オリジナル魔法少女陵辱スレ10【和姦も】

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1名無しさん@ピンキー
オリジナルの魔法少女のエロを扱うスレです。
陵辱に限らず和姦でもOK
魔法少女が陵辱しても全然OKよ

【前スレ】
オリジナル魔法少女陵辱スレ9【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1256649067/


【注意事項】
○sage進行でお願いします。
○職人さんは特殊嗜好の作品の場合は投下前に注意書きをお願いします。
○職人さんが投下しづらい雰囲気はやめましょう。供給があってこそのエロパロ板です。
○好みに合わない作品や意見はスルー(読み飛ばし)を推奨します。
○荒らし、煽り、広告はスルーしましょう。
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【過去スレ】
オリジナル魔法少女陵辱スレ8【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1254959024/
オリジナル魔法少女陵辱スレ7【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235747369/
オリジナル魔法少女陵辱スレ6【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225259428/
オリジナル魔法少女陵辱スレ5【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213170878/
オリジナル魔法少女陵辱スレ4【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208254990/
オリジナル魔法少女陵辱スレ3【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1204801095/
オリジナル魔法少女陵辱スレ2
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187699066/
オリジナル魔法少女陵辱スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156666135/

【保管庫】
http://kuma.usamimi.info/magi/
2名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 03:19:11 ID:A2EaidBT
オリジナル魔法少女ぬるぽスレ
3名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 03:38:16 ID:nN04GyW1
魔法少女「がはっ! ガッ!! ぐべっ! ごべっ! だっ・・・・! だずげ・・・で・・・」
4マユ作者改め、マユの人:2009/11/23(月) 04:34:56 ID:N0iB0Hrn
こんばんわ、魔法少女マユ第12話を投下します。

今回は全編苦痛系のシーンで輪姦シーンが有ります。
設定の投下の後に、本編を投下します。
5魔法少女マユ 人物紹介:2009/11/23(月) 04:36:51 ID:N0iB0Hrn
秋月真由(マユ)
14歳 両親と3人で、平穏な生活を送っていたが。ユーリィと出会った事で、戦いに身を投じる事になる。
背は小柄で、背中の半ばほどまで届く栗色の髪を後ろで纏めている。
変身時のコスチュームは桜色のミニスカートに赤を基調としたジャケットを纏っている。

秋月夫妻
マユの両親、父、宗一郎は大手製薬会社の部長を務める。
母、美幸は専業主婦。二人は社内恋愛をして結婚。マユいわく、万年新婚夫婦との事。
二人とも年齢は30代後半だが、実年齢より若く見える。

ユーリィ
異世界エルメリアの住人である妖精、マユのパートナーとして彼女の戦いをサポートする。
長いストレートの青髪にフリフリのついた白やピンクのドレスを着ている。

リィン
14歳 エルメリアから増員として派遣されてきた魔法使いの少女。
髪型は薄いブロンドの長い髪をツインテール。
青を基調としたワンピースの上に、短い白のマントを羽織っている。

シャーナ
23歳 リィンの姉。リィンと共にエルメリアからの応援として地球に来た。
緩くウェーブがかった薄いブロンドの髪を、腰に届くほどまで伸ばしている。
純白のローブを纏う。 エルメリアにフィルという婚約者が居る。

ヴァルアス
魔族の王。100年前の戦いで敗れた先代の跡を継ぎ魔族を統率する。表の顔は大企業の社長。
銀髪の髪をオールバックにしている。黒のスーツを好んで着る。
その真の姿は、黒い装甲を身に包む巨大な竜。

レドリック
魔王ヴァルアス腹心の一人、魔法少女を狩る為に地球に招集される。
焦茶の髪を肩に触れるくらいに伸ばしている。黒の軍服を纏う。
ラディウスとは子供の頃からの付き合いで悪友関係。

ラディウス
セディアの弟 魔族の造魔開発においての、中核メンバーで、王の腹心の一人。
力は魔族の中でもかなり低いが、類稀なる頭脳を理由に、王に取り立てられる。
長い黒髪を三つ編みのお下げにしている。常に白衣に身を包む。15歳くらいの背格好。

ゲリオス・イレーヌ・ローエル
魔族エルメリア攻略軍を統べる、3将軍。
いずれも、戦術戦略に長けた人物で、様々な策でエルメリア軍を苦しめる。
筆頭のゲリオスは、先王の頃から側役を務める重鎮。幻術などを用いて、裏工作を行うのを好む。
イレーヌは、魔族随一の魔術の使い手である紅一点。身内には優しいが、敵には容赦がない。
ローエルは、戦いを何よりも愛する武人。また気さくで面倒見もよく、部下の信頼も厚い。
6魔法少女マユ 第12話 1/17:2009/11/23(月) 04:39:47 ID:N0iB0Hrn
見た事も無いような狼の様な怪物が自分を探して、周囲を歩きまわっている。
唐突に巻き込まれた状況に、物陰に隠れたマユは怯え、震えていた。
「な、何なのアレ…」
学校の用事で帰りが遅くなったマユは、近道しようと普段は通らない、人気の少ない夜道を通った。
そこで若い女性を襲っていた、あの怪物達を目撃してしまう。
怪物達はマユにも気づき、彼女を捕えようとした。
「アイツらは魔族…この世界には本当は住んでない筈の魔物なの…」
傍らに飛んでいる、小さな人形の様な少女、ユーリィが答える。
襲われようとした時、ユーリィがその魔物を倒し、マユは難を逃れた。
だが、多勢に無勢な状況はユーリィ一人では覆す事は出来ず、二人で逃げたのだった。
「魔族…?なんでそんなのが居るの?」
「それは…話すと長くなっちゃうんだけど…」
マユの問いに、ユーリィが答えようとした時、魔物が近づいて来た。
「み、見つかっちゃった!?」
「こっち!マユちゃん!!」
マユはユーリィの指し示す方に走っていく。
背後からは無数の魔物達が追いかけてくる。
「ああっ!?い、行き止まりだよ!!」
マユ達が逃げて居た先は、狭い路地になっていた。
「くっ…ど、どうしよう…」
ユーリィは顔を歪めて呻く。
「わ、私達…アイツらに捕まっちゃうの…?」
「そう…そして、マユちゃんは奴らに魔力を奪われて…あ、魔力…」
ぽつりと呟いたユーリィは、じっとマユを見つめる。
「一つだけ…助かる方法があるの…マユちゃんの魔力はとても強いの…マユちゃん自身が戦えれば…」
「た、戦う…?無理だよ!そんな事出来ない!」
ユーリィの言葉に、慌ててマユは首を振る。
「大丈夫!魔法の知識は契約の器が与えてくれるから!…私も一緒に戦う!
 だから…お願い!マユちゃん、貴方の力を貸して!内なる魔法の力を!!」
ユーリィの頼みに、少し迷ったように黙っていたマユは、やがて頷く。
変身したマユは、初めて振う力に戸惑いつつも、なんとか勝利する。
その出来事が、マユとユーリィの出会いであり、マユの戦いの始まりだった。
7魔法少女マユ 第12話 2/17:2009/11/23(月) 04:41:01 ID:N0iB0Hrn
「リィン!シャーナさん!」
公園の中心に辿り着いたマユは、捕らわれた二人の姿を見て叫ぶ。
リィンとシャーナは、黒い肉塊に半ば取り込まれる様に拘束され、二穴に触手を挿入されている。
「やっと来たか…」
二人の傍に立つ、灰色のローブを被った、暗闇が人の形をしたような魔族が振り向く。
「やっぱり…グラーズだ」
マユの傍らに飛ぶユーリィが、絞り出すように言った。
「ん…?お前は…」
ユーリィの姿を見て、グラーズは呟く。
「……思い出した。いつぞや捕え損ねた妖精ではないか…あの娘は元気か?」
「っ!?…お前のせいで…あの子はっ!!」
グラーズの言葉に激昂したユーリィは、身構えて魔法を放とうとする。
「落ち着いてユーリィ!挑発に乗っちゃダメ!!」
手で遮って、マユがユーリィを制止する。
「…その娘が今のパートナーか…あの娘同様、絶望と恐怖で押し潰してやるとしよう」
グラーズが呪詛を唱え始めると、周囲に漂っていたガスが集まり、無数の塊になる。
「汝の罪が…汝を殺す…」
杖から魔力が放たれ、ガスは黒い魔物に姿を変化した。
マユとユーリィは、身構えて周囲の魔物達を見回す。
「亡者達よ…怨みを晴らすがいい」
グラーズの言葉を合図に、魔物達は一斉にマユに向って襲い掛かる。
マユは横に跳んで、魔物達と距離を取りつつ、魔法を準備する。
「はあああぁぁっ!!」
突きだされた手から大きな火球を放つ。
マユが放った火球は、魔物の群に着弾し、周囲を激しい炎で焼き払う。
火炎から逃れた魔物達がマユに向って殺到してきた。
マユは剣に魔力を込めて、光の大剣を構築する。
「でやあぁっ!」
気合いと共に、大剣を横薙ぎに一閃し、魔物達を一気に切断する。
すぐさまマユは片手に魔力を集中して、光球を放った。
切断された魔物達は、光球が着弾して爆発に呑み込まれる。
火炎に焼かれた魔物達が再生して動き出すが、いずれもマユの振った剣に切り裂かれる。
「ユーリィ!そいつらを止めてて!」
「分かった!マユちゃん!」
マユの言葉に、ユーリィは頷く。
「いけぇっ!」
再生をしようとする魔物の群に、ユーリィは次々と光球を放つ。
光球が炸裂し、再生しかけていた魔物達は再び吹き飛ばされる。
幾ら再生を繰り返せれる魔物達でも、再生するそばから攻撃を加えられていては行動不能に陥る。
(ユーリィがアイツらを足止めしてくれてる間に…リィン達を助けて、一気に親玉を叩く!)
マユ達は無策でここに来た訳ではなかった。
かつて戦った事のあるユーリィの情報を元に、対策を練っていたのだ。
8魔法少女マユ 第12話 3/17:2009/11/23(月) 04:42:14 ID:N0iB0Hrn
「発想は悪くないが…惜しいな」
リィン達を助けようと、肉塊に向けて魔法を放とうとしたマユに、グラーズが言葉を発する。
「っ!?」
捕らわれたリィン達の首筋に、肉塊から現れた魔物の鋭利な爪が向けられた。
それを見たマユは、凍りついた様に動けなくなる。
彼女が魔法を放って、肉塊を破壊するよりも先に、二人の首が引き裂かれてしまうだろう…
「残念だったな。魔法少女よ…武器を捨てて貰おうか」
「……卑怯者っ!」
悔しそうにマユは吐き捨てて、剣を手放す。
「我々魔族にとって、それは最上の褒め言葉だ。有り難く受け取っておこう…」
グラーズは嬉しそうに言う。
「マ、マユちゃん…」
ユーリィも再生を終えた魔物に捕えられ、グラーズの傍に連れて行かれる。
「お前はここで見ていろ…あの少女の末路をな」
グラーズが魔法を放つと、ユーリィは光の球体に閉じ込められた。
杖から放たれた魔力を受けて、全ての魔物が再生を完了する。
「まずは…抵抗する力を奪え」
魔物達がマユに向けて触手を伸ばす。
「くぅっ…うあぁぁっ!!」
無数の触手に全身を締め付けられ、マユは苦痛に顔を歪ませる。
蛇の様に口を開いた触手が、マユの手足に次々と噛み付く。
「あぁっ!!」
あちこちから血を流し、苦しそうに体を震わせる。
噛み付いた触手が、徐々に魔力を奪っていく。
「うぅ…ぁぁ…」
弱々しい声で、マユは呻く。
凄まじい力で全身を締め付けられ、華奢な彼女の体がぎしぎしと悲鳴を上げている。
マユの周囲を魔物達が取り囲む。
「そろそろよかろう…始めよ」
グラーズの言葉に、触手に拘束されたマユの体が持ち上げられる。
「あぐぅっ!!」
持ち上げられた状態から、勢いよく地面に叩きつけられ、マユは叫び声をあげた。
「くっ…うぅ……」
力なく横たわる彼女に、魔物達が襲いかかっていく。
9魔法少女マユ 第12話 4/17:2009/11/23(月) 04:45:10 ID:N0iB0Hrn
「あうううっ!」
マユの体に、周囲の触手から媚薬を浴びせかけられる。
彼女の体にかかった媚薬を、魔物達の触手や手が体に塗りつけていく。
ジャケットやスカートは破り裂かれ、手袋やブーツも脱がされた。
「い、いやぁぁっ!!」
裸になったマユの体に、魔物達の触手や舌、手が伸びる。
「マユちゃん!!」
全裸にされ、全身を愛撫されているマユに、ユーリィが叫ぶ。
(なんとかしなきゃ!マユちゃん達まであの子の様に…)
ユーリィは心中で叫び、必死に手立てを考える。
だが…小さく弱い自分の力では、ここを脱出して、マユ達を助け出す事はとても無理だ。
一つだけ、それを可能にするかもしれない手段があるが…それは、使うのを躊躇う手段だった。
(アレを使っちゃったら私は…でも、マユちゃん達を助けないと…)
迷っているユーリィの背後に、突如黒い球体が出現する。
「っ!?これって…き、きゃああぁぁっ!」
振り向いたユーリィに、球体から伸びた触手が絡みつく。
「何やら邪魔をしようと考えていた顔だったからな…野放しにはせんよ」
グラーズがユーリィの方を向いて、呟くように言った。
「や、やあああぁぁっ!!」
触手が激しく動き、ユーリィの服を引き裂いていく。
小さな胸に触手が蠢き、股間にも無数の触手が集まる。
「いやぁ…あっち行けぇっ!!」
ユーリィは必死に足をバタつかせて、股間に迫る触手を追い払おうとする。
その行為を鬱陶しく感じたのか、ユーリィの足に触手が絡みつく。
「うあああああっ!!」
巻きつかれた触手に股を開かされ、力いっぱい引っ張られ、ユーリィは苦痛に顔を歪める。
抵抗できなくなったユーリィの股間に触手が到達し、下着を引き裂いていく。
「やだぁっ!やだあぁぁぁっ!!」
怯えるユーリィは、髪を振り乱して首を振りながら叫ぶ。
ユーリィの哀願も虚しく、彼女の二穴に触手が挿入される。
「ああああああああっ!!んぎいいいいいっ!」
殆ど愛撫もされていない状態での挿入は、ユーリィに激しい苦痛をもたらす。
触手が前後に動く度に、結合部からは血が滴り落ちていく。
乳首やクリトリスに、口を開いた触手が噛み付く。
「あきゃあああああああっ!!?やめてぇっ!か、噛まないでぇぇぇっ!」
耐え難い苦痛が、小さなユーリィの体を襲う。
10魔法少女マユ 第12話 5/17:2009/11/23(月) 04:45:57 ID:N0iB0Hrn
マユへの陵辱が開始されると同時に、リィンとシャーナへの責めも再開される。
「あああああっ!!」
乳首に触手が吸いつき、リィンはびくん、と体を震わせた。
「くぅぅぅっ!あひいいいっ!」
腋や臍を舐め回され、シャーナが声を漏らす。
「ひゃぁん!」
耳や首元にも触手や舌が伸ばされ、ゆっくりとした動きで舐め回される。
二人の膣とアナルに挿入されている触手も動き出す。
「うああああああああっ!!らめぇ!もうらめぇぇぇ!!」
「ひぎいいいいいいいいいい!!ああああああっ!!」
膣に6本、アナルに5本挿入されていた触手が激しく突き、やがて一斉に射精する。
「あぐうううううううううううう!!!」
「おああああああああ!!!」
膨大な量の精液を注ぎこまれ、二人の腹がボコボコと膨れ上がる。
腹が破れんほどの苦痛に、二人は必死に首を振って泣き叫ぶ。
入らない精液が、結合部から溢れ出ていく。
「あひっ…ぁぁ…」
「ぅ…うぁぁ…」
射精が終わると、二人は弱々しく震えて、小さく声を漏らす。
ぐったりとしている二人の股間に、さらに複数の触手が近づく。
「ごがっ!?あぎゃああああああああっ!!」
「んぎいいいいいいいいいい!!…ご、ごわれじゃ…ぐううううううっ!!」
それぞれの穴に、更に3本の触手が強引に挿入される。
リィンの股が少し裂け、激しい痛みに彼女は絶叫した。
壊れる、そうシャーナは叫びたかったが、苦痛のあまり正常に発音出来ない。
前後運動が行われる度に、二人の穴から、精液が零れ出ていく。
「むぐうううっ!?」
「ふごっ!んやあああっ!」
口にも無数の触手が挿入される。
合計20本を超える触手が、二人の体を蹂躙していく。
膣壁や腸壁はズタズタに傷つけられ、精液と共に赤い血が流れ出る。
口内に侵入した触手は、舌に巻きついたり、口内を舐めるように蠢く。
「あああああああああああああっ!!!」
「ぐげっ!?があああああああああああ!!!」
どぶっ、と鈍い音を立てて、触手が射精を開始する。
既に大量の精液を注ぎこまれた体に、強引に送りこんでいく。
口からは洪水の様に精液が溢れ出し、下半身の結合部からも大量の精液が漏れ出た。
「が…あがぁ…ぅぅ…た、だずけて…」
「ゆるひてぇ…もぅ、ゆるひてぇぇ…」
射精と同時に魔力を吸い取られた二人は、息も絶え絶えといった様子で、弱々しく呻く。
11魔法少女マユ 第12話 6/17:2009/11/23(月) 04:46:43 ID:N0iB0Hrn
「あ、ああ…み、みんな…」
魔物達に押さえられていたマユは、眼前で繰り広げられる陵辱の光景に、声を震わせる。
「…他人の心配をしている暇は無いぞ」
マユの近くに立つグラーズの言葉と共に、魔物達が動き出す。
背後に立っていた蛙型の魔物が、大きく口を開け、マユを頭から肩の辺りまで口内に呑み込む。
「きゃあああっ!?な、何っ!?」
突然の行動に、マユは狼狽して声を上げる。
舌がマユに向けて伸ばされ、彼女の首に絡みつく。
「ひぁっ!?」
ぬめぬめとした感触に、思わず声を漏らす。
首がゆっくりと締め付けられ始める。
同時に、舌の先がマユの顔を舐め回す。
べちゃべちゃとマユの顔に、魔物の唾液が塗りつけられていく。
「くぅぅっ!…ふぁっ!や、やめ…」
締め付けられる苦しさと、舐め回される不快感に、マユは震える。
「あぐううぅぅっ!!!」
突然、体のあちこちに生じた痛みに、マユは顔を歪ませた。
(な、何…外で何をされてるの!?)
体中に生じる激しい痛みに、マユは怯える。
だが、口内に呑み込まれたマユは、外で何が起きているのか確認できない。
それが彼女の恐怖を更に増幅させていく。
マユの手足に、魔物達が次々と噛み付いていた。
口のある触手が、マユの両胸に喰らい付く。
マユの胸から出る血を、まるで母乳を飲むように触手達が飲む。
「うああああああっ!!!」
閉じていた足を無理やり開けられ、股間に触手が殺到する。
(やだっ!!誰か助けてっ!!!)
足に触れる感触から、股間を狙われている事を悟ったマユは、恐怖し心中で必死に叫ぶ。
だが、彼女の仲間達は彼女と同様、魔物や触手に犯されている。彼女を助ける者は誰も居ない。
「あああああああああああっ!!!」
マユの膣とアナルに、無数の触手が挿入される。
太い物もあれば細い物もある、ごつごつとした突起や吸盤がある物もあった。
それらが一気に子宮口を目指し、突き進む。
膣壁や腸壁が激しく傷つけられ、マユに痛みが襲いかかる。
「くううううううううっ!!うあああああああああっ!!」
触手が子宮近くまで到達すると、今度は後退を始める。
入口付近まで後退すると、また子宮へ向けて突き進む。
前後運動が開始された辺りから、魔物達がマユの体に己のペニスを擦りつけ始める。
「だ、誰か助けてぇぇぇっ…ひあああああっ!!」
激しい痛みと不快感、そして恐怖にマユは、魔物の口内で泣き叫ぶ。
12魔法少女マユ 第12話 7/17:2009/11/23(月) 04:47:27 ID:N0iB0Hrn
「フフフ…他愛もない、レドリックやラディウスは、この様な小娘達に手こずっていたのか」
眼前で陵辱されるマユ達を見つめながら、グラーズは陰鬱な笑い声を漏らす。
彼にとって、レドリックやラディウスは非常に疎ましい存在だった。
自分より遥かに若輩にも関わらず、ゲリオスを筆頭とする3将と同列に列されるレドリック。
そして、魔族としてもかなり力の低い部類にも関わらず、王の信認や魔族達の信奉厚いラディウス。
「あの様な者達を、なぜ重用なさるのか…陛下のお考えが分からぬ…」
不満そうに漏らすグラーズ。
特にラディウスは力も碌に無いのに、多くの魔族を従えて、王の元で大掛かりな計画に取りかかっている。
それがグラーズにとっては我慢しがたい事だった。
確かに、ラディウスに力は無い…だが、彼にはそれを補って有り余る実績が存在するのだ。
彼が中心となって立ち上げた造魔製造計画、この計画の成果によって。
100年という短期間で、魔族はエルメリアへの帰還作戦を発動できるほどに、戦力を回復できたのだ。
そして現在も、本拠地地球の防衛の為の一大プランを立案し、王や将達から高い評価を得ている。
だが、力こそが全てという思考のグラーズにとって、それは受け入れがたい事だった。
「まぁいい…奴らが手こずった、この魔法少女達を私が撃破したとなれば、陛下のお考えも変わるだろう」
グラーズは、組織内での自分の序列の低さに、日頃から不満を抱いていた。
自分には力があるのに、何故自分より弱い連中に使われなければならないのかと…
もっとも…原因は、彼自身にあるのだが。
眼前で繰り広げられる陵辱の光景へと、彼は向き直った。
頭から呑み込まれたマユが、無数の魔物達に陵辱されている。
体のあちこちに魔物達が噛みつき、股間の二穴には無数の触手が挿入されていた。
時折、呑み込んでいる魔物の口から声が漏れるが、魔物の口内の音で掻き消されてしまう。
彼女を犯している魔物達が吸い取った魔力は、本体であるグラーズの元へ送られて来る。
「おおぉぉ…なんと甘美な味だ…これほど強力かつ美味な魔力は久しぶりだ」
グラーズは嬉しそうに笑う。
魔力だけではない、マユを支配している激しい恐怖の感情も、グラーズの力の糧となる。
「もっとだ…もっとお前の魔力を頂くぞ…そして、恐怖と共に死ぬがいい…」
グラーズは更なる凌辱を行うべく、魔物達を操る。
13魔法少女マユ 第12話 8/17:2009/11/23(月) 04:48:27 ID:N0iB0Hrn
「うあああああああああっ!!」
触手達が射精を開始し、マユは絶叫を上げる。
無数の触手から放たれる精液が、彼女の体を満たしていく。
マユの体に、擦りつけられていたペニスからも次々と射精される。
放たれた精液が、マユの体を白く染めていく。
「あぐうううううううううっ!!痛い!痛いよぉぉぉっ!!」
つい先程まで魔物達に噛みつかれていた傷に、精液が染み込み、激しい苦痛をもたらす。
マユの叫びを楽しむ様に、触手や手が伸ばされ、傷だらけの手足を掴んだり、巻きついたりする。
「うぎいいいいいいいいいいっ!!」
体に走る激痛に、マユは顔をくしゃくしゃに歪めながら、叫びもがく。
触手が二穴から引き抜かれた。
マユを呑み込んでいた蛙も、彼女を開放する。
「あひぃ…うぐぅぅ…」
魔物の触手や手に拘束されながら、マユは弱々しく体を震わせる。
ぐったりとしているマユの背後に、熊の様な大型の魔物が近づく。
前からは、ゴリラの姿をした魔物がペニスをマユに向けて突き出す。
「ひっ…い、いやぁ…そ、そんなの入らないよぉ…」
ゴリラの股間にそそり立つ、極太のペニスを見て、マユは怯えた様に首を振る。
魔物はペニスをゆっくりとマユの膣へと近づけていく。
「やだぁぁっ!やめて!やめてぇっ!」
大粒の涙を零し、必死に首を振ってマユは叫ぶ。
そんな彼女に、背後から凄まじい衝撃と痛みが襲う。
「あぎゃあああっ!?」
突然の痛みに、マユは驚いて振り向く。
背後に回っていた熊型の魔物が、極太のペニスをアナルへと挿入している。
マユが背後に気を取られている隙に、前方のゴリラ型の魔物もペニスを膣へと挿入する。
「あぎいいいいいいいいいっ!!!ぬ、ぬいで!!お、おねがいいいいいいっ!!」
前後から、極太のペニスで貫かれ、マユは泣き叫んだ。
魔物達は、力任せにピストン運動を開始する。
無数の触手に傷つけられた壁を、更に傷つけながら、ペニスを前後させる。
「あぐううっ!あひいいいっ!や、やべでっ…ぐげぇっ!?」
腰が打ち付けられる度に、マユは苦痛に声を上げた。
二体の大型の魔物に挟まれ、凄まじい力で繰り返される行為に、マユは押し潰されそうになる。
『ウオオオオオオォォォォッ!!!』
「があああああああああああああっ!!!」
一際奥へとペニスを突き入れ、咆哮を上げた二体の魔物が射精を開始した。
既に、魔物達の精液が注がれていたマユの体は、たちまち精液で溢れる。
ペニスが引き抜かれると、二穴から大量の精液が溢れ出ていく。
14魔法少女マユ 第12話 9/17:2009/11/23(月) 04:49:06 ID:N0iB0Hrn
その後も魔物達は、マユに代わる代わるペニスや触手を突き刺していく。
「むぐううううっ!!んあああああああっ!!!」
口内をスライムに犯され、膣には魔物のペニスが、アナルには無数の触手が突き刺さっていた。
(苦しい!息が出来ない!!…だ、誰か…助けて…)
スライムに顔を覆われ、満足に呼吸出来ない状況で、マユは心中で叫び続ける。
口内に侵入していたスライムが、凄まじい勢いで食道に向けて精液を吐き出す。
あまりの勢いに、放出していたスライムが口内から飛び出ていく。
「ぷはぁっ!!ごほっ!げふっ…」
栓をしていたスライムが抜けた事で、呼吸が出来るようになったマユは激しく咳き込む。
苦しそうに息をしていたマユに、下半身から射精の衝撃が襲う。
「あぎゃああああああああああああっ!!!」
幾度も射精されていたマユの腹は、有り得ない程に膨れ上がっている。
入らない精液が、結合部から滝の様に溢れ出す。
「ぁ…げほっ…うげえええぇぇっ!」
弱々しく呻いていたマユは、激しい嘔吐感を覚え、胃に溜まった精液を吐き出す。
「あぐううううううっ!!」
ぐったりとしていたマユのアナルに、別の魔物がペニスを突き刺す。
膣には触手が何本も挿入される。
一気に子宮に侵入した触手達は、精液で満たされた子宮内を暴れ、中の精液をかき回す様に動く。
「ひいいいいいっ!!やだっ!暴れないでぇぇぇっ!!むごぉっ!?」
苦痛に叫び声を上げていたマユの口に、魔物のペニスが挿入される。
「ふごっ!ぶげぇぇっ!!んあっ!!」
髪の毛を掴まれ、頭を揺らされてマユは声を漏らす。
マユの周囲を取り囲んでいた魔物達が、マユを犯している者以外、次々と融合を始める。
黒い大きな肉塊となった魔物達は、マユを取り込もうと、少しずつ近づいていく。
だがマユは、激しい陵辱に翻弄されており、それに気づかない。
子宮内に侵入している触手達が、更にその行動をエスカレートさせ始める。
子宮を押し広げるように、触手達が圧迫を開始する。
「はぎゃっ!?ぐげっ!!」
ペニスを挿入されているマユの口から、悲鳴が漏れる。
前後からピストン運動を繰り返され、マユの体はがくがくと激しく揺らされた。
「ぶぎゃああああああっ!!?」
口内に射精され、マユは醜い叫び声を上げる。
少し間をおいて、アナルに挿入されているペニスからも射精が始める。
「ぐげええぇぇぇっ!おええええええぇぇっ!!」
アナルと口から、大量の精液が溢れ出ていく。
口内を占領していたペニスが引き抜かれると、マユは口から精液を吐き出す。
子宮内の触手達が一斉に暴れ、凄まじい力で子宮壁を圧迫する。
「がぎいいいっ!!や、やべでっ!ごわでるっ!ごわでじゃうぅぅぅっ!!!」
子宮を襲う耐え難い苦痛に、マユは絶叫を上げた。
一頻り子宮を嬲ると、触手達は次々と引き抜かれていく。
15魔法少女マユ 第12話 10/17:2009/11/23(月) 04:49:51 ID:N0iB0Hrn
全ての触手が抜かれた頃、マユの周囲は黒い肉塊に包まれていた。
周囲を取り囲んでいた肉塊が、一斉にマユに向けて襲いかかる。
マユは声を上げる暇もなく、肉塊の中に取り込まれてしまう。
「あひゃあああ…い、いやぁ…もういやぁぁ…」
取り込まれた肉塊に、全身を愛撫されて、弱々しく声を漏らす。
「うぎいいいいいいっ!!」
肉壁から分泌された液体を傷口に浴び、マユは苦痛に顔を歪める。
周囲からは無数の触手が伸ばされ、彼女の体に巻きついて蠢く。
膣とペニスに、次々と触手が挿入されていく。
その数は既に一つの穴につき10本に達している。
「あが…ぐげぇ…も、もう…はいらないよぉ……」
弱々しく首を振って、マユは哀願するが、侵入を試みる触手は動きを止めない。
「がぎゃああ!!」
触手が強引に何本か侵入に成功する。
強引な挿入に膣口と菊門が裂け、そこから血が流れ出ていく。
触手は我先にと、奥への侵入を開始する。
壁が激しく圧迫され傷つき、二つの道の間の肉をすり潰さんばかりの苦痛をもたらす。
「あああああああああああああっ!!!」
凄まじい苦痛に、マユは叫ぶ。
触手が奥へと進む度に、マユの体が歪な形に変化する。
「あぎいいっ!!はぐうううううううっ!!!」
何度も何度も突かれ、その度にマユは声を上げる。
30本に近い数の触手が一斉に射精を開始した。
「あぎゃああああああああああああっ!!!」
膨大な精液が放たれ、マユの腹は破裂せんばかりに膨れ上がる。
射精を終えた触手達は、なおもマユを犯そうと前後運動を開始した。
「があああ…あぐうううっ…」
もう叫ぶ余力すらないマユは、弱々しく声を漏らす。
彼女の魔力はいよいよ底をつこうとしていた。
16魔法少女マユ 第12話 11/17:2009/11/23(月) 04:51:19 ID:N0iB0Hrn
「フハハハ…そろそろ終わりか」
マユを呑み込んだ肉塊を前に、グラーズは愉しそうに笑いを漏らす。
彼女の魔力を後僅か…そして、心も恐怖に押し潰されんとしていた。
「さて…最後は私自身が犯し殺してやろう…」
グラーズは肉塊に向けて歩き出す。
その時、グラーズの背後に膨大な魔力が発生する。
「何っ!?」
彼が驚いて振り向いた瞬間、そこにあったユーリィを封じていた結界が破壊される。
ユーリィが魔力を放出して、結界を破壊したのだ。
「マユちゃん達は…死なせない!!」
片手を突き出してユーリィは叫ぶ。
ユーリィの手から次々と光球が放たれ、グラーズに命中する。
「がっ!?ぐふっ!!…き、貴様!何処にそんな力が…!!」
小さな体からは想像も出来ない様な、強力な魔力を叩きこまれ、グラーズは呻く。
そして、気づく。ユーリィの魔力が高まる替わりに、生命力が急激に減少しているのを。
「ま、まさか…己の命を魔力に変換しているのか!!」
「マユちゃん達を助けれるのなら…私は命だって差し出す!もう…お前に大切な仲間を奪わせない!!」
驚愕の声を漏らすグラーズに、ユーリィは力強く言い放つ。
「喰らええええええぇぇぇっ!!!」
直径50センチにも達する光球を、ユーリィは叫びと共に放つ。
「ぐ、ぐおおおおおおぉぉっ!!」
グラーズは杖を突き出し、必死にそれを防ごうとする。
少しの間の拮抗状態が生じたが、やがてユーリィの光球が、グラーズの障壁を突き破る。
「がああああああああああっ!!!」
凄まじい爆発にグラーズは呑み込まれる。
「が…ぐがぁ…」
爆発が治まると、そこにはボロボロになったグラーズが立っていた。
ローブは布切れの様な状態になり、中の闇の塊の様な彼の体が露出してる。
グラーズの手にしていた杖が、衝撃に耐えきれなかったのか、ボロボロと崩壊していく。
「なっ…ば、馬鹿な…」
杖が壊れた事に、グラーズは驚愕の声を漏らす。
この杖は、グラーズが肉体を分離させ、魔物達として操る為の術式を制御する役目を持っていた。
それが崩壊した事により、マユ達を襲っていた肉塊が力の補助を失い、次々と形を崩壊させ始める。
「マ、マユちゃん…二人とも…よ、よかったぁ…」
肉塊から解放された3人を見て、ユーリィは安堵の表情を浮かべる。
3人とも、酷い怪我をしているが、まだ息はある。
「お…おのれぇぇぇぇぇっ!!!」
グラーズは絶叫を上げて、ユーリィに電撃を放つ。
「ああああああああああああああああああああっ!!!」
ユーリィの小さな体を、凄まじい電流が駆け巡る。
17魔法少女マユ 第12話 12/17:2009/11/23(月) 04:53:15 ID:N0iB0Hrn
「うあ…あくぅ…」
電撃がおさまると、ユーリィは力なくマユの近くに落下する。
「妖精ぶぜいが…よくも我が術の制御体を破壊してくれたな…」
激しい怒りの感情を滾らせ、グラーズはユーリィを睨みつける。
「あ…うぁ…マ、マユちゃん…」
ユーリィは、残された僅かな力を振り絞って、マユに近づく。
生命力を魔力に変換し、更に強烈な魔法を受けたユーリィ。
彼女の命の限界は近づいていた。
(私はもう助からない…なら、せめて残った力でマユちゃんを…!)
ぐったりと気絶しているマユの側に近づくと、ユーリィは残された僅かな生命力も魔力へと変換する。
「くっ…小賢しい真似を!」
グラーズは体から黒い触手を伸ばそうとする。
だが、それよりも先に、ユーリィの放った光球が、グラーズに直撃した。
「ぐがあああああっ!?」
グラーズは吹っ飛ばされ、近くの林の中に消える。
ユーリィはマユの体を癒すべく、治療の魔法を使う。
ボロボロだったマユの体は傷が塞がり、魔物達の精液も浄化されていく。
「ぅ…うぅ…」
傷が全て癒えると、マユは小さく呻き、ゆっくりと目を開ける。
「マユちゃん…大丈夫?」
立っているのがやっとの状態のユーリィは、マユに向けて弱々しく微笑む。
だが次の瞬間、糸が切れた様に、ユーリィは地面に崩れ落ちる。
「ユ、ユーリィ…!」
マユは起き上り、ユーリィを手の平に乗せる。
「ゴメンね…マユちゃん…私の力じゃ、アイツは倒せれなかった…」
小さくか細い声で、ユーリィが申し訳なさそうに言う。
その体が、少しづつ透明に透けていきつつあった。
「ユ、ユーリィっ!?どうしたのっ!?」
「マユちゃん達を助ける為に…生命力の殆どを魔力に変えちゃったの…もうすぐ、私は消えちゃう…」
「え…ウソ……い、いやだよ!ユーリィ!消えちゃやだ!!」
ユーリィの言葉に、マユは首を横に振って叫ぶが、ユーリィの体は少しづつ消えていこうとしていた。
「マユちゃん…私、マユちゃんと一緒に居れて楽しかったよ…」
「そんな事言わないで!消えないで!!ユーリィ!!」
「あの子を失って、一人で心細かった時…マユちゃんと出会って、マユちゃんが手伝ってくれるって言ってくれた時。
 凄く嬉しかった…どんな苦しい戦いでも…どんな強い相手でも、マユちゃんと一緒なら、戦えれた…」
ユーリィは弱々しく笑顔を作る。
「いやっ!!いやぁぁっ!!!ユーリィ!!」
消えゆくユーリィに、マユは必死に叫ぶ。
自分の力を分ければ…そう考えて魔法を使うが、ユーリィの体には効果がない。
「生きて…マユちゃん、私の分まで…」
ゆっりとマユの方に手を伸ばす。
「さようなら…マユちゃん…今まで…ありが…とう…」
最後に精一杯の笑顔を浮かべ、ユーリィは光となって消えていった。
18魔法少女マユ 第12話 13/17:2009/11/23(月) 04:54:00 ID:N0iB0Hrn
マユは、ユーリィが乗っていた手の平を、しばし呆然と見つめていた。
「あ、あぁぁ……」
やがて、震えながら自分を抱きしめ、マユは嗚咽を漏らす。
「ユーリィ…ユーリィ…!」
消えてしまった…自分を守る為に、大切な友達が…
「う、うわあああああああああああああああああああああ!!!!」
深夜の公園に、マユの泣き叫ぶ声が木霊する。
「ぐ、ぐううぅぅっ…あの妖精め…よくもやってくれおったな…」
起き上り、林から出てきたグラーズは忌々しげに言い放つ。
魔物達の制御体であった杖を失い、先程までの様に無数の魔物を生み出す事が出来なくなった。
だが、敵は傷は癒えたとはいえ、魔力を殆ど失った小娘が一人。
残りの二人は虫の息…グラーズにとっては片付けることなど造作もない存在のはずだった。
「アイツの後を追わせてやる…あの世で仲良くしろ…」
グラーズはゆっくりと、マユに向かって近づいていく。
「……許さない」
ぽつりとマユが小さく呟く。
「許さないだと…?魔力も殆ど無い貴様が何を……っ!?」
マユを嘲笑おうとしたグラーズは、彼女の中で急激に高まる魔力に気づく。
「許さない…お前だけは…絶対に…!!」
涙に頬を濡らした顔を上げて、マユは叫ぶ。
「絶対に…許さないだからぁぁぁっ!!!!」
立ち上がり、叫んだマユの体を眩光りが包む。
「ぐ、ぐおおおおっ!!?」
マユから放たれる、凄まじい魔力の余波に、グラーズは思わず後ずさる。
光に包まれたマユは、コスチュームを身に纏って立っていた。
纏っていたコスチュームは、前と少し変化している。
服の装飾や、手袋の手の甲に赤い宝石がついていた。
手にした剣も少し形状が変化していて、剣の根元の部分に服と同じように、赤い宝石がついていた。
体中に力が溢れる…マユは剣を突き出して、グラーズに向かって叫ぶ。
「ここで…お前を倒すっ!!!」
「調子に乗るな!!小娘がぁぁぁっ!!!」
グラーズは叫び、周囲に光球を発生させる。
(魔物達を使えなくとも、貴様ら如き人間に、この私が負けるものか!!!)
心中でグラーズは叫び、次々と光球を放つ。
マユはそれを次々と回避し、魔法で迎撃しながら駆ける。
「ええぃ…ちょこまかと…これならばどうだ!!」
忌々しそうに呻いていたグラーズは、更に生み出した光球を、倒れているリィンとシャーナの方に向けて放つ。
「っ!!?」
マユはリィン達を守る様に、射線に割り込む。
マユに向けて、次々と光球が着弾し、炸裂していく。
19魔法少女マユ 第12話 14/17:2009/11/23(月) 04:55:32 ID:N0iB0Hrn
「フハハハハハハ!!貴様如き小娘に、この私が敗れる訳が無かろう!フハハハハハハッ!!!」
煙に包まれたマユを前に、グラーズは勝ち誇ったように笑い声を上げる。
徐々に晴れていく煙の中から、僅かに光が見えた。
「…ん?……な、何…だと…!?」
煙が完全に晴れた先には、マユが傷一つない状態で立っていた。
そして、彼女の背中からは生えた、光で構成された翼が、マユ自身を守っている。
一連の攻撃を、マユはこの光の翼で防いでいたのだ。
「バ、バカな…こ、この様な事が…」
呆然としているグラーズに向けて、マユが剣を構える。
そして、羽を羽ばたかせ、グラーズに向けて突っ込む。
「がっ!!?」
剣を突き刺され、グラーズは呻く。
「ぐ、ぐうぅぅ……ち、調子に…乗るなぁぁっ!!!」
グラーズの体から、無数の黒い触手が伸ばされる。
「くっ!うあぁぁっ!!」
瞬く間に、マユの体に巻き付き、全身を凄まじい力で締め上げる。
「うぅぅ…くぅ…あぁ…」
強烈な締め付けに、マユは苦痛に顔を歪ませた。
首を強く締め付けられ、息が出来ない。
「貴様の体を侵食し…その命を吸い尽くしてくれる…!」
同時に、グラーズの魔力がマユを侵食し始める。
マユの体を、自分の魔力で汚染し、命を奪おうとしているのだ。
「ぅぅ…くぁっ…」
徐々に手に力が入らなくなり、剣を手放しかける。
(こ、こいつだけは…絶対に…許さない…!!)
朦朧としつつある意識の中で、マユは叫ぶ。
「ま、負ける…もんかぁぁぁぁっ!!!」
手放しかけた剣を掴み、全力で魔力を送り込む。
「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
剣がマユの闘志に呼応するように、マユの魔力を増幅し、光の刃を構築する。
発生した光の刃に、グラーズの体は貫かれた。
「滅びろおぉぉぉぉっ!!!」
マユは叫び、更に魔力を送り込んだ。
「がぎゃああああああああああああっ!!!ば、馬鹿な…!こ、この私がぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
絶叫と共に、グラーズの体が崩壊していく。
間を置かずして、グラーズは完全に消滅した。
「はぁ…はぁ……や、やったよ…ユーリィ…」
グラーズが消滅すると、マユは膝をつき、肩で息をする。
マユはフラフラと立ち上がると、倒れているリィン達の方へと歩く。
20魔法少女マユ 第12話 15/17:2009/11/23(月) 04:56:31 ID:N0iB0Hrn
「そう……ユーリィが…私達を守る為に…」
マユに傷を癒されたシャーナは、マユから告げられた内容に、表情を曇らせる。
「ユーリィ……」
リィンも俯きながら、涙を零している。
マユは俯いたままで、ずっと震えていた。
シャーナは、二人をそっと抱き寄せる。
「あの子は…いつも言ってたわ、小さく力も無いけど…エルメリアを守る為に…マユちゃん達の力になりたいって…」
二人の頭を撫ぜながら、シャーナもぽつぽつと涙を零し始めた。
「守りましょう…あの子の分まで、私達が頑張って…」
「ぅ…うん…」
「頑張ろう…ユーリィの分まで…」
シャーナの言葉に、マユとリィンは嗚咽混じりに答える。
「う、うぅぅぅ…うあああああああああああああっ!!!」
「ひっく…うぅ…ああああああああああああああ!!!」
我慢できなくなったのか…二人が大声で泣き出す。
シャーナも涙を流しながら、二人を優しく抱きしめていた。
強大な魔族、グラーズをマユ達は討ち滅ぼす事が出来た。
だが、その代償に払った犠牲は、彼女達の心に深い傷となる。
21魔法少女マユ 第12話 16/17:2009/11/23(月) 04:57:25 ID:N0iB0Hrn
人里から遠く離れた山奥の実験施設
「…グラーズが…倒されただと?」
副官から唐突にもたらされた報告に、レドリックは眉を顰める。
「はっ…魔法少女に挑み、逆に討ち滅ぼされました」
若い女性の姿をした魔族が、頭を垂れたまま報告を続けた。
「……あの子か?」
「左様です。戦いの中、潜在していた力を目覚めさせ、一人でグラーズ殿を…」
副官の言葉に、レドリックは大きく溜息をつく。
「この大事な時に、なんて事をしてくれるんだ…グラーズの大馬鹿者…」
正直予想外の結果だった。
あの少女…マユが、単独でグラーズを滅ぼす程の力を有していたとは…
「奴め…中途半端に追い詰めて、あの子を覚醒させたな…」
「…お前がとっとと片付けないからこうなるんだよ…お前にも責任はあるぞ…まぁ、何度もしくじった俺も人の事は言えんか…」
吐き捨てたレドリックに、隣に立っていたラディウスが言った。
「…今それを後悔しているところだよ…早い段階で潰しておけばよかった」
少し俯き、片手で頭を押さえつつ、レドリックは呻くように言った。
「また難題が一つ増えたな……始めるぞ」
ラディウスの言葉に、レドリックは顔を上げる。
彼らの眼前には、巨大な装置が稼働を開始していた。
研究者や下魔達が忙しそうに周囲を歩きまわっている。
「……エネルギー発生率および、増幅率…問題無いな」
手元の端末に次々と表示されていくデータを目にして、ラディウスが呟く。
「…本番はいつ始められるんだい?」
「急ぐ気持ちは分かるが、少し待て…最終点検と調整に数日かかる」
「…出来る限り急いでくれ。敵の準備が整うまでに始めるよ」
レドリックはラディウスに言うと、踵を返して部屋を出て行こうとする。
「早急に残る部隊をここに集結させる…この実験で、連中に場所が割り出されるだろうしね」
「ああ…そうしてくれ、こっちも本部から技術者の増員かける…リーファの子供はルインしか間に合いそうにないな…」
「そうかい…まぁ、精々頑張って働いてもらおうじゃないか……リーファ自身にも使い道はあるしね」
ラディウスの返事を聞くと、ぽつりと最後に漏らし、レドリックは副官を伴って部屋を出て行った。
「……さぁ、一世一代の大勝負の始まりだ」
部屋に一人になった部屋で、ラディウスは呟くように言った。
22魔法少女マユ 第12話 17/17:2009/11/23(月) 04:59:14 ID:N0iB0Hrn
「……グラーズが、滅びた…?」
「はい…先程、消滅が確認されました」
本社ビルの最上階で執務を行っていたヴァルアスは、秘書の報告を聞いて少し驚く。
「あれを滅ぼすほどの力を持つ者…『円卓』のコーネリア辺りが出張ってきか?」
グラーズは、他人の指示を聞かず、短絡的な行動をよく取る為、ヴァルアスの中での評価は非常に悪い。
だが、力だけは認めていた。レドリックや3将軍に準ずる、最高位クラスの力の持ち主だと。
そんな彼を撃破する者だ。真っ先に思い当たったのは、『円卓』の中で前線に出ている者達だ。
特に、『紅蓮の将』と呼ばれるコーネリアは、こちらでの妨害を行う魔法少女達の統括をしているという話だった。
だが、秘書はそれを否定し、首を横に振る。
「いえ…こちら出身の魔法使いです」
秘書が手に持っていたファイルを差し出す。
「その少女が…グラーズ殿を単独で滅ぼしました」
ヴァルアスは手渡されたファイルに目をやる、それは以前にもラディウスやレドリックから報告を受けていた少女の物だった。
以前の物より、詳細な写真などが添付されている。
そこに写る少女を見つめていたヴァルアスの脳裏にふと、ある記憶が蘇る。
10年ほど前に、彼がお気に入りの社員達を集めて開いたパーティに、両親に連れられて来ていた小さな少女。
その少女と、写真に写る少女はそっくりだった。
「ふ、ふふふふ…あの子か…確かに、あの頃から類稀なる魔力を秘めていたが…まさかグラーズを倒すほどとはな…」
幼いながらに、強い魔力を秘めていた事と、特に気に入っていた夫婦の子供だったという事で、彼はよく覚えていた。
「ふふふ…ふははははははっ!!!」
「へ、陛下…?」
楽しそうに笑い続ける王に、秘書は怪訝な表情を浮かべる。
「レドリックに伝えろ…必ず、この娘を生け捕りにしろと」
「御意」
ヴァルアスの言葉に、秘書は恭しく一礼し、部屋を退室する。
「ふふふ…あの子が、ここまでの力を持っていたとはな…会うのが楽しみだよ…」
顎の前で腕を組み、ヴァルアスは愉しそうに笑みを浮かべた。
23マユの人:2009/11/23(月) 05:02:23 ID:N0iB0Hrn
遅れましたが、>>1さんスレ立て乙です。
今回は結構難産でした。前回投下の時に半分以上書きあがってたんですが
残りがなかなか書けなくて…
最高位魔族、グラーズを撃破しましたが…払った代償は大きいものでした。
陛下は小さい頃のマユを知っていましたが、詳しい写真を見てなかったので今まで気づきませんでしたw
マユの戦いも、いよいよ佳境。次回からは結界攻防戦に入ります。
それでは、また次回お会いしましょう。
24名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 06:13:11 ID:nN04GyW1
ユーリィ・・・リリィベルのごとき殉職であった〆( ̄^ ̄
25名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 06:35:30 ID:z/t5d90y
ユーリィの死に敬礼!
26名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 12:11:13 ID:sS7QmwdX
>>1
乙彼

>>9
GJ
陛下がついに本格的にマユに目をつけましたか。楽しみ。
27名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 14:27:35 ID:qrMquFmC
おお…マユが二段変身しちゃってるな
このスレでキャストオフじゃなくて、進化系二段変身を果たしたヒロインって何気に
マユがはじめてな気がする。
これだけ骨組がしっかりした作品が他にもあるってんだがら、そりゃスレの消費も早いわな。
作者さんGJ!

>>1
スレ立て乙
28名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 16:41:12 ID:nN04GyW1
大昔の、赤の魔法少女もしてた気がする。>二段変身
でも、それ以前に、スレ初の死亡Endを迎えた魔法少女センリとか、他にも結構いた気がするぞ
29名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 17:26:48 ID:z/t5d90y
そこら辺はフォームチェンジで、パワーアップじゃなくかったっけ?
30名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 17:35:03 ID:nN04GyW1
その違いが微妙にわからんがw、状況ごとに一長一短のフォーム使い分けとかではなく、
明確にチェンジ後の方が強いのもたくさんいたよ
31名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 18:40:53 ID:z/t5d90y
そっか
それは不明だったな
32名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 00:28:17 ID:+oDPj95p
>>1さん乙!
>>23乙です!
マユちゃん怒りのパワーアップですか。
次は大規模な戦いになりそうですね…
魔族達がどんな卑怯な手を使うのやら…w
33名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 00:53:47 ID:QwEErIuZ
>>32
レドリックがリーファ利用するような事言ってるし。
閑話で洗脳されちゃった子も、潜り込ませてるみたいだし。
散々な負け戦になりそうな…
34名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 05:52:01 ID:QwEErIuZ
陛下の声って中田譲治似合いそう
35名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 06:22:53 ID:LTOwXGvH
アーマードコアっていうゲームが好きな俺は
中田譲治だとイメージが合わないかな・・・
36名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 00:35:29 ID:1TxYY3yr
>>35
レイヴン、誰の声優なのか教えてくれ。報酬は全額前払いだ

>>23
GJ!陛下がその気になれば親を使って捕まえられるんじゃね?
37名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 02:59:21 ID:Q4VWeWzw
>>36
つ 近代最強の検索ツール「Google」
>>35じゃないけど一応名前を挙げるならHELLSINGの旦那
38名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 03:19:53 ID:H56Jbxdf
>>36
アーマードコア4にでてくるジョシュアオブライエン
あとPS2の作品のどっかでも出てきた気がするんだけど忘れた
39名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 04:42:52 ID:UZPf++eb
>>36
親使って〜は陛下自身はやらないだろう。
むしろ、興味の対象が出来たことで、悪い癖のフラっと乱入が起きそうで怖いぜ…w
40名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 07:31:20 ID:X0T2k6hH
今はもう保管庫ってまったく機能してないんだな。
41名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 22:15:31 ID:X5tHFnas
>>36
何を間違えたのか、話がおかしな方向に進んじゃったのか、嫁にすることにw
周囲から「ロリコン」の大合唱で祝福されGood エンディングw

やだなー、こんなオチだったらw
今まで築いた屍の山は一体何だったのだw
42名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 22:45:54 ID:S9AxJNCH
なにw、自分でw考えたwネタでw、一人笑いwしてるんだw
43名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 23:02:03 ID:UZPf++eb
>>41
将軍に嫁探せって言われてるみたいだし、ありそうだ…
まさか…時折、戦場に現れるのは嫁探しの一環では(ぉ
44名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 00:56:39 ID:Gitk0Pa2
嫁というのが、幸せな花嫁とは限らないぜ
子供を生むための苗床扱いの可能性だって・・・
45名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 11:58:24 ID:1dfNKV+f
強い魔法少女をキャッチ&リリースしてるのは、光源氏計画だったのか。
46名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 23:05:50 ID:4VyY4QFQ
SSかもーん
47マユの人:2009/11/29(日) 07:45:44 ID:haPBwuKw
おはようございます。連投になっちゃうけど夕方くらいに13話を投下しようと思います。
48名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 08:31:20 ID:0X0LfyCL
期待大!
49マユの人:2009/11/29(日) 16:53:35 ID:haPBwuKw
こんにちわ。
魔法少女マユ第13話を投下します。
今回はエロシーンは少なめです。
触手による快楽系のシーンと出産シーンがありますので苦手な方はご注意ください。
人物紹介の後、投下を開始します。
50魔法少女マユ 人物紹介:2009/11/29(日) 16:54:45 ID:haPBwuKw
秋月真由(マユ)
14歳 両親と3人で、平穏な生活を送っていたが。ユーリィと出会った事で、戦いに身を投じる事になる。
背は小柄で、背中の半ばほどまで届く栗色の髪を後ろで纏めている。
変身時のコスチュームは桜色のミニスカートに赤を基調としたジャケットを纏っている。

秋月夫妻
マユの両親、父、宗一郎は大手製薬会社の部長を務める。
母、美幸は専業主婦。二人は社内恋愛をして結婚。マユいわく、万年新婚夫婦との事。
二人とも年齢は30代後半だが、実年齢より若く見える。

ユーリィ
異世界エルメリアの住人である妖精、マユのパートナーとして彼女の戦いをサポートする。
長いストレートの青髪にフリフリのついた白やピンクのドレスを着ている。

リィン
14歳 エルメリアから増員として派遣されてきた魔法使いの少女。
髪型は薄いブロンドの長い髪をツインテール。
青を基調としたワンピースの上に、短い白のマントを羽織っている。

シャーナ
23歳 リィンの姉。リィンと共にエルメリアからの応援として地球に来た。
緩くウェーブがかった薄いブロンドの髪を、腰に届くほどまで伸ばしている。
純白のローブを纏う。 エルメリアにフィルという婚約者が居る。

リーファ
15歳 エルメリアの最高意思決定機関『円卓』の一人。『輝竜の巫女』と呼ばれ民から慕われていた。
魔王ヴァルアスに敗北し、魔族に本拠地に捕らわれ、魔物を産む母体として利用されている。

ヴァルアス
魔族の王。100年前の戦いで敗れた先代の跡を継ぎ魔族を統率する。表の顔は大企業の社長。
銀髪の髪をオールバックにしている。黒のスーツを好んで着る。
その真の姿は、黒い装甲を身に包む巨大な竜。

レドリック
魔王ヴァルアス腹心の一人、魔法少女を狩る為に地球に招集される。
焦茶の髪を肩に触れるくらいに伸ばしている。黒の軍服を纏う。
ラディウスとは子供の頃からの付き合いで悪友関係。

ラディウス
セディアの弟 魔族の造魔開発においての、中核メンバーで、王の腹心の一人。
力は魔族の中でもかなり低いが、類稀なる頭脳を理由に、王に取り立てられる。
長い黒髪を三つ編みのお下げにしている。常に白衣に身を包む。15歳くらいの背格好。

ゲリオス・イレーヌ・ローエル
魔族エルメリア攻略軍を統べる、3将軍。
いずれも、戦術戦略に長けた人物で、様々な策でエルメリア軍を苦しめる。
筆頭のゲリオスは、先王の頃から側役を務める重鎮。幻術などを用いて、裏工作を行うのを好む。
イレーヌは、魔族随一の魔術の使い手である紅一点。身内には優しいが、敵には容赦がない。
ローエルは、戦いを何よりも愛する武人。また気さくで面倒見もよく、部下の信頼も厚い。
51魔法少女マユ 第13話 1/14:2009/11/29(日) 16:56:29 ID:haPBwuKw
「そうか…ユーリィが…」
「はい…私達を守る為に…」
グラーズ撃破の報を聞いて来たコーネリアに、シャーナは俯きながら答える。
「……あの子達は、どうしてる?」
「二人とも、ずっと部屋で泣いています…」
「無理もないだろうな…ずっと共に戦ってきた仲間を失ったんだ…」
悲しげに目を閉じて、コーネリアは呟くように漏らす。
魔族の中でも最高位の力を誇り、多くの魔法少女を陵辱し、殺してきた魔族グラーズ。
先日、マユ達はその強敵を撃破する事に成功する。
だが、その代償に払った犠牲は大きかった。
共に戦い続けた仲間ユーリィは、マユ達を助ける為に、己の生命力を魔力へと変換する妖精達に伝わる秘術を使用する。
その結果、マユ達は助かったが…ユーリィは命を使い果たし、光となって消えてしまった。
ユーリィの死に、マユとリィンは今も泣き続けている。
「しかし…酷な話だとは思うが、彼女達の力を何としても借りたい…」
「何か、動きがあったのですか?」
「ああ…連中がついに結界の展開作業に入るようだ…昨日、大規模な魔力が断続的に確認された。
 恐らく、最終テストの為に、実験を行ったんだろう…それで場所が特定できた」
魔族が行おうとしている、この世界全体に対転移結界を張る計画…それの要である本体システムの所在が確認されたのだ。
「連中は、人里離れた山奥に実験施設を作っていた…現在も監視させているが、次々と防衛の部隊が集結している」
「では…数日の内に、その結界を…」
「ああ、展開する気だろうな…だが、そんな事はさせん。現在、エルメリアから私の動かせる戦力をかき集めている。
 リミュエルにも直属の戦力と共にこちらに来てもらう…」
シャーナの言葉に、コーネリアは頷きながら語る。
「『裂光の射手』リミュエル様まで…」
リミュエル…それは、コーネリア同様前線に出ている『円卓』の一人の名だ。
大火力の魔法や、長距離砲撃を得意とする彼女は、来る戦いで要となる戦力になるだろう…
そう判断したコーネリアは、彼女達を呼び寄せた。
「この世界で活動している魔法使い達にも、全てに動員をかけるつもりだ…
 お前達にも参加してもらいたい。グラーズを撃破した力…確実に必要になる」
「それは…そうですけど…でも…」
コーネリアの要請に、シャーナは表情を曇らせる。
今のマユとリィンが果たして満足に戦えるだろうか…
そう考えていた時、背後から声がかけられる。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
振り向くと、そこにはリィンとマユが立っていた。
「コーネリアさん、私達も戦いに参加させてください…ユーリィが守りたかった…エルメリアを守る為に…!」
「……ありがとう、君達の協力に感謝する…全力で守ろう。あの子の守ろうとした世界を…」
マユの言葉に、コーネリアは微笑みながら言った。
マユとリィンは、コーネリアに対し、力強く頷く。
52魔法少女マユ 第13話 2/14:2009/11/29(日) 16:57:59 ID:haPBwuKw
「あああぁぁっ!!」
魔族の本拠地にある研究施設、そこに少女の嬌声が木霊する。
「はくぅ…んあっ…ひうぅっ!」
触手に全身を愛撫されているリーファが、頬を紅潮させながら叫ぶ。
その様子を、すぐ側で白衣姿の女性が見つめていた。
「かつて、神の代弁者と崇められた彼女が…自ら望んで触手達を受け入れるなんて…
 昔の彼女を知る友人や、彼女を崇めた信者達が知ったら…どう思うかしらね」
独り言の様に呟く女性。
彼女は魔族の研究者で、上司であるラディウスの命により、リーファとその子供達の管理を担当していた。
リーファは今、4度目の出産に臨んでいた。
最初の子供ルインを産んで以来、リーファは徐々におかしくなっていた。
過去の記憶が欠落していき、自分がここに来る前、何をしていたのかすら、今は思い出せなくなっている。
かつての仲間や友人に会っても、その人物の事も思い出せないだろう。
今の彼女は、ただ魔物を産み、それを育てるだけの存在になりつつあった。
「ひぁ…はぅん!…ぁん…」
全裸のリーファの体に、無数の触手が蠢く。
着ていた服は、触手に破られたり溶かされてしまうので予め脱いでいる。
『おかぁさん…苦しそう…なんであんな事するの?』
女性の側に座っていた、大型犬程の大きさの青竜が、研究員を見上げて尋ねる。
その竜は、リーファが生んだ2匹目の子供だった。先日、培養槽から出てきたばかりだ。
彼はリーファの出産の光景を見た事が無い。幼い子供の目には、母親が苦しそうだと映ったのだ。
もっとも…過去3度の出産により、リーファの体は大きく変調をきたし、快楽の虜になっている。
快楽を求めて、子供を生んでいる節すら見られた。
「…あれは、赤ちゃんを産む為にどうしても必要な事なの…」
どう説明したものか…と考えつつ、研究員は当たり障りのない言葉で青竜に告げる。
『ティード、黙って見てるんだ。お母さんは頑張ってるんだから』
青竜の隣に座っていた赤竜ルインが、弟に言い聞かせるように言った。
ルインの足元には小さな緑竜が居て、じっと母親の方を見つめていた。
『お兄ちゃん…分かった』
ルインの言葉に、ティードと呼ばれた竜は頷いて答える。
「……やっぱり、向こうの部屋に行ってなさい。あまり見ていて良いものじゃないわ」
今は大人しくしているが、段階が進めば、その内騒ぎ出すかもしれない…研究員はそう考えて、竜達に告げる。
彼女の言葉に、竜達は不満そうな顔をするが、やがて隣の部屋へと歩いていく。
「ああぁぁ!んやああああっ!!」
全身に媚薬を浴びせられたリーファが悶え叫ぶ。
両胸を揉みまわされ、先端の乳首に触手が巻き付き、引っ張る。
「ふぁぁぁぁっ!!」
大きく体を反らして、嬌声を上げた。
秘所は大量の愛液に濡れ、いつでも受け入れる準備が出て来ていた。
研究員は無言で、操作盤に指をはしらせる。
53魔法少女マユ 第13話 3/14:2009/11/29(日) 16:58:52 ID:haPBwuKw
極太の触手がリーファの秘所へ向けて近づく。
触手が太股に巻き付き、股を大きく開かせる。
ぞぶり、と鈍い音を立てて触手がリーファの膣へと侵入していく。
「んあああああああああ!!!はううううううううううっ!!」
極太の触手を受け入れ、本来なら激しい激痛がリーファを襲うはずだが…
強力な媚薬を全身に浴びせられ、飲まされたリーファにはその苦痛を遥かに超える快楽がもたらされていた。
これで4度目になるが、挿入された触手は、リーファの膣に受け入れるには大きすぎるサイズだ。
触手が進む度に、膣壁が傷つけられていく。
「くうううううううう!!ああああああああああ!!!」
だがそれすらも、リーファには激しい快感をもたらしている。
腰まで届く長く美しい銀髪を振り乱して、リーファは淫らに悶え続けた。
子宮にまで到達した触手が、子宮内に溶液と共に、卵を吐き出す。
「あひゃああああああああっ!!」
嬌声を上げるリーファの腹部が大きく膨れ上がる。
子供達を奥の部屋に行かせて、正解だったかもしれない、母親のこんな姿を見れば、確実に騒ぎ出すだろう。
卵を放出した触手がゆっくりと後退を開始した。
「くあっ!ひううううううぅぅっ!!」
ゆっくりと後退をしていく触手の動きに、リーファは体を震わせる。
幾らかの溶液と共に、触手が膣から引き抜かれた。
「あひぃ…ひぅ……はぁ…はぁ…」
快感の余韻に浸りながら、リーファは切なげに声を漏らす。
頬を紅潮させ、股をもじもじと擦り合わせ、時折体を震わせる。
触手達が再び、動き出そうとする。リーファに更なる快楽を与える為に…
リーファが快楽に悶え絶頂する度に、体内の卵が母体の魔力と生命力を吸収して成長するからだ。
彼女の体に絡みついていた触手が、一斉に動き始めた。
「はぁん!ふぁっ…ひゃあううっ!」
膣にも新たな触手が挿入され、ピストン運動を開始する。
アナルにも触手が挿入された。
挿入された触手は、まるでバイブの様に全身を振動させ、リーファに激しい快感を与える。
周りの触手達が更に媚薬を彼女の体に浴びせ、更に感度を上げていく。
「んあああああああ!はくぅっ!!ひうっ!!」
リーファの両胸に覆いかぶさるように、大きく口を開いた触手が2本吸い付く。
触手の内部には繊毛が無数に存在し、彼女の胸をブラシの様に擦る。
更に舌の様な器官が伸ばされ、勃起しているリーファの乳首を弄ぶ。
「ああああああああん!!ふああああああぁぁっ!!」
全身を愛撫され、悶え続けるリーファを見つめながら、研究員は時折モニターに表示される卵のデータに目をやる。
「ひぁん!ふぁぁ…はうううっ!」
形のいいお尻に、胸に吸い付いた物と同様の触手が吸い付く。
尻を繊毛や舌に愛撫され、リーファは口からだらしなく涎を零しながら声を上げる。
54魔法少女マユ 第13話 4/14:2009/11/29(日) 17:00:06 ID:haPBwuKw
延々と続けられた行為が、電子音と共に止められる。
魔物の卵が、十分な魔力と生命力を吸収し、孵化しようとしているのだ。
「ふぁっ!あひいぃ…はぅっ!」
腹の中で蠢かれる度に、頬を紅潮させたリーファが喘ぐ。
リーファの腹が少し膨れ上がる、中の魔物が孵化したのだ。
孵化した魔物は、体内でゆっくりと動き、出口を探し求める。
「あぁっ!…ふぁぁぁぁっ!!」
出口を見つけた魔物が、膣内を少しづつ進んでいく。
膣内で動かれる度に、リーファは声を上げる。
やがて、膣口から小さな手が出て来た。
「はあああぁぁぁっ!んんんんんんんんんっ!!!」
更にもう片方の手も出され、ゆっくりと魔物が体を引き抜こうとする。
少し時間はかかったが、生まれた魔物は、膣口から体を抜け出す事に成功した。
膣口付近に待機していた触手が、抜け落ちた魔物を受け止める。
今度の子供は、2番目と同じ、青い鱗に包まれた小さな子竜だった。
リーファも、触手の拘束を解かれ、ゆっくりと床に下ろされる。
長時間全身を愛撫された彼女は、腰を突き出すような格好で、力なく床に倒れ震えていたが、やがて身を起こす。
「よしよし…よく、頑張ったわね」
触手から子竜を受け取り、リーファは胸元に抱き寄せて、愛おしそうに見つめる。
「お疲れ様」
ガラス張りの設備の中に入ってきた研究員が、リーファの肩に布を掛けながら声をかけた。
彼女の後ろには、他の子供達も付いて来ている。
「ティード、貴方と同じ色の子よ」
リーファは微笑みながら、青竜に腕の中の子竜を見せてやる。
『わぁ…ホントだ!』
子竜を見て、青竜は嬉しそうに言う。
『可愛いなぁ…』
赤竜、ルインも新しい弟を見て、嬉しそうに笑う。
腕の中に居た子竜が小さく鳴き始める。
「よしよし…お腹が空いたのね?」
リーファは微笑みながら、乳首の先端を子竜に咥えさせる。
子竜はゆっくりと母乳を飲み始めた。
それを見ていた小さな緑竜が、自分も飲みたいとばかりに、鳴き声を一つ発した。
「ウェセルったら……これから培養槽に行くから、これが最後だし…仕方ないわね」
甘えん坊な緑竜を見て、リーファは少し困ったように笑っていたが、緑竜も抱き上げてやる。
母親の胸元に抱き寄せられた緑竜は、反対側の乳首を咥えて、弟と一緒に母乳を飲み始めた。
55魔法少女マユ 第13話 5/14:2009/11/29(日) 17:01:40 ID:haPBwuKw
『あ、ドクター』
ルインの言葉に、皆はルインの向いていた方を見る。
「よっ…今帰った」
「お帰りなさいませ、ドクター」
片手を上げて歩いて来る少年ラディウスに、研究員は一礼する。
『お帰りなさいドクター!』
ティードが嬉しそうにラディウスに駆け寄る。
リーファの子供達は、3匹とも彼によく懐いていた。
「四番目が生まれたか」
「はい、ティードと一緒で青い子です」
ラディウスの言葉に、笑顔を浮かべながらリーファは答える。
「計画の方は宜しいのですか?」
研究員が尋ねる。
彼は、中心になって進める計画の為に、ここ1週間山奥の施設に赴いていたのだ。
「ん…今、こっちから増員の技術者達を集めに来たところだ…早急に最終調整を終わらせる為にな…それと」
一旦言葉を切って、ラディウスはルインの方を向く。
「ルイン…お前の出番だ、お前にも防衛作戦に参加してもらうぞ」
「ドクター…それは…」
ラディウスの言葉に、リーファが表情を曇らせる。
「わりぃな…だが、これは譲れない。この子達は、魔族の貴重な戦力でもあるんだ」
俯くリーファに、ラディウスは言った。
『…分かりました。ドクター…頑張ります』
ルインはじっとラディウスの方を見ていたがやがて頷きながら答えた。
「期待してるぜ…お前の活躍に」
ラディウスは笑みを浮かべて、ルインの頭を撫でてやる。
「ルイン…」
『心配しないでお母さん。僕ちゃんと帰ってくるから』
心配そうな表情を浮かべる母親に近づき、体を擦り寄らせてルインは言う。
『だから待ってて…』
「……ええ、ちゃんと帰ってきてね。ルイン」
子竜達を膝の上に下ろし、ルインを抱き寄せるリーファ。
それを見つめていたラディウスは、黙って踵を返す。
「俺は向こうに戻る。後でルインをこっちに送れ…」
「了解しました」
ラディウスの言葉に、研究員は頷く。
そのまま、彼は部屋を出ていく。
「あー…くそっ…何やってんだ俺…」
一人になったラディウスはぽつりと呟く。
「アイツらは俺の作品で…リーファはただの母体だろうが…」
リーファとその子供達に抱く感情…今まで抱いた事のない感情に、彼は戸惑っていた…
56魔法少女マユ 第13話 6/14:2009/11/29(日) 17:02:49 ID:haPBwuKw
数日後…魔都ザルカヴェイドに建造中の魔族の城。
そこに設営された、エルメリア攻略軍総司令部は俄かに慌ただしくなっていた。
『ガナン方面軍、エルメリア側の攻勢を受け、現在防戦中です』
『ヴェスア駐留軍も、同様に攻撃を受けています。指揮を行っているのは『円卓』の一人の様です。
 苦戦をしているらしく、増援要請が来ております』
『ヴァーディア方面軍、エルメリア側の奇襲を受け、現在応戦中との報告が…』
次々と各方面軍からの報告が飛び込んでくる。
幕僚達が各軍に指示を飛ばしながら、慌ただしく動いている。
大型のモニターに表示される地図に、次々と戦況が表示されていく。
それまで攻勢に消極的になりつつあったエルメリア側が、昨日より一転、各方面で大規模な攻勢に転じていた。
各地から放たれる報告は、芳しくない戦況の報告も幾つかあった。
「何のつもりだぁ?…ここにきて、大攻勢に転じるなんて…」
顎に手を当てながら、ローエルがぼやく。
「これまでに無い攻め方だね…まるで、アタシ達を前線に引っ張り出そうとばかりに、苛烈に攻めてる」
手で扇子を弄びながら、イレーヌも答える。
「それにしちゃぁ…コーネリアとリミュエルの姿が見えない…今前線に出て来てるのは二人だ。数が足りませんぜ、姐さん」
エルメリアの最高意思決定機関『円卓』…その中で前線に出ていたのは合計5人だ。
その内一人、『輝竜の巫女』リーファは、彼らの王ヴァルアスの手によって捕えられ、地球にある本部に捕らわれている。
残る4人の内、現在攻勢に加わっているのは、2名確認されていた。
残り二人、『紅蓮の将』コーネリアと『裂光の射手』リミュエルが所在が確認されていない。
「ふーん…確かに、アタシ達を引っ張り出すなら、数が足りないね……じーさん?」
扇子を拡げ、口元を隠しながら、思案するような素振りを見せていたイレーヌは、低い笑い声にそちらを向く。
「ククク……良い手札は、簡単に使うものではないな…伏せていたかいが有ったというものだ…」
笑みを浮かべるゲリオスに、イレーヌやローエル、幕僚達は怪訝な表情を浮かべる。
「リミュエルは向こう側に居る…こちらは陽動だ…これ以上向こうに戦力を戻さない為に…
 そして、我々を前線に引きずり出し、釘付けにする為のな…」
「向こう側…そうか、レドリック達の進めてる計画の妨害の為に向こうに行った訳か」
「ホント、良い手札は伏せておくもんだね、危うく引っかかって前線に出ちまうところだった」
ゲリオスの言葉に、ローエルとイレーヌは口々に語る。
ゲリオスが以前洗脳した、魔法使いの少女アーシス…彼女は記憶を改竄され、普段は彼女自身の意思で行動している。
だが深層意識下では、ゲリオスの術がかけられており、その気になれば瞬時に支配下におけるのだ。
ゲリオスは時折彼女を介して、敵の内情を探っていた。現在、アーシスは主であるリミュエルと行動を共にしている。
「さて…連中の狙いは分かった…どう動く?爺様」
「そうだねぇ…狙いは分かってるとはいえ、こっちを捨て置く訳にもいかない…放っておけば厄介な事になるよ?」
ローエルとイレーヌは、戦略図を見ながら、表情を険しくする。
「ふむ…確かにな…」
現在行われている攻勢は苛烈であり、幾つかの部隊が危機に陥っている。
このままでは、戦線を切り崩される可能性も出てくる。
ゲリオスは戦略図を見つめながら、思案を続けた。
57魔法少女マユ 第13話 7/14:2009/11/29(日) 17:03:52 ID:haPBwuKw
山奥に設けられた実験施設、その中の通路を歩いていたレドリック。
彼は目的の部屋に辿り着くと中に入り、そこに居たラディウスに声をかける。
「ラディウス、状況は?」
「…間もなく最終調整が完了する、それが終わればいつでもやれるぞ」
呼びかけに振り向いて、ラディウスは問いに答える。
「そっちの状況は?」
「あまり良くないね…近くに連中が集結して来てるが、かなりの数だ…」
レドリックは表情を険しくしながら答えた。
この実験施設より離れた場所に、エルメリア側の戦力が集結しつつあった。
「連中、そこら中の戦力をかき集めてきてるみたいだ…あと、コーネリアとリミュエルが居る」
「マジかよ…あの嬢ちゃん達だけでも骨が折れるのに…『円卓』が二人も居るのか…」
レドリックの言葉に、ラディウスは溜息をつく。
こちらも相当数の兵力を準備しているが…敵の方が質で上回っている。
「エルメリア側に増援は頼めないのか?」
「向こうも昨日からあちこちの戦線で攻撃が始まっているんだ…恐らく、御三方を向こうに釘付けにする為にね」
「こりゃ、随分キツイ事になりそうだな…」
ラディウスの言葉に、レドリックも同意する。
「…まぁ、なんとかやってみるさ…全力を開放するのも止むを得ないね…」
「ああ、怪獣モードか…」
「変なネーミングは止めてよ…アレは嫌なんだよなぁ…醜いから。
 一度変化しちゃうと、暫く戻れなくなっちゃうしね…おまけに、衝動を抑えれなくなっちゃうからなぁ…」
溜息をつきながら、やだやだ、とレドリックは首を振る。
「だが、やるしかないさ…この戦、負ける訳にはいかねぇ」
「勿論…それに、これは逆にチャンスでもある。目障りな敵を一網打尽にする事が出来る」
レドリックはそう言うと、踵を返し部屋を出て行こうとする。
「作戦本部に僕は向う…こっちの方は任せたよ」
「おう、任された。俺もルイン以外に切り札一匹連れて来てるが…そっちが頼りだ、しっかり守ってくれよ」
「了解っと、精々頑張るとしよう」
ひらひらと手を振るラディウスに笑いかけると、レドリックは部屋を出て行った。
58魔法少女マユ 第13話 8/14:2009/11/29(日) 17:06:18 ID:haPBwuKw
「すごい…こんなに沢山集まってるなんて…」
集結場所に指定された場所に来たマユは、周りを見回して呟く。
コーネリアの発令により集められた、魔法使い達がそこには集まっていた。
マユと同じこちら側の人間や妖精も数多く参加している。
「凄いね…これだけの戦力が集まれば」
「ええ、きっと阻止できるわ…いえ、絶対に阻止しなきゃ」
リィンとシャーナも、周囲を見回しながら言葉を交わす。
「現在ここには、こちらに居る魔法使いの全てが集結している」
横手からかけられた声に、3人はそちらに振り向く。
そこには、コーネリアが立っていた。
白いローブの上に、赤で統一された軽装の鎧を纏っている。
「よく来てくれた。君達の参戦に感謝する」
「コーネリア様、状況はどうなんですか?」
近づいてきたコーネリアに、シャーナが尋ねた。
「間もなく、全部隊が集結を完了する。編成が終わり次第、進軍を開始する。
 今少し、時間が必要だ…君達に会わせたい者達も居る、ついて来てくれ」
踵を返し歩き出すコーネリアに、マユ達は付いていく。
「リミュエル」
歩いていたコーネリアは、目当ての人物を見つけると声をかける。
「コゥ姉、どうしたの?」
取り巻きの者達と話していた少女が、呼びかけに気づき、振り向いて答えた。
年の頃は16歳ほどか…長い金髪をサイドポニーの髪型にしている。
服装は、白を基調として一部に黒のアクセントが入った、ジャケットとロングスカートを履いていた。
手には、先端に青い宝石の付いた長い杖を持っている。
瞳は青く澄んだブルーで、快活そうな印象を受ける少女だった。
「紹介しよう、マユ君。彼女がリミュエル、私同様『円卓』の一人だ」
近づいて来た少女を、コーネリアがマユに紹介する。
「あ!君がコゥ姉の言ってた子か!活躍は聞いてるよ!」
「…あ、秋月マユです。よろしくお願いします」
「いいよ、そんな畏まらなくても。私はリミュエル、よろしくね!」
少し緊張した様子のマユに、にこにこ笑いながら、マユの手を握るリミュエル。
「私とリミュエルは、従姉妹でな…今回参戦して貰った」
「当然だよ、コゥ姉。こっちに結界なんて張られたら、私達ジリ貧じゃない、絶対阻止しないと!」
「ああ、そうだ…必ず阻止するぞ」
意気込むリミュエルに、コーネリアも頷く。
59魔法少女マユ 第13話 9/14:2009/11/29(日) 17:07:09 ID:haPBwuKw
「それで…その後は、連中の拠点を見つけて、リーファを助けるんだ…!」
少し俯いて、リミュエルが静かに漏らす。
「……そうだな、必ず助けるぞ。リーファを…」
コーネリアも、表情を少し曇らせながら頷いた。
「リミュエル様」
背後からかけられた声に、リミュエルは振り向く。
ピンク色の髪をした少女が、背後に立っていた。
「あ…ゴメン、アーシス。すぐ行くね」
声をかけてきた少女アーシスに頷くと、リミュエルはマユ達の方に向き直る。
「お互い頑張ろうね!魔族の計画を阻止しよう!」
にっこりと微笑むと、リミュエルはアーシスの方へと歩いて行った。
「…あの子は、リーファを妹みたいに可愛がってたんだ…」
ぽつりとコーネリアが漏らす。
同じ『円卓』のメンバーの中でも、リミュエルは一つ年下のリーファと仲が良かった。
そのリーファは、今この世界の何処かにある、魔族の本拠地に捕らわれている。
コーネリアもリミュエルも、捕らわれているリーファを何としても助け出したかった。


「アーシス、直衛は頼んだよ?」
「はい!お任せください!」
マユ達と別れたリミュエル達は、並んで歩きながら言葉を交わす。
リミュエルは、強力な長距離攻撃や大火力の魔法を使う事が出来るが。反面、近接戦の能力はそれほど高くなかった。
それゆえ戦場に出るときは、幾人か直衛を務める魔法使いを配置している。
アーシスは、以前からリミュエルの側近を務め、何度も戦場で彼女を守護していた。
「リヒトの分まで…私が頑張ります!」
「ん……頼んだよ」
リヒト、その名を聞いて、リミュエルは少し悲しそうに表情を曇らせる。
彼もアーシスと共に、幾度となく自分の守護を務めてくれた人間だった。
一月ほど前、アーシスとリヒトが駐留していた都市が、魔族に攻め落とされ、
リヒトが戦死したと報告を受けた時、リミュエルは深く悲しんだ。
アーシスも、一時は行方不明になっていたが…魔族の元から脱出した所を、友軍に保護されていた。
「復帰してからあんまり経ってないんだから…無茶しちゃダメだよ?」
「リミュエル様…お心遣い、ありがとうございます」
リミュエルの言葉に、アーシスは頭を下げる。
アーシスを信頼しきって居た為、リミュエルは気付かなかった。
時折、彼女の様子がおかしくなり、彼女の中から奇妙な魔力を感じる事に…
60魔法少女マユ 第13話 10/14:2009/11/29(日) 17:09:56 ID:haPBwuKw
「シャーナ!」
リミュエルと別れた後、歩いていたマユ達に、若い男性の声が飛び込む。
「え…フィルっ!?」
声をかけられたシャーナは、驚いて振り向く。
そこには、黒を基調とした軍服の上に、軽装の白銀の鎧を纏った銀髪の男性が立っていた。
シャーナの婚約者…フィルだった。
「フィルお兄さん!」
リィンも彼の姿を見て、声を上げる。
「フィル!!」
シャーナはフィルの元に駆け寄り抱きつく。
「シャーナ…元気そうで良かった」
抱きつく彼女を、フィルも優しく抱きしめる。
「フィル…どうしてここに?」
「こちらで大規模な戦が始まる事を聞いてね…コーネリア様に無理を言って、参加させてもらった」
顔を上げて、尋ねてきたシャーナに、フィルは笑顔で答える。
「私としては、願ったり叶ったりだ。優秀な指揮官でもある名うての騎士を、戦力に出来たからな……いつまで見せつけてる気だ?」
コーネリアの言葉に、二人は慌てて離れる。
「あ…す、すみません…」
「も、申し訳ありません、コーネリア様」
シャーナとフィルは顔を赤らめながら言う。
「ま…久しぶりに婚約者に会ったんだ、気持は分かるがな」
苦笑しながらコーネリアは言った。
「フィル、この子が以前話してたマユちゃんよ」
シャーナに紹介され、フィルはマユの方を見る。
「君か…シャーナ達から話は聞いてるよ。二人を助けてくれて、ありがとう」
「い、いえ…私こそ、二人に助けて貰ってばっかりです」
微笑むフィルに、マユは照れ臭そうに答える。
「シャーナ、リィン…僕も、君達と一緒に戦わせてくれ」
「ええ、頑張りましょう」
「兄さんが居てくれるなら、心強いです」
フィルの言葉に、シャーナとリィンが微笑みながら頷く。
「さて…私は軍議に行ってくる。追って指示をするから、待機していてくれ」
コーネリアはそう言うと、その場から歩いて行った。
「あー…じゃあ、私達もちょっと散歩しようか?リィン」
「うん、二人の邪魔しちゃ悪いしね」
マユとリィンは顔を見合わせて、にっこり微笑む。
「積もる話もあるだろうし、お二人でゆっくりしててね」
リィンは笑顔で言うと、歩いていく。
マユをそれに続く。
「も、もぅ…あの子達ったら…」
歩いていく二人を見送りながら、シャーナは頬を赤らめた。
61魔法少女マユ 第13話 11/14:2009/11/29(日) 17:11:00 ID:haPBwuKw
「あの…貴方が、マユちゃん?」
シャーナと別れた後、少し離れた所で二人で話していたマユ達に、声がかけられる。
マユ達が振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。
年齢は、マユ達と同年代くらいか…薄緑色の髪を肩の辺りまで伸ばしている。
青色のミニスカートに、上には少し大きめの白いジャケットを羽織っていた。
大人しそうな印象を受けるその少女に、マユ達は見覚えはない。
「そうだけど…誰ですか?」
初対面のその少女に、マユは首を傾げながら尋ねる。
「あ、ごめんなさい…私の名前はシエルっていうの…コーネリア様から、貴方がこの辺に居るって聞いて…
 私、貴方に話を聞きたかったの…私の友達の事を…」
シエルと名乗ったその少女の言葉を聞いて、マユははっとした様に彼女の方を見る。
「貴方…ユーリィの…?」
「うん…貴方と出会う前に、ユーリィと一緒に戦ってたの…」
マユの問いに、シエルが頷く。
シエルとユーリィは、妨害活動の為に派遣された魔法使いの第一陣としてこちらに来ていた。
二人はエルメリアにいた頃からの友人で、息の合った連携で多くの魔族を倒した。
だがある日、最高位魔族の一体であるグラーズと遭遇し、シエルは敗北する。
辛うじて一命は取り留めたものの、激しい凌辱を受けた彼女は、恐怖で心をボロボロにされてしまう。
彼女は仲間の手によってエルメリアに送還され、つい最近まで治療を受けていたのだ。
「お願い…言いにくい事だとは思うけど…教えて欲しいの、あの子の…ユーリィの事を…」
俯きながら、シエルはぽつりと漏らす。
「マユちゃん…」
心配そうに、リィンがマユの方を見る。
マユはしばし黙り込んでいたが、やがて意を決した様に口を開く。
「分かった…ちょっと長くなるから、座って」
「ありがとう…」
3人は地面に腰を下ろす。
そして、マユはぽつりぽつりと語りだす。
自分とユーリィの出会いを、戦いの日々を…そして、ユーリィの最期を。
62魔法少女マユ 第13話 12/14:2009/11/29(日) 17:11:49 ID:haPBwuKw
「そっか…貴方達を守る為に…あの子は…」
マユの語った、ユーリィの最期を聞き、俯いたままシエルは呟くよう言う。
俯いているから表情は窺えないが…声は震え、ぽつぽつと涙が零れている。
「ごめんなさい…私達に、もっと力があれば…ユーリィは…」
マユも俯いて、申し訳なさそうに言う。
「…マユちゃん達は悪くないよ…アイツの恐ろしさは、私も身を持って思い知ってる…」
首を横に振って、片手で顔を覆いながら、シエルは言った。
「むしろ、マユちゃんにはお礼を言わないと…一人ぼっちになったあの子の力になってくれた事を…
 ユーリィの仇を討ってくれた事を…ありがとう、マユちゃん」
顔を上げて、シエルはマユの手を握って微笑む。
「二人で、こっちで過ごしてた時、いつも話してたんだ…」
夜空を見上げ、シエルは目を細めながら語る。
「…私達が頑張ってこの世界の人達を守ろう…それは、エルメリアで戦ってる皆の助けにもなる」
マユとリィンは、黙ってシエルの話に耳を傾けていた。
「あの子、いつも言ってた。大好きなエルメリアを守りたい…魔族達なんかに好きにさせたくないって」
そこで言葉を切り、マユ達の方に向き直る。
「あの子の守りたかったエルメリアを守る為に…この戦い、絶対に勝とうね」
「勿論!そして、魔族の本拠地を見つけ出して、叩こう!」
「この世界を封鎖する結界なんて…絶対に張らせない!」
シエルの言葉に、マユとリィンは頷き、口々に言う。
「私も…まだ復帰したばかりで、大した力になれないかもしれないけど…一緒に戦わせて、お願い」
「うん!一緒に頑張ろうね、シエル!」
マユは手を差し出して、にっこりと微笑んでシエルに言った。
シエル、そしてリィンがマユの手の上に自分の手を重ねる。
「頑張ろう!エルメリアを守る為に!」
「ええ!」
「魔族なんかに、負けない!」
マユが力強く言うと、二人も頷き微笑みを交わした。
63魔法少女マユ 第13話 13/14:2009/11/29(日) 17:13:32 ID:haPBwuKw
実験施設近くに設けられた魔族の陣地では、作戦会議が進められていた。
レドリックは卓上のモニターに表示される戦力の配置図を無言で見つめている。
敵の集結はほぼ完了したようだ…数の上ではこちらが上回っているが、何分雑兵が多い。
エルメリアから来た精鋭部隊や、こちらで戦っていた魔法使いを相手にするには、少々心もとない。
「敵の主力が動き始める気配を見せています。仕掛けてくるのも近いかと」
「タッチの差で装置を先に稼働させれそうだな…」
副官の言葉を聞きつつ、レドリックは顎に手を当てながら言う。
「一旦稼働し始めれば、この辺一帯はすぐさま結界の影響下に入る…これは大きなアドバンテージになるだろうね」
「左様ですな、向こうは転移を使えず。こちらが一方的に使用可能になる…連中を撹乱する事が可能です」
机を囲んでいた幕僚の一人の発言に、レドリックも頷く。
「敵の数は多く、質も充実している…なるべく連中を分断し、各個に撃破していけ」
「はっ…連中との中間距離にある、この森林地帯が絶好のポイントかと…
 既に幾らか伏兵部隊を配置しています。ドクターの用意してくださった、隠蔽装置が役に立っております」
「出来れば、そいつらを使ってリミュエルを足止めしたいな…彼女の火力は厄介だからね」
指し示された施設と敵軍の中間にある森林、そこには無数の光点が表示される。
「…最終的には、僕自身が直接迎撃を行う。敵の中核である者達は、他の者では荷が重いだろう。
 僕の親衛部隊、そしてこのルインを使う」
傍らに待機している赤竜に目をやり、レドリックは言葉を続ける。
「僕の出撃後は、君が指揮を執れ」
「了解しました。閣下」
副官が深々と一礼して、レドリックに答えた。
『間もなく、結界発生装置の稼働を開始する。繰り返す、間もなく……』
「よし…まずはこちらが先手を打てるな…」
スピーカーから流れる放送を聞きながら、レドリックがにやりと笑みを浮かべる。
「この一戦が、この世界での…いや、この戦の流れを決める大きな戦いとなるだろう…
 偉大なる魔王ヴァルアス陛下の為に…魔族の勝利の為に…各員、奮起せよ!」
レドリックの言葉に、集まっていた幕僚達が一斉に頭を垂れる。
「さぁ…来たまえ。絶望を君達に与えよう」
配置図に映る、エルメリア側の戦力を示す光点を見つめ、レドリックは凄絶な笑みを浮かべた。
64魔法少女マユ 第13話 14/14:2009/11/29(日) 17:14:31 ID:haPBwuKw
「えっ…リィン、一緒に行けないの…?」
作戦の指示を聞いて来ていたシャーナから告げられた言葉に、マユは表情を曇らせる。
マユはシエルと共に、特別部隊に参加する事になったのだが、その中にリィンは含まれていなかった。
「ごめんなさいね…リィンは私やフィルと一緒に、コーネリア様直属の部隊に参加する事になったわ」
マユ達の参加する特別部隊は、施設への強襲を目的をしていて、機動力を重視している。
二人と比べて、リィンはスピードで大きく劣る。それゆえ、リィンは戦力から外されたのだ。
「二人と一緒に行けないのは残念だけど…私もこっちで頑張るよ」
残念そうな顔をするマユに、リィンは微笑んで手を握る。
「マユちゃん達は、施設を破壊する為の要の部隊…大変だろうけど頑張ってね」
「リィンも…気をつけてね」
「コーネリア様の直属って事は、一番目立つから、敵の攻撃も激しいだろうしね…」
心配そうに言うマユに、シエルも頷く。
「大丈夫!お姉ちゃんや兄さんも居るから平気だよ!」
二人を安心させるように、リィンは微笑んで答える。
「そうそう、フィルはエルメリアでも有名な騎士なの。私も、特訓した成果を見せるわ」
「なら、大丈夫そうですね。お互い頑張りましょう!」
意気込むシャーナに、マユは頷いて笑った。
「…皆、コーネリア様だよ」
シエルの言葉に、皆前を向く。
集結していた魔法使い達の前に設けられた台。
そこにリミュエルとフィルを伴ったコーネリアが登っていく。
「皆、良く集まってくれた…既に聞いているだろうが、本作戦の目的は、
 魔族の展開しようとしている結界の展開作業を阻止する事だ」
周囲を見回して、コーネリアは言葉を続ける。
「この結界は、我々エルメリアの者が使う転移魔術を封じる物だ。これが展開されれば、
 こちらとエルメリア間の移動が出来なくなる…つまりこれ以上の増援も帰還も出来なくなる。
 敵だけが兵力の移動が可能になるという、圧倒的に不利な状況に陥る」
彼女の言葉に、集まっている者達からはざわめき声が漏れる。
コーネリアはそれが少し落ち着くのを待って、また口を開く。
「エルメリアでの戦況も悪化の一途を辿っている状況で、この結界を展開させる訳にはいかない。
 …現在、エルメリアでも多くの者達が必死に戦い、敵の戦力を釘付けにしてくれている。
 ここを守っている敵の数は、決して多くない!絶対に阻止するぞ!!」
剣を抜き放ち、空に掲げるコーネリア。
「そして…この戦いに勝利し、魔族の本拠地を突きとめ、この戦いの流れを逆転させる!君達の力…私に貸して欲しい!」
コーネリアの言葉に、集まった者達は皆手にした武器を掲げ、声を上げる。
「…絶対に勝とうね!」
マユも剣を掲げながら、周りを見回す。
「うん!」
リィンが力強く頷く。シャーナやシエルも彼女に続く。
4人は互いの手にした武器を重ね合わせる。
「この世界と、エルメリアを守る為に!」
自分達を守る為に散ったユーリィの為にも…マユは心中でそう呟きながら言った。
人間と魔族の、この世界における初めての大規模な戦が始まろうとしていた…
65名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 17:16:42 ID:O0mLDV6I
リアルタイム乙です。
敵ながらルインには生きてて欲しいなぁ…。
66マユの人:2009/11/29(日) 17:16:46 ID:haPBwuKw
はい、今回は大規模な戦闘の前の両陣営の動き語る話になりました。
本格的な衝突は次回からになります。
大規模な戦闘という事で、3名の新キャラ追加となります。ちょっと出し過ぎたかな…
リーファについてですが…一見幸せそうにしていますが、人間としては崩壊しつつあります。
戦いの流れを決める重要な一戦、勝利するのはどちらの陣営か…
それでは、また次回にお会いしましょう。
67名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 17:17:07 ID:dc+zdqjW
リーファ、幸せそうだなあ・・・w
68名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 17:24:21 ID:uRL1d6O+
>>66
乙です!
魔法少女側が優勢そうですな
皆それぞれ動きを見せている中、陛下が動きを一切見せないのが不気味だ…
69名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 18:25:37 ID:MLuDwiTz
>>53
GJ
ルインの童貞喪失に期待
70名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 20:33:10 ID:0X0LfyCL
おお…魔法少女物でまさかの大規模戦闘♪
なんかどっちの側が勝ってもおかしくないみたいだよね
マユの新フォームで陵辱されるの楽しみだな〜
光の翼に触手が絡みついてバキバキにへし折って浸食して神聖の象徴を地に堕とすとかあると良いな

ところでルイン達って竜型なんだけど、陛下とは関係ない存在なのかな?
リーファを初めて犯したのは陛下だったから、てっきりルインってその時の仔かと思ってたわ
愛する人を殺めた魔王に犯され、その仔を孕んで産んだ仔に愛する人の名前をつけるとか皮肉だなーって
71マユの人:2009/11/29(日) 20:57:36 ID:haPBwuKw
ご感想ありがとうございます。
リーファはやっぱり幸せそうに見えちゃうかぁ…ラディが甘いからなぁw
ルイン達は、前線に出ている竜型魔族の、細胞やデータを元に作った卵から生まれてるので、陛下自身とは関係ありません。
72名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 23:32:11 ID:dc+zdqjW
幸せって、本人がそれを感じるかどうかだからねえ
作者さんが、「客観的に見れば不幸」という前提で書かれているのはわかるけど、リーファ主観で
幸せそうに(自分には)読めてしまうから、やっぱこの子、今幸せじゃね?って思ってしまうなあw
73名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:37:10 ID:69lYU2w7
見える!見えるぞ!
罠に嵌められ、更にポコポコ増援が沸いて分断され殲滅されていく魔法少女達が!
74名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:50:47 ID:68hBERyk
      r ‐、
      | ○ |         r‐‐、
     _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  魔法少女のみんな!
    (⌒`    ⌒・    ィ,、,,ト.-イ/,、 l  魔物達と戦うには、
    |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!エ `⌒)  連携というのはとても大事だ!
   │ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  分断されたり数に押されたり、
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' |  まして「ひとりでできるもん」
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |   なんて言うんじゃないぞ!
   |  irー-、 ー ,} |    /     i
   | /   `Xエ ヽ    /   入
  赤の魔法少女   青のメイガス
75名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:53:48 ID:Tq3xulyy
魔法少女ムキムキだな
76名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:59:37 ID:E7Xco6je
>>68
あれだ、陛下は今乱入の為に執務やスケジュールを必死に消化してるんだよw
身内に爆弾抱えてたりするから、魔法少女側の方が不利そうだなぁ…w
77名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 12:19:45 ID:4KfYJ7tZ
>>76
「暇とは、出来る物では無い。作る物だ」
こうですね。
78名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 15:56:07 ID:GrppRgdZ
知ってるか、罠ってのは絶対優位を確信した時に使うのが一番効果的なんだぜ
79名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 19:29:14 ID:1Ect9MdK
>>76
いま、ドバイが飛んじゃったので、その対策してます。
「よりによってこんな時に、数億ドル単位の回収が困難とは・・・」

大企業のトップも大変だw
80名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 07:44:37 ID:R2yNqGtg
>>79
乱入してもどこぞの血祭ドウコクさんみたく
助けて帰るだけのシュケジュールしか開かなかったりして
81名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 08:02:54 ID:+jT11QnO
代役というか影武者立てればいーじゃん…
82名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 19:13:51 ID:Tz7N96Lq
>>81
マユのお父さんですね。
83名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 21:21:23 ID:0SUl5oxT
>>82
それ、有りだなw
大事な商談を陛下に任されて発奮して張り切って名代を勤め切ってみせるマユパパ
そしてそのためにマユ達の戦う場に援軍として陛下が向かう事になり、
マユパパの頑張りが逆にマユを追い詰める事になる皮肉…
84名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 22:13:00 ID:ypmfa4Q+
>>83
逆パターン。
戦場に赴いたものの、丁度マユパパが取引で大失敗して、
気が気でなくなり隙をつれて敗退。

マユパパのちょんぼがマユを助けることになる皮肉w
85名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 22:20:37 ID:+pfgFrnm
>>80
陛下「フフフ…他愛も無いな…」
レド「陛下のお陰で、無事防衛が出来ました。ありがとうございます」
陛下「気にするな…さて、敗北と絶望に打ちひしがれた少女達に、さらなる凌辱を与えるとしよう」
レド「そうですね…皆で楽しむとしましょう」
秘書「陛下、そろそろ商談のお時間です。本社にお戻りください」
陛下「え…もう?」
秘書「はい、先方を待たせる訳にはいきませんのですぐ戻りましょう」がしっ
陛下「ま、待て!まだお楽しみの凌辱タイムがだな…」
レド「我々が陛下の分まで頑張りますので、どうぞ商談に行って来てください」
陛下「ちょ!おま…待て、待てぇぇぇ…」ズルズル

こういう事になる訳だな
86名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 23:12:16 ID:cWzMYDV+
なんか、作者さんのネタ潰しをしているんじゃないだろうか
87名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 02:47:18 ID:QgPE5US8
ここらへんでこの話題はやめとけよ
またいつもの基地外が涌くかもしれん
88名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 04:10:19 ID:DqBR77yn
魔物「魔法少女を倒して犯そうとしたら…男の娘だった…ハズレ引いたorz」
89名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 06:01:29 ID:MdMV9VT4
>>88
我々の業界ではご褒美です
90名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 08:08:28 ID:yem9jnci
>>88
アナルを犯しまくればいいじゃないか
91名無しさん@ピンキー:2009/12/02(水) 14:39:51 ID:+B6g5PTA
>>88
いやな事は忘れて、早く女の子を探しなさい。
92名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 01:44:35 ID:43ERXugS
>>88
なに魔法で男を女にすればいいだけだ
93名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 02:06:49 ID:TE8iYCtr
>>92
じゃあ俺ルイン犯したかったなー。
主従丼好物なんだよー
94名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 03:54:50 ID:+Lv6VjWn
災難の続きマダー?
95名無しさん@ピンキー:2009/12/03(木) 19:54:05 ID:JnslJYGT
>>93
ルインって…ショタ竜姦?w
96杏の人:2009/12/04(金) 01:14:30 ID:mRqpAF8v
どうも、杏の人です。
今回から新作を投下させて頂きます。
タイトルは「荒野の魔法少女」です。今回は第1話8レスになります。
陵辱シーンは5〜7レスです。
今回は注意点として、
・流血等の描写あり
といったものがあります。ご注意ください。

それでは次レスからの投下です。
97荒野の魔法少女 第1話 1/8:2009/12/04(金) 01:15:00 ID:mRqpAF8v
エルードと呼ばれるこの世界は、大地の半分近くが荒地や砂漠で占められている。
そこには無数の魔物が棲み、旅する者を襲っては食い殺していた。
そんな地を越えようとすることは自ら死を選ぶことにも等しいといえる。
だが、周囲を荒野に囲まれた恵まれない地では食物も十分に確保できない。
危険を承知の上で行商を営む者が必要なのだ。
そんな行商人を護衛する仕事を斡旋する。それがギルドの役割だった。

キィ、と扉の開く音がする。外の光が映し出した影は、小柄な人間のものだ。大きな木の杖を手にしている。
濃紺のフード付きマントで全身を覆い隠した小さな影は、コツコツと足音を立ててギルド内に歩を進める。
「ん?なんだ、お前?」
いかつい顔をした男がその人物に歩み寄った。
明らかにゴロツキといった風貌だ。ギルドにはこういった類の人間が少なくない。
「おいおい、そんなちっちゃな身体で魔物と戦えんのかよ」
ゴロツキは深くかぶるフードに覆い隠された顔を覗き込む。
「よく見えねぇな、ちょっと顔見せてみろ」
そう言って乱暴にフードを掴み、脱がせた。
若干茶色がかった黒髪が揺れる。露わになった顔は、あどけない少女のものだった。
ボサついたセミロングの髪は、右側で無造作なサイドテールを作っている。
子供の気配を漂わせる少女など、このギルドに最も似つかわしくないものだろう。
その顔を見て、ゴロツキは顔をニヤつかせる。
「ガキが何しに来た?身体でも売りに来たのか?」
下品な笑い声を上げ、少女の身体に触れようとした。
その瞬間、ゴロツキの体は宙を舞う。鈍い音を立て、ギルドの壁に激突していた。
「な、な……」
何が起きたのか分からず、ゴロツキは呆けた顔をしている。
ギルド中に笑いが巻き起こった。
「がはは!おい、あんちゃん。おめぇ新入りだろ。そいつぁ、このギルドで1番の実力者だぜ」
豪快に笑いながらゴロツキをからかうのは、年季の入った大きな斧を床についた屈強な男だ。
「そういうの、いいですから……」
少女が初めて口を開く。少女らしい高い声とは裏腹に、落ち着き払った台詞を紡いだ。少しだけ頬が赤い。
わざわざフードをかぶり直すことはせず、そのまま窓口に向かった。
「仕事、入ってますか?」
「ああ、あんた向けの仕事が入ってる。ていうか、あんた以外にゃ無理だろうな」
係の者が対応する。
「そんなに強い魔物が?」
「正直、あんた1人だけ送るのも心配なんだ。ガルダ達と一緒に行ってくれねぇか」
「安心しろ、足手まといにゃならねえからよ!」
屈強な男が後ろから少女に声をかけた。
「……わかりました。内容を聞かせてください」
少女は頷いて先を促す。
「新しく魔物の巣穴が発見された。そこから湧き出す魔物の強さが他とは桁違いで、みんな手こずってる。
 殲滅、とは言わない。いくらあんたでも厳しいだろう。ただ、魔物を生み出す母体となってるやつを倒してきてほしい」
「つまり、ボスの撃破、ということですね」
「そうだ」
「了解です。ガルダさん。今すぐ出発しますか?」
少女はガルダに向き直って問う。
「おう、いつでも行けるぜ」
ガルダが立ち上がると、同じテーブルを囲んでいた者達も立ち上がる。馴染みの戦友だ。
「じゃあ、行きましょう」
歩き出そうとする少女に、ガルダが声をかける。
「なあ、アスカ。せっかくだからここで変身してってくれよ。見てぇって奴らが押しかけて来てんだ」
アスカと呼ばれた少女は振りかえり、小さくため息を吐く。杖を持った手を上にかざし、口を小さく動かして呪文のようなものを唱えた。
身に纏ったローブが小さな粒子になってアスカの全身を包み、未発達で起伏がほぼ無に等しい身体つきが明らかになる。
それも一瞬のことで、次の瞬間には、アスカは別の姿になっていた。
桜色の胴着に袴という和装で、腰には背丈ほどもありそうな刀を携えている。
「これで、いいですか?早く行きましょう」
アスカは恥ずかしさで染まった頬の赤みをごまかすように、さっと踵を返すと先に歩いて行った。
「よし、行くぞおめぇらっ!」
頬を緩ませていたガルダが声をかけると、5人の男達はアスカの後を追った。
98荒野の魔法少女 第1話 2/8:2009/12/04(金) 01:15:21 ID:mRqpAF8v
アスカは若干10歳である。
多数の魔法使いを有するリゾルートという組織において、育成部卒業の歴代最年少記録を保持している。
5歳で他世界から、魔法と科学の発展したリゾラットという世界にやってきたアスカは、6歳でリゾルートの育成部に入った。
アスカは3年間のカリキュラムをなんなくこなし、5歳も10歳も年上の仲間に負けず劣らずの実力を見せつけてきた。
卒業と同時に9歳で単身エルードに派遣された後は、サポート役魔法使いの支援を受けず、ずっと1人で生活している。
必要な金は全てギルドでの報酬によって得てきた。ギルドの仕事は魔物を倒す事なので、魔法使いとしての目的とは合致している。
「アスカ、もうちょっと喋り方変える気はねぇのか?」
ガルダは前を歩くアスカに話しかけた。
「またそれですか?」
アスカは呆れたように聞き返す。
「だってよ、おめぇみたいな子供が敬語なんて使うもんじゃねぇだろ。いっつも無理してるの分かってるんだぜ?」
「……無理なんか、してないです」
アスカは否定するが、その歯切れの悪い言葉は無理をしていることの証明にも思える。
ガルダは親の心境だった。アスカは自分の事を語らない。だから余計に心配になる。
こんなに幼い少女が、何故これほどの力を持ち、ギルドなどという荒くれ者の仕事をこなしているのか。
親の庇護をなくし、路上で暮らす子供はたくさんいる。
彼らは逞しく生きているが、アスカのように自立している者は少ない。
男も女も、ほとんどの場合、その身体を売り、金に換えて生きる。どんな年齢でも性別でも、それを求める裕福な者はいるのだ。
そんな中、アスカは大人の中に混じって魔物退治を生業としている。
常に死のリスクが付きまとい、生き残るため、魔物に死を与え続ける職業。
そんなものを受け止め続ける心が、この幼い身体のどこに隠れているのか、ガルダはいつも疑問に思う。
「でも……、ありがとうございます」
アスカは、ガルダから微妙に顔を背けながら言う。
ガルダは得も言われぬ思いに駆られた。自分が多くの財産を持たないことを呪う。
金だ。金さえあれば、いますぐこの少女を養ってやれるのに。
だが、おそらくアスカはそれを承諾しないだろう。それも分かっている。
アスカはいつも、自分の食い扶ちを稼ぐのとは違った目的のために戦っている。それを感じていた。
きっと、どれだけの金があっても、アスカは魔物を狩ることをやめない。
まるでそれが生まれ持った使命であるかのように、ひたすらにアスカは戦い続けてきた。
「ここ、ですね」
先導していたアスカが立ち止まる。
「こりゃ……すげえな」
ガルダ達は思わず唸った。
荒野の枯れた大地に、斜めに掘り進むような穴がぽっかりと空いている。
直径2mを超えるサイズのその穴は、まるで地獄まで続いているのではないかと思わせた。
「行きますよ、用意はいいですか?」
「おうよ!」
アスカの細い声に、ガルダ達は野太い声で答えた。それぞれの武器を高く掲げ、士気を高揚させる。
「おっ、おでましのようだぜ」
暗い穴の奥で、赤い光が煌めいた。魔物の眼だ。
アスカは魔物に手をかざす。飛び出して襲いかかってきた魔物を、地面から突き出た土の杭が貫いた。
「行きましょう!」
少しだけ興奮したような声を上げて、アスカは走りだす。ガルダ達も後に続いた。
99荒野の魔法少女 第1話 3/8:2009/12/04(金) 01:15:41 ID:mRqpAF8v
「ったくっ!!こいつらは、どんだけっ!!!いやがるんだっ!!!!」
ガルダは巨大な斧を縦横無尽に振り回しながらぼやく。すでに侵入してかなりの時間が過ぎていた。
「大きな魔力が近くにあります。もうすぐボスの寝床に到着ですよ」
アスカは襲いかかる魔物を軽々とねじ伏せながら告げた。
腰に下げた刀には手をつけていない。得意とする土属性の魔法で、ほとんどの魔物の核を一突きで貫いている。
穴の中はアリの巣状の迷宮となっていた。地中の深く、深くへと続いている。
「大丈夫ですか、ガルダさん!?」
アスカが振り向き、ガルダの元へと駆け寄ってくる。ガルダの動きが鈍っているのに感づいたらしい。
「へへっ、ちぃっと疲れちまったかな。なさけねぇ」
「そんなことないです、確かにここの魔物は強いですし、ここまで来れるだけでも相当……」
「やめてくれよ、子供に慰められるのは勘弁だ」
ガルダは自嘲気味に笑う。
アスカは悲しそうに顔を歪め、口をつぐんだ。
その間も襲いかかる魔物を、アスカは漏らさず魔法で射抜いている。
すでに、ここに人間は2人しかいない。残りの面子はもっと前の段階で付いてこられなくなって帰還している。
「じゃあ、慰めはなしで正直に言います」
「おう」
アスカは真剣な声色で言う。
「ガルダさんでは、ボスには太刀打ちできません。足手まといなので帰ってください」
アスカは歯に衣着せぬ言葉を浴びせた。それは紛れもなく、ガルダを思ってのことだ。
「アスカ、おめぇはどうなんだ?」
ガルダは怯まずに聞き返す。
「わかりません。勝てるかもしれないし、負けるかもしれない」
アスカは正直に言う。それはガルダに対する礼儀のようなものだ。
「生きて帰って来い。約束するなら、大人しく引き返すさ」
「……約束はできませんが、帰るつもりではあります」
「ははっ!それだけ聞けば十分だ」
ガルダは豪快な笑みを浮かべた。
アスカのことは信じている。だから、アスカが帰る気でいるなら、きっと帰ってくると思えた。
「帰ってきたら、酒でも奢ってやるよ!」
叫びながら、ガルダは来た道を帰っていく。振り回す斧で、群がる魔物を叩き落としながら。
「はーいっ!!」
アスカは、つい笑顔になって答える。お酒は苦手なんだけど、と心で密かに呟いた。
「よし……」
ガルダの姿が見えなくなると、アスカの目つきが鋭いものに変わる。
そして、腰の刀に初めて手をかけた。
「てやあああああああああああああああああああっっ!!!!」
気合を発しながら、長い刀を器用に抜く。波紋のように広がる魔力の波が周囲の魔物を消し飛ばした。
抜き身の刀を右手に下げたアスカの周りは、球状の空洞と化していた。
刀はアスカの魔力を抑えるリミッターの役割を果たしている。
アスカの力は強大すぎて、近くにガルダ達がいると自由に使えない。足手まといと言ったのは誇張ではなかった。
当然、その魔力を受けて生きていられる魔物も数少ない。ただ1匹を除いて、周囲からは魔物の気配が消えていた。
「グギギ……やるな、小娘!!」
昆虫のように節のある手足をいくつも伸ばし、この巣穴の主である魔物は金切り声を上げた。
アスカの3倍もありそうな巨大な身体を強張らせ、威嚇する。
アスカは怯えることなく、その魔物と対峙する。両手で刀を握りしめて切りかかった。
100荒野の魔法少女 第1話 4/8:2009/12/04(金) 01:16:02 ID:mRqpAF8v
巨大な2つの魔力のぶつかり合いで爆発がいくつも起こり、そのたびに大地を揺るがした。
魔物はアスカの繰り出す刀を、硬い表皮を持つ手足で受け止める。
刀が纏っていた魔力は、魔物が器用に出す逆位相の魔力で中和されてしまい、本来の威力が出ない。
「な、なんで……?」
能力的には互角だが、精神面ではアスカが一歩譲っていた。
アスカが戸惑うのも無理はない。このエルードにやってきてから、これほどの力を持つ魔物に出会ったことはなかった。
「キシャアアアアアアアッ!!!」
魔物は口から粘液を放つ。
「てぇいっ!!」
アスカは振り下ろした刀から衝撃波を繰り出し、それを撃ち落とそうとした。
しかし衝撃波が触れた途端、それは蜘蛛の巣のような網状になってアスカに迫った。
「しまったっ!!!」
高速で近づくそれを切ろうとするが、粘度の割に頑丈で、全く刃が通らない。
「きゃああああああああああああっっ!!!!」
身体のあちこちにへばり付いた粘液に押される形で、アスカの身体は後ろに吹き飛ばされていく。
「あぐうっっ!!!!!」
壁に背中を強烈に打ちつけられてアスカは呻いた。
間髪入れず、魔物はその巨大な体でアスカの身体を押しつぶすように体当たりを食らわせる。
「あがああああああああああああああああああっっっ!!!!!」
大きく開かれたアスカの口から、血が吐き出された。
「が……あが……っ」
アスカの身体はビクビクと痙攣する。足元には尿が漏れ伝っていた。
内臓がいくつも駄目になっているような気すらする。口の中には鉄の臭いが広がった。
「キシシシ、捕まえた。たっぷり時間をかけて食ってやる」
やはり昆虫めいたその顔をアスカのすぐ前にまで近づけ、魔物は舌舐めずりをする。
「でも、このままだと死ぬな。仕方ない」
「ぎゃあああああああああああああああああっっ!!!!」
この幼い身体のどこから出しているのかと思うほどの絶叫が響いた。
魔物の足の一本が、アスカの脇腹に刺さっている。
「いい鳴き声だ。旨そうだな。それに新鮮だ」
「ぎゃうっ!!!ひぎゃああっっ!!!!」
突き刺さった足は、アスカの体内を掻きまわすようにグリグリと動く。
壮絶な痛みにアスカが死を覚悟した瞬間、突然痛みが引いていくのを感じた。
「え……、な、なに……?」
「グシャシャシャ!」
戸惑うアスカの表情を、魔物は笑い声を上げながら楽しげに見ている。
アスカはこれが死というものなのかとも思ったが、どうやら違う。傷が癒えているのだ。
「すぐには死なせない。いっぱい楽しんだら、少しずつ食い千切って殺す」
恐ろしい魔物の言葉に、アスカの顔はサッと青褪める。
魔物がアスカの身体に足を刺したのは、治療行為だったのだ。
恐らく、刺す必要はなかったのだろう。どうせ治すなら、ついでに苦しめてやろうと思ったのに違いない。
「楽しませてくれよ。お前が殺した俺の子供の分もな」
アスカは初めての敗北に、心が折れてしまいそうになっていた。
目の前の大きな口で、一思いに頭を食いちぎってくれた方がいいとすら思う。
だが魔物は、宣言通りにアスカをじっくりと味わい尽すと固く決めていた。
101荒野の魔法少女 第1話 5/8:2009/12/04(金) 01:16:25 ID:mRqpAF8v
魔物の舌がアスカの頬の撫でる。
「ひぅっ!!」
身の毛がよだつ感覚に、アスカは震えあがった。
(怖い、怖いっ!!)
なまじ強いばかりに、アスカはこれまで敗北の恐怖など感じたことがなかった。
魔物は魔法使いを好んで捕食する存在。それを頭では理解していても、現実的だと感じてはいなかった。
アスカは、魔物とは自分に倒される存在であって、自分を犯す存在ではないと信じ込んできたのだ。
だが、願いにも近かったその思いは、今ここで打ち砕かれた。
アスカを拘束する粘液は、身体を拘束するだけではなく魔力をも縛り、反撃を許さない。
「やっ、入ってこないでよぉっ!!」
舌は胴着の胸の、Yの字の隙間から入り込み、アスカの胸元を舐めまわした。
アスカは急に歳相応な幼さ溢れる声になって身をよじる。
それまで張りつめていた緊張の糸が、あまりの恐怖にはち切れてしまったのかもしれない。
「やめてっ!!たすけてぇっ!!!!」
ジタバタともがくアスカの姿は、まるで駄々をこねる子供のようだった。
舌はアスカの平坦な胸を自在に駆け周り、もったいつけるようにして、淡いピンクの乳首に迫った。
「ひゃうううううっっっっ!!!!!」
ぬらっとした感触が乳首に押し寄せ、アスカはまた身体を震わせる。
そこに性感などありはしない。ただ、恐ろしく気味の悪い感覚に嫌悪感を抱くだけだ。
(私も、あんな風に……?)
アスカの脳裏に、記憶がフラッシュバックする。
心の奥深くにしまって蓋をしたはずの記憶。しかし、いつも胸のどこかに張り付いて離れることのない記憶。
無数の魔物が、たくさんの人を殺している。その片隅で、アスカは見つからないように息をひそめて震えるしかなかった。
「んくううううううぅっっ!!!!」
アスカの身体が小さく跳ねた。
魔物の舌は、思いがけない刺激に反応して勃起した乳首に巻きついて、思いきり引っ張っていた。
「いだいぃっ!!!おっぱい、とれちゃうっ!!!」
アスカは本当にそう思った。左の胸に走る激痛は、乳首ごと胸の皮を剥がれる痛みであるに違いないと。
実際はそんなことはなく、ただ強烈に胸を引っ張られているだけだ。
全く乳房の成長が始まっていないアスカの胸は、どれだけ引っ張っても、なだらかな山を描くので精一杯だった。
「面白くないな。痛がるだけか」
魔物はその恐ろしい顔をさらに歪める。
せっかく胸を責めているのだから、聞きたいのは痛みに悶える声ではない。それなら、もっと他に方法がある。
「はうっ!!!?」
舌が突然乳首を放し、胸元から出て行った。
そして、入れ替わりに魔物の足の先端が2本、胴着の上から正確にリムの乳首を貫いた。
「ひゃがああああああああああああああっっっっ!!!!!!」
鋭く身体を射抜く痛みに、アスカは激しい絶叫を上げる。
「はぎっ!!し、しんじゃ……しんじゃ、うぅっ!!」
細長く伸びた魔物の足は、引きしまって脂肪の多くないアスカの胸に深く食い込んでいた。
乳首から溢れた血が、桃色の胴着により鮮やかな赤を滲ませる。
「ひゃぐっ!!!な、なんか、出てる……っ!!出てるっ!!!!!」
アスカは胸の奥から圧迫感のある痛みを感じた。何か液体のようなものが足に貫かれた傷の穴に注入されている。
「ん……ぁふっ!!ひぁ……な、に……?はひゃあんっ!!!!」
胸を中心にして、身体が痺れていく感じがする。そして、その上から未知の感覚が広がってきた。
「やだっ!!こわいよぉっ!!なんなの、これっ!?き、きもち……いぃっっ!!!」
アスカは、まだ性交の意味を知らなかった。魔物に犯されるというのは殺されることと同義だと思っていた。
だから、込み上げてくる快感もまた、恐怖の対象でしかない。わけのわからないものに、自分の身体が支配される恐怖だ。
「ひゃああああああんっ!!!!だめっ!!!おかしくっ!!!なっちゃうぅ!!!!!!!」
胸を魔物の細く鋭い脚に貫かれ、ほじくるように動かされながら、アスカは快感に悶えた。
「んああああああああああっっ!!!」
そして、アスカは生まれて初めての絶頂を経験する。
それはあまりにも小さなものだったが、これから歩む苦難の道における最初の敗北の証だった。
102荒野の魔法少女 第1話 6/8:2009/12/04(金) 01:16:46 ID:mRqpAF8v
「んにゃあああああっっっ!!!だめっ!!おっぱい、刺されて気持ちいいなんてっ!!!」
アスカは自分の身体が自分のものでなくなってしまう恐怖に駆られていた。
忌むべき魔物によって、まして胸を突き刺すなどという行為で快楽によがるなど、幼い心が許容できるはずもない。
「んにぃっ!!!やだ、おかしくなっちゃったっ!!!!わたしっ、わたしぃっ!!!!」
混乱した頭で、アスカは自分が何を言っているのかも分からないほど、無茶苦茶に叫んでいた。
「いいぞ、その声だ。それを聞きたかった」
「んあああああああああっっ!!!!!」
魔物がほくそ笑む中で、アスカは再び小さな絶頂に達する。
身体が震える度、胸に刺さった魔物の足を通じて魔力が吸い取られていくのを感じた。
「ひゃうううっ!!だめ……っ!!壊れちゃうっ!!!」
快感が高まり、身体が熱を持って高揚していくのに反比例するように、アスカの心は地の底にまで沈んでいく。
生きていく希望も、喜びも、全てが魔力と共に吸い上げられ、むさぼられているように感じた。
「そろそろ、こっちも拝ませてもらうか」
魔物はそう言って、別の足で袴を引き裂いた。白く細い素足が覗く。
「ひぅっ!?」
日の差さない深い地下の冷たい空気が股間を撫でるような感覚で、アスカは敏感に反応してしまった。
魔物はアスカの下着に足を伸ばし、その薄い布切れが隠す割れ目を縦になぞる。
「んあっ!!な、なんでそんなとこ……っ!?ふぁ……なんで、気持ち、いいのぉっ!?」
ただの排泄器官としてしか認識していなかったその割れ目に触れられ、アスカはまた気味の悪さに襲われる。
この気持ちよさは一体何なのか。それが性的に未発達なアスカには分かるはずもない。
ただ、このような状況で、こんな気持ちになっているのはおかしいという思いだけがあった。
3度目になぞられたとき、下着にパックリと縦の線が入り、アスカの性器が露出する。
「んひゃあああああああああああああああっ!!」
魔物の足は、アスカのクリトリスを傷つけないように優しく刺激した。
胸から絶え間なく媚薬を注ぎこまれているアスカは、下半身の感覚も鋭敏になっており、すぐさま未熟な絶頂を味わう。
魔物は勃起ぎみのクリトリスを覆う包皮を強引にめくり、露出したその蕾の先端に軽い電気を流した。
「あひゃああああああああああああっっ!!!!!!」
アスカの身体が跳ねる。文字通り電気に打たれた身体は、激しく揺れると同時に、胸に刺さる足からの刺激も強くした。
その足からも電気が流される。胸の奥から走り抜ける電気に、アスカの身体は壊れた人形のようにガクガクと震えた。
「ぴぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!」
小動物を握りつぶしたような悲鳴が響く。
しばらく震え続け、尿道から小水をまき散らすと、アスカの首がガクンと落ちた。
突然襲いかかった激しい快楽の波は、アスカの未熟な体にはあまりにも荷が重すぎる。
だが、魔物は気絶したぐらいで許すつもりなどない。アスカの身体を骨の髄まで舐めつくすと決めたのだ。
魔物の身体からぶら下がった性器は、すでに待ち切れない様子で勃起していた。
103荒野の魔法少女 第1話 7/8:2009/12/04(金) 01:17:08 ID:mRqpAF8v
まだ気を取り戻さないアスカを眺め、魔物は舌舐めずりをする。
どう料理してやるのが一番楽しいだろう。そうやって思考を巡らせた。
魔法少女が苦しむ姿は、その魔力と同様に魔物の大好物だ。
どうすれば、最大限にこの少女を苦しめることができるだろう。
「よし」
魔物の下腹部と思われる部分から生えた性器を、アスカの下半身に押し当てる。
「ぁく……、な、なんで……おしりに……っ!?」
アスカが目を覚ましたとき、魔物は肛門に当てた性器を、下着を巻き込むのもそのままに突き入れた。
「ぎっ!?はがあああああああああああああっっっっ!!!」
悲痛な叫び声を上げて、アスカは泣き喚く。
固く閉ざされた肛門には幾分大きな性器が、アスカの内部を犯していった。
「うぞっ!!?なんで、なんでええええっ!!!!!!」
アスカはあまりにも予想外の行為に混乱してしまう。
魔物の企み通りだった。
性行為の知識もろくに持っていない様子のアスカを見て、極力想像もつかないような行為で犯してやろうと考えたのだ。
膣への挿入という通常の性行為も知らない少女に、アナルでの性交を教え込む。
それを異常な行為だと認識するのも、正常な行為だと誤解するのもいい。
何も知らない少女の心を意のままに操る快感に、魔物は打ち震えた。
「んああああっっ!!!!ひゃうううううんっ!!!!」
アスカの苦悶の声の中に、若干の快感がにじみ始める。
「き……きもち、いいぃっ!?どうしてっ!?ひあああああああっっっ!!!」
魔物はアスカに快感を与えるため、苦しめすぎないように性器のサイズを抑え、媚薬を表面から分泌し続けていた。
乳首からもずっと媚薬を注入され続けてきたアスカの身体は、今やどんな行為も快楽に変換してしまう。
「あひっ!!んくああっ!!あふっ、はっ、いっ、やあああああああっっっ!!!」
魔物は動けないアスカの身体を、下から突き上げるようにピストンする。
リズムをとるようにアスカの身体は振動し、同時に声を上げた。
「やぅっ、あっ、はっ、ひくぅっ!!」
抑えることの出来ない声が情けなくて、アスカはボロボロと涙を流す。
魔物に敗北することが、これほどまでに絶望的なことだとは知らずにいた。
(みんなも、こんな風に……?)
ただ殺されたのだと思っていた人達も、皆こんな目に遭って死んでいったのだろうか。
もやのかかってきた意識の中で、アスカはそんな風に思った。
だとしたら、なんと無残な死に方だったのだろう。ただ命を奪われるだけではなく、身体を弄ばれるなんて。
「ひぐっ、うぁっ、うあああああっっ!!!!」
アスカは自分の末路を思ってか、死んでいった者たちを思ってか、込み上げる悲しみに嗚咽を漏らした。
「泣けっ!!!喚けっ!!そして、イってしまえっ!!」
興奮した魔物が叫ぶ。下半身を大きく上下に揺すり、アスカの直腸を強烈に突き上げる。
「はぅ、いぎっ、あっ、あっ、あっあっ!!!!あああああああああああああああああああっっ!!!!!!」
アスカは全身を包む強い快感に流され、雄叫びのような声を上げた。
魔物の性器からは精液が放たれ、アスカの排泄器官に注がれる。
「ひぅ……なんか、でて、る……?」
アナルで絶頂に達し、その余韻に呆然となったアスカは、口をポカンと開けたまま呟いた。
104荒野の魔法少女 第1話 8/8:2009/12/04(金) 01:19:13 ID:mRqpAF8v
「さて、それじゃあメインディッシュを頂くとするか」
アスカの心を踏みにじることに満足した魔物は、次の標的として、アスカの性器を目につけた。
「ふぇ……?」
目の焦点が合っていないアスカは、魔物がどこを見ているのかが分からない。
「グフフ……。いくぞっ!!」
魔物がそう声を上げた瞬間。
「ぐあああああああああああああああああっっっ!!!!」
魔物の頭部を、横から飛んできた火球が打ち抜いた。
「ひゃうううんっっ!!!」
魔物の身体が吹き飛ばされた時に乳首から足が抜け、その刺激にアスカはまた身体を揺する。
「大丈夫っ!?」
少女の声がした。アスカのぼやける視界では、その姿を正確に捉えることが出来ない。
少女は指先の炎で、アスカを捕らえている粘液を焼き切った。
「逃げるわよっ!」
崩れ落ちそうになったアスカの身体を抱き上げ、少女はこの場を離れる。
(なんだろ……、すごく、あったかい)
アスカは顔のそばにある豊満な胸に頬を寄せていた。まるで母親のような温かさと安心を感じる。

「大丈夫、じゃないわよね。でもよかった、生きてて」
魔物の巣穴から抜け出して、安全と思われる場所まで逃れてきた少女は、アスカの身体を木陰に横たえて話しかけた。
「あの……んくっ!!」
「ああっ、無理しないで。いま浄化の魔法をかけてあげるからね」
起き上がろうとして痛みと快感の余韻に顔をしかめたアスカを、少女はもう一度抱えてやり、魔法をかける。
(気持ちいい……)
魔物に弄ばれた時とは違う。性感ではない心地よさに包まれ、アスカは目を閉じた。
しばらく、お互い何も口を聞かなかった。
「あの」
魔法のおかげで体調が回復したアスカは、少女に訪ねた。
「なんで、あんなところに?」
一番の疑問はそれだった。あんな場所、普通に考えて、通りかかるような場所ではない。
「あなたを助けにきたのよ」
少女は優しく微笑んだ。
「私はライザ。アスカちゃん。セリナさんが心配してたわよ」

/第1話 END
105杏の人:2009/12/04(金) 01:19:54 ID:mRqpAF8v
以上です。
次回は第2話共通 通常END BAD ENDの投下になります。
ちなみに、今作も全8話を予定しています。
少しでも気に入って頂けるものに仕上げることができればと思っています。
またしばらくの間、お付き合い頂ければ幸いです。

ていうか、10歳とかどんだけロリk(ry
106名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 03:22:15 ID:dUEnHVXR
杏の人、作品を追うごとにペ度が上昇していくw
これからも、己の信じる道を突き進んでください
107名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 10:30:06 ID:5kYI8svb
異世界物ですぐさま最スタートとかww頼もし過ぎるw
また互いを庇い合うコンビ姦とか見れたりするの期待してます
GJ!
108名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 12:12:39 ID:d/Y9/Fhr
おお、これはいい世界観 荒廃したSF風世界だけじゃなく多元世界ぽいのも気になりますな。
あと乳首ファックとか臍とかグロギリギリの挿入好きです。本番よりもアナルが好きです。
109名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 19:47:24 ID:SLPJLm9P
>>101
GJ
わざわざ目の前で変身してくれるとか、なんというサービス精神。
魔法幼女最高
110名無しさん@ピンキー:2009/12/04(金) 19:49:41 ID:7aBDxrwe
超GJ!
1か所名前がリムになってるような…
111名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 10:03:18 ID:M+Nd+n0Q
あー、リムが乳首貫かれる世界もあったんだろうねぇ。
112名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 11:36:31 ID:0g50i1nu
リム「ここが荒野の魔法少女の世界ね…。だいたい分かった」
リム「私は通りすがりの魔法少女よ!覚えておきなさい!」
113名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 18:57:43 ID:dhRaf7yR
フォームチェンジは、コスプレ好きを喜ばせるだけだということを教えてやる。
114名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 22:03:00 ID:TveUP8ER
敵のまん前でフォームチェンジすることで誘いの隙をみせ、カウンターで必殺技を決めるのが
勝利パターンの魔法少女。しかし変身シーンを妨害しようなどと考えない武人系幹部には
通用せず絶体絶命のピンチに……。
115名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 22:55:32 ID:7gNzKewY
>>114
変身中に攻撃→「変身中に攻撃してくるんじゃねえ!(ドゴッ」
変身中待つ →「敵の隙を見逃してんじゃねえ!(ボガッ」
勝利    →「今日の私は実に紳士的だ!(ゾブッ」

理不尽マジ魔法少女理不尽
116名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 03:45:25 ID:pvbgNff+
>>115
魔法で攻撃しようとする   →「魔法なんぞ使ってんじゃねえ!(カウンターの無詠唱高位魔法」
アイテム(媚薬)を使おうとする→「アイテムなんぞ使ってんじゃねえ!(ノーモーション必殺技」

魔物が暴れている現場に到着 →「貴様らァ、こんな処で長々と何をしている。鼠のように逃げ仰せるかァ、この場で死ぬかァ、どちらか選べェェエエエ!」
117名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 03:47:32 ID:FS8dYHc7
>>116
勿論、声は強力若本ですね
118マユの人:2009/12/06(日) 08:32:27 ID:uRssnzPW
おはようございます。夕方くらいに14話を投下します
119名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 09:37:34 ID:xSJfl/GX
最近の魔法少女マユはエロは言うまでもなくなんだが、戦争の行方が気になってしょうがないよw
今回の戦闘はその行方の分岐点だと思うんで、色々予想しながら待たせてもらいます。
120マユの人:2009/12/06(日) 15:44:42 ID:85RNNopz
こんにちわ、魔法少女マユ第14話を投下します。
今回は、苦痛系のシーンと快楽系のシーンが有ります。
あと、レズ描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
人物紹介の後に投下を開始します。
121魔法少女マユ 人物紹介:2009/12/06(日) 15:45:35 ID:85RNNopz
『秋月真由(マユ)』
14歳 両親と3人で、平穏な生活を送っていたが。ユーリィと出会った事で、戦いに身を投じる事になる。
背は小柄で、背中の半ばほどまで届く栗色の髪を後ろで纏めている。
変身時のコスチュームは桜色のミニスカートに赤を基調としたジャケットを纏っている。
『秋月夫妻』
マユの両親、父、宗一郎は大手製薬会社の部長を務める。
母、美幸は専業主婦。二人は社内恋愛をして結婚。マユいわく、万年新婚夫婦との事。
二人とも年齢は30代後半だが、実年齢より若く見える。
『リィン』
14歳 エルメリアから増員として派遣されてきた魔法使いの少女。
髪型は薄いブロンドの長い髪をツインテール。
青を基調としたワンピースの上に、短い白のマントを羽織っている。
『シャーナ』
23歳 リィンの姉。リィンと共にエルメリアからの応援として地球に来た。
緩くウェーブがかった薄いブロンドの髪を、腰に届くほどまで伸ばしている。
純白のローブを纏う。 エルメリアにフィルという婚約者が居る。
『フィル』
26歳 シャーナの婚約者、エルメリアでもかなり名の知れた騎士。
シャーナ達の力になろうと、コーネリアの計画に志願する。
『リーファ』
15歳 エルメリアの最高意思決定機関『円卓』の一人。『輝竜の巫女』と呼ばれ民から慕われていた。
魔王ヴァルアスに敗北し、魔族に本拠地に捕らわれ、魔物を産む母体として利用されている。
『コーネリア』
19歳 リーファ同様、『円卓』の一人。『紅蓮の将』の二つ名を持つ。地球に派遣された魔法使い達の統括を担当している。
魔族の結界展開計画を阻止する為に、地球に自ら赴く。
『リミュエル』
16歳 リーファ同様、『円卓』の一人。『烈光の射手』の二つ名を持つ。コーネリアとは従姉妹で、彼女の頼みで参戦する。
大火力の砲撃魔法や、広範囲の攻撃魔法を得意とする。反面、近接戦は苦手。
『ヴァルアス』
魔族の王。100年前の戦いで敗れた先代の跡を継ぎ魔族を統率する。表の顔は大企業の社長。
銀髪の髪をオールバックにしている。黒のスーツを好んで着る。
その真の姿は、黒い装甲を身に包む巨大な竜。
『レドリック』
魔王ヴァルアス腹心の一人、魔法少女を狩る為に地球に招集される。
焦茶の髪を肩に触れるくらいに伸ばしている。黒の軍服を纏う。
ラディウスとは子供の頃からの付き合いで悪友関係。
『ラディウス』
セディアの弟 魔族の造魔開発においての、中核メンバーで、王の腹心の一人。
力は魔族の中でもかなり低いが、類稀なる頭脳を理由に、王に取り立てられる。
長い黒髪を三つ編みのお下げにしている。常に白衣に身を包む。15歳くらいの背格好。
『ゲリオス・イレーヌ・ローエル』
魔族エルメリア攻略軍を統べる、3将軍。
いずれも、戦術戦略に長けた人物で、様々な策でエルメリア軍を苦しめる。
筆頭のゲリオスは、先王の頃から側役を務める重鎮。幻術などを用いて、裏工作を行うのを好む。
イレーヌは、魔族随一の魔術の使い手である紅一点。身内には優しいが、敵には容赦がない。
ローエルは、戦いを何よりも愛する武人。また気さくで面倒見もよく、部下の信頼も厚い。
122魔法少女マユ 第14話 1/19:2009/12/06(日) 15:48:13 ID:85RNNopz
「社長、娘のマユです」
宗一郎の言葉に、ヴァルアスは彼の足元を見る。
ピンクの可愛らしい洋服を着た幼い少女が、父親の足元に隠れるように立っている。
「マユちゃん、お父さんの会社の社長さんよ〜、ご挨拶しなさい」
黙りこくっていた少女は、母親に言われて、恥ずかしそうにしながら口を開く。
「……あきづき、まゆです…」
ヴァルアスは、紹介された少女、マユを見て少し驚いた。
少女がその身に、その年齢からは考えられない程の魔力を秘めている事に…
彼にじっと見つめられていたのが怖かったのか、マユは瞳を潤ませながら父親の後ろに隠れようとしがみつく。
「…社長、目つきが怖いですよ」
秘書に告げられて、ヴァルアスは心中でしまった、と呟く。
泣き出してしまったマユを宥めるのに、ヴァルアスは一苦労する。


「……あの時の少女が、まさかグラーズを滅ぼすほどの力を秘めていたとはな…」
魔族達の本拠地であるビル、その最上階の一室。
執務を終え、休憩していたヴァルアスは、ゆっくりと眼を開けて、呟くように言った。
「計画の進行状況は?」
「最終調整を完了し、間もなく稼働が開始されます…ですが、付近にエルメリアの戦力が集結し、妨害を行おうとしている模様です…」
「『円卓』のコーネリアとリミュエルも居るそうだな」
ヴァルアスの問いに、秘書は「左様です」と答える。
「ふむ…エルメリアでもゲリオス達を釘付けにする為に攻勢を強めている様だし…連中も本気の様だな」
くるりと椅子を回転させ、外の景色へと眼をやりながら呟く。
結界発生装置を防衛する為に、こちらも相当数の戦力を用意しているが…
敵が質で勝っているのが現状だ。かなりの苦戦が予想される。
エルメリア側は、本土でも攻勢を強め、こちらへの増援を妨害する様な行動をとっていた。
しばし黙り込んで、思案する様な素振りを見せていたヴァルアスは、やがて口を開く。
「レフィール…この本拠地を守る最低限の戦力を除き、全てを増援に出せ」
「し、しかし…それではこの場の防衛が…」
「連中も結界を止める方に、総力を結集しているだろう。ここに来る事はないだろうさ…
 出し惜しみをして、結界を潰されては目も当てられん…」
戸惑いの表情を浮かべ言う秘書レフィールに、ヴァルアスは立ち上がりながら語る。
「……御意、ただちに部隊を編成します」
「ああ、そうしてくれ…ただし、私も出陣する」
ヴァルアスの言葉に、レフィールは驚いて顔を顔を上げる。
「陛下!それは…」
「間近で行われる、この大戦を指を咥えて見ているなど…私には出来んよ」
抗議の声を上げようとした彼女に、ヴァルアスは向き直って笑いかける。
「あの子も、あの戦場にいるだろう…会いに行くとしよう」
「…何を言っても無駄そうですね…早急に準備を整えます」
「ああ、そうしてくれ」
観念した様に漏らすレフィール。
ヴァルアスは窓際へと歩き、笑みを浮かべた。
「見せて貰おうか…成長した君の力を…マユ君」
123魔法少女マユ 第14話 2/19:2009/12/06(日) 15:49:14 ID:85RNNopz
深夜の人里離れた山奥に、多くの声が聞こえる。
エルメリア側の魔法使いの軍勢と魔族の軍勢、両者の喧騒が周囲に響き渡る。
現在この地は、魔族の結界が張られていて、内部でどれだけ暴れようとも周辺には影響しない。
そして、普通の人間は誰一人としてここで起きている事に気づかないだろう。
「全軍、進め!結界発生装置を破壊するんだ!」
コーネリアの号令と共に、一斉に進軍を開始するエルメリア側の軍勢。
大地を、空を、魔法使い達が駆けていく。
相対する魔族達も少しづつ進軍しながらブレスや魔法を放つ。
両軍の間に無数の光が飛び交う。
「みんな、始めるよ!!」
長距離砲撃隊を従え飛んでいるリミュエルが、杖を構えて叫ぶ。
突き出された彼女の杖の前に魔法陣が描かれていく。
周囲の少女達も、同様に魔法陣を展開していた。
「第一波、放てぇっ!!」
リミュエルの声を共に、一斉に極大の閃光が放たれる。
放たれた閃光が魔族の群れへと突き刺さり、大爆発を起こす。
リミュエルの放つ光は、周囲の者達の2倍以上大きく、魔族の群れを次々と薙ぎ払っていく。
砲撃に怯んだのか、魔族の群れが次々と後退を開始する。
「す、凄い…」
敵陣の一部を崩したリミュエルの強大な砲撃を見て、リィンは呆然と呟く。
「リミュエル達が前線に穴を開けた。一気に斬り込むぞ!」
コーネリアが叫び、皆もそれに続き駆けていく。
彼女達の行く手を阻む様に、大型の四足歩行のトカゲの様な魔族が姿を見せる。
「どけえぇぇぇっ!!」
手にした剣に凄まじい炎を纏わせたコーネリアが、気合いと共に剣を一閃した。
防御する事も出来ずに、魔族は剣に切り裂かれ、炎に包まれる。
続けて突きだされた片手から、赤い光球を放つ。
魔物の群れに着弾した光球は、凄まじい爆発を起こし、魔物の群れを吹き飛ばす。
「敵の数は多くない!一気に森を突破するぞ!」
剣を構えながら、周囲に向ってコーネリアが叫ぶ。
エルメリア側の猛烈な攻撃に、魔族の前線部隊は切り崩され、森への後退を余儀なくされていた。
124魔法少女マユ 第14話 3/19:2009/12/06(日) 15:50:19 ID:85RNNopz
魔族の本営では、戦況が次々と報告されていた。
4段構えになっている防衛線の一段目、森の外に展開していた魔族達が切り崩されつつあった。
「第1ラインが突破されつつあります。現在、森に後退して、第2ラインの部隊と合流して応戦中です」
「森の中で乱戦に持ち込め、そうすれば厄介なリミュエル達の砲撃も迂闊に撃てなくなる
 しかし…思った以上に敵の勢いが強いな…」
副官からの報告を聞きつつ、レドリックは顔を顰める。
敵の進行速度が予想以上に早い。
コーネリアやリミュエルを筆頭にした魔法使い達の戦力は高く、前線部隊も苦戦を強いられていた。
「御心配なく…森に入ればこちらに有利に動きます」
「そうだな…強襲部隊の動きは?」
「現在、両翼から迂回して、リミュエルの部隊を攻撃する為に移動中です、今少しお待ちください」
彼女達がこれから入ろうとする森林地帯には、無数の伏兵部隊が潜んでいた。
そして、敵部隊を分断する為に、小規模な結界を展開する仕掛けが幾つも設置されている。
また、後方のリミュエルの率いる部隊を強襲する為に、秘かに動かしている部隊も存在した。
この2段目の森林を突破しても、自分が迎撃を行う3段目。
そして、ラディウスが用意した造魔達が守る4段目の守りがある。
最も、レドリックは自分の守る3段目から先に、一兵たりとも進ませる気はないが…
「まだまだ、ここからが本番だよ」
いくら強いといえども、所詮は少女が大半。
ましてや、こちらで戦ってきた魔法少女達は、大半が一人か二人で戦い続けてきた人間だ。
急に部隊に組み込まれて、上手く動けるとも思えない。
幾重にも罠を張り、伏兵をもって分断していけば、撃破は容易だ。
レドリックは笑みを浮かべながら、森へ侵入しつつある光点を見つめていた。
「…前線部隊に、例の少女は確認できたかい?」
「いえ…それらしい少女と遭遇したという報告はありません。もう一人は、コーネリアの部隊に居るのが確認されましたが…」
ふと思い出したように尋ねた問いに、副官は歯切れの悪い返事を返す。
「妙だな、あの子もコーネリアの部隊に居ると思ったんだが…」
副官の返答に、レドリックは首を傾げながら呟く。
一番警戒している少女が、敵の戦列に確認されていない事に。
「…引き続き監視を続けろ。見つけ次第報告を」
レドリックはそう告げると、またモニター上の敵の動きに注視していった。
125魔法少女マユ 第14話 4/19:2009/12/06(日) 15:51:04 ID:85RNNopz
森へと逃げた魔族達を追撃していた部隊は、魔族側の巧みな動きによって、徐々に分断されつつあった。
「…っ!?これは…」
森を走っていた10人くらいの部隊の内の一人が、足を止めて周囲を見回す。
「どうしたの?」
「小さい物だけど結界が張られた…閉じ込められてるよ、私達!」
隣を走っていた少女の問いに、答えながら警戒する様に身構える。
彼女の言葉に、皆足を止めて集まる。
「気をつけて…敵が居る…」
皆一か所に集まって、警戒しながら周囲を見回す。
そんな彼女達の足元から、突如ガスが噴き出した。
「えっ!?」
「な、何これ!?」
驚いた少女達は慌てて口を塞ぐが、既に遅くガスを吸ってしまう。
「う、うぅ…」
「か、体が…動かない…」
神経をマヒさせる効果の有るガスだったのだろう、少女達は皆力無く地面に座り込んだり倒れてしまう。
『ゲヘヘヘヘ…こんなにあっさりひっかかるとはな!』
近くの木に擬態していた、無数の触手を生やしたカメレオンの様な魔族がゆっくりと動き、笑い声を上げる。
地面の下に触手を潜ませ、そこからガスを少女達に向けて噴射したのだ。
周囲に隠れていた下魔達も次々と姿を見せた。
『さて、お前ら…たっぷりと可愛がってやりな』
下魔達が動けない少女達に近づいて行く。
「い、いやぁっ!!」
「やめて!やめてぇぇっ!」
少女達の服を引き裂き、露わになった肌を舌でなぞったり、胸を揉みしだく。
少女一人につき、二体がかりで下魔達が責め立てる。
「ふぁっ…ひぅ…」
「ひやぁん…くふぅっ…」
体を愛撫され、頬を赤く染めて甘い吐息を漏らす。
「うぅ…か、体が動けば…こんな奴らなんかに…」
魔族に触手を巻きつけられて、少女の一人が悔しそうに呻く。
『ゲヘヘ、結界があるから邪魔は入らねぇ…ゆっくりと楽しもうぜ?』
卑下た笑い声を上げて、魔族は捕えた少女に語る。
126魔法少女マユ 第14話 5/19:2009/12/06(日) 15:52:03 ID:85RNNopz
「くぅぅ…」
『ヘヘヘ…揉みがいの有りそうな胸だな!』
触手に服を破り裂かれ、少女は恥ずかしそうに顔を背ける。
魔族はにやにやと笑いながら、それなりの大きさの少女の胸へと舌を伸ばす。
「ひぁっ…や、やめろぉ…」
両胸を舐め回され、少女は弱々しく声を漏らす。
魔族は舌を動かし、少女の長く艶やかな黒い髪に、唾液を塗り付ける。
「うっ…くぅ…」
唾液でべっとりと濡れた髪がうなじに触れ、少女は不快感に顔を歪ませた。
「ふぁ…あひぃ…んやぁぁ…」
両胸を揉みまわされ、頬を紅潮させながら、甘い吐息を漏らす。
「うむぅっ!?」
ぽかんと開かれていた口に、舌が挿入される。
「んぁぁっ!ひぅ…はぁん…くぅ…」
口内を蹂躙され、少女は逃れようともがくが体が痺れて動く事すらままならない。
「ひあああああっ!!」
「あぐうううううう!!」
『なーんだ、あの野郎ども、もう始めやがったのか』
早々に膣やアナルにペニスを挿入し、少女達を犯している下魔達を見て、少女の口から舌を引き抜くと呆れたように呟く。
『まぁ…あんまりサボっても居られんか…こっちも始めるとしようか』
魔族は独り言のように言うと、少女の下着を破り裂く。
「な…や、やめろぉ…」
己の秘所へと向けられる魔族のペニスを見て、少女は怯えた様に声を上げる。
『嫌だね、せいぜい良い声で泣きわめけ』
ニヤリと笑みを浮かべると、一気に膣へとペニスを挿入した。
「はぐううううううううっ!!」
極太のペニスを挿入された痛みと破瓜の痛みに、少女は叫び声を上げる。
『ゲヒャヒャヒャッ!オラッ!もっと泣け!わめけ!!』
苦痛のあまり涙を零す少女を見て、ゲラゲラと笑いながら造魔は更に奥へとペニスを突き入れる。
「あがああああああああ!!うああああああああああ!!」
結合部から血を流しながら、少女は苦痛に泣き叫び続けた。
「ひぎいいいいいいいいいいっ!!」
「ぐぎぃっ!はぐぅっ!!だ、だずげでっ…んあああああああ!!!」
下魔達の犯す少女達の叫び声も周囲に響き渡る。
少女達は、魔力の殆どを吸われるまで、延々と犯し続けられた…
森に入った少女達の一部は、彼女達の様に罠にはめられ、各個撃破されていった。
127魔法少女マユ 第14話 6/19:2009/12/06(日) 15:53:02 ID:85RNNopz
森の外に居たリミュエル達の部隊にも、魔族達が次々と襲いかかる。
「きゃあああっ!!」
トカゲ型の造魔に飛びかかられ、押し倒された少女が叫び声を上げた。
「くっ…うぅ…」
圧し掛かられた少女は、造魔に首を押さえられ、苦悶の声を漏らす。
首を締め付ける力は凄まじく、非力な少女では振りほどく事は出来ない。
少女の意識が遠のきかけた時、造魔がびくりと体を震わせた。
造魔の胸から、細身の剣の切っ先が見える。
『ガ、ガギャアアアアッ!』
断末魔の叫びを上げて、造魔が消滅する。
「大丈夫!?」
「げほっ、げほっ…ア、アーシス…ありがと」
造魔を倒してくれたアーシスに、少女は起き上って礼を言う。
「くうぅっ!こう至近距離で乱戦に持ち込まれたら、やりにくいよ!」
近くで戦っていたリミュエルが、造魔を一体倒して、辛そうに呻く。
大火力の砲撃や、広域攻撃を得意とする彼女は、近接戦が苦手だ。
現在、周囲は魔物や魔法使いが入り乱れて戦っている。
リミュエルは得意の魔法の大半を使えず、苦戦を強いられていた。
「リミュエル様っ!」
彼女に向けて触手を伸ばそうとしていた魔族を斬り伏せて、アーシスがリミュエルの側に来る。
「アーシス、助かったよ!」
飛びかかってきた魔族に反撃しながらリミュエルは返事をする。
「コイツらを早く片付けてコゥ姉達の援護をしないと…」
「はいっ!」
二人は背中合わせになりながら言葉を交わしつつ敵を打ち倒す。
「リミュエル様、大変です!後方から魔族の大群が迫りつつあります!」
「ウソっ!?敵の増援!」
駆け寄ってきた少年の報告を聞いて、リミュエルは声を上げる。
目標の施設と反対の方角、自分達の後方から魔族の大群が迫ってきているらしい。
恐らく、敵の本拠地からの増援部隊だろう。
「くっ…森の中の部隊を一部呼び戻して!増援部隊をコゥ姉達の所に行かせない!ここで防ぐよ!」
「分かりました!」
リミュエルの指示に頷き、少年が駆けていく。
「……コゥ姉、急いでね…」
苦しい戦況に表情を曇らせ、辛そうにリミュエルは呟いた。
128魔法少女マユ 第14話 7/19:2009/12/06(日) 15:54:00 ID:85RNNopz
「後方より友軍?」
『はい、本部よりの増援部隊です。相当数の部隊が戦線に近づきつつあります』
副官からの通信を聞いて、レドリックは苦笑を浮かべる。
「陛下…本部の守りを割いてくださったのか…だが、ありがたい」
本部の守りが薄くなるというのは危険だが…これで数で敵を圧倒できる。
後はここで自分が敵を食い止めれば、数時間もしない内に敵を包囲殲滅する事が可能だろう。
「本部からの増援が来た!ここが踏ん張り所だ…各員、死力を尽くして守り通せ!!」
レドリックの言葉に、魔族達が咆哮を上げて答える。
『レドリック様、敵前衛が森を突破して来ました!』
伝令の魔族が彼の元に駆け寄って告げる。
「来たか…」
レドリック達の視界に、森を突破してきた魔法使い達が見えてくる。
「……やはり、あの子の姿が見えないな…」
最も警戒すべき少女の姿が見えない事に、レドリックは不審げに漏らす。
「レドリック!そこを退いてもらうぞ!」
近づいてきた一団の先頭にいたコーネリアが、彼に剣を突き付けて叫ぶ。
「フフフ…それは出来ない相談だね…この先に行きたければ、僕を倒したまえ…その前に、コイツを相手してもらおうか」
レドリックは笑みを浮かべながら指を鳴らす。
彼の横手が突如光り輝き、光が治まった後には、20mほどの大きさの赤い竜が立っていた。
「竜種だと!?エルメリア本土から呼び戻したのか…!」
「いや…彼は最近生み出された造魔さ、ラディウスの自信作だよ…君の良く知る者を母体として使って作ったんだ」
驚きの声を上げるコーネリアに、笑いながらレドリックは語る。
「っ!?……まさか、リーファを使って…」
「ご名答。彼女クラスの強大な魔力で無いと、こんな大物は生み出せないよ」
「貴様っ!!」
レドリックの言葉に激昂して、コーネリアは身構える。
「コーネリア様、落ち着いてください!」
近くに立っていたフィルが彼女の肩を掴む。
「ん…す、すまない……この大型種は他の者ではキツイだろうな…私が相手をする。
 お前はリィン達と共に、レドリックを止めてくれ…コイツを片付けたら援護に向かう…無理はするなよ」
「了解しました…お気をつけて」
フィルは頷いて下がって行く。
赤竜が咆哮を上げ、コーネリアに向けて熱線を放つ。
「そいつにはご自慢の炎はあまり効かないよ…さて、どうする?」
熱線を回避したコーネリアに向けて、レドリックが笑いかける。
「…見くびられたものだな…炎だけが私の力では無い!」
赤竜の前足が振るわれるが、コーネリアには当たらず大地をえぐる。
『ギャウウウウッ!!』
次の瞬間生じた痛みに、赤竜が怯み後ずさった。
「急造の造魔如きで…私を倒せると思うな!!」
赤竜の前足を斬り付けた眩い光を纏った剣を手に、コーネリアが咆える。
129魔法少女マユ 第14話 8/19:2009/12/06(日) 15:54:51 ID:85RNNopz
(……予定通り、ルインに食いついたね)
コーネリアとルインが交戦を開始した事に、レドリックは心中でほくそ笑む。
ルイン単体でコーネリアが倒せるとは、端から思っていない。
こちらとしては、交戦し時間を稼いでくれればいいのだ。
その間に、自分が他の者達を片付ける。
仮にこちらが片付ける前に、ルインが倒された場合の保険もある。
「やぁ、マユちゃんはどうしたんだい?」
眼前に立っている少女に視線を向けて、笑みを浮かべながら尋ねる。
「答える義理は無いわ…レドリック、今日こそ覚悟してもらうわ!」
「アゼルの仇…討たせてもらうわよ!」
リィン、そして傍らに立つシャーナが口々に叫ぶ。
「フフフ…出来るものならやってみたまえ」
レドリックは不敵な笑みを浮かべつつ、動こうとする。
その時、副官からの緊急の通信が来た。
『閣下!例の少女を含む、少数の部隊が第3ラインを突破しようとしています!』
「なんだとっ!?何故今まで見つけれなかった!!」
副官から告げられた報告に、レドリックは驚いて声を上げる。
『も、申し訳ありません!彼女達は、隠蔽魔術で気配と姿を隠しながら、森の大外を進んできていたのです!』
「くそっ!…こちらがリミュエルの部隊に仕掛けた手と同じか!!」
レドリックは悔しそうに吐き捨てる。
「フッ…上手く突破できたようだな、マユ君達は」
作戦が順調に進んでいる事に、コーネリアは笑みを浮かべた。
森を突破した、マユやシエルの所属する部隊は、第3ラインの手薄な場所を猛然と突き進んでいる。
ここを突破されれば、残るのはラディウスと彼が配置した少数の造魔達だけだ。
早急に迎撃しなければならない…レドリックは戦線を離脱しようとしたが…
「っ!?結界だと…」
いつの間にか周囲に張り巡らされた結界を見て呻く。
「マユちゃん達の所には行かせない!」
報告に気を取られている間に、リィンが展開したのだ。
(絶対に倒す!…マユちゃんやシエルの邪魔はさせない!!)
杖を持つ手に力を込めながら、リィンは心中で叫んだ。
レドリックの周囲をシャーナやフィル、魔法使いの少女達が取り囲む。
「レドリック…多くの同胞を陵辱し、殺めた罪…今こそ裁かせてもらう!」
シャーナとリィンを守る様に立ったフィルが、レドリックに剣を向けて叫ぶ。
130魔法少女マユ 第14話 9/19:2009/12/06(日) 15:55:59 ID:85RNNopz
「……そうかい…そんなに死に急ぎたいのか…じゃあ、お望み通りにしてあげよう」
少し俯いていたレドリックは、ゆっくりと顔を上げて、凄絶な笑みを浮かべる。
彼の纏っている魔力が徐々に膨れ上がっていく。
そして、彼の足の辺りが黒い靄に包まれ、形を変化させ始める。
彼から放たれる威圧感に気圧され、皆レドリックに攻撃を仕掛ける事が出来ない。
ドン、という音と共に、レドリックの足元から闇が溢れ出す。
「くっ!?」
溢れ出た闇と共に放たれた衝撃波に、皆吹き飛ばされそうになる。
「うぅ……な…何、あれ…」
ゆっくりと閉じていた目を開けたリィンは、眼前の存在に呆然と声を漏らす。
レドリックが立っていた場所に、異形の怪物が現れていた。
全長20mほどもある、4足歩行の竜の様な姿をしているが、その容姿は異様なものだった。
『オオオオオオォォォォォォ……』
『ゲキャキャキャキャキャキャッ!!!』
体のあちこちに無数の魔物の顔が存在し、気味の悪い鳴き声や笑いを上げている。
前足の付け根辺りからはもう一対、巨大な鋏のついた腕が存在した。
2本の長い尻尾が存在し、更に身体のあちこちから触手が生えていた。
「これが、僕の変化能力を全力で開放した姿だ」
竜本体の頭頂部に、上半身だけのレドリックが姿を見せた。
醜い異形の姿と化した彼の姿に、皆言葉を失っている。
「この姿になったら…殺戮衝動を抑えれなくなるからね…楽に死ねると思わない方がいいよ!!」
呆然としている少年少女達に告げると、レドリックが動き出す。
「っ!?皆、構えろ!!」
我に返ったフィルが叫び、皆は慌てて身構える。
だが、少し遅かった…レドリックが攻撃を開始した。
「うああああっ!!」
「きゃあっ!?」
振われた触手に、何人かが吹き飛ばされる。
「あうぅっ!?」
魔物の顔から放たれた粘液を浴びせられ、少女が動きを封じられた。
「あぐっ!…かはっ…あ、あぁぁ…」
鋏に胴を挟まれ、女騎士が苦悶の声を上げる。
リィン達にも無数の熱線が放たれるが、フィルが結界を張ってそれを防いだ。
「くっ……気をつけろ、二人とも…恐ろしい強さだ」
熱線が止むと、フィルが額に汗を滲ませながらリィンとシャーナに言う。
あと少しで結界を貫通されるところだった…
一連の攻撃で、リィン達以外の殆どが地に倒れ伏したり、無力化されていた。
「無理をせず、時間を稼ぐんだ…コーネリア様を待つ」
自分達だけでは勝てない…そう判断したフィルは、二人に告げる。
「ん…分かったわ、フィル」
「…分かりました」
なんとか時間を稼ぐしかない…コーネリアがあの赤竜を倒すのを…そして、マユ達が作戦を成功させる為にも。
「こんな所で…死ねない!」
リィンは杖を握りしめながら叫んだ。
131魔法少女マユ 第14話 10/19:2009/12/06(日) 15:56:46 ID:85RNNopz
次々と後方から現れる増援部隊と戦い続けるエルメリア側。
魔物達と戦っていた一部隊の前に、一人の男が立ち塞がる。
「なっ…お、お前は!」
部隊の指揮官である女性は、その男の姿を見て叫ぶ。
「お前さん達に恨みは無いが…これも仕事だ。覚悟してもらうぜ」
青い長髪と身に纏ったコートを靡かせながら、ローエルはサングラスを指で上げ、不敵な笑みを浮かべる。
次の瞬間、ローエルの姿が消えた。
「あっ?…かはっ…」
指揮官の傍らに立っていた少女が、腹に刀の鞘を叩きこまれて崩れ落ちる。
ローエル一瞬で間合いを詰め、部隊の真っただ中に現れたのだ。
「っ!?」
我に返った少女達が、武器を構える。
「遅ぇっ!!!」
彼女達が動くよりも早く、ローエルが抜刀し、刀を一閃した。
「うああああっ!!」
「きゃあっ!」
刀から放たれた衝撃波に、少女達は吹き飛ばされ、地面や木に叩きつけられる。
『ロ、ローエル様!?何故こちらに?』
少女達と交戦していた魔族の一体が驚きの声を上げた。
「ふっ…俺だけじゃないぜ」
ローエルはにやりと笑みを浮かべて、手にした刀で肩越しに自分の背後を指し示す。
彼が示した方向には、法衣を纏った三つ首の蛇と、紫のドレスを纏った黒髪の女性が立っている。
『ゲリオス様…イレーヌ様まで…』
『エルメリアの方は宜しいのですか?大攻勢を受けているという話では…』
呆然と漏らす魔族達に近づきながら、イレーヌが口を開く。
「部下達が上手くやるさ…ヤバけりゃ占領地域を放棄して後退してもいいって指示してある」
「多少の戦術レベルの勝利など…奴らにくれてやる。大事なのはこの一戦を…戦略上一番大事な勝利を我々が押さえる事だ。
 取られた場所など、この地の守りが固められれば、後で幾らでも取り戻せる」
イレーヌの言葉に付け加える様に、ゲリオスが言葉を発する。
彼らは軍の指揮を、配下の将達に任せ、3人でこちらへの援軍に来たのだ。
「こちらでの作戦が失敗すりゃ、エルメリアの奴らも足を止めざる終えない…今だってかなり無茶して攻めてるんだからな」
刀を鞘に収めながら、ローエルが言う。
「さて、連中が派手に暴れてる様だが…こっからは俺達の攻める番だ!派手に行くぞ!!」
『ウオオオオォォォォ!!!』
高らかに宣言したローエルに呼応するように、魔族達が雄叫びを上げる。
132魔法少女マユ 第14話 11/19:2009/12/06(日) 15:57:58 ID:85RNNopz
「さーて、アタシもストック全部出しちゃうとするかねぇ」
イレーヌは笑みを浮かべながら、扇子で手の平を一度叩く。
彼女の周囲に、光の球体に包まれた無数の植物が姿を現す。
「まずは…そこで気絶してるお嬢ちゃん達から養分を貰うといいよ」
再度、イレーヌが手の平を叩くと、球体が消滅し、植物達が次々と人程のサイズの大きさに成長する。
巨大化した植物達は次々に動き出し、ローエルの一撃で動けなくなっている少女達に近づいて行く。
そして、次々と蔦を伸ばし、少女達を拘束する。
植物達は更に蔦を振い、少女達の服を引き裂き、彼女達の肢体に蔦をくい込ませていく。
「くぁっ!…い、痛い…!」
「あああっ…」
蔦に締め上げられ、少女達が苦悶の声を漏らす。
露わになった胸を締め上げられ、引っ張られる少女もいる。
「あんまり時間無いから、ちゃっちゃっと済ませなさいな」
植物達は、創造主の指示に従い、露わになっている膣口やアナルへと一気に無数の蔦を挿入する。
「あがあああああああああっ!!」
「ひぐうううぅぅっ!」
「いやぁぁぁっ!!抜いて!抜いてよぉぉぉっ!!」
蔦に強引に穴を拡張され、少女達が叫ぶ。
それを無視して、蔦が強引にピストン運動を開始する。
結合部から血を流しながら、激しく突かれ体を揺さぶられる少女達。
「ぐげっ!はぐぅっ!!」
「んぎいいいいっ!!や、やめ…がああああっ!」
結合部から魔力を吸い出し、植物達が徐々に成長していく。
ピストン運動を続けていた蔦が、少女達の体へ一際奥へと挿入される。
次々と植物達が射精を開始した。
「はぎゃあああああああっ!!」
「ああああああああああああああ!!!」
あちこちで射精された少女達の叫びが木霊する。
射精を行うと同時に、更に一回りも二回りも植物達の体が大きくなっていく。
そして、少女達の二穴に蔦を突き刺したまま、自らの体に取り込んでいく。
「そろそろいいかしらね…行進(マーチ)っ!!」
イレーヌの合図と共に、少女達を取り込んだ植物達は、少女達を犯し続けながら整列して進み始める。
「おいおい…姐さん、あのお嬢ちゃん達まで連れてくのかよ…」
「まだ魔力たっぷり吸えるんだから、道中で犯し続けりゃいいさ。いい盾にもなるしね」
呆れたように呟くローエルに、扇子で口元を隠しながらイレーヌは笑う。
「ま…姐さんの好きにすりゃいいさ…」
溜息を一つついて、ローエルはやれやれ、とばかり首を振る。
「…征くぞ、お前達」
「はいな、楽しませて貰おうじゃないか」
「りょーかいっと。まずは一番手近な、リミュエルの嬢ちゃんを黙らせるとしますかね」
ゲリオスの言葉に、二人は不敵な笑みを浮かべて頷く。
イレーヌの使役する植物の群れを先頭に、魔族の軍勢が行軍を開始する。
133魔法少女マユ 第14話 12/19:2009/12/06(日) 15:58:41 ID:85RNNopz
「レドリックのラインを抜かれたか…」
稼働を続ける結界発生装置の前に立つラディウスは、助手からの報告を受けて顔を顰める。
ここの周囲を守っている造魔の数は、それほど多くない…実質レドリックのラインが最終防衛線だ。
(俺自身が迎撃に向かうしかないな…少し無理してでも、ティードを調整を早めるべきだったか…)
心中で呟いた彼は、助手の方に向き直る。
「ここの指揮は任せる。俺自身が迎撃する」
「ド、ドクターご自身がですか!?」
「こっちの状況は、ここまでくれば俺が居なくても問題無いだろう…後は任せた」
驚きの声を上げる助手に告げると、歩き出す。
「お待ちください!ドクターが行かれずとも我々が!」
「お前らで止められるか!相手はグラーズを倒した者も居るんだぞ!?
 ……俺は切り札を幾つか用意してる。だから俺が行く…!」
止めようとした助手に向けて言い放つと、再びラディウスは歩き出す。
(ここまで来て阻止されてたまるか!……最悪、アレを使ってでも止めてやる…)
彼は切り札と称した造魔以外に、もう一つ手札を用意していた。
だが、それは自分の体に危険を及ぼす、使用を躊躇われる手段だった。
それでも…彼は必要とあらば、それを使う気でいた。
魔族の勝利の為に…自分を取り立ててくれた王の為に…
いざとなれば自分の命など喜んで差し出す…そんな覚悟を胸に、ラディウスは施設を出て行った。



第3ラインを突破したマユ達は、目標の施設に向けて全力で駆けていた。
「邪魔ぁっ!!」
行く手を遮らんと現れた造魔を斬り伏せて、マユが叫ぶ。
敵はレドリックの守る第3ラインに、戦力を集中させていたらしい。
第3ライン突破後は、散発的に攻撃を仕掛けてくる造魔達ばかりだった。
「見えたよっ!マユちゃん!」
細身の剣を振い、造魔を倒していたシエルがマユに言った。
目標の施設が見えてくる…もう少しだ。
「早く結界を発生させる装置を破壊して、皆の援護に回ろう!」
マユ達にも戦況は伝わっている。
自分達の後方から、魔族の増援が押し寄せている事も…
数の差を埋められ、更に各個に分断され攻撃を受けて、苦戦を強いられている。
一刻も早く作戦を成功させ、援護に回らないといけない。
造魔達を倒しながら、駆け続けていたマユ達の前に、白衣を纏った少年が行く手を遮る様に立っていた。
「っ!…ラディウス」
近くまで来て、マユ達は足を止める。
「ここから先は通行止めだ」
ラディウスは手に持っていた装置のボタンを押しながら、マユ達に向けて言った。
周囲に結界が展開されていく…予め仕掛けられていたのだろう。
134魔法少女マユ 第14話 13/19:2009/12/06(日) 15:59:21 ID:85RNNopz

「ここを抜けたければ…こいつを倒して貰おうか」
周囲を見回していたマユ達に向けて語りかけながら、ラディウスは指を鳴らす。
彼とマユ達の中間の場所に、魔法陣が描かれていく。
『ギシャアアアアアアアアアッ!!!』
光と共に魔法陣から現れた異形の魔物が咆哮を上げる。
4足歩行の巨大な獣の体に、狼とトカゲ、そして甲虫の頭部が存在した。
尻尾にあたる部分からは、無数の触手が生えている。
「コイツは俺が新たに試作した合成造魔…次にリーファ並みの母体を確保出来たら、コイツを量産する予定だ」
呼び出した造魔を見上げながら、ラディウスが自慢げに語る。
「気をつけて…強い力を感じる…」
「うん…これまでの造魔より遥かに強いかも…」
シエルの言葉に、マユも同意する…大きさだけではない、この造魔から感じる力はこれまで戦った造魔達より上だった。
「やれ…お前の力を見せてやれ」
ラディウスが合図を送ると、巨大な造魔が動き出す。
振り下ろされた前足を回避して、少女達は次々と魔法を放つ。
『グオオオオォォォォッ!!』
造魔の咆哮と共に結界が造魔を包み、攻撃を防いでいく。
「なっ!?」
攻撃を尽く防がれ、マユ達は驚きの声を上げた。
「コイツは成体に仕上げる為に、3人も魔法少女潰した作品だ…これまでの奴とは違うぞ」
ラディウスは笑みを浮かべながら言い放つ。
動きを止めたマユ達に向けて、トカゲの頭がガスを吐きつける。
「うあっ!」
「な、何これっ!?」
周囲をガスに包まれ、マユ達は口を覆う。
「口塞いだって無駄だ…ちょっとでも吸ったらすぐ効果が出るぞ」
離れた場所で見ているラディウスは、にやにやと笑いながら語りかける。
「う、うぅ…」
ガスを吸ってしまったマユ達の体に異変が生じる。
全身に力が入らなくなり、体が熱を帯び始めた。
頭がぼうっと霞がかった様にぼやけ、体のあちこちが疼く。
「くぅ…これって…まさか…」
「そう、お前らを淫らにしちまうガスさ。お代りはたっぷりあるぜ」
震えながら声を漏らすマユに向けてラディウスが笑う。
135魔法少女マユ 第14話 14/19:2009/12/06(日) 16:00:08 ID:85RNNopz
造魔が再度ガスを吐きつける。
「くっ…げほっ…ごほっ…」
「うぅ…ふぁ…」
苦しそうに咳き込んでいたマユ達。
一人、また一人と地面に崩れ落ちていく。
「ひぅ…ふぁ…」
「はぁん……んあ…」
地面に倒れた少女達は自らの胸や秘所へと手を伸ばし、自慰を始めていた。
気がつけば、マユとシエル以外全員が倒れていた。
「う、うぅ…くぅっ!」
体の疼きを必死に堪えながら、マユは剣を構えようとする。
(しっかりしなきゃ…!誘惑に負けちゃダメ!!)
自らを奮い立たせようと心中で叫ぶが、体の熱や疼きは、マユの体を蝕んでいく。
「くぁっ!?きゃあああっ!!」
造魔の伸ばした触手を回避する事が出来ず、マユは両手を縛られ、宙づりにされる。
「マ…マユちゃん…このぉ…!」
宙づりにされたマユを見て、シエルが声を漏らす。
マユを助けようと身構えた時、不意に誰かに肩を掴まれる。
「ねぇ…シエルも一緒に気持ち良くなろうよぉ…」
「え…?き、きゃあっ!?」
自慰をしていた少女の一人がシエルを押し倒す。
「な、何をするのっ!?」
押し倒してきた少女を押しのけようとするが、両手を押さえられて上手く動けない。
気がつけば、他の少女達もシエルの周囲に集まっている。
「な…み、みんな…どうして…」
「フフフ…お前さん達は無理だけど、快楽に身を委ねて惚けちまってるコイツらなら…
 俺にだって操れるさ…たっぷりと可愛がってもらいな」
呆然と声を漏らすシエルに、ラディウスが笑みを浮かべながら語った。
催淫ガスで堕ちてしまった少女達の意識を操り、シエルを襲う様に仕向けたのだ。
手足を押さえられてシエルが動けなくなると、押し倒してきた少女はシエルの上から退く。
「ひぁっ!?や、やめてぇっ!」
少女に服を肌蹴させられて、シエルは頬を赤らめて叫ぶ。
まるで亡者の様にシエルの元へと集まった少女達が、彼女の体を弄ぼうと手を伸ばす。
136魔法少女マユ 第14話 15/19:2009/12/06(日) 16:00:57 ID:85RNNopz
「はぅぅっ…んやぁっ…ひぅ…」
催淫ガスには快楽を増幅させる効果も存在した。
露わになった胸を揉まれ、シエルは甘い吐息を漏らす。
「シエルのおっぱい小さいねぇ…私がぁ大きくなる様に揉んであげるねぇ…」
「ひぁぁっ!?やだぁ!やめてぇぇっ!」
急に激しく胸を揉まれ、シエルは髪を振り乱して叫ぶ。
スカートもずらされ、下着を引き裂かれる。
「ひあぁっ!」
クリトリスを指で抓まれて、シエルは嬌声を上げた。
20を軽く超える数の手が伸ばされ、敏感になった全身を愛撫していく。
その行為は…かつて受けた、シエルの恐怖の記憶を呼び覚ましていく…
「いやぁっ…いやぁぁぁっ!!!」
じたばたと体を動かして、シエルは大粒の涙を零しながら泣き叫ぶ。
「んむうぅぅぅっ!?」
少女の一人に唇を重ねられて塞がれた事に、シエルは驚いて目を白黒させる。
シエルの口内に少女の舌が侵入し、彼女の口内を舐めくすぐっていく。
舌を絡みつかせ、シエルの舌を弄ぶ。
舌同士が絡み合い、淫らな水音と共に、二人の唾液が混ざり合う。
しばし口内を蹂躙すると、少女は唇を放す。
「ぷはっ…はぁ…はぁ…み、みんなぁ…やめてぇぇ…」
解放されたシエルは、頬を紅潮させながら、必死に少女達に呼びかける。
だが、誰一人として行為を止めようとはしない…完全に快楽と術の支配下に堕ちていた…
「ふあぁぁっ!す、吸わないで!」
シエルの小さな胸の先端の乳首に、少女がしゃぶり付いた。
空いているもう片方の胸には、別の少女の舌が伸ばされ、乳首を愛撫する。
「ひゃんっ!!」
耳の裏側を舐められて、シエルは声を上げる。
首筋や臍にも、少女達の舌が伸ばされ舐め回す。
「ひううぅぅぅっ!!」
少女の一人が膣の中へ指を突っ込んできた。
「らめっ!らめぇぇぇ…んあぁぁぁっ!!」
シエルは必死に哀願するが、激しく膣内で指を動かされ叫ぶ。
「むぐぅっ!んああああぁぁっ」
別の少女に唇を塞がれ、また口内を愛撫され始める。
「んふぁぁぁ…あええぇぇっ!」
必死に抗っていたシエルも、彼女達同様精神を快楽に支配されつつあった…
137魔法少女マユ 第14話 16/19:2009/12/06(日) 16:01:50 ID:85RNNopz
「シ、シエル…」
両手を縛られ吊り下げられた状態のマユは、眼前で繰り広げられる光景に呆然と声を漏らす。
そんな彼女のスカートの中に、造魔の触手が一本伸ばされる。
「あひぃっ!?」
触手が下着の上から秘所に触れた瞬間、マユは叫び声を上げた。
触手の先端が激しく震動を開始し、マユの秘所に押し付けられる。
「んあああああああっ!!」
振動によって生じた激しい快感に、マユは悶え身を捩った。
他の触手によって肌蹴させられた胸元に、秘所の物と同じ様な触手が2本伸ばされる。
「あくうううぅぅぅっ!やめっ…やめてぇぇっ!!」
胸に振動する触手を押し当てられて、マユは叫ぶ。
激しい快感に悶え続けるマユに、更に催淫ガスが吐きつけられた。
「くぁっ!?げほっ…はうぅぅっ!!」
両手を拘束され、快楽責めを受けている彼女に、それを防ぐ手段はなく大量に吸ってしまう。
ガスを大量に吸った事で、更に快楽が増幅され、マユの体を襲う。
(ぁぁ…だ、誰か助けてぇ…こ、こんなの耐えられないよぉぉ…)
快楽に押し潰されそうになったマユは、心中で必死に叫ぶ。
更に無数の触手が伸ばされ、マユの体を愛撫していく。
「ふあぁぁっ!やぁぁぁぁん!!」
下着がずらされ、露わになった膣口の中に振動を続ける触手が侵入する。
「あきゃあああぁぁぁっ!!!」
まるで初めから分かってたとばかりに、狙った様にGスポットに触手の先端が押し付けられた。
凄まじい快楽が生じ、マユの頭は快楽でショートしそうになる。
(も、もぅ…ダメぇ…)
諦めかけたマユの耳に、シエルの叫びが聞こえた。
「ひうううぅぅっ!た、たすけぇ…ふぁっ!ユ、ユーリィッ!」
その叫びを聞いたマユは、快楽に堕ちかけた状態から引き戻される。
(ユーリィ…!そ、そうだ…ユーリィの為にも…負けられないんだ…!!)
心中で叫んだマユは、必死に快楽を耐えながら意識を集中させていく。
「私は…こんな所で…立ち止まってられないのっ!!!」
叫ぶと同時に、マユの体が眩い光に包まれる。
放たれた光によって、絡みついていた触手が消滅していく。
「なっ…何だとっ!?」
ラディウスは驚きの声を上げながら目を覆う。
光が治まると、コスチュームを変化させ、光の翼を広げたマユが宙に浮いていた。
138魔法少女マユ 第14話 17/19:2009/12/06(日) 16:02:47 ID:85RNNopz
「これが…グラーズを倒した、お嬢ちゃんの新しい力か…」
マユの姿を睨みつけながら、ラディウスが忌々しげに漏らす。
どうやら、催淫ガスの効果も変身の際に浄化されてしまったようだ。
マユは巨大な合成造魔を見据えると、剣を突きだす。
「いっけぇぇっ!!」
彼女の周囲に、12個の光球が発生する。
叫びと共に放たれた光球は、複雑な軌道を描きながら迎撃しようとした触手を掻い潜る。
更に、防御しようと展開した結界を易々と貫き、造魔の体を穿っていく。
『グギャアアアアアアアアッ!!!』
大きな叫び声を上げて、造魔が怯む。
だが、撃ち抜かれた傷はすぐに修復を開始し始める。
「くっ!?そんな…!」
凄まじい再生速度に、マユは驚きの声を上げた。
「言っただろう!これまでの奴とは違うって!!」
ラディウスが勝ち誇ったように叫ぶ。
造魔の触手の一本が、マユに向けて何かを吐き出す。
「きゃっ!?な、何…?」
吐き出されたのはスライムの様な物体だった。
マユは右腕に絡みついたそれを引き剥がそうと、手を伸ばす。
その時、スライムの核らしき物から、激しい電流がマユに向けて放たれる。
「うあああああああああっ!!」
体を駆け巡る電流に、マユは苦悶の声を上げながら地面に落下した。
なんとか着地するも、放電は今だ続き身動きとれない。
動けなくなったマユに向けて、更に無数の触手から同じ物が放たれる。
「きゃあああああああっ!!」
全身にスライムが次々と浴びせかけられていく。
体に張り付いたスライム達は、すぐさま放電を開始する。
マユの体を凄まじい電流が駆け廻り、体力を奪っていく。
「くぁ……あぐぅ…」
放電が止むと、マユは力なく地面に倒れ込もうとする。
だが、放電を行っている間に、互いに結合しあい大きくなったスライムが、彼女の体に巻き付き締め上げる。
「ああぁぁっ!!」
ギリギリと音を立てて全身を締め付けられ、マユは苦痛に顔を歪ませる。
凄まじい力の前に、彼女は身動き一つ取れない。
(くぅ…ま、負けるもんかぁ…!!)
苦痛に折れそうになる心を奮い立たせ、マユは精神を集中させる。
「はああああああっ!!」
叫びと共に、魔力を開放してスライムを全て吹き飛ばす。
139魔法少女マユ 第14話 18/19:2009/12/06(日) 16:03:32 ID:85RNNopz
「はぁっ…はぁっ…」
スライムから解放されたマユは、しばし苦しそうに息をしていたが、剣を拾い構える。
『グルアァァァァァァ!!』
造魔が咆哮を上げて、前足を振う。
マユはそれを掻い潜りながら、剣の魔力を込めて、刀身に光の大剣を纏わせる。
「でやぁぁぁぁっ!!」
懐に飛び込んだマユは、造魔の胸に大剣を突き刺す。
『ギャウウウウウウウウウウ!!!』
「外からダメなら…中から潰す!!」
叫び声を上げる造魔に向けて、マユは剣を媒介に魔力を叩きこむ。
体のあちこちに亀裂が走り、造魔はボロボロと体を崩壊させていった。
「くっ…やった……シエル、皆!!」
造魔が消滅するのを確認すると、マユは振り向いて今だ少女達の愛撫を受けているシエルの元に駆け寄る。
そして浄化の魔法を使い、彼女達を支配していた催淫ガスとラディウスの魔力を浄化した。
術の支配から解放された少女達は次々と倒れていく。
「ん…マ、マユちゃん…」
「シエル…大丈夫っ!?」
ぐったりとした様子のシエルを抱き寄せて、マユは心配そうに尋ねる。
「な、なんとかね…ありがとう、助けてくれて…」
「よ、よかったぁ…」
弱々しいながらも微笑むシエルに、マユは安堵した様に言う。
マユはシエルに回復魔法を使い、消耗した体を癒し体力を回復させる。
動けるようになったシエルは、服の乱れを直しながら立ち上がる。
「残りは…アイツだけ!」
「うん!!」
二人は、造魔の残骸の近くに立っているラディウスを見据えて叫んだ。
140魔法少女マユ 第14話 19/19:2009/12/06(日) 16:04:30 ID:85RNNopz
「……コイツでも…ダメなのか…!」
眼前に散らばる造魔の残骸を見て、ラディウスは悔しげに吐き捨てる。
最早、手段は選んでいる余裕はない…間もなく結界はこの世界に展開される…
一度展開してしまえば、半年はこの結界は消滅しない。なんとしても時間を稼ぐ必要があった。
ラディウスは、手にした薬品の入った注射器を見つめる。
それは、以前彼が自身の力の強化を考え、研究していた薬だった。
これによって一時的に強力な力を得れるが、代償として、激しい苦痛が反動として体に返ってくる。
ただ一度だけ、数分使用しただけで、彼は凄まじい苦痛を受け、数日動けなくなってしまった。
はっきり言って、命を縮めかねない失敗作だ…だが、これを使えば自分でも彼女に対抗できるかもしれない。
いや、少しの間だけでいい、時間を稼げればいいのだ。
そう考えたラディウスは、サンプルにと一本だけ保存していた薬品を持ち出したのだ。
これを使えば、少しなりとも時間は稼げるだろう…勝つことは不可能だとしても。
「陛下…申し訳ありません…悲願であるエルメリア奪還を、陛下のお側で見たくありましたが…自分はここまでの様です」
俯きながら独り言を漏らしたラディウスは、顔を上げて注射器を自分の腕に向ける。
「魔族の悲願が達成できるのなら…俺はこの命、喜んで差し出す覚悟!」
マユ達を見据えながら叫び、腕に注射器を突き刺そうとしたその時。
「待ちたまえ、ラディウス博士」
「…なっ!?」
背後から聞こえた声に、ラディウスは驚いて振り向く。
そこには黒スーツに身を包んだ彼の主と、傍らに控える赤髪の秘書の姿があった。
「…ここからは私が引き受けよう…君は施設に戻り、計画の指揮を執りたまえ」
「陛下…」
男は呆然とした様子のラディウスの元に近づくと、彼の手にしていた注射器を取り上げ、魔法で消滅させてしまう。
「君にはまだ働いてもらわねばならん…私の許可なく、死ぬ事は許さん。我らが悲願達成には、君の才能がこの先も必要なのだよ」
「……勿体無き御言葉…ありがとうございます。陛下!」
ヴァルアスの言葉に、感極まった様に震えていたラディウスは、深々と頭を垂れる。
「では、任せたよ。ラディウス博士」
「はっ!お任せを!!」
ラディウスは顔を上げると、もう一度頭を下げると、転移魔法を使い消えていく。
「さて…ここからは私が相手をしよう」
突然の事態に、呆然としているマユとシエルに向けて語りかける。
そして、マユの顔をじっと見つめると、笑みを浮かべながら口を開いた。
「久しぶりだね…マユ君。覚えているかな?私の事を…」
141マユの人:2009/12/06(日) 16:06:42 ID:85RNNopz
以上で、投下を終わります。
大体の方が予想されていたかもしれませんが…陛下降臨です。
冒頭で暇そうに物思いに耽っておられましたが、少し前まで必死に執務を捌いてましたw
オマケに3人ほどエルメリアから来ていますが…まだ慌てる様な状況じゃない(ぉ
次回はマユと陛下のバトル開始となります。
それでは、また次回お会いしましょう。
142名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 16:08:49 ID:Fe9PQCeY
リアルタイム乙です。
最後に全部かさらっていく陛下のカリスマっぷりすげぇ…。
143名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 16:25:32 ID:FS8dYHc7
>>141
乙です!
陛下美味しい所を持って行くなぁw
前方は陛下、真ん中には本気を出したレドリックにルイン、更に後方からは増援と3将軍…詰んでるなw
次回は陵辱祭りになっちゃいそうだなw
144名無しさん@ピンキー:2009/12/06(日) 16:47:45 ID:fqVfVxV3
>>136
GJ
あちこちで魔法少女が犯されてるのいいね。
陛下がマユの味見するの期待
145名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 00:17:28 ID:n5mLIjwY
予想通り分断されて増援も沢山来てるな…
スレ的にはマユちゃん達が犯されまくるのがいいのだろうが、なんとか勝てないものかw
146名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 09:25:38 ID:J7FKqzvm
けど仕込み有りの側近が地雷として側にいるとはいえ、武闘派の円卓が二人に、
それに準じるであろう魔力と主人公補正を持ってるマユ、それにリィン達実力者も束になれば3将軍と十分渡り合える筈

一方的な殲滅戦にはならないんじゃない?
まあ絶望的な退却戦となって円卓二人は退場しそうだけど。
147名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 17:31:07 ID:cE+Uu7vQ
>リィン達実力者
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・?
いや、一回だけイヤボーンでレドリックに深手を負わせたけどさ・・・
148名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 19:14:38 ID:472avSGT
魔法少女側が分散してるからなぁ。
後方から来る3将軍に各個撃破されそうな
149名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 22:22:02 ID:O22EF8oc
魔法少女側にも助っ人が来るかもしれない
死んだと思われていたり隠遁してたりで戦力にカウントされてなかった実力者とか、魔族側の裏切り者とか
150名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 23:35:37 ID:7knwWUzH
お前らホント作者のネタつぶすの好きだなw
151名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 19:27:35 ID:FcD8MzVw
悪いとは思うんだけどバトル要素があると、どうしても戦いの行方ってのは雑談のネタになっちゃうんだよな。
GJの一言だと味気ないし、エロ方面の感想になると「エロい抜いた腹ボコボコサイコー」みたいなアホの子になっちゃうしw
作者の皆さんいつもゴメンナサイ。
152名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 19:54:53 ID:Vxboeios
GJ
153名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 19:58:41 ID:UXjzNwQ5
魔界を滅ぼしたら人の悪意、欲望の処理が出来なくなり人間界も妖精界も衰退を始めた。

夢や希望でどうこうしようとしたが失敗した。

仕方ないから悪魔に似た何かを作りそれを狩り欲望を花にして最後は餌になる魔法少女を作った。

犯罪も環境問題も悪魔擬きと魔法少女の永劫の戦いで解決!
よかったね!!

そんなSSを余所で見た
154名無しさん@ピンキー:2009/12/08(火) 22:24:15 ID:FcD8MzVw
魔法界上層部が魔物を討伐するのに魔法少女を派遣するのは平和を守るのが目的じゃない、
結構汚い官僚的組織みたいなのが魔法少女アイとか以来定番っぽくなったよね
リリカルなのはの時空管理局は逆に組織的な機構の形をした古き良き「魔法の国」で面白い…
と思いきやstrikersでティターンズ顔負けの軍事組織に過ぎない描写だったのは残念だった
155名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 12:58:42 ID:SkJGCboX
最近見たんだがミンキーモモのバットエンド感は異常
156名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 08:54:32 ID:q2pCV1uy
>>154
いっそのこと

妖精族が中心となって世界を治める連邦政府に対して、本土から最も離れた浮遊都市に移住した亜人らが独立戦争を仕掛ける。
開戦当初は亜人らの有する魔法少女によって連邦は苦境に立たされるものの将軍の演説で屈服せず、これに腹を立てた亜人公国総帥は浮遊都市落としを敢行。
人々は亜人公国の行った凶行に恐れおののくのだった。
亜人の電撃作戦により本土の大半を奪われた連邦であったが、独自に魔法少女の開発に成功。
以後、連邦の反攻攻勢に亜人公国は本土各地で敗退し、遂には本土からの撤退を余儀なくされることに……

みたいな具合だったらいいんだよ
157名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 16:37:25 ID:l7Vkswiw
>>156
ガンダム乙
158名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 17:34:55 ID:UpLn2Wje
「諸君、私は戦争が好きだ」
159名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 17:39:11 ID:BFTl1LkF
劇場版魔法少女ネクロちゃんと愉快なマジカルアンデット軍〜「正義や勇気では怨念には勝てない」って今西監督も言ってたー!大行進〜
160名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 19:43:49 ID:nC5BGeu2
>>156
それ亜人間で壮絶な殺し合いが起きてそうだな
161名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 00:21:40 ID:DQ9QLhOb
諸君、私は魔法少女を凌辱するのが好きだ
162名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 01:16:22 ID:s0lB3DVC
凌辱!凌辱!凌辱!
163名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 18:57:42 ID:GMf4Y2FD
>>159
このスレで散った魔法少女がパワーアップして復活し再び散るのなら歓迎する。
164名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 13:39:07 ID:tjgXPfqT
よろしい。ならば、凌辱だ。
165名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 17:44:50 ID:HuscDmxU
>>156
亜人の魔法少女ってどんなんだろ
映画のアバターに出てくるような青色の肌の亜人で、原始的なシャーマンとかネイティブアメリカンみたいな感じ?
166名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 17:58:03 ID:WqbwczF9
>>165
妖精「私たちの世界を救って!!」
と人間を拉致
167名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 18:29:57 ID:HuscDmxU
それで戦いが単なる領地争いでしかないと気づいた魔法少女は友達になった姫様を連れて出奔したり、
魔法の国を包む戦乱にウンザリした妖精の女王によって魔法少女全員が人間界に跳ばされたりするんだな。

で魔法の国出身の魔法少女が食料盗んで飲んだ炭酸飲料にびっくりしたり、下町出身の魔法少女がジャンヌダルクと称えられてこそばゆかったり
168名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 18:50:10 ID:4JMTXWi5
それなんてダンバイン?
169名無しさん@ピンキー:2009/12/13(日) 20:55:47 ID:I9w2jF39
全滅エンドか・・・
170名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 02:53:56 ID:GW3my7bM
>>165
けも耳とか小人族(ホビット!)とか巨人族で成長が早くて背が大人並みとか角生えてたりとか翼が生えてたりとか夜行性だったりとかじゃね?

ガーベラテトラとかドーベンウルフは妖精魔法少女風なんだろうか
171名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 02:54:38 ID:HvvV//uH
いや妖精が一人だけ生き残るんじゃないの?
172名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:21:38 ID:U3x+MEJg
以前、魔法少女が化け物に陵辱されて、MPとHPを吸収されてしまう短いSSを書いた者です。
今度は長いのを書いたので、投下します。
173名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:22:23 ID:U3x+MEJg
俺に、14歳・中学二年生の妹が出来たのは一ヶ月ほど前の事だ。
日本語がおかしい、と思った人もいるかもしれないが、それは違う。
じゃあ、親の離婚・再婚でくっついてきた連れ子か何かかといえば、それも違う。
俺の妹、山門ユキは唐突に我が家に現れた。

その日、学校から帰ってきた俺ににっこりと微笑んで、名も知らぬその少女が言ったのだ。
「おかえり、『お兄ちゃん』」
「へっ!?」
邪気の無い笑顔につられて笑い返したものの、俺は状況が理解できずその場に立ち尽くした。
お兄ちゃんって、どういう事だ?
家には子供は俺一人だけじゃなかったか?
親父の隠し子かなんかじゃ……にしたって、イキナリ馴れ馴れしすぎないか?
どの可能性を検討してみても、納得のいく答えは浮かばなかった。
二本に括った髪に、小柄な体と、大きな瞳、それから少女が着ている白いセーターと焦げ茶のスカート。
どれ一つとして、家の中では見たことのない物だ。
(い、一体、何なんだよ、コイツは……!?)
得体の知れない人物が自分の家に上がり込んでいるのは気持ちのいいものではない。
しかし、目の前の少女の笑顔はただただ無邪気で朗らかで、
だから、俺は少女を問い詰める事もできず、その場で固まってしまった。
ちょうどその時、玄関から伸びる廊下の奥の方、ダイニングとキッチンに通じるドアが開き、母さんが顔を出した。
「あら、タケシ、さっき帰って来たと思ったら、まだそんな所に突っ立って……。ほら、早く中に入りなさい」
「あ、ああ、うん……ところで母さん、コイツ一体どうして……」
そこで俺は、咄嗟に母さんにこの少女の事を尋ねようとしたのだが……
「ああ、今日はユキ、部活が休みだったのよ。それで、さっきまで洗濯やっててくれたのよ。
部活が終わった後もぶらぶらして、家の事を何にもやらない誰かさんとは大違いよ。ねぇ、ユキ?」
「もう、お母さん、あんまりお兄ちゃんに意地悪言わないの」
「え……あ、はぁ……」
あまりに当然のように会話する母さんと少女に対して、俺はそれ以上何も追及できなかった。
だが、仕方なく自室のある二階に上がった俺はさらなる驚愕に見舞われる事となった。
「なんじゃこりゃああああああっ!!!!?」
見慣れた自分の部屋の中、見慣れない机が一つ、さらにもっと見慣れない二段ベッドが一つ。
長年慣れ親しんだ俺のベッドは跡形も無く消え去っていた。
「まさか……もしかして……」
バッと部屋を飛び出し、入り口のドアを確認する。
そこに書かれていたのは……
『タケシ ユキ』
俺の名前のとなりに書かれた、あの少女の名前。
「どうなってる……一体、何がどうなって…!?」
先ほどの母さんと少女の会話を思い出す。
まるで、ずっと以前から家族であったかのような親密な会話をしていた二人。
いや、少なくとも母さんはあの少女、ユキを紛れもない家族と認めている。
『今日はユキ、部活が休みだったのよ』
この言葉は今日以前のユキとの生活がなければ出てこないものだ。
俺がおかしくなっているのか、それとも母さんがおかしいのか?
親父が帰ってくれば、もう少しハッキリするかもしれないが………。
「ていうか、あの娘と一緒の部屋って、どうすりゃいいんだよ………」
再び自分の部屋、もとい俺と見知らぬ妹の部屋に戻り、改めて室内を見回してみる。
同じ型の机と椅子が二つ、ユキのものと思われる机の上には彼女の使っていると思しき教科書の類が並んでいる。
だが、そこで俺はこの部屋の光景に微妙な違和感を感じた。
しばらく考えて、俺はその違和感の正体に気がつく。
「そうか……女の子がいる部屋にしちゃあ、この部屋、それらしいものがないぞ……」
ぬいぐるみだの、可愛らしいキャラクターの印刷された文房具だの、好きなミュージシャンの写真だの、
女の子らしいもの、もしくはそうでなくとも彼女の趣味や嗜好を感じさせるものがこの部屋には存在しない。
ここにあるのは、机やベッドなどの最低限の生活用品だけだ。
年頃の女の子のいる部屋とは到底思えない。
部屋中に漂う、とってつけたような、人工的な臭い。
あまりに突然な出来事に呑まれて自分さえ疑いそうになっていたが、やはりあの娘、どう考えてもおかしい。
俺が正気で、あの娘がこの家に侵入した異分子だとしたら、一体何が目的なのか?
母さんの記憶を書き換えたのだとしたら、その脅威は計り知れない……。
「畜生、兄弟姉妹に憧れた事はあるが、こんな厄介な妹は嬉しくないぞ……」
174名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:23:53 ID:U3x+MEJg
謎の妹の出現に戦慄しつつも、そんなものは関係なしに、部活に疲れた体は休息を要求していた。
とりあえず、制服を脱いで、楽な普段着に着替える事にする。
カッターシャツを脱いでから、肌着が汗でビッショリ濡れている事に気付く。
どうやら、異常事態に直面して冷や汗をかきまくったらしい。
「こりゃあ、シャツも替えた方がいいな…」
呟いて、シャツも脱ぎ捨てて、俺は上半身裸の状態になった。
と、その時である。
ガチャリ。
「ん……?」
「あ……?」
唐突に開いたドアの音に振り返った俺は、その向こうにいた少女、謎の妹ユキと目を合わせてしまう。
何ともいえない気まずい空気。
俺の半裸姿を呆然と見つめながら、ユキの顔が急速に赤く染まっていく。
「ご、ご、ご、ごめん、『お兄ちゃん』……っ!!!!」
バタンッッ!!!!
言いながら、ユキは大きな音を立ててドアを閉める。
「ゆ、夕飯できたから…それで呼びに来ただけだから……ほんとにごめんね、『お兄ちゃん』っ!!!」
そして、それだけまくし立てると、ドアの向こうの気配はドタドタと足音を立てて一階に降りてしまった。
ポカン、とその様子を見送りながらも、俺は考える。
(随分驚いてたが、学校から帰って来た俺が部屋で着替えるのって、別に普通の行動だよな……。
それを予測できなかったってのは、兄妹で部屋を使う生活自体に慣れて無かったって事か…………)
膨らむ疑念。
その一方で、先ほどユキの見せた恥ずかしくてしょうがない、そんな感じの表情を思い出す。
人の記憶を改ざんして日常生活に潜り込む、悪意の侵入者。
あの少女はそういった存在ではないかと勝手に思い込んでいたが、先ほどのあれはどう見ても素の反応だった。
一体、彼女が何者なのか、余計にわからなくなってしまった。
「とにかく面と向かって話して、アイツの尻尾をつかむしかないか……」
もやもやする気持ちを無理に押さえつけて、俺はあの少女の待つ夕飯の席に着くべく、自室を後にしたのだった。

「でもね、最後の最後ってときにトモミちゃんがボールを取りこぼして…」
朗らかな笑顔と、楽しい会話。一つのテーブルを囲んで一家四人で食べる美味しい夕食。
平穏な、本当に平穏な夜。
その全てが、かつての私が守れなかったもの、救えなかったものだ。
「私がなんとかボールを打ち上げて、それをギリギリのところでミユキちゃんが向こうのコートに打ち込んで……ホント、ギリギリの勝利だったんだから」
「凄いじゃないか。相手は半分以上バレー部の部員だったんだろ?」
「うふふふふ…まあね。我がクラス女子の団結力は並じゃないって事で……それに比べて男子ときたら…」
「こら、ユキ、そういう事を言わないの!」
『山門家の可愛い末娘”ユキ”』の話に耳を傾けて、『お父さん』と『お母さん』が嬉しそうに、楽しそうに笑う。
そんな二人の笑顔を見つめながら、私はこの『借り物の平和』の中で、自分が上手く笑えているのか、酷く心配になる。
本当なら、全てを捨てて逃げ出した私に、こんな安らぎを享受する権利なんてあろう筈もないのだから。
それでも私は精一杯に、この平和な世界のごく一般的な少女の演技を続ける。
もう私には振り返る事も、戻る事も出来ない。これだけが、臆病で卑怯な私に残された唯一の道なのだ。
「なんだ?今日は随分とダンマリだな、タケシ?」
「……ん?ああ、そんな事ないよ、父さん」
ふと、右隣から聞こえてきた声に私は顔を上げた。
「どうしたの?いつもはうるさいくらいなのに」
「うるさいだけ余計だよ、母さん」
この家での私の『お兄ちゃん』。
昔から憧れていた兄弟が、こんな形で出来る事になるなんて思ってもみなかった。
ただ、その『お兄ちゃん』の様子が少しおかしい。私の顔を横目でチラチラと見ては、すぐに黙り込んでしまう。
家に帰ってきてからこれまで、『お兄ちゃん』の方から私に話しかけてくれた事はない。
(もしかして、魔法が効いていないんじゃ……でも、そんな事あり得ない…)
頭に浮かんだ疑念を、私はすぐに否定した。
私がこの家に、この街に、この世界に潜り込むために使った魔法は、どんな高度な魔法の使い手であろうと、そう簡単に見破れるものではない。
たとえ、私が城から持ち出した『アレ』を狙って、追っ手がやって来たとしても見つからない自信がある。
だけど……
「『お兄ちゃん』…?」
「…………」
無言で俯いたその横顔に、私は言い知れない不安を感じたのだった。
175名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:25:38 ID:U3x+MEJg
「あら、タケシ、珍しいわね。いつもはすぐに部屋に引っ込んじゃうのに」
「ん……見たい番組があったから…」
夜の11時を回って、俺はまだ居間のソファにだらしなく座って、液晶の画面に映し出されるどこの誰とも知れない芸人のコントを見続けていた。
正直、部屋に戻るのが怖かった。
見知らぬ妹、得体の知れない侵入者、それに気付いているのは俺一人だけだ。
どうにかしてその正体を探ってやろう、そう思う俺がいる一方で、あの少女の存在に怯える心があるのも確かだった。
要は、ビビってしまったのだ。
あの娘と面と向かって話す勇気が無い。
ボンヤリとした不安感の中で全てを先延ばしにしようとしていた俺だったが、ふとあの時、俺の着替えを目撃した『妹』の顔を思い出した。
何かずっとうそ臭さが拭えないあの娘の振る舞いの中で、あの時だけは彼女の素の表情が見られた気がするのだ。
俺の周りにいるのとそう変わらない、ごく普通の女の子の表情……。
(まあ、それだって演技なのかも知れんが、これ以上ウダウダしても始まらないか……)
果たして、階段を登ったその先、”二人”が使う『兄妹の部屋』では何が待っているのやら。
後ろ頭をポリポリと掻きながら、俺はようやく重い腰を上げたのだった。

夕食を終え、入浴も済ませた私は二階の『私と『お兄ちゃん』の部屋』の二段ベッドの一段目にぐったりと体を横たえていた。
『お兄ちゃん』が二階に上がってくる気配は無い。
時計の針の音だけが響く静かな部屋が”あの時”の記憶を蘇らせる。
私が全てを失い、全てを奪い去られたあの場所での記憶がじくじくと私の心を苛む。
そして、ぶり返す淫らな熱と疼きが、私の体に刻み付けられた傷痕を蘇らせる。
「いや…やだ……こんな…こんな所まで来て、まだ私を苦しめるの?」
目を閉じて耳を塞ぎ、必死に”あの時”の記憶から逃れようとする私は、いつしかベッドの上で浅い眠りに、
”あの時”の私が見た阿鼻叫喚に塗れた悪夢の中に引きずり込まれていった。


街を埋め尽くすのはどこまでも黒く、しかし濁った闇。
その中に蠢く無数の異形を光の刃で切り払い、ユキは走っていた。
その身を包む、清らかな純白のコスチュームを汚れた怪物の返り血で汚しながら、彼女はひたすらに敵を倒し続ける。
「まさか…みんなやられてしまったの!!?」
ユキはこの国を守る最強の魔法使い『閃光の十二騎士』の中に若くしてその名を連ねる天才だった。
だが、そんな彼女の冴え渡る魔法も、圧倒的な数の敵の前ではほとんど無力だった。
倒しても倒しても現れる敵の手によって、守るべき街が、仲間が次々にやられていった。

そもそも、この戦いが厳しいものになるであろう事は予想されていた。
だが、こうも簡単に味方の築いた堅固な防衛線が突破された事はあまりにも不可解だった。
その為に、ユキとその仲間達はバラバラに分断され、四方八方からの攻撃を受けて各個撃破されてしまったのだ。
果たして、自分達の作戦に一体どんな穴があったものか。
もはや、眼前の敵に挑む事で手一杯の彼女には想像も出来ない。
「くっ…とにかく、城に戻らないと……このままじゃ埒が開かない」
またも押し寄せる異形の群れに向かって、ユキは光の刃を高く掲げる。
すると、長大な光はユキの手元に集まり、一本の杖へと姿を変える。
ところどころに鮮やかな赤を配された白いステッキ。
各部に散りばめられた六つの宝石からは全て凄まじいまでの魔力が放たれている。
そしてその魔力の迸りは杖の先端に据えられた巨大な赤い宝石へと集まっていく。
これこそが、ユキの使う最大最強の奥の手、必殺の大魔法……
「スプリーム・レインボーッッッ!!!!!」
少女の声と共に放たれた七色の光の津波が、圧倒的な勢いで邪悪な異形を飲み込んでいく。
周囲を囲む敵のど真ん中に作り出した突破口、彼女はまっしぐらに駆けて行く。
そして……
「今だっ!!」
叫び声と共に背中に形成された光の羽で、ユキは空へと舞い上がる。
176名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:27:53 ID:U3x+MEJg
叫び声と共に背中に形成された光の羽で、ユキは空へと舞い上がる。
先ほどの攻撃で進路上の敵はあらかた撃ち落していた。
彼女が目的地へ、彼女達の本拠である城に戻るチャンスは今しかない。
街中のほとんどが敵によって蹂躙されてしまっていたが、遠目に見る限りまだ城にまで敵の手は及んでいないようだった。
城には街から非難してきた多くの住民達が匿われている。
この期に及んで、守るべき無力な人々の命までも失うわけにはいかない。
さらに、城の地下深くに収められた『アレ』が敵の手に渡ってしまえば、この国だけではない。
聖なる魔法に守られたこの世界の全てが、邪悪なる闇の中に沈んでしまう。
「急がなきゃっ!!!」
だが、少女の抱いた儚い希望は、一瞬の後、その眼前で粉々に打ち砕かれた。
「な、何……何なの!!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
街を、国を、その全てを震わせる不吉な地鳴り。
街のいたる所に地割れが起き、その場にいた者を敵も味方もなく深い地の底へと引きずり込んでいく。
地割れはその数を次々と増やし、全てが街の中央、城に向かって割れ目を伸ばしていく。
「そ、そんな……」
そして、呆然とするユキの前にソレは姿を現した。城の直下から地面を割り裂いて現れた巨大な肉塊。
大小無数の触手を持つ禍々しいそのバケモノは、城を内側から破壊しながらその姿を露にしていく。
巨大な肉塊の各所には、街の住人達や城の兵士達、王と王妃をはじめとした王族達…
即ちユキの守るべき全ての人々が触手によって捕らわれ、次々と肉塊の中へ取り込まれようとしていた。
その惨状を目の当たりにして彼女の理性が吹き飛んだ。
「ウアアアアアアあああああああああああああああああっっっ!!!!!!」
光の剣をかざし、無我夢中で巨大な肉の化け物へと少女は突撃する。
勝てるかどうかなど考えていなかった。ただ、目の前のあまりに無残な光景に、何もせずにいる事など出来なかったのだ。
「みんなを放せぇええええええっ!!!!!!」
こちらに向かって突っ込んで来るユキの絶叫に、化け物が反応する。
無数の触手がゆっくりとその先端を彼女の方に向け
『ヴォオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!!!』
おぞましい絶叫と共に、凄まじい勢いで襲い掛かる。
ユキはそれをかわし、あるいは切り払い、少しずつ巨大な肉塊へと迫っていく。
(せめて、誰か一人だけでも助けなきゃ……)
今にも絶望に泣き叫んでしまいそうな心を押さえつけ、ユキはまだほとんど肉塊に取り込まれていない一人の少女へと接近した。
「待ってて!!今、助けるから……っ!!!」
必死に差し伸べたその手に、力なく持ち上げられた少女の手の平が触れた。
ユキはその手をしっかりと握り、少女に纏わりつく触手を断ち切ってその場を離脱しようとする。
だが、その時、ゆっくりと顔を上げユキの方を見た少女の表情に、彼女は絶句した。
「ふあ…あ……まほーつかい…さん?」
「えっ!?」
それはユキが想像していたような、圧倒的な脅威に晒され、怯えきった人間のものではなかった。
「いっしょに…きもちよくなろ」
「あっ…やめ……」
淫らに蕩け切った声と共に、少女の腕がユキの体に絡みつく。そして、少女の行動に戸惑ったユキの動きが一瞬硬直した。
巨大な肉の化け物はその瞬間を逃さなかった。
「…これはっ!!?」
気付いた時にはもう遅かった。肉塊の各所にあった割れ目が一斉に開き、その中から金色の瞳が出現する。
(…これ、全部魔眼っ!?)
その視線に触れたものの心と体を魔力によって侵食し縛り付ける邪悪の瞳。
普段ならばそんなものに遅れは取らなかった筈だが、今、彼女を見つめるその瞳の数はあまりに圧倒的だった。
体の周囲に、コスチュームに、幾重にも施した魔術的防御を力押しで強引に破壊して、魔眼の力がユキを侵していく。
「ひ…や…いやぁっ!!」
「ほら、まほーつかいさんもこっちにきて…」
体から力が抜けて熱く火照り始め、精神の集中が乱れる。
それがさらなる隙を生み出し、ユキの心と体はますます魔眼の力に侵食されていく。
「くぅ…うあ…はなせっ!…はなしてぇ!!!」
力を失ったユキの体を少女が抱きすくめ、さらに幾本もの触手が手足に絡み付いて彼女の動きを封じていく。
触手達の力は恐ろしいほどに強く、魔眼に心と体の自由を奪われかけている今のユキにはそれを振り払う事が出来ない。
それでも必死に逃れようともがき続けるユキの耳朶を、チロリと少女の赤い舌が舐めた。
177名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:30:03 ID:U3x+MEJg
「ひ…や…あなたも正気にもどって…」
「だいじょうぶですよ、まほうつかいさん…こわがらなくてもいいんですよ……だって、ほら…」
「…えっ!?」
不意に少女が肉塊の遥か上の方を見上げた。
それにつられて、ユキも少女の視線を追いかけた。
そこで彼女が見たものは……
「っあ…ひぁあああっ…すごっ…きもちいいっ!きもちいいのぉ!!」
「ほら、いまお前のアソコにたっぷりと射精してやるからな…」
「ひぃいいいいっ…ああっ…にゅるにゅるが…膣内で…暴れて……っ!!」
肉塊の化け物に取り込まれた人々、その誰もが老若男女を問わず、喜悦の表情を浮かべて淫らな行為に耽っていた。
その中には彼らを守る事を任務とする筈の魔法使いや兵士達も数多く混ざっている。
(そうか…みんなこの魔眼の力にやられて……)
邪悪な魔力に心を侵され、全てをこの巨大な怪物に委ねようとしている人々の姿。
その光景はユキの心をどす黒い絶望の色で塗り潰していく。
「みぃんな…きもちよくなって、しあわせになったんです…だから、まほうつかいさんも……んっ」
「んっ…んくっ…んぅ……ぷぁ…あぁ…はぁはぁ……」
呆然とするユキの唇に、少女の唇が重ねられ、ぬらりと侵入してきた少女の舌先にユキは口腔内を想う様に愛撫した。
唇を離すと唾液が糸を引く濃厚なキスに続いて、少女の両手はユキの、まだ膨らみかけの可愛らしい胸に伸ばされる。
「あはっ…まほーつかいさんのむね、ちっちゃいけど、服のうえからでもわかるくらい柔らかくてプニプニしてるぅ……」
「いや…そんな…触らないで…ひぃ…だめっ!…そこ…摘まんじゃ…ああああああああっ!!!!」
必死に拒絶の意思を示すユキの言葉に反して、魔眼に支配された彼女の体は与えられる刺激に従順だった。
少女の柔らかな指先がユキの乳房を揉みしだき、ぷっくりと立ち上がった先端の突起を弄くられると、その刺激は甘い痺れに変わって全身を駆け巡った。
未発達の体を駆け巡る狂おしいばかりの官能に、ユキは背中を仰け反らせ、瞳に涙を浮かべて悲鳴を上げた。
「や…いやあああっ!!…ひぅんっ!!そんなとこ…さわるなぁああああっ!!!」
だんだんと弱っていくユキを追い詰めるように、周囲の触手達までもが陵辱に加わり始める。
大きく肩を露出したコスチュームから伸びる白い腕の上を、触手の先端から出現した舌状の器官が舐め上げる。
幾度も繰り返し、ユキの白い肌の味を確かめるように、細い腕のその腋の下まで余すところなく舌が這い回る。
触手のもたらす得体の知れない感覚は、魔眼によって敏感さを増した神経を襲い、ユキの理性をみるみる内に切り崩していく。
ある触手はすらりと伸びた彼女の脚を、また別の触手はコスチュームの中に潜り込み彼女の臍を脇腹を背中を、体中のありとあらゆる場所を味わう。
津波のように押し寄せる怒涛の快楽の嵐の中で、ユキの心と体は風と高波に弄ばれる一艘のボートに過ぎなかった。
次第に抵抗の気力をなくし、だらしなく開いた彼女の口に、また新しい触手がねじ込まれる。
「んっ!!?んぐぅ…んんぅううううっ!!……んくぅうううううううっ!!!!!!」
先ほどの少女から受けたキスとはまるで違う、太くゴツゴツとした醜悪な触手による蹂躙。
口腔内でイソギンチャクのような無数の舌を展開した触手は、ユキの口の中を徹底的に暴れまわる。
ユキは息継ぎをする事さえ許されず、触手から絶えず分泌される媚薬を含んだ粘液を強制的に嚥下させられた。
だが、苦痛でしかない筈のその行為に、ユキはいつしか倒錯した歓びを覚えるようになっていた。
生物にとって必要不可欠な呼吸の自由さえ奪われて、憎き敵にその身を支配される今の自分の状況に、ユキはたまらない興奮を感じてしまう。
(…こんな…私っ…おかしいっ!!…おかしいよぉ…っ!!!)
残された理性を必死にかき集め、なんとか抗おうとするユキだったが、どうしてもその感情を止める事が出来ない。
圧倒的な数の魔眼に睨みつけられ、その影響下にある現在の彼女には無理からぬ事だった。
いかに優れた魔法の使い手といえど、莫大な敵の魔力に晒されてはひとたまりもない。
それでも、彼女は健気に抵抗を続ける。
触手にガッチリと拘束された四肢に力を込め、その戒めを逃れようともがき続ける。
だが、そんな彼女の心の隙をついて倒錯した屈服の喜悦が、理性を蕩かしていく。
そして、繰り返されるその攻防の中で、彼女の心と体は確実に消耗していった。
「ひひゃあぅ…くぅんっ!…ひぃい…ああ、そこ…ひあああああっ!!!」
178名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:31:34 ID:U3x+MEJg
泣きじゃくり、髪を振り乱し、快楽の泥沼の中でユキは絶叫し続ける。
魔眼の力に侵食された体はいまや一個の快楽器官だ。
その名の如くに白い肌を薄桃に上気させて、ユキの体は怪物に嬲られる歓びを表現していた。
「あはは…まほーつかいさん、まだいれられてもないのにすごくキモチよさそう…ホントにびんかんなんだね」
「い…やだぁ…おっぱい…もうそれ以上やめ……くひああああああああっ!!!!」
少女は懇願するユキの声には耳を貸さず、彼女の両乳首を一息に摘まみ捻り上げる。
そのまま、ユキの胸を激しく責め立てながら、少女は再びユキと唇を重ね合わせる。
触手の生臭い淫液に汚されたユキの口腔内に構わず舌を差し入れ、呼吸の続く限界まで舌を絡み合わせる。
唇を離した直後に、肺に空気を取り込む事で頭がいっぱいになっているユキの心の隙を突いて、さらに少女は攻撃を続ける。
「ひっ…!?」
今度は少女の唇が無防備なユキの首筋に吸い付いた。
何をされたのか、その刺激にどう反応していいのか、何もわからずに硬直してしまったユキの首筋を少女の舌先が滑り降りていく。
さらに鎖骨にしゃぶりつき、うなじを舐め上げて、少女の舌はユキにたまらない官能を与え続ける。
「はひ…も…や…いやぁ…やめてやめてやめて、おねがい正気に…ひっくぅ…くぁあああっ!!」
「あは、わたしたちをまもってくれてた、まほーつかいさんがこんなに可愛かったなんて…なんだかウレシクなっちゃうな…」
少女の責めが続く間も、触手はユキへの攻撃を休まない。
彼らは彼女の体の中でも特に敏感な背中と、太ももの内側を丹念に舐め回し続ける。
長い間責められ続けて、神経が焼ききれんばかりの刺激を味わったその部分は、もはやそれを快楽と感じる事さえ出来ない。
ただ間断なく襲い掛かる激しい刺激の波に、ユキは何度も全身を痙攣させた。
やがて、ユキの力をほぼ無力化できた事がわかると、触手達は次なる行動に移った。
「いや…ふく…やぶかないで…おねがい……」
触手達はユキのコスチュームのいたる所を引っ張り、可憐なその衣装をビリビリと引き裂いていく。
本来、物質化した魔力で作られた魔法使いの戦闘服は物理・魔術両面においてとてつもない防御力を誇る。
だが、無数の魔眼から放たれる膨大な魔力に晒され続け、触手の粘液でグチャグチャに汚されたコスチュームにかつての強度は無かった。
スカートが、マントが、そして彼女の大事な部分を守るショーツが破かれていく。
まるで水に濡れた紙のように無造作に引き裂かれるそれを、ユキは呆然と見ている事しか出来ない。
(ああ…もう私駄目なんだ……)
彼女の右手で、同じく魔力によって形成されたステッキが枯れ木のようにへし折られるのが見えた。
自らの力が失われていく様を見せ付けられて、ユキの心の中に必死に押さえつけていた諦観が頭をもたげ始める。
やがてユキの杖は粉みじんに打ち砕かれ、コスチュームは一部の切れ端がかろうじて体にへばりついているだけの状態になった。
魔法使いにとって戦闘服を失う事は、その防御力の全てを失うのと同義である。
今までコスチュームに守られていたユキの柔肌に、今度は直接、魔眼の力が降り注ぐ。
「ひぃ…あああああっ!!…からだ…熱い…燃えちゃうよぉおおおおっ!!!!」
弱りきったユキにとって、魔眼の眼差しはそのまま、神経を快楽で焼き尽くす劫火となった。
細くしなやかな肢体をくねらせて、ユキは己の身を焼く快楽の炎の中で悶え苦しむ。
それを見つめる魔眼達は彼女のその姿に満足げな色を浮かべた。
そして、彼らの視線はやがて、コスチュームを奪われた事で露になった、ユキの最も敏感な場所に集まる。
「いやっ!!見ないでっ!!!そこ…だめ…いやなのぉおおおおおっ!!!」
彼女の両脚の隙間、大事に守られたその場所を、魔眼の眼差しが徹底的に苛む。
既に十分に濡れていたその場所だったが、魔眼の力を一点集中で照射されて、濃厚に香る少女の愛蜜が溢れ出て止まらなくなってしまう。
触手達は待ちわびた瞬間の到来に歓喜し、彼女の細い脚をゆっくりと開き、鮮やかなピンクの花弁を露にさせる。
「…あ…ひっく…くぅ…も…やめて…おねがい、やめて……ひ…はぁあああっ!!!?」
ほとんど思考能力を失い、うわ言のように許しを請うユキの耳朶を背後から抱きすくめる少女が甘噛みする。
「だいじょうぶですよ、まほーつかいさん…そのおとしだと、きっとはじめてでしょうけど、みなさんにおまかせすればちっともいたくないんですから……」
自分が処女を触手に奪われたときの事を思い出しながら、少女はうっとりとユキの耳元に囁いた。
179名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:33:04 ID:U3x+MEJg
「ただ、ものすごくきもちいいだけですから…いままでのなんて、くらべものにならないくらい、ものすごくきもちよくなれるんですから……」
「いやぁ…そんな…これ以上されたら…わたし、狂っちゃう……」
「くるっちゃえばいいんですよ…ほかのまほーつかいさんたちも、まちや、おしろのみなさんも、みんなこうやってきもちよく、しあわせにしてもらったんですから…」
やがて、鎌首をもたげた触手の一本がユキのアソコにあてがわれた。
ぬるりと粘つく粘膜の感触が、彼女の意思とは関係なく、これから始まる更なる快楽に体を撃ち震わせる。
ドキドキと心臓は早鐘を打ち、思考は薄靄がかかったようにハッキリしない。
『やめてっ!!!!』、そう大きな声で叫びたいのに、今のユキの口からは情けない力の抜け切った声しか出てこない。
「だめ…だめなの……」
それでもうわ言のように拒絶の言葉を口にし続けるユキの意思を無視して、ついに触手は彼女の秘裂に挿入された。
「あっく…うあああっ!!…ひぃ…だめっ…だめええええっ!!!!」
ユキのまだ幼いアソコにはあまりに大きすぎるその触手は、肉を割り裂き、破瓜の血に塗れて強引に彼女の最も奥の部分まで到達する。
そして、息をつく暇もなく始まる、激しいピストン運動。
「うあっ…ぐっ…ひっぐぅうううううっ!!…うあ…うあああああっ!!!!」
ユキの胎内に、嵐が荒れ狂う。
暴れまわる触手は肉を抉り、粘膜をズタズタにして、膣道を蹂躙する。
だが、本来苦痛にしかなり得ない筈のその暴力的行為に対しても、今のユキの体は快感しか感じる事が出来ない。
魔眼によってすっかり飼いならされた体が、触手のもたらすあらゆる暴力を受け入れてしまうのだ。
「ひや…やら…ぐぅ…こんなのが気持ちいいなんて…いやっ…いやぁああああああっ!!!!」
ユキは荒れ狂うその狂気じみた快楽に、心の底から恐怖した。
体を内側から破壊されるような行為を求めるまでに変化してしまった自分の肉体が恐ろしかった。
膣奥まで到達した触手がさらに子宮口にその先端をねじ込む。
子宮の内部から膣の入り口まで、強烈で長大なピストンを繰り返されて、ユキの体が人形のように踊る。
その激しさのあまり、突き上げられる毎に彼女の平らなお腹が内部の触手の形に盛り上がり、波を打って歪められた。
そして、ユキへの陵辱は肉体への激しい責めだけでなく、精神面からもじわじわと進められていく。
(だめ…こんな事…受け入れちゃ駄目なのに…それなのに、私……)
魔眼の力がユキの思考を着実に狂わせていく。
徹底的に破壊され、怪物の従順な奴隷へと変えられていく自らの肉体。
圧倒的な絶望と敗北感。
だが、自分の心の中にそれを喜んで受け入れようとする気持ちが生まれようとしている事に気付き、ユキは慄然とする。
それはユキの心の内側からそっと囁いてくる。
この破壊に身を委ね、仲間や守るべき民と共にこの醜悪な化け物の一部となる事こそが、自分にとってこれ以上ない幸せなのだと。
その声は言いようのない恍惚感と共に押し寄せ、ユキの心を侵食していく。
必死で正気を保とうと堪えるユキだったが、狂おしい快楽の中で何が正しくて何が間違っているのか次第に分からなくなっていく。
「ひゃめ…も…へんになる…わたし…へんになっちゃうぅううううっ!!!!」
戦う力を失い、無力な少女と成り果てたユキの体を、触手は幾度となく突き上げる。
その度にこみ上げる快楽に顔を悩ましげに歪ませ、悶え泣く憐れな魔法少女の姿を魔眼達は見つめ続ける。
その瞳に浮かぶのは歪んだ喜びの色だ。
純粋無垢な一人の少女を、淫らな肉の奴隷に変える事にこの怪物はたまらない喜悦を感じているのだ。
180名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:33:37 ID:U3x+MEJg
「うあ…まほーつかいさん…すごくきもちよさそう……ん…ぴちゅくちゅ…んんっ…」
「んぅ…はぁはぁ…おああっ…あっ…また…そんなにかきまぜられたら……っ!!」
背後にしがみつく少女からのキスにも、ユキはもう抵抗を示さない。
触手が膣内を突き上げ、うねり、攪拌する度に、ほとばしる狂気じみた快感がユキの意識をズタズタに切り裂いていく。
全身に魔眼の魔力を浴びせかけられ、胸を臍を背中を腋の下を、体中のあらゆる場所を触手に愛撫される。
襲い来る敵に果敢に立ち向かった魔法少女の精神は、圧倒的なまでの快楽によって押し潰されようとしていた。
口からはだらしなく涎を垂らし、邪悪な魔力に侵された肉体は正常な機能を失い、破壊的なまでの触手の責めに打ち震えるばかり。
もはやユキは、この国の住民の全ては、巨大で醜悪な肉の怪物に用意された餌であり、玩具でしかない。
「ひっ…はひっ…ひぐぅううっ!!おなかのなか…きもちいいのあばれて…も…だめっ…だめぇええええっ!!!!」
ユキはもうこの押し寄せる快楽の荒波に抵抗の意思を示す事さえ出来ない。
はしたなく声を上げ、淫らな色に表情を蕩けさせ、自分の体に打ち込まれる肉の杭の味わいに歓喜する。
心の底で強く誓った筈の使命が、魔法使いとしての誇りが、純真な少女の想いが、一突きごとに壊され崩れ去っていく。
そうやって空っぽになっていくユキの心の中に、代わりに流し込まれていくのは、この怪物の慰みものとなり、その身の全てを捧げる事への悦びだ。
「ひぃ!!ああっ!?…だめ…なのに…きもちよすぎて…きもちいいのがすごすぎて…わたし…わたしぃいいいっ!!!」
それが地獄への一本道である事は分かりきっているのに、ユキは変わっていく、変えられていく自分を止める事が出来ない。
彼女のなけなしの理性は、触手に突き上げられる度、子宮からこみ上げてくる本能的な快楽によって真っ白に塗り潰されてしまう。
魔眼に支配された体は貪欲なまでに、ただ触手の与える肉の悦びだけを求め、清らかだった乙女を肉欲塗れの情婦に変えていく。
いつしかユキは、最初はあれほど抵抗を示していた少女とのキスをも積極的に望むようになっていった。
「ひぅ…んんぅ…んぷ…くちゅ…ぴちゃ……もっとぉ…もっと私の唇、犯して…お願いだから…」
「うふふ…やぁっとスナオになってくれたんですね…まほーつかいさん…」
少女は微笑み、ユキの求めるままに彼女に幾度となく唇を重ね、舌を絡み合わせて、お互いの唾液を思う存分味わった。
暴れ続ける触手に下半身をビクビクと震わせ、同性のキスの悦楽に頭の芯まで溶かされていくユキ。
そこにはもう、かつての勇敢な魔法少女の姿はなかった。
「あはぁああっ!もっと…犯してっ!!私がめちゃくちゃに壊れちゃうまで…犯してっ!…犯してぇえええええっ!!!」
既に人間の肉体と心が耐えられるレベルを遥かに越えた快楽を与えられながら、ユキはさらなる肉悦を求めてしまう。
触手達は壊れ切った憐れな少女の懇願に応えて、さらに激しく彼女の膣内を犯し抜いた。
獣じみた嬌声を上げながら、粘液に汚され、涙と汗と愛蜜に塗れた少女は破滅的な快楽の中に呑み込まれていく。
そしてやがて、荒れ狂う快楽の泥流の中で、溺れ喘ぐ憐れな魔法少女の心と肉体は圧倒的な絶頂感の中で完膚なきまでに打ち砕かれた。
「ひっぃいいいっ!!ひぐぅ!!いくぅうううううっ!!!きもちいいのすごすぎて…わたし…イっちゃうのぉおおおおおおおっ!!!!」
彼女の短い人生の中で、これまで体験した事もなかったような、恐ろしいまでの快感が炎となってユキを内側から焼き尽くしていく。
そして背中を弓なりに反らし、ガクガクと痙攣する彼女の膣奥と子宮にめがけて、触手はありえないほどの量の精を放った。
ユキは自分の胎内を熱く粘つく穢れた濁流が洗い流していくのを、歓喜の表情で受け入れる。
「うあ…ああああああああっ!!!…でてるっ!!…熱いの…たくさん…いっぱい…私の膣内に流れ込んでくるぅううううっ!!!!」
長い長い射精を終え、ユキのアソコからようやく触手が引き抜かれると、放たれたばかりの精液と破瓜の血が混ざり合った赤と白の汚液が入り口からドクドクと零れ落ちた。
「ひ…あひ…うぁ……あ…しょくしゅ…すごいの……」
その光景を呆然と、まるで他人事のように眺めながら、ユキは空ろな声で呟いた。
そこにはもはや、国と民を守る誇り高き魔法少女の姿は欠片も残されていなかった。
181名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:35:02 ID:U3x+MEJg
それからどれほどの時間が経っただろうか?
ユキは触手に運ばれ、巨大な肉の怪物の背中の辺りまで移動していた。
(…これから私、どうなるんだろう?…こいつらは一体、何を考えているんだろう……?)
触手に陵辱され尽くしたユキはボンヤリと霞む頭で考えていた。
その答えは、やがて彼女の辿り着いた先、肉の怪物の直上、かつて城が存在した場所までやって来た時に明らかになった。
そこにあったのは、周囲の肉の海とは異質な、白い石で作り上げられた巨大な祭壇だった。
その中央の石柱に封印されているものを、ユキは知っている。
(そうか…『アレ』が狙いだったんだ…考えてみれば当然の話か……)
彼女達魔法使いが、国や民と共に何においても死守しなければならないもの。
それが奪い去られようとしているというのに、ユキの心にはもう何の感情も湧いてこない。
ただ、纏わりつく触手のねっとりとした責めが心地良く、それ以外の何一つとして考える事が出来ないのだ。
周囲には仲間の魔法使い達、最強と謳われた『閃光の十二騎士』達が同じように触手に捕らわれ、ある者は犯され、ある者は我を忘れてまぐわい合っていた。
(そっか…みんなもやられちゃったんだ……)
仲間の全てが肉の僕に変えられたという絶望も、今のユキにはさらなる快楽を生み出すスパイスにしかならない。
やがて、中央の祭壇に飛行魔法を使って長身の男が舞い降りる。
黒いローブを身にまとった姿、目深に被ったフードの為に顔の判別がつかない事が余計にその不気味さを増幅させていた。
(あれが…復活の儀式を行う神官……)
ユキにはこれから行われる事が手に取るように分かった。
祭壇の石柱に封印されているのは、かつてこの世界を脅かした邪神の肉体から、その力だけを切り離して結晶化させた『禍の宝珠』と呼ばれるアイテムだ。
永遠不滅の邪神といえど、その力を奪われては木偶人形も同然だ。
邪神の復活を目論むユキ達の敵からすれば、何としても取り返さなければいけない物である。
そして、『禍の宝珠』を祭壇の封印から解き放つために必要な鍵が、ユキをはじめとした『閃光の十二騎士』の体に刻まれた印なのだ。
「今こそ、我等が神の力と栄光を、再びこの世界に……」
神官の男の言葉と共に儀式が始まる。
男が掲げた黒い宝石から放たれた闇色の光が、ユキ達『閃光の十二騎士』の姿を照らし出す。
すると、凄まじい激痛と共に、ユキの胸の辺りに複雑な文様で描かれた印が浮かび上がり、不気味な光を放ち始める。
(ああ…これで終わるんだ……この世界の何もかも、全部が終わっちゃうんだ……)
心の中、ユキが呆然と呟く。
だが、次の瞬間、彼女は妙な事に気付いた。
祭壇を囲む仲間たちの数が、何度数えてもユキを含めて十一人しかいないのだ。
(どうして?…それじゃあ、いくら頑張っても封印は解けない筈なのに!?)
だが、彼女が頭を悩ませるまでもなく、その疑問の解答はすぐに目の前に示された。
それは、これだけの地獄を味わったユキにも、想像もできなかった悪夢のような真実……。
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!」
絶叫と共に、十二個目の印の光が空に向かって放たれる。
その場所は、中央の祭壇の上、黒いローブの男の胸元。
やがて、空中で一つに重なり合った十二の光は爆発的な魔力を生み出し、周囲に凄まじい爆風を巻き起す。
そして、封印の解けかけた石柱から迸り出たエネルギーの奔流が、その顔を隠していたフードを吹き飛ばした。
それを見た瞬間、ユキの思考は真っ白に弾けとんだ。
「…なんでっ!?…どうして貴方がっ!!!!」
ユキは理解した。
呆気ないほど簡単に突破された防衛網。
幾重もの結界で守られていた筈の城を誰にも気付かせぬまま内側から破壊した肉の化け物の存在。
それら不可解に対する、最悪の解答。
「…貴方が…閃光の十二騎士の筆頭である貴方が、皆を裏切り、全てを動かしていたというんですかっ!!!!」
涙で頬をぐしゃぐしゃに汚しながら、ユキは叫んだ。
その声に応えるように、男がゆっくりとユキの方を向く。
「あれだけの肉の責めを受けて、まだ正気を残していたとは……流石は私の弟子だよ、ユキ……」
男はユキの記憶と寸分違わぬ穏やかな笑顔で、そう語りかけてきた。
182名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:36:12 ID:U3x+MEJg
瞬間、ユキの中で何かが音を立てて壊れた。
常にその傍らですごし、慕い敬い続けた最高の魔法使い。
勇気と智恵と優しさを兼ね備えたその人柄を、誰よりも尊敬し、信頼していた。
誇るべきわが師。
彼こそがこの惨状を引き起こした、全ての元凶だったのだ。
「うわぁああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」
黒雲に覆われた空に、ユキの絶叫が響き渡る。
瞬間、ユキの体から爆発的な魔力が迸り、触手を吹き飛ばした。
今の今まで捕らわれていた肉欲の地獄より、さらに耐え難い現実を突きつけられた事が、彼女の残り僅かな魔力に火をつけたのだ。
だが、ユキのその姿を見ても男はまるでうろたえない。
「そうだな…。お前は昔から、本当に良くできた弟子だったものな」
全ての魔力を光の刃に変え、全力で突撃してくるユキ。
男はそれを迎え撃つべく、杖に魔力を集中させ、いくつもの魔力の弾丸を作り出す。
「アウクモス師匠っっっ!!!!」
「さようならだ。私の可愛い愛弟子……」
一斉に放たれた魔力弾は、複雑な軌道を描きつつその全てがユキの急所へと襲いかかる。
所詮、火事場の馬鹿力で一時的に魔力を蘇らせただけのユキに、それを防ぐ術などない筈だった。
だが……。
「あなたの好きにはさせないっっっ!!!!」
横なぎに払われたユキの魔力の刃、それはブーメランのように彼女の手から放たれた。
だが、彼女が狙ったのは裏切り者アウクモスではない。
彼の傍らにある、『禍の宝珠』を収めた石柱を、真っ二つに切り裂いたのだ。
「何っ!?」
ユキの思いもかけない行動に、アウクモスは初めて動揺を見せる。
封印を解かれた『禍の宝珠』はその凄まじいまでの魔力をあたり一面に撒き散らした。
その衝撃波は、もう少しでユキに命中する筈だった魔力弾さえも簡単に消し去ってしまう。
「なるほど…ユキ、考えたな……」
アウクモスが感心したように呟いた。
邪神の力は、石柱の封印を解いただけでは解放されない。
そこからさらに、『禍の宝珠』を破壊し、そこに収められたエネルギーを解き放って、初めて邪神は復活する事が出来るのだ。
「宝珠は渡さないっ!!!」
宙に伸ばされたユキの手が、封印から解かれたばかりの『禍の宝珠』を掴み取る。
しかし、アウクモスが慌てる事はない。
「そこまでは上出来だ。だが、それを持ってどこへ逃げようと言うのかな?」
触手によって徹底的に魔力を搾り取られ、先ほどの攻撃でその最後の一滴までも使い果たしたユキにはもう余力はない。
しかも、今彼女が立っているのは巨大な肉の怪物の背中の上、よしんばそこを逃れても街には無数の怪物達が蠢いている。
今のユキに、この十重二十重の囲みを破るだけの力は残されていない。
「よく頑張ったね、ユキ……出来れば、最後まで私の手元で育てたかったが……」
アウクモスがユキに向けて右手をかざす。
身寄りの無い子供として、孤児院で生活していた彼女に魔術の才を見出し、
自分の下へ来るようにと差し伸べてくれたのと同じ手が、今度はユキの命を奪おうとしていた。
(師匠…っ!?…やっぱり、これまでなの…?)
先ほどは宝珠の封印解放の余波で難を逃れたが、今の彼女には『閃光の十二騎士』最強の力を持つ、師の攻撃を防ぐ術はない。
ユキは体を強張らせ、一瞬の後に訪れるであろう凄まじい衝撃に身構える。
だが、その時、ユキの身に思いもよらない事が起こる。
「えっ!?…宝珠が!!?」
突然、宝珠から放たれる魔力の量が爆発的に増加した。
荒れ狂うその力は大地を揺さぶり、天を震わせる。
「暴走しているのか?……まさか、先ほどのユキの魔法の影響か…!?」
ほとんど解除しかかっていたとはいえ、強固な封印を施された石柱を割り砕いたユキの魔法。
その凄まじい魔力が、宝珠の中に眠るエネルギーを引き出す呼び水になったのだとしたら……。
「一体、何が……っ!?」
戸惑うユキの目の前で、宝珠はその荒れ狂うエネルギーを遥か上空に向けて放出した。
その莫大な魔力は空間を軋ませ、ついには空のど真ん中に獣のツメで引き裂かれたような巨大な裂け目を出現させた。
そして次の瞬間、ユキの体は輝く稲妻に変わり、その裂け目へと吸い込まれていった。
ユキの姿が消えた後、空の裂け目はみるみる小さくなり、高位の魔術師でなければ見つけられないような、僅かな痕跡を残して消滅してしまった。
残されたアウクモスはただ呆然とその光景を見つめていたが
「くくっ…はははっ…くははははははっ!!!!」
突然、大きな笑い声を上げてその場に座り込んだ。
183名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:37:03 ID:U3x+MEJg
「素晴らしい…素晴らしいよ、ユキ…君は図らずとはいえ、あの宝珠の力さえも解放してしまったんだ!!」
その顔に浮かぶのは、まるで新しい玩具を見つけた時の子供のような、本当に楽しげな笑顔。
「約束しよう、ユキ…君がどんな時空の果てに飛ばされたのだとしても、私は必ず迎えに行く。ああ、必ずだともっ!!!」
魔獣の軍勢によって滅び去った街の空に、アウクモスの笑い声はいつまでも響き渡り続けた。

そして、ユキはこの世界にやって来た。
ほとんど丸裸で夜の街に倒れていたユキが目を覚ましたとき、彼女をまず襲ったのは言い知れない恐怖だった。
崩壊していく城、陵辱される住民と仲間達、巨大な怪物の圧倒的な力………そして、目の前が真っ暗になるような、信じ難い師の裏切り。
『禍の宝珠』を奪わせまいと張り詰めていた緊張の糸が切れた途端、彼女の心を悪夢のようなその記憶が押し潰した。
彼女は立ち上がり、その場から走り出した。
もしかすると、自分が通った時空の穴の痕跡を頼りに、高位の魔術師によって追っ手が送り込まれてくるかもしれない。
それはユキにとって、あの地獄の中に舞い戻るのとほとんど同じ事を意味していた。
もう戦いたくない。
逃げ出したい。
堪えていた感情が溢れ出し、ユキは見知らぬ街の中を無我夢中で逃げ回った。
恐怖でいっぱいになった彼女の思考は、一緒に時空の穴を越えたはずの『禍の宝珠』がいつの間にか消え去っている事にも気付かなかった。
逃げて、逃げて、逃げ続けて、ユキの心が落ち着き始めたとき、彼女はようやくそこが自分の元いた世界ではない事に気が付いた。
見慣れない建物、乗り物に音楽、それらに呆然とした後、彼女は一つの決断を下した。
逃げるのならば、徹底的に。
魔法を使えば、この世界の情報を得る事も、この世界の住人に紛れ込むのも造作のない事だ。
(そうだ。私はここで生きよう……。元の世界の事も何もかも忘れて、見捨てて、この世界の人間として生きるんだ……)


俺がようやく部屋に戻ったとき、既に中の電気は消され、『妹』・ユキは二段ベッドの一段目ですぅすぅと寝息を立てていた。
「面と向かって、一対一で問い詰めてやろうかと思ってたんだが、これじゃあ無理だな…」
ユキとの対決を考えて身構えていた俺の体からどっと一気に力が抜ける。
俺は机の上のスタンドのスイッチだけを入れて、自分の椅子に座った。
改めて、俺は視線の先に横たわる少女の姿を見つめた。
ごく普通の、どこにでもいそうな、可愛いくて小さな女の子。
傍から見ている分にはそうとしか思えない。
ただ、俺の頭がおかしくなったんじゃなければ、俺の記憶が正しいのならば、この娘は明らかな異物だ。
父さんや母さん、もしかすると街中の人間の記憶さえ操って、この家に潜り込んだ得体の知れない怪物なのだ。
ただ、目の前で眠る少女はあまりにも儚げで、不用意に触れれば途端に消えてなくなってしまいそうで……
「一体、俺の家族はどうなっちまったんだ?」
俺はベッドの脇に方膝をつき、『妹』の寝顔を覗き込んだ。
そして、そこで俺は気付く。
「なんだ?うなされてるのか?」
ユキの小さな桃色の唇から、か細く苦しげな声が小さく漏れ聞こえてくる。
何を言っているのかは聞き取れないが、額に汗を浮かべ怯えた表情でうわ言を繰り返すその様子から見て、
あまり良い夢を見ているとは言えないようだ。
不意に、ユキの瞼に閉ざされた瞳の端から、一粒の涙が零れ、白い肌に跡を残して流れ落ちていった。
そして、それが合図であったかのように、次から次へと零れ落ち、ユキの顔を濡らしていく涙。
俺はそれをただ見ている事が出来なくて、右手を伸ばし少女の頬を濡らした涙を拭い去った。
それから頭を二度三度と撫でてやる内に、ようやくユキの心は落ち着きを取り戻したらしく、涙は止まってくれた。
それを見てホッとしている自分に気付いて、俺はますますこの少女の事がわからなくなってしまったような気がした。
「本当に、お前は何者なんだ、ユキ?」
最後にそう呟いてから、俺は自分の寝床、二段ベッドの上の段の方へと上っていった。

「……って、二段ベッドの上、高ぇ!怖えぇ!!」
184名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:37:59 ID:U3x+MEJg
底なし沼のような悪夢の中から私を救い出してくれたのは、まだろくに言葉を交わした事もない『お兄ちゃん』の手の平だった。
優しく頬を撫でるその感触に、夢の中から引っぱり上げられた私はしばらくの間何も考えず、その優しい温もりに身も心も委ねていた。
だが、『お兄ちゃん』は私の元から立ち去る直前、こんな事を言ったのだ。
『本当に、お前は何者なんだ、ユキ?』
どういう理由かは分からない。
だが、『お兄ちゃん』が私の魔法の影響を全く受けていない事は確実だった。
だけど、本当なら憂慮すべきその事実を前にしても、私の心は意外なほど穏やかだった。
(どうしてだろう?私の事を疑ってるのなら、さっきはどうしてあんな事を……?)
『お兄ちゃん』に魔法が効いていないのだとすれば、向こうから見れば私は突然家に上がりこんできた赤の他人という事になる。
実際、家に帰ってきてからの『お兄ちゃん』の、私に対する態度は非常によそよそしいものだった。
それは突然自分の家に紛れ込んだ得体の知れない侵入者に対する態度としては、至極当たり前のものだと思えた。
それだけに、わからなかった。
(さっきはどうして私の事を撫でてくれたの……?)
私の事を疑いながらも、私が零した涙をその手の平で拭い、頭を撫でてくれた『お兄ちゃん』。
その温もりは今も消え去らず、恐怖に押し潰されそうだった私の心を落ち着けてくれている。
ともすれば私の正体が見破られ、居場所を失ってしまうかもしれないというのに、
私の心はあの絶望的な敗北以来、初めてと言っていいほどの穏やかな気分の中にあった。
やがて、頬に残った『お兄ちゃん』の手の平の感触に導かれるように、私は再び眠りに落ちていった。
もう、あの時の事を悪夢に思い出すような事はなかった。

ドガシャァアアアアアアアアンッッッ!!!!!!
翌朝、まだ深い眠りの中にいた私を覚醒させたのは、部屋中に轟いたその轟音だった。
「な、な、何……!?」
ベッドの上に起き上がった私は恐る恐る音のした方に視線を向けた。
そこにあったのは、体中の関節があらぬ方向にひん曲がった、あまりに無残な『お兄ちゃん』の姿。
「…も…二段ベッドはらめぇ……落ちるの…怖いのぉ……」
『お兄ちゃん』のか細いうめき声が聞こえた。
どうやら、『お兄ちゃん』の寝相はよほど悪かったらしい。
ベッドの脇に据え付けられた柵を乗り越えて、床の上に落下してしまったようだ。
「お、お、お、『お兄ちゃん』大丈夫っ!!!!」
私は慌てて『お兄ちゃん』に駆け寄り、ぐったりとしたその体を助け起こした。
こうして、昨夜悩んだ事も頭から吹き飛び、慌しくも新しい一日が始まった。

その日一日、俺は突然現れたあの『妹』、ユキの事ばかりを考えていた。
おかげで授業の内容も耳に入らず、ずっとボンヤリして過ごす羽目になったのだが、何故だか誰からもそれを怒られる事は無かった。
やがて、授業も全て終わり待望の放課後がやって来た。
ユキの事は気がかりだったが、今の俺にはやるべき事がある。
剣道部の団体戦レギュラーメンバーである俺は、個人的な事情で悩みに浸る事の許される身分ではないのだ。
「さぁて、今日もビシッと練習して、この妙な気分も振り払わないとな!」
俺はそう言って、校舎の西側にある武道館まで走って行った。

「山門の首、明らかに45度ほど傾いてたよな?」
「何かあったのかな?交通事故にあったとか……」
「かもしれねえなぁ、授業中もずっとぼーっとしてたし、ありゃ相当の重傷だろ」
「先生達も気を遣って、授業で山門にだけは当てないようにしてたしね」
「てか、あんな状態で練習とか、アイツ、正気なのかね?」
185名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:38:55 ID:U3x+MEJg
ゴキッ!バキボキッ!!メリメリッ!!グシャッ!!!
「ぐぎゃああああああっ!!!!痛い痛い痛いぃいいいいいっ!!!!」
首元で鳴り響く、人間の体から出たとは思えない異音と、凄まじい激痛に俺は悲鳴を上げた。
「よし、これで取りあえずは大丈夫。私に整体の心得があって、本当に良かったですよ、山門くん」
「は…はい、ありがとう…ございました……」
今朝方、二段ベッドから落ちて滅茶苦茶になってしまった俺の体中の関節。
遅刻スレスレだった俺は心配しる母さんの声も振り切って学校まで自転車を走らせた訳だが、
我が剣道部の顧問の老教師、剣道に限らずありとあらゆる武道の達人である南条先生の目は誤魔化せなかったようだ。
というか、首が斜め45度に傾いてても、気付かずに授業を受けていた自分自身の鈍感さもかなりの物だったのだが。
「とにかく、これで練習に専念できる訳ですね。少し遅れちゃいましたけど、すぐ部室で着替えて来ますから」
「駄目ですよ、山門くん」
「はいっ?」
「さっきの痛みをもう忘れたんですか?君の体はボロボロです」
オデノカラダハボドボドダ?
「顧問として、今の状態の君に練習を許す訳にはいきません。今は早く復帰できるように、体を休めてください」
思わず反論しようとした俺だったが、あくまで穏やかな先生の瞳に見据えられて何も言えなくなる。
先生の話は筋が通っている。
ここで俺が焦りに任せて練習して、万全な状態で試合に臨む事が出来なくなれば、それこそ目も当てられない。
「すみません。俺の考え足らずでした」
「わかっていただければいいんですよ、山門くん」
「それじゃあ、今日は俺、これで失礼させていただきます」
最後まで笑顔で俺を見送る南条先生に一礼して、俺は武道館を立ち去った。
(しかし、急に暇が出来ちゃったな。さて、これからどうしたものか……)
正直に言うと、今の俺の心境としては、家には少し帰り辛かった。
剣道の練習の事が頭から抜けるのと同時に、あの少女・ユキの事がまた気になり始めたのだ。
得体の知れない謎の人物、本来ならばもっと警戒してもいい筈の相手。
だが、俺の頭の中には、昨夜見た彼女の涙が、苦しげな表情ばかりが何度も蘇ってしまう。
こんな気持ちのままで家に帰る気分にはなれなかった。
「図書室で勉強でもして帰ろうか……。いや、そう言えば今日は図書委員総出で大掃除をやってるんだったか」
どうにも、今の俺には安心して腰を落ち着けられる場所は与えられないようだ。
家も駄目、剣道部も駄目、図書室も駄目……。
しばしの思案の後、俺はあの場所へ向かう事を決断した。
「あんまり顔は出したくないんだけど、もしかしたら今回の事で何か相談できるかもしれないし……」
そう言ってから、俺は”あの部屋”へと足を向けたのだった。

やたらと練習がハードな剣道部に所属している俺なのだが、実はもう一つ別のクラブと掛け持ちをしている。
文化部部室棟の一番端っこのドアの前に俺は立っている。
西日に照らされたプレートには妙に達筆な文字で『民俗文化・考古学研究部』と書かれている。
この名前が額面通りならば、これ以上喜ばしい事はないのだが……。
「はぁ……」
軽くため息をついて、俺はドアノブに手を掛けた。
「失礼しまーす」
ドアを開けた瞬間、室内に滞っていたかび臭い空気が部屋の外に流れ出してくる。
いくら換気と掃除を繰り返しても、この空気だけはいつも変わらない。
久々に嗅いだこの空気にクラクラとしながらも、俺は部屋の中に足を踏み入れた。
すると、俺の気配に気付いたのか、部屋の奥、無数の書物に囲まれて姿を隠していたこの部屋の主が顔を上げた。
「やあ、タケシくん、随分と語無沙汰じゃないか!」
透き通った声が俺の名前を呼ぶ。
満面の笑顔を浮かべ、腰まで届く長い黒髪を揺らして、美貌の少女が立ち上がった。
186名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:39:55 ID:U3x+MEJg
「ちょっと暇になったんで寄って見ただけですよ、竹内部長」
「暇?君、剣道部の練習で随分忙しくしてたと思ったけど……」
「情けない話なんですけど、怪我しちゃいまして……」
「で、南条先生に練習を止められたと……それは災難だったねぇ……まあ、私としては君の顔を見られて嬉しい限りだけど」
彼女の名は竹内礼子、民族文化・考古学研究部の部長である。
といっても、昼休みなんかに時たま顔を出したり、たまの休みに調査の男手として駆りだされる俺を除けば、他に所属しているのは幽霊部員ばかりなのだけど。
「しかし、また一段と凄くなりましたね、部室……」
「わかるかい?これは隣の県までわざわざ出張って古墳を調査して見つけ出した逸品でねぇ…」
「許可を取ってない古墳調査はただの墓荒らしですから、部長……」
これまでの会話でも十二分に分かる通り、部長はちょっと世間からズレてしまっている人である。
この『民俗文化・考古学研究部』にしたところで、名前ほどにマトモな部活ではない。
そもそも、この部は彼女が創設したものなのだが、その活動内容、取り扱い分野には大きな偏りがある。
例えば、古代日本には想像を絶する超文明があっただとか。
どこぞの山が実はエジプトにあるのと同じピラミッドであるとか。
実はキリストは生き延びて、日本で死んだだとか。
つまり何ていうかその、ムー的な方向に彼女の興味は向けられていた。
しかも、何故だか彼女の思いつきで行われる調査の数々では、実際に考古学的価値のある発見をする事が多くあり、
その成果によって学校の名声が高まった事もあって、教師達も彼女の活動を黙認している状態だ。
お陰で彼女は勝手気ままに様々な場所に赴いては、何やら怪しげなものを見つけて戻って来るという生活を続けている。
割れた土器だとか、錆付いた鑑だとか、得体の知れない古文書に専門書、その他正体不明の物品の数々。
それらに囲まれた部長の姿は、さながら現代の魔女といった趣だ。
学年は俺より一つ上の三年生。
しかし、気だるげに頬杖をついて埃っぽい古書のページを捲る彼女を見ていると、とても自分と同年代だとは思えない。
確かに美人で若々しいのは事実なんだが、彼女の周囲に漂う雰囲気は一般的女子高生のそれではない。
正直、実は人魚の肉を食べて、ここ数百年ほどはずっとこのままの容姿だったと言われた方がまだ納得がいく。
そして何故か、俺はこの年齢不詳なオーラを身にまとった先輩に大層気に入られているのだ。
「そうだ。折角、君が来てくれたんだ。ちょっと、部室の資料整理を手伝ってもらおうかな」
「残念ですが、お断りします。さっき言った通り、俺は早く怪我を治して剣道の練習に復帰しないといけないんです」
「えー!けちー!!」
「ケチとでも何とでも呼んで下さい」
部長の言葉を受け流しながら、俺はこの部屋での定位置、巨大な資料棚の脇のパイプ椅子に腰掛けた。
適当にその辺にある本を手にとってぱらぱらと捲る。
『古事記の暗号』
『竹内文書と天神七代の記録』
『ジェームズ・チャーチワード書簡集』
『百詩篇集』
『神代文字解読』
『比留子古墳に見る古代祭儀』
散々部長に付き合わされてしまったせいで、以前はその意味もロクに分からなかった単語達が理解できるようになった自分が少し悲しかった。
軽くため息をついた俺に、部長がニヤニヤ笑いを顔に貼り付けて語りかけてきた。
「何かお悩みのようだね、タケシくん。なんなら、私が相談に乗ってあげようか?」
「ええ、悩んでますとも。非常識な行動を改めないとある先輩を改心させたいんですが、いい方法はないもんですかね?」
「はは、相変わらず手厳しいね。でも、私が言ってるのはそういう事じゃなくてさ……」
そこで部長は急に立ち上がり、すぐ傍までやって来て、俺の顔を覗き込みながらこう続けた。
「タケシくん、君は今、何か人に言えない悩みを抱えてるんじゃないのかな?」
「…………っ!?」
その言葉に息を呑んだ俺の顔を見て、部長はクスクスと笑った。
(やっぱり、この人は凄いな……)
部長の勘の鋭さは、ここ一年と少しの付き合いで散々思い知らされている。
それとなく人の悩みを言い当て、さらに的確なアドバイスを返す。
これまでに何度、部長の言葉に助けられたかわからない。
三年の女子の間では、困ったときの相談役として何かと重宝されているらしいが、それもむべなるかな。
ただ、その才能が余計に魔女染みた雰囲気を増幅している事にだけは、当人も気付いていないらしいが……。
187名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:41:22 ID:U3x+MEJg
「話してくれないかい?君にそんな暗い表情は似合わないよ」
「それ、俺みたいな体育会系男子じゃなくて、女の子向けな台詞じゃないですか?」
「いやあ、なんか最近、クラスメイトやら後輩やら、女子からの告白を受ける事が多くてねぇ。こういう台詞が癖になっちゃって」
「なんか絵が浮かびます……」
言い終わってから、二人して笑い合った。
その後、いつもより少し優しげな表情を浮かべて、部長はこう続けた。
「さあ、それじゃあ話を聞かせてもらおう。君を悩ませている問題に、さっさとケリをつけようじゃないか」

この中学校で、私は文芸部に所属している事になっている。
放課後の図書室で活動する部の歴史は、開校当時まで遡るという。
といっても、その実態はほとんど形骸化してインドア派の気の合う生徒達が集まるただの仲良しグループになっていたのだけれど。
三分の一が幽霊部員、どの学年の誰がいてもおかしくない場所、だからこそ私はこの部を選んだのだ。
「それで、これが新しく出たアルバムなんだけどね」
「へえ、後で聞かせてくれる?」
部員達の楽しげな会話を聞き流しながら、私は窓辺の席に座って手に取った本を読むふりをしていた。
今日一日、私の頭の中は『お兄ちゃん』の事でいっぱいだった。
『お兄ちゃん』は私が本物の家族でないと、本当に気付いているのか?
もし気付いているのなら、昨夜のあれはなんだったのか?
そして何より、これから私は『お兄ちゃん』にどう接するべきなのか?
つらつらとそんな事ばかりを考えていると、不意に強烈な自己嫌悪の感情が湧きあがって来る。
『仲間や民を救う事を見捨て、己だけが生き延びようと考える卑怯者め』
『閃光の十二騎士の名は飾りか?誇りはないのか?』
『貴様に平穏な生活を手に入れる権利などありはしないのだ』
全て、私自身強く自覚している事だ。
この世界に来た時、いつの間にか手元から無くなっていた『禍の宝珠』を探し、予想される追っ手からそれを守らなければ、
下手をすれば私の元いた世界だけでなく、こちらの世界までが危機にさらされてしまう。
だが、それが分かっていても、体が動いてくれないのだ。
戦いの事を考えるだけで、あの時の記憶がフラッシュバックして、全身が強張り震えてしまう。
今の私はもはや『閃光の十二騎士』の一人、魔法使いのユキではない。
臆病で無力な、ただの女の子に過ぎないのだ。
私が情けなさに零れそうになる涙を必死で堪えていると、突然図書室の中が騒がしくなった。
「何だ、あれ!?」
「空が割れて、何か降りてくる……」
「生き物……なの?」
私はばね仕掛けのように勢い良く立ち上がり、振り返って窓の外を見た。
間違いない。
西日の差す、夕焼け間近の空に出来た巨大な爪あと。
禍々しい時空の穴から舞い降りてくるのは、醜悪な肉の怪物。
おそらくは城を破壊したのと同種の、おぞましい化け物だ。
この世界、あの魔獣に対抗できる能力を持った人間がいるとは思えなかった。
「私しかいない……私だけしかいないんだ……」
拳をぎゅっと握り締め、震える声で私は呟いた。
そして、気が付いたときには、私は図書室を飛び出し、時空の穴の真下に向かって全速力で走り出していた。

「……なるほど、そういう事情だったんだね…」
俺の話を一通り聞き終えてから、部長は静かにそう言った。
「信じてくれるんですか、俺の話を!!?頭がおかしくなったんじゃないかとか、そんな風には思わないんですか!!?」
「おかしいなんて、そんな事欠片も思わないさ。私は君の言葉を信じるよ……」
部長は部室据え置きの電気ポットのお湯で二人分のお茶を淹れ、その片方を俺に渡してから話を続けた。
「話を聞きながら思い出したんだけど、私の頭の中には確かに君が妹の事を話していた記憶がある……」
「えっ!?」
「だけど、それが妙なんだ。それがいつの事だったのか、全く思い出せないんだよ。君が一年の時だったか、二年になってからだったか、
季節も、場所も、肝心の話の内容も思い出せない。ただ、漠然と『タケシくんが妹の話をした』、『タケシくんには妹がいる』そんな認識だけが頭の中に焼きついてるんだ」
「それは………」
おかしい。
他のあらゆる要素が捨象されて、ただ『こんな話をされた』という事だけが頭に残っている。
しかも、それが古今東西のありとあらゆる怪しげな話に通じた怪人、竹内礼子の口から語られているのだ。
博覧強記の彼女は、常人とは比べ物にならない記憶力を持っている。
絶対にありえないとは言えないまでも、あまりにも不自然な話だった。
188名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:42:23 ID:U3x+MEJg
「それに、部屋の様子や君に対する態度の不自然さ。こっちは紛れもない現実だ。現時点で断定する事は出来ないが、彼女を疑うには十分だ」
「そうですか………俺、自分の頭がおかしくなったんじゃないかって、ずっと不安で……」
「君の目は冷静かつ客観的に物事を見ているよ。ただね……」
部長が不意に言葉を詰まらせたので、俺は少し不安になって部長の顔を見上げた。
「タケシくん、君が悩んでるのは、ユキちゃんが本物の妹かどうかなんて話ではないんじゃないかな?」
「…………っ!?」
それを聞いて、俺は黙り込んだ。
何も言い返す事ができなかったのはきっと、その言葉が俺の悩みの中核を射抜いていたからだ。
「ある日突然、家族の中に見知らぬ人間が紛れ込んでいた。
こんな不気味な話をしているのに、君の言葉には彼女に対する恐怖や嫌悪のようなものが感じられなかった……」
「それは……」
「むしろ感じられたのは、悪夢にうなされていたユキちゃんを一人の女の子として気遣う、そんな気持ちだ……」
「……そうかもしれません。俺は確かに、アイツの事を気にかけてる……」
俺の言葉を聞いて、部長は深々と肯いた。
「勘だとかインスピレーションだとか、言葉や論理に置き換える事の出来ないそういう感覚は、普通に思われてるよりずっと大切なものなんだ。
特にタケシくん、君のそういった直感の鋭さを、私はよく知ってる。今はそれを信じていけばいいんじゃないかな」
「はい……」
そうだ。
部長に言われた事で、俺はようやく自分の気持ちに気付く事が出来た。
確かに、ユキが一体何者なのか、どういう経緯で、何を目的に俺の家に潜り込んだのか、それも気にはなっている。
だけどそれ以上に、昨夜見たあの涙が、不安そうな表情が瞼の裏から消えてくれないのだ。
彼女が俺の前に現れたのには、何かどうしようもない事情があったのではないだろうか?
もし出来るならば、そんな彼女の力になってやりたい。その涙を拭ってやりたい。
それが今の俺の素直な気持ちなのだろう。
部長の言葉が、俺にそれを気付かせてくれた。
「……ただし、ユキちゃん自身はともかくとして、彼女が突然に現れた背景では何かとてつもない力が動いているんじゃないかと思う。……そこでだ」
と、そこで突然、部室の片隅に積み上げられている資料と骨董品を掻き分けて、部長が何かを探し始めた。
やがて、その山の中から、部長は布の袋に入れられた、細長い物体を取り出し、俺に差し出した。
「これはお守り代わりだ。持って行くといい」
「な、何ですか、それ?」
俺の質問に、部長は満面の笑顔を浮かべて、袋の口を縛っていた紐を解き始める。
やがて、部長は得意気な顔で取り出した袋の中身を俺に掲げて見せた。それは……
「草薙剣ーっ!!!」
「部長……まさか、どっかの神社から盗んできたんじゃないでしょうね……」
「人聞きが悪いな、タケシくん。これはね、先日、江戸時代に廃れてしまった山奥の集落を調査したときに、
そこの腐って崩れかけた社から、私が救出したものなんだ。恐らく、この剣自体はさらに昔、飛鳥時代の頃の物だと思うんだけど」
「やっぱり泥棒じゃないですかっ!!」
「だから、救出だって言っただろう。私は貴重な文化財を救い出したんだ」
「じゃあ、どうして誰にも報告せずに、今の今までこっそり隠し持っていたんですか!!!」
「いやぁ、あんまりにも見事な出来栄えだったから、つい……」
「つい、じゃないでしょ、ついじゃ…っ!!!」
駄々っ子のように口を尖らせる部長の手から、俺は剣をひったくって自分の鞄の中に収めた。
「あっ、私の事は泥棒って言ったくせに…っ!!」
「預かるだけですよ。後で職員室にきちんと報告させてもらいますから…………っていうか、お守りに渡してくれるはずじゃなかったんですか?」
その後、何だかんだブツブツと文句を言い続ける部長を残して、俺は部屋から出て行った。
部室のドアが閉まる直前、
「ありがとうございました、部長……」
そう小声で呟くと、
「ん、まあ頑張ってくれたまえ」
明るい声が、しっかりと俺の言葉に応えてくれた。
それから俺は、ここに来た時とは比べ物にならないほど軽い足取りで、部室棟を立ち去ったのだった。
189名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:44:25 ID:U3x+MEJg
まだろくに地理もわからない異界の街を、私はただひたすらに走り続ける。
「早く……急がないと、大変な事に……っ!!」
あの戦いでの敗北で失った魔力はまだほとんど回復していなかった。
じれったいけれど、あの怪物を仕留めるだけの余力を残しておくためには飛行魔法は使えない。
(……せめて、この世界に紛れ込むために使った魔法……あの魔力を残しておけばこんな事には…)
こみ上げてくる後悔と自己嫌悪。
自分の臆病な心が取らせた行動が、今になって私自身の首を絞める事になってしまった。
私は一体、何を考えていたのだろう?
最初から私に逃げ場なんてある筈ないじゃないか。
邪神復活は彼らの宿願、それを諦めるなんて絶対にあり得ない。
もし、私が姿を現さなければ、その分だけ彼らはこの世界を破壊し暴れ回るだろう。
今度は何も知らないこの世界の人々が、あの時の私の仲間や街の人たちと同じ目に遭わされるのだ。
そして、どんなに巧みに姿を隠そうと、彼らは『禍の宝珠』を持ち去った私をいつか必ず追い詰める。
(…逃げ出そうなんて、どうして考えたんだろう?)
油断するとすぐにこぼれそうになる涙を何度も拭って、私はただ走った。
怪物が降りた場所が近くなるにつれて、次第に建物が破壊される音や逃げ惑う人の悲鳴が聞こえ始める。
そしてついに、住宅街を抜けた先、駅前の繁華街のど真ん中に私はその怪物の姿を見つけた。
道いっぱいの横幅と二階建ての建物と同じ高さの圧倒的な巨体。
城を破壊した怪物と同じ粘液塗れの肉の上を、甲殻類のような分厚い殻で覆っている。
太くゴツゴツとした八本の脚と、四本二対のハサミで周囲の車や建造物を手当たり次第に破壊している。
一瞬、私の頭の中を、化け物の群れに破壊される街の光景がフラッシュバックする。
心の奥底にまで深く刻み込まれた恐怖に、全身が強張るのを感じる。
それでも、震える手の平をぎゅっと握り締め、私は自分に残されたなけなしの魔力を解き放った。
「変身……!」
間近で湧き上がった魔力の気配に、怪物がゆっくりとこちらを振り向いた。
昆虫と人間の顔を足しっぱなしにしたような醜悪な顔が私を睨みつける。
『グガ…キサマカ?…『ワザワイノホウジュ』ヲウバッタノハ……』
低くよどんだ声で怪物は私に話しかけた。
どうやらある程度の知性があるらしい。
そういったタイプのモンスターはそれなりに貴重な存在である筈だが、
宝珠を奪って逃げた私を捜索する追っ手である以上、破壊と戦闘しか能のない化け物を送り込むわけにはいかなかったのだろう。
(ただでさえこっちに余裕はないのに…厄介な相手が出てきたな……)
向こうにある程度の智恵がある以上、必殺魔法で一気に勝負をつけるという訳にもいかない。
それに今の私の魔力では、あの強固な外殻を破壊できるかどうか疑わしい。
(接近して、ゼロ距離攻撃で仕留めるしかない……っ!!)
覚悟を決めて私は怪物に向かって走り出す。
魔力の温存のため光の刃は使わず、両手は素手のまま。
使う魔法は二つだけだ。
『グォオオオオオオッ!!!ワタセッ!!ホウジュヲワタセェエエエエッ!!!!』
怪物のツメは巨体に似合わぬ的確さで私を狙って振り下ろされてくる。
私はそれをギリギリでかわしながら少しずつ敵との距離を詰めていく。
だが、敵に近づけばそれだけ、攻撃の素早さ、精度は増していく。
やがて、敵まで後一歩というところで私は怪物の四つのハサミ全てに囲まれてしまう。
『コレデオワリダァアアアアアアアアアッ!!!!!』
怪物の叫びと共に四つの巨大な凶器が、私めがけて振り下ろされた。
「うぁあああああああっ!!!」
悲鳴を上げる『私』の体は頭を残して粉々に打ち砕かれた。
だが……
「そっか…、頭さえ残しておけば、宝珠の在り処は聞きだせるものね」
砕け散った体も、吹き飛んだ生首も怪物の前で霧のように溶けて消えた。
『ナッ!?…ブンシンマホウダトッ!!!』
驚いた時にはもう遅い。
私は怪物の体の真下に滑り込んで、右手に魔力を集中させ杖を出現させる。
「スプリーム・レインボーッッッ!!!!!」
そして、渾身の魔力を込めた必殺魔法を、外殻の最も薄い場所、怪物の腹部に打ち込む。
七色の光の柱は怪物の体を真下から縦に真っ直ぐ貫いた。
一瞬遅れて、怪物の体は糸の切れたマリオネットのように地面に崩れ落ち、外殻の節目ごとにバラバラにちぎれてしまった。
「やった……」
完全に崩壊した怪物の骸の真ん中で、私は安堵のため息を吐いた。
190名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:45:16 ID:U3x+MEJg
本当にギリギリの勝負だったけれど、私は勝つ事が出来たのだ。
恐怖に心と体を縛り付けられながらも、何とかこの恐るべき敵を倒したのだ。
ようやく落ち着きを取り戻し始めた私は、改めて周囲の景色を眺める。
怪物が暴れたのはせいぜい20分そこらだった筈だが、それでも被害は甚大だった。
辺りの建物はグシャグシャに破壊され、駐車してあった車はぺしゃんこに押し潰されていた。
あのまま怪物が暴れ続けていたらどうなっていた事か、想像して私は再び戦慄する。
(全部、私がこの世界に来てしまったせいなんだ……だから、私は……)
と、その時、背後からうめき声のようなものが聞こえてきた。
「うぅ…誰か…助けてくれ……」
声のした方を見ると、商店の主らしい中年男性が瓦礫に足を挟まれて助けを求めていた。
「待っててください。すぐに瓦礫をどけますから」
私は男の人のいる方に向かおうと、一歩足を踏み出した。
しかし、続く二歩目で私の体はその場に突っ伏した。
「えっ!?」
つまづいたんじゃない。
何かに足を引っ張られて地面に引きずり倒されたのだ。
訳のわからぬまま振り返り、私はそこにあった光景を見て青ざめた。
『オノレ…ヨクモヤッテクレタナァ……』
崩れ落ちた筈の怪物の体から無数に湧き出した触手。
その一本が私の足首に巻き付いていた。
そして、腐肉の山の中から再び出現した怪物の顔が、魔力をほとんど使い果たした私を見据え、下卑た表情を浮かべてこう言った。
『…オカシテヤル…テッテイテキニ…ショウキヲウシナウマデ…ナブリヌイテヤル……』

部長にアドバイスを貰い、部室を出た俺は自転車にまたがって帰り道を急いでいた。
朝にはグチャグチャだった俺の頭の中だったけど、今はもうそんな迷いはない。
俺はあの少女、見知らぬ『妹』、ユキの力になってやりたかった。
(その為には、まずは面と向かって話を聞いてやらなきゃな……)
というわけで、決意を固めた俺はまだ今朝の怪我のダメージの残る体に鞭打って、全速力で自転車を漕いでいた。
その時、遠くから何かが崩れるような異様な音が聞こえた。
「何だ、一体?」
驚いて自転車を停めた俺が振り返ると、街の遥か彼方、駅前の繁華街の辺りから煙のようなものが立ち上っている。
それを見た瞬間、俺の背中をゾワリと何か得体の知れない感覚が走り抜けた。
『ただし、ユキちゃん自身はともかくとして、彼女が突然に現れた背景では何かとてつもない力が動いているんじゃないかと思う』
先ほど、部長に言われた言葉が頭をよぎる。
「まさか……」
こみ上げる嫌な予感。
決断までの時間は一瞬だった。
(俺の勘違いならいい……だけど!!)
駅と学校は俺の家を挟んで真反対にある。
しかも途中でやたらと道が入り組んでいて、全速力で自転車を走らせても相当な時間がかかる。
焦る心を必死で押さえつけながら、俺は自転車のペダルを漕ぐ足に力を込めた。


魔力を使い果たした魔法使いの末路ほど惨めなものはない。
私は肉塊と化した怪物の体から湧き出た無数の触手によって、宙に吊り上げられ慰み者にされていた。
「ひっ…うぐぅ…いや…やめてぇえええっ!!!!」
体中を這い回る触手の感触に、私の意志とは関係なく体が勝手に反応してしまう。
一度魔眼の力によって徹底的に狂った快楽を味わわされた私の体は、もはや自分では止めようもないほどにいやらしく堕ちてしまっていた。
コスチュームの隙間から内側に入り込んだ触手達は、私の体を隅々まで這い回り、おぞましい粘液を塗りたくる。
「…っあ…せなか…やめ…いや…いやぁあああああっ!!!」
背中の側に回りこんだ触手数本が、いそぎんちゃくのような小さな舌を出して私の背筋を嘗め回した。
以前の私なら、汚らしい虫に這い回られているようにしか感じられなかった筈のその刺激に、甘く痺れるような快感を覚えてしまう。
背中を仰け反らせ、与えられる刺激に全身をガクガクと痙攣させていると、この隙を逃すまいとばかりに他の触手達も私への責めを加速させる。
「だめ…ふく…やぶらないで……ああっ…」
ビリビリと造作もなく引き裂かれていくコスチュームの胸元の布地。
魔力を失った今の私の戦闘服など、ボロ切れ以下の強度しかない。
そして、露になった私の胸に、何本もの触手達が殺到する。
媚毒混じりの汚液を撒き散らしながら、触手が私の薄い胸にしゃぶりつき、蒔きつき、撫で回す。
胸の先端でしこり立っていた乳首は、まるで花びらのように先端を開いた触手が吸い付かれ、内部にびっしりと生えた繊毛に嫌というほど弄繰り回された。
191名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:46:32 ID:U3x+MEJg
たっぷりと塗り込まれた媚薬粘液の効果と、触手達の間断ない責めに晒されて、私の胸はまるで燃え盛る炎に晒されたかのような、地獄の快楽を味わい続ける。
「ああっ!!…おねがい…胸っ!…も…やめて…お願いだから…あああああっ!!!!」
脳髄を焼き尽くされるようなその刺激に、私は声を上げて泣きじゃくった。
頭の中をよぎるのは、処女を奪われ快楽漬けにされ、全てを奪われたあの時の記憶。
一度徹底的にあの魔悦を刻み込まれてしまったが為に、私の心は次なる責め、次なる快楽に怯え、その恐怖に捕らわれてしまう。
「ひっくぅ…それはやめて…おねがいやめてやめてやめて…あぁ…いやぁあああああああっ!!!!!」
怪物はそんな私の反応が気に入ったようで、私を責め立てるのに使う触手を目の前に何度もチラつかせて、こちらの恐怖心を煽った。
そして、私をさらなる快楽と狂気の中に引きずり込むべく、ありったけの触手の先端から白濁色の特濃媚薬粘液を私に浴びせかけた。
みるみる内に汚れた白の中に沈んでいく私の体。
白濁液には怪物の持つ強力な魔力が溶け出しているらしく、私のコスチュームを形作っている魔力を相殺して、その布地をどろどろに溶かしていく。
右手で必死に握り締めていたステッキも、同じく白濁液の魔力に侵食され、ひび割れ、最後には砕け散った。
あの時と同じ、戦う力を、魔法使いとしての誇りを目の前で奪われていく屈辱と恐怖。
それがさらに、あの巨大な肉の怪物に取り込まれかけた時の、倒錯した被虐の歓びまでも、記憶の中から呼び覚まさせる。
(…ああ…私また、こうして何も出来ないまま、怪物に犯されちゃうんだ……)
悔し涙を流す心の片隅で、巨大な力にねじ伏せられる喜悦を思い出し始めている自分に、私は戦慄する。
最も敬愛していた師に裏切られ、全てを失ったあの時の絶望。
それを二度と繰り返させない為にここに来た筈なのに、今の私は再び邪悪な力の虜になろうとしていた。
「…だめ…このままじゃ……また、あの時と同じ…みんなを守れない……っ!!」
せめて心までは奪われない為に、何とか自分を奮い立たせようとする私の努力をあざ笑うように、怪物はさらに激しく私を責め立てる。
私の体は媚毒の効果と魔眼に刻み付けられた快楽の記憶のために、その隅々に至るまで性感帯へと堕とされていた。
腕に、指先に、足に、絡みつく触手達の蠢きが、電流となって私の体を何度も痺れさせる。
「っぷぁ…ぜえ…はあ…息…できないのに…うあ、また……んっ…んぐぅううううっ!!?」
触手達は争うように私の口を犯し、舌を死ぬほど嬲り抜いた後に、あの白濁粘液を喉の奥にぶちまけていく。
何度も何度も、数えるのも嫌になる程の回数、口の中を蹂躙され、吐き出しそうになるほどの粘液を嚥下させられた。
粘液は体の内側からその媚薬効果を存分に発揮し、さらに私の心と体を狂わせていく。
(うあ…ああ…お腹の中…熱いよう……)
体の内と外から媚毒に侵された私の意識は朦朧とし始め、触手の与える快楽への抵抗心は薄れていく。
いつしか憎むべき敵からの責めに蕩けた表情を見せるようになった私を見て、怪物は陵辱を次の段階へと進める。
粘液塗れの私の体の中で、唯一自分の内側から溢れ出した蜜でしとどに濡れたその場所。
そこに一際太い、怪物の剛直が押し当てられた。
「ああ…また…される…またおかされちゃうのに……わたし……わたしぃいいいいっ!!!!」
再び私の一番大事な場所を犯されてしまう、その危機感さえも、一度目の陵辱で味わわされた魔悦の記憶によって押し流されていく。
異形の怪物に蹂躙される恐怖が、これから待ち受けているだろう快楽への期待によって塗り潰されてしまう。
その瞬間を待ちきれず、カクカクと空腰を振ってしまう淫らな私の様子を存分に楽しんでから、怪物は挿入を開始した。
「あああああああああっ!!!!!くるっ!くるぅ!!きちゃうぅううううううっ!!!すごいっ!!すごいのぉおおおおおっ!!!!」
ねじ込まれるように挿入された肉の杭の感触。
それだけで私は、はしたない絶叫を上げて一度目の絶頂を迎えてしまった。
しかし怪物は、体を仰け反らせ、ビクビクと痙攣する私の様子などには一向に構わず、激しいピストン運動を開始する。
192名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:48:02 ID:U3x+MEJg
「はひっ…ひぃうっ!!…なんれ?…どして…こんな…まえよりずっとぉ…きもひいいのぉ!!?」
怒涛の如き怪物の触手による突き上げ。
それが生み出す快感は、一度目のときよりさらに強烈なものだった。
あの初めての陵辱のとき、魔眼の力を全ての細胞に焼き付けられた私の肉体は、あり得ないほどに淫らに変質してしまったのかもしれない。
一度はあの肉の地獄から逃れられた私だったけれど、これ以上はもう耐えられそうになかった。
激しいストロークの度に頭の中が強烈な快楽の閃光に焼かれ、真っ白にホワイトアウトしてしまう。
その余韻が消え去る前に、もう一度、さらにもう一度と、快感を上塗りされ、それと引き換えに僅かに残っていた思考力が消え去っていく。
「ひっ…はひっぃいいっ!!…きもひいいっ!!すごくきもひいいのぉ!!!ああ、もっとついてっ!!もっとぉおおおっ!!!!」
いつしか私は怪物を相手にさらなる責めを懇願するようになっていた。
うっとりとした目で自分を囲む触手の群れを眺め、壊れた笑顔を浮かべてつたない動きで腰を振る憐れな娼婦。
そんな私の様子に満足したのか、怪物は私への責めをさらにヒートアップさせて、私の望みに応えた。
「あっ…ひっ…はげしっ…はげしいよぉ!!…わらひのなか…しょくしゅがめちゃくちゃにあばれて…っああああああ!!!!」
自ら触手を掴み、しごき上げ、白濁粘液を全身に浴びながら、私は淫らな声を上げ続ける。
触手の快楽を受け入れてしまった事で、全身の緊張が解けてしまったのか、
弛緩した私の尿道からジョボジョボとおしっこが漏れ出したけれど、今の私にはそんなものは何一つ気にならなかった。
ただ全身を焼き尽くすこの熱が恋しくて、ひたすらに腰を振りたくり、嬌声を上げてその感覚に溺れていく。
(あはは…結局私なんかに、みんなを守るなんて無理だったんだ……。こんなにも簡単に快楽に負けて、
敵に屈服してしまうようないやらしい女の子に、魔法使いの資格なんて最初から無かったんだ………)
朦朧とした意識の片隅で私はそんな事を考える。
私は知ってしまったのだ。
自分が快楽に簡単に膝を屈してしまう、いやらしい女の子であった事を。
気持ちいい事の為ならば、大切な使命さえ投げ出してしまう、魔法使い失格の情けない人間である事を。
そして、尚且つ、そんないやらしくて情けなくてみじめな自分に興奮してしまう、最低の変態である事を知ってしまったのだ。
ほの暗い諦めの感情は、強烈な快楽とはまた違った甘美な味わいをしていた。
崩壊していく自らの心の赴くまま、私は怪物との行為に溺れていった。
「…んっ…ぷはっ…ああ…すごいいっぱいでてる……」
次から次へと押し寄せてくる触手達を握り締め、彼らの放つ白濁を全身に浴びる。
それでも足りない分は自分の口にくわえ込み、必死に舌を絡ませて放たれた粘液を飲み干す。
さらにねちっこく、執拗になっていく触手の愛撫に身悶え、激しく腰を降り自分の体の奥の奥まで征服され蹂躙される悦びに歓喜の涙を流す。
「あはぁ…あっ…ああんっ!!…すごい…しょくしゅ、すごすぎるのぉ!!!…ああっ…もう…わたし…わたしぃいいいっ!!!!」
体中を荒れ狂う快楽が、私のキャパシティを遥かに越えようとしているのがわかった。
津波のように押し寄せるそれは、きっと驚くほど簡単に私の心を破壊し尽くしてしまうだろう。
だけど、私はそれでも、さらなる快感を、熱を、求める続ける自分を止められなかった。
どうせ全てが終わってしまうなら、最高の快楽の中で壊れてしまいたい。
心の底からそう願った。
「ひううううううっ!!!…あっ…あっ…すごいのくる……っ!!…きちゃうのぉおおおおおおおおおっ!!!!!」
やがて、体の奥底から湧き上がってくるマグマのような巨大な熱量。
破滅的な快楽の炎に全身の神経を焼き尽くされながら、私の意識は強烈な絶頂感の中で砕け散った。
「ああああああっ!!!!イクっ!イクぅううううっ!!!…わらひ…イっひゃうぅうううううううっっっ!!!!!!!!」
ビリビリと痙攣する私の膣内に注ぎ込まれる大量の白濁液。
体の中にじんわりと広がっていくその熱を感じながら、私は今、自分が最高の幸せの中にいると感じていた。

その時、絶頂の余韻で力の抜け切った私の体、その胸元から眩い光が放たれた。
(あ、これは……)
見間違えようもない。
これは、『禍の宝珠』の封印を解く鍵である、十二騎士の印の光だ。
そして、呆然とする私の目の前で、胸で光る印の中心から凄まじい魔力を秘めた物体が出現する。
それこそは……
193名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:49:48 ID:U3x+MEJg
『オオ、ミツケタ…ツイニミツケタゾ……コンナトコロニカクシテイタトハ……』
黒く輝く魔力の結晶『禍の宝珠』は私の胸の印の上でふわふわと浮遊していた。
(そっか…こんな所にあったんだ……)
時空の裂け目を越えてこの世界に来たときには、既に私の手元から消えて無くなっていたと思っていたけれど、どうやらそれは勘違いだったらしい。
多分、私の印の中に身を隠した宝珠は、先ほどの陵辱で散々注ぎ込まれた怪物の魔力によって再び目を覚ましたのだ。
(ああ、これで今度こそ…本当にぜんぶ、終わっちゃうんだ……)
怪物によって犯しつくされ、敵の手から必死で奪い取った筈の『禍の宝珠』も発見されてしまった。
だけど、今の私にはその危機的な状況にさえ心動かす事が出来なくなっていた。
全ては避けようのない運命だった。
そうとしか考えられない。
圧倒的な敵の力と、致命的な裏切り、私達は最初から破滅へと通じる道を歩いていたのだ。
国の民も、仲間たちも、そして私自身も、邪悪な神の玩弄物としてこの世に生を受けた、そうに違いない。
間もなく邪神はその力を取り戻し、私達の世界をあまねく闇の中へと堕とすだろう。
そして、貪欲なあの禍神の事だ、時空の裂け目が出来たのを良い事にこの世界をも手に入れようとするだろう。
これでもう、本当にどこにも逃げ場は無くなってしまった訳だ。
『コレデ…コレデワレラノ積年ノネガイガ、ツイニ実現スル……』
長い年月の間待ち望んでいた『宝物』に触れようと、怪物が触手の一本を伸ばす。
今の私にはそれを阻む力も、意思も、何も残されていない。
ただ、これまでの短い人生の思い出が、走馬灯のように空しく脳裏をよぎるだけ。
(これで終わる……何もかも全て……)
苦楽を共にした孤児院の仲間たち。
自分を見出してくれた師の笑顔。
初めて魔法使いと認められたときの誇らしい気持ち。
誰もが尊敬できる戦友だった『閃光の十二騎士』達の顔。
邪悪を打ち倒す剣として、自分達に希望を見出してくれた国民達の眼差し。
(もういいや…世界の事も…みんなの事も…もうどうでもいい……)
何もかもが無意味だった。
私はそれを骨の髄まで思い知らされた。
だけど……
(あれ…なんで?……どうして、私……?)
私は突然に頬を伝い落ちる熱い雫の存在に気付いた。
(私は負けて…心まで堕とされて…もうどうにもならないのに、なんで……っ!!!?)
ボロボロ、ボロボロと頬を濡らす涙は、私の意志を無視してとめどなく流れ続ける。
拭っても拭っても消えてくれないソレは、凍り付いていた私の感情まで溶かし出してしまう。
(…やっぱり嫌だ…こんな終わり方…こんな奴らに世界を好きにされるなんて絶対に嫌だ……っ!!)
怪物の触手が『禍の宝珠』に触れようとした最後の瞬間、私が思い出したのは、これと同じ雫を拭ってくれたあの温かい手の平の感触だった。
声の限りに私は叫ぶ。
「助けてっ!!!誰か私を!!私の世界を助けてぇええええええええっ!!!!!!」
私の絶叫が響き渡った、その刹那だった。
「うらぁあああああああああああああああっっっ!!!!!!」
裂帛の気合と共に放たれた斬撃が、私に向かって伸ばされた全ての触手を断ち切った。
『…ガァアアアアアアア!!!?』
触手の縛めを解かれ地面に尻餅をついた私は、呆然とその背中を見上げる。
怪物から私を守るように立つその人は、唯一私の魔法が効かず、私の存在を怪しんでいた筈の人。
「……『お兄ちゃん』、なの?」
「他の誰に見えるってんだ、なあ、ユキ……」
私の『お兄ちゃん』、山門タケシは錆付いた剣を構えながら、確かにそう答えたのだった。

正直、無謀な行動だった。
だが、得体の知れない怪物に滅茶苦茶にされたユキの、妹の姿を見たとき、俺の中で何かが切れた。
気が付いた時には、自転車を投げ捨て、部長から預かった剣を手に、俺は怪物に切りかかっていた。
(畜生……せめて、もう少し早くここに間に合えば……っ!!)
ほとんど丸裸に剥かれ、白濁に汚されたユキの痛ましい姿を見て、俺は奥歯を噛み締めた。
(せめて命だけは守ってやらなきゃ…これ以上、野郎の好きにはさせないっ!!!)
そう固く決意して剣を強く握りなおしたとき、俺は妙な事に気がついた。
剣の刃全体が何か緑色の燐光のようなものに包まれているのだ。
194名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:51:37 ID:U3x+MEJg
(そう言えば、さっきは刃渡り以上の範囲まで切れたような……そもそも、こんな錆びた剣が使い物になってる事自体……)
いくら部長だって、この剣を使用可能になるまで研ぎ直したりはしないだろう。
そもそも御神体であるこの剣に実用品としての機能があったかどうかも疑わしい。
(やっぱりこの光のせいなのか…………まあいい。今、俺がやらなきゃいけない事はただ一つだ)
埒の開かない疑問にはとりあえず蓋をして、俺は目の前の敵に集中する。
敵は巨大な肉塊のような体から、無数の触手を伸ばし、醜い顔で俺を睨みつけていた。
『キサマ…イッタイ、ナニモノダ?』
「聞いてなかたのか?俺はその女の子の、ユキの兄貴だっ!!!!」
俺はその言葉を、誰よりも自分自身に言い聞かせるように、強く言い放った。
それを合図に、周囲を取り囲む触手が、俺を狙って、俺の背後にいる妹を狙って一斉に襲い掛かってくる。
「かかって来いよ!!全部まとめてナマス切りにしてやる!!!!」
俺はそれを迎え撃つべく、輝く剣を手に触手の群れへと切り込んでいった。

切る!切る!切る!
造作も無く、まるで粘土細工のように、『お兄ちゃん』に襲い掛かる触手が全て切り払われていく。
(あの光る剣…一体、何なの?)
魔法のないこの世界では、あり得ない筈の光景。
緑色の光の軌跡が敵を切り裂く光景を、私は呆然と見つめていた。
『お兄ちゃん』と触手の戦いは一進一退、ほぼ互角のまま進んでいた。
どうやら、元から相当な剣の腕前を持っていたらしいが、それだけではあの怪物に対抗できている理由にはならない。
あの光の刃の存在が、『お兄ちゃん』の戦いを支えているのは確かだった。
そこで、私はある事に気付く。
(えっ?……これって、『お兄ちゃん』の剣と同じ……)
ふと自分の胸元を見ると、『禍の宝珠』が『お兄ちゃん』の剣と同じ、緑色の光を放っていた。
その輝きの清らかさは、とても邪神の力を封じたアイテムのものだとは思えない。
(そうか……もしかして…)
そして、私はおぼろげながら、この現象の意味を理解する。
『禍の宝珠』、邪神から切り離されたその強大な魔力を、私はこれまでその本来の持ち主と同じ邪悪なものだと思い込んでいた。
だけど、それは間違いだった。
使用者の意思から切り離された魔力は、善も悪もない、ただのエネルギーでしかない。
誰かが何かをしようとするその意思だけが、そのエネルギーに進むべき方向を与え、強大な力へと変える。
(そして、だからこそ『お兄ちゃん』は、あの緑の光を使う事が出来た……)
おそらく、『お兄ちゃん』の振るうあの剣は、この世界では数少ない魔法のアイテムの類なのだろう。
『お兄ちゃん』の私を救おうとする強い意志に、宝珠から漏れ出した膨大な魔力が反応して、あの剣を依代にして力を発揮しているのだ。
195名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:52:17 ID:U3x+MEJg
すべての推理を頭の中で終えた後、私はぎゅっと拳を握りしめた。
(どうして?見も知らない私のために、どうしてそこまでの事ができるの……!?)
『お兄ちゃん』は戦っている。
邪神の魔力を従わせるほどの強い意志を持って、あの怪物に立ち向かっている。
得体の知れない侵入者でしかない私を守る、ただそれだけの為に……。
私はもう一度、『お兄ちゃん』の手のひらの温もりを思い出す。
(…『お兄ちゃん』っ!…『お兄ちゃん』っ!!……『お兄ちゃん』っっっ!!!!)
『お兄ちゃん』の想いに応えたい。
『お兄ちゃん』の力になりたい。
粉々に砕け散って、死に絶えた筈の心が再び強く脈打ち始めるのを感じる。
今の私になら出来るはずだ。
私は激しい陵辱と媚毒の効果でふらふらの体に、懸命に力を込めて立ち上がる。
『禍の宝珠』は、膨大な邪神の魔力の源は、今はこの私の中にある。
暗い石柱の中で長い年月を過ごしてきた純粋なエネルギーの塊は、今、私の体を住処としている。
(祈れ!願え!想いをぶちまけろっ!!!……この私の意思で、宝珠の力を解き放て!!!)
世界を終わらせたりなんかさせない!
『閃光の十二騎士』のみんなや、国の人たちを必ず取り返してみせる!!
「そして、この世界で初めて出来た大切な人を、お兄ちゃんを絶対に守ってみせるっ!!!!」
私のその叫びと共に、胸元に浮かんだ宝珠から凄まじいまでの光が溢れ出す。
それは、お兄ちゃんの剣と同じ、清らかな緑の閃光だった。
緑の光は帯となって私を包み込み、私が陵辱で受けた傷を消し去り、コスチュームを修復する。
そして最後に私の右の手の平に集って、以前のものより長大なステッキへと姿を変える。
『ナンダ?ナニガオコッテイル!?』
眼前で展開される光景に、怪物はただ戸惑う事しかできない。
「ユキ、それは一体…!?」
「もう大丈夫だよ、お兄ちゃん……私、もう大丈夫だから……」
お兄ちゃんに微笑みかけてから、私はステッキを怪物に向け、渾身の魔力を込めて必殺魔法を放つ。
「スプリーム・レインボーッッッ!!!!!!!」
ステッキの先から放たれた七色の光の帯が怪物を包み込む。
そして、最後に一際強く輝く白い光が、怪物の体を消し飛ばした。
凄まじいまでの魔力の奔流が通り過ぎたその後に、怪物の体は塵の一欠片も残されていなかった。
196名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:52:44 ID:U3x+MEJg
怪物との戦いを何とか切り抜け、ようやく帰った家の中、お兄ちゃんと私は自分たちの部屋で椅子に座って向かい合っていた。
「……つまり、その戦いのせいで、ユキはこっちの世界に来てしまったわけか」
「うん……。こことは違う世界から来た魔法使い、それが私の正体なの」
私はお兄ちゃんに、この世界にやって来るまでの経緯を、私に関する全てを打ち明けた。
お兄ちゃんは、私の話を疑う事なく、ただ黙って聞いてくれた。
「だけど、多分これから大変な事になると思う。アイツらには邪神復活のために『禍の宝珠』がどうしても必要だから。
今日みたいな怪物を送り込んで、どうやってでも取り返そうとしてくると思う。
全部、私がこの世界にやって来たせい……。
だから、私はその追っ手達と戦わなければいけない。それが全ての元凶である私が責任を果たす、唯一の方法だから……」
語り終え、ため息を一つついてから、私は顔を上げてお兄ちゃんの方を見た。
お兄ちゃんは難しい顔で目を閉じて、ずっと腕組みをしていたのだけれど………。
「くぉらぁああっ!!!ユキぃいいいいっ!!!!!」
突然、くわっと目を開くと、私の頭にポコンと軽くチョップを食らわせた。
「な、な、な、何なのお兄ちゃん!?」
「何なの、ってのはこっちのセリフだ!何が全ての元凶だ?何が責任を果たす唯一の方法だ?そうやって一人で背負い込むから、余計に話がややこしくなるんだ!」
「で、でも……」
「そもそも本当に悪いのは邪神を復活させようって連中の方だろ?責任感ってのは無意味な罪悪感とは違うぞ!!」
その言葉にぐうの音も出なくなって黙り込んでしまった私の肩に、お兄ちゃんがそっと手を置く。
「だいたい、全部一人で解決しようったって、もうこの問題はユキだけのものじゃない……」
「えっ!?」
「俺はもう全てを知ってしまった。それなのに、お前を一人で放っておくなんて出来ないだろう?」
お兄ちゃんは、宝珠の魔力を宿したあの剣を天井の照明に掲げながら、こう続けた。
「お前がこっちの世界とあっちの世界、両方を守るために戦うってのなら、俺は、ユキ、お前を守る為に戦う……」
それから、私の瞳をまっすぐに見つめて、そっと微笑んで見せた。
その表情はやっぱりとても優しくて、
「お兄ちゃんっ!!!」
私はお兄ちゃんの胸にぎゅっと抱きついたのだった。
197名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 03:53:52 ID:U3x+MEJg
以上でした。
今更ですがタイトルは単純に『魔法少女ユキ』とかで。
スレ汚し、失礼いたしました。
198名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 11:20:24 ID:HmDUcg3V
GJ!お兄ちゃんはいいね
お兄ちゃんに犯されたり、お兄ちゃんに近寄る女を抹殺したり、お兄ちゃんを犯したり
お兄ちゃん楽しみです
199名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 13:47:17 ID:GW3my7bM
ふんっ、貴様のようなけしからん輩にはこれしか掛ける言葉はない




ユキちゃんも先輩も可愛いですね、GJ!
200名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 14:18:39 ID:HvvV//uH
先輩は魔族が各世界に送り込んでる魔法少女狩りで、不思議体験を好むふりして情報収集してて、お兄ちゃん地雷踏んだんじゃ…って一瞬思ったよ
でもアイテムくれた良い人みたいで良かった

201名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 15:16:54 ID:xkAGN36w
>>197
GJ!
お兄ちゃん強いナァ…この手の立ち位置で「状況に翻弄される」だけの役柄でない所が良いですね。
しかも、あっちの世界では多分に普遍的で無さそうな「魔法使い+剣士」というコンビネーションがこっちの世界で完成してると言う…
続きwkwktktkしながら待ってます。

…しかし、このスレ良作多いレベル高けぇ♪
202名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 18:07:02 ID:2vW+c3AR
>>191
GJ
身体全体がすっかり性感帯にされちゃってるのいいね。
203名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 21:45:11 ID:JNVQ+tmm
乙です!
いやぁ、ユキちゃん可愛いなぁ…もっと酷い目に遭ってもらいたいね!(ぉ
続きも楽しみにしています!

もうスレ半分消費しちゃったかw
204名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 22:02:31 ID:tfB+Mdhu
十ちゃんも結構早く堕ちそうね
きゅーちゃんとかよりはマシだろうけど
205名無しさん@ピンキー:2009/12/14(月) 22:31:03 ID:HvvV//uH
十ちゃんは多分時期的にみてミニスカサンタコスな魔法少女なんだろうな
今までのスレッド魔法少女達は触手やら怪物やらの責めだったんで、今スレでは丸呑みされて
肉壁にもみくちゃにされながらの消化とかきて欲しい
206名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 04:46:16 ID:Udy6/H5q
とぉーたん(#´Д`)ハアハア
207名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 14:04:44 ID:U6XzgCf/
杏の人に保管庫の代理は頼めないか?
208名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 17:09:20 ID:GZsy2KWO
>>205
十〈ト〉ナカイかも知れない。
209名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 20:57:14 ID:8fwPHw58
>>197
すごい量多くてレべル高いです。
話しの長さとエロの度合いがラノベとも二次ドリなどとも違う按配で上手い。
お兄ちゃんが戦えるというのがまたラノベっぽくもあってバランスのとれたものがあります。
210名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 12:45:17 ID:KvRM2/ay
>>205
待て、時期がずれて巫女になるかもしれんぞ
211昔あったネタ:2009/12/17(木) 17:00:53 ID:reyJ+E2n
行方不明になったサンタ娘を捜索する魔法少女
教会を襲いシスターと誘拐した犯人を探す退魔巫女
カップルを襲撃して回る集団を追う怪奇探偵

3つの事件は収束し一つの陰謀が明らかに!!

いま…三人の少女に今年のクリスマスは託された!!!

嫉妬「クリスマスは終了しますた」
212名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 21:51:13 ID:nd2/b8QK
クリスマスを終了させるために、どこぞのシ○の暗黒卿の様な御方が…
213名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 21:53:23 ID:s53CKbrv
いや、あのお方はクリスマスを取り仕切る側だろうw
ただ、「商業主義に溺れたクリスマスを一掃すべく(ry」とかやりそうだけど。
214名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 22:31:02 ID:dHu6SKRK
あの人には、魔法少女が束になっても勝てそうに無いな
215名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 22:58:58 ID:Mry7Fw28
負けた魔法少女はカーボンフリーズ処理されて晒し物に……
216名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:25:59 ID:HFgPdege
魔法少女を意識のあるまま固めて造った大理石の彫像みたいなヤツが
ズラリと立ち並ぶ聖堂の一番奥で豪奢な椅子に腰掛けててほしいね、あのお方には
魔法少女達の声にならない悲鳴を一人聞きながらニヤニヤしてたりとか

しかし、並の魔法少女陵辱物の敵じゃ敵いそうにないなぁ、あの人
てか、魔法少女とその敵の戦いに介入して全滅させそう、暗黒面のフォースで
217名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 01:02:57 ID:1LbNLOE9
正直、みんなが何の話をしているのか分からん
シスの暗黒卿って、元ネタのスターウォーズなら知ってるが
そこから何か派生したネタがあるのか?
218名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 01:21:02 ID:HFgPdege
現在バチカンにおわすカトリックの一番偉いお方と、シスの暗黒卿が似ているという話
どうやら海外でもその印象は同じだったらしく、色々コラ画像が作られてた
219名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 07:56:55 ID:NNd2cD3w
220名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 12:23:48 ID:lVufv0SN
ヘルシン○に出てくる十字軍を率いるあの御方が、商業に染まったクリスマスを粉砕なさるのだな
221名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 15:21:46 ID:JVOdEAI2
なんかラスボスっぽい写真をどっかで見たな
あとラスボスといったらサチコ
222名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 22:20:41 ID:LvX+TgbT
223マユの人:2009/12/19(土) 20:53:40 ID:Q7g5ja9S
こんばんわ、魔法少女マユ第15話の投下を行います。
今回は、快楽系がメインです。
ふたなりにされてしまうシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
224魔法少女マユ 人物紹介:2009/12/19(土) 20:55:17 ID:Q7g5ja9S
『秋月真由(マユ)』
14歳 両親と3人で、平穏な生活を送っていたが。ユーリィと出会った事で、戦いに身を投じる事になる。
背は小柄で、背中の半ばほどまで届く栗色の髪を後ろで纏めている。
変身時のコスチュームは桜色のミニスカートに赤を基調としたジャケットを纏っている。
『秋月夫妻』
マユの両親、父、宗一郎は大手製薬会社の部長を務める。
母、美幸は専業主婦。二人は社内恋愛をして結婚。マユいわく、万年新婚夫婦との事。
二人とも年齢は30代後半だが、実年齢より若く見える。
『リィン』
14歳 エルメリアから増員として派遣されてきた魔法使いの少女。
髪型は薄いブロンドの長い髪をツインテール。
青を基調としたワンピースの上に、短い白のマントを羽織っている。
『シャーナ』
23歳 リィンの姉。リィンと共にエルメリアからの応援として地球に来た。
緩くウェーブがかった薄いブロンドの髪を、腰に届くほどまで伸ばしている。
純白のローブを纏う。 エルメリアにフィルという婚約者が居る。
『フィル』
26歳 シャーナの婚約者、エルメリアでもかなり名の知れた騎士。
シャーナ達の力になろうと、コーネリアの計画に志願する。
『リーファ』
15歳 エルメリアの最高意思決定機関『円卓』の一人。『輝竜の巫女』と呼ばれ民から慕われていた。
魔王ヴァルアスに敗北し、魔族に本拠地に捕らわれ、魔物を産む母体として利用されている。
『コーネリア』
19歳 リーファ同様、『円卓』の一人。『紅蓮の将』の二つ名を持つ。地球に派遣された魔法使い達の統括を担当している。
魔族の結界展開計画を阻止する為に、地球に自ら赴く。
『リミュエル』
16歳 リーファ同様、『円卓』の一人。『烈光の射手』の二つ名を持つ。コーネリアとは従姉妹で、彼女の頼みで参戦する。
大火力の砲撃魔法や、広範囲の攻撃魔法を得意とする。反面、近接戦は苦手。
『シエル』
14歳 エルメリアから来た魔法使いの少女、かつてはユーリィと共に日本で魔族の人間狩りを妨害していた。
グラーズに受けた陵辱により、心に大きなダメージを受けるが、回復した彼女は、魔族の計画を阻止する為にマユ達と共に戦う。
『ヴァルアス』
魔族の王。100年前の戦いで敗れた先代の跡を継ぎ魔族を統率する。表の顔は大企業の社長。
銀髪の髪をオールバックにしている。黒のスーツを好んで着る。
その真の姿は、黒い装甲を身に包む巨大な竜。
『レドリック』
魔王ヴァルアス腹心の一人、魔法少女を狩る為に地球に招集される。
焦茶の髪を肩に触れるくらいに伸ばしている。黒の軍服を纏う。
ラディウスとは子供の頃からの付き合いで悪友関係。
『ラディウス』
セディアの弟 魔族の造魔開発においての、中核メンバーで、王の腹心の一人。
力は魔族の中でもかなり低いが、類稀なる頭脳を理由に、王に取り立てられる。
長い黒髪を三つ編みのお下げにしている。常に白衣に身を包む。15歳くらいの背格好。
『ゲリオス・イレーヌ・ローエル』
魔族エルメリア攻略軍を統べる、3将軍。
いずれも、戦術戦略に長けた人物で、様々な策でエルメリア軍を苦しめる。
筆頭のゲリオスは、先王の頃から側役を務める重鎮。幻術などを用いて、裏工作を行うのを好む。
イレーヌは、魔族随一の魔術の使い手である紅一点。身内には優しいが、敵には容赦がない。
ローエルは、戦いを何よりも愛する武人。また気さくで面倒見もよく、部下の信頼も厚い。
225魔法少女マユ 第15話 1/24:2009/12/19(土) 20:57:06 ID:Q7g5ja9S
「状況はどうなっている!?」
「ド、ドクター!ご無事でしたか!!」
結界展開装置の制御を行っていた技術者達は、部屋に入ってきたラディウスを見て、喜びの声を上げる。
「ああ、陛下が救援に来てくださった」
「そうですか!それは良かった……稼働は順調です、あと少しで展開に必要なエネルギーの充填が完了します」
「よし…こっからは俺が指揮を執る。総員、作業を再開しろ!」
助手からの報告を聞いて頷くと、ラディウスは周囲の技術者達に告げる。
「了解しました!」
技術者達は持ち場に戻り、作業を再開していく。
「陛下自ら、防衛に来てくださったのだ…絶対に成功させてやる!」
眼前で稼働を続ける装置を見つめながら、ラディウスは握り拳に力を込めながら叫ぶ。


魔族の対転移結界展開計画の進む、この地で繰り広げられるエルメリアの魔法使い達と魔族達の戦い。
当初は、多数の魔法使いを擁するエルメリア側が優勢に進めていたが、徐々に戦況は魔族側に傾いていく。
森の中で少数に分断され、各個撃破されていく魔法使い達。
森の外に居た部隊にも、奇襲部隊が差し向けられる。
部隊を指揮していたリミュエル達は善戦するも、更に戦況は悪化していく。
後方より、魔族の本拠地から差し向けられた、大規模な増援部隊が姿を見せる。
更に、エルメリアよりゲリオス、イレーヌ、ローエルの3将軍が増援として到着。
本拠地からの増援部隊と合流、エルメリア側の前線部隊を撃破し、リミュエル達の部隊に迫りつつあった。
エルメリア側の施設攻撃部隊は、大半がレドリックとその親衛隊が展開する第3ラインで足止めされていた。
変化能力の全てを開放し、異形の怪物となったレドリックの前に、攻撃部隊は苦戦を強いられる。
唯一、第3ラインを突破したマユ達の部隊は、ラディウスの切り札である巨大合成造魔を撃破するも…
彼女達の前には、魔王ヴァルアス自らが立ち塞がる。
倍以上の物量差に加え、次々と姿を見せる最高位魔族達…
戦況はエルメリア側にとって、絶望的な状況になりつつあった。
226魔法少女マユ 第15話 2/24:2009/12/19(土) 20:57:50 ID:Q7g5ja9S
「久しぶりだね…マユ君。覚えているかな?私の事を…」
ラディウスが陛下と呼んだ男から発された言葉に、マユは怪訝そうな顔をする。
マユは自身は、彼に見覚えが無いのだ。
「…その様子だと、覚えて無いようだね。無理もない、10年近く昔の事だ。君はまだ幼かったからね」
10年前…その言葉が、マユにある記憶を呼び覚まさせる。
小さい頃に両親に連れられて行ったパーティで会った人物の事を…
「……お父さんの会社の…社長さん…?」
「その通り、思い出してくれたか。嬉しいよ」
ぽつりと呟くように言ったマユの言葉に、ヴァルアスは嬉しそうに笑みを浮かべる。
「秋月君夫婦の娘が、我々の計画を邪魔する魔法少女で、しかもグラーズを倒すほどの力を持っているとは…
 やはり、こちらの人間は面白いな…これだから人間と接するというのは楽しくてやめられないよ。
 色々と驚かされたり、楽しませてもらえるからね。あの会社も、暇潰しと人間と接したくて起こしたものだ…
 むろん、隠れ蓑という役目もあるがね」
ヴァルアスは愉快そうに笑いながら語る。
マユとシエルは、呆然とした様子で彼を見つめている。
「ああ、自己紹介がまだだったな…これは失礼。私の名はヴァルアス…魔族を統べる王だ」
二人の様子を見て苦笑したヴァルアスは、自らの名を告げた。
「っ!?お前が…魔王ヴァルアス…!」
「お父さんの会社の社長さんが…魔王?…じゃあ、お父さんの会社が…」
「その通り、君のお父さんの…昔はお母さんの美由紀君も務めていた私の会社が、我々の本拠地だったのだよ
 勿論、君のお父さんを含む、人間の社員達は何も知らないし、無関係だよ」
呆然と漏らすマユに向けて、ヴァルアスは語った。
「仲間に知らせようとしても無駄だよ。既にこの領域は封鎖している。ここでバラすからには…君らを一人たりとも逃がす気は無い」
笑みを浮かべながら語る、ヴァルアスの足元に赤い魔法陣が描かれ、体が黒い靄につつまれていく。
靄は徐々に大きく、そして形状を変化させていった。
『グラーズを倒したという君の力…どれ程のものか、見せて貰おうか』
その言葉と共に靄が消え、マユ達の眼前に、姿を変化させたヴァルアスが姿を現す。
「こ、これが…魔装竜…魔族の王…」
眼前に立つ黒い装甲に身を包む巨大な竜に、シエルは呆然と声を漏らした。
(強い…レドリックやグラーズよりも遥かに…)
マユもまた、ヴァルアスから放たれる魔力に圧倒され、言葉を失っている。
勝てるのだろうか…こんな化け物相手に。
二人の心を絶望的な思いが、支配しつつあった。
『グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッ!!!!』
大地を震わせんばかりの巨大な咆哮が、天を仰いだヴァルアスから放たれる。
「うぅっ!!」
「きゃっ!」
凄まじい咆哮に、マユとシエルは思わず両手で耳を塞ぐ。
227魔法少女マユ 第15話 3/24:2009/12/19(土) 20:59:21 ID:Q7g5ja9S
ヴァルアスの放った咆哮は、戦場全てに響き渡る。
「っ!?…この声…まさか、アイツが…!」
リィンは咆哮を放たれた方角を見て叫ぶ。
「…その様だね。全く、御自らお出でになるとは…」
同じ方角に目をやり、レドリックは苦笑する。
「落ち着くんだ!リィン、今は戦いに集中しろ!」
「でも兄さん!!アイツが…皆を殺したアイツが!!」
駆けだそうとする、リィンの肩を掴んで、フィルが言い放つ。
「フィルの言う通りよ!ここを離れる訳にはいかないわ!」
「…うぅ…!」
二人に止められて、リィンは俯いて踏み止まる。
「君達を行かせる訳無いじゃないか。君達はここで死ぬんだ!」
リィン達の目の前に立つレドリックが、嘲笑う様に言い放つ。
「しかし…ここまでの強さとは…」
剣を構えなおしながら、フィルは辛そうに呻く。
リィン達の周りには、多くの仲間が倒れている…全てレドリックに倒されたのだ。
全力を開放したレドリックの力は圧倒的なものだった。
皆が一斉に放った攻撃の大半をものとせず、次々と少年少女達を蹴散らす様に倒す。
無論、ノーダメージという訳ではない。リィンやフィルなどの攻撃で幾らかのダメージをレドリックも受ける。
しかし…彼らが与えたダメージは即座に再生を開始し、見る間に完全修復されてしまう。
「こちらも全力で攻撃を加えているのに…これじゃ焼け石に水だ…」
ゆっくりと動く異形の魔物と化したレドリックを見ながらフィルは顔を顰める。
このままでは、ジリ貧だ。いずれこちらが消耗して戦闘不能になってしまう。
「コーネリア様の方は大丈夫なのだろうか…」
「結界を張られて…向こうの様子が分からないわね」
現在コーネリアの状況は、レドリックの張った結界のせいで把握できていない。
あの竜型の造魔に、彼女が負けるとは考えないが…状況が分からないのは不安だった。
「なんとか、時間を稼ぐしかない…コーネリア様が援護に来てくださるのを信じるんだ!」
「フフフ…さぁ、どこまで持ちこたえられるかな?楽しませてもらうよ!!」
レドリックは楽しそうに笑いながら動き出す。
戦場に現れた主の存在は、激昂していた彼の心に余裕を取り戻させた。
(コーネリアは来ないよ。ルインを倒したとしてもね…こちらには秘策があるから)
心中でほくそ笑みながら、レドリックはリィン達と対峙する。
「くっ…なんとかしないと…向こうにはマユちゃん達が…!」
咆哮の放たれた方角を見て、リィンは顔を顰めて呻く。
(どうか無事でいて…!)
マユ達の身を案じながら、リィンはロッドを握りしめる。
228魔法少女マユ 第15話 4/24:2009/12/19(土) 21:00:50 ID:Q7g5ja9S
「…この声、陛下のだよな?」
「間違いないね…あの人が増援だけ出すとは思ってなかったけど…やっぱりお出でになられた様だねぇ」
「そうだろうな、間近で繰り広げられる戦を前に、あの御方がじっとして居られる訳が無い」
増援部隊を率いていた将軍たちの耳にも、魔王の咆哮は届いた。
「あの御方もこうお考えなのだろう…ここで魔法少女達を全て殲滅し、この世界に居る敵を一掃すべきだと」
ゲリオスは笑みを浮かべながら語る。
「…アタシはむしろ、あの人暴れたいだけに来たんじゃないのかと思うけどねぇ…あの人、よくフラっと戦場に来て暴れるから」
口元を扇子で隠しながらイレーヌは笑う。
「まっ、どっちでもいいじゃねぇか……お前らぁ!!陛下御自ら戦場にお出でになられた!無様な戦いはするんじゃねえぞ!!」
ローエルは魔族達を見渡して叫ぶ。
『ウオオオオオオオォォォォォッ!!!』
魔族達が一斉に雄叫びを上げる。
『御三方に続き、陛下まで御参戦くださった!!この戦勝てるぞぉぉぉ!!』
『エルメリアの連中を蹴散らせぇぇ!!』
『ヴァルアス陛下万歳ーーー!!!』
魔族達は次々に声を上げる。
増援部隊が発した咆哮は、周囲にも響き渡り、他の場所で戦う魔族達も、それに呼応するように声を上げ始める。
戦場に轟く魔族達の声に応える様に、もう一度魔王の咆哮が放たれた。
ヴァルアスの放った咆哮により、元より高かった魔族達の士気は一層高まる。
「陣形を広げよ、連中を包囲殲滅する」
「了解っと……爺様、司令部からの情報が入った。奇襲を仕掛けてた部隊は追い散らされた様だ。
 連中、こちらへの迎撃態勢を整えつつある…その内飛んでくるぞ、リミュエル達の砲撃が」
本部との通信を行っていたローエルがゲリオスに告げる。
「ふむ…ここですぐ仕込みを使ってもよいが…出来れば乱戦に持ち込んだ状態で使いたい。私とイレーヌで砲撃はなんとかしよう」
「そうだねぇ…それじゃ、この子達を一斉に短距離転移させるよ。もし先にぶっ放してきたら、じーさん対処よろしく」
「よかろう…あの小娘などに後れは取らんよ」
イレーヌの提案に、ゲリオスは不敵な笑みを浮かべながら頷く。
「んで、姐さんの手駒が暴れてる隙に、俺が機動力の有る部隊を率いて斬り込むとしますか」
指でサングラスを上げながら、ローエルが二人の案に付け加える。
「それで問題無かろう…早々に片付けるぞ」
「はいな、中央で戦ってるレドリックや陛下の元に行かないとね」
「陛下はいざ知らず…レドリックも問題無いと思うがね。アイツ本気出すと、えげつない手使うからな」
ククク、とローエルは小さく笑いを漏らす。
「そうだねぇ…あの子も、じーさん並みにえぐい事するからねぇ」
「何を言っておる…私は兵の消耗を少なく、かつ敵に最大の損害を与える方法をだな…」
「あーあー、長話はいいって。時間が惜しい、さっさと行こうぜ」
イレーヌの言葉が気に障ったらしく、長々と話しだそうとするゲリオス。
それを遮る様に、ローエルは手を振りながら言った。
「それもそうだな…」
少し不満げだったが、ゲリオスは一言発すると黙りこくる。
「さぁて、楽しい戦の始まりだ」
戦場を見渡し、ローエルは不敵な笑みを浮かべた。
229魔法少女マユ 第15話 5/24:2009/12/19(土) 21:01:46 ID:Q7g5ja9S
「な、何なのこの声っ!?」
「攻撃部隊が向かった方から聞こえたよ!」
「向こうの皆は大丈夫なのかしら…」
戦場に轟いた魔王の咆哮に、皆は口々に動揺の声を漏らしていた。
「…皆!落ち着いて!」
動揺する兵達を一喝する様に、リミュエルが声を上げる。
皆は、突然声を上げたリミュエルに驚き、彼女の方を向く。
「攻撃部隊の皆はきっと敵の防衛線を突破してくれるよ!必ず、コゥ姉達が敵の計画を阻止してくれる…私はそう信じてる!」
周囲を見回しながら、リミュエルは力強く語る。
「それよりも…敵の増援部隊の本隊が、間もなくここに押し寄せてくる…」
リミュエル達の部隊に、奇襲を仕掛けてきた魔族達は撃退したが…反対方向から、敵の大部隊の増援が迫りつつあった。
前に展開していた友軍は、その雪崩の様な攻勢に、壊滅したようだ…
遮る物を失った敵軍は、ここに向けて猛然と進んできている。
「向こうで戦ってるコゥ姉達の所に、絶対に行かせちゃ駄目だ!ここで食い止めるよ!」
「…リミュエル様の言う通りよ!向こうの皆を信じましょう!必ず計画を止めてくれるって!」
リミュエルの傍らに立っていたアーシスも、皆の顔を見回して声を上げる。
「…そうだよ!信じよう、皆を!」
「敵を一匹たりとも向こうに行かせるもんですか!」
「魔族達なんかに負けるもんか!」
二人の言葉に皆は落ち着きを取り戻し、口々に力強く叫ぶ。
「…リミュエル様の御言葉のお陰で、皆落ち着きを取り戻しましたね」
「うん…」
頼もしそうに兵達を見ているアーシス。
だが、対照的にリミュエルの表情は少し陰りがあった。
リミュエルは、あの咆哮の主に心当たりがあったのだ…
(あの咆哮…恐らくはヴァルアス…魔王自らが前線に出て来たか…)
結界が幾重にも戦場に張られている為、存在は感じ取れないが…恐らくそうだろう。
(レドリックの守る防衛線を、マユちゃん達奇襲部隊が突破したみたいだけど…大丈夫だろうか…)
兵達を鼓舞する為に、ああ言ったが…リミュエルの心中は不安でいっぱいだった。
「リミュエル様!敵の増援部隊が迫りつつあります!」
俯いていた彼女は、アーシスからの報告に顔を上げる。
丘陵を越えて、次々と魔族の群れが姿を見せ始めた。
「あ、あんなに沢山…」
近くに立っていた少女が呆然と声を漏らす。
魔族達は雄叫びを上げながら猛然と突撃を開始し始める。
230魔法少女マユ 第15話 6/24:2009/12/19(土) 21:02:47 ID:Q7g5ja9S
「砲撃隊、構え!敵の突撃を止めるよ!!」
杖を横に振い、リミュエルが叫ぶ。
砲撃魔法による一斉射撃で、敵の突撃を止めなければならない。
リミュエルの指示に、魔法使い達が横一列に並ぶ。
次々と魔法陣が描かれ、光が収束していく。
リミュエルの突き出した杖の前にも、六芒星の魔法陣が描かれる。
「第一波、放てーーーーっ!!」
彼女の号令と共に、一斉に極大の光が放たれた。
放たれた光は、まっすぐ突き進み、突撃を仕掛けてきている敵軍へと迫る。
しかし命中する直前で、黒い闇の壁が軍勢の前に発生し、リミュエル達の放った光を受け止める。
「なっ!?」
突然の出来事に、リミュエルは驚きの声を上げた。
リミュエル達の砲撃は、闇の壁の前で全て防がれてしまった。
闇の壁が消えさると、魔族達は突撃を再開する。
「あれだけの砲撃を止める…こんな事が出来る奴なんて…まさか!」
脳裏に浮かんだ考えに、リミュエルは声を震わせた。


「お見事、さすがだねぇ」
後方の部隊の中に立つイレーヌは、リミュエル達の砲撃を防いだゲリオスに感嘆の声を上げる。
「褒める暇が有ったら、早々にそ奴らを向こうに転移させろ。そう何度も防げるものでは無い」
「はいはい…もうちょっと待っておくれよ…これだけの数、一度に送るの面倒なんだからさ…」
ゲリオスの言葉に、溜息をつきながら答え、イレーヌは転移魔法を展開していく。
「今少し時間が必要なようだな…ならば、こちらからも一手仕掛けてやるか」
転移魔法の発動に少し時間がかかりそうなのを見て、ゲリオスは呟くように言うと、手にした杖を構える。
彼の三つの首がそれぞれに詠唱を開始した。
ゲリオスの周囲に、赤青黄の三色の巨大な光球が生み出される。
上空に浮かび上がったそれらは、ゲリオスが杖で地面を叩くと同時に、無数の光球に分裂し、リミュエル達に向けて発射された。
炎、氷、雷の三種の攻撃魔法が、入り乱れながら雨の様に彼女達に降り注ぐ。
だが大半は、着弾直前に展開された障壁に防がれる。
最前線に立っていたリミュエルが、皆を守る為に展開したのだ。
「ふむ…向こうもやりおるわ。人間にしておくには惜しいな」
向こうの砲撃と同様、こちらも殆ど無効化された事にゲリオスは唸る。
「やるねぇ、あのお嬢ちゃんも…でも時間は十分に稼げたよ。さぁ、行ってきな!」
イレーヌが手にした扇子で手の平を打つと、彼女の周囲に待機していた巨大な植物達が次々と光に包まれ消えていく。
「…それじゃ、アタシ達も参りますか」
「ああ、大事に伏せておいた手札を、使わせてもらうとしよう…ククク、奴の驚く顔が目に浮かぶよ…」
「じーさんも好きだねぇ…アタシも大好きだけど、そういうの」
二人は笑みを浮かべながら周囲の軍勢と共に進みだす。
231魔法少女マユ 第15話 7/24:2009/12/19(土) 21:03:40 ID:Q7g5ja9S
「くぅっ!……この魔法、間違い無い…!ゲリオスの物だ…」
降り注いできた魔法を防いだリミュエルは、顔を歪め呻く。
エルメリアに居る、残り二人の『円卓』のメンバーが釘付けにするはずだった3将軍の一人ゲリオス。
彼がこの戦場にいる事に、彼女は動揺していた。
「リミュエル様、敵の突撃が止まりません!」
「もう一度砲撃を行うよ!乱戦に持ち込まれたらこっちが不利だ!」
アーシスの言葉に、リミュエルは再度砲撃を行おうと杖を構える。
その時、周囲に無数の光が現れる。
「っ!?転移魔法!」
光の中からは、無数の巨大な植物の魔物が姿を見せた。
「イ、イレーヌの使い魔達…アイツまで居るの!?」
突如出現し、暴れだした魔物を見て、リミュエルは驚きの声を上げる。
「きゃああっ!」
「あうっ!!」
伸ばされた蔦に、何人か絡め取られた。
「コイツらは炎に弱い!一気に焼き払うのよ!もしくは核を狙って!」
アーシスが叫びながら魔法を放とうとする。
だが魔物達の体に取り込まれた少女達の姿を見て、それを止める。
「なっ!?取り込まれてる…」
「盾にするなんて…卑怯な!」
核付近に捕らわれた少女達、これでは迂闊に手出しが出来ない。
動きを止めた少女達に向けて、次々と魔物の蔦が振るわれる。
「くぁっ!」
「きゃうっ!!」
腹部を打ち据えられたり、足を絡め取られ、少女達が悲鳴を上げる。
リミュエルが呪文を唱え、魔物の一体に放つ。
足元に魔法陣が発生し、そこから溢れる光を浴びた魔物は動きを止める。
相手に流れる魔力に干渉して、動きを止める魔術だ。
「魔法で相手の動きを止めて、その隙に皆を助けるよ!」
リミュエルの指示に、同じ魔法を使える者達が、次々と魔物達の動きを止めていく。
「急いで!コイツらをすぐに片付けないと!」
蔦を切り裂いて、核付近に捕らわれた少女を救出しながら、アーシスが叫ぶ。
騎士達が、動きを止められた魔物に近づき、捕らわれた少女を救出する。
救出したのを確認すると、魔法使い達が魔物の核を撃ち抜いたり、炎で焼き払う。
程なくして、魔物達は全て打ち倒される。
だが、魔物達に時間稼ぎをされた間に、魔族の群れはリミュエル達の目前に迫りつつあった。
疲弊したリミュエル達に、数倍の数の魔族の群れが雪崩の様に押し寄せる。
232魔法少女マユ 第15話 8/24:2009/12/19(土) 21:06:03 ID:Q7g5ja9S
『オオオオォォォォォッ!!!』
凄まじい雄叫びを上げながら、次々と魔族がリミュエル達に襲いかかってきた。
「リミュエル様!」
アーシスは剣を振い、リミュエルの右腕と杖を絡め取っていた造魔を打ち倒す。
「っ…ありがと、アーシス…このままじゃマズイな…」
助けてくれたアーシスに礼を言うと、悔しそうに顔を歪めるリミュエル。
彼女を守る様に、周囲にアーシスと同じく守護を務める騎士や魔法使いが集まり、陣形を組む。
そこかしこで乱戦が始まっている。
だが魔族の方が圧倒的に数が多く、こちら側が不利だ。
魔法使いや騎士一人に対し、2,3体がかりで襲いかかっていた。
「くっ…砲撃が成功していれば…!」
周囲の状況を見回して、リミュエルは歯噛みする。
「残念だったなぁ…想定外の御仁が居て」
「っ!?…その声は!」
不意に聞こえた声に、リミュエルは声がした方を向く。
そこには、グレーのコートを靡かせるローエルが立っていた。
「ローエルまで…何で…何でお前達がここに居るのよ!」
(最悪だ…何で全員こっちに来てるの!!)
ローエルに向かって叫びながら、心中でリミュエルは毒づく。
状況は最悪の方向に向かっている…ヴァルアスに続き、3将軍が3人ともこの戦場に姿を見せている。
「フフフ…何だかんだと聞かれたら」
「答えてやるのが世の情けってな…爺さん、説明任せたぜ」
隣に現れたイレーヌの言葉に続ける様に言うと、ローエルは後からやってきたゲリオスの方を向く。
「貴様らの策などお見通しよ…エルメリアに我々を釘付けにして、その隙にこちらの計画を阻止しようなどと…
 その様な事、させる訳にはいかんよ。向こうは配下の将達に任せてある…多少の戦術レベルの勝利など、貴様らにくれてやる。
 だが、この一戦だけはこちらが勝たせてもらう。その為に我々が増援としてここに来たのだ」
心底愉快そうに笑みを浮かべながら、雄弁を語るゲリオス。
「もっとも…陛下御自ら防衛に参加されたのだ。我々など来なくても勝利は確実だっただろうがな…」
「なっ…陛下って…」
ゲリオスの言葉に、彼を睨みつけていたアーシスが怪訝な顔をする。
「貴様らも聞いただろう?先程の咆哮を…我らが偉大なる王、ヴァルアス陛下が最終防衛線をお守りになっているのだ。
 最早、何人たりともこの計画を阻止する事は不可能だ」
「そ、そんな…」
リミュエルの隣に立っていた少女が、呆然と声を漏らす。
「さて…後が詰まってる。早々にケリを付けさせて貰おうか」
ローエルが刀を抜き放ち、にやりと笑みを浮かべる。
リミュエルを守る様に、二人の青年騎士が剣を構え、ローエルの前に立ち塞がる。
「ゲリオス…リヒトの仇、覚悟しろ!」
悠然と佇むゲリオスの前に、アーシスが立ち叫ぶ。
「それじゃ…アタシと遊ぼうかい、リミュエル」
残る3人の少女とリミュエルの前に、扇子を広げたイレーヌが立つ。
233魔法少女マユ 第15話 9/24:2009/12/19(土) 21:06:56 ID:Q7g5ja9S
「でやぁぁっ!」
騎士の一人が気合いの声と共に、ローエルに斬りかかる。
ローエルは刀でその一撃を受け止め、もう一人の斬撃を片方の手に魔力を纏わせ受け止める。
「ふむ、悪くない一撃だ。少しは楽しめそうだな」
嬉しそうに笑いながら、次々と繰り出される二人の剣を受け止め、捌いていく。
二人とも、リミュエルの守護を務めるだけあって、この地で戦っている騎士達の中でも相当な実力者なのだが…
その二人の攻撃を、ローエルは全て捌いている。
「…金髪の方、踏み込みが浅いぞ」
「な、何ぃ…!」
己の剣を批評する様なローエルの発言に、金髪の青年騎士は激昂して声を上げる。
「率直な感想さ…敵のこんな程度の言葉で、熱くなりなさんなよ!」
激昂し不用意に一撃を繰り出した騎士に対し、ローエルは斬撃を受け止めながら笑い、彼の腹部に蹴りを叩きこむ。
「ぐぅっ!?」
腹部への強烈な一撃に騎士は呻き、堪らず後退する。
「落ち着け、敵の言葉に耳を傾けるな!」
共に後ろに下がったもう一人の黒髪の騎士が、相棒を落ち着かせるように言う。
「ふーん、お前さんは冷静だねぇ……惜しいな、腕は悪くないし…もうちっと経験積めば、いい戦いが出来るだろうに…」
黒髪の騎士の方を見ながら、少し残念そうに漏らすローエル。
「だが、ここで出会っちまったんだから仕方なねぇな……お前ら、構えろ」
一つ溜息を吐き、サングラスを指で上げるローエル。
それまでと雰囲気が一変し、凄まじい殺気を二人に向けてくる。
彼の放つ殺気に気圧されながらも、二人は剣を構えた。
眼前に立っていたローエルの姿が消える。
次の瞬間、黒髪の騎士の間合いに彼は踏み込んでいた。
「ぐっ!?」
繰り出された一撃を受け止め、騎士は呻き声を上げる。
もう一人の騎士が、ローエルに向けて剣を振うが、あっさりと回避されてしまう。
二人は次々と斬撃を放つが、全てローエルに受け止められる。
時折繰り出されるローエルの一撃を、二人は受け止めるのが精いっぱいだった。
突然距離を取ったローエルが、魔力を剣に込めて振う。
「ぐあああっ!!」
「がっ!」
剣から放たれた衝撃波に、二人は吹き飛ばされる。
「くっ…何て強さだ…」
「これが…3将軍が一角の力か…」
二人は呻きながら立ち上がり、剣を構えなおす。
苦しげな表情の二人とは対照的に、ローエルは不敵な笑みを浮かべながら立っていた。
234魔法少女マユ 第15話 10/24:2009/12/19(土) 21:07:52 ID:Q7g5ja9S
「ゲリオス!覚悟っ!!」
手にした剣を突き出し、眼前に立つゲリオスに対し、アーシスは光の矢を放つ。
ゲリオスはゆっくりと杖を動かし、バリアを展開してそれを防ぐ。
「お前だけは…お前だけはっ!!」
激しい憎悪と怒りを向け、ゲリオスを睨みつけ叫ぶアーシス。
「ククク…憎いか?この私が…」
「当り前よ!よくも…よくもリヒトを!!」
嘲るようなゲリオスの言葉に、アーシスは叫んだ。
何度も共に戦った戦友の少年。
彼を卑劣な罠に嵌め、自分の眼前で殺した憎き仇…
彼を倒す、その思いに彼女は突き動かされていた。
「はぁぁぁっ!」
剣に魔力を纏わせ、ゲリオスに向かって駆けるアーシス。
全力で振った光輝く剣を、ゲリオスの杖が受け止める。
「フフフ…そちらから来てくれて、手間が省けたよ」
「な、何を…!?」
不意に漏らされたゲリオスの言葉に、アーシスは戸惑いを覚える。
「まぁ、そうなる様に偽りの記憶を植え付けたのだから…当然ではあるがな」
戸惑う彼女に対し、笑いながらゲリオスは言葉を続ける。
自分が与えた偽りの記憶で、自分に激しい憎悪を向けてくる少女が、彼にとっては滑稽で仕方なかったのだ。
「今こそ…伏せていた手札を使わせてもらうとしよう…」
「あ、あぐぅっ!……あ、頭が…」
ゲリオスの目が赤く怪しい輝きを放つと、アーシスは激しい頭痛に襲われる。
「くっ…あぁっ!…な、何をしたの…?」
「お前がそれを知る必要は無い…抵抗など無意味だ。大人しく屈するがいい」
「うあああああああっ!!」
彼が杖が地面を叩くと同時に、更に頭痛が増し、堪え切れなくなったアーシスは絶叫を上げる。
「うぁ……」
小さく呻き声を漏らし、アーシスは地面に倒れ伏す。
「フフフ…さて、始めるとしよう」
地面に倒れる彼女を見下ろしながら、ゲリオスは愉快そうに笑みを浮かべた。
235魔法少女マユ 第15話 11/24:2009/12/19(土) 21:08:38 ID:Q7g5ja9S
「きゃっ!」
「あぐぅっ!!」
リミュエルと共に戦っていた魔法使い達が、次々と飛んでくる光球に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「おやおや…もうおネンネかい?つまらないねぇ」
「みんなっ!…くっ…イレーヌ、よくも…」
周囲を見回したリミュエルは、対峙するイレーヌを睨みつけた。
「フフフ…大分お疲れの様だけど大丈夫かい?」
「うるさい!」
イレーヌの言葉に、リミュエルは叫ぶが、その顔は疲労の色が濃かった。
彼女は強大な魔術を行使できるが、反面身体能力がそれほど高くなく、近接戦は苦手だ。
この戦いで、馴れない戦いを行った彼女は、体力をかなり消耗させていた。
イレーヌが扇子を振い、無数の光球を放つ。
「くっ!」
リミュエルはバリアを展開してそれを防ぐ。
「お返しだよ!」
杖を突き出して、リミュエルは光の矢を次々と放つ。
イレーヌも同様にバリアを展開して、光の矢を防いでいく。
油断なく構えるリミュエル、対照的に悠然と佇むイレーヌ。
二人はしばし無言のまま睨みあう。
「リミュエル様!」
「アーシスっ!?」
横手から走ってきて、自分を守る様に立ったアーシスに、リミュエルは驚きの声を上げる。
「ゲリオスはどうしたの!?」
「それが…突然姿を消したんです。貴様に構っている暇は無いって言って」
リミュエルの問いに、アーシスは答えながら剣を構えた。
「じーさんの奴、陛下のとこ行ったのかねぇ…アタシに皺寄せが来たじゃないかい」
鬱陶しそうにアーシスを見ながら、イレーヌは溜息をつく。
(どういう事だろう…でも正直助かった…アーシスが居てくれれば、まだ対抗出来る…!)
心中で安堵したリミュエルは、イレーヌが放った光球を防ごうと前に出て、バリアを展開する。
「アーシス!アイツの攻撃が止まったら斬り込んで!」
次々と飛来する光球を防ぎながら、アーシスに向けてリミュエルは叫ぶ。
だが次の瞬間、予想もしなかった事が起こる。
アーシスが手にした剣を振い、リミュエルの背中を切り付けた。
「あぐっ!?ア、アーシス…何を…」
突然の事態に、リミュエルは苦痛に顔を歪めながら呆然と漏らす。
リミュエルの血で塗れた剣を手にする、アーシスの瞳は虚ろで、何者かに操られているかのようだった。
アーシスは後ろに跳び、リミュエルから距離を取る。
維持できなくなったバリアが破られ、リミュエルの周囲に無数の光球が着弾していく。
「うああああああああああっ!!!」
周囲で次々と発生する爆発に吹き飛ばされ、リミュエルは地面に倒れ込む。
236魔法少女マユ 第15話 12/24:2009/12/19(土) 21:09:54 ID:Q7g5ja9S
「ククク…上手くいきおったわ」
地に倒れ伏すリミュエルの前に、ゲリオスがゆっくりと姿を見せる。
「ゲ、ゲリオス…アーシスに…何をしたの…」
弱々しく声を漏らしながら、リミュエルはゲリオスを睨みつけた。
「…この小娘は、以前捕えた時に私が精神支配の術をかけていたのだ。
 こういう時に使う為にな…あと、貴様から情報を集める為にもな」
「なっ…まさか、この作戦も…」
「その通り、この小娘を通じて私に筒抜けだった訳だ。それで我々は向こうを配下に任せ、こちらに来たのだ」
傍らに立つ虚ろな眼をしたアーシスに視線を向けながら、ゲリオスは愉快そうに笑い声を漏らす。
「さて…抵抗できぬように、その杖を奪え」
「はい…」
ゲリオスの指示に、小さな声で返事をすると、アーシスはリミュエルの元に近づく。
「アーシス!目を覚まして!そんな術に負けないで!!」
リミュエルは必死に彼女に呼び掛けるが、その声は彼女には届かない。
握りしめていた杖を、アーシスに奪われてしまう。
「そんな術、とは心外だな。この分野に関しては、他の者より長けているという自負が私にもある」
「アタシもそういうの好きだけど、じーさんには敵わないねぇ」
むっとした表情のゲリオスの隣に、イレーヌが歩いて来る。
「あーあ…しっかしアタシの使い魔達、殆ど潰されちゃってるじゃないかい…」
周囲を見回し、散乱する植物の魔物達の残骸を見て、イレーヌは溜息をつく。
「とは言っても…何匹かは治せるみたいだね」
イレーヌはニッと笑みを浮かべると、魔力を周囲に放つ。
彼女の魔力を浴びて、魔物達の亡骸のうちの幾つかが再生を開始し、やがて動き出す。
「この子達腹ペコだから、アンタ達から魔力貰うとしようか…じーさん、その子もう要らないでしょ?」
「ふむ…目的は果たせたし、他の戦線に連れて行っても、あまり役には立たんだろうな…よかろう、好きにしろ」
ゲリオスの目が赤く光ると、アーシスが糸が切れた様に地面に倒れ込む。
「さぁて、お前達。この娘達からたっぷりと魔力を頂きな」
術が解けたアーシスを見下ろしながら、笑みを浮かべたイレーヌは指示を放つ。
「くあっ…」
リミュエルやアーシスの体に、魔物の蔦が絡みついていく。
全身を拘束され、リミュエルは苦痛に顔を歪める。
「爺様、姐さん、そっちも終わったかい」
騎士二人を倒したローエルも、ゲリオス達の元に近づいて来た。
周囲での戦いは殆ど決着が付き始めている。
力尽きた少女達を、魔族達は奪い合う様に襲い始めていた。
237魔法少女マユ 第15話 13/24:2009/12/19(土) 21:10:40 ID:Q7g5ja9S
「あぐうううううぅ!!!」
ボロボロのコスチュームを纏った黒髪の少女が、巨大な熊型の魔族に剛直を突きたてられ絶叫を上げる。
『ゲヒャヒャヒャ!!いい感じの締め付けだぜ!』
ゲラゲラと笑い声を上げながら、魔族は少女の胴を掴んで上下させていた。
極太のペニスを挿入された少女の膣口は裂け、血が流れ出している。
『オ、オレにも…お、犯させて…』
ユラユラと無数の触手を蠢かせるローパー型の魔族が近づいて来て言った。
『んん?良いのが見つからなかったのかよ…いいぜ、口なら好きにしていい』
『あ、ありがと…ありがと』
ローパーは礼を言うと、少女に向けて触手を伸ばす。
「むぐぅ!んむううううう!!」
無数の触手を挿入されて、少女はくぐもった悲鳴を上げる。
挿入された触手は口内を蹂躙し、喉の奥へと入り込んで突き始めた。
「んごっ!?ぶべっ!!」
前後から激しく突かれ、少女はがくがくと体を揺らされる。


「やだぁ!!やだぁぁっ!!助けてぇぇぇ!!」
両足を舌で縛られた少女が、ズルズルと引っ張られて、ゆっくり地面を滑って行く。
『ギャーギャー騒ぐな、これからがお楽しみなんだからよぉ』
舌を伸ばした巨大なカエル型の造魔が、ニヤニヤと笑いながら少女を引き寄せる。
カエルの元まで引き寄せられた少女は、足を掴まれてまんぐり返しにされた。
『んじゃ、処女いただきまーすっと』
ジタバタと暴れる少女の股を掴んで無理やり開かせ、下着を引き裂いたカエルは、少女の秘所へと舌を伸ばす。
「やだ!やだやだ!!んああああぁぁぁっ!!!」
泣き叫んでいた少女の膣に、カエルの太い舌が入り込んでいく。
「はぐううううううううううぅぅっ!!」
少女は、膣内に生じた激しい痛みに絶叫を上げる。
「あ、あぁぁ…い、いやぁ…いやぁ……」
『ゲゲゲゲゲッ!!どうだぁ?舌で処女を奪われる気分はぁ…最高だろぉ!?ゲゲゲゲっ!!』
呆然とした様子で涙を流す少女を、心底愉快そうにカエルが笑う。
膣壁をなぞりながら、ゆっくりと舌は奥へと進んでいく。
「あああああああぁぁぁっ!!」
子宮口まで到達した舌が、子宮口をこじ開けて中に入っていく。
カエルは、子宮壁に舌を押しつけて広げようとしたり、舐め回したりする。
「や、やめ…んあああああっ!んひいいぃっ!!」
子宮の中で舌が蠢く度に、少女は絶叫を上げていた。
あちこちで魔族達が、戦利品として得た少女達を犯している。
まだ戦利品を見つけていない魔族達は周囲を歩きまわり、下魔達は息のある男達に止めを刺して回っていた。
238魔法少女マユ 第15話 14/24:2009/12/19(土) 21:11:46 ID:Q7g5ja9S
しばしその光景を眺めていたゲリオスは、ローエルの方を向いて口を開く。
「ローエルよ、お前は一部の兵を率いてレドリックの元に向かえ。問題は無いと思うが…一応な」
「了解っと…あっちにはコーネリアが居るって話だし、楽しみだぜ」
ニヤリと笑みを浮かべながらローエルは頷く。
「イレーヌはここの指揮を執れ。兵達に適当な所で切り上げさせ、森の中の敵を狩りだすのだ…私は陛下の元に向かう」
「あいよ、しばらくはこの娘達で楽しませてもらうよ」
「…くれぐれも殺すなよ?貴重な母体だ。いずれ、そ奴らに我らの手駒を産んでもらうのだからな」
「分かってるさね…陛下に宜しく言っておいておくれよ」
クスクスと笑いながらイレーヌは答える。
「うむ…御判断を仰がずに勝手に動いてしまったからな…その件をお詫びしてくる」
「あー、ある意味職務放棄だからな…爺様、頼むぜ」
「ああ、分かっている…では、後ほど会おう」
ゲリオスは転移魔法を使い、光に包まれ消えていく。
「さて…俺も部隊の編成してくるぜ」
ローエルもそう言うと踵を返し、歩いて行った。
「それじゃ…たっぷりと楽しもうかい、リミュエル」
「くっ……」
魔物の蔦に絡め取られたリミュエルの顎に手をやり、自分の方を向かせ、イレーヌはにっこりと笑う。
無数の蔦がリミュエルの眼前に伸ばされ、その先端が口を開く。
「きゃっ!?」
吐き出された粘液が、リミュエルの体に浴びせられる。
「くぅっ…服が…」
粘液がかかった部分の服が、どろどろと溶けていく。
「んあっ!や、やめ…あぅっ!」
触手は次々と粘液を吐き出し、リミュエルの胸に浴びせていく。
服が溶け、リミュエルの大きめの胸が露わになる。
「ぅ、うぅ…」
同様に粘液を浴びせられていたアーシスが小さく呻き、ゆっくりと眼を開けた。
「え…な、何なの!?」
目を覚ました彼女は、自分が蔦に拘束されている状況に驚く。
「アーシス…正気にもど…ひきゃっ!?」
アーシスに声をかけようとしたリミュエルは、蔦に圧迫され思わず声を上げた。
「リミュエル様!?んやぁっ…ひぅっ」
驚いてリミュエルの方を見たアーシスも、胸に蔦が巻き付き喘ぐ。
239魔法少女マユ 第15話 15/24:2009/12/19(土) 21:13:04 ID:Q7g5ja9S
(やだ…何これ?体が変だよぉ…)
体に生じた熱とあちこちが疼く感覚にリミュエルは混乱する。
先程浴びせられた粘液に含まれた媚薬成分が効果を発揮し始めたのだ。
今まで感じた事の無い感覚に、リミュエルは怯え恐怖する。
「あひゃっ!んひぃ!」
隣のアーシスは蔦に胸を弄ばれ嬌声を上げ、口から涎をだらしなく零す。
乳首がしこり立ちつつある彼女の胸に、蔦の先端が開いて吸い付く。
「んやああぁぁぁぁっ!ら、らめぇ!らめぇぇ!」
吸いついた蔦は、包み込んだアーシスの胸を、激しく引っ張る。
同時に、蔦の内側にある無数の小さな触手が、胸を乳首を愛撫していく。
(わ、私もアーシスみたいになっちゃうの…?やだ…やだよぉ…)
目の前で繰り広げられる光景に、リミュエルは震えを抑えれなかった。
彼女に性交の経験など無い。ましてや、騎士や魔法使い達に守護されていたから、魔物に襲われた事も無い。
「フフフ…リミュエルは初めてみたいだから、優しくしてあげないとねぇ」
怯えている彼女の心を見透かす様に、イレーヌが笑みを浮かべながら言う。
「ひっ…や、やだぁ…や、やめて…」
リミュエルの胸へと、何本も蔦が伸ばされる。
「ひぁっ!!」
蔦が彼女の胸に巻き付き、きゅっと締め上げた。
媚薬に犯されたリミュエルの体に、電流が走る様に快感が襲う。
彼女の反応を楽しむように、蔦は胸をゆっくりと捏ね繰り回す。
「あひぃぃっ…む、胸揉んじゃ…ふぁっ…やだぁ…あぅ…や、やめてぇ……」
頬を紅潮させながら、リミュエルはイヤイヤと顔を横に振りながら喘ぐ。
「んー、初々しい反応だねぇ…もっと色々したくなっちゃうじゃないか」
クスクスと笑い声を漏らしながら、イレーヌは胸を愛撫され喘ぐリミュエルを見つめる。
固くなった乳首に、蔦の先端から更に細い蔦が伸びた。
「んぁっ!きゃうっ!」
小さな蔦が、乳首に絡みついて引っ張る。
「ふぁっ!や、やめっ…あくぅっ!」
必死に声を上げようとするリミュエルを遮る様に、乳首が抓られた。
胸で触手が動く度に、リミュエルの体に快感が走る。
今まで味わった事の無い感覚に、リミュエルは喘ぎ悶え続ける。
240魔法少女マユ 第15話 16/24:2009/12/19(土) 21:13:56 ID:Q7g5ja9S
「ホント良い反応するねぇ…まだ胸弄ってるだけなのに…『円卓』の名が聞いて呆れるほどの淫乱だねぇ」
「ち、ちが…い、淫乱なんかじゃ…はくぅっ!!」
イレーヌの言葉を否定しようと声を漏らしたリミュエルは、乳首を圧迫されて声を上げる。
「ふーん、淫乱じゃないっていうのかい…じゃあ、もっと色んな事して確かめないとねぇ」
にっこりと笑顔を浮かべるイレーヌに、リミュエルは顔を青ざめさせる。
「え…い、色んな…事…?」
「ああ、そうだよ。例えば…こんな事とか」
蔦が何本もリミュエルの下半身に伸ばされ、ロングスカートを引き裂いていく。
「きゃああっ!や、やめてえぇっ!」
スカートが引き裂かれ、ピンクの可愛らしい下着が露わになる。
「ふーん、そういう下着が好みなのかい…」
下半身に注がれる視線に、激しい羞恥心に襲われたリミュエルは、もじもじと太股を動かす。
太股がこすれあった瞬間、リミュエルを激しい快感が襲う。
「ひゃんっ!?」
下半身に生じた快感に、思わず声を上げてしまう。
「おやおや、股が寂しいみたいだねぇ…自分で擦り合わせて声を上げるだなんて…」
扇子で口元を隠しながら、イレーヌが嘲る様に笑う。
「お股が寂しいってさ。リクエストに答えてあげなよ」
リミュエルの足に蔦が絡みつき、無理やり開脚させられる。
開かれた股に、蔦が伸ばされた。
伸びてきた蔦は股間を通され、小振りなリミュエルの尻の割れ目にくい込む。
「あひゃあああああぁぁっ!!?」
下着の上から、股間と尻を蔦で擦られ、リミュエルは声を上げて体を動かす。
その行為が、自ら蔦に秘所や尻を擦り付ける行為になり、更に激しい快感が生じた。
「下着邪魔だし溶かしちゃいな。ついでに感度も良くしてあげなさいな」
蔦が何本も股間に伸ばされ、胸に浴びせていた粘液を股間に向けて吐き出す。
「あひぃ…ら、らめぇ…」
粘液を浴びて下着が溶け、リミュエルの秘所が露わになる。
「ひああああああああああっ!!!」
晒され秘所や
尻に、蔦が擦りつけられた。
今までとは比べ物にならない程の快感がリミュエルを襲い、意識が飛びそうになる。
(はひゃぁ…な、なにこれぇ…気持ちよすぎるよぉ…)
凄まじい快感に、リミュエルはまともに思考する事が出来ず、惚けた様な表情を浮かべていた。
「うぁああぅ!ふやぁぁぁっ!!!」
何度も股間を擦りつけられ、その度にリミュエルはだらしなく口を開いて声を上げる。
先程まで軍を率いていた、凛とした彼女からは想像もできない様な淫らな有様だった。
「フフフ…随分濡れちゃったみたいだねぇ」
擦りつけられていた秘所から零れ出る愛液を見て、イレーヌは愉しそうに笑う。
「でも、ここは最後のお楽しみにしておこうか…さぁ、リミュエルをもっと気持ちよくしてやるんだ」
イレーヌの言葉と共に、無数の蔦がリミュエルの体に伸ばされる。
その中には大きく口を開き、長い舌を伸ばす物も幾つか存在していた。
241魔法少女マユ 第15話 17/24:2009/12/19(土) 21:14:47 ID:Q7g5ja9S
「ふぁぁぁっ!!」
口を開いた蔦が、リミュエルの両方の胸に吸いつく。
胸を引っ張りながら、中の舌で乳首を巧みに転がす。
更に無数の蔦から舌が伸ばされて、リミュエルの体をゆっくりと舐めていく。
「あひゃっ!?わ、腋はらめぇぇっ!!」
ビクビクと体を震わせて、リミュエルは声を上げる。
「そこが弱いみたいだねぇ…」
イレーヌはニヤニヤと笑いながら喘ぐリミュエルを見つめる。
無数の舌が腋に伸ばされ、舐め回していく。
もう片方の腋には、口を開いた蔦が吸い付いた。
「ひぁあああああああぁぁぁっ!!」
体を襲う激しい快感に、リミュエルは嬌声を上げる。
「ホント敏感だねぇ…反応も良いし。淫乱確定だね」
「うぇ…?ひ、ひがうよぉ…わたしは…いんらんなんかじゃないよぉ…」
イレーヌの言葉に引き戻された様に、リミュエルは震えながら弱々しく声を漏らす。
「何言ってんだい。これだけ派手に悶え喘いどいてさ……そんな事言えないくらい、もっと凄い快感を味わえるようにしてあげるよ」
震えるリミュエルに近づくと、イレーヌは彼女の顎に手を当てて自分の方を向かせる。
「んむぅぅっ!?」
リミュエルの唇に、イレーヌの唇が重ねられた。
だらしなく開かれていたリミュエルの口は、あっさりとイレーヌの舌の侵入を許してしまう。
リミュエルの口内に侵入してきた舌は、口内をゆっくりと愛撫していく。
「んっ…んくぅ…ふぁぁ…」
怯えた様に縮こまっていたリミュエルの舌に、イレーヌの舌が絡みつき、淫らなダンスを始める。
イレーヌの口内から次々と唾液が送り込まれ、リミュエルのそれを絡み合う。
やがて堪え切れなくなったリミュエルは、それを喉の奥へと飲み込む。
散々舌を弄び、大量の唾液を飲ませると、イレーヌは唇を放す。
「ぷはっ…はぁ…はぁ…」
解放されたリミュエルは、頬を紅潮させながら息を漏らした。
イレーヌが何か呪文を唱え、指を鳴らす。
「あひっ!?」
突然リミュエルが声を上げる。
体が今までより更に熱くなったのだ。同時に、蔦に受けていた愛撫で生じる快感が、更に激しい物になる。
「んああああぁぁぁっ!!!」
金髪のサイドポニーを振り乱して、リミュエルは淫らな声を上げた。
イレーヌが放ったのは、相手に送り込んだ自分の唾液を、強力な媚薬に変化させる魔術だった。
その効果は、使い魔達が放つ媚薬を遥かに凌ぐものだ。
蔦に愛撫される度に、リミュエルの頭を真っ白にさせるほどの快感が襲う。
242魔法少女マユ 第15話 18/24:2009/12/19(土) 21:15:45 ID:Q7g5ja9S
「あくぅぅっ!ふあぁぁっ!」
蔦が動く度に、リミュエルは体を弓なりに反らし、声を上げる。
イレーヌの魔術により、彼女は全身が性感帯になった様な有様だった。
蔦から伸ばされた舌が臍の辺りを舐め回す。
同時に、腋や太股にも無数の舌が伸びる。
「んきゃああああああっ!!」
両胸の乳首を一纏めに縛られて引っ張られ、リミュエルは髪を振り乱しながら叫ぶ。
全身に行われていた愛撫が突然止まる。
「あひっ…んぅぅ……」
行為が止まった事で、リミュエルはがっくりと項垂れる。
「フフフ、そろそろお楽しみに入るかねぇ」
数え切れないほど絶頂を迎え、ぐったりとしているリミュエルを見ながら、イレーヌが呟くように言う。
待ちかねた、とばかりに無数の触手がリミュエルの股間へと動く。
「あっ、待った。そっちの穴はダメだよ…そこは特別な方法でやりたいからね」
膣口へと入り込もうとした蔦は、イレーヌの言葉に動きを止め、そして…
「あくうううぅぅぅっ!!!な、なにぃ…なんなの!?」
突然生じた凄まじい快感に、リミュエルは驚いて快感が生じた方を見る。
リミュエルのアナルに、無数の蔦が挿入されていた。
「んひいいいぃぃっ!!」
腸壁を無理やり拡張して、更に無数の蔦が先を争う様に入り込んでいく。
あまりにも拡げられ過ぎて、菊門は少し裂けて、血が流れて出ている。
直腸の壁も、無数の蔦によって傷つけられてい。
だが、リミュエルは痛みを感じていない。
否、感じているのだが…それを遥かに凌駕する快感がリミュエルの体を襲っていた。
「あううううううぅぅっ!!ら、らめぇえぇっ!!お、おかしくなっちゃうううぅぅっ!!!」
ずんずんと蔦に突かれ、リミュエルは頭が焼き切れんばかりの快感を何度も受ける。
ハイペースなピストン運動を受け続けるリミュエル。
快楽に支配されつつある彼女の股から黄色い水が音を立てて流れ出ていく。
「おやおや…失禁しちゃったのかい。しょうがない子だねぇ」
クスクスと笑い声を漏らしながら、イレーヌはその光景を愉快そうに見つめる。
(ぁ…あぁ…もうだめぇ…なんにもかんがえられないよぉ…きもちよすぎぃ…)
ピストン運動を続けていた蔦がボコリと膨れ上がる。
「あひひゃあああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
深く突きこまれた蔦が、次々に射精を開始していく。
洪水の様に放たれた精液が、リミュエルの体を満たしていった。
「あ…あはぁ…あはははは……」
膨大な精液を注ぎこまれたリミュエルは、お腹を膨らませながら笑い声を漏らす。
その瞳は焦点を失い、虚ろな物になりつつあった。
ゆっくりと一本、また一本と引き抜かれていく蔦。
栓が抜けた様に、アナルから赤い血と精液の白濁が混じり合った物が流れ出ていく。
243魔法少女マユ 第15話 19/24:2009/12/19(土) 21:18:27 ID:Q7g5ja9S
「さてぇ…メインディッシュといこうか」
乾いた笑いを漏らしながら、震えているリミュエルに向けて、イレーヌは笑顔で語りかける。
そして、隣で同様に全身を愛撫されていたアーシスの方を向く。
「最後はアンタにやってもらうとしようか」
「んぁ…?な、何を…?」
惚けた様な表情だったアーシスは、イレーヌの言葉に、震えながら尋ねる。
「今に分かるさ…」
一言言い放つと、イレーヌはアーシスに手を向けて呪文を唱え始めた。
「ひぁっ……」
精神に干渉を受けたアーシスは小さく声を漏らし、がっくりと項垂れる。
「うん…散々可愛がった後だし、じーさんが一度掌握済みだから干渉が簡単だね」
「ア、アーシスぅ……」
拘束から解放され、地面に崩れ落ちていたリミュエルが、弱々しく声を漏らす。
「お?まだ正気を失ってなかったかい…それでこそだよ。楽しみがいが無い」
完全に快楽に堕ちた訳ではなかったリミュエルを、にっこりと笑いながらイレーヌが見つめる。
項垂れていたアーシスが、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳はゲリオスに操られていた時の様に、生気の無い虚ろな瞳だった。
イレーヌはアーシスのすぐ近くに立つと、彼女の股間へと手を伸ばし呪文を唱え始める。
「な…ウ、ウソ…」
アーシスの方を見たリミュエルが、信じられないといった様子で声を漏らす。
拘束を解かれ、地面に立っているアーシスの股間に、極太のペニスが存在するのだ。
魔物の物かと錯覚する様な、無数の突起の生えた黒くそして太いペニスが…
そのおぞましいペニスを見て、リミュエルは戦慄を覚えていた。
「さぁ、最後はアンタがリミュエルを気持ちよくしてあげな」
「はい…分かりました」
イレーヌが肩をポンと叩くと、アーシスはリミュエルに向けてゆっくりと歩き出す。
「あ、あぁ…い、いや…いやぁ…」
恐怖に表情を引き攣らせたリミュエルは、必死に逃れようするが、これまでの陵辱により体にまったく力が入らない。
アーシスはリミュエルのすぐ近くまで来て、うつ伏せの状態だった彼女の腰を掴む。
「リミュエル様…私が気持よくしてあげますね…」
虚ろな眼をしたアーシスが、腰を掴んだ手に力を入れ、リミュエルの体を自分に向けて引き寄せる。
「あふぁっ!…や、やめて…アーシス…やめてぇぇぇぇっ!!」
アーシスの股間に生える、黒く太いペニスがリミュエルの秘所へと近づけられていく。
「い、いや…いやぁぁ…誰か助けてぇ!!」
大粒の涙を零しながら泣き叫ぶリミュエル。
「それじゃぁ…入れますね」
泣き叫ぶリミュエルを無視して、アーシスは股間に生えたペニスをリミュエルの膣へと挿入する。
244魔法少女マユ 第15話 20/24:2009/12/19(土) 21:20:22 ID:Q7g5ja9S
「あくうううううぅぅぅぅぅっ!!!」
極太のペニスが強引に挿入され、リミュエルは声を上げる。
ゆっくりと挿入されていくペニスが、処女膜を突き破り、結合部から赤い血が流れている。
だが処女喪失の痛みすらも、それを凌駕する快感に掻き消されてしまう。
「やあぁぁぁぁぁん!!はくううぅぅぅぅっ!!」
先程のアナルを蔦に犯された時以上の快感が、リミュエルの僅かに残っていた理性も吹き飛ばしてしまう。
アーシスは信じられない様な力でリミュエルを掴み、ペニスを強引に押しこんでいた。
無数の突起の生えた極太のペニスは、膣壁を激しく傷つけながら挿入されていく。
子宮口付近までペニスを押し込むと、今度はゆっくりと引き抜き始める。
「んああああぁぁぁぁっ!!!す、すごいよぉっ!!」
「リ、リミュエル様の締め付け…!気持ち良いです!もっときつくしてください…!!」
二人は激しい快感に震えながら、行為を続けていく。
突きこむ度に、だんだんとアーシスはペースを速めていきつつある。
「あああぁぁぁっ!!アーシス!アーシスぅっ!!もっと、もっと激しく突いてぇっ!!!」
「リミュエル様ぁっ!!」
完全に快楽の虜になってしまった二人は、互いの名を呼びながら行為を続ける。
周囲に居た魔物達が、二人に更なる快楽を与えようと蔦を伸ばす。
「ひうぅぅっ!あふぁっ…くひぃん!」
「きゃんっ…あうぅぅ…んやあぁぁっ!」
蔦に体を愛撫されながら、行為を続ける彼女達は何度も嬌声を上げる。
何十回目の突き込みだろうか…アーシスが一際奥へとペニスを挿入していく。
「きゃうううぅぅぅっ!!」
「はああぁぁぁぁんっ!!」
子宮口をこじ開けて、ペニスがリミュエルの子宮に侵入する。
「「あああああああああああああああああああぁぁっ!!!!」」
二人の叫びが同時に放たれ、アーシスはリミュエルの子宮内に大量の精液を放つ。
膨大な量の精液が注ぎ込まれ、リミュエルの腹は妊婦の様に膨れ上がっていく。
30秒近く続いた射精が終わると、アーシスの股間についていたペニスが消滅する。
「ふぁ……」
「ぅぅ…」
恍惚とした表情を浮かべていた二人は、力無く地面に倒れ込んだ。
倒れた際に腹が圧迫され、赤と白が混じり合った液体が、リミュエルの膣口から流れ出ていく。
「最高だったよ、二人とも…あー、愉しかったよ」
イレーヌが二人の元に近づき、満面に笑みを浮かべながら語る。
だが、気絶した二人にはその声は届かない。
「さすがに気絶しちゃったかい…あんまりやりすぎると、じーさんに叱られるからねぇ…」
彼女は近くの下魔を呼びつけ、リミュエル達を本部に連れていくように指示する。
「さぁて、お前達…そろそろお楽しみは終わりだ!残兵狩りを始めるよ!!」
あちこちで陵辱を続ける魔物達を見回して、イレーヌが叫んだ。
245魔法少女マユ 第15話 21/24:2009/12/19(土) 21:21:32 ID:Q7g5ja9S
戦場に響き渡る魔族達の雄叫びを聞き、ヴァルアスは満足そうに頷く。
『ふむ…ゲリオス達まで来ているようだな』
「左様でございますね…私は何も伺っておりませんが」
『彼らの独断だろう…だが、さすがは我が将達だ。この一戦こそが最も重要な戦なのだ…彼らの判断は正しいよ』
傍らのレフィールの言葉に頷きながらヴァルアスは語る。
「そ、そんな…エルメリアに居るはずの3将軍が…」
彼らの言葉に、呆然とした様子でシエルが呻く。
『フフフ…目論見が外れたようだな』
ヴァルアスは愉快そうに笑いを漏らす。
「シエル…戦うしかない…!ここを突破して、魔族の結界を阻止しなきゃ!」
「マユちゃん…」
「目的が達せれれば、皆もここから脱出できる。この状況を打開するにはそれしか無いよ!」
不安そうに見つめてくるシエルに対し、マユは力強く言った。
マユの言うとおり、結界発生装置を破壊すれば、この周囲に影響を及ぼしている余波が消滅し、転移魔法が使えるようになる。
そうすれば、この不利な状況からも脱出が可能になる。
『さすがだね、マユ君…では、始めるとしよう』
ヴァルアスがゆっくりと動き出す。
マユとシエルは武器を構える。
『レフィール、無粋な邪魔はされたくない…彼女と、そこに倒れているお嬢さん方は君に任せる』
「御意…どうぞ陛下はごゆっくりお楽しみください」
主の言葉に、レフィールは深々と頭を垂れる。
「なっ!?」
シエルの足元に転移の魔法陣が描かれた。
「シエル!」
「マ、マユちゃん!!」
マユは驚いて魔法を妨害しようとするが、シエルは光に包まれ消えてしまう。
周囲に倒れていた仲間の少女達も、次々と光に包まれ消えていく。
そして最後に、レフィールも光に包まれ姿を消す。
『フフフ…これで邪魔する者は居なくなったね』
「くっ…」
シエルと引き離され、一人で戦う事になってしまったマユは、小さく呻く。
(弱音を吐いちゃダメ!皆を守る為にも…絶対にここを突破する!)
気圧されていた心を奮い立たせ、マユは剣を構える。
『良い目だ…微塵も諦めていないその瞳、そうそう出来ないよ』
マユの視線を受けながら、ヴァルアスは嬉しそうに目を細める。
『では、始めよう…いつでも来たまえ』
246魔法少女マユ 第15話 22/24:2009/12/19(土) 21:22:22 ID:Q7g5ja9S
「いけぇっ!」
マユは片手を突き出し、無数の光の矢をヴァルアスに向かって放つ。
次々と光の矢がヴァルアスに命中するが、彼の体を覆う黒い装甲は傷一つつかない。
『生半可な魔法では私の守りを破る事は不可能だよ』
「くぅっ…」
何事もなかったようなヴァルアスの言葉に、マユは顔を顰める。
(なら…近接戦で装甲を破壊して、柔らかい部分を露出させる!)
マユは心中で叫ぶと、手にした剣に魔力を込め、光の大剣を構築する。
「てやぁぁぁっ!!」
微動だにしないヴァルアスに向かって駆け、彼に向って剣を振う。
ヴァルアスは片手を前に出し、手の甲辺りで剣を受け止める。
「くっ…うぅ…!」
マユは必死に剣に力を込めるが、刃は装甲をほんの少し溶かしただけで、殆ど進まない。
(ウソっ…効かない!?)
自分の最大の攻撃手段をもってしても、殆ど傷つけられない事に、マユは心中で驚く。
更に剣を押し込もうと力を込めるが、ヴァルアスが腕を少し動かしただけで押し返されてしまう。
「きゃっ!」
剣を弾かれ、バランスを崩しながら後ずさるマユ。
彼女の向けて、無数の触手が振われる。
「うああああああっ!!」
全身を打ち据えられ、マユの体は吹っ飛ぶ。
吹っ飛ばされながらも態勢を立て直そうとした彼女の右足に触手が絡みつく。
「し、しまったっ!?」
絡みついた触手は、強烈な力で引っ張り、マユを地面に叩きつける。
「あぐぅぅぅっ!!」
背中を地面で強く打ち、マユは苦悶の声を上げた。
追い撃ちをかける様に、彼女の腹部に向けて、先端が丸い球体になった触手が振われる。
「がっ!!……かはっ…」
腹部を触手の先端で殴りつけられ、マユは堪らず息を詰まらせてしまう。
「くっ…ぅぅ…」
腹部を押さえ、マユは苦しそうに呻く。
更に攻撃が来ると思ったが、ヴァルアスはじっとしたまま動かない。
「げほっ、げほっ…」
マユは咳き込みながらゆっくりと立ち上がる。
(強い…なんとか糸口を見つけないと…)
圧倒的な防御力を誇るヴァルアスを前に、マユは必死に打開策を考え続けた。
『…来ないのなら、こちらから仕掛けさせてもらうよ』
ヴァルアスの両肩の装甲部分が開き、その中に隠れていた球状の発光体が、一斉に輝きを放つ。
247魔法少女マユ 第15話 23/24:2009/12/19(土) 21:23:05 ID:Q7g5ja9S
「くっ!」
マユは慌ててバリアを展開する。
彼女に向けて、ヴァルアスの両肩から無数の光球が放たれる。
「うぅぅぅぅっ!!!」
次々と着弾する球体が、バリアの魔力を削り取っていく。
マユは必死に維持しようとするが、やがて突破されてしまう。
「きゃあああああああああっ!!!」
周囲に着弾する光球の爆風で、マユの小さな体が吹き飛ばされる。
爆風が晴れた後には、地面に倒れ伏すマユの姿があった。
(……少し拍子抜けだな。もう少し楽しめるかと思ったが…私の見込み違いか)
動かないマユを前に、ヴァルアスは心中で溜息をつく。
これで終わらせるとしよう…そう考えたヴァルアスは、再び発光体から光球を発射する。
光球が放たれた瞬間、マユが勢いよく立ち上がった。
『何?』
唐突な行動に、ヴァルアスは声を漏らす。
自分に迫りつつある光球に向けて、彼女は次々と光の矢を放つ。
光の矢に迎撃された光球が炸裂し、他の光球も誘爆を起こす。
バリアを纏ったマユが、光の翼を羽ばたかせて爆風を突きぬけてくる。
『何だとっ!?』
今度こそ、彼は驚きの声を上げた。
「てぇぇぇいっ!!!」
ヴァルアスめがけて突進したマユは、光の大剣をヴァルアスの装甲の開かれた右肩に突き立てる。
『ぐおおおおっ!!?』
凄まじい痛みに、ヴァルアスは叫ぶ。
閉じられようとする装甲を見て、マユは剣を横に振って引き抜き、離脱する。
そして片手を突き出して、閉じかけている肩に向けて無数の光の矢を放つ。
『ぐぅぅっ!!!』
光の矢は両肩に突き刺さり炸裂し、無数の肉片を飛び散らせる。
マユは少し離れた場所に着地し、剣を構えなおす。
装甲部分は閉じられたが、肩に受けた被害は小さい物ではなかった。
特に右側の発射器官は、しばらく使用出来ないほどのダメージを受ける。
『フ、フフフ…君を甘く見ていた。まさかこんな手を仕掛けてくるとはね…いやはや、油断したよ』
自らの油断を突いた、思わぬ反撃にヴァルアスは感嘆の声を漏らす。
(……ダメージを与える事は出来たけど…あんなチャンスはもう無い…)
ヴァルアスを見据えながら心中で呟く。
露出した部分になら、ダメージを与える事が出来るが…彼の体は厚い装甲に守られている。
その装甲を貫く事が出来なければ、ヴァルアスにこれ以上のダメージを与える事は出来ない。
(力が…装甲を貫けるような力があれば…!)
ヴァルアスの装甲を破る様な力が欲しい…マユは心中で強く願った。
248魔法少女マユ 第15話 24/24:2009/12/19(土) 21:23:54 ID:Q7g5ja9S
「この咆哮は…まさか、魔王自ら戦場に現れたのか…!」
戦場に轟く咆哮を聞き、コーネリアは顔を顰める。
突然響き渡った声に驚いたらしく、コーネリアと対峙していた赤竜、ルインは周囲をキョロキョロと見回す。
(あの方角はマユ君達が向かった方角だ…急がねばならないな)
この赤竜を一刻も早く倒し、レドリックと戦っているフィル達の救援に向かわねばならない。
そしてここを突破して、マユ達の救援にもだ。
ルインとの戦いは、コーネリアが有利に進めている。
彼は体中に無数の傷を負っていた。
無論、コーネリアも無傷では無いが、相手の方が損害は大きい。
「急ごしらえの造魔と言ったが…なかなかやるじゃないか」
剣を構えなおしながら、コーネリアはルインに語りかけた。
対するルインは、攻撃の態勢を取りながら低く唸り声を上げる。
「だが、ここで手間取っている訳にはいかないんでな…一気にケリを付けさせてもらう!!」
コーネリアの叫びと共に、手にした剣の纏う輝きが一層強くなる。
咆哮を上げながら、ルインがコーネリアに向けて爪を振う。
身を低くしてその一撃を回避すると、コーネリアはルインに向けて駆ける。
「はあぁぁぁっ!!」
懐に飛び込んだ彼女は剣を一閃し、ルインの腹部を切り裂く。
腹部の痛みに、叫びを上げながら後退するルイン。
更に斬撃がルインの体に刻まれていく。
「これで…終わりだ!!」
コーネリアの周囲に数十発の光球が発生する。
突き出された剣を合図に、放たれた光球が次々とルインの体に着弾していく。
絶叫を上げながら赤竜は爆風に包まれていった。
爆風がおさまった後には、大型犬程のサイズに小さくなった、傷だらけのルインが倒れている。
『痛いよぉ…お母さん…痛いよぉ……』
全身を襲う痛みに、弱々しくルインは声を漏らす。
「……さて、フィル達の救援に向かわねば…」
しばしルインを見つめていたが…やがてコーネリアは踵を返し、歩いていこうとする。
「…んっ、何だ?」
歩き出そうとしたコーネリアは、背後に生じた魔力を感じ取り振り返った。
倒れこんでいるルインのすぐ側に、魔族の使う転移魔法の光が生じている。
「くっ…新手か!」
コーネリアは警戒する様に剣を構えた。
光がおさまった場所には、一人の少女が座り込んでいた。
「あら…ここは何処?ウェセル、何処行ったの?」
転移してきた少女は首を傾げると、キョロキョロと辺りを見回す。
「な…リ、リーファ…?」
目の前に現れた少女の名を、コーネリアは震えながら呟いた。
249マユの人:2009/12/19(土) 21:26:14 ID:Q7g5ja9S
以上で投下を終了します。
大規模な戦闘を書いてるので過程も色々書いてみたいので、今回はエロは少なめになりました…
次回はエロ沢山書きたいです、はい。
それでは、次回お会いしましょう。
250名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 21:56:47 ID:lr6jK1Ee
おっとGJさせてもらうぜ!
これがリアルタイムってやつかぁ〜
今回は大規模戦闘を堪能させて貰いました。
やっぱ装甲竜って格好良いな。それに対抗するマユも新フォームが本領発揮しそうで楽しみ。

となると陛下でのマユ陵辱ってどうなるんだろうね〜
251名無しさん@ピンキー:2009/12/19(土) 22:11:56 ID:3kwyiNtz
>>249
乙です!
まずはリミュエルが脱落しましたか…
てかローエルとイレーヌの台詞がロケット○団だwww
残りの子達もどんな酷い目に遭うか楽しみです!
252名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 09:02:21 ID:FZrB7OhA
>>250
防御能力がある光の翼がよりあわさって攻防一帯突撃ドリルフォームになる
253名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 11:49:56 ID:xGBVQiSH
>>239
フタナリGJ
リーファがどう動くか期待

>>251
伏せ字になってねぇw
254 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:35:59 ID:jE38Y9Yt
マユの人、GJです! シリアスなバトルとお楽しみ展開の配分が絶妙すぎて気が抜けません!
そして遅ればせながら……彼はコミクロンだったのかw(これが言いたかった)

さて、天地魔法帖第三話前編を投下します。
次のレスにあらすじと導入、以降に本編を投下していきます。
255 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:36:21 ID:jE38Y9Yt
天地魔法帖あらすじ(天地代理戦争概要)

「浄化」の魔法により人類の悪徳を消滅させようとする神と、それを阻もうとする悪魔たちは、それぞれ人間の代理戦士を立てて人類の命運を決することにした。
清らかな心と敬虔な信仰心を天使によって見出された十人の魔法少女。
尽きぬ欲望と快楽への執着を悪魔に見染められた十人の魔人。
彼らの戦いに定められたルールは三つ。
一つ、魔法少女と魔人はこの戦いを誰にも明かしてはいけない。
一つ、戦いは魔法少女と魔人のどちらかあるいは双方が「浄化」「堕落」の魔術に支配されたことを決着とする。
一つ、魔法少女と魔人の戦いは常に一対一の決闘とする。魔法少女に魔法少女が助勢することは許されず、魔人においても然り。また天使と悪魔は基本的な知識を与える以外は戦いの経過にも結果にも関与してはならない。
魔法少女たちが勝利すれば、人類のあらゆる悪徳は浄化され神の法の下の楽園に生きることとなる。
魔人たちが勝利すれば、現状が維持される。

現在までの戦績
×ソラス――×コキュートス(相討ち)
×アーデルハイド――○ラグナイト
残る魔法少女は八人、残る魔人は九人。



アーデルハイド敗北の報せは、両陣営に激震をもたらした。
両陣営の中でも突出した能力を持つ聖女アーデルハイドは、同じく桁外れの力を持つ魔人ラギュラと並んで戦いの決着を左右する最大のカギであると目されていたのだ。
アーデルハイドの一撃は地球に核の冬をもたらすことも容易く、ラギュラの炎は海をも干上がらせる。それほど隔絶した力の持ち主だった。
その一人があっさりと敗北した。チェスでいえば序盤の内にクイーンを取られたようなものだ。気の短い指し手ならこの時点で勝負を投げてしまうだろう。
単純に9対8という数の差以上に、パワーバランスの天秤が魔の側に傾いたことは明らかだった。
「雷を操る魔人……ラグナイト……!」
その名が、両陣営の戦士たちの胸に深く刻まれた。
彼は10人の魔人の中でも戦闘力では中程度の使い手であるはずだった。しかも雷の属性は大地の加護を受けたアーデルハイドには通用しない。
神の側は、心やさしいアーデルハイドの初陣にちょうどいい『絶対に負けるはずのない相手』とみなしていた。
魔の側は、最強の魔法少女の戦闘力を推し量るためだけに存在する、負けて当然の『捨て駒』とみなしていた。
しかし蓋を開けてみればラグナイトの逆転勝利。休戦に同意して無防備になったところへの不意打ちという卑劣な手段だったが、『堕落』の呪いによって勝負が決した以上は文句を言ってもどうにもならない。
神にも魔にも予想のつかない大番狂わせ。何よりも予想がつかなかったのは、アーデルハイドという少女の底抜けた優しさであっただろうか。
ともあれ……一気に背水の陣にまで追い詰められた魔法少女の陣営は、これまで以上の覚悟を持って戦いに臨まなければならない。
たとえ自分が敗れて呪われた境遇に堕ちようとも、アーデルハイドが必ず勝利をもたらしてくれる……そんな甘い考えは既に許されない。
だが悲壮な決意を決める間もなく、アーデルハイド敗北のその夜の内に、再び勝負の幕が開かれていた。
256 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:37:02 ID:jE38Y9Yt
そこは病室だった。
彩りに充ちあふれ、見舞いの品が山と積まれている清潔な部屋。電動式で上半身の持ちあがるベッドに身を預け、少女は少年を見つめている。
みすぼらしく、訪れる者など久しくいないといった様子の寂れた部屋。きしむ古ぼけたベッドに肘を立てて身を起こし、少年は少女を睨んでいる。
もちろん同じ部屋ではない。少女と少年はそれぞれ目の前にディスプレイを設置しており、その画面を通して互いに視線を交わしているのだ。
「俺と同じような能力を持つ奴が、あんたらの側にもいたとはね……正直、予想外だったよ。こんな境遇でも神様なんて信じてるのかい?」
「自分の境遇を呪い、悪魔のささやきを真に受けたのか。私は不思議とは思わないね」
互いの視線は、相手とそれぞれのベッドのわきに置いてある車椅子に向けられている。少年と少女はどちらも自力で歩くことができない境遇の人間だった。
容姿はどちらも小柄な体躯に長い黒髪。そもそも運動をしないので栄養を必要とせず痩せ細り、髪にもあまり手はかけられないため自然と長髪になる。
だが、印象は正反対だ。少年は必要最低限の世話をされているだけの様子なのに対し、少女は清潔で髪もリボンでまとめられており、華奢な身体に妖精のような美しさを持っていた。
何より印象的なのはその瞳だった。少年は鬱屈した怨念に燃えるような深い闇をたたえた目をしているのに対し、少女は凛然とした気品と自信を切れ長の瞳にたたえている。
どちらも高校生程度の年齢だろうが、身にまとう気配はどちらもまるで子供のようだ。愛されざる子供と……そして、愛されている子供。
同じ境遇にありながら、180度違う二人。口を開いても分かり合うことは絶対に不可能だ。だから、二人はただ交わらざる戦意を込めて叫んだ。
「「アクセスッ!!」」
同時に――二人は意識を失い、ベッドに倒れこむ。
ディスプレイには、いつの間にか闘技場のような光景が映し出されていた。両端にはそれぞれ窓のような画面が開き、眠りに落ちた少年と少女が映っている。
電脳空間に構成された闘技場の一角が純白の明かりに包まれ、その中に少女の姿が現れる。少女の魔法は、自分の魂を電子空間で実体化させることなのだ。
右手には光る長剣、左手には輝く大きな盾、法衣の裾や二の腕あたりを大胆にカットして装甲と融合させたような華麗な鎧を身にまとい、頭には猛々しくも華麗な羽飾り……あたかも戦乙女の風情。
病室で寝息を立てている少女本来の肉体と比べると多少胸が大きく見えるのは、願望も入っているのだろうか。
地面を踏みしめる脚も含め、その全身はしなやかな健康美そのものだ。他の魔法少女たちの法衣に比べて肌の露出が多いのも含めて、それだけ健康な身体へのあこがれが強いということなのだろう。
「この身はすでに戦装束! アレクシア、参る」
257 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:37:57 ID:jE38Y9Yt

「姿なき徘徊……ヒース」
同時に……闘技場のもう一方にも異変が起きていた。
仮想空間の地面が次々と盛り上がり、瞬く間に大柄な人間サイズの土の人形と化した。
手に手に剣を握る戦士を模した人形がいるかと思えば、右手が砲となっている者、巨大な盾を構える者もいる。
術者たる少年の姿は、この場にない。だが少女は、姿なき徘徊と名乗った少年の気配を敏感に察している。ヒースが使ったのは電子空間における魂の実体化、アレクシアと同じ魔法だからだ。
少女がややおかしそうに笑みを浮かべた。
「同じタイプの魔法を発現させたか。魔法や属性はその者の天来の素質はもちろんのこと、日頃の食事や育った風土などに影響されるというが……私たちのように心の中の願いが強過ぎると、それらの要素をすべて押し切ってしまうようだ」
「それで得られたものが、そんな作りものの健康体か」
少年があざわらった。姿は変わらず見えないが、その笑い声は自嘲の響きを帯びていた。
歩けない身体の人間が望むことはただ一つ、健康な体で歩きたいという、多くの者には当たり前のように許されているただそれだけのことだ。
しかし、発現した能力は、電子空間での実体化。それはある意味で世界中のどこにでも行ける力だったが、彼らの本当の望みは満たされない。
同じ境遇が同じ願いを生み、同じ魔法を発現させた。だが、アレクシアは余剰魔力を自らの肉体の強化に用いるのに対し、ヒースは自らの手足となって動く人形の兵団を創造する。
それが深層心理の違いなのだとしたら、二人の差はどこにあるのだろうか……
「ま、とりあえず……こいつの相手をしてもらおうか」
戦端を開いたのはヒースの方だった。剣士タイプの土人形が一体、するすると滑るような動きでアレクシアへと進み出た。
「姿が見えぬ以上、相手になるしかないようだな」
アレクシアは鎧を陽光に輝かせながら、堂々と輝く剣を掲げた。それは決闘に臨む者としての礼儀であったか。
土人形に礼儀の概念はない。アレクシアが剣を構えるのを待たず、大剣を両腕に握って大上段に構え、地面を滑るような独特の動きで突進した。
小柄なアレクシアと比べると幾回りも大きな土人形のリーチは少女に比べてはるかに長い。少女の剣の届かぬ間合いから、土人形は大剣を猛然と振りおろした。
ズドン! と猛烈な音が響く。隕石のごとき勢いと重さを秘めた大剣の一撃が闘技場の大地を打ち砕いた音であった。
それは、剣撃というよりもはや爆撃。華奢な少女では太刀打ちできるはずもない、絶大な質量の生む掛け値なしの「破壊力」である。
頑健な乾いた地面に長大な亀裂が走り、火山でも爆発したかのように舞い上がる粉塵は、爆心地で避ける間もなかった少女の姿を覆い隠している。
「……どうした? まさかこれで終わりではないだろう?」
「ちょっと反省していたのさ……私としたことが、二本の足で立つということに我知らず浮かれていたようだ」
圧倒的な破壊力が叩きつけられたというのに、魔人と魔法少女はたわいない挨拶のような声を交わした。
同時に、土人形の握る剣に異変が起きる。肉厚の剣の峰の部分に先端から鍔元まで輝く軌跡がいつの間にか描かれており、まるで魚が三枚におろされるがごとく、剣が左右に『斬り開かれた』。
右と左に二枚となった剣が分かれて落ちるときには、土人形の本体もまた頭から股下まで輝く軌跡が刻まれるままに、真っ二つになって左右に倒れていた。
粉塵が晴れて行く。爆心地のめくれ上がった大地の中心、そこだけまるで何もなかったかのように無事なままの地面に、剣を無造作に振りおろしたままのアレクシアの姿があった。
少女が剣を振りおろしたらしき軌跡によって、土人形のすべては左右に斬り開かれていた。土の大剣もまた、二つに裂かれて少女の左右の大地を砕いていた。
なんということだろう――大剣を頭上から縦一文字に振りおろしてきた土人形を、アレクシアもまた縦一文字の剣閃をもって切り捨てていたのだ。
「……へえ!」
ヒースが感心するような声を出した。間合いのはるか遠くまで斬り裂く『輝く軌跡の剣戟』というべきか、その威力だけでなく、紙一重のずれすら存在しない精密無比な技量もまた感嘆に値しよう。
「無駄に魔力を使ってしまったがな……驚いてもらえたなら幸いだ」
アレクシアは剣を肩にかついで、はにかむように笑んだ。妖精のように美しくそれでいて戦士の健康美を兼ね備えた肢体に、薄く汗が浮いている。
相手が叩きつけてくる破壊力を斬り裂くという、非効率的な手段をとったためだ。
258 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:38:45 ID:jE38Y9Yt
「なら、こんな手はどうだ?」
右手が大砲の土人形が、アレクシアの上方に照準を向けた。その狙う先には『窓』が開いており、病室で眠る少女が映っている。
「電子空間での実体化の逆、電子空間から通常空間への攻撃。生身を狙われてはなすすべもあるまい……撃て」
「無駄だ」
発射される前に告げられたアレクシアの言葉の通りだった。砲身から発射された岩の塊は、流星のように『窓』へと迫った途端に砕け散って流れ星のように消えた。
「この戦場には私とお前の魔力による結界があることを忘れたか。物理的な破壊力など通りはしない」
「物理的なら……ね、呪詛ならばどうだ」
人形たちの後ろから、邪悪な波動が放たれた。それは、女を蹂躙するためだけの『堕落』の呪詛である。
あらゆる生命を汚染し、瘴気を発して周囲の者たちをも狂わせる最悪の呪い。受けたものは生涯にわたってその尊厳を蹂躙され続けることになる。
闇が渦巻くようなエネルギーは結界を超え、『窓』を通過して眠り続ける無防備な少女へと殺到した。
「無駄だと言ったはずだ」
しかしアレクシアはまるで無反応だった。少女の体に達した呪詛は、少女の体に触れることも無く弾き飛ばされて霧散した。
「どれだけ強力な呪詛であろうと、神の加護を受けた肉体にそうそう効くものではない。それこそ抵抗力を奪われるほどに痛めつけられでもしない限りな」
「ふん……やっぱり駄目だったか」
「遊びは終わりだ」
まるで惜しむ様子もないヒースに、アレクシアは突進した。これが日ごろ歩けぬ人間かと驚くほどの軽やかな疾走を見せる。
対するヒースの布陣は合理的で隙がない。盾を構えた土人形がさっと左右に位置を変え、生じた隙間から大砲の先端が顔を出し、真っ向から突撃するアレクシアに次々と砲火を放った。
アレクシアが掲げた盾に岩の塊が次々に激突し、突進の勢いを殺いでいく。荒れ狂う砲火は少女の回避を許さず、ついに少女は疾走を続けられずその場に足を止めてしまう。
「いいぞ、そのまま続けろ!」
動きさえ止めてしまえば、どれほど強固な盾であっても的でしかない。このまま砲撃を集中して、押しつぶしてしまえばよかった。
しかし、ずしん、というやけに重たい音がヒースの歓声を中断させた。
それは、アレクシアが一歩を踏み出した音であった。ヒースの眼が丸く見開かれる。
未だに無数の岩石が少女の盾を打ちすえている。気を抜けば即座にうしろに吹っ飛ばされてしまうか、その場で押しつぶされるだろう。
だがアレクシアはその重圧をものともせず、一歩ずつ前進している。先ほどまでの軽やかな疾走ではなく、山ごと押しのけるかのような力強い歩みだった。
「剣兵ッ!」
ヒースの咄嗟の叫びが飛んだ。どれだけの砲撃でも少女の歩みを止められないことを理解して、それに恐怖したゆえだった。
剣を握った土人形がするすると前に滑り出るのと同時に、砲撃隊の半数を後方に下げている。なによりも全滅の恐怖がそうさせた。
土人形が射線の合間を縫って少女に接近する。人間の部隊では到底なしえない、一個の意思下にあるが故の完璧な連携である。
だが、その完全に統制された進軍を前に、アレクシアが浮かべたのは不敵な笑みであった。
「こんな言葉を知っているか? 正確な射撃、それゆえに予測はしやすいと」
言うなり、これまでの重々しい動きとはうってかわって、軽やかにその場から身をひるがえした。怒涛の砲撃がこれまでいた場所を粉砕するのもかえりみず、接近してきた土人形の懐に一気に飛び込む。
土人形の大きな剣は、懐に入られれば無力である。また、完全に統制されている砲撃が、土人形を巻き込むはずがなかった。
アレクシアの歩みの力強さを恐怖するあまり、一瞬で飛びこまれることを想定できなかったのだ。ヒースにとって完全な死角だった。
「はあっ!」
快哉を叫び、アレクシアの剣が逆袈裟に一閃した。軌跡を放つまでも無く、輝く剣に両断されて土人形の大きな上半身が吹き飛んだ。それほどの威力だった。
だが、その時にはヒースは冷静さを取り戻している。土人形の懐がヒースにとっての死角であると同時に、アレクシアにとっても死角、いや死地であることにその時気付いていた。
「撃てえッ!」
号令以下、一斉に砲撃が放たれる。それはアレクシアではなく、土人形を狙った砲撃だった。
背後からの砲撃で全ての土人形が砕け散った。それはある種の自爆だった。土人形の破片は無数の散弾のように飛び散り、間近にいたアレクシアには逃げる場所などあるはずもない。
アレクシアの盾が穴だらけになって宙を舞う。ヒースは今度こそ喝采をあげ、そしてまたもや絶句した。
259 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:39:55 ID:jE38Y9Yt
「なッ――」
アレクシアの姿も空中にあった。と言っても、期待したようにボロボロになって吹き飛ばされているというものではない。
彼女は宙を舞う巨大な土の塊の上に悠然と立っていた。飛び散った破片はすべてその土の塊に遮られている。その足場となったのは、土人形の上半身だった。
先ほど斬り飛ばした土人形の上半身へと、アレクシアは飛び移っていたのだ。
「いやぁ、危なかった。お気に入りの盾を持っていかれてしまったよ」
その言葉を言いきるより早く、少女は身をひるがえして跳躍している。
理想的なフォームから放たれた完璧なジャンプは、なんの魔法的補助も無いのに信じがたい距離を一気に飛び越え、盾の人形や砲の人形のさらに背後へとアレクシアは降り立った。
「た、盾っ」
間に合うわけがなかった。アレクシアの舞い踊るような剣さばきが存分に振るわれ、盾兵も砲兵もことごとく宙に吹き飛んだ。
ヒースはあらかじめ下げておいた砲兵に狙撃の指示を出そうとして、不意に青ざめた。空中を舞う、無数の土人形の破片……それらがすべてアレクシアの足場であることに気付いたのだ。
「あ、あれを一掃しろ!」
言下、無数の砲撃が空中の土くれを全て弾き飛ばす。これでアレクシアの足場は無い……そう安心した瞬間には、驚くほど近くでアレクシアの声が響いていた。
「空中の足場を駆けるのは楽しいが、そりゃあ地を駆けた方が速いさ」
アレクシアの空中機動を恐れるあまり、地上での移動速度を忘れていた。気付いた時には少女は砲兵のただなかに踊りこんでおり、瞬く間に全ての人形が斬り砕かれた。
もはや闘技場に立っているのはアレクシアだけだった。『姿なき徘徊』の言葉通り、ヒースの姿はどこにも見えない。土人形はすべて破壊された。
「嘘ぉ……」
ヒースが気の抜けた声を発した。それほどまでにアレクシアは強すぎた。何より、自在に天地を駆けるあの足さばきの見事さはどうだ。とても車椅子の人間のものではない。
「これでも昔は、陸上界の期待の新星などと呼ばれていたのでな……」
ヒースの疑問を察したのか、やや照れ気味にアレクシアが頬をかいた。
「あ、あんた、生まれつき歩けないわけじゃなかったのか」
「ああ。4年ほど前に、事故でね……」
「……これか」
不意に空間に窓が開き、新聞記事のようなものが表示された。その記事に添付されている写真は、確かに4年前のアレクシアだ。
「おおっ、なぜ探し出せた?」
「なぜって、画像探索のプログラムくらい今の俺らなら一瞬で組めるだろ。4年前くらいなら顔もだいたい想像できるしな」
ヒースが咄嗟にネットの海から拾い上げた、アレクシアの過去に関する記事であった。無論、そこに記されているのは少女の本名――空良理沙という名前だったが。
「くうらりさ……とでも読むのか? なら、なんでお前の魔法少女としての名前はクラリッサにしなかったんだ」
「気持ちはわかるし実際に私のあだ名はクラリッサだが、洗礼名というのはそのノリでつけてはだめだろう」
軽口を交わしながら、二人はその記事を読んだ。と言っても、多くの情報が描かれているというわけではない。
居眠り運転のトラックが小学生の列に突っ込もうとした時、尋常でない速度でトラックを追い抜いて小学生を助けた少女がいたこと。
ただ少女自身は逃げ切れず、両足を深く傷つけて二度と歩けなくなってしまったこと。少女が陸上世界では将来を有望視されていた逸材であったこと。
それらが淡々と描かれている記事を、照れたようにアレクシアが見つめている。
「医者の先生たちのおかげで、身体にあまり傷は残らなかったのだが……神経のほうは現代医学ではどうにもならなくてな」
「だから、この戦いに身を投じたのか」
「うん?」
ヒースの問いに、アレクシアは不思議そうに首をかしげた。
「何を言っているのかわからないが……」
「とぼけるな、この戦いで勝者に与えられる特権のことだ! 神と魔の力を使い、ひとつずつ願いをかなえられると!」
「ああ、あれか」
ぽん、と納得がいった様子で手を打つアレクシア。
この代理戦争の報酬として、勝利を得た陣営でその時までに勝ち残っていた者には、神と魔の力でそれぞれひとつずつ望みをかなえる権利が約束されていた。
「俺はその報酬で健康な身体を手に入れる! お前もそうではないのか?」
「いや……というより神の使途は私を含めて、別に報酬が欲しくて戦っているわけではないからな……」
困ったように頭をかく。それがアレクシアの偽らざる本心だった。
「お……お前は惜しくないのか? 取り戻したいと思わないのか!?」
信じられない、というか信じたくないという、悲鳴にも似たヒースの叫びが響いた。
260 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:40:56 ID:jE38Y9Yt
「お前は常人以上に優れた肉体を持っていたんだろうに!」
「いや、それほどでも」
真顔で謙遜してから、
「私は自分の体に誇りを持っているよ。あの時、あれだけの速度で走れなければ、あの子たちを助けることはできなかっただろう。あるいは、もっと速く走れていれば、私自身も助かったかもしれない。つまりは、身の丈に合った結果ということさ」
「なんでそんなことが言えるんだよ……それが神の教えってやつなのか? 『浄化』を受ければ、俺もお前のようにこの苦しみを受け入れられるのか?」
殆ど泣き声になってヒースがつぶやいた。アレクシアの声が優しさを帯びた。
「私だって、思うところが無いわけじゃない。なんで自分がこんな目にと思ったことはある。あんなことしなきゃよかったとさえ思っていたよ。私が助けたあの子たちが感謝の手紙を送ってくれたが、読まずに破り捨てたりもした」
「……神の使徒ですら、そうだったのか」
それは、ヒースには想像できない苦悩の日々だったのだろう。
陸上選手としての将来の夢を奪われただけでなく、身体に決して癒えない傷が残った際の嘆きと絶望は想像すらできない。
もしも自分がその立場に立ったら、世界のすべてを憎悪して泣き叫んで呪詛を吐いていただろう。いや、アレクシアすらそうしたはずだ。
「いや、その時の私は信仰心も持ってはいなかったがね……。だが、私を受け入れてくれた病院には教会があってね。この身が治るならと、一心不乱に正気を失うほど祈ったものさ」
当時のアレクシアは、それほどまでに傷ついていた。己が永遠に歩けないことを受け入れられず、逃避先として神に祈り続けたのだ。
「そのうちに考えが変わったのさ。救いとは、自分の境遇が改善されることではなく、己を不幸と思う心から解放されることなのだと」
「それが……お前たちの『浄化』の奇跡がもたらすものか。理解できないな、この境遇が不幸以外のなんだというんだ」
悟った風情のアレクシアにヒースが怒りの声をもらした。それが、単なる苛立ちを超えた根深い憎悪に発展しかけていることを、アレクシアは気付いていない。
「教会で話を聞けば、私よりも格段に不幸な人間がいることは認めざるをえまい。救いがあるなら、むしろ神は彼らをこそ救うべきだ。そう思っただけだ」
「自分より不幸な人間を見て、心が慰められたというのか」
「まあ……そうなるかな」
アレクシアは否定しなかった。それは正直な言葉であったが、ヒースの心に決定的な楔を打ち込んだ。
「……実を言うと、ちょっと期待していたんだ」
不意にヒースが暗い声を出した。それまでの軽い調子ではなく、底冷えのする憎悪と煮えたぎるまでの怒りが宿った、アレクシアが思わず退くほどの恐ろしい声である。
「俺と同じ境遇のあんたが、この世界は浄化されるべきだというのなら……それもいいかなと思っていた。だが、違ったんだな」
「何が……違うというんだ」
「あんたは俺とは違う!」
怒りの絶叫が響いた。
「見ろ!」
その声とともに、アレクシアの前方の空間が歪んだ。そして、そこに一人の少年の姿が現れていた。
『姿なき徘徊』の名乗りを自ら破り、その姿を現したのだ。もはや姿なき、とは名乗れない。そして、徘徊と名乗る資格すらなかった。
少年は、固く地面に設置された椅子に座っていた。その両足は、力の入らない痩身のままである。これではとても歩けない。魔法によって電脳空間に実体化してもなお、歩けないのだ。
「生まれついての下半身麻痺。お前と比べてどっちが不幸かな?」
「そうか……君は……歩くことを知らないのか」
アレクシアは不意に納得した。土人形たちの滑るような動き……あれは、歩くことを知らないからだったのだ。
生まれつき歩くことを知らないヒースには、思念によって動作する魔術ゆえにこそ、『歩く』という動作をいかなる形でも表現できないのである。
生まれ持ったものを奪われた者と、生まれつき持たざる者。アレクシアとヒースの違いはそこにあったのだ。
261 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:41:40 ID:jE38Y9Yt
「ヒース。私の話を聞いてくれ――」
「俺と同じ境遇のあんただったなら聞いた。違うなら、聞くものか! 俺はあんたを誰よりも憎む!」
少年の瞳は憎悪に燃えている。『自分よりもっと不幸な人間がいる』というアレクシアの言葉が、彼の心を閉ざしてしまった。
この少女となら、自分の苦しみを分かち合えるかもしれない。そんな期待を裏切られた。
なによりヒースの魔人としての魔力の源泉は、『自分は世界で一番不幸だ』という認識から発した嫉妬と憎悪である。
だが、指摘されるまでも無く、ヒースよりも不幸な境遇の人間などいくらでもいるのだ。しかしそれを認めてしまっては、ヒースは自分の精神を保てなくなってしまう。
ヒースがいくら羨んでも羨んでも決して手に入れられぬものを失い、それでいて平然と自分より不幸な人間を想いやれるアレクシアの存在を認めたら、ヒースの心は嫉妬で狂ってしまう。
まことに勝手な話だが、今のヒースにはアレクシアこそ自分が全存在を駆けて打倒せねばならない敵に見えた。誰よりもアレクシアに『見下された』と思うのは耐え難かった。
「さあ、勝負の続きだ!」
ヒースの心の煮えたぎる憎悪が、新たな土人形を生成する力となった。
ヒースを中心として地面が隆起し、アレクシアの数十倍はある巨人を形作った。ハリネズミのように砲台を全身に配し、指の先端は鋭い刃物。まさに全身で相手を傷つけようとする土の巨人の中心に少年はいた。
アーデルハイドのゴーレム『アースガルズ』が堅牢さの中にもどこか穏やかさを持っていたのに対し、ヒースの土巨人はただ獰猛な狂気をむき出しにしていた。
「なんという慟哭だ……さぞ苦しかったろう」
アレクシアは、むしろそのとげとげしい姿にこそ少年の哀しみを見た。
「お前を救ってやる……とは言わないよ。私にそんな力は無い」
彼女もまた剣を両手で握る。悲哀に満ちた顔の中で、双眸が凄絶な光を帯びた。
「だが、その嘆きから解き放ってやろう……!」
「行くぞ!」
土巨人が全身の砲台から岩石を打ち出す。アレクシアは風のごとき疾走でヒースの視界から消えた。
ヒースは既に、アレクシアの姿を視界にとらえることなど考えていない。彼女の速さは人間の反応速度すら上回っているからだ。
ヒースはありったけの魔力を振り絞って砲台を次々に生成し、少女の通る隙間の無いほどの濃密な弾幕を全周囲に展開した。盾を失ったアレクシアは、大きく後退して避けるしかない。
しかし――
「忘れていないか……私の剣は遠くまで届くッ!」
ヒースから遠く離れ、弾幕の隙間に立つや否や、アレクシアのかまえる剣に光が満ちた。
間合いの遠く外まで切り裂く軌跡の剣戟。居合いのような動作で発射された光芒が、大きすぎてろくに動けぬ土巨人の足を切り裂いた。
「う、うおおおっ!」
足――それはヒースの慟哭と憎悪の源であり、精神的には最大の急所だった。深々と土巨人の大腿部に傷跡が刻まれ、立っていられず地面に倒れこむ。ヒースの精神を憤怒と恐怖が満たし、一瞬で正気を失わせた。
「よ、よくも! 俺の、俺の脚をおおおおッ!」
その瞬間、ヒースは……見た。彼の真正面から、アレクシアが突っ込んでくるのを。
「死ね!」
もはや軽口をたたく余裕も無く、全砲門をアレクシアへと向ける。過剰に生成し過ぎた砲台の何割かは無理な変形でひしゃげたが、気にすることも無くぶっ放した。
ひしゃげた砲台を通れなかった砲弾が暴発を起こし、土巨人の砲台がまとめて吹き飛ぶが、一瞬で土石流そのものの無数の砲弾がアレクシアへと殺到する。
アレクシアは剣をまっすぐに振りおろした。軌跡の剣戟が砲弾のごく一部を切り裂くも、圧倒的多数の砲弾が彼女を押しつぶそうとしたときには、すでにその身は宙へと舞っている。
切り裂き飛ばした砲弾の破片を足場として、アレクシアは土石流の上の空中を駆けた。冷静さを失ったヒースは忘れていたのだ――空を駆けるアレクシアに集中砲火など無意味だということを。
あるいは、足を切り裂かれた怒りが、どうしても相手を自分の意思で潰したいという執着を生んだのかもしれない。そこまで読み切ったアレクシアの作戦勝ちということか。
262 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:42:07 ID:jE38Y9Yt
「ひっ……」
宙を駆けて迫るアレクシアに、ヒースは悲鳴をもらした。砲台の大半が暴発して果てた現在、彼が攻撃に入るには多少の時間がかかる。それは、アレクシアがヒースを切り裂くには十分な時間だった。
ついに土石流の上を駆け抜け切ったアレクシアが、ヒースの土巨人に向けて跳躍する。まるで胸に飛び込んでくるかのような弾丸的飛翔を、ヒースは土巨人の両腕を交差させて受けた。
ずしん! とものすごい音がした。アレクシアの突撃を受けた土巨人が後ろに倒れ、背中が地面に叩きつけられた音である。華奢な少女の突貫にはそれほどの威力があった。
「がぁッ……!」
激しい衝撃。完全に仰向けになった土巨人の上にしっかりと両足を踏みしめたアレクシアが、ヒースのおさまっている部分に向けて光り輝く剣をじりじりと切りこませる。
土巨人は崩壊しかけた両腕を全力で再生成しながら輝く剣を止めようとするものの、切っ先の速度を遅らせることしかできない。他のことに力を使おうとすれば、一瞬でヒースまで切り込まれるであろうことは明らかだった。
(つ、強い……強すぎる……)
ヒースはうめいた。もはやこの場に完全に勝算はなかった。今のヒースは敗北の瞬間を遅らせることしかできない。いずれ剣はヒースに達し、『浄化』の奇跡で彼の執着を消し去ってしまうだろう。
だが……その時、ヒースの顔に浮かんだのはまがまがしい笑顔だった。決して、敗北を受け入れた人間の顔ではない。
『この場』に勝機が無くとも……別の場所で、彼の仕掛けた卑劣な罠は可憐で優しい少女の身に忍び寄っていたのである。
「やっと来たか……ずいぶんとかかったものだ……」
「何を言っている?」
剣をじりじりと食いこませながら、アレクシアが眉をひそめた。
「俺たちは同じタイプの魔法を使う。ならば、弱点もよく知っていよう……意識を失った生身を狙われては、なすすべもないことを!」
「先ほどもそんなことを言っていたが……無駄だっただろう」
今、アレクシアとヒースは精神だけを電子空間に送っている状態であり、肉体はそれぞれの病室で眠っている。確かに、そこを狙われてはどうにもならない。
だが、物理攻撃も呪詛も電子空間からアレクシアには届かない。まして、今のヒースには何の余力も無いのだ。一体何ができるというのか。
「ふ……そら、来たぞ!」
ガチャ!
アレクシアの病室から、扉が開く音が響いた。
「な、何――!?」
アレクシアは明らかに狼狽した。自分の病室に誰かが入ってくるのだ。電子空間から見えるのはベッド周辺のみのため誰が入ってきたかは分からないが、それだけに総毛立つ思いがした。
電子空間の中では無敵の強さを持つアレクシアも、現実世界では貧弱な小娘に過ぎないのだ。
まさか暴力にさらされるとは思っていなかった自分の無防備な肉体に誰かが近寄っているというのは、彼女がこれまで感じたいかなる恐怖をも上回る恐怖である。
だが、アレクシアは全力で己の心を律した。ここでうろたえてヒースへの剣圧を弱めてしまっては、待っているのは敗北しかない。
そしてすぐに、アレクシアは自分の行動が間違っていなかったことを確信する。ついに、画面の中に侵入者の顔が映ったからだ。
「なんだ……ははっ、私の敬愛する先生ではないか」
アレクシアは心底安心した。画面に映ったのは、彼女の主治医である。まだ年若い男で、患者に分け隔てなく優しくする高潔な心にアレクシアがひそかに憧れを寄せている相手である。
彼にならば、自分の無防備な肉体を任せても心配はない。いや、むしろ彼が守ってくれると思えば、これまでの百倍は安心だった。
「機転のきく奴め。私の病室に誰かが入ってくる気配を察して揺さぶりをかけたな」
もしもアレクシアが狼狽して剣を緩めれば、ヒースにはまだ勝機があった。あの咄嗟の状況でよくもまあこんな知恵が回るものだ。アレクシアは本気で感心した。
もう何の心配も無い。アレクシアはヒースへと切りこむ剣に一層の力を込めた。
しかし……
263 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:42:37 ID:jE38Y9Yt
「こっちに集中していていいのか?」
「むぐっ――!?」
ヒースの言葉が響くと同時に、アレクシアは信じられないものを見た。いや、その身に味わわされた。
画面の中、自分の病室で……敬愛する先生が、眠れるアレクシアの体を乱暴に抱き寄せるや、薄く閉じられた唇に勢いよく吸いついたのだ。
「ん、んむぅっ……!?」
精神の方のアレクシアも唇をふさがれ、まともに呼吸もできなくなってしまった。肉体の状況は、電子空間で実体化している魂の方にも反映されるのだ。
「ははっ、ファーストキスだったか? 敬愛する先生に奪ってもらえてよかったじゃないか」
「んう……」
じわっ、とアレクシアの瞳に涙が浮いた。それは、彼女が初めて見せる弱さの発露だった。
震える体のままで、しかしヒースに斬りこむ剣の威力は弱まらない。それが彼女の強い精神力のあらわれだった。だが、いつまでもつか――?
画面の中で、医者はアレクシアの華奢な肢体から乱暴に服をはぎ取った。かわいらしいパジャマが布きれと化して散乱し、小ぶりな乳房があらわにされる。
「んぐっ、やめ……うあうっ!」
アレクシアが悲鳴を上げた。医者が、その繊細な指先に似合わぬ力強さで、アレクシアの乳房をきつく握りしめたからだ。
同時に、電子空間の中にいるアレクシアの法衣に包まれた豊かな胸元も、強い力を受けたようにいびつに変形した。画面の中で医師が胸を弄ぶごとに、こちらのアレクシアの胸もまるで透明人間にいじられているがごとく好き放題に揉みまわされた。
「なんだお前、生身の胸はもっと小さいじゃん。見栄張ってるんじゃねえよ」
画面の中の眠れるアレクシアと精神が実体化した方のアレクシア。両者の胸の大きさを見比べて、ヒースが茶化した。
「ぐ、う、う……」
アレクシアが嗚咽をかみしめた。両手の剣に全力を込めているため、涙がぽろぽろ零れる瞳をぬぐうこともできない。
「先生、どうして……?」
信じられない、とでも言いたげに主治医を見つめるアレクシアに、ヒースはヒントをあげた。哀れに思ったからではなく、より相手が己の境遇を呪うよう仕向けるために。
「見ろよ、ずいぶんと様子がおかしいじゃないか……まるで瘴気にあてられてるようだぜ」
「まさか、さっきの呪詛の影響!?」
荒い息を吐いて眠れる少女の肢体をまさぐる主治医の様子は確かに尋常ではない、というよりどう見ても正気ではない。
アレクシアの脳裏をよぎるのは、先ほどヒースが放った『堕落』の呪いである。それは呪われた人間だけでなく、その周囲の人間にも作用する。
呪詛に冒された肉体は瘴気を発し、周囲の男たちを狂わせて己を陵辱させるのだ。まるで、果物が芳香を発して己を食させるかの如く……
「だが、私に呪詛は効いていないはずだ!」
アレクシアに堕落の呪いはかかっていない。いかなる生命体をも汚染する最強の呪いであっても、万全の状態の神の使徒には通じない。あっさりと霧散して消えたはずだ。
「いや、いかなる生命にも――まさか!」
「汚染されるのは人間だけではない、瘴気の発生源として最適なものがあるじゃないか」
眠れるアレクシアの近くには、お見舞いの果物が多数置いてある。それらが、気づけばドロドロに溶けていた。画面越しにでも、甘い腐敗臭が漂ってくるかのようだ。
腐敗とは根本的に異なる――まさに果実の堕落、瘴気の発生源と成り果てた姿であった。
アレクシアを汚染しきれず霧散したと見えた『堕落』の呪詛は、見舞いの果物をしっかりと汚染していたのだった。ヒースの狙い通りに。
「まさか、さっきの呪詛は……」
「お前を狙ったのはフェイク。はなから通じるとは思っていなかったさ。本当の狙いは、お前のそばに置いてあった果物を汚染し、病院中に瘴気をまき散らすことにあった」
それが、ヒースがしかけていた奇策だった。アレクシアの周囲の見舞い品を呪詛の中継点にしようというのである。
瘴気に汚染された人間は欲望を抑えられなくなる。だが、果物の瘴気に誘われたといっても、まさか果実を犯すわけにもいくまい。だから欲望の矛先はアレクシアへと向かうのだ。
電子空間内の戦いでヒースに勝ち目が無くなったとしても、時間さえ稼げば誰かがアレクシアを犯しに来る。ヒースは待っているだけでいいので余力の消耗も無い。
呪詛を発する前に無駄と分かっている物理攻撃をしかけたのも、すべてはこの思惑を隠すためだったのだ。まさに悪魔的知略だった。
264 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:43:09 ID:jE38Y9Yt
「はははっ、愛されてるのがあだになったな。俺のように見舞い品なんて周囲になければ、呪詛の中継点など生まれもしなかったものを」
「貴様……」
アレクシアの顔がさっと紅潮した。彼女にとって見舞い品とは、親しい者たちからの愛情そのものである。それを、よりにもよって瘴気の発生源にするなんて。
だが、ヒースの声に宿る自嘲の響きには哀れを覚えた。アレクシアの周囲にある愛情のあかしに嫉妬したことの表れにも覚えた。
「うっ……ぐっ……」
不意にアレクシアが苦痛に顔をゆがめた。ついに医師は彼女の下着を引き下ろし、無防備にさらされた幼い秘所に指をさしこんだからだ。
まさか、そんな。彼女の顔から血の気が引いた。握った剣から力が抜けないように身体を支えるのが精いっぱいだった。
「や、だ……」
『クラリッサちゃん……』
いやいやと首を振るアレクシアに、彼女の愛称を呼ぶ医師のあえぎ声が聞こえる。
「せ、先生! やめてぇっ!」
たまらずアレクシアは泣き叫んだ。だが、返ってきた言葉は彼女の想像を絶した。
『私はずっとこうしたかったんだよ……』
アレクシアの目が丸く見開かれた。必死に首を振って否定する。
「う……嘘よ。そんなの嘘!」
『ああ、クラリッサ……君の初めて、僕がもらうよ……』
「さあ、どうするアレクシア? それともクラリッサと呼んだ方がいいか?」
ヒースは余裕の声を出した。
アレクシアの輝く剣はこの期に及んでも弱まることなく土巨人の中枢へと切り進み、ヒースがわずかでも気を抜けば一気に勝負をつける態勢にある。
それは称賛に値する精神力だったが、まさか乙女の純潔を奪われる危機にあってはそのままではいられまい。
神の使徒としての奇跡を用いれば、病室に満ちた瘴気を消し飛ばすことはできるのだ。そうすれば医師がまた正気を失うまでにわずかな時間ができる。
ヒースは静かに好機を待った。アレクシアが、己の純潔を守るためにその力を分散させる瞬間を。
しかし、彼に与えられたのは――よりいっそう力強さを増した輝く剣のプレッシャーだった。
「ぐ、あ……」
「なめるなよ……」
全力で防御してもなお防ぎきれず、これまで以上のスピードで切っ先が土巨人に食い込んでいる。ヒースは驚愕し、そして焦った。
「ば、馬鹿野郎っ! お前何やってるんだ! このままじゃすぐに犯されるんだぞ!」
「これは人類の在り方を賭けた戦いだッ!」
アレクシアは力強く言い切った。その顔は蒼く、陵辱の恐怖に肩も震えている。しかし、もはや病室を顧みず、ヒースへと迫る剣筋に一切の迷いはなかった。
「お……お前。本当に神様に全部捧げているって言うのか! 己をすべて捨てているとでもいうつもりかッ!?」
ヒースは絶叫した。信じられないことだった。かつて子供を救うために足を捨てたアレクシアは、今また神のために己の純潔を散らすことも厭わないと言っているのだ。
信じられない。許せない。自分と同じ、あるいは自分より遥かに不幸な境遇であるのに、どうしてそんなに高潔でいられる。ヒースは既に発狂寸前にまで追い詰められていた。
「救われるとは、心の痛みまで感じなくなるということなのか!」
「いや……胸が張り裂ける思いだよ……あの人が、これから先ずっと罪の意識に苦しまなければならなくなってしまうと思うと!」
「どこまで人を哀れめば気が済むんだ!」
ヒースが絶叫すると同時に、画面の向こうで医師も大きな叫びをあげ、無防備なアレクシアを己の剛直に叩き落とした。
瘴気の影響で通常よりもはるかに太くなった男性器がアレクシアの秘所を引き裂き、一気に子宮まで刺し貫いた。
265 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:43:44 ID:jE38Y9Yt
「んぐ!」
アレクシアがきゅっと口を閉じた。覚悟はしていても、それでもこらえきれない痛みがうめきとなってこぼれた。準備もできていない未成熟な膣を処女膜ごとぶち破られた痛みは身体をひきさかんばかりだ。
破瓜の傷は電子空間で実体化しているアレクシアにも反映され、股間を守る法衣に血がたまり、抱えきれなくなった赤い雫がつうと太ももを伝い落ちた。
だが……アレクシアの剣は一切弱まることも迷うことも無く、ヒースめがけて突き進んでいる!
犯されながら全力で剣をふるう乙女など前代未聞だ。ここに至って、ヒースから完全に勝機が消えた。
「う、うわあああ!」
「泣きたいのは、こちらだよ……」
ヒースは恐怖に、アレクシアは嘆きに、ともに涙を流していた。一方、アレクシアを犯している医師は歓喜の声を上げている。
『ああ、クラリッサちゃん、最高だよ……このままだすよ……』
「お、おいっ、中だしするって! 妊娠しちゃったらどうすんだよ!」
もはや恰好つける余裕も無く、ヒースが喚き散らした。
「ああ、私の体力で無事に出産できるかは心配だな……生まれた子供の世話がちゃんとできるようになるためにも、これまで以上にリハビリに力をいれないといけなくなるな」
アレクシアはどこまでも優しかった。望まぬ妊娠をするかもしれない自分の境遇よりも、自分を母親に持つ子供の心配が先に来ているのだ。
(ダメだ……俺の、負けだ……)
ヒースは観念した。あらゆる意味で敗北だった。渾身の奇策すら、彼女を倒すには至らなかった。
彼は観念し、無駄なあがきを続けながらも――アレクシアの剣が自分を土巨人から切り離す瞬間を、待った。
266 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:45:34 ID:jE38Y9Yt
アレクシアは、本当は心の中で泣き叫んでいた。
自分の女性器を思うままに蹂躙する鋼鉄のような男性器……それがひときわ大きく脈動したかと思うと、彼女の体内へ熱い濁流を注ぎ込んだ。
覚悟しているつもりだったが、それでも女性としての本能的な恐怖が勝った。燃えるように熱いはずなのに、下腹部には氷を差し込まれたような悪寒が次々と生まれている。
(こんなのいやだよ……)
自慰すら知らぬ彼女であったが、主治医の青年との愛の語らいを空想したことは一度や二度ではない。それがこんな悪夢のような交わりになるなんて想像もしていなかった。
出来るのならば、目を閉じて耳をふさいでしまいたかった。
視界の端には野獣のように自分を犯す憧れの男の姿が、耳にはけがらわしい単語をつぶやくかつて優しかった声のなれの果てが絶えることなく届いている。
乱暴に扱われる下半身は次々に苦痛を訴え、胸の敏感な部分を引きちぎらんばかりに抓られると喉から悲鳴がこぼれるのを抑えられない。
(なんでこんなことしてるんだろう……)
全身全霊を込めて剣に力を込め続ける中、心のどこかでそんなつぶやきが漏れた。
それは、魔法少女として戦うアレクシアの中にある、理沙という少女の部分が発した悲鳴だった。
(あの時も、こうだったな……)
思い出すのは、暴走するトラックを追い抜いて小学生たちを助けた、彼女の人生の岐路となった瞬間。
トラックの巨大なタイヤに足を挟まれ、50メートル以上も地面を引きずられている間、彼女は奇妙な空白の中にいた。
雑巾のように絞られる身体からは悲鳴を上げるための呼気すらも失せ、苦痛を感じるための神経すらどこかで配線を違えたようだ。意識が無限の暗黒に堕ちて行くのが人ごとのようにわかった。
自分は死んでしまうのか。あの子たちは助かったみたいだ、よかった。そんな思いすらも無の空白に消えて行き、最後に残った言葉があった。
(死にたくない)
その言葉が、死の渦潮の中で彼女を支え抜き、暴虐の嵐が収まるまでの拠り所となった。
次の瞬間――というのは彼女の感覚であり、実際には緊急手術から数日は眠り続けたらしいが――彼女は病室のベッドで目を覚まし、すぐに二度と自分が歩けないことを悟った。
医師の話では、あれだけの事故に巻き込まれながら原形を止めているのは信じられない奇跡らしい。あるいは、それは彼女が神の使徒としての天命を授かった瞬間なのかもしれない。
それからしばらくは暗黒の時期だった。未だに、失った脚力への未練と執着は残っている。それらをも乗り越えた先に、彼女がたどりついた信念があった。
(何を失おうとも、先には後悔しかなくとも、やり遂げなければならないことがある)
その信念だけが、今彼女を支えていた。たとえ陵辱を受けながらでも決して剣を止めない意思は決して失われることはない。
涙に曇った瞳で、土巨人を睨み据える。陵辱の嵐に全身を傷つけられながら、ヒースへと剣を伸ばす。あと少しで、彼の慟哭を払うことができると信じて。
そして――呆気ないほどに、救いが訪れていた。
『なにをやっているんですか、先生ッ!』
(勝った――!)
画面の中から若い女性の声が響いた瞬間、アレクシアは勝利を確信した。
響いてきた声は、アレクシアがこの病院に収容されたときからずっと面倒を見てくれている看護婦のものだ。ちなみに今は看護師というのが正式名称だが、ここでは看護婦で通す。
『その手をどけてくださいッ!』
(ありがとう、お姉ちゃん――)
画面の中で看護婦は医師を押しのけ、眠り続けるアレクシアを胸にかき抱いている。アレクシアの全身を覆う苦痛が一気に消え去り、かわりに温かく優しい感触が全身を包んでくれた。
アレクシアは心の底から感謝した。別に血のつながった姉妹というわけではないが、それほどに親しい相手だった。
今ではなんとか一人でできるようになったシャワーや排泄も、初めのころは彼女の手を借りていた。それだけに彼女はアレクシアにとっては母親以上の存在であり、絶対の信頼を寄せる相手だった。
また彼女は看護婦であるとともに優れたシスターでもあり、絶望と嘆きに支配されて誰かれ構わず酷い言葉を投げかけていた昔のアレクシアを教会に連れて行ってくれたのも彼女だった。
主治医へ向ける憧れが少女として男性に向ける思いならば、この看護婦に向ける思いは女性としての憧れである。
267 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:46:11 ID:jE38Y9Yt
『先生、女の子になんてことを……こんな、可愛い女の子に……』
(ああ、先生を責めないで……)
アレクシアは知っている……この医師と看護婦が恋仲であることを。誰にも秘密にしているようだが、実際には病院内のだれもが気付いていた。
自分が最も尊敬する男性と、自分が最も信頼する女性が結ばれる。アレクシアにとってこれほどうれしいことはなかった。
だから、アレクシアのせいで二人の間に亀裂が走ってしまったら悲しい。戦いのさなかに不意に生まれた余裕に、そんなことをアレクシアは考えた。
『こんな、可愛い女の子には――』
「これでもはや憂いは無いッ!」
涙を振り払い、土巨人の中のヒースに目を向ける。彼はもはや観念したように眼を閉じていた。
この時点で、アレクシアは自分の肉体を心配するのをやめている。最も信頼を寄せる女性が抱いてくれているのだ。これ以上に安心なことはなかった。
まるで母親に抱かれた幼児のように全幅の信頼を寄せているアレクシアは……この時点で、看護婦の女性の目に宿った欲情の光に気付いていない。
(さあ、最後の一撃だ!)
全身全霊を込めた最後の一息。すでに半ばまで切り込まれたヒースの土巨人を一撃で断ち切る威力を剣の輝きに乗せた。
決着をつけるべく、とどめの一撃を踏み込もうとした、まさにその瞬間――アレクシアが犯したたった一つの油断が、致命的な打撃となって彼女を襲っていた。
『こっちを責めた方がいいのよッ!』
「……っキャあああ!?」
初めて女の子らしい悲鳴を上げ、アレクシアは背筋を貫くような電撃的衝撃にあらがうこともできずに棒立ちになった。
足から全ての力が抜け、踏み込みの威力は霧散し、剣に宿る輝きすら露と消えた。それほどの衝撃だった。
(な、何っ? これなに?)
全く意味がわからない衝撃に混乱する中も、まるで神経を根こそぎ引っこ抜かれたかのような正体不明の衝撃は彼女を打ちのめす。
「きゃっああう!」
これまでの陵辱の感触とも違う、まさに精神的死角をがしがしとえぐっていくような刺激の前に、アレクシアは身をよじって悲鳴を上げ続けた。画面の中で自分の肉体がどんな目にあっているのか確認するという初歩的な考えすら浮かばない。
だが、あるいは見ない方が正解かもしれない。画面の中に映っているのは、看護婦が抱きかかえた全裸の少女のお尻の穴に指を突き立てているという、あまりにもショッキングな光景だったのだから――
アレクシアがびっくりしてしまうのも無理はなかった。女性に責められるなんて彼女は想像もしていなかったし、それ以上にお尻が性的な攻めの対象になるなんて夢にも思わなかっただろう。
ましてや、全幅の信頼を置いて無防備になっていたところを突かれたのだ。どんなに強い意志を持っていようと、こうなっては無力な小娘に等しい。
「ひっ! やだぁ!」
かわいらしい悲鳴を上げてしまうアレクシアを見て、ヒースもぽかんと口を開いている。高貴で優しい魔法少女の、あまりにも幼い一面だった。
からん、と乾いた音が響いた。アレクシアがどんな陵辱の中でも離さなかった剣が、ついに手から転げ落ちた音だった。それで、これまで突然の展開に茫然自失していたヒースとアレクシアの双方が我に返った。
268 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:46:40 ID:jE38Y9Yt
「あっ――」
「今だ!」
ヒースの反応が一瞬だけ早かった。あわてて飛びのこうとしたアレクシアの足を追って土巨人が手を伸ばし、健康的な足をがっしりと握りしめた。
「つかまえた!」
もはやヒースの思うがままだった。土巨人は力任せにアレクシアを引き寄せ、彼女の足を握りつぶさんばかりに締め付け、頭上に持ち上げて宙づりの格好にさせる。
「う……」
アレクシアの顔が苦痛と恐怖に染まった。パワーでは土巨人のほうに圧倒的有利がある。それ以上に、トラックのタイヤのように太い指先に挟まれるのはかつての事故を思い出させた。
「や――」
「おおぉ!」
やめて、というより早く、土巨人がアレクシアを振り回した。まるで子供が人形を振り回すような動きだが、巨人のサイズでそれをやればジェットコースターすら比ではない。
上空数十メートルまで一気に振り上げられて、そしてアレクシアは地面に叩きつけられた。
最初の一撃でアレクシアの意識は飛んだ。それでも土巨人は動きを止めず、びたん、びたん、と遊ぶようにアレクシアの華奢な身体を何度も地面に叩きつける。
最後にひときわ強く地面に叩きつけ、少女の体がゴムまりのように弾んだところに、土巨人は両手を堅く組んで力の限り振りおろした。
山ごと振ってくるかのような巨大な拳に空中で撃ちすえられたアレクシアは、それこそスマッシュを受けたバレーボールのような勢いで地面に激突した。それだけで闘技場の固い大地が砕け散るような、それはもう豪快すぎる一撃だった。
やがて粉塵が晴れたころ、半ば瓦礫に埋もれた魔法少女アレクシアは、完全に戦闘不能となってぐったりと横たわっていた――
<つづく>
269 [―{}@{}@{}-] 天地の人:2009/12/20(日) 13:48:07 ID:jE38Y9Yt
これにて前半終了です。ていうかバトルパート長い……後半はアレクシアのその後を描写していくので、どうか叱らないでください。
……初めは、『忍法帖と言えば地虫十兵衛。……車椅子少女が精神だけ離脱させてる間に肉体を狙われるのっていいよね!』程度の動機で書き始めたのに、なんでここまで長くなってしまったんでしょう。
バトルも書きたい、キャラも立てたい、エロシーンも書きたい……それでいて魔法少女10人が次々リタイアしていく忍法帖スタイルを通すのは欲張りなのでしょうか……もっと精進せねば。

なお、この作品には宗教やハンディキャップの方に関する描写がありますが、私はこれらに関して何らかの主張を持っているわけではありません。
とくに宗教に関してはテレビ程度の情報しか持っておりません。特定のどの宗教ということでもないので。
……つまりは巫女さんが出る余地もあるということですが。

基本的に人間同士の決闘だったり、個々の力量は魔法少女の方が高くて魔人が姑息な手段に頼っていたり、そもそも魔法少女のほとんどが高校生だったりする、このスレの空気に合っているかどうか作者も不安な本作。
続きを待っていらっしゃる方が居たら嬉しい限りです。

……そういえば、敵役が人間ということは、大ショッカーじゃなくてドーパント枠なのか……
「二人で一人の魔法少女よ!」『浄化! 浄ォーーーー化ァ−−−−!」 って、真っ黒になるかこれじゃ。。
270名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 14:31:07 ID:rKg3VgAb
乙です。
肉体と精神の分離とは、その発想はなかった。
271名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 22:19:15 ID:c0rKcYwx
>>249
マユの人乙!
幹部のローエルが好きだな。もっと活躍してもらいたいぜ。
次回はリィン達やコーネリアが酷い目に遭うのかな…
ゲテモノ姿のレドリックがどんな凌辱するか期待!
272名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 07:52:48 ID:HczFRuOn
>>269
お疲れ様&GJ!
差しでの戦い合うに文章が割いてあって読ませるだけに、エロパートへの期待が高まってるんで、
早めの続きの投下を期待してるよ

強烈に地面に叩き付けられる魔法少女は大好物だ
273名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 09:16:25 ID:ZBEPmgWF
びっくりするぐらい読み応えがあるなぁ。
バトルとその個人の思いへの表現力が高い。
仮想空間から現実への責めの流れが秀逸
274名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 16:35:27 ID:zpkGSPAO
>>264
ナースが来たときの負けフラグの立ちっぷりが凄ぇw
275名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 07:58:10 ID:msJgS+/E
アレクシア、電脳世界では男前すぎる口調で良いな
276名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 19:06:39 ID:hn5naz55
ラディがまたギャグをやってくれないものだろうか…
277名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 02:22:02 ID:eMA5PYEJ
このスレの作品群を読むと同人サークルかぜうまの〜のあのねシリーズを思い浮かぶ俺がいる
278名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 09:19:02 ID:8zrRJP8D
杏の人ぐらいだとそこらの同人では見られない凌辱ファイトだ。
と、思ったが銀の星亭を思い出した。
やっぱ凌辱は苦痛込みが好きだな。
279名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 20:46:01 ID:NI7CmHTk
くだらない妄想
ヴァルアス様が装甲竜になったので、ゴジラ対ヴァルアス様とか見てみたいな、と。
強いのと強いのがぶつかり合うのが大好きな厨二病なものでつい
会社のため、臣下の魔族達を守る為、いくぞヴァルアスいざ変身!
魔法少女達も参戦して大バトル!
コーネリア「ありったけの冷凍弾か?」
部下「はっ!超低音レーザーの燃料もめいっぱいです」
コーネリア「これで来年度の我々の予算はゼロだな………来年があればだが」

各所で戦ってる両軍の面々にヴァルアス様の咆哮が聞こえてくる演出は格好良かった……。
マユの人、これからも頑張ってください!!
280名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 21:40:14 ID:wsat1fkd
陛下、会社経営をただの暇つぶしとかやせ我慢し過ぎだろw
むしろ会社経営の合間に魔王やってるような…
魔法少女が束になっても倒せなかった魔王が過労死とかしたら円卓苦笑いだろうな
281名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 22:17:35 ID:16zYEXeu
>>280
ストレスで胃に穴空けたりとか、イヤだなぁw

格下の会社のくせに突っかかってくるライバル企業とか、
余計な規制で足引っ張る政治家・官僚とか、
もう、うんざりする相手ばかりなのです。
「焼き払ってやろうか?」
と思うものの、人間界ではそんな事した日には、ただの粗暴犯。
王がする行動ではありません。

はっ!そりゃうっぷんばらしに戦場でドンパチするわ!
282 ◆vjCMMxTOIw :2009/12/24(木) 22:31:50 ID:gy+aINX0
皆様お久しぶりです、災難の者にございます。
災難シリーズはまだなのですが、ちょっとしたクリスマスプレゼントをお持ちいたしました。
原点に返って、シンプルな単発話をご用意しております。


例によって陵殺バンザイ悲惨極まりないお話ですので、ご注意下さい。
283ホワイトクリスマス1:2009/12/24(木) 22:32:39 ID:gy+aINX0
 【ホワイトクリスマス】


 きらびやかなネオンに彩られ、この時期にはお馴染みのBGMに沸き立つ街。
 12月24日というこの日、その少女は高鳴る小さな胸を抑え切れずにいた。
 丁寧にラッピングされた小さな包みを、隠すように後ろ手に持ち、街頭の時計を見上げる。
「ちょっと早かったかな……」
 黒のオーバーニーに包まれた細い足が少し震える。
「まだかな、先輩……」
 行き交う人々を眺めながら、はぁ、と白い息を吐く。
 時期が時期だけに、DSを縦に持っている男の人や、カップルが多い。みんな楽しそうな、幸せそうな顔をしている。
(うわぁ……どのお姉さんも綺麗……私もあんな大人の女性になれるかなぁ)
 夜空を見上げた。少し雲が出てきているが、雪は降っていない。
「今日こそは、先輩に告白するんだっ。……イブの日に二人だけで会ってくれるんだから、きっとうまくいくはず。頑張れ、わたしっ」
 小さくガッツポーズする小柄な少女。ポニーテールが揺れた。
 自分も、目前のカップル達のように幸せになりたい、先輩と二人で。
(うわぁ……あんなに密着して歩いてる……今夜は二人だけでずっと過ごすのかなぁ、あの人達……いつか私も……)
 はっと顔を赤くした。
(わわわ、そんなの、そんなの、まだ先輩と付き合ってもないのにそんなエッチなこと考えちゃダメだよぉ!……しっかりしろ、わたし)
 そして、また空を見上げる。
(先輩、まだかなぁ…………あれ?)
 何か、おかしい。
 空が、黒一色に塗りつぶされている。何も映っていない。
「へ?」
 音が消えている。雑踏、話し声、音楽、すべてが消えている。
 視線を戻した。何か、薄い半透明の壁のようなものが自分の前にある。その向こう、まるで別の世界のように、先程まで自分がいた雑踏景色があった。
「なに、これ」
 現実感に欠けていて、夢でも見ているのかと思った。自分一人が世界から隔離されたような。
 左手の、にゅるりとした湿っぽい皮膚感覚が意識を引き戻した。
 見ると、形容し難い、蛇のような吸盤のない蛸の足のような、得体の知れないウネウネしたものが、自分の左手に巻き付いている。
 口をぱくぱくさせながら、その足の先を見た。
 これまたなんの動物かわからないが、見上げるような大きさの、上半身はトカゲ、下半身はタコのような生き物が冷たい瞳をこちらに向けていた。
 自分を掴んでいる、うねるようなモノは、その奇妙な生き物の、下半身から伸びている。
「ひっ……」
 身を強ばらせる少女。
 その小柄な体が、引き寄せられる。
「ひぃ、いやあああああ!!離して、殺されるー!!」
 喰い殺される、そう思って悲鳴をあげる。その化け物は大きく、口は耳まで裂ける程であるからだ。
<ゲゲゲゲゲ……安心しな、すぐには殺しはシネエよ>
 化け物から理解できる言語が聞かれたことに、少女は驚く。
「へっ……日本語、わかるんですか?あ、あの、助けてください……わたし、食べてもおいしくないですよ……?」
 震えながら恐る恐る語りかける。
284ホワイトクリスマス2:2009/12/24(木) 22:34:03 ID:gy+aINX0
 化け物は。
<取って喰ったりはしねえ……いや、別の意味で喰うけどなァ!>
 ナイフのような爪を少女の胸元にひっかけ、ブラウスをビリと破る。
 かわいらしいブラがチラリと見える。
「ひゃっ!?」
<未成熟なカラダってのはたまんねえなァ……これから突っ込んで、犯して、中にブチまけて、更に犯して、死ぬまで嬲り尽くすかと思うと、たぎるぜぇ……>
「お、おか……す?」
 一体この生き物は何を言っているのか。
 下半身にうねる触手の一本が、鼻先に突き出された。
「ひ……」
 不気味に蠢くその先端は、純情な少女にとって目を背けたくなるぐらい醜悪な形状をしている。
<ケケケケ、コレがナニかわかったみてぇだなぁ……こいつを今から、オマエのハラん中までブチ込むんだよォ!>
「そ、そんなことしたら死んじゃいます……やめ、やめてください……」
 青ざめる少女。無理もない、未だその経験もない上に、魔物のソレは凶器と呼ぶ他ないほど太いものだ。
<あぁん?別に死んだっていいじゃねえか。殺すつもりで犯すんだよ、オレぁ>
 横に裂けている口の端が、笑うようにつり上がった。
 そして、生臭い息を少女に吐きかける。
「い、いや……助けて……誰か、誰かぁ!」
 必死に助けを求める。壁の向こうに見える人達に。
 しかし、その声は届かないのか、彼らは何ら変わらぬ日常を楽しんでいるだけだ。
「どうして!?聞こえないの!?助けて、誰か助けてよぉ!!」
<無駄無駄ァ。この魔喰空間の中は、外部とは完全に隔絶されてんだよ。泣こうが喚こうが、誰もテメェに気づかねぇ。
あいつらがクリスマスってやつを楽しんでるすぐ側で、一人寂しく陵辱されて死んでいくんだよォォ!!>
「先輩、先輩、いやぁああああああ!!!」
 その時だった。
「そこまでよロリコン魔物!」
 一瞬の煌めき。
 肉を断つ鈍い音と共に、少女の戒めから力が抜ける。
 彼女がその瞳を開けた時、その身は別の少女の腕の中にあった。
「大丈夫!?……その、ひどいことされなかった!?」
「え、あ、はい、なんとか……」
「そう、間に合ったんだね、よかった」
 安堵したように微笑む救い主。
「あの、ありがとうございます。……あなたは一体」
 自分と同じくらいの年頃に見える。体格も似たようなものだろう。流れるような黒髪から、いい匂いがする。
 着ているのは学校の制服だろうか。自分とは違う中学のようだ。
「……えっと、私は」
<テメエ、もしかして魔法少女か!>
 魔物の怒鳴り声。
 少女はそれに答える。
「わかってるなら、話は早い」
 ポケットから細長いものを取り出した。USBメモリのように見える。
 そのメモリを手の甲に押し当てた。
『マジカル!』
 少女の全身が光に包まれる。
<うぉっ、まぶしっ!>
 そしてその光が収まった時、少女の着衣が変化していた。
 赤を基調とし、裾を白のラインであしらった衣装。
 ミニスカートから延びる発育途上の足には純白のニーソ。
<やはり魔法少女か!まさに飛んで日にいる夏、いや冬の虫。
ミニスカサンタがプレゼント抱えて飛び込んできたようなもんだぜぇ!まずはテメエからギッタギタに犯し殺してやるよォ!>
285ホワイトクリスマス3:2009/12/24(木) 22:35:01 ID:gy+aINX0
「……さぁ、お前の罪を数えなさい」
 軽蔑の眼差しを向ける魔法少女。
 身構える両者。
<ッシャアアアア!!!>
 幾本もの触手が矢のように殺到する。
 魔法少女は右手を握り込み、そして敵めがけて解き放つ。
 魔力の塊が放たれた。両者は激突し、
「!?」
 相殺できた触手は数本程度だった。
 魔法少女はとっさに身を翻す。一瞬遅れて彼女のいた空間を魔物の矢が貫いた。
「……くっ」
<ヘヘヘ、どうしたぁ?調子悪いのかぁ?まさかその程度じゃあないよなあ>
「……舐めるな、雑魚のくせに」
 メモリを取り出し、もう一度手の甲に押し当てる。
『トリガァアア!』
 右手に銃が発現した。
 魔物に向け、引き金数回引き絞る。
 魔物はよけない。
 着弾。
 だが、大したダメージは与えられていない。
「バカな、何故……!」
<バカはテメーだぜぇ!何の考えもなしに飛び込んできやがってよぉ!>
 はっと何かに気づいたか、魔法少女の顔色が変わる。
<この魔喰空間では魔法少女の魔力は十分の一に弱体化するんだぜぇ?さすが、プロフェッサーさんの魔喰空間発生装置は大したもんだ!>
「……くそっ」
 実にまずい状況、そう判断せざるをえない。
「……ならば!」
『マキシマムドライブ!』
 魔力を銃に集中させる。
<お、一発逆転に賭けるか?オモシレェ、やってみるがいいぜ!>
 魔法少女は銃口を敵に向け、次の瞬間、前方に跳んだ。
<!?>
 その場で撃つと思っていた魔物は意表を衝かれた格好だ。
 一瞬で近接した魔法少女。
(零距離射撃だ、それに全てを賭ける!)
 銃口から光が煌めく。それが魔物を直撃する。
<オガァアアアアアアア!!!!>
 顔面でモロに被弾した魔物が、両手で顔を覆って苦悶の叫びをあげている。
「……や、やった!」
 決定的なダメージを与えられた、そう判断した瞬間。
 その一瞬が、彼女の運命を決めてしまった。
 不意に魔物の腕がしなり、
 魔法少女の、腹をしたたかに殴りつけた。
「ごはッッ!!??」
 数メートル吹っ飛んで木に背中を叩きつける。銃は手を離れた。
<テメェ……おとなしく犯られてりゃあいいものを……許さねえ!>
 猛然と突進する魔物。木にもたれ掛かっている魔法少女に体当たりする。
「がっ……!!」
 木と魔物とに挟まれて、今度は彼女が苦悶の表情を浮かべている。
286ホワイトクリスマス4:2009/12/24(木) 22:35:32 ID:gy+aINX0
 魔物は、確かに顔に傷を負い、右目を潰していたが、戦闘力を大幅に低下させるものではなかった。
 少なくとも、この魔法少女では勝てない。
 彼女は、助けようとした少女を見やる。
「に、逃げて……はや……く…あがっ!!」
 首を掴まれ、つり上げられた。
「で、でも……」
「私は、いいから……グ……」
 実のところ、魔喰空間内ではもはやこの少女に逃れる術はない。それでも、逃げてと言うしかなかったのだ。
<テメエ、楽に死ねると思うなよクソ生意気な魔法少女がああ!!!>
 そして、また華奢な魔法少女の腹を殴りつける。
「おっご……!!!」
 深く抉り込まれた魔物の拳。
 魔法少女の全身が、だらりと弛緩する。
「……あが……ごは……」
<許さねえぞ小娘がぁ、オレの顔に傷つけやがって!>
 逆上した魔物はミニスカートの中に手を突っ込むと、下着を破り捨てた。
 そして、下半身の触手の中でも一際極太の一本をそこへ潜り込ませようとする。
「……う……ぁ……」
 意識が朦朧としている彼女は抵抗できない。
<メチャメチャに殺してやる!!オラァアアアア!!!>
 雄叫びと共に、その凶器を魔法少女の秘所へ無理矢理ねじ込んだ。
「……あ、ぎ?ぎゃあああああああ!!!!!!」
 メキメキという音が聞こえそうな程、触手の動きに応じて膨らむ少女の下腹部。
「あが、が……」
 目をカッと見開き、全身を強ばらせ、口はぱくぱくと死にかけた魚のように開閉している。
<オラオラオラオラァ!>
 魔法少女の首を掴んだまま、猛然と胎内に埋め込んだ触手を暴れさせる。
「あがががぎぎぃあがえおごあがあああ゛゛ああ!!!」
 出来の悪い操り人形のように、のたうちまわる華奢な少女のカラダ。
「おご、こほ、にげ、ニゲてエゲヘェッ!!」
 助けようとした少女を見遣り、相変わらず心配をするも、仮借ない責めにその言葉も途切れる。
「が、あ……ごは、か…………」
 やがて急速に悲鳴が弱まってきた。首を絞められた状態で殺人的な陵辱を受けているため、窒息状態に陥っているのだ。
<オラオラァ!死んじまえ、死ね、死ね!!>
 直線的なストロークを繰り返す。下半身から延びる触手が根本から膨らみ、徐々に少女へと迫っていく。
「あが、が、ガ……」
<ラァァァアアア!!!!>
 その膨らみが、ロクな反応を見せなくなってきた少女の秘所から下腹部に入り、弾けた。
「!! ッ、ッ!!!」
 だらしなく口を開け、激しく痙攣する魔法少女。魔物はようやく首から手を離す。
「……こひゅー…………ひゅー…………かは…………」
287ホワイトクリスマス5:2009/12/24(木) 22:36:28 ID:gy+aINX0
<チッ、さすがにしぶといな。まだ生きてやがったか>
 息があるとはいえ、まともに動くこともできない。
 その少女を、魔物は、触手を突き刺したまま。
<オラァッ!!>
 ブン回し、地に叩きつけた。
「……ガハッ!!」
 失神しかけていた意識が強制的に引き戻される。秘所にねじ込まれた触手で振り回され、全身と胎内にあり得ない激痛が走る。
 それは、無惨な運命から逃れられない魔法少女にとって、更なる生き地獄を意味していた。
<そおりゃああ!!!>
 風を切って振り回される少女の体。
「ギャッ!!」
 再び背中、そして膣内、子宮に衝撃を受ける。本来なら気を失いかねない苦痛だが、痛みなどという生易しいものではないため気絶という逃避すら許されない。
<そぉい!>
「ごはッ……」
 血を吐いた。それでも魔物の暴虐は終わらない。
<叩きつけたら締まりやがるぜ!テメエ、マゾかよギャハハハハ!!>
「き、さま……あぎゃ、あ、が、あがっ!!」
 少女の体をオモチャのように振り回しながらも、子宮にまで食い込んだ凶器は自在に体の中で暴れている。
 何度も叩きつけられ、陵辱され、魔法少女の肉体は、限界に近づいていた。
<そろそろ死にそうだなァ、おぉおりゃああ!!!!>
 一際強い一撃。インパクトと同時に、お腹の中へ情け容赦ない量の汚れた液体がブチまけられる。
「……オ、お、お…………ぉ……が……っッ…………」
 ビクンと一度だけ痙攣し、その魔法少女は動かなくなった。
 ぐったりした体が光に包まれる。
 やがてそこには、変身前の制服に身を包んだ女子中学生の亡骸と、USBメモリが落ちていた。
<ヒヒアハハァ、ざまーみやがれ、生意気なことしやがるから苦しんで死ぬことになるんだ>
 満足そうに敗北した魔法少女だったモノに嘲笑を浴びせる魔物。その濁った瞳が、もう一人の獲物へと移った。
「ひ……」
<さぁて、腹ごなしも終わったし、クリスマスケーキを頂くとしますかナァ>
 ずず、と寄る。同じ距離を少女が後ずさる。
<心配すんなって、あそこまでヒデエことはしねえ。ちょっと死ぬまで陵辱するだけだヒャッハー!>
「い、いや……」
 恐怖のあまり、悲鳴をあげることすらできない。
 音もなく触手が忍び寄る。足に巻き付いた。
「や、や、いやなの、はなして……」
 体が浮く。
 乱暴に、魔物の近くへ投げ出された。
「痛っ……ヒッ!」
 すぐ目の前に、虚ろな眼をした少女の抜け殻が横たわる。怯える少女は、自分のミニスカートがめくれて黒ニーソに包まれた白い足が見えていることにも気づかない。
<うまそうな細い足だ……この奥にブチ込んで抉り回してやったら、あっという間に死にそうなくらい弱いエモノだ……ソソルぜぇ>
「誰、か、たすけ……」
 こつん、と手が何かに当たる。
 見ると、先ほど魔法少女が手にしていた、メモリである。
(こ、これって……)
 使い方はさっき見た。
 たとえ使えたとしても、勝てるわけはなかった。
 それでも、無力に犯されるだけの運命しかない少女は、これにすがった。
288ホワイトクリスマス6:2009/12/24(木) 22:37:49 ID:gy+aINX0
「う、うわあああああ!!!!」
『マジカル!』
 光が巻き起こる。先刻の魔法少女と同じコスチュームに変身する。
<おお?オメエ変身できるのか?すげえなあ、魔力の素質があるってことだぜ!>
 余裕の魔物。
<でも知ってるか?戦っていいのは、殺し殺される覚悟のあるヤツだけなんだ……ゼ!>
 触手がしなり、新たなる魔法少女の下腹部をしたたかに打ちつけた。
「おがっ!!」
 強烈なボディブローをまともに食らい、崩れ落ちる。
<はい、おしまい。お前、なんのために変身したのかよおお?ギャハハハハ!!>
 ゲラゲラ笑いながら、少女を押し倒す。ずるずるとその体を手元に引き寄せた。
<なんでえ、小っちぇ胸>
 手を伸ばし、無遠慮に胸を鷲掴みにする。
「痛っ……」
<もっと痛い目に遭うのに、こんなんで痛がるんじゃねえよ。なァに大丈夫!魔法少女になったんだ、少々乱暴にしてもすぐには死なねえさ>
「や、やめて……」
 ありきたりな言葉しか出せない哀れな少女。
 極太の触手が彼女の股間に伸びる。
<あらよっと>
 あっさり下着が破かれ、ぴたりと的に狙いを定める。
「やめてやめてやめてやめてヤメテヤメテヤメテ…………」
 ガチガチと歯を鳴らして哀願。無理もない。
 想像できないくらい凶悪なモノが、一度も男性を許したことも、それどころかロクに自分で慰めたこともない場所に突き刺さろうとしているのだ。
 こんなものを挿れられただけで死んでしまう、少女は恐怖に震えている。
<じゃ、メリークリスマス!>
 ふざけた挨拶と共に、無造作にグリグリとねじ込んでいく魔物。
「あ、はぎ、ぎ、いぎ、いぎゃああああ!!!!!」
 どれほど悲鳴を上げても足りないであろう。体を引き裂かれる痛み。汚されたという実感すらない。ただ、許容を超えた苦痛に身悶えするのみだ。
 彼女にとって不幸なことだが、挿入だけではまだ死ねなかった。恐らくこの時点で死んでいても陵辱は続いただろうが。
<うわキッツぅ!やっぱこの年齢の女は犯しがいがあるぜ!そりゃそりゃそりゃそりゃ!>
 そう言って猛然と少女の膣内を味わいはじめた。
「いぎッ!ひがッ!あ、あぎっ!やめで、ぬいでええ!!!」
<なぁに?まずは一発ヌイてほしい?そんなに精液好きなのかよオジョウチャン?>
 そう言うと、更に動きを加速させる。
「あぎゃっ、ち、ぢが、ぢがううう゛う゛うう!!!」
<遠慮すんなって、俺は気前がいいんだ。リクエストに応えてやっから!たっぷりナカに注いでやるよぉ!>
「や゛、やめ゛、そんな、赤じゃん出来……」
<あー、大丈夫大丈夫。どうせオマエはそのうち死ぬんだからよォ、だからナカに出しても全然問題ないんだ>
 蒼白になる少女。 
「そ、そんな……ひどい、どうしで、どうじでごんなひどい事するのぉ!?」
<何故って、そりゃあオマエが可愛くて犯りがいのある女の子だからだよ!よかったなあヒャハハハ!!>
 笑いながら一度、大きく触手を引き、
<おおりゃああ!!!>
 ごずっ。
 子宮口をブチ抜け、子宮壁に激突し、
「……ぁっ、ぎゃっ……!!」
 夥しい量の精液を中学生の子宮へ、溢れだした分が膣から外へ、吹き出す。
「はが、あひ、あひゅいいい゛いい゛いイイイ゛イ゛イ!!!!」
 全身が強ばる。心臓が危険な鼓動を発する。視界が白熱し、思考が飛びかける。
289ホワイトクリスマス7:2009/12/24(木) 22:39:25 ID:gy+aINX0
<おっと、まだまだサービスしてやるぜ>
 一本の触手が、大きく開かれた口腔内へ矢のように叩きこまれた。
「オごッッッ!!??」
 喉奥を突き抜け、更に奥へ飛び込む先端。
 息が詰まる。
「ほ、ご、お、ォ、う、おぼ、ごご……!!!」
 下半身を壊すような激しい蠕動は止まっていない。上からも下からも身体を内側から痛めつける悪魔の凶器。
<もう一丁ぉおおお!!!!>
 また強烈な一撃。子宮、そして喉から食道にかけて打ち込まれる。同時に、先程同様の精液の濁流。
「ぅオ、ぼ、ごぼぉ、を、お、オぶ、がぼぉッ!!!!」
 胃の中へ注ぎ込まれるマグマのような粘ついた液体。身体が中から灼ける。口から、勢い余って溢れ出る汚濁液が唇を、顎を、喉を汚していく。
 既に満杯となっていた子宮は更に悲惨な有様になっていた。魔法少女として強化された中学生のカラダはこれに耐え、まるで妊婦のようにお腹を膨らませてたのだ。
(……し、死んじゃう…………わた、し……しぬ……んだ……せん、ぱぁぃ…………)
 呼吸することもできず、激しい陵辱というより暴虐を受け、少女の意識が急速に薄れていく。
<おーおー、まるでガキ孕んだみてぇだなあ。よかったなあ、死ぬ前に妊婦さんゴッコできてよぉ!オレがダンナさんってとこかなァ!?>
 また笑いながら、一本の触手を高く掲げ、
<ゴムゴムのぉ……水鉄砲!!!>
 勢いよく、無様に膨らんだ少女のお腹へ振り下ろした。
「!!!!  ゴバァアッッッッ!!!!!」
 腹を叩き潰され、秘口と、だらしなく開けられた口腔から、注ぎ込まれた魔物の液体が勢いよく吹き出る。
<ゲッハハハハ!!こうすると人間水鉄砲か人間ポンプみたいになるよなぁ!?やっぱ魔法少女ってのは死ににくくて嬲り甲斐があって楽しいぜ!>
 その時だった。少女の全身が弱い光を放ち、
<お?>
 元の姿に戻った。傍らに落ちたメモリが砕ける。
「……がは………こほ、ぉぅぇえ……ごぼっ…………」
<あちゃー、初心者相手にやりすぎたか?まぁ、死んだら死んだで死体を嬲って遊ぶか>
 変身が解け、既に虫の息となっている少女。
<おーい、大丈夫か?>
 子宮を小突く。
「……あひ……」
<ありゃ、壊れた?>
 瞳は開いているものの、何も見てはいないようだ。
「たすけて……」
 うわ言が唇から漏れる。
「たすけ……て……せん、ぱい……」
 魔物がニヤリと笑ったことに彼女は気づけない。
<なぁ……その先輩って、アレじゃね?>
 少女の顔を掴み、「壁」に向けた。その向こうに、少女よりいくらか年上の男の子がいる。
「せん……ぱ?」
 徐々に、少女の瞳に光が戻っていく。
<さっきから気になってたんだけどよ、アイツずっと何かを待ってるみたいだったぜ?
待ち合わせの時間だいぶ過ぎちまってるんじゃねえか。辛抱強く待っててくれるなんて、いい彼氏だなァ>
「先輩……先輩、せんぱぁい……」
 少女の瞳からとめどなく涙が溢れ出た。
 決して越えられない境界の向こうに、恋い焦がれる人が。
 本当なら、あそこに自分もいるはずだったのに。
 少し前まで、何不自由ない日常を送ってきたのに。
 もしかしたら、そこかしこのカップルのように、幸せになれたかもしれないのに。
290ホワイトクリスマス8:2009/12/24(木) 22:40:23 ID:gy+aINX0
<先輩に助けを求めてたよな?俺は気前がいい。リクエストに応えてやってもいいぜ?>
「……え?」
 凍り付く。それはまさか。
<あいつだけ、こっち側に引きずり込んでもいいぜ。ホラ、大好きな先輩に助けて欲しいんだろ?>
 できない。
 先輩が、この化け物を倒せるわけがないのだ。
 ……巻き込みたくない。
「……先輩、だけは……巻き込まないで……くだ、さい」
<ホゥ?いいのかよ?死ぬ前の、最後のチャンスだろ?>
 ベロリと少女の頬を舐めあげる魔物。
「お願いです!私は……私はどうなってもいいから、先輩だけは……!」
<わかったよ。オメエ、えらいな>
 承諾の返答。
 少女の、ささやかな安堵。
<ご褒美に、先輩に会わせてやるよヒャハハハ!>
 一瞬で、踏みにじられる。
 壁が動き、先輩だけを取り込む。
 呆然とする少女の前で、何が起こったのかと目を白黒させている先輩。
「だめ……逃げて……逃げてください……」
 半泣きで警告を発する少女を、先輩はやっと視認した。
「おい、何やって……」
 余りに現実離れした情景に、思考が追いついていないようだ。
 よく知っている後輩の女の子が、見たこともない化け物に、
 後輩の女の子の股間に、化け物から伸びている触手が。
「な、なんなんだよ一体……」
<よぉコンバンハ、この女の子が君にどうしても会いたいっていうんでナ>
 化け物が喋ったことで、ぎょっとした表情。足が震えている。
<ああそうそう、この子、プレゼントがあったみたいだぜ?コレコレ>
 小さな包みを取り出す。少女が、先輩にプレゼントしようと用意していたものだ。
<しょっぺえよなあ?>
 それを、地に捨て、潰した。
 瞬間。
「て、てめえええ!!!」
「先輩、ダメーッ!!逃げてぇえええ!!!」
 逆上した少年が、魔物に殴りかかっていく。少女の悲鳴が響き終わらないうちに、
「せ、ん、ぱ」
 少年の突撃は終わった。
 風を切る音と共に、彼の首から上が消えてなくなったのだ。
<勇気ある少年だったナァ>
「いや……いやあああああ!!!!!!」
 絶望に満ちた少女の悲鳴が、陵辱再開の合図となった。
<ヒャハハハハ!忘れられないクリスマスになったなぁ!と言ってもオマエも生きて夜は越えられないぜ!>
 猛然と一切の遠慮なく中学生の胎内を犯す。
 子宮を突き上げ、膣壁を抉り、下腹部を殴り、そしてまた犯す。
「うあ、先ぱ、ぜ、ぜんばい、ごめんなざい、ごめ゛……はぎぃッッ!!!」
 涙と嗚咽にまみれながら、全身を蹂躙される少女。その声も次第に弱くなっていく。
「……はっ……ぁッ……せん、ぱ……い、ぎ……」
 それでも、無抵抗、無反応になった少女の体を弄ぶ魔物。
 やがて意識が闇に落ちていく。

291ホワイトクリスマス9:2009/12/24(木) 22:40:58 ID:gy+aINX0

 どれ程蹂躙されただろう。
 少女が全身の痛みに苛まれながら目を開けると。
「せん、ぱい……」
 憧れの人が、優しい微笑を向けている。
「よかった……無事だったんですね、先輩……」
 思考が完全に焼き切れた彼女には、この情景が異常であることが理解できない。
 少年が少女の手を取る。
 そして。
「え」
 いきなり、乱暴に押し倒した。
「痛ッ……先輩、何するの……」
 信じられないといった表情で先輩を見上げる少女。
 優しい表情はそのままで、覆い被さってくる。
 秘所に、ぞっとする気配を感じた。
 人間ではありえないモノが、先輩の股間から、少女を、
「う、うそ、いや、やめ」
 犯す。
「いっぎ……!いや、痛いよ、やめ、あぎぃ!!!!」
 少女のカラダをモノのように扱い、情け容赦ない動きで陵辱する先輩のように見えるモノ。
「……ぉ、オゴ……!」
 胎内を責めながら、先輩の両手が少女の首に伸びる。
 締め上げながら、犯し続ける。反射的に元々狭い少女の膣が、きつく締まる。
「……コホ、ォ、やめ、たすゲ……ぅ、ぁ、…………」
 未成熟の身体が見せた反応に悦んだように、更に動きを激しくする男。
(なん、で……せんぱ、い…………好きだったのに……信じて、たの…………に…………)
 薄れゆく意識。
(これは……夢……そう、こんな……こ、と…………あるわけ…………)
 一度溜めての、少女を殺す一撃。
 胎内に灼熱の奔流を感じながら。
 優しかった先輩が、歪んで醜悪な魔物に変化する姿が、彼女の見た最期の情景だった。


 若い男女が寄り添う街。
 誰も彼もが幸せそうに歩いている。
「あ、雪……」
「ほんと……綺麗……」
「ホワイトクリスマス、だね」
「うん……今日のこと、ずっと忘れない」
 そのカップルの後ろ、植え込みの向こう側。
 ゴミのように、うち捨てられた二人の少女の遺体。
 一人は、自分が今夜敗北して犯し殺されるなどと、思わなかったであろう。
 もう一人も、幸せになるはずだったクリスマスイブの夜が、人生最後の悪夢のような数時間になるとは思わなかったであろう。
 手を繋いだカップルに、白雪が舞い降りる。今夜、幸せな夜をおくるのだろう。
 誰にも気づかれない、白濁液にまみれた少女達の抜け殻。
 白い雪が、その姿を覆っていった。


  ━BAD END━
292 ◆vjCMMxTOIw :2009/12/24(木) 22:45:30 ID:gy+aINX0
はい、お目汚しでございました。
相変わらずといえば相変わらずの傾向。
どうして私の書く魔法少女はこうも雑魚なのか。ゴミのようの蹂躙されましたよ。
即興で変身した女の子も、変身しただけで終わりました。
現実なんてこんなもんです。素人がいきなり実戦に入ったって戦えるわけないのです。


ではでは、失礼致しました。皆様よい夜を。
293名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 23:15:04 ID:GaMrLbmJ
なんと言うクリスマス終了!
294名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 23:58:21 ID:1OgNxt58
>>292
素晴らしいクリスマスプレゼント!GJ!!
相変わらず情け容赦の無い陵殺っぷりが最高です!



>>280
ビジネスにのめり込み過ぎて、軍議とかすっぽかして爺様に小言言われてそうだww
295名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 01:11:13 ID:aGlZk6qw
災厄の人GJ!
良いクリスマスプレゼントだったよメリクリメリクリ

>>294
忘年会で酒を酌み交わし、互いを労い合う社員達を満ち足りた良い笑顔で見回しながら何度も頷く魔王…
296名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 02:09:26 ID:F2zzAwke
うはぁ、め、めりーくりすまーす。。。GJ!
297名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 11:30:24 ID:S++8F1o+
アナピヤ思い出すノリのよさだった。これはいい終了のお知らせs
298名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 12:14:53 ID:oiIpDZu6
飛び降り自殺したが植え込みに落ちて発見されず
遺書発見から数ヶ月後に植え込みの手入れに来た植木屋が半ば白骨化した遺体を発見
そんな事件を思い出した。
299名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 12:42:58 ID:0VTFloIt
災難の人のデビュー作のリメイクって感じだったな

個人的には、いつもその場で殺すより、たまには苗床みたいな凌辱無限ループも見てみたい

>>298
いつも魔法少女たちの亡骸発見は、それなりに猟奇事件として扱われているんだろうなあw
300名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 15:34:36 ID:kcdTs7Z+
>>288
GJ
犯られる為だけに、魔法少女になる女の子最高

>>299
不可能殺人を捜査してたら、被害者が皆魔法少女だったり魔法少女になる可能性を持ってたりするんですね。
そして三人の主人公の内の一人が「私は、人間だ!」と。
301名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 16:30:49 ID:yM4h6ZyT
毎度ながら小ネタもとても楽しいです
302名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 19:06:24 ID:4REZ8+yB
>>292
よーし、逆転勝利フラグ!
あれ?逆転は・・・

逆、ぎゃく・・・ぎゃくさ、虐殺!

何という情け容赦無用&BAD END
303名無しさん@ピンキー:2009/12/25(金) 23:30:49 ID:c/wfPG7A
>>294 
ローエル「おい…なんで陛下居ないんだ?軍議の時間なのに」
イレーヌ「レフィールの姿も無いねぇ…どういう事だい?」
レドリック「あー、それが…その…『忘年会』に行くと言って、二人とも…」
ゲリオス「………」
ローエル「やべ…爺様ブチキレてるぞ…」ヒソヒソ
イレーヌ「だねぇ…話しかけない方がいいね」ヒソヒソ
304名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 12:09:22 ID:3ak3bogY
もうじき、2009年の歳神魔法少女が辱殺される頃ですね。
305名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 12:15:33 ID:fSNWPp2S
108体の魔物に犯されるんですね。どこまでもつやら…
306名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 13:13:55 ID:ryhYuY+f
108匹分の凌辱描写するの大変だなぁ ほんと頑張ってほしいわ書き手のみなさんに
307名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 13:38:13 ID:lmgF2dnc
また、以前のイタい子が湧いたかな
308名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 06:51:39 ID:wyNZ84MS
大晦日の間に107回犯されて、新年になってから仕上げの1回犯されて死ぬんですね。
309名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 07:25:52 ID:jKRTZ99v
108匹以上集まってケンカになりそうだぜ
310名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 09:28:27 ID:JRg408td
大晦日に襲来する108種の魔物を全滅させないと来年も大凶

…どうやら一部の会社勤めの魔族や秘密結社や異次元ネットショッピング会社が支援に回るようです
311名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 15:02:02 ID:wyNZ84MS
>>310
そこは、108人の魔法少女を犯すと来年も大吉、で。
312名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 16:46:41 ID:reFg6uYT
>>303
忘年会会場
いい加減酒も回ってきた頃、社員達からの「社長のかくし芸見せて!」コールにのせられて
ヴァルアスさん装甲竜モードで吼えまくり
陛下「どうだ!これが私のとっておきだ!!」
社員A「すげえ!流石ウチの社長!」
社員B「かっけー!!」
マユパパ「社長!マジ、パねぇっす!」
と、そこにゲリオス登場、しかし……
マユパパ「さ、ゲリオスさんも飲んで飲んで」
ゲリオス「いやだからワシは陛下を連れ帰らんと」
イレーヌ「なかなか帰って来ないと思ったら、じーさん何やってんのよ?」
ローエル「陛下もあの様子ではしばらく帰れんだろうし、俺達も混ざってくか?」
マユパパ「どうぞどうぞ、さあ皆さんも飲んで」
1時間後
マユパパ「さあ、ゲリオスさんもっとお飲みになって」
ゲリオス「だからもう無理……てかアルハラじゃろこれ?」
装甲竜のままの社長は女子社員から「かっこいい」「ウロコがきれい」とぺたぺた触られまくり
日頃の激務のストレスの反動でヴァルアス陛下はすっかりいい気分
後からやって来たレドリックの変身も何故か馬鹿ウケ
さらにそれを見ていた社員達の中からも
社員C「じ、実は自分も……っ!!」
何かのモンスターの変身である事がわかったり
部長A「なら、私も長年の秘密をバラしちゃおうかなぁ」
部長が宇宙からやって来た金属生命体である事を明かしたり
新入社員A「今宵は実に楽しい。これほど楽しい夜は何千年ぶりだ?ハハハハハ!!」
凄まじい魔力の爆発と共に新入社員の背中から漆黒の十二枚羽根が出てきたり
マユパパ「飲んで飲んで飲んで」
ゲリオス「無理じゃから!もう無理!無理!」
イレーヌ「楽しいねぇ」
ローエル「楽しいな」
ゲリオス「お前らも見てないで助けんかぁ!!!」

その後、深夜の秋月家
マユパパ「ただいま〜」
マユママ「お帰りなさい、ところでそちらはどなた?」
マユパパ「ああ、社長のお知り合いらしい」
ゲリオス「お世話になりま…ウゲェエエエエエエ」
313名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 17:35:57 ID:d8spv8o8
>>310
来年の運勢をかけた108対108の大決戦か…
314名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 17:44:08 ID:EJsLbGOH
オール魔物VS大魔法少女団
315名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 18:54:33 ID:CXGkPR12
忘年会、マユパパさんマジ鬼畜w
ゲリオスさん生きて〜
316名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 19:32:57 ID:jKRTZ99v
>>314
そのタイトルだと魔法少女達が負けちゃうな
317名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 19:57:31 ID:gIuMSmqk
つまり、そういうことだろう
318名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 12:43:07 ID:HS8xSWCG
>>316
魔法少女が勝っても意味無いからな。
319去年:2009/12/28(月) 14:09:52 ID:yw8shCqn
大勢力がぶつかり死屍累々血海屍山になった元旦に初日の出と共に太陽の魔法少女光臨!

太陽「さあ、もう1ラウンド!!
 リヴァイヴァ!グハ!」
*太陽の魔法少女は塵になり一年ROMった*
*なんとオール魔法少女が復活した!*
*なんと魔物連合軍が復活した*
*なんと不幸な通行人達が復活した*

*なんと太陽値が減り黒点活動が弱まった!*
*今年は冷夏だ!!*
320名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 18:34:08 ID:DmCgMPSR
太陽の魔法少女とか言うから、「俺は太陽の子」な魔法少女BLACKRXを想像しちゃったじゃないか
321名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 19:04:14 ID:K510yq8X
つまり最強の魔法少女誕生だな!
322名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 21:05:13 ID:NMhasBlY
対抗すべく、影月様ポジの魔物を呼ばないとな
323名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 21:39:18 ID:2P+dRQDa
魔物っていうか、魔物にされた女の子かなぁ
てつを的に
324名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 00:05:36 ID:jfTJgdJP
プロフェッサーやラディに魔法少女を改造してもらうんだな
325名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 01:00:41 ID:0rp5XaLB
>>320
バイオ魔法少女強すぎ
物理攻撃無効、魔力攻撃無効、媚薬中和とかふざけてんの?
326名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 01:16:29 ID:jfTJgdJP
>>325
チートじみてるからなぁ…バイオは
327名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 08:08:55 ID:xQSS7chg
そこで羞恥プレイとか言葉責めプレイとかですよ
328名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 21:35:38 ID:jfTJgdJP
あと二日で大決戦か…
329名無しさん@ピンキー:2009/12/30(水) 15:16:19 ID:pSiu+V63
>>325
「スライム化して悪の魔法少女にいけないおしおきをしちゃう正義の魔法少女」とか思いついた。
330名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 02:44:42 ID:U0rlwkAk
早く投下しる!
331名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 16:59:04 ID:JqXer1D4
RXネタといえば個人的にはロボ魔法少女の外見がマルチ系なのかメカメカしい
クールビューティーなのか気になる。
332名無しさん@ピンキー:2010/01/01(金) 00:03:53 ID:GNshW5co
あけおめ、今年も魔法少女が沢山凌辱される良い年でありますように
333名無しさん@ピンキー:2010/01/01(金) 18:42:15 ID:Zel4q2NS
>>331
ロボは涙眼で、バイオはつり眼だろうな。
334名無しさん@ピンキー:2010/01/03(日) 21:53:44 ID:zugcS+90
>>325

そこで「貫通」+「至高の魔弾」ですよ。
335名無しさん@ピンキー:2010/01/04(月) 08:04:01 ID:rgNYYIV+
妖魔「ぐぎゃげご!?モ、モウヤメ・・・!?」
魔法少女「本当に愉しいよね・・・魔法少女っての、は」
みたいな魔法少女『が』陵辱しちゃうのはこのスレ的にアリなのか?・・・・
336名無しさん@ピンキー:2010/01/04(月) 11:48:33 ID:kt+BnVSV
和姦もありなので、一応ありなのかな
他にもっと喜ばれるスレがあるかも知れないけど、とりあえず、ここじゃ駄目ってことはないと思う
337名無しさん@ピンキー:2010/01/04(月) 13:00:29 ID:FvAHiIp4
>>335
前にそれで1本書こうとして挫折したw
338名無しさん@ピンキー:2010/01/04(月) 13:26:27 ID:EwKJp7E8
>>337
大丈夫お前なら書ける
339名無しさん@ピンキー:2010/01/05(火) 15:00:54 ID:D5SR8PEn
全部抜かれて妖魔が妖精に変身とか
340名無しさん@ピンキー:2010/01/05(火) 17:27:57 ID:4ArlsEqv
最近過疎気味だね…キセイフィールド張られてる?
341名無しさん@ピンキー:2010/01/05(火) 23:39:38 ID:fF6GdAkP
魔法少女が陵辱され魔物を絞りつくして陵殺、というお話を書きかけて放置中だ

「まだ…まだ私満足して無いのにぃ…後20回ぐらいは余裕でいけるよね…?」
342名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 00:23:52 ID:Ec1NmE2W
SSマダー
343名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 03:26:51 ID:g82xoFmu
最近このスレみつけたんだが、保管庫止まってる?
魔法少女マユがみつからないし、’09年の作品も無いようだが
344名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 03:29:08 ID:RqDrYFx+
絶賛休止中
345名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 03:58:31 ID:RqDrYFx+
ふと思ったんだがここの過去スレのdatファイル欲しい人いる?
使ってるのJaneStyleなんでそのdatファイルになると思うけど
346名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 04:05:40 ID:g82xoFmu
datファイルでも需要あるとおもうが、
私は普通にテキストファイルのほうがいいです。
347名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 04:36:44 ID:RqDrYFx+
保管庫作れということか・・・
348名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 21:29:01 ID:g82xoFmu
そこまではしなくても・・・ただ保管庫にない過去作読みたかっただけなんで


ありきたりな設定だけど、
魔族側の主人公が魔法少女戦隊を1人ずつ奴隷化していくSSを妄想してた
349名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 22:15:31 ID:Ec1NmE2W
陛下の魔装竜って二つ名の元ネタ、ゾイ○か
350名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 22:19:23 ID:JC34hP/X
悪の組織の中堅幹部が偶然新米魔法少女と遭遇し、相手が自らの強すぎる力に振り回されてる
こともあり辛くも勝利。調教でも精神的に未熟なうちに死の恐怖を味わって心が折れたのでもいいけど
とにかく魔法少女を子分にし、彼女を使って政敵や上役を蹴落としていく。
のし上がっていくうちに首領の真の目的と組織がそのための捨石に過ぎないことをしり、
魔法少女とともに首領に戦いを挑む。そして首領に勝利して二人は裏社会の帝王と女王となる……。
とかいうべたなネタが大好きです。
351名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 14:48:15 ID:PTr1nFTp
あげ
352名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 18:16:08 ID:6QrgjhRu
>>348
魔法少女物じゃないが、某変身ヒロインチーム物で、ひとりずつ奴隷化していくという話は書いたことがある。
353名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 22:31:31 ID:X2lKxA9z
投下マダー?
354名無しさん@ピンキー:2010/01/09(土) 01:27:07 ID:CvJHdlu2
>>352
セーラーチーム壊滅作戦を真っ先に思い出した
355名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 12:06:54 ID:jUjLGfVD
卑怯な手を使わずに、正々堂々戦うべきだ!
356名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 17:30:51 ID:pdC0L6/e
正々堂々エロ攻撃だ!
357名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 00:39:08 ID:+E/zcnvo
人質取ったり罠張ったりはどうかと思うよ
358名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 02:18:05 ID:OYRlh88M
正々堂々と勝負し、負けたヒロインを捕らえて陵辱する方が美しい
でも、その状況だとヒロインの魔力が尽きてる状況だから、そこで陵辱しても面白みが無いから
拠点に拉致してからだな。
359名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 14:34:26 ID:3T7R2ojt
一人ずつ堕としのセーラーチーム壊滅は黒犬の十八番だろ
360名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 23:22:54 ID:+E/zcnvo
最近、投下が無くて寂しいな…
361名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 23:23:52 ID:PkmzgQuZ
まだ年明けてすぐだからみんないろいろ忙しいのさ
362杏の人:2010/01/16(土) 13:00:03 ID:P7nJD/Qm
どうも、杏の人です。
随分と間隔が開いてしまって申し訳ありませんでした。
諸々の忙しい用事も済みましたので、これからはもう少し短い間隔で投下できると思います。

それでは、今回は
荒野の魔法少女 第2話 共通7レス 通常END3レス BAD END7レス
を投下させて頂きます。
陵辱シーンはBAD END1〜7レスです。
今回は注意点として、
・流血などの描写
・快楽系と苦痛系が混ざっている
・マグロ(無反応)状態の描写
・出産
等があります。ご注意ください。

それでは、次レスから投下開始です。
363荒野の魔法少女 登場人物紹介:2010/01/16(土) 13:00:36 ID:P7nJD/Qm
・アスカ
10歳 140cm 黒髪で右側低めのサイドテール
称号:生命(地)
コスチューム:和装(白の胴着に紺の袴) 武器は刀
本部、リゾルートの支援を受けず、単身荒野の世界で生き抜いてきた魔法少女
364荒野の魔法少女 第2話 1/7:2010/01/16(土) 13:01:13 ID:P7nJD/Qm
「ねぇ、ちょっと待って!どこ行くのよ〜!?」
足早にスタスタと歩くアスカの背中を、ライザは数歩後ろから追いかける。
ライザが名乗った途端、アスカは立ち上がり、何も言わずに歩き始めてしまった。どれだけ声をかけても、全く反応を示さない。
「ねぇってばぁっ!」
ただ声をかけるだけでは埒が明かないと、ライザは小さくワープして、アスカの前に立ち塞がった。
「っ!!」
かなり勢いをつけて歩いていたアスカは慌てて足を止める。
「なんですか?」
そしてライザを睨むような鋭い眼で訊ねた。
可愛らしい顔をしながらも纏う強烈なプレッシャーに、ライザは怯んでしまう。
「えっと……」
反射的に追いかけてしまっていたので、ライザはなんと言えばいいのかすぐに思いつかなかった。
とりあえず会話を繋げようと思案しているライザの横を、アスカは通り抜けようとする。
「あの、なんで逃げちゃったのかしら、って!」
ライザは既に背を向けていたアスカに叫ぶような声をかけた。
「……魔法使いは、嫌いなんです」
「嫌い?」
自分だって魔法使いなのに。その言葉を飲み込んで、ライザは首をかしげた。
「私に構わないで下さい。心配も必要ありませんから、セリナさんにも伝えておいて下さい」
「あ、ちょっと!!」
背を向けたまま続けたアスカは、そのまま歩いて行ってしまう。
その後、アスカは何を言っても足を止めることはなかった。

まるで歩いて追いかけっこでもしているように、一定の距離を開けたまま二人は町まで帰りついた。
アスカは後ろからついて来るライザを無視し続けたまま、一軒の建物の扉を開く。
途端、大きな声が押し寄せてきた。建物の内部から聞こえる笑い声のようだ。
アスカの後を追うように、ライザも扉をくぐる。
広い部屋の中には丸テーブルが幾つも置かれ、席についた者たちは大声で談笑しながら飲み食いをしていた。
「おう、アスカ!!やっぱり無事に帰ってきたか!!!」
ガルダの太い声がアスカを迎える。かなり酔っ払っているのが、赤く染まった顔の色で分かった。
「ガルダさん……。ごめんなさい。魔物のボスは倒すことが出来ませんでした」
「なんだって!?アスカでも倒せなかったってのか!!」
「申し訳ないです……」
アスカは肩を落とし、小さく震えていた。悔しさと魔物にされた行為に対する恐怖が蘇ってくる。
「気ぃ落すなって!!失敗なんて、誰にだってあるもんだ。お前さんはよくやってんだからよ!!」
ガルダはアスカの小さな肩を大きな手でバンバンと叩いた。
「マスター、アルカ酒を頼む。とっておきのやつだ!!」
吠えるようにガルダが言うと、カウンターの奥で「あいよ!!」とまた威勢のいい声が聞こえる。
「まぁ座って飲めよ。軽く酔っちまえば、憂鬱なんざ吹っ飛ぶさ!!」
「あ……ええと、はい」
ガルダの勢いに押されて、酒は苦手だと断ることも出来ずに椅子に座ってしまうアスカ。
「お帰りなさい、アスカちゃん。アルカ酒だよ。うちの最高級品」
そう言って机に酒の注がれたグラスを置くのは、ウェイトレスの少女だ。
アスカよりも少し年上、女としての成熟を始めた年頃に見えた。
「イナちゃん」
少女を見て、アスカの表情が少しだけ和らいだ。
「品のいいアルカ酒は飲みやすいから、アスカちゃんでも大丈夫だと思うよ」
イナと呼ばれた少女はアスカにニッコリとした笑顔を向ける。
「すぐに抜けて後にも悪く残らないから、後でお買い物付き合ってね?」
「うん。わかった」
アスカは素直な笑みを返して頷く。
イナが離れていくと、大きなグラスを両手で包むように抱えて、恐る恐る飲み始めた。
365荒野の魔法少女 第2話 2/7:2010/01/16(土) 13:01:42 ID:P7nJD/Qm
ライザは少し離れた席について一連の様子を見ていた。
「店員さ〜ん、こっちお願い」
手を上げてイナを呼ぶ。
「は〜い、すぐ行きます!」
元気な声で返事をして、お盆を抱えたイナが走ってきた。
店内はそれなりに混んでいるものの、注文が絶えない様子ではない。手は空いているようだ。
「えっと……。これとこれ、頂戴」
席に置いてあったメニューを指差して注文する。
「はい、かしこまりました」
「あ、ちょっと待って!」
ライザは踵を返そうとするイナを呼び止めた。
「はい?」
なんだろうという顔で、イナはライザの顔を見つめる。
「あなた、あの子と仲いいの?」
「アスカちゃんですか?はい、お友達ですよ。うちの宿屋のお客さんでもありますし」
イナは笑顔で答える。だが、アスカに見せた笑顔に比べると少しぎこちない。
「宿屋?」
「はい。うちは2階が宿屋で、1階では飲食店を経営してるんです。ほとんど飲み屋ですけどね」
「へぇ〜」
「あの、アスカちゃんに何か用ですか?」
イナの声が少し強張る。
「ああっ、そんなに警戒しないで。どんな子なのかな〜って思っただけで」
「……そうですね。アスカちゃんは噂の魔法少女だから強いですし、心配は必要ないかな」
イナのセリフはライザを牽制しているようでもあった。だが、それよりも……。
「噂の魔法少女?」
気になった言葉を、ライザはオウム返しに口にした。
「そうです。知りません?世界各地に現れてる、異世界の魔法使いです」
「そんなに沢山いるの?」
ライザは驚いてしまう。その存在を認知されるほど多くの魔法使いがこのエルードに赴いているとは。
「この町ではアスカちゃんだけですね。でも、多くの町や村にいるみたいですよ」
「そうなの……」
「皆すごく強いんですけど、何故か若い女の子だけらしいんですよ。だから、魔法少女って呼ばれてるんです」
配属前に、この情報は知らされていなかった。何か胸に引っかかるものを覚える。
「実はね、私も魔法少女なのよ」
「え〜、ほんとですか?」
イナは信じていない様子だ。
「本当よ。それでお仲間のアスカちゃんに声をかけたんだけど、どうも嫌われちゃったみたいで」
「もしかして、自分が魔法少女だって言ったんですか?それなら当然ですよ」
「どうして?」
「アスカちゃん、他の魔法少女って嫌いみたいですから」
「うん、それは聞いた」
「もともと、あんまり人と関わろうとしないんですけど、他の魔法少女とだけは絶対関わりたくないみたいです。
 前に一人、魔法少女がこの町に立ち寄ったことがありましたけど、一言も口をききませんでしたよ」
そこまで話したとき、他の客に呼ばれ、イナは軽くお辞儀をしてそちらへかけて行ってしまった。
ライザはアスカに目を向ける。
大柄な男達に囲まれ、真っ赤になった頭をフラフラと揺らしている。グラスはまだ半分も減っていない。
(今は話せそうにないわね……)
ここは無理に話しかけない方がいいと考え、ライザは一旦距離をとることにした。
頭を切り替えて、イナが持ってくるであろう、見知らぬ地の料理に胸を踊らせる。
366荒野の魔法少女 第2話 3/7:2010/01/16(土) 13:02:03 ID:P7nJD/Qm
しばらく後、アスカはイナと共に商店街を歩いていた。その顔はまだ、ほのかに赤みがかりだ。
この世界はどこも治安が悪いのだが、この町はその中でも突出している。
イナのような少女が一人で歩いていたら、いつ暴漢に襲われてしまうかも分からないほどだ。
だから、買い物が必要なときにはアスカが一緒に来ていた。
アスカの強さはこの町では有名だ。
アスカを知る男は二人に手は出さないし、知らないものが下手に手を出そうものなら、その力を知らしめられた。
「買うのは食材?」
「うん。もう色々と減ってきてるからね」
飲食店を経営してるだけあって、食材の消費量は多い。
いつもは店主である父親が買いに出るのだが、しばしば忙しくて手が話せないことがある。
そんな時には一人娘であるイナが出かけるしかないのだが、一人では危なすぎる。
護衛を雇うには金がかかるので困っていたところ、宿に住まい始めたアスカがその役を買って出たのだ。
そのため、アスカはイナとだけは仲が良い。他の人間には見せない顔も、イナには見せてきた。
「重くない?代わるよ」
「いいの。わたしの仕事だもん。行きぐらいは……」
イナは大きな台車を引きずりながら歩いていた。大量の食材を運ぶためのものだ。
帰りの時、荷物を積んで重くなった台車を運ぶのはアスカに任せているのだが、行きは自分が引くと言ってきかない。
「アスカちゃん」
「ん、なに?」
「自分は魔法少女だって言う人が、さっきお店に来てたよ」
「…………」
アスカは黙り込んでしまった。覗き込んでくるイナの視線を避けるように顔を逸らす。
「お仲間だって、あの人言ってたよ。なんでそんなに嫌いなの?」
「……駄目なの」
「え?」
「異世界の魔法使いは、この世界に不幸を呼ぶかもしれない。だから、駄目なの」
アスカの悲壮な表情に、イナは息を飲む。
「でも……。でも、アスカちゃんはこの世界に来てるじゃない。それで、わたし達を助けてくれてる。
 他の魔法少女もそうだって聞くよ?各地で魔物を倒して、人々を救ってるって」
「分かってる。それは分かってるの。でも、どうしても駄目なの」
「でもアスカちゃん、いつも寂しそうだよ。わたしとは結構話してくれるけど、他の人とは距離をとってる。
 わたしとでも、アスカちゃんは一歩引いて話してる。心配になるんだよ。そんなアスカちゃんを見てると」
「……ごめん」
アスカは俯いて一言だけ呟き、それきり口をつぐんでしまった。
イナもそれ以上は何も言わず、無言のまま買い物を済ませて宿に帰った。
367荒野の魔法少女 第2話 4/7:2010/01/16(土) 13:02:25 ID:P7nJD/Qm
「……っていう感じでした。もう、取り付く島もない感じで」
ライザは宿屋の一室で、壁に向かって話しかけている。端から見ると異様な姿だった。
ここはイナの親が経営する宿屋の2階の客室だ。6室あるうちの2室は大抵いつも空室だということで、長期契約をすることにした。
アスカと同じ宿に泊まっていれば、多少は仲良くなりやすいだろうと考えてのことだ。
というわけで、ライザは居住地をここに決定する手続きのためにセリナに連絡を取っていた。
「間一髪だったのね……。よかったわ」
白い壁にはセリナの顔が写っている。アスカが危ないところを助けたと言う話を聞いて、胸を撫で下ろしていた。
「あの歳で、この世界で一人で生活するなんて、無茶してますね」
ライザは苦笑いでセリナに言う。
セリナはアスカとライザ共通のサポート役だ。彼女は地球とエルードにおいて20に近い数の魔法使いを担当している。
その中で唯一アスカのみが、セリナの手を離れていってしまっていた。
去るものは追わない。リゾルートの庇護を放棄した魔法使いのことは放置するのが暗黙の了解となっているが、セリナは気がかりだった。
だからライザが他の担当魔法使いのことを訊ねたとき、ついアスカのことを頼んでしまったのだ。
「なんであんなに魔法使いのことが嫌いなのか、知ってますか、セリナさん?」
「それは……」
決まっている。あの出来事のせいだ。セリナはそう分かっているが、口には出せない。
「ごめんなさい。私の口から言う事じゃないと思うの。だから、出来たら本人から聞いてちょうだい」
「う〜ん。なんか難しそうですね。分かりました。頑張って話をしてみます」
ライザは大きな胸に手を当て、口を真一文字に結んだ表情でセリナを見つめる。
「ありがとう。私のわがままに付き合ってもらっちゃって」
セリナはライザの頼もしさから、自然と頬が緩んだ。
「いえいえ。私もこっちの世界でお友達が欲しかったですし」
本当はそれだけが理由ではない。だが、一人で見知らぬ地に放り出されてしまい、仲間が欲しかったのは事実だ。
「それじゃ、手続きはお願いしますね。私はさっさと寝ちゃいます。お酒も飲んじゃいましたし」
「あら、言われてみれば顔がちょっと赤いわね」
「えへへ、お酒って初めてだったんですけど、結構イケるみたいです。でも、ちょっと眠くなっちゃいました」
「ふふふ。じゃあ、おやすみなさい」
眠たそうに首をかしげたライザに、セリナは優しく声をかけて、通信を切った。
静かになった部屋で、ライザは腰掛けていたベッドに思い切り寝転ぶ。
「う〜ん。ちょっと硬いけど、こんなもんかしらね?」
あまり高級な宿屋ではないからか、ベッドのクッションは潰れてしまっている。
それでも、そんなことはどうでも良くなるぐらいに心地の良い眠気が押し寄せてきて、ライザはまぶたを閉じた。
(明日は、もう少し仲良くなれるかな?)
のんびりとそんな考えを巡らしながら。
368荒野の魔法少女 第2話 5/7:2010/01/16(土) 13:02:47 ID:P7nJD/Qm
「付いてこないで下さいっ!」
翌日。
しつこく付きまとってくるライザに、アスカの叱責が飛んだ。
その声はか細く、ライザを押し返すほどのプレッシャーは持ち合わせていない。
むしろ可愛らしさすら滲ませるもので、全く効果を発揮しなかった。
「ね、お願い。一度ゆっくりお話しましょう?」
「……嫌ですっ」
アスカは根負けしそうになっていた。
朝起きて朝食を食べ、シャワーを浴びて、宿屋出てギルドに向かう今もずっと、声をかけられ続けていたのだ。
拒み切れなくなりそうなのは、それだけが原因ではない。
昨日イナにも指摘された、アスカの中の孤独感が疼いているのだ。
共に戦う魔法使いがいれば、どれほど心強いだろう。そう思う心を、アスカは歯を食いしばって押さえつける。
(でも……)
アスカの心が語りかける。ライザがいなければ、自分は昨日死んでいたはずなのだと。
アスカが他の魔法使いと交わることを拒むのは、理屈ではない。かたくなな信念によるものだった。
だから、その信念が揺るぎ出した今、アスカはライザを拒む理由を見失いつつある。
後ろから付いてきて話しかけるライザを無視しながら、アスカはギルドの扉を開いた。
「おう、アスカかっ!!いま呼びに行こうと思ってたところだ!!」
中に入るやいなや、ガルダが血相を変えて話しかけてきた。
「どうしたんですか?」
そのただならない様子に、アスカは気を引き締める。
「いま、魔物の群れがこの町に向かってるって情報が入った」
「えっ!?」
「な、なにそれ!?」
アスカだけでなく、ライザも驚愕の声をあげる。
魔物が人の住む町を直接襲いに来るなど、通常は滅多にないことだ。
「昨日の魔物の巣だ。あそこから小さな魔物が沢山湧いてきて、一直線にこっちに向かってるらしい」
「復讐ってわけ?」
「みたいですね」
アスカは唇を噛み締める。いま町が危機にさらされているのは自分の失態のせいだ。
「……ライザさん」
「え?」
アスカに名前を呼ばれて、ライザは驚く。一度だけ口にした名前を覚えてくれていたのか、とも思った。
「ごめんなさい、一度だけ……、一度だけ力を貸してもらえますか?」
そう言って、アスカは深く頭を下げる。
自分のせいで町に迫る危機を回避するためには、自分の信念などに構ってられない。
「アスカちゃん、顔を上げて?」
ライザはそっと微笑んで言う。
「早く行こう。町が危ないんでしょ!」
「はいっ!!」
アスカは頷き、駆け出した。
369荒野の魔法少女 第2話 6/7:2010/01/16(土) 13:03:07 ID:P7nJD/Qm
アスカは深呼吸をして、刀の鞘を握り締める左手に力を込める。
既に和装に変身しているアスカの隣には、同じく変身を済ませたライザが立っていた。
その姿はまさに魔道士といった感じの青色の薄い魔法衣で、膝までのスカートから長く細い脚が伸びている。
胸元はV字に大きく開いていて、豊満な胸が谷間を形成していた。
裏地の赤い黒マントを羽織り、その上にウェーブのかかったピンクのロングヘアーがもたれかかっている。
先端に大きな水晶を頂く大きな杖を片手に、遠く塵のように見える魔物の姿を眺めていた。
「あら、ずいぶん沢山いるわねぇ」
「たった一日で、あの数を産んだんでしょうか、あの魔物は?」
目視でも、魔物が数百はいることが分かる。とんでもない繁殖能力だ。
「でも、急造の魔物なら大した力は持っていないはずですから、簡単に蹴散らせます」
「頼もしいわね。確かに、感じられる魔力からすると雑魚以外の何者でもないかも」
「町の人達にとっては強敵です。残らず倒さないと」
ガルダには町の警護を頼んだ。万一倒しそこねた場合の保険的役割だ。
「問題は、あの親玉ね」
ライザが呟くと、アスカはギリ、と歯ぎしりをした。
「きっと倒してみせます。ライザさん、申し訳ないですけど、頼りにしてます」
「任せて!絶対にやっつけてあげましょ」
ライザはそう言ってアスカの肩に手を当て、胸元に抱きよせた。
「んむ……。やめて下さい、苦しいです」
胸に頬ずりするような羽目になったアスカは、両手でライザの腕を引き剥がして距離をとる。
「もう、恥ずかしがりなんだから」
「そんなんじゃありません!」
アスカはそう言い返しながら、ほんの少しライザの温もりを恋しく思ってしまった。
「行きますよ!」
照れ隠しに強く言い放ち、アスカは一歩を踏み出した。
スラリと刀を抜き放つ。初めから全力でかかるつもりだ。
「よし、さっさと倒しちゃうわよ!」
既に魔物はすぐそこまで近づいてきている。
ライザは杖を両手で掴み、天にかざした。
水晶に魔力が流れていくのを感じながら、呪文を呟く。
「地獄の業火よ、悪しきものを焼き払え、エクスプロ……」
「でやぁっ!!!!」
だが呪文を唱え終わる前に、アスカが抜き身の刀を地に突き立てた。
すると、荒れた大地が盛り上がり、壁のように高くそびえ立つ。
「うぇっ!?」
ライザは慌てて呪文を中断する。土の壁が敵の姿を完全に覆い隠してしまった。
「いけっ!!」
アスカが刀を振りかざすと、土の壁は幾つもの土塊へと姿を変え、魔物の群れに襲いかかる。
まるで弾丸の嵐のように、土塊は魔物の体を打ち抜いた。
衝突の衝撃で細かく砕けた土塊は、方向転換して、なおも魔物めがけて突撃する。
塵と化すまで何度となく襲い来る土塊に、魔物の数は凄まじい勢いで減っていく。
動くものがいなくなるまでに、そう時間はかからなかった。
魔物はすべて生命活動を終え、土塊は大地へと還っていった。
「これは……思った以上ね」
ライザは唖然となって、アスカを見つめる。
「ボスを倒さないと、雑魚はいくらでも湧いてきます。早く行きましょう!」
アスカはそう言って先に行ってしまった。
「ま、待ってよぉ」
ライザはその背中を慌てて追いかけた。
3707荒野の魔法少女 第2話 共通7/7:2010/01/16(土) 13:10:27 ID:P7nJD/Qm
「覚悟してください。今度こそ負けませんよ!」
アスカは最深部に佇む巣穴の主に刀を突きつけた。
「ギギ……いい度胸だ。今度こそ食い殺してやる!!」
魔物は昆虫的なその体躯を大きく伸ばし、尖った手足の先端をギラつかせる。
「そうはさせないわ。今度は一人きりじゃないんだから!」
ライザがアスカを守るように前に出て叫んだ。
その背中に、アスカは今までに感じたことのない気持ちを抱く。
「ほざけぇっ!!!」
「わっ!!」
鋭利な昆虫の手が、一瞬前までライザが立っていた場所に突き刺さった。
反射的に後ろに飛び退いた二人は、すぐに体勢を整える。
「敵を射抜け、ファイアーランス!!」
かざされたライザの杖から、炎の槍が四本放たれた。
「クェェッ!!」
魔物は口から粘液を吐き、炎にぶつけてかき消す。さらに余りが二人に向かって降りかかった。
アスカは粘液をかわしながら魔物に迫る。刀を大きく振りかぶり、魔物に斬りかかった。
「く……っ!!」
しかし魔物の硬い体には刃が通らない。アスカの手が衝撃で痺れるほどの勢いがついているというのに。
「くらぇっ!!」
アスカが一旦退くと、ライザは火球を投げつけた。
「ケケケ!!効かねぇなぁっ!!」
頑丈な体で火球を弾き、魔物は二人に飛びかかる。
「危ないっ!!!」
避け損ねそうになっていたアスカを、ライザは跳びかかって助ける。抱き合ってゴロゴロと地面を転がった。
そこへまた襲いかかった魔物の手を、ライザが杖で受け止める。
「ぐぅぅ……っ!」
ライザは魔物の力に押し切られそうだった。踏張る足がズリズリと地面を滑る。
「だあああっ!!!!」
アスカは魔物の体に体当たりした。拮抗していた力のバランスが崩れ、ライザが前に踏み出す。
アスカが魔物を蹴り飛ばして後ろに下がるのと入れ替わりにライザが魔物の胸元に杖を押し当てる。
「弾けろっ!!!!」
爆炎が杖の先で迸り、魔物の体が大きく後ろへ吹き飛ばされた。
ライザも爆風で飛ばされたところを、アスカがその体を受け止める。
「グ……この程度で、俺が倒せると思うなよっ!!!」
魔物は多少のダメージを受けているようではあるが、この調子では倒せそうにない。
「アスカちゃん……。少しだけ、時間を稼いでくれる?」
「え?」
「魔力を集めて、特大の魔法をお見舞いしてあげるわ。でも、少し時間がかかるの」
ライザは心苦しそうに顔をしかめながら言う。
アスカ一人で魔物を相手にするのは危険であることを承知した上で頼んでいるのだ。
「分かりました。任せてください!!」
アスカは頷き、魔物に向かって刀を振る。魔物の足元の地面が隆起し、槍のように魔物を突き刺そうとした
だが魔物の身体には通じない。土はボロボロと崩れ落ち、魔物はアスカに向かって粘液を吐きかける。
「うっ、くぅっ!!」
降りかかる粘液を辛くも交わしながら、アスカは少しずつ魔物に近づいた。
アスカの刀と魔物の手とが金属的な高い音を立ててぶつかり合う。
アスカは何本もの手を同時にさばきながら、口から吐きかけられる粘液を避ける、ギリギリの戦いをしていた。
後方で魔力を貯めているライザの邪魔をさせないよう、接近戦で自分だけに意識を向けさせる。
「ぐっ!」
魔物の力に押され、アスカは尻餅をつく。追撃を受けないように後ろに飛び退いた。
だが魔物はその隙を逃さなかった。粘液を手に吐き、それを鞭のようにしならせてアスカの足を捉える。
「あっ!!」
足首を引っ張られる感覚がした後、アスカは地面に叩きつけられた。
「捕まえたあぁっっ!!!!」
魔物はアスカの体を引っ張り、空中に放る。手の一本が大きな鎌のように姿を変えて、アスカの体に迫った。

/共通 END
3717荒野の魔法少女 第2話 通常END1/3:2010/01/16(土) 13:11:17 ID:P7nJD/Qm
「アスカちゃんっ!!」
ライザは反射的に飛び出していた。
その体に溢れるほど取り込んだ魔力を燃料として、爆発的なスピードで魔物の懐に飛び込む。
「今度こそくらえっ!!ハイ・エクスプロージョン!!!!」
杖を魔物の体に押し当て、呪文を唱える。
「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!」
爆発とともに魔物が吹き飛んだ。ライザも一緒に吹き飛ばされる。
「あぐぅっ!!」
魔物の鎌がライザの右腕を掠めた。マントが破れ、血がにじむ。
ライザは勢いよく地面に衝突し、ゴロゴロと転がった。
「ライザさんっ!」
魔物の攻撃を受けずに済んだアスカは、ライザのもとに駆け寄り、抱きかかえる。
「あ、アスカちゃん……。私はいいから、魔物にとどめを」
ライザは痛みをこらえながら、震える指先で魔物を指し示す。
砂煙の中でもだえ苦しむ魔物は、腹の部分の堅固な体表が消え失せ、やわらかな内部が露出している。
アスカは刀を強く握りしめ、魔物に向かって突進した。
「であああああああっっ!!!」
そして、魔物の腹を貫く。
「ガアアアッ!!!!!
紫色の体液が迸り、アスカの体を濡らした。魔物は苦しげにその足をバタバタと動かしている。
「た、たすけてくれっ!!」
そう命乞いをする魔物の言葉に、アスカは耳を傾けない。
刀を一息に引き抜き、その傷跡に魔法で岩を投げつけた。
そして、魔物の体内でその岩を炸裂させる。
「ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
岩と同時に、魔物は断末魔の叫びをあげて散り散りに弾け飛んだ。
「……やった」
アスカはそう呟くと、急に力が抜けるのを感じて膝から崩れ落ちる。
これほどまでに苦戦した相手は今までにいなかった。危ないところだったが、辛くも勝利したことに安堵の笑みを浮かべる。
「アスカちゃん、やったわね!」
ライザは傷ついた右腕を押さえながらアスカの傍にやってきた。
「はいっ!」
アスカは不意に素直な笑みをライザに向ける。
その時、突如魔物の肉片が光りだした。
「え……?」
「な、なんなの!?」
魔物の体は無数の光の粒となって、一点に収束していく。
身構える二人だが、目の前に現れたのは意外なものだった。
「……ほ、本?」
ライザが首を傾げる。
そう、それは一冊の本だった。重厚だが、何の変哲もない本。
アスカはライザとは違い、どこか納得のいった表情をしている。
「そうか、そういうことだったんだ」
「ど、どういうこと?」
ライザはアスカに訊ねた。
アスカは本を手に取る。そして、それを見つめながら言った。
「私は、この本を探しているんです。魔界との繋がりを持つ、この本を」
「ま、魔界?」
ライザは声をひそめて訪ねる。その声の震えを、込み上げる感情を悟られないように。
「そうです」
アスカは一つ頷くと、しばらく考え込む素振りを見せた。
「ライザさんには話しておきます。私が何をしようとしているのか」
「どういうこと?」
「私が生まれた世界、イルシリアの話から始めないといけません」
アスカはそう言い、話し出した。5年前のことだ。
3727荒野の魔法少女 第2話 通常END2/3:2010/01/16(土) 13:11:38 ID:P7nJD/Qm
イルシリア。アスカが生まれたその世界は、魔法の発展した世界だった。
その世界には大きな魔導院が存在した。世界中の魔法使いが集い、魔法研究を行う機関だ。
魔導院の書庫には、その魔法研究の成果の結実ともいえるいくつかの魔導書が保管されていた。
そして書庫の奥深く、禁書の間と呼ばれる場所にそれはあった。
書のタイトルは「異界の書」。
イルシリアは、異世界の存在を理論上発見していた。
ある魔法使いはそこへのアクセスを可能にする方法を追い求めていた。その集大成ともいえる書だ。
なぜこの書が禁書の間に収められているのか。それは、ごく単純な理由からだ。
「この書は魔界の扉を開く」
魔導院の院長は、献上されたその書を読み終えたとき、そう結論付けた。
無数に存在する異世界。異世界とイルシリアとは、魔力の流れでつながっている。
その異世界の中に、ひときわ強力で邪悪な魔力の流れを持つ世界があることを、この書は証明していた。
そして、その世界へと繋がる扉の開き方すらも記載されていたのだ。
それは研究者としての純粋な探究心から導き出されたものであった。
しかしその危険性を鑑みて、この書は禁書として封じられざるを得なかった。
多くの研究者はそれを惜しんだが、この決定と同時に異世界の研究自体が魔導院では禁忌とされた。

そして、5年前。
その禁書は厳重な警備にも関わらず奪われた。
書を奪ったものは、あまりに強力な力を持つ者、異界の魔法使いだったからだ。
リゾルートから派遣された魔法使い。
数年前から突如あらわれ、魔物を討伐してイルシリアの平穏を守っていた者の一人による凶行だった。
彼は戸惑うこともなく、魔界の扉を開いた。そして魔界から途轍もなく強力な魔物があふれ出す。
リゾルートが地獄と化すまでに要した時間はほんの一瞬のことだ。

その悪夢のような光景を、アスカはその幼い瞳に映していた。
魔導院で働く両親のもとに生まれたアスカは両親が殺されるのを目の前で目撃した。
血臭と悲鳴が立ち込める中、殺される寸前のアスカを救ったのは、当時イルシリアに派遣されていたセリナだった。
セリナと共にイルシリアから脱出したアスカは、幼くしてすぐに魔法使いに志願する。
両親を殺し、故郷を破壊した魔物の脅威から世界を守るためだ。
そして同時に魔法使いを嫌悪した。魔法使いは世界に破滅をもたらしかねない存在であることを心に刻んだ。
自分だけは、絶対にそうならないよう固く誓いながら。

「アスカちゃんはその……イルシリア、から脱出してきたんだ」
「はい。そして、魔法使いとしてこの世界に派遣されてからは、ひたすら魔物を狩っていました。でも、ある日……。出会ったんです」
3737荒野の魔法少女 第2話 通常END3/3:2010/01/16(土) 13:12:05 ID:P7nJD/Qm
彼は魔導院の研究者の一人だった。
多くの魔法使いが魔界の扉を開いた男から書を奪い返そうと戦いを挑んだ。
圧倒的な強さを持つ男も、多数の魔法使いを相手に苦戦し、書を取り落とす。
彼はそれに飛びつき、とっさに書を開いた。
これ以上、魔界の扉を開かせるわけにはいかない。男から書を遠ざけなくてはいけない。
だから彼は書の力を借りて異界へと逃げ込んだのだ。イルシリアから最も近い世界であるとされるエルードへと。

エルードの砂浜に流れ着いた彼は、書に目をやって愕然とした。
あまりにも禍々しい魔力が流れ出していたのだ。
魔界の扉を開こうとする書の魔力はまだ働いていた。あろうことか、エルードでも魔界の扉が開かれようとしている。
慌てて彼は書に封印を施した。研究者は誰もが習得することになっている緊急措置の呪だ。
書の魔力を6つに分かち、写本を生成。その力を持って書を封印する。
封印は無事に成功した。
誤算だったのは、魔力があまりに強大だったため、6つの写本の魔力がぶつかり合い、世界中に散らばってしまったことだ。
彼は焦った。緊急措置は、原本である書を分割することで魔力を削ぎ、各個処理することを目的としたものだ。
今のままでは流れ出す魔力は止まっておらず、周囲に何がしかの悪影響を及ぼす状態だった。

その日から、彼の旅が始まる。
研究職で、魔法使いとしては落ちこぼれであった彼は、ワープの魔法すら使えなかった。
移動手段の限られた彼にとって、世界のどこに散ったともしれない写本の探索は困難を極める。
4年の月日を費やしてやっと見つけた最初の写本は、森の木を異常に変異させていた。
彼は近づくものを攻撃するその木の根元に埋まった写本を命がけで奪取するも、深手を負ってしまう。
辛くも写本の処理は終えたが、それが彼の限界だった。
大量の血を流しながら近くの町にたどり着いた彼は、ついに歩くことすら出来なくなり、倒れこむ。
薄れゆく意識の中、彼は使命を果たせずに死にゆくことを悔いた。
「すみません……」
誰も彼に手を差し伸べようとしない中、彼は母国の言葉で誰にともなく呟いた。
「えっ!?」
その言葉を耳に止めた者がいた。アスカだ。
アスカは彼に駆け寄り問いただす。彼は最後の力を振り絞って事情を話した。
アスカの幼い姿は、全てを託すには頼りなかったが、他に誰も頼りようがない。
話し終えて目を閉じた彼にアスカは慌てて治療の魔法をかけるが、既に手遅れだった。
こうして、アスカは彼の使命を引き継いだのだ。

「イルシリアの生き残りである私が、彼の後を継いで、写本を見つけ、処理するべきなんです」
アスカはそう言って本を地面に置く。確かに本からは禍々しい魔力が流れていた。
魔物はこの本を取り込んでいたのだろう。だからこそ異常なほどの強さを誇っていたのだ。
アスカは刀を逆さにして本の上にかざす。
すると、刀から煙のように溢れた魔力が、あふれる魔力ごと本を包んでいった。
魔力が漏れ出る隙もないほどに本を包み込むと、吸い込まれるようにして本の中に入っていく。
全ての魔力が本に吸い込まれると、もう本からは魔力が感じられなくなった。
「ふぅ……」
アスカは一つ溜息をつき、刀を鞘に収めた。
「ライザさん、お願いがあります」
「ん、なに?」
「残り4冊の写本、そして原本である禁書。その処理を手伝ってもらえませんか?」
アスカは深く腰を折ってお辞儀をしながら言った。
「え……でも、いいの?」
ライザは戸惑ってしまう。あれだけ自分と関わることを嫌がっていたのに。
「私一人では難しいことが分かりました。変なプライドよりも、確実に使命を果たすことの方が大事ですから。……駄目ですか?」
アスカは不安げに眉をひそめて訊ねる。対するライザは満面の笑みで答えた。
「駄目なわけないじゃない!これからよろしくね!!」
ライザは右手を差し出す。アスカはおずおずとその手を取り、言った。
「よろしく……お願いします」

/第2話 END
374荒野の魔法少女 第2話 BAD END1/7:2010/01/16(土) 13:13:23 ID:P7nJD/Qm
(避けられないっ!?)
すぐそこまで迫っている鎌を前に、アスカは反射的に全ての魔力を防御に費やした。
あれだけの強さを持つ魔物の鎌をまともに受けようものなら、腹から真っ二つになってしまう。
「ぐううううっっ!!」
アスカの腹を正確に捉えた鎌と、アスカの魔力とが拮抗する。
パリン、とガラスが弾けるような音を立てて、アスカの防壁が打ち破られた。
「うああああああああああああっっ!!!!」
防壁によって胴体切断はなんとか免れたものの、アスカの体は吹き飛ばされ、壁にぶつかっては地面に落ちた。
「んくっ!!あ、うあぁ……」
服の腹の部分はバッサリと切り落とされ、白い肌にうっすらと赤い切れ目が見える。
アスカにはもう立ち上がる力が残されていなかった。
「アスカちゃんっ!!」
ライザは倒れ伏したアスカに駆け寄ろうと足を踏み出す。
そのとき。
「いっ!?きゃあああああっっ!!!」
ライザは足に痛みを感じ、バランスを崩して倒れ込んだ。
「な、なにこれっ!?やだっ!!!」
足を見ると、そこには小さな魔物が食らいついていた。
拳より少し小さいサイズの羽根虫のような魔物が、ライザの柔らかなふくらはぎに牙を立てている。
「いやっ!!はなれてよっ!!」
何とか振りほどこうとしているうちに、壁の中から一匹、また一匹と羽根虫が現れ、ライザに群がってくる。
「ひっ!!うそ、やっ!!いやあああああああああああああっっっ!!!」
瞬く間に、数十匹の羽根虫がライザの全身に群がり、自由を奪ってしまった。
「ハハッ!ちょうど卵が孵ったみたいだな」
アスカのすぐそばまで歩み寄って、魔物は愉快そうに笑う。
「俺の可愛い子どもたちも散々殺しやがって。俺の巣をよくも荒らしてくれたな!」
魔物は怒りに打ち震えるというよりも、むしろ目の前にした獲物に興奮している様子だった。
「ぅあっ……」
手をアスカの脇に回して持ち上げる。力を使い果たしたアスカの四肢はダラリと垂れ下がった。
「ヘヘ、旨そうだ。この間は食いきれなかったからな。今度はじっくり味わい尽くしてやる」
「んぅぅ……」
魔物が長い舌をアスカの頬、首筋へと滑らせると、アスカは苦しそうに目を閉じたまま眉をひそめる。
「だめっ!!その子に手を出さないでっ!!」
群がる羽根虫に拘束されながらも、ライザは叫んだ。
「馬鹿じゃねーのか?なんでわざわざ獲物を我慢しなきゃならないんだよ!?」
そう言って、魔物は舌をアスカの服の中に潜らせる。
「ゃ……んっ!!」
乳首を舐められ、アスカは気味の悪さに声を漏らした。
「お願い……、やめてっ!!」
「うるさいな。お前ら、そいつは食っちまっていいぞ!!」
懇願するライザに苛立った魔物は、羽根虫達に命じる。
命令を受けた羽根虫達は、ライザの体を食らおうと蠢きだした。
「あっ、やああああああああああああああっっっっ!!!!」
375荒野の魔法少女 第2話 BAD END2/7:2010/01/16(土) 13:13:43 ID:P7nJD/Qm
「あっ!!ぐっ!!!ぃああっ!!!!」
足に食らいついた最初の一匹以外はどれも牙を立てていなかったのだが、命令を受けて全ての羽根虫が牙や爪をライザの柔肌に突き立て始めた。
「いたっ!!痛いっ!!!ぃぎっ!!!」
一つ一つはそう大きな傷ではないが、体中に穴を開けられ血がにじむ苦しみは相当なものだ。
このまま、文字通りに食べられてしまうのではないかという恐怖にかられる。
だが、羽根虫達には別の狙いがあった。
「ん……ふぁっ!?え、なにっ!?」
ライザは痛みが遠のいていくのを感じた。全身に痺れるような感覚がある。
一瞬、多量の失血による麻痺かとも思い、死を恐れたが、それも違うのだとすぐに分かる。
(これって……、媚薬っ!?)
感覚が麻痺しただけでなく、羽根虫の鋭利な牙や爪に抉られる傷口がライザに奇妙な心地よさすらも感じさせていた。
話にだけは聞いたことのあった媚薬が自分に使われたことに、ライザは戸惑う。
傷口から塗りこまれているのだとしたら、いったいどれほどの量になるというのだろう。
数十を数えるほどの羽根虫から一斉に媚薬を擦り込まれ、自分は正気を保っていられるのだろうか?
「ふわあああああああっっっ!!!」
ライザは全身を震わせた。それは媚薬による快楽と、それを恐れる気持ちの両方がないまぜになった感覚のせいだ。
羽根虫たちはライザに媚薬の効果が出たことを確認すると本格的に行動を始めた。
両手両足、そして背中に張り付いた羽根虫達は、まだ綺麗なままの部分を赤く染めようと、次の目標を目指して、肌と破けた服の上を這う。
「んああああんっ!!!はぅっ!!き、気持ち悪いわよっ!!!」
ライザは気丈にも快楽に抗った。こみ上げる感覚はただの不快感なのだと切って捨てようとする。
だが、いつまでもそれが続くはずもない。何せ、まだ陵辱は始まったばかりなのだ。
「ひっ!!!だ、だめっ!!そっちはっ!!!!」
数匹の羽根虫は、ライザの開かれた胸元へと這い寄った。
手足や背中ですら快感を覚えてしまっているのに、性器に触れられてしまえばその程度では済まない。
「ひゃううううんっ!!!やめっ!!!だめええええっっ!!!!」
羽根虫はライザのボリュームのある胸にしがみつき、乳首を口に含んだ。
電流のように流れる鋭い快感が、ライザに高く甘い嬌声を強いる。
「んくぅっ!!あうっ!!んうううっ!!!!」
羽根虫達は次々にライザの胸に群がる。牙や爪を立てては体躯を振動させ、共鳴するように乳房がゆるりと震えた。
「ううっっ!!!やめっ!!ぃぐっ、はああああああああんっ!!!」
ライザは耐えようのない快感に咽ぶ自分が情けなくなり、瞳に涙を湛えながら、肢体を震わせた。
乳房の感度がいいことを知った羽根虫たちは、ライザの乳房をつかんで羽ばたいた。
「ひぎっ!?ああああああっっ!!!いだっ!!いだいいいっ!!!!!」
たわわな果実のように実る二つの乳房に食いついたまま、羽根虫達はライザの上体を吊るし上げる。
「やぅっ!!!んがああっっ!!!ちぎれるっ!!!!やめてええええええっっ!!!!」
羽根虫達はライザの身体を持ち上げては下ろしを繰り返した。
柔らかな乳房は持ち上げられた時には楕円のように長く伸び、下ろされるとひしゃげたボールのように潰れる。
ライザは乳房を根元から引きちぎられるような痛みに苦しんでは、豊満な乳房のたわむ波が生み出す快感に震えた。
「助けてっ!!こんなの、無理よぉっ!!!おかしくなっちゃうっ!!!!」
四肢と背中、そして乳房を走り抜ける激しい痛みと快感で、ライザは苦しいほどに悶えていた。
そして、ライザに絶望的な瞬間が訪れる。
「あぐっ!!あ、あれっ!?あぐっ!!なに!?なにか、なにかくるっ!!!?」
ライザは忍び寄る未知の感覚に気がついていた。
14歳になるライザは処女だ。自慰行為すら知らない少女は、当然絶頂の経験などあるはずもない。
「やだっ!!こわい!!こわいよっ!!んあっ!!たすけ、たすけてっ!!!!」
ライザは自分を押し流しそうな快楽の奔流を恐れ、震え上がった。
羽根虫はとどめとばかりに、持ち上げていた乳房を思い切り押しつぶす。
「んひゃああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!」
身体の末端から中心へと駆け抜けるような快感の波に流され、ライザは生まれて初めての絶頂に絶叫した。
376荒野の魔法少女 第2話 BAD END3/7:2010/01/16(土) 13:16:50 ID:P7nJD/Qm
「はぅぅ……ぅくっ」
初めて味わう絶頂の余韻を残したままのライザを、羽根虫達は絶え間なく責め続けた。
より敏感な反応を求め、足に食らいついていた羽根虫達は股間にまで這い上がる。
「ひゃうっ!!!だめ、そこはっ!!!」
処女のライザも知識だけはあった。
胸よりも敏感な性感帯であるクリトリス、そして男性器を受け入れるための膣がそこにはある。
下着を掻き分けるようにして、羽根虫はライザの閉ざされた秘裂に到達した。
「だめよっ!!そこは、そこだけはっ!!!」
ライザの声を聞き流しながら、羽根虫は包皮の上からクリトリスをくわえ込んだ。
「ひゃぐううううううううんんっっ!!!!!」
痛みのような鋭い刺激が走る。既に充血して張り裂けそうに勃起しているクリトリスは、震え上がる程の快感をもたらした。
その感度の良さに満足した羽根虫達はさらに股間に群がってくる。
口の奥から細く長い舌を伸ばし、クリトリスに巻きつける。左右の大陰唇に牙を突き立て、秘裂を大きく開く。
「ひゃああああああっっ!!んぐっ、やめっ!!んはああああっっ!!!!」
怒涛のように押し寄せる責めに、ライザは激しく悶えた。
羽根虫は胸への責めも忘れてはいない。しかし股間の感度の良さを知ると、これまでの胸の反応では飽きたらなくなった。
だから羽根虫は更なる刺激を求め、次の手段を講じた。
その昆虫的でグロテスクな腹の先端にある、細い針を左の乳首に刺したのだ。
「んあああああああああああああっっっっっ!!!!!」
途方もない快感がライザを貫いた。だがそれだけでは終わらない。
「あづっ!!!あづいっ!!!!やだっ!!!変なの出さないでっ!!!!」
ライザは熱いものが乳首から乳房に流し込まれるのを感じた。
これは精液だった。この羽根虫の精液は、強力な媚薬効果を併せ持っている。
「あぐっ!!ひがっ!!!うぎぃっ!!!!やっ、おねがっ、たすけてえええっっ!!!!」
次から次へと、快感はインフレーションを起こすように高まっていった。
「はぎっ!!!!」
右の乳首にも針が刺される。両の乳房が燃えたぎるように熱い。そして痛いほどに疼いている。
「あっ、うあっ、だめっ!!もうだめぇっ!!」
羽根虫は再びライザの乳房を激しく弄んだ。先程のように吊し上げはしないものの、前後左右に大きく振り回す。
「あひゃあああんっ!!!かひっ!!はっ、うくっ、あああああっっ!!!」
乳房が暴れまわるのに比例して、ライザは激しく乱れた。
「はぐっっ!!!!ああああああああああああああっっ!!!」
ついには、乳房以外の羽根虫達も針を使い、精液を体中から注入しだす。それは、秘裂に群がる者達も例外ではない。
「はきゃああああああああああっっっっ!!!!!!」
陰唇に、尿道に、膣壁に、そして当然クリトリスにも、容赦なく針が刺され、精液が注がれた。
針のむしろのような痛みの後、沸き立つような熱感が襲ってくる。
「んはあああああああああああああっっ!!!あぐっ、がはっ、んきいいいいいいいっっ!!!!!」
金切り声を上げて、ライザはのた打ち回る。
「やめでっ、やめでやめでぇええええっっ!!!んああああああああああああああああああっっっっっ!!!!」
首を振り回して叫び、ライザは二度目の絶頂を迎える。
最初の絶頂の勢いを遥かに超える波に、身体が浮かび上がるほどに脈打った。
377荒野の魔法少女 第2話 BAD END4/7:2010/01/16(土) 13:17:20 ID:P7nJD/Qm
羽根虫達はさらに活発に動き出す。そして、ついに仕上げにかかった。
羽根虫の中で一番大きな一匹が、その腹をライザの膣口にあてがったのだ。
「うぎいっっ!!はっ、がっ、あふっ!!やぅううっ!!!」
ライザは全身の激しい快感に気を取られ、その事実に気がついていない。
羽根虫がその羽根を動かし、ヴヴヴと不快な音を立てて膣内に侵入したことも、気づくまでに多少の時間を要した。
「あぅ……っ!!ぎっ!?いっ……うそ、まさかっ!!!?」
気がついたのは、処女膜の圧迫感からくる痛みを感じた時だった。つまり、それは処女を喪失する直前のことだ。
「うあああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!」
羽根虫は、先端の針をギラつかせた太い腹でライザの処女を奪った。裂傷から処女の証が流れる。
「やだあああっっ!!!そんなっ!!!あがっ!!があああああっっ!!!!!」
痛みすらも快楽に変換されているはずの身体なのに、ライザは破瓜の痛みだけは奇妙なほどリアルに感じていた。
「ひゃぐっ!!!あ、ぐぎいっ!!いづあああああああっっっ!!!!!」
羽根虫は膣壁に針を突き立てる。何度も突き刺しては精液を放ち、膣内の感度を高めていった。
そしてピストン運動を開始する。ジュボ、ジュボと水音を立てて、ライザの膣の奥深くまで潜っては抜け出してを繰り返す。
「いひゃあああっっ!!!んぐ、がっ、ぎっ!!!あがああああっっっ!!!!!」
もうこの感覚が痛みなのか快楽なのかすら判別が出来ない。
ただ強烈な感覚が、自分の理性も、純潔な少女としての身体も、全てを流し去ってしまうということだけを認識していた。
白い柔肌はどこも小さな噛み傷と刺し傷で赤く染まり、見る影もない。
「ひぐっ、あっ、あっ、あっ!!!あああああああああああああっっ!!!」
吠えるように叫び、自由の聞かない手足をバタつかせ、裂けんばかりに大きく開いた口から唾液を散らす。
麗しい少女はもうそこにはおらず、魔物に淫らに犯された女がいるだけだった。
「ぎっ!?うがああああああああああああああああっっっっっっ!!!!!」
膣を犯す羽根虫が一段と深く潜り込んだ衝撃で、ライザは身体の最も奥から突き上げる絶頂を迎えた。
収縮する膣道の刺激を受けながら、羽根虫は針の先端を子宮口の狭い入口に差し込んだ。
そして、濃い精液を子宮に直接流し込む。
「あああ……で、でて、るっっ……!!せーえき、わたしのなかに……」
呆然とするライザは弱々しく呟いた。その絶望的な事実を、信じられないことのように。
「せいえき、わたしのなかに……じゃあ、わたし、どう、なる……の……?」
先細るようにその言葉は小さくなっていった。その言葉が何を意味するのか、時間をかけて咀嚼するように。
羽根虫がピストンを再開する。敏感になった膣が生み出す強烈な刺激と共に、魔物の子を身籠る恐怖を、ライザは自覚した。
「いやああああああああああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!」
悲痛な絶叫が、地中の奥深くで響き渡った。
378荒野の魔法少女 第2話 BAD END5/7:2010/01/16(土) 13:19:01 ID:P7nJD/Qm
ライザの絶叫が響いたとき、魔物はその痴態を楽しげに眺めていた。
ぶら下がった性器は、前回アスカの尻穴を犯したときよりも一回り大きい。
「よし、こっちも始めるぞ」
「ぅ……ぁ……?」
魔物はアスカを地面に仰向けで寝かせると、その上に覆いかぶさった。
朦朧とした意識の中で、胸を舐め回される不快感だけをかすかに感じていたアスカには、魔物の声は届いていない。
魔物はアスカの袴と下着を破り捨てると、勃起した性器をいきなりアスカの膣口に押し当てた。
性器は以前と微妙に形が異なっている。先端が細っていて、まるで釘かネジを思わせる。
それは、アスカの狭い膣内にその性器を無理やりねじ込むために加えた変化であった。
「前戯は昨日やったからいらないよな?」
無茶苦茶な理屈を、聞こえていないことを分かっていながら口にする。
そしてアスカの肩を手で固定し、一気にアスカの膣を貫いた。
「がっ!!!!!?ひぎゃあああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!」
アスカの意識が急激に現実に引き戻された。
処女膜は跡形もなく引きちぎられ、膣口は無残に避けて処女であることが関係ないほど血が滴った。
「あぎゃああっ、がひっ!!ひぎゅっ!!!ごへええええっっっ!!!!!」
およそ少女の口から漏れているとは思えない凄惨で無様な悲鳴を上げ、アスカは泣き叫ぶ。
何が起きているのかも理解できない。自分が処女を失ったことはおろか、処女という言葉の意味すらも知らないままに、アスカは蹂躙される。
「ごげえええっ!!!!うべええええええっっっ!!!!!」
アスカの叫びは、ただただ襲いかかる苦痛を僅かでも紛らわせるべく、喉の奥から迸っている。
だが、焼け石に水、という言葉がこれほど適切な事態もないだろう。
叫んだところで痛みは全く和らぐことはなく、泣いたところで状況は変わらない。
「いぎいいいっっ!!!!がひゅっ、ひぐっ!!!」
アスカは身体を捩ってどこへともなく逃げようとするが、肩と膣で押さえつけられた身体はびくともしない。
突っ張る足が引きつり、痙攣を起こす。あまりの痛みに細い身体が弧を描くように反る。
弱々しいその身体は、今すぐにでもポキリと折れてしまいそうだった。
「ぎゃうっっ!!!ぎっ!!!ぐげっ!!!!」
魔物の性器はアスカの膣内で自在に動き回る。長さも形状も変幻自在なそれは、先端を子宮口に差し込むと、いきなり膨れ上がった。
「ぎゃああああああああああああああああっっっ!!!!!!!」
子宮の入り口を拡張された痛みにアスカの身体が跳ね上がる。
先端を丸めた性器はアスカの子宮の最奥まで行き当たった。魔物は長く伸びた性器を蛇のように波打たせる。
「がはああああああっっ!!!うげっ!!ごああああああああっっ!!!!!」
縦横に波打つのにつれて、アスカの膣口の裂け目が広がっていく。
魔物が性器を奥に押し込むと、アスカの腹はボコッと膨らんだ。
「おお、面白いな」
その様子が気に入ったのか、魔物はその挙動を繰り返す。
「ぎへっ!!!ごぎゅっ、きひっ、ごおおおおおおおおっっ!!!!!!」
その度アスカは獣めいた叫び声を上げて悶える。
これはもはや性行為ではなく、ただの拷問に近かった。魔物の嗜虐心を満たすため、不幸な少女が一人消費されるだけの行為だ。
「ギヒヒヒッ!!!!いくぞっ!!!!」
魔物はアスカの腹を思い切り膨らませた状態で、性器の先端から精液を迸らせた。
「がひゃあああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!」
溢れた精液の勢いで、アスカの腹はさらに膨れ上がる。
爆発的なその勢いで、アスカは壊れた操り人形のようにガタガタと揺れた。
379荒野の魔法少女 第2話 BAD END6/7:2010/01/16(土) 13:19:27 ID:P7nJD/Qm
アスカの身体を陵辱した魔物は、その心地よさに味を占めた。
魔物は、気を失って反応の無くなったアスカの身体を散々に弄ぶ。
二度目の挿入はアスカの身体を後ろから抱え込む形で行われた。
鋭角にそそり立つ魔物の性器に、コスチュームを引き千切られたアスカの身体を勢いをつけて落とす。
アスカの身体を上下に揺すると、僅かに乳房の膨らみが揺れた。
それだけではなく、魔物も上下に運動を加えた。アスカの身体を引き上げると同時に、腰をおろす。
そしてアスカの身体が重力につられて落下すると同時に、性器で抉るように突き上げる。
その度、アスカの腹は歪に膨れ上がった。
射精が終わって性器を抜くと、アスカの身体はそのまま前傾に倒れ込む。
三度目の挿入は、そこからアスカの下半身を逆エビ反りに持ち上げた体位で行われた。
ほぼ真上に開かれたアスカの股間に、魔物は性器を上方からねじ込む。
ピストンをすると、子宮に溜まった精液がポチャポチャと音を立てた。
アスカの右の頬と薄い胸が地面に擦り付けられ、浅い傷が幾つもできていく。
射精を行い、性器を引き抜くと、溢れた精液は逆流して流れ出し、アスカの身体を胸元まで白く汚した。
四度目は、アスカに膝立ちをさせた後背位での挿入だった。
アスカの髪と右の腕を無造作に掴み、上体を浮かせたままピストンする。
獣の交尾を思わせるその交わり方は、それまでで一番激しかった。
髪が抜け落ち、肩が抜けるのではと思うほどの急速な前後運動で、アスカの全身から汗が吹き出て、精液と混じり合って地面を濡らした。
四度目の射精は、アスカの子宮の限界を感じさせた。
精液を放とうにも、もう一杯にまで埋まっていて、抵抗が強く快感が薄い。
そのため、五度目の挿入は膣ではなくアナルで行われた。
魔物は対面の姿勢でアスカの太ももを掴み、挿入した。
アスカの上半身は後ろにだらしなく垂れ下がっている。意識のないその瞳は白目を剥き、口は開かれたままだ。
一度目の射精を終えて以来、アスカは呻き声すらほとんど上げていない。
ただ、五度目の射精に続けて、そのままの姿勢で六度目の射精が行われた時は、胃にまで精液が到達したせいか、
「けふっ」
と、小さく空気が漏れるような音がした。
六度目の挿入は、アスカの身体の右側を地面につけ、左足を上に大きく開いた形で成された。
加減のない魔物の力は、アスカの股関節を外したが、アスカは反応を示さなかった。
そして七度目の射精では、ついに精液が喉から逆流するという状態になる。
さすがにこの時ばかりは意識のないアスカの身体も、
「うごげえええええええええええええええええええっっっっっ!!!!!!!」
と、苦しげな音声を伴なう反射でもって反応を示した。
呼吸を阻害していた精液を排出し終えた後も、アスカは無意識のまま苦しげに呼吸をしていた。
その姿に興奮と好奇心を覚えた魔物は、七度目の挿入を咽喉で行う。
仰向けに寝転んだアスカの顔にまたがる形で性器をくわえさせた。
喉を完全に塞ぎ、呼吸を遮った状態でのピストンを続ける。
異物を排除するために嘔吐するような喉の動きに魔物は快感を覚え、アスカが死なないようにだけ気をつけて挿入を行った。
八度目の射精では、七度目とは逆の現象が起こった。つまり、咽喉から放たれた精液によって、肛門から精液が溢れ出したのだ。
これは面白いと感じた魔物は、アスカの消化器官に詰まった精液を全て排出してみようと戯れに考えた。
性器を引き伸ばし、アスカの内臓をかき回せば可能なはずだ。
しばらくアスカに呼吸をさせて、再び咽喉から挿入した。咽喉の壁にこびりつく精液をこそぎ落とし、胃に貯める。
胃に溜まった精液をかき混ぜると、アスカの身体は苦しそうに痙攣し、魔物を楽しませた。
四度ほど挿入して引きぬいてを繰り返すことで、アスカの消化器官の精液はほぼ全て肛門から流れ出し、精液溜まりを形成した。
満足してきた魔物は、一旦最後の射精をすることを決めた。せっかくアスカの消化器官を制圧しているのだからと、そのまま行う。
アスカの咽喉から侵入した性器は、触手のように長く伸びて肛門から顔を出し、さらにアスカの膣に挿入された。
アスカの消化器官と膣と子宮を使ったピストンは二分間行われ、魔物は貯蔵されている精液を全て吐き出す射精を行う。
子宮を風船のように膨らませた精液は、流石に入りきらずに、性器は途中から膣から抜き出され、アスカの身体に精液を降らせた。
魔物はアスカの喉から性器を引き抜いた。アスカの苦しげな呼吸は消え入りそうに弱っている。
魔物が仕上げにアスカの腹を足で踏みつけると、丸く膨らんだアスカの子宮内に蓄えられた精液が、血液と共に噴出した。
380荒野の魔法少女 第2話 BAD END7/7:2010/01/16(土) 13:20:01 ID:P7nJD/Qm
一週間が過ぎた。
アスカとライザの二人は、魔力の回復を待つ小休止のみを挟んで犯され続けていた。
「はひゅっ!!!!らめれしゅよおっ!!!こんにゃ、はげしすぎてっ!!!」
ライザは魔物に犯されながら、快楽を貪っていた。
アスカはと言えば、
「……………………」
もの言わぬ人形となって、ただ羽根虫に犯され続けている。
対極的な様相を呈している二人だが、共通する点があった。それは……。
「もう……、こんなに中に出されちゃったら……っ!!!はっ、あん、く、くるっ!!!」
ライザは大きく膨らんだ腹をかばうようにうずくまる。
「はっ、ふっ、んあああっ!!また、元気な赤ちゃんかな?」
ライザは愛おしいものを抱き抱えるように、腹を撫でた。
アスカの腹も同様に膨らんでいる。突然腹が歪んだかと思うと、アスカの身体がガクガクと震えだした。
しばらくすると、アスカは仰向けに倒れ、開かれた両足の間、股間から奇妙な粘液をまとった不恰好な魔物が顔を出す。
二人とも、魔物の母体、生産工場へとその身を化していた。
子宮に魔物の卵を植え付け、精液を注げば、母体の魔力を吸い取って、二、三日で魔物は生まれる。
今、二人は何度目かの出産を迎えたところだ。
幼い二人の少女は、無残にも魔物を産み落とすだけの存在となった。
だが、それが彼女達にとって不幸なことなのかは分からない。
既に、その不幸を認知できる少女は存在していないのだから。

/ BAD END
381杏の人:2010/01/16(土) 13:20:55 ID:P7nJD/Qm
以上です。
ミスで、ほとんどの共通部分に「共通」と付け忘れてしまったり、
頭に謎の「7」が付いたりしてしまいました。申し訳ありません。

今回は説明的描写が長くなってしまいました。
もう少しうまくまとめられたらいいんですが…。
そして通常部分が長くなったら、その分陵辱シーンもある程度書き込もうと思うから長くなるわけで…。

ともあれ、次回は第3話です。
少しでも楽しんで頂けていれば幸いです。
それでは、また次回。
382名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 13:28:45 ID:PW5YmX1y
乙でした。
383名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 16:04:10 ID:HQp9GAI9
杏の人 おつかれ&GJ!
気絶してるもしくは寝てて反応がないエロは好物です。
それを好きなだけ連続射精でいたぶるのは堪らない。
幼い少女の子宮姦にあつらえた細い性器でアナルをほじって
咽頭を突き通す流れは凄い好き。仰向けまたがりイラマチオは好物すきでやばい。
同人誌が9千円分届いたけど流れがよすぎてこっちで抜けました。
SSで非エロとエロの割合はエロが多くないと納得できないのがよくわかります。
自分で読んでエロが少ないと納得できないですよね。

あとホムペのほうのインデックスで荒野の魔法少女のリンクがちょっとおかしくなってるみたいです。
384名無しさん@ピンキー:2010/01/17(日) 10:08:25 ID:RX5gFSn5
本物の凌辱をみせてやると言わんばかり。GJですた。
385名無しさん@ピンキー:2010/01/17(日) 19:38:10 ID:xVT+iHTR
和風っぽいコスの魔法少女GJ!
相変わらず地味に健気な少女を描くのが上手いなぁ、そんなオニャノコがお腹膨らませて絶叫しまくりでエロドリーム全開だよ。
自分的にはアスカはなんとなく腋巫女なビジュアルを重ねてるんで、異種→腹ボコの流れに腋コキとかのフェチな責めも絡めて欲しかったり。
なにはともあれ、規制のなかで満足に感想も受けられないかもしれませんが、杏の人投下乙でした!
386名無しさん@ピンキー:2010/01/17(日) 22:52:26 ID:zKWIqQdT
GJ!!
小さくて華奢な女の子がとことんまで滅茶苦茶にされてしまうゾクゾク感が堪らないです
お話も色々と膨らんできそうな雰囲気ですし、次回の投下も心待ちにしてますよ
387名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 20:37:03 ID:CkROB2PI
保守揚げ
388名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 21:22:50 ID:zvf3M9EG
荒野の魔法少女の一話が見れないんですがライザって幾つぐらいのキャラでしたっけ?
389杏の人:2010/01/24(日) 21:59:37 ID:Pr2jbcpZ
>>388
このスレの>>97-104にありますよ。
でも、年齢はまだ明記してなかったかもです。
設定では14歳になります。
390名無しさん@ピンキー:2010/01/26(火) 23:56:59 ID:4WWW+rsv
マスクドライダー竜王VS大怪獣ヴァルアス
391魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:13:14 ID:4FPGp+Rh
以前、『魔法少女ユキ』というタイトルで書いたものです。
長ったらしい上にエロの比率が少ないので、申し訳ないのですが、続きを描いてみたので投下してみます。
今回は苦痛系のエロですが、初挑戦なので自信ないです。
392魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:13:53 ID:4FPGp+Rh
今にも雨が降りだしそうな黒々とした曇の下、男が一人車を走らせていた。
「全くこういう日は部屋の中でのんびりさせてもらいたいんだが、まあ商売柄そういう訳にもいかんよな」
大通りをしばらく走り、そこから右手に曲がってすぐの場所に、彼は目的地の公園を見つける。
公園の周囲には立ち入り禁止を示す黄色いテープが張り巡らされ、制服姿の警官が警備に当たり、野次馬やマスコミの取材班を押し止めていた。
その人の群れを通り抜けて、男は公園の脇に車を停め、車の外へと降り立った。
「しかし、みんな結構暇なんだな……一体、どこからこれだけの人数が集まったんだ?」
携帯のカメラのシャッターを切る事で頭がいっぱいの野次馬達と、男の姿を見つけてマイク片手に押し寄せてくるマスコミ達、
彼らに懐から出した手帳を掲げながら、男は公園の入り口へと近付いていく。
男は地元警察の刑事だった。
彼の顔を見て、制服警官の一人が声を上げる。
「あ、竹内巡査部長、待ってましたよ」
彼の名前は竹内海国、『海』の『国』と書いて『ミクニ』。
しかし、大仰な名前とは真反対のどうにも冴えない、覇気の感じられない容姿のせいか、下の名前を覚えている同僚は皆無だった。
「遅れて悪いな。で、現場の様子は?」
「どうもこうも無いですよ。またいつものヤツです」
制服警官の視線の先、公園の内部は滅茶苦茶に破壊されていた。
金属製の遊具はひしゃげ、まがり、一部は得体の知れない腐食性の粘液で溶かされている。
押し固められていた地面のそこかしこがえぐれ、その下にある火災時のための防火水槽までが露出していた。
まるで、映画のスクリーンから飛び出したモンスターが行ったかのような、徹底的な破壊。
いや、実際にその場に居合わせた目撃者達はこれが巨大な怪物の仕業であると証言している。
「この光景を見ると、認めざるを得ませんよ。人間業じゃないですもの」
「確か、今回は警察関係の目撃者もいるんだったな?」
「ええ、しかも一連の事件でこっちに出張ってた県警の誰だかが見たらしくて、これで、警察も怪物犯人説で動くしかなくなりましたね」
一ヶ月ほど前からこの街に奇怪な事件が起こり始めた。
自動車が、電柱が、建物が、道路が、大型の建設重機でも不可能なくらいの徹底的に破壊された。
現場で被害に巻き込まれた人々のほとんどが、怪物の姿を見たと証言した。
もちろん、警察は当初、これらの証言を信じず、危険なテロ組織の犯行と見て捜査を行っていた。
しかし、度重なる事件と、その度に目撃される怪物の証言を前にして、警察もようやくその認識を改めようとしていた。
そして、これらの事件には、奇妙な事がもう一つ
「例の二人組は今回も目撃されてるのか?」
「はい。今度もものの見事に怪物をやっつけてくれたみたいですよ。例によって、誰も姿形を覚えてないみたいですが……」
街を襲う怪物を倒す、謎の人物。
奇妙な事に、何人もの人間に目撃されているにも関わらず、目撃者達は彼らが二人組であるという事以外、何一つ覚えていない。
彼らは巨大な怪物を魔法染みた方法で倒し、さらに周囲の怪我人をこれまた魔法染みた方法で治療して去っていく。
最初はテロ事件の首謀者とも疑われたが、今ではこの街の誰一人としてそんな事は信じていない。
「……正義のヒーローか……」
自分で口にしてみて、その言葉の現実離れした響きに海国は肩をすくめる。
裏で何が起こっているのであれ、今の彼に出来るのは目の前の事件を調べる事だけだ。
「全く…一体、何が起こっているんだろうな……?」
不安げに呟きながらも、海国は現場の捜査に取り掛かるべく、公園の中へと入って行ったのだった。
393魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:14:52 ID:4FPGp+Rh
一方、事件現場から少し離れた街の中心区域。
周囲に立ち並ぶビルの中でも一際巨大なその建物の内部、
会議室に集まったスーツ姿の男達がスクリーンに映し出された、事件現場の公園からの生中継の様子を固唾を呑んで見守っていた。
「今回の件についても、警察は見解を変えるつもりは無いようだな……」
「表向きは、でしょう。今回は警官の中にも目撃者がいるようですし、彼らもそろそろ捜査方針を転換する筈です」
「だが、だからといって何になる?見たまえ、あの公園の惨状を!警察などがあんな相手に対抗できると思うか?」
「この程度で済んでいる内はまだいい。だが、この街に致命的なダメージを受けるような事になれば……」
「当然、この街と共に発展してきた我々の中央工場も、ただでは済みますまい………」
最後の台詞を聞いて、会議室に集まった男達の全員が押し黙った。
この街に根を下ろし、現在の繁栄を築いてきたこの企業にとって、続発する怪物事件は切迫した問題だった。
やがて、会議室にいる中でも最年長の男がゆっくりと顔を上げ、部屋の隅に座っていた”その男”に話しかけた。
「先生、我々は一体どうすれば……」
「何も心配なさる事はありませんよ」
答えたのは、身の丈2メートルをゆうに越えようかという禿頭の巨漢。
身にまとったボロボロの法衣と、左手に巻きつけた数珠を見るに、どうやら僧侶であるらしい。
「この街を脅かす悪鬼、魑魅魍魎の輩どもに御仏の加護というものを見せてあげましょう」
「それではお引き受けいただけるので!?」
「勿論です。これはあなた方だけでなく、同じく苦難に遭われている街の方々を救う事にもなるのですから」
その声は穏やかでありながら、この場に集まった男達の不安を簡単に拭い去るほどの力強さが秘められていた。
無数の傷を刻まれた、岩石を思わせるゴツゴツした顔に浮かぶ笑顔は、慈愛に満ちた仏と見紛うほどである。
僧侶は会議室の男達にはっきりと言ってのけた。
「拙僧にお任せください。必ずやこの街を守り抜いてみせましょう」
「「「「おおおっ!!!!」」」」
会議室に男達の喜びの声が響き渡った。
放って置けばどれほどの被害をもたらすか全く分からない謎の怪物達。
男達はその怪物達への強力な対抗手段を手に入れたのだ。
と、その時、会議室のドアがノックされる。
「おや、こちらも用意が整ったようで……入ってきなさい」
ドアの向こうから現れたのは大きなアタッシュケースを片手にぶら下げた年若い男。
彼は僧侶の目の前の机にアタッシュケースを置いて、そのフタを開く。
その中に入っていたのは……
「これはほんの前金、怪物退治に必要な分があれば逐次お申し付けください」
ギッシリと詰まった札束の中から、僧侶は一束を手にとって確認する。
僧侶の口元がニィッと歪み、異様なほどに白い歯が照明を反射してギラリと輝いた。
「契約成立ですね」
「ええ。この金徳法師、全力をもってこの街を襲う怪異と戦いましょう」
謎の僧侶、金徳は先ほどまでとは打って変わった獣の如き獰猛な笑いを浮かべて、そう答えたのだった。
394魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:15:29 ID:4FPGp+Rh
また、街の中心部を遠く離れた山の麓の森の中では、一人の男が大きな岩の上に腰掛けて空を見上げていた。
年の頃は三十代の後半といったところだろうか。
編み上げのブーツと、山歩きには似つかわしくないブラウンのスーツ、その上に時代がかったマントを羽織っている。
何の意味があるのか、長く伸ばした前髪で左目だけを隠し、残された右目で男はじっと空の青を見つめ続けていた。
「戻って来たか……」
男が呟いた。
男の視線の先、青い空を背景にひらひらと羽ばたきながら近付いてくるものがあった。
それは薄く透き通った美しい羽を持ち、淡い光に包まれて飛ぶ一匹の蝶だった。
男が右手を差し出すと、蝶はゆっくりと木々の合間を下降し、その上に舞い降りた。
男は手の平の上の蝶にそっと話しかける。
「あの街はどんな様子だった?華姫…」
『思ったより被害は少ないみたい。多分、噂の二人組のおかげでしょう』
男の問いに、まだ幼さを残した少女の声が答える。
どうやら、それは華姫と呼ばれた蝶が発しているものらしい。
『それから、街の上空に異界への扉らしきものがあったの。ほぼ間違いなく、化け物達はそこからやって来たんだと思う。ただ……』
「なんだ……?」
『扉自体はもう消えかかっていると言っていいぐらい小さなものなの。どんな強力な化け物でも単独であそこを通って来るのは無理ね』
「という事は……その扉を使って化け物どもを強引にこちらの世界に送り込んでいる何者かが存在する……そう考えた方が良さそうだな」
男はしばし顎に手を当て思案していたが……
「面白い!この私、応天門龍伍、久方ぶりに興味をそそられたぞ!!」
大岩の上に立ち上がり、嬉々とした表情を浮かべて叫んだ。
その瞳は遥か彼方、怪物事件に怯える街の方角の空を真っ直ぐ見据えていた。

そして、また別の場所、多くの生徒達で賑わうとある中学校の校長室。
気弱そうな校長と机を挟んで向かい合い、ソファに腰掛けた少女の姿があった。
「…急な転校という事で、君も色々と苦労しているだろうが、そういう時は我々教師に何でも相談してほしい」
「ありがとうございます」
首の後ろで一本にまとめられた艶やかな黒髪。
白磁の如く白い肌、桜色の唇が柔らかな笑みを形作っている。
「では、来週からは君もウチの生徒だ。頑張ってくれたまえよ」
「はい。それでは、失礼いたしました」
それからしばらくの会話の後、少女は席を立ち、校長室を立ち去った。
校長室から職員室の前を通り抜け、校舎の外に出た時、少女の顔からふっと笑いが消える。
「得体の知れない魔物が暴れてるというのに、随分と平和なものね……」
先ほどまでとは違う、冷たく鋭い氷のような眼差し。
それは、百戦錬磨の狩人を彷彿とさせるものだった。
「複数個体の魔物に、謎の二人組、どういう関係かは知らないけど、この仕事ずいぶん長引きそうね」
少女が一人呟いたその時である。
「おーい!ユキちゃん、こっちだよ!!」
背後からの声、どうやら友人を呼んでいるらしい。
「ああ、シオリちゃん、そっちにいたんだ!」
それに応える声が今度は少女の前方から聞こえた。
見れば、この学校の制服を着た小柄な女子生徒がこちらに向かって走って来る。
女子生徒の邪魔にならぬよう、校舎の出入り口に立っていた少女は少し横に移動する。
「あ、すみません!」
そして、少女と女子生徒がすれ違った瞬間。
(……!?…何、この感じ?)
少女は言葉に言い表すことの出来ない、ほんの僅かな違和感を感じ取った。
だが、それも一瞬の事、友人と合流した女子生徒が立ち去った時には、それは嘘のように消えてしまっていた。
(気のせい?それにしても………)
困惑する少女、この街を襲う怪異に立ち向かうべく派遣された退魔師・朝霧キョウカが
先ほどの女子生徒、山門ユキの正体を知るのはしばらく後の事である。
395魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:16:37 ID:4FPGp+Rh
「えっと、野菜は買ったし豆腐も買った、キノコ類にぬかりはなく調味料もOK、後は肉だな、肉!」
「お兄ちゃん、今からタイムサービスだって!!」
その日の夕方、俺はユキと一緒にスーパーに夕食の買出しにやって来ていた。
ユキがこの世界にやって来て、俺の妹になって約一ヶ月。
その間、俺達は時空の裂け目を通って送り込まれてくる敵を、何とか大した被害も出さずに倒してきた。
授業中だろうが、部活の真っ最中だろうがおかまいなしに出現するヤツらのおかげで俺の生活ペースは乱れまくっていたが、
周囲の人間の記憶をユキが魔法で誤魔化してくれるので、表向きには一応問題らしい問題は生じなかった。
幾度かの戦いで強く実感したのは、ユキの魔法使いとしての驚くべき実力だ。
巨大な怪物の攻撃をさばき、かわし、受け止めて、隙あらば攻撃を加えて追い詰めていく。
必殺魔法の威力や魔法のコスチュームの防御力、その強さは下手な軍隊など相手にもならないだろう。
ユキが元いた国(ヘヴンズフィルドと言うらしい)でも最高クラスの魔法使いだったというのも肯ける話だ。
そして、俺も及ばずながらユキと共に戦い、その手助けをしていた。
ユキが必死で守る『禍の宝珠』の魔力を受けた剣のおかげで、俺は怪物の出現を察知し、戦う為の力を手に入れた。
緑に輝く魔力の刃は怪物の体をやすやすと切り裂き、威力さえ落とせばちょっとした遠距離攻撃も可能になる。
ただし、俺の剣は怪物に対する決定打にはなり得ない。
敵が送り込んでくる怪物は、どれも選りすぐりの強力な物ばかりで、バラバラの肉片にされても戦い続けるという、とんでもなくタフな奴らなのだ。
怪物達の息の根を止めるには、ユキの必殺魔法で塵一つ残らず消し飛ばすしかない。
しかし、強力な怪物達の力は、戦い慣れしたユキにすらその隙を与えてくれない。
俺の役目は魔力の剣で敵を牽制し、ユキが必殺魔法を使うチャンスを作り出す事だ。
今のところ、そのコンビネーションは上手く機能していて、俺とユキの二人は今日まで無事に戦って来れた。
この先どうなるかは分からないけど、今はユキが明るく笑っていられるこの時間が愛おしかった。
とまあ、そんな所で、俺は回想に浸っていた意識を目の前の、これから始まらんとしている決戦の場に戻す。
「さて、オバちゃんどもに負けんように、安い肉を確保しないとな!」
「私も頑張るよー!!」
というわけで、俺とユキはオバちゃん達でごった返す精肉売り場へと飛び込んでいったのだった。

「よおおおしっ!!肉、確保完了っ!!!」
「でも、いくら安いからって多すぎな気も……。二人じゃこんなには食べきれないよ」
「余ったんなら、それはそれで冷凍しとけば無駄にはならないだろ?」
「それもそうだね」
安さ自慢のこのスーパーの精肉コーナー。
特に夕方のタイムセールでは半額商品が惜しげもなくズラリと並べられる。
元値の時点で同じ地域の同業者達から二歩も三歩もリードしているだけに、値引きが加わるとその安さはもはや破壊的である。
あまりの安さに疑いを抱いた新聞記者が取材を決行したが、産地偽装や虚偽表示などの不正はゼロ。
ただ、安さを維持し続けるシステムの一端を知ってしまった記者は、後日、黒服のスーパー店員に連れ去られて行方不明になったとの噂もある。
そしてその安さは我が家の食卓に豊かな食材を持ち帰らんとする客達の間に熾烈な戦いを呼び起こす。
現役高校生にして運動部所属の俺と異界の最強魔法使いであるユキですらボロボロである。
「ともかく、レジの方も相当人が並んでるだろうし、さっさと会計を済ませて帰ろう」
「うん!私、お鍋楽しみだな」
と、そんな時である。
「うおおおおおおっ!!!この応天門龍伍、唐揚げ用の鶏肉を手に入れるまでは……ぐはああっ!!!」
食材を満載したカートを押して、その場を立ち去ろうとした俺達の前に、精肉コーナーから一人の男が弾き飛ばされてきた。
「ぐ…むぅうう…肉汁のしたたる唐揚げを…諦めるわけには……」
思い切り床にぶつけた頭を抑えながら唸る男の姿は、何だか少し妙なものだった。
落ち着いた茶色のスーツの上に、何故だかマントを羽織って片目を前髪で隠したりなんかしている。
なんというか、コスプレっぽかった。
子供の遊ぶ夕方の公園で目撃されたら、一発で通報されそうな怪しい男である。
「あの、大丈夫ですか?」
倒れた男に手を差し伸べるユキを一瞬止めるべきかとも考えたが、人助けをやめろとも言えない。
男は意外に端整なその顔をユキに向け、ふっと笑って
「ああ、大丈夫だ。この程度、どうって事ないさ」
ユキの手は借りずに自分で立ち上がった。
396魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:18:32 ID:4FPGp+Rh
「心配してくれてありがとう。しかし、私も君のような小さな女の子の手を借りるのは忍びないからね」
「お肉売り場、大変な事になってますからね」
「ああ、オバちゃんの肘鉄が人中と鳩尾に立て続けに入って、一瞬意識が飛んだかと思ったら吹き飛ばされていた……」
男は身長も高く、体つきもガッシリしていたが、それでもあの戦場で勝ち抜くには力不足だったようだ。
見かけない顔なので、最近引っ越してきた人なのかもしれない。
確かに、慣れない人間にあの精肉コーナーの混雑を突破するのは難しいだろう。
俺はしばし思案してから
「あの、良かったらこれを……」
鍋物・唐揚げ用のぶつ切りの鶏もも肉のパックをひとつ、男に差し出した。
「有難いが……本当にいいのかね、少年?」
「さっきも妹と少しカゴに入れすぎたかなって相談してた所ですから、どうぞ」
男は少し躊躇ってから、俺の手から鶏肉のパックを受け取った。
それから深々と頭を下げ
「恩に着る、少年」
「いや、そんなにかしこまられても……」
「もし、また出会う機会があれば必ず礼をさせていただこう」
という感じで、やたらと大げさな感謝の言葉を残して、男は去っていった。
「こっちの世界には変わった人がいるのね、お兄ちゃん…」
「いや、俺もあんな人を見るのは初めてだ……」
兎にも角にも、レジで会計を済ませて俺達は家路についたのだった。

くつくつとカセットコンロの上で煮える鍋から、何とも言えない美味そうな匂いが漂ってくる。
俺とユキはテーブルを挟んで鍋をつついていた。
「どうだ?俺の鍋、口に合うか?」
「うん。美味しいよ、とっても!」
嬉しそうに答えたユキの笑顔を見て、俺も頬が緩んだ。
この週末、父さんと母さんは結婚記念日を祝う旅行で家を空けていて、今このダイニングにいるのは俺とユキの二人きりである。
夕食代は貰っていたので、さて何を食べるかと思案して、鍋を食べようという話になった。
食事をしながらゆっくりと話をするにはこれが一番だろうと考えたのだ。
「そういえば、こないだ言ってた友達、あの娘とはどうなってるんだ?」
「シオリちゃんの事だね。うん、仲良くしてもらってるよ」
ユキは中学校で、本来いない人間である自分が溶け込みやすい部活として文芸部を選び、そこに所属していた。
ユキの学校の文芸部はあまり活動が盛んとは言えない、どちらかと言うと仲良しグループのたまり場のような場所になっているらしい。
年に一度、文化祭で発行される部誌をユキが借りて帰ったとき、俺も少し読ませてもらったが、その内容は惨憺たるものだった。
やる気のない人間が書いた文章というのは、正直、中二病爆発の自意識過剰ポエムなどより遥かに痛々しいものである事を思い知らされた。
だが、文芸部の全ての部員がそんな人間というわけでもない。
ユキの友人、南沢シオリはその数少ない例外の一人である。
「どの本を借りようか迷ってたら、シオリちゃんが色々教えてくれて……どれも面白かったなぁ」
「小説も書いてみるって言ってたよな?」
「うん。シオリちゃんに教わりながら、少しずつだけどね。完成したら、お兄ちゃんにも読んでほしいんだけど」
「もちろん、楽しみに待ってるよ」
本を読むのも書くのも、両方大好きな女の子、それがユキのこっちの世界での初めての友達だった。
彼女とユキはクラスメイトでもあるのだが、初めて面と向かって話をしたのは文芸部での事だったという。
魔法で学校に入り込み、明るい少女を演じていたユキだったけれど、心のどこかでクラスの空気に馴染めずにいたらしい。
クラスでは明るく振舞いながら、文芸部ではどこか寂しげなユキの様子から、何かを察してくれたようだ。
今ではどこに行くのも一緒の大の友達同士だという。
「私もちょっと聞きたい事があるんだけど……」
「ん、何だ?」
「お兄ちゃん、何であんな強いの?」
「え?いや、俺も怪物との実戦で鍛えられたし、そもそもあの剣の力が凄いから……」
「ううん、剣抜きでも最初からお兄ちゃんの強さはちょっと……お兄ちゃんのやってる剣術はあくまでスポーツなんだよね?」
「…………ああ。……一応、建前はな……」
俺の所属する剣道部はこの辺りでもかなりの強豪なのだが、他校との大きな差を挙げるとすれば、やはりその練習の質にあるだろう。
そして、それは顧問である南条先生の指導によるところがかなり大きい。
397魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:19:35 ID:4FPGp+Rh
練習の最中、先生はふらりと俺達に近付いてはアドバイスをする。それがまるで部員全員の一挙手一投足を把握しているかの如く的確なのだ。
多分、冗談でも何でもなく、勤続35年の老教師の眼は道場の中をくまなく見渡していて、そこで起きる事は何一つ見逃す事はないのだ。
先生が見ている、見られている、その意識は部員の緊張感と集中力を否応無く高め、それが我が部の実力を高めているのだろう。
しかも、先生自身はあくまで温厚な性格、穏やかな物腰を崩さないので逆に怖い。
そして今、先生の指導は異界の怪物相手の戦いにも通用するものである事が実証されようとしているのだ。
(俺がこの一年余り打ち込んできた事って、そんなにヤバイものだったのか……)
まあ、それがユキや俺の助けになっているんだから、結果オーライなのだけど。
ここで少し、この一ヶ月ほどの戦いの事が脳裏に蘇ったのか、俺とユキは二人して黙りこくってしまう。
それから、ユキは少し照れた笑顔を見せて
「改めて、ありがとうね、お兄ちゃん……お兄ちゃんがいなかったら、私きっと……」
「それはむしろコッチの台詞なんだけどな……」
この一ヶ月ほどの戦いであの怪物達の恐ろしさは身に沁みている。
最初の襲撃のとき、身も心もボロボロだった筈のユキは、それでも決死の覚悟で敵と戦ってくれた。
もし、あの時のユキが立ち上がってくれなければ、あの怪物の為にどれだけの被害が出たか想像もつかない。
俺は椅子から立ち上がり、テーブル越しにそっとユキの頬に触れる。
「俺がどれだけ力になってやれるか分からないけど、俺は最後までお前と一緒に戦うから……」
「うん……」
肯いたユキの安らかな表情に、俺も安堵する。
きっとユキの頭の中は、元の世界の事や敵に奪われた故郷の事、心配事や不安でいっぱいで、本当はいても立ってもいられない筈だ。
ユキが少しでも笑顔で、安心した気持ちでいられるのなら、俺にとってそれ以上嬉しい事はない。
「っと、長話してる内に鍋が煮詰まったな」
「早く食べよう、お兄ちゃん!」
そう言って、二人してまた鍋を食べようとしたその時だった。
ピンポ〜ン!
突然、玄関のチャイムが鳴った。
「誰だろうな、こんな時分に…?」
鍋の用意に手間取った為、現在時刻は既に午後八時半を回っている。
両親も不在のこんな日のこんな時間に、来客があるとはちょっと思っていなかった。
ともかく、俺は箸を置いて立ち上がり、玄関に向かった。
「結界もあるし、敵の追っ手じゃないと思うけど……」
追われる身であるユキはこの街全体や家の周囲に、それとは気付かれぬよう幾重もの結界を張り巡らせている。
ただし、日常生活に支障が出ると厄介なので、こっちの世界の普通の人間は強い悪意を持った者以外は素通りになる仕様だ。
それでも、突然の来客に若干緊張しながら、俺とユキが玄関まで行くと、
ドアの向こうの誰かさんはこちらが確かめようとするその前に、自分で正体を明かした。
「お〜い、タケシ君、夜分に失礼するよ!」
「部長!!?」
聞き覚えのある声に慌ててドアを開くと、ジャージ姿に馬鹿でかいリュックサックを背負ったあの人、
民俗文化・考古学研究部部長、竹内礼子は野暮ったいその格好とは不釣合いな美貌で俺に笑いかけてきた。
「夜も遅くに申し訳ないんだけど、少し上がらせてもらってもいいかな?」
「何かあったんですか、部長?」
「うん。ちょっと父さんの仕事がたてこんでて……ほら、例の怪物騒ぎにかかりきりで、家に全然帰って来ないんだ。
ここまで一人ぼっちの夜が長く続くと、流石の私もちょっと人恋しくなってきてね……」
彼女にしては珍しい、少しバツの悪そうな笑顔を浮かべて、部長はそう言った。
部長の親父さんは地元警察の刑事課に勤務しており、怪物出現からこの一ヶ月ほどの間、かなり忙しい日々を送っているらしい。
「そういう事なら全然構いませんよ。ちょうど鍋もしてたところだし、くつろいでいってください」
「すまないね。恩に着るよ」
俺が答えると、部長はぺこりと頭を下げて、家に上がってきた。
398魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:20:17 ID:4FPGp+Rh
そんな時である。
「…………っっ!!?」
俺の背中を何かゾクゾクと悪寒が走り抜けた。
思わず振り返ると、そこには何故かジト目で俺を睨む妹の顔が……。
「お、おい、ユキ?どうしたんだ!?」
「ううん、べっつに……」
声をかけた俺に返って来たのは、いつになくそっけないユキの返答。
そんな俺達の様子を横目で見ながら、部長は意味ありげな笑みを浮かべる。
二人の間に挟まれた俺は、戸惑う事しか出来ない。
「それじゃあ、お邪魔します。タケシ君」
そして、部長がそう言ったのと同時に、玄関のドアはバタンと閉じられたのだった。

こんな事で怒るのは筋違い。
それは自覚してる。
お兄ちゃんが何か悪い事をしたわけじゃないって事も、十分に理解している。
それでも私は、心の奥底から湧き上がる腹立たしいような悔しいような気分を止める事が出来ない。
テーブルの向こう側、並んで座るお兄ちゃんと、お兄ちゃんの学校の先輩である部長さん。
二人をじっと見つめる私の眉間には、いつの間にやら深いシワが刻まれてしまう。
「うう〜……」
私は自分自身の心の変化に正直戸惑っていた。
自分がこんな風に感情を押さえを利かせられなくなるなんて、思ってもみなかった。
見知らぬ世界に投げ出された私を、受け入れ、支えてくれたお兄ちゃんへの感情は、自分が思うよりずっと大きく育っていたみたいだ。
(……でも、いくらなんでも、こんなのってないよ……)
現在、私とお兄ちゃんはテーブルの上のお鍋を挟んで、真正面に向き合って座っている。
お兄ちゃんの顔を見ながら、たっぷりとお話しをするにはこのポジションが一番だったんだけど、
ところが、一緒に鍋を囲む事になった部長さんは、四脚ある椅子の内よりにもよってお兄ちゃんの隣に座ってしまった。
「それで、今日は部長、何しに出かけてたんですか?」
「うん。ちょっと隣の市まで遠出して古墳と、古い神社を見てきたんだ」
(うう……さっきからお兄ちゃん、部長さんとばっかり喋ってる……)
そんなこんなで状況は一変、すっかり置いてけぼりの私は黙ってお鍋を食べるのも忘れてそんな事ばかり考えていた。
「この辺りは古墳や遺跡の類が数え切れないほどあるからね。調べれば調べるほど興味深い発見にぶつかるよ」
「古墳に神社って……まさか、また勝手に何か持ち出したんじゃないでしょうね!?」
「失礼だな。私が調査で見つけたものを持って帰るのは、それが早急に保護する必要があるものの時だけだよ」
「それで、気に入ったのはそのまま自分のコレクションにしちゃう癖に……」
「あはは…そこはそれ、学術的な必要性とか」
「部長のやってるのはあくまで高校の部活ですから。学者先生じゃないんですから……」
呆れたようなお兄ちゃんの口調と、全く悪びれる様子のない部長さんの話しぶり。
傍で見ていると、息の合ったやり取りに思わず聞き入ってしまいそうにさえなる。
そして、ふとこみ上げてくる寂しさ。
(やっぱり、私はこの世界ではよそ者でしかないのかな……)
そんな思いが私の心を強く締め付ける。
さっき部長さんが話していたモンスター達の襲撃だって、そもそもは私がこの世界にやって来た事から始まったもの。
私という異物の存在がこの世界の人たちを苦しめている。
以前、お兄ちゃんはその事で自分ばかりを責めるのは筋違いな話だ、無意味な罪悪感と責任感は違うものだと言ってくれたけど……。
考えている内にだんだんと私の背中は丸く小さく、顔は俯いていく。
399魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:20:52 ID:4FPGp+Rh
だけど、その時……
「ユキ」
その声に呼ばれて、私は顔を上げた。
「お兄ちゃん?」
「さっきから箸が止まってるみたいだから、ほら…」
お兄ちゃんは私のお椀に鍋の中身を盛って、渡してくれた。
それから、申し訳なさそうな表情を浮かべて
「すまん。さっきからユキの事、置いてけぼりにしちゃってたんだな」
小さく頭を下げてから、そっと頭を撫でてくれた。
(ちゃんと気付いて、見ててくれたんだ………)
こんな、ほんの些細な事が私の胸の奥を温かな感情でいっぱいにしてしまう。
「うんうん、兄妹仲が良いのはやっぱり素晴らしい事だねぇ」
「また部長はそうやって人を茶化す」
「いや、私のとこは一人っ子だったからね。正直、羨ましいよ」
気が付けば、部長さんまでもがどこか優しげな眼差しで私とお兄ちゃんのやり取りを見ていた。
そういえば、玄関でのお兄ちゃんとの会話から察するに、部長さんはお父さんと二人暮らしのようだ。
今はモンスターの襲撃のせいで特に忙しいらしいけれど、そうでなくても警察の仕事は自由な時間は少ない筈だ。
私は、この世界に一人きりで投げ出されたときの孤独感を思い出す。
部長さんもきっと長い間、寂しい時間を過ごしてきたんだと思う。
そう考えると、部長さんが一人ぼっちの真っ暗な自宅より、お兄ちゃんのいる家に来たくなったのも分かる様な気がした。
(一人ぼっちは、誰だって嫌だよね……)
お兄ちゃんと、部長さんと、それと私。
温かい空気に包まれたこの部屋にいられる、その事の喜びを噛み締めながら、私は再びお鍋を食べ始めたのだった。

その後、食事の席の話題は部長さんの民俗文化・考古学研究部の活動についての話題になった。
今度はちゃんと私も会話の輪に入って、部長さんのお話しを聞いている。
この世界の事について、魔法でおおまかな情報は集めていたけれど、細かな歴史については疎い私には為になる内容だった。
「そもそも、この街を中心とした一帯に古代の集落があったんだ。それも吉野ヶ里遺跡クラスの大規模なヤツが縄文時代から存在してたらしい。
その他に、古墳も昔からの神社も数え切れないくらい存在してるけれど、中でも目を引くのが数多くの巨大な環状列石だ」
「環状列石って?」
「ストーンサークルとも言うんだけど、石を輪の形になるように並べた古代の遺跡で、昔の人の祭祀の場所だったって言われてる」
私の質問に、お兄ちゃんが答える。
「その祭祀の場所っていうのが問題なんだ。さっきも言ったけど、数が多過ぎるんだ。この街の周辺で発見されただけで四十以上、
祭をするのにそんな数が必要だとは思えない。それも一つ一つが最低でも2,3メートルの巨石を一つは使った大掛かりなものだ。
古代人だって暇じゃないだろうに、どうしてそんなたくさんのストーンサークルが必要だったのか……?」
だんだんと熱がこもってきた部長さんの話に、私もお兄ちゃんも気が付けば、身を乗り出して耳を傾けていた。
「実はストーンサークルの多くはこの街を丸く囲むように配置されてるんだ。そして、残りは全部その輪の内側に存在する。
この辺、学会では色々な意見が出てるらしいけど、私はこの街そのものがかつては超巨大なストーンサークルだったんじゃないかと思ってる」
「この街そのものって……!?」
「あくまで私の勝手な推測だけど、かつてここにあったのは
曼荼羅のように、幾つものストーンサークルを内包した超大型でかつ多重構造のストーンサークルだった……。
どうして、そんなものが必要だったのかは、まだ私にもよく分からないけどね」
部長さんの話を聞きながら、私はある事を思い出していた。
『禍の宝珠』が封じられていた石の祭壇。
それを丸く囲む、封印の印を刻まれた12人の『閃光の騎士』達。
それらが何故か、部長さんの話してくれたストーンサークルと頭の中で重なり合う。
(もしかして、私がこの世界の、この街に飛ばされてきたのは偶然じゃないのかもしれない……)
それは偶然の一致と呼ぶにも足りない、単なる私の思いつき。
だけど、その考えは不思議とその後も私の頭の中から離れてくれなかった。
400魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:21:25 ID:4FPGp+Rh
さて、お鍋もその後の雑炊も食べ終えると、お兄ちゃんはテーブルの上の食器を片付けて、台所に行ってしまった。
「お兄ちゃん、私も食器洗い手伝うよ?」
「いや、大した手間じゃないから、ユキは向こうでくつろいでてくれ」
そう言われて、現在、私はテーブルを挟んで、部長さんと二人きりで向き合っている。
さっきの一件で少し親近感は湧いたものの、やっぱり初対面の人の前だと少し緊張してしまう。
それに、この人は………
「ユキちゃん、今日はせっかくの団欒の真っ最中に家に上がりこんじゃって、迷惑をかけたね」
「いえ、そんな事……」
「改めて自己紹介するよ、私の名前は竹内礼子。今後ともよろしく」
「山門ユキです。こちらこそ、よろしくお願いします」
「さて、せっかく二人きりになれたから、ちょっと聞かせてもらうよ……」
部長さんの表情が真剣なものに変わる。
「君が来てから約一ヶ月、そろそろ今の生活にも馴染んできただろうしね……」
「…………」
この人は知っている。
私が本来、この家の人間では無い事を。
まだ、お兄ちゃんが私の正体を知る前、唯一私の事について相談した相手がこの部長さんなのだ。
その後、部長さんはお兄ちゃんには私との関係について『上手くいってるか?』と聞いてきたきり、何も言わなかったという。
だけど、実際のところ、部長さんは私という異質な存在をどんな風に思っているのだろうか?
「君は君のお兄さんの事を、タケシ君の事をどう思ってる?」
部長さんのまっすぐで、透き通った眼差しが私の全身を射抜く。
私はその視線をしっかりと受け止めながら、ただ素直に自分の心の内を部長さんに告げる。
「お兄ちゃんは……私のお兄ちゃんは……」
たとえ出会って一ヶ月あまりの短い時を共に過ごしただけの関係だとしても、お兄ちゃんは私を妹だと認めてくれてた。
唐突に表れた異世界の人間である私を受け入れ、一緒に敵と戦うとさえ誓ってくれた。
お兄ちゃんは私を信じてくれたのだ。
私はそのお兄ちゃんの思いにしっかりと応えたかった。
だから、私の解答はただ一つきり。
「お兄ちゃんは、私の大切な、大好きなお兄ちゃんです」
お兄ちゃんが私を妹だと言ってくれるなら、時間も、生まれた世界も関係ない。
私とお兄ちゃんは兄妹だ。
そこに嘘も偽りもある筈がない。
私のその答えを聞くと、部長さんはふっと満足そうな笑顔を浮かべて
「その言葉が聞きたかったんだ……」
そう言った。
「君達はかなり特殊な関係の兄妹だから、ちょっと心配してたけど、これならきっと大丈夫。安心したよ……」
「部長さん……」
それから、部長さんは私の頭に手を伸ばして、そっと撫でながらこう言ってくれた。
「何か困った事、君たち兄妹二人でもどうにもならない事があったら、遠慮なく相談してほしい。私は君たちの味方だよ」
「他に、何か聞かなくてもいいんですか?」
「そっちも色々事情があるんだろ?野暮な詮索は趣味じゃないよ」
たぶん、部長さんは私と同じ時期に出現を始めたモンスター達との関連にも気付いているのだろう。
疑うのは当然な事の筈なのに、この人はさらりとそう言ってくれた。
また一人、この世界に、私の大事な人が出来た。
シオリちゃんや他の学校の友達、近所で顔を合わせる色んな人たち。
私の戦いは、私の肩にかかる責任はますます大きなものになっていく。
だけど、今の私にはその重さが、不思議と心地良く感じられた。
401魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:21:52 ID:4FPGp+Rh
その後、食器の片づけを終えたお兄ちゃんも一緒になって、私達はしばらくテレビゲームに熱中していた。
この間発売されたばかりのアクションゲームを、二人モードで交代でプレイ。
魔法で頭に叩き込んだこの世界の知識はあっても、複雑な操作が必要なゲームは私にはなかなか難しい。
ウンウン唸りながらプレイし続けて、ようやく操作に慣れ始めた頃、誰かの携帯の着信音が鳴った。
「ああ、私のみたいだ」
そう言って、部長さんが携帯を取り出した。
「父さんからか…もしもし?うん、こっちは特に問題なく過ごしてるよ。今は友達の家に上がらせてもらってる」
それから、部長さんは悪戯っぽく笑って
「ただし、その友達ってのは男子で、しかもご両親は今夜は不在なんだけど………あはは、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。
その子の可愛い妹さんもご一緒だからね。そっちの調子は?…………ああ、やっぱりしばらくは戻れそうにないんだ」
「親父さんにもあのノリなんだ……まあ、半分予想してたけど……」
傍から聞いているだけでも、受話器の向こうで我が娘にからかわれて困った表情を浮かべている部長さんのお父さんの姿が眼に浮かぶようだった。
ところが、そんな電話越しの父娘の会話の様子が少し、おかしくなり始める。
「ん?どうしたの?……えっ、窓の外?……空が歪んで……!?」
そして、私もソレを感じ取っていた。
この街の遥か上空、僅かに残った時空の裂け目が再び開き始めている。
「ユキ……」
「うん。やって来たみたい……」
戦いの時が訪れた事を知り、私とお兄ちゃんは顔を見合わせて静かに肯き合った。
「あの、部長さん……」
「ん、用事があるんなら早く済ませてきたらどうだい?」
私達が何かを言うよりも早く、部長さんは背中を向けたままそう言った。
「ただし、こう見えても私は寂しがりやだからね。お早めのご帰還を願うよ」
部長さんは何も問わず、聞かず、ただ私達を送り出してくれるつもりのようだった。
私とお兄ちゃんはその後姿にぺこりと頭を下げてから、家を出て行った。
再び表れたモンスター。
時空の壁の向こうの敵達は邪神復活の目論見を捨て去るつもりはさらさらないようだ。
果たして今回はどんな刺客を送り込んできたのだろうか。
「変身!」
私の声と共に、凝縮された魔力がコスチュームを編み上げていく。
ピンクのラインの入ったワンピースの上に、金の留め飾りのついた白いマント。
胸には魔力制御用の赤いダイヤ形の宝玉が生成される。
これこそが私の戦闘服。高い対魔法・対物理防御力を誇り、身体能力を増加させる魔法使いの鎧だ。
「行こう、お兄ちゃん」
「おうっ!!」
胸の奥で高まる緊張を押さえつけながら、私達は戦いの場へと向かった。
402魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:22:46 ID:4FPGp+Rh
モンスターの出現地点へ向け、私は全速力で空を駆け抜ける。
お兄ちゃんは魔法が使えないので、目的地までは私の飛行魔法のフィールドの中に入ってもらっている。
「見えたぞ!」
お兄ちゃんが繁華街の一角に視線を向けて言った。
「うん。今回のも、一筋縄でいく相手じゃないね」
繁華街の雑居ビル群よりも遥かに高く大きく、小山のように盛り上がったその体は無数のツタが絡まりあって出来ている。
その頂点にはまるでワニのような巨大な口があり、時折毒霧を噴出していた。
さらに長く太く触手のように自由に動き回る無数のツタが周囲の建物を破壊し続けている。
その先端には本体と同じく鋭い牙を備えた口があり、コンクリートの壁や金属製の街灯の柱をいとも簡単に食いちぎってしまう。
巨体故の鈍重さをツタの素早さとリーチ、破壊力で補っているわけだ。
「全く、どこのビオ○ンテだよ……」
ただ、ユキには、元の世界にいたとき、これと同じモンスターとの戦闘経験があった。
その時は苦戦させられたが、一度戦った相手ならばパターンも読み切れる。
(私が倒したのはもう一回りは小さなヤツだったけど、なんとかやってみせなくちゃ…)
と、その時、街を破壊していたのと同じツタが私達の魔力に反応して攻撃を仕掛けてきた。
「このっ!!邪魔だぁあああっ!!!」
お兄ちゃんの放った斬撃が緑色の光の軌跡を放ち、群がるツタをまとめて叩き切る。
だが、次から次へと押し寄せるツタの群れの勢いは止まらない。
「だけど、こっちにツタが集まり始めてるのは好都合だな。俺の剣でも斬れるって事は防御も大した事はないだろう。
ユキ、ここで降ろしてくれ!!俺が下で囮になってるから………」
「うん。上空からあの本体に近付いて、スプリームレインボーで一気に決める!!!」
肯き合うのと同時に、お兄ちゃんは私の飛行魔法のフィールドから抜け出て、重力に引かれるまま真下のビルの屋上へと落下していく。
途中、襲い掛かってきた太さ2メートルはあろうかというツタに縦一文字に斬りかかり、その摩擦で落下エネルギーを殺しながら着地する。
「お兄ちゃん、すごい………」
この世界の多くの人間と同様、お兄ちゃんは自ら使える魔力を持っていない。
だけど、最初の戦いで剣に宿った魔力を驚くほど見事に使いこなしている。
お兄ちゃんが剣さばきと押し寄せるツタの勢いが拮抗する。
勝負をかけるなら、今この時しかない。
私はお兄ちゃんが切り飛ばしたツタの合間を通り抜け、一気に植物モンスターの本体へと向かう。
「エアースライサーッ!!!」
お兄ちゃんが引きつけてくれていると言っても、まだまだツタの数は多い。
前方に立ちはだかるツタを右手に顕現させた杖から発生させた、風の斬撃魔法で切り飛ばしながらさらに前へ。
やがて、間近に迫ったモンスター本体と、その周囲の様子を見て私はこみ上げる怒りと憤りに叫び声を上げた。
「……なんて事を…っ!!!」
モンスター本体を囲むように、ツタに捕らわれ宙に吊り下げられた人たち。
男性はツタに締め上げられ、打ち据えられ、体中が傷だらけになるまで痛めつけられていた。
女性は衣服を引き裂かれ、ツタの先端を大事な場所に強引にねじ込まれ、陵辱を受けていた。
「グフ…グファハハハハハハハハ……ッッッ!!!!」
耳障りなモンスターの哄笑が響き渡る。
この怪物は楽しんでいるのだ。
痛めつけられ、陵辱される人々の悲鳴を聞きながら、歓喜の声を上げているのだ。
そして、おそらく、怪物のツタに捕らわれた人々は、いずれ必ず攻撃にやって来る筈の敵に対する盾でもある。
実際、今の状況でスプリームレインボーを放てば、十中八九、彼らを巻き込んでしまう。
403魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:23:36 ID:4FPGp+Rh
「ドウシタ?ヤッテミロ?オレヲ倒スノデハナイカ、魔法使イ……」
「言われなくても……っ!!!」
一斉に襲い掛かるツタの群れを切り飛ばし、私は怪物の巨大な顎の下に取り付く。
「何ヲヤッテイル?ドレダケ近付コウトモ、オレヲ倒スレベルノ魔法デハ周リノ人間ドモモ巻キ添エダゾ!!」
「もちろん!この世界の人たちを、これ以上傷つけさせたりなんてしないっ!!!」
私は右手の杖を怪物の体に直接押し当て、そこにありったけの魔力を集中させる。
「ナ…ナニィ……!!?」
「くらえぇええええええええええっっっ!!!!!」
爆発的な魔力を一気に敵の体内の体液に流し込む。
「動物のような口を持って、自分で自由に動く事が出来ても、あなたが植物である事には変わりない。
そのツタを動かすのだって、筋肉を使うんじゃなくて中に流れてる体液の圧力を利用してる。だから……っ!!」
通常の生物よりも遥かに体内の水分への依存度が高い植物モンスターの体液は、私の流し込んだ魔力の影響で暴走を始める。
怪物の巨体のあちこちが爆ぜ、そこから濃い緑色の体液が噴出した。
周囲のツタ達も力を失い、捕まっていた人たちが解放される。
私は彼らがこれ以上怪我をしないよう、周囲に魔力のクッションを展開し、ツタから落下する人たちを受け止める。
「グ…グアアアアアアアアアアッッッ!!!オノレェエエエッッッ!!!」
モンスターは軋む体を強引に動かし、最後の武器である巨大な口で私に襲い掛かる。
「オノレッ!許サンッ!許サンゾォオオオオオオオオッ!!!!!」
「それは、こっちの台詞よっ!!!」
私は全身に魔法防御を施して、その口の中に飛び込んだ。
光の刃でモンスターの体内を切り裂き、その中心部へ侵入。
そして、敵の体の内部から、とどめの魔法を放つ。
「メイルシュトローム・ブレイカーッ!!!!」
私の魔力をたっぷりと流し込まれた怪物の体液が、その魔法に反応して勢い良く渦を巻き始める。
それはモンスターの巨体を内側から抉り、切り刻み、まるでミキサーにでもかけられたかのようにドロドロにしていく。
「ギアアアアアッ!!!!ガハッ!!グァアアアアアアアアアアッ!!!!!」
やがて、断末魔と共にモンスターの体内は伽藍堂になり、残された外皮は重さに耐え切れず崩壊する。
「ふぅ…前に戦った事のある相手で良かった……まともに戦ってたら、周りのみんながどんな目にあわされてたか……」
崩れ落ちる怪物の中から脱出した私は、無残な残骸に成り果てた怪物を見下ろしながら、ホッと息を吐いた。
以前の戦いでは植物故のタフさに随分と苦労させられたけれど、その時の経験はしっかり役立った。
後は本体を失い、体液の供給を絶たれても、まだ暴れている大型のツタ達を倒せば終わりだ。
だけど、私はそこで違和感を感じた。
(どうして、以前私が倒した怪物をわざわざ送り込んできたの…?)
邪神の末裔達は未だ私が戦った事もないモンスターもたくさん保有している。
今回の植物モンスターは強力で厄介な相手だけど、その使いやすさから戦いの場に出てくる事も多かった。
私にこのモンスターとの戦闘経験があるかもしれない事は、十分予想出来る事なのに……
(まさか……!?)
そこで私は思い出す。
私が初めてこの植物モンスターを倒したとき、隣で一緒に戦っていた人の名前を……。
(アウクモス…師匠……)
ゾワリ、全身を駆け抜ける怖気。
みんなを裏切り、私の国を、ヘヴンズフィルドを壊滅させた裏切り者。
私の師匠……。
彼はあの時の私の戦いを見ていた筈。
ならば……。
ゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!
大地の唸る音と共に繁華街に広がっていたツタがそれぞれ三箇所に集結し始める。
寄り集まり、絡み合ったそれらはやがてそれぞれが先ほど私が倒したのと同じ、怪物の本体の形になった。
404魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:24:15 ID:4FPGp+Rh
(ぜんぶ…仕組まれてたんだ……!!)
一体、一体は一回りほど小さくなっていたが、敵の本体が三つに分かれた事で形勢は完全に逆転した。
(たぶん、どれか一体を倒しても、残りの二体が魔力で復活させてしまうバックアップになってるんだ……これじゃあ、どれだけ戦ってもキリがない…)
最大威力のスプリームレインボーで一気に消し飛ばせば倒せない事はないだろうけれど、
そんな事をすれば街やそこにいるみんなに致命的な打撃を与えてしまう。
まさに、絶体絶命。
そして、手も足も出ない状況に一瞬呆然としていた私はソレに気付くのに遅れてしまう。
三体の植物モンスターから、魔力がたっぷりと込められた体液を供給され、一度は萎れた筈の足元のツタが再び復活しようとしている事に。
「きゃぁああああああっっっ!!!!」
四方八方から再び生気を取り戻したツタが私の腕に、脚に絡みつく。
強烈な力で四肢を拘束された私は、それでも右手の杖だけは放すまいと必死にそれを握り締めていたのだが……
「くぅ…な、何なの?」
私に向けられたツタの先端、そこに大きく開いた口から緑色の毒気が大量に噴霧される。
コスチュームに施された魔法防御がそれを弾くが、膨大な量の毒気はやがて魔法を侵食し、ついに私はそれを吸い込んでしまう。
「かはっ…あっ……ぐぅ……うあ…く…苦し…うあああああっ!!!」
体内に一気に浸透した毒は私に凄まじい苦痛を与え、抵抗する力を奪う。
力の抜けた四肢をギリギリと引っ張られ、毒に侵された体は痛みと息苦しさで満たされる。
だけど、怪物の責め苦はまだ始まったばかりだ。
「ひっ…がぁああっ…い…痛い……うあああああっ!!!」
ツタの先端についた口が、その鋭い牙を剥いて私の体のあちこちに噛み付いてきた。
固く鋭く尖った牙は私の肌に深く食い込み、そこから少しずつ魔力を吸い出していく。
全身に回った毒の効果を抑え、私の生命を維持している魔力が全て奪われれば、どんな事になるかは考えるまでも無い。
「は…放せ…放…して……うぅ…ぐぁああああああっ!!!!」
必死の思いで振り絞った声も、新たな牙で胸元に噛み付かれた痛みに断ち切られる。
どんどんと力の抜けていく体。
無力になっていく私。
怪物はさらにツタの一本の先端からヌルリと長く太い舌のようなものを出現させる。
そして、それをもはや無抵抗で吊り下げられているだけの私の口に強引にねじ込んだ。
私が精一杯に口を開けても持て余すほどの太さを持ったソレは、無理矢理に喉の奥へと進みそこからさらに食道に侵入する。
当然、呼吸など出来はしない。
「ん…ぐぅううっ!?…ぐぅ…んぅ…ぐぅううううううっ!!!!」
酸素の供給を絶たれ、朦朧とする意識の中で、私の体はその苦痛にのたうつ。
怪物はそんな私の事などお構いなしに、ねじこんだ舌状の器官の先端から何かドロドロとしたもの流し込み始めた。
(ああっ…ぐっ……体の内側が……)
謎の粘液がもたらしたのは火傷したかと思うほどの強烈な痛みだった。
恐らく、これもこの怪物の持つ毒の一つなのだろう。
止め処なく注ぎ込まれる毒粘液は食道を流れ落ち、私の胃を満たしていく。
ほどなく、私の胃の中ははち切れんばかりの粘液で満たされてしまう。
だけど、怪物は私の中に流し込む粘液の流れを止めようとはしなかった。
(あ…がは……もう…お腹の中、いっぱいなのに………)
胃袋を内側から破裂させんばかりの勢いで、流入してくる毒粘液。
恐らく、これはさっき、私が怪物の口の中に飛び込んで、内側からその巨体を破壊した事に対する意趣返しなんだろう。
行き場を失った粘液は私の食道を逆流し、舌状器官をねじ込まれた私の口の隙間から緑色の汚れた飛沫となって飛び散る。
そしてもう一方、腸へと繋がる出口からも少しずつ毒粘液が流れ出ていく。
「おぶぅ…ぐぼっ…がっ…うぐぅうううううっっっ!!!」
このままでは毒の効力に殺される前に、体が内側から破裂させられてしまう。
恐怖と絶望に取り付かれた私の心は、ただひたすらにあの人を呼び続ける。
(…お兄ちゃ…たす…けて……お兄…ちゃん……)
涙と鼻水でみっともなく顔を汚した私は、一心にお兄ちゃんに助けを求める。
だが、敵が三体に分裂して復活した今、お兄ちゃんが私の元に辿り着く可能性は限りなくゼロに近い。
きっと、お兄ちゃんが目にする事になるのは、散々に蹂躙され、ただの骸と成り果てた私の姿だ。
(…せめて…も…一度…会いたかったよ……)
やがて、私の心をゆっくりと諦観と絶望が満たしていった。
405名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 01:32:03 ID:c4+w72YV
shien
406魔法少女ユキの人:2010/01/27(水) 01:32:31 ID:4FPGp+Rh
容量の限界が近付いてきたので、新スレを立てました。

オリジナル魔法少女陵辱スレ11【和姦も】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1264523242/

続きはこちらに投下させていただきます。
407名無しさん@ピンキー
十ちゃんは長持ちしたな その分、悲惨な目にあったんだろう