211 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/13(月) 22:24:22 ID:2z70v8LZ
サマーウォーズのスピンオフってでんのかね・・・
ぽ
214 :
161:2010/09/25(土) 12:04:34 ID:Gm4T2437
>>115 こうですか! わかりません!
1
今や物理部は一年前赴任してきた物理教師の奴隷と化している。
僕は大して苦にもならないけれど(なんたって暴君と付き合ってるからね)そのせいであんまり新入部員が居つかない。元々地味な部活ではあるけど、それにしたって偶の部活の日に僕一人ってのはどうなんだ。
なんとなく腑に落ちぬ顔で頼まれたダンボールを運んで体育館のそばを通り過ぎると、コンクリートの明るい灰色の上に花が裂いてるのが見えた。
「夏希先輩?」
声を掛けると、やっぱりそれは見知った暴君だった。
髪をアップに括っていたのだろう、よれたポニーテールと汗だくの顔。
「あ、健二くん」
やほー。明るい顔で挨拶をする。
「ど、どうしたんですか? 大学は?」
ダンボールの中身ががたがた音を立てるくらいの会釈をしつつ、あっという間に進路方向を帰る僕の靴。……正直だなぁ。
「剣道部の後輩達に頼まれてさー」
師範が今日来られないから、稽古お願いしますって、捕まっちゃったのよ。
明るい灰色のコンクリートに白の胴着。胸元には汗でしんなりした薄いTシャツ。……もしかすると肌着かもしれない。とってもぺらぺらで肌にぺたっとくっついてる。
よれよれの髪は一筋首筋に流れている汗によって胴着の中に吸い込まれてた。
ぽたぽたと音まで聞こえるような。
しゃがんでいる彼女の襟足は輝くように白く、後れ毛が汗に絡まっているのがまぶしい。
自分の喉が鳴るのがわかる。やっと持っているダンボールが心なしかしわしわになっているような……
「健二くん?」
「ははははいっ!!!」
ぞわっとした。全身がものすごい勢いでぞわっとした。
なんだか良く解らないけれど、命の危険さえ感じるほどに。
「そんなビビらなくても……次の掛かり稽古で上がるから、そのあと部室行っていい?」
佐久間君とも久しぶりに話したいし。ホントは急に行ってびっくりさせようと思ってたんだけどなぁ〜
まだ喋ってる夏希先輩の声を遠くに聞きながら、ただハイ、と返事をする。
……どうしよう……いや、ありがたい、の、か?
「そうですね」
精一杯の顔で笑ったつもりが、なんだか引きつっている。
【佐久間は夏風邪で休んでます、先輩】
とうとう僕はそれを言えずにダンボールを携えた部室への行脚を再開した。
215 :
161:2010/09/25(土) 12:05:46 ID:Gm4T2437
2
「まずい」
扇風機が回るだけの部室。風はほとんどない。とりあえずダンボールをテーブルに置いて呆然とした。
「まずい」
自然と二回口を突いて出る。なんだかとても重要なことらしい。
今更のように汗がどっと吹き出して、全身の力がどこかへ持っていかれて、パイプ椅子の上に落ち込んだ。頭が上手く回らない。
最近僕はちょっと変だ。
正確には一年前からだいぶ変だ。
恋人を見てるのに胸が痛くなる。夏希先輩のことを考えると苦しくなる。
学校のアイドルだった人と、僕は縁あってお付き合いと言うものをしている。毎日やる気になって、気力が漲ってて、暑いのも寒いのもテストも夏休みの課題もちっとも問題じゃない。
楽しいのに。
嬉しいのに。
胸がずっと痛い。片思いに逆戻りしたみたいに。
恋人同士なのだから手だってつなぐし、ほっぺたじゃないとこに……き、キスだってしたことあるけど……
パイプ椅子が軋む。顔を上げて窓の外を見た。いつもと変わらない風景に夏の日差し。遠くでサッカー部の掛け声、時々聞こえるバットがボールを打つ音。
扇風機とPCのファンの音だけが続く静かな部屋だ。
汗を拭ってペットボトルに手を掛ける。ぬるくなったお茶が喉を流れてく。目を閉じたら何か思い出せそうな気がしたけれど、何を思い出そうとしたのかは思い出せなくて焦れったい。
「数字にしてくれれば解けるのに」
ぼそっと言った。
「aは係数bは重心、cが定数dが字数、eは基底でfは関数、gは計量hは高さ、xとyとzはナゾの覆面で変化自在、nが自然数でiは――――――」
アルファベットには数学的意味の他に物理学的もある。部の何代前の先輩が造ったかは知らない覚え歌(10番まである)が書かれたくすんだ色のプリントを意味もなく読み上げて、そこで止まる。
物理でiは電流だ。
因みにIは慣性モーメントである。慣性モーメントというのは物体の回転のしにくさのことで、つまり……
「……だめだ……なんだかとってもだめだ……!」
どこぞの電子掲示板サイトでは公式に性的な意味で興奮できる猛者が居るとは聞くが、さすがに自分はそのレベルに到達できそうもないと安心しきっていたのに。
「何が駄目なの?」
またぞわっと背筋が寒くなった。
いつの間にドアが開いたんだ!?
「いやー、着替える時間も惜しくて道着で来ちゃったよ」
あははははーと明るい声。体中がさび付いたみたいに動かないのを無理やり振り向けて声のする方向を見たら、髪をお団子に結い上げてさっぱりした石鹸の香りと、汗のにおいのする剣道着のまま防具袋を床に置く夏希先輩だった。
「あれ、佐久間くんは?」
216 :
161:2010/09/25(土) 13:51:32 ID:Gm4T2437
3
蝉が鳴いてる。あの夏の日みたいに、うるさい。
「そっかぁ、夏風邪かー。残念」
大きなタオルを絞る音。
「そんじゃさ、今日は物理部お休みにしてアイス食べに行こうよ」
時々ふわふわ彼女のにおいがする。
「こんなところじゃパソコンの放熱で蒸し焼きになっちゃう」
女の人の匂い。
「先輩が奢ってあげましょー!」
……いらいらした。
背中の向こうで彼女が汗を拭っている。小さな蛇口からジャブジャブ水を出して、何度も顔を洗いながら、剣道着のまま。
「その前に家帰ってシャワー浴びてきていいかな? このまま帰るの恥ずかしいケド服が汗だらけになるよかマシだよね」
30分くらい待ってて、着替えてくるから。蛇口を捻る音が鋭く響いた。
「先輩」
「はい?」
がたんと椅子が跳ねる。何もわかってない顔の彼女の前に立つ。少し前から気付いてたけど、僕は背が伸びてる。先輩の頭の上がちょびっと見えるようになった。
「ぼ、僕は別に剣道着萌えというわけではないのですが」
「……はぁ?」
「それははっきり言って反則だと思います!」
両手を掴んで握り締めた。震える。震える。手が震える。
「先輩ちょうカワイイ!!ですーっ!!」
ぎゅうっとそのまま抱きしめた。甘いようなすっぱいような石鹸のようなフェロモンのような、ともかく僕をとろかす匂いと温度と湿り気。
「え、え、え?」
声が直接身体に響いている。心臓がおかしい。制服が濡れちゃいそうなくらい先輩が汗をかいていて、それをわずらわしいと思いながらちょっと……いやだいぶ……興奮した。
「や、やだ! な、ナニ急に!?」
血が逆巻く。世界中の音が消える。なのに拍動がうるさくてしょうがない。
目の前が白と赤にフラッシュして瞬く。その時、何故か思った。Iはイデアル、環をつなぐ数。(環論)
「すいません……でもあの、僕も一応男なので! 密室でそういう格好をされるとですね、その、なんというか、変な気持ちになってしまうので……あの、あの……」
確かめるように腕の力をもう一度強くする。
「このくらいは許してください……!」
頭を沈み込ませてほお擦りしたら、背中が急に熱くなった。
217 :
161:2010/09/25(土) 13:52:02 ID:Gm4T2437
4
「あ、う、うぅ……!」
半そでに埋まってる夏樹先輩の顔。玉の汗が浮かんでる額。背中で引っ張られるYシャツ。
心臓の近くに彼女の顔があってものすごく恥ずかしい。やだ、やだ、やだ、聞こえちゃうよ、心臓の音。
苦しい。胸が苦しい。どうしたらいいのか分からない。抱きしめたら治ると思ったのにどんどん酷くなる。もうたまらない。
「なつ、なつき、せんぱ、ひ」
「なに」
「ぼ、ぼく、あの、もう、なんか、その、えと、えと……あの……!」
頭が上手く動かない。舌が絡まって声が出ない。喉が“乾いて”言葉が割れる。
「き、キス……!」
声がひっくり返った。それ以上何言えばいいのかもうさっぱり分からない。頭が痛い。辛い。
「きす、なに? ……したいの?」
ぎぃっと目を閉じて、それでも決死の覚悟で首を縦に振ったら、背中をシャツごと引っ張られた。
「じゃ、どーぞ」
ん、と顎を上げて目を閉じる気配がした。自分の腕の中の女の人が。
そうっと片目を開けたら予想通りの光景が目の前にあって鼻血が出そうになる。うわわわ、髪が桜色の首に絡まっててすっごい色っぽいです……!
感想が言葉になる前に顔を再び沈めた。
汗、味、ぬるさ、感触、唇、舌、歯、唾液。
最初の10回までは場所も全部覚えてる。後はもう全部分からなくなってしまった。それより凄い嬉しさが振り切れてしまった。キスはとても嬉しいけれど、もうそれは一番じゃない。慣れたわけじゃない。
でも足りなくはなっている。
「夏希さん」
唇を離す。
ほんの少しだけ。
「……はい」
返事が返ってきてキスをされた。
「ドア、鍵かけて来ていいですか?」
「……………………………………へ?」
「窓閉めて、ブラインド下ろしてください」
「……………………………………………………………………………………はい?」
身体を両肩を押さえながらゆっくり離して言う。
「もう我慢できません」
言ったら、顔を真っ赤にした先輩が「途中までいい雰囲気だったのにーっ!」と怒鳴って僕の頭をぽかぽか殴った。
しえん
おぉ…
ちょっと読みにくいけど面白い
サマーウォーズの日常が見たいな
TVアニメでやってくんねぇかなぁ
そうだね。
「OZと僕たちの終わりなき日々」みたいなサブタイトルで。
本作の映画が短すぎるというか、展開が速すぎて、
各キャラクターの掘り下げが不十分なまま終了してしまうから、
僕たちはあらぬ妄想を掻き立てられてしまうのだ。
222 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 22:29:38 ID:2fLM6ohT
>>217 非常に続きが見たい。そのままでも十分いい雰囲気に見える。
後「」以外のときは文の始めにスペース入れる読み易くなるのでよろしく。
TVアニメか。
最終回は結婚式で固定か? 佳主馬の。
というか侘助叔父さんがいらないデータを食べると成長するペットプログラムを作ってる夢を見た。
大丈夫だろうか。
んで、やっぱりラブマはエロパロ不向きなのかね?
しゃべらないから?
224 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 00:21:23 ID:XVJvWgYb
健二君のあそこは、
エヴァのシンジくんばりに雄々しく“熱膨張”するのだろうか……?
225 :
161:2010/10/10(日) 03:50:01 ID:bD0Y78el
>>219 >>222 こうですか! わかりません!
5
「待って、待って、夏希先輩!」
振り回される細い手首。こんな腕でよくも竹刀や木刀をああも軽々振り回せるものだ。
「もう!ばか!」
どんどん顔の赤さが酷くなるのにつれて腕の速度が落ちている。咄嗟に手を広げたらパシンといい音がして両方の手首を同時につかめた。ビリビリする。熱い。
「あっ……!」
掠れる様な声を引きずるように先輩の背後にあるロッカーへ押し付けると、鉄の塊がほんのり冷たくてホッとした。がたん、とロッカーのドアが閉まる音。
腕を壁に押し付けて、顔を近付けるとまた汗と石鹸の混じったぬくい匂いがして、くらくら目が回る。肩と首の間に顔を埋めて大きく息を吸い込んだ。……馬鹿になりそう。
耳元で引きつったような悲鳴のようなしゃっくりのような、不思議なものが聞こえる。
「ああ、だめ……こんなとこで……!」
緊張で筋張った首は硬くて、そこに流れる汗も愛しい。
ああそうだ、とても愛しい。
食べてしまいたいほど。
「あひゃぁあぁぁぁぁ……!」
ぷちゅぷちゅ音を立てて唇で噛み付いた。舌を口の中で這わせながら汗を舐め取って、吸う。つるつると上下に頭を滑らせながら溶けるアイスをしゃぶるように。
「〜〜〜〜〜〜っ!」
夏希先輩の肌があわ立っているのが何故か嬉しかった。もう腕に力なんて全然入れてないのに引き剥がそうともしないのが嬉しかった。声を上げないように我慢しているのも嬉しい。
両手から力を抜いたらガガッとロッカーが軋みを上げて少しこちらに傾いだ。よほど力を込めたのだろう。……余裕なくてみっともない……
小刻みな呼吸音が二つ。ようやく聴力がまともになったのか、蝉の声と部活の練習音が耳に届き始めた。全身に血が通うと同時に、弛緩した汗腺からどっと汗が噴き出ている感覚さえ鮮明だ。
僕が正気に戻るより先に先輩が状態を回復していたら、或いは僕はそのまま素直に殴られたり怒られたりして、高いアイスクリームを奢らされていたに違いない。けれど僕は彼女が一息つくより先に動けた。
いや、意地で動いた。
力なく床に座り込んで僕に少し背を向け、ハァハァと震えている彼女の白い剣道着。
ところで剣道着というものは体の動きを阻害しない為、袖口が大変大きく開いています。その大きさたるや逆方向から腕を入れても身体に手が余裕で届くくらい。
226 :
161:2010/10/10(日) 03:50:33 ID:bD0Y78el
6
「ひぃやぁぁぁぁ〜〜〜!」
ジタバタ暴れるから嫌がっているのかもしれないけれど、全然説得力がない。だってほとんど力が入ってないんだもの。
背中から覆いかぶさって左手の袂から右腕を突っ込んで、その先のわき腹に指を滑らせる。Tシャツがびしょびしょでなんだか日差しで温まったこれから干す洗濯物みたい。
「あぁぁあぁぁぁ〜だめ、だめ、だめだってばぁぁぁ〜!」
更に指をまさぐると、胴着と同じ硬さのヒモを見つけた。特に下心もなく引っ張ってみたら意外と簡単に解けたけれど、勢い込んで腕を突っ込みすぎてもうそれ以上動かない。
仕方なしに腕を引っ張り出したら、その勢いで剣道着が引きずられて胸元が大きくがばっと開いてしまった。
……な、なるほど……あのヒモはコレを防止する為のストッパーだったのか……!
驚き半分、感心半分でまじまじと観察していたら、違和感を見つけた。
あれ。
なんかTシャツに“いつもならあるべき線”が見当たらない。
「な、なつきせんぱい……も、しかして、ぶっ……ぶらじゃー、して、ない、んです、か」
「〜〜〜だ、だってしょうがないじゃない〜〜暑中稽古のときブラなんか着けてたらめちゃくちゃになっちゃうんだもん〜〜〜!」
ひーん、とかわいい声で泣きながら先輩が床に伏せるみたいにして胸を庇った。
……そ、そんな格好したら……ものすごく劣情を刺激されるので逆効果なのですが……!
剣道袴というのもこれでなかなか素敵な服で、腰のところに大きな【脇あき】と呼ばれる切れ込みが入っていることは皆様ご承知の通り。
……実際は前身ごろと後ろ身頃の接続部分で、ここが大きく開いているが故に袴というのはある程度フリーサイズなのだそうな。閑話休題。
ぺしゃんと座り込んでいるものだから、その切れ込みも大きくたわんで、下の剣道着が大きく見えている。もちろんその下は汗でしっとり吸い付くような素肌。
これに燃えない男が居ようか! いや! いないっ! だから僕が手を突っ込んでしまうのは必然なのだっ!
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
分厚い剣道着がずっしり重く湿っていて、差し込んだ掌がふやけそう。熱いスベスベの太腿の感触を例えるならばなんだろう? 目一杯強く張ったシーツかな、濡れたラップかな、少し冷めたお餅かな。
「あ。あ。あ。あぁァあぁ〜〜……!」
指が動くたびに先輩が変な声を上げるのが面白くてぷにぷにぷにぷに太股を摩ってたら、ついにせんぱいがふにゃっと床に全身倒れてしまった。
「せ、先輩……あの、き、汚いですよ、床……」
「〜〜〜〜〜〜っ」
「あ、あの。大丈夫ですか?」
「けっ……けんじくんが! 体触るからぁ!! こ、し、立たない……!」
うううう〜っと唸り声みたいなものが聞こえた後にすすり泣きが聞こえてきて、僕ははっとして身体を起こした。自分と、彼女のを同時に。
227 :
161:2010/10/10(日) 03:50:59 ID:bD0Y78el
7
「す、すいません! 調子に乗り過ぎました!」
両肩を掴んで顔を真っ青にし、ともかく謝罪を入れる。ああどうしよう! 泣かせちゃった!
「だめ、って、ゆった、の、に……!」
ぽろぽろ大粒の涙をこぼしながら真っ赤な頬の夏希先輩が、見た事もないような顔で途切れ途切れに喉を震わせる。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「そんなことされたら、へんになって、どうしたらいいか、わかんないよ」
うぐうぐ言いながら乱れた髪が喉や唇の近くに張り付いてる先輩は、涙と汗で顔中ぐちゃぐちゃだ。
ぐちゃぐちゃなんだけど……そのぐちゃぐちゃ具合が……こう……なんというか……! おかげで『もう先輩が嫌がることしません』という台詞を絞り出すのが、ものっすごく大変だった。
だからその次の彼女の台詞を脳味噌が理解するのに時間が掛かった。
「し、しないの……?」
「……………………………………………………………………………………はい?」
それはそれは間の抜けた声に、彼女がまた紅い顔を更に赤くして呻いた。
「……ち、ちがう……忘れて……!」
両手で顔を覆い、女の子座りでペタンと蹲ってしまった先輩はとても小さくて儚い形をしている。照れているのか、泣いているのか、僕には判別がつかなくておっかなかった。
おっかなくておっかなくて堪らないから、全身でやっと搾り出した声。
「こ。……んな、とこで、しても、いい?」
痺れている思考回路が理性的な要素をみんなみんなふっ飛ばしてしまって、制服と、汗と、剣道着の匂いが物理部の部屋の熱と湿気で蒸され、正気ならきっと眉を顰めただろうに。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!」
亀のように、お饅頭のように、彼女がお団子頭を抱え小さく丸まって唸りのような悲鳴のような謎の音を出した。足が小さくジタバタしてるのを見て背中とお腹に同時でモゾモゾしたものが湧き上がる。
僕はそっと覆いかぶさるように小さな背を胸に抱いた。
汗の匂いでしっとりしてて、熱い。
髪を上げたうなじに流れる玉のような雫が行く筋も流れて、思わず唇で掬う。しょっぱい。
「ひぁ……ぁぁぁ〜〜……!」
ごわごわの剣道着は乱れてて、少し引っ張っただけで袴の帯の戒めから抜けてしまいそうで、それがなんだか怖いような気がする。
「あ、あ、あ、あ……」
薄いTシャツ一枚。熱く濡れた布が一枚、あこがれの素肌に張り付いているだけ。
……は、剥ぎ取ってしまいたい……!
歯がゆくて、焦れったくて、もどかしい。手のひらに、指先のどれかに、かすかに当たる硬く押し上げるものをこの目に焼き付けたい……けれどそれを口に出すことも出来ない僕は、ただただ首筋の柔らかな肉を吸い続ける。
228 :
161:2010/10/10(日) 03:51:51 ID:bD0Y78el
8
「や、や、や……! いた……いた……!」
ヘロヘロの言葉がやっとのことで抵抗を意味していたけれど、蕩け潤んだ艶声ではちっとも効果がない。
……それどころか、そんなカワイイこと云われると……なんかものすごく凶暴な気持ちに……
「せ、先輩……先輩……先輩……!」
呟いたら口から涎が伸びていた。
……だめだ、もうだめだ。
半袖で拭う。
手をベルトのバックルにかける。学生用の布ベルトだから余った一方をガチャガチャ揺さぶれば片手で外せるのがありがたかった。
「ひ……っ!?」
金属音を耳にした彼女が身体をこわばらせたけれど、もう止まらない。止まるハズがない。
後はもうどこをどうしたのかさっぱり思い出せず、気がついたら袴の左裾を左手で無理やり捲り上げて、右手は右脇あきに滑り込んで布の感触を確かめてた。
「……ぬ、ぬれてますね……」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
声なき声がビリビリ鼓膜に響いている。それともこれは自分の震えだろうか。……もうそんなのどうだっていいけど。
「こんな、濡れてたら、もう穿けませんよ」
ドキドキなんてもんじゃない。どくんどくんなんて遠に過ぎた。どどどどど!と、まるで大きな花火大会の連射みたいな心臓の音。死にそう。死んでたまるか。気が狂いそう。狂ってたまるか。
ぶぢ、ぶづづづづづ。
「きゃあああああ……!」
自分にこんな力があったとは。いや、女性の下着は作りが繊細だと伝え聞いたことがある。けしからん、最後の砦だというのになんて脆さだ。実にけしからん。
見よ、この薄い装甲。こんな、薄緑の、こんな、無地で……汗で透けちゃうくらいペラペラで……! お、おまけに……!
「………………い……糸、引いてます……」
「いいい言わないでェェェ〜〜……!」
今向こう側から先輩を見たら、一体どんな顔をしているんだろう。いや、いや、なんて言いながら抵抗する素振りさえも見せない彼女は、どんな風に真っ赤なんだろう。
そして、今自分はどんな顔をしているんだろう。
知りたくて、見たくない。
見せたくて、知られたくない。
せめぎ合う矛盾した思いが欲望の杖に絡み合う二匹の蛇が如く僕の正気を締め上げる。
「……い、入れていい、です、か?」
返事はない。
恨めしくて悔し涙がこぼれた。
ひた押しに押して頼み、達って願って、とうとう特別にここまでやってきて、挙句この体たらくの自分の卑劣さに。
229 :
161:2010/10/10(日) 03:52:59 ID:bD0Y78el
9
「だめ、ですか」
もう一度尋ねた。精一杯ありったけの祈りを込めるように。
五分。十九時間。……いや、八日ほど経ったかもしれない。そのくらい長い時間が過ぎてからぶるぶる震えた夏希先輩がついに怒鳴った。
「健二くんくらい……わ、わたし、投げ飛ばせるのよ……っ! 陣内の家系の女はみんな強いんだから! わたし剣道やるし! 栄おばあちゃんは薙刀だし! だから……だから……!」
ゾワっと耳元で血がざわついた。
「……………………………い……っ……………じわる、しないで……!」
喉から血を吐くみたいにやっとのことで言葉にされた告白に、僕の意識は混濁し、朦朧と、脳に血を押し上げる筈の心臓に肝心の力が入らない。己が欲望で彼女を切り開き中身を確かめる儀式の為にぼんやり夢想していた計らいなど一瞬にして消し飛んでしまった。
ただ、ただ一心不乱に首筋を吸い、身体を揺さぶる。足か膝かどこかで袴紐を踏んでて上手に体がゆすれないのがもどかしくてもどかしくて。
途切れ途切れの嬌声と、ため息、息切れ、涎を啜る音、しゃっくり、咳き込み、堪える呻き。
「い、た、く、ないで、すか」
「……ん、うん、うん…っ…」
恍惚、背徳、恥、照れ、優位性。
そんなものに惑う暇がない。
ああ。
好きだ。
好きだ。
大好きだ。
この人が。
こんなにも。
一生懸命に我慢してくれる姿が好きだ。精一杯喜んでくれている心根が好きだ。上手く伝えられぬと悲しんでくれる優しさが好きだ。こんなにかわいい姿を見せてくれる彼女の全部が好きだ!
「な、つ、き」
「……は、い」
硬い布が擦れる雑音と、抜かるんだ田んぼを踏むようなリズム、上手く発音できない。
「 」
なんと言ったか伝わったろうか。
それを尋ねようと、僕は思わなかった。
過酷で無体な重量に耐えている彼女の細腕がその床に対する反発を放棄し、全身を小さく震わせて痙攣してから後、動くのを止めてしまったから。
「……わ、わ、わ……!」
急にそんな刺激が来たら若葉マークにも程がある僕なんか、ひとたまりもない。
ほんとうに、ひとたまりもなかった。
230 :
161:2010/10/10(日) 03:53:37 ID:bD0Y78el
10
「……ひどい……」
悦んだ末に悦び疲れて、うっとりと言うには少し覇気なく掠れた声で言われた。
僕はもうすっかり土下座したまま動けない。
「下着、破いた……」
渋い。全身が渋い。他にどう表現していいか解らないが、そんな気持ち。
「避妊、してない……」
怒気を帯びた声ならば、或いは全身全霊で謝罪の言葉でも述べられるのだが。
「初めてだったのに……学校で、部室とか……」
せめて泣いて恨みをぶつけてくれて居るならば、この腹割いて侘びとする。
「……けんじくん」
でもどれでもない。本当に、自分の想定する何にも当てはまらない、声。
「――――――はい」
「どうしよう」
「……な、なにがでしょう?」
「………………きもちよかった……」
懺悔。そいつが一番違和感なく当てはまる。
「………は、初めてなのに……こ、こんな……! わたし……へ、変態かもしんない……!」
わあっと顔を覆ったのだろう。篭ってて間の抜けた、泣き声だか悲鳴だか判断に困るよーな告白が聞こえたので僕は意を決して顔を上げ、言った。
「夏希先輩! 僕をお婿さんに貰ってください!」
「……………………………へ…ぇ…ぁ…?」
「夏希先輩が変態でも僕は構いません! むしろどんと来いと言うか! 渡りに船というか! ご褒美です!」
「……………あ…?」
「ショットガンウェディング上等です! 薙刀で刺されてもいい!」
「……え、い、いや、あの……」
「責任取ります!」
両手を握って血走った目の自分が夏希先輩の真っ黒な瞳に映ってるのを見てた。
「……お……」
彼女はきっと、僕の鳶色がかった茶色の瞳に映る自分の真っ赤な顔を見ていることだろう。
「…お…ねがい、しまぁ、す……」
おしまい。
GJ
232 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 22:56:39 ID:RgJr6wW9
GJ!
最後の「おねがいしまぁす」に激しく萌えた
なぜだろう。
酷く読みにくい。
>>230 荒っぽいけど面白かった。次に期待大だな。
違ったみたいだ。orz
夏希が寝取られるSSまだー?
まだまださ
このスレ見てたらたった今、桜庭ななみのなっちゃんのCMが流れて
何事かと思ったw
理香は俺の嫁
夏希は元俺の嫁
ばあちゃんが寝たきりになったら介護は理香と万理子がするのか
栄は俺の祖母。誰にも譲らない。
244 :
名無しさん@ピンキー:2010/11/12(金) 20:56:04 ID:i7unyMhQ
誰か夏希寝取られ書いてくださいお願いします。
>>244 翔太「お前が来てからロクな事がねー!!!!」
寝取られなんて後でいいからもっと健二と夏希のラブラブを読みたいわっ!
そうだな!まずラブラブしなきゃ寝取られ感が引き立たないもんな!
クライシスオブオズでもいいから誰か何かネタない?
250 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 00:36:37 ID:YcdBjLnW
供給が過疎すぎる
251 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 12:20:12 ID:4LbzBxlf
保守
小説って例の都条例の対象外だったけか。
夏希と姫始めしてぇな
ぽ
細田さんの新作が公開されたら、エロパロスレはここで良いのか?
256 :
名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 01:03:00 ID:KeWDJRhL
むしろここにしてくれ
最近、今更ながらサマウォにはまったんだけど、
このスレにエロ系SS以外書き込んだらいけないんだろうか。
258 :
名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 08:54:22 ID:AfdU9ete
疑問に思うなら書くな
>>257 今までも非エロは投下されてたし別にいいんじゃないか?
というか是非お願いします
是非とも、エロが無いならOZの中でエロくする。