「何よ…遅いじゃないの…」
机を指でこつこつ鳴らす。
毎年バレンタインになるとあいつが来るのに…今年は遅いじゃない。
もう日が暮れるわよ?もしかして忘れてるわけ?ほんと…馬鹿。
「もう…知らないわよ」
待ってるわけじゃないわ、決して…きっと。
玄関の鍵を早く閉めてしまいたいだけなんだからっ!
西陽が眩しくてカーテンを閉める。
今日は珍しく、偶然、早起きしたのに…
「鍵…閉めてもいいのね…知らないから…もう…」
いっ、いじけてなんかないわよ!
あいつは毎年毎年何週間もかけてプレゼントを選んでいる。
昔からそうだったわね…。
100本の薔薇を送り付けてきた事もあった。捨てはしないわよ…確かドライフラワーにしたっけ。
指輪や服、ピアス…。
どこかにしまってあるはずだわ。
…来ない。来ない…。
それとも何、そういう作戦なのかしら?
来ると思わせておいて来ないのね。
普段の仕返しかしら?女々しい…
玄関の鍵に手をかける。
でも手が動かなくて。
これを閉めてしまったらあの大男が来ない気がしたの。
って、何を私はあんなやつの事…!
「…閉めるわよ」
鍵を回し始めた時、誰かが戸を叩いた。
すぐに返事をしたら待っていたみたいで嫌だから、3秒待って扉を開ける。
「あらシスター、何か用かしら?」
「マリア…」
息切れしてるじゃないの。
何をしていたんだか…
「こ、これを…」
男の手には白い箱。
待って、その箱に書いてある文字…ブランド名…
「君が、欲しがっていただろう…」
…そうだわ、ずっと前に私が欲しかったもの。
雑誌で見つけてこんなの欲しいわねなんて言ったような…
「あなた、そんなの覚えてたの…?」
「受け取ってくれ…ないか」
この男が息切れするなんて、随分遠くまで行ってきたのだろう。
「…仕方ないから受け取ってあげるわ」
「ありがとう…マリア」
男は『じゃあ』と一言言って、そそくさと帰っていった。
扉を閉めて、その場に座り込む。
「あの、馬鹿…」
箱を開けると、雑誌で見たものと全く同じだった。
「この指輪の意味、知ってるの…?」
『伝わらない恋』
それをあなたに知ってほしくて、欲しいなんて言ってみたの。
「はぁ…鈍感なのは、昔から変わらないわね」
私から言わせるつもり?冗談じゃないわよ。
絶対言ってやらないんだから!
…でも、
「……大好きよ、シスター」
ふたつめ
「シスター」
振り返るとケープを羽織った彼女がいた。
「お、おお、マリア」
「はい、プレゼント!」
「…!」
突然彼女に渡された包み。
ハート型のその箱は…。
「あら、もしかして今日は何の日か知らないの?さすが馬鹿ね」
「今日…2月、14日」
「そう、バレンタインよ!」
「ば、バレンタイン…!?」
「ふふっ」
彼女が楽しそうだという事はきっと罠…。
しかし、彼女が笑ってくれるなら…引っかかるまで!
「ありがとう、マリア!」
「どういたしまして!さあ、開けてみて!」
「…」
赤いリボンをほどき、箱を開く。
そこには…チョコレート。
「…?」
「…何よ」
「食べても、いいか?」
「どうぞ?」
「い、いただきます!!」
唐辛子でも入っているのだろうか?それとも、睡眠薬か?
「…美味しい」
それは辛くもなく、苦くもなく…。とびっきり甘いチョコレートだった。
「毒なんか盛ってないし辛くもないわよ、変態」
「…ありがとう、マリア」
「何回も言わなくていいわよ」
彼女はそっぽを向く。
その表情がなんとも愛しくて。
「……余った、だけだからっ」
「そうか」
「くっ…!」
赤いのは夕陽か、彼女の頬か。
チョコの甘い香りが二人を包んだ。
みっつめ
起きた頃よりも少しづつ外が明るくなってきた。
部屋の中にはチョコレートの甘い香りが漂っている。
「そろそろ溶けたかしら…ふぁ…」
眠い。
でも…今年は頑張ってあげるわよ、仕方ないから!
ボールを鍋から出し、お湯を捨てる。
「次は…」
なかなか起きない頭でレシピをめくる。
「大体がなんで私が…」
何度言ったかわからない独り言をつぶやく。
ああ、牛乳がないわね…。
リビングの椅子にかけてあったカーディガンを羽織って、外へ出る。
「さむ…」
ねむ…。
昨日搾った牛乳のボトルが牛小屋の横にあるはず。
かじかむ手を息で暖める。
手袋してこればよかったわ…。
キッチンへ戻って牛乳とチョコレートを混ぜていく。
「美味しそうじゃないの…悔しいからコーヒー豆入れてあげるわよ」
側にあった缶からコーヒー豆を5粒ほど出し、適当に砕いてチョコレートに混ぜる。
「あとは型に入れてっと…さ、もう一度寝ましょ」
ハート型の型にチョコレートを流し込んで、冷蔵庫に入れる。
時計を見るともうあいつは起きている時間だった。
Happy Valentine…my darling.
終わりです
文才とマリア様のチョコレートが欲しいです神様
ツンデレの極致を見た
甘いバレンタインをありがとう!
恋ってなんだったかしら…。
それは、ずっと前に終わってしまった気がする。
でも目の前の男はいつだって、「愛している」だの「好きだ」だの…。惜しげもなく愛を囁いてくる。
私には応えられない。
一度応えたらどんどん深く、依存してしまう気がして。
それに、こんな女装癖の相手なんて時間の無駄だわ。
彼の愛する自分は過去の自分のはず。
今の自分は彼の望む自分じゃない…。
「…リア…?」
「へっ、な、何よ」
色々考えていたら、男が自分を呼んでいた事に気が付いた。
「大丈夫か?ぼーっとしていたようだが…」
「大丈夫よ、余計なお世話ね」
「ぐっ…すまない…」
やつは血を吹く。
この傷、昔からあったけど…
…べっ、別にどうでもいいわよ!
「…ねえ」
無意識に彼を呼ぶ。
「な、なんだ」
「あなたが好きなのは、昔の私でしょう」
聞きたかった疑問。
でも答えは聞きたくなかった。
口が勝手に先走った疑問。
ずっと、胸に秘めたままで…
「いや、昔の君も好きだが…」
やめて、言わないで……
…え?
「今の君の方が、好きだ」
…嘘、でしょ
「…そんな真面目な顔で嘘つくなんてとことん器用ね」
「違う、嘘ではない」
「…」
彼の青い瞳に吸い込まれそうになる。
目が合う瞬間はいつもどきりとする。
言う事が見つからなくて、目線を逸らす。
「どうしてそんな事を聞くのだ」
「…別に」
「…君は、君だろう」
大きな手で、頬に触れられた。
「その表情、昔のままだ」
優しげな目で覗き込まれる。
そんなに優しくしないで…
あの時みたいな思いはしたくないの…。
「…マリア」
「…何よ」
「ずっと、これからも、愛している」
「…」
不器用に、ごつごつした腕に抱きすくめられた。
その感覚が妙に懐かしくて。
「…変態」
男の頬を抓り、小さく抵抗をする。
見上げた空はいつもと変わらなかった。
終わり
ちょっと弱気なマリア様が書きたかった
シスマリ最高
乙!
>>445氏はもうサイト持った方がいいレベル
久々にきたらいいシスマリがたくさんで幸せ
乙です
「私…妊娠したみたい」
「…ん!?」
「…」
今、なんと…!?
彼女は何とも言えぬ表情で見上げてくる。
「あ…あ…」
「シスター…?」
「ありがとう……マリア!!」
思わず彼女を抱きしめる。
しかし…いつ…
「やっ、ちょ…苦しいわよっ」
「え、あ、ああ、すまない!!」
「耳元で叫ばないでくれる…」
「すまない…!」
「…そんなに、喜んでくれるのね」
「あっ、当たり前だろう!」
「…シスター」
彼女は少し困ったような様子だ。
私は何か余計な事を言っただろうか…
「冗談、だったんだけど…?」
申し訳なさそうな、彼女には珍しい表情だ。
冗談…
ああ、私とした事が…
「お…あ…そ、そうか…」
「…シスターは変態さんだからもう頭の中で計算してたんでしょうけどね」
「なっ、そんな事はない!!」
「そうかしら」
彼女は心底楽しそうだ。
はは…冗談か…。
「まあ、でも……」
「…ん?」
「…何もよ、変態」
「ぐっ…」
彼女はどこか嬉しそうだった。
いつか、冗談ではない報告が聞きたいものだ…。
終わり
シスマリ成分不足…
マリアさん可愛いよマリアさん
「…マリア」
日付が変わった頃。
中々寝付けなかったので河川敷へ散歩に出ると、彼女が座り込んでいた。
自分の気配には気付いていないようだ。
ぼんやりと月を眺めている。
マリアはそれだけで絵になるな…。
後ろからおどかしたりしたら殺されかねないので、普通に声をかける。
「マリア、寒くないのか」
「…あら、シスター」
彼女の声にひっそりと哀愁が漂っている。
しかしそれとは対照的に、彼女は
機嫌がいいようだった。
側に寄り、ちゃっかり横へ座ってみる。
「…ちょっと、ロリコンのくせに何厚かましく私の横に座ってるのよ」
「…すまん」
「早く離れなさいよ」
「私は動かないぞ」
「何よ…」
「…嫌なら、君が動けばいい」
彼女ははっとしたように、そっぽを向いた。
「なんで私が動かなきゃいけないのよ、ふざけないで」
「ふざけてなどいない」
「くっ、この…!」
風が彼女の髪を揺らす。
「3ふ……30分だけだからっ」
月が彼女の頬を照らす。
それはピンクのベールがかかっているようだった。
月が、綺麗な夜だ。
終わり
マリア様はシスターの嫁
453 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/18(日) 23:51:37.19 ID:l4Rt+YBj
シスマリも好きだが
そろそろリクニノも読みたい
職人さん来てくれ
シスマリなら延々と書き続けられるがリクニノは何かなあ
職人さん頑張って
過疎ってるな…
にーのにのにのにーのにの
457 :
名無しさん@ピンキー:2012/04/15(日) 00:35:20.99 ID:PJ3youE2
マリア様あああああ
マリア様がかわいすぎていいぞシスターもっとやれ
ほしゅ
461 :
名無しさん@ピンキー:2012/07/06(金) 00:00:23.52 ID:e6SusIrN
そういやどんくらい書き込まなければ落ちるんだ?
こういうのすぐ落ちるイメージあるけど
「今日は涼しいわね……っと」
簡素な小屋の一室、朝日を横目にマリアは身支度を進めていた。
ネグリジェを簡単に畳んで椅子に掛け、黒いワンピースに腕を通す。
そして、いつものエプロンに手を伸ばしかけた時、誰かが戸を叩いた。
「何よ、こんな早朝から…」
窓からちらりと覗くと、見間違いようもない、大きな影。
「はあ…」
しばらく放っておこうかと思ったが、どうせ外に出なければいけない。
裸足のままフローリングを通って、扉を開けた。
「おはよう変態さん、こんな早くに何の用かしら」
「おはよう、マリア…いや、そろそろ君は起きている時間かと思って、だな」
どこかいつもと違う様子。
「何よ、はっきりしなさいよ」
「いや、別に」
「…」
どこかおかしい。
そう直感で思う。
「熱でもあるの?」
少し背伸びをして額に手を当てるが、いつもと同じ。
「あー、いや…」
「…それ以上何も言わないなら閉めるわよ」
「わ、わかった!言う…!」
まるで小さな子どもみたい。
「……さっき、引き出しの奥からこんなものを見つけて、な」
「…!?」
「君から貰ったはずなんだが…」
「…」
やめて。
昔の話なんてしないで。
胸の奥が締め付けられる感覚がした。
あの頃の私。
この男が愛している、私。
「マリア…?」
「…あなたは」
「?」
「あなたは、今でも…!」
「…」
私のこと、アイシテルノ?
言葉に、ならない。
否、したくない。
聞いてしまったら、それきりな気がして。
あの笑顔も、あの温もりも、全部、全部。
大きな手の中で揺れるペンダントの光に照らされて、知らず知らずのうちに涙がこぼれる。
「ど、どうした!?」
「…っ」
男は無表情の中で、あたふたとしている。
私が涙を見せるなんて、初めてだから。
「そ、そんなに思い出したくなかったか…?」
「……」
違う、違うのよ。
思い出したくないわけじゃない。
ただ…
「ま、マリア」
「今でも私のこと…愛してるの……?」
「…!」
ついに無表情が驚きに染まった。
止まる時。
駆け抜ける微風。
「…それは」
「…」
「ーー」
暗くなる視界と共に、告げられた真実。
今はただ、それに身を任せていたかった。
3レスも使ってしまってかたじけない。
やはりシスマリはいいものだ。
ほしゅ
荒川
アンダー
ザ
ブリッジ
「んっ…あ…シスター…あなた私が目の前でこんな事してるのに…ん…まだ脱がないつもり…?」
「マリア…そのような事は…いけないと…!」
「ねえ…」
「…!」
「きゃっ、ちょ…っ」
みたいな展開のss待ってますけど
リクニノでひとつ・・・
リクニノの「初めて」はニノが雑誌で見た知識を見よう見まね(?)で実践する
みたいなのを妄想してる
リク「痛い痛い痛い痛い痛い!!!止めてくださいマリアさん!!!僕の体は絞っても内臓的なものが出てくるだけですから!!!」
475 :
名無しさん@ピンキー:2012/11/11(日) 15:23:53.42 ID:VKAfHL0e
ほ
しゅ
477 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/05(火) 19:55:52.11 ID:c8VdknDF
あらかわ読んでシスマリにはまった
お願いします
478 :
名無しさん@ピンキー:2013/02/16(土) 03:01:43.18 ID:zKp8xDBG
ほしゅ。
神が来るの信じてる
479 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/01(金) 21:11:23.89 ID:zjJH57SK
ほ
ねぇ。…の木の下で…て本、読んだことある?
大事な部分が聞こえない…これは夢なのか?
身体が動かない…頬に触れる細い、冷たい指先の感触 マリア 見れば白い三角巾をしたマリアの首を傾げる姿
続きをくださいm(_ _)m
シスマリが好きなのよ〜
481 :
名無しさん@ピンキ−:2013/03/08(金) 23:16:42.12 ID:gJuJENG4
村長とP子のエロないかな-
482 :
名無しさん@ピンキー:2013/04/06(土) 21:52:18.41 ID:uWRXsMXQ
しゅ
マリアさーん
はあい
485 :
名無しさん@ピンキー:2013/06/18(火) 00:39:30.60 ID:eEFqbGoX
シスマリ書く。
犯されるって警戒したことないのか?
随分な言葉だごと。あなただから警戒してないって言わなくてもきずいてほしい物だわ。
チッと目の前にいる彼にきこえるように舌打ちをした。
君がいけないんだ。リクとあんなことをして・・・・!
冗談って言わなきゃ絶対貴方はきずかないわよね。
久々の保守
487 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/08(日) 20:10:31.98 ID:iLuHuedw
ほっしゅ
シスマリ読みたいなー