浜面は中出しの方が超喜ぶんですよ」
「ぶふっ、こふっ! ……そ、そうなの?」
「え、もしかしてですね。心理定規さんその能力と外見でまだ経験が」
PANPAN!
心理定規の背後に出現してなにか言おうとした死角移動は、蠅でも追い払うかのように心理定規が発砲したことによって即座に姿を消した。
はだけた太股からガンマン並の抜き打ち(しかも背後照準)を披露した心理定規は、呼吸を落ち着かせて絹旗との会話に戻る。
「まあ、そういう気遣いは男の方にさせるべきでしょ」
「超女王様っぽい意見どうも」
「それにやっぱり成長期にホルモン剤はね。せめて市販品じゃなくて、体質に合ったものを病院で処方して貰いなさいよ」
「私の年齢でピル処方してくれなんて超降りるわけありません。R指定映画見るのとは違うんですよ」
「それじゃ電話の向こうに医者でも紹介して貰いなさいな。あっちにしても今妊娠なんて困るでしょ」
「うーん、あの女に知られるのは超嫌ですが仕方ないですかね。しかも何となくですが、超逆切れしてきそうだし」
それで話は一段落した。ぼろぼろになった車内に沈黙が戻る。
しばらくして、おずおずと心理定規が尋ねる。
「ね、ねえ。本当に……してるの?」
「超してますけど? 貴女なら能力でわかるでしょう。ああ、数字は超言わないでくださいね」
「まあ、三角関係に持ち込んだのはわかってたんだけどね。ちょっとその、入るとは思わなかったから」
「流石に体格差があるんで超きっついですけどね。それでも最近はイケるようになりましたよ」
同性ならではのあっけらかんとした絹旗の返答に、心理定規は誰にも聞こえない声量でぶつぶつと呟きだした。
「……大丈夫負けてない負けてない。あんな行為は手段でしかないし、私は能力で結果だけを先取りできる。だからそんなの必要ないし負けてなんかない……」
「?」
そんな心理定規を不思議に思いながら、絹旗は手塩の落とした携帯を取って現場に連絡を入れてみる。予定通り会談は終了したようだ。
現在チームは絹旗のせいで壊乱状態である。出番がないのは僥倖だった。

339絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:23:44 ID:q7gG3fsP
一方その頃。
手塩の追跡から命からがら逃げ切った浜面は路地裏で一息ついていた。ぜえはあ、と壁に両手をついて呼吸を整えている。
不意に、背後から声。
「お疲れさまですね、浜面君」
「どおっ!? な、なんだ査楽かよ。脅かすな」
浜面と死角移動は意外と仲がいい。歳が近いのもあるが、どちらも雑魚で変態気味なシンパシーがあるからだろう。ちなみに浜面がバニーフェチで死角移動がうなじフェチである。
「少々見損ないましたね。あなたは大人の色気というものに対して飽くなき追求をしているものと思ったのですがね」
「おい査楽。さっきも言ったが、俺は元々ロリコンじゃねえぜ。ただ」
「ただ?」
「ロリバニーも悪くない……!」
「なるほどね。バニーという要素を組み込むことでロリコンでさえ許容するというわけですね。感服したね」
≒バニーならなんでもいい。
うんうんと頷いて、死角移動は自分の携帯電話を浜面に手渡した。既に通話状態となっている。
「ところで私の知人に話をしたら君に一言言いたいことがあるそうですね」
それだけ伝えて死角移動は文字通り姿を消した。訳もわからず浜面は携帯を耳に当てる。
『くたばれ幼児性愛者! 貴様にテスカポトリポカの裁きあれ!』
『僕は断じてロリコンではありませんが言わせて貰いましょう。花は触れずに愛でるもの、蕾の内に手折るとは言語道断!』
「な、なんだ?」
通話口から聞こえてきた、激高した少女の声と怒りを押し殺した青年の声に首を捻った直後。
第三学区の病院から発射された不思議な光が着弾し、浜面を周囲諸共吹き飛ばした。


その日の夜
ぼろっとした浜面とジャージ姿の滝壺、ワンピースの絹旗は三人並んで繁華街を歩いていた。たまには外食、ということで食事をした帰りだった。
浜面を二人が挟むような位置関係となっている。ふと浜面が呟いた。
「しかし俺達、他人から見たら、どう見えるんだろうな」
「超美人姉妹とその下僕ですかね」
「新婚夫婦と、その子供」
「どっちもかなり無理があるなあおい」
ばちばち、と滝壺と絹旗の間で視線の火花が散った。浜面がげんなりした顔になる。
というのも、さっきからすれ違う人間の視線がびしばし浜面に突き刺さっているのだった。
美少女二人を連れたアホなチンピラ、しかも片方が12歳では無理もない。
と、絹旗がにやりと笑って甘えるように浜面の首にぶら下がった。今日は『絹旗の日』だ。
「うおっと。いきなりぶら下がるなよな」
「えへへ」
「……」
滝壺が零度の視線で浜面を見る。周囲からの視線も急激に冷えつつあった。ロリコンだ、間違いない。
うげ、と浜面が状況を理解して顔を強張らせた。変態であることは自覚していてもレッテル貼りはごめんである。
が、その願いは直後に絹旗が木っ端微塵に打ち砕いた。耳元で囁き。
「今日は私の日ですからね。どんなプレイが超いいですか?」
「……」
「立った。はまづらが立った」
「うおおっ!」
車椅子少女風に滝壺が表現するが、もちろんそんなロマンチックなものではない。主に下半身的に。
とっさ前屈みになる浜面だったが、その拍子に更にまずいものを見つけてしまう。
「うげっ!? 手塩と黄泉川じゃねえか。あの二人知り合いだったのかよ」
「どうしたの、はまづら」
「あ、ホントに手塩さんじゃないですか。今見つかったら浜面超殺されますよ」
「誰のせいだ……! いいか、慌てず騒がず静かに速やかにこの場を離れろっ!」

一方、浜面の覗いた居酒屋の中で、手塩恵未と黄泉川愛穂と(浜面からは見えなかったが)月詠小萌は酒をかッ食らっていた。
「まったく、最近の子供は、どうなってるんだ。色気ばかり、無駄について」
「あははー、仕方ないじゃんよー! それが青春だからじゃん!」
「でも確かに、先生の教え子も最近浮ついてて大変ですよー。特に上条ちゃんなんか、いつボートに乗りそうか心配です」
「しかも、なんだ。あんな小さい子に手を出すとは。別に悔しいわけではないが、世の中、何か歪んでるぞ」
「そうじゃんそうじゃん! うちで居候してた奴も小さい子にしか興味ないじゃん! 世の中何か間違ってるじゃんよ!」
「なんかすごい僻みを感じますがー。確かに、そんな人たちがたくさんいるなんてけしからんですねー、全く」
「「お前が言うな」」
「ふえー!?」
340絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:25:37 ID:q7gG3fsP
居酒屋から離れた浜面たち三人は、相変わらず繁華街を歩いていた。既に絹旗はぶら下がるのをやめて、普通に三人並んで歩いている。
なんの捻りもなく帰る途中だったが、ふと絹旗が薬局の前で足を止めた。
「あ、そういえば滝壺さん。買ってもらったピル、超合わなかったんで補充はもういいですよ」
「そう、わかった。他の、買う?」
「いえ、伝手で医者に処方してもらおうと超思います。あ、そういうわけで浜面。しばらくは口だけになっちゃいますけど、いいですか?」
「……あのよ、絹旗」
絹旗が浜面と性行為を行う頻度は、高い。
基本的に一週間のうち、三日が『滝壺の日』で、三日が『絹旗の日』であり、日曜は『二人の日』と言う割り当てになっている。
滝壺はあまり直接的な接触をしない。『滝壺の日』も、ただ静かに一緒にいることが多かった。性交はせいぜい、一週間に一度だ。
対して『絹旗の日』では、余程疲れた日以外は性交を行っていた。大抵は絹旗から求めるパターンで、その行為は情熱的だった。
それまで浜面は、罪悪感を抱きながらずっと快楽に流されてきたのだが。
「やっぱり、そういうのは……しばらくやめないか?」
「ピルですか? まあ、確かに体には悪いかもしれませんけど」
「ゴムにする?」
「頻度的に滝壺さんはそれでもいいんでしょうが、私の場合は数が超足りるかどうか……それに浜面中出し超好きだし」
「少しは恥じらいってものを取り戻してくれ」
繁華街のど真ん中での会話である。
「いや、薬のこともあるんだが……やっぱああいうのは、もう何年か、経ってからでいいんじゃないか」
「はまづら?」
「浜面まで手塩の言うことを超真に受けるんですか。そんなに法律違反が超怖いんですか?」
「そりゃ怖えけどよ。そうじゃなくて……やっぱ、色々お前には早すぎるっていうか」
「私の処女膜超破って、あれだけ超中出しして、一体今更何言ってるんですか!」
絹旗が浜面の襟元を掴んで凄まじい力で引き寄せる。とっくに能力は発動していた。
往来で一触即発の空気で睨み合う二人を、滝壺の淡々とした声が止めた。
「はまづら、きぬはた。帰ってから話そう。みんな見てる」
「……ああ」
「……ふん」

滝壺の部屋に帰ってきた三人は、居間で改めて向かい合った。
「って、なんでバニー着てんだよ! 滝壺まで!」
「超説得用です」
「きぬはたばっかり、ずるいから」
テーブルを囲った二人は何故かバニースーツに着替えていた。絹旗が赤い生地に黒ストッキング、滝壺が白い生地に生足である。
浜面は早くも自分の理性がぐらぐら揺らぎ出すのを感じていた。バニー最高。
くそう、ここで絹旗に襲いかかったらこの先もずるずる続いちまうに決まってる。そういう策かどうすればいい。そうだ滝壺に襲いかかればいいじゃないか。愛してるぜ滝壺!
「たきつぼー!」
「きゃっ♪」
「ちょっと滝壺さん、今日は超私の日ですよっ!」
結局gdgdである。

「くそう、バニーだ、全てバニーのせいなんだ……」
「この期に及んでそんなこと言ってるから浜面は所詮超浜面なんです」
「大丈夫。私は、そんな押しに弱い浜面を、愛してる」
浜面が椅子に座り、滝壺はひざまずいて股間を奉仕し、絹旗は腹の上に乗って口づけを交わすという構図になった。
くちゅくちゅという水音が居間に響いている。絹旗が執拗に浜面の口の中で舌を動かす音だ。
「ぷはっ……子供だからダメって、こんな興奮しておいて説得力が超ないんですよ」
「いや、俺の問題じゃなくてよ……手塩も言ってたけど、まだ責任持てる歳じゃねえだろ?」
「何言ってるんですか。浜面が、超責任取ればいいだけの話ですよ」
「そ、そういう問題か?」
「はまづら、胸でしてあげるね」
「お、おおっ。いいな……」
「うう、超いい話の時に私にはできない技を」
滝壺が胸をはだけて一物を挟んで揉みほぐす。バニーでやると、まんまぱふぱふである。
滝壺の胸の大きさは標準よりやや大きく、何より柔らかかった。絹旗も発育は良い方だが、立派に貧乳の部類である。
鼻の下を伸ばす浜面の手をむんずと掴んで、自分の股間に持っていって弄らせる絹旗。
341絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:26:50 ID:q7gG3fsP
「それに、んっ……将来超後悔するかもしれないなんて、大人も子供も、変わりません……はあっ。そこ、いいです」
「ここか?」
「はい……うくっ。それなら、浜面が私を後悔させないように、超頑張ってくださいよ……う、あっ」
「はまづらは、甲斐性なしだから、そういう期待はしない方がいいかも、きぬはた」
「最近滝壺がやたら俺に対して辛辣なんだが、本当に俺達付き合ってるんだよな?」
「私ははまづらの、正妻だから、甘えるのはたまでいい」
確かに、絹旗は明らかにデレ期に入ったというか甘えてくるのが多いのに対して、滝壺との付き合いはあまり変わっていない。
激しく対抗するのかとも思ったが、それぞれに役割を分担して浜面に接している節があった。
「妻といえば結婚は超どうしましょう? 私もウェディングドレスは超着たいですよ」
「私とはまづらが結婚して、時期が来たら離婚して、はまづらときぬはたが結婚。最後は私に戻して欲しい」
「俺の関与していないところでなんつう家族計画! てか俺はオプションかよ」
「超幸せ、が抜けてますよ」
「幸せ家族計画」
基本的にこの手の話題で浜面の発言権は薄い。別にないがしろにされているわけではなく、単純に二対一になることが多いからだ。
それをないがしろにされているというのかもしれないが。
「ん、滝壺……そろそろ」
「わかった。出す?」
「今日は私の日ですから、最初は私に超入れてくださいよ!」
「ああ、入れるぜ絹旗」
絹旗が後ろに体をずらし、降ろす。対面座居の姿勢。切り込みの入ったバニースーツの股間部分に、浜面の怒張が突き刺さった。
ずぶ、ずぶ、と狭い秘裂を押しのけて進む浜面。大分尺を余らせて、ごつんと一番奥を突き上げた。かは、と息を漏らす少女。
ぎゅうぎゅうと締め付けてくる絹旗の胎内はとてつもなく気持ちいい。明らかに体格が違うのだ。そこで浜面はふと気付いた。
「やべっ、いつもの癖でそのまま挿れちまった」
「い、いいですよっ。今日はピル飲みましたし、生の超中出しでっ」
「いや、けど……うおっ!」
ごりごりと腰を捻らせて、絹旗は子宮口に先端を擦らせた。たまらず呻き、絹旗の腰を掴んで動き出す浜面。
「ほらっ、こんな超気持ちいいのに、今更ゴムとかつけれるんですかっ。超スケベの浜面のくせにっ」
「そ、そりゃ、気持ち、いいけどよっ」
「つまりきぬはたは、中に出させるしか能のない女?」
手持ち無沙汰になった滝壺が横から茶々を入れるが二人とも聞いていない。絹旗は浜面に全身でしがみつき、夢中で口付けを交わしている。
むっと来た滝壺は絹旗の後ろに回って衣装の内側に両手を突っ込み、両方の乳首を摘んで引っ張った。小さな乳房が餅のように伸びる。
「きぬはた、本当に小さい。将来が心配」
「やあ、いやあっ。超引っ張らないでくださいっ」
「(ぶっ)」
「あ、はまづらが鼻血を吹いた」
なにかツボに入ったらしい。レズ行為が好きだという話はなかったはずだが、バニー同士だからだろうか。
猛然と腰を動かし、少女の奥をがつんがつんと突き上げる。あっという間に絹旗はびくびくと絶頂に至った。
「あっ、あっ、イッてます、超イッてます! 超愛してます浜面っ!」
「俺も、俺も出るっ」
「な、中にっ、中に超ぶちまけてくださいっ!」
「おおおおおおおおっ……!」
一番深いところで浜面が射精を開始する。胎内に打ち付けられる熱い感覚に、絹旗はびくびくと震え、気を失った。
人形のように弛緩した絹旗を抱きしめて、浜面が余韻に浸る。
が、すぐさま滝壺の上気した顔が横から出てきて唇を奪った。
「はまづら、次は、私の番だから」
「お、おう。勿論」
「きぬはたを、あんまり責めないで。多分、不安なだけだから」
「ん……こいつが?」
「歳の差とか、はまづらからの愛情とか、そういうのが不安だから。甘えたり、深い繋がりを、求めるの」
「……それじゃ。俺がちゃんと絹旗を……その、愛してやればいい、ってことなのか」
「勿論私も、だからね、はまづら」
滝壺がバニースーツに包まれた体を押しつけてくる。控えめな彼女にしては珍しく興奮しているらしい。
避妊方法を工夫する以前に、まず回数を減らすべきだと浜面は思った。隔日でこれでは身が持たない。
けれどそれは、結局幸せな悩みなのだろう。

学園都市は今日も平和である。
342絹旗最愛の憂鬱5:2009/12/18(金) 11:27:59 ID:q7gG3fsP
以上です。
スレ住人に捧ぐ。
新チームは割と使えそうなネタだったので書いてみました。
心理定規は気にしない。
設定が一部前後してますがノリと勢いということで。
絹旗は来てないという説もありましたが、結構肉付きがいいので来ているということにしました。
絹旗最愛の憂鬱はこれにて終了となります。アディオス!
343名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 12:21:03 ID:5V6pLNu7
Good Job!Great Job!GOD Job!
の三段活用!

このスレのにぎわいは久しぶりにすごいことになってるなぁ。
344名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 13:06:28 ID:DVxto49j
GJ

SS途中まで書いてモチベーション落として続き書けなくなっちゃった身としては尊敬するぜ・・・
345名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 14:02:50 ID:JwvOTeDA
>>342
Good Jo
間違えた
Nice boat.
素晴らしいです。
346名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 14:38:40 ID:+9Kshyid
>>342
GJ!!
エツァリ、ツッコミに月のウサギ使うなwww
347名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 15:01:58 ID:ZDnSdWAL
死角移動の扱いが悪すぎて笑いがwww
348名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 17:10:49 ID:fRzbB7rH
>>342
素晴らしい!
349名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 17:12:44 ID:pbzPEo6r
>>342
ついにエロありのSSを投稿したあなたのロリコン心に参拝
350名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 17:20:53 ID:5K1Y1yXD
そういえばエツァリが手に入れた二つ目の原書……前の所持者の『兎の骨』は外道なシロモノでしたが、彼は一体何を兎の骨に見立てて使うのか。
まさか、なんの捻りもなく普通の兎の骨を使うんじゃないだろうな。
351名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 17:24:04 ID:pbzPEo6r
>>350
隣に義妹萌えが居るじゃん。
352名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 20:26:07 ID:vbdn43nx
>>342
GJ!
ハッピーエンドを迎えたのに、それぞれ悩みを抱えているのが、今後を妄想させてえがったでやんす!
浜面頑張れ!超頑張れ!
……俺の脳内で心理定規が萌えキャラになってしまった。w
353名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 20:58:11 ID:FTxiF6uU
>>342
GJ

一つ、聞きたい
今書いてるSSが50kb超えそうなんだけどもし超えちゃった場合投下するべきなのか?
テキストファイルを投下した方が早いと思うんだが
354名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 21:23:20 ID:h2yJX1SC
>>342
超GJッ!!
また観られると思ってなかっただけに、んー満足w
355名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 21:56:05 ID:JwvOTeDA
オルソラ 秋ナスが食べたいのよな
俺好みに浅漬けにしたいのよな
356名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 22:26:20 ID:6/sWCNw5
50kbでも作者さんの手間でなければ投下してほしいな
SSスレが容量一杯で終了なんてなったら最高だと思う
357名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 22:30:58 ID:pbzPEo6r
現在223KBだから50KBじゃ埋まらんよ。
358名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 22:49:28 ID:FTxiF6uU
たしか1スレ500kbだもんね
今まだ35.5kb程度だから投下は年明けになるかと
一方さん打ち止め美琴上条さんの4人を絡めようと思って書いてたら
予想以上に割り食ったというね……
全部出来上がったら一気に投下しますのでその時は宜しく!!
359名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 23:13:37 ID:/V1wkrTj
レールガン14話が放映されたら上条さん×佐天ネタが一気に増えそうな予感
360名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 23:16:00 ID:DVxto49j
>>359
昔書いてた身としてはうれしいやら自分が情けないやら
佐天ネタ増えるといいなあ・・・
361名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 23:36:50 ID:ekheNFaQ
他人が書く
初春×上条さん×佐天を読みたいお(・ω・;)
362名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 23:45:46 ID:JwvOTeDA
それより13話にアイテム四人が出てるのかどうかが気になって
仕方ないのよな!
363名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 00:23:00 ID:bIlu4dpD
>>358
その四人の絡みかあ…いいねいいねー!
楽しみにしてるから頑張ってね!
364名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 00:41:17 ID:hKTpvWHl
>>342
サービス精神GJ!
サブの連中を、こんなにイジり倒す人がいるとは思わなかったw
楽しい話をありがとう。面白かったぜい。

何なんでしょこの投下ラッシュは、嬉しい限りだw
365名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 04:04:18 ID:ZMZw67tJ
>>342
グッジョブです!とミサカは惜しみない称賛を贈ります

うあー、これは俺も創作意欲を刺激されてきた!
あ、あと今週のレールガンにアイテム登場おめ!
366孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:36:23 ID:lBVYbYvb
なんか神作品ばかりで恐れ多いですけれど投下させてください。
もうおなかいっぱいの上条×美琴です。
保管庫の作品とか余所様のSSとか、
全部目を通したわけではないのでネタ被り等あってもお許し下さい。
6レスいただきます。
367孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:37:30 ID:lBVYbYvb
 そよぐ風が頬を撫でる。
 時折金属のたてるぴし、ぴしという音が耳に障り、眉根をひそませる。
 人気のない鉄橋の上、すでに月は高く頭上にあり、喧噪も遠く、あたりは静まりかえっていた。
 ふう、と息を一つ吐いてもぐるぐると渦を巻く頭の中は晴れるわけもなく。
 すべてを諦めたような瞳が眼下の町並みを冷たく映していた。
 変わらぬ風景に、変わっていく自分が置いて行かれたような、そんな郷愁。
 夜風に紛れ、ぽつりと言葉が桜色の唇から漏れた。

「どうして、こんな事になっちゃったのかな……」


 少女の名は、御坂美琴といった。




学園都市七不思議 その1「意地と勝負と恋心」 上

       かいたひと:ことり



「――はぁ……不幸だ」
 もはや生涯で何万回呟いたであろうか、すっかり身についた口癖を、ツンツン頭の少年が吐く。
 いかに不幸かと問われると筆舌に尽くしがたい。
 まずここが人通りの少ない場所であること。
 次にある程度開けた場所であること。
 3つめに、目の前に学園都市でも7人しかいないレベル5の一人、御坂美琴がいること――
 指折り数えればキリが無い。
 つまりはそういった不運を積み重ねた上に、今現在の少年――上条当麻がなりたっているわけだ。
 そもそもこのうだるような暑さが悪い。
 補習を受け帰り道、脱水症状を起こす前に水分を補給しようと自販機の前に立った。
 大して厚みもない財布を開くと、中の小銭は120円ちょうどあって、投入口へいそいそと運ぶ。
 あ、と思った時には指先から10円玉がつる、と滑り落ちていた。
 なおかつ落ちた先は排水溝で、その時点で顔面が蛙のように引きつった。
 たかが10円、たかが10円と自分に言い聞かせ、震える手で千円札を自販機に差し入れる。
 呑まれるようなことはなくデジタルは1000と表示を返す。
 ほら、気にすることなんか無いんだと、がたんと音を立てて落ちてきたジュースを手に取った。
 じーがちゃん、じーがちゃんとお釣りをはき出す音が続く。
 かなりの間音は続き、いやな予感に眉根をゆがませていると、釣り銭口には予想通りに100円玉が8枚に10円玉が8枚と、すべてバラ銭で出てきた。
 どうせ軽い財布だったんだし別にいいではないか、と自分を慰めている最中に、一枚100円玉の代わりにメダルが混じっていることに気がついた。
 総額780円。理不尽にジュースを握りしめようとしても、熱くて持つのが精一杯ではそれもままならない。
 買ったのは椰子の実サイダーだったのだが――
368孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:37:58 ID:lBVYbYvb

 そんなこんなで八百万の神々を個別訪問でもして世の不条理を説こうかという気分を何とか晴らそうと、多少の回り道までして土手沿いの道を歩いていた所、ビリビリ中学生――御坂美琴に出会ってしまったというわけだ。
「……勝負勝負って、今までオマエの全戦全敗じゃんか」
 ついこの間、ささいな一件があって以来、上条は学園最高峰のエレクトロマスター・御坂美琴に付け狙われるようになった。
 気軽に放たれる10億ボルトの高圧電流を、上条はことごとく右手に宿る力――幻想殺しで打ち払ってきたのだが、目の前のレベル5はそれがどうにもお気に召さないらしい。
 かくいう今日も例に漏れず、上条の姿を発見した途端花の咲き乱れるような素敵な笑顔で人を指さし、勝負しなさい、と声高らかに宣言したわけであった。
「うっさいわね、今までのはまぐれに決まってるじゃない! 今日こそは完膚無きまでにメタクソのけちょんけちょんにノしてやるんだから!」
 鼻息を荒くして口早にまくし立てる中学生を前に、死んだ魚のような目で上条が愚痴る。
「だからお前の勝ちでいいって言ってんだろ……そもそもお前はレベル5で常盤台のお嬢様。それに対して俺はレベル0の貧乏学生。勝負も何もはじめっから決まってるようなもんじゃねーか」
 いってて心底悲しくなる。
 おぎゃあとないた瞬間に決まってる優劣というのはどうにも理不尽を感じる。
 しかしこれが紛れもない現実で、ここ学園都市において上条は劣等人種の烙印を押されてしまうのだ。
 そんな下層階級にかまうこともないだろ、と上条は諭すのだが。
 超電磁砲の二つ名が許さないのか、美琴は何度となく電撃を放ち、そのすべてを軽くあしらわれていた。
「だいたい俺が勝ったってなんの得にもならねーんだから、もうお前の勝ちでいーじゃんか。何なら今から駅の黒板に『上条当麻は御坂美琴に完敗しました』とでも書いてきてやるよ」
 その言葉に、ぴくんと美琴の眉が動いた。
 明らかに表情が不機嫌に変わっていくのが見てとれて、上条はますますに気分を沈ませる。
 間違いなくぷちぷちと血管を2、3本断ち切らせて、それこそ鬼のような形相で美琴が吼えた。
「わーかったわよ! じゃあアンタが勝ったら何でも言うこと聞いてやろうじゃない! それで文句ないでしょ!?」
 特大のカミナリが来ると思って身構えていた上条は、美琴の言葉の意味を計りかねた。
 何を言ってるんだこいつはと極太マジックで書いてありそうな表情で恐る恐る顔を上げる。
 ぜえぜえと肩を上下させて息を吐く美琴に、上条は叱られた子犬そのものの様相で声をかけた。
「いや……あの……ミサカさん? 何でもって……」

 逆にかけられた弱々しいささやきに美琴の肩がぎくんと固まる。
 熱くなった頭からさーっと血の気が引いていくのがわかった。
 自分がいかに突拍子もなく大変なことを口走ったのかは理解している。いや、したつもりだった。 
 けれど一度振り下ろした刃は止められない。
 御坂美琴は学園都市のナンバー3、超電磁砲なのだから。
「……な、なんでもったらなんでもよ! さぁいい加減おとなしく、裁きを受けなさいっ!」
 叫ぶやいなや風に揺れる前髪が青い稲光を放つ。
 認識できる一瞬をすら超えてみるみるうちに密度を増し、火花だったものは荒れ狂う雷竜の吐息と化した。
 二人を直線上で結ぶ草花を食いつぶし、必殺の勢いを持って竜は上条へと襲いかかる。
「お、おわわ、ちょ、ちょっとまてぇっ!」
 

 はじまりはいつも、嵐のように突然で。

369孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:38:31 ID:lBVYbYvb

 そこかしこに人為的なクレーターが見える。
 ついさきほどまで猛威をふるっていた磁場嵐はようやくに落ち着きを見せ、吹き渡る風が焦げた臭いをさらっていってくれた。
 その場には疲れ果ててうずくまる美琴と、尻餅をついたような姿で脱力した上条。
「――しょ、勝負あった、みたい、だな?」
 上条の弱々しい声。けれどそれに対する美琴は喋ることすら困難で、荒く息を吐くばかり。
 そもそも砂鉄の鞭を崩された時点で勝敗は決したようなものだったのだ。
 なのにその後も見苦しく電撃を放ち続けたため、今の美琴は火花一つも出せない文字通りの電池切れ状態だった。
 悔しくないはずがない。
 動かない四肢の代わりにぐりぐりと奥歯をかみしめる。
 生まれて初めて、全力を出し切った上での敗北。
 勝ち負けなんてどうでもいいと思っていた。
 けれどそれは常に勝者の側に立っているもののおごりでしかなかったのだ。
 負けることがこんなにも悔しい。
 常盤台の超電磁砲は完膚無きまでの敗北というものを今初めて知ったのだった。
「――そういや」
 唐突に上条の声がぜいぜいと整わぬ呼吸と共にはき出される
「負けたら何でも言うことを聞く、とか言ってたっけ、お前」
 びくん、と美琴の肩が小さくはねる。
 その場の勢い。売り言葉に買い言葉。
 頭の中ではいくらでも言い訳が浮かんでくる。
 けれどそれを口に出すのはどうにもプライドが許さない。
 負けたのは間違いなく事実。
 ならば彼女の発する言葉は一つしかない。
「――言ったわよ。何がお望み?」



「二度と勝負なんて言――」
「嫌」
 上条の言葉を短い言葉で美琴が遮る。
 身も蓋もない答えにたっぷりと1分間沈黙が訪れる。
「なんだそれ!? オマエなんでも聞くっていったじゃん! 聞くだけ聞くって意味か!? 騙された俺が馬鹿なのか!?」
 残された余力のありったけを使って上条が魂で叫ぶ・
 そんな血涙すら流しそうな上条を幾分冷めた目で美琴は眺めて。
「なんでもったってできないことはできないわよ。アタシはどうしてもアンタに勝たなきゃいけないんだから、それだけは聞けないの。……あと『この先ずっと』ってのもナシ。今日一日のうちで、あたしにできることならなんでもひとつ聞いてやるわよ」
 なんじゃそりゃ、と上条はうんざりした。
 いかにもお嬢様らしい強引な後付け条件である。
 この調子でいくと、あらゆる事に難癖つけてすべてうやむやにするのではないかと思える。
 美琴にできるとこでひとつ、しかも今日のうち。
「ったってなぁ……」
 メシでもおごってもらおうか、と考えたがすでに時刻は夜。
 交通手段はあらかた止まっている上に、ここから繁華街では結構な距離がある。
 食材の買い置きもまだあるし、何より来た道を戻るのもめんどうくさい。
 二人が顔を合わせるのは基本的に下校時刻を過ぎたあたりなので、今日一日のうち、といわれると意外にできることは少ない。日曜日とかであれば別だろうが。
「なによ、うんうんうなってるばっかで。なんかないの?」
 多少イラついた声の美琴。
 上条は考える。
 めんどくさいから帰れと言おうかとも思ったが、それでは美琴は何度でも何度でも勝負を挑んで来るであろう。
 ペナルティ要素が無くては意味がないのだ。
 その点で言うと先ほどのメシをおごってもらうと言うことも、常盤台のお嬢様にはさして痛くもなさそうだ。
 もしもまた負けたら、と恐怖させなければいけない。
 そこまで考えて、上条の口から出た言葉は――

「パンツ見せてくれ」

 瞬間、周囲の時間が凍り付いた。
370孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:39:37 ID:lBVYbYvb
 真剣そのものの上条。
 対して何を言われたのかまだよくわかっていない美琴。
 こんな要求は呑まないだろうと上条は考える。
 この後轟雷に焼かれようがいいのだ。
 どれだけ辛くても今日を耐えてしまえばいいのだから。
 このまま美琴が怒って帰ってしまえば、上条は次回の挑戦を受ける理由はなくなる。
 勝った所で上条には何の利益もないのだから。
 罵声か怒号か、はたまた鉄拳か。
 何が来るかと内心びくびくする上条に、しかし帰ってきたのは静かな言葉で。
「――い、いわよ」
 上条は耳に入ってきた情報を処理できずに、しばし固まった。
 その弱々しく、か細く、震えた声。
 俯いた顔から表情は読み取れないけども。
 その言葉がどういう事を示すのかとも理解しているのか。
 情けない声で美琴に呼びかける上条の右手は空をさまよう。
 そんなことはあり得ないと、この幻想を壊してしまおうかと。
 何を言われたのかよくわかっていない上条が、怪訝な顔でしばし固まっていると――
「い……いいっていってんのよ! パンツぐらい見せてあげるわよ!」
 声を張り上げて美琴が叫ぶ。人気のない土手なのが幸いか。
 風が吹くたびに前髪が揺れ、ちらちらと覗き見える美琴の頬は遠目にも茹で上がってるように真っ赤になっていて。
「あ……あー、お前短パン履いてたもんな、それ見せて終わりってんだろ?」
 混乱した上条が答えを見つけたように声を出す。
 そうですよね、そうなんですよねと、神様にも聞くような気持ちで。
 しかしそれを聞いた美琴は一瞬怒ったような表情を見せ、弱々しくではあるが勢いよく立ち上がった。
 硬直する上条を前に、耳まで赤くして、今にも泣き出しそうな顔で。
 繊細なガラス細工を扱うような手つきで、ゆっくりゆっくりと美琴の手が腰のあたりへと伸びていく。
 震える指先をスカートの裾へとかけたところで、彼女は上条の食い入るような視線に気づいた。
「じ……じろじろ見るな! あっち向け!」
「ひ、ひゃい!?」
 今までのどんな攻撃よりも殺気を含んだ怒号に、上条は情けない声を出しながら慌てて後ろを向く。
 これから中身を見せようというのに、脱いでる姿はだめなのか、と理不尽を感じる上条だったが、乙女心は複雑なのだ。
 とはいえ後ろを向き、視覚を封じたため、変わって聴覚が鋭敏になる。
 ごそごそという衣擦れの音の後、短パンのジッパーを下ろす音が聞こえてくる。
 想像の美琴が短パンを手にかけ、左足から抜いていく姿が浮かんできた。
 これってなまじ見てるよりやばいんじゃないか、とふと思ったが、見ていれば見ていたでまた別の意味でやばいのだろう。
 ぱさ、と布が地面に落ちる音がした。
「……い、いいわよ」
 あたりが静かでなければ聞き逃しそうなか細い声。
 ごくり、とひとつ喉を鳴らして、ゆっくりと振り返る。
 元々断られる前提で言ったことなのに、一体どうしてこんな事になっているのだろう。
 実は振り返った瞬間に刃物で刺される展開でも待っているんじゃないかと勘ぐってしまう不幸体質の上条さんだったが、裏の裏の裏をかくように、そこには頬を染めて佇む美琴の姿があった。
「……」
 ごくり、と喉が鳴る。
 視線を合わせないようにそっぽを向く美琴は、落ち着かないのか、もじもじとスカートの裾を両手で押さえていた。
 ふと見れば足下には短パンが畳みもせず乱暴に投げられている。
 重ねてはいていたというようなオチでなければ、その下はもう下着だけのはずで。
 見てはいけない、見てはいけないと念仏のように唱えても、そこは健全な男子高校生の性か、泳ぎながらも目は自然とその部分へと引きつけられる。
371孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:40:37 ID:lBVYbYvb
 すう、はあと美琴が数回深呼吸をする。
 長い時間に感じられた。実際には2分と経っていないのだろうが。
 やがて覚悟が決まったのか、ぐっと顔を上げて美琴は上条をにらみつける。
「座れ」
「……はい?」
 一体どうしてそんな言葉が出てきたのかわからない上条は目をぱちくりと瞬いた。
 思考が止まったままさらに数秒が経過する。
「座れっつってんのよ! 2回言わないとわかんないのかこのド馬鹿ァ!」
「ひ、ひゃいぃ!?」
 文字どおり鬼のような形相で叫ぶ美琴に心底恐れおののき、考える早く体が正座をする。
 なぜ怒られているのかもわからないまま、むきだしの地面にきちんと座り、両手を膝の上へ正しく置く。
 今までの人生でこれほど真面目に正座したことはないと断言できるほどだった。
 そんなかしこまった上条に、美琴が一歩近づく。
 ぎゅっと握られた手がスカートの上で細かく震えていた。

 喜んでするようなことではない。
 嫌なら嫌と断ってくれればいい。
 なのになぜ目の前の中学生はこんなにも必死なのか。
 ここで断れば上条当麻を倒す機会が無くなるから?
 そこまでしてこのレベル0を倒すことに何の意味があるのか?
 上条当麻にはわからない。
 『勝負』にだけ気を取られている上条当麻には、決してわからない。

 意を決した美琴の指が、そろそろと布地を持ち上げる。
 ゆっくり、ゆっくりと、薄氷を踏むが如く慎重に。
 上条の目の高さに、美琴の腰がある。
 長い、長い時間をかけてたくし上げられたスカートからは、薄い一枚の布。
 どうということもない、そこらの婦人服売り場で売られているようなシンプルな素材。
 ただの布だというのに、それがここまでに魂を震わせるのはなぜだろう。
 すぐ下に、真っ白な太股。
 まだ肉付きの薄い、思春期に入る前の、純粋な少女の肌。
 きめ細かなそれは白磁の陶芸品を連想させて、おもわず見入る。

「こ、こんな事なら、もっと……」
 美琴の細い声も、何かに憑かれたような上条には届かない。
 まばたきすらも忘れた上条の手が、膝を離れて地面へ着く。
 それは上体が半歩ほど前へ乗り出すことを意味していて。
「……え? ちょ、ちょっと……!」
 素足に吐息を感じる。つまり、それほどに上条の顔が近づいている。
 遠く車の音さえ聞こえてくるはずなのに、その世界には二人しかいなくて。
 息づかいも鼓動も、体温すらも感じられる。
 まるで自然に上条が右手をすっと上げ、その指先がゆっくりと、美琴の太股に触れようとして――
「――っ!?」
 考えるまでもなく体が反射で動いた。
 ちょうどいい位置にあった上条の側頭部に、美琴の膝が綺麗に入って。
 夢中だった上条は認識するまもなく吹っ飛び、2、3回バウンドして、そのまま昏倒する
「み、みみみ見るだけって言ったでしょーが! 触るのはまた今度!」
 真っ赤な顔に目を白黒させて美琴が叫ぶ。
 混乱してるのか、何を言ってるかもよく分かっていない様子で。
 ばふばふとスカートを叩き、傍らに置いてあった短パンを無造作に掴むと、上条に向かって指を突きつけた。
「お、覚えてなさいよ! 今日はたまたま負けたけど、今度はこうはいかないから!」
 そんな誰が聞いても悪役の捨て台詞にしか聞こえない言葉を、未だ倒れ伏したままの上条に向かって放つ。
 当の上条は側頭部を強打したため、意識不明の昏睡状態だったのだが。
 そんな痙攣する毛虫のような上条に向かって言うだけ言うと、美琴は踵を返して走り去った。
 零れ落ちる涙のように、時折電撃の火花をあたりにまき散らしつつ。


 後にはただ、ぼろ雑巾が一名残されるだけ。
372孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:41:35 ID:lBVYbYvb

 常盤台女子寮。その1室のドアが、大きな音と共に勢いよく開かれた。
 ずんずんと、その少女の対格に似合わぬ音を立てて、部屋に二つあるベッドの片方へと真っ直ぐに向かう。
「お……お姉様?」
 もう片方のベッドへ腰掛けていたこの部屋の同居人が、少女のあまりの形相に、一心に髪を梳いていたその手を止めた。
 ぼふん、という派手な音を立てて少女はベッドへダイブする。
 大きな枕を両手で抱え、すぐそばにいる同居人に何も聞かれないようにと、深く深く顔を埋める。
 息よりも苦しいのは、その小さな胸の内。

 ――見られた。
 ……見せちゃった。
 あいつが間近に見てるって思って。
 あいつが私に触れそうになって。
 ……どうしよう。
 ……どうしよう。
 ……どうしよう……

 珍獣でも見るような目つきの同居人は、低く唸る少女をそのままにしておく事にした。
 心配と言えば心配だが、何よりも声をかけた後の自分の身が心配だ。
 虎の巣穴にわざわざ危険を冒してまで踏み込むことはないのである。

 ――願わくば明日の朝に、お姉様の機嫌が直っていますように。

 そう願って、胸元で信じてもいない十字を切る。
 結局、人は自分ではどうしようもない時、神に祈るぐらいしかできないのだ。
 それが実在するにしろ、しないにしろ。

「あんにゃろう……次は……かな、ら……ず……」

 小さな寝息と共に、確かな決意が漏れる。
 苦々しげに吐かれる台詞とは裏腹に、少女の口元には笑みが浮かんでいて。
 目を開けた先に、どんな明日が待っているのか。
 少女はまだ知らない。



 誰も、未だ知ることはない。



to be next day...
373孤兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/19(土) 07:45:57 ID:lBVYbYvb
お目汚し失礼しました。
全3話予定なので生暖かく見守っていただけるとありがたいです。
2話少々お待ちください……

※保管庫管理人様へ
こちらのSSは自HPに掲載のため、保管庫に収録しないようお願いいたします。
申し訳ありません。
374名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 07:52:26 ID:3SgIbyk/
リアルタイムGJ!
ここではあまり目にしないタイプの文体で、新鮮だった。

それにしても、22スレ目にして大豊作だな。
375名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 08:06:45 ID:3LYtlAfG
乙ですの
376名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 11:17:41 ID:YdpUvZMF
黒子がお姉様のために短パンの下のパンティを消しておけば
377名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 13:21:55 ID:/0/NOFXJ

だか、なぜ投下したしw
378名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 14:51:39 ID:tB9fsm+Z
ステイル×大主教きぼん
379名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 15:24:18 ID:MU6LSQC9
GJ!
上条さん死亡フラグビンビンなんだけど…
まあいつもの事だよな
380名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 15:33:28 ID:fWQzX/Ri
>>373
乙です。
美琴の恥じらう様がよろしいかと。

>>378
具体的にどー言うのが見たいのか事細かに書きたまえ。
381名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 19:01:12 ID:Ys8Xxsoy
ちょっと気になったんだが、年齢的には
中学1年:初春、佐天、絹旗(絹旗は正確な学年は不明)
中学2年:御坂
なのに、絹旗との差は一体、浜面は上条さんより年上でしたっけ?
>>379
>上条さん死亡フラグビンビンなんだけど…
腹上死ですか?
382名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 22:18:10 ID:LH7ji2Yv
クリスマスには上条さんにダイハードどころじゃない災難が…

科学組だけでも手に負えないのに、これに十字教組とミサカシスターズが加わったら天罰級をも軽く凌駕するだろうな
383名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 22:22:37 ID:qeFv0ony
>>381
18‐13間の五つ違いよ(多分)
どうということはない
3841/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:00:00 ID:VwhOdg4j
『ケーキを、お腹いっぱい食べさせてくれると嬉しいな』って感じのクリスマスネタを……


「ねぇねぇ、とうま、とうまぁ♪」
学校から帰宅した上条を、やたらご機嫌モードのインデックスが出迎える。
「今日は、お腹い――――――っぱいケーキを食べさせてくれるんだよね♪」
「おぃ、インデックス。厳しい学歴社会を戦って帰ってきた家主さんに対する第一声が、それですか?
 お帰りー、の挨拶がお留守番になってるじゃねーか。
 それから、そのやたらめったら長〜い溜めも、如何なものかと上条さんは思う訳ですが?」
「食べさせてくれるんだよね☆」
「き、聞いてねぇ……」
翡翠色の大きな瞳にお星様を浮かべ、口から涎を溢れさせるインデックス。
(こっ、これは不味い!? インデックスのやつ、思いっきり期待してんじゃねーか!)
上条のこめかみに、一筋の汗が伝う。
「ねぇねぇねぇ、ケーキは? たくはいびんの人達が持って来てくれるのかな?」
(人達って、複数形!? あなた、どれ程のブツを想像してらっしゃるんでせうか?)
上条の焦りを他所に、インデックスは落ち着かなげな様子で部屋の中をうろつく。
そして時々立ち止まっては、玄関を覗き込んで、わくわくと胸の前でグー握りを揺らす。
上条の頭の中では、巨大ケーキの周りをぐるぐる周回している彼女の姿が容易に想像できた。
顔面に冷や汗とも脂汗ともつかない大量の汗を浮かべ、上条は覚悟を決めインデックスに告げる。

「あのー、インデックスさん。大事なお話がありますので、落ち着いて聞いておくんなさいまし。
 ごほん。我が家の財政事情は破綻寸前と大変厳しい状況でありまして、真に申し上げ難いのですが、
 あなた様のご希望に沿えるケーキは、ご用意致しかねると判断せざるを終えない。
 とわたくし上条当麻めは、断腸の思いで決断した事をここに表明し、ご理解を頂きたいと存じますが?」
ポカン、と上条の記者会見を傍聴していたインデックスの表情が、最後の下りになると聖母の様に変わる。
そうして、静かに胸の前で手を組むと、目を閉じ祈りを捧げていく。
「主よ。敬虔なる子羊は、今から貴方の教えに背き、大罪を犯してしまうかも知れません。
 咎人の罪を赦せず殺めてしまう事を、ここに告白し懺悔します。アーメン」
「ちょ!? なに勝手に人様の死亡フラグ立ててんだ!」
「問答無用なんだよ、とうま!」
健康的な眩しい歯の煌きが上条の目を灼き、ガッキンガッキンと鋼鉄を噛み合わせる音が鼓膜を揺すった。
腰を抜かして玄関の固い床にへたり込み、逃げろ! と訴えかける本能に従いズリズリと後ずさる。
しかし、直ぐにガタンと非情な音を立て、背中がドアにぶつかり止まってしまう。
進退窮まった上条の目に、跳躍体勢に入ったインデックスの華麗なフォルムが素敵に映る。
絶対的恐怖を前にして、目が張り裂けんばかりに見開かれた。
と、絶望に打ち拉がれていた脳裏に、天啓の如くとある事実が思い浮かぶ。
(わっ、忘れてた。これがあったんじゃねーか!?)
それが事態の打開策なるのか、それとも先延ばしになるだけなのか、先の事は全く分からなかったが、
上条は一縷の望みを賭け叫んだ。

「ま、まてまてまてまて待っちくりぃ――ッ!! こここここれを、これをぉおおおおおおッ!!」
負のオーラを纏った肉食獣の御前に、草食上条はガクブルしながら手にしていた小さな箱を差し出す。
「何これ?」
鼻を近付け、警戒するようにクンクン嗅ぎ回るインデックス。
「むむっ。微かに箱から匂うこの香りには、生クリームと苺の甘いエッセンスを感じるんだよ。
 もしかして、これケーキなのかな?」
「その通りで御座りますぅぅーっ!」
「ねぇ、とうま」
「はひっ!?」
平坦な声の呼びかけに、ビックウッ! と強制的に背筋が真っ直ぐに伸ばされる。
「覚えてる? 昨日のこと。ニワトリさん並みの記憶力しか持ってないとうまでも、覚えてるよね。
 『明日のクリスマスは、もういらないってギブするぐらい、たらふくケーキを食わせてやる!!』って、
 確かにそう言ったよね。問い返した私に、『任せとけ!!』って自信たっぷりに言ってくれたよね」
喋っている内に感情の高ぶりを抑え切れなくなったのか、インデックスの大きな瞳に涙を滲む。
「とうまが言ってくれたこと。インデックスは、インデックスは、本当に嬉しかったんだよ。なのに――」
零れ落ちそうになる涙を堪えながら、インデックスは切なく苦しい胸の内を告白する。
「とうまの言葉を信じてた……インデックスの無垢な心はどうなっちゃうのかな」
「お前の場合、無限の胃袋の間違いじゃねーのか?」
3852/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:01:00 ID:VwhOdg4j
「ムギィィ――ッ!!」
「すんません、許して下さい、調子こいた私が悪う御座いましたぁあああ!!」
鳥頭発言にムッとして思わず言い返したが、三角目で凄まれ、上条は慌てて三段活用で謝罪した。
「どうして、あんな嘘吐いたか、ちゃんと説明して欲しいかも」
「うっ…!? 説明つーてもなぁー、普段の食生活から考えてみりゃ分かんだろ。
 ……ケーキ山程なんて無理だって」
「でもでも、私と入れ違いに、かおりとすているが帰ってく時、二人の前で大見得切ってたもん!」
「ううっ…!? いや、まあ、あれはだな。お前が部屋に帰って来る前に、ステイルの野郎が、
 『君には、インデックスを満足させるだけのケーキを用意する余裕なんか、これっぽっちもないだろ?』
 つーて小バカにしやがったから、つい、その場の勢いで――」
「見栄張って言っちゃった、と。そういう訳なんだね」
台詞が途中で遮られ、インデックスへと正確に後が引き継がれる。
「うううっ…!? 全くもってその通りで御座りますです。はい」
「とうま、とうま。はっきり言うね。フッ、この甲斐性なし」
「て、てめっ!? いま鼻で笑いやがったな!」
「何言ってるのかな。根本的な原因は、と・う・まの方にあるんだよ。
 出来もしないこと言って、人に期待させといて。そんな人に、文句を言う資格なんてないかも。
 だいたいとうまは、いつもいつも女の子に期待させるようなこと無自覚で言っちゃってるんだよ。
 その気があるのかと女の子にさんざん期待させるわりに、後は知らんぷりだよね。
 これって、一体どう言う事なのかな。 釣った魚には餌はやらないって、すけこましの法則?
 なんで、いつもいつも女の子ばっかり助けちゃうんだよ。そう言う星のもとに生まれたのかな――」
「あっ、あのー、インデックスさん?」
上条には、インデックスが何を言っているのか、はっきり言って良く意味が分からなかった。
けれど、日頃の溜まった鬱憤をまとめて吐き出しているんだろうな、と朧気ながらも推測できる。
自分に非があるのが分かっていたので、暫くの間、黙って拝聴していたのだが、まるで終る気配がない。
(もっ、もう、勘弁しちくりぃぃ――――ッ!!)
大人しく我慢しているのも、そろそろ限界だった。
第一、お小言は、学校で毎日聞かされている小萌のモノで十分過ぎるほど間に合っている。
それに、そもそも上条は、人に説教するのは好きだが、されるのは苦手なのだ。
よって、独善上条は、何時もの常套手段の一つである“餌で釣ってうやむや作戦”を続行する事にした。

「本っ当ぉぉーに、スマンッ!!」
先ずは、遺伝子レベルで染み付いた土下座を綺麗に決めてみせる。
「その代わりと言っちゃあ何だが、財布に残ってた全財産はたいて、これを買って来た」
次に、床に置いた箱の包装紙を破り上蓋をオープンにする。と、周囲に甘い匂いが拡がっていく。
箱の中には、可愛らしい苺のショートケーキが4個並んでいた。
「お前と2個づつわけて食おうかと思ってたけど、俺は1個で我慢する」
無念の感情を抑え付け、相手の目を見据えて、あくまで譲歩を引き出す作戦に徹する。
「これで勘弁してくれ、これこの通〜り!」
仕上げに、ケーキの箱を捧げ持ち再度頭を下げた。

「ひょいぱく」「ひょいぱく」「ひょいぱく」「ひょいぱく」

(おや? やけに箱が軽くなったような……)
頭を上げると、目の前の箱の中には中身のないパラフィン紙と銀紙が空虚に転がっていた。
「俺の苺ちゃんがぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
大切に想っていた相手を理不尽に奪われた魂の慟哭が迸り、ギンッと射るような視線を仇に向ける。
「おひ……、なに全部食ってんだよ」
「もぐもぐ。食べてないよ」
「ほほう」
口を動かしながら素っ呆けるインデックスを、上条は静かな湖面のように凪いだ心境で見据える。
だが、げっぷ、とわざとらしく洩らした声を耳にした瞬間、心の中を紅蓮の炎が吹き荒ぶ。
ゆっくりと両手を伸ばし、ぷにぷにと柔らかそうな頬っぺたに触れる。
「おやー? オイタをしたのは、この口ですかあ?」
「いひゃい、いひゃい。とふまぁー、手を離ひゅんだほっ!!」
頬っぺたを、びろーんと限界まで引っ張ってやると、インデックスが抗議の悲鳴を上げた。
「口の周りに満遍なく付いてる、この芳しい生クリームさんはナンなんだ!!」
両頬を抓る上条の手を振り解いて、何としても頭に齧り付こうと暴れる超接近戦狙いのインデックスと、
そうはさせるか! とアウトサイド戦法を死守しようと抵抗する上条との、壮絶なバトルが始まった。
3863/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:02:00 ID:VwhOdg4j
「……楽しそうだよね」
双眼鏡のレンズに映る、上条とインデックスの様子を眺め、ステイル=マグヌスは物憂げに呟く。
夕暮れ時のそのビルには、普段見られる、業務に追われる人々の影さえ見られなかった。
考えようによっては、実に傍迷惑な人払いのルーンを刻んだビルの屋上で、ステイルは更に言い募る。
「本当に楽しそうだ。あの子はいつでも楽しそうに生きている」
「そうですね。それも、あの子の美点の一つでしょう」
独り言のようなステイルの言葉に、神裂火織が懐かしむように応えた。
「もう一度、あの子の側で、あの笑顔を間近に見たいとは思わないか?」
今度のステイルの言葉は、神裂への問い掛けだった。
「そっ、それは、出来れば、そうしたいとは思っています」
神裂は躊躇いがちに声を詰まらせ、
「ですが、何もこんな方法を取らなくても――」
「甘いな神裂」
弱気な考えを断罪する、ステイルの静かな声が届く。
「あの子との溝を埋める為に必要なら、僕は喜んで道化だろうが何だろうがなってやるさ」
声の中に秘められた強い覚悟に、神裂は言葉を失う。
「……そろそろ頃合みたいだね。それじゃあ、僕達も行こうか」
顔から双眼鏡を離し、ステイルが首を巡らす。
「分かりました」
二人は其々の荷物を抱え、足早にビルの屋上を後にした。

「ぐぬううううううううううううううううううううううううううううううううううッ!!」
「うぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎッ!!」
部屋の中に、上条VSインデックスのくぐもった雄叫びが轟く。
未だ決着を見ないとは言え、情勢は明らかに上条が不利に立たされていた。
床に縺れ合った体勢で、右側面から胴体を蟹バサミにされてしまい、右手の自由が利かない。
残された左手で相手の顎を押さえ、辛うじて噛み付かれるのを逃れているような有様だ。
しかもこれは、インデックスが頭に固執しているからこそ成立する僥倖に過ぎなかった。
(やっ、やべぇー!? 手が痺れてきやがった!)
無理な体勢が祟ってか、左手が悲鳴を上げる。
がしっ、と両手で上条の頭を捕らえ、いただきま〜す♪ と全力を振り絞るインデックス。
対して、左手一本で抵抗する上条が、おあがりなさ〜い♪ と召し上がられるのも時間の問題だった。
劣勢の上条は、一発逆転の打開策を唱え出す。
(だっ、誰か!? 誰か助ちけてぇえええ!? 神様、仏様、サンタクロースさまぁあああああ!?)

「ピンポ〜ン♪」

真摯な願いが聞き届けられたのか、来客を告げるドアホンが鳴る。
「暫し待て、インデックス。お客様がいらっしゃったようだ」
「ふえっ!?」
上条の慇懃無礼な呼びかけに、インデックスが間の抜けた声を漏らした。
(ょっしゃああああああッ!!)
インデックスの反応に、上条は心の中で快哉を叫ぶ。
今まで両者とも、頭に血が昇った白熱した闘いを繰り広げていたのだ。
そこに突然、相手から冷静な声を掛けられたらどうなるか。先ず大抵の者は、虚を付かれて動きが止まる。
普通に言ってもインデックスには通じないだろうと、瞬時に判断した上条の奸計であった。
床を両脚で思い切り蹴り出し、その勢いでズザァァ―――ッ!! と遠く離れた玄関へと一気に滑り込む。
ゴン! とドアに頭をぶつけ、目に火花が散るが今は構ってられない。ドアノブに左手を伸ばして――、
「に、逃がさないんだよ、とうま!!」
床を滑る勢いに手が外れ、インデックスは背中を仰け反らせていたが、今度は反動を使って勢いを付け、
上条の頭目がけ一直線に口から突っ込む。
「ガキンッ!!」「ガチャ!!」
二種類の金属的な音響が重なり合う。
間一髪、首を捻って獣の顎から逃れた上条が、見事、ドアを開ける事に成功していた。
玄関前に倒れ込みながら、喜びが溢れ出し、懐かしのヒーロー番組を見て覚えた歌詞を胸の中で口ずさむ。
(どこの誰かは知らないけれど〜、誰もがみ〜んな知っている〜♪)
窮地を救ってくれた正義の味方にお礼を言おうと、寝転がった体勢のまま首を後ろに仰け反らせる。
ちょうど真下から見上げる格好になった上条が、立っている人物に向け感謝の第一声を発した。
「はい?」
3874/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:03:00 ID:VwhOdg4j
「……なあ。おい、神裂」
「な、何ですか、上条当麻。その抗議する様な視線は?」
顔にべったりと靴跡を刻印した上条の恨みがましい視線に、神裂はつっーと目線を逸らせる。
「いきなり顔を踏み付ける事はねーんじゃねーの? たかがパンツ見られたぐらいで」
「たっ、たかがって!?」
「あっ、いや、ほら前に風呂場で、お前の裸見たこともあったなーと思い出し――」
「ッ!?」
神裂は片手を伸ばし、上条の口を顔面ごと鷲掴みにして塞ぐと、押し殺した声で囁く。
「忘れなさい。今すぐ両方とも記憶の底から抹消してしまいなさい」
聖人の膂力に顔の骨をミシミシと軋まされ、上条は涙目になってコクコクと頷く。
「くれぐれも忘れないように。口外したら許しませんよ」
死のアイアンクローが解除され、歪んだ骨格を揉み解しながら上条は安堵の息を吐く。
(忘れろ、忘れるなって矛盾したこと仰りますけど、上条さんはどうしたら良いんでせうか?)
もちろん自分の体の大切さを思い知った上条は、この事を口に出す愚挙は犯さなかった。
その代わりと言っては何だが、別な疑問を提示してみる。
「大体なんだってそんな格好してんだ? まぁ、今更お前がどんな格好して来ようが驚かねーけど」
これも以前体験した事だが、入院先の病室での出来事は、上条に鮮烈過ぎるインパクトを与えていた。
その時の衝撃に比べたら、まだこちらの方が一般的だと言える。
「私だって、好きでこんな格好している訳ではありません。似合わないのは、自分でも分かっています」
「えーっと、率直な感想を言わせて貰うとだな」
プルプルと拳を振るわせる神裂に気圧されてしまい、上条は何かコメントしなくてはとの思いに駆られた。
炬燵に足を突っ込んで座っていた自分を口止めする為、神裂はすぐ側まで移動して来ている。
脇に突っ立っているその全身を、取り敢えず上から下まで隈なく眺めてみた。

神裂の今日の服装は、昨日のラフな格好とは様変わりしている。
赤いベロアを基調にした布地と、それを縁取る白いファーが衣装を構成していた。
頭にかぶった帽子がクニャと倒れ伏し、垂れ下がった白いボンボンが顔の横で可愛く揺れる。
肩に羽織ったケープと腕の半ばまで覆うグローブのふわふわ感が、凛とした神裂の生硬さを柔らげていた。
体を被う箇所はツーピースに別れており、大胆に開いたベアトップの胸元から覗く乳房の谷間の陰影と、
ちらっと見える細いウエストラインが、セクシーさとチラリズムを強調し、上条の劣情を刺激する。
慌てて目を引き剥がし、下の方に目線を移動させる。
セミタイトスカートが、腰の艶かしいラインを浮き彫りにさせ、長く形の良い両脚がすらりと伸びていた。
心臓をドクドク言わせ、脚を見下ろしていった上条だが、綺麗な形をした爪先を目にして動きが止まる。
(……あれ? 思ってたより、ずっと小さいんだな、神裂の足って。女の子の足だ)
普段は、がっしりしたウエスタンブーツに覆われていて気付けない、隠されている本来の姿。
露になった素足の華奢さに、上条は戸惑う。
(聖人、魔術師、そんな強いレッテル以前に、俺とちょっとしか歳も違わない……女の子だったんだな)
そんな当たり前な事に気付かされ、今まで思い至らなかった自分に恥じ入る。
上条は、少し呆然として小さな足に見入っていた。
3885/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:04:00 ID:VwhOdg4j
「……あ、あの、上条当麻。どこを見ているのですか?」
下を向いて動かない上条の視線を気にしてか、神裂が短いスカートの裾を押さえ恥ずかしげに口を開く。
「へっ!?」
「私の、その、脚なんか見てもしょうがないと思いますが」
「ああ……。悪い、ボーッとしてた」
声をかけられ、上条は夢から覚めたような呆けた返事をし、改めて目の焦点を合わせる。
神裂はスカートの裾を引っ張る無駄な努力を続けながら、もじもじと肉感的な太腿を擦り合わせていた。
(うおおっ!? け、健康的な男子高校生に、こ、こりは刺激が強すぎませんかあ!?)
扇情的な光景に理性が危険信号を発し、ブンッ! と勢い良く首を真横に逸らせる。
Ouch! 首に走った痛みに本格的に意識が覚醒したのか、ふと先ほどの神裂の発言を思い出す。
「えー、っとだな。しょうがなくはねーんじゃねーか」
上条は横を向いたまま、否定的な見解を発表した。
「は…あ?」
だが、意味が良く伝わらなかったのか、神裂が妙な顔をして曖昧な声を出す。
「いや、だ・か・ら。オマエの脚には一見の価値があるって、そう言ってんだよ」
ヤケクソ気味になって、はっきりと言ってやる。
「ッ!? ななな何の冗談を言ってるのですか、あなたは!?」
「別に冗談とかで言ってるんじゃねーよ。わりかし本心からの意見なんだけどなー」
ぎぎぎっと首を正面に戻すと、改めて神裂の全身をチェックして、
「そのサンタの格好も似合ってると思うぜ」
「あの、こう言うのは、もっと可愛げのある女性の方が似合うんじゃないかと……」
「いやいやいや、神裂さん。上条さん的に、目のやり場に困るほど似合っているのですが」
「そそそそうですか?」
「そうとも。もっと自信を持て、神裂」
上条は徐に立ち上がると、ガシッと神裂の両肩を掴み真っ直ぐに目を見据えて熱っぽく諭す。
「自信、ですか?」
「お前って、長身の上スタイルも良いんだからな。おまけに、その、客観的に見ても美人だし」
「!?」
神裂は目を円くして硬直する。頭の中は上条の言った台詞がぐるぐると回っていた。
「この格好にしたって、セクシーサンタの殿堂入りになっても、ちっとも不思議じゃないぜ!!」
恥ずかしい台詞を続け様に口にしてしまった上条は、最早、自分でも何を言っているのか分からない程、
テンパりまくっていた。
「このまま、ずっと部屋にいて欲しいくらいだぜ!!」
「ずっと部屋に……ですか?」
「おうとも!! ずっと俺の側にいてくれ、神裂」
神裂は、よく回らない頭の中で上条の言葉の意味を反芻する。
力強く情熱的な瞳が、射抜くように真っ直ぐに自分の瞳を捉えて離さない。
「あ、あなたにそう言って頂けただけで、私は……」
見詰め合う神裂の瞳が、涙で潤み始める。
その表情を目にした瞬間、肩を掴んでいた上条の手が緩み、とさっとケープが床に滑り落ちた。
肩から胸元にかけての素肌が剥き出しとなり、上条の目の前に飾ることなく晒される。
神裂は咄嗟に手を上げ隠しかけたが、躊躇いがちにその手を途中で止めた。
「……お、おい、神裂。やけに顔とか、その、首の下なんかも赤くなってねーか?」
「!?」
ビクッ、と神裂の体が震え羞恥に身を竦ませる。
上条に指摘されるまでもなく、胸の鼓動の早まりと、のぼせるような熱さから、その事は自覚していた。
胸の奥に湧き上がる気持ちを伝えようと口を開きかけたのだが、驚きにより動きが止まる。
真っ赤に染まっているだろう自分の顔へと、上条の顔が近付いて来たからだ。
キュッと手に力を入れ内心の動揺を抑え付けると、神裂は目を閉じて唇を差し出した。
コツン、と小さな音を立て、二人のオデコが触れ合う。
「熱は……ない、みてーだけど?」
「???」
意味不明の台詞を呟き遠ざかる上条の顔を、開いた目をパチクリさせて神裂が見送る。
「もしかして風邪か? そういや聖人って、インフルエンザとかに罹患したりすんのかな?」
そこんとこどうなんだ? と至極真面目な顔で尋ねられた神裂は、
「あっ、あなたと言う人は……」
プルプルと全身を震わせ皺枯れた唸り声を漏らすと、再びデスクローで上条の疑問に答えた。
3896/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:05:00 ID:VwhOdg4j
顔面を押さえ、床でひとしきり悶絶していた上条だったが、驚異的な回復力を如何なく発揮し復活する。
涙で霞む目を瞬いてみると、何時の間にやら炬燵の一角に、神裂がちゃっかりと潜り込んでいた。
(一度ならず二度までも……)
むくりと起き上がり、不退転の決意を胸に神裂へと向き直る。
(上条さんのキュートなお顔は、リンゴや胡桃割りのパフォーマンス用じゃねーぞ!!)
文句を言おうと口を開けたが、一言も声が出せずに、パクパクと金魚の物真似に興じる。
何故なら、神裂が唇に薄い笑みを貼り付け、少しも笑っていない目付きでこっちを睨んでいたからだ。
(恐っ!? な、ナニがなにやら分かりませんが、生きてて申し訳ありませんでしゅぅぅ――っ!!)
空想世界で、ぺこぺこと何度も土下座を繰り返し、神裂大明神様に必死に許しを請う。
触らぬ神に祟りなし。この言葉の意味を、上条は身を持って体得するのだった。

仕方なく文句を言うのは諦めたが、ここで少し疑問に思っていた事を聞いてみることにする。
「しっかし、どっから調達して来たんだよ、それ?」
再びケープを羽織り露出度を控え目にはしているが、そもそも普段の格好とのギャップがあり過ぎた。
「神裂が自分で買うわきゃねーだろうし――、んん!? もしかしなくても、またアイツかあ?」
顔を顰めながら、壁を隔てた隣の部屋を凝視する。
壁から浮かび上がるように、サングラスをビッカーッ! と光らせ高笑いするアイツが見えた気がした。
「ステイル用はそうなのですが、これを用意したのは残念ながら土御門ではありません」
アイツと言う単語だけで、上条と完璧に意思疎通を成し遂げた神裂が溜め息を吐く。
「ああ。やっぱ、アイツが一枚噛んでステイルの衣装用意したのか。それなら納得だなーって――、
 いいっ!? じゃ、じゃあ、神裂のは他の誰かが用意したってことか!?」
「ええ。ですから、残念ながらと申しました」
「土御門以外に、こんな酔狂なモン用意するヤツいんのか?」
一般人がネタで買ったりするのは分かるが、聖職者にサンタコスプレを平然と渡すヤツが他にもいるとは、
上条は驚きと共に、聖職者達の規律の乱れを憂慮してしまった。
「そ、その、お恥ずかしい限りですが。イギリス清教内には、困った者が後二名ほど居りまして」
「土御門の同類が二人も!?」
「いえ、流石に土御門ほど酷くはないとは思いますが、性質は似たような物かと」
「――で、今回は、その内の一人って訳なのか。誰だよ一体?」
「これは、バカ女……失礼、最大主教が用意しました」
「はあああ!? 最大主教って一番のお偉いさんだろ? まったく、何やってんだか」
「それは、私も全くの同意見なのですが――」
神裂は声を途切らせ、当日の状況を思い返していた。
3907/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:06:00 ID:VwhOdg4j
「神裂ぃいいい!? ステイルと日本に行きけるというのは本当なの!?」
ドバンッ! と豪快に自室のドアが開けられ、最大主教ローラ=スチュアートが部屋に転がり込んで来た。
「ええ。これから直ぐにでも空港に向かいますが、部屋に入る時はノックをしてからにして下さい」
出立の準備をしていた神裂は、多少驚きながらも、やんわりとマナー違反をたしなめる。
「そ、そんなぁ〜。せっかく神裂の分も用意したるのにぃぃ〜」
「あなたが何を落ち込んでいるのかは知りたくもありませんが、私の分と言うのは?」
「今度のクリスマスパーティーで着る衣装のことでありけるのよ」
「は?」
「いや、やはり私一人だけというのも恥ずかしゅうことでもありけるし、盛り上がりに欠きてと思いて、
 ほら、これを用意していたのだけれど」
ローラは、手に持っていたビニール袋に包まれた赤と白が入り混じった衣装を神裂に手渡す。
「露出度の最前線たる神裂には、それに相応しきモノにて敬意を表せねばと思いて、ほら見て見て、
 ミニスカサンタをバージョンアップにせし、セクシーサンタにしたるのよ」
「何故、私がこんなのを着なくちゃいけないんですか!」
「ナニを言いてるの、神裂。二人でサンタ衣装を纏いて歌い踊りければ、受けし事は明白なりなのに。
 せっかく今日の公務はキャンセルして、二人で特訓を始めたらんと思い描きていたというのに……」
はぁ〜、と盛大な溜め息を吐き、へなへなと床に倒れ伏して失望感を全身でアピールするローラ。
「急遽、日本行きをステイルから言われた時は戸惑いましたが、私にとっては幸運だったみたいですね。
 あなたの悪ふざけに付き合わなくて済む、正当な理由が出来ましたから」
安堵の笑みを浮かべ、神裂はビニール袋を返そうとローラに近付く。
「それは日本に持ちて行きけるのよ、神裂」
ローラが床に倒れたまま顔を神裂に向け宣言する。
「はあ!?」
「ステイルが日本行きを決意したるのは、私が先日それをステイルに見せし事が原因、と思いけるのよ。
 なれば、必ずや日本にて必要になりけると私は確信したるのよ」
「ちょっと待って下さい。これを見て、ステイルは日本行きを言い出したんですか?」
「うむ。目の色が輝きにけるから間違いなしよ。ナニやらイベントを企画せし匂いがしたるわね。
 こうなりては、それに参加したりて大いに場を盛り上げし事が神裂の責務、と私は思いけるのだけれど」
「どうして私がそんな事しなくちゃならないんですか!? そんな事出来ません!」
「安心するのよ、神裂。こんな事態もありてと思いければ、ほら裏に振り付けを書きていたの」
袋を裏返して見ると、手足を曲げたり、くるくる回る棒人間が矢印付きで幾つも描かれた紙が入っていた。
グシャッ、と袋を掴んだ神裂の手に力が篭る。
「私が考案せし、このオリジナルの振り付けさえあれば完璧。受けは貰ったも同然なのかしら。
 時は短しといいけるも、私もロンドンにて応援したるから神裂も頑張りてマスターせしよ♪」
「やかましいこのド素人が!!」
「ッ!?」
「さっきっから黙って聞いてりゃベラベラと!!
 そもそもテメェがサンタの衣装なんか用意しやがったのが根本的な問題なんだろうが!!」
口調が変わった神裂が、ローラの頭目がけ袋を投げ付ける。
寸前でゴロゴロ床を転がり回避したローラだったが、神裂が旅行鞄を手にするのを見て慌てて立ち上がり、
「ひっ、ひいいい!? すている、ステイルーっ!!」
助けを求めて、脱兎の如く部屋の外へと逃げ出した。
追跡劇は玄関にまで及んだが、運良く女子寮まで神裂を迎えに来ていたステイルに遭遇したローラは、
長身の影に隠れ、追って来た神裂に向け強気で言い放つ。
「セクシーサンタを持ちて行けなしなら、最大主教の名に置いて日本行きは御法度にせしよ!!」
「ステイル退きなさい。このバカ女を成敗してやります」
神裂が腰を落として七天七刀の鯉口を切る。
「いい加減にしないか、神裂。飛行機の時間に間に合わなくなる」
「ですが――」
「最大主教に何を言っても無駄なのは、君も良く分かっているはずだ。構うだけ時間の無駄だ」
「ステイル!? 何気に酷き事を言いけると思うのだけれど?」
「最大主教、神裂には持って行かせますので邪魔しないで下さい」
「……う、うむ」
苛々と殺気立つステイルに、二対一になられては不利だと感じたローラは大人しく引き下がった。
一方、納得いかない神裂が何か言いかけるが、ステイルは片手を上げてそれを制止する。
「文句は飛行機の中で聞かせてくれないか、頼む」
神裂も渋々ながら、この場はステイルの顔を立てて矛を収めた。
3918/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:07:00 ID:VwhOdg4j
回想を終えた神裂は、ブンブンと何往復も首を横に振り回し、忌々しい思い出を叩き出す。
もっとも、その行為の一尾始終を見ていた上条の目には、神裂がサンタ帽子の白いボンボンを揺らせて、
パフパフと頬を叩いている可愛らしい仕草にしか見えなかったのだが。
「あの時はそれしか選択肢が無かったとは言え、ステイルが少々強引に話しを纏めてしまいまして、
 これを持って来ざるを得ない状況になってしまったのです」
「詳しい状況は分かんねーけど、別に持って来るだけで着る必要は無かったんじゃねーのか?
 ステイルの野郎が強引に着させたって線は、物理的に無理がありそうだからな」
そんな事をしようものなら、まずボコボコに叩きのめされるのが落ちだろうな、と簡単に予測できた。
「はあ。元より私も着るつもりは無かったのですが――」
言い難そうに言葉を濁す神裂。
――では何故? と上条の頭に疑問が浮かんで来たが、続く説明であっさりとそれは氷解する。
「ステイルが覚悟を決めたみたいに、あの子の為に道化になるのも厭わない、と私に言ったものですから、
 私もあの子の為になるのなら、とつい思ってしまいまして」
「なーんだ。やっぱ、おまえのお人好しが徒になったのか。人が良過ぎんのも困りもんだな、神裂」
「あなたにお人好しなんて言われたくありません! 何処まで自分の事を棚に上げてるんですか!」
「うおおっ!?」
「少しは自分の言動を顧みて御覧なさい! いつもいつもあなたは――」
「ストップ、ストップ、すとぉぉ――――――っぷッ!!」
やばい! と上条は少し前に見た光景を思い出し、慌てて神裂を止めに入る。
暴食魔人に続けて憤怒聖人の説教コンボを喰らうのは、是非とも勘弁して貰いたかった。
「わっ、分かりました。神裂さんが御苦労なさっている事は十二分に理解致しましたとも。
 ところで、ステイルのヤツは、自分からあれを着てんのか?」
神裂の怒りの矛先を逸らす為、ステイルへと話しの矛先を向ける。
「ええ。今回の件はステイルが発案したみたいですし、正直言って私も対処に困っていた部分があります」
「道化になる、って格好付けんのは別にイイんだけどさー……」
上条は神裂から少しだけ視線をずらすと、後ろの光景を眺め、溜め息混じりに言葉を吐き出す。
「サンタやピエロすっ飛ばして、いきなり赤鼻のトナカイになってどーすんだよ、アイツは!?」
四つ足のトナカイの着ぐるみが、背中にインデックスを乗せ部屋の中を闊歩していた。
「上条当麻。今さら君は、何を当たり前の事を言ってるんだ」
上条の声を聞きとがめたトナカイが、ぐるりと大きな頭をこちらに向ける。
「そこまで堕ちやがったか、ステイル」
「以前にも言ったはずだ。この子の為なら僕は何だってする、と」
「あー、確かにそんな風なセリフ聞いたような記憶あるけどさー。それって、こう言う意味だったのか?」
「それは愚問だね。僕はたった一つの願いを叶える為に、この子の笑顔を見る為にだけ存在している。
 この子が笑ってくれるのなら、それらの全ては僕自身の誇りへと繋がっているのさ」
(……どうして、こう俺の周りには、思い込んだら一直線みたいなのが多いんだろ?)
またしても自分の事は神棚に祀って置いて、上条はそんな考えを抱く。
こっちを向いている頭部の中で、ステイルが唇の端を曲げ、ニヒルな笑みを刻んでいる光景が浮かんだが、
(そんな格好でされても、バカにしか見えないんだけど。ん? バカって馬鹿だよな。鹿だから別にいっか)
ほとんど投げやりに、再び歩き出したトナカイを見ていることにする。
「こんどは、あっちに行って欲しいかも♪」
ハイよー、シルバー! とマスク・オブ・ゾロになりきり、馬上から号令をかけるインデックス。
ヒヒーンッ! と嘶きを上げ、スピードアップで応えるステイル。
(トナカイってのは馬じゃなくて鹿だろーが、鹿ぁッ!! サンタさんに謝りやがれッ!!)
喉まで出かかったツッコミを辛うじて飲み込む。
そうして、楽しそうなシスターと、早くもヨロヨロとよろけヘバリ始めている神父を交互に見比べる。
(まぁ、本人が幸せなら、それはそれで構わねーんだけど……)
トナカイ―ご主人様の命令に忠実に従う奴隷―を見詰める上条の瞳には、言い様のない悲哀が漂っていた。
3929/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:08:00 ID:VwhOdg4j
「ところでさー、神裂。そのでっかい白い包みは?」
涙を誘う光景を振り払おうと、上条は違う話題を振ってみる。
幅1メートル高さ1.5メートル以上の物体が、神裂の脇に置かれていた。
「ああ、これですか。色々あって、すっかり忘れてました」
ひょい、と軽い動作で神裂が包みを目の前に持ち上げる。
眼前に迫った物体に、上条は反射的に右手を出しかけたのだが、
「触らないで下さい。これの外装と中の空間には、とある術式が施されています」
有無を言わせぬ神裂の声に、ビクッと手を引っ込めた。
「出発までの短い時間で、女子寮の皆がオルソラ指揮の元、総出で作ってくれた物なんですから。
 せっかくの好意を、あなたも無碍にはしたくはないでしょう?」
テーブルの上にゆっくりと置かれると、炬燵の足がギシッと軋む音を鳴らす。
「やけに重そうだな」
「重さはそれ程でもないのですが、嵩張るので持ち運びには少々苦労しました」
神裂が軽々と扱うので中身がすかすかだと思っていたのだが、とんだ間違いだったようだ。
一般人と聖人の筋力の差を改めて認識し、顔面がずきずきと痛み出す錯覚を覚えた。
上条には意味不明の言葉の羅列を神裂が口にする。
包みが淡く青白い光を放つ。表面に幾筋もの横線が現われ、上部から蛇腹の様に折り畳まれ始める。
発光がおさまった後の炬燵テーブルの上には、白い巨塔が聳えていた。
「あなた達、二人の為に作ったクリスマスケーキです」
「……これ、ウエディングケーキの間違いじゃねーのか?」
「わ〜い。大っきいケーキだあ♪」
天辺を見上げて素朴な疑問を抱いた上条だったが、インデックスにはそんな細かい事など関係ないらしい。
包みが解放され、辺りに漂い出した甘い匂いに誘われ、子犬のように素っ飛んで来た。
目を輝かせてケーキに見入ると、部屋の中を走り回って喜びを表現し始める。
その様を見た上条は、ふと数刻前の出来事を思い出した。
(そっか。あの時、幻視した光景は未来予知だったのか)
巨大ケーキの周りではしゃぐインデックスを見て、俺にもこんな能力があったのか、と感慨深げに頷く。
「あれ? ナンか忘れてるような……?」
頭を傾げて疑問符を浮かべたが、直ぐに思い至った。
「ステイル!?」
そう広くもない部屋を見回すと、部屋の隅に打ち捨てられたトナカイの残骸を発見する。
献身的に主人に仕えた後に残されたのは、壊れた玩具がポイ捨てされる無常さのみだった。
目頭が熱くなるのを感じ思わず目を背けかけたが、トナカイがとある雰囲気を纏っているのに気付く。
屍の様に横たわるトナカイの姿からは、どこか大切な仕事を遣り遂げた漢の充実感が滲んでいた。
「無茶しやがって……」
上条は華々しく散った英霊に向かい、手向けの敬礼を送った。

過酷な労働に従事した結果、虫の息になってしまったステイルは放っといて、上条は神裂に声をかける。
「……で、これはどうやって切り分けるんだ?」
眼前に聳える偉容を眺め、現実的な問題点を指摘する。
「家には、こんなのカット出来るような長い包丁なんてねーんだけど」
一番長い刃渡りの物でさえ、真ん中まで届きそうもない。
「それに、一刻も早くしねーと、インデックスのヤツがダイビングをかましそうだ」
はしゃぐのを止めたインデックスが、ランランと目を光らせながらジリジリとにじり寄って来ていた。
「仕方ありませんね。あまり、こんな事に使いたくないのですが」
上条の危機感を帯びた質問に、神裂はボソッと答えると、スカートの裾を気にしながら立ち上がる。
その手に携えられているのは、神をも両断するとさえ言われている七天七刀。
「お、おい!? それ本当に使っちゃって良いのか?」
「はやく、はやく、はやく、はやく!」
上条とインデックス、まるっきり意味の違う二種類の声援をその身に受け、神裂が裂ぱくの気合を放つ。
「はッ!!」
研ぎ澄まされた剣技が、クリスマスケーキへと存分に揮われ、空間に閃光の軌跡を走らす。

「「おォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」」

二人の感嘆の叫びと拍手喝采の音が一つに重なり、部屋に大きく響いた。
39310/10 ◆NNsrxnn4LE :2009/12/20(日) 01:09:00 ID:VwhOdg4j
隣の部屋から響いて来る騒々しい音に耳を傾け、土御門元春は苦笑を浮かべる。
(ねーちんとステイルが日本に来るって聞いた時には、これでクリスマスの予定もパーかと嘆いたが――)
昨日の朝早くに、突然ステイルから連絡があり、今から日本に行くと告げられたのだ。
用意してくれと頼まれた物品名を聞いて、土御門は目眩を感じた。
どう考えてもステイルと上条との間に一悶着が起こり、後始末に忙殺されるのが目に見えたからだ。
前々から、くれぐれも今日の予定は空けといてくれと頼まれていた土御門としては、まさに晴天の霹靂、
上条の不幸が感染したのかと天を仰ぐ気持ちだった。
(まさか、カミやんが大人しく引き受けてくれるとはにゃー。お陰で今夜はのんびり出来るぜい)
「にゃー、舞夏」
苦笑をおさめると、今日の約束の相手である義妹の土御門舞夏に声をかける。
「学校の友達とか、お隣さんみたいに、大勢でパーティーをする方が良かったんじゃないかにゃー?」
「んー、皆でワイワイやるのも好きだけどなー。兄貴と二人きりで過ごす方がもっと好きだぞー」
土御門の心の琴線をくすぐる台詞を、さらりと口にする舞夏。
和んだ気持ちがそうさせるのか、壁を隔てた騒音が、今日という日を賑やかに演出するBGMに聞こえた。
「兄貴ー、あーん」
「にゃっ!? あ、あ〜ん」
クリスマスケーキを一掬いフォークで切り分けた舞夏が、土御門に差し出す。
オレに、こんな素敵イベントが!? と驚愕したが、これを断るのは己の存在理由を否定するに等しい。
自らの生き様に照らし合わせて結論を導き出すと、顔をこれでもか! とニヤケさせてケーキを頬張る。
「なーなー、美味しいかー?」
「う〜ん。舞夏の料理は最高だにゃー」
まさに至福。土御門は天にも昇る想いで甘いケーキを味わった。
「もっと食べなー。ほら、あーん」
満面の笑顔を見せる舞夏の甘い誘いに、土御門は白旗を振って陥落し口を開く。
せっせと土御門の口にケーキを運ぶ舞夏の手の動きが、加速度的に速くなって行った。
「ちょっと、お皿とか片付けてくるー」
空っぽになったケーキの箱や皿などを持って、舞夏が台所へと消えて行く。
椀子蕎麦の絶妙なコンビネーションでケーキを完食した土御門は、まだまだあるテーブルの料理を眺める。
己の胃は、お腹いっぱいだにゃー、と訴え掛けているが、舞夏が腕を揮った料理を残すと言う選択肢など、
義妹萌えの自分には端から在りえるはずがなかった。
(オレは……オレは……禁書目録になりきるぜい!!)
隣室におわす並ぶ者なき大食い王者の面影を胸に秘め、ある種、悲壮とも言える覚悟を決める。
そして、ケーキの一気食いで渇いた喉を潤そうと、先ほど栓を抜いたシャンパンをグラスに並々と注ぐ。
底から沸き立つ幾つもの気泡の揺らめきが、ゴクリと喉を鳴らせて誘惑する。
(よく冷えてて、美味そうなんだにゃー)
手に取ると、グラスがびっしりと冷たい汗を大量にかいていた。
そのまま一気に飲み干そうと口にしかけたが、ふと思い留まり手の動きを止める。
(おっと、忘れてたぜい。その前に――)
土御門は隣室の壁に向けグラスを掲げると、ささやかな感謝の言葉を捧げた。

「Merry Christmas カミやん」



……2〜3レスのネタのつもりが……トリ付けときます。
394名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 01:54:35 ID:OiHXvD3f
>>384
素晴らしい!
素晴らし過ぎる!
そして、
ねーーーーーーーーちーーーーーーーーーーーーん!
お久しぶり!!!やっぱあなたが一番好きだ!
かわいい!!!!かわい過ぎる!!!!!!
みんな幸せな最高のクリスマスを拝見しました。ありがとうありがとう。

あとは、ぜひだれか木山先生に幸せなクリスマスを…
無理かな……
395名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 02:28:48 ID:G88ZFd07
良い感じの作品だ
頑張ってください
396名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 08:33:20 ID:7mIDasEs
>「おうとも!! ずっと俺の側にいてくれ、神裂」
>神裂は、よく回らない頭の中で上条の言葉の意味を反芻する。
>力強く情熱的な瞳が、射抜くように真っ直ぐに自分の瞳を捉えて離さない。
>「あ、あなたにそう言って頂けただけで、私は……」
>見詰め合う神裂の瞳が、涙で潤み始める。

何故だろう。ずっと本編でこの二人のこういうシーンが見たかったはずなのに。
なのに「この二人はこういうこと言ってくれそうに無い」という違和感を感じてしまうのはw
哀しいなあ。俺の中にある「上条らしさ」「神裂らしさ」はお互いを求めることが無いのだろうか。

神裂さんの中にある天然リーダー気質と責任感をも上回るほどの想いを未だ本編で感じ取れて居ないせいか。
早く本編でもこれが違和感なく受け入れられる展開が来て欲しいものだ
397名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 08:45:50 ID:EVieeC5c
乙です
本編インデックスさんはクリスマスに関して物凄いウンチクを披露してくれると期待している
398名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 09:07:31 ID:lbMTjfoU
おおお、すげーいい雰囲気!
上条さんのクリスマスは、こんな風に
騒がしくインデックスと過ごすのが一番似合ってる気がするよ。
399名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 21:40:34 ID:wegJkryb
最近は、どの書き手さんも長いのを書くんだにゃー
400:2009/12/20(日) 23:31:33 ID:RYDyLfFV
こんばんは、初投稿させていただきます潤(じゅん)です。
通行止め小説「守るべき光、白く汚された希望。」を投下します。
以下の注意書きで「無理だ」と思われた方はスルーを推奨です。
・未来設定(一方さん21歳、打ち止め16歳)
・砂糖吐きそうなスイーツ(笑)文章
・ひたすら地の文が続く
・一方さんがオトメンっぽい
・前半はシリアス、後半ただのバカップル
・性描写がぬるい

小説初挑戦で不慣れですが、どうぞお付き合いください。
401守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:32:28 ID:RYDyLfFV


一方通行には、守るべき光があった。
それはとても小さくて、儚くて、今にも風で吹き消されてしまいそうな弱々しいもので、
それでも、さんざん打ちひしがれてきて、さんざん人を殺し続けた一方通行の凍った心を暖めて解かし、ささや
かな希望さえも与えてくれた。

彼は、その光を守り抜くと誓った。
『彼女』という光を消そうとする敵が現れたなら、たとえ自分がどうなろうとも、細胞ひとつ残さずに叩き潰す
、と。
たとえ自分みたいな悪党には不相応でも、
たとえ何を壊してでも、
血で汚れきったこの手で『彼女』を闇の世界から救い出してみせる、と。

一方通行には、守るべき光があった。
だが彼のような人間には、『彼女』に、女性としての幸せを与えることは出来なかった。
闇に狙われ続ける『彼女』を、物理的に守るのは自分しか居ない。
だが、『彼女』を愛して幸せにしてやる人間は、自分ではない。
自分であって、良い筈がない。そう一方通行は考えていた。


一方通行は既に、引き返せない程に『彼女』を大切に思っていた。
それでも、さんざん血を浴びすぎていた自分の、そんな独りよがりな思いで、
『彼女』を、愛して良い筈が無い。
『彼女』を、慈しんで良い筈が無い。
『彼女』を、この手で汚して良い筈が無い。
その想いが、彼の溢れ出そうとする激情を食い止める、唯一の砦だった。
彼は、そう心に決めることで『彼女』への――打ち止めへの止まることを知らない愛しさも欲情も独占欲も、全
て自分の中で無理矢理に封じ込めて殺してしまおう、と。
そう決めていた。


一方通行には、守るべき光があった。

だが今の有り様は、彼が思い描いた関係とは、あまりにもかけ離れていた。


彼は、見慣れた自室のベッドに腰を下ろさせられていた。
苦い表情とは裏腹に、その華奢な四肢には抵抗する力が込められておらず、身体はふらふらと頼りなさそうに揺
れる。
打ち止めが、妹達の代理演算を一部中断して、一方通行の行動の自由を奪っているからだ。現在、彼の身体は打
ち止めの手によってバランスの演算が出来ない状態にされ、杖にすがっても立ち上がることが難しいレベルにま
で行動を制限されている。
その打ち止めは、ベッドにへたりこむ一方通行の前方で両膝をつき、彼の顔を正面から見据える体勢となってい
る。薄桃色の小さな花の刺繍に彩られた白地の下着の上から、それと揃いのデザインの、肌の色がわずかに透け
たキャミソールしか着ていない格好は、およそ年頃の少女が異性に平然と晒せるものでは無い。現に打ち止めは
頬をうっすらと赤く染め、時折恥じらうように視線を下に向けている。
それでも、彼女が一方通行を解放することは無かった。
思いつめたような彼女の表情は、彼への深い愛情と、僅かな切なさで満たされている。
「……打ち止め」
何のマネだ、と一方通行が問い詰めようとした時には、打ち止めの唇が彼の開きかけた口を封じていた。
「ッ!?」
目を見開く一方通行をよそに、打ち止めは唇を押し割り舌を侵入させる。彼の口腔に広がるものは、この少女し
か持ち得ない、何処か甘ったるいような味だった。
頭に熱が昇る。
歯車が外れたように、一方通行の思考が空回りする。
いつの間にか、彼の身体は真っ白なベッドシーツへと押し沈められていた。
402守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:33:25 ID:RYDyLfFV
瞳を固く閉じ、無我夢中になって深い口づけを続ける打ち止め。けして上手とは言えない技巧だが、伸ばした茶
色の髪がまとう甘い香りや、時折唇から漏れる切なげな声、彼の胴に擦れるように触れてくる肌着越しの柔らか
な胸の感触は、少しずつ、彼を狂わせていく。
「っ……、」
その少女の温もりが、たちまち一方通行の『砦』を焼き切らんとする。
無理は無かった。愛しいと思う女にこうして執着されることに、まだ若い彼が何よりも揺さぶられるのは当然と
も言える。だがやはり、悔しかった。肉欲に流されそうになる今の自分が、途方もなく情けない。
自分の自制心とは、こんなものでしか無かったのか、と痛感した。

長い口づけの後、唇を離した打ち止めは、紅潮した顔や荒くなった息を隠す余裕も無く、
「……ごめんね、こんなことして」
そう告げると、自分が自由を奪った一方通行の手を持ち上げ、自らの両手で包みこんだ。
彼女のか細い肩は、小刻みに震えている。
「……でも、あなたが、ミサカの気持ちを分かってくれないからなんだよ?って、ミサカはミサカは責任転嫁の
言い訳をしてみる」
その眼差しは切なさで揺らぎ、寂しがる子供のように幼げにも見える。
「あなたに、分かって欲しかった。……ミサカは、『誰か』じゃなくて。『あなた』と一緒に居たいだけなの」

柔らかい声音で、囁きかけるような言葉。
それはまるで、血にまみれた怪物を手なづけるように、恋人を心から慈しむように、
そして、孤独な英雄を堕落の底に堕としめるように。
打ち止めは極めて優しい挙動で、捕えた一方通行の右手を、自らの左胸に押しつけた。
彼の指先に触れる、繊細なレース越しの、女性としての柔らかさ。
「、やめろ」
「やめない、ってミサカはミサカは拒絶してみる」
静かな即答。
一方通行の掌に、彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。
小さな小さな、生命のリズム。
彼は、これを途切れさせないために学園都市の全ての闇と戦ってきたのだ。
学園都市最強の怪物が、血と泥にまみれて、分不相応だと分かりながらも、ただ我武者羅になって守ってきた少
女。
光を守るために。
だからこそ、彼は彼女から身を引いた。
彼の全ては、打ち止めの幸せを思っての行動だった筈だ。
可能ならば、彼女の目の前から消え去って、見えない所から彼女を守っていたかった。だがそれは出来なかった
。彼女の愛する世界には厄介なことに、自分自身が含まれていることに気付いてしまったから。もしくは、彼自
身もまた、この光の温もりを諦めきれなかったからかもしれない。
ならせめて、自分は影になろう、と。光を支え、それでも決して光と交わることの無い影になり、彼女を守りつ
づけよう、と。
馬鹿馬鹿しくても良い。
彼女にとっての自分の存在意義など、
それで構わない。
それだけで、構わない。

これが、彼の全てだった。

一方通行には、守るべき光があった。


だが、もしも、

「あなたにだったら……ミサカは、汚されても、本望なのに」

もしも、所詮その理屈は、打ち止めに正面から向き合えなかった自分を正当化して、彼女から逃げ出すための免
罪符でしかなかったのだとしたら、
もしも、彼の『傷付けたくない』という思いが、逆に打ち止めを今まで苦しめ続けていたのだとしたら。
もしも、彼女をここまで追い詰めたのが、他でもない自分自身だったとしたら。
これまでの一方通行は、何と愚かだったことだろうか。
403守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:34:24 ID:RYDyLfFV

「クソったれが……」
悪態をつく一方通行。
胸に当てられた右手が、ずるりと落ちた。演算の制限も、彼女が無意識の内にいつのまにか解除されたらしい。
自分に覆い被さる少女の瞳は、ただ静かに涙をこぼしていた。

彼女が、自分を想って泣いてくれているのなら、
その涙を、自分自身が止めてやりたい。彼は自然と、そう思うことが出来た。

光とか影とか、そういった理屈はもう、どうでもいい。
彼女を泣き止ませることさえも出来ない悪党が、一体何が守れるというのか。

彼の思考回路を縛り付ける理屈はもう、取り払われていた。
彼女のために、彼女を汚す。
今彼が行わなければならないことは、それだけだ。

†††

「……オイ、動くぞ」
「っ、え」
ぼんやりとした調子で声をあげる打ち止めに構わず、彼は身体を起こした。
それまで彼を押し倒すような体勢をとっていた打ち止めは、一方通行が起きあがったことによって、自然と彼の
膝に腰を下ろして向き合うような姿勢になる。
どうしたのか、と打ち止めが戸惑っていると、
「上向け」
顔を上げた彼女のすぐ目の前には、一方通行の端正な顔があった。
あ、と打ち止めが声を上げる間も無く、彼の唇が彼女のそれへと触れる。
「――!!っ、ぅ……んっ、」
先程彼女から仕掛けたように、舌が忍び込む。容赦無くかき回され、熱い粘膜を舐め上げ、時には歯茎をなぞる
ようにして、だんだんと蹂躙は深まっていく。繋がれた唇の端から、どちらのものともつかない唾液が彼女の顎
を伝って落ちていった。
打ち止めからの稚拙なそれとは比べようも無いほど、圧倒的な熱を伴う口づけ。
それはつまり、今まで彼がどれだけ自分の欲情を押し殺してきたのかを暗に示しているのかもしれない。
「ん……んっ、ぁ……っ!」
今まで感じたこともないような強い快楽を引き出され、打ち止めの頭はおかしくなってしまいそうだった。
息が苦しい。
彼女がそう感じると、まるでそれを察知したかのように、一方通行が唇を離した。
ぐったりとした打ち止めの身体が、彼の細い腕に支えられる。
「っは、ぁ……」
久方振りの酸素を吸い込み、打ち止めは必死に息を整えようとする。仕掛けてきた一方通行はというと、どうや
って息継ぎしているのか彼女には分からないが、苦しげな様子は無かった。顔色にも特に変化は見られない。た
だ、瞳の色がいつもの彼とは何処か違った。
打ち止めの濡れた唇を指先で拭いながら、一方通行が低い声で囁く。
「――犯すってのはこォいう事だ。俺がオマエを壊しちまわねェって保証は、何処にも無ェンだよ」
「……、」
「覚悟は、イイのか」
鋭い視線が、少女を射抜く。
彼の赤い瞳は、それまで打ち止めが見たことの無いような熱量を帯びていた。
彼女を抱き寄せる腕は、まるで囚人を拘束する蔦のようにきつく絡み付く。

これが、彼の本気。
けれど、打ち止めに後悔は無かった。
彼の言葉は乱暴だった。だが、それは他でもない打ち止めの身体を心配しての最後通帳だということを、彼女は
分かっている。
「――勿論だよ」
「……、怖ェなら早めに言え、止める努力はしてやる」
大丈夫、の返事代わりに口づけをする。相手の唇に軽く舌を這わせると、一方通行は一瞬目を見開いた後、それ
を受け入れるように口を薄く開いてくれた。
先程までの、互いが相手を襲うようなキスとは違う。熱がこもらない、それでいて暖かい、まるで子供の戯れ、
もしくは誓約のように。
404名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 23:34:32 ID:BjYt9zMu
ヲイヲイ今回のスレは職人さんが大量にいるから久々に500KB越え行けるんじゃねーの!?
只今281KBなり〜
405守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:35:02 ID:RYDyLfFV
繋がれた唇は――陳腐な表現をするならば、甘く甘く溶けていくようだった。


涙なら、もう止まっている。
後悔などしない。
彼を焚きつけたのは、自分自身だ。

自ら望んで、その腕の中に飛び込んだのだから。

†††

かつて幼かった少女の身体はいつの間に、これほどに『女』へと変貌していたのだろうか。
「ゃ、う……、ん」
薄手のキャミソールの下から手を忍び込ませ、華奢な腹から胸へと指先を滑らせた時、一方通行はそんな事を考
えさせられざるを得なかった。
邪魔なそれを脱がせると、可憐な下着に彩られた胸元が露わになる。小さめなふくらみの柔らかな傾斜は、淡い
陰影をその白い肌に落としていた。
「……」
一方通行は無言で、手に握ったキャミソールを適当に床へ放り、自分のシャツも手早く脱ぎ去る。
「……お、女の子の胸見て、そのローテンションっぷりってどういうことなのかな、ってミサカはミサカはふて
くされてみるんだけど」
やや茶化すように唇を尖らせる打ち止め。ようやくいつもの調子を取り戻したか、と一方通行はこっそり安堵し
たのだったが決して顔には出さない。
「……なんか、怒ってる?ってミサカはミサカはあなたの顔色をうかがってみたり」
「地顔だ」
そう簡単に言ってやった後、片手を打ち止めの胸へとあてがう。滑らかな肌は、しっとりと吸い付くような感触
を彼の指へと与えた。
「ひゃっ、ってミサカはミサカは」
くすぐったかったのか驚いたのか、打ち止めは小さなな悲鳴を上げる。揉む、というほどの力は込めずに、指の
腹で下着からはみ出た肌を撫でるようにしていると、彼女の声にくすぐったさとは違う艶っぽい響きが混ざり始
めた。
「んっ……はぅ、あ」
「……」
もっと。
もっと、彼女の声が聴きたい。そんな衝動が彼の脳をほんの一瞬支配し、
ぐっ、とその手で乱暴にブラジャーを胸の上へと押し上げる。
「っ、やぁ……っ」
本来隠すべき箇所が露になり、急に冷たい外気に晒されたせいか白い肌が粟立ち、ぶるっ、と打ち止めが肩を身
震いさせる。
「寒ィのか」
「へい、き……っ」
苦しそうな声で返答する打ち止め。彼女の動きに応じてふるりと震える小ぶりな胸のふくらみを、一方通行は暖
めるように掌で包みこんだ。あっさりと手の中に収まってしまう彼女のそれをやわやわとほぐすと、打ち止めが
切なげな声を漏らす。
「ぁ……あ、んっ……」
そのまま慣らすように片方の胸を揉んでいると、あっという間に彼女の肌が赤く染まってゆく。所在なさげに揺
れるもう片方のふくらみの中心、果実のように色を持った突起に、彼は吸い寄せられるように口づけた。
ひぁっ、と打ち止めの喉から息を飲む音が漏れる。
痛々しいほどに過敏になった先端を口に含み、舌で転がす。
一方通行は右手を彼女のショーツの中へと潜らせた。
細い中指が打ち止めの秘部に触れると、熱い粘液が大量にその指へと絡み付く。
「あ……ぁッ!?」
極力痛みを与えないように注意を払いながら、指を一本、浅く沈める。きつく締め付ける内壁の感触に、軽く眩
暈すら覚えた。
入り口付近を指の腹で擦り、浅い挿入を繰り返す。次第に大きくなる水音が四角い部屋へと響いていく。
襲いかかる責め苦に、少女はひっきりなしに悲鳴を上げた。
406守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:35:38 ID:RYDyLfFV
「ぁ……あっ、や、あ……!」
上擦った声が、一方通行の耳朶へと心地よく流れ込む。肌の甘い匂い、切なげな表情、熱を秘めた眼差し、今の
彼女の全てが一方通行の情欲を煽った。
「っ」
そして、彼は少女に最後の追い討ちをかける。
かりっ、という小さな音を鳴らし、口に含んだ胸の鋭敏な箇所に歯を立てた。
「あっ、ぁああああ……ッ!」
痛覚に限り無く近い快感を受け、打ち止めが電流に打たれたように叫ぶ。細い肩がびくびくと跳ね、肌に薄い汗
がにじんでいった。
どうやら、軽く絶頂を迎えてしまったらしい。
数瞬経つと、彼女は操り人形の糸が切れたかのようにぐったりと力を抜き、向かい合う彼に正面から体重を預け
た。素肌の胸に頭を寄せ、余韻に耐えるように華奢な胴にすがりつく。
「……は、っ」
ショーツの中の指を引き抜き、自分にもたれかかる彼女の身体を抱き締め、一方通行は息を吐いた。
気付けばもう、彼の呼吸は乱されていた。
腕の中の少女の快楽を追い詰める度に、自分もまた、追い詰められているような錯覚を覚える。
少女と肌を合わせているうちに増幅していった肉欲は、ひとつの終止符を求めて今にも暴れだそうとしていた。
彼女の甘い声のトーンを聞く度に下腹部に走った、血が集まるような熱い感覚。ジーンズの中で、自身は少しず
つ形を変えつつある。
「っ……、一方通行……?」
荒い息を整えきれていないまま、打ち止めが身体を起こす。
彼女の視線の先にあるのは、一方通行のジーンズに巻き付いたベルト。
「……ミサカだけ、気持ちよくなっちゃうのは……ずるいと思う、ってミサカはミサカは、形勢逆転に、挑んで
みたり」
小さく呟き、彼女はベルトに手をかけた。
かちゃかちゃ、と金属の擦れる音が耳につく。
彼女が何をしようとしているのか、分からないほど彼は無知では無かった。
「……やめろ、必要ねェ」
「でも、」
制止しようとしている間に、彼女はベルトをこじ開けてしまった。打ち止めは体勢を低くして、ファスナーを静
かに下ろす。
ズボンのフロント部分を緩めてしまったことで、下着の布地が露になる。彼の自身が下着を押し上げはじめてい
ることは、異性の身体を初めて見る打ち止めにも分かった。
布地の上から、少女の細い指先が昂った自身をなぞる。
「っ……」
息を飲む。間接的でもどかしい刺激を受け、彼の下腹部に熱が集まっていく。
「……嬉しいんだよ?あなたがミサカの身体で、こんなに反応してくれた事が」
熱に浮かされたような虚ろな瞳で、それでも彼女は微笑む。微笑んでくれる。
「……、」
彼の抵抗が、一瞬遅れた。
そして、それを見逃す打ち止めでは無かった。
下着を引き下げ、隆起した彼自身に触れると、慣れない手つきでその側面を撫ではじめたのだ。
「……っ!」
我に帰ったように彼女の手を取ろうとするが、一度得た快楽に身体は従順になってしまい、彼女を戒める手に力
がこもらない。
彼の手に動きを押さえられながらも、打ち止めは手を上下に動かして自身を扱き、先端を親指の腹で擦りあげる
。拙い奉仕を受け、どくん、と彼女の手の中のモノが脈打った。
「……っく、……」
一方通行の視界が霞む。言いようの無い心地好さに、気を抜くと、意識をも手放してしまいそうだった。
肌を擦る音に、微かな水っぽい音が重なる。先端からにじむ先走りが、打ち止めの手を汚していくのが分かった

「ッ……!」
焼け付きそうな快楽に襲われ、正常な声が出てこない。そんな彼を追いつめるように、彼女はその小さな口をも
使い、愛撫により熱を込めていく。
尖らせた赤い舌で先端をえぐる。それに反応して反り返った自身がびくりと震えるのを見ても、打ち止めの行為
は止まらない。
打ち止めの口の大きさには不釣り合いなまでに膨張した彼自身を無理矢理にくわえ、唇で締め付けた。
407守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:36:13 ID:RYDyLfFV
「んっ……ん、ふ……、ぅ」
時折苦しそうな吐息を漏らしながらも、彼女は自らの喉の奥までそれを押し込み、懸命にその頭を上下に動かそ
うとする。
そんな彼女の丹念な奉仕に、次第に追い込められていく一方通行。学園都市最強の座を確固たるものとして
いるその頭脳すら、その断続的な快楽の前では無意味に等しかった。
しかし、彼はここで果てる訳にはいかない。
「やめろ……つってンだろォが、クソガキ!」
飛びそうになる理性を総動員させて、打ち止めの両手首を捕まえる。
掠れた声での制止の言葉は、あまり説得力が感じられるものでは無かったが。
「ふ……ぁ、って、ミサ、カは、ミサカは……」
完全に手を封じられた打ち止めがようやく緩慢な動きで顔を上げた。その表情は何処か、恍惚としているように
も見える。茶色の瞳には涙が滲み、呼吸は苦しそうで、まるで熱でもあるかのようだ。それだけ、この行為に没
頭していたのだろうか。小さく開いた口許は、唾液とも何ともつかないモノでべったりと濡れていた。
「……オマエは黙って、寝てろ」
それだけ言うと、彼は再び少女の身体を横たわらせ、腕で自分の体重を支えながら唇を塞ぐ。
途端に口に広がる嫌な苦味に一方通行はわずかに眉を寄せるが、構わずに舌先を口内へと滑らせた。
舌どうしを絡め、打ち止めの身体から抵抗する力が抜けていくのを確かめると、彼は唇を離す。彼女の胸の上に
たくし上げられたままの下着が目障りに感じ、引き千切るように取り払った。
陶磁器のように滑らかな彼女の肌に、幾度となく唇を落とす。たちまちに、形のよい鎖骨の辺りに赤い痕が散っ
ていく。
「う……んっ、ん」
抱きしめた身体は華奢ながらも柔らかく、熱い。喉から時折漏れる高いトーンの声、刺激を与える度にびくびく
と震える肢体、砂糖菓子のように甘く香り立つ肌。彼女の全てがぞっとするほど官能的で、一方通行の背筋に電
流のような衝動が走り抜けていった。

分かっている。
自分は今、紛れも無く彼女を汚している。
この行為は、何も知らずに、ただ一途に彼のことを想っていてくれた少女に、一方的に自分の欲望をぶつけてい
るだけに等しい。
それは、分かっている。
だが、
それがどうしたと言うのか。
暗闇の頂点に君臨し、幾多もの命を暇潰しの玩具のように扱い、恐怖と悪意を振り撒き、他人も、自らをも血と
肉にまみれさせて、それでもなお笑っていた、狂気の殺人鬼。
もう誰も傷付けたくなくて、ひたすらに他人を拒絶し続け、いつしか人の痛みも温もりも忘れてしまった、孤独
な少年。
彼女は他でもない、そんな一方通行を求めてくれたのだ。

一方通行は彼女を離したくない。
彼女を、苦しませたくはない。
だからこそ。
「……寝てろ」
一言だけ繰り返し、打ち止めの頬を撫でる。
「……、うん」
甘えるように目を閉じる彼女の瞼に、そっと口づける。

目の前の少女が、ただ愛しい、という感情を。
かつて孤独だった怪物は、知ってしまったのだ。

††††

彼の限界は近かった。
余裕など、とっくに消えかけていた。
「ん、ぁ……あ、っ!」
彼女の秘部に挿入した二本の指をかき回し、内壁を慎重に広げる。打ち止めが悲鳴じみた甘い声をあげる度に、
彼の指の隙間から愛液が溢れた。それは太ももを伝い流れ落ち、シーツに水溜まりを作っていく。
「ん……っもう……ミサカは、大丈、夫……だから……」
産まれたままの一糸まとわぬ姿となった打ち止めが、掠れた声で告げる。柔らかくほぐれたその箇所はもう、彼
を受け入れる準備を整えていた。
408守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:36:45 ID:RYDyLfFV
「……、あァ」
それを聞きいれた一方通行が、首元のチョーカーのスイッチを切り替える。
彼の身体は、通常モードでは杖をつかなければろくに歩くことも出来ない。無理な体勢を強いられる行為には、
どうしても能力使用が必要だった。
ベクトルを操り、ベッドに仰向けに寝転がる打ち止めの上に覆いかぶさるような体勢をとる。
「膝立てろ」
打ち止めが言われるがままに膝を浮かせると、しっとりと汗ばむ白い太ももを一方通行の手によって広げられる
。べたべたに濡れた秘部を彼の眼前に晒される打ち止めは、羞恥に身をよじらせた。
「……っ!ん、ぅ……」
「……痛ェ時には強がンじゃねェぞ、言え」
そうして、反り返った彼自身の先端を、入り口にそっとあてがう。彼を受け入れようとうごめく熱い感触に、今
すぐにでも奥深くまで挿れてしまいたいと言う衝動が引き起こされる。
「ッん……ぁ、あ、あ……!」
角度を変えるために先端を擦り付けると、打ち止めの肩がびくりと揺れる。幾度かそれを慣らすようにあてがっ
たあと、
昂った熱を、彼女の中へと押し込んだ。
「――あ、……ぁああああああああああッ!?」
正真正銘の、悲鳴が上がる。
ベッドが弾み、ぎしぎしとスプリングが軋んだ。
丹念に和らげた筈の内壁は驚くほどきつく、むしろ苦しいほどの刺激を一方通行にもたらす。背筋をしならせる
打ち止めの表情が示すものは、けして快楽だけではないのだろう。現に、自身を突き挿れる箇所から漏れる、ど
ろりとした感触には僅かに血液が混じっていた。
「――っ、は……」
引きつれた傷口を出来るだけ広げないように注意を払いながら、少しずつ深く、彼女の中心を貫いていく。
ベクトル変換の能力を用いて、彼女の痛みを緩和させる。完璧に消し去ることも可能なのだが、彼はそれを避け
た。打ち止めからの反応が無いと、一方通行の方も手加減が出来ず、彼女の身体を壊してしまいかねないからだ

代わりに操作したのは、快楽の電気信号。内壁に流れる微弱な生体電流を掌握し、より強いものとして彼女の脳
に叩き込む。
「――ひぁッ!?あ、あああああああぁっ、んぅ……っ!」
想像し得ないほどの衝撃に、打ち止めの唇からは無意味な声がこぼれるだけだった。ごぽ、と呼応するように愛
液が溢れ出し、一方通行自身の潤滑をたちまち容易にさせる。涙が、彼女の頬を伝っていった。
突き立てる杭が、ぬかるみのように沈み込んでいく。絡み付く熱さに、目に映る景色が霞んでいくのを自覚した
一方通行は息をつくのがやっとだった。
「ッ……く……、」
このままでは、何もかも持っていかれる。
神さえも恐れていないつもりだが、自分を見失ってしまいそうなこの現状に対しては、何処か恐怖に近いものを
覚えた。
自分を支える芯が、音を立てて崩れていく。
辛うじて理性の崩壊を繋ぎ止めるものは、背中に回されるか細い腕の、爪が肌をひっかく僅かな痛みか。
……くっだらねェ、と声にならない声で唇を動かし、彼女の底をノックするように腰を動かす。
「ゃ、あんっ……!」
まさぐるようにして、一部を掠めると打ち止めが跳ねるように首を反らした。一方通行は微かに笑うと、一際感
じるらしいその箇所を執拗的に突き上げる。
「ふぁ、ああぁああ……!や、っ何、これぇ……!?」
これまで、与える刺激に素直に悶えるだけだった打ち止めの顔に初めて拒絶のような表情が浮かぶ。
恐らくは、感じたこともないほど大きな絶頂の前ぶれの、初めての感覚に戸惑っているのだろう。
「こ、わいっ……て、ミサカはっ、ミサカは」
快楽に震える身体をちぢこませ、脅える子供のように涙を浮かべる彼女。
一方通行が、残酷なほど単調な言葉で問いかける。
「っ……、やめるか?」
「――ッ!!」
弾かれたように、打ち止めは首を横に振った。離れないで、とでもいうように背中に回された腕の力が強められ
る。
ある程度の打算をもってそのような『脅し』をしてしまった自分に、わずかに嫌気が差した。
「……チッ」
その小さな舌打ちは、果たして少女には聞こえていただろうか。
奥まで挿し込んだ自身をほんの少し引き、再び突き上げる。幾度もそれを繰り返し、彼女の身体を揺らす度に熱
がねっとりと絡み付き、彼の限界を誘う。
ぎしぎしと音を鳴らし、ベッド全体が生き物のように揺らいだ。
409守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:37:20 ID:RYDyLfFV
「っ、く……!」
生理的な反応でに瞳が熱くなり、視界が滲む。
溺れていくとは、こういうことなのかもしれないと頭の片隅で思いながら。
少女の頬にいくつも跡を描く涙を吸い、唇を塞ぐ。打ち止めのくぐもった嬌声が耳に甘く響く。
「あっ……や、もう……っ!」
さんざん焦らされた限界は、ようやく少女に訪れた。
一方通行が一際深く彼女の中心に食い込ませたところで、
「あっ、ぁあああああああああああああああああああああ……!!」
彼女の意識が、飛んだ。
身体が跳ね、突き立てた彼自身を容赦なく締め付ける。そんな彼女に応じるように、一方通行は彼の全てを最奥
に叩き込んだ。

††††

しばしの間、一瞬のような永遠のような恍惚の時間を手にした一方通行は、彼女を解放して呼吸を整えた後に、
片手で前髪をかき上げ呟いた。
「……どォすンだ、コレ」
悩みの原因は、ベッドシーツである。
後先考えず暴れたおかげで白いシーツはグシャグシャになってしまっている。
おまけに、達した直後の一方通行がとっさにベクトルを変換して彼女の中に吐き出した熱を全てかきだしてしま
ったのが災いして、直視できないような染みをシーツに作ってしまったのだ。
万が一のことが無いようにするためには仕方が無かった措置とはいえ、これでは素直に避妊具を買う方が数倍効
率的だったかもしれない。
「……タイミングを見計らって洗濯機にでも適当に突っ込ンでおけばイイか」
彼が投げやりに結論づけ、シーツを引き剥がして部屋の隅に丸めて放ると、
「……よ、ヨミカワたちにバレないかな、ってミサカはミサカは……冷や汗をかいてみる」
ベッドの上で、いつぞやのように毛布にくるまっている打ち止めが、途切れ途切れといった調子で呟く。
ようやく口が聞けるようになるまで回復したようだが、起き上がる気配は無く、前髪の間から覗く顔色は悪い。
元々あまり身体が丈夫でない打ち止めには、想像した以上に過酷な行為だったのかもしれない。
「……バレるとかバレねェとかってのは今更かも知ンねェけどな」
「?」
一方通行がうんざりと息を吐く。
思えば先程は随分と騒がしく致した気がする。明日の朝には例の保護者に「新婚初夜はいかがでしたじゃんよー
?」などとからかわれそうで、考えるだけでもこの上無く鬱陶しい。
床に投げ捨ててあった下着やジーンズを拾いあげる一方通行だったが、一目確認して嫌そうな顔をすると引き出
しから下着の替えを取り出した。
ジーンズを身に付けた一方通行は、打ち止めの方を向く。
未だぐったりと寝そべる打ち止めの、羽織った毛布の隙間からわずかに見える胸元や鎖骨には幾つもの赤い跡が
うかがえる。それを本能のままに残したのは自分だという事実に思い当たると同時に、あの時触れた彼女の柔ら
かさがフラッシュバックする。静まった筈の熱が再びくすぶりだしそうになり、彼は目をそらした。
「……オイ、立てるか」
一方通行の問いかけに、打ち止めは力無く首を横に振る。
やはり、まだ痛むのか。
「……、」
「――あ、でっでも……、あなたのせいじゃないよ?ただ……ちょっと、疲れちゃったっていうか……全然大丈
夫、だから……その、心配しないで、ってミサカはミサカは、両手をわたわた振ってみたり……」
眉を寄せる一方通行に対して、何やら顔を真っ赤にしてゆるく両手を振る打ち止め。力の抜けた声はごにょごに
ょと聞こえなくなっていったが、「あなたのせいじゃない」――その言葉を鵜呑みに出来るほど一方通行は鈍感
でも楽観主義者でもなかった。
「(チッ、無理しやがって……)」
苦いものを噛み締める。彼女を無理矢理シャワールームまで担いでいってしまおうかとも思ったが、さすがにや
めておいた。
壁に立て掛けておいた杖を引き寄せ、ベッドから立ち上がろうとすると、
きゅ、と右手を掴まれる。
「……行っちゃ、やだよ、ってミサカはミサカはお願いしてみたり」
弱々しく、けれどじんわりと熱が伝わる掌の感触。
410守るべき光、白く汚された希望。:2009/12/20(日) 23:37:52 ID:RYDyLfFV
引き留められた一方通行は、再びベッドに無言で腰を下ろす。
毛布に埋もれた小さな少女の髪に触れ、解かすように撫でる。
「……寝ろ」
側にいるから。
そんな思いを込めて、あの日の晩に幾度も言っていた一言を呟いてやると、打ち止めはふんわりと微笑んだ。
「……もはや口癖になってる、」
そして彼女もまた、昔と同じ言葉を囁いた。
「って、ミサカは、ミサカは……」
しかし、彼女の口調は途中から不鮮明になっていく。
唇をもごもごと動かすと、余程疲れていたのか、やがて打ち止めはそのまま寝息を立てはじめたのだった。
「……、ちっとは警戒心持てっつの」
先程まで彼女を犯していた男の台詞とは思えないが、今はそれについて突っ込む輩も居ない。
電池が切れたように眠る打ち止めは、親の側で安心しきった子供のように安らかな表情を浮かべている。
彼女の、絹のように滑らかな髪を撫で、一方通行は一人思う。
(必ず、守ってやる)

犯され、汚され、それでもなお彼の元で微笑んでくれるこの少女を、
何に代えても守る、と。

たったひとつの愛しき幻想を、守り続けよう、と。
彼は、誰にともなく誓ったのだった。


END


411:2009/12/20(日) 23:38:38 ID:RYDyLfFV
投下終了です。
ちなみにその頃黄泉川センセーはというと、もち米と小豆を求め深夜のド●キに走っていた……とかなんとか。

私がのろのろ書いているうちにAサイドさんの素敵な通行止めが投下されていて、
前戯の流れが少し被ってしまっているのに気付いたのですが、もはや書き直す気力も無く
そのまま投下しました。Aサイドさんや皆さん、オリジナリティが足りなくて申し訳ありません…orz

今度はもっと明るいノリの話を書きたいと思っています。シリアスは疲れますし、最後まで維持できませんし←
次は通行止め風呂ネタとかかな…?もっとエロい描写を目指して頑張(ry
上インとか浜滝とかも好きなので、また挑戦したい次第であります。
それでは、おそまつさまでした。
412名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 23:44:31 ID:lCaAkeEB
イイヨイイヨー
413名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 00:02:20 ID:EuDqri+T
GJ
414名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 00:20:45 ID:MK9HV+g8
ハァハァハァ…
GJ
415名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 00:59:13 ID:M+8aPU/p
これはよい通行止めSSですね。
惜しみないGJを差し上げます。

>浜滝
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
416名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 04:52:46 ID:nWKxj0iH
>>411
通行止め大好き
もっと書いてー
417名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 10:37:01 ID:eTSI1Z86
>>393
雰囲気と言うか、全体的に自然でよい文章GJ!

>>411
通行止め甘甘GJ!
エッチ導入も自然で良かったです。
ただあんまり先入観を持たせるような前書きや、濃い後書きはマイナスイメージを助長するので程々に。

今スレ久々1000を見ないで終わりそうな予感しますね!
418名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 11:20:39 ID:go5sisWF
>>411
やべえやべえ萌え死ぬ
GJ!心からGJ!
419Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:46:15 ID:h/sXI3Kq
皆さんこんにちは。
土日は良作続きで良かったです。
と、ここでおふざけSSを投下させて下さい。
神裂×上条、シチュ、キャラとも無茶苦茶ですが悪ふざけと思ってご容赦のほど。
『世界のマ乳から』5レスで投下します。
でわ。
420『世界のマ乳から』1/5 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:51:09 ID:SiUMDyO/



 そこは、テレビ局のスタジオのような一室に作られた、ごくありふれたリビングを模したセットだった。
 そのセットに置かれたロングソファーの上で目覚めた上条当麻は、照明の眩しさに目をしばたかせながら辺りを見回した。
「っぅ……。どこだここ? 確か○ックで急に眠くなって……」
 見渡す限り人の姿はまったく無い。
 すると、セットの向こう――スタジオとの境に置いてある液晶モニターが文字を映し出した。
「え? 何だ……、『世界のマ乳から。この新しい企画は毎回、上条当麻がフラグを立てたけしからんおっぱいの持主をゲストに迎え、おっぱいについて熱く語ろうというものです。あなたはその司会進行に選ばれました』……」
 読み終えたとたん、上条の顔を伝う滝のような冷や汗。
「帰る! いや帰らせろッ! こんな……、絶対ヤバイってこんな企画、絶対に無理……」
 上条がモニターに向かって取り乱していると、リビング内にチャイムの音が軽やかに鳴り響く。
「ぇ……? 『早速お客さまが来ました。うれしそうにお出迎えして下さい』って出来るかッ!」
 するともう一度チャイムが。
「『お知り合いをあまり待たせてはいけませんよ』って……だから出来る訳が……」
 そこに三度目のチャイムの音が、上条の背中を押すように鳴り響く。
「く、ぅぅぅ……。くそッ、どうなっても知らねーからな……」
 そして渋々出迎えるために、リビングの奥のに設けられた玄関に向かう。
「俺が何したっつんだよ……、不幸だ……」
 そう呟きながら玄関のドアを開けた。
「上条当麻。お久しぶりです……」
「ほら来た。やっぱ神裂来た。何かそんな予感したんだよ……。げッ!? し、しかもそれはいつぞやの堕天使エロメイド(かっこう)」
 そこで液晶モニターにさらりと文字が浮かぶ。
「何が『初の第一回目のゲストはイギリス在住の神裂火織さんです』だッ! こんなもん二回も三回もあってたまるかッ! 神裂ッ! 大体テメーはどーしてここに居るんですかッ!」」
「世界のマ乳からのゲストとして呼ばれたのですが?」
「そこ! キョトンとするところじゃねーからッ! 『早くゲストをご案内して下さい』じゃね――――――――――ッ!!」
 と、怒り心頭で絶叫しても逃げられない――セットを破壊して逃げようと殴る蹴るしたのだがびくともしなかったのだ――のでまたもや渋々従わざるをえない。
「っくしょ……、意外と頑丈に作ってあるなこのセット……」
 そうぶつぶつ言いながら、乱暴に神裂の隣に腰を下ろす。
「上条当麻。怪我はありませんか?」
「ああ、これくらい何と……ぶッ!? カ、カカ、カンザキサン?」
「はい。何でしょうか?」
「ヒョ、ヒョノケシカランムニェハ……?」
 そう言って上条は、五割増強調された胸の谷間を指差す。
 このはみ出しっぷりは、あと数センチで大事な部分が見えるかもしれない。
「いえ……、ソファーに座ったらこのポーズ――両の二の腕で胸を挟む――を取るように指示が。ほら……」
「ヨシッ! グッジョブ――じゃねえッ! 『それではまず最初に柔らかさを確かめながらけしからんおっぱいのヒストリーを聞いてください』とかふざけんなッ!」
「わ、私の胸がこのようになり始めたのは9歳の頃……」
「9歳からこんなに育っ……て神裂素直過ぎッ!? てか無闇に従うんじゃねえ! 『ツッコミが早すぎ。もう少し落ち着いて進行を』って誰のせいでこうなってると思ってんだぁぁぁああああああああああ!!」
 立ち上がって絶叫したあと鼻息も荒く乱暴にソファーに座りなおした上条は、
「上条当麻。とりあえずこれを飲んで落ち着いて下さい」
「おう、サンキュ」
 神裂が差し出したコップの中身を一気に飲み干す。
421『世界のマ乳から』2/5 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:51:45 ID:SiUMDyO/
「旨ッ!? 何ですかこのステキなドリンクは?」
「天草に口伝のみで伝わる秘伝のスタミナドリンクです」
「へー、スタミナドリンクねー……。なッ!? スタミナドリンクぅ?」
「はい。滋養強壮に効果があるとかで……。そ、そのぉ……、死者も元気になると言うのはそう言う事だったのですね……?」
「何の説明? てか恥じらいながらどこ指差してうぉ!?」
 神裂の指差す先を見て上条も、スタミナドリンクの効き目――自身も見た事が無い程すごいテントを張る股間――に驚きの声を上げた。
「おいッ、何が『ナイスハプニング』だ――神裂も笑顔でブイサインなんかするんじゃありませんッ!」
 上条の剣幕にしゅんとなる神裂だったが、やはり気になるものは気になるようで、
「だ、大丈夫なのですか? 痛くないのですか?」
「な、何がですか?」
「い、言わせたいんですか? 言わせたいんですね。そうですか……言わせたい、と……。よしッ」
「何ですか今の気合と拳……? いい、いい、いいです。聞きたくありませんからいらん覚悟を決めないでくださいまし」
「ぇ……そうですか」
(今度はあからさまなしょんぼり顔)
 上条は、背中に冷たいものを、股間にはズキズキと熱いものを同時に感じて、おどおどと視線を彷徨わせる。
「ん? 『とにかくさっさとけしからんおっぱいの柔らかさを確認して下さい』ってふざけんなッ! 大体神裂だって……なあ?」
「わ、私の事なら気にしないで下さい……。覚悟なら出来ています! さ、さあ、煮るなり焼くなり」
(ここには俺の味方はいないのね……不幸だ……)
 しかし、上条に改めて身に降り掛かった不幸を噛み締めている暇は無い。
「さ、ど、どうぞ」
「ぐっ」
 肉感的な胸を下から持ち上げる様に強調しながら迫る神裂に、上条の心がグラリと揺れる。
「さ、え、遠慮はいりません」
「ぅぁ……くそぉ……、もうどうにでもなれッ!」
 ついにソファーの端まで追い詰められて逃げ場を失った上条は、目をつぶると神裂目がけて右手を突き出した。
「きゃッ!?」
 神裂から、彼女らしからぬ女の子らしい黄色い悲鳴があがる。
 一方の上条は、
(や、柔らけ……これは癖になるな……。特に、この全てを包み込むような何とも言えない温かい感じは……)
 と、そこである違和感に気付いて、上条は恐る恐る目を開けた。
「!?」
 上条は目の前の有様と己の所業にギョッとした。
 それはそうだろう――上条の右手は、手首の先が見えなくなるほど胸の谷間に埋まっていたのだ。
 そこに上目遣いの神裂と目が合う。
「ど、どうですか上条当麻? そ、その、私の胸は?」
「あ? ああ、温かくって軟らかくってよろしゅうございますぅ」
 そこまで会話を交わしたところで、二人ともはっとした表情をすると、顔を真っ赤にして押し黙る。
 するとそこで、液晶モニターに新しい指示が。
「何、『感触の次は重さをお願いします』ぅ!? どうやっ……『ぺろんと剥いて下から持ち上げて下さい。簡単でしょ?』って、俺を殺す気かッ!? いや殺す気だろッ!!」
422『世界のマ乳から』3/5 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:52:41 ID:h/sXI3Kq
 そまで叫んで、はたと思いついて、恐る恐る神裂の顔色を伺ってみるが、
「……お手柔かに」
 またしても覚悟が出来ていないのは上条(じぶん)ばかり。
「おい神裂。どうしてそこまで……? 何か誰かに弱みでも握られてんのか?」
「弱み? いえ、全く」
「え? そうなの」
 あまりにもあっさり否定されたので、付け入る隙さえ見当たらない。
「さ、そそ、そんナコトヨリリリ……」
 緊張のあまりに引きつった笑いを浮かべた神裂が、またもや胸を強調しながら上条に迫る。
 その緊張は上条にも伝播して、
「ハハハ、ハイイッ!」
 ギクシャクとぎこちない手つきで、神裂の胸をかろうじて隠していた布に手を掛けると、ぐいと下に引っ張った。
 その瞬間、まさに『ぼよん』と言う擬音が似合うほどに、神裂の白い胸がこぼれるように飛び出して来たのだ。
「うわッ!?」
「きゃッ!?」
 交錯する2人の悲鳴。
 さらに上条は、見た目の圧倒的な質感に何を勘違いしたのか思わず、
「お、落ち――」
 神裂の胸を掬いあげる様に手を伸ばしてしまった。
 結果、指示の通りに神裂の胸の重さを堪能する事になる。
「うわ……」
 たっぷりとした肉の重みと柔らかさ、温かさが伝わってきて思わず指に力が入ってしまう。
「あんッ」
「あ、ごめん」
「……や、優しくお願いしますね」
 気まずい雰囲気を和ませようと、はにかんで見せた神裂の恥じらいを含んだ笑顔を見た瞬間、上条は神裂をソファーの上に押し倒していた。
「上条当麻!?」
「か、神裂ッ。お、俺は……、お、俺っ、俺ぇ――――――――――ッ!!」
「だ、駄目です!? 初めてはもっと暗い場所で……」
 と言いながらも全く抵抗らしい抵抗を見せない神裂。
 そして、度重なる精神的重圧におかしくなった上条は、
「ふははははははは。抵抗するな神裂。何でだと思う? それは、そレハオマエハオレノヨォ――――」
 決定的な一言を口にしようとした瞬間、
(それ以上は駄目だッ。くそぉぉぉおおおおおおおおおお、蘇れ俺の理性ッ!! 俺が『神裂は俺のヨメ』って思うなら、俺はッ――――)
 上条の瞳に理性の光が、そして。
「――――俺の幻想をブチ殺ぐぼぉッ!!」
 上条は自身の放った拳で宙を舞った。
 ゼロ距離の拳にもかかわらず、上条の体はきりもみしながらソファーの向こうまで吹っ飛んで行く。
 そしてそのままフローリングの上に頭から落ちて、壊れたおもちゃの様に一度バウンドしてから大の字になる。
 その一部始終を目の当たりにして神裂は、
「上条当麻ッ!?」
423『世界のマ乳から』4/5 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:53:31 ID:SiUMDyO/
「イテテテ。俺の拳って結構効くんだな……不幸だ……」
「い、今の倒れ方で立てるはず……?」
「いや……ま……わりぃ……。ちょっと理性が散歩に出かけたらしくて……はは、ははははは」
 神裂が唖然とする前で、乾いた笑いを浮かべながら、内心勝ったのか負けたのか判らない気分で、ふと気になって視線を液晶モニターに向けた。
 もういい加減にして欲しい――そう心の中で祈りながら。
「『十分けしからんおっぱいだと解ったところで、この番組のクライマックス。挟んで擦ってけしからんおっぱいを堪能しましょう』って馬鹿ぁ!!」
「『因みにローションは後ろにあります』……ぅん……、あ! これの事でしょうか?」
 上条の気持ちなどお構いなしの神裂は、ソファーから手の届く所に置いてあったボトルを手に取った。
 そして躊躇無く――むしろ嬉々としてボトルの栓を開けると、
「カンザキサン……?」
「ひゃ!」
 たっぷりと胸に垂らしたローションの冷たさに小さく声を上げる。
 さらに、
「カンザキ……」
「お、思ったより冷たくて……き、気持ちのいいものですね……」
 左右から押しつぶすようにもみ込みながら全体にローションを広げて行く。
「カン……」
「ふぅ……。は、初めてなので上手く出来るか判りませんが……、その……、不束者ですがよろしくお願いします」
 いやらしく輝く2つの肉を抱えた神裂が、はにかみながらも恭しく頭(こうべ)をたれた。
 そこまで言われて引き下がれるほど、上条は達観もしていないし、無欲でも無い。
 気が付けば下半身をさらけ出して、ソファーに腰掛けて準備は万全の状態――そして、熱くそそり立つ上条自身を包み込むように、泡立ち、糸を引いてローションまみれの2つのふくらみが、
「い、いきます」
 上条自身を飲みこんで1つになった。
「ぐッ」
 瞬間、上条が苦悶の表情を浮かべてにわかに腰を引く。
「ど、どうしました!?」
「あ、あんまり気持ち良くて、つ、ついイキそうになって」
「そ、そうでしたかッ!? 私はてっきり嫌なのかと……」
「今更……。それに……俺は……、キライな奴としねえよ……」
「わ、私は……、当麻の言葉を信じます」
「え? 神裂お前今、何かさらっと俺の名前……」
「始めますね」
 神裂は真っ赤な顔に泣き笑いを浮かべて上条の追及の言葉を断ち切ると、ゆっくりと抽送を開始した。
 初めは挟んでただ擦っていた行為も、徐々に慣れてくると、押しつぶした胸の圧力を調節したりするようになった。
 時折、しゃくりあげる様に震える熱い肉棒を胸に感じて、神裂も、自分の奥にも熱いうずきを感じながら、
「どうですか?」
「きっつぅ、すぐにでも出ちまいそぉ」
「いいのですよ。出して下さい」
「もったいないよ」
「は?」
424『世界のマ乳から』5/5 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:54:22 ID:h/sXI3Kq
「こんな気持ちいい事、すぐ終わったら勿体うぉ!?」
 上条が言葉を言い終わる前に、神裂は言葉で気持ちを表す前に、ボディーランゲージ――上条自身を挟んだまま自身の胸を左右から揉み込む様に擦り合わせた――で気持ちを伝える。
 そして、自身の行為による胸への刺激は、神裂の燻る炎をさらに燃え上がらせた。
 歓喜と快感に瞳を潤ませながら、
「う、嬉しいです。何度でもして上げますから、何度でも、何度でも」
「そぉ、か、でも、おれ、もたな、かも」
「え?」
「も、で」
「!?」
 上条が、苦し紛れに伸ばした手が、神裂の頭を抱える様に掴み――、
「ウッ!!」
 ひとつ大きく腰を震わせた瞬間頭をぐいっと引き寄せられた神裂は、
「ん゛ッ!!」
 熱い肉棒に唇を奪われ――、
「で、る」
「――――――――――――――――――――――――――――――ン゛!!」
 唇を伝って頭の中に響く、塊が狭い場所を通り抜けるごうという音と、粘つく何かが舌や喉に絡みつく、ぬるぬるとした感触と、鼻の奥から肺にまで達しそうな生臭い潮の香りに似た強い臭い。
 それらに大事な感覚の内の3つを犯された神裂は、上条が満足するまで、人形の様に脱力して、無抵抗に全てを受け入れた。
 尻もちをついたフローリングの床に広がってゆく水たまりが痛々しい――しかし、神裂の顔には悲壮感は微塵も無い。
 あるのは何かやり遂げた様な、達成感の様なものだけであった。
 やがて脱力した上条は、液晶モニターに『皆様お疲れ様でした』の文字を見て安堵のため息を漏らす。
(やっと解放される……ってか、ここを出たらまず犯人探しだな。幻想じゃなくて本人をぶっ殺す)
 などと物騒な事を考えていると、
「んあ? 『別室を用意してありますのでおくつろぎ下さい』って何だ?」
「上条当麻」
「へ?」
 見あげると、神裂が立っている。
 照明のせいもあってか、上条からは神裂の顔がシルエットになって見えない。
「神裂?」
「これで天草の皆に顔立ち出来ます」
「な、に?」
「いえ、こちらの話ですから。さ、当麻、隣で続きを……」
「え? えぇッ!?」
「もうこれで建宮に馬鹿な噂を流されて悔しい思いをする事もありません。何たって本人公認ですからね」
「か、神ざ――」
 とそこまで口にした所で、神裂の顔のシルエットが取れて――、
(まつ毛長えな)
 ここまでが上条が、このリビングに残る最後の記憶だった。
 重なった唇から、上条が呼吸困難で昏倒するまで数分。
「火織、と呼んで下さい」
 神裂がそう言葉を紡ぐ頃には、上条の意識はもうはるか彼方に飛んでいた。
 嬉々としてぐったりした上条を抱えてリビングから出て行く堕天使エロメイド、改め、堕天使おもらしエロメイドにクラスチェンジした神裂。
 2人が通り過ぎた横では、液晶モニターに『次回のゲストは××さんです。どうぞおたのしみに』と言う文字が、怪しく点滅していた。



END
425Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/21(月) 11:58:31 ID:h/sXI3Kq
以上です。
途中で「ちっぱいといっしょ」と言うのも思いついたんですが……。
でわ。
426名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 13:46:42 ID:Pp/U47vO
>>425
ねーちん!
ねーーちん!
ねーーーーちん!!
ねーーーーーーーーちん!!!
GJでした。
興奮する前に笑ってしまったw
最高でした!
・おしぼり
・おっぱい眼鏡1、2、3(このりん、警備員)
・でこちゃん
・ぽわぽわ
・ネコ目
・単語帳
・髪長姫
・酔っぱらい
・シャケ弁
・ジャージ魔
残段は非常に豊富。
ああっ、残念美人は少し足りないか。しかし見たいッ!
427名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 15:04:35 ID:KD0ECJWb
>>411
>オリジナリティが足りなくて申し訳ありません…orz
似通った箇所が出て来るのは、ある程度仕方ないかと。
投下されたの見て、被ってやがる!? と頭抱える時がありますから。
それにしても、初SSでシリアス、おまけに通行止めエロに挑むとは凄いなー。
これは今後、色々書いてくれそうだと期待しちゃうぜ。GJ!です。

>>425
…………………………最早、貴方には、この一言しかあるまい。
ぐっじょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぶッ!!
428名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 02:04:15 ID:OB9fcIZF
上条さんと禁書美琴の3Pものって、結構ありそうだが俺は見たこと無い気がする。
429名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 02:14:23 ID:GuLBSYRE
>>428
保管庫にあるぞ
430ユミシロ:2009/12/22(火) 02:54:42 ID:oxcgVC6y
>このりん
勢いで書いちゃった小ネタです。ちゃんとしたSSじゃなくてすみません。

 固法×上条

「あら。“また”あなたなの?」
「ええっと、確か風紀委員の……固法だっけ?」
「変な事件を調べてると行く先々にあなたがいるわね。それで、これってどういうこと?」
「……っていうか違う!そこのいかにも妖しげで元気百倍な栄養ドリンクとかスケスケコスプレセットとか
 ぬるぬるローションは上条さんの私的な所有物じゃありませんから!」
「わかってるわよ。いかにも公序良俗に反した危ないお店に学生が連れ込まれたって通報があったから、
 駆けつけたのよ」
「……なんて通報だったんだ?」
「え?」
「その通報した奴ってさ、金髪でグラサンの―――」
「そうそう。やっぱり、あなたの友達なのね。それと彼から『これを飲ませてあげて欲しいんだにゃー』って」
「―――は?」
「はい」
「っ!?」
「……ふふ、良い友達ね。『あいつを救ってやってください欲しいんだにゃー!』って、本当に心配してたわよ?」
「……ぷはっ。……はは、どういう意味で心配してるんだか」
「待ってて。すぐ手錠を外すから」
「―――!?」
(ちょ……後ろ手に手錠で柱に鎖で繋がれて座らされてるからって、正面から密着して肩越しにやらなくても―――!?)
「うーん……おかしいわね。ごめんなさい、もうちょっと待って。よいっしょっ」
(膝立ちなんてしたら、か、顔に胸が……っ!膝をそこに押しつけたら―――)
「ああ、ほら。じっとしてて。動かないで」
(で、かい!? や、やわ……。うう、に、匂いが!さっきの薬のせいで理性がああぁぁぁっ!)
「―――あ、外れた。もう大丈夫よ」
「―――ああ。外れちまったなあ……」
「……?」
「ところで―――他に誰もいないのか?」
「そうだけど……?」
「――――――」
「……あら、膝になにか固―――っ!?」

end?
431名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 04:02:01 ID:r+cFUBNh
このスレには。姫神分が。不足している。
432名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 04:15:49 ID:6cqZQD48
>>430
イイネイイネー!
このりんかわいいのよなこのりん
眼鏡・着痩せ・真面目
なんて美味しすぎるのよなー!
このまま無理やり、イヤがってるのに徐々に…
な眼鏡も素敵だが、
「顔を赤らめながら必死にくわえるこのりん(しかも眼鏡ズレ)」
って興奮するのよなー!!!ぜひ彼女も発情させて欲しいのよな!
ちなみに最後のおっぱい眼鏡、てっそんの
眼鏡・先生・ドジッ娘
も大概おいしいのよなー。

>>431
■■?だれなのよな?
たしかに最近見ないのよな。保管庫には山のようにあるが。
いろいろ不憫なだけに、幸せになって欲しいのよな。。
433名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 04:24:07 ID:hH3C1FAB
>>430

是非次は完全版を見せてください
434名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 17:56:23 ID:FIJWJxqK
>>431にしろ>>432にしろよォ、このスレ本人が現れ過ぎなンじゃねえかァ?
435名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 18:07:18 ID:9LhKsPCI
通行止めエロを読んで2828していた貴方にはそれを言う資格はありません、
とミサカ10032号はこのロリコンがwという侮蔑を隠さずに嘲笑いつつ言い放ちます。
436名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 18:54:38 ID:FlX8jdfv
実は俺の想像する一方さんは男でも女でもない中性のために
「ついてない」ので、立派なモノを持つ一方さんSSを読むたびに違和感を覚えるw
437名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 19:05:00 ID:qjr48cta
一方通行は『反射』によってあらゆる刺激をシャットアウトしていた。
白い髪と赤い瞳はその証拠として考えられており、体型が男女どちらつかずなのも『反射』の弊害らしい。
……まさか『ついていない』のは、刺激が無いために退化したからじゃ?!
438名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 19:30:22 ID:dDVPiHDL
ホルモンバランス崩してるとの事だが
第二次性徴がちゃんと来てないのではないだろうか
つまりあわきんの守備範囲である可能性が
439名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 19:54:01 ID:9LhKsPCI
男子の第二次性徴って精通?
440名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 20:22:23 ID:7Npqm+BN
>>431
姫神さんはマ乳でもちっぱいでもないのでとあるスタジオにお呼びする事は出来ません。

>>436
一方通行さんをちっぱいと認識しましたφ(.. ;)
441名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 21:52:28 ID:t2HZilMW
ひどい湧きだなここw
442名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 22:41:53 ID:nXcZZPD9
一方さんの性別不明設定って腐女子対策かなと思った。
そりゃ能力による影響ってのが一番の理由なんだろうけど。
とある漫画で腐女子が食いついてたキャラクターが、女寄りの両性具有だということが判明して腐女子が大敗北してたから…
でも通行止めSSの場合は立派なモノを持つ一方さんでなきゃ困るww
443名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 23:14:15 ID:tRwkZ7xF
俺の予想では一方さんは男で一応付いてるけど能力の影響で2次性徴が遅れているためちっちゃい
しかし最近日常生活では能力を使えなくなったので遅ればせながら2次性徴が始まる
幼女の打ち止めに2次性徴が始まったばかりの一方さんのがジャストフィット!←(今ここ)
打ち止めが大人の体になっていくのと一緒にイチモツが大きくなる一方さん(ちなみに常にジャストフィットな大きさ)
そして打ち止めが美鈴さんくらいのナイスバディになるころには一方さんのイチモツも世界に誇れるサイズに!!

という馬鹿な設定が原作基準だ。という妄想が俺の中にある
まぁエロパロ的には現段階である程度のイチモツは持ってなきゃ色々難しいんだけどな
444名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 23:28:07 ID:qp5lPDaN
何か変わった趣味の人間では無い限り、男は自分自身の男性器のサイズを気にする物。
一方通行なら、自分の理想のサイズに強制的に成長させている可能性がある。もしくはこれからそうする可能性も。
445名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 00:52:01 ID:Wd/YJnN/
研究所ではしょっちゅう身体検査とか液に浸かったりとかしていたろうし、
男がサイズに拘るものであるという一般的な常識があったかどうかだな…
チン長を記録されたりしてたら恥ずかしさでしねるかも

それにしても木原くンはちっこそうwwww
446名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 01:27:52 ID:8vBmgmtw
>>442
焔?
447名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 01:30:17 ID:4YY6CU2T
>>446
「隠の王」の宵風ってキャラ。
448名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 01:41:03 ID:lF/jeY6+
最初の頃の一方さんならまだ百合子というか性別無しもありかなと思えたが
その後どんどん男らしくかっこよくなっていくのでもう男としか思えんww
つかあんなに打ち止めにデレるとは思わなかったんだよな
あそこまでデレたんならもうあのロリを嫁にするしかないだろうが
449名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 01:59:21 ID:5KE1UhKS
初期一方さんはモミアゲのお陰で中性的に見えたけど
今の一方さんの髪型で女と言い張るのはちょっとねぇ……
まあ百合子ちゃんも好きだけどさ
450名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 03:09:40 ID:kZVsQ8Gm
>>442
単純に成田の発言をネタにしただけだろ
451名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 06:26:57 ID:OjR4e84L
      イ イ /N/::::::::/∠/:://:/ /
      /::| /:|/::::::::::::::::::::::/:/::::厶イ≦__
      /::::レ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∠
  |  トイ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≦
  |\|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<_
\ト、:::::::::::::::/∠≦孑:::::::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::∠
_\>::::::1:::.:<::.:≦=-::::::-:::::::::::::::::::::::::::::::::::
_.フ::::::::::∧::.:.::.:.:て::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ミ
 /:::::::::::::/⌒Y´ ̄:::::::::::::::::::::::::: ̄ ̄:::::::::::::::
 ̄¨フ::::7:::::::::::::::::::|:::::::::::::\ト:_、∠::::::::、::::::::::
 /:::::::::::::::::≧x::::ト、::::::}:、::斗rォ:\Y:::::ト、:::::、
 7イ::::::::::::::《::::fウミ::\ト、Yl、 .::彳:ィ}::::::Y:::<
/ //}::::::::::トゞ - ´:::::::::::::::::::: ̄::::..::八ゝ':::::ト:
\  /ト、八:|::::::::::::::::::::!::::::::::::::::::__∠⌒Y-<
\\   /\__、:::::::::::::::`::r─ ⌒ 、 {  王=-ヽ
  丶` ー-≦:\ ::::\-/  ヽ、 ヽ:ヽ..:::〉::::::/
 ̄ ̄`\  ::.⌒Y}>:.、:/ \  王= Y::::/:::/
`ヽ....:::::::::\:::::::::::::Yゝ/   }、  》::. /=-≦ー‐
::::::::::::::::::::::_::>-‐イ    `ーイ::../三=-  ̄
──   ̄          ∧: ̄::::/〈-─‐
           _ >‐ノ   ̄    1>彡
        -‐…  } ̄ ̄          |:::::::::
  ィ..:::´::::::::::::ヽ:::::::::ヘ  つ・ オ・   しイ::
≦三\::::::::::::::::::l:::::::::ハ   い・ マ・    /::::
テ= ̄:::::ヽ::::::::::::::|:::::/::::7 て・ エ・    /::::::
____/:::::::::::::::|:::/::::::{  ね・ 本・  /:::::::::
 | :::::::::::::::::::::::::ハ/::::::::l  l   当・  l::::::::::
 |  ::::::::::::::::::::://::>::{  |   に・   |::::::::::
 l   :::::::::::::::::/イ:::::/´|  |       |::::::::::
/ ::::::::::::::::::::::::ヽ|:::/::::::::|  よ・      7::::::::
   .:::::::::::::::::::__}/::::::::::::}           |:::::::::
452名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:16:58 ID:t2Tft5rZ
>>451
見たのか!?お前は見たのかッ!?
453名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:30:43 ID:Wd/YJnN/
上条さん「オマエ、本当についてねーよ」股間もみもみ
一方さん「ぎゃああああ」
454名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:34:50 ID:8vBmgmtw
>>453
× 一方さん「ぎゃああああ」
〇 一方さん「きゃああああ」
455名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:39:21 ID:8LtGxU2G
股間もみもみを反射したらどうなるンだろ…
456名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:40:59 ID:t2Tft5rZ
つカミジョーさんの右手
457名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:45:27 ID:SuVrmsOO
一方通行のチソコひとつでこの大騒ぎは何かとw
そんなこまけェこたァ(ry(AA略
それにしてもエロパロするには男になったり女になったりでホント便利なお人です。
そいや、天使や悪魔なら良く両性っ話もあるし、風斬と別のアプローチで天使を造ろうとした結果が彼だったりしてね。
あ、もしかするとサーシャの股間にも立派な……。
458名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 08:50:49 ID:HyZm3cwk
それがオシリーサ
もといワシリーサをとらえてはなさないと。
一本できるじゃないw
459名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 10:54:55 ID:SuVrmsOO
>>458
なるほど妙案!
こいつで一本抜いて、もとい書いてみるかな。
ところでワシリーサって聖人ぽくない?
460名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 13:47:57 ID:YIQW4ddr
>>453
「ぎゃおおおおおん」ならばオスですね、わかります。
461名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 15:17:04 ID:dSVq5j2Q
おが一つ多い
462名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 15:49:23 ID:cUbRf1Yw
>>442
残念ながら腐女子には「女体化萌え」というジャンルもあってだな
つまり萌えようと思えば何だって萌えられる奴らだってことだ


それはともかく正真正銘女な百合子ちゃんと打ち止めのガチレズものって意外にないんだよな
同性であそこまで打ち止めに執着していたらそれはそれで需要があると思うんだが
463名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 16:22:41 ID:lF/jeY6+
真に腐女子対策のつもりならばそもそも
「女の子と区別のつかない体型」というウルトラ受け要素つけねーだろうしな

しかしアニメにも漫画にも細さ以外はあまり反映されてない要素だが
464名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 17:15:31 ID:iQjdHpuV
サンタ服にあうパンティの色はなに?
465名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 17:43:31 ID:nBXvZkC2
>464
三馬鹿が教室で大声で議論しそうなネタだ……
466名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 18:08:45 ID:5BgYh2zq
3馬鹿のグラサンの同僚も混ぜたらオモシロくなりそう
パンツに美学がどうのこうのとか…
467名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 19:40:47 ID:BV+ZaPvl
>>464

白にきまってる
468名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 20:18:08 ID:WbiicQhF
>>467
そうよね、白、まっさらな純白よね。トランクスとかやっぱ邪道よ。
で、勿論健康的に日焼けしたフトモモがばっちり見える半ズボン。
上はそうね、二の腕が見える半袖もいいし、もこもこの長袖も捨てがたいし……
髭? そんなものつけたら寒さで紅く染まったぷにぷにのほっぺが見えないじゃない!
469名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:09:23 ID:Fk9FiKQB
>>464
ひんにゅー白パンティサンタばんざーい。
470名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:12:39 ID:heg4AvlD
やっぱり白なんだね
471名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:15:53 ID:8v+n46oP
???「ミニスカサンタですか。 そうですね。 やっぱり、すらっと伸びる生足に、ちらりと覗かせる短パン。 これが全てだと僕は思いますね」
472名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:20:29 ID:E+d4xS7v
???「貴様…我らを裏切ってやっている事が何かと思えばそれか…」
473名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:35:18 ID:EqENPppq
いっそのことバニー化すればすべて解決
474名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:37:10 ID:YIQW4ddr
あなたが望むのならば・・・ミサカはミサカは覚悟を決めて頑張ってみる!!
475名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:38:31 ID:cPvVUt3d
土御門の策略により、病院着をミニスカサンタorバニーコスでエツァリに迫る……義妹x2!
476名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:58:31 ID:qj8neN8q
三バカやグループや浜面にとっての性夜が幕を開けるのか…

あれ、青p(ry
477名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 22:15:23 ID:/Q0J1gzy
「上条さんはあたしたち、4人の中で誰が好みですか?」
「佐天さん、変なこと聞いたらだめですよ!」
「えー! 上条さんが初春のこと好みならパンツ見せてあげようよー」
「ちょっとお待ちください
  ……ブツブツ……殿方さんが初春か佐天さんとお付き合いすればお姉さんは必然的に私のものに……ブツブツ」
「わっ、私は別にあんたの好みなんてどうでも良いんだからね!
  (こいつと付き合いが一番長いのは私。年が近いのも私。それにこいつが黒子達を選んだらロリコンよね。私を選ぶのはセーフだけど)」
478名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 22:20:39 ID:YIQW4ddr
>それにこいつが黒子達を選んだらロリコンよね。私を選ぶのはセーフだけど)

そうはとんやがおろさないんだよっ!びりびり!!
479名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 23:05:24 ID:u9rEMzAc
上条「俺は白井が好きだ!」
初春佐天美琴「えっ?!」
黒子「・・・//」
480名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 23:07:03 ID:3B2zuJGN
「そんな事いきなり言われても決められるかよ!
そうだな… 佐天さんと… あと一応初春さんもおっぱい触らせて
もらえるかな? あ 常盤台の二人はいいや」
481名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 23:09:51 ID:Wd/YJnN/
サンタさんへ。クリスマスのプレゼントは打ち止めと一緒にいられる時間が欲しいです。
一方通行


これを車内のダストボックスで見つけた運転手さんの反応といったら無かった。
482名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 23:34:59 ID:1nKlza7Q
きっと小萌先生のところにもサンタさんは来るんだろうな
483名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 00:20:45 ID:C4ccpvy9
佐天さんは能力的にはレベル0だが、
なんかバストは他の3人より膨れてます。
484名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 01:28:27 ID:pHjVwzQl
>>481
こういうことになる可能性もあるか。
「おい、一方通行(アクセラレータ)」
「……なンだァ?」
「おまえが今書いている“それ”はなんだ?」
「決まッてンじゃねェか。あァ、そうだ。こいつは忘れちゃいけねェ。
 毎年毎年欠かさず書いてンのさ」
「あえてもう一度聞くぞ。“そいつは”なんだ?」
 一方通行は口の端を大きく吊り上げて鼻で笑うと、
「今年のクリスマスプレゼントに決まッてンだろォッ!
 靴下の用意も問題ねェ。あァ……もう素敵に楽しくワクワクが止まらねェよ。
 特によォ……木原ンとこにいたときに、ホンの少しだけ見たサンタクロースが
 最強にかっこ良かったンだよォ……ッ!
 そンとき一度捕まえてやろうと思って掴みかかった瞬間―――」
「…………」
「気がついたときには床に転がされちまってたのさァ。
 俺もなにが起こったのか分かンなかった。
 けどよォ、実は俺に反射越しに触れて“なにかをやった”のはそのサンタが初めてだった。
 あの細身で背の高い、赤いサンタの背中が忘れられねェ」
「―――そうか。分かった。もういい」
(これは俺にサンタクロースをやれということなのか?)

485名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 01:40:56 ID:z0uKzLff
>>484
純粋な一方通行にキュンとなってしまった。
打ち止めのフィギュアでもあげてくる。
486狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:00:15 ID:gNjvFPPd
そういえば世間ではクリスマスですか。
空気を読んでませんが>>367-372続き投下させてください。
……なんでえろ書くとこんな長くなるんだろうなぁ。
487狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:01:03 ID:gNjvFPPd
 小さい頃、寝る前は少し興奮した。
 暖かい布団にくるまりながら、その日にあったことをひとつひとつ思い出した.
 幼稚園で友達と折り紙で遊んだ。
 昼食においしいシチューが出た、
 帰り道、綺麗なお花が咲いていたのを見つけた。
 ひとつひとつが思い出に変わっていくたびに、明日はどんなことがあるんだろうかと期待で胸がいっぱいになった
 眠りにつくたびに、世界はなんて幸せに満ちているんだろうと、微笑みながら夢を見た。


 小さい頃、眠ることが怖かった。
 何をやってもうまくいかなかった。
 それが自分のせいなら納得もしただろうが、原因はいつも自分と関係ない事だった。
 頑張って練習して、一等賞を取るんだと臨んだ運動会は雨が降って中止になった。
 お使いにスーパーに行ったら、特売の卵は目の前で最後の一個が売れた。
 お小遣いを貯めて買った自転車は、駐輪場に飛んできたサッカーボールでフレームがひん曲がり、3日で乗れなくなった。
 明日なんか来なければいいと本気で思い、せめて冷たい夜気を布団で覆ってごまかして、悪夢の中で涙を流した。


 昨日とは違う今日。
 今日とは違う明日。
 希望を抱き、絶望に涙して。


 それでも一歩ずつ、歩んだ日々が、自分だった。



学園都心七不思議 その1 「意地と勝負と恋心・中」

        かいたひと:ことり



 ずっと、私は勝っていた。
 そりゃいつも必ず一番だったというわけではないけれど、それでも上位には入っていた。
 勝っていたか負けていたかと問われれば、胸を張って勝っていたと答えられる。
 そんな人生だった。
 もちろんその陰には必死の努力もしてきた。
 その甲斐あって負けと言うほどの負けも知らず、順風満帆に日々を過ごしていた。
 誇っていいはずの過去だった。



 今日、またアイツに負けた。
 試行錯誤して編み出した技も、すべてがアイツの前では無力だった。
 電撃で周囲の酸素をオゾンに変え、窒息させる作戦も破れた。
 地雷式の電気だまりに誘い出す作戦も失敗した。
 基礎の電気量をいくら上げても効かなかった。
 ――別にアイツが憎くて勝負を挑んでいる訳じゃない。
 むしろ黒星知らずのアイツには、ある種の尊敬もしているかもしれない。
 きっとアイツには、私が両手を振り回して駄々をこねている我が儘な子供に見えていると思う。
 でも、それでも。
 このまま負けっ放しなんかじゃいられない。
 だって、そうでなければ、今までの私が全部無駄になってしまうじゃないか。
 私が、私であるために、必死でもがいてるのを、誰が馬鹿にできるというのか。
 アイツに負けたのは、すごい悔しかった。それこそ、涙が出るぐらいに。
 だから今も、こうして寝る間も惜しみ、必死に頑張ってる。

 ……だけど。
488狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:01:44 ID:gNjvFPPd
 今日、黒子にひどいことを言ってしまった。
 黒子はただ純粋に、私のことを心配してくれていただけなのに。
 頭に血が上っていた私は、もうどんなことを言ってしまったのかもよく覚えていない。
 けれどそのときの黒子の顔は、いつまでも忘れられない。
 なんで、いつから私は、こうなってしまったのだろう。
 私が変わっていく。
 私を変えられていく。
 怖い。
 怖い。
 ……怖い。
 私は私でいたいのに、少しずつ違うものに変わっていく。
 昨日より今日、今日より明日。
 ゆっくりだけど確実に。
 昨日まであったものを失い、明日には新しいものを得ている。
 それは能力的にであり、精神的にであり――肉体的にもであった。
 アイツは私を負かすたび、私から一つずつ何かを奪っていった。
 初めて男の人に下着を見られた。
 初めて胸を触られた。
 初めて抱きしめられた。
 初めて――キスされた。

 いつもいつも、真剣な顔で何かを要求してくるくせに、私が了承すると、アイツはひどく驚く。
 私だって女の子だ。
 OKするのだってすごい覚悟をして言ったのに、失礼じゃないか。
 だから私は、勿論嫌だったけど……仕方ないから。
 アイツの意外に筋肉質な、ちょっと逞しい首に手を回して、距離を無くしていったのだ。
 しょうがないじゃないか。
 私は負けたんだから。
 悔しいし、認めたくないけど――私は負けたんだから。
 だから……仕方ないから。
 あいつの要求に、私は頷くしかできないのだ。
 そうして私は、ひとつずつ失っていく。
 失って少し欠けた場所には、別のものが入り込んでくる。
 胸に触れるあいつの手が大きくて、暖かかった。
 意外に広いアイツの胸に抱きしめられると、ちょっと安心した。
 キスがあんなに気持ちのいい事だったなんて、初めて知った。
 私が変わっていく。
 私を変えられていく。
 怖い。
 怖い。
 ……怖い。
 だけどそれは仕方のないことで、アイツが悪い訳じゃない。
 道すがら並んで歩いた帰り道は居心地よかった。
 一緒に食べたハンバーガーはいつもよりちょっとだけおいしかった。
 屈託無く笑うアイツの顔が、夢の中に出てきた。
 ……悪いやつじゃ、ない。
 だから……だから。
 黒子にアイツを馬鹿にされて、どうしようもなく腹が立った。
 もう関わらない方がいい、なんていわれて、ひどく悲しくなった。
 なんでそんな気持ちになるのか、自分でも分からなかった。
 ――そうして気づいたら、声を張り上げていた。
 だって、黒子は知らないのに。
 帰り道につないだ手のひらが、力強かったこと。
 一緒に歩く時に、歩幅を私に合わせてくれること。
 時たま見せる笑顔が、結構可愛いこと。

 ――こうして背負われている背中が広くて温かいことも。
489狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:03:25 ID:gNjvFPPd
「オマエなぁ、自分がブッ倒れるような能力の使い方してどうするんだよ」
 ぶっきらぼうに、ツンツンした髪の毛の反対側から、そんな愚痴が聞こえてくる。
 確かに今回は失敗だった。
 能力で全身の運動神経系に電気信号を送り、限界を超えたパワーとスピードを生み出す作戦だったのだが……先に筋肉の方が音を上げ、わずか1分足らずで全身疲労により立てなくなってしまった
 ……この使い方には微妙な出力の調整が必要かもしれない。
「しかもなんだって俺がおぶって歩かなきゃならないんだよ……」
「うっさいわね。勝者は敗者をいたわりなさいよ。」
 へいへい、とため息混じの声がする。
 ちなみに今は、普段AIM拡散力場として放出している電磁波を集中、出力をコントロールして、筋肉の疲労回復に充てている。
 ……なんかへんな使い方ばっかり覚えちゃったなぁ……
「そんでどーすんだ。このまま寮まで送ってきゃいいのか?」
「お馬鹿。普通に送ってもらうだけでもやばいって言うのに、そんな事できるわけないでしょ。寮長には黒子にごまかしてもらって、今日はどっかその辺のホテルで休むわよ」
 白井も大概苦労してるよな、とぶつくさ文句が聞こえる。
 だいぶ痛みは引いてきたが、今やっていることは磁力を当てて血行を良くし、こわばった筋肉をほぐして柔らかくしているだけであり、完全に回復させるにはやはりきちんと休むことが必要である。
「ふーん。じゃ送ったら、俺帰っていい?」
「勝者は敗者をいたわりなさいよ」

 へいへい、とため息混じりの声がする。
 制裁に、首に回した腕に力を込めてやった。

 ぐぇ、という情けない悲鳴を聞いて、ちょっと満足した。



「はー、生き返ったぁ。極楽ごっくらくー」
 バスルームへと続くドアを開けると、涼しげな風が入る。
 火照った肌の熱を奪われて、心地よく感じていた。
「お前なぁ……何をオヤジ臭い事言ってぶふぉ!?」
 ホテルルームに備え付けてあるダブルベッドに寝転がって、マンガを読んでいたアイツがこちらを見るなり吹き出した。
「あによいきなり。失礼な」
「おま、バスローブとかあっただろ!? 何でバスタオル一枚なんだよ!」
「いーじゃない別に。私、あれ嫌いなのよ」
 そういって、水を吸って幾分か重くなった髪を手櫛で整える。
 備え付けの冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターを取り出した。
 本当はコーヒー牛乳と行きたかったが、無いものは仕方ない。
 腰に手を当て、一気に冷えた液体を喉に流し込んだ
 ぷはーっと息をつくと、なにやら胡乱な視線を感じる。
 何が言いたいのか、ジト目で半ば睨み付けるようにこちらを見ていた。
 それはスルーするとして、腰に手を当てたまま問いかける。
「そんで? 今日はどうするの」
「へ?」
 何とも間抜けな声がした。
「へ、じゃないわよ。今日の分は何をすればいいの?」
 それはもう恒例のこと。
 私が負けるたびに、こいつに何かを捧げていく。
 悔しいけれど、悲しいけれど、仕方ない。
 だって私は、負けたんだから。
 死刑台に向かう囚人のような気持ちにもなって、返答を待つ。
 けれど目の前の執行人は、俯いて、何かを耐えるように、細く声を絞り出した。
490狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:04:35 ID:gNjvFPPd
「……もう、やめにしないか?」
「……へ?」
 今度は私の口から、間抜けな音が出た。
 こいつは何を言ってるのだろう。
 本当に、本当に私の理解の及ばない所で、話は続いていく。
「お前、今日のでわかったろ。このまま続けてけば、いつか体ぶっ壊すぞ?」
 話し声は淡々としていて、感情のこもらない、抑揚の欠けた、どこか現実離れした雰囲気だった。
 私はただ、それをぼうっと聞くばかりで。
「もういいじゃねーか。こんなそこら辺に転がってる石ころ負かしたって、何の自慢にもならないだろ?」
 どこかで聞いたような言葉が私の耳に響く。
 言葉をひとつひとつ聞く度に、胸の奥がちくちくと痛んだ。
「もうほっとけよ。お前がそんな無理すること無いんだからさ、もっと自分を大切にしろよ」
 それはついこの間、黒子に言われたこと。
 ……なんで。
 なんでみんな、私を否定するの。
 私はただ、頑張って、努力して……目標を達成しようとしていただけなのに。
「俺の事なんか忘れてさ、お前は自分の――」
 そこで言葉が止まった。
 なぜかはわからない。だけど、こいつは私の顔を見て、ひどくびっくりしたような表情をしていた。
 ――胸が痛い。いつのまにか握りしめていた手のひらがじくじくと痛む。
 けれどそんなものより、この胸の痛みは押さえようもなくて。
 なんでみんな、そんな事言うの。
 私はただ、私はただ……アンタと一緒に……
 ぽとん、と静かな部屋に音が一つした。
 小さな物音に私はひどく驚いて。
 探すまでもなく、音の正体もしれる
 ……なんで?
 ――なんで私は――
「お前……泣いてる……のか?」
 あわててぐしぐしと目をこする。
 けれどぬぐってもぬぐっても、その粒は後から後から溢れてきて。
「う、うるさい! 誰が泣いてんのよ! 泣いてるって言うやつが泣いてるんだからね!」
「いや意味不明だし。とりあえず落ち着けお前」
 幾分か優しくなった声を聞いても、胸の痛みは治まるどころか増すばかりで。
 足の力も抜けて、立っていられなくなった私はぺたんと座り込む。
 痛い。
 いたい
 イタイ。
 黒子に言われた時よりも奥深く。
 全身に絡みつく茨のように、絶え間ない痛みが襲ってくる。
 なんでアンタは、そんなこというの。
 どうして私は、そんなこと言われて泣いてるの。
 どうしてアンタは、私を見てくれないの――
「ぐ……え、ぐっ――ひ、う……」
 この声は、誰のものなのか。
 まるで小さな子が、迷子になった時のような、不安で、恐ろしくて。
 ひとりぼっちになったときのような、悲しい声。寂しい声。
 信じられない。私が――こんな声を出すなんて。
 生まれた不安はどんどん大きくなって、私なんかでは止めようもない。
 耳に届く泣き声は、どこまでも深く沈み、底のない沼のように、私を引きずり込んでいく。
 暗い。怖い。寂しい。
 ――だれか。
 たすけて……たすけてよ――
491狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:05:35 ID:gNjvFPPd
 ぽん、と。

 大きな、暖かい……手のひらが私の頭の上に置かれる。
 わし、わし、と数度前後に動かされて。
 赤く腫れた目を開いて、見上げると。
 そこには、照れたような、困ったような。
 そんな複雑な表情のアイツがいた。
 わし、わしと不器用に手は動く。
 まるっきり子供をあやしつけるような、そんな仕草で。
「あー……なんだ、その……悪かったよ」
 申し訳なさそうな、そんな声が聞こえた。
 私はただ、ぱちくりと目を瞬いて。
 ……わから、ない。
 どうしてだろう。
「お前がどうしてもってんなら……乗り気じゃないけど付き合ってやるよ」
 なぜ、私はこんなに。
 一体、どういう理由で。
「ただ、もう無茶だけはするんじゃねーぞ。お前がぶっ倒れたんじゃ、寝覚めがわりーからな」
 わからない。わからない。わからない。
 なぜ、どうして、どんな理由で、私は。

 ――こんなに、安心しているのだろう。

 気がつけば、体の震えが止まっていた。
 うるさかった鼓動が落ち着いていた。
 溢れていた涙が、止まっていた――
 足にも力が入った。
 ……もう、どうでもよかった。
 だから、わたしは。
「白井ほどじゃねーだろうけど、俺だって一応お前を心ぱ――んむっ!?」
 ひととびで飛びついて、ベッドに押し倒し――唇を奪っていた。
 別に甘くもなく、美味しくもなく――ただひたすらに熱い。
 どうしようもない衝動を、その熱に感じて、何かに突き動かされるまま、貪り続ける。
 絡ませ、吸って、重なり、ついばむ。
 ただ、求めるままに。
 どれだけそうしていたことか。
 名残を惜しみつつも、ゆっくりと離れると、きらきらと光る糸が現れ、時間をかけて、細く細く、消えていく。
 ただ、欲しかった。
 それだけで、我が儘な子供のように。
「み、みさ――っぷ」
 呟きかけた唇を、再度唇で塞ぐ。
 言葉なんて欲しくない。ただ、ただ熱が欲しい。
 急に動いた拍子に、素肌に一枚だけまとっていたバスタオルがはらりと落ちた。
 けれど私はそんなものにかまってる余裕なんて微塵も無くて。
 生まれたままの姿で、体を重ね、唇を重ね、ただひたすらに求めて。
 不思議そうな顔で固まってるこいつに、耳元で囁いてやる
「……きょうの、ぶん、だから」
 そう。
 私は敗者だから。
 だから、私を打ち負かしたこいつに、こんなことをしたって……問題はない。
 何も、問題はない。
 はあ、と熱っぽくなった息を吐きだし、異性の体へ触れていく。
 見た目細いのに、力強い脈動をあちこちに感じて、少し、意外に思う。
 まるで子猫のように、頬をなめ、首筋に舌を這わし、耳たぶを食み、時折口づけを交わして。
 それが子供のじゃれ合いの延長にあるような、幼い行為でも。
 精一杯に『わたし』を使って、ただ尽くしていく。
 危なっかしく動く私の肩を、支えるように腕が回される。
 ただそれだけ。それだけのこと。
 ――なのに。
492狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:07:25 ID:gNjvFPPd
 私の瞳からは、ぽろ、とひとつ、しずくが零れていった。
「お、おい!?」
 ぽろぽろと、小雪のようにしずくが零れ落ちる。
 けれどそれは、先ほどの――地獄の底で凍てつくような冷たいものではなくて。
 もっと暖かい――それこそ、春の日差しのような。
 ぬぐうことも勿体なくて、私はそのまま目の前の広い胸に顔を埋めて。
 お気に入りのぬいぐるみにするように、頬を擦りつけた。

 暖かい。
 今まで私は、ずっと幸せだと思っていた。
 けれど今のこの気持ちは――これこそを幸せと言わず、何というのだろう。
 とても、とても幸せだと、心の底から思う。
 きっと、今までの幸せは、今この瞬間のためのものだったのだ。
 だからこそ今、こんなにも満たされている。
 
 つ、と指で目尻のしずくをぬぐわれる。
 きっと優しさのつもりだったのだろうけど、私は少し、名残惜しくて。
 濡れた指先をぱく、とくわえてやった。
 あわてて引こうとしたようだけど、もう遅い。
 逃げようとする所を吸い付いて、両手で押さえ込む。
 そのままちろちろと舌先でしばらく嘗め、軽く噛んでから、ようやくに解放した。
 私の顔がどんな風に見えているのか、目の前には憮然とした表情が見て取れて。
 そんな他愛もないことが、こんなにも嬉しい。
 すごく自然に微笑んで、もう一度抱きついた。
 ――と、腿のあたりに違和感が走る。
 何か固い、異物があるような……と、視線をそちらへやって納得した。
 真正面から瞳をのぞき込んで、糾弾してみる。
「し……しょうがねーだろ、お前が、そ、そんな……」
 耐えきれなくなったようで、不自然に顔をそらしながら、もごもごと口が動いた。
 真っ赤になってるのがなんだか可愛くて、もうちょっと意地悪したくなる。
 ほんの、ほんのちょっとだけ勇気がいったけど、恐る恐るに右手を伸ばしてみた。
 その……ズボンの布地を押し上げてるものは、布越しにまで熱さを感じる。
 触るのなんか当然初めてな私は、怖さもあったけど、それ以上に好奇心と……してあげたい、って気持ちが強かった。
 やわやわと触っていると、時々持ち主の体がびくんとはねる時がある。
 顔をのぞき込むと、何かを我慢しているような……苦しいような、そんな表情で。
 けれど私がさわっている箇所はますますに大きく、熱くなって、はちきれんばかりに主張をしている。
「……すけべ」
 ぽそ、と小さな声で呟く。
 なぜかその言葉にショックを受けたようで、肩がびくんと震えるのが見れた。
 それでも何も言い返せないようで、ベッドに身を投げたまま、しばらくは私のなすがまま。
 ――だから。
 もぞ、と体の位置を動かして、それの上まで上半身を持ってくる。
「お、おい御坂――う、わ!」
 何か言いかけたようだったけど、きゅっと少し強めに握ってやると、面白いように反応が返ってきた。
 肘を立てて上体を起こし、私のやることを見守ってるこいつの、鼻先をぴんと指で弾いてやる。
 黙って、見てなさい、と。
 そうして、抵抗らしい抵抗を全て封じ、ズボンのジッパーに手をかけた。
 ジジ、と開く音がする度、押さえるものがなくなったそれは、下に履いている下着を凶悪に押し上げ、体に対して垂直に、まるで私の顔を指さすように、存在を誇示しつつ立ち上がっていった。
 ごくり、とつばを飲み込む。
 私の意識はそこに集中して、息をするのも忘れるぐらいに凝視していた。
 小さい頃に見た、お父さんのを思い出しながら、ゆっくり、ゆっくりと。
 壊れ物を扱うように、邪魔な布地をめくっていった。
「う、わ……」
 ……とんでもなかった。記憶の中にあるものとは何もかもが違った。
 こんなに大きくなどなかった。こんなに固くなんてなかった。こんなに熱くなんてなかった。
 こんなに――見とれることなどなかった。
 どくん、どくん、と心臓が波打つ。
 唇が乾く気がして、短く舌を出し、ちろちろと嘗めて湿らせる。
 許可なんて取らない。こいつの意志も、私の意志すら無視して、指先は勝手に動き出す。
493狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:08:30 ID:gNjvFPPd
 赤くて、黒くて……とても熱くて。
 そそりたつ姿は、まるでマグマの柱を連想させた。
 触っていると溶けてしまいそうで、こんなに熱くて大丈夫なのかと、心配にすらなる。
 蠢く指先は、隅々まで形を確認するように、余すとことなく蹂躙してゆく。
 ……どうしよう。もう目を閉じても、形を思い描くことができるようになってしまっている。
 視線を外すことができない。むしろ吸い寄せられるように、それだけしか見えなくて。
 この長い所から、傘のようになった部分。
 こすこすと、熱を増すように摩擦する。
 どうすればいいのかなんて知らなかった。
 なのに、指は勝手に動いていく。
 まるで、そうすることが当然であるように。
 取り憑かれたように、両手は動いていく。
「みっ……みさ、か、息が……! 顔、ちかっ……!」
 言われてようやく気づく。
 ……すごい臭い。
 夢中でいじくっていた私は、いつしかさらに乗り出して。
 本当に目と鼻の先に、それがある。
 呼吸すればするほどに、その臭いに満たされていく。
 ……臭い。臭い。臭い。
 ふんふんと、鼻を鳴らして臭いを嗅ぐ。
 ……臭い。臭い。臭い……いい、臭い。
 自分の嗅覚がおかしくなったのかと思った。
 何度嗅いでも、すごい臭くて……なのに。
 もっと、満たされたい。心の底から陶酔して、臭いを嗅ぎ続ける。
 誓って、偶然だった。
 唇を湿らそうと、舌先を少し出した瞬間。
 あまりに距離のなかったそれと、舌先がふれあって。
 アイツが呻くのが聞こえた。今までよりも、さらに強く。
 ――可愛い、声。
 純粋にそう思った。ぞくん、と背中が波打つ。
 今の……したら、もっと声、出してくれる……かな?
 そう思って、またちろ、と舌を出す。
 さほど距離もない。少し出しただけで、あっけなくまた触れあって。
 熱い。熱い。溶けた鉄のような熱を持つそれの表面を、指先で覚えた形をなぞるように、丹念に這わせていく。
 舌先で形を覚え、臭いを覚え――味を覚えて。
 魅入られたように、作業に没頭していく。
 ただ、したいから。
 意地とか勝負とか、そんなものはもうすっかり頭の中から消えていて――
 私がこうしたいから、ただこうしている。
 唾液でぬらついたそれを、酔ったように揺らめく視界で必死に追って。
 胸の奥が、熱い。
 熱に浮かされるように、私の体は勝手に動いて。
 あ、と思った時には、いっぱいに唇を開き、包み込んでいた。
「う、わ、わっ――!」
 声が聞こえる。
 聞き慣れたはずの、アイツの声。
 それがなぜこんなにも嬉しく思うのだろう。
 嬉しくて嬉しくて、一心に嘗め続ける。
 そうすることが自分の全てであるように。
 だってそのために、私はここにいるのだから――
 臭いもわからない。味など感じていない。
 ただ、ただ熱くて――それだけが欲しくて、ひたすらに尽くす。
 指も舌も唇も全て使って、それだけにただ夢中になって。
494狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:09:32 ID:gNjvFPPd
「み、さ――!」
 どくん、と脈動を感じた。
 唇を通して、私の中に何かが満ちていく。
 溢れそうなほどに注ぎ込まれる何かを、零してはならないと、必死に嚥下する。
 こくん。こくん。
 喉が動く度、体に電気が走る。
 知らない。こんなの知らない。
 体中を走る電撃は、頭の芯を直撃して――真っ白に染め上げる。
「ん、ぷぁ――あ、あっあっ!」
 耐えられなくなった私は、背をそらして、口を離してしまう。
 びゅる、びゅると、放物線を描いて、何か白いものが、私の顔と言わず体と言わず、降り注ぐ。
 その熱に、うっとりと微笑んで。

 もったい、ない、な――


 そんなことを考えて――そのまま、意識を手放した。



 カーテンの隙間から、暖かい日差しが降り注ぐ。
 眩しくて、仕方なしに、目を開けた。
「ん……」
 枕元のデジタル時計を見れば、早朝と、言うにはやや遅い時間で。
 こりゃ遅刻だな、と、そんなことを思ってため息をつく。
 揺らいでいた目の焦点をいまごろ合わせると、視界に入るのは見知らぬ天井で。
 ああ、確か、夕べは――
 朦朧とする意識をつなぎ合わせ、むくり、と体を起こす。
 シーツを気怠げにめくると、まっしろなバスローブがそこに見えた。
 ……ふと、一瞬の疑問。
 昨日は確か、と覚醒するにつれ、頭に血が上ってくる。
 がばっとシーツを掴み、何かから逃れるようにくるまった。

 え、えと……昨日は確か、アイツと勝負して、それでホテルで休んで……それで、それで――

 ぐわんぐわんと思考が揺れる。
 一通り思い出して、そこにいるはずの姿を部屋に探す。
「……あ、れ……?」
 だれも、いない。
 静まりかえった部屋には、ベッドで寝ている私一人。
 バスローブなんか着た覚えのない、私一人。
 ぱっぱっと、体を確認して。
 なんともない、それこそ、なんでもない体を抱きしめる。
 安心するよりも、少しむくれて。
「あんにゃろう……ばか。いくじなし。へたれ」
 思いつくままに悪口が飛び出る。
 どうしようもない馬鹿だな、と心底思う。
 汚れなんかついていない体を横たえて、もう一度シーツを掴み、頭までかぶる。
「……ばか」
 そう呟いた私の声は、少し寂しそうで……少し、嬉しそうだった。

 学校のことも忘れて、ただアイツのことを考えて――
 そのまま私は、もう一度目を閉じた。


 この幸せに、いつまでも包まれていたかったから。


           To be next day...
495狐兎狸 ◆kotorixGkE :2009/12/24(木) 02:13:35 ID:gNjvFPPd
はい2話目以上でございます。
こんな重い話じゃなかったはずなんだけど
どこで間違えたんでしょう……
なにはともあれ次回でおしまいでございます。

※保管庫管理人様へ
こちらのSSは自HPに掲載のため、保管庫に収録しないようお願いいたします。
申し訳ありません。

追伸 ごめんなさいうちのHPに「孤兎狸」で飛んでこないでください
ごめんなさい「きつねうさぎたぬき」でことりですごめんなさい
自分のコテ間違うってどんだけ/(^0^)\
496名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 02:20:35 ID:txY/QO9A
>>495
うわあ

リアルタイムでニヤニヤしちまった
GJ!!


三話に期待せざるを得ない
497名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 02:32:53 ID:z0uKzLff
>>495
GJです!
無駄に紳士なのが上条ちゃんの魅力だと思うのですよ。
498名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 08:24:29 ID:BmMab2IB
>>495
GJ。
美琴の可愛さが全開でイイネー
499名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 14:02:50 ID:m+OgoNdl
保管庫載せるなっていうなら、最初から本文投下しなきゃいいのにね。
アドレスだけ載せときゃいい話
500名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 14:09:20 ID:zLAD5qDg
アフィリエイトのあるページじゃなければ宣伝投下とは認定されないだろ
501名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 17:08:56 ID:m+OgoNdl
いいこと思いついた。
保管庫にはタイトルと作者ページのアドレスだけ載せてはいかがだろう。
これなら保管庫から来た人もフォローできるし、作者は自分のHPに人くるし、どちらにとってもいい事づくめだろう。
502名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 18:54:52 ID:ax8rtgUT
保管庫はタイトルの他にカプも明記してあると便利だよな
数があるから探すの大変なんだよ
503名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 19:05:38 ID:ZI9b0oPF
保管庫にいれないでって、自分のサイトのカウンターまわらなくなるからやめてっていう意味だったのか。
ここだけで楽しんでね、保管するほどのものじゃないしっていう謙虚つーか好意的な意味かと思ってたのに
504名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 19:18:14 ID:QuxnG7f3
>>503
人間は所詮。自己本位の生き物。その人を責めることは。できない。
505名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 19:51:27 ID:xszfHkTx
でも投下してくれるだけで万々歳だけどね

今回も美琴かわいかったすよー
506名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 21:55:07 ID:BmMab2IB
>>502
カプ明記されてない作品は、投下した作者が明記しなかったから。
つまり責められるべきは作者。
以後のテンプレに明確にカプ明記の義務をうたえばいいのかな?
ところでみんな保管庫の読み直しなんてみんなけっこうしてるのかな?
私は自分の投下したものも含めて時々見直したりしてにやにやしてます。
作成時の参考になるものもありますしね。
507名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 23:52:06 ID:IO70gz63
何でそんなことで書き手が責められにゃいかんのだ
読み手の我儘なんだから書いてくれればラッキーって程度だろ
508名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 00:15:51 ID:Zy5m7hOi
読み手ってのは増長するもんだよ
んな世迷い事をほざくアホはほっとけ
509名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 00:15:54 ID:AlIDmZTe
所詮自分はただ描かれたものを需要するだけの豚野郎だから
投下していただけるだけでありがたい
510名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 00:16:17 ID:JB5y3Fv9
>>506
書いてあったら便利だよなぁと思っただけなんで
責めるとか言われても困る
511名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 00:16:47 ID:sxtmlqn4
投下もしないやつが文句ばっかり垂れてるのは今に始まったことじゃない
512名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 00:17:49 ID:FLcf42J4
とりあえず、雑談ではなく書き手への文句ではなく
作品を投下してくださいにゃーっ!!
513名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 00:23:05 ID:feF4+nc9
514名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 01:30:30 ID:qXq0V5Yg
うい、これまでROM専だった者です。
さっそくですがSS投下させてもらいます。

微エロで主人公組メインな内容です。とある系を書くのは初めてなんでキャラが微妙におかしいかもしれませんがご了承願います。
515とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 1:2009/12/25(金) 01:31:35 ID:qXq0V5Yg
居候してる白い修道女から「お出かけしないと噛みつくよ?」なんてガッチンガッチンと背後から脅されたので。
明るい家からはっきりわかるぐらい雪が降り始めるほど寒い上に週末の5割増しで学生が押し合いへし合いしてる外に出る事になった。

そんな少年の名は上条当麻、(多分)16歳の高校1年生である。

「とうまとうま、あっちのローストチキンも美味しそうなんだよ!」
「おいインデックス上条さんの記憶が正しければ3分前にも別の売り子さんから丸々1羽分ぐらいありそうなのを買ったばかりじゃ――
ってアレ!?骨すら残ってない!?」
「あーっあっちにも大きなケーキがあるよー!」
「ダメだそれはパーティー用でしかも特注の超豪華版みたいなオーラがひしひしと!」

右へ左へ、人の流れに逆らうどころか横切るお陰で小柄なインデックスの背中を見失いそうだ。
彼女が手もちっこいくせして意外なくらい強く握って無ければとっくの昔にはぐれていたかもしれない。

(まぁインデックスは財布持ってないんだし俺が居ないと食い物買えないんだからそりゃ必死に握ってくるよな)

実際にはそれは3、いや4・・・5割程度で残りはまた別の感情からなのだが、とりあえず思考を口に出さなかった当麻は気付かない内に公開捕食フラグ(噛みつき的な意味で)を回避したのだった。

しっかしまあ、と見回せば周りには人、人、人の群れ。
もっと詳しく言ってみると、大半がペアである。より突っ込んで言えば若い男女、ぶっちゃけカップルばっかりだ。
まあ仕方ないと当麻も思う。

「何ていっても今日はクリスマスだもんな」

もはや万国共通で浮かれる日とでも言っても過言でない日だ。
その上ここは学園都市、半数以上が若い学生ばかりなのでテンションの上がりっぷりといえばもう、その日はジャッジメントにアンチスキルの大半を動員しつつ混乱防止の為目立たないように街中のあちこちで密かにスタンバっていなければならないとまで云われるほどだ。
誰が言ったか『1年の内ある意味最も静かで最も騒がしい戒厳令が敷かれる日』。
只でさえ人が多い上にその分能力者の学生が集う数も増えるんだから、何がきっかけで大規模な能力合戦が街のど真ん中で繰り広げられるか分からないのだから仕方ない。
それにクリスマスは学生向けの店にとっても掻き入れ時で、金を持った学生や店の売り上げを狙うスキルアウトや能力持ちの犯罪者もいるからそれへの対策もある。

ま、そんな事情の大部分は今この少年には関係ないのであって、

「とうま、これも取っても美味しいかも!」
「会計××××円になりまーす(キラッ)」
「もう止めて、上条さんの財布のライフはもうゼロよ!」

眩し過ぎる笑顔で手を差し出してくる売り子さんが冤罪なのに極刑を下した裁判官に思えた。
ちなみに当麻本人は学生寮を出てから一口たりとも食物を口にしていない。

516とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 2:2009/12/25(金) 01:32:49 ID:qXq0V5Yg
そんな時である。

「当麻さん!インデックス!」

ハッキリ名指しで声が後ろから掛けられたので反射的に振り向く2人。
そこに居たのは――――

「ひょうか!ひょうかだー!ひさしぶりー!」

そう、確かに今当麻の目の前に居て、インデックスが抱きついた相手は生まれや存在はどうあれ間違いなく2人の友人である風斬氷華である。
茶色く太腿まで伸びた黒髪に一房だけ頭の横をゴム紐で留めてアクセントが付いた髪。
少しだけずれた大きめの眼鏡に不自然ギリギリの領域まで大きな爆乳。うん、確かに本人だ。

・・・本人には間違いない筈だけど。

「あの風斬さんや、1つだけお聞かせ頂きたい事があるんですけれどもよろしいでせうか?」
「え?う、うん、構わないけど」
「何故にサンタルック?つーか際ど過ぎだろ!前の時と絶対違うだろ!?」

赤いが普通の布地ではなく、ビニールみたいにぴっちりした素材が身体に張り付いている。上部分は胸の先端まで到達するかしないか、激しく際どい所で途切れていた。
辛うじてそこだけもこもこした白い布地の縁取りが先端の突起部分辺りを隠している。
それだけで女性関係は鈍くたってそれ以外は極々健全な青少年である上条当麻には刺激が強過ぎた。
スカートの裾だって膝上何cm?どころではない位切り詰められてて、風斬がちょっと屈もうとしただけで後ろから太腿から尻まで晒されるに違いないぐらい短い。
更にそこから下は白のニーソックスで頭にはチョコンと乗っかったそれだけまともな紅白の三角帽子。


見まごう事無きサンタコスだった。それも18歳未満お断りな映像作品でしか着られないような類の。


「でもひょうかには似合ってるよ?」
「いやそれは俺も否定しないけど、正直こんな街中の人が居るど真ん中でするような恰好じゃないと上条さんは思うのですが」
「分かってるんです。でも気が付いた時にはこんな恰好で街中に居たんです・・・」

クリスマスで浮かれる学生の気持ちがAIM拡散力場に変な風に働きでもしたんだろうか。
何だか激しく突っ込みたい気分に駆られる上条当麻。誰か子萌先生呼んで来い。
どう反応するべきか困る少年だったが、ふと周りの視線がえらく集まりだしてる事に気付いた。

「おい風斬、マジで街中でその格好はヤバいって、色々と飢えた目線がこっち向いてっから!」
「ふえっ!?」

風斬もようやく気付いた。カップルだろうが1人身だろうが問わず傍を通る男性の視線が穴が空きそうな位集中している事に。
獲物に飢えた肉食獣か腹ペコ修道女並みに皆さんギラついてますよ?
細かく言えば大半が半ば剥き出しになっている彼女の膨らみの深い谷間に、である。
着てる物の素材のせいか最近の格闘ゲームの女性キャラみたいに揺れはしなくても恥ずかしそうに胸元を隠そうとして逆に大きさを強調してしまっていた。

そこで立てたフラグにはさっぱり気付かないくせして無駄に新しいフラグ(女性限定)を立てるこの男の本領発揮。

「とりあえず俺の部屋に来い風斬。インデックスももう帰るぞ!」
「へ?へへへへへへやって当麻さんのですか!?」
「いやだって、そのままの格好じゃ街中うろつかせる訳にもいかないし寒いだろ?」
「あの、別に気にする必要はありませんから・・・人間じゃないんですし」

風斬はそう、自虐的に笑った。軽く見せようとして明らかに失敗した笑顔だった。
当麻は一瞬ムッとしたが、すぐにやれやれと云った風に溜息をひとつ。

「お前が人間じゃないとかそんな事より、風斬は友達で立派な女の子なんだから寒空の下に寒そうなカッコでほっとく訳にはいかないと上条さんは考えてる訳ですが」
「そうだよ。インデックスだってひょうかの友達だよ?」

インデックスが風斬の手を握った。
517とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 3:2009/12/25(金) 01:33:40 ID:qXq0V5Yg
その手は、温かかった。
反対側の手を取った当麻の左手も、温かかった。

「ほら、行こうぜ。サイズの合う着替えあるかどうか分かんねーけど、少なくともここよりは温かいだろーしな」
「ねぇねぇどうせならひょうかも一緒にケーキ食べよう!だから早くあのおっきなケーキ買ってくるんだよとうま!」
「って俺はパシリ扱いですかそうなんですねそうなのかよチクショー!」
「うわわ、ふ、2人ともいきなり走らないで下さーい!」

気が付くと、風斬はまた笑顔になっていた。
今度は間違いなく、心の底から浮かべる事が出来た笑顔だった。


・・・余談だが、この光景を一部始終見ていた青髪にピアスの少年と常盤台中学の学園都市第3位が怒りの悲鳴を上げていたとかどうとかこうとか。





「夢じゃないよな現実だよな本当に夢じゃないよなイテェ痛いからやっぱり夢じゃねー!」
「はまづら、どうしていきなり自分の顔なぐってるの?」
「い、いや何でもないんだ、ただちょっと確認をだな」
「?」

去年までのクリスマスといえば、野郎どもと集まって何故か自分達の周りには女っ気が全くない(多分その頃のリーダーの風貌がアレだったからだと思う)事を呪いながら、
女の為に奮発してやろうと金を持ってきてるであろう学生(特にイケメンな奴狙いで)を襲ってはどんちゃか騒いで鬱憤を晴らすか失敗して留置所のお世話になるか、が定番の2択だった。

しかし今年からは違う。立場から言えば組織からも外れて下っ端ですらないが、それでも違うのだ。
今の時期、つまりクリスマスにおいての勝者/敗者とはイコール女持ちかそうでないかなのである。

そして今、浜面仕上の隣には滝壺理后という少女が居る。
スキルアウト時代の仲間達には悪いが、今この時こそ暦は冬だが浜面にとっての春だった。

「良かったな、あのカエルっぽい医者も後遺症が無くなって身体の具合も治りかけてるって太鼓判押してくれたし」
「でも、能力を使ったりしたらまたすぐに再発するみたいだけど」
「ならもう滝壺が能力も『体晶』も使わなくていいだけの話だろ。むしろ俺が絶対使わせないからな。もう滝壺が無茶する必要も無いんだから」
「はまづらはいつも無茶な事したりするのに?」
「う゛っ・・・」

心当たりがあり過ぎて困る。
具体的にはレベル5相手にしたりヘリから飛び降りてテロリスト相手に戦ったり統括理事委員会お抱えの武装集団と鬼ごっこしたり。
B級アクション映画の主人公じゃあるまいし、1年どころか半年足らずで何だこの密度。むしろ俺で映画が撮れるぞ。

誤魔化すように頭を書いてみせた浜面の腕には、なけなしの金で買ったケーキやらパーティサイズのフライドチキンとかが入った袋がぶら下がっていた。
何で買ったのか、一々説明するのは野暮ってもんだろう。

「そういえば滝壺はクリスマスはどんな風に過ごしてたんだ?・・・・・・やっぱ『アイテム』の奴らとパーティーでもやったりしたのか?」
「去年は仕事で1日中目標の能力者おいかけてた。その前はずっと研究所で実験ばかりだったからぱーてぃーとかした事ない」

地雷踏んじまったァーッ!?微妙に滝壺の眉が垂れて暗くなってるし。
絹旗がこの場に居たら「浜面超間抜けですねアッパー!」なんて言われて中に待っていたかもしれない。
とりあえずパニくった元スキルアウトリーダーはフォローのつもりで脳裏に思い浮かんだ考えをそのままそっくり言い放った。

「あ、安心しろ。今年こそは俺が滝壺に楽しいクリスマスを過ごさせてみせるから!」
「・・・・・・」

捻りも何にもない。故に、それが今目の前の男の心からの思いなんだと滝壺には分かった。
518とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 4:2009/12/25(金) 01:34:32 ID:qXq0V5Yg
だからジャージの少女は、互いに繋いでいた手に込める力を少しだけ強くしながらはにかんだ。

「・・・わたしは、今浜面と居るだけでも幸せ」

あーもー可愛いなぁ可愛いぞコンチクショー!!

幸せだぜヒャッホウ!と云わんばかりに頬が緩みきっている浜面。正直ニヤケ過ぎて気持ち悪い。
いっそこの場で抱きしめてやろうかいいよねいいよな答えは聞いてない、と浜面はガバッと人混みに居るのも忘れてガバッ!と両腕を伸ばしてみせて、


ドカーン!!って爆発音と共にいきなり反転した人の流れに弾き飛ばされる事になった。


「は、はまづらっ!?」
「のわーっ!?」

間抜けな声をあげて人の大波に呑まれる浜面その反動で幸運にも道の端に押しやられて踏んだり蹴ったり押し倒されたりせずに済んだ滝壺。

「チクショウがっ!女のくせに調子に乗りやがって!」
「それはこっちのセリフですわよっ!よりにもよってこんな日に犯罪を犯すんじゃありませんの!」

荒っぽい男の怒声と少女の文句、そして再び爆発音。
陰から覗いてみるとジャッジメントの袖章を着けたツインテールの常盤台中学の少女と黒尽くめにスキー帽といかにも泥棒か強盗の類っぽい男の姿。
どうも彼らがパニックの元凶らしい。男が手をかざすたび爆発が起きるから男の方も能力者だろう。
威力や規模、精度から判断するにおそらくレベル3辺り。
ツインテールな少女の方は空間移動能力者で縦横無尽にテレポートする事で男に狙いを定めさせないでいた。
男は能力を連発させる事で精度よりも面制圧に切り替えて、連続して扇状に爆発を起こすと粉砕された地面や周辺の破片が立ち込めて視界が覆われる。

ああっ、聖夜にお姉様をディナーにお誘いする為に4時間かけてセットした髪がーっ!!?なんて悲鳴が向こうで聞こえた。
男は反転して通行人が脱兎のごとく逃げて行った方・・・滝壺の居る方へ駆け出してくる。
男の眼は、紛れも無く滝壺を捉えていた。
軌道修正してまっすぐ近づいてくる男の姿に、滝壺は身を強張らせる。

「はまづらっ・・・!」

反射的にそう呟くと同時に男の魔の手が延ばされ、

グワシィ!!と足首をその場に固定してきた手によって勢いよく男は前のめりに倒れた。

かなり痛そうな激突音が男の顔面から聞こえ、次に男が顔を上げてみるとスキー帽の鼻がある辺りが赤黒く湿っていた。
唯一覗く目元に怒りを表しながら男が視線を転じると、そこに存在していたのは。

「フ、フッフッフッフッフッフッフッフ・・・・・・」

男以上に禍々しい気配を放ってるズタボロ、なのに殺る気満々な凶悪凶暴な笑みを浮かべる浜面仕上であった。
なお、その腕には足跡が大量についている上に中身がグチャグチャになって敗れた部分から中身がこぼれている袋がぶら下がってたりする。

「テメェが、なけなし叩いて買ったケーキやチキンや俺の計画滅茶苦茶にしてくれやがった元凶か」

ジャキッ!と袖から飛び出して手に収まるは今や愛用のレディース用の小型拳銃。

「ブ・チ・コ・ロ・シ・てやんぜェこの三下ァ!!!!!」
「はまづら、むぎのみたいになってる」

あと学園都市最強能力者も微妙に乗り移ってるらしい。

519とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 5:2009/12/25(金) 01:35:42 ID:qXq0V5Yg
いきなり殺気全開で吠えてきた足跡だらけの少年に一気に恐れをなした男は情けない声を上げて反射的に能力を使おうとしたのか手を掲げた。
能力が発動する、よりも早く突き出した手が軽い銃声によって撃ち抜かれた。小口径でも痛みで能力を中断させるのには十分な威力だった。

「痛いか!こいつは踏み潰されたパーティサイズのフライドチキンの分!」

続けてサッカーボールキック。爪先が股間にめり込み、鈍い衝撃が下から上に男を貫く。

「これが原型無くなるぐらいグチャグチャにされたケーキの分!」

両手で蹲った男の袖を掴んで引き寄せながらのヘッドバットで今度こそ男の鼻が粉砕骨折を起こした。

「これがテメーのせいで散々足蹴にされまくった俺の身体の痛み!!」

拳銃を握り締めたままの浜面の右手が拳を形作る。その拳を後ろへと限界まで引き絞られる上半身。片膝をつきそうになるぐらい腰もギリギリまで落とされて、

「そしてこれがっ!!滝壺にまともなクリスマスを送らせてやれない俺の!!心の痛みだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

顎どころか顔面の骨丸ごと砕かん、とばかりに猛烈なアッパーカットが、男の体を30cmばかり浮かせた挙句見事な車田落ちを再現したのであった。
激しく息を切らせた浜面と、煙が晴れた道の真ん中でポカンと間抜けな表情のツインテールのジャッジメントの対比が滝壺には印象的だった。





もうすぐ日付が変わろうかという、学園都市の大半の明かりが消えた時間帯。
歓楽街から離れた道路沿いの道を歩く灰色の影が1つ。

「ったくよォ、今日も面倒くせェ仕事押しつけやがってよォ」

学園都市最強(ただし現在時間限定)の超能力者、一方通行は新しい銘柄の缶コーヒーを傾けながら寒空の下を歩いている。
杖をついていない缶を持った方の手にぶら下がっているコンビニの袋には同じ缶コーヒーが数十本。

「・・・今回はハズレか」

買うんじゃなかった、と愚痴りながら中身が無くなった空き缶をたまたま見かけた缶用のゴミ箱に放り込む。
そんな彼の背後に近付きつつある車が1台。
クラクションが鳴らされ、ああン?と一方通行が杖で身体を支えながら振り向いてみると、それは見覚えのある車だった。

「よーやく見つけたじゃんよー」
「・・・ンだ、黄泉坂か」

ぶっちゃけ会いたくない相手の1人だった。絶対最初に言ってくる事は決まってるから。

「またあちこち寝床変えるもんだから探すのも一苦労じゃんよー。何時になったらあの子の元に帰ってくるのさー?」

ほれ見やがれ。

「うッせェ。俺の勝手だろうがよォ」
「そういうと思ったじゃん。でも、今日はいつも見たいに行かせないじゃんよ」
「あァ?」

仕事帰りかアンチスキルの制服+装備一式姿の黄泉坂はツカツカ一方通行の腕を掴んだかと思うと。
次の瞬間、気付いた時には両手首が強化ナイロン製の拘束バンドで固定されていた。
520とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 5:2009/12/25(金) 01:36:54 ID:qXq0V5Yg
「はあああァァッ!?テメェ!」
「はいはい夜中なんだから静かにねー」
「むぐふぅ!?」
「でもってどうせだから今のうちにラッピングしとくじゃんよ〜」

口も塞がれた上にどっから取り出したのか長めのロープ、じゃなくてリボンで足に頭に両腕に手首も胴体と一緒に固定されたもんだから首元のチョーカーさえ解除できないままに縛りあげられる学園都市最強。
これぞアンチスキルの捕縛術の無駄な活用法である。
止めとばかりにこれまたどっからかとりだした白い袋にすっぽり包まれた一方通行は何とか芋虫みたいに身をくねらせて抵抗してみるものの、結局黄泉坂の愛車の後部座席に放り込まれる憂き目に遭った。
傍から見れば完全に誘拐なのだが、生憎目撃者は1人も居ない。

「それじゃあさっさとこのセクシーサンタクロース黄泉川愛穂が、健気な女の子にプレゼントを届けに行くとするじゃん」

心底楽しそうにしながらハンドルを握った黄泉坂は自分で言っときながら盛大なスキール音を響かせて車を急発進させた。
その際の反動で後部座席の荷物が座席から転がり落ちたりしたのだが、抗議の呻きは届かない。


翌朝、とあるマンションの一室にしっかりラッピングという名の拘束をされたまま送り届けられた一方通行の姿を見て喜ぶ幼女の姿があったとか。





学園都市最強のレベル5が知り合いのアンチスキルの手によって拉致されたのとちょうど同じ頃、浜面はようやく自宅へと帰りつく事が出来た。
単独でレベル3の能力者をKOしたせいで、事情聴取とか拳銃の所持(当たり前だがスキルアウトでもない限り学園都市でも所持は違法)に関する追及への誤魔化しの為にここまで延びたのである。
もうすぐ、クリスマスは終わる。
不意に襲ってきた脱力感に、浜面はその場でへたり込んでしまった。

「あ〜〜〜〜、滝壺には悪い事しちまったなぁ」

あんな事があった手前、わざわざ絹旗を呼び出して滝壺を彼女の自宅まで送ってもらっておいた。
本当なら一緒にささやかなクリスマスパーティーをやって、2人だけでケーキを食べて、そして良い雰囲気だったらあわよくばそのまま―――

(っていやいやいや!滝壺はまだ病み上がりあんだしまたあんな事件に巻き込まれたんだから疲れてただろうししょうがないだろ!)

そう、しょうがない。不運だっただけだ。
どっかのヒーロー役の不死身の刑事みたいに、悪い時に悪い場所に居てしまっただけの話。
しかし理解は出来ても納得出来ない事もある。

「はああぁぁぁぁぁ・・・・・・・明日になったらまた滝壺の様子見に行ってみっか」

俺ももう疲れたから寝よ寝よ、とベッドに向かおうとした所。
521とある聖夜の主人公達(ヒーローズ) 7:2009/12/25(金) 01:37:30 ID:qXq0V5Yg
こんこん、と扉がノックされる音が部屋に響いた。

「誰だよこんな時間に・・・」

疲れとか身体の痛みとかで少々思考能力が落ちていた彼は特に来訪者が誰か確認しようともせず扉を開け。

「超メリークリスマース」
「何やってんだ絹旗」
「あれ超意外ですね。いつもみたいに超つまらない反応でもしてくれるかと思ったんですが」

赤と白の正統派なサンタコスの絹旗最愛はつまんなさそうに言いながらも、背後に置いてあったえらく巨大な―――それこそ人1人そっくりそのまま入りそうな箱を妙にそっと繊細に部屋へと運び込んだ。土足で。

「丁度良い大きさの箱とかリボンとか、この短い時間で調達するのは超大変だったんですからね。あと言っておきますがこの箱の受け取り拒否は超許しませんから。放置するのも禁止です」
「いや、てか何だこれ。というかお前サンタのつもりかせめて玄関からじゃなくて窓とかそれっぽい所から入ってこいよ!?」
「やですよ超めんどくさいですから。それからこの送り主は滝壺さんからですので、なるべく早く空けた方が良いですよ」
「・・・滝壺から?」
「では私はこれで・・・・・・・・・失望させるような真似は超しないで下さい」
「???」

訳が分からない。そんな内に絹旗サンタはさっさと退場。
部屋に残されたのは浜面と巨大な箱のみ。

「・・・とりあえず開けてみるか」

まずは箱を包む巨大なリボンと包装紙を引っぺがす事に。その時に動かしてみた感じから、箱のサイズ通り中身は結構大きくて重たそうだった。
次は箱。引っ越し用に使うような折り畳み式のタイプで、内部に折り込まれている部分を外せば中身を出せる仕組みだ。
滝壺から送られてきたと聞いて正直半分ぐらい嬉しかったりする浜面は楽しみにしながら箱の中身を露わにしてみる。

滝壺から送られてきた箱の中に居た滝壺本人と目が合った。
何故か彼女は、真っ赤な長いリボンは何も身に着けていなくて。

「めりーくりすます、はまづら」
「のっひょぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?」

浜面、後ろへその場跳びで後頭部から壁に激突。
何がどうなったのか箱はそのまま四方に開いて、中に入っていた滝壺の今の姿が全身晒される。
赤のリボンが胸回りと腰辺りの大事な部分を最低限隠しているだけという格好に加えて、頭にはちょこんと白い兎の耳が。
浜面の鼻の中で熱い感覚と鉄錆の臭いが広がるのを堪え切れなかった。

「はまづらはこういうのも好きなの?それともバニーの耳のせい?」
「な、なななななななぬぁんぬぁんだよその格好!?」
「あのあとはまづらが元気なさそうだったから。はまづらの好きなバニーの格好をしようとおもってきぬはたにたのんだけど、耳しか見つからなかったから代わりにはまづらが喜んでくれそうな格好をしてみたの」

いや嬉しいよ?嬉しいけどある意味ベタっていうか耳だけっていうのもいやすんませんぶっちゃけすっごくエロいです。
つーか好みどうこうよりも、格好が過激すぎる。
何より今、目の前でそうしてくれているのは浜面が大好きな滝壺なのだ。それこそが最も重要な点だ。

良く見てみると、滝壺の顔色がいつもよりも青白い。考えてみれば真冬の夜空で裸同然の格好をしていたのだ、身体が冷え切っていて当たり前だろう。
その点に浜面が気付いたのを滝壺も悟ったのか、丁度リボンの結び目がある胸元を見せつけるようにして少しづつ彼に近づいていく。
彼女からハッキリ分かるぐらい浜面の顔は鼻血以外にも赤く染まっていたし、隠しようが無い位彼のズボンの前はきつくテントが張っていた。
滝壺もまた、自分の裸を見て彼がそこまで興奮している事を嬉しく思い、そして見るだけで満足して欲しくない、とも感じている。

「さむいから、はまづらがあたためて。おねがい」


滝壺の懇願に浜面は、震える手を彼女の意外と大きな膨らみに伸ばす事で応えた――――――


522とある聖夜の主人公達(ヒーローズ):2009/12/25(金) 01:40:02 ID:qXq0V5Yg
投下完了。途中投稿番号ダブったのは自分のミスです。
クリスマスも結局いつもの平日と変わらなかったんでムシャクシャしたから書いてみた。後悔は激しくしている。

本番?力尽きました。誰か続き書いて(マテ)
523名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 02:12:43 ID:lYzTFVtk
いろいろと不遇な人が多いような気もするが
この作品の場合しょうがないかw

それはさておき早く続きを書く作業にもどるんだ
524名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 02:23:42 ID:HCt/0S0L
>>522
……ここまで大人数一度に出せるとは。
実力ある人の作品が見れて起きてた甲斐がありました。
また気が向いた時にでも、何か書いて頂けたら嬉しいです。
憂さ晴らしクリスマスネタ、GJ!でした。
525名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 02:45:13 ID:CfYWfVlS
黄泉坂…?
526名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 03:04:45 ID:kVqKw7UH
GJ。


しかし我々が読みたいものはその続きだああああ
やり場のないリビドーをどこにやればいいんだお(´・ω・`)
527名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 03:22:52 ID:CJ7vbJXj
…バニー耳+裸リボンか…通だなw
だが、裸エプロンで首に大きなリボンのみも捨て難い><
528名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 11:58:59 ID:Q2hUD8kQ
黒子×上条キボンヌ
529Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:09:17 ID:TEhjJw+f
>>528
希望に添えなくてごめん。
では改めてこんにちは。
先週ひょんな事から頂いた>>458 氏の案で書きましたミーシャ×ワシリーサを投下します。
エロありです。
相当悪乗りしてます。
触手描写がほんのちょっとだけあります。
ワシリーサの一人称話なのでウザいです。
これらが駄目な人はお手数ですが避けて下さい。
でわ、『全てはここから始まった』、7レスで投下します。
530『全てはここから始まった』1/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:10:15 ID:jS9wpFbv
『全てはここから始まった』



 あの日――『御使堕し(エンゼルフォール)』が発動された直後、ロシア成教『殲滅白書(Annihilatus)』内で起ったある出来事をお話しましょう。
 あの日は、朝からとても過ごし易い日だったと憶えているわ。
 その日も私、殲滅白書最強にして最高の美貌を誇るワシリーサは、そんな麗らかな夏の日差しを楽しむ様な余裕など無く、ただただ執務に励んでいたの。
「ふっふーん。私にかかれば、カナミンの新コスチュームの再現なんてチョチョイのチョイなんだから」
 これは新しい戦闘服の開発をしている所。
 近年、極東の対オカルトに関する研究は特に進んでいて、中でも戦闘服(コスチューム)については群を抜く高い性能を誇っているの。
 我々殲滅白書としても、こう言った新しいものはどんどん取り入れて行く事で、メンバーの安全な活動、そして他勢力との勢力争いに後れを取らない組織作りを目指している訳。
「やっぱり時代は、カ、ナ、ミ、ン、よねぇ。あーん、サーシャちゃんがこの衣装着て、闘って、闘って……。ああ、でも、あの子は短気だからぁ、そこを突かれて捕まっちゃったりして、それで、それでぇ……。くふ、くふふ、くふふあはははははははははは!」
 そうして私が苦悩に身をよじっていたその時、事件が起ったのよ。
「ん? 何かしらこの気配」
 それは強力な術式の気配だったわ。
 しかも、
「あらやだ。もしかして『御使堕し(エンゼルフォール)』じゃない」
 御使堕し――それは、天使を天界から人間界へと呼び出すための強力な術式。
 人の身には余りある天使の力を現世に降ろしてどうするつもりなのかしらね?
 ま、その真意や結果云々は既にみんなの知る所だから省くわね。
「ふぅー。どこの馬鹿よ。今時天使なんか呼び出したって何の得にもなりゃしないってのに」
 私はそう呟きながら、ベールの両端を強く掴んで術式に備えたわ。
 その程度でどうなるのかって? それがどうにかなるからこそ、私が最強って呼ばれるのよねぇ。
 とにかく、そうして私が準備万端待ち構えていると、私の耳に術式が通り過ぎる「ごうっ」と言う音が聞こえたのよ。
 そして再び訪れる静寂。
 私はフードの下からチラリと辺りを覗いてから椅子から立ち上がると、近くにある姿見の前でくるりとその場で一回りしてみた。
 ふわぁーと広がるベールとスカート。
 ちらっと見えた生足の肌の白さに変化無し。
 もちろん、美しい顔も、金髪も、すべすべの手もぜぇんぶ変わり無し。
「よし、影響は無いわね」
 ほら! すごいでしょお。
 実はこの修道服も私の手製なんだけど、イギリス清教自慢の『歩く教会』なんて目じゃない訳よ。
 とにかく、そう言う訳で無事だった私は、
「まずは術式の発動位置を特定しなくちゃ。それが出来たら早速行って、馬鹿を狩り取らなくちゃね」
 早速行動に移そうと執務室を出る事にした。
 ところが、私がドアノブに手を掛けようとした所で、何かが爆発した様なすさまじい轟音と共に、部屋全体、いや、この殲滅白書の本部の建物が悲鳴を上げたのよぉ。
 しかも、そこに追い打ちを掛ける様に――、
「この気配は天使……。それも尋常な天使の力(テレズマ)じゃないわね」
 そこまで呟くと、私は扉を開けるのももどかしく蹴破ると廊下を走った。
 言っておくけど、廊下は走っちゃいけないの。良い子は真似しない様にね。
531『全てはここから始まった』2/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:11:05 ID:TEhjJw+f
 ま、とにかく、私にしては珍しく胸騒ぎを感じて天使の気配の場所へ。
 途中、殲滅白書のメンバーの誰ひとりとも遭遇しなかったけれど、今思えばあれを見られずに済んだのだから幸いだったわね。
 それをこれから話すんだけど、他言無用にお願いね。
「これだけ無暗やたらに力を垂れ流してちゃ見間違い様が無いわね――っと、ここぉッ!」
 私は、走って来たそのままの勢いで、目の前の鉄の扉をぶち破って中に飛び込んだ。
 多分中には天使を降ろした人間が居る筈だったから、そのままの勢いで確保するつもりだったの。
 そして、私の見立て通り確かにそこに居た――天使の象徴たる白い翼をゆらゆらとはためかせた、
「サーシャちゃんに天使のお羽が生えてちゃって超キューツ!!」
 私は咄嗟に懐に常備してある極東製フルマニュアル35ミリ一眼レフを構えて激写モードに――とこれが一瞬の隙を生んじゃったのよぉ。
 で、当然その隙を逃す天使じゃ無かった訳で、気付いた時には氷の枷で石壁に磔よ――もうッ、ワシリーサ一生の不覚ッ!
 壁に磔になった私を見上げるサーシャちゃん。
「問一。ここは何処か?」
「ロシアよ、ロ、シ、ア。判る?」
「回答一。理解した」
 そう言ってサーシャちゃんの姿をした天使は背中の羽をゆっくりと動かす。
 うーん……、一枚も撮らない内に捕まるなんて何て間抜けなのよぉー。
 まあ、それはおいおいどうにかするとして、取り合えず目の前の事態を解決しないとね。
「天使さん? よろしければ御名前をお聞きしたいのだけれどよろしいかしら?」
 その言葉に天使は思案するように顎に手を――ああ言う仕草ってサーシャちゃんも良くするんだけど、カ、カワイイ。
 こう知的な感じが滲み出てるって言うか、一生懸命な感じがいいのよねぇ。
 で、そんなかわいい天使は、ちょっとだけそんな仕草をした後、再度私の事を見上げると、
「回答二。私の名前はミーシャ」
 それを聞いた瞬間私は愕然としたわ。
 天使がロシアの言語圏に合わせて発音したとか、自身の名前をニックネームで言ったとか、サーシャちゃんに響きが似ているとかそんな事はどーでも良くって、もっと深刻的な問題は……、
「何で『水』の力なのよ!? あなたの力は『火』でしょお!」
 そう! どんな聖典でもミーシャ――ミハイルの力は火だと書かれているはず?
 ところが、
「疑問一。貴女の言っている意味が理解出来ない。何を判断しての発言か不明だが神の加護に制限は無い」
 ムグ……。
 ま、確かにミーシャちゃんの言う事も尤もだと納得。
「質問一。もし火が望みならそのようにするが?」
 そう言葉を発した瞬間、何も無い所から炎の輪がいくつも現れて辺りを照らす。
 私はその炎を見つめた後に、ミーシャちゃんに向かって笑顔を向けた。
「お気遣いは有難いけど、お肌に悪そうだからご遠慮いたしますぅ……、わッ!」
 私が言葉の語尾に気合を込めると手足の氷が涼しげな音を立てて一瞬で砕けた。
 そして、私はそのままふわりと床に降り立つ。
「!?」
 ミーシャちゃん、私が氷縛から逃れたのに驚いてるー。
 ふふふ。この程度の事で――、
「驚いてちゃ私の相手は務まらないわよぉ」
532『全てはここから始まった』3/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:13:14 ID:jS9wpFbv
 次の瞬間、ミーシャちゃんの背後に回り込んだ私は、ミーシャちゃんの右手をねじり上げてうつ伏せに床に押し付けた。
 ミーシャちゃんを押し倒した瞬間、重いものが落ちて来た様な鈍い衝撃音と共に、床にひび割れが走ってすり鉢状にくぼむ。
 ミーシャちゃんは、翼と自由になる手足を動かしているけど、私の拘束を外せないみたい。
「ミーシャちゃんには申し訳ないのだけれど大人しくして欲しいのよねぇ。この申し出如何かしら?」
 その言葉に、ぱたりと動きを止めると、
「回答三。同一の見解につき申し出を了解。補足一、相違点。大人しくするのは貴女だ」
 ミーシャちゃんがそう言葉を発した次の瞬間、私の体にズシリと荷重加わる。
「んガッ!?」
 これって重力操作!? またこの子は設定無視した力をぉ……。
「質問二。やはり不服そうだが火の方が良かったか?」
「ご、ご丁寧に、お気遣い無く」
 這いつくばっていた床から立ち上がったミーシャちゃんとは対照的に、両膝を床について屈辱的な姿勢の私。
「質問三。協力要請。私が天に還る為に力を貸して欲しい」
 この状況でお願いですか……。
「ものを頼むなら、まず誠意を見せて欲しいわね」
 軋む体を起こしてミーシャちゃんの顔を見あげながら、私はそう言ってにやりと笑う。
「質問四。不敬だ。自覚はあるか?」
「それを問うなら、力づくで跪かせた上に見下ろして話すのは失礼なんじゃないかしら」
 あの時は、体の自由が効かない分、いつもより饒舌だったのは確かね。
 それからちょっとだけ相手を舐めてなのも確か。
「私見一、貴女には従順さが少ない。自問一。自己回答。これも神の与えたもうた試練と言う事か」
 ミーシャちゃんがそう言い終わると同時に、ミーシャちゃんの背後の翼が伸びて行き、それは無数の氷で出来た触手の様なものになって私の手足に絡みつく。
「!?」
 さらに、そのまま私を持ち上げると、空中に大の字に固定した。
 今度はどういう力なのか、私でもびくともしない――と言うか力が吸い取られる様に体の中から抜けて行く。
 この調子で丸焼きとか、串刺しとか、四肢切断とか、氷漬けとかされちゃうと、ちょっと困るなぁーなんて考えていると、目の前にふわぁっとミーシャちゃんがやって来た。
 この期に及んで、ミーシャちゃんの神々しさに思わず見てれちゃう――次のサーシャちゃんの衣装には絶対羽根を付けよう。
 などと場違いな事を考えていると、何の前触れも無く全裸に剥かれた。
 その上、ミーシャちゃんも全裸に。
 お互い一糸まとわぬ姿……って、こ、これはもしや!? と、自分の事などさて置きミーシャちゃんの体を舐める様に……おほん、つぶさに観察する。
 これはやましい気持ちとかじゃなくて……、そう! サーシャちゃんを助けるためなのよ! そうなのよ! だから全然やましい気持ちはこれっぽっちも全然――、
「な……に……?」
 私はミーシャちゃんのある一点で視線が釘付けになる。
 私の鮮明な記憶では、あそこには無毛の恥丘とワレメちゃんがあるはずなのに、そこに見えるのは、邪悪に隆起した、お、おと、おと……!?
「な!? 何サーシャちゃんの体に変なもの生やしてんのよッ!! ばッ、馬ッ鹿じゃないの!? ね? 馬ッ鹿じゃないのぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!?」
 ちょっと取乱しちゃったけど結論から言えば、男の汚らわしいアレが生えてました。
 しかも大きさはミーシャちゃんの腕くらいあるから――って、
「!?」
 敏感な部分への奇妙な感触に、私の体が勝手に震える。
 で、視線を下に向けると、いつの間にか私の腰に手を添えたミーシャちゃんが、大事な部分に凶器を押し当てていた。
533『全てはここから始まった』4/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:14:00 ID:Q4oBolPz
「ちょッ!? ちょっとぉ! いきなりそんなゴツイもの前戯も無く入る訳ないでしょお!!」
 それに驚いて思わず絶叫すると、ミーシャちゃんはキョトンと私を暫く見つめた後、ぽんと拳で掌を叩いたの。
 天然……なのかしら……?
 などと考えている間に事態はさらに進んで、私を拘束している触手とは別の触手がゆっくりと私の大事なところに近づいてくる。
「あ、あの……氷柱なんかで何するつもり?」
 私は恐る恐る聞いてみるが答えは無い。
 あれで串刺し――なぁんて悲惨な末路が頭をよぎる。
 ところが、事態はもっと深刻だった。
 氷柱が私の大事な部分に触れた瞬間、
「ッあ!?」
 盛大に逝った。
 あまりに急だったせいで声が漏れる。
 何をされたのかも判らない。
 判るのは、ただ触れただけで、達する様な快感が股間から脳に向かって突きぬけた事だけ。
 さらに――、
「ああッ! あぎッ! ンギッ! ン゛ン゛ッ!」
 立て続けに体を駆け抜ける快感。
 途中から口を噤んで我慢したけれど、体まではそうもいかず、気が付けば無様に失禁していた。
 どうやらただの氷柱じゃないらしいのはこれで判ったけれど、
「ン゛グゥ……、ン゛ヴッ! ン゛ン゛ッ! ン゛――――――――――――――――――――ッ!!」
 責めは止まらず、ガクガクと体が震えて頭の中は真っ白。
 過ぎた快楽は拷問だってスクーグズヌフラが言ってたけど本当ね。
「ン゛ッ! ヴン゛ッ! ン゛ン゛ッ!」
 最後の砦とばかりに結んだ口を頑なに閉じて頑張って見るけど、頭の中が限界みたいで段々と目が霞んで来ていた。
 と、そんな視線の端に二本の新たな氷柱が、先端を蛇の口の様に開いて通り過ぎた。
 その間、私は氷の蛇の口の中に針よりも細いきらめきを無数に確認した。
 そうか、あれが直接神経を刺激しているのか……って!?
「も、もう止め――――」
 その叫びもむなしく、二匹の氷柱の蛇は私の白くて大きいおっぱいを半ばまで飲みこんだの。
「――――――――――――――――――――ッ!!」
 私の大きく開けられた口から、笛の音に似た絶叫が響く。
 我ながらよくもこんな声が出せるものだとびっくりしたわ。
 それにしても、まるで皮膚の下に無数の快感の虫が這い回るような感触に全身総毛立つのが判る。
 そんな私は、穴と言う穴から雌の臭いをまき散らしながら失神できない事に絶望を感じていた。
 いっそ心臓でも止まれば楽になるのに……。
 丈夫なのも考え考えものよねぇ――――。
 ぼんやりとそんな事を思い出していると、ミーシャちゃんの顔が近づいて来て、
「あがッ!!」
 お腹の中に穴でも開けられた様な衝撃に、私の視界が白と黒を行ったり来たり。
「ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ、ォ……」
534『全てはここから始まった』5/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:15:12 ID:Q4oBolPz
 内臓が音を立てて押し上げられるおぞましい感触、そして全身を引き裂かれるような苦痛に脂汗が吹き出す。
 しかし、それらが私の心を快楽から解き放ってくれた。
 お腹の中にまるで杭打ち機でも突っ込まれた様に、無機質に出し入れされる感触に吐き気を覚えつつも、頭の片隅で対抗策を考える。
 手足の枷が外せないなら、いっそ邪魔な手足を引きちぎって抵抗してみるか。
 否――ここで失敗すれば後は無いわねぇ。
 ここは相手の油断を誘う為にも、あえて従順なそぶりを見せておいて、逆転勝利ッ――そう考えをまとめようとした、その時、
「ぇ……?」
 私の体の中で何か熱いもの弾けた。
 それは、ひとつ脈打つごとに私の中に満たされて行く。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
 このぉ!? 出しやがったわね!!  と、叫びたかったんだけど、体が言う事を利かない。
 出るのは潰れた絶叫だけ――嗚呼、格好悪いったらないわね。
 しかし、それも仕方のない事。
 大量に吐き出されるアレのせいで、私のお腹は蛙の様に膨らんで行く。
 心で『これくらいでへこたれるな』と叱咤激励を飛ばしても、体は『破裂する! 死んじゃう!』と怯え、そして泣き叫ぶ。
 挙句には内臓が圧迫されて、
「ア゛グゥ……ゲェ……。ン゛ッ!? ゴハッ!!」
 胃の中のものが口からこぼれて、私の胸とミーシャちゃんに降りかかる。
 最悪、無様、何が最強かッ!
 これ以上堕ちる所は無いと言う所まで踏みにじられた所で、
「質問五。再度協力要請。従うか?」
 ミーシャちゃんの声が優しく私の耳朶をくすぐる。
「あぁ……」
 霞んだ瞳に映るミーシャちゃんの姿が何とも神々しい。
「もう一度質問五。再度協力要請。従うか?」
 ミーシャちゃんがオウム返しの様に同じ事を言う。
 ふふふ――こういう場面で言う言葉って言ったらあれしか無いわね。
「だがことわる」
「!?」
「それ……とも――りょ、りょうじょくがたりないでしょッッ!! だったかしら?」
「!!」
 くふふふ。驚いてる驚いてる。
「言ってみたかったのよねぇ、コ、レ。中々、私を追い詰めてくれる様な強敵(とも)に会えなくてん。あ、り、が、と」
 嗚呼、つくづく私ってあまのじゃくねえ。
 でも止められないのよ。
 きっと死ぬまで止められない。
「――――e無kb――rl更生qッ!?」
 何を言ったか判らないけど、どうやら怒り心頭といったところかし――、
「オひッ!?」
 突然お尻に衝撃。
535『全てはここから始まった』6/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:17:13 ID:TEhjJw+f
 ぇ……? この背筋も凍るような感触と、背骨を真っ二つにされる様な痛みってまさか……、
「ぎゃホバァ!!」
 私の叫び声は口内から突き出た氷柱で一瞬にしてかき消された。
 これって良くある触手串刺しって言うエロ描写!?
「――――lg一度ォォ!」
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!」
 前からは蛙腹を内部から杭打ち、お尻からは無数のこぶの付いた氷柱――こぶの全てに例の針付き――が、蛇の様にうねりながら腸から胃を抜けて口まで這う様に蠢動する。
 もう、およそ人間としての扱いを失って、人形の様に成す術も無く蹂躙される。
「ガボガボア゛ア゛ガガガオ゛ボオ゛ゴオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!」
 湿った地下室に響き渡る人外の絶叫。
 本当に何でもっと人並みに生まれなかったんだろう? 改めて自分の丈夫さを呪ってみたり。
 そして、それからどれくらい続いたのであろう拷問は私の心を見事に破壊してくれたわ。
「ミーシャちゃんのご命令通りに、イギリスにはこちらからミーシャ=クロイツェフを派遣する事を申し入れておきまひた。アハ」
 そう言って私はミーシャちゃんの下半身に傅くと、例のものに頬ずりする。
「回答一。協力に感謝する」
「ミーシャちゃんの為だったらなんれろうらうあうあ」
 ミーシャちゃんの肉棒に舌を絡めながら、私はそう忠誠を誓ったの。
 その後御使堕しの術式は消滅し、ミーシャちゃんは極東の地で無事天に還った。
 しかし、私が受けた傷は残ったまま。
 それでもいいの。
 私には、サーシャちゃんがいるから――。
536『全てはここから始まった』7/7 ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:18:02 ID:jS9wpFbv








「って話なんだけどどうかしら?」
 私がそう言ってデスクの向こうから微笑むと、目の前にいたサーシャちゃんは手にした冊子をパタンと閉じた。
「第一の回答ですが、正気でこの本を書いたのですか?」
「本気じゃなくて正気って聞くところがニクイわね。ま、誰に見せる訳でもないんだけどね。ちょっと暇だったから」
「第二の回答ですが、それなら私にも見せないで下さい。そして第一の私見ですが、これは立派なセクハラです」
 あらら。いつも通りのお硬い回答。
 だ、け、どぉ、それには赤いほっぺがちょっとかわいすぎるわねぇ。
「何? 濡れちゃった?」
「ッ!?」
「そっかー。この私のナイスバディが惜しげも無く蹂躙される様を想像して濡れちゃったかー。そかそか。うーん、こんなかわいいサーシャちゃんを濡れさせちゃうなんて私もつくづく罪作りな女よねぇ」
「第二の私見ですが、貴女は一度精神科にでも行った方がいい。補足説明しますと、手遅れかもしれませんがそれならそれで永久に隔離されると嬉しい。シベリア永久凍土辺りに」
「私はマンモスか何かですか? んと、ホント酷いわねー。私の体にやましい所なんて一つも無いわよー?」
「第一の質問ですが、何故脱ぐ!?」
「いや、サーシャちゃんに私の身の潔白を証明しようと思って」
「第三の回答ですが、結構です。そして第一の質問を繰り返しますが、だから何故脱ぐのを止めないッ!?」
 どうしたのかしらサーシャちゃん? 虫の居所でも悪いのかしら……。
「だ、第二の質問ですが、何故そこで不思議そうな顔をするのですかッ!? そして第一の質問を命令に変更して、脱ぐなって言ってるッ!!」
「遠慮しなくてもいいわよぉ。お互い見られて困る所なんて無いでしょ? あ、そうだ! ついでだからお風呂入りに行こ」
 すっかり服を脱ぎ終えた私は、さっと身をひるがえすとサーシャちゃんを後ろから羽交い絞めに。
「だ、第四の回答ですが、それも結構ですッ! ほ、補足説明しますと、ここから大浴場までどれだけ距離があると思ってるんですか!?」
 何恥ずかしがってんのか私には判んなーい。
「いいじゃないの細かい事はぁー。ほらほら脱ぎ脱ぎしましょうねー」
 じたばたし様が何しようが、私が作った戦闘服ですから、脱がすのもほいほいほーいってもんよ。
「だ、第五の回答ですが、脱がすな馬鹿ッ!? ほ、補足説め……ッ、止めろって言ってるだろこのッ! アッ!?」
「ごめーん。おっぱい触っちゃった。テヘッ」
 そう言いつつも、指先はかわいいてっぺんを転がしてみたりぃ……。
「だ、第六の回答ですが……、死ねこのセクハラ上司ッ!!」
 私の抱擁を振り切ったサーシャちゃんの拳が、顔の横を掠めて床に突き刺さる。
 おおっ!? 素手でも床がぶち破れる様になったのねサーシャちゃん。
「第一の決意表明ですが、次は外しませんッ!」
 次の攻撃態勢に入った全裸のサーシャちゃんを、満足げな笑みと全幅の愛情を浮かべて迎えたの。
「かかってこい! このバカ弟子がぁぁッ!」
「第一の否定ですが、誰がお前の様な変態の弟子かぁぁッ!!」



END
537Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/25(金) 12:19:08 ID:jS9wpFbv
以上です。
ごめん。
でわ。
538名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 12:48:03 ID:G2hWDNsq
乙でした
サーシャちゃんいいよぉ
539名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 16:40:28 ID:Y3bJJK81
まずなによりもGJッ!
>>458です。
想像の斜め上を第一宇宙速度で突破していく作品を、どうもありがとう。
ワシリーサが聖人かどうかはわかりませんが、性人であることは確定ですね。
そしてかの上司の極東サブカルへの造詣の深さに、畏敬の念を禁じ得ないw
ロハン先生はともかくクライベイビーとかwww
オシリーサは胸が自慢か。。たぶん尻もかなりいいはずなんだが…
リーサ全壊、もとい全開しててエロさいこうでした。
これからも期待してます!
540名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 17:49:58 ID:9pM4TxZe
保管庫にあるやつ全て読破してきたぜ
クリスマスに何してんだろ俺…
541名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 18:55:33 ID:UqEUDli5
542名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 19:29:30 ID:HCt/0S0L
>>537
ワシリーサ。なんて使い勝手が良くて美味しいキャラなんだ、と思ってしまったw
ローラと対決したら、火花が散るのか手を取り合うのか、どっちなんでしょ?
女性上司でまともなのは居ないのかねー、ヴェントが常識人に見えたぜ。
しかし、次から次へとネタが浮かんでは、実際に書けれてしまうものですね。
何か投下したいとは思うが、途中放棄の残骸ばかりで完成品が一つもないですorz

ハッ! そうだ挨拶しとこ。
保管庫の人、本年はお世話になりました。来年も宜しくお願いします。
543名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 01:11:13 ID:tiyxkzOY
>>542
ローラ
エリザード
ワシリーサ
リドヴィア
こいつときたら♪
ぐらいかな。明確に上司と呼べるのは。
ねーちんは嫌がるだろうしね。
あ、親船最中先生がおるやん!上司会の良心!
悲しいかなエロパロに出番はない。要望があったら考えるが。
544名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 01:13:40 ID:Q4NGP6Mz
最中ちんの相手って誰だよ…
秘書の小男か一方さんしかフラグ立ってねーぞ最中ちんは

一方さん×最中ちん…悪くないかもしれんが縁側でまったりする図しか沸かんw
545名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 02:40:50 ID:fIytCVw0
最中ちんって、どっからそんな発想持ってくるんですかw
エリザードも話を引っ掻き回す・進行・まとめ役でエロ要員じゃないと思われ。

保管庫の人、更新お疲れ様です。
546名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 03:55:08 ID:/WMGCqgv
ハイムラー曰く、「和菓子母娘」と言うらしい・・・>親船素甘&最中

最中ばっちゃんは娘を守るためなら何でもやる健気なおっかさんだけども
素甘先生はそういった暗部のことなんも知らなそうだし、(理系なので警備員職にも就いてないかも)
きっと娘にドロを被らせないように最中ばっちゃんは裏で頑張ってきたんだろうな
547ユミシロ:2009/12/26(土) 04:05:18 ID:O7d9KfMu
そういえば、第三王女のプレゼントは―――
なんて思って気が付いたらこんな風になってました。
本当は初めて書いた長いSSみたい(以上)にキャラを出せるだけ出した
クリスマスものを書きたかったけど時間が……というわけで、一つ。
548ユミシロ:2009/12/26(土) 04:05:51 ID:O7d9KfMu

 英国の日本人街。とある日本料理店。
 一人の客がおもむろに呟いた。
「―――美味である」
 屈強な男だった。だが、全身から漂わせる雰囲気は疲労に疲労を重ね疲れ切った重い空気だった。
 しかし、運ばれてきた料理――鮮やかな生魚の切り身が載せられた、酢飯の握り――を口へ運ぶたび、
重い心が、重い体が軽くなるのを感じた。
 ミソ・スープは温かく、味わい深かった。
「……美味である」
 仕舞いには涙さえ浮かべていた。
「は、はあ……ありがとうございます」 
 ……一方で、その客に出した料理の皿を片付ける少女――五和は当惑していた。
 自分達があれだけボロボロになり、とある少年の協力を経てようやく倒した聖人と呼ばれる男の面影は
どこにいってしまったのだろう?
 大体の事情は知らされているが、複雑な心境だった。
 すると、その男――後方のアックア、あるいはウィリアム=オルウェルと呼ばれる男は重い口を開いた。
「あのクーデター以来、運び屋の魔術師に尾行される毎日である。
 背後にはあの男が、そして姫からの資金提供があったに違いない。
 安らぎ泊まれる宿もなければ、食事をする一時もどこからかカメラが向けられているのである……」
「……はあ」
「しかし、である。私は今、尾行を振り切り、まともな食い物を口にしている。
 これほど嬉しいと思えたことはない……」
「……ええと、ごめんなさい」
 五和は思わず謝っていた。
「何が、であるか?」
「いえ、まあ、いろいろと……。実際にあなたを見るまで、本当にこんなことになっているなんて
 信じられなかったので」
 ウィリアムは日本茶を喉に一気に流し込むと、大きな息を吐き出した。
549ユミシロ:2009/12/26(土) 04:06:47 ID:O7d9KfMu
「フムン、私にも想像はできなかった。しかし、現実は見ての通りである」
「……それではお勘定ですけど」
「待つのである。ああ、それとコックに美味かったと伝え―――」
 ふと、その女性がウィリアムの目に入った。
 ハンディタイプのビデオカメラをウィリアムに向けながら『続けて続けて』と手を振る女性。
「―――ぬうううおおおおお!?」
 ウィリアムの行動は早かった。大きな呻き声を上げながらも財布をポケットに戻して店の出口へ向かって
全速力で駆ける。
 しかし、それを阻むものがあった。
 極細の鋼糸がウィリアムを進路遮るように張り巡らされたのだった。
 そして発せられたのは少女の声だった。
「お客さん、お勘定!!聞いてるんですかッ!お勘定です!!」
 五和がウィリアムの元へずかずかと歩いていく。
 唸りながらもビデオカメラが向けられていることに気づいたウィリアムは財布を取り出して紙幣を渡すと、
五和は鋼糸を仕舞い込み、にっこり営業スマイルで言った。
「ありがとうございましたー」
「ぬおおおおああああっ!!」
 と、同時にウィリアムは駆け出した。


 十数分後。料理に含まれていたとある科学都市の睡眠薬の効果によって昏睡した、ウィリアム=オルウェルが
スーツの男に回収されている。


 数日後、某所にて。
 朝早く、天蓋付きのベッドから身を起こした女性の部屋に棺桶のような箱が置かれていた。
 丁寧にラッピングが施された、赤いリボンが結ばれたその箱は大きい。
 人一人がそのまま収まりそうな大きさだった。
(一体誰が……?)
 寝起きのため思考がまだはっきりしていなかったが、寝巻きのまま彼女はリボンを解いていく。
 ふと、一枚のカードが置かれていることに気づいた。
「メリークリスマス……?」
 クリスマス。確かに昨日はクリスマスだった。公務の忙しさもあり、とてもクリスマスだったとは思えない一日だったのだが―――
「……ふふ」
 思わず頬が緩んだ。
 こんなもの置いていくサンタクロースはどんな顔をしていたのだろうか?
 身勝手なことを言っていいのなら、自分が今想像しているサンタクロースに会いたかった。
 包み紙を丁寧に剥がしていく。
 まるで少女のように胸の高鳴りは止まらなかった。
 最後に、蓋に手をかけた。
「メリークリスマス」

550ユミシロ:2009/12/26(土) 04:09:51 ID:O7d9KfMu
勢いで書いたものなので短くてすみません。
個人的には一度姫神と吹寄と五和と絹旗と滝壷と固法先輩とか
まとめて出してみたかったり……
551名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 07:34:13 ID:tiyxkzOY
>>544
潮岸をお忘れか
スーツ内狭所もの、パワードスーツ改造で触手もの等の凌辱系から、
実は好きな子ほどいじめちゃうんだぜ♪なツンデレモードまでなんでもござれさ
ああ、見たくねーw
552Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/26(土) 10:05:52 ID:5z+4utmp
こんにちは。
クリスマスは皆さんどうお過ごしになられましたか?
うちの通行止めはこんな感じでした。
と言う訳で一方通行×打ち止めを投下します。
微エロです。
でわ、『とある打ち止めと誤算の聖夜』投下。
『とある打ち止めと誤算の聖夜』



 クリスマスのこの日。
 やっとの事で、この世で一番大切な、愛してやまない一方通行(アクセラレータ)に男女の一夜を約束させた打ち止め(ラストオーダー)は、うきうきとした気持ちを抑えきれずにいた。
「るんたったー、るんたったー。ねえねえ、こっちのベビードールとこっちのベビードールどっちがこのみ? ってミサカはミサカはあなたに聞いてみたりぃ」
「あァ? ンなもンどっちだっていいだろォがァ」
 薄いピンクと薄いブルーのベビードールを持った打ち止めに向かって、ソファーの上でふてくされた様に天井を眺めていた一方通行は、心底面倒くさそうに言葉をかえす。
「どっちでもいいって事はないんだよ、ってミサカはミサカはあなたの言葉に異議をとなえてみたりっ。視覚効果ってのはいがぁーいに馬鹿に出来ないんだから、ってミサカはミサカはさり気無く教養のあるところを自慢してみる」
「オマエのそれは教養じゃなくてただの耳年増だろォが。ンだァ、一々めんどくせェなァ。どっちにしろ最後は裸ンなンだから一緒だろォが」
「もう! 初めてなんだからミサカはもっと雰囲気を楽しみたいのッ! ってミサカはミサカは主張してみたりっ。しかもしかも今日はクリスマスなんだから、と、く、に、雰囲気は大切なんだよッ! ってミサカはミサカはちょっと憤慨してみたりぃ!」
「ホントめンどくせェえ」
 そう言って一方通行は枕にしていた肘掛けから頭を起こすと、今度は背もたれに後ろ向きに顎を乗せた。
「もォ一度見せてみろ」
「うん! この2つなんだけどどっちがあなたの好み? ってミサカはミサカはあなたが乗り気になったので飛び跳ねて喜んでみたりっ」
「一々跳ねンじゃねェよ」
 そこで小さくため息を付くと、
「それじゃ判ンねェからちょっと着てみろ」
「ぇ……?」
「着てみろって言ったンだが聞こえなかったか?」
「あ、え、じゃあちょっと着替えてくるから――」
「いいからそこで着換えろよ」
「えぇ――――――ッ!?」
 一方通行の言葉に驚愕を露わにする打ち止め。
 そんな打ち止めに、一方通行は表情一つ変えずに、
「なンか問題でもあンのか?」
「え、だって……着替えるって事は裸になるんだよ? ってミサカはミサカは困った顔で訴えてみたり」
「裸ァ……? 裸ねェ……」
 何か思案する様に眼だけ動かす一方通行を前に、打ち止めは不安そうに彼の顔を見つめる。
「今更だろ? いいからここで着換えろよ」
「!?」
 打ち止めは言葉を無くして立ち尽くす。
 よもやこの様な事になろうとは……。
「あ……あの……」
 一縷の望みを託して、泣きそうな表情まで作って声を掛けようと試みるが、
「嫌か?」
「あ、今着替えるから待っててね、ってミサカはミサカは準備を開始してみたり」
 たった一言で打ち止めの抵抗は終わった。
(これも惚れたよわみなのかしらー? ってミサカはミサカは説明出来ない感情に理由を探してみたりっ。ヒモと情婦ってこんな感じ? ってミサカはミサカはちょっとそれもいいなあなんて思ってみるっ)
 そう心の中で自問自答しているうちに、この見た目10歳くらいの女の子はすっかりその気になっていた。
 どこからか椅子を一つ引っ張って来て一方通行の目の前に置いた打ち止めは、先ほどのベビードール以外にも用意してあった大人顔負けのショーツとストッキングも引っ張り出して椅子の上に並べた。
「オマエ……、何処で買ってくるンだそォいうもンは?」
「まあ、色々ってところかなぁー、ってミサカはミサカは女には色々秘密があるのってアピールしてみたり」
「ふゥん……、そンなもンかねェ」
「そうそう、そんなもんなんだよ、ってミサカはミサカはあなたの反応にちょっぴりがっかりしてみたり」
「ゥン?」
 実は黄泉川を焚きつけて色々用意させたのだが、
(それを言ったらきっと『黄泉川が噛ンでンのか』って怒るから内緒、ってミサカはミサカは黙ってみたり。でもでも、これ買ってもらうまで大変だったのにー、ってミサカはミサカは内心嘆息してみる)
 家事手伝いまがいに色々家の手伝いをした記憶が甦って、思わず小さくため息をつく打ち止めだった。
「と落ち込んでいても始まらないので早速始めまーす! ってミサカはミサカはあなたに宣言してみたり」
「おうやっとか? 期待してンぞ」
「任せてッ! ってミサカはミサカはあなたの言葉でやる気が200パーセントアップしたり!」
 そう言うと打ち止めは、目をつぶって大きく二回ほど深呼吸する。
 それから潤んだ瞳――本人はそのつもりだが、どう見ても眠そうにしか見えない――を一方通行に向けると、妖艶に腰をくねらせながら――これも本人はそのつもりだが、どう見てもお遊戯レベル――ゆっくりといつものワンピースを脱いで行く。
 健康的な肌つやの太ももが露わになり、続いてその付け根を覆う年相応の下着が、その次に引き締まったお腹とかわいい臍が順を追って現れてゆく。
 しかし、かわいらしい胸まで露わになった所で打ち止めの動きがピタリと止まった。
(見てるかな? どうなのかな? ってミサカはミサカは不安と緊張で固まってみたりッ!?)
 のりのりで脱ぎ始めたものの、いざここまで来て怖気付いてしまったのだ。
(これでバサッっと脱いだらあの人の後頭部が見えたらミサカ死ぬかも……、ってミサカはミサカはどうしたらいいのかわからな――)
「ひゃひッ!?」
 一方通行の事で頭が一杯な所に、不意を突くように何かが胸の敏感な部分に触れて、思わず黄色い声が出てしまう。
(なになになにぃ!? 今のは一体何なのぉー? ってミサカはミサカは緊急事態に驚い――)
「ふひあッ!」
 またも口を付いて出る黄色い声に、服の中の顔は真っ赤だ。
 さらに――、
「きゃん!? くふッ、ふひゃ、あひッ!? くッ、くすぐったい!? くすぐっひぁきぃぃぃ!!」
 立て続けに胸を責められた打ち止めは、くすぐったさのあまり膝の力が抜けてしまって、ワンピースを頭にかぶったままの不自由な状態で尻もちを突き――、
「うォっとォ」
 と思ったら、すんでのところで一方通行に抱きとめられた。
「悪ィ。あンま面しれェ格好してっからよォ、ちィと遊ばせてもらったぜ」
「え? え?」
 訳が判らないまま狼狽えていると、ふわりとした浮遊感と共に、打ち止めの足は床を離れた。
 そして、頭にワンピースを被ったせいで手が不自由な打ち止めを抱いた一方通行は、そのままベッドまで歩いて行くと、
「きゃ!?」
 ぼふっと打ち止めをベッドの上に放り投げた。
 そんな打ち止めの耳に、ギシギシと軋むベッドのスプリングの音が聞こえて来て、
「ぇ?」
 胸に感じる湿り気を帯びた温かい――、
「きゃはッ!?」
 打ち止めは、再び胸に刺激を与えられてエビの様に体をのけ反らせる。
 今度の感覚は湿っていてざらざらしていて温かい。
「きひッぃ! 駄目駄目駄目駄目ぇ―――――――ッ! ってミサカはミサカは混乱しにゃひんッ!? ま、も、ひゃん! なに、駄目ッ! してッ、くひッ!? ちょッ、駄目だから、も、何してるの、ってミひひ、ふ、にゃあああん!」
「ンあ? 愛撫。オマエの胸舐めたンだよ」
 事も無げに言うと、一方通行は、再び打ち止めの胸に舌を這わす。
「はぁ? はひぃぃぃ!? ま、まだ話は終わって無い終わって無い終わって無い終わってないいいいいいいいぃぃぃいいいいいい!!」
「ンだよ、うるせェなァ」
「はッ、はッ、はッ、ぜッ、ぜッ、ぜッ」
「話がねェなら続けンぞ」
「ちょと、ま、まってまってまって、ってミ、ミサカはミきゃはああッ! あなたにおにぇがいいいいい!」
「なンだよ」
「りゅぅぅぅぃぃぃ……。はな……、はにゃすかりゃあ……、お、おぱ、いじるのやりぇえーッ!」
「チッ」
 やっとの事一方通行の責めから逃れた打ち止めは、急いで息を整える。
 さもないと焦れた一方通行(おおかみ)が何を始めるか判らない。
「な、何で急に積極的になったのかなぁ? ってミサカはミサカは聞いてみたり」
「オマエの胸が旨そうに誘ってっからいいのかと思ってよォ。我慢出来なくてつい、なァ」
「うぎッ!?」
 さらっと恥ずかしげも無く恥ずかしい事を言われてしまい、打ち止めは言葉に詰まる。
 しかし、このままでは後は成す術も無くいただかれるのみ。
「ぅぅ……。えとえとそれじゃあ、何でミサカは目隠しのままなのかなぁー、ってミサカはミサカはあなたに聞いてみたりぃ?」
「特に意味はねェなァ」
 そう言って一方通行は、打ち止めが被っていたワンピースを事もなげに奪い取った。
「さァ、もォいいだろ?」
 そう言って覆いかぶさってくる一方通行に、打ち止めはここに至って、如何に心の準備が出来ていなかったのか痛感しつつも、
(受け入れよう、受け入れよう、とは思うんだけどぉー! ってミサカはミサカは心とは裏腹に抵抗してしまってみたり)
 と言って、右手を一方通行に付きつける。
「まだなンかあンのか?」
「そ、それならあなたにも裸になってもらいたいなぁ、ってミサカはミサカは最後のお願いを口にしてみたり」
 さて、これでどう一方通行が出るかで、打ち止めの運命は決まる。
(このまま押し倒されたらミサカネットワークをストップ、洋服を脱ぎ始めたらその間に覚悟を決めるッ! ってミサカはミサカは固唾を飲んで見守ってみたりッ)
 すると一方通行は、
「あァ? いきなり脱げってか? ふゥン……」
 そう言って一瞬視線を彷徨わせると、すっと打ち止めの上から身を引いた。
 そして、ベッドの上に膝立ちになるり、シャツの裾に手を掛けると、躊躇なく一気に脱ぎ捨てた。
 闇夜に浮かぶ白い裸身は、まるで光でも発するかのようだ。
 全体的に華奢な体。
 そして、そこだけは立派に存在を主張する豊かな胸――、
「胸ぇ!?」
 打ち止めは一方通行の胸を指を差してわなわなと震える。
 一方、
「ほら、もう気が済ンだかよ? じゃ、いいよなァ?」
「ちょ!? 待って待ってスト――――――ップ! ってミサカはミサカは混乱しながらあなたを止めてみるッ!」
「おォい? まだなンかあンのかよ」
 何度もお預けを受けた一方通行からけんのんな空気が漂うが、打ち止めはそれどころでは無い。
「あ、あなたって実は女なの? ってミサカはミサカは恐る恐る聞いてみたりぃ」
「あァ? だったらなンだよ?」
「はっきり答えてッ! ってミサカはミサカは必死になって確認してみるッ!」
「ンだ一体……? 女だよ女ァ。もォいいだろそンな事ァよォ……」
 その言葉を最後に、打ち止めはベッドに押し倒された。
「え?」
 そして一方通行の紅い瞳がスローモーションのように近付いてきて、
「あ……」
 次の言葉を紡ぐ間もなく唇を奪われた。
 甘美な刺激に薄れゆく意識で、
(やっぱりあなたは強引で……こんなのもいいかななんて思うミサカは変かな? ってミサカはミサカは……)





 打ち止めが目を開けると、そこはいつもの自分の部屋で、慌てて時計を見れば2時を少し過ぎていた。
「クリスマス終わったんだね……、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみたり……」
 結局あんなに言ったのに一方通行は現れなかった。
「変な夢見たのはあなたのせいなんだから、ってミサカはミサカは淋しいから独り言を言ってみる……」
 そしてバタンとベッドへ倒れこんだ。
『おィ……、ここに喋りゃいいのか?』
「!?」
『打ち止め……』
「!!」
『(愛してるとか言えにゃ……)』
『ざけンなッ!? 撒き散らされてェのか!』
「あのひとの声ッ! どこどこ、ってミサカはミサカ慌てて探してみるッ!」
 打ち止めは声を頼りに慌てて出所を探す。
 そして、
「あった! ってミサカはミサカはあのひとにそっくりな――」
『打ち止め……。テメエの事は必ず守るからな。俺の事は心配すンな。お互いそンな柄じゃねェ――』
「!」
『――またな』
「ッ!?」
 その一言に打ち止めの頬を光るものが一筋伝う。
『(ひゅーひゅー、暑いぜよ暑いぜよー。誰か冷房いれてくれにゃー)』
『その前にテメエは暑さも寒さも感じなくしてやンよォォォ』
 その後に続いて悲鳴と怒号と破壊音が響いて、唐突に再生は終わった。
 一方通行に良く似た紅い瞳をしたぬいぐるみを抱き締めた打ち止めは幸せそうに「メリークリスマス」と小さく呟く。
「来年はひとつ大きくなったミサカをもらってね、ってミサカはミサカはあなたにもらった幸せをいっぱい感じてみたり」
 その決意は、とある悪夢と合い真実あってひと騒動に発展するのだがそれはまた別のお話。



END
557Aサイド ◆/d34KM07wDGN :2009/12/26(土) 10:25:14 ID:5z+4utmp
以上でした。
一方通行性別ネタ思い出して織り交ぜました。
でわ。
558名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 10:26:38 ID:tN+cfp3T
乙でした
これはこれで乙なものとも
559名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 13:10:10 ID:tPx1vboq
Aサイドさんおっつぅぅぅぅ
通行止めHappyHOLiDAYS!
560名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 18:15:42 ID:TOEzG9m4
乙でしたー!
やべー最近通行止めの投下が多くてウハウハすぎる
これも19巻効果なのか…!?
561名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 19:21:18 ID:aKv7MutQ
科学側の最終兵器は固法先輩じゃないのか
学園都市には、レベル5以外にも凄いやつが隠れてるらしいが、あれは間違いなくラスボスの域に達してる

つーわけで、上条さんと固法先輩がくんずほぐれつ争うSSを書いてください
562名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 19:33:47 ID:vsziilCe
さんせー
563名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 19:53:32 ID:1J8yeGaT
固法先輩は嫁入り前の身体とか言ってるから純情なタイプだろうね

上条さんと関係持ったら結婚の約束して欲しい人で
自分が愛人なのは嫌がりそうだ

まあ、上条さんに惚れた時点で一生涯、添い遂げる覚悟するけど
564名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 19:54:26 ID:I2CsqAJY
最終兵器だよな、主に胸囲が
565名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 19:58:31 ID:66Non1Mq
正に驚異的な脅威の胸囲だな
566名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 20:04:16 ID:TdL0sDiq
連続爆破事件時に上条さんがデパートで助けたのが初春じゃなくて固法先輩だったらどうだろうか・・・
567名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 20:21:37 ID:kWeAnR03
先輩が納得するまでレベル検査をされて
体中を透視して・・・
568名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 20:32:39 ID:tiyxkzOY
恐ろしいことにこのりんのアレは一年前の代物なのよな…
ということは
さらにパワーアップしてる可能性が高いのよなッ!
こうなると見たいッッッ!
おっぱいめがね一号との頂上決戦ッッッッ!!!

サイズ的には一号は恐ろしい戦力を持っているが、上条当麻的にはおそらく、
一号→右手で揉めない
二号→年上!
ということで、このりん2ポインツリード!いい勝負になる筈なのよな!!
…五和にも今度眼鏡渡さなきゃなのよな…。
569名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 20:41:46 ID:TdL0sDiq
>>568
やべ、このりん年上じゃん。
上条さんが出会ったら最後だ・・・
570名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 20:54:23 ID:/WMGCqgv
固法先輩高2だったな
大体五和とタメぐらいと考えていいか

あわきんも高2のはずなんだけどおっぱいは控えめだなあ
童顔だし
571名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 21:31:53 ID:1J8yeGaT
クラスメイトの吹寄に次ぐ上条さんの身近にいるきょぬーって誰だ?
572名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 21:40:46 ID:iWd4e/tc
固法先パイが上条さんの高校だったら上条さん落ちてたんじゃね?
573名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 21:45:17 ID:/WMGCqgv
固法先輩はレベル2か3くらいの透視能力者だったな
上条さんとこの高校は無能力者ばかりのランクの低い高校なので
固法先輩クラスの能力者が一緒の高校にいるはずはないわな
574名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:07:49 ID:I2CsqAJY
言いたいことはわかるけど仮定の話なんだし、細けぇこたぁ(ry
575名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:11:18 ID:JYv/UBnV
>>573
レベ2くらいまでは普通にいる学校だよ
576名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 22:46:27 ID:tiyxkzOY
>>571
よみにゃん
ジャージでハッ!
まー次ぐどころか禁書世界最大戦力の一人だが
577究極ドリームマッチ:2009/12/26(土) 22:57:00 ID:aKv7MutQ
固法「おや…あなたは…」

神裂「……」

固法「どなたでしたっけ?唯一の色気担当もお払い箱になったようで……あなたの印象があんまり薄いんで、名前も忘れてしまいました。
良かったら、教えていただけませんか?」ププッ

神裂「こんの…」

神裂「ド 素 人 が あ あ ぁ ぁ ! !」

当麻「あの、お二方。喧嘩はやめた方がいいと思いますよ?」

神裂「上条当麻!!来なさい!」クワッ

以下ベッドで勝負だ!!的な展開を書いていただける方を希望します
578名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 23:01:08 ID:TdL0sDiq
神裂さんがこのりん先輩と絡む舞台設定が難しいよなあ。
579名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 23:17:23 ID:acoBNq1m
完璧に空気なのか忘れられている風斬
580名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 23:19:47 ID:/WMGCqgv
でも風斬は、18巻で何故かおでこ委員長と影の薄い巫女さんと緑ジャージ体育教師と一緒に
喫茶店でお茶している姿が目撃されている・・・。いつの間に仲良くなったのだろうか
581名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 23:43:07 ID:y/7XoqZl
ここはエロパロスレですから、下手に上条と絡むと風斬が消滅する事態になりかねない。
……右手を中心に拘束された上条、そして風斬のヘタレ攻めが上策か。
582名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 23:48:44 ID:Nm0NZTmA
>>580

姫神が目立てるキャラを手に入れる一番の近道=巨乳化と考えて学校で知り合った巨乳系を誘ったんじゃなかろうか。
・・・はたして緑ジャージ体育教師とリアルで姿が薄い眼鏡っ娘のどっちがおっきいんだろ。
583名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 23:55:40 ID:I2CsqAJY
消滅対策として、右手のみ拘束しての風斬騎乗位というベタなシチュを想像した
584名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 00:32:30 ID:+K2L/Ecw
姫「おっぱいはサイズじゃない!!
機動性だ!!!」

優勝候補
・単語帳
・おっぱいめがね一号
・緑ジャージ
・ぽわぽわ
・エロメイド

誰かオッズつけてくれ
585名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 00:38:32 ID:RLSIia68
揉めれば誰でもいい
586名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 00:46:39 ID:UGxqLO0c
ミサカはミサカはあなたのためなら冒険してもいいと思ったり!!

上条ちゃんのためならば、先生ひと肌もふた肌も脱ぐ覚悟はありますよ!!

・・・はまつら(ポッ

こーですねわかります><
587名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 01:10:13 ID:+K2L/Ecw
>>550
遅ればせながらユミさん乙です。
天草式…
「救われないものに救いの手を」って…
ヴィリ姉さんはたしかに報われてないけど、救われないのウィリアム伯父さんの方では…
合掌。

そしてさあ!
機が完熟したところでこのりんの淫乱スイッチを入れる作業に戻るんだ!
588名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 01:35:35 ID:UGxqLO0c
「はやて」よりも「このりん先輩」が似合いすぎているなあ、中の人。
589名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 14:22:21 ID:i510dK69
誰か美偉を
590名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 18:34:36 ID:Ci35hjBs
超電磁砲13話

御坂美琴 Lv5
能力 飯炊き(ライスメーカー)

勝てそうにないな…(´・ω・`)
591名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 20:26:52 ID:n5RzrLvt
超電磁砲13話を元にクラスで水着回すると
4巻のように青髪ピアスがセクシーな水着を着て
インデックスと姫神が普通の水着を着てどっちが誰が上条さんの目を惹くか争っていると
吹寄さんが市販の水着だとサイズがキツイと登場してインデックスと姫神が涙目で
先生が本当のロリを見せてくれて
飯炊き用にビリビリを誘う上条さんだな
592名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 20:34:09 ID:fOGaR3Yx
青ピがセクシーな水着ってどういことだ
593名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 20:35:26 ID:ycDphIMx
青ピのビキニを想像しちゃったじゃねーか
損害賠償を(ry
594名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 20:57:32 ID:PFXsCSm7
>>582
>>580
あれって吹寄と姫神が一緒にいて黄泉川センセがお一人様で風斬が店の隅の席にいた、じゃなかったの?
全員一緒のテーブルとは解釈してなかったわ
595名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 20:58:15 ID:SgECqHJ9
では口直しにこのりんをな
596名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 21:09:25 ID:pOHWI1wH
風斬が一人隅っこでとか凄く寂しい感じじゃないか?
一応姫神が知り合いなんだし、友だちが出来たと思いたいよ
597名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 23:01:01 ID:gcT5CWKS
よし、誰か早く風斬&姫神×上条さんを書くんだ
598名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 07:43:15 ID:leKqjtJ5
>>590
同系では頂点に位置する飯炊き能力者。
これならシスターズ量産化も一方さんの実験も阻止出来ますね!

そして美琴は不登校の引きこもりになるのであった…
599名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 09:26:40 ID:AAqpS1mA
上条「いやぁ、本当に助かりました」

固法「どのくらい慣れてるか知らないけど、1人で不良20人から逃げ回るなんて、さすがにやり過ぎy…」

固法「じーっ(え、なに?この子…おっきい…//)」

上条「ん?どうかしましたか?」

固法「いえ、なんでも(////)」
600名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 10:30:02 ID:CdvWqAIS
>>599
投下するならまずsageろ
601名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 10:30:25 ID:AAknrzi5
>>599
固法はもっと清楚だからいきなり上条の股間に食い付いたりしないし、そもそもこの程度で上げるなど……。
罰としてこのネタをSSにして下さいぃッッ!!!
602名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 16:55:45 ID:AAqpS1mA
>>599は、このりんがなにげなく透視したらどっきんこ的な設定です

あと、私も続きを読みたいので、誰か書いてくださると幸甚です(キリッ
603名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 17:00:28 ID:fAIhe/fv
このりん人気ですぎだろ、アニメ化前から好きだっただけにフクザツな心境
604名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 23:41:20 ID:CdvWqAIS
冬休みだからかsageを知らない未成年の厨房共が増えてきてる気がする
とりあえずsageの意味を理解して来い
605ユミシロ:2009/12/29(火) 01:06:29 ID:wL8GyG28
>このりんの淫乱スイッチを入れる作業に戻るんだ!
>固法はもっと清楚だから
こんな感じですか?(小ネタ続き)
冬コミ行こうか迷ってて後回しに―――したらまずそうなので
ちょっとだけ続けます。


「……なんなの、これ。何が入ってるの?ちょっと硬い……」
「何がといわれたらナニなんですがって、す、ストップ!そこは進入禁止!通行止めだーっ!」
「……あ。もしかして、ここのお店の物を隠してるんじゃないでしょうね?」
「上条さんはどれだけ貧乏でも万引きなんて真似はしませんからぁっ!」
「じゃあ、何を隠しているの?」
「それは……」
「仕方ないわね」
 溜め息を一つついて、固法は眼鏡を外した。
「―――なあ、固法」
「“固法さん”とか、“先輩”って呼んでもらえないかしら。私の方が年上でしょう?」
「確かにそうなんだけど……!」
「私の能力が何か覚えているかしら」
 固法美偉の両目が静かに閉じられる。
 それが能力を使う際に行われる、心理的な切り替えのための動作だということが上条にはわかった。
 尚更止めなければと声を発しようとするが、手遅れだった。
「駄―――」
 開かれた固法美偉の瞳が真っ直ぐ見つめる。
 注がれるのは一点。
 上条当麻の下腹部よりさらに下。
 股間に位置する――――
「………………」



 じっ、と直視してから十秒ほど経過すると。
「―――――――っ!?」
 様々な知識と過去の記憶から、関連する情報が怒涛の勢いで固法の頭の中で渦巻いた。
 そして、最後に渦に飲まれた情報は。
 ニット帽子を被った美人の同僚が見せつけた押収品の―――雑誌や写真だった。

To be continued...?
606ユミシロ:2009/12/29(火) 03:10:57 ID:wL8GyG28
ちょっとだけ追加投下します。


 何かを叫ぼうとした。悲鳴を上げようとしたのかもしれないが、声にならなかった。
 それだけ衝撃的だった。
 今まで数々の能力者と対峙してきたが、これほど衝撃を受けたことは無かった。
 くすんだ肌色。腫れ上がったように大きな柱。
 同僚が、違法な風俗店の捜査や摘発の度に見せびらかせる卑猥な写真や画像、雑誌に小道具の数々が
思い出される。
 あまりのグロテスクさに泣き出しそうだった。
 それでも、目の前にいるのは自分の知っている年下の男子であった。
 そして自分はそういった生理現象があるのは知識としてはあったのだ。
 いつもの生真面目から邪推してしまったのは自分の方だ、と気持ちを押さえ込む。
 押さえ込み……ようやく冷静になれた。
(こ、これ……これが“アレ”なのよね……)
 男子の股間を透視しておいて、他の何かだとは言えなかった。
「うう……どうして私って、こう抜けているのかしら……」
 あの同僚には絶対に話せない。
 年下の男子に迫って恥部を覗き見るなんて―――
 自分の間抜けさに泣けてくる。というか、本当に目尻に涙が浮かんできた。
「そろそろ本当にお嫁さんにいけないかも」


 一方、見る側という経験だけなら多くの女性と男性に失礼なほど多かった上条当麻だが。
 見られるという経験は多くない。
 まして、恥部だけをピンポイントで透視された経験など過去にあるはずもなかった。
 というわけで、
(――――あああああっ!?)
 こちらは声にならない悲鳴を上げていたのだが、むしろ女の子の方がショックだろうと
気を静めて『……あのさ、大丈夫か?』と声をかけようとしたのだが―――


「―――――――お嫁さんにいけないかも」


 何やら今だかつて聞いたことのない重い言葉に、上条当麻は十秒ほど思考停止してしまった。
 それでも何か話すべきだと口を開いた。
「えっと、固法……先輩?」
「うぅ……何?」
 固法は座り込んだまま再び眼鏡をかけると、目尻の涙を拭い上目遣いに上条の顔を見る。
 どうやら能力は解除しているらしい。
 だが。
 前屈みになったまま顔を赤らめて、眼鏡越しに涙目で、上目遣いに見つめられて上条はドキッとした。
 彼女は間違いなく平均以上の整った顔立ちで十分美人だった。
 前屈みの状態から見ても膨らみの大きさが分かる胸。
 スカートの裾から覗かせる太腿の白い肌。
 しかし、それ以上に。
 何というか、可愛かったのである。
 それだけで火がついた。
607ユミシロ:2009/12/29(火) 03:13:24 ID:wL8GyG28
(―――うおああああああぁ!?)
 体が再び熱くなった。血液が全身を駆け巡る。何かを後押しするように脈動するものがある。
 いつの間にか落ち着いていた下半身への血流が増大しており、股座がいきり立ち始めていた。
 そして気がつけば、固法の肢体を這うように視線が動いていた。
 首筋、細い腕、冬服のブレザーを押し上げる胸、脚線……。
 体の疼きは止まらない。
 とにかくムラムラするのである。
(逃げよう)
 手錠はすでに外されている。立ち上がろうとした。
 しかし手錠はすでに―――と、思ったとき。

 ふと、手錠を外されるときの二つの膨らみの柔らかい感触が思い出される。

 ズボンの膨らみがより一層大きくなったのに気づいた。
 そのときには、上条は座り込んで体育座りの姿勢を取っている。
 だが、それはここに留まるということであり―――
「上条君?」
 固法美偉が呼びかける。
 甘い羊の囁き声だった。
 上条は全身から、どっと汗が噴き出すのが分かった。
 身も心も狼になるまで、そう長くはない。

To be continued...?
608名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 08:38:21 ID:Y8ViBRDL
609名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 09:09:19 ID:yB3erRe8
>>607
とっとと書け太郎
610名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 09:22:22 ID:gNRLr7pg
>そこは進入禁止!通行止めだーっ!
何故か上条さんの股間でいちゃつく最強の能力者と幼女が脳裏に浮かんできた
てかこの頃日常生活の中で見かける、一方通行や通行止めの表示にいちいち反応してしまう
この先通行止め、なんて看板があると意地でも突っ込んで行きたくなる様になってしまった…
611名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 09:28:44 ID:Go4BeFMU
続き頼みます。
でなければ半殺しにも等しいですたい。
612名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 11:27:20 ID:NuEh8aM1
先輩が上条さんに惚れるのは情事をしたあとなのか
情事の最中なのか気になる
613名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 12:03:36 ID:Y8ViBRDL
「責任・・とってください」キャラ的にこっちでしょ
614名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 12:17:48 ID:yVd5OeSn
うおおおおお_
続きお願いします
615名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 13:47:49 ID:uaiWiGdb
ええい寸止めとは鬼畜な!
続きは・・・
616ユミシロ:2009/12/29(火) 16:37:34 ID:wL8GyG28
コミケで「ちゅ」と「さそいかた(+続き)」はゲットしに行くべきか……
「とあるパンツの〜」のゲームは体験版に変更だそうですが。
「君の瞳に打ち止め」は今日だったか……
以下続き。

 上条の理性が戦線後退しつつあることなど露知らず、固法は呼びかけた。
「どうしたの、上条君?」
 上条の異変に気づいたらしく、一先ず容態を見ようと脈を取る。
「大丈夫……じゃなさそうね。脈がかなり早いわ。顔もかなり赤いし、汗もすごいわね」
 すると、固法の手が上条のYシャツへ伸びる。
 布の湿り具合と皮膚の熱を確かめるように彼女の手は上条の胸板を撫で回す。
 布越しに触れられた細い指の感触に、上条の体がびくっと震えた。
 十の柔らかい指が胸板を這い、小さな掌が撫でる。
 どことなく妖艶に思えてしまうのが今の上条だった。ボタンに指を絡められ、一つ一つ外されていく。
 いつの間にか、二人の距離はなくなっていた。
 先に気づいたのは上条だった。
 かすかに温かさを感じさせる吐息。女性の体臭。衣擦れの音。唇の艶。時折覗かせる白い歯。
 彼女を間近で見下ろせる。視線が下がる。視界を占めるのは、二つ。
 手元を動かすたびに二の腕に挟まれて形を変える豊かな胸と、擦り合わされる太腿だった。
 欲求が侵攻速度を三割増しで早まらせ、肉欲が上条の理性を駆逐していく。
 数ヶ月に渡る禁欲生活によって圧縮に圧縮を重ねて抑え込まれた欲求が、解放されようとしていた。
 暴発していなのは奇跡としか言いようがない。
(そろそろ本当にまずいマズイMAZUI!)
 先程の『お嫁さんにいけない』という言葉を掲げる理性が蹂躙されていく。
 わずかに残っていた上条当麻としての理性が最後の力を振り絞って、拳を振り上げた。
「……お嫁さんにいけないって言ったよな」
「う……その、私も悪かったから気にしなくていいわよ」
「やっぱり、いつか初めての人にのために……って」
「それは―――で、でも。そもそも貰い手がいるのかも分からないし、私は、その。
 ほら、場の空気っていうのが分からないというか、全然読めなくて……。
 人の好意とか気づけないから、分かってあげられないから……
 気がついたらすぐ傍にいた男の人ってどこかへ行っちゃってるの。
 だから……その、男の人と付き合ったこともないし。
 もしかしたら付き合ってくれてたのかもしれないけど、全然分からないから……
 その人はいつの間にか遠くに離れてるの」
「…………」
「でも、本当は気づかないようにしてるのかもしれない」
「なんで?」
「私は今の仕事が好きだから。やり甲斐があるの。誇りに思ってるの。
 それと、危なっかしい後輩がいて、その友達や先輩がもっと危なっかしくて。
 でも、とっても頼りになる子達なの。あの子達に慕われて、私はすごく幸せだったから。
 ……もし、男の人と付き合うことになったら、どうすればいいのか分からないの。
 その人のことを大事に思うようになったら、風紀委員の仕事ってどうなっちゃうんだろ……って。
 私の今までの価値観が変わって、男の人の方が大事に思うようになったら―――あの子達に合わせる顔がないの。
 自信が無いのよ。それ以前に……私ってそんなに魅力なんてないと思うし。胸だってこんなに無駄に大きくて」
 細腕で自分の体を抱き締める。下から押し上げるように一層強調された胸。
 どうやら、自分のスタイルに恵まれているとは感じていないらしい。
 それがカウンターとなって、上条の理性が揺らいだ。が、どうにか踏み止まる。
 踏み止まって。
 上条当麻は固法美偉をぎゅっと抱き締めた。
「ひゃぁっ!?」
 小さな悲鳴が上がるが、それを無視して。
「固法……先輩は―――」

To be continued...

とりあえず、ここまでで我慢を……
617名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 17:06:46 ID:Y8ViBRDL
618名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 18:58:44 ID:4Ou7LFB/
さあ早く続きを書くんだ
619名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 21:40:36 ID:wwKQDbh7
>>616
これで我慢とかお前は人を生殺しにして楽しいか!!

さあさっさと続きを書くんd……ゲフン、今すぐ続きを書いてくださいお願いします
620 ◆s5iGacR752.W :2009/12/30(水) 22:47:23 ID:HpmtkPL/
お久しぶりです。
超電磁砲4人娘×上条さん の者です。

いろいろと書いていたら長くなり遅くなりました。本当に申し訳ない。
予告どおり今回は初春×上条さん×佐天をお届けします。
多分スレのほうが持たないので分割になり、前半はエロ無しを投下します。
後半はまた後日ということで……。


では今回の注意事項
「とうまがまた今度、家に女の子を連れてくるかもしれないって言うんだよ」
「それは仕方ないのですよ、シスターちゃんが本妻だから全ての事を知らないととダメなんですよ」
「いいなーってミサカはミサカはあの人はいっつも隠し事をして教えてくれないって嘆いてみたり」
「男も女も知られたくない事の一つや二つはあるものなんだぞー。そういう時は自分から言うまで詮索しないほうがいいと思うぞー。
まぁそれはともかくだなー、今回はエロが説明たらしくって読みにくいかもなー。だから”ああ、これ無理”って思ったら迷わずNGIDしろよー」







「お前がこのスレが年越しまで落ちないなんて思って出かけているのなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す」
621名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 22:50:13 ID:HpmtkPL/
「初春〜」
「あっ佐天さん」
「授業中ずっと携帯してたでしょ」
「げほっ、げほっ、どっどうしてそれを」
「しかも上条さんと」
「えっえええ、みっ見たんですか」
「さぁ〜」
「さぁって見たんですね」
「あははっ、私が先に上条さんとメールしてたから分かったわよ」
「佐天さんも上条さんと?」
「一時間目の授業つまんなかったから、メールしたらすぐに返ってきて、それからずっとね」
 
 昼休みになり、グループで集まって食事を取り始める。
学園都市の中は基本的に小学校以上は昼食は持参のために可愛らしい弁当箱にいろいろと自分のものを詰めよってくる。

「上条さんって本当に優しいよね」
「そうですね。いつも親身になって考えてくれますよね、本当に優しいです」
「あれ初春、顔赤いよ」
「えっ?」
 佐天に言われて思わず自分の顔をぺたぺたと触ると、佐天は手で口を押さえて笑い声を抑え込んでいた。
そのしぐさで自分が謀られたと事に気づき、その犯した失敗にも気付く。

「初春もとうとう春を……初めての春を迎えるのね〜」
「佐天さんかっからかわないでくださいよ」
「えっ初春、上条さんのこと気になるんじゃないの?」
「ききっ気になりません」
「あたしは気になるな」
「えっ?」
「だってこの学園都市でレベル0は落ちこぼれと言った目で見られるのに、上条さんはそんなの全く気にしない様子で、それどころか無能力者の方が能力者の方より勝ってるって言ってくれたんだよ。気にならないわけないじゃない」
「佐天さん」
「で、初春はどうなの?」
「わっ私は……私もその気になります」
「どういうところが」
「私もよくわかないですけど、なんて言うか温かみがあると言うか大人の男性って言うか……って何言わせるんですか」
「あははっ――――――でも初春」
 そこで佐天の口調が変わった。前半は笑いを含めていたが、ここにきていきなり口調が低くなったので、初春は思わず一歩引いてしまいそして思わず佐天に聞き返してしまった。

「佐天さん、なんですかいきなり真面目になって」
「どういう結果になっても恨みっこなしだからね」
「!?」
「これだけは……上条さんのことだけは初春にも譲らないから」
「分かりました。私も佐天さんが敵だろうと負けません」
「ライバルね」
「そうですね。私たちライバ……そう言えば御坂さん前、上条さんのことが気になるって言ってませんでした?」
「いっ言ってたわね、思わぬところに強敵が……しかもお嬢様学校+レベル5だからあたしたちじゃ……」
「佐天さん、もう諦めるんですか。ライバル宣言して早々くじけてもらってうれしいです」
「なんですって女を捨てたようなパンツばかり持ってる初春に言われたくなわね」
「パンツは関係ないでしょ」
 食事をしながら凄い討論を繰り広げていた。そしていつの間にかライバルから御坂さん打倒同盟が発足したが、
御坂を倒そうが何をしようが、上条と仲良くならないと意味がないので携帯でメールをよくやるようになった。
622名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 22:53:39 ID:HpmtkPL/
なんだかんだで仲の良い二人は週末にいつも通りデパートに買い物に行く。多少当麻と会えるだろうかなどと期待していたのは言うまでもなく……そう言う場合に限って全く予期してない方向の人物にあってしまう。

「あっ御坂さん、白井さん」
「ん、初春さんに佐天さんじゃない、今日も買い物?」
「はい、今日は初春の勝負パンツを購入しようと思いまして」
「ちっ違いますよ、今日はただこのあたりを見て回ろうってだけですからね」
「そんなに大声を出さなくても分かってるので大丈夫ですの」
 
といつものメンバーが集まった。で結局四人で行動することになった。いつも通りの、平凡な日常なのか?
「お姉さま、どこに行かれますの?」
「そうね、ゲームセンターでいいんじゃない、どう?」
「そうですね。たまにはいいですね」
「初春にさんせー」
「では決まりですの」
「今思ったんですけど、御坂さんって月いくらぐらいの補助金が出てるんですか?」
「そうねー。35万+αってところかしら」
「35万ですか?すごく多くありませんか?」
「確かお姉さまは学園都市だけではなく、常盤台からも貰っていたと記憶にあるのですが」
「そこっ余計な事を言わなくていい」

 『ずびしっ』と人差し指を立てて言い争いをする。ぎゃあぎゃあ、がやがやともう楽しそうに地下街にあるゲームセンターへと向かう。
 地下街の入口はいつもなんらかのビラをくばる少女たちが何人も立っている。月のお小遣いが足りないときはいつもこうして稼いでいるのだ。
「凄いですね、それだけあったら1カ月なにもしなくてもいいじゃないですか」
「そうでもないわよ。レベル5ともなるといろいろな保険に強制的に入れられるし、私の場合だと携帯の寿命とか電化製品の寿命が極端に短いから、いろいろと支出も大きいわよ」
「へー、そうなんだ。ならあんなふうなビラ配りとかのバイトもしたことないんですか?」
「そうね……ないわね。と言うより基本的に学校が認めてないからねー」



「“今話題の映画ですー”」
と映画のことを宣伝していた。はっきり言って話題なら何も宣伝しなくても客は入ってくる。だが宣伝すると言うことはその逆と言うことだ。
「話題ねーどうでもいいわ」
「さすがお嬢様です、ビラの拒否の仕方も一流です」
「一流っておおげさだな」
「あっゲコ太だ」
「!!!?」
「うわっ」
 ゲコ太と聞いた瞬間的に美琴が佐天の持っていたビラを奪い取った。もうそれは破れそうなぐらいに。
知っているとは思うが、御坂美琴は大のゲコ太というかカエル好きである。当然本物ではなく人形なのだが、そのためならなんでもできるのだ。
学鞄にはケロヨンをつけて、携帯もカエルをモチーフにしており多少不気味さが表れている。
623名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 22:55:39 ID:HpmtkPL/
ここで予定が変更になった。
「5人で映画を見れば、ケロヨン一家ぬいぐるみプレゼント!!?」
「おっお姉さま、もっもしかしてみにいかれるおっおつもりなのですか?」
「当然よ」
「でも私たち4人しかいませんわよ」
「適当に拉致っていけばいいでしょ」
「あのゲームセンターは?」
「また今度連れてってあげるわよ。佐天さん」
「えっ映画の内容もゲコ太何ですか?」
「違うみたいよ。えっと“空白の三日間:愛、恐怖。そして笑い”」
「うわー、思いっきりC級映画の匂いがしますね」

 もうC級映画であり、それ以外考えられない。もう10人全員が認めるほどの題名だ。
どうやら、ヒットしなかったようなので、プレゼントと言う餌をつけることによって、狙う予定なのだろう。
「そんなのはいいのよ。問題はケロヨンよケロヨン。しかも家族なのよ」
「お姉さま、少し落ち着いてくださいませ」
「それにしてもあと一人必要なんですよね」
「そうだ。御坂さん私の知り合いに良い人がいるのでその人呼んでみます」
「初春さんお願いね」
「初春、まさか」
「佐天さん、私が先に思いついたんですからね」
「むっ」

 と携帯を弄ってメールを送る。たぶん彼はすぐに見てくれるだろう。
今日はなにもやることがなく、暇をしていると言っていたから。それに彼のことだ、いいよと絶対に行ってくれる自信があった。
「あっ大丈夫だそうです。えっとどこで待ちあわせますか」
「そうね、デパートの所でよくない」
「分かりました」
 再び携帯を操作して待ち合わせ場所をおくり、自分達は一足先に待ち合わせ場所へと足を向ける。デパートの前はいろいろと人があふれかえっていた。やはり休みの日となると学生は遊びが本分となるために、かなりの数が野外で遊んでいる。





「黒子ー」
「お姉さま、なんですの」
「最近なにかあった?」
「とっ唐突に何なんですの」
「いや、だってあんたなんか最近おとなしいじゃない。前なら何かあるたびに私に抱きついてきてたし」
「そっそんなことありませんわよ」
 
黒子ピーんち、黒子は上条さんが女になってしまい、無意識のうちに美琴と当麻の順位が入れ替わってしまっていたのだ。
と言ってもお姉さまLOVEは健在なのだが……。
「んーまぁどうでもいいけど」
「お姉さま、やっと私を求めてくださるように―――」
「なってないから、ところで初春さん、その知り合いの人って同級生?」
「いえ、この前知り合った高校の人です」
「そうなんだ。あれなら黒子が迎えに行ってあげてもいいのに」
「大丈夫だと思いますよ。すぐに来てくれます」
 なにやら熱い期待と自信が込められていた。なにやら黒子は嫌な予感しかしなかった。
もう、何となく察しがついてしまったのだ。この展開でやってくるであろう高校生を……。なのでさっさと話を進めるとしよう
624名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 22:58:36 ID:HpmtkPL/
初春は一一一の音楽が鳴っている携帯を取り出してメールを確認する。そして携帯を閉じてあたりを見回して、大きく手をふった。
「こっちですよー」
「んっ来た?」
「はい、上条さーん。こっちです」
「ふぇっ?」
「予想通りの展開ですわ」
「すまん、すまん。ちょっと道が混んでた」
「いいですよ。私たちも今来たとこなんですよ」
「なっなっ何であんたがここにいんのよ」
 
 御坂がこんな反応をしたのはわけがある。そう初春が呼んだ高校生とは上条当麻だったのだ。
最近頻繁にメールをしており、今度また遊びましょうねとメールをしたばかりでとても誘いやすかった。
「なんでって、初春に映画に誘われたからだよ。っていうかビリビリも一緒なのかよ」
「えっと、映画を見ようって言いだしたのが御坂さんでして」
「マジで」
「ちょ、ちょっと、なんであんたが初春さんと連絡取れんのよ」
「いや携番とアド交換してるから、できるだろ」
「私もしてますよ」
「ええっ!」
「お前ともしてるだろ」
「そっそうだけど」
 
 自分がやっとの思いでゲットした上条当麻の携帯の番号をこの二人はあっさりと手に入れていたのだ。
しかも、この二人が上条当麻に出会ってからを数えるとまだ2週間と経っていないのだ。
「……私とはしておりませんわ」
「そうだっけ?」
「そうですわ」
「なら後で交換しとくか。何かと都合が悪いしな」
「忘れてもらっては困りますの」
 
 黒子はそう言えば自分が当麻の携帯のことを知らないことに気づき、当麻に遠慮がちに伝える。
本当はさっさとしたいのだが、美琴の目もあるために堂々とすることができないのだ。
「悪かったって……ところで、なんて言う映画なんだ?」
「えっと“空白の三日間:愛、恐怖。そして笑い”って言うらしいですよ」
「佐天、それマジか?」
「大マジです」
「明らかにC級映画じゃねーか。御坂は何でこんな映画を」
「いっいいじゃない」
「お姉さまの目的はおまけで貰えるケロヨンですわよ」

 『ふんっ』とそっぽ向く美琴に代わり、黒子が代わりにそれに答える。これも美琴を思っての荒治療だ。
こうやって美琴に素直になってもらいたいのだ。だがその美琴は根っからの負けず嫌い、特に当麻に関してはどんなことがあっても曲げようとしない。
「ケロヨン〜?そのために折角の休日にお呼ばれしたんでせうか?」
「なによ、文句ある」
「いえいえ。………そうだ、初春」
「なんですか上条さん?」
「今日は水色だろ?」
「えっあっはい―――――」
 何のことか分からなかったがとりあえず答える。しかし、水色って何のことだろうって考えていると、今日自分が身につけているのもので唯一水色の部分があった。そう下着である。
「――ってええっ?!ええええっっ。どっどうして上条さんが知ってるんですか?」
「勘かな」
「初春、なんですの。水色は?」
「えっあっそっそれは………そのー……今日の…下着です」





625名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:01:13 ID:HpmtkPL/
 今にも消え入りそうな声だったが、はっきりと聞こえる。セクハラ発言だ、親父ギャグだ。
これは酷い、何と言うか酷い。美琴とと黒子の空気が固まっており、初春は顔を真っ赤にして俯いていた。

「あんた、なんで初春さんの下着の色知ってんのよ」
「おい、ビリビリって帯電すんな。分かったから答えるって」
「早く答えなさいよ」
「ふっ実は俺には透視能力“スキャンネート”で洋服など関係ないのだ。初春は今日は水色で縞パンだろ」
「なっなっ」
「御坂は――」
「ちょっちょっと」
 
 と当麻がまじめ顔で初春を見てそう呟くと、初春は唖然とし、次
に御坂の方を見ると一気に自分の胸と股に手を持って行ってそれを死守しようとする。
「はははっ、嘘に決まってるだろ。上条さんは無能力者ですぜぇ。んな都合のいい能力知ってるわけないだろ、それに初春の下着の色が分かったのは佐天が言えって言ったからだからな。なぁ、佐天」
「えへへっ」
「やっやっぱり佐天さんだったんですね」
「いいじゃない。下着の一つや二つ」
「よっよくないですよ」
「あたしは見せてもいいですよ。上条さん」
「マジで」
「あんたは……なに鼻の下伸ばしてんのよ」

 はっきり言おう、別にいまさら下着の一つや二つで伸ばすような鼻は持ってなかった。
ありとあらゆる下着の種類を見てきた上条当麻にとって、下着を見ることは女子が更衣で同性の下着を見るレベルのものだったのだ。
 完全に美琴のいいがかりであり、この心の内秘められたモノを解放するためについた言い訳である
「おっお姉さまいけませんわ、ここには一般人も多数おられます」
「御坂さん、電圧が上がってます、上がってますって」
「帯電したビリビリを解放すんなよ」

 今にも雷撃を飛ばしそうなほどに帯電した美琴は迷うことなく当麻にぶち当てようとするが、当麻は一歩美琴に近づき、頭を撫でそう言った。
一瞬にして身体に溜まった電気は打ち消されて、美琴自身の怒りの感情も一気に別のもに変わった。
 頭をなでられたせいで一気にしおらしく、照れと恥ずかしさが出てしまったのだ。そして当麻は美琴の横を通り過ぎてデパートの中にある映画館へと足を向ける。

「ほら、そろそろ中入んねーと時間だろ?」
「御坂さんいいです」
「今度お願いしよっと」
「あーずるいです」
「納得がいきませんが、お姉さまなら許せますわ。ほら行きますわよ。置いて行かれますわ」
「あっ上条さん待ってください」
「ほら御坂さんも行きますよ」
「えっ?えあっ、うん。分かった」
 佐天に引っ張られていく感じで、デパートの中へと入っていく。
626名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:05:07 ID:HpmtkPL/
 ではここで席の順を説明しよう。
 先ほど頭を撫でられて、思考回路が停止した美琴は一番左にきて、その隣に黒子、佐天。
そして佐天にじゃんけんで勝った初春は名誉の当麻の隣に座ることができたのだ。

「と、そうだな。ジュースとポップコーンでも買ってくるか」
「あっありがとうございます」
「そうですわね、上条さんお一人だけでは持ちにくいでしょうから、私もご同行させてもらいますわ」
「おっサンキュー」
 黒子はテレポートを使ってうまく他人の前を通らず通路に出る。上条さん達の席は比較的真ん中下で、階段で上の売店に行かないといけない。
「そんじゃ行ってくる」当麻がそう言って黒子を引き連れて売店へと向かう。

「うまくいきましたわ」
「ああ、開演まであと20分はあるな。さっさとすませるか」
「そうですわね。それはそうと当麻さん」
「んっなんだ?黒子」
「私にも当麻さんの携帯の番号を……」
「ああ、そう言えばそうだったな。んっと、よし、こっちは光通信の準備できたけど」
「こちらも準備できましたわ」
「送受信完了っと」
「ありがとうございますわ」
「んー……黒子」
「当麻さん、なんで――――」
 
 当麻の顔を見上げた黒子の唇に唇を重ねる。突然の攻撃に戸惑いを隠せない黒子だったが当麻を受け入れる。
さすが上条さん、周りに人がいようと関係なくキスをする。
「んんっ」
「久しぶりにしたな」
「はぁ、はぁ、そうで、すわね。先週以来ですわ」
「本当は毎日のようにしたいんだけどな。インデックスに……本妻に怒られた」
「ハーレムも大変ですわね」
「まあな、っと、早く買わないとあいつが怒るぞ」
「そうですわね」
 
 売店に入り、黒子は飲料水を買いに出る。当麻はポップコーンを買おうと店の中を歩き、他のお客が……少女が取っていた。
 だがその少女は身長が足りないようで一番最上段に置かれた巨大ポップコーンを取れないでいた。
当麻は一息ついて少女を持ち上げようか考えたが、変質者になりかねないのでその行動は止めて、普通にとってあげることにした。
 フラグ的には無自覚な行動だろう。
「ほら」
「ありがとう、ウルトラC級映画をポップコーンなしで見る所でした。超感謝します」
「そんな感謝するなって、ほら早くしないと始まるぞ」
「おおっ、開演まであと15分ですね。超助かりました、では」
 と言って少女は全速力で消えた。当麻はその少女の元気の良さに思わず苦笑して、自分もポップコーンを買い店を出ると既に黒子は買い終えていた。
トレーの上に5つの飲料水を乗せて。

「すまん、遅れた」
「別にいいですわよ。それよりポップコーンは二つですの?」
「ああ、あんま多いとあれだし、黒子が一つ、俺が一つで隣同士で食べればいいだろ」
「なるほど、そうですわね。当麻さんは何味のジュースがお好きですの?」
「んーそうだな。変なのじゃなかったら、それでいい」
「それでしたら、普通にメロン味でいいですわね」
 二人が戻るとすでに5分前のテロップが画面上に流れており、すぐに席に着く。
他にはお客はほとんどおらず、この映画を見るのは物好きか、美琴のようなおまけ目的の人間しかいないだろう。
 席に着きポップコーンをつまみながら、多少期待を込めて映画を見始める。





627名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:09:24 ID:HpmtkPL/
「にしてもつまんねーな」
「そうですね」
 開始10分、文字通りつまらなかった。当麻は隣に座っている初春に小さい声で話しかける。
最初から予想はしていたが、あまりにもつまらない。普通すぎて笑えないのだ。

「メロン味はおいしいけど、すぐに飽きるからなー。初春のジュースは何味なんだ?」
「私のはグレープ&レモンですよ」
「……おいしいのか、それ」
「おいしいですよ」
「一口貰っていいか」
「えっ、あっはい」

 初春はひとまず当麻に自分の持っていた容器を渡す。そして当麻は何の抵抗もなくストローに口をつけて飲んだ。
そこで初春は考えた。今飲んでいるのは自分のジュースで、当然口もつけている。それを当麻が飲んでいた。今まで自分がつけていたストローに口をつけて……。

「かっ上条さん」
「んっ?なかなかうまいな。だが俺のメロンソーダもなかなかだぞ、飲んでみろ」
「そっそうじゃなくてですね。そのストローは」
「ああ、そう言えば間接キスになったな。すまん」
 
 ぼふっと初春の顔が赤くなり、頭を振ってなんとか現実に戻す。
本当にすまなそうな顔をしていた当麻を見て、なにかを言わなければとあたふたして、結局出てきた言葉が――
「わっ私にも当麻さんのジュースをのっ飲ませてください」
「ああ、いいけど。間接キスは気にならないのか」
「だっ大丈夫です、さっ最近の中学生はこっこれくらい普通なんです」
「それならいいんだけど――――、ん。サブタイトルの愛の部分の山場を迎えたな」
 
当麻の一言でスクリーンの方に目を戻した初春は思わず、噴き出しそうになった。
なぜなら、映し出されたいたのは男と女。しかも全裸で抱き合っていた。なかなか際どいアングルだった。
 主役の男は「大丈夫?」と女の方を気遣っており、女の方は「最後までして」と言っている。
隣では真っ赤になり俯いている初春、同じく顔を赤くしながらも映画を凝視している佐天、そして赤くなりながら口をパクパクとさせている美琴がいた。
 黒子はすでに経験済みのために多少免疫ができているのか、やれやれと言ったご様子である。
当麻に至っては欠伸をして、初春が抱えているポップコーンをぼりぼりと食べていた。
実際のところ一般男性であればこう言った映画にも反応するのだが、すでにいろいろなプレイに携わった当麻にとって映画では物足りないのだ。


 そのシーンも終わり、いきなりホラーに変わる。先ほどのいかがわしいシーンはどこへ行ったのかと言うほどの変わりようだった。
しかも何気に怖い、と言うかC級映画特有の無駄なところに力を入れていた。
 佐天や黒子、美琴は半ば笑いながら見ており、初春だけは涙目になりびくびくと震えて当麻の服をちょこんとつまんでいた。
「『ぐはっ、これはあれか、あれなのか。アンジェレネと同じ属性なのか、破壊力が高すぎる』」
 このままではやばいと悟り、慣れている方向で初春を安心させる。そう慣れている手をつなぐと言う行為で……。
 自分の服を掴んでいた初春の手をそっと離して右手で手をつなぐ。驚いたように、顔と繋がれた手を交互に見比べている。
優しく微笑んであげると、一気に顔が赤くなり、体温が上昇したのが分かった。
「かっ上条さん」
「なっこうしたら怖くないだろ?」
「――はい」
 そして初春は最初緊張して映画どころではなくなっていたが、徐々に慣れていき1時間半が過ぎた頃には安心しきって眠ってしまった。
しかも上条当麻の肩にあずかるようにして……。


628名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:12:25 ID:HpmtkPL/
「ホラーの方がよっぽど笑えるわね。ねーういはっひぃ――――」
「大きい声を出してどうしたんですの?さてん、うっ」
「何よ二人とも息を詰まらせたような声を………出し…て?」
 
 まず佐天が左を見た、止まった。
その佐天の声につられて左を見て黒子が止まった。
二人の声に引き寄せられて左を見た美琴がと止まった。
もう空気が固まったと言うレベルではない、空気が死んだのだ。
 
 左の方では当麻が『なにやってんだ』と言った表情で固まっている3人の方を見ていた。
だが当麻には突っ込みどころが万歳であった。いや正確に言うなら当麻だけではなく、隣に座っている初春にもあるのだ。

突っ込みどころ一、
「なんで、初春と上条さんが手を繋いでるんですか?!!」
突っ込みどころ二、
「どうして初春が“上条”さんの肩で寝てらしゃるんですの?」
突っ込みどころ三、
「あんたは初春さんの頭を撫でてんのかしら?」
 
 以上、三つの鋭い突っ込みが飛んできた。だがその突っ込みも華麗に切り返す能力を持つのがこの上条当麻である。
「えーと、ホラーで初春が怖がったからな。手を繋いだら安心したようで寝てしまったんだよ。で俺は初春の頭からいい花の香りがしたから撫でてた」
「………初春、抜け駆けしすぎ」
「上条さん、本当にやりすぎですの」
 
 二人は小さな呟き声で済ませていたのだが、若干一名ほど呟きではなく怒りにが溢れ出しているお方がおられた。
映画館にも関わらず帯電をはじめようとしている。
「あんたはこんなところに来てまで何やってんのよ」
「おっおい、美琴こんなところで帯電すんなよ」
「そっそうですわ。お姉さま、ケロヨンが貰えなくなりますわよ――」
 
 黒子はすぐさま美琴を制止する。それは当麻のためだけではなく、美琴のためなのだ。
当麻のことになると周りが見えなくなり、突っかかってしまう。逆にそれが当麻に近づけない原因になっているのだ。
 これではいつまで経っても当麻に近づけないばかりか、女性関係を知り美琴自身が耐えられなくなることは目に見えている。
それだけは阻止しなければ。大好きなお姉さまと、愛している当麻さんの仲を取り持つために……。
「―――それに、当麻さんに嫌われますわよ」
「!!!?」
「お姉さまの気持ちは分かりますわ、ですが今電撃をしますと、初春に当たって上条さんはお姉さまのことをお許しにならないと思いますわ。ですから今は……」
「………っそうね」
 黒子の言葉にはっとして自分がやろうとしていたことにはっとする。
この男は自分が何をされようと対して怒らないが、誰かが傷つくようなことがあれば絶対に許さない。
自分が一番身をもって知っているはずなのにと自己嫌悪に陥りそうになる。


629名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:15:09 ID:HpmtkPL/
 エンディングロールが流れ、上映が終わる。最後は一発ギャグで終わると言う微妙な終わり方だった。
数少ない客が一斉にため息をついて出ていく。当麻たちも初春を起して出ていくことにする。

「初春……初春」
「んんっ」
「ほら初春起きないと、上条さんが立てないでしょ」
「んっ……なんで………すか、佐天さん……もう少し寝かせて………ください」
「初春、そろそろ起きてくれないか」
「んぅ〜」
「こうなったら最終手段を使うまでね。本当は御坂さんに電撃をお願いしたいところだけど、ブルーが入っておられるみたいだし」
 
 佐天は安心しきった顔で眠る初春の鼻と口をふさいだ。
当麻が「おいおい、無茶すんなよ」と言うものの、「平気、平気」と言い返されて何秒で起きるか数えはじめる。

「――10、11、12、13」
「んッッ……ぷはっ、なっなんですか」
「おっ起きた」
「なっ何するんですか初春さん」
「おはよう、初春」
「えっあっはい。上条さん、おはようございます」
「初春――、とっくに映画終わってるんだけど」
「あっ」
「初春、よっぽどその手が愛おしいようですわね」
「白井さんもなに言ってるで――――えええっっ」
「初春、ホラーで怖がってただろ」
「そっそう言えば、そんな気が……そっそれじゃぁそれからずっと繋いでいてくれたんですか」
「ああ、怖い夢見たら嫌だろ」
「ほら初春、上条さんのお邪魔になっていますわ。いつまでもそうしてないで行きますわよ」
 
流石に黒子も耐えられなくなってきたのだろう。いけないと分かってはいるが、嫉妬してしまう。
自分も手をつなぎたかった。肩を貸してもらいたかった。もっとデートをしたかった。やりたいことはたくさんある、だが我儘で当麻を困らせることだけは避けたいと思っているのだ。
「はっはい。上条さん、ごめんなさい」
「そこは謝るところじゃなくて、感謝の言葉のほうが嬉しいんでせうが」
「あっありがとうございます」
「よし、んじゃ行くか」
「はい」




映画館の出口の所に行くと、5人で来ている客にケロヨン一家の人形が配られる。
「ほら、美琴。これが欲しかったんだろ?」
「うん、いいの」
「そのために俺は呼ばれたんだから、素直に喜んどけって」
「ありがとう」
 
 やはりプレゼントを貰えるということは嬉しく、顔が赤くなる。
そして貰ったケロヨン父の人形を大事そうに握りしめている。多分美琴にとってこの人形はとても大切なものになるだろう。
「んじゃ、俺は帰るかな」
「途中まで送りますよ」
「別にいいって、佐天もまだ皆と遊ぶんだろ?」
「いえ、今日は大事なようがあるので」
「んっそうなのか?」
「わっ私も送ります」
「ああ、ありがと」
「私はお姉さまを寮につれてかえりますわ。意識がここにありませんですの」
「頼む」
 黒子は美琴の肩に触れて空間移動の能力を使い寮へと戻っていく。
どうやら美琴が人形を握ったまま思考を停止したための処置である。このままここに放置していくわけにもいかないのだ。
630名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:22:22 ID:HpmtkPL/
行こうか」
「「はい」」
「当麻さん、今日は大丈夫だったんですか?」
「ああ、今日は休みだったからな、他の用事は入れてなかったし」
「すいませんでした。休日に呼び出してしまって」

 初春は本当に申し訳なさそうに、頭を下げる。まぁ実際に当麻はこの日休みだったのだ。
文字通り他の用事……デート、逢引、etcなどを入れない日が月に3日ほどある。そのうちの一日が今日である。
 他の日は休日であろうが、平日だろうと関係なくデートやショッピングが入れてあるのだ。

「いやいや、初春の寝顔も見れて良かったし」
「えっええぇ」
「いいなー、初春」
「よくないですよ、ねっ寝顔を見られたんですよ」
「ふーん」
 
 二人の間に何やら不穏な空気が流れ始める、どうやら初春の言葉は佐天の気に障ったようだ。
これは二人の性格の差のために仕方がないことなのだが、まだ中学生の二人にはわかってないのだ。
「まだ時間早いしどっか寄って行くか?」
「いいんですか」
「あたしは上条さんが行きたいところでいいですよー」
「初春は?」
「私もどこでもいいですよ」
「さて、上条さんてきには公園の芝生でゆっくり過ごしたいんでせうが、どうでしょうか?」
「おっいいですねー、賛成でーす」
「私もゆっくりしたいので、それでいいですよ」
「んじゃ決定な」
 
 当麻はゆっくり休める場所である公園の芝生へと移動する。
公園自体は小学生の遊び場に使われているために、ゆっくり休めないのだ。
 予想通り公園は小学生で賑やかになっていたが、周りの芝生はほとんど人がいなかった。ただカップルが何組か休んでいた。
「もうそろそろ冬服ですね」
「あー、そう言えばそうだったな。ネクタイするの嫌なんだよな、時間かかるし」
「そうですか、似合ってると思うんですけど」
「そうか?俺的には初春の頭の花の冬バージョンを見てみたいな」
「えっそっそんなかっ変わりませんよ」
「初春の花って日替わりだろ?なら季節替わりもあるって思ったんだがな」
「分かってたんですか?」
「ああ、初春は花が目立つからな、どうしても目が行くんだよ」

 ぼふっと音を立てるかのように、一瞬にして初春は顔を真っ赤に染める。それは頭の上に飾られている花よりも赤く、紅く染まりあがり、煙を吹いて動きが止まる。
 当麻の左に座っている初春は動きを止めた。右に座っている佐天も俯いて、動きを止めた。二人の姿を見てられなかったのだ。
これだけ見せつけられると、付き合ってないと、自分にチャンスがあると分かっていても弱気になってしまう。
「俺的には佐天の黒髪も綺麗だと思うけどな。俺の中でも三本の指に入ったな」
「上条さん?」

 一瞬で佐天の心情を察した当麻はフォローを入れる。“全てを平等に扱う”ことをモットーにしているために、視野を広く保っているのだ。
当然当麻の言う髪の綺麗さの三本指には、神裂火織、姫神秋沙、そしてここに佐天涙子が加わったのだ。
前者二人は上条当麻によって攻略されているのは言うまでもないだろう。
 突然髪の毛を優しく撫で下ろされた佐天は目を丸くしていた。思わず髪を撫でている当麻の手に自分の手を重ねてしまう。
何をされているか最初は理解できていなかったが、その手の感触を堪能していくうちに、それが当麻の手で、自分の髪の毛がなでられ、ほめられていることが分かった。

「えっほっほんとですか」
「ああ、嘘じゃねーよ、綺麗だよ。将来が楽しみだぞ」
「えへへ」
「当然、初春も楽しみだぞ」
「あっありがとうございます」


631名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:28:16 ID:HpmtkPL/
 佐天は一度は初春のほうを見て深呼吸をして、初春を見ている当麻の横顔を見る。
 今しかないと佐天は目を一度つぶり、そのあと当麻の顔を見ずにあさっての方向を見あげる。

「上条さん………」
「んっ」
「上条さん」
「なんだ、佐天」
「大事な話があります」
「なんだ」
「上条さん――――」
 初春は佐天が唐突に真面目に話し始めたので「どうしたんだろう」といった表情で見ていた。当
麻も佐天が大事な話があるということで、一気に真面目モードに入る。
 一度佐天は言葉を区切り、そして覚悟を決めたかのように当麻と目を合わせて―――






「―――好きです。付き合ってください」





 一世一代の大告白、自分が抱いた恋心をぶつける。
 例え好敵手が自分の親友であろうと譲ることのできない気持ち―――――できれば分かち合いたい気持ちなのだが、それはできないことが分かっている。


 初春は佐天の言葉を聞いて目を大きく見開くが、すぐに真剣な目になり、上条の顔をじっと見つめる。
 自分が初めて抱いた恋心を……好敵手が親友で、とても複雑な感情があった。だが、その親友には負けたくなかった。
真剣勝負で絶対に勝ちたかった。でも本当は親友にも幸せになってもらいたいそんな感情が………。


「―――佐天さん抜け駆けは許しませんから。上条さん―――上条さんのことを見ていると胸が痛むんです。この痛みが人を好きになる気持ちなんだとわかりました。





上条さん、お願いがあります―――――私と付き合ってください」




 
当麻は立ち上がり二人と距離を置いて頭を下げて、その二人の真剣な告白をした。ならば、当麻も真剣に答え返さなければならない。
「………二人とも、ごめん」
 
 帰ってきた言葉は、一番聞きたくない言葉だった。答えてほしくない返答だった。
私たちが抱いていた恋心………私たちが抱いていた幻想を殺された瞬間だった。
 「その気持ちには答えられないと思う」
「「…………」」
 二人の眼に涙が溜まり始める。今返された答えをゆっくりと理解し始めたのだ。
632名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:32:02 ID:HpmtkPL/
「俺は女とあれば誰でも手を出す節操なしだぞ、そんな節操がない俺と付き合いたいと思うか、俺のことを嫌ってくれたほうが、佐天や初春のためのこれからの為になるぞ」
「上条さん……私はそんな上条さんに助けられたんです。そんな上条さんだからこそ私は好きになったんです。今更、上条さんのことを嫌いになんてなれません」
 
 涙目になりながらも決して曇ることない思い、自分の中にあるその思いを当麻に伝える。
駄目だと言われたにもかかわらず、初春は最後の最後まであきらめない、諦めたらそこまでなのだ。
 諦めたら全てが終わりなのだ、ならば最後まであがく。

「優しいんです、その誰にでも優しい上条さんが好きなんですから、いつも親身になって相談に乗ってくれる上条さんが好きです。皆のことを思わない上条さんなんて嫌いですよ」
 
涙目になりながら劣ることのないはっきりとした声、絶対に変わることのない思いを当麻に伝える。諦めきれない気持ちをぶつける。
まだ完璧に玉砕されたわけではない。もとより玉砕覚悟、最後まで言い切ってやる。そんな精神なのだ。


「……………、月に4回か5回しか会えないかもしれないんだぞ。それでも我慢できるのか?」
「「できます」」
「さっきも言ったじゃないですかー、誰かに優しくしない上条さんは上条さんじゃないじゃないですかー」
「佐天さんの言うとおりですよ」
「本気なんだな。あともう一つ言っておくことがあるけど、俺が他の女の人といろいろやっても、その人と仲良くやれるか?」
「嫉妬はしますけど、でも仲良くやれますって」
「上条さんがそれを望むなら、一生懸命やってみます」
「そうか、なら合格だ。付き合おうぜ」
 
 座っている二人に笑顔で答える。二人は万年の笑みを浮かべる。人間あげて落ちるのはとても辛く思うが、落ちてあげるのはとてつもなく嬉しいのだ。
 がそこで二人は顔を見合わせた。そこで「あれ」といった表情を浮かべる。果たしてこの人はどちらに向かって言ったのか分からなかった。
少しの沈黙の後、佐天が恐る恐る口を開いた。
「あのー、上条さん、あたしと初春どちらと付き合うんです?」
「んっ。両方に決まってるだろ」
「えっえぇぇえええええ」
「なっ何驚いてんだよ、さっきから言ってただろ」
「そっそれって私と佐天さんを試練にかけてただけじゃないんですか?」
「かけるわけないだろ」
「上条さん、話の順番間違えたんですけど、誰かとお付き合いされてるんですか?」
「えっと、13人ぐらいと……ああ、黒子とも付き合い始めたから14人だな」
「「えっえっぇぇえええええぇええええぇええええ」」
 
 本日最大級の絶叫だった。それはもうあり得なかった。どこをどう間違えたら14人と付き合えるのか、全く分からない。
しかも一番最近付き合い始めたのが黒子………白井黒子、自分の友達で、風紀委員の同僚で、いつも仲良くやっている4人の一人。
 そして何よりお姉さまLOVEの少女がまさか男の人と、しかも自分たちが告白した相手と付き合っていたなど全く予想だにしなかった。

633名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:39:00 ID:HpmtkPL/
「初春、落ち着けって。黒子は前になちょっとした問題があってそのときに助けて、それ以来ずっと俺のことを思っていてくれたらしい。それでこの前黒子の寮に行ったときにそれを教えてくれて、付き合い始めたんだよ」
「そっそれじゃぁ御坂さんは怒らないんですか?」
「御坂とはまだ付き合ってないぞ」
「そうなんですか、てっきり白井さんと付き合ってるから御坂さんとも付き合ってるものと」
「黒子が言うには自分は美琴と俺両方好きで、二人が仲が悪い姿など一番見たくないんだと。だから自分は愛人になるって言ってたぞ。周りから見たらそこまでやるかって言う感じだけど、俺にとってはそこまで思っていてくれてとても嬉しかったな」
「14人って白井さんの他に誰が居るんですか?」
「えっとだな。あー外人が9人で、同級生が2人と教師が1人かな」
「――――すごいですね。でもその人たちも助けたんですよねー」
「ああ、ちょっと骨のある問題ばかりだったけどな。こんな俺でもいいのか」
「やっぱり上条さんは上条さんですね。あたしはそんな上条さんが好きです。これからお願いします」
「そうですって、私も上条さんのこと好きです。それに初春のことも好きだから……でも、抜け駆けはなしで行くわよ」
「分かってますって、でもこれだけは別ですよ。上条さん」
「んっなんだ初春」
「私たち付き合い始めたんですよね」
「あっああ。そうだよ」
 初春は立ち上がり、少しでも当麻と視線を合わせようとする。何も言ってないのに、顔を赤くしながら、つぶやく。その声ははっきりと当麻に伝わる。



「上条さん好きです。………きっキスをして……ください。上条さんの女になったと……」
 勇気を振り絞ってそのことを伝える。すると当麻は何も言わずに、初春の肩に手をかける。
そうすると、初春は目をつぶり当麻もそれを確認するように唇を近づけていき、唇と唇が重なりあう。
 触れるだけのキス。ただ重なり合っているだけのキスなのに、それはとても長く感じられる。
30秒が過ぎ1分が過ぎ、それからどれくらい重なり合っていたかわからない。
 当麻は初春が酸欠になるぎりぎりを見極めて唇を離す。すぐさま自分の唇に手を当てて、荒い息を始める初春。ほほを赤く染めて嬉しそうな顔をしている。
 そんな初春を見た佐天は「ずるい」といった表情を浮かべて、立ち上がって当麻の前に立って自分もしてほしいとせがむ。

「むっ初春ばかりずるいです、あたしにもしてくださいよ」
「分かってるって」

 当麻は佐天の顎をつかんで上を向かせると、佐天の唇に唇を重ねる。
佐天は自分の胸の部分で祈るように両手を合わせ、眼をギュッとつぶっている。当麻の唇から暖かい体温が伝わってくる。
今さっきまで初春としていたキスを、今は自分のためだけにしてもらっているのだ。
 どれくらいが経っただろうか、初春のキスを見たときとても長いキスだなと思った。だが自分の番になると、それよりもとても長く感じる。
ゆっくりと当麻の唇が離れていく。目をあけると、当麻が笑みを浮かべていた。
 それがこれが現実だと教えており顔が赤くなるが分かった。

「上条さん、もう一回してください」
「ダメだ」
「えっ」
「付き合い始めたんだから名前で呼ぼうぜ。飾利……涙子も名前で呼べよ」
 予想だにしないこと呆気にとられる飾利と涙子、名前で呼び合うということは常に付き合っていることを意識する羽目になるのだ。
名前で呼ぶ行為は極親しい仲でしかやらない、そのために飾利も涙子、キスした時と同様に当麻と付き合い始めたことを強制的に意識してしまう。

「おーい、どうしたんでせうか。二人とも固まって………。まさか名前で呼ばれるの嫌だったのか」
「そっそんなことありません」
「ただ、ちょっとびっくりしただけで嬉しいです。えっと、とっ当麻さん」
「うん。よくできました」

 当麻は涙子の髪の毛を撫で、涙子はくすぐったそうにしてはいるものの、とても嬉しそうである。当麻は撫でながら飾利のほうを見て言葉をつづけた。
「本当はなにか記念になるものを買ってあげたいんだけど上条さんはお財布の中が厳しいから、また今度にしたいんだが。いいか?」
「うーん、いいですよ。本当は今日ほしかったけど、当麻さんには迷惑ばかりかけられないから」
「そうですね。無理に記念になるものを買ってもらわなくても私は大丈夫です」
「二人ともありがとな」
「そう言えば白井さんとはどこまでいったんですか」
「どこまでと言いますと」
「デートとかもうしたんですよね」
「あーっと、最後までいったかな。うん」
 
634名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:43:40 ID:HpmtkPL/
あっさりと答える当麻、恋愛関係のことではどんな些細なことであっても隠し事はしないと言う取り決めがあり、また当麻にとっても隠し事はしたくないのである。
当麻の言ったことがいち早く理解ができた涙子は驚きの声を上げる。

「えっえええええええ」
「さっ佐天さんどうしたんです」
「しっ白井さんとは最後までいったんですか、そんなまえから付き合ってたんですか」
「いや、付き合いだしたその日に記念みたいな形だったぜ」
「――――」
 声を出さずに目を大きく見開いて口をパクパクと動かしていた。飾利のほうは全く話についていけずに何の事を言っているのか全く理解できていなかった。
「白井さんはどこに行ったんだろう」と違ったことを考えていた。まぁ中学一年生でもこういった方面に疎い子はたくさんいるだろう。

「佐天さん白井さんはどこに行ったんですか」
「うっ初春、あんた女捨てすぎじゃない」
「そっそんなすっ捨ててませんよ」
「白井さんは当麻さんともうやったのよ」
「だからやったって何をですか」
「はははっ、飾利は面白いな…………えっちぃことをだよ」

 当麻は天然でボケる飾利を見て思わず笑い声をあげて、それからちょっと悪戯してみようと、飾利の耳元でそっと何をやったのかをつぶやく。
そしてようやく理解できた飾利は叫び声とともにおろおろとし始める。

「えっえぇえええぇぇぇ」
「今日は驚くのが多い日だな、二人とも」
「だって当麻さんのヒミツがすごすぎるんですって」
「そうか?」 
「でも御坂さんとは付き合ってないんですよね、確か御坂さんは当麻さんのこと」
「ああ、俺は答えることしかできないんだ。俺から告白したらそれはひいきになるからな」
「当麻さんって人気ありすぎですもん」
「……い…が………しら―――」
 なにやら飾利が暴走を始めたようだ。なにやらぶつぶつと呟き始めていた。
俯いてぶつぶつと呟くその姿は明らかに病む一歩手前の症状だった。当麻は涙子と向き合って話をしているために、その光景に気付かなかった。

「そうか……そうだよな。俺から振ることは絶対にないから。女の子のほうから諦めて欲しいんだけど……無理だよな」
「無理ですね、なるほど。当麻さんの周りに人が集まる原理がわかりました」
「原理ってそんなのねえって」
「あります。人を助ける、お礼、断らない、いい雰囲気、君さえよければ、ENDです。あとそれは女の子限定です」
「………あの〜、涙子さん……私めは男の人も助けていますんでせうが」
「本当ですか?女の人が絡んでないですよね」
「ごめんなさい、嘘をついてました」
「そうですよね。まぁそんな当麻さんが好きなんですけどね。ねぇういは―――」
「……が……では……い………わた…」
「飾利、どうしたんだ」
「……わたしじゃ、ダメ、なんですね、白井さん、みたいじゃないと、だめなんですね」
「おっおい飾利って」
「どうしたら、私も……かみ……当麻さん」
「なっなんだ」
「当麻さん今日は帰りたくないです」
 
 飾利は突如そう言って当麻の服を掴んだ、唖然とする涙子。その台詞が出た瞬間、当麻の表情が真面目になり、目が鋭くなる。チャラけた雰囲気は何一つない説教する時のようなシリアスな顔である。
「飾利、それは自分が何を言っているのか分かってるのか?まさか黒子がしたから自分もするなんて簡単なことじゃないんだぞ」
「いつもそうなんです。私は引っ込み思案でなにもできないんです。告白だって、佐天さんがやらなかったら、私はできませんでした。私は何も取りえなんてないんです。他の人みたいに――――――」
 当麻は黙って抱きしめた。そこで飾利の言葉は止まった。自分には取り柄がない、自分には個性がない。
その気持ちはよくわかった。だがそう考える人物に限って、個性があるのだ。前に相談に乗った少女の場合は料理が上手だったり、髪の毛が綺麗だったりととても個性があった。
 そして目の前の少女にも誰にも負けない個性があった。それをこの子は知らないだけなのである。
飾利、可愛いぞ。おまえにしかない個性的なところを俺は知ってるぞ」
「私の個性的なところ」
「お前の子の花は見せかけか?俺はお前の笑顔見ていたい。その花に負けないような、その花と一緒のような綺麗な笑顔を見ていたい。まぁときどきは笑顔以外の顔も見たいけどな」
「花ですか?」
「ああ、この花も個性の一つだし―――」
635名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:44:18 ID:ngzF2g7C
わざわざ難しい文章使わなくてもイイよ
636名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:50:26 ID:HpmtkPL/
とそこで抱きしめていた力を緩めて、そして飾利の顔を一度見てその唇にキスをする。一瞬の触れるだけのキス。そして前髪をどけて額にキスをする。

「とっ当麻さん、なにをするんですか」
「キス」
「それはわかってます。そっそうじゃなくてですね」
「飾利の額にキスして気付いたんだが、キスするとき花の香りがとてもするんだよな」
「えっあっありがとうございます」
「あー、ほら涙子も」

 横でむっとしていた涙子を引き寄せて、唇にキスをしてそれから先ほどと同じように前髪をあげて、額にキスをする。
当然涙子の個性的な髪の毛を撫でる。
「んっ、ありがとうございます」
 とそこで当麻がキスをし終わり一歩、二歩下が……れなかった。なんと飾利だけでなく、涙子までもが洋服を掴んでいたのだ。
しかも二人とも上目遣い。はっきり言おう、これはやばい。
あまりにもやばい。かわいすぎる、顔を赤く染めて服を掴む。その行為はあまりにもかわいすぎるのだ。

「えっと、ふっ二人ともはっ離してくれると助かるんだが」
「当麻さん、あたしを当麻さんの……女にして…ください」
「おっおい、いっいくらなんでも中学一年でそれは早いと上条さんは思うぞ」
「あたしは当麻さんが好きです、この気持ちを受け取ってくれないんですか。少し人より早いのはわかってます、でも当麻さんが好きで好きでずっと一緒にいたいぐらい好きなんです、それでも駄目なんですか」
「……俺も涙子のことが好きだ。だから大切にしたい気持ちもあるんだぞ、こういうことは急いでやることでもないだろ」
「私は当麻さんとの記念にしたいんです。当麻さんが私のことを好きでいてくれることを確かめたいんです」
「そうか、分かった。本当に二人ともいいんだな」
「「はい」」
「ここでしてもいいけど、初めてで野外ってのはマニアックすぎるし、ホテルにでも行くか」
「ほっホテルですか」
「ホテルじゃダメか?」
「そうですよ、当麻さん。だって初春はパンツを見られて喜ぶ露出狂なんですよ。みんなに見られながらじゃないと駄目なんですよ」
「そっそんなことあるわけないじゃないですか。さっ佐天さんも適当なことを言わないでください」
「すぐ近くにあるから行くか。ほら、二人とも手繋ごうぜ」
「――――はっはい」
 当麻は二人に手を差し出し手をつなぐ。相手を異性と思い始めて初めて手を繋いだ。これから向かう場所のこともあり、一気に体温が上がりそして変な汗が浮かび始める
 
637名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 23:57:58 ID:rd2szjfU
さるさんになってる?
638 ◆s5iGacR752.W :2009/12/30(水) 23:59:40 ID:HpmtkPL/
というわけで前半戦終了。



ぎりぎり日付が変わる前に投下が終了してよかった。



それでは、今回はここでページを閉じることにして、
次回もまた、あなたの手でページが開かれることを祈りつつ、
本日はこのあたりで筆を置かせていただきます。


480kbを超えましたので次スレを立てました。
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1262184828/
639名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 00:01:10 ID:+25PDdo8
>>635
空気嫁
640名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 00:01:42 ID:4Ou7LFB/
>>638
乙乙
SS投下に加えて新スレとはさすがです
641名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 00:05:07 ID:U8+FVnd6
>>638
乙です。
後半戦に期待!
642名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 00:07:17 ID:hCE/IjoE
GJ&スレ立て乙!

久々の500KBだな
643名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 01:37:43 ID:NRvr7C38
GJ!

次スレも建ったことだし埋めネタ

「とうまー」
「どうした、インデックス」
「今年ももう終わりだねー」
「ああ、今年も上条さんは不幸な目に遭いっぱなしでしたよチクショー」
「それはとうまの自業自得! そんなことよりとうま」
「ん?」
「こもえがお正月にはおせちってのを食べるって言ってたんだけど」
「おおおおおおおおせちィ!? ダメですとんでもありません! 我が家の財政事情を何だと思ってるんですかインデックスさん!」
「だめなの?」
「ダメです!」
「むぅ、とうまはいじわるなんだよ…」
「なんですかインデックスさん。なんか怖いですよ。何で歯をガチガチ言わせてるんでせうか? 何で後ろに回るんですか?」
「食べ物の恨みは恐ろしいんだよとうまー!!!」
「ギャアアアアアアア痛い痛い不幸だあああああああ!!!」
644名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 08:35:58 ID:ZgzBfqrv
そういえば以前どこかで、女体をおせちに見立てるSSを見かけたな…
645名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 23:33:57 ID:ZlihqP4e
つくオルソラ
        ,r‐──ー-- _
       /´::::::::::::::::::::::::::::::`.、
      ,;,r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄丶::::`ト、
     ,f f          ヽ!::::::::i、
     i:::i,───────-i、::::|
     i i' i ̄ ̄    ̄ ̄ !ヽ,l:::ヽ
.     |:::!  -─-  -─- │:::'::::::|
.     ヽ:::トト///     ///i :::::::::::l
       i.:::::` 、__________,,/i,:: ::::::::!
        ヽ:::. f ::./へ!/:::::i,ゞ:::::::::ゝ
         !::::ヽ,r`i╋iヽ,/___ !_ノ
.          ヽ,r`.、,!┃ レ'::::::::::::>-、
        ,r:i:::::::::ノ:ハ ,::::::::::::::.,ゞ-ゝ
         `ー--''´`ー--‐''´
マフィン食
        ,r‐──ー-- _
       /´::::::::::::::::::::::::::::::`.、
      ,',r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄丶::::`ト、
     ,f f          ヽ!::::::::i、
     i:::i,───────-i、::::|
     i i' i ̄ ̄    ̄ ̄ !ヽ,ト ヽ
.     |:::!┿━━   ━━┿:::'::::::|
.     ヽ:::ト、////////////i :::::::::::l
       i.:::::` 、__________,,/i,:: ::::::::! もふもぶ…
        ヽ:::. ,´〜〜〜ヽi,ゞ:::::::::ゝ
         !__つ^^^^^⊂_ノ_:::::丿
.          ヽ,r丶__/':゚:::::::::>-、
        ,r:i:::::::::ノ:ハ ,:::。:::::::.,ゞ-ゝ
         `ー--''´`ー--‐。''´ポロポロ
646名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 23:34:18 ID:ZlihqP4e
つくオルソラ
        ,r‐──ー-- _
       /´::::::::::::::::::::::::::::::`.、
      ,;,r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄丶::::`ト、
     ,f f          ヽ!::::::::i、
     i:::i,───────-i、::::|
     i i' i ̄ ̄    ̄ ̄ !ヽ,l:::ヽ
.     |:::!  -─-  -─- │:::'::::::|
.     ヽ:::トト///     ///i :::::::::::l
       i.:::::` 、__________,,/i,:: ::::::::!
        ヽ:::. f ::./へ!/:::::i,ゞ:::::::::ゝ
         !::::ヽ,r`i╋iヽ,/___ !_ノ
.          ヽ,r`.、,!┃ レ'::::::::::::>-、
        ,r:i:::::::::ノ:ハ ,::::::::::::::.,ゞ-ゝ
         `ー--''´`ー--‐''´
マフィン食
        ,r‐──ー-- _
       /´::::::::::::::::::::::::::::::`.、
      ,',r  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄丶::::`ト、
     ,f f          ヽ!::::::::i、
     i:::i,───────-i、::::|
     i i' i ̄ ̄    ̄ ̄ !ヽ,ト ヽ
.     |:::!┿━━   ━━┿:::'::::::|
.     ヽ:::ト、////////////i :::::::::::l
       i.:::::` 、__________,,/i,:: ::::::::! もふもぶ…
        ヽ:::. ,´〜〜〜ヽi,ゞ:::::::::ゝ
         !__つ^^^^^⊂_ノ_:::::丿
.          ヽ,r丶__/':゚:::::::::>-、
        ,r:i:::::::::ノ:ハ ,:::。:::::::.,ゞ-ゝ
         `ー--''´`ー--‐。''´ポロポロ
647名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 23:35:21 ID:ZlihqP4e
              !i     !    !i
              !i     !   .!i
              !i     !   !i
               !i    !   !i
               !i.  !  〃
              ヽ、 i  ィ!
              {`、三彡}
        ,, - ―‐ 、_/ヽt-ィ''ヘ
        イ     、 ヽ ! ij ハ      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      /  /〈ル)ノ リ 、`, i  ! ハ      | はうあうあう
      l i ノノ O  OY i   !  ハ   <  先生の名前は「小」萌なんですー
       ヽ(/. (ノ △Uノ i.   i  ハ    |   「子」萌ではないんですよー
         冫、乏-rァ' i   i   ハ    \_____
        / 、ソ  ノ"`!   i   .ハ
       j=`T´ラ!   !    .!   ハ
       /::::::::::::::::|   !     !    jノ
      ┌〈::::::::::::::::::!_i   __j_r--'"
      |「`ー'(」 └' └‐'"
648名無しさん@ピンキー
        \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         >.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
        ,...:´::::::::/.:::::::::::::::::::::::::::::/ |::::: ハ::::::::::::::::::::::::::/ !::/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>
          ̄ ̄/.::::::::::::::::::::::::::::/l/ >|:/ |:iハ:::::i:::::::::/ j/ハ::::/!::::::::::::::::::::::::<
        /.:::::::::::::.イ:::::::::::::/<でうラ'ヘ`}:ト::∧:l::::/厶イ´.::::∨::|:::::::::::::\ー―一    全員、俺の嫁だ
          ー‐ァ.:::::::::{ 厶イ:::ハ/  `ニ ノ.:::jノ.::::::八/.:::'でうラヽ/.:::|:::::::::::::::::::\      
         /___::∧ (|/   〈::::::::::::::::::::::://.:::::::::::::ー一'.:::::::j/!::::::::::\ ̄  
           /.:::::ハ ∧    \::::::::::::::/  {::::/ ̄ ̄\::::::::::/ }:::::::「 ̄
          ∠::::::::::::八 :.       \:::::/   }::j\    /.::::::/ ∧ハ|
           厶イ:::::::::ーヘ            ´/ノ.::::::\_/.::::::/イ  }
            ノイ::/i:::ハ         {:::::::::::::::::::::::::::∧丿
                |/  |::::::|\     , -‐='::、::::::::::::::::::::/
                  x≦ハ| ::\     ー‐.:::::::::::::::::::/
                 / ∨//|  ::::\    `7.::::::::::::.イ\
              /   ∨/j   \:::\  ;::::. .<:::::'///\
             /     ∨′   \:::::: ̄::::::::::::::::'/////⌒ヽ、
            /         >x:::.、   \::::::::::::::::::::{'/////////\