今から、続きを投下します。
内容はちょっと多目の13レスになります。
良かったら見てあげて下さい。
−22日目−
「朝帰りなんて良い度胸してるじゃない。竜児。あんた何様?」
遅かったか。大河が起きる前に戻ればセーフだと思ったのに。
見つかったらまた何かチクチク言われるだろうと覚悟してたけど、まさか宿の前で仁王立ちして待ってるとは…
コイツ、もしかして俺の事好きなんじゃねぇの?
「何でこんな早起きなんだよ?いつもは俺が起こしてやってもなかなか起きない癖に。」
「フン。昨日、寝過ぎちゃって勝手に目が覚めちゃったのよ。」
何故かふんぞり返って偉そうに宣言する。別に自慢する事でも無いだろ。
「で、どこ行ってたの?」
言え。正直に。死にたくなければ。と、言わんばかりに大河がズイズイと詰め寄ってくる。
俺としても、別にやましい事がある訳では無いので、正直に話す事にする。
「へぇ。あんたやっちゃんの息子だったんだ。そう言われれば、ちょっと似てるかもね。顔とか。」
意外にも大河は俺の話を信じてくれた。
「似てるか?俺は父親似だと聞いてるぞ。特に目つきとかな。」
「案外、似てるもんよ。顔のベースは…まあ、あれだけどね。」
悪かったな。それにしても、大河と泰子が知り合いとはな。知らなかったよ。
「うん。知り合いって程でも無いよ。やっちゃんはあたしが空腹で倒れてた時にご飯ご馳走してくれて、酒場においてくれたんだ。
そしたら、しばらくしてあんたが来て、私を仲間にして今に至るって訳よ。」
良い人だよね。やっちゃん。
大河はちょっと嬉しそうに呟きながら去って行った。ふぅ…良かった。平穏無事に事が済んで。
それからしばらくして川嶋が降りて来て、その後櫛枝が朝のランニングから戻って来てパーティー全員が揃った。
川嶋が、あれぇ?な〜んかイカ臭いなぁ〜とか言ってドキリとさせてくれた事以外は、普通に皆で朝飯食べて、楽しく卓を囲んだ。
おかしい。ちゃんと綺麗に拭いてきた。匂いなんかする筈は無いんだが……奴はホントに犬なのか?
何はともあれ、さあ、冒険するぜッ!!目指せイシス。
砂漠のかえんムカデやだいおうガマに苦戦しつつも着実にイシスへと近づいていた俺たちに、悪夢の様な敵が立ち塞がった。
じ ご く の は さ み
只でさえ硬い甲殻をスクルトの重ね掛けでさらに硬化させてやがる。しかも、集団で。
奴らの甲殻は今、地獄鋏の重殻という感じだ。間違いなくG級。トラウマその3確定だ。
斬ろうが突こうが殴ろうが、弾かれまくる事山の如し。
さまようよろいの時と違って、戦っているというワクワク感が得られないのか、櫛枝も目を輝かせてはいなかった。
と、言うか心なしかうんざりしている様だ。こりゃ逃げるが勝ちかもな……
俺が、戦略的撤退を提案しようとした時、川嶋がこんな事を言い出した。
「ねぇ、ダイガー。あいつらの胸部にちっこい傷があるの見える?」
ん?確かに良く見れば、4匹とも胸部に小さな×字型の傷が付いてる。
「あそこって、あいつらの急所の位置なの。だから、あそこにダイガーのどくばりを刺す事が出来れば、勝機はあるわ。
ダイガーは急所を刺す事だけに専念して。あたしたちはダイガーの援護。これでいきましょ。」
川嶋の目論見は大当たりだった様で、あれだけ鬼畜だったじごくのはさみたちが嘘の様にあっけなく沈んだ。
「すげぇな川嶋!!これならもう砂漠は楽勝だ。」
もう、イシスに着いたも同然と舞い上がる俺。しかし、川嶋の表情はどこか暗い。
これ見て。と、言わんばかりに川嶋が装備していた聖なるナイフを俺に向けた。
げぇ〜〜〜〜。そりゃ超人風に驚きもしようというもんだ。
「こんなんなっちゃった☆」
川嶋の笑顔もやや引きつり気味。聖なるナイフは刃こぼれ…どころじゃなく、完全に折れ曲がってひしゃげていた。
流石の俺もこのナイフでリンゴを剥けと言われたら、ムリと即答する。
「あいつら硬すぎだよね。何回も斬ってちっちゃな傷付けるのが精一杯だもん。ダイガーが居てくれて良かったね。」
いや、俺としては、その作戦を思いついたお前の方こそ、居てくれて良かった。だが…照れくさいので、口にはしない。
しかし、という事はもう同じ手は使えないのか。俺には急所の位置なんて見抜けないし、櫛枝も多分ムリ。大河は言うに及ばず。
俺らは適当に攻撃してただけだしな。同じ箇所を責め続けて…なんて、やっぱり川嶋は頭が良く回る。
「だね。同じ手は使えない。次、また出てきたらどうする?ふふっ、白旗でも揚げちゃう?」
何でちょっと楽しそうなんだ?実は余裕あるのか?
「全然♪てか、あたしはこれで武器無しだから、どっちにしても戦闘不能だしね。守ってくれるよね?あたしの事。」
そりゃ勿論、望むところだが、本音を言うと、じごくのはさみさんには自重して頂きたい。
てか、聖なるナイフでじごくのはさみの重殻に傷を付けた川嶋って実は凄い兵(つわもの)なんじゃ……
なんて言ったら、多分不機嫌になるだろうから黙っておく事にしよう。
そして、俺たちは何とかイシスに到着する事が出来た。
運の良い事にあれ以降の蟹さんのおかわりは無かった。日頃の善行の賜物だろう。
しかし、かえんムカデやだいおうガマはちょくちょく姿を見せた。
じごくのはさみに比べたらだいぶマシだが、それでもこちらの戦力は実質3人。正直キツかったぜ。
でも、川嶋にはかすり傷一つ負わせちゃいない。頑張った俺。良くやった俺。偉いぞ俺。
だから、そんな俺はご褒美として、今から噂の超絶美人な女王様に謁見に行くのだ。
街の探索もそこそこに、さあ今から女王様に会いに行くぞ〜と言うところで、
「ヤダ。あたし城に入りたくない。」
と、川嶋が駄々をこね出した。理由はわかってる。こいつは 街の闘技場へ行きたいのだ。
最初は一人で行くのも怖がってた癖に今ではすっかりいっぱしのギャンブラーらしく、賭場では妖星のアミと恐れられる存在らしい。
あまり、感心はしないが、トータルで黒字なのだから文句を言えた義理でもない。
「絶対、行かないから。3人で行けば良いじゃん。」
川嶋はテコでも動かないといった感じだ。ハア。仕方ない。3人で行くか。
と、言う訳で、俺たち3人は女王様にご挨拶へ向かった訳であるが……
やばいやばい女王様めっちゃ美人ありえねえ。うわうわマジかよ。何を話したか全然記憶に無いぜ。
しかもしかもしかも、俺にだけ特に話を聞きたいという事で、俺一人女王様の寝室へと通された。
マジで?やばい。やばいよ。何かドキドキしてきた……何を話せば良いんだ?
こんな綺麗な女王様を前にして、舞い上がるなという方がムリである。
「竜児君…だったかしら?本来なら、勇者様とお呼びするのが筋なのでしょうが、
私は女王としてではなく、私個人としてあなたのお話を伺いたいのです。失礼を許して下さいますね?」
「あ、は、はい。勿論です。僕…あ、いや俺としても助かります。」
「ありがとう。私の事は女王様ではなく、アンナと名前で呼んでくれて結構ですよ。それでね、竜児君。私があなたに聞きたいのは……」
女王様。もとい、アンナさんは意外に気さくな口調で話す人だった。
さっきまでは、事務的な女王様口調だったから余計にそう思う。
もっと近寄り難い存在だと思っていたが、結構馴れ馴れしい感じだ。お陰で俺の緊張も少しほぐれた。
そうだ。タイプで言えば川嶋に似てるかも。あいつも綺麗なのに愛嬌がある。
何故、ふと川嶋が頭の中に浮かんだか。それは、アンナさんが川嶋の事を話題に上げたからだ。
「竜児君の仲間はもう一人居るんですってね?その子は今どうしてるの?」
ギクッ。流石に、女王様への挨拶をすっぽかして賭場で遊んでますとは言えない。
「へ?えぇ〜と。旅の疲れが思ったより溜まっていたみたいで……今、宿で休ませてます。
すみません。挨拶に来るのに一人欠けてしまって。」
俺の答えを聞いたアンナさんは、唇をニィと釣り上げ、脅すような口調で言った
「あら?それはホントかしら?
あ、そうそう。この国ではの嘘吐きがもっとも重い罪だとされてるのよ。
いかなる場合も正直者が咎められる事はない。とも、言えるかしらね。」
「真実の口っていう便利なモノがあってね?ふふふん♪」
と、なにやら怖い名称が挙がった段階で俺は誠心誠意、心を込めて謝った。
「すみません。ホントは賭場で遊んでます。申し訳ございません。」
打ち首をも覚悟した瞬間だった。しかし、アンナさんは何故か嬉しげで……
「へぇ〜そうなんだぁ〜ふ〜ん。な〜るほどねぇ。」
と、なにやら満足そうに頷いていた。
「面白いわね、その子。その子の事、もっと私に教えてよ。
竜児君から見たその子を、飾らず隠さず、ありのままに話してくれないかしら?」
俺の首が胴体から離れるのでなければ、何だって自白します。
俺は川嶋という人間について、一枚のオブラートにも包む事なく全てをアンナさんに話した。
あいつの人間性。これまでの事。可愛いところ。厄介なところ。困ったところ。腹立たつところ。好きなところ。全部全部、話し尽くした。
アンナさんはウンウンと頷くだけで、最後までずっと俺が喋り続けてた。最後の最後に、
「竜児君。その子の事よろしくね。ややこしいでしょうけど面倒みてあげて頂戴。」
と、良くわからない事を仰ったのみである。
そんな感じで俺とアンナさんの会合は終わった。
謁見の間で俺の帰りを待っていた大河と櫛枝がそれぞれ、殺気と悲哀に満ちた視線を送りつけてきたが……
首と胴体がくっついている事のしあわせを思えば、どうと言う事もない。(櫛枝の視線にだけは若干、心が痛むが)
さて、川嶋の奴を迎えに行こうか。あのアホは闘技場に居るに違いないんだ。
お前のせいで死ぬトコだったんだぞ!!と、一言文句を言ってやらなきゃ、気が収まらない。
たまにはきっちり説教して、ギャフンと言わせてやる。
………。結論から言うと、ギャフンと言わされたのは俺だった。
川嶋の手口はこうだ。あいつはやっぱり闘技場で遊んでいて俺は怒りを露わにし、川嶋に詰め寄った。
そしたらあいつは白々しく、
「あ、もう女王様に会ってきたの?お疲れ様〜☆もっと、ゆっくりしてこれば良かったのにぃ〜」
と、のたまった。そしたら大河が、
「ゆっくりしてこれば良かった?冗談じゃない。これ以上待たされちゃ、たまんないわよ。
このバカ。2時間も話し込んでたのよ?2時間も。女王様と。2人っきりの部屋で。」
と、今にも爆発寸前。いつもは大河をなだめてくれる櫛枝もこの時ばかりは大河と同意見だったらしく、何も言わずに俺に避難がましい視線を送るのみ。
そりゃ、長い時間待たせた事は悪かった。ごめん。俺が全面的に悪い。だから、そんな目で見ないで。心が折れちゃう。
それに、聞いてくれ。長話になった原因の大半は川嶋にあるんだ。ほとんどコイツの話題オンリーだったんだから。
しかし、俺に弁明の余地などあろう筈はない。
「あらら…きっと高須君の事だから、女王様の前で緊張したり舞い上がったりしたんじゃない?
あの人綺麗だもんねぇ〜あたし程じゃないけど☆」
コラ。大河の怒りに油を注ぐ様な事を言うんじゃありません。てか、川嶋。お前わざとだろ?わざとやってんだろ?
ほら、言わんこっちゃない。大河は、獰猛な呼吸音を発し今にも飛びかかってきそう……って、ミギャアアアアアーーー!!
その後は、怒り狂う大河を川嶋が言葉巧み(食べ物で釣った)になだめて、なんとか俺の命は救われた。
川嶋よ…お前が煽った大河をお前がなだめてって…そりゃ、自作自演ってもんじゃないかい?
とは言え、助けられた事に変わりは無いから、俺はもう川嶋に強く出れない。くしょ…何か、またハメられた気がする。
しかし、もう怒る闘志もわかない。
「あの人アレで、もうすぐ四十路だよ?高須君のお母さんとそんなに変わらないよ〜ププッ、必死に若作りしてやがんの☆」
頼みもしないのに、川嶋がこっそり、耳打ちしてくれた情報は、俺の残り少ないガッツを萎えさせるには十分だった。
嘘だろぉ?うちの泰子も大概なもんだが、それにしたって年齢詐欺過ぎる……
姉だと言っても通用するだろうあの見た目で、よもや親の年代だったなんて……鬱だ。もう、今日は寝よう。
−23日目−
朝食の席で、俺と櫛枝の間にちょっとした論争が起きた。
議題は、果たしてピラミッドに黄金の爪はあるのかどうか!?
と、いうのも、これまで報告こそしなかったが(キリがないので)俺たちは先達の冒険者に散々、煮え湯を飲まされてきた。
盗賊の鍵から始まって、行く先々に放置された空の宝箱、既に解決済みの問題。酷い時はダンジョンにマーキングまでされてたりして…
そして、ここイシスに眠る王家の秘宝−ほしふるうでわ−が入っていたと思しき、
やたら豪華な空箱を発見した時は、流石に殺意さえおぼえた。てか、川嶋はマジでキレてた。
となれば、当然黄金の爪も先代の勇者あたりが既に持ち去っているに違いない。
誰だってそう思う。俺だってそう思う。しかし、櫛枝は
「FCとSFCでは階段の場所が違うから」
など、と訳のわからない事を言って、俺の意見に真っ向から対立した。
まあ、気持ちは分かる。黄金の爪は武闘家の最強武器だ。頭に血が登るのもムリはない。次第に激しくなる論争。強くなる口調。
「結果は見えてる。がっかりして終わるだけだ。俺は櫛枝のがっかりした顔なんて見たくないんだよ。」
「高須君には関係ない。がっかりするかどうかなんて事は、私が自分で決めるんだ。
私の事は私が自分で決めるんだ。勝手に決めるんじゃねぇ!!」
なんだよ。そんな言い方ねぇだろ!?俺はお前の事を考えて……そう叫ぼうとした時、
「みのりん!!竜児!!」
大河が櫛枝と俺の間に割って入ってきた。非常に焦った様子で飛んできた。
さっきまで川嶋と一緒に我関せずと、朝食のWチーズピラミッドサンドを頬張っていた癖に、
今まで見せた事の無い表情で。不安に押しつぶされそうに目を揺らし、口元だけはムリに笑おうと必死に唇で笑みを作って。
これは、冗談。全て水に流そうよ。ね?と、言わんばかりに
「握手〜〜」
俺と櫛枝の手を持って、おどけてそう言った。
大河には悪いが、俺は拳を握った。そしたら櫛枝の握り拳とぶつかった。
その時の大河の表情を見てしまった俺は、いたたまれなくなって、大河の手を振り切って食堂を飛び出した。
ああ。最悪だ…死にてぇ。
もはや、部屋まで戻る気力さえない。俺は廊下の隅にへたり込んだうなだれていた。
「お ば か さ ん ☆」
頭上から声が聞こえる。何だ川嶋か。
「何だとは何よ。心配しておっかけて来てやったのに。まだ、朝ご飯の途中なのにさ。」
別に頼んでねぇ。
「うん。頼まれてない。バカだね高須君。好きな子相手に怒鳴ったりして。好きなんでしょ?実乃梨ちゃんの事。」
関係ねぇよ。それを言うならお前とも喧嘩しただろ?マヨネーズの件で。
「…え?それって……どういう…」
………。忘れてくれ、ただの妄言だ。
「………。良いこと教えたげる。最近、王家の使いがピラミッドに新しい魔法の鍵を安置したらしいよ?
欲しいなら、早く取りに行かなきゃね。誰かに先を越される前に。」
どこでそんな話を?てか、それって墓荒らし……
「知らないの?ピラミッドの宝は取ったもん勝ちだよ?」
え?そうなの?
「うん。マジで。その代わり罠とかモンスターがわんさかだけどね。
取れるもんなら取ってみな。って感じで、まあ冒険者に対する王家の挑戦。みたいな?」
何でそんなに詳しいんだ?
「え!?それは、そのぅ〜。………。良いじゃん別に、そんな事はさ。
あたしの話はこれでオシマイ。あたしはご飯食べに戻る。高須君がこの後どうするかは、自分で考えな。」
そう言って、川嶋は食堂へと戻って行った。一度だけ振り返って、
「あたしは高須君についてくよ。どうするにしてもね。」
と、珍しく真顔で宣言して行った。
おいおい。そういう事こそ笑顔で言えよ。変な意味に勘違いしちまうぞ?
その後、俺は少し頭を冷やしてから食堂へ戻った。
まずは魔法の鍵を取る為にピラミッドへ向かおう。そのついでに、あるかどうかはわからないが黄金の爪も探してみよう。
俺が提示した妥協案に櫛枝も一応は納得してくれた。けれども、仲直り出来た訳ではない。
その証拠に口も聞いてくれやしない。話題もないし俺から話を振るのもなんだかな〜とか思って渋ってる内に、ピラミッドに着いてしまった。
微妙にギスギスした今のパーティーでピラミッドを攻略出来るかどうか、甚だ疑問である。
A.ムリでした。
ピラミッドに入って曲がってすぐの角に宝箱が3つもあった。これはどう考えても罠でしょ……と、考える暇もあればこそ
「どれかに黄金の爪入ってるかも!?」
と、うちの盗賊様が光の速さで真ん中の箱を開けた。
次の瞬間には大河が血まみれになってて、やくそうで瀕死の大河を救うべく、慌てて駆け寄ったトコで俺の記憶は途切れている。
気が付けば、俺たちはイシス城謁見の間でアンナさんに説教されていた。
横を見る。正座してる櫛枝と大河。良かった。無事みたいだ。ってアレ?川嶋は?
「報告では、あなた方3人だけだそうですが……
まあ、あの子。コホン。もう1人の仲間の方ならきっと無事でしょう。」
アンナさんは事務的な女王様の口調で、きっと大丈夫。などと呑気な事を言っていた。
そして、本当に大丈夫だった。城から出てすぐのトコで川嶋はひょっこりと姿を見せた。心配したのに……
聞けば、ピラミッドの罠モンスター(ひとくい箱と言うらしい)に、けちょんけちょんにされた俺たちを見捨て逃げたらしい。
ヒドイじゃないか。とも思ったが、逃げた川嶋が、街に戻って人を呼んでくれたおかげで、俺たちは命を落とさずに済んだらしい。
救助隊の派遣料及び、俺たちの治療費に全財産の半分が飛んだが、命あっての物種。
ここは、川嶋の英断に感謝すべきだろう。
そして宿屋に戻ってすぐ反省会が開かれた。
今朝からの重い空気に加えての全滅(実質)でパーティー内の空気はさらに重い。
普段、こういう会議に真剣に参加しない川嶋でさえ、今日は真面目に席に座っている。大河に至ってはもう半泣き。
別に責任を追求する場ではない。しかし、原因を究明する必要はあるのだ。俺は心を鬼にして、大河に聞いた。
「大河。お前、罠かどうか判別出来ないのか?責めてる訳じゃないが、盗賊ってそういうの得意なんだろ?
ほら、よく宝の匂いを嗅ぎ分けるとか言うじゃないか。」
俺の問いに大河はもはや泣き出す寸前。もう見てらんない。
「私、鼻炎持ちなの……だから、ああいう埃っぽいトコだとダメなの。」
………。埃っぽくないダンジョンがどこにある?これで大河の鼻はあてにならない事が露呈した。
いや、決して責めてる訳ではない。ただ、大河ってドジだし盗賊には向いてないんじゃ……とか思っただけ。
今更遅いが、なにゆえ盗賊の職を修めようと考えたのやら。
「私が体張ってでも皆を守るべきだった。ごめん。あーみんが逃げてくれて助かった。ありがとう。」
と、櫛枝は責任を感じている様だ。責任感の強いトコがまた素敵…などと言ってる場合では無い。
本来はパーティーリーダーの俺が感じるべき責任である。
「皆を置いて、1人で逃げてごめん。あたし、怖かったんだ。足が竦んであいつに向かっていけなかった。ごめん。」
川嶋は川嶋で、1人逃げた事を悔いている様だ。しかし、あの時の川嶋の判断は正しい。
あのまま川嶋も戦って、4人仲良くミイラの仲間入りなんていう展開は正直ゴメンだ。
「いや、俺こそ、リーダーなのに気を失ってしまって。すまん。申し訳ない。」
反省会は4人で謝り倒し、解決に向けての発展を何も見せぬまま、なし崩し的にお開きとなった。
今日はもう休んで。また、明日から頑張ろう。過ぎた事は過ぎた事だ。
最後にそうまとめて、各自それぞれの部屋へ戻った。
−24日目−
朝食後、櫛枝にキレられる。
「べっつに話題なんかなかったからじゃん!それとも楽しい話題を私が提供してやんなきゃシカトしたって言われんのかよ!?」
余計な事を言ったのは川嶋だ。なのに、櫛枝の目は俺しか見てない。(←このフレーズ。違う意味で使いたかったな。)
まあ俺も正直、一晩経ったんだから、そろそろ口聞いてくれたっていいんじゃね?とは思ったが……
それを口に出しちゃう川嶋はすげぇな〜としみじみ思う。
この一件で川嶋と櫛枝の間にも見えない亀裂が生じた様だ。
ちなみに俺と櫛枝の関係は、もはや修復不可能っぽい。はは、もうどうとでもなれだ。知らね。
一番、可哀想なのは大河で、今日もパーティー内のギスギスとした空気に押しつぶされそうになっている。
涙目なのに口元だけは必死に笑顔を作ろうとする。なんとも言えない表情だった。
もう、痛々し過ぎて、直視出来ない。しかし、こうなった責任は俺にもある。
せめてもの償いと思い、露天で買って来たキャンディーを口の中に放り込んでやった。
そんなモンが慰めになるとはとても思えないが…大河の存在が今のパーティーを支えていると言っても過言ではない。
櫛枝もその事は察しているらしく、いつも以上に大河を気にかけている。大河を大切に思う気持ちだけは変わらないらしい。
そんな状況で挑むピラミッド(二回目)。ちなみに反省会で得られたものは、ひとくいばこには近づかない。というアバウトな策のみ。
こんなんで攻略出来るとは思えないが、命綱のやくそうだけはきっちり補充してからピラミッドへ向かう。
4F
で、あっさり4階に着いた。迫り来るモンスターには皆、等しく滅びて貰っている。下手人は川嶋。
よほど苛立っているのだろう。いつの間に購入したのかは知らないが、てつのおのなど装備してむちゃくちゃに暴れ回っている。
その細い腕でよくそんな重そうなモン振り回せるな。とかは、言わない方が身の為だって事くらい俺でも解る。
まんまるボタンとかいうふざけた仕掛けも解除して、魔法の鍵も無事にゲット。
パーティー内の会話が0な事以外は、万事順調である。
さあ、後は黄金の爪のみを探すのみ。この期に及んで無かった(^^;)では済まされない。
何が何でも見つけ出す。万が一、それらしき空箱を発見した日には、その場で死ぬしかない。俺はその位追い詰められている。
「地下に隠し階段があるらしいわよ。」
川嶋のまるでNPCみたいな台詞が、ピラミッドに入ってから初の言葉だった。マジ泣ける。
B1
川嶋の情報に従って、皆で隠し階段を探す。埃っぽいとか汚いとか言ってる場合じゃない。もう必死だ。俺は床に這いつくばって血眼である。
鼻炎持ちの大河にムリはさせられない。川嶋は、服を汚したくないらしく明らかに手を抜いている様子。
ある程度、予想はしていたが、結局、必死になって探しているのは俺と櫛枝のみ。
櫛枝と肩を合わせて共同作業。本来ならこんなオイシイイベントは無いが、今の重い空気じゃはっきり言って責め苦以外の何物でもない。
ありゃ?何か怪しい場所発見。そこだけ何か埃に線が入ってる。他の奴ならいざ知らず。埃の積もり方で俺の目はごまかせねぇ
もしかして、隠し階段発見かな?ちょっと調べてみよぉおおぉぉ〜〜〜〜〜〜
B2
イテテテ……。床が抜けた。どうやら落とし穴だったらしい。落ちた時、何か硬いものにぶつかった。何コレ?棺?
ぶつかった時にズレたのだろうか?蓋が半分開いている。
棺って、確かミイラとか入ってるんだよな……ヤダな怖いな。祟られたりしたら。
1人と言う事も手伝って心細い。よし。閉めよう。それで許して下さい。お願いします。
俺はぶつぶつと何事か(俺が考えた破魔の呪文)を唱えつつ棺に近付いた。
蓋を閉じようとした時、キラッと突き刺すような光が俺を襲った。目がぁ〜目がぁ〜。俺は思わず棺の中をのぞき込む。
りゅうじはおうごんのつめをみつけた!
え?マジで?やった。や〜ったやったぁ〜。思わず小躍りする。その瞬間
ズキッ!!!
「みぎゃあああああぁぁぁ〜〜〜〜!!」
脛を襲う激痛。俺は思わず絶叫し、のたうち回る。
イタイイタイイタイイタイイタイ。折れてる。これは絶対、イっちゃってる。
カルマか…罰があったのだろうか?墓荒らしの報いだろうか?それとも、櫛枝と喧嘩した報い?大河を哀しませた報い?川嶋を巻き込んだ報い?
しかし、これは参った。痛くて一歩も歩けない。これは、皆が救出に来てくれるのを待つしかない。
来てくれるだろうか……いやダメだ。ここで弱気になっちゃダメだ。信じよう。仲間を信じるんだ。
今、俺の手持ちはやくそうが5枚にせいすいが2瓶。信じよう。きっと、餓えて死ぬ前に助けに来てくれると。そう、信じるんだ。
ぼうけんのしょ1(予定) りゅうじ
待ってる間暇だから、ぼうけんのしょに書く事でも考えとくか。
イシスに着いてから川嶋が急に綺麗になった。あ、いや、元々、綺麗なんだけど、磨きが掛かったと言うのが正解か。何にせよ、超美人だ。
聞けば、化粧(下地のみの薄い化粧しかしてないみたいだが)を変えたらしい。イシスの化粧がよく肌に馴染むんだとか言ってた。
世界一の美人と言われるイシスの女王様(アンナさん)を間近で見た俺が断言する。
世界一の美人は川嶋だと。まあ、あいつの場合、人格に色々問題があるので、それでバランス取ってるんだろうな。
なんて事を思ってるのが知れたら、砂漠に埋められる恐れがある。
………。暇だ。早く助けにに来てくれ。
今回はここまでです。
こんなに長く投下したのは初めてだから、ちゃんと出来たか心配。
次回も良かったらミテネ〜
待ってました!
今日も面白かった。
何だろ、文字の量は多いのにこれは読みやすいんだよな
「、」は相変わらず多いかもだが、気にならなくなってきた。
>>382 GJ
安奈さんは予想通りだったが、その場合、あーみんが王女様だということには
思い至らなかった私w
黄金の爪取って仲間とはぐれるとかやばくね?
確かあれ取ると一歩歩くごとにモンスターが出てきたような
この程度の使用頻度で「、」が多いと感じるって、普段ラノベくらいしか本を読まないんだろうか。
ぼちぼち新スレの季節
誰もいかないなら立ててくる
乙
早いなぁ
390 :
98VM:2009/12/15(火) 01:12:05 ID:CTljArRq
こんばんは、こんにちは。 98VMです。
恒例の? 梅いきます。
実は、この埋めネタシリーズ、数行先を考えながら書いてるって感じで、
先の展開とか全然考えていません。
行き当たりばったりw でも、基本時間は巻き戻さない方向なので、前回
急遽タイガーにしたせいで、奈々子様のターンがぶっとんでしまいますた。
梅ネタ共通時系列 3レス です。
結論から言うと。
危なくマジでヤっちゃう所でした。
――― 高須君の鉄壁の意思と、意気地なさに、乾杯。
もう少しであたしは亜美ちゃんの友達で居られなくなるところだった。
……本当に危なかった。
タイガーはなんだか自業自得な感じがするから、『ま、いっかぁ』位に思ってしまったけれど。
流石に亜美ちゃんはいたたまれな過ぎる。
あんなに高須君にモーションかけてたのに、ほとんど相手にされてなかったもんなぁ。
それが、あたしが一夜にして最後までいっちゃったら、あまりにも哀れじゃない? 亜美ちゃんが。
とはいえ、高須くんと上手くいかなかったのは亜美ちゃんが悪い。 と、あたしは思ってる。
本気なら本気で、正々堂々、直球勝負すれば、十分勝ち目あった筈だから。
もっとも、亜美ちゃんは色々と恵まれ過ぎな気がするから、あのくらい意気地なしで丁度いいのかもしれないけれど。
…それに。
亜美ちゃんが弱ってるの見てると、なんか……
……すごく、ゾクゾクしちゃう。
くすっ。
やっぱり、あたし、どこか壊れちゃったのかなぁ…。
ううん、きっと普通よ。 普通。
亜美ちゃんがあんまり綺麗で、可愛くて、エロい体してるからいけないんだと思うなぁ。 ねぇ、そうだよね?
埋めネタ 〜奈々子様のちょっぴり?な昼下がり〜
その夜、高須君に送ってもらった自宅には明かりはついていなかった。
過保護な父は、あたしが帰ってくる前に眠ることなんてない。
つまり、そういう事。
あたしは、誰かと一緒に帰ってくる可能性を最初から考慮して日程を組んだ。 ただそれだけ。
言葉巧みに高須君を家に上げるのはそう難しくなかった。
あとは普通にビールとおつまみなんか出して、高須君を質問詰め。
うやむやにして帰るわけにはいかなくて、でも答えにくい質問なら山ほどあった。
亜美ちゃんと、櫛枝と、それと、タイガー。
複雑な関係だけに、ちょっと気をつかうし、慎重になったけど、正直な高須君は誤魔化すのが下手で。
思わず説明を始めて時間を浪費する。
緊張して喉が渇いて、ビールを飲む。
……面白いように罠に嵌っていく。
上着を脱いで、部屋があったまってきたなら、もう一枚、薄着になる。
高須君は、あたしの胸元を見ないように見ないように…
本当に、可愛い。
きっと、タイガーにお預けくらって、その上、亜美ちゃんの色気に当てられて、これ以上無いくらいガードが緩くなっている。
「もったいないなぁ……高須君さえその気なら、亜美ちゃん、一晩限りでも体許してくれると思うなぁ……。」
「なっ、な、なに言ってんだよ! んなこと出来るか!」
「でも、亜美ちゃんはそれでも幸せな気持ちになれるんじゃないかな… 初めての人が高須君になるんだもの。」
実際にそうなったら亜美ちゃんはタイガーとの関係で深く傷つく。 だからこれは艶話に持ち込むためのネタふり。
亜美ちゃんをダシにしたのが上手く作用して、話がだんだんエスカレートし、次第に怪しい雰囲気になってくる。
やがて、堪えきれず、逃げ出すように帰ろうとした高須君に、あたしは容赦なく体を寄せた……。
至近距離で、唾を飲み込む音が聞こえた。
スマートに見えるのに、意外と筋肉質な胸板。 少しづつあたしの胸の鼓動も高鳴る。
三白眼を白黒させて、高須君は喉に詰まったようにあたしの苗字を呼ぶ。
……もしも、『奈々子』と呼ばれていたら、あたしはその場で崩れてしまったかもしれない。
高須君は女を突き飛ばすなんて出来ない。
必死で男の本能と戦っている。
もう、十分に酔って、理性のタガが外れているはずなのに、それでも堪えていた。
その目の前で少しづつ薄着になるあたし。
すぐにあたしは下着姿になって、女の匂いを高須君の鼻腔に押し込む。
そしてあたしの唇は、淫靡な声で彼の名前を囁く。
本当は、あたしを引き剥がすためだったんだろう。
虚ろに伸びた手があたしの胸に触れて、体を押しのけるように……動かなかった。
その後はダムの決壊のように。
あたしの苗字を呼んで、高須君はあたしの体にかぶりついた。
……もしも、『奈々子』と呼ばれていたら、あたしはその場から逃げようとしたかもしれない。
ひとしきりあたしの体をその手で、唇で、まさぐった彼を伴って、ゆっくりと床に倒れこむ。
彼の一物は既に固く腫れあがって、準備は万全になっていた。
指を滑らせ、その形をなぞっていく。
ベルトを外し、その生の姿を露にしようとした、その時だった。
「香椎…、お前、どうしたんだ? 何があったんだよ……。 何で、お前はそんなに辛そうな顔してるんだよ……。」
反則よね? こういうの。
「そうよ。 …辛いの。 …痛いの。 …苦しいの。 …寂しいの。 …死ぬほど寒いの。 だから。 誰でもいい…暖めてよ…。」
それであたしは、その瞬間だけ、正直者になってしまった。
そして高須君の手が止まって、沈黙が上下に重なった男女を覆う。
「俺は… 香椎の力になりたい。 友達だと思ってるから…な…。 だが……」
「なら、抱いてよ。 あたしを暖めて、くれないかな……」
「……………本当に、それしか無いのか?」
「ええ。 それしか無いと思うわ。」
それから…
久しぶりで男に抱かれる体は、敏感に快楽を貪る。
胸の先端が弾かれる度に、上半身が焼け付くように熱くなり、股を高須君の手が通り過ぎる度に、背骨が痺れる。
自ら体を激しくよじって、快感を味わいつくそうとするあたし。
やがて、もう誰でもよくなる。
あるのはただの性的興奮と動物じみた快感だけ。
愛情も、友愛もなく、ただの本能だけの行為に没頭していく。
それはもう、多分、男と女ではなくて、雄と雌。
激しく、いや、あるいは淡白に、その行為は繰り返された。
………
乙。
今までの最短記録って、何スレくらいで満杯なってる?
レス数<容量になることはたまにあると思ったが、ここまで短いのは記憶にない。
「はぁ……」
自分の溜息に、ドッキリした。
相当長いこと物思いに耽っていたみたい。
結局、高須君は、最後の最後でビビッて入れなかった。
避妊具がなかったってのもきっと理由ね。
高須君はそこには超敏感に反応するみたいだし。 父親の事がトラウマになってるのね、きっと。
まぁ、何はともあれ。
とりあえず、高須君が鉄壁でないことは判ったわね。
それと、本当にバカみたいに優しいってことも。 過ぎたるは及ばざるが如しって、まさにこの事だわ。
かえってその優しさが相手を傷つける事だってあるのに…。
やっぱり、亜美ちゃんをけしかけるのは止めにしよう。
なんとなく、あたしじゃなくて亜美ちゃんだったら、高須君も止まれなかったんじゃないかな、って思う。
そうなったら、亜美ちゃんとタイガー、それに高須君、皆が皆、しゃれになんないくらい傷ついちゃいそうだし…。
そこに櫛枝が武力介入してきたら、しっちゃかめっちゃかになりそうだし。
それにしても…
高須君。
やばいなぁ…。 絶対、後悔しまくってるよね。
多分に酒の勢いが混じってたし、っていうか、そもそも全部あたしの謀略だけど。
本当に、なんであんな事しちゃったかな… あたしも思ったより酔ってたのかしら?
なんか、こんな事でタイガーとおかしくなったら嫌だわ。
かといって相談できる人も居ない。
どうやってフォローしたらいいんだろ。
それに…
超弩級の鈍感だって思ってたのに ……見抜かれてしまった。
今回の出来心は本当に、大失敗だったかも。
やっぱり、ちゃんと計画練って行動しないとだめよね。
ああ、憂鬱。
亜美ちゃん攻略の手立ても、もう一度考えないといけないし。
それにしても…この哲学概論の講義も相変わらず超退屈ね。 …出席カードは最初に配って欲しいわ。
仕方ない。
とりあえず、メールだけでも送っておこう。 高須君に。
……
…………
人も疎らな、離れの小講堂。
エコ対策なのか殆ど効いてない冷房の音のほうが、教授の声より耳に障る。
うだるような暑さの中、いかにもやる気無さそうに、机に突っ伏す学生たち。
その一番後ろの方の座席で、奈々子は何度も何度も携帯を閉じたり開いたりしている。
決心したはずなのに、なかなか文章が浮かばず、ただ携帯をもてあそんでいた。
講義も終わりに近づいた頃、ようやく文字を打ち始める奈々子。
当たり障りの無い言葉を選んでキーを押す指が、僅かに震える。
その指が震えてしまう訳を……
奈々子は、努めて考えないようにしていた……。
おわり。
395 :
98VM:2009/12/15(火) 01:16:52 ID:CTljArRq
以上です。 お粗末さまでしたー。
できれば27皿目には例のブツを投下したいです。
今回はちょっと長めの予定です。
乙GJ埋め
98VM様ぐっじょー!(;゚∀゚)=3
VMさんグッジョーッブ!
何より「例のブツ」楽しみにしてます!
>382
とりあえず亜美ちゃんのセリフで大河の呼称が「ダイガー」になってるのはどうかと。
>>382 GJ
すごいピリピリしたパーティーが少し悲しいけど面白かった
ただ竜児とみのりんがたったそれだけのことに怒ったことに違和感が
>>395 GJ
いきなりやってないとあったにも関わらず、途中、最後まで致したのかと思った
というかもう梅の時期か
>>382 なんか伏線も多いですね。読み物として面白いです。GJ
>>395 しっとりとしてて良かったです。
梅ネタシリーズはこれでいったん完結なんでしょうか、GJでした。
という事で俺も生めネタ一つ投下させて下さい。
かなり前に作ったんですけど、
規制とか、タイミング外しでネタが賞味期限切れですが
それはどこでもありそうな、高校の昼休み風景
高須竜児は、級友の春田浩次と無駄話をしていた。
「春田、お前に進められた映画見てきたが、すげー良かった。
あれ、俺たちが幼稚園ぐらいのアニメなんだろう、吃驚したぞ」
「そうしょ。よかったしょ。う〜ん、高っちゃん、まだ余韻引きずってる感じで俺うれしいよ。
でも、話の内容がまったく解からなかったんだけど、解かった?カヲルくんは何なの?
瀬奈さんに聞いても、春田くんは仕方ないよ としか言ってくれないんだよ〜」
「春田なら仕方ない」
その二人を教室の後ろの席から、じっと眺める視線が一つ。川嶋亜美のものだった。
彼女は正直、高須との会話に入りたかったが、話題がテリトリーの範囲外すぎた。
だから、話題が切り替わるまで、一人寂しく眺めるしかなかった。なのだが…
一向に変わらない話題に業を煮やし、無理やりにでも話しに入ろうと席を立つ。
憎まれ口しか叩けなくても、それが自分の損だとしても、本当は甘い会話をしたいのだが…
「なに、高校生にもなってアニメ映画の話、なんかキショい。高須くんってやっぱりバカ?」
「あれは馬鹿にしたもんじゃねーぞって。川嶋は俺の事いつも馬鹿よばわりだな」
「だって実際、大馬鹿の鈍感男じゃない。ば〜か、ば〜か、ば〜〜か!」
「お前な、お、おう?、なあ、馬鹿って言ってもいいが、前にあんたって付けてくれないか」
「はぁ、なにそれ、気持ち悪い…
解かったわよ。そんなじっと見ないで……
あ、あ…、あんた、バカぁ!?」
その言葉を聞いたかと思うと、竜児はおもむろに立ち上がり、両手を広げると亜美を抱きしめた。
「お前は不幸になっちゃ駄目だ!」
「へ、え、え!ちょっと、なに急に、いや…じゃないけど、い、意味わかんねーし。
……………嬉しいけど…」
そんな二人を所在無く見つめるしかない春田は一言
「高っちゃん。あの娘と亜美ちゃんのイメージカラーが同じだからってイメージ無理やり重ねすぎ」
こうして、高須竜児と川嶋亜美は末永く幸せに暮らしました。
ギシ・ギシ・アン・アン
END
もう次スレか、早いな
>>402 ギシギシアンアンww
すごい面白かった。ショートも捨てたもんじゃないな
407 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 07:42:20 ID:FKXK4HaQ
a
もみもみ
「あん♪ あたしのおっぱいになにが?た・か・す・くん」
「いや、香椎のおっぱい柔らかいなぁと思いだしただけ。」
もみもみ
「まあ確かに、亜美ちゃんよりは柔らかいよね。」
「柔らかさなら同じさ。香椎ほどじゃないけど、川嶋も十分大きいだろう。」
もみもみ
「ヤん、乳首は反則なのっ。
……もう、亜美ちゃんより良いっていったら、
毎日揉ませてあげてもいいと思ったのに」
「それって、今とは何が違うって言うんだ?」
もみもみ
「ふん、怒った。続きは亜美ちゃんにでもして貰ってよ。」
「今日は香椎が欲しい。いいな?」
もみもみ もみもみ … ちゅる
「きゃんっ♪ もう、私がいいって答える前に入れないの!」
ギシギシアンアン
おわり。こんな竜児はイヤだ。
ギーシギシアンアン
>>408 GJだがギシアン部分を官能的にkwsk
ギシアンいいよギシアン
なかなか埋めないな…
Take 1
「香椎って母さんみたいだ」
「おっぱい見ながら言わないの」
パシッ
Take 2
「標をセンターに入れて…スイッチ。
Take 3
「」
畜生また滑った…すまん。一スレで終わると思って油断した。
梅ネタだから多少寒いでもいいよね?
Take 1
「香椎ってなんかお母さんという感じがした」
「おっぱい見ながら言わないの」
パシッ
Take 2
「目標をセンターに入れて…スイッチ。
目標をセンターに入れて…スイッチ。
目標をセンターに入れ(ry」
「早くしろ童貞」
Take 3
「私の場合、胸だけ暖めれば、少しはオッパイが大きくなるのかな。」
「ゼロはどう掛け算してもゼロだけどな、大河。」
-Dead End-
Take 4
「高須くん…あんたって不能?」
「息子よ!裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!父さんと同じに裏切ったんだ!」
Take 5
「高須君、あたしとひとつになりたい?心も体もひとつになりたい?それはとてもとても気持ちのいいことなのよ」
「川嶋はいい人だが…ごめん。」
梅
熊のぬいぐるみを着て倒れている竜児を見つけた百合子は救急車を呼び、病院まで付き添った。
インフルエンザと診断され、目に見えてわかるほど衰弱していた竜児は入院することになる。
百合子は竜児について質問され、そこから調べて連絡したのだろうか、一時間もしない内に派手な衣装を着た女性に出会った。
その女性は、今にも泣きそうな表情で必死に走ってきたようで竜児を心配してやってきたことがよくわかる。
意識を失ったままの竜児を見てより顔が歪んだが、慌ててやってきた看護師に容態を説明されると一応落ち着いたようだ。
百合子が驚いた表情で自分のことを見ていることに気が付いた女性は涙を拭ったあとに笑顔で口を開いた。
「ありがと〜〜〜、竜ちゃんを助けてくれて〜〜」
「いっ、いえ。たまたま道端で倒れている高須先輩を見つけただけで……。ビックリして救急車呼んじゃって……」
「ううん、あなたが救急車呼んでくれたおかげで竜ちゃんすぐに治るってお医者さんが言ってたよ。
もし見つけてなかったら危なかったかもしれないって」
「そ、そんなことは………」
「それにこんな寒い夜に気絶したまま一晩過ごしたらどうなってたかわからなかったって」
目に涙を溜めながら話す女性に抱き締められた百合子は驚いてビクッと背筋を伸ばして緊張するが、女性の暖かさを感じるとなぜか力が抜けた。
高校生になっても初対面の相手と話すのは億劫な百合子だったが、その女性に対しては心が開けるような気がする。
それはその女性の持っている魅力の一つなのだろうか。それとも裏表のない表情に惹かれたのだろうか。
ベッドで眠っている竜児を眺めながら、会話を続けていると知らず知らず自分の想いを吐き出していた。
女性は突然自分の思いを口にした百合子に驚いていたが、何も言わずにただ聞いてくれた。
百合子自身も自分からそんな話をしたことに驚いたが、自分の中で成長した秘めた想いを誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
想いを話してしまった後、ふと自己紹介をしていないことに気が付く。
百合子はまだ名前も知らない相手に自分の心情を吐露したのは失敗だったと思ったが、後悔はしなかった。
改めて自分の思いを確認し、頑張ってみようと思うことが出来たからだ。
百合子は姿勢を正して目の前にいる女性を見る。
急いで病院へやってきたからか、まだ髪の毛が乱れていた。整った顔立ちをしているが、愛らしく思いやりのある印象を受ける。
その柔和な表情で全てを包んでくれるようなふんわりした雰囲気は女性らしく、眺めているだけで心が和んでいく。
急に黙ったからか「どうしたの?」と優しい口調で話しかけてくれる女性に挨拶をした。
「あ、あの、自己紹介が遅れました。光井百合子です。大橋高校の一年生です」
「ゆりこちゃんだね〜〜。わたしのことは、やっちゃん、って呼んでね」
「は、はいっ。あの、た、高須先輩のお姉さんですか?」
「ううん、やっちゃんはね〜〜、竜ちゃんのお母さんなの〜」
お世辞にも人付き合いが上手いとは言えない百合子には、初対面でしかも年上の相手をちゃん付けして呼ぶには抵抗がある。
けれど頼まれたら呼ばないわけにはいかない。
ちゃんとした名前さえ教えてもらっていないから『やっちゃん』ってことしか知らないし……、と言い訳をするように頭の中で泰子の名前の呼ぶ練習をした。
やっちゃん。やっちゃんは高須先輩のお母さん……。お母さん……。お母さんっ!?
緊張していたからか耳に入ってきた言葉を理解するまでに時間が掛かったようだ。
「お、お母さんっ、ですかっ!?」
思わず声が裏返ってしまった恥ずかしさで百合子は顔を真っ赤に染めて俯いた。
泰子はその仕草が可愛かったのか、百合子の身体を引き寄せ、抱き締める。
「うん、そうだよ〜。ゆりこちゃん、かわい〜ね〜。なでなで、なでなで」
泰子は百合子の緊張を解きほぐすように優しく背中と頭を撫でる。
先程と同じように次第に力が抜けて身体を預けるように百合子は泰子に凭れ掛かった。
何の香りかはわからなかったが、いい香りがする。柔らかい泰子の身体に包まれている内に心地良くなっていった。
愛情をたっぷり注がれ、身体の中から温かくなるような感覚。今日一日の疲れもあったのだろう。
泰子の胸の中で百合子はいつの間にか眠っていた。
すぅすぅと寝息が聞こえてくるのを優しい目で眺めた泰子は、様子を見に来た看護婦に百合子の親に連絡するように頼んでおいた。
娘が事故に巻き込まれたとでも勘違いしたのだろう、百合子の両親は慌ててやってきたようで、病室に駆け込んできた。
泰子は二人を落ち着かせ、簡潔に説明をした後、丁寧にお礼を言って深く頭を下げる。
両親に起こされた百合子は寝ぼけ眼を擦り、重い目蓋を上げた。
両親の顔がすぐ傍にあったから家に帰ってきたとでも思ったのか、大きな欠伸をし両手を上げて伸びをする。
そして気の抜けた「あぁぁ〜〜〜」という声を上げている途中に泰子の姿が目に入ると一瞬固まってから、再び俯いて顔を真っ赤に染めた。
百合子が顔を上げるのを待っているといつまで掛かるかわからないと判断した両親は、百合子の手を引いて立たせ泰子に挨拶をする。
泰子はもう一度丁寧にお礼を言い、頭を下げた。
百合子は両親に連れられ、去って行く。
百合子は思い出したように泰子の下へトコトコと駆けてきた。
「あのっ、や、やっちゃんっ! 私、お見舞いに来てもいいですか?」
「うん、もちろんだよ〜。ゆりこちゃんみたいな可愛い女の子がお見舞いに来てくれたら竜ちゃんも嬉しいだろうしぃ〜」
「あ、ありがとうございますっ。また明日来ますっ」
なんとかやっちゃんと呼ぶことが出来た。
また声は裏返ったが、一度呼べたことで少しだけ緊張が解ける。
明日来ることを約束し、一度竜児の方を見ると苦しそうにうなされていた。
近寄り、手を握ってから竜児の頭を触る。竜児の額は熱かった。
さっきまでの和んだ空気でついつい忘れていたが、百合子が今ここにいる理由は竜児が倒れたからだった。
驚いて息を呑んだ百合子はもう一度竜児の額にそっと触れ、数度撫でる。
慈しむような優しい顔を竜児に向けた。
百合子は病室には泰子もいたことを思い出し、また顔を赤く染めてペコッと泰子に頭を下げ、慌てて病室から出て行った。
泰子は「またね〜」と手を振って、百合子の後姿を笑顔で見送った。