ヤンデレの小説を書こう!Part26

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880名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 02:37:09 ID:drcVc0Ez
全然下手じゃない期待してるぜ
ただもうちょい書き貯めてから投下してくれるとありがたい
881名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 03:54:41 ID:p/NJDUOQ
最近は下手なんですって自分で言うのが流行ってんのか?
882名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 05:41:32 ID:tJeBNWoQ
これはハルヒの佐々木をパクったのかな?
883名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 15:23:24 ID:LyCE5Jjb
ツンデレ綾波系ポンコツ
ハルヒからしてテンプレ揃いだけどな
884キレた人々2:2009/11/18(水) 15:30:45 ID:ZQE6TSNe
投下します。
885キレた人々2:2009/11/18(水) 15:52:12 ID:ZQE6TSNe
父さんは人間の底辺に近い人間だった。
仕事をクビになり飲んだくれる毎日。
母さんはそんな父さんを見かねて姉と一緒に出て行ってしまった。

俺を置いて。

構わなかった。引きとめなかった。
帰ってくると、当時の俺は信じてしまっていた。

ある日、少しの金を持たされて「好きなものを買って来い」と言われ意気揚々
とお菓子を買いに行った帰り。
家の前には黒服の集団と父さんが何か話していた。
父さんは俺を指差して黒服に何か言った。
黒服たちが近づいてくる。恐くなって逃げ出した。
あっさりと捕まった。
必死にもがいたが大人の腕力には敵わなかった。
「こいつは、どうしても良いんだな?」
「ああ、それくらいでちょうどチャラだろ」

最初、何を言ってるのか分からなかった。
「坊主、お前も不幸だよな。はした金のために売られるんだからよ」
黒服の一人が気持ち悪く笑う。
父さんも同じ様に笑っている。
ここで、唐突に気付いた。
俺は、父さんに見捨てられたんだと。

必死で足掻いた。必死でもがいた。必死で必死で必死で、、、

気付いたら、皆ただの肉塊と化していた。
886キレた人々2:2009/11/18(水) 16:11:00 ID:ZQE6TSNe
アパートの一室で目が覚める。
最初に見えたのは変わる事の無い何時もの天井。
今日は土曜の次の日。つまりは日曜日。ジャスト七時。

何か、嫌な夢を見た気がする。
まあ、いつものことか。

テレビを付けると、ニュースで最近近所で起こった焼死体発見の事件が取り
上げられていた。
詳しくは知らないが、被害者は俺の高校の生徒だったらしい。

まあ、どうでもいいけど。
パイプベッドから下り、冷蔵庫から牛乳を……ってあれ?
ああ、昨日如月をまくのに手こずって買い物出来なかったんだっけ。
仕方なく牛乳を諦めてシャワーを浴びる。
さて、今日も図書館へ……また如月と会ったら面倒だな。

撮り溜めした映画でもみるか。

887名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 16:38:06 ID:8M0kjGw4
わざわざ作品を叩いて投下しにくい雰囲気を作るのはどういうことだろう
888キレた人々2:2009/11/18(水) 16:38:13 ID:ZQE6TSNe

その後、午後五時までぶっ続けで映画を見ていた。
やっぱり某未来の世界の殺人マシーン映画は2が一番面白い。
ジ○リは空飛ぶ城に限る。


流石に夕飯時なのでキッチンに立とうとしたときにチャイムが鳴った。
チェーンを外さず扉を開ける。
「どちら様ですか?」
「あ、今日隣に越してきたんです」
どうやら女性のようだ。
そういえば、やけに騒がしいと思ったら業者が来てたのか。
一旦扉を閉めてチェーンを外す。
「久しぶりだね。ずっと会いたかったよ」
「は?」
久しぶり?会ったこと、あるのか?
恐らく知り合いなのであろうその人。
すこしだけ茶色がかった髪。グラビア顔負けの容姿。
……全然見覚えがない。
「もう、まだ分かんないの、まーくん?」

まー、くん?
その呼び方をするのは、数人しかいない。
まさか……

「姉…さん?」
「ぴんぽーん!正解!ずっと会いたかったよ!これからよろしくね」
889名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 16:40:23 ID:ZQE6TSNe
とりあえず二話終了です
病むのは少し先になります
890名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 17:10:04 ID:LI8x6mot
>>889
891名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 18:56:09 ID:l0K+acoQ
なんという厨二展開www
892名無しさん@ピンキー:2009/11/18(水) 18:59:49 ID:EbFoz9oJ
おつ!
893名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 08:15:27 ID:Z52s7TGX
中2っていうか小6妄想くらいの展開だよな。
894名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 18:02:09 ID:98/OMvBK
小・中・高となるに従って変質していく幼馴染みとか…

小学校高学年「●くんの事が好きです。大好きです。」
中二「●くんと私の前世は王室関係で、禁断の恋で死んじゃったの。これからもよろしくね王子様。」
中三「まさか高校、別じゃないよね?あの女と一緒の高校なんて●君には無理だよ!」
高一「●君、最近テニス部の子と仲良いけど…あの子とどうなの?」
高三「え?何言ってるの?私は●君の事すべて知ってるんだよ?私の●君盗らないでくれるかなぁ。」

純粋→厨二病時期→妄執と変化させてみた。
895名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 19:37:10 ID:lpsfhiOq
>>889
いかにも厨二の願望が入り混じったSSだな
896名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 19:50:54 ID:D9cLfgZa
質問させてください。
病みが物語の中盤から後半にかけてにになる場合は、
ここに投稿しないほうがよろしいのでしょうか?
897名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 21:02:43 ID:ATTW7W3U
>>896
いや、そんなことはないでしょ。
「病みが出てこない」とかの文句を気にしすぎるのはよくないよ。

途中で執筆を投げ出さず、病みゆく過程を筋道立てて書いていけば、外野は文句を言わず見守ってくれると思う。
まあ長編を投下するときは、最初の2〜3話くらいは、そういう文句がでてくるのは我慢するしか……やね。


というか、短編や掌編ならともかく、長編で最初っからMAXで病んでたら、話が続かなくない?
898 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:19:28 ID:D9cLfgZa
>>897
了解しました。
今日が初書込み、初投稿です。
一応長編をと思っていますので、トリップをつけさせて頂きます。
不備、間違えなどがあれば生暖かくご指摘頂けると、喜びます。

申し訳ないですが、エロなし。
病みが遅めです。

それでは、投稿します。
899群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:23:02 ID:D9cLfgZa
「伝説の竜を倒した英雄…始まり始まり!」
 わぁっ!と子供から歓声が上がった。
 
 今日もいい天気だ…暑くなりそうだ。
 まるであの日のように。

 ………
 ……
 …

 空が青く眩しかった。
 今日も晴れそうだな。
 眩しい陽の光に目を細める。

 明日はお祭り…皆喜んでいるのだろう。
 祭りの準備でいつもにまして活気付いた町。

 ここ、ブリードはあたり一面を山に囲まれた町。
 商人が多く訪れる町でもある。

 なぜこんな山に囲まれた町でと思うかもしれない。
 理由は…この山の1つに竜が住んでいると言われているからだろう。
 いや、住んでいるとは言えないかもしれない。
 誰も見たものはいないからだ。

 それでも、竜がいると信じられている…多くの者が竜の森から帰ってこないから。
 それは竜と会ったため帰れなかったと…。

 おかげでここは名誉のために訪れる騎士、力試しに訪れる傭兵等、様々な人が
多く訪れる。
 その人達を狙って、商売が盛んに行われている。

 この町では、他の町とは違い竜を神として崇めている。
 商業発展の神としてだ。
 いつからそうなったかもわからないが、今でも脈々と崇められている。
 いや、竜を伝説上の生き物として崇める町は他にもあるかもしれない。
 竜殺しという特別な力を持った人もいるということを聞いたことがある。
 ただ、自分が生きてきた間には竜に会ったことも、会えたということも聞いたこと
がない。
900群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:26:32 ID:D9cLfgZa
 ましてや、他の町にいるなどと聞いたことがない。

 …まだわずか21年だが。
 
 俺は竜がいると信じているわけでも信じていないわけでもない。
 世界は広い。だからどこかには存在するだろう。
 この町から出たことがない自分にとっては、知る術はない。
 いつか、世界の全てを見たいと思っている。

 …約束したから。
 姉さんと約束した、もう一度会おうと。

 俺はこの町ブリードの近くに捨てられていた孤児だ。
 そのため親の顔も知らない。
 勿論兄も姉も弟も妹もいない。
 
 そんな俺を拾ってくれたのは、ドウィヤというこの町1番の商人。
 勿論息子としてではなく、小間使いとしてだ。
 そのため必要最低限の旅の知識は叩き込まれている。
 
 俺の名前はトモヤ。
 この町で生きて、この町で死ぬと思っていた時もあった。

 ……
 
「おい、これ」
 そう言って、荷物を渡される。
 この荷物を指定されたところまで届ける。
 それが俺の主な仕事だ。
 もうずっとやっている仕事を今日も、同じように繰り返す。
 給料は端金。
901群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:30:04 ID:D9cLfgZa
 それを雇い主であるドウィヤに話すと、
「お前は拾ってやった恩を忘れたのか!」
 と返されたきり、2度と話すなと言われた。
 特に憎いとは思わなかった。
 命あるだけましだ…そう昔から割り切ってきた。
 
「おつかれさん」
「おう、おつかれ」
「明日の祭りに誰と行く?」
「勿論、あいつとだよ」
「相変わらず仲がいいねぇ…」
「へっへっへ。うらやましいだろ」
「ああ、俺も女欲しいな」

 賑やかな話が聞こえる。
 明日は1年に1回の竜のための祭典。仕事も休みとなる。
 ただ、俺にとってはほとんど関係ない。
 どうせ一緒に行く人もいないのだから。

「…ただいま」
 家に帰ってきても何も返事はない。
 それはわかっている。
「生きているだけ幸せか…」
 知らず知らずのうちに溜息が漏れていた。
 
 チャリンチャリン…と音を立ててお金が瓶の中で跳ね返る。
 こうやって瓶の中にお金を貯めている。
 大分溜まってきたな。
 もう十分かな…このお金は町を出るためのお金。
 もう十分かな…拾ってもらった恩は返しただろう。
 いつまでも1人の僕なんだから、この町に留まらなくてもいいだろう。
 だから、明日の祭りを最後に町を出よう。
 そう考えると、祭りの日というのはいい区切りだったのかもしれない。
902群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:33:53 ID:D9cLfgZa

 …心が軽くなるのを感じる。
 明日晴れるといいな。

 いつもと同じように布団は冷たかった。

 ………
 ……
 …

「おまえ、親にすてられたんだってな」
「すーてごすーてご」
 きゃいきゃいと子供達が囃し立てる。
 その中心に僕がいた…その子供達と同じぐらいの歳の僕が。
 …やめてくれ…。

「おい、なんとか言えよ!」
「…」
「おい!」
 容赦なく蹴りが飛んでくる。
 体のいいサンドバック。

 もう、うんざりだ。

「そんな汚い格好で歩き回らないで欲しいものだ。私達の評判まで落ちる」
「全く、親の顔が見たい」
「はは、親いないのに可哀相ですよ」

 笑いながら話す大人達。
 仕事場で待っているのは、嫌味だった。
 大人達が聞こえるように吐く。
 ドウィヤは、便利な道具として拾っただけだ。愛情などない。
 わかっていた。子供心ながらわかってはいた。
 それでも悲しかった。
 部屋で泣きながら決めた…この町を出ることを。

 ………
 ……
 …
903群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:37:44 ID:D9cLfgZa

 嫌な夢を見た気がする。
 そんな重たい頭を払うように、顔を洗う。
「…はぁっ…」
 思わず声が漏れる…少しだけましになった。
 最後までいい思い出がなかったな。
 本当に…?姉さんは…?

 もう一度冷たい水を顔に浴びてから両頬を一度叩いた。
 もう何度見ただろう、この鏡に映る痣を。

 外に出ると、昨日にもまして活気に満ちていた。
 こんな日ばかりは、戦士達も戦いを忘れているのかもしれない。
 人波は小山まで…竜の祠がある小山まで続いている。
 山道には出店が立ち並んでいた。
 あの先には竜を祭った、本堂がある。
 彼等は竜を倒すために竜に祈るのだろうか。

 本末転倒で、少し笑えた。

 ぶらぶらと人波を見ながら、人波とは逆方向に歩き始めた…見たい場所を
探索しながら。
 最後に、人がいない小さな丘まで辿りつくと、腰を下ろした。
 ここは家もなく眺めがいい、人もほとんど通らない。

 向こうには竜を祭った小山がある。
 それも一望できる場所…秘密の場所みたいなものだ。

 もう少しすれば陽も落ちる。ここからが祭りの本番。きっと賑わっているのだろうな。
 誰かと一緒に回っている自分を想像して、慌ててかぶり振った。

 …そんなことはこの町を出てから考えればいいと。
 真っ青だった空は…既に朱に染まっていた。

 それはとても綺麗な空だった。
904群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:41:23 ID:D9cLfgZa

 思わず目をつむりたくなるような…思わずこのまま自分がいなくなる
ような、そんな気分。
 このまま目を瞑れば…俺はいなくなるのか?

 強い風が吹いた。
 丘を山を撫でるように草花を掻き分けて吹き抜ける。
 それが合図だった。

 強く強く目を閉じた。

 風は強かった。
 思わず、自分が飛んでしまったのではと思うほど強かった。
 それでも、とても気持ちいい風だった。

 ああ、この風が吹き抜けたら町を出ようと、荷物を持って町を出ようと。

「…いい眺めだ」
 誰もいなかったはずの場所から、自分の背中から声が聞こえた。
 慌てて振り向いた。

 …時が止まったようにも思えた。

 その瞳は、はっきりしていた。
 その瞳の色は、過ぎ去った空の青を俺に思い起こさせた。

 その女が何かをしたわけでもないが…ないが、体を蠢くものがあった。
 なんだ…これは。
「い、いいいいいなが、がめ、だね」
 喉が焼けたように、上手く喋れない。
 そんな俺に、興味を失くしたように女の視線が外れる。
 瞬間、かかっていた重圧が軽くなったように思えた。

 その髪は風にたなびいて揺れた。
 まるで世界を覆うように。
905群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:46:27 ID:D9cLfgZa

 俺の目は彼女を捉えて離さなかった。
 それは恐怖?
 それは見惚れてた?

 どれぐらい時間が過ぎただろう。
 数秒…数分?
 長くて短い時間だった。

 ふいに、女が指を向けた…光が灯る小山に向けて。

 夕日に隠れて色が見づらい、赤い灯篭が人波と一緒に走っている。
 その女が何を聞いているのかがはっきりとは、しなかった。
 だけど、祭りのことを聞いているのだと理解した。

「き、今日は祭りなんだ」
 まだ舌が痺れているように回らない。
「……」
「竜にかかか、感謝する日と言ったほうがいいのかな」
 それを知らないということはこの町の人間ではないだろう。
 いや、この違和感、人ではないのかもしれない。
 そんな現実離れした事ですら受け入れられた。

 ――

「我を祭るとは…おかしなことだな」
 本当におかしなことだった。
 一方的に敵としているのは人間の側なのに。
「え…?」

 信じる信じないはどうでもよかった。
 ここにこの人間がいて、此方(こなた)に降り立った…それだけだ。
906群青が染まる 01 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:50:17 ID:D9cLfgZa

「…汝(うぬ)に案内を頼もう。報酬は命だ」
 まだ震えている人間に言う。
「い、命?!」
「…そうだ」
 人間、それも命をとして戦う人間ではない人間。
 殺すのはわけがなかった。

 だが、人間よ。汝(うぬ)らは特に己が命が惜しいのだろう?

「ど、どこに…?」
 震えながらも必死に声を上げる人間。
「我ではない我がいる場所までだ」
「もし、もし見つからなかったら?」
 やはり人間は弱い、か…。
 いや、無謀ではないだけ、ましなのだろうこの人間は。

「その時は手間賃として、そなたの命を助けようぞ」
 瞳が人間を捉えるたびに、人間は竦みあがる。

 人間は矮小だと、思っていた…。
 それは圧倒的な力の差、それが生んだ結果だとはこの時からわかっていた。

 そうわかっていた…それでも、人間を矮小と思い己を過大評価した。
907 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/19(木) 21:54:02 ID:D9cLfgZa

以上で今回の投稿は終了いたします。
それでは、また次の話で。
908名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 23:19:56 ID:lpsfhiOq
う〜ん…
この先どうなるのかが全く気にならないな。
909名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 23:36:24 ID:jOGkrKb6
>>907
gj
人外物は大好きです^q^
910相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:25:14 ID:i9ytejrS
投下します。
911名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 00:26:36 ID:L40zzNw+
11月14日はヤンデレの誕生日
ヤンデレ「今日は何の日か知ってる?」


                 U
                 U            /
\           / ̄ ̄ ヽ,        /
  \        /        ',      /      _/\/\/\/|/\/\/\/\/\/\/\/\/|_
    \    ノ//, {0}  /¨`ヽ {0} ,ミヽ  /       \                                  /
     \ / く l* トェェェェイ  ', ゝ \       <  11月14日はジュウシマツ感謝デー!        >
     / /⌒ リ   `ー'′   ' ⌒\ \    /                                  \
     (   ̄ ̄⌒          ⌒ ̄ _)    ̄|/\/\/\/|/\/\/\/|/\/\/\/\/\/\| ̄
      ` ̄ ̄`ヽ           /´ ̄
           |            |
  −−− ‐   ノ           |
912相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:27:20 ID:i9ytejrS
入学式から三週間がたち、やっと学校生活にも慣れてきたころだ。

高校生活が始まると同時に、両親が長期出張に行ってしまい、自炊はどうしようと考えていたが、奈々枝が「ボクが朝昼晩ご飯を作ってあげるよ!」と言ってくれた。

気持ちはありがたいのだが、幼馴染みだからといって、さすがにそこまで世話になるのは申し訳ない。
「いや、さすがに奈々枝も毎日メシ作るのは、大変じゃないか? 俺のことは、気にしなくていいぞ。」 遠まわしにやんわりと断ったつもりが、
「・・・ボクが作ったご飯、食べるの嫌?」
涙目の上目遣いで今にも、泣きそうな声で俺に問い掛けてきた。
913相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:28:59 ID:i9ytejrS
考えてみてもらいたい。
道のド真ん中で、超絶美少女と見た目がよろしくない男がいて、男の方が、女の子を泣かしているように見えたら・・・

考えたくもないな。
奈々枝を泣かした後の惨劇なんて、容易に想像出来る。
・・・仕方ない。
「わかった。メシのほうは、お願いしてもいいか。」 「う、うん!! ボクに任せておきなよ!」

「でも、1つだけ条件がある。」
914相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:33:19 ID:i9ytejrS
「条件?」 「あぁ、毎日メシを作って貰うのは、悪いから1ヶ月に一回だけ、俺が出来る範囲で、どんな雑用もしてやるよ。」
「・・・、それ、ホント?」 「あぁ、宿題だろうが、掃除だろうが、何でもござれだ。」
「・・・今の言葉に嘘はないよね。」

なんで、そんなに疑り深いんだ? コレぐらい当然だろう。 「あぁ、嘘はないよ。」
そう言うと、先ほどまで泣きそうだったのが、今はすっかり元気になってやがる。
・・・これは、1ヶ月後が末恐ろしいな。

まぁ、でも途中で諦めるだろう。 俺なんかのメシを毎日作るのは、苦痛だろう。

それよりは、好きな男に弁当とかを作ってやるのがいいと思うな。

俺みたいな男にこんな優しくしてくれるのは、やはり昔のことを気にしているのかな…。

だとすれば、あんまり無理はしないで欲しい。
915相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:34:21 ID:i9ytejrS
昔のことは、気にしなくていいし、俺と朝昼晩ずっと一緒にいるのも苦痛じゃないかな。

まぁ、途中で奈々枝が諦めても、家の近くにある奈々枝の好きな「甘味堂」で好きなだけ、デザートを食べさせよう。

・・・今のうちに、自炊を覚えておくかな。
916相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:36:31 ID:i9ytejrS
しかし、俺の認識は、甘かった。

奈々枝は、1日も手を抜くことはなく、宣言通りに、毎日メシを作りにきてくれているのだ。

しかも、味は格別、種類が豊富、体に良いものなど、工夫して作ってきてくれている。

・・・ここまでしてくれるのは、予想外だったな。
多分、ゴールデンウィークにある宿題のためだろう。

噂では、うちの学校のゴールデンウィークに出てくる宿題の量が途轍もなく多いらしい。

まぁ、いいだろう。
毎日、こんなに上手いメシを作ってくれているんだ。

頑張るしかないか。

ハァ、やれやれだぜ。
917相反する2人 3話:2009/11/20(金) 00:37:38 ID:i9ytejrS
投下終わります。

話が長くなりそうです。
918名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 00:57:16 ID:CZa3Hq0n
>>907
>>917
いいよいいよー!!
919名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 01:39:55 ID:qXzPktva
920名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 03:13:38 ID:JLUsM6ks
>>907
おお…っ、異世界&人外モノなのか〜
長い作品になりそうだけど、期待しています。

>>917
幼馴染モノ&ボクっ娘のヤンデレ……
続きが楽しみですGJ
921 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:34:16 ID:VNsCGPXW

最近、日々寒くなってきましたね。
それでは投稿させて頂きます。
922群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:37:57 ID:VNsCGPXW

「なんで、こんなことに…」
 なったんだろうか…。
 ただ最後にあの景色を見て、それから…。

 人にどれぐらいぶつかったかわからない。
 それほど頭が混乱していた。
 どういう道を歩いたか覚えていない。

 思い出すのは彼女の言葉だった。
「…そうか」そう言った女。
 あそこで待つつもりなのだろう、それ以上何も言わなかった。
 
 断られると思っていた。
 だけど何も言わなかった。
 それは、逃げることのできないことの現われだったのかもしれない。

 荷物を纏めた―勿論、準備は既に出来ていた―俺は、丘へと急いだ。

「……」
 予想より早く辿りついたせいなのだろうか、女が少しだけ驚いた表情を
作る。
 どうやら、いかに人間離れした彼女でも、俺が今日旅に出ようとしてい
たことは知らなかったと見える。

 だから、聞かずにはいられなかった。
「逃げたら…どうなって「殺した」」
 綺麗な声が響いた。
 既に、日は沈んでいた…これが、俺と彼女の旅の始まりだった。
 終わりはどこなのだろう。
 早く終わりたいという気持ちが強く心を支配していた。
923群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:41:31 ID:VNsCGPXW

 ……

 馬の歪めの音が響く。女と荷馬車に乗っている。
 勿論、馬の手綱は俺が握っている。
 女は、黙って遠くを見ている。

 …そろそろ日が昇る。
 昨日が終わり、今日が始まった。
 
 ………
 ……
 …

「…これは?」
 女が問う。
「馬車、だよ」
 どうやら、荷馬車を知らないらしい。
 馬は流石に知っているのかもしれないが。

「え、っと、荷物や…人を載せて移動するための物だよ」
 お節介かとも思ったが、付け加えた。

 女はただ馬をそして荷馬車を見ていた。
 馬は静かに震えていた…騒ぎ立てることもなく。
 それとも、何かに気づいていたのだろうか。

 女が、柵に手をかけた。
「え!いや、それは…」
 他人のもの…。
 その目がこちらに向いた。
924群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:45:28 ID:VNsCGPXW

 それだけで、体が竦む。
「他の人の…持ち物だから」
「……」

 女が軽く握った(ように見えた)だけで柵が音を立てて砕ける。
 実際にどれぐらい力がこもっていたのか。
 疑うわけではなかった…彼女は人知を超えた何かかもしれないと。


 俺は見られないように溜息をついた。

 ………
 ……
 …

 後ろを振り返ると女がいる。
 …どこかをボーっと明後日の方向を見つめたままの女が。
 そんな彼女が人ではないとは、やはり思えなかった。
「…何用だ?」
 脳が一瞬で沸騰したかと思った。
 こちらを向いた女のどこか爬虫類を連想しそうになるその瞳に吸い込まれ
そうな、そんな感覚に陥りそうになる。

「あ、な、名前を聞いてない」
「…好きに呼べ」
 それだけだった。
 また興味をなくしたように視線をそらした。
 なぜ他の竜を探すのか、なぜ元の姿で探さないのか…聞きたいことはたく
さんあった。
925群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:49:11 ID:VNsCGPXW

 彼女が何者なのかは俺には全くわからない。
 だけど、もし彼女が自分で言ったとおりだとしたら…そこで頭を振った。
 彼女は命を助けると言った。
 今はそれを信じるしかない。

「マリン」
 安直だったが、空を連想させる青いその瞳からつけた。
 興味がなさそうに、そっぽを向いていたまま何も言わない女。
 どうでもよかったのだろう彼女にとっては。

 それでも、嬉しかった…独りじゃないことに。
 だからだろう…こんなに心が暖かくなるのは。

 今思えば無謀だった。
 そして、彼女が俺に興味がないことはよく知っている。


 荷馬車についた車輪がゆっくりと音を立てて回る。
 街道を馬が歩いてゆく。
 その日は、陽は見えるものの生憎の曇り空だった。
 元々商人が多く来るブリードには、人や馬がよく通るため道も整備され
ている。
 それでも、次の街までまだ遠かった。


 陽が昇ってから、陽が沈みかけるまで会話らしい会話はなかった。
 それは、俺にとってありがたいといえばそうだったし、寂しいといえば
そうとも言えた。

 自分で考えておきながら、我侭だなと苦笑した。
926群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:52:46 ID:VNsCGPXW

 ――

「…あれはなんだ?」
 初めて見るものばかりだった。
 世界はこんなにも広く。
「ああ、あれは風車っていうんだ。粉引きのための施設だよ」
 …風車…頭の中ですぐに浮かんでくる。
 知識はある…それは受け継ぐ知識。

 こんなにも狭い。

 だが、実物はやはり違う。
 そうだな、人間で言えば、これが楽しいということなんだろうな。

 わざわざ人間で言う必要はなかった…それでもそう直した。
 人間というものに感化されたわけではない。

 ただ、言葉を分ち合いたかっただけなのだろう。
 それとも…。

 陽が沈む。
 獣の気配が少しずつ増えていく。
 だが、その気配も遠い。

 この道周辺に近寄る気はないという事か。
 なのに火を焚いては、辺りを見回している…そんな人間を視線の端に
捉えながら、空を眺めた。

 目を瞑ると感じるのは、世界そのもの。
927群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:56:07 ID:VNsCGPXW

 ――
 
 時折来る質問に答えながら、旅は順調に進んでいく。
 勿論、荷馬車を盗んだ件で誰かが追ってくるというのはなかった。
 何度も振り返ったのを彼女にはばれていたのかもしれないが。
 …きっとばれているだろう。

 目指す方向から、また行商人とすれ違った。

 そうだな、そろそろ街が見えてもいいころだ。
 すぐにそれが正しかったことがわかる。
 前方の大きな街が視界に写りこんだ。

 ここが一番近い街。
 街の名をタウリオという。
 中継地点にとても適した場所のため、色んな品物が一度ここに集められ、
運送されていく。
 とても大きな街だ。

 大きな街ゆえに…出入口には門兵が配備されている。

 どうかばれていませんように!
 頭の中に祈りがひしめく。
 
「よし、そこで止まれ!」
 調べるため行為…ただそれだけ。
 だけど、嫌な予感が湧き上がる。
 どうかばれていませんように!
 もう一度、強く唱えた。
928群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo :2009/11/20(金) 21:59:43 ID:VNsCGPXW

「荷馬車を調べさせてもらう」
 緊張で心臓が破裂しそうだ。

 どうしていいかわからない俺とは対照的に、彼女はいつものように
無表情だった。

「おい、これ」
「…ああ」
 その声に心臓が跳ねた。
 何か見つかったのだろうか…?
 何か目印でもあったのかもしれない。

 どうしたらいい?!
 額から汗が落ちるのが、嫌でもわかる。

「お前達、ちょっと来、待て!」
 その言葉にいち早く反応したのがマリンだった。

 地面を蹴り、高く飛び跳ねた。
「おい、追え!!」
 音だけは軽快に聞こえた…音だけは。
「逃がすな!!」
 門兵が慌てて、高い壁を軽々飛び越えたマリンを追って街の中に入る。

 マリンが蹴ったと思われる地面が見事に抉れていた。

 …人とは思えない力。

「……」
 その人離れした力に口を閉じることも忘れていた。
「兄さん、今のうちや」
 いつのまにか隣に立っていた男に言われて、気付いた。
 そうだ、今なら門兵もいない!!と。
 急いで荷馬車から必要なものを漁り、街の中へと走った。

 兵が皆、マリンを追いかけていったのは不幸中の幸いというべきか…。
929群青が染まる 02 ◆ci6GRnf0Mo

「いやー、兄さんついてるね」
 声に振り向く。
 わかっていた…さっきの男がついて来ていたことは。
「…何か用ですか?」
 その追ってくる男に問いかける。
「そうやで、聞きたいことがあるんや」
 男は何も隠そうとせず、笑った。

 そんな彼に言われるがままに、食事処へと入った。
 席について気づいた…何も考えずに無謀だったのはないかと。

「そ、それで用って…?」
 本当に何も考えていなかった。
「そんなに、警戒せんといてな。あ、わいの名前はハル。よろしくな!
兄さんは?」
「え、あ、トモヤ」
 つい流れのまま口をついてでた。
 何をやってるんだ俺は!!

 そんなハルと名乗った男は自分より若くみえた。

「トモヤはんか、いい名や。それで…あの姉ちゃんは何者や?」
 急に真顔になった男が顔を近づける。
「な、何者って…?」
 人ではない…と言っても信じてもらえないだろう。
 下手すると頭がおかしい人になってしまう。

 それに、自分自身で信じ切れていない…彼女が人ではないと。

「そう、警戒せんといてな。ただわいは興味が沸いたんや、あの姉ちゃんに」
 少しでも落ち着けば、嫌でも警戒したくなる。
「…なぜ?」
 ゴクリと喉がなった。

 まさか、マリンを…。