【巨人の星】梶原一騎作品のエロパロ【カラテ地獄変】2
1 :
1 :
2009/07/14(火) 18:05:30 ID:kMtL2ABz >>女悪役ブルース様
レスが重過ぎて書き込みできなくなってしまいました。
今後は「まとめサイト」機能のようなものでバックアップ式に連載を続ける予定ですが、
当面は従来とおりUPしていきます。
前スレが落ちないウチに作品をディスクに保存しておいてください。
もちろん女悪役ブルース様の作品も当方で「まとめ」する予定です。
ご迷惑おかけします。m(_ _)m
前スレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244192277/ 梶原一騎先生原作の漫画、劇画作品のエロパロです
少年誌発表作品、成人向け作品、問いません
梶原一騎先生の作品に愛情愛着ある方のみ、作品を投下してください
長編、短篇も問いませんが、1レスのみのパロディおちはご遠慮ください
age sage は指定しません
感想、リクエスト OKですが 希望にそってもらえなくて逆ギレはダメ
2 :
名無しさん@ピンキー :2009/07/14(火) 18:09:23 ID:MDzAh9cu
ぬるぽの星
3 :
1 :2009/07/14(火) 18:10:06 ID:kMtL2ABz
愛読者の皆様、混乱をきたしてもうしわけございません。 「巨人の星その後:お京と左門」は、あと50話ぐらいで終了予定です。 「虎の穴 異聞」は、まだまだ続きます。 前スレが、いっぱいいっぱいになるまで気づかず、このような事態での 2スレ目となりました。 前スレにURLも貼れず、申し訳ございません。 今後ともどうぞよろしくお願いします。
4 :
巨人の星その後222 :2009/07/14(火) 19:27:42 ID:ybAcDBGQ
「言う通りにしねえと、大事なママさんが、どうなるかはわかってるだろうな?」 「どうしようっていうのさっ!?」 「どうにも、こうにもおめえが、これから言う場所へひとりで来りゃそれで問題はねえぜ。 言っとくが、サツに垂れこむなよ。今度サツに垂れこみやがったら、タダじゃおかねーぜ。」 「どこへ、来いっていうのさつ!?」 「グッフッフッフッフ。それはな・・・・・。」 鬼怒川は言うだけ言うと電話を切った。 行くしかないが、それで自分がどうなるかだ。待っている運命は想像できないぐらい悲惨なものだろう。 この身を「はい。どうぞ。」とくれてやるには値する相手ではないし、 自分がその屈辱に耐える自信もない。 京子は、しばらく静寂の中で思いつめたが、キッチンに立ち尽くしていて、あるものが目に入った。 思えば飛雄馬、左門というのは思い出深い存在だ。 彼らと顔を合わせていると心が和んだ。 鉄二もよくしてくれた。しかし縁がなかったのだ。
5 :
巨人の星その後223 :2009/07/14(火) 19:29:24 ID:ybAcDBGQ
母が早く亡くなった。父とも意思は通じることはできなかった。 自分は、よくよく不幸だと思った。 しかし逃げるのは嫌だ。 ひとみに何の咎もないのだ。 卑劣極まりない鬼怒川のヤリ方だが、あんなジジイと関わりを持ってしまった自分にも非がある。 京子は、キッチンになる出刃包丁を手に取った。 「お母さん・・・。ごめんね。」 亡き母にひと言だけ呟くと、京子は涙を流した。 戸締りをして、鬼怒川の指定した場所に趣こうとした。 念のために喫茶モンテクリストの正面ドアも施錠を確認しようとしたとき、 そのドアに何かが挟まっているのを見つけた。
6 :
巨人の星その後224 :2009/07/14(火) 19:31:10 ID:ybAcDBGQ
ドアに挟み置手紙をするというのは、かつて自分が飛雄馬に対してしたことである。 それを連想した京子は思わずハッとなった。 手紙をとってみた。 なんとそこには、カギまで挟んであるあるではないか?! 誰だろう?飛雄馬か?しかしそんなバカな? カギがキーホルダーごと、チャリンと音を立てて床に落ちた。 それを拾うと京子は手紙を広げた。 「京子。元気か。こんな形になってすまない。 おまえは、謝っていらないかも知れないな。 これは、俺からおまえへの義務だ。 月賦は残ってたが、途中まで支払ってもらってる。 それを履行するだけだ。 俺はもう長くない。自分の体のことは自分が一番よくわかってる。 これをおまえに受け取ってほしい。 おまえにしか託せないし、おまえしか欲しがらない。おまえしか乗りこなせない。 京子。本当にありがとう。 さようなら。」
7 :
巨人の星その後225 :2009/07/14(火) 19:33:25 ID:ybAcDBGQ
手紙は鉄二からだった。 鉄二がもう長くないとは? それに自分に託すものとは、一体なんなのだ? このカギのことか?しかしカギなど託されても・・。 すっかり暗くなった店内は、まだ静かなままだった。 外ももう暗い。桜田通りを行き交う車のヘッドライトが、ときおり中を照らすが、 人通りはもうなくなっていた。 そのとき、京子の目に何かが入ってきた。 店の前に何かがある。大きな塊が。 京子は慌てて外へ出た。それは、ビニールのシートをかぶせられて店のまん前にあった。 かなり大きなものだ。 「ま・・・・まさか・・・・?」 京子はビニールシートをバッと取りさった。 「こっ・・・これはっ!」 MVアグスタ 750S。京子の初恋のバイクがそこにひっそりと主を迎えてたたずんでいた。 =つづく=
8 :
虎の穴異聞14−4 :2009/07/14(火) 19:35:41 ID:ybAcDBGQ
しのぶが青年を案内したのは、赤坂からタクシーで1時間半以上かかる、 横須賀の先端、観音崎にあるコテージだった。窓から浦賀水道が見える。たたら浜に面している。 ここは、女の穴が幽霊法人に表面上は経営させている仕掛コテージである。 何人もの男が、色気に誘い出されて、ホイホイ乗ってきて、命か陰茎を失っていた。 しのぶは、ここを自身の判断で使うことは初めてだったが、何度か指令の元に任務を遂行してきた。 「へえ。ステキな所ですね。それに海も近いし、ロケーションも最高じゃないですか?」 「そこのソファーに掛けなさいな。まだ未成年って言ってたわね?早く帰らなくちゃママが心配するんじゃないの?」 「ああ。僕、この国に両親はいないんですよ。アメリカなんです。」 (・・・・・・!こいつ何者かしら?まあいいわ。すぐに消してしまうんだし。) 「帰国子女なわけ?道理で垢抜けてると思ったわ。女遊びにも垢抜けているかしら?」 そこで、しのぶは突然ワンピースを脱ぎ去り、下着姿になった。こぼれそうな巨乳と滑らかな腹のライン、肉感たっぷりの太腿が露わになった。 「どう?アタシが欲しいんでしょ?だったらアナタは誰?質問に答えること。それが条件よっ!」 青年はしかしグラマラスなしのぶのセミヌードが突如現れても、にこやかに微笑んだままで、眉ひとつ動かさなかった。 「条件?条件っていうと・・・・コレのことかいっ!?」 青年はやや鋭い声を出すと、手をしのぶのパンティーのヒップ部分に回し、 そこに挟まれていたブローニング銃をすばやく抜き取った。 「あっ・・・・!アアッ!許してっ!殺すつもりは、なかったのよっ!お願いっ!殺さないでぇ〜っ!」 =第15話につづく=
9 :
虎の穴異聞15−1 :2009/07/14(火) 19:37:34 ID:ybAcDBGQ
「ゆ・・・許して・・・・。悪かったわ。だから・・・ね・・ねえ?抱いてくれるんでしょ?」 言うが早いか、しのぶが青年を突き飛ばすと、素早く後ろ回し蹴りを繰り出した。 目にもとまらぬ速さで、しのぶが回転し長い黒髪がその後を追って旋回した。 しかし蹴りは空を切りバランスを失ったしのぶは、その場に大きな尻餅をついた。 それでも素早く立ち上がると、キャビネットに走り寄ると、それを開け中のマシンガンを手に取った。 それを乱射しようと振り返ろうとしたしのぶの顔の真横を、ブローニング銃の銃弾が掠めた。ズキューン! 髪を一点だけ焦がし、銃弾はキャビネットに命中した。 「動くなっ!機関銃を捨てるんだっ!今度は頭を貫通させてやろうかっ!?」 観念したかに見えたしのぶは、機関銃を手放した。ゴトンと音をたててコテージの床に落ちた。 「なかなかいい蹴りだったが、残念だな。俺はカンフーの達人でもあるんだ。相手が悪かったな。」 「お・・・お見それしましたわ・・・。この通り・・・。殺さないで・・・。殺さないで下さいますわね?」 「そっちの出方次第だな。恭順の姿勢を顕してもらおうか?」 すっかり口調を変えた青年が、徐々に後ろを見せて両手を上げているしのぶに、近寄ってきた。
10 :
虎の穴異聞15−2 :2009/07/14(火) 19:39:06 ID:ybAcDBGQ
そのときしのぶは、今度は素早く体を倒し、横になると、 パンティの中からあるものを取り出し、それを青年のほうに投げつけた。 それは宙で広がると投網のように広がり青年の頭上から落下した。 「バカがっ!おまえこそ正体を突きとめたあとで、ペニスをちょん斬ってやるわっ!」 しかし投網は、青年を捕獲せずに、というか投網の中にいるはずの青年が消えた。 と思うと、しのぶは背後を取られていたのである。 「ずいぶん色んな仕掛があるじゃないか?なんならその体を身体検査してやろうか?」 「ご・・・ごめんなさい!本当よ。今度こそ本当なの。本当に参りましたわ。ですから・・・ですから殺さないでっ!」 「誰も殺すとは言ってないけどな。ガキだと思ってナメてくれたんなら、ちょっと思い知らせてやろうか?」 「ヒッ・・・な・・何をする気?お願い・・・抱いて・・・アタシとセックスしたいんでしょ?でも変なことは、やめてっ!」 「厚かましくいろいろお願いできる立場かな?しかし女としての誇りは奪ってやるからな。」 青年は、背後を取りながら、人差し指でしのぶの腹のラインを撫でつけた。 「あっ!・・・あっ!・・・・アレレェ〜?何っ?何なのっ!?この感じは!?」 「言ったろ?俺はカンフーの達人だってな。俺の父親がカンフーのマスターでな。一番最初に 俺が盗んだ奥義が、これさ。指1本で秘孔をなぞるだけで、女の性感帯が全開モードになるアヘアヘ攻撃。ククク。」 「ヒッ・・!ヒッ・・!アッ!アウッ?こ・・・こんな・・・こんな・・・かっ・・感じちゃう〜っ!アッアヘェ〜・・・・。」 「さあ、恭順のしるしにオールヌードになりたまえ。そして四つん這いになるんだよ。お姉様。」
11 :
虎の穴異聞15−3 :2009/07/14(火) 19:42:27 ID:ybAcDBGQ
「はっ・・・はい。脱ぎ・・・脱ぎますわ・・・・。」 しのぶの息はたちまち荒くなり、グラマーな肉体からジンワリと汗が滲み出した。 自らブラジャーを外し、おおきなGカップの乳房がブルンッと露出した。 その先端の濃いオレンジ色の乳首は、すでに飴玉の黄金糖のように尖り、せり出している。 「素直になったようだな。なんともこぼれんばかりのデカい乳だぜ。 さぁ、もう一枚も脱いでしまいな。そして俺のほうにケツを向けて四つん這いになれ。」 「は・・・はい。よ・・・四つん這いに・・・なりますわ・・・。」 しのぶはパンティも脱いでしまうと、床の上に四つん這いになってしまった。 突き出され、露わになった秘所に、青年のカンフー達人は顔を近づけた。 「ほぉ〜。仲々いい色艶してやがるな。こいつは意外だぜ。しっかもこんなにウルウルに濡らしやがって・・・・。」 「あはぁ・・・。はぁはぁ・・・・。お願い・・・。なんとか・・して・・。体が・・・体が火照って・・・もう・・。」 性感帯を全開モードにしてしまう特殊な秘孔を突かれて、もはやしのぶの思考はセックスのことしか考えられなくなっていた。 この屈辱的なポーズも、自ら媚びを売る言葉も、いつものしのぶでは考えられないことだったが、 それらのプライドも誇りも、既にしのぶの思考回路から消えうせてしまった。 カンフー達人は、今度も人差し指で、しかし別の秘孔を押した。それは秘孔でも何でもなく、 しのぶの排泄のための菊の蕾の形をしたピンクのすぼまりだった。 「あえぇ〜っ!」
12 :
虎の穴異聞15−4 :2009/07/14(火) 19:44:44 ID:ybAcDBGQ
「ウックックック・・・。おやおや。女の穴の美女軍団は、こっちは未開発かい? ククク・・・・・。まあ無理もないか。ココは脆いから、いくらプロでも触らせるわけには、いくまいか。」 女の穴の性戯教育は、肛門までは及んでいなかった。元来は排便のための器官であり、 物を挿入するためにあるわけではないその穴を、仕事に使うことは、むしろ禁じられていた。 美しい肉体を維持するために、そこを傷モノにしてしまうことはご法度だったのだ。 女性器のように使えば使うほど、感度が上がり成熟していくのとは違い、 肛門は使えばそれだけ緩くなり、切れてしまうことがあるからである。 そこを調教され快感を覚えさせられてしまうと、その快感ゆえに病みつきになり、 やがては超一流の娼婦としての体裁を失い、また変形をきたしてしまってはならない。 女の穴の美女たちにとって、肛門は触れられてはいけない器官であり、そこを開発されてしまうことは死を意味した。 「こんなにおつゆを垂れてしまって、しようがないお姉様だな。どれ、まずは本職の穴のほうから、賞味するか。 ウルウルのメメコにお姉様の大嫌いなガキンチョのチン●の味を堪能させてやるゼ。」 カンフー達人は、バックスタイルでしのぶの女性器に一物を挿入した。 ZUUUUU〜N!! 「アオオオオオオオォォォッ!」 「ウクククク。いい声じゃないか。しかもおケツの穴まで、丸見えでこんなにヒクヒクさせちゃって、まあ・・・。」 =第16話につづく=
>>1 乙です。中身が濃すぎて、前スレは500いかずに容量オーバーとはw
引き続き期待しています!
14 :
虎の穴異聞16−1 :2009/07/15(水) 20:50:42 ID:1mPlzubF
同じ時刻、美鶴代は、竹芝ふ頭の岸壁で、こちらに向いて歩いてくるミスXを見ているところだった。 そのシルエットからして陰気くさい。向こうの明かりは築地卸売り市場で 右手には浜離宮の繁みが、沈黙しながらコンモリと盛り上がっている。 「次はコレだ。あすの朝の新幹線で京都へ行け。三条蹴上の都ホテルだ。道具は、京都駅八条口のロッカーにある。」 それだけいうと、ミスXは切符とコインロッカーの鍵を渡した。 「では、健闘を祈る。以上だ。」 「待ってっ!」 ミスXは、ゆっくりと振り向いた。訝しい顔で美鶴代の顔を眺めている。 「これって、相手が死んでしまうことも組織は承知の上なのっ?そうだとすればなぜ?なぜ殺してまで、 こんなことをするの?」 「フッ・・・。バカなことを訊くな。そんなことはお前が知る必要はない。」 「必要があるわっ!この間からコレを使うようになって、相手が死んでるわ。でも即死させることは 逃げるアタシたちにだって、それだけ危険が伴うのよ。それに万一事件にでもなれば、どうするの?」 「そんな心配はしなくてもよいっ!お前は命令されたことをしていればいいのだっ!なまじ知ると捕まって拷問されたときに 白状してしまうからなっ!それに、事件にはならぬ!絶対に我らがしていることが事件になることはないのだっ!」
15 :
虎の穴異聞16−2 :2009/07/15(水) 20:52:29 ID:1mPlzubF
「こんなの・・・・はじめて・・・・ですわ。アナタって素敵。。。。」 ベッドで、カンフーを使う自分より若い少年のような男の胸に、頬擦りしながら、しのぶは囁いていた。 「女の穴で訓練されたこのアタシを・・・。こんなにメロメロにしてしまうなんて・・・。 それに凄いテクニックでしたわ・・・。恥ずかしいけど、アタシ今日はじめて・・女にさせられた気持ちですわ・・。」 甘く囁くと、しのぶは顔にかかった長い黒髪をかきあげ、青年に自分から接吻した。 それはプロの女がする接吻というには濃密すぎ、そして強烈な唇の絡め方だった。 「愛して・・・しまいましたわ・・・。こうなってしまったからには・・・何もかも白状いたしますわ・・・。 ですからアタシのことを、嫌な女だと思わないでくださいませ・・・。本当に・・・。」 妖しくも、ウットリした目つきで、しのぶはさらにもう一度、濃厚な接吻をした。 (重いゼ・・。しかし逝きまくりやがって、すっかり汐らしくなりやがったか・・・・。) 「ずいぶんと素直になったようだな。高慢チキさが、すっかり取れちまったようだな。フッ。」 「アタシ、高慢チキで馬鹿な女でしたわ・・・。本当の女の喜びを与えてくだすったんですもの・・・。素直にもなりますわ。」 しのぶは、バックと騎乗位で10回以上も達していた。そしてその頂点に達せられた高さも経験したことのないものだったのだ。 「アナタこそ、アタシの王子様ですわ・・。アタシ年下の男には興味なかったけれど、アナタは特別。いえ、 もうしのぶは、アナタの奴隷でございますわ・・・。これからも・・・永遠に・・。」
16 :
虎の穴異聞16−3 :2009/07/15(水) 20:53:59 ID:1mPlzubF
「アタシ・・・、小学生の4年生ぐらいから胸が大きくなりはじめたの。6年生の時はもう85センチを 超えていた。学校でからかわれたり、イジメられたりして、そのころはまだナイーヴで とっても傷つきやすかったの。自分の体系を呪ったわ。そしてその6年生の夏に担任の教師からレイプされたの。 でも親に言っても『黙っていろ』とか『お前の体型が嫌らしすぎるからだ』とか言われて・・・・。 それで家出したときに、名古屋駅で・・・・。スカウト・・というか攫われたの。女の穴に・・・。」 「苦労したんだな・・・・。」 「いいえ。それは苦労なんかじゃないわ・・。今こうしてアナタに抱かれて、アナタを愛してしまった。 これが運命だったのね。アタシは運命の王子様に出逢ったのですわ・・・。」 (バカ女め。そんなことは、どうでもいいんだがなぁ・・・。あんまり気持ちよかったんで、まだ余韻に浸っていたいんだろうから、 まあ、もうチョイ聴いといてやるか・・・・。そのあと、女の穴の情報も白状させ、こっちのいいように利用してやる。) 「男に惚れたことは、なかったのかい?しのぶお姉様は。」 「お姉様なんて呼ばないでっ!しのぶと呼び捨てにしてっ!何もかも捧げるつもりで、おりますの。奴隷でいさせて・・・。 アナタの望むものは、何でも差し上げますわ。例えそれが、女の穴の秘密でも。アタシの命に関わることでも・・・。」 (おいおい。マジかよ?案外ウブだぜ。この巨乳女。) 「実は女の穴は、ある恐ろしい計画を実行しようとしてるわ。それは人類そのものを変えてしまいかねない・・・ とっても恐ろしい計画よ。アタシは、これでも構成員だけれど、背後にはとてつもない大きな組織がいるの。」
17 :
虎の穴異聞16−4 :2009/07/15(水) 20:55:14 ID:1mPlzubF
「アタシだけが、きいていないわけ?他の構成員はどうなのっ!?」 「おまえは、いつからそんな口を聞けるほど偉くなったのだっ!?」 「偉いも何もないわっ!何も聞かされずに働かさせるのには、もう限界にきてるのよっ!」 美鶴代は吐き捨てるように、ミスXに食って掛かった。 しかしミスXも心得たもので、何も語ろうとしない。 「教えないなら、教えないでいいわっ!自分で調べてやるっ!こっちだって、そこら辺の外交官やVIPに いくらでも知り合いはあるんだからっ!」 美鶴代はその場を去ろうとした。 「待て。トリプルM。おまえは、どうやら本部で再教育する必要がありそうだ。今度の任務が終われば 私と一緒にヨーロッパに帰るのだ。いいなっ!」 返事もせず、美鶴代はその場をツカツカと去っていった。 「バカな女だ。何も知らずに、適当に楽しんでいればいいものを。しかし・・・・・・・・。」 ミスXは、至急本部と連絡をとった。しかしよい報告の数は、悪い報告のそれを上回ることはなく、彼女も保身を考えざるをえなくなってきていた。
18 :
巨人の星その後226 :2009/07/15(水) 20:57:04 ID:1mPlzubF
ここで、話はこの物語の第1回に戻る。 国鉄川崎駅と京浜川崎駅のある東口界隈で、生まれて初めてのアルコールを口にしたばかりの 左門豊作は、そのまま川崎球場方面へフラフラと歩いていた。 4ヶ月前、大リーグボール2号打倒を花形満に先を越され、 空虚な気持ちをやり切れずに思い、 新宿駅東口、というより西武新宿駅に近い映画館、ミラノ座で京子と出逢った夜に比べれば 今夜は夢も希望もなかった。 もっとやりようがあったのではないか? 悔やんでみてももどかしいだけであった。新幹線車中での失態など、今日の自分に比べればなんのことはない。 自分が口下手で要領が悪くとも、それは誰のせいでもない。 初めて口にしたマズい酒も少しも左門を愉快にしなかった。紛らせもしなかった。 フラフラと歩きつづけ、いつしか左門は一軒の教会の前にきていた。 川崎駅前から川崎球場につづく道の途中に、第一京浜を渡るとあるこの協会は、川崎パウロ教会といった。 ひとり妄想したこともあった。ここで京子と結婚式を挙げられたなら、どんなに幸せだろうと。 窓から見える中のマリア像に左門はひとり呟いていた。 「マリア様。やはりこん左門豊作、ここには縁のなか男でしたばい・・・。」
19 :
巨人の星その後227 :2009/07/15(水) 20:58:24 ID:1mPlzubF
左門の住まいは、実は川崎市ではなく、東京都内であった。 (注※単行本最終章、飛雄馬の速達が届く場面の宛名を参照してください。東京都とあります。) 住まいは、大田区下丸子2丁目の多摩川沿いにある「みどり荘」というアパートである。 最寄駅は、東急多摩川線の下丸子駅だったが、 西へ向いて歩くと同じ距離で南武線の平間駅があった。 ガス橋を渡り南武沿線道路を渡ると、すぐ平間駅であった。 左門は、ホームグラウンドへの通勤は南武線を利用していた。 川崎駅まで南武線で10分そこそこである。定期券も買っていた。 東急ではホームグランドへは行けない。 そしてこの大田区のアパートは、ホエールズの多摩川練習場にも徒歩でいける距離であった。 巨人軍の多摩川練習場は、そのさらに多摩川の上流になる田園調布である。 長嶋茂雄の自宅からは徒歩で15分、王貞治の目黒区中根の自宅からは東急東横線「都立大学駅」から3駅 「多摩川駅」で降りれば徒歩5分の距離だが、 長嶋はセンチュリーで(後に運転手つきになる)、王はBMWで通っていた。 左門のアパートからも巨人軍練習場は多摩川線で3駅の距離だったが、 幼い弟妹たちは、かつて飛雄馬の消える魔球の秘密特訓をスパイするため、この多摩川線に乗らず タクシーを使ってしまっている。電車の乗り方が分からなかったためなのだろう。
20 :
巨人の星その後228 :2009/07/15(水) 21:00:02 ID:1mPlzubF
左門は定期券をムダにしないために、今日の契約更改も 国鉄を平間から川崎まで利用し、川崎から田町までは乗り越し料金を払った。 帰りは品川から川崎までだけ国鉄の切符を買い、 あとは定期券で平間まで乗って帰宅する予定であった。 しかしブラリと川崎で駅の東側に出てしまっていたのである。 もっとも契約更改には、東急下丸子から蒲田まで東急多摩川線を利用し そのあと国鉄に乗れば、そのほうが近かったかもしれない。 しかしそれでは運賃を丸々支払うことになる。 定期券の分が損になってしまうのだ。それで今日も全戦、国鉄を利用したのだった。 後楽園や神宮でのビジターゲームの場合は、球団からタクシー代がでていた。 左門のキャリアでは、まだ球団寮にいてもおかしくない年齢だったが、 入団1年目から、妹や弟と同居するために、今のアパートに住むことをホエールズが許可してくれていた。 保証人には別当監督自らがなってくれていたのだ。 妹のチヨは買い物には下丸子か平間の駅前、または古市場銀座まで徒歩で行っていたのであった。 =つづく=
21 :
1 :2009/07/15(水) 21:02:58 ID:1mPlzubF
>>13 ありがとうございます
携帯小説の形式でのバックアップ予定があります
完成したら当スレで、ご案内します
22 :
女の穴17−1 :2009/07/16(木) 20:35:16 ID:pjVjd6no
全裸のまま、ベッドから出たしのぶは、バスローブを着ようとして、 青年のほうを振り返った。大きな尻がプリプリと揺れている。 「これを着ても、よろしいでしょうか?ご主人様。それとも・・・ずっと裸のままのほうが、よろしいかしら・・・?」 妖しい眸を輝かせて、聞いている。完全に奴隷モードの自分に酔っているようである。 「好きにしなよ。そうさな。もうちょい素っ裸でいな。」 「わかりましたわ。ご主人様。何かお飲みになって?」 「何があるんだ?毒殺用のスペシャル・ドリンクしかないんじゃないのか?」 「うふふ。これでも、超一流のコテージですのよ。なんでもあるのよ。なにかご希望は?」 「おまえのションベン飲ませろとは、言わねーぜ。酒以外ならなんでもいいさ。」 「あっ。そうそう。ご主人様は未成年でしたわね。うふふ。」 しのぶが、飲み物の用意をしているとき、青年はしのぶのハンドバッグを開けてみた。 ニューオータニで使用されたペニス装着器が、入っていた。取り出してみる。冷たかった。 どういう仕掛なのか?水色のカバー部分を取り外してみた。中には男のザーメンが、びっしりと100ccは入っている。 「こりゃすげーぜ。一瞬でこんなに吸い取られちゃ心臓が止まっちまう・・・。」 「アタシもよく構造は知らないの。でも、一度しか使えないの。これは、このまま連絡員に渡すか、 ヨーロッパに送ってしまうの。なんだか、誰もこれをとても気持ち良がるんだけど、誰もがその途端に心臓が止まるみたいなの。」 しのぶは、聞かれなくてもスラスラ説明した。どうやら本気でこの青年に惚れてしまったようだ。 ヌードのまま、盆に二つのグラスとコカコーラを乗せてしのぶが、ベッドに戻ってきた。盆をベッドに置くと また青年の背中に、寄り添ってきた。 「ねぇ〜ん。アタシと組んで、組織をゆすっちゃわないこと?アナタとなら何だってできそう・・・。アタシ。愛してるわ・・・。」
23 :
女の穴17−2 :2009/07/16(木) 20:37:38 ID:pjVjd6no
東京、銀座の会員制ナイトクラブ「虎翔」には、大柄な頭の禿げた恰幅のいい男と、 ロマンス・グレーの髪に眼鏡を掛けた医師風の男が、ホステスを遠ざけたあと密談に入っていた。 密談というほどではないかも知れないが、二人が会うのは数年ぶりであり、旧交を温めながら このふたりにしかできない話をしていたのだ。 「オス。館長。自分が酒が好きなせいで、このような場所をご案内いただき感謝の言葉もございません。」 「他人行儀は、やめてくれないか?白。私だって飲まないわけでは、ないからね。」 「オス。しかし今でも館長のお得意は、フレッシュ・オレンジ・ジュースでありますか?」 「その通りだよ。キミィ。オレンジ・ジュースが一番さ。もっとも酒も飲めんわけでもなく、何事も程々にだ。 それに私が酒に飲まれるようでは、とうの昔に殺されていたよ。キミィ。」 「ですな。たしか館長と初めて同席したときも、ビールを注文なさいながら、ほとんどお飲みになりませんでしたな。」 「あれは、キミィ。飲まなかったんじゃなくて、キミが飲ませる時間をくれなかったんじゃないのかね? 黒真珠の椿姫とかいう踊り子に、謎の秘孔を押してメロメロになんかしてしまうものだから、マフィアが怒ってきたんじゃないか。 あっ。すまない。今の奥さんだったね。彼女が。」 「そうでした。あの当時の私はあのワザに自分で酔っているところがありました。今日の私があるのも館長のおかげです。 しかし二度目の妻は先年、なくなりました。館長には仲人を申し出ていただきながら、どうも手前恥ずかしい部分がありまして。」 「もういいじゃないかね。その話は。そうか。奥さんが亡くなられたか・・・。キレイな人だったねえ。勿体無い。」 「はぁ・・・。実はハワイ支部を作り、館長とミスター・ゴルゴが最初にお見えになった直後に、突然、訪ねてきまして。 私は、前の妻をあのような事件で亡くしてからは、女に面と向かえなくなっている所でした。しかし彼女の生気と色香が 私を男として再覚醒させてくれた部分も大きかったんです。お恥ずかしい話ですが・・・。」 「い〜い女だったよ。アレは。うん。よっぽどキミの秘孔責めがよかったんだろうね?グフフ。」 、
24 :
女の穴17−3 :2009/07/16(木) 20:39:43 ID:pjVjd6no
「液体窒素だな。これで、精液を瞬間凍結して、保存できる仕組みなんだ。 それより、どうしてこんなに沢山吸い取れるんだ?そのことのほうが謎だな。この装置は。」 「そうですわね。普通の発射ならこんなには出ないわ。」 「男の精巣、つまり玉には精子がぎっしり詰まってるが、それを一気に放出するわけではないからね。 何らかの方法でこんなに一気に放出を強いられたら、心臓も止まってしまうかも知れない。 ちょうど地上から、まるでエベレストの高さまで一秒で移動させられるようなモノさ。」 「まあっ!ちょうど今さっきのアタシがそんな感じでしたわ・・・。まるでエベレストまで瞬間に飛ばされるような・・・ うふっ・・・。こんなステキな感じははじめて・・・。まだアソコが痙攣しておりますのよ・・。」 しのぶは、相手を目の前にしてノロけると、またトロけるような目をしながら青年の肩に頬擦りをした。 そしてまだ痙攣しているというその繁みに手をやっている。 「もう離さないわ。絶対に・・・。死んでも離さない・・・。アタシの王子様・・・。」 それには返事せず青年は質問をした。その前にコーラを飲もうとしたが、瓶をしのぶに渡した。 「まずお前が毒見しなって。こっちはまだそれほど信用しちゃいないゼ。」 「うふふふ。用心深いのね〜。でも頼もしいわ。」 言うとしのぶは、コーラを瓶ごとゴクゴク飲んでみせた。 「この装置で、男の精液を集めて女の穴は、何をするつもりだ?まさか精子バンクでも始めるつもりでもあるまいし・・・。」 青年は、しのぶからコーラ瓶をひったくると、今度は自分で飲んだ。 「とっても大掛かりな化学研究所があるの。アルプスに。なんでもナチス時代から研究は続いていて、その時の化学者や医師も まだいるみたいなのよ。でも元ナチス関係者がいるのに、ユダヤ人化学者もいるの。訳が分からないわ。アタシ。」
25 :
女の穴17−4 :2009/07/16(木) 20:42:06 ID:pjVjd6no
「しかし、いいのかね?キミィ。ご子息を私に預けてしまって。キミのハワイ支部にとっては 大事な跡取ではないのかね?」 「オス。これでも私は館長のお役に倅を使っていただけると本望であります。それに倅は、ちとハワイに置いておけぬ奴で ございまして。あの狭いハワイに倅がおりますと、とんでもないことになるのでございます。」 「彼、白無門は、わがゴッドハンド機関にとっては、牙直人以来の逸材だよ。キミィ。 キミこと、白月王直伝のカンフーと、この私の徹心会空手の融合が生んだ格闘マシーンだ。 少々小柄だが、そこがまたゴッドハンド機関の任務にうってつけの人物とも言える。 今もちょうど、ある大きなクライアントからの仕事で、世界を飛び回ってもらっているよ。 その無門が、ハワイにいては、なぜ困るんだね?キミィ。」 「はぁ・・・。あやつは、少々・・・どころか、大変な好色でありまして。ハワイでも以前から手を焼いておったんです。 上院議員の夫人から、アメリカや日本の女優まで手当たり次第といった具合でして。彼奴が、ジュニア・ハイスクールの頃から 学校教師に女校医、スイミング・スクールの美人教師など片っ端から手をつけよりまして。一度は私が破門してぐらいでして・・。」 「フフフ。それでも破門するに惜しい逸材だったと親の目から見んでも分かる才能だわいさ。 しかし好色はキミゆずりかも知れんね。それに彼の母親があの例の踊り子さんだった彼女だろ?そりゃ正当に親の遺伝子を 受け継いでいると思って諦めるしかないね。キミィ。」 「いあや〜。全くお恥ずかしい限りです。オス。あんな奴でもお役に立てるんであれば、これに勝る幸せはございません。オスッ。」 「しかし、アレだな。それほど女性の扱いがウマいとなると、今回の彼の任務はまさに、うってつけだったかも知れん。 このあたり、女にコロリと惚れてしまうところのあった牙直人よりもな。ところで、キミィ。 まさかあの女が一瞬でメロメロになる秘密の秘孔を突くワザを伝授してしまったんじゃないだろうね?」 「そ・・それが、館長・・。オス。伝授するどころか彼奴は、自分であのワザをこの私から盗み、ほぼ独学で会得しおったのです。 私がある女性にアレを使っているところを、どうもガキながら見ておったようでして・・・。オスッ。」 「ということは何かね?キミはまだあのワザをホイホイ使っておったのかね?キミも好きだね〜。ったく。 私なんか韓国に隠し妻がおる以外は、かみさんオンリーなのに。」 「はあ、実は今度3度目の妻を娶ることになりまして・・。その・・。道場に来ておった22歳の白人女性でありまして・・。」 「年を考えたまえよ。キミィ。私もキミも、もうすぐ60だよ!60。30歳以上若い奥さんなんて、キミィ。 羨ましいったら、ありゃしない!私にも誰か紹介したまえよ。キミィ!まぁこれは冗談だがね・・。」 館長と呼ばれた男は、オレンジ・ジュースではなく、ビールをゴクリ飲み干した。 =第18話につづく=
26 :
巨人の星229 :2009/07/16(木) 20:44:00 ID:pjVjd6no
左門は、川崎パウロ教会から歩き去ると、トボトボ川崎駅前に歩を進めだした。 頭の中は真っ白だった。 何か考えようにも、何も残っていなかった。 悩みまくったときに出る一種の虚無状態である。 虚ろな状態で、歩いていると、ドスンとぶつかった。誰かにである。 「あっ!もう!」 相手はブツブツ言いながら左門のほうをみた。ただのサラリーマンだった。 しかしその顔を見て何を思ったか分からないが、怒るでもなくそのまま歩き去った。 そういえば今日、似たようなことがあった。 どこでだったろうか?すぐには左門は思い出せなかったが、少し時間を置いてから今日のその出来事が思い出された。 今日、京子に罵倒されてしまってから、なるだけ具体的には思い出さないように心掛けていた左門だったが、 ようやく思い出した。
27 :
巨人の星230 :2009/07/16(木) 20:45:17 ID:pjVjd6no
そうだった。京子に罵倒されたあと、ぼんやり歩き出して反対方向に向かってしまい、 品川駅まで来てしまった寸前だった。 あのときも、ほとんど自覚できずに人とぶつかったのだった。 相手は怒ってくるかとも、一瞬考えたが、 相手は左門の顔を見て、一度はビックリしたが、ニヤリと笑うとそのまま歩き去ったのだった。 そのときの光景がふとよみがえった。 そのときの相手の顔を。そのときは気にもとめなかったが、今思い出してみると、 知ってるとまでは、いえないが見たことのあった顔かもしれない。 いや、見ていた。4ヶ月前、西武新宿駅前のミラノ座で、竜巻グループと揉めたあと、 助太刀にやってきたチンピラどもの中に確かその顔があった。 「うんにゃ、もしかしてアレは・・・。」 確かあの後の顛末で彼らは飛雄馬と左門に刃物を向けていたのだった。 左門はようやく頭が働き出した。 「そうばい。京子さんにくっついとったチンピラ男のひとりたい!ばってん何であん男が・・・あそこを歩いとったか・・・? も・・もしや京子さんを・・・京子さんば探し取ったんじゃなかとか?あんチンピラどもが・・・。 新幹線ば中で、京子さんば『訳あって都落ち・・・』と言っとったばい・・・。 こら、もしかしたら・・・京子さんが・・京子さんが危なかとじゃっ!きょ・・・京子さん!」
28 :
巨人の星231 :2009/07/17(金) 19:10:10 ID:FeZxflJm
左門は駆け出した。 一瞬自分がどこを歩いていたのか分からなかったが、勝手知ったる川崎駅周辺である。 すぐに駅前、国鉄川崎駅の東口へ出た。 タクシー乗り場から、タクシーに乗ろうとした。しかし時間が時間だった。 午後7時を回りそこは混雑しており、人が列をなしていた。 長蛇の列で、タクシーは乗り場にくることはくるが、客のほうが多い時間帯である。 「こら、待っとったんじゃいつになるか、分からんばいっ!」 左門は振り返った。そこに京浜川崎駅があった。 「こんくらいの時間帯は、こら電車のほうが、きっと速いことつくばいっ!」 左門は、京浜品川までの切符を買い求めると、ホームに入っていた列車に飛び乗った。 品川ゆきだった。 「こら、ちょうどええ按配じゃったと。すぐ行きますよってに。待っとってくりんしゃいっ!京子さんっ!」 列車はすぐに動き出した。
29 :
巨人の星232 :2009/07/17(金) 19:12:02 ID:FeZxflJm
MVアグスタ750Sは、闇の中でも行き交う車のヘッドライトに、 その赤いボディを輝かせていた。 京子がモンテクリストに戻ってきたのは、夜になってから、 しかも勝手口から入ったので、今の今まで気が付かなかったのだ。 鉄二は自分でこのマシンを操ってきたのだろうか? だとしたらどうやって上野に戻っていったのだろうか? 地下鉄浅草線だろうか? マシンは初めて京子が見たものかどうかは、分からなかった。 明らかに違ったのは、3年前に見かけて思わず跨ってしまったときと違い フル・カウリング・タイプであるということだった。 まだ日本にレーサー・レプリカのバイクなど存在していない時代のことである。 京子もその美しさには目を見張るばかりだった。 官能的ともいえる曲線美、そのカウリングは平べったいガソリンタンクと相まって、 この世に存在するバイクで最も美しいフォルムをかもし出していた。 シングル・シートの上に、分厚い紙袋が置かれていた。 カカオ豆を輸入するときに使われる頑強な紙袋である。 思い出した。遠出のツーリングや、練習のときは、必ず身に付けていたレーシング・スーツを いつもこの中に入れていたのだ。
30 :
巨人の星233 :2009/07/17(金) 19:14:34 ID:FeZxflJm
黒のレーシング・スーツは、昔のまま、きれいに折りたたまれ、 グローブとブーツと一緒に、くだんのカカオ豆袋に入れられていた。 皮製のウエスト・バッグと一緒に。 京子は、それらを店の中に持ってはいると、電気をつけていない店内で、 下着姿になると、レーシング・スーツとライダー・ブーツ、グローブ、ウエスト・バッグを身に付けた。 まだヘルメット義務化される前の時代のことである。ヘルメットはなしだ。 京子は勝手口から店を出た。カギを持っていないのだ。施錠のしようもない。 表に回った。 キーを差し込んだ。 アグスタに跨った。ブレーキ・ペダルとレバーを握る。スターターを入れた。 初動にしては、甲高いエキゾースト・ノートが響いた。 初めて聴くアグスタの排気音である。血が逆流する思いがした。 =つづく=
31 :
1 :2009/07/17(金) 19:18:14 ID:FeZxflJm
本日、「虎の穴異聞」休みます 間もなく携帯小説形式でのUPを完了予定です
32 :
女悪役ブルース :2009/07/19(日) 15:59:42 ID:mdk7yCrr
「ありがとう純・・・感謝するよ・・・」 やっとの思いでホテルまで戻り、ゼロをベットに寝かせたところで、 ゼロが喋り始めた。 「意識戻ってたんだ、じゃあケガの手当てするから・・・もういいでしょ、 そのマスク脱いでも、二人の仲だし」 努めて明るく言ったつもりだったが 「純にはお尻の穴まで見られちゃったからね・・・」 「そういうつもりで言ったわけじゃ・・・」 「いいんだよ、純は優しい子だ。だからこそ純が守ってくれた覆面の 秘密をもう少し続けたいんだ」 「つまりマスクを脱ぐから、ここから出てけってことね。わかりました! それだけ隠しておきたい素顔って、実はブリブリの可愛い子ちゃんだったりして!」 「その可愛い子ちゃんも、リングでお尻の穴まで晒しちゃおしまいだけどね・・・」 あれだけの仕打ちを受けた後だけに、ゼロにどんな話をしてもネガティブに 振れてしまう。 「そんなゼロは、私の知ってるゼロじゃない!速くケガを治して、私の前に 立ちはだかってよ!」 そう言って純はゼロの部屋を出た。
33 :
女悪役ブルース :2009/07/19(日) 16:33:19 ID:mdk7yCrr
純が部屋を出ると、ゼロはベットから起き上がり、ドアにロックをした。 再びベットに戻り、ベットの上で壁に背中をもたらせ、正面のデスク上にある 大鏡をみつめる。そこには全裸にマスクだけの女が自分を睨みつけてる。 その姿にゼロは話しかける 「何をやってんだいお前は、だらしなく負けやがって、そのざまは何だ!」 鏡の中の自分に毒ずき、こんどは太腿の下に手を入れ、自分の両の足を持ち上げた 「こんなかっこうさせられて!あたしにはわかってるんだ、こんな時も濡れてたんだろ!」 「あぁ・・そうよ・・全裸に剥かれて抱き上げられた時、あたしの意識はあった。 下衆な男共の視線を痛いほど感じて・・あたしは・・・濡れていた」 ゼロの一人問答は続く 「でも一番興奮したのは、純に見られたことじゃないの、あの子ガン見 してたからね」 「そう、とっても恥ずかしかった・・・純の熱い視線に足を閉じそうに なったけど、それじゃ月子に意識があることがバレる。必死に隠そうとする 思いが、肛門をすぼめようとしてしまって・・・逆に肛門のひくつきまで 純に見られてしまった・・・あぁ・・・いや・・」 持ち上げていた足を下ろし、両手は胸と股間にいく。 「ん・・くっ・・・あぁ・・」軽い喘ぎ声をあげながら、ゼロは手をうごかす 「この変態女が!それがお前の本性さ!本当はマスクも剥がされたかったんだろう! いやらしい女の素顔を暴かれ、その瞬間にイキたかったんだ!!」 そういうと、マスクを半分捲り上げ、その半脱げの状態で更に股間を 弄ぶ。愛液がたれ、クリトリスも充血してきた 「あぁ・・・純そんなに見ないで・・・あぁイッくう・・・!」 その瞬間マスクの頭頂部をつかみ、一気にマスクを脱ぎ去り、 同時にゼロは果てた。いや、そこにいるのはもうただの裸の女。 女はシャワールームに向かった。
34 :
女悪役ブルース :2009/07/19(日) 16:54:51 ID:mdk7yCrr
ホテルから出た純は、近くの公園のベンチに腰掛けていた。 ほんの数週間の内におきた、目まぐるしい出来事がフラッシュ バックで脳裏を過ぎる。 (一体私は何がしたいんだろう?最初はゼロを倒すことが目的だった けど、そのゼロは月子の前に屈した。次の目標は月子だけど、 あの子がメジャー団体に行ったら、追放処分を受けてる私に月子と 闘う場所はもう無い・・・) 様々な考えが浮かんでは消えたが、何も考えはまとまらなかった。 その時公園の入り口から歩ってくる人影が見えた、漆黒の人影は ベンチの脇の灯火でやっと確認できた 「レーコ・・・」やってきたのはレーコだった「元気が無いな、大丈夫か?」 「私は大丈夫だけど、ゼロが・・・」落ち込む純にレーコは 「大丈夫やって、何も心配することあらへん。ゼロだってそのくらい の覚悟はしてリングにたってるんだ。」 「でも、私がもう少し早くゼロを救ってれば、あんな辱めを受けなくて 済んだのに・・・」 「純はさっきの警察の手入れは偶然やと思ってるんか?」 「じゃあ、あれはレーコが?」 「せや、調度ゼロ月子戦当たりに警察がくるように通報したんやけど、 最初の二人は瞬殺だし、ゼロもあんなに早くやられちまうし、まったく・・ でも、純のおかげでマスク剥ぎだけは逃れたから、ゼロも純に感謝してるだろ」
35 :
女悪役ブルース :2009/07/19(日) 17:05:48 ID:mdk7yCrr
「でも、すっかりゼロは弱気になっちゃって、私これからどうしよう・・」 今の純の偽らざる心境だ 「どうするって、純はどうしたいんや?」 「私はもちろん月子を倒したい、ゼロがやられて尚更敵が討ちたい! でも、私とゼロは女子プロレス界から追放されたまま・・今の状態では 月子と闘うことは不可能・・・」 頭を抱える純に 「でも、ゼロは考えがあるっていってたんやろ?」 「確かにそんなことも言ってたけど、あの様子じゃ・・・」 「まあゼロを信じて待ちーや、とりあえず明日の稽古は休むから、 ゆっくり静養しーや」 純の肩を軽く叩くとレーコは公園を出て行った。
36 :
女悪役ブルース :2009/07/19(日) 17:11:47 ID:mdk7yCrr
前スレが容量オーバーになった日に書き込みしようとして、 すっかりガックリきてしまい、それから落ちてたんですけど、 2スレ目が立ってたんで、私も再度書きますね。 このまま落ちようかとも思ったけど、あと数話で終わりなんで、 ちゃんと完結してから去ります。
37 :
1 :2009/07/19(日) 19:42:33 ID:zwrt5ZLT
>>女悪役ブルースさん
ご迷惑をおかけしました
当方の作品HPを開設しました
とりあえず無料版での作成で、携帯からもやや画像数が減りますが見れます
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 まだ発表済み作品の引越しが完了していませんので、当面は
私もこちらで連載を続けていく予定です
虎の穴のPASSWORDは「tora」です
どうぞよろしく
お便りもお待ちしております
38 :
巨人の星234 :2009/07/19(日) 19:47:13 ID:zwrt5ZLT
京子のアグスタは、桜田通りを白金方面に走り出した。 長い髪をなびかせて、赤い車体は、闇の中を街灯と対向車のヘッドライトに照らされて、 夜の東京へ踊り出した。 久しぶりに運転するバイクの感覚は、京子の五感に心地よい感性を呼び戻してくれた。 死地へ趣くライディングとは思えない、爽やかな風が 漆黒のライダー・スーツから京子の肌に当りそして撫でてゆく。 頭も徐々に冴えてきた。すぐに明治学院の交差点に差し掛かった。 桑原坂へ左折する。心持ち思いきって車体を斜めにしてみた。 驚くほどのレスポンスでアグスタは、スイと曲がる。思わず自分が天才だと錯覚しそうなほどだ。 そのカーブで、その様子を見かけた若い男が思わず声をあげる。 「うひょ〜っ!カッコいいっ!しかもマブい女!」 道行く人も対向車も皆がその様を眼にするごとに見とれ羨望の眼を送った。 もちろん京子はそんなことは意に介していなかったが。 八芳園の横から目黒通に出るとまた左折した。白金台の信号を右折する。東大病院方面に入った。 そのまま外苑西通りに合流すると、 京子のアグスタは明治通を横切りそのまま北上した。天現寺をあとにし聖心女子大の前を通過した。
39 :
巨人の星235 :2009/07/19(日) 19:49:00 ID:zwrt5ZLT
タクシー乗り場に近かったせいで、つい乗ってしまった京急電車の左門豊作は、 すぐに後悔した。 停車駅が多すぎるのだ。国鉄なら品川まで20分とかからないのだが、 これだと倍近くかかってしまう気がした。 「ううっ。もうちょい速く走れんとばいっ!?こん電車ばっ!こらノンビリしすぎとるたいっ!」 電車はようやく3駅目の蒲田だった。国鉄ならもう大井町あたりまで行っていたはずである。 ここで国鉄に乗り換えようか、左門は迷った。 その間にも電車のドアは閉まりのどかにも次の停車駅を告げた。 「つぎは〜。梅屋敷〜。梅屋敷〜。」 「そがんところに用はなかっ!速よお行ってくりんしゃいっ!」 電車の中で声をあげても始まらないが、左門はジリジリした。 車内は通勤の足とは逆方面になるので、案外すいていた。 しかしそのすきっぷりが、余計に左門をイライラさせた。 「なんちゅう遅か電車たいねっ!こん電車はっ!」
40 :
巨人の星235 :2009/07/19(日) 19:51:44 ID:zwrt5ZLT
京子の目立つアグスタは夜の東京を疾走する。 通行人の誰もが、京子とアグスタの組み合わせに目を見張った。 まだ暴走族など出現していない時代である。 しかも乗り回しているのは女である。それも長い金色の髪をなびかせて。 見る人すべてが、一瞬思考停止になるほどだった。 六本木通との交差点、西麻布の信号待ちを8千回転でスタートさせた京子のアグスタは、 そのまま外苑西通りを青山霊園の西側にとった。 漆黒の闇を、巨大な沈黙せし霊園の横をアグスタは疾走する。 青山通りを突っ切るとブラジル大使館の前を通過し、国立競技場を右後方に抜きさると 「外苑」の赤信号にかかってしまった。 左は東京体育館である。前の石畳には誰もいない。電信柱に一枚のポスターが貼られていた。 「前売り入場券:発売中」と大きく書かれたポスターはプロレスの大会ポスターだった。 同じモノをどこかで見た気がした。そのポスターの右上スペースに金髪の猿顔の外国人がポーズをつけて こちらを睨んでいる。京子は思わず「あっ」と声をあげた。 今日の昼間、あの柘榴坂付近で、鬼怒川のチンピラどもを蹴散らしてくれたあの猿顔外国人だ。 下に文字が印字されている。『美獣ハンサム・ハーリー・レイス』とある。 そのキャッチ・フレーズに京子は思わずクスッと笑ってしまった。醜いとは思わなかったが。 人によって随分ハンサムとは意味が違うのかも知れないと思った。 京子はふたたびクラッチを切るとアグスタは、中央線のガード下をくぐり、新宿御苑の東側を疾走しだした。
41 :
巨人の星235 :2009/07/19(日) 19:54:40 ID:zwrt5ZLT
↑訂正です 「巨人の星236」です いよいよ終盤に差し掛かってきました 回収し忘れの伏線は、なかったかと思いますが お気づき 点がございましたら、ご指摘ください。 あしたに続きます
42 :
女の穴18−1 :2009/07/19(日) 20:07:38 ID:zwrt5ZLT
「なっ・・なんだとっ!?女の穴には、ナチスくずれの化学者ばかりか、ユダヤ人化学者もいるだと!?」 「ええ。名前も顔も、どっから見てもユダヤ系だったし、彼らは結構仲良く共同で研究しているみたいだったし、 一緒に中でテニスやサッカーにも興じていたわ。それに、女の穴本部には、キリスト教の祭壇が2種類あって、 他にユダヤ教徒のためのシナゴーグまであったもの。それとアタシには何教か分からない祭壇もあったわ。 どれが、一番とかはなくて、どれも割と公平に扱われているわね。」 しのぶは、自分のハンドバッグから取り出したMOREという長いタバコを取り出し、自分でそれに火をつけると、 ふーっと煙を吐き出した。 無門は、今まで得ていた情報から、女の穴はナチスそのものやネオ・ナチでなくとも、反ユダヤ組織から構成されていると 考えていただけに意外だった。しかしよく考えてみれば、しのぶや他の女構成員も、ドイツ系やアングロ・サクソンだけでなく 日本人などの黄色人種、ラテン系、それにまだ見たことはないが黒人の構成員までいるのだ。それだけに人種論者の 凝り固まった構成ではなく、他の目的があることは窺い知れた。それにしてもナチス残党とユダヤ人化学者が一緒に働いているとは。 「そいつらから何か聞いたか?話を。」 「いえ。内部ではアタシたち女は男とは接触できないのよ。直接は。訓練も教育も女から女が基本だし。見かけることはあっても、 話をしたり、ましてセックスなんてありえないわ。それに化学者は、概ね高齢よ。戦時中の生き残りがいるぐらいだから。」 しのぶは、タバコの煙をまた吐くと、そのタバコを指で挟んだまま、ハンドバッグの中のコンパクトを取り出した。 「コレが、フリーメースンのロッジへのフリーパスよ。その幹部とも会えるわ。秘密の合図も教えられてるし。それにチベット支援施設の 日本支部や、日本の日蓮宗系の大きな教団へも幹部と同席できるの。なぜかは知らないし、アタシ、宗教って馬鹿馬鹿しくて嫌いだけど。」
43 :
女の穴18−2 :2009/07/19(日) 20:10:01 ID:zwrt5ZLT
無門にはますます不可解に思えてきた。この淫乱な巨乳女でも、そこまで知っているし、 様々なところへ出入りできており、相手の組織もそれを黙認している。 しかしゴッドハンド機関へのクライアントもユダヤ系の大財閥の人間だった。先月に徹心会館長にして ゴッドハンド機関総帥、大東徹源も同席のもとで聞かされた話では、依頼の内容は、 秘密組織「女の穴」の実体調査とその行動の目的を探ることだった。そして機会があればその行動を妨害して 「女の穴」を撹乱するもよし。騒動になろうと、あとはこちらの人員で対処すると言っていた。 そのユダヤ系財閥が依頼していたことから、てっきり的は反ユダヤ組織と考えられていたからである。 無門は頭の中を整理してみた。少し思い当たることがあったからだ。しかしそれは彼の予備知識の範囲であり 何ら確証のあるものではなかった。今確かなことはまだその組織が大掛かりであり、人種論など超越したプロジェクトが 進行中であるということと、何らかの面で優秀か有能とされる男の精液を乱暴な手段で収集しているということだけである。 しのぶは、タバコを消すと、両手で無門に抱きついてきた。 「ねえ。難しいお話はこれくらいにして、もっと可愛がって・・・。もっとイジメてくれてもいいのよ。」 「お前が知っていることは、オイオイ全部喋ってもらうが、こっちも少し脳味噌を整理しなくちゃな・・・。」 「スカッとさせてあげるわ・・・。アタシが。ねえ。このままどこか南の島へでも逃げて、そこで二人だけで暮らしませんこと? アダムとイヴになるのよ。アタシたち。」 そんなことは、どうでもよかったが、果たしてそんなことが可能だろうか?相手は地の果てまでも追いかけてくる組織力を持っていそうだ。 可哀想とは思わなかったが、このド淫乱な巨乳女の運命も決してこんな楽観できるものではないと確信する無門だった。 「ねえ。ご主人様。よかったら名前をおしえて・・。もちろん本名が無理なら何て呼ばせてもらえばいいの?ご主人様・・・。」 「そうだな。バビロンと呼んでもらおうか。」
44 :
女の穴18−3 :2009/07/19(日) 20:11:56 ID:zwrt5ZLT
「しかしそれほど病的なまでに好色で、しかも例の女攻略術を持っていれば、 それほど破滅的な性格ではなく、むしろ人間観察に優れた客観性を持ち合わせているとも言えるな。 人間というものは、コンプレックスの対象が多ければ多いほど、それに対する恐怖とトラウマで、 判断を誤りがちになるものだが・・・。いつも女性を征服しておれば、自ずと精神に余裕もできよう。」 「オスッ。大東館長。おっしゃるとおりですが、無門の奴には、チト仔細あるコンプレックスが、ございまして・・・。」 「ホォ。それは、どんなコンプレックスだね?」 「アレの母親が、大そう彼奴を嫌悪したしまして・・・。というより関係が良好ではなかったのです。」 「キミの奥さんのあの黒真珠の踊り子さんとかね?」 「はぁ。当時、妻が私に申しますには、アレはすでに5歳から手淫をいたすほどの絶倫ぶりで、もう10歳には、 大人顔負けの巨根になっておったようで、妻がよりによって、それを気味悪がりまして・・・。 私と彼女との偶然にして、ややショッキングな馴れ初めが呪われた末の産物だと・・・・。 しかも幼少の頃から、寝ている妻の女性器を観察しようとしたり、トイレを覗いていたことがあったようなのです。」 「女性が不可解な存在ゆえに興味を持つのは、男だれしも、これ同じだが・・・。母親の愛情を得られず、替わりに嫌悪を あてがわれていたと・・・。もしそれが、本当なら、もしや無門は心に年上の女性への過度なコンプレックスを 抱えておるやも知れぬと。こう案じておるのだな?白。キミは。」 「お恥ずかしい話であります。空手家、拳法家としてこの上ない才能に恵まれながらも、 どうもそこの部分が唯一の心配の種であります。館長のゴッドハンド機関に、ご迷惑をかけなければ、いいのですが・・・。」
45 :
女の穴18−4 :2009/07/19(日) 20:13:12 ID:zwrt5ZLT
「しかし白月王。仮に現実にそうだったとしても、わがゴッドハンド機関において、 その心配は杞憂にすぎぬ。なぜならゴッドハンド機関は、営利団体であり、 クライアントから支払われる収入によって、任務を請け負うものだからだ。 我々や彼の主義主張で行動が左右されるものではないし、それは無門が一番よく理解しているはず。 また思想や主義に我々ゴッドハンド機関が縛られるようなことが、あれば 彼は最初からこのプロのボディガード、プロの格闘エージェントとしての職を選択しておるまい。 多少の女色もボーナスと心得ていよう。またそれに溺れるようでは、自分の生命が危うくなることもな。」 「ありがとうございます。館長。おおせの通り。ご高説感謝いたします。」 「白。預かり物を大切にするのは、中国人古代よりの伝統とかつてキミは私に言ったが、 それは、日本人も同じだ。私は彼を評価しているし、最高の任務につかせているつもりだよ。キミィ。」 「館長。久々に館長のアレが聴きたくなりましたな。ホレ。あのダンチョネなんとかという・・・。」 「ハハハ・・。あの私が勝手に替え歌にした出鱈目のダンチョネ節かね。そうさな。では久々に歌わせてもらうか・・。」 「♪沖のカモネとぉ〜大東カラテはよぉ〜 ♪どこで死ぬやら〜果てるやら〜ダンチョネ〜 ♪俺が死んだらぁ〜三途の川でよぉ〜♪鬼を集めて、カラテするぅ〜ダンチョネ〜」 銀座の会員制クラブ「虎翔」の客やホステスたちも、その名調子に耳を傾けているのだった。 第19話につづく=
46 :
女悪役ブルース :2009/07/22(水) 23:49:55 ID:fuxyGyJM
大阪での地下プロレス興行を担う、暴力団の組事務所。 会議室風の大きな部屋で、数人の男達が大テーブルを前にして座っている。 テーブルを挟んで向かい側に座っているのはクイーンゼロ。 「今日は何の話かわかっているだろうな?」 若頭か、若中頭クラスか、いかにもといった風貌の男が威圧感たっぷりに ゼロに問いかけるが、ゼロはそれほど臆さず 「昨夜の月子との試合なら、あんたらの描いた負けブックにしっかり乗って やったんだ、文句はないだろ?あそこで純が乱入してくるとは思わなかった けどさ。それに、あたしだって、あそこまでボコられるなんて思ってなかったよ、 まだ体中が痛いよ」 「空手小娘が乱入したのは想定外だったが、まぁ仕方ないだろう。だが警察に チクったのはお前じゃないのか?」 「ふん!そおういうのを下衆のかんぐりっていうんだよ!どうしてあたしが 今更警察に地下プロレスの存在を通報する必要があるんだい? どうせあたしはこれからも、地下プロレスで食ってくしかない女だし だからこそ、月子の引き立て役で負けてもやって・・・揚句に、ブックにない マスク剥ぎまでされそうになってさ・・・あぁ恥ずかしかった!」 「月子を挑発したのはお前自身だろう、まあせっかく正体不明を守れたんだから、 月子の後釜が現れるまでは、お前さんにもう少し、謎の地下チャンピョンと して頑張ってもらうか・・・だが、どうしてお前はあの小娘にまで正体を隠すんだ? モーリレーコ!!」
47 :
女悪役ブルース :2009/07/23(木) 00:12:56 ID:e5hbrwIh
「その一人二役を続けてきたのも、これから出す条件の為よ!」 言いながら、後頭部の紐を解き、マスクを脱いだ。 現れた顔は、髪をアップにひっつめ、メイクもほとんどしていないが 確かにモーリレーコその人だった 「慣れない関西弁使ったり、着慣れない女っぽい服装したり、しばらく やってなかった化粧したり、ずいぶん涙ぐましい努力をしたんだよ、 なんだか怪しいおばさんみたいになっちゃて、恥ずかしいったらありゃしない」 「おばさんなんて、卑下するような言い方したってごまかされないぞ、 まだまだお前は充分いけてる。地下のリングで通用しなくなったら、 そうさな、香港あたりの売春窟ででも働いてもらおうか、それとも、俺たちの 奉仕役でもやってもらおうか」男達全員が下卑た笑い声を上げた 「香港で売春の方がいいかな、あんたらの祖チンじゃあたしを満足させられ ないよ。昔あんたらにレイプされた時だって、入ってるんだか入ってないんだか わからなかったくらいだしさ・・・ハハハ」 「勝手なこと言いやがって・・・それはいい、それより条件てなんだ?」 「みちのくに行く月子に、純を一緒に連れて行かせて デビューさせて欲しい。それだけさ」 「だが、お前とあの小娘は、東女から追放宣言を受けてるだろう・・・ いくら俺達でも、それは無理だろう」 「いや、こういう方法で・・・」 話続けるゼロ。
48 :
女悪役ブルース :2009/07/23(木) 00:39:28 ID:e5hbrwIh
ジムのリングで屈伸運動をする純。今朝寝坊して起きたら すでにゼロは外出していた。仕方なくこのジムで汗を流していた。 (レーコはもう少し待てというが、このままでは月子が大阪を離れて しまう、闇討ちはしたくないけど、もうそれくらいしか・・・) 一人考えに耽っていると、入り口からゼロが入ってきた。 「ゼロ、どこに行ってたんだよ」純の問いかけには答えず、 ゼロはポケットから赤い布きれを出すと、いきなり純の頭にかぶせた 「ちょ・・ちょっと何するんだよ」 「さあ、今日からお前は謎のマスクウーマン、レッドサンだ!」 「マスクウーマン・・・レッドサン・・?」 「そうだ、お前は月子がこの地下プロレスでリングパートナーとして、 長年連れ添ったマスクウーマン・・・そういうブックで、月子と一緒に みちのくでデビューするんだ」 「で、でも私達は・・・」反駁する純をゼロは制して 「そのへんの処理は、あたしがやっとくから心配いらない、あんたは 月子と一緒にデビューして、地上のリングに戻るだ!」 「じゃー、ゼロも一緒にみちのくに行くんだよね!よーし頑張るぞ!」 「あたしはいかないよ、あたしはこれからも、この地下のリングでのたうつ 運命・・・。とにかく!あんたはこの機会を逃せば地上に戻れなくなる、 あたしのことは忘れて、さっさといきな!」 「嫌だよ!ゼロと一緒じゃなきゃ!なんの為に二人でここまでやってきたのさ!」 駄々っ子をあやす様に、ゼロは 「東女でもそうだったけど、あたしは地上のリングでは、あぶれ者。 この地下のリングがお似合いなのさ・・・でも純は違う!お前は地上のリングで 輝く星の下に生まれてるんだ!月子が地下の闇に怪しく光る名月なら、 純は地上の太陽のように真っ赤に燃える日輪さ、レッドサンという リングネームにはそういう意味もあるんだ」
49 :
女悪役ブルース :2009/07/23(木) 00:57:01 ID:e5hbrwIh
ジムの壁にあるエアロビ用の大鏡に映る、自分のマスク姿を純は見た。 赤地に額の所に、太陽の絵が刺繍されている 「レッドサン・・・そんな意味が・・・」 「昔日曜の午後にTVで視た洋画に、同じようなタイトルがあったけど、 良い名前だろ。一応しばらくは団体の関係者にも素顔は見せないことだ うまくお前をもぐり込ませても、気をつけなきゃどっから情報が漏れる かわからないからね」 「ゼロありがとう・・・」 「気にするな、それにまだ純の実力じゃ月子には勝てない、まだまだ 稽古が足りないぞ、今日は最後だ、さあかかってきな!!」 リング上で組み合う二人。 この後、みちのく女プロレスで闘う月子と純。 地下プロレスで闘い続けるゼロ。 それはまた別なお話。大きな時代のうねりの中で、女達の 美しくもエロティックな闘いは続く。 =END=
50 :
女悪役ブルース :2009/07/23(木) 01:02:33 ID:e5hbrwIh
かなり放置した伏線はありますが、とりあえず一旦ここで 終わらせます。 前スレで書いたように、女悪役ブルースは、単発で今後も 作品投下を考えています。新作も時期をみて投下していきます ので、今後も御愛顧の程お願いいたします。
51 :
1 :2009/07/23(木) 01:25:38 ID:irBbOsZ5
>>50 拝読し終えました
ゴールインお疲れ様です
かなり余韻のあるENDですが、そこが「新・巨人の星」や「ボディガード牙」「新カラテ」
「タイガーマスク二世」みたいで、そこそこ後を引くテイストだと思います
次回作も楽しみにしております
「レッド・サン」とは、あのブロンソン、ドロン、三船の3巨頭が活躍する日伊仏合作ウエスタンでしたね
ブロンソンが軽軽しくギャグを飛ばす役柄はあれが最初だったんじゃないでしょうか?
オールスター映画にしては、かなり脚本もしつかりしているのに
ネイティヴ・アメリカンを「野蛮な殺し屋集団」として登場させたことが、製作の1970年当時では
風当りが強かったと聞いています
しかしフランス追放中のドロン、名脇役から主役へのし上がる過渡期のブロンソンと、抜け目ないアンドレス
演技が光る名作だったと思います
52 :
女悪役ブルース作者 :2009/07/23(木) 18:27:01 ID:fTV3Ud6B
>>51 ありがとうございます。途中で投げ出すよりは、とりあえず無理矢理でも
終わらせた方が良いと思い、こういう形でエンディングを向かえました。
レッド・サンは、本編の中でゼロに語らせているように、少年時代の
昼下がりに自宅で見た忘れ得ぬ映画の一つです。
荒唐にして無稽、やたらと痛快なアクション、それでいて重厚な
作りと、当時のビックネームが揃い踏みする、配役の妙と、
どこを取っても、日本の映画界には絶対作れない快作です。
ガンマンと、悪党と、お侍さんが西部を舞台にして珍道中を繰り広げる
という、当時小学生の私には最初お笑い西部劇かとおもわせるものでしたが、
ストーリーが進むに連れ、引きずりこまれるその作り込みの深さに感動した
ものです。
カジセンセが作中に頻繁に登場させ、おそらく大好きだったんだろうと思う
「ノートルダムの鐘」的な作品が、私にとってはレッド・サンということに
なります。
>>52 完走乙
自作も女子プロものを期待
>>1 女の穴はテツ・ダイトーとゴッドハンド機関が登場ですか
面白けりゃいいのでタイガーマスク世界にこだわらなくても別にいいよね
さいきん更新が遅いけど忙しいのか
これまでがハイペースすぎたが
54 :
巨人の星237 :2009/07/23(木) 22:19:00 ID:ER+JaVke
京浜急行品川駅についた左門は、改札口を駆け抜けた。 来たはいいが、どこへ行けばいいのか?どうすれば京子に会えるのか? あるいは何事もなくて、顔を合わせた途端、京子に悪態をつかれることを 左門はもはや考えていなかった。 右手に国鉄の改札があった。これに乗っていればもっと速くついたかも知れないのに。 目に前に交番があった。左門は駆け込む。 「こんあたりに、モ・・・モンテクリストちゅう喫茶店はありもんそっ!?」 「はぁ?」 ノンキにお茶を飲んでいた巡査は、相手が熊本弁だったこともあったが、とっさには反応できなかった。 「モンテクリストっちゅう喫茶店ですたいっ!」 「い・・いや、知らんよ。それよりアンタ、大洋の左門選手じゃないの?」 左門はムッとした。 「そがんことは、今どうでもよかっ!」 左門の大声に巡査はたじろぎ目を白黒させた。
55 :
巨人の星238 :2009/07/23(木) 22:20:33 ID:ER+JaVke
左門は、ハーフコートのポケットからメモを取り出した。 今日の午前中、球団事務所で受け取ったものだ。 喫茶モンテクリストの電話番号が書かれている。 「ここですばいっ!こんあたりですばいっ!おまわりさん!アンタ知っとるとね!?」 「いや、わかんないよ。それよりアンタ、サインしてくれんかね?」 「そがんことしとる場合じゃなかばいっ!」 また左門の大声が今度は巡査の耳元で炸裂した。 「う〜・・・。そんなに大きな声をださんでもアータ・・・。 ん?でもこれ電話番号だろ?これだったら品川区の番号だから、電話帳で調べりゃいいよ。載ってるよ。 品川で調べりゃきっと。」 左門は巡査が言い終わる前に電話帳をつかむと、「も」の欄を探し始めた。 巡査も横から首を突っ込む。それで探す能率があがるわけでもないが。 「あったっ!あったばいっ!ここたいね。」 電話帳には『喫茶モンテクリスト・・・・品川区東五反田3丁目1番地ー・・・』 「ここには、どげんして行けばよかとっ!?」 「さぁ〜ねぇ〜。ん〜・・・。高輪台の地下鉄が近いかなぁ?」 「そんばこっから、どげんして行くとですか!?」 「さぁ〜。乗り換え乗り換えじゃないかな?国電で田町まで出て、そっから三田の地下鉄から乗れば行けるよ。」 田町と言われて左門は判断した。それでは一度、離れることになる。今日の昼、京子は恐らくその地下鉄で 左門に会いに来てくれたのだろうが、それでは二等辺三角形状に遠回りの経路になりそうなことは、左門にも分かった。 「歩いては、行けんとばい!?」 「そらアンタ、30分ぐらいかかんじゃないの?」 「そがん時間ば、なかばいっ!もうよかっ!」 言うと左門は交番を出た。タクシーを捕まえようとした。しかし空車がない。品川駅の乗り場も見たが、客は列をなしている。 「なして、こがんときに、ちっとも空車がないとねっ!?」 =つづく=
56 :
1 :2009/07/23(木) 22:32:30 ID:ER+JaVke
ややペースを落としていますが、
コツコツ執筆していきます予定です
こちらに順次、引っ越し作業も継続中ですが、この板に最新パートを投下してゆきます
↓
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 >>52 ぜひタイガーマスクの世界で新作を期待したいです
当方の「女の穴」は書き溜めたものが、誤って消去されてしまいペースがグンと下がるかも知れません
まだDVDのボックスやビデオが出る前には、タイガーマスクは
最終2話を収録した「ドラマ篇」LPレコードが宝物でした
見開きのアニメストーリーを追いかけたブックレットもついていて
擦り切れるぐらい聞いていました
マスクを脱いで「これからが本当の勝負だ」のシーンと
「これがおまえら虎の穴に仕込まれた反則技だ!自分でとくと味わえ!」のシーンは
鳥肌モノでした コミック、アニメ、どちらも大好きです
そういえば「女悪役ブルース」にも3つのミラクルという言葉が出てきていましたね
>>56 ドラマ編LP!私の実家にもあります!!w
グレートが照明灯の下敷きになる壮絶なラストシーンは
何回聞いたことか…。
58 :
巨人の星239 :2009/07/25(土) 21:10:26 ID:61GCPo37
京子のMVアグスタは、新宿御苑の東側を北上し、 四谷4丁目の信号を過ぎると、外苑西通りは行き止まりになった。 ここから目的地までは、いくつも道があり、細い道や生活道路を抜ければ 近道はいくらでもあるのだが、そこまで京子は道に明るくなかった。 しかも夜である。 やむなく京子は靖国通りを西に折れ、新宿5丁目から明治通を北上した。 これなら天現寺からずっと明治通を来た方が早かったのだろうか? それとも通行量から行って今、来た道がベストだったのだろうか? 考えてるうちに、職安通りを横切った。 これを東にとれば鬼怒川組の事務所だが、奴らの指定してきている場所はそこではない。 京子はもちろん今日の夕方、鬼怒川組事務所のすぐ近くの 第8機動隊本部で事件があったことも知らない。 それは、京子の肉体を手に入れるために、鬼怒川組の若頭、黒崎が仕組んだことだった。 新宿と牛込の両方の所轄刑事たちから事務所に押し寄せられた鬼怒川組事務所から 組長の鬼怒川次郎を脱出させる時間を稼ぐためである。
59 :
巨人の星240 :2009/07/25(土) 21:13:50 ID:61GCPo37
左門は、『東五反田3丁目1番地・・・』と行き先を告げたタクシーに揺られていた。 「こんあたりですよ。お客さん。」 「喫茶モンテクリストっちゅうのは、この辺にありもんそ?」 「さあ。わかんないけど、この辺ですよ、きっと。」 料金を支払いタクシーを降りた。この頃はまだこの辺りには飲食店は少ない。 左門は案外、あたりが暗いことに少々戸惑った。 「これでは、何もわからんばってん、電話が・・・」 近くに公衆電話があった。左門はそこからモンテクリストに電話をしてみた。 もし、何事もなければ店主か誰かがいるはずである。 京子はいるだろうか?いたら身の危険を知らせなければならないが、 今日の昼頃、品川駅周辺までチンピラが捜索にきていたのだ。京子はすでに近辺を脱出しているか、 そうでなければ非常に緊迫した事態になりつつあると思わなければならない。 電話には誰も出なかった。京子が留守だとしても誰もいないとは、どういうことだろう? 昼は京子以外に、もう少し年配の女性もいたはずである。電話にでていたのだから。 「こ・・・こらマズかことに、なっとる可能性大ばい。ばってんどこに・・・」 左門は見過ごしていた。店は閉まっていたのだ。灯りもついていなかったが、店は目の前にあった。 「こればい。あったばい。じゃっどん・・・」 =つづく=
60 :
虎の穴異聞、女の穴19−1 :2009/07/25(土) 21:19:45 ID:61GCPo37
「ワシの物を切り取りに来たのかね?」 「ゲェッ!」 翌日、京都の三条蹴上にある都ホテルのVIP室で、今夜のミッションをこなすために 美鶴代がシャワーを浴びようとしていたときのことである。黒の下着姿であった。 相手は、京都で行なわれる国際平和シンポジウムで講演するために来日していた、 元はソビエトにいた反体制物理学者である。反共産、反ソビエト政府の思想を明らかにし、 論文を発表したためにソビエト当局に拘束され、シベリアでの強制労働18年の刑に服したのち、 イギリスの亡命した。イギリス政府が亡命を発表した後、ソビエトが身柄の返還を求めてきたが、 本人の意志を尊重する人権の見地からイギリス政府が保護を表明していた。 すでに70歳を超えていたが、声も姿勢もまだ矍鑠としていた。しかし長年の強制労働のためか、 足を引きずるほど歩行にはやや困難をきたしていた。 「もうこの年だからね。差し出すものも吸い取られるものもないよ。こんな年寄りのモノを取りに来るなんて、 キミの組織の考えている計画がイマイチ分からないね。」 この老人もきれいなイントネーションの英語を話したが、任務中に正体をズバリ言い当てられるのは、 ダライ・マラのときに続いて2度目である。
61 :
虎の穴異聞、女の穴19−2 :2009/07/25(土) 21:21:28 ID:61GCPo37
「博士は・・私のことをご存知だったのですか・・・・?」 「ご存知も何もないよ。だいたいこんな老人が娼婦を呼びこと自体が、おかしな話だよ。 実際、私はもう随分と昔のKGBの拷問で、その機能はなくしているからね。」 「まぁ・・それでは・・・。」 「キミのような女性がいつかは、来ると考えていたんだ。可能性は五分五分だったがね。 しかしだよ。いくらキミが高級な娼婦とは言え、イギリス情報部が私のために何人ものエージェントを つけているんだ。それをフリーパスでこの部屋にキミが入れたことを少しは考えてもみたまえ。」 言われてみればそうである。気の乗らない任務とは言え、集中力を欠いていたのだとしても、 今回の接触成功は、どうもトントン拍子にいきすぎである。それに国際シンポジウムは、京都市内と 言えど洛北の岩倉地区にある宝ヶ池の国際会議場で開催される。移動のリスクを考えても この老人が会議場に隣接してこのほどオープンしたプリンスホテルに宿泊しないほうが変である。 「でも、いいんだ。キミがここへ来たということに私は1つの結論を見出した。結局はイギリス当局は、 私の弁論や論文あるいは物理学の知恵よりも、この私の遺伝子を欲していたということをね。だってそうじゃないか。 日本で謎の死をとげたら誰だってソビエトを疑う。しかしロンドンの研究所で行方不明になれば、そもそもの 亡命がイギリスによる拉致だったのでは?と見る向きもでてしまうからね。」 このIQ250と言われている老人は、この件に関する自説を美鶴代に述べた。しかしどうすればいいのだ? 任務はもう始まっている。ここで中止すればたちまち女の穴が自分を消すか身柄を拘束されてしまう。 「命乞いをするつもりは、ないよ。ある意味長く生きすぎたのかも知れない。しかしキミの気が変わるのなら、 ひとつ提案がある。検討してみては、どうだろうか?」 「と、おっしゃいますと・・・・・・?」
62 :
虎の穴異聞、女の穴19−3 :2009/07/25(土) 21:26:56 ID:61GCPo37
「どうなご提案でしょうか?博士。実は私も・・・・。」 「どうだね。キミも組織を抜けたがっている。そうだろう?」 「は・・博士。博士はどうやって、私のような活動をしている人間が今日来ることを 知ることができたのですか?」 「知るということは、結果が出て初めて『知った』と言えるのだ。結果が出るまでは、それは 推論か仮説にすぎない。今日キミが来るということを私は仮説として立てていたに過ぎないよ。」 さすが物理学者らしい考えだが、美鶴代には少々頭の痛くなる説であった。 「仮説というのなら、この私が亡命できたのも、その仮説を立てた結果に過ぎない。もしソビエトに睨まれていた 私が亡命に成功するになら、それにはどんな所が何の目的でそれを援助するだろうかと。そしてキミが私の前に 現れることで、その仮説が正しかったことが立証された。そしてそれを知られてしまった以上は、 イギリスはもうこの私に用はないはずだね。」 「あの・・・博士・・・。私がイギリスの回し者として活動しているということでしょうか?それでしたら・・・。」 「これも推論から導き出した結果だが、そうなるね。キミが知ろうと知るまいとだ。否定はできるだろう。 キミも、イギリスも。しかしそれは私にとっては無理な論法だね。」 「どうなさるおつもりなんですか?博士・・・・。まさか・・・。」 「そのまさかだよ。キミは聡明だ。ここから私と一緒に逃げるんだよ。」
63 :
虎の穴異聞、女の穴19−4 :2009/07/25(土) 21:35:33 ID:61GCPo37
「逃げる?ここから博士が私と一緒に・・・?つまりイギリス当局を出し抜くわけですの?」 「出し抜くなどという感情的な原理で行動してはいけない。人間に限らず、生命あるものには すべて可能性のある方向へ向かうべきなのだ。誰も私の演説など聴きたがってはいない。 聴く人があってほしいという考えは、それは欲求に過ぎん。また、キミが今言った出し抜く という行動もいささか合理性に欠ける。これは、可能性を見出しての進歩ある行動だ。」 「でも、博士。命を落とす危険も、かなりございますわ。」 「その危険と、私がキミに精液を吸い取られて絶命する危険、そしてキミが任務遂行後に 組織に召還される危険と、どちらが可能性のある未来の話だね?考えなくてもキミになら分かるはずだ。」 「でも、どうやって・・・・・。ここから・・・そしてどこへ逃げるのですか?」 「脱出という行動は、決めてから用意していたんでは、不可能なのだ。すべては用意してある。 もちろんまだ仮説の段階だがね。フフフ。実はこのホテルに宿泊したいと言ったのは、この私だ。 19世紀からあるこのホテルには、私は1960年代に一度来ているからね。国際会議場に隣接した ホテルは、私には予備知識がない。しかしここなら可能性があるんだ。」 「脱出口が、あるのですかっ!?この都ホテルに?そんな・・・・」 「京都に御所があるだろう?あれは日本の天皇が京都入りした際に使用するが、他の皇族が宿泊するようには できていないのだ。ここに泊まるんだよ。また戦前の要人も京都入りする際にはここを使用していた。 それに驚いてはいけないよ。ここには戦時中に仮設の大本営を置く予定だった空間さえあるんだ。」 「秘密の脱出通路が、あるわけですねっ!?」 「迎えの者は、私がここにいる間は待機している。これも仮説だがね。」 博士は美鶴代にウインクしてみせた。美鶴代は腹をくくった。自由への扉を開けるときがきたのだ。
64 :
1 :2009/07/25(土) 21:47:32 ID:61GCPo37
65 :
虎の穴異聞20−1 :2009/07/27(月) 23:22:06 ID:TAZBoXFO
老人は、杖をつきながら、部屋の中の机の上に登った。 美鶴代も服を身に付ける。天井を器用にコジ開けると、二人でそこへ出た。老人が懐中電灯を前方に当てる。 辺りは当然、真っ暗だ。カビ臭いにおいがした。美鶴代は子供の頃に呼んだ岩窟王の話を思い出した。 老人は人差し指でシーッと黙れのゼスチャをした。天井裏をしばらく歩くと鉄格子がはめ込んである、 通路へ出た。老人がポケットから瓶を出し、中の液を鉄格子の錠前にかけると煙を上げ出した。 鉄格子は外れた。通路に出た。しばらく行くと剥き出しの岩肌になってきた。高さは充分にあるので 姿勢を低くする必要はなかった。15分も歩いただろうか、老人は2分ほど立ち止まって休んだが、 またすぐに歩き出した。さらに15分ほど歩いた。 美鶴代はこの先にあるものが、自分の生命の終わりになる可能性があることを覚悟していた。 ハンドバッグにいつも入れていた青酸カリのカプセルは、今日も入っているか、まだ使える状態かを 考えてみた。岩肌の通路になってからずっと続いていた登り勾配がやみ、通路が平坦になった。 老人は歩きながら喋り始めた。 「私がソビエトのために原子爆弾を造ったのは、25歳のときだった。ちょうど君ぐらいの年齢だ。 イーゴリ・クルチャトフが最初はリーダーだったが、いつの間にか自分がリーダーにされていた。 水爆を造ったのは32歳のとき。早く作れ、そら造れと急かされた。できなかったらそこで死刑になっていただろう。 本当はそこで死刑になっていればよかったのだ。生き長らえた物理学者は私を含めて3人しかいなかった。 みな途中でいなくなった。どうなったかは誰も知らない。国家にとって人の命は、麦一粒より軽い。」
66 :
虎の穴異聞20−2 :2009/07/27(月) 23:24:16 ID:TAZBoXFO
「私は間違えていたのだ。国家が人を救うことなどあり得ない。 人を滅ぼすために国家があるということを認識できていなかった。 実験結果を見て私は自分のしたことが恐ろしくなった。怖さというよりも 人類が滅亡していく光景が見えてしまったんだ。しかし私は脅かされて開発したのは事実だが、 結果として自らの死よりも原爆の開発を選んだ。アメリカのオッペンハイマーは自ら死の灰を浴びた。 私はまだこうして生き長らえている。はじめて亡命の話がきたときは、成功か失敗かのどちらかしか 考えつかなかった。しかし私はどこの国に行っても結局は利用されるだけの愚かな人間なのだ。 君はまだ若い。そうなってはいけない。」 「博士、あまりご自身をお責めにならないほうが、よろしいわ。博士のお話を聴いてますと、 博士はもう充分に苦しまれているように思われます。」 「私は告戒や懺悔をしているつもりはないよ。せっかくだから君に予備知識を与えておこうと思ってね。今のはその 言わば前振りさ。プロローグというものさ。」 「プロローグ?どんなお話のプロローグでしょうか?」 「あんなものを造れと言ったのも人間なら、造れると最初に言ったのも人間、造ったのも人間だ。人間を効率よく 殺傷するためにね。しかし人間は弱い。奴ら・・。ココではまだ名称は伏せるが、奴らも怖くなったのだ。 かつての戦争なら背後に逃げていれば死なずに済んだ。しかしこれからは、そうはいかない。 シェルターなど造ったところで、殺傷の効率はぐんぐん上がっていくだろう。そしたら死から永遠に逃れる方法が 欲しくなったというわけだ。自分たちが権力を欲しいままに出来ている実感。それは生き延びれる保証ということだよ。」 「まさか・・・クローンという技術のことでしょうか?それを使って永遠の命を紡いで生き延びるという・・・・。」 「君は賢いね。話をしていて楽しいよ。でも政治家には向かないな。君は自分と同時に他人の死も恐れる人間だ。 そんな人間に政治はできないからね。なんの話だっけ?そうだ。クローン技術だったね。あれは・・・・。」
67 :
虎の穴異聞20−3 :2009/07/27(月) 23:26:41 ID:TAZBoXFO
「クローンというのは再製技術のことだ。とても優秀な競走馬や、とてもおいしい牛を、 生産し続けるためといったね。これを人間にしてみるって?当に考えそして実行した人間はいたよ。 戦前も戦後もね。」 「本当ですのっ!?すでにクローン人間が誕生しているというのは!?」 「フフッ。別に驚くことではない。君だってクローンかも知れない。或いは君は既に何人ものクローン人間を 生で、そして電波や印刷物を通して見ているはずだ。そうとは気付かないだけでね。しかしこれは重要ではなかった。 なぜなら人間は牛や馬ではないからだ。君はその恵まれた美貌のほかに、それを維持しているパーソナリティを 持っている。意識するしないに関わらずだ。しかし君のクローンが生き続けても、君が生き続けることにはならない。 当り前の話だよね。君は君ひとりしかいないからだ。これは奴らにも同じことが言える。 それでは、生き延びられない。そこで必然的に別の方法にたどり着いた。」 「クローンでなければ、なんでしょうか?どうやって生命維持を続ける方法があるんでしょう。博士。」 「ふむ。君はドイツがなぜユダヤ人を迫害したか知っているかね?」 「分かりませんわ。ただ言われているのは、宗教上の対立とか、社会ストレスの捌け口とか・・・。」 「いいところを突いているが、私の仮説は違う。話を変えよう。人間は生物学上は霊長類に分類されるが、 霊長類には他にどんな生物がいるかね?」 「サルですわね。人間は太古にサルから進化したと・・・。」 「ふむ。正確には違う。『サルのようなもの』から進化したのだ。サルではない。同じようなものだった可能性が高いが、 サルとは別の生き物だったのだよ。元から。ところで、君はサルと喋ることが、できるかね?どうだね?」
68 :
虎の穴異聞20−4 :2009/07/27(月) 23:29:26 ID:TAZBoXFO
「できませんわ。犬とならできる場合がありますけど・・・。」 「ははは。そうか。犬とならね。しかし意思の疎通はできているかね。一部の記号的な 動作や音声によっているのではないかな?あるいは、君が『犬が可愛い』と思う。 そして犬は『君が食べ物をくれる、生活をさせてくれる』と思う。そのギブ・アンド・テイクの話ではないかな?」 「言われてみれば、そのような気がします。ちょっと淋しいことのようですが・・・。」 「愛情、愛のことは置いておいてだよ。これは。話を戻そう。君はサルとかコミニュケーションできない。 サルも君とコミニュケーションできない。いつ、そうなってしまったんだろう?いつからそうなった?恐らくは 住む所がお互いに変わったために、意思の疎通の必要がなくなったとも言える。」 「博士。私、頭が痛くなってきましたわ。いえ。実際に痛いというのではなくて・・・。」 「すまない。話を回りくどくしすぎたようだね?結論から言おう。君なら理解できようから。 奴らの目的は、新人類、もしくは超人類の創造なのだ。君は今それに協力させられている。いや、させられていた。」 「超人類?それは、どんなものですの?」 「その前に、この計画の問題点を上げておこう。超人類は近い将来に実現するだろう。奴らが失敗しようとも誰かが。 しかし問題は、超人類を造るのは、超人類ではないということだ。奴らは自分たちが超人類の始祖になりうると考えているが、 完成した超人類は、それ以前の人類とは別のものになる。その危険性を顧みようとしない奴らは必ず失敗する。 しかもハタ迷惑なことに、多くの人類を犠牲にしてまでだ。人間と超人類はコミニュケーションできないのだ。 サルと人間がコミニュケーションできないようにね。」 トンネルは出口に差し掛かった。美鶴代が先に出てみた。眼下には京都市内の夜景が広がっていた。
69 :
虎の穴異聞21−1 :2009/07/27(月) 23:31:29 ID:TAZBoXFO
「まだ聞いておりませんでいしたわ。博士を迎えにくる組織って何ですの?」 「ソビエトじゃよ。おいおい。別に寝返ったわけじゃないよ。 ただもう国に帰るべきだと私は思うんだ。どうだ?君もくるかね?」 そこは将軍塚と呼ばれる大日山の頂上だった。知恩院や青蓮院などの大寺院の背後にある標高400メートルほどの 山であった。都ホテルから、ここまで秘密通路があるとは、なるほどよくできた設計である。 「お返事・・致しかねますわ・・私。」 「ふむ。だろうね。ほら来た。お迎えだよ。」 漆黒の闇の中をヘリがその頂上の昼間は駐車スペースになっている先のヘリポートに着陸した。 「どうするね?とりあえず途中まで送ろう。」 ヘリからソ連工作員らしき、男が3人降りてきた。美鶴代に銃を向けている。 「よせ。彼女は私の命の恩人だ。わけあって途中まで一緒に飛んでくれ。」 美鶴代は博士と一緒にヘリに乗り込んだ。すぐに離陸し、京都の夜の街は、たちまち小さくなった。
70 :
虎の穴異聞21−2 :2009/07/27(月) 23:32:56 ID:TAZBoXFO
「どこで降りるね?まぁいい。2〜3日、ソ連大使館にいてもいいじゃないか? それより話の途中だったね?そうか。超人類の話だった。」 「博士。それは・・・というか私の裏切った女の穴は、どこが運営しているのでしょう? それをお聞かせいただきませんと、私、今後の動きようがないのです。」 「ロックフェラーだよ。いや、ロックフェラーが金を出しているといったほうが正解かな。 タビストック人類研究所って知っているかね?」 「タビストック?それはロンドンのタビストック広場と何か関係があるのですか?」 「よく知っているね。その通りさ。あそこにユダヤ博物館があるだろ?あの近所さ。」 「そこが、運営してるんですか?女の穴を。」 「いや、そことは姉妹関係といったところじゃないかな?イギリス王室もオランダ王室もビルダーバーグ会議も CFR(外交問題評議会)も一枚噛んでいるはずさ。CFRは、アメリカ大統領を選出している機関だ。選挙は エンターテイメントに過ぎないからね。」 「タビストック研究所って何の研究をしているのですか?」 「洗脳だよ。1947年に出来た。君のいたところと創業は同じさ。アメリカやイギリスのロック・ミュージシャンは 全部ココが作り上げたものだ。日本にもスーパーアイドルっていたかな?そういうものを粗製濫造して 人民を白痴化しておくためにね。中身なんてどうでもいい。たまに出るだろ?社会現象的なヒットを連続して飛ばす歌手が。」 美鶴代は思い当たった。言うまでもなく自分が17歳〜21歳ぐらいまでしていたことが、まさにそれだ。 しかしあんなヒット現象を本当に研究して造れるものなのか?しかもそうだとすれば、E.プレスリーやビートルズまでそうだったのだろうか? そしてイギリス王室やアメリカのCFRまでが、噛んでいるとは・・・。であれば自分はこの世にもう息をする場所もないのではないか? 「私は国に帰っても、もう一度拘束されるだろう。しかし君は自由だ。来ようと来まいともね。」
71 :
虎の穴異聞21−3 :2009/07/27(月) 23:36:40 ID:TAZBoXFO
「博士、その巨大な組織と女の穴は、超人類をつくってどうするつもりなのですか?」 「IQという単位が信頼に足るとすればの話だが、IQが平均して高い人種というのは、ないんだ。 しかしIQの高い人間を出す頻度が高い人種というのは、ある。ハーバートやケンブリッジ、 日本なら東大に主席で合格して主席で卒業できるような人間はだいたIQにすれば、140以上はあるだろう。 しかし160ぐらいが測定できる上限だといわれている。そのIQ140以上をどこよりも多く輩出しているのは、 アシュケナージ系(東欧系)ユダヤ人だろう。しかしアングロサクソンやラテン系にも日本人にも出ないわけではない。 だったらその高い頭脳の遺伝子ばかりを集中させて交配を続ければ、IQは上がっていくというんだ。 IQが遺伝し、交配によって高められるという証拠や根拠はどこにもないんだがね。フッ。 でもそういうことをやりたくなったんだろう。自分たちは頭がいいと思ってるうちにね。 これを最初に始めたのはナチスだった。ところが統計上ユダヤ人に高いのが多く出るので、人口を減らそうとした。 別に絶滅しようとしたわけではないだろうが、しかしこの計画は頓挫した。戦争で負けてしまっては何にもならないからだ。 そこで、戦争に集中しようとした。でも時すでに遅しだった。それを戦後米英の権力者たちは相続し継続しようとしたのだ。」 「おかしいですわ。博士。女の穴が・・・私も実際IQが高いとは思えない人間からも精液を収集させられています。」 「そのIQに関係なさそうな男とは、何か身体的特徴がなかったかね?後天的ではない先天的な。」 「あっ。ありました!とても手が長く、そして手の平がとても大きい人物でした。彼の父親もそうだと。」 「ますますもって理解できんな。奴らの超人類計画が。しかしそれも遺伝子学的に欲しいデータだったんではないかな?」
72 :
虎の穴異聞21−4 :2009/07/27(月) 23:50:56 ID:TAZBoXFO
その2日後、成田空港にひとりの日本人の美女が降り立った。 トレンチ・コートにサングラスを掛けているが、その胸は大きく張り出している。 背は高いが尻は丸く大きめである。 ミスXが、出迎えた。 「お疲れ様です。わざわざミスKにお越しいただき恐縮でございます。さっそく事態のご説明を・・・」 そこまでこの老女が話をすると、ミスKと呼ばれた女性は、目にもとまらぬ右フックを繰り出した。 ドゴーッ! 空港のコンクリートの飾り柱にその拳は命中し、そこにめり込んだ。柱に穴があいている。 「ひっ・・ひぇ〜っ!」 「キサマがモタモタしているから、この私が予定を早めてきたのだ。説明だと?何の把握もせずに 私がここにいると思うか?」 「も・・・・申し訳ございませんっ!」 ミスXは、その場にひれ伏した。周囲の人々が振り返って見る。 「アンドレイ・サハロフ博士と、トリブルM,そして先日消息を絶ったトリプルYの手掛かりは、何もないままか?」 「それが・・・恐れながら・・・四方手を尽くして探しておるのですが・・・。」 「キサマに聞くことは、何もないな。早速だ。トリプルB、トリプルH、そしてトリプルAを集めろ。観音崎にな。道具は私が持ち込みに 成功したものと併せて、すべて揃えろ。時間は日本時間本日13時。すぐ動け。」 「ハハーッ!」 ミスXは、そのまま走りミスKの前から消えた。ミスKは、タクシー乗り場を通り過ぎると、一般者乗降場へ歩いた。 そこには偶然、ハレーダヴィッドソンで来て、自分の彼女を降ろした若い男が彼女に手を振っていた。 「あなたのハーレー?いいバイクね?」 「へっ?ええ?そ・・・そお?」 男はミスKのサングラス越しではあるが、その美貌とムチムチ感のある肉体に、だらしなく鼻の下を伸ばしながら答えた。 その瞬間、ミスKのハイキックが男の顔面に炸裂した。ミスKは、真紅のスパッツを穿いていた。 男は「ぐえ〜っ!」と叫ぶとそこに失神した体を横たわらせた。ミスKは、それを無視してハーレーに跨ると そのままエンジンをスタートさせた。 =第22話につづく=
73 :
巨人の星241 :2009/07/28(火) 23:15:34 ID:/PgOAhku
京子の運転するMVアグスタは、高戸橋の信号から神田川沿いに東に入った。 都電荒川線に沿って走る。以前は高田馬場から面影橋までも都電が走っていたが、何年か前に廃止になっていた。 面影橋の電停を過ぎると、すぐに終点の早稲田である。 スローダウンさせた京子は、目白通から脇道を鋭角に曲がった。 鬼怒川が指定してきた場所は、このあたりだったはずだ。 しかし夜も9時を回っておりあたりは真っ暗だった。通りを一本間違えただろうか? バス停があった。校門前とある。早稲田の校門か。中は真っ暗である。 それもそのはず、校門のすぐ北側の空間は大隈庭園になっていて、建物も何もないからだ。 せまい道は大きな中央分離帯のある道路と合流して途絶えていた。 早大通である。突き当たりが早稲田大学正門のようだ。ここからは入れないだろうし、 また鬼怒川一派がいるわけもない。京子は、アグスタを一度、東に向け来た通より一本東側の狭い路地を曲がった。 小学校がある。鶴巻小学校とある。 完全に目標を見失った京子はもう一度目白通に出てみた。 この界隈に10年ほど前まで巨人の荒川コーチの自宅があり、その2階で王貞治が畳の上で日本刀の素振りをして 一本足打法を完成させたことなどもちろん京子は知らない。 さっき曲がった路地より一本西側の路地を曲がった。 あった。野球用のバックネットが見えた。
74 :
巨人の星242 :2009/07/28(火) 23:20:28 ID:/PgOAhku
左門は、喫茶モンテクリストのガラス戸をノックしてみた。 もちろん返事はない。ドアを開けようとしたが、カギが掛かっていて開かない。 「やっぱり留守のようじゃ。ばってん2階は人の住んどるごたる感じばい。それが、返事もなかとは、こりゃどげんこったい。」 よく見るとガラス戸には、夕刊とスポーツ新聞が挟んであった。 夜も9時を回ろうとしているのに、夕刊も取り入れていないとは、何か急な用事でもあって留守にしたのか。 左門は裏口に回ってみた。勝手口が開いていた。 「お邪魔しま〜す。ワシあの左門と申しますが・・・。あの・・・。」 やはり返事はなかった。中へ進むと真っ暗だ。 左門が不意に手をついた壁に室内灯のスイッチが偶然あった。 灯りがついた。誰もいなかった。 「これは、どげんこったい。ばってん家捜しのようなマネば、しよっとよかことではなか。京子さんの手掛かりもないとすると・・。あっ!」 左門は発見した。店のカウンターに脱ぎ置かれていたのは、昼間に京子が来ていた服である。 ボーダー柄のセーターにベージュのトレンチコート、ジーンズのズボン、それにショルダーバッグに靴まであった。 京子はここで着替えたか装いを改めてからどこかへ出かけたのだ。
75 :
巨人の星243 :2009/07/28(火) 23:25:35 ID:/PgOAhku
「これが、京子さんの服・・・・。」 左門は手にボーダー柄のセーターを取り、それに頬擦りしてしまった。 つづいてジーンズにも。まるで変質者のようだが、愛しい女の脱いだばかりの衣服を突然目にすれば 誰も見ていなければ誰だってしてしまうことかも知れない。男なら。 「うう。こらよか匂いばい。つい今しがたまで京子さんが身につけとったとばい。そん証拠にまだ温かいばい。これは。」 スリスリと京子の衣服に頬擦りをする左門の目にカウンターに置かれたメモ用紙が目に入った。 「ぬっ!こがんことしとる場合じゃなかばい。京子さんば、今・・・。」 左門はカウンターに置かれたメモ用紙を手にとって見てみた。 それは、昼間に黒崎がこの店の店主ひとみに掛かってきた京子からの電話の際に 筆談で意を伝えようとしたものの何枚かだった。 『お京か、かくにんしろ』『はやくはやく』 「これば、何かやはりこん店が京子さんと関係のある何事かに巻き込まれとった証ばい。ばってん・・・・。」 左門は、もう一度カウンターの上を眺め回した。もう一枚メモが破りとられていた。 そこには先のものとは違う筆跡で、走り書きされた文字があった。 『戸塚 早大球場 九時』 「こっ・・・こればきっと京子さんの字ばい。そこへ呼び出されとるに違いなかばいっ!あのヤクザ連中に。」 左門は店内の時計を見た。時計は9時15分を差していた。 「京子さんが危なかっ!いかんばい!京子さんっ!」 左門は急いで裏口からモンテクリストを出た。戸塚とは何処だ?とにかくタクシーを捕まえなくては。 =つづく=
, ─ 、 / / l キュキュキュキュキュキュ… ,! ' / お呼びですか?ルリ子さん /` ー- イ / /i / l _,r/ ./l / ,-、 l / ' '. i/ / / lヽ、 _,. -‐' 、_ ヽ、_ ゙´ ' ヽ、 ,r'´ `''‐ ニ= '´,..-‐' ``ー、 / ', ', ヽ l l l ', | 、 l l l ./ ヽ、 人 ノ l i | `ー ---‐''''´l `ー─‐i' l ', l ! / l ..', 人 l l 〉 / ヽ / / / ../ / ヽ / l | ∧ ヽ / l ヽ l l ' / | ', | ', | _!__!_. l ', ヽ | l l, ´ ` 'i ヽ ', ', / / | ',. l ..| / l | ヽ i . | l / | l l ', | l l' l `'- 、 / l ヽ. l l ゝ | ヽ / i 〉 ヽ / \ l i ', i
77 :
名無しさん@ピンキー :2009/08/12(水) 22:55:28 ID:WGuDAt/t
ほしゅ
78 :
名無しさん@ピンキー :2009/08/16(日) 21:39:27 ID:C/MzNQpB
79 :
名無しさん@ピンキー :2009/08/21(金) 22:33:01 ID:PaPRAunL
80 :
名無しさん@ピンキー :2009/08/23(日) 15:53:31 ID:1Y9niy8k
神乙
81 :
名無しさん@ピンキー :2009/08/29(土) 04:25:53 ID:XepVZY81
ネ申 降臨マダー?
82 :
名無しさん@ピンキー :2009/09/02(水) 19:23:19 ID:g7+HzROR
スケベアゲ
83 :
名無しさん@ピンキー :2009/09/02(水) 20:19:23 ID:fnl+lfhl
ム…ムッ…、こんなスレがあったとは 恐ろしい板になってきたな、エロパロ板!
84 :
名無しさん@ピンキー :2009/09/09(水) 23:52:41 ID:xaMIzJgc
ドSあげ
保守飛雄馬
オ〜ワンダフル!ヒューマ保守
87 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/06(火) 21:22:34 ID:oTcKpTcq
88 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/08(木) 20:52:15 ID:9zzIe9It
89 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/10(土) 06:34:31 ID:/ANWfJtb
90 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/11(日) 22:32:00 ID:vEXi6uLn
91 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/13(火) 02:17:33 ID:fKWUhvEi
92 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/16(金) 02:39:54 ID:3Eji4pMf
93 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/16(金) 23:36:40 ID:SWke6YGU
94 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/20(火) 01:31:42 ID:SSUzx//a
◆10月20日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
「肉弾戦」さらに4ページ追加。15ページ目に突入!
●10月20日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
「庵主 凛梗尼」までUP
●10月11日『カラテ地獄変・牙 外伝「リンダ・キャロン受難のローマ』を完結!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
95 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/20(火) 22:42:12 ID:YudpDt9Z
◆10月20日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
「肉弾戦」16ページ目からと「ビーナス固め」突入!
●10月20日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
「庵主 凛梗尼」の4ページ目と
「天台宗 法悦院」「茶室 松露軒」までをUP
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
96 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/22(木) 19:56:28 ID:DrGEJfTC
97 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/23(金) 00:28:32 ID:v0cknTML
98 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/23(金) 19:49:09 ID:ZuiU943Q
99 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/23(金) 22:28:41 ID:ZuiU943Q
◆10月23日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
「ビーナス固め」8ページ目〜15ページ目を一気にUP!
●10月23日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
「淑蓮尼の怯え」に続いて「死をも超える恐怖」をUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
100 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/26(月) 06:36:26 ID:a2OAIHev
101 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/27(火) 02:30:38 ID:QyVvx0F9
◆10月27日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
新章「スペシャル私刑」18ページ目から「スペシャル私刑U」1〜7ページをUP!
●10月27日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
いよいよ佳境!「みどり絶体絶命」をUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
102 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/27(火) 23:56:43 ID:jzQZyW5S
103 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/30(金) 22:17:26 ID:RrI6SMFA
◆10月30日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
「スペシャル私刑U」13ページ〜17ページをUP!
●10月30日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
いよいよ佳境!
「ヒマシ油」「5mgの悪魔」「凛梗尼の悲願」をUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
104 :
名無しさん@ピンキー :2009/11/01(日) 21:50:52 ID:xxJyzqd1
◆11月1日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
新章突入「シャワールーム」8ページまでUP!
●11月1日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
いよいよ佳境!
「人生の糧」「過去の悲惨な女たち」「悪魔の意外なおもいつき」
一気に16ページ分をUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
105 :
名無しさん@ピンキー :2009/11/03(火) 20:41:30 ID:BEAfvrFC
◆11月3日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
「シャワールーム」9ページ〜13ページまでUP!
●11月1日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
「人生の糧」「過去の悲惨な女たち」「悪魔の意外な思いつき」を
一気に16ページ分をUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
106 :
名無しさん@ピンキー :2009/11/06(金) 01:56:06 ID:pvtTg6zt
107 :
名無しさん@ピンキー :2009/11/06(金) 23:56:26 ID:ARYAqZXT
◆11月6日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
「シャワールーム」17ページまでUP!
●11月6日『タイガーマスク二世外伝、日の出スポーツの女カメラマン』
「人すべて悪魔の化身」「真に美しいものなど皆無」「心の旅路から褥へと」
一気に3話16ページ分をUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
保守
109 :
名無しさん@ピンキー :2009/11/29(日) 22:11:41 ID:yj7Itn9a
110 :
名無しさん@ピンキー :2009/12/02(水) 23:58:08 ID:7crH4IGM
111 :
名無しさん@ピンキー :2009/12/05(土) 00:20:28 ID:hUf+XXkd
112 :
名無しさん@ピンキー :2009/12/12(土) 23:53:00 ID:yHHeuYry
113 :
名無しさん@ピンキー :2009/12/21(月) 01:52:52 ID:hGZTWLGk
114 :
名無しさん@ピンキー :2010/01/09(土) 15:42:47 ID:+ZfXEJDP
◆1月8日『人間兇器外伝!女子プロレスラーリル火野』byミスターX
新章「合体」「終わりなきマット」
をUP(完結)
●1月8日『人間兇器外伝 女子プロレスラー、ミスティ・ブルー』
第七幕3P〜8PをUP!
●1月9日『人間兇器外伝 女子プロレスラー、ミスティ・ブルー』
第七幕9P〜10Pと第八幕1P〜6PをUP!
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=nwa8864 パスワードはいずれの作品も「tora」
115 :
名無しさん@ピンキー :2010/01/16(土) 09:31:10 ID:7LAi/9dk
116 :
名無しさん@ピンキー :2010/02/02(火) 22:37:49 ID:B7gp5+RD
一徹総受けのBLキボンヌ
喪主
好きです
120 :
名無しさん@ピンキー :2010/02/27(土) 16:35:31 ID:cuONIvL3
BLはいらない
121 :
名無しさん@ピンキー :2010/03/02(火) 21:07:31 ID:CfTmOTKY
122 :
名無しさん@ピンキー :2010/03/05(金) 21:44:27 ID:2GMRE0Xg
保守
明日のジョーの葉子お嬢さんとかないの?
125 :
名無しさん@ピンキー :2010/03/11(木) 08:12:59 ID:LWNPqsxP
126 :
名無しさん@ピンキー :2010/04/23(金) 14:46:40 ID:E3g2MI/m
てす
と
sage
あ
131 :
名無しさん@ピンキー :
2011/01/01(土) 14:11:00 ID:TbwdqDEQ