とりあえず職人さんがたの復帰を願って。
乙。
もうすぐ1年か。他の職人さんもそうだけど、復帰して欲しいな。
ヒロインの名前でしりとり。
マーベット
トビア
アイナ
ナナイ
イリア
アッシマー
アニー
ニナ
ナタル
ルー
ウッソ
ソシエ
エマ
マリーメイア
アメリアー!
アンナマリー
リリーナ
ナカッハ・ナカト
トニヤ
ヤッサバ
パーラ
ラカン・ダカラン
しりとり終わり。
職人さんたちが戻られますように。
それとマリーメイア可愛いよマリーメイア。
まあ即死回避なんだろうが、説明が無いと荒らしにしか見えん・・・
ところで、どう見てもヒロインじゃない人が大勢含まれているんですが。
まさかの次スレでした
カテジナさん可愛いよカテジナさん
ジオフロさんの復帰はまだか。もちろんISAPさんもお待ちしております。
3年待ったら来るかな。ソロモンよ私は還ってきた、みたいなノリで。
腹黒ティファ
「ほらぁ、ここがいいんでしょう?」とか
「なぁにぃそれ? それのどこがサテライトキャノンなのぉ?(ププ」とか
かない声でなじってくる訳か。
38 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/01(火) 23:31:09 ID:XkRA+E4W
ただの壊れたダッチワイフだからなマリーダwww
殺しても犯しても犯罪にならない
人形に人権なんてないからなwwww
アッシマー・・・だと・・・?
40 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/05(土) 15:04:29 ID:jg2MdN9C
41 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 06:24:13 ID:Rw8vQWM3
「…このカルテにある火傷や裂傷の痕というのは何だ?」
カルテに描かれた人体の線画に、創痕や火傷を示す無数の書き込みがあった。
添付された写真には、太股や乳房にまで残る古傷が克明に捉えられている。
モビルスーツに乗ってできる類いの傷とは思えない。
レイアムは顔を逸らし、
「変態どものオモチャにされてきたんでしょう」
と吐き捨てるように言った。
「ハサン先生の話では、もう女性の機能は破壊されているとか」
さすがに絶句した。
UC5巻
肉便器マリーダは体も傷だらけw
ジュドーとプルツーで何か一つ。
最近ミライさんのエロさにようやく気付いた
良家の優等生お嬢さんなところがやたらエロい
だが相手がみつからんのだ
ブライトでいいのでは。
スレッガーとカムランも居るでよ。
1.シーブック・アノーとしての役割
生い茂る草木をかき分けひたすら山道を歩いてきたシーブックとセシリーだったが、
長い宇宙生活で変わってしまった身体では、本当にただ歩くだけで精一杯だった。
元々がコロニー生まれのコロニー育ちである二人にとって、地球の重力はやはり重い。
木星で生まれ育ったベルナデットが初めて地球に降りた時、一週間経っても体を
動かせなかったというのも無理からぬ話だろう。
体をひきずるようにしてついてくるセシリーを見て、シーブックは足を止めた。彼女の方は
もう限界だ。片腕を失ったとはいえ、自分と彼女では体力的にかなり差があるのだろう。
しかしそう思うと、嬉しさがこみ上げてくるような気がした。まだ自分が彼女を守ってやれる……
そういう自信にもつながった。
後ろに向き直ると、荒く息をつくセシリーと目が合った。セシリーは一瞬ためらうような
仕草を見せたが、すぐに顔を上げ凛とした表情でこちらを見つめ直してきた。
「……どうかして?」
そして、微笑みさえ浮かべてみせる気丈な態度。シーブックはこんな彼女が愛しいと
思うと同時に、いまだ消えないベラの影にやりきれない思いになった。
「そろそろ陽も落ちてきたし、今日はこの辺りで休もう。幸い近くに川があるし」
それを聞いたセシリーは、思いなしかほっとした表情を見せた。が、シーブックが彼女に
近付くとその分だけすいと後ずさる。恐らく無意識なのだろう。彼女自身、縮まらない距離に
戸惑っているように見えた。
シーブックは肩にかけていた荷物を地面に置くと、大きく一歩踏み出しセシリーの肩を掴んだ。
「セシリー」
「え? あ、その……ごめんなさい」
肩を掴まれたセシリーは、掴まれた肩からシーブックの顔、それから互いの足元を見て
くしゃりと顔を歪ませた。今にも泣いてしまいそうな表情を浮かべたセシリーに、シーブックは
何も言えなかった。
──十年という歳月は長い。そう痛感し、手を離す。
「いや、俺の方こそすまない。今日の分の食べ物はあるし、明日には街に着くさ」
地球でセシリー達が世話になっていたおやっさん(と、トビアが呼んでいた)に、二人は
文字通り世話になった。着るもの、食べるもの、簡素ではあったが眠る場所を確保して貰い、
生活の手伝いをして地球の環境に体を慣らしていった。つかの間の平和。つかの間の幸福。
その生活を、今度は二人だけで掴んでいかなければならない。
戸籍すら持たない二人に、それが出来るのかどうかは分からなかった。どちらも不安を
感じていた。それでもやらなければならないのだと、少なくともシーブックはそう考えていた。
「えぇ……そうね。ごめんなさいね、シーブック」
「謝る事はないさ」
セシリーを一際大きな樹の側に座らせ、シーブックは先ほど通り過ぎた川へと歩を進めた。
自分もそうだが、休む前に一日分の汗を洗い流さなくては。
49 :
シーブック×セシリー(U.C.133):2009/09/13(日) 03:13:18 ID:NoBviB5X
風が吹く度に、草木がざわざわと騒いた。ふと、シーブックはハイスクール時代の事を思い出した。
放課後になれば一も二もなく山へ行き、グライダーで飛んでいたあの時の事。モビルスーツを駆り
人の命を奪うなんて、考えた事も無かった時の事。
(人殺し……か)
F91は今でも連邦軍で使用されている。自分が初めて人を殺したあのV.S.B.R.の力も未だに健在。
10年を過ぎて尚も現役を誇るマシンを作った母は、本当に『仕事の出来る人』だったのだ。
バイオセンサーの研究だって、まだサナリィで続けられている……。
そこまで思って、シーブックは未だ戦いを忘れられない自分に気が付いた。セシリーがベラを
忘れられないように、自分もキンケドゥ・ナウを……レジスタンスのシーブック・アノーをも忘れる事が
出来ないのだ。今は、まだ。
「ああ、ちくしょう!」
シーブックは声を上げた。
分かってはいる。十年という歳月は、そう簡単に埋められるものではない。そして簡単に
忘れられるものではない。自分がこうして思い起こすのと同様に、セシリーだって人を殺めた
罪の意識に苛まれる事もある。それをなんとかするのが自分の役目だというのに、感傷に
浸っている自分が許せなかった。
パンッ!
勢いよく自分の顔を両手で挟むと、小気味よい音と共に強い衝撃が走った。じんわりと
熱を持ちながら、頬がひりひりと痛み出す。体の一部でなくなった右手は、感じたことの無い
感覚を脳に伝えていた。
シーブックは川に降りて、一気に肘の辺りまで水に浸した。冷たい、と感じた。──ような気がした。
そう気付けたのは同じように左手を川に突っ込んでみたからで、比べてしまえば機械の右腕は
全く感覚を伝えていなかった。
(安いものさ)
シーブックは微笑んだ。こんなものでセシリーを取り戻せたのなら、安いものだ。
手を引き上げると、シーブックは川の水で顔を洗い、脇に置いていたバッグからタオルを取り出し
顔を拭いた。それから新しいタオルを二枚取り出し、水に浸して固く絞る。水筒に水を汲んで
タオルと一緒にバッグに詰めると、シーブックは来た道を引き返していった。
***
2.ベラ・ロナとしての年月
シーブックが大木の元へ戻ると、セシリーが笑顔で彼を迎えた。
「遅かったから心配したわ」
「鹿に襲われてたんだ」
「あら、それは大変ね」
くすくすと笑うセシリーを見て、シーブックも安心した。いつでもこうして笑っていて欲しい。そう思った。
「ああそうだ、これ」
水で絞ったタオルを渡すと、セシリーはまた一層目を細める。
「やだ、自分で行けたのに」
「応急処置だよ」
「フフ、まるでケガでもしたみたい」
「セシリー!」
堪えきれないとでもいうように声を上げて笑い出したセシリーに、シーブックは非難の声を上げた。
彼女は構わず笑っているが、シーブックはもうそれ以上何も言わなかった。
シーブックが荷物の中から食べ物を取り出すと、セシリーはようやく笑うのを止めた。食事前だからと
セシリーはタオルで顔を拭き始め、それから首を拭く。首の後ろを拭いて、パーカーのファスナーを
下げながら胸元をどうしようかと迷っている内、シーブックの視線に気が付いた。
幸か不幸か、セシリーのニュータイプの能力も健在だったのである。
「シーブック?」
そう声をかけられ、シーブックは自分が彼女を凝視していた事を覚った。
「わ、悪い。別にそういうつもりじゃ……」
「そういうつもりって?」
慌てて視線を逸らしたが遅かった。身を乗り出してきたセシリーの胸元が、ファスナーの持ち手が
重力に引かれた事によって大きく開く。
「……あ」
重力の弱い生活が基準になっている二人にとっては、やはりまだ地球での生活は慣れないものだったのだ。
飾り気のない簡素なつくりのブラジャーが、それに覆われた豊満な柔肉が、シーブックの網膜に
はっきりと焼き付いた。セシリーはセシリーで、シーブックとは違った角度からそれが見えた。
恥ずかしい……! そう思うのと同時に、セシリーは素早く両腕を胸に回して俯いた。シーブックは
ぴくりとも動かない。そして、どちらも喋らない。
しばしの間。
(どうしよう、こんな、こんな……恥ずかしい……!)
セシリーは、何が恥ずかしいのか自分でも分からなくなっていた。
最初は、自分の体を見られた事に対して恥ずかしいと思った。が、コスモ・バビロニア戦争以後
しばしの間二人は恋人同士であり、性的な干渉を全くしなかった訳でもない。今更恥ずかしがる
というのもおかしな話だし、むしろ彼を拒むような態度は失礼にあたるのではないか。
そしてもう一つ、自分達の年齢の事である。28というのは既に女として成熟している頃であって、
胸元を見られただけで恥じらうような年齢ではないはずだ。
セシリーはシーブック以外に男を知らないが、彼はそうでないかもしれない。今更うぶな態度を
見せられても、彼は単に面倒な女だと思うかもしれない……そう思うと、セシリーは自分のした事が
堪らなく恥ずかしく思えてくるのだ。
もちろん全てセシリーの勝手な思い込みだったが、慣れない環境と疲れで思考がまともに
はたらいていない事をセシリーは分かっていなかった。
「ご、ごめんなさい。私、もうそんな年でもないのに……」
呆れられても仕方ないと思いながら、セシリーは腕を下ろす気にはなれなかった。小さく縮こまっている
自分にでも捕まっていなければ、不安でどうにかなってしまいそうだった。
「……セシリー」
優しげなシーブックの声が聞こえた。
セシリーは思い出す。彼はいつだって優しくて、自分を見捨てたりはしなかった。黙って側にいてくれた。
だがその記憶ですら、一度不安に囚われてしまった心をすくってはくれなかった。
「セシリー、こっちを向いてくれないか……セシリー?」
頬から耳の後ろにかけて、シーブックの手が触れた。冷たい手。自分のせいで、人のものでは
なくなってしまった彼の右手。一歩間違えば彼そのものをなくす所だった……。そうだ、自分は
彼に対して後ろめたい事があり過ぎる。考えてみれば今まで彼が自分に優しかったのは
奇跡のような事で、本当ならとっくに愛想を尽かされてもおかしくない状態だったのではないか。
──ずっと彼に無理を強いていた。そのストレスを、自分の体を差し出す事で少しでも軽くする事が
出来るのなら、すぐにでもそうすべきだろう。
たとえ無理に体を開かれたとしても、今までの事を責められたとしても、詰られたとしても、
仕方のない事……セシリーは、死神の鎌を首に宛がわれたような気分で顔を上げた。
だがセシリーを待っていたのは、嘲笑でも罵倒の言葉でも、もちろん暴力でも無かった。
「……怖がらせてごめん」
心底すまなさそうな顔をして、シーブックはそっとセシリーの頬を撫でた。
「嫌がる事はしない。だからそんなに怯えないでくれ」
「シーブック……」
セシリーは後悔した。こんなにも優しいひとを、自分は何故信じられなかったのだろう。しかし同時に
幸福感を味わってもいた。セシリー・フェアチャイルドは落ち着き無くあちこちをふらふらしていた
ひどい女なのに、シーブックは優しくしてくれる。いたわってくれる。
「ごめんなさい。私、急に取り乱したりして」
口から自然に感情が出ていく。思った事も言えず、自分で自分が分からなかったさっきまでと比べて、
それはとても素晴らしい事だとセシリーは感じた。思った事を言える。自分の考えをためらいなく
他人に伝えられる。
「いいトシして、恥ずかしいわよね。こんな事くらいで」
「いや、そんな事は……。むしろ俺の方こそ、あんなジロジロと」
「シャワー、覗いたりしてたのにね?」
「え、それは……っはは、まいったな」
困ったように髪を掻き上げるシーブックは、それでも優しく微笑んでいた。
彼のそんな表情を見ていると、セシリーは堪らなくなる。胸の奥がぎゅっと縮んだようになって、
苦しくて苦しくて仕方がない。ベラ・ロナとして艦を動かしている時もそんな事があった。彼の表情を
思い出し、一人ベッドで自分を慰めた事もあった……。
「シーブック」
考えるより先に、体が動いていた。セシリーはシーブックに自分の体を預け、たくましい首に腕を
回した。指先に硬い髪の感触が触れる。
男性の体だ、とセシリーは思った。自分とは違うつくりの自分ではない人間。でもわかり合える。
彼は間違いなくニュータイプだし、自分にもその片鱗があるという。自分達が人の革新ならば、
新たなカテゴリーの人間ならば、いいや、そうでなくとも彼の、彼自身が持つ性質としての……。
そこまで考えて、セシリーは大きく首を振る。
セシリーは目を閉じて、一層自分の体をシーブックに押し付けた。
「シーブック、好き。大好きよ」
シーブックは彼女の想いごと全て包み込むようにして、セシリーを抱きしめた。
***
3.交感
「本当にいいのか? 無理、してない?」
「してないわよ。ひょっとして嫌なの?」
セシリーは口をへの字に曲げて上目がちにシーブックを見つめてくるが、そんな訳がない。
シーブックとしてはいつだってセシリーを抱きたかったし、セシリーの感触に飢えていた。
シーブックは意を決して、彼女の体に触れた。
「ん……」
小さく声を上げて身じろぎするセシリーが愛しい。自分のした事に反応してくれているのだと思うと、
一層愛しさが募った。その心のまま、体の輪郭をなぞるようにセシリーの上体を撫で回した。
ただそれだけなのに、いちいち息遣いや声で反応してくれる。嬉しかった。
そうしている内にセシリーの内股に手を滑らせると、ぴくんと体が震えた。ぎゅっとシャツを
掴んでくる小さな手が愛おしい。
「セシリー、こっちに」
不安がらせてはいけない。逸りすぎた手を離し、セシリーの手は自分の首に回させ、セシリーを
自分の膝の上に乗せた。
セシリーの重みがしっかりと自分にかかり、それは体重が重いとかそういう事でなく、セシリーの
肉感を直に感じる事が出来る行為だった。たまらなくなって腰に手を回し、強く強く抱きしめる。
セシリーは、最初は手を背に回し抱き返していたが、少し迷った後シーブックの手に重ねた。
「好きよ、シーブック」
「ああ、俺もだ」
手の甲に感じるセシリーの感触。体の前面に感じるセシリーの体温。鼻孔いっぱいに広がる
セシリーの匂い。短く切りそろえられたセシリーのブロンド、その下から覗く白いうなじ。俺達は
生きている――シーブックはそう実感した。だが、何かが足りない。真に心まで通じ合ったはずなのに、
何が足りないというのか。
シーブックは人間の五感を一つずつ思いだし始めた。視覚、触覚、嗅覚、聴覚……あぁそうかと、
すぐに納得がいった。足りないのだ。足りないに決まっている。ずっと長い間、自分はそれを
味わっていなかったのだから。
シーブックはためらいなくそのうなじに舌を這わせた。
「っ!」
おそらくは優しい感覚に包まれていただろうセシリーが、突然の刺激に身を縮こませる。しかし
シーブックは反射的に逃げようとする体を押さえつけ、無遠慮にその柔肌を舐め回した。
「あっや……! ん、うぅ……シー、ブック?」
ビクビクと小刻みに揺れる体が徐々に緊張で固くなっていく様は痛々しくもあったが、自分と
同じように熱を持っていくのが嬉しかった。火照った体を密着させているせいで熱がこもり、うっすらと
汗ばんでいくセシリーの体。もちろん自分もそうだが、そんな事を気にしている余裕はない。
「セシリー、愛している」
「あ、そんな……っ!」
腹の辺りでだぼついているパーカーの裾から手を入れると、セシリーが一際大きく体を震わせた。
シーブックはすぐに気が付いた。冷たいのだ。利き手である右の腕は、肘から下が無機質な金属製である。
じんわりと熱を持っていた体には、余計に冷たく感じただろう。
左手を使おうかと考えたが、ぎこちない愛撫でもしセシリーを傷つけたらと思うと二の足を踏んでしまう。
それに肌の感触を味わいたいという助平心からそうしたのではと思われるのも嫌だ。
迷っているシーブックの右手に、そっとセシリーの手が重ねられた。
「私が温めるから、やめないで……ね?」
そう言って何度か手の甲をさすると、両手で包み込んでくれる。しばらくそうしてから、セシリーは
シーブックの手を上へ上へとずらしていく。乳房に触れるか触れないかの辺りで、セシリーの手は
パーカーの外へ出て行った。もう大丈夫という事だろう。
意を決して、シーブックはたぷたぷとした乳房を包み込んだ。傷つけないように慎重に力を込めると、
やわらかい弾力が手を押し返してくる。その感触が楽しくて、シーブックはしつこいくらいにその柔肉を
揉み込んだ。
何度も繰り返しその弾力を楽しんだ後、シーブックは下からそっと持ち上げてみた。機械の手にも
伝わるしっかりとした重み。カッと体が熱くなるのを感じる。
セシリーの体を支えていた左手を素早くパーカーの下に滑り込ませ、シーブックは両手で二つの乳房を
持ち上げた。その勢いでパーカーの裾はずり上がり、白い肌が見えてしまっていた。しかしシーブックは
それに頓着せず、ぐい、と寄せ上げた乳房を、今度は機械的に手から離した。
ぶるん、と音がしそうな程勢いよく、二つの乳房が揺れる。左右に揺らめいていた乳房はやがて、
重力に引かれて均衡し静止した。
シーブックはそんな事にすら地球の神秘に思え、なんだか神聖なものを見たような気持ちでセシリーの
乳房を見つめる。持ち上げた時は隠れて見えていなかった朱い蕾が、遠慮がちにこちらを見上げていた。
殆ど反射的に、シーブックはその蕾に指先で触れた。中指の腹で撫でると、ぷっくりと膨らみ
勃ち上がってくる。痛みを与えてはいけないと、シーブックはその蕾に触れるのを止めた。代わりに、
薄く色づいた乳暈へと指をずらす。肌の色の変わる境目をなぞっていると、セシリーがずっと詰めていた息を
吐き出した。
「あ……あなた、そういうのが好き、なの……っ?」
吐息混じりに問われても、一体何の事なのかシーブックには見当も付かない。どういうのだろうと
考えながらも、指の動きは止めない。くるくると周りをなぞっていると、ついにセシリーが体を捩りだした。
「どうしてそう、澄ました顔してられるのよ」
『私は、こんなに辛いのに……』。苦しそうな息遣いが聞こえた。これはセシリーの心だ。セシリーの心が
流れてくる。ならば同じように自分の心も流れているはずなのに、なぜセシリーには届いていないのだろう。
もしかすると、ほんの少しだけ、自分の方が鋭いのかもしれない。シーブックはそう仮定する。
ニュータイプというものは、エスパーの類では無いと自分は思っている。以前は……トビアに会うまでは、
ニュータイプとはパイロット適性のある人の事だと思っていた。が、今では、人よりほんの少し勘が鋭かったり、
感性が優れている人の事を言うのだと思っている。だから自分とセシリーはあの時通じ合えた。その後トビアとも通じ合えた。
「セシリー、腰を浮かせて」
「急に……」
文句を言いながらも体は動いている。その隙にあぐらをかき、横向きにセシリーの体を下ろした。
右腕にセシリーの背中をもたせかけると、無防備になった乳房に口を寄せた。さっきまで指でしていた事を
舌で再度やり直すのだ。舌の腹で乳首をくるむように撫で、乳輪の境目を舌先でなぞる。やわらかくなっていた乳首が、再度硬くなった。
「ちょっと、しつこいわよ」
批難するように額を押されたが、構わず続けた。思った通り、セシリーの口からは堪えきれない喘ぎが
漏れた。泣いているようにも聞こえるが、違う。
(感じてくれてる……)
性欲を煽られるようななまめかしい声に、シーブックは自分の体が反応しているのを感じた。セシリーにも
気付かれているだろうが、そんなものは知った事ではない。もっとセシリーの声を聞きたい。何度となく
思い出したハイスクール時代のそれではなくて、今自分の中にいるセシリーの声を。
「あぁ、あっ……やっ、ん、んうぅ……っ」
シーブックを押しやる事は諦めたが、今度は自分の声を抑えようと、セシリーは両手を口元に持って行く。
が、シーブックはそれを許さない。片方ずつ捕らえ、自分の首に回させた。するとセシリーは素直に自分を
抱きしめてくれる。
嬉しくなって、シーブックは軽く歯を立ててみたりする。セシリーはそれに応えるように声を上げる。やがて
セシリーが膝を擦り合わせているのを見つけて、シーブックは改めてその美しい曲線を描く足に手を伸ばした。
***
途中ageてしまってすみません。
久々にF91を読んだら、当時どうでも良かったこの二人に萌えました
4.知識と絶対的に足りない経験
今度は向き合うようにしてセシリーを膝に乗せると、長くしなやかな足が自分の腰に巻き付いてきた。
こういうのもいいな、とシーブックは思い、ゆるく口の端が上がる。なんだかんだ言っても、
無駄に年を取ってきた訳ではないらしい。
一方セシリーは自分が落ち着いているのが気に入らないらしく、バカとかエッチとかロリコンとか、
脈絡のない罵倒の言葉を吐いている。子供のように可愛らしいその仕草についイタズラ心が
湧いてきたのか、シーブックは何もまとっていないセシリーの尻を左手で撫でた。
「やんっ」
「お、予想外の行動」
てっきり怒鳴られるかビンタだろうとシーブックは思っていたのだ。だがおそらくそれは
ハイスクール時代のセシリーやベラの反応であって、今のセシリーにとっては自然な行動だったに
違いない。赤くなった顔を見られるのが恥ずかしいのか、シーブックの肩に顔を埋めて黙っている。
「すべすべしてる。気持ちいいな」
それをいい事に、シーブックはそのさわり心地の良い尻の感触を思うがままになで回している。
ともすれば痴漢のような触り方だが、幸い辺りにいるのは動物達。人の気配は全くない。
「いやらしい事を言わないで」
「これならハタチでも通じるな」
「……バカにしてる?」
ベルナデットが艦に来て以来、彼女はやたらと年齢を気にしていた。それを思い出して、
シーブックとしてはよかれと思って言った事だったのだが、セシリーの反応を見るとそう嬉しくもないらしい。
(相変わらず女性って難しいな……)
アンナマリーやドロシー、ベルナデットといった、自分の回りにいた女性達を思い出す。皆
境遇は違うが、それぞれに複雑な思いを抱いていた。
「ちょっとあなた、何を考えてるの?」
「え?」
気付いたのだろう。これから男女の営みをしようという時に他の女性の事を考えるなど、
うかつにも程がある。自分は以前と比べ大分明るい性格になったとは思うが、ここ数日の間に
平和ボケでもしてしまったのだろうか。
シーブックは何も言えなかった。謝ってしまえばやましい所があると認める事になるし、セシリーが
一番好きだなどと言ってしまえば他にも気があるのかと疑われてしまうだろう。いや、正確には
『そう反論する隙を与えてしまう』。
「もう、さっきからやる気があるのかないのか、はっきりしてよね」
「そりゃあるに決まってるだろ」
シーブックはセシリーの手を取り、自分のモノに触れさせた。
「ーーーッ!!!」
声にならない声を上げ、目を白黒させて顔は真っ赤。セシリーがこんなに混乱した姿を見るのは
初めてだっただろう。……そして、自分の逸物に爪を立てられたのも。
──バサバサバサッ!
二人の声に生命の危機を感じた野鳥の群れが、一斉に木から飛び立った。
58 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 13:38:30 ID:RH1j0qmM
肉便器マリーダ
おお。久々に職人さんきた。
優等生だけど朴念仁なシーブックらしいw
爪は痛いな爪はw
GJ!
GJ!ぜひ続きをぉ・・・・
ブラボー・・・
おお・・・ブラボー!
5.over the line
「ごめんなさい」
しゅんと項垂れるセシリーが、いつになく可愛い。が、痛いものは痛い。
「あ、ああ……。これくらい、へ、平気さ……」
シーブックは、途切れ途切れにそう答えるのが精一杯だ。しょんぼりと萎えてしまった陰茎を、
セシリーがそっと覗き込んでくる。シーブックは情けない気分になったが、なんとなく隠そうという
気にならなかった。
「本当に、私……。まだ痛む?」
セシリーが、セシリーの白魚のような指が、そっとシーブック自身に触れた。
「うっ」
「ご、ごめんなさい!」
ぱっと離れてしまったセシリーの手を、シーブックは咄嗟に握りしめていた。
「……?」
「あ、いや、その……」
セシリーの心配そうな表情を見ると、シーブックはますます自分が情けなく思えてくる。
(しっかりしろシーブック・アノー! 今までチャンスはきっちりモノにしてきたはずだ、そうでなけりゃ……)
自分をきつく叱責し、木星帝国との戦いを思い出す。一瞬の気の緩みが命取りだった、あの
厳しい戦いを。その最中、自分は今よりずっと頼りがいのある男だったはずだ。大丈夫だ、
俺は上手くやれる!
澄んだブルーグリーンの瞳に光が差した。丁度良い事にセシリーはシーブックの股間に気を
取られていて、それに気付いていなかった。
「セシリー、あのさ、頼みたい事があるんだ」
「ええ、私に出来る事なら!」
責任感からだろう、セシリーは待ってましたと言わんばかりにそう答えた。
ちらりと罪悪感が頭をもたげる──が、これは騙すとかそういう事ではない。必要な事なのだと、
シーブックは自分に言い聞かせた。
「なら……」
握っていた手を、自分の竿に触れさせる。今度は爪を立てられないように、注意深く慎重に。
とは言え、セシリーの方も今度はそれほど驚きはしなかったのだが。
「まだ少し痛むんだ。優しくしてくれないか。こんな風に」
セシリーの手を、根元から先まで撫でさせた。尿道口から透明な液が垂れていて、先ほどまでの
滾りを思い起こさせる。
「えぇ……」
セシリーの触り方は、本当に優しかった。とても優しかった。そこに血が集まっていき硬く形を
変えても、セシリーは手を止めなかった。
こんな理由をつけなくても、彼女は手淫ぐらいならしてくれただろう、ともシーブックは思う。実際
昔はしてくれていたのだし、口を付けてくれた事もあった。だが、今の二人にとっては必要な事だった。
無理にでも理由をつけなければ、お互い行為に進む事が出来ないのである。
だがそれは理由を付ければ進めるという事でもある。歳月は想いの形を変えたが、互いを大事に
思う事には変わりはない。互いに、体を重ねたいという気持ちも理解している。
「これは? 痛くはない?」
セシリーがカリ首に指を回し、くびれをきゅっと締め付けられた。
「あ、あぁ……平気だ」
気持ちいいよ、と言えない自分が情けない。軽口を叩く事は出来ても、肝心な時に言えなければ……。
ギリギリの戦場を駆け抜けてきて慎重になっているのか、単に臆病なだけか。
(セシリーの指、やわらかい。それにきれいだ)
シーブックの視線を意識しながら、セシリーはやわやわと亀頭を包み込んだ。見られている事に
緊張しているのだろう、動きは少しぎこちなかった。そして、昔の勘を取り戻さなければならないのは
二人とも同じなのだ。
粘着質な先走りを指先にまとわせ、指の腹でコリコリと裏筋を擦る。その刺激に、血管が浮き出た
陰茎はびくんびくんと動き回り、セシリーには自分の手から逃げて行こうとしているようにも見えた。
「ダメじゃない、大人しくしてなきゃ」
「そんな事言ったって……うぁ」
片方の手で陰茎を握り、もう片方でカリと裏筋の継ぎ目を擦られる。声を漏らしたシーブックに
満足したのか、セシリーは続けて陰茎を上下に扱き始めた。
「あぁ、く……ううっ!」
「うふふ、相変わらずここ、弱いのね」
「そんなの、セシリーだって……っ」
シーブックは、無防備になっていたセシリーの内股に触れた。
「あ、ちょっと……!」
指先を滑らすようにして、下から上へとなぞり上げる。自分の上に乗った体に緊張が走り、性器への
刺激が止まった。それをいい事に、シーブックはくるくると円を描くようにしてなぞり上げる。セシリーは
太ももが極端に弱い。
そのまま指を滑らせふっくらと盛り上がった恥丘に触れると、セシリーはまたびくんと体を震わせた。
足を閉じようとしているのか、腰が締め付けられる。
「ここはふっくらしてて……焼きたてのパン?」
とぼけてみせると、セシリーは股間から手を離して肩に顔を埋めた。尻を撫でた時と同じ反応だ。
「バカな事を言わないでっ」
「あぁ、そうだな」
恥ずかしがってもう触れようとはしてくれないが、もう刺激が無くても十分なくらい、シーブックの
それは硬く勃起している。目の前の女にくるまれたくて、いきり立っている。
シーブックは、左手でセシリーの大陰唇を広げた。くちゃりと音を立てて開かれたそこは、まるで
触れられていなかったというのに潤っていた。
「パンはこんなに溢れさせたりしないもんな」
「そんな事言って……っ!?」
半泣きになっているセシリーの腰を右手で抱き寄せると、開かれた女陰と自分のものが触れた。
その粘着質な感覚は、シーブックを陰茎にキスされたような気分にさせた。
ずっと以前にそうして貰った時の記憶が蘇る。困惑したセシリーの顔、やわらかい唇の感触、
えもいれぬ幸福感……。
頭に血が上るのを、シーブックは自分でも分かっていた。
***
6.交歓
シーブックはセシリーを支えていた右手で自分のものを掴み、セシリーの女芯に亀頭を押し当てた。
いよいよ貫かれるのか……セシリーはシーブックの首に手を回してその衝撃を待つ。が、待ってみても
シーブックがそこに侵入してくる気配がない。どうしたのかと顔を上げると、シーブックがにやりと笑みを
浮かべた。
「あぁんっ!」
くちゃくちゃと音を立てながら、シーブックは亀頭でセシリーの膣口をこねくり回した。それはセシリーの
中に潜り込んでしまいそうな程食い込んでくるのだが、すぐに他の所へ行ってしまう。豆粒のような
陰核を引っかけて、小陰唇を押し付けて。
「あっ、や……ふ、はぁん、くふぅんっ!」
鼻に掛かったような、吐息まじりの喘ぎ。
(セシリーの声って、なんでこんな色っぽいんだ……!)
とろける女芯の感触ももちろんあるが、シーブックはセシリーの声に反応していた。目尻に涙を溜めて、
セシリーは絶えず送られてくる快感の元から目を離さない。このなまめかしい声はしどけなく開いた
口から、いや、つんと上向いた鼻から出ているのかもしれない。
「セシリー、いいか? いくよ?」
「う、うんっ! いいわ、きて、きて、シーブック……!」
亀頭がぐぬ、と肉を拡げる感覚があった。が、膣口に思った以上の抵抗がある。シーブックは両手を
セシリーの尻に回し、そのまま自分へと引き寄せた。
「あぁあああぁぁっっ!!」
歓喜とも苦痛ともとれぬセシリーの悲鳴。しかしぬるぬるとした愛液に助けられ、シーブックの男根は
一気に根元まで埋め込まれた。膣内はきついのに、やわらかい襞が中で蠢いている。
亀頭やカリ首、刺激に弱いくびれや裏筋が隙間無くその襞と触れており、いっぺんに全部を容赦なく
責められている気分だった。
「セシ、リィ……! 力を、抜いてくれ」
「そんなの、無理っ、無理よ……っ!」
力を抜くどころか、セシリーはシーブックにしがみついてきた。密着する体。押し付けられる
やらわかい乳房。その先端の硬い感触。
不意を突かれたシーブックはつい射精しそうになったが、歯を食いしばってなんとか耐えた。
「なら、このまま動くぞ……!」
たぷたぷとしたセシリーの美尻を両手で鷲掴みにし、勢いをつけて腰を突き出す。突くというよりは
軽い振動のような動きだったが、敏感なセシリーの肉壁は一斉にシーブックに絡みついてきた。
「うぅ……くぁあっ」
荒く息を吐き出し腕の力をゆるめ、シーブックはもう一度同じように動いた。セシリーはさっそく
シーブックに合わせて腰を振り始めた。
体が覚えている……? いや、どうすればいいか分かっている。どうして欲しいか知っている。
あまり考えたくはないが、これもニュータイプ能力のせい?
66 :
シーブック×セシリー(U.C.133):2009/09/14(月) 16:56:56 ID:sqheIge9
「シーブック、シーブック……っ!」
名前を呼ばれてはっとする。愛しそうに自分を見つめてくる彼女の、なんと……。
「セシリー……セシリィイっ!」
愛しい。頭が狂いそうな程に愛しい。
この快楽がどういうものか、そんなのは後で考えればいい事だ。いや、考えなくてもいい事なのだ。
今はただ、セシリーを、セシリーと。
「セシリー、セシリイっ!」
シーブックは、今までの優しさなど微塵も感じさせないほどに激しくセシリーを突き上げた。ぞろぞろと
襞が絡みついてくるが、それすらもかき分けて奥へ奥へと突き進む。
「シーブックう……くぅ、んっ……シーブック!」
セシリーもそんな彼に臆する事なく動きを合わせている。臆するどころか、むしろ望んでいたのかも
しれない。自分を征服するように、屈服させるように、激しく愛される事を。
『愛しい、愛しい、愛しい……』。ただそれだけを伝えたくて、シーブックとセシリーは体を動かしていた。
もっと触れ合いたい。繋がりたい。いっそ一つになってしまいたい……そういう感情に、包まれていた。
お互いに包んでいた。それは温かい感覚。たまらなく優しい感覚。
「うあ、あ……! セシリー、あ、はぁっあ」
「シーブック……シーブック、いいの、いいからっ」
セシリーがシーブックの口を塞いた。どちらからともなく触れ合った唇が割れ、すぐに舌を絡め合う
濃厚なキスが始まる。
「ん、んふ……ちゅむ、ちゅぱ……」
ざらざらした表面をこすり合わせ、ぞくぞくと背中を駆け上ってくる快感と酸欠の苦しさとに酔う。
そして、こみ上げてくる射精感。
「んむ、むぅ……ちゅ、れる、んっ」
噛まないように、シーブックは舌を引っ込めた。それを察して、セシリーもシーブックの口内から
舌を引き抜いた。
唇は触れ合わせたまま、互いにきつく抱きしめ合う。二人の意識では、二人は完全にとけ合っていて、
心臓の音まで一緒になっている気さえしていた。体は激しく交わっているのに、心はずっと穏やかだった。
『愛してる、セシリー』
『愛してるわ、シーブック』
もう離さないとでもいうように締め付けてくるセシリーの膣内に、シーブックの熱い迸りが注ぎ込まれた。
***
7.海賊ですから
きつく抱き合いながら快楽の絶頂を味わった二人は、ぐったりともつれ合うようにして大地の上に
横になった。
たっぷりと汗をかいていたし、すぐにでも水浴びなり着替えなりをしたいような状態だったが、
体を離す気にはなれなかった。離れたくなかった。
(こんなのって、そうないよな……。にしても、俺もまだまだトビアの事は言えないな)
ベルナデットの事になるとすぐ頭に血が上る、幼げな顔立ちの少年を思い出した。好きな女性の
為ならなりふり構わず、というところは似ているのかもしれない。その彼は宇宙へ飛び立った──。
シーブックは空を見上げた。まだ陽は沈みきっておらず、赤に紺が混ざったような不思議な色をしている。
(幸せ、と言っていいのかな。これが)
しんなりと自分に重なっているセシリーの重みが心地良い。あまりにも心地良くて、空を見ながら
眠ってしまいそうだった。セシリーが身じろぎせずに本当にじっとしていたら、とっくに眠りに落ちていた
かもしれない。
セシリーの体をそっと下ろし、左腕に乗せた小さな頭を撫でてみる。子供扱いするなと怒られる事も
予想していたが、セシリーは黙ってされるがままでいてくれた。
きっと、もうずっと甘えたかったのだろう。狭い艦内で、パンを焼くだけで全てのストレスを処理しきれる
はずがない。これからはいくらでも甘やかしてやろうとシーブックは思った。
「ねえ、シーブック」
「ん?」
「私ね、考えていたんだけど……」
何の事だろう、と考えて、真っ先に思い浮かんだのは先ほどの行為についてである。
(ま、まさかこれからダメ出しされるのか……!?)
確かにかなりの間行為自体に及ぶことはなかったし、セシリーの体についても記憶が曖昧だった事は
自分でも認める。自分は事前に手コキでかなり良くして貰ったが(その前に痛めつけられもしたが)、
その分本番で頑張った訳で……、いや、まさかセシリーに限ってそんな事はない!
シーブックは大いにうろたえた。
「パンを、焼きたいの」
ぽつり。遠慮がちにセシリーが言った。
「へっ!?」
パンを焼きたい? 何故? 今? ここで?
「あ……。やっぱりだめ?」
シーブックの反応に肯定の意思を読み取れず、セシリーは寂しげに呟いた。
「い、いや、違うよ。でもここでか? さすがにそれは無理があるよ」
「え? 違うわよ。街に行ったらの話、で……」
セシリーは何故かそれきり口を閉ざしてしまった。
少し考えて、セシリーの癖に思い当たった。ストレスがたまるとパンを焼く、そんな自分の癖を
恥じているのだろう。今更恥ずかしがる事でもないのに、可愛いひとだ。
「なら、街に行ったらまずはパン屋を探そう。手伝えば少しは世話を見て貰えるかも」
「……ふふ、うふふっ」
シーブックとしては至極真面目に答えたはずなのだが、どうして笑うのか。こちらは考えても見当が
付かなかった。
「私達、これから一緒に生活するのでしょ。だったら、仕事を見つけないといけないじゃない」
まさか海賊をやる訳にもいかないし、とセシリーは笑う。
「だからね、そういう事」
「お、俺がパンを焼くのか?」
「バカね、違うわよ。ふふ」
尚も笑いながら、セシリーが体を起こした。さっきまでセシリーがいた所に外気が触れて、ひんやりと
冷たい感触が広がる。妙に寂しくなって、シーブックも体を起こした。
「私がパンを焼くから、手伝って欲しいの。また苦労をさせてしまうかもしれないけど……」
下を向いて申し訳なさそうに言うセシリーの肩を抱き寄せる。皆まで言わせてしまうのは忍びない。
「いいんだよ。俺がセシリーといたいんだ。セシリーの役に立ちたい。俺を……」
「シーブック!」
好きに使ってくれ、という言葉はセシリーによって遮られた。
何かためらっていたようだが、セシリーは大きく息を吸い込むと、はあ、と一気に吐き出した。
「私、もうそういうの、嫌なのよ」
「セシリー?」
ブルーの瞳が、まっすぐにシーブックを見つめる。
「あなたが私の為に犠牲になるのは、もう嫌。一緒に、二人で幸せになりたいの。あなたが私の為に
何かしたいと言うように、私だってあなたの役に立ちたいわ」
だから……と続けるセシリーの口を、キスで塞いだ。
突然の事に、セシリーは目を丸くしてぴたりと動きを止めた。シーブックは無抵抗のセシリーの唇を
割って舌を侵入させると、同じく無抵抗だったセシリーの舌に絡みついた。
「!!!」
ようやく事態を察したセシリーだが、全く抵抗が出来なかった。無理に動いたり喋ろうとしたりすれば、
シーブックの舌を噛んでしまうかもしれないと思ったのだ。……もっとも、シーブックの方は噛まれる前に
逃げられる自信があったのだが。
仕方なく、セシリーはシーブックの胸をとんとんと叩いた。自分は真面目な話をしているのだ。こんな事で
茶化さないで欲しい。すぐに離れてくれるだろうとセシリーは思った。ごめん、冗談だよ、と言って
笑ってくれるだろうと。
しかしシーブックは硬口蓋を舌でくすぐり、端から順に歯肉をなぞり、誘うようにセシリーの舌先を
ちろちろと舐めてくる。思わず応えてしまいそうになるのを何とか堪え、背筋を走る快感に負けないよう
両手を握りしめた。だがそこにもシーブックの魔手が伸びてきて、指と指を絡めさせられる。
息継ぎ以外に口を離して貰えず、快感に絆された体ではシーブックから離れる事も出来ない。
ついにセシリーは陥落した。かくんと力が抜け、崩れ落ちそうになる……が、地面に落ちる感触は
無かった。待ち構えていたかのようなタイミングで、シーブックが支えてくれたのだ。いや、確実に、
彼はこうなるのを待っていた。
「危ない危ない。大丈夫か?」
白々しく自分を心配するようなセリフを吐くシーブックにカチンとくる。さっそく文句を言ってやろうと
口を開いたのだが、どうも感覚がおかしい。だが気の強いセシリーは、そんな事は気にしていられない
と判断した。それが間違いだった。
「だい、じょうぶらわけ……っ?」
舌がもつれ、上手く喋る事が出来ない。まるで幼児のように舌っ足らずな発音。
ろれつの回らない自分に信じられないとでもいうように、セシリーは自分の口を塞いだ。シーブックは
それを見て、すこぶる楽しそうにしている。
「俺の為に何かしたいって言うけど、今の所はこれで十分だ」
「な、な……!」
口をぱくぱくさせているセシリーを、ゆっくりと地面に横たえた。
「さっきので勘を取り戻した気もするし、セシリーは寝てるだけでいいからさ」
「そ、そんなのできるわけないでしょう? わたしらって……うっ」
「私らって?」
首を傾げ、やけに爽やかにシーブックが笑う。
「ひっ……卑怯よ、あなた!」
「海賊生活が長かったもので。使えるものは何でも使わないとね、艦長?」
──以後、好き放題体をいじくり回されたセシリーは、もう二度と床でのシーブックに噛みつくのは
止めにしようと思ったという。勘を取り戻したという彼の言葉は、本当だったに違いない。
***
以下エロパロ的には蛇足ですが、
人間が何だったのかをゆっくり考えると言った傷有りシーブックの言葉を信じて
8.地球に根を下ろすスペースノイドの話
二回戦目も無事に終了し、食事や着替え等々を済ませたセシリーはすぐに眠ってしまった。疲れて
いたのだろう。もちろんシーブックも疲れてはいたが、体力勝負で女性に負けるような事はありえない。
シーブックは空を眺めた。二回戦目をやっている内に陽はとっぷりと暮れ、月が出ていた。
こうこうと辺りを照らす月は何故かぼんやりとしていて、宇宙にいる時よりもずっと遠く見える。それが
不思議だった。地球圏で戦闘をしていた時は、月はもっと大きく見えた。人も住んでいるし、
アナハイム・エレクトロニクスの支社だってあった筈だ。
『人類が違う土地に住むというのはね、そこの人になるという事なの──』。以前、ベラがトビアに
そう言ったという。それは正しい考察だと思う。自分達が生まれ育ったフロンティアIVと木星での
居住ブロックを比べれば分かる。
(俺達も、この環境に慣れていくのか? 地球の環境に……)
月の見え方、自分よりも大きな生き物、人が出入りしない場所がある事、本当に大きな山、草原、
見た事もない海……。それらがあっても驚かないようになっていくだろうか。
だとすれば自分達のこどもは尚の事……いや、それを基準にして生きていくのだろう。何もかも大きな
この星で、この偉大な自然の恵みを享受して。だが出来る事なら、これが当然だと、当たり前の事だと
思わないで欲しいと願う。
一年戦争を発端として次々に起こったスペースノイドとアースノイドの戦争。以後何度も衝突を繰り返し、
そのわだかまりがとけきらない内に第二次ネオ・ジオン抗争が起こり、マフティー動乱へと続く……。
皮肉にも、地球の希少さを守ろうとしたのはスペースノイドの方だった。だから。
人類は宇宙へ移す事で地上の人口を減らし、汚染された地球を少しずつ浄化していく道を選んだ。
地球の浄化……鉄仮面のした事、考えていた事も、元はそういう事なのかもしれない。違うかもしれない。
二度と忘れられないであろう、バグの耳障りな音を思い出す。続いて頭に声が響く。『昔さ、
ニュータイプって、モビルスーツに関してはスペシャリストがいたよな。そういうのって大概個人的には
不幸だったんだよな?』
あの不愉快極まりない殺人兵器にやられたパイロットの言葉に、自分は多少なりとも反感を覚えた。
俺とセシリーが不幸になってたまるかと、そう思った。だが、今はそれを否定する気もない。
ニュータイプは戦争なんか越えられる……、ならば人生の大部分を争いに費やしてしまった今の
自分は、本当はニュータイプなんかでは無いのかもしれない。
それならそれでいいと、シーブックは思った。セシリーが、トビアが、ウモンじいさんが……自分達が
みんな不幸になるなどと、シーブックにとっては耐え難い事だ。
「う、ん……」
不意にセシリーが声を上げたので、シーブックは反射的に顔を上げた。精神を集中し、辺りの様子を窺う。
「……ふう」
大丈夫だ、人の気配は無い。
シーブックはほっと胸をなで下ろすが、それ以前にここは山道の途中で、夜中に人が通る事は
滅多にないのだ。鳥やよく分からない生き物の鳴き声がひっきりなしに聞こえてもくるが、人間に
危害を加えるものは殆ど無いとの事。
だがセシリーを守らなくてはという思いが強く、シーブックは少し過敏になっていた。
「は……あふ」
あくびが出た。さすがに限界だろうか。ちらりと目をやると、セシリーはまだ眠っている。
自分もそろそろ休もうか。そうだ、眠らずとも、体を横にするだけで体を休める事は十分に
出来る──そう自分に言い訳をして、シーブックはセシリーを起こさないように静かに体を横たえた。
だが、体はとっくに限界を超えていたのだろう。すぐに強烈な眠気が襲ってきて、すとんと瞼が落ちた。
慌てて目を開けるが、やはりすぐに瞼が降りてくる。もはや体を起こす事すら億劫で、シーブックは
大人しく睡魔に従う事にした。
(俺は、セシリーと……)
最後に見えた景色が、真っ暗な瞼の裏に映る。力強く大地に根を張った太い樹木。それが、
ところどころ月明かりを遮っていた。月の明かりは太陽を反射して輝く光、それを、地球の植物が……。
自分がセシリーにとってああいう存在になるのだと、シーブックは改めて決意した。やがて大地に
身を委ね、ふっと意識を手放した。
地球に根を下ろし始めたスペースノイドの恋人達は夫婦となり、地球で新たな命を授かった。太陽の
光を浴び、森の空気を吸い、土に実る麦でパンを焼き生活をたてている。
いつか、二人の子も宇宙に飛び立つ時が来るのだろうか。
だとすれば。その時その子は、両親が生まれ育った宇宙を見て、両親が初めて地球に降りた時の
ような感動を得るのだろう。
-----
これで本当に終わりです。
お付き合い頂きありがとうございました。
GJ。
なんというGOD JOB。
原作台詞の引用ポイントと言い、最後の「締め」(蛇足だなんてとんでもない!)と言い、素晴らしかったです。
ナイスな「ガンダム」の終わり方だ
そういえばZのジャミトフも地球に住もうっていう地球至上主義じゃなくてもう地球は限界だから
宇宙に住もうっていう地球至上主義だったってなんかで読んだ記憶がある
ハイマンもっとうまく生きろよ…って思ったな
GJ
>>73 「ギレンの野望」でティターンズ完全勝利になると、
ジャミトフが地球居住者を宇宙へ強制的に完全移民させるEDになる。
やってることがジオンやエゥーゴと全く同じなのが興味深かった。
>傷有りシーブック
これ、最初ちんこの傷かとw
>>75 エゥーゴにそこまでのイデオロギーがあったのかは疑問だけどな
ブレックス見てるとアンチバスクってだけで脇のシャアがそれに軌道を与えて、
それをアナハイムとかがいいように利用しているイメージがある
だからこそ指導者無くしてティターンズという相手を失ったZZでのエゥーゴはご覧の有様になってたような
ってすげースレチスマソ
うお、ちょっと目を放した隙に良作が
ばっちりハァハァさせていただきました乙!
GジェネNEOみたいな時代無視のクロスオーバーで
軟禁中のアムロが「地下にMSが隠してある」とか言ってNT-1出してきたり
アイナとバーニィがラブラブになったり
シローとクリスがラブラブになったり
ゼロで迷走しているカトルにソレビーが助力して連邦基地にテロったり
デュエル・アサルトシュラウドの堅牢さとバスターの攻撃力を参考にしてV2アサルトバスターが完成したり
一年戦争にGXに乗った少年時代のジャミルが参戦してたり
そういう妄想はいくらでも頭に湧いてくるのに、肝心のエロシーンが微塵も思いつかん
79 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 05:13:51 ID:q1JEPJl4
俺はGJと添い遂げる!
頑張れ職人さん。ありがとう職人さん。
マルチうざい
自分の理想のシーセシがここに……!
10年分の重みも、お互いどれだけ想い合ってるかもすごく伝わってきて感動しました。
本当にGJです!!
シーセシって略し方は一般的なん?
89 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/24(木) 12:30:00 ID:PwYNRvwU
ガンダム戦記もの投下するのはここでよろしか?
おk
イグルーもここでいいの?
おk
94 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 18:15:09 ID:nbMIV5WP
「…このカルテにある火傷や裂傷の痕というのは何だ?」
カルテに描かれた人体の線画に、創痕や火傷を示す無数の書き込みがあった。
添付された写真には、太股や乳房にまで残る古傷が克明に捉えられている。
モビルスーツに乗ってできる類いの傷とは思えない。
レイアムは顔を逸らし、
「変態どものオモチャにされてきたんでしょう」
と吐き捨てるように言った。
「ハサン先生の話では、もう女性の機能は破壊されているとか」
さすがに絶句した。
UC5巻
上の人と違うけれど戦記で隊長×ノエルを投下します
漫画版準拠ですが、notマットbut隊長なので許して下さい
LWCは名曲揃いですよね
隊長の言う通り、ケガは大した事がなかったのでしょう。回りは真っ暗で人の気配も無く、変な時間に目が覚めてしまったのだと直感的に覚りました。
おそらく深夜――風が吹く音だけが、時折聞こえてくるだけです。
「ん……うっ」
体を起こすと、さすがにあちこちが痛みます。大した事は無くても、爆発に巻き込まれたのだから当然でした。だけど私は、隊長の言葉を無意識に信じ込んでいて……起き上がるくらいは簡単に出来るだろうと、勝手に思い込んでいたのです。
だから、この体の痛みは少しだけショックでした。――隊長の言う事が、嘘だったみたいな気がして。
体に掛けてあった毛布をめくり、簡易ベッドから足を出します。ブーツはベッドの足元に揃えてありました。
テントから外に出ると、パチパチと焚き火の音が聞こえました。当番の人は誰だろう――火の近くにいる影に、私は近寄ります。
私の足音に気付いたのか、その影が振り返りました。
「……ノエル」
「隊長……」
火の前に座っていたのは、紛れもなく隊長でした。私は声を出せず、動く事も出来ず、ただそこで立ち竦んでしまいます。
「体は、もう大丈夫なのか?」
「は、はい」
緊張で声がおかしくなっていないだろうか、判断する力もありません。隊長の前だとこんなになってしまうのって、どうしてでしょう。
「夜はかなり冷えるだろ。立ってないでこっちに来たらどうだ?」
いつもと同じ調子で、隊長が話し掛けてくれます。
私はそれに甘えて、隊長の隣に座る事にしました。
「失礼します」
「ああ、遠慮無くどうぞ」
こんなに隊長の近くに来たのは初めてかもしれません。肩が触れそうなくらい、近い位置。おかしいですよね、初めて会った時には握手だってしたのに。肩が触れるくらい、全然気にするような事じゃないのに。
そうして、パチパチとはぜる火をうっとりと眺めていた時です。
「ノエル、本当にすまなかった」
「えっ」
唐突に、隊長が言いました。
「俺はビッグ・トレーを守れると思っていたんだ。任務はこなすつもりでいた」
今日の(ひょっとしたらもう昨日の)任務での事です。私がビッグ・トレーの爆発に巻き込まれた事――。
「俺達がビッグ・トレーを守ればあそこは安全だ。だから君も安全だと思い込んでいた。――俺の判断ミスだ。新型の足を止めた後、待避するように命令すれば良かったんだな。いや、逃げる場所なんか、最初から無かったのか……」
「隊長……」
「だが、生きていてくれて良かった」
ありがとう。そう言って、隊長が私の手を握りました。
心臓が、破裂しそうです……!
ハーフグローブから伸びた硬くて長い指。それが私の指の間に入り込んで、皮膚の薄い所同士で触れ合っているんです。くすぐったいような感覚ですが、これ、違います。こんな所が性感帯だなんて今まで信じられなかったけれど、本当に……!
隊長、私、おかしくなっちゃいそうです。
「た、隊長、私……」
「ん?」
「っ!」
隊長が私の方を向くのと同時にかすかに指が動いて、微妙な感覚を伝えてきます。わざと、じゃないですよね?
「やはりまだ痛むんじゃない……」
「へ、平気です! それより、その」
隊長の言葉を遮り、今度は私が話す番です。
じっと疑いの目を向ける隊長を黙殺し、私はさり気なく隊長の手にもう片方の手を重ねました。
「そんなに自分を責めないで下さい。私、隊長の事信じてます。現に私は無事でしたし」
「だが任務は失敗した。隊員の負傷だって……今は替えは利かないんだぞ」
(……替え?)
目の前が真っ暗になりました。
ああ、私は自惚れていたのです。隊長が気にしているのは『私』ではなく、あくまでも『03小隊のオペレーター』なのです。
考えてみれば当然の事でした。もしケガをしたのが私でなくても、隊長は同じように自分を責めたでしょう。アニーやレーチェルさん……ううん、ラリーやアニッシュだったとしても、そう。
「……ノエル!?」
ボロボロと涙を流す私に、隊長が驚きの声を上げます。
「う……っく、ひくっ」
こんな時に泣くのは同情を引いているみたいで嫌なのに、止まりませんでした。
「ノエル、どこか痛むのか? すぐにテントに戻った方が……っ?」
体の心配をしてくれる隊長に、私は抱きつきました。そんな私に隊長はよほど驚いたのか、声も詰まらせてしまいました。いつもは冷静……というか、滅多な事では動じたりしない隊長なのに。
じっとくっついていると、ふかふかしたジャケットの上から隊長の体温が伝わってくる気がします。……単に泣いたから、私の体温が上がっているだけかもしれませんが。
でもそれは、少なくともさっきまでよりは私を冷静にしてくれました。だけど、ここから離れる事は出来そうにありません。
「隊長。隊長は、私の心配をしてくれてるんですか? それとも、隊員の心配……?」
顔を見られるのが怖くて、ジャケットに顔を擦りつけてしまいます。もう涙は止まっていました。
「ノエル……俺は」
「いいんです。……でも、今だけ甘えさせて下さい」
そう言って背中に手を伸ばそうとすると、隊長が私の手を掴みました。
「ノエル、駄目だ。そういうのは良くない」
強い口調。隊長が真剣なんだという事が伝わってきます。
でも、私だって後には引けませんでした。
「……怖かったんです。私、このまま死んじゃうのかなって」
我ながら、ずるいとは思います。だって怖かったのは本当の事だけど、実際はそんな事考える暇もありませんでした。ビッグ・トレーにドダイが突っ込んできて、あっと思った時には目の前がスパーク、次に意識を取り戻した時には担架の上だったんですから。
私の手を掴む隊長の手が震えています。……きっと、迷っているのでしょう。
ぐっと伸ばしたら、簡単に隊長の手をすり抜けてしまいました。
隊長の背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめます。思ったよりがっしりした体型の上にジャケットを着ているから、うまく手が回りません。それに『男の人』を感じて、私は余計に心臓を高鳴らせました。頭に血が上って、すっかりのぼせ上がっていたに違いありません。
「隊長……あったかい……」
すりすりと胸に顔を擦り付け、隊長の匂いをいっぱいに吸い込みます。それだけで興奮して、ぞくぞくと快感が走り抜けていくのを感じました。
首筋の辺りが匂いが濃いのに気付き、私は背中を撫で回しながらすんすんと隊長の匂いを嗅ぎます。きっと発情した雌犬のように見えたでしょうが、この時の私はそんな事考えもしませんでした。
どうして隊長の匂いに興奮してしまうのか、隊長の体に触れると気持ちいいのか……。それも、冷静になって考えればすぐに分かる事なのに。
「ノエルっ!」
急に体が圧迫されて、隊長に抱きしめられているのだと覚りました。
「あ……隊長……?」
「ノエル、すまない。すまない、本当に……!」
一際強く抱きしめられた後、顎を掴まれ上向かされます。
「んむっ?」
隊長の唇が、私の唇に重なっていました。
ごくごく近くに隊長の顔があって、しっかりと閉じた目の上では苦しそうに眉が寄せられています。そうか、私は目を開けているんだと思った瞬間、キスしているんだという事にも気付きました。
ふいに、隊長の唇が、私を食むように動きました。
私はとっさに目をつむり、その感触を十分に味わえるよう、感覚をそこに集中させます。カチカチと金属がぶつかる音が聞こえた気がしましたが、そんな事を気にしている場合ではありません。
「ん、ふむぅ……っ」
むにむにと唇を押し当てられているだけなのに、興奮のせいかすぐに息が上がってしまいます。私は鼻で息をしながら、かすかな快感を追いました。
思ったより柔らかいけれど、やっぱり硬い隊長の唇。それが私に触れているんだと思うだけで、頭の芯がじんと痺れるようです。気持ちいいという快感よりは、感激の方が強かったように思います。
「……ふぁんッ」
隊長の唇が離れてしまい、寂しいと思うのに妙に艶っぽく吐息が漏れました。
まだ色んな事の整理が出来ておらず、私はぼんやりと目の前の隊長の顔を見つめていました。苦しそうに寄せられた眉、への字に曲げられた口元……困ったようにも見える隊長の表情。
「ノエル、俺を嫌ってくれて構わない。転属届も無条件で受理する。だから……」
私の口の中に、隊長の指が入ってきました。もう片方の手も同じように入ってきて、私の口を開きます。いえ、こじ開けられたと言うべきでしょうか……。
「これは、夢だ」
夢。そう頭が理解するより早く、隊長の手によってぽっかりと開かれた私の口腔に、隊長のモノが突っ込まれました。
「んぐぅっ!?」
「歯は立ててくれるなよ……」
唇を巻き込んで入り込んできた為、歯は私の唇に覆われて隊長のモノには届きません。ただ乱暴に出入りするものだから、口の粘膜が切れてしまいそうでした。
フェラチオ、という単語が頭に浮かびました。私は今、隊長にフェラチオをしているのだと。
(私、男の人とキスもした事無かったのに……)
たった今隊長にファーストキスを奪われて、セカンドは隊長の……お、おちんちん、だなんて。
喉の奥が詰まって吐き気がするほど苦しいのに、いやらしい単語が次々に浮かび、こんな事を考えている自分が恥ずかしくなります。
だけど、恥ずかしいだけじゃない。その言葉に酔って、興奮している自分がいるのも、また事実でした。
「っ! ……く、うっ!」
ムキになって腰を振る隊長の表情も、なんだか色っぽい……。
なんだか喉の奥の方がねばねばします。それを舌に乗せて、そっと隊長に絡めてみました。
「!?」
一瞬、隊長の動きが止まった隙に、私は隊長のおちんちんから口を離しました。つうと唾液が糸を引いて、私の舌と隊長とを結んでいます。
なんだか顔が火照って、頭がぼうっとする……。腰が重くて、私、すごく興奮しているみたいです。
その唾液が切れない内に、私は隊長のおちんちんの先にキスをしました。表面は冷たくなっていたのに、すぐに熱っぽくなって……不思議な感触です。舌を出して舐めてみると、思ったより『普通』の感触でした。
「ノエル、何をっ?」
返事なんか、してあげません。私の大切なファーストキスも、セカンドキスも、その次も次も……。全部、隊長のこれに奪われちゃったんですから。
ぬるぬるになった濃い唾液を絡めて、先の方のつるんとした所を舌の腹で覆うように舐めてみます。皮膚が薄くて、乱暴にしたら傷付けちゃいそうだったから。どうしてか、冷たくなりきれませんね。
「うぅっ……!」
先の穴の所から透明な液が出てきたので、指の腹でそっと触ってみました。見た目よりぬるぬるしてなくて、でも、離してみると糸を引くんですね。不思議な感じです。
「男の人って、白いのが出るんじゃないんですか?」
隊長は黙ったまま、返事をしてくれません。いいですよ、それなら声出させちゃいますから。
「はむっ」
歯を立てるなって隊長が言っていたのを思い出して、私は注意しながら隊長のおちんちんにかぶりつきました。
皮との継ぎ目の所に丁度舌が当たったので、そのまま動かしてみます。舌で形を探ってみると、キノコの傘みたいに張り出している部分がありました。その下は、少しくびれているみたいです。
「っ! く、ぁ」
舌を動かすと口とおちんちんの間に隙間が出来てしまって、そこから唾液が垂れてきました。
ちゅぱちゅぱと音が立ってなんだか恥ずかしいので、私は隙間が出来ないように吸いつきながら舌を動かす事にしました。
「ふー……むっ」
ぢゅるるっと音を立てて、空気と唾液が混ざりながら口の中に入り込んできました。上手く出来ないみたいでちょっと悔しいです。
私は泡立ったそれを飲み込みました。隊長のおちんちんから出てきたお汁と私の唾液がまざって、不思議な味がします。ちょっとしょっぱいかな? 今度は、もっと強くおちんちんを銜え込んで……。
「あ、うあぁっ!」
堪えきれないみたいで、隊長が声を上げてしまいました。隊長の声、なんだか可愛い。あんまり強く吸い付きすぎてほっぺたがへこんでしまってますが、この様子を見ると隊長は気持ちイイみたい。痛くないみたいで良かった。
私はおちんちんに吸い付いたまま、頭を前後に動かしてみました。唇と舌で、おちんちんを扱いているような感じです。
「は、ぉあっ……くぅううっ」
力が抜けそうになってるのが分かります。
うふふ、自分で立ってられないくらい気持イイんですね、隊長。私、すごく嬉しいです。
かぽっ、かぽっと音を立てながら深く銜え込むと、喉の奥に隊長のおちんちんが当たります。
苦しくてぎゅうと縮まるけれど、隊長はそれが気持ちイイみたいで、ぎゅっと噛みしめた唇から声が漏れてくるんです。我慢出来ないくらい気持ち良くなってくれてるんだって思ったら嬉しくて、私は苦しいのを我慢して奥に擦りつけてみました。
「くうぅぅ……ノエルっこれ以上は……ッ」
吐き気がひどくて、もう涙が溢れてきています。それでも私は、隊長を一層深く銜え込み、狭くなった喉奥に擦りつけました。その時です。
「っ!?」
いきなりの事に、私は目を見開きました。それから隊長の腰から口を離し、背中を丸めて咳き込みました。
喉の奥に、すごく熱い液体がどぷどぷと注ぎ込まれたのです。一瞬私をトイレか何かだと思ってるんじゃ、と思いましたが、ぼたぼたと地面に落ちる卵の白身のような液体を見て理解しました。
しゃ……射精、してくれたんですね。
でも隊長の精液、生臭くて青臭くて、ねばっこくて熱くて……。喉に絡みついて、全然取れてくれません。
「げほ、げほッ……!」
咳き込んでも、唾を飲み込んでみても全然取れなくて、鼻をつくにおいもいつまでも残っています。
いつまでも取れない異物を排出しようと喉の奥がせり上がってくるのですが、その感覚が苦しくて、ぼろぼろと涙がこぼれてきました。
「ノエル、水を」
隊長が私の手に水筒を握らせてくれるのですが、咳が止まらなくて水を飲む間もありません。
「す、すまん、本当に」
涙でぐしょぐしょになった顔と、顎や胸元に垂れている精液やら涎やらを、隊長が拭ってくれています。
うう、あんな事をした後に優しくなんてしないで下さい。
それにしても、フェラチオの後出した精液を飲み込んであげる……なんてよくえっちな本とかに書いてありますけど、こんなに辛いなんて思ってませんでした。私には当分無理そうです。
「けほっ……まだ喉がからからします」
「とりあえず、今日はもう休め。水は後で交換しに行ってやる」
「分かりました。隊長も、無理はなさらないで下さいね」
私は喉の奥に詰まったものを無理矢理飲み込み、むせそうになるのを堪えながらテントに戻りました。
こんな状態で眠れるのかと疑問に思いましたが、一度ベッドに入ってしまえばやはり疲れていたのか、すぐに眠ってしまったのでした。
目を覚ますと、私は簡易ベッドの上にいました。真っ暗で、静かで……。風の音が、時折聞こえてくるだけ。
ふいにテントの幕が上がる音がして、私は体に掛けられていた毛布を握りしめました。
入り口の方に顔を向けてみると、誰かが立っているのは分かりました。でも逆光になっていて、目をこらしてみても顔がよく見えません。
ばさっと乾いた音を立てて幕が降り、中はまた真っ暗になってしまいました。
「……隊長?」
直感で、そう思いました。
「起きてたのか、ノエル。体の方は大丈夫なのか?」
ああ、やっぱり隊長。隊長の声です。
私は安心すると同時に嬉しくなりました。隊長が、私の様子を見に来てくれるなんて。
「はい。隊長は、見回りですか?」
「ああ。このまま何も無ければいいんだが」
隊長が一歩踏み出すごとに、ジャリ、とブーツが砂を噛む音がします。その音が少しずつ近付いてくるのを感じながら、私はさっきの『夢』の事を思い出していました。妙に現実感のある夢。
あれは、本当に夢だったのでしょうか? それとも……。
「……その、隊長?」
どう思いたいのか自分でも分からないまま、私は隊長に問いかけていました。
「ん?」
「あ……! なんでも、ないです」
けれど、隊長の態度はあまりにも普通で。私は、体を横向きに──隊長とは反対の方を向いて、目を閉じました。
やっぱり、夢だったんですよね。隊長があんな事するはずありません。それに私だって、あんな乱暴にされて喜ぶはず無いんです。自分からくわえたり、なんて。
だけど、どうしてでしょう。なんだか寂しいような気がするんです。胸の奥の方が、ぎゅってするんです。
おかしいな。私、あんな事したいって思ってたのかな。あんな……いやらしい事。
「悪い夢でも見たか?」
「エッ?」
急に耳元で隊長の声が聞こえて、声が上擦ってしまいました。
──ど、どうして? いつの間にそんな近くに?
訳が分からなくて、とにかく驚いていて。とっさに目を開きはしましたが、私の体は凍り付いたように動きませんでした。
「どうした、ノエル。そんなに驚いて」
枕の後側が、ゆっくりと沈んでいきます。た、隊長の腕がベッドに……?
ふいに顎に手をかけられて、隊長の指先が私の唇を掠めました。どうしよう、同じです。夢の中と、同じ感触です……!
(そんな……あれは夢じゃ……!)
私はただ、ぱちぱちと瞬きを繰り返すだけ。
だって、隊長があんな事するはず無いんです。私が、あんないやらしい事するはず無いんです。現実のはず、無いんです!
だけど私は──。隊長がゆっくりと口角を上げるのを、視界の端で捉えていました。
終わりです
>>101 エロかった!GJ!
隊長鬼畜だな!許せん!俺と代われ!
おお、久々の投下だ…しかも短いシーンながらしっかりしてるGJ!
ヒャッハー久々のsenkaにGJ
外伝系ってやっぱり知名度低いのかな
知ってはいるけど数が多すぎるから全部を把握するのはな…
外伝系も増えるといいな
>>101 GJ
ここのスレってGジェネのオリジナルヒロインのSSってOK?
いいんじゃね?
俺は一向に構わんッ
110 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 05:40:08 ID:DfW/lryR
どれだけ妄想SSをたれ流しても
消える事の無い公式設定wwwww
安いベッドがぎしぎしと軋む。〜蒼い瞳が上下に揺れる天井を見つめる。
UC4巻
「…このカルテにある火傷や裂傷の痕というのは何だ?」
カルテに描かれた人体の線画に、創痕や火傷を示す無数の書き込みがあった。
添付された写真には、太股や乳房にまで残る古傷が克明に捉えられている。
モビルスーツに乗ってできる類いの傷とは思えない。
レイアムは顔を逸らし、
「変態どものオモチャにされてきたんでしょう」
と吐き捨てるように言った。
「ハサン先生の話では、もう女性の機能は破壊されているとか」
さすがに絶句した。
UC5巻
ああ、まただ。また入ってくる。汚い男の物が、自分の中に入ってくる。
UC6巻
111 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/03(火) 13:54:38 ID:HZu2wSBq
まだあったのか
Gジェネはウォーズで全身図がでてきて妄想が膨らんだわー、エルフリーデさんとかステキ
枯れた大地ではSSという名の花は咲くまい
114 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/01(火) 00:22:10 ID:eNi41LCf
>110
私は一向にかまわんッッ
マリーダ、企画物では幸せになってほしいなあ。
プル・プルツーと共演してほしいが時間軸の問題があるか……
まあスパロボなんかだとどうにでもするだろうけど。
116 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 19:35:51 ID:GGS1SAC7
ガンダム内で別作品同士のクロスSSとかってある?
NEXTやっててウッソのアレンビーに対する台詞とか見たらそういうのもありなんじゃないかと思い始めてきた
需要的にも受容的にも微妙な気がするでよ。
118 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 07:24:38 ID:oACilaGU
>>115 ガンダムVSガンダムNEXT PULSだと
「姉さん・・・!生きてたんだ・・・!」とうれしそうなマリーダに対し、
「私よ、死ねぇー!!」だったり「ざわざわする・・・いやな感じだ・・・」
だったりと、姉からは嫌われてて涙
ジュドーが全部引き取ってプル・ハーレムとか
俺は全然アリだと思うけどな、他作品同士のクロスオーバー
ただどうやって話に整合性持たせるかだけど
121 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 07:21:53 ID:EvhZ755y
スパロボ世界とか、ガンガン世界とかってことにしちまえば整合性なんて無くてもいいだろ?
整合性がなきゃとことん気に食わないって人もいるかもしれないけど
「あんた、本名はアルテーシイヤっであの赤い彗星のシャアの妹なんだろ!」
カイは薄ら笑いを浮かべながらセイラに話しかけた。
「なっ、何故そんな事を知っているの?!」
「なぜだって!?へへへ…、そんなのイイだろ、それよりこの事を皆に話したらどうなるだろうな〜!?」
カイは顔をセイラの顔にくっつく位に近づけながら覗き込むように言った。
「なっ何ですか!…その不良のような口の聞き方は、止めなさい!!」
不穏な空気を感じたセイラはカイから離れようとするのだった。
「おおっと、まだ話は終わっちゃいないぜ!」
カイはセイラの手首を掴んで引き寄せようとする。
「はっ、放しなさい!大声を出しますよ!!」
「皆が来たら困るのはアンタの方じゃないのかな。この事がバレたらスパイ罪で死刑だぜ、おとなしくしなよ、へへっ…。」
カイはセイラの体を引き寄せるのだった。
「あああぁぁっ…、いゃっ。」
二人きりの倉庫では、セイラの小さい悲鳴が微かに聞こえるのだった。
元祖金髪さんハァハァ
「掘ったね!オヤジにも掘られたことないのにいっあっあっ!」
「オラ、バラされたくなければコッチに来るんだよ!」
カイはセイラの手を掴み自分の部屋まで引っ張って行きドアをロックする。。
「あああぁぁっ…乱暴な事はしないで…。」
「おとなしくしてたら乱暴はしないぜ…。…ガチャリ!」
そう言いながらセイラの両手に捕虜拘束用の手錠をはめてしまった。
「あああぁぁっ…、はずしなさい!!」
カイはセイラに手錠をはめると、自分のベッドに押し倒し、手錠に繋がっている鎖をベッドのパイプに固定してしまった。
「いゃあっ!いい加減にしなさい!」
気丈なセイラはカイを睨み付けながら言った。
「おお怖え〜な〜。さすがにジオンのお姫様だぜ。その姫様は普通の女の子とどう違うか調べてやるぜ。へへへ…。」
そう言いながらカイはセイラに手を伸ばすのだった。
126 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 00:15:28 ID:h6invV9s
おおっと!
なんとなく「レニーを妊娠させてしまった」の飛影SSを思わせるな。
128 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 17:25:50 ID:h6invV9s
早くセイラのお○んこ丸出しにして、イヤラシイ事をしてくれ!
(*´Д`)ハァハァ
129 :
名無しさん@ピンキー:2009/12/24(木) 23:00:55 ID:h6invV9s
早く書いてくれ!
待ってるから。
>>130 ○の中に入るのは、多分ですけど‘ま`だと思います。
シュラク隊全員を犯しまくり、中出し連発でことごとく孕ませる絶倫ウッソ
結果、マーベットさん並みの妊婦パワー発揮で最終決戦を全員生き残るシュラク隊
妊婦母乳プレイハーレムを築いてカサレリアで励み続けるニュータイプ性豪ウッソ
ここまで壊れた話が読みたい
いいね!
シャクティとマリアの母娘丼もね。
ウーイッグはどちらですか、とやってきたカテジナさんも引っ張り込んでパコる。
今日こそISAP来ないかな〜
いや、さすがにもう来るとは思えないぞ。
138 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 10:57:25 ID:iEobusca
強烈な敵意を孕んだ"気"がパイロットスーツを透過し、
汗で濡れた肌を嬲りながら後方に過ぎてゆく。
腐ったナメクジが全身を這い回り、股間に侵入してくるあの感じ―。
UC4巻 P240
MSと戦闘中でもセックスのことを考えてる売女マリーダ
マリーダ売るよ!
未来の話なんだから避妊法なんて幾らでもあるだろうに作家は凄く悪趣味だな。
ばっか未来の避妊法がそんな誰でも手に入れられるわけが無いだろ
ちゃんと流通制限されてる。角度とか。
スペースコロニーなんて酸素や食糧の関係が有るんだから産児制限が必要だろ。
「角度とか」にマジレスする素人が居るのはこのスレですかね
で、その書き込みでどう話題が広がるの?
>>143 そんな太古氷河期のネタに今時反応する奴なんて誰もいないだろ。
あれ?ユニコーンってOVAなのか・・・・
148 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 16:32:46 ID:9mTHw9Yx
腐ったナメクジに体中を舐めまわされ
↑
全身を舐め回されるマリーダ
汚水でブヨブヨにふやけた生皮の袋
↑
中出しされたマリーダのマンコ
安いベッドがぎしぎしと軋む。〜蒼い瞳が上下に揺れる天井を見つめる
↑
ベッドの上でチンポ挿れられて腰振られてるマリーダ
あれ?このスレってこんなに人いなかったっけ?
保守
152 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 11:26:50 ID:yJl7wtDz
携帯で書けるのか!?
ジュナスとベルとフランの三角関係の結末が見たかった・・・なぁ
154 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 08:10:57 ID:3sFfdG8h
ああぁぁ
報われない同士で慰めあうヘンケンとファの絡みが良かった。
本当に報われるのは、お互いの本命と肌を寄せ合った時だと思うけどね。
すまんが、いい関係とは思えない。
それができりゃ苦労しないわけで
パロに拘らず、原作準拠が書きたい職人様も歓迎したい
二次創作とパロの違いがわからない
この板でヲル豚がウォルトンと呼ばれるようになるのが、
そしてエリスとどうなるのか見たかった…
リアル連載時ロムラーだったから、感想書き込まなかったの後悔してる。
今でもログを読み返しています。
そもそも何で来なくなったんだろうね
162 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 00:33:13 ID:ZxEK0Ga8
怪しい
163 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 01:07:29 ID:ChRV3v02
プル 「きょうは♪たのっしいっ♪バレンタイン〜♪」
プルツー 「姉さん、それクリスマスの歌の節だから!」
プル 「じゃあ…バレンタインキ〜ッス♪デュワデュワ〜♪」
シスターズ 「国生さゆりキタ━━(゚∀゚)━━━!」
プルツー 「この曲ってZZ放送してた頃の曲だよな…
って姉さん歌ってばかりいないでちゃんと手も動かしなよ」
プル 「動かしてるよう〜ほらっ☆プル特製特大ハートチョコできあがり〜♪」
(プル、顔より大きなチョコを頭上に掲げる)
プル 「“I LABU ジュドー”って文字も入れたよ!木星に送るんだー♪」
プルフォウ 「姉さん、ラブの綴りは“LABU”じゃなくて“LOVE”だよ」
プル 「え?!まあいっか♪ジュドーならわかってくれるもん♪」
ジンネマン 「お、みんな上手に出来たなあ」
シスターズ 「キャプテン、ハッピーバレンタイン♪(*´∀`)つ●*´∀`)つ〇*´∀`)つ◆」
ジンネマン 「おお、俺の分も作ってくれたのか…ありがとうな」
プルシックス 「ちょっと焦がしちゃったけど、皆でクッキー焼いたの」
ジンネマン 「いや嬉しいよ、ありがとう(´;ω;`)ウルウル
マリーダからはさっき貰ったんだが、まさか皆から貰えるとは…」
プルツー 「あれ、そういえばマリーダは?」
プルセブン 「さっきエプロンはずして着替えてたの見かけたけど…」
(玄関の方でそーっと出かけようとしているマリーダ発見)
プル 「マリーダ!どこかお出かけ?」
プルツー 「彼氏にチョコあげに行くとか?(・∀・)ニヨニヨ」
マリーダ 「そ、そんなんじゃないよ/////」
プルツー 「スーツ着ておしゃれしちゃって…でもデートするなら
足元はスニーカーじゃない方がいいんじゃない?(・∀・)ニヨニヨ」
マリーダ 「ごめんなさい…こんな時どんな格好すればいいかわからないの…!」
(照れながらチョコの包みを持って玄関を走り出るマリーダ)
シスターズ 「綾波キタ━━(゚∀゚)━━━!」
ジンネマン 「こらマリーダ!彼氏なんて俺は許さんぞー!(´;ω;`)ブワワッ」
164 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 01:24:32 ID:LUc0xbo6
あ
エロもバトルも面白くていい作品だったんだけどなぁ。>VOE
今でも復帰をお待ちしております。
ガノタの心をくすぐる伏線だらけだったし消化されるの見たかった。
ウォルトンとエリスの恋の行方も本当気になるものだったし。
保守
168 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 22:41:37 ID:YG/92w7i
マリーダの経験人数
マリーダの娼婦期間
・10歳〜15歳までの6年間
1日平均3人の客と寝るとして2日休みありで
閏年を考慮に入れず
3×(365−144)×6=3978
4000人近くの男とセックスしているということになる
つまりマリーダはセックスできなくなっても
フェラや手コキのテクニックが超1流なので問題なし
169 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 00:19:11 ID:lkcv56h+
hosyu
ISAPさん、今でも読み返しています。
172 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 18:34:56 ID:QTpoa7LK
10歳の時からアナル舐められてチンポしゃぶって
中出しされていたマリーダ・・・
173 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 20:47:18 ID:9KEsgli8
だれかバナージ×ミネバ頼む
俺もバナージ×オードリー見たいが、大人になったミネバ様がいまいちキャラ掴めない…
175 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 13:15:22 ID:xdNQQbKl
お前らの大好きな可愛い可愛いマリーダの
マンコとアナルを舐めまくってディープキスして
しゃぶらして、チンポぶちこんで中出ししていた4000人の客たち
176 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 19:02:25 ID:tirhtGXA
鬼畜グロよりも甘い方が好きだ。
だからバナージ×ミネバとかシロー×アイナとかガロード×ティファとか(ry
178 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 19:56:39 ID:3lA8QM9T
156 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2010/03/29(月) 03:14:19 ID:???
海外版だけレイプシーンカットすればいいじゃない
サントラにはレイプ専用曲まであるのに、レイプシーン絶対入れてくるぞw
09. INFERNAL AFFAIRS (地獄のような情事)
マリーダのセックスシーンってアニメでもやること決定だなw
マリーダってキャラに固執してる人って何なの?
1〜2人くらいで繰り返し書き込んでいるの?
他のUCスレにもいたから荒らしだろほっとけ。
それよりバナージ×ミ(ry
とりあえず1話見て、マリーダ×ミネバ妄想した俺は病気だw
182 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 14:22:04 ID:cEjquxrJ
>>181 ガンダムVSガンダムでマリーダとバナージが戦うと「姫様は返してもらう」みたいな台詞があるんだが、あれはけっこう萌える。
奪い合い宇宙おいしいです(^q^)
あげ
186 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 14:29:01 ID:/X9AQ+Zm
アニメ化に伴う売春婦設定についての原作者の対応
ガンダムUC 福井晴敏
アニメスタッフ「このマリーダの(売春)設定はカットした方がいいですよね」
福井「ちょっと待ってください、それ大事な設定ですよ!」
アニメスタッフ「えっ…?」
マルドゥックスクランブル 冲方丁
冲方「(売春)設定は不味いので、アニメ用に新しく設定を書きますよ」
アニメスタッフ「いえ、原作通りで行きましょう!」
冲方「えっ…?」
ISAPの糞信者ども帰ってきてくれー!!!
何気にいるよ。ずっと待ってる。糞信者の一人より。
アムロは結局アリョーナに手を出したのか?
それとも同禽しただけか?
職人は死んだ!何故だ!
ブログでも自サイトでもいいから続きが読みたいです。VOE。
打ち切り同然で終わらせるのは惜しすぎるクオリティですし
何より何年も頑張ってきた結果が打ち切りっていうのは、本当に惜しい。
ISAPさん自身が納得した上での判断ならともかく、まだ描きたいってご意思があって
それでも他の職人さんへの気遣いで遠慮されているなら
自サイトやブログでのびのびやる方がいいかなあとも思う訳で。
匿名掲示板に投下する以上、それは趣味の範疇であり、趣味であるなら
やはり「やって楽しい」のが一番です。
そこに配慮や重圧がつきまとい、描けば描くほど辛くなるのならばやめるのもまた一つの選択肢。
されどまだガンダムへの愛が残っているのであれば。
わずかでも完結させたいと願われているなら。
やはり、キチンとした形の決着を迎えてこそ、心の底からスッキリするのではないでしょうか?
連載を始める前やその途中で思い描き、恋い焦がれたであろう『VOE』という物語の結末。
描けるのは他ならぬISAPさんだけです。
それはたとえ富野監督でも無理です。安彦先生でも歴代ガンダムの監督でも。
ISAPさんだけがジュナスやベルたちの物語を完結させられるのです。
色んな事情のせいで「完結」さえ意義を見出せなくなっておられるのであれば
それもまた仕方のない事です。別の作品に傾注されるべきです。そちらでも結果は出せる筈ですから。
しかし「VOEを描きたい」のに様々な配慮や葛藤のせいで執筆できずにいられないのは
不完全燃焼のまま終わらす事ができないのは、書き手として本当に惜しい事ではないでしょうか?
「投下場所」について悩んでおられるのであれば、すっぱりと決断し、変えてみるのも手です。
それでまたガンダム愛を表現できるようになるのであれば……ですが。
無理強いはしたくありませんが……。何もかも、決められるのはISAPさんだけです。
とにかく本当に燃えで萌えで、毎週毎週楽しみにしてました。
今でも続きを楽しみにしているのは事実です。
限りないガンダム愛と、それを表現されるための数々の努力、
読む人を楽しませようとする意思、どれも本当に感銘を受けました。
あれだけの期間ずっと連載を続けられた事だけでも、ご立派だと思います。
諸般の事情でもう描けないとしても、ずっとずっと描き続けて下さった事には
本当に心より感謝しております。ありがとうございました。
・・・一時期を境に感想量を減らさざるを得なくなったこと、本当に申し訳なく思っております。
他の方との兼ね合いを考えた場合、ああせざるを得なく、しかしそれがモチベーションの低下に
繋がっていたとすれば、ただひたすら本当に申し訳ない思いでいっぱいです。
スレの流れには何も貢献できんが
よみたいのぅ
三国志君、生きてたのか
194 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/07(金) 13:59:04 ID:Xf0xR1qA
VOE、どこかで続きを読みたいものだ。
新訳Zよりも付き合い長いからなぁ
読み手が書き手を育てる!(キリッ
ほ
ISAPはスレが過疎った原因のひとつとも言えるけどな
ISAPよりも糞信者達の方が・・・
南極見てる人、もうあんまりいないのかなぁ
アスカガ希望
種ヒロイン物読みたいです
Gジェネのスレって無いんだな
ギレンの秘書のセシリアってサイド3陥落後に連邦軍兵士にレイプされまくったんだよね。
ってネタは既出?
Frozen Teardropでの人妻経産婦でシスターなヒルデに期待。
>206
そんな権利がお前にあるのか、ハマーン様。
カガリのエロパロ読みたいっす。
209 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/26(月) 04:13:47 ID:r5X93Tjj
ラクス希望
210 :
名無しさん@ピンキー:2010/07/30(金) 19:07:18 ID:TgWTJwli
ラクス希望
ラクス公開陵辱裁判で
ガンガンをやると妄想広がりまくりんぐ
早くその妄想を文章にする作業に戻るんだ
214 :
名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 00:01:07 ID:prnV427A
プルオタ
│
└┬―→ マリーダ否定派
│ │
│ └┬―→ 年増いらね派
│ │ │
│ │ └┬―→ 10歳じゃないプルなんてプルじゃねーよ派(プル原理主義)
│ │ │
│ │ └―→ 18歳はババア派(ロリペド派)
│ │
│ └―→ 肉便器いらね派
│ │
│ ├―→ 親戚や友人に紹介できないよ派(社会派)
│ │
│ └―→ 非処女は中古派 (処女派)
│ │
│ └―→ 口しか使えないとか…派(実用優先派)
│
└―→ マリーダ肯定派
│
├―→ 売春婦とかむしろ興奮する派(NTR派)
│
├―→ プラトニックな恋愛をするからマンコとか壊れててもいいよ派(負け組派)
│ │
│ └―→ 口さえ使えればOKだよ派(フェラ派)
│
└―→ 誰の子か分からないマリーダの子供を育てたいよ派(駒田派)
ティファに知識を教えるって大義名分で
自分達もガロードと楽しんじゃうパーラとエニル
普通にガロティファ初体験ものもいいよな。
未知の快感と精神感応能力が合わさって感じすぎちゃうティファと
それを見てオロオロと慌てふためくガロードとか。
218 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 23:54:09 ID:1ZtslWuf
ISAPさん・・・
このまま終わるのはあまりに勿体ない・・・
思い出を胸に生きて行くしかない。
ISAPは死んだ!何故だ!
221 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 23:52:22 ID:Uag6P/so
リベカとテオ、ウォルトンにエリス、ジュナス、ベル、すべてが懐かしい。
むかしは毎週連載だったんだよなあ。バーニィ生存? フラグも楽しみだったんだけど
222 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 10:58:49 ID:c/e2eHBs
そういやまとめサイトないよね、VOE
南極は一話しかないし、他のまとめはページ潰れちゃってるし
wikiさえ用意すれば誰か補完してくれるかな?
まとめあったら便利だけど、最初っから人任せにする気満々みたいな発言はちょっと
225 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 01:13:19 ID:ViShNkma
ISAPさん、ご帰還をいまでもお待ちしております。
EXVSのCNをジュナスにでもしよう
227 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 01:27:23 ID:uTPCL7Wr
ガンダム無双あげ
ガンダム無双3に燃料は無いの?
229 :
名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 01:51:43 ID:O+EMitV7
バイバイ、バーニィ
シロッコのハーレムとかか
フォウっていくつだっけ?
16歳とか聞いたぞ。
しかし宇宙世紀のガンダムの年齢設定ってどこで公開されてるんだろうか
233 :
名無しさん@ピンキー:2011/01/02(日) 17:05:50 ID:EoVoWIkI
エルとルーの陵辱を妄想したくても。ネオジオン自体にゲスな奴が少なくて思い付かない
グレミーは最初は中に出したりルーを追い詰めれたと思ったが形勢が逆転しそうな感じだし
ネオジオン、ゲスの集団だろ
ラカン、オーギュスト目先の利益にホイホイ釣られる俗物小物集団
腕利きのパイロットという演出と武人イメージの強いジオン兵という補正が利いてるんだろうけど
今改めて見てみると人間的に破綻したどうしょうもない連中だぞ
リリーナ様と会議室で完全平和主義を論じる夢から醒めた…
>>234ラカンはわかるんだけどオーギュストって誰だっけ?
>>236 グレミーの部下で地球でカラバのジムV部隊相手にドライセンでブイブイいわせた人
>>233 やっぱグレミーはリィナをレイプ調教するぐらいしかない小物だね。
ハマーン「シャア、お前に話がある」
シャア「何だ?」
ハマーン「…私は今、妊娠しているようだ。医者の見立てではな」
シャア「………」
ハマーン「どうした、浮かぬ顔だな?怖じけづいたか、シャア」
シャア「…いや、父親になるというのもいい経験だ。胸がときめく(ええい、当たり所が悪いとこんな物か!)」
「──!! 夢か・・・。それにしてはいやに現実味があったな。」
「クワトロ大尉、少しよろしいでしょうか?」
「どうした、レコア少尉?」
「・・・実は私、(以下略)」
「(これが若さか・・・)」
熟女系エロサイト巡りをしていたウッソ
「!!……こ、これ……………母さんです………」
242 :
名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 05:53:04 ID:GcrNwihc
てす
>>241 で、その内容をマーベットと再現するんですねわかります。
マーベットさんとか年幾つだったんだっけ?
ガンダム世界の女性は年齢不詳が多そうで困る
二十代前半と予想。つかマーベットさんってムチムチしてそうだよな
マーベットさんは22
カテ公は17
247 :
名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 12:46:55 ID:IiFzCzrX
今更、ユニコーンのアニメと小説を買ったんでここに来たんだが、激しく過疎ってるな・・・(´・ω・`)
248 :
名無しさん@ピンキー:2011/02/23(水) 22:57:53 ID:8qDlGKFe
無双3買ってプレイしたんだけど、オードリー(ミネバ)に対するハマーンの態度がうける
攻略Wikiに乗ってるようマジ小姑
そして親父(ドズル)がバナージに『やらせんはせん!やらせはせんぞぉ!』とか…
バナージ…無事オードリーと結ばれるためには大変だな
性交渉するために親父をぶちのめし、出来ることを証明するためにハマーンの相手して、
その後ようやく出来るって感じだったからな…やべ、ちょっと書きたくなったかも
ハマーンの相手ってのは勿論性的な
ハマーン様と士官で投下します
アクシズに中尉って階級があるかどうかよくわからんし、
設定おかしかったり誤字あったりするかもだけど
初めて書いたSSって事でどうか許してね
1
一人の男がモウサの居住区を歩いていた。男はネオジオンの士官、先日昇進したばかりの中尉だ。
中尉は志願して軍人になった。
周囲にはその理由を単純に「アクシズのため、ネオジオンのため」という愛国心からだと話しているが、
その実は一人の女のためだった。
女の名はハマーン・カーンという。
中尉にとって、ハマーン・カーンはアイドルだった。
ハマーンを初めて見たのは彼がまだ子供だった数年前に行われた、政府主催の式典会場でだった。
一般人にも公開されていたその式典で、彼はやや遠くからではあるが
偉そうな男が演説をしている舞台の隅に、ただ座っているだけの少女に目を奪われた。
その日以来、彼は彼女のことばかりを考えるようになり、彼女のために何かをしたいとい気持ちになった。
彼はその時彼女が何者であったのか知る由もなかったが、後になってその時演説していた男がマハラジャ・カーンであり、
その娘こそが自分の恋した女性、ハマーン・カーンであった事知った。
平民出身の彼が、政府に近しいハマーンのために働けるのは軍人しかないと思い込んだ。
それは軍人になる事はこのアクシズを守ることにも繋がり、結局は彼女のためになるのだと信じた。
他にも方法があったかも知れないが、彼は単純な男であったため、他に考えは及ばなかったのだ。
それから数年間、彼はハマーンのため、ひいてはアクシズのために軍務についてきた。
そして憧れのハマーンのお傍に在りたいがために出世もしなければならなかった。
そのために犠牲にしてきたものも少なくはなく、軍の外においては友人と呼べるものはいない。
それでもネオジオンのため、何よりハマーンのために尽くしていればそれで良かった。
彼のほぼ同期にマシュマー・セロという男がいた。
親しいわけではなかったが、マシュマーのハマーンに対する心酔ぶりには強く共感していた。
マシュマーには昇進で先を越された上に、今ではハマーンと何度も直接拝謁までしているという。
その話を聞いた彼は、マシュマーに対して強い嫉妬心を燃やし、一方的にライバル視していた。
そんな彼の思いもようやく報われる事となった。
先のグリプス戦役での功績により中尉に昇進となり、更に戦闘での活躍ぶりにハマーン直々に功労賞が頂けるという。
盛大な式典ではなく簡易勲章授与式との事だったが、何より「ハマーン様直々」の授与である。これほど名誉なことはない。
おこがましいと思いつつも、これでハマーン様にまた一歩近づけると思うと小踊りした気分だった。
実際、その知らせを聞いた時は喜びの震えて歓声を上げていた。
2
そういった理由で、男は今勲功賞授与式のため、モウサにある指定の場所に向かっていた。
喜びに顔が崩れるのを必死に抑えるため、しかめ面でしばらく道を歩いていたが
いざ目的地に近づくにつれて緊張が高まり、それどころではなくなっていた。
普段の中尉ならば、その授与式出席の指令内容が妙である事にすぐ気付いたかもしれない。
授与式の行われる場所が、現在使われている主な軍部の施設でも政府の施設でもなかったのだ。
中尉が今歩いているのは、政府機関が集中している地域を過ぎ、市街地区からも離れている、
アクシズの財政難により、ここ数年開発が止まっているほぼ無人の区域だった。
ここに至って、中尉はようやくこの指令に違和感を感じ始めた。
思えばハマーン様直々の勲功授与式が簡易式であるハズがない。
それにこういった場合の式典には「ハマーン直々の」というハマーン様の名ではなく、ミネバ様の名前が使われる方が妥当ではないか。
自分は騙されているのかもしれない、と思いながら己の単純さを悔やんだ。
だが一度受け取った指令であるからには、せめて事実だけは確認しなければならない。
そう考え直し、中尉は指定の場所の前に立った。
そこは小さいながらも、アクシズの上級階級が暮すような屋敷だった。
周囲の開発は止まっているとはいえ、目の前の建物だけはほぼ完成していると言って良かったが、建物だけで庭には何もなく無機質な印象を受ける。
中尉は門の前に立ち、ノックをして自分の姓名を名乗った。
門の横に付いたスピーカーから一言「入れ」と告げられ、やはり不審に思いながらも家の中に足を踏み入れた。
外で受けた印象同様、家の中の様子は至ってシンプルで無機質だった。
キョロキョロと辺りを見渡しながら立っていると、近くの部屋で先ほどと同じ声で「こっちだ」という声が聞こえた。
中尉の緊張は再び高まった。外のスピーカー越しの声では気付かなかったが、生の声を聞いてハっとさせられた。
己がずっと想い慕い続けてきた女、ハマーン・カーンの声だったからだ。
中尉は震えながらも、声がしたと思われる部屋へ足を進めた。
中尉は心の中で呻いた。先ほどまでの不審に思っていた感情はどこかに消え失せ、茫然自失と立ちすくんでいた。
室内にはまぎれもなく、自身が夢にまで見たハマーン・カーンその人がいたのだ。他には誰もいない。
驚愕に口を開けて呆けていると、目の前の憧れの女性は、ソファに座ってワイングラスをくゆらせながら寛いだ様子で口を開いた。
「ここまで御苦労だったな。この度のお前の活躍は聞いている。今後ともミネバ様のために励んでくれ。」
中尉はハマーンの突然の言葉が理解出来ず、一瞬頭が混乱しそうになったが、数秒後自分に労いの言葉をかけているの事に気付いた、
それは端的ではあったが、中尉にとってこの上もない誉れだった。
「は! い、いえ、そのようなお言葉、あの、きょ、恐悦至極に存じ上げます!」
中尉はあわてて膝まづき顔を下げ、緊張でどもりながらも感謝の言葉を告げる。
「こ、こ、今後ともネオジオンのため、尽力させて、い、頂く所存です!」
「そう畏まるな。緊張せずともよい。顔を上げよ。」そう言うとハマーンは中尉に向かいのソファに座るよう促した。
「は、も、もったいないお言葉で……ではし失礼します…」中尉は身を縮こませながら言われたとおりにソファに座った。
「不審に思っただろうな、こんな所で功労賞など…」
図星を突かれたが、どう返答したら良いものかわからず目を伏せて黙っていると
「今回の勲功は特別でな。私が個人的に計らったものだ。よって正規のものではない。というのもお前の活躍を見込んだのだ。……わかるな?」
「は……」と曖昧に答えたが、わかるなと言われても、ここまでの特別な扱いは理解できない。
3
「つまり…こういう事だ」
その直後、突然ハマーンは中尉の足元にひざまづき、中尉の太ももに手を乗せた。
「ハマーン様、な、なにを…!?」
思わず立ち上がろうとする中尉をハマーンの手が抑えつける。
「お前の働きに私が労ってやろうというのだ…光栄に思うがいい。」
ハマーンは中尉の足のその身を間にすべりこませ、その股間に手を伸ばしてズボンの上からぐりぐりとまさぐる。
「ハマーン様……っ…いけません…っ…どうして…こんな事を……っ」
口では拒否していたが中尉はハマーンの行為が理解できず頭の中が混乱し、為すがままになっていた。
彼にとってハマーン・カーンとは崇敬し、敬愛する対象であった。
そしてまた、性的な感情のやり場である時もあり、ハマーンを想いながら己を慰めた事もある。
しかし今起きている事はあまりに予想外のであったため、喜びよりも動揺の感情が勝っていた。
とはいえ、彼の心境がどうであろうとも、刺激を受ければ反応してしまうのが男の性である。
「フフ…お前のここ…膨らんできているぞ…?」まさぐられた股間は徐々に膨らみを増し始めていた。
「ちょっと触れているだけで…びくびく動いて…もうこんなに硬く……」
ズボン越しハマーンの柔らかい手のひらの感触を感じて、中尉のペニスは心地よさに震えていた。
「窮屈そうだな…フフ…脱がせてやる……ほら…見せてみろ…お前のモノを…」
ハマーンは淫媚に微笑みかけ、カチャカチャと音を立ててベルトを器用に外し、ズボンを脱がしていく。
そのハマーンの表情を見た中尉は、さきほどの混乱よりも性的な興奮が勝り始めていた。
「ほう……お前のモノはこうなってるのか…フフ…可愛いものだな?」
露出されたペニスを指先でつんつんと触れて、ハマーンは興味深そうに見つめながそっと手で包む。
「熱くなってる…お前の……お・ち・ん・ぽ……」
卑猥な言葉を口にするハマーンは衝撃であると同時に中尉の胸に暗く熱い感情がこみ上げてきた。
興奮して勃起しているペニスを、自分が信仰してきたこの女の口に突っ込みたいという欲望が。
「…それにドクンドクンと脈を打っているのも手のひらに感じるぞ?」
ハマーンの柔らかな手でペニスを撫でられる度、中尉はゾクゾクと身を震わせ、カウパーもにじみ出てきた。
その優しい愛撫による快感の虜となった中尉は、既にハマーンに身も心も委ねていた。
「ん…?フフ……この小さな穴から、もういやらしい汁が出てきているな……気持ちいいのか?私の手が……」
「は…はい…気持ちいいです…」手だけではない。
彼にとってはハマーン様にが目の前にいる事実う事そのものが既に、この上もない甘美な心地よさだった。
ハマーンが舌を出し、蜜が漏れてくるペニスの先端――鈴口をぺろりと舐め上げると、中尉はうっとうめき声を上げた。
「ん…少ししょっぱい……変な味だな、お前の蜜は…」
「も、申し訳ありません、ハ、ハマーンさ…」ハマーンは謝る中尉の口を手で塞ぎ、「謝らずともよい。労いだといったろう?」とほほ笑む。
その淫靡な口元に、中尉の理性は次第に蹂躙されていく。
「まずは手で…お前を労わってやろう…」ハマーンはうっとりとした表情でペニスを見つめながら、それに手を添える。
「ふふ…さっきより硬く…大きくなってるな……」そう囁きながら、柔らかな手は優しく、ゆっくりと上下に動き始める。
焦らされるような甘くささやかな刺激に、中尉は興奮に息をはずませながら身を震わせる。
「どうした? そんなに震えて……この程度で感じていては後がもたないぞ?」
絡みつくような色香を乗せた視線で、上目遣いに挑発しながらその顔をペニスに近付ける。
鼻先がペニスの先端に触れるほど近づくと、すんすんと鼻を動かして匂いを嗅ぐ。
「はぁ……この男臭くてきつい匂い…すごくいやらしくて興奮して…くらくらしそう…」
中尉は自分の体臭を指摘され、羞恥心に顔を赤くしてハマーンから目を背けた。
「ここの匂いを嗅がれて恥ずかしいか? …ふっ…可愛い表情しているな、今のお前は…」
ハマーンは興奮した様子で舌なめずりをして舌を出し、口を開けてそのままペニスを飲み込んでいく。
口内のぬるぬるとした感触と温もりの心地よさに、思わず中尉は声を上げて喘いだ。
4
じゅるじゅると卑猥な音が響き渡る室内で、
中尉は目の前でネオジオンの摂政が自分のペニスにフェラチオをしている光景を眺めていた。
中尉やマシュマー以外にも、ハマーン信者と呼ばれる者は少なからずいる。
彼らがこの今の彼女を見たらどう思うだろう。怒りだろうか、羨望だろうか、失望だろうか…。
そんな客観的な事を考えながら、中尉はこの現実を堪能している。
そんな中尉の心境に気付く素振りもなく、ハマーンは奉仕を続けている。
「んく…ちゅぅぅ…ちゅ…んはぁ…」
女の唾液と男の我慢汁が混ざり合った液体を、ペニスに何度も擦りつけるように舌で舐めあげる。
「んんっ…ぴちゅ…がまんじるぅ…まだまだ出てくる……んふぅ…じゅぷ…」
亀頭を咥え込むと、頬の内側に亀頭が当たるよう頭を動かして刺激する。
「はっ…はぁぁ……どうだ? 私のフェラチオは……気持ち良いだろう?…ん…」
普段は鋭いハマーンの目線も、今はうっとりとした恍惚の目となり、凛として厳しい声も甘ったるく媚びた声色となっていた。
「はい、ハマーン様……。ハマーン様のお口は…とても、気持ちいいです…」
官能に身を任せながら、中尉は素直に答える。満足そうに微笑むと、ハマーンは再び奉仕を続ける。
「正直で嬉しいぞ? 褒美にもっと良くしてやろう……んむっ…んんっ…」
ハマーンは舌を竿にまとわりつかせながら喉に当たるほど奥までペニスを咥え込んだ。
「っ…!」ペニス全体に感じる快楽に、中尉は思わず腰を上げてしまう。
亀頭が喉を突いて犯し、ハマーンは嗚咽で戻しそうになっていた。
「も、申しわけありません、ハマーン様!」中尉は慌てて腰を引いてペニスを引き抜こうとするが、ハマーンは中尉の腰をつかみ、
ペニスから口を離そうとせずそのまま舌を蠢かす。
「んんーっ!…んっ!んぐ…っ…」
ハマーンは苦しそうな表情で涙目になりながらも、激しいディープスロートを続ける。
口内の刺激により大量に分泌された唾液が、ハマーンの口からだらだらと零れていた。
その光景は中尉の加虐心と支配欲を高めるに十分過ぎる程だった。
ハマーンはしばらく自らの口を犯されるようにペニスを咥えていた。
5
「んぐ……っ…!…はっ…はぁ…はぁ……っ…」
ハマーンは一旦ペニスから口を離し、呼吸を整える。
その口の周りは唾液でテラテラと光っており、中尉の目には官能的に映った。
「んはぁ…はぁ………」
息を整えながらも、ハマーンは手による愛撫を続けた。
唾液まみれのペニスをくちゅくちゅと音を立ててしごいている。
「……ん……ふん……お前のモノは大きいな……少し…苦しかったが…」
「あ…申し訳ありません…」
「いや…良いのだ……興奮したのだろう? 私の口を犯して……。お前の目は喜んでいたように見えたが?
…今度は…私からではなく、ちゃんとお前が動いて私の口を犯してみろ」
ハマーンは中尉の手をとり、自分の頭に導いた。
「私の頭を持って、好きに動かせ…。お前のモノで私の口を犯し、そのまま射精しろ」
つまりイラマチオをして良いという事だ。
加虐心が増幅していた彼だったが、ハマーンを苦しめてしまうという事には抵抗があった。
「そろそろ出したいのだろう? お前の…熱くて…濃い精液…。我慢せずとも良い…。
お前の欲求を私にぶちまけて見せろ……私が全て受け止めてやる…」
その扇情的な言葉に促され、中尉はハマーンの頭を手に取り、少し髪撫でてから頭を手で前後し始める。
最初はゆっくりと、ハマーンの口内の感触を味わうように浅い動きで優しく動かしていたが
次第に激しくなり、先ほどのように嗚咽する程喉までペニスを突き立てて口を犯す。
「んぐっ……うぅ……ふっ…んぶっ……んむうっ……っ!」
中尉は快楽の虜となり、ハマーンの口内にはペニスが容赦なく突き立てられる。
屈辱的な行為にも関わらず、むしろ喜悦の表情を浮かべてハマーンは男のペニスを愛撫する事に夢中になっていた。
「ハマーン様…そろそろ…っ」
中尉が絶頂の近い事を告げると、ハマーンは哀願するような目線を投げかけながら頷いた。
それを了承と捉えた中尉は一層腰を深く、強く打ちつける。
「ハマーン様! ハマーン様ぁっ!」中尉は愛し、犯している女の名前を叫びながら絶頂を迎えた。
中尉はハマーンの後頭部をしっかりと両手で持ち、腰をハマーンの顔に押し付けて射精を続けた。
かつて経験した事のない官能の時間のせいか、大量の精液がハマーンの口内に注がれていった。
ハマーンは嗚咽を必死に抑えつつ、男の精液を口内で受け止め、嚥下していく。
「んうっ!? んっ、んむうっ……んく…っ……!」
射精をし終えた中尉はハマーンを解放し、ペニスをぬるりと引き抜く。
ペニスと唇の間には精液の名残りが糸を引いていた。
6
果てた後の冷静さに我を取り戻した中尉は、ハマーン様に対する罪悪感が波のように押し寄せてきたが、
目の前の女はそんな事に気づく様子もなく、余韻に浸っているように見えた。
「ん……んく…っんはぁ………」
ハマーンの口からは精液がドロリと零れ落ちた。口内に溜まった精液を飲みきれずにいたらしい。
垂らした精液を両手で受け止めている。
「…っはぁ……こんなに出して……そんなに気持ち良かったのか? …それとも単に溜まっていたのか?」
「も…申し訳ありません…」
ハマーンは手のひらに落ちた精液を、味わうようにうっとりとした顔で舐め取る。
「ん……お前は最後まで謝ってばかりだな。私がせっかく慰労してやったというのに、楽しめなかったのか?」
そんな事はあるはずがなかった。夢にまで見たハマーン・カーンと二人きりでいられただけでなく、
叶うはずもなく、妄想の中でだけの行為だと思ってきたひと時を過ごせたのだから。
中尉は式典で見た時から今に至るまで、ハマーンに焦がれたその想いを全て語った。
もはや隠す事もあるまいと、性的な目で見て慰めた事も。
話し終えるとハマーンは目を細めて笑い、ゆっくりと口を開いた。
「これは好都合だ。実を言えば私もお前を前々から気に入っていたのだ。
そこまで私を想ってくれたいたのならば話は早い。今後ともたびたび呼び出す事もあろう」
予想外の返事に中尉がぽかんと口を開けて立っていると
「そんな顔をするな。これからも私が相手をしてやろうと言っているのだ。…慰労のな?」
先ほどまでの淫靡な視線が再び中尉を貫いた。
「今のネオジオンにはお前のような忠義の心を持った騎士が必要だ。だから…」
ハマーンは中尉に擦り寄り、身体を密着させて囁いた。
「これからも励んでくれ……私のために……」
オワリ
GJ!
GJ。ちょっとアクシズ行ってくるわ。
260 :
名無しさん@ピンキー:2011/03/24(木) 18:16:13.92 ID:YYX6uUJx
久しぶりに逆シャア見たらギュネイ×クェスが見たくなった
アクシズってまだあるの?
割れたあと、どうなったんだろうねー
そういや自分、メーテルとかの細い女が好きなんだけど
ゼナ・ザビも結構このみだったなあ
あの 折れそうなくらい細い腰をドズルの豪腕ががっしり
抱え込んで、あの巨体でのしかかっていたかと思うと・・
はぁはぁ、もう辛抱たまらんよー
保守
00スレ落ちたまま!?
こっちと統合かな?
アクシズ
266 :
名無しさん@ピンキー:2011/06/01(水) 17:20:24.23 ID:G3R7VmI4
落とし
268 :
名無しさん@ピンキー:2011/06/09(木) 14:56:27.73 ID:k63qzXQD
ほしゅ
新作発表か
今度はどんなかなー
今日だ
イグルー、マイ×モニです。エロ少なめです。
書いてる人が全然見つからないんで自分で書いてしまいました。
いろいろ突っ込みどころありますが、お許しを。
1.
片腕のヅダが着艦用フェンスに身を投げ出す。青白い火花が散る。金属同士の擦れるひどい音がデッキに響く。
満身創痍のヨーツンヘイムは、それでも戦場から命からがら追ってきた兵士たちを受け入れる。
全てのMS、それにオッゴを収容すると、慌ただしくハッチが閉じられた。
エアが満たされていくのももどかしく、メカニックたちが傷付いた機体に取りつく。
コクピットが歪んで自力で出られない者もいる、負傷者もいる。
既に戦場を離れたとはいえ、彼らにとってそこは今だ「戦場」だった。これから生きて故郷、サイド3へ帰る為の。
モニクは、ヅダのマニピュレーターをゆっくりと開き、そこに掴まっているノーマルスーツの人物をタラップへと運んだ。
医療班が、少し遅れて同僚たちが飛んでくる。そこで彼女はもう一度ふう、とため息をついた。
『…大尉、特務大尉』外部からの回線だ。『御無事ですか』
「私は無事だ、いま出る」
ヅダのハッチを開け放つと、気圧の差でぽん、と軽く耳が鳴った。ノーマルスーツのメットを取り、そのままシートに放る。
顔にかかる髪を軽く払うと、同僚に…マイに続いてタラップへと跳ぶ。
見ると、マイはどうやら軽い怪我をしているようだ。医療班がメットを外させ、ノーマルスーツをまくりあげて手当てをしている。
流石にあの爆発の中、無傷ではいられなかったのか。目の前で巨大MAビグ・ラングが爆散した瞬間を思い出し、モニクの肌に震えが走った。と。
ブロンドの髪が流れる。
「…大尉」
「命拾いしたな、マイ」
タラップの端に掴まりそのままマイの前に着地すると、彼女は相好を崩した。
余人が無ければ一発殴ってやりたいところだが、流石に怪我人を虐待する趣味は無い。
「…御蔭様で。打ち身ひとつで済みました」
「もやしの割に意外と頑丈だな」皮肉がつい出てしまう。モニクは笑っていたが、その目は
普段の嘲笑の形ではなかった。違う、こんな事を言いたいんじゃない。私は―――
2.
「生きてたー!!良かった!!」半分涙声で飛びついて来たのは、一足先に戻っていたワシヤ。
涙だか鼻水だか何だかわからない液体まみれの顔でタックルされたマイは、思わず体をよじって避けた。
「ちょ、おま、それが友達に対する態度かよっ」
「すまないワシヤ。鼻水を拭いてからにしてくれ」
勢い余ったワシヤは哀れにもタラップから落下しかけ、メカニックの一人に救助されている。
そうこうしている間にも生き残りの若年兵が駆け寄ってくる。
「中尉、大尉!御無事で何よりです!」
「生きて帰ってこられたなんて、夢のようです!」
遅れてプロホノウ艦長、クリューガー大尉が姿を見せる。どちらも帰還兵たちの姿を見ると、安堵の表情を浮かべた。
「みんな死んじまったかと思ったよ、ほんっとに良かった!」様々な液体を拭き取りつつ、
ワシヤは仲間達の両手を順に握っていく。上官も新兵も関係無く、仲間たちが生きている
ことを確認するように。
スーツごしではあったが、モニクはそこに生きている人間の温もりを感じた気がした。
「お前らもよく帰って来たな!」
「中尉たちが守って下さったお陰です、それから大佐も…」そこで新兵は言葉を詰まらせる。
「カスペン大佐…」マイがつぶやく。「共に、帰還して欲しかった…」
理解不能な言動に振り回されはしたが、新兵たちとその帰る場所を、命を投げ出して守りきったカスペン大佐。
「不器用ではあったが、彼もまたこの艦の一員であった」ぽつりと、プロホノウ艦長がつぶやいた。
モニクは視線を落とした。掌をじっと見る。
今は亡き弟に敬礼を送り、大佐に銃を突きつけ、そして同僚の命を救った掌を。
3.
サイド3の宇宙港は、ア・バオア・クー周辺から退却してきた艦船でごったがえしていた。
入港するのはまず重篤な怪我人を積んだ艦からだ。わずかな宙域を縫うように救急艇が
駆け回る。あまりに被害の大きな艦は、爆発の危険から入港すらできずに放棄され、乗組
員だけが輸送艇で順に運ばれていく。
そんななかヨーツンヘイムは【被害軽微、重傷者無し】という理由から入港を後回しにさ
れ、いまだに宇宙港で着岸を待っていた。
上陸予定は翌々日の1200、そう告げられたのはその日の標準時刻で1900時頃のことだった。
皮肉にも1月1日、正月休暇と言う事で、それまで不眠不休だったクルーにはほぼ一日の休暇が与えられることとなった。
戦争には負けた、だが故郷に帰ることはできた。これから自分たちがどうなっていくのか。それぞれ胸に去来する物は違えど、ようやく一息つく事が出来る。
急遽艦長提案で、簡素ではあるが(そして不謹慎ではあるが)新年を祝っての食事会が開
かれた。ブリッジクルーも観測所のスタッフも、ようやく手のあいたメカニックたちも、
それぞれ交代で軽食を取り酒を楽しんだ。以前ならば祖国の存亡の危機に何をしているか
と怒り狂っていたはずのモニクも、オペレーターのキムや観測所のカリーナらと談笑を交
わしている。あの獰猛なヨークシャテリアが丸くなったものだと、プロホノウ艦長は内心
舌を巻いた。
そう、その日のモニクはよく笑って、よく飲んでいた。傍らでワシヤに絡まれていたマイが、不審に思う程に。
4.
誰が読むのか判らない報告書を書きあげたその時、ドアが軽くノックされた。
時刻は深夜12:30、一体誰が訪ねてきたのか。
ドアの横にあるモニター越しに相手の姿を確認すると、すぐにマイはドアを開いた。
モニクだ。ひっつめている髪を下ろし、上着を脱いだラフな姿だ。
「…どうしたんです、こんな時間に…」
小柄なモニクがマイを見上げると、笑みを浮かべてワインのボトルを取り上げた。いつもの
少し皮肉っぽい笑みを浮かべている。
「…今度は断らせんぞ」
そういえば。マイは思い出した。
以前彼女に「一杯付き合うか」と誘われたのに、自分はホルバインを探すのに夢中でそっけなく断ったことを。
…そのホルバインもまた、今は地球の青い海に抱かれて眠っている。思い出してか
モニクの笑みも、心なしか寂しげだ。
空虚な、中身の無い、形だけの笑顔。
しばし逡巡した後、マイはモニクを部屋へ招き入れた。
「…散らかしてますが、どうぞ」
ドアがシュっという音をたてて閉じられた。廊下に人気は無い。
向かい合って掛ける椅子が無いのでサイドテーブルをベッドサイドに置き、二人は並んで
腰かけた。丸みを帯びたグラスに注がれるワインは、微弱な重力によってふわふわとグラ
スの中をたゆたう。深い紫をした水玉のようで、何だかワインという気がしない。
「地球産の12年ものだ。まじりっけ無し、正真正銘の取っておきだぞ」
「何だか勿体ない気がします」
モニクはグラスを取り、マイにも促す。
「気にするな、こうでも無いと荷物になるだけだからな。…断るか?」
「…全く、あなたという人は」
苦笑を浮かべ、マイはグラスを取った。
「で、何に乾杯するんですか」
モニクはそこで目を伏せた。少し考えて言う。
「地球で、宇宙で散って行った者たちに。そして、ここにある命に」
軽く淵と淵を合わせると、チン、と澄んだ小さな音がした。
5.
先ほどの食事会で既にアルコールが入っていた割に、モニクはよく飲んだ。
普段から彼女が飲酒する姿を目にした事が無いマイには、それがどこか自棄的になっているようにも見えた。
「大尉、ちょっと飲みすぎです」
「お前だって半分飲んだろう」無重力では酔いもまわりやすい。人によっては酒量を制限
される場合もある。幸いマイは下戸ではなかったが、モニクは明らかに酔っている。
「この辺りでやめましょう。これ以上…」
「飲むとどうなる?」
顔が近い。
最初こそ、少し離れて座っていたが、酒がすすむにつれ二人の間は知らず知らず縮まって
いた。肩と肩が触れる。
「…部屋まで送ります。明日は半舷休息ですからゆっくりと」
「ここにいる」
熱を帯びた声が耳元で囁く。ベッドに置かれた手に、柔らかくて白い手が重なる。
え、とマイが顔を上げると、俯いたままモニクは彼の胸に体を預けた。
「…大尉」しなやかで柔らかいものが、マイの体にもたれかかってくる。
熱を帯びているのは酒のせいなのか、それとも自分の方なのか。
他に音を立てるものなど無い部屋で、鼓動だけが大きく響いている。
「いけません」静かな、だが堪えるような声を絞り出した。それがマイにできる精一杯だった。
が、モニクからの言葉は予想外のものだった。
「…生きてる」呟くような低い、小さな声。
「え?」
マイのよれよれのワイシャツを、モニクがぎゅっと掴んだ。
「ソンネン大尉も死んだ」その声は僅かに震えていた。「エルヴィンも…目の前で」
「大尉…」
小さな子どもが置いて行かれまいとするように、モニクはマイの胸にしがみついた。
泣いているのか、その涙声は震えている。顔を見られまいとして俯き、その胸板に顔を
押しあててモニクは泣いた。ヒステリックでプライドが高く、自信家のモニクが。
丁度、グラナダ上空でエルヴィンを亡くした時のように。
「…お前まで失うのは…もう嫌だ…」
6.
どうしてよいか分からず、マイはそっとその背に腕を回した。そうする事でモニクが少し
でも安心するならと。彼女の赤毛が顔に触れる。かすかな石鹸の匂いがした。
「…でも、あなたは来てくれた。だから僕はここにいます」
それは本当の事だ。爆発の炎の中、自分の体を守ったのはモニクのヅダだった。戦闘神経症を押して出撃し、孤立無援の自分たちを助けてくれた。命の恩人、仲間、そういった言葉を超えた何かを自分もまたうすうす感じている、それはマイにとって事実だった。
自分には何ができるだろう。今自分の胸で泣いている女性に、一体何ができるのだろう。だが。それは僕の一方的な欲望じゃないか。弱っている女性に付け込む愚かな男のやる事じゃないのか。
しばしの沈黙の後、先に口を開いたのはモニクだった。
「…いて、欲しい」消え入りそうな声。
「…大尉」
いけない。こんなことはだめだ。
「今だけでいい、今だけでも…」
「…落ち着いて。一時の感情に流されては…後悔します」
嘘だ。
一時の感情に流されてしまっているのは誰だ?自分じゃないか。
命の危機を脱し、生存欲求が満たされたうえで、身体がただ欲求しているだけだ。
非理論的な原始的、生物的な欲求に過ぎない。
「僕は…いえ、大尉、あなたは」
「構わない。今はただ…傍にいて欲しい」伏せられてた顔が、上を向く。グリーンの瞳が蒼い瞳を射抜く。涙でうるんだ、それでいて強い意志の光が灯った瞳。
いつしか友愛以上の思いで見つめていた瞳が、まっすぐこちらを見ている。
マイの思考は、そこでぷつりと切れた。
「…ああ、私はとっくにおかしくなっていたのよ。鈍感で不器用で、真面目だけが取り柄で…なんで…」
「…大尉」
もうしゃべらないで。
それがスタートの合図だった。
7.
モヤシと罵ったが、想像以上にその体はしなやかで力強かった。
もつれ合うようにしてベッドに倒れ込むと、額、頬、首筋、胸元と唇を落としていく。どこかぎこちなく、互いに互いの熱を奪いあう。下着を外すのももどかしく、性急に、だが確かめ合うようにそこに触れあった。
お互い初めてではないし、焦る必要も無い。時間をかけてゆっくり…という思いもあれど、今はただ互いの体温、そして存在を確かめるように二人は抱き合った。
「…力、抜いてください」
「んっ……ぁあ、ふぁ、マイ…っ!」
全てを受け入れ、奥まで包み込んだまま体を密着させるモニク。その目尻に浮かんだ涙をそっと、彼女を抱いたままマイは吸った。弟を亡くしたときの涙じゃない、哀しみの涙じゃない。それだけを思い、彼はそのまま腰を動かした。
目と目が合い、首筋にモニクの細い腕が巻きつく。ひとつになったままで強く抱き合った。
「…置いて…か、ないで…マイ…」
熱に浮かされた頭で彼は思った。このひとを守りたい。戦うべき男として守るべきものが、今ようやく見つかった。それは衝動であり、激情であった。
どちらからともなく唇が重なり、深く絡み合う。欲しい、もっと欲しい。互いの思いはひとつだった。
「…国に帰ったら、どうする?」
シーツにくるまったまま、けだるげにモニクが尋ねる。その隣、腕枕をしながら、裸の胸に彼女を抱きよせたままマイがつぶやく。
「…当面は、後始末で手一杯です。…でも」
「でも?」
「落ち着いたら、またこうして…評価に関わる仕事を見つけたいですね。…あなたは?」
「私か。私は…出来ることなら一度、外から国を見てみたい」
「軍を、辞めると?」少し意外そうな声で、マイ。
「それでもいい…世界を見て、視野を広げて。国を考えるのは、それからだな」
「…寂しくなりますね」
「…ああ」
言葉が途切れる。と、マイが言う。腕枕をした手で、赤毛の小さな頭を抱きよせて。
「…いつか、そんな日が来たら、一緒に」
「ストップ。仮定で話をするなど、お前らしくない」
「…そう、かな」
「抱いた責任感か。らしい、な」
「そんな、僕は真剣に――」
「先の事はいい、今は…ただ…」
タイトル付け忘れてました…これで最後です。
8.
自室に戻りシャワーを浴びる。ガラスに映る身体には、至る所に紅い花が咲いている。
「…本当に、バカ正直な男」
熱い湯を全身に浴びる。叩きつけるような熱湯に肌が真っ赤になる。
太ももを流れ落ちる彼の一部。
「……本当に…正直で、不器用で…」
知らず涙があふれる。
本国へ帰還したら、ペーネミュンデ機関所属の自分はどのような処遇が待っているか分からない。遠くアクシズへと亡命した派閥もあると聞く。少なくともまっとうな扱いは受けられないだろう。あくまで技術士官として戦争に参加した、マイとは違って。
一人きりで生きていくのは辛すぎる。でも、支えがあれば生きていける。どこでだって。
「あいつの事だ、何とかやっていける」
自分がいなくても。あの御人好しは大丈夫だろう。でも。
さっき見せた真剣な眼差しと、抱きしめられた温かい肌の感触。
忘れられるだろうか。私はあいつを。
本当に不器用なのはどっちだろう。
豪雨のようなシャワーのなかで、モニクは一人泣いた。
艦を降りると、スーツ姿の男たちが待っていた。クルー達はいぶかしがったが、案の定モニクの為の出迎えだった。やはりな、と彼女はひとりごちた。
「ちょっと、3分だけ。時間をくれないか」
マイの手を取り、強引に艦内へと戻る。狭い艦内、噂が広まるのは早いらしい。背後から冷やかしの声が飛ぶが気にしてなどいられない。
手近な個室に連れ込むと、そのまま抱きしめた。驚いたように固まっていたマイも察したのか、しばらくすると全身の力を緩め、そっとその背に腕を回した。
「…私を忘れて」
「断ります」穏やかな、しかし凛とした声。
「な…」
「その代わり、約束しましょう」
「約束?」
「いつか二人で…もしかしたら、三人で」
三人。その言葉に彼女は耳を真っ赤にした。気づいてか気づかずか彼が続ける。
「昨夜話した夢を」
短いキス。
「…バカ」
ほう・・・
かまわん、続けたまえ。
281 :
271:2011/06/27(月) 21:09:58.64 ID:nXwOGVF6
すみません、〈了〉入れるのを忘れてました…
エロパロなのに肝心の場面が少なめで申し訳ない。
うじ虫負け犬とドSなモニクさんは、いざとなると弱気になるんだろうなと。
ちょ!ま!まさかpink板でこんなイグルー読めるなんてGJ
艦長の「つぶやき」で、一瞬目元が潤んだぞ!
激しくGJ、脱いでたパンツ穿いた。
284 :
271:2011/06/29(水) 23:28:40.15 ID:KzqphfD3
ありがとうございます。
外伝系のss散々探し回っても見つからないので、自家発電に踏み切りました。
マイナー好きの同士が続いてくれる事を超期待しています。
こんなところでこんなクオリティが読める、才能の無駄遣いとはこのことか…
だが、それがいい(にやっ
287 :
271:2011/07/09(土) 03:10:58.43 ID:mZ75BGnW
消えたと思ってた部分が出てきたんで、投下します。
上の7の「肝心の場面」に相当する部分です。
後だしで申し訳ありません。
重ねた唇からは、濃厚なワインの味がした。
おずおずと、モニクはマイの舌を受け入れていく。口内で二人のそれが深く絡まる。
頭の芯が痺れ、何も考えられなくなる。
そうさせているのはアルコールのせいか。それとも。
無重力の艦内ではどこか安定が悪いが、それすら気に留めることなくマイは
そっと唇を離し、モニクをそっとベッドに押し倒した。
シーツの海に赤い髪がふわりと広がる。
涙の痕が残る翠色の瞳、口づけの名残に僅かに開いた、紅い唇。
男性にしては細くて長い指が、上気したモニクの頬を優しく包んだ。ぴくり、とモニクは身を固くする。
「明かり…消します?」
モニクは軽く首を横に振る。
「…少しだけ、暗くして」
マイの綺麗な、透き通るようなアイスブルーの瞳が見たいから。口に出さない代わりにモニクは
マイを抱きよせ、そのまま首に腕を回して身体を密着させる。
思ったより厚い胸板から熱が伝わってくる。
首筋を、鎖骨を吸われ、モニクは思わず小さく声をあげた。
自分で誘ったのに、情けないそぶりを見せたくない。
モニクは自分で自分の反応に真っ赤になり顔をそむけた。そんなモニクの表情にクスリとしてから、
マイの指がシャツのボタンをひとつひとつ外していく。
レースで縁どられた下着が、白い胸元が、下腹部があらわになる。ひんやりした外気と焼けるような
視線を素肌に感じて、モニクの頬は更に赤くなっていく。
「月並みな言葉しか出ませんが…綺麗です、すごく」丁寧にキスの雨を降らせながら、マイは
モニクの身体のラインをゆっくりと辿っていく。鎖骨からなだらかな膨らみへ、下着を取り去った
その頂点へ。
「や…ん……、んあ…」
張り詰めたそこを摘まれ、舌で転がされ、そっと吸われると、思わずモニクは身体をのけぞらせて
甘い声を漏らす。まだ若干の恥じらいが残っているのか、無意識にか右手で口元を押さえながら。
両の乳首を解放すると、マイは少しずつ身体を下げて行った。邪魔な衣服を取り去り、自らも
しわくちゃになったワイシャツを脱ぎ捨てた。
そこに指を滑り込ませると、モニクはびくりと背を仰け反らせた。粘着質な水音が室内に響く。
「んっ…やぁ…」
「我慢しないで下さい」首をのけぞらせて逃げようとするモニクを抱きよせ、深いキスを重ねる。
短い息継ぎを繰り返し、何度も舌を絡ませ合う。固く閉じられていたモニクの両足が、次第に開く。
その間隙にするりとマイの指が入り込む。
密やかな茂みの奥、花芯からは蜜が溢れ、マイの指に絡みついた。
淫靡な水音をたてながら、閉じられたそこをマイはそっと開く。モニクが、は、と息をつき、身体を固くする。
しばし花芯を愛撫したのち、ゆっくりとマイの指がモニクの中へ入っていく。
「っあ…はあっ…ん…」抑えきれない嬌声が口の端から漏れる。いつものヒステリックな怒鳴り声との
ギャップが、それでも堪えようとするその表情が、マイにはこのうえなく愛おしかった。
そのまま足をそっと割り開き、身体の中心を露わにする。入れていた指を抜き去る。
「ちょ、だめ…んうっ!」
彼の舌が入ってくる。柔らかく熱いものに中をかき回され、秘芯を摘まれ、蹂躙される。思わずモニクは
自分の下で動くブロンドを掴み、押しやろうとする。が、びくとも動かない。
ただただ激しい愛撫を受け、モニクはシーツを掴む。艶めいた喘ぎ声がマイの理性を次第に消していく。
男女の力の差。
マイの部屋に行くと決めた時、覚悟はしていた。むしろこうなる事を望んでいた。だがそれは、どこか
夢想めいたものだった。経験が無かった訳ではないが、戦争という極限状態の後だ。
現実から思考が離れていたのかもしれない、と、僅かに残った思考能力でモニクは思った。
自分たちは男と女で、自分が望んだのはつまりこういう事なのだ。
「は…あっ、も…ダメ…っ、あ…ぁあ!」
ひときわ甲高い声をあげ、モニクが背を反らした。びくり、と痙攣するその身体を、マイはそのまま
強く抱きしめた。
「…すみません。僕、もう」
「ん…もう…か?」
吐息と共に言葉を吐きだし、そのまま視線をマイの下半身に落とす。血管が浮き出たそれに目を遣る。
モニクはそっと身をよじり、マイの下から抜け出す。そのまま胸板を押して体勢を入れ替えた。
熱く、固くなった欲望の象徴にそっと手を添える。
「た…ちょっと、何を」
「私だけ…良い目を見ていては悪いだろう。…動くな、歯に当たるぞ」
そのままモニクは彼の分身に舌を走らせる。髪と同じ金色の茂みから、その根元、真っすぐに走る筋を丁寧に
舌先で愛撫する。ちろちろ、と柔らかいものが触れるたび、マイは瞳を閉じて眉を寄せる。
「ここが…いいのか…?」
マイは答えない。代わりに押し殺したようなうめき声を漏らす。かり首から先端へ舌で辿り、透明な液を
そっと吸い取る。鈴口を舌先でつつくと、大きさが一層増した気がした。
「…もう、それ以上は…」
抗議を無視して、モニクはそれを口に含んだ。喉に届くような大きさの怒張をストロークさせる。頭上から
切なげな声が聞こえる。押されっぱなしだったところを、ようやく一矢報いた気分がした。
「…すみません、もう!」
肩を掴まれ、それが口から引き抜かれる。そのままベッドに押し倒されたモニクの目を、マイの真っすぐな
熱のこもった瞳が射る。
マイはそのままモニクの膝を抱え、両足の間に身体を割り込ませる。熱くて固いものがモニクの中心に
あてがわれた。
澄み切ったアイスブルーの瞳がそこにある。
「大尉、あなたが欲しい」
そのままマイは一気に腰を沈めた。
大きく弓なりに仰け反ったモニクの身体を強く抱きしめながら、マイは腰を動かす。
深く、浅く、そしてまた深く。ストロークをつけながらその奥深くを突き上げる。
「あっ、やぁっ、マ、マイっ!」その背に腕を回してしがみ付きながら、モニクは侵入してくる熱の塊に
翻弄される。
「くっ…大尉、大尉!」自制が効かなくなったのか、モニクの身体ごと抱きしめて腰の動きを速める。
「名前…」
「え?」
「名前、呼んで…」苦しげな息の下から、モニクが懇願する。その手がそっとマイの頬を包みこみ、キスを
せがむ。
深い口づけの後、目尻に光るものをそっと吸い、マイはその耳元で囁いた。
「…愛してます、モニク」
「…馬鹿マイ…」
もう一度唇を重ね舌を絡ませ合いながら、二人は律動を速めていく。そして。
「すみません、もうっ…!」
「出して」
え、という表情でモニクを見る。そこには真っすぐに懇願する瞳があった。
「お前が欲しい…だからっ」
マイは最後に大きくモニクを突き上げた。あぁっ、というひときわ高い声と同時に、背中にするどい痛みが走る。
恐らく引っかかれたのだろう。
こつん、と固い物にあたる感触がすると同時に、マイはその情熱をモニクの中へ迸らせた。
モニクの中からそれを抜きとると、愛液と白濁が混じったものが流れ落ちた。無重力では部屋中に
飛び散ってしまう。余韻を味わう間も無く、サイドテーブルにあったタオルでマイはそれを拭き取った。
放心したまま、けだるげにモニクはベッドに横たわっている。改めて見ると、その白い肌には
点々と紅い花が咲いていた。
シーツを引き上げ、マイはまだ荒い息をついているモニクを抱き寄せた。その身体は柔らかく暖かだった。
「…意外と、その…」言いかけて淀むモニク。
「…自分でも少し驚いています」
「…何に」
「あなたの可愛いとがっ!何をするんです!」
「変な事言うからだ!私はお前の…その……に、驚いただけ…」
と、そこでシーツにくるまりごにょごにょと呟くモニク。
「そ…そんなに…あるのかな…」
視線の先を一緒に見やり、はたと目が合う。
「馬鹿!それじゃない!普段大人しいのにアレだって事だ!」
「…嫌でしたか?」心配するような、不安そうな声。慌ててモニクは首を横に振る。
「誘ったのは、私だ。後悔などするか。むしろ…その…お前があんなに……してくれて…」
また語尾を誤魔化すモニク。マイは柔らかく微笑むと、そのままモニクをそっと抱きしめた。
それだけで彼女は柔らかく溶けた。ふたつの熱が混ざりあう。どちらからともなく、再び唇が重なる。
「明日は半舷休息です、だから…」
「ああ、まだ帰らない」
〈了〉
これで本当におしまいです。
長々とスレ占拠申し訳ない。
今後も占拠してくれて構わんのじゃよ?
中の人繋がり的なネタなのかな?
>>295 すみません、中の人ネタは分かりません…
もしかして伝説の「布団針のヒデ」さんでしょうか。
ファのレイプがダムAに載るらしいぞ
301 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/06(木) 18:25:01.80 ID:MPrs0Mbs
アムロ×ベルトーチカとアムロ×チェーンが読みたい!!
あとつでにageておく
AGE楽しみっス〜!
271です。萌えが収まらないので書き逃げに来ました。
直接描写は無いけど凌辱(っぽい感じ)があるのでご注意ください。
0080.12.24 16:30 サイド3にて
街頭のテレビからは天気予報が聞こえてくる。
と言っても、コロニーにとっての天気は、地球のそれとは違う。あらかじめ設定された気象プログラムに従い「晴れ」と「雨」を繰り返すだけだ。時折、季節や年中行事を演出するための「イベント」が行われるが、それすらプログラムの一環でしかない。
そして今日もそのプログラム通りに演出が行われる。と言っても、昨年は戦時下だったから、一年ぶりの「季節」らしい「季節」ではあるが。
『…夕方からは雪となり、ホワイトクリスマス・イヴとなる予定です…』
木枯らしが吹く。戦争の混乱が落ち着いたとはいえ、どこかすさんだ雰囲気を色濃く残す街を、家路を急ぐ人々が行き交う。イヴだというのに街には華やいだ様子も無い。
角の花屋で、彼は小さな花束を買った。最近ようやく顔を覚えられたのか、売り子の老婆は何も聞かずに手早く花を包み、彼に手渡す。
「…イヴだってのに」また来たのかい、と老婆は言う。
「イヴだから、です」
代金を支払い店を後にする。石畳の坂を越えた向こう、街並みが開けた丘にその墓地はあった。
枯れた芝が地面を覆っている。すっかり葉を落とした木々の梢が、木枯らしに寂しげな泣き声を上げる。その向こう。
3つ並んだ真新しい墓石の前、うずくまり祈る女性がいる。
[Oberleutnant Elvin-Cadillac 0063-0079]
刻まれた墓碑をなぞる指が、不意に止まる。華奢な肩に、そっと外套がかけられる。彼女は振り向き、そのまま立ち上がる。
「―――マイ」
「…久しぶりです。大尉」
天気予報通りに、雪がちらほらと舞い始めた。
0080.12.24 18:30 同コロニーにて
「…エルヴィンとの約束が、ようやく果たせました」
「ああ…そういえば、言っていたな。3人で食事でも、と」
ホテルの一階にある、レストランというにはあまりに小さな料理屋。古びてはいるが粗末ではないそこで、久方ぶりに二人は同じ卓を囲んだ。時間帯が早いせいか、二人のほかに客はいない。
自分は知人のつてでアナハイムの下請に勤めている、MSパイロットとしての腕を見込まれたワシヤも一緒にいる。ヨーツンヘイムは、元通り貨客船として相変わらず海にいる。
など、当たり障りのない近況報告を済ませた頃には、机のうえの料理は全て片付いていた。
「丁度、一年か。…ここには何度も?」
「ええ。ただ…ご自宅へ伺うことは、結局叶わず仕舞いでしたが」
「無駄足にならずに済んだな」皮肉だけは変わらないが、その表情はどこか寂しげだ。
「…墓石が増えていた時、なんとなくは気づきましたが。…御両親ですか」
「今年の十月だそうだ」
グラスの中で揺れる赤色を眺めながら、独り言のように呟く。
「弟の戦死、私の拘束。心労で父が倒れ、後を追うように母も逝ったそうだ」
あれほど生き生きと輝いていた緑の瞳は、今はどこか遠くを見つめているように生気が無い。他人事のように淡々と、モニクは告げる。
「私が釈放されたのは、つい先月末。…家には、もう誰もいなかった」
吐きだすようにそこまで言うと、グラスの中身を一気にあおる。
「…一人きりは、寒いな…」
パチパチと、薪のはぜる音だけが店内に響いている。
テーブルの下の手を、マイはぎゅっと握った。白く柔らかな、少しだけかさついたモニクの手。戦争が終わったあの夜、初めて触れたその手を。
「…少し、痩せましたか」
「色々あったからな…」
「…その、上に。部屋をとりました」
握り締めた手が、ピクリと動く。
「僕でよければ、聞かせてください…話を」
0080.01.27 地球連邦軍施設内 戦犯収容所にて
「おい。検査の結果だ」
独房の寝台に横たわっていたモニクは、跳ね上がるようにして体を起こした。まるでクッションの無い寝床は、連日の取り調べから来る疲れを癒すには全く役に立たない。きしむ間接をさすりつつ鉄格子の窓へ駆け寄る。わずかな期待とともに。が。
「シロだ。残念だったな」
下卑た笑いと共に叩きつけられたその言葉は、彼女を絶望させるには十分すぎた。
「あ、ああ…」
膝を折り、崩れ落ちるモニク。追い打ちをかけるように男は言う。
「残念だったな。医療刑務所送りはナシだ。特別扱いもな」
無意識に、両手が下腹部へと向かう。しかしそこには、彼女が望んでいた存在はいなかったのだ。
「たかだか一発程度でデキるかよ。お相手がよっぽどのスナイパーじゃなきゃ、なぁ」
医師に告げた話は、どうやら筒抜けのようだ。下賤な冗談も、唯一の希望を断たれた彼女の耳には届かない。
短い時間ではあったが想いを通じあった相手。孤独を埋めてくれたひと。
―――ひとりきりは、もういやだ…
「おい、移送だ。さっさとしろ」別の声が近づいてくる。「もたもたしてたら時間が無くなるぞ」
「雑居房だろ?」と、検査結果を持ってきた男が答える。「部屋を移すだけなら俺一人で十分だろう」
「そうじゃない」どこか含みのある、嬉しそうな声。「あ、そうか。お前『時間外手当』は初めてか」
しばしの沈黙。ガチャガチャと音をたてて鍵が開けられ、扉が開いたとき、初めてモニクは自分の置かれた立場を理解した。
下卑た笑み、だらしなく歪んだ口元。規律正しい軍人の姿からかけ離れたその雰囲気。
「…総帥府の女ってのは、アレだ。ギレンの愛人なんだろ?」
「何を…馬鹿なことを…」床に座り込みわが身を庇うようにしながらも、モニクはあらん限りの気力で彼らを睨みつけた。だが、本能から来る恐怖には勝てない。奥歯がカチカチと震えだす。
「おいおい、こいつは中古も中古、相当なお下がりだろ。何せジオン野郎に仕込まれてるんだぜ」
「んな事気にするなよ。遅かれ早かれ「使う」なら、どうでもいいだろう。それより」
と、髪を掴みあげ、顔をあげさせる。苦痛に歪む表情を舐めまわすように楽しむ。
「…悪くないじゃねえか。キツそうな女は」
0080.12.24 20:00 同ホテルの一室にて
あらわになった肌には、無数の痣や傷痕が残されていた。
「…いくら鈍感なお前でも、だいたい察しはつくだろう。…私はあそこで、モノ同然だった」
絶句するマイ。構わずモニクは続ける。
「南極条約など、戦時条約に過ぎないからな。総帥府の女はみんなそうだった。少なくとも、私が知っている者は。みんな」
その言葉が終わる前にマイは上着を脱ぎ、傷付いたモニクの肌を包み込むように覆った。そのまま強く抱きしめる。
「…申し訳ありません」押し殺すように呟く。両の腕に力がこもる。結局何もできなかった自分への悔しさと、無力感と、そしてやるせなさに。
「どうして…何故、あなたがこんな…」
「死を思うこともあった」されるがまま、モニクは続ける。「ただ、私には家で待っている両親がいた。エルヴィンを失ったふたりを思い、ずっと耐えてきた」
そこで、そっと瞳を閉じる。感情がこもらないままの声で続ける。
「…でも、私は本当に…ひとりになってしまった…」
「僕では、いけませんか」
その細い体を抱いたまま、低い声でマイが言う。
このひとを守りたいと思った。でも、あのとき自分はこの手を離してしまった。
自分と同じで、不器用な生き方しかできないこのひとを傷つけた。
「ひとりには…貴方を一人には、僕がさせない」
腕の力を緩め、両の瞳を覗きこむ。どこかうつろな双瞳をまっすぐ見つめる。
「今度は…今度こそ。あなたを守ります」
色のなかった瞳から、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。すうっと頬を伝っていく。
それをきっかけに、堰を切ったように彼女は泣き崩れた。声をたてて、小さな子供のように。今まで堪えていたものを全て吐きだすように。肩を震わせてしゃくりあげる。
「ずっと…ずっと会いたかった、お前に会って、こうやって触れたかった、なのに…なのに…っ」
嗚咽は、止む事は無かった。
0080.12.25 0:30
「…起こしたか」
「いえ…ずっとあなたの顔をぶっ!何故叩くんです!」
「そんな気障なセリフどこで覚えた!気味が悪い!」
酷い言われようだが、本当の事だから仕方が無い。だが自分はずっと、こうして彼女のペースに巻き込まれていくのだろうとマイは思った。
同時に、それはとても魅力的なことのように感じられた。
「…家を、処分しようと思う」笑うのをやめ、落ち着いた口調でモニクが言う。
「前に話したろう、国を出たいと」
「どこか…あてはあるんですか」
黙って首を横に振る。少し考え、マイは告げた。
「…あなたさえ良ければ、月へ行きませんか。一緒に」
「月?」
アナハイム本社が、旧ジオンの技術研究の為に技術者を募っている。ワシヤ共々出向することになったが、熟練した技能を持つテストパイロットが足りていないらしい、と説明するマイ。
「…腕が鈍っていなければ、テストパイロットの真似事ぐらいはできるかもな」
「それで…。色々な事が落ち着いたら」
「何だ、歯切れが悪い言い方をして。もう少し何とかならないのか」
「全くあなたはいつも…」
と、少し強引にキスをする。深く深く、時間をかけて唇を重ねた後で、その耳元でそっと囁く。
「あの時の約束、覚えていますか」
0081.06.21 サイド3に近い宙域にて
「船長、貨物室でトラブルです」
「今度は一体何だ…」
ブリッジにあがってきたクリューガーの報告に、プロホノウ「船長」はこめかみを押さえる。
「それが、荷物の取り違えだとか載せ忘れだとか、船長を呼べと怒鳴るばかりで…」
やれやれ、と腰をあげる船長。
「お客様の厄介事には、慣れておりますよ」
「あぁ、そういえば」と、クリューガーがポケットから小さなものを取り出す。チップのようだ。「こないだの写真。持ってきたぞ」
メインモニターでスライドショーが始まる。
「…特務大尉、きれいでしたね」うっとりとザビエル。「先越されちゃった」
「うわ、これだ」と、モニターを指しマルケスが笑う。「ブーケがすっぽ抜けちゃって、ワシヤ中尉が取っちゃったんだよな」
「そうそう。もう特務大尉がカンカンに怒ってて」
「それでこそワシヤ中尉」うんうん、とクリューガー。
0082.12.20 月・フォンブラウンシティ AEリバモア工場にて
「…でさ。やっと休暇が取れたから、これから出産祝い買いに行くんだよ」
パイロットスーツ姿のワシヤが、水色の制服を着た女性たちに声を掛けている。
「ああ、モニクさんね。どっちだったのかしら」
「まだ聞いてないけどさ。とりあえず、何が喜ばれるかな。ねえ、ルセットさんはどう思う?」
幼い子どもが、老人に駆け寄る。
「おさかな、とれた?」
老人は、古びた籠いっぱいの魚を見せる。
「大漁だ」
籠を引き車に乗せ、二人は海辺の道を歩いていく。荷台のラジオからはノイズ混じりのニュースが聞こえてくる。
『…木星公社の地球親善訪問を控え、連邦政府議会では…の…を予定し…』
子どもには、難しいニュースはちっとも面白くなかった。だから、こう言った。
「ねえ、じいちゃん」引き車を押しながら、子どもが呼びかける。「おはなししてよ」
目深に帽子を被った老人は、ずっと黙って車を引いていたが、思い出したように答えた。
「何の話がいい」
えーとね、と、子どもは自分の胸元を見た。大切な宝物、祖父から譲られたモリのペンダントが左右に揺れている。
「空のうえにあるうみで、おさかないっぱいとったおはなし」
0133.5.5 地球のとある海辺にて
「UNDER THE SKY」 了
それではこれにて逃亡します。
タイトルは、イグルー2主題歌「No Limit」カップリング曲からです。
1stシーズンゲスト、唯一の生存者だと?
なんにせよGJ、しかし…うん、「それでこそワシヤ」w
314 :
名無しさん@ピンキー:2011/10/26(水) 14:35:55.59 ID:qSBwsz4m
中断当時の執拗なアンチが来る可能性がある以上、ISAP氏がここで再び連載してくれる可能性は殆どないだろうね。
分かっちゃいるけど、でも読みたい!
もう3年経ったし再開しても大丈夫……と思いたい。
ウォルトンやエリスがどうなるか本当に本当に気になる。どうしても続きが読みたい。
あれほど書いてあれほど楽しませて下さったんですから、絶筆は本当に勿体ない。
いまでも御帰還をお待ちしてます。
316 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/01(火) 14:34:56.77 ID:wY/jWpdp
過去ログを読み返してみても、今でも震える。
「今から俺がアッシマーを全滅させる」
本当に惜しい…
藤林丈司は変態
素顔のミーアにライブコス着せてエッチしたい
319 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/10(木) 07:20:37.48 ID:SK1n7ZKT
ルー・ルカのエッチ見たい。
321 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/13(日) 01:24:31.93 ID:A9SwFht1
ヘンケン×ファが読みたい
傷を舐め合うような二人の関係が好きだった
普通にヘンケン×エマ&カミーユ×ファが読みたい
323 :
名無しさん@ピンキー:2011/11/15(火) 16:57:58.64 ID:H0tY01zc
そこをあえてアムロ×ベルトーチカで!!
エニル・エルのおっぱいはいいものだ。
325 :
名無しさん@ピンキー:2011/12/20(火) 20:10:42.55 ID:wu0YAce4
プル、プルU、マリーダでレズレイプ物を・・・
isapさん。本年も御帰還をお待ちしております。
VOEは本当にいい作品です。今も大好きです。
VOE再開するなら、個人サイト持ってそこでやったほうがいいと思うよ
本当はisapのオリキャラと化したガンダムキャラが好きなんじゃなくて
子供の頃からTVや映画で見たガンダムシリーズが好きなんだよ
エロパロは多少脚色がはいるにしても、後腐れが無いんならともかく長すぎだった
VOE自体はよくできてるけど、ここで公開する必要無い気がする…
>本当はisapのオリキャラと化したガンダムキャラが好きなんじゃなくて
>子供の頃からTVや映画で見たガンダムシリーズが好きなんだよ
ここ激しく同意
個人サイトでもいいからぜひ続きが読みたい・・・
待ってる人だっているのです。
ほとんど毎週毎週欠かさず描き続けてきたのに、未完で終わるのはあまりに寂しすぎる。
描いて頂けるのならどこにでもついていきますよ。
そう思っている読者が一人だけですがまだここにいる。それだけはお伝えしたい。
「我々は三年待ったのだ」。復帰第一作目にそれを言わせて頂けるなら限りなく僥倖。
長い間あれだけの質の作品を週1で投下したのは凄い。
例え完結しなかったとしても、当時の頑張りは絶対消えない。
ガンダムっつー作品に莫大な熱意を注ぎ、一定の形にしてきた。
し続けてきた。
それも無償で。
そこだけは何年経とうと絶対に変わらないし揺らがない。
誰が何と言おうと、「描いてきた」「読者を楽しませた」、その事実は消えないし誇っていい。
あれだけの作品を作り上げた。投下した。それはとても凄い事だ。
執筆以外の面で色々あったとしても、これまで凄い事をやってこれたのは確かだ。
ちゃんと努力して、ちゃんと積み上げてきた。
不幸にもそれが不本意な渦を呼び寄せ意欲を奪ったとしても
貴方が努力して積み上げたモノは本当の意味で滅んだり失われたりはしない。
少なくても俺はずっと記憶に留めておく。覚えている。
悪い言葉には揺らがなくていい。
貴方は他の誰にも負けない素晴らしさを秘めているんだ。
それを認める事は傲慢になりそうで、なかなかできないかも知れないけれど
たまにはずっとずっと頑張ってきた自分という奴を褒めていい。
そーいう時間はきっと誰にでも必要なものだろうから。
完結するにしろしないにしろ、VOEを世に送り出せた自分というものを信じて欲しい。
0080の5話でクリス言ってるけど、正しい正しくないは誰にも決められない。
でも貴方は十分やってきた。
ずっと昔から。その時その時の「自分に出来ることを」、ただひたすらに。
それだけでも描き手として十分ご立派だと思いますよ。
だからどんな選択をしてもいいんです。原点に立ち返り、自由に考えて。
SSとは本来趣味で描くものなんですから。
もし未完で終わる場合、くれぐれも「完結できなかった」、無念に引きずられ何もできなくならないで欲しい。
創作に関わり続けるにしろしないにしろ、VOEという作品に費やした
色々なモノとか努力とか頑張りはいつかきっと実を結ぶだろうから。
まだご存命なら、進み続けてください。
理想を言えば最後まで見届けたかったけれど。
今でも貴方は理想です。1スレ目からずっと。この先もずっと。
色々と、ありがとう。また会える日を心から祈っております。
>>331 愛が重すぎてワロタ
三行でまとめないと引くだけだぞw
これだけ信者が多いことはすごいけど、逆に考えると
別のネタを投下する人にとってやりづらい雰囲気ではある。
エロパロ板でエロパロよりオリジナル作品が歓迎されるってのも
なんか違わないか?
オリジナル(UC世界観準拠)かつエロパロで、なんで問題あるのかが分からん
ISAP信者は、もっとちょっと他人の気持ちになってほしい
あのSSをUC世界観準拠って言ってしまう事がまず違う
そう言い切っていいのは富野の設定、あるいは商業を媒体にした作品の結末に忠実にしたモノだけだろ
捏造って割り切っているなら、場所を選べば構わないけど、
信者の褒め方が他のエロパロと毛色が違うので嫌がられているんだと思う
前、このスレとは別にスレが何度か立てられた時は投下が結構あったぞ
まず、気楽に書けるよう色んな職人様歓迎ムードにしないと
ISAPの作者だって、こんな風に騒がれたら余計に出てきにくいだろう。
どっかに別スレ立てるなり、個人サイトかブログやるなり、河岸を変えたほうが
ファンにとっても作者にとってもいいと思うけど…。
まず、作者本人がやると言う前提だけど。
ひがみ乙と言われたらそれまでだが、自分がss投下してもあんま反応無くて
ISAPマダーなレスばかりの時はちょっと寂しかったぞ。
>>336 それは信者じゃなくて、あなたのSSが面白かった人たちがちゃんと声を上げなかったのが悪いと思う。
特にこういう場では良いものは良いと言うべき。
逆に、イヤなものを排斥するのはいかんが。
ノーマルスーツのマリーダさんセクシーでエロいな
スーツ着たままでエッチとかさあ……
別作品のスレでちょこちょこ投下してるけど、以前幾つかU.C.物も書いてて、
スレを探してここを覗いたけど、結局投下に至らなかった。
ここへの書き込みはこれが初めてだけど、何となく言っておいた方がいい気がした。
まあ余りにも色々有りすぎたよな
俺がここで初めて投下宣言した時
住民達は当たり前のように「今日はISAP氏の日だから遠慮して」とか
「他の人と被らないように日を開けるのが礼儀」とか言ってきた。
その日その時点ではまだISAPとかいう人は投下してなかったし
乙とかGJとか書き込み易くする為に他のSSと間隔を取るべきと言うなら
それは後から投下する人間(この場合ISAP氏)が気を遣えば良い話なわけで、
なのに当時俺はまるで非常識で我侭な人間のごとく扱われた。
しかもそれで投下する気無くしたら「所詮その程度」とまで言われる始末。
それ以来、どんなにネタが思いつこうが、お前らの為に投下なんか絶対する気になれない。
気持ちは分かるが落ちつこうよ。
以前イグルー物を投下して逃亡した輩です。
あの時は反応が貰えて嬉しかったけれど、どれだけ頑張って書いて投下しても
ISAP氏には絶対敵わないという空気はある希ガス。
実際氏のssは面白いし、ご本人もとやかく言われる責任無いと思う。けれど
スレ全体に「ISAP氏待ち」的な雰囲気がある以上、書く方としては何となく
投下しづらいかもしれない。
そもそもISAP氏レベルの文章とか構成力って、エロパロ板でなけりゃ頻繁に見かけるレベルなんだけど
どうしてかプロ並みに持ち上げられてるよね
不可解だ
344 :
339:2012/01/22(日) 14:43:49.07 ID:LModHWxq
>341>342自分もそんな感じですよ
もっと以前(2005年頃?)は他にもガンダムスレが幾つかあって、常連は何人かいたけれど、ここ程揉めていなかったように思う。
できるものならガンダム総合スレを新たに立て、
(AGEスレは既にあるので宇宙世紀総合か旧作総合か、都合よさそうな枠で)
ここはオリジナル要素の濃い物を投下するスレにしたらどうか。そうすればファンの方はこちらで某氏待ちも出来るし、他の作者のモヤモヤも晴れるかもしれない。
ここはホテル・ネオ・ホン根。
香港と男根をかけてはいるものの、出オチネームの上に面白くも無い、
それでいてそこらのラブホより遥かに品格の無い名前のラブホテルだ。
今そのホテルの前で、二人の男女が対峙していた。
「ドモン! あなたにファイトを申し込むわ!」
「望むところだアレンビー! ではフロントに行って部屋を取ろう!」
人類は度重なる覇権争いに疲弊した末、ある世界的な取り決めを行った。
四年に一度、各国の代表選手がセックスを行い、
優勝者の国に次回の大会までの世界政府統治権を委譲する、というものだ。
まぐわって、まぐわって、まぐわい抜いて。
最後まで勝ち抜いた絶倫・ザ・絶倫の称号を得る。
……などと言うのは当然嘘だ!
本当は「ファイター同士の親睦を深め合う為」という名目で
レインの下から逃げ出してきたドモンが、アレンビーと浮気したいだけだ。
やはり若い子の方が良いに決まっている。
「ドモン! この部屋にしましょう! ちょっと高いけど、雰囲気が良いわ!」
「異論は無い! 行くぞぉぉおつ!!」
ドモンは渾身の力を指先に込めて、入り口のパネルを押した。
ガンダムファイターの指先ともなれば、
ボタン一個に触れただけでホテル全体が揺れる程だ。
以前レインとラブホに行った時に、勢い込んでパネルを拳で叩き、
ホテルの一階部分が崩落してしまった時の反省を、ドモンは生かした。
「うおぉっ、何だ! ホテルが揺れたぞ!」
「ガンダムファイターだ! ガンダムファイターが来たんだ!」
たまたまホテルの前を歩いていた民間人や、
既に同じホテルの各部屋でセェーックス! に興じていたカップル達は、
一生に一度見られるかどうかという名勝負(と書いて名セックス)を拝む為に、
全ての予定や自分達のセックスを切り上げて、我先にと駆けつけた。
ある者はコンドームをつけたまま、ある者はシャワーで濡れた髪を引っ提げて、
押し合いへし合い廊下へと躍り出て来る。
「フッ! こんなに観客が集まるとはな!」
レインにバレる、などという危機感は早くも忘れ去り、ドモンは破顔した。
ホテルなのだからドアを閉めれば室内は見えないのだが、
それはあくまで一般人の話に過ぎない。
ファイター同士のセックスともなれば、ドアなんて余波で吹き飛ぶ。
二人が部屋に入ってしばらくの間は、廊下を静寂が包んだ。
既に廊下は大勢の人間で人垣が出来ている。
誰もが固唾を飲んでドアを見つめる中、叫び声が静寂を切り裂いた。
「ガンダムファイトォッ!」
「レディィィィィ……ゴォーッ!!」
ドモンとアレンビーは、バスルームに居た。
まずは体を綺麗にしたいと言うのが、乙女たるアレンビーの希望だった。
ドモンはむしろその申し出に歓喜した。
たまには一緒にお風呂に入りたいと、何度ドモンが打診しても、
レインは「湯船が狭くなるから嫌。お風呂は一人でゆっくり浸かりたい」と、
すげなく断り続けてきたのだ。
だからレインは、シャワールームに鍵のかからない、ラブホテルを嫌悪していた。
この一年間の旅の間も絶対に普通のシティホテルやビジネスホテルに泊まり、
ドモンが手持無沙汰で待っている間、鍵をかけて一時間も風呂に入っていた。
「凄いなアレンビー! 女と風呂に入るのが、こうも嬉しいものだとは!」
ドモンは湯船の中で、滂沱の如く涙を流しながら拳を握りしめた。
ただそれだけで、既に気合いにあてられた浴槽の湯が、沸騰したように荒れ狂う。
「私も嬉しいよドモン! でも浴室って明るいし、へへっ、何だか恥ずかしいや!」
アレンビーは二人で入ってきつくなった湯船の中で、
モジモジと胸を両腕で隠していた。
この恥じらい!
なぁなぁの関係になったレインには望むべくもないものだ。ドモンは感激した。
「さぁ、速く体を洗って、リングに上がろう!」
早く、ではなく、速く、というニュアンスだった事は、
日本人でないアレンビーには分からなかった。
「分身殺法! ゴォォォッド! シャワァァァァァァッ!!」
狭いバスルーム内でドモンの姿が十に分身する。
それぞれが手にシャワーを持ち、四方八方からアレンビーに湯を浴びせる寸法だ。
それはもはやシャワーと言うより、滝のようだった。
ドモンの気合いがシャワーの設計を超えた水量を誘発し、
浴室内に摂氏四十度の雨風が吹き荒れる。
「ゴォォォッド! ウォッシング!!」
ボディソープを染み込ませたタオルが、人間の動体視力を超えた速度で摩擦する。
見る見る内にアレンビーの乳房が、背中が、太腿が洗い流され、
一日の生活行動でかいていた汗が浄化されていく。
「あぁっ! 凄く気持ち良いよ、ドモーン!」
しかし、やられっぱなしのアレンビーではない。
掌にボディソープを受け止めると、ドモンの背後に回り込む。
「何っ! 俺の後ろを取るとは!」
そんなドモンの驚愕は、次の瞬間訪れた快感に打ち消された。
「背中を流してあげるわ! ドモン!」
「ぬふおぉぉぉぉっ!?」
アレンビーの手が、乳房が、ドモンの傷だらけの背中に泡を広げていく。
掌そのものも柔らかいが、何より素晴らしいのは擦れる乳首の感触だ。
ただでさえ熱いシャワーは摩擦熱により更に高温になり、
それを通り越して遂には蒸発していってしまう。
室内を飛び散り舞う泡の一つ一つときたら、まるでローゼス・ビット。
ドモンは、乳房で体を洗ってもらうと言う、産まれて初めての感覚に狂喜した。
体を洗い流せば、次はいよいよセックスだ。
「さぁ、ベッドに行こうか、アレンビー!」
「えぇ! 早くファイトしたくて、股間がウズウズしてるわ!」
二人は、バスルームのドアを開ける必要が無かった。
彼等のあまりにも激しい体洗いっこ合戦により、
既に衝撃波でドアは吹き飛んでいたからだ。
本当ならタオルで体を拭くべきところだが、彼等にはそれさえ必要無い。
気合いで水分が蒸発しているからだ。
「来て……ドモン……」
ベッドの上でしずしずと待ち受けるアレンビーに、ドモンは飛び込んだ。
「ゴォォォド! ダイブ!」
モーションはただのルパンダイブだが、ドモンが放てば威力はそれどころでは済まない。
その様たるや、殆ど超級覇王電影弾に等しい。
そして飛び込むや否や、ドモンはまず熱い口づけを交わした。
それまでの彼等の動きの激しさからすると、そのキスはやけに大人しいものに見える。
しかしそれは錯覚に過ぎない。
彼等のディープキスは、一般的な感覚からすれば十分熱烈で激しかった。
「んんっ……じゅぷっ、んぶ……れろぉ……」
絡み合う舌と舌の応酬。
二人はただのキスをしていながら、まるで原っぱの上を転がるように、
自由奔放にベッドの上を右に左に転がり、
その都度ドモンが上になったり、アレンビーが下になったりしたものだから、
流れる唾液も時にドモンの顎を伝わり、時にアレンビーの頬を伝い落ちた。
アレンビーはドモンの首に両腕を絡め、ドモンは片手でアレンびのーの後頭部を、
もう片方の手では彼女の背中をしっかりと抱き寄せている。
離れたくない、離したくないという、確かな想いだけがそこにあった。
まだ十代でありながら、アレンビーの発育は見事の一言に尽きる。
正直レインよりアレンビーの方がデビルガンダムのコアになれば良かったのに、
と当時思ったのは筆者だけではあるまい。
たわわに実った乳房には張りがあり、それが今、
仰向けになった彼女の体の上で少しだけ左右に潰れている。
潰れているとは言っても、まだまだ張りは殆ど損なわれていない。
その突端には既に硬くしこった乳首が、天を衝かんばかりに自己主張している。
「吸うぞぉぉぉっ! アレンビィィィィッ!」
わざわざ宣言しなくて良いのだが、ドモンは口を大きく開け、乳首にしゃぶりついた。
生暖かい口中で固い突起物が舌に転がされる。
「じゅるる、じゅっぅぅぅっ、じゅぷっ」
「す、吸いながら舐めるなんてぇ……やるわね、ドモぉン……」
れろれろれろ、という擬音さえアレンビーには聞こえてきそうだ。
ただでさえ硬かった筈の乳首が更に硬く尖り、洗練されていく。
乳輪はドモンの唾液で濡れていないところがなく、
乳房の側面を伝う涎がワキの辺りにまで垂れていく。
ドモンは片方の乳首を口と舌とで丹念に虐めながらも、
もう片方の乳首の存在も忘れてはいない。
シャイニング・フィンガーがアレンビーの乳首をこねくり回した。
時にスイッチを押すように押し込み、時にダイヤルを回すようにクリクリする。
防戦一方のアレンビーは、ビクン、と体を跳ねさせた。
さぁ、次はマンコだ。
ドモンは乳首から唇を離すと、アレンビーに今一度深く舌を挿入し、
と同時に片方の手を彼女の下腹部に、もう片方の手を彼女の腰に回した。
「やだ、これ、逃げられな……んむっ」
抗議する彼女の唇は、ドモンの熱いキッスに塞がれた。
もっとも、口ではそう言うものの、彼女に逃げる気など毛頭無い。
試合から逃げる事は、ファイターには許されないのだ。
キスされているだけで既に彼女の陰唇はしとどに濡れ、洪水の様子を呈する。
剥かれた陰核は外気に晒されてひくついた。
ドモンの手はその性格に反して途方も無く優しい手つきだった。
指が柔らかに大陰唇を広げ、その内側の桃色の肉を撫で回す。
じっとりと、ねっとりと、指は外側だけをしつこく責めた。
今口の中に侵入していきている舌のように、
早く指も下の口の中に侵入して来てほしいと、アレンビーは思った。
ドモンは焦らしているようだ。
「お願い……指、入れて?」
その言葉を呟く事は、アレンビーの敗北を意味していた。
快感に屈している事を、この上無く明瞭に表している。
一つ満足したドモンは、中指をズブリ、ズブリと挿入していった。
内壁はゴツゴツしていて、締りは大変に素晴らしい。
それでいて絡みつく粘液のお陰で、スムーズに出し入れ出来る。
鍛えているお陰か、それとも若さ故か、締りはレイン以上だった。
「フッ……素晴らしい締りだ、アレンビー!」
アレンビーを屈服させたつもりが、これではまるで誘い込まれたようだ。
本番になれば負けるのは自分の方かも知れないと彼は思った。
責められてばかりのアレンビーではない。
ドモンの一瞬の隙をつき、彼女は横転する勢いを利用して上下を入れ替えた。
と同時に素早く体を回転させ、シックスナインの態勢に持ち込む。
流石にこうした軽やかな動きは、ノーベルガンダム使いの彼女に一日の長がある。
「たくましい……これが、ドモンの……」
爆熱ゴッド・ペニスがそこにはあった。
はち切れんばかりに怒張したそれは、とてもアレンビーの狭い口の中には入りそうもない。
上の口も、下の口もだ。
彼女はまず、それを片手で包み込んで握ってみた。
さながらビームリボンが絡みついたかのように、それは適度な刺激だった。
「な、舐めて良いのか、アレンビー?」
眼前に迫った秘肉に、ドモンは堪えきれず問いかけた。
アレンビーは「聞かないでよ、そんな事」と言いかけたが、
ここでそう答えるのは二度目の屈服のように思えた。
代わりに、先にドモンのモノに舌を這わせる事で答えとする。
小さな唇がカリ首に触れると、ドモンが「うっ」と短く呻いた。
そのまま舌はカリ首の外周をヌメリと這い進み、裏側の筋に伸びる。
亀頭と裏筋が出会う境目の部分が、ドモンは特に弱かった。
このままでは負ける!
そう判断したドモンは、遠慮なくアレンビーに股間にむしゃぶりついた。
今までレインがクンニを嫌がっていたから、てっきり大抵の女性は
クンニを嫌がるものなのだと勘違いしていた。
マン汁独特の臭さとしょぱさが、ドモンの鼻孔と舌先を包み込む。
感じたらしく、アレンビーが少し尻を左右に振った。
負ける、と感じたのはドモンだけではない。
アレンビーもまた、クンニに対する反撃の為に、男根を頑張って口に含み始めた。
思った通り彼女の口では狭すぎて、図らずも歯が当たってしまいそうだ。
何より息苦しい。
脈打つゴッド・ペニスを頬張りながら、彼女は懸命に舌を蠢かせた。
そうしていないと、膣の中に這い寄って来るドモンの舌のせいで、
腰から力が抜けそうだったからだ。
ドモンの舌は、長くはないが、太い。
その太い舌でマンコをこじ開けられる感覚は、アレンビーにとって初めてのものだ。
やみつきになりそうだった。
アレンビーは一旦ドモンの男根から顔を離すと、気合いを充填した。
下半身に向かいそうな意識を何とか留め、目を見開く。
「ノーベル・手コキ!」
ビームリボンをクルクルと回す時の、あの手首の返し、スナップ。
それを応用した彼女の手コキは、ただの手コキではない。
ただ上下に擦るだけではなく、回転や円運動も織り交ぜたものだ。
ドモンの男根は格ゲーのレバーのように縦横無尽に踊った。
「ぐぉっ! こ、このままでは……」
爆熱ゴッド・カウパーが沁み出しているのが、自分でも分かる。
ドモンは反撃の為に、一度舌を膣から引き抜くと、クリトリスを舐め始めた。
「ひゃうんっ! そ、それ、らめへぇ……」
手コキからの連続技を叩き込もうとしていたアレンビーは、出鼻を挫かれた。
が、ここで攻撃の、いやさ口撃の手を緩めるわけにはいかない。
「ノ……ノーベル・口マンコ!」
叫ぶと、アレンビーは再びドモンにモノに向かって顔を下ろした。
しかし今度は先程と違い、咥えるのは亀頭までだ。
ノーベル・手コキとノーベル・口マンコの合わせ技が、彼女の狙いだった。
残像が生まれる程の速さによる手コキだけでも絶頂を迎えそうなのに、
その上更に亀頭を暖かな唇にすっぽり覆われ、尿道を舌で責められる。
レインがクンニに乗り気でなかったせいで、
ドモンは今まで口技を鍛える機会に恵まれなかった。
この勝負、第一ラウンドはドモンの負けだ。
程なくして、灼熱のスペルマがアレンビーの喉の奥を穿った。
「んっ! んぶ、むぅっ!」
さすがはコロニー格闘技の覇者、キング・オブ・ハート。
たった今出したばかりだと言うのに、まだ男根は硬さを微塵も損なわない。
他方アレンビーはと言えば、粘性の強い白濁の液を飲み込むのに必死だ。
「無理しなくて良いんだぞ、アレンビー」
「んぐっ……こくん。だって、ドモンのだもん……飲んであげたいの」
その瞬間、歓声が沸き上がった。
既にアレンビーの音速を超えた手コキの余波で気圧が変動し、
衝撃波となって部屋のドアを吹き飛ばしていたのだ。
巻き込まれて怪我をした者も居たが、彼らは血みどろになりながらも、
決して病院へ行こうとはしなかった。
この性器の、じゃない、世紀の大決戦を見逃す事は、
ガンダムファイトファンとしては許されない。
「うぉぉぉぉスゲェぜ! 流石一国の代表!」
「手コキが速過ぎて、俺の目にはもう手が消えたようにしか見えなかったぜ!」
「無理も無ぇさ! 一秒間に三十回も手コキしてやがるんだからな!」
ドモンはニヤリとほくそ笑んだ。
「三百回だ……」
「え?」
「アレンビーの手コキは三十回じゃない、秒間三百回だった」
「な、何だとぉー!?」
恥じる事ではない。アレンビーの手コキは、チボデーの
豪熱マシンガン・パンチにも匹敵しかねない勢いだった。
ドモンの体でなければ、摩擦熱で男根が溶け……いや、蒸発しているかもしれない。
むしろ三十回までは目視出来たと言う事が、
一般人からすれば相当上位の動体視力だと言える。
「まだまだやれるよねっ、ドモン!」
「当然だ!」
ドモンは一発射精したくらいでは満足しない。
そして何より、アレンビーがまだイっていない。
聴衆が固唾を飲んで見守る中、ドモンは鞄の中からコンドームを取り出した。
太さ44ミリ、LLサイズの逸品だ。
だがこれですら、ドモンにとってはきつい。
かつて東方不敗と銭湯に行った時、師匠は「こぉの愚息がぁーっ!!」
と怒鳴っていたが、あれは東方不敗のモノが規格外にデカいだけだ。
アレンビーは先程の口マンコの時、正直よく顎が外れなかったな、と思った程だ。
「うぉぉぉぉっ! つけるぞぉぉぉおっ!!」
BGM:燃え上がれ闘志-忌まわしき宿命を越えて
さながらコクピットに乗った時のパイロットを包み込むあのスーツ、
あれを着用する時のような締め付けが、ドモンの男根を襲った。
マン汁という誘導材料が無い分、スムーズさが足りない。
だがそこはそれ、アレンビーが事前に張り巡らせておいたたっぷりの唾液が、
少しはその代わりを果たしてくれた。
やがて男根が全てコンドームに包まれると、ドモンはアレンビーを見据えた。
「済まない……途中で破れるかもしれないが……」
コンドームのサイズがドモンのサイズに合っていないだけではない。
何よりも彼のピストン運動がもたらす摩擦が、コンドームを裂いてしまいかねない。
しかしアレンビーは、むしろ嬉しそうだった。
「大丈夫よ、ドモン。私、ドモンとだったら……」
あわよくば妊娠してレインから寝取ろうという、女らしいドロドロした期待もあった。
ドモンはよく意味も分からないまま、力強く頷いた。
「第二ラウンド! レディィィィィ……」
「「「ゴォーッ!!!」」」
最後の声は、ドモンにアレンビー、そして聴衆達の掛け声も合わさっていた。
だが聴衆達の声が掻き消えてしまうくらい、ドモンの声が大きかったのは言うまでも無い。
やはりアレンビーの中は相当きつい。
それは女性にとって美点の一つだ。
使い込まれていない、大和撫子と言っても良いだろう膣のキツさは、
ドモンより前に元カレが居たレインなどという中古女には無い長所だ。
それにも増して、子供の手首くらいの太さがあるドモンのペニス。
これがすんなりと入るわけがない。
クンニで舌を入れる時とは、事情がまるきり違うのだ。
「ぐぅぅ……痛いよぉ……っ」
「耐えろ、アレンビー! ここで終わっては、ファイトにすらならん!」
アレンビーは内臓がひき千切られるかのような激痛に耐えた。
破瓜を表す血が、ひとしずく滴り落ちる。
なるべく痛くないように、少しずつ腰の覚悟を調整している内に、アレンビーは自爆した。
「ひゃあぁっ!? こ、これ、何……?」
Gスポットにドモンの男根が押し当てられた瞬間だった。
彼女にとってGスポットのGは、エルンスト=グレンベルクなどではなく、
ガンダム、或いはゴッドの頭文字に違いないと思えた。
「まだまだいくぞぉっ!」
ドモンはゆっくりと力を込め、とうとう最奥にまで亀頭を突き進めた。
子宮口と尿道が、コンドームを挟んでキスする。
それだけでアレンビーは、既に一回昇天してしまった。
「ふひゃぁっ!?」
「フッ、もうイったのか、アレンビー。これで一対一、同点だな!」
「で、でもまだよ! 第三ラウンドが残ってるわ!」
「当然だ!」
ドモンは腰を振り始めた。
一般に、物体が同じ速度で動くなら、質量の大きい方が衝撃は強い。
先程のアレンビーの時とは比較にならない衝撃波が、室内に充満した。
それはすぐに、充満などという事では言い表せなくなった。
膨張した空気が窓を内側から叩き割り、入り口から覗いていた観客を弾き飛ばす。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
ベッドはペースト状にへこみ、床にはクレーターが出来上がる。
崩落してきた天井は、しかし、ドモンに触れる前にオーラに触れて粉微塵になった。
床が抜け、柱が折れ、壁が砕かれる。
「に、逃げろぉーっ!」
とうとう観客達は、その場から走り出した。
だが、死を恐れているのではない。
自分達がそこに留まっていては、ドモンが本気を出せないと悟っていたからだ。
警報機が鳴り響き、フロントスタッフが宿泊客の避難を誘導する。
騒ぎを聞きつけた警察が駆けつけ、逃げ遅れた客を窓から脱出させる為に消防車まで動員する。
見る見る内にホテルは崩れ、瓦礫が宙を舞った。
さながらガイア・クラッシャーの直撃を受けたかのよう。
だが、そんな阿鼻叫喚の中にあって、ドモンとアレンビーもまた、
瓦礫の中を宙に舞っていた。
ドモンの腰を突き上げる動きが、人体の自由落下の速度を上回り、物理法則を超越していた。
その腰が打ち鳴らす肉の音は、一般人のそれとは比較にならない。
普通ならパン、パン、パン……というのが一般的だろうが、
ドモンの手にかかればそれはシュバババババババババババッ!!! ぐらいの音にはなる。
「み、見ろっ!」
「あぁっ! あれは!」
人々は天を仰ぎ見た。
ある者は指を差し、ある者は両手を合わせて祈った。
「どうだアレンビー! ここが良いのか!?」
「あぁっ! ソコぉっ! もっと激しく突いてぇんっ!」
これ以上激しくとは、高望みな女だ。
第一これ以上激しくするなんて不可能だろう。
誰もがそう思った。
だがドモンにとって、これはまだまだ序の口だ。
「言われるまでも無いっ! うぉぉぉぉぉ……っ!!」
突如、ドモンの体が黄金色に光り始める。
中華街でディナーを取っていたチボデーは、思わず席から立ち上がった。
「あの光は何なの!?」
四人の付き人達が驚愕の面持ちで、遠く彼方に浮かぶ輝きを見つめる。
「この気は……ドモンの野郎だZE!」
セシルの写真を見つめながらオナニーに興じていたサイシーは、
思わず手を止めて立ち上がると、すぐさま窓際まで走った。
「スゲェや兄貴! 粒子がきらめいて、兄貴が天高く浮いている……
まるてオイラの真流星胡蝶剣みたいだ!」
マリアルイゼは玉座に腰掛け、ジョルジュに素足を舐めさせていた。
しかしそのジョルジュ(全裸)と、二人揃ってハッとした。
「あの光は……」
「えぇ、マリアルイゼ様。我々も負けてはいられませんよ!」
「なぁ……この自爆装置、セックスの時ぐらい外してはいけないのか」
「無駄口を叩くなアルゴ! ドモン=カッシュより無様なセックスをしたら、
今度はこのムチでしばくぞ!」
「今度はも何も、今まで散々そのムチでしばいてきたくせに……」
シュバルツは腕組みしてビルの屋上から、ドモンの輝きを見つめていた。
「甘いぞドモン! ……兎に角甘い!」
正直あの激しさには、二十八歳の自分はもう勝てないかもしれないと思いつつ、
彼はとりあえず「甘いぞドモン!」だけ言って、勝ったつもりになる事にした。
「馬鹿弟子が……寝技は激しさよりもテクニックだと言うのに」
年輪を重ねた東方不敗には、スローセックスこそが
女を本当に喜ばせるセックスだと分かっていた。
もっとも、アレンビーの方から激しさを求めたのだとは、彼には分からなかったが。
ホテルの経営者は、崩れ去った自分の城を前に、
しかし職場を失った悲しみよりも、最高のセックスを拝める僥倖に手を合わせた。
「ガンダムファイターが選んでくれたホテルだなんて、拍がつくぜ!
この土地に新しく豪華なラブホを立てれば、すぐに黒字だぁっ!」
彼はまだ知らない。
このホテル・ネオ・ホン根跡地が、ホテルどころかそもそも国に買い上げられ、
以降は伝説のセックスの地として観光地化するなどと言う事は。
勿論、それを差し引いても十分な額の買い取り金額が、彼にはもたらされるのだが。
ドモンの腰の動きに合わせ、アレンビーも腰を振った。
二人の腰の動きが合わさる事で、勢いにあてられたマン汁が、放射状に飛び散る。
そのマン汁すらもが金色に輝いて見え、まるで花火のようだった。
「私のアソコが光って濡れる! 子供を孕めとひくつき締まる!
必殺! シャァァァァイニング! ヴァギナァァァァァァッ!!」
その掛け声と共に、原作でも金色にならなかったアレンビーの体が光り輝いた。
今や二人の心は明鏡止水を体現し、澄み切った光を解き放っている。
ピンク色の乳首や膣すらもが金色になるのはちょっと勿体ないな、
とドモンは思ったが、これもアレンビーが手を抜いていない証拠だ。
ドモンも負けじと、最後の気合いを込めてチンポを出し入れした。
既にコンドームは摩擦熱で消滅しており、二人の間を阻むものは薄皮一枚たりとも無い。
「流派! 東方不敗が最終奥義ィッ!!
石破! 天驚! ゴォッド! ザーメンンンッ!!!」
だいしゅきホールドでガッチリと体を固定していたアレンビーの子宮に、
リットル単位で精液が迸った。
「ヒィート! エンンッ!」
「あふぁっ、ア、やらっ、何かきちゃう……イ、イクふぅぅぅぅぅぅぅんんっ!!」
ドモンとほぼ同時にアレンビーも果てた。
後に目撃者は言う。
事が終わって地上へゆっくりと降り立ったアレンビーの股からは、
精液も愛液も等しく百式色に輝いていて、見分けがつかない程だったと。
「これがネオ・ホンコンの新しい観光地……セックス・ファイターの像ね」
今三秒で考えたような安直な名前のその観光地は、
伝説のガンダムファイト優勝者とそのセフレのセックスの痕跡として、
元のラブホテルを総金箔で建て直されていた。
国宝扱いなので中に入る事は出来ないが、子宝に恵まれるという噂が広まり、
今では国内外から観光客、いや参拝客が訪れている。
レインがここを新婚旅行のルートに選んだ時、ドモンは戦々恐々とした。
最終回であんな恥ずかしい告白をしておいて、実はその前に浮気していたのだから、
生物学的に死ぬ程殴られても文句は言えないと思った。
しかし意外にも、レインはドモンを全く批難しなかった。
どころか、未だにアレンビーと仲良くショッピングに行ったりしている。
「お、怒らないのか……?」
「うーん。普通だったら怒るべきなんでしょうけど。
こんな神々しいセックスを批難するなんて、捕鯨を反対するくらい愚かしいわ。
でも今度からは、私も一緒に呼んでよね?」
嗚呼、何と理解のあるパートナーだろう。
あの夜の明鏡止水セックスのせいでアレンビーは妊娠し、
レインより先にドモンの子を産んでしまったと言うのに。
「ドモーン! レイーン!」
遠くから手を振る女性があった。
アレンビーだ。
その腕には元気な男の子が抱かれている。
「ア、アレンビー!? 何でネオ・ホンコンに」
「私が呼んだのよ。せっかくなんだし、三人で街を回りましょう」
「レイン……」
アレンビーが駆け足で近付いて来る。
二人は声を揃えて微笑んだ。
「勿論、今夜は三人で……ね?」
…3Pは無いのか?
終わったなら乙!
無駄な気合の入ったセクロスクッソワロタwwwwww
なんだこれすげえwwww
職人さんGJ!
色々感想を書きたかったけど勢いで全てふっとんだw
ただただGJ。
ノーベル・口マンコ噴いた
>既に同じホテルの各部屋でセェーックス! に興じていたカップル達は、
ここで我慢できなかった
全てドモンの声で再生されるのがなんともw
GJです
とち狂って肉便器にでもなりにきたのかぁい?
366 :
名無しさん@ピンキー:2012/03/16(金) 18:04:51.34 ID:q5JFA++o
age
>>344さんの案だけど、自分はそれで投下がしやすくなるなら賛同します。
賛同者がいれば、ローカルルールに抵触しないよう「宇宙世紀限定」とかで
スレタイ決めて立てます。
賛成・反対をレスしてもらえると有難いです。
賛成
来るかどうかわからん人の為にスレ明け渡してよそに避難とかちょっと…
>オリジナル要素が高い の基準も分からないし、
ガンダムスレだけで3つも必要ないと思うから反対
立てるなら、Gジェネのキャラはアウトとかメアリ・スーはアウトとか
きちんと決めてからでないと、投下した後で揉めると思うわ
書き手には気持ちよく投下してもらいたいけど、板のルールもあるかぁ
isap氏専用スレか個人サイトがあって、ファンはそっちで待ってるとかが
一番いいんだろうけど、現状じゃ何ともできないよなあ…
書きたいけどこの雰囲気では投下しづらい職人が何人かいるのも現状だし。
別に立てて避難するとしたら、それはisap氏待ちな人達の方だろう。
「宇宙世紀限定」スレ
超賛成!
ちょっとだけ吐き出させて。
うつ伏せのフレイの巨乳見てると
初夜ン時にまだ挿入してないフレイが頑張って
キラのモノを胸に挟みこんで奉仕してる話とか、そんな話が読みたい。
…何かすみません。orz
ティファ「あなたに……快楽を」カチャカチャ
ガロード「!?」
……この過疎と荒廃具合はアフターウォー的なアレか
このスレは死んだ!
何故だ!
ISAP氏の功罪の罪の部分のためでしょう。
止めるなら止めるではっきりしてほしい。
もう未練を断ち切らせてください。
377 :
名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 12:30:57.58 ID:xbVIupFV
?
378 :
376:2012/05/04(金) 21:15:50.46 ID:A4U2UkB6
>>377 すみません、説明不足でした。
ISAP氏には楽しませていただきましたが、
逆に他の人が投下しづらい空気が出来てしまいました。
現に分裂スレがあった時には何人もの投下がありました。
ISAP氏自身による終了宣言や休息宣言がない状態では
ファンもすっきりしないし、他の人も投下しづらいでしょう。
このままの状態が続いてしまうのではと思ったしだいです。
379 :
367:2012/05/04(金) 23:02:54.17 ID:zDdE9mUg
んじゃ、こういうのはどうでしょうか。
このスレが埋まるか落ちるかしたら、「オリキャラ・Gジェネネタ系専門スレ」と
従来の「ガンダムヒロインズ」スレに分かれる。
メアリースーでもGジェネでも原作に準拠しないキャラが登場するなら全て前者、
それ以外はこれまで通り。
ただガンダム関係でスレ乱立というのはまずいのは確かだけど、
このままだとらちが明かないし…
380 :
378:2012/05/05(土) 17:54:40.51 ID:sXKCfvfT
賛成します。
本当にらちが明かないですね・・・
自分はISAP氏のはリアルタイムで読んでないから
スレがその人専用って空気だった事自体ちょっと信じられないけど、
書き手が投下したくなくなるくらいならよっぽどだったんだろうな
でも、もしその人が戻ってくるとしても、新しく出来たスレには投下せずにこっちにくると思うよ
このやりとりも現状も知らないだろうし
ただその人を待ってる読み手を隔離する為っていうなら、賛成しがたい
スレを分けた事によって、当時邪険にされた人達が戻ってくるとも考えにくいし
戻ってきてくれるならいいけど、書き込み数の割にガンダム系スレ乱立しすぎっていう問題もあるし
許可されるなら、ぶっちゃけAGEスレと統合した方が良いとさえ、俺は思う
このスレの1からいたISAPを知らない人がいるって何だか感慨深いねぇ
正に新しい世代じゃないか(まあ、俺自身もそんなに古参ではないんだが)
職人が書きやすい環境である事が一番だと思うんだが、LRとの兼ね合いとかイマイチ俺はわからんからなぁ
皆に任せる
自分もISAP氏現役時代を知らない。
ただ過去ログ読むとスレの空気が明らかに違う。氏が悪いとかではなく
他の職人のモチベーションが下がりまくるというような…
未だに氏を待ち続けている人がどれぐらいいるのかは分からないけど、ここで
ちゃんと線引きをすることは無駄ではないと思う。
例えばだけど、
>>1で367で挙がってるようなオリキャラGジェネネタ禁止とか
明記すればどうだろう。
正直なところ、戻るか戻らないか分からないISAP氏でこれ以上ゴタゴタするのは御免だ。
いつそのISAPって人が居なくなったんだか知らないけど
>>7に書いてある「もうすぐ1年」ってのがそれを表してるんだとしたら
2008年頃から既に4年間も姿消してるって事になるよね?
4年かかってまだ復帰してこない人の事を、いつまで待ち続けるのさ
他のスレじゃ、ほんの1スレだけでも単独で占有状態にする程投下してた職人なんて
一部の擁護派以外からは職人・ROM専問わず疎まれるのが当たり前なのに
ほしゅ
だぶるおーってここで大丈夫か?
たぶんおK
グロと一緒で注意書きだけ頼む。
投下しないの?
ちょっと期待してたけどさ
392 :
名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 11:16:43.84 ID:lUlqOiMX
アーミアちゃんのエロパロって投下されたことあったっけ?
(´,,・ω・,,`)
語弊ってやつだろ?落ち着けよ
外野が語弊をエスパーして庇ってやる必要ないな
空気読まずに・・・
亀もいい所だが>>345-
>>359GJ!!
なぜか中の人通常運転乙と思ってしまったw
ここはGジェネ関係でもいいのかい?
上の方でもおkって言ってるしいいと思う
個人的には読みたい
OKかどうかは読んでから決める
だからさあ早く書くんだ
ティファたん
ティファたん可愛いな
キッカたん
久しく供給ないし、大丈夫でしょう
ファたん
ファは駅弁だろ?
407 :
名無しさん@ピンキー:2012/11/24(土) 18:21:00.59 ID:85BZ5YPU
ハマーン様妊娠させたい
ルセットたん
409 :
名無しさん@ピンキー:2012/11/30(金) 04:10:40.48 ID:CWDH1P9M
zz見たけどルー・ルカ可愛いよルー・ルカ
ロランたん
ドアンに毎晩ヤられてたのかなあ
オリキャラ主体のグリプス〜アクシズ期もので書いてみたいんですが、ここに投下しても大丈夫でしょうか?
主人公機は基本的にGMU、主人公艦はサラミス改で、ZやZZのアニメ本筋とはあんまりリンクしない感じなのですが。
では、第一話を投下します。
主な舞台は上記の通りですが、付け加えて多少のトンデモ要素があります。
出来ればそのあたりは優しくスルーしていただけると幸いです。
本格的なエロ展開が出てくるのは第二話か第三話からですが、よろしくお願いします。
「GMU04、アイネ・クライネ伍長、行きます!」
サラミス改級巡洋艦のカタパルトが、バックパックから噴炎を吐く地球連邦軍の量産型MS、GMUを打ち放つ。
「くっ……」
Gの苦痛に喘ぐパイロットの遙か背後へと、全天周モニターの宇宙空間を独航するサラミス改級が流れていく。
少し慌てつつも確実な操作で、そのGMUに先行していた三機の編隊機動へと一致させる。強烈なGに歯を食いしばっていたパイロットは、機体を僚機編隊の中央に着けた。
GMU04のパイロット、アイネ・クライネ伍長は、そこでほっと一息を吐く。
MSパイロット訓練生としての教育期間を終え、コロニー駐留艦隊に所属するサラミス改級巡洋艦アバリスとその搭載MS部隊にきのう配属されたばかりの彼女には、ベテランのMSパイロットならばどうということはないはずの動作の一つ一つがまだ緊張の種だった。
「このまま哨戒任務か……」
操る機体こそ訓練生時代から慣れ親しんでいた地球連邦軍の主力量産MS・GMUだが、周りに訓練生時代の気心の知れた仲間はいない。ヘルメットのバイザーの下でショートカットの黒髪を揺らし、アイネは一人つぶやく。
アイネ・クライネはあどけなく可憐な面差しの、いくぶん色素の薄い黒髪をショートカットにした十八歳の美少女である。
UC0087年というこの時代に生きる一スペースノイドとしての生い立ちに特筆すべき部分はなく、MSパイロット訓練生時代の成績も可もなく不可もなくといったところだった。
「そうだ、小隊長機は――あっ!?」
一機ずつが左右につく僚機を確認しながら、小隊長機を見失っていたことに気づいて、アイネは周囲を見回す。そのとき不意に下方から迫るぞわりとした何かを感じて、アイネが視線を向けた先からGMUの機影が駆け上がってきた。
「クライネ伍長、何だ今のはァ! 実戦なら撃墜されていたぞォ!」
「小隊長っ……、申し訳ありません!」
全天周モニターに僚機からの通信映像の小窓が開き、パイロットスーツ姿の中年男がバイザー内に泡を飛ばして喚き散らす。
「下方への注意が散漫だなァ! 居眠り操縦か!? それとも何か……そこに視界を邪魔するようなものでもあるのかァ?」
「……っ!」
小隊長に怒鳴りつけられて、アイネはきゅっとリニアシートで身を縮めた。
彼女について特筆すべきところといえば、まずはその胸である。
スイカのような大きさの乳房が二つ、アイネの胸には実っていた。きゅっと細く引き締まったウェストと対照的に、メートルサイズに迫るほどのその爆乳はもはや通常の地球連邦軍女性用パイロットスーツには収まりきらず、特別サイズを身につけてようやく対処している。
全天周モニターとリニアシートを採用するGMUのコクピット内からは機体の真下ですら見下ろすことが出来るが、その大きすぎる乳房がアイネ自身の視界にいくらかの死角を作ってしまっていたことは確かで、彼女は小さくため息をついた。
――男の人たちから変な目で見られるだけじゃなくて、こんなところでも私の邪魔になるなんて……。
だが小隊長は、そんな彼女をなお容赦なく責め立てる。
「クライネ伍長! ブラジャーのサイズはいくつだ!?」
「えっ!?」
「即答せよ! これは今後の任務遂行上、きわめて重要な質問である! 即答せよ、クライネ伍長!!」
「そうそう、これは重要だよなァ、アイネちゃん」
「アイネちゃんの胸のサイズを知っておかないと、俺らも今後の編隊の組み方とかを考えるうえで問題になるし。それってすんごい重要なことだから、今ここで教えてもらえないとなぁ」
通信窓いっぱいに血走った目で睨みつけてくる小隊長に、他に僚機を駆る先輩パイロット二人も下品に笑って相づちを打ってくる。三人がかりのその圧力に抗しきれず、アイネは俯きながらそっと小声で答えた。
「うっ……、うう……っ……。あ……、Iの……65、です……」
「ひゅう!」
「やっぱそんぐらいあるんだァ!」
「ほう、そうか……Iカップ……Iカップか、クライネ伍長……それだけ大きいと、いろいろと大変だろう? いろいろとなぁ……クックック……」
「ヒヒヒッ……」
「…………!」
異性である小隊長に自身の女の部分を弄ぶように指摘され、僚機の男性パイロットはおろか、母艦のブリッジにすらその通信を傍受されるという恥辱に思わず頬を真っ赤に染め、目頭までも熱くしながらアイネはうつむく。
だが小隊長はこの時すでに、アイネの脱ぎたてのブラジャーをロッカールームから入手していた。
そのカップサイズはおろか、もはや実際にはIカップですら小さすぎるのか、アイネがそこから乳房の形を整えるためのパットを外していることまで知っている。
アイネのブラジャーがまだみっちりとその爆乳を包んでいた湯気と温もりの名残を、頬と鼻と舌とで存分に味わい尽くしてから、小隊長は出撃してきたのだ。
あれほどの乳房を持ちながら、すれたところを見せない清純な少女パイロットに自らの口で語らせるという行為に新たな凌辱の喜悦を味わいつつ、小隊長は次の段階へと駒を進める。
「ではここで、抜き打ちの戦闘訓練と行こうか」
「せ、戦闘訓練? 我々は今、哨戒任務のため実行動中なのでは?」
「馬鹿者ォ!」
口角泡を飛ばして一喝され、アイネはびくりと背筋を震えさせる。
「くどいぞクライネ伍長! MSパイロットたるもの、常に実戦に臨まんとする気概を忘れてはならんのだ!」
「実戦って……!」
いま実行中のこの哨戒任務こそが、まさに他ならぬ実戦そのものではないのですか――なお食い下がろうとしたアイネの反論は、通信越しに薄ら笑いを浮かべながら近づいてくる他二機のGMUに気圧されて沈んだ。
「そうだよアイネちゃん。MSパイロットってのは、訓練から手を抜いたらもう終わりなんだよぉ」
「俺ら、まだ君の実力とかぜんぜん知らないわけだしぃ。アイネちゃんは他の人より、下も見えづらいんでしょ? それがどんなもんかもよく分からないうちから、このまま一緒に任務行けって言われたって、ちょっとなぁ」
「そんな……」
馬鹿げている。ジオン残党の跳梁跋扈もあるというこんな危険宙域で、哨戒任務と周囲への警戒を中断しての戦闘訓練などと。
「まあ、クライネ伍長……そう気を悪くしてくれるな。これが我が小隊恒例の、新人歓迎行事なのだよ」
全天モニターの一画に映るアイネの不満と困惑の表情と、その下で威圧するようにパイロットスーツの胸を前へ横へと押し出している巨大な起伏を眺めながら、小隊長は舌なめずりした。
小隊に欠員が生じて補充人員の必要が生じたとき、MS訓練隊の人事課に裏金を握らせて目を通した訓練生ファイルで見つけて以来、この爆乳娘のことはずっと狙っていたのだ。そのまま人事に手回ししてこの艦に配属させることに成功したが、今日のこの日は待ちきれなかった。
いろいろと協力させた手前、いずれは小隊の部下や艦長らとお楽しみを折半することにもなるが、やむを得まい。
訓練生時代は女性同期生に守られて男たちから距離を取っていたという、うぶで世間知らずな生娘だ。まずはこの逸物で処女を破って膣内を抉り、あのデカい爆乳を無茶苦茶に揺り回させながら、この俺無しではいられない体にしてやろう。
「クライネ伍長。動きに不備があれば、このままここで個人指導だ! だがここにはあいにく、GMトレーナーもGMカンヌもないのでな……すぐにこちらのコクピットまで来てもらうぞ」
「小隊長のコクピットって……ここで、ですか……?」
宇宙空間に出撃した、MSのコクピットという密室。脂ぎった獣の雄の目で自分をなめ回してきた男と、その密室で一対一になるということが何を意味するのか、アイネはすぐに理解していた。
「ああ、そのあとは俺らだ……そうですよね、小隊長? アイネちゃん、たっぷり技術指導してやるよぉ」
「後輩の面倒は、みんなで見てやらないとなぁ……小隊長?」
「一対三……!?」
アイネを囲むという圧倒的に有利な布陣を取りながら、それぞれの武器を構える三機のGMU。
「おぉ……。うちの小隊はみな、本当に後輩思いで教育熱心だなァ」
一対一ならまだ何とかなるかもしれない、そう思っていたアイネの希望を完全に打ち砕きながら、小隊長は手元のコンドームを撫でさする。
生で中出しはダメだ。これほどの爆乳美少女、そう何度も巡り会えるものではない。欲望のままの膣内射精ですぐに孕ませて艦から「撃墜」してしまうのではなく、じっくり楽しみながら末永く艦の肉壷として愛用していかなければ。
今まで目を付けた多くの女性兵士を性の食い物にしてきた小隊長は、パイロットスーツを剥かれて自分の胸板であの爆乳を押しつぶしながら泣き喘ぐアイネの姿を想像し、目の前まで迫ったその未来に股間をいっそう堅くいきり勃たせた。
さて。犯るか――
「あべッ」
「ゲボッ!?」
そんな意味不明の通信だけを残して突然、アイネを囲んでいたGMUの二機が爆散した。
「!?」
突き抜けていくビームの光条の後ろで、二つの火球が広がっていく。レーダー上の反応も同時に消失していた。
アイネも小隊長も状況を理解できず、しかしアイネは咄嗟にGMUに回避機動を取らせていた。
ついコンマ数秒前までアイネ機のコクピットがあった空間をビームの光条が通り過ぎていき、そして反応の遅れた小隊長機は最初の一撃で右腕をもがれ、次いで集中してきた射撃の雨に、頭部と左脚までもを引きちぎられていた。
「なっ! 何なのだ!! いったい何なのだ一体ィィ!!」
「四時方向に敵機!」
半狂乱で叫ぶ小隊長に、アイネは声を張り上げて報告した。ビームライフルの安全装置を解き、その方向へ数発の応射を浴びせる。
スラスターの噴射炎がきらめき、アイネの応射を鮮やかな機動で回避する。猛然と接近してきたのは、大柄な機体の旧ジオン公国軍MSだった。
MS-14ゲルググ。瞬時に二機のGMUを火球に変え、さらに小隊長機を集中射撃で無力化してのけたゲルググは、一糸乱れぬ三機編隊を保ったままで肉薄してくる。
アイネはGMUを機動させて戦況を俯瞰しながら、母艦への通信回線を再び繋いで状況を送った。
「て、敵です! MS-14ゲルググ三機! 奇襲を受け、こちらは二機撃墜、小隊長機中破!」
『んなっ!? て、敵!? 来るのか!? こっちへ来るのか!?』
小隊長らによるアイネ凌辱の生中継を心待ちにしていたアバリス艦橋のオペレーターが、慌てふためいて喚き散らす。
「うおおおおおおっ!!」
小隊長機は中破したまま、でたらめにビームライフルを乱射している。もはやAMBACによる姿勢制御もままならないまま四方八方へビームの光条をまき散らして、あまつさえアイネ機の方向にまで撃ってくる始末だ。
「小隊長! そっ、そんなに乱射したら……!」
「うっ!?」
GMUのビームライフルは往年の伝説的名機、ガンダムの装備に匹敵する威力を備えていると言われている。
だがそれは昨今主流となりつつあるEパック交換方式ではなく、整備施設などでEキャップを充填する方式だ。撃ち尽くせば即座に利用可能な予備弾などないが、小隊長は半狂乱の乱射で、それすらあっという間に撃ち尽くしていた。
遠巻きにしていたゲルググは、小隊長がEキャップの切れたライフルを空撃ちするのを見逃さなかった。
武器を持ち換えられる前にそこで一気に飛び込み、もはやアイネが援護する間もなく至近距離からコクピットへ、狙い澄ました一撃を放つ。
そして最後のビームがGMUの胴体へ吸い込まれる直前、紙一重の差で脱出ポッドが射出された。爆散する機体を背後に、小隊長は脱出ポッドから喚き散らした。
「くっ、クライネ伍長! 徹底抗戦だ!! 死をも恐れぬ敢闘精神で、ジオン残党を撃滅せよ! 我がアバリス隊の精神を受け継いだ君ならば出来る!!」
「そんな! この戦力差で何を!?」
「馬鹿者がぁッ!! 仲間の仇を取りたくないのか!? 敵前逃亡は銃殺刑だぞッ!!」
惜しいが、この小娘を捨て駒にしてここは逃げるしかない。あの爆乳の現物を拝むことなく、ただ宇宙の塵にして下がるのは心残りだが、命あっての物種だ。
あの娘、あれだけ馬鹿でかい乳をしているわりに、MSパイロットしては悪くない。ここから勝つことまでは出来ずとも、自分が逃げ延びるまでの多少の時間は稼いでくれるだろう。
「はうあ!?」
だがゲルググはスラスターを噴かすと、アイネ機ではなく脱出ポッドへ向かい、がしりとその球体を掴み取っていた。
「こっ、降伏だ! ジオン残党の気高き戦士よ、我が隊は降伏するッ!! これは名誉ある降伏だ、クライネ伍長、もう撃つなよ! 絶対に撃つなよ!?」
「なっ!? 降伏っ!?」
自分に対して徹底抗戦せよと叫んだ、その舌の根も乾かぬうちに?
だが4機のGMU隊のうち2機はすでに初弾で撃墜され、それらのパイロットもおそらくは戦死。
さらに小隊長機まで撃墜されてその脱出ポッドを捕獲され、無傷で残るは新人の自分ひとり――ならば、あるいは降伏という選択肢もあり得るのかと逡巡するアイネの眼前で、またも信じがたい光景が展開した。
「哀れなり。この神聖にして清浄なる大宇宙にありながら、腐敗極めし地球連邦餓鬼道に堕ちたる犬畜生よ。せめて速やかにかつ安らかに、宇宙(そら)の仏道へ帰命(きみょう)せよ」
「!? な、何をッ……、何を言っているんだお前はァァアッ!!」
「え……え……?」
何を言っているんだ、こいつは? 捕獲した脱出ポッドに接触回線を開いたゲルググからの通信を傍受しながら、アイネの表情がただ困惑ばかりに満ちていく。彼女は仏教などというものに関する知識などほとんどない。存在すらよく分からない。
ハッチを指で塞いでもはや脱出不可能の密室と化した脱出ポッドを握りしめながら、ゲルググがビームナギナタに再び刃を形成させた。そしてためらいもなしに、Iフィールドの枠からメガ粒子がたびたび飛び散るその刃先を、掌中の脱出ポッドへと突き当てる。
「はうあ! ま、まさか! まさか貴様! なにを!?」
「我、見いだせり……超高圧高熱のメガ粒子による即身蒸発成仏こそ、この宇宙世紀において人が涅槃に至るべき唯一の葬送法也。連邦餓鬼道に堕ちたる現世に見切りを付け、極楽浄土に輪廻転生するがよい」
「じょ、蒸発!? 成仏!? おまえ、おまえいったい何を……たっ、助けてくれっ! クライネ伍長! 撃て! こいつを撃てェェェェエェッ!!」
「えっ。えっ。えっ……」
アイネはビームライフルを構えながらも、その照準には脱出ポッドを外してゲルググだけを狙い撃つ、などという神業など望むべくもない。
彼女の機体は単なるGMのマイナーチェンジのGMUであって、往年のエース仕様カスタム機、GMスナイパーシリーズなどではないのだから。
「南無阿弥陀仏」
「うッ……うおおおおおおーーーッ!!! ベッ」
「え、嘘……小隊長?」
そしてゲルググの手でがっしりと出口を塞がれたままの脱出ポッドへ、ビームナギナタの刃が突き刺さっていく。
獣のように小隊長が放った断末魔の絶叫はアイネのヘルメット内へ鳴り響き、それも途中から奇妙なノイズになって消えた。通信機が破壊されたのだ――おそらくはそれを使用する人間も、同時に。
GMUの脱出ポッドだったものは文字通りの串刺しとなり、一瞬だけは団子のようにビームナギナタにぶら下がったものの、次の瞬間には内側から爆砕して粉々に消し飛んだ。
ほか二機のゲルググパイロットが、それを見届けて通信回線に唱和する。
「成仏!」
「成仏!」
「完・全・成・仏!」
ナギナタを握る右手を真横へ突き出し、胸前に置いた左手の四指をビシィッ、と真上へ揃えて突き立てる。ゲルググのその姿は何かに祈りを捧げる異教の僧侶のようでもあったが、今のアイネには単なる悪夢の具現でしかなかった。
彼らは狂っている。確実に。
自分も殺される。確実に。
「あ、ああ……あああああああ……!!」
操縦桿を握る手が、恐怖と絶望に震える。ほんの一瞬だけ、自分も小隊長のように逃げようか、との思いが頭を掠めた。
だが次の瞬間、全天周モニターの視界に入った母艦、アバリスの姿がそれを思いとどまらせる。
艦を――そこに残った人々を、守らなければ。
私は、MSパイロットなのだから。
「やるしかない……!」
涙のにじんだ瞳で、アイネはきっとゲルググを睨みすえる。ライフルとシールドをGMUに構えさせ、せめて一機でも、せめて数秒でも母艦に時間を稼がせようと機動する。
「ゲオルグ居士(こじ)!」
迫り来るアイネ機を前に、GMU小隊長を蒸発させた小隊長機らしきゲルググの脇を他の二機が固める。が、そこに野太い命令の声が飛んだ。
「エレイン信女(しんにょ)、フローラ信女! ここは我に任せ、汝らはあの餓鬼道艦を成仏させよ! このGMUは、その後に皆で確実に成仏させる……苦しませぬよう、確実にな!」
「御意!」
「! 一対一で……!? 馬鹿にしてぇっ!!」
「くっ、来るぞ! 撃て、撃てぇ! ん、対空砲火出ないぞ……当直は! 寝てたのか!?」
そうして残る一機がアイネを足止めしながら、二機のゲルググはサラミス改級巡洋艦アバリスへ向かう。
アイネの報告を受けるが早いか転進し、MS隊を捨てて真っ先に戦場から離脱しようとしていたアバリスは、そこでようやく対空砲火の火蓋を切った。
しかしその対空砲火があまりに疎らで粗く、また立ち上がりも遅いのは、一年戦争時代のMSを操るジオン残党という敵への油断か、それとも単なる練度不足か。
いずれにせよ戦場にあって、その代価は死をもって償う他にない。
ゲルググの巨体がアバリスの艦橋直上に取り付き、巨体の足をみしりと沈み込ませつつ、ビームライフルの銃口を真下へ向けて密着させる。
必死に外へ逃れようと慌てふためくクルーの姿がまだ窓越しに見えるそこへ、ゲルググは通信越しの奇声とともに発砲した。
「喝ッ!!」
「やめてェーーーッ!!」
単機残ったゲルググの足止めを抜けないまま、GMUのコクピットで振り絞ったアイネの絶叫は、もう誰にも届かない。
艦上で、ゲルググはビームライフルを立て続けに乱射した。最初の一発でブリッジの内部は爆裂して、ノーマルスーツの人影を飲み込みながら内側から膨れ上がって消し飛ぶ。
銃口を密着したまま立て続けに放たれたビームは核融合炉をズタズタに貫通して真下へ抜け、そこで艦内のエネルギーすべてを一気に反応させると、宇宙に巨大な爆光の華を咲かせていく。
「あ、ああ……あああああっ、あああ……っ!!」
熱の光輪はかつてサラミス改級巡洋艦の艦体とその乗員たちであった金属と血肉を瞬時に蒸発させ、艦体を折り崩しながら内部を吹き抜けると、ガスから塵へと冷え固まりながら宇宙空間へデブリを拡散させていく。
アイネの帰るところが、無くなってしまった。
「成仏!」
「成仏!」
「完・全・成・仏!!」
アイネを足止めしていたゲルググ、そしてアバリスを撃沈した二機が爆光を背に飛来しながら、例の祈りのポーズを取る。
「うっ……うわあああああっ!!」
アイネは今度こそビームライフルを無茶苦茶に乱射し、それが弾切れを起こすと背中からビームサーベルを抜いて切りかかった。
「よくもっ! よくもおおおっ!!」
ナギナタのビーム刃にサーベルを弾かれながらも、アイネは頭部60ミリバルカンを発砲しながら必死に食らいつく。
まだあの艦の皆のことはよく知らなかったし、着任早々からこの胸に突き刺さっていた男性クルーたちからの不躾な視線もイヤだった。
だが、これはないはずだ。
あんな風に、大勢の人間が一瞬のうちに焼かれ、おそらくは痛みを感じる間すらなく肉体も生命も、その存在までをも消滅させられていったことが、アイネを絶望の中で逆上させた。
そして逆上したアイネの操縦など、場慣れしたゲルググパイロットたちからすれば、いかようにもあしらえる程度のものでしかなかった。
「あぐっ!?」
アバリスを撃沈して戻ってきたゲルググから狙い澄ましたビームライフルの一弾が放たれ、ビームサーベルを振り回していたアイネ機の右腕を吹き飛ばす。
アイネが機体重量バランスの変化を埋め合わせようと姿勢制御する間もなく、切り結んでいたゲルググのビームナギナタが頭部を薙払い、飛んだ生首はバルカン砲の残弾もろとも爆散した。
さらにGMUの両脚、シールドを構えていた左腕もナギナタで切り落とされると、もうアイネ機は胴体だけの漂流物となった。
二機のゲルググがアイネ機を両側から押さえつけてバックパックからの噴射も封じ、そして小隊長を殺した一機がナギナタの刃をコクピットハッチの正面に押し当ててきた。
「あ、ああ……。ごめんね……ごめんね、シエル……私、やっぱりダメみたい……」
絶望の中で脳裏に去来するのは、MS訓練生時代のルームメイトの姿。言葉少なく成績優秀で凛として、いつも律儀で潔癖で冷静で、そして自分をいつも守ってくれた、黒髪と眼鏡の小柄な少女。
「私、私も、シエルみたいに強くなりたかったけど……シエルが、いてくれないと……私一人じゃ、やっぱり……ダメ、だったんだね……」
バイザーの内側で、涙が静かに頬を伝い落ちていく。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
接触したゲルググから、呪文のように意味不明な何かを呟く娘たちの声が通信回線で流れてくる。そしてアイネの正面の全天周モニターに、目の前のゲルググのパイロットらしい髭面の屈強な男の窓が開いた。
「連邦餓鬼道に堕ちたる亡者にしては、最後まで踏みとどまらんとしたその覚悟、実に見事なり……しかしその存在、この末法の現世に留め置いては大ジオン仏道の禍根とならん! これにて現世より成仏いたせい!! 喝(カァ)ーーーッつッッ!!!」
通信回線に流れ続ける敵女性パイロットたちの念仏の中、その声がやけに鋭く響いたと思った瞬間、ビームナギナタの切っ先が一気にコクピットへ侵入してきた。
チタンセラミックス複合材のコクピットハッチが溶解し蒸発、超高熱の粒子が嵐のように吹き込んでくる。
「あっ!? アウッ!!」
コクピット内に飛び散る粒子がアイネの座るリニアシートを、操縦桿を、そしてパイロットスーツを掠めては瞬時に溶断していく。
穴だらけになった全天周モニターが機能停止して暗転、アイネの目の前のすべてを、迫る灼熱のメガ粒子の閃光だけが覆い尽くす。
「あっ、ああ……あああああああ〜〜〜っ!!」
「成仏!!」
もはや眼前に迫った確実な死に絶叫することしか出来ないアイネの五体を、ナギナタのビームが呑んだ。
バイザーがひび割れながら同時に超高熱で泡立ち、そして粉々に砕け散る。強固なヘルメット全体も同様に爆砕して、アイネのショートカットの明るい黒髪を吹き散らし、死の絶望に引き攣った表情を露わにする。
パイロットスーツは全身で同時に燃え上がるや、無数の穴を開けながら溶け落ちた。その内側の下着など一瞬すらも保たず陽炎のように蒸発し、アイネは裸身に剥かれていく。
ほどよく日焼けした健康的な素肌が、よく引き締まった健康的な四肢と贅肉のない腹筋が露わとなる。それらとアンバランスに大きすぎる乳房を包むスポーツブラジャーは若干粘ったようにも見えたが、それでもすぐに穴だらけになる。
焼け落ちていくIカップのスポーツブラジャーの下から、ついにサポートを失って一抱え以上もあるスイカ並みの爆乳が弾けるように飛び出す。
メガ粒子の奔流の中で二つの爆乳は激しく揺れ弾み、その大きさに見合うだけのよく発達した桜色の乳暈と、その中心から起き上がってくる乳首の突端までが露わとなって、薄紅色の軌跡を残して暴れ狂う。
光の中で、アイネは一糸まとわぬ完全な裸身となった。アイネ・クライネ伍長の意識は、そこで完全に消失する。
すべてはわずか、一瞬の出来事。
そしてエンジンブロックまでも破壊され尽くしたアイネのGMUは、無情にも巨大な火球と化す。
宇宙に一瞬のきらめきをもたらし、かつてGMUだった火球は急激にその内側から膨れ上がると、先に撃墜された三機や母艦と同様、次第に冷え固まりながら大小の破片を宇宙に撒き散らしていくだけの宇宙のゴミ、スペースデブリとなって拡散していった。
「成仏!」
「成仏!」
「完・全・成・仏!」
アイネ機の爆散を至近距離から見届けて、ゲルググはビームナギナタを力強く目の前へと突き出した。
「ゲオルグ居士。急接近する熱源反応感知。おそらくMS四機」
「地球連邦餓鬼道の新手……このまま成仏させますか?」
戦闘の興奮に荒く熱を持った息づかいで問いかける僚機の女性パイロットに、ゲオルグ居士と呼ばれた男はコクピット内で猪首を振った。
「否。我、四機のうちより一機に強き気を感ぜり。餓鬼道、畜生道とともに修羅道の影あり。この場に利無し……これよりのさらなる功徳を積まんがため、いま一時は退くべし!」
「「御意!」」
言うが早いか一糸乱れぬ動きで、三機のゲルググは戦場だった空域から、元来た最寄りの暗礁宙域へと離脱していく。
「遅かったか……」
そこへ入れ替わるように、地球連邦軍のGMU四機が新たに到着する。周囲に散乱する、かつてサラミス改やGMUだったデブリを見渡しながら、その小隊長機は落ち着き払って通信回線を開いた。
「22より21。敵機の後退、および救助信号発信艦の轟沈を確認。所属MS隊も全滅の模様。なお22はこれより生存者の捜索を実施する。了解か」
「21了解。――22、深追いは無しということだな」
「そういうことだ。終わり」
通信画面に現れた、後方に展開するサラミス改級巡洋艦の艦長へ言葉少なに返すと、小隊長は周囲に展開する列機へ指示を送る。
「無駄だっつーの、小隊長。こんなもん、誰がどう見たってもう、全員とっくに死んでるっつーの。宇宙のゴミしかねーわ」
「ざまぁねぇっすね。マジ雑魚すぎッすわ連中。ジオンの残党もこいつらが相手でラッキーだったッス。俺らが相手してやってたら、結果は完全に逆だったっすねェ」
状況を呑んだ剛胆さか、あるいは経験の浅さから来る蟷螂の斧か。いずれにせよ過ぎた軽口を叩く二人の若いパイロットを、小隊長の落ち着き払った、しかしみずみずしい娘の声が制した。
「23、24。前方の、艦橋部を含む残骸を確認できるか」
「前方のォ……? あぁ、あのアホサラミスで焼け残った一番でっけー残骸っすかぁ?」
「二機で内部の状況を確認しろ」
「はぁ?! 生存者とか、あんな鉄板焼肉スクラップの中にいるわけねーっしょ! あんなもん、とっくに全員挽き肉ローストミンチになっちまってるに決まってるでしょうがよ小隊長ォ!」
「潜んでいるのが我が方の生存者だけとは限らん。あの大きさ、MSが隠れ潜むにも絶好の遮蔽物だ。うかつに近づく敵機を狙撃で叩き落とすにも悪くない――23、24。特に、今のお前たちのような相手をな」
「…………!」
増長しきっていた若いパイロットたちが息を呑み、通信画面の中で急に周囲へ警戒の目を配りはじめる。
僚艦からの救助信号を受信し、このMS隊が緊急発進してすぐ、かれらは盛大な爆光がいくつも煌めくのを目撃した。まずMSと思われるそれが二つ、一つ、続いて巡洋艦と思われるものが一つ、だいぶ間を置いて、最後にMSがまた一つ。
そしてスラスターの噴炎を曳いて離脱する三機のMSを見届けたことで、敵機はすでに友軍を殲滅して後退したもの、と部下たちは思いこんでいた。
しかし、そんな楽観的な思いこみは危険だと彼女は知っている。
「23、24。言うまでもないが、あの残骸への発砲は禁止だ。生存者の他に、可能ならばブラックボックスも回収したい。慎重に行け」
「はっ! わ、分かってますよ……やりゃいいんでしょ、やりゃあ……おいシュン! まずお前ちょっと行って覗いてこいよ!」
「えっ!? 自分がですか!?」
「そうに決まってんだろ! お前がまず最初に行けよ。援護してやるからよぉ!」
まだ少年の部分を残した後輩の新人パイロットを矢面に仕立てようとする彼らを、またも小隊長が制する。
「23、24。すでに示したはずだ。お前たちが最初に二人で行け。25は22と周囲全般を警戒しつつ捜索する」
「ハァ!?」
「……聞けないか?」
冷え切った声が、二機のGMUの間に殺気を満たした。だが通信画面越しに映る小隊長の怜悧な美貌に見すくめられて、やがて部下が言葉を発する。
「わ、分かりましたよ……行きゃあいいんでしょ行きゃあ! クソッ、おいロブ! てめぇ最初に行って見てこい!」
「えぇ!? おっ、俺っすかガルノフ軍曹!?」
「当たり前だろテメェ!? 他に誰が行くってんだよ!? あぁ!?」
「そ、そんなぁ……」
実際に見てみる前から、すでに残骸には敵機が潜んでいると決めてかかっているような二人のやりとりを聞き流しながら、周囲を警戒しつつ捜索する22――GMU小隊長機の横に、25と呼ばれた新人少年パイロットの機体が並んだ。
「あ、ありがとうございます、小隊長……」
「25、それはいったい何に対する礼だ? よそごとに気を回す前に、与えられた任務を確実にこなせ。長生きしたければな」
「は、はい!」
恐縮した少年パイロットの声を聞きながら、小隊長は周囲を的確に索敵していく。恐ろしく手慣れた調子で、警戒と同時に漂流物を検分していく。
「ん、……あれは……?」
そしてそのとき、GMUだったデブリの中に、小隊長は、それを――生き物のように揺らぐ淡い光を帯びたなにかを、見つけた。
「まさか……」
息を呑むと、そこへ静かに機体を寄せて速度を合わせる。まるで壊れ物を扱うように、GMUの手でそっと自機のコクピットハッチ前へと導いた。ハッチを開け、慣性でゆっくりと飛び込んできたそれを、彼女はノーマルスーツの自分自身で抱き止める。
すぐにハッチを閉じると、コクピット内に空気を満たす。呼吸が可能になったところで、彼女はそれが帯びた光がすうっと薄くなり、そして消えるのを見届けた。
そこに収容されたのは宇宙を漂流していた、一糸まとわぬ少女の裸体。
健康的に薄く日焼けした肌、ショートカットの明るい黒髪、引き締まった四肢、細い腰と、規格外にも思える大きさの二つの乳房。
傷一つない生まれたままの裸身で宇宙空間から漂着した少女は、その身に帯びていた光を失うとともに、そこで呼吸を再開した。
とりあえず、初回はここまでです。
トンデモ話ですが、問題なければまた今度、第二話以降も投下させていただきたく思います。
>>422 GJ!
問題ありません。
ガンガン投下してください。
>>423 ありがとうございます。
とりあえずエロ場面まで行っておかないと、反応する方も困るかな? と思いましたので、
突貫工事ですがとりあえず完成した第二話も投下してみますね。
これで良さそうだったら続けてみようと思います。
「ん……」
みずみずしい肌を叩いて流れる熱い湯の感触で、少女は静かに目を覚ました。
ゆっくりと開いていくうつろな視界から、少女は自分自身が無重力空間のシャワールームにいること、そして誰かもう一人の女性に抱かれるように支えられながら、身体を洗われていることに気づく。
体が重い。ここはどこなのだろう。自分がどうしてここにいるのか思い出せない。
「あなたは、誰……?」
熱を帯びたままこぼした言葉を受けて、長い黒髪を湯に濡らした女性が自分の瞳を覗き込んでくる。
東洋系の、若く美しい女性だ。その凛々しい目鼻立ちと、何事にも動じないであろう風格のある落ち着き払った態度は、少女にかつての親友を思い出させて、心臓の鼓動をいくらか早めさせた。
「私は地球連邦宇宙軍所属、マコト・ハヤカワ准尉。このサラミス改級巡洋艦トラキアで、艦載MS小隊長を務めている」
「……ハヤカワ、准尉……」
「今はまだ、何も気にしなくていい。ゆっくりと、休め」
「……はい……」
そして少女は再び重たい瞼を閉じ、生まれたままの姿の五体を、同じく全裸の女性へ甘えるように預けかける。
浴びかかるシャワーの湯よりも熱い何かが身体の内側でたぎるのを少女は感じていたが、眠気はそれよりもさらに強く、少女はマコトの腕の中でその温もりに安らぎを覚え、再び意識を手放した。
マコトが少女を真正面から抱き抱えようとすれば、背丈は大差ない二人の乳房は真正面から押しつぶされることになる。
その互いが互いの柔らかな乳肉の中へ潜り込もうとしつつ、しかし今現在は少女の爆乳がマコトの乳房を圧倒して、左右の乳首を深く突き刺していた。
マコトの乳房も十分に大きくはあったが、それでもこの眠る少女のそれと比べられれば、二周りは小さく見えてしまう。
だがそれは単純な、乳房そのものの大きさと重さ、肉質だけの問題ではない。ただでさえ大きすぎる少女の爆乳が今はさらに張りつめ、乳首は堅く尖っているのだ。
再び意識を失った少女の秘裂へ、マコトがそっと手を伸ばす。
そこはシャワーの湯とは明らかに異なる、いくらかの粘り気を帯びた体液に濡れそぼっているのを確かめて、マコトは彼女の火照った身体を抱きながら、表情を少し険しくした。
「これで一通り、全身を洗い終えはしたが……」
頭の先から爪先まで、ショートカットの頭髪から下の毛まで。
母艦に帰投してから旧知の整備兵に身を隠せるだけの布を頼み、マコト・ハヤカワ准尉は意識を失っていた彼女を自室まで、どうにか直接的には人目に触れさせることなく連れてきた。
跳梁跋扈するジオン残党に襲撃され、MS隊もろとも撃沈して全滅した友軍のサラミス改級巡洋艦アバリス。その緊急信号が発信された宙域に漂うデブリから、マコトは彼女を回収してきたのだ。
あらゆる生命の存在を許さないはずの過酷な宇宙空間で、ノーマルスーツはおろか、一糸もまとわず漂流していた彼女を。
「さて。このあと、どうするか……」
いま目の前で起きている事態が自分の予想通りのものなら、ここから先は少々厄介なことになる。
タオルで二人分の裸身に残る水滴を拭き取り、マコトはショーツに脚を通し、自身の乳房をEカップのブラジャーに包んだ。地球連邦軍の軍服に袖を通し終えると、少女の裸身にガウンを羽織らせ、ベッドに横たえてベルトで緩く固定する。
居住区画に重力ブロックを有する一部の艦艇ならいざ知らず、そんな高級装備を持たない地球連邦宇宙軍のワークホースたるサラミス改級では、就寝時にもベルトで身体を固定する処置が不可欠だった。
ガウン一枚だけをまとって無防備に眠る美少女を見つめながら、マコトはこれからの動きに思いを馳せる。
ここまでは、まあいい。問題はこれからだ。彼女に関するこの件について、いま動けるのは自分一人。
さて、次の手をどうする――
「ん……」
そこまで思ったところで、呻き声とともにベッドの少女が身じろぎした。ゆっくりと、しかし、今度は確実に目を開く。
意外にも、目覚めが早かったようだ。本当はもう少し眠っていて欲しかったのだが。
だがマコトは覚悟を決めて、いちばん肝心な質問をゆっくりと問いかける。
「君の所属は?」
実はまだこの時点でのマコトは、少女の正確な正体についての手がかりを何一つ掴んではいない。
何しろ、独航していたサラミス改級巡洋艦アバリスは彼女一人を残して全滅したのだ。死人に口無しである。
そして肝心の彼女自身にしても持ち物はおろか、衣服すらなしに漂流してきたのだ。当然、身分証明など一切無い。
だからこの少女がアバリスや地球連邦軍とはまったく関係がない第三者である可能性もあったし、最悪、実はジオン残党側の人間だという可能性も捨てられなかった。
最初、少女はマコトからの質問をうまく飲み込めないようだった。不思議そうに小首を傾げ、少し考え、それからようやく、ゆっくりと答えを出してきた。
「……、あ……。じ、自分は……地球連邦軍サラミス改級巡洋艦、アバリス艦載MS隊所属、アイネ・クライネ伍長です。……、あっ……!?」
そこまで言った後、ずきん、と脳裏に鋭い痛みを感じて、アイネは頭を押さえる。
そうだ。サラミス改級巡洋艦アバリス。
ねめつけて来る男たちの視線。誰も自分を守ってくれない場所。新しい居場所。新しい居場所になるはずだった場所。小隊長、先輩パイロットたち。なぶるような言葉。
突然の奇襲、ビームで爆散するGMU。ゲルググ。脱出ポッドを貫くビームナギナタ。爆沈するアバリス。手足も首もすべてを払われ、そしてコクピットへ侵入してくるビームの刃先――
「…………ッ!!」
「落ち着け」
「う……っ、あ……ああ……っ、あうあ……っ」
とたんに内側から爆発したかのように溢れ出てくる記憶と感情の奔流に、アイネは頭を両手で押さえ込んだ。
――そうだ。そうだ……ジオン残党の襲撃を受けてアバリスは沈み、部隊は全滅した。
そして、私も……死んだ。死んだ……はず、だ。
「あっ!?」
「落ち着け」
ぎゅっと両肩を力強く掴んで向き直させられ、目の前からこのマコト・ハヤカワ准尉と名乗った美しい女性軍人の凛々しい瞳に見つめられて、アイネは頬を紅潮させながら押し黙った。
「ハヤカワ、准尉……」
「安心していい、アイネ・クライネ伍長。君はもう安全だ。
ここは地球連邦軍サラミス改級巡洋艦トラキア。友軍艦アバリスからの緊急通報を受けて私のMS隊が急行したが、残念ながら間に合わなかった」
「間に、合わなかった、って……それじゃあ……他の、人は……」
マコトは黙って首を振る。
「アバリスは撃沈された。あの宙域で、君以外の生存者は発見できなかった。アバリス隊は全滅だろう」
「……そ、そうですか……。じゃあ、私だけ……私だけ、脱出装置が作動したんですね。それで私だけ、一人だけで生き残って……。うっ……うううっ……」
「…………」
無言で肯定するマコトを前に、アイネの瞳には涙があふれ、やがて水滴となって室内を漂った。ぎゅうっ、とアイネの手がシーツを掴む。
「わっ、私はっ、私は、MSの、パイロット、なのに……誰も……誰も守れない、なんて……誰も、守れなかったなんて……。
こんな……こんな情けないことになるぐらいなら、私も……脱出なんか出来ずに、あのまま、死んでいれば――」
アイネの独白を黙って聞いていたマコトの表情が、そのときにわかに険しさを増す。
そして部屋に、鋭い打擲音が鳴り響いた。
「修正だ、クライネ伍長」
「……ハヤカワ准尉?」
衝撃から遅れてやってきた痛みに、打たれた頬をさすりながら、アイネはマコトの真意を問うように惚けた視線を送った。
「戦場で生き残った者は、その死者に対する権利と義務を同時に負うことになる。なぜならば死者はもういかなる権利も義務も、それ以上果たすことは出来ないからだ。
どんな形であれ生き残った君には、いま出来ることを為すべき義務がある。本当に不誠実なのは、君がそれを為さずに終わることだ。
――違うか、クライネ伍長」
「わ、……私は……そんな……私にはそんな、……大きな……こと……」
「今回、君は身をもって敗北のなんたるかを知った。それは千金を積んでも買うことの出来ない、軍人にとってもっとも大きな資産だ。活かすがいい。彼らの無念に、報いるためにもな」
「……!」
敗北の意味。
そうだ。たとえあのコクピットをビームで貫かれる瞬間の生々しいイメージが単なる悪夢や幻覚のたぐいであったとしても、目の前で墜とされていく僚機や沈められていった母艦の姿は、そこで何も出来ずに撃墜されるしかなかった自分の姿は、紛れもない現実だ。
自分は、まだ生きている。あの教訓を、ここからまた活かすことが出来る。
ならばもう次は、絶対に同じことにはさせない。
「……は、……はい!」
「いい返事だ」
アイネの瞳に宿った強い意志の光を見て取り、マコトが力強くうなずく。
だがそのとき、壁掛けの内線電話が鳴り響いた。びくりと背筋を震わせるアイネを横に、マコトが素早くそれを取る。
「私だ。――艦長が? だが今は――、……そうか……、分かった」
マコトは手短に答えたが、途中でアイネにちらと目をやる。苛立たしげに話を聞いて、最後に回線を切る。
「済まない。艦長から急な呼び出しがあった」
「そ、そんな。ハヤカワ准尉――行ってしまわれるんですか?」
瞳を濡らしたまま、すがるようにマコトの袖を掴んでくるアイネの手のひらのうえに、マコトはさらに自分の手を重ねた。
「心配しなくていい。すぐに戻る。クライネ伍長はどこにも行かずに、ここで待っているように。いいな?」
「は、……はい……。お待ち……しております……」
切なげに濡れた瞳のアイネに見送られて、マコトは部屋を出た。
後に残されたアイネは再びベッドに身を押しつけると、両手を乳首と恥丘へ同時に送って無造作にまさぐりはじめる。
「ふ……ふあああ……ふああああああ……っ」
身体が、熱い。
アイネが触れた自らの秘所は、すでに何もしないうちから体液で溢れかえっていた。指先は淫靡な粘液の糸を引いてくちゅくちゅと音を立て、弄くる度に快楽の波が押し寄せてくる。
「なにこれ……、……なにこれぇ……っ」
18歳の今まで一度も男に抱かれたことはなく、自分で自分を慰めるようなこともずっと控えていたアイネ。その彼女が今、自らの身体に眠っていた女の性の虜となったかのように、熱く煮えたぎる情欲の波に身も心も弄ばれてしまっていた。
「んむ、……はぷ……っ」
アイネは右の乳房を持ち上げ、その乳首へ唇を寄せる。アイネほどの巨大な乳房なら、その乳首を自らの唇に含むことなど造作もなかった。
唇いっぱいに含んでも、その外側にまだ余る大きな乳暈。その薄紅までをも吸い上げようとしているかのように、アイネは自らの乳房を吸いしゃぶるように嘗めあげ続けた。
「ん……っ、ちゅぷ……っ、……ぷはぁ……っ……」
左手で女芯を愛撫し、右手で白い乳房を揉みしだきながら乳首を舌で嘗めあげ、乳暈を吸い上げる。
明らかにおかしかった。この欲情は今まで、一度として経験したことがない。
いったいいつからだろう。
この艦に回収され、ハヤカワ准尉とシャワーを浴びたときからか? それともその前、自分があのゲルググのビームに焼き殺される幻覚を見たときからか??
いずれにせよ今のアイネにとって、確実に断言できるのはただひとつ。
もう自分の理性は欲情一色に覆い尽くされ、いやらしい欲望に関すること以外、何も考えられないようになりつつあるということだけだった。
「寂しい……寂しいよぉ……。シエル、……シエルぅ……ハヤカワ准尉ぃ……」
もはや手慰めでは満たされず、アイネは親友の少女や、出会ったばかりの美しい女性軍人の名を呼びながら、切なげな瞳を虚空に投げて悲鳴をあげた。
「う、ううん……でも、今は……いまはぁ……小隊長……先輩……誰でもいい……もう、誰でもいいからぁ……おとこのひと……おとこのひとがいい……おとこのひと、わたしのなかに、きてほしいよぉ……」
今までアイネが淡い想いを抱く相手は、彼女の乳房に容赦ない欲望の視線をぶつけてくる異性よりも、同性であることの方が多かった。
彼女にとって男性とは、自分には理解できない野獣の欲望で自分を汚そうとする怪物じみた存在の総称であり、思慕と尊敬を抱くべき相手ではなかったのだ。
だがそんな彼女が今は、おそらく、生まれて初めて――男に会いたいと思っている。
「ふわふわする……」
シャワールームの中から感じていた身体の奥で渦巻く熱が、まだハヤカワ准尉と話していた間は落ち着いていたのに、今はもう信じられないほど強くなってしまっている。
早く。誰でもいいから、早くこの熱を受け止めてもらわないと。
男でありさえすれば、もう誰でもいい。今はもういないアバリスのMS小隊長や先輩パイロットでも、訓練生時代の男性同期生でも、それこそ、そのあたりにいるだろう適当なこの艦のクルーでも良かった。
男が欲しい。自分一人ではどうしようもないこの身体の熱を、火照りを、寂しさを、荒々しい男の欲望で埋め合わせて欲しい。
いつも私の身体にぶつけてくるあの恐ろしい欲望を、今こそすべて解放してほしい。私が完全に壊れるまで、男の力強さで徹底的に犯してほしい……。
「来て、……来てぇ……」
うわごとのように呟きながら、アイネはマコトの言いつけを破って部屋を出た。しどけなくガウンを着崩した姿のまま、無人の通路を進んでいく。
おそらくここはこの艦――ハヤカワ准尉は、トラキアと言っていたか――の居住区なのだろうが、進めど進めど人影はない。
だがそのとき不意に一室が開いて、アイネが待ち望んでいた、男が――まだ少年の面影を色濃く残した若い伍長が顔を出した。
「!?」
その少年兵――トラキアMS小隊のGMU25を駆る新人パイロット、シュン・カーペンター伍長は、出撃後の汗を流して軍服姿に着替え終え、酒保にでも行こうとしていたところだった。
そこで生まれたままの素肌に薄いガウンだけを羽織って、ふらふらと艦内通路を漂ってくる人影に気づいた彼は、はっと息を呑む。
見たことのない顔だが、美しい女の子だ。明るい黒髪のショートカットで、少し控えめな感じのする奥ゆかしい美貌だが、今は頬を紅潮させて瞳を濡らしており、それになぜか自分を見て、蕩けるような妖しい笑顔を見せたようだった。
その得体の知れない艶やかさにどきりと胸を高鳴らせながら、シュンはひどく無防備な服装の、見知らぬ彼女に質問する。
「え……えっ、と……。き……君は……?」
「見つけた……」
「うわあっ!?」
そのまま飛来した彼女に、腕を絡めて身体ごと抱きつかれる。少年は少女の肉体の存在感を至近距離で味わい、その感性を情報量で飽和させた。
(うっ、うわっ! すっ、すご……っ、この娘、すんごい胸大きいっ! やわらかっ、何か先っぽ立ってる、胸の谷間が深くて思いっきり見えちゃってるっ、髪の毛いいにおい! 何この娘? なんでほとんど裸? 痴女? これが痴女ってやつなの母さん!?)
「ねぇ……。しよ……?」
「えっ……」
――何を?
問い返す間もなくドアが開いたままの自室へ、シュンは少女に押し倒されるように連れ込まれた。
そのまま壁に押しつけられ、後ろで開いたままのドアを気にする様子すらない彼女が、少年の股間へ頬を寄せる。
「きっ、君っ! な、なにをっ、なにをしてるのっ!?」
混乱の極みに陥って喚くシュンなど意にも介さず、アイネはシュンのベルトを外すとスラックスを一気に引き下ろした。
「うわあっ!?」
「ああ……。そう……これ……、よかったぁ……。すっごく、元気ぃ……これだよぉ……これが、欲しかったのぉ……」
迫るアイネの肉体を感じて早くも限界まで勃起していたシュンの男根を愛おしげに、アイネは陶然とブリーフ越しに頬も使って撫でさする。
「うっ……!」
美少女の荒い息づかいと手指の愛撫を下着越しに感じて、ただでさえ既に天突く勢いだったシュンの男根が、さらに大きさと堅さを増す。
なんだこれ。なんだこの子。やっぱり痴女か? それとも、艦の誰かが軍規を無視して、いつの間にか呼んだコールガール? 部屋を間違えて僕のところに来ちゃったとか??
「ね、ねえ。君、ひょっとして――はうっ!?」
「んぷ……っ」
だが浮かんだ疑問をシュンが問いかけるより早く、ブリーフをずらしたアイネがシュンの剛棒を口に含んでいた。
アイネの唇と舌遣いはいかにも慣れていない処女のそれだったが、それでも歯を立てるようなことはない。
何より屹立した男根を口に含むために、彼女の巨大な乳房がちょうどシュンの両腿から上に当たっている。
そして同時に圧倒的な質量で下支えされた乳首が上下しながらガウンとスラックス越しに腿へ擦れれば、それだけで少年を限界へ導くには十分すぎた。
「い、いくうっ!!」
「んぶっ!?」
こらえようもなくこみ上げてきた吐精の瞬間、シュンは眼下で男根にむしゃぶりつく少女の後頭部を逃さないようがっちりと掴む。
そしてシュンの精液は最後の一滴に至るまで、アイネの腔内で弾けた。
「んっぶ……っ! えっ、えほ! えほぉ……っ!」
「あっ……。ご、ごめん! 大丈夫っ!?」
欲望でとっさに少女を捕らえて腔内射精したのは、他ならぬシュンの意志だ。
しかしたっぷりと白濁液を注がれたうえに喉の奥まで深く突き込まれ、思わず肉棒を口から外してえづく少女を心配し、少年は思わず手をさしのべる。
だが少女は口元から唾液まじりの白濁液を溢れさせながら、あの欲情に蕩けきった笑みで少年を見上げてくるばかりだった。
「あつい……にがぁい……べとべとするぅ……。ねぇ……もっとぉ……。これ、もっと、わたしに……たくさん、ちょうだい……?」
ごくん、と少年の喉が鳴った。
シュン・カーペンター伍長は、童貞である。
MSパイロット訓練生課程を終えて部隊へ配属されるとき、世はいまだジオン残党の脅威が冷めやらぬ時代であった。
MSパイロットはそれでなくとも危険な職業であったし、地球連邦軍の第一線部隊にある限り、実戦で若くして命を落とす可能性は小さくない。
多くの同期生たちがあらゆる手段を尽くして童貞を捨てていく中、シュンは結局その流れに乗り損ねたまま今に至っている。
心を通じ合せた愛らしい処女の恋人と交わって、二人の間で処女と童貞を同時に失いながら結ばれる。
そんな純朴な夢を思い描き、結局それを捨てきれなかったのが、シュンが未だに童貞のままの理由でもある。
しかし結局はその後も今のところ、彼に身も心も捧げてくれるような素晴らしい処女は現れていない。それが現実だった。
そして、今。
目の前にいるのは心を通じ合わせるどころか、いま出会ったばかりでまったく正体不明、どこから来たのかも、何を考えているのかも分からない、痴女なのかコールガールなのかすら不明の女の子。
少なくともこれまでの態度を見ている限り、これで処女などということはまず十中八九あり得まい。
かつて夢想した、理想の童貞喪失とはかけ離れた相手だ。
だが彼女は、あまりにも魅力的すぎた。
欲情に蕩けきってはいても、なお愛らしい可憐な面差し。手のひらに包んで余るどころか、腕で抱え込んでも溢れてこぼれてしまうであろう圧倒的な乳房。それでいて見事に引き締まった、健康的な四肢。
ここまで魅力的な美少女とセックスできるチャンスなど、今を逃せばおそらくもう一生無いだろう。
この娘といま交わることが出来れば、自分はこの先何があったとしても、一生後悔しないに違いない――。
その思いが今の欲情を後押しして、シュンに彼女との情交で童貞を捨てる道を決断させた。
「あ、ん……っ」
力強く、アイネの細い腰に腕を回して強引に抱き寄せる。外れかかっていたガウンを肩から払い落とし、乳房を完全に剥き出しにする。
「すご……っ」
重力に引かれることもないためか、それとも元来から今の姿に近い美しさを保っているのか。
いずれにせよシュンの目の前で露わになったアイネの乳房は、ほぼ完全な半球形を保ったまま、ぷっくりと膨らむ桜色の乳暈から勃起した乳首を尖らせていた。
「はやく……してぇ……」
「…………!!」
彼女と交わる覚悟を固め、その裸身の想像以上の破壊力に息を呑んだところで、そこに来た少女からの催促。
シュン・カーペンター伍長は、そこで一切の理性を喪失した。
「はむっ!!」
「あんっ!!」
獲物に襲いかかる肉食獣の動きで、シュンはアイネの左乳房にむしゃぶりついた。
といってもアイネの乳房は口に含むには大きすぎ、乳暈までが辛うじて収まる程度だ。
だがシュンはそこへ舌を繰り出し、桜色の乳暈を下から頂点へと何度も何度も嘗めあげる。
ちょうど乳暈の径とほぼ等しい唇を使って乳房の尖端付近を締め上げるように揉みしごく。
「あっ! ひううっ!!」
びくびくっ、とアイネが震えた。シュンの肩を掴む少女の指から爪が食い込み、鋭い痛みが走る。
だがシュンは意に介することなく、右乳房を握り潰さんばかりに揉みしだきながら、左の乳暈を徹底的に責め抜く。
「あああああ〜〜〜っ! こんなっ! こんなぁっ! 吸われてるぅ! わたしの、わたしのおっぱいがぁ! おとこのひとに、ちゅーちゅー吸われちゃってるよぉぉ!! きゃんっ!?」
シュンが乳首に歯を立てる。軽く噛まれたアイネは甲高い悲鳴を上げながら身をのけぞるが、彼女の背中に回した右腕が少女の逃亡を許さない。
「ああっ……! すごい! この子のオッパイ! マジで、すごい……っ!」
がしいっ、と正面から思いきり鷲掴みにしようとしても、シュンの掌ではとうてい掴みきれない。それでもシュンは掴んだ右乳房をぐにぐにとこねくり回して、指先で執拗にその乳首を責め抜いていく。
「あっ、ああーーーっ!! きもちいい!! そうやってさきっぽいじめられるの、すんごいきもちいいよおおおぉっ!! 、あっ……?」
そして乳房の愛撫を一通り終え、シュンは唇と左手をそこから離す。
代わりに少女の細い腰を両手でぎゅうっと抱いて、シュンの胸板で二つの乳房を押しつぶさせる。
そして同時に屹立した男根を少女の張りのある腿へ何度も擦り付けながら、濡れそぼった秘所の入り口に押し当てていく。
「い、挿れるよ……!」
「うん……うん……! いいからぁ……! なんでもいいからぁ……ここだよ……はやくぅ……! はやくぅ……あなたのおちんちんで……わたしのなかに、来てぇ……!」
シュンに照準を確認させるように、アイネは自らの秘所を指で大きく広げてみせる。その濡れそぼった肉色の淫靡な洞窟に、シュンはごくりと唾を呑んだ。
ここが、女の子の……!
そしていよいよ本番となったとき、シュンは脳裏で自分自身が避妊具を装着していないことに気づいた。その件に関して、目の前の少女が一切言及していないことも。
このまま二人が性交に及べばまず間違いなく、俗に言うところの『生で中出し』というかたちでフィニッシュを迎えることになるだろう。
アイネの見事に引き締まったよく鍛えられた肉体を見れば、秘所の締まりも相当のものと推察できる。射精に至るまでの衝動を完全にコントロールしきれる自信など、今のシュンにあるはずもなかった。
子供が出来るかもしれない、という警報がシュンの脳裏に鳴り響いたが、熱に浮かされるシュンの中で、それは簡単に吹き消されてしまった。
MSパイロットとして、明日をも知れぬ命なのだ。これほどの美少女を己の子種で妊娠させてしまうなど、むしろ望むところではないか。
息遣いが荒くなる。目の前に迫った童貞喪失に目は血走り、濡れた瞳でその瞬間を待ち望む少女の秘所へと自分自身を導きながら、シュンは少女を部屋の隅へと寄せながら、背中を壁へと押しつけさせる。
――本気で腰を使うなら……彼女には、逃げられない場所にいてもらったほうがいいよな。
そうだ、部屋の角がいい。そこなら何度も激しく腰を叩きつけても、この無重力空間で彼女を反動で逃がさないように追いつめたまま、貫き続けることが出来る。
「ちょっと、動くよ……。来て……」
「えぇ……? まだなの……? まだ、きてくれないの……?」
「もう少しだから……もうちょっとだけ、待ってて……」
互いに立ちながら、シュンはアイネを部屋の隅へと導いていく。
「あっ!?」
「きゃっ――」
だがそのとき、少しずつ床を蹴りながら反作用を得てアイネを角へ導こうとしていたシュンは、足下で滑る何かを踏んづけてバランスを崩す。
そして空中を漂っていたチューブ状の何かが、転ぶシュンと壁の間に挟まれて押し潰された。
「きゃっ!?」
そのチューブから勢いよく噴き出した中身は、溶けかかった白く柔らかな冷たい内容物をアイネの裸の胸へとぶちまけた。
「あっ……ああっ、ご、ごめん!」
「きゃうっ、つっ、冷たっ……! …………、あっ……?」
それは地球連邦宇宙軍からMSパイロットに支給される、官給品のバニラアイスだった。シュンが後で食べようと思って、部屋の冷蔵庫から出しておいたものだ。
その冷たさと香りと味わいが、思考を埋め尽くす劣情の中に霞んでいたアイネの意識に、懐かしい記憶を連れてくる。
かつて親友の少女がただ甘いだけで品がないと称したその冷たさが、ふっと、その親友との懐かしい記憶の一ページを引き連れ、鮮やかによみがえらせていく。
MSパイロット訓練生時代、寂しさを紛らわせるために自室のベッドで自分を慰めていたところをルームメイトのシエルに見られて、そのあと口を利いてもらえなくなった。
そのあと会う度、まるで汚いものでも見るような目を潔癖性の親友から投げかけられるのがあまりにショックで、アイネはその間、一人になる度にこっそり泣いた。
そうして一週間が過ぎる頃、シエルと同じ部屋へ帰れずに訓練機のコクピットで身を丸めて眠っていたとき、アイネは頬に触れる冷たい感触で目を覚ました。
――ほら、アイネ。あなた、こういうの好きでしょ。
ひゃっ、と小さく悲鳴をあげながら避けたアイネの目の前に、無表情のままのシエルが押し当ててきたバニラアイスのチューブ付きパックがあった。
――私はこういう無駄に甘ったるいの、嫌いだから。増加食で渡された分の官品、アイネに処分させようと思って。
――わざわざそのために、私を捜しに来てくれたの?
――うるさいな。食べるの? 食べないの? 要らないなら、このまま捨てるけど。
仏頂面の少女が差し出すバニラアイスをおずおずと受け取りながら、アイネも懐から何かを取り出す。
――あ、あの……これ……
――何? ……ブラックコーヒー?
――シエル、こういうの好きでしょ? あの、私……シエルと……シエルと、仲直りしたかったから……!
――あなたね……これ、懐でずっと持ってたの? アイネの人肌になっちゃってるじゃない。飲めたもんじゃない。
――あ、あうう……
――行こう、アイネ。部屋で温めなおさないと、こんなのとても飲めないよ。
ぽん、とアイネの肩を叩いて、シエルは元来た方へ身体を回す。その間もメガネ越しの視線と、空いた左手はアイネの方へ向いたままで、アイネは自然にその手を取っていた。
二人の少女が無言のまま、互いの瞳と掌の温もりを通わせあっていた時間がいったいどれぐらいだったのか、アイネは知らない。
ほんの数秒だったと言われればそうかと思うし、あれが永遠というものだったのだと言われても、やはりそうかと納得しただろう。
いずれにせよその時間の終わりに、メガネが曇るのではないかと思うぐらい、大きなため息をシエルは吐いた。
――まったく、もう。一人でああいう不潔なことをするのは、別にいいんだけれど。今度からは、もう少し……私に分からないようにしなさい。
そのとき、嬉しくてアイネは泣いた。
泣きながらシエルの小さな身体を自分の胸に抱きしめて、メガネを掛けたままの顔を柔らかな乳房へ思い切り埋めた。
危うく窒息死するところだったと、解放した後で思いきり抗議されたが、アイネは今度は身を屈めてシエルを抱きしめ、頬を思いきり擦り付けた。
それ以来、アイネは自分で自分を慰めることはしていない。
「…………!!」
アイスクリームが運んできた記憶の洪水を浴びた後では、情欲の興奮は一気に流れ去っていた。
その後に残っていたのは、いつも通りの内気で性に臆病な少女、アイネ・クライネだけだ。
そして目の前の少年は、バニラアイスの白濁にまみれた美少女の裸身に、いっそう欲望を高めてにじり寄ってくる。
女性的とも言える容貌の少年から注がれる『雄』が『雌』を見る目に、冷めたアイネは本能的な恐怖を感じて身を竦ませた。
(す、すごい興奮……やだ……この子、目が普通じゃない……怖いよ……私、犯されちゃうんだ……。
あの異形の怪物みたいに勃起した、大きくて堅いおちんちんでこの子にレイプされて、最後の最後まで無理矢理されて、むちゃくちゃに壊されちゃうんだ……!)
「いや……」
「えっ……?」
アイネへの挿入に向け、自らの右手で助走を付けさせるように男根をしごきあげていたシュンが、アイネから漏れたか細い悲鳴を理解できずに顔を上げる。
「いや……おねがい……やめて……。あなたのおちんちん、私の中に、挿れないで……イヤなの……入って、こないで……!」
「挿れないで、って……え、えええええ!? そんな! ここまで来ておいて……さんざん君から誘っておいて……どうして、急に今さら!?」
突然のアイネからの懇願に、シュンは困惑とともに怒気を吐き出す。
そうだ。ここまで一方的に自分から仕掛けておいて、いざ本番というときにイヤだと言い出すなんて、あまりにも卑怯ではないか。
だがアイネは身をよじり、涙ながらにシュンへ哀願する。
「ご、ごめんなさい! でも、さっきまでの私は変だったの! 理由は分からないけど、普通じゃなかったの! いつもの私なら、あんなすごいこと絶対にしないの! だから……だから、もう許してぇ!」
「な、何を、言って……!? 君! そんなの! 勝手な理屈だよっ!!」
シュンは詰め寄って腰を進め、アイネの秘所に自身の男根を突きつけた。だがアイネはきゅっと両足を閉じ、あくまでシュンの欲望を拒否しようとする。
だが少女の身体には、まるで力が入らない。
意識は元に戻ったのに、まだ身体の方が付いてきていないのだ。これでは、まともな抵抗など出来はしない。
「いやっ! わたし、わたし初めてなの! まだ男の人とはキスしたこともないの! 初めてが……はじめてがこんなのなんて、バージンをこんなふうになくしちゃうのなんて、イヤなの……ごめんなさい、でも、どうしても、イヤなの……!」
「君の方から逆レイプみたいに、あんなにいやらしく誘ってきておいて……!
実はまだ処女だって? キスしたこともないって? フェラチオは一生懸命、あんなにおいしそうにしてくれたのに?」
「本当なの……。おねがい、信じて……」
今までと一転し、おびえきった涙目で犯さないでと哀願する少女。
その可憐な抵抗を踏みにじって彼女を犯すという行為にサディスティックな雄の悦びを意識して、シュンは身体ごと腰を押し進める。
「そう……。でも……関係ないね!」
「えっ!?」
けなげな抵抗の証として、少女が必死に閉じようとしている両足が、シュンが進める腰で無情に、そして強引に押し開かれていく。
凌辱の興奮でいっそう堅さを増した肉棒はグロテスクに、本人の意志に反してまだ濡れそぼったままのアイネの秘所へ迫っていく。
「いやっ! いやあああああぁっ!!」
肉棒の挿入とアイネの破瓜、シュンの童貞卒業は、もう完全に時間の問題だった。
「ああっ、いやあぁぁ……! こんなの、こんなの……っ! たすけてぇ……シエル……ハヤカワ准尉ぃ……!」
「悪く思わないでくれよな! 君が……っ、君が最初に誘ったんだ……僕を誘惑したんだっ……!」
もうこのままシュンに犯されるしかない絶体絶命の少女が泣き叫んだ名前のうち、シエルという人物に心当たりはないが、なぜ彼の小隊長らしき名前など呼ぶのだろう? とシュンは一瞬疑問を抱いた。
疑問を抱きはしたが、もはや子孫繁栄のために遺伝子へ本能レベルで刻みつけられた欲望に突き動かされるだけのシュンには、その腰の動きを止める理由など何一つ無い。
「ごめん……ごめんなさい、シエル……私やっぱり、あなたが思うような、あなたの友達になれるような女の子じゃなかったよ……。
ほんとの私はただの下品でいやらしい、えっちな欲望に流されるだけの不潔な女だったよう……」
少女はもはやこれ以上の抵抗によるレイプ回避を完全にあきらめたようで、迫り来る合体の瞬間から顔を背けながら涙に潤んだ遠い目で、シュンには意味の分からない独り言を呟くだけになっていた。
だがここまで来たら、もうそんな少女とでもいい。肉棒の切っ先が、ついに少女の膣口に触れた。
あと一押しで、すべてが終わる。
童貞卒業へ万感の思いを込めて、少女へでもなく、といって自分自身へでもなく、シュンは最後の一押し前に言葉を吐き出す。
「あああああっ……! イク……っ、イクよ……っ!!」
「カーペンター伍長。どこへ行くつもりなんだ?」
「…………?」
まさにその瞬間に耳元で聞こえた、聞き間違えるはずのない女性の声。
そんな。
まさか。
シュンが振り向いた先に、直属上官の氷のように冷たい美貌があった。
本番まで行きませんでしたが、今夜はここまでです。
次回、シュン君の運命やいかに。
GJ!
シュン君可哀想・・・
「……小隊長……?」
「あっ……、ハヤカワ、准尉ぃ……」
今にもシュンの剛棒に秘所を貫かれんとしていた少女が、完全に硬直した少年の腕と腰から、転げるようにして逃れてくる。
全裸の少女は必死に体勢を立て直すとそのまま、ストレートロングの黒髪が美しい軍服姿の女性MS小隊長の胸へとまっすぐに飛び込んだ。
「こわかった……こわかったですっ! わたしっ、わたしもう少しで最後まで、この人に襲われて無理矢理……っ!」
「大丈夫だ。もう大丈夫だ、クライネ伍長」
「うぐっ……えぐっ……こわかった……こわかったです……っ」
「…………」
少女の顔に飛び散ったままのシュンの精液、胸のアイスクリームが軍服を汚すのも構わず、マコトは嗚咽する全裸の美少女を優しく抱擁しながら頭をかき抱き、その髪を撫でてやる。
そしてそんな二人を前にしているシュン・カーペンター伍長はといえば、スラックスを下ろしていきり立ったままの下半身を露わにしたまま、ただ呆然と目前の事態を見守るばかりだ。
この状況……今この瞬間だけを切り取って見せられたならば、完全に、自分が性犯罪者扱いなのでは。
いやむしろ、それ以外の何に見えるというのだろうか?
確かにトラキアMS隊長マコト・ハヤカワ准尉は、ただ単純なMS操縦技術やMS小隊の指揮能力だけでなく、部下に対して公平かつ公正に配慮してきたことでも知られている。
だが同時に、ハヤカワ准尉はやはり女性である。
女性であるハヤカワ准尉が、この光景を前にして――おそらく、男性である自分が一方的にこの少女を暴行しようとしていたようにしか見えないだろうこれを見て、果たして『公平で公正な』判断など下せるものだろうか?
「あ、ああ……っ、あああああ……!!」
いつも通りの凛々しくも厳しい表情の小隊長が証人席に立つ軍事法廷に、よりにもよって性犯罪案件で召喚される自分。
そんな情景をいやに鮮明に想像して、シュンはその場で床へ崩れ落ちた。
少年のその無様な姿を見下ろしながら、アイネはすがりつくようにマコトへ涙声で訴える。
「ハヤカワ准尉、この人はケダモノですっ! やめて、やめてって私は何度も訴えたのに……この人はまるで聞いてくれずに、私のことを力ずくで押さえつけて……無理矢理に辱めようと……!
准尉が助けに来てくださらなかったら、私……今頃……今頃……っ!」
しかもすでに、『被害者』側のストーリーが出来上がっている。それもまったくの嘘ではなく、その部分だけを取り出してみれば確かに真実なのが質が悪い。
――ああ、そうか。
そこでシュンは一人納得する。
この少女は最初から、痴女でもコールガールでもなかったのだ。
どこかの邪悪な誰かが自分に一瞬だけの天国を味わわせ、その直後に永遠に奈落の底まで突き落とすために遣わしたサキュバス、悪魔の美人局だったのだ……。
ハヤカワ准尉の肩へ頭を埋める少女の潤んだ瞳に、シュンは邪悪な光と悪魔の羽根をを幻視する。
しかしハヤカワ准尉は大きく息を吐くと、いつも通りの落ち着き払った調子でその場の二人へ宣言した。
「そうだな。この際だから、まず最初にお互い紹介しておこう。
クライネ伍長。彼は私の部下でトラキアMS小隊GMU25のパイロット、シュン・カーペンター伍長だ。
カーペンター伍長。彼女はアバリスMS小隊の生き残り、アイネ・クライネ伍長だ」
「……シュン・カーペンター伍長……」
「……アイネ・クライネ伍長……」
アイネ・クライネ伍長? アバリスMS隊? 痴女でもコールガールでも美人局でもなくて、いややっぱりそれと兼務で、あの全滅した部隊の生き残り?
シュンは相変わらず混乱したままで、アイネは無防備な格好で男性と同じ部屋にいる事実に耐えられず、二人は互いに官姓名を呼び合いながらも今さら挨拶を交わすでもなく、目を合わせようともしない。
「まだ皆には知らせていなかったが、先ほどの出撃後、私は撃墜されたMSから脱出して漂流するクライネ伍長を発見し、機内に収容して帰還した。
クライネ伍長機は脱出ポッドが破損したのか、伍長は身体一つで意識を失いながら宇宙を漂流していた。そのノーマルスーツにさえ破損部位があって、あのままでは危ないところだった。
だから伍長にはまだ、意識がはっきりしないところがあるのだろう」
「そうだったんですか……?」
――そうか。脱出ポッドも壊れて、ノーマルスーツにまでダメージを受けて漂流していたから……それで私はノーマルスーツも着ずに裸で、拾ってくれたハヤカワ准尉の部屋にいたんだ。
自分自身も初耳という調子で言うアイネの声を聞きながら、シュンは彼女が仕掛けてきた異常な誘惑と、その後の顛末の背景について想像する。
――宇宙漂流か。ひょっとしてこの子、酸欠か何かだったのか? 危ないな……さっきの痴女そのものとしか思えない誘惑も、それが原因だったのだろうか。
だが少なくとも、彼女――アイネ・クライネ伍長という同じ連邦軍人らしいこの少女は、その途中から正気に返ったように見えた。
本当に酸素欠乏症で脳細胞が死んだのなら、時間が経ってから調子が戻ってくるなどということもないのではなかろうか? よく分からないが。
「さて、クライネ伍長。最初にカーペンター伍長を誘ったのは、君からだな?」
「!?」
二人が同時に目を見開く。
最後に突然現れたハヤカワ准尉は、事の「途中経過」を見ていないはずだ。にも関わらず、事態の端緒を見てきたかのように言い当てた彼女に、二人はそれぞれに激しく反応する。
「そうです小隊長っ! 僕が廊下に出ようとしたとき、乱れた薄着の彼女がいきなり飛びついてきて……そのままスラックスを下ろされて、彼女の方から積極的にリードしてきたんです!」
「ひ、ひどいですハヤカワ准尉! 誘った、って……そうかもしれないですけど……で、でも、そんな……っ!」
アイネはその凶暴な男性器を直視できず、頬を染めながらうつむいて視線を逸らすが、同時に視界の端にそれを捉えつづけてもいた。
「とにかく、そういう次第だ。カーペンター伍長。君がここで彼女に関して見たことは、これ以降一切口外無用とする。クライネ伍長もだ。
互いの名誉のために、この件はこれにて手打ちとし、一切口外しない。二人とも、それでいいな」
「は……はい……!」
念を押されて、アイネはマコトへいっそう熱い視線を送りながら頷き、シュンも虚空を力なく漂いながら、弱々しく頷く。
「やれやれ、だな」
二人に背中を向けると、マコトはひどく疲れたようにそっと呟いた。
※申し訳ありません、
>>439は投稿ミスです。無視して
>>438の次は下から読んでください。
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自分自身の行為を信じられずに感情だけで否定するアイネに、マコトは淡々と事実だけを申しつけた。
「クライネ伍長。私は君に、部屋で待っているよう言いつけたはずだな?」
「あ……っ、は、はい!」
確かにそうだ。自分は部屋で待つように言いつけられた。
だが、身体の内側からわき上がる異様な熱に抗うことが出来ず、自分では治めることの出来ないそれを鎮めてくれる誰かを求めて、アイネは部屋からさまよい出たのだ。
「あれだけの事態の後だ。君がひどく混乱していたのは理解できる――理解できるが、君はもう少し、艦上勤務における女性としての自分のあり方を考えた方がいい。
君のように魅力的な容姿の妙齢の女性が、素肌にガウン一枚きりなどという無防備な薄着のまま艦内を出歩くなど、不特定多数の男性を誘惑していると見られかねない。
服務事故を自分から呼び込んでいるようなものだ」
「うっ……!」
淡々とアイネの非を諭しつつも、力強く寄り添いながら自身の事情を思慮するマコトの声に、少女はついに折れて素直にそれを受け入れた。
「ハヤカワ、准尉……も、……申し訳ありませんでした!」
「小隊長……!」
改めて恥辱に震える少女のそれとは異なる種類の熱い涙を浮かべて見つめてくる部下に、マコトは淡々と言う。
「自分の部下のことぐらい、私は普段から掌握しているということだ。
カーペンター伍長に、最初から無抵抗の女性を一方的に暴行して辱めようとするような攻撃性はない」
「あっ……ありがとうございますッ!!」
やはりマコト・ハヤカワ准尉は、公正かつ公平な理想の小隊長だった。
危うく強姦未遂事件の容疑者として貼り付けられるところだったレッテルを引き剥がされ、もう一生ついて行きますとでも言わんばかりの熱い視線で見つめるシュンに、マコトは冷たく呟いた。
「そして、カーペンター伍長」
「はっ?」
少女の方から誘いをかけてきた、という決定的な重要事項が証明され、完全に安心しきっていたシュンを、上官からの厳しい視線が射すくめた。
その一転して怒気に満ちた上官の視線が、未だ堅く勃起したままの裸の肉棒に吸いついていることに気づいて、シュンの尻穴にきゅっと締まるような切ない感覚が走る。
「……カーペンター伍長。君は、彼女と……避妊具も付けずに、情交するつもりだったのか?」
「はっ……? ……あ。い、いいえ……その……っ……」
下半身裸のままで白濁液まみれの全裸の美少女ににじり寄り、彼女に抵抗されながらも強引に挿入しようとしていた現場までを、この女性小隊長に押さえられてしまっている。
そしてその肝心の証拠物件は今この瞬間も、小隊長の眼前でその生まれたままの威容を屹立させているのだ。
もはや一切の弁明は逆効果と悟り、観念したシュンは開き直って宣言した。
「は、はい小隊長! 自分は彼女とっ、生で本番しようとしていましたァ!」
「そうか。よく分かった」
打撃音が部屋に響いた。
先ほどアイネが食らったものとは訳が違う、本格的で強烈すぎる一撃だった。
この無重力空間でいったい何をどうすればここまでの打撃力が生み出せるのか見当も付かない、冗談のような破壊力。
とにかくマコトに打たれてシュンは大きく回転しながら吹っ飛び、壁に叩きつけられて肺の空気をすべて吐き出した。
これを受けたのがシュンのように細身の少年でなく、鍛え上げられた屈強な大男でもとうてい耐えられなかったのではないかと思えるほどだ。
「カーペンター伍長、地球連邦軍人にあるまじき杜撰な性観念だ。無計画すぎる。よって修正する」
冷たく言い渡すマコトとアイネの眼前を、未だに股間をいきり立たせたままのシュンの下半身が流れていく。
「うあ……」
アイネはその凶暴な男性器を直視できず、頬を染めながらうつむいて視線を逸らすが、同時に視界の端にそれを捉えつづけてもいた。
「とにかく、そういう次第だ。カーペンター伍長。君がここで彼女に関して見たことは、これ以降一切口外無用とする。クライネ伍長もだ。
互いの名誉のために、この件はこれにて手打ちとし、一切口外しない。二人とも、それでいいな」
「は……はい……!」
念を押されて、アイネはマコトへいっそう熱い視線を送りながら頷き、シュンも虚空を力なく漂いながら、弱々しく頷く。
「やれやれ、だな」
二人に背中を向けると、マコトはひどく疲れたようにそっと呟いた。
申し訳ありません、
>>439は投稿ミスです。
飛ばして読んでいただくようお願いします。
シュン君の人生は終了したのか始まったのか……
GJ!
GJ!
ヒロイン清純派どころか腹黒だったW
「大ジオン仏道、……だと?」
「はい、艦長。アバリスを襲ったジオン残党のMSパイロットは、接触回線で確かにそのように言っていました」
サラミス改級宇宙巡洋艦トラキア、艦長室。
右後ろに控えるマコト・ハヤカワ准尉の気配を感じながら、軍服に着替えたアイネ・クライネ伍長は緊張の面持ちで執務机の青年艦長に相対していた。
リドリー・フランクス大尉と名乗った青年艦長は鷹揚な態度で掛けながら、伊達な口髭を弄んでいる。
「大ジオン仏道か……確か、前にも報告があったな? ゲルググ三機編隊で活動する残党勢力だ。
人間にビームを直撃させて殺すのが人道的ないい殺し方だのどうだのと訳の分からん理屈をこねて、今までも何度か友軍や民間船舶が襲われている。
おつむの具合の方はどうなってるのか分からんが、とにかく腕だけは立つようで、友軍や民間警備会社のMSがかなり撃墜されてるな、パイロットごと。
フム、クライネ伍長。そんなおかしい連中に襲われて、よく無事でいてくれた」
「はい。力及びませんでしたが、自分は悪運が強かったのだと思います。捕虜さえ即座に殺そうとする悪辣な連中相手に、自分の脱出だけが無事に出来てしまったようで……。
次にまみえる機会があれば、必ず一矢報いてみせます!」
「気合いは十分のようだ。嬉しいな、クライネ伍長」
労うように声をかけるフランクス大尉に、アイネは凛と闘志を前面に出して応える。艦長は満足そうに頷いた。
「生きているというのは、実に尊いものだよ。人は生きている限り、そして意志ある限り戦い続けることが出来る。それは敵にとって、もっとも恐ろしいことだ――なあ、マコト?」
「同意します」
親しげにファーストネームでMS隊長を呼ぶ艦長に、アイネは目を白黒させてマコトに横目をやる。だが当のマコトは当たり前のように落ち着き払った態度のまま、そっけなく一言答えただけだった。
「クライネ伍長。マコトとはもう話したか?」
「はっ。少しだけ……」
「こいつはいい女だろう?」
「はっ!?」
立て続けに来た意味ありげな言葉がどういう意味か全く理解できずに戸惑うアイネに、フランクスは笑って続けた。
「マコトはな、一年戦争からの大ベテランなんだよ。
年を誤魔化してジュニアハイ中退で入隊したボール乗りから始まって、GMに乗り換えてソロモンとア・バオア・クーにも参加してる――ずうっと、この艦と一緒にな。
ルナツー冬の時代に新品少尉でいきなりトラキア艦長にでっち上げられた俺は、ずいぶんこいつに助けられたもんさ」
「リドリー、それはお互い様ですね」
「まあな。だが実際のところを言うと、俺のがちょっと貸しが多いんだが」
「いや私でしょう」
「いいや俺だね」
確かに慇懃無礼に言うマコトと笑うフランクスの間には、気の置けない空気があった。
7年前に終結した人類史上最大最悪の大戦、一年戦争。
その当時からともに実戦をくぐり抜けてきた艦長とMSパイロットの、階級を越えた戦友の絆をそこに感じて、アイネは息を吐きながら二人を見つめる。
そしてアイネは同時に、マコトにも今までと少し違った視線を向けた。
初めて会ったときから、マコトには年齢不詳のきらいがあった。
シャワー室で目にした美しい裸身はみずみずしく、実は18歳の自分とそう年が変わらないのではないか、とも思えた。
その一方で落ち着き払った凛々しい挙動のひとつひとつには熟練した軍人の経験値が宿っているようで、それがマコトをずっと年上の大人にも思わせたのだ。
しかしマコトが一年戦争中に学徒兵だったとなると、アイネとの年齢差はやはりごく小さいということになる。
「……お姉さま……」
「?」
「ん? クライネ伍長、なにか言ったか?」
「えっ? い、いいえ何でもありません!」
思わず惚けたように口をついて出てしまった言葉を、アイネは赤面しながら慌ててかき消そうとする。
幸いそれ以上の追及は受けず、フランクスは椅子に深くもたれかかりながら手元の端末を操作する。
「しかし、大ジオン仏道――アバリスか。サラミスまで沈められたとなると、こいつはさすがに大事になる」
画面に当該事項らしきファイルを開きながら、気だるい調子でフランクスが言う。
「クライネ伍長。君も知っての通り我が軍、我が艦隊は必ずしも余裕のある任務体制を敷いてはおらん。
航路哨戒と港湾警備を中心に、各種の訓練、整備やその他命ぜられた事項――艦隊の限られた戦力では、満足なローテーションを組むにも不自由していたというのが実状だ。
実は本艦もここ最近はな、ろくに上陸も出来ていなかった。ここでその、余裕のない一角を担っていたアバリスが沈められたとなると――さすがに、すべてが厳しくなってくる」
長期間に渡って艦内に押し込められ続けることになる、宇宙での艦上勤務は厳しい。それが重力ブロックを有さないサラミス改級ならなおさらのことだ。
すでに宇宙世紀は87年を数え、その過程で旧世紀には想像すら出来なかっただろう劇的な新技術が無数に実用化されてきた。
だがやはり根本的に、人間は無重力で生活し続けられるようには出来ていない。だから人類は宇宙での生活の場として、自らの回転で重力を生む人工の大地、スペースコロニーを建造したのだ。
そこで満足な休養を取ることが出来ていないトラキア乗員のストレスは、実はもうかなりのレベルに達しているのかもしれない。
生粋のスペースノイドではあっても、まだ宇宙艦での勤務に慣れていないアイネは、そうした船乗りの苦労を知識と伝聞から想像するしかない。
しかしそんな彼女でも、今のような状況が積み重なっていけば、いずれ艦隊そのものの運用が破綻しかねないというところには思い至ることが出来た。
「で要するに、俺が何を言いたいというかと――だ。クライネ伍長。君が欲しい」
「はっ……へああっ!?」
艦長からの突然の言葉に、アイネは思わず泡食いながら後ろに下がってマコトに背中を支えられた。
ど、どうしよう。アバリスMS隊のときのように、自分はまた地位と職権を濫用したセクハラを受けるのだろうか? 愛人?
いや、むしろ今までの話の流れからすると、上陸出来ない男性乗員たちの鬱積した肉欲を一手に引き受ける性処理係とか?
自分の部屋の前に血走った目で長蛇の列を作る、女に飢えた男たちの群れ。
先ほど異様な熱に浮かされながら腔内に放たれた、雄臭いどろどろの白濁液。あれを全身に塗りたくられたまま、覆い被さってくる男に犯されて乳房を揺らしながら虚ろな瞳で天井のしみを数える自分の姿までを想像して、気が遠くなりかけたアイネは涙目で拒絶しようとした。
「俺の読みでは、そろそろ堪忍袋の緒が切れた艦隊司令部が、でかい花火を打ち上げようとする頃合いだ」
「暗礁宙域の掃討作戦が実施されると?」
「……?」
だがフランクスはアイネの挙動不審を気にする様子もないまま話を続け、それにマコトが聞き返す。
「ああ。ここ当分の艦隊任務区域でのジオン残党からの被害は馬鹿にならん。
このまま平常営業で護衛や哨戒、警備を地道に続けるより、こちらから殴り込みを掛ける時期だと、そろそろ上も考える頃合いだろう。
そうなればまず間違いなく、このトラキアも投入される――その前に少しでも多くの戦力を備えておきたい。
そこで、だ。クライネ伍長。いま君の身分は原隊全滅のため本艦預かりということになっているが、俺の権限で、君をこのまま本艦のMS隊に編入する。すでにMSも手配した。次の補給で届くはずだ」
「!」
「リドリー、……相変わらず手が早いですね」
「当たり前だ。MS操縦適性を見いだされ、なおかつ正規の訓練課程を修了したパイロットだぞ。そのうえ例の『大ジオン仏道』相手の実戦経験者と来てる。
クライネ伍長、君は貴重な人材なんだよ。俺はどうしても君が欲しい。この話、受けてくれるな?」
艦長とはその艦における最高責任者であり、絶対の権力者である。だがフランクスはあくまでもアイネに同意を求めた。
「『大ジオン仏道』と、また……戦うことになるのでしょうか?」
「おそらく、な。心配しなくていい。こちらにはマコトがいる。君も奴らの手の内を知っている。次は、負けんよ」
『大ジオン仏道』との再戦。自分を撃墜し、原隊を全滅させた相手ともう一度、今度は本当に心から尊敬できる上官――ハヤカワ准尉の指揮下で戦うことが出来る。
その未来図は、アイネを強く奮い立たせた。姿勢を正し、敬礼する。
「はい、艦長! アイネ・クライネ伍長、未熟者ではありますが、力の限りを尽くさせていただきます」
「いい目だ。そして、いい返事だ。トラキアは人も艦も古い――古い艦だが、古いなりの良さもある。よろしく頼むぞ、クライネ伍長」
満足げに笑って答礼したフランクスはそこで椅子を回し、今度はマコトに向き直った。
「さて……となると、5機編成になるわけだが。マコト、行けるか?」
「ガルノフに小隊長を任せるにはまだ早いですからね。5機で小隊を組むのは一年戦争以来ですが、やってみます」
MS運用の黎明期だった一年戦争中、地球連邦軍は様々な形態でMS部隊を運用した。
蓄積された実戦経験や戦技教導団などでの研究、各部隊での試行錯誤が繰り返された末、現在の地球連邦軍でもっとも運用効率が高いとされているのが1個小隊3機の編成である。
だがこれも、実際には理想通りにいかないことが多い。
物資の補給やMSとパイロットの充足状況、艦載機部隊ならばさらに格納庫の都合もあり、3で割り切れる定数で実働機の数が揃うことのほうがむしろ希なのだった。
「トラキアの格納庫に5機は入りませんから、1機は露天係留ですね。整備ともよく話しておきます。
まあ当座の編成は、訓練と実働で煮詰めていくとして――この際、早いところ士官級のパイロットも寄越してほしいものですが」
現在のトラキアMS隊は隊長である准尉のマコト以下、下士官のみで編成されている。これはトラキアMS隊には、正規の士官教育を受けた人間が誰もいないという事を意味している。
ここにあと一人尉官級のパイロットとその機体が配属されれば、トラキアMS隊は晴れて2個小隊6機編成となり、マコトはその第二小隊長となって肩の荷のかなりの部分を降ろせるだろう。
准尉のマコトが巡洋艦の艦載MS隊長を務めているトラキアは、異例の存在なのである。
「そんな目で見てくれるなよ。俺も要求は上げているんだが、何しろ練度のいいパイロットは引く手あまたでな、なかなかここまで回ってこない。
おおかたマコトの勇名にビビる奴が多くてトラキアは敬遠されてるんじゃないか、って言ってる奴もいるぜ」
「冗談でしょう。単に古株というだけのことで、私はエースですらないのに」
「ご謙遜だな。まあいい――マコト、まだもうしばらくはトラキアMS隊をよろしく頼む。ああ、あと、それから」
そして鼻の頭を掻きながら明後日の方に視線を投げて、話の最後へ付け足すようにフランクスが言った。
「次の補給で、被服の交付も依頼しておいた。クライネ伍長の衣類一式、もうしばらくはマコトの借り物で我慢してくれ」
「えっ……あ、は、はいっ!」
話の流れが急に自分へ戻ってきて、アイネは思い出したように蘇ってきた羞恥で、頬を真っ赤に染めあげた。
アイネがいま身につけている地球連邦軍の軍服は、マコトから借りて階級章だけを付け替えたものだ。
アイネとマコトの身長はほぼ同じで、ウェストも互いに細身で似通っている。
唯一の問題が、あまりに大きすぎるアイネのバストだった。
マコトの胸も、世間一般の基準からすれば十分豊かな部類に入る。
だがアイネのバストサイズはそれより優に十センチ以上は上回っており、つまりはそれだけの差が、軍服の胸を押し潰された乳房の形に突っ張らせてしまっているのだった。
下端も大きく引きずり上げられている。辛うじて腰を締めるベルトの下に裾が残ったため、白い腹やへそが露出してしまう事態は防いでいるが、その下に着ているタンクトップは乳房の下までしか届いていない。
しかも現在、アイネはその乳房を下着に包んでいない。
聞けば自分を救助して破損したノーマルスーツを脱がせた際、手違いと混乱で、出撃前に身につけていたスポーツブラジャーは破棄されてしまったというのだ。
代わりにマコトは私物の衣類を提供してくれたが、ちゃんとしたカップのあるマコトのブラジャーは、まったくサイズが合わなかった。
だから地球連邦軍制式ジャケット一枚の下にアイネは、やはりマコトから借りたタンクトップと、ニプレス代わりにビキニ水着のトップスを一枚身に着けているだけだ。
だがそれも、マコトの胸ならばちょうど左右の乳房全体を美しく包み込む事が出来ていただろうビキニトップも、アイネの爆乳が相手では包むというより何とか乳首周辺に当て布している、と言った方が正しいような有様だった。
(こ、このビキニがもし、おっぱいの先っぽからちょっとでもズレちゃったら……タンクトップもジャケットも直接突き上げられて、私の乳首がどこにあるのか、会う人みんなにバレちゃうよ……)
サイズが合わず、ぴっちりと肌に張り付いてしまうきつい衣服を身につけている今、アイネのぷっくりと膨らんだ乳暈とその頂点の所在を覆い隠す最後の砦が、クッションのような厚手の布地を持つビキニトップだ。
背中に回る頼りない紐を結んだだけだが、ジャケットやタンクトップと乳房がせめぎ合う圧力のためにそう簡単にズレることはないはずだ。
それでも今まで鎧のようなフルカップブラジャーや、あらゆる揺れからサポートしてくれるスポーツブラジャーをバストケアに愛用してきたアイネにしてみれば、ひどく心許なく思えてしまうのだった。
アイネは張りつめた布地を突き上げている左右の頂の位置と存在を外から悟られないよう、必死に祈るしかなかった。
(しゅ、羞恥プレイだよ、これ……)
間違いなく何恥じるところのない地球連邦軍制式の服装なのに、アイネは正直、この格好で男性の前には一秒たりともいたくない。
後ろで見守っていてくれるマコトの存在がなかったら、アイネは恥ずかしさのあまり死んでいたかもしれなかった。
(で、でもこれ……ハヤカワ准尉の水着、なんだよね。あんなに凛々しい美人なのに、けっこう大胆な水着着るんだな……。だけどハヤカワ准尉は裸もきれいだし、きっと、すごく似合うよね……。見てみたいな、ハヤカワ准尉の水着姿……。
……ハヤカワ准尉のおっぱいも、この水着の下に直接包んだことがあるのかな……)
そう考えると、その頼りない水着がとても愛おしい存在に思えてきてくる。
アイネは水着のポジションを確かめるように二つのバストを十指に包むと、下からゆさり、と持ち上げてみた。
「お、おほん……」
「あっ……」
艦長の咳払いでアイネははっと、自分が男性の目前で乳房を強調して誘惑するような動作をしてしまっていたことに気づく。
「も、申し訳ありませんでしたっ!!」
「い、いや……いいんだ別に。別に、いいんだ……」
青くなって謝罪するアイネに、フランクスがいかにも気まずい表情で片手を振る。マコトがそこで切り上げた。
「気をつけ。では艦長、失礼します」
「ン……。ではハヤカワ准尉、よろしく頼むな」
敬礼を交わしあい、二人は艦長室を出る。
アイネは最後にやらかした失態でまた赤面していたが、マコトは特に気にする様子もなく、淡々と彼女に命じた。
「さて、クライネ伍長。これで伍長は私の部下になったわけだ。済まないが準備が整うまでの当分の間は、私の部屋で生活するように」
「あ、ありがとうございます! 準備が整うまでと言わず、もうずっと准尉の……いえ、小隊長のお側にいさせてください!」
部屋の話をした途端にぱっと表情を輝かせ、手を取りながら熱い瞳で覗き込んでくる新たな部下に、マコトはいつもの冷静さで対処するだけだった。
「生活物資や装備など、不足があれば何でも言ってくれ。可能な限り便宜を図る」
「はい! ありがとうございます!」
ハヤカワ准尉と、二人での生活。それを思うだけでアイネの胸は躍り、心ははやる。
各種の手続きを終えて、酒保で下着や生活用品を揃えたら、ハヤカワ准尉が好きなお菓子と飲み物を買ってこよう。ベッドはどうしよう。また一緒にシャワーを浴びられるかな。小隊長のお背中流します、なんて……。
「さて。次はこれから君が所属することになる、私のMS小隊との面通しだ。私の予備を貸すから、パイロットスーツで20分後にMSデッキへ集合。クライネ伍長、いいな?」
「……あっ」
すっかり忘れていた。
胸周りを改装していたアイネのパイロットスーツも、今まで着ていたものはもう破棄されてしまっていたのだった。
アイネはまた、胸のサイズが合わないマコトのパイロットスーツを着ることになるのだ――今度はおそらく男性が多いであろう新たな同僚たちの前で。
そしてそこにはあの、正体不明の性衝動を受けてこちらから押し倒した挙げ句、その熱が冷めた後に犯されそうになるという最悪の出会い方をした、シュン・カーペンター伍長もいるのだ。
「…………」
浮ついていた心が急に萎んでいくのを、アイネは感じていた。
腹黒なヒロインって誰のことでしょう?
大ジオン仏道のエレイン信女とフローラ信女はとってもいい子たちですよ!
ある程度軌道に乗ってきた感じがしますので、そのうち、ちょっとしたプチ用語集と登場人物紹介を作ろうかと思います。
GJ!
あわや強姦魔にされるところだったシュン君が
トラウマからゲイに目覚めないよう祈ってますW
アイネにはそっちの気があるようですが。
乙!
大ジオン仏道W
ぜひムーン・ムーンで光族と対決してください。
■3行で分かる! フェニックステイルのあらすじ
時はUC0087、宇宙の片隅のサラミス改でGMUに乗る地球連邦軍の爆乳美少女パイロットが、いろいろ大変なことになるお話。
地味な量産MSや艦船しか出てこないわりに、ビームで直撃された女の子がパイロットスーツを焼かれてストリップした挙げ句にピンシャンしたまま淫乱痴女化したりと、話の筋は無茶苦茶です。
話が運良く続けば、そのうち大ジオン仏道以外のジオン残党とかエゥーゴとかティターンズとかジオン共和国軍とかアクシズとか、いろんな人たちが出てくると思います。
■これまでの各話のちょっと詳しいあらすじ
○第一話
サラミス改級巡洋艦アバリスに配属された新任MSパイロットの少女、アイネ・クライネ伍長はその可憐な容姿と爆乳に目を付けられ、小隊長や先輩パイロットたちから任務中に凌辱されそうになる。
だがそのとき、大ジオン仏道を名乗る凶悪なジオン残党がゲルググ3機で襲来。奇襲されたGMU4機のMS隊は壊滅し、アバリスも撃沈される。アイネも奮闘むなしく撃墜され、乗機のコクピットをビームナギナタで貫通される。
ビームの中でパイロットスーツを蒸発させられ、裸身に剥かれるアイネ。GMUは爆散して消滅する。アバリス隊を全滅させた大ジオン仏道は撤退し、入れ替わりに連邦軍の救援隊が到着した。
○第二話
ビームの直撃を全身に受けたはずなのに、なぜか無傷で生きていたアイネは、サラミス改級巡洋艦トラキアに救助されていた。シャワールームで目覚めたアイネは黒髪の東洋系美女、マコト・ハヤカワ准尉に自分が助けられたことを知る。
マコトはアイネ救助の経緯はぼかして伝えながらも、みじめな敗北に傷つくアイネを厳しくも優しく諭し、アイネもそれを受け入れて立ち直りはじめる。
だがアイネはマコトが急用で去った後、正体不明の強烈な性衝動に襲われてしまう。体がどうしようもなく男の肉体を欲してしまい、マコトの指示を破って部屋から彷徨い出たアイネは廊下で最初に目に付いたMSパイロットの少年、シュン・カーペンター伍長に襲いかかる。
アイネの妖艶な美貌と肉体の魅力に圧倒されたシュンは、自室で彼女との行為に及ぼうとするが、その途中で誤って冷たいアイスクリームを彼女の体に飛ばしてしまう。
冷気をきっかけに正気に返ったアイネは、自分を犯そうと迫るシュンに恐怖し、哀願し抵抗するが、収まりの付かないシュンは最後までやり遂げようとする。
○第三話
シュンによるアイネ凌辱は、マコトの到着で阻止された。あまりの間の悪さと、怯えるアイネから女性上官への一方的な証言で、強姦冤罪の恐怖に怯えるシュン。
だがマコトはなぜか事態の真実を見事に看破し、公平にその場を収める。マコトはシュンが避妊具を使おうとしなかったことだけを咎め、二人にこの件に関する一切の口外禁止を命じるのだった。
○第四話
胸周りがきつすぎる借り物の軍服に羞恥を感じながら、アイネはマコトに連れられ、トラキア艦長リドリー・フランクス大尉に状況を報告する。
大ジオン仏道の脅威と所属艦隊の逼迫した運用状況、そして近々発動されるであろう作戦について語ったフランクスは、アイネにトラキアMS隊への編入を命じた。
フランクスとマコトは一年戦争以来の古参にして戦友同士だった。当面の間はトラキアMS隊予備パイロットとして勤務し、マコトの部屋で生活することになったアイネは、次にMS隊パイロットらとの顔合わせに向かう。
■フェニックステイル 登場人物紹介
○アイネ・クライネ(18)
地球連邦軍伍長。新任MSパイロット。訓練生課程を修了し、コロニー駐留艦隊のサラミス改級巡洋艦アバリスにGMU04のパイロットとして配属された翌日、『大ジオン仏道』を標榜するジオン残党の襲撃を受ける。
明るい黒髪をショートカットにした、可憐で控えめな面差しの美少女。健康的に引き締まった身体にIカップ級以上の爆乳を持つが、ブラジャーもあえて本来の適性サイズより少し小さい物を着用している。
本人はそこに集まる男性からの視線を嫌って、訓練生時代には親しい女性同期生の陰に隠れてやり過ごしていた。男性恐怖症の気があり、女性に対する親愛の情を重視しすぎるきらいがある。
対人関係では内気な性格だが、MSパイロットとしての自負心は強く、圧倒的に不利な状況に直面しても最後まで戦い続けるだけの気概を見せる。
○アバリスMS小隊長
サラミス改級巡洋艦アバリスの艦載MS小隊長。GMU01を駆る。
地球連邦軍の底抜けに腐敗した部分の象徴的な人物で、これまでも艦ぐるみで目に付けた女性軍人などを性の食い物にするといった悪行を重ねてきていた。
アイネに対しても訓練隊の人事に不正行為を仕掛けることでアバリスへ配属させ、初の哨戒任務中にMSのコクピット内で凌辱するつもりだったが、その最中に襲撃してきた大ジオン仏道のゲルググによって『完全成仏』させられる。
兄弟がいる。
○ゲオルグ居士
ジオン残党組織の一つに属するらしきMSパイロット。『大ジオン仏道』なる独自の思想もしくは宗教観を標榜し、ゲルググを操ってアバリスを襲撃する。
大ジオン仏道の主張によると、メガ粒子の超高熱高圧による瞬時蒸発死こそがUC世界における唯一の正しい成仏法であるらしく、交戦する敵をこの方法で『完全成仏』させることに強いこだわりを持っている。
彼に遭遇したアイネは仏教に関する知識自体をほとんど持たなかったために彼を単なる狂人としか考えなかったが、彼自身も本来の仏教に関する正確な知識をどこまで有しているのかは現時点では不明。
澄んだ瞳に異様な眼力を持つ、髭面の屈強な男性。
○エレイン信女、フローラ信女
ゲオルグ居士の部下と思われる大ジオン仏道の若い女性MSパイロット。同じくゲルググを駆る。
○マコト・ハヤカワ(22)
地球連邦軍准尉。
コロニー駐留艦隊に所属するサラミス改級巡洋艦トラキアの、艦載MS小隊長を務める。乗機はGMU22。
トラキア所属のボールやGMのパイロットとして一年戦争に参加した少女兵の生き残りであり、撃墜数は5機に満たないが、年若くして実戦経験豊富な古参兵の風格を備えている。
常に沈着冷静で、操縦技量や状況判断能力も高い。部下の扱いも公正公平で、ガルノフやロブといった曲者たちを抑え、見事にトラキアMS隊を指揮統率している。
ストレートの黒髪を長く伸ばした、東洋系の寡黙で凛とした美女。胸も大きくスタイルは良いが、似通った体格のアイネと並べばさすがにバストはあまり目立たなくなる。
アイネの事情について、何か知っている節が見受けられる。
○イベル・ガルノフ(23)
地球連邦軍軍曹。
マコトの部下で、トラキアMS小隊内での序列は第二位。乗機はGMU23。85年に第411コロニー防空中隊から転属してきた。
癖のある黒髪を伸ばした浅黒い肌の屈強な大男。とかく粗暴で反抗的な男だが、今のところマコトの実力には反抗できずに押さえつけられている。
○ロブ・サントス(20)
地球連邦軍伍長。
同じくマコトの部下だが、ガルノフの腰巾着。トラキアMS小隊内序列第三位。乗機はGMU24。訓練生課程修了後にトラキアへ配属された。
小柄でやや横幅があり、神経質そうな表情をしていることが多い。基本的には卑屈な男だが、後輩のシュンに対しては嵩に掛かって厳しく当たる。
○シュン・カーペンター(19)
地球連邦軍伍長。
トラキアMS小隊の新人パイロットで、序列第四位。乗機はGMU25。
いまだ少年の幼さをその容貌に色濃く残しており、それがガルノフやロブから軽んじられる一因にもなっている。
一種のロマンチストでもあり、それが原因でまだ童貞を卒業できていない。
○リドリー・フランクス(28)
地球連邦軍大尉。
トラキア艦長。一年戦争当時、ルナツー冬の時代に新任少尉の身でいきなりトラキアの艦長に任命されたが、どうにか激戦を生き抜くことに成功する。
威厳付けのためもあって伊達な口ひげを伸ばしているが、部下に対する艦長としては基本的に気さくで気取らない態度を好む。
常に用心深い隙の無さを保てるだけの忍耐力があり、なおかつ目にした好機は逃さず鋭く食いつけるだけの瞬発的な行動力も併せ持つ。
付き合いの長いマコトとは信頼関係があり、ファーストネームで呼び合う仲。
○サラミス改級巡洋艦トラキア
一年戦争前半から参加して、リドリー・フランクス艦長(当時少尉)の指揮下で激戦を生き抜いてきた歴戦艦。
一年戦争の早い段階からボール搭載艦として改装されており、ルナツーを拠点として出撃しては、ジオン軍後方連絡線への果敢なゲリラ戦を展開した。
その後、GMの配備を受けてソロモン、ア・バオア・クーでの大会戦にも参加し、戦後はルナツーからコロニー駐留艦隊へ編入、主に戦災復興支援や治安維持、ジオン残党狩りなどの任務に当たる。
84年には艦内MS格納庫の増設を含む大改装を実施し、艦載機のGMも逐次GMU規格へと改装された。
現時点での艦載機は、マコト・ハヤカワ准尉が指揮するGMU1個小隊4機。
○サラミス改級巡洋艦アバリス
一年戦争末期のビンソン計画で大増産され、ジャブローから宇宙に打ち上げられたサラミス級巡洋艦の中の一隻。一年戦争中の実戦としては、星一号作戦とア・バオア・クー攻略戦にのみ参加した。
総じて士気も練度も規律も劣悪だが、なぜか駐留艦隊司令部での評価は悪くなく、しばしば各種の便宜を図られていた。
寄港先のコロニーで現地の若い女性が行方不明になる事件が発生したり、航行中に乗員が行方不明になったり、女性乗員が未婚のまま妊娠して退艦、そのまま退役する率が異様に高いなど、いわくつきの艦として知られていた。
GMU1個小隊4機を艦載していた。
凌辱やGLはあっても、アッーな展開は今後もないと思います。
大ジオン仏道はなかなかの強敵です。
それでは、よいお年を。
まだネオ・ジオンがアクシズだった頃、
大ジオン仏道という怪しい宗教が流行っていた。
それを信じないものは恐ろしい祟りに見舞われるという。
その正体は何か?エゥーゴは大ジオン仏道の秘密を探るため、
アーガマからサングラスの大尉を呼んだ。その名は・・・
「赤い彗星参上!」
アバリスMS隊と、UCのゼネラルレビルMS隊はどっちが強い?w
保守
過疎
保守
唐突に人が…
ここは元から過疎スレだよ
保守
ここはユニコーンのとかokなの?
466 :
名無しさん@ピンキー:2013/03/06(水) 01:27:45.75 ID:GO1Za1R/
∀ガンダムのコクピットの中でヤるロランとソシエ。
最後キエル・ハイムについて行ったロランは夜な夜な相手させられてたんかな。
まあ、「ロラン」と言われるとドアンの女が先に浮かんじゃうんだけど。
「ああん!もうっ、ドアンったらん。子供達が起きちゃ…んはぁあん!」
「はっ、っはぁっ、おまえがおとなしくしてればいい事だろぉ?」
「んもぅ!ドアンのたらっ!もうキライ!んぁん!」
「そんな、大声出したら子供達が起きてくるぞお?」
「ヤダ!あぁん!ドアンの意地悪ぅ!」
誰かUC書いてくれんかね…
「俺にこういう事は向いていない。やはり他をあたれ」
少年は街路脇のショーウィンドウに透けた色とりどりの服飾を、
見るとは無しに眺めながら呟いた。
かつては妻帯者だった経験もあるが、形ばかりの婚姻だ。
逢瀬を楽しんだ事も無ければ、愛を語り合った事も無い。
土台、女性と二人きりになった事自体が、彼には殆ど無かった。
だから突然のデートの申し入れも、最初から不本意だったのだ。
この話に乗るつもりは、彼には毛頭無かった。
周りの人間達のしつこい説得に反論する事が面倒になっていなければ、
今でも彼はこんな所に来てはいない筈だった。
「他? 他って、どなたです?」
少女はあどけない笑顔でそう言った。
「いくらでも居るだろう、こういう事に向いている男が。
カトルならエスコートはお手の物だ。デュオでも、トロワでも良い。
この三人なら女の扱いは、俺よりは心得ている」
ヒイロの名だけは、彼は挙げなかった。
女の扱いという事に関しては、ヒイロの疎さは折り紙付きだ。
その上五人のパイロットの中で、ヒイロが一番所在不明ときている。
ただそれにしても、何故自分に白羽の矢が立ったのか、
ハゲ……いやウーフェイには、とんと理解出来なかった。
「あなたでなくてはならないのです。
お父様の理解者だった、あなたでなくては」
マリーメイアは自分より頭幾つ分も背の高い少年の顔を見上げ、
それから目の前のショーウィンドウに視線を振り向け、
年相応の童女のような表情で、可愛らしい服や装飾の類に目を輝かせた。
「この俺がトレーズの理解者だと……冗談も休み休み言え」
ハゲ……じゃなくてウーフェイは、無感情にそう言った。
事の起こりはつい昨日だ。
バートンの反乱から半年経ち、各々が各々の人生を定着させ始めていた頃。
サリィの同僚としてプリベンターの工作活動に参画していたウーフェイの元に、
上司であるレディ・アンからの指示が届けられた。
それは指示と言うよりは、「お願い」のようなものだった。
『張五飛。突然で申し訳ないのだが……その……明日は暇か?』
その通信を聞いた時、横でサリィが「まぁ!」と驚いていたものだ。
『いや、勘違いしないで欲しい。私ではなく、私の娘の頼みなのだ』
この女に娘なんか居たか? と問いかけるウーフェイに、
サリィは「マリーメイアが養子になった事、教えたでしょ」と答えた。
「そう言えばそうだったな。物好きな奴だ」
『その物好きとは、私の事か? それともマリーメイアの事か?』
「両方だ。あんな偏屈な子供を養おうとする貴様も。
貴様のような頑固者の娘になる事を良しとしたマリーメイアも」
レディはトレーズを愛していた。
そのトレーズの娘と名乗る少女を養う事で、レディはマリーメイアの母に、
換言するなら、トレーズの妻になったようなものだった。
それをウーフェイはレディの自己満足と考えていたし、
実際レディの方も自己満足の域を出ていない自覚があった。
またマリーメイアにとっても、実母を亡くした空白を、
レディを母とする事で埋めたがっているようだった。
所詮それぞれが自分を慰めているだけに過ぎない。
そういう欺瞞は、ウーフェイの最も嫌うところでもあった。
何より彼自身、喪った妻の名を愛機に冠する事で、
自分自身を欺瞞し、慰めてきたという側面がある事を分かっていた。
彼からしてみれば、レディとマリーメイアの疑似家族は、
かつての自分と愛機を見ているような不快ささえあった。
片親を失くしている子供というものは、無自覚のコンプレックスを抱きがちだ。
父親を失っている娘は、年長の男性に依存したがる。
母親を失っている息子は、年上の女性に甘えたがる。
ましてや両方を失っているマリーメイアは、まだ七歳という幼さ。
欠けた母親はレディで埋め合わせ出来るようになったとしても、
彼女にはまだ、父親の欠落が穴埋め出来ていなかった。
年上の男性に甘えたいと思う少女の幻想は根強かった。
それも、出来ればトレーズのような男に甘えたかった。
それが叶わないならせめて、トレーズを理解していた男にだ。
「まさかウーフェイの野郎が、トレーズの娘とデートとはなぁ」
デュオは稼業として営んでいるジャンク屋の業務の傍ら、
カトルとの映像通信で油を売っていた。
「トレーズは今頃あの世でどう思ってんだろうなぁ。
自分の娘が、自分を殺した男とウィンドウショッピングときたもんだ」
『僕はトレーズ・クシュリナーダと直接の面識がありませんから、何とも。
ですが、そんな事を恨んで化けて出る程、狭量な男じゃなかったでしょう』
ガンダムパイロットの中で、トレーズと会った事があるのは二人だけだ。
即ち、ヒイロとウーフェイ。他の三人はトレーズの顔を写真でしか知らない。
それでも、あのウーフェイの人生に影響を与え、レディに敬われ、
死んだ後でまでトレーズ派と呼ばれる者達から崇められ続けた男だ。
マリーメイアが本物の娘であろうとなかろうと、いや本物であったとしても、
愛娘がウーフェイとの逢引を切望するくらい、むしろ手放しで喜んだろう。
トレーズにはそのくらいの器の大きさがあったし、
何よりトレーズ自身がウーフェイをいたく気に入っていた。
「お前んトコにもレディ・アンから連絡あったろ?
マリーメイアの遊び相手を一日務めてくんないか、って」
『ありましたよ、えぇ。
さすがのレディさんも、いきなりウーフェイには頼み辛かったんでしょう。
トロワのところにも連絡がいってたみたいですけど』
マリーメイアは亡父の居ない空虚を埋め合わせたいがために、
たった一日で良いから、年上の男性に甘えてみたいと言ったらしい。
レディにとって真っ先に思いついたのは、ガンダムパイロット達だった。
年齢から言っても最適任だろうゼクスは、今は火星だ。
他にトレーズに近しい感覚を持っていた男など思い至らなかった。
しかし、ウーフェイ以外では誰も話に乗ってやらなかった。
ヒイロは所在不明。デュオはコロニーに居るから地球からは遠い。
トロワは地球に居たが、サーカスの巡業で忙しい。
カトルも今日は、取引先となったドロシーとの会食の予定が入っている。
現在地球に移住していて、且つ、レディの立場で
強引に「命令」が出せる相手は、部下であるハゲだけだった。
恐らくマリーメイアにとって一番関わりたくない手合いの男な筈だったが、
意外にもマリーメイアは、むしろウーフェイをこそ一番望んでいた。
父トレーズと二度決闘した男。
トレーズ自身に「数少ない理解者」と言わしめた男。
マリーメイアに言わせれば、ヒイロもデュオもトロワもカトルも、
本当の意味でトレーズを理解していたとは言えないのだ。
マリーメイア自身もトレーズと会った事は無いが、
レディから聞き及んでいるトレーズの性格、思想を鑑みるならば、
ウーフェイこそが最もトレーズに近い男なのは明らかだった。
暗殺ではなく一対一の決闘でトレーズを倒そうとしたのは、
五人のガンダムパイロットの中では、ウーフェイただ一人だけだった。
そしてまた、人類の意思を変える為に、敢えて悪になった事のある男も。
「今日はお付き合い頂けて嬉しいですわ、張五飛さん」
「満足したなら、もう帰れ。ママゴトは火消しの任務に含まれていない」
「あら、これは任務じゃありませんわ。だってあなた、今日非番でしょう」
マリーメイアは屈託の無い、それでいて悪戯っぽい笑みで言った。
それから、不貞腐れるハゲの手を、無理矢理掴む。
「父親なら、幼子の手は自ら繋いであげるべきでは?
私が迷子になったらどうしてくれますの」
「俺がいつから貴様の父親になった」
「口ぶりとは裏腹にお優しい方ですのね、あなたは。
断る事も出来たのに、こうして私にお付き合いして下さってますし。
今だって、私の手を振り解こうとはしていない」
「子供相手にムキになる程落ちぶれていないというだけだ」
妻とすら手を取り合って歩いた事は無いと言うのに、
ウーフェイは何故か大人しくマリーメイアの手を繋いでいる自分に、
戦士としての情けなさすら感じていた。
バートンの反乱の際にヒイロに諭されていなければ、
トレーズの娘との謁見など、反吐が出る程嫌だったに違い無いのに。
こうして見ると、マリーメイアは年相応の童女だった。
どちらかと言えばウーフェイの方が、年齢に不相応だった。
オープンカフェなど、ウーフェイは人生で初めて入った。
パフェを頬張ってご満悦のマリーメイアと比べれば、
たかが十六歳のくせにコーヒーばかり飲んでいるハゲは、
どう見ても実年齢より老けた印象を持っていた。
だがそんなウーフェイだからこそ、洞察力は大人を凌いでいる。
「……そんなものが美味いのか?」
「えぇ、とっても!」
快活に答えるマリーメイアの笑顔は本物だ。作り笑いではない。
けれども、街角の喫茶店の安物のパフェを美味いと言った事だけは、偽りだ。
反乱軍のトップに居た頃のマリーメイアは、
こんなものよりもっと美味い食事を、毎日摂っていた筈だ。
今更普通のパフェごときに舌鼓を打つような安い味覚は持ち合わせていない。
彼女はパフェの味ではなく、パフェを味わう行為そのものを
楽しんでいるのだと、ウーフェイの観察眼は見抜いていた。
両足をブラブラさせながらこじんまりと椅子の上に収まる幼女の姿は、
どこからどう見ても、かつて大統領府を占拠したテロリストには見えなかった。
「おい、あれ……」
周りの客達の中から、訝しがるような声が聞こえる。
目立ち過ぎたか、とウーフェイは危惧した。
マリーメイアにはなるべく地味な服を着て来させるようレディに言っておいたが、
そもそもレディの見立てた服なのだから、どうしてもブルジョア臭が抜けない。
ろくな私服を持っていないせいで、背広を着込んで来ていたハゲも
人の事は言えないのだが、マリーメイアの服装は、
庶民感覚からすれば少しばかり高級なブランドのものだった。
必然、庶民の目をどうしても引いてしまう。
そして人目を引いてしまえば、マリーメイアの顔は、尚更注目される。
何と言ってもこの顔は、かつて地球圏に宣戦布告した顔なのだから。
別に指名手配を受けているわけではないから、逃げる必要はどこにも無いが、
これ以上一ヶ所に留まり続けるのは得策では……
「見てみろよ、あの二人。ははっ、デコとデコのアベックだぜ!」
がくっ。
ウーフェイの肩から力が抜けた。
何だ、そんなつまらない事に注目していただけか、と嘆息する。
「でもあの二人、どういう関係なんだろ。兄妹には見えないよなぁ」
それはそうだ。
東洋人のハゲと、西洋人のマリーメイアでは、何一つ似ている要素が無い。
勿論、親子になど尚更見えないわけで、そうなると愚民の推測は二つに絞られた。
一つは、親戚の子を預かっている可能性。
一つは、ロリコン趣味の変態アジア人が、無垢な少女に
「お兄ちゃんが美味しい物食べさせてあげるよ」とでも言ってかどわかし、
どこぞの公園から連れ去ってきたところである、という可能性。
「警察に通報した方が良いんじゃないの?」
「いや、まだそうと決まったわけじゃ」
「でもあのハゲ、明らかに変な目つきしてるじゃないの」
「きっと今から、あの娘に酷い事をするつもりなんだぜ」
この目つきは生まれつきだ、と反論しようとしたウーフェイより先に、
マリーメイアが立ち上がって答えた。
「この方は私の父の友人です。無礼な発言は許しません!」
マリーメイアの口調は、見た目の年齢から比べて明らかに大人びている。
いや、大人び過ぎている。
ましてやその口調で啖呵を切ってしまえば、悪目立ちするのは不可避だった。
それ以上カフェに居辛くなったので、ウーフェイはさっさと会計を済ませた。
「騒がしくして済まない、マスター。チップは弾ませて貰う」
「良いんですよ、ハg……じゃなくて、お客さん。
私も見てましたが、ありゃあ周りのお客さんの方が悪い」
「待てお前今ハゲとか言ったか」
「お嬢ちゃんがお待ちだ。早く行っておやりなさい」
「コラ話を逸らすな……くそっ」
危うく誘拐犯呼ばわりされたウーフェイより、
トレーズの理解者を悪しざまに言われたマリーメイアの方が、むしろ怒っていた。
少女はこんな喫茶店になど一秒も長く居たくないと感じ、
子供一人で勝手に歩くなというウーフェイの言いつけも無視して、
店の軒先で機嫌悪そうに口を尖らせ、小石を蹴飛ばしていた。
「次からは自重しろ。トレーズの娘ならば、もう少しエレガントに振る舞え」
「ワタクシ、難しい言葉は分かりませんわ。まだ子供ですもの」
「お前が『自重』や『エレガント』という言葉を知らん程無学なワケが無いだろう」
「大体、ウーフェイも悪いんですのよ?
背も低い、髪も薄い、どう見ても中学生くらいの外見で、
それで何で背広に眼鏡なんてコーディネイトなんですか。
オタクみたいで、気味悪がられても不思議じゃありません」
「貴様オタクに失礼だぞ」
さっきまで張五飛、とフルネームで言っていたマリーメイアが、
さり気なく「ウーフェイ」と呼んできている事に、彼は気付いた。
馴れ馴れしさはトレーズと似ているようだ。
馴れ馴れしさついでに、マリーメイアは今日一番、
ウーフェイに頼みたかった事を頼んでみる事にした。
「ねぇウーフェイ。これから少し、お付き合い下さるかしら」
「乗りかかった船だ。言うだけ言ってみろ。
ただし、嫌だと思ったら遠慮なく拒否させて貰うがな」
数分後、彼は思い切り拒否の姿勢を取る事になる。
だがそれも、結局は飲まざるを得なくなるのだが。
「……宿泊の予約を入れていた、張五飛だが」
ホテルのフロントで、ウーフェイは不承不承名乗った。
「張様ですね。お部屋の準備は整っております。キーはこちらに」
「代金の支払いはチェックアウトの後で良いのか?」
「お代、ですか? もう口座引き落としでお支払い頂いておりますが」
根回しの良い事だ。さすがトレーズの秘書だっただけの事はある。
ウーフェイはレディのお膳立てに舌を巻きつつ、うんざりもしていた。
昨日、マリーメイアのデート相手がウーフェイだと確定した後で、
レディはすぐにホテルに部屋を取っていたらしい。
それも全ては、マリーメイアの要望を叶えてやる為だった。
実際レディが予約を入れている事をマリーメイアから聞かされていなければ、
ウーフェイはトンズラしていた事だろう。
仮に全員の予想に反して彼が乗り気になったとしても、
子供二人だけで急に部屋を取りたいなどと言って、
ホテル側がまともに取り合ってくれたかどうかは疑わしい。
既に支払いが完了しているという事実は、
十六歳と七歳のカップルが宿泊するという不可思議さを、
どうにか受付スタッフに飲み込ませていた。
「全く、どうかしている。貴様こんな事が望みだったのか?」
「私にとっては大切な事ですわ。
お父様とお風呂に入るという、世間の少女の当たり前の幸せを、
私はこれまで楽しむ機会すら得られなかったのだから」
ここに来るまでの間、ウーフェイはマリーメイアと舌戦を繰り広げていた。
七歳にもなればいい加減一人でシャワーくらい浴びられるだろ、と言うハゲ。
乳幼児の頃から一度も父と入る機会が無かったのだからお願い、と言うチビ。
最終的に「子供相手にムキにならないのではなかったかしら?」と
マリーメイアが含み笑いをしてみせた事で、ウーフェイは折れた。
確かに七歳の女児の裸を見るくらい、どうという事は無い筈だった。
ただ、今や自分の娘となっているマリーメイアの裸を、
たかだか十六歳の、育児の経験も無い少年の前に曝け出す事に関して、
レディは何の抵抗も無かったのか、とは思わされたが。
プリベンター本部の事務室で書類作業に追われ、
小休止で一息ついた折り、サリィは問いかけた。
「ねぇレディ? ウーフェイの事、いつからそんなに信用してたの?」
「お前は信用していないのか? ガンダムのパイロットなら、過ちは犯さん。
それに、張五飛が七歳の子供の裸を見て興奮する所など、私には想像がつかない」
「それはそうだけど。でももし、過ちがあったらどうするの?」
「あのハゲは欲情に負けて女を無理矢理手籠めにするような輩ではないだろう。
それに、なんかEDぽい気もするしなし、あのハゲは」
「それは言い過ぎじゃ……でもひょっとしたら、ウーフェイ云々より、
マリーメイアの方が男性の体に興味津々になるかも」
「はは、まさかそんな事はあるまい。まだ思春期には早いよ、あの子は」
「あらそうかしら。女の成長は早いものよ。ところで……」
「何だ?」
「マリーメイアって、今まで一度でも、おちんちん見た事あるの?」
「……あっ」
しまった、失念していた。と、レディは愕然とした。
父親と風呂に入った経験どころか、父親と遊んだ経験すら、マリーメイアには無い。
まさかデキムが風呂に入れてやるなどと温かい事をしてくれていたとは思えない。
マリーメイアの身の回りの世話は、恐らく軍の女兵士がやっていた筈だ。
いや、マリーメイア軍に女兵士が居たのかどうかは知らないけれど。
つまりマリーメイアにとって、ひょっとしたらウーフェイのムスコは、
生まれて初めて目にする人体の神秘なのかも知れなかった。
思春期だの性欲だのとは無関係に、純粋な疑問や好奇心から、
ペニスに興味津々になってもおかしくないのだ。
「何ですの、これ!? 私やレディさんの体にはついてませんでしたわよ?」
貞操観念ゼロのマリーメイアは、一糸纏わぬ姿とて、
ウーフェイの前で何かを恥じらう素振りは微塵も見せなかった。
具さえはみ出ていない股間と、板のように扁平な胸を、惜しげも無く晒す。
それだけならウーフェイだって決して劣情など抱かなかった筈なのに、
そのマリーメイアがいきなりちんちんを鷲掴みにしてきたので、
たまらず彼は下半身に血液が充填されていくのを感じた。
「こっ、これは、男にしかついていないパーツなのだ……!」
「まぁ男性だけ? ズルいですわ! 私もコレ欲しい!」
「そんなに面白い物ではない。それ以上触るな!」
「十分面白いですわ! ねぇ、どうしてこれ、硬くなってきてらっしゃるの?
ウーフェイったら、頭はハゲのくせに、こっちはボーボーですのね」
「お前だって十分デコ広いだろうが!」
「これ、どうして男性にしか無いんですか? 女性に無いのは何故?」
「お、女はだな……つまり、これを出し入れされる側であって……」
「出し入れ? それでは私の体に、これを入れる穴があると言う事?」
誰もこいつに性教育をしてやった大人は居ないのか、と憤慨しかけて、
ウーフェイはかぶりを振った。
どこの大人が、七歳の幼女に性教育などするものか。
しかしウーフェイにとって計算外だったのは、マリーメイアがこれを、
排尿の為の器官とすら認識していない事だった。
普通に父親や兄弟の居る子だったなら、ペニスの役割の内、一つは知っている。
ここから小便が出るのだと知ってさえいたら、汚らわしくて触ろうとさえしまい。
だがマリーメイアは、この鈴口から尿が出るという事さえ知らなかった。
ただ単純に、彼女にとっては謎の器官でしか無かった。
そして、もう一つのウーフェイの計算外。
マリーメイアは、勿論マンコという器官すら知らなかった。
ましてや自分の下半身にそんな穴が開いているとは、露程も想像しない。
これ程の太さの物が入りそうな人体の穴……少女が思いついたのは、
鼻でも耳でもなく、自らの口だった。
「これを出し入れすると、どんな事が起こると言うのですか?」
「何も起こらん! 良いから俺から離れろ!」
「何も起こらないのでは、この肉の棒の意味がありませんわ。
どんな事が起こるのか話してくれなくては、私も離しません」
「強情さはトレーズ譲り……いや、レディ・アン譲りか……!
どちらにせよ、説明するまで納得しそうにないな」
ウーフェイは、これを女の体に出し入れする事で、子供が授かるのだと説明した。
それが両親の居ないマリーメイアにとって、地雷だとも気付かずに。
バスルームの照明を反射して、ウーフェイのハゲ頭は光っていた。
その丸い額の上を、汗が滴り落ちる。
マリーメイアの地雷を踏んでしまった彼は、
マリーメイアの為に、今は我慢するしか無かった。
かつてマリーメイアは、リリーナに言った事がある――
――大人には、子供の分からない世界があるのだそうです――
――だから私がどうしてこの世に生を受けたのかは知りません。
図らずもその「子供の分からない世界」を、彼女は体験しようとしていた。
「じゅぽっ、じゅっぽ、じゅぶほっ、んぶぉっ」
この肉棒を口中に出し入れすれば子供を授かる事が出来るのだと、
マリーメイアは思い込んでいた。
そうして誰に強制されたのでもなく、自分の意思で、フェラを開始していた。
そんな彼女を落ち着かせるには、現実を見せるのが手っ取り早い。
今のお前はまだ妊娠など出来ないのだと、母親にはなれないのだと伝えるのだ。
ましてやフェラチオなどで身籠る事など、何歳になろうと不可能だった。
子供に現実を教えてやる為にこそ、ウーフェイは屈辱に耐えていた。
マリーメイアのような強情な女には、口で言うより実際見せた方が早い。
かつて妻を武芸で黙らせた時と同じように、ウーフェイは相手の誤りを、
体で分からせるという方法を採択していた。
「叱ってくれ、ナタク……俺は、こんな子供に咥えられて、勃起させている」
勃起どころではない。彼は、先走り汁を滴らせていた。
普通の少女ならそれを小便と勘違いし、忌避して離れたかも知れない。
だがマリーメイアにとって、それはただの「よく分からない汁」だった。
とりあえずしょっぱい、という事だけは分かる。
「ウーフェイ、ご病気なのですか? この液体は?」
そう言ってマリーメイアは、指先で鈴口をなぞった。
「ふおぉおぉっ!! これは……この行いは悪だっ!!」
「意味が分かりませんわ。でも、なんだかクセになりそうなお味」
マリーメイアは興味深げに、滲み出る汁をちろちろと舐めた。
それがまた、ウーフェイを身悶えさせるのだった。
マリーメイアは母親を失ってはいるが、
幼い頃になら、一度は実母と一緒に写真を撮った事がある。
今はレディが、そんな彼女の義母を務めてもいる。
だからうっかりしていた。
彼女は欠けた父親を求めているだけだと、ウーフェイは思い込んでいた。
ウーフェイのみならず、レディやサリィも今はそう思い込んでいた。
マリーメイアは今のところ、父親代わりを求めているだけなのだ、と。
欠けた母親役は、レディが埋め合わせ出来ているのだから、と。
だが本質的に、幼い彼女が母性を求めていた事に、変わりは無かった。
そして実母が居ないからこそ、将来の自分は
理想的なママになりたいものだ、と憧れていた。
愛情を与える側になりたいという、率直な願望。
その願望が、彼女に束の間の母性を与えていた。
「ウーフェイ、お願い。私のおっぱい、吸って頂戴」
「何っ! 貴様、何を……」
「一度、こうしてみたかったのです。同じ年頃の少女達が人形で遊ぶように。
赤ん坊の人形を抱いてあやし、おぶって可愛がるように。
私も一度くらい、母親役をやってみたかったのです」
そう言うとマリーメイアは、無い胸を両手で寄せて見せた。
「母親は、ここから母乳を吸わせるものなのでしょう?」
「貴様、意味を分かってやっているのか!?」
分かっている筈が無い。
この子供が、セックスだの前戯だの愛撫だの、理解している筈が無い。
だがそんなウーフェイの思い込みの、更に上を、マリーメイアは行っていた。
「意味なら熟知しております。これは、母の愛の象徴ですわ」
セックスでも、前戯でも、愛撫でもない。
それらは乳房の持つ本来の機能からかけ離れた、オマケでしかないのだ。
女の胸は本来男の為ではなく、子供の為にあるものだ。
それを忘れていた事を、ウーフェイは恥じた。
乳房を吸う事の、本来の意味を分かっていなかったのは、自分の方だった。
「……良いだろう。貴様が後悔しないのならな」
攻守を入れ替えている、という自覚すらマリーメイアには無かったろう。
気の向くままに、甘える側と甘えさせる側を交替している、ただそれだけだ。
マリーメイアは存分にウーフェイに乳首を吸わせ、
ひとしきりそれに飽きると、またフェラを再開した。
そしてフェラに飽きると、また乳首を舐めさせるといった具合だ。
母親だったらきっとこうするのだろうな、と空想しながら、
乳首を吸ってくるウーフェイの後頭部を優しく撫でもする。
少女の体は快感を覚える事は無かったが、
母になれたかのような錯覚が幸福感をもたらしていた。
それと同時に、少しのくすぐったさも。
「母乳って、どうやったら出るのですか? 私も出したいわ」
「……貴様の年齢では無理だろう。妊娠すれば出るだろうがな」
「だったら早く、私を妊娠させて下さい」
コイツやはり全然意味分かってないな、とハゲは呆れ返った。
「貴様、必ず後悔するぞ。将来誰かに恋をした時に。
こんな場所で、こんな年齢で、こんな下らない男相手に、
綺麗な体を多少なりと汚してしまった事を」
そんな比喩的な言い回しを理解出来る程、少女は大人びていなかった。
「どういう事でしょう? 汚れたなら、洗えば良いだけではありませんか」
確かに自分の乳首は今ウーフェイの唾液で汚れているのだが、
マリーメイアはウーフェイの言う「汚れ」を、その程度に捉えていた。
洗って済むような取り返しのつく問題ではないのだと、
マリーメイアが理解出来るには、最低でも後三年はかかるだろうか。
マリーメイアの心は弾んでいた。
彼女はまだ自分の勘違いに何一つ気付いていない。
ウーフェイの下腹部にある謎の棒状器官を自分の口に出し入れしていれば、
それで子供が授かれるのだと、未だに誤解し続けている。
その酷い勘違いが、彼女にとんでもない言葉を口走らせた。
「楽しみですわ。レディさんに報告するのが」
「……何ィっ!? 貴様、あの女にこの事を報告する気なのか!」
「あら、いけません? 私も今日でママになれるのだから、
こんなに嬉しい事は御座いませんわ」
「いや、こんなもので妊娠出来るワケは無いが……そういう問題じゃない!
良いか! 今日ここで俺と何をしたかなど、誰にも言うな!」
どうして、と聞くより先に、マリーメイアは問い質した。
「妊娠出来ないだなんて、そんな……!
せっかく母親になれると思いましたのに、酷い仕打ちですわ。
では、どうすれば私は妊娠出来るのですか?
この立派な棒を、私のどこに出し入れすればよろしいの?」
「二度とそんな事を聞くな! 大人になれば嫌でも分かる!
俺だけじゃなく、今後数年間は誰にも一切その事は聞くな!」
「……あら。私にそんな口をきいてよろしいのですか?」
「何だと?」
マリーメイアは聡明だ。
この状況でウーフェイに言う事を聞かせる術を、とうに理解している。
「逆らうのなら、今日の事は包み隠さず、皆様にお話しますわ」
「キサ……マッ……!」
「黙っていて欲しいのなら、どうすれば妊娠出来るのか、
全てを私に洗いざらい教えて下さい」
図らずもウーフェイのペニスに舌を這わせながら、
マリーメイアは年に似つかわしくない妖艶な笑みでそう言った。
本人にその気は無かったろうが、今の彼女は、
まさしく「妖艶」と言って良い底知れなさがあった。
流石はトレーズの娘であり、レディの養子といったところか。
「くっ……仕方ない」
「まぁ! 教えて下さるのですね?」
「教えてはやるが、どの道今の貴様では妊娠は無理だ」
「今は無理、と言う事は、成長すれば出来るのですね」
「あぁ。だから今日は、もうこれで諦めろ。体を洗ってとっとと出ろ」
ウーフェイは観念し、マリーメイアに膣の存在を教えてやった。
その奥にある子宮の事も、男から迸る白濁の液体の事も。
「私のココに、男性の棒を差し込むだなんて……。
こんな大きいモノ、入るワケがないじゃないですか」
「大人になれば入るだろう。今は小さ過ぎて無理だな」
さっさと話しを切り上げたいウーフェイは、またも地雷を踏んでしまった。
性教育の行き届いていない七歳児に対して、今の説明は不親切過ぎる。
マリーメイアの思考回路は、こうだ。
一つ。今の自分では妊娠は出来ないが、大人になれば妊娠出来る。
一つ。今の自分では膣が狭過ぎて、男のモノを咥え込めない。
これらを関連付けて得られる答えは、つまり、そう……
無理矢理にでも膣を押し広げて、肉棒をどうにか収めてしまいさえすれば、
幼い自分にも妊娠ぐらい可能なのだろう、と。
初潮だの排卵だの、彼女はそんな事は全く分かっていなかった。
自分が妊娠出来ないのは、ただの、膣のサイズの問題だと思ってしまっていた。
ならば、そのサイズの問題は、その気になれば解決出来る。
高い所に手の届かない子供が、背伸びしたり、台に登ったりして、
頑張って手を届かせようとする事と同じように。
「……私、頑張ってみせますわ」
「はぁ? 何を頑張……ちょっ、待て!」
マリーメイアは羞恥すら無いまま、ウーフェイの前で陰唇に手を伸ばした。
今まで鏡でまじまじと見た事すら無い、
そもそも深く考えた事も無い部位。
ただとりあえずレディには、ここはとても大事な部位だから、
洗う時は丁寧に洗えと教わった事があるだけに過ぎない。
その丁寧に扱うべき器官を、今マリーメイアは、
小さくか細い指で、強引に広げようとしていた。
「ここに、膣と言う穴がおありですのね? これを広げれば……」
「待て! そんな事をして、傷でもついたらどうする!」
「んんっ……うぐっ……」
ウーフェイの警告など、マリーメイアにはもう聞こえていない。
柔らかい媚肉を両側から押し広げ、ようやっと露出した穴を、
無理矢理何かで押し広げる為に、彼女は自分の人差し指を差し込み始めた。
これがオナニーという行為である事を、少女が知る由は無かった。
渇いた膣に乾いた指では、摩擦はあまりに強過ぎる。
何か潤滑油のようになる物でも無ければ話にならないと、馬鹿でも分かる。
マリーメイアが取った行動は、バスルームの中でなら当然の選択だった。
彼女はシャワーヘッドを掴むと蛇口を回し、
そこから溢れ出る水を自身の陰唇に直撃させた。
「ふぁっ、うっ……あ、だんだん……温かく……」
AC197年現在でも、水が一秒未満で湯になるような革新的技術は無い。
シャワーは最初冷たかったが、徐々に温まっていった。
その温度変化はマリーメイアに未知の快感を伴わせた。
「やめろ、小娘! トレーズの娘がそんなみっともない事をするな!」
「ふぇ……? みっとも、ない……?」
貞操観念ゼロの童女に何を言っても暖簾に腕押しだ。
意味も分からずただ気持ち良いから角オナしているだけの娘が、
どんなに母親に注意されても飲み込めないのと同じ。
ウーフェイが何故止めようとするのか、マリーメイアには分からなかった。
マリーメイアは左手の人差し指と薬指でマンコを押し広げ、
中指の第一関節を穴の中に差し込んでグリグリと回しながら、
左手ではシャワーを浴びせ続ける事を止めようとしなかった。
「気持ち良いですわ、とっても……。私、知りませんでした。
子供を産む為の準備って、気持ちの良いものなのですね」
オナニーが「子供を産む為の準備」かどうかという問題はさておき、
元世界国家元首のご落胤が七歳にして自慰にふける様は、
世界中の庶民に幻滅を与えかねない光景ではある。
マリーメイアの表情はうっとりと蕩けており、
早くも将来の美しい風貌が期待出来る瞳をしていた。
「けれど、ウーフェイ……。私、怖いですわ」
「何が怖いんだか知らんが、すぐに止めろ。女のする事ではない」
ウーフェイは少女の手からシャワーヘッドを引っ手繰り、
ついで自慰にふける右手も無理矢理に引き剥がした。
爪が当たって出血でもしていないかと心配だが、
股から滴る湯の中に赤いものは混じっていないから、まだ何とか大丈夫か。
ウーフェイがそう考えた時、まさにその爪の問題に関して、
マリーメイアは心中を吐露した。
「怖いんです。指では、ナカが傷ついてしまいそうで。
もっと柔らかいモノで、私の中をほぐして頂けませんか?」
両手首をウーフェイに握られて尚、湯船の中でM字開脚のまま、
マリーメイアは無自覚にふしだらな懇願をした。
ウーフェイは本来、インテリだ。
武芸に勤しむ傍らで勉学にも励み、むしろそのせいで、
かつては許婚者から軟弱者のように謗られた事もある。
無論芸術の方面に関しても、カトル程でないにしろ、
五人のガンダムパイロットの中ではかなり明るい方になる。
その彼が、マリーメイアの潤んだ瞳を「美しい」と感じてしまった。
シャワーのせいでか、それとも年に不相応な愛液が染み出していたのか、
マリーメイアのオメコはウーフェイのオデコ並に光っていた。
「あ、あぁっ……温かっ……」
美しい女にクンニして欲しいと頼まれて、断れる男が居るだろうか。
いや、ない。(←反語)
ウーフェイはマリーメイアの望み通り、爪の生えた、骨ばった指などより、
遥かに柔らかで温かい、そして指より太いもので、
未熟な穴を押し広げてやろうとしていた。
即ち、舌だ。
マリーメイアは湯船の縁に尻を乗せ、股座にウーフェイの顔を受け入れていた。
「こんな味がするものなのか。俺も初めて知ったが……あまり美味くないな」
さっきまではもっと不味いモノをマリーメイアに舐めさせていたくせに、
女に対して優しい言葉もかけられないのは、ウーフェイの悪癖だ。
しかし当のマリーメイアには、
今そんな細かい事に文句を言う余裕は無かった。
「もっと……もっといろいろ、して下さいぃ……。
舌を捻じ込んで、ほじくって、回して掻き混ぜて……」
自分がどんなに卑猥な事を言っているか、彼女に自覚があろう筈も無い。
世界一エレガントで、世界一淫乱な七歳児だった。
「ぢゅぅぅぅぅっ」
「んひいぃっ!?」
まだはみ出てもいない具を無理矢理はみ出させようと、
ハゲはマリーメイアの桃色の肉を強く吸った。
マリーメイアは電流でも流されたかのように仰け反り、
ウーフェイのハゲ頭を強く両手で股間に抑えつけた。
「入り口だけじゃ、もう……物足りないんですぅ……」
「マリーメイア」
「お願いぃ……奥まで、気持ち良くして下さいぃ……」
七歳という幼さで身籠れる筈が無い。
……だから、諦めろ。ウーフェイは当初、そう教え込むつもりだった。
それがいつの間にか、自分への言い訳になってしまっていた。
七歳という幼さで身籠れる筈が無い。
……だから、セックスしても平気だと。
「これで、私も赤ちゃんを産めるのですね」
「……すまない、マリーメイア。お前の年齢では本当に無理だ。
膣の大きさの問題じゃない。体がまだ、子供を作る機能を持ってないんだ」
ウーフェイは一度も、マリーメイアを騙そうとしてはいない。
しかし事ここに至れば、自分が無知な幼女を騙しているかのように思える。
知識の無さにつけこんでフェラをさせ、乳首を舐め、クンニし、
そして今また挿入を果たそうとしているのだと、嫌でも思えてくる。
そんな後悔が、正義に燃えるハゲに、謝罪の言葉を述べさせた。
だがマリーメイアは、一瞬キョトンとした後、すぐに顔を綻ばせた。
「つまり、子供を作る機能が備わるまでの……これは、予行演習ですわね」
「マリーメイア……!」
「いつかちゃんと産ませて下さいね、ウーフェイ。
私の子を。トレーズ・クシュリナーダの孫を。そして、あなたの子を」
マリーメイアはそう言うと、バスタブから外へと出た。
そしてバスルームの鏡の前で、四つん這いになる。
何でのっけからバックなんだ、とウーフェイは思ったが、
考えてみれば動物のセックスはバックが基本だ。
セックスを知らない幼女が、下半身の穴に何かを入れるのならば、
正常位よりもむしろこの方が、余程自然な体位だと感じたのだろう。
……と思いきや、マリーメイアは素っ頓狂な答えを寄越した。
「え、このポーズは間違いですの?
以前風邪をひいた時に、レディさんに座薬を入れて貰ったんですが、
その時のポーズがこうだったから、てっきり……」
「……頼むから、トレーズの娘が座薬とかいう言葉を使わないでくれ」
ウーフェイは少女の小さな尻を両側からしっかり掴むと、
さっきまで舐めまくっていた未成熟な穴に、
己のドラゴンペニスをロックオンした。
繰り返すが、マリーメイアはセックスについて無知だ。
だがそれと同時に、幼い故の好奇心と、怖いもの知らずな度胸がある。
リリーナ曰く、彼女もバートンの反乱で「恐怖を知った」が、
それはとりあえず命の危機に対する恐怖であって、
よく知りもしない男に体を委ねる事に対する恐怖は、まだ薄い。
その辺りは、公園で声をかけてきた見知らぬ男に、
何の恐れも感じずついていく、馬鹿な子供達と大差無い。
年頃の普通の娘ならば初セックスは何もかも相手任せでマグロだろうが、
マリーメイアはひたすら「肉の棒を出し入れする」事に集中していた。
つまり早い話が、自分から腰を振っていた。
初めては相手に全部任せる、などという発想は微塵も無い。
相手が意外と乱暴に扱ってくるかも知れない、という恐れも感じていない。
彼女はウーフェイの腰つきに合わせ、犬のように下半身を前後に揺すった。
「おごっ、あ……ぉあぁ……ナカぁ……えぐ、れるっ……」
「無理を……するな……マリー、メイア……」
両者は両膝をついたまま、タイル張りの床の上でピストン運動に励んだ。
内臓まで貫通されそうな激痛が、少女の膣を間断なく攻撃し続ける。
鏡に映る自分の顔に、マリーメイアは愕然とした。
この、痛みに苛まれ、情けなくも涙を流す姿が、今の自分。
このザマでトレーズの娘を名乗るなど、おこがましい。
トレーズの娘ともあろう者なら、そしてレディの娘ともあろう者なら、
こういう時でも常に毅然としていなければなるまい。
「はっ……はっ……ウーフェイ……」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……何……だ……?」
「椅子……椅子に……」
女王の風格を備える者ともなれば、玉座に掛ける様がやはり合う。
ハイハイの姿勢で後ろから貫かれるなど、平民でも出来る事だ。
だがエレガントな女ならば、そのようなケダモノじみた姿勢は許されない。
そう考えたマリーメイアの吐いた言葉の意味を、ウーフェイはすぐに理解した。
トレーズの理解者であったウーフェイなればこそ、
マリーメイアの欲する体位を瞬時に読み取ってやれたのだ。
ヒイロやデュオでは、とてもこうはいかなかった。
ウーフェイは繋がったままで、マリーメイアの上半身を抱き起した。
そのまま風呂場に備え付けの椅子の上に腰掛け、背筋を伸ばす。
西洋のバスルームに果たして日本の風呂のような椅子があるのかは知らないが、
アフターコロニーの世界ではそういうのも標準装備という事にしておきたい。
兎も角こうして、ウーフェイは束の間、マリーメイアの玉座になった。
ウーフェイに背を向けて跨るマリーメイアの恥ずかしい部分が、
鏡の前であけっぴろげになっている。
だが彼女は、足を閉じようなどと思わなかった。
むしろ両脚がしっかり床についたお陰で、
もっと積極的にピストン出来る、としか考えていない。
ここからはウーフェイよりむしろ、マリーメイアの方が
禿げしく……じゃなかった、激しく動き始めた。
「おっ! アッ! おふっ! 奥にィッ……あはぁんっ!」
「くっ……! この快感、正義だっ!!」
ウーフェイはマリーメイアの背後から両腕を伸ばし、
少女の乳首をクリクリと弄り回した。
戦士のドラゴンペニスが令嬢のエレガントヴァギナを幾度も突き、
汗がビームのように爆ぜては飛び散る。
持て余した両手を、マリーメイアはウーフェイの両手の甲に添えた。
「ぐっ、う……マリーメイア! 中に出すぞ!」
「出してウーフェイ! わたひのナカにぃっ! 赤ちゃんの素をぉあっ!」
ウーフェイはビームザーメンを少女の最奥に迸らせた。
マリーメイアの方はと言うと、勿論こんな年齢で「イク」事は無かったが、
熱い液体が胎内に満たされた事を感じ、恍惚とした満足感を得た。
「ぷっ……くく、くっ……」
神父の場違いな堪え笑いが、新郎と新婦の晴れ舞台に水を差す。
「真面目にやれ、デュオ」
「い、いや、だってよ……くくっ、はっ……」
「あら、そんなにおかしいですか? 失礼しますわね」
ウーフェイは仏頂面で、マリーメイアはふくれっ面で、
それぞれ神父役を務めるデュオに文句を挟んだ。
ヒイロは「だからアイツに神父などさせるなと言ったんだ」と言い、
トロワは「俺もカトルの方が適任だったと思う」と付け加え、
カトルは「でも法衣と言えばデュオでしょう?」と答えた。
マリーメイアの純白のドレス姿は非常に似合っているが、
片やウーフェイの燕尾服姿は似合わないにも程がある。
けれどもデュオが笑っているのは、ウーフェイの外見が原因ではなかった。
「あぁーもうマジ無理! 笑うなってのは無理な話だぜ!
だってそうだろ? ウーフェイが、トレーズの娘と出来婚とはなぁ」
あれから十年。ウーフェイは二十六歳に、マリーメイアは十七歳になった。
ウーフェイの髪はとうとうスキンヘッドに近い程薄くなり、
対称的にマリーメイアの髪はリリーナ並みに長くなった。
いつか婚姻しましょうねと微笑むマリーメイアに、
今までウーフェイは「勝手に言ってろ」と突っぱねていたのに、
ある日突然マリーメイアの妊娠が発覚し、急遽入籍する事となってしまった。
何しろ急な話だったし、マリーメイアも身内だけで式を挙げたいと言ったから、
教会ではなくカトルの経営するホテルを貸し切っての挙式となった。
神父はデュオが務め、そこにガンダムパイロット達や、
リリーナ、レディ、ドロシーがお呼ばれしていた。
「俺ら五人の中で、一番出来婚とは縁が無さそうだったクセによぉ。
やる事ぁやってんだから、スミにおけねぇよなぁ」
「まぁ確かにデュオの言う通りだ。
こういう形での結婚は、デュオが一番やらかしそうだったんだが」
「その言い方も結構酷いよ、トロワ。にしても、よくヒイロが来てくれたね。
と言うか、よくヒイロが掴まったね」
「勘違いするな。俺はリリーナの護衛で来ただけだ。この二人の結婚など興味が無い」
「まったくあのハゲ、よくもトレーズ様の御息女相手にショットガンマリッジなど……」
「まぁまぁ、良いじゃないのレディ。火星に居るゼクスたちの分まで祝福しましょう」
「ところで、リリーナ様とヒイロ・ユイはいつご結婚なされるのですか?」
「私は公務が忙しいから当分は無理ですわ、ドロシー」
主役はウーフェイとマリーメイアであるに関わらず、
列席者達はめいめい好き勝手な事を口にしていた。
ようやく落ち着いてきたデュオが、そろそろ神父らしい言葉を口にする。
「新郎、張五飛。新婦、マリーメイア・張。汝らは永遠の愛を誓いますか? っと」
随分略式な誓いの確認だが、元々この男は正式な結婚の儀礼を知らない。
本物の神父でも牧師でもないのだから、当然だった。
「ほら、早く言えよウーフェイ」
「くぅっ……! かっ、軽々と口に出来るか、そんな言葉ァッ!!」
「私は誓いますわ。健やかなる時も、病める時も勿論ね!」
ウーフェイが妙に渋り続けたせいで、その後結婚式は、
予定時間を一時間近くオーバーして終了する運びとなった。
終わり
GJ!
なんか、久々みてみれば、まさかのWしかもEW
Hシーンですら笑いとるか・・・GJ
ucのエロパロってないかなぁ
なければ書けばいいじゃない
だいぶ感覚が空いてしまいましたが、続き物の第五話を投下します。
紹介は
>>452参照です。
今回の注意事項は特にありません。
「彼女はアイネ・クライネ伍長。先ほど我々が救援に向かった、サラミス改級巡洋艦アバリスMS隊の生存者だ。
皆にはまだ知らせていなかったが、クライネ伍長はジオン残党との激しい戦闘の末に乗機を撃墜され、漂流中のところを私が発見し、救助した。
アバリスが撃沈され部隊も全滅したため、彼女は今後本艦MS隊に編入される。機体到着までの間、彼女には予備MSパイロット要員として勤務してもらうことになる。
クライネ伍長、前へ」
すう、と息を大きく吸って、吐いて、それから背筋を伸ばしてきっと前を見据えながら、少女は半歩前に出る。
そしてトラキアMS格納庫全体に聞こえるように、よく通るマコトの声にも負けない強さでアイネは名乗った。
「アイネ・クライネ伍長です。前回の戦闘では母艦アバリスも、部隊も守ることが出来ずに撃墜されてしまった未熟者ですが、その敗北を教訓にしてこれから精一杯頑張らせていただきます。
百戦錬磨のトラキアの諸先輩がた、どうかよろしくお願いいたします!」
あらかじめ頭の中で反復練習していた口上を一気に言い切ると、アイネはふっと息を吐きながらも努めて表情を凛々しく保ち、新たな同僚たちを見据えた。
何事も、最初がすべて肝心だ。不必要に馬鹿にされたり、なめられたりしないように。
ハヤカワ准尉がそばにいてくれても、自分は自分として強くあらねばならない。
ちら、と一瞬アイネの視線がシュンのそれとかち合ったが、二人は互いに慌ててそれを逸らした。
何しろ最初の出会いが出会いだっただけに、この二人は互いに気まずいことこの上ない。
ぱち、ぱち、ぱちと、アイネとマコトの前に居並ぶ三人のパイロット以外から、散発的な拍手が届いた。
見上げれば、MS格納庫に所狭しと屹立する四機のGMUの間を浮かんで行き交う整備兵たちが、アイネに歓声を送っていた。
「ひゅう! いいぞぉ、アバリスのお嬢ちゃん!」
「敵討ちかい? 手伝ってやんよぉ! 新しい機体が届いたら、整備はバッチリ任せときなぁ!」
「――ありがとうございます!」
好意的な反応に、アイネは思わず顔を綻ばせて叫び返す。
よかった。ここの整備の人たち、いい人たちみたいで。女の人もいるみたいだし、仲良く出来るといいな。
でも、とりあえず、問題は――。
「…………」
アイネは一度緩みかけた表情を再び引き締め、目の前に居並ぶパイロットたちを見つめた。
一人は複雑そうな表情で無言の、シュン・カーペンター伍長。
こうして落ち着いて見てみると、先ほどアイネに欲情して凌辱しようとした攻撃性が嘘のような、穏やかで優しげな容姿をしている。
頼りなさげではあるが、清潔感のある黒髪に顔立ちもなかなか整っていて、中性的と言ってもいい。
――残念……これで女の子だったら、もっと仲良くしたかったのに。でも、あんなことになっちゃったし……これから、この人とどうやって付き合っていこう。憂鬱だな。
そして、残りの二人。
一人は癖の強い黒髪を伸ばした、浅黒い肌の屈強な大男。もう一人は小柄だが少し横幅のある、短髪の気難しそうな男だった。二人とも若い。
「次はクライネ伍長に、こちらから自己紹介する。ガルノフ軍曹から序列順で行け」
「へぇーい」
ガルノフと呼ばれた大男がマコトの指示に、一瞬だけ皮肉げなかたちに口元を歪ませ、アイネはびくりと背筋を震わせる。
だが次の瞬間には男は破顔し、むしろ人懐こさを感じさせるような笑顔でアイネに名乗った。
「イベル・ガルノフ軍曹、23歳だ。一昨年、第411コロニー防空中隊から転属してきた。MSパイロット歴は4年だ。
だがGM改だのGMUだの、明けても暮れてもGMばっかり乗らされるのはもうお腹一杯だぜ。次は景気よくガンダムにでも乗りてぇな、ガンダムによ!
クライネ伍長、分からないことがあったら何でも俺に聞いてくれよな!」
「あっ……、は、はい。ガルノフ軍曹、ありがとう、ございます……」
呵々大笑して友好的な表情で歩み寄り、握手を求められたアイネは手を差し出してスーツ越しにそれを受ける。
雰囲気は終始友好的だったが、男からの視線に敏感なアイネは握手のためにぐっと近づいた瞬間、獣のように鋭さを増した視線が自分を上体から嘗めまわしていったのを感じ取っていた。
「ロブ・サントス伍長、20歳。訓練生課程修了後、ガルノフ軍曹と一緒に一昨年トラキアへ配属されたッス。クライネ伍長、俺も相談乗るんで、何でも聞いて欲しいっすね」
「サントス伍長、よろしくお願いします」
隊長のマコト以下、二人のパイロットが紹介を終えて、残るは一人。だが不自然な沈黙が降りて、視線がその最後の一人に集中した。
「おいシュン! ボサッとしてんな、次はオメーだ!」
「あっ。はいっ!」
ロブに怒鳴りつけられて、びくりとシュンが震える。
「シュ、シュン・カーペンター伍長、19歳。去年トラキアに配属されたばかりです。
自分にも、まだ分からないことが多々ありますが……クライネ伍長を出来る限り手助けしたいと思うので、よろしくお願いします」
「……よろしくお願いします」
最後までお互いに目線を合わせることなく、終始微妙な雰囲気のままで二人は会話を終える。
その様子にガルノフとロブが視線を交わしあったが、それを打ち切るようにマコトが最後の名乗りをあげた。
「では改めて、マコト・ハヤカワ准尉だ。79年からトラキアでMSパイロットとして勤務している。今はここのMS隊長だ。
クライネ伍長は原隊が全滅し自身も撃墜されたばかりで、混乱している部分も大きいと思うが、早い段階での戦力化を目指して訓練していく。積極的についてくるように」
「はい!」
鬱屈しかけた気分を吹き飛ばすように、アイネは大声で応じる。
「なおクライネ伍長の練度掌握のため、明日MS実機訓練を実施する。カーペンター伍長。君の25をクライネ伍長へ貸し出すので、それまでに申し送りを確実に済ませておくように」
「えっ!? じ、自分の機体をですかっ!?」
「か、カーペンター伍長の……?」
「どうした、カーペンター伍長。何か機体に問題でもあるのか? 整備の方からはそういう連絡は受けていないが」
「き、機体の問題と言いますか……その……」
突然に指名されてシュンはうろたえ、アイネも表情をかすかに引き攣らせる。だがマコトは動じることなく、あくまで強引に押し切った。
「機体に問題がないのなら、私の指示通りにしてもらう。ではカーペンター伍長はクライネ伍長への申し送り、サントス伍長は引き続き当直上番、ガルノフ軍曹は待機だ。私は再度艦橋へ上がる。質問は?」
「あ、あー……いや……そのぉ……」
「無ぁし!」
「では、分かれ」
アイネとシュンがしどろもどろの沈黙で答える中、二人のパイロットからの言葉が早々にその場を解散に導いた。
マコトは床を蹴って格納庫から艦内への通路に向かい、すれ違いざまにアイネと一瞬の視線を交わし、シュンの肩をぽんと叩くと、そのままエアロックの向こうへ消えていった。
「…………」
「…………」
そして格納庫の底に残される、気まずい空気のままの二人。
「ロブ。お前、こっからどうする?」
「あー。次の下番までもう作業も訓練も入ってないッスからねぇ。整備と一緒に24の面倒でも見てるッス」
「じゃあ俺も手伝うわ。空振りとはいえ出撃したばっかで目ェギンギンしてよぉ、こんなんでもう寝られねーっての。おいシュン! ボーッとしてねぇで、クライネ伍長にちゃんと申し送ってやれよぉ」
「愛しの25、そのまま取られちまわないようになぁ?」
ロブとガルノフが笑ってシュンの背中を叩き、そのままGMU24の方向へ流れていくと、今度こそその場は二人だけになった。
「…………」
「…………」
「…………あの……。このまま、ここでじっとしてても何ですし……。25号機、見せてもらえませんか……?」
「えっ? あ、ああ……。そ、そうだね……」
未だに視線を合わせようともしないままのアイネにそう言われて、シュンは自身も床を蹴って自機のコクピットハッチへ跳んだ。
到着するとハッチを開放しながら、後続してきたアイネに向かって手を伸ばす。だがアイネはそれを無視して自分で器用に慣性をいなし、ハッチの前で危なげもなく身体を止めた。
MSパイロットとして正規に任官しているのだから当然と言えば当然なのだが、アイネの運動能力は相当に高い、とシュンは感じた。
――あんなに胸が大きくて、ほとんど裸の格好で痴女みたいにいやらしく誘ってきて、かと思えば、か弱い女の子そのものの姿で怯えて泣きじゃくったりしていたのに。
最初の出会いが出会いだっただけに、シュンはMSパイロットとしてのアイネとの『再会』に戸惑い、そして、自分と同じ伍長の階級章を着けたパイロットスーツ姿の彼女をまじまじと眺めた。
宇宙空間での生命維持という基本機能こそ共通するものの、一般用のノーマルスーツと、パイロットスーツは要求される性能が大きく異なる。
パイロットスーツは作戦環境下におけるMSの操縦という、機敏さと正確さを同時に要求される動作に対応するため、可能な限りに装着者の動きを妨げないことを要求される。つまり何より、軽く薄いことが必要となる。
その一方で、宇宙の過酷な熱や放射線に耐えるための宇宙服としての機能も具備していなければならない。
民生用、軍用ともに、宇宙世紀開闢以来膨大な数が生産されてきた一般用のノーマルスーツならば、多少の重さや動きにくさを受け入れることで、堅牢性と信頼性、そして経済性を両立できる。
だが前述の特性が必要となるパイロットスーツは、薄く軽くあるために、まず装着者の体型に近い必要がある。それも身体の各部分ごとでなく、全身でだ。
よってパイロットスーツは経済性と堅牢性を犠牲にしてでも、身体に密着する薄く軽い素材によって作られている。だから軍服などよりもずっと格段に、体型が出やすいのだ。
アイネの細く引き締まった腰と、それと裏腹に西瓜のように大きく張りつめた二つの爆乳、そして健康的に鍛えられた豊かな臀部と悩ましい太股。
しかも本来の着用者であるマコトのそれよりずっと巨大なアイネの乳房は、胸周りの生地を限界までぱんぱんに突っ張らせ、張り付いたスーツ越しに左右の形も露わにしている。
あまつさえその頂点では、微かな突起の気配さえ隠しきれてもいないように思われた。
もはや過剰なまでに『女』でありすぎるアイネの肉体の線をそのまま、ほとんど剥き出しで主張してしまうパイロットスーツは、健康な男子であるシュンにとって間近での正視に耐えられるものではなかった。
――あそこに、今……窮屈そうに詰まってるんだな。
愛らしく造作の整った彼女の顔より、なお大きいほどだった乳房を思い出し、シュンの喉を唾が落ちる。
「……カーペンター伍長? とりあえず、25を起動させてもらえませんか?」
「えっ? あ、ああ――ご、ごめん!」
むすっとした声が聞こえて視線を上げると、砲弾二発が押し込まれたように突っ張る胸の上で、ひどく機嫌悪そうにアイネがシュンを睨んでいた。シュンの視線が自分の身体のどこへ来ていたか、完全に知っているのだろう。
ひどい赤っ恥にシュンは耳まで茹であがり、慌ててリニアシートでコンソールを操作しはじめる。
アイネは大きくため息を吐いてハッチを蹴った。しなやかな肢体を球形のコクピット内へ泳がせると、リニアシートの背に手を掛け、シュンの肩越しにコンソールの起動画面を覗き込む。
「あの、……カーペンター伍長」
「……何? クライネ伍長……」
「いま、起動画面を見てたんですけど。この子って、ルナツー工廠製の79AをGMU規格に改修した79Rですよね?」
「あ、ああ……うん。そうだよ」
一年戦争の後期から各地の地球連邦軍拠点で量産が開始されたGMは、その製造拠点ごとで規格の異なる箇所が存在し、効率的な統合運用に支障を来していた。
そんな状況の中で84年に制式化されたGMU規格は、単なる在来GMの性能向上だけでなく、連邦軍が運用するGM系MS全体の再規格化による整備性、運用性の向上をも意図するものだった。
だがGMUとしての完全な新造機であるRMS-179ならいざ知らず、既存旧式GMからの改修によるアップデート機であるRGM-79Rには、やはりGMU規格による部品交換でも解消しきれない、元機体由来の微妙な癖が存在する。
アイネがトラキアで新たなGMUに乗る上で、一番気にしていたのがそれだった。だが一見したところでは、シュンの機体は彼女の前の乗機とロットとバージョンが近く、そこまで深刻な問題は起こり得ないように思われた。
「……だったらこの子、私が前に訓練隊やアバリスで乗ってた子とおんなじです。一通り、動かし方は同じだと思いますから……少し、シミュレーションとかを一人で操作してみていいですか。
分からないことがあったら、そのときまた改めてうかがいますから」
「そ、そう……」
要するに、お前に教えてもらうことなど何もないから、一人にしてくれ――シュンは彼女の言わんとするところを、すぐに理解した。
それは正直なところ、シュンにとっても渡りに船の提案だった。
先ほどの事件の直後である。理解不能の痴態を晒して自分から積極的に誘惑してきながら、途中で態度を急変させて犯さないでと哀願してきた彼女。
その美少女に身体の線が出やすいパイロットスーツで、巨大な乳房をこれでもかと言わんばかりに張りつめさせて強調されたまま、この狭い空間でこれ以上一緒にいたら、今度こそ頭がどうにかなりそうだった。
「――カーペンター伍長。私、そこで操作してみてもいいですか?」
「あ、ああ……」
言葉遣いだけは丁寧でも、その大きな胸はしっかりと張り、目にはやたらと強く威圧するような光がある。
シュンのシートを奪おうとする彼女は一歩も譲らない強硬な構えのようで、そしてシュンにはわずかに負い目があった。
「……どうぞ」
少女からの圧力に負けたシュンがシートを空けると、アイネの身体がすかさずそこへ滑り込む。
乳房に負けず肉付きの良い腰を沈み込ませながらベルトを回し、慣れた手つきでコンソールを叩き、そしてシュンが何か言おうとしたときには、アイネはすでにシミュレーターを起動させていた。
息づく全天周モニターはトラキア艦内の格納庫の風景を一瞬だけ映したあと、すぐさま仮想戦場の宇宙空間に切り替わる。
CG描画された満天の星空が辺り一面に広がるが、言うまでもなくこのコクピット内の少年少女の間には、そこで甘く語り合うような雰囲気など存在しない。
「うん。ここまで来たら、もう大丈夫です。シミュレーターで慣らしながら、新しいユーザーIDで私用の設定、作っておきますね」
「そ、そう……?」
手際よく操作を進めていくアイネがリニアシートに座ってしまえば、開放されたコクピットハッチから見える範囲はごく狭く、言いようのない圧迫感が二人の上に降りてきた。
重たい。
「じゃ、じゃあ、クライネ伍長。とりあえず――」
「カーペンター伍長。まだ何か、私にご用がおありですか?」
その重さにこらえきれずにシュンが何か言おうとしたところへ、アイネがカウンターのようにぴしゃりと冷たく制してのけた。
視線はコンソールとディスプレイに据えたまま、傍らのシュンへと追い撃つように言い放つ。
「勘を取り戻すために集中したいんです。しばらくここで一人にさせてもらえませんか」
それはまさしく庇を借りた勢いで母屋も分捕る類の無体さだったが、何しろここまでの経緯が経緯だけに、彼女の勢いに対してシュンは何も言い返せない。
「う……っ」
少し話くらいは出来ると思ったのに、それすらさせてもらえないなんて。25は僕のMSなのに。
――女の子って、こんなにも信じられないものなのか……?
「わ、分かったよ……。すぐそこにいるから、何か分からないことがあったらすぐに呼んで」
「分かりました」
結局最後まで一度も目を合わせようとせず、アイネはただ冷たく答えるだけでシュンをあしらう。
ただスタイルが圧倒的なだけじゃなくて、こんな表情でさえなければ、とっても可愛い女の子なのに……。
「うう……」
そしてシュンはアイネの冷たい気配に追い出されるようにして、コクピットハッチを蹴る。ハッチから遠くなっていくシュンの背中は、やがて全天モニターに広がる宇宙空間の向こうへ消えていった。
「たまんねぇよな」
「たまんねぇっすよねぇ」
GMU24の機体の陰で整備を手伝う風を装いながら、トラキアMS隊の中堅パイロット二人――イベル・ガルノフ軍曹とロブ・サントス伍長は、不穏な目配せを交わし合った。
「なんだよ、あの乳、腰、尻、脚……あんまりあからさまに男を誘いすぎだろーよ? 目の保養っつーか、あそこまで行くともう完全に、目の毒にしかならねぇよな」
「アイネちゃん、ヤバい体してるっすよねぇ。ここに来てしばらくの頃は、小隊長のノーマルスーツ姿にもずいぶんお世話になったもんッスけど……あの子のは破壊力がさらに桁違い、ッスよねェ」
「おう。マジいっぺん抱いてみてぇ。
だが、その前によォ……MSどころか脱出ポッドまできれいに吹っ飛んだ挙げ句、ノーマルスーツまでダメージ食ったのに本人だけはピンシャンしてる、っつーのはどーゆーことよ?」
「そうッスよねェ。『ジオン残党との激しい戦闘』ったって実際どんなもんだったか、客観的な証拠、っつーもんが何にも残ってないンすよねぇ……」
アイネのGMUやその脱出ポッドは戦闘で完全に失われ、生命維持のために最低限必要なパイロットスーツすら、『損傷のため、破棄』されたということになっている。
それで今のアイネは、男を挑発するためにわざとやっているとしか思えない、あの規格外の爆乳でぱつんぱつんに胸を張らせた、借り物のパイロットスーツなどを着ているのだ。
だからこの時点で、アイネがアバリス隊の一員として、ジオン残党とどう戦ったかを証明する物はない。
むろん実際には証拠として、当のガルノフとロブがアバリス艦橋部の残骸から回収してきたブラックボックス内の戦闘記録があるのだが、サラミス改級巡洋艦のブラックボックスを同じサラミス改級で開けるはずもない。
実際にその中身を開いて調べられるのは、コロニー港湾部に居を構える艦隊司令部へ帰投したあとの話だった。
「なーんか、変なんだよなァ……。マコッちゃんはそのへん適当にサラーッと流してたけど、普通あり得る話じゃねェよな。
あのお嬢ちゃん、ひょっとして……ブルっちまって、敵前逃亡かましたんじゃねぇのかぁ? でなけりゃ最悪、裏切りモンとか……」
「あー……あり得るッスわー」
まあ、あり得なくはないか、と思いながら相槌を打つロブの前で、ガルノフは自説への確信を深めてひとり頷く。
「だよなァ。となると、これから俺らの予備パイロットになるってあの娘に、いろいろと聞いておかなきゃならんことがあるみたいだな……?」
「それは間違いないッスねぇ」
ロブは肯定しながら、視界の端でガルノフの鼻の下がしだいに伸びていくのを見守っていた。
あー。この人、絶対なんかやらかす気だな。
ここ数年の付き合いで先輩パイロットの性格をおおむね理解していると自負するロブは、悪巧みするガルノフの表情を諦め気味に苦笑する。
そのとき二人はGMU25のコクピットハッチから、そのパイロットであるシュンが飛び出してくるのを見た。
「んっ? シュン?」
「何やってんだ、あいつ……」
周りへ目もくれずに暗い表情で自機のもとから飛び去るシュンには、そのまま自機へ戻ろうとする気配もなかった。
いったい何があったのかと思案するロブの傍らで、ガルノフはシンプルかつストレートに行動方針を立てていた。
「ってことは今、あそこにゃアイネちゃん一人か。マコッちゃんも外してるし……早速こりゃあチャンスだな!」
呟きながら、ガルノフは床を蹴った。一直線に、開放されたままの25のコクピットハッチへ向かっていく。
「ロブ! 俺ちょっと、そのへん含めて挨拶してくるわ」
「えっ、マジっスか先輩? 今スか、今行っちゃうんスか!?」
「いつ行くの? 今でしょ!」
「あーあ、……知らねぇッスよぉ……」
何の迷いもない明快な返答。ロブは顔面をひくつかせながら怖さ半分、期待半分で先輩の行く手を見守った。
「……ふぅ……」
シュンの気配がコクピットから完全に遠のいたのを見届けて、アイネは大きく息を吐く。
そしてまず最初に、パイロットスーツのファスナーを襟元から引き下ろしはじめた。
下りていくファスナーが巨大な隆起の位置にかかると一気に指が重くなり、アイネはむっと力を込めて引き下ろす。
「……んっ、……んんんんん……っ! ……」
じりじりとファスナーが頂上へ向かって前進していくその途中で、急にファスナーを引く抵抗が消失したかと思うと、一瞬にしてパイロットスーツが爆発したように左右へ割れた。
「ひゃっ!」
スーツの内側の乳房が弾けるように飛び出して、へその位置までファスナーを飛ばしたのだった。
ぱつぱつに張っていたパイロットスーツの前は左右それぞれ大開きにされたが、それでもその両端は、左右の峰で天突く頂点をギリギリで覆い隠す位置まで広がり、そこでようやく止まっていた。
数十分ぶりに呼吸の自由を手に入れて、アイネは喘ぐ。
「……ふぅ……っ。息、……詰まるかと思った……。やっぱりキツすぎるよ、これ……。
……ハヤカワ准尉のスーツを着られるのは、ちょっと嬉しいけど……胸だけは、どうしても息苦しいな。それに……男の人と狭いコクピットの中で二人っきりなんて、イヤだよ……。怖い……」
シャツと水着だけをまとった巨大な乳房二つがきつく締め付けられて、スーツの中はいつにも増して蒸れていた。
湯桶でも叩きつけられたように胸の谷間は濡れていて、そこから蒸れあがってきた湯気にアイネは嫌そうな顔を見せる。
「私のモビルスーツも大事だけど、ノーマルスーツの方も次の補給で一緒に来てくれるのかな……? フランクス艦長は被服の補給も依頼してくれた、って言ってたけど……大丈夫かな。私の体型って、ちょっと変だし……」
アイネは呟きながら、前を開いたスーツの内側へ手を伸ばし、圧し潰されていた乳房のポジションを直した。
ようやく胸が落ち着くと、今度は半ば無意識のうちに前髪へ手をやり、アイネは冷たい金属の質感に触れた。
シエルがくれた、大事な髪留め。
乗機を撃墜され、乗艦までも撃沈されて、MSもノーマルスーツも下着さえも、持ち物はみんな失くしてしまった。
それでも、MSパイロット候補生課程の修了間際にルームメイトだった親友の少女、シエル・カディスが贈ってくれたその質素な髪留めだけはアイネの前髪に残っていてくれて、それが少女の心を何より安らがせてくれた。
「私のこと、シエルが守ってくれたのかな……」
髪留めにまとめられた前髪の房を弄ぶように、アイネの指が優しくその金属面を撫でさする。
MSパイロット訓練生時代のルームメイトにして親友、シエル・カディスが贈ってくれた髪留め。
いつも清潔で折り目正しくはあっても、決して華美であることはなかった小柄な眼鏡の凛々しい少女を思い出して、アイネの胸に暖かい感情が染み出していく。
シエルがあんなに鍛えてくれたのに、最初の戦いには負けてしまった。母艦も仲間も守れなかった。
でも、自分はまだ生きている。
一度は死んだと思った命だ。力の限りに思い切り、やれることをやれるだけやってみよう。
「よし、――って!?」
「よっ、クライネ伍長。捗ってるぅ?」
「あっ!? が、ガルノフ軍曹っ!?」
ひとり力強く頷いたときに男の野太い声が掛かって、アイネはリニアシートでビクリと跳ね上がった。
無防備に胸元をはだけた少女の目の前には、コクピットハッチに足を掛けながら身を乗り出してくる巨漢、イベル・ガルノフ軍曹の、やたら迫力のあるいかつい笑顔があった。
本来の主である少年を閉め出し、自分一人だけの空間にしたはずだったコクピットへの不意な男の侵入。
アイネは頬を紅潮させながら咄嗟にパイロットスーツのファスナーを上げ、無防備な胸を少しでも隠そうとする。
しかし大きすぎるアイネの乳房は慌てふためいた雑な動作など受け付けず、ファスナーは乳房の下にも届かずに止まってしまう。
そしてその間にガルノフは足場を蹴ってコクピット内へ泳ぎ、脇からコンソールを叩いてコクピットハッチを閉じていた。
屈強な男の目の前へ胸の谷間を無防備に曝したまま、コクピットハッチを閉じられて二人だけの閉鎖空間にされてしまったことに、アイネは上擦った恐怖の悲鳴を押し殺す。
「あ、ああ……あああっ……」
「シュンの奴、こりゃ後で修正だなぁ。クライネ伍長をたった一人にしてサボるなんてよぉ。こういうのはやっぱり先任の俺が責任持って、手取り足取り教えてあげないと……な?」
「で、でも……っ」
「いいから、いいから」
不意を突かれてすくんだアイネは強引な押しを止められず、ガルノフはその隙に慣れた動きでリニアシートの後ろへ、アイネの背後へ回り込んだ。
「が、ガルノフ軍曹?」
「なんだよ、緊張してるのかい? もっとリラックスしなよぉ。役立たずなシュンの代わりに、俺がなんでも教えてあげるから……さぁ」
閉鎖空間で背後という死角に入られて声をうわずらせるアイネに、耳へ息のかかりそうな距離からガルノフが猫なで声で話しかけた。
「仲良くしようぜぇ、クライネ伍長ぉ」
「ひっ!?」
操縦桿を握るアイネの手に、後ろから伸びてきたガルノフの手が重なる。思わず全身を総毛立たせたアイネの耳元へ、さらに男が囁きかける。
「ン? 震えてるな、クライネ伍長……。そうか。最初の実戦でいきなりMSを落とされたあと、一人で宇宙を漂流してたんだったな。かわいそうに……怖かったろ?」
「ふっ……震えて、なんか……っ!」
いま震えているのはさっきの戦闘や、気絶していて覚えてもいない宇宙漂流のせいなんかじゃない。いきなり男の人にここまで近づかれたのが嫌なだけだ。
アイネは勇気を振り絞ってそう訴えようとしたが、ガルノフはその前に次の行動へ移っていた。
「かわいそうに……いったい何があったんだ? 話せばきっと楽になれるぜ。俺でよかったら、なんでも話してくれよ」
「っ!?」
操縦桿に置かれたアイネの両手を、パイロットスーツ越しに愛撫するように撫でさすっていたガルノフが、今度はその逞しい両腕でアイネの身体を背後から抱きすくめてきた。
「…………っ!!」
屈強な男性との唐突な密着に、アイネの顔面は瞬間的に沸騰した。悲鳴はもはや声にもならない。
不意を突かれて身構える間もなく文字通りに懐へ飛び込まれ、まるで恋人同士のように身体に触られ、抱かれる。
思春期を迎えてからずっと異性との距離を取り続けてきた彼女にとって、つい先ほどシュンと繰り広げた異様な時間だけを除けば、そんな行為は今までの人生で一度もなかったことだった。
その衝撃だけで、アイネの頭はほとんど真っ白になってしまう。声を出すことも身体を動かすことも出来ず、ただ、侵入してきたこの男になされるがままだ。
だがアイネは同時に、別の現象に戸惑ってもいた。
身体が、熱い。
覆い被さるように抱きすくめてくるこの大男の手で、コクピットという密室でこれから何をされてしまうのかを期待するかのように、女性の芯の部分がぬめりを帯び、そして全身が妖しい熱を帯びていくのをアイネは感じていた。
さっき部屋を抜け出して、自分が自分でなくなってしまったかのように、シュン・カーペンター伍長に絡んだときと同じだ。
土壇場でシエルのことを思い出して、吹き消えたとばかり思っていたあのときの異様な熱が、まだ身体の底にほんの少しだけ残っていたのだ。
そして種火のようなその小さな熱源が、背後から自分を抱きすくめる男という脅威を認識したことで、再び疼きはじめている。アイネの意志に反して、淫らな快感を貪ろうとしている……。
「……だっ……だめっ……だめ……だめぇ……っ……」
でも、そんなことはダメだ。許されない。会ったばかりの男の人と二人っきりで、こんな風に身体に触れられるなんて。
まして正規のMSパイロットである自分がよりにもよってコクピットで、それ以上の行為に及ぶなんて絶対に、絶対に許されない……!
だが抗議するようにか細い悲鳴は上げながらも、アイネの身体はガルノフに対してわずかの抵抗も示すことはなかった。
頬を上気させ、熱に浮かされたような甘いあえぎを漏らしながら、わずかに逃れようとする気があるかないかの気配で身をよじるだけのアイネに、ガルノフは唇を歪めて舌をなめずる。
「やああ……っ……」
おいおい。ずいぶんいい声で鳴くじゃねぇか……。
ひょっとして、この娘……このまま最後までここで、ヤれちゃったりする?
今日はまだじっくり話を聞くのがメインで、イケたとしてもせいぜい味見までで止めとくつもりだったが……据え膳食わぬはなんとやら、でしょ。
「これから一緒に戦うんだ。仲良くしようぜ、クライネ伍長……仲間同士のスキンシップは大事だろ?」
「すっ、スキンシップって……どこを、触って……!」
そのとき背後から伸びてきた男の両手が、遠慮もなしに少女の乳房を左右もろともにそっと包んだ。
「あっ!?」
「アイネちゃんの、胸……これ、すんごい大きいよねぇ……?」
「いっ、いや……っ!」
――揉まれる
「ああッ!!!」
アイネが直感した次の瞬間、左右の乳房はその半ばまで掛かった半開きのパイロットスーツごと、ぐにいっ、と大きく変形させられた。
その蹂躙は、一回だけでは終わらない。何度も、何度も、ガルノフの手指は強弱を付けながらアイネの乳房へ圧力を掛け、張りつめた肉をパイロットスーツ越しに弄んでいく。
「いや……っ、いやぁ……やめっ、やめて……こんな、こんなの、……こんなのぉ……っ!」
――私の胸が、男の人のおもちゃにされてる。いやらしい欲望のために弄ばれてる……!
恥辱のあまりに熱い涙がアイネの目尻に溢れ、球形の水滴になってコクピット内を漂った。
だがそうして必死に屈辱に耐えるアイネの表情も、背後のガルノフにとっては欲望の炎に油を注ぐだけだった。
「あー、いい、これ……すんげーでっかい……これって左右のひとつひとつがクライネ伍長……アイネちゃんの小っちゃくて可愛い顔と同じぐらいあるよね?」
「ふっ、……ふあああああ……っ!」
もはや完全に開き直って痴漢のようにアイネの乳房を揉みしだきながら、ガルノフは肩越しに少女の表情を覗き込んで笑みを深めた。
――これ、完璧に感じてるな。声が甘くなってきた。揉めば揉むほど、オッパイの肉もなんか張ってきてるし。これだけデカいオッパイなのに、感度もいいとか……最高じゃねえか。
せっかくここまで来られたのだ。こんな見事なデカ乳が無防備に放り出されているのを目の当たりにさせられて、揉まずに帰れるわけがないだろう。
「おおお……っ!」
ガルノフは自身の大きな両掌にも収まりきらない爆乳のたっぷりとした圧倒的な質量と、揉みしだこうとする手指をけなげに跳ね返そうとしてくるみずみずしい弾力の両方を、二人のスーツ越しにじっくりと楽しむ。
さらに左右の人差し指で、その頂点とおぼしき付近を強く引っかくように撫でさすった。
「ひううっ!!」
ビクンッ、とアイネが電気に撃たれたように背中を反らす。胸板ごと突き出された乳房がガルノフの両手との間に挟まれ、男の掌中へとその尖端を突き刺した。
「おほっ。いいねェ……」
いっそう堅く股間の剛棒をいきり勃たせながら、ガルノフは下卑た会心の笑みを浮かべた。
ビンゴ……。この娘の乳首、完璧に勃っちゃってんな。バリバリ感じまくってんじゃん。
「これだけ大っきなおっぱいでパイロットすんの、大変でしょ? ウチの小隊長のマコッちゃんも結構ムネあるけどさぁ、アイネちゃんのはもう別格だねぇ。
こうやって、マッサージしてあげるとさぁ……刺激で脂肪が燃焼して……ちっちゃくなってくるんだよねぇ……」
「……やめて……っ、……やめてぇえ……っ……」
だがアイネはもう、そんな方法などとっくの昔に試している。
実際にはアイネが自らの双球を揉めば揉むほど、甘い痺れが体に走って股間の秘所ばかりが濡れそぼり、乳房はむしろ充血して重たく張りつめるばかりだった。
それでも健気に揉み続けた間にバストサイズはさらに大きく成長してしまい、ブラジャーを二度も大きなサイズへ買い換える羽目になって、アイネは泣く泣くその方法を断念した。
「やっ……やめて……くださ……い……」
「やっぱりコレ、スーツのサイズが合ってないでしょ。胸が苦しそう。今すぐはどうにもならないけど、とりあえずはちょっと楽にしてあげようよォ」
そしてガルノフはその十指の先を、乳房の頂近くへと開いて掛かる、パイロットスーツの内側へ潜り込ませた。
「……あっ、……」
――剥かれる……!
「はぁい、コンニチワ……!」
「あぁっ!」
そのままスーツを左右へ開いて引き下ろすと、最後の圧迫から解放された爆乳ふたつが、小さく弾けるようにたゆんと揺れた。
汗に濡れそぼって貼り付いたシャツから透ける、白い乳房。
苺のような突き上がりと、その周りに広がって膨らむ乳暈をかろうじて覆い隠すニプレス代わりの大胆な三角形のトップスが、男の掌中で露わにされる。
「おおお……っ。何、アイネちゃん……こんな大きなおっぱいしといて、ノーブラだったの? 大胆すぎるなぁ……。
もしかしてさ、アイネちゃん。今日は最初っから、『その気』だった……? 墜とされたのが怖かったから寂しくて寂しくて、誰か男に抱きしめながら慰めてほしかったから、こうやって誘ってたの?」
「ち、ちが……っ!」
赤子がいやいやをするように首を振るアイネに、ガルノフが獣じみた獰猛な笑みで顔を寄せる。
「またまたぁ……。でもなぁ、こりゃ参ったな。ここまで本気で誘われてたんじゃ……アイネちゃんを最後まで愉しませて、慰めてあげなきゃ、男が廃るってもんでしょうよ……!」
「えっ……!?」
言うが早いか、ガルノフは自身のパイロットスーツを首もとからファスナーを下ろした。そしてアイネの横から目の前へ、下着を突き破らんばかりに存在を誇示する股間の巨砲を見せつける。
「あ、ああ……っ」
「アイネちゃあん。君が欲しかったのは、コレでしょ……?」
「な、なにを……い、いや……っ、それは、嫌! 嫌です! やめてっ……やめてください、ガルノフ軍曹!」
アイネは雄特有の濃厚な臭気とともに迫るそれから思わず顔を背け、リニアシートから逃れようと身をよじるが、十分な力が入らない。ガルノフの腕に軽々とシートへ引き戻され、眼前へと股間の隆起を突きつけられる。
「何言ってるの。本当はそんなに、嫌がってなんていないくせにさ」
「ひあうっ!!」
もう覆い隠すものはシャツとトップスだけになったアイネの乳房へ、ガルノフの手が無造作に伸びて握り潰す。もはや彼女の爆乳にはたとえ半分だけでも、スーツの厚い布地という防御はない。
そのうえトップスの三角形の布地の中心をその存在感で突き上げて、自身の存在をまるで隠れきれていない乳首をピンポイントできつく指先に摘まれてしまうと、アイネはもう電撃されたように反りかえりながら甘い悲鳴を上げるしかなかった。
「あっ!? あうっ、あああーーーっ!!」
「どう……気持ちいい? 気持ちいいでしょぉ……もうアイネちゃんのアソコ、だいぶ濡れてきちゃったんじゃないの?」
「なっ、何を……っ!」
アイネは気丈に反抗の言葉を吐いたが、現実はガルノフの言うとおりだった。
自分の女の部分は、もうぐしょぐしょに濡れている。アイネの秘所は限界まで下ろされたファスナーのすぐ下で、洪水を起こしてしまっていた。
ダメだ。イヤだイヤだと言い続けても、この人は絶対にやめてくれない。だが、せめて本気で抵抗する意志を示そうとしても、なぜか力が出ない。
最後まで、されてしまう。
私はこのままここで、この人に犯されるしかないの?
よりにもよってMSのコクピットなんかで、会ったばかりの男の人に処女を散らされるなんて。せっかくハヤカワ准尉みたいに素敵な人と巡り会えたのに。
イヤだ、こんなの。こんなの、こんなの絶対にイヤだ……!
「ふっ……ふぅっ、ふあああああああっ……!」
涙が溢れる。それなのにアイネの喉は意志に反し、押し殺そうとしてもなお甘く上擦った嬌声のような悲鳴を上げてしまう。
――あー、……このままここでヤレるわ、こいつ。
今度はリニアシートに押し込まれたアイネの真正面に迫りながら、ガルノフは乳房を思うがままに揉みしだいて邪悪に笑う。
「アイネちゃぁん……どしたの? さっきから口ではずっとイヤ、ダメってばっかり言ってるけどさ、声色のほうは、すんごい甘くなっちゃってるよぉ……!」
これだけ敏感ないやらしい体で軍にいたのだ、今まで男を知らないわけがない。むしろ毎晩でも欲しがっていた淫乱変態娘だったのでは、とも思えるほどだ。
だが、アイネの細身に不釣り合いな大きさながら張りも形も見事な爆乳、いかにも男を欲しがりそうないやらしい腰つき、そこから与えられる快楽に抗おうと頬を紅潮させながら喘ぐ可憐な横顔。
それらはガルノフの股間にたぎる雄の欲望を、これまで一度も無かったほどに熱く激しく燃え上がらせる。
据え膳食わぬは何とやら、ってな。ここまで来ちまったらもう我慢できねェ、このまま一気にキメるしかないっしょ……!
「だ、だめぇ……だめえぇ……」
「大丈夫だよぉ……アイネちゃあん、すぅぐぅにぃっ、良ぉくなるからねぇ……っ!」
もはや薄く涙を浮かべながら弱々しく懇願するだけのアイネの股間へ、乳房から腹筋を伝うようにしてガルノフの手が降りていく。
「ああっ……!」
すでに上半身からは完全に脱がされてしまったパイロットスーツのファスナーを下へ辿って、濡れそぼった女の部分を太い指先に目指されていくのをアイネは感じる。
イヤだ。そこを触られたら……わたしの身体が、わたしの女の部分がもう、このひとの男の部分を受け入れる準備を整えてしまったことを、知られてしまう……!
イヤなのに。私の心はこんなの絶対に、絶対に嫌なのに。どうして、身体が言うことを聞いてくれないの?
「へへへ……。アイネちゃん、俺のも見せてあげるからねぇ……」
「ひっ……!」
ぼろんっ、と天突くような勢いで飛び出してきた自慢の逸物から目を逸らし、怯えながらなんとか逃れようとするアイネ。
だがその瞳の端には単なる嫌悪と恐怖だけでなく、隠しきれない期待の色が見え隠れするのをガルノフは見逃していなかった。
あ、しまった。今、ゴム持ってねぇ……。ま、いっか。この娘との記念すべき一発目は、やっぱり生で楽しみたいし。
二、三発ぐらい生ハメしながら中で出しても、即妊娠ということはないだろう。
新人歓迎がわりの祝砲だ。濃くて熱いのをたっぷりと、いちばん奥で出してやるとしよう。
……撃墜数+1、ゲェーット……!
実戦任務を繰り返す中で遭遇したジオン残党などの敵MSを実践で撃墜した経験はまだ無くとも、自信に満ちた強引な押しで多くの女性を『撃墜』してきたガルノフ。
MSパイロットなんかやってる女なんてどいつもこいつも、あのマコっちゃんみたいに可愛げのない人間兵器みたいな連中ばかりかとも思ってたが。
このアイネって娘はなかなかどうして、実に可愛いじゃねぇか。すんげぇいい体してるし、このままMSパイロットなんぞにしておくのが実に勿体ない。
さっきはMSを撃墜されたばかりらしいが、今度はここで本人のオマンコも撃墜してやるとしよう。
「おっと。その前に……」
抱きすくめながらさんざ全身を愛撫して爆乳を揉みしだき、嬌声を上げさせ泣きよがらせてきたが、そういえばまだキスはしていなかった。
成り行きの都合でいろいろと行為の順序がおかしくなってはいるが、これはあくまで強引なレイプなんかじゃなくて、スキンシップの一環から発展してしまった双方合意のうえでの行為なんだからな。
事後に彼女をそう納得させるためにも、この艶やかに濡れた可愛い唇のほうも盗んでおくか。
「あっ、……」
「可愛いよ……ほんとに可愛いよぉ、アイネちゃあん……」
少女の小さな顎にその手を掛けて顔を向けさせながら、ガルノフは接吻へ向けて自身の顔を寄せていく。
自分に対して欲情しきった男の顔がゆっくりと、アイネの視界いっぱいを埋め尽くしながら迫ってくる。
イヤだ。私のはじめてが、こんな風に奪われてしまうなんて。
私は……私がファーストキスを捧げる相手は、ちゃんと心から尊敬できて、愛し合える人とじゃないと、イヤだよ……。
ましてやこんな風に、レイプみたいに一方的にされながら奪われるなんて、イヤだ。絶対にイヤだ。
「……シエル、……ハヤカワ准尉……」
涙とともに、唇からその名前がこぼれ落ちた瞬間、不意にアイネの意識から霧が晴れるように妖しい熱が引きはじめた。
ただなされるがままだった身体が自由を取り戻し、それどころか、得体の知れない力が満ちていくような感覚をアイネは覚えた。
「やめて、……ください」
「……あん?」
急に調子が変わった少女の声色に男が顔を上げると、そこには凛として、真剣な怒りに満ち溢れたアイネの強い表情があった。
同時にアイネの乳房を揉みしだく左手、秘所を目指して下腹部を進んでいたガルノフの右手へそれぞれ、アイネから左右の手指が組み合わされる。
「やめてください。これ以上、私に何かすると……私、本当に……怒りますからね……?」
「ははッ。今頃になって、なんだよソレぇ。アイネちゃんってホント、怒った顔もかわ、い、い、……ね……?」
そのとき不意に異常を感じて、ガルノフの表情から余裕が消えた。一気に強ばった視線を、ゆっくりと手元に落とす。
「……!?」
そこでガルノフが見たのは、アイネのそれと真正面から組んだ自身のごつい手指が、不気味なきしみを上げながら、本来あり得ない方向に少しずつ折り曲げられていく光景だった。
「へっ……? なんだ、……これ……」
明らかに異常な目の前のその状況を現実として認識できず、しかし間違いようもなく発生しているその痛みに、ガルノフは慌ててその全身の力を振り絞って両腕に込めた。
だが、状況は変わらない。ただ一方的に押されていく。
屈強な大男の手指が、MSパイロットとして鍛えられてはいてもなお可憐、華奢と言っていい少女の手指によって、万力にでも掛かったかのように押し込まれていく。
もはやガルノフの顔面は、性の恥辱にまみれたアイネのそれとは全く異なる理由から、茹で上がった蛸のように紅潮しきっていた。
「やっ……やっ、や、め、て……っ……」
強ばる唇が、今度は少女からではなく、男からの悲鳴をその場へ吐き出す。だがガルノフの悲鳴は掠れて、目の前のアイネにすらまともに届かない。
そして、ばぎん、と何かが砕けるような音がして、それでアイネははっと我に返った。
「ぎぃっ! ぎぃやあおおうぅっっ!!」
「えっ、――あっ、あれっ!?」
コクピット内にガルノフ渾身の絶叫が轟き、思わずアイネは手を放す。自由になった手でほぼ反射的にコクピットハッチを解放すると、自由を取り戻したガルノフはコクピット内をのたうち回り、涙目で全天モニターを蹴って逃げ去るように機外へ飛び出した。
「なんだ? どうした」
「えっ? あ、あれ……っ、が、ガルノフ軍曹!? ど、どうしたんスかっ!?」
半裸で両手を握りしめたまま絶叫し、空中で暴れ狂うガルノフに、格納庫じゅうから視線が集まる。
MS隊長マコト・ハヤカワ准尉がMS格納庫に戻ってきたのは、まさにその瞬間だった。
「――ガルノフ? 25号機、クライネ伍長――ああ。そういうことか。奴が彼女に仕掛けて、そして彼女にはまだ『残っていた』わけか」
異様な状況を見たマコトは、しかし瞬時に事態を推察して何事かを得心し、ひとり小声で呟いた。
「!」
騒然とする格納庫の空気を、そのとき突然に警報音がつんざいた。ガルノフに目を取られかけていた整備兵たちがざわめく。
「警報!?」
その出鼻を聞いた瞬間にはマコトはもう床を蹴って、自らの愛機GMU22のコクピットハッチへ向かっている。ハッチを開けて飛び込みながら、彼女は部下たちへ指示を飛ばした。
「サントス伍長は乗機へ付け! カーペンター伍長は24へ、ガルノフ軍曹は待機、クライネ伍長はそのまま25を起動! MS隊出撃準備!」
「りょ、了解!」
それを追うように放送が流れる。
「総員戦闘配置、総員戦闘配置! 救難信号受信、近傍宙域にて民間船舶へのMS襲撃事案発生。MS隊、至急出動準備されたし!」
今回は以上です。
次回、ジオン残党とのMS戦です。
GJ!
冤罪の次は愛機までパクられ、
シュン君不幸のズンドコですな。
GJ!
GJ!
保守
続き物の第六話を投下します。
紹介は
>>452参照です。
申し訳ありませんが、今回はエロ場面がありません。
「またか!? 多いな!!」
艦橋へ飛び込むやノーマルスーツで艦長席へと滑り込みながら、トラキア艦長リドリー・フランクス大尉は報告を求めた。
「状況!」
「2240、救難信号を受信。独航中の貨物船『リバティ115』より。読みます。『我ジオン残党のMSによる襲撃を受く。現在、乗船の警備会社MS隊が応戦中なれど、大至急救援を請う』」
女性通信士がコンソールに向かったまま報告を上げる間に、戦況表示図を読んだフランクスは手元の端末を操作し、彼我の位置関係から所要時間を計算していた。
「フン。このまま最大戦速で突っ込んでも、MS隊の現場到着は二十分後か――リバティ115に通信! 『我地球連邦軍巡洋艦トラキア、これより貴船の救援に向かう。敵情の詳細を送られたし!』」
「了解」
ふとした拍子で外れそうになる貨物船とのレーザー通信回線を巧みに維持しながら、通信士は慣れた調子で打電していく。
艦橋中央のメインモニターは回頭を終えたトラキアの進行方向上、貨物船『リバティ115』をすでに最大望遠で捉えていた。その周囲を光条が忙しく動き回っては幾筋もの火線を伸ばし、時折爆発の華を咲かせる。
「フン。民間警備会社のロートルとはいえMSに迎撃されて、そのうえ連邦軍の巡洋艦まですぐ来るらしい、ってのに下がらんか」
「前回のゲルググと違って、ずいぶん気合いの入った連中みたいですね?」
金髪を短く刈って眼鏡を掛けた知的な印象の青年士官が、操舵士席からフランクスに答える。
「ああん? 違うな。ゲルググの奴ら――大ジオン仏道の連中は、よく引き際をわきまえてたのさ。
だがこいつらは違うな。単に嘗めてる世間知らずってだけだ。教育してやる――マコト! MS隊はどうだ?」
フランクスが側面モニターに映るMS格納庫を睨むと、MS隊長のマコト・ハヤカワ准尉がいつも通りの冷静さで短切に答えてのけた。
『現在出撃準備中。全機、2分でカタパルトデッキに出します』
「ほほう、いい反応だ。さすがじゃないか、マコト――ん?」
すでにヘルメットのバイザーまで下ろした完全装備でリニアシートに座るマコトのカットインから、フランクスは4機のGMUが屹立する格納庫に目を取られる。
より正確にはその格納庫内の空中を、苦悶しながら半裸でのたうち回って浮遊する大男の姿に。
「ガルノフ!? あいつ何やってるんだ――って、おい。25は? マコト、25は誰が動かしてるんだ!?」
『艦長、ガルノフ軍曹は格納庫内の事故で負傷しました。25はクライネ伍長の操縦で出します』
「事故? 格納庫内の事故って何だ。俺は報告を受けていないぞ!」
『事故は今発生したばかりのようですが、ガルノフ軍曹の手の負傷を除いて二次被害の兆候なし。クライネ伍長が代員で出れば、任務に支障はないと考えます』
「ああ、あのおっぱ……ゲフン。今度はMS戦になる可能性が高いと見える。彼女をいきなり出して大丈夫なんだろうな?」
『何とかします』
「なら任せる。事故の件は後でガルノフに聞く――頼むぞ、マコト!」
映像越しに敬礼を交わし合い、マコトとの通信がいったん切れる。
やがてノーマルスーツ姿でパーソナルジェットを噴かして飛びついてきた整備兵に掴まれ、ガルノフは格納庫内の映像外へと退場していった。
「民間船舶を襲うMSって、まさか……大ジオン仏道!?」
凛と通ったマコトの命令を聞いて、アイネは今度こそノーマルスーツのファスナーを上げ直し、ヘルメットにショートヘアを押し込みながら誰にともなく尋ねていた。
あわやレイプにまで至る寸前だった先輩パイロットからの悪質なセクハラこそ撃退したものの、その撃退でどうやら彼は手を負傷してしまったらしい。負傷の程度は不明だが、あの様子ではこのまま出撃するのは無理だろう。
ここは予備パイロットとして、自分が出るしかない。
アイネは起動したままだった戦闘シミュレーターを切って、全天周モニターにMSデッキの風景を映す。ガルノフを引きずり出して全整備兵の退避が終わると、MSの出撃に備えて格納庫内の空気が抜かれていく。
「いずれにせよ、……また、実戦……か……」
思ったよりもずっと早くに回ってきた汚名返上のチャンスと、つい先ほどのことのように思える実戦と死の恐怖が同時にアイネの心で渦巻いたが、全天周モニターにマコトからの通信窓が開いて、アイネを一気に奮い立たせた。
「状況。民間貨物船『リバティ115』を襲撃中のMS隊はジオン残党の模様。MS-06とMS-09、MS-21から成る一個小隊と思われる三機の機影を確認。
リバティ115に乗船の民間警備会社が旧式MSで応戦中だが、戦況はきわめて不利。現在、トラキアは最大戦速にて現場宙域へ急行中。
2255、MS隊全機は主甲板カタパルトにて本艦より22、25、23、24の順で射出。菱形編隊を形成したのち第一戦速で前進、接敵する。質問」
口頭でのマコトの説明と同時に、各機のコンソールへ彼我の位置情報を中心にした戦況データと、トラキア隊の展開イメージが送信されてくる。アイネは自機の機動を必死にイメージした。
トラキアのレーダーと光学監視装置が途切れ途切れに捉えたデータが逐次反映されていく戦況図上では、『MS-06』だの『RB-79』だのとタグを付けられた、おぼろな豆粒にしか見えない輝点の群れがめまぐるしく躍り回っている。
思わずアイネは口走る。
「ザクUにリックドム、ドラッツェ……? ゲルググは? ゲルググはいないんですか?」
「14の情報は上がっていない」
「……ザクやリックドムじゃ、ビーム兵器はまともに運用できない。つまり、大ジオン仏道じゃ、ない……? これって、別の相手なの? それともまだ、どこかに隠れているだけ……?」
進路変更したトラキアが急回頭を終え、艦内から横Gが消えた時点でマコトのGMU22が格納庫内を歩き出す。赤字の装甲板に地球連邦の象徴たる黄十字を象ったシールドを壁から外し、左腕へと装着した。
ロブ・サントス伍長の24、シュン・カーペンター伍長の23も一歩遅れて動き出し、それぞれの武装を装着していく。アイネだけが自ら操るGMU25のためにどの装備を取ればいいか分からず、取り残されて出遅れる。
「え、えっと……」
「25、A号装備だ。ライフルとシールドはそこの25番を使え」
A号装備はGMUのもっとも標準的な兵装で、頭部バルカンとビームサーベルの他、左右両腕にビームライフルとシールドを装備するものだ。
「はっ、はい! 分かりま、し、……た……?」
マコトのGMU22に指さしで示され、ライフルとシールドを装備しようとしたアイネは、その眼前を通り過ぎていくマコト機が右手に収めた武装に目を丸くした。
「え……? ……あれ……、……何……?」
それはビームライフルに比べ、いかにも小型で取り回しの良さそうな――しかし同時にひどく収束率も出力も低そうな、短銃身のMS携行用ビーム砲。
一年戦争当時には地球連邦軍でもっとも標準的だったビーム兵装で、そしてUC0087の今日では、第一線部隊ではほとんど見かけることもなくなったはずのその武装に、アイネは目を丸くして呟く。
「び、ビームスプレーガン……? ……なんで??」
一年戦争の後期、ビームスプレーガンはGMとともに、地球連邦軍による反攻の象徴として登場した。
当時、RX-78ガンダムが装備していたビームライフルは通常の対MS戦闘には過剰性能であるとして、より安価で生産しやすく、なおかつ現場のパイロットや整備兵たちが扱いやすいようにスペックダウンすることで実用性を向上させた兵器、それがビームスプレーガンだった。
実際にビームスプレーガンは当時、実用性における多くの面でビームライフルを凌いでいた。
近距離ならばジオン公国軍の主力機であったザクUやリックドムの装甲を一撃で貫通できるだけの必要十分の威力を持ち、しかもビーム収束リングを減らした分、近距離での命中率と速射性、そして持続力はビームライフルを圧倒した。
まだMS戦闘に不慣れなパイロットたちの駆る戦時急造MS、GMから矢継ぎ早に放たれるビームの雨に捉えられ、ひとたまりもなく打ち貫かれては次々と爆光を咲かせていく歴戦のジオンMS群。
RX-78のビームライフルを超える兵器としてRGM-79のビームスプレーガンは登場し、そして実際に期待を裏切らない鮮烈なデビューを飾ったのだった。
が、問題はその後だった。
一年戦争中からすでに研究と実用化が始まっていたビーム防御技術、対ビームコーティングが一年戦争末期から急速に進歩しつつ普及。
それがビームスプレーガンが実現した、『安く、そこそこの威力を大量に』というコンセプトを破綻させたのだ。
特にMS-14ゲルググの対ビーム防御は優秀だった。GMが装備するビームスプレーガンで致命傷を与えるのは難しく、ゲルググを確実に撃破するためには、一度は『過剰火力』として片づけられたRX-78用ビームライフルが必要とされるほどだった。
さらに戦後にはゲルググなどに用いられたそれらの対ビームコート技術が、ジオン残党が運用し続けるザクUやリックドムといった既存の機体にもフィードバックされ転用されるようになると、ビームスプレーガンは急激にその存在意義を失っていく。
地球連邦軍も現状を認識していた。手堅く既存技術でまとめた汎用性に優れるMS携行用90ミリ機関砲を各部隊へ配備し、GMの戦闘力の陳腐化を防止。
さらにはGMU規格を開発し、かつては過剰火力とされたガンダム級のビームライフルを大量生産。こうしてついにビーム兵装がGMの手に戻ってくるに至ったのだった。
そして結局、完全に役割を終えたビームスプレーガンは地球連邦軍の第一線部隊からほぼ一掃されてしまった。今となっては一種の骨董品として、倉庫でひっそりと埃を被っているのが現状だった。
「なんで……?」
その役立たずな骨董品であるはずのビームスプレーガンが、いまマコト機の掌中にある。
もし仮にアイネがGMUでの出撃に際して何かの間違いでビームスプレーガンなど持ち出そうものなら、誰かにぶん殴られてでも止められることになるだろう。
ビームライフルかジムライフル、ハイパーバズーカを持って行け、と。
だが当のマコトがシールドの裏や背中などに、ハイパーバズーカやジムライフルといった主兵装を携行している様子もない。
GMU22はビームライフルではなくビームスプレーガンを装備しているというただ一点だけを除いて、どこまでもごく普通の、ありふれた当たり前のGMUでしかなかった。
「何をボーッとしてるんだ、クライネ伍長。カタパルト射出予定は2255だ。すぐに戦闘空域へ着いてしまう」
「あっ……」
気づけばシュンからの通信窓が目の前に開いていて、愛機の25を少女に取られる格好になった少年パイロットからのどこか恨みがましい視線がアイネを射ていた。
「わ、分かっていますよそんなのっ!」
むっとしながら頬を膨らませて言い返すと、アイネはGMU25の歩を進めてエレベーターで待つマコト機の隣へ並べた。
先発予定のGMU二機が揃うとエレベーターが稼働し、MSデッキから主甲板へと押し上げていく。アイネ機の射出順は先頭を切るマコト機の直後だ。
頭上のハッチが開き、吸い込まれそうな星空が広がっていく。懐かしい垂直方向へのGを感じながら、アイネはマコトからの通信を受けた。
「クライネ伍長。練度把握は実任務で行う」
「……はい」
ビームスプレーガンという、マコトが選んだあまりにも意表を突き過ぎる装備への戸惑いを殺しきれないまま、アイネはこの新たな上官へ歯切れ悪く応える。
だがそのとき、不意にマコトのGMU22が動いた。ビームスプレーガンを握る右手の甲をアイネ機の胴に押し当て、それまでの無線ではなく、二機の間だけでしか伝わらない接触回線を開く。
「クライネ伍長。私は君の操縦について何も知らない。君も私たちのことを何も知らない。しかし私たちは、今戦わなければならない」
「…………」
押し黙ったままのアイネに、マコトはただ淡々と告げる。
「もう時間がない。だから今、私からは君に一つだけ言っておく。『何よりもまず、必ず常に自分を守れ』。」
「守る? 自分を……?」
エレベーターが到着した。マコト機とアイネ機が宇宙空間を歩いてデッキに降りると、エレベーターは次の二機を拾うために降りていく。
「そうだ。間合いを保て。敵にシールドを向け続けろ。目の前の敵を数で上回れないときはとにかく下がれ。
忘れるな。臆病でちょうどいい。今はそれだけで十分だ。帰ってきたら、続きを話そう」
そして通信画面越しに、マコトがまっすぐにアイネを見つめた。
「そうしてくれれば、君は必ず私が守る」
「……!」
バイザー越しのその瞳が、アイネの背中に熱い電流を走らせた。
大丈夫。この人は、きっと間違ったりなんかしない。私のことを導いてくれる人だ。
ビームスプレーガンのことはよく分からないけど、きっとこの人には何か、とても強いものがある。
だから私はこの人の下で、今の私に出来ることを精一杯やろう。
アイネはマコト機に続いて、MSカタパルトの下駄にGMU25の両足をはめ込んだ。射出時の高加速に耐えぬくためMSに屈み込むような低姿勢を取らせると、球状コクピットが回転して加速方向との水平を保った。
その後方に再度せり上がってきたエレベーターがGMU23と24、シュンとロブの機体を宇宙空間へ晒す。
4機のGMUを前部上甲板へ載せて、巡洋艦トラキアは戦闘空域へ向けて驀進していく。
今度こそ――見る間に近づいてくる火線と爆光入り乱れる戦場を、アイネはきつく睨み据えた。
今回は以上です。
残念ながら戦闘に突入できませんでした。次回こそ、ジオン残党との戦闘開始です。
えろいのはその次ぐらいに入れられるよう頑張ります。
>>506 初戦であっさり死にかけたあげく、二回も強姦されかけたセクハラ漬けのメインヒロインもそれなりに不幸なはずなんですけどね。
それでもあまり可哀想に見えないのは、ビーム食らっても死なないからなのか、本人の性格に問題があるのか……。
最近HGUCのジムU、4機めを買ってきました。こいつらを並べてニヤニヤしながらイメージしています。
GJ!
主人公補正で死なないのはともかく、
シュン君から見れば性格が悪いどころか
自分を陥れる疫病神そのものでは。
あっ、だから死神すら避けたんだW
これが不死身の秘密か。
職人さん乙です(^ω^)
保守
520 :
名無しさん@ピンキー:2013/09/03(火) 09:27:29.90 ID:3BKMzBaL
どなたかガンダムユニコーンのバナージとマリーダさんの純愛物で書いてくれませんか?
まず自分で書いてみてはどうだろうか。
保守
続き物の第七話を投下します。
紹介は
>>452参照です。
申し訳ありませんが、今回もエロ場面がありません。
『おうるああああああっ! 死ねやあああああああぁっっっ!!』
共通回線が野太い絶叫に塗り潰される。
血走った目をくわっと限界まで見開いたパイロットが輸送船めがけ、ザクU単機を逆落としに突進させていく。
スラスターを全開にして宇宙空間を突き進むザクUの行く手には、二機のモビルポッド、RB-79ボール。
地球連邦軍の装備更新に伴って民間警備会社に払い下げられた、簡易MSとも言うべき球形の機動兵器は守るべき輸送船を背後に、頭頂部へ背負った二連装機関砲を迫るザクUめがけて必死に発砲する。
『クソッ! クソッ! クソッ! クソッ!!』
小刻みに照準を修正しながら連続して放たれる機関砲弾が、火線を曳いて宇宙を切り裂いていく。だが武器も持たずに突進してくるザクU相手に、彼らの射撃はまるで通用していない。
そのザクUは標準装備の右肩部シールドを数枚余分に重ねることで強化しており、そこを正面に向けながら、すさまじい速度で突進してきている。
鬼気迫る突進を阻止せんとボールから放たれてくる機関砲弾はほとんどがその縦横の機動に外され、弾幕によってわずかに生じる命中弾も分厚い盾で弾き飛ばされて、結果としてザクUには何らの打撃を与えることもなかった。
『クソッ、こいつ、こいつっ――うッ!?』
そのうえボールの発砲が途中で途切れる。弾切れだ。抵抗手段を失った警備会社のボールを、衝突直前にAMBACで左右の肩を入れ替えたザクUがスパイク付きの肩で捉えた。
『は、班長! うっ、うぎゃああああぁぁーーーっ!!』
激突とともに火花が飛び散る。機体の強度も質量もザクUより遙かに劣るモビルポッドは文字通りの玉突きとなっていびつにフレームを変形させながら、ひとたまりもなく明後日の方向へ吹き飛んでいく。
「スコットォォォーーーッ!!」
回転しつつ視界の外へと吹き飛んでいくボールのパイロットの名を呼びながら、輸送船《リバティ115》に乗船していた警備会社で唯一の正規MS――これも連邦軍払い下げ品のRGM-79Aが、ブルパップ式の短身90ミリ機関砲を連射しながらザクUへと急接近して追いすがる。
『ホッホゥ! ホッホオォゥゥゥ!!』
だが禿頭に口ひげをたくわえたいかつい面構えのパイロットは、ザクUの四肢を振り回すとすかさず機体各所のスラスターを全開で噴かし、いとも簡単にGMを振りきって迫る火線から鮮やかに逃れてしまう。
このザクUは右肩装甲を大幅に増強してはいたが、同時にヒートホーク以外の携行武装を持っておらず、全備重量はさほど増加しているわけではないようだった。
そのうえ推進器も改良されているのか、ザクUはその身軽さと力強さを見せつけるようにしながら盛大な噴焔を吐いて機動し、軽々とGMの有効射程圏内から離脱していく。
「くっ、クソッ……! 野郎、弄んでいやがる!」
1機のRGM-79Aと5機のRB-79で編成されていた警備会社MS隊を率いる、中年のGMパイロットは悔しげに呻いた。
旧ジオン公国軍残党がテロリストや宇宙海賊となって跳梁跋扈する昨今の不安定な情勢下で、この方面の地球連邦軍は装備刷新に伴って余剰となった旧式装備を一定の認可条件を満たす民間企業へと払い下げていた。
彼の属する警備会社もそれらを取得することで、航路の安全確保に手が回りきらない連邦軍の警備を補完する存在として、主に民間船舶の警備業務を請け負い、それなりの業績を上げている。
一年戦争末期にGMを駆ったものの戦闘で負傷し、戦後の軍縮で連邦軍を追われた彼にとっても、決して悪い仕事ではないはずだった。
だがこれほど大胆かつ執拗な攻撃を仕掛けてくるジオン残党の存在は、さすがに彼らの想像を超えていた。
「がっ!?」
そのGMめがけて別方向から二条の砲弾が同時に飛来し、とっさにかざしたシールドへ着弾する。
最初の一発は受けたシールドをその小爆発で消し飛ばし、さらにもう一発がそれでがら空きになったGMの左肩口へ直撃、左腕を引きちぎって機体を錐揉み状に弾き飛ばしていく。
ジャイアント・バズ。
主として対艦攻撃に用いられる大口径実弾兵器を両肩に二門構えたリックドムが、GMの死角から滑り込みながらの砲撃を叩き込むとすれ違いざまに離脱していく。
その大口径徹甲榴弾で二発同時に直撃されていれば、盾でしのごうとGMなど一撃で爆散していただろう。
だが左腕を失いながらもどうにか姿勢制御を修正し、残った右腕で再び銃口を持ち上げようとする中でパイロットは気づく。
ジャイアント・バズから放たれた砲弾は敵機の完全な破壊ではなく、機体の内部構造に機能不全を起こさせるための粘着榴弾だったのだ。
警備会社にも聞こえる共通周波数のままで、ザクUのパイロットが喚く。
『アホゥッ、撃ち過ぎやぞイーデン! ボールはともかくジムの部品は稼ぎになるんや! 完全にスクラップにしてもうたら、部品取りもでけへんやろがっ!!』
『大丈夫やドッツィ兄ィ! ちゃあんと狙うてやっとるわいな!!』
「ぐっ――」
後のことまで考えて、手加減しながら戦っているということか。どこまでも、嘗めやがって――こいつらはそんな真似が出来るほど強力な敵、ということなのか。
『まあええ! 仕上げはデティに任せるで!! 行けやっ!!』
「!」
警備会社MS隊との間合いを開いたザクUとリックドムが射程の外で旋回する間、その逆方向で火光がきらめく。
彼らが相手にせねばならない敵は、このザクUとリックドムだけではないのだ。
『……おうっ……るッ……ぅぁぁぁあぁぁあぁぁぁっ!!』
またしても一般回線にノイズ混じりの絶叫が入ったかと思うと、遠方に一瞬煌めいて見えたスラスターの火光がたちまち大きくなり、その場に存在する全ての機体を遙かに凌ぐ猛加速で接近してくる。
「ま、また来るぞッ! ヤツだ! 撃てッ、撃てぇぇぇッ!!」
まだ残弾のある警備会社MS隊は、その接近する光へ向けて一斉に機関砲を放つ。曳光弾がシャワーのように降り注いだ。
だが見る間に芥子粒大から機体の輪郭が判るほどに大きくなって突進してくる敵MSには掠りもしない。
MS-21Cドラッツェ。
ザクUから脚部を取り払って大容量プロペラントタンクとスラスターに換装したこの機体は、不十分なAMBAC能力のために運動性こそ低いものの、直線の加速能力には圧倒的なものがあった。
作業用ポッドを母体として武装化したボールを簡易MSと言うなら、ザクUを母体としてガトル宇宙戦闘爆撃機の推進器を組み込んだドラッツェは、30メートル近いその巨大さもあってまさに簡易MAとでも呼ぶべき代物だ。
その左腕の簡易盾に内蔵された補助ジェネレータが唸り、ビームサーベルの光刃を発現させる。
暴れ馬のように震えて跳ねる、高速だがひどく扱いの難しい不安定な機体を巧みに押さえ込んで縦横に操り、パイロットは血走った目で迫る弾幕を掻い潜りながらGMとすれ違いざまにサーベルを振るった。
「がッ!!」
交錯の瞬間、GMは右脚を溶断されて機体のバランスを崩す。警備班長は即座に切断部分への動力をカットして誘爆を免れたが、ドラッツェはさらに突進しながら右腕に固定された40ミリ機関砲を乱射し、その一発が《リバティ115》の船体を掠めて小爆発を起こさせた。
『速すぎる! なんて野郎だっ!!』
恐れ知らずの超高速でまた飛び去っていくドラッツェの跡を追いかけるように、連装機関砲を撃ち続けていたボールのパイロットが悲痛に吐き捨てる。
『班長、もう俺も残弾0です!』
「ぐ、ぐう……っ!」
MSなら手持ちの弾薬やビーム兵器のEキャップ/Eパックが切れても、推進材さえあればビームサーベルを抜いて格闘戦を挑むことも出来る。だがボールではそれも至難だ。
唯一のGMにしても片腕片脚を失っていては、ビームサーベルで切りつけることも難しい。本格的な格闘戦には、MSの四肢をフル活用するAMBACが必要不可欠だからだ。
警備会社MS隊はじわじわと痛めつけられながら消耗を強いられ続けて損傷を重ね、今やその戦闘能力を完全に失おうとしていた。
その壊滅状態を見透かして、ザクUのパイロットが機体に見得を切らせながら宣言した。
『どや! もうボチボチこのへんでええやろ!! あのなGMの兄ちゃん、ここらで『すんませんでした。』言うてMS降りたら、うちらも鬼やないさかい堪忍したるで! MSと船置いて、さっさと帰りや! あの船の救命艇だけ寄越したるさかいな!!』
「いいや! まだだ……まだだッ!!」
それでも警備班長は怒気を吐く。
同乗していた輸送船から先ほど、近傍宙域を航海中の地球連邦軍巡洋艦への通信に成功したという連絡があった。サラミス改級が一隻、全速でこちらへ進出中という。
せめて連邦軍の到着まで時間をつなげば、まだ逆転の目はある。
彼らのこの投降勧告も、こちらのMSを鹵獲して儲けを大きくしたいという目的のほかに、追いつめた相手に必死で抵抗されて予想外の損害を出したくないという意図があるはずだ。そこを突けばまだ時間は稼げる。
『ほほぅ。こんだけ痛めつけられても、まんだ現実が見えへんようやな。悲しいこっちゃで……ワシらが誰か知らんらしいわ』
『せや! 言うたれ! 言うたれ兄ィ!』
手にしたヒートホークの背で左の掌を叩きながら、ザクUのパイロットが芝居がかった台詞を入れるとリックドムのパイロットが合いの手を入れた。
ザクUがヒートホークを大きく引いて構え、パイロットが野太い声で絶叫する。
『ワシはなぁ……人呼んで、『キャリホルニヤの悪夢』! かつて地球連邦軍から『キャリホルニヤの悪夢』と恐れられた男! ドッツィ・タールネン少佐や!!
ええか! ほんまに大事なことやさかいな、二回言うたる!! ワシは『キャリホルニヤの悪夢』、『キャリホルニヤの悪夢』ドッツィ・タールネン少佐や!! おどれらの耳クソ詰まりくさった耳ん穴かっぽじって、よう覚えとけや!!』
「『キャリホルニヤの悪夢』……!?」
ざわっ、とボールのパイロットたちがざわめく。
『マジかよ……やっぱりジオンの歴戦エースパイロットだったのか!?』
『そんなヤツ相手に、こんなショボいボールなんかで勝てるわけねーじゃん!』
『ところでキャリホルニヤって何だ?』
『地球にそういう有名な連邦軍の基地があったような気がする……でも、ちょっと微妙になんか違ったような気もする……』
『どうでもええねんてそんなん!!』
共通回線にドスの利いた一喝が響き、士気と秩序を失いかけていた警備会社の若いパイロットたちがびくんと背筋を伸ばす。そこへ残る二機が名乗りを続けた。
『……ドッツィ兄貴の、一の舎弟……二丁ジャイアントバズの、イーデン・モタルドゥ……』
『そしてこの俺が辻斬りドラッツェの『星の屑』帰り、デティ・コイヤー軍曹じゃ!! 文句ある奴はかかってこんかい!!』
ドッツィ・タールネンの駆る重装甲型ザクUの背後で、二門のジャイアントバズーカを担ったうえに機体各所へ多数のミサイルポッドを増設した重武装型リックドムと、威嚇するようにビームサーベルの光刃を振りかざすドラッツェが見得を切る。
『どや! やるのか! やらんのか!? あとなぁ、ワシは親切やで教えたるけどなぁ……兄さんたちが心待ちにしとる連邦軍の増援、絶対に間に合わへんで?』
「何?」
『連邦軍はなぁ、絶対に間に合わへん……そういう風になっとるんやわ。どや……ここまで分かったら、はよう降りてきや? ワシらの堪忍袋の緒が切れへんうちに、はよう救命艇の用意しといたほうがええで?』
「……!?」
タールネン少佐、と名乗ったザクUパイロットの言葉の意味を考えながらも、警備班長は今もなお接近してくる連邦軍MS隊の反応を凝視する。そして旧式モニターの向こうに、彼はザクUを睨みつけて吠えた。
「ふざけるなよ! ジオン残党の強盗ふぜいが、いつまでも偉そうな口を叩くなっ!!」
『なんやて!?』
『兄貴!』
班長の啖呵に、ドムとドラッツェからの通信が入る。ザクUが手にしたままのヒートホークが、再び赤熱を再開した。
『諦めの悪い兄さんやなぁ……しゃあないわ! 兄さんだけ潰しゃあ、ボールのバカタレぼんずどもも言うこと聞くやろっ!!』
ザクUのモノアイが不気味に煌めき、ヒートホークを振り上げる。そして爆発的な加速で縦横にうねりながら、警備班長の機体へ切りかかってきた。
見守るしかないボールのパイロットたちが悲痛に叫ぶ。
『班長!』
「おおおっ!!」
GMにもう残弾のないマシンガンを捨てさせてビームサーベルを抜くと、警備班長は頭部60ミリバルカン砲のトリガーに指をかけた。片手片足を失ってAMBACの利かない機体でこのザクU相手に渡り合えるとも思わないが、最後まで意地を捨てたくなかった。
あと少し。あとほんの少しでも凌げば、連邦軍が間に合うかもしれない。
『アホがぁ! 死ねやぁーーーっ!!』
『警告:高エネルギー反応』
『へっ?』
だが二機が交錯する直前、ザクUの全天周モニターにアラート表示が走る。
そしてドッツィが何か対応する間もなく、横から来たビームの奔流がザクUを、リックドムを、ドラッツェを、それぞれ飲み込むように直撃した。
カタパルトから与えられた初期加速にスラスターの推力を乗せて、巡洋艦トラキアから出撃した4機のGMUは戦闘空域へと驀進していた。
戦闘空域では共通回線が開かれ、彼我不明の通信が飛び交っているようだったが、空域に存在するミノフスキー粒子のためにまだこの距離では正確な内容が傍受できない。
ノイズがひどく、ほとんど聞き取れない通信内容に時折混じる言葉の断片を意識の隅に置きながら、GMU25のコクピットで戦況表示を見つめるアイネ・クライネ伍長の表情が曇っていく。
全天周モニター上でも彼方に見えていた警備会社MS隊からの応射の火線がどんどん少なくなっていき、両者が交錯する度に彼らの機動は鈍っていくのが分かったからだ。
「一方的にやられている……。でも、とどめを刺されている機体はない……?」
アイネの脳裏に、次々とビームの光に貫かれては爆発の火球と化していったGMU小隊が浮かぶ。無力化したはずの自分や小隊長の機体にさえ、執拗にとどめを刺しに来ようとしたゲルググ。
「この戦い方、やっぱり大ジオン仏道じゃない。ジオン残党、他にもいたのか……大ジオン仏道が暴れて間を置かず、こんなにすぐに出てくるなんて」
だが自身の仇敵・大ジオン仏道であろうとなかろうと、コロニー市民の平和な生活を脅かすジオン残党は撃破しなければならない。アイネは表情を引き締めるが、同時に絶望的な思いが胸を支配していく。
「このままじゃ、間に合わない……」
トラキア隊は恐るべき対応速度で出撃していたが、まだジオン残党のMSを有効射程へ捉えるには遠すぎた。
次々に鈍っていく警備会社MS隊の機動はもはやほとんど停止したにも等しく、火線も完全に消えている。事実上全滅した、と考えるしかない。
あわよくば警備会社MS隊との共同戦線も展開できるか、というアイネの楽観的な想像は泡と消えた。
それどころかこのままでは、接近する連邦軍部隊を脅威と感じたジオン残党が、無力化した彼らへ突発的に危害を加える可能性すら感じられる。
正規軍ではないジオン残党には、交戦法規の遵守も期待できない。警備会社や輸送船を人質として利用しようとするかもしれなかった。そうなれば泥沼だ。
まだビームライフルを撃ってどうにかなる距離じゃない。どうする――逡巡するアイネの眼前で、編隊の先頭を行くマコト・ハヤカワ准尉のGMU22が、不意にビームスプレーガンの銃口を前方へ向けた。
『22より各機。そちらはまだ撃つな』
「ハヤカワ准尉、何を――この距離からっ!?」
編隊の先頭を行くマコトのGMUが、ビームライフルでも届かないような超長距離からビームスプレーガンを発射したのを見て、アイネは戸惑いの声を上げた。
「早すぎる……!」
こんな遠距離から射撃を開始しても、当たるはずがない。メガ粒子の火光が無為にこちらの位置を教えるだけだ。
そのうえマコトの得物は、ただでさえビームの収束が弱いスプレーガンだ。有効射程はビームライフルより遙かに劣る。よしんば直撃したところで、繊細なセンサー類にすら打撃を与えられるはずもない。
アイネにはただ無益なだけに思えるその射撃を、マコト機はさらに数発繰り返した。
GMUのスラスターを高出力で噴かしつづけて迫る第一戦速での突進は、その間にも彼我の距離をさらに大きく詰めさせている。それでもなおスプレーガンにとって遠すぎる距離には違いない。
だが最大望遠で捉えた戦場の光景に、アイネは気抜けしたように声を漏らした。
「あれ、……当たってる……?」
敵機の機影をメガ粒子の閃光が拡散しながら掠め、命中の瞬間に光を放つ。スプレーガンでは特に顕著に見られるビーム自体の拡散があるとはいえ、マコトの照準は恐ろしいほどに精確で、敵機のすべてに命中弾を与えていたのだ。
しかし案の定、被弾した敵機のどれにも何ら損傷は見られない。
限界以上に拡散したメガ粒子の切れ端が装甲表面に火花を引っかき散らしても、敵機は何事もなかったように鮮やかなAMBACで回避運動を見せるだけだ。
だが機体に物理的な打撃はなくとも、マコトの射撃は人間の精神に確実な打撃を与えていた。
命中に間髪入れず、マコトが共通回線から呼びかける。
『所属不明機に告げる。こちらは地球連邦宇宙軍である。ただちに武装解除し機関を停止、投降せよ。さもなくば撃墜する』
『あぁん!? なんやお前ら! どこの部隊や!!』
「うわっ……」
ガラの悪そうなだみ声がスピーカーから響き、アイネは顔をしかめた。だがマコトは平然と受け流す。
『繰り返す。こちらは地球連邦宇宙軍である。ただちに武装解除し機関を停止、投降せよ。さもなくば撃墜する』
『じゃかあしいわダボがっ!! おまえはオウムか鳥か、人間の頭は付いとらへんのかっ!! 連邦軍は分かっとるねん!! ワシはおまえらがどこの部隊か名乗れ、ちゅうとんの!!』
ジオン残党が喚き散らして息を切ったあと、女の冷たい含み笑いが共通回線に乗った。嘲るようなそれがマコトの笑い声だと気づくまでに、アイネは一瞬を要した。
『ぬるいシャワーはお気に召さないか』
『あん!?』
いきなり飛んだ話に、ザクUのパイロットが口角泡を飛ばして喚いたのが共通回線越しにも分かる。
『心配無用だ。すぐに両方進呈する――そのMSを溶かす熱いシャワーと、寝ぼけた頭によく効く冷たいシャワーをな』
『シャワー……? ……あ』
マコトの言う『シャワー』がいま浴びせられた、超長距離からのビームスプレーガンのことだと気づくまでに一拍。そして気づいた瞬間に彼の頭は沸騰し、啖呵が無線で飛んできた。
『はっ……! 上等じゃあこのズベタが!! どっちが寝ぼけたこと言うとるんか、今から体に教え込んだるわ!! 行くで! イーデン、デティ!!』
『応!』
『合点じゃ兄貴ぃぃぃっっっ!!』
ジオン残党のMS3機は無力化した警備会社MS隊も輸送船も無視して、新たに仕掛けてきた連邦軍GMU小隊へと向かってくる。
「……こっちへ来たっ!」
『25は22へ、23は24へ付け。行くぞ』
『了解!』
若干の緊張を帯びて響いた僚機パイロットたちの応答に、アイネも声を合わせる。
ビームライフルを装備したロブ・サントス伍長のGMU24がマコトのGMU22から斜め後方に付け、ハイパーバズーカを装備したシュン・カーペンター伍長のGMU23がさらにその後方へ付く。
マコトのスプレーガンは最初から牽制と、そして挑発のためだけだったのだ。頭に血が上った敵は、警備会社MS隊も輸送船のことも忘れた。マコトの目的は果たされたのだ。
トラキアMS隊とジオン残党MS隊は互いに編隊を組んだまま、互いに急速に接近していく。アイネはマコト機の機動へ追従しながら、先頭を来るザクUにビームライフルの照準を合わせる。
汗ばむ指をトリガーに当て、アイネは有効射程を待った。
今回は以上です。
GJ!
スプレーガンを選択した理由が分かりました。
いつも乙です。
532 :
名無しさん@ピンキー:2013/10/13(日) 22:25:37.08 ID:Zr7BNx/q
乙
このスレで量産機好きは少ないのかな
刻抗とかの番外編のエロパロって少ないんかね、
漫画版の女性キャラ可愛いんで
確かにマンガ版AOZU、ダニカも少佐もかわいいしエロいね
しかしグリプス期大人気だな
続き物の第八話を投下します。
紹介は
>>452参照です。
申し訳ありませんが、今回もエロ場面がありません。
全編戦闘場面です。
宇宙の彼方に星空を縫って数条の火線が走り、それに触れられて小さな光が飛沫を散らす。
「ハヤカワ小隊、敵MS隊と会敵。交戦開始」
先行させたGMU隊を追うように戦闘宙域へ突進していくサラミス改級巡洋艦トラキアの艦橋に、レーダー手からの報告が響く。
「相変わらず、口火はハヤカワ准尉のスプレーガンですか」
「ああ。飽きるぐらいにいつも通りさ」
半ば呆れ、半ば感心するように艦長席の真正面に立つ操舵手の青年が呟くと、諦め顔でトラキア艦長、リドリー・フランクス大尉が苦笑した。
「本当に昔から、あいつもずっと変わらんな――対空警戒厳にせよ! MS隊はまるっとお留守だ、いま伏兵に襲われたら俺たちだけで保たせにゃならんぞ!」
現在、トラキア艦内は総員戦闘配置の態勢にある。交代制勤務で非直にあった者たちは叩き起こされ、戦闘時における優先度の低い勤務にある者たちも所定の配置に従い、対空砲座群やダメージコントロールへの任へ付いている。
「……ハヤカワ准尉は、どうしてビームライフルを使われないのですか?」
「ん?」
そんな緊張に満ちた空間の中で一瞬生じた空白に、ぽつりと呟いたのはトラキアへの配属からまだ日が浅いクルーだった。
「准尉ほどの腕なら今のGMUに少し手を加えるだけで、標準ビームライフルでもスナイパー系MS並みの長距離狙撃をこなせるでしょうに。それなら劈頭の一撃で、ジオン残党に有効な打撃を与えることも出来ていたはずです」
「そりゃあ、お前」
どこか不審げな若者の疑問に、リドリーは苦笑をいっそう深くする。
「あいつにとってアレは、ただの武器じゃないってことだよ。なんせあいつは、このトラキアの『盾』なんだからな」
「『盾』……?」
「ああ、盾さ。そのために、あの改良型のスプレーガンを後生大事にぶら下げてるのさ――よし、砲雷長! いつでも行けるな?」
『あいさぁ〜。任せといてくださぁい』
「頼むぞ。メガ粒子砲群は威嚇斉射を準備。MS戦に艦を割り込ませることもありうる! 機関は出力維持」
艦の全般を指揮する艦橋から離れた火器管制室から来る、ゆったりと落ち着いた返答に艦長は頷き、機関科への指示も飛ばす。
リドリーはMS戦の展開次第では、トラキアが持つメガ粒子砲やミサイルの遠戦火力はおろか、防御のための対空機銃群までをジオン残党のMSへ容赦なく叩き込むつもりだった。
「さて。MSの相手をMSにやらせるなら、艦の相手は艦でやっておきたいところだが――」
航行中の商船を襲撃できたジオン残党が、MSだけで行動していたとは考えにくい。どこかにMS母艦がいるはずなのだ。
それをリドリーが尋ねようとした瞬間、レーダー手の方が声を跳ね上げた。
「艦長! レーダーに反応――大型艦艇です! 急速に接近してきます!」
「ジオン残党の母艦か?」
レーダー手の報告に艦橋が色めき立ち、リドリーが鋭く尋ねる。
貨物船を改装した程度の急造母艦ならともかく、もしもムサイ級巡洋艦以上の本格的な戦闘艦艇が出てくるならば大事だ。戦局に重大な影響を与えかねない。
「現在照合中……、いいえ、友軍です! 急速接近中の大型艦は友軍! 友軍ですが、これは……」
「友軍だぁ? マカッサルか、コベントリか?」
直近の友軍艦艇の展開状況はリドリーの頭に入っている。このタイミングでこの宙域へ接近する僚艦はなかったはずだが、ミノフスキー粒子下での電波はその分布状況に応じて、時に予測も付かない伝わり方を見せることがある。
だからトラキアよりも遠方からリバティ115の救難信号を受信したそれらの僚艦が、いま全速力で駆けつけて来ているという可能性もなくはないのだ。
だがレーダー手は艦長席へ振り向き、直接に彼を見つめてきた。その瞳に動揺の光を見たリドリーが目力で強く押し返すと、レーダー手は迷いを振り切るようにコンソールへ向かって叫んだ。
「モニターへ出します!」
中央主モニターへ映し出されたその艦艇に、リドリーはにわかに表情を強ばらせた。
「おいおい……こいつは、まさか――」
「行ける……!」
全天周モニター上で急速にその鮮明さを増していく敵機の映像から、アイネは勝利の確信を深めている。
ジオン残党MS三機のうちで、まともな射撃兵装を持っているのはリックドムだけだ。隊長機らしいザクUの目立つ武装はヒートホークのみ。ドラッツェの40ミリ機関砲はよほど近距離でなければ脅威にならない。
ザクUが強力な内蔵ビーム砲でも隠し持っていれば話は別だが、リックドムのジャイアント・バズをシュンがハイパーバズーカで抑えれば、あとはロブとアイネのビームライフルで一方的にアウトレンジ可能だ。
確かに一般には、ミノフスキー粒子の蔓延が大艦巨砲と火力万能の時代を終わらせ、優れた機動性で近接戦闘を主体とするMSの時代を呼んだとされている。
だが機動戦という同じ土俵に乗れるMS同士の戦いであれば、やはり火力の優劣は大きな戦力差となって現れる。
だからトラキア隊は距離が詰まる前にリックドム一機を、マコトの部下三機のGMUの火力で制圧すればいい。射程の短いマコトのスプレーガンに期待するまでもなく、一方的に蹴散らせる。
ジオン残党の装備は敵MSを無力化し、鹵獲しやすい近接格闘戦に特化している。だがビームライフルを揃えた連邦正規軍と対決することになってそれが裏目に出たな、とアイネはいくらかの余裕を持って敵を見た。
その彼女の視線の先でリックドムが、両肩に担うジャイアント・バズを前に倒す。そしてその両方の後端部から、まだ数発の粘着榴弾を収めたままの弾倉が外された。
リックドムは代わって無駄のない動作で予備弾倉を二門に装填すると、流れるように前へ構え直す。
『兄ィ、……行くで……』
『おうっ! やったれやイーデン! ぶちかましたれ!!』
静かな狂気をたたえた瞳で、リックドムのパイロットはジャイアント・バズ二門の砲口を迫るGMU編隊へ向ける。
対MS戦でのジャイアント・バズの有効射程は、その弾速の低さも手伝ってビームライフルよりずっと短い。
だが彼我の距離がビームライフルの有効射程を割る寸前、イーデン・モタルドゥは左右にわずかな時間差をつけて、ほとんど同時に二発の砲弾を放っていた。
「撃った!?」
『脅しだ』
マコトが言い終えるより先に巨大な爆光が二つ、前方で弾ける。同時に細かな無数の破片が爆風に広がりながら慣性で飛ぶ傘を開き、豪雨のようにトラキア隊の4機へ降り注ぐ。
「うっ……!」
シールドや本体装甲を叩く衝撃がコクピットにまで響いて、アイネはうめく。
榴散弾だ。主にミサイルの迎撃などに使われる弾種で、強力な装甲防御を有するMSへの攻撃では補助的にしか使われない。センサー類への打撃ぐらいは期待できるが、所詮はそこまでの威力でしかない。
『けっ、この程度っ!』
ロブ・サントス伍長が強気に嘲って吐き捨てるが、マコトが落ち着き払ってそれを制した。
『次が来る』
『へっ?』
間を置かず、またしても前方で爆光二つ。距離が詰まった分だけ狙いも近づき、ぶち撒けられてくる霰弾の密度が増したか、先ほどよりも機体を叩く回数も跳ね上がる。
『各機、まだ編隊を崩すな』
「わわっ……!」
霰弾の濃密な部分との接触を避けようとGMU25を機動させながら、アイネは傘状に飛来する霰弾の幕の向こうに、次の爆光二つが膨れ上がるのを見た。
「あ、うっ!」
弾数を重ねるごとに狙いの精度も増しているようで、今までにない強い衝撃が機体を揺らした。
ブラジャーのカップで保持されていないアイネの乳房が揺れ弾み、パイロットスーツの胸をだぷんと波打たせる。爆発の向こうに見え隠れするザクUをどうにか狙おうとしていた、ビームライフルのロックも外れた。
「これじゃまともに照準もできない……!」
アイネがうめき、呆れ混じりにシュンが呟く。
『こ、こいつら……! いったい何発撃つつもりなんだ!?』
重MSであるリックドムの強みは、大推力スラスターと潤沢な機内スペースに搭載した推進材を使って得られる高機動性と、大きな兵装搭載量(ペイロード)だ。
搭載量の優位は取りも直さず、大量の弾薬を携行しての贅沢な火力戦を可能にする。
リックドムは想像以上の弾薬を携行していて、それを惜しみなく叩き込むことでトラキア隊の機先を制して動きの自由を制圧し、四機のGMUからの反撃を封じているのだ。
MS戦を制する主要素が運動性と機動性にあるといっても、逆にそれらが対等なら、戦勢を決するのは火力の多寡となりうる。
警備会社MS隊との戦闘にもそれなりの弾数を消費していたはずのリックドムは大胆にも、シュンのGMU23が携行しているハイパーバズーカの砲弾を上回るだけの弾量を序盤戦から投射しようとしていた。
『何やってんだシュン、撃ち返せ!』
『やってますっ!』
どうにか射撃姿勢を取ったGMU23がハイパーバズーカを応射するが、その砲弾は絶え間なく弾ける後続の敵榴散弾に呑まれ、道半ばでそこへ熱と光を注ぎ足すように弾けた。
「撃ち負けてる……」
呆れ混じりにアイネは呟くが、敵リックドムはその偶発的な爆発さえも利用するように砲撃を重ねてくる。そして、ついに編隊内へ入り込んできた敵弾の爆発が、トラキアMS隊をマコトとアイネ、ロブとシュンとに分断した。
「引き剥がされたっ!?」
撃たれるたびに機体へ近づいてくる爆圧に揺れる機体の中で、アイネの背筋を不意の冷たい感覚が撫でさする。
「これだけの弾薬を携行しているのに、機動性に低下が見えなかった。通常のMS-09Rのデータと合わない……改良型なの?」
ジオン残党のMSは見た目こそほぼ一年戦争当時のザクUとリックドム、その後の簡易改修機のドラッツェのままだが、その性能は戦後の技術を用いて引き上げられているのではないのか。
現に自分たちの乗るGMUが一年戦争を戦ったGMを改修した機体であるように、ジオン残党も何らかの手段で既存MSを改修した可能性が大きい。
アイネの胸にわだかまった不安が、ひとつの像を結んでいく。
「MSの性能は、……互角かもしれない」
そしてMSの性能が互角なら、戦闘を決する主要素は搭乗員の技量となる。
こちらは四対三と数では圧倒しているが、同僚のロブ・サントス伍長やシュン・カーペンター伍長の操縦からは、熟練の気迫といったものがあまり感じられない。新兵の自分とさほど変わらないような気さえしてしまう。
対してジオン残党と言えば、長きに渡る実戦経験と高い練度が通り相場だ。巡洋艦アバリスを襲った大ジオン仏道のゲルググも、恐ろしい動きの冴えを見せつけていた。
この敵とまともに戦えるのは、ハヤカワ准尉一人だけではないのか。数で圧倒されて撃破されるのは、こちらになってしまうのではないか――
『25、正面!』
「はっ!?」
連鎖する爆炎を蹴破るように、突進するザクUがアイネの眼前にまで肉薄していた。
ジャイアント・バズの弾幕は単にGMU隊の動きを制約するだけではなく、途中から一気に急加速して突撃するザクUとドラッツェの姿を隠す煙幕としての機能も担っていたのだ。
『ガババババッ!! 死ねやぁーーーっ!!』
「こんのぉっ!!」
それでもアイネの反応は、自分で驚くほどに速かった。ビームライフルの照準を即座に修正すると、眼前のザクUへ向かってトリガーを引き絞る。
『うおっ!?』
MSの装甲を濡れ紙のように撃ち抜くビームが迸り、至近距離から過たずザクUの中心部へと吸い込まれる。
だが必殺のはずの光弾は、ザクUが正面に押し立ててきていた右肩部重層シールドを二枚抉って力尽きた。
「対ビームコーティングっ!」
『かはっ! ビビらせんなやズベタがぁっ!!』
穴を穿たれて赤熱したままのシールド第一層と二層がパージされ、間合いを割ったザクUが身を翻してヒートホークを振り上げる。すでに第二射を放てる距離ではない。
アイネのGMU25は電光石火の動きでシールドを構える左腕を跳ね上げ、シールド下端部での突きをザクUの胴体へ放っていた。
『ホウッ!!』
「まだまだぁっ!!」
それをザクUは受けることなく体軸ひねりでずらして避けるが、アイネはすかさず頭部バルカンを叩き込んで追い撃つ。まさにこういう接近戦でこそ真価を発揮する兵装だ。
だが頭部から絶え間なく迸る火線は躍るザクUに多くが外され、わずかな命中弾も曲面装甲に跳ねて致命傷には届かない。
『バルカンではのうっ!!』
アイネが繰り出したシールドとバルカンを避ける動作の延長線で、ザクUはヒートホークをアイネ機の胴をめがけて振り下ろしてくる。攻守が一体となった、まさに流れるような動きだった。
「強い……っ!」
――でも、
「あのゲルググに比べたら……!」
だがその牽制で稼いだ時間にアイネはシールドの後ろで、右手のビームライフルを左肩のビームサーベルに持ち替えていた。光の剣閃がザクUへと躍り掛かる。
『オホッ!?』
ザクUはヒートホークの軌道を変じてそれを受けたが、ビームサーベル相手にヒート兵器で長くは保たない。
『チィッ!! やりよるな!!』
「あっ!?」
その鍔競り合いを軸にして、ザクUはアイネ機の胴へ蹴りを入れた。蹴りは浅かったがザクUはその反動で一気に後方へ引くと、スラスターを噴かしてアイネ機から離脱していく。
「下がった!? ――いや、そっちはっ!」
『加勢するでぇデティ!! ズベタに泥水飲ましたるっ!!』
アイネ機を素早く撃墜できないと見るや、ザクUは即座に標的を切り替えていた。
リックドムからの猛射がなおもロブとシュンのGMU二機を拘束する間、残るドラッツェがビームサーベルを展開し、マコトのGMU22へ高速で食いついていた。
すでに両者は初太刀を交わして離れていたが、ドラッツェは鮮やかな旋回で再びマコト機めがけて突入してくる。そこへザクUが別方向から加勢しようというのだ。
「あんなのに二対一で同時に来られたら!」
二機の来襲は一瞬後。
アイネが咄嗟に持ち替えたビームライフルは機体を離れて漂い、このままサーベルとバルカンで後ろから斬りかかろうにも、すでにザクUの背中は遠い。
援護しようにも間に合わない。
あの至近距離まで接近されてしまっていては、マコトからビームの射撃で阻止するのも不可能だ。
融合炉を射貫けば大爆発に巻き込まれるし、運良くコクピットだけを撃ち抜いたとしても、敵機は慣性のまま激突しに来る。もはやドラッツェの機体そのものが有人操作の大型ミサイルと化しているのだ。
『死ねやズベ公!!』
『連邦のメス犬売女は、焼却処分じゃぁーーー!!』
「ハヤカワ准尉ーッ!!」
ビームライフルを回収しながらザクUを追おうとするアイネの眼前で、マコト機の右腕がゆらりと動く。
ドラッツェと切り結んだサーベルを持つのはシールドを備える左腕で、マコト機の右腕にはまだビームスプレーガンがある。その銃口が迫るドラッツェへ泳ぐように向き直り、そして閃光が走った。
『あん!?』
ドラッツェの機体が揺れた。
揺れながら、40ミリ機関砲を固定装備した右腕が、補助ジェネレータでビームサーベルを展開している左腕が、そしてMS離れした高加速力を与えていた下半身のスラスターユニットが、胴体から次々に離脱して分解していく。
その決定的な破壊がスプレーガンによる至近距離からの超高速連射でもたらされたものだと、背部バックパック以外の推進手段を失った胴体だけのドラッツェの中でパイロットが気づくまで、さらに数秒を要した。
『なっ――』
この近距離で姿勢制御など間に合うはずもなく、分離した四肢が周囲で次々と爆散する中、推進軸を狂わせられたドラッツェ本体はマコト機の側を転がるように突き抜けていく。
残った背部推進器だけで必死に姿勢制御を試みているようだったが、要する手間は通常の比ではない。
『でっ、デティーーーっ!!』
『うおおおお兄ぃぃぃっ、ワシに……ワシにかまわんでくれえええっっっ!! 今やあああっっ!!』
『待っとれよデティィィィ!!』
絶叫とともにスラスターを全開し、ザクUがマコト機の背後から斬りかかる。
『ザクッとこいつ潰して、拾いに行ったるさかいなぁぁぁ!!』
射撃のためにドラッツェと正対していたマコトのGMUを、ザクUは横から突く格好でヒートホークを振り下ろしていく。だがマコト機は全身のスラスターを噴かして旋回、独楽の速さで再びザクUを正面に捉えようとしてくる。
迫るヒートホークをマコト機の左腕に握られたビームサーベルが受け止め、熱い火花を飛び散らせる。
『おうらぁ!!』
「准尉っ!!」
近接戦闘におけるマコトの技術はアイネの想像を遙かに超えた高みにあった。だがそれでもなお、あのザクUは油断できない相手だ。すぐにでも加勢したいが、こうも両機が絡み合ってしまえばそれも難しい。
ザクUのドッツィ・タールネンもそれを承知していたから、このGMU隊長機とは速攻で決着をつける必要に迫られているのだ。
『死にさらせ!!』
光刃と熱刃のぶつかり合いを支点に、ザクUの機体が回転する。スラスターを全開にしたドッツィは左肩のスパイクへザクUの全運動エネルギーを載せて、GMU22のコクピットハッチへ叩きつけようとする。
『こいつさえツブせば! こいつさえツブせば、あとは! もう、どうとでもなるねんっ!!』
連邦軍MS隊四機のうち、本当に恐るべき熟練兵はこのスプレーガン持ちだけと見た。ドッツィが最初に切り結んだGMUも反応は悪くなかったが、まだ渡り合える。
だが、こいつだけは別格だ。倒せるときに倒しておかなければ、こいつ一機に他のすべてをひっくり返される!
強化スラスターが最大推力で火を噴き、ザクUの左半身が至近距離から蹴飛ばされたように加速する。
もはや防げるはずもない。ここまで密着しては射撃兵器など取り回せないし、ビームサーベルはヒートホークで封じてある。
今さらバルカンを叩き込まれたところで、ザクUが打ち砕かれるよりもGMUのコクピットがスパイクに叩き潰されるほうが早い。
『勝ったでぇ!!』
勝利を確信したドッツィが叫んだ瞬間、不意の衝撃がザクUを、リニアシート上のドッツィを襲った。
『……へっ?』
一気に軽くなった機体がドッツィの意図より遙かに早く旋回し、予想外の急加速の中でドッツィはそれに気づく。
ビームスプレーガン。
ビームライフルよりも、90ミリマシンガンよりも短いその銃身がGMUの右脇腹へ潜り込むように抱え込まれていて、密着状態でもザクUへの狙撃姿勢を確保していたことに。
その超至近距離からの集中射撃が、迫り来るザクUの左肩関節を撃ち抜き、切断していたことに。
そしてバランスを崩したザクUのヒートホークから光刃を外すと、GMUはそのまま無造作にザクUの両膝を薙ぎ払った。さらに蹴り足がコクピットハッチを叩き、ザクUを一気に吹き飛ばす。
『なんとぉーーーっ!?』
左右の脚部がその上体と生き別れ、バラバラに宇宙空間を浮遊していく。
ほとんど両足と左腕を失ったとはいえ、まだ上半身は残っている。右手のヒートホークも使える。ドッツィのザクUは完全に戦闘能力を失ったわけではない。
だが格闘戦に特化した機体構成でAMBAC能力を激減させてしまったことと、敵GMU隊長機の異常な技量を合わせて考えれば、これ以上の勝ち目などもはやないと確信させるに十分だった。
『ま、負ける……!? 負けるんか!? ワシらが!?』
『ぐおわぁっ!!』
『イーデン!?』
そのときドッツィが全天周モニターを振り仰げば、単機でよくGMU二機を抑えていたイーデン・モタルドゥのリックドムが、ビームライフルの光弾に右腕をジャイアント・バズごと持って行かれるところだった。
シュン機がタイミングを計って榴散弾で牽制をかけたところを、ロブ機の連射が捉えたのだ。
『あ、兄貴……すまんっ!』
さらに追い撃つように飛来するビームとバズーカ砲弾の中を、リックドムは脚部のミサイルランチャーから撃ち返しながら後退してくる。
『ヘハッ! 見たかよシュン! アイツの片腕持ってったの、俺のビームだぜ!』
『僕のバズーカで牽制したから、先輩のビームを当てられる隙も出来たんでしょう? まだ油断できませんよ!』
ジャイアント・バズの片割れを失ったリックドムにかつての神通力はもはやなく、後はもう二機のGMUから一方的に押しまくられるだけだった。
そのとき共通回線に、凛とした娘の声が響きわたる。
『ジオン残党に告ぐ。大勢はすでに決した。ただちに武装解除し機関を停止、投降せよ。さもなくば撃墜する』
『ぐっ、ぐうう……っ!』
ビームスプレーガンの銃口をザクUのコクピットハッチへ突きつけるマコトからの、三度目となる投降勧告。アイネもビームライフルを構えてザクUを狙い、無言の圧力を積み増した。
今度の勧告は重みが違う。
健在だったジオン残党のMS三機は壊滅的な大打撃を受け、対する連邦軍のGMUは四機のいずれも目立った損傷を受けていない。
一時は完全に戦闘の主導権を握ったかに見えたジオン残党は、今や完全敗北の半歩手前にあった。
『あかん、……こんなん……こんなん絶対に、絶対にあかんがなっ!! 捕まってしもたら……ここで連邦軍に捕まってしもたら、ワシらの人生! もう、完っ全に終わりやがな……!!』
ジオン公国が崩壊してジオン共和国へと継承された現在、なおも地球連邦との武力闘争を継続するジオン残党組織の構成員は、法的には軍人ではなくテロリストとして扱われる。
そのうえ彼らがジオン残党として今まで活動してきた実績を余罪として積み上げられれば、もはや極刑は免れ得ない。
『あ、兄貴……!』
ジオン残党MSのうち、まだ比較的高い戦闘力を残しているリックドムには、ロブとシュンからのビームライフルとハイパーバズーカが指向されている。
『25。ザクUを抑えておけ』
「は、はいっ!」
さらにマコト機が接近してビームスプレーガンの銃口を突きつけてくると、さすがにリックドムもたじろいだ。ドラッツェの四肢を瞬時に粉砕し、隊長機たるザクUの左肩と両足を切り裂いてのけたこのGMUが、別格の強敵であることは明白だったからだ。
『リックドムのパイロットへ告げる。ただちに武装を解除せよ。今から十数える間に武装を解除しない場合、このまま撃墜する。十、九、――』
『ぐっ、ぐう……っ。兄貴……!』
『…………』
そのとき突如、ザクUの背部スラスターが点火した。溺れるように不細工な動きで両手が泳ぎ、ザクUはふらふらと危なっかしく明後日の方向へ機動する。
「あ、こら――!」
アイネが厳しい表情でビームライフルの銃口を向け、スラスターを噴かして追跡したが、共通回線にはザクUからの悲鳴が飛び込んできた。
『あ、あかん!! 連邦軍の姉さん、こちらザクU、なんやもうわけわからんのやけど、スラスターがいきなり全開になってしもうた! さっきの打ち所が悪かったんか!? 機体制御不能! あかん!! 止まりまへんっ!!』
「はぁ!?」
トリガーに指をかけながらアイネは叫んだ。まさかこのザクUは『事故』を言い訳にして、このまま自分だけ逃げるつもりなのだろうか?
だがマコトの投降勧告以降、ジオン残党は直接的な攻撃には出ていない。震える軌道も滅茶苦茶だ。本当の事故かもしれない。
『堪忍や! 撃たんといて、頼む、後生や、姉さん堪忍、堪忍してや……』
「うっ……」
涙声で哀願しながら迷走するザクUの後ろ姿をビームライフルで狙撃してもよいかをアイネは逡巡し、そしてその目的に気づいたときには、ザクUはもう『そこ』の直前にまで辿り着いてしまっていた。
「!? ま、まさかこいつっ!」
『ヒャハーアッ! もろたでっ!!』
気づいたアイネが咄嗟に発砲したビームを紙一重の機動で回避し、ザクUが飛びついて捕らえたのは、フレームを歪ませながら漂流していた警備会社のボールだった。
最初の戦闘でドッツィのザクUに肩スパイクでタックルを喰らわされ、吹き飛んだまま漂流していた機体だ。うなだれたままのパイロットの姿が透けるそのコクピットハッチに、ドッツィはヒートホークの刃を押しつける。
『おおっと動くなや! 動いたらこいつの命はないで!!』
「ええ。そのときには、あなたの命もなくなるけどね……信じられない。人質を取るなんて、本当に正気!?」
ビームライフルをしっかりと両手で保持する狙撃姿勢を取りながら、アイネは手段を選ばないジオン残党への怒りとそれを止められなかった自分の愚かさに、きつく歯噛みしていた。
『何とでも言えやらぁ! ワシらは自分と仲間が生き残るためやったら、どんだけ汚いことでもしたるわ!!』
『すまん、兄ィ……!』
マコトに大破させられた胴体だけのドラッツェが、ビームに溶けた四つの粗い切断面からときおり放電を飛ばしながらも、ザクUの側までどうにかこうにか戻ってきた。漂流方向が近かったらしい。
いっそのこと、こいつを人質に取り返してやったらどうだろうかと考えるアイネの意識に、共通回線から落ち着き払ったマコトの声が聞こえてきた。
『……要求を聞こうか』
『はっ。さすがに今さらMSが欲しいだの、そこの貨物船が欲しいだの言うんは贅沢やからなぁ。この宙域からの、ワシらの安全な撤退。連邦軍の追跡はナシ……これを保証してくれるだけでええわ』
『その前に、ひとつ確認しておきたい。そのボールのパイロットは、本当にまだ生きているのか?』
『なんや、姉さん……随分えげつないこと言うてくれるやないけ。何か? 姉さん的にはもう、この警備会社のボールぼんずは息しとらん方が都合ええのか?』
『先ほどから反応がないようだ。単に気絶しているだけならいいが、死者を人質に取られてジオン残党を見逃したとあっては私の責任問題に関わる。確認させてもらう』
『ムッ……』
ザクUのパイロットはしばし考えたようだったが、やがて回答を寄越した。
『ええやろ! こっちでボールのハッチを開けたるさかい、姉さん、自分で近づいて確認しに来や』
『いいだろう。――各機、現態勢を保て』
GMU22が緩やかに加速し、ボールを捕らえたザクUの目の前まで接近していく。ヒートホークを握るザクUの右手が指を一本伸ばし、ボールのコクピットハッチを探りはじめた。
『……よっしゃ……』
自身のザクUと人質に取ったボール、そして傍らのドラッツェに連邦軍の意識が集中しているのを把握しながら、ドッツィは視界の隅で確認していた。
誘き出されてきたGMU隊長機を確実に狙撃できる位置まで、リックドムが前進してきていることを。
すべての配置が狙いにはまったその瞬間、くわぁ、と限界まで目を見開いてドッツィ・タールネンは僚機へ叫んだ。
『今やぁ! イーデン、撃てぇぇぇ!!』
『応!!』
リックドムの生き残っていたジャイアント・バズが、機体各所のミサイルランチャーが、すべて一気に火を噴いた。
残存火力を振り絞って瞬間的に生じた火力は、まさに弾幕と呼ぶに相応しい。回避の余裕も与えない近距離から、実に合計十発近いバズーカ砲弾とミサイルの嵐がマコト・ハヤカワ准尉のGMU22へ襲いかかる。
直後、大爆発の連鎖が生じた。
『タマ殺(と)ったぁぁぁあああ!!』
「そんな!? ハヤカワ准尉ぃぃぃっ!!」
勝利を確信したドッツィの狂ったような哄笑に、アイネの悲鳴がつんざくように被さってくる。
『あ……っ、隊長……?』
『マジか!? マジかよマコっちゃん!!』
慌てふためいたロブのGMU24がビームの光弾をリックドムへ放つが、ミサイルを撃ち尽くして身軽になったリックドムは素早い動きで直撃を避ける。すかさずジャイアントバズを撃ち返して、シュンとロブとを下がらせた。
『これでええ! これで一事が万事で全部ヨシ、やわぁ!!』
ドッツィはザクUの小脇に胴体だけのドラッツェを抱え、一目散に離脱しようと反転した。
確かに当初の目的であった、貨物船や警備会社MSの鹵獲は失敗した。それどころかMS隊に壊滅的な大損害まで受けてしまった。
だが、ジオン残党の活動に対してここまで積極的に介入してくる連邦軍の部隊があり、そのエース格のパイロットを仕留めたとあれば、これはまさしく大金星だ。
戦闘記録とともにこの功績を持って帰れば、MSの修理や代替機の配備はおろか、さらなる報償や組織における地位向上さえ夢ではない。
『見とれやあのクソガキども!! 誰がホンマにルスラン・フリートのエースなんか、骨身に教えたるっ! ケツの穴に手ぇ突っ込んで、奥歯ガタガタ言わしたるわ!!』
躁状態で喚くドッツィが最初に切り結んだGMUはビームライフルを構えたままだが、撃ってくる様子がない。人質に取ったままのボールの盾が効いているのか、隊長機を落とされたショックが大きすぎたか。
やはり残る三機は隊長一人に頼りっきりの雑魚と見た。あとはこのまま母艦まで逃げ切る。それだけでいい。
『あとはもうええ!! 長居は無用や、下がるで! イーデン、デティ!! ――イーデン?』
二機のGMUを牽制していたリックドムの喉元から、ビームサーベルの刃が、にょきっ、と生えていた。
Iフィールド内に固定成形されたメガ粒子の奔流はそのまま横へ動いて、リックドムの頭部と残る左腕を斬り落としながら、機体の外へ飛び出していく。
『!? な、なんやこいつはっ!?』
両腕とジャイアントバズのすべてを失い、ミサイルも撃ち尽くしていたリックドムは、振り向きざまに牽制用の胸部拡散ビーム砲を放つ。
だが叩きつけるように来たシールドの打突が、低出力ビームを深い角度で跳ね散らしながらビーム砲基部を叩き潰し、コクピットハッチをも強打する。
『ごぷ』
冷静沈着なそのパイロットが短い悲鳴を上げたきり、リックドムはシールド打撃に突き上げられたまま、両脚を膝から斬り落とされる。
機体装甲表面のそこかしこは弾片に穿たれ、塗装も焦げついている。シールドは何カ所もの穴を開けられ、溶け曲がってもはや原型を保っていない。
だが、マコト・ハヤカワ准尉のGMU22はほとんど五体満足のままで爆炎を突き破って、リックドムを背後からの奇襲で瞬時に無力化していた。
『隊長!』
『マコっちゃん!?』
『准尉、……ハヤカワ准尉っ!! ご無事で!』
『アホな!? なんでや! なんでや!! あの距離で、あの弾幕で、避ける間もなくブチ込まれといてっ!! ガンダムならともかく!! そんなんGMUごときの装甲で、保つわけないやろっ!!』
『25!』
「はいッ!!」
『!!』
ドッツィが振り向いた瞬間、目の前には抜刀しながら急接近するアイネのGMU。光熱の斬撃が残る右腕をヒートホークごと払い落とすと、捕らえていたボールが機体から離れていった。
「人質、返してもらいますっ!」
『げぶっ!?』
もはや傍らのドラッツェと同じく、頭部と胴体だけで武装一切を失ったザクUに、アイネはシールド突きを叩き込んだ。
「よくも人質を! よくも准尉をっ!!」
『ぼっ、ぼうやべて、ばぶぅ』
ボールを奪い返したアイネがさらに60ミリバルカン砲を撃ち込むと、連続で被弾したザクUのモノアイが割れ、さらに頭部がポップコーンのように弾け飛ぶ。
『もういい、やめろ25。生け捕りに出来なくなる!』
『あっ、准尉――准尉! 准尉、よく……よくご無事でっ!』
『私は悪運が強いからな。なかなか死ねないようになっているんだ』
互いに生身でいれば、間違いなく人目もはばからずに抱きついてきていただろう新たな部下からの涙声に、マコトはどこか冷たさすらも感じさせる乾いた声色で答えた。
『今度こそ、敵機は完全に無力化した。あとはワイヤーで拘束して、トラキアに任せる。警備会社MS隊の救難支援と、リバティ115への連絡を――』
だが後方から接近してきているはずの母艦に通信を入れようとして、マコトはそれが通らないことに気づいた。振り向けばトラキアの艦影そのものは健在で、確かにこちらへ向かってきているのだが。
そのとき四機のモニターに生じた警告表示が、GMU隊を一斉に機動させていた。
『警告:高エネルギー反応』
「なっ!?」
そして戦闘宙域へ飛来してきたのは、MS級の領域をはるかに超えた大出力のメガ粒子。それも一発だけでなく数発が立て続けに、宙域を洗い流すように突き抜けていく。
「艦砲射撃!?」
『砲雷長がトチ狂ったか!? なんで今頃トラキアが撃ってくるんだよ!』
『なんだこれ!? いつの間にか、ミノフスキー粒子濃度が跳ね上がってる! トラキアとの通信が確保できません!』
『各機、落ち着け。これはトラキアからの砲撃ではない』
「トラキアじゃない? じゃあジオン残党の母艦!?」
しかし自らセンサーで砲撃の来た方向を辿って、アイネは息を呑む。
「連邦の艦……友軍から!?」
その艦からの識別信号は紛れもなく、地球連邦宇宙軍への所属を示している。
望遠すればその艦容もサラミス、マゼランといった連邦軍の標準的航宙戦闘艦艇の意匠を踏襲してはいるが、アイネが知るどの既存艦級とも異なるものだ。
マゼラン改級戦艦をも凌ぐ大型の艦体には、前方へ向けて左右に独立した二本のMSカタパルトが配されている。そこから次々と出撃してくるのは、彼女たちの乗機と同じGMU。
だが甲板上の多数のメガ粒子砲塔は、なおもこちらへ指向されたままだ。
「MSが来る……!?」
そして大型艦から発進してきた二個小隊のMSに、アイネは戸惑いながらうめく。
『な、なんだ……なんだ、こいつら……。敵なのか? 味方なのか……?』
『全機、全周防御陣形! 警戒態勢は解くな。だが、決してこちらから手は出すな!』
『りょ、了解!』
マコトの号令一下、四機のGMUがそれぞれ別方向に武装を向け、全体としては前進してくるトラキアとの合流を図るように少しずつ移動する。
「アイリッシュ級……とかいうやつか。月資本系企業がMS運用能力の向上を主眼に開発した、次世代型の高級巡洋艦。地球圏の大勢に影響することもないこんな辺境に、新型艦を出してきただと……」
通信回線を閉じたコクピット内で、マコトは忌々しげにその艦影と、彼女たちを牽制するように動いてくる深緑塗装のGMU隊を睨みつける。
「どういうつもりだ……エゥーゴ」
今回は以上です。
そろそろまたエロ場面を入れられるようにしたいと思います。
GJ!
お帰り!ISAP!
フェニックステイルを投下している者ですが、スレも容量433KBとなりました。
あと70KBでdat落ちです。そろそろ次スレのことを考える時期かと思います。
>>367-385で議論されているあたりを見ますと、拙作のようなオリジナル要素の強いものと、
原作パロディの要素が強いものはスレを分離して二本化すべし、という意見が強かったようですが、
現在はどのような選択肢が適切でしょうか。
1 両者を棲み分けるため、新スレは二つ立てる
2 このままオリジナル要素が強いものも、原作パロディも同居する(オリジナル重視作には注意書きなど設けて対処)
いずれが適切でしょうか?
第三の選択肢も含め、スレッド容量が逼迫する前に方向性を得た方が良いのではないかと考え、ご意見を問わせていただきます。
>>549 いつも乙です。
前回の分裂騒動を踏まえて、
来る者拒まず、去る者追わずの
2でいいのではないかと思います。
外の方のご意見もお聞きしたいです。
スレはこのままでいいと思う。
あの辺りの議論ってオリジナル要素が強いかどうかじゃなくて、
結局はISAP氏がどうかって事の方が問題みたいだし。
今は新人は自重しろって雰囲気も無いようだし、大丈夫だと思うよ。
ただ、もし宇宙世紀専用スレが出来るんならそこにしか出入りしないな
個人的には「宇宙世紀専用スレ」がいいなあ。
フェニックステイルを除けば、宇宙世紀作品が最後に投下されたのって一年半以上も前のマイモニさんが最後なんだな
宇宙世紀専用スレ(オリジナル要素排除)なら、立ててもそういうことにしかならんのじゃないのかね
間違えた、二年以上前だ
>>551-552 お二方の考える『宇宙世紀専用スレ』はどんな感じですか?
○オリジナル要素不可、原作準拠作品のみ投下可能
○オリジナル要素の強いフェニックステイルのような作品も投下可能
前者の場合、もう一方のスレにはアナザー系とオリジナル要素含む作品が同居。
後者の場合、もう一方のスレにはアナザー系と、宇宙世紀以外の世界観に基づくオリジナル要素含む作品、
といった感じの棲み分けという認識でよろしいでしょうか。
556 :
552:2013/11/06(水) 23:23:43.78 ID:6lzGVHqp
>>555 自分は後者「○オリジナル要素の強いフェニックステイルのような作品も投下可能」が希望です。
要は、宇宙世紀を舞台にしたSSみたいな。
宇宙世紀を舞台にしたフェニックステイルの様なオリジナルSSはむしろ是非含めて欲しいです。
宇宙世紀をベースにしてればSTの「暗黒地球帝国」みたいなifだってありにして欲しい位です。
ただ自分は結構新参で、過去の議論の推移を把握出来てないので単なる個人の希望と受け取ってください。
ご意見ありがとうございます。
とりあえずオリジナル要素が強い自分の作品もこのまま投下し続けてよいということのようですし、
宇宙世紀以外にも、現在専用スレッドのあるAGEとビルドファイターズ以外の作品の受け皿も必要でしょう。
これ以上ガンダム系スレッドをあまり増やしすぎるのもということで、
スレ容量が足りなくなるころにガンダムヒロインズ]Xのスレ立てに挑戦してみようかと思います。
今夜ぐらいにまた、35KB程度の規模でフェニックステイルを投下予定です。
また読んでいただければ幸いです。
続き物の第九話を投下します。
紹介は
>>452参照です。
エロっぽいものとして、今回はポロリがあります。グロはないよ。
「ほう。連邦軍が勝ったか」
アイリッシュ級戦艦の艦橋。
膠着状態から不意を突いてきた逆襲を打破してジオン残党のMS隊を圧倒、そのMSの手足頭を薙ぎ払いながら完全に制圧していくGMU隊を指して、艦長は『連邦軍』と呼んだ。
『友軍』ではなく。
「識別信号確認。MS隊後方のサラミス改級巡洋艦は、連邦宇宙軍第223戦隊所属トラキアと判明」
「レーザー通信が入っています。我連邦宇宙軍巡洋艦トラキア、貴艦の所属及び行動目的を知らせ、です」
「向こうのMS隊は、いま出ている標準型のGMUが四機だけか? 隠し玉があるかもしれん。対空警戒と相手艦の監視怠るな」
すでに艦の総員が戦闘配置に付いているその艦橋で、艦長席の隣に立つその男は次々に飛び交う指示と報告を聞きながらひとり呟いた。
「ふむ。サラミス改級巡洋艦トラキア、ですか」
艦長席の横に立つ男が手元の電子端末でページを繰ると、その画面には次々と地球連邦宇宙軍に属する数々の部隊が現れてくる。
部隊名、主要拠点、主任務、装備、編成、戦歴、艦長や隊長など主要人物の略歴――そして彼らと部隊全般の、政治的傾向。
「ほほう。『組織』への勧誘には、いい返事を寄越してもらえなかった艦のようですね……残念ながら艦長もMS隊長も、宇宙移民の権利に関する意識はそれほど高くないとあります」
やがてトラキアに関するページに行き当たると、男はつまらなさそうに呟いた。この宙域に赴くと決まったときからその辺りの情報を事前に頭へ入れていた艦長が、男に構わず通信士へ尋ねる。
「通信、ミノフスキー粒子の散布状況はどうか?」
「順調です。連邦艦とMS隊はほぼ孤立しています。電子戦も展開準備中」
不敵な笑いとともに、通信士は返答を続ける。
「ここで今から何が起こっても、おかしな横槍は入りませんよ」
「宇宙の密室、というわけだな。結構だ。さて。行きがけの駄賃に沈めてみるかね? 少なくともこれから訪ねる相手に対しては、いい手みやげになるだろう」
事もなさげに眼下の男へ言ってのける艦長に、はじめて男が顔を上げた。
「いずれ寄らば大樹の田舎侍どもと考えるなら、それにも一考の価値はありますが。彼らも刻の流れを読み、大義の在処に気づくときが来るやもしれません。
その前に当地の駐留艦隊をいたずらに刺激しては、大事に障りましょうな。今は『玉』だけいただいて、丁重にお引き取り願うが得策かと。あるのでしょう、穏便な方法も?」
「まあな。もっともそれを受け入れられるかどうかは、彼らの賢明さ次第ということになるが。――砲雷長、前方の連邦とジオン残党MS隊の宙域周辺へ威嚇斉射だ。細部は任せる」
『了解』
「簡単に当ててくれるなよ?」
熟練した鉄砲屋からの実直な返答が聞こえて間もなく、艦内全体に主砲発射準備中の警告が響いた。
艦体後尾中央で全力回転し続ける主機が、主砲群に膨大なエネルギー量を充填していく。
「MS隊も頼むぞ。連邦軍が妙な気を起こさないよう、しっかりと抑えてくれ」
艦橋の主モニターに開いた通信小窓に、すでに左右MSカタパルトからの出撃準備を終えた二個MS小隊の長が映る。
特筆すべき事があるとすればまずそれは、そこに映る二人がいずれも若く美しい女性だということだろう。
『あら、艦長。ジオン残党のおじさま方、やられてしまいましたのね?』
小さく艶やかな唇が、残念そうに言葉を紡ぐ。栗色の柔らかな前髪をバイザーの中に泳がせながら、大粒の瞳を愛らしく瞬かせるしぐさには幼さが残り、少女のようにあどけない。
だが襟の階級章は紛れもなく、彼女が連邦軍少尉の地位にあることを意味している。
「ああ。数の優位があったとはいえ、一瞬で形勢を逆転させている。この連邦軍部隊、なかなか油断できない強敵らしい。シェンノート少尉、難しい任務だ」
『およしになって、艦長』
だが愛らしい八重歯を見せながら、シェンノート少尉と呼ばれた美少女は天使のように微笑む。
『私、仰られるまでもなくこの全力を尽くしましてよ。このような僻地で長年潜伏していらした、男くさいジオン残党勇士のおじさま方をお助けするためですもの』
戦場の荒んだ空気に染まりつつある耳に心地よい、ころころと転がりながら誘惑するような声色。それは天使の歌声のようでもあり、小悪魔のささやきのようでもある。
だが緩みかけた艦橋要員の耳朶を蹴り上げるように、剣呑に張りつめた娘の声が響きわたった。
『ケッ! まだるっこしぃ! 負け戦から七年経っても未だに場末でくすぶってる、役にも立たねえジオンの負け犬残党ジジイどもなんざどうでもいいってんだ!
あんなの生きて一匹捕まえときゃそれでいいだろ! まずは四の五の言わずにさっさとあたしらがブッ潰しゃあいいんだ、クソ連邦軍の方をよぉ!』
意志の強そうな切れ長の瞳に強烈な眼力をみなぎらせながら、柳眉を逆立て、金色に輝く鋭い前髪を揺らして娘が喚く。その襟元に光るのも同じ階級章だ。
「……ハフナー少尉。分かっていると思うが、我々は――」
『《エゥーゴ》だってんだろ!? A.E.U.G、反地球連邦政府運動! クソな政治を傘に着てクソな弾圧しか能がねえクソな軍隊、地球連邦軍をブッ潰すための組織だ!』
「……分かっていると思うが。地球連邦を破滅の道へ導こうとするティターンズを討ち、地球連邦のあり方を宇宙移民とともに寄り添う、あるべき姿へ正すための組織だ」
この艦に乗る自らの部下に、地球連邦軍生え抜きの将兵が少なくないことを知る艦長はこめかみに指を添えながら心中だけで舌打ちしたが、うら若き金髪の美女は意に介することもなくなお吠える。
『分かってますよ艦長ォ! わざわざ先に手出しはしません。ただ、ね。奴らが少しでも、フザケた真似を見せてきたら……あたしは、ツブしますよ? 連中を、徹底的にね』
『ふふっ。マインさん、相変わらず過激ですのね』
『何がだ!? てめぇがヌルいだけだろうがリアンナ!』
「分かっていればいい……結構だ」
『艦長。主砲、威嚇斉射準備完了』
娘たちの黄色い口論へ割り込むようにして届いた砲雷長からの報告に、艦長は安堵の息を漏らした。
謹厳実直な砲雷長は、あるいは自分を救うためにあえてこのタイミングで報告してきたのかもしれない。
すかさず艦長は艦内放送のマイクを取った。
「本艦はこれより前方宙域へ突入、連邦軍部隊に拿捕されつつあるジオン残党戦士の諸君らを救出する!
彼らは今や正義を忘れた地球連邦との戦いにその身を捧げる我々の同志であり、彼らとの接触は組織のさらなる飛躍に繋がる重要な手がかりとなるものである!
全主砲での牽制射撃後、ただちにシェンノート小隊、ハフナー小隊が発艦する。連邦軍部隊を威圧するとともに説得し、MS隊は目標を確保したのち本艦へ帰投する。
連邦軍部隊の出方次第では、決定的な全面戦闘もありうる! 宇宙移民の自由と権利を獲得せんがため、各員一層の奮起に期待する――主砲発射、十秒前! 九、八――」
『この……』
『うふふ。おじさま、待っててくださいましね』
通信小窓の中の金髪美女、マイン・ハフナー少尉はまだ言いたいことをたくさん抱えているようだったが、さすがに秒読みまで始められては引き下がるしかなかった。
柔らかな栗色の髪の美少女、リアンナ・シェンノート少尉は楽しげに微笑みながら、モスグリーン塗装の改良型MS、ヌーベルGMUを左舷カタパルト上に屈ませる。右舷カタパルトから先陣を切るマイン機も同様だ。
「三、二、一――撃(て)ッ!!」
宇宙が煌めき、巨艦が揺れる。
連装砲の左右にメガ粒子同士の干渉を避けるわずかな間隔を置きながら、アイリッシュ級の全主砲塔が宇宙に目映いほどの閃光をまき散らしながら火線の束を放った。
「前方観測――正面宙域に被弾物なし」
「連邦MS隊、回避機動中。連邦艦MSとも、現時点での発砲なし」
「両舷カタパルト、進路オールグリーン」
『ヌーベルGMU04、リアンナ・シェンノート少尉、出ますわ!』
『ヌーベルGMU07、マイン・ハフナー少尉! 待ちくたびれたぞ!』
主砲斉射に続いてMSカタパルト射出の反動に揺れる艦橋で、飛び交う通信と報告に紛れるようにして二人は囁く。
「大尉。本当に今回、出すのはあの二人で良かったのだな」
「ええ艦長、どうかご心配なく。MS隊の指揮と人選には、常に最善を尽くしておりますので」
艦橋内にも照り返すその閃光を浴びながら、苦虫を噛み潰す表情の艦長の下で、男は薄い笑みを浮かべ続けていた。
『ジオンのMSを内側に入れろ! 奴らを近づけさせるな!』
マコトの指示が飛び、今度こそ完全にスラスターを封じられた三機のジオン残党MSの残骸――つい数分前までは確かにMSだった有人デブリを、トラキアMS隊は全周防御陣形の内側へと引きずり込む。
頭部と両腕を完全に失い、胴体にはもはや膝までの両腿が残るだけのMSに運動能力など残っていない。
そんな惨状をさらす三機が背中合わせにまとめてワイヤーで縛り上げられてしまえば、残った背部推進器すら後ろの僚機に噴射炎が当たるため、使用不可能となってしまっているのだった。
『な、なんやなんや!? なあ姉さん、いま何が起こっとるんかワシらにも教えてんか!? 後生やさかい!!』
「本当にお願いですから、いま本当に黙っててください……でないと私、そのコクピットの見晴らしをものすごく良くしてあげちゃうかもしれませんよ。……ビームで」
『ヒイッ!?』
接触回線経由で馴れ馴れしく飛び込んでくるザクUパイロットからの不安げな声に、アイネは余裕を失った暗い声色で返す。
ドッツィが不安になるのも無理はない。アイネに頭部ユニットを破壊されたザクUのコクピットではもう、ひどく限定的な展望しか得られなくなっているのだから。
だが実際には現在、わけも分からぬままに鉄の棺桶同然の愛機へ閉じこめられているジオン残党の三人より、彼らを捕らえた連邦軍のMSパイロットたちの方がずっと精神的に追いつめられていた。
「……来るっ!」
『こっちにも……っ、なんなんだこいつらっ!!』
ビームライフルで油断なく身構え続けるアイネ機の前を、がっちりと編隊を組んだGMUの三機編隊が飛びすぎていく。
その反対側、シュンがハイパーバズーカを向けて警戒する方向にもやはり三機のGMU編隊が航過していく。
すれ違う瞬間、アイネは自分たちが乗るGMUとそれらの差異が、単なる塗装だけにとどまらないことに気づいていた。
「胸部ダクトが四つ、頬にもダクト……シールドはGMコマンド系列の変種? 連邦マークが見えなかった……」
早鐘を打つ心臓を抱えながら、それでもアイネは敵対的な行動を取る謎のGMUを分析する。
シールドは連邦軍GM系MSが広く用いるスタンダードな長六角形ではなく、GMコマンドやGMカスタム、GMクゥエルなどのいわゆる高級GMに採用されたものに近い。優美な曲面形状と同時に、上端部に攻撃的な爪部を備えたシルエットだ。
連邦軍制式カラーの赤ではなくモスグリーンに塗装された胴体部には、トラキア隊が運用する標準型GMUに倍する四つものダクトが設けられている。
さらに頭部ユニットの頬にもダクトが増設されていて、のっぺりとした標準型GMUの顔立ちよりもC型やD型のGMに近い、どことなく精悍な印象を受ける。
一方でビームライフルなどの携帯兵器に新奇なものは見受けられず、それらの銃口を向けてくるなどといった明らかな敵対行為もまだ取られていない。
だが彼らの行動は、どの基準から判断したとしても友好的な態度などではありえなかった。誰もが脅威を感じている。
そして今や、無線通信も完全に機能しなくなっていた。今かろうじてトラキア隊のMS間を繋いでいるのは、近距離赤外線通信だ。
急激に濃度の増したミノフスキー粒子だけの仕業ではない。加えてどこからか、強烈な妨害電波が発信されているのだ。だからMS隊は未だにトラキアとの通信を確保できずにいる。
まともな電子戦装備を持たないトラキア隊にその発信源など特定できるはずもないが、状況を見れば眼前の新型戦艦の関与は明白だった。
『また来やがる……!』
つかず離れずの距離を保ちながら旋回し、トラキアとの間へ割り込んで合流を妨害するように向かってくる三機と三機を見据えながら、マコト・ハヤカワ准尉がはっきりと断言した。
『奴らは《エゥーゴ》だ。エゥーゴはジオン残党とも繋がっている。狙いはこいつらの身柄で間違いない』
『え、エゥーゴ? 最近問題になってるっていう、反地球連邦のテロリスト軍団ですか? なんでテロリストがGMUなんかまとまった数で持ってるんです?』
「あの見たことない戦艦も、連邦軍の識別信号を出してますよね……。ひょっとしてエゥーゴって、連邦軍の裏切り者が部隊ごと装備を持ち出して入り込んでる組織なんですか?」
『う、ウソだろ……いくらなんでも、そんなこと出来るわけが――』
『22より各機。詮索は後回しだ。今はこの状況を乗り切ることだけを考えておけ』
とめどなく続きそうだったアイネとロブ、シュンの憶測を、マコトの鋭い指示が断ち切った。
『任務の優先順位を変更する。ジオン残党MS三機のトラキアへの回収を最優先とする。後、エゥーゴが引かない場合、トラキア撤退支援のため、対艦攻撃、並びに防空戦闘を実施する』
『な、んなっ』
『せ、戦艦相手にガチでやり合おうっていうんですか……!?』
ロブが金魚のようにパクパクと口を開き、通信窓の中でシュンの表情が絶望に凍りつく。
アイネだけが覚悟を決めた顔のまま、どこか遠過ぎる彼方に焦点を結んだ瞳でゆっくりと頷いた。ひきつる唇が言葉を吐き出す。
「ハヤカワ准尉、……最後まで……お供いたします……」
『大丈夫だ』
だから、そんな調子外れの声色ばかりが重なる通信回線に、いつも通りのマコトの声は重たく響いた。
『お前たちは、誰も死なせない。……私の盾にかけて、な』
「……ハヤカワ准尉?」
『いやいやいや……いくら不死身のマコっちゃんでも、こればっかりはさすがに無理だろ……終わった……』
そのとき妨害電波でノイズ一色に押し潰されていた共通回線へ、唐突に人間の肉声が混じり込んできた。
『地球連邦宇宙軍巡洋艦トラキアと、そのMS隊に連絡する。こちらは地球連邦宇宙軍環月方面軍所属、戦艦ジャカルタである』
「!」
今やその巨大な艦影を間近に迫らせているエゥーゴ艦からの通信に、アイネはびくりと背筋を跳ねさせた。
『本艦は環月方面軍司令部の命により月面都市グラナダを発して以来、遠路、月周辺宙域に多大な被害をもたらした凶悪なジオン残党『キャリホルニヤの悪夢』を追撃してきた』
「えっ」
アイネの目が点になった。
そのまま通信窓の中の、涙目中年男に視線を下ろす。
キャリホルニヤの悪夢。
そういえばトラキアを発艦後に前進中、途切れ途切れに入ってきた共通回線での通信の切れ端で、このジオン残党がそんな風に名乗っていたような気がする。
ソロモンの悪夢ことアナベル・ガトーのことなら訓練課程で使った教範にも載っていたが、こちらはどうせその適当なパチモンだろうと思って無視していた。
『えっ』
ドッツィの目も点になった。
いつの間に自分はそんなに有名になっていたのだろうか。
いやそもそも、月周辺宙域で活動したことなんか、あったか?
だがこの連邦軍の新型戦艦は、月の大都市グラナダからはるばる自分を追ってきたらしい。いったい自分に何の恨みがあって?
もしかして、ただ死刑にされるだけでは済まないのか? 月の連邦軍がわけのわからん新型戦艦を出してまで捕まえに来たからには、とてつもなくエクストリームな特別死刑が用意されているのか?
『ほ、ほああ……っ、ほあああああああ……!!』
『本艦に代わって凶悪無比なテロリスト『キャリホルニヤの悪夢』を捕縛していただいたこと、巡洋艦トラキアの諸官らには深く御礼申し上げる。
これで本艦もグラナダに顔向けが出来るというもの。――そのまま本艦のMS隊に、『キャリホルニヤの悪夢』の身柄を引き渡していただきたい』
『聞けん話だ』
回線に割り込んできたのは後方、すでに至近とも言える距離まで接近してきていたトラキアの艦長、リドリー・フランクス大尉だった。
距離が詰まったことと妨害電波が止んだことで、トラキアからの通信も復活したのだ。
「エゥーゴめ。そんな適当な言い訳で名分が立つとでも思っているのか?」
「体裁ぐらいは気にしているでしょう。連中にもティターンズ以外の一般部隊にまで、誰彼構わず喧嘩を売っている余裕はないはずです。むしろ、潜在的な支持基盤とまで見られている可能性もあります。
場所によっては、エゥーゴを強力に支持する部隊も多いと聞きます――連邦宇宙軍の半分はエゥーゴだと思え、などと言う者までいるぐらいですから」
「世も末だな……」
操舵士相手に毒づきながら、リドリーは新型戦艦へ呼びかける。MS隊さえ収容できれば、トラキアはいつでも全火力を叩き込んで離脱できる準備を整えてある。
『本宙域は我が第223戦隊の担当任務区域である。このジオン残党はそこで貨物船を襲撃していた現場を我々が押さえたものだ。
彼らの身柄に関する優先権が我々にあるのは明白である。
当地で活発化の一途にあるジオン残党組織に関する情報を得るためにも、彼らの身柄は絶対に必須だ。
それでもなおどうしてもと言いたいなら、上級部隊を通してもらおう。環月方面軍司令部から、我々の第223戦隊司令部へ依頼を通していただきたい。正規の書面でな。
戦隊司令部が同意さえすれば後日、キャリホルニヤ云々はともかく、このジオン残党の身柄を引き渡すことに異存はない』
『承伏しかねる。『キャリホルニヤの悪夢』はジオン残党組織によって間もなく月周辺で実施されるとみられる、次なる大規模テロ計画にも関与している可能性が濃厚であり、本案件の緊急性はきわめて高い。
身柄の受け渡しはこの場で、ただちに希望する』
『それこそ聞けん話だな。軍人ならば職権の範囲は弁えていただきたいものだ。それとも貴官は、あれか――《ティターンズ》にでもなったつもりか』
『…………』
薄く揶揄するような嘲りを秘めたリドリーの声色に、雄弁だったジャカルタの艦長が言葉を切った。
『もしそうだったのなら、こちらこそ謝罪させていただく。特別の権限を認められているティターンズが相手なら話は別だ。ジオン残党、即座に引き渡して差し上げましょう』
『それは――』
「あっ!?」
ジャカルタ艦長が論戦に次の矢をつがえようとしたとき、アイネは驚愕に目を見開いた。
これまで掠めるような軌道は取りながらも、それでも常に一定の距離は取り続けていたジャカルタ所属GMUの一機が、編隊を置き捨てるように急加速した。
そしてトラキア隊の全周防御陣形、そのシュンが担当する正面めがけて単機で逆落としに突っ込んできたのだ。
『エンジントラブルだッ!』
共通回線に吐き捨てられたのは、若い娘の乱暴な声。
突出したジャカルタのGMUは右手のビームライフルは下げたまま、しかし左腕の新型シールドを逆手に持ち替えながらシュン機へまっしぐらに絡んでくる。
『まどろっこしい! どうせ三文小芝居なら、こういう風に打ちなってんだ! 行くぜお前らッ!!』
『承知だ姐さん!』
『よりにもよって、俺らをティターンズ呼ばわりたぁな! クソ連邦には死あるのみッ!!』
連邦軍部隊に傍受されない自隊だけの周波数で小隊の列機に命じながら、マインはその美貌に迫力ある凄絶な笑みを浮かべてハイパーバズーカ装備のGMUを狙い、突進する。
全天周モニターの脇に通信小窓が開いてもう一人のMS小隊長、リアンナ・シェンノート少尉が少し不満げに可愛く頬を膨らませてみても、マインはまるで目もくれない。
『マインさん、さっきと話が違いましてよ?』
『なんも違わねえよリアンナ! あたしらが『事故』で連邦軍のMSにぶつかって連中をブッ飛ばす! そしたら防御に穴が空くだろ? その間にお前らが残党どもを拾ってくるんだよ!!
もし撃ち返してきやがったら、普通に全力で潰してやりゃあいい!!』
『……了解ですわ』
童顔の美少女はふっとため息を吐くと、自らの小隊にも軌道を修正させた。無理にマインの暴走を止めるのではなく、起きてしまった流れに乗るべきだと判断する柔軟さが彼女にはあった。
『来るなっ、うわあっ、来るなあああっ!!』
狙われたシュン機は、それでもジオン残党MSとの間につけ込まれる隙間を空けすぎない範囲で回避機動を展開したが、迫るGMUはそれを先読みするように絡みついてくる。
威嚇するようにハイパーバズーカを構えるシュン機との間で、マイン機が至近距離をも割り込む。
『どうしたぁ!? 撃てよ! さっさと撃てよ腰抜けぇ!!』
『さ、先に撃たされてしまったら……!!』
バルカン砲の火力では、シールドを前に押し出しながら来るGMUを阻止できない。
ハイパーバズーカを突撃阻止のためにいま撃てば、もう直撃させるしかなく、とても威嚇では済まなくなってしまう。
圧倒的に優勢な相手に対して全面開戦の口実を与えかねない反撃に、シュンは最後まで踏み切ることを選べなかった。
『腰抜けがぁっ!!』
『わああああああっ!!』
激突の強烈な衝撃が両機を揺らし、シュンのGMU23は吹き飛ばされて全周防御陣形から脱落した。
『23!』
『心配してる場合か!? 次はテメーだ!!』
申し訳程度にマシントラブル事故の体裁を装いながら、ハフナー小隊のGMU二機も連邦軍の全周防御陣形へ、マイン機の開けた穴を広げるようにその隣接機めがけて突入する。
ビームスプレーガンなどという時代錯誤な骨董品を構えたGMUの姿を間近で見たときには思わず笑い出しそうになったが、強烈な体当たりを狙って時間差をつけながら仕掛けた二機の機動は紙一重でかわされた。
『なっ、なんだっ!?』
『ただの偶然だ! もう一度仕掛ける!!』
激突を確信した直後に肩すかしを食わされながら、もうエンジントラブルを起こした機体と呼ぶには苦しすぎる急旋回を切り、二機は再びスプレーガン持ちを狙って食い下がる。
「カーペンター伍長!」
『クソッ! 今ここから外れたら、残党機を持って行かれる!』
『うふふ。さあ、どうなさるのかしら?』
アイネとロブには引き続きシェンノート小隊の三機が、一定距離を保ちながらもジオン残党MSの直接奪取を匂わせて拘束する。
『おおっと、姿勢制御にも問題発生!』
そしてシュン機を吹き飛ばしたマイン機はなおも至近距離に絡みついたまま、シールド打撃でハイパーバズーカの砲身を食い破る。
ブリキのようにあっさりと貫通された砲身は、マイン機が左腕を回すとその半ばからいとも簡単にへし折られる。
それで自由を得た新型シールドは、今度は必死に長六角形のシールドを構えて防御しようとする内側へ飛び込み、シュン機の左肩装甲を破った。
そのまま基部まで爪を食い込ませられると、赤いGMUは左腕から力を失ってガードを下げる。
やはり新型シールドの爪部には、GMUの装甲を容易に食い破るだけの貫通力が秘められていたのだった。
『そ、そんなっ!?』
『おらあっ、まだまだぁっ!!』
マインは爪部を装甲板から引き抜くや、即座に再度の押し込みをかける。狙いはビームサーベル。
左肩に装備されていたビームサーベルまでもが強打されて脱落、シュンが敵機を阻止しうる最後の望みを虚空へ漂わせた。
『うっ、うわあああっ!!』
『遅ぇよドンガメッ!!』
シュンはスラスターを全開にしてなんとか逃れようと機動するが、至近距離から露骨な格闘戦を仕掛けてくる相手に背は向けることは出来ない。
そして背を向けることが出来なければ、明らかに同等以上の機動性を有して食らいついてくる敵機相手には距離を開くことも出来ないのだ。
『くそっ、来るな、来るなっ!!』
『往生際が悪いってんだよ!』
半分近い短さになったハイパーバズーカを棍棒よろしく握って振り回すが、左腕の死んだ機体で中空の筒を叩きつけたところで、五体満足の敵機が操る新型シールドに勝てるわけがない。
マイン・ハフナーは踊るようにシールドを翻らせて操り、上端に尖る凶悪な爪部でついにシュン機のコクピットを狙った。
MS用格闘戦兵器においてはビームやヒート系以外に、単なる冷金属であっても敵MSの装甲を打ち破れるだけの威力を持つものも少なくない。
一年戦争当時のジオン公国軍水陸両用MS、ズゴックのクローなどが有名だろうが、連邦軍MSにもシールドに強固な突起部を設けることで、類似の効果を期待する場合が散見された。
マイン機が装備しているシールドも、その流れを汲むものだ。
材質には最新素材であるガンダリウム合金を採用し、強固な防御力だけでなく爪部による格闘戦での破壊力、さらにスライド機構の採用による運用柔軟性の増大など、数々の新機軸が盛り込まれている。
エゥーゴ最大のスポンサーである大手軍需企業が、画期的な新型量産MSの防御兵装として開発したシールド。マイン機をはじめとするジャカルタ隊のヌーベルGMUの多くは、それを装備しているのだった。
マインはこのシールドによる一撃が必殺のものになりうることを知っている。GMU相手なら間違いない。
だがビーム/ヒート兵器や実弾火器と異なり、平常時と使用時に明確な状態変化が生じない打撃用シールドは、あくまで『事故』を装って敵機を潰すためには、これ以上なく適した兵器なのだった。
『死ねよ連邦クズ野郎ッ!!』
憎い連邦の兵士を、この手で文字通りに叩き潰すことが出来る。獲物を狩る雌豹の凄絶な笑みを浮かべてシュンを追いつめるマインの視野に、そのとき脇から新たな機影が飛び込んだ。
『カーペンター伍長、掩護しますッ!!』
先ほどシュンが弾き出され、さらにマコト機にも二機が執拗に絡みついて大いに乱れる全周防御陣形から抜けて、アイネのGMU25が全速でシュンとマインの間へ突入してきていたのだ。
『クライネ伍長!?』
『邪魔すんじゃねぇよっ!!』
『させない!!』
横槍ならぬ横盾を入れ、アイネがマインにシールド同士を叩きつけて弾き飛ばす。マイン機は身を翻し、今度はアイネ機のコクピットハッチに爪を突き立てんと躍り掛かった。
『はぁ!? ざけんな、この際てめぇが先に死ねッ!!』
もはや殺気は隠せもしない。強烈な直感が思考より先に、アイネの直感を蹴飛ばしていた。
――殺らなければ、殺られる
シュンとマインの間に割り込みながら、アイネは躊躇なく肩口のビームサーベルを抜き払った。
『寄らば斬ります!』
『はっ! 腰抜け揃いの連邦雑魚が、一丁前に長ドス抜いて格闘戦かよっ!!』
脳内にたぎる大量のアドレナリンに導かれるまま、マインもビームサーベルを抜いて応える。
チタン・セラミック複合材の装甲など豆腐も同然に斬り裂く光刃がふたつ交錯していく光景を、アイネはどこか他人事のような心境で見つめていた。
ゲルググのビームナギナタ。
ザクUのヒートホーク。
人質のボールを外して、ひと思いに切り離した斬撃。
今まで積み重ねてきた訓練にそれらの実戦経験が混じり合って、アイネの中のどこか深い部分で火花を散らした。
この相手に、手加減などは意味がない。自分も死ぬ気で掛かってくる捨て身の手足を払ったところで、敵は勢いのままこちらの喉笛に食らいつく。
近くには左手を殺されてシールドを使えない、無防備なままのカーペンター伍長の23がいる。巻き込めない。
長引かせれば、総戦力に勝る敵に対して本格介入の余裕と口実を与えてしまう。
一撃で、コクピットを潰して仕留める。それしかない。
結論を導き出したアイネは、左腕のシールドをパージした。両腕でしっかりとビームサーベルを保持しながら頭部の横まで引いて構え、そして、全出力をスラスターに叩き込む。
同時にビームサーベル、最大出力。
『面白ぇっ!! つき合うぜこのクソ野郎ッ!!』
マインは絶叫するやシールドを捨て、アイネのGMUと鏡写しの姿勢をヌーベルGMUに取らせて突っ込んだ。
マイン・ハフナー少尉は地球連邦軍人としての軍歴を経ることなく、エゥーゴに直接入隊した志願兵である。
マインは鉱婦である。地球圏に牽引された鉱山資源衛星で暮らす技術者夫婦の娘として生まれ、ろくに外の世界を知らないまま、荒くれた鉱山労働者たちの中で育った。
粗野で下品な男所帯の中で、マインは幼い頃から採掘機械や航宙機器に親しみつつ、屈強の鉱夫たちと肩を並べて現場に出ながら日々を過ごした。
生来さばさばとした気性の彼女は、自らが女として日増しに美しく成長していくことも大して深くは気に留めず、からかい混じりに近づく男は拳と啖呵で黙らせながら、やがて鉱山の若手を仕切るうら若き姉御として、皆から期待を寄せられるようになった。
連邦軍部隊を従えたティターンズ艦隊がそんな彼女たちの鉱山衛星に現れたのは、二年前のことだった。
ジオン軍はおろか、連邦軍の姿すらまともに見たことのない鉱夫たちに、ティターンズはここに逃げ込んだジオン残党を出せと言った。匿っているはずだ。隠し立てすればためにならない。
ジオン残党を引き渡さない場合、地球圏の平和と安寧を守るため、法に基づいて実力を行使する。
鉱夫たちはティターンズの一方的な要求を突っぱねた。当たり前だ。そもそも居ないものなど出しようがない。採掘機械も精製工場も止められない。外との取引だってある。誰がこれ以上、余所者の寝言に耳など貸すか。
だがティターンズは彼女たちの《山》に、仮借ない艦砲射撃とミサイルの雨を叩き込んだ。MSも来た。
仲間を失って怒り狂った鉱夫たちが仕掛けたプチMSの肉弾戦と即席浮遊爆雷は、GMクゥエルの90ミリ砲弾に粉砕された。港も山も町までもが戦火に焼かれた。
鉱山側の抵抗が止んでも破壊は続き、しかし、その焼け跡からジオン残党の痕跡はついに出なかった。
ジオン残党は鉱山労働者たちを反連邦思想で洗脳した後、すでにここを離脱したのだとティターンズは一方的に宣言し、破壊の他に何も残すことなく鉱山衛星を去った。
だから後に残ったのは巨額の債務と無数の墓標、そして復讐を誓う生き残りたちだけだ。
『てめぇらなんかにな! 負けてらんねぇんだよ、こっちはなぁっ!!』
『私はもう負けない! もう私の無力で、私の仲間を殺させなんかしないっ!!』
真正面から、ビームサーベルの剣尖同士が衝突した。
小さな太陽が生まれたように閃光が弾け、Iフィールド同士の凄まじい反発が互いを弾き飛ばし、支える両手を通じてMS全体を動揺させる。
『行っけぇぇぇぇぇ!!』
その一瞬にアイネは無我で、突入してきた反動への姿勢制御を修正し、敵機を狙ってビームサーベルを送り込もうと最後の瞬間まで死力を尽くす。
電光の中に、道筋が見えた気がした。
そしてGMU25のビームサーベルはその切っ先から、まるで最初から敷かれていたレールの上を滑るかのような自然さで、マイン機のコクピットハッチへと飛び込んでいく。
「なっ――」
――死ぬ
全天周モニターの前面を埋め尽くしながら迫り来る光の尖端を見た瞬間、マインは自らの確実な死を直感していた。
コクピットハッチの装甲など、ビームサーベルの前には濡れ紙以下の存在だった。瞬時に突き破りながらコクピット内へ侵入し、光刃はそのままマインの全身を呑み込む。
「ちくしょう! 父さん、母さん!!」
押し寄せるメガ粒子の怒濤でバイザーグラスごとヘルメットが粉砕され、強固なヘルメットの破片も瞬時に蒸発していくその横で、シャギーストレートのセミロングが暴風に煽られるように背後へなびく。
溶け崩れると思う間もなく陽炎のように消し飛んでいくリニアシートの上で、マイン・ハフナーの若くみずみずしい肉体を包んでいたパイロットスーツが、一瞬にして破裂した。
「いやああああああーーーッ!!」
死に瀕してマインが最後に発した悲鳴は、もはや無力で可憐な乙女のそれでしかなかった。
野性的な美貌を備えた金髪美女の、引き締まりながらも女としての要所要所はしごく肉感的な肢体が無防備に、すべてを蒸発させる死の閃光の中へと放り出される。
サイズ小さめのスポーツブラジャーで窮屈に押し潰されていた十九歳の乳房はパイロットスーツの破裂とともに、秘められていた重量感あふれる威容を今こそ誇るかのようにだぷんと揺れて弾み出ていた。
金色の恥毛が生え揃う下に開いたマインの秘所にはおびただしい量の愛液が溢れ、白い柔肌に浮く桜色の乳暈の中で恥ずかしげに埋もれていた乳首が、ツンと張りながら顔を出す。
自らの避けられない死を認識した生物が生殖機能を暴走させ、その肉体に子を成させるべくして急激に準備を整えていく。
――ああ、イくぅ……!
あまりに遅すぎる性本能の発露がマインの中で眠っていた雌の部分を、超高熱の閃光の中で情け容赦なく開花させていくのを感じながら、彼女の意識は溢れる光に失せていった。
「うわあああああっ!!」
コクピットハッチからビームサーベルを引き抜いたアイネがそのまま機体を蹴飛ばすと、モスグリーンのGMUはビームサーベルとシールドを構えた姿勢のまま硬直して、まるで死人のように後方へ漂流していった。
それが何を意味しているのか、アイネは誰か自分ではない他人のことのように理解していた。
「こ、殺したっ……、わたしが……私が、あのGMUのパイロットを、殺した……っ」
『あっ、姐さん!? そんな!!』
『クソ連邦軍があっ! よくも姐さんを殺りやがったなッ!!』
マコト機へ執拗に挑みかかっていたハフナー小隊の二機が、怒りに我を忘れてビームライフルの銃口を跳ね上げる。アイネ機を狙って照準をつけ、そのままトリガーを引き絞りかけた。
『死ね――あぐッ!?』
『そこまでにしておけ』
だが共通回線から来た若い娘の冷たい声と機体に走った鈍い衝撃、それに全天周モニターが告げる警告が彼らの暴走をそこで止めさせる。
マイン機がコクピットを焼かれるまで彼らが追い続けていたトラキアMS隊の隊長機が、ハフナー小隊の一機の背中に組み付きながらビームサーベルの発振部を押しつけると同時に、ビームスプレーガンの銃口をもう一機にも突きつけていた。
『それ以上続けるなら、二機とも後を追ってもらうぞ』
『こっ……こいつ、いつの間に……!?』
一瞬にして攻守を逆転させ、同時に二機を手玉に取ってみせた敵機から放たれてくる強烈な殺気に、二人は戦慄する。
だがトラキアMS隊の四機中三機までが側を離れてしまっては、最後までジオン残党MSの防備に残っていたロブ・サントス伍長のGMU一機だけで、シェンノート小隊の三機を相手取ることなど不可能だった。
『うぅ、うう……っ』
『はいはい、ごめんなさいね、通していただきますわ』
シェンノート小隊の二機がビームライフルの銃口を向けて、ロブ機を圧倒しながら下がらせる。そして小隊長たるリアンナ・シェンノート少尉のヌーベルGMUは悠々と、ワイヤーで縛り上げられたジオン残党MS三機の元へたどり着いていた。
「な、なんや!?」
思わず身を固くするドッツィの眼前で、全天周モニターにGMUパイロットからの通信窓が開く。装甲経由で信号を通して、二機の間だけで交わす接触回線だ。
『あら、素敵なおじさま』
そして飛び込んできたのは、柔らかな優雅さを感じさせる少女の声と、ヘルメットのバイザー越しに繊細なウェーブを描いて揺れる明るい前髪、興味津々に彼を見つめる愛らしい大粒の瞳だった。
『リアンナ・シェンノート少尉と申します。エゥーゴの者ですの。ザクUのおじさま、あなたが『キャリホルニヤの悪夢』なんですの?』
「……おっ? お、おお……なんや、えらい別嬪さんやな。わ……ワシこそが『キャリホルニヤの悪夢』ドッツィ・タールネン少佐や!」
『あら! やっぱりあなたでしたのね、おじさまっ!』
バイザー越しに頬へ小さな掌を寄せ、八重歯を見せて花咲くように笑う美少女。地獄に垂らされた天国への糸を見るような目で、ドッツィはリアンナを見つめた。
『タールネン少佐。エゥーゴがあなたがたをお助けしますわ』
「お、おいっ!? な、なんやて……えうご!? 助けに……!? 釜茹でにする、の間違いなんちゃうんか!?」
『釜茹で? お料理の名前かしら?』
リアンナは宝石のような瞳を瞬かせて小首を傾げ、それからまた笑顔で話を再開する。
『私たちエゥーゴは、宇宙移民を弾圧する地球連邦政府の今のあり方を正そうと集まった正義の武装組織ですわ。構成員には連邦の軍人もおりますけれど、元ジオン兵も多くおりますの。
おじさまのような、たくましくて、雄臭くて、男らしいジオン残党勇士の方なんて、……ああ、……素敵……。もう身も心からも大歓迎させていただきますわ』
「だ……っ、だい、かん、げい……っ」
屈託のない美少女の笑顔に、女っ気のない生活を強いられていたドッツィは生唾を飲む。よからぬ妄想が脳裏を走り始めたところで、ドッツィはそれを思い出した。
彼らを今のこの状況に叩き込んだ元凶、あのGMUを。
「せやけど、アカン! この連邦軍の、スプレーガン持ちだけはアカン!! あいつ一機で……っ、ホンマにあいつ一機だけで、一個中隊並みの戦力がありよる! アカン! あれは、人間業やない!!」
『スプレーガン持ち、ですか……。ええ、承知しておりますわ。他にも、かなり腕の立つパイロットがいるようですわね』
言いながら、リアンナは彼女の僚友をビームサーベルの直撃で殺したGMUを見る。
新型に換装された主機出力をはじめ、総合性能では確実に標準型GMUを上回るはずのヌーベルGMUを駆ってあのマイン・ハフナー少尉が挑み、そして見事に完敗した。
彼も言う『スプレーガン持ち』だけでなく、間違いなくあのGMUも強敵だろう。
『ですが――もう、詮無いことですわ』
「い、いや、アカン! あのスプレーガン持ちだけはホンマに、なんとかせんと絶対アカンて!! 逃げられへん! 殺られてまうっ!!」
『だって。あの方々が出てきてしまわれたんですもの』
どこか冷めた口調で言い放ち、そのスプレーガン持ちのGMUへと、リアンナは視線を上げる。
いつの間にか、その二機のMSは出現していた。
一機は重MS。バズーカを装備し、リックドムを彷彿とさせる重厚なフォルムを持ちながらも、背中にはさらなる高機動性を誇示するかのように巨大なバインダー付きのバックパックを追っている。
モノアイは可動レールを持たない固定式のようで、それがこの新奇な重MSに独特の印象を与えていた。
そしてもう一機はいま撃墜されてもはや漂流するばかりの、マインのヌーベルGMUへとまっすぐに向かっていく。
先ほどまでのGMU隊が装備していたものと同じ、GMコマンド系のそれに似た角付きシールドと、標準型のビームライフルを装備している。
頭部のゴーグルアイや細身の体型はGMの系譜に連なるMSとも見えるが、しかし連邦軍がこれまで開発、配備してきたいかなるGM系MSとも異なる意匠を備えていた。
いずれも完全に新開発の新型機か、と醒めた目で見るマコトのGMU22へ、その重MSのほうが向き直って通信を入れてきた。
『貴官がトラキアのMS隊長ですか?』
『そうだ。貴官は』
『私は戦艦ジャカルタのMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉と申します。先ほどは私の部下が無様なところをお見せしてしまい、たいへん失礼をいたしました』
『……自分は巡洋艦トラキアのMS隊長、マコト・ハヤカワ准尉であります』
すでにジオン残党のMSへとジャカルタのGMUが取り付くのを許してしまった時点で、実質的にこの場の決着は付いている。
あとは、落としどころをどこにするか、だけの問題でしかない。
素直な謝罪を寄越してきた相手方のMS隊長に、無感動な調子でマコトは応えた。
『GMUは枯れた技術で構成された、信頼性と整備性のきわめて高い機体です。それがこうも簡単に機体トラブルを起こすなど、通常ではあり得ない話だと思いますが』
『MS隊を率いる者として、実に耳に痛いお言葉です。我が隊のGMUは独自に改修を加えたところが多く、それが仇になってしまったのやもしれません。
ですがハヤカワ准尉、今回はこちらの払った犠牲に免じて、どうか寛大なるご容赦をいただきたい』
ロストフ大尉と名乗ったMS隊長の言葉を強調するように、彼とともに現れていた新型のGM系がコクピットを灼き貫かれたままのGMUに近づき、無残な破壊の跡を確認するように寄り添った。
『かなうならばこれ以上の無用な血が、双方の間で流れることのないように願いたいものですが』
ジオン残党MS群をがっちりと保持し、自らの艦へと収容していく三機のGMU。マコトに一度は阻止されたとはいえ、なお殺気立ったままのGMU二機。
そして、マコトの目の前の新型二機。
『その点については同意します』
『准尉のご理解とご厚意に、心より感謝の意を表させていただきます』
重MSの背後を新型戦艦へ向けて、三機のGMUに護衛されるようにしながらジオン残党のMSが収容されていく。トラキア隊はただそれを見守るしかない。
『ところで准尉は、本当に素晴らしい技術を持っておいでだ』
『単に古株というだけです。ボールとGMにしか乗ったことがない。今の新しい技術にはついていけませんよ』
世間話のように柔らかな口調で切り出しながら、ロストフ大尉はマコトの心を探るように言葉を重ねた。
『ご謙遜をなさる――ハヤカワ准尉。その力、真に宇宙移民のために用いるお心はありませんか?』
『今も連邦軍人として可能な限り、日々連邦市民のために奉仕させていただいております。自分にはこれが精一杯ですね』
『僭越ながら私は、あなたにはもっと相応しい舞台があると感じるのです。時代のスポットライトを浴びる場所が。
――これからの時代、世界は荒れます。そのときあなたのいるべき場所は、そこではないのではありませんか』
真に迫るような問いかけを、マコトは鼻で笑いとばした。
『大尉。それではまるで、地球連邦に弓を引け、と唆されているかのようにも聞こえてしまいます。誰が聞いているかわかりません。それは私とあなたの間だけの、ここだけの話にしておきませんか』
『なるほど。今はまだ……というわけですね』
『いえいえ。なにぶん、今の配置がなかなか居心地いいものでして』
それきり言葉を切って黙るマコトに、ロストフは心底楽しそうに弾んだ声で言い出した。
『残念です。本当に残念です。いや、しかし――あなたとお会い出来て、本当に良かった。あなたのような強者がおられることを知っただけでも、ここまで来た甲斐があったというものです』
『…………』
その手放しの賛辞に対して、マコトは一言も返しはしなかった。
ロストフ大尉と名乗った男の言葉の裏に、どこか首筋にまとわりつくような不快さが潜んでいるように感じられてならなかったのだ。
『それでは、我々はこれで。ハヤカワ准尉、トラキアのご武運を』
『ええ。ロストフ大尉、ジャカルタのご武運を』
そしてロストフ大尉の新型重MSは、鮮やかな旋回を見せてマコトの前から後退した。
ハフナー小隊で生き残った二機は、新型GM系に引かれながら母艦への進路を取る、自分たちの小隊長機へと近づきたそうにしていた。
だが戻ってきたロストフの重MSからなにか通信を受けると、進路を変じて距離を開き、右舷カタパルトへと進路を取っていった。
『……本件に関しては後日、環月方面軍に対し正式に抗議する』
『ええ、どうぞ。上級部隊を通じて、正規の書面でお願いする』
感情を噛み殺して吐いたリドリーの言葉に、ジャカルタ艦長が余裕を漂わせながら応える。
『ああ。それから――貴艦の航海の無事を祈る』
あざ笑うように定型句を置くと、トラキアの目の前でMS隊を回収し終えたジャカルタは悠然と回頭し、そのまま高い加速力を見せつけるようにして離れていった。
『……生き……残った……のか……?』
『なんだったんだ……この戦いは、いったい……』
ロブとシュンが惚けたように呟く。
『22より各機。我が隊の任務はまだ終了していない。警備会社MS隊の救難作業を支援し、リバティ115に接触する』
『24、了解』
『23、了解……』
『25。了解か?』
『……25、了解』
他の二機からだいぶ遅れて、アイネは半可な返事を寄越した。
コクピット内のアイネは無言のまま、ノーマルスーツのグラブ越しに自分の掌を見つめている。戦艦ジャカルタとそのMS隊の気配が遠のいてから、もう、ずっと。
そこに何か、見えない染みでも付いているかのように。
今回は以上です。
ヌーベルGMUは俺MSです。
ビームスプレーガンとネモシールドがこんなに強いSSが読めるのは、多分ここだけ。
GJ!
GJ!
ハフナー少尉二重の意味で昇天か(-人-)ナムナム
宇宙世紀とアナザーを棲み分けするとした場合
Gジェネ系はどこに行けば良いんだろう
アナザー
ヒロイン増えてきたけど、しかし全員GMUパイロットってのはどうなんだw
GMUヒロインズか?w
>>573 Gジェネ系ってスレでもたびたび名前が出てきたみたいだけど、実際に投下されたことって今まで一度もないよね?
そもそも今の投下頻度だとスレを分ける意味がそもそも無いから、AGEとビルドファイターズ以外のガンダム系は全部ここ、でいいんじゃないかと。
フェニックステイルを投下している輩です。
スレ容量が476KBに達しました。そろそろ拙作の次回投下も厳しい容量になりつつあります。
拙作次回更新分(今週中には投下できるかと思います)の容量次第では新スレ保守を兼ねて、新スレを立ち上げながらの投下になるかもしれません。
そこでここまでの経緯と議論を踏まえ、次スレテンプレ案の可否を問いたいと思います。
また次スレ移行時より、外部サイト(pixivを検討中です)にフェニックステイル既存投下分に多少の修正を加えたようなものも、逐次保管していきたいと思っております。
こちらについてもご意見などございましたらお寄せください。
>>577の草案1にはたびたび議題に上がるGジェネ、拙作のようなガンダム世界観利用の二次創作に関する記述を盛り込みました。
>>578の草案2はほぼそのままコピーしてみましたが、
>>1から四年が経過したために公式リンク先の選別がこれでよいのかという問題や、保管庫などの非公式サイトで機能していないところが散見されます。
ご意見などありましたらお寄せくだされば幸いです。
>>572 ハフナー少尉の昇天が二回だけで終わると誰が言った?
>>575 >>411にもあるように、GMUは主人公機なのでー。
あと追加で。
Android環境だと、2chMate+datmateを利用することで、過去スレすべてを閲覧することが出来ます。
テンプレ草案2の過去スレURLは、datmateで直接飛べるものに修正した方がいいでしょうかね?
テンプレにはAGEとビルドファイターズのエロパロ単独スレへの誘導があった方いいんじゃない?
容量が膨らむ前にキリの良いところまで、続き物の第十話を投下します。
紹介は
>>452参照です。
今回はまだ微エロ程度です。
『おじさま、着艦ですわ。衝撃に備えてくださいまし』
「おう!」
通信小窓から響く柔らかな少女の声に、可能な限りの威厳を込めてドッツィ・タールネンは顔を上げる。
メインカメラをバルカン砲に吹き飛ばされてやたらと死角の多くなったザクUの全天周モニターの中で、新型戦艦のMSカタパルトデッキがぐんぐん大きくなってくる。
その奥には緩衝ネットが張られているのが見えていた。操縦困難に陥ったMSを回収するための古典的手段だ。
全機が両脚を『スプレーガン持ち』に叩き斬られているジオン残党の三機は、一般的な手順で着艦する事が出来ない。
連邦軍MS隊に拘束されたワイヤーを外さないまま三機を曳航している改装型のGMU隊は、このままカタパルトデッキ奥の緩衝ネットへ彼らを放り込むつもりらしかった。
「了解や……デティ、聞いたか?」
『聞こえとるで、兄ィ。せやけど、イーデンはまだアカンな』
「まあ、生命反応は確認しとる……何とかなるやろ」
曳航機が制動を掛けて減速する。緩やかな逆Gを感じながら放り出された三機は、MSカタパルトデッキに張られたネットへ受け止められるようにして着艦した。
追って曳航してきた三機のGMUも着艦すると、たちまちノーマルスーツ姿が群がってきて彼らの機体の破損部めがけて不活性化剤を噴射し、そして絡まる網の目を外しに掛かった。
『おじさま方、ノーマルスーツに破損はありませんこと? MSデッキの与圧がまだですの。そのまま出られまして?』
「大丈夫や。問題あらへん」
『では、降りてきていただいてけっこうですわ。お茶を用意させていただきます。ご自分の艦だと思って、おくつろぎになってくださいまし』
「自分の艦やと思て、か……」
全天周モニターへ切れ切れに映る外界は、MSデッキの光景を写している。行き交うノーマルスーツはいずれも連邦系であり、出撃してきた八機以外にもまだ数機が残っていた艦載機も、リアンナ・シェンノート少尉と名乗った美少女の乗機と同じGMU系だ。
『兄ィ。こりゃ、まるきり連邦軍の巣やないけ。生きた心地がせえへんな……』
敵機めがけてドラッツェを全速で飛ばしていたときと異なり、急に慎重な口調になったデティ・コイヤー軍曹は小声で呟きながら、通信小窓の中から不安げにドッツィを見た。
『……兄ィ、行くんか?』
「まあ、せっかくのご招待やしな。助けてもうたことは確かなわけやし、とにかく行ってみいへんことには話も何も始まらんやろ」
あっけらかんと言い放ちながらも腕組みし、ドッツィはしばし思案した。
自らドッツィの一の舎弟を自称し、そしてドッツィとしても腹心として信頼を置いていた部下、イーデン・モタルドゥは、あの忌々しい不死身のGMU『スプレーガン持ち』からの強烈なシールド突きを受けたきり、気絶していた。まだ目を覚ましそうにない。
すぐに動けるのは自分とデティの二人だけ。そして助け船を出してはくれた《エゥーゴ》を名乗るこの組織も、果たしてどこまでの信頼に足るのかをまだ見極められていない。
「ええか、デティ。お前はここの連中におかしなことをされへんように、ワシらのMSを見張っといてくれや。ただくれぐれも、こっちから先には手ぇ出すなよ」
『兄ィは、……兄ィはどないするんや?』
「ワシはちょろっと行って、ここの艦長と話してくるわ。デティ。お前はイーデンと、ワシらのMSを頼むで」
全天周モニターが映すザクUのすぐそばには、すでにGMU系から降りてきた小柄なパイロットが着地して、彼のザクUのコクピットを見上げている。
ままよ、とドッツィはコクピットハッチを開放し、その小柄なパイロットスーツの元へとリニアシートを蹴った。
すると小柄な相手も床を蹴り、ドッツィの胸へ飛び込んできた。ぶつかる。
「なんじゃあっ!?」
慌てて空中で抱き止めると、そのヘルメットがジオン軍パイロットスーツの胸板の広さを確かめるように頬をすりつけながら、スーツ同士の接触回線で呼びかけてきた。
「ああ、逞しい……。うふっ。やっと直接お会いできましたわね。改めまして、戦艦ジャカルタ第二MS小隊長、リアンナ・シェンノート少尉ですわ、おじさま」
「お、おう……」
……めんこい娘やのう。
MSを降りて直接に相対してみたその少女は、ドッツィの胸までも背丈が届かないような小柄さだった。
ドッツィが大柄で屈強な体格であることを差し引いても、もはやジュニアハイどころか、エレメンタリーの学生と言っても通るのではないかと思えるほどだ。
だが、連邦軍の現行パイロットスーツへ如実に浮き出るそのボディラインは、幼く小柄な印象の中にも確かに女を感じさせる豊かさを要所要所に秘めていた。トランジスタグラマーと呼ぶべきだろう。
「あ、当たっとるで……」
「? 何が当たってるんですの?」
パイロットスーツと、おそらくはその下でブラジャーのカップにも包まれているのだろう形の良さそうな乳房が、ドッツィの股間近くでみずみずしい弾力を潰れさせながら、今にもはちきれそうな若い甘さを伝えてくる。
股間に痺れにも似た熱を感じてたじろぐドッツィに、少女がそのヘルメットの小首を傾げた。上目遣いで呟く。
「あら? 他の方は、降りてこられないんですの?」
「せ、せや。一人はさっき、スプレーガン持ちにド突かれたきり気絶しとる。もう一人はうちらの損傷した機体がおかしなことにならんように見させとる。まずはワシ一人で、艦長さんにお礼させてもらうとするわ」
「まあ、おじさま。さっそく艦長に会っていただけますのね?」
「お、おう……」
ドッツィに押されてゆっくりと降りていく少女は左右の掌を合わせ、バイザーの向こうに眩しいほどの笑顔を弾けさせた。
そんな美少女に面映ゆさを感じてたじろぎながらも、しかしドッツィは着地とともに振り向いて、周囲の整備兵たちを牽制した。
「そこの整備の人ら! いろいろ危ないでな、勝手にワシらのMSに触らんといてな! 一人残しとくさかい、どうしてもちゅうときはそいつの指示に従ってんか!」
「大丈夫ですわ。エゥーゴは不作法な真似はいたしませんもの。こちらにいらしてくださいまし、おじさま」
ころころと笑う少女に手を引かれて導かれ、エアロックをくぐって与圧された艦内通路へ入る。
リアンナと一緒にバイザーを上げると、空気には新造艦特有の匂いが漂っていた。ドッツィが以前にこの匂いを感じたのは、もう何年前のことだっただろうか。
「艦橋ですのね? シェンノート少尉ですわ。艦長にお伝えくださいまし。タールネン少佐がお会いくださるそうですわ。――もう今行ってよろしいんですのね? ――では参りましょう、おじさま」
「は? もうええのか??」
素早く艦内電話に取り付いていたリアンナは、早くも艦長とのアポを取り付けた様子だった。笑顔で向き直ると右手にリフトグリップを、そして左手にドッツィの手を握って再び先導していく。
リアンナのパイロットスーツに包まれた脚、そして小作りながらも豊かな腰つきが、手を伸ばせばすぐ触れられる目の前で、無重力の通路を泳いでいる。
今のうちに艦内を観察しようとしても、どうしてもドッツィの視線はそちらへ強く引きつけられてしまう。
だからドッツィがまともに気づくことが出来たのは、艦内を行き交う人影には連邦軍の制服以外に私服のような軽装が多いこと、そしてやたらと多く見かけられるその服装は、どうやら制服に準じる扱いであるらしいということぐらいのものだった。
美少女の脚と尻ばかり眺めているうちに艦橋前まで着いてしまったが、むしろそれ以上の直接的な行為を彼女に働かなかった己の自制心を評価すべきかもしれない、とドッツィは思った。
「艦長。リアンナ・シェンノート少尉、ドッツィ・タールネン少佐をお連れいたしましたわ」
「ご苦労だった、シェンノート少尉。下がりたまえ」
見上げる高さで艦長席をぐるりと回して、艦長はリアンナと向き合いながら敬礼を交わす。
「おじさま、それではまた後ほど」
「お、おう……」
リアンナは微笑みながら囁くと、艦橋にドッツィを残して退出していった。憮然とした表情のドッツィに、連邦軍制服のジャカルタ艦長は親しげに話しかけた。
「戦艦ジャカルタに――そしてエゥーゴにようこそ、タールネン少佐。艦長のデミトリ・スワロフ中佐だ。不屈の闘志を持つジオン残党勇士の諸君らを歓迎させてもらおう。僚機パイロットの方も、身体の方に異常はないかな?」
「ええ。おかげさんで、塩梅ようさしていただいとりますわな」
「それは何よりだ」
「スワロフ艦長、まずはお礼を言わしていただきます。ワシらジオン残党を連邦軍から助けてもろうたご恩、これは素直に恩に着さしていただきます。おおきに」
率直に謝辞を述べたドッツィに、破顔しながら艦長が応じる。
「礼には及ばない。我々は立場こそ違えど、今の地球連邦政府のあり方に異を唱えんとする者同士だ。助け合うのが当然というものだろう」
「いやあ艦長、せやけど、言うても何ですわ……やっぱ世の中、タダより怖いもんはありませんわな。単刀直入に聞かしてもらいます……艦長さん。何が狙いなんや?」
乾きかけた唇を舐めながら、ドッツィは直接に疑問をぶつけた。だがスワロフは韜晦するように目を細める。
「狙い、とは?」
「わざわざ連邦軍の巡洋艦とやり合うて、本気のど突き合いにまでなりかける危ない轍を踏んでまで、ワシらを助けてくれはった。それはもう、心底感謝しとります。
せやけど、艦長……そこまでしてくれはるちゅうのは、単に通りすがりのジオン残党を助けてみたかったから、だけではないですやろ? あのときあの場所まで、わざわざ月から駆けつけてきてもうたことも含めて、何を考えておらはったんですかな」
「ふむ」
艦長席を小さく回し、スワロフは艦橋を巡る窓の外に広がる宇宙の光景へと斜めに対した。
「タールネン少佐。我々は、力を必要としているのだ。より多くの、正義を志す人々の力をね」
「ほお。力、でっか」
言われてドッツィは腕を組んだ。
『キャリホルニヤの悪夢』を名乗る身としては、ここで己自身の力を誇示する威勢のいい啖呵の一つも切りたいところだったが、なにぶんあの『スプレーガン持ち』に叩きのめされたところを救出されたばかりだ。さすがに自重した。
「我々が今の力だけで戦うには、地球連邦の地球至上主義が生んだ悪しき尖兵ティターンズは、あまりに強大な存在なのだ。
そして本来ならスペースノイドのために在るべき連邦宇宙軍の中にも、未だ真実を知らされることなく情報の暗闇に閉ざされたまま、大義の在処に気づくことが出来ていない人々があまりにも多い。先ほどのトラキア隊のようにね。
だが今はまだ、ティターンズも地球連邦軍の全軍までは掌握できていない。多くの力を集め、叩くならば今しかないのだ。
だから私はまず、この暗礁宙域の奥に拠点を構える、少佐が属するジオン残党組織の長にお会いしたい。そして、我々エゥーゴとの共闘を申し込みたいのだ。
タールネン少佐。あなたにはその会談のパイプ役になっていただきたい」
「共闘、でっか……」
そう来たか――ドッツィの唇がわななく。
組織全体でエゥーゴと共闘するということは、この方面の連邦軍だけではなく、遠方にいるティターンズとも積極的に打って出て交戦するということになるだろう。
こんな辺境にくすぶりながら、ちんけな海賊行為や破壊工作の合間に時たま連邦軍や民間警備会社と交戦する、といったぬるま湯の環境ではなくなる可能性が大きい。
「今までは辺境ということもあってここまでティターンズが手を伸ばしてくることはなかったようだが、このまま奴らが勢力を拡大すれば、いずれ必ず君たちの組織にも目を付けるだろう。
そうなる前に、我々と共同でティターンズを叩く。これがお互いにとって最大の得策のはずだ」
「……言うても結局、おたくらのエゥーゴいう組織は連邦軍が基盤なんでっしゃろ? ティターンズ打倒ちゅう共通の目的がある当分の間は良うても、将来どう転ぶかは分かりゃしまへん……。
ワシらにとっては、こんな連邦製のごっつい新型戦艦と仲間を引き合わせるだけでも一大事、大博打です。そう簡単に、仲間は売れませんわなあ」
「少佐。我々エゥーゴの目的は、単にティターンズを打倒するだけで終わるものではない。さらにその先、スペースノイド全体の地球連邦における地位の大きな向上を目指しているのだ。
この目的には、君たちジオン残党組織のそれとも重なるところが大きいと思うが?」
「いやいやいや。しょせんワシらは、あんな重力井戸のどん底から無茶な政治をしよる連邦のバカタレどもの言いなりになってたまるか! ゆう苔の一念だけでなんとか頑張っとるだけの弱小ですわ。
ご期待してもらえるんは嬉しいんですけどなあ。そんな大きな青写真、とてもやないですが――」
「ほう? そうなのかね?」
面倒くさい方向へ転がっていきそうな話を無難に収めていこうとするドッツィに、スワロフが口角をわずかにつり上げた。
「タールネン少佐。君の属するジオン残党組織――『ルスラン・フリート』は、かの『デラーズ・フリート』にも匹敵する規模の戦力を整備したと伝え聞いたのだがね」
「!?」
事もなさげにスワロフが言い放った一言で、任務の傍らで話を聞いていた艦橋要員の何人かが顔色を変えた。
デラーズ・フリート。一年戦争後にジオン公国の木星開発拠点アクシズへ逃れることなく、地球圏へ残留しての闘争継続を選択したジオン残党における最大勢力。
四年前に決起するやコンペイトウの観艦式に集結していた大艦隊を核攻撃で壊滅させ、さらに移送中のコロニーを奪取して北米に落着させた彼らの戦いぶりは、まさにその後の地球圏の歴史を大きく変えたと言っても過言ではない。
そのデラーズ・フリートに匹敵する戦力を隠し持っていたジオン残党組織などというものが現存するなら、エゥーゴの現有戦力と合わせてティターンズを壊滅に追い込むことすら夢ではなくなるかもしれない。
だが、いかに一年戦争終結時にジオン共和国への復帰を拒んで行方を眩ました旧公国軍部隊が多かったとはいえ、さすがにギレン・ザビ親衛隊を中核としたデラーズ・フリートに匹敵する勢力が未だ地球圏に現存するなど、いかにも眉唾物に思える話だ。
「い、いや……それはさすがに、買いかぶりすぎですやろ……」
しかし、そんな荒唐無稽にも思える話を振られたドッツィ・タールネンは脂汗を垂らしながら唇を引き攣らせ、切れの悪い調子で否定するしかなかった。
探るような視線をスワロフへ向けてくる。目の前の男は、自分たちについて一体どこまで知っているのか、と。
スワロフの笑みが深まる。
「今、君たちルスラン・フリートと我々エゥーゴが手を組めば――地球圏全体の未来を、ティターンズの魔手から救うことが出来る。我々の手で、だ」
「ワシら両方の手で、地球圏を、でっか……」
一気に踏み込んできたその言葉が持つ重さに、ドッツィは圧倒される。
それはすなわち、彼らがエゥーゴという大きな組織についてこのまま勝利を手にした場合、巨大な配当にあずかることが出来るということだ。
彼らを連邦軍から救出するために出撃してきたGMUには、新造機の輝きがあった。最後に少しだけ出撃してきた二機など、完全に新規開発の代物だろう。
あれらの機体の前では彼らを苦しめたトラキア隊のGMUなど、もはや単なる旧式機でしかないのだ。
エゥーゴには、連邦軍をも凌ぐ力がある。
先細りが目に見えている今のジオン残党組織から、大きな勝ちをも狙える、若く勢いある組織への大胆な転換。
これは自分だけでなく部下たちや、組織全体にとっても決定的なメリットをもたらす可能性もある。
「ど、どうですやろな……まあ何にせよ、自分一人ですぐに答えの出せる話ではないですわ」
「それは当方も承知の上だ。君たちのために部屋を用意した。まずはそこでゆっくり疲れを取って、それからじっくり考えてほしい。
部屋までは、シェンノート少尉に案内させよう」
艦長の目配せに合わせるように、ドッツィの背後で艦橋のドアが開いた。
「おじさま、お迎えに上がりましたわ!」
「んん? シェンノート少尉か――はおっ!?」
開いたドアに目をやって、ドッツィは目の玉が飛び出るほどに大きく見開いた。
そこにいたのはパイロットスーツを脱ぎ、エゥーゴ制服に着替えたリアンナだった。
頭上の照明を受けて天使の輪を宿す柔らかな栗髪はアップにされて、大きく可憐な白いリボンで少し短めのポニーテールにまとめられている。
実際にはそう極端に大きいわけではなくとも、涼しげな制服の薄い布地を押し上げる胸の膨らみは彼女の全体的な小作りさとの好対照をなして、丸みを帯びた豊かさを強烈に主張していた。
そしてノースリーブにミニスカートという露出の多い大胆なエゥーゴ女子制服からはすらりと眩しい四肢が覗き、愛らしい両脚は清潔感のある白のオーバーニーソックスに腿の過半まで包まれている。
ミニスカートの裾が無重力に揺れて、見えそうで見えない下着とオーバーニーソのわずかな隙間に、太股の輝くような眩しい白さがいっそうよく映える。
「おっ、おおっ……おおおおお……っ」
え、ええんか? 軍艦の中でこんなん、ほんまにええんか??
「ではシェンノート少尉、タールネン少佐の案内をよろしく頼む」
「了解ですわ、艦長。では、こちらにいらしてくださいまし――おじさま?」
「はおっ!?」
悪戯っぽくウィンクするリアンナが、ドッツィに腕を絡める。形よく立体的なリアンナの胸がドッツィの腕で柔らかく潰れて、口ひげを吹き飛ばすような強烈な鼻息を吐き出させる。
「捨てる神あれば拾う神あり、ですわ。おじさま……」
ドッツィの背中で微笑みながらささやくリアンナは、艦長席のスワロフと無言で視線を交わし合った。
今回は以上です。
現在497KB。
次スレと拙作保管庫、もしくは埋めネタのことは、次回投下時に考えることにします。
しかし、エゥーゴが悪者っぽいSSってあんまり見ませんね。
GJ!
ここはゼブラゾーン地獄の激戦区。
生きてデッキを踏める運はすべて○○○の神任せ。
俺たちは命知らずの外人部隊。
反政府軍「エゥーゴ」と闘う外人部隊ってパロなら考えた事はある。
○○○は思いつかなかった。
アレキサンドリア級「アスラン」とか、
真は、GMU→マラサイ→バイアランとか
ミッキーは、ハイザック→マラサイ→ギャプランとか
ネモのウルフパックとか
アナハイム内部のP4とか
でも、サイド6とジオン共和国位にしか外人いないしなーとか
>>590 あと木星とか?
シロッコ指揮下のジュピトリス傭兵隊みたいな設定でも出来そう。
ってかその設定でも、エゥーゴは敵役ではあっても悪者っぽくなるとは限らんよね。
ちょっと違うかもしれないが…
オデッサに駐屯するジオン軍から色々ちょっかいを掛けられる
ベルファスト基地でエリア88ネタをやろうって思ったことはあった。
(ガンダム系のTRPGを使って)
まだ連邦軍にMSが無くてPC達はセイバーフィッシュ乗りで。
敵はドップ改の飛行機編隊から、MSを乗せたドダイ隊、ダブデ級地上母艦、
ガウの爆撃を止めたり、アッザム倒したり、マクベが何処からか引っ張り出してきたドーラ戦車だったり。
アイネ人気ないの?
エロさが足りないの?
アイネはまだネタにされてる分だけ、拙作の面子では恵まれてる方かと……
マコトなんか一話からずっと出ずっぱりなのに、感想レスに名前を出してもらえたことが一度もないという影の薄さですし。
スレもそろそろ終わりそうだから、最後に思い切って聞いちゃいます。
今までのところで話や戦闘の流れなんか、訳わかんなくなってるところはないでしょうか? わりと複雑ですよね。
エロ場面は二話と五話をメインにそれなりに入れてきたつもりでしたが、お役に立ってますでしょうか?
>>590 ジオン共和国軍はアポロ作戦のときにもティターンズの支援で出てきてますね。ムサイ改とハイザックで。
VOEでは確かそのへんがスルーされてたような気がして、あれっと思った覚えがあります。
リーア軍は……どうなったんですかね?
>>592 セイバーフィッシュの後はジムでなく、コアブースターに乗り換えたり?