【田村くん】竹宮ゆゆこ 21皿目【とらドラ!】

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503 ◆9VH6xuHQDo :2009/08/17(月) 02:34:28 ID:mKLLiB9p
以上です。レスして頂いた方ありがとうございました。失礼します
504名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 02:46:19 ID:D0d3pPuL
続き待ってるからまたおいで…
505名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 03:09:00 ID:c0WLxJDk
投稿お疲れさまです。

この作品だけに限らないんだけど、前々からこのスレの全体的な傾向として気になるんだけど、描写が無駄に細かすぎるかなぁって気がする。
確かに原作もわからない人にしかわからないネタってのはあるんだが…
例をあげると、原作8巻でインコちゃんの動きをサッカーになぞらえる部分がある。
この部分はサッカーよく知らない人には「?」なネタなんだが、「俺を元気づけてくれようとしたのか?」って一言にこの行動の意義が説明されてるからまだ(後付けとはいえ)意味を理解できる。
何と言うか、料理をわからん人間にはただ延々と料理シーンを見せられてもなぁ、って感じ。
この場合大事なのは料理の内容じゃなくて、みのりんと料理をしたこと、だから肉付けするにしてもそっちに描写を割いたほうがもっとよくなると思う。

チラ裏失礼。
506名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 05:55:47 ID:sDS+To0c
>>503
テンポよくて面白い!
続き期待
しかし貴方のトリが時々変わる件について…前々から気になっていたのだが
507名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 13:41:41 ID:Tig0FaCt
>>505
ギクッギクッギクッ
508名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 14:13:28 ID:cXI5QXoG
軽トラはアレだけどこれは面白いな

続けてくれ
509名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 17:29:09 ID:21BfS2Iq
>>503
コメンターさん達のアドバイスを取り入れて弱点を克服した姿勢に好感が持てる。
リベロ竜児のオフェンス/ディフェンスのスイッチ表現のような、細かいギャグも面白い。
そして上でも言われているが、テンポの良い筆致が心地良い。
このままの勢いで駆け抜けてください。
510名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 20:16:59 ID:zuxIylKJ
>>507
ギシギシアンアンに見えた・・・あーみん、俺を鞭で叩いてくれ。
511名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 21:23:33 ID:mMmYbutf
>>503
これは続きが楽しそうなifストーリーで、続きも楽しみですな。GJ!

実乃梨と大河がどう絡んでいくか期待してますぜ
512名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 07:23:46 ID:BOkmejE9
竜虎スレでもそうだったけど、ある特定の作者が投稿を始めるとパタッと他の作者が投稿しなくなるよね。
ある意味この作者には勝てないって認めてるから時期をずらして投稿するのかな?
513名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 09:28:59 ID:oxoSm/XC
>>512
ここ最近、毎日のように投下来てない?
書くのに、結構な時間がかかるから、すげーハイペースだと思うんだけど、このスレ
以前だって2日〜3日投下無しって、それなりにあったと思う
514名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 09:29:55 ID:wP6lsnH4
向こうはギシアンがあるけどこっちは流石にお茶を濁すようなのは控えてしまう傾向だろうなあ
515名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 10:29:07 ID:3OK8My9a
>>512
つSSを書くにはモチベーションがいる
516名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 10:34:14 ID:IMVjLtUG
マナーです
517名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 10:41:55 ID:YIHS4JQ3
もう475KBだし量的にもある程度長いのは無理になるしな。
ガイドラインによればそろそろ次スレの準備をする頃でもある。
518名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 10:41:55 ID:aJVIIy/M
竜虎スレの誰かいまひとつ特定できないが全く性質が違うと思う
このスレも落ち着いて来たと思ったら新作が来たので様子見してる
ってのが正解じゃないか?

ま、犯人はコミケで間違いない
519名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 13:36:42 ID:vp1aocBN
なんにしても盛り上がるのはいいこと
520名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 23:12:23 ID:duLj13po
投下しようかと思ったんだが、容量のことすっかり忘れてたわ。
少し残り容量がギリギリなので、推敲するのにいい時間ができたと思うことにする。
明日の夕以降、新スレ立ったら投稿します。
52198VM:2009/08/19(水) 00:50:02 ID:uVFCwrNH
こんばんは、こんにちは。 98VMです。

>>512
書き手の立場でコメントさせていただくと。

 そ れ は な いw

私に限らず、書いてる人には「自分が書いたのが良く書けているか?」
しか興味無いと思います。勝ち負けという発想自体が無いかと。
私個人的には「いっぱい読んでもらってるみたいで、うらやましいなぁ〜」
位に思う事はありますがw

で、そろそろ次スレかなーと思って埋めネタを書いてきたら、まだでしたねー
でも、面倒なので投下していきます。
2レス 落ち無し。
522〜奈々子様の何も無い昼下がり〜 1/2:2009/08/19(水) 00:51:27 ID:uVFCwrNH

ガラス越しに見上げる空は、あの頃と何も変わっていない。
数日雨が続いた後の青空はとりわけ美しく見える。
カウンターから見える通りの景色は、幾つかの看板が姿を変えていて、それだけが時間の流れを感じさせた。
ゆるくウェーブのかかった柔らかそうな黒髪。
ダークブラウンのシンプルなワンピース姿の彼女は、氷が解けて薄くなったアイスコーヒーに差し込まれたストローを
軽く摘んでもてあそんでいた。
緩く伏せられた瞳はけだるげに、退屈そのものを絵にしたような表情で。
人待ち顔というなら、まさしくそれがそうだった。
しかし、そんな彼女を退屈から救ってくれる者が、ようやくコーヒーショップ、通称「スドバ」に転がり込んできた。
もっともその人物こそ、彼女を退屈にした張本人でもあったのだが。
「ごっめーん、奈々子、待った?」
奈々子は携帯に浮き出た数字を示しながら応じる。
「おそいよ、麻耶。 30分。 …せめて連絡くれてもいいのに…。」


     埋めネタ  〜奈々子様の何も無い昼下がり〜


「この間はごめんねー、奈々子。 急な連絡だったからさー。」
「うん、いいよ。 しかたないよね。」
「前から約束してたし、頭数あわせないと拙いしさぁ。 急に断れなかったんだよねー。」
「そうだよね。 かえってゴメンね。」
「いいよ〜、謝んなくてー。 それより、どうしたの? なんか、ちょっと様子がおかしかったみたいでさ、気になってたんだ。」
「うん、別になんでもない。 もう大丈夫だから。」
「本当に?」
「ええ。 実はね、あの日、亜美ちゃん呼びつけちゃった。」
「えーーー。 亜美ちゃん、来てくれたの? すっっごーい。」
「んふふふふ。」
「最近、CMとかドラマとか、いっぱい出てて忙しそうじゃん! あたし、半年近く会ってないよ〜。 あたしも会いたかったなー。
変わってなかった? 亜美ちゃん。」
「相変わらず、超綺麗だったよ。 あ、そうだ。 髪、ショートにしたみたい。」
「え!マジ! あんなに綺麗な髪の毛してたのに、なんで、なんで!」
「なんか、役作りって言ってたと思う。」
奈々子はあまり自信なさげに言う。 正直、酔っていて記憶があやふやだった。
「ふぇ〜 やっぱ女優って大変なんだー。 あんなに綺麗な髪の毛、バッサリやっちゃうなんて…。 あたしだったらヤだなー。」
「そうね。 あたしもちょっと嫌かな。」
「ショート、似合ってた?」
「そうね…。 ん〜。 亜美ちゃんクラスだと、もう髪型なんか関係無いって感じかなぁ…。」
「そうなんだー。 やっぱり、綺麗だよねー。 亜美ちゃん。」
奈々子とて女である。 いくら仲の良い友人といえど、嫉妬心が無いわけではなかった。 それは麻耶も同じで、亜美の美しさ
を認めていても、心のどこかでは少しチリチリしたものがあるのだろう。
だが。
今はもう、奈々子の心から嫉妬心など、跡形も無く消え去っていた。
それに代わって、別な感情が燻る。
―――それは怪しげで、背徳的な何か。

奈々子は思い出す。
その美しい亜美が自分の腕の中で力尽き、無防備に横たわる姿を。
桜色の唇から漏れる、その切なげな鳴き声を。

523〜奈々子様の何も無い昼下がり〜 2/2:2009/08/19(水) 00:52:23 ID:uVFCwrNH


「どうしたの? 奈々子?」
不思議そうに覗き込む麻耶の大きな美しい目に我に返る。
そもそも麻耶も奈々子も、亜美を羨む必要などない。 彼女らは十分に美しいから。
ならば、奈々子には当然気になる話題があった。
突然湧いた劣情を誤魔化すのに丁度良い話題が。
「ん、なんでもない。 ねぇ、ところで、あたしを振ってまで出掛けた合コンの成果はどうだったの?」
麻耶も亜美ほどではないが、折り紙つきの美少女なのだ。 合コンでもてない筈が無い。
「えっ! あ、あはははは。 そんなのゼーンゼン。 まるで不作でさぁ。 ろくなの居ないの。 3人にくっつかれてもう、超ウザ
かったぁー。 もう最悪。 ほんっと、『まるお』みたいな男って居ないんだよね〜。」
まだ麻耶は『まるお』信者なのか、と奈々子は呆れる。
だが、その一方で麻耶が月に一、二度は能登と会っているのも奈々子は知っていた。
「うふふふ。 『まるお』みたいな男は居ないかもしれないけど… 『能登君』くらいの男ならけっこう居そうじゃない?」
「なっ、なんでそこで能登が出てくるのよー。 なんか、奈々子絶対勘違いしてる!」
自分が赤くなっているのに、麻耶はおそらく気が付いていない。
麻耶と能登の関係は、一番の親友である奈々子にとっても不可解極まりなかった。
能登の一方的な片思いのはずだったし、未だに麻耶は北村に未練がある。 いや、未練というより、麻耶は一途な性格なのだ
ろうと思う。 確かに麻耶の気持ちは北村に向いている筈なのだ。
だが、一方でこの反応。
案外、この麻耶と能登の関係のように、長い時間を掛けて、付かず離れずを続けた果てにあるものが理想的な男女の関係なの
かもしれないと奈々子は思い、つい最近終わった己の恋を振り返る。
麻耶を軽くからかいながら、思い出を辿る。
そして、麻耶がすこし大人びた顔になったのに気付く頃。
奈々子は麻耶をからかう話題が尽きたことと、自分の目が涙で潤んでいることを悟った。
そして、どうしても麻耶に会いたくなった理由も。
「…奈々子…。 やっぱり、あたし合コン断るんだった… ごめんね。」
やはり、麻耶は親友だった。
大切な、大切な、親友だった。
「ありがとう。 ―――うん、大丈夫。」
そう言って奈々子は微笑む。
麻耶の言葉の温かさが、ぎりぎりで奈々子の涙を止めた。
きっとこの傷は簡単には癒えないだろうと奈々子は思っていた。
しばらくは…
しばらくは男の人を好きになることは出来ないと、奈々子は思う。 
失うことの恐ろしさに身が竦んでしまったから。
人を愛する喜びよりも、裏切られる痛みの方が強いと、思ってしまったから ―――。

奈々子の気を晴らすために、バカ話を一生懸命になって連発する麻耶。
一緒になって笑いながら、少しづつ癒されていく自分の心に向き合うと、またしても淫靡な光景がフラッシュバックする。
奈々子は自分の心が壊れてしまったのかと、いぶかしむ。
いけない事だと思いながら…
しかし、その光景は瞼の裏に焼き付いて、消えない。
やがて、親友に別れを告げ、店を出た奈々子の口元が微かに嗤った。
「また、亜美ちゃんにメールしてみようかな…」
誰にとも無く放った言葉は、呟き声より小さく。
奈々子の妖艶な瞳は……
憐れなチワワを狙う、猛禽類の輝きを放っていた―――。

                                                                    おわり。
52498VM:2009/08/19(水) 00:53:24 ID:uVFCwrNH
いじょ。
お粗末さまでした。
525名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 01:16:27 ID:Hs57YNM7
GJ!麻耶が可愛いw
設定はおくしゅり〜のつづきなのかw
526名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 01:22:41 ID:Hs57YNM7
あと次スレたててきた
【田村くん】竹宮ゆゆこ 22皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250612425/
まだあと20くらい容量残ってるから雑談とかはこっちでしたらいいんじゃないかな
527名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 02:07:40 ID:H2dzHn5+
>>512
竜虎スレの場合⇒その物語に浸かっていたい空気だったから
このスレの場合⇒爆発に巻き込まれたくなかったから(過去形)
528名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 04:57:29 ID:kguQ97EO
98VMさんGJ!
奈々子様の野獣化(;´Д`)ハァハァ
あーみんの貞操の危機(;´Д`)ハァハァ
529名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 05:48:16 ID:9LPJzHNm
>>521
GJでした、相変わらず変わらないハイクォリティーで楽しませてもらってます

>私個人的には「いっぱい読んでもらってるみたいで、うらやましいなぁ〜」
>位に思う事はありますがw

御冗談をw
ここまで来て貴方のSSを読まない人がいないワケがない
530名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 05:50:32 ID:9LPJzHNm

一応自分もSS書きなのに2行目の日本語がおかしいw

疲れてるのかな?寝よう
531名無しさん@ピンキー:2009/08/19(水) 08:36:06 ID:bxb9O9c4
>>526
532名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 15:44:20 ID:aY87Eq5K
ume
533名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 17:16:32 ID:5nPBZV18
さて、そろそろ会長が来る頃だな
534名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 20:01:22 ID:BPWsZU7+
500前半で容量が来るのは優良スレの証拠!
535名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 20:33:08 ID:vt1GgiH7
投下は多いよね
投下量に対し、感想レスがもっと多くてもいいとは思うけど、
それだと、スレ自体は伸びるかな
536名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 21:58:20 ID:ckR4Q3fj
レスが延びないのは、最近上がってないからじゃないかな。
上げれば確かに人は来そうだが、諸刃の剣でもある
537名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 22:09:10 ID:GZyA8l0p
ageられたらスレに来るってことは専ブラ入れてない、お気に入り登録してないレベルの人なんだから
望むような結果は得られず荒らしとかの方を呼び込むだけになると思うよ
53898VM:2009/08/21(金) 00:15:15 ID:jTLbpgwZ
こんばんは、こんにちは。 98VMです。

なかなか埋まりませんね〜。
兄貴がおいでになる前に、麻耶たん置いていきますヨ。
原作とはだいぶイメージが異なるかもしれませんが、
アニメの最終回の麻耶ちゃん、結構好きなのですよ。

と言うわけで2レス。 設定は埋めネタ共通時系列。
539〜麻耶たんの何も無い昼下がり〜 1/2:2009/08/21(金) 00:16:34 ID:jTLbpgwZ

音がするような空。
それはきっとこんな青空を言うのだろう。
何処までも抜けるような青空は、耳鳴りの音が聞こえてきそうなくらいに純粋だった。

晴れの日が続いたのは久しぶり。
もともとあまり物事を深刻に考える性質じゃない彼女は、いつも軽やかに歩いているのかもしれない。
けれど、それでも今日の彼女の足取りは一段と軽やかに見えた。
この時節にしてはやや乾いた風が、シャラの木の白い花を揺らす。
サラリと風に舞う亜麻色の髪は、高校時代から変わっていない。
レモンイエローのシャツにライトブラウンのゆるタイ。
くすんだオレンジ色のVネックカーディガン、チャコールグレーにエンジ色のチェックのミニプリーツ。
着こなしの難しいボーダー柄のレギンスも、そのほっそりとした足ならいい選択だった。
その髪の色も、服装も、いかにもギャル系の彼女―――
木原麻耶。
毎月きまって今頃、彼女はその坂を上る。
彼女は例月の約束事を守るべく、いつもの店に向かっていた。


      埋めネタ  〜麻耶たんの何も無い昼下がり〜


本当は、親友である香椎奈々子と同じ大学に行きたかった。
けれど、世の中そうそう上手くは行かないもので、麻耶だけが落ちた。
どうしてもその大学に行きたかった訳じゃない。
ただ、奈々子と同じ学校に行きたかっただけで、それだって、絶対という訳でもない。
結局、流されるまま私立の女子大に入ることになって、現在に至る。

でも、今になって少しだけ後悔している。
なぜなら、女子大という所は彼女のような娘にとっては、あまりにも退屈な場所だったから。
大橋高校2−Cの三人娘。 かつて彼女はその一角を占めた。
その一人に、人気美人女優の川嶋亜美が入っていた事でも窺い知れる。
彼女のルックスは水準を大きく上回る。
それは、女子大にあっては、合コン時の広告塔に最適である、という事を意味した。
お陰様で麻耶は、仲間内で合コンにひっぱりだこで、そして、それが麻耶の退屈を余計に助長することになっていた。
つまらない。
毎日、つまらない。
高校時代好きだった北村は国立の難関校に合格して、正直、麻耶の『ブランド』では気後れしてしまう相手になっていた。
届かない所へ行ってしまい、半端に理想化された男と比べれば、大抵の男は色あせる。
合コンは麻耶にとっては本当につまらない茶番であった。
彼女の友達が求めるような一夜の関係など、麻耶には到底許容できるものではなかったからだ。
それでも、友人たちの『遊び』の一つとしてそれがある限り、麻耶はそれに付き合うしかなかった。
もしかしたら、素敵な出会いがあって、退屈から救ってくれるかもしれない、そんな想いが全く無い、といえば嘘になる。
けれど、先日の合コンは大失敗だった。
親友の奈々子を見捨てて行くなんて、やっぱりバカな事だったと、今更ながらに思う。
「今度誘われたら、断ってみようかなぁ……」
声に出せば、決意になるような気がして呟いてみる。
「はぁあぁ… やっぱり女子大なんて、退屈。」
そう。 毎日、毎日、退屈な日々。
これから起きる事に、ほんのちょっとだけ心がウキウキしているのは、毎日が退屈すぎるから。
そう自分に言い聞かせる麻耶。
しかし……
いつもの丘の上のカフェテラス、久しぶりに並べられたウッドデッキのテーブル。
そこに居る人影が目に入ったとき、不覚にもほんの少しだけ胸が高鳴るのを……麻耶は感じていた。

540〜麻耶たんの何も無い昼下がり〜 2/2:2009/08/21(金) 00:17:25 ID:jTLbpgwZ


黒縁メガネのキモい奴。
一言で言えばそんな男だ。
ファッションセンスは悪くない。 二流の私大に現役合格した頭はぎりぎり合格。
ルックスはまぁ、普通。 不細工ってほどではない。
でもやっぱウザイ奴。
それが、麻耶にとっての能登久光だった。
それが少し変わったのは、やっぱり卒業を前にしてコクられた時からだろう。
結局、その告白には麻耶はなんの答えも出さなかった。
いや、出せなかったというのが正確な所だ。
嫌いだった筈なのに、真剣極まりない顔でコクられて、正直ちょっと嬉しかったから。

卒業して2年。
能登は少し大人びて、高校の時とは少しだけ印象が変わったように思えた。
ウッドデッキで文庫本を読んでいる姿に、ほんのちょっぴり『男』を感じる。
「ごめん、ちょっと遅れた。」
本に集中していたのか、驚いたように能登が顔を上げる。
「あ、ああ。 おっ、俺も今来たところ。 待ってない、待ってない。 あはははは。」
でも、こうして見え透いた嘘をついてキョドっちゃう所はまだまだ子供。
テーブルに置かれたグラスは氷が溶けて水だけになっていた。 もう、何を飲んでいたのかすら判らない。
「木原、毎月悪いな。 これ、今月の原稿。」
「うん、まぁ、いいけど。 けっこうこれ人気あるし。」
匿名希望のライターによる連載小説。
それは麻耶の学校の文学サークルが出すフリーペーパーの人気コンテンツだった。
最初はこんな手まで繰り出してきた能登を心底キモイと思ったが、『木原に会うためなら、やれることは全部やる』
そう言い放たれて、心がグラグラ揺れた。 震度5強くらいに。
それからだ。
麻耶は毎月こうして原稿を手渡しで貰って、文学サークルにいる友人に渡していた。

駅からだいぶ離れた高台。
都心から少し離れたこの町で、ごみごみした家々を少し遠くまで見渡せる。
そこから見る景色は、いつの間にか麻耶の好きな場所になっていた。
能登はいつもこの丘の上のカフェテラスで、窓際の席に腰掛け、本を読みながら待っている。
それはほんの30分ほどの邂逅。
話題はいつも原稿の感想だけ。
言葉が尽きれば、それが別れの挨拶だった。 
いつも能登が先に席を立つ。 ……そして、今日も同じ。
「それじゃ、また来月な。 書きあがったらメールするよ。 じゃな。」
「う、う…ん。」
喉元がひっつくような感じがして、上手く言葉がつなげられなかった。
唾を飲み込んで、ぎゅっと拳を握る。
「ちょっと、待ってよ。 い、いつもあたし、忙しいのに呼び出されて、すごーく迷惑してるんだから…」
「えっ?」 能登の顔が曇る。
麻耶は焦って次の言葉を吐き出した。
「だ、だから、たまにはあたしに感謝して、買い物の荷物持ちとか、ご飯おごってくれたりとか!」
心臓がばっくんばっくんいっている。
「そ、そのくらい気利かせろって言ってんの! なに暗い顔してんのよ、ウゼーな、もう!」
思いがけない台詞に、きょとんと見つめる能登の視線の先。
ウッドデッキの脇に植えられたサルスベリの、咲き始めたばかりの花が、丘を吹き上がる風に手を振っている。

―――その花の色は、亜麻色の髪をなびかせる少女の頬の色だった。

                                                             おわり。
54198VM:2009/08/21(金) 00:18:42 ID:jTLbpgwZ
いじょ。
まぁ、埋めネタということで、ご勘弁w
お粗末さまでした。
542名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 01:23:16 ID:vtFjtsnM
>>541
いいもん書いたなあ。なんだこのクオリティは!!
読後ニヤケた俺超キモイ。

ZERO3俺文庫に収録しておこう・・・
543名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 03:11:46 ID:Mt0OyprA
(*´Д`*)
544名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 06:17:24 ID:nHiBFkqf
あれ……麻耶が好きになった
545名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 08:29:16 ID:Qa9+LVgU
麻耶x能登はええなぁ・・・・
546名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 12:33:57 ID:Zkad2PIk
GJ、乙でした。

もう、大河とかよりよっぽどツンデレじゃねぇかw
547名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 14:40:06 ID:EuteITqh
大河はツンデレじゃないです
548名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 22:24:08 ID:Mt0OyprA
デレデレですね
54998VM:2009/08/21(金) 22:42:52 ID:jTLbpgwZ
こんばんは、こんにちは。 98VMです。

調子に乗ってもう一発、梅。
3レス。 あーみん、かわいいよ、あーみん。(発作中)
楽屋に戻ると、携帯がチカチカとメールが入っていることを知らせてくれていた。
プライベートの携帯は、かつての大橋高校の仲間にしか番号を公開していない。
まぁ、それ以前にメールの主は判っていたが…。
折角のオフが台無しになったあの日以降、ときどき届くメールはいつも同じ内容だった。
『この間はごめんなさい、亜美ちゃん。 できればちゃんと会って謝りたいの。 もし時間があったら、今夜会えないかなぁ?
また、あの店でずっと待ってるね…』
奈々子からのメールだ。
『会えないかなぁ?』 の直後、『ずっと待ってる』かよ。 これって脅迫に近くね?
「なんか最近怖いよ、奈々子。」 
カリスマモデルにして、人気女優、川嶋亜美は誰も居ない楽屋で独りごちると、ぶるっと肩を震わせた。
奈々子の妖艶な微笑みは、もはや亜美にとってトラウマになりかけていた。
自分ではどちらかと言うと『S』だと思っていた。
だが、あの夜、奈々子に徹底的に蹂躙され、なすすべも無く朝までイかされ続けた。
あの夜、というか朝、亜美は…『女』としてのプライドというか、性能というか……
なんとなくそういう分野で半端じゃない敗北感に見舞われたのだ。
だから、できれば暫くの間、奈々子と差し向かいで会いたくはなかった。
だが、このひと月の間、奈々子からのメールはすでに二桁に達していた。
「でも、流石にずっと断り続けるわけにもいかないよね…謝りたいって言ってるんだもん…亜美ちゃん、そんなに心狭くねーし。」
亜美はけだるげな表情を浮かべ、何気なく髪を払おうとして。
その手が華麗に空振った。

      埋めネタ  〜亜美ちゃんのちょっとイイ事があった宵〜

数日後、またしてもプライベートの携帯がチカチカ光っていた。
それを見ただけで、亜美は思わず肩を落とす。
珍しく収録が早く終わって、せっかく夕焼けを自宅から見れそうな週末の午後なのに、気分が急降下する。
「はぁ…」 予想通りの奈々子からのメールに溜息が漏れる。
が、しかし。
今日のメールの内容はいつもとちょっと違っていた。
『2−Cの仲良しグループで飲むことになったんだけど、もし暇だったら、亜美ちゃんも来ない? 場所は… 時間は… 』
願っても無いチャンス! みんな一緒なら、自然と奈々子との関係修復が図れる!
亜美は速攻で返信した。
こんな日にたまたま仕事が早く終わるなんて、なんてラッキー。 きっと亜美ちゃん、神様にも愛されてるのね〜♪
などと考えながら……。

約束の時間の10分前、そそくさと指定された店に入っていく亜美。
「いらっしゃいませー。」
「えっと、香椎で予約してある…」
「はーい、香椎さまですねー。 こちらでーす、あ、クツはこちらでお預かりしますので、そのままお上がりくださーい。」
こういう庶民的な店は不慣れで、すこし戸惑う亜美だったが、店員に導かれやがて奥まった個室に通される。
言うまでもないことだが、奈々子様はそれほど甘くない。
当然、罠だった。
しかし、それは亜美にとって、とびっきりの嬉しいサプライズ。
「お…ぅ、 か、川嶋か?」 「えっ、高須くん?」
亜美はてっきり、女の子同士で飲むものとばかり思っていた。
硬直する。
わりと広めの部屋に居るのは、奈々子と高須、そして亜美。
言葉が何も出てこない。 卒業してから2年、亜美は高須に一度も会っていなかった。
昨年開かれたという同窓会も、亜美は仕事で行けなかったのだ。
「ひ、久しぶりだな、その、元気だったか?」「う、うん。 高須君は?」「お、おぅ。俺も、大過なかった、うん。」「そか。」
「……」「……」
明らかにキョドっている二人を見て奈々子は目を細める。
その表情が雄弁に語る。 『計画通り…』 と。 奈々子はわざと高須と亜美だけ開始時間を30分早く告げたのだ。
みんなが集まればすぐにばれるだろうが、その時にはもう、そんな事は追求できる環境ではないだろう。
そして、毎日傍にいれば麻痺しても、2年ぶりともなれば、亜美の破壊力は計り知れないというのも、奈々子の計算通りで、
案の定、高須竜児は笑えるくらいに動揺していた。
そして、おもむろに奈々子は携帯を取り出して、ミッションを第二フェーズに移行した。
「あ、麻耶からだわ。 ちょっと電波が悪いみたい。 外で電話してくるね。」
「え、あ、うん。 わかった。」
そうして二人だけが安い居酒屋の割には間接照明と凝ったインテリアがムダにムーディーな部屋に取り残されたのだった。
亜美はめちゃくちゃ緊張して、真っ赤になってしまっていた。 部屋の明かりがやや暗いのがせめてもの救いだ。
高校時代よりも、高須竜児はいくらか男らしさが増して、ファッションもなかなかきまっていた。
おそらく彼の事だから、鏡の前で何時間も悩みぬいて選んだ服装なのだろう。
そんな彼と不意打ちで二人っきりになって、亜美はぶっちゃけノックアウト状態だった。

一方の竜児も……
「お、お前、髪のきぇ…おぅ…」
テンパッていた。

それもその筈、亜美は高校卒業後、本格的に女優デビューして、瞬くうちに男達の心を捉えた。
そのボーンナチュラルビューティーっぷりは昨今の改造美女とはやはりオーラが違う。
いつもTVの向こうで輝いているかつての級友を見て、改めてその美しさを客観的に認識させられていたのだ。
その彼女が目の前に、全くの自然体で居る。 しかも二人っきりで。
流石の竜児も動揺せざるを得ない。
例え、大河というきまった人が居ても、である。 男とはそういう生き物なのだ。

そんな竜児を見て、亜美はやっとのことで自分を取り戻した。
自分は、高須竜児にとって、『ちょっと綺麗なクラスメート』でしかないことを思い出したのだ。
ゆっくりと深呼吸したあと、ようやくまともな会話を始めた。
「髪、切ったんだ。 どう? 似合ってる?」
「おぅ。 そ、その、似合ってると、思う。」
「そう、よかった。」
「………」
「大学、どう? 面白い?」
「お、おぅ… そうだな。 色々な人が居て、勉強になる。 なんていうのか……世界が、こう、広がった感じだな。」
「へぇ。 そっかぁ。 やっぱり高校とは違うんだろうね。」
「ああ、全然、別物だ。 そうだな、やっと、お前の、…川嶋が見てた世界に追いついてきた感じだよ。」
「え? どういう意味?」
「ああ、なんていうのかな、社会ってものがすこしづつ見えてきたっていうか…色々と簡単じゃねーのが、判ってきた。」
「ふーん。」
「もっとも、芸能界なんて厳しい所で生きてるお前にゃ敵わないと思うけどな。」
「あったりまえじゃん、この超絶美少女の亜美ちゃんと張り合おうなんざ、100年早いって。」
「はははは。 変わらないな。 やっぱり川嶋だ……うん。 …川嶋だ。」
憑き物が落ちたように、急に落ち着いた表情になった高須を見て、亜美は直感的に彼に何かあったことに気がついた。
「どうしたの? 高須くん、元気ないじゃん。 ってか、なんでタイガー一緒じゃないの?」
言いながら亜美は、たぶんそれが答えだと感づいていた。 きっと、大河と何かあったのだと。
「おう…。 実はな…。」
「うん。」 なんだろう、すごく嫌な感じがする。 亜美は努めてゆっくりと返事をした。
「ここ3日、大河と会ってねぇんだ……。」
「………」 
はぁ?3日? 3日って言ったよね? それがなんだってんだ? 亜美ちゃん、難聴になったのかと思っちゃったよ…この
バ カ ッ プ ル め が ぁ !
「で?」
「…おぅ?」
「だぁからぁ、それがどーしたんだっつの!」
「い、いや、川嶋、最後まで話を聞いてくれ!」
「なに?」
「いや、最近、大河がやたらと俺がなにかしようとすると拒むんだよ。」
「なにかって、エロイこと?」
「ちっ、ちがう! その、世話を焼こうとすると怒るんだよ。 どんな小さな事でも。 そしてついに3日前、しばらく会わないって
宣言された……。」
亜美は軽く眩暈がしていた。 あれから二年も経ってるのに、まだその段階なのか、この二人は、と。
成程、体は大人になっていても、心はまだまだゆりかごの中だったというわけだ。
そして思う。
今なら勝ち目あるかもしれないな、と。
しかし、亜美はすぐに思いなおした。
ダメになるときは勝手にダメになるだろう。 人として成長していく過程で捨て去られるものの代表選手が『恋』だ。
亜美は既に味わった。
もしかしたら、大河は自らそれを選ぼうとしているのかもしれないが、そこに口を出す必要はない。
そうなったらそれまでだ。 そうならなかったら、また全身全霊で二人を応援しよう。
大好きな二人だから。
ただ、それだけだ。
「大丈夫だよ。 高須君は自分の気持ちを見失わなければいいの。 大河のことが好きって、その気持ちさえあれば…」
「―――大丈夫。」
なんだ、あたし、ちゃんと抵抗無く言えるじゃん。 そう亜美は思って微笑んだ。 彼女が本来持っている天使の笑顔で。
その笑顔は、今まで高須竜児が見た笑顔の中で最も美しい笑顔。
高須は暫くその顔に見とれて、惚けていた。
「どうしたの? 高須君?」
「ああ。 すげーな。 やっぱり川嶋はすげーよ。 それに、信じられねぇ位、綺麗だ…。」
「え?」 
高須が亜美を綺麗だと言ったのは、もしかしたら初めてだったかもしれない。 
高須竜児と川嶋亜美はそれから暫く、無言で見つめあった。


そのすこし前、店の外では、奈々子が予想外に早くやってきた二人連れを発見していた。
手を握りたそうで、握れない、そんな感じの能登久光。
そして、何気なく握りやすそうな位置に手をぶらさげて、イライラしてる木原麻耶。
なんとなく、見てはいけないものを見てしまった気がして、奈々子は慌てて店に戻る。
さて、どうしたものか、と奈々子は小首を傾げる。
そして、悪いのは、珍しく時間よりかなり早く着いた麻耶だということに結論付け、店の奥に引き返した。
頃合的には丁度いい頃合だとは思ったが、心の中で申し訳程度に亜美に謝って扉を開ける。
はたして、部屋の中にいた二人は、距離こそ互いの手が届かない程離れていたけれど、今にも口付けを交わしそうな雰囲気
で見詰め合っていた。
『作戦通り』と奈々子はほくそ笑む。
亜美はこれが誰が仕掛けた罠か当然もう気付いている。
これできっと亜美の奈々子に対する警戒心は下がるだろう。
薄手の夏服は亜美の完璧な体を浮き立たせる。
甘い女の香り。
官能的な体。
そして奇跡のような美貌。
これだけ揃っているのに、見つめるのが精一杯なんて、高須君って不能なのかしら?と奈々子は思いながら…
亜美の形のいい胸の先端、微かな突起に視線を這わせる。
二人の会話に混ざりつつ、
その妖艶な唇を微かに舌で塗らした事に ――――― 亜美は気付かない。

                                                              おわり。