1 :
名無しさん@ピンキー:
2 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 01:21:01 ID:Hs57YNM7
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」
Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」
Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」
Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」
Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」
QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」
Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
3 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 01:28:50 ID:89x7rG3e
竹宮ぬるぽ
<(^o^)>
( ) 竜児とみのりんの仲を取り持つわ
//
<(^o^)> 北村君好き好きー
( )
\\
..三 <(^o^)> みのりんは大切な親友!
三 ( )
三 //
.
ヘ(^o^)ヘ ねえパパ、もっとお金
|∧
/ /
(^o^)/ 北村くん?年上好きらしいし、もうどうでもいい
/( )
(^o^) 三 / / >
\ (\\ 三
(/o^) < \ 三 りゅーじぃ好き好きー
( /
/ く みのりん、竜児のことは諦めて。貯金は貰う
813 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2009/01/14(水) 20:10:38 ID:CvZf8rTv
荒れないためにその1
本当はもっと書きたいんだがとりあえず基本だけ箇条書きにしてみた
※以下はそうするのが好ましいというだけで、決して強制するものではありません
・読む人
書き込む前にリロード
過剰な催促はしない
好みに合わない場合は叩く前にスルー
変なのは相手しないでスルー マジレスカッコワルイ
噛み付く前にあぼーん
特定の作品(作者)をマンセーしない
特に理由がなければsageる
・書く人
書きながら投下しない (一度メモ帳などに書いてからコピペするとよい)
連載形式の場合は一区切り分まとめて投下する
投下前に投下宣言、投下後に終了宣言
誘い受けしない (○○って需要ある?的なレスは避ける)
初心者を言い訳にしない
内容が一般的ではないと思われる場合には注意書きを付ける (NGワードを指定して名前欄やメ欄入れておくのもあり)
感想に対してレスを返さない
投下時以外はコテを外す
あまり自分語りしない
特に理由がなければsageる
スレ立てお疲れ様です。
前スレ
>>471-475の作者です。
最後まで書ききった後、導入部分が納得いかなかったのでけっこう書き直しました。
改めて最初から投下したいと思いますので、15レスほどお借りします。
みのドラ!もので、エロ描写ありです。
冷たい――
シャワールームの床にぺたん、とお尻をついて、降り注ぐシャワーを浴びていた。
こんなに頭に水を打ちつけられいるのに、一歩も動くことすらできずに。
今の私は泣いているのかもしれない。
でも、顔を流れる水がシャワーの水なのか涙なのか、それすらもわからなかった。
ただひとつわかることは、今の自分がとても無力であることだ。
* * *
「櫛枝、ちょっと調子悪いのか?」
私の向かいに座った高須くんが、三白眼をぎらり、と睨み聞かせて尋ねてくる。
普段はカウンター席で肩を並べて座ることが多いのだけれど、さすがに休日の午後で混んでいる。
いつもは横からの視線が、今日は前から降り注ぐのがすこし気恥ずかしい。
周りの人たちは「ヤクザだ!」とか言うけれど、慣れてしまえば可愛いものだ。
一見危ない視線の奥に隠された、優しくて、繊細な、そしてちょっと鈍感な中身。
そのアンバランスさを思うと、少し顔がニヤけてしまったかもしれない。
「おう、どうした? 今度はニヤけて」
前言撤回。その変なところの観察力だけは、鋭い視線に似合っているよ。
そう考えると、ますます笑いをこらえきれなくなる。
くくくく、と声にならない声を上げて、テーブルに突っ伏してしまう。
「く、櫛枝が壊れた……!?」
私が壊れているのはいつものことだろうに。
そして、今から壊れているとしか思えないお願いをしようと思っているところなのだ。
「ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど……」
「お、おう」
テーブルに突っ伏したまま、次の言葉を呟く。
あくまで、聞こえないように。
「――――――」
「え、何だって?」
心配そうに高須くんが私の顔を覗き込もうとする。
確かめられてよかった、高須くんはこういう人だ。
ちゃんと私の話を聞いてくれる。
きっと私のことを捕まえていてくれる。
それと同時に、彼のことを試してしまったという後ろめたさも少しはある。
心地よい安心感と、ほんの少しの罪悪感に包まれて、私は彼の耳元で囁く。
「私が女であるうちに、高須くんに、わ、私の体を知ってほしいんだ」
「それってどういう――」
高須くんは思わず声を上げ、それが周囲の客の視線を集めていることに気づくと、ばつが悪そうに前髪を引っ張った。
「こ、ここはちょっと人が多いからさ。
ちょっと外に出ようよ」
* * *
夕日に染まる河川敷は私の大好きな光景のひとつだ。
ここに来るといろいろなことが見える、ということを教えてくれたのは高須くん。
それ以来、ことあるごとにここを訪れ、夕日を眺めては色々と考えてきた。
いつもは一人だったから、高須くんと二人でここに来るのはあの時以来だと思う。
「まぁ、色々と考えたことがあってね……」
高須くんと並んでベンチに腰かけ、話を切り出す。
「おう……今日はお前、何となく元気なかったから心配でな。
そこにあの発言なもんだから、混乱しちまった。悪い」
「まぁ普通は、混乱するよね。
こちらこそ、いきなり変なこと言ってごめんね」
大きく体を反らし、ベンチの背もたれに背中を預けながら空を見上げる。
「それで、さっきも聞いたけど……あれってどういう……」
「そう考えるようになったきっかけは色々あるのだけど」
今度は反対に思いっきり背中を丸め、ベンチから少し身を乗り出して、
「簡単に言うと、それは夢を追いかけるためには必要なことなんだ。
避けて通れないことなんだ。
今の私じゃ何よりも、パワーが足りないの。
それを補うために、もっと頑張ってトレーニングをしなきゃいけないんだって。」
ふうー、と大きく、ゆっくりと、肺にたまった空気を吐き出すと次の言葉をつなぐ。
「言われちゃった。
トレーニングすると、女の子の体じゃなくなっちゃうよ、って。
筋肉がついて、肩幅も広くなって、女の子らしい服も似合わなくなるかもしれない。
元に戻れなくなるかもしれないけど、それでいい? って」
高須くんは少しの間考えこんで、
「とりあえず、謎は解けた気が、する。
櫛枝がこういうこと話してくれたのも、素直に嬉しいと思う。
でも、俺が聞きたかった意味はそういうことじゃなくて、だな」
「言葉通り、の意味だよ。
たぶん、高須くんが想像したことであってる」
「いや……」
「女の子に、これ以上言わせる気?」
こういう時ばっかり女の子ぶったりして、自分はずるい人間だなぁと思う。
「それでね、来週の週末なんだけど……
土曜日は部活が午前中で終わるんだ。
だから、土曜日のお昼過ぎから私の家に来て欲しいな。
両親は、弟の関東大会の応援に出かけてていない、からさ。」
言い切った。
それと同時に、高須くんの返事を聞くのがなんとなく怖くなる。
「それじゃあ、来週、待ってます!
ではでは!」
そう言うと、手をぴょこんと小さく上げ、高須くんを置き去りにしてベンチから走り去っていた。
* * *
「いらっしゃい、高須くん。
ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」
思いっきり外した。うわー、引いてる引いてる。
顔をひきつらせながら高須くんは、
「め、飯は済んでる。お前もそうだろ?
シャワーは……家を出る前に浴びてきた。
だからな、その……櫛枝でよろしく頼む」
「いや、ちょっと古典的なのをやってみたかっただけだからそんなに律儀に答えなくていいんだぜ?」
「おう、すまねぇ」
「いいよ、気にしてないから。
それよりも、ご注文は私めでよろしいのですな?
それではご案内してしんぜよう」
そう言って、私は自分の部屋へと高須くんを導こうとする。
ふと振り返ると、高須くんはきっちりと扉へ向き、靴を揃えている。
少し高須くんとの間に距離ができてしまったのが寂しくて待っていると、高須くんはこちらを向いて立ち上がり、
「櫛枝、今日はスカートなんだな。
なんだ、その……なかなか新鮮で、いいな」
「似合ってる?」
「ああ」
「よかった、喜んでくれるなら買った甲斐があったぜ」
無地でシンプルなデニムのスカート。
ひらひらとした女の子らしいスカートも近くに売ってたのだけれど、そこまでは恥ずかしくて手が出せなかったのだ。
そもそも、スカートを履くのなんて、
「履くの高校のとき以来だから忘れてたんだけど、これ結構スースーするもんだぜ」
「そういうもんなのか?」
「高須くんもこんど、履いてみるかね?」
「お……いや、遠慮しとく」
「ですよねー」
そんな他愛のないやりとりを続けているけれど、心臓はバクバクと鼓動を高め続けている。
もちろん、この後に起こることをいろいろと考えると、だけど。
私の部屋のドアノブに手をかけると、ドアノブがカタカタと揺れる。
心霊現象か?ポルターガイストか?と思ったけれど、理由は単純だった。
私の腕が震えてるだけか。
* * *
「いらっしゃい、高須くん。
ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」
思いっきり外した。うわー、引いてる引いてる。
顔をひきつらせながら高須くんは、
「め、飯は済んでる。お前もそうだろ?
シャワーは……家を出る前に浴びてきた。
だからな、その……櫛枝でよろしく頼む」
「いや、ちょっと古典的なのをやってみたかっただけだからそんなに律儀に答えなくていいんだぜ?」
「おう、すまねぇ」
「いいよ、気にしてないから。
それよりも、ご注文は私めでよろしいのですな?
それではご案内してしんぜよう」
そう言って、私は自分の部屋へと高須くんを導こうとする。
ふと振り返ると、高須くんはきっちりと扉へ向き、靴を揃えている。
少し高須くんとの間に距離ができてしまったのが寂しくて待っていると、高須くんはこちらを向いて立ち上がり、
「櫛枝、今日はスカートなんだな。
なんだ、その……なかなか新鮮で、いいな」
「似合ってる?」
「ああ」
「よかった、喜んでくれるなら買った甲斐があったぜ」
無地でシンプルなデニムのスカート。
ひらひらとした女の子らしいスカートも近くに売ってたのだけれど、そこまでは恥ずかしくて手が出せなかったのだ。
そもそも、スカートを履くのなんて、
「履くの高校のとき以来だから忘れてたんだけど、これ結構スースーするもんだぜ」
「そういうもんなのか?」
「高須くんもこんど、履いてみるかね?」
「お……いや、遠慮しとく」
「ですよねー」
そんな他愛のないやりとりを続けているけれど、心臓はバクバクと鼓動を高め続けている。
もちろん、この後に起こることをいろいろと考えると、だけど。
私の部屋のドアノブに手をかけると、ドアノブがカタカタと揺れる。
心霊現象か?ポルターガイストか?と思ったけれど、理由は単純だった。。
私の腕が震えてるだけか。
ついばむような軽いキスを数回、ここまではいつも通り。
高須くんの唇に力がこもり、意を決したように舌が私の唇を割って侵入してくる。
「……んむっ……!」
一瞬、戸惑うけれど、私自身の舌でそれに応える。
いつもと違う、という非日常感に、頭がのぼせて蕩けていってしまう。
力が抜けるたのは一瞬だった。
それでも、その一瞬は私をベッドに押し倒すのには十分だった。
「おうっ!?」
高須くんが驚いた声を上げる。
倒れたときにちょうどそういう形になってしまったのだろう。
高須くんの頭が、私の左胸に当たる形になる。
「わ、私の心臓、ドキドキしてるのわかる……?」
高須くんの唇から解き放たれて、名残惜しそうな口から声を絞り出す。
高須くんは胸から顔を上げ、おう、と一言。
もっと私を感じてほしくて、私は両手で高須くんの右手をとり、心臓の鼓動を一番大きく感じる場所に当てる。
私の左の胸をちょうどすっぽりと覆う高須くんの右手も、小刻みに震えていた。
「なんだ……高須くんも緊張してるんじゃん」
少しだけ笑みをこぼし、私は素直な感情を告げる。
「そりゃあ、櫛枝とこんなことしてるなんて夢みたいでさ……」
「こういうこと? これで、満足してもらっちゃあ私が困るぜ……」
なんてことを言ってしまったのだろう、と、言い終わってから恥ずかしくなる。
私、エロすぎだろう。
「あ、あのさ……」
もう、戻れないのだ。進んでもらうしかないのだ。
「服を……脱がせてくれないかね?」
「お、おう……」
私は体を起こし、背中を高須くんの胸に預ける。
ちょっと背中に汗をかいてしまったのだろう、Tシャツがペタリ、と貼りつくのを感じた。
所用につき、ほんの少しだけ退席します。
30分後くらいには投稿を再開したいと考えています。
支援!
戻りました、投下を再開します。
>>16 支援どうもありがとうございます
背後から高須くんの腕が回り込み、緑色のTシャツの裾に手をかける。
Tシャツの裾がするする、と上に捲り上げられ、お臍が、お腹が露わになっていく。
次はオレンジ色のブラジャーが……と思った、その時、
「櫛枝、その……腕を上げてくれないか?」
一瞬躊躇うけれど、無言で高須くんに従う。
Tシャツが私の頭の部分に引っかかり、それと同時にTシャツで視線が遮られる。
ついに、Tシャツはすっぽりと私の頭から引き抜かれる。
それと同時に私の目に飛び込んできたのは、私が男の子の目の前で下着姿を晒しているという現実と――
律儀にTシャツをたたむ高須くんの姿だった。
「こんな時に、そんなことするかね!?」
思わず下着姿なのも忘れて、高須くんに抗議していた。
まあこの人は、こういう人なのだけれど。
「いや、なんだ、その……そういうものなのか?
そうだとしても、俺は許せなくてな……」
ぷぷっ、と噴き出し、
「高須くーん、せっかく今までいいムードで来たのにさ。
ムード台無しだぜー?」
ムード台無しなのだけれど、いい感じに緊張がほぐれたのも確かだった。
気がつけば、心臓の鼓動もいくぶんゆっくりになった気がする。
「高須くんの服も脱がさせろ、おりゃーっ!」
「おうっ!?」
そう言うと私は高須くんに襲い掛かり、素晴らしい手際で、あっという間に高須くんのTシャツを剥ぎとった。
「……っ!?」
不意打ちだった。
決して見た目はいいわけではない体格、見た目に似合わず優しい性格など。
心のどこかで、私はあまり高須くんを男だと思っていなかったのかもしれない。
しかし、今むき出しになった高須くんの上半身は、まさに男、だった。
それを意識すると、再び鼓動が速くなる。
その緊張をかき消すかのように、叫んだ。
「つ、次は高須くんの番だ!
スカートでもブラジャーでもパンツでも何でも好きなものを脱がしたまえ!」
そう言ってベッドの上に仰向けになり、両腕も投げ出して服従のポーズ。
それを見た高須くんはゴクリ、と唾を飲み、私のスカートに手をかける。
スカートのホックが外され、ファスナーが下ろされ、オレンジ色のショーツが少しずつ露になる。
スカートを下ろされているうちに少し恥ずかしくなり、思わず胸の前で手を組んで隠してしまう。
右手にはまだ高須くんのTシャツが握られたままで、ちょうどTシャツが私のブラジャーを隠す形になるのだ。
「櫛枝、俺のTシャツも貸してくれよ」
「えぇ……また畳むの?」
だぁーっ、と高須くんは髪をかき上げ、
「く、櫛枝の体を見たいんだよ。
やっと念願かなってこうなっているんだ。
だからな、そう、その……もっとよく見せてくれ」
そう、それならいいよ、と呟いて、私は胸の前で組んだ腕を解き、Tシャツを高須くんに渡す。
高須くんは少し躊躇って、Tシャツを私の椅子の背もたれに無造作に掛けた。
彼にとっては衣類を脱ぎ散らかすなど到底許せない行為かもしれない。
でも、今は私だけを見てほしいのだ。
「高須くん、下を脱がせてくれるかな……?
上は自分で取るから。」
私がブラジャーに手をかけると同時に、高須くんはショーツに手をかる。
高須くんは少しだけ息をのむと、一気に私のショーツを取り去った。
私の火照った女の子の部分が外気に触れて、すこしひんやりとする。
高須くんの視線が、私をまじまじと見つめてくる。
思わず内腿をきつくすり合わせながら、私はベッドに横たわったまま高須くんに向かって腕を伸ばす。
高須くんはそれに応え、顔を私の唇に近づける。
私たちは、今日2回目のキスをした。
「……うくっ……!」
高須くんは全体重で私にのしかかってきた。
高須くんの背中に腕を回すと、おっぱいが高須くんの胸板に潰されて歪む。
なぜかこの状況を俯瞰している自分がいて、エロいよ! エロいよ! と赤面しながら見ているような気がする。
高須くんは私をキスから解放すると、舌を耳元、首筋、そして私のおっぱいへと這わせる。
目指すのは右の乳房の中心の小さなポイント――
「ひゃんっ……!?」
まさに、電流が走った、とはこのことだ。
自分で弄ったときとは違う、ぬるぬるとした高須くんの口内の感触。
何よりも、大好きな男の子に自分の乳首を吸われているという感覚が私を蕩けさせる。
気づくと高須くんの指先がもう一方の乳首を器用にこね回している。
もともと器用な人なのだろうか、とのぼせ上がったような、冷静なような、よくわからない頭で考えていた。
壊れ物を扱うような優しい手つき。でも、私は丈夫にできているのだ。
高須くんの手つきが少し物足りなく感じ、懇願する。
「も、もう少し強くしてくれても大丈夫だから……」
高須くんの掌に、少し力が篭るのを感じる。
私の柔らかなおっぱいが、高須くんの手によってその部分だけ別の生き物のように変形する。
高須くんの愛撫は続き、私の脳みそは考えることをやめてしまいそうになる。
私の息が少し荒くなり、反応がよくなったことに気をよくしたのかもしれない。
高須くんは乳首への刺激を指に切り替えながら、顔を私の下半身へ近づける。
無意識に、私は蕩けている女の子の部分を手のひらで隠そうとした。
「そ、そこは……恥ずかしいよぅ……」
「イヤか?」
「い、イヤ……じゃない、けど、待って……心の準備が……」
「よし、じゃあいいな」
高須くんは私の手を押しのけ、敏感になった芯の部分に唇を近づける。
今までは私がリードしていた、つもり、だった。
急に主導権を奪われたことに驚く間もなく、
「やめて、恥ずかしい……!」
高須くんはやすやすと私の両脚を開き、間に顔を割り込ませる。
普段ならば、悪いけれど高須くんくらいの力なら抵抗できるのだろう。
しかし、上半身への執拗な愛撫で力が入らなくなった私には、抗うすべもなかった。
「んっ……! あぁんっ……!」
私の口から悩ましい声が漏れるのと、高須くんの舌が蕩けた部分に触れるのは同時だった。
指での感触はある程度は経験もあるし、想像がつく。
でも、私の一番敏感な部分に、舌という経験したことのない柔らかさが触れている。
当然、その感覚は私が体験したことがあろうはずもなく、少し怖くなる。
「た、高須くん……手ぇ、握って、ぇっ……!」
右手を差し出すや否や、高須くんはそれを握りかえしてくれる。
私の指の間に高須くんの指が差し込まれると、思わず強く握り締めていた。
私のほうが握力が強いのだろうけれど、当然今はそんなことを気にしている余裕はない。
「ごめ、んっ……!
ち、から……加減、で、きな、いっ……!」
右手では高須くんの左手を、左手ではシーツを握り締める。
下半身の奥に、今まで感じたことのない熱いうねりが生じる。
それが突然爆発し、頭から指先、足の先まで体の隅々まで広がっていくのを感じ、
「あぁぁぁぁぁっ……!」
全身を小刻みに震わせ、私は絶頂を迎えた。
* * *
ぼやけていた視界が、だんだんとクリアになる。
高須くんが少し心配そうに、私の顔を覗き込んでいる。
「ん……少し、飛んじゃってたみたい……」
「だ、大丈夫か……?」
「だ、大丈夫……。
すっ、ごい、気持ち……よかった……」
こんなに感じたのは目の前にいる人が、大好きな人だから、きっと。
「きっと、高須くんがしてくれたから……
こんなに気持ちよくなれたんだよ」
体の奥に灯った火種はもう、自力では消せそうにない。
「高須くん、いいよ。
き、来て、くれるかな……?」
この人なら、何を? とか野暮なことを聞き返してくるかも、と少し思ってしまった。
けれどさすがの高須くんもわかってくれたようで、
「ちょっと待ってくれよな」
というと、ジーンズのポケットからピンク色の包み紙を取り出すと、
「脱ぐから少し待ってくれ」
ベルトに手をかける。
ジーンズを脱ぎ去ると、トランクスの上から高須くんのモノがその存在を主張しているのがわかる。
それを見ると、私はなぜか力がわいてきて、
「ちょっと観察させろーっ!」
そう言って、高須くんのトランクスに手をかける。
さっきまで力も入らなかったはずなのに、こういう変なところでは動ける人なのだ、私は。
高須くんはおわっ、っと驚いた声を上げるけれど、それもお構いなし。
私はゴクリ、と唾を飲み込んだかもしれない。
高須くんのトランクスをずり下ろすと、
「うわぉ……」
こんにちは、高須ジュニア。
その禍々しくも、なぜか愛おしく感じられるモノから、目が離せなくなる。
「あ、あんまり見るな……!」
「ほーう、私の一番恥ずかしい部分を長いこと見るどころか、色々しちゃってくれたのはどこの誰だったかね?」
「うっ……」
「でも、これが……私の中に入るんだよね……」
比較対象を知らないから、これが大きいかどうかはわからないけれど。
少なくとも私にとっては未知の大きさなのだ。
高須くんはそんな私の少しの不安を察知したのか、
「こ、ここまで来てやめるとか言わせねーぞ?」
「む、無論! 当然!」
私とて、ここまで来て止めたら女がすたる。
すこし高須くんを睨み返すような形になり、高須くんの手にあるピンク色の包み紙を奪う。
ベッドを降りて床に膝立ちになると、ちょうど高須くんの股間を覗き込むような体勢になる。
「私、今すごいポジションにいる、よね……」
「いきなりなんだよ!?」
「こ、これは私につけさせてもらおう!」
「お前、何でそんなにノリノリなんだよ?」
「ふははははは!」
そう言って高須くんのモノに左手を添えるのだけれど、思わず率直な感想が口から漏れてしまう。
「硬い……」
「……好きな女とこういうことして、こうならねぇ男はいねぇよ」
好き、という言葉に思わず赤面する。
それ以上に恥ずかしいことをしているはずなのに。
高須くんのモノにゴムを装着し終えると、私はベッドの上に戻り仰向けになる。
腿に引っかかっていたトランクスを完全に脱いで、高須くんは一糸纏わぬ姿になる。
私の脚を開いて陣取り、高須くんがこちらに向くと、思わず緊張で体が強張ってしまう。
そしてついに、高須くんの切っ先が私の入り口にあてがわれる。
その感覚がむず痒くて、高須くんの腰が押し込まれるのを察知すると思わず腰が引けてしまう。
ずるずる、ずるずると少しずつ下がっていって、ついには頭がベッドの端にコツンとぶつかってしまった。
私の頭がベッドのポールにぶつかって、カタカタと音を立てている。
「こ、怖いか……?」
やめるか? って訊かないところを見ると、やめる気はさらさらないらしい。
少しだけ高須くんに甘えたくなって、
「ねぇ、少しギュッってしてくれるかな……?
そうすれば、震えも、と、止まると思うんだ。」
その言葉を聞くと高須くんはおう、と返事を返し、私に体を近づけ――
その時だった。
高須くんの先端が私をしっかりと捉えていたもんだったから。
高須くんが私に近づくということは、自然と高須くんの侵入を許してしまうということだ。
「あぐっ……!」
痛い。
痛いなんてもんじゃない。
一番敏感な部分を、あんな硬いもので突き刺そうとしているのだ。
それが初めてなら、なおさら、だ。
あとあと考えてみると、勢いで挿入されてしまってよかったのかもしれない、と思う。
でも、その時はそんなことを考える余裕もなくて、ただ感じたことのない痛みに耐えるのが精一杯だった。
「櫛枝、わ、悪い……」
「い、痛いよう、高須くん……」
目には少し涙が浮かんでいたのかもしれない。
「や、やめるか……?」
その言葉を聞くと、半ば反射的に両足で彼の腰をがっちりと掴んでいた。
「せ……せっかく、の初めて、なんだっ……!
だから、さ、最後までちゃんと、し、て欲しい、ん……だ」
そう言って、無理に笑顔を作る。
心配そうな顔を向ける高須くんに向かって、心の中で、大丈夫だよ、大丈夫だよ、と呟きながら。
高須くんは少し遠慮がちにゆっくりと、私の中に侵入してくる。
そしてとうとう、奥まで侵入すると、私に覆いかぶさってきて、痛いくらい私を抱きしめて、
「悪いな、その、いきなりで……」
「いいんだよ、そんなの……
やっとひとつになれたんだから……」
私もそれに応え、ギュッっと抱き返すのだ。
「悪い、櫛枝。もう我慢できそうにねぇ……」
そう言うと高須くんは上半身を起こし、私の頭の脇に手を突いて自分の体重を支える。
肌が離れたことに寂しさを感じる間もなく、
「うあんっ……!」
ゆっくりと抜き差しを開始する。
当然快感などあろうはずがなく、痛いだけ。
柔らかでデリケートな部分を擦られつづけているのだ。
相手が高須くんでなければ、とうてい我慢はできなかっただろう。
思わず高須くんの肩を手で掴み、爪が立っているのもお構いなしに力いっぱい握り締める。
「……ひぐっ……ひぐっ……」
私の口から、嗚咽ともとれる声が漏れる。
高須くんの額に、髪の先に、大粒の汗が滴っているなぁ、そりゃそうだ、こんな激しい運動をしているのだから。
そんなことを考えていると、高須くんは次第に動きを速め、私の奥でぴたり、と突然動きを止める。
じんじんとひりつく下半身越しに、高須くんのモノが脈打っているのを感じる。
ふぅ、と大きく息を吐き出し、高須くんは私の中で果てた。
* * *
高須くんは心配そうに、脱力してベッドに横たわる私の顔を覗き込んでくる。
「その、悪かったな……優しくしてやれなくて……
俺一人、気持ちよくなっちまったみたいで」
汗に塗れた前髪を引っ張り、申し訳なさそうに目をすぼめながら。
「いいんだよ、初めてはそんなもんだろうし。
高須くんが私の体で感じてくれたなら、ひとまずはそれだけで十分なんだぜ」
痛さの点で言えばとんでもない体験だったのだろうけれど、きっとこれは私の偽らざる本心。
「お、女の私は十分堪能していただけましたかね?」
「お、おう……すげぇ柔らかくて、壊れそうで怖かったけど」
「でも、意外と丈夫だったでしょ?」
「そうだと、いいんだが……」
大丈夫だよ、と返すと、少しの沈黙が流れる。
「お前は、ああ言ったけど」
そう言うと高須くんは一呼吸置いて、
「俺は女だからお前を抱いたんじゃない。
お前が櫛枝実乃梨だから、その、抱いた……んだ。
たとえお前がこれからどれだけ強い体になったとしても、その気持ちは変わらねぇ。
俺が好きになったのは夢に向かって真っ直ぐな櫛枝実乃梨、だからな」
どうしてこの人はこういう小っ恥ずかしいことを真っ直ぐに言えるのだろう。
そう、これが高須くん。
そして、私の大好きな人。
胸の奥に熱い感情が広がり、気づくと私の目から涙が溢れていた。
「おうっ! まだ痛いのか?」
小さく左右に首を振り、私は答える。
「ううん、安心したの。
高須くんが私の思ったとおりの人で。
今回のこと、実を言うと少し怖かったんだ。
もしかしたら、高須くんが離れていってしまうんじゃないかって。
女の私を知ってしまったら、その後の私の変化に耐えられないんじゃないかって思って」
「そんな訳ねぇだろ」
「ごめんね。ううん、ありがとう。
高須くんはきっと私を捕まえてくれる、それを再確認できたよ。
どんなことがあっても、ね」
そう言うと、自然に笑顔がこぼれるのだ。
きっと今の私は、今までに見せたことのないくらい最高の笑顔で笑っているに違いない。
そう信じられるほど、心は満ち足りていた。
「高須くん、ちょっと隣に来てくれるかな。
少し、ギュッってして欲しいんだ……」
首をすくめ、少し恥らいながら自分の横に高須くんのスペースを作る。
おう、と高須くんは私の横に寝転び、力強い腕で、あくまでも優しく、私を包み込むのだ。
頭を高須くんの胸の中に預けると、いつしか私は自然と深い眠りに落ちていた。
* * *
ふと気がついて目を覚ますと、頭の上に高須くんの息遣いを感じる。
こういうシチュエーションがなんとなく恥ずかしくて、急に体を起こしてしまった。
それでも高須くんの反応はなく、ぷに、ぷにと人差し指で頬をつついてみても微動だにしない。
高須くんもどうやら眠りに落ちてしまったようだ。
よくよく見ると、高須くんの左腕に自分の頭の跡がくっきりとうつっている。
あちゃー、悪いことをしたなー、と思いながら時計を見ると、5時半。
あまりに高須くんが幸せそうに寝ているので、起こすのも忍びなくて、ひとまず一人でシャワーを浴びることにする。
脱衣所の鏡に映った自分の姿を見て、
「うわぁ……ひっどいツラ……」
涙で目が少し腫れているのに、意味もなくニヤけているアンバランス。
そして、自分が全裸なのに気づくと、慌てる意味も特にないのに急いで浴室へと駆け込む。
シャワーヘッドを高い位置に移し、上から来る水を浴びる。
ふと自分の胸に目をやると、ちいさな痣。
高須くんの指の跡なのか、キスマークなのかはわからない。
それでも、高須君のものになった証のように思えて愛おしい。
そして、「女」になった自分の下半身に恐る恐る手を伸ばす。
不意に電流が走り――それが破瓜の痛みなのか、それとも他の感覚だったのかはわからない。
とにかく腰が砕け、ぺたんと尻もちをついていた。
「冷たぁい……!」
頭の上から降り注ぐ水流に、思わず声が漏れる。
今はこの冷たさが、火照った体を冷ましてくれるようでとても心地いい。
心地よさに身を任せ、ずっと浴びていたいような感覚になる。
でも、そんな暇はないのだ。
高須くんもそのうち起きてしまうだろう。
それまでにとびっきり全力を注いで晩御飯の準備をするのだ。
そして、満開の笑顔で高須くんを起こして、晩御飯のならんだテーブルへと案内するのだ。
高須くんはどんな顔をしてくれるだろう?
喜んでくれるかな? それとも、驚くのかな?
私は自分の頬を両手でぴしゃん、と叩いて気合を入れ、勢いよく浴室の扉を開けて次のステージへと一歩を踏み出すのだった。
(了)
以上です。
普段エロスを書かないので、とても苦労しました。
リアルで心の汗が出るくらいに!
今回は必要だと思ったのでこういう表現手法をとりましたが、想像以上にエネルギー使いますね。これ。
またどこかのスレでお会いできたらいいな、と思います。
ありがとうございました。
>>27 GJ
みのりんのエロはムズすぎて書けねぇ
というわけで心中お察しいたします、乙。
GJ!
5と6が重複してますけど、本来の6を読みたいでーす
おっとすいません重複は5と6じゃなくて4と5でした
ええい、ままよ、と勢いをつけて、部屋のドアを一気に開けて、ベッドにダイブする。
「く、櫛枝、大丈夫か!?」
ベッドに伏せてたから、高須くんの表情は見えないけれど、声だけでも戸惑っているのはわかる。
私は体を起こして高須くんに向き直り、ベッドの淵に腰掛ける。
少しだけ顔を俯かせ、右手で自分の脇のベッドをポンポン、と叩く。
高須くんはそのメッセージを受け取ってくれたのだろう。
すぐに来られるのは何となく怖い気がして、
「エアコン、つけてるんだ。
扉は閉めてくれよ、な?」
少しばかりの抵抗を試みるけど、稼げたのはほんの少しの時間だけ。
高須くんは扉を閉めると、無言でこちらへと歩を進めると私の隣に座り込んだ。
高須くんの重みでベッドが歪み、私の体が少し下がるのを感じる。
やばい。
高須くんに隣に座ってもらえば、いつもカウンターでお話しするみたいに自然に始められると思ったのだ。
ここまでは、シミュレーションどおり、なのだが。
カウンターで座っていたときは高須くんの言葉だけが私に向けられていたけど、今はそうではない。
高須くんの腕が、体が、そしてすべてが私に向けられているのだ。
その事実に恥ずかしくなり、高須くんと反対側に顔を俯けてしまう。
「……」
「……」
お互い無言のまま、どれくらいの時間が経っただろう。
いや、正確には3分20秒。
どうにも居づらくて、ベッドサイドにある時計の秒針を目で追ってたから。
秒針が一歩動くごとに、私の心臓が2回拍を打つペース。
このまま緊張していたら私の心臓がもたない。
勇気を踏み出さなければ、この壁は越えられないのだ。
私は最大の勇気を振り絞り、高須くんへと顔を向ける。
その気配を感じ取ったのだろう。
高須くんも私の目を覗き込んでくる。
見詰め合うのは慣れなくてなんか恥ずかしいけど、私は逃げない。
逃げないかわりに、少し目を閉じてみるのだ。
誰が決めたか知らないけれど、それが女の子の作法だと思うから。
その自然の流れに合わせて、私たちは唇を重ねる。
33 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 00:42:42 ID:Eep1MtVL
15皿目にある日記て、続きはないの?
とりあえず竜児と独身が結ばれたということで一応の決着がついたということではないかな
もしくは作者が不慮の事故か何かでこの世を去ってしまって未完とか
粘着もいたし
めんどくさくなったんじゃね
>>32 みのりんの感情が自然に伝わってきたGJ!!
女性視点は俺も試したけど挫折したよ・・・orz
しかもエロとなると手探りで感情と快感を描写する必要があるから辛すぎる
これまで何個か同じような力作を読んだが、しっかり書ける人はすごい
>>38 そんなのどっちでもイイじゃん
私も違う所で書いてるけどBe使ってまで「女性ですか?」とかメッセージ送ってくるヤツいるし
作品の感想を書け!!
前半だけ読んだとき
女性らしいうちにって実乃梨の気持ちはわかるが
それをあっさり受け入れる竜児は微妙
説明がないと竜児はそういう実乃梨の気持ちを大事にするからこそ
事におよんだってのがいまいち伝わってこなくて
とりあえず好き同士だからきっかけとしてやっちゃったみたいに見えなくもない
じゃあ何か実乃梨がアスリート体型になった後、そういう機会があるなら
あの時より女っぽくないなと思いつつやってんのかって感じてまうわ
って書いてたけど後半読んだらちゃんと竜児の気持ちは書かれてた
まぁそれだけベタな展開だったってこともあるかもだけど、納得できる作品だったGJ
皆さんこんにちは。
[言霊]の続きを投下させて貰いに来ました。
前回の感想を下さった方々ありがとうございます。
次レスから投下しますので、よろしかったら読んでやってください。
※エロい描写が多少あります。苦手な方はスルーしてください。
[言霊(8)]
約束…。
竜児は覚えているのか……あの調子じゃ忘れてるよね、多分。
言った事、全てを記憶出来る訳じゃないのは仕方無い事。
でも…それだけは覚えていて欲しかった。
『全てが片付いて、その時に竜児が私の事を想っていてくれたら、また告白させて欲しい』
と…私は竜児に伝えていた。
私から告白しようが、彼からだろうが結果は同一だろう、しかし…どうしても私の方から彼に想いを伝えたい。
だって私は『受け入れる』んじゃなく『受け入れて』貰いたいから。
『一緒に居て良い』と川嶋亜美を受け入れて貰って、横並びで歩みたい。認められたい。
それに私から約束したのだから守らないと筋が通らない。
だけど修学旅行一日目の晩に告白してくれようとして、凄く嬉しくかったけど。
ホッとしたけど残念だった。そんな感じ。
まあ乙女心は複雑なんだよ。
ともかく…私達は一つの契機を迎えようとしている。
スタートラインであり、チェックポイントでもある。二人ともポジションにはついていて、あとはどちらがシグナルを青く点灯させるかだけ。
ねぇ竜児、私に…シグナルを点けさせてよ。
それが私の『覚悟の表われ』なんだ。
『私は身も心も愛しい貴方のモノになりたい』
それを体現する事なの『告白する』ってのは。
帰路に着くバスの車内、皆が疲れ果てて眠りこける中……私は車窓から流れる景色を見ながら想いに耽る。
帰ったら彼に告げよう…紡ぐ言葉一つ一つに想いを載せて。
.
「えぇ〜良いですか、家に帰るまでが修学旅行です。帰り道で事故をしないように、では解散!」
学校に到着し、グラウンドの台上で学年主任がお決まりの台詞で締め、疲れ果てた生徒達がゾロゾロと校門へ向かう。
時刻は既に八時近く、人波を掻き分け、竜児の側に寄る。
祐作達、お馴染みのグループで固まり何か楽しそうに一言、二言…能登君に背中を思い切り平手で打たれた彼の姿が目に入る。
「竜児」
「ん、おぅ」
その背後から近付き、制服の裾を軽く引いて呼ぶ、すると彼が柔らかい笑みを返してくれた。
「お疲れ様、ねぇ…一緒に帰らない?」
私は簡潔に要件を伝える。
「おぅ、…って訳だ、また月曜な、お疲れさん」
彼が皆に手を振り、私と並ぶ。
「よし、帰ろうぜ」
私は頷いて答とする、余計な言葉なんて必要無い……かな。
「楽しかったな、修学旅行」
「ん、まあ…ね。スキーはスキーで、うん。楽しかったよ、なんだかんだ言っても」
彼の家へ歩みを進めながら私達は話に花を咲かせる。
だけど、ちょっとづつ会話は途切れがちになり、最後にはお互いに何も喋れなくなる。
それは話す事が無くなった、とかじゃなく…『照れ』なんだと想う。
今までは周りに誰かが居て、そっちに気が取られていたから……。
たった数日、一緒に居る機会が少なかっただけ。けど寂しかった、側に居て欲しい人と逢えなかったから、手は届くのにいつもみたいに戯れ合えなかったんだもん。
だから、こうして二人きりなのが……嬉しいの。それは竜児も想ってくれているんだ…。
乾いたアスファルトを革靴が打つ音だけが聞こえる。
私は彼の手にそっと触れる。『日常』へ戻る一歩を踏み出す。
間を空けず、すぐ繋いでくれた彼は頬にほんの少し朱が差し、それは多分、私も同じで…。
このまま時間がゆっくり過ぎろ、と念じてしまうくらい暖かくて…。
この道を彼と初めて歩んだ日は鞄を介して…今は直接触れて肩を寄せて歩む。
ちょっぴりフライング気味だけど…もう心は繋がっている。
でも不確かなのは事実で、それを確実なモノにする機会を伺っていた。
途中の公園、それとも歩むを止めずに、何処で想いを伝えるか…考えて、あぐねて、結局は何も言い出せずに彼の家に着く。
「家まで送って行くから、荷物置いてくる。ちょっと待っててくれ」
彼が手を放そうとするのを離せない。ギュッと握ってポツリと呟く。
「亜美ちゃん疲れちゃった…」
そう言うのがやっと…。いざ告白となると、緊張するんだ…やっぱり。
結果は解っていても、ね。過信する訳じゃないけど、さ。
「おぅ…………少し休んで行くか?」
竜児が落着かない様子で前髪を弄りながら、そう言ったのは…きっと私と同じ事を考えているからだ。
『約束』を覚えてない彼は、私へ想いを告げようとしてくれている。
「そうしようか、な」
なら、言われる前に言ってしまえばいいだけ。
彼について階段を上り、鍵を開けてくれる間に私は深呼吸。
ドアが開き、明りが灯されていない真っ暗な玄関の中へ入る。
静まり返った室内に響くのは頭一つ上で聞こえる竜児の息遣い、続いて、やっちゃん愛用のスカルプチャーの甘ったるい匂いが鼻をくすぐる。
柔らかい淡黄色の光に照らされる中、靴を脱ぎ、先を進む彼について行く。
「イィンコちゃ〜ん、ただいま……って、おぅっ」
部屋に入って彼が発した第一声は『家族』への挨拶。
それは彼が私と『何から話していいのか解らない』から…戸惑っているから……声が裏返ってるし。
ブサインコと話して、タイミングを見計らって……そう考えたのかもしれない。
「寝てるじゃん」
で、考える事は私も一緒な訳だ。
何かしらのキッカケがあれば始めれるのに、出端を挫かれた。
件のインコちゃんは、血色悪い舌をダランとクチバシから垂らし、白目を剥いてピクピクと痙攣し……末期の、いや熟睡している。
「おぅ…爆睡してるな、おぅ…おぉう」
鳥籠の覆いを被せ、彼が数度くぐもった声で呻く。
苦悩……といった感じか。
私は卓袱台の前に座り『何かキッカケ、キッカケ……何でも良い、一旦話し始めれたら…』と思考を巡らせる。
部屋の中を見渡し、頭を抱えた彼を一瞥し…最後に見付けたのはマグカップ。
やっちゃんが出勤前に何かを飲んだのだろう、卓袱台の中心にチョコンと置かれている。
何気なしにソレを見続ける、するとパズルのピースがはまったみたいに閃いた。
「ねぇ竜児、アレ飲みたい。ほら…何だっけ、ホットミルクに蜂蜜を入れたヤツ」
と、私に背を向けたままの彼に語りかける。
一番初めに『高須竜児』を意識した時、私は今みたいにココ…高須家の居間に居た。
ずぶ濡れの濡れ鼠みたいになって、冷えた身体を震わせてたっけ。
そんな時に竜児が飲ませてくれたのは蜂蜜が入ったホットミルク、妙に印象に残っていたのだ。
一時期はハマって、家で毎日飲んでた。
それは……私にとって『高須竜児』を連想させるモノの一つになったのだ、マグカップを見て閃いたのは、それをキッカケに行動に移そうという事。
「ん?あぁ…牛乳があれば、な」
口数少なめに彼が私の横を通って台所に向かい、冷蔵庫を開ける音がした。
私は卓袱台の上に乗せた手を見詰め、背後の気配を感じながら次に発すべき言葉を選ぶ。
『ありがとう』そう言った後に『美味しい』
これは鉄板、そして問題はそこから。
何でも良い、出始めの言葉から続けて自然な形で告白に移る。
重要な『出始め』をどうするか…。
何気ない一言が良いのか、想いを含ませるのが良いか、疲労した頭をフル回転させて考える。
文法を作っては消し、何度も何度も脳内で反復させて違和感が無いか確かめて、新たな単語に置き換えては繰り返す。
でも、答なんか見付からなくて……ふと疑問を感じる、作った言葉に想いを載せれるのか、と。
作り物なんか嫌だと散々に宣っておいて、重要な局面でソレに逃げるのは……矛盾を感じた。
仮面に隠された『亜美』を見てくれる彼に、ゴテゴテに飾った言葉を紡いでも、見てなんかくれない……そう気付いた。
なら…どうしよう、また出た所勝負?
それは、ちょっと…ね。
………素直に紡げば良いのかな。
『好き』
そう、変な言い回しなんかせずにストレートに……うん。そうだよね、緊張してガチガチに固まって、無理して背伸びしても駄目。
彼に受け入れて貰うのに、私が仮面を被ったままじゃ意味が無い。
全てを見てくれなくなるもん。よし決めた、亜美ちゃんは…素直になる。
「亜美、ほら熱いから火傷するなよ」
そう決意したのと同時に、彼が私の横に屈んでマグカップを手渡してくれた。
「ありがとう」
お礼を言って、彼が対面に座るのを見守る。
熱を冷やす為に数度静かに息を吹き掛けると、マグカップの中に白い波紋が広がる。
鼻孔をくすぐる甘く柔らかい香り、まずは一口ゆっくり口に含む。
口内に広がる甘い温もりを舌の上で転がし、優しい味を楽しむ。そして飲み込み、喉の渇きを潤し体内で広げる。
続けて、舐める様にチビチビと少しづつ味わい、フッと息を吐いてカップを唇から離す。
「やっぱり甘い…よ、美味しい。私が作っても、こんなに甘くならないんだよね」
降ろしたカップに視線を向けたままポツリと呟く。
「蜂蜜、少ししか入れてないぞ?もしかして入れ過ぎたか」
「ううん、ちょうど良いかな。あとね、竜児が作ってくれたから…甘いんだよ。だから凄く甘くて優しい味になるの」
そういう言い回しをしたのは、告白の下地を作るため。アドリブ…思いつくままに本心を紡いだ。
両手で包んだマグカップの側面を、人差し指の爪でカリカリ弱く掻いて、私は顔を上げる。
「今から大切な事、言うよ?お願い…最後まで聞いて?」
「お、おうっ。聞くっ、最後まで聞くぞ」
間髪を入れずに竜児が了承してくれた、私は優しく微笑んで彼をジッと見詰める。
とうとうこの瞬間を迎えるんだな…。ほんの数ヶ月前なら夢物語だと諦めていた光景。
ほんの少し勇気を振り絞って、素直に気持ちをぶつけてみたら……夢が現実に変わっていった。
「私さ…竜児が好き……好きで好きで大好きで堪らないよ。
想っただけで胸が優しい気持ちで満たされて、ポカポカ暖かくなる。
見詰められると素直になれて、もっと見て貰いたくなる……今より沢山、優しくして貰いたいよ」
さっきまで悩んでいた事なんて嘘みたいに、私の唇は震えながら想いを紡いでいく。
何を言おうか、そんな事なんて考える暇が無いくらい勝手に……。
「竜児と触れ合って、戯れて、気持ちが繋がって、楽しくて、嬉しくて、…幸せで、まだ見てない部分も見てみたい。
本当の私を愛してくれる人に見て貰いたい………竜児に見て欲しい、見せてもいいかなぁ?
私を竜児の一番にして、よ。やっちゃんでも、インコちゃんでも、大河でも、実乃梨ちゃんでも無く……たった一人だけの一番にして貰いたいよ」
それは、彼が私を想ってくれていると解っているからこそ紡げる。
絶対の信頼を寄せているから、懇願できるんだ。
「貴方の事が、ずっと好きでした。私と付き合って…くだ、さい」
と、私は『伝えたい言葉』を『言霊』にして彼へ贈る。
初夏の日に燻り始め、胸の内で燃え上がって衰えない恋心を……障壁を越えて、やっと紡げれた。
「……初めは、結構戸惑ったんだぞ、こう見えても。
聖夜祭の準備をしてて、亜美に想いを告げられて、その…誘われて。
…あの時から亜美に恋してたんだろうな、俺は…。
心の余裕が無くて気付けなかったし、櫛枝が好きだったから、考えを頭の隅にやって……気付かないフリをしてた」
私の告白から数泊を置いて、彼が語り始めた。
「心の奥底ではあの瞬間、お前に惚れちまったから俺は抱いたんだ…今になって考えると。
好きだって言ってくれた…色んな事から守ってくれて、辛い時に側に居て包んでくれて…嬉しくて、惹かれていったんだ。
自分の気持ちに嘘なんかつけなくなった。
俺は亜美の事が好きなんだって…」
竜児が語る言葉、それに偽りが無い…飾った言葉で無いのは迷い無い表情で理解出来た。
「自覚したら、もうお前しか見れなくなってた。あとはパズルのピースを填めていくみたいに、亜美が心を占めていった。
…けど全然足りない、まだ亜美を手に入れて無いから。亜美、好きだ……俺と付き合ってください」
彼が紡いでくれる言葉を全て聞き、私は顔が、全身が熱くなっていく。
だって……私が告白して、その返事なのかと思ったら……いつの間にか告白されてたんだもん。
……そうだよね、それが竜児の答なんだ。
横に並び立ってくれる、対等に歩みたいから……あえて返答じゃなく、告白し返してくれた。
「ぷっ…それじゃ答になってない、告白じゃんソレ。
でも嬉しい……だから答は"はい"だよ。
ふふふ、次は亜美ちゃんの告白の返事を頂戴?」
照れ隠しに、ちょっぴりからかって……肝心な言葉は返す。
「おぅ、俺の返事も"はい"だ。
……亜美、愛してるぞ」
「あ…」
卓袱台越しに身を乗り出した彼の両腕が、私の肩を包んで優しく引き寄せる。
倒れてしまいそうになったマグカップを慌てて持ち、そのまま動けなくなる。
胸がドキドキ、頭が沸騰してしまいそうな照れ、それは『愛してる』と言われたから。
緊張してマグカップから手を離せなくて、ギュッと握る。この両手で竜児を抱き返したいのに自由が利かない。
「う、うん」
震える声で返事し、しばらくの間は彼に抱かれるまま身動き出来ずにいた。
「わ、私も竜児を愛してる……誰よりも」
竜児の心地よい温もりに絆されていた。
身体がフワリと浮く様な恍惚感から我に帰った私は、慎重にマグカップから手を引き剥がして恐る恐る彼を抱き返す。
「っん、は…ち、ちょっと待って、ねっ?マグカップ…倒しちゃいそ、う……んんっ」
それを合図に彼が私の首に柔らかい唇をあてがう。もちろん、当てるだけで済む訳が無く軽く吸われる。
「お、おうっ!すまん」
竜児が私から離れて、軽く頭を下げる。
それをチラリと見ながら残ったホットミルクを一気に飲み干す。
熱い…ちょっと舌を火傷した、ヒリヒリする。
今さらだけどさ、私…凄く照れてるし緊張してる。まるで初めて触れ合った時のように。
潤した喉がすぐに渇いて、身体も頭も沸騰しておかしくなっちゃいそう。
それと、せっかく竜児が作ってくれたのに残すのは…嫌じゃん?
そんな要因が絡まりあって一気飲みなんてバカをやらかした、…ヤバいよ、キョドってないかな。
「ん、ご馳走さま。くすっ…竜児、続きしよっか?」
私は立ち上がり彼の側へ歩いていき、手を差し延べる。
「竜児の部屋に行こっ?」
「ああ」
彼も立ち上がり、私の手を引いて部屋へ向かう。
真っ暗な部屋の中へ入り、私は後手で襖を閉じる。
そして…お願いをしてみる。
「今日、亜美ちゃん帰りたくない。ずっと竜児と居たい………泊まっていってもいい?」
今までにも何度か『背伸び』はしてきた、程度に差はあっても、どれも私達にとっては初めての事でドキドキしていた。
今日は『彼氏と初お泊まり』という背伸びをしてみようかな…って、竜児が許してくれたらだけど。
「そりゃあ、俺だって一緒に居たいけど…。世話になってる親戚の人が心配しないか?」
と、竜児が聞いてくる。まあ修学旅行から帰った当日に泊まるとか言われたら、普通はそう言うよね。
「今日は居ないんだよ誰も、帰っても一人きりなの」
でも、何の考え無しには言ったりしない。今言ったように『泊まってもバレない事情』があるからお願いしたのだ。
「そうだったのか、…なら泊まっていけよ。一泊二日、三食付きで。
って待てよ、泰子が帰って来たらどう言い訳するかな」
「私が今、言った事をそのまま伝えたら良いんじゃない?
"彼女が一人きりで寂しそうだから泊めた"って」
「いやいやいや…ああ、…嘘付いてもバレるよな。仕方無い、それでいこう」
ほんの少しだけ迷ったが、彼はすぐに納得した。
私はガッツポーズし、同時に期待に心を躍らせる。
舞い上がってしまったの、嬉しくてね。
触れ合うだけじゃなく、彼と一夜を過ごせる、……何事にも代えがたい『御褒美』に。
だから電灯を灯そうとした竜児を制し、手を引いて畳の上に押し倒す。
「ってぇ」
「明りなんて良いからさ、…もう我慢出来ないもん、…ねっ?良いよね」
彼の腰の上に馬乗りになり、上体をグッと寄せる。両手首を力強く押さえ付けて…。
「ま、まあ待て…せめてベッドの中で、大家に文句を言われ………っ」
『その先は言わせない…、今は私だけ見ててよ』
そんな想いを込めて、竜児に唇を重ねる。
「んむ…ひゅうひぃ…んんっ、くちゅ」
顔を徐々にずらしながらグイグイと寄せる、閉じられた彼の唇を甘噛みして舌を這わせながら。
「ちゅ、ぱ、は…ふ。ん、ん、んう…っん」
唇の僅かな隙間を探り当て、一気に舌を口内へ潜らせると竜児が微かに震える。
甘く舌先で戯れるなんてしない、口内の奥へ奥へと舌を滑らせて絡めとる。
くちゅり、と舌同士が絡む水音が発つと……もう駄目。我慢出来なくて夢中で貪ってしまう。
私の中の『女性』が燻る、たった数日逢う事が出来なかっただけで…欲求に身を焦がされてしまっていた。
「ふ…あ、りゅ、うじぃ…触って……、あ、ふっぅ」
彼の拘束を解き、私は身を捩らせておねだりする。
竜児が上体を起して、私を抱き抱える。そして右手がリボンを解きに掛かる。左手はお尻に……。
「っ…あ、は、がっついちゃ…やぁ…っん!」
焦った手付きでブレザーとブラウスのボタンが外され、下着を押し上げられる。
「仕方無いだろ?ほら…久し振りだし」
そう言って竜児が胸に吸い付く、夢中でチュパチュパ…。赤ちゃんみたい。
「あっ…う…ふっ!ん、はっ!亜美ちゃんは、ひぅっ!逃げ、ないからぁ、あんっ!」
約四日振りだもんね。
もう私が宥めても、止まらないの…。そりゃあ私も…だけどさ。
乳首を甘く噛まれ、断続的に強く吸われて、舌先が躍る。
私の身体が快感で跳ねる、繋がった気持ちが生み出す情熱に焦がされて…発情していく。
「あっ、あっ…んんっ、んあっ!」
彼の頭を抱き締め、私は声を震わせて甘く鳴く。
お尻を揉まれ、指先が徐々に内太股へ伸びていくのを感じて、抱き締める両手に力が増していく。
でも、お尻の下から差し込んだ左手をそこから動かすのは自由が利かないみたい。
今度は……太股の間に右手が滑り込み、左手は肩口に。
「やぁっ…あ…あぁ…やっ、りゅ…う…ひぃ」
下着の上から人差し指が優しく縦になぞる。敏感な部分を始点にして、膣口が終点で、何度も何度も反復する。
下腹部に加わる淡く蕩ける微弱な痺れ、可愛がられる胸から伝わるのは強い快感の奔流。
脇の下を通った彼の左手が胸を揉みしだく。肌触りを確かめるように五指を埋めて、零れる柔肉の感触を楽しんでいる。
「ひあっ!?あぁっ…はぅ、はっ!はあ…はっ!あうっ!!」
カリッと竜児が乳首を噛む、一瞬だけ息が詰まり身体が跳ねる。
蕩けてしまいそうな刺激に酔う、徐々に汗ばんでいく肢体を彼の腰に絡ませて押し付ける。
思考が霞む…熱いの、お腹の中がジワジワと疼いていく、切なくて堪らない。
「ふっ!ふっ…うぅんっ!んう!は…」
彼の指が躍る下腹部をグイグイ押し付け、少しでも刺激を強めようと擦り付ける。
胸元に竜児が強く吸い付いてマーキングされると悦びが私を襲って、サカリのついた身体が腰を振らせる。
…発情した『亜美』が、そうさせる。
「焦らしちゃ…やぁ、我慢出来ないの、はあ…はあ、竜児ぃ…切ないよぅ…」
甘えた声で鳴いて、彼の気を引こうとする。
いやらしい……淫乱みたいに、竜児がそう躾たんだよ?
竜児が喜ぶから……見せてあげたくなる。だから隠さないもん。
「んんっ…あ♪…ふ、あ、あぁっ…」
下着の脇から忍び込んだ指先が秘部を撫でる。優しく優しく、指の腹がくすぐる。
気持ち良くてゾクゾクしちゃう…。
『もっと可愛がって』
そう切なそうに鳴き、身体を捩らせて彼に知らせる。
そして…もっと『姦る気』を出させようと行動にも移す。
右手を彼の下腹部に持っていき、ズボンの上から大きくなったおちんちんを揉み揉み…。
頬を寄せて、スリスリ擦り付け、耳元で甘く喘ぐの…。
竜児が微かに呻き、腰を震わせた。それが嬉しくて私は、愛情を込めて擦る。
密着した身体の隙間で互いの手が触れ、愛撫に精を出す。
「はあ…はあ…気持ち良い?んん…もっとして欲しい?」
「お、おうっ。気持ち良いぞ、は…」
衣擦れの音に交ざるのはベルトのバックルが奏でる金属音…、私の手が鳴らす。カチャカチャってね。
「ん?ふふ、竜児…ヤル気満々だぁ。凄く熱い…」
彼と横向きに寝転がり、チャックを下げて下着の中へ手を忍ばせる。
同時に竜児は私の下着を脱がせ……敏感な部分を摘む。
「は…ぁん、ひあっ、あっ!」
愛液を纏わせた指が揉むように摘んで転がす、時折弾かれて小刻みに擦られる。
私は腕枕して貰った頭を彼の顔に近付け、舌舐めずりして唇に吸い付く。
「んっ…ふ…あふ、ちゅぷ、ぴちゃ、…あは…っ!」
すぐに受け入れてくれた彼が絡ませる舌が、私の口内を蹂躙していく、唾液を贈られ咀嚼すると堪らなくなる。
敏感なクリトリスを…いじめられて、秘部が蕩ける。トロントロンにほぐされ、熱く、強烈な痺れを伴って疼く。
息継ぎをしようとしても、重ねた唇を離す暇を与えられない。
ううん、忘れてしまう。むしろ…離したくない…かな?
でも竜児の方が先に根をあげちゃった…残念。
私は親指の腹でおちんちんの先を優しく擦って、薬指と人差し指で作った輪で緩く扱く。
可愛い『やんちゃ竜児』と遊んであげてるんだ。
「んんっ。はっ…はっ、は…う、ひっ!ひあぁあ…」
刺激をいくら与えられても満たされない、より焦れて、燻って、疼く。
期待に心踊らせ、溢れる愛液……それを竜児がわざと鳴らす、くちゅくちゅ…って。
羞恥を感じても、私の気持ちとは裏腹に…彼が愛撫しやすいように………勝手に足が開いていく。
焦らすように膣口を人差し指と中指で撫でられ、ほんの少し挿入ては抜かれ、緩やかな抽送が続く。
「あっ、あっ…くふっ!ふ、うぅん…んあっあ…」
それでも刺激に飢えた私には充分で…。発情した喘ぎを漏らしながら足で彼の身体を引き寄せ、彼の指先に秘部を擦り付けて慰める。
逆手で握ったおちんちんの根元を搾るように扱く。速く、強く…遅く、優しく。不規則に…。手の平の中で揉みしだきながら。
「くっう…亜美、も、もっと優しくし、てくれ……少し痛い」
竜児が私にそう伝えてきた、夢中になってて気付かなかった…。
「んん…、じゃあ…こういう風にしたら……痛くない、よね?ん…」
そう言いつつ、私は手の平を自分の口元へ…。
そう。口内に溢れた唾液を使えば…痛くないよね?
そして唾液を纏わせた手の平を、再び下腹部へ。
お詫びに『イイコト』してあげる。
「ふっ!うぅ…、はっ!」
拳を緩く握って、親指と人差し指で作った輪の中へゆっくりゆっくり『挿入て』あげるの。
ふふっ♪竜児の大好きな、エッチぃ事だよ…。ほらほらぁ…。
おちんちんの頭をヌルヌルな手の平の中で揉みながら締め付ける。
竜児が腰を震わせる、少し息も絶え絶えで…すっごく気持ち良いんだ?
「ひあっ!あっ!あんっ!ん、うぅ…あひっ!」
でも竜児も負けてない、人差し指と中指を根元まで膣内に挿入て、私を啼かせる。
こうして二人で戯れ合うと自然と笑みが零れる……悦びの笑みが。
顔を真っ赤にした私達はクスクス笑いながら、互いの鼻先でも戯れ合う。
「亜美ぃ…で、出そう、……っ?」
男の子って『溜まる』んだよね、数日間『出してない』だけで我慢が利かなくなる…。
それを処女の頃から知識としては知ってはいた、そして竜児と触れ合う内に理解を深めた。
「だぁめ、竜児は亜美ちゃんをちゃんと可愛がってくれないもん、だ・か・ら…まだ出させて あ・げ・な・い」
達してしまいそうになって、愛撫がおざなりになった彼に意地悪してみる。
「それに"もったいない"じゃん、手でイッちゃったら……ぷぷっ。男ならこれくらい我慢出来るよねぇ〜。
ねぇ、り・ゅ・う・じぃ〜?」
彼をニヤリと見やり、私は仕返ししてみる。
「ひでぇ…、亜美よ、それは男にとって生き地獄なんだ、解るか?頼む、俺を解き放て」
そう冗談まじりに、でもしっかり不満を漏らす彼を見て私は気付く。
『口ほどには気にしてない』
そう勘付いてしまう、天邪鬼な私はそんな姿を見たら、もっといじめてみたくなる。
「ふぅん…じゃあ、こうしよっかぁ?
あと三分、我慢出来たら出させてあげるよ。
でも我慢出来なかった……亜美ちゃんが満足するまで寝かせない、どう?」
まあ…嘘だけど、竜児が嫌がる事はしたくないし。
こう言ったら、竜児がまた愛撫に熱を込めてくれるかな…って考えて言ってみただけ。
「おぅ…、どっちに転んでも俺が得するような………、亜美、分かった。三分耐えたらいいんだな?」
うんうん、そうだよね〜我慢出来ないよね。仕方無いなぁ、亜美ちゃんは天使みたいに優しいから今回は許して……って
………………あれぇ?
続く
今回は以上です。
あと二話で完結させます、皆さんを長々と付き合わせてすみません。
続きが書けたら、また来ます。
では
ノシ
君のエロさにGJ
生々しいんだよw
だが そ れ が い い GJ
マメな投下すごいですね。お疲れ様です。
エロ上手いな、こんな風に書けるようになりたいな
KARs様ぁあん(;´Д`)ハァハァ
68 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 00:02:53 ID:dspO41XP
いや、KARsさんは今のペースが丁度いいですよ
スレの空気によりますけど大体10日位の間隔で投下しますよね
実際昨夜あたりから「そろそろKARsさん来るかな?」とか思っていたら今日ドンピシャw
いつも楽しみにしてますよ〜
愛あるHは素晴らしい
GJ
>>63 急ぎすぎてクォリティが落ちたり、急かされて興が冷めたりしては元も子もありませぬ。
ご自分のペースで頑張ってくだされー。
GJ
コンスタントに良作を送られてますね
次も楽しみにしてます
前スレ埋めネタ、GJでした。
同じく梅ネタGJ
もうww奈ww々ww子ww様wwどこまで策士なのwwwww
98VM氏の作品は素晴らしいな。
埋めネタでこのクオリティw
貴方には敵いませんGJ!
つーか梅ネタなのに続き物で優秀作品って、ねぇ?
VMさんマジ乙です。狂喜の奈々子さまはどこまでいくのやら。
保管庫が更新されてないので来ました。
78 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 13:37:12 ID:SjgvY/X/
後2作だなんて言わないで、是非続編を!
79 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 14:11:01 ID:/ExoyLcT
けいおんとクロスもの書いてる途中なんですが、どこに投稿したらいいんだろ?
ここ?けいおんスレ?それともVIP?
安牌を選びたいならvipにしとけ
てか、ようやく落ち着いたんだ、ここは諦めてくれ
>>79 クロス専用スレがあるらしい
VIPでもいいと思うが
82 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 15:01:32 ID:/ExoyLcT
台本じゃなくても平気そうなVIPのけいおんSS総合スレに投下することにしました。
書き上がったら告知させていただきたいと思います。
ありがとうございました
今のVIPはレベルが低い・・・・・・
昔はすぐ叩かれたもんだが
みなさんこんばんは SS投下させ頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。
題名 : Happy ever after 第3回
方向性 : ちわドラ
とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話、1話完結の連作もの
1話1話は独立した話ですので、今回だけでも読めるかと思います。
ただ、連作としての流れとか考えているつもりなので、
過去のも読んでいただけるとありがたいです。
長さ :8レス
Happy ever after 第3回
一般的に言って芸能人とはちょっとしたステータスではないのだろうか。
貧乳程度を希少価値だ、ステータスだ。と言ってるレベルの話ではないのだ。
高須くんは私、川嶋亜美の事を一体なんだと思ってるんだろう。
端から、住む世界が違ってると考えてる人はピンと来ないだろうが、
実際に手の届く距離に対象がおり、ましてやその当人が付き合って欲しいと言っている。
そんな幸運な現実に少しは魅力を感じてくれてもよさそうなものだ。
試しに高須くんに見てるTV番組の事を聞いてみた。
「花マルマーケットは割りと侮れないぞ。結構、目から鱗って事が多い。
学校が休みの時くらいしか見れないのが口惜しい。
HDレコーダを買った暁には全部、余すことなく取り付くしたい。
他?だとすると、「ためしてガッテン」か、あれはいいものだ」
どうやら、彼自身の住む世界が違うみたいだった。
高須くんはそういうものに興味がないのだろうか?
以前、聞きたい事があって相談した時も・・・・
「あのさ、高須くんでもグラビア写真とか見たりする?」
なんて、自分の髪をくるくると指で巻きながら、時間つぶし程度の話題って感じで、問いかけてみる。
視線は合わせないようにしながら、目の端で高須くんの表情を読む。
「どうした、藪から棒に」
「雑誌とかに載ってるやつあるじゃん、他のもあるけど」
掃除してあげる♪とかいってチェックする事も出来ないし、こんな綺麗じゃ。
あ〜あ〜、男の子の部屋の掃除なんてのも一度はやってみたかったんだけどな。
高須くんの方が手際いいんじゃ出来ねつーの。
「まぁ、載ってれば見る程度はな」
本当、関心なさそうな高須くん。なんか何の反応もなく終わりそう。
こっちはかなり悩んでるって言うのに・・・
とりあえず、けしかけて見る。でも弱みは絶対に見せたくない。
「それじゃあさ、高須くんの好みはどの程度まで。可愛い服着て写ってる写真とか、
それとも水着のやつ?、ちょっと際どいやつとかもあるじゃん」
嬉しそうな感じで聞いてみる。高須くんの素がしりたい。気使われての答えじゃ意味がない。
「あんまり意識した事はないな」
「なんかつまんない反応・・・・
亜美ちゃん、高須くんが望むんだったら、見せて上げるよ。いろいろと」
「お、おまえ。プール行った時の水着も十分派手だっただろ。
あれ以上派手なもんなんか着るんじゃねえぞ」
「なんで〜、はしたないとか思ってる?亜美ちゃん女優だから見せるのが仕事だもん。
高須くん的には、他の人に亜美ちゃん見せたくないのかな。
ね〜ね、独り占めしたい?」
「知るか・・・」
高須くん本当に不満そうな顔してる♪これが見たかったのかも。
「OK、OK。うん、了解しちゃった」
「何勝手に納得してるんだ。それより相談ごとって何だよ?」
「あれ?あれはもう良いんだ。もう取るに足りないこと。
へっへ〜、ありがとう、高須くん」
そうして、この前来た、ちょっと強めなグラビア撮影のお仕事、お断りを入れて貰うよう
決心をした亜美ちゃんでした。
別にいいよね。ママも安売りはするなって言ってたし。
それにしても、高須くんの好みがイマイチ特定出来ない。
なにがポイントなんだ、この朴念仁は。
やっぱり高須くんの為にも、私の為にも現実を見せてあげないといけない。
あいつがどれだけ恵まれているかを解からせてあげないと。
つまり、私の女優らしい姿をしっかり見せる必要がある。
名付けて、「職場の亜美ちゃんはちょっと違う」作戦。
ドラマの撮影現場に招待して、私の役者姿を見せるのだ。
高須くんを直接誘っても来るはずないので、みんなに来てもらう。
麻耶ちゃんと能登くんの二人に話せば、いつものメンバーがそろうので楽な事この上ない。
能登くんに頑張ってもらうのが味噌、でも祐作も来るんだ。ごめんね。
当日は当然、亜美ちゃんの見せ場あり。
かなり力の入ったTAKE、個人的にも私が演じる役の一番重要な場面だと思っていた。
******
結論から言うと、このシーンを選んだのは致命的な失敗だった。
一番重要だと思っていたのは、私だけではなく、スタッフみんながそう思っていたらしい。
つまり、OKまでのハードルが非常に高かった。
「おい、川嶋!RETAKEだって言ってんだろ。早くもとの位置に戻れ!」
「すみません監督、照明さん、みなさんごめんなさい。もう一度やらせて下さい」
「・・・・・・・・・・」
また初めからやり直した。これで何度目だろう。
スタッフの人たちも、私に声すら掛けない。当たり前か。
「おい、無駄に頭つかうんじゃねえぞ。役にたたねえんだから」
はい。と返事したものの、じゃあどうすればいいかなんて思いつかない。
自分の引き出しの無さを痛感する。
またもRETAKE。当然、前より良くなる訳なんて無い。方法が解らないのだから。
ふと周りに目が行く。麻耶ちゃんも奈々子も心配そうにしてる。
タイガーは仁王立ちで監督を睨み付けてると。
こんな撮影にみんなを呼ぶんじゃなかった。
高須くんは・・・・、悲しそうな顔してる!、哀れんでるの・・・・
「川嶋!余所見なんて何様だ。お前のせいで撮影進まねぇて、解かってるよな」
「すみません」
それからも何度NGを出したか解からない。叱責の連続、なんとか撮影は終わったが、
なんかまったく演技してる気がしなかった。どうしてOKが出たか解からない。妥協された?
すこしでも可愛い感じにしようとか、カメラの位置とかもまったく配慮出来なかった。
最後は役のキャラをひらたすら追うだけで、自分の意思なんかなにも無かった気がする。
もうこの監督には見切られたかもしれない。
時間もかなり押してしまった。お昼には終わる予定だった撮りも、午後3時を回ってしまった。
当然、高須くん達はその場に居なかった。
とりあえず、祐作に終了した事をメールで連絡する。
そして、待ち合わせの撮影所内のレストランに向かった。
気が重い。いい所どころか格好悪いとこしか見せられなかったな。
「よし!いくよ亜美」
試合の場にのりこむスポーツ選手のように、自分に気合を入れると私は扉を開いた。
たかが、食堂の入り口でしかないのだから
「みんなおまたせ♪」
もちろん、暗い影なんか一欠けらも忍ばせない。そんなもん持ってきたって
何も良い事はないのだから。
「あ、亜美ちゃん」
麻耶ちゃんが真っ先に反応してくれる。
麻耶ちゃん、奈々子、能登くん、春田くんは心配そう。祐作はにこやか、ちびトラは不機嫌と
ここまでは予想通り、で、高須くんは
難しそうな顔してるな。撮影現場での表情がどうしても被る。
「麻耶ちゃん、みんな、ごめんね。案内するとか言ってた割に待たせちゃって」
「ううん、そんな事ないよ。私たち勝手に見て回っちゃったから」
「亜美ちゃんの撮影あんまり見れなかったの、こっちこそごめんね」
「奈々子様何言って...ぬお」
奈々子、春田くんの影腹に右パンチねじ込んでるな。春田くん痛そう。
「わりと撮影所って面白いとこでしょ」
奈々子の流れに乗せてもらって雑談開始。ここでご飯食べてこう。という話になった。
ただ、こういう時は当然のようにお邪魔虫が入ってくるもので、
「亜美ちゃん、お茶してるの?」
はいはい、子役上がりの同輩役者さんが登場。
こいつはキャリアから、ぽっぽでの私にやけに噛み付いてきやがる。
名前も覚えるのもウザったい。とりあえず、Cとその取り巻きとでもしとく。
「そうなんだ♪」
「へー、いいね、私はスケジュール一杯だから、お茶してる暇もないよ」
さも、大変だけど、好きなことだから大丈夫的な笑顔を浮かべつつ、
私を見下すような上から目線のバカ女三人。そうして周りを見渡し、
「あれ、見かけない子ばっかりだけど亜美ちゃんの友達?」
「そう、学校の友達なんだ」
「そうなんだ、こんにちは。みんな可愛いから、亜美ちゃんと同じ事務所の子かと思っちゃった」
麻耶ちゃんは本当にいい子だから、慌てて
「そ、そんな、普通ですよ、もう一般ピーポーです」
「そんな事ないって、超かわいいって、芸能人級だよ」
「全然ですよ」
「え〜、まじ可愛いよ〜」
Cはエンドレスだかハートレスな褒め言葉を続ける。
その目がさっきから野郎どもに行ってるは解ってるての。
案の定、奴は続けざまに言った。
「あれ、男の子もいるんだ、こんにちは」
ざっとらしんだよ。 っていうかどうせこっちが本命だろうが。
ニヤリと笑い、私に耳元で話しかけて来た。その割にはでかい声、周りに聞かせ気満々。
「ねぇ、亜美ちゃん、あの男たちのどれが彼氏」
「彼氏なんかいないよ」
そう、残念ながらね。大体、こんな関係者だらけの所で話せる訳ないだろう。
気づかれない様に、高須くんに こいつらをやり過ごして と目でサインを送る。
「幸せそうな顔のロンゲくんと、普通メガネさんに、優男風メガネと、やだ、何あれ?
ヤンキー?超ありえなくね〜」
む
「あれれ、亜美ちゃんちょっと怒った、私、怒った顔初めてみた」
しまった、イヤなやつに面倒くさい所、嗅ぎ付けられた。目がキラキラ光りだしやがる。
「どう言う事?チョイ悪系に引かれるっ感じ?、でもあれ極悪って感じだよね。ヤクザ見習い?」
全然ちげーっての、内面性も見て取れねって、役者としてやばくね、この女。
「でもヤクザは無いか、だって金なさそうだもん。アンチセレブって感じだよね。
あ、凶悪な面して台所立ってる絵浮かんだ。超笑える」
高須くん生活臭あるからな、この程度の女にも見破られちゃうなんてどれだけ。
いやいや家庭的っていう事で。
「亜美ちゃんもそう思うでしょ。はは、さすがに彼氏は言い過ぎちゃった、ごめんね。
あの程度の男、くれるって言われたっていらねーけど」
「ちょっと、あの人見てる。聞こえちゃうよ。あの人に暴れられたらマジやばいって」
「うわ、睨んでる。亜美ちゃん後でフォローしといて」
高須くんが顔を向けただけで、慌てふためく取り巻きたち。
バ〜カ、あれは心配してる顔なんだよ。
Cはさすがに動揺してない様子、でスっーと言う感じで、高須くんへ顔を寄せると、
「ごめんね、亜美ちゃん一人占めしちゃって。でも忙しくて亜美ちゃんと話せないんだよね、
こんな時しか。大切な彼女さん貸してね」
「俺の彼女じゃないから、俺は態々聞く必要はねぇよ」
「へ〜、そうなんだ」
C,てめーは自分が有利な時しか話しかけねーだろうが、高須くんに余計な事言わせないでいいから
もう、早くどっかへ行けよ。
Cはニヤリと笑うと、こっちに顔を向ける。私の表情から感情を読み取ろうとしているようだ。
そうそうボロを出す訳にはいかない。ニコニコ顔を作る。すると、話題を変えてきた。
「で、そういえば亜美ちゃん、撮影はこれから?」
「ううん、もう終わり」
「あれ、亜美ちゃん今日たしか、昼前の取りだけだよね
しかも、監督から今日のシーンに集中するように1カットだけにしてもらったんでしょ、わざわざ」
こいつら、時間が掛かった事知ってて言ってやがる。バカ女3人が優越感たっぷりの笑顔に変わる。
「そう。かなり緊張したけど、なんとかOKでてさ」
「大変だったね、今回の監督って亜美ちゃんだけに厳しいのかな?
私はあんまりNG出してないから解らないけど。なんか可愛そう」
イライラするなよ。この程度の事はいつもの事なんだから、これくらい感情抑えろ。
「そんな事ないよ、私がまだまだだし、初めてのドラマの割りに重要な役だし」
「そ、そうだよね。良いなあんな役、初めてのドラマでもらうなんて・・・・
あれだよね、監督が亜美ちゃんのお母さんと仲良いからでしょ。
でも〜、亜美ちゃんは亜美ちゃんなんだからね。
キャリア積んでないだからNG出しても仕方ないんだよ。
だっってぇ、演技の勉強してないだから普通なんだよ。みんな解ってるよ。
今までの写ってればすむモデルの仕事とは違うんだもん」
「そう言ってくれてありがとう。がんばるよ」
だから、これくらいで殺気立つな。左右。切実に早く話終わらせたい。
「まぁ、亜美ちゃん天然だから、仕方無いよね。
学校では亜美ちゃんどんな感じなの、学校だとアイドルなんだろうね。
普通の学校なら努力もいらないよね。天然さんでも」
もう手遅れだった。ついに爆発してしまった。
大本命の猛獣が。
「あー、うざいっての。はやく何処かに行け馬鹿女ども。ド頭勝ち割るわよ」
タイガーは立ち上がると、殺る気一杯の目線とオーラを大放出して立ち上がった。
「な、な、に、どういうこと。亜美ちゃ〜ん」
助けを求めるようにCは私をみるが、私が関わらない方がまるく収まるに決まってる。
一応目線で、ごめんね、はやく席たって光線をだすが、伝わってない。
それどころか、やつらは恐怖を怒りに転換してやり過ごそうとしている。
自称肉食系女子なんだろうが、
所詮、ハイエナと猛虎では格が違う。野生の本能に従って尻尾まいて逃げろっての。
「はっきり言わないと解らないなんて、どれだけ頭空っぽなんだ。この低脳女。
もっとわかり易く言ってやる。Go away とっととウ!セ!ロ!!」
一見、フランス人形みたいな美少女顔だけに、こいつの正体知らないと本当怖いわ。
タイガーの圧力に押され、3人は後ずさり、そのまま返ればいいものの、Cは反撃を試みる。
「何こいつ、態度悪くない? このちっびっ子。亜美ちゃんレベル下げるよ」
「はぁー、なんだそれ、芸能人なんて偉くも無いんだよ。
大根役者が偉そうな事言うんじゃない、しっかりと発声出来るようになってから喋べれ。
いや黙れ。騒音公害を垂れ流すな。社会の敵」
「大根役者・・・あんただって芸能人見たさに撮影所来たんだろ。
自分の力で芸能界に来れないからって」
「開いた口が塞がらないわ。撮影所にいるのが凄いじゃなくて、芸が出来て初めて価値があるんだよ。
ほら、すぐに芸見せなさいよ。物真似150回連続ぐらい出来るなら褒めてやる。
はん、何も出来ないのかこの屑」
今すぐに飛び込んできそうな剣幕に、口喧嘩をしていた口が虎口であり、
その前にいる事に命の危機を感じとったのか、Cは撤退準備を始めた。
「.......実際、見学に来てる人間に言われてもね。あーあ馬鹿くさい」
「別に撮影現場に来たかった訳じゃないわ、と、友達の職場だから、からかいに来ただけだし」
捨て台詞にすら否定をする猛獣に、涙目になりながら相手を私に切り替えるC。
「亜美ちゃん、友達は選んだ方がいいよ」
「まったく、私も同感だわ」
最後まで噛み付くタイガーだった。
******
さすがにこの騒動、その場には留まれず、早々に帰る事になった。
撮影所を出た道すがら、頼まれもせず先導役にしゃしゃり出る祐作が早速まとめに入る。
「飯を撮影所ですませる筈だったがちょっと早めに出てしまったな。さてどうするか」
「マルオ、やっぱりご飯食べてこうよ。私、夕飯済ましてくるって言っちゃったし、ねぇ、奈々子」
奈々子もそうねと同意をした所で、能登くん、春田くんはパブロフの犬の如く、YESと鳴く。
「逢坂はどこがいい」
「じゃあ北村くん、じゃあさ、ジョニーズにしようよ。
バイトで来れなかったみのりんに報告もしたいし」
祐作はとなりにいるタイガーにまず確認を取ると、私たちの方を向いて続けた。
「そうだな、高須も亜美もそれでいいだろ」
「ごめん、私はパス。今日思ったより撮影で疲れちゃってさ」
本当に今日は疲れてしまった。ワンカットがこんな疲れるなんて思ってなかった。まだまだ甘いな。
タイガーのおかげで少しはすっきりしたけどって、なにタイガー。心配そうな目で見てるのよ。
「あんたが仕出かした事が原因じゃないんだって、ちびトラらしくもない」
チビの態度は変わらず、まったく面倒な女の子だこと。
「じゃ、改めてお礼するね。逢坂さんのお陰で元気になっちゃった。ありがとう。
本当、私の事友達なんて言ってくれて、亜美ちゃん超感動しちゃった」
「あ、あれはあいつらを一番凹ませる言葉を選択、そう戦術的な選択。
本心なんかじゃないんだから」
「うん、うん、そうだよね。タイガーちゃん」
「こいつムカつく、もういい早くご飯食べに行こう」
まったく手間の掛かるお嬢様。ちゃんと解かってるよ。
その時、高須くんが声を発した。
「北村、わりぃ、俺も今日は帰るわ」
「竜児・・・・・」
またチビが心配始めた。まったく、物事考えてから口に出してよね。
わざわざ言いたくない台詞を使わないといけないじゃない。
「高須くんも、みんなとご飯食べてくればいいじゃん」
タイガーは高須くんの方に顔を向けた。高須くんも正面からそれを受け止める。
僅かな時間の後、今度は私の方に顔を向け
「竜児、インコちゃんお腹すかせたら可愛そうだからちゃんとご飯あげるのよ」
と言って背を向けた。
「逢坂行くぞ。話してたら俺も腹がへってきた。ほら」
手を差し出す祐作、すこしの躊躇の後、チビはその手を取った。
そして(麻耶ちゃんの健気な努力、能登くんの凹みよう等もあったが)私と高須くんを
除いたメンバーはジョニーズに向かった。
******
みんなと別れた後、私たちは二人、夜道を歩いた。
高須くんは難しい顔で前を歩き、私は少し遅れて彼を追いかける。ただそれだけ。
彼は振り返る事なく前を歩く、時々、歩みを落として私を待ってくれる。が、
いつのまにか自分のペースになってしまい、再び歩みを落とす、その繰り返し。
その動きが面白く、私はあえて歩く速度を落としたり、早めたりしていた。
そうしてるうちに分かれ道、高須くんと方向を違える所まであと少し。
私は先延ばしにしていた事を確認する事にした。
「高須くん、タイガーが怒った理由って何だと思う」
高須くんは後ろにいる私を顧みて
「お前言ってたじゃねえか、お前の為に怒ったんだろ」
と言った。表情から、思ったことをそのまま言っているように思える。
やっぱり気が付いてないんだろうな。私は余計な事を言おうとしてる。
なんて中途半端ないい格好しぃ
「私は誰かさんが爆発する前に、先手を打ったのかなって」
「誰って誰だ?」
再び高須くんを表情で確認した。はぐらかそうとしている顔だ。だから言った。
「亜美ちゃん解かんな〜い」
「お前が言い出した事だろうが」
私がそのまま高須くんの事を無視していると、彼は諦めたかのように歩くのを再開した。
ただ、さっきと違うのは歩く速度は常にゆっくりだ。
だから、私はもっとゆっくり歩く、ある程度距離が開いたのを待って言う。
「高須くんが歩くの速いから亜美ちゃん疲れちゃった。荷物が重たくて動けないよ」
「荷物たって、おまえ小っちゃいハンドバック一個じゃねえか」
高須くんは歩みを止め振り返る。口ではそう言ったもののこっちに引き返してくれる。
ちょろいちょろい、それでこそ高須くん。
「こういう時、いい男は黙って荷物を持ってくれるものだよ」
「へいへい、わかったよお姫様、お荷物をお持ちしますよ」
「はーい、じゃお留守な右手をお出し」
高須くんは素直に右手を差し出した。ふ〜ん、現行犯逮捕しようと思っただけなのに、
やっぱ嬉しいかも。
「高須くん♪」
「お、おう」と顔色を警戒色に変え、こちらの反応を伺ってくる。
「また蜂蜜金柑飲みたくなっちゃった」
「おい、俺また心配させちまったか」
「今日は違うよ。手当てをしたくなっただけ」
「別に、手当てするまでもねぇて」
「かなり深く爪食い込んでたよ、右手の手のひら」
高須くんは右手を私の視線の外に動かすと、
「たかが、自分の爪だ」と言った。
彼の目を見つめる。この鈍感な頑固者にも伝わるよう意思を込めて。
「でも、そこまで我慢してくれたって事でしょ、こんな短い爪じゃ普通食い込まないもん。
タイガーみたいに怒ってくれるのも嬉しいけど、
相手の事、立場を考えて、信じて、我慢してくれる男の子って私は好きだな」
私は好きだと告げた。
「そんなんじゃねって」
当然、この男には通じる訳も無く、しょうがないからじゃれてみる。
「いい女のする事には、口を挟まない!」
「それって尻に敷かれてるって言わないか」
「そうとも言うかな?」
馬鹿にするように笑ってみる。あれ、高須くん以外と真剣だ。
「川嶋無理するんじゃねえぞ」
「う〜ん、なにが」
「今日みたいな事だ。いや今日だけじゃねぇ。お前、我侭腹黒決め込んでるが、
実際は自分を殺して、周りのことばかり気にしやがる。
それなのに自分の本当の顔は見せたがらない。それじゃお前は」
「大丈夫だよ、高須くん」
高須くんの言葉を遮る。心配してくれる事は嬉しい。けれどそれはもう杞憂なんだよ。
それをどうしても伝えたかった。
「私がしてる事、私をわかってくれる人が一人でもいるから、大丈夫なんだ」
それが恋する人なら尚更にね。私はこの人に心からの感謝とラブコールをした。
END
以上で、メインのお話終わりです。
もう少ししたら、Bパート的な話を話を続けて投下させて頂きます。
あと、9レスほどあるので、規制されないように時間おきます。
投下お疲れ様です。
後でゆっくり読ませていただきたいと思いますが、とりあえず、
つC
GJ!
全裸で投下待機させて頂きますw
寝れなくなってしまったw
支援いただいた方、レスくださった方ありがとうございます。
続けて投下させて頂きます。
題名: Happy ever after 第3回 追伸
方向性:竜児視点でもう一回。ちょっとくどいかも
Happy ever after 第3回 追伸
「おい、川嶋!RETAKEだって言ってんだろ。早くもとの位置に戻れ!」
怒号が響き渡る。場にいるもの全てに冷水を浴びせるような。
竜児は真剣で切り付けらるような空気を肌で感ていた。
ここは学校のような竜児の日常とはかけ離れた場所、戦場だった。
発言者はこのドラマの監督。縁が濃い眼鏡に、ニットキャップ、口ひげ。
表情が解らないだけに凄みが嫌でも増す風貌だった。
歳は40〜50代の間だろうか、やけにギラギラした雰囲気が年齢を特定する事を邪魔している。
「すみません監督、照明さん、みなさんごめんなさい。もう一度やらせて下さい」
川嶋は謝罪を入れる。だが、周りからは何の声も返って来ない。
いやこの監督が作る空気は声を掛けるなと言っていた。
川嶋の味方をする=監督を敵に回す。という構図が其処には在った。
それがプロのコントロール術なのかもしれないが、女子高生相手にそこまでやるものなのだろうか?
威圧、重圧、恫喝、あらゆる手段で川嶋を孤立させているようだった。
「高っちゃん、何が悪いか俺にはさっぱり何だけど、これって俺がアホの精?
なんか亜美ちゃん可愛そうだよ」
春田が泣きそうな顔で俺に問いかけてくる。
「なんか文句ばっか言って。具体的な事言わないおっさんだな」
能登も同意を求めるように続け、木原が自分の事のように憤慨して応える。
「無理やり文句言ってるんじゃない?亜美ちゃんしっかりやれてもの」
だが、俺は言葉を持たなかった。
あいつがプライドを掛けて、やってる仕事が目の前にあるのだから。
「ふん、あいつがOK言わなきゃ終わらないなら。気に入るようにやるしかないんじゃないの」
「えー、タイガー、亜美ちゃんじゃなくてあの爺の味方なの」
木原が反論するが、大河は続ける。
「外野が何言ったて変わるわけじゃない。それにバカチワワはやる気みたいだし」
その一言に、川嶋に目を移す。
川嶋は周りからの無反応に目を伏せるが、唇をかみ締めると、足早に開始位置に戻って行った。
本当に負けん気が強い女だ、と竜児は同級生を見つめる。
いや、本当に同級生の川嶋亜美なのだろうか?
あの、子供の様に我が強く、悪戯好きで、時折見せる今にも迷子になってしまいそうな
弱い女の子はそこに居なかった。
時に怯み、後退るが、それでも正面から何度も挑でいた。
あいつは本当に、俺の先を行ちまってる。
川嶋はTVドラマに出られるくらいの役者で、俺は単なる一学生だ。
その開きはどれ位なものだろう。追いつくことなんて出来るんだろうか。
もし、万が一、俺が川嶋亜美と共に歩いたとしたら、
あの臆病なお姫様は、きっと、後ろを何度も振り向くのだろう。
時にはワザと歩みを遅らせたりするかもしれない。
それは、あいつが本来たどり着けるはずの場所に、ペースを落とさず歩いていけば届く場所に、
辿り着けない事を意味する。
そんな未来への不安と共に、俺は川嶋を見てしまった。
けれど、川嶋の瞳は先ほどより、強い光を宿し、前をしっかりと見ていた。
そして、必死に何か打開策を探ろうと考えを巡らす様が見て取れる。
が、その努力を叩き壊すように怒声が響いた。あの監督だ。
「おい、無駄に頭つかうんじゃねえぞ。役にたたねえんだから」
川嶋は直ぐに返事を返すが、狼狽は明らかだった。
駆け寄りたい衝動に駆られる。だが、それはマイナスにしかならない事も十二分に承知している。
俺に出来ることは何も無い。
またしても、怒声が響く。
「川嶋!余所見なんて何様だ。お前のせいで撮影進まねぇて、解かってんよな」
「ふざけんな、進まねぇのはお前の所為だろうが」
木原が我慢できないといった表情で小さく呟く。
その時、大河が
「ねぇ、ここつまんないから、別な場所行きましょうよ」
と自分に宣言するように告げ、一人先に歩き出した。
後ろを顧みることなく、ギャラリーの輪から離れて行く。
「何で、タイガー信じらんない。なんて薄情」
木原の矛先が大河に切り替わるが、北村が直ぐに割って入る。
「まぁ落ち着け。逢坂は、亜美の邪魔になるからここから移動しようと行ってるだけだ。
それに俺もその方がいいと思う」
口ぞえするように香椎も続ける。
「タイガーちゃん、意地ぱりだからね」
そして木原は・・・・・私だって解ってる と小さく返した。
******
その後、北村の案内で撮影所内を回った。
北村は幼い頃、遊び場としていたとの事で撮影所内について詳しく、
生来の仕切り屋ぶりもあり、十分に満喫出来た。
いや、午後は川嶋が案内する予定になっていたから、みんな無理に騒いでいたと思う。
撮影所内を2時間程度見て回った頃であろうか、北村の携帯がメールの着信を知らせる音を奏でた。
川嶋が仕事を終えた事が知らされる。空気が幾分軽くなった。
一刻も早く待ち合わせのレストランに行くことに、全員一致で決定した。
******
レストランについて、30分程の時間がたつ。
食べ物は川嶋が来てから頼むことにして、飲み物のみを頼み、雑談をしていた。
その間も、入り口から人が入ってくるたび、自然と目を向けてしまっていた。
何十回目かの後に、川嶋がやって来た。
「みんなおまたせ♪」
そこには、自分の可愛さに一切の疑問も持たない自信に溢れたいつもの川嶋亜美がいた。
あまりの川嶋の姿勢に、俺が掛ける言葉を探し、それがどうしても見つからない。
そんな感じで、もたもたしている間に木原、香椎、能登、春田と次々に川嶋を労う声で溢れる。
結局、俺はお疲れさんの一言しか言えなかった。
そうして、場は川嶋を労わるお茶会に自然と変わって行った。
撮影の時の川嶋、目の前にいるこいつ。素の川嶋亜美、そして俺の立ち位置。
そんな思いが頭の中をグルグルと旋回し、川嶋に気の利いた言葉一つ掛けられない俺が
ただ取り残されていった。
「亜美ちゃん、お茶してるの?」
突然、聞きなれない高めの声が割って入って来る。
川嶋の仕事仲間と思われる女の子が3人、歳は俺たちと同じぐらい。
川嶋といい、どうしてこうも女優という輩は美人が多いんだ。同じ人間とは思えん。
突然、やって来た女たちは川嶋たちと話した後、
こっちにも話し掛けて来た。
そして、川嶋に耳打ちする。なんか感じが悪いな、おい。
手の平を開き、明らかにこっちに音がもれる様にしてから余計に。ワザとかよ。
「ねぇ、亜美ちゃん、あの男たちのどれが彼氏」
「彼氏なんかいないよ」
川嶋がこっちに目を向ける。
解ってる、お前は駆け出しの女優、弱みは出せねえよな。
実際、付き合ってる訳でも無ぇし。
「・・・・・ヤンキー?超ありえなくね〜」
あの女は聞こえるようにして喋ってる。明らかに俺に聞かせたいらしい。
川嶋といい、どうしてこうも女優という輩は意地の悪いのが多いんだ。同じ人間とは思えん。
だいたい、今更ヤンキーだって言われても、こっちは馴れっこ、なんの動揺もしない。って
なんで、サインを出した本人の川嶋が、むすっとしてるんだ。お前、役者だろうが。
案の定、あの女に嗅ぎ付けられちまってる。
「あれれ、亜美ちゃんちょっと怒った、私初めてみた
どう言う事?チョイ悪系に引かれるっ感じ、でもあれ極悪って感じだよね。ヤクザ見習い?」
だから、川嶋。お前の事じゃないんだから。いいから落ち着け。
そんなんだと、調子乗らせちまうぞ。
川嶋がいつボロ出しちまうじゃねえかと、ヒヤヒヤして見ていると
こっちを見て、取り巻きの女の子が言い切る。
「うわ、睨んでる」
俺的にはそれと無く視線を向けてたつもりんだか、どれだけ凶悪なんだ俺の顔は。
とりなす様にリーダー各の女が話し掛けて来た。顔近すぎだって。
「ごめんね、亜美ちゃん一人占めしちゃって。でも忙しくて亜美ちゃんと話せないんだよね、
こんな時しか。大切な彼女さん貸してね」
「俺の彼女じゃないから、俺は態々聞く必要はねぇよ」
と努めて軽い感じの声色で返す。
芸能人と言う立場にある川嶋にとっては、俺は何の役にもたたない重荷でしか無い。
彼氏とか彼女とかの次元は地平の彼方だ。
「へ〜、そうなんだ」
一寸した収穫と言う感じで、その女はニヤリと笑い、矛先を川嶋に戻した。
そこから始まったのは皮肉と嫌味の嵐、女って怖いな。
「 監督から今日のシーンに集中するように1カットだけにしてもらったんでしょ、わざわざ」
「 今回の監督って亜美ちゃんだけに厳しいのかな。私はあんまりNG出してないから解らない。
なんかかわいそう」
こいつの話はいつ終わるんだ。ただ嫌味を聞くって言うのは、
こんなストレスが溜まるものだっただろうか。
人相の事で、今までの担任(恋ヶ窪ゆり除く)や生活指導に鍛えられて、嫌味の耐性スキルを
習得済みだと思っていたんだが、認識を改めねぇと。
「あんな役、初めてのドラマでもらうなんて、監督が亜美ちゃんのお母さんと仲良いからでしょ」
「キャリア積んでないのだからNG出しても仕方ない」
「演技の勉強してないのだから」
「写ってればすむモデルの仕事とは違う」
殺意にすら昇華出来そうな程の憤りが胸の中で渦巻く。
だが、当の本人が耐えてるのに、俺みたいな外野がブチ壊していいはずが無い。
だから、今の俺は拳を握り続ける事しか出来なかった。
「まぁ、亜美ちゃん天然だから、仕方無いよね。
学校では亜美ちゃんどんな感じなの、学校だとアイドルなんだろうね。
普通の学校なら努力もいらないよね。天然さんでも」
あいつの努力を知っているはずの俺が出来ることはひたすら指に力を込めるだけだった。
そんな俺とは違う、もっと男らしく、強い奴がいた。大河だ。
大河が立ち上がる。
結果、大河一人で奴らを追い払った。
しかも、川嶋の立場はそのまま、おそらく悪くなるなんて事は無いだろう。
何故なら悪人役は大河一人だったからだ。
逢坂 大河は、不合理なものに立ち向かう強さと、友達を大切にする優しさをを持つやつだった。
兄貴の時にあれだけ思い知らされたのに、普段の大河を見ていた所為ですっかり忘れていた。
いくら自分が傷づこうが、友達が傷つくのは許せない奴なんだ。
でも、それじゃあ、こいつが傷ついた時、誰が守ってやれるんだ?
******
大河が一暴れした後、追い出される前に撮影所から自主退場した俺たちは、
木原の提案により、夕食を取る事になった。場所は櫛枝のバイト先だ。
まとめ役を引き受けてくれてる北村が俺と川嶋の方を向き、声を掛けて来た。
「高須も亜美もそれでいいだろ」
撮影所のレストランよりくつろげる場所だったので、俺はまったく異論は無かった。
当然、川嶋も乗ってくると思っていたが。
「ごめん、私はパス、今日思ったより撮影で疲れちゃってさ」
また、こいつは気を回してるのかと、目をやるが、
小ずるそうな笑い顔の仮面も、視線を外し遠くを眺めるような顔もしていない。
安心した。疲れた顔の方が、虚勢を張る姿より何倍もいい。
ま、あれだけの仕事こなしたなら疲れもするか。
と川嶋の顔をバカみたいに見ていた。当の川嶋は大河を見てやがる。そして
「あんたが仕出かした事が原因じゃないんだって、ちびトラらしくもない。
「じゃ、改めてお礼するね。逢坂 さんのお陰で元気になっちゃった。ありがとう。
本当、私の事友達なんて言ってくれて、亜美ちゃん超感動しちゃった」
何て事をいいやがる。素直じゃねぇな。
そうやって俺たちを送り出して、こいつは一人で帰るのか?
今のこいつは大河の事もあったから楽しそうにしてるが、
あいつが疲れた顔も隠さないくらい大変な撮影だったんじゃないのか。変なやつらにも絡まれてるし。
そうして、こいつは一人で悲しい顔をしちまうんじゃないのか。
「北村、わりぃ、俺も今日は帰るわ」
俺は何となくそんな言葉を発した。
大河と川嶋が声を掛けてくる。
「竜児・・・・・」
「高須くんもご飯食べてくればいいじゃん」
軽く唇を噛む大河に、すまし顔の川嶋
無理をしているのは誰だ。
なんで、俺の回りはこうも不器用な奴らばかりなのだろう。
北村に目で話しかける。頷く仕草をみて、あいつにフォローを頼む。
北村がいてくれて本当に良かった。
そして自分の気持ちを確認する。
そこには苛立ちが燻っていた。
大河は、今の大河なら、みんなが誘えば俺が行かないとしても、一緒に食事に行く選択が出来る。
櫛枝が大河を心から迎えてくれるだろう。北村も居てくれる。
能登、春田、木原、香椎。今ではあいつが友達と呼んでるやつらも一緒に居てやれる。
だが川嶋は。大河より木原たちと仲がいい筈のあいつなのに、
あいつは一人で帰るという。そんな事許せるはずが無い。
だから、俺は大河に許可を取る事にした。なぜ大河の許しを得ようとしたのかは解らない。
だだ、絶対にしなくてはならない事だと解っていた。大河の瞳を見る。
大河の瞳が俺を正面から射る。強い、大河らしい光だった。
だから、俺も正面から見つめる。俺の真意を伝える。
こいつに隠すも必要があるものを俺は何一つ持ち合せていない。その自信があった。
見詰め合ったのはほんの少しの時間だった。最後に大河の瞳に、見慣れない光のような、
弱さのようなものがあったのが、酷く心に尾を引いた。
そして、川嶋の方を見ながら俺に
「竜児、インコちゃんお腹すかせたら可愛そうだからちゃんとご飯あげるのよ」
と告げ、北村に連れられて俺たちから離れていった。
******
俺は川嶋と二人で夜道を歩く。
こいつと並んで歩くほど度胸もなければ、ここでも後ろを歩くほど不甲斐ない俺を続ける気も無かった。万が一にも、夜道で女を付けねらう不審者なんて理由で職質を受けたくないって理由もあるが。
だから、俺は川嶋の前を歩く。
どんな顔をしているか気になるが、振り返る事なく歩く。
もし俺が、こいつの顔色を伺ってるなんて態度をとったら、
こいつは何処かに行っちまうんじゃないかなんて不安があったからだ。
だから耳を澄まし、足音だけを頼りに歩く。
先導出来るように足早に、置いてけぼりにしないようにゆっくりと
いつの間にか一人で歩く歩幅になってしまう自分を押さえ、川嶋の一歩を想像し、
速度をコントロールする。
その内、一定だった川嶋の足音が不規則になっている事に気づく。
疲れたからだろうか、そんな事聞いても、まともな返事等来るはずもないから、一言も発しない。
ただ、より足音に耳を済ます。絶対にペースを合わせてやる。
足音のテンポの変化が急激になって来た。
アンダンテからアダージョ、アニマート、アレグロ
軽快に、悪戯っぽく。
遊んでやがるな
重かった足音が、楽しげになった事が自分の事のように嬉しかった。
悪戯っ子の川嶋が戻ってきた事が嬉しかった。
そこには、こいつと一緒に歩く事自体を楽しんでいる自分がいた。
時間を忘れただ歩いた。
長かった気もするし、あっという間だった気もする。
気づけばもうすぐ分かれ道、川嶋の家と方向を違える所まであと少し。
そう思った矢先、川嶋が声を掛けて来た。
「高須くん、大河が怒った理由って何だと思う」
なにを疑問に思っているのかまったく解らず、川嶋の顔にヒントを求め後ろを返りみなが言った。
「お前言ってたじゃねえか、お前の為に怒ったんだろ」
そこにあった顔は、俺を笑うような、自分を嘲笑うような、そんな笑顔。
「私は誰かさんが爆発する前に、先手を打ったのかなって」
腹がたった。無駄に気使いやがって。これは俺自身の問題、お前が気に病む必要なんか何も無い。
「誰って誰だ?」
「亜美ちゃん解かんな〜い」
「お前が言い出した事だろうが」
川嶋がまた変に考え込んでやがる。それも素の川嶋なんだろうが。
そんな顔を俺は嫌らった。心配になっちまう。
あいつのペースにならないよう歩き出す。
だが、置き去りにする勇気もない俺は、ゆっくりとしか足を運べなかった。
だから、川嶋が続いて歩き出した時は正直ホッとした。
「高須くんが歩くの速いから亜美ちゃん疲れちゃった。荷物が重たくて動けないよ」
釣り針が来たなと思って振り返るが、作った顔の裏に疲れが見えた気がした。昼間の川嶋とだぶる。
タイヤキくんの気持ちが何となくわかった。
「荷物たって、おまえ小っちゃいハンドバック一個じゃねえか」
「こういう時、いい男は黙って荷物を持ってくれるものだよ」
「へいへい、わかったよお姫様、お荷物をお持ちしますよ」
「はーい、じゃお留守な右手をお出し」
川嶋のハンドバックを受け取るため、右手を出す。
「高須くん♪」
お姫様は機嫌のいい声色、捕らえられちまったかな。
「お、おう」と警戒しながら答えてみた。これからどんな悲惨な未来が俺を待つのだろう
「また蜂蜜金柑飲みたくなっちゃった」
また我慢してたのか、そうなら仕方ないか。と言う諦めに似た安堵感を感じつつ聞いた。
「おい、俺また心配させちまったか」
「今日は違うよ、手当てをしたくなっただけ」
しまった。迂闊な俺。本当に大した事じゃ無ぇんだから、て言うか無茶苦茶恥ずかしいだろう。
大河の方がよっぽと男らしい態度とってるのだから。
「別に、手当てするまでもねぇて」
「かなり深く爪食い込んでたよ、右手の手のひら」
その言葉から逃げるように手を隠す。
まったく格好悪いことだ。「たかが、自分の爪だ」
川嶋が見つめて来る。その目は強い意思で輝き、けれど、柔らかく、はにかんでいた。
「でも、そこまで我慢してくれたって事でしょ、こんな短い爪じゃ普通食い込まないもん。
タイガーみたいに怒ってくれるのも嬉しいけど、
相手の事、立場を考えて、信じて、我慢してくれる男の子って私は好きだな」
真正面からの瞳と言葉をぶつけられて、俺みたいな度胸無しに、まともな言葉を返せるわけも無く
「そんなんじゃ無えって」
なんて、言うのが精々だった。
すると川嶋は口調をからかい用に変えて、絡んできた。
アブナカッタ。かなり追い詰められていたから、もっと攻めこめられていたら、
なにが口から飛び出すか自分でも自信か無え。
「いい女のする事には、口を挟まない!」
そんな川嶋の言葉に、もう手遅れな気がするが、
「それって尻に敷かれてるって言わないか」
と返してみた。すると
「そうとも言うかな?」と
馬鹿にするように笑う、いつも通り俺をからかってそれで終わりにしようとしてる感じた。
結局、今日一日、こいつの口からは愚痴どころか、撮影の時の話すら出てこない。
きっと、いい所見せられなかった とか弱音を吐いても仕方ない と思っているのだろう。
そうやって、溜め込んでいたらいつかきっと・・・・
俺は急に怖くなった。だから、
「川嶋無理するんじゃねえぞ」
なんて言葉が気が付いたら口から出てしまった。だが、川嶋は なにが なんて言って
煙に巻くつもりのようだった。
だから、強く出てしまった。
「今日みたいな事だ。いや今日だけじゃねぇ。お前、我侭腹黒決め込んでるが、
実際は自分を殺して、周りのことばかり気にしやがる。
それなのに自分の本当の顔は見せたがらない。それじゃお前は」
「大丈夫だよ、高須くん」
川嶋は、とても静かな顔をしていた。この静謐さを壊してはいけない。
という思いが俺を黙らせる。そしてなんて、無防備な顔。
「私がしてる事、私をわかってくれる人が一人でもいるから、大丈夫なんだ」
川嶋は微笑みで顔を満たしていた。
この笑顔に傷一つけられたくない。大事にしまいこんでしまいたい と思った。
だからか、こんな顔でカメラの前には立って欲しくないと思っちまった。
END
以上で第3回分、全て投下終了です。お粗末さまでした。
まとめサイトの管理者様。いつもお疲れ様です。。
乗せて頂く際、メインと追伸、1本にしてくださり、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
GJ!です。
同じ話で視点が違うって、なんかいいですねぇ。
それでは、とりあえず服を着て寝ますw
イイ! かなりイイです!
ただ凶暴なだけでなく、亜美や竜児の為に戦える大河も。
亜美の為に怒り、亜美の為にその怒りを抑えられる竜児も。
二人の気遣いを汲み取って感謝出来る亜美も。
どいつもこいつもイイ男、イイ女すぎる。
「よしっ…こんなもんかっ」
昨日の期末テストのおさらいをしていた竜児。
背伸びをして、勉強机に鉛筆を置き、隣のマンションの窓を見上げた。
僅かに開いたカーテンから、大河の部屋の明かりが見える。
こんな手の届きそうなくらい近くに、大河の寝室がある。
その大河と今日、竜児はお知り合いになってしまった。
大河は多少、お天気屋さんっぽい所があるみたいだが、
それがまたチャームポイントだと、竜児は思う。
なんといっても、あの完全無欠の美貌…各パーツ全てが奇跡の造形で、
しかもバランス良く配置されている。超、美少女だった。
もちろん竜児は実乃梨が好きだ。それは揺るぎない。大好きだ。
ただ、大河が可愛い過ぎるのだ。だから、ちょっと。ちょっとだけ妄想する。
…例えば…例えばだ。あんな可憐な娘が、気性が激しくて、
腕っ節が強くて…竜児の事を好きだったら、どうなんだろうか?
…ねえ竜児…
おうっ、呼び捨てかよっ、…なんだよ、大河…
…あ、あんたこそっ、呼び捨っ!…まあいいわ…竜児…えと…あの…すっ…好っ…
大河…好きだ…
…ふええっ?なな何で先に言うのよっ!このっ!生意気っんっ…んふっ…
竜児は唇で、大河の唇を塞ぐ。大河は何か言おうとモゴモゴしていたが、
キスが進むにつれ、大河は自分の舌を、竜児の舌に絡み付けていく。
竜児が抱きしめている小さな塊は熱を帯び、とても熱く、竜児の胸は汗ばむ。
大河の薔薇色の唇から離れるチュッと音がし、大河は…あふっ…と吐息を漏らす。
…竜児…ズルい…そんな事されたら…
竜児は、大河の火照った小さな耳たぶを、甘く噛んだ。そして首筋を舐める。
まるでソフトクリームをそうするように。
…ねぇっ、あふっ…竜児っくすぐったいっ!…っん…
体をくねらせ、竜児の吐息、ヌメりのある舌に、大河は必死に堪えている。
…堪えながら、大河は悦んでいるのかもしれない。
…りゅっ、竜児っ、変な格好させないで…
竜児は、大河の細いが、柔らかい太ももを掴み、持ち上げる。下着が露わになる。
下着から、立ちのぼる香しい雌の臭いを、クンクン…竜児は、鼻先で確かめた。
…やだ…本当、犬みたい…ひゃうっ…
困窮した犬のように、竜児は、むしゃぶりつく。大河の下着が湿る。
まだ足りない。器用に口先で、大河の下着を剥いだ。直接、舐める。
…ふあぁ、竜…児っ…凄っ…ぅぅうううう…あんっ…
竜児の肩に掛かる、大河のニーソックスの肌触りが、竜児の感覚を刺激する。
大河…挿入れてえ…
竜児は欲望を素直に大河に伝える。大河も一緒だった。
竜児のソレは、痛いほど硬化していた。グチュン…大河の狭穴にねじ込む。
…んあっ!竜児っ…
小柄な大河の体が浮く。竜児は、その態勢のまま、大河を縦に、小刻みに揺さぶる。
怯えるような、かよわい声で、大河は喘ぎ続ける。
…ぁっ、ぁっ、竜児っ、ぁっ、ぁっ…
大河は竜児のシャツを脱がし、竜児の黒い乳首に吸い付いた。
おおうっ大河、そんなに強く…
目を瞑って懸命に吸い付く大河。色づき汗ばむ頬、まるで乳児のようだ。
竜児は仕返しに、大河の乳首をキュウっとつまむ。大河の肉体が一瞬、跳ねる。
…やんっ、やっ、…や…やんっ…りゅ…竜児…やっ…
はあ、はあ、大河…俺…はあ、いっ…
竜児は、自分の下半身に、快感が集中していくのを感じる。一点に凝縮され、そして…
ガシャン!!
「おおうっ、危ねえっ!!何だ、何が起こった?!」
竜児が、放出したと同時に、何かが竜児の部屋の窓ガラスをブチ割って、飛び込んできた。
ティッシュでマスターベーションの後処理をしながら、竜児は未確認飛来物に近づく。これは…
「…マグ…カップ…だな」
竜児は、パンツをズリ上げ、マグを回収。割れた窓ガラスを避けながら、ベランダに出た。
「ちょっと、あんたっ!さっきから何度も呼んでるのに、なに無視くれてんのよっ!!
勢い余って、マグ投げちゃったじゃない!どうしてくれるっ!!」
向かいのマンションの窓から小さな影が大騒ぎしている。もちろん大河だ。
「有り得ねえ!なんだよ逢坂!いったい俺に何の恨みがあるんだよ!なんで窓割るんだよっ!」
竜児は投げ込まれたマグを振り回し抗議するが、大河は、窓からパジャマ姿で腕を組み、
全く悪怯れる様子は皆無だった。そしてピシャリと竜児に言い返す。
「無視するあんたが悪いんでしょ?わたしは悪くない。不可抗力よ。遺憾よねっ」
あーあーあーと漏らしながら、ベランダにあったチリ取りで破片を片付ける竜児。
まあ、少し妄想ネタにした罪悪感もあり、大河の悪行を黙認する。
「…分かった、逢坂っ。俺が悪かった…で、用件は何だ?」
大河は、上から目線で、少しアゴを上げ、竜児を蔑むように語り出す。
「いい事?今日の事は、他言無用だからね。誰にも言うんじゃないわよっ、
特に、そのっ…北…北村くんとか。…分かったわねっ!」
「なんだよ逢坂、そんな事で、人ん家のガラス、破壊すんなよな〜…北村?…なんでだ?」
「うううるさいっ!わたしに質問するな!!わたし優しいから、あんたが余計な事しなければ、
穏便に済ましてあげるわよ!よかったわね。感謝しなさいっ。…それとも、こいつで…
あんたの脳天ぶっ叩いて、記憶を丸ごと、ブッ飛ばしてやろうか…」
そう言って大河は、ニョキっと木刀を取り出し、剣先を竜児に向ける。
「意味わかんねぇっ!全然優しくねえじゃねえかっ!分かった分かった、言わねえっ、
誰にも言わねえよ、つーか、忘れた。これでいいか?」
それを聞いた大河は木刀を収め、少しだけ表情が柔らかくなる。ただし少しだけだ。
「…あんた、みのりんの事好きなんでしょ?」
「なっ!なんだよ、薮から棒に!そっ…そんな事…」
そんな事ある、のだが…真っ赤になった竜児は前髪を指先で引っ張る。バレバレだ。
「ふうん…まあ、いいわ。わたし口が堅いから。ただし、もし何かあったら、
みのりんにある事ない事言うからねっ!!いいわねっ!竜児っ!わかった?」
バチンッと大河は窓を閉じる。カーテンが閉まる音は、聞こえなかった。
チリ取りを持ったまま、しばらく茫然自失の竜児。どうやら竜児は大河の事を、
いろいろ誤解していたようだ。悪い意味で…
「め、めちゃくちゃだ…… っていうか、今、呼び捨てにされなかったか?」
混乱覚めやらぬ竜児。まだ肌寒い三月。どうせ日照権が奪われてしまっている竜児は、
バシッと雨戸を閉め、いろいろあったホワイトデーを締めくくった。
特に何事もなく、竜児は3学期の終業式を迎え、春休みに突入。1週間が過ぎた。
これから2年生になる生徒は、入学や卒業が関係ないので、春休みというと、
のんびりできるのが普通だが、竜児には家事という仕事があるのだった。
「そうか、今日はエイプリルフールか」
竜児は午前中で、掃除、洗濯を終わらせ、そんな話題を取り上げたテレビ番組を見ていた。
番組が終わり、ニュースが始まる。
「…おうっ、もうすぐ12時か、急がねえと…」
竜児はテレビを消し、出掛ける準備を始めた。
今日は同じ組だった、北村佑作と能登久光の眼鏡コンビと3人で、映画館へ行く約束をしていた。
能登の親がコネで、舞台挨拶付きの試写会のチケットを3枚ゲットしたのだった。
7時前には帰宅する予定なので、母親の泰子の弁当を作ろうと思ったが止めた。
支度を終えた竜児は、居間で飼っているタマゴから飼育した、愛しのペットに挨拶する。
「インコちゃ〜ん、ちょっと出掛けてくるけど、留守番頼むな〜っ、イン…おうっ!」
インコが死んだ…ように見える。寝ているのだ。しかし目とクチバシは半開き。舌は土色、
竜児でさえ、まだ騙される。たまに鞭で打たれたようにビクッとして…生死を確認する。
その安らかなペットの死…ではなく寝顔を拝み、
「さてっ、いくかっ」
竜児は太陽の下に出る。
***
大橋駅の改札口。
新生徒会長の狩野すみれと、新副会長の北村祐作は、並んで立っていた。
北大へ進学する前生徒会長を、改札口まで見送った直後であった。
「行ってしまわれましたね、会長…しかし大きい人でしたね。2mある人間ってなかなか…」
「行ったな。カラダもデカイが、態度もデカかったな」
すみれは前会長が最後に見えた、階段を見つめたままだ。
同じ風に階段を見ていた北村には、すみれの表情が分らなかった。
「北海道って…まだ寒いですよね、遠いなあ…」
「北海道といっても、札幌だからな…おい、北村」
すみれは艶やかな黒髪をかき上げ、北村を見据える。北村は何度でも想うのだ。
清楚な面持ち、極め細かい純白の肌。凛とした表情、美しい…我に返る。
「はい、会長!わかっております。前会長が去られた今、俺が副会長として全力で、
会長の手となり足となり、お手伝いさせて頂きます!今度とも宜しくお願いします」
「…そうか、そいつは頼もしいが、さっきから、てめえのチャックが全開なんだ。
シャツの一部もはみ出ている。副会長として、とりあえずそれをどうにかしろ」
「たああっ!何なる失態!申し訳ございません!」
北村は見事に解放されたチャックを慌てて戻す。シャツの裾を挟んでしまった。
「まあいい…今日はご苦労だった。わたしは帰るが、てめえは映画見に行くんだろ?
高須と能登?だったか…おや、どうやら来たみたいだぞ」
「おうっ!何故、狩野先輩が…こっ、こんにちは狩野先輩。高須です。初めまして」
「おはよう高須。じゃあな、ふたりとも。楽しんでこいよ、また学校でなっ!」
すみれはフッと微笑み、踵を返す。悠然と歩き去りながら手を振る姿が、漢らしい。
「…北村、終業式ぶりだな、元気だったか?どうした顔が…ちょっと赤いぞ?」
「よう高須っ!時間厳守だな!相変わらず三白眼だなっ、人の顔を気にするなっ」
この、このっと、軽くど突き合いながらじゃれる二人であった。
「北村…何かあったか?なんか、すこしキャラが違うような気がするんだが…
狩野先輩とふたりきりとか普通じゃねえし、それが関係あるんじゃねえか?」
竜児はすみれに対する北村の複雑な心境を知りつつ、ちょっとからかってみた。
「そうか?俺は至って普通だぞ。会長とは、前会長を一緒に見送りに来ただけだ。
…そう言う高須こそどうなんだ?春休みに何がなかったのか?この、三白眼っ!」
「おおうっ!だから目を引っ張るなっ!そんな事ある訳ねえだろ。今日だって、男と
ツルんで映画だぞ?…おうっ、そうだ…なあ北村…逢坂って女子、知り合いか?」
北村は大河の名前を聞くと、竜児と距離を取り、顔を覗き込んだ。
「逢坂って…逢坂大河の事か?…知り合いも何も、実は、俺は入学してすぐに
逢坂に告白して、一秒後に見事に振られたんだ。しかも腹に一撃食らって…
そうか〜高須っ!お前も女子に興味を持つようになったか!てっきり俺は男が…」
「そういうんじゃねぇよ!またまた知っただけだ。…そうだったのか!
そんな事が…変な事聞いて…すまねえ…北村」
「いいさ、高須。昔の事だ」
そうか…竜児は、納得した。大河は、北村を振って、しかも殴った罪悪感で、
親友である竜児に気を使ったのだ。それで北村の名前を聞いて態度が変わったのだ。
これ以上、北村に迷惑かけないように…そう竜児は理解する。時計を見る。
「なんだ、もう5分か、能登のヤツ来ねえな」
「能登は午前中、好きなバンドのCDを買いに行くって言ってたぞ。…おっ、そうだ高須!
ズーで能登を迎えないか?ズー。グルグル回るヤツだ。そこのガラスで練習しようっ!」
「でえっ、マジかよ!北村、やっぱりキャラ違うって!!おうっ!ひとりで演るなよっ!」
仕方ねえな…っと、壁に向かって竜児と北村は、一列になってグルグル回っている。
正確には左回りなので、ズーではなくエグザイルなのだが…周囲に人垣が出来る。
「♪ときめ〜きを運ぶよ、Choo choo TRAIN〜…」
能登は人垣を遠巻きに見ながら、懐かしい曲を口ずさんでいた。
***
『女検死官夕月玲子 ザ☆ムービー』
「おおうっ!これって、川嶋安奈じゃねえか!このドラマ好きなんだっ!!」
「ほうっ…舞台挨拶があるのか…うーむ、もしかしたら…」
能登が竜児と北村にチケットを配る。好感触に満足した能登は饒舌になる。
「関係者のみ、一般人お断りのプレミアム試写会なんだぜ?テレビの取材も来るし、
芸能人も来るし…、もう〜奇跡に近いんじゃない?」
都心の駅を降り、3人は試写会場所の、7つの映画館、2つのデパートがある、
大きなビルに向って歩き出す。 やはり春休みの影響か、人が多い。
視界の範囲内に、たぶん2〜300人はいる。いつも近所の商店街で用を足らす竜児。
久しぶりの都心の人混みに、動揺を隠せなかった。
「…すげえ人だなっ!祭りみたいだ…」
「なーに田舎者みたいな事言ってんのよ高須っ!これぐらい普通だって」
「おい高須っ、あまりキョロキョロするな?迷子になるぞっ!」
ビルに着いた3人は、エレベータで9Fへ移動する。竜児は、なんとなく、
北村の様子がおかしい気がした。キョロキョロするなと言った北村が一番
辺りを見回していたからだ。チンッと音がなり、エレべータを降りる。
「あッ、あそこじゃん?ほら、オサレな人いっぱいいるしっ!」
能登が指差した先には、綺麗に着飾ったレディースや、フォーマルな出立ちのジェントルメンがいた。
明らかに場違いな感じがする一般の高校生の3人だったが、
3人は入り口でチケットを渡し、館内に入る。
「これはっ…別世界だな…」
竜児は、圧倒される。これが…関係様者やら、芸能人様やら、招待客様たちか…
「高須っ、あの人っほら、あの人のCDもってるだろ?う〜っサインもらいたい〜」
「すごいな。ズバリ名前は分らないが、俺でも見たことある芸能人がいるぞっ」
眼鏡コンビも。煌びやかな人々や、カメラのフラッシュに圧倒され、いつの間にか
3人とも、ロビーの壁際に押しやられていた。
すると、3人の丁度正面。会場の中でも、ひときわ明るい声が聞こえる一団の中央。
ピョコッ!!と、何かが跳ねたような影が見えた。何だろう?
次の瞬間、その人混みの中から、北村に一直線に近づく美少女の姿があった。
「ねえ、佑作?…やっぱりそうだ!ちょっと!久しぶりじゃない!
どうしてここに?…あれ?まさか、わたしの事、忘れちゃった?」
「おおっ!亜美じゃないか!やっぱり来ていたのか!いや〜久しぶりだ!
忘れる訳ないだろっ、仕事頑張っているみたいだな。噂はかねがねだ」
見慣れた友人が、ひとめで一般人ではないと判る、芸能人の超美少女と会話している。
しかも久しぶり〜とか、祐作〜、亜美〜と下の名前で呼ぶとか…驚愕する竜児と能登。
「ママの映画の舞台挨拶があるし、スケジュール空いていたから来たの!…佑作の友達?」
クルッ亜美は、竜児達に振り向く。一緒にキラキラしたものが降りそそいだ気がした。
「おお、紹介する。友達の高須竜児と能登久光だ。高須っ、能登っ、彼女は川嶋亜美。
こう見えても俺たちとタメで、昔、家が隣だったんだよ。いわゆる幼なじみってやつなんだ」
はぁ〜っと、竜児と能登は放心状態、緊張状態、緊急事態だ。動けない。
「もうっ祐作!こう見えても、ってどういう意味?うふっ、佑作の友達なら、
わたしにとっても友達よね?初めまして!わたしっ、川嶋亜美ですっ!」
「あの!川嶋亜美さん知っています!雑誌のモデルの!高須っ!ヤバイ、本物だよ!」
「モデル?そうかっ!どうりで…おおうっ!」
亜美は、竜児の手を取り、両手で握手する。至近距離で、なんともいえない甘い匂いがする。
実乃梨や大河の、なんというかナチュラルな芳香とは違う…官能的…な匂いだ。
激流する感情の中で、竜児はなんとか亜美の手の柔らかさだけは自覚出来た。
「高須くん?っていうのね、よろしくね!あっ…ごめんなさい…わたしったら…」
ぱっと手を離す亜美。竜児の手はあやうく溶けてしまう所だった。
頭をコツンっと叩き、舌を出す亜美。その仕草は亜美の美貌と裏腹に、親近感を覚える。
オトナっぽい花柄のシフォンのワンピースから、スラッと伸びる長い手足。
うっすら見える、キャミソールは、完璧なスタイルを描いている。
いくらモデルでも、スタイルが良すぎる。奇跡に近い。竜児はその亜美に手を握られた…
「いや、あやまる事、ね…おうっ、大丈夫か?」
亜美はグラッと、バランスを崩し、今度は竜児の腕を掴む。カラダをピッタリ寄り添う。
理性がグラッと揺らぐ竜児。
「あんっ!またっ…ごめんなさいっ、高須くん、大丈夫?ヒールが慣れなくって…
あ?わたしの事『天然』って思ったでしょ?もうわかるんだからね?思ったでしょ?」
亜美の潤んだ瞳に竜児の心は掌握されていた。そのままコクッと、頷いてしまう。
「もう、いつもいわれちゃうんだっ、亜美は天然だよね〜って。なんでなんだろう?
全然そんな事ないのに…どうせ祐作もそう思ってるんでしょ。呆れた顔、してるもん」
「そんな事ないって。おっ、亜美、お母様が呼んでるぞ。よろしく言っておいてくれ」
「じゃあ、またねっ」
手を振る亜美、見送る3人。あまりの怒濤の出来事に竜児は感嘆、能登は座り込む。
「うわあああっ、北村!今の何!ちょっと、スゴいんですけどっ!感動したーっ
かわいくって、すっごくいい娘で、天然ってところが純粋でイイっ!!」
「うーん能登。…まあ、かわいいわな。それは俺も認めるところだ。ただ人格がな…」
「人格がなんだ?…北村。それは、もしかして…まあいいか。なんでもねえ」
開演時間になり、映画が始まる。終演後、出演者の舞台挨拶もあったのだが、
竜児の記憶には、亜美に触れられた指先の記憶しか残っていなかった。
竜児は駅のロータリーで北村と能登と分れ、買い物を済ませ家路を急ぐ。
「遅くなっちまったな…」
既に7時を回り、泰子の食事もこれから作る。時間がないし、ちゃちゃっと、
炒め物や和え物で、誤魔化そう…竜児は頭の中でシミュレーションしながら、
借家に帰って来た。階段を駆け上がり、鍵…が開いている。いつも注意しているのに、
泰子め…竜児はドアを勢い良く開ける。
「泰子っ!ただいま、玄関の鍵が…おおうっ!!!あっ、あっ、あっ…」
「なによ、あっ、あっ、あって。どこのラッパー、アッパラパーよ。このイカれポンチ」
竜児をディスるその声は、大河、その人であった。
「逢坂!なんだよイキナリ悪口言うなよ!俺が可哀想じゃねぁか!」
「あー、五月蝿い。わたしだって来たくなかったわよ。みのりんに頼まれたのっ」
みのりんという単語を聞いた瞬間に、竜児の身体はいちいち反応する。
「く、櫛枝さん…に?…なにを?」
「今週、始業式の後に、みのりんがまた、わたしの家で、お食事会したいんだってさ。
もう、みのりんったら、物好きなんだから…最近あんたの話ばっか…ちょっと聞いてるの!!」
「おおうっ!…汚職自戒…まで…聞いてた…」
「…そんな耳、取っちゃった方がいいわよ…携帯出して!竜児っ、赤外線!」
そう言って大河は竜児から携帯を奪い取り、アドレスを転送する。
「だいたいあんた、みのりんにはサン付けで、なんでわたしは呼び捨てなのよっ…
…出来たっ!…じゃあね!やっちゃんに留守番頼まれたんだけど、帰るわっ」
大河は振り返り、玄関に向う。そして玄関のノブを触ろうとした瞬間、扉が開く。
「ただいま〜☆あれれ?大河ちゃん、帰っちゃうの?ん〜っ、せっかく明治ブルガリア
ヨーグルトドリンク買って来たのに〜っ。夕食は、竜ちゃん作るから、一緒に食べよ?
「おかえり、泰子。つーかお前達、なんでそんなに馴染んでんだよ…
で、逢坂、どうする?メシ食ってくか?一人分くらいならなんとか…」
大河は頭を横に振る。大河が泰子の方を向いているってことは、竜児は無視されたって事だ。
「ううん。出前取るからいい。やっちゃん、ごめんね。またね」
ギュルルッルルルッル…
「この時間だと出前無理だろ。15分あれば出来っから待ってろ」
大河は黙って頷いた。
「大丈夫か〜、インコちゃん〜」
「なによこの変態インコ。ペットは飼い主に似るって本当ねっ、うっわ〜、指デロデロ…」
春のせいなのか、発情期になったインコちゃんはさっきまで、大河の指を舐めていた。
鳥類にはあるまじき大量のヨダレで、大河の指をビチョビチョにしたのだ。
目蓋をピクピク痙攣させ、白目をむいて、今にも昇天しそうだった。
「イツ…イン…淫っ…陰ッ…」
「おうっ、インコちゃんっ、変な言葉言うなよ〜、乙女なんだから〜、清純派なんだから〜」
「わわっ、キモッ、口からブクブク泡出してるわっ…末期症状ねっ」
「だいたい逢坂が、発情期のインコちゃんに、指なめさせるからだろ?変な事覚えさせないでくれよ」
竜児は、抱きかかえていた鳥かごに布をかぶせ、そっと定位置に戻す。
「あんたの監督不行届でしょうがっ、人のせいにするんじゃないっ」
「…ったくっ!お前に、川嶋亜美の爪の垢でも煎じてやりてえよ。同じ女子とは思えんっ」
「かわしまあみ?…ねえ、竜児。それってモデルの川嶋亜美の事?好きなの?」
大河はキョトンという顔になる。大河もファッション雑誌読むんだ…と、竜児は思った。
「そうだ。好きかどうかは別として、実は今日、北村と能登と映画を見に行ったんだが、
川嶋亜美がいてさっ、しかも北村の幼なじみだったんだ。すっげービビった」
「きっ北村くんの、幼なじみ?川嶋亜美が?本当?…あんた…エイプリルフールだからって…」
「マジだマジっ、大マジだっ、つくならもっと、上手い嘘つくって!!…例えば…おうっ、
そうだなっ、今日の朝、駅で、北村と狩野先輩が…すまねえ、上手くウソつけねえ…」
ブワッ
という表現が適切なのか、竜児は大河から闘気が放たれた気がした。空間が、歪んだように見えた。
「竜児…北村くんと、狩野すみれが…何だって?言ってごらんなさい」
ジリジリと竜児に歩み寄る大河。竜児は小柄な大河の背後に、数倍の大きさの猛獣の幻影を見る。
虎だ。 虎が見える。 圧倒的迫力に竜児は後ずさりするが、壁に当たり、追い込まれる。
「な…なんで急に機嫌悪くなるんだよ、っていうか狩野先輩呼び捨てかよ!」
「質問に答えろ。さむなくば…剥ぐぞ」
生命の危機を感じた竜児。朝見たことを目を瞑って、大河に一気に喋りだす。
「わかった、言うぞっ!今日の朝、駅で北村と狩野先輩がいて、なんか話していて、
北村の顔が真っ赤になってて、狩野先輩と何かあったのか?って聞いて、それで…」
バタンッ。扉の閉まる音。大河は話の途中で帰ってしまった。
「おおうっ…ったく、逢坂っ、なんなんだよ…」
困惑する竜児には、床に付いた雫の跡に気付く余裕は無かった。
以上になります。
続きます。また、様子を見させて頂き、
投下させていただこうと思います。
出来たら、週一でこの時間帯位にお邪魔
させて頂きたく存じます。
宜しくお願いいたします。
116 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 21:11:01 ID:zKl4eutC
ななドラ、まだ〜?
118 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 22:27:28 ID:B+1qpPYw
いやいや、ななこいだろう?
>>115 GJ
書くところ多くて大変そうだががんば
ななこ様ものこーい
自分で書け
>>104氏
GJです。
あみと竜児の会話が脳内再生出来ましたw
他の片方もいい味出してますね♪
>>115 GJです。
原作のifっぽい感じなんすかね?
続きを期待してます。
>>115 文章の感じが好きです。今回も面白かったです。GJ
連載してくれるとの事で嬉しいです。
126 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 23:07:33 ID:vD5TsKQy
なな来い
ifなら出来るかもしらんが、大河や亜美、櫛枝まで蔑ろにするのは設定的に難があるかと…。。
作者がアレだしね…
前二作で完全に見限っているのだが、作者も汚名返上で書いたかと思ってチラ見した。
が、案の定、文章も構成もダメダメ! まぁ、NGにするのが正しい対処だな
……で?
わざわざ言うことじゃ
>>115 頑張って下さい
実際、表現で気をてらっただけのキワモノ
ほんと、ゴミだね
前スレでの荒らしの正体もこいつだってのに
いい加減、甘やかすな
て、当人の自演込みだよな、ここはwww
>>131 おいおい、正論をダイレクトに吐いたらまずいだろ?
例の作者が荒らしの正体を現すからさ
>>115 ひとつ言ってもいいか?
みのドラと言っておきながら、竜虎のガチエロがあるのはどういうことだ?
何でもバッチコイな人ばかりじゃないから、注意書き書いてるんだろ?
つーか批判書き込むのやめね?
誰も得しない
>>134 今度の作者の分身は竜児で妄想ハーレムってやつなんだろ?
断言してもいいが、話が進むにつれてもっと荒れるだろうな…
段々と気持ち悪くなるオナニーで反吐が出ること間違いなしwww
これでまた他の書き手が控えてこいつの独壇場になるのがツマンネ
本当に読みたいものがあるのならば自分で書けばいいのに、としか言えないなあ。
乞食って慣れてくると配給の食事にケチつけるようになるらしい
そりゃ当たり前の事だろ?無駄な向上心があるんだよ。何も出来ないのに
140 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 04:47:13 ID:+rQjH2FZ
保管庫更新されてない。
本音で感想を書けるのがココの長所だろ?それを覚悟して作者は書いてるんだから各自が素直感想書くのは構わないじゃないか?。
そんな馴れ合いがしたいなら他でやってるさ。
何の言い合いかと一瞬?だったが例のひとがまた投下してるのか。
NG登録しといて正解だったな。
前作であれだけ批判されたってのに、全然進歩してないんだな。
別にお前らの為に書いてるわけでもあるまい
わざわざ批判書くから荒れるんだよな
作者よりもよっぽど荒らしだわ
批判だったら、せめて今回の内容に触れた方がいいと思う。127と134の意見はありと思うが。
前回を引きずってる人は、書き手が一度でも気に障るものを書いたら排斥しようとするのかな。
そんなの過疎化させるだけだろ、荒らしの行為と同じになってしまうよ。
>>115 俺は面白かったですよ。それに文書丁寧だと思います。
擁護してる奴は
こいつが書き手の代表みたいな言い方だけど、
こいつの変な投稿で一番迷惑してるのは、他の書き手さんだろ?
荒れて投下のタイミングを逸するし、雰囲気悪いし
実力に見合わないとっぴな設定で書くなら、ブログでやってろ、と言われてもしゃぁないわな
ぶっちゃけ
>>128が余計なこと言ったのがきっかけだろ
それまではいい感じな流れだったのに
養護している奴が騒ぎすぎ
大騒ぎするような代物じゃない
NG登録が吉
150 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 08:40:24 ID:MNlyZ8tp
やる気のある無能が一番つかえないんだよね
荒れ中にageはやめようぜ、いろいろよって来るから
意図的にageてる気配もあるから、当面、静観した方がいい気がする
ss書いて手間かけて自己顕示欲を満たすやつもいれば、
それに難癖つけることで手軽に自己顕示欲を満たそうとすつやつもいる
とりあえず、「竜児と大河の関係崩壊⇒みのドラ」の展開が来るまでは判断を保留したい。
今回もこのパターンが来たなら、作者は真性のヘイターだ。
>>153 今回は原作BEFOREから始まってるから、書き方次第によってはありだろ
悪意がある関係崩壊なら思うところあるけど、書き手を縛っちゃいけない
それこそ、余計な事言わずにスルーすればいいんじゃないの
147みたいに誰かが書いたものに難癖ばかりつけるやつがいるから
ここが荒れるんだと思うけど。
文句があるならそれこそ自分のブログにでも書けば?
俺はとらドラの原作に満足してないんで、違うパターンが見たいから
ここに来て補完してるんだけど、好きなカップルじゃなくても
文句を言うのは筋違いだと思う。
どんなカップルでどんな展開だろうと書きたい人の自由でしょ。
文章がダメとか話がダメとか読む俺たちが言う問題じゃない。
文句を書くのなら、自分の理想のとらドラを書いて出せばいい。
ななこ様の背中のセクスィ〜なほくろの数でも数えて落ち着くんだ<arl
もうやめなよ、おまいら。
この話題はループしまくってんだろ。
ただでさえ過疎気味になってきたんだから、加速させちゃ駄目だろ。
ん?
>>157 もこたん?
なんだかわからんけどもこたん可愛いよもこたん
シチュありきのバカエロこそがエロパロの基本であろうよ
おまえら、目線が緊張しすぎだっぜ!
エロなしでいいから、原作と勘違いするほどの出来の
実乃梨と大河の出会い、仲良くなるまでの話を頼む
ゆゆぽは休眠ちゅうだから職人さんお願い
161 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 13:11:26 ID:pK4QrMLN
伸びてると思ったらまたこいつの話かよ、いい加減にしろ
おまえらが反応すればするだけこの作者は喜ぶ。他の作者は投稿したくなくなる。そんなこと言われなくても分かれよな?前回あれだけ罵られても止めなかったんだから今回も止めるわけがない。叩いてる奴らはまだ気付かないの?馬鹿なの?余程無駄な努力が好きなんだな
最早こいつは自然災害級だろ、必要以上に荒れるし、他の作品は投稿されなくなるし、多くの人がやめろと叫んでも止まりゃしないからそりゃ人も減ってくわな。だって覗く度に不愉快になるんだ当たり前だろ?極一部の支持者以外には本当にいい迷惑だ
GJレスが増えると我慢出来なくなる馬鹿が出てくるみたいだし、今後荒れないためには誰も反応しないようにしろよ。そうすりゃ拒否してればたかだか10レスくらい消費されるだけだ。荒らしが来た時と一緒だよ、騒音も出ないしいいアイデアじゃね?
>>161はageて文句を言う荒らしの一人
嫌いな作品はスルー
いい加減学んでほしい
164 :
98VM:2009/08/25(火) 23:19:04 ID:N8Ijtaba
こんばんは、こんにちは。 98VMです。
ちょっと実験してみたくなりました。
こういうときに投下するとどんな反応出るのかな?
というわけで、埋めネタ用に書いてたのを投下してみます。
2レス。
宴会の開始時間より20分以上早く着いてしまった。
流石にまだ誰も来ていないかもしれない。
それならば一緒に店に入ってもいいのだが、そうでなければ時間差で店に入りたい。
変な勘違いをされたくないから。
そう、絶対にそれは勘違いなんだから――――。
わざわざ30分前に最寄り駅の出口に立って、道行く人々に求めた姿は『まるお』の姿。
だから、そいつの姿を見つけた瞬間、踵が浮いてしまったのは、あくまで立ち疲れたから。
『わたしも今着いたところ、偶然ねー』みたいに声を掛けたのは、知人を無視してはいけないっていう、人としての礼儀。
さっきから、顔が熱いのは夏だからに決まっている。
そして、さっきからイライラしているのは………ああ、もう無理。 認めてしまいたくなる。
でも、でも、それだけは…
その一言だけは、まだ言えない。 言うわけにいかない。
だって、それを言ってしまったら、あたしヘロヘロになっちゃう。 こんなうっぜー奴相手に。 そんなの嫌。
目的の店の入り口で、結局ずっとお留守だった右手を見つめて溜息を吐く。
大体、こんだけサイン送ってるんだから、手くらい握れよ……。
そんな、実に自分勝手に複雑な乙女心に揺れる美少女、それが木原麻耶だった。
埋めネタ 〜麻耶たんのちょっぴり複雑な夏の夜〜
突然の奈々子からのお誘いに、これだけの面子が揃うのは驚きだった。
つまり、修学旅行時のグループのみんな。
北村、高須、能登、春田の男性陣。
麻耶、奈々子、タイガー、櫛枝、そして亜美の女性陣。
特に、櫛枝と亜美は都合を合わせるのが困難な筈なのに、二人とも参加というのは恐ろしいくらいの幸運だ。
麻耶が着いた時、部屋に居たのは奈々子、亜美、高須君に能登。
時間差工作をしておいて大正解だったと、麻耶は胸を撫で下ろす。
やがて、春田がほぼ時間ぴったりに着いて、それから5分くらい後に、まるおが迷子タイガーを捕獲して到着した。
宴会が始まって30分ほど経過して、櫛枝が来襲。 ようやく全員が揃って、改めて乾杯したところ。
席順は男性が、北村、春田、高須、能登の順。
対する女性陣は麻耶、奈々子、亜美、タイガー、そして能登とタイガーの間に櫛枝が座り込んだ。
あたしの真正面にはまるお。 願っても無い配置になっていた。
もともと仲がいいもの同士、たちまちのうちに盛り上がる。
正々堂々と飲酒が可能な年齢に達しているものは堂々と、そうでないものはそれなりに。
皆、陽気に楽しく、宴に望む。
相変わらず、タイガー周辺はひときわ騒がしく、どうやら亜美ちゃんがタイガーと櫛枝の集中攻撃に捕まったようだ。
そしてあたしは…
さっきからまるおと奈々子、三人でとりとめの無い話をしていた。
まるおは話題が豊富で、話も上手。
楽しい。 本当に楽しい。
…けれど、あたしはなんとなく落ち着けないでいた。
ちょっと前までなら、こんなシチュエーション、夢中になってまるおと話してたと思う。
ずっと好きだったんだから。
なのに、今日はすこしだけイライラする。
―――なんで、一番遠い所に座るんだろう。 あたしの事、好きなんじゃなかったの?
知らず知らずのうちにあたしは、何度も何度も ――― あいつの事を盗み見ていた。
やっぱり、女の子の恋愛の基本スタイルは『待ち』。
どんなに積極的な女の子でも、モーションかけて『好きになってもらう』ってのが一般的。
女の子からコクるのって、カッコいいけど実際は凄く勇気が居る。 たとえ相手が自分に気があるってわかってても。
二次会はカラオケだった。
櫛枝は寮の門限とかで、最初に何曲か歌いまくって、颯爽と帰っていった。
相変わらず嵐のような奴。
亜美ちゃんとタイガーは本当に二年ぶりなのかってくらい息の合ったデュエットを披露するわ、ちょっと酔っ払った亜美ちゃんが
高須君に迫って、タイガーが爆発するわで、もう大騒ぎ。
あたしもまるおとデュエットしたり、まるおの隣に座って、ちょっと体寄せたりして…。
それはそれで楽しいし、嬉しい事。
でも。
……それでも、あいつはあたしの傍に来ない。
ほとんど話しかけてもこない。
なんなの!
あたしのこと、好きだって言ったのは嘘なわけ?
それとも、心変わりしちゃったって?
二年間も、毎月会ってるのは何のためなのよ!! 本当に原稿渡す為だけなの?
…もう、我慢できない。 あたしのこと…バカにして!
カラオケが終わっても、名残惜しさに近くの公園ですこしだべる。 もうすぐ終電って時間になってやっと解散になった。
みんながそれぞれの帰るところに向かって歩き出す。
「じゃあ、諸君、機会があったらまたこのメンバーで楽しもう。 さらばだ。 あっはっはっはっはっは。」
妙なテンションでまるおが帰る。
タイガーと亜美ちゃん、高須君はいつの間にか居なくなっていた。
「ちょっと、春田くん、手伝って欲しいことがあるんだけど、いいかしら?」
「え〜 なになにぃ〜 奈々子様ぁ〜〜。」
奈々子が春田を引き離してくれた。
公園にぽつんとあたしと能登が残る。
「えっと、俺もそろそろ帰ろうかな。 電車なくなっちまうし…。」
「能登。 今日は楽しかった?」
「えっ? あ、ああ。 久しぶりでこのメンツがそろったからなぁ、楽しかったよ」
「あたしは………楽しくなかった。」
「なっ、なにいっちゃってんの、北村大先生といーっぱい話せてたじゃん。 ほとんどツーショットでさ。 最高だったろ?」
その言葉であたしはキレた。
「なによ、ソレ……。」
「?」
「なんなわけ? ばっかじゃないの! あんた、嘘ついたの? あたしのこと好きだって言ったじゃない! 嘘つき!!」
「そ、そんな、だって、木原は北村の事が好きなんだろ! だから、俺は!」
「ばか!ばか!ばか! そんな事、聞いてねーんだよ! 嘘ついたのかよ! あたしのこと、好きなんじゃなかったのかよ!」
「そ、それは」
「だったら、なんで話しかけてこないのよ! なんで手握ってくれないのよ! なんで、もう一度『好きだ』って……」
「言ってくれないんだよぉぉぉ!!」
言っちゃった……。 自分が無茶苦茶言ってるのは分ってた。
答えは返ってこない。 …たぶん、もう嫌われた。 涙が溢れて止まらない。
しばらくして、気配が動き出した。 一歩、二歩、三歩。 すぐ目の前で足を止める。
「木原。 好きだ。 ずっと前から、お前のことが、大好きだった。 何度でも言うよ。 好きだ。 大好きだ。」
驚いて顔を上げた。 こいつ、こんなにカッコよかったっけ?
けれど、我侭なあたしは、もう一つだけ注文をつける。
「…麻耶って呼んでよ…。」
そうしてあたしは、ゆっくりと、――― 目を閉じた。
おわり
167 :
98VM:2009/08/25(火) 23:22:37 ID:N8Ijtaba
アウチ!
題名直し漏れ。 埋めネタではアリマセンネ。
お粗末さまでした。
>>167 おぉ!! すごくいいではあーーーりませんか。
GJ!でございます。
作品は最高だが、ハーレム好きな俺は、サブ同士の作品には萌えられん(T_T)
いや二人とも良いキャラだし幸せそうでなによりだけどね(´・ω・`)
まさかおくしゅりネタからここまで展開するとはwwww
GJ!です!
>>167 なんかおかげですっかり麻耶派に・・
GJ!
久しぶりの麻耶ネタ良かったです!しかも能登と!
長編にできませんか?
こういう女の子のワガママってイイ、と最近思い始めました。
麻耶ネタは数が少ない分貴重ですね。
これはよいものだ。
読み終えた後、何故か麻耶が好きになっている
>>167 GJです。
俺もみんなと同じ。
長編に出来るなら読んでみたいかも。
誰もいないね…。
何か投下し辛いけど。。
3レス分くらい投下します。
2828ではないけど。よろしくです。
自分の本当の気持ちに気付いてしまってから数日後、大河はいつものように竜児のお見舞いに来ていた。
インフルエンザで倒れてしまった竜児は、なかなか熱も下がらず病状は深刻であった。
「竜児…」
熱にうなされる竜児に大河はとても不安になる。
『俺、櫛枝に振られたみたいなんだ…』
クリスマスを過ぎて数日後、半ば自嘲気味に話す竜児を見た大河はとてもやるせない苦しい気分になった。
どうしてだろう…どうして、みのりんは竜児を振ったんだろう。
どうして二人は間違えてしまったのだろう。絶対に両想いのはずなのに。結ばれるべきはずなのに。
心当たりは…ある。みのりんはきっと誤解してるんだ。私が、竜児のことを必要としているのだと…。
それは誤解なんかじゃなかった。私はこんなにも竜児のことを想っている。恋焦がれている。
どうしてこんな気持ちに気付いてしまったのだろう…。
気付きたくなんかなかった。
気付かない方が幸せだった。
いつものように竜児の家でご飯を食べて、いつものように、一緒に登校して…。
いつものように、みのりんとじゃれ合う。
それだけで良かったのに…。
涙がとまらなかった。
でも…竜児が想っているのは、私じゃない。
必要としているのは、私じゃない。
いつだってその対象はみのりんなんだ。
分かっていたことじゃないか。と。
涙を拭う。
だめだ…。私強くならなくては…。
こんなに弱かったら、この先寄り添うであろう二人を見てられないじゃないか。
そうだ。神社にお参りに行こう。
間違えてしまった二人がきちんと結ばれるようにお祈りをしに行こう。
そして私も自立しなくちゃいけない。竜児とみのりんがうまくいったら、今までみたいにはいかなくなる。
私の居場所はなくなるんだ。
いつものコートを羽織って神社に向かう。
『竜児とみのりんが結ばれますように』
そして、もう一つの気持ちを封じ込める。祈りと矛盾するこの気持ちを悟られてはいけないから。
さて…と、帰り際に新しく出来た弁当屋にでも寄ろうか。家に着いたら掃除もしなきゃ。
竜児に頼らないって決めたんだ。
「あいさか?」
名前を呼ばれて顔を上げる。そこには『クラスメート』の北村がいた。
「北村くん?」
「あけましておめでとう。」
「おめでとう。」
と返す。北村はキョロキョロしながら、
「高須は一緒じゃないのか?」
と、不思議そうな顔をして聞いてくる。いつも一緒にいるはずじゃないか…と。
心をキュッと締め付けられるような気分になる。
そうだよね。ずっと一緒にいたもんね。そりゃあそう思うよねって思う。
みのりんが誤解するのも無理ないな…と。
「竜児は年末にインフルエンザで入院しちゃって、年明けてからも、ずっと寝込んでるみたいなんだ。」
やっちゃんがずっと付き添って看病してるみたい。と。
北村君の顔を見ることが出来なかった。見たら、きっと悟られてしまう。
本当は私が看病してるんだけど、北村君に知れたらみのりんが知ってしまう。そしたら、きっとみのりんはまた誤解するたろう。やっちゃんにも言っておかなきゃな。ちゃんと口止めしとかなきゃ。
そう言えば、北村がかつて失恋大明神と呼ばれていたことを思い出す。
神様には竜児とみのりんのことを祈った。北村君は神様なんかじゃないけど…ちょっとは御利益があるかもしれない。
北村君に向かって手を合わせる。
さきほどと同じように。
そして祈る。
『竜児への気持ちを全部消して、もっともっと強くなれますように。』
と。
北村君が何かを喋っているみたいだった。あんまりちゃんと聞こえなかったけど。
目を開ける。
その瞳は何かを決意したかのように強く輝いていた。
(おしまい)
大した作品じゃないけど、みんなが投下しやすい雰囲気になってくれればなぁ。と思います。
シリアスな話でゴメンネ>arl
>>180 GJ!
大河視点はいいですね。
(そういや10巻初めは、大河視点だったけ?)
竜虎派の私は、せつなくて、きゅんってなって、
大満足です。はい。
>>181 ども♪トンクスです。
しかし荒れた後だと誰もいないね…。
暇つぶしにギシアンでも書くか?
>>167 基本的にはみのドラものしか読まない俺だが能登×木原はありだと思ってしまった
亀レスながらGJ!これはいい
>>180 そのまま続きを書こうよー。
その瞳の輝きのわけが知りたい。
想う気持ちを消すことが強さになるなら…
本当にそれでもっと、もっと、強くなれるなら…
全ての『目』を塞ごう。
深夜のチャーハンを見た目も、プールでおぼれた君を見た瞳も、
海岸で光る線香花火を移した眼差しも、それから、それから……
嗚呼、これほど君の事を私の瞳は映して来たのか。
その瞳に、決意の輝きとは違う輝きが宿ったことに、大河自身は気付かない。
>>184 実は少し色々考えてたんですけど、無駄に長くなりそうだったのでバッサリ切りましたw
でも、、誰も投下しないんだったら考えてみるかな…。
女の子らしい心情描写でこれまたGJ
続きも待ってまーす
>>180 乙です。
短い文でよくまとまってますね。
文章の雰囲気から長い奴も面白そうな感じがします。是非、投下して下さいな
なんだかんだで、投下してくれる人が結構いてくれる。
ありがたいな〜
>>186-187 ども。トンクスです。
鬱展開は書くとエネルギーを大量消費するんすよ。
書き終わった後、脱力感っつうか何つうか。
別の時期のものを書こうかなぁ。
レス返しもほどほどにな〜
まぁチャットしたいのならこんな誰がいるか分からん掲示板より
自分でHPなり作ったほうがいいと思う
書き手は大事にするんじゃなかったのか?
レス返しくらい大目に見てやれ
夏だな〜
職人がレス返してると
批判についても反応しないと都合のいいレスだけ反応してと文句つける奴が出て来て荒れる
批判や提案には次回作で職人がどう受け取ったか示せばいいし
毎回全員に反応されたら作品以外のレスでスレが埋まりすぎる
職人は寡黙であれ
俺が書き手を始めた頃はこれが鉄則だった
返レス始めるとキリが無いし、作品の批評は甘んじて受けよってこった
スレチごめんね
久しぶりに見にきたら無性に投下したくなってしまった…!
というわけで投下させて下さい。すいません。
タイトル「幼馴染日和」で、みのドラ幼馴染IFです。
原作崩壊・キャラ崩壊してるかもなので、苦手そうな方はスルーお願いします。
(他スレに投下したものの書き直し版です。ご了承下され。)
以下本文で、5レスお借りします。
「竜ちゃーん、おっはよぅサンサン!」
朝。慌しく玄関を出ると、幼馴染が笑顔で迎えてくれた。
それはもう、こちらの目が眩むくらいの太陽のごとき笑顔で。
「お、おう、実乃梨。おはよう。」
「おぉっ、制服すっげー似合ってんじゃん。こりゃーちょっとした鼻血もんですな、うん。」
実乃梨は視線を上へ下へと動かして、竜児の真新しい制服姿をまじまじと眺める。
――似合ってる、実乃梨が俺の制服姿を似合ってるって。
いきなりの不意打ちに竜児はニマァと口端を歪め、禍々しい笑みを浮かべる。
子供は泣き出し、大人も思わず三桁の通報番号を押してしまいたくなるような邪な笑顔。
「ねね、写メ撮っていい?」
が、幼馴染は竜児の犯罪面など意にも解せず、ケータイのカメラを竜児に向ける。
顔面超魔王とまで呼ばれた自分に親しくしてくれる実乃梨に竜児は改めて感動を覚える。
もし、この幼馴染と別の高校だったりしたら……と思うだけで、背筋が凍りついて、
そのままかち割られてしまうような、そんな感覚に陥る。
「み、実乃梨。」
「君の輝き、頂きさぁ!!――って、なになに?」
が。それよりも、ご機嫌にシャッターを押しまくる幼馴染に伝えねばならぬことがあって。
「いや、お、おお、お、お前も、その。」
それは何よりも最優先で伝えたい言葉。それなのになかなか上手く言えない。
実乃梨はケータイのシャッターボタンを押す手を止め、ん?と小首を傾げる。
そんな何気ない仕草でも竜児の脈拍はドクンと急加速。
――負けるな、俺。昨日、一晩中練習しただろ!
自らを鼓舞するも、やっぱり続きの言葉は喉元でつっかえて声になってはくれず。
そのまま、三白眼をギラつかせながら必死に口をパクパクさせる。
お間抜けながらも、それはそれでホラーな構図が続くこと数秒、
「に、似合ってるぞ、制服……」
やっとこさ一晩の特訓が報われる。
実乃梨は目を見開き、何度もパチクリと瞬きをして。
完全に予想外だと言わんばかりにえ?え?とアタフタと戸惑いの表情を浮かべ。
沸点に達した頬が真っ赤に変色する前に慌てて顔を下に向けて。
「そ、そりゃー、どうも……」
それからやっとポツリと一言。
竜児は竜児で恥ずかしくてマトモに実乃梨を見ることができない。
想像を遥かに上回る反応を目に焼き付ける余裕もなく、ただただ視線を右へ左へ泳がせる。
「あ、みのりぃんだぁ。おっは〜。」
数秒間の沈黙で気まずくなるかならないか。
そんな絶妙のタイミングで泰子が借家から顔を出す。
「やーん、制服姿ちょーイケてるぅ!かぁいいよ〜☆」
そして、実乃梨の制服姿にうっとりしたかと思えば、躊躇なく抱きつき頬ずりする。
「ちょ、やっちゃん。苦し……ってゆーか、かぁいいなんて照れるぞなもし!」
ぞなもしって。なんて竜児の言葉はスルーでワイワイキャッキャッと二人は盛り上がる。
傍から見れば仲良し姉妹のよう。実際は、片方は竜児の母親なのだが。
「みのりぃん。高校生になっても竜ちゃんのこと、よろしくねぇ〜」
「そ、そりゃあもう!えぇ、はい!えぇ!!」
泰子の言葉に幼馴染はビシっと背筋を伸ばして高速で首をカクカクカクと下に振る。
何でそこでムダに気合い120%なんだ、お前。なんて言葉も当然にスルーである。
まぁそれはそれとして。
泰子の言葉通り、実乃梨の制服姿はかなりイケてる(死語)。
それはもう、一夜をまたいで悶々と思い描いていた以上に。
制服全体の色合いが実乃梨の元気な笑顔とマッチしていて。
細身のブレザーが実乃梨のしなやかで健康的な体を引き立てて。
実乃梨がコミカルに動く度にふわりと舞い踊るスカートが視線を奪って。
爽やかな風が実乃梨のショートヘアーをなびかせて、それがもう……
……要するに。要するにだ。文句なしに、最高に似合っているのだ。
制服コンテストなんてものがあれば、審査員特別賞はカタイというくらいの勢いで。
実乃梨のためにあるような、そんなベタな表現がしっくり来るくらいのマッチっぷり。
ギンギラシルバーにさりげないくらい、ずっと前からこの制服を着ていたような自然さ。
中学の制服もご飯3杯は行ける程だったが……それ以上だ。5杯、いや6杯は行ける。
それくらい似合っていて、それはもう可愛いのだ。キュートでプリテーなのだ。
あぁ、今になって思えば「似合ってる」じゃなく「可愛い」と、そう言えば――
「……ふぅ。てゆーか、だな。」
遥か上空に打ち上げられていたヘブン状態の意識が唐突に竜児の元に返ってくる。
そして、妙に冴えわたった頭で冷静になって考えてみれば。
「時間、時間!入学早々、遅刻すんぞ!!」
「おわっち、そいつぁいかんざき!そいじゃ行くぞ、竜ちゃんちゃん!じゃあね、やっちゃん!!」
「じゃあねぇ、みのりん!いつでもウチに遊びにおいでねぇ〜。」
「おー、イエス!アイルビーバックだぜ、また会おうぞ!!」
雲ひとつない青空の下、二人は駆け出す。
新たな学び舎、大橋高校に向けて。
***
「――意外に余裕だったねぇ。」
「おう。走らなくても良かったかもな。ま、まぁけど、初日が肝心だしな。」
緩やかな坂道を隣り合って二人は歩く。この調子なら15分前には到着しそうだ。
周りを見れば、自分たちと同じく新調した制服を着た新入生たちで溢れていて。
糖分を見つけたアリんこの一団のごとくワラワラと一方向に校舎へ向かう。
ふと、その一団から恐怖半分、好奇半分といった眼差しが向けられていることに竜児は気付く。
まさか……カップル、なんて思われているのだろうか。
何とも素晴らしい誤解じゃないか、と口端が自然と上方向へ。
連続放火魔がガソリンをぶち巻き、そこにタバコを投げ込んだ直後に浮かべるような笑み。
その笑みに恐怖した者、もしくはその気にあてられた者から「ひっ」という悲鳴が上がる。
が、自分のすぐ隣に理解者のいる竜児はそんなことでは全くへこたれない。
「安心シタマエ、諸君。ただの幼馴染だ。」などと、テレパシーを送ろうと試みる余裕まである始末。
「ねね。竜ちゃん。」
竜児と新入生諸君との心の会話なぞ露知らず、実乃梨は竜児に声を掛ける。
瑞々しい素肌が太陽の光を浴びて、輝いているような錯覚に陥る。
そんな実乃梨の素肌をすぐ隣で拝める自分は銀河宇宙一の幸せ者に違いない。
っと、実乃梨が部活の朝練に参加するようになったら、なかなか一緒に登校は出来ないのだった。
ならば、今のうちに堪能しなきゃな……と、余計なことばかり考える。
「ねー、竜ちゃんってば。」
「おう。……つーか、おま。高校では竜ちゃんって呼ぶの止めろって。」
朝、会った時はバタバタしていて言い忘れていたのだが。
同級生の前でちゃん付けで呼ばれた時の恥ずかしさと言ったらないのだ。
「じゃあ……竜ちゃんのすけ。」
「あのなぁ。」
「だって竜ちゃんは竜ちゃんじゃーん。」
「せめて高校内とその周辺では『高須くん』にしてくれ。マジで恥ずかしいから。」
中学のときも周りの視線が痛かったしな。と過去の経験を振り返る。
そりゃー、中坊にもなってちゃん付けはないよなぁ。いわんや高校生をば……
と脳内で自分の意見に理由付けを重ねて、一人うんうんと頷く。
「えーー。でもさぁ、今さら名字で呼ぶなんてむず痒くて仕方ないと思うわけですよ。
竜ちゃんは私のことを今さら『櫛枝さん』などと呼べるのでしょうか?はい、どうぞ。」
「……く、櫛枝さん。」
「うっわ、チョーむず痒いっす。」
背中に手が届かん!そんな感じで実乃梨は大いにもがいて見せる。
一方の竜児も似たような心境だったりする。
物心ついた頃から何も考えずにずっと下の名前で呼び続けてきたのだ。
今になって、急に名字(しかも、さん付け)で呼ぶ方が何とも恥ずかしいじゃあないか。
「ま、まぁ君の頑張りに免じて努力はしようじゃないか。高須クン。」
「ぐはっ……」
トドメだった。違和感ありすぎ。うん、無理。というわけで。
結局、竜児のささやかな願いはあっさりと自ら取り下げる結果に終わった。
「……おほん。それでだ、竜ちゃん。ぼちぼち本題に入ってもいい?」
実乃梨はわざとらしく咳払いしてみせる。
それでやっと、実乃梨が自分に何か話そうとしていたことを思い出す。
「お、おう。何だ。」
「……何かアホアホなやり取りの後じゃあイマイチ締まりがないわけですが。」
「締まりがなくても構わんぞ、俺は。いつでも真剣に話を聞く準備はあるしな。」
んじゃあ……と、実乃梨は真剣な表情に切り替える。竜児もそれに従う。
その表情は脱獄して人質と共にコンビニに立てこもった殺人犯が交渉人と切羽詰まった駆け引きを展開しているかのようだが、もはやこれ以上は言及しまい。
「私さ、高校ソフトの頂点を極めるんだ。目指すは全国大会出場、そんで日本一。」
「ガキの頃からの夢だもんな。まぁ野球がソフトになっちまったけど。」
「野球は……どうしようもなかった。女だから。でも、だからこそ。だからこそ、ソフトは誰にも負けねぇ。絶対に。」
そう話す実乃梨は希望に溢れている。挫折にもめげず、夢に向かって一直線。
その瞳は竜児を捉えていながらも、ずっと先を見据えていて。キラキラと輝いていて……
実乃梨のどの表情も大好きな竜児だが、この夢と希望に溢れた笑顔が一番好きだ。
この笑顔に惚れたといっても過言ではない。と心の中でムダに胸を張る。
「おう、俺はお前を応援してる。実乃梨なら出来る、そう思うから。」
だから、竜児は応援する。自分に出来ることがそれしかないのは悲しいけど。
でも、実乃梨がソフトで誰にも負けたくないと思うのと同じで、竜児も実乃梨を応援する気持ちでは誰にも負けたくないのだ。
「……そうやってマトモに話聞いてくれるの竜ちゃんだけだよ。ホント。」
遠くを見る目で実乃梨は控えめに微笑む。竜児は中学時代のある出来事を思い出す。
忘れもしない。中学の担任に笑われた、と話した時の実乃梨の表情を。
忘れはしない。あの時、実乃梨の担任に抱いた殺意に近い怒りを――
もしも実乃梨に止められていなければ……と思うと、ゾッとする話ではあるが。
「心配すんな。泰子も応援してるぞ。」
「そだね、やっちゃんも応援してくれてるよね。」
実乃梨は嬉しそうに、はにかんだように微笑んでみせる。
そんな不器用な笑顔も好きだ、と胸の奥が温かくなる竜児の表情は見ずに実乃梨は続ける。
「それでね、私ね。高校で活躍して、実業団に入って。その……」
隣で話す幼馴染の声が急に小さくなっていく。竜児の耳にも届くか届かないか。
さっきまでの自信に満ちた声はどうした?と竜児は実乃梨の表情を覗き込む。
「それで、その……竜ちゃんのこと養えるように頑張るんだ。」
竜児の覗き込む視線に目を逸らしたまま小声で言い切る。自分の夢の終着点を。
顔を真っ赤にして、けれど、その横顔は真剣そのもので。
思わず竜児はたじろぐ。が、竜児も男だ。言いたいことは言わねばならない。
「い、いや?い、いくらウチが貧乏だからってそんな気を遣わなくて良いぞ?
俺だって将来的には働くんだし、少なくとも破産とかはしない程度にはなるはずだ。だから……そんな心配すんなって。」
実乃梨の気持ちはとてつもなく嬉しい。法律が許してくれるなら、今すぐにでも婿入りしたいくらい。
けど、周りの知り合いに、それも大事な大事な幼馴染に迷惑を掛けるわけには行かない。
確かに泰子がいつまで現役か分からないし、自分に実乃梨みたいな才能があるわけでもない。
それでも……いや、だからこそ、実乃梨には一直線で夢に向かって駆けて行って欲しい。
それが竜児の願いなのだ。その足かせとならぬよう、自分だって頑張る。
それくらいの覚悟はしているつもりだ。だから――
「はぁ〜〜……」
竜児の切実な願いを余所に、実乃梨はわざとらしく盛大にため息をついてみせる。
「ど、どうした?」
「……ちょいニブじゃね、お主。そーゆー意味じゃねぇよ。
まぁいーけどさ。ん、とりあえず頑張るよ、私。うん、そうする。」
「いや、いきなり自己完結すんなよ。意味わかんねぇぞ。」
「なんでもなーいもーん。さ、急ごうぜ。」
ちょっとだけご機嫌斜めな様子で歩を早める幼馴染を慌てて追いかける。
置いていかれないように隣に並びなおすと、実乃梨の顔が綻ぶ。
つられて竜児も何となく嬉しくなって。本日一番の笑みを浮かべる。
国家転覆を企てた外患誘致犯が実行行為に移る直前がごとく、おどろおどろしい笑みを。
柔らかい風が二人の間を通り抜ける。
太陽は眩しく、優しく街を照らしている。
「高校で竜ちゃんともっと仲良くなれますように。」
「ん?何か言ったか?」
「んーん。なーんにも。」
今日は見事な入学式日和。
おしまい
以上です。お目汚し失礼しました。
>>201 GJ、キャラが原作の雰囲気をまとってて良いよ
若干二人ともデレデレ過ぎる部分は原作的に違和感があるが
まぁそこは昔からずっと一緒だったIFだし違いはあるわな
いや〜読んでて、竜児と実乃梨の弟がどんな関係か気になったぜ
意外に頼りになる兄貴がわりなのか、ねーちゃんを奪う敵なのか…?
しかし意外といいな、こういうIF物
これなら会長と幼なじみの竜児
一年で北村は竜児と仲良くなった後、原作通り会長と出会い惹かれていくが
そこには確かな繋がりを持つ竜児が…みたいな
まぁやり過ぎるととらドラのパロでなくてオリジナルでやれって話になりそうだけど
203 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 13:01:58 ID:CcsKGxkk
実乃梨ではなく、亜美ifの続きを書けばいいのに、
けれどGJ
>>201 GJ
ところでIF物といえば日記の続きが気になる
日記さん、そろそろ帰ってきて欲しい
206 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 21:39:59 ID:CcsKGxkk
あの修羅場を切り抜いたあとがとても気になる
日記は絶対に無理だ
収まることができない展開だから
毎日投下してた人が数ヶ月も投下しないとなると望み薄だな
日記の竜児が個人的に好きだったんだが
それでも日記なら・・・日記ならなんとかしてくれる!
粘着アンチもいたしどうだろ
無理じゃね
あのキチガイ粘着も同時期に粘着する作品としない作品があったな
どういう基準だか知らんがw
毎日投稿してた頃は寝る前の楽しみだったなぁ
しかし毎日書ける、もしくは書き貯めてたのを投下としても
毎日3〜5レスが間が開いた日があったとはいえ最低10日くらいは投下、ようは50レス
まぁ最後の方は投下時期がグダグダだったのを考えると毎日書いてた可能性が高い
そんな事できる、あえてわざわざする職人自体珍しいから
どこぞのSSスレやサイト探せば簡単に見つかったりしてな
てか、ここに未だに居座っている感じだけどな
しれっと、別人のふりして日記とは全然別の投稿してたりしてw
>>215 綺麗に当てはまるなぁ・・
いろいろ悩んでたんだなぁ・・残念だ・・
以降の展開に悩んでる風でもあったけどね
どっちにしろもう投下は無いんだろう。
彼の話題は無しにしようぜ。
まぁ、スレが荒れるのも書き手が消えるのもよくある事だ。
切り替えていこう
本当に残念です
日記は本当に面白かったけどね。
普通の小説じゃなかったけど、良かった。
本当に次が楽しみだったんだけど・・・復帰してほしい。
荒らしたり作品に文句をつけて、結果面白いのを書く人がいなくなるのは
勿体無いよね。
思ったことがあったとしても、出来るだけ褒めて伸ばそうってのは
ダメなんだろうか。
出来ることならいろいろ書き途中で終わってるSSの再開を祈ってますよ。
>>220 誉めて伸ばそうってナニ様のつもりだよ
そんなこと言ってたら勘違い野郎が現れて良作を提供してくれてた作者が去って行くぞ某スレみたいに
周囲がケアしなきゃならない書き手なんて、程度が知れてる
消えたとしても、主な理由は当人の実力不足等によるもの
スレの雰囲気だけが理由じゃない
唐突に書きたくなってしまったので、3レスほどお邪魔します。
225 :
そらドラ:2009/08/29(土) 18:41:08 ID:hav6Call
「お昼のニュースです。今日未明、第三番地の幹線道路で事故が発生し…」
テレビから流れてくるニュースの声で目が覚める。
一瞬、寝坊したか!?と肝を冷やすが、今日は日曜日で、仕事も久々のオフだったことを思い出す。
大きめのダブルベッドの傍らでは、大河がすやすやと可愛らしい寝息を立てていた。
「ったく、風邪ひくぞ」
大河は半裸の下着姿で、夜半にかけたはずのタオルケットは足元でくしゃくしゃになっていた。
奇跡みたいに精緻なフランス人形の寝顔は、本当にただただ綺麗だった。
無機質とも感じられる真っ白なベッドルームにぴったりとはまった、まるで絵画か何かのようにも見える。
「今、何時だ?」
テレビからはお昼のニュースと聞こえていたが、寝ぼけ半分の竜児には時間の感覚ががまるでない。
「………腹、減ったな」
かけ直したタオルケットに包まれて眠る大河を横目に、竜児は朝昼兼食となる食事の準備にベッドを立った。
226 :
そらドラ:2009/08/29(土) 18:42:24 ID:hav6Call
日曜日の繁華街は人で溢れていたが、皆がどこか行儀正しく、無秩序な混雑は見られなかった。
一重に理路整然と都市計画に沿って並んだショップと、行き交う人々の素性の良さがそうさせているのだろう。
月面都市ルナスペース。2年前に移住が開始された月の地に根をおろした人類初の地球外天体居住空間は、
欧米露日共同の宇宙開発事業の集大成だった。
高須竜児はメカニックとして第一期移住からこの都市に住んでいる。
休みの日は専ら大河と二人、ウィンドウショッピングに興じるのがここ最近の過ごし方だ。
「よう、高須に逢坂じゃないか」
聞き慣れた声に二人が振り返ると、そこには見慣れた北村祐作の姿があった。
「「北村」くん」
「おっと、もう逢坂じゃないんだったな」
「やめてってば…北村君は逢坂で良いわよ」
あっはっはと笑う北村にすかさず大河が突っ込む。
「まだ慣れないのか?なかなか良かったぞ、二人の月面宇宙婚」
3カ月前のことだ。竜児と大河は月にある巨大クレーターの中心で結婚式を挙げた。
宇宙空間での結婚式は珍しくない時代だったが、クレーターというのは人類初のシチュエーションで、
当日の式の様子は世界各国のマスコミが取り上げていた。主に大河ばかりが放映されたことは言うまでもない。
「そういう北村は?今日は狩野先輩と一緒じゃないのか?」
「そうなんだよ…ホントは今日までフリーの予定だったんだけどな〜」
「え、もう行ったのか?」
「あぁ…あの人もあれで気負ってるのかもな」
「行ったって、どこに?」
二人の会話に大河だけがついて行けない。
「隔離居住空間さ。乗務員(クルー)は出発の5日前からクリーンルームで過ごすことになってるんだ」
「へ〜大変なんだね」
「人類の希望を背負ってるからな。狩野先輩は」
竜児の言葉に北村が頷く。
狩野すみれ。月面都市ルナスペースの開拓者のひとりであり、屈指のミッションスペシャリスト。
6日後に控えたミッションでは、いよいよ前人未踏の天体、火星の有人探査に赴くことになっていた。
「ま、そんなこんなで一人で暇してたんだ。高須達はこの後何か予定でもあるのか?」
「「いいや」」
綺麗にハモった二人の返答に気を良くした北村が嬉しそうに宣言する。
「よし、今日は遊び倒そう!」
北村の声には、寂しさや不安の色合いはどこにもなかった。
227 :
そらドラ:2009/08/29(土) 18:43:13 ID:hav6Call
「スミレ、テレメトリーの確認を」
「コンディションオールグリーン。異常ありません」
「イワノフ、電装チェック」
「問題無い」
狭い船内に3人の宇宙飛行士の声が響き渡る。有人火星探査船ホープのクルー達は出発前の最後の確認に余念が無い。
ホープはキャプテンマイケル、パイロットイワノフ、ミッションスペシャリストスミレの3人で運用される。
すみれは紅一点だったが、生粋の素質と素養、そしてそのスキルと性格によって、火星へ人類初の一歩を踏み出す栄誉を勝ち取っていた。
「こちらフライトコントロール。ホープ、応答せよ」
「こちらホープ。感度良好だ」
月面都市の外れにある管制局からの通信に、すみれは聞き慣れた優しい声を聞いた。
「OK。こちらも準備万端だ。予定どおり、1200にカウントダウンを開始する」
「了解」
キャプテンとフライトリーダーの通信を聞きながら、すみれは3年前のミッションを思い出していた。
建造途中だった月面都市ルナスペース建造のミッションだったが、当時のすみれはスペシャリストというよりも、
広告塔としての役割が大きかった。
あれから3年。すみれはついに夢だった誰も行ったことのないところへの切符を、実力で掴み取っていた。
「すみれ、緊張していないかい?」
唐突に話を振られ、すみれは一瞬出かけた声を飲み込んだ。そして努めて平静を装って応える。
「していないさ。私を誰だと思っている」
きりっとキツイ視線をカメラに向けたつもりだったが、サンバイザーのせいでその視線も表情も、
フライトコントロールにいる恋人には届くはずもなかった。
目前のディスプレイには、自分の傍らにいることを選択し、努力してくれた愛しい後輩の顔が映し出されていた。
「フライトリーダー…私情を挟むのはここだけにしてくださいよ」
キャプテンの呆れた声が通信に割って入る。
「あはは。気をつけるよ、マイケル」
「祐作、下のことは任せた」
「任せてくださいっ」
人類初の有人火星探査船、ホープの発射はもう間もなくに迫っていた。
えっと…
どうするんだ?これ
良い作品は流し読みしても目に留まるだよね、だから自然にレスも付くしアンチも湧いてくる。
だから誉めて伸ばすなんて必要ないと思うけどな。
上の方にも書いてあったけど馴れ合いがしたいなら他でヤレって。
『職人は寡黙であれ』俺は良い言葉だと思うけどね。
いや、もうその話は止めてもいいだろ?
で、だ。そらドラは投下し終わったのか?
3レスって書いてあるから、あれで終わりなんじゃね?
>>227 北村とすみれの関係を回想でも良いからもっと触れて欲しかった。
でも、それ以上に竜虎の絡みをもっと(ry
月面結婚式の様子とか、別話でやってくれるんだよね?
せっかくの週末、もっと投下が来ても良いと思うんだが…
ま、仕方ないか。
>>202のアイディアを受け竜児と会長物を一つ書いてみました。
稚拙な文ですがお付き合いいただければ幸いです
タイトル「すみれ姉ちゃん」とらドラ!IF会長が竜児の幼馴染だったら。
注意:原作の雰囲気崩壊、キャラ崩壊があります。それと序盤は3人娘は
ほとんどと言っていいほど出てきません。
それでも良い人は次レスからどうぞ。
序章
俺があの人に出会ったのは俺がまだ保育園に入ってしばらくした頃だったと思う。
当時の俺は遊ぼうと声をかけようとした子に「顔が怖い」という理由で泣かれてしまったのが相当なショックで塞ぎこんでいた。
休み時間や延長保育の時間はみんなにとっては楽しい時間だったが俺にとっては苦痛でしかなかった。
こんなヤクザ面に声をかけるやつはいるはずもなく、俺はずっと園庭の隅っこに一人でいた、そんな時だった。
「おまえ、なにしてんだ?」
「……え?」
背後から女の子声がした。
「だから、なにしてるんだって聞いてるんだ。」
「えっ…とぉ…何もしてない…をしてる?」
初めて同年代の子に声をかけられたという驚きで意味不明な返答をしていた。
「ぷっ…ははは、おまえおもしろいな。」
「えっ、なっなにが?」
「なにもしてないをしてるってけっきょくどっちなんだよ?」
「あっ……」
ようやく自分の答えのおかしさに気づいた。
「おまえ、なまえは?」
「たっ…たかすりゅうじ…」
「そうか、りゅうじか、あたしはかのうすみれ、よろしくな、りゅうじ。」
「よろしく、えっと…すみれちゃん?」
それが、狩野すみれとの出会いだった。
第一章
春、俺は新しい生活に期待と不安(不安七割)を抱え、大橋高校へ向かった。そうあの人がいる学校へと。
入学式、両隣の人が少し遠い。何、気にすることはない何時ものことさ。そうだ、気にしてない。動揺なんかしてないぞ。
校長先生の長〜くありがたい話が終わると、生徒会の紹介が始まった。
まずは会長らしい、かなりの好青年っぷりだ。俺も肖りたい。
次に、副会長らしい。
「あー、副会長の狩野すみれだ。」
やっぱりあの人か、
「本校の生徒会への参加はあくまで自由だ。強制はしない。しかし!」
その場の全員が姿勢を正した、そんなような気がした。
「二週間して、誰も来なければ、その学年の中から何人か、」
ゴクリ、と誰もが固唾を呑んだ。
「生徒会へ強制連行する。」
それは自由とは言わない。誰もがそう突っ込みたかったはずである。
入学式も終わり、教室に入れば周りからはまるで腫れ物を触るかのような態度をとられた。
友人がいれば少しは楽かも知れないが、そんな奴はこの学年にはいない。
ここまで、孤立無縁なのは久し振りだった。
初日からメランコリーな俺を校門で待ち構えていたのは狩野すみれその人だった。
「お疲れのようだな、竜児。」
「ああ、予想はしてはいたんだが、相当俺に警戒しているよ。」
「心配するな、そんな誤解、すぐに解けるさ、もし解けなければ私が何とかしてやる。」
この人は生まれる性別を間違えたんじゃないか、と思うほどの兄貴っぷりである。
「ありがとうな、兄貴。」
ビシッ、頭頂部にチョップが入る。
「そのあだ名で呼ぶな!」
兄貴、それは小中でこの人が自分の持つ才能を惜しみなく発揮した結果、周囲が賞賛の意を込めつけたあだ名だ。
「悪ぃ許してくれ、すみれ姉ちゃん。」
この人は俺にとって姉のような存在だった。あの日以来十年くらいずっと俺のそばにいてくれた。
仲間はずれにされて一人で泣いていた時もそばにいてくれたのも、俺に家事の仕方も教えてくれたのも
全部すみれ姉ちゃんだった。
「次言ったらただじゃ済まんぞ。あと学校では狩野先輩と呼べ、すみれ姉ちゃんは恥ずかしい。」
「わかったよ狩野先輩。」
「別に…今そう呼ばなくてもいいんだぞ。」
なんか少し寂しそうだ。何故だ?
学校が始まり早二週間が経とうとしていた。相変わらず俺に近寄ろうとする者は依然としていない。
それどころか根も葉もない噂が飛び交っている。噂ってのは性質が悪い。根拠がないくせして誰もが信じる。
そしてそれを本人が弁解しようとすれば、なぜか信憑性が上がる。何も言わなくてもそうだ。
「はあ」
溜息を漏らし机に突っ伏す。マジでグレてやろうかと半分ヤケになっていた時であった。
「ここに高須竜児ってのはいるか?」
「すみれ姉ちゃん!?…じゃなくて狩野先輩!」
さわ…ざわざわ…ざわ…ついに高須は生徒会に目をつけられたか…
っていうか今高須が副会長をすみれ姉ちゃんって呼んだぞ。
姐さんじゃないんだな。
どうやらいらぬ誤解が増えたような…いや、事実か。
「高須、いいからちょっと来い。」
「何か用か?」
「お前には来てもらわなきゃなきゃいけないところがある、有無を言わず来い。」
「え?何なんだよいった…ぐえ」
襟を掴まれ後ろに引かれる。
「いいから来い!」
「くっ苦しい、姉ちゃん放してくれっ!」
「うるさい」
「このままじゃ逝く、逝っちまうよぉ」
「黙れ」
ひきずられ連れてこられた所には生徒会室と書いてあった。
「げほっげほ…こんなとこ連れて来てどうすんだよ。」
嫌な予感はしていた。
「そんなの決まっているじゃないか。」
「まさか…」
「お前、生徒会に入れ。」
嫌な予感ほど当たるもんだ。
以上です。気が向いたら続くかもしれません。
>>238 そして一年半後に、告白して振られるんですね?
分かります。
二人の会話が脳内再生出来ました。GJでした。
続き期待してます
GJ
続き読みたい
超GJ!凄い自然に入り込めたぜ、ナイス!
さぁ次は奈々子様の幼馴染IFを!
両親の不仲に悩む奈々子様を竜児が励まして、
それで、おくしゅり(ryみたいなIFをくだしゃい!
おくしゅり人気杉だろwww
おくしゅり(ryは近年まれにみる名言だからなあ
GJ
これは期待
あと奈々子おくしゅり(ryも期待w
ヒロイン勢が全員竜児の精液中毒になっちゃうAAください!!
AAってなんだよSSだよ
アスキー・アートのことじゃね
GJ
頼むからもっとやってくれ
>>239 GJ!
兄貴が姉ちゃん……イイ!(゚∀゚)
皆さんお久し振りです。
[言霊]の続きが書けたので投下させて貰いに来ました。
前回の感想を下さった方々ありがとうございます。
※性的描写があります。自己曲解でキャラの人格が変わってます。毎度の事ですが…。
苦手な方はスルーしてやってください。
では次レスから投下します。
[言霊(9)]
「九時半前だな、…三十分になったら始めてくれ」
壁掛け時計の蛍光塗料で淡く光る分針をチラリと見た彼が、私にそう言った。
「う、うん…任せといて」
私は、自分の予想とは違う展開に戸惑っていた。
竜児に意地悪するつもりで言っただけなのに、なんか凄い乗り気でさ…。
言い出しっぺな私は否定する事が出来ずに困ってしまう。
……本当は甘々な戯れ合いをしたいのに…数分前の自分の浅はかな行動を後悔する。
仕方無い、なら主導権を握られる前に前述通りに『イかせればいい』
『絶対にイかせてみせる』
どうでもいい些細な事ではあるけど、ちょっとした対抗心みたいなものが生まれる。
私は彼の横顔をジッと見詰め、再び舌舐めずりする。
愛くるしいチワワだって犬なんだよ、解る?御先祖様は狼……狩ってあげる。
「……覚悟しなよ?亜美ちゃんが"一分掛からずに一滴残さず搾取ってあげる"泣いちゃっても知らないんだから…」
分針が九時半を差す直前、挑戦的な笑みを浮かべて彼の腕の中から抜け出る。
そして彼の足の間に割って入り、正座する。
続いて上体を前のめりに倒し、下腹部に顔を埋めていく。
だが、おちんちんの先が鼻先に触れるくらいの距離で停止し、彼の反応をチラリと伺う。
起こる筈の快感が来ない事に、焦れた様子を見せる竜児を上目遣いで観察。
竜児も顔を上げて私を覗き込む、あはっ…先が読めないでしょ?
言っとくけどマジだよ、一分は言い過ぎだけど三分以内なら…自信がある。
私は舌先に唾液を絡め、唇に含ませる。
「うおっ!?」
舌を僅かに唇から覗かせて、ゆっくり顔を近付けていく。
そして舌先がおちんちんの先に触れると同時に、窄ませた唇を引っ掛けながら一気に根元まで呑んであげるの。
手加減なんかしてあげない、強く吸い付きながらパクッ…ってね。
「ちゅぶっ!ちゅっ、ぷっ!!んん…、ちゅばっ!」
上顎に擦り付け、唾液を絡ませた舌でねっとりしゃぶり回す。
すると竜児がビクッビクッて跳ねるの、抑えれずに、洩れる喘ぎからして…だいぶ『良い』みたい。
「ぴちゃ!ぴちゃっ…ちゅっばっ!ちゅっば!!」
おちんちんの頭から根元まで速く、激しく、私は髪を左手で押さえて口内へ抽送し続ける。
右手は根元付近をシコシコ…親指と中指の輪で絞りながら、漏れる先走りを啜る。
「ちゅくっ、ちゅっ!ちゅっっっ!!ちゅぶっ!!!」
おちんちんの先を舌先で抉り、裏筋、頭の下は小刻みに…力強くしゃぶる。
竜児は弱いんだ…コレ。
目一杯吸って、擦って、唇と指で締め上げる、キュ〜ッて……。
唾液でヌルンヌルン…、暖かくて柔らかい舌と口内で堪らなくさせる。
早くも竜児の腰がガクガクしてて、おちんちんをさっきからビクッビクッ!って暴れさせてジワジワ溢れさせてるし……先走り。
射精ちゃいそうなんだぁ、ふぅん。
でも、まだ一分も経ってないよ?
溜まってるから?
あは…ウソだぁ、ギリギリまでイジメたげる。
『意地悪でしてるんじゃないんだから、大好きな竜児に気持ち良くなって欲しいから、亜美ちゃん頑張ってるんだよ、ねっ?』
「う!あ!あ、亜美ぃっ……!!」
愛情と加虐、それらの意味を含めた上目遣いで竜児を見詰めながら抽送に熱を込める。
それでも彼は耐える、勝ち負けでは無く、この快感を少しでも永く感じたくて…なんとなくだけど、そういう風に見えた。
じゃあ…御褒美。
亜美ちゃんはさっき貰ったから、次は竜児の番。
「ちゅっ!ちゅっっっくっ!!ちゅうぅっっっ!!」
おちんちんの頭を咥えて、唇で甘噛みしながら扱く。舌でねっとりねぶり、強く吸ってあげる。
竜児が身体を跳ねさせ、切なそうに啼く。
もう限界なのだろう、締めた根元が膨張し指を押し返そうとする、暴れながら…。
だが私は指の力を緩めない。それでもジワジワ染み出る先走り、ううん……竜児のミルクを唾液と共に咀嚼し、責め続ける。
「はむっ、ちゅぷっ!ちゅぷ、ちゅっぷ!!んふ♪んっ!ぐぽっ」
左手でタマタマを揉み揉み、舌で敏感な部分をぬちねち責め、強く吸引して激しく抽送。
容赦無く、そして愛情たっぷりの求愛を贈る。
「っは!っく…ふ!あうっ!う、あ、亜美っ!!も、もう…やめ…」
彼が苦しそうに私の名を呼び、身を捩って悶える。
その様を見たら、射させてあげたくなる。
てか…これ以上は可哀相だし、時間切れになりそう。
私は締めた指をパッと離して、素早くおちんちんの先を舌で弾き、甘く吸い付く。
「っん!…は、はあ!はあっ…はっ!」
「っ…ふ…、ふ…あ、んんっ、ちゅっ、ちゅっ」
すると竜児が私に腰を押し付けて、口内へ熱いミルクを吐き出す。
舌を丸めて表面でソレを受け止め、短い間隔で優しく抽送する。甘く吸い、彼が全てを出しきるまで愛撫を止めない。
「ん、んっ…。あ…む、ちゅる…」
達して敏感になった彼には、そんな弱い愛撫ですら強い快感らしく、気持ち良さそうな声を洩らしている。
出す物が無くなってもヒクヒクと痙攣し続けるおちんちんを最後に一回、優しく口付けしてから口を離す。
私は身体を起し、乱れ髪を手櫛した。
噎返る様な熱くて濃ゆい竜児のミルク…。私は口元を手で隠して唾液と一緒に咀嚼する。
…愛しい彼の精液を飲み込む様子を見せつける。
「んくっ…、っふ…。竜児ぃ…早すぎなんですけどぉ〜、ぷぷっ」
喉に絡み付く精液に噎せそうになった、が、軽く咳払いすると楽になる。
一拍置いて惚けた表情の彼をからかい、指先で脇腹をつつく。
「あのなぁ……あんなに激しくされたら我慢出来る訳ねぇだろ、それに、だ…溜まってたら誰だって堪えれないんだし……」
右腕で目元を隠して竜児が言い訳する。
「はいはい、竜児は頑張りまちたねぇ〜亜美ちゃんが褒めてあげる、よしよしぃ☆」
普段は落ち着いている彼が見せた幼い一面、可愛いな…って想う自分がいた。
咎められて慌てる子供みたいな彼を情けないとは思わない。
むしろ母性がくすぐられる。
だから彼の側に座って膝枕してあげる。
からかい半分、ときめく胸の鼓動を隠して猫撫声で竜児の頭を撫でるの。
「ま…亜美ちゃんが本気になったらこんなもんだわ。ふふ♪ねぇどうだった、気持ち良かった?」
と、私は竜児に聞いてみる。
「…半端無く。おぅ、前から思ってたけど亜美って、かなりエロいよな……ってぇ」
続けて何かを言おうとした彼の額にでこピンを喰らわして黙らせる、そして両手で頬を寄せて撫でる。
「そういう時は愛情が深いって言うのよ。分かった?ほれほれ」
両手で挟み込んだ頬をグリグリ、円を描く様に弄ぶ。
彼に言われた事は図星、ちょっぴり恥かしいから、誤魔化しついでに八つ当たりしてみた訳だ。
「わかっひゃ、わかっひゃから止めてふりぇ」
竜児が笑いを堪えながらそう言ったので、私は両手をパッと離して次のステップに進む事にした。
「はいよ。じゃあ次は竜児が頑張る番ね、よいしょ…」
私は膝から彼の頭を退して慎重に降ろす、そして寝転がったままの彼に伝える。
「舐めて…」
竜児の頭の上を跨いで膝立ちの私はスカートを指で摘んでたくしあげ、甘えた声でせがむ。
「あ…」
彼に腰を掴まれグッと引き寄せられる。秘部に当たる暖かい吐息…くすぐったい、期待で胸がドキドキしてる。
「ふあっ…、あ。は…」
彼の顔に乗ってしまわないように気を付けながら、たくしあげたスカートから指を離す。
それを合図に竜児の舌がクリトリスに触れた。瞬間、蕩けるような甘い刺激に腰が跳ねる。
「あっ、あん、ひあっ、はあ…は…、あふっ!」
暖かい舌先で小刻みに敏感な部分を転がされ、その毎に私の身体が跳ねる。
燻ったままの火種が燃え上がる。疼きが切なさに変わって堪らなくなっていく。
焦らすように唇で優しく啄まれ、私は秘部を竜児に擦り付けておねだり。
すると彼がクリトリスを吸ってくれる…腰砕けになりそうな快感が背筋を走っていく。
「あっ!!ああっ!!んうぅ……!!」
甘く吸われながらねぶられ、刺激に身を捩らせ、…お腹の中がキュンと痺れる。
思考を蕩けさせる電流に背筋が反り虜になって…酔わされる。
「あふっ…っ!!ふっ、んんっ!!……ひうっ!?や…、あっん!!」
私を貪り続ける竜児が、先程のお返しと言わんばかりに責め立てる。
強く強く吸引され、弾くように小刻みな舌遣いでねぶられる。
ゾクゾクした歓喜の震えが止まらず、腰が引けてしまいそうになる。
「ん、んう…、ふっあっ!!あ、ああっ!!っ…ひあん!!」
でも逃れられない…、私の腰を掴んだ彼からは。
だから私は恭順する、竜児にされるまま秘部を口で溶かされる。
彼の丁寧な舌遣いに淫され、荒々しく吸われて悦ぶ。
私は『キモチイイ』と伝えたくて秘部を擦り付け必死に求愛、甘い啼き声で彼を誘う。
「やあぁあっ…っあ!!りゅうじぃ!りゅうじぃっ!!」
一旦、燃え上がった欲求は鎮火しない、より勢いを増して少しでも愛撫を味わおうと貪欲にさせる。
彼の舌や唇はもちろん、鼻息ですら自身の欲望を満たす糧にしろと本能を揺すぶる…。
それは物理的要素も、だが、心理的要素という意味でも、だ。
『亜美ちゃん、竜児の顔の上に乗っちゃってる。
恥かしい所を舐められて、吸われて…凄く気持ち良いよぅ。
やだ…エッチな匂いを嗅がないで。恥かしい、でも止めないで…』
蕩け、酸欠気味の頭が思考するのは…そんな事ばかり。
「あんっ!!んんっ、んっ、っ!………きゃふぅっ!!」
そして、それらの要因が絡まりあって、私は軽く達してしまう…。「はっ!はあ…っはあ…んう。あはぁ…」
畳に両手をついて、震えの止まらない身体を支える。
視界が白く融け、ジンジンと耳鳴りがした。
恍惚感に包まれ、頬の筋肉が弛緩する。
熱くなった『亜美の女の部分』が痙攣して、微弱な電流を全身に巡らせていた。
そして『竜児』が足らなくて寂しそうにキュン…って縮まって、泣いている。
『まだ欲しいよ…』
と…。
「あ、亜美…苦し、い…」
「ん…んん」
敏感になった身体には、微かな吐息すら心地よい刺激をもたらす。
…いや、待て竜児は何て言った?…苦しい?
息も絶え絶えな声を聞き、惚けていた私は我に帰った。
彼が私の太股を弱々しく叩いている、なら取るべき行動は一つしかない。
「ご、ごめん、大丈夫?」
私は彼の顔の上から退く、どうも達した後にお尻で顔面…塞いじゃったみたい…。
「お、おぉうっ…。息が出来るって素晴らしい」
ガバッと起き上がった竜児が深呼吸し、首を鳴らす。
「いやぁ〜凄かったぞ、途中から亜美が顔にアソコを押し付けてきて酸欠になりそうだった」
苦笑し私をチラリと見やった竜児を咎める事は出来ない。
私には羞恥を隠したくて顔を伏せる事だけしか…。
「う…、だって気持ち良かったんだもん」
「だろうな、凄く濡れてたし……口の周りまでお前の………ぐはっ!」
恥かしさ、照れ…。それらを隠したくて竜児の脇腹を手刀で突く、少し強めに。
「ふふっ♪可愛い彼女にイジメしちゃ ダ・メ・だ・ぞ?」
気を抜いていた彼は、予期せぬ反撃を喰らって脇腹を手で押さえる。
「好きな娘はイジメたくなるだろ?…亜美が可愛いくなるから、な…」
と、顔を真っ赤にしてボソボソ呟く竜児。
「亜美ちゃんは何もしなくても犯罪レベルじゃねってくらい超々可愛いし。きゃは♪」
私は笑いながら冗談ぽく言った後、彼を背後から抱き締める。
彼の首の横を通って胸の前で交差させた腕をダランと垂らし、耳元で優しく聞いてみる。
「竜児は、亜美ちゃんを……もっとイジメてみたい?」
彼がピクッと耳を動かしたのが、寄せた頬に伝わる。
「…したいな、いや、する。亜美…来いよ」
「んう…」
彼が立ち上がり私を引き寄せて、抱き上げてくれた。
背中と膝裏に腕が触れたと思ったら、フワリとした浮遊感。
私は声を出す事すら出来ず、竜児の腕の中で身体を縮こませる。
……お姫様抱っこ、女なら誰でも一度は憧れる抱かれ方。
それは私も例外では無く……高鳴る胸の鼓動を抑えれる事なんて無理。
彼が一歩歩く毎に身体が揺れる、私は彼にしがみついて震えてみせる。
竜児の庇護を受けたくて、優しく抱いて欲しくて甘える姿を晒す。
そしてベッドに寝かし付けられ、瞬く間に制服を剥れる。丁寧に…でも焦りを見せつつ。
早く繋がりたいんだ、私も竜児も。
だから私も彼の制服を脱がすのを手伝う。
ボタンを外す、肩から袖を滑らせる……もう慣れちゃった、何回もこうして脱がしあっていると。
彼が私の両膝を手で割って左右に広げ、腰を密着させる。秘部を熱い『竜児』が優しく擦る。
「ふ…、は、あ…、は…」
竜児が右手でおちんちんを持って秘部に頭を擦り付けてくる、それを私は僅かな喘ぎで返し、甘く疼く身体を捩らせる。
同時に彼の左手は枕の下に隠したコンドームを探している。
自分でも何個かは持っていたい、竜児がそう言ったのが修学旅行の前夜。
ほら前日に言われたから、実はちょっとだけ………期待していた。
修学旅行中に一回くらいはするのかなって……考えてた、それはナイショにしておく。
まあ、機会なんて無かったけどさ。
そう考えている内に、ゴムを着けた彼が膣におちんちんをあてがう。
「挿入るぞ」
「うん、来て?」
そう答えると膣口に圧迫感を感じて、すぐに押し拡げられる感覚がした。
「んん…んぁ、は…う」
閉じられた膣内を擦り、ゆっくり掻き分けて挿入ってくる快感は、甘い痺れを伴って全身を巡る。
被膜越しでも伝わる質量と熱、それは太くて、硬くて、熱い…。
「りゅうじぃ…」
性という名の奔流に、理性の堰は押し流されて……私は溺れる。
竜児が浅い呼吸で、膣の柔らかさを味わう様に進んで…火傷しそうな高熱を以て私を溶かす。
「ひあ、あ…、ん、あう」
私が全てを受け入れると、彼に一回突き上げられて甘い吐息を洩らす。
奥を打たれる刺激、彼に覚えさせられた『竜児の味』だ。切なさが霧散する。そして、またすぐに戻ってくる。
「あ、は…ぁ。んぅ、ん。んん」
ゆっくり引き抜くと、張り出しに掻かれる。元気いっぱいに反り返ったおちんちんを押し込まれると、膣内の敏感な場所が擦れて堪らない。
ゆっくりゆっくり均す様に優しく…腰が蕩ける浮遊感に絆される。
竜児が私の膝頭を持って左右に大きく開脚させ、より奥へ突進む。
「はっ!は…ぁあ!ひぅっ!」
緩慢な抽送が続く、奥へ届く一瞬だけ力強く腰を打ち付けて、グリッと大きく円を描く様に抉る。
私は身体を跳ねさせ、腰をクイクイッと擦り付けてサカる。
「亜美。腰が動いてるぞ……気持ち良いか?」
膣奥を抉り続けながら彼が問う。
「う…ん、ねぇ…ギュッて抱き締めて欲しいな」
私は両手を広げてねだる。そう、甘えん坊になってしまう…。
彼が身体を倒して、背中の下に両手を潜らせて強く抱き締めてくれる。
私も抱き付き、腰に足を絡ませて寄せる、こうすると彼の体重が掛かった腰への負担が減る、そして何より落ち着く。
大きくて暖かい竜児に抱かれて、守られている気持ちになるんだ…。
「亜美って、抱き付くのが好きだよなあ。俺としては動き難い…」
と、彼が言った。私は彼と額を合わせ、ジッと見詰めて教えてあげるの。
「良いじゃん、男は細かい事を気にしちゃ駄目よ。…こうしてたら暖かいし、気持ち良いもん。竜児と繋がってるって実感出来るから」
「おぅ。分かったよ、じゃあ続きするからな」
言葉の上では淡々と、でも愛情は目一杯載せて紡いでくれた彼への返事は、抱き付く力を強める事で返す。
「あはぁ…、あ、あぁ。はっ…ん」
抽送は短く緩やかに、熱を帯びた身体を蕩けさせていく甘い甘い痺れ。
視界も思考もトロンと融解していく…。彼の首筋に頬を寄せて温もりを共有する。
「う…あ、あっ!あぁっ…あっ!あんっ!」
彼の抽送の勢いが速まっていき、突き上げられる力が強まる…。
おちんちんが奥を抉る。膣内を擦りながら拡げて暴れ回り、私のお腹から伝わる疼きは電流に変わる。
その痺れる電流は腰から背中を渡り、全身へと拡散していき…力が入らなくなる。
「あっ!りゅうじぃっ!と、蕩けちゃうよぅ…、はっ!はっ!はふっ!!」
彼を受け止める膣肉は離したくないと言わんばかりにキュッと締めて、美味しそうにしゃぶり付いてる。
膣内でおちんちんがビクッと跳ねて、硬さを増し…女の部分を荒々しく叩く。
「はっ!腰…抜けそ、う…気持ち良い!」
彼が私を揺さぶりながら耳元で呟く。
そして荒々しく抽送して私を乱れさせる。
奥にガツガツ打ち付けられ、私は甲高く啼いて嫌々する様に頭を左右に振る。
「やあぁっ!!やっ!ああぁっっ!!ら、めぇえっ……壊れちゃうっ!!あんっ!!」
そんな彼の愛情が籠った乱打が嬉しくて、発情したチワワはキャンキャン啼きながら腰を振って甘えてしまう。
サカリのついた犬みたいにお尻をフリフリ…気持ち良い場所に当たるように擦り付けて、
咥え込んだおちんちんを柔肉で揉み、吸い付いて、キュウゥッッと締め上げる。
『勝手に腰が動いちゃう…気持ち良くて止まらないよぅ』
フワフワと心地良く翔んでいるような快感が堪らない、だから彼の身体の下で甘えて夢中でおねだり。
「んむ!あっふ、ちゅっ!ちゅくっ!んんっ!!」
背中から後頭部に回された彼の手が私を抱き寄せ、近付いてきた唇が重なる。
私は彼の舌を甘噛みして受け入れる。贈られる唾液を啜り、絡め取って、今度は自分の唾液を彼に含ませる。
お腹の中がジンジンと痺れて、高まっていく欲求に焦がされる。汗ばんだ肢体を寄せ合い、互いの熱を貪って喘ぐ。
「…あ!ふっ!…んう、あうっ!!」
グッと彼が私を引き寄せ、身体を抱き起こして下から貫く。
胡座をかいた彼の上に私がしがみついてる格好になって、お尻を掴まれて荒々しく突き上げられる……。
自重も合わさり、子宮を押し潰されそうになる圧迫は私を酔わせ、淫らにしていく。
「はあっ、はっ!はっ!!は…!りゅ、う…じぃっ!くふぅっっ!!」
彼にしがみついて腰を振る。そう、一緒に躍る。
膣肉でおちんちんを絡め取り、もっと突いて、もっと可愛がって、と求愛するの。
「亜美っ!う…あ、すげ…ぇ!ふ…止まんねぇっ」
そう言って彼は更に強く、激しく抽送する。
お腹の中…子宮に打ち付られる気持ち良さに背筋が反る、一打毎にズンと響く雷撃が絶えず襲う。
身体の芯まで痺れる快感が堪らなくて、乱れた呼吸で腰をガクガクさせて…貪るのに夢中。
今の私はだらしなくトロンと蕩けた表情をしているだろう。
それを竜児に見られていると思うと、興奮して気持ちが高ぶっていく。
『発情した女の顔』を見て、竜児がおちんちんを硬くして求めてくれているから…。
だから泣いて、啼いて、隠さずに晒け出す。大好きな竜児に見せてあげる。
「ひゃうっ!!あんっ!あんっ!!ら、めぇっ!らめ…らめっ!!イッちゃう!!あみちゃんっイッちゃうよぅう!」
頭の中でチリチリと何かが爆ぜる音がする…、ギュッと閉じた瞳が見ているのは白い光がストロボを焚いたようにチカチカしている光景。
おちんちんに擦られて膣が熱く痺れ、ノックされ続けて震えが絶えず襲う。
達する直前の切なさと疼きに身悶えし、甲高く啼いて懇願する…『イかせて』と…。
「はっ!はっ!!お、おうっ!!イッちまえよ!!くっ!」
「ああっっっっ!!!!」
竜児が前後に私の身体を揺する、子宮をグリグリって……擦って掻く。新たに加えられた刺激に私は耐えきれなくなり…絶頂を迎える。
身体が蚤のように縮こまる感覚、強烈な電流が高熱を伴って全身を駆けていく。
筋肉がビクッと硬直し、捕らえどころの無い何かが爆散し目の前が白一色に染まって息が出来なくなる。
強い耳鳴りで無声、無音の世界で私は翔んでいた…。
それが数秒なのか数分なのか…時間の感覚も麻痺していて解らないけど、短く、永く、フワリフワリ真っ白な場所を漂う。
「………っ!…はっ!はっ…ぁ!んあ…ぁ、はあ…!」
耳鳴りが徐々に鳴り止む、それと同時に私の胎内を再び襲う甘く疼く刺激…。
それは…おちんちんが精液を吐き出す脈動。これ以上無い程に膨張してビクンビクン…達したばかりで敏感な膣肉を縦横無尽に叩いて暴れながら達している。
薄膜越しに感じる灼熱の飛沫と、子宮に押し当てられたおちんちんの頭が擦れる快感を受け、弛緩し始めた筋肉がまた一瞬硬直し、すぐにほぐれる。
「ん、ん、んぅ……!は…!あふぅ……」
バカになって動く事を止めない腰が惰性でゆっくり振られ、
膣肉で揉みしだきながら彼の精液を一滴も残さないと……搾取っている。
私は竜児の後頭部を撫で、首筋に軽く噛付く、一ヶ所…二ヶ所……。
『竜児は亜美ちゃんのだから……盗らないで』
見えない誰かに示唆する為にマーキングを彼に残していく。
その獣染みた情愛は私の求愛の証。
甘く心地よい余韻に耽り、ほてった身体の熱を冷ましながら、私は幸せな温もりを甘受する……。
「亜美、こっちを向けよ」
「ん、……あ」
フェイドアウトしていく白い世界の中、惚けていた私に彼が後戯をしてくれる。
「涎が出てる…綺麗にしてやるよ」
そう呟いて私の頭を腕で支え、朱の差した頬をした竜児が私の顎を舐める。
「んんっ。くすぐっ、た…い。んあ…」
顎、唇、頬、子犬が戯れるように舌が熱を残して滑っていく。
熱はすぐに気化し、冷たくなって…違う場所に軌跡を残す。
緩めていた両腕で再び彼を抱き締め、愛情表現に胸を躍らせる。
『どうしよう………また欲しくなってきた』
冷め始めていた本能に再度火が灯されて、ほてっていく…。
...
..
.
竜児の愛情が籠ったスキンシップが終わり、私は掛布団の中で優しく抱かれていた。
仰向けになった彼に抱き付き、腕枕されて……背中に回された左手が私を引き寄せていた。
ちょっとだけ…感じた『男らしさ』
今日の竜児は…強くて、惚れ惚れする程にカッコいい。
まあ…惚気なんだけどね。
狭いシングルベッドだからこそ、竜児を近くに感じれる。それは私にとって至上の喜び。なんだか……照れる。
そんな浮ついた事を考えているのは、きっと…私のサカリが収まっていないから。
優しい後戯を貰って燻り続ける欲求。それを太股をモジモジ擦り合わせて我慢している。
「風呂でも入るか、汗かいたし。流石に疲れた…早く寝たい」
と、竜児が私に洩らす。
まあ…二回も射せば疲れるよね。
でも私はまだ満足してないんだよ。ね?
「んふふ、竜児ぃ何言ってんのよ、さっき言った事、忘れちゃった訳?ん〜?」
良かった『保険』を掛けておいて…。
私は彼の身体にゆっくり馬乗りになって甘く囁く。
彼の頭の横についた両手で身体を支え、顔を覗き込み…微笑んであげるの。
「ん…、何か言っ、……おうっ!」
何かを言い掛け、すぐに思い出す。竜児の頭上で豆電球が光ったような錯覚を覚えた。いつの時代だよ…。
「まあ待て亜美、そんな急には無理だ。少し時間を置こう、すぐには勃たねぇよ。……おぉっ!?」
落ち着け、と、私を説得しようとする彼を黙らせる。
萎縮したおちんちんの上にお尻を乗せて、前後にスリスリ…。濡れたままの秘部を押し付けておねだり。
「大丈夫、すぐ元気にしてあげるから………んう」
発情した私は息を乱して愛撫する、何回も何回も…。
「あ…、ほら勃きてきたよ?ん、んん…」
すると竜が眼を醒まし始める。ちょっとづつ堅さを取り戻して熱くなっていく。
「亜美ちゃんは、まだまだ満足してねぇし……」
緩慢な腰遣いは段々と速くなって…クイックイッとエッチな動きに変わる。
おちんちんの裏筋にクリトリスを擦り付けて圧迫し、快楽に絆されて私は『女』から『雌』に戻っていく。
「何回出来るかなぁ……、竜児が何も射せなくなるまでしてみよっか♪
……寝かせない」
私は淫美な笑みを浮かべながら腰を持ち上げ………熱く脈打つおちんちんを、柔らかくほぐれた膣の中へ埋めていく…。
続く
今回は以上です。
次回で完結ですので、もう暫くお付き合いください。
では
ノシ
『みの☆ゴン』
>>114からの続きを投下させていただきます。
前スレ落ちてますので、再度注意書き↓お読みください。
内容 最終的には竜×実ですが、竜が他のキャラと絡む描写有り。
時期 原作ビフォアー(IFもの)の1年生のホワイトデーからです。
エロ 妄想シーンです。いわゆる本番は、竜×実がくっついてから
になります。
補足 内容、文体が独特で、読みにくいかもしれません。
ご不快になられましたら、スルーしてください。
また、続き物ですので、ここからお読み頂いきますと、
ご不明な点が多いと思います。
七レス分(15〜21)です。宜しくお願いいたします。
眠れない。竜児が時計を見ると、午前0時だった。
平和な春休みだったが、今日一日だけで、竜児的にはいろんな事件が起きたからだ。
1番は、初恋の相手、実乃梨。大河を通して、メールアドレスを聞いて来た。そして、
お食事会のお誘い。素直に嬉しいのだが、どうしてだろう。全く見当つかない。謎だ。
2番は、大河。北村とすみれの話をしたらキレた。大河は去年、北村を振っている。
大河はその罪悪感で、北村の親友である竜児に、気を使っていたのではなかったのか?
…と思ったが、良く考えたら大河は、竜児に全く気を使っていない。意味不明だ。
3番は、芸能人と握手した事だ。川嶋亜美。竜児的に殿堂入りの実乃梨は別格として、
強力に美人だった。大河も美少女だが、ベクトルが違う。得した気分になった…等々。
「あーっ眠れねえ、無理矢理寝るかっ」
1度油断して大河の夢を見たが、今日も実乃梨の夢を、見るつもりでいた竜児だったが…
…コレは夢。つまり妄想。俺の妄想なのだが、なんか間違っている気がする…
なぜならベッドの上に、大の字になって手首、足首を縛られているからだ。
しかも…全裸だった。誰かが近づく。いわゆるボンデージファッションだ。
艶のある細い長髪、奇跡の8等身、ミルク色の肌に、潤んだ瞳…亜美だった。
亜美はニコニコしながら、右手に握るムチをブンブン振り回している。
何条にも分かれたムチの先が、振り上げられ、ベッドに叩き付けられる。
風きり音っ! パシンっ!! …痛そうだ 亜美は髪をかきあげる。
…高須く〜ん、あ・そ・ぼっ…
いや川嶋…あまりこういう遊戯は好きじゃないんだが…っていうか櫛枝は?
…ちょっと、実乃梨ちゃんの話しないでくれる?だいたいこれって、
高須くんの妄想だよっ?うふっ、楽しみましょうよ!おりゃああっ!!!…
パシイイン!
痛ってーっ!!おい、川嶋!無理だそれ!!全く楽しくないぞっ!!
…も〜っ、高須くん。根性ないなぁ…ウフッ!わたしが楽しいからいーのっ!えいっっ!…
スパアアン!
おうっ!!っ痛てーよ、川嶋!!本気で痛てーって!止めてくれよ!
おっほっほっと、手の甲を口に当て笑っている。と思ったら、急に真剣な顔になる。
…やだ高須くん、間違えてるよ?止めて下さい…でしょ?…
くっ…止めて…下さい
…聞こえな〜い。亜美さまに聞こえないわ〜?…
止めて下さい…亜美さま…お願いします…
…おーっほっほっ!うんっ、高須くん、いい子だから止めてあげるねっ…
やっぱりなんか、間違っている気がする…
…何が?何のこと?さあ、高須くん。これからが本番よ?…
本?うおううっ、く…屈辱…ふごおっ…
亜美は後ろ向きに竜児の顔面に座った。息が苦しい。亜美の尻しか見えない。
…ねえ高須くんっ、舐めてよ。ご褒美あげるからっ…
と言って、亜美は竜児の緊張した部分を指でピンっと弾く。
亜美はエナメルのTバックの紐を解く。丁度、竜児の舌先に、亜美の核が当たる。
…んん〜っ、そうっ、高須くんっ、んっ、んっ、はあ〜ん、私も舐めちゃおっ…
亜美の細い指は竜児の角度を変え、口の中へ。亜美は指も柔らかいが、舌も柔らかい。
竜児は舌先で舐める箇所を、亜美の核から、液の捻出部に移動した。
亜美のカラダがキュウっと、凝縮する。丁寧に竜児は亜美の濡れた周囲を舐め続ける。
…んぁ〜んっ、たっ高須くんっ、気持ち良くて、はぁ…ご褒美できない…じゃん…あんっ…
竜児の性器は。亜美の唾液で光っていた。ギュッと握りしめる亜美。
亜美は一度、大きく腰をくねらし、その直後、竜児を握ったまま、方向転換、見つめ合う。
…高須くんっ。挿入れちゃうよっ、挿入れたいの…
おうっ、川っ嶋っ…
亜美は深く腰を落とす。竜児を…飲み込む。竜児に亜美の長髪が掛かり、くすぐったい。
美しい亜美の裸体が竜児の前で踊っている。亜美の汗が掛かる。
竜児は縛られたベッドを動かすほど悶える。縛った縄は、きつく結ばれ、痒い。
…あんっ、あんっ、ああっん、ねえ高須くんっ、口開けてよ…ん…
亜美は、竜児の口に唾液を流し込む。しかし我慢出来ず、結局そのまま竜児にキスをした。
ふたりが発する息の音と、クチュンクチュンというイヤらしい音が響く。その音は共鳴し、
だんだんスピードが上がる。そして音量も上がる。腰が意志を持ったように止まらない。速い。
…あんっ、あんっ、高須くんっ、あんっ!いくうっ…
はあ、はあ、川嶋っ!!
「!!おうっ!」
あろう事か、実乃梨ではなく、川嶋亜美で夢精してしまった竜児。しかも変態プレイ…
ドッ押し寄せる罪悪感。残念な気分だ。もしかして、俺は色魔なのだろうか?
いくら亜美がモデルとはいえ…初対面の女子で…竜児は猛省する。
竜児は、洗濯カゴにパンツを投げ入れ、パンツを交換。冷静になり実乃梨に謝罪。
「櫛枝…変な夢見て、すまんっ…」
そして竜児は実乃梨分を補充しようと、箱から実乃梨への想いを綴ったノートを取り出す。
ペラペラっと捲る。最後のページのプレイリストに目が止まる。何度も聞いた1曲目…
口ずさもうとしたその瞬間、偶然にもその曲が、竜児の携帯から流れる。着信だ。
♪君は太陽 僕は迷わない
もう迷わない 君と…
メールだった。愛しの実乃梨から。
〒iII 四 00:11
差出人 :
[email protected] 件名 : くしえだでーっす
受信日時 : 200X.04.02 00:05
おはこんばんちわ、くしえだこと、みのりんです。
おっと…逆か(汁)
メアドありがと〜。ムリヤリだったかな?
いや〜面目ねえっ。ちょっと、たかすくんに、
相談したい事あったからさっ。カンベンなっ。
いつもたいがと一緒に登校しているんだけど、
始業式の日、たかすくんも一緒に行こうよっ。
たかすくん家から学校まで3つ目の交差点ね。
じゃね☆
…なお、このテープは、
10秒後に自動的に爆発しない…
「テープじゃねえし…っていうか、一緒に登校?うおおっ神様!仏様!上野様!」
謝罪の恩恵だろうか、大好きな実乃梨とまた逢える。話せる。笑顔が見れる。
相談ってのがちょっと気になるが。しかし実乃梨と一緒にいられる口実になるのであれば、
もしそれが嫌でも、辛くても、痛くても、犯罪でも、竜児はこの際何でもいいと思った。
…で、結局実乃梨になんて返信しようか、竜児は悩みに悩みまくった挙句、
やっと、結局始業式の前日に、
『心配御無用』
と、非常に微妙な返信をして、一晩中激しく後悔する竜児であった。
「グッモーニンッ!ミスター高須っ!久しぶりだねっ、この前、遅くにメールごめんね?」
「おうっ、おはよう櫛枝…全然気にすんなよ。…で、相談ってなんだ?」
竜児は実乃梨に対して、サン付けを止めた。一歩前進だ。実乃梨はやっぱり今日も可愛い。
「ソレに関しては、おいおいなっ。高須くん、大河。一緒じゃないんだ」
「家の前で待つか迷ったんだが…通行人にジロジロ不振な目で見られて…ひとりで来た」
「あははっ、そうなんだっ。まあ大河は3日に1回は遅刻するからねっ。でも初日からとは…」
ドンッ!
っと、その時、竜児を追い越した、二人組の同じ高校の生徒と、肩が当たる。
「ってーなっ!…おおわっ、高須さんっ、すっすいませんっ!!これ…財布で勘弁してください!!」
「馬鹿っ!ぶつかる相手選べよッ、高須さん、こいつ、後でヤキ入れときますんで!…命だけは…」
すいませ〜んっ…っと竜児に財布を預け、逃げ出した二人。苦笑する竜児。目で追う実乃梨。
「ほえ〜っ、高須くん、本当に誤解されちゃうんだ…カルマよのう…」
「まあ…いつもの事だ。慣れた。俺、目が…恐いだろ?さっき、大河のマンションの前で、
不審がられたり、職質受けたり…小学校の時からあだ名で、極道くんって呼ばれてたんだ…」
竜児は、癖で、前髪を引っ張ってしまう。今もそうなのだが、実乃梨は勘違いしてしまったようだ。
実乃梨はバシッと竜児の顔を両手ではさみ、真っ赤になって、懸命に叫ぶっ。
「高須くんっ、他のヒトはどうか解んないけどっ、わたしは高須くんの目っ、好きだぜっ!!」
竜児は、少し潤む実乃梨の瞳から目が離せない。耳まで朱色の顔、微妙に震える唇。超至近距離だ。
自分の表情は解らない。実乃梨には、竜児の顔はどう写っているのだろうか。
ここは通学路。
一見、キッスでもするかのような体勢のふたりを、複数の同じ高校の生徒に目撃される。
***
「おっ、高須っ!おはよう、いい朝だな!」
竜児は、背後から掛けられた声に気付き、振り返って手を上げた。
「おぅ、北村、おはよう」
「おぅ、北村、おはようグルト」
実乃梨は、竜児と全く同じように振り返って手を上げた。短期間にしては完璧な物真似だ。
北村は意外なカップル登校に対し、特に変わった対応をしなかった。
「やあ、櫛枝っ!おはよう、やはりいい朝だな!いつも一緒の逢坂は、いないのか?」
「そうなんだよ、大河ったら、メールも帰って来ないし、電話も出ないし…ったくブモーッ!」
実乃梨は宇宙牛の物真似を始めた。もう竜児は置いてきぼりだ。
「なあ、高須、あっちにクラス名簿が張られているぞ?一緒に見に行こうっ!」
「おうっ、楽しみだな北村。また一緒になるといいな。…くっ、櫛枝も」
「あっしも仲間に入れてくれるんですかい?へへっ、大河も一緒だといいな〜」
3人は校舎の脇に掲げられたクラス名簿の前に移動する。
「そだっ、北村くんっ。放課後に、今年一発目の新二年生ミーティングあるじゃん。
議題終わったら、すぐ帰っちゃっていいかな?ちょっくら高須くんと約束しててさ」
ねっ!と竜児に同意を求める実乃梨。お…う…竜児は頑張って相づち。ものすごく嬉しく、
天にも昇りそうな竜児だが、これは北村に変な誤解されないだろうか?北村は答える。
「構わないんじゃないか?議題ってもスケジュール確認くらいだから。問題ないだろう。
2時過ぎには抜けられると思うぞ。それはそうと、見えるぞ。名簿。…あった!C組か」
「北村はC組か?…!っ、俺もC組だっ、一緒だぞ!え…と…櫛…、おうっマジかっ!!!」
「あはっ、高須くんなんで泣いてるの?わたしも一緒のC組だぜよ?はい、高須くんっ、
ハンカチ王子っ。わーおっ!大河も一緒だっ!こりゃあ、面白くなりそうだねっ!」
2−Cと言えば、牧野つくしちゃんは?F4は?っと、またもや竜児を置いてきぼりにする実乃梨。
少女漫画や、ドラマを見ない竜児は、意味が分からなくても、この雰囲気が好きだ。
ハンカチは洗って返そう。竜児は涙を拭うふりをして、匂いを嗅いだ。実乃梨の匂い…
竜児の心は、校庭に咲く桜より、綺麗なピンク色に染まった。
そんな気も知らず、実乃梨は携帯のフリップを開ける。
「えーっと…大河にメール、メール…今年もっ、一緒だよっと…どうしよっかな…あと、
高須くんと北村くんも、クラスメイトだぜ…これでいいやっ、送信!ボチッとなっ!」
このメールが、今日の放課後にある事件を起こす原因になる。
「また君か?よく落とし物拾うねえ」
「はあ…そうですね」
放課後、竜児は、用務員室へ、不可抗力でカツアゲしてしまった財布を届けていた。
こういった地道な努力が、竜児は普通の高校生!っという実が結ぶ日を信じて。
「おうっ、あと五分かっ」
実乃梨と約束したのは2時半。竜児は、二段抜かしで、階段を駆け上がり、2ーCの教室へ戻る。
「…っ…」
教室のドアを開けると、竜児は絶句した。イスが3つほど、宙を舞っていたからだ。
とっくに下校時間を過ぎ、無人のはずの教室で、何かが起きているのだ。
ドカンドカンっと、イスは落下。そのイスを蹴り倒し、ロッカーに身を隠す影ひとつ。
その影の正体を竜児は知っている。今日、クラスメートに聞いたのだ。身長145cm、
校内最高ランクの危険人物。誰が呼んだか手乗りタイガー、逢坂大河だ。
どうやら本人は隠れているようだが、教室の鏡にバッチリ写っている。
「逢坂…だろ?俺だ…お隣さんの高須竜児だ…」
竜児の声を聞いた大河は、頭を掻きながら、ロッカーから出て来た。無愛想だ。
「なによっ、竜児か…こらっ!おどかすんじゃない!!わたしを殺す気?」
「おどかしてんのは逢坂だろ?なんでイス飛ばしてんだよっ!イスの神様に謝れ!」
グルルッ…っという呻き声が聞こえるくらい竜児を威嚇する大河。
「…やめようぜ逢坂…これからお食事会だろ?好きな食べ物はなんだ?」
「…肉」
竜児はこれ以上刺激しないように、ゆっくり教室に足を踏み入れる。
そして、帰り際に話をした、北村の机に置いた自分のカバンを手に取る。
「あっ!」
大河が飛び上がった。なにかマズい事でもしてしまったのだろうか?
「なんだよ…おうっ、なに悶絶しているんだっ、お前おかしいぞ?」
おちょぼ口をあうあうし、指をワキワキする大河。小刻みに震えている。
「りゅりゅ竜児のカバン、だって言うの?だって、座席表だと竜児の席は、
そこじゃないでしょ?ななな、なんで、なんでそそそそんな…」
激しくドモって、竜児を指弾。
「…なんでもなにも、教室を出る前に北村と話していて、そのまま…おうっ!」
竜児と数メートルあったはずの間合いを一瞬で詰める大河。
「…っ、…っ、…っ!」
大河は竜児が抱えていたカバンを奪おうとする。ものすごい力で引っ張る。
「なにすんだよっ!俺のカバンは喰えねえからっ!逢坂!やめてくれっ」
「かっ、かし、な、さいよぉ…っ! よこせっ!」
「あ、あぶねえからっ!よせ、やめろっ!」
この状態で手を離したら、大河は後ろに吹っ飛ぶ。離せない。
「あれれ?おいおい、おふたりさんっ!何やってんのさ!」
丁度そこに実乃梨が現れた。
「あっ、みのりんっ!こいつがカバン離してくれないのっ!助けて!」
「なっ!これは俺のカバンだろっ!離すなら逢坂が離せ!櫛枝!そういう訳だ!」
「んも〜!よく分からないけど、早く帰るよ!おおーりゃ!」
実乃梨は、ふたりが引っ張りあっているカバンをスパっと、インターセプトする。
鮮やかなプレーだ。カバンが無くなったふたりは、左右にふっ飛ぶ。
「こいつぁ、わたしが預かっておくよ!カバンに罪はねえよ!」
「いたた…みのりん…その中に間違って、需要書類を入れちゃったのっ!…」
「なんだい大河、そういう事は、早く言いなよね!高須くん、開けていい?」
「って〜…なんだ、そういう事か…構わねえ。おうっ、コブになっちまった…」
「どれ…これだね?…はい、取った!大河、俺のオゴリだ、取っときなっ!」
実乃梨は、竜児の持ち物にしては、可愛らしい封筒を大河に手渡す。
大河は、大至急封筒をしまう。竜児はイスを元に戻した。
「これにて、一件落着!罪を憎んで、人を憎まず!!さっ行こっ!」
三人は、実乃梨の大岡裁きに、納得したのかしないのか、
夕食の買い出しにスーパーへ向かう。
「肉!ねえ、みのりん!わたし、肉がいいっ!」
「若い奴は、肉食っときゃ〜、間違いねぇっ!高須くんっ、頼んだぜ」
「おうっ!かしこまりだ。そうだ、デザートは、どうするんだ?
一応、クリームブリュレなら、下ごしらえしてあるけど、」
「ゴクリ…竜児が夕食作る間に、試食しておいてあげるわ」
「おお〜高須くんっ!ナイススイーツ!クリームブリュレ作れるんなら、
今度、一緒にバケツプリン作ろうよ!それは女の欲望番外地…」
なにそれ〜みのりん面白いっ!っと、大河の機嫌が戻ったようだ。
実乃梨は、大河に抱きつかれながら、自分の視力の良さに後悔していた。
決して見たのではない。見えてしまったのだ。
封筒に大河の筆跡で書かれた誰かの名前を、コメントを。
どういう内容か、分からないほど、実乃梨は、鈍感ではない。
「きゃーん☆美味しそ〜。今日もお招きありがと〜☆」
「やっちゃん、こんばんわ!エイプリルフールぶりねっ」
「おいおい大河。高須くんのお母さんに、なつきすぎじゃね?こんばんわ!
お久しぶりですっ!今日も、ボリューミーで何よりですっ!」
大河のキッチンから、ハーブティーを運んできた実乃梨と竜児。
「ちゃんと俺の分も残してくれよな〜…もうすぐ出来ちまうけどな」
結局、竜児が夕食を作る間、クリームブリュレを食べる事になった。
フランベしたカラメルの香ばしく、甘い匂いが漂う。
実乃梨は、竜児と一緒にキッチンに戻る。今日は大河のリクエストで豚カツだ。
「ねえ、大河ちゃ〜ん、これからも夕食一緒に食べようよ〜。毎日でもいいでしょ〜」
大河は、実乃梨をチラ見する。ケタケタ笑いながら、真っ赤な竜児と、料理している。
いつも明るい実乃梨だが、なんか、いつもより…。気のせいではない。
「そうね、やっちゃん。たまにならイイよ。みのりんも一緒にね!みのりん、わたしの嫁なのっ」
「え〜っ!そうなの〜、それって、もしかして、百合とか、ビアンとか…」
眉毛をハの字にして困り顔の泰子。大河はハーブティーをふうふうしている。
「なに怪しい会話してんだよ、出来たぞ。豚カツは、暖かいうちが一番美味い。
しかも国産黒豚だからなっ、キャベツも新鮮シャキシャキだっ」
「そういうばみのりん今月誕生日でしょ?またウチに集まろうよ」
「うーん、実は、大河。ソフトボールって、春と秋に、デッカい大会があってさ。
特に春季大会は、インターハイの予選も兼ねてるのよね、暫く無理かなぁ」
「みのりんちゃん、そ〜なのっ?じゃあ、みんなで応援に行こうよ〜!プレイボ〜イ☆」
「プレイボールだ。そんな、邪魔になるだけだろ、櫛枝、スルーしてくれ」
大河は少し考え…
「竜児。あんたは応援行くのよ。負けたらあんたのせいだからね!」
「なんでだよっ、俺は貧乏神かよ。櫛枝、やはりスルーしてくれ」
「キーングボンビーッ!ボンビラス星ではお金などいらぬのだ!っと思ったらスリの銀次だった!
ありがとう。嬉しいよ!応援全然ウェルカムなんだぜっ!とりあえず、食べよっ!」
いただきま〜す!
しかし、この団欒の声は、今日を境に、しばらくの間、おあずけになる。
夕食が終わり、明日も学校なので、竜児は早めに実乃梨を送る事にした。
まだ6時半過ぎだ。ふたりはゆっくり、味わうように並んで歩いていた。
「さっきも話したけど、来週にソフトボールの春季大会があるの。
ゴールデンウィークに、関東大会予選。次に六月の関東大会があって、
夏休みにインターハイなんだ。まあ、勝てたらだけどねっ」
「勝てるさ。頑張っているじゃないか、いつも観…いやっ、北村から聞いたんだっ」
竜児は前髪に触れるのを我慢した。実乃梨は、竜児の言葉を素直に喜んだ。
「うふふ、ありがと、高須くん。んで…大河の事なんだけど…お節介なのは、百も承知で、
やっぱり気になる訳よ…たまに掃除とかさ、やってあげたいんだけど、バイトもあるし…」
一瞬目が合って、竜児は慌てて正面に顔を戻す。ポケットの中の手は、緊張で握りしめている。
「優しいんだな、櫛枝は」
「…ううん…お節介なんだよ。実はそれで一回失敗してるんだ。大河のお父さんと、
ケンカしちゃったんだ。あの自分勝手な…あ、止めた。ごめんっ、なんでもネーゼ…
それから、大河は、どんなに困っても、わたしにSOSを出さないようになったの。
SOSを出したら、わたしがお父さんを怒るから…大河の事…大切なんだ」
「本当にお節介だったら、逢坂だって、もう櫛枝と一緒にいたり、遊んだりしてないだろ?
逢坂にとっても、櫛枝は大切なヒトなんだと、俺は思う。判った。協力する」
竜児にとっても、実乃梨は大切なヒトだから…とは、言えなかった。
「うれしいっ。ありがとう。こんな事、相談できるの高須くんくらいだよ。
高須くんなら、わたしの事理解してくれそうな気がして、話しちゃった」
「俺は櫛枝の事、理解したいと思ってるし、話してくれて…光栄だと、思ってる…」
これが今の竜児の出来る精一杯の告白だった。伝わらなくても満足だった。
「本当?…あ、もう家着いちゃう…ねえ高須くんっ、ウチ来ない?もう少し話したいなっ」
「おうっ!それは…それも光栄なんだが…まっ、マズいだろっ」
「大丈夫だぜ!ちゃんとキレイにしてるから。大河んちよりマシだぜ?そうだっ、都こんぶ!
わたし都こんぶを大人買いしたのです!実はわたし、孤高のダイエット戦士なんだけど、
1箱たったの22キロカロリーでミネラルいっぱいの都こんぶがあるのっ。ねえ高須くん、
禁断の都こんぶ一気食いを、おいらと一緒に体験してみないかっ?」
グイッと竜児に顔を寄せる実乃梨。鼻息が掛かるほど近い。五感が麻痺するほど体温が上昇する。
「そっ…そういうんじゃなくてさっ。マズいってのは…まあ都こんぶ好きなんだが…
俺、男だし…櫛枝は、女だしっ。嫌じゃないんだ。むしろ、好…っつおお…」
竜児は限界を超えた。体温が100度を超えた。
「え?」
実乃梨は、目を丸くする。暫く沈黙し…そして実乃梨は、落雷を受けたような衝撃を受ける。
気付いたのだ。竜児の真意。そして、自分の気持ちに…実乃梨も限界を超えた。
「…りゅ…竜児くんっ!…高須くん。あのさ…竜児くんって…呼んでもいいカナ…」
もともと自分にそんな感情があったのか?と思っていたほどの実乃梨。対処に困る。
うつむき加減で、竜児を見つめる実乃梨は…何とも言えない表情をしていた。
敢えて例えるなら…
本物の幽霊が見えてしまった時の
驚き、恐怖、嬉しさ
…を、ミックスさせたような表情…
そんな感じだ。
竜児は、大橋の欄干にもたれ掛かっていた。
「竜児くんって…俺の事だよな…」
結局、櫛枝家にお邪魔する事は、出来なかったが、それ以上に、実乃梨との関係が、
進展してくれたように思える。ついさっきの出来事が、夢のようで現実味が無い。
欄干からは、川全体が見渡せて、頼りない外灯の灯りがユラユラ映り混んでいた。
まだ少し肌寒いが、土手沿いの桜を楽しんでいる花見客が数人見える。盛り上がっている。
…竜児がいまいち盛り上がらないのは、実乃梨との約束の事だ。
「逢坂大河…どうすりゃいいんだ…」
手乗りタイガーの異名を持つ大河には、黒い噂が後を絶たない。自らも誤解される事が多い竜児は、
真に受けなかったが…実際に竜児の身に降り掛かった事は別だ。暴言、暴力、暴走…
竜児は体験してしまった。一見、儚げな美少女っぷりとのギャップが、さらに大河の非道さを
際立たせているのだろう。取扱注意の猛獣を相手にするには、あまりにも竜児は、経験不足だ。
低い位置に沈みかけた月が見える。今日は三日月だった。太陽の光のおかげで、月は光る。
竜児は実乃梨を太陽に喩えていた。キラキラして、眩しくて、明るくって、憧れた。
そして、そのキラキラした実乃梨の光を浴び、一緒に光りたいと、思っている。
「俺は、…月か」
「月といえばアポロだな。こんなところでどうした、高須」
「おうっ、北村!なんでここに?こんな時間に?」
「俺の家は本町だ。今日はミーティングもあったし、新学期で生徒会の雑用もあったからな。
高須がここにいるのは…櫛枝を送った帰りなんだろ?櫛枝の家、こっちの方だからな」
「…アタリだ北村。探偵になれるぞ」
「しかし、正直、朝は驚いたぞ。春休みに何かあったのは…お前の方だったんだな」
「いや、まだこれからだ…茶化すなよ、北村」
「そんなつもりはないぞ。櫛枝は、いい奴だ。高須と仲良くなったみたいで、嬉しいぞ」
竜児はバシッと肩を叩かれる。
男ふたりで、それ以上何も語らず、感傷に浸っていたのだが…
「やっぱりそうだ!魅羅乃ちゃんトコのお坊っちゃん!いや〜、どこかの恐い
若い衆かと思ったけど、間違えなくって良かった!こんな所でなにしてるんだい?」
「え?あ〜っ!稲毛酒店のおじさん!いつも母が、お世話になってます。
たまたまここで、親友と出会って。稲毛さんは?」
「おれは今日、商店街の花見でさぁ、あそこで呑んでるんだよ。
本当は魅羅乃ちゃんの、お店に顔出したいんだけどね。
…そうだ!お坊ちゃんも一緒に呑もう!さあさあ!」
稲毛のおじさんは、竜児の肩を抱き、土手下の花見会場に連れて行こうとする。
「いや!稲毛さんっ!お気持ちだけで結構です!俺未成年ですし、親友も…
おう、いねぇ!北村!どこだっ!助けてくれ!おおぅ!北村ぁぁあっ!!」
酔っ払いに引き摺られていく竜児。
「…高須、すまんっ、生きて帰れよっ」
戦地に向う兵士を見送るように、橋の向こうでビシッと敬礼し、涙する北村であった。
以上になります。
お読み頂いた方、有り難うございました。
まだ前半で、続けたいと考えておりますが、また
様子を見させて頂き、判断させて頂こうと存じます。
またこの時間帯をお借りするかもしれません。
前回投下後のレス、有り難うございました。
宜しくお願いいたします。
KARsさんてプロのエロ作家か脚本家とか何かか?
ハァハァ........すげぇ、すげぇよ。
ウッ
>>285 展開が少し早くて違和感あるものの二次創作としてはとても楽しめる、GJ
BeforeのIFは書くこと多すぎて大変そうだががんば
>>274 リアルな描写に圧倒された。完結編も期待!
かーずさんマジリスペクトだっぜ!
KARs様GJです!
ここまでラブラブかつ艶めかしいエロエロあーみん×竜児のSSは希少ですね……
次で完結を迎えるのが惜しいですが、楽しみにしています
291 :
名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 00:42:22 ID:xuXHhnGR
GggggJjjjj!!!!
めちゃくちゃ良かったです!あと一回だなんていやだ〜
>>285 GJ!丁寧な書き方だから読んでて楽しいよ
続き待ってます
おや珍しい
丸一日書き込み無しか
若い人は浮気だからねぇ
295 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/01(火) 08:06:21 ID:CBbY333/
中高生は夏休み終わったんだぜ?
勢い落ちて当然
次は冬厨か春厨か
いや月末の連休に新たな厨がw
俺はまだまだここに住み続けるぜ
奈々子物の完結をみるまでは
このペースはまずいな
なにか新時代的なものを取り入れなければ
誰か幻の僕っ子を書いてしまえばこの状況は打破できるはずだ……
みのりんだと僕ッコでも違和感なさそう
やっぱあれだな
女性陣やいつものメンバー勢揃いの時に、後輩の子が竜児にラブレターを渡す
その時の女性陣の表の反応と心の声を書いたSSが欲しいな
このスレ的な奈々子だと心の声はかなり期待できる
その後輩が狩野妹で、
北村が「どっちがどっちをお兄さんと呼ぶことになるんだ〜」と
勝手に妄想して頭を抱える展開を所望する
久しぶりに見たら反芻みたいに繰り返すキモイ奈々子厨1人しかいない。
自分で妄想するなり書くなりして満足しなよ?
保管庫更新されてないのな
奈々子モノは自分も見たいですよ。
なんか原作よりも進歩してていい子になってる。
ななこいとか見ていると竜児には奈々子は一番合うなと個人的には思ったり。
亜美好きなんだけど竜児とじゃ普通のカップルになってしまうように見える。
この流れで颯爽と松澤モノを投稿したら神
奈々子って、物語では単なる傍観者
キャラの魅力からしても亜美とかに比べたら、竜児の相手としては役不足
いや、むしろ竜児は誰とでも上手く付き合えそうだ
竜児が完璧超人だからなんとかなっちゃうんだよな
現在進行形で連載してる作品の途中を見逃しちゃって飛ばして続きを読むのが躊躇われる。
こういう時に保管庫が機能していれば、と思わんではない。
そういう意味で補完庫管理人さんが最速保管を目指し立ち上がったんだが
お忙しいのか現状のようになってるな
まぁ続けられしっかり管理できる人が新たに現れるのを待てないなら
必要な人が自分で立ち上げるしかないだろ(´・ω・`)
複数の人がいじれるWikiはWikiで、荒らされたりもするし実質二、三人しか更新せず
普通の保管庫と変わらないような現状も多いしな……
書いた人に自分でwikiに載せて貰えばいいじゃん
大した手間じゃないんだし
作りたくとも過去ログを漁れないもどかしさ
まぁこういうのは善意によるものだしねぇ。
保管庫さんにもワガママは言えない・・・けど言霊が途中
読み忘れてんだよなぁ。早く読みたい。
過去ログを引っ張り出してくれるサイトで探せばおk
俺はそういうサイトのおかげで何度も助かったよ
>>308 306さんが言ってるのは“原作よりも進歩してていい子になってる奈々子”、
つまりこのスレで連綿と描き続けられていく内に、定番と呼べるほどに定着した奈々子像を指しているのだと思う。
>>302 妄想して初めて書いてみた
「高須先輩っコレ読んで下さい!」
「お、おう…」走り去っていく下級生
櫛枝表「高須君!コレってまさか恋文ってヤツじゃあないのかい!? いやー高須君も隅に置けないねぇーコノコノー」
櫛枝裏「下級生に先を越されるとはこの櫛枝実乃梨、一生の不覚だぁー!!かくなるうえは裸にリボンで私を貰って作戦を実行するしかないぜっ!!」
亜美表「高須君、何ニヤついてんのよ。超絶可愛い亜美ちゃんなんかラブレターなんか一日十通位貰うっつーのに、たった一通でそんな喜んじゃって…っつーか顔キモいんですけど。」
亜美裏「何なのあの子!ってか、高須君ってばコノ亜美ちゃんがモーション架けても全然気付かないくせにあんな普通の子に貰った手紙に何浮かれてんのよ!こうなったら、亜美ちゃんの魅力をもっとタップリと教えてあげなくちゃ!!」
大河表「ななな何、犬のくせに人間様から好意を寄せられてんのよ! ここコレはアレね、普段の私に対する忠犬度がヒトサマに認められて犬として欲しくなったに違いないわ!ニヤケるなぁー!!」
大河裏「確か今夜は新月…犬に寄って来るノミを駆除するのも飼い主の責任よね!」
GJwww
大河は竜児、幸太の時の前例があるので夜襲はマジで恐すぎる
ここでイメージが肥大化した奈々子って、もろメアリー・スーじゃん
ここの奈々子はまさしくメアリー・スーだが
だがそれがいい
だから執筆が滞っているんだ
安易な妄想でキャラを創造ずると、物語の収拾をつけるのが困難になる
自身の力量に見合わない設定やキャラで書き始める書き手も困ったもんだが、
メアリースーものを持ち上げる読み手にも問題があるな
>>318 ものっそい続きが読みたくなった。
単純に裏と表じゃなく、三者三様の態度がそれぞれで面白い。
もし何かSSを書かれるのであれば、心から応援させて頂こう。
>>316 ありがと。過去ログ引っ張りだして見れたわ。
でも1からゆっくり読むわ。下手に全部読み返したら
言霊最終回見る前に悶え死ぬ・・・
設定にのっとったssは書き尽くされてしまって、原作から逸脱してかないと新鮮味のあるものは書けないんじゃないですかね
>>318 うわああGJ・・!
ニヤけてしまったぜ
メアリー・スーとか明らかに使い方間違ってるよね
キャラをいじろうがどうしようが面白いのが読めればいい。
どちらにせよ書き手さんの主観でキャラは変わるしね。
奈々子をあそこまで成長させたこのスレの書き手さんたちはすごいよ。
奈々子は美人だし胸大きいしおしとやかだしヒロインとしては
元々スペックが高かった。
作者が変に掘り下げてないのもよかった。
たぶん、掘り下げてたら絶対に貶められてたと思う。
とりあえずはやってるんでつかってみました^p^
ヤンデレ、niceboat.、メアリー・スーおいしいです^p^
331 :
318:2009/09/04(金) 21:09:44 ID:8qSa3eyz
>>319.324.327
喜んで貰えてよかったです!
>>324さん そんなことまで言って頂けるとすごく嬉しいです。
続きを書く気はないので(上手くまとめる自信がない)書き手さんのネタになれば幸いです。
>>331 全レスは止めといた方が良いよ?
また議論して投下しにくい雰囲気になったら困る
なんというかお話というか交流というかそういうのもやりたいなら自分のサイトを作るのをお勧めする
別に出て行けとかそういうことじゃなくそっちの方が気兼ねなく出来るだろうし
「竜児、最近新しい作家さんが沢山デビューしてるらしいわね?」
「おお。そうらしいな。新学期が入って俺達も少しずつ文化祭で忙しくなってきたし、
過疎るかと思ったらそうでもないな。」
「ぷぷっ!でも、ばかちーと春田君は忙しいみたいよ?」
「あぁ、宿題やってなかったもんな。でも川嶋は仕事忙しかったんじゃねーのか?
ほら、去年あいつんちの別荘行った時も、スケジュール合わせるのに大変だったろ?」
「そー言えばそうね。暇だったのは、私とあんたくらいなもんだし。」
「俺は暇じゃなかったがな…誰かに居座られてよ」
「なっ。。なによ?ふぃ…ふぃ…フィアンセなんだから、別にいいじゃない?」
「おっ!おう。まあそうだな」
「ほんと、呆れた駄犬だこと。」
「おまえなぁ…なんでいつもいつも…この際はっきり言ってやるけどな、
毎日毎日米を二合半も平らげてるやつが言う台詞かよっ」
「(ジワッ)別にいいじゃない…。だって竜児んち居心地いいんだもん。。」
「わっ、悪かったよ。言い過ぎた。すまん」
「許さない。絶対許さない。」
「ほんとにスマン。どうしたら許してくれる?」
「そうね。今日のオカズはステーキね。」
「ぬおっ!まじか」
「あとは…(ギラリっ)」
「やっぱりかぁぁぁぁぁぁ」
「待ちなさい!!!!りゅうじいいいい」
ギ☆シ☆ギ☆シ☆ア☆ン☆ア☆ン
本当にゴメン>arl
今なら誰も気づいてない
早く所定のスレに張り直すんだ
>>335 言っちゃ駄目
みんな生暖かい目で見てるだけだから
ギシギシアンアン
>>336 ごめん。ここは、田村×相馬でいくべきだったか。
そして、月に行く宇宙船内で大河が暴れてバッドエンド。。
すまん。でも反省はしていないw
マジこのスレへの投下だったんだ
こちらこそごめん
てっきり、キャラスレ投下用のやつを誤爆したのかとばかり
俺は新しい書き手さんは大歓迎です と手のひらがえし
いるいるwww
必要なのか……
それはスマンかった、もうギシアンの悪口は言わないことにするよ
本来は直接描写が無いとはいえこっちのネタなんだけど
向こうではギシアンまではあり、でネタにしてるからねぇ。
なんだろ、最早挨拶レベルだな。
ギシアンの部分だけKARsさん辺りに事細かく書(ry
ギシアンネタ自体にどうこうはないけど、
小ネタを気軽に投稿できる雰囲気は大事だよね。
そういうちょっとした書き込みの末に「よっしゃ、そろそろSSでも書いてみるか」って、
新しく作家さんが誕生するかもしれないし。
保管庫が
やはりwikiでまとめを作るしかないか?
一人で更新って負担がかかるからなあ
酉のチェックついでで、申し訳ございませんが、
小ネタ投下させて頂きます。
竜×さくらです。
終わったら宣言します。
タイトルは
高須ドッグ$ミノリネア
です。宜しくお願いいたします。
「Bの…たらこスパ」
「ファイナルアンサー?」
文化祭のメインイベント。兄貴ノートと、スーパーかのう屋の永年割引カードが懸かったクイズ企画。
「おうっ、ファイナルアンサー」
竜児は、勝ち進んでいた。司会の実乃梨が本家さながらの『みの溜め』を見せる。そして…
「正解!」
会場が湧く。次は最後の問題。もちろん、ドロップアウトなんか出来ない。
「では高須くん。覚悟はいいですか?ラストです!」
一気に会場は静まり返る。緊張で、倒れる観客もいた。
「おうっ!どんとこい!」
カードを捲る実乃梨。少し驚いた顔をしたが、問題を出す。
「問題。…あなたが、結婚するなら、次のうち、誰?
A逢坂大河。 B櫛枝実乃梨。 C川嶋亜美。 D狩野さくら …なんだこりゃ…」
問題を出した実乃梨も戸惑う難問。会場の傍らで他人の振りしていた三人が騒ぐ。
「ちょっと、何それ!晒しモンじゃない!責任者だせ!」
「え〜、亜美ちゃん、困るな〜…みんな見ているのに〜」
「うわわっ、高須先輩っ。わたし…幸太くんいるし…あはん」
ざわつく会場。頭抱える竜児。ここは…ライフラインだ。
「50:50」
四択が二択になる。BとCが消える。 残りは大河と、さくらだ。
溜息をつく司会、みの•くしえだ。 亜美は…帰ってしまった。
「竜児。空気読むのよ…命は大切にしなさい」
「わたし、お嫁さんなんて…まだ…でも、お料理は自信あります!」
全く改善しない状況に、竜児は次の手を打つ。
「オーディエンス…」
空気を読もうと、苦し紛れに使った竜児だったが、
なんと、結果は圧倒的にさくら。盛り上がる会場。面白がっている。
「へえっ…いいんじゃない?あんた、大きい乳、大好きだからねぇ…」
「大きい乳…好きなんですか?あはん、恥ずかしい…」
さらに悪い状況に追いこまれる竜児。最後のライフラインだ。
「テ…テレホン」
竜児は、携帯を開き、コールする。副会長、北村へ。
「おい、北村!なんだこの問題!ていうか、問題になってねえよ!」
「なんだ高須!サービス問題だぞ?上手く会場を盛り上げてくれ!頼んだぞ!」
ツー•ツー…切れた。最悪だ。
普通ならAだが、盛り上がるならDだ。果たして大河は許してくれるだろうか?
「Dの狩野さくら…」
おお〜っと、竜児の回答に、会場は騒然。最高潮の盛り上がりを見せる。
「ええ〜っ!高須先輩っ、信じていいんですか?結婚っ。結婚かぁ…」
「ふっ…竜児…あはは、あははははははは」
大河が壊れる。これはマズイ。
「ファイナルアンサー?」
「いや…やっぱりA!大河だ。逢坂大河!」
周りにいた春田や能登が、大河に襲われている。八つ当たりだ。竜児の答えを聞いて、大河の手が止まる。
「あら竜児。ぜんっぜん気にしなくていいのよ!ちゃんと結婚式に呼んでよね。…貴様の命日にしてやるっ」
「気にしてるじゃねえか!空気読めって言ったの大河だろ!わかった。Dだ!ファイナルアンサー!!」
「D!狩野さくらっ、もう戻れませんっ! テロリ〜ン、ドルルルルルルルルルルルルルルルルルルル…」
ドラムロールの音…長い。いつもより長い、みの溜め。
実乃梨は目をクワッと開くっ!
正解!
>>349 へ
残念!
>>351 へ
「さくら…いよいよ明日だな」
数年後。竜児とさくらは、結婚式場のレストランにいた。
今日は、式の最後のリハーサルだった。このまま式場のホテルに泊まる予定だ。
「うんっ、いよいよだね!緊張しちゃう…」
「今日のリハーサルから、ぎこちなかったからな、さくらは…安心しろ。俺が一緒だ」
さくらの瞳が揺れ動く。恋の色、桃色に頬が染まる。
「高須先輩っ…あ、竜児さん…ごめんなさい、まだ慣れなくてっ」
「いいさ、時間は沢山ある。少しづつ、慣れればいい。そんなさくらは…可愛い」
照れるさくら。さくらのワイングラスは、いつもより減りが早い。
「うふん…竜児さん…うれしい。…いま思うと、文化祭がキッカケだよね。本当に結婚するなんて、すっごいよね」
「なんださくら、もしかして後悔しているのか?」
「あ〜ん、違うよ!…もうっ、竜児さんのイヂワルっ」
拗ねる仕草も可愛い。竜児はさくらをジッと見つめる。
「さくら…俺の部屋に泊まらないか?良いだろ?」
さくらは、真っ赤になってモジモジしながら、うんっ、と頷いた。
>>350
「ふう〜っ、わたし酔っぱらっちゃったぁ!」
部屋に着くなり、さくらはベットにダイブする。
竜児は、ネクタイを取り、さくらの隣りに座る。うつ伏せのさくらの頭を撫でる。
「さくら…」
さくらは返事をしない。狸寝入り…ジッと竜児を待っているのだろうか?
そう考えた竜児は、撫でていた手を、背中、そして桃尻に移動する。
「…あんっ…うふ…」
ビクッと反応。竜児は、尻を触る手に力を込める。さくらの尻の形が歪曲する。
「いやん、竜児さん、恥ずかしい…」
さくらは枕に顔を埋めている。脚をばたつかせる。
「なあ、さくら…初夜には一日早いんだが…このまま…しないか?」
枕に埋まっているさくらの頭が、一度、深く埋まる。それを竜児は、確認し、さくらに覆いかぶさる。
「うふっ、ん…竜児さん、重〜いっ」
「さくらの髪、いい匂いだな…」
丁度、旋毛のあたりに竜児は、口づける。密着したさくらの体は、どこも柔らかい。
「あふん…」
竜児は、うなじを舐める。そして首筋も。
さくらの桃尻に、竜児は堅くなった股間をグニュっと押し付けだ。プニプニして気持ち良い。
「はうっ…そんな、無理矢理っ、竜児さん…」
さくらのフェロモンに竜児は、興奮し、強引に上着を剥ぎ取る。乳を揉む。掴むに近い力で。
「おうっ、さくら…やっ柔らけえ!スゲえ…いやらしいオッパイだな」
「いやあんっ…あんっ!うふっ…オッパイ取れちゃうよぉ、あん、あん」
竜児は速攻でブラを脱がせ、欲望のままに、さくらの乳をもてあそぶ。汗ばんできた背中を舐め回す。
「竜児さんのぉっ、指っ!ああんっ、指がぁっ。あはっ、あはんっ」
人差し指で、乳先を摘む、弾く、挟む。その度にさくらは、可愛らしい官能の声を聞かせてくれる。
「あんっ、あんっ、うふっ、りゅ…竜児さん、オッパイばっかり…あんっ」
そんな事をいいつつ、さくらはピクピク感じてしまう。エッチなカラダだ。乳だけでイキそうだ。
本当にイキそうなのか、竜児は右手で確かめようとする。さくらの下着に手を伸ばす。
「んあああっ、ひゃうううん…きっ…もち…いいんっ!」
お漏らしでもしたのかと勘違いするほど、さくらの秘部は、愛液でビショビショだった。
クチュンクチュンと、竜児は指先でさくらを悦ばすが、あまりにも滑り、指が挿入してしまう。
「!!っ、はああうっ、んんっ、イヤああっん、恥ずかしいっ…」
キンキンに勃起した竜児は、我慢出来なくなった。自らの服を脱ぎ去り、さくらも全裸にする。
仰向けになった生まれたままの姿のさくら。火照った桜色の肌。竜児はふとももをこじ開ける。
「さくらっ…いれるぞ」
「竜児さん…きて…」
ニュルリと挿入。さくらは竜児に抱きつく。竜児も抱き返す。キスを交わす。舌が絡まる。
さくらのカラダの至る所を竜児は揉む。さくらの肌は全身どこ触っても、乳のように柔かい。
「はあっ、はあっ、さくらっ、おうっ、ヌルヌルで…、はあっ、熱いっ」
竜児がさくらを突く度、ブチュン、ブチュンと、結合部から泡立つような音が漏れる。
「ああんっあんっっ!あん!竜児さんっ、駄目ぇ、もうっ、限っ…はああっ、界っ、」
竜児のストロークが大きく、さくらは、何度も奥に当たっていた。苦痛に耐えていた。
「おおうっ!」
さくらの肉壁が、狭まり、竜児を締め付ける。たまらず竜児も限界に達する。
「ふあああっ、竜児さんっ…ビクビクしてるっっ…出ちゃってるよぉ」
熱い大量の白濁液を、さくらの中で躊躇なく竜児は出し尽くす。強く奥まで、押し込む。
「はあっ、はあっ、さくら…」
竜児が腰を抜くと、一緒にイヤらしい粘液がジュルリと溢れ出る。プクプクしてる。
「竜児さん、キスして…」
さくらを優しく両手で包み込み、竜児は長く、柔らかいキスをした。
二人は眠りに落ちる。
>>352
「あら?正解じゃなかったんだ。残念ね。なんでだろうねっ、不思議だね」
大河は不機嫌だ。イライラしている。もっとストレートに怒ってくれた方がマシだ。
「大河…はっきり言えよ。ムカついてるって…その、ごめんな…」
ピタっと大河は固まる。そして雪女のように周りの空気を急激に凍らせた。
「なんで謝るの竜児。おかしわねぇ。…そう。あんたは、わたしが焼もち焼いて、捨てられて、
怒って狂った哀れなオンナだと言いたいのね。そうなんだ?そうなんでしょ?」
うつむき加減で喋くりまくる大河。ゆっくり竜児に歩み寄る。ふうふう口から冷気を吐き出す。
「まて大河。はやまるな。不正解なんだぞ?正解は俺はお前と…」
「わたしは怒っていないのです。勝手に人の心を想像しないでください」
とは言いつつ、大河はブリザードを巻き起こしている。竜児はその威圧に、精神的にホワイトアウト。
竜児はその後の記憶がなく、いつの間にか自宅のベッドでパンツ一枚で眠っていた。
>>352
「大河…木刀をこっちに寄越せ…」
気付くとベッドの前に木刀を持った大河がいた。目をギラギラさせて臨戦態勢だ。
「…お前の要求は…分かっている…と思う…まあ、落ち着け」
「あんな生き恥をかいたからには、わたしはもはや生きてゆけない。死ぬしかない…」
「懐かしいな…てか、俺を殺そうとしているじゃねえかっ!」
「あんたが悪いのよ。わたしは悪くない…特別に選んで良いわ。縦?横?」
「なんだそれっ…そ、そうだチャーハン食べないか?ニンニクたっぷり…」
ブンッ!
「あぶねえっ!斜めじゃねえか!ずるいぞっ!」
「答えないからだっ!ちょこちょこ動くなっ!あっ!逃げるな!」
竜児は、その格好のまま外へ飛び出した。およそ500メートルくらい走った所で、
警官に呼び止められ、不審者で捕まり、パトカーに乗り、なんとかその日は生き残った。
おしまい。
小ネタ以上です。失礼いたしました。
ひでえwwwww
でもさくらを可愛く頂いてしまった竜児はたいしたもんだ
355 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 09:45:25 ID:0nxt5EAH
GJ!しかし、なぜ奈々子様という選択がなかったんだー
GJwww
GJwww
二重カキコごめん
しかし幸太が哀れすぐるwwww
GJっす。
『みの☆ゴン』
>>284からの続きを投下させていただきます。
5レス分(23〜28)です。
続き物ですので、ここからお読み頂いきますと、
ご不明な点が多いと思います。
宜しくお願いいたします。
…竜ちゃん〜、あれれ?酔っぱらってるのぉ?お顔、真っ赤だよ〜☆…
なんで泰子がいるんだ、俺の妄想に…ダメだ、来るなっ
…え〜、竜ちゃん冷たぁい。今はぁ、魅羅乃ちゃんなのですぅ…
泰子はクネクネしながら竜児に近づく。あまりの衝撃に金縛りにあう竜児。
よせっ!泰子!魅羅乃でもどっちでもいいが、近づくなっ!今は…ここではマズい
…そんな〜、竜ちゃんはぁ、赤ちゃんの時ぃ、い〜っぱい、オッパイ飲んでたんだよ?…
ポロン
泰子のFカップが露呈する。揺れている。カラダの動きからワンテンポ遅れている。
おおうっ!早くしまえっ!ほ、ほら、インコちゃんも見てるしっ、ふぐぉっ!
竜児の顔面は、泰子のFカップに埋まる。喋ろうとした竜児の口の中に、柔肌がなだれ込む。
奇しくも、竜児は授乳している様な…状態になってしまった。マシュマロのような柔らかさだ。
…竜ちゃん、よ〜し、よ〜し、してあげるね〜☆よぉ〜し、よぉ〜しぃ…
うっとりしながら、竜児の頭を撫でる泰子。竜児は泰子の心臓の音が聞こえていた。
むふぉっ!やっ泰子!んふっ…いい加減にっ、むふ…
モガくほど、泰子のFカップの海に溺れる竜児。掴んだいる二の腕も、柔らかい。
…いや〜ん、竜ちゃんの目、シビれる〜ぅ。いっぱ〜い、甘えていいんだよっ、
あれぇ?竜ちゃん、うふふっ…そんなトコ触ってぇ…エッチなんだぁ〜っ☆…
つい、超反応してしまった下半身を手で隠したが…泰子にバレてしまった。
おうっ!泰子っ!見るなっ!インコちゃんも、頼む!見ないでくれっ
イ、イン…インモラル…
インセストだの、インブリードだの喋り出したインコちゃん。結構喋れるくせに、
なんで自分の名前くらい言えないのか…沸騰する脳ミソの片隅で竜児は疑問に思う。
…やっちゃんがぁ、竜ちゃんのココっ。代わりに触ってあげるね〜っ…
相変わらずの金縛りで、竜児は泰子のなすがまま。あっけなくチャックから、
泰子のやわらかい指で肉棒が取り出される。反っている。血管が脈を打っている。
…うわっ☆竜ちゃん、大っきぃ〜い。ほら、ほら、ほらぁ〜☆ど〜お?…
泰子は、自分の指に、充分な唾液を垂らした。その濡れた指は、竜児の丁度、
スジの部分を、往復する。カリの部分に引っかかる。
た…堪らねぇ…もうどうにでもしてくれ…ふおおっ、く…櫛枝…すまねえ…
竜児は諦め、快感に流される。そして登りつめ、ドクンっと竜児は体液を解放する。
「わっ…忘れようっ…」
嫌悪感、羞恥心、いくら妄想とはいえ、激しい後悔。…マザコンっていうレベルじゃない…
竜児は大河と同じく、泰子の乳にトラウマを残す事になってしまったようだ。
時計は真夜中の1時。
結局竜児は、午後10時頃まで呑んでいて、稲毛のおじさんにタクシーで送ってもらったのだ。
無理矢理流し込まれたアルコールの影響でベッドに直行、そのままダウン。
…で、今の妄想に繋がる訳だが、
「…うえ…気持ち悪い、泰子は毎日よく、こんな事…風呂、入るか」
竜児は泰子の買い置きしてあるウコンの力を拝借、そしてシャワーを浴びた。
362 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 21:06:44 ID:OA9lMdGl
「…頭痛ぇ…」
今日も雲ひとつない晴天。さわやかな春の日差しが心地よい…はずだったが、竜児は寝不足で、
こめかみの辺りが少し痛い。幸いにも気持ち悪いのは改善し、酒は抜けたようだ。が、
「ちょっと、あんた…少し酒くさいわよ…近寄らないでくれる?シッシッ」
竜児は実乃梨との約束通りに、大河にモーニングコールをした。大河は3回目にやっと起きた。
「くっ、くさいか?おかしいな、ちゃんと二回も歯磨きしたのに…」
ハ〜ッと念入りにブレスチェックする竜児。もうすぐ天使とご対面だからだ。
「みっのり〜んっ!おっはよ〜っ!!」
「大河!おはようさん!よく起きれたね?どうどう、い〜娘だよぉ。竜児くんも、おはようさん!」
「おうっ、おはよう…櫛枝。ちょっと寝不足で…ぐふぉっ!なん、で…腹蹴る…逢、坂っ…!」
実乃梨に抱きついていた大河は、その体勢のまま、真後ろに立っていた竜児の腹にバックキック。
大河は、実乃梨の『高須くん』→『竜児くん』に気付いたからだ。竜児は腹を抱え、崩れ落ちる。
「ねぇ、みのりんっ!こいつに昨日の帰り、何かされた?大丈夫だった?それとも、
何か弱みでも握られたの?わたし、みのりんの味方だから!なんなら今コロす?」
ギンッと大河は虎の目になる。対する竜児は、もともと竜の様な目だが、目しか恐くない。
「あはは、やんくるないさぁ。ちょっぴり、竜児くんに相談に乗ってもらっただけだよ」
そうなの?みのりんっ?そうだよ大河〜っ!しかし大河は今イチ納得していない様子…
「ちょっと竜児!言っておくけどね!みのりんは、わたしのものよ!もし…もしあんたが、
みのりんを不幸にしたり、泣かせたりしたら…この手で、貴様を地獄に落とす!」
「…落ちろじゃなくて、落とすのかよ!だいたい俺が、櫛枝にそんな事…する訳ないだろっ」
大河は、実乃梨と竜児の顔を交互に見る。二人の間の微妙で甘酸っぱい空気を…捉え、そして、
「…みのりん、わたしコンビニで、お昼のパン買ってくる。竜児と先に行ってて。
じゃあ後で、教室でねっ! 竜児っ、カバン持ってけ!とりゃあっ!」
大河が投げたカバンは、放物線を描き、うずくまる竜児の後頭部に落下した。
身軽になった大河は、飛行機のように手を伸ばし、ミニスカートを翻し、走り去った。
「逢坂っ!マジかよっ!…まあカバンくらい、別にいいか…」
実乃梨の目前な事とツーショットになった事で、超寛大になる竜児。…が、実乃梨がちょっとおかしい。
「…大河の奴…」
実乃梨はそう、念仏のように唱えた…が、竜児と視線に気付くと、パッと柔らかい笑顔に変わる。
「だ…大丈夫かい?竜児くん。ほら、立って。大河のカバンの紐。片方よこしたまえ!」
すっと手を差し伸べる実乃梨。竜児は、ぎゅうっと心臓を強く掴まれた気持になる。
「おうっ…サッ、サンキュー。…ああっ、カバンの紐?片方?こうか?」
大河のカバンはまるで、捕われた宇宙人のように、竜児と実乃梨の間を取り持つ。
「これでよしっ!大河ったらしょうがないねぇ。教室に着いたら、大河の事シメてやろうねっ」
竜児を見上げる実乃梨。桃のような頬にかかる髪。その香り。今さらながら、竜児は意識する。
「そ、そうだなっ櫛枝っ。あたっ、あたっ、あたたたっ」
「俺の秘孔は表裏逆!退かぬ!!媚びぬ!!省みぬ!!フハハハッ」
「違う。あた…頭。少し切ったか?」
やっと言えた。髪の毛を指摘された実乃梨は、軽く何度も、手でかきあげる。
「よく気付いたねえっ。家の近くの美容室、8時までやってるんだよ。行くヒマ無いから、
本当はベリーショート〜って思ったけど、美容師さんに似合わないって脅かされたんだ」
「…まあ、短くても似合ってんじゃねえ?でも…今の髪型も良い、と思う。女子って感じで」
それを聞いた実乃梨は、なんとなく、複雑な顔色になる。嬉しいけど…って感じだ。
「竜児くんも、小学校の時、あだ名あったって言ってたよね?極道くん…だっけ?わたし、弟と、
少年野球やっててさ、丸刈り、マルガリータだったから、Mr.レディってあだ名だったんだ。
あの頃と違って、今じゃあ、頭も刈れないメメシコちゃんになっちゃったけどね」
「…別に刈らなくても良いだろ。てか、なんだよメメシコちゃんって。ムシコナーズかよ」
「シコしか合ってね〜ぜ、竜児くんっ。意外すぎて衝撃的だわ」
見えない網戸〜っと口ずさみ、実乃梨はまた、明るく太陽のように輝く。竜児も満悦。
どうしても、二日酔いのやさぐれ不良少年が、学校崩壊を策略している様に見えるのはご愛嬌だ。
「そうだ、昨日ハンカチありがとうな。ちゃんと洗濯して、アイロンもかけた。後で返す」
朝起きて、最優先で1発目にやった事だ。仕上がりも淀みない。
「なんのなんのっ!でも貸したときより綺麗になっている気がするなあっ…あのさっ、竜児くん。
…北村くんと、仲良いよね?突然なんだけど…なんか、北村くんに、噂とかないのかな?
その…恋愛関係とか、女性関係というか、スキャンダルというか…なん〜て…」
正面を向いたまま、少し声のトーンが落ちる実乃梨。竜児は色ボケした頭を切替えるのに5秒掛かった。
「なんだ、突然…いや、聞いた事ねえな…彼女とかはいないと思うぞ。意外に人気はあるけどな」
「ふーんそっかぁ…ねぇ、竜児くんっ!今日の体育の時間、ちょっと計画があるんだけど…」
1限目が終わり休み時間。実乃梨と竜児はジュースの自販機の前にいた。
昼休み以外は自販機は使用禁止なので誰も来ない。内緒話するには絶好の場所である。
実乃梨の計画はこうだ。今日の3限目の体育。通例で新学期の体育の授業はバスケットバールをやる。
最初の準備体操、パスの練習までは男女混合。二人一組になって行う。
「でね?普通に、わたしは大河。竜児くんは北村くんと組むよね? で、わたしと竜児くんが、
隣同士でパス練習するの。そこでわたしが、大河が投げたボールを顔面で受けて、鼻血ブーするから。
そしたら隣にいる竜児くんが、大丈夫か〜っ!て、わたしを保健室つれてくの。
んで、余った北村くんと大河が、一緒にパス練習するって計画なんだけどさっ」
どうやら実乃梨は、何故か、大河と北村を組ませて、親睦を深めて欲しい…らしい。
竜児にはその必要性が判らなかったが、実乃梨の計画に、竜児が協力しない訳が無い。
なぜなら彼女が好きだから。竜児は全力で承諾する。
「わかったっ!…しかし鼻血ブーって…可能なのかそれ…」
「ミッション・ポッシボーにするんだよっ!気合いでっ、がんばろうぜっ」
コーヒーは残っていたが、チャイムが鳴り、ふたりは並んで教室へ駆け出した。
***
計画は、意外な人物に妨害される。
「まーるおっ!あたしとやろうよ!」
「む?ああ、構わないぞ木原。だが、その呼び方はやめろ」
体育館で、黒間先生の下に集合した矢先、弾けるボディの17歳。木原摩耶が勝負に出た。
「お?気合い入ってる奴らがいるな?それじゃあ準備体操から始めるぞー。広がれー」
北村を木原に奪われ、呆然としていた竜児の傍らに、いつの間にか香椎奈々子がいた。
「高須くんっ。わたしと組みましょ?うふふっ」
「おうっ?俺と?…そ、そうだな香椎。組むか」
しょっぱなから計画は崩壊。しかも竜児は、初めて話した女子と組んでしまった。
実乃梨は無難に大河と組んだのだが、軟派な数人は、その流れで勝手に男女ペアになる。
俺と組む女子、この指とまれ〜っと、最後まで粘っていた春田浩次だったが、同じく
粘っていた能登と最終的に組み、運命的な友情を分かち合っていた。
ラジオ体操が終わり、柔軟体操に移る。ペアを組んだ奈々子が竜児の前に座る。
「高須くん。…やさしくしてね?」
そうだった、よく考えたらボールを使うのは最後の最後だ。竜児はペアを組んだ、
奈々子の背中を押さなくてはいけない。奈々子は長い髪を束ね、うなじを晒していた。
体育着に、ブラジャーの線が浮き出ている。一瞬、竜児は躊躇する。
「お…押すぞ、香椎」
竜児の指が、奈々子の肩甲骨に触れる。指に肉感がリアルに伝わる。柔らかい。
「んふっ…高須くんっ。もっと強くしてもいいんだよ。んふっ」
竜児に振り向く奈々子。口元のホクロに目がいく。竜児は平然を装うのに…必死だ。
少し、汗の匂いが混ざった奈々子の芳香。触れた手から、心臓の鼓動が伝わる。
「はい。じゃあ、今度は高須くんの番ね」
にっこり微笑む奈々子。よくみたら可愛い。というかオトナっぽい。
「おうっ、俺、カラダ堅えから、なるべく強く押してくれ。なるべくでいいけどな」
竜児は座り、脚を伸ばす。奈々子は、えいっ!っと全体重を乗せて竜児の背中を押す。
ぷにょん。
何だろう?この感触。まるで…そう、母親の泰子に抱きっ…っということは…
「たたっ…高須くん、ごめんね?手滑っちゃった。平気だった?」
竜児の右耳から、菜々子のほくろは、10cmと離れていないくらい接近している。
背中で、柔らかくて気持ち良いものが、タユタユ揺れているのを感じる。ボインだ。
17歳のボインの感触は、やはり泰子のとは違かった。これは夢ではない。
「コルァッ!みのりんの前で、何ぃやってんじゃああっ、このエロ犬がああっ!!」
あまりの抱擁シーンに、堪えられなくなった大河が、数メートル先から助走する。
素早く理解した菜々子は竜児から離れる。大河は、タンッと、踏み切って高く飛び…
「ばっ、やめ…はぐぁぁっ!!!」
↓↙←+K(強) 大河は竜児に必殺技、キャノンストライクを決めた。
「竜児くん、大丈夫だった?いきなり大河が飛び出したから、止められなかったよ。
…でも、竜児くん…香椎さんとの柔軟体操。とっても楽しそうだったよねぇ…
わたしがというものがいながら…な〜んてねっ、冗談さっ!」
実乃梨からそんな事言われて、香椎からの超簡単なパスを取り損ねてしまいそうになる竜児。
体操が終わり、既にパスボールの練習が始まっている。竜児は計画通り、実乃梨の隣を死守。
「櫛枝…言い訳はしねえ…実は俺に考えがある。俺がワザと暴投して、北村を仕留める。
すまねえって言いながら、俺は保健室に北村を連れていく。余った香椎と木原が組んだ後、
櫛枝が顔面キャッチして鼻血を噴出。戻って来た俺が逢坂と、櫛枝を保健室に運ぶ。どうだ?」
竜児は、昨晩の親友北村の裏切りを忘れていなかった。その報復も兼ねて、実乃梨に提案した
「ほーっ、大胆な作戦ねえ…!わかったわゼロッ、弾けろブリタニアッ!」
よくわからないが、多分実乃梨は激励してくれているんだと思われる。香椎からパスが来た。
「よしっ…」
竜児はバムバムッっと、ドリブル。バスケットボールを思い切り振りかぶり、投げた!バシッ!
「あひ〜んっ☆」
竜児、渾身の一投は、ロン毛の同級生、春田の顔面を誤爆。さらに能登のパスも追い打ちで命中。
ライフが0になった春田は崩れ落ちる。黒間先生とクラス委員の北村が春田に駆け寄る。
「どうしたんだっ、誰が怪我した!?春田か!?」
北村は春田を抱え、保健室に運ぶ。落ち込む竜児に、実乃梨はドンマイッと肩を叩き、励ました。
結局余ったのは、木原と能登。仕方なくふたりはペアを組む。
「ちょっと、木原〜っ。ちゃんと投げろよ。練習になんないじゃん」
「なによっ。っていうか、なんでわたし、能登とペア組んでんのよ…えいっ!どうだっ」
能登は照れ、木原は不貞腐れる。ふたりのパス練習は次第にドッヂボールのようになっていった。
***
竜児は切迫する。香椎とペアを組んでしまい、春田を撃沈した…体育での失敗を反省していた。
もう失敗は許されない。だんだん趣旨がズレて来ている様な気もするのだが、気にしない。
体育の着替えを終え、実乃梨と竜児は、またもや仲良く自販機の前にいた。実乃梨が切り出す。
「失敗は、成功のマーマだよ!竜児くんっ。次の作戦!お昼休み、まず、勿体ないけど、
わたし牛乳パックこぼすわ。ブワーっと。で、ソレを見た竜児くんが、間違って買ったから〜って、
言って、わたしに新しい牛乳パックをくれるの。その御礼にわたしが、お弁当のオカズあげるぜって、
さりげなく合流、4人で一緒に食べるの。…どうかな?」
拳を握りしめる実乃梨。大きな瞳の奥に、太陽の炎が見える。その炎に月が明るく照らされる。
「なるほど…今度は、成功させねえとな…」
竜児も拳を握る。実乃梨はニヤリとし、まるで、昔からの相棒のようにハイタッチする。
***
昼休みになり、竜児は、実乃梨と牛乳パックを買ってきた。
「よし櫛枝。もし制服が汚れたら、俺が応急処置するからな。思いきって、やってきてくれ」
「応!胸すわって進むなり!」
教室の入り口から、ふたりはそれぞれ、大河と北村へと向かう。のだが、
「高っちゃ〜んっ!いくら非行少年だからって、ひどくな〜い?痛かったよ〜!」
「おうっ!春田っ!すっすまねえっ。顔面大丈夫だったか?」
「顔面の骨、折れたかと思ったよ〜、あっ、ミルク…お詫びにミルク頂き〜☆」
春田は、竜児から、牛乳パックを奪い、一気に飲んだ。…仕方ない…
「おいち〜っ!おひょっ!顔面の骨、治った!」
「初めから折れてねえよ。でも…マジですまなかった。北村も、代わりに介抱してくれて有難うな」
「気にするな高須!クラス委員として当然…おやっ?一年のマネージャーか?どうした?」
恐縮そうに、教室を覗き込む1年の男子生徒がいた。北村が席を立つ。暫く話をして…
「櫛枝!ソフト部の緊急ミーティングだ。弁当持って部室に集合だっ」
「え?そうなの?…あっ、竜児くん、良かったらわたしの牛乳パック飲んでいいぜ。
飲みかけだけど…ごめん、抜けるね。今日はついてないなあ、また頑張ろ!」
実乃梨は申し訳なさそうな顔をして教室を出る。何故か竜児は大河と向かい合わせに座った。
「あんた…なんでここに座んのよ…目障りなんだけど…」
牛乳パックを飲んでいる竜児は、大河の言葉は聞こえていなかった。
放課後。竜児と大河は、グラウンドのフェンスの外にいた。実乃梨と一緒に下校するためだ。
「あ!みのりん手振ってる。おーいっ!…うわっ、そんなに振らなくても…」
「おうっ、今度は、変な踊り始めたんだが…逢坂っ、なんだあれ?解説してくれっ」
「竜児。元ネタが判らなくても考えちゃダメ。感じるの。そんなんじゃ、みのりんの…ま…いっか」
大河の視線が横にずれた。その視線を追うと、ひとりでストレッチしている北村の姿があった。
たぶん生徒会の仕事で、部活に遅れて来たのであろう。何か叫んでいる。指示を出しているようだ。
実は今日の緊急ミーティングで、北村と実乃梨は、各ソフト部長に抜擢されたとの事だった。
指示を終えた北村は、辺りを見回し、竜児と目が合った。すると北村はズボンのチャックを一瞬降ろし、
すぐ戻した。…いったい何の意味があるというのだろう…理解に苦しむ。…大河がいない。
と思ったら、しゃがんでいた。大河は北村のサービスカットを見逃してしまった。
「…ねえ竜児。なんかわたしに隠し事してない?あんたと、みのりん。教えなさいよ」
「別に隠し事なんか…櫛枝に、その…相談受けただけだ」
ジロリと、大河は竜児を見上げる。目線を正面に戻し、溜息をついたあと、話し出す。
「…わたしと北村くんの事でしょっ?みのりん優しいから。やっぱり、見られたか…」
「まあ、逢坂と北村絡みなのは、確かだ。正直…俺も櫛枝の相談事、よくわかってねえ」
なんで逢坂と北村の仲を取り持つような事をしたのか?竜児は首をひねる。
「あんた、本っ当ーに鈍感、ドンキングね。でも、そういう所が、気にいられたのかもね…」
「なんだよ、ドンキングで悪かったな。そんなんで、誰かに気に入られても複雑だけどな」
オンナってのは、もうちょっと、わかりやすく表現出来ないのだろうか?まるでクイズだ。
髪の毛を掻きむしる竜児。そのわかりやすい表現に、大河は少し、微笑む。
足下の大河は、しゃがんで小さくなっていたカラダを、さらにキュッと縮こまる。
…そして、自分の膝に、口を当てながら、大河は竜児に自分のクイズの答を教えた。
「わたし。きっ…北村くん、好き…好きなんだ。だから、みのりんあんな事したんだよ」
「なっ、なんだって?!逢坂!そ、そうなのか?…だって去年、逢坂は北村からの告白を、
断っているよな?なんでだ?好きなのか?どっちなんだ?わからねえっ!」
「…だって。知らない人にいきなり告白されても困るじゃない。みのりんの隣で…いつの間にか、
その…意識しちゃって…なによ…あんただって、みのりんの事好きじゃない。おあいこよっ」
プーッと大河は膨れる。よく見たら耳まで赤い。こういう仕草の大河は、…ものすごく可愛い。
竜児はグラウンドの実乃梨に目線を戻す。まだ踊っていた。
「まあ、な。おあいこだな。俺も、櫛枝の事。マジで…好きだ」
明るく、部員にアドバイスしている実乃梨。竜児は恋心に縛られ、視線が固定され、動けない。
「あの娘、綺麗だもの。あんたがみのりんを選んだ気持ち、わたしにはすごくわかるもの」
竜児はやっと分かった。単純な答えだ。竜児と大河は一緒だったのだ。
「そうか…逢坂が北村を選んだ気持ち。俺もわかる…北村、あいつは本当にいい奴だ」
竜児と大河は月だ。そして実乃梨と北村は、太陽なんだ。
「わたし、先に帰る。あんたはみのりんの事待つのよ。みのりんに伝えてくれる?
もう心配しないでって。明日…北村くんに告白するって…バイバイ、高須くん」
「え?高…先に帰るって、おいっ!逢坂っ!…告白?マジかよっ」
大河は走っていたが、…ズッコケた。
そして竜児を手で静止。立ち上がりホコリを払い、グラウンドの照明をゲシゲシ蹴り…
再び走り去った。
「おまたせっ!!あれ?竜児くん、大河は?待ちくたびれて帰っちまったかな?」
「ああ、櫛枝。ちょっと前まで逢坂も待っていたんだが、急に先に帰るって。
…そう言えば、今日はファミレスのバイトなんだろ?時間平気なのか?」
「6時から。あと1時間あるし、ダイジョーVだぜっ!んじゃ、歩きながら話そっか!」
校門を出る二人。4月の午後5時は薄暗く、所々で街頭が点灯しはじめている。
こういうゴニョゴニョした話をするには、丁度良い雰囲気なのかも知れない。
「あのさ、逢坂から、伝言があるんだ。櫛枝に伝えて欲しいって。逢坂。明日、
北村に告白するんだと。…で、お前にもう心配すんなって。…言ってた」
あっけに取られる実乃梨。再び歩き出すが、若干ふらつき、竜児と肩がふれる。おととっ。
「ごめん…そっか、大河…やっぱりお節介だったかな?…なんかわたしだけ…ん〜…。
竜児くん、どう思う?北村くんと大河。上手くいってくれるかな?いって欲しいけど…」
実乃梨は竜児に問う。その瞳は憂いを帯び、本当に心配なんだ…と竜児に伝わった。
「なんか、難しいよな。外野がやいやいと人の恋路に口出すのはどうかと思うけど、
俺達の親友同士だから、状況が特殊だよな。俺も上手くいって欲しいし、応援したい」
朝に、実乃梨と待ち合わせした交差点を過ぎ、竜児の家と逆のケヤキ道に出る。
通るのは3回目。3回とも、実乃梨とふたりで通った。そんな事を竜児は思った。
「大河ってさ、あんまり人の事…特に男の人を褒めたりしないのね。でもね、
北村くんの事…成績が学年トップですごいとか、生徒会で副会長になったとか、
ソフトでどうとか、今考えたらイロイロ褒めてたのよね…北村くんのいない所で」
たしかに大河が誰かを褒めるなんてレアだ。本当に大河は、北村に恋をしているんだろう。
「なあ、櫛枝。今日の朝、俺に北村の噂話とか聞いて来たよな?実は俺、心当たりがあるんだ」
春休みの駅前で、すみれの前で、赤面していた北村を想い出す竜児。たぶん…間違いない。
「そうなの?竜児くんっ!心当たりって、それってどこの生徒会長?」
「そうなんだ、生徒…なんだよ櫛枝っ、知ってたのかよ?」
「いやいや簡単な推理なのだよ、ワトソンくんっ!北村くんも、大河と一緒っ。狩野先輩の事、
すっごーい褒めてるよ。入学以来、常に成績がトップだとか、壊滅的だった生徒会の財政を、
一代で建て直したとか…そりゃあ聞いてもいないのに、狩野先輩を、褒めマクリーン事件なのよ。
それに、部活やクラス委員で、どんなに忙しくても生徒会を最優先にするしねっバレバレだよっ」
「ほら、狩野先輩って文武両道で、人間としてもすごいだろ?恋愛じゃなくって、憧憬っつーか、
目標とか、そんな風に北村が思っていたんじゃねえかって、思ったけど…そうだな…北村は、
狩野先輩の事、女として好きだよな…俺、恋愛とかそんなの慣れてねえから…櫛枝鋭いな。スゲエよ」
「ヘイヘーイッ高須ボーイ!わたしの事を褒めマクリーン事件しても、何も出ないぜ?」
「…何も出ないのか?」
なんとなく言った竜児の一言。この会話の流れだと、好きなヒトを褒めるって流れ…
次第に顔が赤くなる実乃梨。竜児は自分で言った言葉の大胆さに、自分で驚いていた。その時っ
「ブッハーッ!!鼻血が出たっ!竜児くんっ!たふけて…」
「くっ櫛枝っ!気を確かに!!傷は浅いぞっ!」
結局心配でファミレスまで竜児は付いていった。
狩野すみれ。絶対カリスマの君主、生徒会長。パーフェクト兄貴。
大河の恋敵として、最大の壁が立ちはだかる。
以上になります。
お読み頂いた方、前回投下後のレス頂いた方、
有り難うございました。
次回が前半の締めになる予定です。
様子を見させて頂き、判断させて頂こうと存じます。
またこの時間帯をお借りするかもしれません。
宜しくお願いいたします。失礼します。
このくらいのペースならたまに来るだけで追いつけるから助かるわ
皆さんこんばんは。
[言霊]のラストが書けたので投下させて貰いに来ました。
前回の感想を下さった方々ありがとうございます。
※性的描写があります。苦手な方はスルーしてください。
では次レスから投下させて貰います。
[言霊(10)]
「ふぅっ…!っあ!はっ!はぁっ!あっ!!あっ!!」
もう何回目の契りだろうか?
四回…いや五回目か、数えている訳じゃないから、ハッキリとはしないけど確かそのくらい。
私は竜児の身体に馬乗りし、腰を前後に揺すって甘えていた。
しっかり繋がれた右手を握り返し、汗ばんだ肢体と乱れた髪を躍らせて…舞う。
膣の奥に食い込むように当てたおちんちんをグリグリ、惚けてしまう甘い痺れ。
「あはぁ…あ!ふ…!りゅうじぃ…気持ち……良い、よぅ…!」
根元まで埋めた彼で擦って、掻き回して、悦びに満ちた啼き声を漏らして貪る。
愛しい彼と共有する濃密な時間、甘く蕩ける快感に囚われてしまい……交わり続ける。
「んんっ!はあぅっ!!っう!」
円を描く様に腰を捩らせると加わる新たな刺激、それは熱を帯びて感覚が麻痺しかけた女の部分に鋭い電流を巡らせる。
「あっ!あふ、ぅ!!あぅ!ふぅっ!ふっ!……も、もうちょっとでぇ……イ、きそ…う!」
「うあっっ…っ!あ、亜美ぃ…」
それは発情した私にとって堪らない御褒美、気持ち良くて、切なくて、腰遣いは激しくなっていく。
覚えてしまった絶頂の味を忘れるなんて無理、あの心地良い浮遊感、脱力感が欲しくて求めてしまう。
キシキシとベッドが軋む音、はしたない水音、私と竜児の喘ぎ…。
それらの音は徐々に心拍と耳鳴りで聞こえなくなっていき、右手の親指に歯を立てて快楽の波間を漂う。
「あん…っ!あっ!!あ…ひっ!あっ!!あんっっっ!!!!」
そして上り詰めてしまう。真っ白な光が爆て、無音の世界で翔ぶ。
体温が上昇し、血液が沸き上がって…一気に冷めていく感覚。ブルッと身震いして、心地良い脱力感で惚ける。
「はっ!はあはあ…!っんく…ぅ!ん、あ…」
ガクガクと身体を震わせ、腰砕けになっても惰性で動いてしまう。
雌になっている私は、貪欲に精を求める。
避妊具を介してでも良い、彼との逢瀬の記憶を身体が欲していた。
「あは…竜児のおちんちん…凄いビクンビクンしてるよ?んう…気持ち良い?」
遅れて彼も達する。最後の一滴まで精液を射そうと暴れる、膣奥に押し当てたおちんちんの頭は変わらず元気いっぱい…。
膣内で敏感になった女の部分を弾いて、なぞって…悪戯ばかりする。……おしおきしなきゃ駄目だね。
「く、うぅ……、うあっ…あ、あ…」
彼のお腹に両手を乗せて、膣でギュッと締め付けて、ゆっくり腰を上げていく。
彼の弱々しい啼声に加虐心をくすぐられ、ゾクゾクとした高揚感が私を酔わせる。
「んふ♪…ふ、あ」
抜け出る寸前で止め、再び根元まで埋める。
ジン…と痛みにも似た強く甘い疼きに身体を震わせて、ふっ、と短く吐息を洩らす。
こうして互いの敏感になった部分を余韻を味わうように慰めて、後戯の代わりにする。
それは『おしおき』の名を借りた愛情表現。
ただ一度きりの意地悪なスキンシップ…。
私は彼の横に寝転がり、ギュッと抱き付く。
『熱が冷めるまで抱き合って、少しでも永く余韻を感じていたい』
そんな想いを竜児の胸に頬を擦り寄せて伝える。幸せな気持ちと共に…。
「あは…流石に疲れたね。私、身体に力入らない。今日だけで何キロか痩せた自信があるわ」
「お、おう…。確かにな。もう何も出ねぇ、残ってない。ふぅ…下手な運動より痩せれるぞ、コレは」
二人してグッタリと憔悴した声でポツリポツリ呟く。
激しい営みで乱れたシーツが汗を吸って不快感を覚える。だが襲ってくる眠気に、そんな事はすぐに思考の隅に追いやられた。
「亜美、風呂はどうする、眠いなら起きてから入るか?」
と、彼が問う言葉を半分夢の中で聞いていた。
「うん…そうする、ふあぁ〜……」
返事もそこそこ、大きく欠伸して意識を手放そうとする、けど、そこである事を思い出す。
『後始末しなきゃ…』
竜児からゴムを外して捨てなきゃ、だの、アソコを拭かなきゃ、だの…。
つまりは後処理、いつもしている事だから…無意識の内に癖がついていた。
ほら、やっぱりさ、放置するのは何か嫌だよね。
私は軋む身体を起して、ゆっくり竜児の下腹部に手を伸ばす。
「お、後始末は俺がやるから、亜美は寝とけよ」
「うんうん、任せといて…亜美ちゃんが綺麗にしてあげるから」
噛み合わない受け答えは、私の寝ぼけた思考が導き出している。
だから気付かなかったんだと思う……『色々』と。
墜ちる寸前の意識で、彼からゴムを外して精液が漏れないように縛る。
引き出したティッシュで汚れたおちんちんを優しく拭う。
それが終わったら、自身の体液を拭いて…はい終わり。
私はゴムをティッシュで包み、一纏めに丸めてゴミ箱へ向けて放る。
さあ寝よう、体力も気力も尽きそうだ。
そんな事を考えつつ、彼に寄り添おうとした時に…それは起こった。
「竜ちゃ〜ん……帰って来たのぉ?」
ガラッと襖が開かれ、呂律の回らない声が聞こえた。
そう。高須家の大黒柱やっちゃんである。
いきなりの事に私と竜児は驚き、ビクッと身体を震わせる。
「「「あ…」」」
そして…三人共、ピタッと固まる。裸体を隠す事も忘れてしまうくらいに…。
逆光で輪郭しか解らないが、やっちゃんは明らかに私達二人の姿を見ていた。
それを理解した時、私は頭の中がサーッと白くなっていく感覚を覚えた。
「あ、ああああ!お、おじゃ、お邪魔し、しています!!」
「お、おおおうっ!?や、やすっ泰子!た、ただいま!!」
口火を切ったのは私だった、慌てふためきながら竜児の下半身を掛布団で覆い、手で胸と下腹部を隠す。
それに釣られて、彼もガバッと起き上がり私に掛布団を被せ直して、焦った声でやっちゃんに挨拶。
「んふふぅ〜、そっかぁ竜ちゃんと亜美ちゃんはぁ〜"大人"になっちゃったんだぁ〜。
ゴメンねぇ?ゴソゴソって音がするからやっちゃんもビックリしたよぉ、反省、反省。お邪魔したでがんす。てへっ☆」
数秒の間を置いて、我に帰ったやっちゃんが破顔して私達を見ながら、そう言った。
見るからに酔っている筈なのに、口調はハッキリ。酔いも醒めるくらいビックリしたんだろうね。
『お邪魔虫はたいさぁ〜ん、おやすみ〜』
そう言い残して襖がススス…と擦れる音を発てながら閉まっていく。
ああ…良かった、ひとまずは大丈夫だ。少なくとも怒ってはいない。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、残り10cm足らずという所でピタッと襖を動かす手が止まる。
何事かと私達は固まる。
「亜美ちゃん、ちゃんと避妊はさせるんだよぉ?」
「ひゃいっ!わ、わかりまひたっ!」
ニッコリ笑ったやっちゃんが顔を覗かせ、私を名指して淡々と言った。
噛み噛みになりながらも返した返事に満足したのか、再び時と襖は動き始める。
「…見られちゃったね」
「…おぅ。見られちまったな」
お互いポツリポツリと呟き、顔を見合わせる。そして沈黙する。
「まあ、とりあえず寝よう。俺達はおかしい事はしてないんだ。こ、恋人同士なら当たり前にする事だし、自然な事だろ。泰子だってそれは解ってるだろうから」
暫くして沈黙を破り、そう言ったのは竜児だった。
「でもさ、無断で泊まっちゃったし……」
彼の言う事はもっとも、大人なら解っている事。誰しもがそうして愛を育んできたのだから…。
でもそれ以前に、私はやっちゃんの許しを貰って泊まった訳では無い。
今さらながら、その事について詰めが甘かったと痛感する。
竜児に頼んでメールの一つでも送って貰えば良かったのだ、そうすれば彼に迷惑を掛ける事は無かった。
やっちゃんはまだ知らないのだ、私達が付き合い始めた事を。そして知らないなら、この事をどう捉えるか。
それはやっちゃんに対して、考えたく無い事を連想してしまいそうになる、だから即座に否定する。
「それこそ、さっき亜美が言った通りに言えば良い、俺は亜美を一人にさせたくないから泊めた、それで良いじゃねぇか。ともかく気にするな、俺に任せろ」
考えを巡らせていると、頭の上にポンと彼の手が乗せられる。
暖かくて大きな……竜児の手が私を優しく撫でてくれる。
優しいな本当に……元を正せば私の我儘が原因なのに、彼は私を守ってくれようとする。
それに甘えちゃって良いのかなぁ…?
「うん」
そして、私は良い意味で考える事を止めた。
彼と布団の中へ潜り、おやすみ、と一言紡いで私は瞳を閉じる。
朝になったら二人で経緯を話せば良い、ただそれだけの事。
何も心配は無い、やっちゃんだって解ってくれるよ、きっと…。
竜児となら、どんな事だって怖くない。一歩を踏み出せる。
だって私達は並び立つ関係になれるのだから、一緒に…………。
そこで私の意識は途切れた。
....
...
..
.
遠くでトントンと小気味良く何かを切る音がした…。
「ん…………ぅ?」
まだ意識がハッキリしない私は、冬の冷たい冷気に身を晒したくなくて、暖かい布団の中でまどろみ、その心地良いリズムを聴きながら惰眠を貪る。
眠いし、寒いし、疲れてるし…。何より休日なのだ、二度寝の一つや二つしたってバチは当たらない。
だが鼻をくすぐる美味しそうな匂いを捉え、手放そうとした意識が覚醒してしまう。
すると真っ暗だった視界に淡く白い光が映る。
それはカーテンを透いて差す朝日だと気付いた。
ああ、夜は明けたんだ。なら起きよう、いや…でも。
抗い難い倦怠感と眠気が再度、私の意識を沈ませようと甘く囁く。
………って待て待て、何かを私は忘れている。
そうだ…私は竜児の家に泊まったのだ。
すぐさま横に居る筈の彼を引き寄せて確かめようとする。
しかし一向に触れる事は無く、手繰り寄せたのは冷たい掛布団。
そこでようやく私は重い瞼を開ける。
「…………」
薄暗い天井が視界の先で揺れ、ぼやけて、徐々に姿形を明確にしていく。
先程届いた気味の良い音に交ざった雀の鳴き声。可愛らしく私の頭の中で響く。
これが、いわゆる『朝チュン』って言うヤツか…。
そっか…これが、ね。
毎朝聴いている筈の、ソレが急に愛しく想えてしまう。
頬が弛んでしまう、幸せだった。今、彼が側に居ないのは残念だけど、一夜を過ごした満足感が嬉しい。
一歩どころか二歩は前進した。節々が軋むような疲労や倦怠感と引換に得た充実感が活力を生み出す。
「ん〜〜〜っ!」
寝てなんかいられるか!
私は起き上がって掛布団を跳ね除け、大きく、長く伸びをする。
「さむっ!!」
そして身体に刺すような寒気を感じて、再び掛布団を纏う。
アホか…ありえない、いくら亜美ちゃんが『天然』っても………んふふ♪
ああ、駄目だ。何をしたって弛んだ頬が元に戻らない。
何度だって言ってやる、幸せなんだよ。
だけど浮かれてばかりもいれない、やっちゃんに謝らなければならない。
と言っても、ただ一言で済む事なんだけどね。
『勝手に泊まってごめんなさい』
そう、それだけ。身構えたってそれだけしか出来ないし、事実だし…、気楽に構えよう。
そう考えを纏めたところで、私はある物に気付く。
居間に置いておいた筈のキャリィバッグ。そして綺麗に畳まれた灰色のスウェットセットアップ。
彼が用意してくれたのだろう、つまりは着ろという事だ。
私自身のジャージもあるにはあるが、わざわざ用意してくれたのだ、好意に甘えるとしよう。
身を乗り出し、バッグを手繰り寄せ、中身を探る。
下着、下着…っと。余分に持って行っていて良かった、無かったら………最悪の場合は、何も着けずにいなければいけない。
汚れ物を着るのには抵抗があるし。
まあ、お風呂から上がるまでは適当で良いか。
そうだ、どうせなら竜児を驚かせよう。
思い立ったらすぐに実行という訳で、下着と共に取り出したのは制服のブラウス。
そして素肌の上にブラウスを着て、はい完了。
胸元のボタンを二つ、留めずに緩く着るの。
裾が膝上20cm位までしかないんだ、コレ。…エロいわ、うん。少し恥かしいかも。
ベッドから抜け出し、冷えた畳を忍び足で襖まで進む。
こっそり襖を開けて、彼以外が居ない事を確認して居間へ入る。
私から見て、背を向けている竜児は朝御飯の準備をしていた。
なるほどね、あの美味そうな匂いはお味噌汁の……、あ、何か良い。こういうの。
一夜を過ごしたんだな、と、実感出来る。
「おはよう。竜児」
私は彼に声を掛ける。
「おぅ、おはよう。早いじゃねぇ、……………か」
振り返って挨拶を返してくれた竜児が私を凝視して固まる。
そして顔を真っ赤にして口をパクパク、よしドッキリ成功。
「んん〜?どうしたのぉ、り・ゅ・う・じぃ」
サッと彼の側に素早く移動して、上目遣いでジッと見詰めながら聞いてあげるの。
「何て、か、かか格好して、んだよ」
わ、照れてる照れてる。ちょっと可愛い、竜児をからかうのって何回しても楽しいね。
ワクワクする、彼の反応一つ一つに胸がキュンと高鳴る…。
「何って?お風呂借りようと思って…ほらコレ」
そう平静を装って、彼に見せたのは両手で抱えたスウェットと下着。もちろん下着はわざと見えるように…。
ライトローズの下着の上下、ちょっぴり大人っぽいヒラヒラレースも付いてるお気に入り。
「お、ぅ…。風呂は沸いているから、入って来いよ。ん、その間に朝飯も用意しとくし…」
竜児の視線がギュッと両腕で寄せた胸の谷間と下着を交互にチラリチラリ…。
料理をする事も忘れて見入っていた。
「りょーかい。あ、バスタオルを貸してくれない?
用意してたの全部使いきっちゃって無いんだ」
「ん、ああ」
私の言葉に我に帰った彼が、来いと手招きしてくれる。
そして脱衣所まで連れて行ってくれる、その背中を見ながら私は笑みを零す。
また一つ見付けた彼の一面が愛しくて、堪らなくて…。
思わず背後から抱き締めてしまいそうになるのを堪えて、手渡されたバスタオルを受け取る。寄せた胸を更にギュッと上げて寄せて…。
「ありがとう。ねっ…ところでさぁ、竜児はさっきからなんで前屈みな訳ぇ?」
受け取ると同時に私は、数秒前に見付けた彼の『変化』について聞いてみる。
「はあ………お前なぁわざとだろ?さっきから狙って…そういう事してんだろ」
溜息を一回、深く吐いて呆れ顔の竜児が私に返す。
「あ、バレてた?」
私はニコッと笑ってみせる。
「ここまであからさまだと誰だって気付くだろうよ、ほら早く風呂に入って来い」
「へいへい、ちぇっ、つまんねぇの…。
もっとビックリするかと思ってたのにぃ」
頬を膨らませて不貞たフリをして、彼に不満だと呟く。
すると、彼が困ったような顔をして頬を人差し指で掻きながら紡いでくれる。
「ビックリじゃなくて、ドキドキしたんだよ。亜美が色っぽいし綺麗だったから」
そうサラッと言ってくれちゃうのだ、竜児は……。
「へぇ〜、ふふ…そっか、そっかぁ。満点だね、ありがとう」
綺麗…綺麗かぁ、そんなの当たり前じゃん?
でも竜児に言われたら、格別の喜びがある。
彼が台所に戻る様を見守り、私は浴室に入った。
.
身体を洗い、乾いた汗でベタつく髪を洗って、崩れまくった化粧を落とす。
それらを終えた私は、狭い湯船の中で膝を抱えている。視界に入った胸には昨晩、彼が噛付いた痕が残っていた。
薄く残った噛み痕、強く吸われて内出血した部分…それは彼に刻まれたマーキング。
激しく求めて、求められた証を見付けては昨夜の情愛の想いに耽る。
昨日の竜児、凄かったな…。獣みたいだった、途中でバテたけど。
こんなに身体が怠くなるまでしたのって初めて……何回も何回も達せられて、凄く気持ち良かった。
また…機会があったら良いな。
やば…そんな事を考えてたらのぼせそう。急に身体が熱くなってきたし……。
お湯…そう多分、お湯が熱いからのぼせたんだ。だから、またこんな事を朝っぱらから考えてしまったんだ。
そう自分に言い訳して、素早く湯船から出る。
水の滴る髪に指を通して手櫛し、壁掛けからタオルを取る。
まずは髪を拭く、慎重に丁寧に…壊れ物を扱うように水気を吸わせていく。
続いて身体を拭いてから脱衣所へ…。
下着を右足から通して、次に左足、よし…。
実はコレ、初めて穿くんだよね…変じゃないかな?
と、洗面台の鏡で姿を確認してみる…………って何をしてるんだ。
昨日の今日じゃん、竜児が見る訳無いじゃん。あんな事を考えたせいだ…まだ身体が『バカ』のままなのだ。
また『欲張り』な事を考えない内に、残りをさっさと着てしまおう。
と、ブラを身に着けてスウェットに袖を通し、穿いて、ブラウスを畳んで髪を乾かす。
長々と時間を掛ける訳にはいかない、彼が待ってる、だから手早く、最小限に止めて脱衣所を後にした。
「あ。亜美ちゃんだぁ〜、おはよう」
居間に入ると、やっちゃんが私に挨拶をくれた。
「おはようございます」
そう挨拶を返すと、寝起きの目を擦って、ニッコリと微笑みを返してくれた。
ちなみに竜児は居ない、朝食の準備は出来ていて、卓袱台の上に載ってはいるが…何処に行ったんだろう。
「あ、あの…やっちゃん?」
まあ、すぐに戻って来るだろう。多分、何か用事でもしているんだと思う。なら彼が戻る前に、私はやっちゃんに謝っておこう。
「ん、どうしたの?」
つぶらな瞳を私に向けて、やっちゃんは私に問う。
「ごめんなさい。何も言わずに泊まっちゃって…、私が竜児くんに我儘を言って無理矢理に押し通しちゃったんです。
だから竜児くんは悪く無いんです」
そう言って、私は深々と頭を下げて謝罪する。
彼に累が及ばないように、叱られないように…。
「え〜?いいよぉ、謝らなくても。やっちゃんは怒ってなんかいないんだよ」
だが、間を置かずに届いた言葉は、怒りの欠片すら感じられない柔らかい声。
私は頭を上げて、やっちゃんの顔を見て確かめる。そこには、いつも通りのニコニコ笑顔があった。
「亜美ちゃんは竜ちゃんの事が好きなんだよね?竜ちゃんも亜美ちゃんが大好きなのぉ。
だから全然、問題なんて無いんだぁ〜。ふふっ♪竜ちゃんと仲良くしてくれたら、やっちゃんも嬉しいでやんすよ」
と、言って親指をグッと突き上げ、更に続ける。
「亜美ちゃんも竜ちゃんも、お互いの事をやっちゃんに話してる時は目がキラキラ輝いているんだよ。
うん、だからやっちゃんも嬉しい。
ちゃんと段階を踏んで仲良くお付き合いしてるなら、やっちゃんは叱れないもん、お邪魔虫だっ。ね?」
クスクス笑って、やっちゃんはこう最後に締めくくる。
「いつでもおいで?もう亜美ちゃんは、やっちゃんの子供も同然なの、そんな顔してたらやっちゃんも寂しいでがんすよ…」
頭を優しく一度撫でてくれる。やっぱり親子なんだ、こういう部分も似てる、竜児と。
「うんっ!」
私は彼にだけ向けていた笑顔を彼女にも向ける。
『家族』として『息子の彼女』として受け入れて貰った喜びを精一杯の笑顔に載せて示す。
「よしよし、やっぱり亜美ちゃんは笑っている方が可愛いよ。
あ、竜ちゃ〜ん!遅いよぉ、やっちゃんお腹ペコペコ!」
やっちゃんの母性に触れた私は、甘える子犬のように身を任せる。
そして玄関の開く音が聞こえると、戻って来た彼にそう言って両手をブンブンと振る。
「おぅ。泰子も亜美も悪かったな、じゃあ飯を食おうぜ」
竜児が居間に入って、笑いながら卓袱台の前に座る。
私の横であり、やっちゃんの対面。いつも通りの位置に…。
「どうしたんだ亜美、やけに機嫌が良いな」
「ん、別にぃ〜」
素っ気無く返した言葉とは裏腹に、私の心は暖かい優しさで満たされていた。
.
朝御飯を食べ終わり、再び眠りにつくやっちゃんを見守った後、私は制服に着替えて彼と外に出た。
制服に着替えた理由は簡単、スウェットのままキャリィバッグを引く姿は、いくら美少女な私でもミスマッチだからだ。
何より、一緒に居る彼に恥をかかせたく無い。
私はどんな時でも、愛しい彼の為に綺麗でいたいのだ。
ちなみに目的地は私の家、正確には親類の家だけど。
荷物を置いて、着替えたい。あと、竜児にも『初めて』を体験させてあげようと思ったのだ。
『彼女の部屋にお邪魔』
という初体験をね。
左手でキャリィバッグを持って引き摺り、右手は彼にしっかり繋がれている。
「そうだ、今日は何処か出掛けてみねぇか?
亜美の都合が良ければだけど」
行程の途中で竜児が私にそんな提案をしてきた。
「今日は仕事も予定も何もありませ〜ん。だから、うん………何処か行こうか」
もちろん私は二つ返事で返して、絡ませた指をより強く握り直す。
「初デート…だね」
そう一言紡いで、スッと静かに肩を寄せて…寄り添う。
「ああ、初デートだな」
彼も私と同様に紡いで、私達は沈黙する。
幸せな気持ちを噛み締めたくて…、私達は何も喋れなくなる。
高鳴る胸の鼓動を感じながら、一歩、また一歩と歩んでいく。
『行き先は後で決めるとして、まずは着替えなきゃ、それに気合い入れて化粧もして…』
「竜児、少し急ごう。ちょっとでも長くデートしたいし……一秒でも惜しいよ」
そして沈黙を破ったのは私、急く気持ちを抑えれなくなる。
「おぅ、なら速歩きで…。荷物があったら走れねぇし」
「ま、そうだね。亜美ちゃん、気合い入れておしゃれしちゃおうかな、スーパープライベート仕様で」
彼の紡ぐ言葉にもワクワクする気持ちを感じて嬉しくなる。だから大きく頷いて、彼に語りかける。
「現役モデルのセンスを見させて貰おうじゃねぇか」
「オッケェ〜。期待に答えたろうじゃん」
クスッと笑って紡ぎ、私は彼を見詰める。
寒空に差す暖かい陽射は、まるで私達の気持ちを代弁するように照らしている。
回り道して、色んな人とすれ違って、歩み寄って…。
今では彼と堂々と横並びで歩める。
『ちょっと先を進む』
いつの日かに紡いだ一言、それも忘れない。
互いに助け合って、どちらかが一歩先に進んだら引っ張っていくの。
そして最後の最後に横一直線でチェッカーを潜れば良い、そうなればと願う。
勇気を振り絞って紡いだ『言霊』
目一杯の愛情を載せて紡いでくれた『言霊』
まだ貰ってない『言霊』
いつかは得るし、私からも贈る。
やっと繋がった私と竜児の関係はまだ始まったばかり。
そう、やっと走り始めたのだ。
大好きな竜児と新たな関係、それを更に強く結びたくて私は『言霊』を贈る。
「竜児っ!」
「お、おうっ!」
私は深呼吸し、一拍置いて紡ぐ。
「大好きだよっ!」
ってね。
終わり
以上、完結です。
でも実は今作で立ててしまったフラグがあるので、近い内にスピンオフで投下したいと思ってます。
長い間、お付き合いくださってありがとうございました!
また来させて頂きます。
では
ノシ
God Job
グッジョブ、ニヤニヤしながら読めて褒めるとこばっかだが
泰子と亜美の会話はなんか、泰子と亜美というより
泰子と大河っぽい会話で、そこだけちょっと気になったかなぁ
まぁ甘甘で亜美を可愛くって感じで書かれてる話だから、ああいう亜美でもいい気はするけど
>>391 完結キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
この手の長編って未完になることが多いので感動した。
そしてスピンオフとな!
今から全裸大気
グッジョブ! お疲れさまっした!
やっちゃんの前でアマアマになれてるあーみんって何か
「孤独からの解放」って意味じゃ大河と近いんだな、って
気がしてきますね。あーみんこれからもお幸せに!
おつです!良かった!すっごく良かった!
新作も期待して待ってます!
みのゴン面白かったっす。
香椎が良かったw
いや、いろんな箇所笑えました、インブリードとか。
言霊も完結ですね、素晴らしい。
亜美ちゃん長編、楽しめました。
これからも楽しみにしてます。
亜美ちゃんネタが続きますが、初投稿っす。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
亜美が一人で帰る夕暮れの廊下。
階段下でふと目を上げると、すぐ上の踊り場の所で、兄貴こと生徒会長がメガネを持って呆然としていた。
(たしかあの人、めちゃめちゃ目がよかったはず)
亜美が見ていると、すみれはその姿に気がつき「ああ、ちょっといいかな」と、降りて来た。
「すまないが、こいつを北村にわたしてくれ」
「あ、なーんだ。明日にでも……」
「いや、まだ生徒会室にいるはず。わたしは、その……用があるので帰る」
ぽん。
すみれは、ほぼ一方的にメガネを亜美の手に乗せると、そのまま行ってしまった。
「しょうがないな。おーい、ゆーさく、まだいるか。……た、たいへん!」
亜美が生徒会室に入ると、そのど真ん中で北村が「orz」の格好をして倒れていたのだ。
「ゆーさく、ちょっと!」
亜美はメガネを放り出すようにして駆け寄り、声をかける。よく見ると、その脳天に大きなタンコブがあり、近くには竹刀が落ちていた。
「じ、事件だわ。会長が帰った隙に……」
人を呼ばないと。亜美はそう思い、辺りを見回す。
が、そのときになって「う〜」と、北村がゆっくり頭を上げた。
「あ……だいじょうぶ?」
思わず、しゃがんで北村の手を取った。
その瞬間、ソフト部で鍛えたその手に引かれ、亜美は思わず倒れ込んだ。
「ごめん」
さらに、そこにのしかかる。
「好きなんだ。いきなりだけど、分かってほしい」
「ちょ、ちょっと……う、うわっ、やめろバカ!」
そのまま大きめの右手を胸に手を押し当てて来る。残る左手は背中に回し、しっかりと亜美の体を抱きとめ、いや押さえつけてしまった。
「さわんじゃねーーっつーの! お、おまえ、何をしてるか、分かってんのか、ンのやろっ!」
「おお、それでこそあなたらしい! この黒髪、お、思ったよりも大きめな胸も、その目も大好きだぁーーーーー!」
(……ゆうさく?)
驚。そして、少し嬉しい。
幼なじみで、よく一緒にいたけど、好きだなんて行ってくれたこと無かった。
かなり強引だけど,こうしてだきしめられて……だんだん力が抜けていく。
スカートの下から下の方も触られちゃってる。でも、いいや。
高須クンもあたしのこと分かってくれたかもしれない、でも、一番良く知ってくれてるのは、やっぱり……
「好きだぁ〜〜〜かいちょおぉおおおおおおおお!!」
「はぁ?」
別の意味で力が抜ける。
メガネ無くして、間違えたってか。
だからといって、北村の行為は止まらず、このままでは亜美ちゃん最大のピンチ!
だが……
『オーライオーライ』
『ああああーーーーーー』
誰かの超えと、櫛枝の声。そして白い物体が視野の片隅に。
どごん☆
コロコロコロ
竹刀の隣にソフトボールが転がる。
北村のタンコブが二段になり、その場に倒れた。
「このぶゎか」
事態を把握する亜美。
会長の様子が変だったのは、いきなり襲われたからか。
ふん、メガネだけおいて、さっさと帰ろう。バカバカしい。
そう思い、のしかかった北村の体をなんとか避けようと、重たい相手を両腕で抱える。
と、そこに……
「いやぁ、すんません、タマとんで……あちゃー!」
場外ホームランのボールを取りに来た櫛枝には、どう見てもよろしゅうやってる用にしか見えなかったわけで。服なんか乱れちゃってるし、抱きついちゃってるし。
「す、すまん、ごゆっくりー。って、言うんだっけ、こんな時は。それじゃっ!」
ボールに目もくれず、走り去る櫛枝。
「ちょ、ちょっとぉーーー」
そして翌日、教室は修羅場と化した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上です。駄文失礼しました。
多分続かない。
>>369 相変わらず面白かったです。GJ
冒頭のエロシリーズ、3人娘の次はと思ってたら、ママンですか?
変化球きた。次も期待していいのかな
>>391 完結お疲れまです。シリーズ全部通してGJ
いやエロかったです。
>>400 新規書き手さんすか。初投稿なのにちゃんと書けててすごいですね
これからの投下も期待してます。
403 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/07(月) 15:56:34 ID:BGrqVkuq
言霊GJ!もし続編を書かないなら、奈々子様ものを書いてほしいです。
このスレではまだ竜児と奈々子様の絡みが無いからできたらかいてほしいです。
おちゅうしゃおいしいでしゅはまだでつか?
おちゅ・・・・おちゅうしゃ・・・・だと?
おにんにんの比喩だな
おくしゅりだのおちゅうしゃだの落ち着けww
そうか
お医者さんごっこか!(゚∀゚)
くすりはくすりだろ?
ラリピーみたいな
KARs様完結おつでした、最後までエロくてイイ!
>>400 初おつかれー
続かなくても色々書いてみたらいいと思う
奈々子ものなぁ……
原作で一番色恋から遠いキャラだったから、ぶっちゃけ難しいんだよ。
加えて、このスレだと過去の奈々子もののイメージが強すぎる。
定期的に奈々子奈々子言う人は、どういう奈々子を求めてるんだろう?
いまいち掴みづらいキャラだから、イメージ作りづらいんだよ。
俺は奈々子ものは、もう普通に保管庫でニヤニヤ出来る量あるからどっちでもいいなぁ
竜児ハーレムとか、竜児と麻耶、竜児と独身でテンションあがる自分が末期症状かね
竜児と麻耶はやっぱり
麻耶が北村の親友である竜児に恋愛相談をしてるうちにだんだん…って感じですかね?
竜児、麻耶の共に葛藤がある感じで。
竜児×独身は俺も希望 ノ
二年時に独神孕ませた挙げ句、シングルマザー宣言されて苦悩する竜児とか読みたいな。
竜児が下手打つ可能性は低いから、独神が自ら孕む方向で。
単為生殖かよ、気持ちわりぃな
>>431 竜児と麻耶で考えて書いてみたことはあったけど、
いつの間にか竜児と奈々子になってしまった覚えがある。
そこまでもっていくのに時間が掛かりすぎる上に長くなって
フラグ立てるのが思いつかなくて、途中で諦めたな。
個人的には『それでも独身』とか『高須棒姉妹』の続きがすごく気になる。
>>391 続編も楽しみにしています。
「なあ大河、俺って医者になったよな」
「なったわね」
「頑張って開業したんだよな。ピカピカだよな?」
「犬小屋みたいな小さな診療所だけどね。あんたが掃除しまくってるおかげで」
「外科と勘違いした女性患者が多いのは何故だ? 内科って看板にかいてあるのに」
「その看板のせいじゃない?」
「俺『高須』が建てた診療所……『クリニック』なんだが」
「ばーか。だから、『奥さん(←)、整形美人?』とか噂されてるのに」
数年後プロ野球選手になった竜児の姿が
むか〜し内田有紀が「高須クリニックの最高傑作」とか言われてたのを思い出しましたよw
「すみませ〜ん」
「あ、ばかちー、ひさびさじゃない」
現役モデル亜美、突然の来院。
「なんも、こんな町医者に来なくても」
「えっとね、高須クンじゃないと頼めないかなーって」
「目尻の小じわ、気になって来た?」
大河が顔を寄せてニヤリ。
「ちち、ちがうわよ(と書いて図星)! ちょっと風邪。大きな病院だと目立っちゃって〜」
「ああそう。じゃあ亜美、脱いで」
「このエロ犬!!!!」
ばきっ!
「あ、相変わらずね。ほら、しょうがないな」
胸を出す亜美。相変わらずのナイスバディに、竜二の鼻の下も危険水域。
大河はその隣でイライラを募らせる。
「ふん、たいしたことないな。注射するから、お尻だして」
「このエロ犬っ!」
ばきっ!
「いってぇ〜仕事だ仕事!」
「普段から、腕にしか注射してないでしょ」
「高須くぅ〜ん?」
「あ、亜美、そんな怖い顔を………」
高須クリニックw面白いですGJ
大河がいない時におちゅうしゃを……。
あーみんが高須クリニックで医院長におちゅうしゃされて、おくしゅりおいしいでしゅw
的な展開ですね?わかります。どうぞ続けてください
お調子に乗ってます、はい
「次の方〜、なんだ春田か」
「なんだはねーよたかっちゃん。ここが一番近いんだしよ。あれっ、大河ちゃんは?」
「子供にお乳を上げてる」
「へぇ、おっぱいあったんだ」
「……殺されるぞ」
「医者がそんなこと言うなよぉ。へえ、でも子供できたんだ。犬とか虎の子だから、四つごとか〜」
「うっ、女の子がひとりだけだ」
いつぞやの夢を思い出したが、黙っていることにする竜児。
「父親に似なけりゃ良いなー」
「わかったから、何の用だ」
「腹が痛いんだよ〜。ちょっと熱もあるし〜」
〜検査〜
「食中毒」
「変なもん喰ったかな」
「知らん。それより注射するぞ」
「えーっ、またにしてよ」
「またってなあ。ほら、用意するからズボン脱げ」
しぶしぶとベッドに寝てズボンを降ろす春田。
「やっぱ、またにするべー」
「わかったから、ちょっと我慢しろ。ご希望どうりにするから」
「え、ちょっとまったー、あわわわ」
「じゃあ、股に(ぶすぅ)」
「(゚д゚)アッ」
「ただいま、りゅう.......」
奥様は見た!
ばたっ。
そして倒れた。
まさかの展開に唖然ww
ぎゃあああああああああwwwwwwwwww
勢いで書いてみた。竜児と亜美。
おちゅうしゃとおくしゅり
これで何度目だろうか。
川嶋は俺におちゅうしゃをされに家に通うようになった。
なんでだ? と聞いたら「これは美容に良いのよ」だと。
よくわからん。
だが仮面を脱ぎ去った川嶋の笑顔は俺がおちゅうしゃするようになってからより輝きを増すようになった。
それが如実に現れているのだろうか、川嶋の仕事の量は一気に増えたという。
おちゅうしゃをしている最中は川嶋の艶の付いた声が部屋の中に響き渡る。
たった一度入れるだけではダメらしい。
何度も何度も抽送を繰り返し、おくしゅりを注入するまでしないと効果がないとか。
本当か? と問いかけたこともあった。
「効果はあたしを見てればわかるから、高須君は言われた通りにしてくれれば良いのよ」
そんな答えが返ってくる。
おちゅうしゃを打ち始めた時には少ししか効果がないように思えたが、川嶋の言っていたことは本当だったようだ。
何て言えばいいのかわかんねえけど、川嶋は大人になった。
身体が成長したというより、フェロモンを出しまくっている。
街を歩けば性別を超えて誰もが魅せられ、雑誌に出たらその艶っぽさが全面に押し出されている。
誌面に出ないはずはないのに、不特定多数の人間がその魅力に惹きつけられていた。
川嶋は『エロ』という言葉だけでは説明出来ない色気を纏っていた。
その色気を引き出しているのが俺らしい。
俺におちゅうしゃされるだけで、川嶋の魅力は日々増していく。
おくしゅりを与えるだけで川嶋は人気になっていく。
初めておちゅうしゃをした時、これでいいのかと自問した。
自答する前に「いいのよ」と川島が答えを出し、おちゅうしゃを開始した。
やっぱり川嶋は痛がった。
初めてのおちゅうしゃをする時、女性は痛がるらしい。
俺がおちゅうしゃを続けていると、ぁっ…ぁっ…んっ…と声が漏れた。
相当痛かったんだろう。
あの普段強気な川嶋が声を出して痛がるなんて俺には考えられなかった。
俺が動きを止めると、川嶋に潤んだ目で「お願い、続けて」と訴えかけられた気がした。
たぶん俺の気のせいだろうがな。
再び動き出すと川嶋の声はより高く大きくなった。
痛いのなら早く終わらせなきゃいけない。
そういう一心でおちゅうしゃを続ける俺を包み込んだ川嶋はとうとう痙攣をし始める。
大丈夫か!? と大きな声を掛ける。
肩を揺する。
焦点の定まらない瞳に俺を捕らえた川嶋は微笑み「……お、くしゅり……ちょうだい…」と言った。
そうは言われても俺はおくしゅりというものを持っていない。
どうすればいいか、と川嶋に問うと顔を赤らめ「そのまま動いてくれればいい」なんて言う。
恥ずかしそうにしていたが、動いたら川嶋の言うおくしゅりが出るのか?
俺にはわからんが川嶋の言うとおりにしてみる。
俺は動き始めた。
川嶋は俺を強く抱き締める。
俺の顔を引き寄せ熱いキスをし、胸を押し付け腰を動かす。
俺は何かに酔いしれた。
そうか、これがおくしゅりなんだな、と実感する。
おくしゅりは俺の奥底から出ようとしているようだ。
どんどんと何かが高まり、川嶋の声が大きくなっていく。
川嶋の痛みを早く終わらせなければいけない。
俺はおくしゅりを用意するため、一心不乱に腰を動かした。
俺の動きに同調した川嶋は歯を食い縛っている。
川嶋の限界は近いだろう。
早くおくしゅりを与えなければ川嶋がおかしくなってしまう。
俺はどうすればいいんだ!?
このままでいいのか!?
わけがわからなくなってしまった俺は動きを止め、川嶋を見る。
全身に汗をかき、豊満な乳房は荒い息遣いと共に上下している。
誰もが憧れる長く綺麗な脚は俺の腰に絡みつき、いっこうに話そうとはしなかった。
「高須君、…おくしゅり、はやく……ちょう…だい……」震える声で俺に訴えかけてきた。
言った後に川嶋は腰を動かし、俺の行動を促す。
俺は川嶋の望むことをしなければいけない気がした。
腰を打ちつけてみると、川嶋は痛がるような仕草は見せない。
おちゅうしゃは慣れるらしい。
川嶋はおちゅうしゃされ、おくしゅりを求めている。
それに答えられるのは俺だけだ。
おちゅうしゃを遠慮なく動かすと川嶋は悦びの声を上げる。
一回一回出し入れする度に声を出した。
それは痛みからくるものではなくなっていた。
これなら遠慮なくおちゅうしゃできる。
川嶋はおちゅうしゃされることがいつの間にか悦びになったようだ。
眉を寄せ、苦しそうな顔を見せながらも嬉しそうな声を上げてるからきっとこれでいいんだろう。
おちゅうしゃする度に揺れる川嶋の胸。
それは激しい揺れを見せ、俺の内面に侵入してくるようだった。
俺の考えを読み取ったのか、川嶋から苦しそうな表情は消え、色っぽく微笑んでいた。
なぜか満足しているような表情だった。
川嶋はまた俺を引き寄せ全身が密着するような体勢を取った。
そして容赦なく腰を降り始める。
俺もそれに合わせるように腰を振ると何かが俺の中を駆け巡り始めた。
それは俺の意識を一瞬で刈り取っていく。
川嶋の中におくしゅりが投入された瞬間だった。
俺は疲れ、川嶋の上に倒れこむ。
川嶋は俺に圧し掛かられているにも関わらず、嬉しそうな表情を崩そうとせず俺を強く抱き締める。
何度もキスを楽しんだ。
そんなことをしているせいか、おちゅうしゃは再び硬くなった。
それを身体で感じた川嶋は妖しい笑みを浮かべ「もう一回、おくしゅりちょうだい」なんて言う。
俺に拒否権はないようだった。
川嶋はおちゅうしゃの状態を確認すると奥まで入れ、離そうとしない。
一日に二本もおちゅうしゃして大丈夫なのか? と聞くと「大丈夫だから…」と笑って答える。
心配になったが俺は川嶋の言うことは信じる。
だから川嶋の望むことをしてみよう。
川嶋の要望に答え、もう一度おちゅうしゃを終えると川嶋は眠ってしまった。
何度もおちゅうしゃするからだ。
しょうがないヤツだな、川嶋は。
汗に塗れた川嶋の身体を濡れタオルで拭いてみる。
たまに色っぽい声を出すが無視して、綺麗になるまで拭いた。
川嶋の股間からはせっかく注入したおくしゅりが流れ出ていた。
「あ〜あ、もったいねえな。でも出ちまったもんはしょうがねえし、今度は違う方法でおくしゅりを注入しなきゃいけないか」
愚痴を零しながら、おくしゅりを拭きとっていく。
丹念に拭く度に艶のある声が聞こえた気がしたが、川嶋は眠っている。
どうすればこんなことにならないかを考えると一つの答えが出た。
「口におくしゅりを出せばいいんじゃねえか? そうすれば川嶋の意思でしっかり飲み込める。身体にもいいはずだ」
俺は今度川嶋がおくしゅり欲しいって言ってきた場合には口に与えようと決意した。
すやすやと満足そうな笑顔を見せる川嶋は早速おくしゅりの効果が現れているようで、随分と綺麗になったように思える。
それからしばらくすると川嶋が起きた。
なぜか顔が赤い。
熱でもあるのかと尋ねたが、「な、なんでもないわっ」と早口に否定する。
心ここにあらずという感じの川嶋はよくわからないことを口走った。
「こ、今度は奈々子も連れてくるわね」
なんで香椎が関係あるのかわからなかったが、まあ俺に出来ることをするだけだな。
香椎におちゅうしゃする必要があるのかどうかはよくわからんが……。
「お前も香椎もおちゅうしゃなんて必要ないんじゃないか? 十分綺麗だと思うぞ」
「い、いいから。またおくしゅりもらいにくるからね!」
怒ってるようには見えなかったがそれを指摘すると機嫌が悪くなりそうなので放っておいてみる。
なぜか今度は香椎も来るらしい。
川嶋が勝手に言ってるだけってこともあるからな。
気にすることもないだろう。
続かない。
作者の皆さんGJ!です。
おちゅうしゃとおくしゅり、香椎編もよろしくお願いします〜w
>>433の続き
次の日。
今、俺の家にはなぜか独身がいる。
妙にそわそわして、家の中を見回している。
警戒しているようにも見えるが、そこまで緊張感はない。
俺のことを信用してくれているんだろう。
「せ、先生聞いちゃったの。川嶋さんが高須君におちゅうしゃしてもらったって。
だ、ダメですよ。高須君。おちゅうしゃなんかしたらこれからの人生ボロボロになっちゃいますよ」
「そ、そうなんですか!? 川嶋にお願いされたからしたんですけど……」
「えっ、高須君が誘ったんじゃないの?」
「いえ、違います。川嶋がどうしても俺におちゅうしゃして欲しいっていうから」
(芸能界は薬物汚染が進んでいるっていうのは本当だったの?)
「え〜〜っと、高須君、念のために確認しますがどんなおちゅうしゃをしたんですか?」
「それは……言えません」
「先生に言えないようなことをしたの!? じゃ、じゃあそのおちゅうしゃは何処にあるの?」
「……ここにあります」
「えっ、どこ?」
「ここです」
(よくわからないけど、本当にここにあるみたい。何とか出してもらわなきゃいけないわね)
「じゃ、じゃあ先生にもおちゅうしゃしてくれる?」
「せ、先生がそういうなら……。じゃあ目を瞑ってもらえますか?」
恋ヶ窪ゆり先生は俺の言うとおりにしてくれる。
俺はズボンを下げ、おちゅうしゃを取り出し、先生の前に仁王立ちした。
川嶋の時の失敗を生かそうとした結果だ。
「先生、そのまま少し口を開けて舌を出してもらえますか?」
「口を開いて舌を出すの? わかりました」
座布団の上で正座している先生は目を瞑ったまま口を開く。
そこに狙いを定め、おちゅうしゃを刺した。
「んふっ」と軽くえずいたが、おちゅうしゃは痛いものだ。
その痛みを表現した一つの方法なんだろうと気にしないことにした。
先生の目は閉じたままだ。
川嶋と同じように眉をひそめている。
きっとおちゅうしゃをしたら誰でもこんな反応が返ってくるんだろう。
先生の口の中は温かくねちょねちょしていた。
だが川嶋にしたおちゅうしゃよりは気持ちよくはない。
先生は目を見開いた。
涙目だ。
嫌がっているのかもしれないが、悦んでいるのかもしれない。
どちらか確定はできないから続けてみることにする。
最初は戸惑っているようだった先生は何を思ったのかおちゅうしゃに吸い付いてきた。
うおっ、すげえ気持ちいいぞ。
(おちゅうしゃってこれだったの? 川嶋さんはこのおちゅうしゃをして美容のためになるって言っていたのね?
私にも効果があるかもしれないわ。今より綺麗になったら私だって。でも生徒に好きなようにさせるわけにはいかないし。
久しぶりだからでしょうね。身体が疼いてしょうがないけど、どうしたら……)
なんか無理矢理すぎて書けませんでした。
続かない。
高須はもう医者になってくれ(w
爺さんとうまくやれば、きっと・・・・
やっちゃんがそんなハナシしてたな
医者になりゃ売れっ子モデルとも釣り合いがとれる
亜美ちゃん派かい?(w
プールで溺れたりゅうじを助けて
「りゅーーじは、あ(噛んだ)みのだぁーーーーーーーーーーー!」
と叫んで面倒なことになるのを妄想したぞ
保管庫
保管庫がどうした?
>>437 ドラゴン高須が主人公の「医竜」が始まるわけですね、わかります。
皆さんこんばんは。
新しいSSを書いたので投下させてください。
前作の感想を下さった方々ありがとうございます。参考になります。
※今回から書く作品は前作[言霊]のスピンオフで、続編ではありません。
・能登×麻耶
・エロは当分ない
・長編なうえにキャラが原作と違うかもしれない
以上の事を踏まえて頂けたら幸いです、苦手な方はスルーしてやってください。
では次レスから投下させて貰います。
世の中ってのは、なかなか自分の思うようにはいかないものだ。
どんなにこっちが想ったって届かない恋心。
相手は自分を見てなんかいなくて、違う奴を見ている。
何とか気を惹きたくて行動してみたら、全てが裏目に出てしまう。
そして悪い方にばかり転がっていき、気付いた時にはジリ貧、そんな経験はあるかい?
ちなみに俺は、まさに今、そんな状況に陥っている。
俺はどうしたらいいんだ?
誰か教えてくれよ…。
[キミの瞳に恋してる(1)]
仲がそれなりによかった娘がいるんだ、その娘が自分の友達にモーションを掛けている様を見て、何故か腹ただしかった。
その時は気付か無かったんだけど、俺……その娘が好きなんだわ。
でも気付いたのなんて、ほんの数週間前……、それはその娘と険悪な雰囲気になって間もない頃だ。
喧嘩…寸前まで、言い争いしちまったのよ。
自覚するのが遅かったのが災いした、今では目が合おうものなら、射殺さんばかりに睨まれるくらいに関係が悪化してしまっている。
これは嫌われちゃったかもしれんね。は…、そいつの名前?
え、言わないといけない? い、いや別に隠す訳じゃ…………その、絶対、絶対に笑うなよ?
俺は……あぅ、きっ……きき、木原…木原麻耶が……す、す好きなんだよ。
ああ、そうだよ!木原だよ! き・は・らっ!
目の前で北村にあからさまに好意を示しているアイツが好きなんだよ!! ……うぅ、良いんだぜ、笑っても。
北村とタイガーをくっつけようと画策して、最後には怒らせちまった。
修学旅行の時に、木原が北村大先生に
『まるおー! 一緒にリフト乗ろーっ?』
って言ったんだわ。んで俺が
『木原はまたなんか企んでんのかよ』
と言って、ハッと鼻で笑ったら
『能登には関係ない』
と言い返され……こっちも言い返して、ヒートアップした…と。
その後の事をかいつまんで言うなら
『おめー私の事にしゃしゃってんじゃねぇ! 邪魔すんな、うざいんだよ!』
何でか言い返せなかった…。
そりゃあ誰だって恋路を邪魔されたら………今さらだけど。
結局、俺は言い負かされた。悔しかったよ。
『次に何かしたらマジ許さねぇ!! もしちゃちゃ入れてきたら………その時は解ってんなぁ!?』
最後にそう言われて…、俺に出来る事なんて俯いて唇を噛み締める事くらいだった。
ストックで雪を弾いてぶつけられ、茫然自失した。
今なら解る、俺がしてた事は、小学生が好きな女子にちょっかいを出している、まさにソレだと。
言い返せなかったのは、俺も必死、木原も必死、好きな異性に振り向いて欲しい、自分にも当てはまる事だと心の底では解っていたからだ。
ともかく早い話が自滅した…。
その日の晩から、彼女に謝ろうと試みた。
何でそうしたいのか、自分でも不思議だった。けど、しなければいけない、そう思った。
『高須の為』と大義明文を得て女子の部屋に乱入し、どさくさに紛れて、さり気なく謝ろう。そんな事を考えて…。
だけど失敗に終わった、その経緯は話したくない、ただ『昼ドラばりの修羅場』を目撃したり『恐ろしい事』が身に降り掛かったとだけ言っておくよ。女子って…怖い。
そして同時に木原への好意を自覚する事にも繋がった。
正直、話したくないけどさ…。事情を知る人以外には言えないような事をしてしまったわけ。
『色々な事』があって春田のアホに誘われるまま…俺、興奮して木原の『持ち物』に顔を埋めて、こう…グリグリって………ああああ。
抗ってもみた、でも無理で、情けないやら、恥かしいやら、楽しいやら……色んな感情に呑まれて、ね。うん…。
間違なく黒歴史だ、この事は誰にも喋れません。墓場まで持って逝こう。
その場に居た全員、同じ想いだったろうさ。
ま、本題に戻るけど、ともかく俺はその時に気付いたわけ。
春田が『ソレ』を見付けた時、俺は血が沸き上がるような興奮を覚えた。
『ソレ』を顔に埋めている時は天にも昇る恍惚感? ってのを感じた。
その時だ、あれ?って思ったのよ、俺なんで木原の『コレ』で悦んでんの ?って。
『北村とベタベタしたいからって変な工作していてムカつく、スタンドプレーしやがって、いやらしい…萎えるわ』
そう思ってたんじゃねぇのかよ?
その疑問の答はすぐに見付かった。
もしかして、俺は木原の事が好きなんじゃないか、いや………好きなんだ…と気付いた。
襖一枚を隔てた場所で繰り広げられていた修羅場が収束に向かう頃、俺はそれを受け入れた………。
そのキッカケになったのは、亜美ちゃんが櫛枝に対して言う言葉の中にヒントがあったからだ。
別にコレだってのじゃなくて、言葉の端々から感じた高須への愛情、それが心を揺さぶった。
いや高須だけじゃない、それは誰にでも当てはまる事で…。まあ実際は高須にしか向けられていないんだけどね。
どっちだよ? と言われたら俺も返答に困るわ、考えるな、感じろ。直感だ、フィーリングだ。
で、まあ…横槍を入れて邪魔するのは止めて、俺も素直に認めて…木原を振り向かせたくなった。
だってそうだろ?
あの出来事の後、みんなで高須を小一時間詳しく問詰めたら……誰だって。
半端なく愛されて、愛して、こいつら濃い青春してんな、……羨ましい。とか想っちゃうのは当然。
だが俺には高須とは決定的に違う縛りが存在する、溝を通り越して海溝が横たわっている。
木原との間に生じた亀裂がある…、それを上手に埋めて、最低でも文化祭の頃までの関係に修復してからじゃないと話にならない。
中学の時の友人が言っていた。
『縛りプレイは燃える』
あ、エロい意味じゃないよ? ゲームなんかで自分に制約をつけて難易度を上げるって事らしい。
俺は知らず知らずの内に、望んでいない『縛りプレイ』をし始めていたって事。
勘違いされたら嫌だから言うけど、ゲーム感覚で…って意味じゃないよ。例え話だよ、解りやすく言ったんよ。
俺はマジのマジ、大真面目なんだ。
まずは仲直り…てか、せめて会話が出来るようにしたい。
この前、勇気を振り絞って近付いたら、前述の射殺さんばかりの視線を送られて、すぐさま名誉の転身を行なった。
あくまで『撤退』じゃない『転身』な? ちょっと戦中の軍令部の心境を理解した。
木原の猫を彷彿させる瞳が細められ、殺意を発しながら睨まれたら、挫けそうになる。
まあ…冗談はさておき、つまりは前進出来ていない訳で、また、協力してくれそうな人もいない。
けど諦めたくないんだよ、だから精一杯の努力をしよう。
もし許してくれるなら、俺は木原の思うままの罰を受ける覚悟すらある。
卒業するまで、この関係なのは死にたくなる。自分の巻いた種だが。
はあ……憂鬱。
そんな事を三月の空の下、校舎外…非常階段の昇降口で六限目の授業をサボって考えていた。
..
.
壁にもたれ頬杖を付いて澄んだ青空を眺めながら、焦燥し自身のバカさ加減を呪っているのが現状だ。
昔の漫画よろしく、セブンスターでも煙らせて想いに耽ってたら、こんな俺でもちっとは絵になるかねぇ? 煙草なんか吸えねぇけど。
手にしたコーヒー缶を傾け、一気に飲み干す。
俺なんて甘ったるいコーヒーでも飲んでる方が御似合いさ、実際、今もこうして飲んでる。
成績優秀、スポーツ万能、性格良し、おしゃれすれば光る素材な北村……木原は気付いた訳だ、かなり高レベルな男だって。有能な雄だと。
対して俺は…成績並の上、運動は苦手でも得意でもなく、性格は人に言わせて『優しい』らしく、ファッションは試行錯誤しても決め手が無いし拘りもさほど無い。
つまりは『凡人』なのだ。特筆する部分が無い。
やんちゃにキメたくてB系に振ればワルさが感じられないと言われ、流行にノってお兄系を試せばミスマッチと言われ、拘ろうと裏原にすれば田舎者の背伸びと笑われる。
セレクトショップで店員に言われるままに無難な服を買わされるタイプさ。けっ!
せめて眼鏡だけでもセンス良くと思って、赤フレームにしたら春田に爆笑された。
AVの女教師が掛けてそうだから『エロメガネ』だとよ。
恋敵と自身を比べる内に自虐している気分になり鬱になる。
そして木原はお世辞無しに可愛く、ファッションもセンス良く拘りもある。
ティーンブランドをポイントで着こなし、嫌味たらしくない。
化粧は派手では無く、キュートに、さり気なく。締めに爽やか香水の香りで彩る。
そんな小悪魔的な可愛さを連想させるのが木原なのだ。
性格が自分勝手なのが玉に傷だが…それを差し引きしても失点にならない。
比べて、俺の唯一の売りは『どうでもいい無駄な雑学』を広く浅く知ってるくらい、地味っしょ? …ははっ。
ふぅ…こうやって羅列すると、俺は見向きされる可能性が無い、自信が無くなりかける、どうしたものかねぇ。
脳内会議は紛糾し始め、決議すらまとまらない。
と、ここで六限の終了を告げるチャイムが鳴り、静かだった校内がザワザワと騒がしくなる。
掃除する奴、帰宅する奴、部活の準備をする奴、友達と話す奴、そいつらのざわめきが耳に届く。
俺も帰るかなぁ、でも家に帰ってもする事が無い。しいて言うならネットくらいか。
高須は亜美ちゃんと帰るだろうし、春田ですら美大生の彼女が居るらしく、今日はデートだとか…。
北村は部活と生徒会活動、つまりは一緒に遊ぶ暇も無い奴等ばかり。みんな青春を謳歌してる、なのに俺ときたら…。
何か更にヘコんだ……もう少しここに居よう。
「はあ……」
長い溜息を吐いて、壁を背にして腰を降ろす。
空を見上げ、ボーッと流れる雲を眺め、誰かからメールでも送って来ないかな〜とか思いつつだらける。
近頃は勉強も手が付かず、何をしても半端。気付いたら木原を見ている日々……。
こんな風にサボったのは初めてだけど、気分転換にすらならなかった。
その時だ、女子特有の高い声が響いたのは。
「ま、まるおっっっ!!!」
気を抜いていた俺は、突然の呼び声にビクッと肩を震わせて驚く。
もちろん俺が呼ばれた訳じゃない、しかし、その呼び名の主が誰か知っているし、凜と響く高い声も聞き覚えがある。
『まるお』なんて呼ばれる奴は俺の知る限り二人だけ、そんな呼び方をする奴は一人しかいない。
前者は友人の北村と国民的アニメの登場人物、後者は…………木原麻耶だ。
ここ…校舎の中二階に位置する非常階段の昇降口から見て、校舎一階の外、その角に木原の後ろ姿が見えた。
その距離、約6メートル、ここからは北村の姿は見えない。
「わ、私っ!! まるおっ…北村くんの事が…す、す…好きっ!! ずっと見てた!
良かったら……付き合ってください!!」
そう木原が北村に告げる声が…俺にも聞こえ、耳や頬を真っ赤に染め、身体を震わせる様を見てしまう。
うわ……………俺、なんつうモンを見ちまったんだ………あ、あぅあああ!!!
俺にとっては、針の筵に座らされているようなモノ、展開によっては死刑宣告同然だ。
何より、人の告白シーンを覗きたくなんてない、でも見てしまう。
むしろ聞きたくない、だって木原が北村に…っ!でも聞耳を立ててしまう。
惨めだった…。
今からコッソリ逃げる事は不可能。
目の前の階段は見付かってしまうし、二階に続く階段は柵がしてあり、通用扉はボロくて開けば鉄の軋む音がする。
つまり退路は無い…。間が悪過ぎる、初っ端から詰んでる。
俺は後悔していた、こんな事になるなら速攻で帰っていれば良かった、と。
何が悲しくて、自分が好意を抱いた女子の…それも仲の良い友人に対しての告白を聞かねばならんの?
俺は想いを告げる機会も無く、手痛い失恋を迎えようとしている。
ははは…参ったぜ、俺……泣いてもいいですか?
「すまんっ!! 俺は木原の告白を受けれない!!」
真っ白に燃え尽きていく途中、聞こえたのは北村のそんな言葉。
「木原は魅力的な女子だと思う、だけど…学友以上には見れない。
俺は諦めきれない好きな人がいるんだ。
その人に認められたいから、目標があるからブレたくない、だから済まない…想いには応えれない」
北村がそう言ったのが聞こえ、暫くすると木原が喋り始める。
「あ、あはは! じょ、冗談だ、よ! 解ってる…うん! まるおはっ…兄貴が好きなんだよね?
ちょっとからかっただけ! それなのにマジにしちゃってウケ……るよ……」
無理した声で、支離滅裂な事を言って…、そう、思い付いた事を口走っているように聞こえた…。そして最後の方は抑揚の無い声で………、痛々しい。
「うわ…何やってんだよ」
俺は聞こえないように小さな声で呟き、天を仰いで右手で目元を隠す。
俺にとっては僥倖とも言える瞬間なのに、晴れない……胸がチクチクする…痛ぇ。
北村の答に素直な反応をせずに、無理に振る舞う木原の姿に…『無かった事』にしようとしている彼女が不憫でならない。
付き合えないならせめて『無かった事』に…。今までの関係は壊したくない…って事か。
ショックが大きかったんだろうな、咄嗟に出た言葉にも表われている。
「む…俺はからかわれたのか」
北村……お前だって本当は解ってんだろ? なのに……騙されたフリなんかして、それは『余計な優しさ』なんだよ…。
「ご、ごめん! ほ、ほら来月の一日って……エイプリルフールじゃん? その…その予行演習ってか、う…、練習、練習だって!
あれよ、あ、う…ネタバレして練習しても意味無いですしぃ! 無理矢理付き合わせて……本当にごめん!」
謝りながら…捲し立てて、裏返った声は悲痛で…。
好意の問は『ブレたくない』と残酷に返され、認めたくなくて、普段通りに振る舞おうとして醜態を晒していく。
そんな木原は…『小さく』見えた。俺に猛った時とは正反対に小さく、小さく……子猫みたいで…。
見てらんねぇ…、耳を塞げば聞かなくて済む。でも…出来なかった。
「そうだったな、確かにエイプリルフール、てっきり俺は本当に告白されたかと思ったぞ」
合わせるなよ…そこで、何で合わせてやるんだよ。
「まあ…、クラスの仲間の役にたてたなら、学級委員長冥利に尽きるな。
それに俺は"失恋大明神"だから…」
そしてトドメの一言まで言ってしまう…、思わず言っちまったんだろうな。
完璧超人なんていない、弾みで出る言葉もあるだろう。
オブラートに包んで言ったつもりだろうが、それは明確な答になっている。
「だねぇ! は、はははっ! あ、ありが、とう!っ!そ、そうだ、部活…、ぅ、行かないで良いの…かなぁって?」
もう木原も限界だ、言葉の端々に鼻声が混りだしている…。
「そうだな…、よし…、じゃあ俺は行くから…木原も早く帰れよ?」
北村も居辛いんだろうな、砂を踏み締める音が聞こえ、徐々に遠くなっていく。
そして、それが聞こえなくなって、次に聞こえ始めたのは啜り泣く声…。
「っ…ぅ! ひっ、ぐすっ! うっ! うっ! ひっ…ん!」
誰も悪くなんて無い、北村は北村なりに考える事があって、アイツなりの『優しさ』で木原に答えた。
北村はまだ兄貴の事が忘れれなくて、必死にもがいて成就させようとしている。
それを誰が否定し、咎められるんだよ。
「っう! うあ…っ! っず! ふ…!!」
俺は木原が両手で顔を覆って咽び泣く姿から目を逸す、泣いて泣いて…泣かせてやるしか俺には出来ないんだ。
せめて一人で泣かせてやろう、傍観者なんて必要無い…。
今なら…そうだな。目の前の階段を静かに下って、忍び足で校舎を周れば気付かれないだろう。
下駄箱から教室に行って、荷物を取って帰ればいい。…ちくしょう。
俺は立ち上がって密かに去ろうとした、だが、忘れていた…足元に置いていたコーヒー缶の存在を。
カンッ!
一歩踏み出した爪先が空き缶を蹴り、倒れて乾いた金属音を発てる。
『やばっ!!!』
転がっていく缶は、そのまま階段の段を一段づつ落ちていく……甲高い音を残しながら…。
転がるソレを目で追い掛け、伸ばした視線の先には………もちろん木原が居る訳で。
ビクッと身体を跳ねさせた後、顔を覆っていた両手を離し、ゆっくり音のした方向に振り向いた木原が呟く。
「っすん! の…と?」
そこには涙で顔をグシャグシャにし、呆けた表情をした彼女がいた。
「あ…そ、その……うっ」
俺は焦って舌がもつれ上手く喋れない。うろたえて視線を泳がせる。
「っ…んで、ひっく! なんで? っうぅ!! アンタが…ぐすっ! ……ここに居るのよ!?」
キッ!と猫目を吊り上げ俺を威嚇する木原、顔は真っ赤…、一番弱味を握られたくない奴に見付かって…虚勢をはっている。
「ち、ちが! ワザとじゃ!! たまたま…!!」
俺は突出した両手を左右にブンブン振って、説明しようとする。
「ふっぅ!! たまたま…? うそ…嘘! っひ! 授業に…居なかった…! 待ち伏せ…っしてたんだろ?
わ、わら、笑いにっ…来たんでしょ? 私を尾行て…すんっ! 笑い者にしよっ…うとしてんだっ!?」
『待ち伏せ』なのか『尾行』なのかハッキリしろよ、なんてツッこむ余裕すら生まれない。俺はただ事情を説明するのに必死。
「ちが! 違う! 違うって!! 俺はここでサボってて……帰ろうとしたら……木原達が来て、出るに出れなかったんだよっ!!」
「嘘だ! 嘘っ! 嘘つきっ!! 有り得ねぇんだよっ!! ぐすっ…ん!! み、みんなに言い触らすんでっ…しょ?
うっ! うぅ…っ! 私がっ…玉砕し、たって…言い回るつも、り……ひっ! ひっ! うわぁああぁっっっっ!!!!」
聞く耳を持たない木原は、咽づきながらそう俺に言い放って、ワンワン大泣きする。
化粧は崩れ、流れ、黒いマスカラが涙と共に流れる。
両手を目元にあて、泣き続ける木原の扱いに困ってオロオロする俺がいた。
「しねぇ! そんなことしないよ!! なっ? 本当だっ、マジだっ! だから泣くなって!」俺はどんな悪人だよ? 木原の中では、さぞ底意地悪い奴なんだろうよ。
っC
『ヴゾだあぁあああ!!!!』
と、叫んで更に激しく泣きだした木原に動揺してしまい、俺は咄嗟にこう言ってしまった。
「わ、分かった! よ、よし!俺が木原と北村の仲を取り持ってやる!! う、嘘じゃない! 前に横槍を入れちまった事を反省してるっ!!
ずっと謝りたかった!! だから罪滅ぼしっ! そうお詫びに相談も聞くし、手助けするよ!! だから泣きやんでくれよう!!」
うおっ!? な、何を俺は言ってんだ!!
誰が得すんだよ!? 墓穴っ! 何で自分を追い込んでんだよっ!?
「っすん!……本当?ぐすん…」
それを聞いて木原は泣く勢いを弱め、俺に聞き返す。
「うん! うん! 本当だって! 俺は嘘は言わないよ? なんなら誓ってもいい、嘘ついたら木原が望むままに罰してもいいっ!!!」
あああ!!? 止まれ!! 止まれよ!? 何を勝手な事を! 俺のっ、俺の口が勝手に!
「すんっ! うっ! わ、わかった…っひう……お願い…私を助けて…っよう…!!」
ああ……やっちまった。サヨナラ、俺の初恋…うぅ。今さら引けない……燃え尽きた、真っ白に燃え尽きたよ………。
.
「あ、のさ…実は私も、ずっと謝りたかった。ムカついてたけど、キツい事を能登に言っちゃったし…ごめん」
泣きやんで落ち着いた木原が、そうポツリポツリ呟き、俺に謝ったのは……先程の件から約三十分後。
「イインダヨ…俺モ悪カッタシ…、ゴメン」
ショックから立ち直れない俺が抑揚の無い声で返し、カクカクと首を縦に振る。
階段に一緒に腰掛け、ポーッとした木原と真っ白な灰になった俺が一言、二言…短い会話をしていた。
良かったね、俺。仲直り出来たじゃん。良かった良かった…わ〜い。
何か大切な事を犠牲にして何かを得た。肉を斬らせて骨を断つ。木原の『持ち物』を辱めたバチがあたったんだね。
「まるおは…私の事、嫌いだったのか、なぁ? ぐすっ…ん! こ、こくっ! 告っ…たら……即答だよ?
ふぇ…すぐにフラれちゃった、よ…」
と、木原が言い…治まった涙腺が再び決壊する兆候が見え始める。
目元で涙がウルウル、ひっくひっく!と噎び、顔が徐々に赤くなっていく…。
これはヤバい…、さっきだって落ち着かせるのに苦労したんだ、また泣かれたら困る、何より見たくないじゃん?
好意を寄せた娘の泣き顔なんて…。
ちなみに木原は一度泣き出すと止まらない、泣き叫び、自分の口走った事で傷付いて自爆し、更に激しく泣く。
最後には収拾がつかなくなる。
「いやいやいやいや!! 違うって! あれだ、木原の気持ちの伝え方が曖昧ってか、足らないっていうか!
急過ぎてビックリしただけだって、多分」
ああ、もうどうにでもなれ、ヤケクソだ!
ここで気の利いた一言ども掛けてやれたらベストなのだろう、が、俺は悲しくも童貞…、告白した事もされた事も無い。
慌てていた事も重なって、口をついて出たのは、追討ちをかける言葉…。
「だっ、だってぇ! 亜美ちゃんが言ってたんだもん! っすん!
"素直にならないと相手は見てくれなくなる、後悔した時には遅い"
ってぇ…!」
ああ……そういうこと?
それは亜美ちゃんと櫛枝の件で誰しもが思った事だ。少なくともあの場に居た奴なら全員。
つまりは実体験から何気なしに言ったんだ、そうしたら木原が暴走した…と。
タイガーが高須とベッタリしなくなって、北村と仲が進展したとか勘違いして焦ったんだろうな。
そして何を言うかも考えないまま即実行…。
多分、菜々子様辺りがからかったんだろう。結構黒そうだし…。
「あー…なに、あれっすか、木原は素直に北村に気持ち? を伝えた…と」
「うん、っ…す、好きってちゃんと…」
スカートの端をギュッと握り締め、搾り出すように返してきた。
「…で、北村のどんなところが好きなのか、って言えた? …具体的に」
思い返して欲しい、木原は確かに『好き・ずっと見てた』とは言った。けど、どこに惚れた、とまでは言っていない。
「え…」
木原が俺の顔を見上げ、キョトンとした顔をする。多分、意味が解ってないんだな。
「例えば
"北村のこういうところに惹かれて、いつの間にか好きになってましたー"
みたいな…動機?が無いとアイツだって判断に困るっしょ」
「あ…」
具体的な例を交えて教えると、木原が、今さら気付いた、といった感じに声を洩らす。
ついでに言えば、北村を振り向かせたいなら『兄貴』より印象が残るような事をしなければいけない。
惚れに惚れ込んだ前会長の事が忘れられる程に魅力的な『木原麻耶』にならないと……まあ、十中八九勝算は無い。
まあ…これは追々言うとしよう。今の段階で言えば木原はまた泣く。
「ともかくさ、今日はもう暗くなって来たし…また話を聞くから、ひとまず帰らん?」
気付けば、辺りは暗くなり始めている。
「…うん…、なんかマジでごめん。色々と」
木原は顔をションボリとさせて、俺に軽く頭を下げる。
その時、俺は……胸がキュンとした。
その淋しそうな表情に…魅入られている。
そして、その言葉は先程と同様に自然と…。
「いいって、役にたてるか解んないけど、出来る限りの協力はする。
まだチャンスはある、諦めんな!」
それが自分の首を締める事だとは理解していても、やっぱり木原には笑っていて欲しい訳で…。
いつか報われる日が来れば良いや……、そう思わないと俺だって辛い、好きな女子を諦めるのだから…。
こうして俺達の奇妙な関係が始まるのだった。
続く
今回は以上です。
あと前書きで書き忘れましたが、前作[言霊]を読んでおかないと解らない部分も多々あります。申し訳ないorz
続きが書けたら、また来ます
では
ノシ
GJ
自爆しまくりな二人がいい感じでしたw
これからに期待です。
そしてこの辺まで読んでからかってそうな奈々子様が黒い!
能登か…なぜか萌えん(´・ω・`)
載せてくれないともっとかきますぞ!(wwww
いや,
いいっすorz
>>467 お疲れ様です。たすかる〜
とらPの亜美100点Endのafterものとか、修学旅行のやつとかいくつか抜けてるやつがあるんだけど、
今後の更新に期待していいのかな? 大変だとは思うけど・・・
>>473 アップはされとるけど、リンク忘れとかじゃない?
『トップページ』の横の『ページ一覧』をクリックしたらアップされてるのは出てきますよ。
『Happy ever after 第3回』はアップされてました。
>>467 ありがとうございます。
見逃していたのを読めました。
>>474 よく見てなかった。教えてくれてありがとう
ただ出来れば、どこにも載ってない第2回ってやつが読みたくて、
なんて我侭すな
新らしい保管庫立ち上げた方、マイペースで頑張って下さるとありがたい、GJ
・・・ほ・保管庫、リアルタイムで更新してる
………神すぎる
第2回よめた。ありがとうございます
最近ここも寂しくなりましたね…
仕方ないさ・・こうやって忘れられてくんだろうな・・
賞味期限切れ
腐りかけが一番美味しい
今から投下します。
竜児x独神のバカっぽいギャグなはなしになります。エロ殆どなし。
基本的には色んなところから本筋を借りています。主はとらドラPの独身エンドの前半。
一応、「無題」です。一発短編にしては結構長いものだと思いますが。
初めてなので、大目に見ていただけると助かります。
黄昏。
「はぁ…」
二十九歳にして独身なる恋ヶ窪ゆりは、自分だけのアパートの、一人ぽっちの部屋で、机の上に伏せて悩んでいた。
傍らにある時計がチクチクと規律的に響いて、過ぎていく静寂を一刻また一刻と数えているが、その規律は彼女の波
乱している心には届かなかった。
「はあああぁぁぁ…」
彼女はまた嘆いた。彼女は何故嘆くか。彼女は何故、こうして悩んでいるのだろうか。そんな答えこそ幾つかある。
高須竜児が作ったメシが美味しい、と。
高須竜児が彼女の教え子だ、と。
高須竜児の年齢は彼女の半分しかない、と。
高須竜児の母親でも、彼女とは三つしか年が離れていない、と。
──明日が彼女の三十歳の誕生日だというのも原因だが、それはさて置く。要するに、彼女は恋をしているのだ。
ある日、ゆりは近所の川で、あるモノを拾ってしまった。それは物凄く醜い小動物だった。その動物を良く観察していな
ければ、誰もソレの翼とくぢはしに気づくこともなく、それが鳥だったことを気づかなかったのだろう。そして、かつて発見さ
れたこともない珍奇な品種じゃなかったとすれば、もしかしたらソレがインコだったかもしれない。何より、一応喋られるら
しい。
インコの二つの目は焦点を共有できず、くぢはしから唾液をたれて、いかにも低能そう見えた。それにもかかわらず、ゆり
はこの面相から凄まじいほどの親近感を感じ取った。何故だろう、この小さいインコは何もしていないのに、それでもゆり
の心の壁をあっさりとつらぬき、その向こうにいる秘めた感情を暴露させた。
何故もどうしてもない。これは出逢いというものなのである。
「はあ…もうすぐ三十年目なのね。」
「は、は、は…はね?」
「残りの時間を楽しめ、羽はずしていこう、と?お気遣いありがとう。でもね、分かるの。私にはもう『青春』という概念す
ら許されていないの。」
「わ、わ…わか…わか、い?」
「貴方、優しいね。ああ、私はもう若くないけど、大丈夫よ。すごく泣きたいけど、大丈夫、大丈夫よ…」
ゆりは嗚咽して「大丈夫よ」と言って、不器用にも涙を流しはじめた。
インコの「話」なんて、模倣としても極めて中途半端で、ちっとも文章になれはしない。しかし、落ち込んでいるゆりには
、その一つ一つの言葉らしきモノが、どれも暖かく、確実に彼女の心の奥に凍りついた悲しみを溶けてゆく。ここで誰か
第三者がそんなゆりを見ていれば、恐らく「こいつアホか」としか思えないのだろう。どんな風に観察しても、「そのインコと
女の人の間には、言葉の交流なんてありえない」としか結論できないんだろう。
でも、そんなことは、ゆりにとってはどうでもよかった。ゆりは、このインコのことを愛しちゃっている。愛があれば盲目にもな
れる。愛しているからこそ、ゆりはインコを信じて、インコを愛する自分も全身全霊で信じられる。
ある意味、彼女らは激しく似合っている。普通の人間はそんな風にインコから慰めを求めることはない。その上、フツー
のインコもそんな風に一人の人間に好かれることも、まったくありえない。
もしかしたら、ゆりとそのインコは、お互いにとっての「ただ一つ」の存在だったのだろう。だが、こうも早く来ていた恋は、惜
しくも開花する前に夭折した。二つの気持ちだけで作れあげた、その小さなラブラブ世界は、ゆりの右の肩に重くたたか
れた力によって、粉々にされた。
ゆりは驚いて、後ろに振り向いた。彼女はただ、誰かの目を視認してきた。その二つの瞳は邪悪そのものだった。恐怖
は一瞬、彼女の脳に千百の考えを巡らせた。
「色魔?強盗?ヤクザ?私、売られちゃうの?三十路にもなって結婚できない私に、売られる価値あるの?」
「逃げるの?逃げられるの?逃げたら、この子はどうするの?人質にとられるの?食べられるの?私にかわって売られち
ゃうの?」
「…だめ!私は逃げない!なんとしてでも、私はこの子を守る!」
そんな危険の中でも、ゆりはインコのことを考えていた。彼女はインコとめぐり合って、短い間に会話をしているうちに、心
を通っていた(と彼女が思い込んでいる)。彼女はその先のことにも、密かに甘い幻想を抱いていたのだが、今ここでそ
の幻想がこんな形で破られるとは、ゆりは思もしなかった。
ゆりは自分の砕けたガラスハートを抱く形で、インコを胸元に抱え込んだ。そうしてしばらく経つと、前に立ちふさがってい
る邪の塊はようやく──話をかけた。
「あの、ゆりちゃん先生。それはうちのインコなんです。」
彼の声は意外にも穏やかなものだった。ゆりは驚きのあまりに目を開けて見たら、その「悪人」と思い込んだ人は、彼
女が担任しているクラスの高須竜児であった。悪人に見えるが、実は信頼できる人間だった。ゆりは安心して、その身
体も緊張から開放され、地上に倒れ込んでた。
そして、竜児はそのインコを、彼の家にいる「インコちゃん」という「家族」だと紹介した。
「先生にインコちゃんを返してもらいたいんです。」
インコちゃんはペットではなく、家族なのだから、と。もっともな理由だが、ゆりはインコちゃんを譲る気がなかった。なにせ
、ゆりはインコちゃんと添い遂げたかった。ふざけたことだと思っていた竜児だが、そんなゆりはどうも理屈には動かされな
い。最後に竜児の母親である泰子が説得に加わって、結局争いは延長になって、ゆりを高須家での晩御飯に誘うこ
とになった。
晩御飯のとき、ゆりはおかずを噛みつつ、恐る恐る竜児の横顔を窺っていた。彼女はもともとインコちゃんのことを気に
していたが、いつの間にかそうではなくなって、単なる個人的な興味で竜児を見つめていた。
晩御飯のあと、ゆりと高須家のインコちゃん争奪戦が再開した。高須家はインコちゃんをゆりの奪還に成功したが、竜
児はゆりの寂しさを分かってあげた。ゆりがどんな理不尽なことを言っても、竜児はそれを優しく受け止めて、逆にゆり
を慰めていた。
ゆりが高須家を出た時に、空から雨を降っていた。竜児は傘をもって、ゆりを家まで送ると提案した。二人は小さな
傘の中に身体をくっつけていて、ゆりは雨はささやかな寒気で、竜児からの体温をより暖かく感じていた。
………
これらの事情はゆりの中ではかなり鮮明なものであって、まるで昨日(さくじつ)の出来事でもあったようだ。そう、それ
は確かに昨日(きのう)の出来事だった。これは冗談でもギャグでもない。高須竜児には、半日もしない内にゆりの
心を速攻で落とせるほどの条件こそあった。
高須竜児という男子について語ろう。彼の容姿は、不細工ではなく、寧ろ時々「カッコいい」と思われるようなものだが
、凶悪な強面ではある。法廷では、無罪推定なぞ空気に等しく 、彼は出廷しただけで、原告席にいても有罪と判
決されかねない。銀行に入れば、大人しく列に並んでいるうちに、国家公権力にサイレンを伴って疾風の如く介入さ
れるだろう。
だが、彼の担任──恋ヶ窪ゆりは、知っている。
その殺人鬼のような目の背後にいるのは、温厚な人格であったことを。彼は勤勉に心優しい少年であって、精神的に
も成熟している。家では、仕事で多忙な、唯一の親である母の代わりに家事全般を担いている。学校では成績優
秀で、操行もよく、クラスの掃除には特に熱心で、教師にとっては大変ありがたい優等生でもあった。
そう、ゆりは彼の強面に意識しつつ、彼の「いいとこ」も沢山知っている。
不良に見える人間が捨て犬に優しくしたら、その優しさは何倍も誇大される。その故、ゆりは元々彼に対して大きな
好感を抱いていた。そして昨夜の突然な出来事によって、そんな好感は一気に恋心に変わってしまった。今に至って、
ゆりの頭の中は、すでに「高須くん素敵」という単純かつ簡単で馬鹿馬鹿しい表現に満たされている。
だが、しかし、この恋は決して祝福されるようなものではない。竜児は彼女の教え子で、年は十六才か十七才しかな
い。それに、彼女が竜児に惚れた瞬間は、インコちゃんを裏切る瞬間でもあった。つまり、彼女は最愛の存在を裏切
った。もしも彼女は竜児と結ばれたとしたら、彼女は永遠にその罪から抜け出せることが出来ないまま、何時までもそ
れに束縛されるのだろう。
故に、彼女は一日を悩んで過ごせた。しかし、一日の思案のお陰で、彼女はようやく決心をつけた。
「彼の家に行こう。」
………
ゆりは竜児の家の前に立って、チャイムを鳴らした。彼女の心はドクンドクンと激しく鼓動し、竜児が出るときの対応を
計っていた。
少しの間をしたら、門は開けた。一筋の黄色の光が開いた門の隙間から零れ、膨らんで、ゆりの身体を覆いかぶさった。
「あれ〜?先生、いらっしゃい!ちょうどご飯できてるから、上がってまでって〜」
出迎えたのは竜児ではなく、泰子だった。泰子はその一言だけ残して、「竜児〜お客さんきたよーん」と叫んだら、バタ
バタと可愛らしい小走りで家の中に行ってた。ゆりはほっとしたと同時に僅かながらものの失望も覚え、力なく「お邪魔し
ます」と挨拶して、高須家に入った。
晩御飯の後間もなく、泰子はゆり、竜児とインコちゃんを家に残して、仕事に出かけた。
竜児がキッチンで皿を洗っている間に、居間にいるゆりはインコちゃんの籠の前に跪いていた。彼女はインコの目線に心
を触られないよう、頭を下げた。インコちゃんは何時ものアホ面でいて、ゆりの顔を見ているかどうかも分からない。だが
、ゆりには確信があった。インコちゃんはきっと、彼女に注目して、答えを待っていたのだ。
ゆりは竜児の家に来て、竜児の顔を見て、その心の優しさに触れて、口の中のご飯の残り香も味わった。答えはすで
に決まってる。ゆりは深呼吸して勇気をかき集まって、ゆっくり頭を上げて言った。
「インコちゃん……ごめんなさい。」
ゆりの心はもう戻らない。だから、彼女はこの三角関係を終わらせなくてはならない。
「インコちゃん、私ね、貴方が好きだったの。でも、今の私には高須くんがいる。 インコちゃん、私は貴方から離れなけ
ればならないの。」
彼女は籠を開けて、インコちゃんをそこから出させて、抱いた。その目には愛情が溢れてた。
「インコちゃん、私は貴方を縛りたくないの。インコちゃん、貴方は素敵よ。きっと、世界のどこかでまた幸せを捕まえるわ
。」
彼女は未練がましく、何を話しても必ず「インコちゃん」という名前を呼ぶ。呼ぶたびに涙を流すほど心が痛めても、彼
女は「インコちゃん」を呼ばすにいられなかった。
「インコちゃん、さようなら。」
ゆりは窓を開けて、インコちゃんを抱き上げ、ソレを解放しようとする。
「さ、さ、さ…さらば!」
目の前の自由に、インコちゃんはあまりにも愉快そうにはしゃいでた。しかも珍しく正しい言葉を言った。
487 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/11(金) 17:12:33 ID:4ZLQ6pU3
「インコちゃん…!」
でも、ゆりにはそれが悲しみの叫びにしか聞こえなかった。彼女は愛らしそうにインコちゃんの羽を梳き、餞別をして、両
手の拘束を少しずつ解き、インコちゃんを空に返した。一粒の涙が彼女の頬に滑り、流れ星のようにインコちゃんの旅
に祝福を捧げた。
「せ、せせせ先生!インコちゃんはどうしちゃったんですか!?」
……インコちゃんの叫び声は竜児をキッチンから引き出せた。ゆりは一つ肝心なひとを忘れている──インコちゃんは彼
女の私有物ではない。竜児は籠を見て、その周りに散らした羽根に気づいて、その場にしばらく唖然とした。
「高須くん…私はご飯を食べに来たわけじゃないの。ううん、私はご飯だけを食べるつもりはないわ。」
インコちゃんの姿はもう大橋の夜色に飲み込まれた。それに伴って、ゆりの心も解放され、なにかの束縛から抜け出し
た。彼女の精神は広い平原に、「師と生」や「年の差」などの世間の倫理など置いて、奔放のまま走っていた。
「なっ、なに!?そんなのインコちゃんに何の関係があるんですか!?結局インコちゃんを奪いたいんですか!?いや…
もしかして食べましたか!?ヤンデレですか!?」
竜児はパニックしている。ゆりの不可解なセリフが、竜児の理性を奈良の底まで追いつめている。彼は「警察を呼ぶ」と
いうのも心の中で立案していたか、その容姿で連れ去れるのは自分自身だと分かって諦めた。そんな絶望の中、彼に
はゆりの次のワケの分からない言葉を待つしかなかった。
「いいえ、私はインコちゃんを、ここから出したわ。インコちゃんには悪いけど…私はね、高須くんを、愛している。」
ゆりは愛の告白を言った。そして、彼女は竜児に抱きつき、壁まで押して、唇で竜児の口を封じた。竜児の喉には何
千も愚痴の言葉が詰めたが、ゆりはその巧い舌技で、それらの出すことを許さなかった。
未知への恐怖。目の前の不思議への戸惑い。竜児は呼吸を忘れている。
事態はもう竜児──否、マトモな人間の理解力を遥かに超えている。
何時間ものの体感時間のあと、ゆりはようやく唇を離して、至近距離で竜児の両目を見ていた。竜児は、やっと呼吸
を取り戻した。彼の目は相変わらず凶悪で、氷の槍をゆりの顔へと放つ。だが、そんな氷の槍もゆりの赤く染めた灼熱
な頬に触れて、あっさりと溶かされていた。
「高須君……ううん、竜児、竜くん。貴方は何も言わなくていい。先生には分かるの。私たちの体温だけで話し合えば
いいの。」
竜児はとある手乗りタイガに、「生と死の挟間」というものを何度も見せられた。彼は経験して 、体感して、分かって
いた。「アレは獣の目だ」と、彼の直感がオーバーヒートして告げた。そして、逃げることは不可能だということにも、彼は
悟っていた。
その時、竜児はやってゆりの頬にある涙の跡を気づいていた。だが、彼は「愛おしい」などと微塵も考えていなかった。な
ぜなら、この場合で一番泣きたくなるのは彼のはずだった。泣く権利さえ目の前の加害者に横取られ、彼はさらなる
絶望を食わされていた。
「ベッドに行こう。怖がらなくていいよ。先生が教えるあ、げ、る。フフ」
………
深夜、高須家。
部屋のシングルベッドがギシギシと猛烈に揺れ、周囲の熱く熱いドロドロな時空をかき、時計の時針をゆっくりと十二時
に回す。恋ヶ窪ゆり(30)は最高の誕生日プレゼントを受け取った。
以上です。ここまで読んでくれた皆さん、誠にありがとうございました。
色々抜けてるところある気がしますが、私のスタミナではこれ以上持ちません…すみません、もう休めなきゃ。
それにギャグにしてもちょっと脱線しすぎた気もします。
実は何ヶ月も前からここに投下するのに恋焦がれてたんですが、今まで地域規制で拒められてしょんぼり。
この投下のあとも、すぐにこれまでいたあの規制された地域に帰るので、このスレの寿命によって、
もしかしたらこれが最初で最後の投下にもなるかもしれません。
でも私としては一度でも投下をでき、みなさんに作品をお見せできて嬉しいかぎりです。
ひとつsageし損ねた…
たぶん編集しているときにうったりsageを消してしまった。TABを好用しているので..
すみませんでした。
泰子が竜児を、竜ちゃんじゃなく竜児と呼んどる( ̄▽ ̄;)
三十路良かったよ
>>490 これは本当に申し訳ありません…
少し睡眠とって読み直してみれば、誤植も結構多かった。それに大河も高須家にいなかった…
また、語法・表現にもおかしいところがありましたが、その方は私が未熟なだけです。
今後、投下前の改訂にもっと気をつけますので、ここはどうかお許しを。
二次創作やる上で、設定の違いは五月蝿い人いるから気を付けた方がいいよ。
どこかは言わないけど、泰子→竜児の呼称以外でもう一ヶ所設定で気になるとこはある。
まぁ全体的にいいと思うよ。
あとは数書くしかないかな。
>>493 初めての時はそんなこともあるさ
なかなかよく書けてると思うし、これからも頑張って欲しいね
まぁ、設定が完全IF(幼なじみ設定)とか以外で呼称が変わると気になるのは仕方ないね
まぁ間違いは次回から気を付ければいいだけだしw
週末なのに人の気配がしない
いるだよ
ソウダヨ
『みの☆ゴン』さん、今日はこないのかな?
またもや夢。妄想なのだが…なんとなく予想していたのだが、俺は体育館にいる。
香椎……俺が悪かった。すまないが離れてくれ。その……バストが当たっている
……あら、高須くん、わたしだと役不足なのかな……嫌?……
柔軟体操は背中を手で押すのだが、奈々子は竜児の背中をバストで押している。間違いだ。
さっきから何度も、奈々子のバストがプニュプニュ止めどなく、竜児の背中で押しつぶされてる。
そうじゃねえ。ここは俺の妄想なんだ、香椎。わかるだろう?お前の為に言ってるんだ
……わたしの為?うふふ。高須くんって、カワイイ。……ねえ暑くない?……
奈々子は竜児の正面に廻り、体育着を脱ぎ、ブラをあらわにする。幅の広いストラップが、
ボリュームある奈々子のバストを物語る。奈々子クスっと笑うと、柔肉がプルっと揺れる。
……高須くんも、体操着、脱ぐ?脱がしてあげる、バンザイして?……
バ、バンザイ?いやっ無理だ。もう降参だっ!香椎、降参だ!お手上げだっ
バンザイもコウサンも同じ格好だ。竜児は簡単に上着を剥ぎ取られる。
……ふうん、高須くんって、意外にセクシーなんだ。テンション上がっちゃうな……
奈々子は自分の背中に手をまわし、ブラのホックを外す、大きいバストを支えるため、
ブラのホックの数が多い。ひとつ、ふたつ、外す度、奈々子の表情が魅惑的な匂艶になる。
おうっ!それ以上脱ぐなっ!ふおおっ、デケェ!こぼれてるぞ!香椎っ早くしまうんだ!
……ほら、こうすると、もっとドキドキしているの、わかるでしょ?……
グウッ!竜児の十指が、特盛の奈々子のバストをハードタッチ、鷲掴み。正直……たまらん。
だああっ!いけねえ!これ以上は、いけねえよ!櫛枝っ!櫛枝来てくれっ!
情欲に理性が打ち勝ち、奈々子から離れるが、正面に実乃梨が仁王立ちしていた……
……な〜に?竜児くん。呼んだ?香椎さんと、フフっ、楽しそうね……
実乃梨は笑いながら怒っている。見た感じ笑っているが、わかる。怒っている。
おおぅ!櫛枝っ!俺は、お前が!ブホッ…
奈々子は竜児の顔面をバストに埋める。グニュングニュンされる。もう……弁解出来ない。
……竜児くんって、オッパイ星人だったんだね、とっとと星に帰れば?じゃあね…
おい、櫛枝っ! 待ってくれ、櫛っ…
「うわあああああ、櫛枝ぁぁぁ━━━━っっっ!」
夢だ。今のは束の間の悪夢。夢でよかったが、しかしなんという……
「……だ、大丈夫?とりあえず、席に座りましょう、ね」
教室のど真ん中で突っ立ち、教壇の担任、恋ケ窪ゆり(29)と対峙している竜児。
他のクラスメート達は、ヤンキー高須の突然の絶叫に唖然としている。
「す……すいません!なんというか……ね、寝ぼけ、て……」
大慌てで着席する竜児。顔から火を噴くほど恥ずかしい。大恥だ。
竜児は2日連続の睡眠不足で、朝礼まで仮眠しようとした所までは覚えていた。
そしてホームルーム中に居眠りし、夢を見て、「櫛枝ー!」っと、
クラスメートの女子の名を絶叫しながら立ち上がったのだ。自分は。
こんなことがあっていいのだろうか。
「いいんです、いいんです、青春!って感じよねっ。しょうがないよね。うんうん」
うんうん……と一番前の席で、北村だけは、独身(29)の意見に同調していたのだが、
まだクラスの半分の生徒は、高須ヤンキー説肯定派。恐くて文句は勿論、からかいも出来ない。
もう半分の生徒は、やっちまった感全開の竜児に同情。あわれ過ぎて、突っ込む事も出来ない。
そして、思いっきり名前を叫ばれた実乃梨は……手で顔を隠してしまい、表情の確認が出来ない……
寝坊した。
新学期が始まって3日目。やっぱり3日に1回は遅刻するのだ。わたしってヤツは。
「あ、エプロン忘れた……」
今日は家庭科の調理実習で、たしかクッキーを焼くんだった。
カラダを包んでいる栗色の髪をひるがえし、わたしは目前の学校に、背を向ける。
今頃ホームルームが始まった頃だろう。でも、少しづつ、カラダが学校から離れていく。
……ココロも、学校から後退りしているんだ。多分。
本当は、忘れ物など、どうでもよかった。いつもみたいに学校でエプロンは借りればいい。
わたしは、学校に行きたくないんだ。遠ざかって、そのまま逃げてしまいたいんだ。
一晩悩んだ。北村くんへの告白。
同じクラスになったし、少しづつ、距離を縮めて、理解してもらって、それから……
……でも、みのりんに、知られてしまった。北村くんへの恋心を。
みのりんの事だ。自分の事を棚に上げて、わたしの為に、昨日みたいに奔走するだろう。
ソフトボール。そして、好意を寄せている高須竜児とのことを、かなぐり捨てて……
みのりんには、幸せになって欲しい。みのりんの足手まといになりたくない。
大好きな、トモダチだから。……だから……
自然に引き返す足が止まった。そして再び、学校の方向に向き合う。
ゆっくり、歩き出す。地面に向いていた顔を、空に向けた。眩しい。
わたしが望むもの。普通に恋がしたい。普通に出合って、普通に仲良くなって、
お互い好きになって、一緒にいるだけで幸せ。……みたいな。そういう恋。
今まで、わたしは、手に入れたいと望んだモノは絶対に手に入らないって…思っていた。
望んだ瞬間に、本気で手を伸ばせばその瞬間に、魔法みたいにすべてが破滅するんだって。
馬鹿みたいだけど、本当にそう思っていた。そういう人生を、生きてきた。
北村くんを好きになった。優しそうとか、分ってくれそうとか、一緒だと楽しそうとか……
ただずーっと、見ていたかった。ずーっと、覚えていたくて。本当は見ているだけで、
心臓がドキドキしちゃうのに。近くにいたら、頭が爆発ボーンって真っ白になっちゃうのに。
やめようやめようとも思っていた。やめようと…目を逸らしたかった本当の理由は、
わたしは望みなんか持ってはいけないと思っていたから。わたしが望んだら、外され、弾かれ、
━━━━全部壊れる、から。
でも、決着を着けたい。変わりたい。幸せになりたい。 わたしは、諦めない。
「北、村くん……」
想い人の名を口にする……大丈夫。言える。
「北村くんっ! 」
足は、気付けば、走り出していた。グングン加速する!
「待ってろよ北村ぁっ!告白、してやるぞぅおらあああああぁぁぁぁ━━━━っっ!! 」
景色が溶ける、風は追い風、スピードが伸るっ!
いつもの見慣れた通学路が、凛とした銀色の風に彩られ、輝いて見えた。
朝のホームルームが終わり、担任が教室を出て行くと、それぞれが、それぞれの事を始め、
たちまち2ーCは、椅子を引く音や、足音、笑い声が聞こえ喧騒に包まれる。
竜児は実乃梨に、「櫛枝ー!」を弁解しようと席を立ち振り返るが、実乃梨の席は無人。
……と、視線の先、教室を飛び出していく実乃梨の背中が見えた。
とても教室にいられる心境じゃなかったのであろう。実乃梨に死ぬほど申し訳なく思う竜児。
どうやら周りのクラスメートは竜児に注目しないでいてくれているようで、ざわつく教室の、
竜児周囲1メートルは別世界のように静寂が保たれ、閑散としており、近寄る人影はない。
1限目が始まるまであと5分くらいだが、竜児は精神的ダメージで体内時計が狂ってしまい、
1秒が1分に感じる……ものすごく、永い。
「櫛枝……追わないとな、とりあえず」
竜児は席を離れる。そして通路に出た所で、出会い頭の事故に遭う。
「わっ!ちょっ……急に出てくるんじゃなぁぁいっ!! 」
「おぅ?おおおううっ!!! 」
ズガンッ!!と胸に衝撃。竜児はよろめき、尻餅をつく。天井が廻っている。
「この馬鹿、りゅ……高須くん。お早うございます。ご機嫌うるわしゅう……」
「いたたたっ、あっ逢坂……おはよう。すまん。大丈夫か?ワザとじゃねえぞ……
っていうか逢坂、遅刻じゃねえか。朝、何回も電話したんだぞ?起きなかっただろ?」
と言っている背後から、新しくクラスメートになった面々の、ヒソヒソ声が聞こえる。
『見たか?頂上決戦!一瞬でよく見えなかったが、壮絶なダブルノックアウトだったぜ……』
『最高のカードが間近で観戦出来るっ、うぉぉっ!このクラスで良かった〜……』
『真の番長決定戦は相撃ちか。実力は均衡ってトコだな、ゴクリ……』
クラスメート全員に竜児の誤解が解けるのは、もう少し先になりそうだ。
「ああ、バイブにしてたから電話、気付かなかったわ。それよりも高須くん、あっちに今、
走っていったの、みのりんでしょ。どうかしたの?何かあったの?」
「櫛枝?ああ、そうだな。櫛枝は、俺の口からは……まあ言い辛いんだが、俺が寝ぼけて、
ホームルーム中に櫛枝の名前を大声で叫んじまったんだ。……多分そのせいだ」
竜児は前髪をくゆらせながら答える。大河は立ち上がりスカートのホコリを払う。
「……多分じゃなくて、図星でしょ?ドリーム&クライ……ね。わたしも試そうかしら……」
「やめたほうが良い。ダメージが大きい割に、効果が薄い気がする。ソースは俺だ」
「やんないわよ。冗談。それより高須くん。いつまでも座ってないで、
早くみのりん追いかけて。ちゃんとみのりんに謝んな」
「わかってるよ、逢……」
大河は会話を強制終了。竜児の横をすり抜け、そのまま、北村へと歩み寄ったのだった。
そして爪先立ち、北村にしか聞こえない声音で、なにかを、囁いた。
北村は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐにいつもどおり屈託のない笑顔で、
大河に頷いてみせた。大河の唇は、話したいことがあるから、放課後。と、
そんなふうに動いたように見えた。
***
「……おいゴルゴ……」
「……ゴルゴじゃねえよ……」
「……じゃあゴルゴは俺だ……俺の後ろに立つんじゃねえ……」
「……立ってねえよ……ゴル、じゃなくて櫛枝。さっきは悪かった。名前叫んじまって」
例の自販機の前に引き蘢っていた実乃梨は、竜児をジロリ。柔らかそうな桜色の唇が動く。
「名前言うなよ、ファ。櫛枝ってのがオレだって誰にでもわかってしまうだろ?」
「……ファでもねえよ……誰なんだそれ……」
どうやら、いつもの実乃梨に戻ったようだ。おデコをツンとされる。竜児はちょっと嬉しい。
「また〜、カマトトぶって、竜児くんはっ。さっきはビックリしたけど、怒ってないぜっ!」
「本当か?でもビックリさせてすまなかった。叫んだ俺もビックリしたけどな……
そうだ、櫛枝、さっき遅刻だけど逢坂、登校してきたぞ。北村と例の事、話してた」
「北村くんと?……大河、やっぱ告白するんだね。すごいな……勇気あるよね。
わたしには出来……ありゃっ、時間ない、授業始まっちゃうっ!戻ろっ、竜児くん」
携帯で時間を確かめる。永く感じた一秒間は、実乃梨といると千分の一秒に感じる。
「おうっマジだっ、戻ろう」
ふたりはせっかく、距離を置いて歩き出したのに、教室に入る時には何故か並んでしまい、
早めに教壇に立っていた教師に、一緒に注意されてしまった。
どこか緊張感あった2−Cの一日は終わり、帰りのホームルーム。
緊張感の主な原因は、半数のクラスメートが間違って認識している二大番長が押し黙り、
一日中、閉塞感、重圧感のあるダークな空気をプンプン吐き出していたからだった。
そんな空気を読み取る事が出来なかった担任、恋ケ窪ゆり(29独身)は、
春を意識した全身薄ピンク色で決めて、しょうもない話を始めてしまう。
「あら……教室に甘い匂いが……ああそうか、調理実習はクッキーだったよね。
先生もクッキー作るの好きなの。うふふっ、懐かしいな……イギリスに、
留学していた時には、ホストファミリーと一緒になって……」
「……チッ」
ビクッと震えた内股の担任(29独身)は、やっとダークな空気に気付く。
恐る恐る教壇より指導。かなりの勇気だったろう。無謀かも知れないが。
「……あ、逢坂さん?……せ、先生に舌打ちするのは、やめましょうね?」
「……チッ」
「……あ、あのね?女の子がそういうことするのは、ね?」
「……チッ」
「……ああっ、生徒の心に言葉が届かない……っ」
結局、己の力量を超えた行為だったのだ。両手で顔を覆い、泣き言を喚く羽目になる。
でも担任は独身なりに頑張った。29歳、善戦だった。
「先生!クラス委員の俺が、後を引き継ぎます。ご安心ください!」
クスン?敗者の担任(7年間恋人無し)は、何故引き継がれてしまうのか、首を傾げる。
「先生……北村くんの言っている事がよく……」
「明日は美術があるので各自忘れ物しないように!起立!礼!さよーなら!」
さよーならーと全員唱和。強引に、長くなりそうだった終礼を北村はターミネート。
担任は疑問を残しながらも素直に、ヒクッっと、小さくしゃくりあげながら教室を後にした。
教室はざわめき出す。それぞれが放課後の予定を消化しようと行動に移る。
今日一日、授業中や休み時間、竜児は大河の行動を、それとなく気にかけていた。
大河の顔の色は、赤や青、時には緑、最終的には真っ白に、めまぐるしく変わっていた。
竜児が心配しても仕方ない事なのだが、大丈夫なのだろうか?成就してくれるだろうか?
大体大河は、せっかくガッツみせて告白するのだから北村に、実習で作ったクッキーをあげたり、
可愛く笑顔を振る舞ったり、事前アピールして盛り上げたりしないのだろうか?竜児は思った。
しかし、実乃梨に告白する勇気がない竜児は、自問自答し、そんなガッツがない自分を再認識する。
その時、顔面蒼白な大河は、北村にアイコンタクト。
屋上……大河の唇から読み取る竜児。頷く北村。連れ立って教室から出ていく。
竜児はつい、ふたりの背を追ってしまう。
廊下に出ると、大河と北村は慌しく行き交う生徒達の中をすり抜けて行く。
「やっぱ、悪趣味だよな……やめた」
足を止める竜児。階段を上っていくふたりを見送り、逆に竜児は階段を下りた。
「竜児くん、見〜っけ!へぇ〜っ、校舎の裏に、こ〜んな大きな花壇なんてあったんだっ!
知らなかったなあ……ねえ竜児くんっ、ここで何を栽培してるの?」
竜児がこの花壇を見つけたのは一年の時だった。忘れ去られ、放置され、朽ち果てていた。
「おうっ櫛枝。まだ耕している所だ。雑草を刈って、肥料を撒いている。夏にシソの葉、
秋に、さつまいもでも収穫しようと思ってな。まあ、思い切り不法占拠なんだが……」
制服のまま、しゃがんで作業していた竜児。少し湿った軍手を外し、実乃梨に振り返る。
「へ〜っ、高須農場って訳だっ。すごいよね〜竜児くんってさ、生活力あるよねっ」
「そうか?それって褒めているのか?まあ、な。……その格好、これから部活なのか?」
ソフトのユニフォーム姿の実乃梨。サンバイザーが似合っている。ツバをクイッとする。
「うん、そう。もうすぐ大会だしねっ……大河……今頃北村くんに告白してるかな……」
「ああ……終礼後、屋上に呼び出してたな。あいつ、ドジだよな。聞こえちまっよ」
でも、大丈夫かな……立ち上がり屋上を見上げる竜児。実乃梨もつられて見上げる。
「おい高須。北村知らないか?いつもの時間に来なくてな。急用で探してるんだ」
校舎の影から、すみれが現れた。腰に手を当て、長く、艶のある黒髪がなびいている。
「狩野先輩っ……北村ですか?場所は知らないですけど、大事な用があるって言ってたので、
結構遅れると思います……少し待ってやって下さい」
「そうか。もし見掛けたら、生徒会室ではなく、資料室に来るように伝えてくれ。宜しく頼む」
踵を返すすみれ。それを見送る竜児の口が、自然に動く。無意識だった。
「あのっ!狩野先輩!待って下さい!聞きたい事があります。時間は取らせませんから!」
竜児の隣にいた実乃梨は驚き、三白眼を見上げる。気付けは竜児の裾を掴んでいた。
「なんだ高須、わたしは多忙なん……うむ、高須。いいだろう。手短かにな」
竜児の真剣な眼差しを見て、すみれは立ち止まる。腕を組んだ。
「狩野先輩は、今、好きな男や、付き合っている男……いますか?」
面食らった顔になるすみれ。すぐに細い眉を上げ、ふうっと溜息をつく。
「なんだ高須。急に神妙なツラしやがるから何かと思えば……くっだらねえ。……この菜園、
園芸部に無断で使用してるな。見なかった事にしてやる。ちゃんと片付けとけよ。以上だ」
このまま引き下がらない。竜児は、さらにすみれに噛み付く。
「くだらなくないんです!スゲえ大事な事なんです!俺の親友……そして狩野先輩にも、
親しいヤツの事なんです!お願いしますっ!答えて下さい!」
頭を下げる竜児。傍らの実乃梨も同じく頭を下げた。腕を解くすみれ。少し沈黙し……
「なるほど……解った。友達、思いなんだな。てめえは。結果から言うと、好きだとか、
付き合っている野郎はいない。が、高須。その親友に伝えておけ。わたしは、悪いヘビだと。
そして、そいつはもっと賢く、臨機応変に生きるべきだと。……時間切れだ、じゃあな」
「狩野先輩…」
まただ。またクイズだ。つくづくオンナって生き物は理解不能だ。悪いヘビって何だ?
歯を食いしばる竜児。 そして、竜児から遠ざかっていくすみれは、急に立ち止まった。
「最後にひとつ。……その親友に、生徒会に遅れる時は、事前に連絡よこすように言っとけ」
はっとする竜児。 実乃梨は、掴んでいた竜児の裾をさらに強く引いてしまう。
微風。誰もいない屋上で、大河は北村と向き合っていた。
グラウンドから聞こえる運動部の声が、ここの静けさを強調している。
茜色に染まる空。大河の小さなカラダを包む長い髪も、その色に変わっていた。
北村は、少しずり下がった眼鏡が気になっていたが、そのままジッと静止している。
「北村くんっ!私、北村くんが、…北村くんの、こと…っ…あのっ…そのっ…」
胸の内を、不器用だけど、大河なりに、想いを込め、言葉を紡ぐ。
北村は、その言葉の先を、一旦、区切った。
「ちょっと待った。なんとなく、だが話の流れが見える様な気がするぞ。
しかし誤解をして恥をかくのもなんだから、お前の話を聞く前に、
ひとつ確認しておく。俺は今からちょうど一年前、お前に告白したよな。
お前は綺麗だし、その怒りを隠さないストレートな性格がいい!惚れた!
…って。ちゃんと覚えてるか?」
北村は大河に一歩近づく。大河は堪えられず、横に目線を反らしてしまう。
「……覚えてる。忘れるわけ、ないじゃない。あんな変な告白して来たの、
北村くんだけだもの。あれからうちのクラスやって来て、みのりんと、
部活の話する度に、あっ、あのヒトだって……ちゃんと覚えていた」
つぼみのような唇に手をやる大河。恥じらう。しかし、ちゃんと会話出来ている。
「なんだ、完全に無視されてたから、告白の事さえ忘れられてると思ってた。
あの時、お前を綺麗だと思って告白したけれど、逢坂。あの頃から俺は、
お前に対する気持ちに変わりはない。最近見せる面白い顔をするお前も、
本当に素敵な女子だと思う。今でも、そう思う。だから……」
我慢していた眼鏡のズレを直す。夕日がキラリと眼鏡に反射する。
「だから。ちゃんと整理するまでこの先の話は保留したい。……今は正直、返事出来ない。
ただ俺に、逢坂の気持ちは、多分、ちゃんと正しく伝わったと思う。すまない」
……つまり、今は告白するな、という事か……整理するとは、その理由は、つまり、
「狩野……すみれ?」
「会長の事か?……そうだな逢坂。お前にはだけには正直に話そう。まあ、それもある。
ただそれだけじゃあない。部活でな、部長に就任したしんだ。来週末から、公式戦で、
今はそれに集中したいんだ。……そうだ逢坂、良かったら、その試合、観にこないか?
逢坂が応援してくれたら、百人……いや、千人力だ。どうだろうか?」
どうやら嫌われてはいないようだ……大河はそう思う。保留。そうね、浪花節。
「うん、北村くん……わかった。保留ね……ありがとう。試合、絶対観に行くね」
北村は大河に優しく微笑む。大河も笑顔で答える。瞳がキラキラ七色に輝く。綺麗だ。
この瞬間、1年前の告白の時とは、北村の大河への気持ちは良い意味で確実に変化した。
「よーしっ!逢坂!俺はお前の為に頑張るからな!じゃあ、また明日なっ!」
反転し、大河に背中を向ける北村。やるぞ━━━っ!と両手を天にかざしている。
だからその時の北村の正面、顔を、大河は見ることはできなかった。
北村の、覚悟に満ちた、真摯なその眼差しを。
そしてその時の北村の決心を、大河は計る事ができなかった。
北村に恋心を抱いてくれている大河のための、北村が考えたシナリオを。
小さく何か呟く。屋上の扉を開け、北村は屋上を去った。
「ふわあ……」
残された大河は緊張が解け、アクビが出てしまった。
ありったけの勇気を振り絞った、出し尽くした大河は、自分でも泣くかな?と思っていたが、
意外に平常心……不思議な感じだった。
告白は、結局うまくいかなかった。でもすっきりした。だから、でも。
「帰ろ……」
北村が去っていった屋上の扉に歩み寄る大河。
扉の先には、お節介な親友と、その親友が好きなお隣さんが今日の実習で作った、
クッキーを持って、お隣さんは大河が扉を開けるまで階段に座って待っていた。
ななこ様ものこーい
翌週の4月中旬土曜日。公立球場に大橋高校男女ソフトボールチームが集結していた。
今日明日の二日間で、春季公式大会が開催される。トーナメント方式で三年生は、
負けたらもちろん最後の試合になる。
午前中あった男子の試合は、去年の優勝校と2回戦で当たってしまい、敗退。
これから大橋高校女子ソフトボールチームの初戦が始まる。主力選手には、
もちろん実乃梨の名もある。試合前、グラウンドでキャッチボールをしていた。
「ボールバックぅっ!!」
声をあげたキャッチャーに向かって、センターからレーザービームが放たれた。
ズドンッ!!
キャッチャーミットに吸い込まれた豪快な音。ミットを構えた所にストライク。
相手のベンチからも、その強肩っぷりに、おおおっ!という感嘆の声が漏れる。
その砲手は、右手を振りながら、えへへっと、太陽のような笑顔を見せている。
「うわ〜☆みのりんちゃんすごぉ〜い!もしかして勝っちゃったの?」
「まだ試合前だ。しかしいつ見ても櫛枝の肩はすごいな…今日は双眼鏡がいらなくていいな」
「あんた、いつも双眼鏡で、みのりんチェックしてた訳?まるでストーカーね……犯罪犬っ」
結構ちゃんとした球場だった。竜児は大河と泰子の3人で、ベンチ近くの席を確保していた。
今日はベスト8までしか決まらないので、観客はまばら。私服の姿がほとんどなく、
昇り竜のトレーナー、露出の多いキャミソール、ふわふわのフリルのワンピース……
は、ものすごく目立っていた。間違って紛れ込んだと言っても、誰も疑わないだろう。
「ねえ、竜ちゃんっ、やっちゃんチアガールの格好すればよかったかなぁ〜」
「いい訳ないだろ。そんな事していったい誰が得するんだよ。普通に応援しようぜ」
「竜児は、伝説の花の応援団長に見えなくないわね。ちょっと舌出してみてよ。とぐろ巻いてる舌」
「なんだそりゃ、どんな妖怪だよ俺は。だいたい、いつの間にか、また呼び捨てしてるし……
逢坂も集中して、静かに応援するんだぞ。……おうっ、北村!お疲れ様っ!……惜しかったな」
泥まみれのユニフォーム姿の北村が来た。男子ソフト部の連中も引き連れてきた。
適当に仲が良い同士に着席する。北村は大河の横に座った。
「いや〜、最後でミスってしまった。いくら相手は本命とはいえ、エラーしてしまった。
折角応援しにきてくれたのに、格好悪いところ見せてしまったな、逢坂。すまん」
「きっ、北村くんは悪くないよ!あの相手のバッターが悪いのよ!あんなタマ捕れないし、
だいたい北村くん相手に、本気でやる事ないのに!……後で脳天カチ割ってやる……」
襲撃を目論む大河。どうやら本気だ。堅くて長いモノを探し始める。
「逢坂、気持ちだけで充分だ。ありがとう!悔いは無い。一緒に女子を応援しようじゃないか!
スタメンで、櫛枝も出るんだぞ?おっ、ホームベース前に整列していた。ズバリ始まるぞ」
球審が挨拶し、テンプレート通りの注意点を伝える。監督同士を握手させる。
「ん〜?大河ちゃん、急に抱きついて来てどうしたのぉ?可愛いねえ。よーしよーし……」
大河は、北村に褒められたと勘違いし、テンパったようだ。ポジティブシンキング。
照れてどうすればいいか対処に困り、泰子に絡まる。北村は微笑む。
グラウンドでは一番打者がバッターボックスに入る所だ。球審が右手を高く挙げる。
プレイボール!
初回から投手戦で、両校とも無失点で迎えた5回表。相手校が均衡を崩し1点先制。
さらに6回に追加点を許してしまう。
そして最終回の裏、逆転を狙う大橋高校は、勝利を焦る相手チームの投手に連打し、
念願の1点をもぎ取る。
無失点だった相手校の投手は動揺し大乱調。さらにワイルドピッチや、イリーガルピッチと、
大橋高校は走者を2人回し、同点に追いつく。しかし下位打線が続かず、延長戦に突入する。
┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃5┃6┃7┃8┃9┃計┃
╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃1┃2┃0┃0┃ ┃3┃
╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃0┃0┃3┃ ┃ ┃3┃
┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛
そして8回裏、大橋高校の攻撃。タイブレーカーなので2塁に走者がいる。
最初のバッターはバントで走者を3塁に送り、1ダウン。そして次の打者はファールフライ。
サードにきっちりキャッチされてしまう。まだチャンスは続いている。
一点入ればゲームセットなのだ。手に汗握る展開。次のバッターは、実乃梨だ。
「花は桜木、女はみのりんっ!ほな、いくで〜っ!!」
バットを持てるだけ持って、ブンブン素振り。気合いが入っている。
一方、観客席。
大橋高校私設応援団の竜児たちは、叫びすぎて、声がガラガラだった
「ンガッ……ほら、竜児……ビノリン……よ!ゴホッ
「ゲホッ……ぐっ櫛枝ぁ…ぶおおっ、グジエダ〜」
「ぞ、ゴェ……ぞんだんじゃあ、ビドリンにぎごえないでじょっ!竜児っ、叫べ!」
竜児は、渾身の力を込めて、叫ぶ!
「櫛枝ぁ━━━っ!ガッ飛ばせ━━━っ!!!」
球場に響く、竜児の雄叫び。
間が悪く、一瞬球場が沈黙した瞬間に叫んだもんだから、
選手は無論、球場中の視線が竜児に集中する。
「ターイム!!」
竜児の、必至の形相を目の当たりにした、相手のピッチャーが、
倒れた。 ヤンキーに殺されるっ!と、思ったのだ。
……うわっ、不良。なんでここに……
……こええっ、皆殺しにされるっ……
……なんだ、あのチンピラ、あれは狂気の目だ……
ひそひそ、竜児のジャックナイフのような顔面に、騒めきが止まらない。
球審が竜児に恐る恐る駆け寄る。
「君。誠に申し訳……ありませんが……出てって頂けませんか……うわっ、暴力反対!」
何もしないで、突っ立っているだけの竜児。
「お騒がせして……すいませんでした。失礼します」
「え?何にもしてないじゃない!ちょっと竜児!何処行くのよっ」
「竜ちゃん……皆さんごめんなさい……ペコり。竜ちゃん!待って〜っ」
代わりのピッチャーがマウンドに上がり、試合再開。
伝説の応援団長を失った実乃梨は、生まれて初めて見逃し三振をした。
とりあえず以上になります。
お読み頂いた方、前回投下後のレス頂いた方、
有り難うございました。
前半のクライマックスだったのですが、
正直間に合わなかったので、本来投下しようと思っていた
続きの2スレを明日投下させて頂こうと存じます。
宜しくお願いいたします。失礼します。
>>467 保管ありがとうございます。
恐縮ですが、可能であれば、前スレの313-317なのですが、
「けいとらっ!」のラスト(コーダ)も保管して頂きたく存じます…
出来ればお願いいたします。
>>512 すまない、急かしちゃったね
そういう時はマイペースでお願いします
個人的には楽しみにしてるけど、決まった時間に投下するのは義務じゃないし、大変だろうし
それはさておき、今回も面白かったです。GJ
>>512 終始笑える要素があっていいな、GJ
しかし4月の時点でこの量…ご苦労様ですな
次回も期待しております
う〜ん、なんか1読者的には
漫画エンジェル伝説で睨まれて女子が気絶とかあったのは違和感なかったが
竜児の場合だと気絶までしねぇだろって思って違和感があるな
なんだろ、むしろ別にギャグパートで入ってる分にはいいけど
竜児のコンプレックスを出して他の周りとの関係を強化する本筋シリアスパートの時に
物語的というか漫画的な誇張が気持ち悪いだけなのかもしれんなぁ
況や一番気持ち悪いのは(ry
先週出来たことが今週出来ないのが理解出来ない
読むな 触れるな 近寄るな
520 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 15:30:39 ID:pJ+tWhdE
保管庫がまったく更新されないなぁ…。
imonaだと面倒だし。
奈々子さまもの、どこに置いてあるんだよ。
見れないよちくしょう
>>520 新しく作ってくださった
>>467ではいかんのか
保管庫と新しく作ってくださった補完庫の間が空いてるのかな?
ななこい、続きでてないのか・・・
>>524 19皿目に4が投下されたのが最後だねえ。
補完庫の更新ありがとうございます。
ご対応が早いので、中途半端に投下
しないで、いつもの時間にお邪魔し
させて頂こうかなと、存じます。
かわりに急遽、小ネタを作りましたら、
物量が大きくなってしまったので、
取り合えず4レス投下します
「顔は殴るんじゃねえよ!」
「おめーは女優じゃねえだろうがあ!」
ケンカを始める亜美と実乃梨。
二人の言い合いは言ってはいけない領域まで加速していく。
ドンッ、ドンッ
っと、合間合間に肩を小突きあう力も、シャレにならなくなっている。
二人はヨロめきながら、お互いを罵倒している。
「あわわ、竜児っ!これって黙ってられない、早く止めなきゃっ」
「おう!川嶋に櫛枝っ!落ち着けっ」
竜児は大河とともに二人を引き離しにかかる。
そのとき。
「━━あっ!」
大河の目は捉えていた。実乃梨が前髪に差していたオレンジ色のヘアピンが、
亜美の手に当たった拍子に、結構な勢いで飛んでいくのを。
大河は慌ててヘアピンを拾いにいく。無くしてはいけない大事なものなのだ。
新雪の上に落ちているヘアピンに、ズボッと足を取られながら手を伸ばし、
「……っ」
突然に、踏み込んだ足の支えが失われた。目の前の地面が崩れ落ちてゆく。
「大河っ!」
ケンカを止めずに離れていく大河の姿が魔法のように消えた。
消失場所に駆け寄る竜児。この先は崖になっていると気付く。
「もしかして……大河」
雪が屋根のようにせり出しているのにも気付く。覗き込むと急斜面が見え、
誰かが落ちていったような跡だけがのこっている。
「おう……っ」
竜児の足元の新雪は、再び崩れ落ちていった。
「……痛ってぇ……」
二十メートルは転がり落ちただろう。竜児のまわりは杉が生い茂ており、
落ちた場所が見えない。周りをぐるりと見回すと、橙色にキラキラ光る、
ヘアピンを見つけた。
「━━た……大河!」
すぐ傍に見つけた。
大河は大きな木の根元の窪みに落ちて、身体を丸めていた。
竜児は手を伸ばし、小さな身体を引っぱり上げる。ぐったりしている大河。
「大河!大河!大河!」
木で頭を打ったのだろう、こめかみあたりから赤いモノが見えて息を飲む。
いやだ━━
このドジの、手を離してはいけなかったのだ。 こんな思いをするなら、
大河がこんな目に遭うのなら、絶対に離してはいけなかったのだ。
「……痛い……」
小さな声が漏れる。大河の睫毛が震え、顔をしかめるのがわかった。
生きている。ふうっと安堵のため息を漏らす竜児。
そして大河を片手で抱え、斜面を上がり始める。這いずるようにして、
木の根や枝を掴み、竜児は上っていく。とても口をきくどころではない。
その時、大河の手に力がこもった。竜児のゴーグルにコツンと当たる。
「……あ……北村くん……?」
大河は間違えた。そんなの別に構わないし、わざわざ訂正する状況ではない。
「……北村くん、あのさ、……失恋大明神、ご利益ないねえ……悪いけど、
全然叶わないんだもん……竜児の事、好きな気持ち、全部消して……
私を、それで、強くして、って……どうしたって、竜児の事が好きなのよ」
ずり落ちそうな大河のウェアを必死で掴む。砕けるほど奥歯を噛む。抱き寄せ、
「……あ……!」
足が滑る。バランスを崩す。
━━二人して、落ちる、落ちていく━━
大河の胴体を全力で掴む。離さない。しかし竜児の口の中、ウェアの中に、
雪が侵入してくる。小さな雪崩になって、竜児と大河は落ちてゆく。
「北村くんっ!……りゅ、竜児?」
覚醒した大河は、木の幹にガッチリ飛びつた。そして、竜児に気付く。
間違えに気付く。まっ白な大河の頬は、急激に真っ赤な薔薇色に染まる。
まん丸に見開いた瞳が、見たこともないくらい、凄まじい輝きを放つ。
「てぇぇぇえええぇぇぇええええぇぇぇっ!」
罠にかかった虎のように混乱する大河。抱きついていた木の幹を離してしまう。
「「わあああああああああっ」」
二人はさらに奥まで落ちていった。
天気予報通りの荒天。横殴りに雪が叩き付けられる。猛吹雪だ。
竜児は大河を離す事なく斜面を転がり落ち、そして雪の塊にぶつかって止まった。
激突した瞬間に、二人分の体重がのり、竜児は右ヒザを脱臼してしまう。
「竜児、大丈夫?……ああっ、もう、なんてこと……っ」
必死に竜児の首や足を触り、骨の確認をする大河。両手を竜児の方に伸ばす。
「大丈夫だから……お前こそ、血が出てたぞ……おおうっ」
吹雪は弱まる事をせず、二人の体力を奪っていく。ウェアの中に入った雪が、
さらに消耗を加速させた。大河は限られた視界の中で、コンクリートの建物を発見。
「あれ……山小屋?ねえ竜児っ、あそこまで歩ける?わたしが支えるからっ」
ふたりはほとんど抱き合うようにして、その建物の方へ進んでいった。
「南京錠が掛かっているな……おうっ、大河っ!」
「っだああああっぁぁ、おるぁっ!!」
ガシーン!!っと、壁に立て掛けてあったスコップで鍵を一撃で叩き壊す。
竜児は壊れた鍵を外し、扉を開ける。大河とともに、真っ暗な建物内に逃げ込む。
「暗いな……大河。離れるなよ」
竜児がそう言っても、大河は返事をしなかった。しかし手を繋いできた。小さくて、細い指。
だんだん暗闇に目が慣れて来て、見た事の無い道具や、用途不明の備品が置いてあるのが分る。
山小屋というより、管理小屋か、道具小屋という感じか。大体10畳くらいの広さだ。
「ねえ、明かり無いのかな。ろうそくとか……」
凍るように寒い室内。繋いだ手が、小刻みに震えている。ただ吹雪の中よりは全然ましだ。
この小屋に入ったのが、もし数分あとだったら、正直どうなっていたか分らない。ゾクッとする。
「発電機があるぞ。こいつでこの作業灯を点けよう」
竜児はスイッチを入れ、始動グリップを数回引く。ブルンッ!っと動いた。
作業灯のプラグを発電機に繋ぐ。室内が明るくなる。息が白いのが見える。
「ねえ竜児っ!温度計見てっ。寒いと思ったら、気温0度だって!」
だろうなっと答えながら、竜児は小さな電気ストーブを見つけて来た。ちゃんと動く。
「お前はこれにあたってろ。寒いんだろ」
ヒーター部分が真っ赤になったストーブを大河に向ける。竜児は、ブーツを脱いだ。
バシャっと、半分溶けた氷が出て来た。上着を脱ぐと、やはりボサッと雪が落ちた。
ズボンにも雪が入ったが、右ヒザが痛くて動かせない。
「あんたびしょ濡れじゃないっ、身体もこんなに冷たくて……死んじゃうわよっ!」
思い切り竜児をゴシゴシ擦る大河。麻痺していた腕に感覚が戻って来た。
「竜児、乾かすから上脱いで……はい靴下も。足、痛い?わよね?」
自分も痛いくらい寒いだろうに、大河は献身的に竜児の世話をはじめる。
上着をギュウっと絞ると、大河が驚くくらい大量の水が出た。竜児はこんなになってまで、
大河を助けようとしたのだ。大河の小さな胸の奥。魂から何かが滲み出る。熱い何かが。
「大河……お前も脱いでみろ。お前だって全身かき氷だろ」
「なな何よっ、いやらしいわね……そうね……あっち向いててよ」
全裸になる訳でもないのに何でまた。とか文句も言わずに竜児は大河に背中を向ける。
天井を見上げると、結構な高さがあり、極小さな窓があるのを発見した。さっきから、
ガタガタ聞こえていたのはあの窓だろう。吹雪の音は変わらない。目線を下げる竜児。
「あっ」
見つけた。今欲しかったもの。ただ名前が出て来ない。なんて言ったっけ、あれ……。
「んあっ?なな何、竜児?見てないでしょうねっ?今見たらブチ殺す!」
ジャババババ……多分、大河が上着を絞る音だ。それみたことか。大河だって、
凍える寸前だったんだ。寒かったはずだ。だから、あれが必要なんだ。想い出した。シェラフ。
こんな倉庫みたいな所で、長い時間発電機のエンジンをかけいたら一酸化炭素中毒になる。
「シェラフがある。大河。濡れたシャツなんか着ないで、こいつを纏え」
棚からシェラフを取り出す。新品みたいだ。シェラフを袋からだし、竜児はどうやら、
下着姿であろう大河を見ないように、後ろ向きに歩く。
「……いいわよ。あんたが使いなさいよ。わたしはストーブがあるからいい」
「こんな狭い場所で、ずっとエンジン掛けてられないだろ。早く受取れよ」
後ろ手にシュラフを持っている竜児。少し経って大河は受取った。
シュルシュルとナイロンの擦れる音がする。ファスナーが閉まる音。いや、引っかかる音。
「あれ…チャックが閉まらない、んんんっ!!イライラするぅっ」
「壊すなよな大河!手伝ってやるよ。近づいてもいいよな?」
「うん。でもこのままでいいや。ぜんぶ閉めると動けないし。どーよ竜児っ」
振り返ると、まるで着ぐるみのようにシェラフを纏う大河。足元に服が散らかっている。
脱臼した足を引きずりながら、大河に近づく竜児。手に取った大河の服は体温で少し温い。
「着ていた服、ビショビショじゃねえか。……乾くかなあ。髪焦がすなよ」
「ふわあぁぁ……暖っかい。いくらなんでもそこまでドジな事、するわけな……ん?」
大河はシュラフからニュッと白い手を出し、髪先を掴み、クンクン嗅ぐ。
「するわけないでしょ!ほれっ!」
と、妙に強気な表情。竜児にも髪先を嗅がせようとする。
ちょっと前まで生死の境を彷徨っていたと思えない。……でも、元気になってよかった。
ストーブを見つめる二人。やっと一息ついて、大河の告白を思い出す。俺を好きだと言った。
確かに言った。北村と間違えて、告白してしまった。そして己のバカさもわかった。
いまさらわかった。絡んでいた糸が、一気に解け落ちた。大河も無言になる。
何か言いたそうだ。暫らく竜児は、赤く灯されている横顔を眺めていた。
小ネタ前半以上です。
予想通りの後半は明日予定です
失礼しました。
明日っすか・。。
その間悶々としながら待っていろ…と?orz
明日と言わず、今日の夜くらいに投下希望。
533 :
○ゅーじ:2009/09/15(火) 12:50:46 ID:rr+XQ9m0
卒業式を終えた竜児がふと校舎を見ると、風にたなびく長い髪が見えた。
(大河!?)
走りだす竜児。
だが二階に駆け上がり、教室の戸を開けたが、だれの姿も見当たらなかった。
(そこかな)
教室の片隅にあるロッカーを、そっと開けてみる。
「にゅーじ」
「ンンぬぁんだとぉ!?」
そのなかで、大河が赤ん坊を抱えて見上げていたのだ。
「りゅーじのにゅーじだ、どうするおやじ」
「う、うわっ。たしかに、嫁に来いとかなんとか言ったけど、マジかよ」
「なにさ、去年は今すぐにでもって勢いだったのに。ホレ、どーする」
「いや、ちょっと、心の準備が……て、俺、そこまでしてないだろ」
「へへー、バレたか。このコは弟だ。かわいいだろ?」
大河は笑いながら赤ん坊を見せびらかした。
教室の反対側には、笑う母親の影。上手くいったのだろう、と竜司は思う。
「ああ、かわいいな」
「そう思ったら、今日は出かけるぞ」
大河は母親に赤ん坊を渡すと、竜児のうでを掴んで引っ張り始めた。
「ちょっとまて、どこに……」
「どこでもいいでほ、ほら来なさいバカ犬っ!」
「お、い、だぁ〜」
なんか大切なことを言い忘れてる。でもまあいいか……。
子供付きはビビるなw
にゅーじかw
>「りゅーじのにゅーじだ、どうするおやじ」
見事に韻を踏んでおられる
にゅーじフイタwwwwwwwwww
これはwwwうまいwwww
いや大河の口調おかしいだろ、〜だとか
なんかの改変か?自作ならなんでこんな口調にしたん?
>>533 和んだw
口調うんぬんより発想の勝利だな
確かに口調は気になるけどネタとしちゃ秀逸すぐる。
これならエロパロじゃなくキャラ板で投下すりゃ良いのに。
画竜点睛を欠く
「「あのさ……」」
同時に声を上げる。大河と目が合う。シュラフとストーブの効果以上に、頬が朱色に染まる。
「竜児……聞こえちゃったよね?さっき。……ごめん……わたし、あんたの事、
好きになっちゃったんだ、ごめん」
違う。悪いのは俺だ。なんで今まで気付かなかったんだろう?こんな簡単な事。
前から好きだった。少しはそうじゃないかなとは感じていた。ただ、確信が持てなかった。
ふたりは恋愛関係ではなく、竜虎だからとか、お隣さんだとか、同志だとか……
ちょっと距離を置いて考えたら、もっと早くわかったのに。もっと早かったら、
大河をこんなに怖い思いさせたり、怪我させたり、傷つけることもなかった。
たくさんの想いを巡らせ、竜児は大河へ一歩、進んだ。
唇に、唇で触れる。
大河は小さく跳ねる。離れかけた唇を逃がさないように、竜児はもう一歩、進んだ。
柔らかく、熱い。その唇を、竜児は吸った。
チュッ
大河の身体が溶けるように脱力した。竜児は支える。大河の唇が震え、 ……キ、
「……キスした?」
「し、した。……したしたした」
「ななななんでよっ、なんでキスしてくれたの?同情?哀れみ?優しさ?」
大河は掴んでいた竜児の腕に、凄まじい力を込める。
「違えよ!そんなんじゃねえよ!俺は、俺も……」
爆発したように大河の瞳が輝く、さっきより強く、明るく。
「お前が好きだ!」
「わ……私が好き?……竜児はわたしが好きなの?」
「だからごめんとか、あやまるなよ、大河。いままでも……」
「好きって言った。絶対言った。わたし聞いてた。間違いない、訂正出来ない」
なんでそんなに確認するんだろう。話の腰を折るし……想いを吐き出した竜児だったが、
急激に血の気が引くのがわかった。めまい?いや、気絶かこれは……そこで思考が停止。
大河が見つけた温度計は、−3度を差している。発電機のガソリンが無くなる。
部屋が真っ暗になる。同時に竜児のカラダの力も、ふっと抜ける。
「竜児!!やだっ、竜児っ!」
倒れる竜児。抱きついていた大河も床に倒れ込む。
「……あれ?俺……ここは?」
どこだ?竜児は目を覚ました。そして、大河と小屋に避難した所まで思い出す。
天井近くの小さな窓から、まだガタガタ音が聞こえる。
吹雪は、さらに強くなっているようだ。……そうだ、大河は?
「大河!どこっ……おうっ!」
起き上がろうとした竜児は、何かに覆いかぶさられている事に気付く。
それは、裸の竜児の冷えきった体を懸命に暖めていた。
「大河、お前っ……」
シュラフの中で全裸の大河は、竜児を抱きしめたまま、スウスウ寝息を立てている。
竜児の素肌に、大河の素肌が吸い付いている。有り得ないくらい、柔らかく熱い。
「……ふみゅ……ハッ!竜児!気付いた?よかった……竜児っ、竜……グスッ」
大河は、竜児を暖めていたカラダを、さらにすり寄せ、深く絡みついてくる。
竜児の胸に顔を埋め、泣いている。……よかった……っと繰り返す。
「大河、ありがとう。暖めてくれたのか。ありがとうな」
ヒクヒクしゃくりあげる大河の可愛い頭を撫でる。まだ少し髪が湿っていた。
「大丈夫?平気なの?わたし、嫌だからね。あんたが死んじゃったら、もう……ヒック」
大河の瞳から落ちる熱い滴。竜児の胸に染み込んでくる。
「おうっ……もう大丈夫だ。心配かけたな、たい……」
名前を呼ぼうとした竜児は、唇を塞がれる。大河の蕾のような唇に塞がれる。
大河は、竜児の顔を両手で挟み、唇から鼻先、瞼、頬と、何度もキスを繰り返す。
「竜児、好き……大好き。あんたもわたしの事、好きなんでしょ?さっき聞いたんだから。
んふっ、嬉しい……あっ、キャンセルできないからね。ダメだからね。手遅れだからね」
今度は、竜児の首を絞めてきた。指が食い込んでくる。……何がしたいんだ、こいつは。
「ゲホッ、本当に死んじまうだろ!俺は大河が好きだ。キャンセルなんかしねえよ!
だから俺を殺そうとするなよ!はあ、はあっ、ヤバかったぞっ」
大河の指が緩む。薄暗い中でも、大きな瞳が揺れ動くのがわかる。
「竜児はいっつも大袈裟なのよね。これはもしかしたら夢?じゃないかな〜って、
あんたの首絞めて、確かめただけじゃない。遺憾よね?遺憾だわっ」
「夢か現実か確かめるなら、俺の首絞めるんじゃなくて、自分のほっぺたを抓ろよなっ!
……でも、まあ……夢じゃないって、お互いわかったから、いいか……」
苦笑する竜児に、大河はクスクス微笑む。和む。大好き、っと何度も抱きしめてくる。
しかし、さっきからお互い言い出せない事案がある……
ふたりはシュラフの中で、裸で抱き合っているのだ。触れている肌の感触が気持ちいい。
「竜児……かっ堅いのが……当たってるんだけど……」
「仕方ねえだろっ、俺は一般的な男子高校生なんだよ!堅くなっちまうよ!」
へえっと言い、大河は、盛り上がっている部位を握りしめる。ギュ。
「おうっ!大河!それはっ……刺激が強すぎる!」
竜児の硬度が増す。カッチンカッチンだ。
「ねえ竜児。わたしが言うのもなんだけど、あんたマニアックよね……わたし、
おおおっぱい、こんなにぺったんこなのに……まさかロリコン?ペドフィリア?」
「いっいまさら何を……大河、ロリかペドかはさておき……俺はお前を抱きたい」
竜児は、大河の唇を奪う。すると大河の舌は竜児の口腔内に侵入。滑るように動き続ける。
大河の背中に廻していた手を戻し、竜児はぺったんこな胸に触れる。首筋にキス。
「あんっ……」
ぺったんこで愛らしい大河の胸は、柔らかく、充分に竜児の欲望を満たす。
半年前に、プールで触ってから、竜児は、実はずっと望んでいた。胸の突起との再会を。
その望み通りに、竜児の指先が突起を弾く。マシュマロの中に、豆が入っているみたいな感じ。
竜児は、豆の味を知りたくなる。口の中で転がしたくなる。
上にいる大河の腋に手を差し込み、竜児の口元に豆が来るように、大河をずり上げる。
チュパッ……そして念願の乳首に、竜児は吸い付いた。気のせいかも知れないが、甘い。
「んあっ、くすぐったい……竜児ぃ……ぁんっ」
「ちゅる……はあっ、はっ、ちゅっるるっ、大河……ちゅうっ、ちゅぱっ」
「はあんっ、んっ、んっ……やっ!噛む、なっ……はああっ、ううんっん……」
ツンっとなった大河の豆の堅さを確かめたくて、つい噛んでしまった。
このまま続けたら……大河の中に入る事になる。竜児はその場所を知らない。
ここかな?
「はあっん!……ちょっと竜児っ!調子に……うふっ……やあぁっ……」
こんなに濡れるモノなのか、ココは……竜児の指はその場所を滑る。勢い良く往復する。
竜児だってオナニーはする。その要領でココを滑らせたら……大河は悦こんでくれるのか?
「あん、あん、あん、はああンっ……あん、あん、あん、いっ……いいっちぁう……よっ」
クチュンクチュン、大河のその場所から、粘液が流れ、竜児の下半身をも濡らす。
大河の粘液で濡れている竜児のペニスを、大河はにぎり、オナニーのようにシコシコする。
「おうっ……はあっ、はあっ、大、河っ……きっ、気持ちよすぎるっ」
「はあっ、あんっ、あん、お、お返し……よっ……はあんっ、わたしもっ…あんっ」
「……ふんんっ」
思いっきりキスして来た大河。その身長差で、竜児のペニスを手放すが、今度は大河の、
柔らかい太腿でペニスが擦られる。ツヤツヤで、ツルツルの太腿だ。プニプニしている。
「ねえ、竜児……こんなの、入るかな?」
大河は太腿でグニグニさせていたペニスを、また握る。握るのが気に入ったようだ。
「入るだろ……入れて、いいんだよな?」
「入れたいの?」
「そりゃそうだろ……お前はもう、嫁だし……嫁に来いよな」
「行くわよ。言ったじゃない。キャンセル出来ないって……嫁になる」
じゃあ……
「……はああっ!竜児っ」
ジュブっ、潤沢だった大河のこの場所を見つけるのは容易だった。
まだ、半分だが、大河が抵抗する。初体験って、やはり痛いらしい。
「大河っ、無理、するなよ……おうっ」
ジュブブブブっ、奥まで入る。竜児の足の付け根に、大河のお尻がムニュっと接触。
完全に、にゅっぽり、竜児は大河の中に入った。熱い。しかし……膣圧が強烈。
オナニーの何十倍もの快感。カラダ中に電気が走る。膣肉が、竜児に絡み付く。
「んんんっ……竜児……いい?気持ち良い?」
「くうっ、大河……ヤバい、お前、出ちまうっ、良すぎる」
足のケガを気遣い、大河は竜児の肉欲を満たそうと、操を捧げている。
「ああっ、竜児っ、竜児っ、んんんっ……」
大河は上体をあげ、馬乗り体勢に。シェラフからはみだす。指を絡ませる。握りしめる。
竜児も起き上がり、大河に抱きつく。この状態なら、竜児の口は、大河の口が近い。
「ちゅぱっ、んん、ちゅっ、ちゅちゅっ……」
顔に掛かる大河の栗色の髪先がくすぐったい。キスしながら、かきあげる。
そのまま竜児の指先は大河の背中へ、そして、尻を揉む。強く揉んで、深く挿入。
「!!」
奥まで差さる感触。大河はしがみつく。竜児も強く抱く。
大河から発する匂い。甘く、淡く、官能的。本能に訴えかけ、竜児は攻撃的になる。
「はあっ、はあっ、大河っ、はあっ、好きだっ」
「わっ、あんっ、わた……しもっ、あんっ、はあんっ、好きっ」
熱が伝わる。それは大河から伝わり、全身から竜児の一点に集まり出す。
「大河、大河っ。はあっ、……おうっ!」
痙攣する竜児。ガクガク緊張を繰り返す。大河は汗ばむ首筋を竜児に噛まれる。
痛かったが、我慢した。受け入れた。
チュ……
脱力する竜児のおでこに、大河はキスをした。竜児は大河の中で、まだ熱を放っている。
微妙にピクピクしている。
「赤ちゃん……出来ちゃうかもねっ」
キスされたおでこを触りながら、竜児は答える。
「俺的には、まったく問題はないし、不安もないんだが……すまねえ」
「私的にも問題ないし不安もないわよ。なんか簡単に想像出来るし……えへっおかしいのっ」
小鳩のようにクククと笑い出してしまう大河。つられて竜児も笑い出す。
ふたりの未来予想図は、思った通りに叶えられていく……
おしまい
小ネタでした。
お読み頂いた方ありがとうございました。
失礼いたします。
GJ!!!!!
って救出された無いぞ?!
「おまえらバカばっかりだ!
何で気付いてくれないの?
何で助けてくれないの?
バカビキニなんかに気を取られて、
誰も・・・誰も竜児を・・・ウウウッ・・・」
「(逢坂・・・)」
「(タイガーあんた・・・)」
「りにゅっ・・・にゅーじは私のだぁーーーーーーっ!
誰も触るんじゃ、なぁーーーーーいっ!」
「(にゅーじ?!?!)」
「(噛んだ?)」
「(噛んだ噛んだ!)」
「(うっわ、恥ずかしー!)」
おくしゅりに続く、新しいワードですね。分かります。
552 :
○ゅーじの人:2009/09/16(水) 12:32:17 ID:nsLOrzsx
読んでくれた人サンクス
イッパツネタでも推敲はちゃんとせんとあかんねorz
>550
こら(w
あー、そろそろ棒姉妹とか、ななこい来ませんかー?
本日竜児×奈々子さまを発見。栄養補給です。
クレクレは見苦しいぞ
さすがに別の作品投下されるたび奈々子、奈々子言われると、またかよって気になるから
職人がその要求で書く気になると思うなら希望レスする分には自由だけど
その希望レスの時だけ他の人があぼん出来るようにコテでも付けてくんない
あっ、もしいつもの人じゃなかったらごめん
まぁ奈々子投下を待ってるのは俺もだが・・
いちいちクレクレいうのは見苦しいぜ 一緒に待とうじゃないか
香椎さんが人気あるんじゃなくて、特定作品に人気があるっぽいので
特別香椎さんネタを書く気にはなれないかなぁ。
一応、私も香椎さんは最近ちょっと登場させてますけど、ねぇ…。
>>557 全く同意。
求められてるのはとらドラの奈々子じゃなくてこのスレで作られた奈々子だろう。
そういう中で敢えて奈々子モノ書こうとは思わないな。
気分向いたら書くかもしれんが、書くのは私がイメージする奈々子であって、あなたが求めらてる奈々子ではないと思うよ。
559 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 00:34:18 ID:AWcuhl3n
初見で亜美と会長の区別がつかないのは基本だよな!!
確かにね
>>558 別に、棒姉妹・ななこいという作品が好きなだけで、特に香椎奈々子にくくってるわけではないよ。
クレクレ発言は正直スマソ。
進行状況どれくらいかな〜、と軽い気持ちで聞いたんだが、やっぱり良くないっすね。
自重します。
>本日竜児×奈々子さまを発見。栄養補給です。
↑については、とらドラSS漁ってたら、外部にこのCPのSSを発見したので報告(?)みたいな。
竜児×奈々子さまのCPはここでは人気…?ですよね。
ここはお前の日記(ry
ななこいの進行状況は……。
PCが壊れてデータが消えたのでまた書き直しってところです。
ただでさえ忙しくて書く時間が無いうえこんな状態なので、もうちょっと待ってください。
私待つわいつまでも待つわ
いつまでも待つ
だから自分のペースでゆっくりやってください
なるほどあみんと、あーみんをかけてあえてその歌を使ったんですね
ななこい、ムチャクチャ気になる終わり方したんで
続きが見られるようでよかったです。
特定作品だけ欲しがるわけじゃないんですけど、途中で終わってるの多いんで
できれば結末まで見たいですな。
お金払ってもいいくらい好きなのもあるんだけど、応援できないのが逆にもどかしい。
スレも落ち着いたし戻ってきて欲しいですな。
ななこの乳は、じつはなまこなんです
なまこい
ななこい欠乏症だよぉ…
>557さん
別に香椎さん好きは特定作品だけ見たいってわけじゃないけど。
たとえば9Vさんのみのゴン30の香椎さんのおっぱいぷにぷに描写でもあのまま行ってほしかった。
奈々子モノのビッグ3はもちろん続き見たいけど、それ以外でもこのスレで
結構キャラ自体好きになった人多いと思うんだけど、原作以外のSSでキャラ補完したらダメかなあ
原作だけ読んでると大河以外寂しすぎる
576 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 19:10:13 ID:AWcuhl3n
>>564 あ?何?
聞こえなかったからもう一回言ってくれね?
皆さんこんばんは。
流れを切ってしまいますが
[キミの瞳に恋してる]の続きが書けたので投下させて貰いに来ました。
前回の感想を下さった方々、新まとめの管理人さんありがとうございます。
※今回は麻耶視点、自己曲解でキャラが違うかもしれないです。苦手な方はスルーしてやってください。
それでも良ければ読んでください。
では次レスから投下します
[キミの瞳に恋してる(2)]
人が恋に墜ちるキッカケなんて、意外と些細な事である場合が多い。
人それぞれだけど、例えば、カッコいいから、優しいから、一緒に居て面白いから。
十人いれば十通りの理由がある。
私の場合は、優しくて面白いから、そんな理由だ。
恋焦がれた彼を射止めたくて考えうる限りの努力をした。
そして気を惹きたくてバカな事をした…それが裏目に出てしまった、その結果が今の私『木原麻耶』なの。
.
彼と出会ったのは高校入試の日。
あの日、私は試験会場を見つけきれなくて迷い、途方に暮れていた。
今になって考えれば案内の張り紙もあっただろうし、誰かに聞けば良かっただろう、人の流れについて行けば良かった。
でも入試前の緊張で、そんな事なんか考える余裕がなく、ただポツンと立ち尽くす。
それが昔の私の姿。
その頃の私は今と違い『真面目』で、そして…人見知りが激しく、引っ込み思案だった。
初対面の人とは何も話せない、話し掛けられないように俯いている。それが常だった。
徐々に人波が減っていき、焦って顔を伏せたまま周囲を目で伺う。試験開始時間が近付いて更に焦燥する…。
「どうしたの?」
急に頭上で聞こえた声に私は驚いて身体をビクンと跳ねさせた。
男子だ…、どうしよう。
「受験生…だよね? 早くしないと試験が始まっちゃうよ」
何も喋らない私に戸惑いながらも、優しい声で問い掛けてくれる。
これが最後のチャンス、ここで何も言えなかったら受験出来ない。
解ってはいる、けど…けど私は怖かった。
それまで男子が話し掛けてきた時は、からかわれる時か、要件を話す時、そのくらいしかなかったし。
「あ〜…、あはは緊張してる? う〜ん、もしかして試験会場が分からないとか?」
私は恐る恐る頷く、言葉には出来ない、だが意思を伝えないといけないから…。
「そっか、俺も同じ受験生だから心配しないでよ、ちょっと受験票を見せて?」
そう言うと、彼は私が手にしていた受験票を摘みあげて目を通す。
内心、怖々していた。このまま意地悪されて返してくれなかったら…って。
「なんだ、俺と同じ教室じゃん。うん、なら一緒に行こうよ。ほら急ごう?」
「あ…」
その彼は私の右手に受験票を持たせ、左手を掴んで走り出す。
お父さん以外に初めて触れられた…、暖かくて…私より大きな手……。
試験前に廊下を走るなんて…見付かったら印象が悪いんだろうな。
でも確かに開始時間は十分をきっていて急がないといけない。
五分前には席に座っていろって先生も言っていた。
だから、彼に引かれるままついて行く…。
「よし…ギリギリ、この教室だ…あ、俺は先に行くから」
そう言って教室の戸を開けようとする彼に、私は勇気を出して声をかける。
「あ、ありがとう…」
その時、初めて面を向かって彼の顔を見た。
「ん、いいって。お互い頑張ろうぜ」
笑って、ヒラヒラと手を振って教室内に入っていく彼を見ていた。
眼鏡を掛けて、ちょっぴりソバカスがあって…明るそうな男の子だった。
そう、ここまで言えば解るよね? 能登久光だ。
アイツのおかげで私は受験出来たんだ…、あの時、アイツが連れて行ってくれなきゃって思うと…。
私に優しく接してくれた能登に恋をしてしまうのは自然な流れであった。
そして無事に合格し、入学して一週間も経った頃だろうか? 廊下で能登を見付けた…。
『あ…あの時の人だ』
合格してたんだ…。良かった。
どうも隣りのクラスらしい。
その頃には、まだ名前も知らない能登に対して恋心を抱いている私が居た。
高鳴る胸の鼓動を抑え、偶然を装って至近まで近寄り、そのまま通り過ぎようとした…。
その時だ、その声が聞こえたのは。
「なあっ、あの娘…ちょー可愛くね? かなり好みだわ」
窓際にもたれ掛かったアイツがそう言ったのが聞こえた。
私は一瞬、自分の事かな? とか思わず考えてしまう。
「え〜能登って、ああいう女子がタイプなんだ? 意外、ほら…優等生っぽい娘が好きかとばかり…」
彼の横に並んだ男子が驚愕の声を上げ、窓の外を指差すのをチラリと盗み見る。
そうだよね…私みたいな地味なのは…不釣り合いだもん。
チクッと胸を刺す痛みを覚えながらも、その『優等生っぽくない』という人の姿を確認する。
ギャル…か。
そっか、ああいう女子がタイプなんだ…、私とは真逆の……。
「まあ、どうせならって感じ? その前に俺もモテる努力を…」
と、彼が言った事も聞いてしまう。
それは自分にも言われているような気がして…。
今になって考えれば、そこからが私の『ケチ』のつき始めだった。
彼が言った事を勘違いしていたから、ギャルが『好き』とは明言してなかった。
それは二年生になって、亜美ちゃんや奈々子を見る彼の反応から読み取れた。
結果論なんだけどね。
ともかく、この時に初めて彼が『能登』という名前なのを知り、また私が変わるキッカケとなった。
能登に振り向いて欲しくて私は誓ったのだ、生まれ変わってやる、と…。
少女漫画のような展開だけど…うん、私は必死だった、高校デビューしてでもアイツに好きになって欲しかった。
スカート丈を詰めた、髪形を変えてブリーチ、ファッション誌を読み漁って服装を変え、同時にメイクの仕方を覚えた。体型の維持に躍起になった。
勇気を出して、クラスの子と話すようになった、明るく振る舞おうと仮面を被る。
『麻耶って近頃、変わったよね、可愛い』
仲の良くなった娘にそう言われて嬉しかった。能登が好む女の子に近付いたと形になって現われたからだ。
『ありがとう、私も高校生活を楽しもうかなって』
そう笑って返し、生まれ変わる自分に酔い始めた。
親も家で私が『おとなしくしてる』よりは…と思ったのだ、何も言われなかった。だから加速していく、ある程度に止めておくべきだった。
男子達に『あの木原が化けた』とチヤホヤされたから、もう止まらない。
男子達の評価は、能登からの評価にも思えてしまったから…バカな事に…。
そして二年生になり、能登と同じクラスになった。私は驚喜し胸を躍らせる。
『私を見てよ、キミの為におしゃれをした、可愛くなった、…見てよ』
そう目で訴え掛けもしてみた。
それが第二の『ケチ』だ、積極的に自分をアピール出来なかった。
克服した筈の『引っ込み思案』は、アイツに対してだけは直せなかった。
話す事くらいなら出来たけど…。
見目だけ取り繕っても無駄だと悟った時には遅かった。かと言って今さら元に戻す勇気もない。
褒められる事に慣れてない私は手に入れた自分を捨てれなかった。
そして間違った方向に動いてしまう…暴走し始める。
能登と仲良くなりたいが為に、姑息で、他人の気持ちを無視し、誤解を招く行動をしてしまった。
まずは能登と仲の良い男子と仲良くなろうとした、上手くいけば、その子からアイツに伝えてもらえるかも…なんて都合良く考えて。
第一候補は高須くん、一年の時は能登と同じクラスで仲も良いらしい、しかし彼は『ヤンキー高須』なんてあだ名があり、実際に怖かった。
新学期早々、校内最凶生物『手乗りタイガー』と頂上争いをした事もあり、また、私自身の貞操が危ない、と誤解して候補から外した。
次に春田。進級して早々に仲が良くなったみたい、でも論外。春田はアホだから、下手な事を話せば余計な事態を生みそうだ。よって無理。
そして最終的に…まるおだ。
これが第三のケチで、最大の誤算だった。
当初は能登と仲の良い高須くんの親友で、後に友人になる。
けど四月の段階では『友達の友達』という感じだった。
私はまるおに近付き、わざと能登の前でベタベタ…尻尾を振った。
積極性に話し掛け、あだ名で呼び、仲の良さをアピールした。
こうすれば能登が妬いて、私を見てくれる、と勝手に自分の勘定に入れていた。
でも、アイツは気付かない、だからムキになってエスカレートして…我に帰った時には引っ込みが付かなくなっている自分がいた。
それが昨年の十一月位だ。
誰からみても『木原は北村の事が好き』みたいな状況になってしまい、アイツの態度も硬化して…。
まるおの失恋に乗じて誘惑する女、そうアイツに見られてしまっている、それは進行中。
『アイツから気付いてほしい』
自分から告白する勇気が持てず、他人を利用しようとした私への天罰だ。
正攻法ではなく、邪道で回りくどいやり方をした結果。
誰も悪くない、自爆なのだから…。
なんとか状況を改善しようと行動した。
でもそれは私の手前勝手な考えを基軸にしていて…。
まだアイツに想いを『偶然』気付かれる、という方針に固執した。
よく考えればすぐに解る、初めから小細工無しに気持ちをぶつければ、こんな事にはならなかった。
余計に事態は悪化し、能登は私に冷ややかに蔑んだ視線を送り始めた。
そして修学旅行中に『最悪の状況』で『最悪の選択』をしてしまい、能登と口喧嘩し…絶交状態に自ら追い込んでしまう。
自業自得…まさにソレだった。
そこからの私は、アイツに八つ当たりしてばかり、逆恨みしてしまった。
修学旅行が終わった頃だったか?
バツの悪そうな顔をした能登が、私と仲直りしようとしてくれようと近付いて来た事があった。
でも私はアイツを睨み付けて、追い返してしまった。
『何で気付いてくれないの! バカ能登!』
と…自分勝手に、我儘に、他人を巻込んで、まるおと能登を騙して…傷付け、貶め、どんどん瓦解していく。
自分の取った選択が全て裏目に出て、自爆して自縛し…。
進む事も引く事も不可能で、ヤケになって……。
そして今日という日を迎えた…。
修学旅行の事件以来、私と能登は一言も話してない、目も合わせれない、近付く事すら出来ない。
それはもちろん私のせい、解ってる…解ってるけど……今さら言えないじゃん、能登が好きだなんて…。
言っても信じてなんかくれない、アイツに嫌われたんだ私は…。
アイツの背中をチラリと見て、すぐに逸してフッと自嘲の溜息を吐く。
五限目の授業が終わり、能登がフラッと教室を出て六限が始まっても戻って来なかった。
今までそんな事なかったのに…、私は気になって戸をチラリチラリ、何回も見てしまう。
だって…近頃、アイツは憂鬱そうな表情ばかりしてて、絶対…私のせい…謝りたくても意地になって謝れないし……素直になれない。
「能登くん…どうしたんだろ、…ね?麻耶」
放課後になり、まだ主の戻って来ない机をボーッと見ていたら奈々子が話し掛けてくる。
「し、知らない…、あんな奴…どうでもいいんですけど」
話し掛けられるまで気付かず、私は驚いてビクッと肩を震わせる。
すぐにアイツの机から視線を逸し、咄嗟に言い訳…いや、そう言う以外の方法を私は知らない。
「あら…まあ、んふふふ〜可愛いわね麻耶は…、喧嘩した能登くんが気になって気になって仕方無いのね」
奈々子は口元を手で覆い、ニヤニヤしながら見てくる。
「な、なな何が…、ちょっ奈々子、何か勘違いしてない?」
図星な私は慌てて否定する、私が能登に抱いている気持ちを言い当てられそうだから…。
こんな事、誰にも言えない、言ったら軽蔑されるハブられる。最低最悪な私の行いは知られたくない。
能登が好きなのに、まるおに好意を持ってるフリしてる…なんて。
「そうかしら、勘違い…かなぁ? それにしては麻耶は能登くんの事を話してる時って………うふふ♪」
もしかしたら奈々子は気付いているのかもしれない、この前からずっと…こうして事有るごとに…からかってくる。
「だからぁ…何度も言ってるじゃん! ア、アイツはかんけっ、関係無いって…私…私は能登なんて……!」
その都度、私は奈々子に対して嘘をつく…。理由は今まで言った通り、作ってしまった『外面』が『内面』を隠す。
嘘を一つついたら、それの信憑性を崩さない為に、更に嘘をつかないといけない。
積もり積もって…今に至るのだ、打ち明けて相談なんて出来っこない。
「そうなの? クスッ…じゃあ私が能登くんを"慰め"に行っちゃおうかしら………麻耶が行かないなら」
奈々子が小さな声で呟いて身を翻す、それを聞き逃さなかった私は急いで彼女の腕を掴む。
「はぁ!? そ、そんな事したらアイツが調子に乗るし! 行っちゃ…だ、駄目」
だって奈々子が行ったら…敵わないもん、美人で優しいから……アイツはコロッて転がっちゃう。
私の咄嗟の行動に、奈々子はより楽しそうな笑みを浮かべて、私を見下ろす。
「奈々子…もうやめなよ、麻耶ちゃん嫌がってんじゃん」
追い詰められていく私に、助け船を出してくれたのは亜美ちゃんだった。
机に腰掛けて手鏡を見ながら唇にグロスを塗り、うんざりそうな顔で…。
「麻耶ちゃんがそう言うなら、きっとそうなんだよ。能登くんは眼中に無い、別の"誰かさん"が好きって言ってるしぃ?」
そう言ってはいる、けど…亜美ちゃんは絶対に気付いてる。だって…怒ってるもん。
私の『行い』を怒ってる…、だから近頃は……怖い。
「でもさ、麻耶ちゃん。素直にならないと相手は見てくれなくなる、後悔した時には遅いよ…なんてね」
その亜美ちゃんの言葉は私の胸を抉る。強烈に突き付けられた一言だった。
悔しかった…、解りきった事なのに、私だって素直になれるもんなら…なってる!!!
誰も解ってなんかくれない、私の気持ちなんて…、しでかした事…その上辺だけ見て…。
そりゃあ確かに自業自得の大自爆だけど、ふんっ! そうだよ!
なら、このまま突進んでやる! もういい!
思うままにならないから、ムカついて自分の事を棚に上げ、そんな風に斜め上にキレて……情けなくて惨めで、テンパって…。
他力本願な事をして能登が気付くわけない、自分勝手に振り回して利用したまるおに申し訳ない。
奈々子にからかわれてムカつく、亜美ちゃんに諭されて悲しい。
もう頭の中がグチャグチャ、私はどうしたらいい? そしてオーバーヒートして思考が焼き付いて…
『どうにでもなれ』
と、自棄っぱちな気持ちになる。
椅子を蹴飛ばすように立ち上がり、キッ!と能登の机を睨む。
『能登がさっさと気付かないからだっ!! バカ!!!!』
心の中で咆哮し、まるおの姿を探す。
いいもん! 能登が見てくれないなら、本当にまるおの事を好きになってやる!
教室を出て、廊下を見渡す。
居ない、まるおが居ない、何処?
「麻耶!?」
「あ〜あ……」
後ろから聞こえる二人の声を無視し、私は廊下を進む。
頭に血が昇り、憤然した様を周囲に晒しながら……逆ギレそのもの。
校舎内を突進み、生徒会室へと続く渡り廊下の先にまるおの姿を見付けた。
これから生徒会活動なのだろうか?
「まるおーっ!!」
私は大声を出して彼を呼び止める。
「ん? おお、木原じゃないか、どうした」
呼掛けに彼が振り向き、そう言って立ち止まる。
渡り廊下の端から端、20メートルの位置で私達は向き合う。
その瞬間、私は戸惑う。
自棄な気持ち…勢いでここまで来たは良いとして…。
私は本当に今から『まるお』に告白をしてしまって良いのか、と。
さっきまで考えてたじゃん…、…アイツに対しての当て付け紛いの行為を彼に働いて、私は何を得るのだろう。
まるおは『アニキ』が好きだ、今も多分、だから『失恋大明神』なんて自称しているんだ。
誰にも『告白されないように』牽制してるんじゃないの?
それをわざわざ『告白』なんてして…私が得るのは、クラスの仲間との間に亀裂を作る事くらい…。
ただでさえ自分勝手な振舞いをしているのだ、能登が言った事を内心思っている子も居るよ、絶対に…。
ああ、でも良いや、もう。私なんかが今から足掻いたところで、何も変わりない。
何をしたって他人は『木原麻耶』は…自分勝手な奴と見てるから。
自分が招いた事だもんね? なら、さっさと散ってしまおう。
当て付けで彼に告白して断れて、アイツに見下されて、親友二人に影で笑われて……。それしか道が無いんだ。
「今、ちょっとだけ時間…ある?」
………これで良いんだよね?
「まあ…少しなら」
…本当に?
.
その後の事、か…。余り言いたくないな。
じゃあ簡潔に…。
校舎の外まで連れ出して、一思いに言っちゃった…『ウソ』を。
そして私はまるおに『フラれた』よ、それは予想通り。
でも一つだけ…怖い事があった、まるおは……怒ってたんだ。
解ってたんだ、私が『ウソ』をついた事。返してくれる言葉とは裏腹に、その目は……明らかに怒っていた。
私は……血の気が引いていく感覚に襲われて、思わず言い訳して…その場を誤魔化そうとした。
すると、まるおは疑わしそうに目を細めて私を見てくる。
『ご、ごめん! ほ、ほら来月の一日って……エイプリルフールじゃん? その…その予行演習ってか、う…、練習、練習だって!
あれよ、あ、う…ネタバレして練習しても意味無いですしぃ! 無理矢理付き合わせて……本当にごめん!』
そんな…私の下手な言い訳なんて、通用しない。
言葉では言い表せない『恐ろしさ』に私は震え上がる、私が告白した事が気に食わないわけじゃない……亜美ちゃんと一緒だ。
『木原麻耶』がついてるウソなんて見破っていて、…素直になれず悪足掻きして、他人を騙している惨めな様…それが怒りを誘ってるんだ。
それを理解した時、私は謝る事に精一杯。自分の過ちを彼に悔いる事しか出来ない。
そして彼が去った後、私は後悔と罪悪に押し潰され…泣いてしまった。
ただ泣きじゃくる、それは私にとって最後の抵抗で…、懺悔で、自傷だった。
泣けば済む事ではない、けど泣かずにはいられない。
アイツに侮蔑され、親友とまるおに蔑まれる。
もう戻って来ないのだ、数あったチャンスをフイにして、全てを失った。
バカな私に御似合いの結末。
その時だ、私の耳にソレが聞こえたのは…。甲高い金属音が至近から聞こえたの、その方向に目を向けると居たんだ。
この醜態を一番見られたくない奴に……能登に見られてしまった。
動揺を隠せないアイツを見てしまい、私は頭の中が真っ白く融けていく。
「あ…そ、その……うっ」
私の真意なんて誰も気付かない、目の前に示された結果は、私がまるおに告白し、アイツに知られてしまった…その事実だけ。
終わった…、もしかしたら有り得たかもしれない挽回の機会も、何もかも失ってしまったのだ。
真の意味でアイツを手に入れる事が出来なくなった瞬間、そう思った。
「っ…んで、ひっく! なんで? っうぅ!! アンタが…ぐすっ! ……ここに居るのよ!?」
目の前が真っ暗になる。
後悔、罪悪、自棄、自失…そんな感情に呑まれ、気付いた時には能登に噛付いている自分がいた。
どうしようもない自分への怒りを、アイツにぶつけて泣き叫んで…、駄々をこねる子供みたいに八つ当たりしてしまう。
身から出た錆とはいえ、辛かった…辛くて悲しくて…。
でも、そんな時だ、能登が慌てふためきながら、こんな事を言ってくれたんだ…。
「わ、分かった! よ、よし!俺が木原と北村の仲を取り持ってやる!! う、嘘じゃない! 前に横槍を入れちまった事を反省してるっ!!
ずっと謝りたかった!! だから罪滅ぼしっ! そうお詫びに相談も聞くし、手助けするよ!! だから泣きやんでくれよう!!」
胸にチクリとした痛みが走り、そして…それ以上の暖かい気持ちに包まれる。
誤解されたままなのは…痛いよ、胸が締め付けられる程に。でも、まだ切れてなかった縁を見付けて…驚喜して……同時に戸惑う。
こんな私に差し延べてくれた手を、取るべきか否か…躊躇する。
でも、そんなの愚問だ…だって私はやっぱり諦められない。
どんなに嫌われたって…好き…大好きなんだもん。アイツと繋がる最後の細い糸を裁ちたくなんてない!
「すんっ! うっ! わ、わかった…っひう……お願い…私を助けて…っよう…!!」
『臆病な私に勇気を頂戴』
そんな想いを込めて能登に懇願した。
ここで素直にならなかったら、いつ、どこで素直になるんだ。
これはアイツが私に差し延べてくれたチャンス、これを機会にして…少しでも良いから『見て貰える』ように努力する。
...
..
.
泣きじゃくる私を能登は慰めてくれた、あんなに酷い事を言った私に優しく…してくれた。
嬉しかった、義理で接した様子は感じられず、以前のように…優しく私の側に居てくれた。
私はアイツに謝罪した、八つ当たりした事を…。
まだ『形だけ』かもしれないけど、仲直り出来たんだ…、アイツが引っ張り上げてくれた。
チクチク痛む心と、再び巡り逢えた多幸感を胸に秘めて、私は家に帰り自室に籠る。
私が『変わる』キッカケをくれたアイツにメールを送る為だ。
自分の心情、想い、それらをアイツに届けたいから、文章を打っては消し、添削して…悩んで、自然な文体になるよう頭を捻る。
そして、出来たのがこんなメール。
『あんな事があったから、正直、能登のこと今も信用は…出来ない、ごめん。
でも、でも…私も信じられるように頑張る、深い事まで相談出来そうなのは能登だけだから…。
奈々子にも、亜美ちゃんにも言えない事…言えるの能登だけだもん、二人にからかわれたり、ウザいって思われるの嫌だ。
…男子の気持ちを理解したいから能登に教えて貰いたい』
急に『信用してる』なんて変だから『歩み寄りたい』と綴って、アイツへの素直な気持ちを匂わせる。
親友達にも相談出来ないから、頼れるのは能登『だけ』と紡いで、次いで二人きりで逢えるように誘う。
今の私にはこれが限界、止まっていた時間は巻き戻せないから、仲良くなった時の何倍も時間を掛けて進まないといけない。
そして徐々に素直に想いを伝えていって、最後に恋心を告げる。
………変じゃないよね? 不自然かな?
うん、でも…これが私達の開いた距離を縮める最善策だと思うんだ。
そう信じて送信ボタンを押し、携帯を閉じる。
もう私は遠回しな事はしない、ストレートにアピールするんだ。
『見てよ』じゃなく『見させる』
アイツに対して素直になって『可愛い女』になりたい。
私は諦めない、絶対に能登を振り向かせてやるんだから!
続く
今回は以上です。
次回は能登視点で…。
また続きが書けたら、来させて頂きます。
では
ノシ
>>597 予想外の設定だ!
麻耶=まるおスキーが当然の設定だったからこれは面白い
続き期待してます
>>597 本編は正直あんまり読んでなかったんだけど、これは良かった。
続き期待してます。
GJでした!
KARs様待ってました。あなたの作品好きだ!
KARs様素晴らしいです(;´Д`)ハァハァ
初回を読んだ時に「竜x虎と同じような展開?」とか思った私は春田以下でした
まさか麻耶がこれほど強力なツンデレになるとは……、GJです!
602 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 00:04:48 ID:ab+gIQdH
GJ!外面と内面の作りがよくできている
GJ
なんつーかいろいろとらドラメンバーの名前はでてくるが
モノローグ的作品とはいえ、麻耶以外はほとんど背景化してる
次回能登回で、読者的にももう少し惹き付けられる能登が出てきて、バランスが取れるといいな
本編あーみん、竜児よりwktkな俺がいる GJ
「もうすぐ三十路に届いちまう」
すみれは、窓から外を見ながら呟いた。
「Whrt"s up?」
「It"s so fine」
青い目をした同僚の言葉に、微妙にずれた返答をする。気分もまた微妙なのだ。
窓の外は基本的に真っ暗。だが、視点を変えると青い星がが眼下に広がっている。
ごとんと小さな振動。ここからは見せないが、自分にとっての最後の受け取り物資を乗せたHTVが、アームに掴まれた。自分で掴んでみたかったが、やはりそれはプロに任せている。自分は科学者に徹する必要があるから。
ここはISS――国際宇宙ステーション――の中。若くして飛行士の座を手に入れたすみれは、もうすぐ四ヶ月の任務を終えようとしていた。
終って、地上に戻ったら、結婚式だ。辛うじて三十路に間に合う、と心の中で苦笑する。
「ドッキング、完了」
スピーカーから、声。今回も無事に……いや、何かが違う。
「日本語?」
たしかに、今のは日本語だ。たしかにHTVは日本製で、最近は友人飛行が可能になってはいるのだが、ここはISSだ。本来は英語で話すのが通例になっている。
すみれがぽかんとしていると、横にいた技師のスミスが声をかけて来た。
「Sumire,You should open the door,at first」
(どういうことだ? 開けるのは、いつもスミスの仕事のはず)
「Do not afraid!」
「怖がるなって言われ、ああ……ah〜,roger,I'll do it」
おそるおそるノブに手をかけ、回す。思ったよりも重いのは、頑丈な証拠だ。
そしてゆっくりとドアが開く。わたしに開けさせるなんて、向こうに何が待ってると言うんだ?
「お久しぶりです、会長!」
「な”!?」
すみれは、驚きの声とともに、無重力で立ち尽くすという器用なことをやってみせた。
「き、北村……」
「はい。寂しくは、ありませんでしたか?」
夫となる予定の男がそこにいて、ゆっくりと漂って来た。
「なぜ、ここに」
「やだなあ、僕も飛行士のはしくれですよ」
「それはいい。だが」
しばしの間。その北村の姿をみた皆が、全員かたまっていた。すみれ以外は来るのを知っていたのに。
なぜかというと
「何だその格好は!!!!」
ばきっ☆
―――――中継――――――
「竜児、北村君たちやっと結婚だね」
「あの壮絶な告白から、十年か。本当に追いかけていっちまったな」
ようやく手にした小さな病院の二階兼自宅で、竜と虎はテレビに見入っていた。
「宇宙で結婚式なんて、やるじゃないか」
「素敵ね。でも、北村君の顔に、真っ赤な手形が見えない?」
「ああ。まさかとは思うが、北村だしな」
「「やっちまったか」」
二人には、裸でISSに飛び込んで来る北村の姿が、ありありと思い浮かべられた。
////////////
変な英語&空気読まなくてすまんちゃ。
ニュース見てたら、つい書いちまった。
607 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 19:18:50 ID:JtES1Ual
友人飛行…だがそれがいい
>>606 GJ! ところで、この作品は、以前に投下された高須クリニックの続編?
もし違ったらスマンが…
609 :
会いに来たよ:2009/09/18(金) 20:40:57 ID:/Fw5dBLX
>608
アタリ
>>609 俺アンタのSS好きだぜ、また何か書けたらお願いします
こんばんわ。 SS投下させ頂きます。
投下するSSはオリキャラを前面に出してます。
オリキャラ駄目、絶対な方はスルーして下さい。
概要は以下です。よろしくお願いします。
題名 : Happy ever after 第4回
方向性 : ちわドラ
とらドラ!P 亜美ルート100点End後の話、1話完結の連作もの
1話1話は独立した話ですので、今回だけでも読めるかと思います。
ただ、連作としての流れとか考えているつもりなので、
過去のも読んでいただけるとありがたいです。
登場キャラ: 亜美、オリキャラ
長さ :4レスぐらい
Happy ever after 第4回
川嶋亜美は恋の百戦錬磨
と言う事になっているらしい。
私は大橋高校一の格好良い女というのが定説。そんな事当たり前か、愚民ども称えるが良いぞ。
去年までは別の女、前生徒会長てのがちょっと癪だが。
まぁ、大橋高校と言わず、同年代ならTOPクラスである事は自他共に認める真実だろう。
そして、格好良い女は数多くの恋で磨かれているものらしい。
誰が言ったか知らないけど。
私から言ってる訳では無いし、言い訳みたいで面倒くさいので否定もしない。
実際はデートすら1回しかした事がないのだが、みんなの夢を壊すのも悪い。
知らないといけない奴なんて一人で十分、その価値をかみ締めろ! ってもんである。
ただ、そんな訳で時々来てしまう、面倒くさい相談が。
「ちょっと男の子の事で相談に乗ってもらいたい事があるんだけど」
所謂、恋愛相談ってやつだ。
女子高生の日常のかなり大きな構成要素だが…
こっちの方が相談したい所なのだが、私はそんな話をした所で所詮、
”亜美ちゃん、恋愛絡みだったらどんな事だってかない放題だよね”
なんて言葉が返ってくるのが関の山なので大嫌いだ。
話を持ちかけた来たのは、高須くんと同じ秀才クラスのA子ちゃん。
高須くんのクラスに行く大義名分の為、麻耶ちゃんに紹介してもらった子。
背は小さめ。シュートボブで小さい頭を柔らかく飾ってる。
いかにも、か弱くて可愛い感じの女の子、分類的にはタイガーみたいな感じかな。
もっとも本家ほど美少女ではないし、中身が猛獣でもない。見た目そのままの小動物系の女の子だ。
面倒臭さ。亜美ちゃん、人の面倒見てる暇なんて無いし。と、
断りの言葉を捜していると、相手の瞳に涙が溜まっていった。時間制限付きかよ。心の中で舌打ち。
「そうだ!生徒会長とかどう?自称恋愛の神様、失恋大明神って言うらしいよ。
すごい数の相談受けてるって♪」
「男の人に相談はちょっと。麻耶ちゃんにも相談しようと思ったんだけど、
自分の事で精一杯って感じだし……」
「あー、麻耶ちゃんはね。がんばってますって感じだよね」
私だって自分の事で一杯一杯だっての。当然、外には見せないけど。
それにしても祐作、使えない奴。幼馴染に押し付けるプランは失敗。
「話聞いてくれるだけでいいから、お願いします」
すがる様な瞳で見つめて来た。この子には利用してるって負い目があるからな、
それに
私はどうも押しに弱い。助けを求められると断れない節がある。
別に良い人ぶってる訳ではない。実際、生まれつき、善人とはかけ離れた性分だと思う。
ただ臆病な自分を自覚してるだけ、助けてもらいたいだけなのだ。
そう、それは相手の事を思っての行動ではない。高須くんとは違う。
助けを求めてるのはいつも自分。心の中で伸ばしている手をつかんで欲しい。
でも、そんな事、誰も気づいてくれるはずもない。そんな事とっくに諦めてる。
だから、自分を相手に投影して、その雰囲気を味わってるだけ。
そんな偽善者な私だから、こう言うしかなかった。
「役に立たないとは思うけど、話だけ聞くね。ストバで話しよ」
******
チリーンと来客がある度、小気味いい金属音が清冽に響く。
初めは埃のかぶったようなギミックだと思ったベルも、この店に慣れ、
親しみを感じる今となってはちょっとしたお気に入りの一つだ。
店内は大まかに2つに分かれる。
窓際、壁際に配置されたカウンタ席、余裕を持って並べられた長椅子が店の正直さを示していた。
残りはボックス席、高級という程ではないが、座り心地の良さそうなソファがならび、
そのどれもが清潔に保たれている。須藤コーヒースタンドバーはそんな店だった。
私の指定席は窓際、右から3番目。だけど、今日は相談毎を受けるのでボックス席に座る。
A子ちゃんは冷たいカフェラテのショート、それにアイスを乗せてる。女の子ぽい感じ。
私はエスプレッソ、小さいカップが可愛い。けど苦い。
本当は紅茶とか優しい味が好み、近頃は蜂蜜系も好き。甘いから。
でもママは何時もこれを飲んでいる。だから最近は外ではこんなもの頼む。
大人の女はこんな感じの飲み物が似合わないといけない。小さい頃から理想像はやっぱりママだ。
お茶しながら、ちょっとした雑談。
本題に入る前の儀式みたいなもの。服の話とか、アクセの話とか、そんな他愛の無い話をする。
「亜美ちゃん、Rookiesとか見た?」
「見た見た。話題になってたよねドラマ、映画にもなったし」
どんなものだろうと流行どころは抑えないと行けないのだ、仕事だから。
たとえ嫌々でも、恋空だって読んだし。
「ああ言う人たちって格好良いよね。悪ぽいけど、実は情熱的で根は優しい男の子」
「そうだね〜、いたら良いね。うん」
そんなや都合のいいワルなんて、そうそういる訳無いだろと心の中で突っ込み。
実際は遊ばれるのがオチだと思う。
「でしょ。やっぱ男の子って格好いい人もいいけど。性格がいい人がいいよね。
例え外見で素行不良ぽいって偏見持たれてても」
A子ちゃんは熱の入った口調、目をしていた。危険な香り。
ほっといてもいいけど、高須くんに影響されたかなと上手く諭す言葉を捜す。
「そう?けどさ、残念だけど実際はそう言う格好いい人って中々いないよね」
「いるよ! うちの高校でいえば、そうだな、
亜美ちゃんも話してるから解ると思うけど、高須くんとか
私も吃驚したんだけど、話してみたらすごく優しい、清潔感がある声で、丁寧だし。
噂とは大違い。そう、だから、亜美ちゃんにどうしても相談したかったの」
な、なんて無節操にフラグ立ててるんだ、あの見た目ヤンキー、中身おばさん男は。
「高須くん性格悪いと思うよ。以外と気利かないし〜、察し悪いし〜、口うるさいし!」
「そうかな、気配りすごくする人ぽいけど」
「全然駄目。すげー鈍感!。あ、えーと、そうだ。やっぱ見た目怖いのは辛くない。
一緒にご飯とか行きたくないじゃん。そもそも一緒に歩く事すら出来ないかも」
「う〜ん、亜美ちゃんもやっぱそう思うんだ。
実はね、二人で帰ってる途中で同級生に見られた事があるんだけど、その子にすごく心配された」
こんな子と高須くんが一緒に歩く姿、そりゃ誘拐とか恐喝に見られるだろうな って。
え、一緒に帰った?
「ふ、ふ〜ん、よく一緒に帰ったりするんだ」
A子ちゃんは恥じるように下を向くと、ソッと言った。
「時々。近くの公園で待ち合わせて」
どう言ういうこと?そんな話知らない。聞いて無い。
「うちね、花屋やってるんだけど、ゴミとかすごく出るので掃除とか大変なんだ。
自分から掃除はまかせろって、手伝っくれたりもしてくれて。
ただね、怖がって返っちゃうお客さんもいて、彼ショックみたいで」
私はある決意をした。
そう、刺そう。サクっと殺っちゃうおう。↓
「花屋で人相が凶悪って致命的。そこはお互いの為にも考えた方がいいよ」
「私はお店継がないと思うからそれは大丈夫、だけどね、問題は私なの。
大きな飲料メーカーがね、花の品種改良、栽培を盛んにやってるんだ。最先端のバイオ産業
私はそんな仕事に就きたいから、一緒に居てもそんな話ばっかりしちゃて…
それで、難しい事は頭の悪い高校に行ってる俺は解らないって」
あれ同じ高校じゃ…ない?
彼女のテンションも明らかに下がりだした。
「その彼って?」
「中学校で一緒だったの。今は別な高校。最近告白されて付き合いだしたんだけど
お前の夢に何の協力も出来ないって、むしろ一緒にいたら足手纏いじゃないかって」
高須くんじゃないと解ってホッとした。
そうなのだ。あいつなら、別な誰かと付き合うのだったら私に話をしてるはずだ。
その権利くらい今の私にはあるはずだと思う。
だが、私が抱いていた怒りは収まらない。理不尽だとは理解しつつ、A子ちゃんの彼氏に矛先が向く。
能力の問題じゃない。協力なんか要らない。そんな事は自分でするっての。
肝心なのは歩いていく方向を、一緒に見て、歩いてくれるかどうかだろ。
「自分の夢の達成に役に立たない人とは付き合えないの?」
「そんな事ない。それとこれとは別。彼の励ましの言葉だけでも十分」
A子ちゃんは顔を挙げ、涙ではらした目で私を睨んだ。嬉しかった。
「じゃあ、答えは出てるんじゃない? その気持ちを彼には言った?」
「困らせちゃうかもしれないし、劣等感を感じてるみたいだし」
「それも含めて好きなんでしょ。劣等感なんか持っちゃう情けない彼氏なら、
お尻叩いてあげればいいよ。惚れた弱みってね」
彼女は既に自分の答えを持っていたのだろう。ただ自分だけでは自信が無く
誰かに同意してもらいたかっただけ。
「ところで、いくつか質問していい?
その彼氏って、顔も良くなくって、なんかニブそうで、私がイメージするに貧乏そうで、
おばさん体質ぽいけど。一体どこがいいの?」
すると、照れるような感じで返事が一つ。
「優しいところ」
それかよ。こういう女は多い。その大半は自分に酔ってるだけだろうと思う。
だから確認したかった。
「それって、自分が弱ってる時とかタイミング良く言われた結果の錯覚だとかは思わない?
本当の自分を見てくれる人が欲しいとか願望とかあって」
「正直解らない。そういう時に声掛けてくれたし。亜美ちゃんの言う通りかもしれない。
でも、喧嘩しても、嫌いだと思おうとしても、好きのまま。
そういう、自分なりの願望を含めて恋だと思う」
「ぞうかもね、そうだと良いよね」
その時、携帯が着信を告げた。祐作?何ワンギリってイタ電かての。
今はそれどころではない。無視をした。
******
その後、ちょっとした雑談をして、話もひと段落した所でスドバを出た。
ちょうど空は夕日でオレンジ色に焼かれていた。この色はなんだか好き。
結局、恋愛相談と言ってもノロケ話を聞いただけかよ と思いながらも
大人の笑顔を絶やさず、A子ちゃんに別れの挨拶をする。
「話聞いただけで何の役にも立たなくかったね。ごめんね」
「そんな事ないよ。亜美ちゃん自分の事みたいに考えてくれて。
私、3度目の恋だから、失敗したくないんだ。本当、亜美ちゃんは恋の百戦錬磨だね」
そう言って、彼女は足早に立ち去っていった。
足取りの軽さから言って、これから彼氏の所でも行くのだろう。いい景気付けに使われた気がする。
「3度目って、あんたの方が恋の先輩じゃない」
なんだか無性に腹が立ってしまっていた。これも高須くんのせいだ。
だから、償いをしてもらわないと割に合わない。そうだ、ご飯を一緒にしてもらおう。
「だいたい百戦錬磨って……」
携帯を取り出し、高須くんの番号を呼び出す。
「1度の恋でもこんな磨耗するってのに、何度もやったら亜美ちゃん削れまくって無くなちまう」
呼び出しコールが1回、高須くんが電話に出るまで待ちきれない。早くしろ。
私は1回で十分だっての!
END
以上でメインのお話終わりです。
連投ですが、Bパート的な話を投下させて頂きます。
今度の登場人物は竜児と北村のみです。
題名: Happy ever after 第4回 追伸
方向性:ちわドラと言い張る。
長さ :4レス
高須竜児はある頼みをする為、北村祐作を呼び出していた。
亜美に直接謝ろうとも思ったが、それは何か違う気がした。
彼女以外に自分を罰する事が出来るのは、北村だと思った。
亜美に話しが伝わらないよう。彼女の行動範囲外に場所を設定。
また、女子の情報網外である必要もあった。
ラーメン屋 六道はその条件を満たす恰好の場だった。
以前、ここでバイトをしていた櫛枝実乃梨は、現在は受験対策の為辞めている。
そもそも放課後のラーメンは、ダイエット戦士達の前世からの敵であるから、
女子高生が来る事は少ない。
席に座ると同時に、ラーメンを頼む。
メニュー表にはラーメンとつけ麺しか乗っていない。男の世界だ。
禁断の裏メニュー、イケメンも存在すると噂されるが、
それを注文した場面を目撃した人物の証言、頼んだものは目を潰される!
その恐怖から頼んだものはほとんど居ない。
頼み終えた後、竜児は北村に告げた。
「頼みがある。俺を殴ってくれ」
それはまるで、昭和のスポーツ根性ものドラマ、いや発言者の目つきから仁侠映画か、
そんな熱さを伴って、竜児は告げる。ラーメン屋の湿度があがる。
他の客にも伝わる。うわ、青春かよ、でも暑苦しいな。
「おい、おい、物騒な話だな」
「俺の気が治まらないんだ。ケジメがつかね」
「なんか極道ぽい話だな。間違いを犯したから指を詰めるみたいな。
すまん。真面目な話みたいだな。とりあえず訳を聞かせてくれ」
「川嶋を紹介しろと、中学校時代の友達に言われたんだ。なんでも映画のプロモ見て、興味わいたって」と自分の罪を告げるためと竜児は淡々と告げて行く。
「高須と亜美の事知っていてか?」
「否、そこまでは。川嶋と俺が同じ高校だって事も偶然に知ったらしい」
「それで紹介したから、殴れと?」
「いいや断っちまったんだ」
そこまで聞き終わると、北村は拍子抜けした表情で言った。
「いいんじゃないか、芸能人だから会いたいって奴をその度に会わせられないだろう。
亜美にしたって迷惑だと思うが」
「芸能人だからって紹介しろって奴は今までにも何人かいたんだ。
そういう頼みは断る事に決めてたから、今回も同じ対応をとっただけ だと思ってた。俺自信も。
けれど、そいつはお調子ものだか、初対面の時から俺の人相見てもびびらず友達になってくれたんだ。 お前みたいに。
だから、川嶋の外面だけでなく、内面も解ってやれる友達になれる奴だったかもしれない」
北村は何も言わずに、非難の色も、同情の憐憫もみせずに話を聞いていた。
竜児はなぜ親友が失恋大明神と呼ばれているか解った気がした。
「軽い気持ちで紹介してくれなんて頼みだから断る。そう自分に言い聞かせていたんだ。
だが、俺は知ってたはずなんだ、そいつがちゃんと見る目があるって事に」
北村は数秒待ち、続きの言葉が無いことを確認すると静かに言った。
「大丈夫だ、亜美は喜ぶと思うぞ」と
そう言ったかと思うと、携帯を取り出し、素早く数タッチ。
誰に電話を掛けようとしてるんだ、こいつは! と竜児も電光石火で携帯を奪い捕る。
すぐさま液晶を確認。
やはり、亜美と表示されている。小宇宙を燃やし、マッハの速さで電話を切る。
代償に六感のどれかが再起不能になった気がした。
「なんて事しやがる」
「亜美に速報だ」と笑顔で告げる大迷惑。
さすがにそれをやられると洒落にならないので平謝りをした。
「俺が悪かった。罵倒されても、半殺しにされても仕方ないと思ったが、それだけは許してくれ」
「そうか、もったいない。じゃあ殴って欲しいって言う件も無しだな」
そう言って、失恋大明神は破顔した。
「これだけは言っておく。俺は高須を亜美に紹介してよかったと思ってる」
「あいつの友達が増えるのを邪魔している俺がか」
と自虐的な声色になる竜児を尻目に北村は続ける。
「亜美は喜ぶ事こそすれ、非難する事なんてないだろう。
あいつ、お前を落とすとまで言ってるじゃないか」
とふと遠い目をし。そして、竜児の方にゆっくりと顔を向けなおすと、
明日の時間割りでも確認するように
「高須はいつ落とされる予定なんだ?」と聞いて来た。
「お前なぁ、だいたい俺は単なる学生だが、川嶋は女優だろ、釣り合いなんか取れない。
未だに俺をからかってるとしか思えないんだが。好かれるって感覚なんか持ち合わせちゃいねーって」
目つきの所為で培った、好意についての鈍感体質の為、
実感も、自信もない竜児はここぞとばかり、溜め込んだ違和感を吐き出す。
「高須、お前あきれるほど鈍いな」
「いや、お前ほど鈍くない気がする」
親友だけに似た所を持つ二人は互いの為にため息をつき、そのまま静かにラーメンを啜り続る。
その沈黙を破ったのは竜児だった。だがボソリと
「そりゃ、あいつがあれだけ言ってるんだ。頭では理解してるつもりだ。
正確に捉えてるかは解からんが、俺なりには。
だが、あいつは自分の夢をかなえつつある奴で、俺は何者でもない」
「それで亜美に対して、時折、変な間合いを取ったりしようとしてたのか?」
北村は再び溜息を1つ入れると
「高須、釣り合いって事ばかり気にしてたら、大事なものがどこかに行ってしまう事もあるぞ。
劣等感なんて自分の都合でしかないしな。相手には何の関係もないと今の俺は思う」
「なんだか実感の篭った言い方だな。なら、お前も解かると思うが相手の足をひっぱるてのは」
竜児は相手の丁寧に発する言葉、その端から、心底、自分の為を思って言ってくれてる事を
感じていた。
が、実際に相手の人生に影響を与えるかもしれないのだ。簡単には納得出来ない。
なにせ、川嶋亜美は気を使いすぎて空回りする、臆病者だ。
「亜美は大人だ。それを踏まえた上でちゃんと考えて行動してるよ」
「あいつが?子供だろ。つまんない事に拘って、一人で背負い込む。迷子みたいな奴だ」
北村は驚いた顔をした。
「意見が分かれたか。幼馴染の事をこういった意味で否定されるとは。
案外とショックだが、なるほどな」
「なに一人で解かった顔してるんだ。お前は」
なぜか満足顔の否定された側、北村祐作と、どこかむず痒そうな、納得された側、高須竜児。
その後、二人は会話する事なく、ただ無言でラーメンを食べ続けた。
******
ラーメンを食べ終わると、自動的に店を出るしかない。ラーメン屋とはそういうもの。男の世界だ。
例えるなら、空を翔る一筋のなにか みたいなものだ。
「悪かったな北村。愚痴を言っちまっただけみたいだ」
「俺は亜美の幼馴染だが、味方して、付き合えってやれとも言わない。
他の娘の事も高須には考えた上で結論を出して欲しいと思う。
その上で殴られたいというならいくらでも殴ってやる。
安心しろ。俺は失恋大明神で、お前の親友だ。罪悪感は俺が引き取る。
そうだ、最後に言わせてくれ。
高須が女だったら絶対に惚れる!」
突然の告白に、告げられた男は反射的に飛びのく。
「なんでお前は心からこう言う事が言える奴なんだ、悪い意味で」
「女だったら亜美と高須を取り合ってたかもしれん。三角関係だ。いや四角、はたまた五角か?
だが安心しろ。今生は男だからな」
と高笑い。それで気の利いた言葉を言ったつもりかと親友を見るが、夕日を背景に仁王立ち。
天下無敵に自信満々だったので返す言葉が無かった。赤い光が目にしみた。
もう夕方か、正確な時間を知りたくて、竜児は携帯で確認しようと電話を取り出す。
その直後、携帯が着信を告げた。竜児はとっさに出てしまう。
ワンコールだけ呼び出し音がなっていた。
「お、おう。なんだって?今から飯に付き合えって?なんで喧嘩腰なんだ。
無茶苦茶言ってやがる。俺は今、ラーメン食ったばっかりで」
その会話でピンときたのか、北村が言う。
「殴られたいくらい罪の意識があるなら、飯ぐらいつきあってやれ。
亜美だか、逢坂だかは知らないが」
だからと言う訳ではないが、と竜児は胃の痛みを覚悟して、電話の相手に了解を告げた。
そして、夕食が遅れることで、落ちるだろう大河の雷についても覚悟した。
謝罪をしなくちゃならないだろか。オレンジタルトでも作らな。と考えながら。
END
以上で第4回分、全て投下終了です。お粗末さまでした。
新しいまとめサイトの方。保管下さりありがとうございます。
GJ!
0Jp+V6Mm氏GJ。
>ラーメンを食べ終わると、自動的に店を出るしかない。ラーメン屋とはそういうもの。男の世界だ。
なんだろう、心引かれる台詞だ。
GJです!
次回作も期待してます!
GJ
良かったです。
おほっGJ
「亜美んとこの別荘、こんなに凄かったんだな」
「べっつにー。ところで、なんで祐作とふたりになっちゃったわけ?」
「ははっ、偶然だよ」
二人は、浜辺のパラソルの下で、なんとなく海を眺めていた。
海では、大河たち三人が走り回っている。だんだん磯の方に向かってるが、ここは遠浅なので特に心配はなさそうだ。
「ちょうどいいわ。祐作、好きな人がいるなら、はっきり言っちゃってよ」
「また、どうしたんだ、唐突に」
「大河ぁー、こっちこっち!」
磯の方から実乃梨が手を振っている。
浜辺で大河が「まってよー」と手を振り替えし、そちらへ走り出した。
「みーのりーん、んばっ!」
何かに躓いて顔からダイブする大河。後からのんびりついて来た竜児が、やれやれ、とばかりに助け起こす。
「こんなものに躓いたわ」
「なんだ、なまこか。へえ、水がきれいなのかな」
足下には、大きな黒いなまこが一匹。竜児がそれを掴み上げ、「食うか?」と大河に差し出した。
「バカ犬っ! なんでも食べようとするな!」
「残念だな。酢の物にするかと思ったのに」
竜児は、そのなまこをポイと放った。
「あのね、二人ほど祐作のこと気にしてる子がいるの。はっきりさせないと、傷つけちゃうわよ?」
「へえ。一人は亜美だとして」
ピキ! 亜美の眉間に一瞬の青筋。
「あは、あたし以外に二人っ」
「じゃあ、三人か」
ピキピキ! 青筋がふたつ。だが、それ以外には顔に出さないのが亜美たる所以だ。
「あー、あのね、ゆーさく〜」
「そう言う自分はどうなのさ?」
なまこは小さな弧を描き、偶然にも実乃梨の背中に乗っかった。
「う、うひゃ! ななな、なにこれ、ユーレイ!?」
じたばたする実乃梨。
竜児が「あ、すまん」と、慌てて追いかけて、どぼんとこけた。それにつられてて大河もどぼん。
「う、うわ! 二人とも消えちゃったよ、ひえー、なにこれ、キモっ!」
実乃梨はとっさになまこを掴むと、鍛え上げたその強肩の全力で空に投げた。
なまこは そらを とんだ
「えー、亜美ちゃんはずかしー」
「あははっ、なんだ、自分も言えないじゃないか」
「祐作の意地悪ー。あーあ、せっかく高須君とふたりで……」
ピキピキピキ……失言。
なまこは とんでいる
「高須、竜児、なのか?」
「ち、ちがうよ」
「へぇ、意外だな。でも、あいつは大河が……」
「ゆーさくだってー、会長がー」
「え、あ、なに言ってんだ!」
がばっと立ち上がる北村。
なまこは まだまだ とんでいる
「な、なーんだ。なまこか。あははは、びっくりしたぞー」
実乃梨は大げさに笑った。
「すまんすまん、大河が踏んじまって」
「放り投げる奴が悪い」
「あちゃー、あたしも投げちゃったよ」
なまこは くうちゅうで とまった
「へー、図星なんだ」
とっくに知ってたけど、と思うが黙っている亜美。
「そんなことより、自分もはっきりしないと、逢坂や高須に……」
「うっせーっての!」
ぶちっ!
亜美もがばっと立ち上がった。
なまこは おちてきた
ずぼっ!!
立ち上がった亜美の、水着の胸の谷間に、なにか黒いものが飛び込んだ。
「………ナニコレ………?」
「?」
「うぎぁあああああああああああああああああああああーーーーーーーー!」
「いま、あーみんの悲鳴がしたよね?」
「したな」
磯辺の三人は、浜の二人にむかって走り出した。
「ゆ、ゆーさく、たたたたすけてぇ」
「わかった、今たすけるから!」
北村はなんとかなまこを取り出そうと、水着に手を突っ込んだ。
「ちょ、ちょとなななぁーーー」
「暴れるなって。もうちょとだ」
もがけばもがくほど、なまこは奥に潜り、それだけ北村の手も奥に。
それにつれて、水着が脱げて来た。
「きゃー、たす、たすけてー」
「動くなって!」
ばしゃばしゃばしゃ。
走って来た三人は、北村と亜美の姿を見付けた。
が。
「き、きたむらクン……」
大河が、その場にぶっ倒れた。
後の二人も、呆然とふたりの様子を見ている。
「なにしてんだ」
りゅうじが どうにか くちをひらいた
どう見ても、北村が亜美を襲ってるようにしか見えなかったわけで。
「あー、あたしは、なーんにも見てないぞー。あは、あははっ!」
「そそ、そうだな櫛枝。なんにも見てない」
実乃梨と竜児は、倒れた大河をふたりで抱えると、去って行った。
「なんとかして〜〜〜」
「……」
助けを求める亜美と、塩みたいに固まる北村。
で、不幸ななまこは、妙にぬるくてキツい隙間――亜美のヘソの下――でもがいていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
真っ昼間からアホなのをすまん
なまこネタキタ――(゚∀゚)――!!
あれ?でも、これ奈々子様じゃなかったっけ?
でも、GJです。
臍の下?へその下にあるものってもう後は一つしか・・・
630 :
98VM:2009/09/19(土) 17:37:14 ID:lIXLs1Pr
0Jp+V6Mm様、どんどん上手になられてますね。
とても楽しめました。次作、お待ちしてます。
こんばんは、こんにちは。 98VMです。
そろそろ次スレかなぁ〜という事で、梅ネタもってきました。
まだちょっと早かったようですけど、投下しますね。
埋め共通時系列、3レス。
鬱蒼と茂った密林の奥から見上げる空は。
木々の緑に遮られて、その奥に広がる空が、白いのか、青いのか、わからない。
ただ、森の奥が暗ければ曇りで、少し見通せれば晴れだとわかる。
仲間に出会うことさえ稀な深い森。
孤高の王者は、独り空を見上げる。
そこには―――
高層ビルの航空識別灯がゆっくりと瞬いていた。
星の光でも見えたのならば、少しは慰めになったのだろうか?
しかし、空は無常にも墨を流したように真っ暗で。
手を伸ばしても、果てしなく…真っ暗だった。
深い森の中
空を見上げる王者には、やはり空は遠すぎる。
だから、当たり前なのだ。
天駆ける竜には
この牙も、この爪も届きはしない。
きっと、
きっと、初めからそうだと、決まっていたんだ…。
埋めネタ 〜手乗りタイガーの嵐のちくもりの夏の夜〜
将来を約束したものの、現実を見つめなおした結果、色々と自重して3年。
結局一人では何も出来ない自分が嫌になって逆ギレしてから僅か3日。
そして、かつての仲間たちがみんな揃うのに行かないわけにはいかぬと言い訳して、たった3日で前言を翻すことになった。
あまりといえばあまりの情けなさ。
そして、それ以上に、いかに自分が彼に頼りきっているかを思い知る。
だからだろう。
楽しくやっているようで、きっと私は凄くイライラしていたのだ。
自分自身に対して。
だから、それは完全に八つ当たりだった。
彼を一人で追い返して…
それを咎めた友人を、ひどく傷つけてしまった。
あるいは、みのりんが居たなら、馬鹿な私を止めてくれたかもしれない。
けれど、もう言ってしまった。
時間は戻せない。 取り返しはつかない。
私は彼女を酷く傷つけてしまったのだ。
初めて見る瞳だった。 …あれは……憎しみ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふん、そんなに欲しいんなら、あんなエロ犬、いくらでもくれてやるわよ!」
「……あんた、何言ってるかわかってんの?」
「あ、あたりまえでしょ! あんなバカ犬、私はもう要らないの! あんなの居なくたって、私は独りでやっていけるんだから!
そうよ、お望み通りエロ犬同士で盛ってればいいんだわ! あんたなんか、どうせソレしか頭にないんでしょ!」
「…そう。 あたしに向かって、そんな事言うんだ……。 まるで相手にしてもらえなかったあたしに……言うんだ…。」
「…! う、ぁ、そ、そんなの」
「解った。 もういいよ。 そんな風に思ってたんだ。」
「え? あ、ぅ…」
「知らないよ? 高須君だって、少しづつ変わってる。 …大人になってるんだ。 三年前のようには行かないかもね。」
「………」
「サヨナラ。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
捨て台詞よろしく吐かれた彼女の脅し。
―竜児を失うかもしれない―
そんな恐怖を抱かせる言葉。
…けれど、違う。
彼女の姿が見えなくなったとき、胸を襲った恐ろしいまでの空虚さ。
何かが完全に失われた時の狂おしいほどの寂しさ。
取り返しのつかない事をしてしまった時の激しい後悔。
すべてごちゃ混ぜになって襲い掛かってくる。
涙が噴き出した。
いつの間にか地面が目の前にあった。
雄叫びのような泣き声が、深夜の公園に木霊した。
―竜児を失うかもしれない―
違う。
…この胸の痛みは、この涙は、違う。
そうだ。 私は…
―川嶋亜美を失った―
時間の感覚が無くなって、とぼとぼと公園を出た時にはとっくに終電は無くなっていた。
行く場所は無い。
行きたい場所も無い。
高層ビルはまるで墓標のようで、気鬱になる。
林立する建物を下から見上げると、近頃は嫌な幻想に悩まされていた。
密林の幻想 ………今夜は特に激しい。
涙は枯れたのか、ようやく溢れ出るのを止めたようだ。
時々、赤い文字が通りを流れていく。
こんな時間でもこの街はせわしなく生きている。
周りのもの全てが面白くなくて、通り過ぎる車に悪態をつく。
まるで、リストラされたサラリーマンのように。
けれど、そうでもしないと、胸が苦しくて崩れてしまいそうなのだ。
みんなには黙っていたが、実は卒業してからも、何度か彼女を呼び出したことがある。
きまってそんな時の用事なんて、実質ただの愚痴なのに、呼び出せば大抵彼女はやってきた。
今はもう暇モデルでは無い筈なのに、だ。
お礼なんて言った事が無い。 つい喧嘩腰になってしまうのは、今思えば甘えていたのだろう。
やっぱり、私はガキなのだ。
彼と、高須竜児と…
手を携えて行くにはまだまだ足りない。 届いていない。
『愛してる』なんて、言うだけなら誰だって出来る。 好きになるだけなら誰だって出来る。
けれど、何をどうしたらいいのか分からなくて…
いつもそんなガキの背中を押してくれたのは、見守って、助けてくれたのは、
みのりんや、北村くんや、ばかちー……だった。
また、空を見上げる。
もう、この手は届かないのだろうか?
全てを間違えてしまったような気がして漆黒の闇に手を伸ばした。
闇に手が溶けていく幻想。
しかし、車のライトがその手をまた浮かび上がらせる。
…手はまだそこにあった。
通り過ぎる筈の車が真横で止まる。
不審に思って虚ろな目を向けた。
いかにも高級そうな外車の後部座席の窓がスルスルと下がって、その奥に見知った顔を覗かせる。
「あんた、何してんの? 天体観測?」
「え? …ばかちー?」
「とっくに終電ないでしょ? ってか、そっち方向は暫く駅ねーし。」
「な、な、なん…」
「乗りなよ。 こんな時間に一人歩きは流石のタイガーでも危ないって。」
「え? で、でも…」
「あんた、今日は手持ち少ないんでしょ? タクシーも乗れないんじゃない?」
「な、バカにしないでよ! それくらいはあるわよ!」
「あっ、そ。 でも、折角だし、乗っていきなよ。 お金もったいないじゃん。」
ドアが開かれ、なかば強制的に車に引っ張り込まれた。
それよりも、なぜばかちーがここにいて、私に話しかけているのか、理解できない。
恐る恐るばかちーの方を見た。
彼女の表情は読めない。 ただ、その瞳から憎しみの色は消えていた。
「む、迎えに来させたの? い、いい身分よね。」
なんで、私はこう、ばかちーと話すと喧嘩腰になるんだろう。 最低だ。
「ふん。 当然じゃなぁーい? ま、これが亜美ちゃんクオリティってやつ?」
「いってろ…」 「ふふふふ。」
「………」
「………」
それから気まずい沈黙が続く。 早く謝らなくちゃ、と思いながら、言葉が出ない。
そうこうするうち、先に口を開いたのは亜美だった。
「さっきは… ごめん。 あ、あと、最後のは冗談だからっ。 ほら、亜美ちゃん、ちょーモテモテで、逆ハーレム状態だし…。」
「だから、あたしの方こそ、あんなヤンキー面のおばさん男なんかいらねっつーか…うん。 そう、からかっただけってか…。」
「ばかちー……」
胸が熱くなる。 あまりに申し訳なくて、声が詰まって、それ以上何も言えなくなる。
「うっ。 うぅ… うぁぁぁぁぁぁ」
そして、もうどうしようもなくて、恥も外聞も無く泣きながら抱きついてしまった。
「なっ、ちょっ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
「な、なんなのよ、もう………」
「うっ うっ ご、めん、な、さい… ごめ、ん、な…… うっく。」
「はぁ… もう、顔ぐしゃぐしゃ。 みてらんねっつの… ばぁーか。 ……うふ…ふふふっ。」
「ぐしゅ… ぐしゅ… ………ちん!」
「うわっ! キッタネ! なにすんのよ!このバカとらぁー! このジャケ日本未発売のブリオーニなんだからね!」
「…感動のシーンなんだから、いいじゃない、けちけちすんな。」
「ケチじゃねーっつの! 120万よ、120万! クリーニング代よこせーー!」
結局、喧嘩せずには数分ともたない二人だった。
おわり
634 :
98VM:2009/09/19(土) 17:44:41 ID:lIXLs1Pr
以上です。
最近、ドリーム○ラブなるゲームを買って、初めてツンデレキャラに惚れました。
魅杏かわいいよ、魅杏。
はっ! べ、別にファッションモデルが好きって訳じゃないんだからね!
というわけで、私の書き物であーみんが優遇されてるのは『仕様』です。
お粗末さまでした。
>>634 GJ!!! ちわトラの絡み大好きだなー
さぁ次はラブプラスのツンデレキャラに手を出すんだw
637 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 23:16:23 ID:N0AjCGVf
98VMさんのローマ編はあれで終わりなんですか?
>>634 相変わらずのクオリティー、GJ
亜美が失言した後、くよくよし、車で大河を探してる姿が文脈から溢れてる!
単に亜美好きの妄想ですが…
後、地の文の雰囲気がいいですね
640 :
名無しさん@ピンキー:2009/09/20(日) 10:21:30 ID:9PTN9XLr
>>639 んなもん文体とか作風でわかるお
二次創作小説投下する人は他の作者の真似することを異様に嫌うから自分のオリジナル文体を維持するもんだ
川嶋原理主義者だし
ここはホントあーみん好きが多いよね
次いで奈々子様
どうなってるんだw
そろそろ新スレ?
退場事件から2日後の月曜日。春真っ盛りの陽光。布団干せば良かったかな、
と考えつつ、竜児は登校するため、自宅の階段を降りる と。
「おうっ……逢坂」
大河が待ち受けていた。腕を組んで、屹立している。なんか不機嫌っぽい。
「竜児!今朝わたしの事起こさなかったでしょ?……無視したわね。遅刻したらどうすんのよ!」
「す、すまねえ、逢坂。そうだった、そういう約束だったな……すまねえ」
蔑視した顔で、ケーッ!と唾を吐く真似をする大河。 ケーッ!またやった……
「いつまでウジウジしてんのよ竜児!マイナスオーラ放たないでくれる?有害よ、有害!」
凹んでいる理由は大河も知っているはずだ。竜児は突っかかってしまう。
「ひでえな!俺は、ガラスのハートなんだよ!相変わらず容赦ねえな、逢坂っ」
大河はまるで、外国人のように両手を広げ、オーバーリアクション。ワーッツ?
「なに甘えてんだっ、これでも遠慮してんのよ。オブラートに2重3重は包んだわね。
気を遣って自粛したんだから……それとも再起出来ないくらい罵倒してやろうか?」
「……やめてくれ、想像しただけでも俺の生命活動が停止しちまう……」
大河には腕っ節でも、口喧嘩でも叶わない事を悟る竜児。
萎れるように意気消沈する。逆に胸を張り意気衝天する大河。奇跡のシンメトリーだ。
「はんっ!みのりんの為に引導を渡さないでおくわ。竜児、あれからみのりんにメールしたの?」
何とか歩き出すまでヒットポイントが回復した竜児。まだ表示はオレンジ色だが。
「ああ。結局、例の試合は勝って、そのまま勝ち進んで、昨日も決勝まで行ったらしいな。よかった」
自分が責任追わされたり、嫌われるのは構わないが、実乃梨が周りに非難されるのは、辛い。
「準優勝だったんでしょ?それくらいわたしにもメール着たわよ。他には?」
大河は進行方向を向いたまま話しかけてくる。パチンと携帯を閉じた。小さいくせに歩くのが早い。
「心配してるとか、気にすんなって感じの内容だった。とりあえず “心配御無用” って返信した」
「なにそれ?味も素っ気もないわね……ったく、しょうがないから、フォローしてあげるっ。
一肌も二肌も脱いで、挙句の果てにはまっぱになっていいくらいの不退転の覚悟を決めたわ」
「逢坂、お前、いい奴だな……しかしまっぱにならなくてもいいと思うぞ」
大河のドジパワーを竜児はまだ知らない……知っていたとしても止められないのだが。
「勘違いしてない?だから、みのりんの為なの。ご利用は計画的に!それにこれは取引だから。
竜児もわたしと北村くんのためにキリキリ働くのよ!資本主義の基本は、等価交換でしょっ」
「わかったわかった、逢坂。ありがとうな……おうっ!櫛枝がいねえよっ」
いままで待ち合わせしていた交差点に、実乃梨の姿が無い。携帯で時刻を確認する竜児。
時間も遅れてないのに……まさか……
「みのりんは急遽、部活の朝練なんだって。今朝メールが着たのよ。着なかったら寝坊してたかも。
そうそう、ウジウジウジ竜児にもヨロシクって書いてあったわ。忘れずに伝言したからね」
「……その伝言には、お前の悪意がだいぶ混ざってるような気がするな……大河よ」
そう呼ばれた瞬間、大河はUターン。見下したような目で竜児を見据える。
「はあ?なに呼び捨てにしてるのよ、この青二才が!……一億年と百メートル早い!!」
「メートルって何でだよ。問題ないだろ?大河だって、呼び捨てじゃねえか。等価交換なんだろ?」
ケーッ!またまたやった。大河は流行らそうとしているのだろうか……
「いいわ、みのりんを実乃梨!って呼び捨てにできたら許可してあげる。それまでは大河様ね」
「櫛枝を?無理だ、呼び捨てにして嫌われたらどうすんだよ。ついでに大河様も意味わからねえ」
どさくさにまぎれて、従属関係を締結しようとした大河を弾劾。大河はまた進行方向へ向き直る。
「なによ、つまんないヤツっ、このウジウジウジウジウジ竜児」
「……ウジが増えてるぞ……だいたい大河だって、北村の事、呼び捨てに出来ねえじぁ……おうっ」
北村というワードは、禁忌だったのだろうか……調子に乗ってしまったか……後悔先に立たず。
「なにか言った?言い返した?さっきから生意気よねぇ。フォローしてやるって人間に失礼よねぇ……
あんた立場わかってるの?しつけがなってないわね……調教してやる!……ぅおらあああっ!」
「おおうっ!バケツは投げるモノじゃねえっ!アブねえよ!やめろっ!」
「待ぁてくぉぉおらあぁ!竜児っ、逃げるな!!」
走って退避する竜児。フンっ!大河は吐き捨て、持ち上げたゴミバケツを元の場所に戻す。
「……元気になったじゃない、竜児」
と、大河は小さく呟き、竜児を追って駆け出した。
その頃、学校のミーティングルームでは、女子ソフト部の監督と3年生が集結していた。
土日の大会で、大橋高校女子ソフトボール部は準優勝。ゴールデンウィークに開催される、
関東大会予選への出場権を勝ち取った。……しかし焦眉の問題が発生。部長のスキャンダルだ。
おとといの初戦で、見逃し三振をした実乃梨。そんなピリッとしない実乃梨を監督は、
交代させ、その後の試合もずっと、ベンチウォーマー化させた。
そして昨日の決勝戦の後に、部員全員を個人面談をした。
すると、新学期になってからの実乃梨がおかしい。そんな告発が相次いだのである。
証言その1
『確かに見たんですっ。始業式の日、通学路でキキキスしてましたっ。わたし見とれちゃって、
部長とヤンキー高須に、間違いないですっ。あの眼で睨まれたら抵抗出来ないかも……うふっ』
証言その2
『男子部員に聞いたんだけど、部長。ミーティング後の決起会を欠席したでしょ?あれって実は、
ヤンキー高須に連れ去られたらしいよ……恐ろしい……心痛、察するに余りあるわ……』
証言その3
『ねえねえ練習中、スケ番、手乗りタイガーとヤンキー高須、一緒に、観に来てたよね?
櫛枝部長の事、なんか執拗に威嚇してなかった?気になっちゃって、練習できなかったわよ』
証言その4
『この前さ、仲良し夫婦〜って感じで、通学カバンの紐を片方づつ持ってた。ラブラブよね〜。
ん〜っ、よく見たらお似合いの二人だけど……ヤンキー高須の強制交際って……マジ?』
━━関東大会予選は、県代表校を決定する強豪校だけのリーグ戦。ミスは許されない。
主力メンバーである部長、実乃梨を補欠にさせる事は、戦略的に考えられないのだが、
このままの環境では、実乃梨を出場させられない。
ヤンキー高須に、大事な実乃梨を奪われたままでは。
3年以外は今はグラウンドで自主トレ中だ。
実乃梨は三振してしまった分、部長の威厳を取り戻そうと、張り切っていた。
「……じゃあ、いいわね。全会一致ってことで……」
今日は本来、放課後の練習はない。ないのだが。
「今日の放課後、このメンバーで櫛枝部長を呼んで話し合いましょう。解散っ」
***
カレーにするぅ?
「おうっ!」
昇降口に着いた竜児は、上履きを出そうとした時、下駄箱の異変に気付く。
「どうしたの?竜児……今何か隠したでしょ?何が入ってたの?」
「いや……その、何かだ」
上履きを出さずにバタンと下駄箱の扉を閉めてしまう竜児。明らかにキョドっている。
大河でなければ、陽性反応が出た、危ない準構成員が学校にいると通報していた事だろう。
「……先に言っておくけど、竜児。まさか、変な期待してないわよね?手紙だとしたら、
注意しなさい。あんたの場合、果たし状や、不幸の手紙、殺しの依頼ってのも考えられるわ」
竜児の心は、桜色から、一気にドン底ブルーに塗り替えられてしまった。竜児の動きが止まる。
スキありっと、大河はジャンプ。竜児の下駄箱からヒョイっと手紙を取り出す。
「っと、どれどれ……ほうほう……むむむ……へえええっ……ほらよっ、竜児。返すわ」
バシッと、胸に乱暴に叩き付けられる。竜児が動き出した。
「……ハッ!た、大河っ!俺まだ読んでねえのにっ!」
「この件だけど、あたしは手を退くわね。自分でなんとかしなさいっ、じゃあね竜児」
「大河……」
見送る目線を手元に戻す。手紙の内容は、
『はじめまして高須さん。ピンチです。1、2年の部員は応援してます。部長をよろしく♡』
「ピンチだと?俺が?……どこの部長なんだ……」
どっかの部長からの脅迫状と勘違いしてしまう竜児は、やっぱり鈍いのであろう。
***
いろいろあったはずなのだが、一瞬のうちに1日が終わり、放課後になる。
朝に続き、放課後の今も学校のミーティングルームでは、女子ソフト部の監督、3年生が集結。
そろそろ、実乃梨を呼び出した時間になる。落ち着かなくなる面々。
「監督……やっぱり止めませんか?もし相思相愛だったら、可哀想な気がしますけど……」
「今さら何言うんですか。あの櫛枝が、三振したんですよ?悪影響が及んでいるのは明らかでしょ」
「そうですよね……強制交際だったら逆に可哀想ですよね。これは良い事よね……」
ザワザワ囁きあう会話も、だんだんボリュームが小さくなっていく。そして、
コンコンッ
部屋の扉をノックする音。全員息を飲む。どうぞ、と監督の声が、部屋に響く。
「失礼しま〜っす!櫛枝っす!」
ペコリと一礼。実乃梨が、完全にアウェーのミーティングルームに入って来た。
あれ?いつもと違う。裁判所のような、静謐で厳格な重い空気を読み……実乃梨の笑顔が消える。
どうやら用意したハゲヅラ(坊主になって反省の意を表しますっ)や、
血糊(私がこんな身体なばかりに、迷惑かけ……ゴホッ!ひいいっ血が!)
……等のジョークは、使えないようだ……
「櫛枝部長、座って」
コーチに促され、実乃梨は席に着く。
まるでコーチが裁判長、先輩の3年生が裁判員……裁判所の法廷さながらの緊張感。
被告人、櫛枝実乃梨17歳。起訴状の朗読が始まる。
「コホン。時間もないし、短刀直入に言うね。櫛枝部長。高須竜児くんの事なんだけど、
その……お付き合いしているのよね?……悪いけど、しばらく別れてくれないかな?」
実乃梨が跳ねた。てっきり、見送り三振を糾弾!!と思ってたが……動揺しまくった。
「はえっ?竜……高須くんですか?別れる?なんの事?な、なんなんですか?」
まだ付き合っていないが、実乃梨はもっと、竜児の事を知りたい……と思ってるのは確かだ。
「質問を質問で返さないっ……その様子だと、高須くんと仲が良いのは間違いなさそうね……
この前の試合で、その高須くんが、相手のピッチャーや、球審を睨みつけたよね。
困るんだよね。ああいう行為。部長は調子崩すし、ピッチャー倒れるし」
異議ありっ!!
「お言葉ですが監督。試合のあと気になって、相手チームのピッチャーと話したんですけど、
追い込まれた緊張感が原因で気絶したって聞きました。脳貧血です。タイミングが悪くて、
球審には高須くんが悪いと、勘違いされちゃいましたけど。高須くんは関係ないんです」
「そうだとしても、あの後、もし試合が中断になって、失格になったらどうしたんですか?
タイミングが悪いとはいえ、球審はヤンキー高須が原因だと判断しているんですよ?」
まった!!
「高須くんは、ヤンキーじゃありませんっ、違うんです」
「いえ、ヤンキーに見えるのが問題なんです!誤解されること事態、問題があるんです。
櫛枝部長、あなたは部長なんですよ?部長のあなたが、問題を起こしそうな人物と、
親しいだけで駄目なんです。交際相手は自分の立場を考えて慎重にしてください」
「な……」
何で……見た目が誤解されやすいだけで……
「ハッキリ言います。高須竜児と、ソフト部、どちらか選んで下さい。他の部員の為にも!」
「いきなり言われても!……わたしは……」
比べるものじゃないし……選べないっ……それに、どっちも。
「部長。なんで悩むんです?簡単じゃないですか。部長は前に言っていたでしょ?
決意したって。見返してやるんだって。それとも決意が揺らいでいるの?」
決意した……そう。小学生の頃、実乃梨はリトルリーグチームに所属していた。
その時、実力を認められず、女という理由で、差別を受けた。
イヤだったのは、くやしかったけど、でも納得してしまう自分もいた事だった。
そんなヤキモキしていたある年、オリンピックが開催された。
世間は、女子マラソンの国民栄誉賞で一色だったけど、実乃梨は違った。
女子ソフトボールの日本代表チームが銀メダルを獲得した。
とにかく強かった。格好良かった。予選リーグ全勝、そして決勝でサヨナラ負け。
……負けたけど感動した。泣いた。震えた。そして頂点を目指すと、実乃梨は決意した。
ガタッ!
ミーティングルームの扉が揺れた。ちょっと押さないでっ……小声が聞こえる……
どうやら扉の向こうには他の部員が聞き耳を立てているようだ。さしずめ傍聴人というところか。
よしっ決めた!実乃梨はサイコロックを解く。
「わかりましたコーチ。決めました。わたしは……」
わたしの想いを 『つきつける』
くらえっ!!
***
竜児は、校舎裏の庭園、自称高須農場にたたずんでいる。
この前、耕した畑に、サツマイモの種芋を植えているのだ。いろいろ回想し、考えながら。
おととい。竜児は、実乃梨と女子ソフト部を応援に行ったが、逆に迷惑をかけてしまった事。
そして今朝、大河に後押しされたが、暫く、もう少し距離を置いたほうがいいんじゃないか、とか。
……ハンパに悩んだだけで結論は出ず、今日一日、実乃梨とは何度か目が合ったのだが、
会話に発展しないで、挨拶くらいしか話をしなかった。ここ数日の急接近の事を考えると、
とても不自然だったと思う。自販機前にも行かなかったし、お昼も能登と春田と3人で食べた。
……いや、それが案外普通なのかもしれない。いままで出来過ぎだった。
でも、やっぱり、竜児は実乃梨と話したかった。もっと近くにいたい。仲良くしたい。
しかし話すほど、近づくほど、仲良くするほど、今は迷惑をかけるような気がするのだった。
ジレンマ……
「実乃梨……」
なんとなく竜児は呼び捨てにしてみた。サツマイモを持つ手が止まっている。
西日が強く、遠赤外線を浴び、竜児はノドが渇きを感じている。
そんな畑に、ひときわ長い影が近づいてくるのを、竜児は気付いた。
「竜児くんっ!やっぱりここにいたんだ……今日は何してるんだい?」
「おうっ……実……櫛枝。種芋を植えているんだ。ベニアズマ……サツマイモの種芋だ」
種芋を実乃梨にかざす竜児。眩しいのは西日のせいだけなのか。眼を細める。
「本当に作るんだ。すごいよ竜児くん!普通栽培しようと思わないじゃんよっ、
わたしイモ、超大好き!焼いてよし、蒸かしてよし、揚げて蜜に絡めてよし!
ああ〜、今から気が急くねぇ」
Y!M!O!イモっ!っと、両手でアルファベットを形どる実乃梨。その笑顔に竜児は恋い焦がれる。
「収穫は秋だけどな。そうだ、櫛枝。秋に収穫したら何株かやるよ……そうだ?今日は部活は?」
「今日はミーティングだけになったんだ。明日からまた日本一目指して練習だいっ」
にっこり笑顔を咲かせる実乃梨。憧れた。その笑顔を枯らしたくはない。
「そうか、頑張れよ。それと……なんか今日、シカトしちまったみてぇな感じになって、悪かった。
おとといの試合の事、やっぱ気になってさ、あん時はごめんな、お前に迷惑かけちまった」
実乃梨はしゃがんでいた竜児の真横に同じようにしゃがみこむ。実乃梨の匂い。近い。
「ううん。竜児くん、ぜんぜん悪くないじゃん……わたしこそ、ちゃんと部活のみんなに、
竜児くんのと事、説明してなかったから……竜児くん傷つけちゃった。本当にごめん……」
「櫛枝だって、ぜんぜん悪くないだろ?俺は顔の事でいまさら傷ついたりしねえよ。
それより、俺は俺の顔のせいで、お前に迷惑かけたり、誤解されたりするのが……その、」
「……竜児くんってさ。やさしいよね。竜児くんの半分はやさしさで出来てるよねっ」
「そ、そんなこと初めて言われたな……そして2度と言われないと思うな……」
「うふふ、そんな竜児くんのこと、クラスメートの誰も知らないんだよね。やさしくて、
お掃除上手で、料理も美味しくって……ちょっとなんていうの?なんか優越感、感じちゃう」
褒め過ぎだ。コレ以上褒められると、竜児は悶え死ぬ。しかし追い打ちを掛けられる。
「竜児くんのお嫁さんになる子は、幸せだね」
━━トドメだった。実乃梨に悪気はないのだが。
「実乃梨っ!!」
「な、なんだい?竜児くんっ!!」
口をパクパクさせ、次の句が発せない。真正面で目が合っている実乃梨の眼差しに、
微笑み以外のなにかがあるのがはっきりわかって、ふいに時間が止まり……動き出す。
「なあ、実乃梨……お前さ」
「うん?」
「か、彼氏とか、いるのか?」
何も考えていなかった。いや、考えていた事が口に出てしまった。やっちまった。
実乃梨は黙っている。竜児の持つシャベルが震えている。心臓の鼓動が大きくなっていく。
「今度の関東予選……わたし、竜児くんに応援して欲しいな。そしたら、頑張れる気がするの」
「えっ……えぇ?……ああ、俺だって、実乃梨に頑張って欲しいし、応援したい……
でも、実乃梨。そんな事したら、また……俺はお前に迷惑掛けたくねえよ」
予想外の返答に戸惑った竜児だったが、落ち着いて声を絞り出した。
「あのさ、わたしがソフトボールやってんのはさ。意地なんだ。ただの意地。
みどりっていう弟がいてさ、今度紹介するねっ……一緒にリトルリーグ入ってたんだけど、
わたしの方が、実力上だったのに、レギュラーはずされてさ……男の子ってわたしにとって、
ライバルなのよ。それをソフトボールで頂点を掴んで見返してやりたいの。意地でもっ」
竜児は黙って聞いている。実乃梨の真意を探りながら。
「だから、男の子と付き合うとか、振られたりとか、別れたりとか……考えられなかった。
そういうヒトもいるけど、なんかわたしには、現実感がなくって……だから、質問の答えは、いない。」
「実乃梨……」
ここで、このタイミングで、竜児が言うべきセリフは。爆発しそうな心臓。
意を決したその瞬間、実乃梨が先に口火をきる。
「今ね。コーチや先輩に呼びたされたの。それでね、竜児くんとの事……告白……してきたんだ。
わたし、ソフトボールの事で今まで頭一杯だったけど、今は違うって。はっきり告白してきたの」
告白?俺の事を?それって……実乃梨は、決めたようだ。それを竜児にぶつけに来たんだ。
「お願い。竜児くんに、わたしをずっと観ていて欲しいの。わたし……わたしは、竜児くんが……」
「ちょっと待て、実乃梨!わかった。俺は、お前を応援する。
お前をずっと観ている!だから!!俺に言わせてくれ!俺は……」
透明感のある実乃梨の瞳が、キラキラ眩く輝きだす。燦々と燃ゆる太陽のように光を放つ。
「俺は……実乃梨……後ろをみろ……」
「え?」
後ろを振り向く実乃梨。
…見つかっちゃた〜…と、草むらから、女子ソフトボールの部員がゾロゾロ出てきた。
あんなに小さな草むらで、見つからないと思う方が不思議だ……
部長!私たちに構わず続きを!と言っているが……できる訳ない。竜児は頭を下げる。
「みなさん!この前は、申し訳なかったです。また、応援させてくださいっ。お願いします!」
わあっ、という歓声と拍手。苦笑いする竜児と実乃梨。続きは今度なっと竜児は呟き、
実乃梨は、うんっ!と笑顔を返す。
ここに伝説の応援団長が復活する。
とりあえず以上になります。エロなしで申し訳ございません。
お読み頂いた方、前回投下後のレス頂いた方、
有り難うございました。 失礼します。
>>653 GJ&乙
原作神シーンがちらほら出るあたりがいいな
そろそろ容量一杯ですね
短いの一本落として大丈夫かな?
ささ遠慮なさらず
658 :
○ージ:2009/09/21(月) 21:34:17 ID:7uUh3gsU
「本を借りて来たのか? 珍しいな」
「まだ途中までしか読んでないけど、主人公が誰かさんに似てるのよ。名前のせいかもしれないけど」
「へえ」
竜児は、テーブルに積んであった本を取り、読み始めた。
「うっ、ある意味俺に似てるか。なんだか、ヒロインまで大河に似てる気がして来たぞ」
「全然、似てないっ!」
「でも、小柄ででどこかドジで、実はかなり強そうで、ついでに胸が……」
「うるさいうるさいうるさい!」
「……」
「ふん。あたしはゲームでもしてるから、竜児は読んでて」
〜数時間後〜
「ゲーム飽きたぁ。ねえ竜……うわ、泣いてるし。キモ」
「う、うっせー」
大河がゲームをやめて振り向くと、竜児が本を持った手をわなわなと震わせ、凶悪な目を真っ赤にしていた。
「あ、あのさ。大河、居なくなったりしないよな?」
「なな、なによいきなり。竜児がごはん作ってる間は、毎日……」
「たたた、たいがーーー!」
「うわわ。ちょっと、竜児、りゅりゅりゅry」
竜児は本を閉じると、全力で大河にのしかかるようにして抱きしめた。
さらに(貧)乳を何度か揉んだ後、スカートの中に手を入れて、強引にキスを迫った。
「イ、い、淫行〜〜〜〜〜!!」
頭の上で、インコちゃんが名前を叫んだ、の、かもしれない。
「あ」
「ばーか」
ちょっと嬉しかった、と、大河は思ったけど黙っていた。
「で、竜児はこのラストを見て、感動のあまり襲って来たってわけ?」
「わりぃ」
「そりゃあ、あたしはチビでドジで可愛いかもしれないけどさ、似てないし、腕が機関銃になって空飛んだりするわけないでしょ。ったくもう(ぶつぶつ)」
あの漫画ネタはかんべんして・・・・・・
よし、次スレたててくるか
>>662 乙
これで心起きなく書き込みが出来る。
>>658 シンプルで面白かったよ
ちなみに660は、なにかトラウマが?
トラうま!!(自滅)
たしかに、トラウマになりがちなもんでしたね
陸上部ちゃん(´;ω;`)
この場合「うま」は誰になるんだろ・・・
埋めネタ希望
あと4KBしかない?
,' : . : .〃 ハ:. : . : . : .jl __ __
{ : . {{ / ∧:. : . : ./:| '.:´::::::::::::::::::` 丶
', : . ∨ー ":.:.. ∧:. : ./ | /::::::::::::::::::::::::::::::: . :: :: .ヽ
゙、 : . ∨:.:.:.:.:.:.:.. ヘ/ |゙. : . :.:::::/ヘ:::::、::::ヽ::::::::'; :: :`、
\、 : .X:.:.:.:.:.:.;.、‐´ |.:::::::l::::/ ヽ':ヽ::::`、:::::i:::::::::ハ
`ヾ、ー-- '┴ '''''"´ : . : |ハ:::W! ` ,> ヾ::|::l:::::l:::l
\ : . : . : . : . : 「7>!、、 ヽイイび゙犲V::::::l:::|
ヽ . : . : . : . : ノ|ィ7てカ` ゞつン 小:!::|:::| わたしだ!!
丶. : . : . : ./ ゞ゙‐'" 、 イ::l:::ト}:|
`、ー- --:‐'''~ ハ |:::|:::|;!:|
/ ̄ ̄_\ ヽ,..、. リ 「7 ̄ ヽ !:::!:::l:::l
〈 .、-''" `く { [∧ { `, ,|:::l::::|:::|
} _,、-¬-、\〉 ヽ公.、 ゝ _ _ン .ィ|:|:::|::::!:::! _____
{ _、‐ 、 'く| ノ::::\> 、 _ <.:{:!:|::::!:::i::::! _/`{ _,.、- ゝ、
ヽ ゙´ ,r-、ン| /⌒ヽ::::Y'" ̄二≧z{;;;」::::{;;:1::1 〈′ :| ,.-‐'' ハ
∨ イ:.:.:. |′ `、::ヽ、 イ [l |:::::{;;::l:::l {`ー入{ ,、-‐ ハ
V 丿:.:. | `,::ヽ >ゝヘ、_|__ {:::::l;;::|:::{ ヽ .::廴{_ z‐ 1
,、‐''f´∨{'⌒\ } i ゙;::::', ', `, ';:::::ドi|:::}_ ヽ :/゙ ̄`ヽ{
/ ゙, \、:.:.:.:.ソ | : jハ::i ', '、 ';::::i, ``ヽ、 丶、ヘ. |
, ' ゙、 `"''゙リ } .:. ノ ソ ', ゙、`、::', ヘ {´`ヾ、__ __.{、
_,、イ .: 丶、:;;_/.: .: ;ハ . .: .: .: .: :. . . 、 ゙、 ゙;:ハ 、、 ヽ ,'´\ ``ー' }
, '" :/ .: . . : .: .:.丿.: / .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: : ', . .゙, j;'リ. ヾ; ,〉-、 i ヽ、 _ _,リ,
/ .:/ .: .: .: .: .: .:/,: イ.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .}.:..:}} : :. . . . Y \. ,j;.  ̄ }
,' : . : .〃 ハ:. : . : . : .jl __ __
{ : . {{ / ∧:. : . : ./:| '.:´::::::::::::::::::` 丶
', : . ∨ー ":.:.. ∧:. : ./ | /::::::::::::::::::::::::::::::: . :: :: .ヽ
゙、 : . ∨:.:.:.:.:.:.:.. ヘ/ |゙. : . :.:::::/ヘ:::::、::::ヽ::::::::'; :: :`、
\、 : .X:.:.:.:.:.:.;.、‐´ |.:::::::l::::/ ヽ':ヽ::::`、:::::i:::::::::ハ
`ヾ、ー-- '┴ '''''"´ : . : |ハ:::W! ` ,> ヾ::|::l:::::l:::l
\ : . : . : . : . : 「7>!、、 ヽイイび゙犲V::::::l:::|
ヽ . : . : . : . : ノ|ィ7てカ` ゞつン 小:!::|:::| 全力で埋めさせてもらおう
丶. : . : . : ./ ゞ゙‐'" 、 イ::l:::ト}:|
`、ー- --:‐'''~ ハ |:::|:::|;!:|
/ ̄ ̄_\ ヽ,..、. リ 「7 ̄ ヽ !:::!:::l:::l
〈 .、-''" `く { [∧ { `, ,|:::l::::|:::|
} _,、-¬-、\〉 ヽ公.、 ゝ _ _ン .ィ|:|:::|::::!:::! _____
{ _、‐ 、 'く| ノ::::\> 、 _ <.:{:!:|::::!:::i::::! _/`{ _,.、- ゝ、
ヽ ゙´ ,r-、ン| /⌒ヽ::::Y'" ̄二≧z{;;;」::::{;;:1::1 〈′ :| ,.-‐'' ハ
∨ イ:.:.:. |′ `、::ヽ、 イ [l |:::::{;;::l:::l {`ー入{ ,、-‐ ハ
V 丿:.:. | `,::ヽ >ゝヘ、_|__ {:::::l;;::|:::{ ヽ .::廴{_ z‐ 1
,、‐''f´∨{'⌒\ } i ゙;::::', ', `, ';:::::ドi|:::}_ ヽ :/゙ ̄`ヽ{
/ ゙, \、:.:.:.:.ソ | : jハ::i ', '、 ';::::i, ``ヽ、 丶、ヘ. |
, ' ゙、 `"''゙リ } .:. ノ ソ ', ゙、`、::', ヘ {´`ヾ、__ __.{、
_,、イ .: 丶、:;;_/.: .: ;ハ . .: .: .: .: :. . . 、 ゙、 ゙;:ハ 、、 ヽ ,'´\ ``ー' }
, '" :/ .: . . : .: .:.丿.: / .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: : ', . .゙, j;'リ. ヾ; ,〉-、 i ヽ、 _ _,リ,
/ .:/ .: .: .: .: .: .:/,: イ.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .}.:..:}} : :. . . . Y \. ,j;.  ̄ }