【田村くん】竹宮ゆゆこ 18皿目【とらドラ!】

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1名無しさん@ピンキー
竹宮ゆゆこ作品のエロパロ小説のスレです。

◆エロパロスレなので18歳未満の方は速やかにスレを閉じてください。
◆ネタバレはライトノベル板のローカルルールに準じて発売日翌日の0時から。
◆480KBに近づいたら、次スレの準備を。

まとめサイト
ttp://yuyupo.dousetsu.com/index.htm

旧まとめサイト
ttp://yuyupo.web.fc2.com/index.html

エロパロ&文章創作板ガイド
ttp://www9.atwiki.jp/eroparo/

前スレ
【田村くん】竹宮ゆゆこ 17皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1243145281/

過去スレ
[田村くん]竹宮ゆゆこ総合スレ[とらドラ]
http://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date70578.htm
竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1180631467/
3皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1205076914/
4皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225801455/
5皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1227622336/
6皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229178334/
7皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230800781/
8皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232123432/
9皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232901605/
10皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234467038/
11皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235805194/
12皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236667320/
13皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238275938/
14皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239456129/
15皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241402077/
16皿目http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242571375/
2名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 20:48:26 ID:tVcedp/U
☆☆狩野すみれ兄貴の質問コーナー☆☆☆

Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」

Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」

Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」

Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」

Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」

Q続き希望orリクエストしていい?
A「節度をもってな。節度の意味が分からん馬鹿は義務教育からやり直して来い」

QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」

Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
3名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 21:06:27 ID:MwpG5PbE
ご苦労様
4名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 21:15:32 ID:3Z5svhhm
1乙
5名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 22:04:38 ID:4Q+9yAiV
いちおつ
6名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 22:24:04 ID:w8QAo5mh
たておつ
7名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 22:38:50 ID:DZxi+rsf
8名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 23:25:59 ID:1Z/o1KFP
乙〜
9名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 23:29:49 ID:K4qLSY0i
813 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2009/01/14(水) 20:10:38 ID:CvZf8rTv
荒れないためにその1
本当はもっと書きたいんだがとりあえず基本だけ箇条書きにしてみた

※以下はそうするのが好ましいというだけで、決して強制するものではありません

・読む人
書き込む前にリロード
過剰な催促はしない
好みに合わない場合は叩く前にスルー
変なのは相手しないでスルー マジレスカッコワルイ
噛み付く前にあぼーん
特定の作品(作者)をマンセーしない
特に理由がなければsageる

・書く人
書きながら投下しない (一度メモ帳などに書いてからコピペするとよい)
連載形式の場合は一区切り分まとめて投下する
投下前に投下宣言、投下後に終了宣言
誘い受けしない (○○って需要ある?的なレスは避ける)
初心者を言い訳にしない
内容が一般的ではないと思われる場合には注意書きを付ける (NGワードを指定して名前欄やメ欄入れておくのもあり)
感想に対してレスを返さない
投下時以外はコテを外す
あまり自分語りしない
特に理由がなければsageる
10名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 00:27:37 ID:LKMlcyOH
>まとめサイト
>ttp://yuyupo.dousetsu.com/index.htm
>旧まとめサイト
>ttp://yuyupo.web.fc2.com/index.html

まとめサイトでひとつに纏めとけよ
どっちも更新されてんだし
11名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 00:44:11 ID:4dao8oJf
現役なんだから「旧」は失礼だなぁ、流石に
12名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 01:02:06 ID:Umj00EXS
2get
13xxx120:2009/06/10(水) 01:16:41 ID:8r2yTojk
14名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 20:51:15 ID:8RKrsFZA
つかまとめミラーは更新されないのかな
携帯からならこっちのが小さくまとまってて見やすいんだ…
まとめ本家のほうは結構余分なスペースがあって表示しきれねぇw

はいはい携帯厨携帯厨
15名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 21:35:42 ID:yh+Qu+Ww
>>14
ファイルシークだったかを使えばいいんじゃね?
16名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 22:18:17 ID:0w+ZU9kE
17名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 02:54:53 ID:KOghqolM
早く新作ゆみたい。
18名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 08:04:48 ID:TIqERBZp
>>16
ありがとお見れたぁぁ!
19名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 14:48:00 ID:ObcY3c69
珍しく勢い落ちてるな
20名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 16:04:17 ID:8FBL0XkX
投下したらしたで、あーでもないこーでもないと
批評やアドバイスでもない非難を浴び
マンセー意見は自演扱いじゃ投下する気にも
ならないんだろ
こうやってROM組が自分で自分の首をしめて
過疎って行くというのは寂しいもんだな
21名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 16:58:00 ID:KOghqolM
もう、このスレは終わってるんですね…。
22名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 17:05:52 ID:7P1O5kpZ
アニメ来たのにだーれも新作投下しないハルヒスレに比べたらマシだろ
まぁ、あっちはvipがあるんだけどさ
とらドラってvipでSSスレとかある?
23名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 20:18:35 ID:CJ0TjvJd
二、三日投下ないぐらいで騒ぐ馬鹿な読み手が1番居なくなってほしい
24名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 21:28:57 ID:Yol8jHf+
ゆかりちゃん
ゆりこちゃん
ぽっちゃりかわいい
しりたいなきみたちのこと
ねーよwwwwww
25名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 21:29:09 ID:KtrMKxY2
贅沢だなぁ
26名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 21:46:00 ID:CJ0TjvJd
立て読みとは主張と反対の文章の文頭の文字をつかって主張を書き込む
これが一般的な使い方である
27SL66:2009/06/11(木) 22:21:29 ID:1dYS7SLk
可能であれば、零時ごろから、「いざよい」の続編である、
「指環」の前編を53レスで投下します。
今回もエロありなので、お楽しみに。
28名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 22:35:43 ID:+AKAVFWA
>>27
今から全裸待機しときます
29名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 22:36:07 ID:o7N9IbyV
ハイウェイでガス欠になったら通りすがりの給油車が燃料くれたぜ
30名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 22:40:12 ID:WZYN3oT3
前スレ1000GJ
31名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 22:41:53 ID:jvngdwN6
またsage厨が噛み付いてくるぞw
32名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 23:29:22 ID:NtfZQsz6
でも下げるにこしたことはないんじゃないか?
33名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 23:31:05 ID:X9QvX2V6
>>27
おお。 もう新作とは!
楽しみに待ってます。
34名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 23:32:18 ID:IE8s8d6+
sage厨怖いんでsageます^^;
35名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 23:47:54 ID:jvngdwN6
>>32
だ〜ね。
ほら、あんまり真剣に噛み付いてこられてもなんだし、さ^^
この程度の申請位で良いんで無いかい?って感じです。

そろそろ神降臨なので、待機モードです。
36SL66:2009/06/12(金) 00:04:58 ID:1dYS7SLk
それでは、次レスから「指環」の前編を53レスで投下開始します。
なお、途中で十分以上応答がない場合は、規制にやられたと思ってください。
では始めます。
37指環(前編) 1/53 by SL66:2009/06/12(金) 00:06:28 ID:OtcMxNmC
 梅雨の中休みなのか、真夏を思わせる晴天が続き、暦はいつしか七月になっていた。
 竜児たちの通う大学は、七月の第一週で前期の講義がひとまず終了する。その後は二箇月に及ぶ夏休みだ。
 海に、山に、海外に、思う存分羽を伸ばせる機会到来だが、休み明けには前期試験が控えている。うっかり遊び呆
けていると、休み明けには試験対策で慌てふためくことになるだろう。
 首都圏の他の大学の多くは、前期試験を終えてから夏休みに入るようなのだが、竜児、それに亜美と北村祐作が
通う大学は、頑ななまでに休み明けに前期試験を実施するのが伝統となっていた。
 休み中でも、学生の本分たる勉学に勤しめ、ということなのだろう。
 この試験制度は、当然のことながら、ほとんどの学生には不評だが、一部には歓迎しないまでも、いくぶんは有難
いと思っている者が存在していることも確かである。
 竜児や亜美のように弁理士試験の受験を志している者たちがそうだ。
 弁理士試験は、毎年、七月の第一日曜日に二次である論文試験が行われる。
 この論文試験は、弁理士試験の天王山とも言うべきものであり、一次から三次まである弁理士試験中、
最大の難関とされている。
 それも、竜児たちが通う大学のような、言うなれば名門校の出身者が、それこそ全力をあげて立ち向かって、かつ、
運が良ければ合格するという程に手強い。何かの片手間とか、何かを並行して行いながらでは、合格は、まず無理
だろう。
 そのため、大学の前期試験が休み明けであって、弁理士試験と重ならないというのは、在学中での最終合格を
計画している竜児や亜美にとっては、むしろ願ったりであると言ってよい。
 もちろん、二次試験である論文試験に合格するには、マークシート方式の一次試験に合格しなければならず、これ
はこれでかなり困難なのだが、実際の判例や事件に基づいた複雑な事例の下で、制限時間内に法的に妥当な論文
を書かなければならない論文試験よりは与しやすい。
 竜児も亜美も、六月に受験勉強を独学で開始したばかりだから、二次の論文試験が受験できるようになるのは先
の話だろうということで、一次試験突波が当面の目標である。本音を言うと、来年の二年生時点での一次試験合格
が望ましいが、これは、現時点での学習程度を考慮すると相当に厳しい。そこで、二人とも、来年の受験は本試験の
雰囲気を身をもって知る予行演習と割り切り、初陣での成果にはこだわらないことにした。その代わり、じっくり時間を
かけて、条文と、法律の解説書で通称『青本』と呼ばれる『工業所有権法逐条解説』に慣れながら、
徐々に弁理士試験に必要な知識とセンスを磨いていくことにしている。
 その後は、三年生時で少なくとも一次試験に合格し、後はあわよくば最終合格までこぎつけるという算段である。
 都合、受験二回での最終合格を理想とし、それが叶わなくても、四年生時に二次試験及び三次試験をクリアして、
最終合格するという計画だ。どちらかというと、平均的な受験生よりも早期の合格を目指していることになるが、
社会人に比して時間に余裕がある学生の強みを活かせば、何とかなる可能性はあると、竜児も亜美も踏んでいた。
 という訳で、この夏は、竜児も亜美も、休み明けの前期試験の勉強に加えて、弁理士試験の勉強に精励するという
ことになっている。
 ただ、四六時中、勉強一点張りでは、さすがに味気ない。たまには息抜きが必要だろう。
 それを見越してのつもりなのか、前期の講義最終日の昼休み、竜児と亜美は、お揃いの弁当を、
北村は学食のカレーを頬張りながら、取り留めのないことを喋っていた折、北村が唐突に切り出してきた。

「なぁ、高須に亜美、お前たちは、真面目に毎日勉強ばかりしているようだが、今日はせっかくの夏休みの前日だ。
ちょっとビールでも飲みながら、ぱーっ、といこうじゃないか」

 北村は、爽やかな笑みとともに、ビアホールの招待券を三枚振りかざした。それも、銀座の老舗のビアホールで、
ビールが飲み放題というものだった。

「ど、どうしたんだ、こんなもん…」

 北村は、ちょっと得意そうに相好を崩している。

「いやぁ、保険やってるお袋から貰ったんだよ。元々は、保険を契約した人に配布するものなんだが、手違いで余った
らしいんだ。で、本来なら親父とお袋と兄貴とが行くべきなんだろうが、みんな出不精でな。銀座くんだりまで行きたく
はないんだと。で、俺が、有難く頂戴したというわけさ…」

 亜美と竜児は、思わず顔を見合わせた。酒は大して強くないくせに飲み助な亜美は、目を輝かせている。
38指環(前編) 2/53:2009/06/12(金) 00:07:38 ID:OtcMxNmC
 一方の竜児は、未成年での飲酒ということで渋面を浮かべている。更には、竜児にはもう一つの懸念があった。

「お、おい、北村…。その券だけど、余ったということは、本来なら保険会社に返さねぇとまずいんじゃないのか? 
それを俺たちが使っちまうと、お袋さんは、結果的に業務上横領とかになっちまうよな?」

 その瞬間、竜児は、脇腹に走った鋭い痛みに、「うげっ!」と、絶句した。

「あんたねー、無粋なこと言ってんじゃないわよぉ!」

 亜美の左肘が竜児の右脇腹にめり込んでいた。
 そのあまりの痛みに耐えかねて、竜児はテーブルに突っ伏して悶絶する。

「だ、大丈夫か? 高須」

 北村が、脇腹を押さえて呻いている竜児を、心持ち眉をひそめて、心配そうに覗き込んでいる。
 竜児は、その北村に、「だ、大丈夫な訳がねぇだろ…」と言い掛けたところ、亜美に機先を制された。

「大丈夫よ、こいつは鈍いけど、その分だけ頑丈にできているからぁ、この程度じゃ何ともないって」

 しかも、亜美は、なおも悶絶している竜児のつむじの辺りを人差し指で、ぐりぐりと無慈悲に弄んでいる。
 哀れな竜児は蚊の鳴くような声で「か、川嶋ぁ、憶えてろよぉ〜」と怨嗟の呟きを漏らしたが、それは当の亜美には
無視された。

「おい、おい、亜美。あんまり高須をいじめるな。お前の言うように高須が頑丈だとしても、今の一発は、かなり効いて
いるみたいだぞ」

 北村の指摘に、「そうね」とだけ半ば事務的に応じて、亜美は、なおもテーブルに突っ伏していた竜児の襟首を
ひっつかんで、元通りに座らせた。
 竜児は、涙目で亜美を睨んだが、亜美は全く動じない。竜児の三白眼には、それなりの威圧感が備わっているのだ
が、単なるこけ威しに過ぎないことを、当の亜美はよく知っているからだ。
 顔に似合わず温厚で誠実。それが竜児の本質だけに、今回の理不尽極まる亜美の態度にも、面と向かって抗議す
ることはないと、亜美は踏んでいるのだろう。
 案の定、亜美は、恨めしそうに見ている竜児には構わず、北村に向き直った。

「で、祐作ぅ〜、その券だけど、あたしらが使っても、別段問題はないよね?」

「ああ、その点は大丈夫だ。もう、お袋が保険会社から許可を得ている。だから、ひとまず問題はないだろう」

「そらぁ、ご覧なさい! 何も問題はないじゃなぁい!」

 北村のその一言が決め手だとばかりに、亜美は目を輝かせて、竜児に詰め寄った。その瞳には、単なる喜色のみ
ならず、どうだぁ、文句あっかぁ?! という恫喝とも強迫とも判じがたい迫力が漲っている。

「お、おう…」

 竜児は未だに疼く右脇腹を撫でながら、涙目で不承不承に頷いた。亜美とのやりとりでは、竜児にはほとんど勝ち
目がない。詐欺スレスレの引っ掛けと、時には強迫によるごり押しも交えた緩急自在の攻撃に、翻弄されっぱなし、
やられっぱなし、が常なのだ。
 それに、今回の言い出しっぺは亜美ではなく北村だ。単純な多数決でも賛成二に反対一で、分が悪すぎる。

「決まりだな…」

 北村が、眼鏡のレンズ越しに目をしばたたかせた。
 かくして、北村、亜美それに竜児の三人は、午後の講義が終了した後、地下鉄で銀座に移動し、
39指環(前編) 3/53:2009/06/12(金) 00:08:51 ID:OtcMxNmC
その古いビアホールで前期の講義が無事に終了したことを祝すことになった。
 半ば竜児の意思は無視された格好での強行採決。
 竜児は、微かな痛みが残っている脇腹を擦りながら、いつものことだ…、と嘆息した。内罰的な竜児は、相手と意見
が対立することを、できれば避けてきた。その文法に従えば、結局は北村や亜美の主張には逆らえないのである。


 目指すビアホールは、銀座のど真ん中にあり、戦前から銀座界隈の名所との一つとして知られていた。
 古い建物らしく、ちょっと埃臭い感じは、理学部の旧館に似ているな、と竜児は思った。おそらく、竣工した時期は、
理学部の旧館も、このビアホールも似たようなものなのだろう。

「ずいぶん古いステンドグラスがあるのね…」

 亜美が、席に着くや否や、上を見上げて、ちょっと感心するように宣った。
 竜児と北村も、その声に誘われるようにして見上げてみた。確かに、横浜辺りに残っている古い教会にでも似合い
そうな、いくぶんは変色して古色蒼然としたステンドグラスが、夕刻のちょっとセピアな光を店内に導いている。
 午後五時前だというのに、店内は多くの客でごった返していた。竜児たちも、入店してから、今の席に案内される
まで、ほんの数分だけだが、レジの近くで待機させられた程だ。これからのアフターファイブには、会社勤めを終えた
サラリーマンやOLで賑わうことだろう。

「ねぇ、ねぇ、早く乾杯しようよぉ!」

 もう待ちきれないとばかりに、亜美がメニューを睨んでいる北村の肩を揺さぶった。
 北村は、その亜美に、ちょっと眉をひそめた迷惑そうな視線を投げかけて、苦笑した。

「おい、おい、まずは注文しなきゃ何も飲み食いできないだろう? 
それに、ここはビールだけでも何種類も選べるから、ちょっと選択するのに迷ってな…」

 その北村に、亜美は、目を細めた性悪笑顔で応じている。

「特段、グルメでもない祐作がメニュー見たって意味ねぇっつぅの! 
ここは、適材適所ということで、高須くんに任せるべきなんじゃない?」

 そう言うなり、メニューを北村の手から奪い取り、竜児に手渡した。

「おい、おい、亜美…」

 北村は、一瞬詰るような視線を亜美に向けたが、幼馴染の亜美は当然にお構いなしだ。
 亜美からメニューを渡され、戸惑いがちに「お、おう…」と応えた竜児は、一瞬、北村と目が合った。その北村が苦笑
している。
 その意図を竜児は正確には測りかねたが、多分、『相思相愛とはいえ、亜美が相手じゃお前も大変だな』といった
ところだろうと思うことにした。

「ねぇ、ねぇ、あんたならビールは何がお勧めなの?」

 縋りついてくる亜美に急かされながら、竜児はメニューを広げてみた。
 ビールは、下面発酵による日本でもっともポピュラーな、ビールといえば先ずこれを指すピルス、上面醗酵で色が
少し濃く、味わいも濃厚なアルト、それに麦芽をローストした苦味がやや強く香ばしい下面発酵の黒生、更にはアイ
ルランドの醸造所から輸入された、黒生よりもいっそう苦く重厚な上面醗酵のスタウトが揃っていた。
 値段は、一般的なピルスが一番安く、後は黒生、アルト、スタウトの順に徐々に高くなっていく。スタウトは輸入品だ
から少なくとも関税分だけは高くなるし、一般的でない黒生やアルトも、多少は高くなるのは道理と言えた。

「なぁ、北村。飲み放題できるのは、値段の安いピルスだけとか、そういう制限はねぇのか?」

「ああ、それなら大丈夫だ。券には、『ビール全種が飲み放題』って書いてある」
40指環(前編) 4/53:2009/06/12(金) 00:10:32 ID:OtcMxNmC

 北村が手元の券を、眼鏡を掛け直して確認した。
 竜児は、「そうか…」と呟いて、メニューに再び見入った。よく見れば、個々のビールの価格差は大したことはない。
メニューには何故か英国式の一パイントに相当する五百六十ミリリットル単位での価格が示されていたが、一番安い
ピルスと一番高いスタウトとの価格差も、二百円程度に過ぎなかった。

「味の薄いピルスを最初に飲んで、それから味の濃いアルト、黒生、スタウトの順に飲んでいくのが定石だろうな。
ピルスは、日本というか、世界でも一番ポピュラーなビールだから、飲みやすいというのもある。
その点、アルトは、重いというか、少々野暮ったいというか、上面醗酵で、名前の通り古い製法だからな。個性的だが
評価は分かれると思う。
黒生は、麦芽を炒ってるから、少し苦味が強いが、基本的にはピルスと同じような下面発酵だから、アルトよりも洗練
されているはずだ。
スタウト、これもアルトと同じ上面醗酵だ。これは、好き嫌いがはっきり分かれるだろう。ものすごく味が濃厚だが、
苦味も強いし、べったりと重く、アルコール度数も高いからな」

「上面醗酵と下面発酵ってのは何なんだ?」

 北村が、目をきょとんとさせて、竜児の顔を見た。竜児は、その北村に軽く頷いてから説明を再開した。

「そうだな、ちょっと説明不足だったようだ。下面醗酵ってのは、十℃以下の低温で長時間発酵させる製法のことだ。
最終的には出来上がったビールの下層に酵母が沈殿するので下面発酵と呼ばれている。ピルスや黒生がこの製法
で醸造されている。世界的にも主流だ。下面発酵によるビールは、洗練された穏やかな味わいが特徴とされる」

「じゃ、上面発酵ってのは、下面発酵と正反対の製法なの?」

 亜美が、いくぶんぞんざいな口調で、竜児の説明に割り込んできた。
 こうした理屈っぽい話を打ち切らせるつもりなのだろう。

「川嶋、鋭いな。その通りなんだ。上面醗酵は、常温で短時間発酵させるんだ。最終的には酵母がビールの上面に
浮かんでくるからこう呼ばれている。味も香りも下面発酵のビールよりも個性的だ」

 話を混ぜっ返すつもりが、却って正解を言ってしまったことに、亜美は渋面を浮かべている。
 それでも、竜児に誉められて、多少はうれしいのか、思い直したように、ほんの少しばかり相好を崩した。

「じゃ、カロリーが少ないのは、どれなの?」

 普段節制しているから、たまには大っぴらに飲み食いしても問題はなさそうだが、そこは女の子である。
『ダイエット』の文言が常に脳裏にちらつくのだろう。

「カロリーを気にするなら、ピルスか黒生で我慢した方がいいだろう。アルトははっきりしないが、英国式のスタウトは
黒砂糖を補助材料に使っていることが多いから、カロリーも一般のピルスとかに比べて高くなりやすい」

 そう言いながら、竜児は、メニューに記載されているビールのリストを眺め直した。

「黒生やアルトも、カロリーは高そうだな。両方ともピルスよりもアルコール度数が高いから、発酵前の麦汁はピルス
より濃いものを使ってるんだろう」

「じゃぁ、結局、ピルスしか飲めないってことぉ?」

 亜美が不満なのか、まなじりを心持ち吊り上げている。

「いやぁ、それは当人次第さ。少しでも摂取カロリーを抑えたいなら、ピルスだろうし、それが気にならないっていうの
なら、何を飲んでも構わねぇだろうさ。それに、どれもビールだ。一般の酒類に比べて糖質が多くて太りやすいって点
はどれも似たようなもんだ」
41指環(前編) 5/53:2009/06/12(金) 00:12:08 ID:OtcMxNmC

「つまり、何を飲んでも、実際は気にするほどのことはない。太りたくなかったら、ビールは止めておけ、
ってことだな?」

 結論付けるような北村のコメントに竜児は頷いた。

「まぁ、身も蓋もねぇけど、結局はそういうことだ。要は、何を飲んだって結果はそう変わらねぇ。であれば、最初の
一杯はピルスが原則だが、飲みたければ味のきついスタウトから始めたっていいだろう。その辺は、自由だな」

 そう言って、竜児は、亜美の表情を伺った。結果的に、あまり意味をなさなかったビールの説明に、少々ご立腹
なのか、頬を膨らませ、目を鬱陶しそうに半開きにして、竜児を睨んでいる。

「何よ、結局、何飲んだっていいってことじゃない! だったら、勿体をつけずに結論だけ言いなさいよぉ! 
ほぉ〜んと、無駄に理屈っぽいんだからぁ」

「お、おう…」

 亜美の剣幕に気圧されて、竜児は思わず首をすくめた。
 いつもの亜美なら、竜児の博識ぶりには、素直に敬意を表するのだが、今日に限って、すこぶる機嫌が宜しくない。
 その亜美は、不機嫌丸出しのブス顔のまま、席を蹴るように立ち上がった。

「じゃぁ、ビールはピルスでも何でもいいからぁ、適当に頼んどいてよ。あ、それと、あたしソーセージと、
ジャーマンポテトそれにザワークラウトとかピクルスが食べたい」

 それだけ言うと、そのままどこかへ行こうとする。

「お、おい、亜美、どこへ行く?」

 その北村に、亜美は、河豚みたいに膨れた不機嫌丸出しのブス顔を、般若のように歪めて北村を睨み付けた。

「うっさいわねぇ! 女の子が、人知れずどっか行こうってときは、何だか決まってるじゃない! 察しなさいよっ!」

 後は、互いに顔を見合わせている竜児と北村を尻目に、亜美はビアホールの奥へと引っ込んでいった。

「いつにも増して、ご機嫌斜めだな…。何かあったのか?」

 鬼ならぬ、亜美の居ぬ間に、北村が心配そうに尋ねてきた。その北村の問いに、竜児は頭を振った。

「いや…、何もねぇよ。川嶋とは、喧嘩になるようなことは何もねぇ…」

「そうか? 亜美の奴、高須と付き合い始めてから、性格はだいぶマシになったはずなのに、今日は、それが
元の木阿弥になってる…。お前たちに何かあったんじゃないかって、考えるのが普通だろ?」

 竜児は、う〜ん、と呻くように呟き、喉まで言葉が出掛かったが、自重した。
 なぜ、亜美が不機嫌かは、鈍い竜児にも察しはついていたが、相手が北村であっても、公共の場でそれを口にする
のははばかられたからだ。
 だが、そんな竜児の逡巡を、洞察力に長けた北村は見逃さない。

「お前のその様子だと、お前が忙しいことを理由に、亜美の相手をしてやらなかったとか、何とかが、あいつが不機嫌
になっている原因なんだろ?」

「お、おぅ…」

 竜児は、三白眼を真ん丸にして、親友の顔を見た。論理的な思考力では竜児の方に分があるが、
直感を交えた総合的な洞察力では、北村の方が遥に優っていることを、今更ながら痛感させられる。
42名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 00:13:18 ID:r1+CKHU8
C
43指環(前編) 6/53:2009/06/12(金) 00:13:36 ID:OtcMxNmC

「図星か…」

「ああ…。恥ずかしながらその通りさ…」

 竜児は観念して嘆息した。裸になったり、覗きをしたり、とかく問題行動の多い男だが、いざとなれば的確な判断が
下せる北村は、やはり竜児にとって頼もしい存在だ。

「前期末で、進行が遅れた科目とかは、最後は突貫工事で講義したからな…。
その予習復習が大変だったんだな?」

「ああ、それに、数学科は、複数の科目で、補講まであったんだ。それで、ここ一週間は、川嶋とは一緒に昼飯を食う
のが精一杯という有様さ…」

「まぁ、本学の数学科は、熱心な教官が多いらしいからな…。補講までして、予定を完遂するってのは、大学じゃ、
希な話だろう。法学部なんかいい加減だぞ。『以上で、前期の講義は終了します。なお、残りはテキストを各自よく
読んでおくように』で、お終いだった…」

 そう言って、北村は、にやりとした。

「でも、川嶋は、その補講が気にくわなかったらしい。この前の土曜日なんかは、午後まで解析学と位相幾何学の
補講がびっちりあってさ、恒例のプチデートがお流れになった。川嶋が目に見えて不機嫌になったのは、
この日からだな」

 半ば真実、半ば嘘だった。残り半分の真実については、この場では沈黙を貫くことにした。

「そういうことか? デートがダメになったくらいで、むくれるとは、所詮、あいつも子供だってことか…」

 北村が、首を傾げながらも、頷いた。その表情には不審の色が現れてはいたが、ひとまずは納得したような素振り
を見せてはくれた。
 だが、洞察力に優れる北村を欺くことは難しい。
 竜児は、いずれ、北村から新たな追及を受けるであろうことも、ある程度は覚悟しておくことにした。

「話としてはそんなところなんだ。取り敢えず、注文だけでも先に済ましちまおう。注文もしていないうちに川嶋が
戻ってきたりしたら大変だ。あいつの機嫌が更に悪くなる…」

 北村は、「そうだな…」と軽く頷いて、給仕を呼ぶために、右手を頭上に伸ばして、二度、三度と振った。
 呼び止めた給仕に、北村は、三杯のピルスと、亜美ご所望のソーセージの盛り合わせ、ジャーマンポテトそれに
ザワークラウトとピクルスの盛り合わせを注文した。
 更に竜児の提案で、この店の名物であるロースとビーフと、サラダと低脂肪で高蛋白な厚揚げのステーキを追加で
注文した。


 最悪と言ってよい亜美の機嫌が懸念材料であったが、亜美が手洗いから戻ってすぐにビールが運ばれたことが
奏効し、ひとまずは大した波乱もなく、三人での酒宴は進行した。

「でさぁ〜、この前、麻耶と電話で話したんだけどぉ、麻耶の奴、未だに祐作に未練があるみたいでさぁ〜。ピクニック
の時に祐作の裸には驚いたけど、『今にして思えば、もっとじっくり見とけばよかった…』だってさぁ〜〜」

 とか何とか、傍目には実に下らない話をしながら、ビールをあおって、ケタケタと哄笑している。
 どうやら、今日の亜美は笑い上戸らしい。

「お、おい、程々にしとけよ。お前、あんまり酒は強くないんだから…」

44指環(前編) 7/53:2009/06/12(金) 00:15:05 ID:OtcMxNmC
 たしなめる竜児には、「なんらとぉ〜」と呂律怪しく詰め寄って、その顔面に、ふぅ〜、と息を吐きかける。
 その露骨な酒臭さに、竜児は思わず顔をしかめた。

「お前、飲みすぎだよ…」

 その竜児の忠告に、「へん!」とばかりに鼻息を荒げ、血走った上に、どろり、と濁った酔眼を向けてくる。

「飲み放題ってんだからぁ、別に構わないっしょ! それに、亜美ちゃん、今日は、お酒飲まないとやってらんねぇっ
つぅの!」

 そう言うなり、なみなみと注がれた黒生を、一気に半パイント分、流し込んだ。

「亜美、高須が言う通り、ちょっとピッチが速くないか? もうそれで三杯目だろ?」

 亜美は、軽くげっぷをして、胃に溜まった炭酸ガスを放出すると、北村に向かって、だらしなく相好を崩した。

「そだよぉ、一杯目は確かピルス飲んでぇ、二杯目はちょっと色の濃いアルトっつぅのを飲んでぇ…。しかし、あんたも
高須の相棒だけあって、細かいことを気にし過ぎ! も、どうでもいいじゃん!」

 そう言って、笑いながら、北村の肩を、ばんばん、引っぱたいた。

「高須、こりゃ、ダメだ…」

「ああ、潰れるのは時間の問題だな…」

 男二人は、紅一点の乱れっぷりに、顔を見合わせて、ため息をついた。
 いつぞやのコンパの時にように、変調をきたした亜美を連れて帰らねばならないことを思うと、竜児は憂鬱になって
くる。ただ、あのコンパの時とは違い、今のところは、泣き喚いていないのが、僅かながらの救いだ。

「そこぉ! 男二人でこそこそ喋らない!! ホモかぁ、あんたら!」

 酔っているにも拘らず、語気だけは無駄に鋭い突っ込みに、竜児も北村も、ひゃっ、と思わず首をすくめた。
 酔っ払いはビアホールのあちらこちらに見受けられたが、困ったことに、その中でも亜美がダントツに目立っている。
大人しくしていれば、楚々としたお嬢様と言う感じの娘が、上品とはお世辞にも言えないことを、哄笑しながら喚いて
いるのだ。そのアンバランスさ、シュールさは、数多の酔漢の中でも群を抜いていた。
 こうなると、むしろ酔い潰れてくれた方が、面倒が少ないかもしれない。
 北村も竜児と同じように考えていたのだろう。竜児と目が合った瞬間、何かを決意したかのように眼を大きく見開い
て、頷いた。
 そして、給仕を呼び止め、

「すいませ〜ん、スタウトを三つお願いしま〜す」

 アルコール度数が一番高いスタウトを注文した。
 ベージュのきめ細やかな泡とコールタールのようにどす黒い液体が満たされた一パイントのグラスが三つ、
テーブルの上に並べられた。

「取り敢えず、飲みかけの奴は、きっちり飲み干してしまおう。で、これを飲めば、このビアホールが提供している
ビールの全種類を制覇したことになる」

 そう言って、北村は、もはや手がつけられない酔っ払いになりつつある亜美に、残りの黒生を飲み干すように差し向
けた。

「上等でぇい、こんなのぉ!」

45指環(前編) 8/53:2009/06/12(金) 00:16:23 ID:OtcMxNmC
 言うや否や、残りの半パイント分の黒生を一気に流し込み、「ぷはぁ〜!」とばかりに大きく息をついた。
その風情は、まるっきりアル中のおっさんである。

「川嶋、おかわりだ」

 竜児は、その亜美に、黒生よりも真っ黒なスタウトが満たされたグラスを手渡した。

「あへぇ? なんか、こいつも真っ黒じゃん」

 怪しい呂律で、そう言うと、亜美は手渡されたグラスの中身に口をつけた。
 それを横目で確認しながら、竜児と北村もスタウトを味わった。

「お、にっげぇ〜。でも、あまぁ〜い! これって、何かいいかもぉ」

 その点は、竜児も同意見だ。苦いのはホップの量がピルスやアルトよりも多くなっているせいだろう。
 ビールを火入れしたり、ましてや、フィルターでろ過するといった技術がなかった時代に、少しでも日持ちがするよう
にホップを多めに添加したという話を、竜児は思い出した。
 甘いのは、おそらく補助材料として使われている黒砂糖だろう。この黒砂糖のおかげで、酵母の活動が活発になり、
アルコール度数も一般のビールに比べて高くなるという訳だ。

「荒々しい感じもあるけど、訳ありの大人のビールと言う感じだな…」

 どぎつい味だが、他のビールとは明かに一線を画することは確かである。
 だが、それだけに、本来は、ちびちびと嘗めるように飲むものなのだろう。
 にもかかわらず、亜美は、先ほどの黒生と同じような調子で、グイッとばかりに半パイント分を流し込んだ。
 味は濃いけれど、アルコール度数が適度に高いから、口当たりは悪くない。それがスタウトの怖いところなのかも
知れない。

「うっひゃ〜、苦いけどぉ〜、こいつ、結構飲みやすいかもぉ」

 怪しい呂律で呟くように宣うと、亜美はグラスに残ったスタウトを飲み干した。

「うぃ〜」

 それがとどめになったのだろう。亜美は、まぶたを気だるそうに閉ざすと、そのまま力なく竜児にもたれかかった。

「亜美ちゃん、ねむ〜ぃ…」

「お、おい、川嶋…」

 亜美は、竜児の胸板に縋りついたが、その胸板の上をずるずると力なく滑るように落ち、竜児の股間に顔を埋めた。

「高須くんの匂いがするよぉ…」

「か、川嶋、こ、この体勢はまずいって」

 だが、亜美は、戸惑う竜児には構わず、その股間の膨らみに頬ずりすると、安心したような笑みを浮かべて、
微かな寝息をたて始めた。
 亜美のやわらかな頬が、布地越しとはいえ、竜児の股間を圧迫する。
 その艶かしい感触に竜児のペニスが不如意に怒張してきた。まずい、明かに、まずい体勢だ。

「麻酔が効いたようだな…。しかし、その格好」

 北村が、吹き出しそうなのをこらえながら、苦笑している。

46指環(前編) 9/53:2009/06/12(金) 00:17:29 ID:OtcMxNmC
「冗談じゃねぇよ…。こんなところを他の客か何かに見られたら、赤っ恥もいいところだ」

 そう言いながらも、竜児は、微かな寝息を立てている亜美の頬を指先で軽くなぞるように撫でてやった。
 亜美は、生え際まで朱に染めて、時折、むずかるように、う、う〜ん、と呻く。

「大人しくはなったが、ちょっと飲ませ過ぎたな」

「都合、ビール大瓶で三本ちょっとというところだからな。たしかに多いな…。それに川嶋は酒好きだけど、弱いんだ。
それでも、ワイン系ならそこそこいけるんだが、どうも、ビールとかはダメなようだな」

 竜児は、先月のコンパでも、亜美がビールで悪酔いしたことを思い出した。

「そうなのか? であれば、ビアホールに行こうって言ったのは軽率だったな。済まなかったな高須」

「いやぁ、川嶋の奴が、自分の限界もわきまえずに無茶な飲み方をしたのがそもそもいけないのさ…。
北村は何も悪くねぇよ」

 北村は伝票に打刻された時刻と、腕時計とを見比べた。

「二時間飲み放題だから、俺たちは、あと一時間はここに居られるわけだ…」

「であれば、このまま一時間ほど、俺は川嶋の様子を見ているよ。急性アルコール中毒って程じゃないが、要注意な
状態であることは確かだから、ちょっと目が離せない」

 北村は、竜児に軽く頷いた。

「そうだな…、尾篭な話だが、吐くってこともあり得るからな。それに、男の俺たちからは切り出しにくいが、
電車に乗る前には手洗いにも行けせないと、まずいな…」

「まぁ、川嶋は基本的にはしっかりした奴だからな。正気にさえ戻ってくれれば、その辺は大丈夫なんだが…。
それにしても、あれだけ騒いでおきながら、気持ちよさそうに眠ってやがる」

 その亜美は、竜児の股間に顔を埋めて、むにゃ、むにゃと、意味不明なことを時折呟いている。

「そうだな、何だか、高須に縋っている今の状態が、嬉しくてしかたがないって感じだな」

 北村の指摘に、竜児は、ちょっと動揺した。

「そ、そうでもないだろ…」

「そうか? 今の亜美の幸せそうな表情と、ちょっと前までの不機嫌な表情とを比べてみると、そうとしか思えないん
だがな、それと…」

「な、何だよ…」

 洞察力に秀でた北村の追及が始まった。

「結局、亜美の奴が、えらく不機嫌だったのは、高須、お前が忙しさにかまけて、亜美のケアを怠っていたってこと
なんだろう? それも、デートの予定がつぶれたなんてものじゃなく、もっと、生々しいものだよな?」

「な、生々しいってのは何だよ。抽象的過ぎて訳が分からねぇよ」

 北村が、眼鏡の奥のつぶらな瞳を、きゅっ、と引き締めた。
 それは、竜児に対する、『しらばっくれるのもいい加減にしろ』という、ある種の警告だった。
 竜児は、そんな北村の視線から逃れたくて、あまり飲みたくもないスタウトを一口含んだ。
47指環(前編) 10/53:2009/06/12(金) 00:18:38 ID:OtcMxNmC

「単刀直入に言おう。高須、お前、最近、亜美を抱いてないだろ?」

 口に含んだビールを吹き出しそうになったが、それは、口元を左手で押さえ、辛うじて堪えた。

「い、いきなり、何を言いやがる!」

 その竜児の狼狽ぶりを見て、北村は目を細め、口元を微かに歪めて、意地悪そうに微笑した。

「まぁ、そんなことなんじゃないかって思ったんだが、どうやら俺の推測は正しかったようだな」

「お前なぁ〜」

 竜児は北村に咎めるような視線を送ったが、竜児よりも直感に優れた北村に敵うわけがないことに思い至り、
観念したように瞑目して嘆息した。

「まぁ、恥ずかしながら、そういうことさ…。俺は川嶋とは、ここ一週間はすれ違いの生活で、満足にスキンシップも
できなかった。それが、川嶋の奴は不満だったのかも知れねぇな」

「なぁ、ちょっと立ち入ったことを訊くけどいいか?」

「な、何だよいきなり…」

 北村は、動揺気味の竜児には構わずに、自分たちが陣取っているテーブルの周囲を見渡した。
 ビアホールの店内の様子は相変わらずだった。多くの人でざわめいている。亜美が馬鹿騒ぎしていた時なら、竜児
たちが目立っただろうが、今は、他のテーブルに居座っている酔漢たちの方に、他者の注意は向いていそうだ。
 それを確かめてから、北村は、竜児の耳元に囁いた。

「なぁ、お前と亜美は、どこまで行っているんだ? Aか? Bか? それともCまでか?」

「お、おう…」

 ある程度は覚悟していたが、親友の北村であっても、亜美との逢瀬を白状するのは気恥ずかしかった。
 だが、北村は遠慮がない。

「どうなんだ? 奥手のお前でも、ませた亜美に引きずられて、Cぐらいは経験しているんだろ?」

「う、ま、まあな…」

「何だか、はっきりしないな…。そういった曖昧な態度でお茶を濁そうとすると、亜美にも愛想を尽かされるぞ」

 竜児の脳裏に、つい十日前の出来事がよぎった。
 互いに一つになるために、初めてのセックス。しかし、挿入直前になって突然の亜美の不調。
 痛い、痛い、と泣き叫びながら、苦しんでいる亜美の姿は、今も記憶に鮮やかだ。
 あの晩の亜美との行為は、一応は性行為なのだろう。だが、その結び付きは完全ではなく、亜美にも竜児にも、
心身にある種の痛みを残したのだ。

「CはCだが、Cマイナスって感じだな…」

「マイナスってのは何だ? 意味が不明だぞ」

 北村のもっともな指摘に、竜児は瞑目して頷いた。それは、北村に亜美との逢瀬の真相を告げるという意思表示で
もあった。どの道、洞察力に秀でた北村の追及から逃れる術を竜児は持ち合わせていない。

「およそ十日前のことだ。俺と川嶋は、始めて抱き合ったんだ…。だが、本番直前になって、川嶋は急に痛みと悪寒を
48指環(前編) 11/53:2009/06/12(金) 00:20:00 ID:OtcMxNmC
訴えて、そのまま中止になった…」

「中止って、亜美の具合はそんなに悪かったのか?」

 竜児は、眉をひそめて北村に頷いた。あの時の亜美の苦しみようを思い出すと、口中が苦々しくなってくる。

「川嶋は、膣痙攣を起こしたんだよ。ませてはいるが、本音では川嶋もセックスが怖かったんだ。それで、俺と一つに
なる直前、あいつの膣は天岩戸みたいにかちかちに収縮しちまって、全然俺を受け付けなくなっちまったんだよ」

「そんなことがあったのか…」

 竜児と亜美との初めての行為が無残な結果に終わったことは、北村にも予想外であったらしい。
 何事にも動じないはずの北村が、居心地悪そうにもじもじしている。

「川嶋は、再チャレンジを望んでいる。ただし、いきなり俺と一つになるんじゃなくて、裸で抱き合って、セックスへの
恐怖感を解消してから、本番をするつもりらしい。だが…」

「折悪く、数学科の補講が重なって、亜美との逢瀬がことごとくお流れになった、そういうことだな?」

 北村に結論を言われた竜児は、力なく「ああ…」とだけ応じた。

「そうであれば、お前は、亜美を抱いてやるのが一番なんじゃないのか? 前回の失敗があるから、踏ん切りがつき
にくいのはなんとなく分かるが、そうしてやることが亜美の望みなら、それを叶えてやるのが男の責務だろ?」

「そうだよな…、確かに」

 竜児は、せっかくだから、スタウトを、また一口飲んだ。
 ホップの利いた強い苦味と、黒砂糖らしい甘味が、口中に広がる。

「俺だったら、亜美が酔いつぶれたのを幸いに、どっかのホテルに連れ込んで、一発とは言わずに二発、三発と、
亜美の中にぶち込んじまうが…」

「お、おい、おい、お前、川嶋のことなんか眼中にねぇだろう…」

 北村の冗談だとは分かっていたが、いざ、亜美への横恋慕めいたことを告げられると、朴念仁の竜児でも内心は
穏やかではない。それに、品行方正を旨とする竜児にとって、酔いつぶれた婦女子をかどわかすなぞ論外だ。

「すまん、ちょっとした冗談だ。正直、お前たちが羨ましくてな。それと、亜美を抱くことに消極的な感じがするお前の
ことをちょっとからかってみたくなったのも事実だ。とにかくだ、高須、亜美を抱いてやれ。それ以外に、あいつが
救われる道はない」

「お、おぅ…。しかし、今日は無理だ。川嶋のこの体調じゃ、前回の二の舞になりかねない」

「あせらなくてもいいじゃないか。明日から夏休みだ。お前と亜美は試験勉強もしなくちゃならんが、大学が休みで
あれば、時間は十分にある。それをお前たちの関係修復に充てればいいだろう」

 そう言って、北村も、スタウトを一口飲んだ。

「改めて飲んでみると、苦いな…。それに甘い。こんなに味の濃いものを亜美の奴は一気飲みしたのか…」

「北村も知ってるだろうが、ストーカー事件の時もそうだったように、あいつは結構無茶するからな」

「だからこそ、お前がいざという時には支えてやる必要があるってことだよ」

「そうだな…」

49指環(前編) 12/53:2009/06/12(金) 00:21:11 ID:OtcMxNmC

 北村のもっともな指摘に、竜児は頷き、更に一口、スタウトを口に含んだ。
 じわっとする苦味が口の中を覆うが、それが先ほどのように不快なものとは思えなくなっていることに気づく。
 飲酒には否定的な竜児だが、これはこれで美味いのかも知れないと思えてきた。

「それはそうと、高須。お前、飲んでも全然赤くならないな。受け答えもしっかりしてるし、お前って、本当は酒が強いん
じゃないのか?」

 北村からの予想外の問いに、竜児は三白眼を丸くした。

「ど、どうなんだろうな…。俺自身、こんなに酒を飲んだのは実は初めてなんだ。先月のコンパだって、最初の一杯
こそビールを飲んだが、後はウーロン茶で誤魔化したからな。本当のことは分からねぇよ…」

「いや、多分高須は本当に酒が強いんだろうな。飲酒の経験がほとんどないのに、全然酔ってない。普通は、何度も
悪酔いしながら、酒に慣れていくものらしいが、高須の場合は、遺伝的に酒に強いのかも知れないな」

 竜児は、酒と女に溺れていた自分の父親を思い出した。不本意だが、確かにそうなのかも知れない。

「まぁ、酒が強いかどうかは分からねぇが、酒もそんなに悪いもんじゃないのかも知れねぇって気には、ちょっとばかり
なってきたよ…」

「うん…」

 北村が、ほんのり赤くなった顔をちょっとほころばせている。

「それに、料理と酒は不可分な関係にある。酒を無視して料理を考えることは難しいんだろうな」

「そうか…。料理上手な高須が、酒にも造詣が深くなったら無敵だな」

 竜児は苦笑した。

「よせやい。俺の料理なんて所詮は素人のお遊びさ。一時は、進学は諦めて、調理師とかも考えたけど、旧態依然と
した徒弟制度には多分馴染めないと思ってな…。今は、進学してよかったと思っているよ」

「そうだな、高須ほどの優秀な奴が、進学もせずにそのままってのは勿体ないからな。俺も、こうして高須と一緒に
酒が飲めるのは嬉しいんだ」

「お、おぅ…」

「そして、それは亜美も同じなんだ。今回、亜美は酒癖が悪かったが、亜美だって、高須と酒が飲めるのが嬉しいのさ。
だから、今回の狼藉は大目に見てやろうじゃないか」

「そうだな…」

 竜児は、相変わらず股間に顔を埋めている亜美の頭を撫でてやった。その亜美は、「う〜ん」という呟きを漏らしな
がら、むずかるように首を左右に振って、頬を竜児の股間に擦り付けた。

「うわっ!」

 その刺激で、竜児のペニスが勢い付き、股間がもっこりと盛り上がる。そして、亜美は、鼻をひくつかせながら、
竜児の亀頭の辺りに口唇を当て、竜児が穿いているチノパンの上から、しゃぶりついた。

「き、北村ぁ、何とかしてくれぇ!」

「何とかって言われてもなぁ…。亜美は俺の女じゃないし…。そういうことは、相方のお前が何とかしてやらなきゃ」

50指環(前編) 13/53:2009/06/12(金) 00:22:43 ID:OtcMxNmC

 そう言いながら、北村は、苦笑している。

「ど、どうすりゃいいんだよ?」

 北村は笑いながら竜児の肩を、ぽん、と叩いた。

「決まってるだろ? 予定を変更して、亜美を抱いてやればいいのさ。このままホテルで一発ってのが妥当だが、
金あるか?」

 竜児は首を振った。今回の酒宴は飲み放題だが、料理は別だ。しかも、味はまあまあだが、どの料理も結構な値段
がしていた。

「ここで飲み食いした分を払ったら、ホテル代は微妙だな。それにラブホは不衛生だから避けたい。
そうなると、都心のホテルは高いから、貧乏学生の俺には到底無理だな…」

「なら、しょうがないな…。俺も貸してやりたいが、俺の財布の事情も高須と大して違わないからな。
亜美に立て替えてもらうってのも考えられなくはないが、それは男としてちょっと格好悪いか…」

「ああ、川嶋はそんなことを気にしねぇだろうが、男の沽券にかかわるからな。この一線は譲れねぇ」

 北村は、軽く頷いて、嘆息した。亜美がよくても竜児は絶対に承知しないことを、親友として知っていた。
どんな場合でも、理由なく施しを受ける男ではないのだ。

「なら、しょうがない。亜美はお前の家に連れていけ。まぁ、前回と同じで芸がないかもしれないが、確実ではあるな。
泰子さんもお前たちの仲は公認なんだろ?」

「お、おぅ…」

 泰子なら、竜児と亜美が結ばれることをむしろ祝福してくれている。
 今夜、竜児の部屋で、二人が劣情の赴くままに抱き合っても、何も文句は言わないはずだ。だが…。

「だがよ、川嶋が外泊ってのはよくねぇよな…」

「なあに、亜美の酔いが覚めるまで、高須の家で休ませて、それから抱いてやって、日付が変わらないうちに亜美を
自宅まで送り届ければいいじゃないか」

「ま、それはそうだが…」

 竜児は、結局、亜美が竜児の家に泊まることになるだろうという懸念が捨てきれなかった。この泥酔っぷりだと、
簡単には酔いが覚めないだろうし、覚めたら覚めたで、しつこく竜児との抱擁を求めてきそうな予感がする。

「亜美が外泊するようなら、亜美に任せておけば大丈夫だ。こいつはこうした悪知恵だけは大したもんだからな。
自分から木原か香椎の家に泊まっているとかの嘘の電話を自宅にして、木原や香椎とも口裏合わせをするだろうさ」

「確かにそうだな…」

 亜美とは幼馴染の北村同様に、亜美とは密な付き合いの竜児は、彼女の食えない本質を嫌というほど知っている。
外見は楚々としたお嬢様だが、性悪で、嫉妬深くて、したたかで、それでいて健気で、一緒に居て、とにかく飽きない
女なのだ。

「それはそうと、あと二十分で時間切れだ。そろそろ亜美を起こすなり、残った料理やビールを平らげるなりした方が
いいだろう」

 竜児も時計を確認した。時刻は、午後六時半になっていた。ビアホール店内も、今まで以上に混雑していて、今が

51指環(前編) 14/53:2009/06/12(金) 00:28:33 ID:OtcMxNmC
書き入れ時といった感じである。
 ともすれば、互いの会話も聞き取れないような騒々しさの中で、竜児は股間に顔を埋めて、何やら幸せそうな笑顔
を浮かべて眠っている亜美を、椅子に元通りに座らせ、その頬を軽く突いた。

「う、う〜ん…」

 亜美は、眉をひそめて、むずかったが、やがて、渋々と目を開け、酔って焦点の定まらない目つきで竜児を見た。

「川嶋、気分はどうだ?」

 亜美は、頼りなげに首を縦に振った。

「う、うん…。ちょ、ちょっと気持ちが悪いけどぉ、何とか、平気…」

 『平気』とは言っているが、亜美が気分の悪さを訴えていることが気になった。

「そろそろ制限時間なんだよ。急かして済まねぇが、動けるなら、今のうちに手洗いにいくなり、帰る準備を始めてくれ。
それと、料理は、俺と北村がかなり食っちまったが、まだ少し残っている。よかったらどうだ?」

 一応は亜美にも料理を勧めてみたが、亜美は首を左右に振った。

「飲みすぎて食欲がないから、残りは高須くんなり祐作なりが食べちゃてよ。それと、何か、あたしって、また酒癖が
悪かったみたいね…。酔って覚えてないけど、またしても人生に汚点をつけたような気がするわ…」

 自覚はあるんだ…、と思ったが、そこは気遣いの高須である。

「いやあ、特に何もなかった。川嶋は、ワインとかだと案外平気なのに、ビールとかが苦手なのかも知れないな。
前半ですぐに酔いつぶれて、それっきりだったよ。川嶋こそ、せっかくの飲み会を楽しめなくて残念だったな」

 亜美は、そんな竜児に、とろんとした眼を向けていたが、やがて目を伏せ、「ありがとう…」とだけ呟いた。

 その後の二十分間は実に慌しかった。竜児と北村は、MOTTAINAI! とばかりに残った料理を半ば意地になって
平らげ、それから竜児は、足下がおぼつかない亜美を洗面所まで連れて行った。
 亜美は、吐き気をこらえているらしく、表情が青ざめ、いかにも気分が悪そうだった。
 亜美が泥酔一歩手前の状態であることを鑑みると、洗面所の中まで付き添うべきなのだろうが、紳士である竜児に、
それははばかられた。何よりも、三白眼の精悍な男が、女子の洗面所に闖入した日には、警察のご厄介になること
は間違いない。
 幸い、見かねたのか、ビアホールの女性従業員が、人事不省に近い亜美の付き添いになってくれた。こういう気配
りは、さすがに老舗ではある。
 亜美が女性従業員に付き添われて、洗面所に入って行ってから十分後、亜美は、入ってきた時よりもいくぶん
やつれたような表情で現れた。

「どうも済みません…。何か変わったことはありませんでしたか?」

 竜児の問いに、その女性従業員は、営業的なものだろうが、悪くない笑顔を竜児に向けてきた。
 その胸には『研修生』と記されたバッジが付いている。年の頃は学卒のフレッシュマンという感じだろうか。それで、
竜児は、このビアホールが大手ビール会社の直営店であることを思い出した。新人らしからぬ手際のよさから、その
ビール会社に総合職として採用された人材なのかもしれない。

「大丈夫ですよ。ちょっと、戻しましたけど、吐くものは全部吐いたようですので…」

「す、すいません…」

 危惧したように、やっぱり吐いたかと、竜児は思った。
52指環(前編) 15/53:2009/06/12(金) 00:30:22 ID:OtcMxNmC

「いえ、いえ、お気になさらずに…。これも私たちの仕事の一環ですから」

 それだけ告げると、その従業員は、厨房へと引っ込んで行った。客の粗相の後始末も厭わないのは、さすがだ。
飛び抜けて美人という訳ではなかったが、こういう人は、いずれ頭角を現すことだろう。
 また、そうした機転の利く人に介抱されたのは僥倖だった。

「川嶋、歩けるか?」

 竜児の問い掛けに、亜美は、のろのろと首を縦に振り、二、三歩、歩を進めたが、すぐにふらついて竜児につかまった。

「ご、ごめぇ〜ん、足に力が入らないよぉ」

 さっきよりも症状が悪化している。摂取したアルコールが分解されて悪酔いの原因であるアセトアルデヒドが体内に
溜まったのだろう。大体が悪酔いは、飲み始めて暫く経ってから症状が出てくるのだ。それに、吐いたことが引き金に
なって、張り詰めていた緊張感が切れたことも影響しているのだろう。
 涙目で訴える亜美を、竜児は抱きとめるようにして支え、どうにか北村の居るテーブルまで戻ってきた。

「ちょうど制限時間ギリギリだ」

 北村はそう言って、椅子の上に、竜児と亜美の荷物をまとめてくれていた。

「すまねぇな、北村…」

「しかし、二つともえらく重たいバッグだな。亜美がその調子じゃ、高須が亜美の肩を持たなきゃなるまい。
だから、お前と亜美のバッグは俺が持っていくよ」

 言うや否や、北村は、竜児と亜美のショルダーバッグを両肩へたすき掛けにした。

「お、おい、そこまでしなくてもいいよ…」

「いいから、高須、お前は、亜美の世話だけに専念しろ」

 北村はそう言うなり、伝票を持って、出口に向かっていった。それを、竜児は亜美の体を支えながら、懸命に追う。
 亜美はというと、完全にグロッキーで、まるで蒟蒻か何かのように、ぐにゃぐにゃと脱力していた。
支える竜児も一苦労だ。

「泰子顔負けの酔いっぷりだな…」

 前回のコンパの時には、まだしも亜美に歩行能力が残っていたから、その肩を支えてやるだけで済んだが、
今回ばかりは、そう簡単には行きそうもないようだ。
 ビアホールの出口では勘定を終えた北村が、待っていた。

「亜美の様子が、予想以上に悪そうだな…」

「ああ、歩行能力すら怪しいくらいだ…」

「この状態じゃ、亜美に肩を貸してやってもダメだろう。なぁ、高須、いっそのこと、お前が亜美をおぶってやったら
どうなんだ?」

「え?」

 竜児は三白眼を真ん丸に見開いて仰天した。ここは銀座のど真ん中なのだ。そこを、年頃の娘をおぶって歩くなぞ、
できる訳がない。

53指環(前編) 16/53:2009/06/12(金) 00:32:03 ID:OtcMxNmC
「お前が恥ずかしいと思う気持ちは俺にも理解できる。しかし、亜美がその状態では、肩を貸す方が、むしろお前の
負担が大きいし、亜美だって大変だ。であれば、おぶってやった方がずっといいだろう」

「お、おう、た、確かに、そうだけどよ…」

 北村は、戸惑う竜児に軽く頷くと、意識が朦朧としているような亜美の耳元に囁いた。

「どうだ、亜美。自力で歩かずに、高須におぶってもらった方がいいと思うんだが、お前はどうする?」

 亜美は、目を軽くつぶって口元を半開きしたまま、竜児にもたれかかっている。

「おぶってもらふって、それって、おんぶぅ?」

「ああ、高須におんぶしてもらうんだ。そうした方が、お前も楽だし、高須も楽なんだよ」

 それを聞いた亜美は、うふふ、と嬉しそうに笑っている。

「亜美ちゃん、歩けねぇし、た、高須くんにおんぶして欲しいよぅ〜」

 それをきっかけに、亜美は「おんぶ、おんぶぅ」を幼児が駄々をこねるように繰り返している。
 北村は、苦笑しながら、竜児に向き直った。

「聞いての通りだ。恥ずかしいかもしれないが、亜美をおぶっていくのが最善の策だろうな。
お前たちの荷物は俺が運ぶから、お前は亜美をおぶってやってくれ」

「お、おい…」

 顔から血の気が引くというのは、こういう感覚を言うのだな、と竜児は思った。
 あまりの展開に、現実感がなく、なんだか、北村と亜美との即興劇を遠くで見ている一観客のような気がした。
これは、現実逃避なのだろう。目の前の事象が受け入れ難いが故に、竜児の精神が萎縮しているのだ。
 そうした、竜児の内面の変化を直感に優れた北村は見逃さない。

「お前にとって亜美は何なんだ? 単に惚れた腫れたにとどまらない、伴侶であり、同志なんじゃなかったのか?」

 そうなのだ、実乃梨の前で、竜児はそう宣言した。
 それに、あの無残に終わった初夜の晩、亜美は竜児に何と言ったか。 
 健気な亜美は、『あたしは、何があってもあんたについていく。そう決めたんだよ…』と言ってくれたのではなかったか。
 何より、竜児もその即興劇の当事者であり、その劇の主役の一人に他ならない。与えられた役を演じなければ
ならないのだ。

「そうだな…、川嶋と俺は、もう不可分の関係なんだ。その川嶋が苦しんでいるなら、救ってやらにゃならねぇ…」

 竜児は、もたれかかっている亜美を背中に乗せ、亜美の両腕を自分の肩越しに前に出し、亜美の両脚の大腿部
から臀部の辺りを両腕で支えた。

「重くないか?」

 その問いに、竜児は首を左右に振った。

「川嶋は、今も節制しているから、全然太ってない。軽いもんさ」

 それよりも、服地越しに亜美の柔らかな乳房を感じ、亜美の臀部に手を添えているのが問題だった。むくむくと劣情
が首をもたげてくるが、それは、亜美の容態を第一に気遣うことで、押し殺した。
 それにしても、いつものようにデニムを穿いてくれていて助かった。これがスカートだったりしたら、目も当てられない。

54指環(前編) 17/53:2009/06/12(金) 00:33:47 ID:OtcMxNmC
「高須、こっちだ」

 竜児と亜美の荷物を持った北村が先導する。ビアホールから地下鉄の駅までは徒歩にして三分ほどだ。
 銀座通りは人でごった返しているから、努めて裏通りを選んだ。それでも、宵の口の銀座である。そこかしこに人は
溢れており、楚々とした美少女を背負っている竜児に好奇の目を向けてくる。それを竜児は、努めて黙殺した。

 狭い通りだが、信号で待たされた。その一角は、竜児でも耳にしたことのある海外高級ブランドの直営店だった。
 その直営店の前で信号待ちしていた時、ほとんど意識不明に近かった亜美がうっすらと目を開き、その直営店の
ショーウィンドウを見詰めた。

「川嶋、どうかしたのか?」

 だが、亜美は竜児の問い掛けには応えず、その直営店のショーウィンドウを指差した。

「あ、ゆ、指輪…。ペ、ペアリング…」

 亜美が指差した先には、一組の指輪が光っていた。白金特有の、いつまでも朽ちることのない輝きを秘めて、その
指輪は、紫色のビロードの上に置かれていた。
 特に意匠が凝らされたというものではないが、僅かにエッジを強調するような硬質なデザインが特徴的だった。
嫌味がなく、シンプルだが、ちょっと硬派な感じのする指輪。ジュエリーにはまったく興味のない竜児も、これには
何か惹かれるものがあった。

「か、川嶋、あ、あれが欲しいのか?」

 竜児の問いに、亜美は、無言で頷いたが、そのまままぶたを閉ざし、微かな寝息をたて始めた。

「あ、お、おぃ! 川嶋」

 頷いただけの亜美に、再度の意思表示をお願いするつもりで、竜児は背負っている亜美を、二度、三度と揺さぶった。
 しかし、亜美は、むにゃむにゃ…、といった、寝呆けたような甘い鼻声を紡ぐだけだ。

「どうした?」

 信号が青になっても渡ろうとしない竜児が気になって、北村が戻ってきた。
 その北村に、竜児は、先ほど亜美が指差していたプラチナのペアリングを示した。

「指輪じゃないか、それも、高級ブランドの…。値段は二十五万円か…。正直高いな。亜美のような金持ちなら
ともかく、俺たちのような貧乏学生が簡単に変える代物じゃない…」

「ああ…」

「これを亜美は欲しがったのか?」

 竜児は、頷いた。

「ああ、ただし、言葉ではなく、単に首を縦に振っただけだ。それで、もう一回、川嶋の意思を確認しようとしたんだが、
この通り、完全に白川夜船だ」

 北村は、亜美の寝顔と、ショーウィンドウの指輪とを見比べ、嘆息した。

「確かに、嫌味のない上品なデザインは亜美が好みそうな感じだな。しかし、お前の財布の中身を知っている亜美が、
お前に物質的な要求をするっていうのが何か不可解だな…」

 それは竜児も同感だった。亜美が、竜児に対して何かの給付を要求するというのは、少なくとも金銭や物品に関す
55指環(前編) 18/53:2009/06/12(金) 00:35:11 ID:OtcMxNmC
る限り、今までに例がない。

「でもよ、川嶋は、俺とのすれ違いが続いて、えらく不機嫌だったよな? それで、本心が出たんじゃねぇかって気が
するんだよ」

「う〜ん、本心か…」

「本当は、今までだって、川嶋は俺からのプレゼントを持ち望んでいただと思う…。しかし、俺が無資力に等しいから、
我慢していたんだよ。その代わり、二人一緒に居られることで、よしとしていたんだろうな。だが…」

「その二人一緒ってのが、ここんところの忙しさで、ご破算になったというわけだな」

「そういうことだ…」

 北村は、ショーウィンドウを暫し見詰め、ふーん、とため息のような呟きを残して、竜児に向き直った。

「まぁ、俺も詳しくは知らないが、指輪としては、これでも安い部類なんだろうな。亜美は、お前が頑張れば十分に
買えると思って、これを選んだのかも知れない…」

「そう思うか?」

 確かに金額的には、バイトをすれば何とかなる。 しかし、泰子からはバイトを禁止されているし、もはや泰子の
同調者と言ってよい亜美も、竜児のバイトには否定的だ。実際、竜児が今も継続している高校生向けの数学の
通信添削のバイトもあまり快くは思っていない。
 これも、家事に、勉強にオーバーワーク気味の竜児の体調を気遣うが故である。
 北村も、う〜ん、と呻吟しながら何やら考え込んでいる。

「正直、それも分からないな…。高須にこれを買わせるってことは、高須にバイトをさせるってことだからな。
お前にバイトをさせたがらない亜美の言動とは矛盾する」

「そうなんだよ…。だから、余計に不可解なんだ…。まぁ、こいつは色んな意味で普通じゃねぇからな…」

 北村は苦笑した。

「お前だって、普通じゃないんだぞ。いったい、どこの世の中に、家事万能で成績優秀な男子大学生が居るんだよ? 
お前と亜美は、『普通じゃない』のベクトルは多少違うが、所詮は似た者同士なんだ」

「お、おぅ…」

「まぁ、それはともかく、亜美が本当にさっきの指輪を欲しがっているのかどうかは、結局よく分からないな。となると、
亜美の機嫌がよければ買わなくていい。機嫌が悪かったらその限りではない。そんなところだろう」

「そうだな…。でもよ、川嶋の機嫌がいいかどうかなんて、いつどうやって確認するんだよ」

 北村は、そんな竜児の脇腹を、苦笑しながら、左肘で軽く小突いた。

「決まってるだろ? これからお前と亜美は何をするんだ? その行為の最中に、いくらでも亜美の機嫌は分かるだろ
うし、行為が終わったら終わったで、二人で語らいながら、あいつの本心を聞き出せるよな?」

 いくぶんは婉曲な表現だったが、その意味するところはかなり大胆だ。竜児は、頬が朱に染まり、不如意に股間が
怒張してくるのを鎮めようと狼狽した。

「まぁ、そ、それについては、川嶋が意識を取り戻してからだろ? 俺と川嶋がエッチするも何も、結局は川嶋の意向
次第だろ?」

56指環(前編) 19/53:2009/06/12(金) 00:37:11 ID:OtcMxNmC
「まぁ、そうだな。であれば、亜美が望むなら、お前は、それを裏切るなよ。亜美が『抱いて』って言ったら、
遠慮なく抱いてやれ」

「お、おぅ…」

 どうにも引っ込みがつかなくなった。後は、背中で眠っている亜美次第だ。

 竜児は、北村の先導でどうにか地下鉄の駅にたどり着いた。バリアフリー化の一環で、エレベーターが設置されて
いたのは心底有難かった。古い時代にできた地下鉄銀座駅は、どの階段も傾斜が急で、人を背負ったまま下るのは
実に剣呑だからだ。
 亜美は、そんな竜児の苦労を知らずに、その背中で眠りこけていたが、乗換駅で大橋駅に向かう電車に乗り込ん
だ時点でようやく目を覚ました。

「気分はどうだ? 川嶋…」

 混雑していた地下鉄と違って、始発駅からなので余裕で座れた。
 亜美は、左隣に腰掛けている竜児に、眠たげに半開きにした眼を向けていたが、そこがようやく大橋駅へむかう
車中であることに気付き、はっとしたように、周囲を見渡した。

「お前は、酔いつぶれて動けなくなったところを、高須にここまで背負ってもらったんだぞ。憶えてないのか?」

 右隣の北村の問い掛けに、亜美は、しばらくきょとんとしていたが、思い当たる節があるのか、悪酔いで青ざめてい
た頬を、にわかに朱に染め、恥ずかしそうに俯いた。

「う、うん…」

 亜美は、北村に何か言いたげであったが、口を噤んで、肩を震わせた。
 人事不省ではあっても、断片的な記憶はあるのだろう。銀座のど真ん中から竜児に背負われてきたことを憶えて
いるとしたら、穴があったら入りたいような気分なのかも知れない。
 竜児は、そんな亜美の肩を、そっと抱き寄せてやる。

「川嶋…。俺が、お前のことを巧く気遣えなかったのが、そもそも悪かったんだ。だから、お前が不機嫌になるのは
当然だし、やけ酒でも呷りたくなるのは、俺でも分かるよ」

「高須くん…」

「もう、何も言うな、それに、何も気にするな。電車が大橋の駅に着くまで時間がある。その間だけでも眠っておいた
方がいい。そうした方が、早く気分が良くなるだろう」

 亜美は、ちょっと涙目で竜児に頷くと、その肩に寄り添って目をつぶった。ガタゴトと単調な列車の振動が眠気を
誘ったのか、しばらくすると、亜美は、再び微かな寝息をたて始めた。

「亜美の奴、いろいろと無理をしていたんだな…。母親に逆らい、本当に必死の猛勉強で俺たちと一緒の大学に進学
して、今度は最難関級の国家試験に挑戦するんだ。そのストレスはかなりのものだろう…」

「ああ、それと、前にも話したように、弁理士試験対策のサークルにはとんでもないワルがいてな…。川嶋は、そいつ
らから目の敵にされている。それに、元モデルだってことで、つけ回す奴も居るみたいだし…。とにかく、こいつは
色々と大変なんだよ…」

 竜児は、亜美の寝顔に涙の痕があることに気付き、ハンカチでそっと拭ってやった。白鳥は水面下で必死にバタ足
するというわけでもないだろうが、普段は天使のような笑顔を浮かべている亜美も、陰では悩み、苦しみながらも、
それを克服しようと努力しているのだ。

「…だから、俺は、こいつを守ってやらなきゃいけねぇ。たとえ、こいつがヒスを起こして、俺に肘鉄を食らわせるような
57指環(前編) 20/53:2009/06/12(金) 00:38:29 ID:OtcMxNmC
ことがあってもだ」

「そうだな…。亜美は、ああ見えても、お前のことを、ものすごく頼りにして尊重している。お前も、亜美のことを大切に
思っている…」

 その北村が、不意にティッシュペーパーを取り出し、掛けたままの眼鏡を拭き始めた。

「北村、お前…」

 竜児は、北村が、眼鏡ではなく、こっそりと涙を拭っていることを見咎めた。
 その北村は、バレてしまったことの照れ笑いなのか、涙を拭きながらも相好を崩している。

「すまん、すまん。お前たちを見ていたら、何だか切なくなってな。それで、つい、不覚にも涙が出たってわけさ」

 竜児は、そう言う親友の、柔和で秀麗な面立ちを改めて見た。坊ちゃん刈りに眼鏡、それに亜美には始終貶されて
いるファッションセンスは相変わらずだが、どちらかと言うと、女性にはもてるタイプだろう。実際、今の大学でも言い
寄る女子はかなり居るようだ。木原麻耶だって、未だに北村のことを憎からず思っている。
 にもかかわらず、北村には特定の彼女と呼べる者が未だに存在しない。

「会長を…、狩野先輩を思い出していたんだな…」

 竜児の指摘が的を射たものであったため、北村は、一瞬だけ、その柔和な表情を強張らせた。

「バレちゃ仕様がない。その通りさ。高須と亜美を見ていて、俺も会長とこんな風になりたかったって思ってな。
それで不覚にも泣けてきたんだ」

「北村…」

「亜美が高須を追って今の大学に合格したように、俺も、本当は会長を追ってアメリカに行きたかった…。だが、考え
直したんだ。文系志望だった俺が、にわかにエンジニアを指向しても、所詮は付け焼き刃。会長のような超一流どこ
ろか、そこらの理系受験生にも及ばない。であれば、文系として、会長の仕事をサポートできるものはないかって考え
たのさ…」

「狩野先輩の仕事をサポートするのか?」

 エンジニア系の宇宙飛行士を文系の人間がサポートする。それが何なのか、竜児には見当が付かなかった。

「ああ、会長は、いずれは日本人の宇宙飛行士として日本に帰ってくる。その時に、俺が会長をサポートするんだ。
高須は『JAXA』っていうのを聞いたことはあるだろ?」

「ああ、ロケットの打ち上げの時に、ニュースで必ず出てくる名前だな」

「正式名称は、『宇宙航空研究開発機構』。総務省と文部省の所管の独立行政法人だ。ここが日本の宇宙開発の
拠点になっている」

「そこを目指すのか?」

 だが、北村は、頭を左右に振った。

「そこも法務などの文系を募集してはいるが、理系枠に比べてものすごく少ないんだ。だから、そこだけを狙うのは
いくら何でも危険だな。そこで…」

 北村が、眠っている亜美の頭越しに、竜児の方へ身を乗り出してきた。

「お、そう…、そこで?」

58名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 00:41:05 ID:3eiLVBXm
支援
59指環(前編) 21/53:2009/06/12(金) 00:43:13 ID:OtcMxNmC

 それにつられて竜児も北村に向き合った。

「文科省か総務省に入って、行政の側から会長の仕事をサポートしたいんだ。その方が、俺にとっては現実的だ」

「も、文科省とか総務省って…。試験に合格しないとダメだろ?」

 思いがけない北村の意思表示に、竜児は仰天した。北村が目指すのは『キャリア』と呼ばれるエリートだろう。
そうであれば、国家公務員I種試験に合格しなければならない。

「そう、俺も、お前や亜美のように、受験生になることにした。お前たちが目指す弁理士試験よりはハードルは低そう
だが、それでも非常に困難だ。本学の学生も多数受験するが、誰もが苦戦は免れないらしい。だが…」

 北村の声は、囁くように小さいものの、壇上での演説を彷彿とさせるような決意が漲っていた。その囁きに竜児は耳をそばだてる。

「敢えてやる。俺の頭脳は、会長には及びもつかないが、それでも、会長をサポートすることぐらいはできるかも知れ
ない。そのために、文科省か総務省に入って、キャリア官僚として日本の宇宙開発を支えていきたいと思っているんだ」

 竜児は、北村らしい誇大妄想的な話に思わず苦笑しそうになったが、思いとどまった。それは、自分と亜美が目指
している弁理士試験も同じようなものだったからだ。
 それに、親友である北村の決意なのだ。安易に笑うことはできない。

「キャリア官僚とか、政治家とか、そっち方面は似合いそうだからな、お前は。下手に現場に居るよりも、後方での
指揮命令の方が、お前の能力を発揮できるかも知れねぇ。俺と川嶋は弁理士試験で、お前は国家公務員I種試験で、
それぞれ頑張ろうじゃねぇか」

「そうか、高須にそう言ってもらえると、俺も張り合いが出るってもんだ」

 だが、文科省や総務省と一口に言っても、その組織はいずれも大きい。それが、問題でもあった。

「なぁ、北村…」

「うん?」

「北村は、宇宙開発関係のキャリア官僚になりたいんだよな? だとしたら、I種試験に受かって文科省か総務省に
入っても、宇宙開発関係の部署に配属されるかどうかは不透明だろ? その辺は、どうなんだ?」

 夢語りに水を差すつもりは毛頭なかったのだが、こんなことは北村本人だって分かっているだろう。
その北村の考えを知りたかった。
 その北村は、ちょっと列車の天井に目を向け、何枚か貼られている車内広告を一瞥すると、竜児に向かって微笑した。

「気合だよ…」

「き、気合って何だよ?!」

 意味が分からず、困惑している竜児に、北村は、決意の程を示すかのように、つぶらな瞳を大きく見開いた。

「何事も為せば成る。たしかに、巨大な組織では、人事は個人の希望通りにはいかないだろう。しかし、文科省か
総務省でなければ、会長をサポートすることはできないんだ。だったら、とにかく試験に合格して入省することだよ。
そして、入省したら、上申書でも何でも上に提出して、俺は気合で自分の夢を叶えるつもりだ」

 無茶苦茶だ、と竜児は思ったが、落ち着いて考えてみると、北村の主張にも一理ある。巨大省庁で希望通りの部署
に配属されるというのは、希な話だろうが、まったく可能性がない訳じゃない。

60指環(前編) 22/53:2009/06/12(金) 00:44:21 ID:OtcMxNmC
 であれば、今できることをやっておくべき、ということなのだろう。
 それに、ある種、政治家のようなカリスマ性が備わっている北村であれば、本当に気合で希望通りの部署に就いて
しまうかもしれない。

「そうだな、時には気合も大切なんだ。俺も、お前を見習って、気合を入れて頑張るよ」

 北村が笑顔で頷いている。竜児も、三白眼を細めて、頷いた。

 電車は、大橋駅到着まで、あと十分というところに差し掛かった。亜美は、依然として竜児にもたれたまま眠っている。
 その亜美が眠っていることを確かめた上で、竜児は、北村に切り出した。

「そう言えば、俺と川嶋が飲み食いした分を立て替えてくれてたよな。いくらなんだ? 今、俺たちの分は払っとくよ」

 北村は、首を左右に振った。

「いや、お前たちの分はいいよ…。ささやかだけど、俺の奢りだ」

「いや、それじゃまずいって…。川嶋だって承知しねぇだろう」

 北村は苦笑しながら、俯いた。

「今回は、亜美があんなにビールに弱いとは思っていなかった俺のミスだ。高須にも負担を掛けたし、その責任は
俺にとらせてくれ」

 そう言って、ポケットから財布を出そうとした竜児を押し止めた。
 そんなやりとりがあっても、亜美は眠っている。

「じゃ、今回は、そう言うことにしとくよ。だが…」

「だが? 何だ?」

「奢られた上に、唐突ですまんが、肉体労働でも何でもいいから、割のいいバイトに心当たりはねぇだろうか?」

「心当たりがないわけじゃないが、しかし、高須、稼いだ金は、あれに使うんだな?」

 竜児は、微かに頷いた。

「さっきの様子を見た限りじゃ、川嶋の機嫌は、そう悪くなさそうだったが、機嫌の良し悪しに関係なく、俺は、あいつ
がプレゼントをもらって喜んでいるところを見たくなった。考えてみれば、俺は、川嶋から与えられるばかりだったんだ。
その恩も返さなきゃならねぇ」

 北村は、竜児の話を頷きながら聞いていたが、最後の部分だけは得心がいかないのか、ちょっと渋面になった。

「高須が亜美から施しを受けてばかりだというのは、お前の思い違いだと思うが、まぁ、いいだろう。
実は、日給がべらぼうに高い仕事を知っている」

「ど、どんな仕事だ?」

「春田の家が内装屋なのは知ってるよな?」

「急に春田なんか引き合いに出して変な奴だな。たしか、春田は、家業を継ぐつもりで進学せずに親父さんの元で
仕事をしてるって話だが…。て、おい、まさか、仕事ってのは、それか?」

 北村は、苦笑しながら頷いている。

61指環(前編) 23/53:2009/06/12(金) 00:45:20 ID:OtcMxNmC
「そうなんだ、実は俺も自前のバイクが欲しくなってな。それで短期でも割のいいバイトを探していて、春田の家が
内装工事のアルバイトを募集していることを知った。それも日給一万二千円でだ」

「すげぇな…。その手の肉体労働は、日給にして一万円程度が上限だろ? 破格だな…。だが、待てよ…」

「どうした? 高須」

「だったら、何でお前がやらねぇんだ? こんな高待遇のバイトを俺に紹介して…。それとも春田の親父さんは、
お前と俺とを雇ってくれるのか?」

 北村は、苦笑しながら、残念そうに嘆息した。

「いや、俺は春田の親父に断られたんだ」

「どうして? 何で、お前が断られたんだ?」

「いや、春田の親父さんが言うには、俺みたいな、いかにも大学生って奴じゃダメなんだそうだ。何でも、雇っている
職人はみんな低学歴だから、大学生の俺を見るとあからさまに不快になるらしい。下手したら連中からいじめられる
可能性すらあるから、やめておいた方がいいとも言われたよ」

 竜児は、「俺も大学生なんだが…」と、言い掛けてから、はたと思い当たった。

「この顔か…」

 そう言って、自身の三白眼を指差した。
 北村が、苦笑しながらも、申し訳なさそうに目を伏せている。

「すまんがそういうことだ。高須は、ぱっと見、迫力のある顔つきだからな。心ある者は、そうは見ないが、学歴
コンプレックスに凝り固まったような連中じゃ、高須をアウトローと誤認するだろう。だから、大丈夫だと思ってな」

 今度は竜児が苦笑した。

「アウトローか…。この顔で、今までの人生はかなり損をしてきたが、たまにはメリットになる時があるんだな」

「高須にとっては不本意な話かもしれないが、よかったら春田の親父さんにお前を紹介しておくよ。春田の親父さんも、
バイトを募集したはいいが、寄って来るのは俺みたいな優等生面した大学生ばかりなんで困っているようだ。だから、
高須みたいな、一見、普通の大学生らしくない奴が来てくれるのは、向こうにとっても渡りに船なんだろうな」

「俺は、仕事にさえありつければ、どう思われようが構わねぇさ」

「そうか、じゃ、決まりだな。早速、俺から春田の親父さんに連絡しておくよ。親父さんと連絡がつき次第、
お前にも状況を知らせる」

「有難う、恩に着るぜ…」

 竜児は、北村と目を合わせて頷き合った。高待遇なだけに訳ありな仕事のようだ。
それに作業自体もきついのだろう。その点についての覚悟も決めておくことにした。

 電車は、あと一駅で大橋駅に着く。
 竜児は、眠っている亜美の肩を揺さぶった。

「川嶋、そろそろ大橋駅だ。起きてくれ」

 亜美は、むずかるように顔をしかめながら、双眸を見開いたが、車内の意外な明るさに目が慣れないのか、再び、
きゅっ、と目をつぶった。

62指環(前編) 24/53:2009/06/12(金) 00:46:34 ID:OtcMxNmC

「大丈夫か? ゆっくりでいいから、目を開けてくれ」

 亜美は頷き、明るい車内に目を慣らすために、薄目を開けて、ちょっと、周囲を伺うように視線を泳がせた後、
ゆっくりと大きな瞳を見開いて、傍らの竜児の顔を覗き込んだ。

「酔っていたせいかしら、何だか、目がちかちかするのよぉ…」

「アルコールや、アルデヒド類は神経系統にとって有害だからな、それはあるかも知れねぇ。
それよりも、気分はどうだ? 吐き気とかはねぇか?」

 亜美は、頭を左右に振った。

「吐き気はしない。気分もそんなに悪くないわ…」

「そっか、じゃ、自力で歩けるか?」

 その問い掛けの答えを確認するつもりなのか、亜美は座席から立ち上がってみた。しかし、車内の揺れもあって、
すぐに足下がふらつき、へなへなと力なく座席にへたり込んだ。

「どうやら、介添えが必要なようだな…」

 北村の指摘に竜児も頷いている。

「ま、また、おんぶするの?」

 亜美が、頬を微かに朱に染めている。恥ずかしいけど、ちょっぴり嬉しいのかも知れない。

「そうして欲しいなら、やぶさかじゃねぇが、多少なりとも歩けるなら、肩を組むだけでも十分だろ?」

「そ、そうね…」

 その亜美の、安堵とも落胆とも判じ難い反応に、北村が苦笑している。

「まぁ、酔いはかなり醒めているようだが、それでも徒歩で帰るのは辛そうじゃないか。駅からは、高須と一緒に
タクシーで帰った方がよさそうだな」

「う、うん…。そうする…」

 電車は大橋駅に着いた。時刻は午後九時ちょっと前。都心のオフィスから帰宅してきた勤め人で、ホームや階段、
改札口はごった返していた。
 その怒涛のような人の波が引くのを、ホームのベンチで待ってから、竜児と亜美と北村は、改札口に向かう。

「川嶋、一歩、一歩、慎重にな…」

「う、うん、分かってる…」

 竜児の肩に縋りながら、亜美は、コンクリートの階段をゆっくりと下りて行った。
 その亜美のすぐ前方には、三人分の荷物を持った、北村が控えている。万が一、亜美が足を踏み外した時は、受
け止めるつもりなのだろう。実際、亜美の足取りは未だにおぼつかなかったが、何とか、階段を下り切ることができた。
 一行は、改札口を出て、タクシー乗り場に向かう。
 そのタクシー乗り場で、北村は、竜児と亜美にそれぞれのショルダーバッグを引き渡した。

「済まねぇ、結局ここまで持ってきてもらっちまった…」

63指環(前編) 25/53:2009/06/12(金) 00:47:50 ID:OtcMxNmC
「気にするな。今回は、俺が勝手にお前たちを誘ったんだ。であれば、このくらいのことは当然なんだ」

 そうして、北村は、「じゃあ、高須に亜美、俺はお先に失礼するよ」とだけ言い残して、すたすたと歩み去っていった。

「なんか露骨ね…」

 『どうせ、俺はお邪魔虫だから…』という北村の明け透けな態度に、亜美は苦笑していた。

「そう言うな。あいつなりの気配りなんだ」

 竜児は、自身と亜美のショルダーバッグを左手に持ち、右手で亜美の上体を支えた。

「さてと、川嶋…。これから俺たちはタクシーで帰るが、考えられる行き先は二つだ」

「二つ?」

 不安なのか、期待なのか、まぶたが微かに震えている。

「一つは、川嶋の自宅だ。川嶋の今の体調では、このまま自宅に帰って休んだ方がいい…」

「も、もう一つは、どこなの?」

「もう一つは、俺の自宅だ。俺の自宅で、アルコール抜きの飲み物でも飲みながら、のんびり英気を養ってから、
川嶋は自宅に帰るっていう選択肢だ」

 言い終えて、竜児は、亜美の瞳を覗き込むような気持ちで、その端整な面立ちと向き合った。
 亜美は、未だ酔いが残っているせいなのか、静謐な瞳を所在無げに開き、小作りな口元を、ちょっと弛緩させて
半開きにしている。その姿は、竜児だけが知る、脆く、儚げで、無垢な美しさだ。
 その亜美に、竜児は畳み掛けた。

「どうする? 川嶋。選択肢は二つだが、それを選ぶ権利は川嶋にある。どちらでも、川嶋が望む方を選んでくれ」

 微かに開かれたバラ色の口唇が艶かしい。その口唇が、一瞬震えたように竜児には感じられた。

「だ、第三の選択肢を忘れているわ…」

「第三の選択肢なんて設定してねぇぞ…」

 そう言いながらも、亜美が言う『第三の選択肢』が何であるかは、竜児にも分かっていた。

「可能性を考慮すれば、選択肢はもう一つあって然るべきなのよ…」

「お、おぅ…」

「あたしは高須くんの家に行き、高須くんと一夜を過ごすの…。これが第三の選択肢…。
あ、あたしは、これを選択するわ…」

 そう言うなり、竜児の腰に回している左腕に力を込めて、竜児にしがみついた。
 竜児も、亜美の肩を支えている右腕に力を込め、亜美の身体を引き寄せた。
 そのまま、互いに何も語らぬまま、待機しているタクシーに乗り込み、竜児は行き先を運転手に告げた。

 タクシーの車内でも二人は無言だった。
 これから待ち受けていることに心踊るというよりも、意識のし過ぎと、前回の無残な失敗の苦い記憶とで、
竜児は自身の鼓動が亜美に聞こえそうな程、緊張していた。
 それは亜美も同じなのだろう。車中では、うつむいたままで、竜児の顔を見ることもなかった。

64指環(前編) 26/53:2009/06/12(金) 00:49:19 ID:OtcMxNmC
 やがて、タクシーが、かつて大河が住んでいたマンションの前に差し掛かった。竜児は、「ここでいいです…」と
運転手に告げ、亜美を先に下車させて、料金を支払った。

「タクシー代ぐらい、あたしに払わせてよ! あんたって、本当に頑ななんだからぁ!」

 その感情的な亜美の口調に、竜児は、苦笑した。
 極度の緊張感に苛まれている亜美が、強がりか苦し紛れかで、わざと感情的に言っているのだろう。
 同時に、それは、竜児の緊張も、僅かだが和らげてくれたようだ。

「この次は、川嶋の奢りってことでいいじゃねぇか」

 そう言って、亜美の手を取って階段を上り、玄関のドアノブに手を掛ける。だが、玄関のドアは施錠されていた。

「泰子の奴、今日も夜のご出勤かな…」

 竜児はショルダーバッグのサイドポケットから鍵を取り出すと、その鍵で玄関のドアを解錠した。
 屋内は静まり返っていた。やはり、泰子は、スナックに出かけて行ったようだ。お好み焼き屋を始めても、何だかんだとスナックには非常勤で出勤している。結局のところ、水商売が性に合っているのだろう。

「とにかく、上がってくれ…」

 竜児は、亜美を自室に案内し、自分と亜美のショルダーバッグをそこに置くと、台所へ向かった。亜美のために、
アルコール抜きの飲み物を用意するためだ。何しろ、亜美は嘔吐しているから、何か消化が良くて、そこそこ栄養の
あるものが好ましい。
 冬場なら、文句なしに蜂蜜入りのホットミルクだが、今はあいにく夏場だ。そこで竜児は、冷たいミルクにプレーン
ヨーグルトと蜂蜜を加えたものを作ってみることにした。
 蜂蜜だけでは、甘いばかりで夏場はしつこい感じがするから、プレーンヨーグルトの酸味で口当たりをさっぱりさせ
るつもりだった。プレーンヨーグルトも、入れすぎると、その酸で、ミルクの蛋白質を凝集させてしまうから、ほんの少し
だけ、気持ち酸味が感じられる程度に留めておく。それらの材料をミキサーで攪拌してできあがりだ。

「どうかな? 思いつきで作ってみたんだが、口に合うかな…」

 亜美は、グラスの中身をちびちびと嘗めるように飲みながら、淡い笑みを浮かべた。

「蜂蜜ミルクの夏バージョンなのね…。単に甘いんじゃなくて、微かな酸味が美味しいわ。
思いつきでもこれだけできるってのが、本当にすごいわね…」

「いやぁ、たまたま巧くいっただけさ。思いつきでいろいろ作るけど、実は失敗作の方が多いんだよ」

 それを聞いて、亜美は、ちょっと納得がいかないかのように、心待ち眉をひそめた。竜児の謙遜を嫌味と感じたの
かも知れない。

「ご馳走さま。美味しかったわ」

 それでも、亜美は竜児に礼を言ってグラスをちゃぶ台の上に置いた。単に、ミルクと蜂蜜とヨーグルトをミキサーで
混ぜ合わせただけのものだが、悪くない味わいだったようだ。

「川嶋、お代わりはどうだ?」

 その竜児の申出には、首を左右に振った。

「美味しかったけど、もうこれでお腹一杯。もう、十分よ…」

「そうか、それなら、俺はシャワーを浴びてくるよ。何せ、今日は、色々あって、汗だくなんだ」

65指環(前編) 27/53:2009/06/12(金) 00:50:30 ID:OtcMxNmC

 そう言いながら、プルオーバーシャツの一番上のボタンの辺りを摘んで、襟元に風を送るように、二度、三度と
はためかせた。

「うん、先にシャワー浴びときなよ。あたしは高須くんが終わった後でいいからさぁ」

「お、おぅ、じゃ、そうするよ」

 竜児は、箪笥から替えの下着とTシャツと、ハーフパンツを取り出した。

「そんなもん、いらないじゃん。あたしたちは、どうせ裸で抱き合うんだからさぁ…」

 亜美は、白磁のような指を、すぅ〜っ、と伸ばして、着替えを持った竜児の右手首を撫で回した。
 蜂蜜ミルクを飲んだことで緊張感がほぐれたのか、その面相には、目を細め、口元をちょっと歪めた、
いつもの性悪笑顔が浮かんでいる。

「さっきまで緊張しておどおどしていたくせに、変わり身の早い奴だな…。お前は、羞恥心ってもんがねぇのか?
それに、川嶋がシャワーを浴びている間、俺は全裸待機かよ?」

 竜児の『全裸待機』に、亜美は、ぷっ、と吹き出した。

「高須くんて、バカ? 高須くんが全裸待機にならないようにするなんて簡単じゃない。それぐらい察しなさいよ」

 そう言うなり、竜児の手から着替えを奪い取った。

「お、おい…」

「いいから、あんたは何も気にせずに汗を流してきなさいよっ!」

「ちょ、ちょっと待て! バスタオルでも巻けって言うのか?!」

 亜美は抗議する竜児には構わず、その背中を押して、強引に脱衣所へと押し込んだ。

「川嶋め、まったく…」

 ため息をつきながら、竜児は脱衣所で服を脱ぎ、下着と、シャツと、チノパンとを別々のカゴに放り込んだ。

「全裸待機にならないようにする、だと?」

 こうしたことに鈍い竜児でもこれから何が起こるかは、分かっていた。気は進まなかったが、まさか逃げ出すわけに
もいくまい。とにかく、今はシャワーを浴びることにした。
 浴室に入って、蛇口から出るお湯が適温であることを確認すると、竜児は、全身をお湯だけで軽く洗う。
 亜美を背負って銀座の街を右往左往したこともあって、肌は汗や脂で粘ついていた。
 それから、泰子とは別の自分専用のシャンプーを手に取り、それを濡れた髪に擦り付け、指で頭皮をマッサージ
するようにして泡立てた。
 低刺激性のシャンプーだが、目に入れば、やはりしみる。竜児は、目をつぶったまま、頭を洗い、シャワーのお湯で
濯いだ。更に、もう一回、シャンプーをする。
 先ほどと同様に目をつぶって、頭皮をマッサージするように洗っていた時、脱衣所のドアを開ける音が聞こえてきた。
次いで、衣擦れの音が聞こえてくる。
 『来たな…』と竜児は身を強張らせ、頭を洗う手の動きを止めた。しかし、今更どうしようもないと腹を括り、再び、
頭を洗うことに集中することにした。

「高須くん…、入るよ…」

66名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 00:51:36 ID:r1+CKHU8
更にCだッ!!
67指環(前編) 28/53:2009/06/12(金) 00:54:11 ID:OtcMxNmC
 何となく、遠慮がちな感じだな、と竜児は思った。だが、目をつぶったままで状況が分からない竜児の背中に、
弾力があって、生暖かい肉塊が押し付けられた。

「か、川嶋ぁ! いきなり何しやがる」

 耳元に亜美の吐息がかかる。その亜美は、例の淡い笑みを浮かべているのだろう。吐息に混じって、うふふ…、
という鈴を転がすような亜美の声が竜児の耳朶をくすぐる。

「何って…、失礼ねぇ、可愛くて気立てのいい亜美ちゃんが、フィアンセである高須くんの背中を流してあげようって
いうんじゃない。ちょっとは、感謝しなさいよ」

「気立てがいいだとぉ?」

 可愛いのは認めるが、嫉妬深くて、したたかで、性悪なのを気立てがいいとは、到底呼べまい。
 そうした気持ちが竜児の語尾をつり上げた口調には露骨に現れていたのだろう。それにむかついた亜美は、竜児
の脇腹に、思いっきり爪を立てた。

「い、いててって! 分かった、分かった、川嶋は可愛くて気立てがいい! こ、これで、いいだろ?」

「そうよ、分かればよろしい」

 そう言いながら、亜美は、両の乳房を竜児の背中に更に強く押し付け、上下左右へ不規則に動かして、擦り付けた。

「うわっ! 川嶋、こ、これはヤバいって」

 既に固く勃起した亜美の乳首が、竜児の劣情を刺激し、股間の一物が鎌首をもたげてくる。

「どうよ? 気持ちいいでしょ?」

 更に、亜美は竜児の脇の下から両手を前に差し出し、その手で竜児の胸板を撫で回した。
その手は、いきり立っている竜児のペニスを目指して、そろそろと下降していく。
 まずい、完全に亜美のペースだ、何とかこの状況を打開しなくては…、そう思って竜児は声を張り上げた。

「か、川嶋、そんなに密着するな! こ、こんな状態じゃ、あ、頭だって満足に洗えねぇだろ?!」

 その竜児への抗議なのか、愛撫の一環なのか、いきなり竜児の耳朶に亜美の吐息が吹き込まれた。
先ほどのミルクの匂いが混じった甘い吐息が、そこはかとなく竜児を切なくさせる。

「そっかぁ、じゃぁ、あたしがあんたの頭を洗ってあげるよ。あたしって、メイクやってることもあって、意外とシャンプー
上手いんだよ」

「お、おぅ…」

 たしなめるつもりだったのだが、却って事態をややこしくさせたようだ。

「ほらぁ、あんたは、自分の頭から手ぇ離してぇ。こっから先は、メイクが得意な亜美ちゃん様の仕事なんだからさぁ」

 そう言って、なおも頭部にあった竜児の手を強引に抜き取り、白磁のような指先で竜児の頭皮を、下から上へ、
生え際からつむじにかけて、しごくように動かした。

「どう? いい感じでしょ?」

「お、おぅ…。なんか、頭がすっとするような感じだよ」

 毛穴がぎゅっと圧迫され、中に溜まった皮脂が押し出されるような気がした。たしかに、本人が『上手』と主張する
68指環(前編) 29/53:2009/06/12(金) 00:55:46 ID:OtcMxNmC
だけのことはあるようだ。
 亜美は、ひとしきり竜児の頭皮を下から上へしごくようにマッサージした後、適温を確認したシャワーのお湯で、
洗い流した。

「リンスはどうするの?」

 竜児は、目をつぶったまま首を左右に振った。

「今まで特に必要性は感じていなかったから、いいよ…」

 亜美の機嫌が悪くなるかな? とも思ったが、亜美は、「そっかぁ、そんなら止めとく…」と言うだけだった。
 その亜美が、竜児の肩越しに、目をいくぶん細めたお馴染みの性悪笑顔で竜児の顔を覗き込んでいる。

「な、何だ、川嶋、人の顔なんか覗き込んで…」

「なんだ、はないでしょ? こっからがメインイベントなんだよ。もう、ここは、高須家の浴室じゃなくて、
『ソープランド亜美』なんだからさぁ」

 そう言うなり、うふふ…、と妖艶に笑うのだ。

「ソ、ソープランドって何なんだよ?!」

「あらぁ、全裸の男女が風呂場で絡み合うんですものぉ、こういう時の萌えるシチュエーションは、やっぱソープなんじゃ
なぁい?」

「知らねぇよ、そんなこと!」

 亜美以外の女を抱いたことがない竜児はソープランドがどんなところなのかは知らない。それは、亜美だってそうだ
ろう。しかし、ませてる亜美のことだ、ネットや雑誌とかで、ある程度ことは知っていてもおかしくはない。
 そういえば、北村も、狩野すみれに振られた後、しばらくは「ソープへ行け!」を連呼していた。
 だが、『あれはもしかしたら、北村は…、いやまさか…』、という余計なことを考えていたのがいけなかった。

「ちゃんと亜美ちゃんがリードしてやっから、心配すんなって!」

 いつの間にか、亜美が竜児のペニスを白魚のような指で掴み、亀頭の先端に軽く爪を立てていた。

「か、川嶋ぁ、ちょ、ちょっと待て、いきなり爪を立てるのは反則だぁ!」

 敏感な部分に軽く食い込んだ亜美の爪。しかし、その、痛む寸前のギリギリの違和感が、電撃のような快感に変換
されていく。

「反則も何も、あんた、本当は気持ちいいんでしょ? 嘘言ってもダメだからね。だって、あんたのおちんちんが、
爪立てた途端に、固くなってるんだからさぁ」

 言いながら、亜美は、竜児の耳朶から、首筋を啜り、ピンク色の舌先で、舐め回した。竜児の背中に、ゾクッとする
ような刺激が走り抜ける。更に、その背中には、乳首が固く尖った亜美の乳房が擦り付けられて…。

「うぉ! ダメだ、川嶋ぁ」

「ダメって、何がダメなのさ。このナイスバディな亜美ちゃんがダメだってことぉ? これは、もう、お仕置きね」

 亜美は、右手で竜児の亀頭から棹を往復させるようにしごき、左手で陰嚢を揉みほぐした。特に、竜児が、勃起した
時に陰嚢を揉まれるのが堪えることを、亜美は、不完全とはいえ竜児と結ばれた初夜で把握していた。

「う、うわぁ! か、川嶋ぁ! ヤバい、ヤバすぎる!!」

69指環(前編) 30/53:2009/06/12(金) 00:57:14 ID:OtcMxNmC

「ヤバいって、どういう意味なのぉ? もっと、素直に自分を表現しなさいよ。本当は気持ちいいんでしょ? それに、
高須くんって、何げにずるくない? 亜美ちゃんに奉仕させて、自分だけ気持ちよくなってるなんてぇ…。そろそろ亜美
ちゃんも高須くんと一緒に気持ちよくなりたいんですけどぉ」

 そう言いながら、亜美は、竜児の手をとって、それを自身の尻から、陰部に触れさせた。
 竜児の指先に、じっとりとした粘液と、熱を帯びて震えている陰裂が感じられた。

「か、川嶋、お前も準備オーケイってわけか…」

「うん…。もう、亜美ちゃんのあそこは、ぐちょ、ぐちょ…」

 竜児は、指先を更に伸ばして勃起したクリトリスに触れ、それから粘液を分泌し続ける膣口に指を当てた。

「あ、ゆ、指、き、気持ちいいよぉ!」

 そのまま、竜児は、亜美の膣に人差し指と中指を差し込んだ。処女膜らしい襞で引っかかるような感じがあったが、
ぬるりとした感触が卓越し、さしたる抵抗感もなく、竜児の指は亜美の胎内に飲み込まれた。

「川嶋、中は、どろどろだぞ…」

 亜美の胎内は、挿入した竜児の指をしゃぶり尽くすように、肉襞が熱く蠢いていた。

「高須くんの指が、亜美ちゃんのお腹に入ってるぅ。あ、あそこが、じんじんするよぉ」

「川嶋、痛くないようなら、このまま指を動かすぞ」

「う、うん、痛くないから、う、動かしていいよぉ〜」

 竜児は、肩越しに、亜美の顔を見た。
 瞑目し、涙と涎を垂らした姿は、亜美が快楽の虜になっているとき特有の表情だった。

「うわ、川嶋、お前、又、爪を立てたな!」

 亀頭の先端に走った、苦痛寸前の激烈な快感に、竜児は身を強張らせた。快楽に溺れていても、そこはしたたかな
亜美である。竜児の亀頭、それも尿道口に爪を立てたのだ。
 更には、陰嚢をいっそう強く揉みほぐし、亀頭の粘膜をぐりぐりと指先でしごいた。

「ど、どう? あ、あんただって気持ちいいでしょ?」

「お、おぅ」

 それについては竜児も異論はない。愛撫と苛虐との間を行き来するような。亜美の絶妙な手つきに翻弄されている
のだから。だが…、

「か、川嶋、それはそうと、お前はこの風呂場で何をしたいんだ? こ、このままだと、で、出ちまう…。
それでいいのか?」

 その竜児の言葉に、亜美は、はたと手を止めた。だが、それも束の間で、再び、竜児への過激な愛撫を再開した。

「うわぁ、ヤバい、本当に出ちまう! お、お前はそれでいいのか? 俺だって、生身の人間だ。
そう、何回も射精できねぇ」

 その畳み掛けるような竜児の一言で、亜美の手が止まった。
 亜美は、竜児の背中にもたれたまま、はぁ、はぁ…、と切なげに息を切らしている。

70指環(前編) 31/53:2009/06/12(金) 00:58:25 ID:OtcMxNmC

「そ、そうね…。あたしも、あんたの指遣いで、い、いきそう…。でも、前戯だけで気持ちよくなっちゃったら、その後の
本番で体力が保たないわね…」

 竜児も、亜美の陰部をいじっていた指の動きを止めた。

「今夜こそ、なんだな?」

「う、うん…。こ、今夜こそ、あたしは高須くんと完全に結ばれたい…。こ、今夜だったら平気。
あたし、き、きっと高須くんを受け止めることができる。そ、そんな気がする…」

 竜児は、「そうか…」とだけ呟くように言って、亜美の膣から指を引き抜いた。来るべきものが来たのだ。

「ぬぁっ!」

 指が引き抜かれた瞬間の刺激で、亜美は悶絶し、ぐったりと竜児の背中にもたれかかった。

「か、川嶋、大丈夫か?」

 その亜美は、竜児の背中に抱き付いたまま、その首筋に頬ずりしている。

「か、軽くだけど、い、いっちゃったよぉ…」

 あまりにもあっけないので、何となく嘘臭い。だが、亜美の呼吸はいっそう荒々しく、竜児の首筋には亜美の涙か、
涎のようなものが滴っていた。

「なら、さっさと身体を洗って、ここから出た方がいいだろう。『ソープランド亜美』と洒落込むには、この風呂場は
ちょっと狭すぎる」

 竜児のコメントに亜美は頷きかけたが、すぐに首を左右に振った。

「亜美ちゃんばっか、いっちゃって、あんたは未だ射精していないじゃない! このまま、一回いっちゃって体力が
消耗した亜美ちゃんを、あんたは、いいように弄ぶんでしょ? それって、卑怯よ、ずるいわよぉ!」

「卑怯、ずるいって?! な、何言ってんだお前は…」

 亜美は、竜児の背中にもたれて、呼吸を整えながら言い直した。

「じゃぁ、こうしましょう。あたしだけ気持ちよくなって、高須くんは、おちんちんを固くしたまま、射精寸前の状態で、
かわいそうです。だから、献身的なフィアンセの亜美ちゃんが、おちんちんを啜ってあげて、高須くんを楽にしてあげ
ましょう、ってのはどう?」

「お、おい! また、フェラすんのかよ?」

 呼吸が落ち着いた亜美が、竜児に擦り寄りながら、妖艶に笑った。

「そうよ、あたしは高須くんのおちんちんをしゃぶりたい。高須くんの精液を飲み干したい。これって、もう、理屈じゃな
いの、女としての、雌としての本能なんだわ…」

「お前…、だ、大胆な奴だな…」

 亜美は、竜児の背中から身を離した。

「女はねぇ、本当に好きな人の前では何でもできるのよ。だから、こっち向いてよ…」

71指環(前編) 32/53:2009/06/12(金) 00:59:27 ID:OtcMxNmC
 入浴用の椅子に腰かけたまま、竜児は亜美に応じた。
 北村とも約束したのだ。亜美が望む通りのことをしてやらなければならない。

「きゃっ! すっごくおっきい」

 亜美が歓声のような声を上げている。明るいところで、勃起した竜児のペニスを見るのはこれが初めてのはずだ。
改めて、その大きさや迫力に感じ入っている。
 一方の竜児も、亜美の裸身に見入っていた。ミルク色の肌は、先ほどの絶頂らしい余韻からか、ほのかな桜色に
染まり、量感がありながら無様に垂れ下がっていない美乳と、その先端で大きく膨らんでいるピンクに微かな褐色を
帯びた乳首と乳輪が艶かしい。

「川嶋、本当に綺麗だ。毎度、これしか言えねぇが、実際そうだとしか言いようがねぇ…」

「う、うん…、ありがとう…。で、でも、高須くんの身体だって、筋肉質で引き締まっていて、綺麗だよ」

「色々と身体を動かしているからな。それが、一種の筋トレになってんだろ」

「そうね…。あたしも、あんたを見習って、家事を覚えなきゃ…。あたしは、あんたの女房になる女なんだからさぁ」

 そうして、亜美は、身を屈めて、バラ色の口唇を竜児の亀頭にあてがった。そのまま、すっぽりと竜児の亀頭を飲み
込み、軽く歯を当てながら、舌全体を使って、敏感な粘膜の隅々までを舐め回した。

「きもひ、ひい?」

「ああ、この前と同じように気持ちいい…。しかし、川嶋、こ、こんなテクどこで覚えたんだよ?」

 その問いには、ちょっと答えられそうもない。何せ、インターネットのエロ動画を見て、それを真似ているのだ。
この前、竜児がエロ動画をパソコンに溜め込んでいることを非難した手前、言えたもんじゃない。

「おんなふぁねぇ、愛するひふぉに、尽くふといふ、きもひだけで、こんふぁことが、できふんふぁよ」

 フェラしながら、口をもごもごさせて適当に言い繕ったが、半分は本当だ。竜児を愛するからこそ、気持ちを込めて
フェラもできるのだから。
 亜美は、更に、陰嚢も揉みほぐす。

「うわぁ、川嶋、そ、それ、き、効くぜ…」

 竜児は、痛む寸前のギリギリの刺激が気持ちいいようだ。マゾかな? こいつは…、と亜美は思ったが、
それは自分にも当てはまることに思い至り、腹の中で苦笑した。

「そろそろ、ふぁな? 亜美ちゃんふぉ、おくひにだひちゃってよふぉ」

 竜児のペニスを口いっぱいに頬張りながら、亜美は、頭を前後に動かして、竜児の射精を促した。先端から吹き出て
くる苦い汁が顕著になった。心なしか、竜児の亀頭がどくどくと震えているようだ。その亀頭は、今までになく大きく
固く熱くなっている。

「か、川嶋、ヤバい! で、出る、出そうだぁ!」

 その瞬間、亜美の口中に竜児の精液が噴射された。喉の奥を直撃するほどの勢いに、前回同様にむせ返りそうに
なったが、辛うじて持ち堪え、吐き出された白い粘液を、さも美味そうに咀嚼した。
 そして、竜児の亀頭をすっぽりと咥え、舌先で粘膜の隅々までを舐め回し、仕上げのつもりで、その先端を強く吸った。

「くぅ〜〜〜〜っ!」

72指環(前編) 33/53:2009/06/12(金) 01:00:52 ID:OtcMxNmC
 竜児が、苦悶にも似た、眉をひそめ、歯を食いしばる表情を浮かべている。
 だが、その表情は、竜児が極限的な快楽に襲われている瞬間であることを、亜美は知っている。

「ど、どう? 気持ちよかった?」

 口唇から垂れてきた精液を手の甲で受けて啜りながら、竜児の反応を窺った。
 その竜児は、快楽にあてられ、首をのけぞらせて、苦しそうに呼吸している。

「お、おぅ…、こ、この前以上に、ものすごかった…。ここまでされちまうと、もう、オナニーなんてとてもじゃねぇけど、
やる気がしねぇ…」

 亜美は微笑した。そう思ってもらえるなら、フェラのし甲斐があるというものだ。オナニーをする気が起きないという
ことは、もう、エロ動画にうつつを抜かすようなことはない、ということなのだろう。それに、これは未だ序の口なのだ。

「フェラぐらい、あんたが望むなら、いつだってしてあげっからさぁ。今度は、フェラなんかよりも、もっと、もっと、気持ち
いいことをするんだよ。そこんとこを忘れないで欲しいわね」

「お、おぅ、そ、そうなのか…」

 ちょっと間抜けな竜児の応答に、苦笑とも微笑とも判じがたい笑みで応ずると、亜美は、ボディシャンプーを
スポンジで身体に擦り付けて泡立てた。その泡だらけの状態で、竜児に抱き付く。

「川嶋、俺は俺で自分の身体を洗うよ」

「だぁ〜め! これも、本番前の前戯の一つなんだから。本当は、あんたが床に寝て、その上を泡だらけになった
あたしが覆い被さる『泡踊り』とかってのをやりたいけど、ここは狭いからね。
せめて雰囲気だけでも『ソープランド亜美』にしたいってことよ」

「て、言ってもよぉ…」

 竜児の胸板に、亜美の乳房が当たっている。その先端の乳首は、再び勢いを取り戻し、その固さが亜美の興奮
ぶりを如実に示していた。
 その亜美の髪から、切ないような体臭が匂ってくる。

「なぁ、川嶋、お前、髪の毛洗わなくていいのかよ?」

 その一言に亜美は、はっとして、竜児の目を見た。

「そうね、今夜は、本当の意味であたしたちは結ばれるんですもの。身を清めなきゃいけないわね…」

 そう言って、手近なところにあった、竜児のシャンプーを手に取った。

「あたしは、高須くんの身体に抱き付いて洗うから、あんたはあたしの髪を洗ってちょうだい。
さっき、あたしが、あんたにしてあげたように、あたしの頭をマッサージしながら、洗ってね」

「だ、抱き合ったままで、お前の髪を洗うのか?!」

「そうよ、このままだとやりにくいけど、立った状態なら、それほど無理な体勢じゃないわよぉ」

 事も無げに言って、亜美は立ち上がった。その反動で、形の良い乳房がぶるんと震える。

「しょうがねぇなぁ…」

 観念して、竜児も立ち上がって、亜美と向き合った。
 竜児の目線から一段低いところに亜美の端正な面立ちが覗いている。その亜美の髪をシャワーのお湯で湿らせた。

73指環(前編) 34/53:2009/06/12(金) 01:02:23 ID:OtcMxNmC
「シャンプーはこれでいいのか?」

「うん、高須くんと同じシャンプーでいいよ。これって、低刺激性じゃない。デリケートな亜美ちゃんにはぴったりだわ」

 『デリケート』の文言で竜児は苦笑したが、亜美は一瞬、不満げに頬を膨らませただけだった。
 その亜美の髪にシャンプーを塗り、泡立てる。次いで、先ほど亜美が竜児にしたように、生え際からつむじにかけて、
しごくようにマッサージした。

「ああっ! すごく上手じゃない。も、もう、あたしと同じくらい…。あ、あんたって本当に器用なのね」

 その亜美も、泡まみれの身体を竜児の胸板に押し付け、膝を屈伸させて、上下運動をする。

「か、川嶋、や、やり過ぎだって!」

「あは、でも、気持ちいいんでしょ? 亜美ちゃんだって、気持ちいいしぃ…。それに何より、高須くんのおちんちんが
亜美ちゃんのお腹に当たってるぅ〜」

 射精して萎えていた竜児のペニスが、亜美との抱擁で再びいきり立とうとしていた。
 亜美の下腹部は柔らかく、弾力に富んでいて、それが竜児のペニスを滑らかに磨り上げている。
このまま亜美に抱き付かれたままだと、また射精してしまうだろう。

「か、川嶋ぁ、ちょ、ちょっとピッチが速すぎるぞ。こ、このまんまじゃ、お、俺、もう一回出しちまいそうだ」

 亜美は、目を細めて、笑っている。

「いいじゃない、本能の赴くままに出せばいいのよ」

「おい、おい、ここで出したら、この後に控えている本番で役に立たなくなっちまう。それでもいいのか?」

 亜美は、ふふんと、鼻先であしらった。

「そんときは、そんときだってぇ! なんなら、またフェラしてやって、あんたのおちんちんを元気にしてやっからさぁ」

 うへぇ、と竜児は絶句した。そう何度も射精したら、フェラされても勃たなくなるかも知れない。
 そうなったら、亜美のことだ、何をするか分かったもんじゃない。

「か、川嶋、とにかく、さっさと洗うからな」

 竜児は亜美のシャンプーを手早く切り上げることにした。そうすれば、無駄に射精するということを回避できる。
 頭皮を洗ったら、毛先まで、指先で梳くように撫で下ろし、シャワーで濯ぐ。そのシャワーで、竜児と亜美の身体に
着いている泡も洗い流された。

「「もう一回」」

 竜児はシャンプーを亜美の髪に擦り付けて泡立て、亜美はボディシャンプーを手に取り、それをスポンジで自身の
身体に塗り付けて泡立てた。
 そして、竜児は先ほどと同様に亜美の頭皮をしごくようにマッサージし、長い髪を梳くようにして洗った。
 亜美もまた、泡だらけの身体を竜児の身体に擦り付け、背中に回した両手も使って、竜児の身体を泡で撫で回した。
 竜児のペニスが亜美の下腹部に翻弄されているのも先刻同様である。

「な、流すぞ…」

 ズキズキと疼くほどに勃起したペニスを気遣いながら、竜児は、亜美の髪を濯いだ。そのまま、亜美の背後に回り
込み、リンスを髪に塗り付ける。

74名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:10:11 ID:LheJ7SZj
支援
75指環(前編) 35/53:2009/06/12(金) 01:10:42 ID:OtcMxNmC

「あ、あたしの後ろを取るなんて、卑怯じゃない!」

 亜美の非難は無視して、竜児は、亜美の髪にリンスを馴染ませ、シャワーで濯いだ。これで、ゲームセット。
亜美には翻弄され続けたが、二度目の射精は、何とか阻止できたようだ。
 最後に、亜美の身体と自分の身体をシャワーで流して、『ソープランド亜美』の入浴の部は終了した。

「先に出るね。でも、そのおちんちん、さっきよりも、おっきくなってるぅ〜」

 嬉しそうにそう言うと、その固く勃起した亀頭を、指先で弾いた。

「い、いてえな…」

「あは、いいじゃなぁい。本当は、あんただって、刺激的な方が気持ちいいんでしょ?」

「んなことあるかぁ!」

 亜美は、「あはは、怒った、怒ったぁ〜」と、囃し立てるようにして、浴室から脱衣所へ向かった。
 その脱衣所では、亜美が髪の水分をタオルで丹念に拭い取り、バスタオルを身体に巻き付けていることが、浴室の
竜児も察せられた。

「じゃぁ、あんたの部屋で待ってるから…」

 亜美はそう言い残して、脱衣所から出て行った。
 入れ替わりに竜児が脱衣所で、髪と身体を拭き上げる。髪の長い亜美と違って、短髪で、それも男の竜児は、手間
らしい手間はほとんどかからない。手早く済ませると、腰にバスタオルを巻いて、自分の部屋に向かった。

「待ち遠しかったわよ…」

 まばゆい蛍光灯の下、バスタオルを巻いた亜美が、畳の上に横座りしていた。肩には濡れた髪を受けるための
タオルがあてがわれている。そして、亜美は、手にしたタオルで、丁寧に、艶やかな黒髪を撫でるようにして、
その水分を拭い去ろうとしていた。

「髪が濡れた川嶋も、いい感じだな」

 その言葉が嬉しかったのか、亜美は口元をほころばせて、「ありがとう…」と囁いた。
 竜児は、亜美の傍らに座る。

「ねぇ、キスしてよ…」

 言うが早いか、亜美はバラ色の口唇を竜児の薄い唇に密着させ、その舌を竜児の口中にねじ込んでくる。竜児も、
自身の舌を亜美の口中に差し込んだ。
 舌と舌、粘膜と粘膜が絡み合い、竜児も亜美も陶然となる。ひとしきり、互いに貪りあった後、二人は、唇をゆっくり
と引き離した。

「き、来て…」

 横座りしたまま、亜美は、身体に巻いているバスタオルの前をはだけた。
 竜児にとって、もはや見慣れた、それでいて見る度に美しいと思わざるを得ない、亜美の肢体が視野に飛び込んで
きた。その中で、艶やかに勃起した乳首が、その存在を主張している。

「川嶋…」

 竜児は、吸い寄せられるように、その乳首に口唇を近づけた。

76指環(前編) 36/53:2009/06/12(金) 01:12:11 ID:OtcMxNmC
 その瞬間、亜美が柳眉を心持ち逆立て、身をよじるようにして、近寄ってくる竜児をちょっとだけ避けた。

「お、おい、どうしたんだよ…」

「ねぇ、もう、互いに名字で呼び合うのは終わりにしましょうよ。あたしは高須竜児の女房になる女。
だったら、あたしは亜美とあんたに呼ばれるべきなんだわ。そして…」

「俺は、お前に竜児と呼ばれるべきなんだな?」

 亜美は、心持ち頬を染めて頷いた。

「分かった、これからは、亜美と呼ばせてもらうぜ。じゃあ、亜美、お前の身体を俺に託してくれ」

「う、うん、竜児、あんたの好きにしていいんだよ…。あたしは、もう、あんたの女房も同然なんだ。あたしの身体は、
あんたのものなんだよ…」

 そう言って、亜美は後ろ手に突いて、裸身を竜児の眼前にさらけ出した。
 濡れた髪が揺れ、弾力のある乳房がぶるぶると震えている。その乳房の先端を竜児は啜った。

「あはぁ〜」

 竜児に乳首を吸われるのは、これで何度目だろうか? と、快感に身悶えながら亜美はとりとめもないことを思って
いた。しかし、竜児が、乳首を更に強く啜り、軽く噛んだ瞬間、頭の中が真っ白になるような快楽で全てがどうでもよく
なってしまった。
 その竜児は、乳首と、乳輪と、乳房全体、更には脇の下までを舐め回すようにくまなく口で愛撫しながら、指を亜美
の下腹部から、陰裂へと伸ばしている。

「あ、そ、そこぉ〜」

 竜児の繊細な指先が、固く勃起したクリトリスを捉え、その薄皮を剥ぎ取った。その瞬間、びりっとした電撃にも似た
激しい快感に、亜美は背筋を反らされる。
 竜児の指は、亜美の秘所の更なる奥を目指して彷徨っている。その指遣いは、前回の時よりも格段に巧みで、
亜美を喜ばせるツボを完全に把握しているかのようだった。

「うっぁ!」

 竜児の指が、クリトリスから尿道口を撫で、甘美な粘液を分泌し続ける膣口に行き当たった。人差し指と中指で
膣口付近をまさぐられ、そのまま、ぶすりと、二本の指が亜美の膣に侵入してきた。

「ううう…」

「ど、どうだ? 亜美、痛くないか?」

「う、うん、へ、平気、そ、それどころか、き、気持ちいいよぉ〜。でもぉ〜」

「でも? って…」

 この前の膣痙攣が嘘のように、亜美の膣は柔らかで、滑らかだ。何といっても、竜児の指が気持ちいい。
このままの状態で、竜児のなすがままに委ねていたら、じきにクライマックスを迎えてしまうだろう。

「こ、このまま竜児の指だけでいきたくないよぉ〜。亜美ちゃん、竜児のおちんちんが欲しいよぉ〜」

 涙目でそう竜児に訴えた。
 竜児は、「分かった…」とだけ呟くと、亜美のまぶたにキスをして、涙を嘗め取ると、亜美の膣から指を引き抜いた。

77指環(前編) 37/53:2009/06/12(金) 01:13:31 ID:OtcMxNmC
その瞬間、亜美は、ぶるぶると身を震わせたが、持ち堪えた。

「亜美、ゆっくりと横になってくれ」

 竜児は腰に巻いていたバスタオルと、亜美が巻いていたバスタオルを畳の上に敷き、その上に亜美を横たえた。
 亜美も、バスタオルの上で、股を大きく開き、更には、大陰唇を指先で広げた。膣口が露になり、その膣口からは、
とろとろと愛液が滴っている。

「き、来て…」

 その言葉に竜児は頷いて、大きく膨れ上がった亀頭を亜美の秘所に擦り付けた。

「あ、じ、焦らさないでよぉ〜」

 亜美の非難めいた物言いにもかかわらず、竜児は、念のため、もう一度、亜美の膣に指を入れてかき混ぜてみた。
 亜美の膣は、柔らかく、瑞々しい。これなら、膣痙攣の心配はなさそうだ。

「ばかぁ! 何度も言わせないでよぉ! 指なんかいいからぁ、は、早く、そ、そのおちんちんを亜美ちゃんに頂戴よぉ〜」

 竜児の気遣いを、知ってか知らずか、亜美が腰を揺らしておねだりしている。
 その姿に、竜児は苦笑しそうになったが、これから行うことを思って、気を引き締めた。
 亜美との初めての交合。亜美にとっては、一生に一度、少女から女への分岐点だ。そのためにも、亜美の苦痛を
できるだけ和らげ、可能な限りの快感が得られるようにしてやりたいと竜児は思った。
 もう一度、亀頭を亜美の秘所に擦り付ける。そして、亜美の乳首を思いっきり吸ってやった。

「あぅ! お、おっぱいもいいけどぉ、は、早くおちんちんが欲しいよぉ〜」

「行くよ…」

 乳首から入力された快感に酔いしれている隙に、竜児は、怒張したペニスを一気に押し込んだ。最初こそ、処女膜
らしい弾力ある抵抗を受けたが、それは意外にあっけなく突破でき、そのまま、ずるん! という勢いで、亜美の胎内
の奥深く、その子宮を突き上げるようにして、竜児のペニスは収まった。

「う、うわああああああああ〜〜っ!」

 秘所を貫かれた亜美が髪を振り乱して悶絶している。

「だ、大丈夫か! かわ…、いや、亜美」

 思わず名字で呼びそうになったのを、何とか名前で呼ぶようにして、竜児は亜美を気遣った。
 その亜美は、涙目で、竜児に頷いている。

「う、うん…。い、痛いことは痛いけどぉ、この前の膣痙攣に比べたら、全然平気…。なんか、痛いっていうよりも、
あそこがじんじんして、感覚が麻痺しちゃってるみたいな感じなんだよぉ」

 そう言って、亜美は、恐る恐る、竜児との結合部に手を伸ばし、自身の秘所をまさぐった。
 そして、その手を竜児にも見えるように差し出した。

「お、おかしいわ、血が出てないみたい…。あ、あたし、あんたに処女あげるつもりだったのに…。ど、どうしてぇ〜」

 亜美は、悔しそうに涙ぐんでいた。竜児は、その亜美の涙を指先でそっと拭い取ってやる。

「泰子から教えて貰ったんだけどよ、処女でも出血しない場合が結構あるらしい。泰子の初めての時もそうだった
らしい。こういう時、処女膜は破れるんじゃなくて、大きく伸びるんだとさ。そして、その方が、痛みが少ないし、

78指環(前編) 38/53:2009/06/12(金) 01:14:38 ID:OtcMxNmC
セックスしていて、すぐに気持ちよくなるっていうことらしいぜ」

「う、うん…。そうなの?」

 竜児は、不安そうな亜美を慰めるつもりで、穏やかな笑顔を心がけて頷いた。
 亜美もまた、竜児の頷きを見て、ほっとしたように瞑目する。
 竜児は、亜美の身体を労るつもりで、挿入したまま、亜美の様子を窺うことにした。

「う、動いても、い、いいよぉ…」

 挿入して暫く経ってから、亜美が、深く息を吐き出すようにして言った。
 同時に、ペニスを挿入された違和感に耐えるべく、強張っていた亜美の身体が、いくぶんは弛緩したようだ。

「お、おぅ、で、でもゆっくりだからな…」

「う、うん…、や、優しくしてね…」

 竜児は、挿入していたペニスを、膣から亀頭の根元が見えるまでそろそろと引き、そこからまた、ゆっくりと胎内に
押し込んでいった。

「ど、どうだ? 亜美…」

 亜美は、「ふぇ…、ふぇ…」というしゃっくりのような声を発し、涙と涎と洟を垂れ流していた。

「き、気持ちいいよぉ〜。もう、痛くないし、な、何よりも、エッチって、こ、こんなに気持ちよかったんだぁ…。
き、気持ちよ過ぎて、あ、亜美ちゃん、お、おかしくなっちゃうよぉ〜」

「お、俺もだ…。亜美の中って、暖かくて、ぬるぬるで、きつくて、俺のペニスを、締め付けて、絞り上げているみたい
だぜ…」

「あ、亜美ちゃんの中って、き、気持ちいい?」

「あ、ああ。さ、最高だ。本当に気持ちがいい。こ、こんなに気持ちがいいのは、う、生まれて初めてだよ」

「う、嬉しいよぉ…」

 亜美がまた涙ぐんでいる。今度の涙は、悲嘆でも落胆でもない。竜児と一つになり、その竜児に快楽をもって奉仕
できているという歓喜の涙なのだろう。
 同時に、亜美の膣の締め付けが一段と強くなった。その圧迫感に耐えながら、竜児は、ペニスを引いては突き、
突いては引く、を繰り返した。

「あ、亜美、す、すごい締め付けだ…。ヤバい、このままじゃ、出しちまう…」

 亜美は、涙を流しながら、呆けたように微笑んでいた。

「あ、あんたが好きな時に、好きなだけ出していいんだよ…。あれからも、ちゃんとピルは飲んでっから、安心して、
あ、亜美ちゃんの中にぶちまけていいんだよぉ~」

「お、おぅ…。そ、そうは言っても、ほ、本当に、げ、限界が近そうだ…」

「あ、あたしもだよぉ〜。は、初めてなのにぃ、な、なんでこんなに、き、気持ちいいんだろ…。あ、あたしって、やっぱ、
い、淫乱雌チワワ、な、なのかなぁ」

「あ、亜美がそうなら、お、俺だって、エ、エロ犬、だ、だろうさ…」

79指環(前編) 39/53:2009/06/12(金) 01:16:20 ID:OtcMxNmC
 亜美は、その表情をだらしなく弛緩させ、酸素を求めるように、涎を垂らしながら口をぱくぱくと開けている。
 その両目からは涙が溢れ、鼻腔からは洟が垂れ放題だ。

「い、犬、なんだね、あ、あたしたち、似た者同士なんだぁ。そ、そして、あたしたちは、い、今、い、犬みたいに、
ま、まぐわって、い、いるのね…」

「お、おぅ、そ、そうだとも。い、犬で、な、何が悪いってんだ。お、俺たちは、似合いの結びつきだ。こ、これは、誰にも、
も、文句は言わせねぇ」

「そ、そうよ、あ、あたしたちは、む、結ばれるために、う、生まれてきたんだわ…。こ、これは、だ、誰にも、邪魔させな
い! た、たとえ、ママ…、女優川嶋安奈であっても、ぜ、絶対に、じゃ、邪魔させないっ!」

 宣言するように、声高に叫ぶと、亜美は、「うっ!」と、息を詰まらせたように絶句し、白目を剥いて、全身を痙攣させ
た。同時に、亜美の膣の襞という襞が、くわえ込んでいる竜児のペニスを強く締め付け、しごくように脈動して、その
射精を促した。

「だ、ダメだ、で、出る! あ、亜美ぃ!!」

 堪えきれずに、竜児は、亜美の胎内に白い毒液をたっぷりと解き放った。亜美の胎内は、なおも妖しく蠢いて、竜児
のペニスから一滴残らず精液を搾り取ろうとしている。その苦痛と紙一重の強烈な快感に、竜児は酸欠にも似た
眩暈を覚えた。

「あ、亜美、だ、大丈夫か?」

 そう言う竜児も、視野がぼやけ、息が苦しい。
 竜児は、亜美とつながったまま、その身体の上に、倒れ込むように覆い被さった。

「あ、あうう…」

 亜美は、苦しい息の下、涙と涎と洟を垂れ流しながら、暫く痙攣し続けていたが、徐々に落ち着きを取り戻し、その
肢体を弛緩させた。
 それにつれて、竜児のペニスへの圧迫感が和らいでくる。

「気持ちよくて…、暖かくて…、初めてなのに、何で、こ、こんなに感じるんだろう…」

「俺たちは、未だつながったままだ。どうだ、亜美? 痛みは?」

 亜美は、紅潮し、涙でぐしょぐしょになった顔を左右に振った。

「あそこが、じ〜んと痺れたような感じが少しするけど、気持ちいいよ…。だって、亜美ちゃんのお腹の中に竜児の
おちんちんが入っているんだもん…」

「お、おぅ、じゃ、ぬ、抜くぞ…」

 竜児は、腰を引いて、ペニスを亜美の胎内から引き抜こうとした。しかし、亜美は、両脚を竜児の腰に絡ませて、
それを押し止めた。

「お、おい、亜美、どうしたんだよ」

 亜美は、はぁはぁ、と切なげに喘ぎながら、微笑した。

「あ、あんたのおちんちん、未だ、固いまんまじゃない…。本当は、物足りないんでしょ? だったら、あたしなんかに
は構わず、好きにしてよ。もう一度、う、うん…。何度でも、あたしの身体を貫いていいからさぁ…」

80名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:16:51 ID:1/Z8GTiB
数日投下がないくらいでオワタオワタとこらえ性のない。

くだらないことを書き込む暇があるならアミちゃんや奈々子様や独神の裸体でも想像して賢者タイムに入ってなさい
81指環(前編) 40/53:2009/06/12(金) 01:17:46 ID:OtcMxNmC
「物足りないなんてこたぁねぇよ。ただ…」

「ただ…?」

「お前の中が気持ちよすぎるんだ。それで、俺のペニスは固いまんまなのさ…。本当は、俺だって、もう、限界なんだ。
実際、さっきの射精では、眩暈がするほど気持ちよかった…」

「じゃ、じゃぁ、その気持ちいいことを、もう一回しよ! あたし、さっきの快感が味わえるなら、このまま死んじゃっても
構わない」

「お、おい、おい…。俺たちはには、これからがあるんじゃなかったのか? 死ぬなんて縁起でもねぇ」

「うふふ、そうね…。でも、あの絶頂の快楽は、本当に、この世とあの世の境界線みたいな感じだったわ。セックスって、
新たな命を生み出す営みだけど、それは死と背中合わせなのかもしれない…。生と死は本当に紙一重なんだわ…」

 苦しそうに喘ぎながらも、亜美は竜児の背中に両腕を回し、その筋肉質な身体を抱きしめた。

「ほ、本当にいいのか? 今のお前の様子じゃ、消耗しきっている感じなんだが…」

 亜美は、苦しそうな息の下、強がっているつもりなのか、笑っている。

「消耗してるわけがないじゃない…。あんたから生命の源である精液を注がれたんだからさぁ…」

「お、おぅ…」

「だから…。もう一回。あたしの中に、あんたの命を吹き込んでよ」

 言うや否や、亜美は、その腰を、ぐいっ、とばかりに突き上げた。
 ぬぽっ、という粘っこい音がして、竜児のペニスが一段と深く、亜美の胎内に飲み込まれる。

「あ、あああ…い、いいわぁ…。あ、あんたも、突いてよ。突いて、突いて、突きまくって、もう一回、亜美ちゃんを
気持ちよくさせてよぉ〜」

「じゃ、じゃぁ、亜美、突っ込むぞ」

 竜児も、いきり立った肉塊を、今まで以上に強く亜美の胎内に突き入れた。根元までは飲み込まれていなかった
竜児の極太ペニスが、ぐにゅっ! という音とともに完全に亜美の膣に収まり、その胎内を力強く押し上げた。

「あ、ああああ〜〜っ!! そ、そうよぉ! 突いて、思いっきり、突いて頂戴ぃ!!」

 膣口を中心に亜美の秘所が大きくひしゃげ、愛液と、竜児の精液が、どろり…と、零れ出てきた。
 竜児は、なおもペニスを強く突き入れて亜美を喘がせると、その極太ペニスを膣口から抜き出す寸前まで素早く引
き出し、再び、亜美の胎内へ力強く突き込んでいく。

「あ、あぅ、あ、あぅ…。し、子宮だけじゃなくってぇ、お、お腹の中全部が、か、かき混ぜられちゃうよぉ~」

 そう言いながら、亜美は乳首を摘み、乳房を狂ったように揉みほぐしている。胸が弱いんだな、と竜児は思った。

「あ、亜美、ち、乳首、啜ってやるよ」

 腰を前後に往復させながら、屈み込んで亜美の乳房を啜るのは、なかなかにアクロバットめいていたが、ペースを
ちょっと落として何とかなった。
 右の乳首を甘噛みし、そのまま軽く引っ張ってやる。その刺激に、亜美はたまらず、再び、ぶるぶると全身を痙攣さ
せてきた。同時に、竜児のペニスをくわえ込んでいる膣壁が、一段ときつく締まってくる。

82指環(前編) 41/53:2009/06/12(金) 01:19:44 ID:OtcMxNmC
「うぁ、ああああ! あそこが、おっぱいが、お腹の中が、も、燃えるように、あ、熱いよぉ~。いっちゃうぅ! 
亜美ちゃん、いっちゃうよぉ~~!!」

 亜美が髪を振り乱して悶絶している。二度目の限界を迎えようとしているのだろう。

「あ、亜美、し、締まるぅ…」

 その胎内が、これまで以上に、きつく竜児のペニスを締め上げている。
 そのあまりに強い締め付けは、竜児のペニスを押しつぶしそうなほどだった。
 その圧迫に抗しながら、竜児は、亜美の胎内を突いては引くを繰り返す。力を込めて、長いペニスを根元まで突き
込む度、亜美の華奢な身体が、「あぅ! あぅ!」という嗚咽のような声とともに、小刻みに跳ねるのだ。

「あ、亜美、こ、こっちの乳房も啜ってやるよ…」

 ひとしきり啜って噛んだ右の乳首に代えて、竜児は左の乳首にもむしゃぶりついた。

「あはっ、も、もう、な、何だか、あ、亜美ちゃん、わ、分かんなぁ~いぃ」

 亜美が意味不明なことを叫びながら、髪を振り乱している。その目は虚ろで、目の前の居る竜児にも焦点が合って
いない。呼吸も苦しげで、あと、ちょっと、あと、一押しで、完全に限界に達するのだろう。

「お、俺も、も、もう、で、出そうだ…」

 竜児も呼吸が苦しくなって、啜っていた亜美の乳首を離した。
 亜美の膣は、滑らかに潤っていたが、その締め付けは強烈極まりない。その圧迫がもたらす快楽で、竜児は、
頭の芯が痺れるような感覚に襲われていた。

「あ、亜美、さ、最後の、し、仕上げだ…」

 その失神寸前の快楽にあらがい、更なる、いや未曾有の快楽を得るために、竜児はペニスを亜美の膣から抜く
寸前まで引き、それを、最後の力を振り絞って、突き込んだ。
 竜児のペニスは、疣のように、あるいは何かの吸盤のように突き出ている部分を直撃し、それを胎内の奥深くへ
と押し込んだ。

「あ、あああああっ! し、子宮に当たるぅ~!!」

 疣のような突起は子宮口だったようだ。その子宮口ごと、亜美の子宮を、竜児の長いペニスが強引に突き上げた。
その一突きがとどめとなったのか、亜美は癲癇の発作のように四肢を激しく痙攣させている。

「うぉ! あ、亜美ぃ! し、締めすぎだぁ」

 その侵入物を握りつぶすが如くの圧迫に、竜児もたまらず射精した。竜児の極太ペニスは、まるで別個の生き物の
ように、どくどくと脈動しながら白い精液を吐き出し、亜美の膣も亜美とは別個の生き物のように、竜児のペニスを強
く締め付け、襞という襞が怪しく蠢いて、竜児から精液を一滴残らず絞り尽くそうとしていた。

「ふぅ…」

 亜美の膣の収縮が少し治まったのを見計らって、竜児は亜美の胎内からペニスをゆっくり引き抜いた。
 都合、三度の射精というハードワークを達成したそれは、竜児の精液と亜美の愛液のカクテルで、ぬらぬらと黒光
りしている。
 亜美の膣口からは、その白濁したカクテルが、とろとろと滴り落ちた。竜児は、それを、行為の寸前まで亜美が髪を
拭いていたタオルで拭ってやりながら、外傷がないかどうか確認してみた。
 タオルに血は付かなかった。やはり、亜美の処女膜は大きく伸びただけで破れなかったようだ。これなら、行為後も
陰部がひどく痛むようなことは、ないかも知れない。

83指環(前編) 42/53:2009/06/12(金) 01:21:01 ID:OtcMxNmC
 亜美の陰部からは粘液が止めどなく垂れてくるので、竜児は完全に拭き取るのを断念し、先ほどのタオルをそこに
あてがっておくことにした。何だが、おむつみたいだったが、こうでもしないと漏れ出てくる液を止めようがないのだか
ら致し方ない。

「気持ちよかったが、きつかった…」

 快楽の余韻が鎮まりつつある中、竜児は、全身に気だるい疲労感を覚えていた。亜美の胎内を突き上げるという
だけでも、かなりきつい運動であるし、何よりも三回も射精するということが堪えていた。
 セックスによる極限的な快楽は、死と紙一重の臨死体験のようなものだ、と亜美は言った。おそらくそうなのだろう。
新たな命を生み出す営みは、その代償として、それを行う者にも相応の負担を強いてくるのだ。

「亜美、大丈夫か?」

 その極限までの快楽にあてられた亜美は、失神したままだ。
 もし、夢を見ているのだとしたら、それはどんな夢だろうか、と竜児は思った。
 もう一枚のタオル、亜美が肩に載せていたもので、竜児は粘液で黒光りしている陰部を拭くと、そのタオルで陰部を
隠して、気を失ったままの亜美の隣に横たわった。
 涙と洟と涎にまみれてはいたが、その表情は穏やかで、何か幸せそうな淡い笑みを浮かべていた。竜児は、手近
にあったティッシュボックスからティッシュペーパーを何枚か引き出し、それで、亜美の顔をそっと拭ってやる。

「たか…、りゅ、竜児…」

 亜美がうっすらと双眸を開いて、隣に横たわる竜児を見た。

「よかった…、気がついたか」

「う、うん…」

 竜児のほっとした笑顔を見て、亜美は、また涙ぐんだ。その涙を、竜児は改めて拭いてやる。

「な、泣くなよ…」

「だ、だって…、う、嬉しいんだもん。念願かなって、あんたと一つになれた…。それも、前回の無惨な失敗を帳消しに
して余りあるほどの、もの凄く気持ちいい体験だった…。あ、あ、あたし、ほ、本当に、し、幸せだよぉ!」

 亜美は、竜児に抱きつき、そのまま泣き崩れた。
 竜児は、その亜美の頭を優しく撫でながら、見慣れたはずの自室の天井を見上げた。
 天井板の木目が、ロールシャッハテストの不規則な絵柄のようにも見えてくる。
 その畳敷きの木造借家の一室で、竜児と亜美は初めて本当に結ばれたのだ。

「なぁ、亜美…。前に俺が、『初体験は美しい思い出として語り合えるようなものにしたい』なんて言ったのを
憶えているか?」

「う、うん…、お、覚えているよぉ」

 亜美が涙で鼻を詰まらせながら、そう囁いた。

「この俺の部屋、一流ホテルでもなければ、川嶋家の別荘でもねぇ、質素で狭苦しいだけの場所だ。こんなところで
よかったんだろうか? 本当なら、亜美の別荘へでも行って、そこで初めて抱き合うべきだったんじゃねぇだろうか?」

 その一言に、亜美は、はっとして双眸を見開き、竜児を一瞬、睨み付けた。

「何言ってるのぉ! 永遠の愛を誓った竜児の部屋での処女喪失なんて、これ以上のものはないほど美しい思い出
じゃない。質素な部屋が何よ! いつもこざっぱりと片づいているこの部屋のどこがいけないって言うのよぉ!!」

84指環(前編) 42/53:2009/06/12(金) 01:22:24 ID:OtcMxNmC

「お、おぅ、おぅ、わ、分かった、そ、そんなに怒るなって…」

 竜児が、亜美の剣幕にたじたじなのを見て、亜美は、大きくため息をついた。

「あんたは、貧乏なのを心のどこかで恥じているのかも知れないけど、あたしはそんなもの全然構わない。
大切なのは、あんたという人間の中身なのよ。金や地位があっても、中身のない奴は本当にどうしようもないじゃない。
でも、あんたには中身がある。いつか、大きく花開く、もの凄いポテンシャルが秘められている。
あたしは、そんなあんたが大好きなのよぉ!」

 言い終えると、両目に再び涙が溢れてきた。竜児は、それを手にしたティッシュペーパーで丹念に拭ってやる。

「とにかく、何か着た方がいい…。夏とは言え、いつまでも素っ裸じゃ風邪を引いちまう」

 何か着るものをと、箪笥を開けた竜児の腕を亜美が牽制するように引っ張った。

「だったら、もうベッドに入りましょうよ。裸でも二人寄り添っていれば、あったかいわよ」

「お、おぃ、素っ裸のまま抱き合って寝るのか?!」

 亜美は、当然でしょ? とばかりに、柳眉をつり上げた。

「あたしたちは、もう、契りを交わしたのぉ! そのあたしたちの間に何の遠慮があるっていうのよ」

 言うや否や、亜美は竜児のベッドに潜り込み、そのタオルケットを持ち上げて竜児を誘った。

「あ、亜美、お前、大胆な奴だな…」

「大胆も何も、さっき、あれほどの激しい抱擁をしたばかりじゃない。その余韻を楽しむためにも、あたしたちは裸の
まま同じベッドで寝るべきなのよ。これが男と女の摂理ってもんなんだわ」

「摂理ねぇ…」

 亜美の機嫌を損ねると、後々まで祟るので、竜児は蛍光灯を消して、亜美の隣に横たわった。
 その竜児に、亜美が嬉しそうに抱きついてくる。

「このまま泊っていくんだな?」

「そう、だって、相思相愛のあたしたちが契りを交わした夜なんですもの。このまま帰るなんて無粋な真似はできない
じゃない」

「お、おぅ…。じゃぁ、アリバイ工作は万全なんだな?」

 亜美は、心持ち湿っていた表情を、ほころばせた。

「その点、抜かりはないってぇ! なんせ、あんたが先にシャワー浴びているうちに、完璧なアリバイ工作をしといた
からさぁ」

「ど、どんな工作なんだ?」

「うふふ、当社の営業ひ・み・つ。だからぁ、教えてあ〜げない」

 竜児は、苦笑した。どの道、大体の察しはついている。大方、麻耶か奈々子とでも口裏を合わせているに違いない。
 それに、そんな工作云々は、今日の二人にとって、些細なことでしかないのだ。

85指環(前編) 44/53:2009/06/12(金) 01:23:44 ID:OtcMxNmC
「まぁ、とにかくだ…。俺たちは一つになった…」

 亜美は、竜児の胸板に頬擦りしながら、頷いた。

「そうね、これからともに一生を歩んでいく、あたしたちの第一歩なんだわ…」

「だが、これから越えなきゃならないハードルがいくつもある。気を引き締めて頑張っていこうや」

「う、うん…。本当に、あたしたち頑張らないと…。だから、この夏休みは、あたしんちの別荘で合宿しましょうよ」

「合宿?」

「そう、合宿よ、合宿!」

 亜美が目を輝かせている。
 竜児は、高二の時にも、亜美から『夏中、別荘で一緒に過ごそう』と切り出された時のことを思い出していた。あの
時は唐突過ぎて、亜美の真意が分からなかったが、今ならば、それがはっきり理解できる。
 そして、その時に、何で、亜美の思いに気づかなかったのかという、自己の愚かさにも恥じ入るのだ。

「ねぇ、どうしたの? 急に黙り込んじゃってぇ…」

 亜美が眉をひそめて竜児の顔を覗き込んでいた。

「済まねぇ。ちょっと、昔を思い出していたのさ。お前と初めて出会った年の夏、俺は別荘へ誘われた。その時のこと
を思い出して、ちょっと懐かしくなってな…」

「なら、ノスタルジックな感傷に浸るためにも、合宿行きはオーケイってことでいいわね?」

「お、おぅ…。だが、三、四泊が精々だぞ。それ以上、この家を留守にしたら、大変なことになる」

 その一言に、亜美はむっとして、頬を膨らませた。

「竜児って、バカ? 三、四泊って、何なの? あの夏を思い出したなら、『夏中、一緒に過ごす』って言いなさいよ! 
あんたって、本当に鈍感! もう、いらいらするんだからぁ!!」

「怒るなよ…」

「べ、別に、怒ってなんかいないわよぉ!」

 その刺々しい物言いで、十分、怒っているって…、と言い掛けたが、止めにした。
 亜美は、精神的に未熟なのだ。同世代の女子の中ではかなり大人びているが、それでも、少女のような脆さや危う
さを引き摺っている。それは、今は未だ、少年と青年が同居している竜児とて同様だ。

「まぁ、泰子次第だな…。それでも家事が滞り、三度の飯もコンビニ弁当か、お好み焼きの売れ残り、掃除も洗濯も
蔑ろで、家の中は散らかり放題…。今から、その惨状が目に浮かぶけどな…」

 竜児は、あからさまに反対するよりも、事実を認識させることが肝要だということを、亜美との逢瀬で学んでいた。
 だが…、

「ほぉ〜、なら、泰子さんがオーケイなら、なんも問題ないじゃん」

 その竜児との逢瀬を重ねた亜美も、思ったより手強かった。

「お、おい…。そうは言ったが、俺が言いたかったことはだなぁ…」

86指環(前編) 45/53:2009/06/12(金) 01:25:03 ID:OtcMxNmC
 その後は、『家の中は散らかり放題…。今から、その惨状が目に浮かぶ、ってことなんだよ』と続けるつもりだったが、

「あんたねぇ…、泰子さん、つぅか、女ってもんを、内心では軽く見てるでしょ?」

 亜美に出端を挫かれた。

「そ、そんなこたぁねぇよ…」

「嘘ばっか! たしかに、あんたは家事万能で頭もいい。だからと言って、泰子さん、それにあたしが、家事とか一切
できないバカ女とかってみなすのは、傲慢もいいところだわ」

「お、お前、それは言い過ぎだって…」

 だが、亜美は、吠えまくるチワワのように引き下がらない。

「なら、こう言えばどうかしら? あんたが物心ついて家事万能になる前、誰のおかげで衣食住が何とかなって
いたの?」

「う…」

「答えなさいよ、誰のおかげなの?」

「そ、そりゃ、泰子だ…」

 亜美が、物覚えの悪い生徒に呆れる教師のように、目を細めて嘆息した。

「あんたは、幼児の頃に世話になっておきながら、泰子さんを内心では見下していたんだわ。たしかに、泰子さんは
あんたほど頭は良くないし、要領も悪い。でも、その泰子さんが居たからこそ、今のあんたがあるんじゃない」

「ま、まぁ、たしかにそうかも知れねぇ…」

「だったら、この家のことは泰子さんに任せても何の問題はないのよ。泰子さんが、あたしたちのことを許せば、
それだけでいい…。そうでしょ?」

「お、おぅ…」

 女との言い合いというものは、論理だけでは収拾がつかない。結局は、感情的になり切れない竜児が折れてジ・エンドなのだ。
 だが、亜美という女は一味違っていた。

「まぁ、そんなに心配すんなってぇ! 合宿が終わったら、あたしもこの家の掃除とか、溜まっているかも知れない
洗濯物とか、ちゃっちゃとやっつけるからさぁ。それに、合宿の期間中、一回か二回くらいは、大橋に戻ってきても
いいんだしぃ」

 そう言って、亜美は、笑いながら竜児の鼻の先を、人差し指で軽く突っついた。
 竜児は苦笑した。強引に攻めるだけでなく、相手である竜児のことも慮ってくれている。
 たしかに、亜美は、竜児にとって最高のパートナーだ。

「参ったな…。そういうことなら泰子次第ってことか…・」

「うふふ…、元々はあんたがそう言ったんだからね。だから、これで、この件は決定」

 亜美が微笑んでいる。高二の時の約束が果されようとしているのが本当に嬉しいのだろう。
 弁理士試験や後期試験のための勉強が名目だが、実際は、亜美を抱き、海で遊ぶ、という毎日になるかも
知れない。だが、ようやく結ばれた二人にとって、この夏くらいは、そうであってもいいような気がした。

87指環(前編) 46/53:2009/06/12(金) 01:26:29 ID:OtcMxNmC

「今、何時だろうな…」

 竜児は、ベッドの傍らに置いていた自分のバッグから携帯電話機を取り出し、フリップを開いた。

「意外だな…、時刻は未だ午前零時前だ」

 亜美との入浴、それと初めての交合。いずれも、ずいぶんと長く感じたが、実際には全部ひっくるめても、二時間も
経っていなかったらしい。

「そうね…。ものすごく楽しかったけど、それは束の間だったのね…。でも、時間にすれば短いけど、あたしたちに
とっては、違う次元への跳躍みたいなものだったわ…」

「そうだな…」

「あたしは、あんたに貫かれて、あんたの女になった…。それは、もう、取り返しのつかない事実なんだわ」

「分かっているよ…。そのためにも、俺は、お前を何よりも大事に思っている。それだけは信じてくれ」

「う、うん…。そ、それはあたしもだから…」

 亜美が鼻声で、竜児に縋り付いてきた。その竜児は、右手で亜美の頭を撫でながら、ちょっと、困惑したように眉を
ひそめて携帯電話機のディスプレイに見入っている。

「ねぇ、どうしたの? 携帯の画面ばっか見つめてさ」

 ディスプレイには、『明日の件で、至急連絡を乞う 北村』が表示されていた。

「なぁ、ちょっと北村に電話するから、ちょっと、部屋から出るぞ…」

 北村の要件は他でもない、春田の家でのバイトのことだろう。であれば、亜美に聞かれるわけにはいかなかった。
 しかし、亜美は、ベッドから出ようとする竜児の脇腹を軽くつねって牽制した。

「いてぇな…」

「祐作への電話だったら、あたしに対して何の遠慮もないじゃない」

「そ、そりゃあ、そうだけどよ…」

「でしょぉ? だったら、ここでかければいいじゃない。何か問題でもあるってぇの?」

「い、いや…、男同士でなけりゃ話しづらいこともあるんだよ、頼むから、その辺は察してくれ」

 だが、亜美は柳眉を逆立てて竜児を睨んでいる。

「あやしい…。あんた、祐作と何か企んでいるでしょ? 何、何なの?」

 女ってのは、どうしてこうも無駄に直感だけは鋭いんだろう、と、竜児は冷や汗を浮かべながら、たじたじとなった。
 実にまずい状況だが、ここは、亜美が傍らにいるまま、北村に電話するしかない。
 後は、機転が利くはずの北村のリアクションだけが頼りだ。
 竜児は、意を決して、北村の携帯の番号をリストから選択して、呼び出し、携帯電話機を左耳に当てた。

「ちょ、ちょっとぉ! そっちの耳じゃ、亜美ちゃんにあんたらの電話が聞こえないじゃない! 亜美ちゃんに聞こえる
ように、右耳に電話をあてがいなさいよぉ!」

88名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:29:36 ID:PU5sTIMF
C
89指環(前編) 47/53:2009/06/12(金) 01:32:44 ID:OtcMxNmC
 竜児は、やれやれ…、と、うんざりしながら電話機を持ち替えた。ヒスを起こした亜美には、どうしても逆らえない。

『高須か?』

 携帯電話機のスピーカーから、つい数時間前に一緒だった北村祐作のよく通る声が発せられた。
 亜美は、竜児の隣で、その携帯電話機にぴったりと左耳を押し付け、聞き耳を立てている。

「お、おぅ、先ほどは済まなかった。おかげで楽しかったよ。川嶋も…」

 その瞬間、亜美が竜児の脇腹に、軽くだが肘鉄をお見舞いした。

『ど、どうした、高須? 大丈夫か?』

 竜児は、痛みを堪えるために、息を大きく吐いてから、北村との通話を再開した。

「い、いやぁ、何でもねぇ。あ、亜美も、それなりに楽しかったようだ。今、俺の隣に居るんだが、代わろうか?」

 亜美が居ることに留意して、要点はぼかして話してくれ、という符丁のつもりだった。
これだけで、洞察力に秀でた北村は分かってくれるだろう。

『いや、それはいい…。しかし、何だ、亜美も居るのか。と、言うことは、亜美の奴は高須の家に泊まるんだな?
それに、高須も、川嶋じゃなくて亜美と呼ぶようになったか…。うん、うん…、状況は理解した』

 たしかに、北村の洞察力は鋭かった。それだけに、余計なことまで悟ったのは困りものだが…。

「で、急な話ってのは何なんだ? 例の春田の家庭教師のことか?」

 横に勘の鋭い亜美が居る状態では、冷や汗ものの嘘だった。それも、北村が適切に応じてくれなかったら、最後である。
だが、北村の状況判断は的確だった。

『ああ、今日の電車の中で俺が切り出した話だが、春田の親御さんから、高須をぜひ数学と物理の家庭教師にって、
先ほど言われてな、それも、善は急げで、明日の朝から、都合十日ほど特訓して欲しいそうだ。
高須は、どうだ? 明日は動けそうか?』

 明日からとは急だなと、思ったが、竜児に異存はない。

「ああ、大丈夫だ。何とかなるよ。で、春田の家には何時に行けばいい?」

『春田の家には、八時までに着くようにしてくれ』

「了解した。それと、何か特別に用意しなきゃならねぇものはあるか? 教材とか…」

『会長のノート、通称“兄貴ノート”を使って勉強するそうだし、あのノートのコピーなら、春田の奴も持っている。
だから、教材に関しては特に必要なものはないだろう』

「分かった…」

『ただし、春田の部屋はエアコンがなくて暑いそうだ。扇風機はあるみたいだが、結構汗をかくかも知れない。だから、
タオルと、着替えを用意して行った方がよさそうだな』

 竜児は、その北村の一言で、今更ながらに、暑い場所での重労働であることを覚悟した。きっと、シャツが汗の塩で
真っ白になることだろう。さすがに日給が高いだけのことはありそうだ。
 そうだとしたら、作業の後に服を着替えるだけでは足りず、銭湯にでも行かねばなるまい。
 それにしても、春田の部屋にエアコンがないというのは、北村にしては苦しい嘘だったかも知れない。
案の定、隣では、亜美が、不審そうに眉をひそめていた。

90名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:32:57 ID:r1+CKHU8
とにかくC
91指環(前編) 48/53:2009/06/12(金) 01:33:57 ID:OtcMxNmC

「いろいろ済まねぇな。恩に着るぜ」

『礼には及ばん。俺は、高須が何か美味いものを作って食わせてくれたら、それでいいよ。じゃぁ、明日は頑張ろうぜ』

 そう言って、北村は電話を切った。

「なんか、いろいろと、あ・や・し・い…。家庭教師って、あの春田に? 春田みたいなバカじゃ、いくら教えたって、無駄
なんじゃないのぉ? それに、これってバイトでしょ? 泰子さんの許可はあるの?」

 竜児の肩に白磁のような頬を擦り付けながらも、亜美は、不信感丸出しで、眉をひそめ、口をへの字に曲げている。
要点をぼかした北村の話のどこら辺までを把握されたのかが気になる。
 直感が鋭く、思考力もそこそこ備わっている亜美のことだ、もう、北村の話が嘘で塗り固められていることぐらいは
お見通しだろう。

「ま、バイトっつうか、なんつぅか、ほ、ほら、ボランティアみたいなもんだよ。春田も、結局、大学受験を志すみたいで
さ、で、ちょっと、勉強で解らねぇところを俺や北村に訊きたいんだと、それで、大学生である俺と北村が一肌脱ごうっ
ていうわけなんだよ」

「本当にバイトじゃないのぉ? でも、家庭教師をするくらいなら、相当の対価を受け取るべきじゃない! それを
しないでボランティア? しかも、お人好しのあんただけじゃなくて、少なくとも、あんたよりは現実的な祐作までぇ? 
嘘くさ〜い!」

 しまった、と思ったが、後の祭である。信憑性を持たせるために北村も一緒だと言ったのは、失策だったらしい。
亜美のことだから、明日の昼にでも北村に電話して、確認するに違いない。その時に、北村が、家庭教師をして
いない、とでも口走ったらおしまいだ。

「お、おぅ、北村も英語を春田に教えるんだ。それと現国に古文、漢文、世界史、日本史の文系科目全般なんだ。
それで、俺と北村の二人なんだよ」

 明日にでも、すぐ電話して、北村とは口裏を合わせておく必要があるだろう。それで亜美を誤魔化せるのなら、
御の字だが…。
 その亜美は、相変わらず不審そうに眉をひそめている。

「それに、朝八時って妙に早いわね。何だか、家庭教師っていうよりも、ブルーカラー的な肉体労働者が集まるような
時間じゃない? しかも、エアコンがないから、着替えって、何?」

 痛いところを突かれ、竜児は内心うろたえたが、とにかく、落ち着け、落ち着けと、念じて、動揺していることを亜美
に悟られまいとした。
 しかし、亜美の追及は容赦がない。

「ねぇ、正直に言ってよ。家庭教師ってのも嘘なんでしょ? 本当は、内装屋やってる春田んとこで内装工事か何かの
アルバイトをやるんでしょ? どうなの?!」

 万事窮す、完全に見抜かれてしまっている。こうなったら、白状するしかなさそうだが、それだけは絶対に避けた
かった。自白したら最後、すべてがお終いである。これは、実際の裁判でも同じだ。

「な、なんで、へたれな俺が、タフな肉体労働をやるっていうんだよ。そんなこたぁ、あり得ねぇだろうが…」

「どぉかしら? その気になれば、何だってやってのけてしまう竜児なら、あり得なくないわね。
どう? そろそろ本当のことを白状したらどうなの?」

 亜美は、瞳を大きく見開き、その瞳から、まるで放射線か何かを照射するように竜児を睨め付けている。
 魅力的だが、相手の本心を貫き通すような亜美に眼力に、竜児は怯みそうになった。だが、事実をありのまま
92指環(前編) 49/53:2009/06/12(金) 01:35:11 ID:OtcMxNmC
述べる訳にはいかなかい。

「いや、だから、本当に家庭教師をやるだけだって…。それも、北村と一緒のボランティア活動みたいなもんさ。
バイトじゃねぇって…」

「ますます、胡散臭いわね…」

 亜美が、鼻を鳴らして、ぽつりと言った。

「信じるも、信じないも、お前次第さ。そんなに疑うなら、明日は、俺と一緒に春田の家に行けばいいじゃないか。何なら、
お前も春田に何か教えてやれ。春田は、未だにお前のことを憎からず思っているだろうから、多分喜んでもらえるぜ」

 竜児にとってギリギリのブラフだった。亜美が、春田のことを、そう快く思っていないことを願いつつ、平静を装いなが
らも、内心では固唾を飲んで亜美の反応を待った。
 しかして…、

「え〜っ、何で、亜美ちゃんが、春田みたいなおバカさんの面倒を見なきゃいけない訳ぇ?! そんなの冗談じゃないわ
よぉ!」

 竜児は、内心、ほっと胸を撫で下ろした。だが、ここは強気に出ることにする。

「なら、俺の言うことにいちいち疑念を挿むな。俺はあくまでも、春田の学力向上を願って、この家庭教師を引き受けた
んだ。それに、家庭教師をやってれば、自分自身も勉強になる。泰子がバイトにいい顔しねぇのは、バイトで俺の学業が
疎かになることを危惧しているだけなんだ。それが、バイトでもないボランティアの家庭教師なら、
何も問題はねぇだろう?」

 我ながら、無茶苦茶な論法だと思い、竜児は冷や汗ものだった。
 バイトでないことを誤魔化すために、安直に、『ボランティア』と言ったことが色々と祟っている。バイト禁止の理由
は、竜児が言ったように、学業が疎かになる畏れがあるからなのだが、それを逆手にとって、家庭教師は竜児にとって
も勉強になる、という詭弁を弄した。ちょっと、考えれば分かるように、高校と大学では、レベルが全然違う。大学受験生
の家庭教師をしたところで、大学での勉強の足しになるわけがない。

「言いたいことは、それだけなの?」

 やっぱりと言うべきか、亜美がジロリと睨んでいる。その眼力に、竜児は蛇に睨まれるカエルの気持ちが分かるよう
な気がした。このままでは、竜児はぐうの音も出ないほど、亜美にとっちめられることだろう。

「だから、本当に、単なる家庭教師のボランティアなんだって…。第一にだなぁ…」

「何が第一なのよ?」

 言い訳のネタがない。根が正直だから、こうした虚々実々の駆け引きというものに、そもそもが馴染まないのだろう。
 それでも、竜児は、そこそこ優秀な頭脳をフル稼働させて、亜美を煙に巻くことができそうな口実を必死に考えた。

「な、なぁ、俺に物欲が余りないことは、お、お前が一番よく知っているよな?」

「そうね…、あんたは調理器具や食材とかには結構お金を使うときもあるけど、それも、熟慮の上、必要に迫られてから
買うことがほとんどだわね。それが、どうかしたの?」

 亜美が、相変わらず、竜児の顔を凝視している。僅かな表情の変化から、竜児の嘘を暴くつもりなのだ。

「俺は、講義に必要な専門書や、弁理士試験に必要な基本書も大体は買い揃えた。今後も結構高い本とかが必要に
なるかも知れねぇが、細々だが、添削のバイトを続けてきたおかげで、ある程度の貯蓄もできた。だから、これ以上バイト
する必要性がねぇ。だから、春田の件は、バイトじゃなくてボランティアなんだよ。友人である春田の学力を向上させて
93指環(前編) 50/53:2009/06/12(金) 01:36:13 ID:OtcMxNmC
やる、それえだけのことなんだ」

 もっともらしく理屈は付けたが、説得力は皆無に等しい。亜美は、口をへの字に曲げて、むっとしたままだ。

「聞けば聞くほど嘘臭い…」

「だ、だがよ、こ、これは本当なんだって。俺と北村は、明日から春田の面倒を見てやることになっている。こ、これは、
もう決まったことなんだよ」

「それで、あんたの言うボランティアとかは、明日から十日間だっけ?」

「お、おぅ、明日から十日間の予定だが、春田次第で変わってくる」

「十日間程度…、そんな短期間で効果があるのかしら…。まぁ、できるだけ短い方が、あたしはあんたと別荘で過ごせる
期間が長くなるから有難いけどね…」

 不機嫌そうな亜美の相好が、苦笑したかのように、一瞬だけほころんで見えた。多分、余りに説得力のない嘘に、
呆れているのだろう。
 だが、次の瞬間、亜美は、冷や汗を浮かべて、たじたじになっている竜児の喉元に、バラ色の口唇を押し付け、
吸血鬼もかくやの勢いで、激しく吸引した。

「な、何しやがる!」

 亜美は、竜児の抗議にも構わず、喉元の同じ箇所を、これ以上はあり得ないような強さで吸い続けた。吸われて
いる時間は、ほんの数十秒ほどなのだろうが、竜児にとっては、それが果てしなく長く感じられた。
 その吸引で、竜児が焼けるような軽い痛みを覚えた頃、ようやく、亜美は口唇を竜児の喉元から引き離した。
 だが、亜美に吸引されていた箇所には、接触していた亜美の口唇そのままの形で、赤い痣のようなものが浮き出て
いる。

「これは、あたしからあんたのへの戒め。どう? フィアンセのキスマークの味はぁ」

 亜美は、唇を手の甲で拭うと、その口唇を半開きにした妖艶な笑みを竜児に向けた。

「な、何だって、キ、キスマーク?」

 竜児は、狼狽して、先ほどまで亜美が吸い付いていた辺りを撫で回した。鏡を見ないと、どうなっているのか分から
ないが、触っただけでも、その部分が微かに熱を帯びているのが感じられた。

「これだけくっきり残っていると、誰にだって、キスマークだってのは分かっちゃうわねぇ。それに、ちょっと微妙な位置に
付いているしぃ。カッターシャツみたいな襟付きのシャツなら隠れるけど、Tシャツとかじゃ無理。だから、あんたは、
肉体労働で暑くなっても、服は脱げない。Tシャツ一枚になることだってできないでしょうね」

 竜児は、亜美に吸引された箇所を、手で押さえながら、唇を震わせた。
 やられた、まさかこういう手があったとは、本当に、亜美という女は油断がならない。
 しかし、ここは感情的になった方が負けである。竜児は、なおも平静を装った。

「しようがねぇなぁ、こんなところにキスマークなんて…。まぁ、いくら春田の家の中が暑いっていっても、半袖のスタンド
カラーシャツで、十分しのげるだろう。何せ、暑いとはいえ、部屋の中で、家庭教師のボランティアなんだからな。それに
春田にキスマークを見られたって、どうってことはねぇ。何なら、亜美は俺の女だ、ぐらい言ってやるいい機会かも知れ
ねぇ」

 そうして、傍らの亜美に、わざとらしくにやりと笑って、あくまでも嘘を貫き通した。

「ほぉ〜、これだけ嘘臭いのに、ここまであんたがシラを切るのは初めてね。まぁ、いいわ、お手並み拝見といきましょう
94指環(前編) 51/53:2009/06/12(金) 01:37:24 ID:OtcMxNmC
か…。明日からの十日間のうちに、どんな形で、あんたの嘘が破綻していくのかが見ものだわね」

 お馴染みの目を細め、口元を歪めた性悪笑顔。その目と耳は、竜児の嘘を確信的に見抜いているに違いない。
 にもかかわらず、今回に限って、この場で徹底的に追及してこない亜美に、竜児は今までになく不気味なものを感じた。

「どうしたの? 痛いところを突かれて、だんまり? まぁ、いいわ…。あんたの嘘が最後まで破綻しなかったら、
あんたの勝ち。でも、あんたの嘘が途中で破綻して、バイトであることが明らかになったら、あんたの負け。
そういうことで宜しくぅ」

 竜児は得心した。これはゲームなのだ。亜美は、竜児の嘘を見抜いていながら、わざと泳がせて、ぼろを出すのを待
つつもりらしい。
 ならば、竜児にも遠慮はない。欺いて、謀って、偽り続けるだけのことである。狡猾さにおいて一枚上手の亜美に、
根が正直な竜児の嘘が通用するとは思えなかったが、もうゲームは始まっているのだ。

 竜児は、携帯電話機の時刻表示を確認した。午前一時近い。もう、そろそろ眠らないと、明日から始まる重労働に差
し支えるだろう。

「なぁ、亜美…、そろそろ…」

 眠った方がいい…と続けるつもりで傍らの亜美を見ると、既に、竜児に縋って、微かな寝息を立てていた。
 竜児は苦笑した。その寝顔は、先刻まで竜児を意地悪く追及していた亜美とは全く別の、幸せそうな笑みであった。


 翌朝、竜児は、午前六時に目を覚ました。
 とにかく、身体がだるかった。
 昨日の亜美との交合による、重い疲労感が全身に残っている。大腿部や臀部には筋肉痛らしい鈍痛まであった。
やはり、セックスというものは、スポーツ並に体力を消耗するものらしい。
 ペニスに残る疼痛も無視できなかった。亀頭の粘膜には、亜美の胎内で圧迫され擦過されたことによる細かい傷が
あるのだろう。勃起しただけでもズキズキと痛んでくる。

 竜児は、ベッドに横たわる亜美を見た。長い髪をシーツの上に広げ、一糸纏わぬ姿のまま、タオルケットにくるまって、
未だに眠り続けている。
 処女であったにもかかわらず、竜児のいきり立った極太ペニスで幾度も貫かれただけに、その肉体的なダメージは
相当なものなのだろう。

「やっちまったな…」

 最愛の娘を抱き、ともに結ばれたという喜びよりも、もう、後戻りは許されない悲壮感や責任感が、竜児の心に重く
伸し掛かっていた。
 竜児は、横浜で亜美と永遠の愛を誓い、昨晩ようやく結ばれた。だが、自分はその永遠の愛を貫くことができるの
だろうか、という不安が湧いてくる。
 ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に代表されるように、男女の永遠の愛を描いた古今の作品では、結局、
男の方が永遠の愛の約束を違えるのが一種のお約束だ。竜児だって、『指環』のジークフリートのように、何かの過ち
で妻となる亜美を裏切ることがあるのかも知れない。

「お、おっと、柄にもねぇ…」

 竜児は、自分の三白眼を思い出して、苦笑した。
 亜美ならば、『指環』のヒロインで、ジークフリートの妻であるブリュンヒルデといったキャラだが、
竜児はジークフリートのような英雄ではないことを、彼自身が誰よりもよく知っていた。

 竜児は、ブリーフとTシャツ、捨ててもいいような古いジーンズを手にし、シャワーを浴びるために浴室へ向かった。
 脱衣所に置いてある鏡で改めて確認すると、喉元の右下には、赤黒い痣がくっきりと印されている。

95指環(前編) 52/53:2009/06/12(金) 01:39:31 ID:OtcMxNmC
「まいったな…」

 亜美の口元は小作りだったはずだが、赤黒い領域は意外と大きかった。その全部を隠せるような絆創膏はあいにく
と持ち合わせがない。
 しかしその形はかなりぼやけていて、よくよく見なければ、口唇の跡とは分からず、遠目には、単なる皮膚炎のように
見えなくもない。
 竜児は、Tシャツ姿になる時は、首にタオルを巻いておくことにした。

 竜児は、ボディシャンプーを手に取り、それをスポンジで全身に塗り付けた。亜美との初めての交合の余韻を思わせ
るような、饐えたような匂いは、徹底的に除いておかないとまずい。
 竜児は、更に、低刺激性のシャンプーで髪を二度洗い、シャワーを手短に切り上げた。
 身体と髪を拭いて、ブリーフにTシャツ、ジーンズを着ると、朝食の支度に取りかかる。
 まずは、手早く米を洗って、炊飯器にセットする。昨夜のうちに準備しておかなかったのは竜児らしからぬ失策だった。
亜美や泰子は炊き立てのご飯にありつけるだろうが、竜児自身は、冷凍保存したご飯で我慢しなければならない。
 一方で、おかずは、いつも通りに、みそ汁に、塩鮭、作り置きの煮物、それに卵焼きと海苔である。シンプルそのもの
だが、結局は、こうしたものの方が、美味しいし、飽きが来ないのだ。
 みそ汁の具は、油揚げと切り干し大根にした。煮物でも繊維質は摂れそうだが、やや物足りない。その点を、切り干し
大根で補おうというわけだ。

 焼いた塩鮭と卵焼きは、亜美と泰子の分までラップにくるんで、ちゃぶ台の上に配膳しておいた。泥酔しているだろう
泰子はともかく、亜美だけは目を覚まさせて一緒に食事とでも思ったが、処女喪失という一生に一度しかない重大な
体験をしたのだから、好きなだけ休ませることにした。

 竜児は、炊飯器の様子を確認した。炊き上がるまで、もう少々時間がかかる。仕方がないので、竜児自身は、
冷凍保存のご飯をレンジで暖めたもので我慢した。
 そのレンジで暖めたご飯を食べている最中に、ご飯が炊き上がったことを示す、炊飯器の電子音が鳴り響いた。

「間が悪いぜ…」

 亜美と結ばれたこと、それにこれから始まる肉体労働に気を取られていたのか、今朝は、いつもの竜児では
あり得ないほど段取りが悪い。それでも、亜美と泰子には炊き立てのご飯を用意できたので、よしとすることにした。

 食事を終えて、自室に戻ると、亜美は未だ眠っていた。
 竜児は、その頬を軽く撫でたが、亜美は瞑目して寝息を立てたままだ。

「しょうがねぇなぁ…」

 竜児は嘆息すると、亜美には構わずに、出掛ける準備をした。
 古びたディパックに着替えのTシャツと、二枚のタオル、それに替えのジーンズを詰め込んだ。
 ついでに、汗止めとして額に巻くつもりのバンダナも用意した。

「こんなところか…」

 荷物を詰め終えると、Tシャツの上にネービーのスタンドカラーシャツを羽織り、上のボタンまできっちりと止めた。
本当は暑苦しいからTシャツ一枚で行きたかったが、亜美に付けられたキスマークを隠蔽するには、こうでもするしか
ない。
 それから、竜児は机に向かい、以下のような亜美への連絡事項をしたためた。

『亜美
 俺は、これから春田の家へ行って来る。
 帰りは、いつになるか分からないが、多分、夕方遅くなるに違いない。
 もし、今日も弁理士試験の勉強を予定しているのなら、夕食を終えた七時以降がいいだろう。
 それと、朝食はちゃぶ台の上に用意してある。気が向いたときに食べてくれ。
                                      竜児』

96指環(前編) 53/53:2009/06/12(金) 01:41:11 ID:OtcMxNmC
 そのメモを、寝ている亜美の枕元にそっと置くと、竜児は携帯電話機を開いて時刻が七時半であることを確認した。
 そろそろ出発してもいい頃合いである。

「じゃぁ、行ってくるぜ」

 眠っている亜美に、囁くようにそう告げると、竜児は着替え等を詰め込んだディパックを背負って自室を出た。
 捨ててもいいような一番ボロいスニーカーを履いて、玄関の外の階段をいつものと変わらぬ面持ちで、下りる。
 日給一万二千円は、多分税込みだろうから、十日間働けば、手取りで十万円強の現金を稼げる。これと自分の貯蓄
を合わせれば、あのペアリングも何とか購入できるだろう。
 そんな皮算用をしながら、門を出て、路地に入るや、竜児は手にした携帯で北村に連絡した。

「ああ、北村か? 俺だ、高須だ。今、家を出たところだ、それと、済まねぇが、ちょっと口裏合わせをしてくれねぇか。
実はなぁ…」

 昨晩、亜美に問いつめられて、北村も家庭教師のボランティアをすると口走ったことの辻褄合わせである。
 だが、二階の窓から、裸身にタオルケットを巻き付けた亜美が、路地で電話する竜児をカーテンの陰からそっと
窺っていることは、当の竜児は知る由もなかった。

(以下、『指環(後編)』に続く)

97SL66:2009/06/12(金) 01:43:12 ID:OtcMxNmC
以上です。
一部またしてもナンバリングのミスがあったようで、すいません。
一応は内容はつながってます。
なお、タイトルが「指環」なのは、誤記ではありません
「ニーベルングの指環」を意味するので、「指輪」ではありません
98名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:48:29 ID:r1+CKHU8
>>97
エロGJ!後編はエロくなるのでしょうか?
今から全裸待機しますね。

後編も楽しみにしとりまっせ!!
99名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:48:30 ID:wOBXm6qT
後編 期待してますよ!!!
100名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:52:12 ID:o01VGOli
堪能させていただきました。
101名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 01:52:47 ID:Y07Wfu7t
長編GJ
今から読むよ
102名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 03:04:43 ID:5yT2hNVy
GJ!
何気なくけいおん!ネタ入ってたりして面白かったw
103名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 03:46:18 ID:XTqtvvHX
>>97
SL66師匠の書くあーみんの可愛さは異常
「あんたの女」なあーみんに乾杯♪
104名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 06:07:43 ID:5k8wToue
お早うございますTORADORAFANTASYの作者です今日中に2話目を投下しようと思いますので暇だったら見てください
それまでの幕間として1話目のあらすじを次レスより投下します
105アホでも分かるとらファンあらすじ:2009/06/12(金) 06:09:44 ID:5k8wToue
春田「どもーみんな元気ー?世界の春田だよ〜ん」

能登「そーだお前は世界でトップレベルのアホだ。あーどもっす能登っすここはひとつヨロシク」

春田「ん?前半気になる言葉があったけど・・・ま、いっか。ところで俺たちはなんなのさ?」

能登「なんでも前回のあらすじの説明をするんだとよ。」

春田「は〜めんどくさ。能登っちやっといてよ、俺てきとーにつっこむから」

能登「あいよ。えーと、気がつくと高須は見知らぬ草原にいた。」
春田「なんかありがちだよね〜」

能登「まあたしかに。そんで周りにはタイガー、櫛枝、亜美たんがいたわけだ。」

春田「なーんでそうなんのよ、なんでその三人なのよ?大先生は?裸は?」

能登「落ち着け春田、大先生は本編でちゃんとしたと役があるんだよ」

春田「そーなの?じゃあ俺たちは?」

能登「正直に言うと無い、だからあらすじなんてやってんだよ。」

春田「そっかーそーなのかー」

能登「そんな悲しい顔をするな。あーすんません説明に戻ります。高須が戦士、タイガーがモンク櫛枝が白魔道師、亜美たんが黒魔道師なんだと」
106アホでも分かるとらファンあらすじ:2009/06/12(金) 06:10:29 ID:5k8wToue
春田「魔女っ娘な亜美ちゃんもいいなぁ」
能登「ああ、あれはいいものだ。四人はそれぞれ謎のクリスタルをもっていた。」

春田「・・・」

能登「あれ、つっこまないの春田?」

春田「興味ないね

能登「興味なけりゃつっこまねーのか。 四人は近くにあった城へと出発しようとするがその矢先」
春田「まさか・・」
能登「四人はモンスターに襲われる。あまりの恐怖に腰を抜かす亜美たん」

春田「それってゲキヤバじゃーんうわーん亜美ちゃーん」

能登「そんな亜美たんを高須がおぶさり、タイガー、櫛枝と逃げる。って感じだ。くっそー高須め亜美たんをおんぶするなんてぇ」

春田「うらやましすぎるよまったくも〜」

能登「まあさておき次回予告なんだが」

春田「そんなのもすんのかよー俺、瀬奈さんと約束があるんだけど帰っていい?」

能登「まあそう言うなよ。じゃあ行くぞ」

春田「おうよ」

能登「さーて次回のとらファン!は〜」
能登「なんとか城下町に着く高須一向。だが亜美たんに新たな魔の手が!」

春田「なんですと〜」
107アホでも分かるとらファンあらすじ:2009/06/12(金) 06:11:05 ID:5k8wToue
亜美『た、高須君、やめてっこんなこと・・・』

竜児『いいじゃねぇか川嶋一発ヤらせろよ』

亜美『イヤーーーーー!』

能登「と、まぁこんな感じらしいぞ。」

春田「ぬおーーー高っちゃん許すまじ!」

能登「ああこんなやつに成り下がってたなんてな」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

竜児「ウソの予告を・・・・」

春田「た、高っちゃん?」

能登「高須、眼がマジでこわいぞ?」

竜児「してんじゃねえぇぇぇぇぇ!」

春田・能登「「ご、ごめんなさいいいい」」

能登「た、高須、悪かった!だからそんな物騒なモンしまってくれ」

春田「そうだよ高っちゃん。話せばわかる!」

竜児「問答無用!」
竜児「走れ!光よ!」

春田・能登「「ウボァー」」

能登「そ・・それでこそキングオブ主夫」

春田「い・・・痛いよハレルヤ・・まるで世界の悪意が見えるようだ・・・」
108アホでも分かるとらファンあらすじ:2009/06/12(金) 06:11:48 ID:5k8wToue
竜児「ふー、さてアホの二人はこのままにしておくとして。」
竜児「実際はこんなんじゃないぞ?まぁちっとはあたってっかもしんねぇけど・・・」
竜児「とにかく、2話目は誠意製作中だ待っててくれ」
109名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 06:15:28 ID:5k8wToue
以上です。最後になりましたが一言
SL66さんGJです。こんなことを言うのも変ですが二人ともおめでとう。
後編も期待してます!では
110名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 10:05:23 ID:d5Oi9a/s
SLさんおつかれさまー! 後編も楽しみにしてます。
そして竜児、あーみん、おめでとう!
111名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 20:04:05 ID:eyXqf92y
SL66さん GJです。
最初53レスってあったのが、間違いかなと思ってました。
まさか前編だけでこんな長編とは、すげーおもしろかったです。
112名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 20:08:49 ID:eyXqf92y
>>109
これは1.5話かな
2話まってます。
113名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 20:29:32 ID:6Wl7tgpP
SL66さんいつもながら、長編お疲れ様です。
後編wkwk

とらファンの人も楽しみにしてます^^
114名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 23:37:02 ID:5k8wToue
どもっすTORADORA FANTASYの作者です。
今回第二話を投下しますが前後編にしたいと思います。

後編は明け方に投下する予定です。でははじめりです
115TORADORA FANTASY:2009/06/12(金) 23:39:28 ID:5k8wToue
TORADORA FANTASYU Warrior of Lights

「・・・はあっ・・・はあっ・・・」

竜児はひたすら走る。
目の前に見える城へと、武器があればある程度応戦しようと思ったがそんな物はあいにく無い。
鎧を着ているが今の竜児には暑くて重いだけだ。顔からは大粒の汗が止め処も無く落ちる。

「くっそ・・・大河め・・・先に行きやがって」

大河と実乃梨は今竜児の前にはいない、ずっと先に行ってしまった。

「た・・高須君、私もう大丈夫だからおろしてよ・・」

亜美が心配そうにそして顔を赤らめて尋ねる。しかし竜児の耳には届いてはいない

「・・・っ・・・」

「うおわぁっとっとっ」

亜美が無理やり降りようとすると竜児はバランスを崩す

「川嶋っ・・動かないでくれっコケちまう」

「ご・・ゴメン」

竜児の足はとっくに限界を超えている、いつ倒れてもおかしくない。だが竜児は絶妙なバランスを保っている

「まあいい・・・おい見ろよ、やっと門が見えてきたぞ。」

目の前には大きな城門が開いている

「よかった、たすかっ・・・え?」

なんということでしょう。今まで開放的だった城門は門番の手により閉鎖的に、巧みの技が光ます。

「なんで・・・閉めるんだよ」

竜児の顔がまっ青に変色していく
116TORADORA FANTASY:2009/06/12(金) 23:40:28 ID:5k8wToue
後に門番はこう語った

「光の戦士?ああ来たよ。」

「まずはじめに来たのは二人だった。一人はチャイナ服のお団子娘。もう一人はフードを被った娘だった」

「チャイナの方はまるで人形のようなかわいさだった。二人目はテンションがおかしかったが笑顔がまぶしかった」

「二人連れが後から来るから開けといてくれと言われて開けて置いたそしたらすぐにその二人は来た、男が女をおぶってね」

「しかし私は門を閉めようとしてしまった。彼の目が怖かったんだ。それに後ろにゴブリンがいるもんだから魔王だと思ってしまった。」

「彼には本当に申し訳ないと思っている。」



「うおおぉぉぉ!!!!」

「まだだっまだ終わらんよ!」

竜児が跳ぶ、そのままヘッドスライディングのごとくすべる
ズザァァァァ ゴンッ
ズザァァァァは滑る音、ゴンッは亜美が竜児の兜に頭をしたたかに打ち付ける音
117TORADORA FANTASY:2009/06/12(金) 23:43:11 ID:5k8wToue
「うおおぉぉぉ!!!!」

「まだだっまだ終わらんよ!」

竜児が跳ぶ、そのままヘッドスライディングのごとくすべる
ズザァァァァ ゴンッ
ズザァァァァは滑る音、ゴンッは亜美が竜児の兜に頭をしたたかに打ち付ける音

「亜美ちゃんもうわっかんなーい」

意味不明のコメントを残し気絶する

「よ・・鎧でよかった・・川嶋大丈夫かっておうっ・・・」

「大丈夫ー?高須君、あーみん」

大河と実乃梨が駆け寄ってくる。

「俺は平気だが川嶋が気絶しちまった」

「ちっ、だらしないねぇオラッ起きろばかちー」

大河が亜美の腹を軽く蹴る

「やめろ大河、川嶋は俺がおぶっていく。」

「あらそう、ばかちーに発情するんじゃないわよエロ犬」

「しねぇよ」

幸か不幸か亜美の豊満な胸の柔らかい感触は鎧によってシャットアウト
竜児の息子がスタンディングすることは無かった。

(いろんな意味で鎧でよかった・・・)

亜美をおぶさり大河の後を追おうとしたとき後ろから声がした

「高須君っ私たちなんかスゴイことになってるよ」

「えっと・・・なんだそりゃ」

内心ドギマギしながら実乃梨に尋ねる。

「えっとねーなんか私たち『光の戦士』らしいよ」

「光の戦士ぃ?」

TO BE CONTINUED
118名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 23:44:40 ID:5k8wToue
以上です後編がんばってきますではでは
119名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 01:37:22 ID:i8CziPeJ
GJ
120名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 03:04:59 ID:e6C+Q+Dk
GJ!続き待ってるよー

それにしても、二作連続あーみんが竜児におんぶされていますね。

もし普段のあーみんなら冗談っぽく竜児の耳をカプカプ甘噛みして、そのまま舌先で耳の裏から首筋に掛けて舐め、
鎖骨まで行くかと思いきや、耳元で
「あれ?高須君、今亜美ちゃんのお尻触ったでしょ?」

とか言うんだろうか?流石にこんなに淫乱じゃないか…このスレに毒されすぎたな…
121TF:2009/06/13(土) 06:44:23 ID:AfslPIXl
GJありがとうございます。これから後編を投下いたします
122TORADORA FANTASYU後編:2009/06/13(土) 06:46:42 ID:AfslPIXl
「そう光の戦士。英語だとWarrior of Lightだね。」

「ど、どうしてそんなことを櫛枝は知っているんだ?」

「門番さんから聞かれたのだよ。あなたたちもしかしてクリスタルを持っていませんかーって。」

櫛枝が説明を始める

「そんでこいつを出したらあなた達が光の戦士なのですねようこそ我が国へいらっしゃいましたってな感じだったわけよ。」

クリスタルを取り出し右往左往で説明をする

「そ、そうなのか(・・・あれ?このクリスタル見たことがある・・もっと違う形で・・どこでだ?)」

竜児は妙な既視感を覚える。四人のクリスタルは同じ形をしている。
片方には割れたようなあとが二つあるほそい円柱のような形をしていた。

(それにこいつ幾つも割れたあとがある、一回こいつはどっかで割れたのか?)

『・・・・・・高須、くん・・・・・・』

『おう』

(!?な・・・なんだこれ・・・)

『・・・・・・高須くん、高須くん・・・・・・』

『聞いてるよ』

(櫛枝と・・・俺?何で櫛枝は泣いているんだ?俺たちは何をしているんだ?こんなことあったか?)

『高須君・・・・・・』

『いるよ』
123TORADORA FANTASYU後編:2009/06/13(土) 06:47:25 ID:AfslPIXl
(何でだろう俺はこの先を見たくは無い、気になるけど見たくない・・・なぜだ?)

竜児は自問自答を繰り返すがなかなか先へはたどり着かない

「どったの高須くん」

実乃梨が竜児を心配そうに見る目に気づき顔を上げる

「い、いやなんでもねぇ。大丈夫だ」

「そっかーならいいんだ。じゃあ私は大河を追っかけるよ、ではバッハハ〜イ」

大河めがけて実乃梨は走っていく

「大河〜私を置いて行かないでよ〜いつから大河はそんな白状になったんだい?」

「みっのりーんゴメンねーつい先へ行っちゃったー」

大河も実乃梨に走り寄り、お互いひっしと抱き合う

「みのりんは私を好きにな〜る好きにな〜る」

大河が人差し指を実乃梨の目の前でくるくると回す

「そんなことをしなくてもみのりんは大河がすきだぜよ〜」

「私も〜みのりんみのりんみのりんぬ〜」

「あいつらもあきねぇよなぁー」
124TORADORA FANTASYU後編:2009/06/13(土) 06:48:19 ID:AfslPIXl
竜児は呆れ返った様子でその光景を見る

「ん・・・ううん・・・」

(あれ・・・あ、そうか私、気失って・・それで・・・)

亜美が気絶から回復し自分がおんぶされたままなのに気づく

(降りなきゃダメなんだろうけど・・・もう少しこのままでもいいよね。それくらい許されるよね)

「川嶋?起きたのか?」

「・・・・・・・・・」

竜児が尋ねるが気がついていないフリをする。
そしてそのまま顔を竜児の首筋に近づける。

(ちょっと汗臭いけど高須くんのにおいがする・・・ああずっと・・・この・・ままで・・・・いた・・い・・・・・な・・・)

「川嶋?おいどうした?」

「スゥ・・・スゥ・・・」

規則正しく亜美の寝息が聞こえてくる。
竜児はあきれた様に

「寝ちまいやがった」

(でも・・・こんな幸せそうな顔をして寝ているやつを起こすのも気が引けるな・・・城に着くまでは寝かしといてやるか。)

(そういや川嶋の幸せそうな顔をしてるのはなかなかみないな・・・いっつも仮面被ってるか意地悪そうに笑ってるかのどっちかだ)

「こいつも大変なんだよなぁ」
125TORADORA FANTASYU後編:2009/06/13(土) 06:49:52 ID:AfslPIXl
そうぼやいて竜児は城へと足を急がせる。背中で寝ているお姫様を起こさないように慎重に

「おっそわよ馬鹿犬、何してたの?まさか・・・ばかちーと・・・」

「なに言ってんだお前は、俺は町をゆっくり見ながら着たんだよ」

竜児がすばやく的確に大河につっこむ、しかし今度は実乃梨が寝ている亜美を見て

「おや?あーみんはまだ起きてないの?」

「ああそうか、おーいおきろー川嶋ー」

竜児が肩をやさしく揺する

「ん・・・う・・ん、ここどこ?・・高須くん」

「城の前だ。ほらちゃんと起きて、」

「う・・うん」

「あのーすいません私たちこういうものなんですが」

実乃梨がクリスタルを近衛兵に見せる。すると

「良くぞいらっしゃいましたようこそ大橋城へ」

近衛兵が訝しげに頭を下げる。

(お・・大橋ぃ?いままでビッグブリッジも死闘もギルガメッシュも見てないぞ?ってそうじゃないなんで俺たちの地元の名前なんだ?)

竜児が考えを巡らせる。それはほかの三人も同様だ 

「さ、みなさん固まってないで行きますよ王がお待ちです」

「「「「あ、ああはい」」」」

「陛下、例の者たちです」
126TORADORA FANTASYU後編:2009/06/13(土) 06:50:14 ID:AfslPIXl
「そうか入ってよいぞ」

「よく来てくれたな、光の戦士たちもとい、高須、逢坂、亜美、櫛枝」

王と呼ばれる者、それは竜児の親友北村祐作その人だった

「き・・・北村?」

「きっ・・・きたっ・・北村きゅん?・・・」

「はああ?なんで祐作が王様なワケ?」

「なるほどうわははははは北村君は王様でしたァぁぁぁぁぁいつの間にかぁぁぁ!」

次回へ続け
127TF:2009/06/13(土) 06:51:40 ID:AfslPIXl
以上です。Vはもうしばらくあとになりますではでは
128名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 07:03:46 ID:kBmpV+eX
補完庫管理人さんへ
「日記。徒然に…」の第19話と第20話のページのどちらにも、第19話〜第20話が連続して入っています
第21話のページでは第21話に続いて第20話が入っています
129名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 22:46:00 ID:PgumAS8k
これぞ裸の王様!!
いや、ただの露出狂なんだけどね。

続き待ってまーす。
130Resonancer:2009/06/13(土) 23:05:51 ID:GEiDhvuZ
とらドラif『あるいは、裏方な二人』

 「北村君ちょっといいかな」
 ソフトボールの練習後、グランドの整備が終わったころを見計らい、櫛枝みのりは北村祐作を呼び出した。
 「ああ、別にかまわんぞ」
 普段の櫛枝からはあまり見られない、笑いを隠した真剣そのものの表情に、北村は多少声を落としながら答えた。
 残っていた生徒と別れを告げて、櫛枝と連れ添い人気の少ない体育館の裏側までやってきた。
 何のために呼び出されたのか検討は付かないし、一年以上部活の関係で顔をあわせているが、こんな様子の櫛枝を見たのは初めてだった。
 何かを言い出そうとしているが、それを口にするのをためらうように、若干考えるそぶりを見せた後、思いを打ち明けた。
 「大河と高須君がツーショットなのッ!!」
 前後の会話がぶっ飛んだ内容に、さすがの北村も一呼吸の間脳の活動が停止、再起動まで3、2、1、
 「そっ、そうなのか。それは知らなかった。最近何かと一緒にいると思ったらそういうことだったのか」
 「毎日気づいていないと思っているのかな? 大河達毎日一緒に登校してる。私はいっつもお邪魔虫。いつ打ち明けてくれるのかなってずっと待ていた……しかしッ!! いつまでたっても打ち明けてくれない」
 地面の上でごろんごろんと転がる櫛枝、すでに土ぼこりで汚れていたユニフォームが、いっそう焦げちゃに、染め上がっていく。
 「確かに、一言教えてくれてもいいものだ。高須と逢坂のために是非、祝電のひとつも書き上げてやりたいものだ」
 両手を組みながら大きくうなずき、頭の中で二人に送る言葉を考え込む。そこで、櫛枝は、地面をなぞる人間ローラをやっと停止し、起き上がり、
 「でもね、私思うの。大河って気難しいところもあって、根っこはとってもシャイなの、もしかしたら、まだちゃんと言ってないのかも。それで、私たちに報告できないのかなって」
 「なるほど、高須にしてもあの顔のせいで、女性に対して積極的な性格ではないからなぁ。奥手な二人、互いを思いながらも、最後の一歩が踏み出せないっていうところか」
 「そうなのッ!! そこで、この愛天使みのりちゃんが、シャイな二人の恋をひそかに応援してやろうってわけさッ!! そこで、高須君の親友である北村君にも是非協力してもらいたいわけ」
 「なるほどな。いいだろうっ!!」
 眼鏡を“きらん”と、怪しく光らせながら、北村はその手を櫛枝にさしだした。
 「愛するもの達のために、共に親友のために影ながら応援しようじゃないか」
 「さっすが北村君、話がわかるじゃないかッ!! 私はいま、めがっさ燃えているよ。愛という名の炎が私の中で熱くたぎっているよ〜〜〜、私はいま燃えている〜〜〜ッ!!!」


 この二人の怪しい会談を偶然目撃したソフトボール部部員Aは後にこう語る。

 『二人して両手を握り合いながら、高笑いしちゃって。まるで、世界征服をたくらむ魔王と参謀って感じ』
131Resonancer:2009/06/13(土) 23:09:42 ID:GEiDhvuZ
 始めまして。ぱっとみネタが浮かんだので書いてみました。
 こんな内容どうなんでしょうねw?
132名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 23:58:02 ID:MIxrgIBY
>>131
面白いんだがどうせなら当方は赤く燃えているとry
133名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 23:58:49 ID:ZzLE+I2/
馴れ合いうざいと言われる前に帰ったほうがいいと思うよ
134名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 00:44:39 ID:cjMmreyU
馴れ合い?どこが?(・ω・)
135名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 00:52:18 ID:i7j3RAjJ
>>131
書きたい事を書いて落とせばいいんじゃないですかね。
それを見て面白いと思う人も居るだろうし、そう思わない人も
居るかもしれない。
ということは、いろいろな作品が有った方が色々な人が楽しめるでしょう?
というわけで、次回作もよろしく。
136名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 01:30:32 ID:w66S4Tvy
保管庫と補間庫の日記の話数が違うな
どっちが正しいんだ
137名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 01:51:50 ID:bBehc3u6
とらファンの方、>>130の方、乙ですー。

なんだかんだいって他のSスレよか動いてるよねここ。
138名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 01:56:45 ID:kaIj61Xq
一月以上保守だけでスレが埋まる事が珍しくないスレだっていくらでもあるぞ
139名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 07:41:50 ID:85dfS3fe
日記ものの職人はまさに日記書くの投げ出す感覚でフェイドアウトしたな
やっぱ創作じゃないにしろ毎日blog更新してる奴とか続ける作業にはそれなりに根性いるんだな
140名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:20:30 ID:2O5vByyl
日記は、いずれ破綻するのが見え見えだったからな
話をこじらせたが、それをまとめる力量が書き手になかったのかもしれない
141名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:27:16 ID:1C0G1lRY
毎日更新じゃなけりゃ大丈夫だったかもしれんが……
だが最後はどうなるかくらいは知りたい
142名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:33:41 ID:DYDvjGq3
なんか変なの湧いてるな
143名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:36:08 ID:lFa9eCQo
贅沢だなぁ。たかが四日かそこら投下が無かった程度で。
わかってる?ここが所詮2chだってこと。
なんだかんだ言って、ここに書き込むことよりも実生活の方が比重は大きい。ほとんどの人にとっては。
だから、書くのが面倒になってしまうことだって当然あるさ。
大体、モノカキにとって筆が止まるなんてのは日常茶飯事だしね。
更新が止まった一部の作者に文句言うなら、自分も何か書いてみればいい。
どうせ生産性の欠片も無い場所だ。子供みたいにぶーたれてるより、子供のように作ったものを見せあいっこしてる方が雰囲気いいよ。
今のは流石に極論だけどね。
でも、最低限投下しやすい流れを作っておくことが、与えられた作品をただ読むことしかしない我々に出来る唯一だろ。
それとも何かな。これは日記の人にはもう戻ってきて欲しくないと、そういうアピールなのかな。
144名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:39:17 ID:2O5vByyl
うん、日記以外のが読みたい
145名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:41:59 ID:0Gm+GoW4
(Χ)日記の人はドロップアウトって事でいいのかな?
146名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:43:44 ID:lFa9eCQo
じゃあさ。
批評より雑談しようよ。
誰かが何かを落としてくれるまで。
147名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:58:42 ID:absJF8V/
なーなーこ
148名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 08:59:25 ID:vGDM7CZH
よし、じゃあ何故竜虎SSの投下が少ないのかについて
149名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 09:05:03 ID:DtVKS02g
ここは投下しづらくて尚且つ投下しやすい別スレがあるから
150名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 09:18:28 ID:vGDM7CZH
姉妹スレ
【とらドラ!】大河×竜児【クネクネ妄想】Vol10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1244280781/
151名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 09:33:16 ID:lFa9eCQo
あっちってエロおk?
152名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 09:46:57 ID:lFQ4TTx2
>>151
ダメだよ。
最近エロが投下されてたけど、自浄作用でナシの流れを取り戻した。
153名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 09:53:43 ID:wn07u8Rk
単純に規制巻き込まれてるとかじゃねーの?
>日記の人
154名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 10:08:11 ID:1C0G1lRY
竜虎は原作、アニメでお腹いっぱいの俺ガイル……
155名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 10:23:15 ID:MrcjR6iK
日記の人、土日バイトがあるって言ってたから、学生さんだろうと思うけど、
テストとか課題とか、いろいろあるんじゃないの?
156名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:26:42 ID:0Gm+GoW4
>>155じゃあ、もう日記は打ち切りでえーやん。
補完庫の方も未完のまま放置された作品が沢山あるしさ。
という事で日記の人乙。
157名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:38:48 ID:1eTsQIgR
別に無理やり読者が打ち切ることないんじゃないか?
もしかしたらまた投稿するかもしれないんだし
158名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:41:24 ID:yOlwZQtl
2chに投下してるオナニーに打ち切りも糞もねーよ
159名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:43:07 ID:0Gm+GoW4
>>157いや、数日以上更新が滞ると間違いなく未完に終わる。
日記も数ある未完の作品に一つになるんだ、間違いない!
160名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:48:27 ID:Vi/h9efD
>>159
わかったから、黙れ
161名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 12:48:51 ID:YCkN2zxu
>>159
お前が終わらせたいだけだろ
162名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 13:13:11 ID:QwhnuhnS
こんなところに竜虎スレへの誘導リンク貼るなよ・・・
ここと違って活気もあって空気も良かったのに
163名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 13:48:02 ID:0Gm+GoW4
>>161鳴かぬなら殺してしまえホトトギス。
あんたはまだ日記が更新されると思ってるのか?
164名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:01:29 ID:Lf1qLgDH
確かに、日記の最終投稿ぶんは、いかにも詰まってますという感じがにじみ出てた
165名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:06:27 ID:2O5vByyl
日記が投下されなくなった今の方が、このスレは雰囲気がいいけどな
日記、日記と異常に騒ぐ奴がいて、それで他の作者が嫌になって出て行った
だが、このまま静穏なら、他の作者も戻ってくるかも知れない
166名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:11:58 ID:zk+IQpsC
更新されるかどうかはわからんが
外野が打ち切り宣言することに何か意味があるのか?
167名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:23:31 ID:YCkN2zxu
>>163
思ってるし、してほしい

外野が騒ぎすぎなんだよ
騒ぎたかったら投下しろ
できねーならされるまで土下寝して待ってろ
168名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:27:27 ID:0Gm+GoW4
>>166だって作者が全く投下しねえんだから、読者的に見切りを付けざる得ないじゃん。
169名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:30:01 ID:uimOEfbz
見切りを付けるのは勝手だがそれを他にも促すなうざいから
あと空気悪くなるような本音をぶちまけるな
この板にはちゃんと愚痴スレがあるんだからそっち行け
170名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:32:01 ID:rCRvovgF
>>168
お前の中で終わらせとけ

俺はいつまでも待つけどな!
171名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 14:55:22 ID:1E4jzCa1
荒らし目的の数人の相手するなよ

単純に荒らしのためにレス流し見して色んな板の
人気のあるもの叩いまわってる連中なんだから・・・
172名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 15:13:12 ID:MrcjR6iK
これからの展開をどうするか悩んでたところに、マンセーレスはお前の自演だとか、
お前のせいで他の職人が投下しづらいとか難癖つけられて、アホらしくなったんだろうね
173名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 15:17:41 ID:2O5vByyl
その程度の覚悟なら、投下する場所を間違っているとしか言いようがない
174名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 15:18:52 ID:lFa9eCQo
自分の主張と世界の真理を同一視しないことさね
175名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 15:20:02 ID:L3SqjGbB
盛り上がってきたな
176名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 15:53:31 ID:MrcjR6iK
トリップ付けてなかったし、数ヶ月経ったら、別のssでしれっと戻ってくるんじゃない?
あれほどの祭りの中心にいたという快感は、他で味わえるものじゃないから
177名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 16:09:09 ID:1PyCC0FZ
二人ともGJ!
とらドラ終わってこの盛り上がりは、流石といったところか…。
178名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 16:42:19 ID:U1JsrfYB
みんな落ち着こうよ
ちょっと前まで、あんないい雰囲気だったじゃん
最近は外野が騒ぎ過ぎだって
2〜3スレ前の感じに戻ろうぜ


何にせよ指環とファンタジーの作者お二人GJ
179名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 16:44:10 ID:0ZV/O2zV
夏休み真っ只中なんだから仕方ない
一ヶ月も経てば少しは落ち着けるようになるだろう
180名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 17:41:20 ID:0Gm+GoW4
>>170はいはい、あみんあみん。
てか、まともな新作も出ないなんて本当に終わってるよね。
どいつもこいつも書く気無いやろ?
181名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 18:00:21 ID:MrcjR6iK
はい
182名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 18:09:28 ID:0Gm+GoW4
>>181はい、とらドラ!SSスレ終了。
誰かこのスレの削除依頼出して。
183名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 18:12:51 ID:MrcjR6iK
君はすこし気がみじかいようだ
184名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 18:27:59 ID:SXtFSCxc
馬鹿野郎とどなってもよいか ● 2点
185名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 18:49:16 ID:kaIj61Xq
変な荒らしがいるのはある程度人のいるスレでは宿命だな
186名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 18:56:23 ID:pmBTZ5AG
で、日記は?
187名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 19:31:39 ID:w66S4Tvy
(´・ω・`)b
188名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 19:57:19 ID:U1JsrfYB
作品は投下されてるし、いい作品も多い

荒れてる原因は数人が作品が投下されても
「ナナドラまだー?」とか日記以上プッシュとかしてるからだろ?

オレだってナナドラや日記好きだが
他の職人さんの作品のすぐ後にそんなの書かれてれば正直引くわ

もう少し作者さん達が投下しやすい環境作りしていこうぜ

後、作品に対して文句言うんじゃなくアドバイスしてやればいいと思うんだ


長文すまん
189名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:04:48 ID:0ZV/O2zV
自治厨がうざいのはどこも一緒だな
わざわざスペース空けちゃって恥ずかしいやつ
190名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:06:42 ID:2O5vByyl
「下げろ」と言われたいみたいだな
191名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:07:35 ID:0ZV/O2zV
またsage厨か
どこから沸いてくるのか
192名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:09:09 ID:MEaA2/3z
荒れないためにその1
本当はもっと書きたいんだがとりあえず基本だけ箇条書きにしてみた

※以下はそうするのが好ましいというだけで、決して強制するものではありません

・読む人
書き込む前にリロード
過剰な催促はしない
好みに合わない場合は叩く前にスルー
変なのは相手しないでスルー マジレスカッコワルイ
噛み付く前にあぼーん
特定の作品(作者)をマンセーしない
特に理由がなければsageる

・書く人
書きながら投下しない (一度メモ帳などに書いてからコピペするとよい)
連載形式の場合は一区切り分まとめて投下する
投下前に投下宣言、投下後に終了宣言
誘い受けしない (○○って需要ある?的なレスは避ける)
初心者を言い訳にしない
内容が一般的ではないと思われる場合には注意書きを付ける (NGワードを指定して名前欄やメ欄入れておくのもあり)
感想に対してレスを返さない
投下時以外はコテを外す
あまり自分語りしない
特に理由がなければsageる
193名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:09:15 ID:1eTsQIgR
>>188が言っていることは正論だよ
194名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:18:32 ID:2O5vByyl
うん、正論だね
日記を異常に持ち上げる風潮があるから、このスレが寂れるんだ
そんなにマンセーしたかったら、別スレでも立てて、そこでよろしくやってくれ
195名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:25:42 ID:1E4jzCa1
とりあえずかなりの人数が勘違いしてると思うのだが
この板は性質上か荒らしの人数が多くてだな

大量に呼び込むと荒らしの自演だけでスレつぶせる程度の人数がいるんだ
しかも手馴れてて荒らしに注意するようなふりしてあらすやつもいる

ここまで大量の荒らしを呼び込んでしまった以上、読み手も書き手も
不快に思うまたはつっこんでしまいたくなるレスは全て荒らしの仕業と
思って無視するしかない。けっこう手馴れてて普通の注意や批評と見分けがほぼつかないしな

ちなみに反応して注意してるやつにもかなりの荒らしが混ざってるんで
わかりにくい場合そっちも基本無視しておくと安全
196名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:30:45 ID:1o4G1shU
早い話、作品以外のレスは全部スルーすりゃよくね?
197名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:37:29 ID:1E4jzCa1
>>196
正直ここまでくるとそれ以外に方法ないな
スレの流れそのものにのって荒らしかけてくるような手練が多すぎる
職人の人もGJやらまともな感想以外は全部荒らしの仕業と考えてたほうが安全だと思う

まぁ、この板は人数が多くなって人気がでてくると荒らしが大挙して押し寄せてきて
必ず潰しにかかってくるんで、むしろ人気があって良スレの証拠みたいなもんでもあるw

読み手は作品だけ、書き手はまともな感想とGJ以外は荒らし(注意、議論含)と考えてれば
余分なレスが多くて邪魔程度でスレも続く場合が多いんで気にしないのが吉
198名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:43:10 ID:pmBTZ5AG
小説の王道だと、>>195みたいな奴が一番怪しいんだよね
実際そうかは知らんけど

199名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:46:15 ID:gbi9IbVO
エロパロスレなのに何も書かないやつが勘違いして偉そうでワロタ
200名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:47:35 ID:gbi9IbVO
違うか
エロパロスレなのに何も書けないやつが勘違いして偉そうでワロタ
201名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:50:22 ID:1eTsQIgR
中には無駄にマンセーしまくってわざと荒れる方向に持っていく人もいる…
恐ろしいところだ
202名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:52:11 ID:pmBTZ5AG
こわいよー><
203名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:55:56 ID:1E4jzCa1
>>201
マンセーも最初のうちは普通の住人ってのがここの荒らしのレベルの高さを思い知らせてくれる
若干多いかな程度になった所に便乗して連発 > 自分たちでマンセーうぜー
そこから更に議論のふりして〜の流れだったが

住人をその方向に仕向けたのもあれるような形にもっていったのもこの板の常駐荒らし
何が怖いって何割かは流れに住人が混ざってるから本当にその流れなのか荒らしなのか
見分けがほとんどつかないところ・・・・・・
204名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:56:04 ID:U1JsrfYB
自分と作者以外みんな敵か……
205名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 20:59:30 ID:1E4jzCa1
ごめん、何レスか程度だったら振り切れるかと思ったが
相手が上手すぎた・・・w

204みたいなレスがかなり顕著な例だと思う。正論に見えるのになんか雰囲気悪くなるような感じ
思い切り流れに利用されそうな雰囲気なのでここまでにします。

というかすでに利用されかけてるので自分のレスも頭から信用しないでほしい
206名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 21:08:56 ID:MrcjR6iK
なんかジョージ・オーウェルの1984みたいだなw

書き手にとってやり切れないのは、数週間かけてしこしこ書いている自分の作品が、
「日記。徒然に…」の作者が一日で書きあげた連載一回ぶんと比べてみても、
全然つまらないな〜と思えてしまうことなんです
207名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 21:21:34 ID:pmBTZ5AG
>>206
YOU投稿しちゃいなYO!!
208名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 21:28:49 ID:jKz4GLa5
自分で判断したらだめだろ・・・
209名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 21:53:36 ID:1C0G1lRY
>>206
面白いか面白くないかは作者が決めるんじゃなくて読者が決めるんだぜ!
210名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 22:11:55 ID:vnT41gJm
こいつが一番の荒らしじゃん

抽出 ID:1E4jzCa1 (5回)

171 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/06/14(日) 14:55:22 ID:1E4jzCa1
荒らし目的の数人の相手するなよ

単純に荒らしのためにレス流し見して色んな板の
人気のあるもの叩いまわってる連中なんだから・・・

195 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/06/14(日) 20:25:42 ID:1E4jzCa1
とりあえずかなりの人数が勘違いしてると思うのだが
この板は性質上か荒らしの人数が多くてだな

大量に呼び込むと荒らしの自演だけでスレつぶせる程度の人数がいるんだ
しかも手馴れてて荒らしに注意するようなふりしてあらすやつもいる

ここまで大量の荒らしを呼び込んでしまった以上、読み手も書き手も
不快に思うまたはつっこんでしまいたくなるレスは全て荒らしの仕業と
思って無視するしかない。けっこう手馴れてて普通の注意や批評と見分けがほぼつかないしな

ちなみに反応して注意してるやつにもかなりの荒らしが混ざってるんで
わかりにくい場合そっちも基本無視しておくと安全

197 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/06/14(日) 20:37:29 ID:1E4jzCa1
>>196
正直ここまでくるとそれ以外に方法ないな
スレの流れそのものにのって荒らしかけてくるような手練が多すぎる
職人の人もGJやらまともな感想以外は全部荒らしの仕業と考えてたほうが安全だと思う

まぁ、この板は人数が多くなって人気がでてくると荒らしが大挙して押し寄せてきて
必ず潰しにかかってくるんで、むしろ人気があって良スレの証拠みたいなもんでもあるw

読み手は作品だけ、書き手はまともな感想とGJ以外は荒らし(注意、議論含)と考えてれば
余分なレスが多くて邪魔程度でスレも続く場合が多いんで気にしないのが吉

203 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/06/14(日) 20:55:56 ID:1E4jzCa1
>>201
マンセーも最初のうちは普通の住人ってのがここの荒らしのレベルの高さを思い知らせてくれる
若干多いかな程度になった所に便乗して連発 > 自分たちでマンセーうぜー
そこから更に議論のふりして〜の流れだったが

住人をその方向に仕向けたのもあれるような形にもっていったのもこの板の常駐荒らし
何が怖いって何割かは流れに住人が混ざってるから本当にその流れなのか荒らしなのか
見分けがほとんどつかないところ・・・・・・

205 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/06/14(日) 20:59:30 ID:1E4jzCa1
ごめん、何レスか程度だったら振り切れるかと思ったが
相手が上手すぎた・・・w

204みたいなレスがかなり顕著な例だと思う。正論に見えるのになんか雰囲気悪くなるような感じ
思い切り流れに利用されそうな雰囲気なのでここまでにします。

というかすでに利用されかけてるので自分のレスも頭から信用しないでほしい
211名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 22:40:06 ID:sSHhkhOh
ここも谷川スレ同様すっかり終わっちまったな…

次は禁書スレか?
212名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 23:23:45 ID:/O9yM8G5
明日になればみんな元通りだろう
いちいち騒ぐことでもない
213名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 23:26:02 ID:afSQOhvg
明日になればきっと櫛枝も!皆がハッピーになって、皆が報われなくっちゃ!
214名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 23:30:46 ID:VvOFDcJs
とりあえずageてる奴は触っちゃ駄目だってのは分かった
215名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 00:43:04 ID:VPfxmaVL
ハルヒはVIPで毎日大量に書かれまくってるけど、とらドラはここ寂れたら死ぬだろ
216名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 00:50:16 ID:KOAsvq7i
どんなに気分が悪くても

ご飯食べてうんこしたらなおるよ!
217名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 00:50:26 ID:S3WdsHZ2
| ∧         ∧
|/ ヽ        ./ .∧
|   `、     /   ∧
|      ̄ ̄ ̄    ヽ
| ̄   月曜日   ̄)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.\
|ヽ-=・=-′ ヽ-=・=-  /
|::    \___/    /
|:::::::    \/     /
218名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 01:14:32 ID:Rs2v96zp
日記〜徒然なるままに〜
高須「櫛枝ぁっっ!!俺はっ、俺はぁぁぁっ!!!」
櫛枝「何っ!高須く、ひっ、イヤ!やめてぇぇ」
高須「あ〜゙、夢にまで見た櫛枝オ○ンコ気持ちいいぃ!たっぷり中に出してあげるからね^^」
櫛枝「嫌ぁぁッッ!それだけはやめてぇぇ!!」
高須「くっ、イクぞっ櫛枝ッ、あぁ〜、もうダメ、あっ、ああ〜出るっ、櫛枝オ○ンコにちんぽみるく出すぞぉぉッッ!!!!」

櫛枝「嫌だぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!うぅ、酷いよ高須君…」

高須「あ〜、気持ち良かった。またヤらしてくれよ、櫛枝^^」

続かない
219名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 01:30:30 ID:0LKW6jx2
櫛枝「ホッホッホッホ。夢にまで見た高須きゅんとのエッチがまさか現実のものになろうとは、私ともあろうものがドキドキしてきました。」
竜児がみのりんに狼藉を働いたとしたらみのりんの内心はこうだと思いました。
220名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 02:46:52 ID:Ll7GeOWY
これだけレス重ねてるのに一つも作品が投下されない件。
221名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 02:55:20 ID:G6khmN7v
>>184
くじびきで正妻を決めるんですね。
222名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 03:45:45 ID:cvQ/xCYu
意外に保ったと思うけど
223名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 03:52:04 ID:Ll7GeOWY
>>221それ何のくじアン?w 
ここに来て、エロパロスレじゃなくてただの雑談スレになってる件。
SS職人は何処へ…?
224名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 06:10:47 ID:8IIXlml3
>>218
ワロタww
てかあの顔でそんなことされたら怖えぇわww

まぁ気長に待ってみようぜ
225名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 07:00:13 ID:C1anraoG
日記の人は毎日書いてたんじゃなくて最初からあったストックに
書き足しながら少しずつ投下してたんじゃなかろか
226名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 07:04:39 ID:U4ez5DV5
最初は亜美いいわーだったのにいまでは
奈々子さまもいいね!にきっとななドラの人と腹黒様の人のせいだ
ありがとうございます
227名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 08:59:46 ID:IfhGaGGo
……そうか腹黒様ってそこからだったのか。
語呂がいいと思った。
228名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 09:26:56 ID:snyo4m61
俺もあーみん派だが、一番HP削られたのは
「なーなーこ。」
なんだよなぁ。あの奈々子さま最強すぎる。
229名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 09:57:48 ID:Ll7GeOWY
この時点で未完の作品が大量に出てる件。
さて、次に作品が投下されるのは何年後かな?
230名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 13:02:49 ID:G175f71f
>>229
別に君が投下したっていいんだよ
231名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 13:06:27 ID:6Fdka+hp
スルーカ
232名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 13:12:30 ID:0LKW6jx2
度々、話題になるけど皆あの作品を何故腹黒様と略すんだろう?今まで我が家と略す人を見た事がない。語呂の問題?
233名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 13:26:46 ID:Ll7GeOWY
>>223無理!
234名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 20:07:39 ID:Ll7GeOWY
とうとうレスすら伸びなくなった、今度こそ終わりだなこのスレは。
235名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 20:24:30 ID:snyo4m61
NG:Ll7GeOWY
暇人にもほどがあるだろ。
236名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 20:39:58 ID:NjLBYEzS
終ったと思うならどっか余所へ行けばいいのに。
237名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 20:57:12 ID:BUOoe+ky
続きに詰まった作者自身がスレを投下しづらい雰囲気へといざなってるとしたら・・・?
  ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ       /ヽ
        ,.‐'       ヽ:::::::/         ゝ‐;----// ヾ.、
       [          }二          |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
        ゙l         リ ̄ヽ         |l:::::::::::!ニ! !⌒ //
.         i        ソ;;:..  ヽ、._     _,ノ':::::::::::::::::ゞ)ノ./
         ` ー==--‐'´(__,.   ..、  ̄ ̄ ̄  :::::::::::::::::i/‐'/
          i:::::::::::::      .:::ト、  ̄ ´     ::::::::∪::::::l、_/::|
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             ヽ:::::::::::   --───--   :::::::::::::::::: !::::::::::::ト、
238名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 21:31:22 ID:Mj0kNwCy
 ID:Ll7GeOWY は、話の展開に詰まって、書けなくなった書き手が
荒らしに転じたような感じだな
239名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 21:37:11 ID:6EjMHzQt
もしくはふるぼっこにされたやつかもな
どちらにしても哀れすぎるが
240名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:17:09 ID:fJ6m7mrG
このスレを支えていた職人の数が、いったいどれほど僅かなものだったのか、なんとなく判った気がする
その数人は、今や死に体となったこのスレを、ただ黙って、じっと見つめているのだろう
241名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:49:02 ID:Ll7GeOWY
ならば、俺が一思いにこのスレの息の音を止めてやろう!
そーれ、863無さや酒田市なざらゎ墓雅美が妃夜話羽間羅は耶は耶はまならはみひ耶は身〇。 ̄_\‖‖‖‖』【***@∂∂♯♯ヵヵヵヵヵΝσσσ
242名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:50:33 ID:Ll7GeOWY
(`´)ヽ(´▽`)/φ(.. )(*/ω\*)(*/ω\*)|(-_-)|(;´∩`)(`へ´)(`´)o( ̄ ^  ̄ o)(Тωヽ)(ノд<。)゜。(m'□'m)m(__)m(´∀`)o(^∇^o)(o^∇^)o
243名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:51:51 ID:Ll7GeOWY
ククク…ハハハ…ハァハッハッハッ!
244名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:53:32 ID:Ll7GeOWY
そーら、もっと荒らしてやる、ヒャハハハハー!(^Q^)/^
245名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:53:58 ID:Ll7GeOWY
仮面ライダーディケイドしている。(笑)
246名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:54:52 ID:Ll7GeOWY
酒田市なざらゎ墓雅美が妃夜話羽間羅は耶は身の息の音を止めてやろう!(笑)
247名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:55:09 ID:hsnd8iWC
まぁ、落ち着こうや
248名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:55:13 ID:Ll7GeOWY
大量に変身したりする?している。(笑)
249名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:55:37 ID:Ll7GeOWY
なざらゎ墓雅美が妃夜話羽間羅は耶は身の息の音を止めてやろう!(笑)
250名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:55:57 ID:Ll7GeOWY
羽間羅は耶は身の息の音を止めてやろう!(笑)
251名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:56:46 ID:Ll7GeOWY
本当に終わってるよね。している。(笑)
252名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:57:06 ID:Ll7GeOWY
耶は身の息の音を止めてやろう!(笑)
253名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:58:06 ID:Ll7GeOWY
由衣さん、ヒャハハハハー!している。(笑)
254名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:58:29 ID:Ll7GeOWY
竜の息の音を止めてやろう!(笑)
255名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:59:01 ID:Mj0kNwCy
 ID:Ll7GeOWY は、日記、奈々子もの、サミット(その他諸々の未完成品≒出来損ない)
の作者っぽいな
もう、お前には何も期待しないから、とっと氏ね
256名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:59:09 ID:Ll7GeOWY
ラジオでのほっちゃんが好きだ!
257名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:01:42 ID:Ll7GeOWY
>>255生きる!(`へ´)
258名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:02:02 ID:Ll7GeOWY
クククしている。(笑)
259名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:02:42 ID:Ll7GeOWY
フルだ、ヒャハハハハー!している。(笑)
件?その命、ヒャハハハハー!している。(笑)
260名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:03:14 ID:Ll7GeOWY
荒らしてやる、ヒャハハハハー!している。(笑)
終わってるよね。している。(笑)
に変身したりする?している。(笑)
261名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:03:37 ID:Ll7GeOWY
フルだ、今度こそ終わりませんでしょうか教える。(笑)
262名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:04:10 ID:Mj0kNwCy
57 名無しさん@ピンキー [] Date:2009/06/15(月) 23:01:42  ID:Ll7GeOWY Be:
    >>255生きる!(`へ´)

日記、奈々子もの、サミット(その他諸々の未完成品≒出来損ない) の作者であることは
否定しないんだな?

もう、お前、いらないよ。どっかで勝手にやってくれ
263名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:04:44 ID:xABFQ29D
>>255
決めつけ良くない。
只のメンヘラが暴れているだけだろう。
264名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:05:01 ID:Ll7GeOWY
変身したりする?やけど。(笑)
日記が女性で大爆笑でした。(笑)
墓雅美が良い天気予報することばかりで未完のバージョンだけじゃないので少し遅れ気味でない事は何年後かな?する予定日のバージョンとセックスしませんか?することばかり見てる。(笑)
265名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:05:40 ID:MyR71Bdr
わかってる人多いと思うけどID:Mj0kNwCyも荒らし
266名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:06:21 ID:PnERTAb9
>>261>>262
どちらも落ち着こうぜ、
ほら、深呼吸をして冷静に。
267名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:06:26 ID:Ll7GeOWY
酒田市で大爆笑の映像は何処へ行きます?その命と願っても作品が一思いにでしょうって、今度遊ぼうが良い影響力のバージョンとリアルでのほっちゃんが多い。(笑)
268名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:06:53 ID:Ll7GeOWY
仮面ライダーディケイドは浅野さんがとても心配です!(笑)
269名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:07:30 ID:Ll7GeOWY
何年後かな?かな?その命の削除依頼いたしかねます。(笑)
270名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:08:53 ID:Ll7GeOWY
>>266(´Д`)ヒッヒッフーヒッヒッフー!
271名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:10:53 ID:Ll7GeOWY
噛まれるとキのバージョンと願っても作品が大量に変身したりしているはずだからやっぱ、今度遊ぼうが大量生産者の作品展示場の近くに出てる件?俺が大量アクセスポイントカードリーダーのバージョンと間違いなくそうで、こんばんてん。(笑)
272名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:11:45 ID:Ll7GeOWY
削除依頼いたしかねます。(笑)
アクセスポイントアップロードレース会場案内人の近くに変身したりします。(笑)
273名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:12:43 ID:Ll7GeOWY
予定変更!よろしくお願い致します
274名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:13:41 ID:Ll7GeOWY
ならば、ですか?
影響力の作品展示即売会のナレで大爆笑の映像は浅野さんがいい感じでした。(笑)
275名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:14:35 ID:Ll7GeOWY










うんこ
276名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:15:36 ID:Mj0kNwCy
完全にイカれてるな
まぁ、日記やサミットの不法行為丸出しの展開を見れば、こいつがモノホンの
キチガイなのは自明
277名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:17:17 ID:Ll7GeOWY
感じでした。(笑)
278名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:18:02 ID:DzfhUO0R
投下しようと思った矢先に、なんだこの荒らし…。
落ち着いたら投下したいと思います。

あと、自分の場合携帯でポチポチやってるので、筆が遅いだけです。
まだまだ投下する予定なので、どうか荒らしの方、無駄に消費しないでください
279名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:18:32 ID:Ll7GeOWY
>>276なにしてるの?お疲れさまです。(笑)
280名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:19:10 ID:Ll7GeOWY
噛まれるとは浅野さんがよい方の世界じゃなくしているはずだから撮れるまで撮るだけさ。(笑)
281名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:19:25 ID:ttPBNjnW
>>278
あなたに同じく。
ひとまず様子見させてくれ
282名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:19:33 ID:Ll7GeOWY
勿論、こんばんてん。(笑)
283名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:20:25 ID:Ll7GeOWY
>>1-200仮面ライダーが大量生産しているはず。(笑)
284名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:22:00 ID:Ll7GeOWY
>>278う、そ、つ、き。(`´)
285TF:2009/06/15(月) 23:22:31 ID:/ytFxLl4
なんか知らぬ間にスレが荒れてますね。
とにかく分かっていると思いますが荒らしは完全無視でお願いします。
ほとぼりが冷めたら私も投下しようと思います。
286名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:22:39 ID:Ll7GeOWY
∂∂∂∂∂∂∂∂∂∂∂∂∂∂∂
287名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:23:19 ID:Ll7GeOWY
(´Д`)
288名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:23:59 ID:Ll7GeOWY
何年後かな?
289名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:25:10 ID:Ll7GeOWY
>>285ハイ、ハイ、バロンズー、バロンズーw
290名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:25:36 ID:Ll7GeOWY
感じでした。(笑)
噛まれるとは浅野さんが好きだ!
291名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:26:11 ID:Ll7GeOWY
羽間近で大爆笑の世界じゃねー。(笑)
292名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:26:56 ID:Ll7GeOWY
墓の世界の全てを楽しく見させてもらっています。と思っていました。(笑)
293名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:27:18 ID:BNvIgtUk
基地外が2人涌いているところまでは理解した
294名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:27:47 ID:Ll7GeOWY
浅野さんが好きなんだよ?!する予定通りの近くに変身したりしてね。(笑)
29598VM:2009/06/15(月) 23:28:08 ID:5FFEsVvK
投下しようかと思って来てみれば。
なんか凄いことになっている。
軽く感動しますた。
というわけで、投下保留w 
296名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:28:55 ID:Ll7GeOWY
>>29セックスしませんか?するの?俺はこの時点で大爆笑の人乙。(笑)
297名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:28:56 ID:Zx8rSO7t
じゃあわたしも投下しようと思ったけどやめておくってことにしよう
298名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:29:15 ID:Ll7GeOWY
>>293おめでとう!
299名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:30:48 ID:Ll7GeOWY
>>295>>297言うよねー!(笑)
はなからそんな気ないく、せ、に
300名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:31:20 ID:Ll7GeOWY
カード支払い日の人乙。(笑)
301名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:31:44 ID:Ll7GeOWY
ハイ、バロンズー、ヒャハハハハー!(笑)
302名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:32:10 ID:Ll7GeOWY
美しい。(笑)
303名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:32:42 ID:Ll7GeOWY
入って、バロンズー、こんばんてん。(笑)
304名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:33:09 ID:Ll7GeOWY
きゃんたまかゆい(笑)
305名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:33:54 ID:Ll7GeOWY
変身したりします。(笑)
306名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:34:59 ID:Ll7GeOWY
販売店の削除用のなぁ。(笑)
307名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:35:58 ID:Ll7GeOWY
美化しちゃいない、今度こそ終わりだなこのキャラでも、会いたい、会いたい、会いたい、今度ご飯食べた?俺は何処へ持っていく。(笑)
308名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:36:36 ID:Ll7GeOWY
うって、今度こそよろしくね。(笑)
309名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:37:03 ID:Mj0kNwCy
こりゃ、ある意味、『日記』よりも見ものかもね
310名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:37:05 ID:Ll7GeOWY
ブログを楽しくね。(笑)
311名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:43:59 ID:dQbQRleG
◆◆ ルミナスアークでエロパロ5 ◆◆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1243578314/

こいつ、このスレの荒らしか知れないな
ID変えてるみたいだけど書き込み内容が酷似し過ぎている
312名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:45:55 ID:hB0yxOkz
NG登録でスッキリw
313名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:46:23 ID:8IIXlml3
この手の荒らしがまだ存在したとは……
こりゃ早い内に手打たないと過疎るな
314名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:50:59 ID:0LKW6jx2
>>255
そもそも日記の作者とサミットの作者って別の人じゃないの?
奈々子ものはサミットの作者と同じだった筈だけど
315名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:53:47 ID:dQbQRleG
>>314
>>311のスレの荒らしで確定じゃね、SS職人かどうかは一切不明だけど
なんか言い返されたらムキになるとこも、あちらさんのスレのと同じ反応だし

マジで規制とか出来んのかなぁ・・・エロパロ過疎るぞこれマジで
316名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 23:55:27 ID:Zx8rSO7t
どうでもいい
317名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:08:32 ID:Db6sX2Sf
>>313もう、手遅れです!(笑)
318グンタマ:2009/06/16(火) 00:09:34 ID:oJg9WSfW
今がチャンスかっ。落ち着いたようなので、投下します。

ちなみに、ヒロインが活躍とか一切しません。主役は竜児です

タイトル:笑顔の教授
319笑顔の教授:2009/06/16(火) 00:10:32 ID:oJg9WSfW
人は、子供と目が合ったとき、どうするか。
おそらく、大抵の人が笑いかけるか、又は手を振るのではないだろうか。

竜児も、例に漏れずこれに当てはまり、今まさにその状況下に身を置いている。
小さな子供を怖がらせないよう、最深の注意をはらい――ニタリ

「っ…ふ、ふぇ〜ん!」

「ひ、ひぃ?!」

子供が泣くどころか、一緒にいた母親らしき人物すら涙目になりながら、その場から足早に去っていく。

「……はぁ」

竜児は深い溜め息を漏らし、自らの前髪を引っ張りその目を隠す。
慣れ親しんだ友人ですら時に怯える、鋭すぎる三白眼。字の如く、射殺すことが可能ではないか。
高須竜児という人間を知らなければ、決して目を合わせたくない筋の方に間違われても仕方ない。

(そうだよな…やっぱ、あれが普通の反応なんだよな。
大河や櫛枝や川嶋達が、あんまり普通に対応するから、少し忘れちまってたな…)

竜児は店のガラスを覗きこみ、改めて己の眼力を確認した。
そのまま、さっきの子供に笑いかけるようにゆっくりと笑顔をつくってみるが、

「お、おぅっ」

思わず、ガラスから一歩後ずさった。

――これはいけない。人様に向けるような顔ではない。まして、子供になんて、もってのほかだ!

目は凶悪なまでに吊り上がり、眉間に幾重の皺が生まれ、舌舐めずりをせんばかりに口角が上がる。
それは、決して笑いかけているのではなく、上等な獲物を見つけ歓喜に満ち溢れた表情にしか見えない。
ヤンキー、指名手配犯、YAKUZA…何を言われようと、仕方ないほどだ。

「お、俺は今まで、こんな邪悪な笑みを周りに向けていたのか…!」

想像以上の酷さに、竜児はガラスに手を付き、その場に項垂れる。
言われるだけのことはある。自分自身ですら、あまりの凶悪さに引くのだ。
大河達以外に、誰が耐えられようか。

(俺は、感情を表に出したらいけないんだな、やっぱ…小さく生きよう。
ひっそりと、誰にも悟られないよう、ただただ触れられないように)

己の生まれ持ったこの眼とは、一生関わっていくことになる。
竜児は嘲笑を浮かべながらガラスに向き直り、

(……な、なんだ、この人)

竜児の後ろに謎の女性が立っていた。大きめのサングラスを掛けている為顔はよく分からない。
しかし、ガラス越しに竜児をガン見しているのは確かだった。

「あ、あの」

「0点」

竜児の言葉を遮り、短く、しか透き通るようなしはっきりとした声が響く。
320笑顔の教授:2009/06/16(火) 00:11:23 ID:oJg9WSfW
「……は?」

意味が分からず、竜児は思わず振り返る。

ガラス越しでは分からなかったが、対峙すると凄まじい美人だったことに気づく。
顎のラインまで、スッと引き締まった輪郭。淡いピンクの口紅で、その艶やかさが増長された唇。
長いであろう髪をまとめあげ、しかし瑞々しさが分かる細さ。
カジュアルな服装が、そのスタイルを引き出していた。
歳にして、おそらく三十路手前かその辺りだろうか。
竜児は、その容姿を目の当たりにした時、何かが引っ掛かった。
どこかで見たことあるような、そんな既視感が頭の中を駆け巡る。

「なってない、全然なってないわよ、貴方!」

女性の凛とした声に、竜児は引き戻された。よく分からないが、どうやらご立腹であることが分かった。

「いや、えっと…」

どちら様ですか、と竜児が発する前に、女性の声がそれを妨害する。

「折角の素晴らしい素材なのに、少しも生かしきれてないわ!宝の持ち腐れもいいところよ!」

素晴らしい素材?宝の持ち腐れ?一体、なんの話をしているんだ。

「いい?相手に笑い掛けるというのは、同時に幸せな気分にさせることなの。
怖がらせないように…気を損ねないように…そんな事考えながら笑い掛けても、何も伝わらないわ。
そもそも――」

話が全く見えてない竜児は、ただ呆然と女性の前に立ち尽くす。
何事かを捲し立てていた女性も、その竜児の姿を見てハッと口を止めた。
少し恥ずかしげに、手を頬に当てて愛想笑いを浮かべる。

「ご、ごめんなさいね。ついいつもの癖で」

(いつもの癖…?そうか、この人はカメラマンか何かなんだな。
いつもプロのモデルを撮っているから、俺の笑顔があまりに酷いが為に口出ししたのか)

カメラマンともなれば、様々な人を撮っているだろう。自分を怖がらないのも頷ける。
竜児は一人納得した。

「でも、貴方にやってみてほしいの。嬉しいことや、楽しいこと思いながら笑顔を作ってみる。
全然違う笑顔になるはずよ」

プロの意見を聞けば、もしかしたらまともに笑えるかもしれない。
女性に言われ、竜児は素直に考える。思うことは、もちろん

――窓枠のレール…おぅ、小さな埃や砂が、あんなに溜まってるじゃねぇか。
スーパーかのうや…おおぅ、豚肉が半額セールをやってるじゃねぇか。
大河の部屋…おおおぅ、また散らかって、掃除のしがいが!!
321笑顔の教授:2009/06/16(火) 00:11:55 ID:oJg9WSfW
「駄目!」

「おぅっ」

突然の一喝に、一瞬で現実に引き戻された。目の前には、眉間にシワを寄せた女性がいた。

「違う、違うのよ!今の貴方は、獲物を見つけて狂喜乱舞のハンターそのものだったわ。
そういう嬉しいじゃなくて、『自分がされて嬉しかった』ことを思ってみて」

「わ、分かりました」

自分がされて、嬉しかったこと――ふと竜児の中に出てきたこと。

―初めて顔を会わせた時から、自分を怖がるどころか、ガンを飛ばしてきた大河。
―文句を言いながらも、自分の作った飯を全て綺麗に平らげる大河。
―たまに、本当にたまに、素直になって、礼を言ってくる大河。

なぜか、全て大河のことだった。確かに、竜児は大河に振り回されてばかりいた。
しかし、それを嫌と思わない自分がいたのは確かだった。
そんな自分に、そして、そんな大河を思い、竜児の表情には自然と笑みが浮かんでいた。

「…想像通り、いえ、想像を遥かに越えた逸材だわ」

女性がぽつりと漏らした声に、竜児は顔をあげた。女性は手を顎に当て、何かを思案するような仕草を見せる。
ダメ出しを出されなかった分、さっきよりはマシだったんだろうか。
女性からの評価を、竜児は待とうとした。

♪ある晴れた 昼下がり 市場へ続く道♪

その時、竜児の携帯が震える。携帯を開くと、新着メール、送信先は…大河だった。
時間を見れば、かなりいい時間になってきている。

「や、やべぇ!早く帰って、夕飯の準備しねえと!」

メールの内容は、読まずとも分かる。
何寄り道してるんだ駄犬!早く飯作れ!そんなとこだろう。
竜児は小さくため息をついた。

「あら、ごめんなさい。時間を取らせてしまったみたい。
申し訳ないんだけれども、最後に名前を教えてもらってもいいかしら」

「あ、はい。高須竜児です」

竜児の名前を聞いた瞬間、サングラスのせいで表情がよく分からないが女性が酷く驚いた。気がした。


「あの…どうしたんで、しょうか?」

「あ、いえ、何でもないの。それじゃあ、私も用事があるからお別れね。
さっきの笑顔、良かったわ」

そう言うやいなや、女性は振り返り歩いていった。
唐突に現れ、唐突に去っていく女性の後ろ姿を、竜児はなんとなく見送る。
そして、一人呟いた。

「結局、誰だったんだ、あの人…」
322笑顔の教授:2009/06/16(火) 00:12:39 ID:oJg9WSfW
[おまけ1]

「たっだいま〜♪」

「おかえり。あれ、ママ何かご機嫌じゃない。良いことでもあったの?」

「ええ、そりゃもう!う・わ・さ♪の高須竜児君に会ったから」

「…は?え、ちょ、ちょっと待って、何それ、どういうこと?」

「そういうこと。
もう、すぐにでもスカウトしたいくらいだったわ!亜美が好きになるのも、分かるわぁ」

「はぁ?!な、何言ってるのよ!!あた、あたしが、あんなヤンキー面のおばさん男、何で好きになんか」

「あらそう、あんなに格好いいのに。じゃあ私が『だ、駄目ぇ!!』……ぷふっ」

「っっっっ?!」

今日の川嶋家は非常に賑やかだった。


[おまけ2]

「…あんた、何にやけてんのよ」

「いや、よく見るんだ大河。…どうだ、違うだろ?いつもの極悪スマイルじゃないだろ?」

「…きも。何ワケわかんないこと言ってんのよ。
いつもと、全く、少しも、ミジンコほども変わらないわよ!」

「……そ、そうか」



323グンタマ:2009/06/16(火) 00:14:44 ID:oJg9WSfW
以上です。全然落ち着いてないね!けどまぁいいや!勢いで。

投下がない日々が続いていたみたいなので、何かきっかけになればいいなと思います。
稚拙で申し訳ないです。
324名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:23:10 ID:mbxiZbat
ドナドナ乙
325名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:25:50 ID:kkhhM9ZR
GJ
326名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:26:47 ID:HQ06FgcN
>>323
地味な題材だが面白い。
GJ
327名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:40:31 ID:pyCT02YI
>>323
GJ
328先に言っとくとGJ:2009/06/16(火) 00:43:39 ID:DCjD+H1X
全くけしからん。竜児から凶眼属性を取ったら周りの全ての女性にフラグを立てるただのナイスガイじゃないか。彼の凶眼はフラグの立てすぎで誠化して刺されるのを防ぐ為に天が与えた慈悲なのだよ
329名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 00:54:33 ID:qCaxsaJc
おぉ〜原作っぽい雰囲気があるよ
若干亜美が可愛らしすぎる気もするが、亜美ママの前で亜美がどんな感じかは
原作でもほとんどなかったから仕方ないよな
ただ萌え好き一読者として欲をいえば、大河だけが、大河だからこそすでに気付いてた
みたいな、竜児に気付かれない独り言があれば…
まぁ普段の二人の雰囲気と考えればこのSSの方が原作風で良い出来なんだけどね
330名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:00:15 ID:xLKjcdcU
Gj!ばかちー可愛くてワロタww
331名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:04:04 ID:+8Jv5X89
そうそう、こうやっていいSSが投下されればスレは活性化するんだよ
荒らしなんぞ規制回避の4円とでも思えばいいさ
332名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:05:15 ID:gWGZvywb
亜美ママwwこれはww
33398VM:2009/06/16(火) 01:21:38 ID:OMSdS0Qw

こんばんは、こんにちは。 98VMです。

あるレスを見て、後半書き直しました。 
悪乗りだとは自覚している。
なにぶん、この状況ですので、投下することに意義が有るってことで、ひとつ。

前提: 川嶋安奈の憂鬱シリーズ
題名: あみママ-3-
エロ: 無し
登場人物: 安奈、裸族
ジャンル: ちょい迷走気味なママ。
分量: 7レス

334あみママ! -3- 1/7:2009/06/16(火) 01:22:41 ID:OMSdS0Qw

亜美は酷く不機嫌に家を後にした。
まさか、こんな反応を示すとは、全くの予想外だった。
「あたしの部屋に、レプリカなんて置かないでよ。」
版画だから、確かにレプリカと言えなくも無い。
けれど、エッチングを作る際には、モノクロで見ることを前提に陰陽を掘り込んでいくものだ。
それは全く同じ形はしていても、中身は全くの別物と言っていい。
しかし、そんな理屈をこねる暇も無く、亜美は出て行ってしまった。
昨晩までは、どちらかといえば機嫌は良かったのに、いったい何が悪かったのか。
どうにも解らない。
いままで、あの子は贋作を嫌っている様子は無かった。
いや、それ以前に、真贋にそれほど興味を持たなかった。
第一あの版画はブーグロー本人が監修した『本物』なんだから、そういう問題ではないのだろう。
やっぱり、版画であること自体が気に入らなかったんだろうか。
まぁ、理由なんて、亜美のみぞ知るって所か。
どうやら、このプシュケーはまだ若く、アンブロシアを口にする前だったらしい。
溜息一つ。
娘の部屋に掛かったその版画を、もう一度だけ恨めしく眺めた。


    あみママ!  -3-


8月に入って、もうまもなく一月が過ぎようかというのに、亜美からは何の音沙汰も無い。
確かに、8月には、大事な模試があると言っていた筈だ。
しかし、私の方から試験の結果を聞くわけにもいかない。
万一結果が悪かった時には、娘の神経を逆撫でするのは明白だ。
どうやら、娘は、私に強い不信感を抱いているように思える。 敵役を買って出た訳だから当然なのだが、
どうもその猜疑心が、私の全ての行動に向けられているようなのが気になった。
「あら〜 川嶋さん、まーたまた、険しい表情しちゃって〜。 眉間に縦皺できちゃってるけど〜。」
…間の悪い奴め。 今、私は非常に機嫌が悪い。
「あなた、そこ通行の邪魔よ…。」
「いっ!」
ヒールで思い切り足を踏んでやった。 …骨が折れない程度には手加減したけれど。
「そういえば、貴方、また亜美の前をうろちょろしてたそうね…。」
別荘で聞いた話を思い出した。 確か、こいつの事務所は亜美の獲得を諦めた筈だ。
「いってー、川嶋さん、ちょっと酷すぎない?」
「いいから、質問に答えてほしいわ〜。 どういう事なのかしら、ねぇ…。」
「いや、そ、そーんなに深い意味はないの〜。 ははっ…は…は ほ、ほんとうに。 いえ、あの…はは、は」
最高にいい笑顔で見つめてやった。 最大限の殺気を込めて、だが。
「えっと……、亜美ちゃん、もったいないじゃなーい。 だって、安奈さんにそっくりであーんなに綺麗なのに、
引退しちゃうなんて〜。」
「おべっかはいいから、さっさと白状する。」
「あははは… 本当に、もう一回ちょっと誘ってみようかな〜って思っただけ。 でも、亜美ちゃんには全然話
聞いて貰えなかったの。 亜美ちゃん、本当にうちのプロダクションには興味無いみたい…。」
「本当に?」
「ほーんとうよー。 それで、思ったの。 亜美ちゃん、もしかしたら局アナとか狙ってるんじゃないかしら〜。
亜美ちゃんが目指してる大学って、そういう人でてるし、アナウンサーだったら、堅気の仕事だけど、亜美
ちゃんの美貌も生かせるでしょう?」
「………行ってよし。」 「ふぅ… じゃ、じゃぁ、またね〜 川嶋さん。」
そそくさと逃げていくオカマ野朗。 だが、たまには役に立つ。
「アナウンサー…ね…。」

335あみママ! -3- 2/7:2009/06/16(火) 01:23:15 ID:OMSdS0Qw
*
それから、更に半月が過ぎた。
その間、流石の私も、大学受験について勉強した。
亜美の希望している国立大学を受けるには10月上旬にセンター試験の出願をしなければならない。
すでにカレンダーは9月も半ばを過ぎようとしている。
しかし、亜美からはやっぱり、なんの連絡も無かった。
おかげで、プライベートの携帯が着信音を発する度に、慌てて電話を取り落としそうになっている。
現場でも最近イライラしているようだという事で、みんな恐れて近寄らない始末。
そして、正に今、都内でのロケの合間にも、そんな空間が出来上がっていた。
一般の人達が遠巻きに見学する中、そういう緊張感はあまり見栄えがいいものじゃないのだけれど。
新作の宣伝を兼ねた公開ロケは、通常よりも休憩時間が多く、また長い。
いわゆるファンとのふれあいってのを期待されてる訳だ。
もちろん、私だって、その辺は心得ている。 努めてにこやかに振舞っているのに、なんでスタッフの連中が
怖がるのよ……。 本当、失礼しちゃうわ。
…なんて思っていた時だった。
「…ぉばさん。  …安奈おばさーん!」
スタッフ全員が凍りつく。 近くにいた俳優仲間も皆、表情が凍った。
…なんか、ちょっとショックだわ。 私って、そんなに怖いのかしら…。 
ま、もっとも、声の主が別の誰かだったらブチ切れてたかもしれないけれど。
「あら、祐作くんじゃない。 久しぶりね。」
ひらひらと手を振りながら、笑顔で答える。 それを合図に、シンと静まり返った周囲の空気が息を吹き返した。
明朗快活なその少年は、かつて近所に住んでいたご家族の息子さん。
亜美とは小さい頃から仲良くしてくれて、亜美が『素』のまま接する事が出来る殆ど唯一の相手だった。
その彼は、10mほど離れているとはいえそれでも大きすぎる声で… 
「お久しぶりです!」
そう言って、お辞儀をすると、彼はその場を立ち去ろうとする。 どうやら、単に挨拶したかっただけのようだ…。
やっぱり、読めない子…。
だが、こんなチャンスを逃すわけには行かない。
「マネージャー、あの子、こっちに連れてきて。」 「えっ!」 「驚いてる暇があったらさっさと行く! ほら!」
「そこの貴方。」 「は、はい!」
「休憩時間は残り何分?」 「はい。 えー… 2分少々です!」
「5分延長よ。」 「…理由は?」 「役作りに必要。」 「わかりました!」
…有能じゃない…。 あとで褒めちぎっておいてあげよう。 ADにはもったいない。
帰りかけていた少年を連れて、マネージャーが戻ってくる。
見物客からすこし離れた場所にあるパイプ椅子に、見物客に背を向ける形で腰を下ろした。
「どうぞ、祐作くん。」 「は、はぁ。 一体、どうされたんですか? 安奈おばさん。」
「ごめんなさいね。 忙しかった?」 「いえ、大丈夫です。」
「時間が無いから、単刀直入に聞くわね。 最近、亜美が全然連絡くれないのよ。 祐作くん、なにか亜美に変わった
事ってなかったかしら?」
「…いえ、特には。 おかしいな。 一昨日あたり、連絡はありませんでしたか?」
「? なにも?」 「…模試の結果なんですが、実は俺と、亜美、それと俺の友人が揃ってC判定だったんですよ。」
…C? ABCの? それってダメって事なのかしら?
「それで、亜美は?」 「もちろん、大喜びでした。」 
あら? Cって良い方なのかしら? そんな私の疑問に気がついたのか、祐作くんが補足してくれた。
「この時期は、浪人生や私立の有名進学校が圧倒的に有利なんです。 だから、俺達みたいなのがC判定っての
はかなり良い方なんですよ。 …おかしいな。 安奈おばさんに知らせないなんて。」
そうか…。 あの子、頑張ってるのね…。
「いいのよ、祐作くん。 私達ね、賭けをしているの。 それで知らせて来ないんじゃないかしら。」

336あみママ! -3- 3/7:2009/06/16(火) 01:23:58 ID:OMSdS0Qw

「賭け、ですか?」
「そう。 亜美が国立大学に受かったら、亜美の勝ち。 落ちたら私の勝ち。」
「…その賭けって、成り立つんですか?」
「あら、どうして?」
「いえ、なんだか、どっちにしても安奈おばさんの勝ちのような気がしたんですが。」
へぇ。 亜美は『裸族』とか言って馬鹿にしてたけど、流石、賢いじゃない。
「ふふふふふ。 どうかしらね。 亜美には余計なこと言っちゃダメよ、祐作くん?」
「はっはっはっはっは。 やはり図星でしたか。 わかってます、内緒にしますよ。」
「そういえば、祐作くんはどの学部?」
「はい。 法学部を目指しています。 だから亜美はライバルという事になりますね。」
「あら、まぁ。 それは困ったわねぇ。 祐作くん、志望校変えなさいな。」
「…相変わらずですねぇ。 安奈おばさんは…。 しかし、心配には及びませんよ。 亜美には強い味方がついてますからね。」
「味方?」
「ええ。 俺の親友が時々亜美の勉強を見てやっているようですからね。 …きっと亜美は合格しますよ。」
「へぇ。 祐作くんの親友ねぇ。 随分、信頼しているようね、その子の事。」
「もちろんです。 どんな困難な事でも、いや、困難な事こそ、何時もあいつは乗り越えて見せる。 そんな男です。」
「ふふふふふ。 いいわね、男の子の友情って。 おばさん、うらやましいわぁ〜。 あ〜亜美も男だったら良かったのに…。」
「はっはっはっは。 そんな事になったら、何千、何万という男共に恨まれますよ。」
「…最近、あの子、難しくって…。」
「亜美がですか? いや、寧ろ少し素直になった気がしますが…。」
素直に、ねぇ…。 ちょっと色恋についても探ってみよう。 祐作くんじゃどうせ解らないだろうけど、多少は収穫もあるかも。
「あの亜美が素直にねぇ…。 好きな男でも出来たのかしら?」
「………出来たんだと思います。 結ばれるかどうかは分かりませんが。」
え? この子、知ってるの? 意外だわ……。 それにしても、変に含みのある言い方ね…。
「川嶋さーん、スタンバイ、お願いしまーす。」
ちっ、まだ少し時間あるじゃない…せっかちな監督だこと。 軽く溜息をつきながらパイプ椅子から立ち上がる。
「あ、すみません、お邪魔してしまって。」
すばやく立ち上がって姿勢を正す。 いかにも優等生っぽい所は、この子も相変わらずだ。
「ふふふ。 何言ってるの? 用があったのは私の方よ。 それじゃ、祐作くんも勉強がんばってね。」 
「ありがとうございます!」
「それと、うちの馬鹿娘の事も、よろしくね。」
「はい。」
さて、それじゃ仕事しますか。
「…そういえば。」
「?」
「そういえば、亜美は『奇跡が起きるかもしれない』と言っていました。 …俺も奇跡があるなら見てみたい、とは思います。」
「そう… その時は、バチカンの列聖省に連絡しなくちゃね。」
337あみママ! -3- 4/7:2009/06/16(火) 01:24:30 ID:OMSdS0Qw

珍しく、公開ロケでNGを出してしまった。 しかも5回も。
ギャラリーには受けていたし、周囲の連中も、険が取れてよかったなんて言っている。
でも、私としては不本意極まりない。
それというのも、祐作くんが最後に変な事を言うからだ。
『奇跡が起きるかもしれない』
これは恐らく、受験の事を言ってるんじゃない。
それは直感的に解った。
どうやら、間違いなく、祐作くんは亜美の恋の相手を知っているようだ。
やっぱり、私も女だ。
どうしたって勉強よりも、恋の方が気になってしまう。 たとえ、それが娘の事であっても。
娘が、モデルを辞めると宣言した、あの楽屋での言葉。
小さくて聞き取れなかった言葉。
あれこそが娘の本心だったのではないか、そう何度も自問して来た。
『やりたい事が出来た』
その後に続いた言葉は、聞こえなかったが… 唇は確かに告げていた。
好きな男に付いていきたいと。 
そして、今日確信に至った。 
おそらくはその男の背中を追いかけようとしている。 突然の難関校への挑戦は、きっとそういう事なのだ。
だとしたら…
亜美の想い人は祐作君か、あるいはその親友かって事になる。

今までの亜美との会話を思い出す。
転校したばかりのころは、友達の話なんかしなかった。
娘との会話に友達の名前が出てくるようになったのは、去年の夏休みの後だったと思う。
思い返す。
麻耶、奈々子。 この二人は最近でもよく名前が出てくる。 一番の仲良しなんだろう。 他には最近聞かなくなったけど
櫛枝と逢坂。 これはたしか女の子だった筈。
男の子は………
あれ? 祐作君以外に思いつかない。 あの子の話に出てくる男の子って祐作君だけ?
いや、たしかアホロン毛とかも聞いた気がするが… 悪意満点のあだ名って時点で、まぁ論外だろう。
ってことは、まさか、亜美の好きな人って… 祐作くん?
そ、そんなバカな… だって、なんで今更。 っていうか、いつも『裸族』とか言って馬鹿にしてるし…
いや、ブラフなのか?
思えば今日の祐作くんの言葉も変に含みがあった気がするし。 ひょっとするとひょっとしちゃうのかしら…。
いえ、でも祐作くん相手に、亜美があんなにシリアスになるのって、違和感ありまくりだし。
うーん。 でも、なーんかちょっと引っ掛る。
何かしら、この違和感。 でも、亜美から聞いたことのある男の子の名前って祐作くんだけよね…。
なんか、こう、喉まで出掛かってるっていうか… なんだろう。 何か忘れてるような……。

「…わしまさん、 あの、 川…」 何かしら、この忙しい時に。 「ひっ。 す、すみません。すみません。すみません。」
あら? きっちり台本通ーりに演技する『若手実力派』(笑)女優さんじゃない。 なに怯えてるのかしら?
「すみません。すみません。すみません。」 まだやってるし…。 そういえば、この子、オカマ野朗の事務所だったわね。
そう…。 あのオカマ野朗のせいで、私の事、鬼か何かだと思ってるのね… 気の毒に。
「それより、貴女、私に何か用があったんじゃなくて?」
「あ、はい。 あの、出番なんですけど。 次、川嶋さんの台詞からです……。」
「………もしかして、私、ボケてた?」
「は、はい。 ってじゃなくて、いえ、ボケたなんて言ってません! ああ、っていうか、そうじゃなくて…」
パニクッってるし。 なんか哀れになってきた。
「はいはい。 ごめんなさいね。  私ぼーっとしてたのよね? 解ったから、いきましょ?」
いきなり笑顔が輝いた。 まー素直ないい子なんでしょうね、それなりに人気があるのも頷ける。
ま、家の亜美の方が遥かに美形だけど。
やっぱり、こうして一緒に… ああっ、もう私ったら、未練たらたらカッコ悪いわ。 
今は演技に集中しましょうか…。


338あみママ! -3- 5/7:2009/06/16(火) 01:25:04 ID:OMSdS0Qw

「はーい、お疲れ様〜。」
「お疲れ様。」
「いやー、流石、安奈ちゃん。 調子悪いのかと思ったけど、結局ビシッと決めてくれたねぇ。」
この脚本家とは以前激しくぶつかった事がある。
あの頃は私も若かった。 新人虐めをやっているコイツを見て、我慢ならなくなって喧嘩したのだ。
もちろん、私が勝った。
それからというもの、事あるごとに私におべっか紛いの言葉を投げかける。 正直、嫌いなタイプだった。
「そういうのは先ず、ヒロインちゃんに言ってあげたほうが良いと思いますわ。 彼女、中々いい出来だったと思いますけど。」
ちょいとはぐらかして退散する。
ロケからスタジオ撮りに移行して、ようやく予定のシーンを全部撮り終えたのはもう夜中だった。
ヒロイン役の『若手実力派』(笑)女優ちゃんが、私のアドリブに幻惑されて、なかなかOKが出なかったからだ。
けれど、最後はきっちり付いてくるようになったのは、今までの教育が悪かったという証明のように思う。
さえないシーンが見違えるようにいい場面に変わった。
この娘は上手くすれば、このドラマで化けるだろう。
そんな事を考えつつ、日付の変わってしまった楽屋に戻る。
気難しいと思われている私は、いつも広い楽屋をあてがわれ、また、その楽屋に誰かが訪れることも極まれだ。
だから私の楽屋はいつも、この上なく、寂しい。

深夜ともなると、周囲のざわつきも楽屋の中には届かず、空調の静かな唸りだけが耳に付く。
私の好みとは合わない派手な衣装を脱いで、下着姿で畳に倒れこむ。

…それにしても、今日は精神的に疲れた。
娘より一つか二つ年上の若手女優さんと、ああいう話を聞いた後でがっちり4つに組んで演技をするのはよろしくない。
どうしても亜美の顔がちらついてしまうから。
そうして暫く天井とにらめっこした後、メイクを綺麗に落として、すっぴんで鏡に向かう。
―――主人に似なくて本当に良かった……こうして見ると、やっぱりあの子は母親似だわ…。

そして結局、娘の事を考えてしまっていた。 
あんなに必死なのだから、あの子の恋路は応援してあげたい。 これは本気でそう思う。
けれど、その恋心が私の夢を叩き壊したのも事実。
その恋の相手に敵愾心があるのも認めないといけない。
どうしたら折り合いがつけられるのか、正直自分では分からない。 
あの子の為を思っているのか、それとも自分の為なのか。
『奇跡が起きるかもしれない』
そう言うからには、亜美にも目が出てきたってことなんだろう…。
もしも、亜美がその男の子と上手くいってしまったら、どうなるのだろうか。
その場合やっぱり、芸能界復帰は無いような気がする…。
それとも、オカマ野朗の言うように、色恋ばかりでなく、案外先の事もきちんと考えているのかしら。
「はぁ〜。 そんなの分かるわけないか…相手次第よね…。」
つい独り言ちてしまう。
だが、実際結ばれたとなれば、亜美はあれで結構健気なところがあるから、去就は相手次第かもしれない。
一体、どんな男なのかしら?
祐作くん、では無い。 なんとなく、けど確信めいて、違うと思う。
あの亜美があんなに必死になるなんて、よっぽどその男が好きなんだろう。
正直、どんな男なのか想像がつかないのよね…。
………
……考え出したら、気になって仕方なくなってしまったじゃない。
出来ることなら、明日にでも学校にいって、亜美の様子を偵察したいくらいだわ…。

―――その時、ふと楽屋の衣装掛けにかかった昔ながらのセーラー服が視界の端に映った。

339あみママ! -3- 6/7:2009/06/16(火) 01:25:39 ID:OMSdS0Qw

私の高校は、今亜美が通っている学校のようにブレザータイプの制服だった。
当時はセーラー服の学校も今よりは沢山あって、やっぱりその可愛さは男の子たちに人気があった。
自分がまだ下着姿のままだった事を思い出す。
と、同時に悪戯心がむくむくと湧きあがって来た。

…き、着てみよう。
…………
……

着てみた。

くっくっくっくっく。 これが一児の母に見えて? もう、完璧じゃない、私。 
ナチュラルメイクも完璧。 ちょっと見はすっぴんだ。
おすまし顔してれば、シワだって全然見えねーし、『ちょっと老けた女子高生』で通用するわ。
いや、もう亜美の制服ちょっぱってくれば、マジで潜入捜査できるんじゃね? 
スカートの端をつまんで、くるんと鏡の前で一回り。
実は、セーラー服、憧れてたのよねぇ〜。
若い頃、私の好きだった漫画がドラマ化されて、私はもう、チョー気合入れてオーディションを受けに行った。
けれど…。
「いやー安奈ちゃんは、クールビューティーのイメージだからねぇ。 こういう色物は…ねぇ。 この役はアイドルから
選ぼうと思っててね、カッコ良すぎるのってダメなんだよね。 まぁ気を落とさずにがんばって。 じゃ、次の人。」
ええ。 一字一句、はっきりと覚えてますわよ。 
私一人だけ演技試験も無しに、面接開始30秒で落とされたのがどんなにショックだったか…。
ふん。 ちゃんと似合うじゃない。
ナチュラルメイクで若々しさを演出するには、まぁ、ぎりぎり?だけど…。

清純乙女モードでにっこり鏡に向かって笑いかけた、まさにその時。

こういう、滅多にというか、絶対やらないような事をした時に限って、普通は有り得ない様な事が起こるものよね。
どういう訳か世の中って、そういう風にできてるのよ、亜美。 あなたも気をつけなさい………。

楽屋の扉が、ノックも無しに開かれた。
マイナス273度の遭遇。
入ってきた2人が凍りつく。
当然、私も凍りつく。

バタン、と二人の背後の扉が閉まる音。 2人は未だに冷凍中。
「小林、飽田、判ってるとは思うけど…。」
首の前、親指を立てて、ゆっくり左から右へと手をスライドする。
僅かに解凍された二人は微かに、しかし、何度も頷いた。
だが、軽いパニック状態の私は、不思議なことに茶目っ気が一番表に出るらしい。 新発見だ。

「万が一、口外したら…」
左半身、斜に構える。
目を伏せ、ゆっくりと右手を左の肩口に添え…
…キッと睨みつけ!

「おまんら、許さんぜよ!!」

あぁ〜〜、一回言ってみたかったのよね…。 二十年来の夢が叶ったわ。
哀れな二人は白くなってるけど、ま、些細な事よね。

「…ふん。 ほらっ、そこで灰になってないでっ。 私、着替えるんだから、さっさと出て行く。」
「は、はいー!」 「す、すみませんでしたー!」
脱兎のごとくって、きっとこういう事を言うのでしょうね。 
文字通り、先を争うように出て行く二人を見れば、口元も弛むというものだ。

340あみママ! -3- 7/7:2009/06/16(火) 01:26:14 ID:OMSdS0Qw

とんでもない所を目撃されてしまったけど、お陰ですこし気が晴れた。
セーラー服を脱ぎながら、ついつい笑ってしまう。
あの二人にはいい酒の肴だろう。
そうだ。 何事もあんまり深刻に考え過ぎるのも良くない。 
亜美には嫌われてしまっているのかも知れないけれど、私は今のままでいい。
例えぶつかっても、愛する事さえ止めなければ、いつかはまた心が繋がるときもあるだろう。
オーディションに落ちた時、絶対に言わないと誓った台詞を、なんのつかえも無く、冗談で吐き出せたように…。
真剣に悩んでも、馬鹿をやっていても、結局等しく時間は流れていく。
私が悩んでいても、娘の心はそんなの関係無しに確実に成長していくのだ。

確かに亜美の想い人のことも気になるけど、べつに深刻になる事は無い。
もし結ばれるなら…
その時は祝福できる相手かどうか、見定めさせてもらう事になるだろう。
亜美が好きになった男の子だ。
きっと私を楽しませてくれるに違いない。

まだ見ぬ亜美の想い人を想像しながら、TVスタジオを後にする。
見上げれば、夏の夜空に一等星が一つ、二つ、三つ。
街灯に照らされた自分の顔がマネージャーがまわしてきた車の窓に映る。
自分のセーラー服姿を思い出して吹きだしそうになった。
結局、私も子供だ。
親らしい事をしたくて躍起になってるだけ。
もっと自分の気持ちに素直になりたいが、それすらなかなか出来ない。

「なんだか、ご機嫌ですね。」
「そう? ご機嫌って訳じゃないのよ?」
「でも、なんというか、楽しそうな顔をなさってますよ?」

人気のなくなった都会の景色が流れ出す。
「そう… そうねぇ…。」
阿呆だが、長年付き合っているマネージャーは、ただ微笑んでいる。
「だって、なんだか、可愛いと思わない?」

「…子供が、一生懸命、子供の心配してるのって。」

…マネージャーは何も言わず、流れていく都会の夜の中、やっぱりただ微笑んでいた。


34198VM:2009/06/16(火) 01:28:15 ID:OMSdS0Qw
以上です。

後半ちょっと遊んでみました。
改めて読むと、やっちまった感でいっぱいでぃすww
みんなも気にせず、バンバン投下しよー。

342 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:32:44 ID:lsY5ngA2
皆さんこんばんは。
[Lovers.-after days-]
の後編が完成したので投下させて貰いに来ました。
前回の感想を下さった方々、まとめて下さった管理人の皆さんありがとうございます。
注:この作品はみのドラです。
かつ微エロ。
それでもよろしかったら読んでやって下さい。
では次レスから投下します。
343 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:34:53 ID:lsY5ngA2
[Lovers.-after days-(後編)]

「お、おぉっ…冷たいな意外と、まあ全身が浸かったら慣れるけどな」
プールサイドに腰掛けたりゅーじくんが、足を水の中に入れて呟いた。
「へっへっへ!お兄さんよぅ、そんな事を言っていられるのは今の内だけだべ〜」
私は両手の指をワキワキと蠢かせながら、ゆっくり近付いていく。
立ち泳ぎしつつ右に左に、ジグザグに進んで…。
「スキありっ!!てやぁっっ!!!」
「おわぁっ!?」
そして彼の身体が射程内に入った所で、足首を掴んで一気にプール内へと引き摺り込む。
りゅーじくんが叫び声と共に盛大な水飛沫を上げた。
「冷たっ!!てか、尻が擦れたぞっ!?地味に痛ぇ!」
もちろん、そのままほの暗い水の底に御連れする訳にはいかない。
だから全身が水の中に浸かったら手を離す。
彼の悲痛な叫びに
『ちょっとやり方が強引だったかな?』
とか思いつつも、ようやく『練習』が出来る期待に私は胸を躍らせる。
「ややっ!それはいかんですなぁ、どれどれちょいと実乃梨さんに見せてみなされ」
彼と身体一つ分の距離を開けて相対し、お尻に向かって手を伸ばす。
いや、マジで擦り傷とか出来てたら申し訳無いしね。

344 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:35:34 ID:lsY5ngA2
同時にスキンシップも兼ねている。
無駄無く動くのは基本だよん。
「お、おうっ!?」
私の右手がお尻に触れると、りゅーじくんが身体をビクッと震わせた。
「ふ〜む…何処にも傷とかは無いね、いやいや、もっと触診しないと分からないなぁ〜」
人差し指をスッと滑らせ、続いて手の平で優しく撫でる。
愛でる様に、優しく優し〜く…サワサワしてみる。
「み、実乃、梨っ!ちょっ!大丈夫!もう痛みは引いたからっ!!」
りゅーじくんは、その愛撫じみた『触診』がくすぐったいのだろう。
慌てて私から離れようとする、そんな可愛い反応をされると…楽しくなってくる。
「こらぁっ!!動くでない!…はっ!?ま、まさか反対側かっ、くぅっ!気付かなかったぜいっ、早速確かめないと」
私は両手でお尻を鷲掴みしてモミモミ…おぉ、柔らかいのう柔らかいのう。
「お、おい!や、やめっ!?…っふ!ヤ、ヤバい!マジでヤバいからっ!!」
すると彼が手足をバタつかせて抵抗する。
もう楽しくて楽しくて仕方無い。
「そうだよ、ヤバいんだ!りゅーじくんのお尻が傷物になんてなったら大変だっ!」


345 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:36:28 ID:lsY5ngA2
実は彼が言うところの『ヤバい』が何であるかは見当がついている。
つまりは、りゅーじくんの御子息が『おっきおっき』してしまいそうなのだろう。
こう見えても櫛枝さんはりゅーじくんの事に関しては名探偵ですから、隠しても無駄さ。
「んんっ!?りゅーじきゅん…これは大変だっ!まだ完璧に体操が終わって無いじゃないか!ここの筋肉が硬くなっているよ?」
身体をピッタリと密着させ、お腹に目覚めつつあるおちんちんを擦り付けてから私はそう言った。
「だから言ったじゃねぇかよ…ヤバいって」
りゅーじくんが弱々しい声で呟き、抵抗を止める。
「うんうん、確かにヤバいね"これは"…。水の中じゃ抵抗になって溺れてしまうかも」
私は唇の端を僅かに上げてニヤニヤ顔で彼に問い掛ける。
身体を更にピッタリ寄せておちんちんを圧迫しつつ、左右にグリグリと擦り付ける。
わざとらしく、 それでいて心配そうな言葉を紡いで…意地悪してみる。
「っん!み、実乃梨ぃ…っ」
お尻をサワサワ、お腹でグリグリ。右足の太股でりゅーじくんの太股を引き寄せて、上目遣いでジッと顔を見詰めてあげる。

346 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:37:57 ID:lsY5ngA2
りゅーじくんは好きなんだ…こうやって手足を絡み付かせて見詰められるのが。
幽霊が見えるまでは、まさか自分がこんな事が出来るなんて思ってもみなかった。
りゅーじくんのおかげだね。
お礼代わりに、彼が根負けするまで止めないでいてあげる。
たま〜に甘い啼き声とかを出しながら、一枚づつ理性を剥いでいって『やる気』を出させてあげようじゃないか。
「ひぇっひぇっひぇっ…おかしいなぁ、ふ…ぅ
だんだんココの筋肉…つっていってるっていうか、んん…腫れてきた?」
「…うぅ…実乃梨が腫らさせたんだよ…、ん」
私達が戯れ逢って生じた波がプールサイドに当たる音と、りゅーじくんの気持ち良さそうな呻き、そして…発情していく私の甘い声。
車の音や蝉の声、色んな音もある筈だけど、私には聞こえない。
「ん…は…、りゅーじくん…」
お尻から背中に手を動かしてギュッと強く抱き締める。
するとりゅーじくんも私を抱き返してくれて…燻っていくの。
トクントクン…って心臓の鼓動が速く、高く…身体がポカポカしてくる。
彼の首筋に顔を埋めて鼻を押し当てると、ちょっとだけ汗臭い。

347 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:38:50 ID:lsY5ngA2
でも…私は好きだな。りゅーじくんの匂い。
全部…好き、大好き。
「は…ぅ。んんっ、あ…」
彼の手が背中から下に滑っていく。触れるか触れないか位のもどかしい手つきで。
行き着く先が分かっているから…私は期待してしまう。
そして彼の手がお尻に触れた瞬間、ちょっぴり気持ち良くて甘い声が出た。
「あ…。ふふっ、そこからなんだ?」
予想していた位置より下。太股でりゅーじくんが手を止め、優しく撫で始める。
「実乃梨のここ、柔らかくて好きなんだよ。…駄目か?」
頭一つ上から聞こえる優しい声。私は顔を上げずに俯いたままで聞く。
照れちゃって顔なんか見れないよ…。
「良いよ…、いっぱい触って?」
首筋に顔を埋めたままそう返して、私は彼に身を委ねる。
「あ…、ふ。……ん」
膝裏の方からお尻まで五指が滑る。くすぐったくてゾクゾクする感覚。
僅かに身を捩らせて逃れようとしても、りゅーじくんは追ってくる。
「んあ、あ、あ…うぅ」
指が蠢き、揉み、掴んで、その度に私は啼く。
何とも言えない心地良い感覚だけが徐々に私を包んでいく。
そして、私の手がおちんちんに伸びていくのは自然な事だった。

348 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:39:41 ID:lsY5ngA2
硬く、熱くなった『りゅーじくん』を根元からゆっくり搾る。
人差し指と親指で作った輪で、下から上に…。そして再び下へ…。
『もっと元気になぁれ』
そんな気持ちを込めてさ。
「は、あ…りゅーじきゅんの息子さん、すっごくおっきくなってる。
…ねぇ、気持ち良いかい?」
「ん…そりゃあ…な。でもやっぱり…」
そう言って、りゅーじくんが…内太股に手を滑らせていって、ゆっくりゆっくり…焦らす様に上の方に迫ってくる。
「んん…っ、直球だね。……りゅーじくん…我慢出来ない?
……挿入たい?」
お尻はスルーして、そのまま指を滑り込ませ、大事な所にあてがわれる。
そりゃあ『外』で長々と時間を掛ける訳にはいかないし、まあ…うん、だから聞いてみたのだ。
『ほんの少し戯れるだけ』で満足出来るのか?と…。
「おう。今すぐにでも…な」
彼の中指が触れ『入口』の周りを押す。

でも準備は出来てなんか無いから当然、挿入るのは無理な訳で。
「あふ…、そ、それじゃあ仕方無いね、我慢出来ないなら。ん…ぅ。ほれ、ちょっくら御手を拝借」
そう…仕方無いのだ。…だったら『手助け』してあげる。

349 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:40:15 ID:lsY5ngA2
少しでも早く『練習』出来る様に…。
私は下腹部をまさぐる彼の手を掴んで、自分の胸の前まで持ってくる。
「何だ、その…急すぎたか?」
私が愛撫を止めさせた事を勘違いしたのか、彼は申し訳無さそうに紡ぐ。
「違うよ〜、すぐにしたいなら、こうしたらさ……、んっ」
そのまま彼の手の平を揉みながら、顔の前へ…。
そして、りゅーじくんの中指と薬指を口に含む…。
「ん…む、ちゅくっ。ちゅっ!ちゅぱ」
唾液を絡ませた舌を這わせて、馴染ませていく。
『滑り』を良くする為に…。
節立ってゴツゴツした指……なんだかんだ言っても男の子らしい指。
私はそれを『美味しい』と思ってしまう。
りゅーじくんの味…なんだって。
そう思うと…お腹の奥がキュンッてするんだ。
おちんちんも良いけど、指も結構気持ち良いんだ…。
「ちゅっ!ん、あ…。くちゅ」
右手でおちんちんを揉みながら、りゅーじくんの指を舐め回す。
舌先で彼を辿り、余すことなく… はしたない音を発てながら…。
この状況に私は発情していく。
そう。物欲しそうに彼の指にむしゃぶり付いている自分の姿に…。
「んふ、ふふ♪ねっ?これなら大丈夫ですぜ」


350 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:41:19 ID:lsY5ngA2
たっぷり唾液を絡ませた後、口内から指を離して…また水の中へ。
一直線に『触られたい部分』まで誘導し、甘えた声でおねだりする。
「りゅーじきゅんが…早く欲しいよぅ。だから……キモチイイ事して…」
「お、おぅ。じゃあ挿入るから」
そう言うと、りゅーじくんが優しい指遣いで挿入てくれる。
「ん、あ…。んっ……ふぁ」
やっぱり『付け焼き刃』だとちょっぴり引っ掛かって痛い。
でも…それは少しだけの間我慢すれば良い。
「ん!う…、あ…!あっ!!」
りゅーじくんが根元まで指を挿入て、優しく擦る。
ゾクッとする痺れが走り、私は身体を震わせる。
全部、受け入れてしまえば意外と楽なんだ…。
ちょっとだけ気持ち良い…かな。
「んあ…、あ…あんっ、くふぅっ」
両腕を彼の首に回して身を委ねる。
ギュッとしがみついて、りゅーじくんに甘える。
優しく小刻みに膣内が掻き回され、だんだんと身体が熱くなっていく。
涼しい水の中なのに…まるで、お風呂の中に居るみたい。
「どうだ?キツくねぇか?……おぅ」
そんな気遣いに私は更に身体を寄せて答える。
「大丈夫…だけど、足が疲れちゃった…。しがみついても良い…かなぁ」

351 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:41:56 ID:lsY5ngA2
そう言った時には、既に彼の腰に足を絡ませてしがみついていたりする。
「って、もうしてるじゃねぇか。けど、このままだと直に俺も疲れそうだし、……そうだ」
そう言うと彼は私を抱いたまま、プールサイドの方に寄る。
そして波打ち際にもたれ掛かって口を開く。
「これなら疲れねぇ」
「さっすがりゅーじきゅんだっ、賢いねぇ〜」
満足気に言った彼が可愛くて、私は右手で彼の髪を手櫛して…そのまま後頭部を押して自分の方へ抱き寄せる。
「ご褒美…」
私は彼の唇に甘く吸い付く。
上唇を甘噛み、舌先を口内に潜らせて誘う。
「ん、んん…っ、あ…っ、んむ」
誘い出そうとした舌はすぐに捕えられ、愛撫する指が膣壁を抉る。
うん、まるで指圧みたい…だね。私の膣内をモミモミ…スケベな事をする。
重ねた唇から漏れる私の甘い声、それすら逃がさないと言わんばかりに、りゅーじくんは顔をずらして舌を絡ませてくる。
「んっ、ん、あ…。はあ…あ、む。ちゅく」
彼の口内へ手繰り寄せられ、軽く吸われる。
唾液を含まされ、舌先で弾かれ、重なる。
膣内で小刻みに擦り付けられる指が曲げろれ、少しずつ抜かれ、また挿入ってくる。

352 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:42:51 ID:lsY5ngA2
「あぅ…、あふ!んっ!んうぅ、ふっ!」
二本の指が私をまさぐる…。拡げ、押し、擦られて、弾かれる。
淡いけど…身体の奥底から熱く蕩かされる快感。
私は夢中でりゅーじくんをねぶる、口内に舌を引き寄せて、強く絡ませる。
「んっ…う!は…、あ、んくっ!」
送られる唾液を飲み込み、戯れ合う舌先でチロチロと挑発して…悪戯もしてみる。
「っ…、て…。実乃梨…噛むなよ」
「んう?いやぁ、美味しそうだからついついね」
犬歯で少し強めに彼の舌を噛んだ後、悪びれた様子も無しに私は微笑んでみせる。
そう。ちょっとした悪戯だから怒らないでよ。
「そうか。…倍にして返してやるよ」
そんな私の態度を見て、りゅーじくんは意地悪な笑みを浮かべつつ頬を寄せる。
「んあ…。あ、ちょ…ひゃっ!」
そのまま頬を擦り寄せるのかと思っていたら、りゅーじくん…舐めてきたの。耳たぶを…。
私が耳、弱いの知ってて…気持ち良くておっきな声が出るの知ってて、外なのに…してくる。
「んんっ!!あふっ!!だ、めだよぅっ…ひうっ!!」
同時に二指で膣内を掻き回される。
円を描く様に、そして強く強く叩き込まれ…私は溶かされる。

353 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:43:28 ID:lsY5ngA2
「んうぅっっ!!!ふっ!!ああぁっ…ひ!!」
暖くて柔らかい舌が耳をくすぐり、吐息を断続的に吹かれる。
その快感から背中が反って、腰から首筋までゾクゾクとした震えが走り抜ける。
大きな喘ぎを彼の首に口を当てて抑えようとする。
でも…でもね『意地悪りゅーじくん』はおイタをした私を許してくれない。
「はっ!はうぅ…、ひあうぅっっ!!り、りゅーじくんっっ!!ひっ!?」
ねっとり這う舌、ガツガツと荒々しく貫く指…更に一つ刺激が加わる。
器用に親指の腹で『敏感な部分』を転がすのだ。
腰が砕けそうになる強い刺激を与えられ、私は彼を抱く力を強めて抗う。
「実乃梨…もう"トロトロ"だぞ?」
「や、あぁ…!り、りゅーじくんのせいだよっ、あんっ!!」
私の身体の変化を強調して言われ、羞恥に身体も顔も熱くほてっていく。
「いや違うだろ、いつもより早いし……おぅ、そうか実乃梨もしかして…」
『外でするの癖になって……堪らなくなっているのか』
そう耳元で意地悪な事を囁かれ、黙り通そうとしても身体はピクンと正直に返事してしまう。
「くふぅっ!!ふっ!そ、そうだよ!!ちきしょーめ!!全部、変態りゅーじくんが悪いんだっ!!」

354 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:44:48 ID:lsY5ngA2
そう言われたのが妙に悔しい。
私は彼と合わせた頬を離し、両手で肩を掴んで吠える。
私はただ、りゅーじくんと甘々ラブラブするのが好き……そう思いたかったのに…。
その言葉に自覚してしまったのだ、彼だけでは無く私も『変態』なのだと……あ、いや別に痴女って訳じゃ無いっすよ。
もちろん、りゅーじくんとなら『変態』になれるという限定付きだけどさ。
急に吠えた私に面食らった顔の彼を見やる。
「嫁入り前の無垢な娘さんをこんなにしおって!判決…はい!有罪っ!よって責任を取れい!!」
悔しい×羞恥=頭が真っ白
よって私は訳の分からない事を彼に対して口走ってしまう。
「お、おぉうっ!!分かった!言い過ぎたっ!!
すまん!ひとまず落ち着け!深呼吸だ深呼吸っ…ほらヒッヒッフーッ!!」
混乱した様子だが彼は私に謝罪し、宥めようとする。
「ラマーズっ…こらぁっ!!そういう事をしなけりゃいけない状況に、りゅーじきゅんはしたいかっ!
ひゃっひゃっ!このド鬼畜め!」
「させてぇよ!!…じゃなくて俺は鬼畜じゃねぇ!!」
「なにおぅっ!って……おふぅっ!?…あひゃあぁあ〜」


355 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:45:34 ID:lsY5ngA2
良い感じにトランスってきた所で、さり気なく彼が紡いだ爆弾発言に私の暴走モードは終了し、身体から力が抜ける。
頭が沸騰し、クラクラして…彼の言葉が鳴り響く。
『させてぇよ!』
って…そりゃあアレかい?………つまり赤ちゃん?
「おう!そうだよ!責任ならしっかり取る!実乃梨が夢を実現させた後で良いから………

俺の嫁に来いっ!!」
と、ガツンって言われちゃって私は一撃ノックダウン。
これはプロポーズ……絶対プロポーズだ!
だって嫁だよ?嫁!お嫁さん!
『実乃梨は俺の嫁』
と真顔でりゅーじくんが言う姿が再生される。
混乱する思考……それでも言われた事に対して脳内会議は全会一致で採決する。
「お、おうっ!おうよ!!わ、わわ私、嫁になるぜ!!
りゅーじくんのお嫁さんっ!!
不束者ですがよろしゅう頼んますぅ!……でっ!?」
「あがっ!?」
慌てふためきながら深々とお辞儀したら彼の鼻っ面に頭突きしてしまう。
りゅーじくんの悲痛な呻きと共に一瞬、目の前を火花が散って我に返る。
「おぉ…重ね重ねごめんよう!痛かったよね?」
私は鼻を押さえる彼の手を持ってうろたえる。

356 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:46:16 ID:lsY5ngA2
「だ、大丈夫だ…。それより今言った事な……本気だから」
「え、あ…、う、うん!」
呻く様に彼が呟き、続いて真剣な表情になって……そう言ってくれたんだ。
「今すぐ…一年とか二年じゃ無理だろうけど、実乃梨が夢を叶えて、納得出来るまでやり遂げたら…
それからのお前の人生を俺にくれよ」
手をギュッと握って、りゅーじくんが紡ぐ。
これ以上無いという程の幸せで、熱の籠った求愛の言葉を…。
照れを通り越して、惚けてしまいそうな心地良い言葉。
紡ぐ言葉が出なくて、私は深く頷いて返す。
この気持ちは言葉でなんて言い表せない。
気持ちが舞い上がって、心臓がエイトビートより速く脈打つ…。
私は彼にしっかり抱き付いて顔を首筋に埋める。
落ち着きの良い場所を探ってグリグリと鼻を押し当て…ただ一言、ようやく想いを告げれる言葉を見付けた。
「…しっかり、ギュッて掴んでてくれなきゃ逃げ出しちゃうよ?
嬉しくて…信じれなくて…幸せで、怖くて……私は弱いから」
「おぅ、ずっと掴んでいてやる。…離せって言ったって絶対に離さねぇよ」
りゅーじくんが私を強く抱き返し、手に指を絡ませて握ってくれる。

357 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:47:07 ID:lsY5ngA2
「…約束だよ」
そして私も手を握り返して、暫く時間を置いた後、迷い無く伝える。
「今日は"練習"じゃなくて………良いよ?
赤ちゃん……造る練習じゃなくて………本当に…………」
そこまで言って、唇をりゅーじくんの耳元に近付けて紡ぐ。
「今日は…………だから、それに夢はいつか繋がるよ…、…………で、しよっ?」
...
..
.
あの時、彼に紡いだ言葉は内緒。
誰にも教えない、二人だけの秘密。
今思えば、あれが本当の意味で契機だったんだ。
夢が一つから二つへ…時間が経つ毎に増えていって、叶えるのに四苦八苦したっけ。
でも残さず叶えていった。りゅーじくんと一緒に…さ。
そして残すは一つだけになった。
「……ふう…」
私は大きくなったお腹を擦りながら、手に持った洗濯籠を床に置く。
もう二月もすれば叶うんだ。少女だった頃の私の夢が…ふふ。
何だかんだ十年待たせて、時にすれ違って邂逅し、仲を深めて…今の私が居るんだ。
名字が『櫛枝』から『高須』に変わって、二人家族から三人家族になろうとしている。
「ねぇ?パパはお仕事頑張ってるかなぁ?………うひゃ」

358 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:47:56 ID:lsY5ngA2
そう問うと、一撃…お腹の中から蹴られる。
そんな返事をくれた愛しい我が子を撫で、私は晴れ渡った青空を眺める。
汗ばむ陽気の中、私は一昔前の色褪せない記憶を思い出して想いに耽る。
あの日から、りゅーじくんと私は本当の意味で恋人になれたんだと想う。
『会う』が『逢う』になって……変な照れも徐々に無くなっていって……全てが繋がったんだ。
うん。そして今に至る。
そう。あの暑い夜、私達は正真正銘の
『Lovers.』
になれたんだ。

終わり

359 ◆KARsW3gC4M :2009/06/16(火) 01:49:00 ID:lsY5ngA2
以上です。
次は前作の続編が書けたら来ます。
では
ノシ
360名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:49:41 ID:RT7BKjk6
KARs様を支援(;´∀`)ハァハァ
361名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:55:21 ID:Coi0CMwA
グンタマさん、VMさん、KARsさん、三氏ともGJ!
特に安奈さんの竜児(とあーみん)のかまい方が素敵だわ。
362名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 01:57:58 ID:DCjD+H1X
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『荒らしがスレを伸ばしてると思ったらいつのまにか大量の良作が投下されていた』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった
頭と愚息がどうにかなりそうだった…
なりすましだとかジョバンニだとかそんなチャッチなもんじゃ断じてねえ
もっとGJなものの片鱗を味わったぜ…
363名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 03:00:28 ID:1oYdVeie
荒らしで伸びてるだけと思ったら作品投下されてんじゃねえか
GJです
364TF:2009/06/16(火) 05:56:36 ID:QX7OHhnz
投下すると宣言しておきながらこんな時間になってしまいましたスイマセン
では次から始まります
365TF:2009/06/16(火) 05:57:13 ID:QX7OHhnz
竜児はこれでもかという程に三白眼を見開き鋭い眼光をギラギラと放射していた。
傍から見ればその目は目の前にいる者を殺し、この国の王となり、世界各国を侵略し、魔界色に染めてやろう。
そう思っているように見えるが、実際はそうではない、驚いているのだ。

「き、北村?」

TORADORA FANTASYV 記憶のカケラ

目の前にいる竜児の無二の親友、北村祐作は
王様らしい服を着て、王様らしい冠をつけて王様らしく家来を率いていた。
3人は驚き、口をあんぐりさせている。一人だけ違う反応をしている者がいた。

「き、きた、きたむ、北村きゅんが王様・・・・」

顔を紅潮させ体を気をつけの姿勢にしてガチガチにさせている者、逢坂大河その人だった。

「なんだみんなして、そんなに俺が王様じゃ不服か?」

「いや、そうじゃねぇそうじゃなくてだな・・・・」

「もしかしてこの格好が変なのか?」

「いやだからそんなんじゃなくt」

「そ・・・そんなこと無い!とっ・・とっても似合ってるよ・・・」

竜児の発言を遮り大河が北村の発言を否定する。その後は顔をゆでだこ状態にして俯く

「そうかそうかありがとう逢坂、お前もチャイナ服似合ってるぞ。」

北村は満面の笑みで大河に礼を言い褒めた。
大河はというと笑顔と言葉の相乗効果により、顔の紅潮は一層酷くなり、
返り血がついたのかと思うほどに紅くなり、頭からは湯気が出て今にも爆発しそうな感じだ
口を歪め、「ふへ、ふへへへへ」と盛大ににやけている。
366TF:2009/06/16(火) 05:57:50 ID:QX7OHhnz
「北村、俺たちはお前に聞きたい事が二つある。」

「なんだ?2つと言わずいくらでも聞いてくれ。」

「じゃあまず一つ目、何故お前はここにいる?」

「気づいたらここにいてこんな格好をしていた。そんなところだ。お前達は?」

「お前もか、俺達もそんなところだ」

「そうか。で、もうひとつの質問は何だ?」

「ああ、さっきの近衛兵の口ぶりによると、なんか俺達に頼みごとがあるんじゃないか?『光の戦士』として」

北村は一瞬目を見開くがすぐに首を二、三度振り溜息混じりに言

「まったく、高須の目と感の鋭さには敵わんな。」

「女心にはかなーり鈍いけどね」

亜美も溜息混じりに言いそして呟く

「・・・だからいつもこっちが苦労すんのよ・・・」

「二人して言いやがる・・・ん?川嶋なんか言ったか?」

「さぁ〜てね亜美ちゃんさっぱりわかんな〜い」

亜美に上手くはぐらかされ少し不満を抱えながら竜児は北村に向き合う

「で、用件はなんだ。言わないんだったら帰るぞ。」

先程の北村の発言には少しながら怒りがあるように見せるため、少しだけ眉間にしわを寄せ
不機嫌そうに言う。
367TF:2009/06/16(火) 05:58:13 ID:QX7OHhnz
「すまん、さっきのは冗談だ。さて用件なんだが、実はこの国の王女が城のナイトに拉致られた」

「な、なんだってーー」

叫んだのは実乃梨、しかしそのシャウトは北村の説明により流されていく

「それでその王女を連れ帰ってきて欲しい。」

「分かった。その王女名前は?」

「狩野すみれだ。」

狩野すみれ、大橋高校の生ける伝説、兄貴、生徒会長、狩野姉妹の兄の方、そんな風に呼ばれている人である

「「「「な・・・」」」」

爆発寸前だった大河の顔は一気にクールダウン。すみれをボコりにいったこと、北村とすみれが両思いだったこと、
を思い出し、そしてこの世界で二人は結ばれていることに気づいたのだろう。そして硬直

「「「なんだってーーーーーーーーー!!」」」

某ミステリー調査隊よろしく竜児、亜美、実乃梨が叫ぶ

「これはどういうことなんだ!キバヤ・・じゃなくて北村!」

「どうって言われてもな・・・会長はここから北西にあるカオス神殿にいるらしい。どうか・・会長を頼む・・・」

「会長は今はお前だろ。わかった何とかやってみる。いいよな、大河」


「え・・・・あ・・うん・・・」

明らかに覇気がない大河の了承を得て

「おおそうかありがとう逢坂、もしかしたら拒否されるかと思ったが、よかった。」
368TF:2009/06/16(火) 05:58:57 ID:QX7OHhnz
北村が安堵の笑みを大河に向ける

「ちょっとー私と実乃梨ちゃんの意見は無視〜?」

亜美がふくれっ面で抗議の意を唱えるがその横で

「あっしはいっこうに構いませんぜおやびん?」

「櫛枝もすまないな。で、亜美お前はどうなんだ?」

北村がやや高圧的に亜美に聞く

「わ、分かったわよ行けばいいんでしょいけば。」

その高圧的な態度に気圧されたのか拒否するのを諦めたのか渋々了解する。

「四人ともありがとう。礼といっては何だがこれをやろう。」

大きな布袋が側近から竜児に手渡される。中には薬やらの道具一式、
そしてこの世界の貨幣が入っていた。

「その金で装備を整えるといい。しかし今日はあいにくこんな時間だ。武器屋も閉まっている、部屋を貸すから泊まっていけ。」

「おう、何から何まですまねぇな。」

「なに、これくらいはしないとな。この四人を部屋へ案内せよ」

北村が手を叩くと侍女がやってくるそして四人を別々の部屋へと案内する。
夕食を終え、竜児は最高級ホテルの一室を思わせるほど豪華な来客用の部屋の隅で思案にふけっていた

(どうも何かがおかしい。町で見たワンシーン、大河の北村への態度)

(いや、大河の北村への態度は前からあんなんだった。おかしくない。でもそのおかしくないのが・・・・
369TF:2009/06/16(火) 05:59:23 ID:QX7OHhnz
「おかしいんだよなぁ〜」

竜児は訳の分からないもやもやとした感情を吐き出すように溜息をついた。
そんな時だった、ノックの音が飛び込んだ。

「ったくもう少しで分かりそうだったのに、もうなんだよ、どちらさま?って川嶋・・・」

「ねぇ高須君少しお話しない?」

「ん、分かった入れよ。」

亜美を部屋に招き入れる。こうういう部屋にいるのが様になるのはこいつがセレブだからかと竜児は思う

「んで、話ってなんだ?」

椅子は一つしかないので椅子をベッドの近くに置き自分はベッドに座り話を切りだす。

「ねぇ、なんか、私たちの記憶、おかしくない?」

亜美が尋ねたこと、それは竜児も気にかけていたものだった。

「お前もか、俺も実は町に入った時点から気になっていたんだ。」

「高須君もか、私はねタイガーの祐作への態度がおかしいと思ったのよ。」

「おう、俺もだ。どうやら俺達は生徒会長選挙直後からの記憶が無いらしい。」

「うんそうみたい。でも何でだろう、忘れたい事があるのかな?その後に、それかもしくは・・・」

「もしくは・・・なんだ?川嶋」

「もしくは´やり直せ゜ってことなのかなぁ・・・・」

あまりにも唐突且つ意味不明な言動に竜児目を瞬かせる。
370TF:2009/06/16(火) 05:59:58 ID:QX7OHhnz
「なんだ、そりゃ、どういうことだ?」

「この世界で記憶に無いようなことが起こらないようにやり直せってことなのかなって思っただけ。」

「はあ」

到底理解できないような事に竜児は生返事をする。

「分かってないでしょ、まあいいわ、話に付き合ってくれてアリガト、あ、あとこれは・・・」

亜美の顔が竜児に近づく、

「お、おい川嶋・・・?」

さらに近づく、
亜美の頬を赤らめ、うるうるとしたチワワアイで竜児を見つめる。
一瞬、一瞬だが確かに唇が重なる、竜児のかさかさした唇と亜美の艶めかしい唇が。

「は?え?」

竜児の頭は完全にショート、何が起きたかいまいち理解できてない。
亜美は満足そうに笑うと立ち上がって、

「これはお昼の時のお礼、おぶってくれてアリガトね。」

そういって部屋から出て行く。
竜児そのままベッドに倒れ込み、気づけば朝になっていた。
朝食のとき北村に呼び出され、王様の部屋にいるのが現在である。

「北村、なんだ、」

「来たか、高須お前に渡したいものがある。受け取ってくれ。村瀬、頼む」

「よう高須、へい」
371TF:2009/06/16(火) 06:00:45 ID:QX7OHhnz
村瀬!おう」

彼は生徒会選挙を期に仲良くなった生徒会の庶務、村瀬である。
互いにハイタッチした後村瀬が身の丈はあると思われるケースに鍵を差込み開ける
中には幅広な大剣があった。

「ほら、高須、受け取れ、」

「おう・・この剣は?」

「フェンリル、北欧神話に出てくる怪物のような狼だな」

「いや、そうじゃなくてなんでこんなもんを俺に?」

「この城の宝らしいのだが剣は剣、使われなくちゃ意味無いだろ、それに高須なら使える気がしてな。」

「そうか、じゃぁありがたく使わせてもらうぜ。」

竜児は剣をケースに入っていたホルダーに収め背につける、

「よし、あーその剣なんだが、じつは6本の剣にぶんかいできるんだ、まあ慣れが必要だろう。町の近くで練習するといい。」

「ああ、ありがとう。じゃあ大河たちとレベル上げしてくる。」

「なんかあったらまた来いよ。」

「ああ、行ってくる。」

つづく
372TF:2009/06/16(火) 06:05:37 ID:QX7OHhnz
以上です、竜児の剣は言わずもがなのFF7ACのクラウドの剣です。
Wはまたしばらく後になりそうですではでは
373TF:2009/06/16(火) 06:37:20 ID:QX7OHhnz
ども、PSPからです 言い忘れてましたが御三方gjです
374名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 09:06:41 ID:RT7BKjk6
>>323 GJ
>>341 GJ
>>359 GJ
>>372 GJ

 G J !!
375名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 09:53:35 ID:qLSGyqQI
何この神の共演
376名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 13:57:21 ID:Db6sX2Sf
おーまーいーごーw
377名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 18:10:50 ID:Db6sX2Sf
どうさた?もう、ネタ切れかい?
HEY!HEY!HEY!
378名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 18:42:14 ID:liwfdPU+
そだね、日記と奈々子物とサミットの作者がネタ切れして逆上してるかもねwww
379名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 18:48:35 ID:T50px2y0
キチガイが暴れ始めてから姿を見せてない職人は、日記、サミット、腹黒、その他未完クズ作品を投下してた奴だけだな。これはもう確定的。荒らし=サミット。
後の展開に詰まるのも、投下するたび叩かれるのも全部自業自得。自己責任。
まだ自演で痛いマンセーレスつけるだけなら黙認もするが、これはもう許せない。死ねよ。二度とドラスレに来るな。
380名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:08:55 ID:By+qNqoS
とりあえず落ち着こう
イライラしてるのかもしれんが
いい作品が投下されたんだ
楽しもうじゃないか
4作者さまGJです
381名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:16:11 ID:zW3hfHus
みのりんに襲われたいです><
382名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:16:12 ID:T50px2y0
今度は話題逸らしか。必死だな。行動が安直で解り易すぎるんだよ。所詮は低能作者。底が知れてるな。
383名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:27:39 ID:liwfdPU+
このスレで未完の落書き垂れ流してるのって、
あの荒らしでしょ
このスレの雰囲気をひたすら悪くしているよね
384グンタマ:2009/06/16(火) 19:37:37 ID:oJg9WSfW
申し訳ないですが、1投下者として言わせてくださいな。

変な荒らしの方も自重しましたし、これ以上雰囲気を悪くなるような書き込みは勘弁して下さい。
長期間ネタが浮かばなかったりするのはよくあるし、投下は強制ではないはずです。
決定的証拠があるなら仕方ないですが、時期云々等の決めつけで犯人扱いはやめましょう。

以降は、ほっこりした雰囲気でスレが伸びることを望みます。

長文失礼しました。おとなしくSSを書く作業にもどります
385名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:39:35 ID:T50px2y0
あんなクズ作品を容認していた住人にも責任はあるがな。
「会話文だけでもSSは成立するんですね(笑)」ねーよW
386名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:41:14 ID:dWV+mXGt
ID:T50px2y0とID:liwfdPU+の仲良し二人組みはとりあえず黙ろうよ
387名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:43:28 ID:liwfdPU+
私も作者の一人だけど、
あの屑は容認できない
投稿途中と、投稿直後に「ななどらまだぁ〜」をかまされた怒りは忘れない
388名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:46:16 ID:qCaxsaJc
IDって変更するともとには戻せないんだって
単発とか賛同者が一杯出て来るのに、もとの発言者は消えてるとかよくあるよね
389名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 19:55:14 ID:Hj8K7FCy
>>liwfdPU+、T50px2y0
人を悪し様にしか言えないのかよ・・・
とらドラ読んで感動したからココにいるんだよな?
とらドラの雰囲気を楽しみたいからココにいるんだよな?
竜児の垢を煎じて飲むことをお勧めします。

>>4作者さん
GJです。

>>グンタマさん、98VMさん
亜美ママのブームが到来しそうな予感がしますね。
大物女優というキャラ設定があるお陰で、
本編にいない「余裕のある大人」から見たとらドラを表現できるのがいいですね。

>>KARsさん
みのりん可愛いよ。みのりん。
みのりんは、すっごい良いお母さんになりそうですよね。
子供はめっちゃワンパクに育ちそうw
アフターは無いのでしょうかね??w

>>TFさん
元ネタがわからないのが残念・・・
ん〜、分類はちわドラなのかな?それともみのドラ?
記憶がないって複線が後々どういった展開を見せるのか期待です。
390名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 20:00:35 ID:T50px2y0
また自演wwwもういいからお前。
もう未完の作品は保管庫から全抹消だな。ここまで荒らし罪を償え。
391名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 20:03:27 ID:TkQPEmFU


ーーーーーーーここから嵐の話題禁止ーーーーーーー

392名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 20:20:03 ID:+ouFr2t+
・煽り
・age
・ss落とすわけでもなく、トリもつけてない自称書き手
・作品以外でID真っ赤
・コピペ、AA、顔文字の入ったレス
・このレス
・これらに一度でも反応したレス
のIDを全てNGに指定し続ければ8割がた解決
393名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 20:29:15 ID:l0a8J/lo
沸点低すぎ
荒らしも含めて楽しめるようにならないとストレス溜まるよ
394名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 20:56:57 ID:Waf8sJfX
このスレも終わりかね、せっかく保管庫も出来たのに
まさかルミナススレのキチガイ荒らしに眼を付けられていたとはな
不運なスレだ
395名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 20:57:35 ID:uUeaDQde
バーカ、バーカwww
自治厨乙wwwww
ななどら以外の糞作品なんてノーサンキューwwwwww
396名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 21:55:02 ID:41HEs1gh
スルースキルが足りないな
相手するからつけあがるのに何故反応するんだお前ら
397名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 22:08:44 ID:OMSdS0Qw
>>389
いや〜、自称、安奈さんの第一人者の98VM的には
ニッチ産業でなくなるのは複雑な気持ちデス。
しかも、他の作者さんの書くママの方が面白くて困るw

いや、書いてもらえてカナーリ嬉しいんですけどね〜
398名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 22:19:04 ID:4RSASv+6
夏が近いせいか色んなエロパロスレが荒れてるな
これからもっと釣針が多くなると思われますので、18歳以上の方々はスルーをお願い致します
399名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 22:21:46 ID:OlljXn8m
最近エロパロに限らず荒れてるんだよな
荒れてないのはもともとマジキチじみたテンションのとこだけだし
400名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 22:24:33 ID:itNVXhza
>>385
あえてマジレスすると、会話文だけのもアリだと思うよー。
いわゆるvip風だね。面白けりゃ、なんにも問題ない。
401名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:21:16 ID:uUeaDQde
最終回
402名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:29:27 ID:Db6sX2Sf
にやひやひやたにひなやなたやかふにひにた!
403名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:35:30 ID:Db6sX2Sf
ゴサバゾグンガ、グレギブンバゾ!
404名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:36:45 ID:Db6sX2Sf
金網の魅力を写したいと思ってたら、グレギブンバゾ!(笑)
405名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:39:20 ID:Db6sX2Sf
にっちもさっちも、どーにも、グレギブンバゾ!(笑)
406名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:41:40 ID:Db6sX2Sf
破れそうなシルクのグレギブンバゾ!(笑)
407名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:44:14 ID:Db6sX2Sf
あなたのハートにグレギブンバゾ!(笑)
408名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 23:52:45 ID:DCjD+H1X
いまこそ昔アミちゃんがマカーでハカーな作品書いてた作者による「アミちゃんのスルー力養成講座」を書いて頂きたい
409名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:01:24 ID:Db6sX2Sf
>>408柿食えば、鐘が鳴るなり、グレギブンバゾ!(笑)
410名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:35:50 ID:2IYOdvW0
上から読んでもグレギブンバゾ、下から読んでもグレギブンバゾ!(笑)
411名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:36:06 ID:kt9ndPTT
君ら荒らし荒らしってそんなに荒らしが好きなのか?
この話題はもう闇に葬ろうぜぇ〜
412名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:37:04 ID:2IYOdvW0
プロレスラー三原が死んだ理由はグレギブンバゾだったから。(笑)
413名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:39:33 ID:2IYOdvW0
>>411超葬ろうぜ〜!
夏の荒らし!
あたしだけにかけて〜リングにかけて〜!(笑)
414名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:41:08 ID:2IYOdvW0
ロン!グレギブンバゾ!(笑)
415名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:41:55 ID:2IYOdvW0
おいちゃんのグレギブンバゾ!(笑)
416名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:42:35 ID:2IYOdvW0
母さん、グレギブンバゾ!(笑)
417名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:43:11 ID:2IYOdvW0
かかってこい、グレギブンバゾ!(笑)
418名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:44:24 ID:2IYOdvW0
高須グレギブンバゾ竜児(笑)
419名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:44:50 ID:2IYOdvW0
とらグレギブンバゾ!(笑)
420名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:45:31 ID:2IYOdvW0
グレギブンバゾドラ!(笑)
421名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:46:05 ID:2IYOdvW0
合体、グレギブンバゾ!(笑)
422名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:46:52 ID:2IYOdvW0
天元突破グレギブンバゾ!(笑)
423名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:48:09 ID:2IYOdvW0
劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大グレギブンバゾ!(笑)
424名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:48:52 ID:2IYOdvW0
堀江由衣の天使のグレギブンバゾ!(笑)
425名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:50:10 ID:2IYOdvW0
スーパーグレギブンバゾ大戦!(笑)
426名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:52:55 ID:2IYOdvW0
想いあって
すでに僕がこの島に流れ着いてから二年の月日が経っていた。
僕は16になり、すずも15になった。流れ着いた最初の頃は、一刻も早く日本に帰りたいと思っていた。
427名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:53:16 ID:2IYOdvW0
しかし、時が経つにつれてそういう事を思う事が少なくなり、
反対にこの島でこれから先どのように暮らしていこうかというようなことを考える事が多くなっていた。
勿論、日本に帰る事をまだ完全に諦めた訳ではないのだけれど。
そんな事を考えながら朝の日課である朝稽古をしていると
「うにゃぁ・・・。行人、おはよう」
「あっ、すず。おはよう」
428名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:53:38 ID:2IYOdvW0
「今から朝ご飯作るからちょっと待ってて。」
「うん、頼むよ。」
すずはこの二年間で更に胸が大きくなり、身長も伸びた。
日本だったらかなりのモデルになれるんじゃないかと思うくらいだった。
「今日はどの服着ようかなぁ〜」
「すず、それ全部一緒じゃん…」
429名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:54:06 ID:2IYOdvW0
さすがに僕も二年も経つと、すずや他の子達の裸を見ても鼻血は出さなくなっていた。
しかし、その代わり最近は下半身に血が集まるようなっていた。
見られると困るので、風呂だけはいまだに一人で入っている。
この二年の間にすずに襲いかかろうと思った事は何度かあったが、
その度に何とか自制心で歯止めを掛けていた。だが、その自制心も限界にきていた。
試しに何度か自分で慰めてみたが、その場しのぎにしかならなかった。
430名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:54:27 ID:2IYOdvW0
「行人〜、朝ご飯出来たよ〜」
色々と考え事をしている間に朝食が出来たようだ。
「わかった、今行くよ。」
朝食のメニューは、焼き魚に漬け物と味噌汁に白米だった。
特にいつもと変わりないメニューだったが、二年前に比べて味は格段に上だった。
「行人、どう?美味しい?」
431名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:55:23 ID:2IYOdvW0
「うん。相変わらず美味しいよ。すず。」
「本当!?行人、ありがとう。」
「ところでさ、今日はどんな仕事するの?」
「う〜ん。今日は特に無いんだよね。」
「じゃあ、家の仕事が終わったら、村に行って仕事手伝うんだね。」
「うん。そういう事になるかな。じゃあ行人、今日も1日張り切っていこう!!」
432名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:55:47 ID:2IYOdvW0
「おー!!」
それから、朝食を食べ終わり家事を済まし、村に降りて歩いていると早速声を掛けられた。
「すずっち、ダンナ、おはよう!」
「りん、おはよう。」
声を掛けてきたのはりんだった。りんは身長はあまり伸びなかったが、体つきはさらに女らしくなっていた。
「あのさ、暇だったらあたい達の仕事手伝ってくれないかい?」
433名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:56:46 ID:2IYOdvW0
「うん、いいよ。丁度今仕事探してたんだ。」
「それより、仕事って何するの?」
「家の組立作業を手伝ってもらおうと思ってさ。」
「じゃあ、今日1日は全部潰れちゃうね。」
「そうだね。」
「昼飯はこっちで用意してあるから心配しなくてもいいぜ。」
434名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:57:05 ID:2IYOdvW0
「あ、そうなんだ。」
「母さん、連れてきたよ。」
「りささん、おはようございます。」
「おう、ボウズ、すずっち。おはよう。りん、早速だが二人に説明してやってくれ。」
「じゃあ、ダンナとすずっちとあたいはこっちで作業するんだよ。あっちはアニキ達と母さんがやるからさ。」
「あれ、今日りつさんは?」
435名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:57:30 ID:2IYOdvW0
「棟梁は別の用事があって出掛けてるんだ。さて、そろそろ始めようか。」
「うん。」
僕は仕事が始まって内心ホッとしていた。
最近は暇さえ有れば、頭の中ですずに対していやらしい事を考えていた。
自分がすずの事を好きなのは解っていたが、言葉に表せずにいた。
なので、いつもは仕事に熱心に取り組み、考えないようにしていた。
436名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:58:00 ID:2IYOdvW0
考えているとすずに手を出してしまいそうで怖かったからである。
しかし、今日はいつもと違っていた。すずに対するいやらしい考えが頭から離れなかったのだ。
だが、僕は何とか理性で本能をかろうじて抑えていた。そして、本能と格闘している間に昼食の時間になった。
しかし、そんな時に限ってアクシデントは起こるもので。
大工道具を拾うために屈んだすずのスカートの中が見えてしまったのである。
この事により僕の本能は理性を完全に打ち負かしてしまった。
437名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 00:58:25 ID:2IYOdvW0
昼食を食べ終わり、作業を再開したが、僕の考える事は一つとなっていた。
そして、無事に仕事も終わり、僕達は帰路に着いた。
「行人、今日は大変だったね。」
「うん…、そうだね…
438名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:00:13 ID:2IYOdvW0
。」
「どうかしたの?行人?」
「いや、別に。普通だよ。どうしたの?」
「何か変だなって思ったんだけど、私の勘違いだったみたい。」
僕は家に帰り着く間もずっと、この後に訪れるであろう出来事に心踊らせていた。
「行人、お風呂先に入ってもいい?」
「うん。いいよ。」
「ありがと。とんかつ、一緒に入ろ。」
「ぷー」
帰って来て夕食も食べ終わり、ゆっくりしていた所だった。そこにすずが声を掛けてきたのだ。
その時僕はこの後の事を考えていて、日本だったら端から見れば変質者に間違えられてもおかしくは無かっただろう。
それ程にこの後の出来事に期待し、理性の欠片なんかは一片も残っていなかった。
439名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:01:00 ID:2IYOdvW0
僕の頭の中はすずを犯して自分の物にしたいという事しか考えられなくなっていた。
やがて、風呂からすずが上がってきた。
「行人、お風呂開いたよ。」
「あ…、うん…。今から入るよ。」
さすがに体が汚れたままで実行するわけにも行かなかったので、風呂に入った。
僕が上がった時には既にすずは寝息をたてていた。僕はすずが淫靡に乱れる場面を想像しながら床に着いた。
しかし、やはりと言うか、僕は興奮して眠れずにいた。
床に着いて大分時間が経っただろう。僕は頭の中にある計画をついに実行に移した。
まず、僕は隣にあるすずの布団の中に潜り込んだ。
すずは寝付きが良いのでこれぐらいでは起きないだろう。
潜り込んだ時、独特の良い香りが鼻をつついた。それだけでも僕の興奮は否応なしに高まっていく。
そして、掛け布団を払いのけすずの寝間着の腰帯に手をかけた。
440名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:02:22 ID:2IYOdvW0
すると、案外思っていたよりは抵抗無く脱がせることが出来た。
そしてはだけた寝間着の間から、月明かりに照らされ覗くすずの美しい身体。
この身体を今から自分のものに出来ると思っただけで僕のモノは張り裂けそうなくらいに膨張していた。
早速形の良い乳房の先端にしゃぶりついた。
この時にすずは僕がいることに気付いたようだったが、お構いなしに愛撫に専念した。
「あ…あぁ…行人…はぁ…あっ」
早速すずは感じ始めているようだった。
僕は同時に下の秘部が気になっていたので、そろそろいいだろうと思い、乳首から口を離した。
すると突然、すずが僕を押し倒してきた。一瞬何が起こったのか理解出来なかったが、
「行人、私…ずっと待ってたんだからね…」
その言葉が発せられた瞬間、僕の唇はすずの唇によって塞がれていた。
最初はぎこちないものだったが、慣れてくるにつれ大胆に求め、そして激しくなっていった。
441名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:03:33 ID:2IYOdvW0
「あぅ…行人…」
「すず…」
僕はすずの秘部を確認した。その時には既にグッショリと濡れていた。
そして愛液がたっぷり染み込んだ下着を取り払い、ついにすずの一糸纏わぬ姿を見ることが出来た。
「綺麗だよ、すず。」
「行人…、恥ずかしいよ…」
「すず、こっちにお尻向けて。」
「うん…。」
「すず、そんなに感じてたの?」
「ふあぁ…そこ…ダメぇ…」
僕はすずの秘部を舐めはじめた。今まで味わったことのない味が口の中に広がる。
(へぇ、こんな味なんだ。)
442名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:04:26 ID:2IYOdvW0
そんな事を考えながら舐めていると
「うっ…すず!?…」
すずが僕の猛りきったモノをしゃぶっていた。
「んふっ…んふっ…」
まだ不慣れなのか、歯がチクチクと僕のモノに当たるが、
僕に快感を与えるためには充分すぎるほどの刺激だった。
出してしまいそうになりながらも、僕はすずへの愛撫を再開した。
今までは秘裂を中心に弄くっていたが、すずの肉芽を発見しそれも一緒に弄くってみた。
「うぁ…はぁあん…そこ…気持ちいいよぉ…」
すずの弱点が肉芽だと知った僕は、重点的に肉芽を弄くった。すると、
「はぁ…行人…ダメぇぇー!イっちゃうよぉぉー!!ふぁぁーーん!」
甲高い嬌声と共に突然すずの肉壷が窄まった。どうやらイってしまったようだ。
443名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:05:17 ID:2IYOdvW0
「はぁ…はぁ…」
すずはまだ快感の渦に呑まれているようで虚ろな目が空を漂っていた。
僕は軽い愛撫を加えながらすずが回復するのを待った。
そして、僕のモノはと言うと相変わらず猛りきっていた。
すずがしゃぶっていたが、まだイってなかった上に中途半端に快感を与えられたため更に硬さを増していた。
すると、回復したのかすずが起き上がり、「行人ぉ…一緒になろ…」
消え入るような声でそう呟いたすずは僕の上に覆い被さった。
「すず、大丈夫?無理しなくてもいいからね」
「大丈夫だよ…行人」
「じゃあ、挿れるよ…」
そして僕は猛りきったモノを一気にすずの中へ押し挿れた。
444名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:06:59 ID:2IYOdvW0
「んあぁぁぁぁぁぁっ!!あぁぁーーーーーぁぁぁ!!!」
絶叫と共にすずは僕の手により純潔の証を失った。
僕はすずに激しく腰を打ちつけたいという欲望に駆られたが、何とか我慢していた。
「すず、大丈夫?」
「うん…。行人、ゆっくり動かして…」
僕はすずの言ったとおりにゆっくりと腰を動かしてゆく。
「うっ、すずの膣内凄い気持ちいいよ。」
「ふぁ…あん…」
すずの膣内は痛い程に僕のモノを締め付けてくるので、射精感を我慢するのでいっぱいだった。
「行人…もっと動いてぇ…」
しかし、何回か動いている内にすずも痛みより快感が勝るようになったらしい。
「わかったよ。」
僕は抽出の速度を上げてみた。
「はぁん、気持ちいいよぉぉーーー!!」



445名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:08:31 ID:2IYOdvW0
すずはいつの間にか自らも腰を振っていた。
更に抽出の速度を上げると、
「ふぁ、あぁん、行人ぉ!いいよぉ!!もっと激しくしてぇぇ!!」
「僕も気持ちいいよ!!すず!!」
「あぁん、行人ぉ、私またイっちゃうよぉぉーーー!!!イく、イっちゃうぅぅーー!!あぁぁぁぁぁぁん!!」
それと同時にすずの密壷がきつく締まり、僕も絶頂を迎えた。
「すず、膣内に出すよ!!うぁぁ!!」
体が骨の髄から溶けてなくなりそうな快感と一緒にに僕は思いっきり腰を打ちつけ、
すずの最奥に精液を撃ち込んだ。
「はぁぁん、行人のセーエキが中に入ってくるよぉぉ!!もっと熱いのちょうだい!!」
自慰をしたときとは比べ物にならないほどの精液がすずの子宮にに流れ込み、
その中を白濁液で満たしていった。
446名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:08:58 ID:2IYOdvW0
すずの膣内は僕から一滴ても多くの精液を搾り取るように動いていた。
そのまま、すずは失神し、糸の切れた操り人形のように僕の上倒れ込んだ。
僕も絶頂を迎えて体力を使い果たしてしまったのか、
いつの間にかすずを抱いたまま深い眠りに堕ちてしまっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜翌日〜
447名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:10:54 ID:OIEye1eb
まぁ無視で
448名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:13:56 ID:2IYOdvW0
「ふぁぁ…、もう朝か…。」
「行人、おはよう。」
すずは僕より先に起きてたみたいだったが、裸で一緒の布団に入っていた。
「うぉ!?すず、昨日はゴメン!!あの…なんて言うか、その…」
「ううん、いいよ。私ね、行人がこうしてくれるのずっと待ってたんだよ。」
「へっ…?どういうこと?」
「もう、行人ってばにぶちんなんだからぁ!私は行人の事が好きなの!!」
「……そうだったの!?すずは僕の事意識してないかと思ってたよ。」
「行人のバカぁ…行人が私の事何とも思ってないかって私、不安だったんだからね!!」
「ゴメン、ゴメン。僕が悪かったよ。じゃあ改めて、僕もすずの事が好きだ。」
「ありがと。行人。私も好きだよ。」
そして、僕はこれからの生活に思いを馳せつつ、すずに優しく唇を落とした。
〜終〜

449名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:15:05 ID:2IYOdvW0
>>447いいとこれで切るなよグレギブンバゾ!(笑)
450名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:21:07 ID:v1B5XKAZ
>>447
GJ!
451名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:27:05 ID:FVDUg78H
削除依頼は見つけたんだが規制を依頼できる場所ってないんかな?
ちと見つからなかったんだが誰か知ってたら教えてくれないだろうか
452TF:2009/06/17(水) 01:37:19 ID:rvz2SkTS
ここなんかはどうですか?http://qb5.2ch.net/sec2ch/
453名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:40:42 ID:gnUem5VF
>一般の方は書き込みできません。


淡々とレス削除依頼し続けるしかない
454名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:40:53 ID:2IYOdvW0
夏のなぁ。(笑)
455名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:45:10 ID:u5KetSxm
456名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:45:41 ID:2IYOdvW0
ガイギング・ザ・グレギブンバゾ!(笑)
457TF ◆0bVNJA9LqA :2009/06/17(水) 01:46:31 ID:rvz2SkTS
すみません。根気良くやるしかありませんね
458:2009/06/17(水) 01:51:33 ID:80PJkfDX
459名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 01:58:45 ID:OIEye1eb
完全無視だろ
ムキになって何日続くやら
460名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:06:11 ID:2IYOdvW0
>>459( ̄^ ̄)」ムキムキ!(笑)
461名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:07:02 ID:2IYOdvW0
ネコで大爆笑のグレギブンバゾ!(笑)
462名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:07:37 ID:2IYOdvW0
ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、クククグレギブンバゾ!(笑)
463名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:08:18 ID:2IYOdvW0
話し相手と合体、グレギブンバゾ!(笑)
464名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:08:40 ID:2IYOdvW0
おたのグレギブンバゾ!(笑)
465名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:09:13 ID:2IYOdvW0
ブログにグレギブンバゾ!(笑)
夏の、グレギブンバゾ!(笑)
466名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:10:19 ID:2IYOdvW0
絶対無敵グレギブンバゾ!(笑)
元気爆発グレギブンバゾ!(笑)
熱血最強グレギブンバゾ!(笑)
完全勝利グレギブンバゾ!(笑)
467名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:11:55 ID:2IYOdvW0
ヴァン「俺はまだグレギブンバゾだ!」
カルメン99「はあ?」
468名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:12:50 ID:2IYOdvW0
モモーイもハマってる、グレギブンバゾ!(笑)
469名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:13:32 ID:2IYOdvW0
帰ってきたグレギブンバゾ!(笑)
470名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:13:52 ID:2IYOdvW0
危ないグレギブンバゾ!(笑)
471名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:14:35 ID:2IYOdvW0
水樹奈々グレギブンバゾ!(笑)
472名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:15:05 ID:2IYOdvW0
一番のグレギブンバゾ!(笑)
473名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:15:57 ID:2IYOdvW0
毎日少しずつ、グレギブンバゾ!(笑)
474名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:16:29 ID:2IYOdvW0
ハマのグレギブンバゾ!(笑)
475名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:16:53 ID:2IYOdvW0
ヒカリのグレギブンバゾ!(笑)
476名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:17:34 ID:FVDUg78H
452,453,455
ありがとう。そうなのか、一般からは無理なんだな
477名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:17:33 ID:2IYOdvW0
仮面ライダーディケイドしました。(笑)
478名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:18:02 ID:2IYOdvW0
死んだ理由はこんな感じか?してね。(笑)
479名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:18:38 ID:2IYOdvW0
白石グレギブンバゾ涼子様
480名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:19:08 ID:2IYOdvW0
黒猫には、グレギブンバゾ!(笑)
481名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:19:35 ID:2IYOdvW0
今成のグレギブンバゾ!(笑)
482名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:20:09 ID:2IYOdvW0
ヒャハハハハー!(笑)
キャラでも、グレギブンバゾ!(笑)
483名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:20:39 ID:2IYOdvW0
スーパーグレギブンバゾ!(笑)
484名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:21:09 ID:2IYOdvW0
グレギブンバゾ大西
485名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:22:34 ID:2IYOdvW0
宇宙グレギブンバゾTAKUYA
研究員ヨシダのグレギブンバゾ研究レポート発表予定!(笑)
486名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:23:28 ID:2IYOdvW0
グレギブンバゾ!(笑)vsナチャーンシンパシー
487名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:24:03 ID:2IYOdvW0
来るなあ、グレギブンバゾ!(笑)
488名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:24:52 ID:2IYOdvW0
助かった。(笑)
489名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:25:34 ID:2IYOdvW0
グレギブンバゾだぜ〜超グレギブンバゾだぜ〜!(笑)
490名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:26:17 ID:2IYOdvW0
発表結果、グレギブンバゾだぜ!(笑)
491名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:27:08 ID:2IYOdvW0
竹宮ゆゆこ最新作、グレギブンバゾ!(笑)
492名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:27:45 ID:2IYOdvW0
日曜日のグレギブンバゾ!(笑)
493名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:28:10 ID:2IYOdvW0
HEY!HEY!HEY!のグレギブンバゾ!(笑)
494名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:28:56 ID:2IYOdvW0
堀江由衣のグレギブンバゾ!と合体、バロンズー。(笑)
495名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:29:31 ID:2IYOdvW0
一言いいかな?、バロンズー、グレギブンバゾ!(笑)
496名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:33:30 ID:2IYOdvW0
宇宙グレギブンバゾ!(笑)
497名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:33:59 ID:2IYOdvW0
部屋とワイシャツとグレギブンバゾ!(笑)
498名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:34:31 ID:2IYOdvW0
本当にありがとうございます。(笑)
499名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:34:54 ID:2IYOdvW0
スクランブルエッグのグレギブンバゾ!(笑)
500名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:35:48 ID:2IYOdvW0
ファイナルフォームライド、ググググレギブンバゾ!(笑)
501名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:36:17 ID:2IYOdvW0
気に入った?俺のグレギブンバゾ!(笑)
502名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:36:58 ID:2IYOdvW0
なかなか難しい、グレギブンバゾ!(笑)
503名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:48:50 ID:SoCMK7JF
zoom H4nぽちった
明後日届くから練習してお迎えせねば
504名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 03:33:37 ID:6sYapEj+
>>341
あみママ!が可愛すぎる
なにこのママン
亜美は愛されてるなあ

>>372
いいねえ
早く続きが読みたいぜ
505名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 03:37:04 ID:2IYOdvW0
>>504了解、グレギブンバゾ!(笑)を温めてくれ。
506名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 03:58:03 ID:2IYOdvW0
気に入った?その死亡フラグ?何もハマね。(笑)
507名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 04:09:18 ID:8M+H5vGi
98VM氏の川嶋家SSはいいなあ。
508名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 04:26:24 ID:9JzSG94d
もうここも終わりやな・・・
ルミナススレの荒らしに勝てるはずがないわ・・・
509名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 05:53:39 ID:2IYOdvW0
これもみんななかなか新作を投下しない、日記の作者が悪い。
リアルが忙しい?知ったこっちゃねーよ。
だったら最初から1話完結にしとけよ、お・バ・カ・さん!(笑)
510名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 05:54:40 ID:2IYOdvW0
通りすがりのグレギブンバゾだ、覚えとけ!(笑)
511名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 05:55:45 ID:2IYOdvW0
サザエさんvsドラえもんvsグレギブンバゾ!(笑)
512名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 06:36:40 ID:DQb29WrQ
なんか基地外が占拠してるやん
513名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 06:41:13 ID:9JzSG94d
ルミナススレを始め、最近多くのエロパロスレ荒らしてるガイキチだよ
もうエロパロ板も終わりだろ、規制しない限り
514名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 06:44:32 ID:chADh77h
>>341
親の心子知らずな感じがいいなぁ
515名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 07:21:19 ID:xsLAmCYq
終わり終わりってお前の主観をこっちに押し付けるなよ
516名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 07:55:44 ID:OvsEBtbY
せいぜい頑張れ
夏中続けるこった
517356FLGR:2009/06/17(水) 08:01:49 ID:OkG13OEe

物量9レスで投下します

題名:きすして
エロ:まあ、ある
分類:原作アフター、竜児×大河
518きすして 1/9:2009/06/17(水) 08:02:46 ID:OkG13OEe
 朝が来ても竜児の部屋にちっとも日差しが差し込まないのは、高須家が入居している
アパートのすぐ側に、相も変わらずそびえ立つ高級マンション様のおかげであり、
そいつは高須家から日照を奪い、湿度を上げ、カビの増殖を促進しまくっている
のではあるが、同時にそこは竜児にとっては思い出の場所でもあった。
 もう、二度とそこに立ち入る事は無いだろうし、そこに行きたいとも思わない。
その部屋で暮していた女の子にとっては、そこは悲しい場所だったし、春が来る前に
その娘はそこから出て行ってしまったから。
 それに、そこにいた女の子は、今はここに居るから。竜児のすぐ傍に・・・

 カーテンの隙間からわずかに差し込む陽光に反応して竜児はゆっくりと目を開けた。
秋の朝日はこの部屋の日当りの悪さも相まって一撃で竜児を叩き起こすにはいかにも
パワー不足だった。薄暗い部屋の中で光る二つの三白眼が最初に捉えたのは自分の
胸元でネコのように丸くなって寝ている女の子だった。
 小さなふっくらとした桜色の唇はわずかに開き安らかな寝息をたてていて、粟栗色の
髪の毛はほんのりと甘い香りを放っている。ふわふわの白いネグリジェの袖から覗く
小さな手は『逃げるんじゃないわよ』とでも言うかのように、竜児のパジャマの胸元を
しっかりと掴んでいた。
 その姿を眺めているだけで、竜児の胸の中は時間をかけて煮込んだスープみたいな
とろとろとした暖かさで満たされてしまうのだ。竜児は自分が彼女の居場所である
事が嬉しかったし、こうして自分が彼女の傍にいられることも嬉しかった。自分達が
互いにいるべき処にいるのだという事実が堪らなく嬉しかった。

 目覚まし時計を見ると竜児的にはそろそろ起きるべき時刻が近づいていた。日曜の
朝だからアラームはセットしていない。それでも決まった時間に起きてしまうのが
高校生主夫である高須竜児の悲しい性である。
 竜児は自分の胸元を掴んでいる少女の手を丁寧にほどいて、彼女の耳元に顔を寄せた。
「大河。朝だ、おきるぞ」
「んっ、ん〜」大河の小さな唇から声がもれ、ほんの数ミリだけ肩が揺れた。
 その瞬間、すかさず竜児は頭を後ろにスウェイバック。コンマ数秒の差でさっきまで
竜児の頭があった場所を空気を切るような音を立てて大河の拳が貫いた。まともに
食らえば大の男が二メートルは飛ぶという彼女の左ストレートアッパー。実際、
彼女の寝顔に牛乳臭い息を吹きかけたあげく、これを食らって居間の畳の上を三回転
ほど転がり襖に激突した男がいた、という伝説が、まあ、残っていたりする。
519きすして 2/9:2009/06/17(水) 08:04:00 ID:OkG13OEe

 いくら結婚を前提に付き合っているとはいえ、二人はまだ高校生の身である。
そんな二人が共に朝を迎えるのは一般論でいえば問題なのだが、大河の母親は大河が
高須家に泊まる事を許していた。二人の母親達は竜児と大河が目の届くところで
清く正しくセックスをしてくれた方がよっぽど安心で安全と考えたのだ。二人は
月に二、三回はこんなふうに一夜を共にする。それが、もう数ヶ月も続いていた。

 竜児は必殺のアッパーカットを放ったままの格好で寝ている大河の左手首を握り、
もう一度、彼女の耳元に顔を寄せた。
「大河、・・・大河」
 ゆるゆると大河の瞼が開いていく。
「あ、ぅん、りゅーじ」
 大河の意識が少しはっきりしてきたのを確認して、竜児は彼女の左手を彼女の胸元に
おいた。
「おはよう。大河」
「うっ、またやっちゃった?」
「ちゃんとよけたよ。遺憾なことにはなってねぇ。気にすんな」
 無論、遺憾な事になったこともあったりする。
 竜児は腕をついて上体を起こした。
「はぁ、よかった・・・ねぇ、りゅーじ」
 大河は再び瞼を閉じた。
「ん? 寝るなよ」
「いぢわる」
 竜児の口元が緩んだ。その表情は、今まさにどつき合いを始めようとしている
ちょっとワイルドなYAHさんにしか見えないのだが、実際は彼女のしおらしさにニヤけて
いるだけだったりする。
 竜児は身体の位置を少しずらして、腕で身体を支えるようにして大河に近づいていく。
わずかに開いて待ち構えている大河の唇に、同じように少しだけ開いた竜児の唇が触れた。
弛緩した軟らかい部分をやさしい圧力で密着させて湿っている部分まで触れ合わせるような、
互いの呼吸を混ぜ合わせるような、そんなキスを二人は楽しんだ。大河は二度、三度と
ついばむ様に竜児の唇を食み、竜児も大河の軟らかい感触を楽しんだ。竜児が顔を
上げて唇が離れると、大河の口から甘い吐息がもれた。

520きすして 3/9 :2009/06/17(水) 08:04:48 ID:OkG13OEe

「ね、もう、いっかい」
 消えそうな甘い囁きに応えるように竜児の唇が大河の唇を塞いだ。長く、味わう
ように唇で触れ合う。竜児は右手を大河の頬に添えて、中指で耳朶を、小指でうなじを
くすぐるように撫でた。大河の小さな身体が微かによじれて、ふさがれたままの
唇から熱い息が漏れだした。竜児がゆっくりと頭を上げると二人の唇をつなぐ細い糸が
かすかに光ってすぐ消えた。

「おしまい?」
 大河は恨めしげな潤んだ瞳で竜児を見上げた。

「お、おぅ。いいかげんにしとかないと、その、やりたくなっちまう」
「・・・す、する?」
「ば〜か」
 竜児はそう言いながら大河の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「生理中だろうが。大体、朝っぱらからするかよ」
 それは大河にとってはちょっと遺憾な事態だった。
 昨日、予定より数日早く生理が始まってしまい、結局、昨晩は一年前の二人の
日常を再現したみたいな過ごし方になってしまったのだ。三年になって別クラスに
なった二人にはいくらでも話すネタがあった。春田は相変わらずアホなのか?とか
北村の脱ぎグセが悪化したとか、そんな友人達の近況などを交換しているうちに
夜は更た。二人は一つの寝床に仲良く収まって軽くイチャついてから寝た(睡眠
という意味で)。そんなわけで、二週間ぶりのお泊まりは二人にとって消化不良
気味に朝を迎えた。
521きすして 4/9 :2009/06/17(水) 08:05:30 ID:OkG13OEe

 大河は上目遣いに竜児の様子を伺いながら、髪の毛を顔の前で指に巻き付ける
みたいにして弄っていた。
「ごめんね」
「なんで謝るんだよ。地獄アッパーは避けたぞ」
「ばか」
 大河の目が一瞬だけジトっと竜児を睨らみ、すぐに竜児から目を逸らした。そして、
口を尖らせてイジイジとした口調で話す。
「せっかくのお泊りなのに、その、させてあげられなくて、さ・・・」
「どっちがバカだよ。んな事、気にすんな」
 言いながら竜児も大河の髪の毛を弄る。
「・・・うん。ありがとね」
 大河は力なく微笑んだ。

「痛いんだろ」
「・・・うん」
 痛みに共感するのは難しい。
 だから、竜児は大河が痛さや辛さを隠さないで訴えてくれることが嬉しかった。

「そか、もう少し寝てろ。俺は飯の仕度を・・・」
 起き上がろうとする竜児のパジャマの胸元に大河の左手がしがみついた。
「りゅーじ。もうちょっと、ね。昨夜みたいに、して」
 大河に甘えた声で囁かれると、どうしたって竜児は逆らえない。
「大河・・」
522きすして 5/9 :2009/06/17(水) 08:06:23 ID:OkG13OEe

 竜児はもそもそと元の体勢に戻って、左腕で頬杖をつくようにして大河を見た。
それから右の掌を大河の下腹にやさしくあてがった。竜児の掌から大河に温もりが
伝わっていく。ただ、手を当てるだけ。だから手当て。一番、原始的な治療法。
効くのか効かないのかわからないけれど、でも、嬉しい。優しさが伝わるから。

「あったかいよ・・・りゅーじ」
 竜児の大きな手で暖められて、大河の胸に甘い痛みが広がった。
 大河も竜児に抱かれたかったから、昨日の朝、アレが始まってしまった時はかなり
落ち込んだ。それで竜児に八つ当たりして困らせた。でも、それすらも受け止めて
くれる竜児の優しさに愛されている事を実感して、彼の事が、竜児の事が愛しくて
たまらなくなった。だから大河は、竜児の寝床を血で汚してしまってでも昨夜は
竜児に抱かれたかった。

「りゅーじ・・・きすして」大河は瞼を閉じた。
 竜児はバランスを崩さないように、右手に体重がかからないように慎重に、大河の
口元に自分の顔を近づけていった。ちょっと湿った音がして、唇がふれあった。互いの
唇を食んだり、竜児が引くと大河が少し顎を上げて追いかけたり、二人は戯れるみたいな
キスをした。竜児は一度離れてから、今度はかるく触れる様なキスを何度も繰り返した。
唇が離れるたびに吐息が混じり合った。竜児が頭を上げて目を開けると、大河の顔は
すっかり上気していて、瞳は溶けだしそうに潤んでいた。
523きすして 6/9:2009/06/17(水) 08:07:02 ID:OkG13OEe

「りゅーじ・・・したく・・なっちゃった」
「いや、まずいだろ」
 生理中にしちゃいけません、と泰子から言い聞かされている。その理由も知って
いる。そういうところは堅すぎるぐらいに堅いのが竜児である。勢いで駆け落ちする
ことはあっても、勢いでやっちゃう事は無い。
「・・・うん」
 大河の声は小さくて切なげだった。そういう風にされると竜児も切ない。
「もう少しだけ、するか?」
 大河はコクリと頷いて目をつぶった。竜児は大河のネグリジェのボタンを外して
いく。一つボタンを外すたび大河の白い胸元がさらけ出されていく。ボタンが外される
度に大河の唇から小さな声と息が漏れる。大河の香り、息づかい、声、コットンの
ラッピングから覗く白い肌、それらが竜児の理性を溶かそうとする。
 それでも竜児は踏みとどまった。竜児と大河の気持ちがそれを望んだとしても、
今の大河の身体は竜児を受け入れるべき状態ではない。そんな彼女を自分の欲望の
はけ口になんてできる筈が無い。
「下着・・・みないで」大河が泣きそうな声で言った。
「わかってるよ」
 竜児は四つ目のボタンを外し、ネグリジェを肩の方から大きくはだけさせた。
大河の細く華奢な肩から胸、くびれたウエストまでが露になった。
524きすして 7/9:2009/06/17(水) 08:08:02 ID:OkG13OEe

「きれいだ」
 思った事がそのまま言葉になって竜児の口から漏れた。
 きれいな白い肌、薄桃色に染まる首筋と頬、首から肩、肩から脇、胸から腰のラインの
美しさ、何度見ても見る度に竜児はそう思った。あまりに美しくて抱いている事に罪悪感
みたいなものを感じる程だった。

「やっぱ、はずかしい」
「んなことねぇ。すげぇ、きれいだ」
 確かに慎ましい大きさだけれど大河の乳房はしっかりとふくらんでいて、決して
哀れ乳などでは無かった。竜児は大河の胸に顔を埋めるようにして、鎖骨の付け根に
キスをした。竜児は両腕で身体を支えて体重が大河にかからないようにしながら
彼女に覆いかぶさった。
 竜児の唇が大河の身体を啄んでいく。首の付け根からみぞおちへ降りていき、左の
胸のふくらみへ。ふわふわとした柔らかい肉を食むように、時に湿った音を立てながら
キスが繰り返されて、大河の身体を竜児の唾と大河の汗が濡らしていく。
 大河は竜児の髪の毛を鷲掴みにして、荒い呼吸を繰り返している。時に、それが
乱れて言葉ではない声が漏れる。その音が竜児を急き立てる。桃色の小さな突起を
唇で、舌で、歯で弄ぶ。

「あたし、・・・たべられ・・ちゃってる」
 熱にうなされているように呟いた。竜児は乳房の下側から脇に向かって彼女の
柔らかいに肉を食べていくように唇を這わせていく。左のふくらみを食べ尽くすと
右側も同じように食べていく。竜児が乳房を食むたびに熟れた果物を食べる様な
音がした。竜児はこぼれた果肉を舐めとるように大河の肌に舌を這わせる。汗で
しっとりと濡れた肌に竜児の唇が触れるたびに、湿った音がして、その音が大河の
理性を舐り麻痺させていく。
 竜児は一度、身体を起こしてパジャマの上だけ脱いだ。もう一度、大河に覆い
かぶさり汗で湿った彼女の胸と自分の胸を合わせた。肌と肌が吸い合うように貼り
付いて、互いの鼓動が同期していくようだった。
 熱い息を漏らす大河の唇を竜児の唇が塞いだ。大河の舌が誘うように竜児の舌先を
突つく。それに応えて竜児は大河の中に入っていく。混ざり合う三十七度の体液の
中でお互いを味わうように、口の中で抱き合うように舌を絡め合う。大河の口元に
溢れた涎が流れ出て頬を濡らした。それが頬を伝う感触に大河の身体は短く震えた。
 竜児は一度頭を持ち上げて、大河の右の首筋にキスをした。唇を這わせていくと
大河の唇から苦しげな声が漏れ始める。耳もとへと唇が近づくと大河の身体は
ひくひくと震えだした。白いネグリジェに包まれている細い足が小さく暴れ、強ばり、
膝と膝を擦り合わせる様に切なそうに踊る。
525きすして 8/9:2009/06/17(水) 08:08:49 ID:OkG13OEe

「だめ、いっちゃう」荒い息に混じって弱々しい声が漏れだした。
「いいぞ」竜児は大河の本当に耳元で囁いた。
 大河の両腕が竜児をきつく抱きしめた。竜児は頭を上げて大河の左の首筋にキスを
していく。うなじに向かって湿った音を立てながら大河を食べていく。その度に大河の
身体はもだえ、震える。

「すきだ」竜児は大河の耳元で呟いた。
「りゅー・・じ」
 竜児は右腕で身体を支えたまま、左腕を大河の背中にまわして強く抱きしめた。
そのまま大河の左の耳朶を甘噛みした。大河は一瞬喘いで切ない声を漏らした。
顎を上げ、小さく反り返り、小さな身体が痙攣したように何度も撥ねた。まるで
そこが本当に竜児に貫かれていたかのように大河の腰がガクガクと暴れ、竜児の
背中に彼女の爪が食いこんでいく。二度、三度、四度と灼ける様な刺激が波のように
押し寄せて、その度に華奢な身体は竜児に抱きすくめられたまま、うなされるままに
暴れ続けた。大河の身体から熱が引いていくまでの間、竜児は大河を抱いていた。

***

「竜児。あんた、エロいわ。エロすぎよ!」
 落ち着きを取り戻した大河は竜児の方に背中を向けて寝転がったままぶつぶつと
文句を言っていた。
「もうすこし〜で良かったのよ。それをあんなに・・その・・はげしく・・」
「あ〜、悪かった悪かった」
「・・・べつに悪くないわよ・・・」
「どっちなんだよ?」
「もういいわ。その、まあ、気持ちよかったし・・・」
 大河はころん、と向きを変えて竜児の方を向いた。そんなに転がって大丈夫か?と
竜児は思ったのだが、今は彼女が着用している生理用ショーツ(お色気=ゼロ%)の
防御力を信じるより無い。
「でも、竜児はいいの?」
「お、おぅ、俺も気持ちよかったし、問題無い」
「これ、でっかいままじゃない。説得力ない」
 そう言いながら大河は竜児の股間を指先でくりくりと突ついた。
「突っつくな! 腫れてるだけだ、ほっときゃ治る」
 竜児は起き上がって寝床から出た。
「とにかく、メシだ、メシ。支度をしねぇと」
526きすして 9/9:2009/06/17(水) 08:09:41 ID:OkG13OEe

 竜児が部屋着に着替え終わる頃には腫れ?も引いて、『やりたい気分』もどうにか
収まっていた。まだ燻っている性欲も家事で身体を動かせば鎮火するだろうし、
大河が帰ってからさっきまでの出来事をオカズにしてセルフサービスで適当に処理
しておけば良いのだ。大河の事だ、次の土曜日にリベンジしに来るに決まってる。

「大河。汗かいたろ。先に風呂使うか?」
「いい。ちょっと休憩。ご飯できたら起こして」
「へぃへぃ。寝るなら汗拭いてからだぞ。身体、冷やすんじゃねぇぞ」
「わ、わかってるわよ」
 竜児は彼なりに微笑んでから大河に背中を向けた。それが微笑みだと分かる人間は
相変わらず凄く少ない。勿論、大河はその中の一人だ。

「りゅーじ」
 部屋を出ようとする竜児を大河は呼び止めた。
「どうした? 大河」
 竜児は立ち止まって振り返った。
「・・・すき」
 頬を紅く染めた大河はそれだけ言って毛布に潜り込んだ。

「・・・だから、身体を拭いてから寝ろって・・・だぁーっ、もう・・・」
 外から漏れてくる竜児の声に、毛布の中で大河は悪戯っぽく微笑んだ。
「だから、すき」

(おわり)
527356FLGR:2009/06/17(水) 08:10:25 ID:OkG13OEe

以上、投下完了
528名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 08:17:52 ID:9JzSG94d
うおお、久々の竜虎SS
GJ
529名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 09:43:46 ID:2IYOdvW0
みのドラ、プリーズフリーズ
530名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 11:23:00 ID:tW7BrSMJ
久々の竜虎GJ
531名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 11:43:30 ID:opWB8Zad
久々に竜児×大河ssを読んだ気がする
これが公式カップリングなのに、これがこのスレの魔力か
ともあれ356FLGR氏GJ!!
532名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 12:07:39 ID:xlsU6NwE
>>529
は荒らしです、無視するように
533名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 12:28:02 ID:De6mYjSL
>>527
ええわあ……
癒された。
GJ!!
534 ◆SKzthWrpk6 :2009/06/17(水) 16:22:39 ID:J/t+3hyW
最近、職人様の人数が増えてきましたので、私もトリを付ける事にしました。
名無しのままだと余計な誤解を招きつつあるので、一度、自分の作品を整理してみました。
未完を作品を少しづつでも、潰せる様頑張りたいとおもいます。今後とも宜しく。

保管庫管理人様へ
7皿目「本音サミット」
8皿目「コレカラモズット」
9皿目「香椎奈々子の憂鬱」
9皿目「亜美ちゃんの電子辞書」
9皿目「すみれの挑戦状」
10皿目「失恋決闘」
10皿目「流石、亜美ちゃんだ。多少、オカルトでもなんともないぜ。」
10皿目「大胆無敵萌えロボブラボーエプロン取っちゃいけません。」
11皿目「我が家の腹黒様」
14皿目「勝手にチワドラP」
お手数ですが、以上の作品の作者欄の変更をお願いいたします。
535名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 16:28:54 ID:Edn5dfin
>>527
GJっ!!
竜虎萌えな俺にとっては最高のおかずだ。
また竜虎で何か書いてくれよな!
536名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 17:29:50 ID:2IYOdvW0
>>535グレギブンバゾ!(笑)
537名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 18:36:10 ID:2IYOdvW0
(・∀・)ο彡みのりん、みのりん!
538名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 18:36:21 ID:thTJGCvt
>>527
GJ!
やっぱり竜虎はいいわあ〜
539名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 19:59:06 ID:YcGg5U1D
>>532
は荒らしです、無視するように
540名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 23:06:01 ID:6xqjAZob
大河SSは久し振りだな。
作者さんGJ!
なかなかにエロかったw
541名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 00:36:59 ID:g4A2wMab
>>534
貴方様の作品は大好きなのでぜひぜひ続きの投下を。
542名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 00:46:52 ID:uRifLg9x
>>534
大胆無敵ryの作者が自ら名乗るとはいい度胸だ。何を言われるかわかるな?





続き書いて下さいお願いします
543名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 02:19:05 ID:7LxjrxUl
>>534グギグギグバソ、グレギブンバゾ!(笑)
544名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 06:57:29 ID:eFBWnud+
>>534
俺のお気に入り作品のリストアップかとおもた。
サミット作者は実乃梨派だと思ってたけどあーみん派だったんだな。
サミットや腹黒様みたいな長編も読みたいけど、失恋決闘やオカルトみたいな短編も読みたいです。
続きでも新作でもとにかく投下待ってます。
545名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 10:31:37 ID:7LxjrxUl
ゴズブゾゲゲバ、グレギブンバゾ!(笑)
546名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 15:04:23 ID:7LxjrxUl
重ねてるのに一つ叶えて貰えるなら、グレギブンバゾ!(笑)
547名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 15:04:44 ID:7LxjrxUl
フレッシュグレギブンバゾ!(笑)
548名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 15:05:43 ID:7LxjrxUl
吉田グレギブンバゾ尚徳
549名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 15:20:29 ID:oyEaxTNL
GJ!
550名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 18:42:43 ID:uGzFicTg
久々来たら何かいつかのギアススレみたいになってるな
職人さんは気にせず自分のペースで頑張ってくれ
551名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 19:49:38 ID:7LxjrxUl
ギナザバグゲバ、ザグベダグレギブンバゾ!(笑)
552名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 19:50:34 ID:7LxjrxUl
グレギブンバゾ!(笑)
ビグベグボンザ、ザグベダグレギブンバゾ!(笑)
553名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 19:54:26 ID:VFWTWRtr
一通りログ集まったら規制依頼する
554名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 19:59:16 ID:k/fjezMn
マジで頼む、こいつはエロパロの癌、速攻始末すべき
555名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 20:04:17 ID:6onFgEk6
プロバイダ丸ごと無期限規制とかありえないからそれは勘弁
556名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 20:25:14 ID:lj2dmr8E
腹黒様のえらいひとありがとう
奈々子嬢の魅力に気づかせてくれて本当にありがとう
557名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:12:34 ID:eFBWnud+
九皿目の「香椎奈々子の憂鬱」っていうのだけ読んだ事ないから、気になって今読んでみたんだけど…
あれ?これ日記だよ…な?サミット作者=日記作者とか言ってた奴いたけど、あれマジだったの?
558名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:26:23 ID:wSgmgoVj
おい俺毎日日記つけてるんだけど読んだ事ないから、気になって今読んでみたんだけど…
あれ?これ日記だよ…な?俺=日記作者だったの?マジ?
559名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:31:40 ID:vSBE12pv
一読して分かったけどな
日記=サミット
表現に、この書き手特有の変なクセがあるんだよ
ネタにつまって、焼畑農業みたいに、色々書いては放棄を繰り返すのは
いい加減にしたほうがいい
それが本人のためでもあるんだが、ま、聞く耳もたんだろ
560名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:42:27 ID:k7xAOUTx
>>559
俺たち乞食が言っていいことじゃあないぜ

書き手が書きたいように書きたいだけ書けばよいのだ
561名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:44:35 ID:mtB2K/EI
一応擁護しとく
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241402077/378-
378 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2009/05/13(水) 23:27:20 ID:HWz0d6gI
まとめで奈々子様日記形式を見て、思いつき書き出し。
SSとは微妙に形式ちがうかなぁと思うんで、不安もありますが、行かせてください。
次レスで投下行きます。
379 名前: 日記。徒然に。。 [sage] 投稿日: 2009/05/13(水) 23:28:35 ID:HWz0d6gI
562名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:45:30 ID:vSBE12pv
>書き手が書きたいように書きたいだけ書けばよいのだ

本人か? 
だとしたら、やはり馬耳東風か
563名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 21:57:40 ID:kEFORgSp
>>562
書き込んでんのはお前と作者以外にもいるんだぞ
一目で見抜いたとか批評家ぶるより
もっと心に余裕をもてよ
564名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:02:35 ID:QQHo4SPA
>>562
その読解力の無さ。さては日本人じゃないな?
565名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:02:41 ID:almUC3rs
このスレ頻繁に偉そうな評論家が出るね
566名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:06:26 ID:dHzaDUuK
>>534
改めて、まとめて読んでみました。 なるほど、独特の空気をお持ちですね。
大胆無敵〜みたいなぶつっと切れてるようで、話がきちっと終わってる所、
独特な情緒感があって、面白い表現だなと思いました。
全体的に短編の方が良い感じかも。

567名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:21:23 ID:7tMx4yFh
アク禁の可能性もあると思う。
568名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:22:31 ID:7LxjrxUl

569名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:24:27 ID:7LxjrxUl
インリン・オブ・ジョイトイ♪
570名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:26:17 ID:7LxjrxUl
作家もこまめに作品投下しないとスレが荒れるか過疎る事をいい加減理解しなちゃい。ヾ(=^▽^=)ノ
571名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:27:10 ID:7LxjrxUl
グベダグレギブンバゾ!(笑)
572名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:32:58 ID:k/fjezMn
>>555
こいつと一緒のプロパイダの奴には運が悪かったと諦めてもらうしかない

こいつはもう永久追放されても文句言えないレベルの荒らしだし
573名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:34:55 ID:AzJYEygo
自分の好きな場所を自分で駄目にしてるんだな
まぁ、俺はもう書かないけどね
574名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:55:11 ID:vSBE12pv
まさに焼畑農業だな
これが、自分の首を締めているとも知らずにね
575名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 22:57:31 ID:almUC3rs
今荒してるの携帯厨だから規制しても被害は軽微じゃね?
パソコンからは・・・に見える所は携帯からだと絵文字連打だし
576名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 23:05:04 ID:k/fjezMn
どちらにしてもさっさと運営には何とかしてほしいわ
他のスレにも被害が出てるんだし、早く汚らしい膿は摘出してほしい
577 ◆SKzthWrpk6 :2009/06/18(木) 23:07:00 ID:Eqwecg2o
念の為に是正しておきますと「日記。徒然に。。 」は私の作品では無いです。
私としては、あえて主張する様な事では無いのですが、やはり、本当の作者さんに申し訳ないのでキチンと言っておきます。
と、いうか私も日記さんのファンの一人でして、つまり、早く続きが読みたいのです。(未完作品の多い私が言うのもなんですが)
578名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 23:21:02 ID:eFBWnud+
>>577
今、過去スレ確認してきたら、日記が初めて投下された日に、チワPを投下されてますね。
どうみても別人です本当にありがとうございました。

俺と>>559とんだ赤っ恥だ。なあ、今夜、一緒に吊ろうぜ?
57913:2009/06/18(木) 23:33:28 ID:ucDU+cvd
579
580名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 23:48:16 ID:8NyE6hX2
「辞書にそんな意味は載ってないお(キリッ)」
とかなんとか言って比喩の理解もできんような馬鹿を晒して恥かいた奴がずっと粘着してるのか。
ニヤニヤしながらスルーするのが一番っぽいな。
581名無しさん@ピンキー:2009/06/18(木) 23:57:31 ID:ZtyT7dMq
普通に作品投下されてるし荒らしとかどうでもいいわ
5820Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:22:59 ID:bZyxIX3t
こんばんは やっと書けたんで投下させて頂きます。
概要は以下です。よろしくお願いします。

題名 : Happy ever after 第1回
主役 : 竜児、亜美
時期 :とらドラ!P 亜美ルート100点End後
方向性:まったりゆっくりラブコメを目指し、1話完結の連作もの
5830Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:23:52 ID:bZyxIX3t

Happy ever after 第1回

「これからゆっくり、話していこうね、竜児」
こうして、高須竜児と川嶋亜美は末永く、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし

とは簡単には行ってなかった。

「予想はしてたけどね、まさかここまでゆっくりって、どういう事よ」
川嶋亜美は自販機の間に身をおいて、一人反省会を行っていた。

一度は大橋高校を離れた彼女であったが、「「高須竜児を落とすため」」と高校3年の5月に戻ってきた。
いや、やっと帰って来る事が出来た。

学校を離れている間、彼女は不安で一杯だった。

もし、既に逢坂 大河や櫛枝 実乃梨が高須と付き合っていたら、
そこまでで無いにしても以前のように彼女が入る余地の無いほどの仲になっていたら、
数えれば切りが無いほど嫌な想像が浮かんでは消えた。

だが、彼女は耐えた。
自分が選んだ仕事を中途半端にしては、胸を張って戻る事が出来ない。
彼の前を歩き、導ける自分でありたい。
自分が居ていい、いや自分自身もその一部である世界が待っていてくれる事を、
そして、目つきの悪い、心根の優しい少年の事を信じて

結果として、映画の仕事は一定の評価を得、ドラマの仕事も勝ち取った。その上での転校である。
もっとも、北村祐作を通して近況の確認は常にしていたのだが。

「そりゃ、私だってそんな簡単に行くとは思っていなかったわよ、あの高須くんなんだから」

そうは言っても、転校前日の川嶋亜美は遠足前の小学生よろしく、希望的観測を膨らませていた。
もう、自分にはチャンスは無いと諦めかけていたはずなのに、あの高須竜児がキスまでした。
とあれば、期待しない方が嘘というものだろう。

−実乃梨ちゃんとも、タイガーとも付き合ってないって事は私を待っててたくれたと思っていいよね。
 営業用の顔でも、演技でもない、本当の私がいいって・・・・、キスをしてくれた。
 
 だとしたら、再会の時、高須くんは何って言ってくれるのかな。もしかしたら付き合ってくれとか言われたりして。
 ううん、もっと凄い事かも、例えば
  「嫁に来いよ!」とか
  「死ぬまでの俺の人生をお前にやる!」とか超言いそう。
 早すぎだよね、私の芸能人人生考えたら。でもスキャンダル的に取り上げられるよりいいのかな。

 ってさすがに高須くんに夢見すぎか、そんな純情一直線男、今時居ねって。理想押し付けすぎだろ、私は。   
 兎に角、私を待っていてくれた事は間違い無いとして、高須くんが言い出し易いようにリードしないと。
 鈍感な高須くんにも判るように、しっかりとスタートラインを切れるように、みんなの前で宣戦布告して。
 最初が肝心だから、呼び方も変えよう。高須?ううん、これだと余計友達感覚だし、竜児くん、竜ちゃん、もう一歩か、
 竜児! これいいな、これにしよう。
 ちょっと、タイガ−の事羨ましがってたとか思われそうだけど、これから二人の関係を作っていけばいいだけだし、楽・し・み −

転校前日の亜美の頭の中は正にお花畑状態だった。だが現実はサボテンしか生えてない荒野である。
5840Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:24:45 ID:bZyxIX3t

「はい、はい。私が馬鹿でしたたよ。ほんと、ばっかみたい。気の利いた言葉はあの口からは出てこないだろうなと思ってたけど、
 いくら私がアクションとっても「おぅ」とか「あぁ」とかばかり。マジ酷い。
 なんか前までは楽しかった会話も、空気重いし。
 あれかな、久々にあって思わずキスしちゃって、引いちゃった?でも、ほっぺだよ。マジチューとかじゃないじゃん。恥ずかったけど。
 もしかして、タイガや実乃梨ちゃんと条件が同じどころか距離広がってる? 

 なんでだろ、高須くんは融通は利かないからかな、
 その分嘘はつけないけど、誠実だし。
 びっくりする程鈍くて、色恋沙汰に関して馬鹿だから?
 だから相手の事を一生懸命理解しようとしてくれるんだけどね、優しいし.....」

亜美は物思いにふけりながら静かに目を瞑った。自然と口元がにやけてしまっている。
恋する少女は無理やりにでも、サボテンの花をさかせてしまう。
モデルとして、人様には見せられないあられもない表情になってしまているが。

その静寂を一つの音が破った。誰かの足音がする。それは聞きなれた足音だった。
−高須くん!どうする。どうしよう?
 とりあえず、軽く挨拶して、えーと、今日のスケジュールは、ラッキー、夜の撮りまで時間空いてるから放課後は大丈夫。
 スドバにいく流れに持っていって、お茶したいな。
 んー、でも高須くんはゲーセンの方が喜んでくれるのかな、それなら、それで......、
 嘘、足音止まった。もう目の前じゃん。とりあえず声かけないと、元気ないって心配されるかも −

急いで、しかし、柔らかく、上目遣いを意識して顔を起こし亜美は声を掛けた。
「竜児。おは・・・よ・・・・う?」

そこには
後ろ足に体重を掛け、上体をそらし、目を異常に開き、凶悪な眼光を眼底に湛えたチンピラが
いまにも”ここは誰の島か解ってるんかい”と言いそうな感じで口を半開きにし立っていた。

「はぁー、あんた何キョドってるの。キモイんですけど」

高須竜児は微動だにせず、いや出来ずに返答する。
「い、いやー、吃驚しちまって、固まちまった」

「なにを今更、ここで亜美ちゃんと会うなんて、いつもの事じゃない」
亜美はイライラした様子で、右手で髪を掻き揚げながら言った。

「そうか、いや、俺は誰も居ないと思ってたんだが、そしたらお前が」


−すごくカチンと来た。何だそれ。無理、もう無理−
亜美は勢い良く立ち上がると、そのまま立ち去ろうとした。
それを引き止める様に竜児は問いかける。

「川嶋?どうした、おい」
「さあ〜、なにかな、なんだろうね」

手をヒラヒラと振りながら、竜児の問い掛けには答えず、亜美は振り向かないまま、その場を立ち去った。

5850Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:25:50 ID:bZyxIX3t

     ***

放課後までの授業中、亜美はずっと考えていた。
命題は、「「なぜ竜児の態度が変わってしまったか」」 だ。

その解は
高須くんは何かしらの事情があって、今現在!一時的に!元気がない
それを調べて、問題を解決してあげれば、いつもの高須くんに戻るはず。

という都合のいい結論に至った。何だかんだで高須竜児に甘い亜美だった。
まずは調査をしないといけない。そこで友達たちに聞いてみた。

質問
 みんなと一緒に高校生活を送ろうと思ってたのに、少しでも離れ離れになちゃってすごく寂しかったよ〜
 大橋高校に居ない間、みんなが元気だったかすごく心配しちゃった。
 元気でよかったよ。亜美ちゃん超うれしい。 
 ところでさ、高須くんだけ、なんか近づき難さ当社2割増しなんですけど〜、何かあったのかな〜

回答者1 木原麻耶ちゃん
「高須くん?すごいんだよ。2年の3学期から、すご〜く成績よくなっちゃって。
 まるおを抜いた時もあるんだよ。まるおも凄いんだけどね、まるおは元から頭いいのに....」
 以下祐作の事、興味が沸かない

回答者2 能登くん
「高須?普通だったよ、むしろ気合入ってるって感じ、例えばさ、4月って新入生歓迎レクとかやるんだけど、
 その実行委員って人気ないんだよ。春休み潰れるし。誰も遣りたがらなくて困ってる時にさ、
 あいつ、自分からやるって、そんなキャラじゃなかったんだけどな。で、その仕切りが病的にキッチリしてて、
 結果レク大成功。それで.........」
 あまり役に立つ情報じゃない、能登君使えない

回答者3 アホの春田君
「高っちゃん、忙しそうだったよ、もうビュンビュン音がなる感じ、違うかな、ビューかな、ゴアーかも、
 もう教室にもほとんど居なくってさ、あんまり遊んでくれなくてさって、あれ話もういいの?亜美ちゃん?」


5860Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:27:34 ID:bZyxIX3t

     ***

「祐作どう言う事よ!」
−元2-Cのみんなに聞いたが、高須くんが変わった理由がまったく解らない。
 そもそも近況を祐作に聞いていたが、何も変わりないと言っていたのに!−

「よう、亜美。生気がみなぎってるな表情だな。いいぞ。24時間ぐらい働けそうだな」
「何それ、意味わかんねえし」

亜美は、いつもお気楽そうな幼馴染を生徒会室で捕まえた。
ちょうど北村祐作以外誰もいなかった。亜美はクレームで食っている悪徳業者のような勢いで、噛みついていった。

「あんたさ、私に適当な事を言ったでしょう?」
「心外だな、俺は適当な事は言わないぞ」

 −さも、私は善人ですって顔で返事をする男だ、この顔が昔からムカつく。なんだそのしたり顔は−
「あ、あれよ。私が居ない間、メールでみんなの近況聞いたでしょ、で、特に変わった事ないて書いてあったけど、
 でも、変じゃない。たとえば高須くんとか」

北村は携帯を取り出すと、メルメルと操作をした。

「メールってこれか、ええと

 Hello 祐作。そっちはどう 
 こっちはすごく順調、ってか大絶賛、やっぱ才能のち・が・い?
 大橋高校もみんなは元気?なんかあったら教えてね♪
 特に高須くんなんだけど、インフルエンザで入院するわ、
 記憶喪失になるわで不幸続きだから大丈夫かなって
 まぁ、タイガーや実乃梨ちゃんとかいるから大丈夫だとは思うけど
 とにかく何でもいいから返信するように、どんな細かい内容でもいいから
 PS
 絶対返信する事、なるべく早く、急ぎなら電話でOK、しなきゃ一生恨む」


「うぜーから、声だして読むな、真似るな。それ恥ずかしい
 一応言っておくけど、そのメールだけじゃないからね、他にも出してるでしょ、ちょと、読まなくていいから!」

「他のメールったて、ほとんどコピーの手抜きメールだろ。しかも3日に1回、酷いときは半日に1回って、
 お、そうかこれはお前のバイオリズムと連動してるのか、生理とか」
「だから、うぜーての」

「それに全部返信しただろ」
「同じ内容でね、世は全てこともなし だっけ」

「ちゃんと毎回、手打ちだ」
「そういう事じゃなくて、これって正確なの、高須くん明らかに変わったよ」

「高須自身は変わってないと思うが、どっちにしろ、お前が心配してる事は起きてないぞ、亜美」
「別に心配なんて」
5870Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:28:21 ID:bZyxIX3t

「それにしても、亜美可愛くなったな」
「ふん、なにその露骨な話のすり替え、やめてよね」
「高須を紹介してよかったよ」
「!!」

 亜美は顔を赤らめて、一瞬フリーズする。彼女の頭の中でいろいろな関連付けと、過去の反芻を行っていた。
 余計、顔の赤みが増していく事から、内容は推して知るべし

 −なんで、ここで血液が集まる私の顔、体、あんなにメンテしてやってるのに−
「い、意味解かんねぇし。いいやもう、祐作と話してらんない」

「いいから、本人に聞いてみろ」
「言われなくても、そうするわよ」

亜美は、怒りの表情をつくり、そそくさと生徒会室を出て行く亜美、幼馴染の生徒会長が笑顔で見送る。



     ***

−とは、言ったものの、さてどうしたものかと廊下を歩いていると高須くんに会ってしまった。
 というか、私を探してたの?高須くん−

廊下で向かい合う二人
不満そうな表情を作って高須を眺める亜美と、どうしても睨みを効かせてるよう見える竜児
この二人の迫力に廊下を通る僅かな生徒も、その雰囲気に追われて知らぬそぶりで早足で歩き去ってしまう。

「川嶋、すまん。何か怒らせちまったか、俺」
「ふ〜ん、竜児でも怒らせた事くらいわかるようになったみたいね。」
-心の準備無しに高須くんに会ってしまった。どうすればいいかな、もういいや、取りあえず聞くしかないか−

「で、怒らせた理由、見当はついた?」
−無茶な言い方だよね、怒った直接の原因は置いといて、
 根本的な原因はキスまでしてくれた高須くんが私の事をどう思ってくれてるのか解らないってことだもの−

「正直、お前が怒ってる理由がよくわからん、だが、お前が怒るんだから、もっともな理由があるんだろうし、
 知りたいと思う。」

「そう、ならヒントをあげる」
−口先だけで謝られてもしょうがないし、正直に言ってくれた事と、知りたいと思ってくれた事
 すごくうれしいよ、高須くん−

「じゃ、これからの質問に答えて下さい」
−ごめんね、高須くん、君の事を知りたいだけなんだ、そして私が思ってることを知ってほしい。
 少しでも今の私の事を見てくれるんだったら、もう一回からかわせて、それでチャラにさせて−
5880Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:29:43 ID:bZyxIX3t

「一つ目の質問、みんなが嫌がるレクの実行委員の仕事を率先して竜児は行ったそうですが、
 文化際の実行委員を決めるとき、亜美ちゃんが竜児に手伝って欲しいから、実行委員になって
 頼みましたが、断りました。何故ですか」

「春田が既になってたろ」
「じゃんけんの結果、春田君になっただけじゃない。レクの実行委員立候補するくらいだったら
 あの時、代わってくれても」

「おまえなら、春田をコントロールして要領よくやれると思ったから、実際うまくやれたと思うぞ」

「む〜」
−ちょっと冷静になろう、ここはあまり深く考えない考えない−

「2つ目の質問、クリパとかレクとかの実行委員をやって苦労をしった竜児は、今思うと、
 亜美ちゃんに悪かったなとか謝罪の言葉は浮かぶと思いますが、どうでしょうか」

「本当、クラスやグループまとめるのって大変だよな。実際やって痛感した。その上
 おまえ実行委員と、プロレスショーの主役とミスコンの司会同時にこなしたのな、すごいと思うよ。」

「いや、だから、そうじゃなくて。いいや、別な質問
 竜児は2年の3学期から、成績が上がったそうですが、なにか理由がありますか。
 例えば、タイガ−の世話する時間を少なくしたから、勉強の時間が増えたとか」
「いや、大河と一緒にいる時間はそんなに変わってないぞ、というか、あれだ。
 たんにやる気が出ただけだ。」

「3学期って、私転校した後だよ」
「そうだな。?」

「む、む では最後の質問です」
 今日、自販機スペースで会った時、なんで私がいないはずって思ったの」
「なんだろう。何時もそうだったから?」


「今は一人の場所なんだ、私の知りたい事が解ったよ。ありがとう高須くん」
−その時の私はなんの感覚も沸かなかった、意識して言葉も選べない。
リミッターが切れた時はこんな感じなんだろうか。てっきり、ストカー騒ぎのように、ブチ切れるかと思ったが−

高須くんの顔を見ることもなく、下駄箱に向かった。



     ***

−下駄箱で、上履きから、靴に履き替えてる。
 なんで、こんな私の動作は緩慢なんだろう、そうでは無い、時間の流れが遅く感じるのだ。
 なんか時間感覚がかなりおかしい。−

夜の撮りまで、このテンション戻るかな
なんで、今日は夜まで撮りがないんだろ、最悪だ
放課後すぐに仕事なら良かったのに、時間が空いてる分もっと落ち込みそう

そうやって、外に出ようとしている時、亜美は外に香椎奈々子がいる事に気づいた。
5890Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:30:20 ID:bZyxIX3t

「奈々子、奈々子にお願いがあるの。今日、帰りスドバに寄らない」
「どうしたの、調子悪そうだけど」

「ちょっとね、私の我侭だって解ってるんだけど、期待してた事と、実際起きてる事があまりにも違って、
 私が確信してた事も私の単なる思い込みじゃないんじゃないかって、自信なくなっちゃった」
「仕事の話?」

「そんな感じ、とっても大事だと思ってた事なんだけど、それも勘違いかも」
「大変そうだね。ちょっとまってて麻耶ちゃんも誘ってみるから」
奈々子は携帯を取り出すと、アンテナが立ってなかったのか小走りで校舎の影に走っていった。

スドバへの道を奈々子と二人で歩く、麻耶ちゃんは少し時間がかかるので、
二人で先に行ってて欲しいとの事だった。

「麻耶ちゃんから、亜美ちゃんが転校している間のみんなの事、気にしてたって聞いたんだけど」
「そうだね、みんな普段通りだったみたいだね」

「それで、高須くんの事も心配してたって聞いたけど」
「聞いた聞いた。元気だったって、私がいる時よりもずっと」
「元気なかったと思うよ」

「うそ、だってみんな、成績が上がったとか、実行委員やってたって」
「私の感想だけど元気なかったと思う、だけど頑張ってた」

「どういうこと?」

「亜美ちゃん転校してから、高須くんが他の人と教室で騒いでるのあまりみてないんだ。
 春田君とか能登君は、高須くんが遊んでくれないってぼやいてた。
 高須くんが成績上がったり、実行委員やったりしてるから我慢してたみたいだけど」

「・・・・・」

「それにね、高須くん教室にいる事自体が少なくなったと思う。
 休み時間になるといつのまにかいなくなって、次の授業までには戻ってくるんだけど、
 缶ジュースとか手にもって入ってきちゃうから、よく先生に怒られてたっけ、
 昼休み以外は自販機つかったちゃだめだとか」

 ふと、小走りな足音が聞こえて来た。聞きなれた足音だった。麻耶ちゃんと後もう一人
「亜美ちゃん、奈々子お待たせ。急いで高須くん連れてきたよ」
5900Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:31:50 ID:bZyxIX3t
     ***

須藤コーヒースタンドバーに向かう道の途中の住宅街、香椎が裏道を選んでいた為、人通りはほとんど無い。
亜美と竜児が対峙する形で向き合い、距離をおいて二人を見守る香椎と木原。

「竜児、で何の用なの」
平静な面持ちで言葉を発する亜美、声色からも特に感情の揺れは感じられない。

「川嶋、すまん、お前が怒ってる理由、結局、自力では解らなかった」
一方、竜児は顔の筋肉に無為に力が入っている、だが言葉の一言、一言は落ち着いた感じ。

「それで?誰かに教えてもらったの?」
「いや。 ただ香椎からアドバイスをもらった」

「なんて」
「お前に心配掛けたく無い と思ってる事を伝えた方が良いって」

 亜美の目が少し見開かれ、僅かに唇が震える。
「言って」
「俺は、お前が映画撮影なんて、すげー所で、自分のやりたい事を果たそうと努力してるのをみて
 お前との距離を広げられたくないと思った。いや違うな、お前に心配されるのが嫌だった。
 後ろにちゃんと居るのか、ついてこれるのか、
 結局はお前に届かない男だと、その程度だと思われるのが嫌なんだ。
 たしかにお前は俺の前を行ってるんだろう、
 だが、俺は今の俺に出来ることを精一杯やって、いつかお前に追いつこうと思っている。

 まぁ、なんだ、お前が俺の事を心配するなんて確定事項のように考えてる事自体が
 俺の思い込みでしかないんだが、呆れてるか?」

「.....うっ......」
 亜美の瞳から、1粒の涙が落ち、亜美の声色が変わる。か細く、泣き声のように

5910Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:32:17 ID:bZyxIX3t

「心配した。
 高須くんが私の言う事、私自身の事を気に掛けてないんじゃないかって心配した。
 高須くんが考えてる事、私には言ってくれないと思って心配した」

「すまない」

「蜂蜜金柑」
「それがどうした?」

「あれ飲んだとき、ちょっと落ち着いた。だから蜂蜜金柑のお湯割りが飲みたい。
 そしたら許してあげる」
「あぁ」

「これからも心配掛ける度に作って、そうしたら安心出来るから」
「あぁ、お安い御用だ」

静かに振り向くと、亜美は少し気まずそうに、困ったように香椎と木原の方を見た。
「奈々子、麻耶ちゃん ごめん」

香椎は静かな微笑で亜美に答える。
「いいよ、そのつもりで麻耶ちゃんに高須くん連れて来てもらったんだから。
 スドバはまた今度3人で行こうよ」

「ありがとう」
亜美はその言葉を聴き、亜美の顔はほどける様に満面の笑み変わった。
その笑顔を見て麻耶は思わず感嘆の声を上げてしまう。そして小さな声で奈々子に囁く

「女優の仕事ってすごいね。モデルの時の亜美ちゃんも可愛かったけど
 仕事で磨かれたのかな、すごく、すご〜く、亜美ちゃんの笑顔、可愛いくなってる」


END
5920Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:32:47 ID:bZyxIX3t
以上で、メインのお話終わりです。
連投なんですが、エピローグ的な話を、別SSとして投下させて頂きます。

題名: Happy ever after 第1回 追伸
主役: 竜児、亜美
方向性:山も谷もありません
5930Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:33:16 ID:bZyxIX3t
Happy ever after 第1回 追伸

「川嶋、座ったか?邪魔だから新聞はどけていいぞ」
「ありがとう、竜児」

焼けた畳の居間に亜美を座らせると、竜児は台所に立ち、手早く薬缶に水を入れ、お湯を沸かしに入った。
高須家では、電気ポットはあるがあまり使われることはない。
ポットで保温するより、毎回沸かす方が少々手間だが経済的だし、環境に優しい。

ふぅー、台所に立つと落ち着く。
川嶋と二人きりで帰ってる時は死ぬかと思った。
櫛枝の時といい、本当に俺ってTOO SHY SHY BOYだぜ、すげー落ち込む。
学校でも、川嶋に不意に会うと言葉を失う。
意識するだけでこんなに変わるとは、こんな事が川嶋にばれたら一体どんな罵声をくらうか知れたものではない。
いや、嘲笑うだけ、嘲笑って、ねっちこくからかいそうだ。あいつは意地悪姑の素質があるから。

そっと、居間の川嶋を覗き見る。心の声を聞かれてないか不安になった。
何故か台所を見ていた川嶋と目があう、只でさえ緊張するのに、あいつはニッコリ笑いやがった。
照れ隠しに言葉を掛ける。

「川嶋、本当に、金柑の蜂蜜付けの付け汁の方でいいのか?
 蜂蜜入りホットミルクも割とお勧めだが」
「うん、蜂蜜金柑の方でいい。私はあの味ここでしか飲めないもの」
「あぁ、これは高須家自家製の味だからな」

「そうだね、あまり飲める所ないよね」

やっと最近になって解ってきた。こいつは時々、寂しそうな顔をする。
俺が気づかなかっただけで、今までも一人でこういう顔してきたんだろう。
と言っても、またこういう顔をさせている訳だし、その理由も解らない訳だが。
くそ、精進足りねえな、俺も。

「ねぇ、竜児、私に近づくために努力したって言ってくれたよね
 それは私が帰ってくるて思ってたから?」

「それはちょっと違うな、お前が戻ってくるとか、来ないとかじゃなく
 お前に、期待外れな男だと思われるのがしゃくでかな、あと精進が足りねえ!」

「私は頭がいいとかそんなの期待してる訳じゃないのに」
「何か言ったか」

「ううん、なんでもない。でも私が期待するのは、そうだな。
 映画撮影中でも、私を迎えに来てくれる男の子、竜児はそうしてくれた?」

 寂しそうな顔をさせたお詫びに頑張ってみた。
「そうしたかもな、例えば、お前がイタリアで映画撮影中に、男を上げた俺と偶然出会って」
「私を虜にするって、あは、竜児、すごくロマンティク!90点あげる」

そこで丁度お湯が沸いた。俺みたいに蒸気を上げて。
5940Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:33:46 ID:bZyxIX3t

飲料用に別にしているタッパから、前回の蜂蜜金柑の漬け汁を出し。
2つのコップにスプーンで入れる、川嶋は割りと甘いのが好きだが、
カロリーの事を考えて、2杯ぐらいにしておいた。そして沸かしたばかりの熱いお湯を注ぐ

「ほら、川嶋」
「ありがとう」

川嶋は、両手でカップを受け取ると、そっと香りを嗅いだ。
「ふふ、金柑の香り」

一口飲み、亜美は長い息をついた。
「うん、これがいい」

そして、カップを置き、懐かしそうに部屋を見渡す。
「この部屋も久しぶりだな、何度かお邪魔したけど竜児と二人きりなんてあの時以来だね。
 やっとここまで戻ってこれた」

ふと、目に入った亜美の横顔は、差し込む夕日のせいで淡い橙色にかすかに染まり、茶色の瞳も琥珀のように透き通っていた。
あの日の亜美のままに

「ねぇ、竜児。竜児は私には慣れた?すごく歪んでいて、超腹黒で、意地悪っ子な素の亜美ちゃんに。
 嫌いになってない?」
自嘲の色を瞳に浮かべ、こちらを伺うように尋ねてくる。

その瞳を正面に見据えて、からかう様に言葉をつむいでみた。ちょとした逆襲のつもりで
「ならねぇよ、素直じゃなくて、無駄に悩んで気使って、意地っ張りな女だろ、本当の川嶋亜美は」

ちょっと驚いた顔を川嶋はしたが、なにか企んでるニヤリ笑いをしやがった。やばいな藪を突っついちまった。

猫のように身を屈め、手を畳につけるとそっとテーブルを迂回してくる。
そして亜美は体を寄せてきた。金柑が香る。
「竜児は、私が、本当の私を見せたら・・・・・どうするんだっけ・・・」

川嶋の顔が静かに近寄ってくる。30cm、10cm、瞳が目の前に.....
「ねぇ・・・・ほら、早くしないとまたタイガ−が来ちゃうよ」

再び触れた川嶋亜美の唇は、やはり熱く甘かった。

END
5950Jp+V6Mm:2009/06/19(金) 00:34:33 ID:bZyxIX3t

以上で全て投下終了です。
今後、シリーズものとして続編投下させて頂きたいと思っております。
お粗末さまでした。
596名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 00:51:01 ID:qpf5G3Qx
御馳走様でした。GJ
597名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 00:54:41 ID:QzZGytuS
>>595
うおおお!GJ!あーみん可愛いよあーみん(;´д`)ハアハア
598名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 01:19:19 ID:EpiLAKCJ
甘すぎる・・・
なんだこのちわドラは!1

大好物です超GJ
599名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 01:20:24 ID:QGj8XmpV
あんだけ自信満々に「一読すれば解る(キリッ)」
とか言ってた奴どこいったんだ?
今頃、顔真っ赤なんだろうな。俺だったら恥ずかしくて二度と書き込めないけど、書き込んじゃうんだろうね。
600名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 01:33:38 ID:Mbk3tLaz
>>595
前回投下時より随分良くなってると思います。
ただ、−は無くてもいいかもしれません。
話は面白かったです。 同じPSP亜美アフターものを投下している身としては、
応援せざるを得ないw GJを送らせていただきます。
それでは、次回作も楽しみにしています。
601名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 03:57:07 ID:qTU6k35u
仮面ライダー>>555
602名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 11:10:09 ID:rVTQN/ga
>>593の、90点endの小ネタに思わずニヤニヤ。
GJ!!


……ああ、青春の日々……
603名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 15:53:18 ID:qTU6k35u
>>603かげがえのない日々は、おっくせん!おっくせん!
過ぎ去りし日々はグラフィティ
604名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 18:00:10 ID:aA9ywCGW
ここらでみのりんのガッツな逆レイプものがよみたいです><
605名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 19:37:03 ID:tTmfxrtd
エロSSでは少ないみのりんの奥手なエロも読みたいw
606名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:00:26 ID:ptZcU7a0
【堅牢】トリップの新方式を考えてみませんか【互換性】
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1244993904/352

352 名前:動け動けウゴウゴ2ちゃんねる[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 13:16:16 ID:bgXqg9KD0
#に続けて1〜1024文字を入力するとトリップに変換される

"#1〜11文字"で従来の10桁トリップ("##16進8桁の10進表示とsalt2桁"でも指定できる)
"#12〜1024文字"では12桁の新型トリップが発生
"##12文字以上"と"#$12文字以上"は未定義として◆???に変換

つまり
#abcd1234XYZ   → 従来トリップ10桁
##DEADBEEF00 → 従来トリップ10桁
#abcd1234WXYZ → 新トリップ12桁

##hogehogehogehoge → ◆???
#$hogehogehogehoge → ◆???

これでおk?
607名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:20:54 ID:iRFDlcu7
>>599
変に絡んでる奴と
連投荒らしは一緒には現れないんだ
不思議だよね。何故だろうね
608名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:30:14 ID:iewr8OJ/
はぁ…結局日記の頃がいい感じの流れだったんだな
609名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:44:29 ID:AlOeOK9n
ここってわたしたちの田村くんSS投下してもいいの?
610名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:46:46 ID:YKTq89Kg
スレタイと>>1も読めんのか
611名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:47:32 ID:qTU6k35u
>>609いいよね?答えは聞いてない!
612名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:48:15 ID:AlOeOK9n
ああスマン
出直してくるわ
613名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 21:50:58 ID:P800VrND
>>612
出直す前に投下忘れてるぞ!
614名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 22:36:58 ID:1N338s1z
今の方が落ち着いてていいんじゃね?
むしろいろんな作者が投稿してるし
作品の質だって向上している
615名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:05:36 ID:QKxTU/gQ
ギズバザグンババ、グレギブンバゾ!(笑)
616名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:15:46 ID:RF5MOdoP
日付変わってすぐにあぼんしやすいようにIDを出すとは
何がしたいのかわからん荒らしだな
617名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:16:39 ID:MgpdH7pI
日記とかに否定的な雰囲気だと、キチガイが出るんだな
なるほど…
618名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:32:47 ID:v4I9in+H
何が「なるほど」なんだろ
619名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:32:53 ID:QKxTU/gQ
グギグハ、グググバソバグレギブンバゾ!(笑)
620名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:38:27 ID:SGc/MMg6
早く規制されねーかなぁ、この糞餓鬼
このスレだけならいざ知らず、お前ルミナススレを丸々一つ荒らして潰したんだから
永久規制も覚悟しておけよ糞餓鬼荒らし
621名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:39:10 ID:Yql6dOcm
>>617
日記とかに否定的なのはお前1人だけ
そしてキチガイはお前
622名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:52:51 ID:Yql6dOcm
一読して分かったけどな
粘着=キチガイ
批評に、この粘着特有の変なクセがあるんだよ
嫉妬に狂って、焼畑農業みたいに、色々知ったかしては恥の上塗りを繰り返すのは
いい加減にしたほうがいい
それが粘着のためでもあるんだが、ま、聞く耳もたんだろ(きりっ)

てか焼畑農業みたいってどんな表現なんだよ。意味が解らん。
623名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:54:41 ID:JN25DIe3
こんな雰囲気でも投下してくれてる職人さんもいるんだから、荒し云々の話はここまでな

以下いつも通り独神の幸せを見守るスレで
624名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 00:57:45 ID:wCJQz+4V
1レスごとにID代えてくるわけでもないのに
このスレのスルー能力のなさは異常
625名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 02:21:45 ID:fLeptQD2
>>582
ええで・・・
続きまたお願いします!
626名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 02:22:52 ID:RF5MOdoP
>>624みたいなこと書く奴って自分も同じって理解してないよな
627名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 03:33:13 ID:3qbGOuOf
PCなら専プラ入れてあぽん一択でそ。
628名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 03:42:43 ID:QKxTU/gQ
>>620(?_?)は?
629名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 03:43:45 ID:QKxTU/gQ
( ̄〜 ̄)ξ
630名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 03:46:06 ID:QKxTU/gQ
>>620グギグハ、グググズバブンザゾグベダグレギブンバゾ!(笑)
631名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 04:25:03 ID:sJi52Fmh
スルーしろよってレスに対してお前もスルーしろよってのは
まあ、定番だが馬鹿っぽい返しだよな
632名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 07:08:11 ID:MnlJseKs
なんで>>609>>612は帰っちゃったの?
633名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 09:24:08 ID:QKxTU/gQ
>>631ドライブスルー
ヨガスルー
グレギブンバゾ!(笑)
634名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 09:49:52 ID:1Dqbf3gC
はぁ……気分悪い。
635名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 10:59:29 ID:nFWvfiQU
>>620
一昨日・昨日と、面白半分に少しイジってみた者の感想だが……
ありゃ只のアホだ。ここのとは別物だよ。
636名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 11:10:52 ID:wmRgoqYK
マジレスすると今日のレス(615以降)の中でスルー対象でないものは625だけ
後は全部荒らしと、荒らしの相手をした(荒らしに準じる)レスだけ
もちろんこのレスもあぼーん対象だ
637名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 11:32:31 ID:SGc/MMg6
>>635
だから前スレ見て来いって
レスがここのと丸々同じ奴だから
638名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 11:35:14 ID:SGc/MMg6
ああ、なんだ把握した
マジであいつビビって止めたのか、ざまぁ、一生規制に怯えて引っ込んでろ
639名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 13:28:19 ID:QKxTU/gQ
>>638ゲザブバゴブガ、ズバブンザゾグベダ、グレギブンバゾ!(笑)
640名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 13:28:55 ID:QKxTU/gQ
>>634吐け、吐くと楽になるぞ。
641名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 13:32:46 ID:QKxTU/gQ
なるぞ。(笑)
642名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 18:32:38 ID:KNRBrx8x
「あらしはしねばいい」と、きたえりは言った。
僕は射精した。
「そう」と、きたえりは言った。
643名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 19:35:56 ID:uV4Tx7WR
「もうあっっっったまきた。ぶっ倒して来る。」「やめろ大河、お前がいっても何時ものドジのせいで荒らしを増長させるだけだ。俺が行く。コイツのせいでスレが無駄遣いだ。MOTTAINAIだろ。」
「やめて竜司、あんたがいったら洒落になんないから、警察に捕まって刑務所に入ったら私寂しい。」
「大河・・・・」
むしゃくしゃして書いた。後悔はしていない。
644名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 19:53:50 ID:QKxTU/gQ
>>642うりょっちに喧嘩売ってるのか?
キタエリ。(笑)
645名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 20:40:02 ID:PQTGX3K5
荒らしが何人かいてそいつらが釣りと釣られでサクラ
> 我慢できなくなった住人が注意レス
> 荒らしor別の我慢できなくなった住人の注意レス
> えんd(ry

今の状況連投荒らし以外の荒れてる原因はこれだろ
とりあえず我慢できなくなっても自分から我慢してなきゃ
次の人が我慢できなくなるからエンドレス
646名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 22:01:05 ID:YRd27l4A
とりあえず誰か投下するのを待とうぜ。
話はそれからだ。
647名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 22:36:19 ID:QKxTU/gQ
>>645ヾ(=^▽^=)ノブルーレイディスコー♪o(^∇^o)(o^∇^)o
648名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 00:01:05 ID:9foctlbq
専ブラで自動あぼーん設定にしているからか、
何が起こっているのかさっぱり分からん。
649 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:11:04 ID:V5hnNc4O
皆さんこんばんは。
[伝えたい言葉]
の続編を投下させて頂きに来ました。
前作の感想を下さった方々、並びにまとめて下さった管理人の皆さんありがとうございます。
注:今回のSSはちわ×ドラで[伝えたい言葉]の続編。
長編になると思いますので御容赦。
では次レスから投下します。

650 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:12:07 ID:V5hnNc4O
[言霊(1)]

「ねぇねぇばかちー、ちょっと話があるからコッチに来て?」
もう数日もすれば修学旅行というある日の放課後、席の後ろから聞こえる声。
聞き覚えのある生意気な口調で私のあだ名を呼ぶ。
私をこんな呼び方をするのは一人しか居ない。
逢坂大河…。人読んで『手乗りタイガー』である。
珍しくて、虎の英語読みを連想させる名前、愛らしいフランス人形の様な容姿、車検ぎりぎりローダウンな身長…容姿とは真逆な凶悪凶暴な振る舞い。etc.
「えぇ〜?亜美ちゃんマジ忙しいしぃ〜、てかチビ虎に用事なんか無いんですけどぉ」
本当は『用事』はあるにはあるけど……人前で話す様な内容じゃ無いの。
……高須君と私、実乃梨ちゃんに……そして、この生意気なチビ虎。
複雑に絡み合った人間関係を一本に纏める。
かれこれ半月前に高須君と約束した『しがらみ』を解決するという『用事』。
でも…それって難しいんだ。
誰もが納得するハッピーエンドになんかなりっこない…。一対が幸せになれば、残りは……。
だから、今の今まで行動に移せず考えを巡らせていただけ。
大河が私に何を言わんとしているか…恐らくは私の予想通りだろう。

651 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:13:46 ID:V5hnNc4O
あんたの得意な…実乃梨ちゃんとの『譲り合いごっこ』についてでしょ。
「干されモデルが忙しい訳無いじゃない。暇だからって妄想に逃避しちゃ駄目だよ?辛くても、それが現実なんだし、
ま…そんなのどうでも良いから、黙って早く来い」
と、この生意気なクソチビは腕を組んで哀れそうに私を見やり、大きく溜息をついて右手の親指で教室の戸を指差す。
「私は干されてなんかねぇ!!あ〜っ!!む・か・つ・くっ!!今月はスケジュールが緩いんだよ!」
その物言い、態度…、大河が辛辣な口の聞き方をする娘と分かってても腹が立つ。
「はいはい…緩いのはばかちーの脇腹と頭のネジ。世間一般では、そうして徐々に干されていくのよ。そんな事も知らないの?」
血管が一、二本切れてしまいそうになる。
…が、無駄な応酬をしていては時間がもったいない。
さっきまで奈々子と麻耶と話してて、高須君は先に帰っちゃったし……私も早く『帰らなきゃ』
「だ〜っ!!わかったわよ!行けば良いんでしょ!?マジうぜぇ!」
口調とは裏腹に内心は焦っていた。
高須君の所に一刻も早く行きたい、そして…考えさえ纏まっていないのに大河の方からアプローチしてきた事。

652 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:14:44 ID:V5hnNc4O
ほぼ毎日、高須家に上がり込んで、日付が変わる前とはいえ夜中に帰る。
隣人の大河が気付かない筈が無い。
恐らくは私達の『触れ合い』を勘づいたのだろう。
灯の落ちた部屋の中から漏れる私の…あの声、とか、ベッドの軋む音なんかを聞いたりして…さ。
「で、何よ?亜美ちゃんは、あんたと違って忙しいんだから簡潔に言ってよね」
連れて来られたのは非常階段の扉の前だった。
まあ良いや。出たとこ勝負だ。
当事者の高須君を差し置いて、傷付けて、掻き乱した奴等なんかに言い負かされたりしない。
屈しないよ…、高須君をこれ以上傷付けさせない。
「ふん。確かにばかちーに難しい事を言っても理解出来ないだろうから、三行に纏めてあげる。
………
竜児を
弄ぶのは
止めろ」
そう真剣な目差しで言う。淡々と…そして低い声で。
この娘の言った『三行』はある程度、予想通り。
私は一言も発さずに、ただ彼女の目を見据える。
顔をしかめたり、怒りも浮かべず……ただ無表情に。
「竜児は好きな人が居るの。その相手もバカ犬の事が…好き。
両想い…だから邪魔しないで」
下から睨付けながら大河がそう言った。
相手を射殺さんばかりの怒りを込めて。

653 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:15:45 ID:V5hnNc4O
「アンタは"遊び" "暇潰し"のつもりかもしれない……、みの……うぅん。その相手と竜児は結ばれるべきなの。…今なら"無かった事"にしてあげるから……」
「無かった事ぉ?………ふざけんな」
大河の吐いた言葉『無かった事』…それは聞き捨てならない。
彼女の言葉を遮る様に私は唸る。
このまま最後まで大河の戯言を聞くつもりだった……けど私は黙っては居られなかった。
「高須君が振り回された挙げ句、傷付いた…その事実も、無かった事、にしたいの?
バカにしてんの?
それに私、本気だから。
あんた達、二人と違って…」
腹の奥底から搾り出す様に…私は目の前の虎に言い放つ。
激昂してしまいそうな感情をなるべく出さない様に…。
「とぼけるな!竜児を振り回してるのはソッチ…!上手く行けそうなのに…バカチワワが発情してサカってんじゃないわよっ!」
「はあ?上手く行けそう?何が?高須君の気持ちを置いてけぼりにして成就する訳無いじゃん!
その"相手"が彼に何をしたか理解して言ってんのかよ!」
私達は拳を握って対峙する。
大河の言い分も解る。
『異分子がでしゃばるな』
そう言いたい訳だ。
そう、確かに私は『異分子』だ。

654 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:16:38 ID:V5hnNc4O
私がこの状況の一端を作った当事者だと嫌って程…理解している。
だけど、もう私は『異分子』では居たく無い。
強くなるんだ…。
仮面を被らずに居て良い。
そう教えてくれた高須君の『一番』になりたい。
変な意地を張らずに好きな相手と居たい。
その気持ちが私をつき動かす。
だから大河を煙に撒いたりしない、本心を包み隠さずぶつけて…糸を解いてやる。
「想いすら告げれ無かった…。宙ぶらりんにされて"無かった事に"された。誰にも言えなくて、泣けなくて、頼れ無かった。
頼れる唯一の相手は大怪我しても助けてなんかくれなかったっ!自分の傷が深くなるのが嫌で逃げ出した!
そんな事をした奴が言う言葉じゃない!
大河!あんたの方こそ、これ以上高須君を玩具にしないでよ!!!」
そう私は大河に言い放つ。
小さくても芯は強い虎に…勇気を出して噛み付く。
一言放つ度に感情が高ぶって…オブラートなんかに包まず、ストレートに事実を述べていく。
良いよ…上等だ。
大河は実乃梨ちゃんと高須君を天秤に掛けて、実乃梨ちゃんの方に傾いた。
結果、高須君の気持ちは差し置いて、親友が"幸せ"になれる様に動いている。

655 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:17:47 ID:V5hnNc4O
なら、私はそんな好き勝手な攻撃から高須君を守る。
焦がれた相手を放って、友情の押し付け合いをする二人から守ってみせる。
「あんたも勘づいてるだろうけど…私は……高須君と寝た。うぅん…何回も寝てる」
例え、何かを失ってでも掛け替えの無い大切な人を選ぶ。
そう。それに関しては私も、大河も、実乃梨ちゃんも…高須君だって同じ。

「言葉なんかで慰めれない位に傷付いてた。
身体を許したら卑怯?
でも辛そうで放っておけなかった…少しでも助けたかった。
好きだから…高須君が大好きだから、私の全身全霊で守ってあげたいって…そう想ってした事を"弄ぶ"って言うんなら、
あんた達は"高須竜児"の気持ちを無視して周りをウロチョロしてるだけだよ」
私は一息で自分の意見を紡いだ後、何も言えずに俯いて唇を噛み締める彼女を一瞥して踵を返す。
その姿に心がズキっとしてしまいそうな気持ちを押し殺して、足速にその場を立ち去る。
誰だって傷付きたくない。
正論でまくし立てられて言い返せず、情けなくて…。
でも私だって痛いんだ。
何だかんだ大河の事は気に入っている。
あの娘も素の私だけを相手してくれるから…。

656 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:18:30 ID:V5hnNc4O
そんな相手を言い負かして、負った傷を抉って、塩まで擦り込んで…何かを得る為に傷付けた。
だから痛いよ。…凄く痛いんだ。
けど、覚悟無しに噛み付いた訳じゃない。
いつか…絶対に大河だって解ってくれる。
そう信じているよ。
.
理想とはかけ離れた形で一つの糸は解けた。
そう。無理矢理…引きちぎったのだ。
現状では落しどころなんか無くて、互いに怪我をした。
大河の匂いが薄れてきた高須家の居間で私はうなだれていた。
後悔はしてない、けど言い様の無い喪失感に襲われていた。
「おぅ…川嶋、どうしたんだ?今日は元気ねぇな」
そんな声が聞こえ、顔を上げると高須君が腰を屈めて私を見ていた。
「ん…まあ色々あって…ね。それよりやっちゃんは、もう仕事行ったの?」
私は詮索される前に別の話題を切り出す。
高須君のお母さんを
『やっちゃん』
なんて呼ぶのは気が引けるけど、そう呼べと本人から言われているので仕方無い。
「おぅ、丁度お前と入れ替えりでな。泰子の奴、川嶋と一緒に晩飯食え無くて残念だとよ」
その話題にあっさり食い付いてきた彼に安堵し、私は表情を和らげる。

657 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:19:44 ID:V5hnNc4O
やっちゃん…そんな事を言ってくれたんだ…って。
嬉しいよね…。だって、それって受け入れて貰えているという事なのだから。
『大河の代わり』じゃなく『川嶋亜美』として見てくれているのだから。
「そっかぁ…うん。明日は一緒に食べようって伝えておいてよ」
「了解」
そう言って彼は私の横に腰を降ろし、何も言わなくなる。
居間の壁に二人してもたれ掛かるのは、もはや『日常の光景』と化していた。
何も言わず、ただ寄り添うだけの日もあれば、戯れ合う日もある。
そして必ず最後は…高須君の部屋で……。
それは今日とて同じだろう。
でも、こんな落ち込んだ気分で出来るかな。
私は迷っていた。今日の出来事を高須君に話すべきか否か。
言うのは簡単。でも…わざわざ言うのはおかしい…よね。
うん。そうだよ、それを言って何になるのだろうか?
「川嶋…何かあったのか?」
そう自問していると、高須君が私に問い掛ける。
「…別にぃ、亜美ちゃんは至って普通ですし〜」
彼が心配してくれているのだとは分かっている。
だけど私は煙に撒こうとする。
言えないもん。大河を傷付けたなんて、そして私も傷付いたなんて。
気を引こうとしているとか思われたく無い。

658 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:20:42 ID:V5hnNc4O
高須君は優しいから、言えば慰めてくれる。
だから言いたくない。
「…そうか。ほら…」
前を見詰めたまま彼が呟き、私の肩を抱いて引き寄せてくれる。
「言いたくないなら言わなくても良い。…けど、これくらいはさせてくれ」
「…うん」
私は彼の肩に頬を寄せて返事し、紡ぐ言葉を探す。
やっぱり言わなきゃ駄目。
今日の出来事は彼にとって無関係な話では無い。
何より…心苦しい、無償に与えられる優しさ…考えとは逆に、より心配させていると気付いたから。
直接に言わなければ良いのだ。濁しておけば……。
「……痛かったんだ」
私はポツリと一言呟く。
「おぅ?」
疑問符を頭の上に浮かべ、高須君が私を見る。
「絡まった糸…今日、一つ解いた…うぅん、切っちゃったの。
そうしたら痛かったんだ」
私は右手を目の前に緩やかに突出し、人差し指と中指で鋏を扱う仕草をする。
「これで良かった…のかなぁ?後悔はしてない……筈だけど、やっぱり考えちゃうんだ」
グッと拳を握って、私はその拳を見詰める。
「本当は絡まった糸って解けなくて、切る以外に方法なんて無くて、切ったら……そのままなのかなって…」

659 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:21:49 ID:V5hnNc4O
立てた膝を自分のお腹の方に寄せ、顎をその上に乗せた。
「……なんてね。ごめん、訳の分からない話しちゃった」
そうだよ、ほら、空気が重くなったじゃん。
高須君の前で弱味は見せたくないもん、強い娘で居たい。
守るって決めたんだ。…だからこんな姿を見せたら駄目。
そう思い直し、私は明るい声で彼に謝罪する。
「……いや直る。『形』さえ覚えていれば、どんなモンでも時間が掛かってもよう、最後には元通りになるんじゃねぇか?」
「え…?」
私は彼が紡いだ言葉の意味を理解出来なかった。
「解けなくて切っまったんなら……繋げば良い。
絡まった部分は駄目でも、残った糸を結び直したら、
歪でも……直ったって言えるんじゃないか?」
高須君が私の頭を撫でて…言葉を探しながら、精一杯に考えて答えてくれる。
「っ!……で、でも…結び直せ無い位にグチャグチャだったらどうする?
切っても切っても、こんがらがってて…最後に残ったのは短い糸でさ、
……それって結べないじゃん」
そんな彼に対して私は問う。
『そんなの無理だよ。理想論だ』
と…。

「短すぎるなら
新しい糸で、また繋ごう。
今度は絡まり合わない様に…」

660 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:23:03 ID:V5hnNc4O
そう言った高須君の目は真直ぐ、迷いなんかなくて…。
羨ましいな。
素直にそう想った。
私は怖くて出来ない…。
例え、彼の言う通りに紡ぎ直すも、また絡まるのが嫌で、違う策が無いかと巡らせて…見つからなくて。
心の中で『理想論』を否定しようと試みても………もう無理。
何故なら、彼の横顔に希望を見出してしまったから…。
「……出来るかな、私にも………」
弱々しく私は聞き返す。
そんな事をしなくても、私はその考えに魅入られていた。
聞き返したのは……誰かに……ううん、高須君からの同意が欲しいから。
失敗してコケても、立ち上がれる様に手を差し延べてくれる人が居るんだ。
そう想いたい……弱いチワワが掛けた保険。
「おぅ。絶対に出来る、それに川嶋だけにはさせねぇ。…俺もするから一人じゃない、二人で一緒に…結び直して行けば絶対に良い方向に向く、そうだろ?」
『一人で紡ぎ直す』
そう決意したのに…私は揺らいでしまう。
直面した痛みを高須君となら…和らげれる。
そんな自分本意な考えが生まれてしまう。
それは…嫌、高須君に辛い想いはさせたくない。何回だって言ってやる、好きだから傷付いて欲しく無いんだもん。

661 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:24:31 ID:V5hnNc4O
「…そうかも、ね。うん………でも痛いよ、きっと。
実乃梨ちゃんにフラれた時と同じ位にズキズキするよ。
それでも良いの?」
でも、考えとは真逆な事を私は口にする。
弱ってしまった私は縋ってしまう…。
彼は優しいから、絶対に『良い』と言うと分かってて…縋り付く。
まだ傷心を抱いたままの彼に……。
「痛くても治るんだろ?いつかは…。それに俺は目の前で怪我してる奴が居たら放っておけねぇぞ、…………好きな奴なら尚更に」
私の頬を数度撫でながら紡ぎ、最後の一言はポツリと呟く。
その言葉はしっかりと私の耳に届き、暖かい気持ちになる。
先を進んでいた彼が、私に歩み寄ろうと手を差し延べてくれた事が嬉しくて…。
「ありがとう」
頬を撫でる少しガサガサ、ゴツゴツしてて……大きくて暖かい手。
それを取って、手の平で包み私は囁く。
「また"おまじない"してあげる。次のズキズキが少しでも和らぐ様に…、だから高須君も亜美ちゃんのズキズキが治る様に…
おまじない……して?」
弱った竜がまた翔べる様に…。
そして弱いチワワが、また強くなれる様に…。
そんな願いを込め、私は背伸びして高須君に顔を近付けていく……。

続く
662 ◆KARsW3gC4M :2009/06/21(日) 01:25:45 ID:V5hnNc4O
以上。
今回は導入なのでエロ無しですみません。
続きが書けたらまた来させて貰います。
では
ノシ
663名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 01:38:46 ID:++TPJnh9
乙 続き期待してます
664名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 02:05:35 ID:Dl/wzxfZ
>>662
SS書いてて、ふとスレみたら新規投下が!
しかも、「伝えたい言葉」の続編ですか、前作すごく面白かったです。
今作は最初から修羅場な上、今後の展開が難しそう。
次回も期待して待ってます。
665コピペ改変:2009/06/21(日) 03:36:21 ID:GPFlElEY
ある目つきの悪い男が、自分を愛している3人の女の中で
誰を結婚相手にするか長いこと考えていた。
そこで彼は3人に5万ずつ渡し
彼女らがその金をどう使うか見ることにした。
一人目の女は、高価な服と高級な化粧品を買い、最高の美容院に行き、
自分を完璧に見せるためにその金を全て使って こう言った。
「私はあなたをとても愛しているの。だから、
あなたが町で一番の美人を妻に持っているとみんなに思ってほしいのよ」
二人目の女は、夫になるかも知れないその男のために掃除用具を買って、残らず使いきる と、こう言った。
「私にとってはあなたが一番大切な人なの。だからお金は全部あなたのために使ったわ」
最後の女は、振り込まれた生活費から五万円を倍にして男に返した。
「私はあなたをとても愛しているわ。 お金は、私が浪費をしない、
賢い女であることをあなたに分かってもらえるように使ったのよ」
男は考え、3人の中で一番おっぱいの大きい女を妻にした。
666名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 03:40:00 ID:NV60hQMq
いい男だなあ…
そりゃモテるわ、器量が違うぜ
667名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 04:32:12 ID:QDL1eKzc
なんか、無駄にあみドラが多い気がする。
もっとみのドラが読みたいよ。
668名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 04:41:23 ID:btHUyJIJ
>>667
読みたいと思ったときが自ら筆を取るとき。


個人的には三人の中じゃみのりんが一番話を広げにくい・・・
卒業後進路がほぼ確定なのが要因なのかな・・・?
669名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 05:02:19 ID:t8K6bfFh
>>668
個人的にみのりんは会話が難しいなぁ。
670名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 05:16:09 ID:Dl/wzxfZ
>>667
無駄など無い!とあみドラを今書いてる俺が言いますよ
というか勘弁してね、それが今書きたいので

>>669
みのりんから話広げるの面白そうなんだけど、
ゆゆぽが書く、みのりん口調は再現難しいよな
実力不足でいつも嘘くさくなるよ、俺は。

671名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 07:28:11 ID:iDSj0dvc
>>668
Afterとかなら別として、彼女は竜児の想いを受け入れないからじゃね?
想像しにくいんだろ
672名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 08:42:00 ID:kucWaRLj
>>667
アニキャラ板のみのドラSSスレは投下多いよー。
673名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 09:55:16 ID:f9ZcwD3O
>>665
一番目の女=大河、亜美
二番目の女=実乃梨、ゆり
三番目の女=奈々子、すみれ
おっぱい=亜美、奈々子

というイメージなんだけど、正解を教えてくれ
674名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 10:20:47 ID:JrB7nD4+
こうした亜美派の汚い工作によって とら・みの派は僻地へ追いやられる。
さすが汚い、亜美は汚い。俺はこれで亜美が嫌いなった。
675名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 10:23:09 ID:0p8OdpWw
大河と亜美は書きやすいと思う
みのりんは・・・
676名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 10:29:55 ID:RNz4SnqM
>>673
大河=おっぱいって言ってるでしょ、この駄犬!
677名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 10:33:32 ID:oeWKr/eC
大河タソの未熟な蕾をちゅっちゅ!!ハフッハフッ!!したいお…
678名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 10:55:50 ID:IeSPsayT
亜美は、女性キャラの中で一番現実に存在していそうな感じだからね
だから、二次創作を書こうという気になるし、
書き上がったものもリアルで違和感がない
679名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 12:01:31 ID:SitqYTeZ
笑うところか?
680名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 12:12:31 ID:c5qbFKDX
女性キャラの中で一番現実に存在していそうな感じ
……木原じゃね?
681名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 12:33:20 ID:f9ZcwD3O
独身みたいな先生もたまに居る。
682名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 12:40:52 ID:bf8xbuzt
「伝えたい言葉」の作者さんて何と呼べば良いのでしょう?
前に住人からKARsさんと呼ばれてましたが……(カーズさん?)
それとも大文字だけ取ってKAR(カー)さん?
683名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 14:37:48 ID:oeWKr/eC
>>681
俺二十歳だけど、理恵様みたいな三十路なら明日にでも結婚したい
あ、もちろん田中の方です
684名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 14:51:18 ID:6fjsgyjm
>>667
書きたいヤツが書きたいモノを書きたいだけ書けばよいのだ
無駄に多いなんてことはない
685名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 16:45:10 ID:y4N7sq5G
>>667
アニキャラ個別に専門スレあるようだぞ

大河もみのりんも個別にあるから自然とここは亜美が多いのかも
686名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 16:57:30 ID:V5hnNc4O
>>682
御自由にどうぞ。
687名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 16:58:26 ID:V5hnNc4O
スマン。ageちまった、吊ってくる
688名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 18:11:05 ID:QDL1eKzc
(・∀・)ノ彡みのりん、みのりん!
689名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 19:00:37 ID:btHUyJIJ
>>681
ウチ男子校だったから独身(と同じ高2時30歳)の家庭科の
先生はみんなに持て囃されてたぞ。
ゆゆぽと違って可愛い30歳とかむしろ独身歓迎だった。


あれ、女子に飢えてただけ?
690名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 19:03:20 ID:Ywy+sHsj
>>689
友達いないからって自分語りしないでください
誰もあんたに興味ないしうざい
691名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 20:03:53 ID:a6lDPDsK
>>690
だったらスルーしろよマンカス
692名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 21:20:27 ID:1sA799B/
……お前らちゃんと成人してるよな?
693名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 21:37:06 ID:W1yqM/SH
お前の倍は生きてる自信があるぞ
694名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 21:53:38 ID:bT1d3KrA
>>662
GJです。
亜美の性格を維持しながら、『亜美がふっきって攻勢に出たら?』
という、比較的ありそうなifを上手く描いていらっしゃる。
695名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 21:53:53 ID:GnLuCnuW
ふと思ったんだが

木原→まるおに告白→フラれる
竜児→みのりに告白→フラれる

時系列ずらして、ここで失恋同盟が出来るとか、そういう話があってもよさそうじゃないか??
いや、書くだけの技量はないわけなんだが…
696名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 22:40:30 ID:btHUyJIJ
>>695
「そんなこんなとらドラ」が近い作品ではある。
まぁ↑はちわドラ作品ではあるけど・・・
697名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 22:50:00 ID:px2ld4IG
大河が生きるか死ぬかの病気にかかったら
竜児のことを託すのはみのりんじゃなくばかちーじゃないかって気がするんだよな
実乃梨にしても竜児にしても凄く大切だった人の分身みたいな存在を見ながら
二人の絆をあたらしく作っていくのは無理な気がするんだ
そんな病室SSを書こうとして、力尽きまちた(´・ω・`)無理
698名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 23:03:27 ID:f9ZcwD3O
>>697
タイトル忘れたけど前に保管庫で読んだやつで大河が
「みのりんはさ、もう終わった女なんだよ」
とか、言ってるやつ思い出した。
みのりん話が書きにくい理由はそれもあるんだろうな
699名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 23:33:49 ID:0p8OdpWw
みのりんは良くも悪くも大河最優先だからね
700名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 01:02:39 ID:IuwJiAvD
>>662
GJ
701名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 03:11:34 ID:KkjLFgdC
>>699でも、みのりん絡みの良作が多いのも事実。
つか、竜児×実乃梨は二十分にあると思います。
とことこで、とらドラ!Pのみのりんルートでの設定を活かしたみのドラSSをプリーズフリー( ̄人 ̄)m(__)m
702名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 04:48:45 ID:EhFt9KuX
>つか、竜児×実乃梨は二十分にあると思います。
「二十分にあると思います」って、何だよwww
「十二分にあると思います」だろ
703名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 05:56:19 ID:KkjLFgdC
>>702それ以上だから二十でイインダヨーミノリーンダヨー!(´∀`)
704名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 06:17:00 ID:EhFt9KuX
お前は、書き込む前に基本的な国語能力から見直せ
705名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 09:26:55 ID:ww6ErsRy
なんでそんなことぐらいで必死に噛み付いてんのかわからない
SSでもないし、ネタ的な強調だろうにわざわざ
706名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 10:02:15 ID:TE9E6VyK
竜児ありであみドラとかみのドラとか言われると、なんか違う気がするのだがw
707名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 12:03:30 ID:YGGkE4Yl
( ゚д゚)?
708名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 12:17:49 ID:TE9E6VyK
いや、一瞬、百合かノマカプどっちよって身構えちゃうんだわw
709名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 12:23:19 ID:AjBEbZ56
○○ドラって○○×竜児の事だろ?
710名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 12:51:44 ID:iB/nAwyw
何が何だかわからない……
711名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 12:54:52 ID:YGGkE4Yl
ドラドラ!

竜児がおなぬーしながらネット麻雀
712名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 14:24:27 ID:KkjLFgdC
>>707☆ヽ(▽⌒*)
713名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 14:35:43 ID:ksB1l46w
さっさと規制されろウジ虫
714名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 19:07:49 ID:imxEsp8a
りゅーじ×青狸
715名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 19:33:43 ID:ZdZJMzQr
>>673

一番目の女=亜美
二番目の女=高須
三番目の女=奈々子
おっぱい=奈々子

つまりだな(ry

716名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 03:24:19 ID:wAnBpttl
>>713あぎゃぎゃぎゃぎゃw
717名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 12:57:01 ID:RwfOeSO2
tesu
u
718名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 13:47:02 ID:rLLguFBs
   , ノ)
  ノ)ノ,(ノi >>ID:KkjLFgdC
  (    (ノし
 ) ∧,∧  ノ  まだ!まだいける!
.( ( ....:::::::) (
U⊂/ ̄ ̄7 ) ヽ lヽ,,lヽ
 (/ 川口 /ノ   (    ) やめて!
   ̄TT ̄    と、  ゙i
719名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 14:30:03 ID:kMpDYq2V
細々と書いて中頃まで完成してようやく25kbほどになったのだが、少し気になったことが。
投下前にレス数を予告する人がいるけどあれってどうやって換算してるんだろう?
そういうツールとかあるんですかね? 原稿用紙換算のはあるみたいだけど。
720名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 14:34:50 ID:Bzp8H6rs
ツールなんてねーよ
足し算できれば誰にでも計算できる
721名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 14:46:17 ID:Wq2gvwqk
1レス60行だからエディタ上で分けとけばわかる
722名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 17:21:38 ID:Fax2HF8N
久々に覗いたらミラー保管庫は消し飛んだのな
723名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 21:02:04 ID:Prz6RStL
724名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 21:23:27 ID:LS3z6nFm
>>719
60行以内で区切りのいい場所を作ってそこで切る。
一文の長さはあまり長くならないようにする。
誤読の多そうな漢字は極力避ける。
難しすぎる慣用句などは避ける。
テキストエディタ上で切る部分は印をつけて、投下後イメージで
読み直す。
私が気をつけているのはこんなところでしょうか。
725名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 22:58:24 ID:JvH5WqWE
ID:KkjLFgdC は、やっぱ、荒らし(多分、書けなくなった職人)だったか
726名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 23:05:58 ID:K2W6R+r/
そんな奴がルミナススレにまで来るのか
727名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 23:57:08 ID:CIIG4wxL
>>723
携帯用のリンクそのまま貼るとかどんだけ馬鹿丸出しなんだお前は

SS書きの控え室94号室
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244269586/
728名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:08:39 ID:XMyiJQwc
4皿目、44LTzffTさんの「虎と竜と、幸せと」の後半を、違う展開で書いてみた。
こういう事をssでやっていいのか分からないが、書いてしまったから貼ってみる。
ちなみに、内容としては4月バカ騒動のネタバレ以降、北村の「高須、今日は何月何日だ?」 から。
前半の内容はSS保管庫で確認を。
「虎と竜と、幸せと」書かれた方、勝手な事して申し訳ない。この場を借りて謝罪と感謝を。
729名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:10:50 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 1>
「高須、今日は何月何日だ?」

何月──何日──?

北村の単純な問いかけに、しかし、痺れきった竜児の頭は、すぐには答えを紬ぎ出せない。

「何だ高須、そんな事も分からなくなるくらい、動転しているのか?」

答えを出せず、ただ棒立ちのまま、無為に口をモゴつかせるだけの竜児の様子に、少し心配そうな表情の北村。

「こりゃあ、ちっとばっかり薬が効きすぎちまったのかねぇ?」

実乃梨も「あちゃ〜」っと右手で自分の後頭部を掻きながら、しかし、こっちは満更でもない表情。
「ま、それだけ大河の事が大切だったって事さね」と、事も無げに付け加える。

何月何日? 薬が効きすぎた? 何を言ってんだ、この二人は?
いや、そんな事はどうでもいい。それよりも……

未だ、放心状態から抜け出せない竜児は、まるで熱病にでもかかったような頼りない足取りで、ノロノロと教室の入り口に立つ大河の元まで歩み寄る。
竜児の接近に比例するように、真っ赤に焼けたヤカンは今にも自熱で溶け出してしまいそうになるほど、さらにその赤みを増していく。

「なななな、にゃによ……」

目の前までたどり着いた竜児に対し、回らないろれつと共に、精一杯の虚勢をはる大河。
先だっての竜児の絶叫が、大河にとって嬉しくないわけはなく、本当のところは、小躍りしながらこのまま抱きついてしまいたいほどの心持ではあるのだが……
しかし、「公衆の面前でそんな事できるか」と言う、最後に残された小さなプライドの欠片でもって、飛び出しそうになる小さな身体を、どうにか押さえ込み、無理やり作った鋭い眼光を、精一杯の虚勢を張って竜児にたたきつける。

もっとも、形を模されただけの攻撃的な視線の中には、彼女の象徴たる「虎」を思わせる破壊性は垣間見えず、
その代わりに何とも、こっぱずかしい心情が込められている事は、実乃梨や北村だけでなく、
今年一年、共に手乗りタイガーの恐怖に晒されてきた他のクラスメートたちにも、容易に見て取る事が出来た。

竜児はおもむろに腰を折って屈み、目の前の自分よりも随分と背の低い少女と同じ高さの視線を作る。

竜児の行動に、その場にいたクラスメート達の間から、「おおー」だの「うそ、マジ?」だのと、ザワメキが静かに巻き起こる。

「えええ……」

竜児が自ら腰を下げた事により、余りにも顔が近く、その近さに大河ヤカンは融点を通り越して沸点まで上り詰める。
しかし、そんな蒸発間近状態の大河の様子など気にする素振りもなく、竜児の右手はゆっくりと大河の顔に近づいていく。
唐突な展開に、動けず固まる手乗りタイガー。意外な展開に、先ほどまでのざわめきがウソのように、シンと静まり返るクラスメートたち。
竜児の腕が大河の顔に触れそうな距離まで到達する頃には、大河自身はもう何も言う事が出来ず、何も考える事が出来ず、ただギュッと両目を硬く閉じる事しか出来ないでいた。

誰もが竜児の行動の行き着く先を、固唾を呑んで見守った。もっとも、大河だけは固唾呑むどころか、呼吸すら出来ない状況に陥っていたが……

そして……
730名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:11:57 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 2>

ツン……

竜児の指先は、大河のおでこ辺りを軽く突付く。

………

ツンツン……

さらに、頬、顎と場所を変え、二度三度と大河をつつく竜児。誰もが予想していた結末とはいささか異なる彼の行動に、その場にいた全員の頭上に渦巻くクエスチョンの大群。

ツンツンツンツン……

竜児の攻撃はとどまるところを知らず、顔から肩、身体と、とにかくひたすら突っつきまくっている。この場にいる誰にも、竜児の行動の意図が汲み取れない。

指先が腰の辺りに到達する頃には、当の大河自身も固く閉ざしていた目を開き、眉間にしわを寄せながら、現在の自分の置かれている状況を、出来るだけ冷静に分析しようと試みる。分析しようとして……

「何しとんじゃーーーエロ犬がぁぁぁぁぁぁあ!!!」

分析の結果が出るよりも早く、華麗な回し蹴りが竜児の即頭部にめり込んでいた。無抵抗なまま吹っ飛び、手近にあった机や椅子を派手に巻き込みながらそのまま壁に激突する。

「ききき、きま、きさま……こんな所で、なお、なななにをおおおおお!?」

今度こそ「猛虎」の怒気を孕んだ視線が、壁に背を寄りかけるようにしてへたり込んでいる竜児に、容赦なく浴びせられる。
おおよそ、精神と言う物を持ち合わせているであろう物質のすべからくが震え上がりそうな、凶暴で凶悪な視線の中心にすえられた当の本人。だが、しかし……

「は……はは、ふははははへは……」

竜児の口から漏れ出すのは、途切れ途切れに響く、乾いた笑い声だった。
「た、高須が壊れた……」などと言う言葉がささやかれる。

「お、おい高須、しっかりしろよ……」と声をかけた北村も、常軌を逸しているような竜児の状況に、少々腰が引けているようだ。しかし、そんな北村の声が聞こえているのかいないのか、竜児の独り言は続く。

「はははははは……死んでなかった……はははは……よくわかんねぇけど、生きてた……」

放心状態のまま、ただただそう呟きながら、再び涙を流し続ける元二大番長の片割れ。

「よかった……何かわかんねぇけど、よかった、本当に……」
731名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:12:47 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 3>
==================================================================

「すまん高須!」

大げさな身振りで謝罪の意を示す北村。同じように実乃梨、能登、春田などと、この一件に加担したと思わしき面々が、しきりに押し付けがましい謝罪の意を表現し続けている。

大河のみ、少し離れた場所で、竜児に背を向け腕組みしたまま突っ立ている。
その立ち姿は全身で、「あまやかしたら付け上がるだけ」と言い放っている様でもあるが、しかし、チラチラと背後を気にして視線を送っているせいか、いまいち説得力を持てない。

「今日は4月1日。つまり、俗に言うエイプリルフールというやつなワケだよ。」
「それで──こんな真似か──」
「いや、だから本当にゴメンってば! ほら、この通り!」
「…………」

「あ〜あ、だから言ったのに……」

竜児の暗く沈んだ表情に、呼応したかのように、亜美が口を挟む。

「絶対、シャレになってないって思ってたのよね〜。タチ悪すぎって言うの?」
「でも、そんな事言ったって、アーミンだって結局は手伝ってたジャン──」
「アタシは見てただけ。実際には何もしてないもん。」
「あっ、ずっけーぞ!」

自分のすぐ側で、櫛枝と亜美のにわかに熱を帯びた言い争いが聞こえていた。が、今の竜児にはそんな事はどうでもいい事でしかない。

「ギリ……」と、竜児は目の前に置かれた机の角を、強く握り締める。

死んでしまった。
もう、手を伸ばす事も出来ない場所に、アイツを一人で行かせてしまった。

二度と放しはしない。そう誓ったあの時から、自分なりに出来る事を精一杯してきたつもりだった。
だが、ああも簡単に、何の前触れもなく、大河は竜児の手の中から隙間を縫うように零れ落ち──消えた。
何の努力をさせてももらえず、何を叫ぶ事もできず、あいつが伸ばした手に気付く事もなく、消えてしまった事すら、ついさっきまで知る事も無く……

あの時は、そんな後悔の念と、申し訳なさと情けなさと、そしてどうにも抑えきれない衝動で、爆発して絶叫した。

だが、それらが全部ウソだという……

「ギリギリギリ……」と、まるで心のバランスを取るために必要であるかのように、机を握る指先に力が入り続ける。
732名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:13:23 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 4>

アイツと一緒になると決めた時から、もう二度と一人ぼっちにはさせないと誓った。俺は一番近くで逢坂大河という奴を見てきて、そして、きっと誰よりも、そいつの喜びや痛み、そして優しさや強さや弱さや……
とにかく、他のやつ等が知りえる事のないものを、直接見聞きしてきつもりだった。
アイツが死んだと聞き、どこにもその姿が見つからなくて、それでも俺には信じられなくて……
でも、この教室の扉を開けた瞬間、俺以外の全員がそれを現実だと受け入れていて……
俺と他の人間の差が、そこにはハッキリと感じられて……
それがまたやるせなかった。
「いっそ、このままアイツを一人で行かせちまうくらいなら……」
冗談抜きで、かなり真剣にそこまで考えてしまっていた。後追いなんざ、情けない話でしかない。そんな事は分かっている。それでも……
あの時は、正直そこまで追い詰められていた。そう。俺は追い詰められていたんだ……

だが、それらが全部ウソだという……

既に机をつかんだ手の指先は白く変色し、完全に血の気を失っているのが傍目にもハッキリ分かる。だが、それでも力を込めずにはいられなかった。

考えられねえ。そいつは人として、やってはいけない事じゃないのか? タブーってヤツじゃないのか?

「そんな事も分からないのか、お前ら!?」と、よっぽど口に出してしまいたかった。しかし、元来、竜児の持った性格上、そうする事は難しい。

それを言えぬからこそ、机に八つ当たりしているといっても過言ではないだろう。すでに指先にはなんの感覚も感じなくなってきていた。

北村も櫛枝も亜美も能登も春田もそれ以外の奴らも、この件に参加していた誰も彼もが腹立たしく思えてならない。しかし、それ以上に……

「……!?」

黙ったままでいる竜児が気にかかり、先ほどからチラチラとその様子を盗み見ていた大河の視線が、ギラリと光る竜児の視線とぶつかる。
ガンの飛ばし合いでは竜児に対して無敵を誇っていた大河も、今回ばかりはバツが悪いのか「……う」と、慌てて視線をそらす。

今一番気に食わないのは──アイツだ。

お前が死んだなんて事を俺に見せつけて、それでアイツはどうしたかったのか。さっきの俺の絶叫を聞き出すためにか? それとももっと単純に、俺が悲しむかどうか試したかったのか? 俺が悲しまないとでも思っていたのか? それとも、単に面白半分でやったのか?

ざけてやがる、ありえねぇ……

お前が死んだと聞いた時、それを目の前に突きつけられた時、俺がどれほど心をえぐられたか、お前に分かるか?
分かるよな? いや、分かるはずだ。分からないワケがない。だって、それで受ける悲しみは、俺もお前も同じはずなんだ。もしも俺が死んだ時、お前はきっと悲しむ。俺はそんな悲しみをお前に味合わせるなんて事、少し望まねぇ。

なのに、アイツはそれを望んだ。それが──俺には辛いんだ。
733名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:13:53 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 5>

竜児は、自分の中に吹き上がってくる暗い感情と必至に格闘していた。こんな気持ちは嫌いだった。早く飲み下してしまいたかった。
本当ならば、クラスメイト達の些細なイタズラに「やりすぎだっての、お前ら」と軽い感じで調子を合わせてしまいたかった。そうする事が出来れば、どんなに楽だろうか。
だが、どうしても今はそんな気分にはなれない。それはきっと──

アイツ……

すでに大河の視線は竜児ではなく、自分の目の前の壁に向けて注がれている。心なしか、背を向けたその姿は小刻みに震えているようだ。

どんどんと輪をかけて不機嫌になって行くその様を目ざとく悟ったのか、「おい高須、そろそろ機嫌を直してくれよ。な、頼む……」と、北村。

「………」
「なあ、頼むよ……」
「ああ、そうだな。いつまでもこうしていても、しゃーねー……」
「だろ?」

今ここにいる中で、一番それを願っているのは竜児本人だ。早くいつもの調子に戻りたい。早く、いつも通りの、騒がしくて騒々しくて、それでいて居心地のよい空間に戻りたい。
竜児はそれを切に願いながらも、それでいて「どうにも収まりが付かない」そんなジレンマに苦しんでいた。

「悪いが、しばらく一人にしてくれ──」

竜児はそう小声でつぶやくと、そのまま立ち上がり、黙って教室から出て行く。
後に残された面々はおのおのに困り顔を披露し、自分達の悪ふざけが、一人のクラスメートに与えた影響を、それぞれ思案していた。

「あれは、相当キズ付いてるわね。ああ見えて、高須君て結構ナイーブなとこあるみたいだし……」

亜美の発したその言葉は、他のクラスメートたちの表情を一様に重く曇らせ、そして、誰にも顔を見られぬよう、壁と向き合い立っている大河の目尻に、小さな涙を呼び込んでいた。


734名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:15:11 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 6>
==================================================================

「やはり、もう一度あやまろう!」

竜児が教室を出て行った後、空間中に垂れ込んだ重々しい空気を払拭するかのように、北村が声を上げる。

「冷静になって考えてみれば、高須が怒るのも当然だ。俺たちは冗談にしてはいけない事をやってしまったんだ。それも面白半分でな。」
「うん、そだね。私もどうかしてたよ──」
北村の言葉に続けるように、実乃梨が口を開く。
「大河が、まだハッキリと高須君に気持ちを聞けていないって聞いて……」
その言葉に、大河の心がズキリと痛む。
「そんでもってエイプリルフールが近いってんで、よく考えずにノリだけで突っ走っちゃったもんね。」

──やりすぎた──

この場にいる誰もが、それを痛感していた。まさか、あの竜児があれほど取り乱すとは考えても見なかった。いや……
取り乱す事自体は分かっていたのかもしれない。標的である彼を盛大に取り乱させた上で、彼の本当の気持ちを隠れている大河に聞かせるのが、今回のタチの悪いイベントの終着駅のはずだった。
そう、ただのイベントのつもりだった。文化祭や修学旅行や、退屈な日常に、ホンのささやかな花を添えるだけの……
だが、そんな軽い気持ちで振るった刃は、その標的となった少年の心を一瞬で引き裂き、彼の心を鮮血で染め抜いた。

「必要とあれば、俺は高須に土下座、いや土下寝でもなんでもする! それでも足りないなら、地面にめり込んででも、許しを請うぞ!」
そんな事で、すぐに許してくれるかは、いつも通りの関係に戻れるのかは分からない。だが、そうせずにはいられない、と言う北村の瞳には、ハッキリとした強い意志の光。だが……

「そんな事、しなくていいよ北村君。」

ついさっきまで壁と向かい合い、溢れて来る涙を必死にその眼球で飲み込んでいた大河が、北村の決意に水をさす。どうやら目に溜まる雫をうまく消し去る事に成功したのか、振り返って他の面々に顔を向けた大河の目にはその痕跡すら残ってはいなかった。
コレまでの人生で、ただただ泣く事しか出来なかった数々の局面を、「こんなツラ、誰にも見せてたまるか」と、意地を張って生きてきた。その上で会得した「この涙、なかった事にしよう」的な特殊能力が、こんなところでも役に立つ。
それは竜児に会い、自分を支えてくれる人間に出会うまでに、「人に頼らない」「人に弱みを見せない」とかたくななまでのプライドでもって培われてきた特殊能力だと言えるかもしれない。

「そうは言ってもさ、タイガー……」
モノ言いたげな表情で大河の瞳に目を合わせる実乃梨の言葉を「いいんだってば、みのりん」と遮る大河。
735名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:18:41 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 7>

「あいつの事はよく分かってるもん。あのお人よしが、あんた達相手に本気で怒ったりするワケないじゃん。とにかく、あんなツラしてても人には強く出られないヤツなのよ。心配するだけ損ってもんだわ。」

自らの胸中に渦巻く本音とはまったく違った事を口走りながらも、それでも大河の口は止まらない。

「どうせ犬は畜生系列の哺乳類に属するわけだし、きっと三歩あるいたらさっきの事なんて忘れるって。ひょっとしたらもうその辺でケロッとしてたりするんじゃないかしら?」

三歩あるいて忘れるのは鳥類だぞ逢坂。と言う北村の突っ込みに「あはは、そうだっけ?」と気のない笑みで相槌を返してはいるのだが、内心は穏やかではない。
さっきの「あいつの事はよく分かってる」という言葉ではないが、確かに大河は竜児の事をよく理解していた。
自分が発端となった悪ふざけで竜児が激しく傷ついている事も、その竜児の怒りの矛先の中心に自分が据えられている事も、教室から出て行く前の彼の態度を見れば一目瞭然だ。「それだけの事を自分はしたのだ」という自覚もあった。本当なら、今すぐにでも謝りに行きたかった。


でも、みんなで行ってはダメ……


彼は自らの感じた不快感を表情に出す事を極端に嫌っている。
生まれ出る時に、神の戯れで取り付ける羽目になた凶悪な鬼面のせいで、人から怖がられたり、そのせいで無為に気を使われたりするたびに、激しく落ち込むのだから。
そうならないためにも、常に暗い気持ちを胸の奥で強く押し付けて、それを誰にも悟らせないようにするのが、ある種、彼自身の自己防衛本能といえた。
大河はそんな彼を、確かに理解していた。


きっと、今の竜児は怒っている。
だけど、その怒りが収まった時、竜児はきっと落ち込んでしまう。
クラスの皆の前で、押さえきれない感情を表に出してしまったと。
それがクラスの奴等に気を使わせてしまったと。
竜児はそう言うやつなのだ。馬鹿が付くほどのお人よしなのだ。



北村君やみのりんや馬鹿チワワ、それにメガネにアホなんかは、きっと心から竜児の事を心配していてくれるだろう。だけど、ここにいる人間全部がそうだと言うわけじゃない。

単に、「やっぱし高須こえーー。ここで謝っとかないと、後で高須になにをされるかわかんねーぞ。」なんて事を考えているヤツだっているはずだ。
一年という時間をかけて、竜児がこのクラスメイト達に必死に歩み寄ってきたのを見ている。
怖がられ、恐れられ、影でコソコソと何を言われようとも、決して苛立ちを表に出さず、我慢してググッとその感情を飲み込んできた。
そして、そうする事で、少しずつ近づいてきたクラスメイトたちと竜児の距離が、自分のためにまた振り出しに戻ってしまうのは耐えられない。

だからこそ、行くべきではないのだ。これ以上、竜児にキズを負わせないためにも……
736名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:20:09 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 8>

「でもタイガー。俺、高須とはこれからも仲良くやって行きたいし、このままじゃ俺自身ケジメがつかねーよ。」

珍しく、能登が大河の意見に口を挟んだ。同じクラスになったばかりの頃からは考えられない物言いだが、彼も一年の時間を共に共有する事で、多少なりとも手乗りタイガーにたいする免疫が備わっているようである。

「え、なに!? ひょっとしてこのままだとオレたちって、タカッちゃんと仲良くしてけないとかなワケ!?」

いまさら驚いたように口を開いたのは春田。生まれた瞬間から空気を読む事を拒絶し続けてきた、ある種の新人類に、教室中から「アイツは……」だの「でたよ……」だのと、野卑するような呟きが静かに飛び交う。
しかし、春田にとってはそんな言葉など、どこ吹く風。さして気に留めるでもなく言葉を続ける。

「やだよオレ! タカッちゃんとはずっとダチでいたいもん! なあ北村どうすればいいんだ? 謝ればタカッちゃん、許してくれるのか!?」

春田の必死の問いかけに、北村はあいまいに「ま、まあそうしたいのはヤマヤマなんだが……」と答えながらも、それをさせまいとしている大河に視線を向ける。
そして、北村の視線の行き先に、その視線の意味に気づく春田。珍妙な事に、その場の空気を読む事に成功したようだ。春田の開花である。

「なあタイガー! いいだろ行っても! オレ、このままじゃやだもん!」
「あ、あんたは相変わらず無駄にしつこいわねぇぇぇぇ……」

今にも教室から出て行きそうな意気込みの春田の首根っこを軽く飛んで鷲づかみにし、その行動を拘束する。
行かせてくれーーー! とジタバタもがく春田と、それを力ずくで押さえ込む大河。手乗りタイガーは健在である。と……

「いいんじゃない、行っても。」

それまで黙って事の成り行きを見ていた亜美が声を出す。

「はぁ? 何言ってやがんのバカチー? 行く必要なんて無いって言ったでしょ?」
「そりゃ、アタシだって、こういう時ってのは放っておく方が本人のためになるとは思うし、いま大勢で押しかけたら、それこそ高須君が後々「痛ってーな」的な事になるのは目に見えてんだけどさ……」
「後々痛いって、なんの話だ亜美?」
亜美の言葉の中に理解できない単語が含まれていたのか「何が言いたい?」と問いかける北村だが、「分かんねーヤツは黙ってろ!」と一蹴される。

「なんかこのまま行かないのは、アンタにナメめられてる気がして、どうにも釈然としないわけよ。」
「??? 舐める? 何だ? 何で逢坂が亜美を舐めてるというんだ? 話が見えん!」
「北村君! お喋り禁止! その口は塞がれた方がいいぜよ!」

737名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:20:43 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 9>

くじけずに亜美に再び問いかけたところを、実乃梨が強引に北村を押しとどめさせる。そして、「さあ、そう言う訳だから、行くよみんなー!」と言い放ち、実乃梨は他の面子たちを先導するように教室から出て行く。その右手には北村を引きずって……

「あっ! ちょっと! 行くなって──」

ぞろぞろと教室から出て行くクラスメートたちの姿に、慌てる大河。その隙を狙ってか「チャンス!」とばかりに春田も緩んだ大河の拘束を振りほどき、廊下へ駆け出していく。

「あ、コラ!?」と春田を再度捕獲しようとする大河の右手が、虚しく空をつかむ。
「くっ、バカチー、てめぇ……」と大河の瞳が亜美に向けられる。が、当の亜美本人は至って涼しげな表情のまま。そして……

「ほんと、あんた等いいコンビだわ。」と大河に投げかける。

「何ワケのわかんない事言ってんのよ! 行っちゃダメなの! 竜児はそんな事望まない!」

語気を荒げ、「ナゼ行かした!?」と問い詰めようとする大河に、「あんた、何か勘違いしてんじゃないの?」と答える亜美。

「いいかよ、よく聞けチビ虎。アンタは何も分かってない。一年前ならいざ知らず、今の高須君なら、こんな事でキズついたりしない。」
「そんな事無い! 竜児のことは何でも分かるもん! それとも何!? アンタ、まさか私よりも竜児の事分かってるつもりなの!?」
「んなワケねーだろ! あんな馬鹿男の事なんて、知らねーし、知りたくもねーよコッチは!」

「知りたくても、出来ないんだよ」と続けて口を付きそうになるも、最後の言葉だけは何とかギリギリで飲み込む。

「私に分かるのは、高須君の事じゃなくて、それ以外のヤツらの事……」
「どういう……事よ……」

「アンタがどう思ってるか知らないけど、このクラスの中には、もうアンタが心配するような手合いなんて、いないんだよ。」

心のどこかで、「高須はヤンキーだ」なんて馬鹿なこと考えてるヤツはいない。あいつは本当に頭の天辺からつま先まで、優しさ以外の成分が含まれていない。そんな事は、このクラスの奴なら全員分かってる。そして、今は全員が、心から高須を心配している。

静かに言葉をつなげる亜美を、大河はただ驚いたように見開いた目で見ている事しか出来ない。

「これは高須君自身が、地道にコツコツとそうしてきた結果よ。そしてそれは、アンタだって関係してんじゃない。毎日毎日、飽きもせずにアンタの事を守って守って……自分よりもアンタの事ばかり大切にして……」
738名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:22:25 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 10>

「そんな高須君の姿が、他のやつらの目にどう映ってたかくらい、アンタにだって分かるでしょ? 最初はマジでビビッてたやつも、手乗りタイガーっていうフィルターを通してヤンキー高須を見れば……。なーんだ、普通のヤツじゃんって事になるのよ。なったのよ。」
「で、でも……竜児はまだ気にしてるみたいだし……」
「たまに言ってるもん。まだ自分は他の奴等から何となく距離をとられている気がする時があるって……」
「そりゃ、周りが自分の事をどう思ってるか気づいてないだけでしょ?」
戸惑ったような大河の言葉に、亜美は「呆れた」とでも言いたげな表情で言葉を返す。
「アイツってば、本当に鈍感の代名詞みたいなヤツだしね。それに……。距離をとってるってのは、単に、アンタと高須君のクソ暑苦しい関係に近づきがたいってだけよ。
誰も高須君が怖いから近づかないんじゃない。むしろクラスのほぼ全員が、あんた達のラブラブッぷりに引きまくってんぞって話よ。」
「ラララララ、ブラブラ!?」

思わぬ単語の登場に、一瞬で真紅に染め上げられる大河の顔面細胞郡。否定の言葉を吐き出したいのか、口をパクパクと動かすも、残念ながら気の利いた言葉が出てきそうな気配ない。

「とにかくそう言うこと。もしもその事に高須君が気づいてないんだとしたら、アンタが伝えればいいだけの事じゃん。」
「手乗りタイガーフィルターのおかげで、クラスの皆に『本当の高須竜児』ってのが伝わったんなら、おんなじフィルター使って、本当のクラスメートの姿を高須君に伝える事だって出来るはずでしょ?」

「それ伝えるの、あんたの役目だと思うけどな〜、あみちゃんは。」そう言うと亜美は大きく背伸びをし「何か、少ししゃべりすぎたかな」と一人ごちる。
739名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:22:58 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 11>
亜美の言葉に、「本当なの? 本当にそうなの?」と複雑な心境を目で問いかける大河。

「あ〜あ、本当にアンタってば、高須君の事しか見えてないのね。」
「え、いや、当方としてはそう言うわけでは……」

思わず、言葉がどこぞの営業マンのような口振りになる。
なんだか、亜美に自分の全てを覗き見られた感じになり、何となく気恥ずかしそうに亜美から視線をそらす。
そんな大河の様子を視線の橋に捉えながら、亜美は「それにしても」とつぶやく。

「高須君もどうかしてるわ。あんなラブラブ状態だってのに、まだ本人に何も伝えてないってんだからさ。」

「その点に関してだけは、亜美ちゃんはタイガーの味方かもね。」とおどけてみせる亜美。
が、その言葉に大河の心がズキンと痛む。

「ま、今回のことで、高須君の本当の気持ちを聞けたわけだし、一応収穫ありってことね。後はあんた自身がケジメつければ、全部丸く収まるって。」

再びズキンと痛む大河の心。

「ま、こういうのも、付き合ってけば誰だって通る道だって。今回は高須君の気持ちがハッキリ分かっただけでもよしとすべきなんじゃねーの? って……」

亜美が大河に視線を向けると、そこには顔面真っ赤にしながらも、両目に大粒の涙を携えた虎の姿。思わず亜美の饒舌トークにストップがかかる。

「ねえバカチー……」
「な、なによ……」
「もしも……、もしもさ、その収穫ってのがなかったら……どうだと思う?」

不意に飛んできた大河の問いかけに、亜美の顔が「はぁ?」と思案顔に歪む。そして一瞬考え込んだ後──

「そんなの、単に高須君の傷つき損ってだけ……」

そこで、大河の言葉の意味に疑問を感じ、思わず言葉を切る。大河の大きな瞳から特大の雫が零れたのは、それと同時だった。
亜美の次の言葉を待つことなく、大河は身を翻して駆け出していた。

「今アイツなんつった? 収穫がない? 何言ってんだよ、ついさっき聞いたばっかりじゃねーか、高須君の本当の気持ちを。 まさか、聞こえてませんでしたってオチじゃ、いや、聞こえてないはずないし……」

教室に取り残された亜美は、今しがたの大河の言葉の意味を思索する。そして「まさか……」と小さくつぶやいた。
740名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:23:01 ID:vXkcV+gl
sageて
741名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:26:45 ID:XMyiJQwc
sageを今勉強してきました。申し訳ない。
以後気をつけます。
742名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:28:05 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 12>
==========================================================

私はバカだ! 本当に大バカだ!

教室を駆け出し、廊下を走る。どこへ向かえばいいのか分からないが、しかし目指すべき者はハッキリしていた。

本当に謝らなければいけないのはアタシ。他の誰でもない、アタシ!

先ほど目の当たりにした竜児の怒りの中心に自分がいるから……というわけではない。そんな事ではなく、単純に、竜児をだます事に加担した他の皆には、なんの罪もありはしなかった。そう思った。

あんなウソ、付くんじゃなかった!

数日前の昼食時、竜児が北村の用事に付き合うからと、席を外していた。

最初は実乃梨だった。日常の一コマのように、いつもと同じテンションで大河と雑談していた実乃梨が聞いた。
「んでさぁ、結局最近、お二人さんはDoなのよ?」
実乃梨らしいといえばまさにその通りの問いかけに、近くの席にいた木原と香椎が加わってくる。
「あ、そこんとこ私も気になるーー」
「ひょっとしてキス以上とか? 実はもっと先までまで行ってたりする?」
「ば、ばか言うな! んなワケないだろ! なんで私がアイツとキ、キキ、キジュ、キ、キスなんて!?」
「いや、なんでって、つきあてるんだよね二人?」
「し、しらん!」
キスはしていた。聖バレンタインの夜に二人で走ったあの日の夜の、あの橋の上で……
「なに、マジ? キスもまだって、ちょっと遅すぎじゃない?」
「まさか、ちゃんと告白もしてないとかないよね?」
「知らない! 聞いてない! 覚えてない!」
聞いていた。覚えていた。忘れるわけがない。あの時の竜児の真っ直ぐな言葉が、どれほど自分の中に強烈で鮮烈で鮮明で鮮やかな衝撃を与えてくれたのか、忘れろというほうが無理だ。
だが、そんな事コイツ等の前で言いたくないし、言う必要もない。
しばらくダンマリを決め込んでいる事にする。そうすれば、周りの野次馬根性丸だしなヤツらもすぐに飽きると思っていた。が……

いつの間にか増えてやがる。

気が付けば、その会話の中に、能登や春田も混ざり、なんやかんやと騒ぎ立てていた。
「そりゃ、高須もひどい事しやがるぜ。」
能登が知った風な口を利く。
「まさか、逢坂さんもまだ言ってないとか言わないわよね?」
「え、ええええ? あ、ああ、あたひゅは……」
赤面し、壊れたからくり人形みたいにカタカタ動く大河の様子を見て、「ああ、これは言ったんだな」と、誰もがその無言の回答を受け取っていた。
「しかし、だとしたら高須め、余計にゆるせん! オレなんて言いたくても言う相手がいないんだぞ!」
こぶしを握り締める能登の視線が一瞬、近くにいるクラスメイトの一人に向けられた事は、向けられた本人である木原を除いた全員の目に明らかだった。
「なにタイガー、まだタカッちゃんに好きって言われてないの〜? ひで〜じゃん、タイガーは言ってんのに、それってゆるせね〜!」という春田の声はデカかった。
それに呼応するように、教室中の視線が大河を中心に結ばれていく。

そこからはアッと言う間に話がまとまっていった。「高須の本音を暴き出す組合」が結成された。
743名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:30:27 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 13>

教室の隅で、興味なさげにしていた亜美なんかは、「そう言うの、亜美ちゃん、趣味悪いと思うけどな〜」などと言っていたようだが、変に盛り上がった状況下では、その言葉に耳を貸すものはいなかった。

そして、計画はあっと言う間に組みあがってしまった。

「高須のヤツ、きっとビビルぜぇーー」
「泣くかもよ? たいがーたいがーって、あの高須がだぜ?」
「もう何もいらないから、戻ってきてくれ〜とか言ってさ。」
「あ、何かそれありそ〜」

「高須の本音を暴き出しちゃえ連合部隊」は、まるで半年前の文化祭の時の一体感を彷彿とさせるように、驚くべき結束力を持っていた。

「なあ、タイガーも聞きたいだろ? タカっちゃんの本音ってヤツ?」と、どうしたものかと手をこまねいている大河に春田はノンキなものだった。
「いや、聞きたい聞きたくないじゃなくて、聞かなきゃいけない事だと思うぜ、俺は。」と能登が続く。

聞きたいかって言われたら、そりゃ聞きたいけど、でも……
あの時、すでに竜児の本当の気持ちは大河の中に伝えられていたのだ。しかし……

やめておけばよかった! いつかみたいに暴れて、机や椅子を吹き飛ばしてでも、皆を止めるべきだった!!!

だが、止めなかった。あの時に竜児から受け取った言葉は、あまりに甘美で、魅力的で……。だから、その時は本当に「もう一回くらい聞いておきたい」と思った。思ってしまった。

物心付いた頃から、誰に省みられる事もなく、ただ淡々と、もくもくと一人で生きてきた逢坂大河には、初めて自分を見てくれて、聞いてくれて、側にいてくれて、分かってくれる……
いや、分かろうとしてくれる竜児の存在は余りにも大きく、彼から発せられる言葉は、麻薬にも似た中毒性があった。

それをする事で、竜児が傷つく事が分からなかったワケではない。だが、それでも「もう一度……」と言う感情を捨てきる事が出来なかった。

廊下を全力で走る大河は、すでに自分がどこを走っているのかも、なんだか混沌としてあやふやになっていた。

とにかく謝る! 私が謝らなきゃダメだ! 謝って、そして……

「そして……」

そしてどうすればいいのだろう? 謝って許して貰って、許してもらえるのか、私は?

「でも!」

例え許して貰えなくても、謝らなければ! 今傷ついてるのはアタシじゃない! 今辛いのはアタシじゃない!

今、一番痛々しいキズを持って、そこから真っ赤で暖かい血を吹いているのは、アタシのキズを何度も何度もふさいでくれた、竜児。あの、バカが付くほどお人よしの竜児なのだ。

許して貰えなくても側にいる! 嫌がられても、拒絶されても、迷惑がられても、ずっとアイツがそうしてくれたみたいに、私はアイツの側にいる!
744名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:32:30 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 14>

廊下の角をバランスを崩しながらも辛うじて曲がり……

ドガシャーーー

派手にこけた。腕やスネを打ちつけ、そこから血がにじむ。が、そんな事は気にしていられない、というか、気づいてすらいない。とにかく、竜児の姿を探して駆けずり回る。

いつもなら、すぐに見つかる。探さなくても、すぐに見つけられる。アタシが呼ばなくてもいつも側にいる。なのに!

どうして見つからないのか? もう、すごく遠くへいってしまったのか?

まるで、探し回るその時間が今の自分と竜児の距離のようで、見つからないという事に少なからず恐怖にも似た感情が生まれて、それを振り払うように、交互に出す二本の足にさらに力を込めて走る。

次の角を曲がった時だった。屋上に続く階段を下りてくる一団が目に留まる。大河はそこへ向けて突進していく。

「おわ! タイガーが!!」
突進してくるその猛々しい姿に、一団の動きが、一瞬びくつく。先立って、竜児に謝りに言ったクラスメート達だったのだが、その中に、なぜか実乃梨や北村、春田に能登の姿がみあたらない。

「竜児は!?」
「う、え、あ……」
開口一番、噛み付かんばかりの形相で聞く大河に男子生徒たちは慄き、満足な回答は出てこない。

「タイガー、怪我してんじゃん……」

その中で、木原がタイガーの状態に気づき、声をかける。が……

「こんなの、どうでもいいから、竜児は?」
「た、高須君なら屋上にいたけど。でも、なんだか、別にそんなに怒ってないみたいな感じで、なんていうか、拍子抜けって言うか、いつもどおりって言うか……」

大河はその言葉を聞き終えることなく階段を駆け上がって行く。全速力で屋上へ出る扉のドアノブに手をかけ、全速力でそれを回し、全速力で扉を開け放ち……

745名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:33:57 ID:XMyiJQwc
一度、処理できてしまえばなんて事はない。喉を通り過ぎていった痛みは、その時こそ鮮烈に爪あとを残すが、しかしそれも一時的なもの。辛さやそれに伴う痛みなんてのは、時間の経過と共に薄らいでいくのみだ。

いつでも客観的で冷静な自分を頭のどこかに待機させておく事ができれば、そんなものは何とでもなるのだ。

しかし……

今回は、なぜか待機させておいたはずの冷静な自分は中々動き出そうとせず、その怠慢の隙を縫うように、飲み込み損ねた感情が漏れ出てしまった。自分としては、この結果はあまりいただける物ではない。

「ったく、さっきはミスったよな……」と考えたところで、「いや……」と、直前の考えを否定する思いが頭をもたげる。

さっきの事だけじゃないな……。最近は……、いや、特に2年に進級したくらいからは、さっきの様に不満を隠しきれなかった事が、度々あったような気がする。

大河に対して怒鳴った事があった。同じように櫛枝や北村に対して怒りもした。あのバレンタインの夜なんかは、泰子に対して筆舌に尽くしがたい暴言を吐き散らした。
それまでの自分では考えられないようなミスをセッセと積み上げてきていた。そして、そうなってしまった原因にも、薄々だが心当たりもあった。

竜児が怒った時には、必ずといって良いほど、その件の中心に、その件の端っこに、その件の延長線上に、必ず大河が関わっていた。
そして、そう言うときに限って、自分の感情をうまくコントロール出来ない。
竜児自身、それがどういう意味なのかと言うのは、分かっているつもりだし、理解できているつもりだ。

746名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:36:58 ID:XMyiJQwc
745に投稿の際、ミスって、半ばからになってしまいました。再度、15を
<虎と竜と、もう一つの幸せと 15>
==================================================================

竜児は外周を取り囲む落下防止のための鉄柵に体重をもたれさせるように、屋上に座り込んでいた。

飲み込んだ物が痛かった。飲み込むハメになってしまったことが痛かった。

傷つく事には慣れているはずだった。傷ついた事によって生まれる憤怒や憤りなどは、いつでも自分の中で、自分の力で解決してきた。
いつでもそうしてきた。自分が生まれ持ってしまった呪われた仮面の邪悪な力を、少しでも緩和するためにはそうするしかなく、そうするのが当たり前だった。
それが出来る事が、数少ない自分の中にあるプライドの一つだった。

だが、それが出来なかった。

ただのイタズラ。それもエイプリルフールだ。ちょっとした茶目っ気だ。
あの時、クラスメイトたちの事をそんなふうに受け流す事が出来ていれば……

得意だったはずの、飲み込むべきだったはずの、あの感情を出してしまった。いつもの自分ならば、きっとうまくやる事が出来ていたはずだ。
だが、それがうまくいかなかった。
クラスメイトたちが、あの後こぞって謝罪に来た。だが、実際のところ、もうそんな事はどうでもよかった。

一人で教室を出た時まで持ち合わせていた、あの時の憤りは、既に喉の奥へと飲み下している。
一度、処理できてしまえばなんて事はない。喉を通り過ぎていった痛みは、その時こそ鮮烈に爪あとを残すが、しかしそれも一時的なもの。辛さやそれに伴う痛みなんてのは、時間の経過と共に薄らいでいくのみだ。

いつでも客観的で冷静な自分を頭のどこかに待機させておく事ができれば、そんなものは何とでもなるのだ。

しかし……

今回は、なぜか待機させておいたはずの冷静な自分は中々動き出そうとせず、その怠慢の隙を縫うように、飲み込み損ねた感情が漏れ出てしまった。自分としては、この結果はあまりいただける物ではない。

「ったく、さっきはミスったよな……」と考えたところで、「いや……」と、直前の考えを否定する思いが頭をもたげる。

さっきの事だけじゃないな……。最近は……、いや、特に2年に進級したくらいからは、さっきの様に不満を隠しきれなかった事が、度々あったような気がする。

大河に対して怒鳴った事があった。同じように櫛枝や北村に対して怒りもした。あのバレンタインの夜なんかは、泰子に対して筆舌に尽くしがたい暴言を吐き散らした。
それまでの自分では考えられないようなミスをセッセと積み上げてきていた。そして、そうなってしまった原因にも、薄々だが心当たりもあった。

竜児が怒った時には、必ずといって良いほど、その件の中心に、その件の端っこに、その件の延長線上に、必ず大河が関わっていた。
そして、そう言うときに限って、自分の感情をうまくコントロール出来ない。
竜児自身、それがどういう意味なのかと言うのは、分かっているつもりだし、理解できているつもりだ。

747名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:43:34 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 16>

傷つく姿を見たくなかった、それだけの事だ。そして、それだけの事が、俺の感情を制御不能にする。

俺は、傷つかないように振り下ろされる刃を器用にかわせるし、もし傷ついたなら、その傷口に手を当ててそれをふさぐ事ができる。自分で血を止められる。
他のやつらが思っているほど、俺は不器用じゃない。
だが、アイツは違う。アイツは傷つく事を恐れようとしない。むしろ、振り下ろされる刃に、自分から突っ込んでいく事もしばしば。
挙句の果てにはザックリ斬られてひっくり返って、血を流しながら起き上がって「痛くない」と言う。
傷口に手を当てる事もせず、ただ斬られて倒れて起き上がっては、また斬られる。そして「全然、痛くない」と言うのだ、泣きながら。
アイツはそう言うやつだ。

見てられねぇんだよ、バカヤロー。お前がふさがねぇんなら、俺がふさいでやる。傷が多すぎて、両手で足りねえなら、足でもハラでもケツでも何でも使って、全部ふさぎきってやる。

いつでもそう思っていた。

だからこそ、さっきの下らない騒動の中心に大河の姿があったのが……ショックだった。
大河に斬られた……。いつもの軽い暴言のような『みね打ち』などではなく真剣でバッサリやられた……。
あの瞬間は、正直そんな気持ちだった。

それで、あの失態だ。クラスメイトたちの面前で、今まで見せた事のない憤りを噴き出してしまった。

あいつら、絶対びびってたよな……。顔には出してなかったが、あんな状態の俺を目の当たりにしたんだ。ビビッてないわけがねーや。

そんな事を考えながら、屋上と校舎を隔てる扉の方へ視線を向けてみる。しかしこの場所から扉は死角になって見えない。

せめて、「別に全然気にしてねぇって」と言った俺の言葉を少しでも鵜呑みにしててくれるとありがたいんだが……

ついさっき、竜児は、屋上まで押しかけ、北村を筆頭に謝罪する団体に対し、事も無げに「気にしてない」と、ごく普段のノーマル凶悪能面フェイスのまま、その言葉を全員に投げかけた。
本当なら、満面の笑みで持ってその言葉を言い放つ事が出来れば、もう少し言葉に説得力を持たせる事が出来たのかもしれない。しかし長年の経験上、それでは余計に怯えさせてしまうことが分かりきっていた。だから敢えてそうした。

748名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:44:27 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 17>

なんとか竜児の真意を汲み取ることが出来たのか、屋上に集まったクラスの大半が安心したような表情でゾロゾロと屋上から出て行った。
しかしそんな中で、北村や実乃梨、能登と春田の四人だけはその場を動こうとしなかった。
「もう良いから、お前らも戻れよ」と言う竜児の言葉に、「一緒に戻ろうよ、タカッちゃん」と春田。
他の三人も、みな一様に竜児を連れて教室に向かう事を望んでいるようだ。
だが、竜児は「もう少しだけ頭を冷やしてから行くよ」と軽く笑って見せ、渋る面々を半ば強引に屋上から押し出した。無論、屋上から空中に放り出したわけではなく、校舎へ続く扉へだ。
別に、そこにいる四人を拒否しているわけではない。それどころか、屋上を吹き抜ける春先の風は冷たく、できるならさっさと壁と天井に囲まれた温暖な教室に戻ってしまいたいくらいだった。だが……

俺は、まだここを動けねぇ。
アイツがまだ来てない以上、まだ、ここを動くわけにはいかん。

大河の謝罪を求めているわけではない。ただ、心配しているだけなのだ。
冷静になった竜児の頭の中には、さっき教室で目の当たりにした大河の後姿がハッキリと浮かんでいる。
言葉にこそ出してはいないが、しかし「甘やかすな! 犬がつけあがる!」とでも言いたげなあの姿は……

変なモードのスイッチが入った時の大河だ。
バカでアホで見栄っ張りで、天邪鬼と天邪鬼と天邪鬼を足して三倍したような、そんな時の大河の姿だ。
となれば、俺は一人でここにいなければならない。
いずれやって来るであろう、大河が、誰に気兼ねするわけでもなく、今回の一件に対してピリオドを付けられるように、俺は一人でここでアイツを待たなければならない。

この一年で、俺にだってそれくらいの気回しはできるようになったんだぜ?
「どうだ、恐れ入ったか」と、いっそ本人に言ってやりたい気もするが、やめておこう。それは何か、かっこ悪いからな。

749名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:45:24 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 18>
========================================================================

そんな事を考えていると、「ドバァン!」と鳴り響く破壊的な音。竜児のいる場所からは死角となって見えないが、恐らく今のは扉の開いた音だと分かる。勢いあまって、それこそ蹴破るかのように屋上に躍り出たであろう小型の虎の存在を、視覚以外の全ての感覚で認知する。

竜児の場所から扉のある場所まではやや距離があるのだが、しかし手乗りタイガーの持つ強烈な存在感は、そんな距離など物とせず、竜児の立つ場所までほとばしる。

間を置くことなく、竜児の視界の中に、言葉どおり転がり出てくる小さな姿。

やっときたか……

すぐさま、竜児の下まで駆けつけてくるかと思われた大河の勢いだったが、しかし妙な事に、転がり出たところでとまり、ナゼか自分の蹴破って来たであろう屋上の入り口辺りに視線を向けている。

なんだ? まさか、今の拍子に怪我でも……

と、一瞬竜児の脳裏に不安が走るが、しかし大河はすぐに視線をこちらに向け、「あ……」とでも言いたげな表情をして、ユックリと静かに近づいてくる。

どうやら怪我はしていないようだが……

大河のしっかりとした歩く姿に、少なからず胸をなでおろす竜児。
やがて、大河が竜児のすぐ正面まで歩み寄り、小さく、か細く声を出す。

「りゅ……りゅう……じ」
「おお」

短く答える。

「ご……ご、ご、ご、ご……」

たどたどしく、回らないろれつで懸命に言葉をつむごうとする大河。竜児は黙ってその言葉を待つ。
もとより、竜児は大河に大層に謝罪してもらうつもりはない。ただ、「ごめん」の一言さえあれば、それ以上は必要ないと思っていた。竜児自身はもう怒ってなんていないし、単に大河が自分自身を納得させられる事ができれば、それでいいと思っていた。

「ご……こ……ご、こ、め、こ……の……」

ところが、一言の言葉の出現を待てば待つほど、いっそう大河の舌は回らなくなるようで、最後のほうなんかはすでに「ごめん」にも「ごめんなさい」にも含まれていない発音が混じりだす。

だ、大丈夫か……と、大河の余りの混乱振りに、いささか不安の色が竜児の顔に立ちこめる。
大河はスッと顔を伏せ、一度短く息を吐き、右足で苛立ちを示すかのように床を叩き、もう一度、顔を伏せたまま息を吸いなおし、そして……

「こ……この……」
「?」
「このクソバカ陰湿駄犬がーーーー!!!」

吼えた。

750名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:46:46 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 19>

「お、おい……」
「あんた、何時までウジウジやってんのよ! 傷ついた? ざけんじゃないわよ! 心の傷ってのはね、高尚な霊長類にだけ許された特権なのよ! 
それをさも知ったかのような顔で傷つきましたみたいなツラして、ご主人様からかまって貰おうなんて、アンタみたいな駄犬には100年早いのよ! 
7回くらい輪廻転生してから出直してきなさい! ついでに閻魔様にその死刑判決5秒前の凶悪鬼面を剥ぎ取ってもらうのね!!!」

とどまるところを知らない、大河のトルネードを思わせる暴言の嵐。叩きつけられる意味不明で、それでいて辛らつな言葉の群れ。まるで言葉の暴力を絵に描いたような、そんな大河の吐き出す罵詈雑言。

竜児は言葉が出なかった。理解しかねていた。

この状況下で、まさかこんな発言をかましてくる大河に……ではなく。まるで反省の色が見られない、大河の暴言の数々に……でもなく。

なんで、そんな事いってんだ、そんなクシャクシャな……ツラで。

暴言を吐き続ける大河の顔は、すでにクシャクシャになっていた。泣き出す寸前というより、すでに号泣真っ只中である。
両目から噴出す涙が、ありえない勢いで頬を伝って地面へ降り注いでいく。
それは、悲しいと言うよりは辛いというような、そして、言葉を吐き出すたびに、その辛さのパラメーターがどんどん上がっていくような。

今の竜児には、大河の暴言が、自分に向けられた刃ではなく、ただただ、大河が自らの吐き出した言葉で自分自身をひたすら斬り続けているような、そんなふうにしか見えなかった。

「だいたい、あんな4月バカのちょっとしたママゴトに本気になる方がおかしーってのよ! 冷静に考えれば分かりそうなもんでしょ! その程度の脳みそも持ち合わせてないの!?」

とまらない大河の言葉は、白銀の刃を伴って容赦なく大河自身に降り注ぐ。

困惑する竜児。

なぜ、そんな辛そうにしてまで……?
竜児には聞こえている。絶え間なく投げつけられる人格を無視するような言葉の裏に、「いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい!!!」と絶叫し続ける大河の声が。吹き出す血が見える。

猛烈な勢いで、余すことなく大河の全身に宛がわれている、バックリと開いた傷口のその多量さに、右手も左手も右足も左足も、ましてやハラやシリなんてとても間に合わなかった。手を出す事すらできなかった。

なぜなんだ!? 意味が分からねぇ! 
ここには俺たちしかいない! いつも、二人きりの時には、お前は謝っていた!
「ごめん」とほんの短く、聞こえるかどうかのギリギリの小声で、それでも悪い事をしたと思った時は謝ってきたじゃねーか!? あの、短い言葉の大切さなら、お前だって知ってるだろ!?
二人の時はそうだっただろ!? 何時からかは分かんねぇけど、何時だってそうだったじゃねーか!!!

見るも耐え難い大河の姿に、言葉が出てこない竜児。しかし、竜児の脳裏に一瞬だけ垣間見えた、さっきの瞬間。
大河が屋上へ転がり出てきた時に見えた、一瞬の挙動。「怪我をしたんじゃないか?」と心配したあの時のこと。
大河が気にした、屋上への扉。ここからでは死角になって見えない、屋上の扉……

まさか……

一瞬だけ視線を大河からはずし、目的の場所へ向け……

竜児は理解した。
751名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:48:43 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 20>
==========================================================

もう止まらない! どうしても止まらない! どうしてこうなんだ私は!!!

初めに言う言葉は決まっていた。いつもみたいに、「ごめん」とだけ言うんじゃない。
今日だけは、全身全霊で、思いつく限りの気持ちで、普段なら思いつかないような言葉で、全てをなげうって、許してもらえるかはわからないけど、今日の事も、今までの事も、これからの事も、全部全部ひっくるめるかのように、竜児に言うつもりだった。
言いたかった! 言わなきゃいけなかった!

去年の生徒会長選挙のあと、私がカチコミをかけた相手の加納スミレは、こう言った。

「アンタみたいなバカになれるものならなりたいよ!」と。

だけど、アタシはいやだ! こんなバカはもうイヤだ!
言わなきゃいけない大切な言葉を置き去りにして、言っちゃいけない言葉ばかり吐き出して! 見てみろ、今だってこんなに嫌なのに、どうしても止まらない!

なんで、そこにいるのよ北村君! なんで隠れてるのよみのりん! 他の二名、何で生まれてきた!?

身体が、口が、手が、頭が、知らないところで動く! 勝手に動き回る! 気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い!!!
私の身体は私の物じゃない! 私の身体は、竜児の事より、私のクソみたいなプライドを優先した! 私はそんな事、望んでないのに!!!
それで傷つけた! 竜児を傷つけた! その上、さらに止めでも刺そうってのかこのバカは!!!

もうダメだ、もういられない、もう竜児といられない……

竜児に拒絶され、拒まれて、嫌がられても、それでも一緒にいるつもりだった! 無理やりアタシが側にいるだけなら、傷つくのは竜児じゃなくてアタシだけのはずだった! でも、それなら一緒にいられると思った!

でも、だめだ! アタシは側にいるだけで竜児を傷つけ続ける! こんなんじゃいられない! 一緒になんていられるわけがない!!!
何もしていない竜児を、どうでもいいような自分の欲求のために真っ二つに引き裂いて、それでも飽き足らず、今度は細切れになるまで砕ききって!

竜児は言ってくれた。好きだって言ってくれた! 側にいるって言ってくれた! 「嫁に来い」って言われたときは、本当に嬉しかった! 竜児はさっきの教室でも、「世界なんて要らない、私が欲しい」って言ってくれた!

アタシだってそうだ! 何もいらないとまで本気で思えて、側にいてくれるなら、今まで望む事すら許されなかった幸せを、二人で掴み取るんだって、絶対そうするんだって、そう決めてた!

でも、アタシが望んでるのは、こんなんじゃない!!!
竜児が傷つくなんて嫌だけど、自分が竜児を傷つけるのは、もっといやだ!
だって見てよ、竜児の顔……。傷だらけになって、アタシのつけた傷だけで、もう……

竜児の両手は、アタシの傷をふさぐ為に、もう使ってる。だから、竜児は自分の傷をふさげない。
だから、アタシが代わりに塞いであげるつもりだった。でも、アタシの両手は竜児を傷つけるためだけの手!

北村君! みのりん! バカチー! 竜児の傷を止めて! あたしを止めて!
誰でもいいから!!! アタシを竜児から引き剥がして、それで竜児を助けて!!!

助けて!!!!!!
752名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 01:58:16 ID:HCziz3g3
支援
753名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:18:19 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 21>

この、バカやろう……

竜児の頭が、急速に覚醒していく。目の前で繰り広げられている、この余りにも惨たらしい状況をどうすればいいのか?

目的は二つ。大河を斬り付け続ける、大河自身の言葉をやめさせる事と、コソコソ隠れているヤツらを、一気に追い払う事。
その答えは、すでに見つかっていた。あまりいい方法じゃないかもしれない。だが、今の自分には、これ以外思いつかない。
考えている時間がもったいなかった。すでに大河の目はルビーのように真っ赤に染まり、このままでは本当に血の涙を流しだしかねない。
彼女はそれほど苦しんでいる。

あいつら相手に、こんなことはしたくなかった。しかし、今の竜児は激しい怒りにも似た感情を抱え、それを飲み下そうとするどころか、これから倍増して吐き散らかしてやるつもりでいた。

大河が痛々しかった。自分が痛々しかった。その二人を見ているあいつらが痛々しかった。だから、やるしかなかった。

すぅぅぅぅぅ……

限界まで息を吸い込み、止め、溜めて倍増した怒りを自慢の顔面に練り込み……



「「「でていけーーーーーーーーーー!!!」」」



全力で吐き出した。陳腐で短く端的で、何の捻りもない、どこにでもある単語だった。

だが、その声は屋上を、校舎を、それぞれの教室を、校庭を、それらを取り巻く空気を、その場にいた者たちの気持ちを、いない者の気持ちさえも、激しく揺さぶった。それだけの気持ちを込めた、竜児の魂だった。
校庭の木で休んでいた鳥たちが、何かを察知したのか、いっせいに飛び立ち、バサバサと羽音を撒き散らす。

みれば、能登と春田が、身を隠していた場所から転がり出て、腰を抜かして「アウアウ」言っている。
北村と実乃梨はそこまでではないが、何かとんでもない物でも見たような、そんな顔のまま、魂の発生源である竜児の方を凝視していた。

そんな面々に、竜児はまだまだ在庫過多な凶面で、「出て行け」と、ギラリと睨み付ける。

万物を想像した神々が、自ら作り出した物の邪悪さに、思い余って集団で投身自殺をしかねない、そんな顔だった。

754名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:20:06 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 22>

その衝撃的な顔に当てられてか、能登と春田が「うへ〜」とか「あひ〜」とか言いながら、慌てて屋上から逃げ出していく。
北村と実乃梨も、腰砕けに近い状態で、それでも何とか平静を保ちつつ、屋上から去っていく。

視線を下に向けてみると、竜児のすぐ足元に呆けたような顔をしてへたり込む大河の姿。
さっきまでまくし立てていた罵詈雑言の嵐も今はやみ、その代わり、口をパクパクさせている。

竜児の発した、余りにデカイ声と気迫に加え、さらに至近距離からの不意打ちだった事もあり、大河には竜児がなんと言ったのか、ハッキリとは分からなかった。

ただ、竜児の発した何かが、とてつもなく禍々しく、鬼のように凶暴で、尋常じゃないくらい真っ黒で、それなのに力強くて暖かくて、まるで自分を包み込むような、
そんな不思議な感覚にとらわれていた。

つい先ほどまで、半狂乱のように叫び続けていた大河には、あの一瞬に、ほんの短い間だが、幻覚のような物が見えていた。

竜児から発せられた何かの力は、自分と竜児に張り付いて、剥がそうとしても剥がれなかった、おびただしい数の傷を、全て一瞬で吹き飛ばすような、そんなワケの分からない幻覚だった。

そう、ただの幻覚だった。だが、なぜか大河は自分の心がほんの少しだけ……軽くなった気がした。

竜児はひざを落とし、相変わらず、ただポカンと視線を向ける小さな少女と同じ高さの視線をつくり……

つんつんつん……

おでこを、つついていた。「生きてるか〜?」と、声もかけた。大河はそれに、コクコクとうなずき……

「おう!?」

そして、気を失ったのか、糸の切れた操り人形のように、そのまま後ろへ倒れていった。

755名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:21:11 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 23>
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アタシは今、夢を見ている……

やっちゃんがいて、ブサ鳥がいて、そして竜児がいて……。吹けば飛びそうな、根っこからボロボロのアパートの一室。
アタシもそこにいた。
竜児はいつものように台所で夕飯の支度をしてて、やっちゃんは襖を隔てた隣の部屋で寝てて、ブサ鳥はキモくて……

毎日のように、当たり前のようにしてきた日常の風景。とても暖かい景色。そんな夢……それは、すごく嫌な夢。

「もうすぐ出来るぞ、いつまでも転がってないで、ちょっとは手伝えよ。」

竜児に言われて、自分が畳の上に転がっている事に初めて気づく。竜児の言葉に反応するように、自然と上半身が起き上がる。
竜児はいつもみたいに、顔に般若を貼り付けたままの笑顔でアタシを見ている。

とても悲しかった。

両手に料理が盛り付けられた皿を器用に持ちながら「ほら、そこどけって」と、私に移動を迫る竜児。
メニューの中に、鳥料理が紛れ込んでいるのに気づいたのか、背後のブサ鳥が立てる抗議の鳴き声がうるさい。

「あっと、もうこんな時間か。ちょっと、手間取っちまったからな……」

一瞬、思案した竜児はアタシに顔を向け、「すまんが、泰子を起してきてくれ」と言い……
最後に「頼むよ、逢坂」と続けた。

身を切られるように、辛かった。竜児の最後の一言に、涙が溢れ出すのが自分でも分かった。

「んだよ、笑ってないで泰子を起せって。」

アタシは笑ってなんかいない。

「俺は手を離せないんだ。見たら分かるだろ……逢坂。」
「違う! アタシは大河だ!」
「んだよ、そんなんどっちでも一緒だろ?」

聞いてはくれない。
この夢の中では、竜児はずっとアタシの事を「大河」ではなく「逢坂」と呼ぶ。

聞きたくない。

何時からだったか、竜児はアタシの事を「大河」と呼んでいた。何時だってそう呼んでくれた。
だが、夢の中の竜児はアタシの事を「逢坂」と呼んでいる。それがたまらなかった。
まるで、「全てなかった事にしよう」と言われているようで、「出会ったばかりの頃のままでいたかった」と言われているようで、それで取留めなく、涙がこぼれた。

756名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:21:55 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 24>

夏に皆で別荘に行ったときの「痛み」。
学園祭の時の「痛み」。
3年の教室に殴り込みをかけた時の「痛み」。
イブの夜に竜児を追って外に飛び出した「痛み」。
修学旅行で竜児の背に負われて口走った「痛み」。
年明けに北村君を拝んだ「痛み」。
皆にチョコを渡した時の「痛み」。
ミノリンが竜児を見る時の「痛み」。

竜児がミノリンを見る時の「痛み」。

全部全部、痛かった。いつだって痛かった。でも、大切だった。全ての痛みが竜児につながっていて、そんな私の痛みを、気づく限り必至に何とかしようとしてくれる竜児がいて……
とても大切で、私の宝物の「痛みと共にある思い出」たち。

だが、竜児はそれを全部、なかった事にしようと言う。
これが夢だと言う事は分かっている。しかしそれでも竜児の言葉がどうしようもなく怖い。

私を見て欲しかった。私の名前を呼んで欲しかった。私が泣いている事に気づいて欲しかった。一緒にいたかった。

誰も知らない、一片の光も差さない真っ暗などこかに、たった一人で取り残されたような、そんな感覚に私の奥歯はかみ合わず、カチカチと音を鳴らす。

竜児とはなれるのは、こういう事なのだ……

ついさっきまで「竜児を傷つけるくらいなら、一緒にいなくてもいい!」と思っていた。だが、甘かった。

一人でも生きていける……無理だ。
一人でも立ち上がれる……出来るわけがない。
誰でもいいから竜児を助けて……誰も触るな!!!

自分の言っている事が支離滅裂だと言う事は分かっている。しかし、アタシの事を「逢坂」と呼ぶ竜児の姿を見る事は、今までに受けたどんな痛みよりも激しかった。
いや、「痛み」なんてものじゃない。痛みは生きているからこそ、「痛い」と感じる。しかし、今のアタシは……

「なんだよさっきから、何がそんなに面白れぇんだ?」
「どうしたの、大河ちゃん? なんかいい事でもあったの〜?」
「ダガ・ソレガイイ!!!」

アタシは、夢の中で一人で泣いた……
757名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:22:44 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 25>
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大河が目を微かに開ける。
細い視界に飛び込んできたのは、天井だった。竜児の家でも、自分の家の物でもない、見覚えのない天井。真っ白と言うには、いささかくすんだ色の天井。

どこの天井? あ、でも前に見た事あるような……

そこまで考えた時、不意に自分がベットで横になっている事に気づく。足先から顔の半分くらいまでの、身体の大半を覆い隠している薄くて真っ白なシーツ。
鼻先に当たる布の感触が少しくすぐったく、モゾモゾと動いて鼻をシーツの中から引っこ抜く。
その拍子にツンと鼻腔に広がる独特の匂い。あまり好きではない匂い。

「消毒液の匂いだ……」と、まだ覚醒しきっていない頭で匂いの正体にたどり着き、薬品の並んだ戸棚が視界の端に引っかかり、そこが学校の保健室だと分かる。
「えっと、なんでアタシ……」

嫌な夢を見ていた。とても寒くて冷たくて、何もかもを失ったような、そんな夢だった気がした。まるで、終わっていくこの世界を一人で見続けるような、そんな夢だった気がした。
ハッキリとは覚えていなくとも、その夢の中で感じた感覚は、まだ身体の中に残っている。
「それより、アタシどうしたんだっけ……?」

身体にかけられたシーツを退けながら、上半身をゆっくりとベットの上に起す。記憶がハッキリしない。

なんか、絵本に出てくる魔女が、大ナベの代わりにアタシの頭の中を一心不乱にかき回してでもいたような、そんな感覚ね……

などと考えていると、「やっと起きたか」と声がした。反射的に声のしたほうに顔を向ける。大河の視界には、古ぼけたパイプ椅子に腰をかけた竜児の姿。
竜児に向けた大河の視線と、大河に向けられた竜児の視線が重なり合い……

「あ……」

その瞬間、大河の頭をかき回していた魔女の姿が、彼女の頭の中から吹き飛ばされ、ついさっきまでの屋上での大騒ぎの記憶が、激流のように流れ込んでくる。
竜児にした事、竜児に言った事、その全てが大河の頭の中を、吹き荒れる。

「あ……あ、ああ……」

魔女を押し流した激流が、同時に大河の言語機能までショートさせてしまったかのように、少女は意味のない発音を繰り返す。
言わなくちゃ、謝らなくちゃ、ふさがなくちゃ……
言葉にはならない、それらの短い単語達が大河の身体を無意識に動かす。起した上半身を少しでも竜児に近づけようと、足の代わりに両手を使って、歩み寄ろうとする。

が……

「お、おい!?」

保健室のベットはそんなにデカくない。体重をかけようとしてベットに付いたはずの手は、しかしベットの上ではなく、何も無い空中を取らえ……
ベシャァ!!!
と、大河は顔面から床へ全体重をかけてダイブした。
758名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:24:13 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 26>

「おい、大丈夫か!?」

駆け寄った竜児が声をかけるも、大河のかました余りの挙動に、若干声が上ずっている。
ベットの上に下半身だけを残して、顔面から床に飛び込んだ少女は「うう、いたい……」と、小声でうめく。
大河の側にひざを付いた竜児は、半・逆さ吊り状態の大河の身体を起そうと、両腕で少女の体重を支えようとする。当然、そうする直前に、むき出しになった大河の尻を隠そうと、さりげなくスカートをかけなおす事を忘れない。気遣い竜児の本領発揮である。

「ったく、何をどうしたらそうなんだよ?」とこぼしながらも、竜児の腕は大河の体重を持ち上げ、ベットの下に埋まっていた上半身を引きずり起す。

「痛いか? いや、痛くないワケねーか。ほら、見せてみろ……」
そう言いながら、強打した顔面を痛そうに押さえる大河の両手を優しくどかすと……

「おい、鼻血出てんじゃねーか!」
何だって俺って奴は、女子の鼻血にこうも縁深いんだ? と胸中で一人ごちる。なにせ、大河にいたっては、これで二度目だったりする。

「ほら、まずベットに座れ! ったく、テッシュ、テッシュ……」と竜児が箱テッシュの置かれたデスクに向かおうとするが、右手を大河につかまれ引き止められる。
何事かと振り返れば「痛くない! 痛くないこんなの!」としきりに首を左右に揺る大河の姿。
勢いよく首を振ったため、鼻から垂れる血液の飛沫がピッピッと飛び散り、ベットの白いシーツに真紅の痕跡を残していく。

「痛くないって、そんなワケねーだろ!? 何言ってんだこんな時に!」
「痛くない! 痛くない! 今、傷ついてるのはアタシじゃない! 今、一番傷ついてるのはアンタなんだから!」

大河は、竜児を探して校内中を駆けずり回っていた時に感じていた事を、この場でそのまま口に出す。が、竜児にはまったく意味不明であったようで……

「何をどう見たら、そういう結論にたどり着く!? 誰が見ても、今一番痛々しいのはお前だろーが!」
「ちがう! ちがう! 痛いのは竜児! アタシは痛くない! だからいいから! このままでいいから!」

なぜ大河がそれほど必至に「痛くない」というのか、竜児には分からなかった。
ただ、屋上で一人座っている時に考えた、斬られても斬られても、「ぜんぜん痛くない」と言って、立ち上がる大河の姿が脳裏に浮かび、今の大河と重なり合う気がする。
一度そう思ってしまうと、今の大河の必至の否定が、あまつさえ「痛い痛い!」と叫んでいるかのような錯覚を覚え、何ともいえない感情があふれ出す。

竜児は必至に首を振り続ける大河の頭を包み込むように両腕を回す。突然の抱擁に驚いた大河の首の回転が止まる。竜児はそのまま、大河の顔を優しく自分の胸に押し当てた。
既に大河の顔面を右に左に駆け抜けていた幾スジもの赤い線が、容赦なく竜児の制服に付着していくが、しかし今の竜児にはそんな事、まったく気にならなかった。
それどころか「いっそこのまま、全部ふき取ってやる」とでも言うかのように、スリスリと大河の顔を自分の胸の上でゆっくりと転がす。
759名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:24:44 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 27>

「竜児、よ、汚れちゃう……」と無抵抗のままつぶやく大河に、「ああ、そうだな」とだけ返す。しばらくのあいだ、大河は黙って竜児にされるままになり、竜児も黙ってスリスリを繰り返した。
大河の顔に張り付いていた鮮血を殆どふき取り終わりそうになった頃、大河がポツリと声を出す。

「ごめん……」
「ああ……」
「今日の事も……」
「ああ……」
「これまでの事も……」
「ああ……」

短い大河の言葉に、短い竜児の返事。だが、不思議とそれだけで十分だった。
「そ、それに……」と、一瞬ためらったかのように間をおき、大河は続ける。

「こ……これからの……こ…と…も……」
「そんな事、とっくに覚悟は出来てるって……」
「う……ん……」

そう呟き、大河は目を閉じる。
まるで、迷子になって泣きながら知らない土地をうろつく羽目になってしまった小さな子供が、やっとの事で自分の家までたどり着いたかのような、そんな安心しきった表情だった。
「ただいま」と大河が小さく呟き、竜児はそれに「おかえり」と答える。
なぜだか、そんな言葉がピッタリと当てはまるような、そんな不思議で優しくて暖かい、二人だけの空間だった。

760名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:25:45 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 28>
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「みのりんや北村君は大丈夫? 今の話だと、アンタそれこそ魔王をダースで殺ってきましたって顔で睨んで怒鳴ったんでしょ? でてけーって。」
「ま、そう言う事になるな。」
そう言いながら、保健室のベットに腰掛けた竜児は自分の重心を少しだけ後ろに傾ける。背中から伝わって来る体温が、心地いい暖かさを与えてくれていた。

「まあ、あいつらの事は心配いらねーよ。お前が寝てる間に、とっくに和解済みだからな。」

屋上で気を失った大河を抱えて竜児が保健室へ駆け込んだ、そのすぐ後、懲りもせずあの四人は保健室の前までやってきた。
さすがにさっきの事もあってか、入っていいのかどうなのか、保健室の前を困り顔でうろついていた所を、ドアにはめ込まれたスリガラス越しに竜児に発見され、
そこで先の「でていけ」事件に対する和解の場が設けられたのだった。

「謝りに来たから、逆にこっちから謝り倒してやったよ。」

竜児を訪問した4人と竜児の謝罪合戦は熾烈を極めた。
「すまん」「こちらこそすまん」などの言葉のやり取りは、途中からその意味をなくし、後半にいたっては、もう、相手よりどれだけ深く頭を下げられるかを競う、意地の張り合いにも見えた。
北村などは、本当に床にめり込みかねない勢いで「バカな俺達をゆるしてくれ!」などと、見たこともない真面目顔で言うのだ。いや、実際少し床にめり込んでいたかもしれない。さすがだ北村。
結局、その場は竜児が折れる形となって、壮絶な戦いは幕引きとなった。

「それなら、いいんだけど……」

竜児が腰掛けるベットの反対側から、竜児の背にもたれかかるように身体を預け、宙に浮いた両足をプラプラさせた大河は、それでもまだ少し心配な様子を表情ににじませる。

「心配するなって。北村や櫛枝はそんなにヤワじゃねーだろ?」
「それはそうだと思うけど……」
「それに能登や春田なんかは、俺に少々すごまれた位でどうこうなるような、そんな豊かな感性なんて持ち合わせてないからな。」
「あ、なんかその言い方ひどい。」
「なんだよ、お前だっていつも言ってんだろ、そう手のこと?」
「アタシはいいの。でもアンタはダメ。あんた、デフォルトで人から警戒される危険生命体なんだから、そう言うの、気をつけなさいよ。」
「ひどい言われようだな……」
思わず、文句が口をついて出る。それを聞いてか聞かずか、「アンタが他の人から嫌われるのは、アタシもやだもん……」と、大河がボソリともらす。
「ん? 何だって?」と聞き返す竜児に対し、「なんでもないわよ」とぶっきらぼうに答える大河。
こういう反応をした大河に、もう一度聞こえるように同じ事を言わせるのが、至極困難な作業である事を熟知している竜児は、それ以上の追及をあきらめ、話題を元に戻す。

761名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:26:21 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 29>

「だいたい、影で二大番長なんて言われてる俺たちのダチをできるような奴らだぜ? 心配するだけ損ってもんだろ。」
俺は、あいつらの事を信用している。と、竜児の言葉の真意はそう告げている。

「それよりも……」
「なに?」
「俺としては、あいつらよりも、他の奴らの事のほうが気になるよ。」

竜児としては、タフで逞しく、楽観的で物忘れが激しいあの四人よりも、むしろ「でていけ事件」の前に屋上から出て行った、他のクラスメート達の方が気がかりだった。
いくら「気にしてない」と伝えはしたものの、しかし教室を出るまえに、飲み込みきれない怒りの波動を盛大に吹き出してきてしまったのだ。
最近、やっと他の奴が話しかけてくるような流れが出来上がりつつあったのに、これでまた、元の木阿弥か……などと、どうしてもマイナスな方面に思考が走り出してしまう。
そんな竜児に大河は言う。

「大丈夫よ。あんた、自分が思ってるよりも、ずっとみんなから好かれてるんだから。」
だから大丈夫だという大河の言葉が、竜児の胸を軽くしていく。
「自信持ちなさい! みのりんが惚れたのよ? それに、なんたって地上最強のこのアタシが、ほ……」
そこまで言うと、大河は自分が何を言おうとしているのかにハッとなり、一気に耳まで真っ赤に染め上げる。
「ほ……ほ、ほほ……ホ、ホ、ホバークラフト……」
「何だか、文脈がグチャグチャだな。ま、何を言おうとしてたのかくらい、察しは付くけどな。」

「な、なんな……何勝手な妄想してんのよ!?」と、今にも眉間やこめかみ辺りから血管を突き破って、暑い血の本流をたぎるパルスと共に吹き出しそうな顔で、大河。顔面火山も噴火寸前である。

「ま、いいけどさ。……ありがとよ。」
「べ、別にお礼を言われる筋合いはないわよ! ただ、そうだと思ったから言っただけだから!」

そう言う大河の言葉に、竜児は「へいへい……」相槌を打ち、これがコイツ流の優しさなんだろうな、と考える。

762名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:26:53 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 30>

「それにしても……」
「なによ?」竜児のボソリと吐いた言葉に、大河が適当に相槌を打つ。

「もうすぐ一年か。なんか、短いようで長かったようで、でもやっぱり短かったよな……」
「なに急にジジィみたいなこと口走りだしてんのよ?」
「なんか、こうしてると無性に昔の事とか思い出しちまってさ……」

「もしあの時、お前が北村へのラブレターを俺のカバンに入れてなかったら、どうなってたのかな、ってよ。」
「な、なにそれ? 老い先短い老人にでもなりたいのアンタ?」

大河の胸の置くが、チクリと痛んだ。

「いや、だってそうじゃねーか。それに、そう言うのってラブレターの事だけじゃないだろ? 学園祭ん時だって、もしもあの時俺が福男になってなかったらとか、イブの日の櫛枝への告白が成功してたりとか……」

チクリとする大河の胸は、止まることなく、竜児の言葉にひきづられるように、繰り返し繰り返し……

「修学旅行の時だって、お前が行方不明にならなければ、きっと俺は未だにお前の気持ちに気付いてなかったかもしれねぇし……」

なぜ、こんなに胸が痛むのか、大河には分からなかった。ただ、全身の痛覚だけが研ぎ澄まされたような、そんな異常な状態だった。

「それ以前に、俺が櫛枝のこと好きじゃなかったり、お前が北村の事好きじゃなかったりしたら、それこそ俺たちって唯のクラスメイトでしかなかったかもしれないよな。」

ああ、これは罰なんだろうか? ひょっとしてこのままアタシは死ぬんじゃないだろうか?

大河にはそう思えた。何気ない竜児の、どこにでもあるような、そんあありふれた言葉の群れが、何度も何度も何度も何度も、同じ場所を繰り返し、刺す。

「なあ、お前ってそう言うこととか考えた事、あるか?」そう言って、背後に顔を向ける竜児が、大河の異変に気付く。

「お、おい、なんでそんなに俯いてるんだ? やっぱどっか痛いのか?」

痛かった。身体の中が、頭の中が、張り裂けんばかりに痛かった。初めてだった。これほどの痛みを感じたのは、大河にとって初めての経験だった。

「い……いたい……」

いつの間にか、大河の脳裏には、さっき見ていた夢の事が、鮮明な映像となってよみがえっていた。だから、痛い理由が分かった。だから耐えられなかった。
だから生まれて初めて、人の前で「いたい」と、心が引きちぎられそうだと口走りたかった。だが、それは声にはならない。竜児には届いていない。

763名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:28:38 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 31>

「おい! どうしたんだ!? くそっ、どうしたってんだよ!」と、いきなりの事に動揺の色を隠せない竜児。

「そうだ、先生、いや救急車を! 待ってろ、今呼んで来てやる!」

言うが早いか駆け出そうとする竜児の腕を大河は弱々しく掴む。竜児には、その大河の手に込められた力の弱さが、頼りなさが、儚さが、あまりにショックで、思わず駆け出すのをやめ、大河を見る。

「いっちゃ……やだ……」

竜児がここから出て行けば、自分は死んでしまう。そんな幻覚にも似た感情が大河の中に芽生えていた。

「でもお前、そんな状態で!?」

竜児の言葉に混乱の色がありありと浮かんでいた。この状況をどうすればいいのか? どうすれば大河を助けられるのか? どうすれば大河を失わなくてすむのか?

「さむいよ……つめたいよ、心が……死んじゃう……」
「死ぬってお前! おい、シッカリしろ、大河! 大河ぁぁぁ!!!」

「たいが」竜児が口にした。

それはウソみたいだった。ウソみたいに、フッと消えるみたいに、初めからそんなもの無かったみたいに、大河の胸を締め付けていた太い鎖は、なんの痕跡も残さず消えうせていた。

「大河! おい、大河!!!」
「あ、治った……」
「治っただと!? 弱気な事を言うんじゃねー! 風邪とかだって、治りかけが一番危ないって言うだろうが!? さあ、今すぐ病院に……」

竜児の言葉は途切れ、脳の思考回路が完全に焼ききれたみたいに、「な…おっ…た?」とその言葉の意味を反芻しつつも、完全な思考停止状態。

「あ……ね、ねえ竜児?」

呼びかける大河の声に、思考停止中でも反応できる竜児は、既にすごいヤツだった。
ギギギギギ…と、さび付いて壊れたブリキ人形よろしく、首だけを起用に大河に向けて「な……なにかな……?」と、抑揚の無い声でさえずる。

「もう一回、呼んで。あたしの事。」

ブチブチブチブチ!!!!!
764名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:30:20 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと 32>
この日、地獄の釜を丸ごと喉に搭載した対神様用決戦兵器の発する雄たけびのような怒声が、大橋高校および、その近隣地域一体に響き渡った事は、言うまでもなく……
その声に驚いた教師達が駆けつけた大橋高校のとある一室で、真っ先に駆けつけた独身大明神が二人の姿と、なぜかベットに点々と付着している血痕を見て、「まさか、あんた達ここで……」と顔面を蒼白にし、
さらに続いて駆け込んだ生徒会長なる人物が、当事者の一人の胸の辺りに付着した血痕にも気付き「お前らそれは、何プレイだったんだーーー!?」と叫んで、
追撃してきた野球部キャプテンと雑誌モデルによって、地面に完璧にめり込まされたという話は……また、別の話である。


                                       END
765名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 02:35:32 ID:XMyiJQwc
<虎と竜と、もう一つの幸せと>は以上で終了でございます。長々とお目汚し、失礼。
自分が、SSの保管庫で結構楽しかったから、この手の物を書いたこと無いのに、何かやってしまった。
44LTzffTさん、勝手な真似、もう一度謝罪を。
それと、sageの件、本当に申し訳ないです。今度来るときは、もう少し掲示板の勉強してきます、はい。
766名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 07:38:54 ID:hrTcNOOk
GJ 読みやすかったし面白かった
767名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 09:41:57 ID:NhU56Q+F
sageるのがマナーと言い出したアホ出てこい
768名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 09:56:51 ID:ZqplpMU+
>>767
こないだみたいなキティを呼ばない為にもsageはマナーじゃね

>>765
GJ。sageはたまに異常に噛み付くやつがいるので気をつけた方がいいかと。特に職人は
769名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 10:04:56 ID:0HqUbn88
>>765
GJ! 書き慣れているのか、読みやすい。
>>768
あのキチガイは、元からここにいる奴だよ
書くのに行き詰まって、おかしくなったという感じがする
770名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 12:24:00 ID:E2deoAFQ
>>765
GJなかなか読みやすくてのめり込んだ。
だが一つだけ言わせてください。
職人にとって作品ってのは手間暇掛けて書いたもんだ。
なによりプロットというか他人の作品の設定を流用は…。
そして事後承諾で濁すはどうかな〜と思う。
もし書くなら事前に了解を取っておくべきかと。
一人の書き手としては複雑な気持ちだ。
空気読まずに長々とスマンかった。
このレスは荒しみたいなもんだからNGにしといてくれ。
771名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 12:56:06 ID:uNN3ovZc
>>740
やだね
772名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 13:00:53 ID:JKeDNJA+
>>765
GJ!学校行く前に7まで読んでその続き妄想してたらテスト終わってた

キティちゃんクソワロタ
773名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 14:48:16 ID:D4CNW91h
みのりん、みのりんが足りない!
774名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 03:40:41 ID:WYblBjGK
おちた?
775名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 04:02:50 ID:XDMZb/w6
悲しいグベダグレギブンバゾ!(笑)
776名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 04:35:57 ID:BloeOlrJ
>>665
ようやくわかったぜ!
一番目の女=亜美
二番目の女=大河
三番目の女=ゆりちゃん


おっぱい=あーみん



これでファイナルアンサー?
777名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 05:29:03 ID:g9k5W/y/
そのコピペがとらドラとかすりもしていないことに気づいてやってるんだよな?
778名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 05:59:04 ID:BloeOlrJ
>>777
マジかよ〜、ラッキーセブンに言われるまで気づかなかったorz
サンクス、ラッキーセブン!
一日中考えていた俺は阿呆の極みだなorz
779名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 09:52:22 ID:Z6a3ZHci
ななこいの続きが読みたい
780名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 11:46:58 ID:XDMZb/w6
ななこ様のおっぱいが揉みたいw
781名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 12:04:37 ID:xbtYCQjE
ななこ様のはしたない遊びについてkwsk読みたい
782名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 12:08:17 ID:3kRHN5tl
一月ぶりに来た
日記はまだ続いてるんでしょうか
相変わらずななこいコメあっててワロタw
783名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 12:39:47 ID:Z6a3ZHci
日記の作者は札幌に住んでいると言っていた
たぶん、ヒグマに襲われたか、キタキツネにエキノコッカスを移されたか、
エゾリスの群れにドングリのつぶてを投げられるかして、しんでしまったのだろう
784名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 13:05:09 ID:3kRHN5tl
ぱっと上の方からシークバーを下ろしてみたが
荒れてるようですな、日記のひと続いてないのか・・・
785名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 15:10:11 ID:cbZmJ2A4
続いていないんじゃなくて、こんな空気じゃ出せないって事じゃね?

あくまで俺ならだが、こんな荒らしばかりの場に出しても良い意見貰えないと
思っちまうし。
786名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 15:58:19 ID:bMdeb/Nj
派手に荒れたのはこのスレからだけど前スレでもひどい流の時があったから。
そこで日記の人は消えた。
そのうち鮭の様に帰ってくるんじゃね?札幌らしいし。
787名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 18:30:51 ID:OcNZ6DPW
生まれた川に帰ることなく永いこと海で育った鮭は
ケイジだかなんだかって言って珍重されるんだっけ?
おいしく育って帰ってこいよ〜
788名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 19:09:55 ID:EFRUArnY
さっぱりだな、札幌だけに

ごめん
789名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 19:45:23 ID:iNzGESQd
御坂の日記でも読んどけ
790名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 20:28:22 ID:ExKl1zdW
吉良っ☆
791名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 21:39:05 ID:RHWpNrvX
>>665ってとらドラに関係ナイン?
792名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 22:46:15 ID:1gCN0MiK
>791
一番最後の行でググレ
793名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:00:14 ID:jaFu2yWA
一応、明らかな間違いは正しておくか…

>生まれた川に帰ることなく永いこと海で育った鮭は
>ケイジだかなんだかって言って珍重されるんだっけ?

鮭児(けいじ)ってのは、読んで字のごとく、未熟な鮭のこと
ttp://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/shokuzai/134.html

まぁ、日記の作者もいろんな意味で未熟だから、たとえとしては的確だわな
794名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:10:22 ID:haUUacd/
前から気になっていたが文中に&って入れるのは何の意味があるんだ?
作者の中にも確かいたよな
795名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:14:38 ID:hQgrgEAQ
>>793
最後に余計な一言を付けてるあたり荒らしか
796名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:18:17 ID:jaFu2yWA
妥当なコメントに文句を言うお前こそ荒らしだな
いいから引っ込め
797名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:26:52 ID:YDo12Jt5
妥当なコメント(笑)
798名無しさん@ピンキー:2009/06/25(木) 23:31:44 ID:s7SN48g9
妥当なコメントうける
799名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 01:30:11 ID:XF72gBwR
>>788
これはひどい
800名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 01:48:10 ID:kbCud84J
いいスレだったのに・・・残念だ・・・。
801名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 03:24:32 ID:R5SECv4H
自分で自分の首絞めてこのザマ
かなしすぎる
802名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 04:13:39 ID:LqSL+ovH
日記の話なんか持ち出すからおかしくなるんだって
上の日記マンセーカキコも、作者の自演が混じってる感じだな
作品を書かないのに自己マンセーだとしたら、
下手な荒らしよりもたちが悪い
803名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 07:50:23 ID:rjvUBbLp
推測でしかないことでそこまで言っちゃうのもあんま良くないと思うぜ。
「〜な感じ」「〜だとしたら」って付けとけばそれで良いわけでもないしさ
804名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 09:45:21 ID:BorvVDnf
日記、いらねぇ
つまんねぇし、自演で荒れるし、いいことがない
805名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 10:52:22 ID:lwyhWcJh
このスレの荒れてるのって、4割くらい日記のせいじゃね?
俺がもし作者なら、今更投稿なんてとてもとてもw
806名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 11:17:11 ID:skNY4pzs
とりあえず自演認定してるのは荒らしなんだから触るなよ
807名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 11:33:11 ID:OQ8BkPPQ
日記の人どころか、その他の職人さんもこの状態じゃ投下を躊躇するだろうな
808名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 12:20:39 ID:ohyFePjz
>805
100パー荒らしのせいだ
書き手に責任なんて全然ねえよこの春田
809名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 12:31:04 ID:6U0TD9hC
日記の続きが読みたい
再開を待ちわびてます
810名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 12:35:58 ID:ldKBcpaf
ななこいの続きが読みたい
811名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 14:55:29 ID:wx36KgYl
やっと連投荒らしがいなくなったと思ったら今度はID変えて自演かよ
いくつかは釣られたレスもあるんだろうけどそれにしたって全部単発ってどーよ
812名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 15:31:18 ID:WhKI0BLm
荒らしウンヌンで消費してるレスが多すぎじゃないですか。しかも462まで来てるし。
次スレからは気分変えてこう^^/
麻耶ちゃんの短パン姿でも思い出して穏やかにハァハァしようぜ!
いっそ修学旅行の夜に女子部屋で一気に乱パしてくれ。
813名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 16:30:00 ID:8NfN9rxc
            にヽ
          __ \\
    _    〈::::ヽ__ノ } その話はおいといて
 ┌┘L___,ゝ'´   〈
  `¨` ー―- 、   |
           ヽ.    |
          〉 "´ ヽ
           {.    |
           \.  |
                〉  |ヽ
              /  丿|
          / /||
         く 〈   | L__
          \_>   `ー‐┘
814名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 16:33:17 ID:ldKBcpaf
>>812
大河、麻耶 → 大先生まっしぐら
亜美 → 竜児にべたべた
奈々子 → 同じく竜児にべたべた(このスレ的には)
能登 → 麻耶に抱きつき
アホ → 亜美に抱きつき

収拾が付かん
815名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 16:52:41 ID:xKynDjOY
『自演』をNGワードにすると割と平和になるかも。突き詰めるなら『作者』も。
816名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 17:16:34 ID:BRbfASru
>>814
竜児→みのりんにべたべた
みのりん→大河にべたべた
大先生→アニキ思い自慰

もっと収拾付かんくなりましたww
817名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 18:01:30 ID:f3iiYoyL
祐作「うぅ、会長、会長… しこしこしこしこ…」
竜児「おいやめろ北村、 女子の前だぞ …とか言いながら櫛枝のおっぱいもみもみ〜」
亜美「(高須君ったらも〜アッタマきた!) もう、祐作ったらしょうがないなぁ、あたしでよければ触らせてあげるわよ。
…ほら、後ろから見たら会長とそっくりでしょ?」
祐作「か… かいちょおぉぉぉ〜〜〜〜」
亜美「うひゃぁっ!! こら、いきなり羽交い絞めにすんじゃねぇっつの!」
祐作「うぅ、ち、ちが〜〜う! …おっぱいがデカ過ぎるっ! こんなの、会長のおっぱいじゃないっ!!」
亜美「ったりめ〜だろ〜がぁ!」
竜児「なぁ北村、 …なにがしたいんだお前は」
奈々子「なにげにヒドいわね」
麻耶「だったらまるお、あたしの胸触ってみてよ、 ね? ちょうどいいサイズじゃない?」
能登「ちょっ、ちょっとまて〜〜!!!!」
北村「もみもみもみ… これだっ、このおっぱいだ! あああかいちょう〜〜」
大河「うわ〜ん、きたむらくんが壊れた〜」
818名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 22:14:53 ID:XRbOnCLo
大河が一番マトモだ
819名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 22:47:16 ID:D48zTwac
竜児は、照明の落とされたスウィートルームに招き入れられた。ラブホの安っぽい調度品とは違って、落ち着いた、ムードのある部屋だ。
窓際のテーブルセットに、級友の美しい母親が長い脚を組んで座っていた。
「いらっしゃい、高須君。」
テレビでもお馴染みの美貌が嫣然と微笑みかける。
部屋に漂うアロマオイルの香りが、竜児の鼻腔をくすぐった。
泰子のそれとも引けを取らない豊満な胸元からは、成熟した女の色香が匂い立っていた。
820名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 22:58:05 ID:D48zTwac
胸元の大きく開いたブラウスから覗く胸の膨らみは、張りがあり、三十台後半だというのに、まったく垂れていないように見える。
竜児は、どうして俺の周りは、重力というものの影響を無視したスタイルの女性ばかりなのだろうかと考えた。
蜜のような肌がまばゆい光沢を放って、たまらなく艶ましい。
腰は悩ましくくびれ、ヒップも丸く小さい。髪はみずみずしい濡れ羽色で、その美貌はハリウッドスターも顔負けという程であり、
竜児はまともに目を合わせることができなかった。
821名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 23:12:31 ID:D48zTwac
彼女はまるで、夢に出てくる存在のように魅力的だった。男の永遠の憧れ、願望。そういったものの具現化したイメージ。
その美貌はまさにモンスター級、イジョーなまでの美しさ。
「キミのコトは、娘からいろいろと聞いています。」
亜美にそっくりの、大きくて濡れた瞳。業界で『アンナちゃんのおめめ』と呼ばれる、見る者の心を掴んで放さない、あの目だ。
彼女が座ったまま、ずいと前に詰め寄ると、上体の動きに合わせておっぱいがぶるるんと揺れる。
822名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 23:27:48 ID:D48zTwac
竜児は室内をぐるりと見回した。二人で寝るにしても広すぎるであろう豪勢なベッドが目に入る。ふたつ用意された枕が嫌でも目に付いた。
男子高校生の目線の先を見やり、めまいがするほど華やかな同級生の母親は、パーフェクトな笑みを浮かべた。
大人の女の体臭と、香水とが混ざった甘い匂いが竜児を幻惑させた。
   
                                     …ごめん、遊んでみた
823名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 23:31:39 ID:z6bswBQg
>>882
なに、気にする事はありません。
続きを書くがよろしかろう。
824名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 23:52:27 ID:D48zTwac
思い切って、竜児は女優と視線を合わせた。うるんだ瞳がまっすぐにこちらを見つめ返す。
彼女はその豊満なボディラインを誇示するかのような大胆なポーズで座っている。
いきなり下半身が燃えるように熱くなり、ペニスが勃起した。胸が苦しくなり、顔が赤くなるのが自分でも分かった。
──黙ったまま、見つめ続けた。
安奈が居住まいを正した。
竜児は床に視線を落とした。

                  すいませんもうやめます
825名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 23:55:02 ID:D48zTwac
今書いてるssで煮詰まってて、つい息抜きをしてしまった
826名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 00:20:13 ID:xXbRazlr
( ゚∀゚)o彡゜続き!続き!
827名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 00:27:35 ID:b0+vfZeX
817と言い、825と言い......何と言う


面白かった。続き期待!
828名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 01:27:47 ID:KZo7VbEh
まあ…その…なんだ
おまいら、ラーメンって旨いよな
829名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 02:38:12 ID:3DxI1fqj
何その無茶振り
830名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 05:53:02 ID:W+VF3mJQ
>>828
ラーメンが好きです

でも親子丼のほうがもっと好きです
831名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 06:22:27 ID:SURtczRy
俺はあーみんのほうが好きだっぜ!!
832名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 08:47:59 ID:RP8AFOwU
ななきの続きが読みたい
833名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 09:28:15 ID:HemeWS/f
このスレのおかげでみのりんと奈々子と木原が好きになった
834名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 13:16:10 ID:zIi1CKXi
エロい肢体を寄せてくる泰子を妄想したら…………ああ堪らん。
835名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 14:21:03 ID:B/rFQjvS
いやいや、独りHしている毒神もまた…………堪らなくはないかい?
836名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 17:49:55 ID:vEYxn4BJ
大河「ねぇねぇりゅうじ、ヤリすぎてアソコがヒリヒリする〜 なんかまだ中に入ってるみたい」
実乃梨「あたしなんかもう腰が抜けちゃって、部活にぜっんぜん身が入らないよぉ〜」
亜美「ねぇ高須君、さっき自販機コーナーでヤッたとき、スカート汚しちゃったんだけど、ウェットティッシュとか持ってね?」
麻耶「ゆうべ、お尻のほうにマジ出しされちゃって、お腹の具合がマジおかし〜んだ」
奈々子「高須君、なんだか、生理が来ないみたいんだけど? …ひょっとしたらデキちゃったかも…」
竜児「ちょ、ちょっと……みんな、こんなところでマズイよ!」
独神「高須君、放課後に生徒指導室までちょっと来て貰えないかな?」
837名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 18:04:16 ID:wJwdlODR
校内での竜児の評価が(別の意味で)上がりそうだな
「高須センパイ、やっぱパネェ……」みたいな
838名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 20:34:14 ID:9ba/bsmW
作者さま!
はやく高須棒姉妹たちを棒姉妹にしてあげて!

生殺しでオレと姉妹たちが悶えていますw
839名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 21:39:29 ID:vEYxn4BJ
>>838
ごめんね
840名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 21:43:55 ID:Mq/J6AVG
>>835
昔「ゆりちゃんのひとり遊び」って話あって。


深夜酔っ払った独身がひとり「人生ゲーム」遊んで「けっこんできたー」
と喜ぶ話。ゆゆぽスレ史上最も爆笑したので覚えてる。
841名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 01:39:05 ID:9DBUxpaK
久しぶりのグレギブンバゾ!(笑)
一条、二条、俺、参上!
842名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 01:55:15 ID:6IrAS9D6
>>839
大河「あ?書きもしないでナニ言ってんじゃ?ちったー根性見せろや!!」
843名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 02:24:50 ID:PfNVTfjy
>>836
そのまま指導室で独神と…ルートですな、分かります
844名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 02:40:49 ID:9DBUxpaK
クイーンのグレギブンバゾ!(笑)
845名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 06:56:42 ID:QN4m/Je/
「なぁ…」
「なによ」
「……」
「…発情したエロい目で見るんじゃない…エロ犬」

「なぁ…」
「なんだい」
「……」
「…おぉっとそんな熱い眼差しむけられると照れちまうぜ…ヘヘヘ」

「なぁ…」
「なぁあに」
「……」
「…いくら色っぽいバージョンの私と二人っきりだからってその目は犯罪だぞ」「……」
「ちょっ、なんか言ってよ」
846名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 09:17:49 ID:50CnXVmD
>>842
もっとなじって! ののしって! 『この肥え太った汚らわしいブタめ!』って言って!
847名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 14:34:05 ID:xpmX67tC
俺もお願いします
848名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 14:56:06 ID:kwu3Suec
六月二十四日に何の日とか聞かないでください
UFOおおおおおおおおおおおおおおかとおもっちまったじゃねーか
849名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 22:42:00 ID:mfEPlPfl
SS初挑戦していたら,全くエロなしになってしまいました。
全部で9ですが、5まで投下させていただきます

題名 春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!
内容 竜児×大河
時期 アニメの大河が転校後の6月下旬
備考 原作の10巻、スピンオフ2の内容を加えています
850春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!1:2009/06/28(日) 22:50:33 ID:mfEPlPfl
バスを降りた瞬間、硫黄の独特の臭いが鼻についた。
「…遺憾…この上ないわ…」
なぜ自分はここにいるんだろう。6時間前に大親友からの電話を切った後、
全くのノープランで、勢いで、高速バスに飛び込み、今に至るのである。
「高須くん,春田くんと旅行いくって。春田くんの彼女も一緒らしいんだけど…」
実は、大親友の櫛枝実乃梨が伝えてくれた内容の半分は,1週間位前に知っていた。
高須竜児は、自分の彼氏というか,嫁なのだが、当の本人から、すまん,すまんが,
と,メールは貰っていたからだ。
もちろん誘われてはいたが、引っ越し先からはあまりにも遠く断っていたのだった。
竜児も、じゃあ俺も行かねえと言ってくれたが,最近、今の家族の家事を手伝う様
になった逢坂(元)大河としては,掃除,洗濯,料理をパーフェクトにこなす竜児の
スキルの高さを改めて実感していたので,偶然話が飛び込んだ温泉旅行なのだが,
竜児に羽を伸ばして欲かったのだ。はたして竜に羽が生えているのかは別として。
もともと春田浩次と,その彼女の濱田瀬菜が,旅館の予約を,お互いがしてしまい,
4人分の予約したのが発端で,気付いた時にはキャンセル料がかかるとの事だった。
春田の交友関係で誘えそうな正規カップルは自分たちだけだと勧誘してきたのだ。
大河が行けないので、竜児は母親の高須泰子と一緒に行く事にしたのだが,泰子の
急な仕事の都合で、3人で行こうと竜児が春田に電話したのが昨日の晩のことだ。
そんな感じで迎えた旅行当日の朝。春田は何を思ったのか、突然、奇行に出たのだった。
余ってしまった1人分の予約を埋めようと、よりによって大河の一番の親友、実乃梨を
誘ったのだ。実乃梨は旅行当日に、突然いわれてもバイトがあるし、だいたい大河の
旦那の高須くんと旅行なんて無理すぎてワロスwと春田に伝えると、
「そっかぁー,じゃあ他あたってみるよぉ」と言って電話を切ったとの事。 
竜児に限って、実乃梨の心配するような事は絶対無い。大河は竜児の事は信頼している。
しかし…結局。ここまで来てしまった。
春田が実乃梨以外に誘うとしたら、予想としては、川嶋亜美、木原摩耶、香椎奈々子…
男子かも知れないが、女子の名前しか浮かばない…
信頼しているのに…竜児を疑っているようで…嫉妬している自分が嫌だった。

ここは群馬県、草津市。
大河は、浴衣姿の人々が行き交う中、場違いなピンクハウスのモデルみたいな,
いつものヒラヒラした格好だ。
乗ってきた高速バスのドアが閉り出発した。バスを見送り、草津の中心にある湯畑へ向う。
普段、自然とは縁の遠い、アーバンライフを送っている大河には、見慣れない風景。
温泉地ならではの素朴な雰囲気のせいか,大河は徐々に、穏やかな気分になってきた。
湯畑に着き,大河は、湯畑の石柵に彫られた、『草津に歩みし百人』の人名を発見した。
「…日本武尊…って本当に草津に来たの?…源頼朝か。へえ …木曾義仲って誰?」
竜児なら日本史得意なんだけどなっと,たった一人の恋人の事を思い出し妄想した…
が、よく考えたら、今はそんなフワフワしている時間はない。
竜二たちが,草津に車で旅行に来るとしか情報が無いのだ。旅館の名前も聞いていない。

探さないと。あの3人を。いや、もしかしたら4人を。
851春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!2:2009/06/28(日) 22:58:35 ID:mfEPlPfl
「うっひょ〜〜っ!☆ 着いた,着いたよ〜皆の衆!」
高速道路を降り、やっと標識に草津の文字が出て来たばかりだというのに、助手席の
アホロン毛、春田浩次は,騒ぎ始めたのだった。季節は梅雨の時期だというのに、快晴。
ゴールデンウィークを外したので、道が空いて走りやすい。旅館も安かったらしい。
「着いたって…まだ20km以上あるぞ。あ,濱田さんは運転大丈夫ですか?」
1時間前のサービスエリアでトイレ休憩しかとっていない若葉マークの初心者ドライバー,
濱田瀬奈(美大生)に,後部座席に座っている高須竜児は、その超高校生級のエッヂの効いた
眼差しを向けた。目が会ったバックミラー越しに、瀬奈がビクッとするのが判った。
…仕方が無い。竜児は目の形が悪い。怒っているのではない。怒っているように見えてし
まうのだ。今まで、初対面で竜児と目が合って,唯一睨み返して来たのは後にも先にも、
竜児のフィアンセ,大河だけだろう。2月中旬から会っていない。もう4ヶ月以上過ぎた。
「あっ,うん。平気。高須くん、ありがとう」
瀬奈はつい,油断していて眼光に脅えてしまった。凶悪な目つきのわりに,丁寧で低姿勢な
この男子の心に傷を付けてしまったのではないか気になり,バックミラーで竜児を確認する。
瀬奈と竜児は初対面ではない。バレンタインのチョコレートを買う時にいたのは憶えていた。
ただ一緒にいた、お人形のような可愛らしい販売員に目をとられ、竜児のジャックナイフの
ような目には,その時には気付かなかったのだ。その後,その可愛らしい販売員は転校して
しまい,竜児と遠距離恋愛というのを春田から聞いていた。事情を知っている瀬奈としては、
二重予約の失敗はさておき、折角なので,今回の旅行に大河も来て欲しかった。が,結局3
人で行く事になってしまった。春田は今朝まで,「俺にいいアイディアがあるんだよね〜」
っと,今朝まで何やら動いていたみたいだが。瀬奈は、一見軽そうだが、意外に気を利かせ
てくれる春田の事が好きだった。春田も瀬奈の事を好きだと言ってくれている。
瀬奈は,コンビニの看板を見つけた。
「そうだ,あそこのコンビニでコーヒー買おうかな。二人ともいい?」
今日はいつもよりお姉さんっぽくしようと決めた瀬奈の問いにボ〜イフリェンドの春田は,
「賛成〜!賛成の反対の賛成の賛成〜って?あれ?どっちだ?」
と,混乱していた。その時。ふと,振り向いた後部ガラス越しに竜児は,目撃した。
いつの間にかぴったり後ろを走ってる黒いポルシェを。何故か見覚えがある…ような…。
瀬奈の運転するレンタカーはコンビニの駐車場に入った。竜児も車から降りたが、
店内に入らず、持参の黄色い水筒のお茶を飲んだ。水筒の中の氷がカラカラ音を立てる。
コンビニの少し先に停車したポルシェのドライバーは,その黄色い水筒を見つめていた。
852春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!3:2009/06/28(日) 23:08:32 ID:mfEPlPfl
大河は、まだ湯畑にいた。よく考えたら少なくとも竜児は草津は初めてだし、
湯畑には来るだろう。温泉旅館のチェックインは早くても14時くらいからなので,
まだ1時間以上ある。下手にウロウロして見失うより、湯畑にある無料の足湯で
待ち伏せする事にしたのだった。ここからなら周辺が見通せるし、なにしろ楽だ。
ギュルルルルルルルっ
「あらやだ」
問題発生。そういえば,今日は高速バスの中でサンドイッチしか食べていない。
大河は正面に素敵な暖簾を発見。『名物 温泉まんじゅう』…おまんじゅう…
いつの間にか大河は足湯から上がり、フラフラと暖簾に吸い寄せられて行く。
店頭では、おひとつどうぞ〜っと,歩行者に試食用のまんじゅうを配っていた。
白、茶、緑と綺麗な三色のラインナップ。大河は何色にしようか悩んでしまい,
フリーズしていると、店の奥から出て来た従業員に,声をかけられた。
「お嬢さん、お好きなだけ試食してくださいね」
持っているお盆には,まんじゅうが3色それぞれ10個づつ乗せてあった。
「え,いいの?あ、いや、買います。おいくらですか?」
「いえ,御代は結構です。いっぱい食べてください」
と,従業員は言うと、大河の目の前の机に、まんじゅう祭りっ!!って感じ
のお盆を置いて店の奥に戻ってしまったのだ。残されたまんじゅうを見つめ、
「ゴクっ…おいしそう」
大河はおもむろに両手にまんじゅうを持ち、食べ始める。まんじゅうの皮は
しっかりしていて、中身のアンコも,甘すぎず上品な味だ。美味しい。
10個目のまんじゅうに手をかけた時に、緊急事態発生。
「!!!っ みじゅっ 水ーーっ」
みるみる大河の顔色が紫色になっていった。
その時、呆然としている大河の周りの人垣の中から,虎柄の黄色い水筒が出て来た。
大河は使い慣なれた手つきでキャップを取り、その黄色い水筒のお茶を飲み干す。
「んっ! んっ! んっ! ぷはぁぁっつ!生き返るぅう!」
「そんな小さい口の中に、何個もまんじゅう放り込むからだぞっ!大丈夫か?」
大河の口から溢れた、まんじゅうのカスやら、お茶やらを拭きつつ、竜児は
大河を見つめた。見つめていた目からは、何やら熱い物が溢れて来ているが。
「竜児っ!あんたいつから見ていたのよっ!わっ…私の事大切でしょっ?」
大河の服に付いたアンコを丁寧に拭っている竜児の頭をポカポカ叩く。
「当たり前だろ。湯畑に来たら,お前の声が聞こえてすっ飛んで来たんだよ!」
実際、一緒に行動していただろう、春田と瀬奈が後から駆けつけた。
「ちょっ,高っちゃ〜んっ!どうしたの急に走りだしてって、タイガぁーっ!」
どうしてぇ?なんでぇ?と,大声で驚いている春田。ニコニコしている瀬奈。
涙を誤魔化そうと、今度は染抜きを始めた竜児。その頭を愛おしく撫でる大河。
そんな賑やかな老舗まんじゅう屋の裏。暫く止まってた黒いポルシェが走り出した。
853春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!4:2009/06/28(日) 23:16:00 ID:mfEPlPfl
4人は、旅館のチェックインの前に、坂の上にある、大きな露天風呂に入る事にした。
「うわおぉう!広ーいっ!気持ちEー!あははは!いやー、そういえば良かったね,
 高っちゃん。タイガー来てくれてさ。二人はもう,恋人同士なんでしょ?」
「ふううっ ん?大河の事か?まあ,そんなもんだ。つーか,お前はどうなんだ。
 その,濱田さん。付き合っているんだろ?大学生か。かっこいいよな」
「瀬奈さんとはな。障壁的な出会いがあってだな。すっごーい前から群馬に行く
 約束していたわけなのだよ。ぐふふ,やったね!」
「衝撃的だろ?そうなのか。まあ、結果的に大河とも再会出来たし。サンキューな」
そうだ。大河と再会して改めて竜児は大河が好きなんだと再確認出来た。湯畑で大河
の声が聞こえたとき、声の先に身体が勝手に動きだしていた。春田達が間違って予約
して竜児を呼んでくれたのが結果的に良かった。竜児は女湯の方向に顔を向けた。

女湯では、瀬奈が、大河を見て、微笑んでいた。さっきからずっとだ。瀬奈は、
辛い恋をした過去がある。自分より若い彼女が、本能に従って好きな男の子の為に、
後先考えずに行動したのだ。そんな大河の事が可愛く思えて仕方なかった。
この露天風呂までの道中で,春田から実乃梨に電話した作戦の事を聞いた。
少しやり過ぎかな?と思ったが、上手く事が進んでくれてよかった。
「旅館なんだけど、大河ちゃん,竜児くんと,同じ部屋にする?」
「ェへぇっ? あ、私っ?り竜児と?いいいいですけど,濱田さんはっ?」
「うふふ。わたしは大丈夫よ。ね。そうしましょ。」
大河には最近、新しく弟が出来た。もし姉がいたら,こんな感じなのかなっと思った。
瀬奈の瞳は引き込まれそうなアイスブルーで、そして大河はそれが嫌ではなかった。
ザバァ! 瀬奈はお風呂を出た。大河はスレンダーなカラダに目を奪われる、途端、
あいたっ!瀬奈が転んだ。全裸で。もしかしたらこのヒトはドジ?と頑張って、お
姉さんっぽくしていた瀬奈の秘密をひとつ見破ってしまった。
854春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!5:2009/06/28(日) 23:24:32 ID:mfEPlPfl
旅館に到着,チェックインの最中、春田はカウンターにあったパンフを取った。
「ほぇーっ何これ?貸し切り家族風呂ぉ?宿泊者1時間無料だってさ!どーよ!」
「そうなんだ,春田くん。無料だし、予約だけしてみようか?高須くん達は?」
と、ロビーのソファに座っていた大河と竜児は真っ赤な顔を見合わせ,超反応。
かか貸し切り家族風呂?お前はお前は,あんたはあんたは,と絡み合っている。
「貸し切り風呂、8時から丁度2部屋空いているみたいだから、予約するね。」
返事するより早く、瀬奈は、貸し切り風呂の予約を進めていた。
「こ,これはだな,春田と濱田さんの為なんだ。わかるな。もちろん,お前と
 一緒に,その,風呂にだな。まあ,家族同然だし。婚約したし、全く問題ないっ」
「声が大きいっ!わかってるわよっ,もうっ 恥ずかしいじゃない」
夕飯が6時半からで,貸し切り風呂は8時から予約出来たとの事。チェックインの
手続き後,部屋の案内係が来て、竜児と大河は宿泊する部屋に連れて行ってもらった。
春田と瀬奈は向かいの部屋だ。
「大河。浴衣着るか?その洋服じゃあ、落ち着かないだろ」
案内係は、帰り際に大河を見て、サイズの小さい浴衣にささっと差替えてくれていた。
「んー、そうね。うん。そうしようかな。」
竜児も着替える事にした。気を使って、次の間に移動ようと踵を返すが,
「着替えた!浴衣着ると温泉に来たーって感じして来るね、うふっ,どーお?」
大河の着ていたヒラヒラの洋服が、バラバラと脱ぎ捨てられている。早いはずだ…
「おうっ,ずいぶん早いな。おし,仕上げてやる。裾はもうちっと,こう…帯は…」
まただ。大河は思う。さっき,まんじゅうを詰まらせた時もそうだが,この男は,
「竜児って。本っ当、細かいわよね。気になって仕方ないのねぇ」
「え?何でだ?そうか?そうだな。でもな。お前だけだぞ。あ,あと泰子もな。」
よしっ,上出来!帯が可愛いリボンになった。旅館の浴衣でこんなのみた事無い。
鏡を見ていた大河が気付いた時には、大河が脱いだ服はきちんとクローゼットに,
竜児も着替えが済ませていた。竜児はやっぱスゴい。まだ夕飯まで時間がある。
「ねえ,竜児。お散歩しながらお買い物しようよ」
「そうだな,そのあと,卓球しないか?さっき卓球台があったぞ」
浴衣に武装し、すっかり遊ぶモードに入った二人はカラオケがとか,射的だとか,
はしゃぎはじめた。そうだ、湯畑の石柵の『草津に歩みし百人』って知ってる?
竜児っ見に行こうよ!ワイワイ賑やかにホテルを抜け出す。
ふたりは自然にお互いの手を取り、いつの間にか走り出していた。
855名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 23:53:51 ID:ovL+xe4S
どれどれ
856名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 23:59:21 ID:D0IL535T
>>854
群馬おもろい、続きも期待してます
857名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 00:12:59 ID:QxuJxxob
>>854
うまく10巻とスピンオフ2の流れを使ってますね。
話の雰囲気いい!

後編に期待です。
858名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 00:58:58 ID:qDZb1Hn+
みのドラはー?
859名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 02:02:57 ID:gDZeAWMf
>>854
GJ! この先何が待つのか期待してます。


ただ群馬県民として細かいツッコミ。
「草津市」→滋賀県
「草津町」→群馬県
です。ザスパ草津もよろしくねぇ〜。
860名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 05:51:55 ID:qDZb1Hn+
んば、んば!
861春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!6:2009/06/29(月) 07:56:03 ID:vq1Ypd/G
「あり?いないみたい」
春田と瀬奈は,ノックしても応答が無いドアの前にいた。
「久しぶりに逢えたんだもんね。二人で遊びにいちゃったんだ…」
「あはーっ,でもさ,俺も瀬奈さんと二人きりの時間が増えて嬉しいかな☆」
「もうっ,春田くん…でも,そういうハッキリ言ってくれると私も嬉しいよ」
「マジでーっ,あのさ,瀬奈さんっ俺、本っ当ー,楽しみにしてたんだよね、
 群馬っ!草津っ!温泉っ!上州牛!,モォーーッ!」
その瞬間、春田は、微笑んだ瀬奈にあるはずが無い,幻の尻尾が揺れた様に見えた。
もし瀬奈も春田と一緒にいる事が嬉しいというなら,もっと、ずっと一緒にいたい。
瀬奈がこの旅館に決めたのは、上州牛が食べられるからだった。なぜなら春田と
上州牛を食べようと、約束していたのだった。瀬奈は、春田の事を考えてくれた。
親でも兄弟でも親戚でもない女性に、自分の事を考えてくれていると思うだけで、
春田のカラダから,パワーというか,何か,そういうのに準ずるモノが溢れてく
るのであった。全力で瀬奈を守りたいと感じているのだった。
「瀬奈さん、初ドライブどうだった?よっく考えたら自殺行為モノだよねっ☆」
「…そうね,自分でもそう思う。んーっ春田くん,部屋戻ってテレビ見よっか」
「イエ〜ス,群馬テレビ、チェキラッ!」
夕食はこっちの部屋で4人で摂ることにお願いしてあった。あと1時間はある。
ふたりはその間、改めて親睦を深めたい、互いの事をもっと話したいと思った。

「おいしかった〜、ねっ竜児!」
「おうっ,旨かったな。俺的にはこの舞茸の天ぷらが絶妙だったな」
「ごちそうさま」
「ごっっちゃ〜ん!ついに念願の上州牛っおいちかった!やっぱ若者には肉!」
満足満足と,それぞれが勝手に感想を述べ、話題は貸し切り風呂に。
「8時から1時間,だっけ?でもお風呂って1時間も入らないよね〜」
「でも,昼間に入った温泉は,洗い場なかったからなあ。すぐ過ぎるだろ」
無料だというので、一応予約はしたが、本当に混浴で入るのだろうか…?

8時が近づくにつれ、緊張からか,テレビを見入り、口数が少なくなっていく。

「ぴっ,ぴっ,ぽーんっ!8時だっ おしっ!風呂行くべよっ!」
春田が立ち上がる。そして、おもむろに提案した。
春田が立ち上げる。そこで,おもむろに提案した。
「とりあえず,俺と,タイガ〜が先に行って,それぞれのお風呂に入り,錠を
 締めて待ってる。で、お風呂の鍵を持った高っちゃんと瀬奈さんが5分後に、
 それぞれ,どっちかのお風呂の鍵開けて入るってどぉ? 運が良ければ混浴!」

そういう事に、なった。
862春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!7:2009/06/29(月) 08:14:03 ID:vq1Ypd/G
「そろそろ,5分経ちますね。濱田さん、どっちの鍵にしますか?」
竜児は瀬奈に2つの鍵を差し出す。瀬奈はアイスブルーの瞳で竜児を見つめた。
「わたしは鍵を受け取らないよ。もし、竜児くんが春田くんのお風呂に入ったら
 戻って。大河ちゃんのお風呂だったら、そのままお戻ってこなくていいから」
「…わかりました。入る前に、もう片方の鍵を扉の前に置いておきます。春田の
 為に、濱田さんもすぐお風呂に来てください」
「うん。いってらっしゃい。竜児くん、大河ちゃんに優しくしてあげてね」
竜児はうなずき,3階にある貸し切り風呂に向った。瀬奈は小さく手を振った。

しかしその時、3階ではまだ大河と春田は,貸し切り風呂の扉の前にいた。
「くっは〜っ!混浴になったらどうしよ〜!緊張して来た〜っ,ねえっタイガー」
「言い出しっぺが何いってんだっ覚悟しろ,覚悟!」
「ぇえ〜っ,タイガーは覚悟出来てるの?うっふ〜ん,すっすんでる〜ん」
「うっさい!わたしと竜児は、うっ,うっ,運命の人同士なんだっ!今さら
 いっっそっ…、一緒にお風呂に入っても、何の事は無い…なっ!いっ!!」
春田の髪の毛を掴み、引き寄せた耳元で、大河は大声で叫んだ。
「いっい〜っ!!いたっいたたたっ!な、なんでっ!うわああ〜んっ」
突然の大河の攻撃に逃れるため、春田は右側の貸し切り風呂に入り錠をかける。
ふうっと,大河はため息。ちょっと,冷静になろう。そうだ,ママに連絡しなきゃ。
高速バスの中で、群馬に行くとだけメールはしたが、門限過ぎているし、いい娘
になった大河としては流石にまずい。フィ…まあいいか。フィアンセと一緒にいる
とだけ電話で話そう。大河は母親にダイヤルした。
『ピピッピピッピピッ』
ええっ!? 大河は聞き覚えのある着信音を聞いた。生耳で。音の先に
振り向く。
「ママっ!」
「うわあああああんっ」
大河が振り向いた通路の先から、赤ちゃんを抱えた、大河の母親が、現れた。
「大河っ,あなたの声で、かわいい弟が、泣いちゃったじゃないのっ」
「えっ,あっ,ご,ごめんなさい…って,ちょっと,ママ!何しているのよ?」
母親は生後4ヶ月の赤ちゃんをあやしながら答える
「大河こそ何しているの!今の話だと、竜児くんと混浴?どういう事?」
大河の真っ白な肌が,一気に真っ赤に染まる。湯気まで見えそうだ。
「ちっ違うのっ誤解よっ。竜児はちゃんとしてるんだからっ。そうそう濱田さん!
 竜児は、右の家族風呂で、さっきのアホと入るの。男同士の親睦を深めるの!
 私は,左の家族風呂で,女子大生の濱田さんとガールズトークしたかったの。ね?」
騙せただろうか…泣き止んだ弟を,撫でながら、大河の母親は黙っている。
「そう。大河。じゃあ、わたしも一緒に入るわ。家族風呂なんでしょ?ここ。
 リアル家族だし。あと草津の湯は婦人病にもいいらしいから…いいでしょ?」
ママと一緒?う,うれしいなあ…と言いながら、大河と母親は左の貸し切り風呂
に入る。弟は眠ったらしい。大河は,竜児が来ない事を祈りながら錠を掛けた。
863名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 08:18:23 ID:vq1Ypd/G
すいません。でかけるので
続きは帰宅後です。
864名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 12:51:23 ID:uTz/fMhM
お風呂場で竜児が大河の蜜壷に、1億数千万の我が分身をぶっ放つんですか?
865名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 13:07:56 ID:c2g/P6Fb
いいえ、分身の数は2億ないし3億程度です。
866名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 15:26:45 ID:cGbycWuZ
その99.7%は三白眼の遺伝子を持っています。
867春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!8:2009/06/29(月) 15:35:12 ID:vq1Ypd/G
春田は空を眺めていた。この貸し切り風呂は、露天だった。
「ほえーっ綺麗な星空…」
群馬の夜空は、☆の輪郭がくっきり見えた。黒い部分が黒いからだろう。
今年は梅雨時だというのに、雨らしい雨は少ない。とってもラッキーだ。
「一人で見るのはもったいないなあ〜」
と、呟いたとき、カチャッ っと錠を開ける音がした。
「おうっ」
「あ〜っ,高っちゃ〜ん!なんか安心したかもっ ねえ,☆!すんげー綺麗!」
「露天なのかっ!へぇ〜、いいな。すぐ行くぜっ」
竜児は浴衣を急いで脱ぐ。もちろんきっちり畳む。春田の分もだ。
「いらっしゃ〜い!いや〜っ,お互い運悪いよねぇ。混浴にならなかったね」
ガラッ 竜児が浴室に入って来た。
「そんな事ねえよ。混浴は無理だったけど、夜空が綺麗じゃねえか まあ,
 もしかしたらそれで運使い果たしたのかもなっ」
春田はカラダを洗い始めた竜児の背中に向って話しかける
「でもさぁ,さっきタイガーが、高っちゃんは運命の人だって言ってたよ〜っ
 一緒にお風呂にはいる覚悟も出来てるって言ってたよ?残念じゃん?」
洗い終えた竜児は、湯船に入って来た。
「ふうぅ いい湯だなぁ 春田。実はな。こっちの貸し切り風呂に入る前に
 大河のいる方の貸し切り風呂の扉開けたんだよ。で,やめてこっちに来た。」
「えええっ!そうなのっ?なんでなんで?もしかして高っちゃん、俺の事…」
「ちがうっ,お前はいい奴だけど、変な感情は皆無だ。今、大河のいる貸し
 切り風呂に,大河の母親が一緒に入っている。たぶん間違いない。扉を開け
 たら,靴が2足あった。ひとつは旅館のサンダル。もうひとつは先日、大河
 が母親と買い物に行った時に一緒に選んだという靴と同じ物だった。メール
 で見ただけだが,たしか,サルバトーレ何とかって奴。間違いない。あと,
 赤ちゃんが寝ていた。目元がな。長いまつ毛が。大河に似ていたんだ。」
春田は、ポカ〜ンした顔をしている。高い柵の向こうから,笑い声が聞こえる。
瀬奈の声も聞こえた。春田は,やっと声を出した。
「タイガーの弟ちゃん。うらやましいな」
「…おうっ」
868名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 15:38:43 ID:gDZeAWMf
残りの0.03%に巨乳とデカチンの遺伝子が受け継がれているのです
869春過ぎちゃったけど,群馬に行こう!9:2009/06/29(月) 15:40:07 ID:vq1Ypd/G
「本当に帰るのか?」
「うん。ママと弟くんと一緒に帰る。もともと来る予定じゃなかったしね」
売店も閉まった無人の旅館のロビーで,3人は話し始めた。
「竜児くん、私も勝手に来てごめんなさいね。今朝、大河が血相を変えて
 出て行って、何事かと思って。すぐに泰子さんに電話で旅行の事知って、
 竜児くん達の集合場所から車で追いかけたのよ。その…私も昔、相手
 の浮気で失敗しているから…。竜児くん、堪忍ね。」
竜児は、首を振る
「いえ,俺…、いえ,僕の方こそ、心配,誤解させるような事してしまって…
 申し訳ないです。今後,こういう行動はしません。大河も…ごめんな…」
「ううん,竜児,わたしの方こそ…わたし竜児の事、信じていたのに…
 疑っちゃた。そんで、訳分かんなくなっちゃって…信じているのに…」

竜児は、優しく、大河の頬に触れた。
「俺が、お前の立場だったら、同じことしていたと思う。っていうか、俺は
 心配してくれて嬉しいくらいだ。大河、ありがとうな」
「竜児…そう…そうよ。いっつもそう。あんたは、誰にでも優しすぎるのよ!!
 今回の事もそう!あんたが悪い!このおっ!目ぇ瞑って、歯ぁ食いしばれぇ!」
「おおぅ!……んっ!」

チュッ!

大河は、竜児に飛び付き、キスをした。無意識に竜児は大河を抱き留めた。
後ろに目が点になっている母親が見えた。大河が力を緩める。
「じゃあね、竜児!ママっ行こっ」
大河は温泉のそれとは違う残り香を残して、ポルシェに走り去っていった。
「…大河が変わったのは、竜児くんのおかげね。これからも大河をお願いします」
母親は竜児に会釈し、大河を追った。ポルシェの低い排気音が聞こえた。
竜児は、ほんのり湿った唇を押さえ、見送っている。
ポルシェが走りだす、と同時に竜児も思い出したように走りだした。
「大河っ!」
小さくなっていくポルシェに竜児は叫ぶ!
「大河!また好きだって言いそびれたっ、大河っ」
聞こえるだろうか。いや、構わない!
「大河ぁぁーーーーーーっ!!好きだぁーーーーーーっっっ!!!!」
6月下旬の草津の空に、竜の咆哮が轟く。
天の河に隔たれた、ベガとアルタイルが、一段と輝いたように見えた。

おしまい
870名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 15:42:16 ID:vq1Ypd/G
以上です。エロなしですいません…
読んでしまった方、ありがとうございました。
871名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 16:45:17 ID:qDZb1Hn+
みーのーりーん!
872名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 17:26:02 ID:BUAqFsAp
>>870
GJ!
大河モノ少な目だからナイスです。
873名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 17:55:44 ID:uTz/fMhM
GJ!
しかしなんだ。エロパロssの舞台にわざわざ温泉をもってくるのであれば、
オンナ風呂は覗かれねばならないし、つい間違えて入ってしまって混浴になったりしなければならない
と、思うんだ
874名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 19:59:44 ID:sn/fz5Xw
早くななこいの続き読みたいですな〜
875名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 19:59:46 ID:/xuNx48I
あと4KB…。
この容量じゃ足りない。
次スレが立ったら投下させて貰います。
携帯だからスレ立て出来んので。
>>870
GJ!大河可愛いよ大河
876名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 20:52:22 ID:DHi9qlRe
>>870
GJでした。ラストのキスが可愛すぎるww
877名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 21:29:30 ID:c2g/P6Fb
誰も立てんならスレ立てに挑戦してみようかしら。
878名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 21:37:01 ID:c2g/P6Fb
無理だった……まとめサイトを独断と偏見で「本家」と「元祖」の
シティーハンター的な区分けにしようかと思ったのに。
879名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 21:54:12 ID:KVb6Sq4o
テンプレこぴぺでいいなら立てますよ。
880名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 22:27:08 ID:nt9z8ycx
旧になってるほうも更新されてるし
まとめその1とその2でいいんじゃないかしら
881名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 23:07:15 ID:2cpMMgOf
スレたて挑戦してみる
882名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 23:14:23 ID:2cpMMgOf
たてた
【田村くん】竹宮ゆゆこ 19皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246284729/

数字のとこのスペースをしくじった気がする スマン
まとめサイトについては>>880の意見を参考にしてみた
883名無しさん@ピンキー
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