1 :
名無しさん@ピンキー:
2 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 21:49:35 ID:ylOnjGR2
3 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 22:08:36 ID:89x7rG3e
To LOVEるでぬるぽ
ふたなり美柑×梨子
6 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 22:58:59 ID:z7Hczh+y
唯とリトの人まだか?
8 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 20:29:55 ID:L5rENOlv
唯×リト!!!!!
携帯からでスミマセン、前スレにてアンケとった者です。
リト春菜が多かったので作らせて頂きました。明日、明後日中にはUPさせて頂きたいと思う所存です。後リトララが三分の二出来上がってますので、リト春菜での自分の作文力等の反応が良ければ完成次第投下させて頂きたく思っております。
10 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 00:20:59 ID:YGiElAFv
反応次第などと言わず是非ララもお願いします
さて、本編で春菜エンドも確定したので、ここもそれに従ってくれ。
>>13 オマエの趣味を押し付けるな
ヤミとリトでのENDだろ 常考
春菜エンド以外認めない
これは原作、テレビアニメスタッフ、及び監修長谷見両者からの公式見解である
またワカツキヒカルも同様に春菜をプッシュしている
異論は認めない
これといった絡みも少なく何の努力もしてこなかった春菜に転がるというあまりにも不自然な展開
春菜オタは結果さえあれば満足だから両想い設定がどうのこうのと抜かしてるが、他キャラファンからすればそんなもん糞食らえ
そもそもまだとらぶるには終わってほしくないし
最終的に噛ませにされて春菜オタは死んでればいいよ
ではリト春菜を投下させて頂きます。その前にいくつか注意点です。
・初SSですので文章力が消防以下の可能性大、保管庫のと比べても劣っています。
・作りかけのを急いで作ったため抜けている、かもしれません(一応確認はしましたが
・キャラの性格、言動が本編と違うかもしれません。
・本SSは159話のララからの電話からを妄想で作りました。
タイトルは「if 夏の思い出」 では投下させていただきます。
プルルル♪
春菜はベッドから体を起こし携帯を手に取る。
「ララさんから?」
ピッ
「あ、もしもし春菜ー?あしたね、クラスのみんな誘ってプール行かない?」
「プール?」
「新しくオープンしたところがあるんだって!リトも行くって!」
「!」
突然のプールの誘い、しかもリトも行くという言葉に心を躍らせた春菜だが、すぐに顔を曇らせる。
「ありがとう、ララさん。でも私少し風邪気味で行けないんだ……」
「そっか……ごめんね、春菜」
「んーん、そんなことよりララさん、楽しんできてね?」
「うん、ありがとう春菜。それじゃお大事にね」
プツッ
「はぁ……いいなぁ、ララさん。結城くんとプールかぁ……」
春菜は羨ましそうにそうぼやいた。
―――その頃結城邸では……
「春菜、プール行けないってさ」
「えっ!なんで!?」
予想外の出来事にリトは素っ頓狂な声をあげる。
「風邪引いてこれないんだって。大丈夫かな、春菜……」
「そんな……」
ララとリトが心配そうな、残念そうな顔をしていると美柑がリビングからひょこっと顔を出してララに訊く。
「ララさん、春菜さんなんだって?」
「春菜ね、風邪引いてこれないんだって」
「そっか、お気の毒にね……ん?」
美柑がふとリトに目をやると、何か深刻そうな顔をしていることに気づく。そしてリトが何を考えているのか察する美柑。
「ねぇ、リト」
『春菜ちゃん、大丈夫かな……風邪って、もしかしたら最近流行の新型インフルエンザなんじゃ……』
「ねぇってば!」
「ハッ!?……なんだ、美柑?」
「なんだ、じゃないわよ。あんたは春菜さんのお見舞いに行きなさいよ?」
「えっ?」
「へっ?」
美柑の発言にリトとララが同時に驚きの声を上げる。
「あんたのその様子じゃ春菜さんが心配でたまらないんでしょ?」
図星を突かれ焦るリト。
「なっ!?べ、別にそんなことは……」
言い訳をするリトをよそに美柑は続ける。
「そんなんじゃプールきても溺れるがオチだよ、きっと。」
「溺れるってオレは何歳児扱いだ……」
「そんくらい今のあんたはぼーっとしてて危ないって言ってるの。ララさんには悪いけど……行ってあげなよ」
ララは全然!といった顔と明るい声でリトを後押しする。
「リト、いつも私と一緒にいるしたまには春菜のとこにも行ってあげてよ?」
「いいのか、ララ?」
「うん……少し残念だけど、春菜と約束したし」
「約束?」
「ううん、こっちの話しだよ」
「じゃあ行かせてもらうかな。よし、じゃあまずは電話しないと」
そういって携帯を取り出すリトを美柑は止める。
「ストーップ!」
「ん……?オレなんかした?」
不思議そうな顔をするリトに美柑は耳打ちする。
「そーゆーのは突然こられたほうが嬉しいもんなんだよ、リト」
「へ?そしたら迷惑じゃないのか?」
女心がわからないリトの鈍感さに美柑は呆れた顔をしながら答える。
「あのね……そんなことしなくても、女の子は待ってるものなんだよ?」
それが好きな男だったらなおさら、と美柑は心の中で呟く。
「でもオレ……」
なかなか納得しないリトについに美柑は業を煮やした。
「いいからあんたはさっさと行ってきなさーい!」
リトはすぐさま準備をし、半ば追い出される形で家を後にした。
「ごめんね、ララさん」
「ううん……私、春菜と一緒にがんばるって約束しておきながらリトとずっと一緒に居て悪いなって。だからいいの。そんなことより、リトと春菜の分も楽しまないとね♪」
「ララさん……うん、今日はいっぱい楽しもうね!」
―――――――――――
そして春菜の家の前についたリトは一人悶々としていた。
『ううっ、きたのはいいけどいざとなると緊張する……』
扉の前で行ったり来たりしているリトは挙動不審極まりない。しかしリトは美柑の言葉を思い出すと意を決し、チャイムを鳴らした。
ピンポーン♪
「はい?」
チャイムからは知らない女性の声がしたが、リトは落ち着いて言った。
「あ、西連寺さんのクラスメイトの結城と申します。西連寺さんが風邪を引いていると聞いてお見舞いに上がりました」
リトがそういうと少ししてから扉が開いた。すると中からはラベンダーのようなきれいな紫色の髪をした女性が現れ、リトを中へ招き入れる。そしてリトを席に座らせ冷たい麦茶を出す。
「あの、西連寺さんは?」
「今は部屋で寝てるわ」
「そうですか……」
「君、結城君っていったっけ?」
「あ、はい。突然お邪魔してスミマセン……」
やっぱ電話すればよかったかな、リトはそう思っていると秋穂は言った。
「へぇ〜、君って優しいのね?話しに聞いたとおりだわ」
「え?」
「春菜ったら帰ってくると君の話しかしないのよ。」
「えぇ!?」
あの春菜ちゃんがなんでオレの!?とリトはひどく驚いた。
「それでどんな子なのかなーって思ってたけど礼儀も正しいしそれに……ふぅ〜ん」
秋穂は一人納得すると時計を一瞥し、席を立ちながら続ける。
「ごめんね、結城くん。私これから仕事なの」
そう言うなり鞄を手に取り玄関へ向かう。
「あ、じゃあ僕もそろそろ……」
リトも席を立つ。が、
「悪いけど結城君は春菜のそばに居てくれない?」
リトを引き止めるように秋穂は言った。その言葉リトは絶句するが、秋穂は続ける。
「学校じゃどうかわからないけど、春菜って昔から寂しがり屋でさ、だからお願いね?」
「え!?でも西連寺がイヤだったら……」
「そんな訳ないじゃない♪じゃ、よろしく頼むね♪」
そういうや否やリトの返事を待たずに家を出る秋穂。
「え……オレ……」
取り残されたリトは麦茶を一気に飲み干し、とりあえず春菜の部屋に行くことにした。
「西連寺、入るよ?」
扉を軽くノックし、そう言ったリトは春菜の部屋に入る。
そこにはすぅー、すぅーと穏やかな寝息を立てるパジャマ姿の春菜がいた。
『春菜ちゃん……すごいかわいい……』
リトは春菜が寝てるベッドの端に腰掛ける。そして春菜にしばらく見惚れていると急に春菜は苦しそうな声で寝言を言った。
「ん…結城くん……お願い……行かないで……行かないで!」
悪夢にでも魘されていたのか、ガバッと春菜が起きる。春菜の視界にはぼやけながらもリトを捉えた。
「え…あれ?え!?結城くん!?どうしてここに!?」
プールに行ったはずの想い人が自分の家に居るというありえない事態に少しパニックに陥る春菜。
「落ち着いて、西連寺!……お見舞いに来たんだよ」
「え……?」
その一言で落ち着きを取り戻す春菜だが、それでも驚いた表情をしている。
「ごめん、何の連絡もなしに。嫌だった?」
「ううん、そんなことない……。でもララさんたちとプールに行ったんじゃ……?」
「そのことなんだけどさ、オレ行くのやめたんだ」
「え!?どうして?」
「その……西連寺のことが心配だったから……」
春菜の疑問に顔を赤らめながらも答えるリト。
「え……」
「そ、それより風邪はどうなんだ?」
「うん、もう熱は引いてるから大丈夫だとは思うけど」
それを聞いたリトはほっとする。
「よかった……本当に心配だったんだ」
「ありがとう、結城くん……でもプール行かなくてよかったの?」
「あぁ……西連寺がいないのに行ったって意味がないと思って……って、あれ?」
リトの口からぽろっと本心がこぼれる。それを聞いた春菜は即座に考えた。
ララのプールの誘いを断ってまでお見舞いに来てくれたことと今の発言。
もしかしてリトも私のことが好きなのではないか?
という考えに辿りつき、そしてこの状況はチャンスだと春菜は思った。
そして春菜は賭けにでようと考えた。今ここでリトに告白してしまおうと。
もしOKなら晴れてリトと恋人になれる。ダメだったのなら自分は退いてララの応援に徹しようと。
ララには悪いが、恋なんてものはどちらかが前に出ないと始まらない。そしてこのままの関係では一生埒が明かない、そう春菜は考え決意した。
そして春菜が考え込んでる間に、リトは今の発言に気まずいと思ったのか撤回しようとした。
「ごめん西連寺、今のはそんな意味で言ったんじゃ……」
「本当にそう……なの?」
「へっ?」
リトは春菜の目を見ると、その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「!?」
リトはまさか、と思う。しかしそれは確信に変わった。秋穂の言っていたこと、今の春菜の問い、素振り。リトはまさかが確信に変わり、覚悟を決めて言った。
「いや……違う。オレは西連寺のことが好きだ」
「ほんとうに……?」
「あぁ。中学の時から……」
「うれしい……私も中二の時から好きだったんだよ?結城くん……」
春菜の瞳からは喜びのあまり涙が溢れ出す。そんな春菜を見てリトは安心させるかのようにゆっくりと抱きしめ、胸に顔を埋めさせる。
「……ごめん、オレ鈍感で」
「んーん、そんなこと言ったら私のほうだって……だからお互い様、ね?」
「春菜ちゃん……」
春菜の潤った瞳での上目遣いによりリトの理性を保っていた鎖が千切れる。それは春菜も同じで、名前で呼ばれたことにより理性が吹っ飛んでいた。そして見つめ合い、どちらからともなく唇を交わす。
「ん……」
唇が触れている時だけの甘い感覚に二人は酔いしれ、虜になる。幾度となく触れるだけの繰り返す。そしてそれ以上の感覚を味わいたいと、二人は舌を絡め始める。
「ん…ふぅ…んっぷ…ちゅるっ……ぷはぁ…」
組んず解れつの濃厚なキス。しばらくしてリトは舌を離すと春菜の肩を掴みベッドに優しく押し倒す。
「オレ……春菜ちゃんが欲しい……」
「結城くん……私ももう我慢できそうにないよ……」
そう言うなりリトの首に腕を回し顔を引き寄せ再び口づけをする。
「ん…ちゅぱ…ふぅん…んぅ…」
リトと春菜は互いの口内を味わい舌を啜り合う。その間にリトは春菜のパジャマのボタンを外して服を脱がしていく。すると小振りながらも形の整った、きれいな胸が露わになる。そして存分にキスを堪能した二人は次のステップへ移ろうとする。
「ね……結城くんのも見せて?」
「うん」
言われるがままにリトは身につけているものを外していく。春菜も残った衣服を脱いでいく。
そして二人は一糸纏わぬ体になり、リトは再び春菜に覆い被さる。リトの目には生白い体、うっすらと日焼けした肢体がうつる。
「春菜ちゃんの体、すごく綺麗……」
手をゆっくりと這わせその小振りな胸を揉みしだく。
「ふぁ…ぁあん…やだ、くすぐったい…あっ…」
「春菜ちゃんの胸、すごい柔らかくて暖かくて…気持ちいいよ」
胸に夢中になっているリトは桜色の乳首にしゃぶりつく。
「ひゃっ…んぅ…そこ…ダメぇ……」
そんな春菜を見て乳首を重点的に、先程よりも激しくしゃぶり愛撫を続ける。
「ダメだってばぁ……あっ!そんな激しく!だめ、イッちゃうっ!ひゃあああぁぁっ!」
体を弓なりに反らし春菜は果てた。
「はぁ…はぁ……結城くん……お願い……」
「うん……」
リトは自分のそそり勃つ男根を春菜の秘所にあてがうと春菜に訊く。
「初めてだから優しくできないかもしれないけど……いい?春菜ちゃん」
「うん……きて、結城くん……大丈夫だから」
そういう春菜の顔は少し怯えているようにも見えなくもない。だがリトは出来る限り優しくしよう、そう誓った。
「痛かったら言ってな?」
「うん……」
「春菜ちゃん、好きだよ……」
春菜の額にキスを落とすと、リトは男根を挿入した。
「ん……んんっ!」
必死に堪えようとする春菜だが、予想以上の痛みに顔を歪める。
「ごめん、春菜ちゃん!やっぱり……」
「お願い、結城くん!抜かないで!」
「でも……」
春菜を心配して男根を引き抜こうとするリトに春菜は足をリトの太股に絡め制止させる。
「私も結城くんが欲しいの……結城くんのすべてが……」
「春菜ちゃん……わかった」
心の内では納得のいかなかったリトだが彼女の気持ちに応えようと男根を少しずつ奥へと進めていった。
「全部入ったよ、春菜ちゃん」
「はぁ…はぁ……私の中、結城くんのでいっぱい……」
痛みとうれしさ、その両方で涙を流す春菜。
「ごめん、春菜ちゃん……痛いよね」
リトは春菜に謝りながらもなんとか春菜の痛みを紛らわしてやろうと体をぎゅっと抱きしめキスをする。
「痛いけど……でも、それ以上にうれしいの。すごい幸せ……」
「春菜ちゃん……うん、オレもすげー幸せだよ」
二人は抱きしめ合ったまま、その幸福感を噛みしめる。しかし動かなくてもリトの男根に千変万化の快感を与えてくる春菜にリトは射精感に襲われるが、必死に耐える。
『春菜ちゃんが必死に痛みを我慢してたのにここでオレがイッちゃったら立つ瀬がねーって!でもやばい……』
「結城くん……?」
「な、なに?春菜ちゃん」
「もう動いても大丈夫だよ」
「えっ?でもまだ痛みが……」
「んーん、もう痛くないわ。それに……」
「?」
「動いてもらったほうが気持ちいいかも……」
「わかった、じゃあ動くよ?」
春菜の承諾を得てゆっくりと腰を動かし始めるリト。
「あ…はぁ、ん…んんっ!」
春菜も感じているのを確認するとだんだんとスピードをあげていく。
「ひゃぁっ!ふぁっ!あぁんっ!激しっ、すぎだよぉ……!」
「春菜ちゃん…っ、オレもう……っ」
「んあぁっ!結城くんっ!中に……っ、全部ちょうだいっ!」
「春菜ちゃんっ!」
「結城くぅんっ!」
二人は互いの名前を呼ぶと同時に果てた。
「はぁ…はぁ……あっ!!」
「どうしたの春菜ちゃん?」
急に大声を上げる春菜にリトは少し驚く。
「そういえばお姉ちゃんが居たんだった……」
「大丈夫だよ、春菜ちゃん。お姉さんなら仕事行くってさっき出ていったよ?」
「よかったぁ……」
優しく諭すようなリトの口調と言葉に、不安そうだった春菜の顔がすぐに安堵のものへと変わる。
「そういえば春菜ちゃん」
「なぁに、結城くん?」
「さっき魘されてたみたいだけど……どんな夢を見てたの?」
「……結城くんがね、どんどん遠くに行っちゃう夢を見てたの。どんなに大声で呼んでも、手を伸ばしても遠くに行っちゃうの……」
「そっか……」
リトは春菜を安心させるように優しく包み込むように抱きしめ言う。
「ごめん……でももう大丈夫だから……もう二度とそんな思いはさせないから……ずっと傍に居る、離さないから」
「結城くん……!」
春菜は感極まり、嬉し涙を流しながらもリトをぎゅっと抱き返す。しばらくして、リトは春菜の肩を優しく掴むと体を少し離し、ゆっくりと口を開く。
「こんなことしといて今更なんだけどさ、」
「?」
途中で言葉が止まったリトを不思議に思い春菜はリトの目を見る。するといつになくリトの真剣な瞳が春菜の瞳に映る。そしてリトは春菜の瞳を見据えて言った。
「オレと……付き合ってください」
「……! はい……。」
春菜はリトの言う付き合うという言葉の意味を理解するとリトに飛びついて満面の笑顔で快諾した。
「これからもずっと一緒だよ?結城くん……」
「あぁ……ずっと、ずっと……」
「結城くん……」
「春菜ちゃん……」
今まですれ違っていた想いがやっと通じた、そう再び確信した二人は口づけを交わす。一度、二度。そうして何度かしているうちにだんだんと舌を、唾液を絡め合うディープキスへと変わる。その後も二人は先程みたく、本能の赴くままに互いの全てを求め合った。
そして時間も忘れて楽しんでいた二人が我に返ったのは、秋穂がドアの鍵を開ける音だったという。
以上で終わりです。
言葉の使い方が間違っている等の部分がございましたらご指摘願います。
よかった、だめだった等のコメントもお願いします。
今後SSを作るかどうかの判断材料になりますので。
あのさ、いいんだけど、この荒れた時期に春菜SS投下って無神経すぎるだろ
GJだなあ
やっぱりリト春こそ至高
>>27 そうですね、無神経すぎました。スミマセン。
時期が時期だけにどうしようか迷いましたが、上げさせて頂きました。
次リトララを上げたら(つもり)この二組は自重しようかと思います。
叩かれるとわかっていながら投下するとは・・・・・・
まぁだけどもGJ
別に二次創作だし自重なんかしなくていいけど、
>>13や
>>15みたいなやつの声に負けて他キャラの作品投下を尻込みしないでね
むしろ一部の春菜狂信者が発狂してるだけで、春菜以外なら春菜信者以外誰も批判しないと思うよ
アンチ乙
批判は全てアンチ
これが春菜信者の思考回路
461 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい sage 2009/08/21(金) 14:47:03 ID:kaZHK82u0
>>446 てゆーかいつもの打ち切りの人が春菜ヲタ叩きにまわっただけじゃんw
打ち切りを連呼してた時と手口が同じだし、バレスレでしか相手にされてないしw
>>34 お前のことだよ
アンチがあまりにも無様w
ああ、無様だな
誰と戦ってるんだろう?
まぁリト春が至高なのは公式見解だからな
ハルナはどうでもいいけどなんか荒れてんの?
来週分でそれっぽい展開があったとか?
とりあえずID真っ赤にするのは止めとけ
特にお二人さん
え・・・第二期放送してたっけ・・・? 全然気付かなかった
もう一度人気投票やって一位の奴とエンド、だったら別の意味で面白いのにな
48 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 21:04:09 ID:B8vj2jjg
そういえばリト×ヤミってなかったっけ?
流れブッタでスマソ
あったよ。
一抹の不安
リトが、ララ、と、夫婦になれば、ヤミは依頼された「リトを殺す理由」が成立するから、命をうばうだろうと考えられる。
しかし、リトが、ララ、美柑、「以外の女性」を選び夫婦になった場合、ヤミから見れば、リトはララを弄ぶというか玩んだ訳だから死刑にするだろうと考えれれる。
と、いうわけで、ヤミと夫婦になっっちゃうのが一番の幸せなのではないか?
同じ殺害されるなら夫として殺されるのが一番廻りに迷惑をかけないと思う。
まあ、リトと美柑とで結婚できるならソレが一番良いのだろう。
>>47 それじゃララエンドだと言ってるようなもん
ララの一位が崩れる事は考えにくい…
ネット投票のみなら唯闇柑辺りがひょっとして…となるかもしれんが
ララを中心としたハーレムでいいじゃまいか
それじゃ納得しない人達がいるんです
リトがララと結婚してデビルーク王になれば、側室としてその他ヒロインを囲えます。
……とゆーか、リトはともかくララが率先してそれをやりそうな気がするんですがw
>>54 そもそもララは婚姻制度について詳しく知ってるかも不明だw
ラコスポは大量に愛人抱えてたしな
モモの愛人発言は愛妾の可能性もあるw
リト春菜が一番しっくりくる。
唯オタの妄言なんか気にするな。
不自然も何も最初からリトは春菜を狙ってたんだから別におかしくはないと思うけどな
ま、ここまで来ると余程のキャラじゃない限りそいつかよwおまwwwって感じで流せそうだけど
今更どれだけ真面目なストーリーを期待してるんだ?
春菜信者極まれりって感じだな
はっきり言って連載開始時とは違って、もうリト視点だけの物語じゃないんだよ
ヒロイン視点の話が大半を占めるようになった中で、どれだけ春菜がリトに歩み寄ろうとするかはすごく重要だったはずだ
なんだろう……この感じは。
誰かがSSを投下しようとしてもリト春菜以外認めない、みたいなこの勢い……第一ネタバレスレでもないのに……萎える
春菜の話題はどうでもいいんで
>>9氏の書くララが早く読みたいところ
いや別に特に誰々じゃなきゃヤダ!とかじゃなく割と誰でもいいんだけど
上の方で○○しかないだろ、いやそれだけはありえない△△だ、みたいな流れになってたから
ぶっちゃけここまで来たらありえないとかありえないみたいな状況じゃん、と
ハーレムが一番角が立たずに済みそうな気もするけどそんな事このスレで言っても詮無い事だし
このスレはいいSSが読める環境にしとけばいいんじゃないの?
すみません、確かエロパロ板って連投8回が限度ですよね。もし8回を超えるようならどーすればよいのでしょうか?
そんな規制あったの?知らなかった
んじゃ間に誰かレスすればいいんじゃないか
>>63 コンピュータを再起動させるとか?
ルータを再起動(リセット)させるとか?
おいらの場合、phsと携帯電話の定額回線を合計3回線、利用できるので適当に繋ぎ変えます。
書き忘れ
ダイアルアップって言うのかな?
携帯電話やPHSをモデムとかルーターのように利用するの。
どもです。参考になりました。
なんだよう
投下じゃないのかよう
>>13 で規制されたから。
だから投下できなくなったんだよ。せっかく下書きしたんだけどさ。
金色の闇とか。
規制なんてキチガイの御託はどうでもいい
どんどん投下しておくれ
大きなお友達層なら完璧にそうだろうが、
ララ一位は揺るがないだろ。
春菜も上位に食い込むと思う。
投票キチガイは多いから。
誤爆したわ
まったく誤爆に見えないんだが、どこに書き込むつもりだったんだ
バレスレに同じ書き込みあったよ
大体、オタ人気が強いはずのネット投票で春菜が唯に匹敵するくらい票を集めるのが不自然
唯もそうだが信者の必死さが伝わってくる
76 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 18:31:15 ID:tyTBANmz
いいじゃん人それぞれで
俺はセリーヌと美柑が好き
それ以外に何が必要だ?
>>51 そうか?
今の同人見る限りじゃあ多くが蜜柑ヤミ唯で、ララ春菜は過去の人状態だが
ララはまだそこそこある気がするが
今の旬は美柑だな
同人人気が全てなわけないだろ…
その通りなんだよね
やっぱ一番一般受けするのはナイスバディで見た目も中身も可愛さ溢れるようなララだし
逆にネットでは人気な闇柑唯は年齢的に対象外だったりツンデレが一般受けしなかったりで…
俺の中の一番は誰が何言おうと唯不動だが
ともあれリトララを全裸待機(・∀・)
俺は思うんだがこの漫画のメインヒロインってララじゃないの?
別に春菜が嫌いってわけじゃないけどスッキリしねー
きっとまた逆転するんだろーう
リトララ、完成し只今調整中なのでうpは明日か明後日くらいになると思います。
誠に申し訳ないのですがこれも160話、大切な人のifとなります。(考え始めたのが11日orz)
それでもよければうpさせてもらいます。
全裸待機してます
ここで春菜信者の策略だと考えてしまう俺は汚れてるなぁ
どういうこと?
88 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 17:28:05 ID:KjIqhmDZ
春菜はもういいよ
古い古い
89 :
えrちゅい:2009/08/23(日) 18:06:49 ID:eU76xbYq
とりあえず前スレ埋めようよ
>>90 レスが980超えたから、一日ほっとけばdat落ちしてくれるでそ。
失恋して傷心の唯が街中で声をかけてきた大学生にホイホイついて行っちゃって処女喪失
なんてSSはありませんか?
言い出しっぺが執筆したものが5日後には存在する気がした。
>やっぱ一番一般受けするのは
一般受けもなにもTo LOVEる見るのはオレ等のようなオタで一般人はみねえよ。
一般人はワンピや鳴門の方にいくよ。
95 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 16:01:49 ID:jAsjT+pu
リトに告白されたものの春菜はもう性奴隷にされてた話はまだ?
春菜信者なんて無視して早くリト×ヤミ続き投下してくれ〜
すげーな
全とらぶるスレで唯一春菜スレだけ喜んでやがる…
春菜とかほんとに何もしてねー
愛されるよりも愛したいマジで
愛くるしいララを
リト×春菜が公式!?リト×春菜以外認めない!?エロパロにそんなの関係ねえ!!
というわけでリトルンキョーコの3Pものを書きました。
ちょっと長くなったので前後編に分けようと思います。
※注意!
本編に登場していないキョーコの両親が出てきます。
二人のキャラ付けは私のほうで勝手にしております。ご了承を。
「それで、新しい部屋は決まったの?」
携帯電話の向こうから霧崎恭子の声がする。ルンは声を弾ませて答えた。
「うん!いい部屋見つかったよ!引っ越しが今週末なの」
ルンは荷物をまとめたダンボールの山を見渡しながら額の汗を拭った。
地球に来て以来ずっと宇宙船で生活をしていた彼女だが、ルンの事情を知る宇宙人のマネージャーが病気にかかり、しばらく仕事に就けなくなったため、急遽代わりに地球人のマネージャーが就くことになったのだ。
彼はルンの事情を全く知らないため、立ち入り禁止区域に宇宙船暮らしをしていると知られてはまずいと判断した彼女は、町のマンションに引っ越すことにしたのだった。
「私もルンの引っ越し手伝うよ。今週末は私もオフだしさ」
「ありがと、キョーコ。じゃ、土曜日にね」
ルンはにっこりと笑って親友の申し出を受けることにした。本当はレンをこき使って引っ越しの荷物運びをやらせるつもりだったが、親友にこう言われては、ルンも自分で汗を流すのも悪くないと思わざるをえなかった。
ルンはケータイを切り、もう1度ダンボールの山を見渡した。
「とはいえ、メモルゼ星人の引っ越しって結構大変なのよね〜…」
メモルゼ星人には男女二つの人格が一つの体に備わっており、表に出ている人格によって体も変化する。
つまり性格も体も趣味も異なる二人が同居するメモルゼ星人一人の引っ越しは、衣服をはじめ、他の種族の引っ越しのおよそ2倍の荷物を運ばねばならないということなのだ。
ルンは部屋の隅に置かれた、レンが荷造りをしたダンボールの山を見る。
「なんだかんだでレンも結構荷物あるわね…」
前日がレンの荷造り日だったのだが、レンも銀河通販で男らしくなるためにトレーニング器具なんかを買っていたりするので、その量はルンに負けず劣らずである。
最後のダンボールをガムテープで閉じたルンは、しばらくの間お別れとなる宇宙船のベッドに腰掛けた。
「さ、業者さんに電話しなくちゃ」
―そのころ、結城家では―
「リトさんったら、かわいい寝顔…」
モモ・ベリア・デビルークはリビングのソファで横になっている結城リトの寝顔を覗き込みながら妖しい笑みを浮かべていた。
昨日、リトは父親、才培の漫画の仕上げの手伝いをしていたので疲れ果てていた。
リビングのテレビではララとナナがテレビゲームに夢中になっている。
突然、リトのケータイのバイブが着信を告げた。
「あら?リトさぁん、お電話ですよぉ」
「むにゃ…」
モモが呼びかけるも、まだまどろみの中から抜け出せないリト。口からは涎が垂れている。
「ほらぁ…早く出てください…」
モモはリトの口元の涎を右手の人差し指で拭い、そのまま自分の舌でリトの唾液を舐めとった。
ララとナナはゲームの画面に釘付けである。
自分の口に触れられ、リトはようやく体を起こした。
「う〜ん…。あ、悪いモモ」
左手でケータイを手渡しながら、モモはその幼い顔からは想像もつかないほど妖艶な笑みを浮かべた。唇には右手の人差し指が置かれている。
「いいえ、いいんですよ。それよりほら」
「サンキュ」
モモの表情にリトは少し怪訝な顔をしたが、とりあえずそれは脇に置いて着信の相手を確認する。
「え?」
リトは意外な人物からの着信に慌てて電話に出た。
「あ、リトくん?私、キョーコだよ♪」
「どうしたの?」
「あのね、リトくん。今度の土曜日って空いてないかなあ?」
「土曜日?空いてるけど…」
「あのね、ルンが引っ越しするんだけど、そのお手伝いを頼んじゃだめかなあ?もちろん私も行くけど、やっぱ女手だけじゃちょっときついから…」
「ああ、そういうこと?別にいいよ。待ち合わせの時間と場所は?」
「彩南駅に1時でお願いできる?」
「わかったよ」
リトが電話を切ろうとしたとき、キョーコが慌てて付け足した。
「あ、ちょっと待ってリトくん!あのね、当日は、できるだけ一人で来て欲しいの」
「…?ああ、わかった」
リトは恭子の真意を測りかねたが、二つ返事でOKした。
「じゃ、土曜日にね♪」
最後に聞こえた恭子の妙に明るい声が腑に落ちないリトにモモが尋ねた。
「遊びの約束ですか?」
「いいや、ルンが土曜に引っ越しするんで手伝って欲しいんだってさ。キョーコさんも来るらしい」
リトの口から出た恭子の名にララが食いつく。
「え?キョーコちゃんと、ルンちゃんの引っ越しの手伝いに行くの?」
「おまえも行きたいのか?」
「うーん…。でも土曜は春菜と服を買いに行く約束をしてるから…」
「じゃあいいよ。向こうもその方が都合がいいらしいから」
このリトの台詞にモモはピンと来た。
「ははぁん…そういうことですか…」
一人納得するモモにリトは再度怪訝な表情を向ける。
「リト…。あんた、一体どれだけの罪を作れば気が済むの?」
いつのまにかリトの妹、そして恋の電波をキャッチすることにかけては米軍の最新鋭レーダーも真っ青な女、美柑まで会話に加わっていた。
「あら、いいじゃないですか。罪作りなオトコって、それだけオンナから見れば魅力的に映ってるってことですから…。ねえ?」
モモがリトの隣に腰掛け、リトの肩と太ももに手を置き、耳元で囁いた。その様子を見た美柑はモモに食って掛かる。
「ちょっと!モモさん!!」
「あら、ごめんなさい。私ったらつい…」
「おいリト!おまえなにデレデレしてんだ!」
「ちょっとナナ!やめなさい!」
「あーもう、皆静かにしろっ!!近所迷惑だろうが!!」
「まうー」
結城家がいつもの喧騒に包まれる。
―そして約束の日―
「そろそろ時間か…」
12時55分、リトは恭子との約束の彩南駅の前にいた。
「こんにちわー!リトくん♪」
そこに恭子がやってくる。谷間の見える白地にブルーのラインの入ったキャミソールにジーンズ生地のマイクロミニのスカートとかなり露出度の高い服装である。
「こんにちわ、キョーコさん」
「いきなりお手伝いお願いしちゃってごめんね。でも助かるよ」
「いや、いいよ。それより、ルンの新居ってここから遠いの?」
「うぅん、駅のすぐ近くだよ。ルンに場所は教えてもらってるから、行こ♪」
恭子はリトの手を取り、歩き出した。
「って、手をつないだらまずいんじゃ…」
「いいからいいから♪」
顔を真っ赤にして抗議するリトを恭子は笑顔で捻じ伏せ、そのままリトをルンの新居に案内した。
マンションのエレベーターの中でも、恭子はリトの手を離さなかった。リトは相変わらず赤い顔のまま、エレベーターの階を表す数字をじっと見つめていた。
そんなリトを見つめながら、恭子は少し口を尖らせていた。
―時間は遡り、昨晩の霧崎家―
「いよいよ明日か…。仕事でリトくんになかなか会えないルンにもチャンスがないとね」
恭子がリトを誘った理由はまさにそれだった。
ルンの恋を応援すると決めた自分に出来ることは、ルンが彼にアプローチをかけるチャンスを少しでも多く作ってやることだと思ったからだ。
「恭子ー!お風呂入りなさーい!」
2階の自室で明日着ていく服を選んでいた恭子に、彼女の母親から声がかかる。
「はーい!」
恭子はタンクトップと下着、ショートパンツを持って1階に降りていった。
「恭子、明日はお友達のお引っ越しの手伝いに行くって言ってたわよね?女二人だけじゃきつくない?メモルゼ星人の引っ越しって荷物多くて大変らしいじゃない?」
恭子の母が降りてきた娘に話しかけた。リビングでスポーツ新聞を読んでいた恭子の父が妻の声に反応する。
「え?これもしかして俺に手伝いに行けって流れ?俺明日は…」
「あなた、明日は会社の同僚の方と競馬に行くんでしょ?端から期待してないわよ」
ため息混じりの声で、恭子の母は夫の言葉を遮った。そのやり取りに恭子はクスッと笑みを漏らす。
「大丈夫だよ。明日はちゃんと助っ人が来てくれることになってるから」
間髪入れずに恭子の母がその助っ人の正体を見破る。
「この前知り合った結城リトくん?」
「よし、明日はパパも手伝いに行こう」
二人のやり取りに恭子の父がいきなり割り込んできた。が、すぐに妻の辛辣な一言で迎撃される。
「あなたは空気を読んで競馬に行きなさい」
自分の母親の口からリトの名が出てきたことに恭子は驚きを隠せなかった。
「ママ…なんでわかったの?」
「そうねえ…。強いて言うなら、女だから…かなあ?」
恭子の母は娘に意味深な笑顔を見せた。
母の笑顔が腑に落ちないながらも、それ以上の会話はせず、恭子は浴室に入っていった。
その様子を見ていた恭子の母は小さくつぶやいた。
「やれやれ…。部屋でごそごそとクローゼットを漁る音が聞こえてれば、嫌でもわかるわよ」
マンションの6階、607号室がルンの新居だった。エレベーターを降りた二人はその部屋の呼び鈴を鳴らした。
「はーい」
ドアが開き、中からルンが出てきた。迷彩柄のショートパンツにへそだしのダークグレーのタンクトップと、かなりラフな格好である。
「キョーコ!リトくん!手伝いに来てくれてありがとう!」
「お邪魔しまーす」
二人はルンの部屋に上がりこんだ。部屋の奥へ進んでいくリトの背後で、ルンと恭子はひそひそと話した。
「キョーコ、リトくんを呼んでくれてありがとね」
「いいのよ。ルンの恋を応援するって言ったでしょ?私は適当なところで席を外すから、しっかりアプローチしなさいよね」
部屋に積まれたダンボールの山を見て、リトは背後の二人に声をかけた。
「早く片付けようぜ。まずはどうすればいいんだ?ルン」
「あ、ごめんねリトくん。それじゃ、まずは…」
こうして作業が始まった。風呂、トイレ、キッチン、リビングと一人分の生活環境を整えるのはなかなか大変である。
リトとルンが食器棚を一緒に組み立てていたとき、浴室にシャンプーやボディソープを運ぼうとしていた恭子がこう言った。
「なんか二人を見てると、新居に越してきた新婚さんみたいだねー」
「ちょっ…なに言って…」
「えへへ…新婚さんだって、リトくん♪」
作業の手が思わず止まってしまったリトの腕にルンが抱きつく。柔らかい彼女の乳房の感触がリトに伝わる。
「ちょ…これじゃ作業できねーだろっ」
慌てふためくリトに恭子は追い討ちをかけた。
「私、来ないほうがよかったかなあ?」
「そんなことないよ、キョーコ。今日は本当に感謝してるよ」
この言葉は本当だった。ルンは今日リトを呼ぶつもりはなかったので、恭子からリトが手伝いに来てくれると聞いたときは心から喜んだ。
「ところでさ、ルン。もう残りの作業も少ないでしょ?後は二人に任せちゃっていいかな?私、その間に飲み物とかおやつとか買ってくるからさ。二人は何か欲しいものある?」
「私は紅茶がいいな」
「あ…じゃあ俺はポカリで…」
「オーケー。じゃ、行って来るね〜」
ルンの部屋を出ると、恭子は軽くため息をついた。
「はー…。リトくんって相変わらず純情よね…。でももう少しこっちの方を見てくれてもいいのに…」
我ながら矛盾しているな、と恭子は思った。
リトには初めて会ったときから好感を持っていた。
変態に追われたとき彼に手を引かれて思わずドキドキしたりもした。
しかし、ルンの恋を応援すると言いながら、昨晩は今日リトに見せる服を選ぶのに時間をかけ、エレベーターでは自分の方を見てくれない彼に少し苛立ちも覚えた。
なにより、彼に今日会えることを1番楽しみにしていたのは他ならぬ自分自身だった。
「ママには敵わないなあ…」
母は自分の内心を見抜いていたに違いない。現に恭子はルンとリトをいざ二人きりにすると、まるで心の中に靄がかかったような感覚を覚えた。
「…がんばれ、ルン」
その言葉は本当にルンに向けられたものだったのだろうか。恭子はマンションを後にし、近くのスーパーマーケットに向かった。
前編はここまでです。
連投規制にかかるのも嫌なので、後編は少し時間を置いて投下しようと思います。
連載終了だってのに、最後にこの二人の話が見れてよかった
ごっじょぶ
GJはGJだけど、この唐突終了のムードの中活気付けのため新作を投下してくれた事はまさにoを1つ抜いてgod jobだな
GJです!
では自分も駄文でありますが投下させて頂きます。
リトララで161話のifで妄想して作りました。長編になります。
自分も連投規制されるとアレなので3部に分けさせて貰います。
「ララ…西蓮寺!」
ララと春菜はミネラルンに飲み込まれてしまい、二人は苦しそうにもがいていた。
「くそ、どうすれば……」
ヤミでさえ歯が立たないといっていいほどの相手に、リトはただ呆然と立ち尽くしているだけしかなかった。
何か自分に出来ることは無いのか、そうリトが慌てふためいていると、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「リトくーん!大丈夫!?」
ルンが大きな声でリトを呼びながら恭子と共にこちらへ駆けつけてくる。
「彼奴が原因か……よぉーし!」
恭子はそう言うと目一杯空気を吸い、
「超熱々火球!!」
そう叫ぶと同時に放たれた火球がミネラルンに当たり、徐々に蒸発していく。
そして最後には水蒸気へと姿を変え、天に消えていった。
「ララ(さん)、西蓮寺(さん)!」
リトや唯たちがララと春菜を呼びながら走り寄る。
「大丈夫か!?ララ、西蓮寺!」
「けほっ けほっ……結城くん、私は大丈夫だけどララさんが…!」
春菜の返事にリトはララの方を見ると、そこには微動だにしないララが横たわっていた。
「ララ、ララっ!」
リトはララを呼びながらララの元へと走り寄る。
「おいララ!しっかりしろ、ララっ!!」
リトはララの肩を掴み体を揺するが起きるどころか返事すらない。
それもそのはず、ララはさっきので溺れていたからだ。
「とりあえず救急車呼びましょ!」
唯がそう言うと籾岡や沢田たちは一緒に携帯のしまってあるロッカーに慌てて直行した。
リトはララが息をしているか確認をすると、息をしていないことに気づく。
(息をしてない……!てことはまさか!?)
リトはララが溺れていると察知した。
それと同時に、リトの焦りに拍車が掛かる。
(一刻も早くどうにかしないと取り返しのつかないことになっちまう!救急車なんか待ってられねー!)
そうは思ったものの、どうすれば助かる?
そう思ったそのとき、リトの頭に『人工呼吸』の四文字が浮かぶ。
(でも……いや、それでララが助かるかもしれないなら、賭けるしかない……!)
リトは逡巡したものの、一秒でも早くララを助けたいという思いが半刻前の悩みとそれをかき消した。
すぐさまリトはララの気道を確保をするとスゥーっと空気を吸い、ララの唇に自分のそれを重ねた。
「すぅーーー……」
速くもなく遅くもない速度で息を吹き込む。
「……ぷはっ!ハァ、ハァ、スゥーーっ」
呼吸を整えながら空気を吸い直しては再び息を吹き込む。
何回繰り返しただろうか。
リトが懸命に人工呼吸を続けるにも関わらず、未だララが息を吹き返す兆候が無い。
ますます不安に駆られるリト。
(目を覚ましてくれ、ララ!もしおまえがこのまま目が覚めないなんていったらオレは……!)
リトはようやく理解した。
ララのいない日常が考えられないと。
もちろん春菜のことも好きだったことには相違なかった。
けどそれ以上にララのことを意識している自分がいたことも何度かあった。
そしてこの件でハッキリとしたのだ。
自分は他の誰よりも、ララのことが好きなのだと。
ララはいつも自分の隣にいて。
いつも自分のことを想ってくれて。
いつも自分の……数えればきりが無い、それだけ彼女は自分と共に居てくれていた。
だから今度は自分がララの気持ちに応える番だ。
これからは自分からララの隣に居よう、そうリトは誓った。
だが一向に目を覚まさないララを見る度にリトは後悔する。
もう全てが手遅れなのかとも思えてくる。
(頼む……!)
リトの瞳からは涙が溢れ、溢れた涙はララの頬にぽたぽたと落ちる。
そのとき、リトの願いが叶ったのかララが息を吹き返した。
「ん……ふぅん……」
「ララ!!」
「……リト……?」
ララが体を起こしながらリトの呼びかけに答える。
「ララ……ララぁっ!!」
リトはララが目を覚ましたことに感極まり、その体をぎゅーッと抱きしめる。
「よかった……目を覚まして……オレ一時はどうなるかと……」
「ちょ、苦しいよぉリト。どうしたの、なんかあったのリト?」
どうやら御本人は溺れていたことに気づいてないらしい。
「ララ……ほん…と…よかっ……」
どさっ
リトはララがいつものララに戻ったことに安堵するや否や、今度はリトがその場に倒れこんでしまった。
―――――――――――――――――――――――――
「ん……」
「あ、リト!」
「目が覚めましたか、結城リト」
リトが目を覚ますと、そこにはララとヤミがいた。
「あれ……ここは……オレは一体……?」
「ココ?ここはね、御門先生のお家だよ」
「御門先生の……?」
リトが不思議そうな顔をしていると、そこに御門が現る。
「あら、結城くん。目覚めはいかが?」
リトは体を起しながら答える。
別に普通ですけど……それより、一体何があったんですか?」
「あなたが倒れた後、ヤミちゃんが私のところに来て、結城くんが倒れたから助けてくれって言ってきたのよ」
「御門先生もプールにきてたみたいで、すぐ車でここまで運んでくれたんだよ」
御門に続いてララが答えた。
「そっか。ありがとな、ララ、ヤミ……」
「か、勘違いしないで下さい///あなたは私のターゲットですから。私が殺すときが来るまで死んでほしくないだけです」
リトから顔を背けながらもいつもの照れ隠しの台詞を口にするヤミ。
そこでリトはふと気づく。
「ん……?ちょっと待てよ?オレが倒れたっていうのは?」
「あら、覚えてないの?」
御門の問いかけに申し訳なさそうな顔を浮かべるリト。
「スミマセン……まったくです」
「リト、私に抱きついた後気絶しちゃってたんだよ?」
「え、そうなのか……?」
そこも覚えてないリトは顔を赤くした。
(オレいつララに抱きついたんだ……?
第一なんで気絶なんかしてたんだ?)
「プールで散々泳いだ後にあんなことがあったんだもの。肉体的にも精神的にも疲れてたんでしょ。倒れるのも無理ないわ」
「あんなこと?」
リトは首を傾げて訊くとヤミが呆れながら答える。
「呆れました。なんて都合のいい頭をしてるんでしょうか……」
「へっ?」
「プリンセスを助けるためとはいえ、公衆の面前であんな、その、えっちぃことをしておきながら……///」
「ララを助ける?一体ララに何があったんだ……?」
そこまで言うととリトは全てを思い出す。プールで何が起きて、自分が何をしたかを。
「あっ……そうか!ララ、どこもケガはないか?体の調子は!?」
ララは急なリトの変わりように最初は驚いたが、自分よりもララを心配するリトの優しさに思わず嬉しくなり抱きついた。
「ううん、リトのおかげでどこもなんともないよ……ありがと、リト♪」
「そっか……ならよかった。……あれ、そういや西蓮寺たちは?」
春菜たちがいないことにようやく気づくリト。
「そうだ、春菜たちどうしたんだろう?」
春菜たちよりも先にプールから出たララたちもその後は知らなかった。
「まぁ、きっと大丈夫でしょう。もう遅いし、家に居るんじゃない?」
「もう遅いって今何時だ……?」
リトはふと時計を見る。すると時計の時針は8時を指していた。
「やっべ、もうこんな時間か!あれ?……そういや美柑もどうしたんだ?」
「美柑だったら先に帰ってご飯の支度してるって」
「そっか……じゃあ早く帰らないとな。先生、どうもありがとうございました。ヤミもサンキューな」
御門に会釈をし、ヤミにも礼をいうと、リトはララに体を向ける。
「ララも……ホントにありがとな!」
「うん……///」
嬉しさと気恥ずかしさに顔を赤らめ俯くララに、リトの心臓が早鐘を打つ。
それも、春菜を見ていたとき以上に。そんな自分にしみじみとリトは思う。
(あぁ……やっぱりオレ、心の底からララのコトが好きなんだなぁ……)
リトはそう思いつつもララの手を取り自分の手と繋ぐ。
「リっ、リト!?」
リトの思い掛けない行為にララは吃驚するが、リトは落ち着いた声で微笑みながら言った。
「帰ろう?」
その言葉にララは首を立てに振って、連られるように微笑みながら答える。
「うんっ!」
そういうとララはリトに抱きつき腕を組む。
しかしいつものように引きはがされる様子は無い。
「それじゃ、お大事に〜」
バタン…
「ドクターミカド」
「何、ヤミちゃん?」
「結城リト……彼の様子がいつもと違くありませんでしたか?」
「そうね……きっと吹っ切れたんじゃない?」
「吹っ切れる……?」
「そうよ」
「……?」
「あなたにも解るときがいつかくるわよ、きっと」
「そうですか……」
前編は以上になります。
中編は時間が経って暇があれば投下する次第です。
GJ
リトララは染みるわぁ…
非常に続きが楽しみです
今日はどうしたんだみんな…
最終回前夜だからかな
ともかくGJ
>>119 GJです。
それでは、私も「ルンのお引っ越し」の後編を投下します。
もし途中で連投規制に引っかかってしまったらごめんなさい。
「これで終わりかな」
「ありがとう、リトくん」
作業は全て終了し、ルンはリビングに座っているリトにミネラルウォーターを持ってきた。
「サンキュ」
リトはコップを受け取ると、中の水を一気に飲み干して大きく息をついた。その様子を見ていたルンは、先程の恭子の言葉を思い出していた。
『新婚さんみたい…か…』
ルンはその言葉に気分を高揚させていた。
「ねえ、リトくん」
「なに?ルン」
「あのね、キョーコに『新婚さんみたい』って言われたときどう思った?」
ルンの突然の質問にリトはしどろもどろになる。
「どうって、別に…」
「私は嬉しさ半分、寂しさ半分って感じかなあ…。だってリトくん、真っ赤になるだけでちっとも嬉しそうじゃなかったんだもん。リトくんは私に好かれるのは嫌?」
そう言いながら、ルンがリトとの距離を詰めていく。
「い、いや、そんなことないけど…」
「本当?じゃあ私、少しでもいいから新婚さん気分でいたいなぁ…」
ルンは鼻先がくっつくほどにリトと顔を近づけた。そして、緊張で反応できないリトのズボンに手をかける。
「ちょ…!!何して…!!」
「リトくんは旦那様なんだから、私がいっぱい尽くしてあげるの♪」
ルンはそのままリトの肉棒を取り出し、舌を這わせた。
「ちょ…ルンやめ…」
リトの言葉を無視し、ルンはそのまま肉棒をくわえ込む。抵抗の意志をを見せていたリトもルンのフェラチオの快楽に少しずつ理性を蝕まれていた。ルンの舌はリトの感じる部分を的確に刺激していき、肉棒はその大きさと硬さを増していった。
リトの下半身から彼の脳に、彼の限界が近いことが伝わってくる。このままルンの口に出してしまいたいという思いもあったが、リトは残された理性でルンに向かって叫んだ。
「ルン!もう出そうだから離れて!」
しかしルンはリトの肉棒から口を離すことはなく、彼女の口内にドクドクと白濁した粘液が注がれた。射精を終え、荒い息をつきながら、リトは肉棒を彼女の口から引き抜いた。
「ル…ルン!ティッシュを…」
リトは慌ててルンにティッシュを差し出すが、ルンはリトの精液をそのまま飲み干した。
「ルン…、ごめん…」
反射的に謝罪の言葉が彼の口から漏れていた。その瞬間、ルンはリトに抱きついた。
「謝るくらいならこのまま抱いてよ…。リトくんのこと本気で愛してるから、あのくらい私平気だよ…」
発情した雌の眼差しがリトの目を釘付けにする。
ついさっき射精したばかりだというのに、彼の肉棒は目の前の女を抱くための準備を始める。
「ルン…」
リトの手がルンの服に向かって伸ばされていった。
「ふう…。ルン、しっかりアプローチしてるかな…」
買い物を終え、恭子はルンの部屋の前に戻ってきていた。ドアノブに手をかけると、鍵がかかっていないことに気づく。
「あれ…ルン、閉めてないんだ。リトくんがいるとはいえ、無用心だなあ…」
そっとドアを開け、忍び足で部屋の奥へ歩を進める。なぜかそうしなければならないような気がした。
部屋全体に漂う空気になにか違和感を感じる。恭子は息を殺し、耳に全神経を集中した。
「…ぁん…はっ…あっ…」
リビングからかすかに聞こえてくるルンの声。それは、今まで恭子が聞いたことのないものだった。
「まさか…」
二人に気づかれないよう恭子はリビングの中を覗き込んだ。
「あぁっ…気持ちいいよリトくんっ…」
「ルン…!俺もすごく気持ちいい…」
リビングの中で二人はお互いに裸で体を重ね、下半身を激しく打ち付け合っていた。
激しく重ねられる唇の間から二人の荒い息遣いとともに、ルンの膣内でリトの肉棒が粘液をかき混ぜるヌチュヌチュという音が恭子の耳に届いてくる。
「うわ…セックスしてる…」
出るに出られず、恭子はそのまま二人の性行為を食い入るように見つめる。
「ルン…」
リトがルンの名を呼びながら彼女と舌を絡めあい、それから首筋に舌を這わせていった。
エレベーターの中にいたときの彼からは想像できない彼の雄の表情に、恭子は胸を鼓動を速くする。
そして、思わずスカートの中に手が伸びていった。下着の上からでもわかる粘液の感触。
恭子は快楽を求めて、そのまま指を自分の生殖器に這わせた。
二人に気づかれぬよう必死に息を殺す。
しかし、そうすればするほど二人の声や行為の音が脳に響き、恭子の興奮をますます高めていった。
「リトくんっ…私もう…」
ルンがリトに限界が近いことを訴え、リトの腰に脚を絡めた。リトも興奮しきっているのか、ルンの行為に抗議の声を上げなかった。
「ちょ…嘘でしょ?まさか、ほんとにするの…?」
恭子は息を呑んで二人の様子を見つめた。驚くと同時に指に触れる粘液の量は増え、自身の生殖器への刺激はますます強いものになっていく。
「リトくん!リトくんっ!ふあああああぁぁぁっ…!!」
ルンの絶頂の声とともにリトはルンを最深部まで貫き、そのまま動きを止める。
しばらく二人はそのまま動かなかったが、やがてリトはルンから自身の肉棒を引き抜いた。
恭子は、リトの二人分の粘液にまみれた肉棒を凝視した。避妊具はついていない。
ルンの膣からはリトの精液が溢れ出していたが、それでも名残惜しそうにリトの肉棒との間に愛液が糸を引いていた。
「はあ…はあ…あっ!…」
その様子を見て興奮が極限まで高まっていた恭子は思わず嬌声を漏らしてしまった。
二人はハッとして声のしたほうを見る。
「今の声…キョーコ?」
ルンが服も身に着けずにリビングとキッチンを隔てる壁の陰を覗き込んだ。
「…ルン…」
キャミソールの肩紐はずり落ち、今にも泣き出しそうな顔をしている恭子がいた。
「ご…ごめんなさい…。二人の様子が気になって戻ってきたら、まさかあんなことしてるなんて思わなくて…」
「キョーコ…。うぅん、こっちこそ驚かせてごめんね」
ルンは恭子を抱き寄せ、、恭子の後頭部を撫でて落ち着かせようとする。
ホッとした恭子はルンの背中に手を回した。そこでルンが気づいた。
「キョーコ…。指が…」
ルンの背中に粘り気のある液体の感触がした。
「キョーコ…私たちの見て一人でしてたの?」
恭子は真っ赤になって何もしゃべれなくなる。
しかし、指についた愛液は彼女が二人の行為をどのように見ていたかをルンに教えていた。
「ふーん…。キョーコって本当はエッチなんだ…」
ルンがぺロリと舌を出し、妖しい笑みを浮かべた。
一方、リトはいそいそと服を身に着けようとしていた。
恭子に自分たちのセックスを見られていたことを知り、彼の顔は火が出そうなほどに真っ赤になっていた。
「ちょっと、リトくん!何してるの?」
ルンの声にリトは振り向く。
「おまえも早く服を着ろよ。キョーコさんが戻ってきてるのにいつまでも裸ってわけには…」
「まだ服を着るのは早いよ?」
「え?」
ルンが恭子を連れてリビングに入ってきた。恭子は顔を赤らめてリトから視線をそらしている。
「…あ…あの…キョーコさん…その…ごめんなさい…」
そのときのリトはいつもの純情少年の顔だった。先程までルンを抱いていた男と同一人物なのかと疑いたくなるほどに。
「すぐに誤っちゃうの、悪い癖だね、リトくん。謝るくらいなら抱いちゃえばいいのに」
一瞬ルンの言葉の意味がわからず、リトは混乱する。
「え?それってもしかして…キョーコさんと…?」
「…リトくんさぁ、キョーコのことどう思ってるか知らないけど、キョーコってすっごく身持ちが固いの知ってる?そのキョーコがこんな露出の多いキャミソール着てくるってことは、リトくんに自分のこと見てほしかったんだと思うよ?」
『キョーコさんを…抱ける…?』
一度女の体の味を知ってしまったリトは、それ以前の彼ならまず浮かばなかったであろう考えを頭に浮かべた。
それに伴い、リトの顔がだんだんとルンを抱いていたときの表情に近づいていく。
「キョーコは今日の恩人だから特別だよ?ちょっと待っててねキョーコ…。すぐ準備するから…」
そう言うと、ルンはリトの肉棒を口に含んで、先程の交わりの名残を舐めとっていった。
「あう…ルン、ちょっと…」
恭子の前でフェラチオされるのが恥ずかしいのか、リトはルンを制止しようとする。
チュポッと小気味よい音を立て、ルンが唇を離した。
「えー?だって、私のにまみれたまんまキョーコに入れるのはちょっと申し訳ない気がするっていうか…」
ここで今まで無言だった恭子が口を開いた。
「あ…あのね、ルン…。私に代わってもらっていいかな…?」
少し驚いたように、リトとルンは恭子の方を見る。
「いいよ…」
ルンはリトから少し離れ、恭子はリトの肉棒に顔を近づける。
「初めは咥えなくてもいいから、舌を出してそっと舐めてみて」
「う…うん…」
恭子はルンに言われたように軽く舌先でリトの肉棒に触れてみる。
『ほんとに舐めちゃった…』
自分のしていることを考えると、恭子は顔から火が出そうなほど恥ずかしかったが、同時に妙な興奮も覚え、そのままリトの肉棒に舌先で刺激を与え続けた。
ぎこちないフェラチオだったが、リトは有名アイドルに奉仕されていると思うと十分に興奮した。
「ねえ…リトくん。気持ちいい…?」
恐る恐るといった感じで恭子がリトに尋ねる。
ルンに比べると気持ちよさでは劣っているのは否めなかったが、リトは恭子を傷つけまいと嘘をついた。
「うん、気持ちいい…。もう少し下の方を舐めてもらえるともっといいかも…」
「ここ?」
恭子はリトに言われた通りに舌の位置をやや下方に移す。
「そう、そんな感じ…」
その様子を見ていたルンが恭子のすぐ隣に来て膝をついた。
「なんか見てたら変な気分になってきちゃった…」
そしてルンもリトの肉棒に舌を伸ばしていく。
『うわ…ダブルフェラだ…』
ルンと恭子の二人がかりのフェラチオはリトを性欲を極限まで高ぶらせていった。すぐにでも恭子の服を剥ぎ取って彼女を貫いてやりたいという衝動に駆られる。
「二人とも、もういいよ…」
リトがそう言うと、二人はリトの肉棒から顔を離す。リトは恭子の服を脱がせ始めた。
キャミソールとブラジャーを脱がせると、綺麗な乳房がリトの前で露になる。
リトは思わず恭子の乳房に見とれてしまう。
「やだ…。あんまりおっぱいばかりじろじろ見ないでよ…。リトくんのえっち…」
恭子の抗議にリトは慌てて彼女のスカートとパンツを脱がせ始める。全ての衣服を脱がせてしまうと、リトは恭子の裸体に思わず声を漏らしてしまう。
「…綺麗だ…」
「あ…当たり前でしょ…。アイドルなんだから、自分の体のケアには気を遣ってるんだからね…」
リトは恭子の膣の具合を確かめる。かなりの量の愛液を分泌しており、下手に前戯をするよりもすぐに入れてしまったほうがよさそうである。
リトは恭子を仰向けに寝かせ、彼女の両脚の間に自分の体を潜り込ませた。そして、リトは恭子とキスを交わす。
リトの反り返った肉棒の先が恭子のクリトリスをつんつんとつつき、その刺激に恭子は思わず腰を浮かせてしまう。
そのせいでリトが位置を合わせるまでもなく、肉棒は恭子の膣に飲み込まれていった。
「うわ…キョーコさん、入ってるよ…」
リトに言われるまでもなく、恭子は自分の中に彼の存在を感じていた。そして、繋がってしまった後で恭子はハッとする。
『そういえば私たち、避妊してない…』
だが、下半身から脳に流れ込む快楽の電流が彼女の思考を麻痺させていく。理性がいくら叫ぼうとも、本能のささやきが彼女の全てを支配してしまう。
―気持ちよければそれでいい―
「あんっ!はぁんっ!」
リトが突きこんでくる動きに合わせて恭子は自然と腰を浮かせ、自分の子宮をリトの肉棒にアピールする。恭子の子宮口とリトの亀頭の先端がぶつかり合い、まるで彼の射精をその場所に望んでいるかのような動きだった。
「キョーコさん…俺もうイキそう…」
リトの訴えに、恭子はリトの背中に回していた腕にさらに力を込めた。さっきから一突きごとにイカされており、恭子はとっくに限界など超えていた。
「ああああああぁぁぁぁ…っ!!!!」
恭子が一際高い嬌声を上げ、リトは恭子と繋がったまま精液を吐き出していく。自分の中に流れ込んでくる熱い液体の感触を感じながら恭子は考えていた。
『中に出されちゃった…。でもすごく気持ちいい…。私とリトくんって体の相性バッチリかも…』
リトも恭子もとろんとした目でお互いを見つめ合っていた。そして二人は口付けを交わし、それは再び舌を絡めあう激しいものに変わっていった。
その様子を見ていたルンが、少しすねたようにリトに甘えてくる。
「…ねえリトくん…。キョーコのことそんなに気に入った?」
ルンはリトの頬にキスをし、そのままリトの首筋に噛み付くようなキスをする。リトは恭子とのキスを中断し、ルンのほうを見る。
「ルン…」
「今度は私の番だよ…」
そのままリトはルンと再び交わり、それが終わると今度はまた恭子を抱いた。
「二人とも…俺もうそろそろやばい…」
リトが音を上げると、既に荒い息をついていたルンと恭子もそれに同意する…かのように見えた。
「そうね…じゃあ、次でラストにしよっか…」
「そうだね…」
仰向けになったルンの上に、恭子が覆いかぶさるような体勢を二人はとった。
二人の膣からは、愛液とリトが2回ずつ吐き出した精液が混ざった粘液がとろりと滴り落ち、フローリングの上では三人分の粘液が混ざり合っていた。
その様子に、完全に萎えかけていたリトの肉棒に最後の力が漲っていった。
「さ、リトくん。最後にきちんと気持ちよくして締めてね」
リトはルンの膣に肉棒をねじ込んだ。
「ぅあああっ!」
自分の目の前で喘ぐルンを見て、恭子の性欲にも火がつく。
「リトくん、私のほうにもしてっ!」
ルンの中から引き抜くと、リトは今度は恭子の中に肉棒をねじ込んだ。アイドル二人を交互に犯しながら、リトは最後の射精のときを迎える。
「リトくん、もうダメぇぇ…」
ルンが自分の限界を訴えると、リトは彼女の中に最後の精を解き放った。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ルンの膣が精液を全て搾り取ろうとするようにリトの肉棒に噛み付いてくる。だが全てをルンに持っていかれるわけにはいかない。
リトは半分ほど出したところで射精を止め、絡み付いてくるルンの中から強引に肉棒を引き抜く。
そして間髪入れずに恭子の膣に挿入し、彼女の子宮に亀頭をぐりぐりと押し付けながら残りの半分を思いっ切り射精した。
「ぅああぁぁっ!リトくん、それイイっ…」
完全にダウンして床に転がる二人の間にリトは体を滑り込ませ、二人を抱き寄せながら息を整えた。
「リトくん…。気持ちよかった?」
右腕に抱かれているルンがリトに尋ねた。
「うん、すごく…」
今度は左腕に抱かれていた恭子が話しかけてくる。
「私もやばかったぁ。なんか自分が自分でなくなってくみたいな感じがしたもん」
「ねえリトくん…キスマークつけて…」
ルンが右側の髪をかき上げ、首筋を露にした。リトは体を起こし、ルンの首筋に噛み付くようなキスをする。
「えへへ…。これで私はリトくんのものだよ♪」
ルンのマンションを後にしたリトと恭子は二人並んで家路についていた。リトはルンと別れ際にキスを交わした。結局食べなかったお菓子とジュースの袋が少し重く感じた。
夕日はだいぶ傾き、薄暗い空には星が見え始めていた。
公園にさしかかったところで、恭子はリトに言った。
「ねえリトくん。ちょっと公園に寄ってもいい?あまり時間は取らせないから」
二人は公園のベンチに腰掛けた。周りに人はおらず、二人きりだった。恭子は顔を赤くしながらリトに話を切り出した。
「リトくん…。今日はまあ仕方ないんだけど、これからは…その…するときはゴムつけて…ね?」
恭子は今日のセックスで確信したことがあった。
それは、次のセックスでリトが自主的に避妊しないならば、きっと自分はこれからリトに避妊を頼めなくなるだろうということだった。
次に生のまま肉棒を入れられたら、きっと自分はそれ以降ずっと快楽第一のセックスをやめられなくなり、彼に膣内射精ばかりを求めてしまうだろう。
彼に、そして自分自身に釘をさすチャンスは今しかないと思った。
「ご…ごめん…キョーコさん…」
うなだれるリトに恭子は付け加える。
「…呼び捨てでいいよ…」
「え?」
リトは少し驚いて恭子の方を見る。恭子も恥ずかしいのか、リトと目を合わせようとしない。
「私のこと、さん付けしなくていいから…」
「あ…うん…」
「それとさ…私にもキスマークつけて欲しいな…」
そう言って恭子は髪をかき上げる。
「キョーコ…」
リトは恭子の首筋に口付けをし、そのまま強く肌に吸い付く。唇を離すと、恭子は少し潤んだ目でリトを見つめた。リトは恭子の肩を抱き寄せ、そのまま二人の唇が重ねられた。
リトが唇を離すと、恭子が頼みごとをしてきた。
「リトくん、明日もし暇なら、買い物に付き合ってくれないかな?」
リトは恭子の中に出してしまっていた手前断ることも出来ず、その申し出を承諾した。
「ただいまー」
家に帰ったリトをセリーヌが迎える。
「まうー」
「ただいま、セリーヌ。ほら、おみやげだぞー」
リトはそう言ってお菓子の袋をひとつセリーヌに渡す。
「まうっ♪」
セリーヌは大喜びで、袋を持ってキッチンに消えていった。
「こらー、セリーヌ。もうすぐ晩御飯なんだから、お菓子は晩御飯を食べ終わってからにしなさい」
キッチンから美柑の声が聞こえた。キッチンから夕飯のにおいがしている。リトは今更ながら自分の空腹に気づいた。
『そういえば、何も食べないでヤリまくってたんだっけ…』
靴を脱いで家の中に上がる。そこにモモが2階から降りてきた。
「おかえりなさい、リトさん」
「ただいま、モモ」
「…楽しんできましたか?」
モモが意味深な笑顔でリトに尋ねた。
「な…なにを言って…」
「ですからぁ…ルンさんと恭子さんとキスとか、もっといろいろしてきたんじゃないかって聞いてるんです」
「そ…そそそ…そんなわけないだろ…」
リトは必死に否定するが、モモにはリトの首筋に残るキスマークが見えていたのでバレバレである。
「ふーん…そうですか…」
モモはリトのすぐそばに立ち、背伸びをする。
「ちょっとモモ、顔が近いって…」
冷や汗を流すリトはモモを制止しようとするが、モモは構わずにリトの首筋のキスマークの部分を舌でなぞった。そしてにっこりと笑って一言
「これは嘘をついている味ですね♪」
と言った。
次の日、リトは恭子と、恭子の家の近くのドラッグストアの中にいた。目当ての品はもちろんあれだ。
「…ねえ…早く買おうよ…。それリトくんが使うものなんだし…」
恭子は顔を赤くしながらそわそわしている。
「…うん…。でもやっぱ初めては勇気がいるって言うか…」
リトも恭子と同じような状態である。二人は棚に並べられたコンドームを見ていた。
「…キョーコ…。一緒にレジについてきてくれない?一人だとなんか恥ずかしくて…」
懇願するリトに恭子は思わず声を荒げてしまう。
「ちょっ…!なに言ってるのよ!?二人で行ったら、いかにもこれからエッチしますって感じで恥ずかしいじゃん…!」
二人に周囲から奇異の目が向けられる。
「「…………」」
二人は恥ずかしさのあまり真っ赤になって俯いてしまった。
結局、二人はそのままコンドームの棚の前でしばらく痴話喧嘩を交えながらそわそわし続け、店を出たのはそれから1時間も経ってからだったいう…。
これでおしまいです。
連投規制に引っかからなくて良かった…。
おおお!なんという神の軍団!GJ!
やっと夏休みが終わるぜ!
と思ったら連載も終わりか…
GJ!
GJ!
俺も途中書きの唯モノSS完成させるかな…随分前書いたものの続きだけど
俄かに盛り上がってきたな。
____
/ \
/ ─ ─ \
/ (●) (●) \
| (__人__) | それはない
\ ` ⌒´ ,/
r、 r、/ ヘ
ヽヾ 三 |:l1 ヽ
\>ヽ/ |` } | |
ヘ lノ `'ソ | |
/´ / |. |
\. ィ | |
| | |
ルンとキョーコってたった二回しかまともに関わらなかったな
もっと見たかったよこの二人の絡みとか
ルンなんてあんま他者に心を開かないし
ララとルンが打ち解けていくとこが見たかった
僕も春菜ENDは認めません。
ってことでリト×ヤミで
セリーヌの花粉で咲いたヤミの頭の上の花はやっととれた。
「なせさせてくれなかったのですか?」
ヤミはリトに訪ねた。
「だって、正気じゃない時にするもんじゃないだろ。」
ヤミは呆れた。この者はなぜこんなにお人好しなのだろうか。もしくはそういうことに興味がないのだろうか。
プリンセスがこの者を選んだのかわからない。
でも一緒にいるとなんだか言葉にできない気持ちになる。
それなら徹底的に調べてみよう、と思いヤミはリトに言った。
「ではもう少しついてきてください。」
リトは黙ってヤミについて行った。
ついたのはいつしか通った大人道、
「お、おい。」
リトは制止を掛けたがヤミは止まらなかった。それどころか
「早く」
と言ってリトの手を握って引っ張っていった。
「二人で・・・。」
ヤミはその中の「ホテルウッチー」に入ってチェックインまでしだした。
「そ、それは。」
普通にかぎを受け取った後、ヤミはずっとリトの手を引っ張っていった。
427号室、ヤミはその部屋にリトとともにはいっていった。
「さあ、話の続きをしましょう。」
ヤミの言葉にリトは質問した。
「なあ、何でこんなとこまで来たんだ?別にそこいらの公園でもよくないか?」
ヤミは顔を赤くしていった。
「そ、その・・・。プリンセスと何をしているのか知りたいというか・・・、やってみたいんです。」
リトはあいた口がふさがらなかった。
えっちぃことが嫌いなヤミがこんな言葉を発するとは思っていなかった。
無論、ララとはやったことはないが・・・。
「え、そんなこと言われても。」
リトはとぼけたふりをして逃げようとたくらんだ。
「やり方はわかってます。リードしてくれるだけでいいので・・・。」
ヤミはそう言ってトランスでリトを押さえつけ、リトの服を脱がせた。
こんな話をしていたのだからリトのモノはすでにそそり立っていた。
「もうどうにでもなれ。」
リトは簡単にあきらめ、ベットの淵に座り込んだ。
ヤミはリトのモノに恐怖感をいだいた。
(こんなものが自分の中に入るのだろうか)
ヤミは本で読んだ通りにまずリトのモノを握り、前後に動かしていった。
「や、ヤミ?」
リトの声などに耳を貸さずヤミは一心不乱に手を動かした。
(えっと、つぎは・・・)
ヤミはリトを咥えこんだ。
少しずつ自分の口の中で舌を添わしていく。
リトの息がだんだん荒くなっていった。
「や、ヤミ。出る。」
ヤミは口を離さなかった。
リトはヤミの口の中に自分の遺伝子を放った。
「んんんんんっ。」
ヤミは驚いて少量を飲み込んでしまった。そのため、
「ゴホッゴホッ。」
むせた。リトは背中をさすってやった。
こんな少女がこんなにも自分に尽くすとは思っていなかった。
「もう大丈夫です。続きを・・・。」
リトにはもう理性の二文字はなかった。
仰向けに寝た少女に自分のモノをうずめていく。
体や胸は美柑よりも大きいが締め付ける力は美柑と同じかそれ以上だった。
「ふぎっ、くっ。」
はじめての痛みに歯を食いしばるヤミ。リトは一気に膜を貫いた。
「あああっっ。」
ヤミを気遣い少しそのままの体勢で止めるリト、ヤミは
「もう大丈夫です。」
といった。
リトは少しずつ、腰を動かしていった。
幼い少女の喘ぎ声がリトの腰の動きにエネルギーを与える。
「ああ、あったかい。こういうのをプリンセスとやっているのですか。」
ヤミは尋ねた。
「ララとはまだやってないよ。」
リトはそう答えた。
「そうですか。プリンセスには悪いことをしましたね。」
ヤミはそういった。罪を感じているようで少し暗い顔をするヤミをリトはフォローした。
「大丈夫、ララには内緒にしとくから。」
そう言ってリトはさらにピストンを強めた。
「だ、出すぞ。」
ヤミはいやとも言わずにリトを受け入れた。
「熱いのが出てます。」
ヤミの言葉にリトは理性を取り戻した。
「なあヤミ、最後にいつ生理来た?」
避妊してなかったことに今頃気づいたリトであった。
「え、ああ。大体先月の今頃です。今月はまだ・・・。」
最悪の事態に陥った。
「それって危険日じゃねえか。」
「へっ?」
リトは自分が恨めしく思い倒れこんだ。
ヤミはリトの上に乗って言った。
「まだ終わりじゃありませんよ。いろいろしてもらいますからね。」
「もう好きにしてくれ・・・。」
リトが帰路に着いたのはそれから3時間後だった。
ホテルからリトが出てくるところを見ていた人物がいた。
「ふーん、リトさんったらついにヤミさんと・・・。面白くなってきましたねぇ。」
おわり。
次かけたらモモで、と思っています。
あと誰がいますかね。美柑、キョーコ、リサは書いたのですが・・・。
145 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/26(水) 12:45:06 ID:f3PTE0QA
唯とリトまだかな
>>144 GJ!!
しかし、ここに来て投下のラッシュとは…。
>>144 GJ!リト×ミオなんかもいいな。これからもどんどん投下してくれ〜
ところで前スレでみたリト×ヤミの続きが激しく見たいんだが、どうなんだろ??
>>144 GJです!
さて、if 大切な人の続き投下します。
その後、リトとララは腕を組んだまま無言で歩いていた。
しかしそれは帰路ではなく、家とは違う方向に。
そのことに気づいたララが沈黙を破った。
「ねぇ、リト?」
「ん、なんだ?ララ」
「お家はコッチじゃないよ?」
「あぁ、わかってるよ?」
「?」
「ちょっと行きたい場所があってさ、そこでララに話したいことがあるんだ」
「私に?」
「うん。ダメか?」
「ううん、私はいいよ。それに私もリトに言いたいことがあるから。でもあんまり遅いと美柑、余計に待たせちゃうよ?」
「そうだな……。でもどうしてもララに伝えたいことがあるんだ。だから……」
「うん、わかった……。もう一つ訊いてもいい?」
「ん、なんだ?」
「リト、イヤじゃないの?」
「何がだ?」
「今まで腕組んだり抱きついたりすると慌てて逃げてたのに……」
「あぁ、そーゆーことか」
「うん。だからイヤじゃないのかなって」
「そっか、今まで嫌がってるように見えてたのか……。ゴメンな」
「イヤだったんじゃないの?」
「あぁ」
「じゃあ?」
「その、恥ずかしかったっつーか……」
「恥ずかしい?」
「あぁ……でも、これからは自分の気持ちに素直になろうと思ったんだ」
「え?それってどー「お、着いた」
ララの言葉をリトが遮るように喋り、そして続ける。
「なぁ、ララ。ここ、覚えてるか?」
「え?ここって……?」
ララは辺りを見渡してすぐに何か閃いたかのように言う。
「あ、もしかして……!」
「そ、ここはララがオレにプロポーズした場所だな」
どうやらリトはここに向かって足を運んでいたらしい。
「でもどうしてここに……?」
「さっき、ララに伝えたいことがあるって言ったろ?それにはここが一番ふさわしい場所かなって思ったから」
リトは河川敷の芝生に足を踏み入れながらそう言った。
「そっかぁ……それで、伝えたいことって?」
そう言いながらララもリトの後ろをついていくように芝生に足を踏み入れる。
「…………」
「リト?」
「オレさ、西連寺のことが好きだったんだ」
「えっ……」
突然の好きという告白、しかもそれが恋敵でもあり親友でもある春菜に対するものでララは唖然とする。
リトはララの方に振り向いてゆっくりとした口調で続ける。
「でもだんだんララが好きになっていく自分がいて、ララと西連寺、どっちが好きなのか解らなくなってた……けど……」
「……?」
「今日になってやっと解ったんだ。オレはララが好きなんだって」
「……!」
「ララの笑顔を見てると心から安心する。それにうれしくなるんだ」
「……ほんと、に?」
「あぁ……それにララが溺れた姿を見たとき、すごく怖くなって涙が止まらなかった……それでやっと気づいたんだ、ララが大好きで大切なんだって」
「リトっ!!」
ララは声涙倶に下り、リトの胸に飛び込んで顔を埋める。
「うれしい……本当にうれしい!やっと、振り向いてもらえたんだね……」
それに相呼応してリトはやさしくララを抱き込む。
「遅くなってごめんな、ララ」
「ほんとだよ……。私、不安だった……もう振り向いてくれないかもって何度も思ったんだよ?」
「ホントにごめんな……」
「うん……」
「でさ、まだあの時の返事してなかったろ?それにこーゆーのは男から言うもんだと思うし」
「え?」
急にリトの態度が変わり、真剣な目つきになる。そしてララの目を見据えて言った。
「デビルークだとか王女だとか……そういうのは一切無しで。ララ、好きだ」
「リト……」
「ララのこと、もっといっぱい知りたい。それにこれからもずっと一緒に居たいんだ。だから……結婚しよう?」
「リトっ!!」
ララは一番言って欲しかった言葉を言われリトを抱き締める。
「私もリトのこと、もっといっぱい知りたい!一緒に居たい!!だから絶対の絶対だよ!?」
それに応えるかのようにリトは抱き返す。
「あぁ!!でも今はまだ高校生だから卒業したら、な?」
「うん!ねぇ、リト?」
「ん?」
「キスしてもいい?」
ララがそう訊くとリトはすぐに瞼を閉じララの唇に自分の唇を重ねた。
「んっ……」
ララはリトの嬉しい不意打ちに思わず目を丸くする。
前はこんなことを訊いただけでも顔を真っ赤する程奥手だった彼が自分を求めてくれている。
そう思うだけで更に嬉しさに拍車がかかる。
そしてリトの顔が離れていくとともに唇にあった暖かい感触が薄れていく。
「あ……」
「こんなんでよかったら、いつでもしてやるよ?///」
顔を赤くしたリトはそっぽを向き照れながら言った。
「うん……じゃあもう一度して……?///」
ララも顔を赤らめながらもキスをねだる。
リトは無言で肩を抱き寄せるとその唇にキスを落とす。
唇が繋がっているだけで、互いの考えや想い、全てが分かるようなこの感触、感覚。
たった数秒のはずなのに、数十秒にもとって感じられる。
今度はララの方から顔を離す。
「私もリトに言いたいことがあるの」
「ん?」
「今日はホントにありがと!リトは命の恩人だね?」
「そんな……別に当然のことをしたまでで……」
「ううん、そんなことないよ。リトはやっぱり宇宙一頼りになるね♪」
「そんな……///とりあえず、帰ろっか」
「うん!」
二人は腕を組み手を繋ぎ歩き始める。
「帰ったら続きしようね、リト?」
「続きって……///」
「えへへ、今日は寝かせてあげないよ〜♪」
そんな会話をしながら帰路を歩んでいった。
そして玄関の扉に着く頃には午後九時を回っていた。
チャイムを鳴らすとすぐに美柑が出迎える。
「遅いよ、リト!ララさん!いったいどうしたの?」
美柑が心配しながら訊くとララはリトを横からぎゅっと抱き締めて言った。
「私たち結婚しまーす!!」
「はい……?」
―――――――――――
三人は湯気が揺曵し、見るからにして美味そうな料理が並ぶ食卓を囲んでいた。
一通りのことをリトとララが美柑に話した。美柑はリトの急な決心に驚きつつも黙って聞いていた。
そして話を聞き終えて美柑は確認するかのようにリトに問う。
「そっか……そうなんだ。それでリトは結局ララさんを選んだんだ……?」
「選んだって言い方は違う気がするけど……そうなるのかな」
「よかったの?」
「よかったって何がだ?」
「春菜さんのことだよ」
「西連寺の?」
ララも「そこんとこ気になるなぁ」といった顔で美柑とリトの話し合いを傍観する。
「だってリト、春菜さんのことが好きだったんじゃないの?」
「あぁ……好き、だったのかもな。でも今にしてみれば好きっていうよりも憧れに近いものだったと思うんだ」
「憧れ?」
「誰に対しても分け隔てなく優しくて、立候補もしてないのに委員長に推薦されるくらいみんなに信頼されてて……オレもそんな風になってみたいなって憧れてたんだと思う」
「ふぅ〜ん……。ま、その辺はリト自身が一番分かる、か」
リトの目を見て迷いが無いと分かった美柑は深追いしなかった。
「じゃあララさん、ペケ、これからもよろしくね!」
「うん!」
『こちらこそ』
「ところで美柑、ナナとモモ、それにセリーヌは?」
リトがモモたちがいないことに気づき美柑に訊く
「モモさんたちならデビルーク星に用事があるって言って帰っていったよ?セリーヌはほら、そこ」
リトは美柑が指差す方を見るとセリーヌはソファーの上でぐっすりと眠っていた。
「起こしたらかわいそうだからそっとしときなよ?」
「あぁ」
リトがセリーヌの寝顔を見つめていると、ララは席を立ち、弾んだ声でリトに言った。
「じゃあリト、私は先に部屋で待ってるね?」
「あれ、おまえ風呂は?」
「御門先生のとこでシャワー浴びちゃったから」
そう言うと階段を上っていった。
「じゃあオレは風呂入るかな」
「リト」
風呂場に向かおうとしたリトを美柑は呼び止めた。
「大切にしてあげなよ?」
「……あぁ。サンキューな、美柑」
「うん……」
美柑は今度こそ風呂場へ向かうリトの後ろ姿を見つめていた。
自分だけのお兄ちゃんだったのがそうでなくなる寂しさ、悲しさ。
自分の義姉がララになることの嬉しさ、喜ばしさ。
これらの感情が入り交じって、得も言えない気分になっていた。
そんな気分でも美柑はただひとつだけ言えることがあった。
「リト……ララさん、お幸せにね」
中編は以上です。
区切り下手でスミマセンorz 後編は明日投下予定です、
乙
GJです
ララ大好きなんで後編もめちゃくちゃ楽しみにしてます
>>154 甘〜〜〜〜い!!!
GJです!やっぱリトララが至高ですな!
>>154 嬉しそうなララを想像しただけで涙が…
続き待ってます
なんか、終わりなんだって実感すると涙が
ララ愛してる
>>154 GJ!リトが女の子に囲まれて終わるハーレムENDを期待してる俺がいる。
最終回ではなく
告白→承諾→両親のもとに引っ越し
というルートが見える自分がいる。
今必死にリト×モモ×ナナを製作中・・・。
163 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 20:29:59 ID:Pj5vShj6
唯とリトマダ?
どうも、
>>154ですが、都合でパソコンが使えないため後編投下は明日になります。申し訳ございませんOTL
ゆっくり待ってるよん
唯リトまだ?
ぶちころすぞ
風呂をあがったリトはトランクス一丁で自室へと戻る。
扉を開けると部屋の明かりは点いておらず、カーテンは朝と変わらず開けっぱなしのまま。
窓からは満月の月光が射し込み、幻想的な雰囲気を醸し出している。
そんなリトの部屋のベッドに、ララは一糸も纏わぬ姿で横になっていた。
「もう寝ちまったのか?」
こちら側に背を向けているので起きているのか寝ているのか判別つかないララに一人呟く。
もし寝ていたら、と考えてそーっとララに近づく。
するとララはがばっと体を起こすとリトを捕まえてベッドに引き摺り込んだ。
「おわっ!?」
リトは視界が回転したかたと思うと、急に顔面が柔らかい感触に包まれ真っ暗になる。
(この柔らかい感じは……)
リトはこの感触が胸のものだと解ると同時に、ララの胸に顔を埋められていると理解する。
(なんか、すごく落ち着く……でも息が!)
ララの胸に安堵を覚えたリトだが、このままでは窒息死してしまうと、リトは顔を上げる。
するとそこにはリトを慈しむような目で見るララの顔があった。
「捕まえた♪」
リトの首に腕を回してがっちりとホールドするララはにっこりと笑う。
「ララ……」
ララの純粋で無邪気な笑顔にリトは思わず見とれる。
「うふふ……前よりずっとリトを近くに感じてうれしい♪」
急速に縮んだ心の距離に喜びを隠さず、笑顔でありのままの自分の気持ちを伝えるララにリトの口元も自然と綻ぶ。
「うん……。オレもララを近く感じる」
もうララの気持ちから逃げる理由は無い。ララの気持ちを受け入れ、逆に自分の気持ちもララに向かって突っ走しるだけ。
リトは早速行動に移そうとララに訊く。
「なァ、ララ。今日はララの部屋で寝かせてくんねーか?」
「? 別にいいけど……」
「よし、そうと決まれば」
ララからOKをもらうとリトの首に腕を回したままのララの胴と膝の下に腕を回し立ち上がる。いわゆるお姫様抱っこ状態。
「あは……うれしい///いつかリトにこうやって抱っこしてもらえたらなって思ってたから……///」
ララの顔は驚きながらも嬉しさで満ちる。
リトはそんなララを見て自分まで嬉しくなっていった。
「じゃあこれから抱っこするときはこうするな?」
「うん♪」
ララの意を汲んだリトの言葉にララの表情はもっと明るくなる。と同時にリトの嬉しさにも拍車が掛かる。
「他にもしてほしいこととかあったら言ってくれな」
「えっ!?ホントに!?」
リトの意外な申し出にララの嬉しさは有頂天真っ直中だった。
「出来る限りは応えるから」
リトもララに負けないくらいの笑顔で答える。
そんなやりとりをしてると、リトの部屋の隣だけあってすぐにララの研究所につく。
「リト、寝室はコッチだよ!」
リトはララが指でさす方に進むとドアがあった。ドアを開け中に入ると、そこは発明品の並ぶ研究所とは打って変わった部屋だった。
六畳ほどの部屋の真ん中にクィーンサイズのベッドがあるだけの部屋。
(こんな部屋で寝てたんだ……)
飾り気も何も無い、ただ寝るためだけにあるかのような部屋にリトは驚きながらも、リトがララをベッドの上にそっと横たわらせると、リトもララの隣で横になる。
「にしてもでかいベッドだな」
「うん、いつリトと寝てもいいようにこうしといたんだ!」
リトの胸は切ない気持ちでいっぱいになる。
いつもこんな広いベッドに一人で寝ていたのか。いったいどれだけの間、自分が振り向くのを待っていてくれたんだろう。
そう思うと以前のハッキリしなかった自分がどれだけララを傷つけてきたのか、自分に怒りを覚える。
「ごめんな」
「えっ?」
リトはララの方に体を向けて、悲しげな顔をしてララに謝る。
「今まで散々ララに辛い思いをさせてきたんだなって……」
「リト……」
ララはリトの頬に手を添えるとキスをして言った。
「大丈夫だよ?気にしてないから」
「ララ……」
無理矢理笑顔をつくって答えるララがリトには凄くいじらしく思えて、思わずララを抱きしめる。
「ありがとう」
ララもリトを抱きしめる。二人は抱き合ったまま黙り込んだ。
しばらくしてリトが口を開く。
「すごいよなぁ……」
心から感心したような声でリトは言った。
「すごいって?」
何がすごいのかさっぱり見当のつかないララの頭の上には?マークが浮かぶ。
「どれだけ広いかわからないこの宇宙でオレとララが出逢えたことがすごいなって思ってさ」
「うん……そうだね」
リトの言うことにララは頷く。
確かにどれだけ広いかわからない宇宙で二人が出逢う確率など天文学的数値に等しい。
「でもね、リト?私は出逢わなかったってことはないと思うんだ」
ララは自信満々にそう言い切った。
「どうしてそう言い切れるんだ?」
「だって……運命だったから」
「運命……?」
「うん。リトんちのお風呂で出逢って、いつか結ばれる運命だったんだよ」
「……そういうもんか?」
そんな一言で片づけていいもんなのかな、そう思いつつもリトはララに聞き返した
「うん……言葉じゃ説明できないことってあると思うの。他にもそういうのはあると思うよ」
「ほか?」
どんなのがあるんだ?とリトの目がララにそう訊く。
「うん。……例えば、リトは私が好きで、私はリトが好き。でもどんなに好きでも言葉じゃ限界があると思うの」
「確かにな……」
(好きだの愛してるだの言ってるだけじゃただの安売りだし、言葉じゃ表現出来ない部分もあるもんな……)
言葉に余るとはまさにこういうことだろうな、とリトはうんうんと頷きながら肯定する。
「だからそういう時は態度とか行動で表すものだって私は思うよ?」
ララは起き上がるとリトに跨り、馬乗りになると腰を屈めた。
顔は鼻と鼻がぶつかるのではないかという位にまで近づいている。
ララの翡翠色の瞳はリトの瞳の底を覗き込むかのように見つめる。
彼女の揺れ動く長い桃色の髪がリトの鎖骨や耳を撫でるようにくすぐり、たわわに実った胸はリトの胸板に押しつけられる。
「ララ……?」
「私たちも……言うだけ言ったから、言葉じゃもう限界だと思うよ?」
ララはそういうと同時にリトに口づけをした。
リトの口の隙間に舌を差し込み、リトの舌を誘う。
リトは舌を伸ばすとララの舌を受け止めて絡める。
「ふぁ…ん…ぁ…ちゅる…んむ、ぷはっ……」
初めてのディープキス。
とろけそうなくらい熱く、甘い。その淫猥な感覚に官能が刺激され、互いを求める気持ちがエスカレートしていく。
「ぢゅる…んぅ…ふぁ、んぅ……ぷはぁ……」
二人はようやく唇を離すと、リトとララの絡み合った唾液が糸を引く。
「リトぉ……もう我慢しなくていいんだよね?」
「あぁ、オレも我慢できそうにない……」
ララの今までずっと我慢していたリトへの想いが弾ける。
リトも今日になって解ったララを想う気持ちが止めどなく溢れていく。
「じゃあリト、一緒に気持ちよくなろう?」
ララはそういうや否や体の向きを180度回転させた。
リトのトランクスをやや強引に脱がすと怒張した一物が露わになる。先からは透明で粘りのある体液が溢れていた。
「リトの……すごい濡れてるよ?」
「ララのもすごいよ……?」
「ひゃっ!?」
リトもララのお尻に手を掛けると、突き出されたララの潤った秘部をまじまじと見つめ、愛液を舐めとるように割れ目をなぞっていく。
「リトぉ……よーし、こっちだって」
ララも負けじとリトの一物に舌を這わせ、口の奥深くまで入れる。
「くっ……ララぁ……」
ただでさえ気持ちいいのにララが舐めている、そう思うだけでリトの全身に快感が走る。
そんなリトの反応に、ララはリトの弱点を的確に攻め続ける
「ちゅぷっ…じゅる……ここが気持ちいいんでしょ?リト……」
(このままじゃヤバい!)
なんとかララの猛攻を緩和しようと、リトはララのなぞるだけではなくララの割れ目に舌を差し込むと掻き回す。
「あっ、それ……気持ちよすぎて、おかしくなっちゃう!」
しかしララはこの快感を紛らわそうと余計にリトへの攻めを激しくする。
「ララぁっ……ダメだ……そんな激しくしたらオレ……っ」
最早ララを攻めることが出来なくなるにまで快感に溺れたリトは為す術が無かった。
リトはこのまま絶頂を迎えるのかと思った矢先、あるものが目に留まる。
(これだ!!)
リトはふりふりと揺れ動くララの尻尾を掴み、先端をくわえる。
「し……尻尾はダメぇぇ〜〜〜〜!」
ララはリトの一物から手を離すとビクビクと震え始める。
「お願い……尻尾はっ……」
リトは口から尻尾を離すと指先で尻尾を擦り、空いた口はというと尻尾よりも敏感な、小さな突起に舌を伸ばし、包み込むように舐める。
「それ……っ、はんそ、くぅ……っ」
ララはどんどん押し寄せる快感に身悶えながらもリトの一物に再びくわえこむ。
「くっ……もうダメだ、ララぁっ!」
「私もイッちゃうよ!リトぉっ!」
二人はほぼ同時に果て、リトはララの口内に色情の全てを吐き出す。
ララはそれを「こくん」と音を立てて嚥下すると微笑んで言った。
「リトの味がする……///」
そんなララにリトは見惚れる。可愛い。可愛すぎる。
どうしてこんなにも可愛いのか。最早リトにとってはララの全てが愛おしかった。
その体も心も匂いも味も、全てが。
刹那、ララを自分のものにしたい、自分はララのものにされたいという欲求に駆られる。
「ララ……」
「うん……」
ララ自ら足を開き、リトを誘う。どれほどこの瞬間を待ち焦がれたことか。不安なんか微塵の欠片もなかった。
そして望みはついに叶う。
「いくよ……?」
「きて……」
リトは自分の一物をララに挿した。
「ひっ……くぅん!」
ララは痛みと喜びの入り交じった声を挙げ、リトは未知の感覚に早くも射精感を覚える。
ぎっちぎちに締め付けられるくらいきついのに、ぬるぬると奥へ吸い込まれていくような感覚。
それと同時に柔らかい感触がリトを四方八方から包み込む。それでいてとても熱い。
しかし少しでもララの痛みを無くそうと、リトは堪えながら止まることなく一気に進んだ。
必死に痛みを耐えるララにリトは抱きしめ、少しでも早く気持ちよくなってもらおうと唇を重ね、舌を絡める。
「見て、ララ?」
リトはララを抱き抱え座位になり、接合部が見えやすい格好をとる。
「ほら……オレとララが繋がってる……」
「うん……やっと一つになれた」
ララは涙をぽろぽろとこぼしながらリトの首に腕を回してしがみつき、口付けをする。
「ん…ふぁ…ちゅぱ……ちゅるっ…」
啄むように口付けをし、流れるように舌を絡め吸い上げる。
「もう痛くないか?」
「うん、大丈夫だよ……」
「じゃあ動くな?」
リトは後ろにぽすんとララを倒すと、少しずつ腰を引いては打ちつける。
「ん……ふぁ……あぁん……」
だんだん嬌声へと変わっていくララの喘ぎ声を確認しながらそのスピードを速めていく。
それと同時に空いた手で豊満な胸を鷲掴みながら揉みしだいていく。
「あっあっ、リトぉっ、はげしいよぅっ!」
そうは言いつつもリトのリズムに合わせてララも腰を上下に振る。
「だめ…そこっ…気持ちいいの…ああん!いっ、だめ…ッ!」
リトも限界が近いと悟り、一気にラストスパートをかける。
「リトっ、お願い…一緒にっ!」
「くぁっ、ララ、出る!」
リトは最後に最奥を突くと絶頂へ達し、ララの膣内に思いの丈全てを吐き出した。
それと同時にララは体を弓なりに反らしながら果てる。
「はぁっ…はぁっ…」
二人は繋がったままベッドに倒れ込み、倒れた反動でララからリトが引き抜ける。
「はぁっ……ララ、愛してるよ……」
「うん、私もリトを愛してるよ……リトを本当に好きになったあの日から、ずっとずっと……」
「そしてこれからも……だろ?ララ」
「うん!」
どちらからともなく、そっと口付けを交わす。
「それにしてもホンットに気持ちよかった♪ね?」
満足そうにララはリトに訊く。
「あぁ……でも凄い疲れるな。なんか眠たくなってきちまった……ふぁぁ〜」
リトは欠伸をしながらそう答えると、ララはリトに覆い被さって言った。
「ね、リト?」
「ん、なんだ?」
ララは満面の笑みでリトに言った。
「今日は寝かさないって言ったでしょ♪寝ないでずーっと愛し合うの!」
その言葉にリトの一物は再び元気を取り戻す。断るの文字は頭の片隅にも無い。
自分もまだララを求めて止まない、そう思ったリトは喜んで快諾した。
「あぁ、望むところだ」
以上です。
台詞が多くて情景が分かりづらいですね…スミマセン
オマケに読みづらかったと思います…
ちょっと樹海行って来ます
皮肉だよな、打ち切りがわかってから新SSが三連続か
素直に楽しめないや・・・・
むしろ終わるとわかったからじゃないかなぁと……
>>175 GJです
ちょっと大人っぽいララも良かったです
>>176 今回は打ち切りではなく矢吹先生リタイアでは…
現状どう見てもあまり需要の無い赤星だのめだかだのを残してこれを率先して切る意味もメリットも見当たらんし…
例の問題が落ち着いたら続編描いて欲しいな
ともかくGJ!
>>175 GJ!
>>178 俺もそう思う。だから矢吹先生が落ち着き次第でまた書いてくれるかもっていう希望が持てるな。
180 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 01:37:50 ID:+G/uTv/3
そして黒猫の再開ですか
スレチで申し訳ないがシャルデンさんの吐血が気になる
SQででもやり直してくれるといいなぁ
ルンのSS書いてくれる人って、なんで誰も髪コキを書いてくれないんだろう
髪がふわふわしてて一番髪コキが気持ちよさそうなのはルンなのに
183 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 13:45:26 ID:W0vX+vJV
最終回がまさかのハーレムオチとかw
あれはうる星やつらオンリーユーエンドと言うんだ
やっと
>>141の続きができました。
注意
・睡魔の中で作成したため誤字脱字があるかもしれない。
・なんか良く分からないセリフがあるかもしれない。
うる星で言えば
ララ=ラム
春菜=しのぶ
当初の構想ではしのぶとあたるをくっつける予定だったけど、
ラムに予想外な人気が出てしまい結局あのエンドに
To LOVEるがどうなるかは(ry
「うわあっ。」
リトは頭に鈍い痛みを覚えて目を覚ました。
自分の部屋の自分のベットで寝ていたはずなのに周りの景色は自分の部屋とはかなり違った。
どこかの高級ホテルを思わせるかのような壁紙、いかにも地球のものではない観葉植物。
自分が寝ているベットもいつもの3倍ほどの広さで、枕も「これでもか」と思わせるほどにある。
さらにいくら部屋の中を見回してもドアがない。窓もない。
リトは我が身が不安になって来た。
「起きました?」
明らかにいたずらめいた声がした。振り返ると枕元でモモが座っていた。
「お、お前・・・。」
リトが驚いたのも無理はない。
自分のTシャツを身につけているモモが他の衣服を着ていないのが目に見えたからだ。
(これは夢だ、夢だぁぁぁ。)
必死の思いでリトは頬をつねった。痛みはある。
モモはそんなリトの首筋を舌でなぞった。
「ひゃぁ。」
リトの声が響いた。
「そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。今夜は二人きりです。何かと話を聞かせていただきますよ。」
モモは微笑を浮かべながらリトに言った。
リトに逃げる手段はもうなかった。
「まずなんですけれども・・・、昨日はヤミさんと何をしてらっしゃったのですか?」
ベットの淵に2人腰掛け、モモは質問した。
「な、何って・・・。べ、別に・・・。」
リトは本当のことを言うと何をされるか分からないと思いとぼけたふりをした。
しかしモモにとぼけるような仕草は聞かなかった。
「リトさん。」
モモはそう言うとリトの頭に手をまわし・・・、
「はむっ。」
耳を甘噛みした。
「わうあっ。」
「嘘ついた罰です。」
モモはまたしても微笑を浮かべた。
「う、嘘なんか・・・。」
リトは必死にごまかそうとした。
どちらにしろごまかせることなどできないと自分でもわかっていながら。
予想通りにモモはリトを攻めた。
「ホテルからヤミさんと出てきてるの見たんですけどねぇ。おねえさまに言っちゃおうかしら。」
「み、見てたのか?」
リトはモモに聞いた。
「見てません。」
(ほんとは見てましたけど・・・。)
「・・・墓穴を掘りましたね。」
モモはいたずらにほほ笑んだ。
リトはもう駄目だと思った。デビルーク王に八つ裂きにされる。というか美柑の命も危ないかも・・・。
そんなリトにモモは言った。
「黙っといて差し上げましょうか?」
リトは一瞬気を許し縦に首を振りそうになった。
しかし一度考えてみた。
こんないい話があるはずがない。だとすれば・・・。
「じょ、条件は・・・。」
「あら、よくわかりましたね。リトさん。」
モモは人差し指をあごに添えて視線を宙に泳がせた。
「そうですねぇ・・・。」
リトは覚悟を決めた。
これからすべての言うことを聞けと言われるのか。はたまた高校をやめてデビル―グに来いと言われるのだろうか。
「じゃあヤミさんにやったこと私にもやってください。」
リトは何とも言えない気持ちになった。
こんなこと言われるとは思ってもいなかったし金輪際しようと思っていなかった。
躊躇するリトにモモは言った。
「いいんですかぁ。おねえさまにバラしても・・・。」
もうリトには答えは一つしかなかった。
「わ、わかったよ・・・。」
(もうどうにでもなれ)
こんな気持ちにここ2、3ヶ月でどれだけなっただろうか・・・。
リトはゆっくりとモモを抱きしめた。
「あっ。」
モモはそのままリトに身をゆだねた。
そのままベットに倒れこむ2人。
そのままリトはモモにソフトなキスを落とした。
「ん、リトさん・・・。」
モモはリトの股間に手を伸ばした。
少しずつチャックを探すモモ、ついに金具の所に指が当った。
リトもモモの服の中に手を入れる。
年齢の割に、身長の割には大きなモモの胸を揉むリト。
モモもリトのチャックを開けてそこから手を入れて手でリトの肉棒をつかんだ。
(熱くて・・・、大きい)
モモは少し恐怖感を覚えながらもリトの肉棒を手で弄った。
しばらくして、モモは体を起こしてリトの下半身に体を持っていった。
そしてリトのトランクスをずらして肉棒を露にした。
モモは脈打つ肉棒にそっと唇を触れさせた。
するとリトは大きく脈を打った。
「あら、慣れてらっしゃるんじゃないんですか?」
モモは意地悪に言った。
「そんな、慣れてるわけないだろ。」
リトは否定した。というか反射的に。
「なら試してみましょうか?」
モモはそう言ってデダイヤルで青い花を呼び出した。
「それは?」
「記憶の花って言うんです。ポケ○ンの映画に出てたやつの親戚みたいなものです。メモリ星で知り合いました。」
モモはそう言うとリトにその花を近付けた。
「うわあぁぁ。」
リトは逃げようとしたが先にモモが上に乗っていて逃げられなかった。
花はリトの頭に一瞬触れると青く光り花開いた。
そしてモモの頭へと青い道ができる。
ここ半年の記憶がすべてモモに入っていく。
「へえ、ヤミさんだけじゃなくリサさんとも。キョーコさんもですか・・・。美柑さんまで・・・。」
リトは抵抗することも忘れて放心状態に陥っていた。
モモはくすくす笑いながら言った。
「じゃあ遠慮しないでいいですね。」
そしてリトの肉棒をもう一度口で弄り始めた。
「もういいですよね?」
モモはリトの肉棒から口を離しベットに仰向けに横たわった。
「い、入れるぞ。」
リトはまだ小さな花弁に自分の先端をあてがって一気に貫いた。
モモは歯をくいしばって一生に一度しかない痛みに耐えていた。
リトはそんなモモにキスをしてから腰を振り始めた。
モモのかわいらしい喘ぎ声が閉鎖された空間の中でこだまする。
「も、もうイクぞモモ。」
「あたしもです。リトさん。んんっ。」
2人は同時に絶頂を迎えた。
その瞬間、周りの景色が変わった。そして後ろで物音がした。
リトとモモは離れずにずっと抱き合っていた。そんな空気を一変する声が響いた。
「な、何やってんだー。」
それはナナだった。
「あ、そういえばもうすぐ空間の維持できる時間が限界でしたね。」
モモはそう言って頭をこづいて可愛い子ぶった。
「そういうことは早く言えよ。」
リトはため息をついて言った。
そんな二人にナナは少しキレ気味に言った。
「あたしを無視するな、離れろ、というか何でこんな時間まで起きてんだー。」
モモが閉鎖空間に使ったのはリトの部屋だった。
ナナは美柑に「モモがリトの部屋に出入りしているから注意してくれ」と言われてきたらしい。
さっきまでお互いを求めあっていた2人はその場に正座した。
「まったく、美柑の気持ちがわかるよ。そんなことケッコンする前にしちゃダメだろ。」
ナナが注意した。少しズレている気もするがまあいいだろう。ナナは最後に言った。
「姉上に言いつけてやるからな。」
その言葉に2人とも凍りついた。
モモから見れば父親に怒られるよりララに嫌われるのが一番怖かった。
リトからすれば死を感じる以外になかった。
モモは黙って立ち上がりナナに近づいて行った。
「な、何だよモモ。」
モモは何も言わずナナの胸に手を伸ばした。
「はあっ、やめろよぉ、モモぉ。」
モモはナナの股にまで手を伸ばす。
「だからぁ、やめろってばぁ。」
少しずつナナの下着が湿ってくる。
もとからワンピースを着ていたナナは下のガードが甘すぎてモモに狙われた。
一度は完全に力尽きたリトの肉棒も再び膨張してきている。
モモはもう正気ではないナナの下着を少しずつ脱がしていく。
「リトさん。シテあげてください。」
モモの言葉にうなずく間もなくリトはナナに近づいた。
「ちょっと待ってくれ。」
ナナが制止を掛けた。
「どうしたんです、ナナ。リトさんのことが好きなんじゃないんですか?」
モモがナナに尋ねる。
「いや好きなんて一言も・・・。」
「じゃあ嫌いですか?もう死んでもらいたいとか思ってるんですか?」
「いや、そこまでは・・・。」
「じゃあいいじゃないですか。」
「・・・わかったよ。」
口で負けたナナはリトを受け入れることにした。
「い、痛い。」
ナナもまた、モモと同じように痛みに耐えていた。
ナナにはモモがキスをし、手とり足とりして痛みを和らげた。
一度すでにイっているリト、それに目の前でさっきまで姉妹での戯れを見てしまっていたリトは、早くもイキそうになっていた。
「もうイっていいか、ナナ。」
リトはナナに言った。
「そ、そんなこと聞くな。・・・い、いいよ・・・。」
ナナが言ってすぐにリトはナナの中に自分の精子を放った。
「ナナ、これであなたも同罪です。」
モモはしてやったりと微笑んでいった。そしてリトに言った。
「さあ、リトさん。次は私です。今夜は寝かせませんよ。」
おわり
改行エラーが出てしまったのでおかしくなってしまいました。
駄文に付き合っていただきありがとうございます。
>>147 できれば作りたいと思います。
あとはお静ちゃん辺りですかね・・・。
>>182 その状態でクシャミしたら大変な事になるからだろう。
それもまた良しとしようじゃないか
>>191 GJ!リト×お静ちゃん リト×ミオを頼む。。。
くしゃみ前提だったらルンの話誰も書けねえじゃん・・・・
ルンのおなかってどういう構造なのかな?
レンは?
男から女、女から男、に変わるとき、男しかないモノと女にしか無いモノがどう入れ替わるのかな?
合体の最中に女から男に代わったら、相手の男ってどうなってしまうのかな?
こまけぇこたぁいいんだよ
リトララ投下します。
「わぁー、緑がいっぱいだねー!」
「まうー!」
澄み切った空に甲高い声が響き渡る
周囲を山々に囲まれた丘でララ(とセリーヌ)が感嘆の声をあげる
彼女達は今、結城一家とともにキャンプ場に来ていた
「えっ、ホントに!?」
美柑がその電話を取ったのは、夏休みも終盤に差しかかったある日のことだった
電話先の相手はリトと美柑の母親である林檎だ
ファッションデザイナーである彼女は長らく海外で仕事をしていたが、今度の連休に久しぶりに家に帰ってくると言う
さらに父親の才培も先日週刊連載の一つを終了したばかりで、林檎と同じ日に休暇をとることができたのだ
つまり、結城家では本当に久しぶりに家族みんなで過ごすことになる
そこでリト達は悩んだ末、近場のキャンプ場で一泊二日の野外生活をすることに決めた
普段、時間に追われ忙しい毎日を送っている両親に、少しでも時間を忘れゆっくりしてほしいという思いからだ
計画を立てるリトと美柑を、ララもニコニコしながら眺めていた
「ふふ、楽しそーだねー♪私も何か手伝おっか?」
「いや、大丈夫だよ。もう終わるとこだからさ」
「そっかぁ。雨降らないといいね。たっくさん楽しんできてね!」
そこまで話して、作業をしていたリトの手が止まる
すると今度はリトが、怪訝な表情でララを見つめてきた
「……何言ってんだ?お前」
「え、何って……だから、キャンプ楽しんできてねって」
至極当然のように答えるララ
しかしリトは呆れたようにため息をつきながらララのほうを向いた
「あのなぁ……お前も行くんだよ、一緒に」
「……えぇ!?私も?だって家族サービスだから家族みんなでって」
「ララさんも家族でしょ?置いてくわけないよ」
驚くララに美柑が付け加え、さらに驚く
ニコッと微笑む美柑に、やれやれといった表情のリト
「ね?」
「今さらなーに言ってんだよ」
「リト……美柑……」
家族。その言葉がララの胸に染み渡る
幼い頃から両親とほとんど触れ合うこともなく育ってきたララにとって、いつも
一緒にいる存在は妹達とペケくらいのものだった
そんな自分のことを、目の前の二人は何の気兼ねもなく家族だと言ってくれる。当然のように
ララにとってはそれがたまらなく嬉しいことだった
「……ありがと、二人とも大好きだよ」
自分にとってのもう一つの「家」をくれた二人に対して、ララは心から感謝の気持ちを述べる
リトは照れくさそうに頬を掻き、美柑は同じく照れくさそうに笑う
ララの素直さは時に、周りから見れば恥ずかしく思えてしまうこともある
しかしそれこそがララの良さなのだということも、ララと触れ合った多くの人達は知っている
無論、リトと美柑も例外ではない
家族として、姉のような存在として、そして恋人として――ララを慕っているのだ
そんなこんなでキャンプ場に到着した一行
車から降りるなり、ララはセリーヌと一緒に大はしゃぎ
見渡す景色に目を輝かせていた
「ふふ、あんなにはしゃいじゃって。自分も行くってわかった途端、すっごく楽しみにしてたもんね」
「てるてる坊主100個くらい作ってたな。ったく、やっぱこーゆーとこは変わってないよなー。子どもっぽいつーか」
「でも、そーゆーとこが好きなんでしょ?」
「ばっ……!」
小悪魔の表情で美柑がからかうと、リトは声も出ないほど真っ赤になる
家にいる時ならまだしも、両親の目の前でそんなことを言われたからだ
「なになに、なんか面白いことになってそうじゃない?」
林檎が興味津々といった様子で美柑の顔を覗く
すると美柑はリトを横目に見ながら、近頃の兄の恋愛事情を報告した
「うん。なんかリトとララさん付き合ってるみたいなんだけど〜。私の前とかじゃ素っ気ないくせに、二人きりになると結構甘えてたりするんだよねェ」
「なっっっっ!み、美柑お前覗いて……あっ」
しまった、そう思い言葉を止める
しかしすでに遅く、美柑と林檎はニヤニヤとこちらを眺めている
悔しさやら恥ずかしさやらで何も言い返せないリトの背中を、父親の才培が笑いながらバンバンと叩いた
「よかったじゃねーかリト、あんな可愛い彼女ができて!毎晩お楽しみってか?なっはっはっは!」
「う、うるせーエロバカ親父!!」
「リートー、何してるのー?はやくこっち来てみなよー♪」
キャンプ場にララの美声とリトの悲痛な叫びが交互に響くのだった
「……んで、なんでこんなとこにいるんだオレ達は……」
テントを張って昼食をとり、夜まで自由行動をとることになった一行
美柑と林檎、セリーヌはキャンプ場に来ていた他のグループとゲームなどをして過ごすらしく、才培はその辺を探険してくると言ってどこかに消えてしまった
そしてリトとララはなぜか、キャンプ場から少し下ったところにある川岸に腰を降ろしていた
リトの手には釣竿が握られ、先端から針のついた糸が垂れ水面でゆらゆらと揺れている
「もー、忘れちゃったの?リトパパに言われて夕ごはんのお魚釣りに来たんだよ」
「説明ありがとう……ってゆーか、みんな好きなことしてるのになんでオレだけ……」
「いーじゃないっ」
ぶつくさ文句を言うリトに、ララが体育座りのまま近付いて肩を寄せる
途端にララの甘い匂いが鼻をくすぐり、思わず竿を落としそうになる
「お、おい……」
「こんないっぱいの自然の中で、リトとゆっくりするのも私はすっごく幸せだけどなぁ。リトはそー思わない?」
「そ、それは……」
そうだけど……と口ごもるリトにララはさらに体を寄せ、その体温をいっぱいに
感じる
川の近くは空気が澄んでいて涼しいのだが、触れ合った部分だけが熱を持っている
もはや釣りに集中できる状況ではなく、リトは今すぐに竿を放り投げてララを抱き締めたくなる
だがそれを遮るようにララが口を開いた
「あーあ、ナナとモモも来られたらよかったのになぁ」
「え?ああ……」
そう呟いたララは本当に残念そうで、リトは伸ばしかけた手を止める
いつも眩しいくらいの笑顔をくれる彼女には似合わない、沈んだ表情だった
「ついてないよねー、リトママが帰れるって連絡が入る前の日に連れ戻されちゃうなんて」
「……まあ仕方ないんじゃねーかな、ララ達の父さんの命令なんだろ?」
「うん……そうなんだけど、あの子達も来たかっただろうなぁって」
キャンプに来る数日前、デビルークから連絡が入った
内容はギドからのもので、しばらく勉強をサボっていた二人をデビルークに連れ戻し、集中的に王族のたしなみを学ばせるというものだった
もちろんナナとモモは嫌がったのだが、久々に本気で怒っているギドの剣幕と、逆らったら小遣いカットという脅しに渋々従うこととなったのだ
ちなみに、ペケはその際お目付け役としてついていくとになった(ザスティン達だけでは頼りないため)
「やっぱり私ももっと抗議してあげればよかったな……ペケもついてっちゃったし」
「ララ……」
「ん……」
リトはただ名前を呼んで、伸ばした手でララの頭を撫でてやる
するとララは気持ち良さそうに目を閉じた
「ララは悪くないよ。むしろ、そこまでみんなのこと考えてるんだから立派だって」
「そうかなぁ」
「そうだよ。ララはいいお姉ちゃんだ」
「……えへへ、誉められた♪」
曇っていた表情は一瞬で晴れ、いつもの楽しそうな顔を見せてくれる
そんなララのことを、リトは心の底から可愛いと思った
しばらく釣りに集中していたリトだが、一向に釣れる気配はない
本当に魚がいるかどうかも怪しくなってくるほどだ
「ちくしょ〜、釣れないな……ララ、退屈だったらその辺で遊んでても……ララ?」
そこでふと気付く
先程からずいぶんとララが大人しいことに
いつも元気で落ち着きのないララが、こんなに静かなはずがない
呼び掛けてみると、案の定返事の代わりに返ってきたのは可愛らしい寝息だった
リトの肩を枕代わりに、規則正しい寝息を立てて幸せそうに眠っている
「……ノンキだよなぁ、本当に」
苦笑しながら片方の手でララの頬をつついてみる
「むぅ〜……」
心地よい睡眠を邪魔され一瞬表情が曇るが、すぐに元の天真爛漫な寝顔に戻る
その様子を笑いをこらえて見つめていたリトだったが、次第に悪戯心以上の欲望が湧いてくる
「やべ……」
これほど近くでララの寝顔を見ることもあるにはあるのだが、それは主に夜や朝、それもベッドの上がほとんどだ
こんな昼間から、誰もいないとはいえ外で密着して寝顔を見ている
そして何より、眠っているララの顔は真っ白な翼を生やした天使のごとく可愛らしい
何やらいけない気分になってしまっていた
「ララ……」
片手をララの肩に回し抱き寄せるようにする
今度こそもう止められそうにない
同時に顔を近付け、ほんの少しだけ開いた唇に自らの唇を……
「っ!?き、きたっ!」
「ふぇ?」
重ねようとしたところで、突然リトの釣竿が引き始める
驚いたリトの声でララも目を覚ました
「こ、これはデカイ……かも……!」
「ホント?わぁ、リトがんばれー♪」
真剣な顔で竿を引くリトと、それをいかにも楽しそうに応援するララ
リトがゲーム攻略しているのをララが隣でワクワク眺めている図にも似ている
いつもゲームでいいところを見せているリトは、是非このチャンスをものにしてララを喜ばせてやりたいと奮い立った
「そこっ、ほらそこだよリトっ!」
「わかってる……くっ、今だぁー!」
タイミングを見計らって竿を一気に引き上げる
二人の顔に少量の水しぶきがかかる
そして次の瞬間、リトの顔を薄汚れた長靴が直撃した
「はぁ……」
その夜、リトはあまり広くないテントの中でため息をついた
隣では父親の才培が大きなイビキをかいて寝ていたが、あまり気にはならなかった
思い浮かぶのは昼間の出来事
あのあとさらに数時間粘ったのだが、釣れたのはとても夕食のおかずにはならないような小魚が二匹ほど
キャンプ場に帰ると美柑や林檎の笑顔もひきつっていた
それだけではない、自分にあれほど信頼と期待を寄せてくれるララを裏切ってしまった
もちろんララがそんなことで自分を評価しないことはわかっているし、むしろ顔面に長靴がぶつかったことをずっと「大丈夫?」と心配してくれていた
「でもなぁ……かっこいいとこ、見せてやりたかったよなぁ……」
数時間前の自分が恨めしい
ララを笑顔にさせてやりたかった、どうしてもそのことが気になって寝付けない
そして前言撤回、やはり親父のイビキはうるさい
そんな時だった
「……?何の音だ?」
テントの入り口の辺りで、何やらゴソゴソと物音がしている
泥棒……?一瞬そう思ったが、懐中電灯の光で浮かび上がったシルエットがすぐさまその正体をリトに教えた
長い髪に、特徴的なアホ毛
お尻の辺りから伸びるハート型の尻尾
「ララ……?」
一体こんな時間に何の用だろうか
まさか夜這い?とも思ったが、いくらララでもありえない
隣に親父が寝ている状況だ
だとしたら、一体なにが?
そんなことを考えるうちに、テントのファスナーを下ろしララが顔を覗かせる
「……あ、リトっ!起きてたんだ」
「……なんだよ、襲いに来たのか?」
「し、しないよそんなこと!ちょっとこっち来てっ」
ララに言われるがまま、テントから体を乗り出す
するとララは空を指差し小声で叫んだ
「ほら、見てっ!星がいっぱいでキレイだよ♪」
「……おわ……」
ララの瞳がまっすぐ見据える先には、光輝く無数の星が広がっている
空いっぱいの宝石に魅せられたリトは、さっきまで考えていたことが全て吹き飛んでしまった
「こっち、もっとよく見える場所あるんだよ!」
「わ、おいっ」
あっけにとられたリトの手を引き、ララはキャンプ場を抜け出して小高い丘へと登っていく
それから少し行くと周囲の木々が姿を潜め、空に視界が開けた
すごく半端ですが、連投規制があるらしいので一度区切ります。
一応「ララの夏休み」ってタイトルがあったんですが、付け忘れましたw
こんなものでも楽しんでいただけたら幸いです。
GJ!
ララセリーヌの無邪気コンビ良いよー
後編待ってます
それじゃ続き投下します。
「すっげえ……ここ、ララが見つけたのか?」
「うん♪高いとこに登ったらもっとよく見えるかなって思って」
合っているのかいないのかわからない理論ではあったが、どうやら今回はそれが功を奏したようだ
「こうやって寝っ転がると首が疲れないよ♪」
言うが早いかララは躊躇うことなくその身を草の上に仰向け、大の字になって満天の星を見上げる
リトもそれに倣い仰向けになる
「ホントにすごいな……こんなの初めてかも」
「えへへ……元気、出た?」
「え……?」
不意なララの問いかけにリトが聞き返すと、ララは少しだけ困ったように微笑んだ
「リト、晩ごはんの時もずっと元気無かったみたいだから……さっきのこと気にしてるのかな〜って」
「ララ……」
リトの胸がじんと熱くなる
僅かなことでも自分の変化に気付き、心配してくれるララの気持ちが素直に嬉しい
でもそれと同じくらい自分が不甲斐なかった
「……ごめんな、ララ。ララのこと喜ばせてやりたかったんだけど……」
「ううん、そんなことない。一生懸命なリトの顔、すっごくかっこよかったよ。それに……」
月明かりだけでもはっきりわかるほど、ララの頬が朱に染まる
無邪気な女の子の顔から、一人の相手を想う少女の顔へ
思わず見とれてしまうほどだった
「それにリト、私のために頑張ろうとしてくれたんだね。嬉しい……」
「そんな風に言われたら照れるよ……ララだってこうして、オレのこと気遣ってくれたじゃん」
「……気遣った、わけじゃないよ」
「え?」
どういう――訊ねようとしたリトの胸に、寝転んだままララが飛び込んでくる
逃がさないように、背中に腕を回ししっかりと抱き着く
「喜んでほしかったから……リトの笑った顔大好きだから、見たかっただけ」
「……だったらオレだってそうだよ。オレもララが笑ってくれたら、死ぬほど嬉しいから……」
「えへへ……喜んでくれた、かな……?」
「うん」
優しく微笑みながらリトが頷く
そして、どちらともなく顔が近付いていく
その距離は一瞬で無くなり、気が付いた時には重なっていた
「ん……」
「……っララ」
軽く触れ合うだけのキス
それだけで全身が熱を持ったように火照っている
こんな場所で、という思いはあったものの、気持ちは止められそうになかった
もう一度顔を近付け、今度は舌先を伸ばしていく
リトがララの舌を捕らえると、それを絡めとるように唇を重ね、一気に口の内でも外でも繋がる
「ん……ふぅ、ちゅ……」
激しくララの口内をまさぐるように動き、全てを蹂躙するように貪る
その動きは野獣のようでありながら、溶けるほどの愛と優しさがこもっている
ララが愛しくてたまらない
「ん……ふぁ」
「はぁ、はぁ……ララ」
「ここで……するの?」
「大丈夫……誰も来やしないよ」
「……うん♪」
普段の冷静なリトであれば、いくら人が来そうにないとはいえこんな場所でなどするはずがない
その冷静さも失わせてしまうほど、今のリトはララを求めている
ただただ嬉しくて、ララはとびきりの笑顔をリトに見せる
それがOKの合図だった
「ララ」
「んぁ……」
服の中に素早く手を潜らせ、下着の上から柔らかな乳房を包む
指先に少し力を加えるとそれに合わせて胸が窪み、ララは眉をひそめる
「リトぉ……もっと触ってぇ……」
ララの要望に応え、もう片方の手でスカートを捲りショーツ越しに秘部を擦る
指先にはほんのり湿った感触があった
「ララもやる気満々だったんだ?」
「り、リトとキスしたら気持ちよくなっちゃったんだもん」
「エッチだなぁ、ララは……」
そんなとこも好きだけど、と付け加えララの耳に舌を沿わせる
いきなりだったのでララは不意を突かれ、悲鳴をあげて体を震わせた
「ひゃうっ」
「ララの可愛い声がもっと聞きたいなあ」
「ふあっ、あっ」
いやらしく耳を責めながら、胸と股間に配置した手も動かす
秘部からはリトを誘う蜜が漏れ、手の動きに合わせて音を立てていた
「だ、めぇ……ぱんつグショグショになっちゃうよぉ……!」
「替え持ってきてないの?」
「あ、あるけどぉ……」
「……あー、そっか」
リトは何かに気付くと、ララにグッと顔を近付けてニヤッと笑って見せる
「そんなに直接触ってほしいんだ?」
「ち、ちが……」
「違わないだろ、ココこんなに濡らして。ぐちゃぐちゃに掻き回されたいんだよな」
リトの瞳に見つめられ、ララは何も言えない
もうこの人は自分の全てを知っている――観念したララは小さく首を縦に振った
それを合図にリトはショーツを取り払い、割れ目に沿って中指を沈み込ませた
「やあぁ……!」
「すげ……とろとろだよララのここ……」
リトへの愛で溢れ返ったララの秘部は、リトの指を何の抵抗もなく受け入れる
それでいてリトの指を離すまいとぴったり吸い付き、血流が止まるほどに締め付けてくる
「ララ、エロすぎ……」
「お願いリト……私、リトにめちゃくちゃにしてほしいよ……」
切ない声で鳴くララ
リトの理性を奪うには十分だった
侵入させた指を折り曲げ、ララの内側をしつこく追い立てるように擦る
それだけでララの喘ぎも溢れ出る愛液も止まらない
「あぁぅ……んゃぁ、んあっ……りとぉ、そ、こぉ……ああっ」
「……まずイカせてあげるな」
徐々に指の動きを激しくしていくと、それに呼応するようにララの下半身が痙攣を始める
止めどなく流れる愛液が、ララの絶頂が近いことを示している
「だめぇぇぇ……いっちゃ、ぅ……いっちゃうぅぅぅ」
「いいよ、イって」
「んっ、はぁ、んあぁぁぁぁぁぁっ」
全身を反らせララが絶頂を迎える
秘部からは愛液が勢いよく飛び出てリトの腕を塗らした
「はぁ……はぁ……ぅぁ」
「思いっきりイっちゃったな」
焦点の合わないララの頭を撫でながら、耳元でささやく
しかしまだまだこれで終わりなはずがない
リトはララを抱き抱えると股の間に自分の体を入れ、そのまま自分が仰向けになる
ララがリトの上に跨がるような形になる
「今日はララが上な」
「え……?」
「こんなとこじゃ背中痛いだろ?」
「リト……」
彼の何気ない優しさに心が温まる
さっきまであれだけ意地悪に責め立てていても、一番に考えるのはやはりララのことだ
嬉しくてララはリトの胸に抱き着いた
「愛してる……リト」
「……うん」
それだけ言うと、ララはリトのズボンのチャックを下ろし取り出す
すでに限界まで血液が集まったそれは今にも爆発しそうなほど硬くなっており、ララは驚きと感嘆で目を丸くした
「わぁ……すごい」
「あの……今日は口でしなくていいからさ」
「え?でもリト、お口でされるの好きだって……」
「シャワー浴びれないんだし、髪とかについたら大変だろ?……てゆーか」
少し間を置いて続ける
「はやくララの中、入れたい……」
「……うん」
一刻もはやくララと繋がりたい
そんな気持ちがリトの言葉にも体にも溢れてくる
それに応えようと、ララは腰を浮かせ入り口を手で広げた
「じゃ、入れるね?」
「ああ……」
短く言葉を交わし、リトのものを秘部にあてがう
そのまま力を抜き重力に身を任せると、「くちゅ」と音がしリトがララの中へと埋まっていく
「あ……あぁ……」
「くぅ……」
全身に広がる快楽に、恍惚の表情を浮かべるララ
最も幸せな瞬間だ
自然にララの目から涙が零れる
「リト……リトっ」
「ララ……」
互いの名前を呼び合いながら、無我夢中で腰を振る
粘膜が擦れ合い快感を増幅していく
「ララ……おっぱいよく見せて?」
「ふぇ……?こう……?」
片方の手で体を支えながら、もう片方の手でシャツをたくし上げる
するとリトはララの胸元に手を伸ばし、ブラのホックを外す
パチッという音とともにララの豊満な胸が露になった
「ララのおっぱい、すげー好き」
「ひぁっ」
すべすべの肌を撫で回し、その頂点にある小さな突起を指先で弄ってやる
敏感な神経を通して刺激が伝わり、また大きくララの体が震える
「やあぁ……おっぱい、おっぱいぃ……!」
「ララも自分でさわってみなよ……ほら」
リトの手に導かれ、反対の胸に自らの手で触れる
リトに触られる胸、自分で触る胸、リトと繋がる秘部
複数の場所から絶えず与えられる快楽にララは溺れ、自分の意志とはほぼ無関係に本能のまま体を動かす
「りと……ああ、きもちいぃ……おっぱいとあそこ、きもちいいよぉ……!」
「くっ……ララ、中……キツイ……!」
動くたびララの中のぬるぬるがリトのものを亀頭から根元まで優しく扱き、射精感を強める
背筋がゾクゾクするほどの快楽に、リトも絶頂の時が近付いてくる
「ララ……!」
「リト……んぅ」
リトは少し体を起こし、ララの頭を引き寄せる
唇を重ね、舌を絡ませ、互いの口内を味わい尽くす
その間も口と口の隙間からはいやらしい水音や荒い息遣いが零れ、辺り一帯を二人だけの妖艶な空間に変える
虫の声も川のせせらぎも星の瞬きも、全てが二人のためにあるように思えた
「りと、もう……私もう、だ、めぇ……っ」
「オレももう、出る……!ララっ」
「りと、リトっ!お願い、一緒にっ」
「うん……ぐ、ああぁ!」
力いっぱいララを抱き締める
その瞬間、リトの先端から大量の精液が解き放たれ、ララの中を染め上げていく
それを受け止めると同時に、ララも快楽の果てへとたどり着く
「あっあぁああっ!やぁっん、ああぁっ」
何度も何度もリトの上で収縮を繰り返し、残った精液を全て搾り取るようにしながら快楽に堕ちていく
長いオーガズムが終わると、ララは眠るようにリトの胸の中へ倒れ込む
その拍子にリトのものがララの中から抜け、放たれた精液が愛液とともに体外へ流れ出た
しばらく呼吸を整えたあと、リトとララは抱き合ったまま再び空を見上げていた
体は疲れていたが、少しでも長く二人の時間を延ばしたかった
「なぁ、ララの星はどこら辺にあるんだ?」
「うーん……ここからじゃ正確な位置はわからないけど、あっちの方かなぁ」
ララの指差した方向をリトも見つめる
もちろんその先に見えるのはある程度の距離にある恒星ばかりで、ララ達の住むデビルーク星など見えるはずもない
途端にリトは怖くなり、ララの体を一層強く抱き締めた
「リト?」
「……ララは、ずっとそばにいてくれるよな」
「え?」
突然の問いかけに聞き返すララ
リトの瞳は真剣で、どこか不安が漂っていた
ララはふっと微笑むと、リトの体を優しく抱き返す
「どんなに遠い星で生まれたって、私は今ここにいるよ。今リトのそばにいる。これからも……それが全てだよ」
「ララ……」
「リトは……リトは私のこと、見捨てたりしないよね……?」
上目遣いで見つめながらリトのシャツをキュッとつかむ
そんな姿がまたリトをどうしようもなく焦がしていく
リトはララがそうしてくれたように、出来る限り優しい笑顔を見せてララの頬に手を添えた
「当たり前だろ……もうずっと前から決めてるんだ、オレがララを幸せにするって。だからララがいてくれないと困るっつーか……」
少し照れくさそうにしながら、それでいて嬉しそうに言ってくれるリト
幸せにする――その言葉だけでララは幸せだった
潤んだ瞳をいっぱいに細めてとびきりの笑顔になる
「えへへ♪じゃあ私も決めた!絶対リトに幸せにされる!」
「ぷ……何だよそれ」
「そして私もリトを幸せにする!……ね?」
「……そうだな」
もう一度、抱擁を交わしながら
リトはララの耳元でささやいた
「もう一回……いい?」
「リトがしたいなら、私も♪」
再び重なる唇
そのあと数時間、二人の熱が鎮まることはなかった
寝不足のリトとララが帰りの車の中で寄り添って眠る姿を、その後しばらく美柑にからかわれたのは言うまでもない
終わりです。
もっとこう、ほのぼのした感じを出したかったんですが…
次は最終回後の話を書きたいと思います。
〆方なかなか良かったよーGJ!
この勢いが長く保てるといいよね…
俺もさっさと書きかけ完成させて流れに乗りたいです
>>215 GJ!やっぱリト×ララはあったかい話になっていいな。。。
リト×ミオ リト×リサ リト×ヤミとかもできたら頼む!
乙です
やっぱ下がってきて且つ問題抱えた漫画家を本誌で載せ続けたくないってのもあるんだろうなぁ
後はここの職人さんたちのSSで補完
219 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 17:16:01 ID:IDEHBJba
本誌が終わっちゃったのは残念だなぁ
220 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 18:15:11 ID:BguVN1pF
いきなり過ぎる
典型的な打ち切り。
しかも、今週のバクマンとの微妙なリンクが笑いを誘う。
バクマンで「単行本が売れていてもアンケが悪いとダメ」という。
そのバクマンが「TRAP」をバトル物へという話をしているのに対し、
矢吹が作者コメント欄で、バトル話をやらないで連載が済んだといった発言。
お前等つるんでいるのかと小一時間(ry
連載も終了して見る人ももう数少ないと思います。が、
自分はまだリト×ミオとリト×お静ちゃんを作っています。
まだできてはいませんがこのまま書き続けてできた時には投下した方がよろしいでしょうか。
皆さんの意見をお願いします。
ご要望があればできるだけ作り続けていきたいと思っております。
>>222 人は減るかもしれません、でも、少なくとも私は、
>>222さんのSSが読みたいです
他にもいっぱいいると思いますよ!
では、投下します
――――ミーンミンミン
うるさいセミの鳴き声がする夏真っ盛りな彩南商店街の一角の、とある店
開いた自動ドアの向こうから、クーラーの涼しい風が流れ込んでくる
リトは顔を扇いでいた手を止めると、代わりに服の襟元をパタパタして冷たいクーラーの
風をいっぱいに浴びた
「あっち〜! なんでこんなに暑いんだよ…」
「文句いわないの! 暑いのはあなただけじゃないでしょ? ね、セリーヌちゃん」
「まう〜」
唯に抱っこされながら、可愛いワンピースを着たセリーヌは、元気に返事をする
日曜日の今日、三人がやってきたのは、彩南街にあるペットショップ
どうしてココにやってきたのかというと
それは昨日の夜の出来事――――…
「まうー」
絵本を手にリビングにやってきたセリーヌは、ソファーに座ってテレビを見ていたリトを
見つけると駆け寄ってきた
「どした? セリーヌ」
「まうっ」
絵本をリトに見せつけるセリーヌの目は、キラキラと輝いている
リトはセリーヌを両手で抱き上げると膝の上に座らせた
「絵本、読みたいのか?」
「まうー!」
セリーヌの持ってきた絵本は、犬や猫の本
パラパラ捲ると、世界中のいろんな種類の犬や猫がカワイイ絵柄で登場する
しばらく絵本を読み聞かせていると、セリーヌが頻りに騒ぎ始める
「まう、まう!」
「どした!?」
「まうー! まうっ」
絵を指差しながらセリーヌは、リトの顔をジッと見つめる
「まう!」
「なんだ?」
セリーヌの言いたいことがリトには、いまいちわからない
頭を掻きながら困っていると、リビングの二人の声が聞こえたのか、キッチンのドアが開いた
「セリーヌはそこに載ってる動物が見たいんだよ」
「美柑」
エプロン姿のまま、手におたまを持ってまま、美柑は腰に手を当てながら溜め息をつく
「あんた、どーせヒマなんでしょ? だったら、明日でもセリーヌを連れていってやりなよ」
セリーヌの無垢な瞳が、じーーっと、リトの顔を見つめる
おねだりするわけでも、駄々をこねるわけでもなく、ただ、キラキラお目目で、じーーっ
と、見つめ続ける
「…セリーヌ、動物が見たいのか?」
「まう〜♪」
ニッコリと笑う娘の姿にリトは頬を掻きながら、やっと重い腰を上げた
「じゃー、明日、ちょっと見にいくか」
「まう、まうー♪」
リトの足元でピョンピョン飛び跳ねて、喜びを弾けさせるセリーヌ
その姿にリトの顔に自然と笑みがこぼれる
「美柑も来るだろ?」
「私? 私は明日、ムリ! モモさんたちと買い物いくから」
「そっか。じゃ――――」
"そうそう、ちゃんと洗濯もの出しといてよ! 明日、洗濯するから"という美柑に曖昧
な返事を返しながら、リトはケータイを開いた
――――なんて事があったわけで
(にしても唯が来てくれてホント、助かったぜ…)
セリーヌと手を繋ぎながら店内に入っていく唯の後ろ姿に、リトはありがとうの視線を送った
店内は最近できたばかりということもあり、広くてキレイで、そしてたくさんの種類の犬や猫
、オウムにフェレットにウサギ等
早速、セリーヌは、近くのノーフォーク・テリアのいるウッディサークルに駆け寄った
「まう!」
柵の外から興味津々に見つめてくる小さな姿に、ゴムボールで遊んでいたノーフォーク・
テリアの子犬の耳がピクンと反応する
セリーヌよりもずっと小さな子犬は、茶色の毛並みを揺らしながらトコトコとセリーヌに近寄ってきた
そして、柵の間からセリーヌの手に鼻を当てて、クンクン、と匂いを嗅ぎ始める
「まう♪ まう♪」
セリーヌは、子犬の愛くるしい姿に負けない笑顔を浮かべて、ピョンピョンと、はしゃぐ
「カワイイわね、セリーヌちゃん」
「まうっ♪」
セリーヌの隣で膝を屈めながら、唯はセリーヌと子犬の触れ合いに柔らかい笑みを口にする
「あっちのコはどんな種類なのかしら?」
「まう?」
唯に手を引かれながらセリーヌは、尻尾をフリフリしているノーフォーク・テリアの子犬
にバイバイと手を振った
サークルの中で元気に飛び回っているのは、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの子犬
白と茶色の毛並みに垂れ耳がキュートな、愛くるしさと気品さ、両方を兼ね備えた由緒ある犬の子供
柵の前まできたセリーヌの体をスパニエルの鼻がクンクン、そして、尻尾フリフリ
どうやらセリーヌは、動物に好かれるらしく、初対面にも関わらず子犬たちは、まったく警戒しない
「まーうー♪♪」
セリーヌは喜びを爆発させた
「ふふ、セリーヌちゃんったら、あんなにうれしそうにして」
リトと並んでセリーヌの後ろ姿を見守る唯の顔は、もうすっかりお母さん
カメラがあったら写真でも撮りそうな唯の元にセリーヌが駆け寄ってくる
「まう、まうっ」
「どうしたの?」
「まう!」
唯の手を引っぱりながらセリーヌが指差す方向には、また別の子犬の姿
今すぐにでも走って行きたいのに唯と一緒じゃなきゃイヤなセリーヌは、唯の手を
グイグイ引っぱって、お目当てのところまで連れて行こうとする
「ちょ、ちょっと待って! セリーヌちゃん」
「まうー!」
セリーヌの好奇心は止まらない
柵の中をグルグル走り回るミニチュアダックスのスムースと、駆けっこしたり
トリミングコーナーでどんどんキレイになっていくコギーに「まう〜」と、感心したり
緑色のオウムに「まう、まう」と、話しかけたり
広い店内を歩き回ること、数十分
セリーヌと一緒に見て回っている最中、唯の視線が時々、違う方向へ向いていることに
リトは気づいていた
「やっぱ気になるんだな」
「何がよ?」
「ネコ好きとしたら、ネコが」
「…うっ」
あまりにも図星なため、唯は顔を苦くさせながら、ぷいっとそっぽを向いた
「い、いいでしょ別に…! 好きなんだからっ」
「じゃー、見てこいよ」
「え?」
「セリーヌならオレが見ててやるからさ。あの様子じゃ、ちょっとムリだろ」
セリーヌは柵の前で、ゴールデンレトリバーの前足にジャレついて遊んでいた
すっかり犬に夢中なセリーヌにどう"ネココーナー"の事を切り出していいのか、唯は
少しヤキモキしていたのだ
「……いいの?」と、窺うような上目遣いの唯に、リトは笑顔で応える
「あ、ありがと!」
唯はぽそっと小さな声でお礼を言うと、セリーヌをリトに任せて猫コーナーに一直線に向かった
実はオープン当日から唯は、何度もココに足を運んでいた
店内はもちろん、どんなコ達がいるのかさえ、カンペキだった
猫コーナーへやってきた唯をアメリカンショートヘアのつぶらな瞳が出迎える
「か…かわいい」
リトですら聞いたこともないようなうれしそうな声を上げると、唯は柵の前で屈んだ
「みー」
「……」
「みーみー」
「…………か、かわいい」
愛くるしい顔立ちに舌っ足らずな鳴き声が、唯のハートを鷲掴む
ボールにジャレついたり、毛繕いを始める様子にボーっと見蕩れること三分
唯はおずおずと子猫に手を差し伸べた
「おいで、おいで」
唯の声と手に子猫は振り返ると、すぐにぷいっとそっぽを向ける
「なっ…!? ふ、ふん! 別に来なくてもいいわよ!」
精一杯の強がりを残し立ち上がると、唯は未練いっぱいの顔をしながら次に向かう
「こっちおいで」と呼ぶ唯にターキッシュアンゴラの子猫は、プイっと顔を背け
人見知りのするソマリは、唯の声に柵の奥から一歩もでてこず
甘えん坊なはずのノルウェージアン・フォレストは、ちょっと近寄るだけ
好奇心旺盛なアビシニアンですら、「みーみー」と鳴くだけに終わり
シャムにいたっては、完全無視をされる始末
「な…なんでよ…」
目尻にうっすらと涙を浮かべて軽くショックを覚える唯の手を、小さな手が握り締める
「セリーヌ…ちゃん」
「まう♪」
セリーヌはニッコリ笑うと両腕を上げて抱っこのおねだりをする
「ちょ…ちょっと待ってね」
うるうるしていた目を慌ててハンカチで拭くと、唯はセリーヌを抱き上げた
唯の目の高さまでやってくると、セリーヌの手が唯の頭を"ナデナデ"し始める
"だいじょうぶまう。セリーヌがいるまう!"とでも言うように
キョトンとなる唯にセリーヌは、にぱっ、とヒマワリの様な笑顔を咲かせる
「もしかして…セリーヌちゃん…、心配してくれてるの?」
「まう」
セリーヌの小さな両手が唯の頬を包む
唯は目をパチパチさせると、幼いながらもそのあったかい優しさに、ふっと顔を和らげた
「そっか。ありがと! セリーヌちゃん」
「まーう♪」
セリーヌはそう返事すると、唯のほっぺに自分のほっぺをスリスリさせ、チュっとキスをした
「せ、セリーヌちゃん!?」
驚く唯にセリーヌは誰にも負けない笑顔を送る
そしてもう一度ほっぺにキス
「まうっ♪」
「……ッッ」
リトとは違う感触
小さくて、だけど「スキスキ」って気持ちがいっぱい詰まっていて
唯は周りのお客さんの存在も忘れて、お返しとばかりにセリーヌのほっぺにキスをした
「ま〜う〜♪」
セリーヌは、とろけるような笑顔を浮かべながら唯に、ぎゅ〜〜っと抱き付いた
その小さな体を唯は、リトとは少し違う愛情を込めて、抱きしめる
「セリーヌちゃん」
「まう!」
唯とセリーヌは、ニッコリと見つめ合った
すると、それまで唯を避けていた子猫たちが唯の方へと近づいてくる
「え…、ど、どうして…」
アビシニアンの子猫が柵の中から「みーみー」と、小さな前足を伸ばしながら唯を呼ぶ
「え、えっと…」
猫に、それも子猫に懐かれるなんて初めての唯は、戸惑いながらも手を近づけた
幼い鼻を唯の手に近付けて匂いを嗅いで、前足で指にジャレつく子猫
手にほっぺを擦りつけて匂いを付けたり、小さな口で甘噛みしたり
そんな子猫に唯は、ただ目を丸くするばかり
子猫はますます唯の手に興味を示し始め、前足を使って遊び始める
「な…何で…? さっきはこんな事なかったのに…」
「肩の力が抜けたからじゃねーかな?」
唯の隣で膝を屈めて柵の中の子猫の頭をナデナデしながらリトは、苦笑した
「お前、さっきまでスゲー近寄りづらい雰囲気だったからな」
「そ、そんな事っ……私はそんなつもりじゃ…」
「お前がそんなつもりじゃなくても、動物ってそーゆーコトすごい敏感だろ? わかるん
だよ。"このヒトは、だいじょうぶかな?"って」
「……っ」
リトの言ったとおり、少し力が入っていたのかもしれない
その証拠に今は、ずっとカラダが軽いし、何より気分がイイ
唯はソノきっかけをくれたセリーヌにお礼を言うべく、もう一度、セリーヌをギュッと抱きしめる
「まう?」
「あなたは誰かさんと同じで、優しい気持ちにさせてくれるのね」
「へっ? 誰かって誰?」
「さ、さァ、知らないわよ」
唯はツンとそっぽを向いて顔を隠すと、セリーヌを抱っこして立ち上がった
その足取りは、さっきまでと全然違ってとっても軽い
「あれはなんて言うネコなのかしら?」
「まう、まう」
セリーヌと一緒にネココーナーを見て回る唯の横顔は、ご機嫌そのもので
リトはその横顔に笑みを浮かべると、二人を追いかけるように、後を追った
「ありがとうございましたー!」
ショップ店員の声を背中で聞きながら自動ドアを開けると、ムワっとした夏の暑い空気が
吹き付けてくる
「暑い……。なァ、どっか入ってメシでも食わね? セリーヌもお腹空かしてるしさ」
「まう…」
アスファルトを焼き付ける暑さにセリーヌも、さきほどまでの明るさを忘れ、すっかりグ
ダってしまっている
「そうね。そろそろお昼だし。どこか食べにいきましょ」
肩のカバンを抱えなおし、唯はセリーヌの頭をよしよしと撫でた
「じゃあ、なんか食いたいモノとかある?」
「ん〜…セリーヌちゃんもいるし、近くのレストランでいいと思うわ。涼めるしね」
「決まりだな。セリーヌ、もうちょっとガマンしてくれな」
「ま…う…」
リトの腕の中でセリーヌは、小さく返事を返した
「まう〜♪♪」
自分の前に運ばれてきたお子様ランチにセリーヌの目が輝く
セリーヌは早速、カラフルな旗が立ってあるオムライスをスプーンですくって、パクっと
口に入れた
「おいしい? セリーヌちゃん」
「まうー♪」
笑顔で応えるセリーヌに唯は安心したようにホッと息をつくと、パスタをフォークとスプ
ーンで上手に取り分けていく
「にしても、今日は、マジで暑いぜ…」
熱々のハンバーグをナイフで切りながら、リトは窓の外に目を向けた
「こんだけ暑いと、そろそろ海とかプールとかいきたくなるよな」
「え、ええ。そうね…」
赤エビをフォークに突き刺しながら、唯は歯切れ悪く応える
「あれ? 行きたくないのか? 海」
「そんなわけ…」
「…もしかして、まだ泳げないこと気にしてるのか?」
エビを口にした唯の顔が赤く染まる
「ちっ、違うわよ! 誰もそんなこと言ってないでしょっ?!」
「だったらさ、今度、セリーヌ連れていこうぜ。コイツ、まだ海とか知らねーから、見せてやりたんだ」
大きな口を開けてミニハンバーグをおいそうに食べるセリーヌにリトの優しい視線が注ぐ
「お前の泳ぎの練習もちゃんとやるからさ」
「そ、それならまあいいけど…」
ケチャップで汚れたセリーヌの口を拭く唯の声は、まだ戸惑いを隠しきれない
「それより、セリーヌちゃんの水着はあるの? 初めてだったら浮輪とかも必要なんじゃないの?」
「美柑のヤツが『そろそろセリーヌの水着とか用意しなきゃね』とか言ってたんだけど…。
なんだったら、今から見にいくか?」
「ええ…」
唯はそこで言葉を切ると、リトに上目遣いを送る
「あ、あのねっ、…あの…、その…、結城くん…」
「ん?」
「…私も水着、買っていい…?」
「新しいやつ? いいぜ」
快く返事をしてくれたリトに唯は、ホッと胸を撫で下ろすと同時に、こっそりと気合を入れた
水着を買う。それもリトと一緒に
今年の流行りを抑えるのは、もちろんだけれど
リトの好みのタイプの水着に、好きな色とか柄とか
アレコレと頭の中でいろんな妄想をさせながら、唯は努めて落ち着いた声を口にした
「ありがと。じゃ、食べ終わったらいきましょっか」
「まう♪」
食後の紅茶を飲む唯の隣でプリンに夢中なセリーヌは、プリンを口に入れると、元気な声を弾けさせた
「うぅ…なんかこーゆートコ、すげーキンチョーするぜ」
デパートの水着売り場、カラフルな女の子用の水着に囲まれたリトは、一人顔を赤くしていた
「何してるのよ? 早くいくわよ!」
「まうー」
セリーヌを肩に抱っこしながらどんどん奥に進んでいく唯
その後ろ姿が見えなくなる前にリトは、慌てて後を追いかけていく
「ちょ…ちょっと待ってくれって! やっぱりオレ、外で待ってるよ。なんかココ…」
恥ずかしさいっぱいなリトの声を振り返った唯のジト目が黙らせる
「な…何だよ?」
「…………あなた…」
「え?」
唯は体ごとリトの正面に向けると、ジト目をさらに深くさせる
(うっ…! な…なんか怒ってる…?)
唯の迫力にリトは、生唾をゴクリと飲み込んだ
リトをジッと睨みながら唯は、ピンク色の唇でポソっと呟く
「気にならないわけ? 私の水着…!」
「え…?」
たっぷり二秒かけて返事を返したリトにセリーヌは、相変わらず「まうー」っと、ニコニコ顔
唯は頬をほんのりとサクラ色に染めながら、ジリっとリトに詰め寄った
「どうなの?!」
「ど、どうって言われても…」
唯の水着に、唯の水着姿
気にならないわけがない
けれど、何と応えたらいいのかわからないリトは、あたふたするばかり
唯は右腕だけでセリーヌを抱っこすると、左手を腰に当てた
「だいたい! 海に行こうって言ったのはあなたじゃない! ちゃんと責任取りなさいよねっ!」
「責任って…」
「私の水着も、セリーヌちゃんの水着も、ちゃんとあなたが見てくれないとダメなのっ!
そこのところわかってるの? 結城くん…」
腰から離した手をビシっとリトに向けながら、唯のお説教という名の力説は、しばらく続いた
「う〜ん…」
たくさんの水着を前に唯は一人、難しい顔になっていた
この場所に来て、すでに三十分以上
悩みに悩んだ唯の両手がとある二つの水着を掴む
「コレなんてどうかしら?」
唯が手にしたのは、白に黒のラインがあるホルダービキニ
もう片方の手には、花柄模様のワイヤーのキュロパン
唯はそれぞれの水着を体の前で合わせながらリトに視線を送る
水着を選ぶ時も、リトに意見を求める時も、唯の目は真剣そのもの
唯からセリーヌを預かったリトは、セリーヌを腕に満足気に頷く
「えと…いいんじゃねーかな? 似合ってると思うぜ!」
「まうー!」
リトとセリーヌ。二人の反応に唯は、顔を曇らせる
「あ、あれ? 気に入らなかったのか?」
「まう?」
キュロパンを元あった場所にかけ直しながら唯は、少し口を尖らせる
「……そればっかりじゃない…」
「え?」
「さっきから結城くん、同じことばっかり言って。ほかに何か言えないわけ?」
唯の顔は怒っているというより、拗ねているといったほうがいいのかもしれない
その証拠に、かわいい頬が少し膨らんでいる
「結城くん!」
「そんな事いわれても…」
声にトゲを滲ませてくる唯を前にリトは頭を掻いた
もともと、女の子を褒めたり、気の利いた事を言うのが苦手なリトは、こういった場合、
何て言ったらいいのか、どんなリアクションを取ればいいのか、いろいろとわからない事だらけ
そもそも、唯の選んだ水着は、本当に似合っていると思うから、"似合ってるよ"と言った
のに、唯はソレでは満足できないらしい
(な…何がダメなんだよ…)
む〜っと視線を送り続けてくる唯にリトの頬に冷や汗が浮かぶ
難しい女の子心がいつまで経っても中々、わからないリトの元に、その時、助け舟がやってくる
「お客様、いかがなさいましたか?」
店員のお姉さんの登場にリトは、兎にも角にもホッと安堵のため息をついた
「一度ご試着なさってはいかがでしょう?」
「試着、ですか?」
頼りにならないリトにムスっとなりながら、唯はお姉さんにいろいろと相談に乗ってもらった
その手には、数着の水着がある
「はい。あちらでご試着できますよ。旦那様にお見せになさってはいかがでしょう?」
「だ、旦那!?」
「え…ちょっ」
唯とリト、二人はそろって顔を赤くして、声を上げた
唯は真っ赤に染まった顔のまま、リトを指差しながら、慌てて口を開く
「ち、違います! だっ、誰がこんな人と!!!」
「こんな人とはなんだよ!?」
「あなたのことよ! 他に誰がいるのよっ!?」
「って、お前まだ怒ってるのかよ…」
「な…何よ? だ、だいたい、それもこれも、結城くん、あなたがね…」
「お、お客様、落ち着いて!」
店の真ん中で突然言い合いを始める二人を宥める店員さんの悪戦苦闘は、その後、数分続いた
唯がツンツンしながら更衣室に入ってすでに十数分
更衣室の前でリトは、唯に聞こえないように溜め息を吐いた
「まう?」
腕の中のセリーヌがキョトンとした顔を向けてくる
セリーヌのあまりにも純粋で無垢な視線にリトは、思わず苦笑を浮かべた
「悪いな、セリーヌ。オレたち、こんなのばっかだよな…」
"ゴメンな"と謝るリトにセリーヌは、にぱっと笑う
そして、更衣室を「まう、まう」と指差す
「ん? セリーヌも気になるのか? 唯の水着」
「まう!」
「オレも。まだかな、唯」
そんなやり取りをしていると、更衣室の中からぽそぽそと、唯の声が聞こえてくる
「結城くん…」
「お、着替え終わった?」
「ええ…。それでその…カーテン開けるからね」
微かに深呼吸をする仕草が聞こえ、三秒後、更衣室のカーテンが開いた
「こ、こんな感じなんだけど…」
「!!?」
開いたカーテンの向こうに見える光景に、リトは目を丸くしたまま言葉を失った
更衣室の段差が境界となって見つめ合うリトと唯
何も言わず、ただぼーっと立ったままのリトに、次第に唯の目がすぅっと細くなる
「…結城くん?」
「……」
「…ちょ…もう! 結城くん!!」
「へっ」
素っ頓狂な声を上げ、目をパチパチさせるリトに、唯は腰に手を当てた
「"へっ"じゃなくてっ! どうなのよ!? その……私の水着は…」
ほっぺを赤く染めながら、唯はツンとリトから視線を逸らす
その声に我に返ったようにリトは、慌てて口を開く
「い…いや、似合ってるぞ! うん! スゲー似合ってる!」
「……」
「ホントだって!!」
「……そう」
と、だけ言うと、唯は更衣室のカーテンを閉めた
リトは胸に手を当てると深い溜め息を吐く
(ってなんかすげえドキドキしちまった…)
胸に当てた手から心臓の音がうるさいほど伝わってくる
顔だってなんだか熱い
鏡を見ればきっと赤くなった自分の情けない顔が映るだろう
(―――ドキドキして……なんか…見蕩れちまった…)
今まで唯のふとしたカオや、ふとした仕草にドキドキしたことはあっても
言葉が出てこないほどのインパクトを受けたことはなかった
(アイツの水着姿って何回も見てるはずなのになァ…)
日に日に"女の子"から"女"になっていく唯
それはセリーヌのせいなのか、自分のせいなのか、リトにはまだ理解できなかった
そんなコトを自問自答していると、再びカーテンが開く
「なんかちょっと大胆……すぎると思うけど―――どう?」
赤い扇情的なビキニが胸を必要以上に強調し、胸の谷間で結ばれた細いリボンが可愛さを
プラスする、俗にいう紐ビキニ
リトのまじまじと向けられる視線に、もじもじと身動ぎする唯の魅力的な太ももが、腰に
巻いたスカートを悩ましげに揺らす
「…どうなの?」
「えと…」
「どうなのよっ?」
リトは唾を飲み込みながら、沸騰する自分を抑えるのに精一杯だった
そんなリトの様子に唯の顔に険悪なモノが浮かび始める
「もう、ちゃんと答えなさいよねっ! いったい誰のために着てると思ってるのよっ!?」
目をツリ上がらせる唯に応えたのは、リトではなく、セリーヌだった
「まう〜♪」
「え?」
リトの腕の中でおとなしくしていたセリーヌは、唯の胸の中に飛び込んだ
「キャ―――!?」
更衣室の中で尻モチを付きながらセリーヌを受け止めた唯の胸のリボンが、弾みで解けてしまう
「え、やだ…!?」
咄嗟に腕で胸を隠そうとする唯だったが、その前にセリーヌが反応した
「ま〜う♪」
「やンっ」
唯の口からカワイイ声が飛び出す
「せ…セリーヌちゃん…!?」
「まう♪ まう♪」
セリーヌがニコニコ顔で口にしているのは、唯の胸
チュパチュパと音を立て出すセリーヌと、顔を赤くしたまま悶える唯の息遣いに、次第に
周囲から視線が集まり始める
「や、ヤバっ! セリーヌ! コラ、ダメでしょ!」
「まー」
急いで唯からセリーヌを取り上げたリトは、半笑いという名の誤魔化し笑いを浮かべなが
ら、慌ててカーテンを閉めた
その後、リトに本日二回目のお説教をキッチリと済ませた唯は、セリーヌの水着選びに向かった
アレでもない、コレでもないと、自分の水着選び以上に時間をかける唯
セリーヌの反応や、リトの頼りない意見を聞きながら、たっぷり一時間以上かけて選び抜いた
(うェ〜…なんで唯も美柑も、女のコってこんな買い物に時間かけるんだ…)
グッタリした様子で唯とセリーヌの少し後ろを歩いていると、ピタリ。急に唯の足が止まった
「ちょっとあなた! しっかりしなさいよねっ! いつまでそんな見っともないカオして
るのよ! セリーヌちゃんが見てるのよ?」
「まうっ!」
話がわかっているのか、わかってないのか、とりあえずセリーヌは元気な声を出した
「わ、わかってるって!」
「ホントかしら…」
ツンとした顔のまま唯は、カバンを肩にかけ直した
そして、コホンと咳払いを一回
今度はさっきとは打って変わって、キリっとした目付きを少し言いづらそうなモノに変え
てリトに視線を送る
頬もなんだか赤い
「それよりその……水着! ホントにアレでよかったの?」
結局、水着は最初に着けた、胸元にフリルをあしらったさわやかなグリーンの水着
唯自身もかなりお気に入りだったらしく、なにより、リトの反応が一番よかったというが
一番の理由なのだが
「ああ、スゲーいいと思うぜ! あの水着」
「そう…」
相変わらずなリトの感想に若干の物言いはあるものの……
(でも、結城くん、すごくうれしそうなカオしてたわよね…)
更衣室の前でドキドキしていたリトの顔を思い出しながら
唯は胸の中だけでクスッと笑うと、セリーヌの手を握りしめ歩き始めた
「ほら、早くこないと置いていくわよ? 結城くん」
「ちょっと待ってくれって!」
唯から預かった水着の入った買い物袋を揺らしながら、リトは唯の隣にならんだ
エスカレーターに向かってしばらく歩いていると、ふとリトの耳に涼やかな音が聞こえてくる
「あれって…」
リトの視線の先――――フロアの真ん中に大きな笹飾りが置かれている
「ああ、そっか! そーいや、今日って七夕だったよな」
「まう?」
巨大な笹飾りにセリーヌはキョトンと首を傾げる
「セリーヌちゃん七夕って知らないの?」
「まーうー?」
人差し指を咥えるセリーヌの小首が揺れる
「じゃあ、ちょっと見に行きましょうか」
唯はセリーヌを連れて笹飾りの前までくると、そびえ立つ笹飾りを見上げながら、
セリーヌに話し始めた
「コレは笹飾りって言ってね。一年に一度、七月七日の七夕の日に飾るモノなのよ」
「まう」
「セリーヌちゃん、あそこ見て。たくさん何か吊るしてるでしょ? アレは短冊と言って、
願い事を書けば、願いが叶うって言われてるの」
セリーヌの目が、幼稚園の子ども達が作ったモノだろう――――折り紙で出来た
スイカや網飾り、提灯、そして、たくさんの短冊に注がれる
その中の一つ、大きな二つの星にセリーヌの興味が全力で集中する
「まう、まう!」
「ん? あれは……たぶん織姫と彦星じゃないかしら?」
「まう?」
「織姫と彦星。七夕伝説って言ってね――――昔、遠い国に織姫と彦星って言う二人が
いたの。二人は愛し合っていたわ。とっても。でもね…」
唯は、そこで一旦、言葉を切った
唯の瞳をセリーヌの大きな瞳が見つめる
セリーヌの顔を見て、そして笹飾りの大きな二つの星を見ながら、唯は続きを口にした
「でも――――二人は、離れ離れになってしまったの」
「まう?」
「そして年に一回、七月七日の夜にしか会えなくなってしまったのよ―――…」
サラサラと涼しげな音を奏でる笹飾りを見つめる唯の瞳に、わずかな揺らぎが生まれる
「唯…?」
唯の隣で黙って『七夕伝説』の話を聞いていたリトは、その横顔に眉をひそませた
「…………」
笹飾りを見つめたまま黙ってしまった唯の表情に何を想ったのか
セリーヌは、唯の胸にギュッと顔を寄せた
「セリーヌちゃん?」
「まー」
「……っ」
いつもよりもずっと力をこめて抱きついてくるセリーヌに、唯は目を瞬かせる
そして、口元にやわらかい笑みを浮かべ、セリーヌの頭を"よしよし"と撫でた
「どうしたの? 私の顔、何かついてた?」
「まう、まうー」
少し心配気なセリーヌを安心させるように唯は、おデコをセリーヌのおデコにくっつけて呟く
「…ありがと。私はだいじょうぶ。だいじょうぶよ。だから安心してセリーヌちゃん、ね?」
「え…」
最後の一言は、リトの顔を見ながら言ったものだった
「な、何?」
「なんでもないわよ」
唯は本当に何でもなかったかのようにもう一度笹飾りを見つめると、リトを置いて歩き出した
「ちょ…ちょっ、唯!?」
「なんだか甘いモノが食べたくなってきたわね、セリーヌちゃん」
「まーう♪」
セリーヌは唯の顔を見つめながら、満面の笑顔
どんどん先を歩いていく二人にリトは、笹飾りを見上げ自問した
(さっきのって、どーゆー意味だよ…)
――――が、結局、答えを得られないまま。リトは、頭を掻くと走って二人の後を追いかけた
その足音を背中で聞きながら、唯はセリーヌの顔を見つめて、小さく呟く
「私のこと、離したりしたら許さないからね、結城くん」
「まう!」
唯はセリーヌと秘密の会話を終えると、後ろから追いかけてくる彦星に想いを馳せながら、
くるっと後ろを振り返る
「ほら、早く、早く。セリーヌちゃんが待ってるわよ」
「――――おまたせしました! こちら桃と、梨と、マンゴーのアイスになります」
唯が「ココ、おすすめよ!」と教えてくれたアイスクリーム屋の前
リトはアイスクリーム屋のお姉さんからカップを三つ受け取った
「えっと…唯がマンゴーで、セリーヌが桃だよな。はい」
「ありがと」
「まうー」
三人はベンチに腰掛けると、スプーンでアイスの山を一口掬う
「ん〜、冷たくてうまいな」
「セリーヌちゃん、どう? おいしい?」
「まう♪」
ピーチ味のアイスがついたウエハースをおしそうに食べるセリーヌの姿に笑みを浮かべつつ、
唯はマンゴー味のアイスを口にした
「それはそうと、あなたはどこか行きたいトコとかないの?」
「え? オレ?」
少し甘めの梨のアイスを口にしながら、リトは唯に視線を向けた
「だってあなた、今日、ずっと私の買い物に付き合ってくれたじゃない。なんだか悪いわ…」
「気にしすぎだって!」
顔を曇らせる唯にリトは、ニッと歯を見せながら笑みを浮かべる
そして、アイスをスプーンで掬くうと口の中に入れた
「つかオレ、別にイヤだとか思ったことないぜ? むしろ楽しいぐらいだしさ」
「そ…そうなの」
「ああ。唯とセリーヌと三人で出かける事なんてあんまりないだろ? なんか、特別って
感じがするけどな!」
そう言うとリトは、アイスを口にした
「…特別…なんだ」
唯はアイスを食べるのも忘れリトの横顔に見入ってしまう
「にしても初めて食ったけど、お前が言ったとおり、ホントにうまいよな、ココのアイス!」
「……っ」
ドキドキと胸の音がうるさくて、周りの音が聞こえない
やけに熱くなっている手に、冷たいカップが心地よく感じる
(と…特別とか……そんな事、真顔で言わないでよねっ!)
唯はようやく、手の中のアイスカップに視線を落とすと、小さく「そうね…」とだけ呟いた
そして甘いマンゴーを口に入れると、うれしそうに淡い笑みを浮かべた
「まう! まう!」
次の目的地――――リトの服を買いにショップに向かっていると、リトに肩車されていた
セリーヌが頭の上から声を上げた
〜夏の日〜終わり
今回、とっても長いです。なので4回に分けて投下したいと思います
次は、ちょっと間を置いて、夜に投下します
うぜえw
>>222 是非投下してくれ!楽しみに待ってるからな・・・
>>235 ゴッジョブ!続き待ってるぞ、裸で(ry
239 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 20:41:50 ID:IDEHBJba
自分は「リトと唯」好きなので嬉しいです。
お待ちしています。
では、2つめを投下します
「ん? どした? セリーヌ」
「まうー」
セリーヌの指さす方へ目を向けると、二人の目にゲームセンターが映る
「もしかしてセリーヌちゃん、ゲームセンターいきたいの?」
「まう!」
ガヤガヤと賑やかな店内を見つめるセリーヌの瞳に、キラキラと輝くお星さまが浮かぶ
セリーヌはリトの顔をペチペチ触りながら、ゲームセンターに入るように促す
「まう! まうっ!」
「ああ、もう、わかった! わかったからやめなさい!」
「まうー♪」
「ったく、唯、ちょっと寄り道してもいいかな? たぶんすぐに気が済むと思うからさ」
「私は別にかまわないけど…」
と、一旦、言葉を切った唯の表情が微妙に曇る
「それよりセリーヌちゃんってゲームに興味あるの?」
「キョーミつーか、オレとかナナがやってるのマネして、一人で遊んでるだけだけどな!
画面の中でいろいろ動いたりするのがおもしろいんだって、モモのヤツが言ってたよ」
頭の上のセリーヌを宥めながら苦笑を浮かべるリトに唯は、「ふ〜ん」と気のない返事を返す
「って何だよ?」
「別に…。誰かさんみたいに、大好きなゲームばっかりになるんじゃないかって心配したのよ」
「……もしかしなくても、ソレ、オレのこと…?」
げんなりと呟くリトに唯は、胸のあたりで腕を組むと、ツンとそっぽを向いた
「…ま、まァ、とりあえず行ってみよーぜ? おもしろいのがあるかもしれねーじゃん」
「言っとくけど、おもしろい、おもしろくないに関わらず、すぐに出るわよ? こんな
ところ、セリーヌちゃんの教育に悪いんだからっ!」
「わかってる。ちょっと見るだけだよ」
そう言うとリトは、店内には入らず、入口にあるUFOキャッチャーコーナーに向かった
「な、ココなら心配いらねーだろ?」
「え、ええ…」
それでもキョロキョロ周りを見渡しながら、不審なモノや、教育上よくないモノがないか
どうか、唯のチェックは厳しい
まだムスっとしたままの唯に苦笑いしながら、リトは肩からセリーヌを下ろすと唯の腕に預けた
「なんか欲しいのあったら言ってみろよ。オレが取ってやるからさ」
「え…」
ムッとしていた顔が一変、唯の目が丸くなる
「い、いいわよそんなの…! 別になにか欲しいから来たわけじゃないし」
「そーじゃないって! オレが唯にプレゼントしたいんだって」
「え」
今度こそ唯の頬が真紅に染まる
「ぷ…プレゼントとか…こんなところで何言ってんのよっ!」
「いや、なんつーか……日ごろの感謝っつーか…その……と、とにかく! なんか欲しい
のあったら言ってくれ! 唯のために取ってやるからさ!」
「私のため……に」
リトの言った一言は、正確に唯の胸の奥を撃ち抜いた
セリーヌを胸に抱き直しながら、赤く染まった顔がもごもごと動く
「どれがいい?」
「そんなっ……ちょっと待って! ――――あ、アレ、がいいかな」
「ん?」
唯の視線の先には、ネコのぬいぐるみがいっぱい入ったUFOキャッチャー
白ネコや黒ネコのつぶらな瞳がジッとこちらを見つめている
「さすがネコ好き!」
「うるさいわね!!」
ツンとそっぽを向く唯に笑みをこぼしながらリトは、早速、お金を投入した
「だいじょうぶなの? ムリしないでよ」
「任せとけって! こーゆーのは…」
心配そうに見つめる唯の視線の先でリトは、どこか得意気な顔になってレバーを操る
「まうー」
ガラスケースに鼻をくっつけて見ているセリーヌの大きな目が、クレーンの動きに合わせてキョロキョロと動く
何回かレバーを動かすとリトは、レバーの横の赤いボタンをポチっと押した
「まう?」
興味津々なセリーヌの目の前でクレーンは、下降を始め、ピンポイントでネコを掴み上げていく
唯は安堵と呆れが入り混じった溜め息を口にした
「ホント、こんなどうでもいいコトだけは、上手なんだから」
「うっせー! ってあれ?」
クレーンの先の異変にリトは、眉を寄せた
「どうしたの?」
「いや、もう一個くっついてきてるんだよ」
「え?」
クレーンの先には、お目当てのぬいぐるみと、そしてもう一つ、ミニサイズのぬいぐるみが
ピッタリとくっついていた
「へー。ラッキーじゃん!」
ガタンと取り出しボックスの中に落ちてきた二体のぬいぐるみをリトは、屈んで取り出した
「ホラ、コレでよかったんだろ? っておまけもついてきたけど」
ニッと歯を見せて笑うリトから唯は、照れくさそうに頬を染めながら「ありがと…」と、
ぬいぐるみを受け取る
同じ色の、だけど大きさが違う、まるで親子のような二匹のネコ
手の中のぬいぐるみをうれしそうに見ていると、肩にしがみ付いていたセリーヌがぬいぐ
るみに身を乗り出し始めた
「まう、まうー!」
「えっ、セリーヌちゃん?」
大きい方のぬいぐるみをセリーヌの小さな手が掴む
「コラ、セリーヌ! コレは唯のだろ? お前のもちゃんと取ってやるからやめなさい!」
「まうー!」
セリーヌは手を離さない
「セリーヌ!」
「も、もういいわよ! こっちはセリーヌちゃんにあげるわ。はい、セリーヌちゃん」
「まうっ♪」
ぬいぐるみを手にニッコリとほほ笑むセリーヌにリトは溜め息を吐いた
「ったく…ゴメンな」
「別にいいわよ。私にはこっちがあるしね」
"あなたがプレゼントしてくれたモノ―――私、一生、宝物にするからね"
と、心の中で呟くと、唯は子猫のぬいぐるみを胸に抱きしめた
「じゃーそろそろ行くか?」
「そうね。ちょっと寄り道しすぎ―――」
その時、唯の頬にポツリと水滴が落ちてきた
「え…」
リトと唯は揃って空を見上げた
いつの間にか、どんよりと立ち込めている雨雲で空は、異様な雰囲気になっている
「マジかよ…」
「まう…」
リトの胸にしがみ付くセリーヌの顔も晴れない
そうこうしている内に、ポツリポツリと降っていた雨粒は、みるみるとその雨足を強め、
すぐにドシャ降りへと変わる
「ヤバッ」
「結城くん、セリーヌちゃんを!!」
「わかってる!」
セリーヌをギュッと抱きしめると、リトと唯は、雨宿りができるところを探して駆けだした
「だいじょうぶか? 唯」
「ええ…」
額に張り付いた前髪を指で払いながら、唯は沈みがちな声で応えた
三人が雨宿りにやってきたのは、近くにあった電話ボックス
すぐ近くにあったのと、遠慮せずに入れるという理由で咄嗟に選んだのだが――――
「セリーヌもだいじょうぶか?」
「まうー♪」
濡れた顔を両手で"ふきふき"するセリーヌに唯は、カバンの中からハンカチを取り出す
「にしても天気予報じゃ、今日は一日中、晴れだって言ってたのになァ…」
「ええ、たぶん一時的なモノじゃないかしら? すぐにやむと思うわ」
外はまだ雨
降り続ける雨に唯は、知らず知らずの内に小さな溜め息をつく
「それにしても…」
「え」
突然、ジト目になって睨みつけてくる唯にリトは息を呑む
「な、何?」
「結城くん…もうちょっと離れて。ちょっとくっつきすぎよ!」
狭い電話ボックスに押し込められる形になった三人の体は、それはもう、お互いを意識し
過ぎてしまうぐらいに近い距離になっていた
顔はすぐ近く、互いの息がかかる距離にあるし
唯の大きめな胸は、リトの胸板にあたっているし
リトの腰も唯の下半身に触れそうだし
「ってそんな事いわれても」
身動ぎを始めたリトの膝が唯の太ももに触れ、スカートを押し上げながら両ももの間に入っていく
「ちょっ、ちょっと!?」
「わ、わざとじゃねーって!」
慌てるリトの膝がますます唯の両ももを押し広げ、すこしずつ唯の腰がリトの膝の
上に落ちていく
「あ、あなたね…」
「ちっ、違うって! ホントだって!」
そうこうしている内、唯の股にリトの膝が食い込む
「ンっ…」
思わずおかしな声が出そうになるのを無理やり喉の奥にしまい込むと、唯はギリっと
リトを睨みつける
「ゆ、結城くん…」
「そんな事言われたって…!」
「まう♪」
そんな二人の様子にリトの頭の上にいるセリーヌは、どこまでも楽しそうだ
「セリーヌちゃんがいるって言うのにどこまでハレンチなわけ?」
「し、仕方ねーだろ! オレだって―――」
と、その時、ピカッと光が辺りを包み
そして一瞬のあと、すさまじい音が上空から降ってくる
「キャ―――!?」
「うわっ!?」
「まー♪」
唯はリトにしがみ付いたまま体を小さくさせた
ふるふると震えるその頭に、ポンっとあったかい感触が触れる
リトの手が唯の頭を優しく撫でる
「心配すんなって! ただのカミナリだからさ」
「雷…?」
空はまだゴロゴロとイヤな音を響かせている
時折、どこか遠くに落ちた雷の音に唯の小さな肩がピクンと跳ねる
濡れて冷たくなった肩に、リトの手がそっと触れた
「結城…くん」
呟きと同時に、唯の体がリトの両腕に包まれ、胸の中へ
「そーいえば唯もカミナリ苦手だったっけ? 美柑もカミナリ苦手でさ、一緒だな」
「そう…なんだ」
唯はリトに体を預け、顔を胸板にうずめた
グッショリと濡れたリトのTシャツは、胸のところだけ、唯のほっぺの熱で少しだけあったかくなる
トクントクンと、リトの胸の音を聞きながら、唯は両手をリトの背中に回した
「へーきか?」
「……っ」
「唯?」
「も…もう少し―――…」
キュッとしがみ付いたまま数秒
唯の口が何かを呟くよりもわずかに早く、セリーヌが二人の間に降りてくる
「まう!」
「!? せ、せせ、セリーヌちゃん!!?」
セリーヌは唯の目の前いっぱいに、雨の日に似合わない、お日様のような笑顔を咲かせる
唯は慌ててリトから体を離した
「ちっ、違うのよ! セリーヌちゃん! コレは…」
「まうー♪」
唯の肩にしがみ付きながら、セリーヌは唯の顔をジッと見つめる
唯の顔がいっぱいに映るキラキラの瞳は、唯の全てを見透かすかのように澄み切っていた
自然と、唯の頬に熱が灯っていく
「ちょ…ちょっとビックリしただけだからね!! それを結城くんが助けてくれたって言うか…」
などと必死の言いわけをしていると、電話ボックスの中に眩しい夕日が差し込んできた
「雨、あがったのか…?」
「そう……みたいね」
電話ボックスの扉を開けると、雨上がりの独特の匂いと一緒に、近くの街路樹に止まって
いるセミのうるさい鳴き声が耳に飛び込んでくる
狭い電話ボックスに閉じ込められていたせいか、リトは出てくるなり思いっきり伸びをした
「一時はどーなることかと思ったぜ」
「まったくだわ。本当にイヤな夕立だったわね。セリーヌちゃん、だいじょうぶだった?」
「まう…」
濡れた服の着心地にセリーヌの愛らしい顔が歪む
ハンカチでセリーヌの髪や顔を拭いている唯の隣で、リトは時計を確認した
「これからどーする? って言っても、もうちょっとで五時だけど」
「…そうね。今日はもう帰りましょっか? 買い物も終わったし、それに服とかも着替えたいしね」
「そうだな。オレもセリーヌを乾かしてやりたし」
そう言うとリトは、唯からセリーヌを受け取った
「まうー」
リトの腕の中からセリーヌは、手をうんと伸ばして唯の服を掴む
「セリーヌちゃん?」
「セリーヌ。もう帰らなきゃダメだろ?」
「まーうー!」
どんなに言ってもセリーヌの小さな手は唯の服から離れない
唯はクスっと笑うと、セリーヌの目線の高さに合わせるため膝を屈めた
「また三人で遊びましょ。今度はセリーヌちゃんの行きたいところでね」
「ま…ぅ」
お別れをする唯にセリーヌの大きな目がうるうると滲みだす
「せ…セリーヌちゃん?」
「どーしたんだ?」
初めて見せるセリーヌの表情にリトと唯は、思わず顔を見合わせた
セリーヌは唯の服を離さない
そればかりか、ますます力を込めて唯を引っ張る
「お、おい! セリーヌ、やめなさい! 唯が帰れないだろ?」
「まー! うー!」
まるで駄々っ子のように半ベソをかきながらセリーヌは、手足を振り回してリトの腕の中で暴れる
「セリーヌ!?」
「まうー!!」
まったく言う事を聞く気配のないセリーヌ
その頬に唯の手が触れる
「ま…う?」
セリーヌの動きがピタリと止まる
そしてセリーヌは、唯の服から手を離すと、自分の頬にある唯の手をその小さな手で握り締めた
「ごめん、唯。あとでちゃんと言っとくから…」
「いいわよ別に。それよりどうしたの? セリーヌちゃん」
「ま…ぅ…」
セリーヌの大きな瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれてくる
唯はその涙を指でそっと優しく拭き取っていった
「泣いたら、せっかくのカワイイ顔が台無しになるわよ?」
いつもよりもずっとずっと優しくて温かい笑顔を浮かべる唯に、セリーヌの嗚咽は止まらない
涙で顔をいっぱいに濡らしながらセリーヌは、唯の顔に手を伸ばした
「ま…ま…」
「え?」
セリーヌの言葉に唯の思考が一瞬、停止
そして、驚いた目でセリーヌの顔を見つめる
「い、今なんて…」
「まー…ま。まーま。まま」
「――――ッ!?」
リトと唯は互いの顔を見合わせ、目をパチパチと瞬かせた
「せ…セリーヌ…今、しゃべった…!?」
驚きを隠せないリトの腕の中からセリーヌは、両手いっぱい広げて唯に"抱っこ"とおねだりする
「…ッ…」
涙をいっぱいに湛えた、すがる様なセリーヌの視線に、唯の体が自然と反応した
本能とも理性とも違う、セリーヌと触れ合うたびに大きくなっていく、温かくて不思議な感情で
「ママ♪」
唯の胸に抱かれたセリーヌは、天使も敵わない笑顔を浮かべた
そして、両腕いっぱいを使ってぎゅ〜っと唯の胸に抱きつく
「……っ」
セリーヌを抱っこしながら唯は、何て言っていいのかわからず、何をしていいのかもわからず、
うれしさと驚きでいっぱいになった自分の気持ちに、ただただ、戸惑ってしまっていた
珍しくオロオロする唯に、リトも同じような戸惑いを浮かべる
「セリーヌ…」
セリーヌは唯にぎゅ〜〜っと抱き付きながら顔を上げると「にぱっ」と笑った
そして、じーーっと唯を見つめる
言葉はない
ただ、見つめるだけ
「……ッ」
セリーヌに見つめられる時間だけ唯の中で生まれたモノは、大きくなり、広がり、そして
いつしか唯の胸をいっぱいにする
唯はセリーヌを今まで以上に強い想いで抱きしめると、リトの顔を見つめた
「あ、あのね結…」
「あのさ、唯。その――――」
リトは頭を掻きながら何を言うべきなのか、言葉を探しているようだ
ミーンミンミン、とセミの鳴き声の中で唯は、ジッとリトの言葉を待ち続けた
「その―――」
「何よ…」
「い…今からウチくる?」
「え…!?」
トクン、と胸の中で音がなった
セリーヌを抱きしめる手にほんの少しの力がこもる
濡れた服の気持ち悪さも忘れて、唯は喉を小さく鳴らした
「そ…それって――――どういう意味な…わけ?」
「ほ、ほら! セリーヌのヤツ、唯とバイバイしたくないみたいだしさ! このまま帰ると
またスゲー泣くと思うし。も、もちろん、お前が"いい"ってゆーなら…」
「……服は?」
「へ?」
「服はどうするのよ? まさか"このままのカッコでいろ"って言うわけないでしょうね?
私、代えの服なんて持ってきてないわよ?」
「…だよな」
ハハハ、と苦笑いを浮かべるリトに唯のジト目が飛ぶ
「どうする気なのよ? まさか本当に何にも考えなしに"ウチに来る?"なんて言ったわけ?」
唯はセリーヌを抱っこしたまま、ずいっとリトに詰め寄った
「結城くん!」
「そ、そーゆーワケじゃないんだ! なんつーか…」
「ジーーー」
「え、えと……お、オレの服でも着る?」
「え?」
リトの顔をいっぱいに映した唯の目がパチパチと瞬く
「結城くん…の?」
「ああ。オレの服。Tシャツとかだったらいいよな?」
「Tシャツ…? 結城くんの服…」
リトの言葉を反芻しているうち、頭の中ではいろんな妄想が怒涛の如く浮かんでくる
「――――!?」
リトの顔を見つめながら――――本当は固まってしまったワケなのだが
唯はコクンと小さく息を呑みこんだ
(だって、だって、そんな……結城くんの服だなんて――――ッ!!)
服はもちろん、濡れた下着の感触に嫌悪感が滲む
髪も乾かしたいし、何より今は、熱いお風呂に入りたい
それにセリーヌの事もある
だから、精一杯そう自分に言い聞かせながら、唯は消え入るような声でポソっと呟いた
「――――そ…それなら…別に……いいわよ」
「ホントか!? よかったな! セリーヌ!」
唯の胸のあたりをセリーヌの小さな手が握り締める
「それじゃあ、ちょっとセリーヌちゃんのおウチにお邪魔するわね?」
ハニカム唯をその目にいっぱい映しながらセリーヌは、お日様のような溢れる笑顔を浮かべた
「まう〜!」
「じゃー、タオル持ってくるから、ちょっと待っててくれ」
「ええ」
セリーヌの濡れた髪や顔をハンドタオルで拭きながら唯は短く返事を返した
服や体から滴る雨水で、玄関の床に小さな水溜りができていく
リトはクツを脱ぐと奥へ走って行った
「まう…」
「すぐにお着替えできるから待っててね」
セリーヌの長い髪を手櫛で整えていると、奥からタオルを抱えたリトが戻ってくる
「はい、タオル」
「ありがと」
ふわふわのタオルでセリーヌの頭をゴシゴシ拭いていると、ふいに頬に感じた気配に唯は、
ハッとなって横を振り向く
見ると、タオル片手にリトが唯の頬を伝う水滴を拭き取ろうとしていた
「何よ?」
「い、いや、セリーヌばっかでお前の体、濡れたままだからさ…」
「私はいいわよ。それよりもセリーヌちゃんの方が大事でしょ? 早く乾かしてあげな
きゃ風邪でも引いたからどうするのよ?」
「そりゃまァ……でもさ」
リトは用済みになりかけたタオルを唯の頭にかぶせた
「キャ!? ちょ、ちょっとどういう…」
「セリーヌも大事だけど、お前のカラダだって大事だろ」
頭からタオルをかぶったまま、タオルの奥で唯は息を呑む
リトのちょっとカッコいい顔に
「セリーヌはオレに任せて、とりあえず早く着替えてこいよ」
「で、でも…」
「いいから! あとでフロも沸かしとくからさ。なんだったらセリーヌを入れてやってくれよな」
「まうー!」
"だいじょーぶまう!"とでも言うようにニッコリ笑うセリーヌに、唯の張り詰めていた
モノがふっと柔らかくなる
「―――じゃ、お言葉に甘えさせてもらうわ。セリーヌちゃんの事お願いね」
「ああ」
リトに手を引かれて脱衣所に向かうセリーヌの後ろ姿を見つめながら、唯は階段を上がっていった
コンコン
意味もなくノックをし、少し緊張気味に唯は、リトの部屋のドアを開けた
開けたドアの向こうには、もう見慣れてしまった光景
そして、部屋のにおい――――リトのにおい
思わず頬が熱くなるのを感じながら、唯はドアを後ろ手で締めると部屋の中を見回す
相変わらず所々、散らかったリトの部屋
腰に手を当ててムッとしそうになるが、今は服が最優先
「たしかベッドの上って言ってたわね…」
けれどベッドの上には、制服のシャツが一枚あるだけ
唯はシャツを手に顔を顰めた
「…もしかして……コレを着ろって言うの!?」
ソレはつい先日、衣替えを終えたばかりの冬用の制服のシャツ
「じょうだん……よね?」
窓から吹き込む風にゆらゆらと揺れるシャツをジッと見つめながら、唯の葛藤は続く
コンコン、とドアをノックする音に唯は、ハッとなって身動ぎする
「入ってもいいか?」
「え、ええ」
少し上ずった声で応えながら、唯はベッドの上にもじもじと体を捩る
「入るぞ?」
そぉっと部屋の中に入ってきたリトは、ベッドの方を見るなりその場で固まった
「へっ」
「な、何よ…」
リトの反応に唯のほっぺが赤くなっていく
「い、いや…」
「……っ」
唯はシャツ一枚だけの姿で、ベッドの上にいた
胸が苦しいのか、上のボタンはいくつか外され、大きな胸の谷間が覗いている
女の子座りをしているため丸見えになっている太ももや下着をなんとか見せまいと、唯は
必死に制服のシャツの裾を引っ張って下腹部をガードした
その刺激的な光景にドアの前で固まったままのリトを、唯の少し潤みを帯びた黒い
瞳がジッと見つめる
リトはゴクリと唾を飲み込んだ
「な、なんでオレのシャツ着てるんだ?」
「なっ!?」
唯は信じられないモノでも見たかのように目をパチパチさせた
「あ、あなたが着ろって言ったんじゃない!」
「え…」
「い、言っとくけど、私は喜んで着たわけじゃないわよ? あなたがコレを着ろって言う
から仕方なくなんだからねっ!」
一頻り声を荒げると、唯はまたムッと上目遣いでリトを睨みつける
その迫力に押されながらもリトは、慌てて反論を口にした
「いや、オレが言ったのはソレじゃなくて、もっとフツーのTシャツで…」
リトは視線を彷徨わせた。が、目当てのモノは、どこにも見当たらない
実は、Tシャツやその他の衣類は、美柑が出かける前に洗濯してしまっていたのだ
ベッドに残った制服のシャツは、美柑にしては珍しい取りこぼし
その事を知らないリトは、ただ眉を顰める
「あれ…? っかしいな…。ベッドの上に置いてたはずなんだけど…」
「さっきから何? だいたい、コレじゃなくて、何だっていうのよ?」
ベッドの上で唯の頬はますます膨らむ
「結城くん! どういうつもりなのかちゃんと説明しなさいよね!」
「せ…説明とか言われても…」
すっかりご機嫌を損ねてしまった唯にリトは、頬をポリポリ掻きながら、困った顔を
浮かべることしかできない
「え、えと…ソレでよかったらそのまま着てる?」
「え…!?」
「ってやっぱダメだよな。はは…」
「わ…私は別に…っ」
急にもじもじしだす唯の開いた胸元から、大きな胸の谷間がこぼれ落ちる
(うっ…てか目のやり場に困っちまうぜ…)
なるべく唯の方を見ないように見ないように、リトは部屋の中に入ると、クローゼットを開けた
「と、とりあえず、他に着れそうなの出すから、適当に選んで…」
「―――…いいわ」
「え?」
唯の小さな声にリトは、クローゼットの中をあさる手を止めた
ベッドの方に振り向くと、唯が相変わらず女の子座りしたまま、魅力的な両太ももの間で
組んだ両手をもじもじさせている
「今"いい"って聞こえたんだけど?」
「……っ」
唯の肩が小さく震える
そしてそれ以上に口を震えさせながら、唯はポソっと言葉を口にした
「…ええ。言ったわ…。このままでいいって」
"―――だって結城くんの匂いがいっぱいする服なんだもん"
という言葉を胸の奥にしまい込みながら、唯は赤くなった顔を俯かせた
「そー言われてもな…」
う〜ん、と悩むリト
難しい顔をしながら唯の前にやってくる
「何よ…」
「いや、そんなカッコで風邪引かねーか心配でさ。ほら、お前、スゲー濡れてただろ?」
「そ、それは……ってあなたも同じじゃない」
唯は俯いていた顔を上げて声を上げたが、すぐ目の前にあるリトの顔にハッとなって、
慌てて視線だけを逸らした
「…その……結城くんは、寒くないわけ?」
「オレ? オレならへーきだって! つかさっきセリーヌのカラダを拭いたとき、オレも
服とか代えたしな」
「そ、そうよね」
さっきからキョドキョドと様子がおかしい唯に、さすがにリトも怪訝な表情になる
リトはまだ乾き切ってない頬に張り付いたままの唯の髪を手で払うと、無意識に少し顔を寄せた
「ホントにだいじょうぶか?」
「だ、だから…」
「でも、こんなに冷たくなってる」
リトの手が唯の頬に触れ、そっと包み込む
キュン――――と、唯の中で音が鳴った
リトの手の感触
ひんやりとした頬に、リトの手のぬくもりが染み込んでいく感覚
少しずつ、冷たくなった頬に温かさが戻ってくる
そして、恥ずかしさよりも、うれしく感じてしまう事にまた頬が熱くなる
ドキドキ…、ドキドキ…
リトの顔を真正面から見つめたまま唯は、固まってしまう
固まったまま、唯は自分の中のナニかが、ずっとそわそわしている事にすでに気づいていた
結城くんの部屋
結城くんのシャツ
結城くんの手
そして、結城くんの――――
胸の奥の気持ちはどんどん溢れ、胸の鼓動に変わって、大きくなる
(――――結城くんの手、あったかい…)
今すぐにでも、頬にあるリトの手に自分の手を重ねたい衝動を、最後に残った"理性"で
なんとか押し込めて、唯は会話を探す
「そ…そういえばセリーヌちゃんは?」
「セリーヌ? アイツならカラダ拭いて、服着せたら寝ちまった。たぶん疲れてたんだろうなァ。
今日、なんだかんだ言ってケッコウ歩いただろ?」
「そ、そうね」
会話はすぐに終わってしまい
そして、唯にまたむずがゆい時間が訪れる
ドキドキ…ドキドキ…、とやけに大きな胸の音に唯は、一人もじもじ、そわそわ
(な…なんかもう……何よコレはっ!? うぅ…結城くん、あなたのせいなんだからね!)
張り詰めたキモチは、すでにいっぱいに膨れ上がっていた
あとはもう、単純なキッカケだけ
「……ッ」
唯は下唇を噛み締めたまま、自分の手を握りしめた
俯いたままの、それもなんだか様子がおかしい唯に、リトはやっと口を開く
「なァ、唯。ホントにへーきか? なんかさっきからヘンっつーか…」
「そんな事、ないわよ…」
普段と変わらない声。だけど、どこかおかしな雰囲気にリトは眉を寄せる
「…やっぱりさ、服着替えるか、フロ入ってこいよ? その間にちゃんと服、用意して…」
「イヤ…」
「え?」
「…イヤ!」
いつの間にか唯の黒い瞳がジッとリトを見つめていた
手に伝わる唯の頬の温度が、さっきよりも温かくなっている
「このままでいいわよ」
「でも…こんな冷えたままだと…」
尚も喰い下がるリトに唯は一瞬、迷うように視線を逸らし、すぐにまた目を合わせた
小さな唇が一言二言、聞こえない言葉をこぼす
"何て言ったんだ?"と、小首を傾げるリトに、唯は軽く下唇を噛み締める
そして今度は、聞こえる声で、ぽそっと言葉を口にした
「……だったら…だったら、結城くんがあたためてくれたらいいじゃない?」
「――――え?」
たっぷり数秒をかけてリトはそう返した
手に伝わる頬の熱は、もう十分すぎるほど熱くなっている
「……っ」
再び唯は、視線を逸らした。視線はリトの唇へ
瞼がわずかに震え、長い睫毛がふるふると揺れ、そして黒い瞳が濡れる
唯の言った言葉の意味をリトは、ずっと考えていた
唯は言葉だけじゃなく、声で、顔で、仕草で伝えてきた
"あたためて"と
唯の声が頭の中をグルグルと駆け回り、そして、リトを容易に答えへと辿り着かせる
それは鈍いリトでもわかってしまうほど、とっても不器用な唯の"キモチ"だったから
そして――――
〜そして、雨〜終わり
次からは、エロシーンです
間を開けて、今日のお昼すぎぐらいに投下します
GJ過ぎて……
萌えたよ……
萌え尽きたよ……
どピンクに……
続き楽しみにしてます!
253 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/01(火) 02:04:25 ID:ZAreovCb
やっとリアルタイムでリトと唯に出会うことができた。
いつも保管庫更新待ってたからw
GJすぎる。続き待ってます!
ってか連載終わったけど、これからも書き続けてほしいと切に願う。
では、3回目投下します
唯の唇にリトの指先が触れる
指先に感じる感触は、プニプニの柔らかさと、驚くほどの冷たさだった
「唯の口…すごい冷たくなってる」
「…雨で濡れたからよ」
睫毛を震わせながら唯はそう呟いた
薄くリップを塗った唇がわずかに開き、リトの指先を挟む
「唯…!?」
「んっ」
驚く声に唇がわずかに震える
戸惑ったリトの視線を浴びながら、唯は舌の先端で指先を軽く叩いた
「ん…ん…っ」
小さな舌が爪をなぞっていき、第一関節まで唾液で濡らしていく
もう舐めるといより、咥えると言ったほうがいいのかもしれない
頬を赤く染めながら、目を瞑りながら、唯はリトの指を咥え、丹念に舌を這わせていく
爪先から指の根元まで、すべて愛おしそうに
やがて、唯の目が薄く開く
黒い睫毛が揺れ、その奥にある黒い瞳に熱い光が生まれる
リトは息を呑んだ
ジッと上目遣いで見つめてくる唯の視線からリトは逃れられなくなる
そして、その視線にリトは、どんどん引き込まれていく
ぼぉーっと呆けたままリトは、ゆっくりと指を口の中から引き抜いていった
ヌラヌラと輝く唾液を纏った指の先端と唇とを銀のアーチが繋ぐ
唯の口から「はぅ」と吐息がこぼれた
うっとりした視線をリトに送りながら、リトの腰に回っていた手にわずかに力がこもる
リトの体が半歩、唯に寄った
「唯…」
「…何、よ…」
「キス…していい? キスしたい!」
「…して」
桜色をした唇は緊張で小さく震えている
リトは親指を唯の細いアゴに当てると、わずかに顔を上げさせた
間を置かず、リトの唇が唯の唇に重なる
「ん…」
唯は一瞬、目を大きくさせるが、抵抗はまったくしなかった
代わりに口の端から微かな吐息をこぼすと、リトの腰に置いた手を背中に回し、Tシャツを
ギュッと握りしめる
そして、浅いキスから深いキスへ
二度、三度と軽いキスを交わす内、どちらともなく舌を出して、絡ませ合う
「んっ…ちゅ…っ」
唾液の音と衣擦れの音をさせながら、二人の身体がより深く強く重なり合った
「ぷは…っ…はぁ…は……もぅ、吸いつきすぎよ」
「ゴメン。唯の口がいつもと違って、なんか冷たくて不思議な感じがしたからつい」
「何よソレ…」
恥ずかしそうにハニカム唯に、リトのくすぐったそうな笑みが応える
唯はリトからふっと視線を逸らすと、何かを迷うようにその目を彷徨わせた
そして、顔を俯かせると、リトの服をキュッと握りしめてぼそぼそっと呟く
「…ね、ねェ」
「ん? どした?」
「し…しないの? その……続き…とか」
「え…」
「……ッ」
リトの服を握りしめたまま唯は何も言わず、今度は顔ごとリトから背ける
リトは苦笑を浮かべると、唯の横顔にキスをした
「なっ!?」
ビックリした顔にみるみる赤い色が差していく
文句を言われる前にリトは、唯をベッドに寝かせた
白いシーツの上に広がる長い黒髪をリトは、手で丁寧にまとめる
そのまま手は頬を、首筋を通り、胸元へ
夕日の赤い色に照らされた唯の形のいい胸が、シャツの下から薄らとその姿を覗かせる
「唯、上…下着、着けてないのか」
「そ、そうよ。濡れてキモチ悪かったからね」
リトの指先が谷間を通り、シャツを薄く持ち上げている胸の先端に触れる
「ん…っ」
肩が震え、シャツの下の胸もプルンと揺れる
微かに震えるリトの指先が、シャツの上からシュリシュリと唯の先端を擦っていく
唯の口から吐息がこぼれ、胸の先端はシャツの上から見てもわかるほど、くっきりとした形を現す
リトの指がシャツのボタンを一つ一つ、外していく
ハラリとシャツが開き、窮屈そうだった胸がタプンっと揺れた
「触ってもいい?」
コクン、と真っ赤に染まった顔が縦に揺れる
白くて柔らかい魅力的な光景にリトは、本能のまま手を伸ばした
シャツを全てはだけさせ、包み込むようにしてリトの手が胸を鷲掴む
「…っぁ…」
今までとは違う吐息の音にリトの手が忙しなく動く
(やっぱ唯のムネって…)
ムニュっとした心地いい弾力が手の平いっぱいに感じる
柔らかさと張りの絶妙なバランスが最高の形となって、リトの脳髄を刺激する
両手いっぱいを使ったリトの愛撫に唯の身体が小刻みに震えた
「んっあ…ちょ…ちょっと! もぅ、触りすぎよ……バカ」
「ご、ゴメン」
しゅん…と項垂れながらもリトは、胸から手を離さなかった
サクラ色だった先端は、すっかり赤く染まり、ツン、と勃っている
リトは指を使って、先端をコリコリと転がし始めた
「ぁぁ…やッ…」
ビクッと唯の肩が震え、シーツの上を爪が走る
「…唯さ、ムネ大きくなったよな? 最初のころとくらべて」
「ど、どこかの誰かがいっぱい触るからでしょ?」
すぐ目の前でムッと睨みつけてくる恋人に、リトは苦笑を浮かべつつ
そして、ゆっくりと顔を胸に近付ける
「舐めていい?」
「…い、イヤって言ってもするくせに。す…好きにしたら?」
また苦笑。そして、口を開くと、胸の突起に唇を這わせる
「ああっ…ん」
唯の右手がシーツをギュッと握りしめる
レロレロと卑猥な水音に顔を赤くさせながら、唯の反対の手、左手がリトの頭に触れた
撫でるでもなく、抵抗するでもなく、ただ、頭に手を置くだけ
頭にあったかい感触を感じながら、リトは夢中で舌を、口を、動かしていく
「ん…んっん…ぁ」
舌で先端を転がし、唇で乳輪に吸い付き
リトは口と手をいっぱいに使って乳房を弄ぶ
吸われて、揉まれてを同時に受ける唯の口から、女の声がこぼれる
唾液まみれの胸をタプタプと両手で揺らして遊ぶリトの股間に、さっきから自分の膝が必
要以上に当たっているのを唯は知らない
リトの歯が充血した乳首を甘噛みすると、唯の口から一際、高い声が上がった
腰をわずかにのけ反らせ、プルプルと震える唯の指先が、リトの髪をクシャっと掴む
唯の口から荒くなった息が断続的に吐かれていく
「…もしかしてイッたのか?」
「あ…あなたがっ…ムネばっかりするから…っ…」
息を切らせながら精一杯の強がりを口にする唯に、リトはこそばゆさとうれしさ両方を感
じて、ニッと笑みを浮かべた
「も、もう…!」
ボッと火がついたように赤くなった顔を唯は、ツンと横に向けた
身を捩った瞬間、脚の付け根あたりからした水音にリトの目がピクンと反応する
リトはかすかに上下運動を繰り返す胸の谷間に顔をうずめながら、左手をそろそろと
下へ移動させた
おヘソの上を通過し、くびれを通り、そしてショーツの上へ
唯はまだ気づいていない
リトは唯の横顔に顔を近づけると、耳元にボソッと囁いた
「唯の大事なトコ、触ってもいいか?」
「えっ、な、何!?」
唯がリトに振り返るより先にリトの手がショーツの中へと入っていく
「ちょっ、ちょっと待っ―――」
唯の慌てた声を聞きながら、リトの指が割れ目に触れる
指先に感じるネバネバと、すっかり濡れきった布の感触
「すごっ…こんなに濡れてる」
「ち、違っ―――もう! あなたがいっぱいいっぱい、いろんなコトするからでしょ!」
唯の顔が赤を通りこして首まで真っ赤に染まる
頭を枕に、唯はベッドの上で小さく小さくなっていく
そんな唯の顔を間近で見つめながら、リトの指が割れ目をなぞる
「ひゃっ」
ツンとしていた声が一変、自分意外知り得ない唯の可愛い声に、リトの笑みが深くなる
指先がクチュっと割れ目を広げ、中へ入っていく
第二関節まで入った指に、膣壁がうれしそうに絡みつき始める
「あっ…ゃ…めっ」
うっすらと濡れた瞳で懇願してくる唯を見つめながら、リトの指は止まらない
「唯のカワイイ声…もっと聞きたい」
「バっ…もぅ、そんな声、ゼッタイ出さないからねっ」
ムッとほっぺを膨らませると、唯はそのままリトの右腕に頭を乗せた
二の腕に唯の重さを感じながら、リトは指先で唯の髪を弄り、反対の手で秘所を軽く撫でる
ピクンピクン、と小刻みに震える唯のカラダ
徐々にとろけ始める目を大好きな顔に何度か目配せすると、唯はぽそぽそと恥ずかしそうに呟いた
「あ…あのね、結城くん…」
「ん?」
「そ…その…き…キス…しながらして」
「キス?」
リトの反応を窺うように唯は、上目遣いのまま小さく頷いた
リトは一言「わかった」と返すと、まずは頬に軽くキス
そして、すっかり熱くなった唇にキス
「んっ、ん…」
唇に感じるリトの感触に唯のカラダがとろけていく
固くなっていた下腹部から少しずつ力が抜けていく
両腕をリトの首筋に回しながら、唯は幸せそうに身体を寄せた
リトの指が膣壁を擦り上げる
うっとりしていた目がパチっと開き、半開きになった口から唯の吐息がリトの口の中に入ってきた
さっきまでの軽い愛撫と打って変わって、激しい指使い
指がグチュグチュと卑猥な音を立てるたび、ついさっきまで忘れていた快楽が唯の身体の
中を駆け抜けていった
「んっ、んん、むぅ…うっ」
塞がれたままの口では、満足に声を上げることもできない
そうこうしている内、リトの舌が口内へと侵入を始めた
舌の先端が触れ合い、逃げる唯をリトが追いかけて、捕まえる
わずかに戸惑いを含ませながら、それでも唯は、求められるままにリトに委ねた
「ん…ちゅぱ…んく、ん…ッ…ちゅ…あむ…む」
口元からこぼれた唾液が顎を伝って首筋に落ち
秘所から溢れた密がリトの手を濡らし、そしてシーツの上に染みを作っていく
上の口と下の口、両方からいやらしい音を立てながら、それでも唯は、リトを求め、身体を
より深く重ねていく
(結城くんの指…気持ちイイ。口も舌も唾液もみんなみんな……)
唯は薄く目を開けると、一生懸命キスをしているリトに愛情いっぱいの視線を送った
この時の唯の顔をリトが見れば、どれだけ胸が高鳴ることか
唯はクスッとほほ笑むと、リトの頬に手を這わせる
「ん?」
頬に伝わる柔らかくてあったかい感触にリトの目が開く
「ぷはっ」
「はぁ…ぁ…は…は…ぁ」
糸を引かせながら離れていく唇を唯の目が名残惜しげに追っていく
「なんだよ」
「んっ…」
唯は腰をくねらせると、リトの脚に自分の脚を絡ませた
グッショリと濡れたショーツは、半分以上脱げかかり、唯のお尻を露わにさせる
「唯?」
「…いいの」
「は?」
「指はもういいの…。だからその…」
唯の足がもじもじと動き、脱げかけだったショーツの下から、すっかり濡れきった割れ目が覗く
湯気が出そうなほど上気した顔でおねだりしてくる唯の"お願い"を断れるはずもなく
リトは頷く代わりに、キスをした
唯をベッドに仰向けに寝かせると、リトはゆっくりと唯の両脚を広げていく
羞恥でかすかに震える太ももが開ききると、リトを待ちわびているかのように薄く開いた
秘所からトロリと愛液が溢れ落ちる
限界まで反り返ったモノをクチュリと割れ目に当てるリト
唯の身体がまた小さく震える
「…挿れるな」
リトの声に唯は首だけを動かして返事を返す
手はシーツを軽く握りしめたまま
目をギュッと瞑って"その時"を待ちわびる
リトの先端が入口を広げ、中へ中へと挿ってくる
「はっ…う」
シーツを掴む手に力がこもる
ゆっくりと、まるで焦らすように優しく挿入してくるリトに、膣内はキュッと中を狭めていった
「うっ」とリトの口から息がこぼれる
締め付ける感触はキツさを増し、ギチギチとリトを責め立てる
根元近くまで挿入を終えたリトに唯の身体がふるふると震え、腰がわずかにのけ反る
「はっ…はぁ…」
目元にうっすらと涙を浮かべる唯の口から、途切れ途切れに吐息が漏れる
「動くな?」
「待っ―――」
唯の言葉を最後まで聞くことなく、リトは本能のままに腰を動かし始めた
シーツを握る音と、ギシギシと軋むベッドの音に合わせて、二人の熱い息遣いが部屋の中
を満たしていく
「やっ…あ、っあ…くぅぅ…」
パチュパチュと水音に交じって唯の扇情的な声が、リトの脳を刺激する
細い腰に指を食い込ませながら、リトの腰が加速していく
「す…ご! お前の中、トロトロになってる」
リトの卑猥な発言に拳を出す代わりに唯は、すっと両腕を伸ばすと、そのままリトの首筋
に絡ませ、リトを抱き寄せた
「わっ!? ちょ…」
「ハレンチなことを言ったバツよ」
耳元で囁かれる唯の声
甘い喘ぎの混じった声は、すぐに熱い感触となってリトの耳をくすぐる
「なっ、何だ!?」
唯の舌がリトの耳を舐めたのだ
リトの反応に――――顔は見えなくても、その声だけで、唯はほくそ笑んだ
そして、耳たぶをカプっと甘噛み
「――――ッ!!?」
情けないぐらいの驚きを体いっぱいに表すリトに唯の笑みが深くなる
リトが今の唯の顔を見ればどれだけ見蕩れるだろうか
唯はその長い脚をリトの腰に絡ませた
「―――ちゃんとしてくれなきゃ離してあげないからね! わかってるの?」
「お…お前なァ」
子猫がじゃれ付くときの様な声で唯は、リトにおねだりをした
リトの腰が再開。すぐに唯の口からさっきまでとは違う声色が聞こえ始める
その声に混じってリトの名前がいくつもいくつも唯の口から溢れてきた
「結城くぅ…ゆぅ城…っ…くん……結っ…城…くぅん…」
ろれつの回らなくなる声と反比例するように、リトを抱きしめる腕にギュッと力がこもる
リトを想う強さがどんどん高まっていく
「すき…スキ…スキ……スキ!」
リトは上体を起こすと、唯の顔を見つめたまま、腰を打ち付ける
上下で見つめ合いながら交わるリトと唯
唯の小さな口がふるふると震えながら、小さな小さな呟きを口にする
「――――大スキ」
真紅に染まる唯の顔を見つめながら、リトは唯の一番大好きな顔を浮かべた
そして顔を寄せ、唇が触れる寸前でストップ
「…スキだよ、オレも。唯が大スキだ!」
「…うん」
短い返事のあと、リトの唇が唯の口を塞いだ
お返しとばかりに、すぐに唯の両腕がリトの首筋と背中に回る
「は…っ…ちゅ…ぱ…ん、ん、っん…」
舌と舌が絡み合い、どっちのモノともわからない糸が離れていく二人を繋ぐ
「ゴメン、唯。オレもう…出そう!」
「いい…わよ。…ぁ…出し…てぇ」
上体を起こすリトを追って唯の手がリトの手を握りしめる
手と手を繋いだまま、リトは欲望を吐き出すために腰を加速させた
「はっ…ああぁっ…んん…んっ…イっ…」
唯の艶かしい声と、プルンプルンと前後に揺れる胸に、リトの肉棒はさらに大きくなる
すでに先端まで駆け上っている射精感
リトは歯を食いしばりながら、"あと少し! もうちょっとだけ!"と唯の中を堪能する
唯の手がキュっとリトの手を握りしめた
それが合図だったかのように、リトは最奥目指して腰を突き刺した
そして一瞬のあと、リトの腰が痙攣を始める
「あぁああぁぁ――――ッッッ!!?」
子宮口にぴったりと当てたままのリトの射精に唯の口から高い声が上がる
お腹の大事な部分に熱い奔流を感じながら、唯は腰を浮かせて身悶える
「は…っ…あぁ…あぁぁ…」
子宮に満ちていく不思議な感覚。唯の半開きになった口元から涎が垂れ落ち
腰は射精の余韻を楽しむリトに合わせるかのように、ビクンビクンと打ち震えていた
荒い息を吐きながら、額から汗を流しながら、唯の中でビクビクと震えながら、リトは精を全て吐き出す
「はぁ…はぁ……ぁ…は…ぁ」
激しい動きに乱れた息を整えようと、唯の胸が上下に忙しなく動く
ぼーっと白く霞がかかる視界
その中でリトの顔を見つけると唯は、ふっと表情を和らげた
手にしっとりと汗を感じながら、力が抜けきった唯の手がリトを抱き寄せる
唯の上に倒れる込むリト
「…いっぱい出したわね」
間近でクスっと笑う唯に、リトは照れくさそうに頬を染めた
「し、仕方ねーだろ! 唯が気持ちよすぎるんだって!」
「そんなコト知らないわよ」
唯はからかい少し、あとは愛情をたっぷり込めてリトを見つめた
そのまっすぐな視線にリトの喉が小さく音を立てる
リトは汗でおデコに張り付いた唯の前髪を指で払いながら、ボソッと口を開いた
「唯」
「ん?」
「……また、していい?」
リトのモノは膣内に収めたまま、すっかり回復していた
そのことを誰よりも感じていた唯は、リトの頬を触りながらフッと笑みを浮かべる
「…ホントにハレンチなんだから」
唯なりの「いいわよ」にリトは、苦笑すると、密着していた腰を少しだけ離した
結合部からゴポっと収まりきれなかった白濁液が溢れだす
ソレは唯の下腹部を汚しながら伝い落ちていく
リトは腰を打ちつけた
「あっ、んっ」
唯の喘ぎと一緒に、また結合部から白濁液が溢れだしてくる
リトの腰は止まらない
また欲望を吐きだすために、何より、唯と繋がっているという幸せを体いっぱいに感じたくて
唯の手がシーツを掴み、爪がシーツに食い込む
腰が浮き上がり、長い脚がリトの腰に絡みつく
膣内が蠢き、リトをキュッと締め付ける
快楽の波が、下腹部から頭の先まで広がっていく
「ダ…メっ! ガマン…でき…ン…っ…!!」
手と足に力が入る
下唇を噛み締めていた口から淫らな吐息がこぼれる
唯は腰を浮き上がらせたまま、下腹部を大きく痙攣させた
「ンっ、ンンン――――ッッッ!!!」
ビクンビクンと、腰が震えるというより跳ね上がる
握りしめていたシーツは、すっかりクシャクシャになってしまっていた
「はあ…はぁ…はぁ…ぁ」
射精を促してくる膣壁の痙攣に歯を食いしばりながらリトは耐えた
息をする度に唯の胸が上下に動く
谷間に浮かんだ汗の珠が、胸のラインをなぞり、お腹のおヘソを通ってベッドに落ちていく
リトはうっすらと汗で光るその艶かしい胸に手を伸ばして、揉みしだく
「やッ」
痙攣が治まっていない体に新たに生まれた快楽に、唯の端整な眉が歪む
「ちょ…結っ…ン…ダメ…ェ…だってばっ! まだ…っ!」
リトは手の平いっぱいを使って唯の胸を弄っていく
指の間に乳首を挟み、コリコリと軽く捻り
白い肌が少し赤くなるまで手に力を込めて揉んだり
片方の胸だけじゃなく、もう片方の胸も
左の胸は乳首を、右の胸は乳房を
それぞれに違う快楽を送りながら、休んでいた腰をまたゆっくりと打ち付けていった
「ん…ん、んっ…あぁああ…っっ!」
すっかり力の抜け切った唯の下半身は、リトにされるがままになっていた
腰に絡めていた足はだらしなく伸びきり
開いた股の間からは、悦びの蜜がとめどなく溢れてしまっている
緩急をつけた腰使いは、一瞬一瞬、違った快楽を唯に与えていく
さっきまでよりもずっと卑猥さが増した水音が、パチュンパチュン、と鳴り続けていた
「も…もうっ…だ、ダメ! ダメっ! ホントに…んく…これ以上…ッ…」
「オレまだイってないだろ? 唯ばっか…ズルいって!」
リトは子宮口めざして腰を突き刺していく
両手は両胸をギュッと握ったまま、すっかり赤くなった大きな胸は、リトの手の中でその
柔らかさを誇示するように、ムニュムニュと形を変えていく
リトの額から落ちた汗が唯のお腹の上に落ち、唯の汗と交じり合ってシーツに新しい染み
を作っていった
「ん…あっ…ま、また…また…イっ――――っっ!!!!」
クッと丸めた足の指から、頭の先まで
唯の体の中で、今日、四回目の電気が弾ける
グテっと完全に力の抜け切った体を中心に、シーツに汗と愛液の染みが大きく広がっていた
その上で唯は、朧げな眼差しをリトに向けたまま、さっきよりも大きく深く、息を吐く
そして、水の中で動かしているかのように重たそうに腕を持ち上げると、リトの頬にそっ
と手を這わせた
「…何?」
汗を掻いた顔に息を弾ませながら――――キョトンとした顔を浮かべるリト
その顔を見つめながら何を言おうか散々迷った唯は、ただ一言だけ呟いた
ギュッとリトのほっぺを抓りながら
「…ハレンチなっ!」
夏休みを前に唯とリトは、普段よりもずっと多く一緒の時間を過ごした
唯の行きたいところ、リトのやりたい事をいろいろと相談し、予定を立てながら
時にはセリーヌも、美柑も、ナナやモモも一緒になって
一緒にいる時間が多ければ多いほど、体を重ねる回数も時間も多くなっていく
好きだから、愛おしいから
互いを求めて、欲しくて、どうしようもなくなってしまうから
今週に入ってすでに三回目
きっかけはリトから、唯から
そんな事はどうでもよく思えるほど、ただ、純粋に不器用に、お互いを求め合った
服を着たまま、ギュッと抱き合って
裸のまま、汗びっしょりになりながら、時間を忘れて
体を重ねるだけじゃなく、時にはイチャイチャも忘れずに
手を絡ませ合って、キスを繰り返すだけの時や
リトに背中から抱きしめられたままずっと――――気づいたらいつのまにか寝てしまっていたりもして
そんな、ハレンチだけれど、とっても幸せな時間
「唯、うしろ向いて」
「こ、こう…?」
リトの方をチラチラと振り返りながら、唯はベッドの上で四つん這いになった
腰のところにいるリトの位置から、薄く開いた割れ目が丸見えになっている事に唯の
顔が羞恥で赤く染まる
「じゃあ、挿れるからな?」
「え、ええ…」
さっきまでとは違う、ほとんど顔が見えない体勢
クチュっという水音と共に秘所に感じる熱い肉の感触に唯は、不安を滲ませた
「ゆ…結城くん…」
「だいじょうぶだって! オレならちゃんとココにいるからさ」
「わか…わかってるわよ!」
唯は精一杯の強がりを口にする
それでもリトは、少しでも唯の不安が消えるように、言葉を投げかけていく
「ゆっくり挿れるな」
堅い肉が割れ目を押し広げ、中へ中へと、少しずつ入っていく
「んっ」
ゾワッと下腹部を中心に波が生まれる
顔が見えないのに確かにわかるリトの感触
その不思議な感覚と気持ちよさとがごちゃ混ぜになって、唯は下唇を噛み締めた
「挿って…くる」
「わかる? オレのって」
「え…ええ。あなたのですもの…。わかるに決まってるわ!」
うれしい言葉にリトは顔をほころばせた
唯の腰を掴んで、少しずつ、少しずつ
「挿…った」
「…ッッ…」
唯はもう何も応えられないでいた
口をキュッと引き結んだまま、両腕を小刻みに震わせている
リトは一度、根元まで挿った肉棒をゆっくりと引き抜いていった
「ン、ンぅ―――ッ!?」
その感触に唯は、瞑っていた目をパチっと開いた
(さっきまでと全然違う…! 何よコレ!?)
リトの腰が下がると同時に膣肉全てがリトに絡みついて、そのまま持っていかれる様な感覚を覚える
そして再び、狭い膣内を押し広げながら、熱い肉がゆっくりと挿入されていく
今度は、膣内全てが押し戻される様な感覚が下腹部を覆う
「あ…ふ…」
結んでいた口から自然と熱い吐息が出てくる
唯の腰がガクガクと震えだす
リトは心配になって唯の横顔を覗き込んだ
「だい…じょうぶか? 唯…」
自分でもバカなことを訊いていると思った
それでも訊かずにおれないのがリトなのだ
その言葉に唯は何とか返す。精一杯に強がって
「へ…へいきよ! コレぐらい…ッ、それよ、り…動かないの…?」
(ホントにへーきなのかよ…)
どう見ても強がっている様にしか見えない
それでも、込み上げてくる射精感と、腰を一秒でも早く動かしたいという誘惑に、リトは勝てなかった
唯の腰を掴んでリトは腰を打ち付ける
最初は緩急をつけて、次第に勢いを増していき
白い背中に長い黒髪が踊り、髪が汗で濡れていく
リトは腰を振ったまま、顔を唯の背中に近付けた
そして、チロっと背中の汗を舐め取る
「ひゃんッ!?」
喘ぎとは違う声をもらしながら、唯は後ろの様子を窺った
「な…何やってるのよ?」
「えと…、お前の背中舐めてた」
「ふ、ふざけないのっ!」
リトはもう一度、唯の汗を舌で掬う
「やっ…やめっ…もうっ!」
唯もまた、下腹部を覆う快楽と、背中に感じるくすぐったさに勝てるはずもなく
次第に身体がベッドに沈み始める
「んっ、ちからぁ…入んない…っ…」
腕がガクガクと震え、リトに腰を突き出したまま、ついに唯はベッドに上体を寝かしてしまう
リトの腰は止まらない
角度の変わった挿入感と、子宮口に押しつけられる先端に、唯の口からこぼれた涎が枕を汚していく
「や…やだっ…こんな…ん、く…動物…みたいな……カッコ…ッッ」
リトの手の平が柔らかい唯のお尻の肉を堪能する
ムニムニと揉みしだきながら今すぐにでも吐き出したい欲望に歯を食いしばって耐える
リトは唯の腰に腕を回すと、唯をヒョイっと抱えて、自分の膝の上に座らせた
「な、何っ!?」
膝の上であわあわと慌てる唯の横顔を後ろから見つめながらリトは苦笑を浮かべる
「ちょっと体の体勢を変えただけだって」
「ちょっとってあなたね…」
リトに背中を預けながら唯はムッと頬を膨らませる
その様子を触れあう肌で感じながら、リトは唯の長い髪をふわっと払い、横顔に顔を近づける
「イヤだった?」
「……イヤ…じゃないわよ。でも、もう少し優しくしてくれたって…」
唯のご機嫌はまだすぐれない
リトは機嫌を窺いながら、両手を乳首やクリトリスに這わせていく
「やっ!? ちょ…何やって…ッ…」
一擦りするだけで、唯のカラダは反応を見せる
リトは唯の肩のラインに沿って舌を滑らせた
「ひゃっ!!?」
膝の上で小柄なカラダが跳ね上がり、膣内がキュン、とリトを締め付ける
リトは腰を突き上げて唯を責めていく
パンパンパンと、肉と肉がぶつかる心地いい音がする中、唯の手がリトの手を掴む
「だ…ダメぇ…ダメだってば! そんなトコ触っちゃ…っっ…ホンっ…トに…っ」
膣内、クリトリス、乳首と、三ヶ所同時の責めにカラダの痙攣は、どんどん大きくなっていく
やがて肩を舐めていた舌は白い首筋に向かい、リトは、唇を近づけると首筋に吸いついた
「はっ…うぅ」
一際激しい痙攣が唯の身体を襲う
そして間を置かず、唯の下腹部からチロチロとおしっこが噴出し、床に溜まっていく
「は…ぁぁ…み…見ちゃ…見ちゃダメぇ…こんなハレンチなこと…」
リトに両脚を全開に広げられながら、唯の放尿は、続く
すっかり半開きになった口からだらしなく舌を出したままの唯の顔をリトは、横に向けさ
せるとその口を貪った
「んんん!? んっん…んん…ッッッ…」
口に含んでいる唾液を吸い出し、そして、また送る
コクコクと、白い喉が唾液を嚥下していく光景にリトの舌が唯の口内を蹂躙していく
「じゅる…む…ン…うっ、じゅ…るぅ…ちゅぱ…むむぅ…ンン…ッ…」
長い長いキスのあと、リトはやっと唯の口を解放した
下腹部はすでに痙攣を終え、ぐったりと力の抜け切った汗まみれの背中を、唯はリトの胸に預ける
「ハァハァ…」と息を整える唯の横顔を見つめながら、リトはゴクリと唾を呑みこむ
(すげー調子に乗っちまったけど…)
アレだけのことしたのだから当然、この後は、お説教が待っているわけで
固唾を呑んで唯の言葉を待っていると、ふいに唯は、リトの肩に、トン、と頭を乗せた
「ご…ゴメンなさい!」
脊椎反射で謝ったリトを待っていたのは、思ってもいない言葉
「……カオ」
「へ?」
「あなたのカオ、やっとちゃんと見れたわ」
まったく予想もしていなかった事態にリトの目がパチパチと瞬く
「か、カオって…何で…?」
唯の口から短くて深い溜め息
お腹にあるリトの手に自分の手を重ねて、ツンっと声を尖らせる
「あなたのカオが見れないとイヤなのよ…。悪い?」
「い…いや、誰もそんなこと言ってるんじゃなくて!?」
「むっ」
ますます頬を膨らませる唯に何と言っていいのかわからず
代わりにリトは、唯の腰を少し浮かせた
「ゴメン、唯。ちょっと離れてくれ」
「え…? どう…して…?」
ツンとなっていた表情が一変
みるみる唯の顔が曇っていく
秘所から引き抜かれていく感触
気持ちよさよりも、切なさの方がずっとずっと大きい
ゴポリと溢れだす、愛液
汗と体液ですっかり汚れてしまったシーツにまた染みが生まれる
リトはその上に仰向けで寝転がった
「オレの腰の上に跨って」
「腰の上に?」
リトの意図を察した唯の顔が、かぁぁっと赤く染まっていく
「…できる?」
「やって…みるわ」
長い足がリトの腰を跨ぎ、細い腰がゆっくりと下りてくる
(んっ…それで…このあとは…)
何度も迷った唯の手が自らの秘所に触れた
自分で秘所を広げるという羞恥と背徳感
割れ目に這わせた指が小さく震える
顔がボッと火がついたように熱い
唯はゆっくりと割れ目を広げていった
今は一分一秒でも早くリトと繋がりたいから、今だけ「ハレンチな!」は目を瞑った
広げた割れ目から、すっかり白濁した愛液がトロリとリトに滴り落ちていく
唯の腰がまた少し沈み、先端が入口に触れ、少しずつ中に入っていく
「んっ、く」
再び味わう肉の感触に膣内が悦びの声を上げ、リトにキュッと絡みつく
「は…はいったァ…わよ」
挿入しただけで唯の真っ赤になった顔は、汗でいっぱいになっていた
息も途切れ途切れ
そしてリトを見つめる目は、いつの間にか、期待とうれしさとで濡れている
リトは下から唯を突き上げ始めた
「あ…あぁ…ぁっ」
リトの腰の上で唯の身体が跳ねる
リトのリズムに合わせて、パチュパチュ、と肉と肉を打ち付け合いながら
髪が踊り、胸が上下に弾む
唯は両手をリトの両手に重ねた
リトの手が唯の手を握りしめ、唯の手がリトを握りしめる
手を握り合ったまま、今度は"カオが見える"体勢で、二人は夢中で腰を振った
「や…ヤバっ! もう…出ちまいそーだ…っ」
「出すの? いいわよ出して! 私の中いっぱいにして!」
子宮はすっかり下に下がり、子宮口は"結城くんが欲しい"と入口をパクパクと収縮さえている
リトは腰を加速させた
「ひゃ…めっ! あっ…ん、んんっ―――!!」
荒々しくなったリトの動きに合わせることもできずに、唯はリトの上でただ、身を任せる
リトの手をギュッと握りしめながら、唯の体が後ろに反れる
長い髪が踊り、汗の珠がいくつも飛び散った
濡れた瞳も、感じている顔も、汗で輝くカラダも
唯のすべてにリトはドキドキと高鳴る
「ゆ…い…もう…っ!」
ずっと噛み締めていた奥歯を離した瞬間、リトは唯の膣内に欲望を吐き出した
それと同時に、唯の中で快楽の波が広がり、弾ける
「あぁ…ッ…ああぁ――――ッッ!!!?」
ビュルビュルと吐き出し続ける精液は、すぐに唯の子宮をいっぱいに満たし
結合部から収まり切れない白濁液が愛液と混じりながら、溢れてくる
たくさん汗を掻いた手を離すと、唯はリトの身体の上にクテっと力なく倒れた
「はぁ…はぁ…ぁ…」
全身で息をする唯の頭にリトはポン、と手を置いた
言葉はなく、ただ軽く頭をナデナデ
少しすると唯の息が少しずつ整っていく
唯はリトの胸板にうずめていた顔を上げると、クスっと笑った
「へーきか?」
「…ええ。ありがと」
なんだかうれしそうに笑う唯に、リトもつられて笑みを浮かべる
唯は少し身体を起こした
柔らかい胸が目の前でタプタプと揺れる魅力的な光景にリトの頬が自然と赤くなる
唯は胸を腕で隠しながらイタズラっぽく声を尖らせた
「ハレンチな」
「し、しかたねーだろ! オレだって…」
身体を起こしきった唯は、下腹部に感じる違和感に眉を顰めた
「…またおっきくなってるわ」
「うっ…」
射精を終えたばかりだというのにリトのモノは、すでに回復していた
ビクビクの脈打つ熱い感触に、唯はまた身体が火照ってくるのを感じる
「さっきあんなにいっぱい出したばかりなのに…」
おヘソのあたり、ちょうど子宮があるところに唯は手を当てる
ソコに確かに感じる、大切なモノ
唯は手を当てたまま、ジッとリトを見つめた
熱っぽく、濡れた瞳で
「あ、あのさ…唯」
「…何よ」
「オ、オレ、もう出ないと思うぞ? ……たぶん」
顔を引きつりながらリトがそう言った瞬間、唯の頬が小さくムッと膨れ、そしてまた
元の何事もなかった顔に戻る
唯はゆっくりと腰を上げていった
結合部から溢れた愛液とも精液とも付かない体液が唯の秘所からトロリと、リトの肉棒に垂れ落ちる
唯はリトの下腹部の前で女の子座りをした
「な…何?」
「……しないの?」
「へ?」
「…キレイにしてほしくないの? いつも"して"って言ってるじゃない」
「じゃ、じゃあ…お願いします」
なぜか敬語なリトをジロっと睨みつけると唯は、長い髪を耳にかけて、そっとリトの肉棒を咥えた
「―――…ん…んん、っ…んく…ちゅ…ぱっ…あむ…ぅぅ…んぅ…」
舌と口を使って唯なりの一生懸命のご奉仕
決して上手いとはいえないし、唯自身、まだこの行為に慣れない
それでもガンバれるのは、"結城くんのため"だから
うまくできるかしら? という不安と、まだ少しの嫌悪感を滲ませながら、唯は舌を
先端に這わせる
(…ってもう…! なんとか言いなさいよね! こっちは恥ずかしいのに必死なのよっ!
それなのに…)
ムッとなった視線をリトに送りながら唯は、あ〜んと、口いっぱい開けて竿を奥まで咥え
た
そして、舌と唇を使った上下運動
「んっ…ンン…っじゅ…ぷっ…ン…ううぅ…ちゅ…むぅ…」
次第にリトの口からか細い吐息のような声が聞こえてくる
(結城くん? もしかして私のでキモチよくなってくれてるのかしら…)
唯はもう一度リトに視線を送ると、鈴口から裏筋をチロチロと舐めていく
(結城くん…、もっとキモチよくなって)
リトは唯の頭を掴むと、まるで女の子のような声を上げた
「…うっ…ぁ…」
(か…カワイイ! 結城くん…)
ハレンチきわまりない状況なのに、リトの反応に胸がキュンとトキメク
喘ぐリトの顔を見ながら唯の舌が裏筋を何往復もしていく
むせかるような牡の臭いに頭のどこかがぼぉ〜っとなるのを感じながら、唯は最後に先端
を口に含んで、カリ首の回りをキレイにしていく
「…ん…ん、ん…ぷはっ…はぁ、はぁ…ぁ…はい、終わりよ」
長い唾液の糸を引きながら唯は、リトの竿から顔を離した
その頬にリトの手がそっと触れる
「んっ、な、何よ?」
「えと…あ、ありがとな! スゲー気持ちよかった!」
照れくさくてうれしそうな、溢れるばかりのリトの笑顔
その笑顔を真正面、それも至近距離で見つめてしまった唯の胸の中は、ドキドキ、
キュンキュン、と音を奏でっぱなし
「そ…そう…?」
なんてツンとそっぽを向く唯を追うようにリトの顔が近付く
また一段階、胸の音が高くなる
「…な、なな、何…?」
「今日は、なんかいつもと違った感じがしたけどさ。でも、すごい可愛かった!」
「え…」
リトはそれだけ言うと、唯のほっぺに軽くキスをした
「――――ッッ!!?」
ドキっ、と今日、一番大きくて高い音が胸の中で鳴った
顔から火が噴いたように真っ赤に染まったままの唯に、リトはまたニッと笑みを浮かべる
「汗掻いたからノド渇かないか? なんか持ってくるよ」
リトはそう言うと、脱ぎ捨てたTシャツを着ながら部屋を出ていった
その後ろ姿を唯は、顔を赤くさせたままポカンと見つめ続ける
「いって…らっしゃい」
唯がそう見送りの言葉をかけたのは、リトが部屋を出て、ちょうど三分後のことだった
『じゃあ、いってくるな。唯、セリーヌ』
朝の玄関
スーツを着こなしたリトが振り返った先には、エプロン姿の唯と、元気に手を振るセリーヌ
『いってらっしゃい。あなた』
『まうー』
見送る二人に笑顔を浮かべ玄関を出ようとしたリトを唯の手が止める
『ちょっと待って!』
『どした?』
『ネクタイ』
『え?』
『もぅ、ネクタイが歪んでるわ! こっちにきて』
腰に手を当てた相変わらずな妻に、リトはギコチない笑みを浮かべる
『ゴメン』
『しっかりしなさいよね! ――――はい。コレでいいわ。それと…』
『それと?』
唯はネクタイを持ったままリトに顔を寄せ、チュっ、と唇にキスを送った
『…一番忘れちゃダメなのが忘れてるじゃない…バカ』
『だな。ゴメン』
そう言うと、今度はリトが唯にお返しのキス
『んっ』
それは数秒だけのとっておきの朝の幸せの時間
離れていくリトの顔を唯の切なさそうな目が追う
『帰ってから、な?』
『ハレンチな…』
もじもじしながら頬を染める唯とリト
突然、唯の胸にセリーヌが抱きつく
『せ、セリーヌちゃん!?』
『なんだっ!?』
驚く二人にセリーヌの特大の笑顔
『まう〜♪』
セリーヌは笑顔と一緒に、唯の頬とリトの頬にそれぞれキスを送る
顔を見合わせる二人にセリーヌは「まうー♪」とハートをプレゼント
それはまるで"さっきのマネまう♪"と言わんばかりの笑顔だった
真っ赤に染まる二人に、時計の針が八時を告げる
『も、もう早く行かないと会社遅れちゃうじゃない!』
『ヤバっ!? じゃ、いってくる!』
慌てて玄関を開けて飛び出していくリトの背中を見送ると、唯はセリーヌに照れくさそうな目を向ける
『もぅ…子どもがマネしちゃダメでしょ』
『まう〜』
天使のような笑顔を浮かべるセリーヌのぷにぷにのほっぺをツンと突くと唯は、朝の
片づけをしにキッチンに戻っていった
「いってらっしゃい……か」
なんてことをベッドの上で悶々と想いながら、知らず知らずの内に淡い笑みを浮かべて
いると――――突然、部屋のドアが開く
唯はドキドキとうるさい胸に手を置いて、慌てて気持ちを落ち着かせた
「は、早かったじゃない。結城く…」
部屋の中に入ってきた小さな人影に唯は、目を丸くさせた
〜重なる想い〜終わり
ラストは、今夜に投下します
エロシーンはやっぱり日常シーンの倍以上疲れる…
>>269 GJ!
本誌が終わっちゃったことだしなんか書きたいな〜と思いつつも、
まだ一度も書いたことのない奴が駄文を載せるのはなんか気が引けるぜ。。。
>>269 乙です
八話のエロスは寸止めの生殺しで終わってたから悶々としたから、九話は期待がMAXだった
では、ラスト投下します
「セリーヌちゃんッ!?」
「まう…」
ゲームセンターでもらったネコのぬいぐるみを引きずるようにしてセリーヌは、その大き
な瞳いっぱいにうるうると涙を滲ませる
「どうしたのっ!? って結城くんが寝てるからとか言ってたはずじゃ…」
そうこうしている内に、セリーヌは小さな手足を一生懸命つかってベッドの上に上がってくる
唯は慌ててシーツで体を隠した
「ま…う」
ベッドの上に上がったセリーヌは、唯の姿を見るや否や、駆け寄った
「まうーっ!!」
「……ッ」
唯の胸に抱きつくセリーヌ
抱きつかれた時の小さな衝撃以上に、胸に感じる涙の感触に唯は息を呑む
「セリーヌ…ちゃん…」
「まう…まう…」
セリーヌは唯の胸に顔を押し付けたまま、顔を上げようとはしなかった
いつもの明るい、元気なセリーヌじゃない
寂しさと悲しさをいっぱい湛えたセリーヌの姿
唯はセリーヌの頭をそっと撫でた
何度も何度も
「そっか…そうよね。一緒におフロはいろって言ってたのにね…」
「ま…うぅ…」
「ゴメンね…一人にして」
セリーヌを一人にしてしまった事への後悔と自責の念で、胸が張り裂けそうに痛い
唯の両腕がセリーヌのいつもよりもずっと小さくなった体を抱きしめる
ギュッと、ギュッと
「ゴメンね。ゴメンね、セリーヌちゃん」
「…う…ぅ…」
セリーヌの涙が胸の谷間を伝い落ちていくのがわかる
震える小さな体に、唯は愛情をいっぱい送り続けた
しばらくして、胸から顔を離したセリーヌの目が、ジッと唯の顔を見つめる
赤く腫れたまだ潤んだ瞳のまま、言葉を話せないセリーヌは、その視線に言葉を乗せて唯
に送り続ける
「まう、まう」
セリーヌの言葉は唯にはわからない
にも関わらず、唯には、セリーヌの言葉がわかったような気がした
"セリーヌをおいてどこにもいっちゃダメまう"
確かにそう胸の中に響いた
唯はセリーヌの瞳を見つめ返しながら、その想いに精一杯の気持ちと言葉で応える
柔らかいセリーヌの頬を唯の両手が、愛情いっぱいのぬくもりとなって包み込む
「ええ。どこにもいかない。どこにもいかないわ! あなたを置いてどこにもいかないからね!」
「…まう♪」
唯の言葉にセリーヌは、やっと笑顔を浮かべた
目尻から、キラキラと輝く涙が頬にある唯の手を伝っていく
セリーヌは、唯の手にペタっと自分の手を重ねた
「どうしたの?」
「ママっ♪」
セリーヌの笑顔が咲く
唯のほっぺを両手でつかみ、顔を寄せ、そしてほっぺにキス
「んっ!?」
ビックリする唯にセリーヌは満開の笑顔を咲かせた
セリーヌがキスをした頬は、さきほど部屋を出る前にリトがした頬とは反対の頬
「ママ」
「……ッ」
リトがキスした頬と、セリーヌがキスした頬を赤くさせながら、唯は小さく「うん」とセリーヌの頬を撫でた
セリーヌに負けない「大スキ」を込めて
ベッドの上で少し乱れたセリーヌの髪を手櫛で整えていると、階段を駆け上がってくる足音
トレイにジュースを乗せたまま、リトは部屋の入り口でベッドの上の二人にキョトンとなる
「あれ? セリーヌお前、寝てたんじゃなかったのか?」
セリーヌは唯の膝の上で顔を「まうっ!」とリトから遠ざけた
「せ、セリーヌ!?」
一人ワケがわからないリトに唯の鋭い視線が飛ぶ
「結城くん」
「あ、ああ」
「…ちゃんと謝りなさいよ? セリーヌちゃんに」
「え…? 何を?」という疑問は、唯とセリーヌの視線が許さなかった
すっかり膨れてしまった娘の顔を"…なんか唯に似てるな"なんて思いつつ、リトはとに
かく"ゴメンなさい"と謝った
「それじゃあ、肩まで浸かって。10数えましょうね」
「まう!」
その後、唯は約束通り、セリーヌと一緒にお風呂に入った
お風呂の中で秘密のお話をしたり、洗いっこをしたり
「1…」
「まうっ」
「2…3…」
お風呂場から聞こえてくる楽しそうな会話にリトは、テレビを見ながら思わず顔をほころばせた
お風呂から上がった唯は、鏡の前で髪のお手入れ
タオルでパッティングしたり、美容液を髪に馴染ませたり
その様子を隣で見ていたセリーヌは、唯の見よう見まねで、髪のお手入れ
鏡越しに唯は、おかしそうに笑う
「ちょっと待っててね。あとで、セリーヌちゃんもしてあげるから」
「まう〜♪」
と、うれしさを弾けさせながらセリーヌのマネは続く
肩にセリーヌを抱っこさせたまま唯がリビングに戻ってくると、窓の向こうは、もうすっ
かり夜の闇が広がっていた
「ゆっくりできた?」
「ええ。お湯加減もちょうどよかったし、セリーヌちゃんもすっきりできたみたいよ」
「まう、まう♪」
いつもよりずっと楽しそうなセリーヌの頭を「よかったな」と、撫でていると、キッチンから人影が現れる
「お、セリーヌ、コテ川とおフロ入ってたのか」
「ナナ…ちゃんとモモちゃん!?」
キッチンの向こうから現れたのはナナ、続いてモモの二人組
「こんにちは―――もうこんばんは、ですね」
口に手を当てながらほほ笑むモモ
次第にその瞳に楽しそうな光が生まれる
「古手川さん、あんなにたっぷり汗を掻いて。私も言ってくれれば混ぜてもらったのに。残念です」
いったい、いつ帰ってきたのか?
モモの言葉に唯の顔から血の気がさっと引いていき、リトは危うく飲んでいた麦茶を噴きそうになった
「あ、あのね! 別に私と結城くんは…」
「心配なさらなくてもいいですよ? 必要以上のことは訊いていませんから」
ふふふ、と微笑むモモに唯は真っ赤になった顔を両手で押さえながら床にうずくまる
その様子にナナは、セリーヌの隣で首を傾げた
「なァ、なんの話してるんだ?」
「まう♪」
ニコニコ顔のセリーヌは"きょうはとっても楽しかったまう♪"とだけ
ますます一人置いてきぼりを食らうはめになったナナは、腕を組んで頭を悩ませる
「結城くん…。あなたのせいなんだからねっ!」
「え!? オレっ!?」
思わずソファーから腰を浮かしかけて、リトは自分の顔を指差す
そんなリトに唯の氷よりも冷たくて鋭い視線が突き刺さる
「結城くん!」
「わっ!? ちょ…ちょっと待ってくれって!! なんでっ!?」
ズイズイとリトに詰め寄る唯の後姿にモモは意味深な溜め息をこぼした
「…さっきまであんなにイイ感じだったのに」
「イイ…感じ?」
「お子様なナナには、まだ早い話よ」
どこか勝ち誇ったモモの流し目にナナの奥歯が軋む
「お…お子様じゃねーーッ! だいたい、モモはあたしと同い年だろっ!」
「同い年…ねぇ」
モモの視線はナナの胸へ
「ま! そんなペッタンコで言われても…」
「なッ!!?」
口でも頭でも性格でもムネでもモモに惨敗なナナは、ただただ握り拳を作って悔しがる
「ペッタンコじゃねェー!!」と、ナナの怒りのオーラを涼しい顔で受け流しながら、モ
モの視線は再び唯とリトに戻る
ソファーでは、相変わらず唯に迫られて蒼白になっているリトの姿
情けなさ全開のリトにも、モモの視線に憐れみはない
むしろどこか、ぼぉっと熱っぽいモノを瞳の中に湛えている
(…あんなに激しくするんですね、リトさんって。あんなの訊かされたらカラダが疼いて
しまいますよ? リトさん)
と、語尾にハートマークをつけるモモ
リトにうっとりした視線を送りながら、スカートの中で太ももをもじもじさせた
「だ、だから落ち付けって!」
「落ち着けですって? 落ち着けるわけないでしょ!? あなたがあんなハレンチなコト
ばかりするから…」
「はいはい、みんな夕飯の準備できたよ」
すっかりいつもの騒がしさを取り戻した結城家のリビングに、小さな料理人が現れる
おたまを片手に美柑は溜め息をつく
「まうー♪」
美柑の姿を見るやセリーヌは、ピョン、と美柑の肩に抱きつく
「いいコにしてた? セリーヌ」
「まう!」
セリーヌは手に持っていたネコのぬいぐるみを美柑に見せる
「コレどーしたの?」
ニコニコ顔のセリーヌを指差しながら、唯にほっぺを抓られて赤くなっているリトに美柑
は話をふった
「唯にもらったんだよ。セリーヌのヤツ、そのぬいぐるみ気に入ったみたいでさ。元々ペ
アだったのを二人でって」
「へー、よかったね、セリーヌ。ちゃんとありがとうした?」
「まう♪」
大事そうにぬいぐるみを抱きしめるセリーヌの姿に美柑は、ニッコリと笑みを浮かべた
「ところでミカン、ゴハン食べおわったらアレするんだろ?」
「そだね。お皿とか後片付けが終わってからかな」
何やら会話を続ける美柑とナナの後ろで、唯とリトは眉を顰めた
「何の話かしら?」
「さァ。なんかあったのか?」
ナナは買い物袋をゴソゴソあさると、得意げな顔であるモノを取りだした
「じゃ〜ん! 花火買ってきたんだ! みんなでやろーって思ってさ」
「花火!?」
「へー」
「まう?」
ナナの手にする花火セットをセリーヌは指を咥えながらジッと見つめる
唯は膝を屈めるとセリーヌと視線を合わせた
「セリーヌちゃん、もしかして、花火知らないの?」
「まう!」
「そーいや、セリーヌはまだ花火見たことないんだったな」
「じゃあ、今日が初めての…」
リトの言葉に唯は、お昼のデパートでセリーヌに"七夕"の話をしたことを思い出す
(――――そうよ。そうだわ! セリーヌちゃんにとって、この夏が初めての夏なのよ!)
唯は窓の向こうの夜空をチラっと視線を向ける
天気予報では今日は晴れ
途中、思わぬハプニングがあったけれど
(…だいじょうぶよね)
美柑の「唯さん、ゴハンできてるから早く」という言葉を背中で聞きながら、唯はもう一
度、まだ雨雲で星がまばらな夜空に向かってお願いをした
「どうかセリーヌちゃんに天の川を見せてあげて!」
夕飯のそーめんを食べ終えた一行は、後片付けを終え、庭へとやってきた
すっかり雨が上がった外は、夏の虫の鳴き声とともに、少し涼しい風を吹かせている
「おぉー! 雨ちゃんとあがったじゃん。昼間はどーなることかと思ったぜ」
花火を手に一番手で庭に飛び出したナナは、声を弾ませる
「まったく、ホントにお子様ね。ナナは」
「ふ〜ん、モモだって花火選ぶとき、ケッコウ必死だったじゃん」
お馴染みの会話を繰り広げる二人の後ろで唯は、一人空を見上げていた
さっきまでのすっきりしない天気がウソみたいに空には、たくさんの星が瞬いている
「…よかった」
「だよな。もう雨はカンベンしてほしーぜ…!」
「そうじゃないわよ。もう…」
どこまでも鈍感なリトを放って唯は、セリーヌを探す
セリーヌは、ビニールのカバンから取り出した打ち上げ花火の筒を、興味津々な顔で見ていた
「セリーヌちゃん、危ないわ!?」
「まう?」
唯はセリーヌの手から打ち上げ花火の筒を遠ざけると、ホッと溜め息をつきながら膝を屈めた
「アレはとっても危ないから触っちゃダメ! わかった?」
「まうっ」
「花火をするときは、ちゃんと私と一緒じゃなきゃダメだからね?」
「まう!」
素直にコクンと頷くセリーヌを唯はよしよしと撫でた
「みんなー! スイカ切ったから適当に食べちゃって」
と、トレイにスイカとジュースを乗せた美柑が最後に登場
「じゃ、早速…」
全員集合ということでナナは、花火セットの中で一番大きいな打ち上げ花火に火をつける
「ちょっとナナ。いきなりそんな大きなモノ…」
「こーゆーのは、最初がカンジンなんだって! ……と、火がついた。みんな下がってくれ!」
ナナの合図から遅れること数秒後、結城家の空にキレイな花が咲いた
赤や黄色が咲きほこり、みんなの顔を染めていく
「まう…!」
初めて見る花火にセリーヌはどんな感想を抱いたのか?
ジッと見つめるその瞳の中いっぱいに花火を映し続ける
その様子を唯は、後ろでジュースを手に見守っていた
「セリーヌのヤツ、ビックリしてるんじゃねーか?」
「そうね。だって初めての花火ですもの」
「だよな。つか唯、お前は花火しなくてもいいのかよ?」
「私は別に…」
言葉を濁しながら唯の視線は、ナナの持つ手持ち花火を楽しそうに見つめるセリーヌに戻る
「……なんつーかお前変わったよな?」
「何が?」
「セリーヌが生まれてから前よりもずっとその……優しくなったつーか…さ」
「なっ!? 何よソレは! セリーヌちゃんが生まれる前は、どうだって言うのよ!?」
褒めたつもりがまた怒りを呼んでしまったことにリトは、慌てて花火を楽しむ美柑たちの
元に走って行ってしまった
「もう…!」
腰に手を当ててムスっとする唯のもとにセリーヌがやってくる
「どうしたの? セリーヌちゃん」
「まう!」
セリーヌはピョン、とジャンプすると座っている唯の膝の上にチョコンと座った
「ココから見るの?」
「まう♪」
元気に返事をするセリーヌの顔を、本日二回目の打ち上げ花火がオレンジ色に染める
「キレイね。セリーヌちゃん」
「まう!」
二人でボーっと空に上がる花火を見ていると、三回目の花火が、夜空に一段と輝く星の中
で花を咲かせた
「あっ!?」
「まう?」
驚きの声を上げる唯をセリーヌは不思議そうに見つめた
「セリーヌちゃん、見て! アレが天の川よ」
「まう?」
唯の膝の上に座りながらセリーヌは、唯の指さす方へ視線を向けた
夜空にはいっぱいの星々がまたたき、夜空を華麗に彩る
その中にあって一際目を惹く、星の集合――――天の川
「とってもキレイでしょ?」
「まうー♪」
セリーヌがどこまで理解してくれるのか、唯にはわからない
わからないけれど、それでも唯は、ちゃんと教えようと思った
初めての夏。初めて一緒に過ごす夏の想い出――――七夕を
「セリーヌちゃん、あそこですごく光ってる星があるでしょ? あれがお昼に話した"彦星"よ」
「まう?」
「それで、天の川を挟んで向かい合ってる星―――ほら、あそこでまたすごく光ってる
星があるでしょ?」
「まう!」
セリーヌは唯の指さす通りに顔を動かし、ジッと唯の話に耳を傾ける
「アレが"織姫"よ」
「まう!」
「ホントは"わし座のアルタイル"だったり、"こと座のベガ"だったり、夏の大三角って
言ってね! "はくちょう座"の――――ってまだセリーヌちゃんには早いわね」
唯は苦笑を浮かべるとセリーヌの柔らかい髪をそっと手で撫でた
セリーヌは指を咥えながらジッと天の川を見つめている
「まう…」
「どうしたの? もしかして天の川、気に入った?」
セリーヌの横顔にそんなことを感じていると、花火を手にリトがやってくる
「どーしたんだよ? 二人して」
「ええ、今、セリーヌちゃんと天の川の話をしていたのよ」
「天の川?」
リトもセリーヌに習って天の川に視線を向ける
「へー、スゲーじゃん! つかこんなデカくてキレイなやつオレ、初めて見るよ」
「私もよ」
三人の視線が天の川に集まる
花火で盛り上がる声を聞きながらしばらく天の川に見蕩れていると、ふいにセリーヌの手
がリトと唯の手に重なる
「え?」
「な、何?」
キョトンとする二人をセリーヌの無垢な瞳が見つめる
そして、小さな手が二人の手をキュッと握りしめる
握りしめると言っていのかわからないほどの小さな力で、だけど、力一杯
「セリーヌちゃん…?」
リトと唯は互いの顔を見合わせて、そしてセリーヌを見つめる
「まう!」
セリーヌの言いたいこと、伝えたい気持ち
モモならすぐにわかるのだけれど、二人はあえてモモにお願いしなかった
代わりにそれぞれが思ったことをセリーヌに伝える
それは――――
「え…」
「……っ」
「まう!?」
唯とリト、二人は同時にセリーヌの頭に手をのせた
タイミングもぴったり!
「まう♪」
二人の手の感触にセリーヌの顔が花火のようにぱぁっと輝く
唯は花火で赤くなった顔をツンとリトから遠ざけると、セリーヌの頭を「よしよし」と撫でた
やさしい笑みを浮かべる唯と、とびっきりのニコニコ顔のセリーヌ
そんな二人の姿にリトは、おもむろに自分の手を唯の手の上に重ね合わせる
「えっ…結城…くん?」
「まう?」
二人の視線にリトの胸の鼓動がみるみる高くなっていく
(な…なんかこう……キンチョーするな…)
自分の唾を呑みこむ音にさらにドキドキしながら、反対の手を胸に当てて、小さく深呼吸
「結城くん? どうしたのよ?」
キョトンとした唯の顔と、まんまるお目目のセリーヌを見つめながら、リトはセリーヌの
想いに応えるべく、心に強く想ったことをやっと口にする
「その…つまり……心配すんなってセリーヌ! オレたちはだいじょぶだからさ! いろいろ。な、唯?」
「ッッ!!? そ…そんなこと急に言われても…………あ、あなた次第よ、結城くん…」
「なっ!?」
ツンと顔を赤くする唯と、微妙に空回ってしまったリト
そんないつもの二人にセリーヌは、パパゆずりの素敵な笑顔を浮かべ「まう♪」っと頷いた
「ってリトも唯さんも何してるの? 花火終わっちゃうよ?」
顔を花火の赤や青に染めながら美柑は、声を上げた
その隣では、モモが投げたネズミ花火にナナが追いかけ回されている
「そろそろ戻ろうぜ? 花火しに」
「ええ、そうね。セリーヌちゃん、いこっか」
「まう♪」
セリーヌは唯の膝の上からピョンと飛び降りると、唯とリトの間に入り、二人の手を握りしめる
花火はもう終盤
でも、七夕の夜はまだまだこれからだ
セリーヌはもう一度、夜空を見上げた
彦星と織姫に挟まれて天の川は、二つの星を強く強く結びつけるように、どこまでも
キレイに、大きく、輝いていた
終わり
祝! 単行本15巻表紙 唯とセリーヌ!!
って気持ちで書いたんですが、なんだかスランプ気味です…
頭に浮かんだことが、うまく文章へ繋がらない…。うまくなりたいなァ、もっともっと
リト唯の人がきてる!
今から読ましてもらいます
とにかくGJ!
282 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/02(水) 02:00:48 ID:EwxK0M/X
>>280 作品ありがとうございます。
本誌は終わってしまいましたが、個人的にはこれからも期待してます!
>>280 GJ
連載は終わっちゃったけど、まだ実感が沸かないなあ
>>280 GJ
連載は終わっちゃったけど、まだ実感が湧かないなあ
見苦しい連投失礼
>>280 ホントあなたの作品は素晴らしい!!リトと唯が回を重ねるごとに恋人らしくなっていってる
ホントにGJ!!
289 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/02(水) 22:19:59 ID:lCzWg6N1
唯いいよ!GJ!
>>280 ハレンチってレベルじゃねぇぞw
あ、GJです
また是非書いて下さい
>>280 GJ!GJ!
続き首を長くして待ってます。
おまいらto loveる連載は終わったけどここに居座るよな?
まぁ当然俺は当然残るぜ!・・・と連載終了の寂しさに暮れてる男が言ってみる。
まったりいるよ
居座るし新作も投下する
13日までに昔投下した「負けないキモチ」の続編投下予定
297 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 17:04:27 ID:SXGRWAp6
>>280唯とリトの人ありがとうございます!
もううれしいです、また次に期待
必死な自演乙!
まったりまったり
まったりなー
もういつ唯が妊娠してもおかしくないな
むしろリトハーレム同時懐妊
連載終了だと・・・
304 :
1:2009/09/08(火) 12:10:14 ID:Gwr99oc0
投下します
最終回の続きっぽい話で、ギャグ・エロ度は本編準拠
リコ出ます。メインは里紗×リコ? おまけで唯×リコ
『 結城リト・世紀の大告白!! 』
そのニュースは、電撃の如き速さで彩南高校生の間を駆け巡った。
「おいっ! あの結城リトが、ララちゃんはおろか古手川さんとルンちゃん、
御門先生まで独り占めにしようとしてるらしいぞ!」
「なにいっ!?」
「なんかヌルヌルスライムを操って無理矢理りょーじょくして手ゴメにしたらしい!」
「なんだってぇっ!?」
「お、オレの古手川さんが……」
「ル、ルンたん……」
「御門センセーっ!」
「しかもっ! ララちゃんと結婚して全宇宙を乗っ取って、
地球の女を全員嫁にしようと企んでるらしいぜ!」
「ば、ばかなっ!」
「信じらんねー……」
「このままにしておいて良いのかっ!?」
「しておけるかっ!」
「殺るか……」
「殺るぜっ!」
「おおっ!!」
こうして、『彩南高校・結城リト討伐隊』が結成された。
結城リトの誤爆告白から僅か一日。
事態は風雲急を告げていた……。
「な、なんでこんな事に……」
彩南高校の校門から約200メートルの地点。
物陰から様子を伺うリトの目に映るのは、
校門前でハチマキを巻いてバットやモップを手に持ち、
目を血走らせてズラリと並んだ男子生徒達。
そして大きく掲げられた『結城リト・死すべし』『俺達の青春を返せ』の立て看板に、
極悪非道なリトの似顔絵に真っ赤な×印が付けられた旗がハタメく異様な光景だった。
「あれー、リト、大人気だねっ」
「大人気じゃねーっ!」
相変わらず事態を全く分かっていない様子のララに向かって、
声をひそめながらリトが怒鳴り付ける。
「これじゃ、学校に入れねーじゃねーか……」
途方に暮れた様子のリト。
「むー……。あっ! 良い考えがあるよ!」
「なんだ」
「ごにょごにょ」
「え……えーっ!?」
この窮状を打開すべく、銀河一の頭脳を誇る天才少女・ララが導き出した秘策とは……!
「おいっ! ララちゃんが来たぞっ!」
物陰から出て、校門に向かってテクテクと歩いて行くララ。
そして、ララに隠れるようにして歩いてくる、茶色の髪の人物。
「奴だ……」
「間違いない……」
「いいか、ララちゃんには手を出すなよ……」
「分かってるって……」
二人を取り囲むように、半円状に展開する男子生徒達。
ララはその円の中心でピタリと立ち止まった。
「みんな、おはよー!」
周りを包んでいた異様な雰囲気を一声で吹き飛ばす、爽やかな明るいララの声が校門に響き渡った。
「お、おはよー……」
思わず何人かの男子生徒達が、目的を忘れて顔を綻ばせてしまう。
「おいっ! 目的を忘れるなっ!」
「でも、ララたんの笑顔が……」
「む、むう……」
困惑した表情の男子達をよそに、ララが続ける。
「みんなに新しいお友達を紹介するねっ」
「え……?」
周りの男子生徒達がどよめく。
「はいっ! ご挨拶してっ!」
「うわっ!?」
ララが後ろに居た人物をサッと前に出し、男子生徒達の前にさらけ出す。
「「おおおーっ!?」」
男子生徒達全員が歓声を上げる。
そこにいたのは、リトではなかった。
髪の色こそ同じだが、女子の制服を着た、まぎれもない女子生徒だ。
ララの考え出した秘策。
それは、『ころころダンジョくん』と『簡易ペケバッジ』を使って、
リトを女子生徒にしてしまうという大胆不敵なアイデアだった。
「あ、あの……お、おはようございます……」
突如現れた少女を、男子生徒達は驚きの表情で見つめた。
「か、可愛い……」
夏物の制服を着て、ラフな印象の茶色のショートカットに
少し横に跳ねたボーイッシュな髪型をした少女。
短いスカートの下では、スラッとした健康的な太ももが目映く光っている。
そして、その少年のような中性的な雰囲気とミスマッチした、
女性らしさをアピールする胸の2つのふくよかな膨らみ。
見た者を一目で虜にするそんな魅力を持った少女が、
顔を赤らめてモジモジと恥ずかしげにうつむいていた。
(な、なんでオレがこんな格好を……)
「うちの高校にこんな可愛い娘、いたか……?」
「いや……」
そんな噂をしながらザワメく男子生徒達の中でただ一人、得意満面の笑顔を浮かべている男がいた。
「リコちゃんっ!!」
猿山ケンイチ。
彩南高校ナンバー2のエロソムリエを自負する男だった。
プールでの一件を目撃していた猿山は、事が大げさになってきたのを知り、
リトに万が一の事があった時には……どさくさまぎれて一発殴ろうかと思って
待機していたのだった。
「リコちゃんっ! どうしてここにっ?」
すかさずリコに駆け寄り、肩に手を当ててリコに詰め寄る猿山。
「え、あ、あの……」
そんな様子を見て、周りの男達は納得がいかない様子だった。
「おい、なんで猿山があんな可愛い子と知り合いなんだ……?」
「マジかよ……」
周りの男達を無視して猿山が続ける。
「丁度良かった。オレ、君に言いたかった事があるんだ」
「え……?」
「知ってる? リトの奴、ついに告白しやがったんだよ」
「あ……」
「だから、オレも負けちゃいられないと思ってさ」
「ま、まさか……」
冷や汗をタラすリコの目の前で、大きく深呼吸する猿山。そして……
「好きだっ!! オレと付き合ってくれ!!」
(ひいいいいーっ!?)
「「オオオーッ!?」」
群衆から歓声が上がる。
リコの顔は流れ落ちる冷や汗で、もはや滝の様になっていた。
「あ、あ、あ……」
「へ、返事は……?」
リコの肩に手を当てて詰め寄る猿山。
「さ、さよならっ!」
リコは猿山の手を振り切って校門に向かって駆け出した。
「待ってー! リコちゃーんっ!」
猿山がリコを追って走り出す。
「リコちゃん! 猿山なんか止めてオレと付き合ってー!」
「いや、オレとっ!!」
男達が一斉に二人を追って走り出す。
そんな男子生徒達を校庭で眺めている男がいた。
「何事ですかな……むむっ!?」
彩南高校の校長である。
「あの美少女はっ!! これは、服など身に着けている場合ではありますまい!!」
校長はすかさずバッと上着を脱ぎ捨て、リコを追って猛烈な勢いで走り出した。
「ひーっ!!」
必死で男達から逃げ出すリコ。
しかし、校長の速さは尋常では無かった。
その巨体からは到底信じられない速さでリコに迫る校長。
「な、なんでーっ!?」
幼い頃に読んだ週刊少年マンガ誌の某仙人に憧れ、エロ行為に及ぶ時のために
常に重量100kgの衣服を身に着けて行動している校長。
彼がそれを脱いだ時、その変態的な格好による興奮から生み出される運動能力は、
某宇宙人に勝るとも劣らないという。
「ねー、チューさせてー!」
「キャー!!」
ついに校長がリコに追いつき、肩に手をかけようとしたその瞬間。
「何やってるのっ!! ハレンチなっ!!」
雷のような怒号が校庭に響き渡る。
声の主は、彩南高校の風紀の守護者・古手川唯その人だった。
「あなた達っ!! 女の子をみんなで追いかけ回してどういうつもりなのっ!!
それに、もう授業が始まるじゃない! さっさと教室に入りなさいっ!!」
「はーい……」
唯に激しく叱られて男子生徒達がすごすごと校舎内に入って行く。
が、校長は、
「えへ……えへ……」
何故か嬉しそうな顔をして、裸のまま正座して唯のお叱りを聞いていた。
そして猿山は、リコとすれ違いざま、
「リコちゃん。返事、待ってるからね」
(げ……)
嬉しそうに一声かけて、校舎内に入って行った。
「あ、有り難うございます、古手川さん……」
(なんか前にもこんな台詞言ったような……)
リコは、以前に唯の兄・古手川遊に助けられた時のことを思い出していた。
「いいのよ。当然のことを言っただけだから。でもあなた、私のこと知ってるの?」
「えっ!? あ、あの、以前にファンシーショップの前で……」
「あ、あの時か。猿山君とデートしてた子ね。それであなた、どこのクラスなの?」
「え、えっと……」
突然の突っ込みにとまどってしまうリコ。
「リコは転校生なの! 今日から私達と同じクラスになるんだよ!」
「「えっ!?」」
ララのフォローに、リコと唯が同時に驚きの声を上げる。
「そ、そうなの?」
「あ……そ、そうなんです! ちょっと、リト君に用事があるから、私が代わりに出て
ノートを取っておいてくれって……」
「代わりにって、そんなの大丈夫なの?」
「許可する」
唯の心配をよそに、校長はいやらしい笑みを浮かべながら親指を立てて許可を出した。
「そ、それならいいけど……。それで、リコさん」
「はい?」
「返事って、何の事?」
「えっ!?」
「さっき、猿山君が言ってたじゃない」
「そ、それは……」
リコは顔を真っ赤にしてウツムいてしまう。
「リコはねー、猿山に告白されたんだよ! みんなの前で!」
「こ、告白っ!? みんなの前でっ!?」
今度は唯の顔が真っ赤になってしまう。
「あ、あなたも……なの……?」
「あ……」
そう。
リト自身が、つい最近みんなの前で唯に向かって愛の告白をしたばかりなのだった。
本来春菜へのものだったなどと言い出せるはずもなく、結局なし崩しになってしまっていた。
ふう、とため息をつく唯。
「男の子って、何を考えてるのかしらね……。
ほんとに、場所の雰囲気ってものを考えないんだから……」
「ははは……」
本人を前にしているとは知らずに口から出てくる唯の言葉に、
リコは冷や汗をダラダラ流して頭を掻いていた。
唯はそんなリコに向かってニッコリと笑いかけた。
「じゃ、改めて。私は古手川唯。よろしくね」
「わ、私は、ゆ、夕崎、梨子です。よ、よろしく」
冷や汗を流したまま、ぎこちない表情でリコは唯と握手を交わす。
「私、なんだかあなたとは良いお友達になれそうな気がするの」
「え……」
「さ、教室に入りましょ」
ダラダラと涎を流している校長を尻目に、唯・リコ・ララの三人は教室に入った。
「あ、あの、夕崎、梨子です。リト君がいない間、よろしくお願いします」
いきなり転校生に、しかも女子生徒になってしまったリコは、
みんなの前で自己紹介をさせられる羽目になってしまった。
リコに注がれる生徒達の熱い視線の数々。
(ああ……リコちゃん、相変わらず可愛い……)
(うふふ……これはまた、イジリがいがありそうねえ……)
(何、あの女! リト君はどうしたのよ! せっかく私に告白してくれたのにぃ!)
(リト♪ 女の子になってもかーわいい♪)
そんな中で、一人だけ疑惑の目でリコを見つめている生徒がいた。
(あの人って……まさか……)
春菜である。春菜は『リトが女の子になった』ことを知っている一人だったが、
以前にリコを見た時はそれがリトとだとは認識していなかった。
(ううっ……春菜ちゃん、もしかして気が付いてる……?)
今日はずっと冷や汗を流しっぱなしのリコ。
その時、急に教室の扉がガラッと開いた。
「リコ!」
現れたのは、彩南高校のトラブルクイーン・天条院沙姫だった。
(えーっ!?)
沙姫こそはリコの正体を最も良く知っている一人である。
以前、無理矢理誤魔化そうとしたことはあったのだが、まさかあんなので誤魔化せているとは……。
「ここに来るなんて、なんで私に言ってくれなかったんですの!?
あなた、以前結城リトにかどわかされたのをお忘れでして!?」
「えっ!?」
「あの結城リトと来たら……! 私の裸を見たいがために、トリックを
使ってリコと入れ替わったりして……今思い出しても腹立たしい!
危うく私とリコの仲が引き裂かれる所でしたわ!」
いつの間にか、沙姫の中ではそういう事に落ち着いてしまったらしい。
「なんだ、またリトかよ……」
「あの野郎……」
(あわわわわ……)
しかし、『違う』と言う訳にも行かず、リコはただオロオロするだけだった。
「リコ! こんな結城リトのクラスなどにいてはいけません! 私と一緒に来るのです!」
「おい、先輩」
猿山が立ち上がった。
「オレのリコちゃんに何か用か?」
(えーーっ!?)
ドヨッ! ざわめく観衆。
「なんでリコがあなたのなんですの?」
キッと猿山を睨みつける沙姫。
「オレはリコちゃんとデートまでした仲なんだぜ」
「オーッホッホ! なんですの、それは! 私は、リコと一緒にお風呂に入った仲ですのよ!」
バチッ!!
リコの目の前で沙姫と猿山の視線が火花を散らして衝突する。
(ひええええ……)
あまりの唐突な事態のなりゆきにリコが指をくわえてウロタえていると、
「あなた達! もう授業時間よ! 先輩も、自分の教室に戻って下さい!」
唯のフォローが飛んできた。
「リコ。くれぐれも、こんな野蛮な輩にダマされないように」
捨て台詞を残して沙姫は立ち去った。
そして猿山は……
「リコちゃんとお風呂……」
じゅるりと涎をすすりながら、蕩けた目でリコを見つめていた。
(そ、そんな目でオレを見るなー!)
続きはまた今度。んじゃ
ガチレズか
面白いSSって中々来ないな
たまにはいいんじゃないの
んー? 百合的なのはダメっすか? じゃ、里紗×リコは全部カットして放課後に飛びます
どうにかこうにか放課後になり、長かったリコの学校での一日が終わりを告げた。
「疲れた……」
慣れない女の子生活に疲れ切った顔のリコ。
そんなリコに唯が声をかけてきた。
「リコさん。良かったら、家に遊びに来ない?」
「えっ……」
意外な顔をするリコ。
正直なところ、唯に誘われるのも意外だったし、唯が他人を誘うというのも意外に思えた。
「あっ……ごめん、忙しいならいいの。それじゃ」
「あっ、待って」
チラリと唯の顔を見る。なんだか、期待してるような、不安なような、微妙な表情だった。
(古手川、一体……?)
少し考えた挙げ句、ニッコリ笑ってリコは唯に返事した。
「ありがと。行きます」
唯とリコは並んで唯の家へと歩いて行く。
「急に誘っちゃって、ごめんなさい」
「そ、それはいいんだけど」
「ちょっとだけ、あなたとゆっくりお話をしてみたかったの」
「え……」
「うん! 今日はリコさんのために、お料理作ってあげるから! 期待しててね」
「あ、ありがと」
二人が家に着くと、唯は料理を作り始めた。
メニューは肉じゃがとみそ汁にご飯。日本人の定番メニューだった。
それを美味しく頂くと、満足した顔でリコが感想を述べた。
「ごちそうさま。古手川さんって料理上手いんだね」
「ありがと。最近、結構練習してるんだ」
「へー。誰か、食べさせたい人とかいるの?」
「えっ!? べ、別に、そんなの、いない……けど……」
「?」
(なんだ? この反応……)
不思議に思いながら、リコはちょっと赤らんだ顔の唯を観察していた。
ちょうどその時。
「ただいまー」
男の声がして、スタスタと玄関から足音が聞こえて来た。
「あ、お兄ちゃんね」
「ああ……あ!?」
ふと気が付いた。
唯の兄……遊は自分の正体を知っているのだ!
(ま、まずい……!)
「お客さん来てるのかー?」
遊が食堂へと顔を出す。
「お帰り」
唯は遊の方に振り向いて出迎える。
遊は唯の向こう側にいたリコに気が付いたようだ。
「あ、あれ……お前、確か!?」
「ああ、こちら転校生の夕崎梨子さん」
「夕崎……リコ……?」
「は、はいっ! リコですっ! 古手川さんのお兄さん、よろしくお願いしますっ!」
声を張り上げて挨拶するリコ。
その様子を見てなんとなく事情を察した遊は、とりあえず合わせておくことにした。
「よろしくな。リコちゃん」
「二人とも、仲良くしてね。私、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
唯がトイレに入ってパタリと扉を閉める。
「おい、どういう事なんだ」
「色々事情がありまして……」
リコは今日のことの顛末をかいつまんで説明した。
「お前も、相変わらず大変なんだな……」
「はい……」
二人でしんみりした顔をして向かい合ってお茶を飲んでいた。
と、唯がトイレから帰って来た。
「ね、リコさん。一緒にお風呂に入らない?」
ブッ!
遊とリコが同時にお茶を吹き出す。
「ふ、風呂……?」
遊が眉をしかめて唯に返す。
「何よ! 女の子同士だからいいじゃない」
「い、いやま、そうなんだけど……」
「あー? まさかお兄ちゃん、覗こうなんて思ってるんじゃないでしょうね」
「いや、オレは覗かないけど」
「何よ。じゃ、誰が覗くのよ」
「誰って……」
チラッとリコの顔を一瞥する遊。リコは、必死の形相で
(こ、断って下さい! 遊さんっ!)
遊に訴えかけていた。遊は少し考えた素振りをした後、スックと立ち上がって、
リコの肩にポンと手を置いた。
「ま、お前ならいいか。唯をよろしく頼むぜ」
(えーっ!?)
スタスタと遊が歩き去って行く。
「何よその言い方。ま、いいわ。じゃ、入りましょ、リコさん」
(な、なんでいつもこうなるんだーっ!?)
自分の運命を支配するラッキースケベの神を呪わずにはいられないリコであった。
結局、リコは唯と二人でお風呂に入ることになってしまった。
(何も見ない、何も見ない……)
必死で唯から目を背けて、唯の裸を見ないようにするリコ。
一方唯は、
「リコさん。背中、流してあげるね」
「えー!?」
鏡の前で椅子に座ったリコの背中を唯がゴシゴシと擦って行く。
「リコさんって、すっごく胸もおっきいし、スタイルもいいよね」
「そ、そうかな……」
「えいっ。もみもみー」
「あっ!? ちょ、ちょっと……」
「うふふ、柔らかくっていい感じね。
籾岡さんがやたらに触りたがるのも、ちょっとだけ分かるかも」
「えー!?」
「冗談よ。あんなハレンチな人と一緒にしないでね」
「は、はあ……」
無事に身体を洗い終わり、二人一緒に湯船に浸かった。
「ねえ、リコさん……」
「はい?」
「猿山君から告白されて、どう思った?」
「えー!?」
「良かったら、答えて欲しいの」
(ど、どうって言われても……)
一呼吸おいた後、リコはとまどいながら答えを返した。
「しょ、正直言って、信じられなかった……。(っていうか、信じたくねー!)
男の子から告白されるなんて、初めてで……(っていうか、金輪際ゴメンだー!)」
その返事を聞いた唯は、ふうっと大きく息を吐いてゆっくりと告げた。
「あなたもそうなの……」
「え……」
唯は一つ一つ、我が子に昔話を聞かせるように、想いを込めて語り始めた。
「私も、つい最近、ある人に告白されたの」
(お、オレの話か……)
「それもみんながいる目の前で。私、びっくりしちゃって」
「ず、随分大胆な人ですね」
「ほんっとに。信じられないよね。あなたの猿山君も、だけど」
あはは……。二人で笑い合う。
(わ、我ながら、とんでもないことしちまった……)
リコの笑顔は多少引きつってはいたが。
「それで、リコさん。あなた、返事はどうするの?」
「ええっ!?」
(へ、返事なんか、するのか? オレ!?)
「もしかして、考えてなかったとか?」
「うん、実は……」
一瞬の沈黙。
「そうよね……。どう返事していいか、分からないよね……」
(分からないっていうか、考えたくねー……)
ふう。ため息をつく唯。
「私、今日結城君が学校に来なくて良かったな、って思ったの」
「え?」
「多分、今日結城君の顔見たら私……どんな顔で会えばいいか、分からなかった……」
「……」
「だって、あんまり突然で……。心の整理も全然出来てないし……」
だんだんと唯の頬が、ほんのりと紅く染まって来た。
その様子を見ていて、ようやくリコは気が付いた。
(まさか……古手川……)
沸き起こった疑問を、口にしてみる事にする。
「古手川さん、もしかして、リト君の事を……」
「……」
さらに唯の頬が紅く染まる。
そして、ゆっくりとリコの方に振り返って言った。
「なんだか不思議ね……。あなたとは、今日初めてちゃんと話したばかりなのに、
なぜかなんでも話せちゃう気がするの」
唯はニッコリと微笑んだ。
「だから、あなたにだけ、話しちゃおうかな」
「え……」
「私……結城君のこと……」
と、その時。リコの身体から、シューと煙が出始めた。
(ま、まずいっ!!)
「ご、ごめんなさいっ! ちょっと!」
ガバッと大急ぎで湯船を飛び出し、一目散に走り去るリコ。
「ちょ、ちょっと! リコさん!?」
何がなんだか分からない唯は、とりあえず湯船を出て身体を拭き、
衣服を身に着けてから浴室を出た。
「リコさん……えっ!?」
そこにいたのは、兄・遊と向かい合って座っている、
ついさっきまで話題の中心人物だった結城リトその人だった。
リコは浴室から出た途端男に戻ってしまった。
そこで大慌てで遊に衣服を借りて、この場に座っていたのだった。
「ゆ、ゆ、結城君!! な、な、なんでここにっ!?」
「あ、はははは、こ、こんちわ、古手川」
「それに、なんでお兄ちゃんの服着てるの!? しかもビショ濡れでっ!!」
「ええっ!? こ、これは、その……」
「悪いな、唯」
遊はリトの隣に立ち、グッとリトの頭をワキに抱え込んだ。
「オレ達、ホモ達なんだ」
「えーっ!?!?!?」
唯が大声を上げて、ワナワナと震え出す。
「隠しててすまなかったな……」
「な、な、な……」
ついに唯火山の大爆発が起こった。
「ハレンチなーーーーーーーーっ!!!!!」
バチーーーン!!!
「「おぶっ!?」」
二人の頬に、噴火の爪痕をくっきりと残して。
「もうっ! 冗談にも程があるわっ!!」
「だから、悪かったって言ってるだろ」
「なんでオレまで……」
キッ、と唯がリトの顔を睨みつける。
「どうせ、あの告白だって、冗談だったとか言うんでしょ……」
「えっ……」
唯の顔が次第に怒りで真っ赤に染まって行く。
「私がどんなに悩んだかも知らないでっ!! もう知らないっ!!」
「こ、古手川っ!」
ダッ。唯は階段を駆け上がって自室に閉じこもってしまった。
「あーあ。からかい過ぎたかな」
「す、すみません。オレのせいで……」
「んー、そうだな。お前のせいだな、こりゃ」
「えっ?」
遊がリトに向かってクスッと笑いかける。
「オレの大事な妹に向かって、告白しちまったんだからなあ。これは責任とらなきゃな」
「あ、そ、それは……」
「いやなに。今すぐ好きになってくれ、って言ってるんじゃない。
唯がお前のことをどう思ってるのか、少し考えてみてくれないか?」
「え……」
「ああいう奴だからさ。素直に気持ちを表に出せないんだよ。
だから、他の奴より、少しだけ……良く観察してやって欲しいんだ。
分かるだろ?」
「はい……なんとなくは……」
リトは、さっきの風呂場での唯の事を思い出していた。
(古手川が、あんな風に悩んでたなんてなあ……)
「よし。じゃ、これからも仲良くしてやってくれよ! お前も、リコちゃんも!」
「え、えーっ!?」
バンッ! 遊はリトの背中を強く叩いて、二階の唯の部屋に向かって声をかける。
「おいっ。お姫様! 王子様がお帰りだぞっ」
「知らないっ!」
とりつくしまもない唯の返事だった。
遊はあーあ、という素振りをしてリトを玄関から送り出す。
「じゃ、今日は唯に付き合ってくれてありがとな」
「いえ……」
「またな」
リトは玄関から出るとチラリと二階の唯の部屋を伺い、そのままスタスタと歩いて帰って行った。
その様子を、唯はカーテンの隙間からそっと伺っていた。
「結城君……」
翌日、教室に入ったリトを待ち受けていたのは、相変わらず不機嫌そうな顔をした唯の姿だった。
「お、おはよう、古手川」
振り返りもせずに唯が答える。
「それも、何かの冗談なの?」
「おいおい……」
とりつくシマもない。
「えっとな……リコちゃんから、預かり物があるんだ」
「リコさんから?」
唯がようやく振り返った。
リトは唯に折り畳まれた小さなメモを手渡した。
それは、女の子らしい細い字で書かれていた。
『古手川さんへ
昨日は急用を思い出しちゃってゴメンナサイ。
男の子ってバカだから、女の子の気持ちも考えずに
ヒドい事言ったりするけど、気にし過ぎちゃダメ!
私、古手川さんは、すっごく優しくて素敵な人だと
思います! じゃ、お互いに自分の恋を大切にして
頑張りましょうね! リコ』
「リコさん……」
唯の顔が明るく輝いて来た。
それを見ない振りをしているリトの顔も、心なしか少しだけ晴れやかになったようだ。
手紙は、リトが家に帰って、もう一度女の子に変身してから書き上げたものだった。
「なんて書いてあったんだ?」
唯がアカンベーして答える。
「男子には教えてあげない! でも……」
一呼吸おいて唯が続ける。
「リコさんって、素敵な人ね。すごく思いやりがあって」
「そ、そうかな……」
「何照れてるの? 結城君に言ってるんじゃないわよ?」
「あ、そ、そうだな。すまん」
「ま、いいわ。で、結城君は私に何をしてくれるの?」
「えっ?」
「だって、私の事好きって言ったじゃない」
「えっ!? そ、それは……」
「まさか、取り消したいって言うんじゃないよね?」
「え、えっと……」
「取り消し料は、デート10回分だから」
「えーっ!?」
「じゃ、今度遊園地に行こうか。私の事が好きな、結城君のおごりで」
「はううう……」
頭を抱え込むリトを見て、唯がクスッと笑みを浮かべる。
(そうね、リコさん。私、男の子なんかに負けないから!)
立ち直った唯を見て、ようやく少しだけ胸をなで下ろしたリトだったが、
(まさか……こんな事が、ルンとナナと、御門先生にまで起こるのかよ……!?)
これから自分を待ち受ける恐るべき未来を想像して、ガクガクブルブル震え出すのだった。
(終)
乙
>>323 たいへん素晴らしい!GJです!!
アカンベーしてる唯がカワイイよ。できれば遊園地デートも書いてほしい
327 :
306:2009/09/10(木) 23:19:37 ID:Ud3EfoRu
>5
328 :
295:2009/09/11(金) 23:44:21 ID:wFVvhiY5
ここって制限行数(文字数)・連投上限ってどの程度でしたっけ?
明日か明後日中に投下予定なので…
>>328 改行は55〜60までだと思う
連投制限はいくつかわからないけど、15回連続投下でも規制されなかったです
書き手スレより
・1レス投稿制限は128字×60行、かつ4096バイト=4KB=全角2048字まで
ただし改行の関係等から実質は全角1900文字程度が限界
・連続投稿する場合、板トップの最下部に最低経過秒数が表示されている
・他スレにも一切投稿が無かった場合の最大連投可能回数は8回
なので問題は行数ではなく文字数=データ量
というかこういうスレも目を通そうぜ
>>329-330 了解しました
確かにそういう所を探して目を通しておくべきでしたね…すみませんでした
332 :
295:2009/09/13(日) 22:04:41 ID:y5auh4ZK
投下します
が、今日中の完成が無理っぽそうだったんで前編だけ投下します、すみません;
タイトルは『イツワリとホンネ』です
333 :
295:2009/09/13(日) 22:09:21 ID:y5auh4ZK
…と思いましたが、改行制限の事忘れてました
自分のSS,かなり改行多いんでこれだとかなりコマ切れになってレス消費してしまいそうなんで
申し訳ないですが前作と同様、保管庫に直接ぶち込みでもよろしいでしょうか?
前作「負けないキモチ」の下に置いときますんで…
>>333 GJだったぜ。唯が突如戻って真っ赤になる・・・って感じかな。
どんな話にしろ続きを激しくキボン
>>333 GJ!!
ゆっくりでもいいよ
完成するの楽しみに待ってる!!
なんかカキコ少ないな・・・
なんとか盛り上げたいから書こうと思ってるんだけど、素人にはなかなか難しいな・・・
>>337 受信した電波を、そのまま書けば良い。
きっと、ソレを見て何か書いてくれる人が居ると思う。
例えば
_____________
第一章(起)
サル山とリコとの同棲、相思相愛だし、毎晩同衾だし、暇さえあればサル山が枯れるほど・リコに入りきらないほど・白濁液を消費してる。
第二章(承)
リトは怖い夢見てウナサレていて、冷や汗でベッドが水浸し、じゃなくて汗浸し
夜這いモモがあわてる。
第三章(転)
サル山が朝起きようとしたら
パンツとパジャマを破って、ゾウさんが顔を出していて、大量の白濁液で布団がネバネバになってました。
良い夢見てたんですね。サル山さん。
最終章(結)
サル山はララを捕まえで、リコと結婚したいと脅迫する。
ララはリトを無理にリコにして、サル山に渡す。
サル山はお持ち帰りすると、リコが食事を作って一緒に食べ、一緒にお風呂、そして同衾・・・(第1章に戻る)
_____________
などと言う電波を受信したんだけど
文才が無いから書けないし。
>>338 なるほど。俺には受信できる電波が安定してないからな・・・
なんとか頑張ってみる。
もう一個
デレみかん
_____________
母親名前で、全寮制の女子中高に逝った。けど飛び級で4年で卒業。
一方リトは普通に大学を卒業。
ミカンはミカンなんだけど、ララ、モモ、ナナ、ヤミの前ではミカンなんだけど
リトとは呼ばないで「お兄様」。まるで別人な、何事もお兄様最優先で1日24時間尽くす子になっちゃった。
食事つくり、お弁当つくり、おトイレやお風呂も。それだけでなく、同衾で夜伽も。
ミカン自身の行動は、食事もおトイレやお風呂も睡眠も、掃除も洗濯も、全部リトの許可が無いと行わない。だからリトがデートで家に居ないとトイレに行けないし食事も出来ない。
_____________
ヤミのほうが良いか?。
_____________
何かとリトの近所に居て、リトが飛ばされると必ず着地地点で受け止めた後
「殺される覚悟が出来たようですね」とリトを破壊する。
だが、何か変
ヤミンはヤミなんだけど、ララ、モモ、ナナ、ミカンの前ではヤミなんだけど
最近二人だけの時は
リトとは呼ばないで「リト様」。まるで別人な、何事もリトさま最優先で1日24時、リトを狙う者たちから守る子になっちゃった。
家の中にも入ってきて「無防備な時に刺客がくると大変です」と、おトイレやお風呂も。それだけでなく、同衾で夜伽も。
ヤミ自身の行動は、食事もおトイレやお風呂も睡眠も、全部リトの許可が無いと行わない。だからリトの近所に必ず居る。
_____________
頭のネジが次々に外れて逝っているようだ。ボクは。
いいぞもっとやれ
ここってエロじゃないとダメなの?
>>342 一応、エロパロ 板だからね
だから、エロが無いなら「エロなし」と一言書けば良いとおもう。
だけど微エロもエロだから、なんていうか、ヤミのいう「えっちぃの」でも良いと思うよ?
全くのエロ無しを投下したいのなら創発板という手もある
「エロなしパロ」という電波を、今、受けた。
りと・みかん
_____________
兄妹なのに。
結婚できなくても。
見た目は夫婦です。
りとは私のモノだから誰にも渡しません。
_____________
みたいな?キモウト?
_____________
りとの帰りを待つみかん
お夕食何にしましょうか?
りとが好きなものは何?わたしの手料理は何でも好き?
この間、買ってきたお惣菜を出したら「コレみかんの味じゃない」って見抜かれたっけ?
何が違うのかしら?
愛情?
「おかえり リト
食事? お風呂? それとも・み・か・ん・?」
ハグ(抱きつき)でお迎え
スーツの上着を脱がせて、スグにブラシでお手入れ。長持ちするように、ね?
っていうのは建前で、本音は
浮気の手がかりになる『髪の毛』『ルージュやグロス』そして『香水などの匂い』をチェック。
広告のライターやマッチを持っていたら、許さないんだからね。
_____________
とか?
ネジが外れたりして、相当な崩壊中に付き何を書くかはわかりません。自分でも。
さあ、やろう!
やろう!
って何?
野郎?男どもの事?
それとも
何か行うの?
みんな、このスレに小学生が迷い込んだぞ!!
なに!?それはレイプしなくてはいかん。
しかし
>>349が見に行ってみたら、その小学生は男の子だった
でもクシャミすると女の子に変わる。
352 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/20(日) 05:04:56 ID:Gn3xzqIo
何幼妻やらせてんだwww
>>351 思えば、呼吸器の反射反応で瞬時に染色体が変わるってとんでもない設定だよな
湯温で性別が変わるとか
だがそれがいい
現実じゃないんだから深く考える必要は一切ない
つまりこまけぇこたぁいいんだよ!
そんなこと言ったら目からブルーツ波を吸収して巨大化するサイヤ人て何なんだよ
異星人、かな…
だんじょ君だっけ?
アレも瞬時に入れ替わるな?
どういう仕組みなんだか?
>>316 勿体ないな
是非飛ばされた部分も掲載してほしい
明日、明後日に初SSのリト×ミオ投下してもいい?
初めて書くから偉そうにSSとか言えるもんじゃないんで駄目だったらもちろん投下しないから安心を。
>>359 そーゆーことはあまり書かない方がよいかと
とりあえずwktk
「投下する」…そんな言葉は使う必要がねーんだ。
なぜなら、オレや、オレたちの仲間は、
その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際にSSを投下っちまって、もうすでに終わってるからだッ!
だから使った事がねェーッ。
>>359、オマエもそうなるよなァ〜〜〜、オレたちの仲間なら…
わかるか?オレの言ってる事…え?
『投下した』なら、使ってもいいッ!
初めてならまずこの板で「書き」で検索してみるといいよ
実際に読まないと「良い悪い」はわからない。だから読まして欲しい。
登場人物の、行動、性格、や、話し言葉、などが原作から離れすぎていないならマズ問題ない。
>>361 プロシュート兄貴の言った言葉が、頭じゃなくて心で理解できた!
>>359 がんばれ!wktk!
批評にさらされるという恐怖ッ…そう、恐怖さ…
俺はソイツを理解できないわけじゃねぇ。
だがなッ!それでも俺にはこう言うしかないのさ。
「wktk」ってな
季節も秋に移り始め、いくらか涼しくなってきた午後の彩南商店街────
「まったくララの奴、いくらマジカルキョーコの新しい入浴剤が出たからって・・・」
ぶつぶつ文句を言いながら商店街を歩いているのは、もちろん結城リトである。
「それにしてもララと美柑、どこ行ったんだ?」
大はしゃぎで商店街を走って行ったララと、それを必死に追いかける美柑。
リトは一人置いてきぼりをくらったのである。
「まぁとりあえず入浴剤が売ってる所に・・・」
「・・・お、結城じゃん!」
「え!?」
後ろから声をかけてきたのは、リトのクラスメイトの沢田ミオだ。
制服とはちがい大人っぽいベージュのタートルネックにジーパン姿のミオは、新鮮である。
(沢田ってこんな服着るんだ・・・)
「何やってんの、一人で」
ララ達とはぐれてしまい、探していることを簡単に話す。
「ララちぃらしいといえばらしいね。てかアンタも大変だねぇ・・・」
すこし同情するミオ。
「あたしもちょうど買い物終わったんだけど、一緒に探してあげよっか?」
傾いてきた日の光があたり、黄金にひかるミオの横顔。
(綺麗だ・・・)
(イカンイカン、俺何考えてるんだ!?)
─20分後─
「しっかし、ホントいないな、あいつら・・・どこ行ったんだ?」
「・・・」
しばらく探してみたが見つからないため、あきらめて家で待ってようと決めたリト。
ミオに帰ると告げようとしたその時・・・
バタッ──
ミオは持っていたカバンを落とし、力なくリトに倒れかかった。
カバンから化粧品、さっき買ったのであろう雑貨が散らばる。
「おい!大丈夫か沢田!」
「風邪・・・引いちゃったのかな?さっきから何かクラクラする・・・」
「なんだよ!そういうのは先に言えって!」
「家どこだよ?送ってくから」
「・・・ごめん」
ミオから家路を聞き、送ろうとする。が、よく考えるとここからは結構な距離がある。
幸いリトの家は商店街の近所だったので、一旦自分の家に連れて行こうと決める。
「一回俺の家に行くぞ」
「ぇ・・・うん、ありがと」
なんとかミオを連れて帰ることができたリトは、いくらか落ち着いた様子だ。
リトのベッドに寝たミオからピピッと音が鳴り、体温計が38度5分を表示する。
(これじゃ今日は帰れないかもな・・・)
「大丈夫か沢田?」
「ぅん。悪いね、迷惑かけちゃって・・・」
熱のせいなのか顔を赤らめながらぼそぼそと話すミオは、いつもとは違い、またどこか魅力的だ。
「え?い、いやいいっていいって。」
(沢田、カワイイじゃん・・・)
(って何考えてんだ俺!!)
「あたしの顔になんかついてる?」
ついミオに見とれてしまっていたリトは、慌てて目をそらす。
「いや、そ、そんなことはないぞ・・・」
(さっきから俺妙に意識しちゃってるな。まさか沢田のこと・・・)
「き。・・・ぅき。」
「・・・ぅき。結城!」
「は、はい!」
「あんたさっきからぼーっとしてない?」
何を考えてるのか絶対にバレてはいけないと思い、何とか言葉を発する。
「い、いやいや、大丈夫だって」
「ならいいけど、ララちぃ達はまだ帰ってきてないの?」
「そうなんだ・・・」
ここで、今この家にはリトとミオしかいないことに2人は同時に気づく。
「じゃあ、2人きりだね・・・」
「お、おい、変なこと言うなよ!」
そう言って、慌てて立ち上がろうとするリト。
「なんかジュースでも持って・・・沢田!?」
ベッドに置いていたリトの手をミオがそっととる。
「あたし・・・初めては結城とがいい」
ミオの言葉にリトは唖然とする。
「おい、な、何言ってるん・・・うぐ!?」
リトの言葉はミオの突然のキスによって遮られる。
「ぷはぁ!どういうつもりだよ!」
何とか息をついた後、切れそうな理性を奮い立たせしゃべるリト。
「・・・あたし、ずっと結城のことが好きだったんだよ?」
目に涙を浮かべながらじっとリトを見つめて話す。
「・・・!!」
「アンタ鈍感だし、ララちぃを応援しようと思ってた・・・けど・・・」
「やっぱり、我慢するのは辛いよ・・・」
(沢田・・・)
(だめだ、やっぱり俺も、沢田のことが・・・好きだ)
「ごめんね、いきなりこんなこと言って」
まだ涙を浮かべてはいるが、微笑むミオ。
「沢田・・・」
「もう!あんたに全部風邪移してやるんだから!覚悟しなさいよ?」
そういって顔を赤くしながらニコッとはにかみ笑うミオ。
ゲームオーバー。リトの理性は完全に消失してしまった。
リトは飛びつくように抱きしめると、ベットに座っていたミオを再び押し倒す。
「ぴちゃ、んぐ、、はむ・・・」
部屋に卑猥な水音が響く。
時々ミオのメガネがリトの顔に当たっていることもお構いなしに互いを貪り合う。
「はぁ・・・ぐむ、はう・・ぷはぁ」
自然とリトの手は胸へと伸びていく。
ちょっと触るだけでピクンと敏感に反応するミオの体に、リトの興奮はさらに高まっていく。
激しくなっていく手の動きに、だんだんとミオの口から喘ぎ声が漏れる。
「あふ、ん・・・ああぁ!」
「やっぱ沢田カワイイな!」
空いていた左手もスカートの中へ這わされていく。
「バカ・・・ひぅ!?あふ、んん」
ここもやはりビクンと反応する。
「声が出ちゃう・・・んくぅ!」
次々と喉へあがってくる嬌声を必死に抑えようと、両手を口に当てる。
・・・やがてその時は訪れる。
「結城ィ、あたし・・・もう我慢できそうにないや」
太ももをじれったそうに擦り合わせながら、ミオは言う。
「服・・・脱ごっか」
そう言って2人はありのままの姿になっていく。
「沢田、すげぇ濡れてる」
「そんなこと言わないでよ・・・」
恥じらいながらレンズ越しに上目遣いでリトを見る。
(カワイイ!!てか反則だぁ!!)
──そのころララ達は──
「まったくリトのやつ、電話にも出ないしどこ行ってんのよ!」
リトが何をしているか知るはずもなく、ぷりぷりと怒る美柑。
「せっかくマジカルキョーコマグマ・specialでリトとお風呂にしようとおもったのに・・・」
こちらは落ち込んでいる様子だ。
「・・・そうだ!ララさん、ご飯食べて帰りましょ!」
「え!?でもリトは・・・?」
「いいのよあんなやつ。後でお腹すいたって言っても何も作ってあげないんだから!」
元を辿ればリトは何ら悪くないのだが、怒っている美柑は気付かず、ファミレスへララを引っ張っていく。
「・・・じゃあ、入れるぞ?痛かったら言えよ?」
「うん、ゆっくりね・・・」
ベッドに寝た状態のミオは、足を開いて恥ずかしそうに秘所を指で広げる。
「ん、くぅ!」
苦痛に顔をゆがめつつも、それに隠れた快感を味わうミオ。
すこしづつ、リトのモノはミオの中へと埋まっていく。未知の感覚に、2人にゾクゾクしたものが走る。
「くふぅ・・・」
そして、リトの先が膜に当たる。純粋の証に・・・
2人は見つめ合い、ミオはコクッとうなずく。
「・・・いくぞ?」
「来て、一気にお願い・・・」
プツン、という音とともにリトは一気に押し込む。
「んんんぅ、ああああああ!」
結合部からは半透明な光沢のある液に混じって、赤い鮮血がベッドを汚していく。
必死に痛みに耐えようとシーツを握りしめるミオと、少しでも痛みを和らげようと優しく愛撫をし続けるリト。
どちらの目からも涙があふれてくる。
「ちょっと、なんで泣いてるのよ?」
「ごめんな沢田、すごく痛い思いしてるのに俺、何も出来なくて・・・」
「でもあたし、結城とひとつになれてうれしいな」
「俺もうれしいよ、ミオ・・・」
ミオの頬に流れる一筋の涙を指で拭いながら、なんとか笑顔を見せるリト。
ミオ、と下の名前で呼ばれたうれしさがこみあげてくると同時に、痛みも徐々に引いていく。
「リト・・・」
「もう、動いてもいいよ?」
「そっか。じゃあ動くな・・・」
ゆっくりとリトは腰を動かしていく。まるで出発した機関車のように。
ミオもそれに合わせて動いていく。
慣れていくとともに、スピードも上がっていく。
「ちょ・・・と、むぅ!激しすぎ、あふぅ、だよぉ!」
「ごめんなミオ。でももう・・・!」
リミッターが外れた機関車はもう止まらない。
やがて2人は別の世界へと押し上げられていく。
「ミオ、もう俺・・・イク!」
「なんかきちゃうよぉ!ぐふぅ、んぐ、もうだめぇ!!」
「あああああ!」
ビクンビクン、と同時に二人は絶頂を迎える。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「リトの・・・まだビクビクしてる」
連結部分からどろっとした白い液があふれてくる。
「ごめん!中に・・・」
さすがに慌てるリト。
「赤ちゃん、できちゃうね?」
余韻に浸りながら、ミオは返す。
「・・・でも、そうなっても俺が幸せにする!」
モノを引き抜くと、そっとミオを抱き、頭を撫でる。
「これからはずーっと一緒な!」
「約束だよ?」
嬉し涙を浮かべた後、照れ隠しなのか布団に顔をうずめる。
「なぁミオ・・・」
「・・・」
「ミオ?」
「すぅー、すぅー」
リトは微笑み、ミオのメガネを外してやると自分も目を閉じミオの温もりを感じ取った。
今までリトにとってミオはクラスメートでしかなかった。が、ミオは密かに自分を想い続けてくれていた。
これからはその思いに一生懸命応えていこう、そう心に誓い、眠りについた。
「ミオ、大好きだよ・・・」
終わり。
改行や誤字、脱字などあると思います、すいません。
371 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/21(月) 17:16:45 ID:pB9Bo0TE
>>370 リト×ミオは珍しいのでなんか新鮮な感じでした!
作品ありがとうございます。
>>353 > 思えば、呼吸器の反射反応で瞬時に染色体が変わるって
ワロタw
GJすぎるw
ジリリリリ……。
「ん……」
パシッ。
ウルサい目覚まし時計にオシオキを一発。
「ん、んーっ!」
伸びをしてチラリと部屋を見渡す。
「ふう……」
いつも通り。なんの音もしない部屋。
母親が台所でトントンと包丁を叩く音もしないし、
父親がテレビでニュースを見ている音もしない。
静かな私の一日の始まりだ。
「……」
身支度を済ませて台所に行くと、テーブルの上に五千円札が1枚と書き置きが置いてある。
『里紗へ
今日も遅くなるからこれで食べといて
ママ』
私は五千円札を財布にしまうと食パンを一枚トースターに入れ、カチッとスイッチを押し下げる。
ジジジ……。
健気なトースター君が私のために頑張ってくれてる間、私は昨日の出来事を思い出していた。
(あの、結城がねえ……)
プールで唯の奴に向かって告白してた。
(てっきり、春菜狙いかと思ってたのになあ……)
結城の春菜を見てる目付き。いかにもそんな感じだったのに。
ふと、結城の奴をからかって、私の部屋に連れ込んでやった時のことを思い出した。
(あのマヌケ顔……)
プッ。
思い出し笑いしてしまう。
でも……
(春菜に負けたってんなら分かるけどなあ……よりによって、唯?)
ハッ、とため息をつく。
(なんだかなぁ……)
チーン!
私の貴重な朝食が出来上がったようだ。
パンをナイフで斜めに切って皿の上に乗せる。
お気に入りのイチゴジャム……は止めとくか。
(最近太り気味だしねえ……)
まったく、ララちぃみたいに栄養が全部胸に行ってくれたらいいのになぁ。
冷蔵庫のサラダと薄くバターを塗ったトーストをミルクで流し込むとお皿をサッと流して、
カバンを手に取って玄関に立つ。
「行って来ます」
一応、少しだけ待ってみた。
辺りを包む静寂。
(やっぱり、寝てるか……)
私は親を起こさないようにそっとドアを閉め、朝の匂いのする道を歩き出した。
少し歩くと歓楽街のど真ん中。毎日歩き慣れた、私の登校風景だ。
「おはよー、里紗ちゃん」
柄の悪そうなオジサンが私に声をかけてくる。
「あっ、オジサン。おっはよー。景気はどう?」
「んー、今一つだねえ。やっぱり、不況の影響がねぇ」
「やーだ、しっかりしてよ! オジサン!」
バンッ! オジサンの背中を叩く。
「あはは……。あぁ、バブルの頃は良かったなぁ……」
「やだ。一体いつの話してるの?」
オジサンは私の身体をジロジロと舐めるように見る。
「いっそ、里紗ちゃんみたいな娘が入ってくれたらねえ……」
「あら? 健全な未成年をイケナイ道に引きずり込もうっての?」
「じょ、冗談だってば。ママにきつく言われてるからねえ」
「ふーん……」
(意外に、気は使うんだ……)
「じゃね、オジサン!」
「ああ。気を付けてな」
私はオジサンに手を振って、学校に向かって歩き出した。
学校に着いて見ると、なんだか男子がズラリと並んで変な看板が立ってる。
(『結城リト死すべし』? 何かやったの、あいつ……)
さっさと無視して教室に入る。しばらく待ってると、なんだか校庭で騒ぎが起こって、
急に転校生がやってきた。
「あ、あの、夕崎、梨子です。リト君がいない間、よろしくお願いします」
なんだか、ブルブル震えながら自己紹介してる。
そのオドオドした様子を見て、プッと吹き出してしまった。
(なに、この娘。頼りない感じ! まるで、結城が女になったみたいじゃない)
私は舌をペロッと一嘗めした。
(うふふ……これはまた、イジリがいがありそうねえ……)
2時間目の授業が終わって、夕崎梨子は席を立った。
「あ、あの……私、トイレ行って来るから」
周りに告げて教室から出ようとする。
(うふふ……これはチャンス!)
早速教室を出た夕崎梨子に声をかける。
「はーい、リコりん!」
「えっ!? わ、私、ですか?」
「転校したてでトイレの場所とか分からないよね。連れてってあげようか?」
「わ、私、別に……」
「ま、そう言いなさんなって。じゃ、行こ!」
「え、え!? ちょ、ちょっと……」
なんだかんだで私に着いて来てしまうリコりん。この押しの弱さ……うーん。
ますます結城に似てるなあ……。
「リコりんって、結城に似てるよね」
「えっ!? あ、し、親戚、なんです……」
「ふーん……」
トイレはすぐそこ。本当は案内するまでもないんだけど。
「ここよ」
「あ、ありがとう御座います。じゃ……」
リコりんは……あれっ!?
「ちょ、ちょっと!? そっち、男子トイレよ!?」
「えっ……あっ! そ、そうですよね、女子トイレに入らなきゃ……」
何か変なこと言ってる。なに、この娘……?
リコりん、冷や汗ダラダラで女子トイレに入ろうとしたんだけど……。
なんか、入り口で立ち止まってる。
「どうしたの?」
「え……えっと……これ、どこに入ってもいいんですよね」
「はあ?」
なんだか、女子トイレを使ったことが無いみたいな言い方をする。
不審に思った私は、リコりんに聞いてみる。
「あんた、本当に女なの?」
「いっ!?」
ビクッ! 露骨にリコりんの身体が反応する。
「や、や、やだなあ、み、み、見たら、わ、分かるじゃないですかぁ……」
リコりんの額からはもう汗が滝みたいに流れてる。
(もしかして……)
私はおもむろに、バックからリコりんの胸を鷲掴みしてみる。
「ひゃっ!?」
「んっ……この感触……本物ね……しかもノーブラと来たか……」
しかも、これは上物だわ。この手で包み切れない大きさは……
(チッ。負けたか……)
悔しいので、もっといっぱい揉んでやることにする。
「あんっ……だ……ダ……ダメッ……」
(ウフフ……このウブな反応……)
その時、私の心に何か引っかかるものがあった。
(あれ、この反応、どこかで……あっ!?)
今朝思い出してた、あの結城の反応。
あれにそっくりじゃんっ!!
(この子……もしかして、結城?)
そう考えてみると、全てに辻褄が合う。
急に結城が欠席して、リコりんが来たこと。
リコりんの、結城みたいな反応。
男子トイレに入ろうとして、女子トイレの使い方を知らなかったこと。
真実を確信した私は、ニヤッと笑ってリコりんの耳元で囁いた。
「ウフフ……私のテク、どう? 結城ぃ……」
「いいっ!?」
リコりんの身体がビクンッと激しく跳ねた。
「な、な、な、な、なんの、こ、こ、こと、ですか……」
顔中汗だくになりながらリコりんが声を絞り出した。
「誤魔化さなくてもいいのよ? 結城ぃ。女子トイレの使い方分からなくて困ってるんでしょ?」
「え……」
「私が教えて、あ・げ・る♪」
「ちょ、ちょっと……」
私はリコりんの肩を抱いて、女子トイレの一番奥の個室に押し込んだ。
「はい、ここに座って」
「う、うん……」
リコりんを便座の上に腰掛けさせる。
「じゃ、スカートめくって」
「ええっ!?」
「そうしないと、教えて上げられないじゃない?」
「うう……」
リコりん、恐る恐る私の前でスカートをめくり上げた。
涙目になって、顔を真っ赤にして、プルプル震えて……。
「ププッ……!」
思わず吹き出してしまう。
あんまり可笑し過ぎて、目からちょっと涙が出てしまった。
「な、何がおかしいんだよっ!」
涙目のリコりんがささやかな抵抗をしてくる。
(こ、こんな、ウブでイジメがいがある娘、初めて見た……)
私は笑いを堪えて、リコりんのパンティの前に顔を寄せた。
「ふーん……。本当に、立派な女の子になってるんだ……」
「な、なりたくてなったんじゃないっ」
私はニヤリと笑みを浮かべてリコりんに告げる。
「分かる? 結城。ここが女の子の大事なとこ」
二本の指でリコりんのその部分をパンティの上からスーッと撫でてやる。
「あ……あ……あっ……」
「で、ここが女の子が一番感じるところ」
その上の突起の部分を指でコネコネする。
「ひゃあっ!?」
リコりんの身体がビクンっと跳ね上がる。
「も……もう、止めてよぅ……」
リコりんの顔、もう真っ赤っかで、涙もポロポロ。
(こ、この敏感な反応……マジ? こ、こりゃ、ヤバいわ……)
もう私は笑いが止められなくなっていた。
「ほら、ここにオシッコの穴があるのよ」
私はその部分をパンティ越しに手でおさえてやる。
「あ……あ……」
「じゃ、パンティ脱いでやってみて?」
「えっ……」
「ほら、見ててあげるから」
「そ、そんなのっ……出来るかっ!」
「あーら? あんたが結城だってバラされてもいいの?」
「うっ……」
リコりんがまた、悔しそうに顔を真っ赤にしてプルプル震え出す。
「ううう……」
そして、恐る恐るパンティに手をやって、涙でいっぱいの目を一生懸命つぶって、
パンティを少しずつズリ下げて……
「あーっはっはっは!! 冗談よ! 冗談だってば! もう最高ーっ!!」
とうとう笑いを堪え切れなくなって、大爆笑してしまった。
そんな私の様子をポカンと見てるリコりん。
「あっはっは……あーっはっはっはっは……ひーっ!!」
腹を抱えて笑い声を上げる私を見て、リコりん、ちょっと怒ったみたい。
「も、もういいからっ! 出てけーっ!!」
「はははっ……じゃ、リコりん。終わったら呼んでねー」
「うるさいっ」
リコりんは私を追い出してパタッとドアを閉めてカチャリと鍵を掛けた。
(さて、ちょっと待ってやりますか……)
ちょっと時間がかかったけど、リコりんが用を足す音がした。
で、また沈黙。
そして……
「あ、あの……籾岡……」
「んー?」
カチャリと鍵が開く音がする。
中を見てみると、リコりんはまだパンティをずり下ろしたまま、困った顔をしてる。
「こ、ここ……濡れちゃってんだけど……。どうしたらいいのかな……」
私はクスッと笑って、先輩としての指導をしてやる。
「それは紙で拭くの。で、女の子なんだから、終わったらキチンと畳んで……」
リコりんの後処理が終わった後、私達は個室の中でちょっと話をしていた。
「ふーん、ララちぃがねえ……」
「まったく、やんなるぜ……」
ふぅ、とため息をつくリコりん。
「でも、元はと言えば、あんたの告白が原因なんでしょ? 自業自得じゃない」
「こ、こんなはずじゃなかったんだよー!
大体、オレは古手川とかに告白しようとしたんじゃなくて……」
「ちょっと待って」
「え?」
「古手川とか、ってなによ」
「な、なにって……」
ちょっとムッとしてしまう。
「別にあいつの肩持つわけじゃないけどさ、あんた、言われた方の気持ち考えてる?」
「あ……」
「あーあ。そんなんじゃ、女の子にされても仕方ないねえ」
「えっ」
「猿山の彼女にでもなって、女の子の気持ちをもっと考えなさいって事なんじゃないの?」
「な、なんだよそれ……」
リコりん、ちょっと困った顔してる。
「わ、悪かったよ……」
「ん? 私は別に、唯がフラれようがなんだろうが知ったこっちゃないけどね」
「おいおい……」
一瞬会話が止まる。この隙に話題を転換してみた。
「で。結局誰に告白するつもりだったの?」
「えっ!?」
リコりん、絶句。
「言いなさいよー。ほれほれ」
「な、なんでお前に言わなきゃいけないんだよ」
「当ててみようか」
「えっ」
(さあ、なんて言おうかな……)
春菜。
って言っちゃって、もし当たってたら、こいつの事だ。きっと顔に出る。
そしたら、なんだか……私がバカみたいじゃない。
じゃあ、他の人?
「うーん……」
私は腕を組んで考えてるふりをする。
「だ、誰だって言うんだよ」
ポンッと手を打って、明るい顔で答える。
「やっぱ、これしかないわ」
「え!? だ、誰だよ」
「私」
「は?」
リコりん、キョトンとしちゃった。
「私しかいないでしょ、あんたが告白する相手って」
「な、なんでそうなるんだよっ」
私は甘えモードに入ってリコりんをいびる。
「だってぇ、私達ってぇ、ベッドの上で愛し合った仲じゃない? ダーリン♪」
「ひ、人聞きの悪いこと言うなぁ!!」
「えぇー、あの日のアレは冗談だったのぉ?」
「だから、あの時は何もしなかったじゃねーか!」
「別に、今からでもいいのよ?」
「い、今は女同士だろっ!」
「私ってほら、どっちでもイケるじゃない?」
「いっ!?」
意地悪な目をして、手をリコりんの前でワキワキしてやる。
「ウフフ……禁断の愛に突入しましょうか、リコりん……」
「ひ、ひいいいぃっ!?」
その時、トイレの外から大声で叫ぶ女が一人。
「こらっ! 籾岡さんっ! そこに隠れてるのは分かってるのよっ!
はやくリコさんを連れて出て来なさいっ!!」
人を誘拐犯人みたいな言い方するそのイケスカない声は、
(唯か……)
「チッ。仕方ないわねえ」
キィ。扉を開いて、リコりんと一緒に個室を出る。
「籾岡さんっ! もう授業時間なのに、リコさんを連れて何やってるのっ!」
「ん? リコりんに女の子の仕組みについて個人授業してた」
「いっ!?」
「なっ……何よそれっ!?」
「おかげでリコりん、ほら」
私はリコりんのノーブラ乳首を両方、制服の上から親指と人差し指でつまんでクリクリしてやる。
「あんっ!?」
「こんなに感じやすい可愛い女の子になっちゃって……」
「あっ……ああっ……あんっ……や、止めっ……はあんっ……!」
「リコりんのおっぱい、どんどん育ててあげるからね……ウフフ……」
「や、やめてぇっ……」
「いい加減にしなさいっ!!」
唯がリコりんの手を掴んで、私からおもちゃを取り上げた。
「行くわよ。もう授業が始まってるんだから!」
あーあ、つまんないの。
こんな楽しいオモチャ、滅多に手に入らないのに。ウフフ……。
「さあ、急ぎましょ!」
もう授業が始まってるから、生真面目な唯は早足で廊下を歩いて行き、
私とリコりんはその後を着いて並んでゆっくり歩いていた。
「……」
なんとなく、唯に聞こえないようにリコりんに聞いてみる。
「結城、あんた、朝ご飯食べる?」
「え? 食べるけど?」
「朝、テレビとか見る?」
「結構見るな」
「ふーん……」
私はフッと笑みを浮かべて言った。
「普通だね」
「は? そりゃ、ま、普通だけど……」
「じゃ、あんたでも良いかな」
「はあ? 言ってる意味が分かんねーよ」
「二人とも何コソコソ話してるの! はやく先生に謝りなさい!」
(未来の、旦那……なんちゃってね)
私は自分のつまらない空想を笑い飛ばすと、先生にウインクを一つサービスして席に着いた。
(終)
383 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/22(火) 23:03:24 ID:+qGrN6R7
>>382 GJ!リコの感じてるとこがかわいいw
リサ好きなのでありがとう!
384 :
sage:2009/09/22(火) 23:45:45 ID:niDlKmu9
>>382 GJ!
>>370 です。やっぱり自分で読み返すといろいろ矛盾などありますね。。。
悔しいってのもあり凛×沙姫ってのを書いてみようと思うんですけど、
やっぱり百合的なものはだめですか??
386 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/23(水) 00:38:36 ID:mSydZdFO
>>385 何か書いてるなら投下してしまった方が良い
「女の子同士はダメ」と数人が大声で騒いでるか
大多数の皆さんは、作品に飢えているしあまり気にしていない。
しかし
性格、言葉使い、などは原作に近ければ近いほうが良いと思う。
>>385 百合は死ぬほど大嫌いだがモノローグの里紗は雰囲気出てたお。
ただ、里紗の唯への呼称は「唯」じゃないと思うわ。
ああしまった。唯じゃないってのは>>
>>382に向けるべきですな。
>凛×沙姫ってのを
何が悔しいのかもわからんし
堂々と主人公蔑ろにしたいみふの百合カプを作るあたりが
真性の百合厨だな
ガチの腐女子と同類
>>385 です。一応書き終わったので投下します。。。
沙姫×凛なのでご注意ください。
では
「リトーー!」
「おい!だからいきなり抱きつくなって!!」
「だってリトのこと大好きなんだもん!」
「ねぇリトぉ、一緒にお弁当食べよ?」
「ああ、そうするか。」
「リトぉ、今日一緒にお風呂入ろうよー」
「!!・・・何言ってんだお前は!」
「はぁ・・・」
(結城、リト・・・)
柱の陰でため息をつくのは、リトの1つ上の先輩、天条院沙姫である。
「沙姫様、どうかなさいましたか?」
沙姫のお付きの1人、九条凛は沙姫の横顔を見る。
「先程からため息ばかりついておられるので・・・」
「・・ぇ!?いえ、な、なんでもありませんわよ!・・・そう、綾が風邪をひいているからですわ!」
もう1人の付き人、藤崎綾は一昨日から風邪で学校を休んでいる。
──放課後──
沙姫と凛は車に乗り込み、屋敷へと向かう。
「結城・・・リト」
ふと、自分が想いを寄せている人の名前が口をついて出る。
「何か、おっしゃいましたか?」
「い、いえ、何にも」
(リト・・・あなたが好き。でも・・・)
彼にはララがいる。分かっているのに諦めきれず、想いは激しくなっていくばかり。
胸に熱いものがこみ上げ、沙姫の目から涙がこぼれ落ちる。
「沙姫様!?どこか具合でも悪いのですか!」
「目に・・・ゴミが入っただけ・・ですわ」
「最近元気がないように思われますが・・・」
沙姫の顔を覗き込む心配そうな凛の顔に、すこし落ち着きを取り戻す。
「大丈夫ですわ、凛・・・」
「やはり、お風呂というのは気持ちいいものですわね」
「はい、沙姫様」
ちらっと凛を見る。小さいころからずっと自分のそばにいる付き人。
ボーイッシュな性格だが、綺麗な黒髪に端正な顔立ち。
「いつもあなた達には迷惑をかけていますわね・・・」
「私は沙姫様のそばに居られるのが光栄です」
すこし微笑みながら返す凛。
「凛・・・」
バスローブを羽織りベッドに寝転がる沙姫。
「リト・・・」
ふと気付くといつも考えてしまう思い人のこと。そして叶うはずがないという諦めと寂しさ。
自然と手が胸へと伸びていく。
「はぁー・・はぁー・・・んぅ」
だんだんと息遣いも荒くなっていき、じんじんと熱くなる下腹部にも手が伸びる。
「はぁん、ぐ・・・ンンぅ!」
・・・誰もいない教室。下から突き上げられ、悦ぶ自分。クチュクチュといやらしい音が鳴り、喘ぎ、絶頂へと駆け上がっていく二人。
リトに犯されたい、リトのものになりたい・・・
──トントン、ガチャリ。
はだけたバスローブを慌てて直そうとするが、時すでに遅し。
「沙姫様、タオルをお持ち致し・・・申し訳ありません!!」
そういって慌てて扉を閉める凛。
凛に自分の自慰を見られた恥ずかしさと、興奮から冷めた反動の寂しさで、次々に涙がこぼれる。
(今日は泣いてばっかりね・・・)
そう思っても涙は止まらない。
5分だろうか、10分だろうか。沙姫にも廊下で立ちつくす凛にとっても永遠ともとれる長い時間が流れた後、
「凛、入ってきてくれないかしら」
「・・・失礼します」
一瞬間が空いた後、凛はうつむいたまま入ってくる。
「ごめんなさい、あんなところを見せてしまって・・・」
「いえ、そんなことは・・・」
重い沈黙に、時計の秒針を刻む音だけが響く。
あのね凛・・・」
沙姫はおもむろに口を開く。
「私、結城リトが好きなの」
「沙姫様・・・」
凛は知っていた。沙姫の頼みで好みや、好きなものなどいろいろ調べている。
「だけど・・・彼にはララがいるでしょ?だから諦めようって何度も言い聞かせてきたの。でも・・・」
そう言ってまた下を向いてしまう。
何て言葉を掛けていいのか凛には分からなかった。ましてや自分は彼女を守るために恋愛などしたことがないのだから。
でも、ずっと自分に優しくしてくれた沙姫を助けたい。そう思った凛はそっと彼女を抱いた。
「凛・・・」
どちらからともなく、甘いキスを交わす。
「凛・・・あなたが、好き」
心にぽっかりと空いた穴に、温かいものが流れていくような感覚。
「私も沙姫様が、好きです・・・」
「ふぁぁ!ン、ンぐぅぅ!凛、そこは・・だめぇぇ!!!」
右手で胸を、左手で下腹部を愛撫し続ける凛。秘所からはとめどない蜜があふれてくる。
「はぁぁぁぁんぅ!!!」
桜色の突起をキュッとつまんでみると、沙姫は体をビクンビクンとさせ達する。
「沙姫様!!」
セックスはおろかまともな自慰の経験すらない彼女は、沙姫の反応に少し慌ててしまう。
「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫よ凛。ごめんなさい、私だけ気持ち良くなって」
まだ痙攣してはいるものの、やさしく微笑みながら返す沙姫。
「今度は2人で・・・ね?」
そう言って凛のズボンを脱がせると、ジワリと湿って秘所のシルエットをあらわにしたパンツがあらわれる。
「凛、もうこんな風になってますわよ?」
そういって上からギュッと秘所を指で押す。
「ふぇ!?んふぅ!」
敏感な反応をする凛を沙姫はやさしい目で見つめる。
凛を裸にし自分もバスローブを脱ぐと、おもむろに枕を股にはさみ、反対側のほうを凛が挟むように言う。
今二人は1つの枕を両側からはさみ、向かい合った形だ。
そっと凛の手をとり、ゆっくりと秘所を枕にこすりつけていく。
「はぁ・・・ンン」
それを見た凛も同じようにこすりつける。
自然とこすりつける速度も速くなっていく。
「んああ!凛・・・凛!」
「沙姫・・・様ぁ!ぐふぅ!」
枕カバーの程良い荒さが、2人に刺激を与え続ける。
甘いキスをし、抱き合いながらも秘所をこすりつけるのは止まらない。
「なんか、んふぅ!おかしくなりそうです・・・わぁ!!」
「沙姫様ぁぁ!何か・・・変なもの、が、んぅ!のぼって、あんう!」
「私も、も、う・・・ああン!!」
「あああああああ!」
2人は抱き合ったまま絶頂を迎える。
ガクガクと下腹部を震わせると、沙姫は力なく凛のほうへ倒れる。
「凛を・・・感じますわ」
「私も、沙姫様を・・・」
そう言って、唇を合わせる。
長い間余韻に浸っていた2人だったが、ふと沙姫が口を開く。
「これからも・・・私のそばに居てくださらない?ずっと・・・」
「・・・はい。私でよければ、ずっと」
窓から覗く黄金の月に、二人は永遠の愛を誓う・・・
終わり。
駄文失礼しました。百合物に批判が多いことは分かっていましたが、書き終えた勢いで
自分勝手とは思いつつ投下してしまいました。
すみません・・・
乙
やはり主人と従者だね。主人の伽は名誉だよ。
作者さまは、もっと、さっぱりした態度で良いと思うよ?
>>391 で、主人公とか書いてるのだから
>>395 の、『百合物に批判が多いことは分かっていましたが、』はいらないぞ?多分。
百合厨うぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!
死ね。リアルに死ね。凛を汚すなドカス。
PSPのとらぶる買って来ちまった。
PSP持ってないのに。
さあ、早くPSP買って満足するんだ
おっと。誤爆した。
>>397 百合豚はNGに限る。
NGすると付け上がるから加減が難しいがw
>>399 DSのポケモンがフル稼動なんだが。
主人公は無論リト。
>>388 >里紗の唯への呼称は「唯」じゃないと思う
今まで俺もいくつかの作品で気になってたんだけど
後期では唯って呼んでる
台詞間違いかとも思ったけど単純に親しくなったから名前呼びになったっていう設定かも
百合厨はゴメンゴメンと言いながら百合ネタ投下しまくる率が高い上に
繰り返して浸食する
そーいや沙姫がリトと一番絡んだのはゲーム版なんだよな
なんという酷いヒロイン
ちなみにアニメ版に限ると、沙姫はザスティンに絡みが殆どなく、
リトに抱きつくララに嫉妬する描写すらある。
設定資料だとザスティンに興味はあるらしいけどなー
ポケモンは進化すると皆ごつくなるんだよな…
どこの誤爆だよww
しかしキョーコさんはファイヤーですよね
にらめつける(暗黒微笑)
ザスティン関連はあれハーレムとしては完全に失敗だよな
ちょくちょく言われるけど
あれで完全に便利な別荘提供要員としての要素以外無くなった
勿体無かった
金髪縦ロール高笑いお嬢様なんてせっかくのコテコテスタンダードだったのに
なんか発明の影響で一時的にああいう状況なって暴走するもリトが体を張って助けて…
みたいにしてれば発明の影響とはいえそういう姿を見られた+助けてくれたでいい感じになったのかもしれない
412 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/23(水) 21:55:43 ID:1J6rIf9c
そうだね
ハーレムとしてはってか
あれでヒロインとしては死んじゃったからなー
将来的にはリトに本命妻と多妻がいるように妻たちにも他に男がいていいんじゃない?w
触手にヤラれて感じてるような女ばっかだし性欲も強そうだし別に驚かない
誰得
アンチが喜ぶ
アイドルとかに対するのと同じ好きならよかったのにな
>>410 いやハーレム云々は関係なくね?
最初からザスティンLOVEなキャラとして登場なら多分誰も文句は言わなかったよ
最初はララに対抗意識燃やしてってキャラで後々本気でリトが好きになるんだろうなと
みんなが思う中、放置された挙げ句ザスティンに惚れて登場
しかもザスティン自体別に嫌われてない&沙姫とリトの絡みがまだかなり薄い
というのもあり「ま、まぁ、いいんじゃね・・・?」というなんとも言えない反応になった
>>419 沙姫スレで散々いわれてたことだが
ハーレムとしても最近の流行としてもラブコメとしても沙姫のヒロイン性の維持としてもザスティンの二枚目半属性にしても
全ての意味で問題大有りで誰得だったよ
まぁ長谷見がロリコンだったからこのカプを無理やり作ったんだろうと散々言われたけど
>>388 >>402 リトの告白のせいで、里紗の中で唯の認識が
「恋愛のレの字も知らない風紀委員の古手川」から「真面目な顔してやる事やってる唯」
に変わった、ていう解釈はどうっすかね?
まあ最終回後の話なんで、単なる妄想ですけどね
で、
>>376-382 のつづきです
リト×ヤミ、猿山×リコでギャグっぽい話(エロあり)なんでお気楽にどうぞ
「はい、タイヤキ20個。まいどありー」
ヤミは購入したタイヤキを少しだけかじる。
「……」
モクモクと小さな口を動かして、コクと飲み込む。
「どうだい、ヤミちゃん」
「見事な出来映えです」
少し微笑んで、タイヤキ屋の主人に素直な感想を述べる。
「へへっ。ありがとよ。毎日ヤミちゃんが買ってくれるおかげで、
こっちも張り合いがあるってもんだ。それにしても……」
「?」
「ヤミちゃん、良い表情するようになったねえ」
「えっ……」
主人はヤミに興味深そうに笑いかける。
「なんか良いことでもあったのかい? ヤミちゃん」
「良いこと……」
ヤミは頬を少しだけ赤く染めて、手に持ったタイヤキを見つめる。
そして、自分にタイヤキを教えてくれた、彼の顔を思い浮かべるのだった。
(結城、リト……)
その頃。
もはや『彼』ですらなくなってしまった結城リトことリコは、
昼休みにララと猿山に彩南高校の屋上へと連れ込まれていた。
「じゃ、私はここで人が来ないように見ておいてあげるから。ごゆっくり〜♪」
ララは猿山とリコを屋上に入れると、ニッコリと笑ってパタリと扉を閉めた。
「ララちゃん、なんて気がきく……」
(よ、余計なことすんなー!!)
猿山はハンカチを屋上の床に敷くと、リコを手招きした。
「さ、これ、使ってない奇麗な奴だから。ここに座って」
「あ、ありがと……」
リコは猿山に促されるまま、ハンカチの上に腰掛ける。
「ふう……」
一息ついたリコだったが、
「……」
「ん?」
猿山の視線が、自分の股間の辺りに集中していることに気が付いた。
「あ……あ!?」
いつもの癖であぐらをかいて座ってしまったリコ。
ミニスカートからは白い太ももが思いっきり丸出しになり、
パンティが猿山にチラリと見えてしまっていた。
「きゃっ!?」
顔を赤くして、慌てて股間を手で押さえるリコ。
恐る恐る猿山に聞いてみる。
「み、見た……?」
「う、うん……」
カーッ、と頬が赤く染まってしまう。
(ううぅ……お、男に見られるのって、こ、こんなに恥ずかしいのか……)
リコは足をソッと組み替えて、女の子座りに変えた。
その様子を頬をポッと染めて見守っていた猿山だったが、
「べ、弁当食べようか」
「う、うん」
一声かけて、ようやく弁当を食べ始めることになった。
(キス……粘膜同士の接触……)
先日、奇怪な花の影響とは言え、ヤミが結城リトとそれを試してみようとした時、
『興味本位でするもんじゃない』
リトはそう言って拒否した。
(つまり、キスとは恋人同士にとってそれだけ重要な意味を持つということ……)
その言葉が気になっていたヤミは、タイヤキ屋の主人に質問を投げかけてみた。
「主人」
「なんだい、ヤミちゃん?」
「キス、というのをしたことはありますか?」
「えっ?」
ヤミはじっとタイヤキ屋の主人の目をまっすぐに見つめる。
「そうだねえ。そういうこともあったかねえ」
「それは、あなたにどのような感情の変化をもたらしたのですか?」
主人は遠くを見るような目をして語り出した。
「初めてキスしたのは、オレが15歳のときだったかねえ。
相手は1つ年下の娘だったかなあ。いやあ、甘く切ないレモンの味、って奴かなあ」
(甘く切ないレモンの味……)
「うわー。リコちゃんのお弁当、美味しそうだね。自分で作ったの?」
「え、えっと、これは妹が……」
「へー、妹いるんだ。きっとリコちゃんに似て可愛いんだろうなあ」
「はは……」
(お前も知ってる奴なんだけど……)
「リコちゃん。このミートボール美味しいよ。一つ食べる?」
「あ、うん。ありがと」
「じゃ、あーんして」
「あ、あーん……」
(うう……なんかイヤ……)
なんとか繕ってリコが猿山に笑顔を返しながら口を開け、その中に猿山がミートボールを入れる。
(ん……普通に美味しいな……)
「リコちゃん……そのミートボール、オレの愛の塊と思って食べてくれるかな……」
(うぐっ……)
猿山の台詞を聞いたリコの体が一瞬硬直し、口からポロっとミートボールを零してしまう。
「おっと」
すかさず、それを落とさないように手で受け止める猿山。
リコが慌てて言い訳をする。
「ご、ご、ごめんなさい……。ちょっとびっくりしちゃって……」
「いや、リコちゃんを驚かせたオレが悪いんだよ。
じゃ、これはオレが、リコちゃんの愛の塊と思って食べるね」
ミートボールをじっと見つめて、愛おしげに猿山がつぶやく。
「あぁ……リコちゃんと、間接キス……」
(うっ……)
思わず手で口を押さえてしまうリコ。
パクッ。
リコの口から落ちたミートボールを自分の口に放り込む猿山。
(うあああぁ……)
猿山はミートボールを口の中いっぱいに転がしてから、ごっくんと飲み込んだ。
「はぁ……最高だよ、リコちゃんの味……。これが、リコちゃんの愛の味なんだね……」
猿山がうっとりと頬に手を当ててリコに笑いかける。
(ひ、ひいいいぃっ!!)
「それからもう、その娘がオレに甘えちゃってね。いやぁ、照れちゃうねぇ」
「甘える……? それは、具体的にはどのような行為を差すものなのですか?」
「そうだねぇ……。ヤミちゃん、兄貴とかいるかい?」
「いえ……あ、いや……いない、とは言いきれませんが……」
否定しようとしたヤミだったが、ふと美柑と入れ替わった時のことを思い返し、返答に躊躇する。
(あの時に限って言えば、結城リトは私の兄だった……)
その事実が、なぜかヤミには重要なことのように感じられていた。
「そうかい。じゃ、お兄ちゃん、って甘えたこととかあるだろ」
「お兄ちゃん?」
その単語はヤミの知識の中にあった。
(確か、兄を意味する言葉で、特に慣れ親しんだ間柄の場合に用いられる呼称のはず……)
「いや、その娘それから、オレにずっとベタベタくっついて来てねえ。
いやあ、二人とも若かったんだなあって、今にして見れば思うんだけどね……」
(甘える、お兄ちゃん、ベタベタくっつく……)
一方、リコは精神力を激しく消耗しながら、どうにか弁当を食べ終えていた。
「ふー! お腹いっぱいになったなー」
「そ、そうね……」
リコの笑顔はピクピクと引きつり、頬を冷や汗がタラタラと垂れ落ちていた。
「オレ、ちょっと眠くなっちゃったな。
リコちゃん。あの……オレに、膝枕してくれないかな……?」
「えっ!?」
猿山はリコの肩をガッと掴んで、リコに必死に頼み込む。
「オ、オレ、昔から、好きな女の子に膝枕してもらうのが、夢だったんだ……。
だから、リコちゃん! 一回だけ! 頼む! 絶対変な所に触ったりしないから!」
目をランランと輝かせてリコを見つめる猿山。
「で、でも……」
「頼むっ! こんな可愛いリコちゃんに膝枕してもらえるんなら……オレ、なんだってするから!」
リコがちょっと驚いたような表情を浮かべる。
「か、可愛い……?」
生まれて初めてそんなことを面と向かって言われたリコは、
なんだか少しだけ不思議な感覚を覚えていた。
「もちろん! リコちゃんは世界で一番可愛い女の子だよっ!
ああ……こんな可愛い女の子に会えて、なんてオレは幸せなんだ……」
うっとりと幸せそうな表情を浮かべる猿山。
「本当に?」
「うん!!」
リコはちょっとだけウツムいて、顔をポッと赤く染めていた。
(お、オレって……そんなに、可愛いのかな……)
恥ずかしげにリコがつぶやく。
「い、一回だけだよ……」
「ほ、本当に! やったーっ!! じゃ、はやく、はやくっ」
ガッツポーズを取って大喜びする猿山。
リコはちょっと崩し気味の正座に足を組み替える。
「はい」
「じゃ、お邪魔しまーす!!」
猿山は床に寝転んで、リコの膝の上に頭を乗せた。
(あぁ……オレの頭の後ろにリコちゃんの太もも……オレの目の前にリコちゃんのおっぱい……。
あぁ……ここが、オレの探し求めた楽園だったんだ……)
猿山はリコの体温の暖かさに包まれて、至福の表情でリコの膝の上で安らいでいた。
(うあぁ……お、オレの膝の上で……猿山の奴……うあっ……な、何考えてんだ……
エロイ面さらしやがって……わっ……う、動くなっ……わひゃっ……く、くすぐったいぃっ……)
リコは猿山の生暖かく暑苦しい顔を見せつけられて、涙目を一生懸命閉じて堪えていた。
「リコちゃん、もう一つお願いがあるんだけど」
「な、なに……?」
猿山は照れくさそうに言った。
「オレのこと、ケンイチお兄ちゃんって呼んでくんない?」
(お、お、お、お兄ちゃん〜!?)
唖然として口をポカンと開けてしまうリコ。
「オレ、リコちゃんみたいな妹を持つのが夢だったんだ……」
また、うっとりしてポッと頬を赤く染める猿山。
(ま、ま、まあ、呼ぶだけなら別に実害はないし……)
なんとか自分に言い聞かせて、リコがつぶやく。
「ケ、ケンイチ、お兄ちゃん……」
「おおおっ!!!」
猿山の体がビクッと反応する。
目をカッと見開いて血走らせ、拳をギュッと握りしめてワナワナと震えていた。
(な、なんだ、この反応……!?)
あまりの激しい反応に驚いてしまうリコ。
「も、もう一回言って!!」
「え、えっと、ケンイチ、お兄ちゃん……」
「はうっ!!!」
猿山は頬に手を当てて顔を蕩けさせ、天にも昇らんばかりの至福極まる表情を浮かべていた。
「もう一回!!」
「ケンイチお兄ちゃん」
「はうあっ!!!」
「ケンイチお兄ちゃんっ」
「あひいっ!!!」
(こいつ……そんなに嬉しいのか……)
リコはその反応を見てだんだんと面白くなってきて、ちょっとサービスしてしまった。
「ケンイチお兄ちゃんっ♪ リコ、お兄ちゃんに膝枕出来て嬉しいなっ♪
リコのおっぱい、触ってみるぅ?」
自分のおっぱいをむにっ、と手で揉んで、前に突き出してみるリコ。
「あひいいいいいっ!!!」
ブハッ!!!
鼻から吹き出した血を手で必死で押さえながら、猿山がガバッと上半身を起こす。
そして、ポタポタと鼻からこぼれ落ちる鼻血をハンカチで拭き取り、
もう一度リコの膝に頭を乗せる。
ハァ、ハァと荒い息をつく猿山。
「あぁ……最高だったよ、リコ……。
お兄ちゃん、リコのおっぱいのおかげで、いっぱい出ちゃったよ……」
頬を紅潮させて目をトロンとさせて語る猿山の顔は、まるで事後のようだった。
「恋に恋する年頃、って奴だったんだろうねえ。
なんというか、キスするのが楽しいって言うよりは、
キスしたってのを友達に自慢するのが嬉しかったというか、
キスしてないと恥ずかしいから意味も分からずにやってたというか……」
「そうなのですか」
「いやはや、恥ずかしい話なんだけどね」
主人はフッとため息をついた。
「今にして思えば、キスってのは恋愛にとってほんの始まりの一部なんだよね。
本当に楽しかったのは、その娘とずっと一緒にくっついて、遊んだり、映画を見たり、
買い物したり、食事したり、エッチしたり……、笑ったり、泣いたり、怒ったり、悲しんだり……。
とにかくずっと一緒にいるってのが、一番の幸せだったね」
(ずっと、一緒に……)
ようやく息を落ち着けた猿山は、真上にあるリコの顔を見つめる。
リコはまだなんだか少しくすぐったそうな顔をしていた。
「リコちゃん、くすぐったいかな?」
「え、あ、ちょっと……で、でもなんとか我慢できるから……」
その言葉を聞いた猿山が安らいだ顔をしてリコに声をかける。
「リコちゃん、やっぱり優しいね」
「そ、そう?」
猿山は一呼吸おいて、ゆっくりとリコに告げた。
「オレ、なんだか……こんなに安心した気分なの、久しぶりだよ」
「そう……。良かったね」
「オレ……ずっと想像してたんだ。リコちゃんと二人っきりで、こうやって一緒にいられたらって。
それで、いつか結婚して、エッチして、子供生んで、一緒に育てて……
一生ずっと二人で苦労を分かち合えたら良いなって……」
「あ、あはは……」
(そ、そんなこと、絶対あり得ねー……)
猿山はリコに包まれて、リコの体温の暖かさに感じ入るようにそっと目を閉じた。
「ずっと……こうしてたいな……」
猿山が黙り込んでしまう。
しばらくしてリコが声をかけてみる。
「猿山……くん?」
「スー……。スー……」
規則正しい寝息を立て、猿山はいつしか眠りに落ちていた。
ようやくふう、と一息つくリコ。
(ふー……。膝枕って、こんなにくすぐったいものだったんだな……)
心から安らいだ表情で眠っている猿山を、温かな眼差しで見つめる。
(こいつでも、寝てる時は意外に可愛いもんだな……)
クスッと吹き出して、リコは猿山の頭にソッと手をおく。
(今頃、どんな夢を見てやがるのかな……)
『ケンイチお兄ちゃんっ♪ リコのおっぱい、触ってぇ……』
『リ、リコっ!』
ペロン。リコちゃんは制服の上着をめくって、おっぱいを丸出しにして見せてくれる。
『リコぉ、ここが一番感じちゃうのぉ……。触ってぇ、お兄ちゃん……』
『リ、リ、リコっ!!!』
「うわっ!?」
猿山はいきなり両腕を伸ばして、リコの制服の上着を下からめくり上げると、
ブラジャーを付けていないリコの乳首を指で掴んだ。
「ちょ、ちょっと、猿山くんっ……あんっ!?」
『あっ……お兄ちゃんっ……リコ、感じちゃうぅ……もっとぉ……もっとしてぇ……』
リコちゃん、顔が真っ赤っかになって、いっぱい感じちゃって、可愛いっ!!
「あっ……や……やめて……猿山くんっ……あんっ……だめ……やめてぇっ……!」
寝ている猿山にいきなり乳首をコリコリと弄られ、リコは嬌声を上げてしまう。
だんだんリコちゃんの乳首が大きくなってきた。
『はっ……あんっ……あはんっ……そう……もっと……強くっ……お兄ちゃんんっ!』
オレはグリグリとリコちゃんの乳首をツネ上げる。
『あーっ……いいっ! お兄ちゃんっ! そうっ! もっと、もっと強くしてっ!!』
「あーっ!! やっ!! やっ、止めてっ!! さっ、猿山くんっ……
あっ!? い、痛っ! そ、そんなに強くしちゃ……いっ……いーっ!!」
猿山に勃起した乳首をギュッと強くツネられ、顔を真っ赤にして頭を仰け反らせるリコ。
『こんどはっ……優しくしてぇ……あっ……そぅ……んっ……お兄ちゃんっ……じょうずぅ……あんっ……』
リコちゃんの言葉通りに、今度は優しく指で乳首の先をコネコネとしてあげる。
「えっ……な……なんで……急に優しく……あっ……あっ……あぁっ……!」
いきなり優しくなった緩急のある猿山の攻め。強く刺激されて敏感になってしまった乳首に、
優しく甘い蕩けるような愛撫を受けたリコは、ついに……
「あっ……あっ……あっ……ああっ……いいっ……」
猿山の攻めから与えられる快楽を、素直に受け入れ始めていた。
『あっ……あっ……あとはっ……お兄ちゃんの好きなようにっ……あんっ……いっぱいっ……してぇっ……』
オレはリコちゃんのおっぱい全体を揉みしだきながら、指先で乳首をコリコリし続ける。
『あんっ……いっ……お兄ちゃんっ……好きっ……大好きっ……お兄ちゃんっ……大好きぃっ……あはんっ!』
リコちゃんはとっても嬉しそうに気持ち良さそうにピンクに染まった顔で、
オレに向かって幸せそうに愛の告白をしてくる。
「あっ……あはぁっ……やんっ……いっ……いいっ……も……もっと……もっとしてっ……あんっ……」
リコは猿山の望むままに乳房を揉みし抱かせ、乳房全体で猿山の攻めに感じ入っていた。
「あっ……はぁんっ……い……いぃっ……いいよっ……猿山くんっ……あはんっ……はぁっ……!」
猿山の攻めで快感を高められ、リコはもう絶頂寸前にまで達していた。
『あっ……リコっ……お兄ちゃんのっ……お嫁さんになるっ……お兄ちゃんっ……お兄ちゃんっ……
リコのことっ……お兄ちゃんのっ……お嫁さんにっ……お嫁さんにしてぇっ……
あんっ……はんっ……お兄ちゃんっ……お兄ちゃんっ……お兄ちゃ〜んっ!! あはんっ!!』
リコちゃんはついにオレの乳首攻めでイッちゃった。
ピンクに顔を染めて、おっぱい丸出しのままオレにもたれかかって来る。
『あはぁ……嬉しい……。これでリコぉ……お兄ちゃんのお嫁さんだねぇ……』
『うん、リコ……。お兄ちゃん、リコと毎日いっぱいエッチして、
いっぱい気持ち良くしてあげるからね』
『リコ、嬉しいっ! ケンイチお兄ちゃんっ、大好きっ♪』
リコちゃんは丸出しのおっぱいをオレの胸にギュッと押しつけながら、
嬉しそうにオレに抱き着いてネットリと甘いキスをした。
「あっ……いっ……イ……イク……イッちゃうっ……え?」
そこでいきなり猿山の手がパタリと倒れ落ちた。
その様子をポカンと見つめるリコ。
乳首を勃起させたまま放置されたリコの乳房が、物欲しげにぷるんと震えている。
(そ、そんなぁ……!!)
リコはガッカリした表情をした後、顔を真っ赤にして涙目でプルプル震え出した。
(ひ、ひっどーいっ!! もうちょっとでイクところだったのにぃ!! もう、猿山のバカッ!!)
が、次の瞬間……
(あ……えっ!? べ、別にオレが、女の子としてイカされたいとかじゃなくて……あー、もうっ!!)
頭を掻きむしってしまうリコ。
「もうっ!!」
頭に来たリコが手を振り上げて猿山を叩き起こそうとした瞬間、猿山が寝言を言った。
「ああん……リコひゃん……好き……」
嬉しそうに声を上げて、安らかに眠る猿山。
(よっぽど、女のオレの事が好きなんだな……)
リコは振り上げた手を下ろして服装を直す。
ふと、さっきの猿山の一言を思い出す。
『オレ、なんだか……こんなに安心した気分なの、久しぶりだよ』
(女の子の体って……すごいんだな……)
自分の真下に見える、猿山を見守るようにかすかに震える、2つのふくよかな胸のふくらみ。
リコは頬を少しだけ赤く染め、なんとなく自分の胸にそっと手を当ててみた。
と、その時。
リコの身体からシューと煙が吹き出した。
(こ、これって……!)
ポンッ!
軽い音と共に、手に当たっていた柔らかな感触が、一瞬のうちに無くなってしまう。
リコの身体は元のリトへと戻ってしまっていた。
(ま、マジかよーっ!?)
「じゃあな、ヤミちゃん」
「貴重な話、大変感謝しています。それでは私はこれで」
「ああ。彼氏によろしくな」
ヤミはクルリと主人の方に振り返った。
「彼氏……?」
「ああ。この間、一緒にタイヤキ買いに来てくれてたじゃねーか」
(結城リトのことですか……)
「違うのかい?」
そう言われて、ヤミは少しだけ顔を赤らめた。
「いえ……その可能性は完全に否定できるわけではありません」
ヤミは主人に背を向けると、スタスタと歩いてタイヤキ屋を立ち去った。
猿山に男同士の膝枕をしたまま固まってしまったリト。
今動けば猿山が目を覚まし、自分が男である、しかもリトであることがバレてしまう。
(や、ヤバ過ぎるううっ!!)
慌てて携帯電話を取り出してララを呼ぼうとする。
屋上の扉の向こうから、携帯電話の着信音が鳴り響く。
(はやく……はやく……)
しかし、その願いも空しく、
「ん……」
(ひええええっ!?)
猿山がついに、目を覚まそうとしていた。
ヤミはトランスによって羽を生やし、
自分のお気に入りの場所である彩南高校の屋上へと向かっていた。
(結城、リト……)
ヤミは昨日のことを考えていた。
結城リトが激突した時、もちろん回避することは造作もないことだったのだが、
何故かそれをしようという思考がまったく働かなかった。
(どうして、私はあの時……)
あの時、自分の身体に一瞬生じた衝動。
このまま、結城リトに触れられても構わない、いや……
(もしかして……あれが、甘え……?)
ヤミは、自分の胸の鼓動が高鳴るのを感じていた。
いずれにしても、この疑問について、静かな場所でゆっくりと追求してみたい……。
その願望が、ヤミを屋上へと向かわせるのだった。
リトは咄嗟に猿山の目を手で覆い隠した。
「ん……んん……? リコちゃん……?」
寝ぼけた声で猿山が声をかける。
リトは必死で裏声を使って猿山に話し掛ける。
「あ……ははは……さ、猿山君……だーれだっ」
「んー……この可愛い手は……リコちゃんだねっ」
「う、うんっ……当ったりー」
「やったぜー!」
(ララ、はやくっ!!)
必死の願いにもかかわらず、まだ扉は開かない。
「えっと……リコちゃん、もういいかな」
「ま、まだっ」
「えっ? どうして?」
(なんとか……誤魔化すしかないっ)
「わ、わたしっ! 大切なお話があるのっ」
「大切な話?」
リトは猿山の目を手で隠したまま、猿山を自分の前に座らせた。
「さ、さっきのお返事なんだけど……」
「!」
猿山の身体が緊張で強張る。
「め、目をつぶっててね……。絶対、開けちゃだめだよ……」
「り、リコちゃん……」
リトは、そっと猿山の頬に手を当てた。
「り、リコちゃんっ!!」
「め、目を開けないでっ!!」
(な、なにやってるんだよー! ララっ!!)
(粘膜同士の接触が、どんな作用を引き起こすのか……)
ヤミはもう一度、その疑問に立ち返ってみた。
さきほどのタイヤキ屋の主人の話、それに先日読了した恋愛に関する書籍を参考に、
その場面を頭の中で擬似的に再現してみる。
『ヤミ……』
『結城、リト……』
じっと私を凝視する彼の瞳。
『こういう時は、目を瞑るものではないのですか』
『オレは、一瞬でも長く君の顔を見ていたいんだ』
『……』
私の頬の温度が、なんだか少し上昇した気がする。
彼がクスリと幸福そうな笑みを浮かべる。
『ほら、こんなに可愛い君が見られたよ』
『!』
私は自分の胸の振動を適切に処理出来ず、彼の視線を回避してしまう。
『あ、あなたは、意地悪です……』
『そうかい? オレは世界で一番優しいんだけどな』
彼が私の顎に手を当て、強制的に私の視界に彼の顔面が入る様に私の頭部の向きを変更する。
『キスする時は、特に、ね……』
『結城、リト……』
彼の顔と私の顔との距離が次第に零に収束していく。
その恐怖感。その期待感。
私はそれに耐え切れずに目を閉じる。
そして、私の口唇と彼のソレが接触した。
この、感情は。
私の言語では、いまだに表現出来ないモノ。
私の世界の構造を根本から覆す、完全なる革命。
(ああ……ダメ……ダメです、結城……リト……)
彼の右手が私の背中に接触し、脊椎に沿って極めて緩慢な速度で上昇しつつ刺激を加えて行く。
以前、嫌悪感しか感じなかった彼との接触が、私にとって快適なモノに感じられるように
なったのは、一体いつ頃からだったろうか。
私は、ソレをもっと求めていた。
もっと、触って欲しい。
もっと、彼に私の全てを委ねたい。
(ああ……結城……リト……!)
不意に、彼の唇が私のソレから離れる。
じっと私の瞳の奥底を覗き込んで来る彼の鋭過ぎる視線。
『どうだい、ヤミ? これが君が望んでいたモノさ……』
『あ、あ……』
もはや、私は正常な思考が保てていない。
視界が朦朧としている。
顔面の温度が異常値を示している。
それでもなお、私は最後の理性を振り絞り、彼から目を背けて声を出す。
『だ、駄目です、結城リト……。このままでは、私の自我が破壊されてしまう……』
『それでいいんだよ』
『え……?』
彼が私に命令を加える。
『こっちを向いてごらん、ヤミ』
『うっ……』
私は、彼の命令に逆らうことが出来ない。
私の頭部は私の意思に反し、自発的に彼の方向へと転換させられてしまった。
『君が本当に望んでいることは、今の君を覆っている無駄な理性を脱ぎ捨てること。
そして、オレに思う存分甘えることさ』
『あ、甘える……?』
『そう……。さあ、呼んでごらん? リトお兄ちゃん、と』
『お……!?』
その言葉が、今の私にはとてつもない羞恥心を生み出す媚薬のように感じられていた。
『ほら、遠慮しないで良いんだよ』
『あ……あ……』
もし。
その言葉を言ってしまえば、今まで私を守っていてくれた私の強さが、誇りが、理性が、
全て吹き飛んでなくなり、彼に対する防御壁を失って丸裸になってしまう気がしてしまう。
しかし、その言葉には、もはや魔力と言っても過言ではないほどの強烈な魅力があった。
『さあ、大丈夫だよ、ヤミ……』
私の非トランス状態の比較的小ぶりな上体を、
男性として標準的な体型を持った彼の上体が包み込む。
信じ難い程の安心感。
もはや、私にはあらゆる防御策は不必要だという感覚が私の内部に充満している。
今の私はどんな表情をしているのだろう。
顔面の筋肉が弛緩し、温度が上昇しきっている。
瞳から原因不明の液体が流出している。
生まれて初めて、私は全ての警戒を解き、彼に告げた。
『リト、お兄ちゃん……』
「はっ……!?」
目の前にいきなり現れた電柱を慌てて回避するヤミ。
(わ、私とした事が……)
空想に耽るあまり、現実の障害物を見失ってしまうとは。
しかし……
(空想するだけでこれだけの作用を私に及ぼすのであれば……)
実際にそれを行えば、どれだけの変化が自分に訪れるのか?
(私は、それを知りたい、のか……)
知りたいような気もする。
怖いような気もする。
そんな事を考えながらヤミが屋上に着いた時、二人の人影が見えた。
(あれは……?)
キィ!
ようやく扉が開いた。
「んー? どうしたの、リコ?」
ララが声をかける。
(はやく……気が付いてくれっ!!)
「あ? あれっ? もしかして……あっ!」
どうやらララは気が付いたようだ。
デダイヤルを操作して、『ころころダンジョくん』を取り出している。
(ふーっ……なんとか間に合った……)
と、その時。
リトと猿山の真横に降り立つカゲがあった。
(ん……あ、あれは!?)
「……」
自分の目の前で。
自分にキスの大切さを語った人間が。
こともあろうか。
男同士で。
しかも、女子の制服姿で。
キスをしようとしている。
「ヤ、ヤミ……」
今のヤミの表情。
楽しみにしていた美少女アニメの最終回の録画ビデオに、相撲中継が撮れていた時。
繊細かつ美麗な美少年絵を描く少年漫画家の、暑苦しい素顔を見てしまった時。
いわく形容しがたい、なんともやるせない表情でヤミはその光景を呆然と見つめていた。
「結城リト……そういう事だったんですね……」
リトの目の前でヤミの髪、その全てが拳へと変化していく。
「だから、私などとはキスなど出来ないと……」
「ご、誤解だっ! ま、待てっ! 落ち着けっ!」
ヤミはフッと一瞬ため息をついた。
「あなたの言ったことなど、真剣に考えた私が愚かでした……」
「は、早まるなーっ!!」
「はい! リト、行くよー! えいっ」
『ころころダンジョくん』のビームとヤミの攻撃。
それはほぼ同時に行われた。
そして一瞬の後……
「あれ、リコちゃん……リコちゃんっ!?」
「もう、やだ……」
猿山の目の前に横たわるのは、ヤミにボコボコにされてキューと横たわるリコの姿だった。
それを見たヤミはフッとため息をつく。
「本当に……バカなお兄ちゃんですね……」
少し顔を赤らめながら捨て台詞を残すと、
タイヤキの袋を小脇に抱え、ヤミは再び虚空へと飛び去った。
(終)
猿山テクニシャン過ぎるだろ……
>>434 すんません
この話では一応キャラの性格その他は原作準拠なんですが、
リコたんにイタズラするキャラは時々超人的技巧を発揮します
ほんとに、全国3人(第一回人気投票調べ)の猿山ファンの方、イメージを壊してすんませんw
んじゃ、ラストの春菜編(
>>317-323 の続き)行きます
カップリングは基本的にリト×春菜
前半エロなし、後半エロあり
「好きだっ!!!」
(え……?)
私の目の前で、結城君が……私じゃない人に告白していた。
(そ……そんな……な、なんでーっ!?)
ララさん、ルンさん、古手川さん、御門先生。
結城君がみんなを連れて私のところにやってきた。
「ごめん、西連寺。オレ、やっぱりおっぱいの大きい女の子が好きなんだ」
「えーっ!?」
ララさんのおっぱい……おっきい。
ルンさんのおっぱい……おっきい。
古手川さんのおっぱい……おっきい。
御門先生のおっぱい……すっごく、おっきい。
「そ、そんな……そんな……」
「じゃな、西連寺」
「ま、待って! 結城君! 待ってーっ!!」
ガバッ!
ベッドの布団を跳ね上げて目を覚ます。
ここは……どうやら私の部屋みたいだ。
(ゆ、夢……だったの……?)
「おはよう、春菜くん」
「お姉ちゃん……」
なぜか、お姉ちゃんがベッドの脇に立って私を見下ろしていた。
「どうしたの? 結城君にフラれる夢でも見た?」
グサアアアッ!!
「ど、どうして……」
「あはは。だってぇ、『結城君、待ってぇ!』だもん」
「えぇっ!?」
どうやら、そんな恥ずかしい寝言を口走ってしまっていたらしい。
ほんっとに。お姉ちゃんにはいつも恥ずかしいとこばっかり見られちゃう。
「ふう……夢なら、良かったんだけどな……」
「え? もしかして、本当にフラレちゃったの?」
「……」
さっき見た夢。
少なくとも、その初めの部分は本当のことだ。
結城君が、私じゃない人に告白した。
でも……
(あんなに必死で、私の事助けてくれたのに……)
それにあの時、
『西連寺。話があるんだけど』
結城君は、確かそう言った。
なぜか急に水着が取れちゃったので逃げ出しちゃったけど。
(もしかして、私に言うつもりだったんじゃ……)
楽観的過ぎかもしれないけど……。
「うーん、なーんだか暗いなあ、春菜くん。
ま、朝ごはん作っておいてあげたから、食べなさい」
「はーい」
お姉ちゃんに促されて、着替えて顔を洗ってから食卓に着いた。
「……」
食事中も考えているのは結城君の告白のことばかり。
「まあね。男と女なんて、フッてフラれて経験を積んで成長していく物だから。
あんまり気にしなさんなって」
まるで何でもない事みたいにお姉ちゃんが言った。
「お姉ちゃん。今年に入って、何人男の子フッたの?」
「んー? 良く覚えてないけど、15人くらいかなぁ」
「はぁ……」
こんな人の言うことなんて参考になるはずがない。
お姉ちゃんももっと恋愛に真剣になればいいのに。まったく。
「じゃ、私はそろそろ行くから。食器は片付けておいてね」
「はーい。行ってらっしゃい」
お姉ちゃんが出かけて行った。
私は朝食を終えると、洗剤を付けて食器を洗っていつもの場所にしまおうとする。
ふと、食器棚のガラスに自分の姿が映っているのに気が付いた。
「ふう……」
私の胸。
日本人らしく、ささやかで慎ましい。
今までそれで普通だと思ってたんだけど……。
「はあ……」
最近、周りのみんなを見てると、すごく劣等感を感じてしまう。
前に結城君が、
『女の子は中身が大切だよ』
って言ってくれて、すごく救われた気分になってたんだけど、今度の告白でまた……。
「ふう……学校行こ……」
なんだか浮かない気分のまま、とにかく学校に行くことにした。
教室に着いたけど、まだ結城君の姿は無い。
そろそろ始業時間なのに、どうしたんだろう。
そういえば、なんだか校門の方が騒がしい。
ふと窓から校庭を覗き込むと、
「何やってるのっ!! ハレンチなっ!!」
古手川さんの叱り声が聞こえて来た。
(な、何が起こってるの?)
古手川さんがいつものように校長先生を叱っている。
そして、ララさんの横には結城君……じゃない? 女の子?
(あの人って……あっ!?)
その女の子は結城君に良く似ていた。
「あ、あの、夕崎、梨子です。リト君がいない間、よろしくお願いします」
女の子はそう言った。
(あの人って……まさか……)
確か以前……結城君がララさんの発明で女の子になった、と聞いた時に会った女の子だ……と思う。
あの時は一瞬しか見なかったので良く覚えてないけど……。
でもあの、結城君に良く似た雰囲気は、なんとなく覚えている。
(やっぱり、結城君なのかな……)
そして、なんだか一騒動あった後、1時間目の授業が終わって休み時間。
とりあえず、『夕崎梨子』さんに話し掛けてみることにした。
「はじめまして、夕崎さん。学級委員長の春菜です」
「あ、は、はじめまして、さ、西連寺、さん。よ、よろしく」
どうやら、間違いないみたいだ。
私は『春菜』としか言わなかったのに、夕崎さんは『西連寺』と私の名字を言った。
(やっぱり結城君なんだ……)
そう思って見てみると、女の子になってるけど、仕草や表情が結城君そのものだ。
(でも、なんで女の子になってるんだろう……)
3時間目の授業が終わって、里紗と未央が夕崎さんを連れて……
っていうか、両手を羽交い締めにして、私の所に連れて来た。
(また、この二人は……)
「ねー、春菜ぁ。リコりんの胸、すっごいんだよ! あんたも触ってみなよ!」
「えっ!?」
「うー! うー!」
夕崎さん、顔を真っ赤にして涙ポロポロ流して、頭をブンブン振ってイヤがってる。
「止めなさいよ二人とも、こんなにイヤがってるじゃない」
二人をたしなめようとしたんだけど……
「ま、それはこの胸を見てから言ってもらいましょうか」
二人が夕崎さんのおっぱいを片方ずつ持ち上げて……って、えっ!?
(本当に、おっきい……)
どうして……? 夕崎さんって結城君……男の子なんじゃないの!?
思わず、私の手が夕崎さんのおっぱいに伸びていた。
「ひゃっ!!」
あああ……こ、この感触は……。
「ウフフ……相変わらず感度いいねえ、リコりん♪」
ま、まさか……。
「ん? どうしたの春菜」
私は夕崎さんに当てた手の形をそのままにして、自分の胸に当ててみた。
……。
……。
……。
はぁっ……。
「だ、大丈夫、春菜。そんな落ち込んだ顔して……」
(私……男の子にまで、おっぱいで、負けちゃった……)
そして放課後。
夕崎さんはどうやら古手川さんのお家に遊びに行く事になったらしい。
「はあ……」
私はまたため息をついた。今日で、もう何度目だろう。
「どうしたの、春菜。元気ないねー」
「ララさん……」
振り返ると私の目に飛び込んでくる、ララさんの豊満なおっぱい。
「ふう……」
私はまた落ち込んで、ため息をついてしまう。
「春菜、もうリトから聞いた?」
「え? 聞いたって……何を?」
「あ……まだなんだ。でも、私からは言えないし……」
「?」
一体、なんの話をしてるんだろう。
でも、せっかくララさんとお話出来たんだから……。
「ララさん。今日、お家に遊びに行ってもいいかな……?」
「んー? いいよ!」
「じゃ、一回お家に帰って着替えてから行くね」
「うんっ。待ってるよー!」
そしていったん家に帰った後、ララさんの家……といっても、結城君の家なんだけど、
とにかく遊びにやってきた。
「んー、じゃ、リトの部屋に行って、リトのゲームでも借りよーか。
リトにはなかなか勝てないんだけど、いっぱい練習したから。負けないよー!」
「あははは……」
(やっぱり、いつも結城君と一緒に遊んでるんだよね……)
またなんだか、イヤな気持ちがわき上がって来る。
「あれ? どうしたの、春菜。つまんない?」
「そうじゃないんだけど……」
ふとララさんの方を見る。
普段着に着替えたララさんの……どうしても胸が気になってしまう。
ぷるん、ぷるんと弾力があって、きっと男の子だったら、
目が離せなくなっちゃうんだろうなあ……。
「あれ? どうかした? 春菜。悩みがあったら、なんでも言ってみて。友達だよね」
「ララさん……」
ララさんの優しい笑顔を向けられて、私はつい……口に出してしまった。
「胸が……」
「え?」
「ど、どうしたら、ララさんみたいに、胸が大きくなるのかな……」
「胸? ああ!」
ララさんは、ポンッと手を叩いた。
「春菜、胸を大きくしたいの? じゃ、私の発明品で胸を大きくしてみる?」
「えっ!?」
そ、そんな簡単に!?
「じゃあ、ちょっと部屋に戻って作りに行って来るね!」
「ちょ、ちょっと! ララさんっ」
私の声も聞かずに、ララさんは部屋に発明品を作りに行った。
(い、いきなり、そんな簡単に、出来ちゃうの!?)
私の長年の悩みが、あっという間に解決しちゃう。
そんな事があっていいんだろうか……?
いつもながら、ララさんにはびっくりさせられる。
ドキドキしながらララさんを待っていると……。
「ハルナー! 来てるんだって?」
「えっ」
ナナちゃんが部屋に入って来た。
ナナちゃんは私を見ると、えっへんとおおいばりの様子で胸を張った。
「ハルナの言った通りだったな! 女は胸じゃなくて、中身だって!」
「ええっ!?」
それは、結城君が言ってくれた……私にとっての救いの言葉だった。
今となっては空しい響きしかないのだけど……。
「あたし全然胸無いけど、リトの奴、あたしの事好きだってよ!!」
「えっ!?」
そう言えば。
あの結城君の告白のとき、あの場にはナナちゃんもいたじゃないか。
てっきり私は古手川さんやルンさんの方ばかり気にしていたけど、
もしかして……
(結城君、ナナちゃんに告白したの……?)
「いやー! やっぱり、あたしのこの女っぽさに参っちまったのかなー!」
「そ、そうかもね」
(ゆ、結城君って、そんな趣味があるのかなあ……?)
「どーしよっかなー。やっぱ、デートとかしちゃうのかな、あたし達!」
この、自信満々のナナちゃんの様子を見てると、なんだか胸の事で悩んでた自分が
バカらしくなってくる。
「地球だとさ、こういう時って全部男のオゴリなんだろ?
よーし、リトにいっぱいアイスとか、オモチャとかオゴらせるぜ!」
(ふふ……。ナナちゃん、こんなに喜んじゃって。可愛いな……)
「で、春菜は告白されたのか?」
「えっ!?」
突然自分に話を振られて、ちょっと戸惑ってしまった。
「姉上から聞いたけど、リトの奴……」
「ナナ!!」
ドアの所にララさんが立っていた。
「ダメだよ! 人の事をポンポン話したりしたら。
そういうのは、自分で言わないとダメなんだからね!」
「そうなのか……。ごめんな、ハルナ」
「え……いや、私は、別に……」
(さっき、何を言いかけたの、ナナちゃん……)
「で、春菜。準備が出来たから、お庭まで来てくれる?」
「へ? お庭?」
「じゃーん! 『ぱいぱいロケットくん』!」
「おー、すげー!」
「あ、あの、これ……」
庭に設置された、でっかいロケット。
(こんなので、胸がおっきくなったりするの……?)
「この中にはねー、女の子のホルモンバランスを調整するガスが入ってるの!
で、これに当たった女の子は、リトの理想のおっぱいになれるんだよ!」
「結城君の、理想の……」
ゴクリ。思わず唾を飲み込んでしまう。
「さ! じゃ、やってみよー!」
「ちょ、ちょっと待って!」
私は慌ててララさんを制止した。
「え? どーしたの、春菜」
「やっぱり、こういうのって……ちょっとズルい気がしちゃって……」
「えー?」
「結城君、前に言ってたし。女の子は、外見じゃなくて、中身だって。
こういうので無理矢理おっぱい大きくして男の子に好きになってもらっても、
なんか、ちょっと違うような気がして……」
「春菜……」
ララさんが私のことをじっと見つめて来る。
「ふーん、ハルナがそう言うんなら……あたしが使おうかなっ」
「えっ!? ナナちゃんがっ!?」
びっくりして、頭の後ろで手を組んでいるナナちゃんの方を見る。
「あたしって、いっつも胸のせいでモモからバカにされてるし! これで見返してやるんだっ」
「だ、ダメーっ」
私は必死でナナちゃんを止めた。
「な、なんでだよっ」
「なんでって……とにかくっ! 絶対ダメなのっ」
(ナナちゃんまで私より胸がおっきくなったら……私、もう立ち直れなくなっちゃうっ!!)
「いーじゃんか! ハルナは使わないんだろー!?」
「ダメったらダメなのっ!」
「えーと、結局どーするのかなー」
ララさんが呆れ顔でこっちを見ている。
と、その時。
「ただいまー」
ビクンッ!!
その声に反応して身体が硬直する。
「ゆ、結城君っ!?」
私の声に気が付いて、結城君がこっちに振り向いた。
「え……さ、西連寺!?」
結城君がこっちに歩いて来る。
「き、来ちゃだめぇっ!!」
(わ、私がおっぱいをおっきくしようとしてたなんて……絶対見せられないっ!!)
私は慌てて後ずさって、ララさんの発明品を隠そうとする。
カチッ!
「あっ!? 春菜! それ踏んじゃだめっ!」
「えっ!?」
ゴゴゴ……真後ろのロケットに点火したようだ。
「きゃあっ!?」
私は慌ててロケットから身を交わす。
ドシュッ!!
勢い良く発射されたロケットは……
「ん? のわーっ!?」
ボシューッ!!
その場に立っていた結城君を直撃した。
「あーっ!! またリトに当たっちゃった!!」
もうもうと立ちこめる煙が風に流されて行く。
そこに現れたのは……
「またかよ……」
憮然とした顔で立ちすくむ、今朝教室で会った夕崎梨子さんだった。
私は結城君の家の居間に戻って、女の子になっちゃった結城君と向かい合って座っていた。
「やっぱり、結城君だったんだね」
「あ、バレてたんだ」
あははっ、と二人で笑い合う。
「まったくララの奴、人の身体をおもちゃにしやがって……」
「でも結城君の女の子姿、すっごく可愛いよ」
「はは……。喜んでいいものやら……」
「おっぱいも、おっきいし……」
「えっ……!?」
結城君こと夕崎梨子さんが、困ったような顔をして自分の胸を押さえている。
そんな私達の様子を見て、ララさんが……
「せっかくだから、二人でお風呂に入ったら?」
「「ええっ!?」」
「リト、さっきのでだいぶ汚れちゃったし、今は女の子同士だし!」
「そ、そうだけど……」
「さーさー! そうと決まったら、お風呂場へゴー!」
「うわっ」「きゃっ」
ララさんが私達二人をお風呂場に押し込んだ。
私は女の子になった結城君の身体に石けんを付けて、背中をタオルで擦っていた。
「ほんとに、完全に女の子になってるんだね……」
「う、うん……」
「女の子の時は、リコちゃんって呼んでいいかな? 猿山君みたいに」
「え? い、いいけど……」
「うふふ。リコちゃんっ」
「な、なんか、恥ずかしいな……」
「リコちゃんも私のこと、春菜って呼んでいいよ」
「え!? ほ、本当に?」
「うん。女の子同士だもんね」
リコちゃん、なんだかちょっと戸惑ってるみたい。
「じゃ、えーっと、は、春菜ちゃん……」
「はい」
「うわぁ……」
リコちゃんのほっぺたがちょっと赤くなった。
うふふ、なんか可愛いな……。
「女の子になって、どんな気分?」
「えっ!?」
リコちゃん、ビックリしてまた真っ赤になっちゃった。
「ど、どんなって言われても……何がなんだか分からなくて……
猿山とか校長には追いかけられるし……それに籾岡の奴……ああっ! もう、最悪……」
リコちゃん、頭を抱えてうつむいちゃった。
「じゃあ、猿山君に告白されて、どんな気持ち?」
「えーっ!?」
リコちゃんがびっくりして、目がまん丸になっちゃってる。
「あ、あいつの事は言わないでー!!」
頭をブンブン振り回してイヤがるリコちゃん。
なんか、ほんっとにイヤそうな顔してる……。
「あはは……。でも、告白された女の子の気持ちが少し分かったんじゃないかな」
「うー……」
眉をしかめてるリコちゃんを見て、私はクスッと笑ってしまう。
「これからもいっぱい女の子の気持ちが勉強出来るよね。せっかく女の子になったんだし」
「えー!? もうやだよー!」
今日はびっくりしてばっかりのリコちゃん。
うふふ、本当にリコちゃん、可愛いなあ……。
「そ、それで、ちょっと聞いていいかな……」
「え?」
私は背中から手を回して、リコちゃんのおっぱいを手でスッと包み込んだ。
「ひゃっ!? は、春菜ちゃん!?」
手のひらから伝わって来る、たっぷり量感のあるリコちゃんのおっぱいの感触。
どう見ても……私のよりふた回りは大きい……。
「こ、これが、結城君の理想のおっぱいなの……?」
「え、えーっ!?」
リコちゃんがびっくり仰天しちゃった。
「だ、だって、ララさんが、そう言って……」
「ララの奴……」
リコちゃんがハーッとため息をついた。
「今のオレの理想は、真っ平らな男の胸にもどりたいよ……」
「あははっ。でも、すっごく似合ってて可愛いよ。ちょっと、うらやましいくらい。
結城君って、女の子の才能あるんじゃないかな」
「や、やめてよー、春菜ちゃん……」
(ほんとに、うらやましい……)
リコちゃんは男の子なのにこんなにおっぱいがおっきくて、
私は女の子なのにおっぱいがちっちゃいなんて……。
(やっぱりさっき、おっぱいおっきくしてもらうんだったかな……)
私はちょっとだけ、さっき断っちゃったことを後悔していた。
「あ、あの……」
一呼吸置いてから、思い切って聞いてみた。
「わ、私って、もっとおっぱいおっきい方が、可愛い、かな……」
「えっ!?」
また、リコちゃんはびっくりしたみたいな声を出した。
リコちゃんは私の方に振り向いて、
「春菜ちゃんは、そのままが一番だよ」
キッパリと言い切った。
「え……」
今度は私がびっくりしちゃう。
「ほ、ほんとに……?」
「うん」
(で、でも……)
「結城君って、おっぱいがおっきな女の子が好きなんじゃ……?」
「えっ!? な、なんで……」
私は、昨日の結城君の告白を思い出していた。
「だって昨日……古手川さんと、ルンちゃんと、御門先生に、告白してた……よね?」
「あ……」
リコちゃんが頭を抱えてしまう。
「あ、あれは……間違いなんだ」
「間違い?」
「本当はオレ、別の人に告白しようと思ってたんだ」
「え……」
「本当はオレ……」
一瞬、空気が静まり返った気がした。
リコちゃんの顔が、ほんのりと赤くなって行く。
私はまた、昨日の結城君の台詞を思い出していた。
『西連寺、話があるんだけど』
(やっぱり……そうだったの……?)
ドキン、ドキン、ドキン……。
胸の鼓動で、私の視界が微かに揺れている。
そして、リコちゃんの唇から出て来た言葉は……
続きはまた今度。んじゃ
「いや……間違い、だったんだ」
「え……?」
リコちゃんは、一瞬考え込んでからゆっくりと続けた。
「オレ、さっき古手川に会った」
「あ……」
そう言えば、さっきリコちゃん、古手川さんと一緒に帰ってた……。
「それであいつの様子を見てて、気が付いたんだ。
オレにとっては間違いだったんだけど、
古手川にとっては間違いでもなんでもなかったんだな、って」
「え……?」
「だから……少なくとも、オレのしでかした事に、オレ自身がけじめを付けるまで……
本当のこと言うの、待ってて欲しいんだ」
「……」
「ごめん、春菜ちゃん」
私はすまなさそうに頭を下げたリコちゃんのことをじっと見つめていた。
そして、リコちゃんの顔にそっと手を当てて、私の方に向けた。
「結城君って、優しいんだね……」
「えっ……」
「じゃ、背中流すから。後ろ向いて」
「う、うん……」
(優し過ぎるよ、結城君……)
私は、リコちゃんの背中にお湯をかけながら、
少しだけお湯を掬い取って自分の頬に落ちた滴を洗い流した。
「ね、リコちゃん。一緒に入らない?」
「う、うん……」
二人で並んでバスタブの中に浸かる。
「うふふ……こうしてると、本当に女の子友達みたいだね」
「あはは……」
「それで、古手川さんとどんなお話したの?」
「え……」
リコちゃん、ちょっと黙り込んだ後、
「あんまり詳しくは話せないんだけど」
一言断ってから、淡々と語り出した。
「古手川、オレに告白されてすごく悩んでた」
「そう……よね」
「オレ正直、古手川があんなに悩むだなんて思ってなかったよ。
恋愛事なんて全然興味ないんじゃないかと思ってた」
「そうかな」
「え?」
リコちゃんが顔を上げて私の目を見た。
「古手川さん、いつも怒ってる事が多いから周りの人から疎まれてる部分もあるけど、
本当はすごく繊細で優しい心を持ってる人だと思う」
「そう……かな」
「うん」
私はニッコリと笑ってリコちゃんに告げる。
「男の子の結城君には分からないかもしれないけど、
女の子のリコちゃんなら分かるんじゃないかな」
「……」
リコちゃんはちょっと考え込んでしまう。
「私、リコちゃんが古手川さんのお友達になったのって、すごく良い事だと思う」
「え?」
「古手川さん、いつもクラスで寂しそうにしてたから」
「あ……」
私はリコちゃんにニッコリ笑いかけた。
「リコちゃん。これからも古手川さんの良いお友達でいてね」
「うん……」
リコちゃんも少し微笑んでくれた。
「でもそれって、オレ、これからも女にならなきゃいけないって事?」
「えっ!? あ、そ、そうよね……やっぱり、イヤ?」
リコちゃん、ハァッとため息をついてから言った。
「校長と猿山と籾岡がいなければ良いんだけどね」
「あはは」
私は苦笑を浮かべてしまった。
その時、リコちゃんがなにげなく微笑みながら言った。
「春菜ちゃん、やっぱり優しいね」
「え……」
優しい。
私は、優しい。
結城君も、優しい。
なぜか急に、私はその言葉が大嫌いになってしまった。
私って、なんでこんなに優等生ぶってるんだろう……。
それに、結城君もどうしてこんなに、私だけに優しくしてくれないんだろう……。
私の中に生まれた、酷く独占欲の強いワガママな考え。
しかし、私はそれを否定することが出来なかった。
それを否定することは、私の一番大切なものを捨てることを意味するから。
沈黙してしまった私に結城君が問いかける。
「春菜ちゃん? ど、どうしたの」
私はゆっくりと首を振って答える。
「ううん、なんでもない」
私の葛藤は続いていた。
私の幸せと、クラスメイトの古手川さんの幸せ。
秤にかければどちらが重いかは分かり切っている。
しかしそれを秤にかけるには、私の大切なものをいくつも捨ててしまわなければいけない。
優しさ。思いやり。友情。穏やかで、ほのぼのとした日常。
それを捨ててもなお、私は幸せになれるのだろうか。
「……」
口の中に血の味がした。唇を噛んでしまっているみたい。
鼻を突き抜けるツンとした匂い。なんだか、吐き出してしまいそう。
このままではみんな台無しにしてしまいそうで。
私は出口のない迷宮を彷徨うのを止めた。
「そろそろ上がりましょうか」
リコちゃんの顔をみないようにして私が呟いた。
「あ! オレが先に出るから!」
リコちゃんがザバッとバスタブの中で立ち上がって、
「ふぅーっ」
両手を伸ばして思いっきり伸びをして、プルプルと頭を振る。
(あ……)
その姿を見た私は、ふと中学校の頃の結城君の事を思い出した。
サッカー部の部員だった結城君。
練習が終わった後、友達と笑い合いながら水場で汗を洗い流して、
気持ち良さそうに頭を振って水を飛ばしてた……。
(結城……君……)
その瞬間。
ドクン。
私の身体が魂ごと大きく震えた。
体中の血がゾクリとざわめく。
手足が震え、背筋が脳天を震わせる。
呼吸が荒くなり、視界が狭くなる。
結城君が、欲しい。
欲しくって、欲しくって、はらわたを吐き出してしまいそう……
(結城君……)
結城君がバスタブから外に出ようとする。
その時、
「えっ!?」
私は後ろから結城君の身体に抱き着いてしまっていた。
「は、春菜ちゃ……うわっ」
私と結城君はもつれ合って転んでしまう。
「いてて……。だ、大丈夫、春菜ちゃ……!」
(結城君……)
結城君がハッと息を飲む。
一体今、私はどんな顔をしてるんだろう。
顔が、熱い。
頭が、ボーッとしてる。
ハァ……。ハァ……。
私の唇にかかる結城君の息が熱い。
もっとその熱さを感じたくて、
その熱さの源を自分の物にしたくて、
私は……
(結城……君……)
「春菜ちゃん」
ハッ。
私は目の前の結城君の声で我に返った。
結城君は、私の頬に手を当てて不思議そうな顔で私を見ていた。
「どうしたの、春菜ちゃん」
「結城……君……」
「涙、出てるよ」
「あ……」
いつの間にか、私の頬に二つの熱い涙の筋が出来ていた。
その涙は、ついに溢れてしまった私の長年の想いの結晶。
「好き……」
一瞬、結城君が止まってしまう。
でも、もう私は、溢れ出した想いを止められない。
「好き……好きっ……」
「は、春菜……ちゃん……」
私は結城君の胸に縋り付いて、想いの洪水を全て吐き出した。
「好きっ……好きなの……結城君っ……大好きっ……
ずっと……ずっと好きだったっ……私……中学の頃から……ずっと……
好きなの……結城君のことが……好きっ……好きなのっ……好きなのっ……好きなのっ……!
だから……行かないでっ……古手川さんの所なんか……行かないでっ……
私の……結城君でいて……お願い……お願い……お願い……
私が一番……結城君のこと好き……もう……離れたくない……
結城君……結城君……結城君……結城君……結城君っ……!」
多分、私の顔は今までで一番みっともない。
真っ赤になって、涙でビショ濡れで、鼻水が一杯出てて……。
でも、そんなダメな私を全部結城君に見て欲しくって、
優等生じゃない私を全部結城君に知って欲しくって、
私は今、世界で一番、ワガママで悪い娘になった。
一体、どれだけの涙を流したんだろう。
いつの間にか、私は結城君の胸に縋り付いたまま放心していた。
結城君は、そんな私の頭をずっと撫でていてくれた。
ゆっくりと顔を上げて、小さな声で結城君に言った。
「結城……君……。ごめんなさい……私……」
「ありがとう、春菜ちゃん」
私の声を遮って結城君がきっぱりと告げた。
「オレ、今、最高の気分だよ」
結城君がニッコリと笑った。
「あ……!」
その笑顔で、私の心が救われた。
目から光が差し込んで、私の世界が明るくなって行く。
「でも、オレやっぱり、古手川のことはきちんとしたいと思ってるんだ」
「え……」
(そんな……)
私の中の光が急に小さくなった気がした。
結城君が続ける。
「実はオレ、古手川達に間違って告白する前に、ララに告白したんだ。好きだって」
「えっ!?」
(ララさんにも……!)
「そして、もっと好きな人がいるってのもちゃんと言った。つまり、その……」
結城君が少し顔を赤くして、私の方を見つめる。
(わ、私のこと、なの……?)
「そしたらララの奴がさ、言ったんだよ。やったー! って」
「え……」
「ララと春菜ちゃん、二人ともオレと結婚できる、って。無茶苦茶だろ?」
「え、えーっ!?」
(そ、そんなことって……)
「無茶苦茶なんだけどさ。でも、オレもちょっとだけ今、思っちまったんだ。
もしそんなことが本当に出来るなら、オレ……ララも、春菜ちゃんも、それに古手川だって、
みんな幸せにできるのかもしれないな、って」
「あ……」
「あ、ごめん。オレ、なんか偉そうなこと言っちまった」
結城君が照れくさそうに頭を掻く。
私はなんだか、気が抜けたというか、感動したというか、驚愕したというか、
自分の信じていたものが根底から覆されたというか、狐につままれたような印象を受けていた。
(そんなのって……許されるの!?)
もし。
そんなことが許されるのなら、さっきまで私が必死で思い悩んでいた事は一体何だったのか。
私はまた、ララさんの心の底知れない大きさに驚いて、自分が恥ずかしくなっていた。
ふう、と私はため息をつく。
「ララさんって、本当にすごい人だね」
「本当。何考えてるのかさっぱり分かんねーよ」
ハハハ、と二人で笑い合う。
「それで……さ」
「え?」
「あんまり、女の子同士で抱き合ってると……ちょっと恥ずかしいんだけど……」
ハッ、と私は今頃気が付いた。
私が抱き着いていたのは、結城君なんだけど、リコちゃんだった。
私がさっき頭を埋めて泣いていたのは、リコちゃんのおっぱいの間……。
「ご、ご、ごめんなさいっ」
慌てて顔を真っ赤にして、私はパッとリコちゃんの身体から飛び退く。
そして一瞬二人で見つめ合って、どちらからともなくプッと吹き出して、アハハッと笑い出した。
「じゃ、そろそろ出ようか」
リコちゃんが私に手を差し出す。
「うん」
私がリコちゃんの手を取る。
私達は、二人仲良く並んでお風呂場を出た。
「あ、お姉ちゃん? 今日、お友達の家に泊まるから……え? ち、違うよ!
女の子のお友達! も、もう、本当だってば! ……あー、信じてない!
ちょ、ちょっと、お姉ちゃん!」
一方的に電話を切られた私は、ムッとしてちょっと膨れっ面をしていた。
「どうだった?」
「まったく……私の言うこと全然聞かないんだから、お姉ちゃんったら!」
「あははは……」
リコちゃんが私の顔を見て苦笑いをする。
「でも、春菜ちゃん、そんな顔もするんだね」
「えっ!?」
恥ずかしくて赤くなっちゃう。
「やだ、私ったら……」
「でも、すっごく可愛いよ。春菜ちゃん」
「えっ」
もう、私の顔は真っ赤っか。
「もう、結城君のバカ……」
「あはは。じゃ、オレの部屋に来る?」
私達は二人で結城君のお部屋にやって来た。
部屋を見渡すと、ちっちゃいかごの中にセリーヌちゃんがスヤスヤと眠っている。
「あ、セリーヌちゃん。可愛いね」
「あはは……寝てる時はいいんだけどね」
リコちゃんがそんな事を言っていると、セリーヌちゃんが起き出して眠そうに目を擦っている。
そして、リコちゃんを見付けると、
「まうーっ!」
ガバッ、とリコちゃんに飛びかかって抱き着いた。
「あっ!? セリーヌ!?」
そして、リコちゃんの着てるTシャツをめくって中に入り込んで、
「あっ、ちょ、ちょっとっ……あんっ!?」
リコちゃんのおっぱいをチューチュー吸い出した。
「あーっ……や、やめっ……セリ……あっ……あんっ……あはんっ……!」
セリーヌちゃんにTシャツをめくられて、リコちゃんおっぱい丸出しになっちゃった。
顔が真っ赤になって、ペタリとベッドの上にへたりこんじゃって、頭が仰け反っちゃってる。
「あ……やめ……あんっ……な……なんで……こんな……あはっ……いやぁっ……!」
もうリコちゃん、セリーヌちゃんにベッドの上に押し倒されて手足がピクピクしちゃってる。
顔がもう汗だくになっちゃって、ハァ、ハァってエッチな声出しちゃって、
なんかすっごく感じちゃってるみたい……。
「あん……セリーヌぅ……や……やめてぇ……もう……やっ……あはっ……!」
チュポンッ!
音を立てて、セリーヌちゃんのお口がリコちゃんのおっぱいから離れた。
セリーヌちゃん、美味しそうにペロッと舌なめずりなんかしちゃってる……。
「あぁ……はぁ……はぁ……」
リコちゃんが顔を真っ赤にして荒い息をついてる。
リコちゃんのおっぱい……うわぁ……乳首が立っちゃってる……。
「まうーっ!」
あっ!?
「やんっ!?」
セリーヌちゃん、リコちゃんの立っちゃった乳首をちっちゃい手でギュッと掴んで、
「まうまうっ♪」
「やんっ! あんっ! いぎっ! あーっ! やめ……あはんっ!!」
おもちゃみたいにギューギュー引っ張ったりこね回したりして遊んでる。
「まうーっ!」
あっ!
手でリコちゃんの乳首掴んだままもう一個の乳首に吸い付いて、またチューチュー吸い出した……。
カプッ!
「あっ……いぎいいぃっ!! かっ……噛まないでっ……あっ……いいいいぃっ……!!」
リコちゃん、セリーヌちゃんにおっぱい噛まれたみたい。
なんかすっごく痛そうに涙ポロポロ流して頭をぶんぶん振り回してる……。
「いたっ……いたいっ……やっ……やめ……やめてぇっ……あっ……!」
チュポンッ!
またセリーヌちゃん、お口をおっぱいから離した。
「はあぁ……はあぁ……もぅ……やだぁ……」
リコちゃんのお顔、もう真っ赤っか。
汗がいっぱい出てて、よだれまでタラっと垂らして、涙もポロポロ流してて、すっごくエッチ……。
息は荒くなってるし、手足がダランとなってるし、乳首は両方ピンと立っちゃってるし……。
「まうまうっ♪」
「あひぃ!?」
あっ!
セリーヌちゃん、リコちゃんの乳首を両方手で掴んで、また引っ張ってコネコネし始めた。
「あはぁんっ……やぁんっ……やめてぇっ……乳首ぃ……感じやすくなってるのにぃっ……
はああんっ……あはあんっ……はうぅっ……いぃっ……!」
あっ……リコちゃん、さっきよりもっとエッチな声出し始めた……。
「はああぁんっ……はっ……春菜ちゃんっ……見てないでっ……止めてぇっ……」
え!?
ど、どうしようかな……。
とりあえず、セリーヌちゃんを観察してみる。
「まう、まう♪」
すっごく嬉しそうで、楽しそう……。
あ、そっか。
セリーヌちゃんにとって、リコちゃんって育ててくれたお母さんなんだ。
だから、お母さんのおっぱいチューチューできて、すっごく嬉しいんだね……。
うふふ、可愛いな……。
「な……なんでぇっ……止めてくれないっ……あはっ!?」
カプッ!
またセリーヌちゃん、リコちゃんのおっぱいに吸い付いた。
チューッ、チューッ!
「あひゃあぁんっ! いひいぃんっ!」
さっきより力いっぱい吸ってるみたい……。
リコちゃん、もうたまんないって顔して、おっぱいをセリーヌちゃんのお口の方に突き出して、
体を仰け反らせて手足をジタバタさせて、太ももをモジモジ擦り合わせて……。
顔は真っ赤っかで、汗と涙がいっぱい出てて、よだれもいっぱい垂らしてて……。
「あひゃああぁっ……ひっ……いいいいぃっ……!!」」
あっ……手足がピンッとなって……体がブルブルしてきた……。
「も……もぅ……もう……ら……らめぇ……いっ……いっ……いいぃっ……いひゃぁんっ!!」
ビクンッ!
あっ!
リコちゃん、体から力が抜けたみたいにクタッとなって、ほっぺたが真っ赤になって、
目がトロンってしてて、ハァ、ハァって言ってて、お口からよだれが流れっぱなし……。
も、もしかして……。
リコちゃん、イッちゃったの?
男の子なのに、おっぱいで?
赤ちゃんのセリーヌちゃんに、されちゃって?
うわぁ……。
な、なんか、イケナイものを見ちゃったみたいで、ちょっとドキドキしちゃう……。
「ひゃ……ひゃるにゃひゃん……なんれ……」
リコちゃん、もうお口が回ってない……って、あっ?
「まうーっ!」
カプッ!
「あひゃうんっ……!」
またセリーヌちゃん、リコちゃんのおっぱいに吸い付いちゃった。
チュー、チュー!
「あひゃあぁんっ……もう……いいはへんに……あひゃっ……あひぃっ……ひいんっ……!」
ふぅ……。
でも、リコちゃんが男の子なのに私よりおっぱいがおっきいから、
セリーヌちゃんがチューチューしたくなるんだよね。
仕方ないんじゃないかなぁ……。
私をいっぱい悩ませた罰だよ、結城君。
「ろうひて……はりゅっ……あはあんっ……いっ……いひっ……いいいぃーっ!」
またビクッとしてクタっとなったリコちゃんを見ながら、
私はちょっと意地悪なことを考えて、クスッと笑ってしまった。
「春菜ちゃん……グスッ……どうして止めてくれないんだよぅ……ひどいよぅ……」
「あ、あはは……ご、ごめんなさい、つい見とれちゃって……」
「うぅ……春菜ちゃんの意地悪ぅ……ヒック……」
セリーヌちゃんに何回もおっぱいでイカされちゃったリコちゃんは、
なんだかプライドが傷ついちゃったみたいで、
涙を流して鼻をグスッてさせながらイジケてベッドの端で足を抱えて座り込んでる。
セリーヌちゃんは満足した様子で、またスヤスヤカゴの中で眠ってる。
でも……。
リコちゃんって、おっぱいおっきいし、可愛いし、感じやすいし……
セリーヌちゃんをきちんと育ててるし、優しいし、責任感もあるし……
なんだか私よりずっと女っぽくて、すっごくお母さんに向いてるよね……。
「ね、リコちゃん」
「なんだよぅ……」
「猿山君と結婚しない?」
「ええっ!?」
リコちゃん、びっくりしてこっちに振り返った。
「な、な、なに言ってんだよ! 春菜ちゃんっ!?」
「だって、そんなにおっぱいおっきいんだもん。リコちゃん、いいお嫁さんになれるよ」
「そ、そ、そんなのって……」
「だって、結城君とララさんと私と古手川さんが一緒に結婚できるんなら、
一緒にリコちゃんと猿山君が結婚しても、いいんじゃないかな」
「えーっ!?」
リコちゃん、顔が真っ青。
「そ、そんなの、絶対無理! 無理ったら無理! だめっ!!」
必死で否定するリコちゃん。
「うふふ。冗談だよ」
「も、もう、春菜ちゃん……。心臓に悪い冗談はやめてよぅ……」
でも、こっそり私はその光景を想像してみた。
私とララさんと古手川さんが一緒に結城君の子供を産んで、
リコちゃんが猿山君の子供を産んで、一緒に子育てしてみんなで遊んで……。
(結構、いいかも……)
私は目の前で冷や汗をいっぱい流してオロオロしてるリコちゃんを見ながら、
ちょっとイケナイ妄想に胸を膨らませていた。
「よし。こんなもんかな」
リコちゃん、何か古手川さんに手紙を書くって言って、随分悩んでたみたいだけど、
ようやく書けたみたい。
「なんて書いたの?」
「ひ、ヒミツだよっ」
リコちゃん恥ずかしがって慌てて手紙を隠した。
それを机の中にしまうと、リコちゃんが言った。
「じゃ、そろそろ寝ようか。どこで寝る?」
私は、ちょっと顔を赤くして小さい声で言った。
「り、リコちゃんと一緒に寝てもいいかな……。女の子同士だし……」
「え!? い、いいけど……女の子同士だし、ね」
私とリコちゃんは二人で顔を見合わせると、
二人ともララさんから借りた女の子物のパジャマを着て、電気を消して一緒にベッドに入った。
(リコちゃんの、おっぱい……)
なんだか、今日は朝からずっとおっぱいのことばっかり考えてた気がする。
私はなんだか、リコちゃんのおっぱいがすっごく気になっていた。
「ね、リコちゃん」
「ん?」
「おっぱいを枕にしてもいい?」
「えっ!?」
リコちゃんの返事を待たずに、私はリコちゃんのおっぱいの間に頭を埋める。
「あ、ちょ、ちょっと……」
リコちゃんの鼓動の音が聞こえる。
すっごく暖かい。
結城君の心の暖かさ。
リコちゃんのおっぱいの暖かさ。
なんだか、すごく安心する……。
「春菜、ちゃん……?」
私、今日はもう、すっごく疲れちゃったみたい。
色々悩んだり、泣いたり、笑ったり……。
でも、最後に行き着けたのがここなら……世界で一番安らげるこの場所なら……
今日はきっと、私の人生で一番良い日だったんだな。
そう思った。
次の日、私と結城君は学校に来ていた。
古手川さんとのお話が終わって私の所に来た結城君に声をかけてみる。
「古手川さんとのお話、どうだった?」
「んー。これからまた、こってり搾られそうだな」
「そう……。大変だね……」
私達がそんな会話をしていると、
「はーい♪ 結城ぃ。お・ひ・さ・し・ぶ・り!」
里紗が私達のところにやってきた。
「うぐっ……籾岡っ……」
なんだか結城君が露骨にイヤな顔をして里紗を見る。
「あーら、何その顔はぁ。昨日はあんなに可愛かったのにぃ」
「こ、こらぁっ!?」
慌てて結城君が顔を真っ赤にして里紗の口を塞ごうとする。
(あれ? 昨日はって……里紗、気付いてるのかな? リコちゃんが結城君ってこと……)
里紗が私に向かってニヤリと笑いかけて来る。
「春菜も、またリコりんと会いたいよねー?」
「えっ」
いきなり振られてちょっととまどっちゃったけど、
「うん」
ニッコリ笑って私は頷き返す。
「は、春菜ちゃんっ!?」
結城君がそう言った途端、里紗の目がキラリと光った。
「今あんた、『春菜ちゃん』って言ったわね」
「え……あ!」
結城君が慌てて口を手で隠す。
「は、はーん……あんた達、さては……。昨日何があったの? 言いなさいよ」
「な、なんでお前に言わなきゃいけないんだよ!」
ゆ、結城君……その言い方は、何かあったって言ってるみたいなものだよね……。
さらに里紗の目が鋭く光りだす。
急に里紗は猿山君の方を向いて、
「おーい、猿山。リコりんについて、面白いこと教えてあげようかー」
「えっ!? マジッ!?」
「こ、こらーっ!!」
なんだか、とってもややこしい事になってきたみたい。
これからもこんな事がずっと続くのかな……。
私はこれから続く私達の未来のことを思って、少しだけクスッと笑ってしまった。
(終)
終わりです
この一連のSSはとらぶる最終回を見たリコファンの作者の妄想です
あの最終回はいかにも打ち切りっぽい強引な終わり方にも見えますが
そこを敢えてクソ真面目に解釈してみると結構面白いんじゃないか?
っていう発想から生まれました
うっかり唯に約束してしまった遊園地デート編も構想中です
忘れた頃に投下するかもしれません
んじゃ、長々と失礼しました
>>458 乙! 良い仕事だった。途中から春菜の壊れっぷりとセリーヌのテクがすげぇ。
遊園地デート編もぜひお願いしますぜ。
>>458 GJ!あったかい感じの話ですごく良かった。
続き期待してるよ〜
「な、なんなんだ、この格好はー!?」
ノーブラのうえ、乳房とパンティが半分ずつしか隠れない超ミニセーラー服を身に着けているリコ。
「こんにちは、リコさん」
リコの前でニコヤカに笑みを浮かべて立っているモモ。
「モ、モモ!? 何やってんだ、お前!?」
「うふふ……。今回は番外編を担当させて頂くことになったんです。私、ポジションには
こだわらない主義ですから。決して、ナナでさえ本編に出ていたのに私が出番をもらえなかった
恨みを晴らそうなんて思ってませんよ」
リコの前で、モモはニッコリと目を動かさずに整った笑みを浮かべた。
辺りの気温が10度は下がった気がする。
(ひええええぇ……)
「うふふ……。リコさんって、もうすっかり乳首調教されちゃいましたね。
赤ちゃんにイカされちゃうなんて、可愛い♪」
「そ、それを言わないでぇ……」
「チ・ク・ビ♪ クリクリ♪」
リコの耳元に唇を寄せて甘い声で囁くモモ。
「あんっ!?」
そう言われただけで乳首を弄られる快感を思い出してピクンと反応し、
顔を赤らめて胸を押さえててしまうリコ。
「や、やめ……」
「私も、セリーヌちゃんみたいにチューチューしてあげましょうかぁ? ちゅううぅっ♪」
リコの耳元でちゅうっと乳首を吸う時のような音を立てるモモ。
「いやあぁんっ……やめてぇっ……」
すっかり乳首が勃起してしまい、手で乳首を必死で隠して涙目でプルプル震え出すリコ。
「あぁ……言われただけで感じちゃうなんて……。
リコさん、もうすっかりビ・ン・カ・ン・乳首っ娘ですね。可愛い♪」
「ううっ……。もうお嫁に行けない……って、え? ち、違う、そうじゃなくて! うああぁっ!?」
取り乱すリコを見つめていたモモがくすっ、と妖しい笑みを浮かべた。
「さて、話は変わりますけど。実は『結城リトの告白(春菜編)』、
本編で語られていない秘密があるんです」
「秘密?」
「気が付きました? 本編で春菜さんの股間の描写って一度も無いんですよね」
「そう言えば……。でも、それがどうかしたのか?」
「実は、あの本編の春菜さんって、ふたなりなんです」
「えええぇっ!?」
「あぁ……『吐き出してしまいそう』なんて言って……裸のリコさんに欲情して抱き着いちゃって……」
「な……な……な……」
「『熱さの源を自分の物にしたくて』……あぁ、そんなに欲しかったんですねぇ……リコさんのここ……」
モモは顔をピンクに染めて自分の下腹部を手でさすった。
「ひ、ひいいいぃっ!?」
「セリーヌちゃんにリコさんが犯されてる姿見て……止めもしないで何やってたんでしょうねぇ……」
「な、何って……」
「リコさんがイカされた後、春菜さん『ふぅ……』って言ってますけど……。
リトさんどんな時に『ふぅ……』って言います? うふふ……」
「え……ま、まさか……そ、そんな……うあああああぁぁっ!?」
「リコさんのこと『いいお嫁さんになれるよ』なんて言って、ベッドでおっぱいに顔を埋めて……
あの後、どうしたんでしょうねえ」
「そ、そ、そんな……」
「リコさん。いいお嫁さんになって下さいね。春菜さんの♪」
「い、いやだあああああっ!!! 春菜ちゃんのイメージがああああぁぁっ!!!」
のたうち回るリコを見ながら、モモは手を口に添えてクスッと妖艶な笑みを浮かべた。
(うふふ……冗談に決まってるじゃないですか。本気にしちゃって、リトさんてば可愛い♪
あぁ……それにしても……エロパロ板の皆さんが私のこと見て唖然としちゃって……
見てるだけでゾクゾクしちゃうっ……)
モモはもう愉悦が抑え切れないと言う風にピンクに染まった頬に手を当て、
腰をゾクゾクと震わせていた。(終)
と、冗談はさておき、上の方でザスティンが話題になってるんで
前にお遊びで書いたザスティン×エキドナ(前半エロなし、後半ハードエロ)を投下します
本編148−151話(ヤミとクロの話)の直後って設定です
エキドナってのは本編106話で一コマだけ出てる映画女優ですw
実際には BLACK CAT のエキドナ=パラスと似た様な設定になってます
つまりヤミ=イヴ、クロ=トレイン、エキドナはそのまんまで
あとザスティン=クリードっていう説をどこかで聞いたので採用
一応黒猫を知らなくても読めますが、知ってるともっと楽しめます
気になる方はこの辺をどうぞ
ttp://www.tbs.co.jp/anime/blackcat/ んじゃ、行きます
『エキドナ……なぜ……』
黒い暗殺者の弾丸を受けて、私の最愛の人が壊れていく。
『ごめんなさい……』
壊れていく。
神をも凌ぐ力の象徴だった禍々しい剣も、
この世の全てへの憎悪に満ちた獰悪な瞳も、
最後まで私を抱きしめてくれなかった残酷な手も……。
そして、残ったのは。
ただ泣き叫ぶ、子供のような彼の姿だった。
「エキドナさん。着きましたよ。起きて下さい」
「……」
物憂げに目を軽く擦って辺りを見回してみる。
そこは地球という辺境の星にある小さな国の、黒塗りの車の中だった。
(また、あの時の……)
今まで何度同じ夢を見ただろう。
あれから10年経った今でもまだ分からない。
私のした事は、正しかったのか、それとも……。
「記者会見は一時間後です。よろしくお願いしますね」
「分かったわ」
車を降りて、バタンと扉を閉じる。
屈強な黒服の男達を引き連れて、私はホテルの中に入った。
「ちょっと待っててくれる?」
私は控え室の近くにあるトイレの前で告げた。
ザッと整列する男達。
彼らを尻目にとある個室に入って扉を閉める。
「……」
私が手をかざすと、目の前の空間に『穴』が出来る。
(なんだか、久しぶりね……)
身をかがめて、その『穴』に体を通す。
『穴』から出ると、そこはホテルから少し離れたとある路地裏だった。
「さてと……」
気付かれるまでしばらくは時間がかかるはずだ。
それまでに出来るだけ離れておかなかれば……。
私は路地の出口に向かって歩き出した。
「エキドナ=パラス」
聞き覚えのある、氷のように冷たい声が後ろからかけられた。
「なぜ、ここに来た」
私は振り返りもせずに返事をした。
「それはこっちの台詞ね」
「あいつに会いに来たのか?」
今度は振り返って、うっとうしげに黒いコートを着たあいつの顔を睨みつけてやる。
「余計なお世話よ」
「……」
あいつは、なんだかニヤリと口元に笑みを浮かべている。
無性に腹が立った私は、ちょっとお返ししてやることにした。
「あんたこそ、お姫様には会えたの?」
あいつが少しだけ動揺したような顔をした。
「俺はただ、仕事をしに来ただけだ」
「ふーん……」
今度は私があいつに向かってニヤリと嘲り笑う。
「相変わらず、ね」
「……」
あいつは無表情になって下を向いている。
その無表情を壊してやりたくて、ついどうでもいい話題を振ってしまう。
「あんたも、いい加減女でも作れば」
「お、女!?」
(あれ?)
あいつが予想外に激しく反応する。
(なに? 顔が赤くなってるじゃない)
こいつのこんな顔、初めて見た。
「どうしたの、あんた? エロ本を初めて見て興奮してるガキみたいな顔して」
「う、うるさい!」
あいつが顔を赤くして、頭をブンブン振り払ってる。
(ははあ……)
さては、どこかの女の裸でも見て当てられたのか。
闇宇宙で名の知れた伝説の暗殺者に、こんな弱点があったなんて。
(意外に、可愛いじゃない……)
なんだか、もっとからかってやりたくなって来た。
「なんだったら、私と付き合ってみる?」
片手で胸をクイッと押し上げて、意地悪な瞳であいつを見つめる。
「ふ、ふざけるな!」
あいつが私から顔を背けて、真っ赤な顔で吐き捨てた。
ちょっとだけ気分がスッとした。
(まあ、確かにふざけてる場合じゃないわね)
「じゃあね」
クルッとあいつに背を向けて歩き出した。
「一言だけ、忠告しておいてやる」
「忠告……?」
またあいつの方に振り返る。
「調子を狂わされないように、な」
「え?」
あいつはバッとジャンプして、ビルの屋上を瞬く間に走り去っていった。
(どういう意味……?)
意味深なあいつの言葉に、私は少しだけ不安を掻き立てられた。
私は歩きながら、今までのことを振り返ってみた。
あのデビルーク星での死闘の後、あの人はボロボロになって、
その力のほとんどと、それまでの全ての記憶を失ったらしい。
誰もが処刑しようとした彼を身を挺して助けたのは、まだ幼い王女だったと聞いている。
あの魔力とも言える力が失われてなお、猛者共が溢れ返るデビルーク星で
最強の剣士だったあの人は、新しい名を与えられ、デビルーク王女の護衛の任についているという。
その王女は、何を思ったか王家から失踪し、現在はこの辺境の星で暮らしているらしい。
(ここが、あの人の……)
私がこの星に来てから2年。最後に分かれたあの時からは、もう10年にもなる。
トクン。トクン。
私の胸に、まだ少女だったあの時の鼓動が蘇ってくる。
私はあの人を裏切った。
いったい、どんな顔をして会えばいいのだろう。
しかし、あの人はもう、記憶を失ったとも聞いている。
私の顔を見ても、何も分からないはずだ。
(でも、もしかしたら……)
意を決して、私はその小さなアパートのドアを叩いた。
「はーい。あれ?」
ドアから出て来たのは、いかにもボーッとした感じの、
ボサボサの髪に歯ブラシをくわえて、Tシャツにトランクス姿のさえない青年だった。
「……」
久しぶりのあの人との再会。
それがこんな……
(な、なに、この人……)
ガッカリなモノになるなんて……。
「なにか、御用ですか?」
間の抜けた台詞があの人……だった人の口から出てくる。
確かに、よく見れば顔立ちはあの人のものに間違いない……と思う。
なのに……
(この、人生に何も悩みはありませんっていう平和な顔は何……?
あの、全身から溢れ出る張り詰めた危険な香りは、一体どこに……)
「はーっ……」
私は愕然として、深いため息をついた。
(来るんじゃ、なかった……)
この人は、もう私とは違う世界の人間になってしまったんだ。
そう確信を持たせるほどの、あまりにも弛緩したヌルい雰囲気。
私はこれ以上、少女だった自分の夢を壊すのに耐えられなくなった。
「すみません。間違えました」
踵を返して歩き出そうとする。
すると、あの人が私に声をかけてきた。
「あ、あの……あなた……」
ピタリ、と私は足を止めた。
「どこかで、お会いしませんでした?」
(えっ……?)
ドキン。
私の心臓が一回だけ大きく鳴った。
(まさか……覚えてる……?)
私は振り向いて、あの人の顔を見た。
「ああ!」
ポン! あの人が軽く手を打った。
「最近やってる映画に出てる女優さんですね!
こんな所でお会いできるなんて、いやービックリだなあ」
ふぅ……。
私は軽くため息をついた。
あの人は私の手をグッと握ってきた。
「ちょ、ちょっと……」
「こんな所で立ち話もなんですから。ちょっと上がって行きませんか?」
ニッコリと私に笑いかけてくる。
「えぇ……ちょっとだけなら……」
なんとなく、応じてしまった。
(どうせ、他に行く所もないんだしね……)
死ね
とらぶると関係ないだろうが
「さ、さ、どうぞどうぞ」
あの人に導かれて部屋に入った。
「う……」
(な、なんなのこの部屋!?)
大人が二人寝られるか、というくらいの狭い部屋。
部屋の中はティッシュやら雑誌やらインスタント食品の食べ残しやらがいっぱい。
それはまあ良いとしても、この壁やら何やらに張り巡らされたアニメのポスターに、
そこら中に置いてある女の子のフィギュアはいったい……。
「あ、すみませんね、ちょっと散らかってて。すぐ片付けるんで」
乱暴に雑誌なんかを隅っこに寄せて、座る場所を作る。
「〜っ!」
私はその様子を見て、もはや我慢ができなくなった。
「ちょっと」
「はい?」
「私にやらせなさい」
「え?」
私はコートを脱いでたたんで脇におくと、ゴミの山に手を付けた。
そばに落ちていたビニール袋に次々にゴミを叩き込み、
散乱していた雑誌をまとめて脇に置く。クシャクシャの洋服を拾い集めて、
「洗濯機はどこ!」
「あ、コインランドリーなんです」
仕方ないので、ポケットの中身を確かめてから洗濯かごに入れた。
たちまちの内に混沌とした部屋が整理されていく。
壁のポスターを全部はがしてフィギュアを集め、
「ここにしまうわね」
押し入れの扉に手をかける。
「あ、そこは……」
あの人が何かを言おうとしたが、構わず押し入れを開いた。
ドドドドド……!
「キャッ!?」
押し入れから……変なビデオやら、やたら薄くて表紙にエッチな女の子が書かれた本やらが
雪崩となって崩れ落ちて来た。
「……」
変なゴミの山に埋もれている私に、彼が呑気な顔で語りかけてくる。
「あ、あのー、大丈夫ですか?」
私の怒りは、ついに頂点に達した。
「全部捨てなさーいっ!」
「は、はいっ」
それから全てのゴミをまとめて廊下に出し、部屋を掃除するまでざっと2時間は費やした。
「ふう……」
ようやく人が住める場所になったその部屋で、私は自分でお茶を入れてくつろいでいた。
「あー、すみませんね。そんなことまでさせちゃって」
「気にしないで。私が勝手にやったんだから」
「あはは」
相変わらず、何も考えてなさそうな呑気な顔で笑いかけてくる。
「いやあ、オレ実はマンガ家のアシスタントなんですよ。
そこら辺にあったのはその資料とかなんですけどね。
この間ようやく某マンガ賞を受賞して、これから……」
どうやら私のとてつもなく不機嫌な顔に気付いたようで、彼は話を止めた。
「えっと、こんな話面白くないですよね。あはは……。
あ、オレ、ザスティンっていいます。あの、お名前は?」
「エキドナ=パラス。エキドナでいいわ」
「エキドナさん、ですか。ふーん……」
あの人……いや、ザスティンが少し考え込んでいる。
「いいお名前ですねっ。どことなくミステリアスで。さすが女優さんだなあ。
それって、芸名なんですか?」
「本名よ」
「へー! さすが、生まれながらにして女優、って感じですねっ。すごいなあ」
ザスティンはやたらに感心している。
その時、バンッと扉が開いた。
黒服にサングラスの二人の男が、私の顔を射抜くように鋭く見つめている。
「エキドナ=パラスさん、と言いましたか?」
左目に傷のある男が私に向かって告げた。
「ええ、そうよ」
私は動揺もせず、冷静に返す。
「少しだけ、こちらにお越し願えますか」
相手も全く引かない様子で私を促す。
サングラスの男から目を離さないまま、私はスッと腰を上げて後に続いて扉を閉めた。
「何をしに来た。エキドナ=パラス」
今日は同じ様な質問を何度も受ける日だ。私はニッコリと笑って答えた。
「どなたかと間違えていらっしゃいませんか。私は女優のエキドナという者ですが」
「答えろ」
チャッ。鈍い光沢を放つ、冷たい銃口が私に向けられる。
私は仕方がない、という風に首を振って見せる。
「レディに対する礼儀をわきまえない人達ね……」
「隊長はもうお前の事を覚えてはいない」
私は目の前の男をキッと睨みつけた。
「だったらどうなの?」
「お前をこの場で捕獲してもいいんだぞ」
カチリ。
引き金に手がかかる。
私は微塵も動揺を見せず、ニヤリと笑みを浮かべてみせる。
「試してみる?」
目の前の男が顔色を変える。
横のいる男もジリ……と距離を詰めてくる。
一触即発の危険な雰囲気。
その時。
カチャリと扉が開いて、ザスティンが声をかけてきた。
「あのー。お茶が冷めますよ」
「……」
私は、一言も言わずにザスティンの前に座ってお茶をすすっていた。
後ろでは二人の黒服の男がじっと私を睨みつけている。
ザスティンが間の抜けた声をかける。
「あ、あのー。なにか、お話しませんか?」
(この二人をどうにかしてくれたらね)
私はまた、無言でお茶をすすった。
しかし、このままではラチが開かない事も確かだ。
(どうする……?)
その時、いきなりドアが開いて、猛々しい男の声が響き渡った。
「おーい、野郎ども! 出陣だっ!」
ボサボサの髪をして額に布を巻き付けた、ムサ苦しい男が部屋を覗いている。
「ああん?」
私の顔を見て怪訝な顔をしている。
「あ、こちら……」
ザスティンの言葉を遮って、私は丁寧に指を揃えて男に向かってお辞儀をしながら言った。
「はじめまして。私、ザスティンさんのフィアンセで、エキドナ=パラスと言います」
「「「「ええっ!?」」」」
4人の男の声が同時に響き渡る。
「そ、そうでしたか……。仕方ないですな。おいっ、黒いの2人! 早く来いっ!」
「し、しかし……」
「バーロー! 人の恋路を邪魔する奴が、良い恋愛マンガなんか書けるかっ!
おいっ、ザスティンっ! うまくやれよっ!」
ニカッと歯を光らせて、両脇で黒服の男をガシッと捕まえて引きずって行く。
「あ、あのー?」
なんだか良く分かっていない様子のザスティンは、狐につままれたような顔で私を見つめている。
私は、そんなザスティンにニヤリと笑いかけて告げた。
「ザスティン。一緒にデートしない?」
ザワ……ザワ……。
ザスティンの姿を見た通行人たちが、訝しげな顔をしている。
彼の出で立ちは、骨のような柄のついた黒い衣装にマント。
やたらに大仰で目立って仕方が無い。
「ザスティン。ちょっと、そこのブティックに寄るわよ」
「え? いいですけど」
「いらっしゃいませー……えっ!?」
ブティックの店主は、私の顔を見ると、驚いたように声をあげた。
「え、エキドナ=パラスさんっ!?」
どうやら私の顔を知っているようだ。
「ええ」
私は隠すこともなく頷き返した。
「お、お忍びでご旅行ですか?」
「まあ、そんなところね。こちらの彼に、一つ見繕ってくれます?」
「は、はいっ! 少々お待ちをっ!」
店主は大急ぎでメジャーを取り出してザスティンのサイズを計ると、
タキシードを一式揃えてザスティンに手渡した。
「さ、さ、こちらでお着替えを」
「と、と、と……」
ザスティンを試着室に押し込んだ。
「ふー……」
私はテーブルの傍の椅子に腰掛けてその様子を眺め、煙草に火を付けた。
「しかしまた、あのエキドナさんにお越し頂けるなんて!
当店最高のおもてなしをさせて頂きます!」
店主が香り高い紅茶を差し出す。
「ありがとう」
私はその紅茶を手に取り、口元に寄せた。
「!?」
手をピタリと止める。
目の前でヘラヘラと笑いを浮かべる店主をギラリと睨みつける。
「このお店では、睡眠薬で客をもてなすんですの?」
「へ、へ、へ……」
パチン!
店主が手を打ち鳴らすと、ガーッと店のシャッターが降り、黒服のガードマンが
ゾロリと現れて、私を取り囲んで一斉に銃を向けた。
「なんの真似ですか」
「いや、本当に。あのエキドナさんにお越し頂けるなんてねえ」
店主の口調がだんだんと冷たく、脅しを含んだものに変わって行く。
「銀河系中に悪名を轟かせる、10億イェンの賞金首。エキドナ=パラスさんがね」
下卑た笑みを浮かべて目の前の男が笑う。
「げっへっへ。地球に居るのは知ってたが、まさかワザワザこの店に来るとはなぁ」
「なにあんた。賞金稼ぎ?」
「ま、そんな所ですかねえ。げっへっへ……」
フッと私は笑みを浮かべる。
「じゃあ、私の能力も知ってるってわけね。こんなので、私を捕まえようっての?」
「そう。それで随分悩んだんですがねえ……」
チラリと店主が試着室の方を見る。
「お連れさん。随分と仲がよろしいようですねえ」
私を少しだけ顔色を変えてしまう。
「余計なお世話よ」
「『彼』に随分似ているようですしねえ」
目の前の下品な男をギラリと睨みつける。
「何が言いたいの?」
「今頃彼、ドアが開かなくて困ってるんじゃないかと思いましてね」
ハッとして、試着室を見る。
「彼を……どうする気?」
「別にどうもしませんよ。あなたが大人しくして下さればね」
私の頬を、冷や汗が一粒流れ落ちて行く。
(落ち着いて考えるのよ……)
私の能力を使えば、この場から脱出するのは造作も無い事だ。
しかし、閉じ込められている彼を助け出し、その上で脱出するとなると……。
あの部屋の中にどんな仕掛けがあるのかも分からない。
周りから撃たれたら? 彼を守りきれる?
「さあ、大人しく捕まって下さい」
(チ……)
一旦捕まったフリをして様子を見るか?
そんな事を考えた瞬間、
シャキイィン!!!
鋭い刃物の音が鳴り響いて、試着室の壁が粉々に崩れ落ちた。
「なっ!?」
店主が驚いた顔をして試着室を見つめる。
そこには、光を帯びた剣を携えた、タキシードを着たザスティンの姿があった。
「あ、すみません。ドアが開かなくって困っちゃって」
「なにぃ!?」
あまりの間抜けなやり取りに、私はプッと吹き出してしまった。
「あの部屋は、宇宙でオリハルコンの次に固いと言われる金属で出来てるんだぞ! それを……」
「あちゃー。まずいなあ。弁償ですか?」
ポリポリと頭を掻くザスティン。
「やかましいっ! 死ねっ!」
店主が声をかけた途端、ザスティンに向かって一斉に銃弾が放たれる。
ガガガガガガガガガガンッ!!
キキキキキキキキキキンッ!!
目にも留まらぬ剣捌き。
全ての銃弾が一瞬で切り落とされていた。
「なっ……!?」
店主がさらに目を丸くしてザスティンを見つめる。
「そ、その剣! まさか……」
そうだった。あまりの変わり様に、危うく私まで忘れる所だった。
彼こそは、かつてその剣でこの銀河を支配する寸前まで漕ぎ着けた、
私の最愛の人なのだった。
「あれー? これ、映画の撮影ですかぁ?」
一斉射撃を全く気にする様子もなく、彼が軽い口調で告げてこちらに向かって歩き出す。
「く、来るなっ」
店主が私に向かって銃を向ける。
(やれやれ……)
私の能力ならこんな銃、弾道を変えて本人を狙い撃ちにする事すら容易い。
でも、ここは折角だから。
「ザスティンっ。助けてっ!」
「あ、これ、そーいう話なんですねっ。じゃ、行きますっ」
「なっ!?」
ザスティンの姿が一瞬掻き消えた。
次の瞬間、
キキキキキン! スパパパパパッ! キーンッ!
一体、今のほんの一秒の間に、何回の剣が振るわれたのだろう。
周りを見渡すと、全ての男達の銃どころか、その服までもが、
バラバラになって地面に落ちた。
「むぎゅう!」
私に銃を向けた男に至っては、髪の毛までも切り落とされて、ザスティンに踏みつけにされている。
「えっと、カメラは……あ、アレですね」
ザスティンが天井に付いている防犯カメラに向かってニッコリとピースをして見せる。
私もその芝居に乗ってみることにした。
「ザスティン。助けてくれて有り難う!」
私がザスティンの頬にキスする様子が、防犯カメラにハッキリと捉えられた。
つづきはまた今度。んじゃ
百合厨はカプ厨のゴミカスであることが証明された瞬間だった
流石に誰得ってレベルじゃねえw
大概にしろ
それでなくてもサブカプはアレなのに、これは酷すぎだろ。幾らなんでも。
投下前にこれを読んで誰が喜ぶのかも考えられないのか
仮に、だが「矢吹作品総合でエロパロ」ならここでも良かった(喜ぶかはさておき)だろうけどな。
これは…なぁ…。
横ですまないけど、『(仮)バ○マン 〜と○ぶる〜』 シリーズ(フィクション)完成。
内容は一般向けだけど、とりあえず、レス六つぶん、投下させてもらいます(ペコ
『(仮)バ○マン 〜と○ぶる〜』 その一
今年6月某日。某社内の第●小会議室。
編「やぁ。両先生お忙しいところ、どうも。実は、先日お話していた
と○ぶるTVアニメ2期の話があったんだが…ダメになった」
長「えっ」
編「エロゲ規制だっけ?今、騒がしくなってきたからT●Sがダメ出し(※1)」
長「前からT●Sは問題ありましたからね。他局に移行は?」
編「もう無理だなぁ」
担「実は、次の編集会議での話ですが、もしかすると…その、と○ぶるの連載も」
矢「えっっ!?」
編「今時の新聞TV見ると、児ポ法が通るらしい。法案通過が…8月中旬か末か」
担「ですね」
編「矢●先生には悪いが、児ポ法通ったあと連載してるのはウチとしては避けたい」
矢・長「そんな…。まだ伏線も回収してないし、どうやってまとめるのか…」
編「じつは、行政……内●府と経●省からこんな通達がきてな」(書類をゴソゴソ)
長「なんですか?」
担「少女の裸などのシーンをアニメ・マンガで描くのは今後は自粛するようにとの
お願いみたいですね(※2)」
編「もし児ポ法が通ってマスコミにマンガも騒がれると、今後の本社各誌の売上げ
にも悪影響がでるかもしれん(※3,※4)」
担「次の編集会議では、この情勢ふまえて連載打切りの話になると思います」
編「コミックやOVAの売り上げもそこそこ中堅並みで問題はないのだが、残念だ」
『(仮)バ○マン 〜と○ぶる〜』 その三
(
>>482 の続き )
(歓楽街の表道。食事を終えた四人。タクシーが2台止まる)
担「先生方、本日はお疲れさまでした」
編「矢●先生、長●●先生、ではまた。後の事は担当から追って連絡する」
長「本日はご馳走さまでした」
矢「それでは失礼します」
(地下鉄。6番線のアナウンスが流れる)
長「今から娘さん迎えに?途中まで一緒に行ってもいい?」
矢「うん」
長「しかし、今回入れて5話か。どうする?」
矢「……。とりあえず、最後になる前にイヴがデレる話を描きたい」
長「そうか。じゃあ以前から構想にあった、ヤ○とデートだけでもさせるか」
矢「……。」
長「…まぁそんなに落ち込むなって。問題は読者が納得してくれるかだな」
矢「ラ○か春○ENDは、この話数じゃ無理だな」
長「そうだな。非難覚悟で挑むしかない」
矢「しかし…。俺たちがやってきたこの連載、読者にはどうだったんだろう」
長「ん?…いろいろあったな。でも…」
矢「でも?」
長「単なるお色気ではなく、家族愛、友情、愛情、憧憬、男の優しさがテーマだった。
…だから、だからこそ、ここまで人気は続いてくれた、と俺は思う」
矢「……」
長「どうした?やっぱキザ過ぎたか?」
矢「フッ、…そういうもんかな?」
長「そういうもんだ(笑)」
長「やれることはやろう。連載再開の可能性も考えて全力で話をつくってみる」
矢「……。さすが、はせちゃん」
長「なぁに。まかせとけって。みっく○くにしてやんよ」
矢「やっぱミ○好きだったか(笑)」
長「なにを今さら(苦笑)」
矢「まぁアレだ。…はせちゃんと組めて幸せだったよ」
長「まだだ…まだ終わらんよ!」
矢「そういうところもな(笑)」(地下鉄入線の警笛が鳴る)
(後日。7月某日──某社の大会議室)
編「みんなご苦労。…只今より、第●回、連載会議を行う」
『(仮)バ○マン 〜と○ぶる〜』 その四
(
>>483 の続き )
編「まず最初の議題。みな知ってると思うが、…担当○○くん」
担「はい。事前に話はあった通り、と○ぶる連載は打切りが決定しました」
皆「(ざわ…ざわ…)」
担「8月末の40号をもって、と○ぶるは打ち切りです」
編「仕方がない。両先生方には話を通した。すでに新連載枠も急いで用意した」
編「それと、と○ぶるは次週から強制ドベ掲載となる。…読者やアンケが騒ぐかも
しれんが、みな無視してくれ」
担「国●募金団体らからの抗議の手紙も増えてきました。中国語で数百通。電話も(※5)(※6)」
皆「………」
編「今年連載の『あ●どきっ』はとりあえず様子見。『め●か』は路線を変更済だ」
担「すでに他誌でも動きはあるみたいですね」
編「うむ。スク●ニ…いやガン●ン。コミックとラノベを発禁予定との話だ(※7)」
担1「えっっ?! ラノベまで…ですか?」
担「はい。とくに、携帯マンガ・小説についても政府による監視がはじまります(※8)」
編「あの児ポ改案が通れば、次はマンガが騒がれる。自主回収騒ぎは避けたい(※9)」
担2「サン●フェすらアウトなら。マガ●ンの水着グラビアもヤバそうですね(※10)」
編「…何が良いのか保証すら無いからな」
編「それから行政からの通達なんだが、騒ぎにならないように全社員に緘口令をしけとの事だ」
皆「(ざわ…ざわ…)」
編「よって関係者による発言やネット書込についても、今後は厳しい自粛を御願いする」
担「他の先生方にも、今回の事情を他言しないように通達を御願いします」
編「今回は、ドベ続きで読者にはアンケ不振と思ってもらう。その方針でいく(※11)」
担3「しかし、それではさすがに…」
担4「ネットでのアンケ運動の影響らしく、とらぶるのアンケたくさん来てますが…(※12)」
編「仕方ないだろ! もう決まったことなんだ……みんな辛いが、よろしく頼む…」
皆「……」
担「それでは、次の議題に移ります」
(
>>481-483 と、この話は全てフィクションです。実在団体、人物とは一切関係ありません)
『(仮)バ○マン 〜と○ぶる〜』 注釈資料
>>484 以下、『その四』注釈に関する資料一覧
※5
(6/03)
ttp://toriyamazine.blog100.fc2.com/blog-entry-237.html (7/15)
ttp://hissi.org/read.php/newsplus/20090715/SUhvS2RuLzAw.html ※6
> 26 名前:◆jvBtlIEUc6 [] 投稿日:2009/09/17 14:29 ID:b6TaG6Py0
> そしてジャ○プの編集部に、と○ぶるのような連載は止めるよう電話で訴えていたところ、
> と○ぶるが急遽打ち切りになったりしました
※7
(7/11)
ttp://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/pop/info/20090711.html (7/16)
ttp://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/pop/info/20090716.html (7/14)
ttp://www.ikki-para.com/next.html ※8. 監視機構(7/17)
ttp://www.asahi.com/national/update/0717/TKY200907170362.html ※9
ttp://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000417120090626012.htm ──国会法務委員会(6/26)答弁。自民党・葉梨旧議員の発言
『少なくとも、エビデンス(=報道記事や検察記録等)というのを揃えてこういう研究は
していかぬといかぬということから、与党案は研究という規定を(略)御理解願いたい』
──同答弁。日本ユニセフ協会・アグネス参考人の発言
『もちろん処分しなきゃいけない、それは大変なことだ、三年後はきっと漫画も』
※10.
http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/36761.jpg ※11.
ttp://ranobe.com/up/src/up390205.gif 18巻分に2話ぶんハミ出た不自然な形で打切り。
ttp://ranobe.com/up/src/up390204.gif 同期の他作品をみても上下シャッフルが激しい。アンケ不振より
ttp://ranobe.com/up/src/up390204.gif 編集部の都合でドベを強いられていたと見たほうが自然。
ちなみに、同時期8月集計のOVA付込みコミック売上高は3位前後の1.8億円。
> 『2009年8月の新刊売上高まとめ』
1位 NAR○TO 329,207,340円
2位 BLE○CH 247,657,620円
3位 と○ぶる 184,091,040円 ← 売り上げ堂々の3位
--------------------------
4位 バク○ン 101,952,900円
5位 ト○コ 58,653,000円
6位 ぬ○り 53,219,880円
7位 ス○ット 31,843,560円
8位 サイ○ン 25,071,060円
外圧など、何らかの理由で目立たないように最後尾掲載を強いられていたと考えたほうが自然である。
個人騒動理由という意見もあるが、早々と打ち切れば騒動が理由だと角が立ち更に噂に拍車をかける為、
作者が騒動を理由に打ち切るのを選択したとは思えない。
※12. 某wikiにもログ掲載されてるが、と○ぶる14巻買い支え&アンケ出し運動がファンの間で発生。
以上、『(仮)バ○マン 〜と○ぶる〜』 を投下させていただきました。
自分はアンケを複数、ファンレターも送ってきましたが、連載があんな形で終わって
とても無念です。できれば連載復活してほしいところです。
数レス投下、失礼しました。スレ汚し失礼しました。感想も不要です。
どう見ても「JAPANデビュー」より真に迫ったドキュメンタリーです。
本当にありがとうございました。
488 :
485:2009/10/03(土) 23:27:06 ID:a72EZBMg
リンク全部見れねーw
490 :
476:2009/10/04(日) 00:13:14 ID:kZV/hszE
えーと皆さん、スレ違いで申し訳ありませんでした
お詫びの印といっちゃなんですが
>>457 の後日談の
リト×春菜を1レスだけ投下します
ではしばらく失礼します
あれからどれだけ時が流れただろう。
私達がついに結ばれる、その日がやってきた。
「春菜ちゃん……」
もう何度も見慣れた、結城君のベッドの上で結城君が私に告げる。
初めては、この部屋が良い。
二人で決めた事だった。
結城君の匂いがするこの部屋。
ララさんの匂いがするこの部屋。
みんなの幸せがつまったこの部屋。
「結城君……」
私も返事をした。
結城君の格好は、男の子のトランクス一枚。
私の格好は、今日のために一生懸命選んだ、質素だけど、きっと結城君が気に言ってくれる下着。
「私の下着、可愛いかな……」
恥ずかしくてうつむきながらそう聞いてみた。
結城君がニッコリと笑って答える。
「最高だよ。春菜ちゃん」
結城君はそっと、私のパンティに手を触れて来た。
「あ……」
パンティの外側に少しだけ膨らんだ私のクリトリス。
結城君は、そこをそっと中指の腹で押さえて来た。
そのまま中指をそっと折り曲げ、私の、まだ私以外誰も触れたことの無いその場所に
パンティ越しに触れる。
「ん……」
ピクリ。
私の体が反応して少しだけ頭を上げてしまう。
結城君は中指の腹をクリトリスに押し当てたまま人差し指と薬指を私の女の子の
唇に当てて、ゆっくりと、ゆっくりと、マッサージするように、手を小さく回しながら、
少しだけ押したり引いたりして、揉みほぐして来る。
「は……ぁ……」
結城君の手の暖かさが私のクリトリスと女の子の唇から、徐々に、徐々に、
私の体の奥に染み渡って来る。
結城君の暖かさ。
私が一番好きな暖かさ。
手をつなぐときも、キスするときも、お話するときも、いつも感じていた。
その暖かさが今、私の体の一番奥にまで伝わって、私の魂の全てを暖めてくれる。
「はぁ……ぁ……」
私の口は少し開き、少し上半身が震えているみたい。
暖かいから。
嬉しいから。
幸せだから。
私の体は今、全て結城君の温度になってしまった気がする。
「春菜ちゃん、気持ちいい?」
結城君が恥ずかしげな顔でそんな事を聞いて来る。
私は震える声で、なんとか返事をする。
「うん……。気持ち、良過ぎるくらい……」
本当に。
結城君って、上手過ぎる。
だって結城君、男の子の体も、女の子の体も、全部分かっちゃってるんだから。
クリトリスが、どのくらい押さえてくれたら一番気持ちいいか。
女の子の唇を、どう押さえたら一番気持ちいいか。
みんな知ってる。
ズルイよね。
でも、だから私は今日、全部何の心配もなく、結城君に委ねてみる。
私の初めての、体験。
そして、終わったらきっと、結城君のことをこう呼んであげるんだ。
リト君、って。
>>491 乙。
確かにスレ違いだったかもだけど、面白かったよ。
どうか次の作品も書いてくれ〜
GJ!出来れば連作で読みたい
今まで唯とリトシリーズとか沙姫シリーズ位
しかのねっとりボリュームのあるエロがなかったので
春菜のエロを書いてくれる人はありがたい
保守
495 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/07(水) 23:20:13 ID:89AAox3Q
GJ!!
やっぱり徐々に過疎化が進んでるような気がするから、
そんな中で書いてくれる人がいるのはありがたいです。
でも沙姫シリーズはあんまり原作にネタがないのにあそこまで良作になるなんて作者様はすごいな
保管庫の更新止まってるな
春菜と唯が風俗店で働き始める話はありませんか?
連載終了してから活性化してるな
いいぞ、もっとやってください
保守
>>457 の後日談、今度はリト×ララ(宇宙エロ)投下します
503 :
宇宙セックス:2009/10/17(土) 05:07:24 ID:039bJFEL
とうとうリトとララは初めてのセックスをすることになった。
「ねぇ、リト! せっかくだから、すっごくロマンティックな所でしようよ!」
「ロマンティックって……オレ、学生だからホテル代とかねーし、車もねーし……」
「そんなのいらないって! 私に任せといて!」
「おい! ちょっと……」
リトはララに強引に引っ張られ、ララの部屋に連れて来られた。
そこには何やら直径5メートルくらいの透明なカプセルが置いてあった。
「さ、服を脱いだら入って入って!」
「うわっ!?」
リトが服を全部脱ぎ捨てるとララに押されてカプセルの中に入る。
続いてララも中に入り、カプセルの中には裸のリトとララ二人だけになった。
「お、おい……こんな所でするのか?」
「えっへっへー、まあ見てて見てて!」
ララが得意気な顔をして、透明な壁際にある透明な器具を操作する。
すると……
ブンッ!!
「うわっ!? って、えええぇっ!?」
カプセルの周りが宇宙空間になっていた。
「えへへ♪ すごいでしょ!」
「な、なんだこれ、周りがスクリーンになってるのか?」
「違うよ! 私達、今本当に宇宙空間にいるんだよ! だから、ほら!」
トンとララがリトの体を軽く押す。
フワリ、とリトの体が宙に浮いて行く。
「うわっ!?」
手足をバタバタさせるリトだが、体はそのままフワリと移動して透明な壁にぶつかる。
壁の素材はとても柔らかく、羽毛の布団のような触り心地がした。
「うわー……オレ、今本当に宇宙にいるのか……」
「うん! ねえリト、周り見て! すごいでしょ!」
ララに言われてリトが周りを見回す。
リトの目に映るのは、漆黒の宇宙空間に浮かぶ、赤く輝く太陽、青く光る地球、白く照り返す月、
そして数え切れない星、星、星……。
(天の川って、本当に川だったんだな……)
もはや星座という言葉が無意味と思えるくらいの無数の星々に、リトは圧倒されっぱなしだった。
「じゃ、しよ! リト!」
トンと壁を蹴ったララがフワリとリトの方に飛んで来てリトに抱き着く。
「うわっ!」
抱き着かれたリトがドンと壁に当たり、二人で抱き合ったまま跳ね返って空中へと飛んで行く。
「リト、だーい好き!」
「んっ!?」
裸のララがギューっと裸のリトの体を抱きしめ、熱烈なキスをする。
唇に当たるララの唇の感触。
胸に当たるララのふくよかな乳房の柔らかさ。
二人の足は絡まり合い、もつれ合って空中でクルクルと回転する。
上下の感覚はなく、なんの重さも感じない。
リトは完全な浮遊感を体感していた。
ララの体を前に押せばそのまま空中に浮き、引き寄せればスッと自分の体にくっつく。
(なんか、夢の中にいるみたいだな……)
空を飛ぶ夢を見た時の感覚。
それが現実のものとなり、リトの体全体に伝わっていた。
504 :
宇宙セックス:2009/10/17(土) 05:08:02 ID:039bJFEL
「ぷはっ♪」
ララが唇を離す。
そして……
「ね、リト。反対向きになろっ」
「うわっ!?」
ララがリトの肩をクッと横に押し、リトの体は腰を中心として半回転する。
リトの足を受け止めたララは、リトのペニスに口を近付ける。
「うふっ。リトの、可愛い♪」
ぱくっ。
ララはリトのペニスを口でくわえた。
「はうっ!」
「ちゅうっ……はむっ……んぱっ……」
まだ勃起しきっていない柔らかなペニスを根本まで玉ごと口に含み、口の中で弄ぶララ。
玉を唇で柔らかく揉みほぐされる感触が、リトの興奮を高めて行く。
「うっ……うあっ……ララっ……」
興奮で顔を赤くしながら、リトは叫んだ。
「やったな……お返しだっ」
リトはララの腰に手を回すとしっぽを左手で掴み、右手でしっぽを擦り上げる。
「ひゃっ!? し、しっぽはダメぇ……」
思わず口をリトのペニスから離したララが甘い声を上げる。
リトはその言葉にかまわずにしっぽ攻めを続ける。
さらに、顔をララの秘所に近付けると、クリトリスを中心に舌をペットリとララの秘所に
押し当てて舌先を曲げてグイッと割れ目に押し入れ、顔全体をグッ、グッと押し付けながら
微妙に舌をバイブレーションさせてララの敏感な箇所を巧みに刺激していく。
「あっ……あんっ……り、リト……上手いよぉっ……」
たまらずにリトの腰に抱き着くララの顔の前では、
リトのペニスがもう興奮で勃起しきっていた。
「もうそろそろだねっ」
ララがリトの足を取ってリトの体をクルリと横に回す。
再び向き合った二人の体。
「リト、入れてっ♪」
「なんか、軽いなぁ……」
初めての経験だというのに、ララの態度も軽くって、ララの体重も軽くって、
なにもかも軽くってフワフワしている。
(こんなんでいいのかなぁ……)
フッと軽い笑いを浮かべると、リトはペニスの先端をララの秘所に押し当てた。
そして……
「んっ……あんっ!」
スッとララの腰を引き寄せると、ペニスはあっさりとララの膣に挿入されていた。
「なんか、初めてだってのにえらく簡単に入っちまったなぁ……」
「だって、はやくリトと一緒になりたかったからっ。えへへ♪」
「お前、痛いとかないのか?」
「リトのだから、痛くても嬉しいんだよっ。えへっ」
屈託のない様子で嬉しげに語るララ。その様子を見ていたリトが肩をすくめてフッと笑う。
(まったく……。こいつにはかなわないな)
そして、ニッコリと笑ってララに告げる。
「しっかり掴まってろよ」
「うんっ」
ララがリトの肩に両手で抱き着く。
リトはララの腰に手を当てると、空中でピストン運動を始めた。
「あんっ! はんっ!」
一突き、一突き、リトがララの膣にペニスを突き入れる。
いきなり、ペニスを挿入されたララがリトの体を横にグルリと回した。
「えいっ! 花びら大回転ー♪」
「うわっ!?」
二人の体はリトのペニスを支点にグルグルと互いに反対向きに回り出した。
「うわーっ!?」「キャーッ! すっごーい、リトのおちんちん、グルグル回ってる!」
二人の視界では太陽が、地球が、月が、天の川が、グルグルと目まぐるしく回転していく。
そしてララがリトの体を受け止め、二人の体はようやく停止した。
505 :
宇宙セックス:2009/10/17(土) 05:08:36 ID:039bJFEL
「な、なんか、目が回って……」
「リト! もっともっとっ!!」
ララはリトをギュッと抱きしめて豊満な乳房を胸に擦り付けてくる。
それに反応してリトの腰が速度を増す。
「うおおぉっ!」
パン、パン、パン、パン!
重さが無い分、自分の腰を動かすのもララの体を引き寄せるのも地上でやるよりも楽だった。
そのせいか、リトはいつもよりも遥かに速く、夢中で腰をララに叩き付けていた。
パ、パ、パ、パ、パ、パ、パ……
「すごいっ……すごいよ、リトっ……ああっ……もう、最高っ……」
顔を紅潮させ、髪を振り乱して汗を飛び散らせながら喘ぐララ。
乱れた髪は重力に引かれることなく空中に散らばり、
飛び散った汗は丸い滴となって空中を漂っている。
ポン。
ララの背中が透明な壁の布団に当たった。
リトはララの後ろの壁を掴むと、最後の連続突きを始めた。
「うおおっ……ララっ……ララっ……」
「リトっ……リトっ……リトーっ……」
だんだんとリトの腰が震え出す。
リトの限界を感じたララはキュッとリトの背中に手を回して抱きしめた。
「来てっ……来てぇっ……リトっ……」
「うおおおぉっ……ララっ……ララーっ!!」
ズン……!
最後の重い一突きと共に、リトはララの中に精を放った。
「あーっ……」
体の中にリトの熱い迸りを感じたララが、その熱さに全身で感じ入るように体を震わせ、
うっとりとした表情で嬌声をあげた。
「は……」
一瞬リトが放心状態になり、壁を掴んでいた手が離れてしまう。
二人はまた空中に浮き出して、ララの紅い髪がフワッと広がってゆく。
その時。
ぼんやりした頭で、リトが目にした光景。
(あ……)
ダイヤモンド・リング。
ララの頭の後ろに真っ赤な太陽が輝き、それに照らされたララの散らばった髪が、
キラキラと女神のような荘厳な光を放っている。
幸せの絶頂にいるララの笑顔が、豊潤な生命を予感させるララの乳房が、
完璧に均整の取れたララのピンクのはじけそうな裸体が、
この世で最も美しい光に包まれて、神秘的な光景を生み出していた。
それを見たリトの口が、思わず動いた。
「お前って、太陽の女神だったんだな」
それを聞いたララがクスッと笑う。
「リトは、地球の王子様だよっ」
ララから見たリトは、静かに青い光を放つ地球を背負った、
宇宙で一番優しくて、落ち着く存在だった。
「そっか」
「うん!」
あはは、と二人で笑い合う。
「じゃ、あの月は春菜かな?」
「春菜ちゃん?」
ララにそう言われて、リトが静かに佇む月の方に目をやってみる。
その静かでどことなく陰のある雰囲気は、確かに春菜を感じさせた。
506 :
宇宙セックス:2009/10/17(土) 05:09:08 ID:039bJFEL
(春菜ちゃん……)
リトがじっと月を見つめていると、その表面に春菜の顔が映し出された。
その顔は膨れっ面で、なぜかジトッと恨みがましくリトを睨みつけていた。
「うっ……」
浮気者をなじるような春菜の顔にリトがたじろいでしまう。
(ははは……。春菜ちゃん、結構嫉妬深いからなぁ……)
リトの顔から冷や汗がにじみ出て、宙に浮かんで飛んで行く。
「あれー? どうしたの、リト。なんか、小さくなったよ」
「あ、そ、そりゃ、一回出したからじゃねーか」
「ふーん。じゃ、もう一回しよっか!」
「おいおい……」
二人がそんな会話をしていた時、ふとリトが気が付いた。
「あれ? なんか、さっきより地球が大きくなってきてねーか?」
「んー? そう言えば……」
話しているうちに、もっと地球が大きく見えて来る。
ようやくリトが気が付いた。
「こ、これ、落ちてねーか!?」
「あれ? おかしいな……。ちゃんと場所を選んだのに……。
あっ! そっか! エッチしてる内に月の場所が変わって、重力の影響が変わっちゃったんだねっ」
「そんな理屈を言ってる場合かーっ!」
どんどんカプセルが加速して地球に落下していく。
「うわーっ!?」
「大丈夫だよ、リト! これは大気圏突入にも耐えられるように設計してあるから!」
と、ララが説明している内にカプセルが大気圏に突入し、空気との摩擦熱によって
表面が燃え上がる。炎に包まれたカプセルの中でリトが叫ぶ。
「うおーっ!? ま、マジ大丈夫かっ!?」
「大丈夫だって! 熱くないでしょ!」
とララが言ってる内に、カプセル内部の温度がどんどん上昇して行く。
「あち! あち! 全然大丈夫じゃねーっ!!」
「むー。おかしいなあ……」
目を瞑って眉をひそめて考えるララ。
急に、ララがにっこりと笑った。
「せっかくだから、エッチしよっか」
「はあっ!?」
ララはリトの腰をキュッと自分の方に引き寄せる。
リトのペニスは、興奮と恐怖感、それにララの体から伝わる柔らかい感触で、
また勃起してしまっていた。
「リトこんなに興奮してるんだもん!」
「ちょ、ちょっと……んーっ!?」
ララはリトを引き寄せて、濃厚なキスをした。
そして、プハッと唇を離しておねだりする。
「ねぇ……リト、しようよー」
「な、な、な……」
「熱く燃えるような恋、って奴だよね!」
燃え盛るカプセルの真っただ中。
この生死の境の非常事態にここまで呑気な発言をされたリトは……
「うおーっ! もう、ヤケクソだーっ!!」
思いっきり腰を動かしてララにペニスを突き込み始めた。
「キャーッ! リトの、熱くってすごいっ!!」
カプセルが太平洋に着水するまでの数十秒間。
リトとララは、宇宙で最も熱い恋を経験した。
(終)
えーと、これから宇宙でセックスする方は、とりあえずセルフ顔射にご注意下さいw
続編の遊園地編も出来てるんで近いうちに投下します
GJwww
GJ!最後ワロタww
遊園地編楽しみに待ってる。
511 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:46:06 ID:YaLcPEc9
「おーい、リト!」
彩南高校の昼休み、猿山がリトの所に駆けて来た。
「当たっちまった! 彩南遊園地、ペア2組ご招待券!」
「へー。良かったな」
「だから、な! な! リト! リコちゃん誘ってくれねーか! お前も来ていいからさ!」
「はあ!? ちょ、ちょっと……」
リトの言うことも聞かずに、猿山が唯の方に振り返る。
「あ、そう言えば古手川。お前、リコちゃんと仲良さそうだったな。お前も一緒に来ねーか?」
「え!? わ、私!?」
今度はリトの方に振り返る。
「な、リト。お前だって、古手川のことが好きなんだろ?」
「え、そ、それは……」
言い淀んでしまうリト。それに敏感に唯が反応する。
「あれー? 確かこの間、遊園地に連れて行ってくれるって言ったよね。
まさか今さら、イヤだって言うの?」
「い、いや、そうじゃなくて……」
「じゃあ、良いじゃないの。何が悪いのよ」
「だから……えっと……」
「じゃ、決まりだな! おい、リト! リコちゃんきっちり誘っといてくれよ」
「そうね。あー、楽しみ! リコさんと一緒に遊園地行けるの!
私が大好きな結城君だって、もちろん楽しみよね?」
「あ、あうあう……」
この二人を前にして、
(だから……オレとリコちゃんが一緒に行けるわけないだろーーー!!)
などとは言えるはずもないリトであった……。
とりあえず放課後、リトはララに相談してみることにした。
「な、無理だろ? そんなの」
「え? そんなの簡単じゃない! モシャクラゲ君に頼めばいいんだよ!」
「い!?」
「じゃ、御門先生に相談しに行ってみよ!」
二人は保健室の御門の所にやってきた。
「あら、ダーリンじゃない」
「だ、ダーリン!?」
艶かしい目付きでリトを見る御門。
「ねぇ、ダーリン……。私、この薬草欲しいんだけどぉ……。
取って来てくれないかなぁ……。危険度A級の星に生えてるからぁ」
「いいいっ!?」
「私のこと、好きって言ってくれたの、ウソだったのぉ……? ねぇ、お願い……」
「勘弁して下さい……。もう、さんざんイジメられましたから……」
涙を流しながらウツムくリト。
あの告白以来、男子にはイビられ、女子には陰口を叩かれ、
ルンに毎日抱き着かれては唯に叱られ、
ナナとは毎日疲れ果てるまで一緒に遊ばされて、
挙げ句の果てに今回の話である。
さしものリトの精神力も限界に達しつつあった。
「なーんだ、つまんないなあ。じゃ、薬草の話はまた今度ね」
(また今度、なんですね……)
512 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:46:33 ID:YaLcPEc9
「で、なに?」
「実は……」
リトは、さっきの事情を御門先生に話して聞かせた。
「ふーん……モシャクラゲをねえ。まあ、交渉次第では出来なくはないけど」
「ほんと? やったー!!」
なぜかララがバンザイして喜んでいる。
「なんでお前がそんなに喜ぶんだ?」
「えへへ……。モシャクラゲ君、また私に会いたいって言ってたから」
「あ……」
リトは、別れ際、愛おしげにララを見つめていたモシャクラゲの様子をふと思い出した。
御門もそんなララのことを、暖かい目で見守っていた。
「分かったよ。じゃ、そのクラゲをリコちゃんに変身させるんだな」
「それはちょっとマズいんじゃないかしら」
「え?」
「だって、その話だとリコちゃんは猿山君と丸一日付き合うんでしょ。
それって、すごくストレス溜まるんじゃない?」
「うっ……」
リトの脳裏にこの間の屋上デートの悪夢が蘇り、思わず身震いしてしまう。
「モシャクラゲはすごくデリケートな生き物なのよ。そんなストレスかけたら、前みたいに……」
「あ……」
今度は、前にモシャクラゲが来た時のことを思い出す。春菜の顔をしたクラゲが……
『気安く触らないでよ! このウジ虫』
(ひいいいいぃ!!)
「だから、結城君が女の子になって、クラゲが結城君になればいいんじゃない?」
「いっ!?」
「わー! 御門センセー、あったまいー!」
「ちょ、ちょっと! お、オレの立場はーっ!?」
「ヒーローにしてヒロイン。本当、最高の役回りよねー」
「さ、最低だーっ!!」
この世界を支配する何らかの悪意を感じずにはいられないリトであった。
そして、遊園地デート前日。
唯は明日着ていく服を選ぶため、クローゼットの前でもう2時間も悩み続けていた。
「これはちょっとセンスが古いし……これはスカートと合わないし……ああ、もうっ」
「なんだ。明日デートでもするのか」
「お、お兄ちゃん!?」
ドアの所に立っていたのは、唯の兄、遊だった。
「で、デートなんかじゃないわよ! よ、4人で遊ぶ約束してるの!」
「へー。で、その4人ってのは、お前と結城と誰だ?」
「な、なんで結城君が入ってるって決めつけるのよ」
「入ってないのか?」
「は、入ってるけど……」
少し頬を赤らめる唯。
(相変わらず、分かりやすい奴だな……)
苦笑してしまう遊。
「あと、猿山君とリコさん」
ドアのフレームにもたれていた遊がズルッと滑る。
「い、今、なんて言った?」
「だから、メンバーは私と結城君、猿山君とリコさんよ」
「結城の奴とリコちゃんが、一緒に……?」
「そうよ。なにか問題あるの?」
「な、なにかって……」
(これは、何かあるな……)
密かに悟った遊は、部屋に戻るとガールフレンドの秋穂に電話を入れた。
「ゴメン、秋穂さん! 明日、ちょっと用事が出来て……」
513 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:46:54 ID:YaLcPEc9
デート当日の朝。
リトとララは連れ立って、御門先生の家に来ていた。
「はい。ご注文のモシャクラゲ。この子でしょ」
「うんっ! 久しぶりだね、モシャクラゲくん!」
ララは嬉しそうにモシャクラゲの手を取って大喜びしている。
(本当に、嬉しそうだな……)
リトはララの様子を見て、ちょっとだけ微笑んだ。
「地球の環境に馴染めるように、私特製の栄養剤をたっぷり注射しておいたから。
前みたいにはならないと思うけど」
(御門先生の……栄養剤?)
なにか心に引っかかるものがあった。
「じゃ、モシャクラゲくん。かーっこいいリトに変身してねっ!」
ララがそう告げると、クラゲはズズ……と変形して、あっという間にもう一人のリトへと変身した。
「わーっ! リト! かーっこいい!!」
クラゲリトに抱き着くララ。
(ムッ……)
リトは少しだけ不機嫌そうにその様子を見つめていた。
「じゃ、次はリトだね。行くよっ! えいっ!」
「うわっ!?」
ララがリトを『ころころダンジョくん』で撃つと、
リトの身体は瞬く間に女の子のリコへと変身した。
「はぁ……」
なんとなく、肩を落としてがっかりしてしまうリコ。
(なんで、男のオレがデートするってのに、オレが女にならなきゃいけないんだ……)
「うふふ……。なかなか似合ってるじゃない、結城君。胸も大きいし」
「嬉しくないですよ……」
「じゃ、リコ! お洋服着替えましょ!
私、リコのために可愛いお洋服いっぱい用意したんだよ!」
「あら、ララさん。私も用意したのに」
「えー? じゃ、色々試してみよっか」
「そうねえ……」
「もう、好きにして下さい……」
(女ってのは、どうしてこう着せ替え人形遊びが好きなんだろう……)
身体が女になっても、女心までは理解できないリコだった。
514 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:47:18 ID:YaLcPEc9
「じゃ、私も遊園地にいるから! 頑張って来てね!」
「ああ……」
ララに見送られて、遊園地前で待ち合わせている唯と猿山の元へ歩いて行く
リコとリト(モシャクラゲ)。
「おーい! リコちゃん、こっちだよ!」
「ま、待たせてごめんなさい」
猿山がリコの両手をギュッと握りしめる。
(ううっ、いきなりかよ……)
キラキラ目を輝かせて猿山がリコの顔を見つめる。
一方、唯はリトと挨拶をしていた。
「おはよう、結城君」
「おはよう、唯。今日の君は、一段と素敵だね……」
「えっ!? あ、ありがと……。き、昨日、5時間かけてお洋服選んだんだ……」
「そうだね、洋服も可愛いよ。でも、オレが言ってるのはそうじゃない」
「え……」
「君のことさ……」
「ゆ、結城君……!?」
リトは澄ました顔で手を唯の頬に当て、じっと唯の目を見つめて来た。
その様子を見ていたリコは、
(な、なんだあいつ!?)
自分だったらとても口に出来ないような歯の浮く台詞を連発するリトを見て、
リコは不安をかき立てられていた。
「オレの気持ち、もう伝えたはずだろ……」
「あ……」
唯はリトに見つめられたまま、顔を真っ赤にして硬直している。
リトがそっと、唯を引き寄せようとする。
(ま、まずいっ!?)
リコは猿山の手を振り払った。
「えっ!? り、リコちゃん?」
そして、リトと唯に向かって大声で告げた。
「さーさー!! はやく入りましょう!!」
リコは唯の手を引っ張って、遊園地の入り口へと急ぐ。
その後を追って、リトも入り口に向かった。
一人残された猿山は、リコに振り払われた手をじっと見つめていた。
「リコちゃん……」
515 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:47:42 ID:YaLcPEc9
4人は遊園地に入場した。
「さー! 何で遊ぼうかっ!」
リコが唯に大声で尋ねる。
それまで顔を赤くしたままボーッとしていた唯だったが、
「え!? そ、そうね……」
その声でようやく正気を取り戻す。
「どうしたの、唯さん?」
リコが小声で唯に耳打ちする。
「な、なんだか、今日の結城君、いつもより……それに」
唯の顔が更に赤くなる。
「私のこと、唯、って……」
「あ……」
そう言えば、確かにそう言っていた。
唯は目をリトから離せなくなっていた。
その様子に気が付いたリトが、唯に向かってニコッと微笑みかける。
「どうしたんだ、唯」
ボッ!!
音がしそうなくらいに唯の顔が沸騰していく。
「ゆ、結城君……」
リトがフッとすかした笑みを浮かべて唯の所に歩み寄って来る。
「言ったはずだろ? オレは君の愛の奴隷なんだ。だから、そんな呼び方しなくていい」
「え……」
「リト、でいいんだぜ」
「えっ……」
「ほら、試しに呼んでみてくれ。さあ」
唯は途切れ途切れのとまどった声でリトを呼んだ。
「り……り、と……」
「なんだい、唯」
「!!」
唯が興奮のあまり、目を開けたままフラッと倒れそうになってしまう。
「ゆ、唯さんっ」
慌てて唯を支えるリコ。
「こ、こらっ! リト君っ! あんまり唯さんをからかうのは止めてっ!」
リトはどこ吹く風のようにリコをあしらう。
「なんだ? 君、嫉妬してるのか?」
「し、嫉妬!?」
あまりにも見当外れな物言いにリコは面食らってしまう。
フッと笑みを浮かべると、リトはどこかへと歩き去って行った。
「……」
その様子を見て、猿山は無言で奥歯を噛み締めていた。
516 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:48:02 ID:YaLcPEc9
とりあえず、頭を冷やすために唯をベンチで休ませ、リコはリトを探しに行った。
(あいつ……一体!?)
もう一度落ち着いて、ことのなりゆきを思い出してみる。
(朝、オレに変身して、御門先生の薬を注射して……)
必死で記憶をたぐろうとする。
(あ……!)
リトはついに思い出した。御門先生に栄養剤を注射してもらったが、記憶が飛んで、
いつの間にか春菜を口説いてしまっていたときの事を。
(まさか……!)
その薬のせいで、あいつがプレイボーイに!?
しかし、そうとしか考えられない。しかも……
『たっぷり注射しておいたから』
(ま、まずい……!!)
このまま放置しておいたら、大変なことになる……!
そう確信したリコは、ダッシュしてリトを探し回る。
リトはあっさり見つかった。
道端で、見知らぬ女の子をナンパしていた。
「君、可愛いね……。オレと一緒に、観覧車に乗らないか?」
「は、はいっ……」
話し掛けられた女の子の目がハートマーク型になる。
(やっぱり!!)
なんだかんだで、周りの女の子みんなに好かれているリトの顔は、
本人の性格のためにあまり目立っていなかったが、なかなかのイケメンだった。
そのリトが今、プレイボーイとしての人格を得て、まさに水を得た魚状態になっていた。
リコは慌ててリトに駆け寄ると、ガッとリトと腕を組んで言った。
「す、すみませんっ! この人、私の彼氏なんですっ!」
「えっ」
目の前の女の子があせってパタパタと駆けて行く。
それを見て、リコがリトを叱りつける。
「こらっ! ダメでしょ! ちゃんと私達と一緒に居なきゃ!」
澄ました顔を崩さないまま、リトが返す。
「君こそ、いいのかい? 彼氏の前でそんなこと言って」
リトがリコの後ろをアゴで指し示す。
「えっ!?」
リコが振り返ると……そこには、唖然としたまま固まっている猿山の姿があった。
517 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:48:24 ID:YaLcPEc9
「リコちゃん……」
まるで、全財産を入れた財布を落としたことに気付いたような、
茫然自失の表情でリコを見つめる猿山。
「さ、猿山君っ! ち、違うのっ! これは、違うのっ!」
慌てて猿山に言い訳しようとする。
しかし、それは猿山には全く届いていないようだった。
「そっか……だから、返事、くれなかったんだね……」
肩を落として、猿山が呟く。
「そ、そーじゃなくてっ!」
リトがからかうように声をかける。
「ははっ。モテない男はつらいねぇ……」
猿山がビクッと反応してリトを睨みつける。
瞳に怒りの炎を宿し、地獄の番犬の慟哭のような声で吠える猿山。
「この野郎……もう一度言って見やがれ!!」
ダッとリトに殴り掛かる。
それを軽快なステップで交わし、タっと走り去るリト。
「フッ。男の嫉妬は見苦しいねぇ……」
「貴様ああぁっ!!」
「や、やめて! 二人とも! 私の話を聞いてーっ!!」
リコの声は誰にも届くことなく、男二人はどこかへと走り去って行った。
「な、なんでこうなるんだ……」
その場にへたり込むリコ。
こうして、リコは自分自身と猿山との三角関係に巻き込まれてしまった。
一方その頃、唯はベンチでようやく息を整え、落ち着く事が出来た。
(お、落ち着くのよ、私……。た、たった、下の名前で呼ばれただけじゃない……)
『唯』。
たった、その一言。
だけど……
『ただいま、唯』
『お帰り、リト』
『今日も素敵だね、唯』
『ありがと。リト』
『唯……』
『リト……』
(な、なに考えてるのっ! わ、私ったら……)
またまた赤くなってしまう頬を、パチパチと手で叩く。
今日のリトは、正に唯の空想の世界からはみ出して来たようなリトだった。
(と、とにかく、みんなを探しに行かなきゃ……)
唯はベンチから立ち上がって歩き始めた。
518 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:48:46 ID:YaLcPEc9
ようやく、リコは再びリトを発見した。
リトは、寂れた人影の少ない小屋の脇で、壁に背をもたれて休んでいた。
今度は周りに猿山がいないかキョロキョロ見回して確認してから、リコはリトを叱りつけた。
「こらっ! お前のせいで、えらい事になったじゃねーか!」
やれやれ、という顔でリコの声を受け流すリト。
「とにかく、行くぞ!」
ガッとリトの腕を掴んで歩き出そうとするリコ。
(ララを呼んで、なんとかしてもらわなきゃ……)
ところが。
「あっ!?」
逆にリコは、リトの腕にグッと引き寄せられてしまった。
ガッ。
リトの胸で、後ろから抱え込まれてしまうリコ。
(な、なにを……!?)
リトがリコの耳元に口を寄せ、甘美な声で囁きかけて来る。
「君、可愛いね……」
「えっ!?」
ス……。
「あっ!?」
リトは、リコの胸元に右手を差し込んで来た。
リコは、パンティは身に着けたものの、ブラジャーを着けていなかった。
せめてそこだけは、男のプライドを保っていたい……。
そんなリコの思いが、見事に仇となってしまっていた。
「君……誘ってるんだよね、これ……」
リトが二本の指でリコの乳首をコリコリと弄ぶ。
「あ……やっ……!」
リトの指に従順に反応してしまうリコ。
「君……敏感なんだね……可愛いよ……」
甘い台詞を吐きながら、ハァ……と耳に熱い息を吹き込む。
「あ……あっ……やめ……!」
だんだんと感じ出してしまい、リコの腰がガクガクと震え出してしまう。
「どうしたんだい? 危ないよ……」
リトは左手をリコのスカートに潜り込ませ、パンティの中にまでスルスルと手を差し込むと、
おぼつかなくなったリコの腰を支えるようにリコの尻を丁寧に撫で回す。
「ひゃんっ!!」
リコの身体がビクッと反応する。
「君、オレの彼女になりたいんだろ?」
「ち、ちが……」
「だって、さっき君自身がそう言ったじゃないか」
「あ……」
そう言えば、さっき。ナンパしていたリトを止めるために言った言葉。
『この人、私の彼氏なんですっ!』
(そんな……そんな……!)
そんな、いい加減な気持ちで言った台詞のために……
よりにもよって、自分自身の彼女にされてしまうなんて……!
愕然としてしまうリコ。
519 :
遊園地デート:2009/10/18(日) 02:49:10 ID:YaLcPEc9
リトは右手の指先をバイブレーションさせて、リコの敏感な乳首を刺激してきた。
「ああああっ……!!」
腰の力が抜け、リトの左手に体重をかけてしまう。
そのリコの尻を思うがままに蹂躙するリトの左手。
「ひゃんっ……あんっ……あうんっ……!」
「フッ……」
急にリトが両手を引き抜き、左手で腰を押さえながら背中をトンと押した。
「あっ!?」
身体の力が抜け切っているリコは、押さえられた腰をリトに突き出す形で
四つん這いになってしまう。
めくれ上がったミニスカートからは、リコの白いパンティがリトに丸見えになっていた。
「可愛いパンティだね……。ビチョビチョに濡れてるのがさらにいい……」
囁きかけつつ指でパンティの濡れた部分をスーッとなぞるリト。
「あっ……ああっ……!」
リコはあられもない声を上げてしまう。
「おや? ここ、少し盛り上がってるねえ。一体なんだろう……」
その部分にパンティ越しに指先を当て、マッサージするように揉みほぐす。
「あっ……ひあああっ! あはんっ……ああんっ……!」
もはやリコは、リトにやられるがままに黄色い声を上げる人形と化してしまっていた。
「ふうん……。そろそろ、出来上がったみたいだねえ……」
リトがそう告げた後、リコの背後でジーッとジッパーを下ろす音がした。
(ま……まさか……!)
恐怖のあまり、前に這って逃げようとするリコ。しかし、
「逃がさないよ……」
リトは両手でリコの腰を押さえ、パンティを少しずらす。そして……
ペタ。
(!!)
リコの最も敏感な部分に直接当たる、柔らかな感触。それは……
(お、オレの……)
リコの全身を戦慄が駆け抜け、反射的に叫び出そうとするが、
「いや……うっ!!」
口をリトに塞がれてしまう。
「覚悟はいいかい? 今から、君を本当にオレの彼女にしてあげるから……」
(そ……そんなの……)
ついに、リトのモノがリコの柔らかな秘肉を押し広げ始めた。
(あうっ!? は、入って来る……!!)
男である自分のモノで、男である自分が、男である自分に、女にされてしまう。
(そんなの、イヤーッ!!)
リコは涙を流して、心の中で泣き叫んだ。
その叫びが通じたのか。
目の前に、救いの女神が現れた。
「結城君……あなたって人は……」
その声は、今までリコが聞いた唯の声の中で、最も悲しく、最も怒りに満ちたものだった。
しかし、それでもリトは顔色一つ変えない。
「ああ、唯。君もして欲しいのかい?」
グッ、と唇を噛み締める唯。
「見損なわないで……」
押し殺した声でそう告げると、
パンッ!!
リトの頬に強烈な平手を放った。
そして、手を地面に着いたリコに肩を貸して立たせると、
リトに背を向けて吐き捨てるように告げた。
「あなたとは絶交よ。もう顔も見たくない」
「……」
無言でそこに佇むリトを置いて、唯とリコはその場を後にした。
つづく
>>520 深夜に乙。モシャクラゲエロいなww
続wktk
なんか急にリト×ミオが激しく読みたくなった
お願いします職人様。。。。
ミオって誰だっけ
>>523 春菜の胸もむ2人組のツインテールメガネっ娘。
526 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:41:09 ID:+nGSZqFf
再び、気分が落ち着くまでベンチに座って休んでいたリコと唯。
「大丈夫? リコさん」
「うん、なんとか……」
唯のおかげで間一髪、最悪の事態だけは避けられたものの……
(もう、何がなんだか……)
猿山はリコと自分の仲を勘違いして、目下行方不明。
唯は、自分のハレンチ姿を見てしまって、絶交を言い渡した。
(このまま行くと……うああ……!)
おそらく、二人からは一生まともに付き合ってもらえず、
周りからは蔑まれ、惨めな高校生活を送ることに……。
はぁ……。
大きくため息をついてしまうリコ。
(いっそ、本当に女になっちまおうかなあ……)
ヤケクソになって、とりとめも無い考えを巡らしてしまうリコだった。
そして、その隣に座っている唯も……
(私……なんて、バカだったんだろう……)
あの、結城君の甘ったるい優しさが。
自分のためだけに向けられている、と思ったなんて。
(最初から、おかしいと思うべきだったのよ……)
あんな、私のことを全部分かってくれる、甘過ぎる結城君なんて、おかしい。
一体、彼に何が起こったのかは知らない。
けど……
(あんな結城君なら、もう一生顔も見たくない……)
唯はもう一度、唇をギュッと噛み締めた。
考えた末、リコの脳裏についに一つのアイデアが思い浮かんだ。
早速実行に移すリコ。
「唯さん。私、ちょっとトイレに行って来るから、ここで待ってて!」
「あ、リコさん……」
タタッとトイレに駆けて行くリコ。
そして、トイレに入ると大急ぎでララの携帯電話に連絡した。
「おいっ! ララっ! 今から、オレの言う通りにしてくれっ!」
一通りララに伝え終え、ついでに用を足すことにする。
しかし……
「あ、あれっ!? ないっ!? って、あーっ!!」
迂闊にもいつもの癖で男子トイレに駆け込んでしまったリコ。
小便器の前でパンティを下ろしてウロタえているリコを、
周りの男達が不思議な顔をしてしげしげと観察していた。
527 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:41:32 ID:+nGSZqFf
「た、ただいまー……」
憔悴した様子のリコを見て、唯が尋ねる。
「リコさん、お腹の具合でも悪いの? 随分時間かかってたけど……」
「うん、ちょっと……」
リコは相変わらず慣れない女子トイレで用を足すのに思いっきり手間取ってしまっていた。
「じゃ、どうしようか」
「とりあえず二人で遊ぼうか」
「うん……」
唯が浮かない顔でうなずいた。
リコはチラリと腕時計を見る。
(オレが元に戻るまで、あと約1時間半……)
もう何度も女になっては元に戻っていたリコは、だんだんと要領を掴み始めていた。
リコと唯は、沈んだ気分を吹き飛ばすためにジェットコースターに乗ってみた。
しかし……
「……」
唯の顔は相変わらず沈んだまま。
お化け屋敷に入っても、
「ギャーッ!!」
「……」
「そ、そんなっ! これで怖がらない女の子がいるなんてっ!?」
お化け役の人がプライドを失ってしまうほど、唯の目には周りが全く目に入っていなかった。
そんな唯の様子を見ながら、リコはもう一度腕時計を見る。
(あと20分か。そろそろ……)
正直な所、元に戻る時間が正確に分かっているわけじゃない。
今すぐに戻ったりすれば、大変な事になってしまう。
そうするとすぐにでも唯から離れないといけないが、
今唯を一人で放っておくのもどうにも気が引けた。
(誰か、知り合いでもいないかなあ……)
そんなことを思いながら、辺りを見回す。
すると少し離れた場所に、ツンツン頭にサングラスをかけ、
マスクをした不審そうな人物を見付けた。
(あれは……!)
「遊さんっ!」
リコは一目でその正体を見破った。
「ごめんなさいっ! ちょっと待ってて!」
遊の元に駆け出すリコ。
「ちょ、ちょっと! リコさんっ」
いつもピンチの時に自分を助けてくれる遊。
リコはタタッと遊に駆け寄り、嬉しさのあまりおもむろにガバッと抱き着いてしまう。
「遊さん、見っけーっ♪」
「うわっ! お、お前っ!?」
変装しているつもりなのにあっさり見破られた遊は、動揺してしまう。
「バレバレですよ、それ」
「あ、そっか? まいったな」
遊はマスクとサングラスを外す。
「えへへっ♪ 丁度いい所に会っちゃった。遊さんっ」
リコは甘えるように遊に腕を組んで来る。
「おいおいっ……お前なあ」
「古手川君?」
その時。
呆然と立ちすくむ遊の前に現れたのは、昨日遊が『用事がある』と言ってデートを断った、
西連寺秋穂だった。
528 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:41:57 ID:+nGSZqFf
デートを一方的に断られた秋穂は、たまたま来た他の男からの誘いに乗り、
偶然にも遊園地でデートしていたのだった。
「あ、秋穂、さんっ……」
リコに腕に抱き着かれながら、秋穂を見つめる遊。
秋穂の隣にいる男が尋ねる。
「秋穂さん、お知り合いですか?」
秋穂は顔色一つ変えずに答える。
「うん。知り合い。ただの」
「たっ……ただのっ……」
顔面蒼白になる遊。
「古手川君、可愛くて若い彼女とデートできて良かったねー。じゃ、私達はこれで」
ニッコリと笑いながら明るい口調で掛けられる言葉が、
どうしてここまでの威圧感と戦慄をもたらすのか。
「まっ……」
声を掛けようとした遊は、立ち去って行く秋穂の後ろ姿の放つ見えないオーラにそれを阻まれた。
「あ……秋穂……さん……」
その様子をボーッと眺めていたリコが無邪気に声を掛けて来る。
「どうかしたんですか? 遊さん」
遊はふーっと肩を落として言った。
「いや、なんでもない……」
結局、リコは
「ごめんなさい! 用事が出来たんで、遊さんと一緒に待っててくれる?」
唯に告げ、どこかに走って行った。
「なんでお兄ちゃんがここにいるのよ。それも一人で」
「いや、ちょっと、観覧車で物思いに耽ろうかと思って……」
「なにそれ」
ふう、とため息をつく唯。
「ところで、唯。結城の奴はどうしたんだ」
「知らない。あんな奴」
「なんだ、すっぽかされたのか?」
「いや、会ったんだけど、もう会わない」
「ほう……」
遊は今聞いたことから状況を分析してみた。
夕崎梨子=結城リトとはさっき会ったばかり。
という事はここには結城リト本人はいないはず。
それなのに、唯はリトに『会った』と言った。
(大方、出来の悪い替え玉でも使ったのか……)
なんとなく事情を察した遊は、話を続ける。
「お前、結城のことを信じてないのか?」
「え……」
「何があったのか知らんが、お前の知ってる結城リトは、
そんなことをする奴なのかって聞いてるんだ」
「あ……」
唯は少し黙って考えてみた。
(どう考えても、結城君があんなことをするなんて、おかしい……)
「だろう?」
唯の心の中を見透かしたように遊が告げる。
「もう少し、良く考えた方が良いんじゃないか?」
「でも……でも……」
唯がとまどったように声を出す。
と、その時。
「いやー、古手川。遅くなって悪かったなー!」
精一杯の笑顔を浮かべて、結城リトがその場に現れた。
529 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:42:20 ID:+nGSZqFf
リトは、ララに連絡して男用の衣服を用意させ、変身が解けてからようやく帰って来たのだった。
「ゆ、結城君っ!!」
ポリポリと頭を掻きながらリトが言い訳をする。
「いやー、すまん。午前中ちょっと家で用事があって、遅れちまった」
「用事があったって……な、なによそれ! じゃ、じゃあ、さっき私が見てた結城君は?」
「えっ? なんだい、それは?」
リトが白々しく聞き返す。
「私、午前中にも結城君に会ったのっ!! どういう事っ!?」
「さ、さあ、なんのことか分からないなあ……」
誤魔化そうとして目が明後日の方向を向いてしまうリト。
そしてリトは、わざとらしく後ろを振り向く。
「おっ! あんな所にララがいるぞっ! ララーっ!!」
ララは嬉しそうに返事をする。
「おーい、リトー! こっちこっちー!!」
「え……ええっ!?」
ララと手を組んで歩いて来る人物。それは……
「結城君っ!? 結城君が二人っ!?」
まぎれもない、結城リトその人だった。
「ど、どーいう事なのっ! これはっ!!」
「あー、唯もリトとデートなんだー! 良かったねー!」
「私もって……な、なんなのよ、これーっ!!」
「えーっとね。このリトは、モシャクラゲ君って言って、他の人に変身できるんだよ!
だから、私今日はモシャクラゲ君のリトとデートなの!」
「モ、モシャクラゲ!?」
以前、一度高校中に大騒動を引き起こしたその名前には、唯も覚えがあった。
「さっきまで逃げ出してたんだけど、やっと見付けちゃった! エヘヘ♪」
「な、な、な……」
呆気に取られる唯。
その時、クラゲのリトがララに囁き始めた。
「ララ、愛してるよ……」
「リト♪ 私もっ」
二人はしっかりと抱き合って……
ブチューッ!!
こっちまで音が響いてくるくらい、濃厚かつ愛情に満ちたキスをした。
「ハ、ハ、ハ……!!」
人差し指を差していつもの決め台詞を吐こうとする唯だったが、
そのあまりの愛情溢れるオーラに指は折れ曲がり、言葉を失ってしまう。
キスを終えたララがニッコリ笑って告げる。
「じゃ、リト! 今日はいっぱい遊ぼーねっ♪」
「ああ、ララ。今日は一日中愛し合おう……」
「リト♪ 大好きっ♪」
濃縮された愛情オーラで辺りの空気をピンク色に染め、
スキップしながらララとクラゲリトはその場を立ち去った。
530 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:42:43 ID:+nGSZqFf
唖然としたままその場に残されたリト、唯、遊の三人。
と、遊が立ち上がって告げる。
「じゃ、オレも帰るとするか」
「お、お兄ちゃん……」
「じゃ、頑張れよ!」
バンッとリトの背中を叩いて遊は立ち去った。
(はぁ……秋穂さんになんて言い訳すりゃいいんだ……)
その背中には、どことなく哀愁が漂ってはいたが。
そしてようやくリトと唯は二人きりになった。
「……」
「……」
あまりの事態のなりゆきに茫然自失の唯が、ようやく正気を取り戻して声を出した。
「ゆ、結城君……」
「こ、古手川……」
しかし、唯はまだ訝しげな表情をしていた。
「まだ、信じられないわ……。あなたは、本当に結城君なの?」
「えっ!? オレはオレだけど……」
「証明してよ」
「証明ったって、そんなの……」
唯はキッとリトを睨みつけて告げる。
「本物の結城君なら、私のことを『唯』って呼び捨てに出来るはずよ」
「ええっ!?」
「はやく、呼んでよ」
(な、なんでそうなるんだ……!?)
唯はリトの目をじっと睨みつけていた。
リトはゴクリと唾を飲み込んだ。
「じゃ、行くぜ……。ゆ、ゆ、ゆゆゆ……」
何故こんなに……と思わされるほどの逡巡の後、
「ゆい……」
ぎこちない口調で、リトは告げた。
それを聞いた唯は、プッと吹き出してしまった。
「な、何がおかしーんだよっ」
「それでこそ結城君ね……」
「どういう意味……えっ!?」
いきなり唯がリトの胸に縋り付いて泣き出した。
「こ、古手川……?」
「えっ……えぐっ……バカ……バカ……結城君の……バカ……!
うっ……あなたが遅刻したせいで、えうっ……私が一体、どんな思いをしたと思ってるの……!」
「古手川……」
「えーっ……えっ……えっ……バカ……バカ……バカ……バカ……バカァッ!!」
どんどんとリトの胸を叩いて泣きじゃくる唯。
リトはそっと唯の頭に手を乗せ、唯が泣き止むまでゆっくりと頭を撫でさすっていた。
531 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:43:07 ID:+nGSZqFf
しばらくの後、ようやく泣き止んだ唯は、元より一層強気な口調でリトに告げた。
「さーあ、結城君……あなたのせいで随分遅れちゃったんだから、
今日はいっぱい付き合ってもらいますからねっ!!」
「ははは……」
ジェットコースター。
「キャーッ!! 結城君のバカーッ」
「な、なんなんだ、その悲鳴はっ!?」
メリーゴーラウンド。
「ちょ、ちょっと! どこに触ってるのよ! ハレンチねっ!!」
「じゃ、なんで一緒に乗ろうなんて……」
占いコーナー。
「な……何よ、この占い! ふざけてるのっ!? もう一回やるわよっ」
「それって、意味ないんじゃ……」
クレーンゲーム。
「取って! あの猫の奴っ!!」
「それ、上の奴3つは取らないと取れねーぞ……」
お化け屋敷。
「キャーッ!! 怖いーっ!! 結城君のバカーッ」
「だから、なんで最後にそれを付けるんだ!?」
十分に楽しんだ後、最後に観覧車に乗る事になった。
「フーッ。楽しかったね」
「機嫌、治ったか?」
「うん!」
「ま、あれだけ人の事バカバカバカって叫びまくればなあ」
「何よ、不満なの?」
「いえいえ。私が悪う御座います」
「分かればよろしい」
クスッと二人で笑い合う。
「でも、まだちょっとだけ治ってないかな」
「まだ?」
唯は顔を少しだけ赤らめる。
「私のこと、まだ『唯』ってきちんと呼んでない……」
「またそれかよ……」
「な、何よ! 私にとっては大事な事なの!」
やれやれ、と頭を掻いてリトが唯に向き直る。
「分かったよ。じゃ、行くぜ」
「は、はやくしなさいよ」
唯がまた、リトの顔をじっと見つめる。
「ゆ、ゆい……」
「ダメ! ちょっとどもった!」
「ユイ……」
「何それ! 感情が込もってない!」
「UE」
「何その発音!? ふざけてるの!?」
「ったく。どうすりゃいいんだよ」
532 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:43:29 ID:+nGSZqFf
そう言われて、唯はちょっと顔を赤らめてリトに注文を付ける。
「そ、そうね……例えば、あなたが仕事から帰って来て、
奥さんに向かってただいまー、って言う時みたいに言ってみてよ」
「なんだよそれ!? そんな経験ねーよ」
「ちょっとは想像力を働かせなさい! た、例えば、私が、奥さんになってる、とか……」
「へ?」
リトがその光景を想像してみる。
『た、ただいまー、ゆ、唯』
『お帰りなさい、リト。今日は遅かったのね』
『い、いや、仕事でさ』
『じゃ、このマッチは何? スナックモモ?』
『え、あ、いや、それは、その……』
『また、そんなハレンチな所に行って!! 今月もお小遣い抜き!!』
『ひ、ひえーっ!』
「あわわわ……」
「あなた、一体何を想像してるのっ!!」
どうも、リトの想像と唯の想像では若干の食い違いがあるようだ。
「まったくもう! デリカシーのかけらもないんだからっ!」
「ふう……」
一息ついてリトが言った。
「しかし、なんだな」
「なによ!」
「今日お前、えらくハイテンションだな」
「!」
急に唯が黙り込んだ。
「古手川……?」
不審に思ったリトが声をかけると、唯は悔しそうに目に涙を浮かべて肩を震わせていた。
「誰のせいだと思ってるのよ……」
「あ……」
顔を真っ赤にして唯が叫ぶ。
「あなたがいない間に私がどんな思いをしたかも知らないで! 責任取りなさいよ!」
急に唯の目からブワッと涙が溢れ出す。
「怖かったんだから……結城君がいなくなっちゃうかと思って……」
「え……」
「えっ……もう……あんな思い……絶対したくない……えうっ……」
唯の喉から嗚咽が漏れ出し、瞳からは涙がとめどなく流れ出してきた。
「……」
リトは少し俯いて黙り込んだ後、観覧車の小さなボックスの中でスッと立ち上がった。
「え……?」
唯の肩に手を置いて、そっと優しく告げる。
533 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:43:53 ID:+nGSZqFf
「ごめんな……」
そう告げて、じっと唯の目を見つめるリト。
二人の乗る観覧者のボックスは頂上へと達し、
幻想的な夕日の色が、一人のか弱い少女を官能的な女性の姿へと変化させていた。
「オレ、何にも知らなくてさ」
「結城……君……」
リトは、全て知っていた。
自分に告白されて、悩み苦しんでいた唯を。
自分に唯と呼ばれただけで、嬉しさのあまり倒れてしまった唯を。
自分に裏切られて、絶望の淵に沈んでいた唯を。
『少しだけ……良く観察してやって欲しいんだ』
遊の言葉が頭に蘇る。
本来、自分が見るはずのなかった唯の心の奥底。
それを観てしまったリトの胸の中に、締め付けられるような愛おしさが満ち溢れていた。
「唯……」
リトの胸にあった思いが、塊となって唇から吐き出される。
そのたった1文字の言葉は唯の唇へと吸い込まれ、
唯の世界からリト以外の全ての存在を消し去っていた。
「リト……」
言葉を発した二人の柔らかな器官が、二人の言葉によって結ばれ、引き寄せられていく。
夕日の作り出す、橙色の神秘的な空間の中。
二人は静かにそっと、初めての口づけを交わした。
カタン、カタン。
絶え間なく回り続ける観覧車の作動音が二人を現実の世界へと引き戻し、
どちらからともなく唇を離す。
「……」
「……」
二人の間にわずかな静寂が訪れる。
ふと、唯が口を開いた。
「おかしいわね……」
「な、なにがだよ」
唯は訝しげな目をしてリトを睨みつけていた。
「結城君がこんなにカッコイイはずないもの。あなた、やっぱり偽物なんじゃないの?」
「な、なに言ってんだよ」
いきなり唯がスックと立ち上がり、ニッコリと微笑んだ。
「だから、もう一回調べて見るね」
「え……」
唯はリトの頭の後ろに手を回すと、今度は自分からリトに熱烈なキスをした。
「んーっ!?」
いきなりの唯の行動に面食らい、手をバタバタさせて暴れるリト。
プハッ、と音を立てて唯がリトの唇から離れ、ペロリと唇を一嘗めする。
「うん。やっぱり、本物ね。だって、こんなにカッコ悪いんだもの!」
「おいおい……」
アハハッ。二人が笑い合ううちに、観覧車は地上に着いていた。
534 :
遊園地デート:2009/10/19(月) 05:44:16 ID:+nGSZqFf
観覧車を下りた二人は、遊園地の出口の所に立っていた。
「さーてっ。そろそろ帰るか」
「うん。でも、リコさんと猿山君、どうしたんだろ」
「あ……」
リトは思い出したように、振り向いた。
「お、オレ、リコちゃん呼んで来る! ここで待っててくれるか?」
「え? うん、いいけど……」
リトがタタタッと走り去って行く。
そして同じ方向から、今度はリコが走って戻って来た。
「お疲れ様、唯さんっ。いっぱい楽しんだみたいだね」
「う、うん……」
唯は少しポッと頬を赤らめる。
「で、どっちが良かった? 優しいリト君と、普通のリト君」
「え……」
少し考えた末に唯はニッコリ笑って結論を出した。
「私が好きなのは……優しくなくて、気が効かなくて、バカでおっちょこちょいで……
デリカシーがなくて、時間にルーズで、ハレンチで……」
リコの口の端が少しだけ引きつったようだ。
「だけど……たまにカッコ良くて……たまーに優しい、結城君、かな」
リコはそれを聞いてニッコリと笑った。
「じゃ、私猿山君探さないと行けないから、ごめんね!」
「結城君は?」
「リト君もララさんと帰るって。じゃ、また一緒に遊ぼうね」
タタタ……とリコが駆けて行く。
(ふう……)
唯が空を見上げる。
青から橙へとグラデーションを描く夕焼け空から、少しずつ光る点が浮かび上がり、
今日という長かった一日が終わりを迎えようとしていた。
唯の目に映る群青色の虚空に、リトの顔が浮かび上がる。
その顔はなぜか苦笑いをしていて、頬を冷や汗が伝い落ちていた。
(本当にもう……カッコ悪いんだから!)
唯はクスッと一笑いすると、唇を手でスッとなぞって、
満足そうな笑みを浮かべて家路に着いた。
(終)
猿山を華麗にスルーしてここで終了
んじゃ
乙!
遊カワイソス
GJ!
なんかここまできてリト唯が付き合わないってのも無理な感じになってきたなww
乙です。
遊さん哀れすぎ。
何気に女性に振り回され属性持ち
>>535 素晴らしい!!GJです!
そして誰が保管庫更新してくれ…
ここの本編アフター読んでると、エロパロじゃない創作板でいいから
リト猿遊の話も見てみたい気もするなぁ
友情、(モテるための)努力、(恋愛への)勝利で三本柱ってカンジ
特に遊兄さんは、イケメンでケンカ強くてモテモテなのに実は一途と、師匠ポジもってこいだったし
実は悪性宇宙人の遊兄ぃが退治されて傷心の唯をリトが慰めるわけですね?
543 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/26(月) 22:43:02 ID:c1WBrB89
正直リト唯もっと見たいです
俺はリト×リサかリト×唯が読みたいかな。
てか保管庫いい加減誰か更新してくれ。
何故自分でやらん
ほしゅ
唯いい
548 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 00:59:21 ID:J34ybDGK
おーもーいーではーいーつーもきれいだーけどー
くぱぁ
550 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/07(土) 20:08:07 ID:SuNmHYvn
つーか唯の陰毛…
スレチだったか。
552 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 17:28:37 ID:j4Q6oLXy
めそ
一方その頃、リコは……
「さ、猿山……」
ララの助けを借り、猿山の居場所を探り当てていた。
猿山は遊園地のとある池のほとりの草の上に座って、ボーッと水面を眺めていた。
「ねー、リト。猿山、どうしたの?」
「えっと、オレにフラレたって事になってるみたいだな……」
リコはララの方に振り向いて告げた。
「ララ、お前はクラゲを頼む。猿山はオレがなんとかするから」
「うん。じゃあね!」
そう言ってニッコリ笑ったララの方を見ると、なぜかそばにいるモシャクラゲのリトが
小さい子供の姿になっていた。
(ガキの頃の……オレ?)
ララはそのまま子供のリトと、親子のように連れ添って歩いて行く。
不思議に思ったリコだったが、今はそれどころではないことを思い出し、もう一度猿山を見つめる。
(さて……)
「猿山くんっ」
ビクン! 猿山の身体が反応し、ゆっくりとリコの方に振り返る。
「リコ、ちゃん……」
意外そうな顔をしてリコの顔を見た猿山は、もう一度水面を見つめる。
「ほっといてくれ……。君の彼氏はリトなんだろ……」
「あ、あはは……」
リコは苦笑いしながら猿山の肩に手を当てる。
「あれって、ウソ! リト君がナンパしようとしてたから、懲らしめたかっただけだよ!」
「気休めはよしてくれ……」
猿山はしんみりとした声で淡々と告げた。
「オレ、分かってたんだ。オレなんかが、リコちゃんみたいな可愛い娘と付き合えるはずないって」
「そんなことないよ?」
「オレ、そんなにイケメンでもないし、頭は悪いし、スポーツが出来るわけでもないし……
気の効いたジョークも言えないし、金もないし、ドスケベだし……」
「うーん……」
ひたすら自嘲気味になっている猿山の肩に手を当てて、ちょっと困った顔をしたリコだったが、
「そんなダメダメな奴は、池に落ちちゃえー!」
いきなりドンッ! と猿山の肩を押した。
「うわっ!?」
バシャーン!!
不意にリコに押され、バランスを崩して猿山は池に落ちた。
「リ、リコちゃんっ!?」
ビショ濡れになった猿山が池に腰を着いたまま、ワケが分からないという顔でリコを見る。
「あははっ! みっともなーい!」
あっけらかんと笑うリコ。
その笑顔を見ていた猿山の顔に、だんだんと笑みが蘇って来ていた。
「このぉ……やったなぁ、リコちゃん!」
池の水をすくって猿山がリコに水をかける。
「きゃっ! 負けないぞぉ!」
リコが池にドボンと飛び込んで猿山に水をバシャバシャかける。
「このぉ!」
「きゃーっ!」
二人はしばらくの間水遊びを楽しんでいた。
池から上がった二人。
「もー、冷たーい」
「だって、リコちゃんが始めたんだよ?」
「私に水をかけたのは猿山君じゃない!」
二人がアハハッと笑い合う。
ふう、と猿山は一息ついた。
さっきまで胸に満ちていたイヤな気分はどこかに消え去り、
爽やかなリコの笑顔そのままの新鮮な空気が取って代わっていた。
「やっぱり、リコちゃん、凄いな……」
「え?」
「なんかリコちゃんってさ、男の子みたいだね」
「そ、そう?」
リコが冷や汗をタラして苦笑いする。
「オレ、女の子って、なんだかどこかに秘密を持ってて、ちょっと怖いなって思うことが
あるんだけどさ……。リコちゃんって、そういうのが全然ないよね。
なんか付き合ってて、すっごく気持ちいいよ」
リコがキョトンとして猿山を見る。そして人差し指を唇に当てて言った。
「そうかな? 私も秘密持ってるけどなあ」
「えっ?」
「知りたい?」
「う、うん……」
「実は、私……」
ゴクリ。猿山がツバを飲み込んだ。
「男の子なのだー!」
「えええっ!?」
猿山が驚愕に目を見開く。
「ほ、ほんとに……?」
「確かめてみる?」
リコが自分のスカートを少し持ち上げて、手で股間を差し示す。
(そ、そんなことって……!?)
猿山が恐る恐る、スカートの中に手を入れる。
水に濡れたパンティに手を当て、ソレの感触を確かめてみるが……
(無い……?)
男ならあるはずのソレはそこには無かった。
「あ、あれ……? 無い、けど……?」
猿山が不思議そうな顔でリコを見る。
すると、リコは急に艶かしい声を上げた。
「あんっ……猿山君のエッチぃ……」
ボッ!!
猿山の顔が真っ赤に染まる。
「ご、ご、ごめんっ! オ、オレ、そんなつもりじゃ……」
必死で言い訳を始める猿山を見たリコが、プッと吹き出して思いっきり笑い出す。
「アハハハハッ! 冗談だよー!」
呆気に取られた猿山も釣られて笑い出した。
「アハハハハ!」
「キャハハハハ!」
猿山は笑いながら、リコをじっと見つめて考えていた。
(本当にリコちゃんって、男の子みたいに大胆で、屈託がなくて爽やかで……)
リコの水に濡れた上着のシャツを見る。
ブラジャーを付けていないリコの胸に濡れたシャツがぴったりと張り付き、
ふくよかな乳房の形がくっきりと浮き上がっていた。
(でも、すっごく女の子なんだよな……)
男の子のようで女の子のような、中性的な不思議な輝きを持ったリコ。
(リコちゃん……)
また改めて、猿山はリコの魅力に惹き付けられていた。
しばらくして二人の服が乾き、二人は遊園地の出口に向かって歩いていた。
「猿山くん、機嫌治った?」
「うん。リコちゃんのおかげでね」
ニッコリとリコに向かって微笑む猿山。
「ねえ、猿山くん。今日ね、リト君と唯さん、キスしたんだよ」
「えっ!?」
リコは悪戯っぽい目をして猿山を見る。
「私達も、する?」
「り、リコちゃん……」
「じゃ、このベンチに座って目をつむって?」
猿山は言われた通り、そばにあったベンチに座って目を閉じた。
(リコちゃん……)
ドキドキと胸を鳴らしてリコを待つ猿山。
と、唇にリコの指が当てられ、何かが入れられるような感触があった。
「ん……おわーっ!?」
猿山の口の中が火のように熱くなっていた。
リコが猿山の口に入れたのは、ララから受け取ったダークマターキャンディだった。
「どう? 炎のような熱いキスでしょ?」
クスッと笑うリコ。
「リ、リコちゃん……ひでえよ……」
「あははっ。じゃ、お口な・お・し♪」
リコはニッコリ笑って、猿山の唇にチュッと軽いキスをした。
「!!」
一瞬驚きのあまり唖然としてしまった猿山が、
「リコちゃん……!」
ポーッと顔を赤らめてリコを呆然と見つめた。
「じゃあねっ」
リコは明るく挨拶すると、タタタッと駆けてすぐに見えなくなってしまった。
「リコちゃん……」
猿山はもう一度リコからキスを受けた唇を手で撫でてうっとりとした表情を浮かべた。
「ふうっ……」
ようやく全てを終えたリコはゆっくりと歩いて家に向かっていた。
そこにララが飛んで来た。
「リトー!」
「お、ララ。クラゲはどうしたんだ?」
「あ、御門先生の所に送って来たとこ。で、猿山はどうだった?」
「んー、もう大丈夫だろ」
「ふーん……」
ララはリコの様子をしげしげと見つめた。
「リト、猿山とデートするのすっごくイヤがってたのに。なんか変わったね」
「そうかな?」
澄ました顔でリコはララに返す。
今日、唯とのデートで感じた胸のときめき。
それを猿山にも少しだけ分けてやりたくって、なんとなくあんな行動を取ってしまった。
(たまには、こんなのも悪くないかな……)
クスッと笑って、ペロッと唇を一嘗めするリコ。
「ま、いいや。はやく帰ろうぜ」
「うんっ。じゃ、また一緒にお風呂入るー?」
「もう勘弁してくれよ……」
アハハッ。リコとララは二人で笑い合いながら結城家へと帰って行った。
(終)
おまけ
こぽ、こぽ、こぽ……。
小さなアワくんたちが手をつないで天井の方に泳いでいく。
ボクのいる水の入った四角いハコ。
とってもキモチのいいところ。
でも……。
『もう大丈夫だからね』
(ララお姉ちゃん……)
あのひとの笑ったカオ。
ずっと忘れられないキレイなカオ。
みんなにイジメられてたボクに一人だけやさしくしてくれた。
思い出すたびに心がポカポカする……。
(また会いたいな……)
「よし……と。これで前みたいにはならないはずよ」
やさしそうなセンセイがボクにお注射をしてくれた。
ニッコリとボクに向かって笑ってくれる。
「どう? 憧れのお姉さんにまた会えて嬉しい?」
ボク、ちょっとはずかしくなっちゃって、下をむいちゃった。
「久しぶりだね、モシャクラゲくん!」
ついにまたお姉ちゃんに会えた。
きゅっとボクの手をにぎってくれる。
お姉ちゃんのあったかい手。
ボクの手にお姉ちゃんの心が伝わってくる。
(やっぱり……ボクに会えて、よろこんでくれてるんだ……)
お姉ちゃんのキレイでやさしいカオとおんなじ。
心もとってもキレイであったかい……。
「じゃ、モシャクラゲくん。かーっこいいリトに変身してねっ!」
かっこいいリト?
あ……。
(お姉ちゃん、リトってひとが好きなんだ……)
でも、お姉ちゃんの知ってるリトって、ぜんぜんかっこよくないよね。
あっ……この時だけリト、かっこよくなってる。
これでいいのかな……。
「君のことさ……」
「ゆ、結城君……!?」
ゆいってひとにさわってみた。
ボクの手にゆいの心が伝わってくる。
(このひとも、リトのこと好きなんだ……)
この人の心もとってもやさしくてキレイ。
それにゆいって言われてとってもうれしいみたい。
じゃ、いっぱい言ってあげようかな……。
「とにかく、行くぞ!」
女の子になったリトがボクの手をギュッとひっぱった。
ボクの手にリトの心が伝わってくる。
(このひと、ボクのことキライなの……?)
ボクがララお姉ちゃんとなかよしなのがちょっとキライみたい……。
……。
ちょっとイジメちゃおうかな……。
「じゃ、リト! 今日はいっぱい遊ぼーねっ♪」
「ああ、ララ。今日は一日中愛し合おう……」
「リト♪ 大好きっ♪」
とうとうお姉ちゃんとふたりきりでデートできるんだ。
うれしいな……。
「じゃ、リト! 何して遊ぶ?」
「フッ……ララ、オレは君の好きな姿なら、何だってなれるんだぜ……」
「へー! じゃ、ちっちゃい頃の可愛いリトになれるかなぁ」
「お安い御用さ……」
さっきリトの心の中のことゼンブしらべたばっかりだから。
こんなカンジかな……。
「こ、これでどうかな、お姉ちゃん」
「リトっ!! かっわいいいいぃぃぃ!! きゃあああぁぁぁっ!!」
あっ……。
お姉ちゃん、ボクのことギュッとしてキューッとしてほっぺたスリスリしてきた……。
「お姉ちゃん……」
ボ、ボク、ちょっと恥ずかしいよ……。
お姉ちゃんボクといっしょに、お馬さんとかコーヒーカップとかカンランシャとかに乗って
いっぱい遊んでくれた。
「楽しかった? リト」
「うん! すっごく」
「うふっ。良かったね! じゃ、だっこしてあげるね」
お姉ちゃん、長いイスにすわってボクをだっこしてくれた。
「どう、リト? 気持ちいい?」
「うん。キモチいい……」
お姉ちゃんのムネ、とってもやわらかくってあったかくってキモチいい……。
目をつぶると、お姉ちゃんのムネがトクントクン言ってるのが聞こえてくる……。
ボク、とってもうれしくって、お姉ちゃんにありがとうを言いたくなった。
「お姉ちゃん、ありがとう」
「え?」
「あのとき、ボクのこと、たすけてくれて……」
「あ……」
お姉ちゃん、ボクのことやさしそうな目でじっと見てる……。
「ボク、ずっとさみしかったの。みんなボクのことつかまえて、
売ってお金にするんだって言ってイジメたり……ジッケン、ジッケンって言ってイジメたり……。
ボクにさわられたら心が分かっちゃうって言って誰もボクとお話してくれないし、
ボクはいつも他の人になってるから、ボクの言葉でお話したこともないし……」
「モシャクラゲ君……」
「ボクにやさしくしてくれたの、お姉ちゃんが生まれて初めてだったの。
ボク、すごくうれしかった……」
あっ……。
急にお姉ちゃん、うれしそうなカオしてボクのことムネにキューッとして、
あたまをいっぱいナデナデしてくれた……。
「大丈夫だよ、モシャクラゲ君。これからはずーっと一緒にいられるから!」
「えっ! 本当に!」
「うん! 私が頼んであげる!」
本当に? うれしいっ!
「やったー! ありがとう、お姉ちゃん!」
「だーいすきだよ! モシャクラゲ君!」
「ボクも! お姉ちゃんのこと、だいすき!」
お姉ちゃん、ちっちゃいリトになったボクを手で持ち上げて、いっぱいチューッ! てしてくれた。
これからも、ずっといっしょだね。お姉ちゃん!
(終)
おつかれ様でした
561 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/12(木) 20:25:45 ID:9/CAXKH2
遅れたが乙。
モシャクラゲかわいいのう
562 :
559:2009/11/13(金) 00:07:13 ID:eW6YWlEc
>>560-561 どもども
モシャクラゲってのは触っただけで相手の体の情報が全て分かる反則キャラなんで
やろうと思えばいくらでもエロく出来たんですが、
91話のララの笑顔があまりにも神々し過ぎて…ついこんな話にしちまいました
エロが薄くてすみません
猿山パートも最初は
>>554-556よりずっと長くてエロかったんです
こんな感じ
(ど、どうして……なんで、こんなに感じるんだ……)
猿山にじっと見つめられて意識がそこに集中し、さらに熱い息を吹きかけられて
感度を高められたリコのクリトリスは極度に敏感な状態になってしまっていた。
猿山に触られたクリトリスから、じんわりと暖かい感触がリコの体に広がって行く。
(あ……ああ……す、すごく感じてる……オレ……)
腰をブルブルと震わせてしまうリコ。
ですが、唯の話の後にこれはちょっと…と思ったんで没になりました
ていうか、そもそもガチの猿リコなんて需要あります?
じゃ、なんかずっとオレのターンになってるのでしばらく自重しますね
また忘れた頃に
563 :
名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 16:32:36 ID:E6Jr6/kT
ずっと貴方のターンです
以前、唯スレで逆リクしたSSです
エロはありません
では投下します
いつもは人が疎らな神社から、櫓や露天を組み立てる人達の威勢のいい声が聞こえてくる
神社に続く道――――陽炎が立ち上るアスファルトの上を、競い合うように自転車を漕い
でいる、夏休み真っ盛りの小学生たち
ミーン、ミン、ミン、と響くうるさいセミの鳴き声に混じって、カラン、コロン、と下駄が鳴る音
そう、今日は、年に一度の彩南町の夏の風物詩、盆踊りの日
お風呂の湯船にチャプン、と両手を浸けてお湯をすくい、そしてまた湯船の中へ
お昼過ぎからそんな事を繰り返していた唯は、「はぁ」と溜め息をついた
「結城くんと、夏祭り、か…」
正確には、リトといつものメンバーなのだが
あいにく今の唯の頭の中には、リトの顔しか浮かんでこない
「……そういえば…、去年も一緒だったのよね」
去年――――初めてリト(達)と廻った夏祭り
そして、初めてリトに出会った年
"いろいろ"と思い返している内、唯の顔が苦くなる
「きょ…去年は散々なお祭りだったわね…! 今年こそ―――…」
そう今年こそ―――
その先の言葉を頭の中で唱える前に、唯の顔が朱色に染まる
「って、また私ったらハレンチなコトをっ!?」
湯船の中で自分の頭をポカポカと叩く唯
お気に入りのネコの形をした石鹸の泡を、お風呂場いっぱいにしながら
唯の一人にぎやかなお風呂は、まだまだ続く
その頃、結城家では
「まうっ」
部屋のドアを開けたセリーヌの目に、ベッドの上で気持ちのよさそうな寝息を立てるリト
の姿が飛び込んでくる
セリーヌは、ぱぁっと顔を輝かせた
午後から突然、姿が見えなくなったリトを探して家中、大冒険
キッチンの棚の中も、お風呂場の浴槽の中も、あっちもこっちも探し回ったセリーヌ
一番遊んでほしい人をようやく見つけたセリーヌは、うれしそうにベッドに駆け寄った
「まうー」
小さな手足を一生懸命、使ってベッドによじ登る
何とかベッドの上に辿り着いたセリーヌ。熟睡中のリトは気づかない
セリーヌは、リトのTシャツをクイクイ、と引っぱってみる
「まう、まう」
「んーー…」
何度か引っぱっていると、寝苦しさを感じたリトがセリーヌの手を振り払うように
ゴロン、と寝返りを打った
「まうっ!?」
セリーヌは指を咥えながら、どうやって起こそうか考える
リトは夢を見ているのか。時折、顔をニヤけさせている
セリーヌは仰向けに寝ているリトのお腹の上にピョンっと飛び乗った
そして、お腹の上でぴょんぴょん、と飛び跳ねる
"起きて、起きて"と何度も、何度も
「まう、まうっ」
「ん…んっ」
さすがに苦しくなったのか、気持ちよさそうだったリトの顔が歪む
「まうー」
セリーヌはリトの顔を真上から覗きこむと、両手でリトの頬をムニっと挟んだ
「…っん…」
「まう? まう! まうー!」
顔を近づけて何度も呼びかけるセリーヌ
そんなセリーヌの一生懸命な気持ちとは裏腹に、リトは目を覚ますどころか、また夢の中
へと戻ってしまい、すーすー、と寝息を立て始めた
さすがにセリーヌの愛らしいほっぺが、ぷっくりと膨らむ
セリーヌはリトのほっぺをペチペチと叩き始めた
「まう、まう!」
「ん、んん…」
セリーヌの「起きるまう! あそんでほしいまうー!」という気持ちがやっと伝わったのか
夢の中から無理やり現実に呼び戻されたリトは、重たそうに瞼を持ち上げた
まだ半分以上眠っている、とろけきったリトの顔を、セリーヌのクリクリお目目が覗きこむ
「っん…セリー……ヌ? どした…?」
「まうー♪」
やっと声を聞けたセリーヌは、大喜び
大輪の花を咲かせると、また、ピョンピョンと飛び跳ねる
「お、おい!?」
「まう♪ まう♪」
ナナやモモから解放され、そして美柑の頼まれ事を済ませ、やっと久しぶりの昼寝がで
きたというのに、すぐに無理やり起こされる
せっかくの休みの日だというのに……
けれどもリトは、怒るどころかセリーヌの頭を"よしよし"と撫でた
ふぁ〜、っと大欠伸をするリトに、キャッキャと楽しそうに笑うセリーヌ
目に涙を浮かべながらリトもセリーヌにつられて笑顔になる
セリーヌのうれしそうな顔には、やっぱり敵わない
「よし…! じゃー起きるか」
「まうっ!」
枕元の時計を見ると、時刻は夕方の四時半を廻ったところ
「もうこんな時間か…。そろそろ祭にいく用意しなきゃな」
ようやくリトは、祭の仕度をするために重い体を起こした
そして、唯は――――
すでに日は、すっかりと傾き
真っ赤な日の光が差し込んでいる部屋の中
唯は、いつも以上に念入りに髪のお手入れに勤しんでいた
ミニテーブルの上には、買ったばかりのアウトバス用のトリートメント他
鏡を見つめる目は、どんな時よりも真剣、そして気合いが入っている
「って何をそんなに必死になってるのよ! お祭りにいくだけじゃない!」
と、鏡の中の自分に言い聞かせながら、唯はドライヤーのスイッチを入れた
ドライヤーを持つ手先、そして足先は、キレイに整えられた爪が輝いている
ドライヤーの風で舞う髪からは、お気に入りのシャンプーの香りがほのかに香っている
『古手川、今日はいつもよりもずっと! ずっとキレイだよ!』
「……ッ」
頭に浮かぶリトの笑顔にブラシを持つ手が止まる
ボっと火がついたように赤い顔をブンブンと振って雑念を追い払う
唯は、ベッドの上に仰向けに寝転がった
「もう! また私ったらあんなコト考えて…」
それでも、振り払った想いが後から後から溢れだしてくる
『古手川』
と、ニッコリほほ笑むリトの顔に顔が熱くなって仕方がない
「…うぅ…」
夕日色に染まる唯の顔
唯はそばにあった枕を抱きしめて、丸まった
「…なんでもぅ」
枕を抱っこして、左にゴロゴロ
「結城くんのことばっかり」
右にゴロゴロ
「しっかりしなさいよねっ」
どうにも調子が狂ってしかたがない唯は小さく溜め息をつく
そして、目の前にあるケータイを手に取ると、ポチポチと操作し始める
「……」
ケータイの画像フォルダの中のたくさんの猫達。その中の一枚、リトとセリーヌに目が留まる
ボタンを操作していた指が思わず止まった
それは数日前――――
散歩中のリトとセリーヌに偶然会った唯は、そのまま二人の散歩に付き合う事に
他愛無い会話をしながら立ち寄ったのは、とある公園
砂場で砂のお城を作るセリーヌと、それを手伝うリト
服や顔に砂を付けながら、それでも楽しそうに遊ぶ二人
その光景に唯は、カバンの中からゴソゴソとケータイを取りだした
「……その…ちょっと撮っていい?」
「写メ? 別にいいぜ」
「まうー!」
スコップを手に楽しそうなセリーヌと、頬に砂をつけたリトに、唯はケータイを向けた
夕日よりも赤くなった顔をしながら
そして、カシャ―――と、一枚
何度も待ち受けにしたいという衝動に駆られながらも、結局はできなかった、とっておきの一枚
「だって……だってそんな事…!?」
ケータイの中でニッと歯を浮かべて笑うリト
そして「まうー」と元気いっぱいの笑顔を見せるセリーヌ
「…………」
しばらく二人の顔を見ている内、あれほど固くなっていた表情がふっと緩む
「…お祭り、楽しみね」
そう呟きながら唯の指先が二人の顔に触れる
唯はセリーヌ宛てにメールを送ると、ケータイと一緒に目を閉じた
時間は少し戻り、結城家のリビング――――
「まうー」
「コラ、セリーヌ! ちゃんと着けないとダメだって!」
浴衣の帯を持った美柑からセリーヌは逃げていた
初めてする帯の締め付けが不快だったらしく
せっかく着けてもらった帯を自分で解いてしまったセリーヌは、それ以降、ずっとこの調子
「セリーヌ!!」
「まうっ!」
セリーヌはリトの後ろに隠れた
「リト、ちょっとセリーヌ捕まえて! これじゃ、いつまで経っても着替え終わらないよ」
腰に手を当てる美柑は、すでに浴衣姿
ちょっと大人っぽい紫の生地に夏の花が涼しげに咲いている、美柑のお気に入りの一枚
「セリーヌ! そんなんじゃ、いつまで経ってもお祭りいけないよ? いいのっ?!」
「まう…!」
リトのズボンの裾を握りながらセリーヌは、ブンブンと頭を振った
だけど、浴衣の帯だけは、どうしても着けたくない
「セリーヌっ!」
「まァ、ちょっと落ち着けよ、美柑」
「リト!?」
敵になってしまった兄に美柑は、驚きの表情を浮かべ
味方を得たセリーヌは、ぱっと顔を輝かせる
「まう、まう」
足にぎゅ〜っと抱きつくセリーヌをひょいっと抱き上げるとリトは、苦笑した
「だって、こんなイヤがってるのに、ムリやりしてどーすんだよ?」
「そんな事言って! それじゃ、セリーヌの浴衣どーするの? この日のためにわざわざ
買ったんだよ!」
「そりゃ、まあ…」
美柑の言っている事はもっともだが、すがる様な目で見つめてくるセリーヌを見ていると、
気持ちがどうしても引けてしまう
妹と娘、二人の眼差しがリトに集中する
眉間に皺を寄せて悩んでいると、渡りに舟と言った具合に、ポケットのケータイが音を立てた
「ん、メールか…?」
ポケットからケータイを取り出し、新着メールを開く
「…古手川からだ」
「まう?」
セリーヌもリトに習ってメールの中身を覗き見る
そこには、シンプルな文章でこう書かれていた
『こんにちは、結城くん。今日はお祭りね。
6時に神社の鳥居前に集合。ちゃんと覚えてる? 遅れない様にしなきゃダメだからね?
それと、今日はセリーヌちゃん、浴衣なのよね? 私も浴衣着ていくから、セリーヌち
ゃんの浴衣姿、今から楽しみだわ。 唯』
「だってさ」
リトはセリーヌに読み聞かせる様にメールを読み上げた
「どーする? 古手川は楽しみにしてるみたいだぜ? お前の浴衣姿」
「まう…」
セリーヌはもう一度メールを覗きこむと、リトの腕からぴょん、と飛び降りた
そして、美柑の前にやってくる
「まうっ!」
「やっとカンネンしたか…! いいコにしてね? セリーヌ。苦しくないように着けてあげるから」
セリーヌは両手をバンザイすると、素直に美柑に帯を着けてもらった
出来上がった帯の結び目や巻き心地に最初こそ戸惑っていたけれど、それも次第に忘れた
のか、今では初めて着る浴衣にはしゃいでいる
「…にしても古手川、助かったよ」
浴衣の裾を翻しながらリビングを走り回るセリーヌの姿に、リトはケータイの向こうの唯
の顔を思い浮かべながら"サンキュー"と言葉を送った
それから時間は立ち、約束の待ち合わせ時間から遅れること、十数分
祭の行われる神社へと続く道に、赤い鼻緒をした下駄の音が鳴る
「まったく私ったら、何考えてるのよ…! 遅刻じゃない!」
急ぐ足を止めないまま、唯は自分に向かって怒りをぶつけた
実はセリーヌにメールを送ったあと、唯は寝てしまったのだった
それはもう気持ちよさそうな寝息を立てて
とってもとっても、幸せな夢を見ながら
夢の内容は、自分とリトとセリーヌが家族になる話
純白のウエディングドレスに身を纏った自分が、教会でリトと式を上げるところから
仕事から帰ってきたリトに「おかえりなさい」を言い、三人で和やかな夕飯を食べるところまで
きっちり! ばっちり! 完璧に見てしまった
最近、特にリトの夢が多くなってきたとは言え
まさかそんな夢に現を抜かしていたなんて、唯にはまだ認めることができない
ケータイを取り出し、時刻を見ると、待ち合わせ時間からすでに十数分の遅刻
「ホントにバカなんだからっ!」
自分への怒りが収まらないまま、唯はケータイを開いた
そこには遅れる事を詫びたメールに対してのリトからのメールがあった
『わかった。もう人も多くなってきたし、暗くなってるから、気をつけてこいよ。 結城』
正直、遅れても自分の身を案じてくれるリトの優しさよりも、怒っていない様子に胸を
ホッと撫でおろしてしまう
「早く…早く行って、そして謝らないと!」
神社はもう目と鼻の先
そろそろ人通りも多くなり始めた頃。唯は一先ず、急いでいた足を緩めると息を整えた
いつリトに会ってもいいようにと、ミラーで簡単に髪と顔のチェック
「よし!」
自分が誰よりも恋する女の子の顔になっているだなんて、まったく気づいていない唯は、
逸る気持ちを抑えながら最初の鳥居をくぐった
「あれ? 唯!」
「え、お兄ちゃんっ!?」
祭の本会場がある神社の境内へ続く長い道の途中、突然、遊に呼び止められた唯は、立ち止った
「お前、何やってんだ? 昼ぐらいからフロ入ってたりしてたじゃねーか。とっくに祭始
まってるぞ?」
「う…うるさいわね」
まさか寝過ごしただなんて口が裂けても言えない唯は、バツが悪くなった顔を見られまい
と、胸の前で腕を組んで遊からぷいっと顔を逸らす
「わ、私のことよりも、お兄ちゃんこそ何してるのよ」
「あ、オレ? 女待ち」
唯の表情が露骨に歪む
「…言っとくけど、お祭りだからってハレンチなマネはやめてよ? みっともないんだからね!」
「はいはい、こんな時までうるせーこって!」
「お兄ちゃん! 私はね…」
「お前はどーなんだよ?」
「え…」
遊の意味深な眼差しにさっきまでの勢いを奪われてしまう唯
「な…何がよ」
「やっぱ"結城くん"か」
「うっ」
唯の顔が祭の提灯の様に赤く染まっていく
その様子に遊は笑みを深くした
「ったく、オレの事よく言えたもんだぜ」
「ち…違っ…! きょ、今日はそう言うのじゃなくて」
「今日"は"かよ」
「くぅ…」
リンゴ飴の様に唯の頬が真紅に染まる
そんな唯の様子にニヤニヤと遊び心満載の笑みを浮かべる遊だったが、内心は別の事を考えていた
(―――コイツが男、ね…)
『おにいちゃん、待ってー』
トコトコ、とどこまでも遊の後を付いてくる幼い唯
初めての浴衣と、いつまで経っても穿きなれない下駄
何度も転びそうになりながらも唯は、必死に遊の後を追いかける
『おにいちゃん、おにいちゃん』
『……』
小さい頃の遊は、ソレがひどく煩わしく思えたようで
イラつく気持ちを抑えながら、唯の声をどんどん背後に追いやってしまう
そして――――
『わーん! おにいちゃんどこー! どこいったのーっ!!』
祭会場の真ん中、唯は大声を上げて泣いた
どこを見渡しても"おにいちゃん"の姿はない
周りは知らない人に、知らない景色ばかり
不安と寂しさで、小さな胸が塗りつぶされる
『あーん! あーん! ひっぐ…うぅ…』
手に持った綿菓子が、ひどく重く感じる
袖で何度もゴシゴシと擦った目は、もう真っ赤に腫れていた
それでも涙は止まらない
あとからあとから溢れてくる寂しさが止められない
何度も目を擦っていると、ふいに唯の手が掴まれた
『へ…?』
『何やってんだよ』
と、ぶっきら棒に言ったのは遊だった
唯の大きな目に遊の顔がいっぱいに映る
そして、唯の目から遊の顔が映る大粒の涙がポロリとこぼれ落ちた
唯はまた泣き出してしまう
今度は、寂しいからじゃなくて、うれしさと安心感で
『おにい…ちゃん…うぅ…うう…』
『泣くなって! こんなトコで恥ずかしだろ…!』
『ひっ…ぅ』
ガンバって、ガンバって、嗚咽をこぼしながら涙を止める唯
真っ赤に腫れた目で遊の顔を見つめる
『おにぃ…ちゃん』
『何だよ』
唯の小さな手が遊の手を握りしめる
握りしめられた手から涙の感触が遊に伝わる
その手を遊は一瞬、躊躇い、握り返す
そして、恥ずかしそうにそっぽを向く
『…ほ、ほら、とっとと行くぞ? オレから離れるなよ』
『う…うん』
まだ慣れない下駄を鳴らし、唯は遊に引っ張られるように後を付いていった
(―――ま、コイツも変わったってことだよな…。アイツのおかげで)
ムスっとしたままの唯の隣にリトの顔を思い浮かべる遊
ポケットのケータイが鳴りだす
「お、やっと来たみたいだな」
「お兄ちゃん!」
「わかってるって! しつこいヤツ!」
「あのね…」
遊はメールの文章を追っていた目をふいに唯の方に向ける
「…唯、あのさ」
「何よ」
「手、ちゃんと握ってもらえよ? リトのヤツに」
「なっ…何言って…!?」
「迷子にならないようにな」
「なるわけないでしょ! バカっ!」
ツンと明後日の方向に顔を背ける唯
そんな唯に遊は、久しぶりに兄らしい顔をして、そして、苦笑した
「古手川、遅いな」
「まう…」
"遅れます。ゴメンなさい"のメールを受け取って、すでに二十数分
そろそろ到着してもいい頃合いなのに、境内に通じる参道のどこにも唯の姿は見当たらない
「何やってんだ…」
鳥居にもたれながらリトは溜め息をつく
祭会場は、神社の本殿に奉納する神輿が近付いていることもあり、ますます人が増えている
「何かあったのかな?」
「まう…っ!?」
何気なく言った一言
はぐれない様に繋いでいたセリーヌの手が、わずかに震えたことにリトは気づかなかった
鳥居の向こう――――灯りのついた提灯に照らされる参道に向けられるセリーヌの視線にも
(どこにもいないまう…)
(セリーヌに会いたいっていってたまう)
(セリーヌの浴衣、みたいっていってたまう…)
セリーヌは大きな目を忙しなく動かした
あっちにキョロキョロ、むこうにキョロキョロ
(どこまう? どこにいるまう? セリーヌはココにいるまう)
やがてセリーヌの目がお目当ての人を見つけ出す
「まうっ!?」
「ん? どした? セリーヌ」
「まう、まう!」
セリーヌは指差しながら自分が見つけた"人"の所へ、リトを引っぱっていこうとする
「お、おい、セリーヌ? ダメだってココにいないと!」
「まうー!」
まるで言う事を聞く様子がないセリーヌ
ついにはリトの手を振りほどき一人で走り出してしまった
「セリーヌ!!」
セリーヌの背中が見えなくなる前にリトも走り出す
が、ちょうど境内に入ってきた神輿の喧騒に運悪く巻き込まれてしまう
「うわっ!? ちょ…セリーヌ! 待てって! セリーヌ!!」
後ろから聞こえてくるリトの声
セリーヌは走るのをやめない
危ない足取りで階段を降りながら、向かう先は、さっき見つけた"人"のところ――――
「まったく! いつまで私を子供扱いすれば気がすむのよ!」
さっきのやり取りにまだプンプンと頬を膨らませながら唯は、露天の数が増えてきた参道
を歩いていた
すっかり人の波に呑まれてしまったこの場所からは、待ち合わせ場所の鳥居は見えない
その長い長い道のりに溜め息をつきつつ、唯は、まだ姿が見えない二人に想いを馳せた
(結城くん、セリーヌちゃん。待っててね!)
「まう…」
境内から少し歩いたところ、小さな広場になっている場所でセリーヌは、立ち止った
キョロキョロと首を動かして、さっき見つけた"人"を探す
(ココでまちがいないはずまう! セリーヌは見たまう!)
いつもリトの隣にいて、怒っていることが多いけれど、ホントは、とっても優しくて
抱っこされた時の優しい匂いがとっても! とってもとっても大好きで! あったかくて!
(……いないまう…。どこにいったまう?)
セリーヌは再び唯を探し始める
浴衣の裾を踏んでしまい、転びそうになりながら
知らない人とぶつかりそうになりながら
自分よりずっと大きな大人たちを見上げながら
トコトコ、トコトコ、大勢の人の中、唯を探す
(どこまう? どこにいるまう?)
ずっと上ばかり見ていたセリーヌ
前方の注意がつい疎かになってしまい――――
ドンっ!!
「まうっ!?」
知らない人にぶつかったセリーヌは、冷たい石畳の上に尻モチをついた
「…ってぇ、なんだこのガキ?」
「ま…まう」
「やめとけって! 怖がってるじゃん」
目尻に涙を浮かべるセリーヌに悪態をつきながら中学生ぐらいのグループが横を通り過ぎていく
セリーヌは立ちあがった
いつもならこんな時は、リトや美柑が助けてくれるのに、今は、たった一人
その事が今になって、セリーヌの小さな胸を締め付ける
「まう…」
右を見ても左を見ても知らない人ばかり
たくさんの人の中でセリーヌは、一人ぼっち
「ま…ぅぅ」
目にいっぱいの涙が込み上げてくる
大粒の涙が目からこぼれ落ちそうになる瞬間、セリーヌの耳に聞き慣れた、一番聞きたかった声が届く
「セリーヌちゃん」
「まう!?」
セリーヌは後ろを振り返った
手に巾着を持った唯が、目を大きくさせてそこにいた
その姿を見るや否や、セリーヌは唯に駆け寄ってその胸の中に飛びつく
「まうー!」
「セリーヌちゃん…!?」
小さな衝撃が胸に伝わってくる
セリーヌは唯の胸に顔をうずめたまま、しばらく顔を上げなかった
「セリーヌちゃん、こんなところに一人でどうしたの? 結城くんにみんなは?」
周りを見渡してもリトはおろか、美柑やナナ達の姿がいない事に唯は、怪訝な顔を浮かべる
セリーヌは何も応えない
応えない代わりに、胸から顔を上げると満面の笑顔を唯に向けた
「まうー♪」
「……っ」
セリーヌの顔は、本当にうれしそうで。溢れだす気持ちを顔と、声と、唯から決して離そ
うとはしない小さな手に込めて唯に伝える
そんなセリーヌの無垢で純粋な姿に唯は、思わず小さな笑みをこぼす
「セリーヌちゃん」
「まう、まう」
ぷにぷにの柔らかいほっぺを唯の白い頬に当て、何度もすりすりさせるセリーヌ
セリーヌなりの最高級の出迎えに、唯はくすぐったそうに笑みを浮かべると、セリーヌを
抱っこして立ち上がった
「まったく、セリーヌちゃんを一人にして! あなたのパパは何をしているのかしら?」
「まうー」
にぱぁっと笑うセリーヌは、すっかりご機嫌そのもの
さっきまでの寂しさいっぱいのキモチも、キレイに吹き飛んでしまっている
「とりあえず、行きましょっか?」
「まう!」
セリーヌを抱き直し、境内に向かおうとした時、前の方から唯を呼ぶ声
「おーい、古手川ー!」
「え?」
人の波の中に目を凝らすと、リトが大きく手を振りながら、こちらへと駆け寄ってきていた
「結城くん」
唯とセリーヌの前で停止。そして、息を切らせながら額の汗を拭う
「よかった! セリーヌを見つけてくれたんだな。ホント、助かったぜ! 急に走ってい
なくなったからどーしよーかと思…」
「ジーーー」
「え…」
凍える様な唯の視線
リトは反射的に後ずさりしてしまう
「な…何んですか?」
思わず敬語を使ってしまうリトにさらにジト目を深くさせ
唯はセリーヌを抱き抱えたまま、リトにジリっと詰め寄った