腐肉さんはラブホ襲撃後は未定だったのに、三日足らずで構想を練り
そしてほぼ半年の間超ハイペースで投稿を続けたのか・・・
本当に貴方は何者なんだw
>>524 GJ!!
バイヨネット吹いた
怒涛に人を食らう千絵の如く書き連ねてたからな。
腐肉さんエネルギーぱねぇ。
あなたがオリジナルのオブジェクトか。
527 :
腐肉(P.N.):2010/03/07(日) 18:56:15 ID:WXfwI+/3
[エピローグ]
あれから5年の歳月が流れた。蓮杖千絵は多くの経験を経て、肉体的にも精神的にもより強くなった。
だがそれを成長と呼べるかは微妙だ。外見的成長はあれ以来止まってしまったようで、彼女はまだ18歳の肉体のままだ。
人間としての成長を捨てた、という事だろう。そうして彼女は、青春最後の数年間を過酷な任務に費やした。
彼女の任務は、彼女と同じ“種族”を狩ること。
彼女自身の目的は、忘れられない怪物のあの味をもう一度味わうためであるが、彼女は今や日本政府と、FSB(ロシア連邦保安庁)に雇われている身だ。
千絵は今、ロシア連邦ウラル山脈の西端、かつて軍需産業で栄えたペルミという街の古いアパートに1人で暮らしている。
無論監視の目はあるが、言葉も少しは覚えたし、ささやかながら仕事もして、彼女なりに“人間らしく”振舞えるよう努力している。
この地では18歳と言えど、日本人の顔つきでは幼く見られる事もしばしばで、彼女の周りの人間は皆彼女に対して親切だ。
セックスも覚えた。無論、監視者には内緒だ。
食欲以外を人間のように感じることは無かったが、彼女なりに有り余った体力と食欲・性欲を満たす方法を見つけたのだ。
ペニスを自分の中に受け入れると、ちょっとした丸呑み感覚を味わうことが出来る。自慰のようなものかも知れない。
今は特定の恋人は居ないし、当然彼女に生殖機能は無かったが、見様見真似でぎこちなくしていた頃に比べれば上手くなったと自負している。
その際最も気を付けねばならない事は、相手の身体に自分の“血”を混じらせないようにする事だった。コンドームの着用は必須である。
------------------------------------------------------------------------------------------
2009年12月24日、午後5時。
千絵はもこもこの毛皮の着いたコートを着込み、アパートを出た。
外はまだ雪が降り続いていて、既に膝下まで積もっていた。千絵は雪を踏みしめ、ぎしぎしと音を立てながら歩いた。
辺りはもう薄暗い。ロシアでは、24日の日没から翌25日の日没までがクリスマスであり、つまりもうクリスマスは始まっている。
この時間には大通りは賑やかで、クリスマスソングの流れる明々とした店の光や幸せそうな笑顔を浮かべ手をつないで道行く人々を見ていると、
千絵も何だか嬉しくなった。
美味しそうだとも思ったが。
千絵は大通りから少し離れたレストランバーへやって来た。質素な店で、ガラス戸の中に見えるこんがりと焼けたケバブ用の肉が一際目立っている。
ここが千絵の職場だった。千絵が店に入ると、既に開店しており数組の客がグラスを酌み交わし、肉汁の滴るケバブサンドに食いついていた。
「遅れてごめん!」
千絵はカウンターの向こうに居る太った男に言った。
「良いんだ。今日はクリスマスだから、気まぐれでちょっと早く開けたんだ。」
太った男が笑った。ワレリー・イシュタールはこの店の店主で、同じ外国人の血の流れるよしみで千絵を雇い入れてくれた男だ。
「奥で着替えてきな。こんな店でも、今夜は忙しくなるかも知れないからな。」
ワレリーが言った。千絵は店の奥のワレリーの居住スペースで黒い腰エプロンを身につけると、彼と共にカウンターに立った。
店はお金の無い若いカップルや、1人暮らしの老人、仲間と飲みに立ち寄った初老の男たちなどが入れ替わり立ち代り訪れては、楽しげにグラスを傾けた。
千絵はアルコールが飲めないが、付き合ってチェリージュースで乾杯した。
客足が途絶えた10時過ぎ頃、千絵が炙った肉の塊をスライサーで削ぎ落としていると、入り口の扉の上に付けたベルがチリンチリンと鳴った。
「ドーブルイヴィエーチェル。」
千絵が覚えたてのロシア語で挨拶しながら顔を上げると、厚手のトレンチに身を包んだ神経質そうな眼鏡の男が、カウンター席に座るところだった。
「こんばんは。」
男は日本語で言った。
「…お久しぶりです、村雨さん。」
千絵はスライサーを持ったまま言った。彼に会うのは、あの日の研究所以来、5年振りだ。
「クリスマスのこんな時間まで仕事とは大変ですね。」
「そっちこそ、クリスマスのこんな時間にわざわざ部下の怪物を訪ねて来るなんて大変ですね。」
千絵が言い返した。店の奥に引っ込んでいたワレリーが顔を覗かせる。
「お客か?」
彼は村雨を見るなり、驚いたような顔をして千絵に尋ねる。
「日本人か?」
「うん。故郷の話で、盛り上がっちゃって。」
千絵は愛想良く笑ってみせる。ワレリーは安心したように頷いて言った。
「じゃあ、しばらく任せても良いか?」
「了解だぜっ。」
千絵が敬礼して見せた。ワレリーは笑いながら再び店の奥に姿を消した。
「上手くやっているようですね。」
村雨が言った。
「何それ。お父さんの台詞みたい。場末の酒場ってよりは、ちっとは洒落てて良いけど。何飲みますか?」
千絵はスライサーを置いて酒瓶の並んだ棚の方へ歩きながら言う。
「仕事中は飲みません。」
「じゃあチェリージュースね。」
そう言って千絵は勝手にグラスに紫色のどろっとした液体を注いだ。
「本当の父親だったら、今頃胃の中だね。」
千絵は冗談のつもりで言ったが、村雨はくすりとも笑わず黙ってどろっとした紫の液体を一口啜った。元々期待はしていない。
「“人間ごっこ”は上出来のようですが、任務の方は思わしくないですね。」
村雨は目の前のグラスを覗き込んで顔を顰めながら苛立たしげに言った。
「せっかちは老化の始まりですよ、村雨さん。」
千絵はけろっとして言った。
「憎まれ口を叩けるのも今の内だ。」
村雨が語気を強める。
「10月頃から失踪者が増えているそうですね。マフィア関係との噂もありますが…」
その時、ドアのベルがチリンチリンと鳴り、冷たい雪混じりの外気が店内に吹き込んだ。
見ると、スタニスラフ・エーゴロフ青年がコートの雪を払いながら入ってくるところだった。地元のホッケーチームに所属している青年。
千絵に気があるようで、最近練習の後はいつもこの店に、千絵に会いに来る。
「うぅ、寒っ。」
スタンは震えながら呟くと、店の奥のソファにどさりと腰を下ろした。
「プリヴィエート、チエ。」
スタンは村雨がただの客だと思って朗らかに千絵の名を呼んだ。千絵は彼に向かってちょっと笑顔を向けると、村雨に向き直った。
「今すぐ帰った方が良い。」
村雨は一瞬驚いたようだが、すぐに千絵を睨み付けた。
「それは脅しですか?」
「チエ、その人、知り合い?」
後ろからスタンの戸惑う声が尋ねる。2人の言葉は分からないが口調からただならぬ空気を感じ取ったようだ。
「いいですか、蓮杖千絵。私は君をこの街に、“奴ら”を探し出すために送り込んだ。だが止まらぬ失踪事件にFSBも業を煮やしている。
君がこの町に来てからの3ヶ月でマフィアとは無関係の女子供まで消えているのは、どういう事です。」
「その犯人を始末するのが任務、でしょ?」
千絵が言った。
「確かにそれが君の仕事だが、君の本性は違うだろう。」
村雨が語気を強めた。
[続]
おお?ちょっと不穏な雰囲気??
続きが凄く気になる
レス下さった方どうもありがとうございます!
腐肉さん応援してるんでがんばってください
また機会があれば投下したいなと思っております
ではROMに戻ります
「何の話だ!?」
村雨の背後でスタンがうろたえて言う。
「あんた何なんだよ、おっさん。」
スタンがソファから立ち上がり、村雨の肩を掴んだ。村雨が振り払おうとしたその時、スタニスラフ・エーゴロフが口を大きく開けて村雨に襲い掛かった。
いつもは優しく微笑んでいる青年の下顎がぱっくりと割れ、蜘蛛の口のように縦に開くと鋭い牙をむき出しにして村雨に迫った。
「こいつ…っ!」
村雨が細い目を見開いた。だが時既に遅く、青年の牙が深々と彼の肩に突き立てられた。
「ぐっ…蓮杖さん、早くっ…」
村雨がそう叫ぶが早いか否か、だぶついたジーンズに包まれた千絵の脚がカウンターを跳び越え、村雨ごと変貌したスタンを蹴り飛ばした。
村雨は怪物と一緒に店の壁に叩きつけられ呻いた。先ほどまで村雨の座っていた椅子の上に千絵がひょいと着地すると、怪物の重みで丸椅子が軋みを上げた。
「だから帰れって言ったのに…。」
千絵は呟きながら腰からケバブ肉の汁で汚れたエプロンをするりと外した。
「蓮杖っ…何を…」
村雨が掠れるような声で言った。噛まれた肩から夥しい量の血を流し、蹴り飛ばされた衝撃で骨が何本か折れているらしい。
その時彼の下敷きになっていたスタンが叫び声を上げ、次の瞬間村雨の腹部から、血と臓物を飛び散らせ怪物に変容したスタンの力強い腕が飛び出してきた。
「うぐふっ…!!」
千絵は村雨を無視して赤いフード付きのセーターの前ファスナーを開けた。
真っ白な腹が露わになったかと思うと、綺麗に割れた腹筋の間に縦に亀裂が入り“第二の口”が姿を現した。
「私まで殺す気か…!」
「勘違いしないでよね?」
千絵は両腕を延ばして頭の上で絡ませると、第二の口を開いて触手を解放した。触手は村雨ごとスタンの身体に巻き付き、締め上げる。
「私の任務は“お食事”であって、あなたを守る事じゃない。」
千絵はくすりと笑う。怪物との戦いに疲れた男の顔に滲んだ恐怖が、千絵の快楽を誘った。
「名誉の戦死だよ、村雨さん。」
そう言って千絵は2人の身体をばくんと呑み込んだ。スタンが奇声を上げて千絵の口の前で手足をばたつかせてもがいたが、第二の口を勢い良く閉じると、
ホッケーで鍛えた腕と脚はあっけなく折れ、血しぶきを上げながら胃袋の中へ姿を消した。今となっては慣れ親しんだ極上の肉の旨みが全身を駆け巡る。
怪物の濃厚な味に村雨の貧弱な肉の味はすっかり掻き消されてしまい、
代わりに村雨の胃の中から染み出たチェリージュースの味がほんのりと千絵の中に広がった。
千絵は口の中をもごもごさせて、ぺっと何かを吐き出した。べとべとの唾液に塗れたそれは、フレームが歪んでレンズに皹の入った村雨の眼鏡だった。
その時、店の奥からドタバタと音を立ててショットガンを手にしたワレリーが現れた。ワレリーは、腹を膨らませた千絵に銃口を真直ぐ向けると叫んだ。
「この化物め!!」
その声を合図にしたかのように、店の奥から更に5人の柄の悪そうな男たちが、ショットガンやサブマシンガンを構えてどかどかと押し寄せてきた。
「面倒見てやったのに、スタンを喰いやがった!!」
ワレリーが喚いた。いつもの陽気な笑みが信じられないほど険しく歪んでいる。彼らはマフィアだ。
そしてスタンのホッケーチームはこの二月の間に全員怪物へと変貌しており、マフィアと結びついて街の人々を襲っては喰っていた。
「一つ教えて。スタンを“あれ”に変えたのは誰?ホッケーチームの誰か?それとも、別の“何か”?」
千絵はワレリーを見据えて尋ねた。
「さあね、知るかよ。奴ら、突然現れたんだ。俺たちは商売をしてるだけだ。その役に立つ事以外、化物なんかは御免だね。」
ワレリーは凄んで見せた。だが肉厚の額に浮き出た脂汗は隠しきれて居ない。
「よく言うよ、自分たちも同じくせに。」
千絵は溜息を吐いて、カウンターの向こうのこんがりと焼けたケバブ肉に目を遣った。
「“おこぼれ”をああして売ってたくせに。」
「いつから気付いてた?」
ワレリーは驚きを隠せずに尋ねた。
「最初に店の前を通った時。人肉は見ればすぐ分かる。」
千絵はにやりと笑った。大方あの肉は、ファミリー同士の抗争で殺されて死体の処分に困った結果“切り売り”された幹部だろう。
ワレリーは千絵を睨んだまま戸口へ歩み寄ると、ドアに掛かった「開店」の看板を裏返し「閉店」に変えた。
「なぁ、スタンの事は水に流そう。だから俺たちの仲間にならないか?」
ワレリーが不気味な笑みを浮かべた。
その邪悪な笑みは、どことなくつい先ほど“殉職”した村雨に通じるものがあり、千絵の背筋に悪寒が走る。
「お前なら俺たちと一緒にこの街に、いやこの国に、君臨する事が出来る。お前も、居場所が欲しい。そうだろう?」
「違うよ。私は腹が減っているだけ。ここんとこ凍った牛ばっかりで、うんざりしてたんだ。」
千絵はくっくと喉の奥で笑った。
「今の私は、“底なし”だよ?」
ワレリーの表情が恐怖と嫌悪に歪む。隠れ蓑として、爺様の代から受け継いだ店だったが、仕方あるまい。
太った店主は醜悪な形相で叫び声を上げた。
「殺せええええええ!!!!!!」
[続]
やべぇ千絵かっけぇ
村雨まで喰っちまうとは・・・
何かもう、続編のノリですね
この盛り上がりでエピローグ・・・だと・・・
いやこれ新章スタートしてんだろ
いや、エピローグだからこの後ちょっと潰したら終わりじゃね
541 :
ますたー:2010/03/10(水) 12:56:51 ID:LahF3Aah
>>521 あぁ・・・
先に上手い人に絵あげられちゃったみたいだなぁ(;_;)
くそっ!誰かおれのやる気スイッチを探してくれort
この作品がまだまだ続くといいなw
>誰かおれのやる気スイッチを探してくれ
丁重にお断りします。
543 :
ますたー:2010/03/10(水) 16:51:05 ID:LahF3Aah
多分やる気スイッチはないのだろう・・・
腐肉さんはすごいなあ。
おれも、がんばって絵を描こう!
乞食より性質が悪い…
もうおまえ帰っていいよ
絵も特に期待してない
気になってたんだ、何のますたーなの?
べーしょん?
ただSS読んでGJ言うだけの人形が、微力とはいえ何かやろうとする奴に口出しするなよ。
文句言うだけなら誰だって出来る、気に入らなきゃお前らも何かやれ。出来なきゃ黙ってろ。
>>547 すんごい上から目線ですけど何様ですの?上級乞食かナニかですの?
五月蝿いな
喰われるのに集中できないじゃないか
残念だよ、半年間共に腐肉さんの愛読者だった連中がこんなくだらない奴らで
無数の銃弾が、一秒間に十数発のペースで発射された。
店内は工事用の重機のような耳を劈く発砲音と、フラッシュのような閃光に包まれ、グラスや酒瓶が、次に椅子やテーブルが破片となって宙を舞う。
一頻り辺りの物が砕け散ると、ワレリーは発砲を止めさせた。
だがガラスの無くなった窓から吹き込む風に、埃や薬莢の煙が薄らぐと、彼はぎょっとして我が目を疑った。
あの怪物がまだ目の前に立っているではないか。
その身体を包んでいた洋服は銃弾を受けて殆ど吹き飛んでいたが、真っ白な引き締まった肉体には、傷ついた形跡が無い。
ワレリーは、部下達の動揺を感じ取った。しかし実際のところ、誰よりも動揺しているのは彼自身だった。
千絵は顔を上げ、歯に挟まったものを舌で取り除こうとしているかのように、もごもごと口の中を探ったかと思うと、次の瞬間
彼女の口から何かが物凄いスピードで飛び出し、ワレリーの片脚に命中した。
「ぎあああああああああああああ!!!!!!!!!」
ワレリーは太った身体を捩じらせて悲鳴を上げる。
見ると、ズボンに穴が開き、脚の肉に何かが食い込んでいる。それは彼が怪物に向けて発射した、百発の銃弾の内の一つであった。
千絵はべーっと舌を出し、残りの無数のひしゃげた銃弾をじゃらじゃらと吐き出した。
ぺっと吐き出された最後の一個が、彼女の足元に出来た弾丸の山の上に落ち、チャリンと音を立てた。
ワレリーは倒れたまま額に脂汗を浮かべ、唖然として怪物を見上げた。自分が史上最強の生き物を相手にしているのだという自覚が、彼には足りなかった。
「種も仕掛けもございません…。」
千絵が呟く。
「アブダカダブラ。」
魔法の呪文を合図に、再び彼女の身体から触手がするすると這い出した。
大きく裂けた秘所から延びた細かい襞の付いた無数の触手は背中に回り、肉で出来た天使の翼さながら空間いっぱいに腕を広げ、
巨大な影をマフィアたちの上に落とした。
「あああああああああああ!!!!!!!!!」
哀れなごろつきどもは逃げ惑う隙も無く、あっという間に触手に捕らわれた。
一本絡みつくと、すぐにたくさんの触手が身体全体に巻き付き、巨大な肉の繭となって全身を包み込んだ。
男たちはスタン同様、その怪物の本性を明らかにして抵抗を試みた。だが千絵の前にはもう、屋台に並ぶ魚も同然だった。待ち受ける運命は餌になるのみ。
彼らは繭の中でゆっくりと消化され、彼らの血肉から溶け出した怪物の旨みはチューブのように変形した触手を伝って千絵の中へと取り込まれた。
千絵は、倒れながらも震える手で握り締めたマシンガンの銃口を彼女へ向けようとしている愚かな一人の男にゆっくりと歩み寄り、その腕を無慈悲に踏み抜いた。
骨が砕ける音と共に腕が千切れ、銃が床に落ちて暴発した。
流れ弾が、片脚で何とか起き上がって逃げようとしていたワレリーのもう片方の脚に当たり、太った男は甲高い悲鳴を上げて再び無様に汚い床の上に倒れた。
触手が、腕をもがれた男の脚と胴体を捕らえた。彼は残された腕で必死に何かにしがみ付こうとしたが、そのまま床をずるずると引き摺られた。
彼は千絵のまだ知らないロシア語で必死に命乞いの言葉を叫んだ。
だが千絵の足元まで来ると、どんな抵抗もどんな命乞いの言葉も空しく、ごきゅんと下品な音を上げてその底なしの胃袋に吸い込まれて行った。
千絵が肉の繭を解体し触手を体内に引き戻すと、白骨だけの哀れな姿となった男達ががらがらと音を立てて床の上に散らばった。
その骨も、半分消化されて河原の石のように凹凸の少ないカルシウムの塊と化していた。
5人のマフィアを喰い尽すと、店には千絵とワレリーだけになった。
ワレリーは銃弾がめり込んで出血した脚を引き摺りながら、腕だけで床を這って店の奥に逃げ込もうとしている。
千絵は、太ったなめくじのような憐れな男にゆっくりと歩み寄ると、肉が裂けて弾丸の埋まった脚をぐりぐりと踏み躙った。
ワレリーは悲鳴を上げ、身体を仰向けにして目の前の猛獣に向き直った。
千絵は徐に身をかがめ、肥満体を包むシャツの襟首を掴んで自分の口元に手繰り寄せると、彼の目の前で、悲鳴をも掻き消す様な凄まじいゲップを吐きかけた。
そのけだものの咆哮のようなおぞましい音と、地獄の底から込み上げるような、熱くむせ返る様な死の臭いに、ワレリーはすっかり縮み上がった。
「や、やめてくれ…俺はあいつらとは違う、人間なんだぁぁ…」
ぶよぶよと肉の乗った顔面で涙と鼻水が混ざり合って汚らしく垂れた。股間をじわじわと、5つの時以来初めて漏らした小便が濡らして行った。
千絵は身を屈め、太った男の股間に手を宛がうと、ほかほかする臭い小便塗れのペニスをきゅっと握った。ワレリーは小便しながら勃起した。
千絵の口からぺろりと蛇のような長く太い舌が顔を出し、ワレリーの汚い顔や、服の下のぶよぶよと醜く肥えた腹を舐め回した。
「知ってる。あんたは人間。だから…」
千絵は恍惚の表情を浮かべ、小便塗れの手をぺろりと舐め、その手を自分の腹に這わせて言う。
「思う存分、嬲ってあげる。この中で。」
「や、やめっ…」
ワレリーは情けない声で訴えかけたが、寄り添う千絵の肉体の躍動に絶頂に達しようとしていた。だがどの道、命乞いは彼女の耳には届かない。
千絵は舌を仕舞うと徐に口を開いた。蜘蛛のように開く下顎から、秘所まで裂けた、胃袋への入り口を。
エクスタシーと苦痛、人のありとあらゆる感覚が一体となる地獄のような桃源郷への入り口を。
だがその淵にずらりと並んだ無数の鋭い牙を見るや、ワレリーは悲鳴を上げた。
その一本一本が彼の肉を貫き骨を噛み砕く様を想像しただけで彼は、射精する代わりにもう一度失禁した。
千絵の目がにゅぅっと細くなり、その畏怖と恐怖に歪んだ顔を満足げに見下ろして呟いた。
「いただきまぁす。」
ばぐんと音を立てて、千絵の口が閉じた。ワレリー・イシュタールを巨大な胃袋に閉じ込めて。
合わさった鋭い歯と歯の間から、彼が呑まれる瞬間に射精した、どろっとした精液がこぼれ、千絵の秘所からぽたぽたと数滴床に落ちた。
千絵は目を瞑り、体内で溶け行く肉から染み出る血の味を堪能した。
それから腹を擦ると、彼女の胃袋に収まる全ての生き物がこの世に最後に残す残滓を、千絵は満足げに吐き出した。
「げぇええっぷ… ふぅ。」
その咆哮は降りしきる雪の中に吸い込まれ、家族と幸福なクリスマスを祝う近所の人々の耳には随分と遠くの音に聞こえた。
どこかで、獣が鳴いている。
夜の時間は獣の時間。人間が立ち入ることの許されぬ、魍魎たちの時間。人々は窓辺に寄ると、カーテンを閉めた。
ガラスに張られたその布が、夜は全ての生き物の上にやって来るという事を、覆い隠してくれるかのように。
その夜、雪は街中に降り積もった。全ての生き物たちの上に。全ての幸福と、全ての不幸の上に。
-----------------------------------------------------------------------------
骨に僅かのゼリー状の筋肉しか残っていないような状態でも尚、痙攣するように動いていた腹の中のワレリーが、ようやく静かになった。
千絵は、誰も居なくなった荒れ果てた店で1人、チェリージュースで聖夜を祝った。彼女は脚を組むと、足首に巻いた鎖のアンクレットから血を拭き取った。
そこに付いている、みすぼらしい拉げた金属のチャームが何なのか知る者は、もうこの世に彼女しか居ない。だがそれはもう、枷ではなかった。
「メリークリスマス。」
千絵は呟いた。その空気の微かな震えが、どこかの誰かへ届く事を願って。そうして、クリスマスの夜は更けた。
完
最後、変に期待させてしまったようですみません、これで完結です。
最後の最後に荒れてて書き込み辛いし気分が悪いですが、私のせいならごめんなさい。では
>>554 乙だが、あんたがそんな煽りをする奴だとは思わなかった。
最後の最後で幻滅した。
>>554 貴方が原因ではなく、構ってちゃんが原因ですから御気になさらず
大作投下お疲れ様でした、いつも楽しく読ませていただきました
また機会があればよろしくお願いいたします
>>554 実に半年近くお疲れ様です。
また気が向いたら書いてくださいね。
あなたのせいじゃないですよ。
悪い空気にレスすると悪化する一方なので
放置するしかなかった自分が恨めしい。
>>554 長期連載お疲れ様です。感動しました!
まあ腐肉さんからすれば煽りも何もそれが本心でしょうが
555みたいな構ってちゃんが一々反応するのでほっとけばいいですよ。
貴方のファンはあんなのばかりじゃないですから。
>>554 今まで素晴らしい作品をありがとう。
そして、お疲れさまでした。
次回作も期待して待ってます。
完結お疲れ様です
改めてみるとすごい文量…!
度重なるアクションや展開にも驚かされました
捕食描写も艶めかしくグロテスクなのに萌えた
けれどもやっぱり千絵は孤独なのですね…どう生きていくのだろうかと妄想中
不穏な空気になると書き手読み手共に辛い
跳ね返す力があるのですから無視が一番です
祝完!ちょっぴり切ないぜ・・・
ここ最近の荒んだ雰囲気も、作品が終わってしまう寂しさの裏返しですよ
フェチ板の概念をくつがえす歴史に残る名作でした
ともあれまずはその偉業を讃えて、お疲れさまです!
>>554 躍動感溢れる引き込まれるような展開と多彩な表現が魅力的な作品をありがとうございます
数日前に発見して一気に読ませて貰い、ラストはドキドキしながら待たせて貰いました
ご自身の美学を感じさせるラストでキレイに完結したのは凄いことだと思います
また機会がありましたら是非作品を読ませて頂きたいです
>>554 大長編の投稿、お疲れ様でした!楽しく読ませていただきました!
日々の更新が待ち遠しかった日々……さらば。
またいらして下さい。
――そして気付けば次スレの時期だこれ。
お疲れさまです! 本当に。
毎度毎度わくわくしながら読ませていただきました。
千絵の孤独がちょっぴり切ない……
いやー
引越してネットできなくなる前に
最後まで見れてヨカッタ!!
腐肉さんほんとにGJ!!
腐肉さんは間違いなく伝説に残る名SS職人だね
自由になった千絵がこの先どう生きていくのかwktkするよ!!
とうとう終了か…感慨深い
腐肉さん、このスレの住人は皆千絵とあなたを忘れないよ
ところでペルミって、去年の暮れにクラブかどこかで大火事があったとこですか?
漫画の方がぴくしヴに新しい一枚絵を上げているぞ
>>554 長い間GJでした!
余韻を残してスッと終わらせるラストがイイ!
やっぱ腐肉さんは凄い人だった
最後ちょっと荒れたのは一人が騒いでるだけだからご愛嬌ってことで
こんなスレだからたまに魑魅魍魎くらいはやってくるさ