ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。
○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。
■ヤンデレとは?
・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
→(別名:黒化、黒姫化など)
・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。
■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part23
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238557896/ ■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
■投稿のお約束
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・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
・版権モノは専用スレでお願いします。
・男のヤンデレは基本的にNGです。
>>1 (・ω・`)乙
これは乙じゃなくてポニーテールだとかなんとか
4 :
桜の幹:2009/05/21(木) 19:16:56 ID:XeYyZ/GO
ついにヤンデレ娘がスレ立ておったぞい!乙!
「ぽけ黒」成分が足りない……
もう彼女なしじゃ生きてけないよぉ……
※前スレより引用
817 :名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 15:45:01 ID:ukS/cY+w
連レス失礼
容量一杯なので次スレ立ててきます
818 :名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 15:55:20 ID:ukS/cY+w
無理だったorz
誰か頼む
(以下テンプレ)
819 :名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 17:08:03 ID:hGCtaIVl
>>818 もう
>>818くんったら、わたしがいなくちゃダメなんだね
ほら、ちゃんと立てておいたよ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242892972/ (ふふ、こんな事もあろうかといろいろ裏工作しておいてよかった)
昨日投稿したものです。なんとか続きかけましたので
よろしくお願いします。
春香は「安心できるまでここにいる」と、建設現場から出たがらなかった。
そして翌日、私は春香の母親を事務所に呼び出していた。
「どうしたんですか探偵さん、急に私だけ事務所に来てほしいだなんて。
春香は?春香は見つかったんですか?」
「奥さん、落ち着いて聞いてください。結論から言って、
春香さんは見つかりました。しかし、一つ大きな問題があります」
「本当に春香は見つかったんですね?無事なんですね?・・・・問題?」
「これを見ていただきたいのです。」
私はそう言葉少なめに、母親にあのビデオテープを差し出した。
おそらく、私がいくら性的虐待のことを言葉で説明しても、
この悲惨さは伝えられないだろう。
母親には辛い事だが、今起こっているすべてを直視してもらわなければ
春香は救えない。
私はビデオをセットし、静に部屋の外へでた。
母親と一緒にビデオを鑑賞する気などなれなかったからだ。
「見終わったら呼んでください。」
そう言葉をかけ、ビデオは回りだした。
そして約3時間後、私は母親に呼ばれ、部屋に入った時、
そこには、焦点の定まっていない仄暗い瞳をした母親がいた。
無理もない話しだ。人生をともにした旦那にこのような形で裏切られたのだから
「奥さん、しっかりしてください。
辛いかもしれませんが、あなたがしっかりしなければ春香さんは救えないんですよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・春香に会わせてください」
壊れたおもちゃのようにぎこちなく首をこちらに傾け、
長い沈黙のあと、そう一言だけ言葉を発しった
私は、早急に春香に連絡をとった。
「やっと、ママが春香のところに来てくれるんだ。よかった。
これで私の夢が叶う。いまからさっそく準備しておかなくちゃ。
本当にありがとう。探偵さん」
「ああ、これで家に帰れるんだ。
大丈夫だから、今からすぐ迎えにいくよ春香」
母親は気分が悪いと私の事務所のキッチンの流し台に手をついたまま
焦点のあわないその瞳で、小窓からの外の景色をただ眺めていた
いつもの凛とした表情はもうなくなり、少し歪んでみえた。
「春香、いるのかい?君のお母さんと一緒に向かえにきたよ」
建設現場の最上階に母親と一緒にきた私はそう声をかける。
すると、物陰からスッと春香が姿を現した。
「探偵のおじさん。本当にママをここまで連れてきてくれたんだね。
・・・・ママ、やっときてくれた・・・春香ずっと待っていたんだよ」
その大きな瞳に涙をいっぱいため、母親見つめる春香。
しかし、それとは対照的な暗い瞳をした母親の瞳に私は違和感を覚えた。
母親の様子がおかしい、歯をカチカチとならしながら、その目は怒りに変わっている
そして、醜く歪んだその表情のまま・・・・
「春・・・香・・・ダメじゃない・・・急にいなくなっちゃ・・・・心配したのよ。
あなたはいつも、いつも、いつも!いつも!いつも!私に迷惑をかけてばかり!!
なぜ?そんなに私が憎いの?それにあのビデオはなに?パパを私から奪ってたのしいの?
パパの妻は私!私なのよ!春香あんたじゃない!!あんたはただの薄汚い泥棒猫!
パパが本当に愛しているのはこの私なの?わかる?わかってんのかよーこのくそ女!!
もうこれ以上、パパに付き纏うな!喋るな!触れるな!パパが汚れるだろーが!
そうか!そうか!そうか!そうか!あんたが誘惑したんでしょ?そうでしょ?そうなんでしょ?上等じゃないの!あんたがその気なら私にだって覚悟あるんだよ!・・・・・殺してやるよ!!春香―!!」
そういって母親は、ハンドバックから包丁をとりだす。
あの包丁は、私のキッチンと同じものだ。まさか・・・あの時からすでに殺意が!
私の頭の中で警戒音が鳴り止まない。
春香を助けなければ、それしか頭に浮かばなかった。
私は母親と春香の間に立ちふさがった。
「奥さん!あなたは、なにを言ってるか判っているのか?
春香さん・・・春香が誘惑した?本気でそんな事をいっているか?
春香は今まで1人で戦ってきたんだぞ!
幼少の頃から、誰にも言えず、一人で父親の虐待から!!
それに気がつけなかったあんたが、そんな事を言う資格なんてない!」
頼みの綱だった母親がこうも狂っていたなんて・・・・
まさか、私に春香を見つけさせたのも、殺すため?
もし、そうなら私はとんだ間抜けだ。
みすみす春香を危険な目に合わしてしまった。
今、私の背に隠れるこの子はどんな表情でいることだろう?
父親の性欲のはけ口となり、母親の嫉妬心から蔑まれる。
もう、この子を守ってあげられるのは私しかいないのだ。
―――――その時、私の身体に熱さが走った。
なにが起こったのか判らない。
今まで経験したことのない熱さ。
その熱さはどこからきている?
私の・・・・・背中から?
私は、その熱さの原因を確かめようと後ろを振り返る。
そこには春香の美しい顔があった。
そして、私の背中には刃物がめり込んでいた。
「・・・・おじさん、邪魔」
地面に倒れる間際にみた春香の瞳は暗かった。
なにが起こったのか判らない。
なぜ私が春香に刺されなければいけないのか?
なぜ春香が私を刺したのか?
ワカラナイ
私は背に走る痛みで地面をのたうち回りながら、聞こえたのは春香の声。
「おじさん、痛かった?ごめんね・・・でもね?
やっと、やっと、やっとこの日がきたんだよ!
この女を殺して、私の夢が叶う日が!
やっと、ママもぉー本気になってくれたみたいだしー
ねぇー?ママ!!殺しちゃっていいよねぇーママのこと」
ワカラナイ・・・何を言っているかワカラナイ
「ごちゃごちゃうるせぇー!てめぇーなんかにあの人を!あの人を!
パパを渡すわけねぇーだろ!ホラ、かかってこいよ!雌豚!」
私はこの親子がなにをいっているかワカラナイ
そして、その親子は互いに刃物を向けあい、傷つけあっていた。
その目の前に広がる残酷な光景は、私には現実と思えなかった。
「美しい光景だろ?」
その言葉にハッとなり、その声のする方に視線を流すと、
そこにはあの父親が立っていた。
私は背中の痛みに耐えながら、必死に声を荒げ
「どうして・・・どうして・・・お前がここにいる?」
「ああ、妻から連絡をもらってね。「今から春香を殺すから見にきて」とね」
「だったら、なぜ止めない!
目の前で妻と娘が殺し合っているに、なにも感じないのか!」
「感じているさ。私は今まさにこれほどにない幸せを感じているよ」
「幸せだと?」
「妻と娘が私を狂おしいほど愛し、私を奪いあい殺しあっている
これほどの家族愛があるものか」
「狂っている・・・それに春香はお前のことなど愛していない。
お前がした虐待のせいでああなってしまったんだ」
「虐待?探偵さん本当にあのビデオをみたのかい?
あのビデオに映っていた春香の表情はとてもうれしそうだっただろ?
あれは春香自身が望んだことなんだよ」
私はビデオを最後まで見ていない。いや見れなかった。
本当にそうなのか?あのビデオに映っていた行為は春香が望んだことなのか?
「なぜこんなことをさせる。私を雇った理由はなんだ!」
「もちろん、妻と娘に殺し合いをさせるためですよ。
私は末期のガンを患って、もう先が長くない。
妻と娘、両方の愛に答えるのには時間がなさすぎる。
だから、生き残った方を愛そうと考えた。
君を雇ったのは。この究極の愛の目撃者になって欲しかったからですよ。
妻と娘に愛されすぎている私を、妻と娘に愛想をつかれた惨めな君に
自慢したかった」
「ふざけるっ・・・・・!」
「ヒャハーーーーーーーーー!!」
そう、怒鳴り散らそうとした私の声に割ってはいってきたのは、
奇妙な雄叫びのような笑い声だった。
「ひゃはっははは!死んだ!やった!やってやった!ざまぁみろ!
私の勝ちだ!これでパパはアタシのものだ!」
そこには母親の身体に馬乗りなり、包丁を振り上げ、
腹に何度も何度も刺突し続け、返り血で真っ赤に染まった春香の姿だった。
そして、春香は自分の父親の姿を見つけると満面の笑みを浮かべ
小走りにかけてくる。まるで子供のように・・・
「パパーパパーやっと会えたー!!ねぇ、見てた?見てた?
計画通りあの女殺したよ?春香偉い?パパ、褒めてくれる?
パパに会えなかったの辛かったけど我慢したよ?
パパの事を嫌いになった演技もがんばってしたんだよ?
夜はさびしくてあのアルバムから抜き取ったパパとの写真をずっと眺めてたんだよ?」
「春香、よくやったな。えらい、えらいぞー」
「やったー!パパに褒められた。これで私の夢叶えてくるよね?
「パパのお嫁さんになる」って小さい頃からの夢叶えてくれるよね?」
「ああ、いいよ、春香・・・」
春香とその父親は、誓いの口付けとばかりに、
その唇を重ねあっていた。
私は間違っていた。最初から間違えてしまっていたのだ。
「どうして・・・春香・・・どうして・・・どうしてなんだ・・・」
「あれ?おじさん、いたの?ゴメン忘れてた〜。アハハ。
おじさん、聞いて。これ私とパパで考えた計画なんだー。
あのアルバムも、スケジュール帳も〜、あと〜パシリの友美を使ったたりー
藤原君は嫌っていたから、足首きっちゃった。でもなんとか脅して
協力させたんだよー。あれは大変だったなぁー。
ビデオも綺麗に撮れていたでしょ?
これも全部、全部。パパのため!
あと、あの女をその気にさせるために計画したんだ。
あの女ったら、何回も挑発しても全然のってこないんだもん。
でも、今回はおじさんのおかげで、私の事、殺る気になったみたいだけど
やっぱ、赤の他人から私達のラブラブビデオを見せられたのがよかったのかな?
ほら、殺すだけなら簡単じゃん!やっぱ戦って勝ってずたずたに殺して
パパの愛を勝ち取ってこそ、本当の愛だと思うんだよねぇー」
私は今まで春香の手の中で踊らされていたのだ
私の言葉はもう出なくなっていた。
その代わりに私の瞳からはとめどない涙が溢れていた
「おじさん、背中痛いの?ごめんね?
泣かないでおじさん、私が慰めてあげるよ
これは私からのお礼・・・・」
そういうと、春香はスカートを履いたまま下着を脱ぎ捨て
私の身体の上に乗り、腰を振り続けた。
私はその狂った世界でただ赤子のように泣くしかなかった。
そして、彼女の中で果ててしまった。
「探偵さん、あなたには生きてもらいますよ。
このすばらしき愛の目撃者としてね・・・
今、救急車を呼びましたから安心してください。
これは今回の報酬です。ありがとうございました
それでは・・・」
「おじさん、バイバイー!またねぇー!」
父親と娘は、母親の死体と銀色のアタッシュケースを残し
闇へと消えていった。
>「ヒャハーーーーーーーーー!!」
>そう、怒鳴り散らそうとした私の声に割ってはいってきたのは、
>奇妙な雄叫びのような笑い声だった。
>>13 ,,、,、、,,,';i;'i,}、,、
ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人__/し、_人_入
`、||i |i i l|, 、_)
',||i }i | ;,〃,, _) ヒャハーーーーーーーーー!!
.}.|||| | ! l-'~、ミ `)
,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
.{/゙'、}|||// .i| };;;ミ
Y,;- ー、 .i|,];;彡
iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
{ く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ
゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__
゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
;;;;;;;;''''/_ / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/
―――三ヶ月後。
私の日常はまた静かな生活が戻っていた。
背中の傷の治療のため入院中にした病院に何度も警察がきて事件のことを聞きにきたが
私は私の知っていることをすべて話した。
しかし、まだ春香とその父親の行方はわかっていなかった。
そんな中、私の元に差出人不明の小包が届けられた。
中にはビデオテープが一本、入っていた。
そのビデオを再生してみると、そこに映っていたのは春香だった。
「やっほーおじさん元気!春香は元気にやってるよー
実はおじさんに報告があって今、ビデオとってまーす。
ちゃんと映ってるかな?へへへ〜
実はね、あれからパパの病気が悪化しちゃってさ、
パパ死んじゃったんだ。すごく悲しかったよ。私も死んじゃおうとおもったんだ
でもね・・・死ねなかった。だって・・・・あは、恥ずかしいなぁ〜
あのね、おじさん、実は春香のお腹には赤ちゃんがいます。
おじさんとの子供だよ!あっ、赤ちゃんができたからもうおじさんじゃないね
「パパ」だね。春香は「パパ」のお嫁さんだね。
また会いに行くね「パパ」アイシテイルヨ、「パパ」」
私は静に画面の春香に指先で触れ
「ワタシモ アイシテルヨ ハルカ」
狂っていたのは誰?
完
以上となります。
読んでいた皆さんありがとうございました。
感想などいただけるとありがく思います。
それでは・・・
ヤンデレというより基地外に見えるのは俺だけだろうか
>>16乙でした。
賛否両論色々あるだろうけど俺は読めて良かったと思う。
ただ、
>>15やっぱりこれ思い浮かんじゃうよな。
>>16乙
あと前スレの桜も乙
携帯からだが、毎日こうやってヤンデレを見てニヤニヤしている自分が怖い
>>16 乙でした
ただ私も
>>17の人と同じでヤンデレというよりただの基地外に感じました
自分の父親に執心してるかと思えば平気で探偵と交わったり・・・
>>16 まずはGJ!よく頑張った。そして次回作に期待している。
感想だが、ヤンデレとメンヘラを少し勘違いしてるように思える。病むにしても中身が違う。
誤字脱字も目立つし話の展開に矛盾と粗が目立つ。もっと丁寧に時間をかけて書いた方が良いと思う。
読者が疑問に思うだろう部分をハッキリ書くとか、あやふやな部分とハッキリする部分を分けたほうがいい。
主人公を『探偵』にした割にはさして面白みを感じない。謎もなければ伏線もない。
探偵=推理物の図式があるからにはもっと謎や驚き、読者が疑問に思う部分が必要だと思う。
推理物でなくとも、「そうだったのか!」となるようなものがほしい。探偵を主人公にしたからには最低限そう考えてしまう。
でもヤンデレSSなのだから、ヤンデレとしての病むまでの過程や病みの深さ、そういうものも丁寧に書いてほしい。
ヤンデレ=狂うとかヤンデレ=殺傷沙汰とかヤンデレ=な考えがあるが、結果だけ見せられてもただの殺人。
ヤンデレとしての過程がしっかり描写されてるからヤンデレの行動や結果が際立って見える。
探偵とヤンデレ物だったら、考え方やネタ一つでまた別の結末や別の物語が出来たと思う。
そう考えると、別に探偵でなくとも良かったと思うし、ヤンデレという素材の味も引き出せてないと思う。
でも悪いとこはいくつも書いていくうちに良くなっていくだろうからこれからも頑張ってほしい。
またヤンデレスレで書くならschooldaysとSHUFFLEと未来日記を見直してヤンデレについて勉強するといい。
荒らしじゃないよ。ありのままの感想を書いただけだよ。ウナギとかじゃないからね。
一応乙と言っておきます。
>>16 乙!
最後の展開でようやくタイトルの意味を理解したよw
>>16乙です
さぁて…題名の無い長編5の人です 皆様お久しぶりです
投下します
アツシに電話を掛けた後
公園のベンチに深く腰掛ける
「はぁ…」
自然とため息が出てしまった…なんか俺疲れてるのか?
この俺みたいなのが疲れるなんてな…ハハハ
バカみたいだ、実際バカなんだが
アツシには今日会ったことを包み隠さず話そう
変に話を弄くってもアツシのためにならんからな
それに俺は作り話は得意な方じゃないからな
「いよう!タロウ!話ってなんだよ?」
「ああ…アツシ来てくれてありがとな」
「なんだよ、らしくねぇな」
「いやな…その…あれだ」
「ハッキリしろって」
アツシが俺の隣に腰掛けてきた
ああ…どう切り出したものか!!
今日あったことを話すのはいいが何処から話そう?
悩むな俺!!悩むな俺!!
下手に話せばアヤちゃんとアツシの関係がヤバイことになるかもしれん
そうなればアヤちゃんに狙われるのは間違いなく…俺
まだ死にたくねぇよ…
いやいや…何を考えているんだ俺は…全くしっかりしろ俺!
今日起こった事をアツシに言うそれだけだ!
…よし!
「実は今日…」
「おう」
俺の表情を見てかアツシが真剣な顔をした
俺は俺なりの言葉で今日の出来事をアツシに語った
殆どアヤちゃんの事なんだが
アツシは黙ってソレを聞いていた
質問もすることなく、相槌も打つことなく
ただ黙って前を向き聞いていた
「・・・という事だ、真実は100%だ保障する」
「…おう」
アツシは俺のほうをゆっくり向き
「お前アヤをビンタしたのか?」
「お、おうよ…」
やっぱソコに食付くよな、男が女を叩くのはイイ行いではないもんな…
てかアツシが今までにない位…怖い
アツシが俺をじっと睨むその視線で死にそうだ
「…でも、お前が手を出すって事は相当な状況だったんだろ」
「まぁ・・・な」
「言葉だけじゃ伝わらない部分もある、その辺は察してるつもりだ」
「…」
「もし…アヤに手を出したのがお前以外だったらぶっ殺してるトコロだ」
怖ぇぇええ…こんなマジなアツシは中々見れない
それだけアヤちゃんを想ってるんだろう
愛ゆえの・・・何とかだ
まぁ…この鈍感の事だから自分がアヤちゃんに
惚れてる事すら気づいてないだろうがな
急にアツシが表情を緩め
「タロウ…今日は話してくれてありがとな」
「へッ…コレくらいお安い御用さ」
「じゃあ…俺はこの辺で帰るわ」
そういって立ち去ろうとするアツシに対し俺は…
「待てぇええい、恋に悩める少年よ!!」
「何だよ?てかさっきまでシリアスだったのにもう元通りかよ」
「ふはははは!事が過ぎてしまえばどうという事はないのだよ!!」
「うぜぇ…そもそも恋に悩んでねーし」
こやつめ…
「直球に聞く!アツシ!お前アヤちゃんの事がスキだろ!!」
「バカ言ってんじゃねぇよアヤの事は何とも…」
学校でアレだけイチャついてんのに…スキじゃないってか
ははーん…アツシはバカだバカだと思っていたが
実際のところ本当はバカらしい
そんなんだから死亡フラグが気づかないうちに立つんだよ
「アヤちゃんの事は何でもないんだな?」
「そうだよ!!」
「それはどうだろうな?よく考えてみろ…例えば他の男と付き合ったりしたら?」
「…」
ピクリと反応…効果的だなもう一押しいくか
「お前の知らない所でキス…それ以上の事をしていたら?」
「……ぐ」
面白い位の反応だ…恐らく彼の頭の中はアレな想像で煮えたぎっているだろう
「そんでその男との間に子供ができたら?」
「………ぐぐ」
あんまり押すと俺が殴られそうな感じがプンプンする…もうやめておこう
「でもお前はアヤちゃんのことは何とも…」
俺が言い切る前にアツシが言い放つ
「違う!!アヤの事が大好きだよ!今気づいたよクソッたれ!他の男に取られてたまるか!」
「はぁ…お前という奴は…」
「バカだな俺って…」
皆さんバカって素晴らしいと思いませんか?
ご覧ください彼は素晴らしいバカです!愛すべきバカです!
バカは世界を救う!!
バキッ!!――
「あべしッ!!…アツシよ…なぜ殴る…」
「いま俺の事バカにしただろ」
「シテナイヨー」
「この野郎…」
顔が真っ赤なアツシ、自分んお気持ちに気づいてやりきれない感じだ
まぁ…仕方ないかコイツ恋愛とか疎そうだからな…
「で?アツシさんよどうする?」
「どうする?って…いままで通りで…」
「で、ウダウダしているウチに他の男にアヤちゃんを取られると」
「ぐ…ソレは嫌だ、どうすりゃいい?」
「告白してしまえ」
「むぅ…」
「それで宣言しろアヤはおれの女だって」
「出来るか!!」
「ま、宣言はおいといて告白はするんだろ?」
「…お、おうちゃんとこくはく…する」
「何時?」
「明日しようと思う」
早ッ!!…まぁ俺が急かしたせいだろうが…
あーあ、なんだろうねこの純情ボーイはおじさん面倒臭くなんてきちゃった
「そうか頑張ってな〜サヨナラ〜」
「おい!タロウ…俺にココまでやっといて…それは無いだろ?」
今度は帰ろうとした俺をアツシが止めた
そしてアツシが尋常じゃない力で俺の両肩を掴む
ミシミシって音してますよ!すごく痛いですよ!
肩が砕けたら俺は死にますよ!
弾けて死にますよ!
「わ、わかったアツシ…最大限の力で協力させて頂きとう存じます…」
肩から手が外れる…助かった
アツシは何処でどう告白するか、いかに邪魔が入らないようにするか
などいろいろ俺に相談してきた
協力すると言ったからには最高の舞台とシチュとまではいかないが
それなりの舞台を用意させてもらう
そうアツシに約束した
「それじゃ明日な、タロウ頼んだぞ」
「おうよ任せとけ、イイ告白の舞台をつくってやんよ」
そこでアツシと別れ帰宅する…
布団で横になりながら俺は確信する
アツシが告白することで
アツシ、アヤちゃん、メイちゃんの関係が後戻りできなくなる状態になる事を…
はたしてコレでよかったのだろうか?この行動でよかったのだろうか?
いや…否定的な考えはダメだ!過ぎた事だ!悲劇が起きないように最善を尽くすのみだ!
♪―
携帯が鳴るメールが一件…メイちゃんからだ
【兄さんと何の話したの?】
【世間話とエロ話しただけでゴワス】と返信する
普段はメイちゃんからこんなメール来ないのに…なんかバレたか?
♪―
返信来るの早ッ!?
メイちゃんから【ふ〜ん そういう事ならいいや オヤスミ】
【オヤスミ】と返す…なんだ俺の考えすぎか…
ん?さっきのメールまだ文がある?改行しまくってるのか…
どんどんと下に…一番下にはこう文が打ってあった
【嘘は身を滅ぼすぞ】
ハハハハ…はぁ…もう寝よう
明日からは自分の周囲にも注意を払おう
>>16 2日分まとめてGJ! 昨日から乙でした〜
以下、感想と言うか指摘、むしろ違和感の提示です。
春香が「ヤンデレ」に該当するんだと思うけど、「パパ」という概念を凶愛するキャラって解釈でいいのでしょうか?
そうでないと、ただ単に年上の男性に性的愛情を向ける「病んでる」娘キャラにしか見えませんでした。
ヤンデレは通常、対象の身を守るために他人に身体を差し出す以外は、一切他者にそれを許さない、と思っていたので。
あと、春香が探偵と交わったのは、父親が病のせいで種無しだったから、という解釈が頭に浮かびました。
その件を差し引いたら、話中のメイン全員が狂っていったということが、ひしひしと伝わってきました。
狂気と戯れれば狂気に染まる。狂人の愛は狂気という猛毒。
無駄に長くなりましたが、創作と投下、お疲れさまでした。
また次回の作品を、お待ちしています。
今回はココまです…短いですね、続きはまた後日
今回は軽い気持ちで読んで下さいな…マジで…
次回からは色々と荒れる予定です
>>31 まずは謝罪を。
ごめんなさい。パソコン画面で更新確認せずに、割り込み投稿してしまいました。
重ねて本当に申し訳ありませんでした。
謝罪はここまでにして、話はGJでした。
アホ男子2人の青春トークだったけど、次回からは狂気が乱れかう恋のバトルになるのか……
次の投下を、楽しみに待っています。
乙
>>31 乙です。会話と思考の描写しか書かれてなくて、情景描写が一切ないのが新鮮でした。
緊張感が一切なく、感情移入もしないので淡々とした感覚でスラスラ読めて驚きました。
句読点の「、」を使いながら「。」を使わないのがmixiやブログっぽくて良いですね。
高校生の甘酸っぱさや独りよがり、自己満足な軽い思考と行動をそのまま上手く文章に表現してると思います。
次どうなるのか展開に期待しています。頑張ってください。
ここには専門的に評価してくれる方々がいるようだね
are?
前スレ埋まってない?
>>35 ワロタw
こんなに嫌みなレス久しぶりに見た
>>35 お前いくらなんでも失礼すぎだろ
頑張って書いてるのにそんなこと言われ方されたら傷つくぜ
ところで「題名の無い長編5」はもうそろそろ題名つけてもいいんじゃない?
>>35 そんな減らず口が叩けるなら自分で書いてみろ
この粗大ゴミの分際の屑が
おまいら、身近にいる親類友人等の女性が自分にヤンデレになったらどうなるのか考えて落ち着くんだ!
>>39>>40 お前ら誤解すんな。馬鹿になんかしてないだろ。むしろ感心してるくらいだ。疑うのよくない。
これ全部狙って書いてるだろ。計算した上で軽いノリで携帯小説風に読みやすく書いてるんだよ。
会話と思考だけでの表現は面白さと技術がないと書けないし、ノリの軽さは次回重たくなる伏線だろ。
物語の展開のギャップをつけるためにサラッと軽く書いてるんだよ。
読者の意識まで考えて書くなんてなかなかできるもんじゃねーよ。素直に感心したくらいだ。
書き方で誤解させてしまったようだが馬鹿になんかしてないぞ。
バカにするなら「つまんねーから消えろカス」だけで済ませるっての。
/\___/\
/ / ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, | < まーたはじまった
| ,;‐=‐ヽ .:::::| \_______
\ `ニニ´ .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\
前スレの続きが読みたい
修羅場スレのバカが書き込んでいるのか
いちいち触るなよ
前スレ
>>825を見て
最近ジャンプで連載開始した某漫画を思いだしたのは俺だけじゃないはず
間違ったことはしてるけど、間違ったことは言ってないからな
作者が批評と受け取るなら逆の事をすれば良いだけ
箇条書にしてあるしね
前スレの埋めネタでSS書いてほしいと思ってるのは
俺だけじゃなかったなw
前スレ
>>825 なんという北斗残悔拳…いいオチだ
なんかこのスレやたら北斗ネタでるな
ヤンデレと関係あるのか?
無いなら自重してくれよ・・・
>>48 俺もだから安心汁
というか勝手にあの漫画キャラで脳内再生された
ヤンデレのメイドさんに監視されて、外での行いをいちいち咎められたりお仕置きされたりしたい
前スレ
>>825 埋め技としてはこれ以上なく、話としては反則気味な、まさしく無茶でした。
クールな天才肌生徒会長に淫乱で粘着質で応援型キャラ、もったいねぇ……!
何はともあれ、お疲れさまでした。
>>52 一度北斗を読んでみたら、なんとなく理解できると思う。
あの話は、自らの信念とともに誰かを深く愛するキャラが意外とそこそこいたからな。
ただし、格闘漫画故か、基本的にそいつらは男だったけど。
投稿します。
第三話です。
その日、いつものように私は、マサトくんのお部屋までお迎えにあがりました。
昨日の夜、帰宅されたマサトくんは、私達と一緒に晩御飯を食されることなく、お休みになりました。
もしかしたら、マサキ先輩と何処かで食事をされて来たのかも知れません。
もし、これからもそういう事が増えるなら、マサトくんの分の晩御飯は、自重しなければいけない日も増えるかも知れませんね。
私の手料理を食べて頂けないのは非常に残念ですが、これもマサトくんの幸せの為です。
きっと、私よりマサキ先輩とご一緒に食事をとられた方が、お幸せでしょうから。
・・・これから、どのくらい私はマサトくんのお世話の部分を、マサキ先輩に引き継げば良いのでしょうか?
毎日の起床は?毎日の朝ごはんは?お昼のお弁当は?お部屋のお掃除は?・・・まだまだあります。
今度、マサキ先輩に直接聞いてみるべきでしょうか?
とはいえ、マサキ先輩、本日はお見えになっていない所を見ると、毎日の起床は私が行って良いのでしょう。
私は、いつも通りに朝食の用意をさせて頂いて、マサトくんを起こしに向かいました。
・・・ですが、マサトくんのお部屋に参上した私を待っていたのは、すでに起床されているマサトくんでした。
「・・・おはよう、悪いけど今日は休むから。一人で行って欲しい」
いつもはお蒲団の中で熟睡しておられるマサトくんが、一人で先に起床しておられます。
いままで、一度も無かった出来事に私は驚きを隠せません。
「マサトくん、どうかされたんですか?」
確かにマサトくんは低血圧で、朝にとても弱いのですが、ここまで不機嫌なマサトくんを見た事は初めてです。
マサトくんは普段着のまま、ベッドの上に腰かけて項垂れています。
私は思わず心配になって、マサトくんに近づいて行きます。
「近づかないで!・・・頼むからほっといてくれ」
・・・びっくりしました。まさかこんな大声で怒られるなんて。
「ご、ごめんなさい。本当にすみませんでした・・・」
私は慌てて、その場で深々と頭を下げました。
けれど、マサトくんからは何の返事もいただけません。
恐る恐る顔をあげると、マサトくんは私に背を向けてベッドの上に横たわっていました。
先程、目の下に隈が出来ているのが見えたので、これから一眠りされるのかもしれません。
と言う事は、昨日は一睡も出来なかったのでしょうか・・・?
でも、普段着のまま眠るなんて、風邪を引いてしまいます。
だから、マサトくんの身体にせめて毛布の一つでも掛けてあげたいです。
でも、先程近づかないよう釘を刺されたばかりですし・・・。
「下におりますから、何かあったら呼んでくださいね・・・?」
私は後ろ髪引かれる思いのまま、マサトくんのお部屋を後にしました。
・・・しばらく、マサトくん宅の一階で何をするでもなく、じっと座っていました。
ふと、時計を見ると学校の一限目はすでに始まっている時間でした。
私はずっとマサトくんの異変の原因を考えていました。
マサキ先輩が好きであるマサトくんは、昨日の告白に成功したはずです。
だって、どんな女性の方であっても、マサトくんから告白されて断るはずがありません。
ですから、今日のマサトくんはとてもご機嫌なはずです。
普段の眩し過ぎる笑顔を浮かべて、私と一緒に学校に登校するはずです。
そして、いつも通り駅のホームでマサキ先輩と出会った私たちは、いつも通り学校に向かいます。
ただ、唯一普段と違うのは、マサトくんとマサキ先輩は恋人同士になったのですから、私がそれを邪魔してはいけないという事です。
きっと、電車では出来るだけお二人から離れた場所に座ります。
お昼もマサトくんにお弁当だけお渡しして、私はお二人の邪魔をしないように何処かで、ひっそりと食べましょう。
学校では、出来るだけお二人が一緒に居られるよう計らいましょう。
帰宅する際も、私は先に帰宅するべきかもしれません。
・・・いいんです、マサトくんが幸せならそれで。
でも、そうなっていない。マサトくんが幸せそうにしていないという事は・・・。
私は、いてもたっても居られなくなりましたので、家を出る事にしました。
あの状態のマサトくんを放置しておくのは、非常に不安なのですが・・・仕方ありません。
マサトくんがああなってしまった原因であろう人物に直接問い詰めるために。
私は制服姿のまま、カバンも持たないでマサトくん宅を飛び出しました。
「おや、珍しい。今日は氷室さん一人なのかい?」
・・・いました、マサキ先輩です。
いつも通り駅のベンチに腰かけて文庫本を読んでおられます。
私が一人なのを先輩は驚いておられるようですが、私も、まさかいまだに先輩がここにいるとは思っていませんでした。
時刻はすでに二次限目の授業がとっくに始まっている頃だというのに。
私たちが居なければ、本当にこの方は遅刻してしまうのですね。
自らの腕時計を見たマサキ先輩も、驚いているようです。
「おお、これは驚いたね。完全に遅刻じゃあないか」
ちっとも驚いている風に見えないのが、この方らしいと言えばらしいのですが・・・。
しかし、今はそんな事はどうでもよい事だと考えます。
私にとって最大の問題点は、マサトくんがああなってしまった原因が間違いなくマサキ先輩にある、という事です。
それを、この方から問いただす事だけが最優先すべき課題で、マサキ先輩の遅刻など私は関知しません。
「マサキ先輩。お話があるんです。今からお時間いただけますか?」
「ふ・・・む。そうだね、どうせ授業は遅刻だし。たまには氷室さんと女同士の付き合いをするのも悪くないだろうね」
断られるかとも思いましたが、マサキ先輩にはすんなりと了承して頂けました。
私は丁寧にお礼を述べると、マサキ先輩を連れだって駅を出ます。
・・・出来るだけ、何処か人気のない場所へと連れていく必要があります。
事と返答次第では、私はとても黙ってはいられないでしょうから・・・。
「ああ、そうだね。マサトは私に告白してきたよ。いや、実に驚きだったが」
相変わらず全く驚いているようには見えません。
マサキ先輩の顔は普段通りの能面で無表情です。
もしも、普通の女の子がマサトくんから告白を受けようものなら、喜びに舞い上がるはずです。
きっと、私が告白を受けようものなら、喜びを通り越して気絶してしまいます。
なのに、目の前のマサキ先輩は実に無感動に見えます。
「氷室さんはマサトの事が好きなのだろう?私はてっきり二人は両想いなのだと思っていたが・・・マサトも実にお馬鹿な男だね。こんな可愛い幼馴染がいて横恋慕なんて」
「マサトくんの事を馬鹿にするのはやめて下さい。お願いします」
私は言葉では努めて冷静にマサキ先輩をたしなめました。
けれども、私の顔は自分でも抑制が利かないほど、怒りで引き攣ってしまいます。
誰であろうと、マサトくんを馬鹿にする人は許しておけません。
「おや、怖い顔だね。悪かったよ、謝るからそんな顔しないでくれたまえ」
「それで、マサキ先輩はマサトくんとお付き合いされるんですよね?」
そうです、あのマサトくんの告白を受けたのですから、断るはずがありません。
ましてや、あれだけ意気投合しているマサキ先輩とマサトくんです。
きっとお似合いのカップルになることでしょう。
ですが、それでは今日のマサトくんの様子に説明がつきません。
「おやおや、氷室さんは私とマサトが付き合ってもいいのかい?」
「マサトくんがそれを望むなら、私はそれを全力でお手伝いするだけです」
そうです、マサトくんがマサキ先輩を選ぶなら、私はそれを全力で応援するだけです。
私は今まで通り幼馴染として、傍にいて、お世話をさせて頂くだけで構わないのですから。
自分の想いなんて関係ありません。マサトくんが幸せならばそれだけでいいんです。
・・・心なしか、普段から無表情なハズのマサキ先輩の顔が、睨みつけて来ているような。
「正直、氷室さんの言っている事は、まったく理解できないね。私なら相手を殺してやるよ」
ゾクリ。
何故でしょう?マサキ先輩が言葉を発した瞬間に、私の背筋にうすら寒いものが走りました。
目の前のマサキ先輩は、いつもどおりの無表情だというのに。
普段の何処か飄々とした雰囲気とは、かけ離れた何かを感じてしまいました。
「ま、安心したまえ。私には別に大切な人がいるのでね。マサトの告白は断らせてもらったよ」
「・・・やっぱり、だからマサトくんはあんなに落ち込んでいたんですね?」
マサトくんの様子がおかしい筈です。
告白がマサキ先輩に受け入れられたなら、マサトくんがあれほど荒んでしまう訳が無い。
とても信じられませんが、本当にマサキ先輩は、マサトくんの想いを踏みにじったのです。
・・・可哀想なマサトくん。あんなにも先輩の事を想っていたのに。
酷いです。どれだけマサトくんが傷ついてしまったかわかりますか?
私には、自分の事のようにマサトくんの辛い気持がわかります。
ずっとずっと慕ってきたのに、その想いが成就しないという辛さが、どれ程苦しいか。
しかも、先程、マサキ先輩は別に好きな人がいる。と言われました。
・・・好きな人を別の人に盗られてしまう辛さが、あなたにわかりますか?
「そうか、落ち込んでしまったか。・・・なら、氷室さん。君が慰めてあげると良い。折角の良いチャンスだろう?」
一体どんな権利があって、マサキ先輩は告白を断ったというのでしょう。
とても許される事ではありません。
マサトくんの幸せを踏みにじる人間は、誰であろうと許せません・・・。
「フフフ・・・氷室さん。君は本当に変わっているね。恋敵じゃなくなった人間に刃を向けるなんて」
いま、私の右手には化粧用剃刀の柄が握られています。
あの時、自殺未遂を犯したときに使用した剃刀です。
ちなみに、自宅の洗面所の棚から、偶然見つけました。
「さしずめこの界隈を賑わせている、連続殺人鬼のマネかな?だとすると私の喉は横一文字に切り裂かれてしまうね」
私は何も言わず、剃刀の刃をマサキ先輩に向けたまま、立ち尽くしています。
マサトくんを傷つけたマサキ先輩は、いまここで殺します。
どんな理由があろうと、マサトくんの幸せを阻害する存在は許しておけません。
先ほどから手が震えて仕方ありませんが、マサトくんの仇を討つため、がんばります。
「緊張しているのかい?・・・そういう時は深呼吸をするといい。単純だが、意外と落ちつくものだ」
どうして。
どうして、マサキ先輩は刃物を向けられてもこんなに冷静なのでしょう?
無表情の顔の下で、本当は怯えきっている?
・・・とてもそうは見えません。
むしろ、こうして刃物を向けている私のほうが、マサキ先輩に殺されてしまいそうです。
「マ、マサキ先輩。あなたはマサトくんを傷つけました。許せません!こっ・・・殺して差し上げます!!」
私は出来るだけ大声を張り上げて、自分を鼓舞します。
手も足もガタガタと震え続けていますが、ここでくじける訳にはいきません。
マサトくん、私に勇気を与えて下さいっ!
そして、剃刀を構えると、マサキ先輩に向って走り出して・・・。
「駄目だっ!ミクっ!!」
がしり。
・・・誰かに、私の身体を抱きしめられました。
マサキ先輩に向って突進しようとしていた私の身体は、いとも簡単にその人の腕にくい止められました。
別に、その人の力が凄く強かったわけではありません。
「あ・・・ああ・・・」
そうです、私の身体を後ろから抱きしめている人物だからこそ、止まったのです。
一度声を聞けば、決して間違えたりしません。
私が生きる理由、私が生涯をかけて尽くすべきお相手、マサトくん。その人です。
「どうして?・・・どうして、ここにいるのですか・・・?」
「間に合って良かったよ。中々に冷や汗ものだったね。・・・さっき駅から此処へ来る途中にメールを送っておいたのさ」
マサキ先輩の話など、私の耳に入りません。
振り向いた見たマサトくんの顔は、それはもう、怒りの形相で・・・。
マサトくんには笑っていてほしいんです。あの誰しもが心安らぐほどの素敵な笑顔で。
「ミク。どうして、どうしてこんな事をするんだ?何でミクがマサキ先輩を襲わなきゃならないんだよ!」
「う・・・うあ・・・み、見ないでください・・・マサトくん」
こんな醜い私の姿、マサトくんは見てはいけません。
昔からの幼馴染がただの人殺しだったなんて、そんなの、マサトくんの人生に傷がつきます。
ああ・・・ああ・・・そんな顔しないでください。
憎悪の眼差しで私を見ないでください。いつものように笑っていて下さい。
「わ、私は・・・マサトくんを傷つけたマサキ先輩に・・・復讐を・・・」
いままで見た事もないほどの、鋭い怒気を含んだマサトくんの眼光に対して、私はそれだけを絞り出すように伝えました。
「復讐・・・?どうして、僕がマサキ先輩に復讐しなくちゃいけないんだよ!?」
「ひっ!」
いままでで、一番大きなマサトくんの声に、私は思わず悲鳴をあげてしまいます。
ごめんなさい、マサトくん。
だって、許せなかったんです、マサトくんを傷つけたマサキ先輩が。
マサトくんの想いを受けながら、あろうことか拒絶したマサキ先輩が。
マサトくんにただの幼馴染としか見られていない私と違って、こんなにも想いを寄せられている癖に。
許せなかったんです。
・・・・・・・・・・悔しかったんです。
どうして、どうして私では無く、マサキ先輩だったのですか?
私だったら、絶対にマサトくんの告白を断ったりしませんでした。
マサトくんを傷つけるような真似はしませんでした。
・・・本当は、マサトくんと・・・恋人同士に・・・なりたかったんです。
「み、みにゃいで・・・くだしゃい・・・ごっ、ごめんにゃしゃ・・・い」
いつの間にか、私の瞳からは涙がこぼれていました。
口の中は唾液や鼻水でぐしゃぐしゃで、まともに喋ることが出来ません。
きっと、今の私の顔は、とてもマサトくんに見せられるものでは無いでしょう。
唯一の救いは、涙で視界がぼやけて、あのマサトくんの怖い顔を見なくて済んでいるという事だけです。
「あっ!?」
私を後ろから抱きしめていたマサトくんを、力任せに振り払います。
もちろん、マサキ先輩に対してこれ以上、何か危害を加える訳ではありません。
・・・もう、いいんです。マサトくんもそれを望んでいないようですし。
むしろマサキ先輩にはこれからも生きていてもらわなければなりません。
再び私に飛びかかろうとするマサトくんですが、私の行動を見て、足を止められました。
それは、私が自分の首元に剃刀の刃を当てたからです。
「うぐ・・・マ、マサキ先輩。お願いがあります・・・」
口の中にたまった唾液やらを飲み込み、鼻を啜ります。
出来るだけ、ここからの言葉は正確にお伝えしなければならないからです。
ちゃんと喋らないと、マサキ先輩はお願いを聞いてくれないかも知れません。
「・・・なんだい?氷室さん」
「申し訳ありませんが、マサトくんの告白を受けてあげて下さい。そして、是非私の代わりにマサトくんのお世話をしてほしいのです」
「ミク、なに言ってるんだよ。僕はもう・・・振られたんだ。それに、世話を焼いてくれるのはミクの役目だろう?僕はこれからもずっとミクに世話を焼いていて欲しいんだ・・・」
マサトくん・・・良かった。笑ってくれている。いつもの笑顔で。
マサトくんの笑顔を取り戻すことが出来て良かったです。
これで、私が死んで、マサキ先輩がマサトくんとお付き合いを始めれば、きっとそれは永遠のものとなるでしょう。
・・・そうでなければ、あの世から、お怨み申し上げますからね?マサキ先輩。
「マサトくん・・・。今までありがとうございました。私は、マサトくんと過ごせて、とても幸せでした・・・私、ずっとずっと・・・マサトくんの事が・・・いえ、なんでもありません。・・・・マサトくん、幸せに・・・なって下さいね?」
「駄目だ!ミク、やめろぉぉぉぉぉ!!!」
ああ、意識が飛んでいきます・・・これが死ぬって事なんですね?
なんだかとても冷たいです。
あの世と言うものは、どんなところなんでしょう?
きっと、マサトくんが居ないところなど、何の価値も無いでしょうけれど。
マサトくん・・・ずっとずっと・・・お慕い申し上げていました・・・これからも・・・幸せで・・・いて下さい・・・ね。
投稿終了です。
ロボットとヤンデレが好きです。
名前は、その、ごめんなさい。
GJでした!
読んでる時に頭の中で「メイオー」ってww
>>64 GJだ。これはとてもいい。期待せざるをえないと私は言いました。
>>64 GJ!
でもミクは生きてましたーなんてオチがみたいなぁ
おお、いいものを読ませて貰いました。
GJ
友人が少ない、学校では孤立、昼食の弁当はぼっち飯、部活もバイトもやってない
朝「いってきます」と言ったら、夕方「ただいま」という 学校に行くだけの引きこもりみたいな
生活をしているヤンデレっ子が、男と出会った途端に饒舌になるのはおかしいかな?
無口な少女の語り口はどんなふうにすれば、それっぽく見えますか?
>>69 突然なんて摩訶不思議な質問を飛ばすかなアナタは。
無口か……大概にして難しいよな〜
まずは、三点リーダーを多用しない程度に導入すること。
次に無口の理由(嫌悪とか孤独とか卑屈とか)を匂わせるセリフ回しをさせる。
このくらいが大概の無口キャラの表現手法に尽きるかと。
なんか、ろくにアドバイスになってないな〜
ところで、キャラ描写を訪ねてくるということは、作品の投下を期待してもいいんですか?
答えは聞かないので、wktkして待っています。
>>69 男(主人公)にだけ饒舌なのは別におかしくないだろう。心開いてるってことで
同様に三点リーダ多用しようが、特に無口の理由が無かろうが俺は気にしない。すべてのことに理由があるわけではないし
設定だけで全力でその子のことを愛でたくなった。期待している
>>69 語り口や書き方とかの質問は控え室スレとか書き手スレで聞いた方が良いと思う。
無口が饒舌になるのは別におかしくないと思う。ヤンデレならさらに美味しく料理できると思います。
主人公にだけ饒舌ってのはヤンデレ化した時にほどよい狂気が垣間見えてガクブルできるよね。
でも無口なのに主人公にだけ饒舌に喋る理由とかは最初にあっさり書かない方が良いと思う。
面白さの持続ってのは謎の継続みたいなもんでさ、読み手の想像に任せる部分って結構大事ですよ。
まあ無口が主人公の前でだけ饒舌になるその理由や意味を重要視するかどうかによるけどね。
とりあえず楽しみに待たせていただきます。
アドバイスでもなんでもなく個人的な願望なんだがボクっ娘だと嬉しい
74 :
続き:2009/05/24(日) 16:51:59 ID:tiKV3fBe
1
「あはは〜、まっ……仕方ねーよな。あたしは気長に待ってっからさ、じっくり決めてくれよ」
アイツはそう言ってくれたけど、好きだって言ってくれたけど、やっぱり俺は、コイツから、幼馴染みから離れられない。
どんなに嫌いになろうとしても、ただの友達に戻ろうとしても、鉄の意志を固めても……
鉄だと思っていたのは俺だけで、所詮は脆い硝子細工。
「私を心配してくれるのはお前だけだ……私には、お前だけなんだっ!! だからっ!! お願いだからっ、捨て、ないでっ」
たった一言。俺の胸元に顔をうずめて囁やかれ、三流の泣き落としなのに、わかってたのに、その身体を抱き締めた。
俺は、俺を好きになってくれない生徒会長が、幼馴染みに恋焦がれてる。
そう改めて理解したから、せめて高校を卒業するまで、二人が一緒に居る高校生活の間は、必死で頑張ろうと思っていた。
中々振り向いてくれない幼馴染みを、頑張って落とそうと思っていたんだ。
それなのに……
そんな想いは、翌週に早くも打ち砕かれた。誰でもない、俺が一番良く知る幼馴染みの手によって。
「うぅっ……んっ、んぐっ、んむうぅぅぅっ!!」
放課後、生徒会室へ入ったら急に力が抜け、意識が遠退いて、気付いたらこのザマ!!
パイプ椅子に座らせられ、手足を椅子の脚と背凭れとにロープで縛られて、ギャグを噛まされて、ネクタイで目隠しをされた。
そして俺が最後に見たのは、俺自身のオナニー写メと、その横で目を細め、口元を吊り上げて微笑む幼馴染み。
「ふふっ、すごかったぞ♪ 切ない顔して、あんなに早く扱いて、はぁっ……痛くないものなのか?」
昨日の夜。自分の部屋、ベッドの上で、左手にコイツの写真を持ち、一人で、してた。嫌がる幼馴染みを、頭の中で無理矢理にレイプして。
でも、そんな妄想はしなけりゃ良かった。オカズにしなけりゃ良かった。とんでもないトリガーだってわかってたら……ちき、しょうっ!!
「それにしても、最近の携帯電話は便利だ。そう思うだろ? 例えばこの様に……」
ピッ。
『くっ、そ……もてあそびやがって!! 犯してやる……みんなの前で服を引き裂いて、メチャクチャにレイプしてやる!!
泣き叫んだって許してやらないっ、中出しして、膣内射精して、絶対に俺の子種で孕ませてやるぞっ!!』
ピッ。
「犯罪者の犯行声明も、はっきりと録音する事ができる。なっ、便利だろう?」
生徒会室に響くのは、間違いなく俺の声。俺が昨晩、脳内で繰り広げた妄想話し。
2
どこで撮られた? どこから録られたっ!? いや、そんなもん今更どうだっていい!!
大事なのは、打破すべきは、今、この時、この瞬間。
大量のアロマが焚かれているのか、オレンジの香りしかしない生徒会室で、聴覚と触覚以外の五感が殺された密室の中で、手足を縛られた椅子の上で、今の俺に何ができるのか?
ヂヂッ、ジジィ……
「うぐっ、ふうっ!?」
ズボンのジッパーが下ろされる。熱の篭ったチンコを、ひんやりとした手でズボンの外へと引きずり出される。
俺はMじゃ無いし、こんな状況にゃ興奮しないけど、それをリカバーする程にヤバイのは、刻々と濃度を増すオレンジの香り。
思考能力を低下させて、全身を甘く痺れさせて、アソコだけをガチガチの棒状に勃起させる。
「んっ、どうした犯罪者? キサマは、こんな太くて、固くて、ふぅっ、反り返ってぇっ、ふうぅっ、たくましいオチン……ペニスを、膣内で暴れさせたいと思っていたのか?」
唯々、愉快そうな生徒会長の笑い声が、脳へとダイレクトに届いて充満して行く。
とろみの有る液体をチンコに垂らして、グチュグチュと卑猥な水音を立てながら全体に馴染ませて、いつものようにイケない程度の刺激でアソコを挑発する。
「バカ、だなっ。こんな凶悪なオチン……ペニスを挿れられたら、思いっきりピストンされてハメ倒されたら、これ無しでは生きていけない、ペニス狂いとなるに決まってるだろ?」
俺の呼吸は荒くなり、二人揃って荒くなり、まさか、と。もしかしたら……と。
これから訪れるかも知れない展開に、鼓動は落ち着きを忘れて跳ねあがる。
「そうなったら、恋とか、愛とか、関係無くなるのだ。単なるペニス奴隷になってしまう。それは駄目だ……私は、恋とか、愛とかを、知りたいのだから。
しかしな、未だにそれらは理解できんし、高校を卒業するまでに理解する自信も無い。でも、それでも……何度、私に、フラれても……お前は、側にいておくれ?
私が大学へ行くとしたら、お前も同じ大学へ来い。私が就職したなら、お前も同じ職場へ来い。絶対に離さんからな……一生を賭けて、私をオトしてみせろっ!!」
パサッ。
布切れの落ちる音。そして俺の首へと片腕が回されて、顔には息苦しくも心地良い、柔らかく張りのある肉の感触。
息が耳に掛かる。コイツは、俺を跨いで、抱き着いているんだ。
「ふふっ、安心しろ、私も鬼では無い。随分と譲歩したぞ? この一週間は頑張って準備したのだ。お前を受け入れる為に、いーっぱい、ほぐしておいたからな? ふぅっ……んんっ!!?」
3
くちゅっと、先端が熱い場所に押し付けられる。
見えないけど、遮られてるけど、抱き着かれてこの位置に在る部位なんて、アソコしかないだろっ!?
「うむっ、ふんっ!? うぐぅぅっ……」
狭くて、キツくて、全く濡れてない穴の中をゴリゴリと推し拡げながら、痛いぐらいに締め付ける肉壁の隙間を沈ませて行く。
ぢゅぶぶっ、ぎちゅ、ぎちゅ、ぎちゅ、ぬぢゅっ、ぎゅぢゅぅっ!!
「ふんんっ!? ふあっ、おっき……」
ゆっくり、ゆっくり。侵入を妨げるべく、次々とカリ首へ引っ掛かるヒダをえぐり上げて、ズッポリと根元まで咥え込まれてしまう。
気持ち良いってよりも痛みが強いけど、初めて好きな奴とセックスできたって嬉しさが、僅かな快感を何倍にも増幅する。
そんな幸福感の中、頭の後ろから金具の外れる音がして、目隠しが取られたら、一気にドン底へと叩き落とされた。
「ハメ撮り……と言うやつだ。ふふっ、サイレントモードだから遠慮するな……ほらっ、私しかおらんのだ、可愛らしい喘ぎ声を上げて構わんぞ♪♪」
俺の眼前、俺の幼馴染みが、左手にハンディカムのビデオカメラを持って、二人の接合部を撮影してた。
濡らしもせずに挿入したせいで、微かに鮮血が垂れている痛々しいお尻の穴を。
それでも、その唯一の液体を潤滑油に、幼馴染みの身体は上下に弾み始めた。
表情は苦痛に歪んでるのに、脂汗を掻いてるのに、声は震えてるのに、それを誤魔化すように、一心不乱に腰を振り立てる。
「はっ、あっ、あ、あ、あうっ!? おまえはっ、ぁあぁぅぅっ……わたをっ、壊したんだっ!! 証拠も、たくさんっ、あ゙あ゙あ゙あ゙ぁっ!! これでっ……逃がさんぞ?」
涙を流して、口を塞いでいたギャグを取り払い、俺の言葉を待ってるんだ。
わかってる、わかってるよ。ちゃんと言うから。遅くなったけど、ちゃんと言うから。
唾を嚥下して、感謝の気持ちを込めて、コイツの瞳をしっかりと見詰めて。
「遅れたけど、Part24……スレ立て、
>>1乙」
おしまい
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっ!!!!!
俺の勃起したチンコをどうしてくれるんだ!!!!!
1乙で抜くしかあるまい
ヤンデレもの書こうと思ったんだけど、
未来日記読んで無理だと思った。
JUNOには勝てない。
>>69 おかしくない、っていうか、ホンモノのキXガイにはよくある。
あいつら自分の世界にはいっちゃってるから、
その対象に対しては、異常に饒舌になったりするんだけど、
実際に対象の男(女の場合も有る)をまったくみてないから、
なんとも会話が成立しない。
そういう奴は、得てして自己完結的な場合が多いし、
相手からそれを否定された瞬間にめっさ恐ろしいことになるよ。
ボク的には、心の声が常に()書きで他人には伏せられてて、
特定の対象に対して「」でついダダ漏れになるってのが、リアルな感覚。
>>72 書き手スレとか、控え室ってあるのね。
ちょっと覗いてみる。
>>79 俺も似たような経験があるわ。
北欧のブラックメタル関係者(ユーロニモスとか)に関する記述を読んでいたら、
ヤンデレを書くのは無理だと思ったぜ。
あいつらのメタルに対するヤンデレっぷりは異常
>80 キチで悪かったな
>>80 お前それただの自閉症だろが…
ここはヤンデレスレなんだから「実際に対象の男をまったくみてない」
ものなんて
>>69が書こうとする訳ないだろ
なぜか投下する時はだいたいこの時間。
最後のお話、投下します。
あ、すいません。
一応NTR注意しときます。4レス目辺りです。
*****
鈴坊は私から離れていったりしないと思っていた。
ずっとずっと、私を一番に考えているんだと思っていた。
でも。
――僕と、付き合ってもらえますか? 苅屋さん。
この一言が、私の確信を粉々にした。
千里眼の向こう。鈴坊と顔を真っ赤にした少女が見える。
鈴坊と向かい合っている少女が、どもりながら返事する。
鈴坊が笑う。とっても嬉しそうに。
それで、わかった。鈴坊と少女は想い合っていたのだ。
二人の想いは今通じ合ったのだ。
これでいいんだ。鈴坊は人間だから、人間の女の子と結ばれるのが一番幸せなんだ。
永劫に存在することを約束された私にとって、人間の生きる年月なんて、
無為に過ごしても惜しくないほどに取るに足らない。
だから、鈴坊はこの少女と生きるべきだ。
――そう考えられなくなるぐらい、私の心は乱れている。
心を乱してはならない。私は神なのだ。
この土地に佇み、人の営みを見送り、生きとし生けるものを支え続けなければならない。
それができないなら、私が存在している意味は?
嗚呼、でも。
手放したくない。目の届く場所にいつまでも置いておきたい。
鈴坊。可愛い可愛い、私の坊や。
お前に会えなくなるなんて、私には耐えられないのよ。
今でも、こうして離れているだけで心が疼く。
鈴坊が隣に居ればこんなことはない。
私だけでは駄目だ。一緒にいなければ。
もう鈴坊は私の身体の一部だ。
ならば、二度と離ればなれにならないようにしなければ。
一つになろう。私が私であるために。
その日の夜。
眠りに落ちた鈴坊の夢の中に私は入り込んだ。
……鈴坊。起きなさい、私だよ。
「んん……? 誰だ……」
へええ。私の声を忘れるなんて、偉くなったものね、鈴坊。
「……うぇっ! その声はシロ姉さん?!」
そう、私だよ。悲しいねえ、たった一日二日でもう忘れちゃうんだ。
それとも、好きな女の子の心を射止めたからもう用無しになったのかな。
「好きな人って、苅屋さ…………どうしてシロ姉さんがそのことを!」
可愛いねえ鈴坊は。寝言で好きな女の子の名前を呼ぶなんて。
鈴坊が小さく呻く。
成程、今夜はその子のことを考えながら眠りについたのか。
それでいいよ。今は夢中になっていればいい。
相手の子が自分の思い通りの人間だと思っていればいい。
「それで、姉さんは何しに来たの」
ん? ちょっとお別れを言いに。
「お別れ? 誰に?」
鈴坊にだよ。
夢の中の空間に、重たい空気が満ちる。
今の一言で察したのだろう。私の言葉が、何を意味するのか。
「……嘘でしょ」
違う。私は本気。
立派になったよ、鈴坊は。
自分の気持ちを、堂々と胸を張って、恋した女の子に伝えた。
今までお姉さんやってきて本当によかった。嬉しくなっちゃった。
「そんなこと言わないでさ、また僕、神社に行くから。
姉さんに会いに行くから。だからそんな、お別れなんて……」
鈴坊の願いがどれだけ切実なものか、わかる。
だけど、これは必要なことなんだよ。
私と鈴坊が一緒にいるためにはこうするしかない。
だから、今は辛いけど言う。
もうどこに行っても私には会えないよ。
……さよなら、鈴坊。
今まで一緒に居てくれて、ありがとう。
鈴坊の夢から出ても私の用事は終わらない。
次は、鈴坊が恋した少女の夢の中へ。
夢の中でも少女はベッドの上で寝息を立てていた。
……幸せそうな寝顔。この子も鈴坊と同じ気持ちだったんだものね。
でも、駄目だよ。こればかりは譲れない。
か弱い人間の少女相手でも、私は容赦しない。
――この子には居なくなってもらう。
「ううん、鈴鹿くぅん……えへへ」
念じる。夢の世界と私の世界を繋ぐ。
私の内包する世界は秩序が保たれている。
生き物のありとあらゆる念が流れ込んで、それぞれが作用しているからだ。
もしも、いくつかの念が欠けていたら、私は神として存在していない。
今からやることは、一つ間違えば私が消えてしまうほどのこと。
人の念、その中でも取り分け強いもの――男の肉欲を解放する。
夢の中が揺らぎ始める。解放した念が干渉し始めた。
薄暗い部屋。石畳の床。石でできた壁に天井。
外界からの干渉を徹底的に拒む意志が働いている。
見れば、さっきまでベッドで寝ていた少女は石畳の上に寝ていた。
身に纏っているものは上下の下着のみ。
予想していた通りのことが起きた。狙った通りになろうとしている。
肉欲でできた念が、少女を喰らおうとしている。
「んっ……いっつぅ。何なの、ここどこ……?」
少女の声と同時に、三つの影が浮かび上がる。
人の形をした暗黒の獣。
快楽以外を求めない獣は、情けという人らしい感情を備えていない。
「な、なに……ひ、嫌っ! こっちこないで!」
影の一つが少女に飛びかかる。遅れた二つの影が白い腕を掴む。
押さえつけられた少女の足がもがく。
場違いな白は、黒に蹂躙される。
少女の下着がちぎれ、乳房が露わになる。
形容しがたい叫び。獣のあげる歓喜の声だ。
「痛っ、やめ……触らないでよ! あうっ、う、ふぅ、うう……」
少女の乳房が荒らされる。獣の手によってもみくちゃにされる。
一つの影が少女の腹部に乗り、身体を揺すり始めた。
白い腕はまだ二つの影に掴まれたまま。
「何なの、こんな気持ち悪いの、触りたく……、
いやっ、苦し……息でき…………は、ふぅあ、あぅ……」
少女の声が静かになったころ、影が別の動きを見せた。
白い足が大きく開く。影が開いた隙間に入り込む。
恐怖と涙が少女の顔を彩る。
それがいたく魅力的なのか、獣たちが一斉に歓喜し、叫ぶ。
「やだあっ!! 助けて、助けて鈴鹿君!
鈴鹿君じゃないと嫌ぁっ! こんなの、こんなのって……」
獣の腰が少女の股へと潜り込んでいく。
「嫌、いやいやいやいや、いや嫌ぁっ!
どこにいるの! 助けて、助けてよ、鈴鹿く――――――」
そして、白い肢体は獣に貫かれる。
断末魔にも等しい叫び。
されど聞いているのは私と、三体の獣だけ。
いいや、私だけ。
この獣たちに聞く耳はない。欲望に忠実な個体は発散するだけしかしない。
誰にも、もちろん私にも止められない。
自ずから止まるその時まで、少女の叫びが止むことはない。
――これで、準備は整った。
私の望みは叶う。
嬉しい。楽しい。二度とこの幸せは崩されない。
もう私を阻むものは何もない。
*****
鈴坊はやっぱり神社に現れた。
修学旅行から帰り、解散すると同時に脇目もふらず、やってきた。
私と離れたくなかったなら、最初からそんな態度で居れば良かったんだよ?
鈴坊はまず神社の周辺の林を捜索しだした。
そこで見つからなかったら、今度は神社を隅から隅まで見回す。
林、神社、林、神社…………私の姿を求めて足を酷使する。
ようやく足を止め腰を下ろしたのは、とっくに日付が変わった頃だった。
そして鈴坊は、『私』に向けてぽつぽつと喋りだした。
「……ここは、僕の姉さんが居た場所なんだ。
泣いてた僕を慰めてくれた姉さんだった。
子供っぽい、ていうか見た目まるっきり子供なんだけど、僕は姉さんだと思ってた。
僕にはその人の前にも姉さんが居て……あぁ、これは関係ない、か。
とにかく、姉さんに僕は感謝してるんだ。
せめてそのお礼だけでも言いたかったのに、ひどいよ、ホント。
……最後に姉さんは、成長したねって言ってくれた。
駄目な弟分だったけど、最後の最後で姉さんに認めてもらえた、と思う。
ねえ、君もそう思うかな」
二つの意味で『私』は頷く。
一つは鈴坊の姉として、肯定の意味で。
もう一つは、彼の気持ちに同情する意味で。ただしこちらは、人間の女の子として。
一際強い風が吹き、草木がざわめく。
鈴坊が手を差し伸べる。
その手と自分の手を見比べていると、鈴坊が言った。
「もう夜も遅いから帰ろっか。家まで送っていくよ――苅屋さん」
『私』は躊躇いなく鈴坊の手を取る。
そして、初めてこの名前を呼んだ。
「うん、よろしくお願いするね。鈴鹿君」
「しろとすず」はこれで終わりです。
単発ネタのつもりだったのに三週間かかるとかどういうことなんでしょうね。
それではまた別の機会にお会いしましょう。
ノシ
おー、GJ!
その別の機会を全裸で待つぜ!
GJ!
主人公の姉は実は生き別れで再登場する気がしていたが別にそんな事はなかったぜ!
>>92 毎回早朝からGJ!
まさかの(そっちの)NTRオチ……!
次回を楽しみにしています。
>>94 ソードマスター乙
本物の姉登場、確かに少しだけ期待してたけど。
この上なくスマートな泥棒猫始末法だな…
さすが神様。ただの人間にはできないことを軽々とやってのける。そこに痺れるし憧れます。
神の怒りは恐ろしいな
かなりいい
香草さんに会いたい
ボクっ子いいよな
ことのはぐるまの香織しかり、もう何も信じないの光しか
ボクとかオレとか、男口調のヤンデレが好きだ。
無論、普通のも好きだが
ヤンデレVS他ヒロインの嗜虐リョナはー!?
男を人質に取られて行われる、ヒロイン達のヤンデレロワイヤル
おかしいな、なんでこんなに俺がいるんだ?
107 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 18:57:40 ID:GFTWxHtd
「私は友人が少ないの。学校では孤立、昼食の弁当は一人。
部活もバイトもやってない。朝「いってきます」を言ったら夕方「ただいま」と言う、
学校に行くだけの引きこもりみたいな生活をしている……そんな私でも良いの?」
彼女は俯いて言った。
ぼそぼそと呟く彼女の声は、放課後の教室で二人っきりという状況でも、
耳をすましてようやく聞き取れる大きさしかなかった。
長い前髪が顔を覆い、表情は分からない。
「……“私でも”じゃない。僕は君“が”好きなんだ」
僕の言葉に反応し、彼女は顔にかかった前髪を除け顔を上げた。
そして僕の眼をじっと見つめてくる。
……その顔から表情は読み取れない。いつもの無表情。
彼女は何も言わない。
何も言わず、ただじっと僕の眼を見ている。
普段の彼女を知っているから、なんとなく頬を赤らめたり恥じらったりはしない気がした。
それでもここまでいつも通りだと僕の告白への答えもうすうす察しがつく。
彼女は何も言わず、ただじっと僕の眼を見ている。
沈黙が流れる。
返事はない。
しばらくしてようやく、
「……本当に?」
念を押すように、
「本当に私でいいの?」
保険をかけるように、
「……本当に私が好きなの?」
なぜかすがる様に、
「私で良いの……?」
彼女は今まで見たことの無い表情で僕に尋ねた。
僕はなぜかその表情に一瞬恐怖を感じ、慌てて打ち消した。
……こうして僕は念願叶って、彼女と付き合うことになった。
108 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 19:02:01 ID:GFTWxHtd
主人公は偶然ヒロインと出会う。
彼女は特別運動が出来るわけでも勉強が出来るわけでもなく、どちらかというと目立たない子である。
だが主人公はある出来事から彼女の持っている優しさに気づき惹かれていく。
そして主人公からの告白で付き合いはじめる二人だが、反動形成というか、
今までの寂しさを主人公一人にぶつけるように付き合うヒロインに、
主人公は少し引いてしまい関係はギクシャクしていく。
(例)
休み時間になると真っ先に主人公の所に来るヒロインに対して、
主「ちょっと距離感近くないか?」
ヒ「そんなことない」
主「気持ちは嬉しいけど男子の付き合いってのもあるし……」
ヒ「私と一緒じゃつまらない……?」
主「そういう訳じゃないけど、ヒロインも他の友達と付き合いとか無い?」
ヒ「大丈夫……私には友達なんていない。大切な人は○○君だけだから」
しかし彼女は自分が主人公の「彼女」として至らない所があるのだ、と自分を責め病んでいく。
主人公に喜んでもらおうとやった事は全て裏目に出て、より二人の溝は深くなっていく。
主人公以外に親しい人がいないという環境や主人公への強い独占欲と嫉妬心は、
彼女の気持ちを狂気と呼べるものにまで昇華させてしまう……
そんな時だった。彼女が知らない女子と楽しそうに話しているのを見たのは。
もう我慢できない。
歯止めがかからない狂気の行き着く先は……
という
>>69 から沸き起こった妄想を具現化してみようと思ったが無理だったぜ!
上のも含めてプロットということでお願いします。
主人公もヤン子と似た感じにすれば、破滅は免れるんじゃない?
普段はぼっちだが、テスト前や宿題忘れの人がいたときには人気者
↓
しかし、クラスメイトから便利屋としか思われてないことに気づいた。
ぼっちだったことを再認識した男と、男を独占したいヤン子の思惑が一致
ヤ「ずっと一緒よ」
主「俺を監禁してくれ」
ヤ「えっ」
主「えっ」
111 :
108 :2009/05/27(水) 20:24:43 ID:GFTWxHtd
スレ汚し申し訳無い。
誤字です。
×>彼女が知らない女子と
○>彼が知らない女子と
に脳内保管願います。
>>109 レスさんくす。
こうして書いてみて、改めて他の作者様の偉大さに気づきました。
sageようぜ?
ぽけもんはまだなのか…
また投下延期か?
会いたいよぉ…香草さん…
___.
/│ ̄ ̄ ̄|
│.| ╋ | \ キャー! ヤンデレがまた逃げましたー!/
| | |
ミミ皿皿皿皿皿皿皿皿皿| |皿皿l ̄ ̄ ̄l皿皿皿_
ミミ彡ミミミ 田 田 田 田 .| /| ヤンデレ用精神病院 |
ミミミミ彡彡ミ .| / | |皿皿皿皿皿
ミ彡ミミミ彡ミミミ 田 田 田 .|/ | | |
ミミミミ巛彡ミミ | .| |田 田 田│
ミ彡彡ミミミミミミ ≡ / | ̄ ̄ ̄ ̄| | │
ミミミミミミ彡ミミ二 三三 | | ---‖ | ̄ ̄| | ̄ ̄| | 三 三|
| ::;;:;;; 三三 三三 | | ┌─‖ |┐ ,| | .| |_三二 三二
| ;;:;::;;;;;;;;;;: | | | | ヽ |__| ‖ |│_| ,|____| | . || ||;;;;;;;
|二二二二二二二二二|  ̄‖_|;;;;;;;;;;;|_|;;;;;;;;;;|__|:::
""' '' ' '" '' "'"' '' ' '" '''"' '' ' '" '' "'"' '' ' '" ''"' '' ""' '' ' '" '' "'"' '' ' '" '''"'
∧病∧ 男くんが待ってるの!
(#‘∀‘; )
=U=ニニフ
. し―-J
>>108 肝心の好きな気持ちが募りすぎたゆえの病みが描写されていない。
それはただの前フリだけで、ヤンデレの本質ではない。
ヤンデレは、愛しすぎて、その愛が壊れそうだったり、
壊れてしまったりしたときの防衛機制として、
心を病み、あらぬ行動をとることにあり、
そんなのはプロットじゃない。
君はヒロインがどう病んでいき、どうやんだ行動をとり、結果的にどうなるところが観たいんだ?
別に作者さんが都合つかない時だってあるだろ。
ヤンデレを愛する紳士ならば黙って、そして座して待て。
最近まじで催促多いな
大人しく全裸で座して待ってろよ
可愛いか?
可愛いだろ
こんなシンプルなAAで萌えるとは思わなかった
124 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 00:04:48 ID:UzopPF0D
125 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 01:48:20 ID:FGgkTiQL
あと3日で、5月も終わるぞ、
≪ポケモン 黒≫は未だなのか。
嗚呼、1ヵ月半耐えてきたが、
もう、6月まで耐えられそうにない。
126 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 02:06:25 ID:xvOjRWcz
紳士なら全裸ネクタイで座って待て
作者も都合があるだろうし催促したところで意味はないぞ
127 :
名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 03:01:54 ID:iFooipO+
今、ふさふさした狐の尻尾ストラップを見てふと妄想した
ヤン子の髪の毛で作ったストラップ
>>126 意味がないかはわからないけど、気分を害する可能性がある、てとこだな。
ほら、漫画雑誌でいう励ましのお便りってやつと同じ。
「次が待ち遠しい!」と書かれて不快な作者もいるからやめといたらどうか、
ということだと思う。
だから考え方によっては逆の立場もあり得るわけで、
つまりファンは励ましのお便りをだそう、という考え方。
両方あるから結局書き込む人の考えに任せるしかない。
つまり、結局言いたいことは、
ageてまで人に命令の様なことを書くべきじゃない、と僕は思うよ。
自分の意見は「自分はこう思う」という形で発言した方がいいんじゃないかと。
どう考えても最近のは作者さんの都合も考えないただの我侭。
もし作者さんを励ましたいんだったら投下後にGJしたり感想多めにつけたりいくらでも方法はある。
我侭な催促が他の作者さんに対して投下しにくい雰囲気を作ってる事に気付こうぜ。
_ミ`ー‐、
`⌒丶、'ー-、_ + 十
 ̄\―ヽ._ 二_‐-
\ \  ̄ ‐-  ̄二二_ ―_,r'⌒ヽー、
 ̄\ ̄ \‐- ╋__..ニ -―― ´ ̄ __... -―一┘
+ ニニ ー--\ ⌒Y´ ̄ `丶 __,. -‐二´  ̄ ― +
 ̄\ ! =,. -‐ 二_
_ ヽ.._ ノ
 ̄ 〉 ー- ノ三二 + ま、皆全裸ネクタイで待機ってこった!
十  ̄―/ ,' /二  ̄ _
ニー/⌒∨ / 二/ /⌒'l  ̄
_ / l /二 / ,イ |二_ ぐるん
/ /| / .ノ 〈. ′ / | _|__ ╋ ぐるん
 ̄_/ _/_ヽ_, .__,/ | |_
彡ニ ,ノ __( )_ 〈__ 三ミ +
+ `⌒  ̄∨ ̄∨― ⌒´
過疎age
超ヘッドスピン
ヤンデレに死にたいって言えば殺してくれるのかねぇ
ヤンデレ娘は男ありきが前提で行動するからないんじゃない?
むしろそんなことを言う男君は矯性されましてね、一週間もすればラブラブですよ
一緒に死ぬんだろう
勝手に死なれないように猿轡して縛って監禁
男が手前の思うとおりにできるんなら心中なんて真似はしないだろう。
まあ、情事にふけりすぎて二人一緒に腹上死、なんてことがあるかもしれないけど。
>>139 ヤンデレっ娘的には最高の死に方じゃねそれ
漫画を読んでて思ったがドストレートなヤンデレもいいものだな
俺が読んだヤンデレは男だったから気にするな
ただ、もう殺すしかないぞ!って言った時はかなりぞくぞく来たなと
由乃いいよ由乃
>>143 スジはストレートでもカプはストレートじゃなかったわけか
ぽけもん 黒 五月分投下します
第十五話目です
インセクトバッジを手に入れた僕達は、とりあえずポケモンセンターに戻った。香草さんは大丈夫というものの、一応肩も気になったし。
本音を言えば、ツクシさん達としばらく談笑でもしていたい気分だったけど。
彼女達を見ていると、久しく忘れていた“安らぎ”のようなものを覚える。
ああ、何時から僕はそんな当たり前のものすら無くしてしまったんだろうか。
きっと僕の嘆きはおかしなものなんだろう。
可愛い女の子二人(内一人は小さな子供だけど)と旅をしているというのに、愚痴を言っている奴がいたら、僕でも腹が立つ。
でもなぜだろう。そんな羨ましい状況なのに、ちっとも僕の心が休まらないのは。
香草さんの診察中に溜息をついていたら、看護婦さんに「あなたも診察を受けたほうがいいんじゃないかな」と言われた。僕はそんなに疲れた顔をしていたのだろうか。
肝心の香草さんはというと、診断結果は「打ち身」とのことだった。
しばらくは安静にして、処方する湿布薬を毎日張り替えること、だそうだ。
何が演技だ。本当に怪我してたんじゃないか。
尤もこの程度の怪我を見ることなら日常茶飯事なのか――ジムがあるから当たり前だろうけど――、こんな田舎町であるにも関わらず女医さんは平然としていた。
トレーナーとしての資質を問われて注意されなかったのはよかったんだけど、怪我をしたのに雑に扱われているようで少し癪だった。
「ち、違うのよ! あの医者が藪医者なのよ!」
これは香草さんの弁。そんなに強がらなくてもいいのに。
そういえば、香草さんは以前にどんな相手にも負けないと啖呵を切ったから、怪我なんてしたら僕にそれを揶揄されると思ったのかもしれない。
「香草さん、誰が見ても分かるものに藪医者もなにも無いよ」
僕は香草さんの意向で診察室に入れなかったから分からなかったけど、打ち身なんかは誰が見ても怪我していることくらいはわかるものだと思う。
そういうわけで、僕と香草さんは薬局で湿布薬の処方を待っていた。
ちなみにポポはポケモンセンターであてがわれた部屋にお留守番だ。僕とずっと一緒にいたがったけど、病院スペースではしゃがれては本当に具合の悪い人たちの迷惑になるので残ってもらった。
ポポは一応は僕の言うことをちゃんと聞いてくれるんだけど、常に怯えた様子なのが気がかりだ。
僕はそんなに冷酷な人間に見えるのだろうか。
地元にいた頃は、なめられることこそあれ、怖がられることなんて一度も無かったのになあ。
「ホントに違うのよ……あんなの、ただのまぐれよ……」
香草さんは下を見てブツブツと呟いている。
そんなに一撃入れられたことが許せないのかな。
ジム戦は普通一戦目なんて負けて当たり前くらいのものだ。
ジムの攻略が時間的にも、物理的にも、旅における最大の障害となるものなのだから。
だからいくら怪我を負ったからといって、一回で勝てれば上出来なのだ。
しかもその怪我も軽傷だし。
……しかしこれはトレーナーである僕が言っていいことではないから言えないけど。
僕の力量不足の責任転嫁になってしまうからね。
「香草さんはすごかったよ。アレは、相手を甘く見た僕の過失だよ」
桔梗ジムでの圧勝で、僕は無意識のうちにジム戦というものを軽視していたのかもしれない。
部屋に戻ったら、ポポも交えてちゃんと作戦を考えて、簡単な合言葉で実行できるようにしておかないと。
そんな基本的なことを今更思う。
「……ねえ、私、強いわよね」
香草さんは突然ポツリと漏らした。
「うん、強いと思うよ」
彼女の発言の真意は分からないが、とりあえず無難な返事を返す。
「じゃあ……私のこと……」
「香草さーん。香草チコさーん」
香草さんの言葉は、薬局の呼び出しによって中断された。
「あ、はーい」
香草さんに代わって、僕が薬を取りにいく。
二種類の湿布薬を渡された。
片方は最初の三日。もう片方はそれ以降使うように、とのことだ。
湿布薬の入った袋を持って、香草さんの元に戻る。
「香草さん、それで、さっき言いかけたことって……」
「なんでもないわよ!」
なぜか怒られてしまった。確かに、タイミングを逃すと言いにくいことやどうでもいい話はある。それを考えず聞いた僕は無神経だったのだろう。
「そう。じゃあ戻ろうか」
僕はそう言って、座っている香草さんに手を差し出した。
香草さんは僕の手をじっと見ている。
僕の手のひらに何か書かれていたりするのかな。
あ、そうか。
「香草さんは肩が悪いんだから、手なんて引いたら肩が痛いもんね。ごめんね、気が利かなくて」
僕はそういいながら手を引っ込める。気を使うつもりが相手の負担を増やすところだったとか、僕は何をやっているんだ。
しかし、この言い方は嫌味に聞こえるかな。
僕が手を引っ込めると、香草さんは「あ」と短い声を漏らした。
「どうしたの?」
「な、なんでもないわよ!」
香草さんは勢いよく立ち上がると、大股で僕の前を歩き出した。
なんだろう。やっぱり僕の手のひらに何か書かれていたのだろうか。
自分の手を覗き込んでみても、いつもと変わらぬ手のひらがあるだけだった。
足早に歩き出したと思われた香草さんの足取りは、すぐにゆっくりとしたものになった。普段の香草さんからは考えられないくらいに。
肩以外にも、どこかに怪我しているのかな。
「ねえ、ゴールド」
僕が彼女に、他にも怪我があるんじゃないか、と質問しようとした矢先、彼女のほうから声をかけられた。
「何?」
歩く早さが遅くなっていたのは、僕に何か言いたいことがあったからかな。
僕はごくりと唾を飲み込む。
「あ、あのね……ちょっと散歩でもしない?」
予期せぬ提案だ。
もったいぶった割には、随分とたいしたことない。
どんな非難や中傷が来るのだろうかと戦々恐々としていたのに。
「うん、いいね。まだ時間も早いし、僕もちょうど一日中部屋に篭っているのもどうかなと思ってたんだ。じゃあポポも呼んで来るよ」
そう言って進む僕の手が、香草さんにつかまれた。
「ふっ……二人っきりがいいの!」
唖然。
きっと今の僕の表情は、百人が見て百人が「なんだあの間抜け面は」と思うようなものだろう。
自分の口が開きっぱなしになっているのは分かるが、顎の動かし方が思い出せないから閉じられない。
僕と二人っきりで散歩したい。あの香草さんが、だ。
口を開けば罵倒、手を動かせば殴打、目を開けばフラッシュという、あの香草さんが、である。
うん、大げさなのは分かっている。しかしすべて彼女が行った行動であることは紛れもない事実である。このことは周知だと思う。
僕はふいに一つの結論を見出した。
これは、夢だ。
何時から見ていたのかは知らないが(ジム戦で、実際は二人とも倒されちゃって、僕は目の前が真っ暗になってそのまま眠っているというのが最有力)、僕は夢を見ているようだ。そう考えればすべてのつじつまがあう……気がする。
そうと分かれば早速実験だ。
「香草さん」
「な、なに?」
彼女はビクッと体を震わせた。そういえば、彼女は僕からの返答を待っている最中だっけ。
「今日も可愛いね」
僕は出来うる限り最もさわやかな表情でその言葉を吐き出した。
傍から見たら胡散臭いことこの上ないだろう。胸焼けしそうな甘さだ。
僕の言葉を受けた香草さんは、表と裏で色の違うカードを裏返すように一瞬にして真っ赤になった。
どこかで見たことがあるような、と思ったら、トマトだった。
緑の髪がヘタ。真っ赤な顔が果実。丁寧に天辺には葉っぱまでついている。完璧だ。
でも、たとえ冗談でもこんなことを言ったらぶち殺されること請け合い。
僕は自殺志願者ではないので、もちろんそんなことは口にしない。
それがたとえ夢でもだ。
そう、これは夢であることは確定した。
もし現実であれば、香草さんは顔を朱に染めることなどなく、冷めた目で僕を見ながら「気持ち悪い」と言ってくるに違いないのだから!
……むなしい自虐だ。
そういえば、馬鹿とか最低だとかは結構言われている気がするけど、気持ち悪いと言われたことはないな。となるとこの予測は完璧とは言えないかもしれない。
しかし、夢と分かってしまえば話は早い。目を覚ませばいいのだ。
目を覚ますには、どうするのがいいんだろうか。
「ご、ゴールド、どうしたのよ急に」
香草さんはまだ赤い顔をしたまま、蚊の鳴くようなか細い声で問いかけてくる。
うん、やっぱりこれは夢だ。本物の香草さんがこんな可愛いリアクションをするわけがない。
「いや、ただのテストだよ」
そう答えると、即座に腕をギリギリと締め上げられた。
「ただのテストってどういうことよ」
今度は香草さんじゃなくて僕の顔が赤くなりそうだ。もちろん恥じらいなどではなく痛みで。
っていうか夢なのに痛いってどういうことだ!
「ちょ、折れ……」
「俺?」
「折れそうなんだけど!」
「折ってんのよ」
僕の釈明を待たずにですか!?
非常に恐ろしいことを申す香草さんの口調は極々気軽なもの。それが恐ろしさを助長する。
「ち、違うんだ! これは夢だと思って……」
「夢? 今あなたが感じているこの痛みは夢かしら?」
「夢じゃない! 夢じゃないです!」
「たとえ折れても夢なら大丈夫よねー」
「大丈夫じゃないです! お願い許してえええええ!」
僕は、自分がこんな音も出せることを初めて知った。一生知りたくなんかなかった。
こんなにも僕が叫んでいると言うのに、誰一人駆けつけてもくれない。
他人に残酷なまでの無関心。まさに現代の闇、白昼の道路でそれを垣間見た気がした。
ようやく香草さんから解放された僕は、荒い息を吐きながら膝から崩れ落ちる。
腕は……動く。ただし痙攣による動き。脳の命令を受理しているのではなく、無視して自律運動を行っている。腕によるボイコット。残念ながら雇用者である僕に責任はない。よって稼動条件の改善を訴えられても、受理することが出来ない。
まったく動かないのと痙攣で動くこと、果たしてどっちがマシなのだろうか。
「そもそも、どうして夢だなんて思ったのよ」
僕は今、腕の心配で忙しい。
しかし答えないときっと僕は腕を心配する必要もなくなる。
そもそも心配っていうのは大丈夫な可能性もあるからするものだからね。完全に再起不能になれば気にする必要はなくなる。
「香草さんの態度がおかしかったから……」
「おかしいって……何よ、おかしなところなんかないわよ」
「あるように見えたんだ」
「ないわよね」
「ないです!」
おかしなところなんてなかった。今この瞬間から、そういうことになった。
「で……ど、どうなのよ」
香草さんは視線を微妙にそらしながら僕に問いかける。
どうなの……って何かあったっけ?
強すぎる痛みは人を一時的に健忘症へ陥れる。
「う、うんいいよ」
なので適当に答えておいた。
「ホントに!?」
彼女の顔がぱあっと明るくなる。僕は一体何に同意してしまったのだろうか。
「立てる?」
右腕が小刻みに振動していること以外は僕はいたって平常。立てないわけがない。
「うん」
左手で床に落ちた薬の入った袋を拾い、立ち上がった。
彼女は僕が立ち上がるのを見ると、そのままどこかへ向けて歩き出した。
部屋とは逆方向である。
僕はどうするべきなのだろうか。
彼女をこのまま見送るべきか、着いて行くべきか。
さっき何について言っているのか聞いておくべきだった。今となってはなおさら聞きにくい。
「もう、どうしたのよ」
僕が呆然としていたからだろうか、彼女は僕のところまで戻ってきて、そのまま僕の手をとった。
そして僕の手を引いて歩き出す。
いきなりどうしたのだろう。僕は驚いた。
しかしそれよりも、右手がなんの感覚も伝えてくれないということのほうが驚きだった。
手の柔らかさ、しなやかさ、人のぬくもり。何一つ伝わってこない。恐ろしいまでの無である。
僕の右腕はもうダメなのだろうか。
「ご、ゴールドって手、冷たいのね」
香草さんは照れたように言う。君のせいだよとはとても言えない。
「私もよく手が冷たいって言われるのよね。……冷たい?」
何も分からないとなどとても言えない。
「ど、どうだろう。普通じゃないかな」
そう答えた瞬間、僕の手に痛覚がよみがえった。
僕の手は香草さんにギリギリと握りつぶされている。そうか、この痛みが電気ショックのような役割をはたして、僕の腕を蘇らせたのか!
そんな風に感動している場合ではない。再び僕の腕のピンチ。
「……普通ってどういうことよ……そんなに何人もの女の子の手を握ったことがあるの?」
普通だよ、の言葉からここまで想像をめぐらせることができる香草さんの豊かな想像力に驚嘆だ。
「そ、そんなことないよ! ほ、ほら、女の人は手が冷たいってよくいうから、そうなのかなーって!」
必死の弁明。これが聞き届けられなかったら、僕は無実の罪で腕を失うことになる。魔女裁判並みの理不尽だ。
腕が潰れなかったら女の子と手を繋いだ経験豊富ということで有罪。よって腕は潰される。腕が潰れたら経験豊富ではないということになり無罪。ただし腕は潰れる。ふとそんな想像をしてしまい、心臓の鼓動が一層早くなる。
「そう、ならいいわ」
香草さんの手の力が緩んだ。見事勝訴したようだ。
「あれ、今度は急に暖かくなってきたわね」
僕の手はジンジンと脈打っている。香草さんが握りつぶしたせいだよとはとても言えない。
「も、もしかして、てて照れてる?」
てててれてるとは一体何の呪文だろうか。あの毒々しい駄菓子のCMの効果音であるテーレッテレーの親戚だろうか。僕はあのいかにも科学の産物といった、紫の駄菓子を思い出す。
ようやく、今僕は香草さんと手を繋いでいるんだということを思いだした。よく考えればこれは恥ずかしい。
色々あってそれを考えるどころではなかったけど、いざ意識するとどんどん恥ずかしくなってくる。
「……うん」
こう答えるのが精一杯だ。気の効いた事の一つでも言えたらいいのに。
「と、ととと当然よね。なんたってこんな可愛い子と手を繋いで二人っきりなんだから!」
高飛車に聞こえるこの発言だけど、不服ながら異論はない。
僕は何も言えずに、暫し無言が続く。
「……私なんか、可愛くないって思ってる?」
香草さんから不安げな声がポツリ。
突然どうしたのだろう。彼女らしくもない。
「そんなことないよ! 香草さんはとっても可愛いよ!」
僕はむきになって大声で言ってしまった。
「で、でも、テストだったんでしょう!?」
彼女は僕のついさっきの言葉を引きずっているらしい。
「あれは確かにテストだったけど、可愛いっていうのは僕の本心だよ!」
僕は大きな声で何を言っているのだろうか。
恥ずかしいどころではない。きっと僕の顔は真っ赤だ。
香草さんの顔をまともに見れずに、僕は俯く。
香草さんの様子はうかがい知れないが、僕のほうに向き直ったのは気配で分かった。
香草さんの甘い香りが、僕の鼻腔をくすぐる。
「じゃあゴールド……」
香草さんが何か言いかけたそのとき。
森のほうからガサッという音がした。
二人で慌てて音のしたほうを向く。草むらの向こうに炎が見えた。
焚き火か何かだろうか。
森で焚き火なんて危ないなあ、と近付く。
すると炎の隣に、泥まみれのフードが並んだ。
フードの下にあるのは、見まごうこともない赤い髪。この髪の色ははっきりと覚えている。見間違えるはずもない。
「シルバー!」
僕は驚いて叫んでしまう。まさかこんなところで会うことになるとは。
ロケット団と行動を共にしているとしても、まさか草むらから出てくるとは思わない。奴は確か人間だったはずだ。草むらから飛び出していきなり人に襲い掛かる習性はないはずだ。
フードも僕の声に答えるようにして立ち上がった。そこには予想通りの凶悪な面構え。隣の炎はランだったのか。
どうしてここに、という言葉を飲み込んで、香草さんの腹部に腕を回して右に飛ぶ。
先ほどまで僕たちが立っていた地点に数本のナイフが突き刺さった。続けざまに火の粉も。
「まさかこんなところでお前と会うなんてな」
フードを脱ぎながらシルバーが言った。
それは僕の台詞だと言いたかったがそんな余裕はない。
事情なんて関係ない。シルバーは目の前にいる。千載一遇のチャンスだ。
……荷物の大半が部屋に置いてなければだけど。なんて間の悪い。
すぐさまポケットを探る。幸いにも煙玉は常備してあった。煙球の有用性は前の彼らとの戦いで証明済み。リュックに入っている、効果があるか分からない大半の道具よりは頼もしい。
「香草さん、大丈夫!?」
香草さんの腹部から手を離し、問いかける。
香草さんは少し呆然としていたようだったが、すぐに正気を取り戻した。
「な、れ、レディーのお腹をと、突然触るなんて何考えてるのよ! この変態!」
ええー。
どう考えてもそんなこと言っている場合ではないと思うんだけどなあ。
「こ、今度から触りたければちゃんと前もって……」
なにやらよく分からないことをゴニョゴニョと言っている香草さんを抱えて再び飛ぶ。
再び地面にナイフが突き刺さった。
「今はそんなこと言っている場合ではないよ! 早くシルバーを戦闘不能にしないと!」
「そんなことって何よ! アンタ本当に……」
香草さんの反論の途中で、僕の頭に鈍い痛みが走った。視界の端に宙を舞う石が見えた。僕は痛みで思わずその場に蹲る。
その直後、頭上を火炎が通り過ぎていった。
石はシルバーの投げたものらしい。ちょうど投擲用のナイフが切れたのか。本当に危なかった。あれがナイフだったら今頃僕は死んでいただろう。
「な、ゴールドに何すんのよ!」
自力で火炎を回避した香草さんはシルバー達に向かって吠える。
当然だけど、僕が抱えて跳ぶ必要なかったな。
僕は彼女を守りたかったわけではなく、無意識のうちにセクハラを行いたかっただけなのだろうか。
それならば彼女の批難も尤もだ。
僕がそんな思考を終えるよりも早く。
香草さんは数本の蔦を二人目掛けて伸ばしていた。
その蔦は二人を打つことなく、切り裂かれ、焼け落ちる。
シルバーのナイフによって払われ、ランによって焼かれた結果だ。
なくなったのはあくまで投擲用のナイフだけで、普通のナイフは当然だが健在というわけか。
「ラン!」
僕がランに呼びかけた直後。
僕の正面から火炎が向かってくる。
僕はそれを横っ飛びで回避する。
しかし姿勢を大きく崩してしまった。
追撃の炎が僕に降りかかる。回避は不可能。
僕は即座に煙玉を炸裂させた。
大量の煙が視界を奪うと同時に空気も奪い、炎を弱める。
僕は前面に熱を感じながらも姿勢を立て直し、地面に刺さっているシルバーのナイフを回収する。
計六本。今の僕には貴重な武器だ。
使った煙玉は一個なので、晴れるのは早い。
僕が距離をとったころには、煙はすっかり晴れていた。
逃走される危険も考えたが、香草さんが煙幕めがけて葉っぱカッターを撃ち続けてくれたため、行動を封じることが出来ていたようだ。さすが香草さん。
「相変わらず小賢しい奴だ」
煙が薄くなるやいなや、シルバーは両手にナイフを構えてこちらに走りこんできた。
狙いは香草さんか。
僕はすぐにナイフの一本を投擲する。
シルバーは当然僕も視界に入れていたようで、後ろに飛びのきそれを交わす。
一拍おいて、シルバー目掛けて香草さんの蔦が殺到したが、ランの炎によってさえぎられた。
シルバーはランの隣まで後退する。
「お前にしちゃあ、随分上手いじゃねえか」
シルバーは不敵に言う。僕のナイフ投げのことだろう。
「当然だろ。僕はあの時以来ずっとナイフ投げの訓練をしてきたんだから」
――お前を、殺すために。
シルバーとラン、二人を相手にして決定打を負わせることは今の僕たちには難しそうだ。そもそも、僕はランとは争いたくない。
「ラン、シルバーから離れろ。シルバーを怖がる必要なんてない。シルバーは一人では何も出来やしない」
そもそもランはシルバーに脅されて一緒にいるだけなんだ。ならばここで保護すれば何の問題もないじゃないか。
幼少期からずっとシルバーの下で過ごしてきたんだ。恐怖は相当なものだろうけど、もう怖がる必要なんてないんだ。
大量に警官が村にいる今、きっとシルバーを逮捕できる。そしたら報復の心配もない。
ランの顔が不意に歪んだ。
彼女が俯くと、背中の炎がドンドン大きくなっていく。なんらかのトラウマが文字通り再燃したのか。
それとも、考えたくはないけど――シルバーに洗脳されているのか。
「ラン、そのまま火力を上げて奴らに突っ込め」
シルバーは冷たく命令した。
「はい、マスター」
ランのかすれた声がそれに答えた。
炎はランの全身に回り、さらにどんどん温度を上げていく。炎の色が見る間に赤からオレンジ、そして白色へと変わっていった。
香草さんはすぐさま危険に気づいたのか、彼女に向けて葉っぱカッターを飛ばす。しかし軽い葉っぱは彼女の熱によって起こった上昇気流のせいでまともに当たらない。
香草さんの行動でようやく事の重大さに気づいた僕は、彼女を止めるために、痛む心を抑えて彼女の両足目掛けて二本のナイフを投げた。
しかしそのナイフは彼女に到達する前に、燃え尽きて消えた。
果たしてナイフが燃えてなくなるのを見たことがある人はどれくらいいるだろうか。
当然、僕は初めて見た。
そもそもナイフが可燃物だったという事実を初めて知ったくらいなんだから。
唖然とする僕をよそに、ランが上体を傾けた。
そして弾かれたように走り出した。
狙いは……僕だ!
彼女の踏みしめた草は見る間に水分を失い、燃えていく。
彼女は熱の塊と化していた。
百メートル先から見たって恐怖で凍りつきそうなものが数メートル先から僕目掛けて迫ってきている。
想像を絶する恐怖だ。
香草さんの蔦がラン目掛けて伸びてきているのが見える。だが、間に合わない。
そもそも香草さんに期待していなかった僕は、すでに準備をしていた。
煙玉を炸裂させ、思いっきり右に飛ぶ。
ワンパターンに思われるかもしれないけど、パターンを増やせば良いって物じゃない。基本を忠実に行うことは大切なことだ。
それに、僕の今の貧弱な道具の状況も考慮に入れて欲しい。
ちなみに、今の僕の道具は煙玉がポケットに残り三つとベルトにつけた怪しい光曳光弾が二本、それにシルバーの投げたナイフが三本。
熱の塊であると同時に光の塊でもある今のランに、曳光弾の光が届くとは思えない。ナイフの無力さは先ほど照明済み。
ああ、それとポケットを探ったら平べったいものに指があたったから、多分ガムも持っている。今僕が持っているものの中で一番いらないものだ。そのガムでも噛んで落ち着けって? 喧嘩売ってんのか。
予想通り、炎に包まれているランはもともとあまり視界が明確でないようだ。さらに煙幕。回避は成功した。
しかし優に二メートルは離れている場所を通過したのに、僕は信じられない熱波に晒された。肌は痛むし、服からは長時間ストーブに当たり続けたときのように嫌な臭いがする。多分髪はチリチリになっていることだろう。
なんて熱量だ。直撃したら大火傷どころか火葬まで完了してしまうだろう。骨が残るかどうかは微妙なところだけど。
そのまま数メートル進んだ彼女は、僕に避けられたことが分かると、こちらに向き直り、再び突撃してくる。
その様子は猪を連想させた。猪は燃えていたりしないから良いよね。
僕はワンパターン極まりなくて申し訳ないが、煙玉を使い、今度は左に飛んだ。
右に飛ぶとランによってこんがり焼かれた、湯気の代わりに煙が立ち上るホッカホカの地面にダイブするはめになってしまうからね。
彼女は再び僕の脇を走り抜ける。当然また僕は熱にさらされ、体力と精神力を同時に削られる。
再び回避に成功したわけだが、このまま続けていたってジリ貧だ。煙玉の残弾数は残り二。
何とか活路を見出さないと、と考えていると、ランの纏っている炎が随分と小さく、色も赤よりのオレンジと随分落ち着いてきていることに気づいた。
ラン自身も苦しそうに顔をゆがめている。わずかこれだけの運動でそんなに体力を使うはずもないから、考えられる線としては、この状態だと呼吸が出来ないのか、それとも単にあまりの火力のために消耗が激しいのか。
ほとんど維持できないような技を使わせるなんて、シルバーのトレーナーとしての度量はたかが知れる。
視界の端で香草さんとシルバーが戦っているのが見える。
香草さんの蔦はかなり焼けたとはいえ、それでも両手二本しかないシルバーが数本の蔦を操る香草さんとまともに戦えているのは驚きだった。
香草さんがシルバーにやられることはないだろう。そしてこちらも後数回かわせば片がつきそうだ。
シルバーもそれを察したのだろう。
「ラン、火を消せ。撤退だ」
火を弱めたランはそのままその場に崩れ落ちる。
よほど消耗していたようだ。あれだけの大技で、消耗していないほうが異常なんだから当然なんだけど。
「逃げるのか!」
「元々お前なんて眼中にねえんだよ。ラン、煙幕だ」
素早くランに駆け寄ったシルバーはランにそう命令する。
あっという間に二人は黒い煙に包まれる。
ランがいるので闇雲に攻撃するわけにもいかず、手をこまねいていると、煙が晴れたときにはもう二人の姿はなかった。
慌てて付近を捜索すれば、彼らが現れた草むらの影に人が通れそうな穴があった。
穴を掘るで現れ、この穴を使って逃走したわけか。
前回と同じ逃走手段ながら、僕たちに打つ手はない。
ワンパターンな奴め。もう少しバリエーションを用意しようとは思わないのか。この単純馬鹿が。
内心で悪態をつくも、またシルバーをまんまと逃がしてしまい、ランを救えなかったという事実に変わりはない。
僕は一応警戒して穴から離れると、見通しのいい場所で横になった。
失意と疲労で動く気が起きない。
「ゴールド、大丈夫!?」
香草さんが慌てた様子で僕に問いかける。僕が怪我でもしたと思ったのだろうか。
「大丈夫、疲れただけだよ。香草さんこそ、怪我はない?」
「当たり前でしょ」
「蔦は?」
う、と言いよどむ。痛いところを突かれたのだろう。香草さんの自慢の蔦は大半が使い物にならなくなっている。
「すぐに治るわよ!」
本当にそうならいいんだけど。
すぐ、というのがどれくらいの時間のことを指しているのか、僕は分からない。
でも、たいした怪我がなくて何よりだ。
……怪我?
そういえば、香草さんは右肩を怪我していたんだった。シルバーが善戦していると思ったら、そういうわけだったのか。
シルバーが人間離れした強さを持っていたわけではないんだと少し安心すると共に、いくら五体満足でも逃げることしか出来ていない自分が少し惨めになった。
投下終了です
乙
乙です!GJ!!
gj
>>156 GJ!
いつもありがとう
ランはシルバーに何をされたんだ。
少し寝取られの香りがする…そういうときはどうか前もって教えてください
できたらゴールドがランにフラれる展開になるなら、その時は先に教えてください。
正直そういうの弱いの。
GJ
朝起きたらぽけもん黒が投下されてて二度寝する気が吹っ飛んだw
GJ!
ゴールドの超フラグブレイカーっぷりに笑った。
香草さんかわいそうすぎる……
GJ
やっぱりツンデレでヤンデレって
最高だなあ
ラン洗脳されちゃった!?
なんとか元に戻る事を祈ります
GJでした
165 :
125:2009/05/31(日) 13:47:58 ID:TNu+ilZl
GJ!
先日は、いろいろガキ臭い事言ってすいませんでした。
忙しい中での、執筆、ご苦労が絶えないと思いますが、
次回も期待して待っております。
個人としては、又もや一人留守番となったポポが、
更に依存を深めるのか、原因となったチコへの感情に変わるのか、
気になるところです。
ともあれ、御無理はなさらず、
氏の満足のゆく作品が出来上がることを祈っております。
sageろクソガキ。半年ROMれ
ぐっじょぶでした!
相変わらずキャラがたってて面白いっス
次も楽しみにしてます
ところでパソでSS投下しようとしても書き込めないんですが、もしかしてこれが規制?
かれこれ1ヶ月は経っているんですが…
>>156 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`丶、 (つ、__}、
/:´:/:.:.:./:/:.:.:.:.:.;,\ {: 人_}
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>>156 GJ!!
これでもう一ヶ月やっていけるぜ
キター!これで今月もかつる!
やばいいいい!おもしろすぎるーー!!
>>156 GJ!
ゴールドのフラグ潰しっぷりにはイライラする
フラグはへし折るもの
登山家は言う。
そこに山があるから登るのだと。
>>156 乙。
チコは躁鬱のアップダウンのギャップが凄く可愛く描かれてるなあ。
>>156さん乙
GJですよ!
しかし女の子がヤンデレになってしまうのは
男のほうに原因があるのではないかと思えてきたな
>>177 ぶっちゃけ男がほぼ原因だろ
特に軽薄過ぎる奴ほどな
ポケモン乙です。
>>178 言えてんな。何というかヤンデレの女の子を軽く扱い過ぎだよな
そんな僕は桜の幹が楽しみです
男に冷たくされてヤンデレになる娘さんがいる
男と女の仲に嫉妬してヤンデレになる娘さんがいる
男が朴念仁過ぎてヤンデレになる娘がいる
ヤンデレに必死になって奉仕っつ−か看病する男もいる
ヤンデレにいつの間にか憑かれてる男もいる
ヤンデレを丁寧に取り扱ったばかりに心中を図られた男もいる
ドSなヤンデレが、男を脅迫する、そんな話が、私は読みたい
ドSになるヤンデレじゃない、ドSなヤンデレが、私は読みたい
183 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/02(火) 00:08:30 ID:RaKmfAlZ
wktk
184 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/02(火) 00:18:25 ID:dsqKQZ6o
ドSって言うと『自分の快楽求めて男くんいぢめちゃう!』みたいな感じじゃないか?
男がMなら良いんだが。
Sヤンデレを書くには作者の技量が問われるな。
あら、sage忘れスマン
むしろドMヤンデレがきになる
ん〜「男に殺されたい」のがMヤンデレなんじゃない?
ヤンデレだからって極端にする必要はまったくないんじゃね?
ヤンデレだからって修羅場を作る必要はまったくないんじゃね?
ヤンデレだからって犯罪を犯す必要はまったくないんじゃね?
ヤンデレだからって……
テンプレから外れた行動を取るのがヤンデレのはずが、ヤンデレのテンプレが、なんか変な方向で定まりつつあるような気がする
とりあえず刃物もってたらヤンデレとかいうのは、かんべんな
皆さんが悪いんですよ・・・。
私がいつも後ろから見守ってることに気がつかないで、
派手なパフォーマンス女の方ばかりちやほやしてるんですから。
>>187 ガンダムWの
「私を殺しにいらっしゃい」
みたいの?
むしろヤンデレ好きな奴って、Sだと思う
男に弄ばれて、苦しんでいるのがぞくぞくするからオレは好き
ま、人それぞれだけど
愛に飢えているタイプ
自分一人を狂おしく愛してくれることにカタルシスを感じる
>>190 そういうのもあるのかぁ…
俺のイメージとしてはヤンデレギャルゲの先輩ヒロイン
>>191 みんな愛されたいんじゃないの?
こんなに悲しいのなら………
愛などいらぬ!!
>>188 前から何度か言われてるけれど
Pixivでヤンデレ検索するとsan値がガリガリ削られていくような思いをするよな
企画系に「ヤンデレ」ってつくのはあからさまに地雷だし
>>191 Sと言えば……
苦悩する主人公を見て楽しむってのも良さそうだ
主人公に自己投影するタイプにはキツいかも知れないけれど
>>193 愛されたくても愛されない。
そんなに辛く哀しい思いをするなら
最初から誰の愛もいらない!!
>>186 「○○の奴隷はこのわたし。
わたしだけ。
○○はわたしだけのご主人様。
○○に調教されるのも、○○に支配されるのも。
熱く硬い○○自身で引き裂かれていいのも、世界中でこのわたし一人だけ。
許せない。許せない許せない。許せない許せない許せない……」
…ってゲームがあったよ。
199 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 00:36:36 ID:TuJzeeI4
201 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:13:45 ID:3LREFAZM
流れぶった切るけど投下してもよろしいでしょうか?
>>201 どうぞどうぞ
たんまりと投下してくださいな
全裸待機
204 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:18:09 ID:3LREFAZM
205 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:19:39 ID:3LREFAZM
信じられない。幹也に友達が出来てしまった。
しかも二人も。
その友達とやらのせいで私はこの二週間まともに幹也と夏休み中の午後の余暇を幹也と過ごしていない。
今日だってそうだ。幹也はお昼ご飯をすぐさま片付けると、私に断りもせずに出掛けてしまった。
「じゃあ、幹也をよろしくね」
「はい、分かりました。おばさま」
幹也のいなくなった後に私は入れ替わりの様な形で幹也の家に来てしまった。
おばさんを見送った後、思わず爪を噛んでしまう。
「熊原・・・・・武士、か」
これは私にとって呪いの言葉だ。
私から幹也を奪おうとする奴。
何年も、何回も、私が守ってきた幹也。
私がいる限り、幹也には私しかいない。
許せないのか、許さないのか。どちらでも同じ事だけど、私はふいにそんな事考えてしまう。
幹也も幹也だ。幹也には私しかいないはずなのに、私がいるのに幹也は・・・・・。
許せないのは幹也か、ゴミか、私は混沌を極めつつある私の中にホトホト呆れていた。
今、私はなぜ幹也を責めたのか。ついに我慢も限界なのか。
なら、私はそろそろ幹也に認めさせようと思う。幹也にも、私にも互いしか必要がない事を。
幹也もきっと分かってくれる。だってこんなにも素敵な事なのだから。
206 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:20:11 ID:3LREFAZM
◇◇◇
「なぁ、菅野。お前とよく一緒にいる女子ってさ、お前の彼女?」
武士はつまらなさそうにポテチを一つ摘んで僕に問いかける。
小町先輩も「あ、私もその話興味あるー」などと会話に参加してきた。
「えっと、女子ってさくらの事だよね?」
「他にお前喋ってる奴いないだろ?」
たしかに。
「大体ミッキー顔はいいのにさ、なんで嫌われてんのさ?」
僕は曖昧な笑みを表情に貼り付けて、分からない様子を首を横に振るだけで伝える。
実際、あの事件で変わってしまったのは周りではなく僕の人を見る角度なのかも知れない。
何度も小突く教師を睨み、土下座して頭を上げた時に僕を突き刺していた視線たちに一瞥をくれた時、さくらが汚れた机を必死に拭いているのを見た時。あの時に、僕は少し厄介な事に気が付いてしまったのかも知れない。
残酷な事に要領を上手く得ないそれは、あの時から僕の心の隅を犯し続けていた。
「僕の事はともかく、さくらはとってもいい奴です。なんで僕なんかを好いてくれているのか、僕自身、分からないぐらいで・・・・・」
困った風に言うと、武士が僕の肩を弱くパンチした。
「馬鹿、俺が聞いてるのは彼女かどうかだよ」
僕はパンチされた肩を軽く摩りながら有耶無耶に頷いた。
なんであれ、さくらは僕との関係を未だに続けてくれているのだから。
◇◇◇
遅い、遅すぎる。
私がご飯を作り終えてもう一時間も経つのに幹也はまだ帰ってこない。
ご飯をいつ作り始めるか電話で聞いたのは丁度一時間半前。
幹也はあと三十分で帰ると言っていたのに、幹也はそう言ったはずなのに。
幹也が私との約束を蔑ろにした?本当に?
時計を何度も何度もイラつきながら睨む。
心配だ。もしかして事故にでも遭ってしまったのか?
もう少し待ってから、もう少し待ってから。
そう心の中で祈りみたいなモノを心の中で何度も描き、玄関を監視し続けている。
時計を見た。
人生で一番長いに時間が経過しようとしていた。
携帯のリダイヤルからすぐに幹也を呼び出した。
prrr、prrr、ガチャ。出た、呼び出し二回。
「もしもし、幹也?」
「あっ!石田さん?」
電話に出たのは幹也の声では無かった。委員会で何度か聞いた事のある声だった。
少しの逡巡の後、名前を思い出した。
「熊原先輩ですか?」
「うん、ミッキーさ携帯忘れて行っちゃったみたいでね、ん?あれ石田さーん?」
全身から血の気が引いていった。
いつの間にか私は拳を作っている。
聞こえないように受話器の向こうに気付かれないように、息を吐いて、吸った。
「幹也が、そちらのお宅を出たのは何時頃ですか?」
「え?ああ、ついさっきだよ。いやぁ、スマブラで盛り上がっちゃってさー」
「失礼します」
私は用件を聞いてすぐに電話を切った。
幹也は私との約束を、約束を・・・・・。
207 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:20:38 ID:3LREFAZM
◇◇◇
「ただいまー」
玄関を開くと仄暗い廊下に白い靴下を履いた両足が見えた。
膝ぐらいまでしか見えないけど、僕はすぐにそれがさくらだって分かった。
「おかえり」
消えそうなか弱い声でそう聞こえた。
「さ・・・、さくら?どうしたの?明かりも付けないで」
「幹也・・・・・」
ひたりと白い足が僅かに前進する。
ゆっくりと全身が見えてきた。
白いワンピースに、シャツを羽織っているみたいだ。
でも白いワンピースだけが仄暗い背景に映えて少し不気味だ。
「・・・・・ッ!」
思わず立ち竦んでいると、いきなり襟を掴まれ引き寄せられた。
「幹也、私が電話した時何時ごろ帰るって言ったっけ?」
僕をすごむ眼がギラギラしていた。
「・・・・・幹也、答えて」
「あっ、う」
首が締まり始めた。
さくらの震える手が、僕を責める眼が今までの何よりも怖かった。
「私、言ったよね?六時半には帰ってきてね、って」
僕は声ではなく、首の動作だけで答える。
「そう。言ってたよね?じゃあね幹也、今は何時か分かる?」
僕はやっとの事で八時半だと答える。
そこでやっと、僕の襟を閉めていた手が解かれた。
同時に肺に今までの分の酸素が入ってきた。思わず咳き込む。
「が、っは」
荒い息遣いをしながら僕はその場に蹲る。
さくらの方を見上げると、さくらは薄い笑みを浮かべながら僕を見下げていた。
「幹也ぁ・・・・・」
さくらはしゃがみ込んで、僕の顔を覗き込んできた。
「さ、さくら?どうしたの?」
さくらは何も言わずに、僕をただ見つめるだけ。
さくらの黒い瞳が、僕だけを閉じ込めている。
「幹也は・・・・・」
ふいに声が掛かった。同時にさくらの両手が僕の顔を包む。
「どれだけ私が待ってたか、知ってる?」
「え?」
「私が、夏休みに入ってからどれだけ我慢してきたか。ねぇ、知ってる?」
未だに僕は黒い宝石に閉じ込められていて怯むばかりだ。
「答えてよ。幹也」
「・・・・・っ」
何か言おうとしたけど、それはすぐに奪われてしまった。
「んっ、ちゅ・・・・・」
さくらが僕の口を塞いでいたからだ。
さくらの舌が、僕の舌と絡められる。
それでも、黒い瞳は、宝石は僕を捕まえたままだった。
208 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:22:25 ID:3LREFAZM
◇◇◇
長い、とても長い口付けが終わり、さくらは満足そうな笑みを浮かべて、言った。
「幹也、今日はいつもより気持ちよくしてあげる。明日も明後日も、ずっと、ずっと」
さくらがおかしくなっている。それには気付いた。
でも僕はさくらの得体も知れない圧迫感に閉口するばかりでどうする事も出来なかった。
ただただ、さくらの言う事に頷くばかりで、宝石から逃げる事も出来なかった。
「部屋に、行きましょう?」
何だか艶かしい口調でさくらは言う。
僕は頷くだけ。
さくらは僕を立たせて、手を引きながら、僕と一緒に部屋に入った。
それから僕はさくらにベッドへと押し倒された。
「あは、幹也。今日も素敵だね」
さくらは僕のシャツをめくり、臍から舐め始めた。
徐々に上へ、上へ、と這い上がってくるそれに僕の背筋は敏感に反応した。
不気味な痺れが気持ち悪い。
「うっ、」
「えへへ、みきやぁ、みきやぁ」
首筋まで来ると、さくらは荒い息遣いで僕の耳を口に含んだ。
「さくら?」
「もう、もう我慢出来ない」
さくらはそう言ってワンピースを捲って、ショーツを脱ぎ捨てた。
それから僕のズボンのチャックを下げる。
「幹也、私のアソコ、もうグチョグチョだよぉ」
さくらは少し腰を浮かして、僕の性器にを自らゴムを付けて、挿入した。
「あっ!あっ!」
さくらは挿入したあと、僕の方に倒れてきて何度か身体を震わせた。
それでもまるで呪文の様に僕の名前を唱えているさくらに僕はまた竦んでしまった。
さくらはゆっくりと身体を起こして、騎乗の体制に戻る。
揺れる黒い瞳はただ僕だけしか映していない。
「えへへ、幹也ぁ?もっと気持ち良くして上げるね?」
妙なアクセントを含みながらさくらは自分の右手の指を舐めて、繋がっている場所へとその手を回した。直後。
「ッッッ!」
電撃が走った。感じたことも無い痛みだ。
「幹也、痛いよそんなに締め付けちゃあ」
さくらが僕のお尻に指を入れていた。
痛い。思わず視界が滲む。
「さ、くら・・・やめ、うっ!」
さくらが中で指を動かしたのがまた鮮烈な痛みを走らせる。
◇◇◇
「幹也?そんなに力入れたら、んっ、切れちゃうよ?」
「あ、がっ!」
ぬるりと、穴が広がった。
「二本も入っちゃったよ、幹也」
「いたい、よ、さくら」
さくらは二本の指を上下に動かしてさらに奥に指を突っ込んできた。
「幹也、気持ちいいでしょ?」
また指が動いた。
「あぅ!」
次の瞬間、今までに無い射精感が、一気に噴出した。
ドクン、ドクン。と脈を打っているのが分かる。
「あはは、幹也ぁ、ゴムを通しても分かるよ?すっごい量だねぇ」
僕はその満足そうなさくらの呂律が回っていない口調を最後にその日の幕を下した。
209 :
桜の幹:2009/06/03(水) 18:24:48 ID:3LREFAZM
一応今日はこの辺りで。
誤字、脱字、短いとかは勘弁してください
あと、文下手糞でごめんなさい
乙
短くても十分堪能させてもらったぜ
211 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 20:43:37 ID:TuJzeeI4
病んでるね
乙、いい感じだ
乙!
さくらいいねぇ
依存は最高だよ。これからのさくらの病みと熊原姉弟の絡みに期待してます。GJ
姉弟には是非とも、
これでもかという程、さくらを逆撫でしてもらいたいものだな
幹也乙
というかつい最近俺がモテない理由がヤンデレ背後霊ということにやっと気づいた
>>209 GJ!
さくらは相変わらず次の覚醒寸前か……
微妙に綱渡り状態な、姉弟の明日はどっちだ?
あと幹也、性感帯の開発乙。
次回を楽しみにしています。
>>209 GJ!
もういっそのこと姉弟も病んじゃえ!
220 :
鳩大福:2009/06/04(木) 03:16:55 ID:/ugFgHHF
勢いを断ち切っちゃう感じになっちゃうと思いますが投下します。
しばらく忙しかったのでなんだか文章が鈍ってしまいましたが
誤字脱字は勘弁してください。
それでは
「そっか……明日から優花ちゃんも高校生なんだね」
久しぶりに遊びに来た七海が紅茶を飲みながらそう言った。
「はい、明日からよろしくお願いします。七海先輩」
「いつも通り七海でいいよ、なんだか調子狂っちゃうから」
七海と優花が笑う。
およそ一年ぶりに七海が家に遊びに来て、こうして優花と話をする訳だが、
どうやら仲が良かった頃と変わってないようで安心した。
「ねぇ、春斗君。お茶のおかわりが欲しいな」
「あ、お兄ちゃん。あたしも」
「うん、わかったよ。ちょっと待ってて」
やれやれと思いながら二人のティーカップを受け取り、キッチンまで歩い
ていく。ティーパックをカップにいれお湯を注ぐ、あまり長く入れておくと濃く
なってしまう為、早めに渡して好きな濃さでティーパックを取ってもらう事に
する。
紅茶を淹れたティーカップを二人に渡すと、さっき紅茶を飲んだからだろう
か、お手洗いに行きたくなってきた。
「あ、ごめん。席はずすよ?」
「うん、大丈夫」
廊下へ歩いて出て行く。
勿論その後どんな話を二人がしたのかなんて僕は知らない。
「……優花ちゃん、こんな話をしに呼んだんじゃ無いんだよね?」
笑顔が突然消え、ティーカップをゆっくりと置いた。
「勿論です。七海さんには頼みごとがあったので呼びました」
優花の目は普段の優花からは想像も出来ない程に鋭くなっていた。
「時間がありませんね……簡潔に言いましょう」
七海は優花をただ無言で睨み付けた。
「明日からお兄ちゃんに出来るだけ近づかな――」
「無理」
そう遮る七海。二人の目からは憎しみや怒り、それに近いような負の感情し
か感じられなかった。
「……そうですか、ではこれをお兄ちゃんに見せるしかありませんね……」
「……これ?」
優花は何も言わずに傍に置いておいた紙袋からとある物体をテーブルの
上に置いた。
「これ、お兄ちゃんが観たらなんて言うでしょうか」
物体とは、七海が設置した盗撮用カメラの一つだった。
「な……!」
いつかは見つかってしまうであろうと悟ってはいたが、いざ見付かると動揺
が隠し切れなかった。
「これ、お兄ちゃんだったらなんて言うんでしょうか」
余裕の笑みが優花から漏れる。
「…………めて……」
「――は? 聴こえませんでした、もう一回”はっきりと”言ってもらえますか?」
完全に勝利を確信した笑い。
これでもう誰も邪魔は出来ない、そう優花は盗撮用カメラを紙袋に大事そう
に仕舞った。
「……私は……もう……」
「なんですか? ”ちゃんと”言ってもらわないとわかりませんよ?」
高らかに、狂ったように笑い出す。
もし仮に春斗に聴こえていたとしても、少し不思議に思う程度だろう。
「……私は、春斗君、に近づかない……ので……か、カメラの事を言わな
いでくださ……い!」
七海は下を向いて、涙ながらにそう叫んだ。
その目はすっかり光を失い、溢れ出した大粒の涙が滝のように落ちていった。
「わかりました、そこまで言うなら言いません。ただし、約束を破ったら……
わかってますよね? 勿論、友達としてもダメですよ?」
「…………友達としても……ダメ……?」
もう涙も出なかった。
部屋のドアがゆっくりと開き、スリッパの音がする。
「席を外してごめんね」
苦笑いをしながら入ってくる春斗。イスに座ると、紅茶を口に含んだ。
「えっと……あれ、どうしちゃったの?」
春斗は会話が無い事に気が付いた。
「え? そうかなぁ、気のせいだよお兄ちゃん」
優花は七海に微笑みかける。その笑顔を見て少し七海が怯えた気がした
が、声を掛ける前に七海が立ち上がった。
「えっと……ごめんね春斗君。課題が終わってないのを今思い出して……
帰って急いで終わらせないと」
そう七海は春斗に言った。だが、春斗はそんな七海の目が泳いでいる事に
少し違和感を覚えた。
「……そう、なんだ。うん、それじゃあ……」
「今日は呼んでくれてありがとう……”さよなら”……」
苦笑いでそう言う七海を不安に思いながらも見送ることにした。
「一人で帰れるから……じゃあね……」
「あ、うん」
七海は何度も悲しい顔をして振り返りながら帰っていった。
223 :
鳩大福:2009/06/04(木) 03:20:16 ID:/ugFgHHF
相変わらず遅筆なんで書く量が極端に少ないですが
ここからが一応メインストーリー?です。
それではまた。
>>223 乙!これからどんどん病みが酷くなっていきそうですね…
非常に続きが気になります
ところで携帯で投下したんですか?
一文を改行しているところがけっこう多かったですけど個人的には
一行で全部収まるならわざわざ改行しなくてもいいと思いますよ
>>223 朝からGJ!
てかここからがメインってマジですかい?
カメラってのは一体……?
次回の投下をお待ちしています。
227 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 12:06:14 ID:HIdu2yyZ
それでも、僕達はヤンデレから逃げ続けるよ
>>229 無駄なことを…
それなら俺はお茶でも飲みながら
来ることのないヤンデレを待ち続けるよ…
>>230 来るよ、ヤンデレは
いまだかつてヤンデレから逃れた人間も、ヤンデレが訪れなかった人間もいないんだ
ちなみにそのヤンデレの名は死神という
気に入った男をこの世ではない世界に連れて行って、その後二人で目くるめく永遠の……
>>231 ショーシャンクの空に みたいに海外へ逃げれば……
飛行機を降りて搭乗口を抜けた先には…
ヤンデレ「遅かったね、232君!待ちくたびれたよ!」
232「なん…だと…」
r ‐、
| ○ | r‐‐、
_,;ト - イ、 ∧l☆│∧ 良いヤンデレの諸君!
(⌒` ⌒ヽ /,、,,ト.-イ/,、 l
|ヽ ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒) 君は男の恋人を"すり寄る雌猫"呼ばわりしているようだが
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|
│ 〉 |│ |`ー^ー― r' | 男の恋人からしてみれば君も”すり寄る雌猫"なんだぞ!
│ /───| | |/ | l ト、 |
| irー-、 ー ,} | / i
| / `X´ ヽ / 入 |
"あんな女に本気になるはずがない"と思っていたら
r ‐、 男と”あんな女”が結婚して 手遅れだよ
| (| r‐‐、
_,;ト - イ、 ∧lマ │∧ 殺してでも自分のものにせい
(⌒` ⌒ヽ /,、,,ト.-イ/,、l.
|ヽ ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)
│ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|
│ 〉 |│ |`ー^ー― r' |
│ /───| | |/ | l ト、 |
| irー-、 ー ,} | / i
| / `X´ ヽ / 入 |
ぽけもんのヤツは、もうすぐ金銀のリメイクの、「ハートゴールド&ソウルシルバー」が発表されるから・・
また熱がこもり出すかもねぇ。
金銀か……。最初ツクシの性別を勘違いしたのは良い思い出
金銀…
あのころは守り勝ちできた。最近は先制一撃が基本だから面白くない。
金銀リメイクでは是非守り勝ちできる様にしてほしい。
守り勝ちするヤンデレって良いよね。
ガシガシ攻めては来ないけど10年くらいかけて粘り勝ちするの。
ワイヤードどなった?????
作者のサイトとかないん????
241 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/05(金) 22:21:22 ID:JQN3Q7Kx
ヤンデレ家族は逃亡した?
作者死亡とかってオチなかろうな…
ワイヤードはかなり名作だったもんなぁ…
ナギが好きな俺がいる。
投稿します。
第四話、最終話です。
「やれやれ、とんだ茶番に付き合わされたものだね」
私は自分の足元に転がっている、氷室さんを見降ろして呟く。
右手に剃刀の柄を握り締めたまま、地面に横たわり、気絶している彼女を。
対する、私の姿はと言えば、右手に先程氷室さんの首筋に打ち込んだ手刀の形を作ったまま、氷室さんを見下ろしている。
「マサト・・・君が氷室さんの気持ちにさっさと気がついていれば、こんな事にはならなかったんだ。わかっているのかい?」
しかし、目の前のマサトは、青ざめた顔で、
地面に横たわっている氷室さんを抱きあげることにご執心だ。
私の言葉など聞いちゃいないようだった。
「安心し給え、気絶しているだけだよ」
氷室さんが呼吸をしている事を確認したマサトは、大きく息を吐く。
そして、いとおしそうに彼女の長い髪を撫でる。
「ミク、どうしてこんな事を・・・」
「氷室さんは君の事が大好きなんだよ。幼馴染としてじゃないぞ?一人の男として、愛しているんだ」
私がそう告げると、マサトは驚いたように瞳を見開いた。
顔を上げ、こちらを見るマサトの表情は驚きに満ちている。
・・・やはり気がついていなかったか。
身近な幼馴染の愛情に気が付け無いなんて、君はなんて鈍感なんだ?
「そんな、嘘でしょう先輩?ミクはただの幼馴染で、僕に恋愛感情なんか・・・」
「やれやれ、当事者というものは実に恐ろしいものだね。君はどれだけ自分を客観視していないんだい?」
君たちに初めて出会ったとき、私は二人が既に恋人同士なのだとばかり思っていたよ。
しかし、目の前のこの鈍感バカのお陰で、氷室さんが苦しい恋をしているのはすぐに気が付いた。
自分に向けられる熱っぽい視線を、見事なまでにスルーし続けるマサトの天然ぶりには呆れてものが言えなかったね。
マサトと話している私を見つめる氷室さんの視線に、流石の私も何度背筋が凍った事か。
「ただの幼馴染が毎日お弁当・・・いや、朝昼晩、全て作ってくれているそうじゃないか?普通の幼馴染がそんな事をしてくれると本当に思っていたのかい?」
「でも、それは僕の母親に頼まれているからで・・・。あの、じゃあ毎日起こしてくれたり、掃除や洗濯してくれているのも?」
「そうか、氷室さんはそこまで君に尽くしているのに捨てられたのか。いやいや、同情を禁じえないね」
そこまでマサトに尽くしておいて、挙句に捨てられる氷室さん。
私もあの人に人生のすべてを捧げているつもりだが、もしも捨てられたりしたらどうなるか・・・。
フフ・・・その時はあの人の手足を切断して、監禁してあげればいいだけだ。
もちろん、それは最後の手段だけれどもね。
「でも、じゃあどうしてミクはマサキ先輩を・・・?僕はあなたに振られたのに・・・」
「さぁ?それは彼女本人から直接聞いてみたらどうだい?・・・私には理解できないからね」
愛する幼馴染が、意中の女性と結ばれ、幸せになるのなら、自分は捨てられても構わない。
自分よりも、彼の幸せが第一だと。
マサトの幸せこそが、氷室さんにとってきっと全てなのだろう。
・・・私には理解できないがね。
だってそうだろう?
私無しに、あの人の幸せが成り立つはずがないのだから。
私は、そう断言できる。
私以外にあの人を幸せに出来る人間など存在しない。
例えあの人が、他の誰かを何かの間違えで好きになったとしても、それはその泥棒猫に騙されているにすぎない。
その時は、その泥棒猫を私は全力で排除する。
それが、あの人にとっての最高の幸せなのだから。
「ただ、マサト。君に解って欲しいのは氷室さんが、彼女こそが世界で最も君の事を愛しているという事だ。彼女は君の幸せの為に、壊れた。それだけは間違いのない事実だよ」
「・・・ごめん、ミク。僕が君をここまで追い詰めてしまったんだね?」
そう言ってマサトは、気絶している氷室さんを再び見つめ・・・涙を流した。
氷室さんに恋愛感情を抱いてはいないらしいが、それでも彼女が大切なのは確かなのだろう。
・・・やれやれ。マサト、君は氷室さんの近くにいすぎたんだ。
本当はお互いに無くてはならないほど大切な存在なのに、その大切さに気が付かない。
空気や水みたいなものさ。普段は全然、そうとは気が付かなくとも、いざ無くなれば慌てる事になる。
それが幼馴染の関係。
失ってから初めて気がつくというものさ。
・・・私のお陰で失わずに済んだ事を感謝したまえよ?
「マサキ先輩、僕はこれから・・・どうしたらいいんでしょう?どうすればミクに償えるんでしょうか?」
「簡単なことさ、彼女を愛してあげればいい。・・・ああ、拒否権は無いぞ?君の恋愛感情なんぞ関係ない。今まで散々尽くしてもらってきたんだ。今度はそのお返しに彼女を愛してあげろ。・・・死ぬまで、その人生を賭してね」
氷室さんが自分にとって、どれだけ大切な存在かを気付く事が出来たマサトが、これから彼女を愛していくことが出来るかは解らない。
だが、それは今後の二人の問題だし、私の関知することでは無い。
ただ、私と同じく幼馴染の男性に人生のすべてを捧げている、氷室さんに少しばかりの情けを掛けてあげたくなったのさ。
本来ならば、私に襲いかかってきた処で、返り討ちにしてあげる所だが。
ちょっとばかりの同情を感じて、マサトを呼び出してあげた。
・・・フフフ、まぁ、がんばりたまえ。我が同志よ。
「ああ、ちなみに幼馴染同士は必ず結婚しなくてはいけないと、法律にも書いてあるらしいぞ?結婚式には呼んでくれたまえ」
「・・・書いてませんよ、そんな事・・・」
そうなのか?・・・まぁ、いい。法律など、私には関係のない事だ。
私は是が非でも幼馴染のあの人と結婚するつもりだし。
「それじゃあ、私はこれで失礼させてもらうよ?」
・・・私は氷室さんの手から零れ落ちた剃刀を拾い上げると、懐に忍ばせた。
ちょうど、普段使っている剃刀に刃毀れが目立ってきたところだ。
慰謝料代りに貰っておいても罰は当たるまい。
私は二人に背中を向けると、颯爽とその場を去ることにした。
さて、せっかく授業をサボって時間が出来たのだ。
この際、まっ昼間から愛しの君を愛でに行く事にしよう。
それぐらいの報酬は受け取っても構わないだろう?
・・・最後に、ちらりと振り返り、二人を見る。
マサトが、氷室さんの唇に口付けをしていた・・・。
あーあ、もう、やんなっちゃうなぁ・・・!!
あともうちょっとで彼を誘う事が出来たのに。
大体、何なの?あの変な女。
ちょっと綺麗だからって、無表情で無愛想で、まるで人形みたい!
いきなりお喋りしていたあたしと彼の間に入ってきて!
幼馴染だぁ??知らないっての!!
高校の制服着てたから、たぶん彼の一個か二個下なんだろうけどさ。
彼女でもない癖にベタベタしちゃって!
・・・大体、彼も彼よ。私と遊びに行く約束してたのに、あんな子が来たからってだけで、取り止めにしてさ!
しかも、デレデレ鼻の下伸ばしてやんの。
男ってのは、ああいう人形みたいなほうがいいの?理解できないわ。
あーあ、彼ってばホントにイケメン。だから、彼氏に出来たら、友達に自慢できるんだけどなー。
性格はすっごく天然臭いから、ちょっとモーション掛けてやれば簡単に落ちそうだけどね。
・・・あ、でもあれだけかっこよくて、今まで彼女が出来た事無いらしいから、何かあんのかな?
ブルル・・・。
うう、寒い・・・。雪降って来てんじゃん。
流石に冬の夜道は冷え込むわね・・・調子乗って友達とカラオケ行かなきゃ良かった。
もうあたり真っ暗だし。
なんか、例の殺人鬼が出没しそうで怖いわね。早く帰ろう・・・っと。
よーし、明日こそは彼を食事に誘って一発決めてやるわ!
あんな高校生の人形女に盗られる前に決めてやるんだから!
・・・あー、寒い。ホンっと、冷えるわね。
「こんな夜中に一人で歩くのは関心しないね、泥棒猫さん」
スパッ。
私が思わず声のする方に振りかえると、喉元にいきなり風が走った。
振り向いた先にいるのは、日本人形みたいな顔した、例の女子高生。
なんであんたがこんなところにいるの?
・・・と、喋ろうとしたけど、無理だった。
だって、私の喉元から紅い液体が噴出したんだもの。
え?なんなの、これ?・・・どういう事?
「フフ、泥棒猫と呼ばれて振り向くなんて、自覚でもあったのかい?」
人形女の右手には剃刀が握られていて、歯の部分にわずかに血痕が付着している。
どうして、この子が剃刀なんて持ってるんだろう?
え・・・嘘・・・そんな、あたし、この子に喉を切り裂かれた!?
まさか・・・この子がいま世間を騒がせている・・・。
「あがっ・・・ぐぶっ・・・」
喉元から噴き出した鮮血で言葉が発せられない。
しかも、とんでもない激痛に意識が飛んでしまいそうになる。
「フム、中々いい切れ口だ。これは氷室さんに感謝しないとね」
女子大生ばかりを狙う、通り魔殺人の犯人がこの子だったなんて。
信じられない。
喉元から血が湧き上がってきて、呼吸が苦しい。
どんどん意識が朦朧としていき、あたしは地面に倒れこんでしまった。
あたしの喉からはどんどん血液が流れ出て行って、コンクリートの地面がみるみる赤くなっていく。
あたし・・・死ぬんだ・・・
「自分が殺される理由が分からないって?なら教えてあげるよ。・・・君があの人に近づいたからさ。あの人に近づく泥棒猫どもは一人として生かしておけないね。私は絶対にあの人を他人に渡したりしないよ。フフフ・・・おや?」
薄れていく意識の中で、人形女の顔がおぞましいほどに歪んでいるのが見えた。
まるで三日月のように、真っ赤な口元が歪んでいる。
・・・やがて、あたしの耳に最後の言葉が流れ込む。
「おやすみ、泥棒猫さん。次は本当に猫にでも生まれ変わって、私のあの人にはもう手を出さないでくれよ・・・フフフ・・・アハハ・・・アハハハハハハハハハハハハハハハ!」
以上で全て投稿終了です。
読んで頂いた方、ありがとうございます。
少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
先輩サイドktkr
これからはこっちメインでいくのかな?
是非応援したいところ
252 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 00:39:07 ID:30e7mtO4
おもしろかった
次回作あるなら期待して待ってるよ
>>241-242 KaE2HRhLms
↑の文字でこのスレを検索してみようZE
もしくはwikiの作者別メニュー参照
自分で調べようとすらしないゴミの相手はしない方がいい
>あーあ、彼ってばホントにイケメン。
盛大に噴いたwww
ヤンデレメイドロボとヤンデレ幼馴染みが共に主人公を愛す夢を見た。
では投下致します
第6話『真実の目』
「うむ。わかっておる。あの邪魔者は自殺に見せかけて殺そう」
今では誰もが使う機会を失ったダイヤル式の電話でババアはとある人物と話し込んでいた。
年寄りらしい地味な部屋は近所にある忍や彩が暮らしているアパートの近くに監視するために存在していた。
その電話を受けたのは日が傾き始めた頃。
あの方から直接電話がかかってきたのだ。特に用事もなければ、ババアに干渉することはなかったはずなのだが。
電話の主から内容を聞けば、おおよその事は理解できた。
邪魔者。
そいつがシステムを壊す侵入者。
「ふむ。自殺が発覚するのは本件終了後にお願いしたいと。それは少し無理なのでは?」
あの方の命令は絶対だ。
ババアと言えど、あの方に逆らうことはあの敷地の管理人を辞めさせられるという問題ではない。
後先短い自分の命を明日には散らすことになる。
だから、慎重に相手に意見を述べた。
「現時点で殺したとしても、本件が解決するまでに死体は必ず腐敗してしまいます。
自殺の偽装工作をするのは殆ど不可能。逆に警察の捜査で他殺という線を浮上する可能性があります。
恐らく、親交関係がある彼が疑われると思うのじゃ」
邪魔者を殺害後に、彼が殺人犯と疑われるのはババアやあの方にとっても理想的な結末とは言えない。
邪魔者という不確定要素がいなくならない限りは本件が無事に達成することは困難であった。
ババアは悩む。
人を殺すのには躊躇いはない。
むしろ、自分達の理想を汚す輩は生きたまま燃やしても構わない。何十年もそれをやり続けた誇りというものがある。
とはいえ、今回のケースの殺害は難しい。殺害方法の指定や、殺害してからの偽装工作まで、時期を見なくてはいけないからだ。
「ならば、もうしばらくだけ様子を見てから。邪魔者を殺害すれば……」
『大丈夫です』
「はい? なんと?」
『邪魔者の素性を調べたら、人間のゴミのような男が浮上しました』
「ほう、それで」
「その人間のクズを犯人として疑いが出るように工作してから、邪魔者を殺害しましょう。
シナリオはこうです。人間のクズが偽装工作して、邪魔者を自殺に見せかけた。しかし、実は他殺だったと」
「それでは彼に迷惑をかけずに、人間のクズが警察に逮捕されるわけか」
『そういうことです』
「ならば、時期が来ればワシが邪魔者を殺害することにしよう」
「よろしく、お願いしますね。ババア」
「御意」
あの方との電話を打ち切った。
緊張から開放され、ババアは安堵の息を吐いた。
圧倒的な貫禄と、存在感の前では年齢だけを重ねた自分など赤子同然だった。大きな存在の前では誰もが恐れ従うだろう。
さて、本件は慎重に監視して見守る。
それがあの敷地の管理人である自分の仕事なのだから。
今ではすっかりと忘れ去ってしまった敷地に起きた事件。
恋する乙女が想いの果てに愛しい彼をこの場所で監禁して、強制的に自分の物にした。
それから、この敷地に男女が一緒にいると必ず監禁事件が起きた。
その結末は……。
忙しさに追われていた。
だから、どうしたと言われても俺は目の前のケーキを売り払う作業に没頭しているので何かを言う気力を持ち合わせてはいない。
ちなみに俺が働いているバイト先はケーキ&喫茶店を切り盛りしている。
毎日ケーキ、プリン、アイス、ワッフルなど30種類以上のデザートバイキングなどを行っており、女性の方々に評判のいい店である。
フードメニュー、ドリンクメニューも充実しているので子連れの方々にもよく来店している。本当にいい店であった。
この男がやってくるまでは。
「おい、そこのクソバイト。てめえ、お客様を待たせているんじゃねぇぞ!!」
「はい。すみません」
「全く、ちょっと睡眠薬を飲ませてラブホを連れて行ったぐらいでメス猿どもめ。辞めやがって。
まあ、教育的配慮で通報されないからどうでもいいけど」
俺はお客様の購入した商品をレジ打ちしている最中にこの男が背後から怒鳴ってきた。
ケーキを買ってくださっている女性も店長の発言に怯えた表情を見せた。そりゃ、そうだろう。
すでに犯罪を自白しているようなもんである。
この男はケーキ&喫茶店の店長、扇誠(おうぎ まこと)という。
前店長が本店に栄転することになったので、次に店長としてやってきたのが扇店長だった。
前店長はケーキ作りも一級品で、人格も良かったので皆に慕われていた。
だけど、扇店長は全てが最悪である。
まずはアルバイトの女の子に手を出したりと、セクハラ行為の素早さは超一級品だ。
辞めてしまったアルバイトの女の子は大抵喰われて孕ませられたという噂をよく聞く。
更に問題行為を起こしまくっているのにクビにならないのは。
それなりのコネがあるからだそうだ。
内閣総理大臣の子供とか、その親戚筋とか、会社の社長の孫とか、権力者にコネを持っているらしい。
「バイトが二人ぐらいバックレたけど、お前と瑞葵ちゃんと副店長のジジイでよろしくな。俺はこれからコレとデートだからよ」
小指を際限なく強調して、汚らしい笑顔を浮かべて扇店長は混雑している店内の玄関から堂々と出て行った。
お客様がいる時も気を遣わないので、だんだんと店の評価は落ちていた。
「くそ。一人でどうやって切り盛りしろと……」
俺は今日の修羅場が早く終わることを祈っていた。
その後、相沢さんと副店長や事情を話して、今日休みだったバイトさんに来てもらって、この修羅場をどうにかくぐり抜けた。
明日は新たに何も知らないバイトが数人来るらしいので、研修なしに実戦に投入されるだろうな。
「お疲れ様でした。先輩」
「相沢さんもお疲れ」
「本当にあの店長は皆殺しの刑ですよ!! 今日は女の子が夢に見たケーキ食べ放題半額の日に逃亡するなんて!!
火あぶりの刑、ううん。モンスターに店長が頭からがぶりと食べられた方がいいかもしれません」
「はいはい。できそうにない店長殺害計画はいいから。もう、帰る支度でもしたら?」
「そうですね。先輩と一緒に帰れるなんて滅多にありませんし。それに」
「それに?」
「副店長と話して、シフトは全て先輩と一緒にしてもらいました」
「はい!?」
「これで先輩と一心同体ですね。これからもよろしくお願いします」
「で、狙いは」
「先輩と一緒に帰って、先輩の家で私の手作り料理を胃袋が破れるまで食べさせてあげたいと思いまして」
これは何の冗談であろうか。相沢さんとはバイト先だけの関係であって、
この前の電話で喋った時以外はロクに会話をする仲でもなかった。あえて言うなら、
相沢さんを扇店長の魔の手から守った時から親密な関係になっていると言うのか。
ほんの些細な優しさがきっかけがまた……。
「それに、陰気くさい女の人が作った物を食べさせるわけにもいきません」
「うん?」
「さあ、なんでもありませんから。服を着替えたら、先輩の家にレッツゴーですよ。
相沢家直伝の愛憎料理をたっぷりと食べさせてあげますから!!」
「愛憎って……」
まあ、いいか。
帰りにスーパに寄って、相沢さんが作る夕食の材料を買ってきた。
時刻はすでに夕日が沈み変質者が行動する時間帯である。アパートの敷地内に入ると、俺の部屋の前で待っている人物がいた。
彩さんだ。
「周防さん。今日も多く作りすぎたんで……この人は」
小さなお鍋を持って、彩さんは目を丸くして俺の隣の人物を凝視していた。
まるで目にオーラを体の一部に集め、何かの正体を見抜くんじゃないかというぐらいに相沢さんを見つめている。
「えっと、桜井彩さんでしたっけ? 先輩からいつもお話を聞いていますよ。
毎日おかずを差し入れしているんですね。でも、今日は私が先輩のために美味しい料理を作りますから」
「むむむ……。周防さん?」
「ん?」
「これはどういうことなんですか!?
俺が逆に聞きたい。
「周防さんの恩返しのために私は夕食のおかずを差し入れしているんですよ。
バイト先の後輩か先輩か知りませんけど、この役目を誰にも譲るつもりはありません!!」
譲るとか言う以前に、二人に作ってくれと頼んだ覚えはないが、空気を読まない発言をすると
BADENDのフラグが立ちそうなので何も言えまい。
彩さんと相沢さんに口を挟める人がいたらその人のファンクラブを結成してやろう。
「何を怒っているのかわかりませんけど。
とりあえず、先輩の夕食を作らないと、私の先輩がメタミドホスやメラニンが含んだ食品に手を出すかもしれません」
「大丈夫です。私の料理を食べている間はそんな毒食品には手を出せませんから!!」
「フフン。この場を引かないと言うならば。私にも考えがあります。
桜井彩さん。あなたがやっていることをここで告発しましょうか?」
ん? 告発だと。
「告発? 一体何を告発すると言うんですか?」
「言ってもいいのかしら。証拠はなくても、周防さんの部屋を調べれば。大変なことになりますね」
「うぐぐっ……」
「女の子の本性は女の子がよく知っている。浅ましき本性は特に!!」
「桜井さんが何をやったんだ?」
「知らない方が幸せですよ。先輩」
相沢さんが目をウインクして、それ以上はその件について触れない方がいいと意思表示してきたので聞きたくても聞けなかった。
逆に彩さんが血の色が失った蒼白な顔色を浮かべ、体全身を震わせていた。
「こ、こ、これ、残さずに食べてくださいね」
と、小さなお鍋を渡されると彩さんは逃げるように自分の部屋に逃げ込んだ。
まるで何か悪さした飼い犬のように見事な逃げ足であった。
「さあ、行きましょうか。先輩」
相沢さんは俺の腕を組まれて、自分の部屋に連れ込まれようとしていた。
あんな動揺したことがない彩さんの姿を見るのが初めてであり、放っておけなかったが。
相沢さんの強制的な押しに負けて、数時間ぶりに自宅に帰宅した
支援
以上で投下終了です
それではまた。
>>264 いいねえ、この展開はウハウハだわ、GJ!
>>250 遅蒔きながらGJ!
やはりミクは生き延びたか。
というかマサキ先輩、凶器は他人のリサイクル品ってマジかい。
それよりも、こんなスイーツ脳女が擦り寄ってきそうな、先輩の想い人の正体が気になるわ〜
次回作を楽しみにしています。
>>264 久しぶりですGJ!
つうかババア。まさかのババア!
とりあえずゴミ男のほうは、利用されるまえにサクッと消されちゃうと思うほどに小物だし。
どういう展開に転がっていくのか……
続きを楽しみに待っています。
>>264 GJ!
扇店長が良い感じに痛い目に逢うフラグ立ててるw
作者の自演なんだからスルーしてやれよ
感じ方なんて人それぞれなんだから別にいいじゃない
273 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 23:53:36 ID:i1hM0qvQ
お隣りの彩さんと人妻のエリさんが頭の中でかぶってしまう
sage忘れたスマソ
そもそも完結しないうちから名作とか
仮に今がよくてもどうなるか分からないのに
にしても最近投稿が少ないな……
一生馴れ合ってればいい。誰も投稿しなくなるから
>>279 荒らし乙。そんなにこのスレを潰したいのか?
ま〜た始まった(‘A`)
283 :
桜の幹:2009/06/08(月) 19:22:42 ID:qYPOnSYP
>>181 桜の幹書いてたんだけど、ずっと気になってて俺なりにドSのヤンデレ書いてみた
流れぶった切るけど、投稿いきます
身を清めた後、帯を締めなおす。
朝の道場で鍛錬をするためだ。
道場の戸開くと、僕よりも早く冷えた道場の木張りの床に正座して待つ人の影があった。
「遅かったわね」
静かな声が、床と同じくらいの冷たさで伝わる。
長い髪を後ろでまとめて、袴姿が栄えるほどの気品さを持ち合わせている美女。
この道場の師範代、和美さんだ。
「組み手、お願いできるかしら?」
「は、はい!」
「あ、でも……、まずは柔軟から始めないといけないね」
ニッコリと彼女は微笑んでから、正座を崩した。
そのままゆっくりと立ち上がり、僕の方へゆっくりと足取りで彼女は言った。
「さぁ、始めましょうか?賢君」
「押忍、お願いします、師範代」
そういうと、彼女は僕の額をピンッといった感じで指で弾いた。
「もう!二人の時は和美って呼んでって言ってるでしょ?」
「お、押忍、よろしくお願いします、か、和美さん」
「うん!よろしくね、賢君」
僕が身売りの人から、この道場の師範代に買われて、もう五年にもなる。
この道場の流派は怒獲棲流という流派で、本州にある病出冷流の基礎を汲んだ言わば末端の流派だ。
日々の鍛錬、そこからの基本の繰り返しにより基を技とし、更なる鍛錬により奥技に至る。というものでなにしろ基本を重んじる。
またその基本も厳しく、門下生は極めて少ない。
帯が黒になると、石段に突き百回、木刀で腹筋を何回も叩くなど、常軌を逸した鍛錬を要す。
まさしく身体を凶器に変えていくのだ。
そしてその過程で技を習得していく。
ある時は師から、ある時は書物から、基本を崩さず技を会得していく。
そして会得してきた技の数で段位を上げていく。
ちなみに僕はまだ技を二十八しか体得していない。
師範代になるのは大体百二十ほどらしい。
僕はまだまだ鍛錬中の雛っ子だ。
「賢君、行くよ?」
「あ、あの」
「うん?」
「このぐらい一人で出来ますよ」
「駄目!こういうのは二人一組でやって意味があるの!」
「はぁ…」
「ホラ行くよ?」
「はい、お願いします」
息を吐いて、和美さんが僕の上半身を前に倒す。
耳元に荒い呼吸が当たる。
「か、和美さん?」
「ん?なあに?」
僕は背中に当たっているモノを口にした。
「そ、その胸が」
「ん?なぁに、聞こえないよ?」
耳元の和美さんの息がさらに乱れた。
「いえ、何でも無いです…」
後から聞いた話だけど、僕を買ったのは師範代ではなく、和美さんだったらしい。
五年前、和美さんがついに技の第二百五十を体得し、昇格祝いに僕が買われたらしい。
和美さんは女性初の怒獲棲流師範で、九歳の頃から才能を見込まれて道場に出入りしていた。
彼女が僕を買ったのは怒獲棲流を始めて五年目の事だった。
寒い、冬の半ばだったのを覚えている。
虚ろな眼で奴隷商に声を掛け、僕を指差して微笑む彼女はまるで雪を被った桜の花びらみたいだった。
「じゃあ、組み手でもしようか?」
袴に掛かった埃を払い、和美さんは道場の中央をまで歩いていって構えを取った。
シン、と道場の床越しに冷たいモノが走った。
僕は一度息を深く吐いてから、中央にまで歩み、構えを取った。
「フフッ、ピリピリする」
僕は答えない、隙は見せたくない。
「あらら、無視しちゃうんだ。寂しいなあ」
和美さんはそこまで言うと、左足を一歩前に踏み出した。
思わず浮かしていた踵が強張る。
「表情も、構えの隙の無さも、突き放す気迫も申し分無い」
また一歩、右足がジリジリと足を擦るように近付いて来る。
息を吐く。いた白い息が凍りつきそうな緊張感。
「随分と強くなった、ね。賢君」
右足の指先が間合いの端に入った。
「ああ、ここが賢君の間合いね。いいわ、ゾクゾクしてきた」
和美さんの左足が踏み出した瞬間、拳を突き出した。
和美さんは信じられない様な反射で左腕で僕の拳を逸らすと、そのまま右足を上段に放ってきた。
僕も右腕で受けた。ガンっと硬い者同士がぶつかる音が骨を通して聞こえる。
「コレも防ぐ、いい反射よ」
一歩、僕が後退する。
間合いギリギリ入らないように離れる。
「駄目駄目、せっかく賢君が撃ってきてくれてたんだから」
ユルリと、和美さんは腰を落として一気に僕が突き放した間合いを詰めてきた。
下段からの攻撃。
微かに見えた合掌に勘が働き、顎下と水月を固める。
ドン。
木刀で殴られた時と同じ音が水月を固めていた右腕を撃った。
「コレも防ぐの?」
なんとかやり返そうと、睨んだ直後、何か重い物が肋骨に刺さった。
重い息が、腹の底から出る。手刀が両腕の隙間から肋骨に突き刺さっていた。
「次、太股」
シュっと空気を切る音の後、右の太股が熱く、重くなった。
蹴りが入ったと思った頃には構えが崩れていた。
そのまままだ下段に構えていた和美さんの突き出そうとしていた掌が見えた後、視界が天井に変わった。
顎に、決められた。
そのまま吹き飛ぶと、長い間宙にいた。
やっとの事で着地した刹那、胃袋の辺りに衝撃と爆発が起きた。
「ガッ、ハ」
「あは!」
和美さんの膝が重く、水月にめり込んでいた。
そのまま一秒もしない間に、鼻に何かがぶつかった。
和美さんの拳だ。
僕は頭を支配していた痺れを払うと、思い切り和美さんを突き飛ばした。
鼻からの呼吸は鼻血で儘ならない。
腹の底からは何かが這い上がってくるみたいな錯角を覚える。
咳き込みながら、離れた和美さんを睨む。
和美さんは何故か息を荒くしながら、ギラギラといった視線で僕を見つめていた。
深呼吸三回で、一気に感覚が戻ってきた。
腹の痛み、鼻血が滴る感触、太股の熱。
一歩踏み出して構えを治すと、肋骨の軋みが響いてきて、口元を歪ませてしまった。
和美さんはそれが嬉しいのか、口元に薄い笑みが広がっていく。
「行くよ?」
聞こえた時にはもう目の前にいる和美さんに僕は左手を突き出した。
和美さんはそれを避けて、左の脇で挟むと、右の掌を僕の上腕に思い切り突き出した。
鈍い音の後、鮮烈な痛みが走る。
「肩、外しちゃった」
思わず、右足を和美さんの上段に放つ。
和美さんはそれを難なくしゃがんで避けると、軸足を払った。
僕はすぐさま無様な受身を取ったが、すぐに和美さんは踏みつけてきた。
一度踏み付けを受けて、二度目を転げて避けて立つと、和美さんは宙に跳ねて、背中を見せていた。
そのまま腰の回転と共に後ろ回し蹴りを僕に放った。
受けは間に合わず、放たれた踵が水月を突き刺した。
知ってる。技の二十八、踵割りだ。
また吹き飛んだ。
今度は着地と共に身体がピクリとも動かなくなって、すぐに距離を詰めてきた和美さんの追撃で意識が消えた。
「け…く…けん…ん」
声が聞こえた。
身体は言う事を聞かない。
目蓋を開けるのがやっとだ。
視界に広がっていったのは天井と、心配そうに僕の顔を覗き込んでいる和美さんの綺麗な小顔だった。
「和美…さん?」
そこまで言うと咳き込んだ。
和美さんは僕の顔を濡れた手拭いで拭うと、ニコリと微笑んだ。
後頭部の柔らかい感触に、僕は何度目か分からない敗北を悟った。
和美さんの膝枕だ。
和美さんと組み手をして僕が負けると決まって和美さんは僕を膝に乗せながら手当てをする。
まぁ、いつもの事なんだけど。
「水、貰えますか?」
「うん、いいよ」
和美さんは頷くと、水筒に口を付け、含んで、僕に口渡しをする。
まるで奇妙だ。
ぬるりと、水と共に舌が絡んで来る。
和美さんは僕が水を飲んだ後もその行為を続ける。
身体は、動かない。
そのまま口付けを続けながら、和美さんの手は僕の胴着の帯へと伸びていく。
「駄目です」やっとのことで和美さんの口付けから逃れて僕は言う。
和美さんはまるで聞こえてないみたいに僕の頭をそっと床に置いて、それから僕の上に跨り胴着を脱がしていった。
今日こそは、何としてでも防がなければ。
防ぐ、と言うのは和美さんとの性交のことだ。
僕が始めて和美さんとの組み手で負けた時、今よりもコテンパンにやられて骨折までした時。
僕はやはり気絶していて、起きたときに驚いた。
和美さんは僕の胴着を脱がせ、愛撫していたのだ。
僕が動けない事を知ってか知らずか和美さんは自ら僕と性交に及んだのだ。
怒獲棲流に僕の様な汚い血を混ぜるわけにはいかない。
僕は必死に訴えた。
「和美様、駄目です。辞めてください」
和美さんはそれを聞くなり拳を振り上げて僕の鳩尾に落とした。
さっき飲んだ水が少し口の中に上がってきた。
「黙って、賢君」
和美さんは続けて二発、水月と喉に抜き手を放って言う。
「貴方は、私の物でしょ?ほら、分かったら復唱しなさい」
今度は張り手が飛んできた。
「うっ、」
「早く、ホラ」
また張り手が冷たい道場に響く。
「僕は…和美さんの…物……です」
和美さんはそれを聞いて嬉しそうに微笑むと、今度は僕の顔の輪郭に沿って指で撫でた。
「そう、あなたは私の物、貴方の名前も、貴方の拳も私が作ってあげた」
和美さんはそこまで言うと、僕の性器を自らの性器にあてがい、腰を下した。
「ッッ!」
不覚にも身体に余計な力が入らないせいか、和美さんの中は気持ちよかった。
「動くね?」
僕の上で腰を振る和美さんはとても淫らで、美しかった。
後ろで結んでいた髪を解き、僕の胸に降りてきていた髪はとっても綺麗で、一本一本が絹みたいな、そんな高級な雰囲気を漂わせていた。
和美さんを見上げると、あの時の、僕を買った時の虚ろな眼だった。
和美さん、ごめんなさい。
僕、もっと強くなって、和美さんを拒絶します。
だから今だけは、このまま休ませてください。
僕は、和美さんの中の痙攣と共に精子を放ち、また目を閉じた。
賢君が私の中に子種を放った後、賢君はまた眠りに落ちてしまった。
私はお腹の中の温かさの余韻に浸りながら、賢君の顔を撫でた。
私と賢君との出会いは交流試合の帰りだった。
私はその日、本家の病出冷流からの出場者をボコボコにして、再起不能になるまで膝を踵で踏みつけた。
私はその頃、怒獲棲流に関わる全てを憎んでいた。
道場では何人もケガ人を出し、あまつさえ山の熊さえ殺していた。
交流戦の帰り、私は人買いの商品の中に、賢君を見つけた。
彼は私の視線に気付いたのか、私と眼を合わせる。
彼は私を見つけるなり、微笑んで手を振った。
その時、私の中に何かが駆け抜けた。
内腿が震え、膣が熱くなった。
私は、濡れていたのだ。
私はすぐさま交流戦で貰ったお布施で彼を買った。
彼を買った後、私は父の替わりに師範代を勤めると誓い、その手助けに彼を買ったと告げた。
おずおずと父に頭を下げる彼の姿に父も頬を緩め、「勝手にしなさい」と許可をくれた。
あれから五年、私は組み手と称して彼に私の印を押していった。
脱臼、骨折、打撲、賢君のありとあらゆる所に私の烙印を押してきた。
彼の苦悶に歪む表情も、私に抗う顔も堪らない。
今日も、脱臼させた鈍い音聞いた時、私は快楽に落ち始めていた。
いや、もしかすると彼が打ち込んできた時からかも?
私はこれからも彼に勝ち続ける。
彼に私の烙印を刻み続ける。
その為に私はこの家を継いだのだから。
その為に門下生の大半の血を見てきたのだから。
私は寝息をたてている賢君に優しく口付けをして、医務室まで抱えていく事にした。
「医務室で…もう一回…えへへ」
以上です。
ご静聴ありがとうございました
GJ!!
世界観がよくわからんけどとにかくエロかった
>>289 ドSってレベルじゃねぇぞGJ!
ただでさえアレなヤンデレに、格闘家の要素が加わっただけで、かなり大事になるな……
というか通りすがりの奴隷商って、一体どんな世界なんだここは。
とりあえず、和美さんと賢くんの将来に、平穏がありますように。
それでは、桜の幹の続編を楽しみにしています。
GOODJOB!
GJ!
しかし怒獲棲流にTHE落武者吹いたw
GJ!
でももし精神的に追い詰めるタイプのドSヤンデレだったら全俺が最高潮に興奮してた
>>289 こんな事してないで早く桜の幹を投下してくれ
黙ってろ屑
オマエモナー
巣に帰れ
荒しが四人に分身しただとっ!?
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
六月だからな。ジューンブライドなんていっているのに、一向に思い人との距離が縮まらないヤンデレ娘たちがイライラするのも無理は無いな
これはいい
GJです!
トリップテストです。
>>289 GJ!
カッとなって暴力を振るうんじゃなくて、冷静にじっくり嫐る様子にゾクゾクした…
トリップは大丈夫だったみたいです。
パソコンが壊れたので、確認しました。
それはそれとして、投稿します。
翌朝、業盛は甘酸っぱい匂いと圧迫感を知覚して目が覚めた。
目を開けると、幸せそうに寝息を立てている水城に抱き着かれていた。
興奮、という反応ではなく、なぜ水城がここに、という疑問が生じた。
一般の男だったら、自分の横に美女が眠っていたら襲い掛かっていそうだが、
如何せん業盛は、彩奈の豊満な身体を見ても襲い掛からなかったほどの理性の持ち主だ。
美女とはいえ、豊満とは程遠い水城の身体は、
業盛の理性に一筋のひびも入れることが出来なかった。
業盛は水城が眠っていたであろう布団に目を向けた。
そこに当然のことながら水城はいない。ただ、布団が乱れており、
人が寝ていた形跡があるだけだった。
業盛は悪いとは思ったが、とりあえず水城を起こすことにした。
肩を軽く叩きながら呼び掛けると、水城は寝言を立てながら、
まだ眠たそうな目をゆっくりと開けた。
「ふぁ〜…、なに、三郎…?」
水城は眠たそうな眼で業盛を見つめた。
「いや、『なに、三郎…?』じゃなくて、なんでここで寝てるんだ。
昨日はあっちの布団で眠っていただろう」
そう言いながら、業盛は空の布団のほうを指差した。
水城は寝ぼけているのか、ゆっくりと後ろを振り向き、空の布団を凝視した。
そしてしばらくすると、またゆっくりと業盛に視線を合わせ、
「あぁ…、言い忘れてたけど、私、結構寝相が悪いの。たぶん、それが原因ね」
と、それが当然という様な答えが返ってきた。
「そうか」
寝相が悪いと言われてしまうと、なにも言えなくなった。
水城のせいで、いつもより早く起きてしまったが、
早く起きてしまったのなら、さっさと仕事を終わらせようと、
餌を手に取り、外に出ようとした。すると、
「あっ、三郎、待って。私も一緒に行く」
と、言って、水城が付いてきた。
「すぐに終わるんだから、まだ寝ててもいいんだぞ」
せっかく気持ちよく眠っていたのを起こしてしまって悪いと思ったのか、
業盛は水城を気遣う様に言った。
それを聞いた水城は、
「別にいいわよ。もう目が覚めちゃったし、ここに一人でいてもつまんないから、
三郎の仕事してる所を見て暇を潰すことにするわ」
と、どこか皮肉っぽく答えた。
水城は、以前の自信に溢れたしゃべり方に戻っていた。
だが、どことなくその言動からは毒が抜け、水城はどこか穏やかになった様に感じた。
「変わり者だな…」
業盛はぼそりと呟いたが、水城には聞こえなかったようだ。
「あぁ、三郎、言い忘れてたけど…」
少し前を歩いていた水城は振り返って、
「おはよう」
と、笑って言った。
「あぁ、おはよう、水城」
業盛もにっこりと笑い返して答えた。
「まったく、あの馬鹿、分かったって言ってんのに、何度も何度も謝りやがって、
俺はそんなに執念深い奴に見えるのか」
日が中天に昇った頃、業盛は苦々しい顔をしながら呟いた。
朝の餌やりを終え帰ってきて早々、弥太郎が土下座して謝ってきたのだ。
業盛も、弥太郎を許す機会を探っていたので、ちょうどいいと思った。
しかし、許してやると言っても、弥太郎は聞いていないのか、
額を床に打ち付けて謝り続けた。
おかげで朝食を作り損ねてしまった。これが怒らずにいられようか。
「まぁ、いいじゃないの。私が昼食を作ってあげるから」
立腹している業盛を、水城は宥める様に言った。
「いや、さすがに二人分作るのは大変だろうから、それは遠慮する」
業盛は断ったが、
「あんたねぇ…、私と三郎はもう友達なんだから、私の好意に甘えていいの。
だから、食べていいの。むしろ食べなさい、絶対に!」
と、半ば強引に押される感じで水城の昼食を食べることになった。
業盛は手伝うと言ったが、水城が、
「三郎はこの部屋で待ってなさい。男子厨房に入らず、よ」
と、言って、隣の部屋に行ってしまった。
「俺も手伝ったほうが早く出来るのに…」
料理に自信のある業盛は、不満顔で呟いた。
水城が出て行ってしばらく、業盛はごろごろしていた。
外は昨日の寒さが打って変わって、今日は湯が煮えそうなくらいに暑くなっている。
それに、蝉達がここぞとばかりに騒ぎ散らしている。昨日の静寂が嘘の様である。
業盛には、昨日という日がなにかの転換日だったのではないかと思えてならない。
そんなことを考えていると、
「ご飯が出来たわよ〜」
と、水城が部屋に来て言った。
隣の部屋に行くと、膳が並べられていた。
早速席に座り、ご飯を口に入れ、を口に汁物を含んだ。
「うまい…」
「当然よ。私の料理の腕を甘く見てもらっちゃぁ困るわね」
水城はない胸を張って言った。
業盛は、続いてひじきの和え物を口に入れた。
「これもうまい…けど、なんだろ…、この口の中でごりごりするものは…?」
「それもひじきよ。気にしないで食べちゃいなさい」
水城がそう言うので、業盛はそのごりごりしたものごと飲み込んだ。
なんとなく水城に顔を向けると、水城は惚けた顔で業盛を見つめていた。
「どうした?」
気になったので聞いてみると、
「ひゃあっ!」
と、なんとも言えない奇声を放った。
「な…なによ、びっくりするからいきなり話し掛けないでよ!危うく…」
いきなり怒鳴られたかと思うと、急にぶつぶつと独り言を言い始めた。
顔を上気させて、どことなくそわそわしている。居た堪れなくなったのか、
「ちょっと、尿殿に行ってくるわ」
と、水城は言って、そそくさと部屋から出て行ってしまった。
業盛は、またごりごりするひじきの和え物を口に入れた。
食事が終わって、業盛は縁側にだらりと座っていた。
やることもなく、これ以上部屋にいたら蒸し焼きになりそうだったこともあり、
少しでも涼しい場所を求めて、縁側に座っていたのだが、あまり変わらなかった。
太陽光が燦燦と降り注ぎ、業盛の額に、汗が滲み出た。
そこにちょうど厠から水城が戻ってきた。顔がさっきよりも赤かった。
「どうしたんだ?」
と、聞きたくなったが、空気を読んで聞かないことにした。
「ねぇ…」
水城が少し擦れた声で、業盛に呼び掛けた。どことなくその声音に、違和感があったが、
「座ってもいいかな…?」
と、その違和感の割りに、ずいぶんと単純な頼みごとだったことに、
業盛は肩透かしを食らった。
「別にいいけど」
断る謂われはないので、業盛は了承した。
水城は業盛の近くに座った。
「水城…、これはいったい…」
確かに近くに座ったが、水城が座った場所は業盛の股の間だったのだ。
胸を背もたれにし、あたかも業盛は椅子の様である。
「三郎が座っていいって言ったんじゃない」
水城は悪気なく言った。
「そうじゃなくて、なんでわざわざこんな所に座るんだ?普通は隣とかだろ」
「どう座ろうと、私の勝手じゃない」
そう言われて言葉に詰まってしまったが、ここで負ける訳にはいかない。
とにかく、反論しなければならない、と業盛は思った。
「それに、暑いし…」
「私は体温低いから大丈夫よ。三郎も少しは涼しくなってるでしょ」
「いくらなんでも、これはくっつきすぎじゃ…」
「私達はもう友達なのよ。これぐらい、なんてことないわ」
「お…」
「なにかしら…?」
「いや…、なんでも…ない……です…」
すべて論破されてしまった。しかも一言で。
特に最後のほうは鋭い目付きで睨まれて黙らざるを得なかった。
業盛は困惑していた。動こうにも水城がいるので動けない。
どうしたものかと悩んでいると、水城がウットリした声音で、
「三郎の身体…、少し汗臭いわ。ちゃんとお風呂に入ってるの?」
と、言いながら、業盛の胸板に頬擦りしてきた。
「当たり前だろ!ちゃんと風呂に入ってるし、入れなかった時は身体拭いてるし…」
思わずカッとなって言ってしまったが、水城はニヤニヤしながら、
「今度から、私が身体を拭いてあげようか?
変わりに、あんたに私の身体を拭かせてあげてもいいわよ」
と、冗談とも本気とも取れる様な声音で言った。
「それは丁重にお断りさせていただこう」
業盛がそう言うと、
「ちぇ…」
と、水城がわざとらしく舌打ちをした。
しばらく沈黙が続いた。
「三郎ってさぁ…」
その沈黙を破る様に、急に水城は改まった様な口調になった。
「私みたいな美人に擦り寄られてるのに、鼻息一つも荒げないよね。
私って、そんなに魅力ない…?」
声がだんだんと萎んでいくのが分かった。
なんて声を掛ければいいのかと迷っていると、水城は不意に立ち上がった。
「まぁ、いいや。私に魅力がないなら、もっと私が努力すればいいんだし。
ごめんね、三郎。暑苦しかったでしょ」
水城はそう言って、部屋に帰ろうとした。
そんな水城の後姿を眺めていた業盛は、
「水城、夜になったら、俺の部屋に来ないか?今日の昼の礼に、夕食を作ってやるよ」
と、つい口走っていた。
それを聞いた水城は振り返って、
「そっ、じゃあ期待しないで待ってるわ」
と、言って、部屋に帰っていった。
一瞬、水城が笑った様に見えたが、業盛はそれを見逃していた。
夕食の時間になり、業盛は存分に料理の腕を振るった。
水城はあまり期待していない様だったが、料理を口にすると、
「おいしい…、私の思っていたのよりも、ずっと」
と、驚愕した様に言った。
「そうかい、それはよかった。てっきり、『なにこれ?馬の餌かしら』
とでも言うかと思ったぜ」
「そんなこと言わないわよ。私だって褒める時は褒めるわ。
今回は素直においしいと思ったから、ちゃんと褒めてあげたのよ。
まぁ、ありがたく思いなさい、三郎」
「はい、はい、ありがたくお言葉頂戴しますよ」
業盛がそう言うと、二人とも声を揃えて笑った。
「まぁ、三郎がこんなにおいしい料理を食べさせてくれるとは思わなかったわ。
三郎に貸しが出来ちゃったわね」
水城が改まった様に言った。
「貸しって、随分と大げさなこと言うなぁ…」
「なに言ってんのよ!貸しが出来たら返す、武士だったら当然でしょ。
私はあんたに貸しが出来たんだから、
それ相応のもので返さなきゃ駄目に決まってるでしょ!?」
「いや、それを言ったらそっちだって昼食を作ってくれたんだからそれであいこだろ」
「それとこれとは話が違うの!」
水城は顔を赤くして言った。なにがなんでもこのことを貸しということにしたいらしい。
それにしても、水城はよく赤くなる。
見た目が冷たそうなので、その顔をされると、荒野に花が咲き誇った様に華やかになる。
「分かった、分かった。これは貸しということにしてやるから、
水城は俺になにで返してくれるんだ?」
最終的に、業盛が折れた。
「やっと分かってくれたわね。そうねぇ…、やっぱり、けっ…、いや、それはまだ…、
だい…、引かれるかしら…、う〜ん…、え〜と…、……どうしよう…」
どうやら、貸し貸し言っていたが、肝心のなにで返すかは決めていなかった様だ。
「もういっそのこと、明日の朝食を作ってくれるでもいいぞ」
業盛が水城にそう助言したが、
「そんなんじゃ駄目!もっと、三郎が私に……する様な、
私がいなきゃ………になる様な、決定的ななにかじゃなきゃ…」
と、完全に自分の世界に入ってぼそぼそと考え込んでいた。
「じゃあ、こういうのはどうかしら。
あんたの身の回りの世話を、全部私がやってあげるの。どうかしら?」
考え込んだ割りに、水城の案は思いの外普通だった。
「そうか、つまり、明日一日は俺は炊事洗濯をしなくてもいいってことか。
そいつはありがたい」
なんだかんだで炊事洗濯は面倒臭かったので、
それを水城がやってくれるというのは、嬉しいことだった。
業盛は水城の案を受け入れることにした。
業盛の了承を聞いた時、水城はまたにやりと笑ったが、業盛は気付かなかった。
水城が出て行った後、業盛は夕食の後片付けをして、寝る準備を始めた。
布団を敷いて寝ようとすると、水城が枕を抱いてやってきた。
「どうした?」
業盛が聞くと、水城はなにも言わずに布団に潜り込み、業盛に抱き着いてきた。
「ど…どうしたんだ、水城?」
困惑した様に業盛が聞くと、
「今朝、私は寝相が悪いって言ったわよね。一人で寝てて頭とか打ったら大変だから、
あんたに抱き着いて転がらない様にしてるのよ」
「だからって、なんで俺に…」
「友達だからよ」
友達をなにかと履き違えているのではないかと思うくらい、水城ははっきりと言った。
なんだか友達と言えばなんでも通ると思っている様にしか見えなくなってきたが、
それだけ、自分のことを信頼しているのだろう、と業盛は考えた。
結局、この願いも業盛は了承した。
胸元に、水城の寝息を感じながら、業盛は床に就いた。
投稿終了です。
パソコン壊れて色々消えましたが、14の時から、
大して書いてないので、助かりました。
GJ!!
水城のデレごちそうさまでした。
ゴリゴリしてるものとは…マサカ
お疲れさまですGJ
次回も期待してまってます。
乙です。
>>311 おお、お久しぶりですGJ!
ついに水城がデレた、というか業盛がヘタレたな。
攻め一辺倒だった水城の、絡め手交えたアタックが楽しみです。
新しいパソコンで無理をせず、また次回作をお願いします。
流れを切ってスマソ
ほトドキす
僕の脳内アニメでは
楢柴綾緒…清水愛
織倉由良…中原麻衣
で放映されています。
他のキャストは未だに決まっていませんが…。
とにかく作者様、頑張って下さい。
追伸
私は以前、レズ声優出張所に藍ゆうのヤンデレを投下しました。
ゆうさんのヤンデレ、実写でやってもハマリそうだったもので。
それは結婚だ業盛…
GJ!
お疲れ様です。
35分頃から投げっぱなしな短編投稿したいと思います。
10月30日(木)
私達には母親がいない。母は弟を産んで、すぐに亡くなった。
海運会社に勤める父は留守がちで、あまり帰ってこない。だから私がしっかりしなければと、
あの子の面倒をずっと見てきた。
けれど最近、あの子の様子がおかしい。
友達と遊んでいる時に私が声を掛けると嫌な顔をするようになった。
家に呼ぶ事が多かったのに、外で遊ぶ事が多くなった。
受け答えも乱暴になったし、前のように何でも話してくれるという事も無くなった。
……。
きっと、それは仕方のない事なのだろう。
弟だって一人の男の子だ。もう高校生ともなれば、甘やかされる事に反発するし
自立したいと思うものだろうから。
頭では解っているし、弟の成長は嬉しいのに、それを望んでいない私がいた。
本当の母親も、こんな気持ちになるものだろうか?
ううん。多分、違うと思う。だって私は……
320 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 02:36:01 ID:hgd9ME7Y
C
11月3日(日)
あの子の態度がおかしくなったのは沢村美帆のせいらしい。
あの子が良く遊んでいる「お友達」の一人。
シスコンだとからかわれたと言っていた。
恥ずかしくて、私から距離を置きたかったんだって。
うん。解るよ。許してあげる。あなたは何も悪くないものね。
悪いのは全部沢村美帆。私の弟に変な事を吹き込んで。
私があの子から冷たくされて、どれだけ辛い思いをしたのか、解っているのか。
何も知らない癖に純情そうな顔をして、私や弟を傷付けた癖に弟の横で笑っている。
きっと私の事をブラコンの気持ち悪い姉だと嘲笑っているんだ。お前が私達の何を知っている
と言うんだ。私は知ってる。何だって知ってる。好きな食べ物、映画、本、趣味。好きなものは勿
論、嫌いなものも知ってる。汗の匂いや味だって知ってる。あの子が好きだから。あの柔らかい髪
が好きだ。吸い込まれそうな瞳も好き。意外に広い背中も綺麗な指先もよく通る声も好き。恥かし
がり屋でぶっきらぼうな物言いをするくせに、本当は優しい所と、嘘が吐けない正直な性格が一
番好き。私だけがあの子のぜんぶを理解しているというのに、お前はどうなんだ? 今日昨日あ
の子を知ったばかりのお前に、何が解るの? 何も知らない癖に私からあの子を離れさせようと
して。いらないいらない。お前なんかいらない。私達の間に入ってくるな!
4月24日(土)
沢村美帆がいなくなった。
私が沢村美帆の家の玄関に生ゴミをぶちまけてやったから。
ポストに腐った生肉を突っ込んでやったから。
窓から石を投げ込んでやったから。
夜中に公衆電話から無言電話をかけたから。
何度も何度もした。何度も何度も何度も何度も何度も。
昨日、沢村一家は引っ越していった。いい気味だ。
弟とは元の通りに仲直りが出来た。だって家族なんだから。私達は何だって話せるんだ。
私達の仲を裂こうとしてたみたいだけど、当てが外れたでしょう? いい気味。だから特別に許してあげる。
そうでなかったら今頃あの女を■■■していたかも知れない。
5月25日(日)
……。
本当は解ってる。こんな醜い心の私が、一番あの子に相応しくない。
だけど、止められないんだ。あの子の事を考えると、わけがわからなくなる。
もうやってはいけないと何度言い聞かせても、あの子の笑顔が他の誰かに向けられていると
思うと、居ても立ってもいられなくなる。あの子を繋ぎ止める為なら、どんな酷い事だってしてしまう。
きっと、私は頭がおかしいのだろう。
どうしてそんな事をしてしまうのか、私はその理由を知っている。
羨ましいからだ。妬ましいからだ。
どうして。どうしてどうしてどうして私はあの子の姉なのだろう? 姉なんてものに生まれついてしまったのだろう?
私は何時まであの子に嘘の私を見せて生きていけばいい?
毎朝出て行くあの子を優しく笑って母親のように見送って、私の知らない女の話を、
頼れる姉の顔で耳を傾けて。
こんなのじゃない。こんなのじゃないんだ。私はこんな事がしたいんじゃない。
あなたとそんな事を話したいんじゃない。あなたにそんな風に笑いかけて欲しいんじゃない。
私を見て。私だけを見て。家族としてじゃなく、姉としてじゃなく、母親代わりじゃなく。
あなたの欲しいものはなんでもあげる。あなたが望む事ならなんでもしてあげるから。だからお願い。私を愛してください。
5月2日(土)
あのこにそんなのおかしいといわれた
5月5日(火)
土曜の夜から、友達の家に行くと行ったきり、あの子は家に帰ってこない。
どこに行くとも言ってくれなかった。携帯も繋がらない。
私が気持ちを伝えたから? 私があなたを好きだというのは異常なこと?
許されないと知っていたけれど、私は止まれなかった。
今どこにいるの? ご飯ちゃんと食べてる? 誰か一緒にいるの?
早く、帰ってきて。
5月6日(水)
あの子が帰ってきた。男友達の家に泊まっていたらしい。女の所じゃなかったと聞いて、少しだけ安心した。
気持ちの整理をしてきたらしい。私達は遅くまで話し合った。
私は途中からずっと泣いていたけど、あの子の答えは変わらなかった。
そう。あなたの気持ちは良く解った。でも、もう、今更。止まれない。自分を止められないの。
たった数日会えなかっただけで、嫌というほど思い知らされた。
あなたがいない世界なんて、生きている意味が無い。親も学校も友達も。何もかも、もうどうでもいい。あなただけいればいい。
この日記を書き終えたら、あなたの部屋に行く。
……ロープなんて使ってごめんなさい。
でも、またあなたに逃げられたら、私はきっと生きていけないから。
私ほどあなたを愛してる人なんてどこにもいない。私ほどあなたを理解してる人もどこにもいない。
あなたの心の中だって手に取るように分かる。あなたは私の気持ちがどれだけ深いか分かっていないから、
一時の気の迷いだなんて思って、私を否定するんだよね。
こうすればきっと、本気だって解ってくれるよね? 私がどれだけあなたの事が好きか、解ってくれるよね?
投稿終わりです。
うわ。日付間違えてる。
>>323は5月25日(日)でなくて4月25日(日)です。
>>327 狂おしいほどに病んでいく姉、GJでした。
携帯からスマンス
ミスが気にならんぐらいに面白かったです。GJ
>>327 GJ!
短いながらも良いヤンデレでした。
キモ姉妹スレに投下すればよかったものを
334 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 21:27:15 ID:5iusFsCa
別にいいじゃねぇか
良いヤンデレ、ごちそうさま
ごちそうさま。
男に夢中になってるヤンデレを振り向かせるにはどうすればいいの?
男を殺せばいい
その後ヒロイン廃人化か惨殺されて終了かの二択じゃないかw
男の体を乗っ取る
からくりサーカス思い出した
ただ、あれは病んでるのが男なのでNG…
レズのヤンデレ書いて欲しいな。
昔あった「羊と悪魔」読んだときなんか、ご飯20杯はイケたもんだ…。
レズのヤンデレははっきり言って生理的に受け付けない
俺はレズ苦手だから投下する時は予め注意書きして欲しいな
>>335 マインドコントロールも自力で振り切ったりするからなあ。
ファンタジーヤンデレ小説を書こうとする
↓
まずヒロインとの出会いから、そのヒロインが病んでいく様子を書こうとする
↓
4話目でやっと全メインキャラが出揃った……
↓
あれ、これヤンデレ小説になるのか? ←今ここ
他の作者様達、すげーよ……
ヤンデレの予兆とかを加えてれば大丈夫だて思う
>>345 黒化が遅いことは全然構わない。むしろ変に間延びしないかが心配
書くからには絶対に完結させてください、お願いします
>>347 性質的にはヤンデレというよりメンヘラだな
ヤンデレを求めてなら見る価値は無い
>>345 私達の闘いはこれからだ!←ヤンデレ坂エンド
再開
年下のヤンデレ幼馴染みに洗脳されたい
今目が見えない男とヤンデレ幼馴染みを書いてるんだが、かなり難しいな
やっぱ書き手は凄いと思う
書いてみると話が纏まらないし、表現も乏しくなる
最近こういう応援してください的な作者増えたなぁ
応援されて書く気になるんだったらいくらでも応援するわ
何事もやってみることは良いことだ
暇つぶしに今までの作品パターンを分類してみる
行動描写中心型…初期のSS、短編に多い 破滅バッドエンドのオーソドックスパターン
内面描写中心型…♀サイドの述懐 文学的テイスト
設定中心型…姉弟、兄妹など血縁関係や複数のヤンデレが登場、未完の長編多数
キャラクター中心型…ドタバタコメディ ヤンデレのイっちゃってる言動や振り回される周囲を面白おかしく
では投下致します
第7話『笑顔の法則』
あの女め……。
モニター上で監視している二人の姿を見つめながら、私は自分の指を噛んでいた。
前に会った時から嫌な予感はしていました。恋する乙女の直感です。
あの相沢瑞葵という泥棒猫が私の忍さんに何らかの好意を抱いていることはわかっていたけど。
こんな風に自分から行動を起こすとは思ってもいませんでしたよ。
アプローチがちょっと激しい女の子は男の人からちょっと引かれるなんて思ったからこそ、慎ましい態度で少し距離を保っていたというのに。
私は忍さんにとってただの隣人。
それ以上の関係にはどうしてもなれない。あの女のようにバイト先の後輩ならば、忍さんと親密な関係になれるのかな。
そのモニターの画面から相沢瑞葵が作った料理を美味しそうに食べている忍さんの姿を見ると胸が締め付けられる。
私以外の女の子にそんな笑顔を見せないで!!
私以外の女の子が作った料理を美味しい美味しいって言わないで!!
私以外の女の子と楽しそうに喋らないで!!
私以外の女の子に優しくしないで!!
と、次々に自分でも抑えきれない淀んだ感情が溢れてきた。
それは愛しい忍さんを独占したい私の本音でしょうね。
本当なら私が忍さんに忍さんに忍さんに愛情のこもった料理を食べさせるはずだったのに!!
あの女が!!!!
あの女が!!!!
私の忍さんを奪おうとする!!
許せなかった。
許すわけにはいかなったが。
今の私にはあの女に指一本も触れることはできないんです。
狡猾な泥棒猫相沢瑞葵は私が忍さんの部屋に仕掛けた監視カメラの事を知っている。
それは恋する乙女の直感……いえ、単純に言うと恋する乙女は愛しい人に監視カメラを付ける習性があるんです。
気になっている人のことを知りたいから、盗聴器を監視カメラを仕掛けるのは乙女の常識なんですよ。
あの場面でバラされると忍さんの部屋に監視カメラを仕掛けた犯人が私であるとわかってしまう。
それで忍さんが私のことを嫌ってしまったら。
本当に生きていけません。死にます。恐らく、焼身自殺や最近流行している硫化水素とかで死のうと思います。
だって、忍さんは私にとって最後の希望なんだから。
希望。
そう、忍さんは希望だ。
ずっと、独りぼっちだった暗闇のような人生を歩んできた私にとって。
彼は光だ。
その光を失わせるわけにはいきません。
愛する忍さんのために。
私、桜井彩は神聖鋸・斬を使って、相沢瑞葵を倒すことを誓おう!!
昨日、通販に頼んだ量産型鋸とは他にオリジナル鋸に匹敵する特注の神聖鋸・斬が手元に届いた以上は
泥棒猫を苦しめるように肉を薄く切ってやりましょう。
問題は殺害方法。
あの女を殺せば、バカな警察でも捜査上に私が浮上することは間違いない。
これで容疑者になり、テレビやマスコミに報道されたら社会的に私は抹殺されてしまう。
ううん。
何かいい方法はないんでしょうか。
『もう、先輩。そんなとこ触ったらダメじゃないですか』
殺害方法を考えている間に監視しているモニターから泥棒猫の黄色い声が聞こえてきた。
その画面は……相沢瑞葵が忍さんの手を引っ張って、無理矢理に胸を触らせようとする衝撃的な映像だった。
『アホか。お前が勝手に触らせようとしたんだろうが』
『先輩。そういうのをセクハラって言うんですよ』
『この場合は逆セクハラと言うんじゃないのかな? かな?』
『世の中はそう甘くないですね。私が大声で悲鳴を挙げて、この人は強姦魔ですと指を差して言うので。
2週間又は裁判が終わるまで牢屋の中に入りたいなら胸元から手を離してください』
『ぐぐぐっ、卑怯な』
『えへへ。サービス!! サービス!!』
何がサービスですか!!
この世で最も穢れている肉の脂肪を嫌そうな顔で揉んでいる忍さんの身を考えてください。
あんな偽乳に触るぐらいなら、わ、私の胸とか揉んだ方がいいですよ。
愛しい人が自分の胸を揉んでいる所を想像するだけで鼻血が溢れてきた。な、なんか。拭くもの。ちょうだい。
と、鼻血の一滴がゆっくりと床に零れ落ちる時に泥棒猫は真剣な表情を浮かべて言った。
『先輩。これから毎日、先輩の夕食を作りに行っていいですか? いいですよね?』
『ちょっと待て。どうして、相沢さんが俺の夕食を作りに来るんだよ』
『それは恩返しというか、最近私は変なストーカーとかに付けられているかもしんないです』
『ストーカーだって!?』
ストーカーという単語に驚く忍さんを傍目に泥棒猫は更に嘘を吐き続けていた。
『クソ店長の魔の手から守ってくれた日から視線を感じるんです。
誰かに見られているような感覚がして本当に気持ち悪い』
『ストーカーに狙われているなら仕方ないな。どうすればいい?』
『もし、私がストーカーに狙われているとするならば、その男に私が先輩という愛しのダーリンがいることを見せ付けてやる必要があります』
『それって、逆効果じゃないの?』
『襲ってくる可能性も否定できませんが。まず、襲われるのは憎き恋敵である先輩から狙うと思うので。
私のために頑張ってください。命懸けてください!!』
『そんなことに命懸けたくないってのが本音だけど。可愛い後輩のために一肌を脱ぐ必要はあるな』
『さすがは私が愛する先輩。話がよくわかる♪』
嘘のような話を簡単に纏めてしまった経緯を私は呆然とモニターから見ていた。
泥棒猫がストーカーされている話は恐らく嘘ですね。
忍さんと二人きりになるための口実。ありもしないストーカーという敵に狙われて、団結する二人はいずれ親密度が急上昇。
ある程度の緊張感を共有した事により、恋愛感情に発展するのはよくある事です。
それを狙っているのか。泥棒猫。
でも、一時的な緊張状態による興奮が理由での恋愛では、継続的な恋愛には発展していきませんよ。
しかし、その欠点を把握して、それでも勝利する自信があるならば、私も積極的にアプローチを仕掛ける必要があります。
で、忍さん。
いつまで、泥棒猫の嘘乳を触っているんですかっっっ!!
バカバカバカバカバカぁっっっ!!!!!!!
昨夜の相沢さんがストーカーに狙われているかもしれないという衝撃的な事実を聞いたおかげで今晩はあんまり眠れずに過ごした。
すでにバイト先に出勤する時間になっているが、頭の回転は重くて鈍い。
人間はある程度の睡眠を取らないと真面目に生活ができないと実感して、
俺は苦いブラックコーヒーを入れようかなと思っている時だった。
朝からドアを叩き壊そうな音を響かせて叩いている。
呼び鈴を鳴らせばいいのにと、俺は少しだけ不機嫌に来訪者を応対を決意したが。
ドアを開けた瞬間に自分の顔色から急速に血の気が失せていくのが分かる。
来訪者は彩さんだった。
顔は笑っているのに、目が全く笑っていない状態で彼女はその場に立っていた。
不気味を通り越して、俺は恐怖していた。怒っていることは確かなのに全然その原因が思い当たらない。
ともあれ、俺は恐る恐ると彩さんに朝の挨拶で様子を見ていることにした。
「おはよう。桜井さん。どうしたの?」
「特に用はないのですが。周防さん。女の子の胸って、大きい方が好みですか?
それとも、小さい方が好みなんでしょうか?」
「はい?」
「男の人の永遠の命題ですよね?」
質問の意味がよくわからん。
だが、俺は昨日のことを思い出してしまうと相沢さんの柔らかな感触と確かな弾力に
心を奪われていたことと何だか無関係ではないような気がする。
ここはおっぱいが好きだ!! と大声で叫べば、今日から彩さんに警戒されるのは、
普段から彼女を作ってきてくれた料理を心の癒しとしている俺にしては大打撃を受けることになる。
ならば。
慎重な答えを選ばなくてはいけない。差し入れは貴重な栄養源よ。
「女性の魅力は胸じゃない!!」
「胸じゃなかったら何ですか?」
「女性にとって必要なのは『愛』だ!!」
「愛がどういう風に必要なんですか」
「最近では女性による監禁事件が増加している。監禁されている男性はヤンデレ症候群で病んでしまった
女性に監禁することを不幸のどん底だと思っているが。
それは違うんだ!!」
演劇の芝居のような口調で俺は彩さんの怒りを静めるための適当な言葉を並べてみた。
本当に社会問題になっている女性が男性を監禁する事件なんてどうでもいいけど。
「女性が男性を監禁すること自体が愛なんだよ。好きな人といつも一緒に居たい、
自分だけを見ていて欲しいから独占する。それはまさしく愛だ。女性の真摯な想いこそが大切なんだと思う」
「じゃあ、もしものことなんですけど。もし、私が周防さんを監禁したらどうですか」
「喜んで、その監禁を受け入れよう」
「ぜ、絶対にですよ。絶対に受け入れてくださいね。約束ですよ。指を切ったら、針万本飲ましますよ」
「針は飲まないけど、約束する」
そんな些細なことで彩さんの機嫌が良くなってくれるならなんでもします。
主にバランスが整った栄養ある食生活ためにな。
「うふふふ。周防さんが約束してくれた。嬉しいな。もうっ」
「まあ、そんな監禁されるなんて天変地異が起きたとしても、ありえないけどな」
「わかりませんよ。周防さんのことが大好きで大好きで大好きで、
監禁して独り占めにしたい女の子がすぐ傍にいるかもしれませんよ」
「それが本当だったら。どれだけ嬉しいことやら」
「そ、 こ を ったら、 期待 し、 ますよ」
「ん? 何か言った?」
「何でもありませんよ。じゃあ、お仕事頑張ってきてくださいね」
「ああ」
彩さんは蔓延なる笑顔を浮かべて、嬉しそうに自分のアパートに戻っていた。
ふぅ、何とかやり過ごしたか。
女の子って、疲れる
以上で投下終了です
それでは。
男も女も斜め上すぎるwww
でもGJ!
なんてことを言うんだ…
GJ!
何というフラグクリエイター、GJ
続きキター! GJです
監禁への予兆だな
>>368 おお分岐点っぽいなGJ!
しかし直接聞く彩さんもあれだけど、真面目に解答する周防くんもダメダメだ〜!?
さあ、次回こそアパートの監禁特化機構が有効利用されるのか?
次の投下を楽しみにしています。
思いのほか早く出来たので投稿します。
業盛が目を覚ました時、明日一日身の回りの世話をすると言った水城は、
いまだに幸せそうに寝息を立てながら眠っている。
ふと、業盛に悪戯心が生じた。
ただ、その悪戯心は下品な大人が思う様な悪戯ではなく、純粋な子供心の悪戯だった。
「水城が起きて、俺をどう起こすのか、見てやろう」
業盛は再び目を瞑り、狸寝入りを始めた。
心の中では笑いが止まらない。今にも噴出しそうな気持ちを、業盛はなんとか抑えた。
「んっ…」
水城がゆっくりと業盛の身体から離れていく。どうやら起きたみたいだ。
「三郎ったら、まだ寝てる…。…まったく、しょうがないんだから…」
水城はどこか嬉しそうである。そして、業盛にゆっくりと手を置き、
「三郎、起きなさい。朝よ」
と、身体をゆすりながら言った。
業盛は既に起きているが、ここで起きてもつまらないので狸寝入りを続けた。
「三郎、起きなさい。仕事があるんでしょ」
しかし、ここだけ見るとまるで新婚の夫婦の様だ。
もう二、三回くらい声を掛けられたら起きるか、と業盛は考えた。
しかし、急に水城の声がぴたりと止んだ。その代わりに、近付いてくる圧迫感を感じた。
どうしたんだと思って目を開けると、目の前いっぱいに、水城の顔が広がった。
「おわっ!」
思わず変な声が出てしまった。
「ちっ…、あら、起きたの、三郎?」
すれすれの所で止まった。どことなく、水城は悔しそうである。
「はぁ…、はぁ…、びっくりした…。…水城、これはいったい…」
寝起きなので頭がよく回らない。業盛は水城に問いただした。
「声を掛けても、ゆすっても起きなかったから、
どうしたら起きるか試してみただけよ」
水城はまったく悪気がない様だ。
「出来れば、普通に起こしてくれないか。心臓に悪い」
「考えとくわ」
まるで悪戯が失敗した子供の様な、拗ねた様な返事が返ってきた。
「そんなことより、早く朝の仕事に行きなさいよ。私は朝食を作ってるから」
こんな大問題を『そんなこと』で済ませるなよ、と業盛は思った。
しかし、これ以上掘り返しても、水城が不機嫌になるだけなので素直に従うことにした。
「…分かったよ。じゃあ服を着替えるから外に出ていてくれ」
寝巻きのままで外に出ることほど、恥ずかしいことはない。
業盛は手で、外に出ていろ、という合図をしながら言った。
「あっそ、じゃあ私が着替えさせてあげるわ」
だが、水城はこの言葉を無視した。
先ほどまでの拗ねた様な口調が一変、非常に嬉しそうな声音だった。
水城がにこにこしながら近寄ってきた。なんとなく、背中から妖気染みたものを感じた。
「いや…、水城さ、着替えぐらい一人で出来るから、外へ出ていてくれないか」
業盛は水城から離れる様に後退った。
「なに言ってんのよ。『あんたの身の回りの世話を、全部私がやってあげる』って、
私が昨日言ったばかりじゃない。もう忘れたの」
業盛が後退ったのを見た水城は、追い詰める様に歩を進めた。
「だ…だからって、さすがにそこまでは」
業盛は一歩ずつ後退り、少しずつ壁際に追い詰められていった。
それに従い、業盛の顔色が悪くなっていった。
「そこまでもなにもないの。あんた、約束も守れないで、それでも武士なの」
対して水城は、業盛を追い詰めるに従って、満面の笑みになっていった。
「さ…さすがに女に裸を見せるのは…」
業盛の手が壁に当たった。壁はひんやりとしていて、
まるで、あきらめろ、と業盛に語りかけている様に感じた。
「あんた、そんなこと気にしてんの?あんたの裸なんて、別に気にしないわよ。
分かったらさっさと脱ぐ」
水城の手が業盛の服に掛かった。
「ま…待ってくれ。水城は気にしなくても、俺が気にするんだよ。
頼むから早まった真似はしないでくれ」
服を押さえて、必死に脱がせまいと業盛は抵抗した。
すると、急に水城の手の力が弱くなった。
「三郎は…、私に奉仕されるのが…、嫌…なの…?」
上目遣いをして、さらに弱々しい声で、業盛にそう言った。
「い…いや、そういう訳じゃ…ない…が…」
今にも泣き出しそうな顔でそう言われると、
業盛は否定の言葉を言うことが出来なかった。
「そう、じゃあ、遠慮なくいかせてもらうわ。覚悟しなさい、三郎。ふふふ…」
さっきまでの弱々しい声が嘘の様に、急に元気なった水城は、
手に力を込めて、業盛の上着を剥ぎ取った。
不意を突かれた業盛は、情けない悲鳴をあげるしかなかった。
「やっぱり…、あんた、いい身体してるわね」
上着を剥ぎ取った水城の第一声がこれである。
水城は、人差し指を業盛の胸板に当てて撫で下ろした。
思わず変な声が出そうになった。
「寝汗が凄いわね…。拭いてあげるわ。」
そう言って水城は、布を取り出して、業盛の上半身を拭き始めた。
「はぁ…、はぁ…、三郎…、あんた汗臭いわよ。はぁ…、はぁ…、……んないわ」
どういう訳か、水城は息を荒げ、顔を赤くしながら業盛の身体を拭いていた。
「だ…大丈夫か?」
心配になって声を掛けると、
「大丈夫よ…。ちょっと…、にお…ケホッ…、暑気にやられただけよ…」
と、言って、水城は業盛の身体を拭き続けた。
「はぁ…、はぁ…、これで上は終わったわよ…。はぁ…、はぁ…」
上着を着せた後でも、水城の息は荒いままである。
むしろ、さっきより悪くなっている様に見える。
「次は…、はぁ…、はぁ…、下ね…。はぁ…、はぁ…」
水城の目がギラギラと輝いている。まるで獲物を狙う目の様だ。
水城の手が下着に伸び、ずり下ろされた。
「はぁ…、はぁ…、三郎…、これも取っちゃうわね…。はぁ…、はぁ…」
水城がとんでもないことを言い出した。
「ちょ…、水城、待ってくれ。さすがに、そこだけはやめてくれ。
後は俺がやるから、水城は外で待っていてくれ」
「駄目よ…。はぁ…、はぁ…、それも洗わないと…、虫が湧くわよ…。ふふふ…」
水城はそう言うと、躊躇なく業盛の褌を脱がし始めた。
「これが…、はぁ…、はぁ…、三郎の…。はぁ…、はぁ…」
水城は、業盛のそれを凝視していた。
「あ…あんまり…、じろじろ見るなよ…」
恥ずかしさのあまり、業盛は顔を手で覆った。
「はぁ…、はぁ…、思っていたのより……きくて…、
はぁ…、はぁ…、……しそう…。はぁ…、はぁ…」
水城は業盛のそれを凝視しながら、ゆっくりと業盛の下半身を拭いた。
拭き終わると、新しい褌と付けさせ、下着を穿かせた。
「やっと…、終わったか…」
げんなりした様に、業盛は言った。羞恥心で、今にも死にそうである。
そんな気持ちを払う様に、業盛は餌を手に取り、外に出た。
水城は惚けた表情で、床に座っていた。
餌やりから帰ってくると、水城は部屋にいなかった。
どうやら隣の部屋で朝食を作っている様だ。さっきまで腰を抜かしていたのに、
もう回復したのだろうか。調子が悪いのなら、休めばいいのに。
そんな心配もあり、業盛は隣の部屋に向かった。
「三郎、開けちゃ駄目よ」
部屋の戸に手を掛けた瞬間、部屋の中から水城の声が聞こえた。
「よ…、よく俺だって分かったな」
的確に当てられたので、業盛は驚いてしまった。
「床の軋み、足音の間隔、歩き方、すぐにあんたって分かったわ」
まるで専門家の様な言い方に、業盛は言葉を失った。
「ご飯は後少しで出来るから、部屋で待ってなさい」
そう言ったきり、水城はしゃべらなくなった。
仕方なく、業盛は自分の部屋に戻った。
部屋に戻ると、今朝あったことを思い出し、畳んであった布団に飛び込んだ。
しばらくして、ご飯が出来た、との水城の声を聞いて、
布団に頭を突っ込んでいた業盛は、そそくさと隣の部屋に向かった。
席に着き、いざ食べようとすると、
「三郎、なにしてんの?」
と、水城に止められた。
「いや、ご飯を食べようと…」
「誰が箸を使っていいって言ったの?」
「はいっ?」
なにを言ってるんだ、という疑問を込めた視線を業盛は水城に向けていた。
箸なしでどうやって食べろというのだろう。手で食えというのだろうか。
「あんたは箸なんか使わなくていいの。私が食べさせてあげるから」
考え込んでいる業盛に、水城はそう言った。
「へ…」
業盛の思考が、一瞬止まった。そして再び高速に動き出した。
「いや…、ちょっと待て、水城。俺は箸も使えない餓鬼じゃないんだから、
そんなことしなくていいんだぞ」
両手を振って、全力で拒否の合図を送った。
「馬鹿ねぇ…。私はあんたの身の回りの世話をするって約束したじゃない。
これだってそのうちの一つよ」
そう言って匙を取り出した水城は、業盛の口にひじきの和え物を入れた。
「おいしいかしら、私のひじき」
「あっ…、あぁ…、うまいけど、やっぱりごりごりしてるな、このひじき」
「作り方がちょっと特別なのよ。しっかり噛んで、ちゃんと味わいなさい」
こうして、普通なら大体一刻(三十分)で終わる食事が、
たっぷり半時(一時間)も掛かってしまった。
その間の水城の表情は、本当に幸せそうだった。
朝食を食べ終わると、業盛は水城に部屋を追い出された。
「洗濯とか、昼食の準備をするから、それまでどこかでぶらぶらしてなさい。
本…は…私…行き……けど…」
最後のほうはよく聞こえなかったが、それだけ言うと、水城は戸を閉めてしまった。
「仕方ない。久しぶりに、都に行くか」
そう思い立った業盛は、ついでに弥太郎も誘うことにした。
弥太郎の部屋の前に立った業盛は、軽く戸を叩いた。しかし反応がない。
「弥太、一緒に都に行こうぜ」
今度は声を掛けながら戸を叩いたが、それでも反応がなかった。
「入るぞ」
そう言って、戸を開けたが、そこに弥太郎はいなかった。
「どこ行ったんだ。弥太の奴」
そう疑問に思ったが、いないのなら仕方がないと一人で都に行くことにした。
都に行った業盛は、干し柿や果物などを買ったが、それ以外やることがなく、
しばらく都の中をうろうろしていた。業盛にガンを付けてきたゴロツキもいたが、
叩きのめして、身包みを剥いだ上で川に投げ捨てた。
そうこうしている内に、日は中天に上がっていた。
「もう昼か、そろそろ帰ってもいいだろう」
業盛はそう思い、六波羅に帰ることにした。
六波羅に着き、水城のいる部屋に向かう途中、業盛は庭に目をやった。
そこには業盛の服が風に煽られ、別の生き物の様に動いていた。
「ちゃんと洗濯してくれていたみたいだな」
妙に感心してしまった。普通なら躊躇しそうなものだが。
部屋に行くと、朝食より豪華な食事が並んでいた。
「やっぱり…、箸はないんだな…」
「私が食べさせてあげるから、安心しなさい」
水城はにこにこしながら、料理を業盛の口に運んだ。
つっけんどんとされるのは嫌だが、ここまで献身的にされるのも困ったものだ、
とごりごりするひじきを食べながら、業盛はそう思った。
投稿終了です。
今回は調整のため、少し短めです。たぶん、次も短いです。
GJ!!
しかしごりごりしたひじk
>>380 乙です
水城凄まじいデレ期に入りましたね
最終的に病んだ行動をとったらどうなってしまうのか…
次回がとても気になります
>>380 GOOD JOB!!!!
ごりごりしたひじきが何なのか気になります。
>>380 短い? 面白いから問題ないさGJ!
初期に比べて、水城がえらい安定してきたな。
最初の攻め一択から、駆け引きを学んで、かなり強敵になっちゃったし。
しかし業盛、防御にまわるとトコトン弱いな!?
次回投下をお待まちしています。
朝はあんなに晴れてたのに
自転車を立ち漕ぎにして帰宅を急ぐ
路面に跳ね返る大粒の雨
すでに学生服は雨の重さを纏って肌に張り付いていた
緩い下り坂 右曲がりのカーブ
よし、もう少し
とにかくシャワー浴びて紅茶でも飲もう
帰宅後のプランを頭に描く
あ、やべ
ブレーキ遅れた
自転車が傾きズザザザ…とアスファルトをこすり、加速がついた体が濡れた路面を走る
そして目の前にガードレールがスローモーションのように迫って…
あ、良かった、気がついたんですね
お約束通り病院のベッドで目を覚ますしたのはどうやら次の日の朝だった
枕の横の看護婦さん(今は看護士さんて言うんだっけ)が柔らかい笑顔を僕に向けている
そうか、自転車でスピードを出しすぎて…
数秒の混乱の後、ようやく状況を思い出す
あの、ここはどこの病院…
ズキン!
聞こうとした瞬間、頭に激しい痛みが走る
まだ無理はしないで下さいね
少しずつゆっくり説明します
さっきの看護士さんが優しく諭すように遮った
年は25位かな
人目を引く美人ではないけど、薄いアイラインが入った切れ長の目とすらりと通った鼻筋に独特の色気がある
胸のポケットに彼女の名前「松宮」という刺繍がある
とにかく今はゆっくり休んで下さい
松宮さんは何か手元の書類にサラサラと書き込むとそう言って部屋を後にした
扉を閉める時、もう一度こちらを覗きこんで
何も心配しないで下さいね
と微笑んだ
…やれやれ
僕は未だにぼんやりした頭で考える
ここはどこの病院だろうな
個室の窓から外を見るが景色に見覚えはない
家の近所の病院をいくつか思い出すが心当たりもない
まあいいや…
考えるのも億劫になり僕は再び目を閉じた
じきに退院して、またいつもの日常に戻る
この時はまだそう信じていた
続きは後日投下予定です
GJ!
これからに期待してます。
ユウトリップツケチャイナヨウ!
トリ付けた方がいいな。
GJ!
あと、関係無いんだが『書き溜めてから投下しろ』ってある程度量書いてから投下しろ、って意味じゃないよな?
書きながらの投下は止めろって意味だよな?
そうだと思う
>>385 ぐっじょぶでした!
あと「投下します」の一言も欲しいです
二次創作で原作キャラが病んじゃった的な話は、作品スレかここかどっちが適当?
>>393 原作のとこに投下してやれ
投下するときはヤンデレっていう注意書きを忘れずに付けとくんだぞ
398 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 03:10:12 ID:uIyPvDd+
うぜえ
投下されるスレを探しにいくか・・・
FF4のヤンにデレデレ
スレ的に男の娘のヤンデレってありなのか?
■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
・版権モノは専用スレでお願いします。
・男のヤンデレは基本的にNGです
男の娘スレでヤンデレ注意と冒頭に書いて投下した方がいいと思われる。
どうしてもこっちに投下したいのなら、男の娘注意と冒頭に書いておいて、
名前の欄に作品等を書いといてNGしやすいようにすればいいかと。
かなりグレーゾーン精神的には女だとしても肉体は男だしな
男用エロゲーにもヒロインとして出してる作品あるからありといえばありだが
まずNG宣言をしてタイトルにも男の娘注意とか入れた上で投下しないと確実に荒れる
てかそこまで配慮してもかなり荒れると思う
まぁ女装SSスレとかテキストファイルをうpろだにあげたりして
このスレには誘導用のURLを貼る形がベストなのかもしれない
あーでも男の娘メインじゃないと女装スレでも厳しいだろうしなぁ
大体あっちエロメインなはずだからエロ分少ないと微妙だろうし
男の娘完全メインじゃないならupロダにtxtをあげるか
どっかの掲示板なりHPであげてこのスレにはURLを貼る方法がいいとおもわれ
解答さんくす、やっぱグレーか
参考にさせていただく
期待して待ってる。
俺も期待してるよ。
俺も期待させてもらおうか
じゃあ俺も期待する!
今更どうこう騒ぎ立てようってわけじゃないんだが、ポケモン黒はポケモンスレあるけどこっちに投下してるんだよな
擬人化+ヤンデレだからな…
向こうに投下したらしたでまた別の問題がありそう
二次といえば二次だけど触ったことあるやつ多そうだし
しかもわかりやすいゲームなうえにヒロインはみんなポケモンで擬人化だから
原作しらなくてもいけるしな
逆にポケモンスレだとヤンデレ苦手な人だとポケモンのイメージが崩れるんじゃね?
男と男親友の友情に嫉妬したヤンデレが、男親友を排除しようと画策するのはアリ?
ありだろう。その男親友がガチホモでなければ。
似たような展開の作品があったが別に荒れなかったしな
前、ショタと仲が良い男に嫉妬するヤンデレが書かれた話が投下されたよな?
その時スレ違いってことになってなかったっけ?
投下前に十分注意を促してれば本来は荒れないはず。
本来は〜であり
元々ショタホモはどんなにNGしても普通のエロパロスレではあれる罠
ああちなみに荒れなかったといったのは
男と仲いいが別にホモとかそういうのではない話の場合
確かツンデレヒロインとヒーロー大好きな主人公の話だったきが
422 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 01:50:02 ID:nZBvfB7Q
雑談したいだけならVIP行けよ
>>422 そんなこというまえにsageろよw
別にこのスレに無関係な話じゃないし問題ないだろうに
>>415 俺は桜の幹にその展開を期待しているわけだが・・・
425 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 02:56:36 ID:nZBvfB7Q
>>423 関係あるなら延々と雑談してスレを埋め尽くしても良いのか?
埋め尽くしてないだろうに
投下入ればちゃんと止まるし
というよりお前は下げろ
>>425 お前は無闇に突っかかるし、sageで進行してくれと注意書きにも書いてるのに無視するし、自分で埋めようとしてるし、どうしようもないな
おっと、俺にまで噛みつくなよ?お前メンドクサいからな。せめてsageが出来るようになってから、な?
428 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 03:24:25 ID:sjbo7CIH
いちいちうるさい
そんな細かいことはどっちでもいいんだよ
>>428 お前・・・・・sageの仕方知らないんならせめてググって来いよ
知らないにしてもさ、謝ってしてやり方聞くのが筋じゃないか?
何を怒ってるんだよ、冷静になれよ。それから人の話をちゃんと聞けよ。
さて、空も明るくなってきたからそろそろ寝ようか……
431 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 05:13:09 ID:nZBvfB7Q
今日はずいぶんと香ばしいですね
>>431 同一人物かよ・・・
みんなうざがってんのわかんないの?
いやわかってるからやってるんだろうよ
いい加減スルーぐらい覚えたら?
いちいち構ってるお前も十分目障りだよ
あれですね 愛する人に泥棒猫がよって来てイライラしてるんですね
ヤンデレの八つ当りは怖いな
さて、そろそろ誰かしら投下する頃かな
助けてくれ……
恐いお姉さんが
ぐふっ!
あれだよ、あの日なんだよ。きっと。
だからヤンデレが八つ当たりして来るんだよ。
>>415-417見てふと思い出したんだが
2年ぐらい前にガチホモの男友達利用して主人公手に入れようとしてる元カノの話があったよな
確かその女はホモダチと寝てて、
主人公は元カノから逃げるためにガチレズの幼馴染と付き合うってやつ
あれは修羅場スレだったかこっちだったか
ショタ・女顔嫌いの俺でも普通に読める良い作品だった
>>439 それ、こひつじとあくまのワルツって名前じゃなかったか?
元カノがホモを掘ってたならたぶんコレ
なんにせよ、ヤンデレではないな
久しぶりに見たらちょっとだけ荒れてるね
修羅場スレが崩壊したから住人が流れ込んできたかな?
あそこの住人はいろいろ気難しいからなw
そうなのか?
まぁ、ヤンデレに興味を持ってもらえたならそれでいい気がする。
荒れるとかいうから荒れるんだ
ただスルーすればいい
警察とか公安権力が介入するヤンデレSSは少ないが、
ヤンデレに対して公安権力を使って対抗するのはどう思いますか?
興ざめ?
んー、むしろヤンデレが某財閥の令嬢で、男はそうとも知らず警察に助けを求めるも上からの圧力で助けてくれない。
しかし、警視庁捜査一課に所属するベテラン刑事の幼馴染が仲間ともに(ひそかに愛する)男のために奮闘するが・・・
とか?
ヤンデレが公権力を濫用→国が滅びる
歴史のお約束だな・・・
そーいや前に外交官とヤンデレの話があったような…
テロリストなヤンデレ(その頃はヤンデレなんて知らんかったが)とFBIな男のSSを昔どこかで読んだ気がする
よくヤンデレが人を殺しても警察に捕まらなかったりするけど、実際にあんなことやったら次の日には縄にかかってるよなあ。
まあヤンデレに対抗する手段として使うのは十分ありなんじゃないか?普通は事件が起こらないと動いてくれないけど。
国家権力は恋する乙女を応援します!!
いわゆる民事不介入だな
鮮血の結末の後日談なんぞあってもなくてもいいようなもの、むしろ蛇足
普通ほしいだろ…刺して終わりとか無い
舞姫のエリスってヤンデレっぽくね?
エリスには萌えた
どうせなら日本まで追っかけて来てとかそれ以降も書いて……あの時代にそれは無理か
そりゃ、実話が元だしな…
おのれ豊太郎
かくまで我を欺きたまいしか
実写映画は萎えたが二次元化ヤンデレ化して年齢も若くすれば中々俺好みだ
それはそうと外人のお嬢様に監禁逆レイプされたいんだ
もちろん日本から幼なじみが嗅ぎ付けてくるんだけどな
舞姫と源氏物語は日本文学の中のすばらしいヤンデレでよくでてくるな
>>464 生霊で葵の上とか殺してた奴がいたなwww
今更だが、NHKの岬のヤンデレっぷりは最高だったな……
おひさしぶりです。
投下させていただきます。
うなされて飛び起きるという、史上最悪の日曜の朝を迎えた。
蒸し風呂のような部屋の暑さに苦しんだわけではなく、部活の開始時間から大幅に遅れて目覚めたことも、原因ではない。
昨晩、さんざん俺を苦しめた悩みは、さも当り前のように夢にまで顔を出した。挙句、最悪なアレンジを加えてくれるというサービスっぷりだ。
これはもう、鳴ってもいない目覚し時計を床に叩きつけるほどの喜びである。
やたらと後を引く眠気を引き摺って、部屋を出た。階段に向かう途中、くるみの部屋の扉が少し開いていることに気付いた。
元は姉の部屋だったのだが、引っ越してからも頻繁に帰ってくる彼女のため、部屋の中はそれなりに整っていた。奥の壁に押入れがあるお陰で収納には困らず、タンス等の後付の収納具は一切ない。
淡い桃色の壁紙の張られた壁が大きく広がっており、そのせいか、二割り増し程度に広く感じる。
綺麗に畳まれた布団の上に、丁寧に畳まれた寝巻きが置いてあった。その脇に、三角形に近い形をした、白く小さな布を見つけ、慌てて扉を閉めた。
1階には和室と洋室があるが、食事をとるのは基本的に洋室なので、そちらに向かう。テーブルの上にはスクランブルエッグとキャベツとソーセージを炒めて、
海外由来の調味料で味付けされた、我が家の定番の朝食が置いてあった。今の今まで眠っていた俺が作ったはずもないので、くるみがやったのだろう。
手でソーセージを摘んだ時、書置きがあることに気付いた。度を越えた丸文字で、『ぐっすり眠っていたので起こしませんでした。少し出かけますが、遅くならないうちに帰ります。』と書いてあった。
この文体は黒崎家の血筋なのだろうか。母の字と瓜二つである。ちなみに斎藤家は達筆で、父の字は解読不能の域に達している。この二つの血筋が交わると父方が勝つようで、姉も俺も達筆な部類に入る。
さらに、姉の髪が黒いことからも、その理論は証明されている。
茶碗にご飯を盛りながら、くるみが1人で外出するということの珍しさを、ようやく実感した。よくよく考えれば、こっちに住んでからどころか、遊びに来てた頃から1人で出かけることはなかった。
ぼんやりと、叶とくるみが並んで歩く姿を想像した。身長差が激しい気もするが、これはこれでありだろう。
そう考えた直後、胸が締め付けられる。いや、胸が締め付けてきた、というのが正しいだろうか。それを押し込むように、食事をぶち込む。吐き気に近いゲップを、今度は牛乳で押し流した。
時計を見れば10時過ぎ。部活の開始が8時なので、遅刻どころの騒ぎではない。となれば、するべきことは自主休暇だ。
食器を洗い終わると、まるで計ったかのように、庭とを隔たるガラス戸にマエダが飛び掛ってきた。背中側の黒とは真反対の白い毛の生えた腹をこちらに向け、前足を戸にかけて擬似的な二足直立をしている。
その足元には全身が黒い毛で覆われたルイスが、あどけない瞳を向けて尻尾を振っていた。
「後で散歩行ってやるからな」
人差し指でガラスを突付くと、ルイスがガラス越しに指を舐めてきた。どこかこそばゆくて、指先を離す。ふと、ガラス戸の脇に置かれた小さな机にカゴに目がいく。
底の浅いバスケットのようなもので、キャンプが趣味の父が集めた、用途のよくわからない雑貨の掃き溜めとなっている。元は和室に置いてあったのだが、母に追いやられていくうちにここまで移動してしまった。
そう遠くない未来、庭に置かれることになるであろう。
なんとなしに漁ってみると、相変わらずのカオス空間だった。黄緑色のロープや謎のフック、20センチはあろうかという杭など様々なものが出てきた。
また増えたな、と呆れながら中身を戻すとき、何かが足りない気がしたが、特に気にしなかった。
立ち上がるとき、足元がふらついた。相変わらず眠気が頭を重くしていた。寝不足という感じのものではなくて、眠気というよりは、脳に鉛か何かを埋め込まれたような不快さがあった。
鏡と向き合ったとき、髪の毛がだいぶ伸びていることに、今更ながら気付いた。「まさかこれが原因ではないよな」と思わず零し、顔を洗った。
「髪切りに行くかな」掃除、洗濯、晩御飯の仕込みが終わると、唐突に暇になった。だから、なんとなく呟いてみた。
この気だるさを髪の毛のせいと断定したわけではないが、なんとなく、髪を切れば変わるんじゃないかと勘ぐっていた。失恋した時に切るのと似ているなと思ったが、すぐに、それは違うだろう、と自分でつっこんだ。
途端、ルイスが吠えた。それはもう、烈火の如くといっても大袈裟ではないほどに。
なだめようが犬用の菓子をやろうが、ルイスは黙らなかった。ルイスは滅多に吠えないのが特徴で、近所では『行儀のいい犬』としてそれなりに有名だった。
そんなルイスが俺を見上げて一心に吠える姿は、警告をしているようで、非難をしているようでもある。
その姿から逃げるようにして自室へと戻り、出掛ける仕度を始める。
東京と言えば大都会。ビルが群生して、並々ならぬ量の人と車が行き交い、緑も情もない都市、そんな様子を想像するのが普通だろう。実際、そこまで間違ってはいない。
ただ、東京といってもピンからキリまでが存在し、23区から大きく離れた地域は、目も当てられない。
4階建てを越える建物は学校やデパートぐらいで、すれ違うのはおじいちゃんおばあちゃんやトラクター、緑と情なら豊富な田舎町。そんなところに、俺は住んでいる。
歩いて行ける範囲には駄菓子屋か小さいスーパーぐらいしかなく、コンビニを探そうものなら30分以上歩くことになる。とはいえ、理髪店ぐらい、田舎にもある。
あるが、バカみたいに高いうえに、どんな風に注文しようが、坊ちゃん刈りかスポーツ刈りにされてしまうのだ。訴えれば勝てるレベルである。
高校があるのは最寄駅から三駅向こうで、そこまで行くだけでも大分発展度が違う。あそこの駅前には安く、腕前もそれなりの、行きつけの美容室がある。
部活をサボって学校の周りをうろつくのはよろしい事とは言えないが、まぁ構わないだろう。
私服に着替えて再び居間へと降りると、変わらずルイスが吠えていた。
「すぐ戻るから」
もういい加減に効果はないと分かったが、一応声をかけた。やはり、効果はなかった。
のそのそと、ボリュームのある毛が何かに擦れる音が、ガラス戸の向こうからした。マエダが小屋から出てきたのだ。
元々は北極だか南極に生息している犬種なので、夏場であろうと、マエダはかなりの量の毛を有している。
その毛皮の奥の瞳が、ジッと俺を見つめてきた。いいのか、と問われた気がした。俺は慌てて家から逃げ出す。
玄関を抜けて外へ出ると、容赦ない日差しに顔が歪んだ。それでも、何故かそれほど暑くは感じなかった。ヘッドフォンから、『ユー・ダイド・イン・ザ・シー』という曲が流れてきた。
『あなたは海の中で死にました』。きっと、手足も動かせないほどの深海で、俺は死んだに違いない。駅へと向かって、やけに重い脚を踏み出す。頭の中で、鉛が、カランといい音を響かせた気がした。
お兄ちゃんのいない通学路は、なんのおもしろみもない。
ベタつく湿気に、新緑の木々、立ち昇る焼けたコンクリートの匂いも、何もかもが味気なく感じる。もしかしたら、お兄ちゃんといる普段が満ち足りすぎているのかもしれない。
そんな無味乾燥の道を歩いて学校に到着した。休日だというのに思いのほか人が多く、この学校の部活が盛んだという事を改めて認識させられた。その中を、少しも足を止めずに体育館へと向かう。
途中、数人の友人を見かけた気がするが無視した。
ロールケーキみたいな体育館の入り口、右手にダンボールが積み重ねられた渡り廊下に立っていた。中から大きな声といくつもの足音、そして篭った熱気が感じられた。
立っているだけでも汗が吹き出る暑さだというのに、好き好んで運動をするなんて、なんと殊勝な心がけだろう。
昨日、熱中症で倒れてしまったお兄ちゃんにゆっくり休んでもらうためにも、これから私がすることをお兄ちゃんに見られないためにも、
私が医者から処方されている睡眠導入剤を、こっそりとお兄ちゃんの飲み物に混ぜてあげた。
早くても昼過ぎまでは眠れるだろう。
お兄ちゃんに関して問題はない。問題があるのは私のほうで、どうやって敵を捜し出すかだ。
“部活のときに話した”と言うからには、同じバレー部の人である可能性が高い。『あいつ』が私のことを好きだとも言っていたので、まず男とみて間違いない。そして、『キョウト』。
まさか、『京都』や『教徒』なわけはないだろう。それだと文章にならない。文脈から推測すれば『キョウ』と『ト』で分けて、『ト』は接続詞、つまり、敵の名前は“キョウ”。
「キョウ・・・」
一晩中、頭を抱えても答えは出なかった。お兄ちゃんの中ではどうも、私がその人のことを好きだということになっているらしい。なにがどうなってそこに行き着いてしまったのだろう。
“昔からそばにいる人”で“東京の人”と言ったら、斎藤憲輔以外にいないというのに。
とにかく、まずは状況を知る必要がある。誰かがお兄ちゃんを唆しているのならば、止めさせなくてはいけない。窪塚りおが一枚噛んでいるのならば、ここで一度ハッキリさせるべきだ。
絶対にお兄ちゃんを渡すつもりはない、と。
「あれ、くるみちゃん?」意を決して体育館に踏み込もうとした時、背後から呼びかけられた。
校舎の方へと振り向くとそこには、膝上までのショートパンツに、胸元に大きく『排球』と書かれたTシャツ姿の男子が立っていた。顔と髪がびっしょり濡れている。
汗だとは思えないほど濡れているので、校舎の中の水道で水を被ってきたのだろう。確か、お兄ちゃんの友達の、さ・・・とう?だった気がする。田中だったような気がしなくもない。
「こんにちは、先輩」とりあえず、先輩であることに間違いはない。先輩は、こんち、と挨拶だか呪文だか分からない返事を返してきた。
「くるみちゃんがいるってことは」
「おに・・・兄は来てませんよ。体調を崩して寝込んでます」
「倒れたのに無理するから、ったく」
頭を掻きながら、ぞんざいに言う先輩が頭にきたが、堪える。ここで時間をくうわけにはいかない。
「あいつ、くるみちゃんの言うことは素直に聞くからなぁ。いっそ、マネージャーやんない?」
「先輩」背中にぞわりと悪寒が走る。この声はいくら聞いても慣れないと思う。
先輩の後ろから、窪塚りおが、降って湧いたかのように現れた。比喩などではなく、本当に突然。
「片付け、まだ残ってますよ」窪塚りおは笑顔で、手に持った雑巾を掲げた。
「ああ、うん。すぐ行くよ」
私にとっては嫌悪と恐怖の象徴でしかない声だが、男の人には甘美なものらしく、大抵の人はこの先輩のようにヘラヘラと、厭らしい笑みを浮かべる。
こうやって他人を魅了する力は、私には無く、そして一生涯得ることの出来ないものだと思う。
だからといって、悔しいなんて思うことはない。私に多くはいらない。お兄ちゃんだけ、お兄ちゃんだけでいい。
優しげに笑う彼女だが、先輩に表情が見えない位置まで来た途端、研ぎたての刃物のように尖った敵意を私へと向けてくる。目を逸らして、服の上からチョーカーを握り締めた。
「つーわけで、俺もそろそろ・・・大丈夫?」
我に返って、目の前にある顔に驚いた。慌てて後退りしたところ、背中が何かにぶつかり、そのまま倒れこんでしまった。バタバタと大きい音が響いた。
続いて、鈍い痛みがじんわりと広がる。
「あぅ・・・」
「ちょ、大丈夫?」
「だ、だいじょぶです」まだ少しだけ目が回っていたが、なにより優先して確認するべきことがあった。
幸い、スカートが捲れたりはしていなかった。それどころか、いくつもの箱が覆い隠してくれていた。どうやら、ダンボールの山に突っ込んでしまったみたいだ。
先輩がダンボールをどかしてくれたので、なんとか身体を起こせた。左手に持った鞄のファスナーが閉まってるのを確認して、胸を撫で下ろす。
「立てる?」
「だいじょぶ、大丈夫です」
差し伸べられた手を取らずに立ち上がった。足場が安定せず、少しよろめいた。
そこで、唐突に思いつく。もしかしたらこの人が『キョウ』かもしれない。こうやって善人ぶる人種こそ裏が恐いのは、窪塚りおで十分すぎるほどに知っていた。
「とりあえず、片付けは後回しだなぁ」私が警戒しだしたことに気付かないのか、変わらぬ口調で彼は言う。「まずはこっちだな」
「あ・・・」
目線を追って、ようやく、足元に散乱した箱に気付いた。ダンボールよりかはずっと小さく、ボール一個分くらいかな、と思った時、箱の表にバレーボールが描かれているのが目に止まった。
どうやら新品のボールみたいだ。
「ごめんなさい、私がやります」
「いや、いいよ、俺やっとくから」
警戒しつつ、しゃがみこんで箱を片付ける。次になんと言って探りを入れるべきかと思案していると、後ろ側から、体育館の扉が開く音がした。
「うっわ、外も暑いな」
最初に感じたのは不快感。窪塚りおとは違い、隠したり、取り繕おうという気が感じられない。お兄ちゃんとは違い、冷たく、蔑むような声だ。
「お、丁度いい。手伝え」先輩が腰を上げて、話しかけた。私は振り返らず、効率よく探る方法だけを考える。
「嫌だね、なんで俺が」
「んなこと言うなよ〜」
「てめぇの尻ぐらいてめぇで拭けよな」
足音と同時に、男の声、気配が移動していき、後姿が視界に入る。
「俺、現代の若者です」と主張するかのような、ワックスで固めたよく見る髪形で、背の高さと相俟って、若々しさを増長している様に見えた。どこか生意気にも思える。
ただ、今の私にとって、そんなものは微塵も関係ない。彼の背中、首の下辺りから目が離れなかった。
「あのっ」気付けば、立ち上がり、声を掛けていた。
男は片手で髪型を気にしながら、気だるそうに振り向いた。しかし、目が合うと、少しだけ表情が柔らかくなったように思えた。「ああ、くるみちゃん」
お兄ちゃんが呼ぶからか、苗字が言い慣れないからか。こちらに引っ越してきてから、下の名前で呼ばれることが多くなった。お兄ちゃん以外に呼ばれるのは、不快を通り越して苦痛だ。
「あの、この後、お時間ありますか?」
「時間?」
「お話がしたいんです」少し迷ってから、二人っきりで、と付け足した。「ダメですか?」
「ダメなわけがない。むしろ、こっちからお願いしたいぐらいだよ」
校門前で待ってますね、と言うと、彼は笑顔を見せ、校舎へと消えていった。
これでいい。一番の難関だと思っていたが、まさかこんなに上手くいくとは思ってなかった。あと少し、あと少しだ。そう言い聞かせて、鼓舞する。
箱を片付ける作業に戻ろうとすると、先輩が話しかけてきた。「いいの?」
「いいもなにも、私から誘ったんですよ」
「いや、そうだけどさ」
「あの人じゃなきゃダメなんです」
「ダメねぇ」
先輩が校舎の方へと目を向けたので、身体で隠しながら、鞄を開けた。陰なので中身は見づらいが、手で探ると、すぐに見つかった。レザーケースに入れられた、刃渡り20cmほどのナイフが。
これで、あの男を、『Kyo』を刺す。私の頭の中には先ほどの後姿、ユニフォームの首下に書かれた『Kyo』という文字がハッキリと写し出されていた。
鞄の中で握り締めた木製の柄は、ひんやりとしている。
「喧嘩でもした?」先輩がポツリと、思わず出てしまったかのような声で訊いてきた。言葉が足りない気がしたが、むしろ、わざと言っていないようにも思える。
「私とお兄ちゃんは喧嘩なんかしませんよ」
笑顔で答えると、先輩は余計にまいったような表情になり、「悪い、良くない、Bad、Badly」と呪文のように呟いた。
『散切り』という、なんとなく嫌な名前の美容室から出た時、遊佐とかちあわせになり、『偶然がいくつも積み重なることで必然や、奇跡がうまれる』という一節を思い出した。
だからといって、この出会いが必然や奇跡だとは思いたくない。
「あれ、憲輔じゃん」
「遊佐かよ」
「『かよ』ってなに、ねぇ、『かよ』って」
たまたま靴紐がほどけて、それを結んでいたのがたまたまこの美容室の前で、たまたま俺が出てきた。さらに言えば、遊佐がこの道を使ったのも、俺が『散切り』へ来たのもたまたまだ。
確かに偶然が積み重なっているが、俺は頭の中で否定し続けた。
「なに、その顔」
「俺はもとからこんなだ」
「あんた、その顔なら鳩ぐらいは殺せるわよ」
「今度試してみるよ」
「時間はもっと有意義に使いなさいよ」
やれやれ、と大袈裟なアクションをする遊佐は、もはやトレードマークとなったいつもの髪形に、よくわからない英字のプリントされたTシャツを着て、下は膝上までのジーンズを履いていた。
なんとうか、非常に色気がない。Tシャツを大きく膨らませている胸のお陰でギリギリ及第点と言ったところか。
「どこ見てんのよ、エロガッパ」
「なんだよ、エロガッパって」
「エロっていったらカッパでしょう」
「今まさに、千を越える河童が多摩川を上り始めたぞ」
「この暑さじゃ皿が乾くわよ」
何かある度に、遊佐は河童を馬鹿にする。というよりは、俺が住んでる市が河童を大プッシュしているのを馬鹿にする。それ自体は一向に構わない。
俺だって、どうかと思う。ただ、遊佐はそれを使って俺をからかうのだから、手に負えない。
「もういい、帰る」頭の鉛がだいぶ軽くなり、ほどよくテンションも上がってきたのだが、遊佐と漫才が出来るほど元気ではなかった。
悪かったって、と俺の手を掴む遊佐のは声は小刻みに震えており、息を殺しながら笑っているのがバレバレだった。「怒んないでってば、カッパはいるわよ、寿司屋とかに」
などとくだらないことを言って、自分で笑い出す始末である。
「帰る、帰って河童と遊ぶんだ」
「カッパなんているわけないでしょ」バカなの?と笑う彼女に、思わず必要以上のため息が出てしまった。
「いいかげん機嫌なおしなさいよ〜」この店だけで6着目の服を手に取りながら、遊佐は言ってきた。
「お前は態度ってものを学ぶべきだな」
「どう?これ可愛くない?」スポンジだかチーズだかわからないキャラクターの書かれたTシャツをヒラヒラと揺らしながら、悪びれもせずに訊いてきた。
半ば引き摺られるようにして駅前の商店街まで来た。
よくあるような、片っ端からシャッターが閉まっていたり、需要があるとは思えないような色合いの服が並んでいるものではなく、最近改修したばかりで、有名ブランド店も出店している、屋根までついた最新の商店街だ。
ちなみに、看板に商店街と書いてあるにもかかわらず、地元民は『モール』と呼んで都会ぶっている。
今日はいつにも増して混んでいた。遊佐が言うには、とあるアイドルがこの地域の出身で、ここのCDショップでサイン会を開くらしい。
「いいんじゃないか」今日だけで何度この言葉を口にしただろうか。
「テキトーすぎでしょ」
「いいんじゃないでしょうか。デザインも今風だし、着やすいようにも思えますね。ただ、黄色っていうのは少々派手で、組み合わせが難しいんじゃないでしょうか」
「ん〜、60点」
さすがに嫌気が差し、やけっぱちになる。「杏が着るなら、なんでも似合うと思うな、僕は」
「ビミョー」目を細めているものの、少しだけ頬が赤くも見える。面白いのでしばらく見ていると、案の定、「エロガッパ」と言ってきた。
それからまた別の店へ移動し、さらに2軒目で、空色のワンピースを手に取った時、遊佐は思い出したように口にした。「そういやさ、今日って部活じゃないの?」
「休んだよ」ワンピースを眺めていた目線を俺へと移すと、目を見開き、「珍しい」と言ってきた。
「この前も休んだし、どうかしたの?」
「別に」
「こういう時、言葉が短くなるのよね」
「そんなこと」勢いに任せて出たが、そこで少し考え込んだ。「確かに」
「憲輔のそういうとこっていいよね」やけに真面目な顔つきで言うので「珍しい」と言ってみた。
遊佐は、あはは、と笑いながらワンピースを元のところへ戻す。
「場所変えよ」
返事を聞かずに、遊佐は店の出口へと向かった。後について、俺も店を出る。結局、14軒回って、遊佐は何も買わなかった。
終わりです。
毎回毎回無駄に長くて申し訳ないです。
あと、題名も無駄に長いので略しました。
Gj
お!続きが上がってる!GJ
∧_∧ ヤンデレ?ぼこぼこにしてやんよ
( ・ω・)=つ≡つ
(っ ≡つ=つ
/ ) ババババ
( / ̄∪
↓
∧_∧
((.;.;)ω・) ・・・
( )
( #)
∪ ̄∪
gj!
gjです
ゆすぁきたー
遊佐が気になってた俺としてはこのまま本格参戦を望みたい
GJ!
( ゚д゚)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ ) …G
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
ハートマン軍曹「糞に群がるウジ虫以下の貴様は、親愛なる男のケツに頬ずりできるか!?」
ヤンデレ「Sir! Yes,Sir!」
ハートマン軍曹「それは愛でも何でもない! この変態が!」
フルメタルジャケット借りて観た日にこの夢だよ
>親愛なる男のケツに頬ずりできるか!?
ヤンデレ「むしろそれほご褒美です」
可愛いタイプの男が年上のヤンデレ女に追い回されるのが好き
>>482 生`
このスレだとショタ系の方が人気あるみたいだな…
前にレズが好きだと言ったら避難轟々で参ったぜ。
なんだよ〜いいじゃんかよレズ〜。
自分でスレ立ててそこでやれ
ショタは全くだめ、百合はまあどうでもいいという俺みたいなやつもいるが
他人の趣味に口出す気はないから話題が出てもスルーしてる。
ただ好き嫌いの激しそうなジャンルだからどうしても噛み付きたくなる人もいるんだろ
そこで論争しても好みの押し付け合いになりかねんからあまり引っ張らないほうがいいと思われ。
なら書き込まずにスルーすればよかっただろ。わざわざ書き込むな。レズ厨は一度騒ぎ出すとしばらく止まらんぞ
>>489 過去レス見てると、レズ厨よりアンチの反応の方が過剰じゃないか?
少なくとも話しただけで「スレから出てけ」は異常だと思うが。
そんなことよりポケモン黒が気になってしょうがないぜ。
香草さんにいぢめられたいハァハァ。
レズは専用の板がある。「出て行け」は当然の反応じゃないか? シャア板でドラクエについて語るようなもんだろ
レズヤンデレの話も過去には投下されてたんだし、このスレと無関係とは言えないのでは…
はいはい荒らし荒らし。ROMに戻りますね。
あなただけ見つめてる
出会った日から今でもずっと
あなたさえそばにいれば
他に何もいらない
結構病んでる歌だよね
百合板なんてあるのか。ならそっちでするのが筋だろうな。
しかしそろそろヤンデレ家族も復活しないかなー。色々と続きが気になる。
>>493 公共の電波で流せないレベルの病み具合だよね
ヤンデレなファザコンのssって保管庫にある?
姉や妹は結構見るけど娘はどうなんだろ
娘スレはスレタイ変えたほうがわかりやすいかもね
相乗効果でこちらと共に活性化されれば良いんだが
>>497 サンキュウ
父が再婚の話を持ち出した途端声のトーンが一気に下がる娘さんとか期待しながら行ってくるぜ
>>497 まあ次のスレ立ての際に、テンプレで関連スレのひとつとして貼っとくといいかもね。
娘はヤンデレ属性と相性いいジャンルだよ。
近親相姦以前に、力関係の明確な差を利用した卑劣な行為という側面があるからね。
それが、ヤンデレだから仕方ないの一言で父の行為を正当化出来るから便利なんだ。
あるサイトのコピペ
遠見の舌が僕の唇を押し割った、と思うや否や、彼女の口の中で咀嚼された食べ物が、僕の口の中に押し込まれてきた。
遠見が唇を離したので、僕は改めて、その食べ物を自分で咀嚼する。
目の前のテーブルに載っているのは肉料理なのだが、他人が咀嚼した後のものを口に入れられても、正直味がよく分からない。
「ねえ、おいしい?」
テーブルに頬杖をつき、かすかに顔を上気させた遠見が聞いてくる。その潤んだ瞳を見つめ返し、僕は微笑んで頷いた。
嘘ではない。確かに食べ物の味はよく分からないが、代わりに遠見の口の中の熱と、唾液の味を感じる。
それだけで、僕は十分に興奮していた。
遠見がこんなことをするようになったのは、同棲を始めて一週間ほどした頃のことだっただろうか。
同棲する前からも多少兆候はあったが、遠見は実に嫉妬深い女性だった。
他の女と僕が話をするだけで、相手を睨み殺さんばかりの凄まじい視線を送ってくる、ぐらいはまだいい。
同棲を始めるようになってから、彼女の嫉妬は空想の存在や無機物にまで向けられるようになっていた。
「隆明君。このマンガ、ヒロインが気に入らないから破いちゃった。いいよね?」
「隆明君。チラシに載ってる女、見てたでしょ? もう新聞取るのやめてね?」
「隆明君。あのニュースキャスター、そんなに美人だった? ごめんね、テレビ壊しちゃって」
「隆明君。他の女の歌声が、そんなにいい? iPod壊しちゃってごめんね。代わりに、これからはわたしが好きな歌を歌ってあげる」
異常な独占欲である。僕の関わるありとあらゆるものが、彼女にとっては嫉妬の対象になるのだ。
そして、極めつけ。
「隆明君。そのお箸、ずいぶん大事に使ってるのね? わたし以外のものが、隆明君の唾液に濡れるなんて許せない。
これからは、飲み物も食べ物も、全部わたしが口移しにしてあげるね?」
こうして、僕は自分の手で物を食べることを禁じられた。
今では、物を食べるのはもちろん、歯を磨くのまで全て遠見の口移しだ。
正直言ってかなり不便だが、僕は非常に満足している。
自分でも少し驚いているが、どうやら僕は、こういう風に独占欲を露わにされるほど、相手の愛情を実感できる性質だったらしいのだ。
「隆明君。そろそろ寝ましょ?」
遠見の誘いに、僕は一つ頷いた。お互い黙って服を脱ぎ、裸で地べたに横たわり、抱き合って眠る。
「隆明君。毛布が隆明君を暖めてるのが気に入らないの。枕が隆明君の頭を支えてるのがたまらないの」
そんな遠見の言葉がきっかけになって始まった眠り方だった。
互いの温もりを感じられるし、いろいろと面倒がないので、個人的には凄く気に入っている。
暖房代がかさむのが少し厄介といえば厄介だが、幸せに対する代価だと思えば安いものだと、僕は思っている。
数日経って、遠見が言った。
「隆明君。隆明君の脳味噌を、頭蓋骨が包んでるのが気に入らないの。だから壊しちゃうね」
遠見は微笑みながら、僕に向かってハンマーを振り下ろす。
彼女はきっと、この後は僕の脳味噌に話しかけ、微笑みかけながら生きていくのだろう。
自分の頭蓋骨が砕けるのを認識しながら、僕の幸福感はその瞬間に絶頂を迎えたのだった。
それがどうした
なんというか……あるサイトと言われましても……
>>497 他スレの悪口を言うと、
そのスレの作品で子供の腕を折って悪びれないキャラがいて、
僕は正直引いた。
僕の好みだけど、父親と娘って、どうしても父親の側にある種の道徳を期待してしまう。
そこを乗り越えることが僕にはできなかった。
警察官のやつか
あれはそういうキャラなんだから仕方が無いだろ
ある意味半分は義娘を守るためでもあったんだし……
>>494 そうだな、ヤンデレ家族の作者も妹の隙を見て投下して欲しいものだ。
・・お風呂もトイレも一緒だから無理なのかもなorz
流れを切るようですが、投稿します。
昼食後の余韻に浸っていると、水城が、
「三郎、今日の夕食の材料を買いに行くから一緒に来て」
と、言って、無理やり業盛を立たせようとした。しかし、
「ちょっと待てくれ、水城。
今日は、俺の身の回りの世話をしてくれるんじゃなかったのか?
俺に手伝わせるのは、約束に違反するんじゃないのか?」
と、業盛は多少意地悪なことを言った。
「うぐっ…」
さすがのこれには、水城も答えに窮した様だ。
業盛としては、このままやられっぱなしだと、自分の沽券に関わる。
このあたりで水城に釘を刺しておくのがいいだろう、と考えたのだ。
実際は、朝から散々恥ずかしいことを、なんの躊躇なく行ってくる水城への、
ささやかな復讐も含まれているのだが。
「わ…私が一人で買い物に行って、ごろつきに絡まれたりしたらどうするの!
そいつ等にいやらしいことされるかもしれないのよ!それでもいいの!?」
水城はもっともらしいことを言った。しかし、それは普通の女が対象で、水城の場合、
「いや、水城に限ってそれはないだろ。仮にごろつきが絡んできても、
水城だったら一撃で倒せるだろうし」
と、直言した。この発言が、場の空気を読まない発言だったということに、
業盛はまったく気付かなかった。水城の顔がどんどん不機嫌の色に染まった。
「あんたねぇ…、私のことをなんだと思ってんのよ」
「普通の男より遥かに強い女…」
そういった瞬間、水城の拳が飛んできた。業盛は顔を逸らして躱した。
「な…なにすんだよ!」
「少しは女心ってものを理解しなさいよ、この馬鹿ぁ〜!」
そう怒鳴るものだから、業盛は驚いてしまった。
なにせ、自分の発言で水城の機嫌が悪くなったことに、
まったく気付いていないのだから、救いようもないが。
「わ…悪かったよ、水城」
とりあえず、ここは謝っておくに越したことはないと業盛は判断した。
それで満足したのか、水城の顔から不機嫌の色が薄まりだした。
「まったく、鈍感、鈍感と思っていたけど、ここまで鈍感だと呆れてものも言えないわ。
罰として、夕食の買出しに付いてきてもらうわよ」
そう言って、水城は業盛の手を取って、引っ張っていった。
なんだか、いいように水城の口車に乗せられている気がする、と業盛は思った。
水城に引っ張られ、再び都までやって来た。
まだ昼なので、都は多くの人でごった返していた。
すると、おもむろに水城が指と指を絡める様な手の繋ぎ方をしてきた。
「なぁ、水城。この手の繋ぎ方はなんだ?」
奇妙な手の繋ぎ方だったので、業盛は思わず水城に聞いた。
「こんな人が多い中ではぐれたら、探すのが大変じゃない。
だからこうやって、しっかりと握ってるのよ」
と、水城は言った。
しかし、たかだが指を絡めた程度の繋ぎ方では貧弱である、と業盛は思った。
「ふーん…、じゃあさぁ…」
そう言って、業盛は水城を引き寄せて、腕を組んだ。
「こうやれば、はぐれる心配もないだろ」
がっちりと、水城と腕を組んで、業盛はにっこりと笑った。
「ば…馬鹿…。こんなの、反則…」
水城は急に顔を赤くして、ぼそりと呟いた。
「んっ、あぁ…、悪い。迷惑だったか?」
業盛は察して、腕を解こうとしたが、その解こうとする腕に、水城が抱き着いた。
「し…仕方ないわね。こっちのほうが安全そうだから、
今回は特別にあんたの提案を入れてあげる。あ…ありがたく思いなさい」
そう言って、水城は腕に抱き着く力を強めた。俯いていたので、表情は伺えなかったが、
「三郎、あれを買うわ。ほら、もたもたしないできびきび歩く!」
買い物になると人が変わった様にきびきびと動いていた。
「だったら、今腕を組むのはやめてくれないか。動き難くてしょうがないぞ」
ただ、腕を組んだままだったが。
「あんたの提案でしょ。ここで迷子になってもいいの?」
水城はそう言って、業盛をあっちこっちに引っ張り回した。
「ふぅ…、いっぱい買ったわね。これで今日の夕食は充実したものが出来るわ。
三郎、ありがたく思いなさい」
「あぁ…、期待させてもらうよ。はぁ…」
息も絶え絶えの業盛に対して、水城ははきはきしていた。
もちろん、腕を組むのも忘れていない。
「さてと…、買い物も終わったし、そろそろ帰りましょうか」
「やっと見付けたぞ、そこのクソ侍!」
「そうだな、早く帰ってゆっくり休みたいし…」
「無視すんじゃねぇぞ!舐めてんのかっ!」
「なんだったら、腰でも揉んであげようか」
「そいつはありがたいな。帰ったら頼むわ」
「てめぇ…、無視すんじゃねぇって言ってんだろ!」
あまりにも煩いので振り向いてみると、何人ものごろつきが業盛を囲む様に立っていた。
「さっきは俺の子分を随分とかわいがってくれたみたいだな」
ごろつきのカシラらしき奴がそう言った。
よく見ると、ごろつき達の中に包帯を巻いている奴がいた。
「とりあえず、子分をかわいがってくれた分の礼をしなけりゃいけねぇよな」
既に周りには人集りが出来ていた。
「水城、あっちに行っててくれ。すぐに終わらせる」
業盛は水城にそう言って、人集りの方に行かせた。
水城を見ながらごろつきは、
「あいつ、お前の女か。それじゃあ、お前にたっぷりと礼をしたら、
あの女の身体にもしっかりと礼をしなきゃいけねぇなぁ…」
と、下品に笑いながらそう言った。
「したきゃ…、すればいいさ…」
業盛の声は、感情を殺した様な声になった。
「出来たらの話だけど…」
そして、にやりと邪な笑みを浮かべた。
「格好付けてんじゃねぇぞ、てめぇ!」
業盛のしたり顔を見たごろつき達が、一斉に襲い掛かってきた。
先程までざわめいていた人集りは、今は嘘の様に静まっている。
「これで、終わりか…」
業盛はつまらなそうに言った。
辺りには、ごろつき達が白目を向いて倒れていた。
皆一様に、股間を血と尿で染めていた。
「さてと、この俺に喧嘩を売ってきた馬鹿なあんたに、
俺からのささやかな礼をさせてもらおうか」
業盛はカシラに馬乗りになった。右手には小太刀が握られている。
「ひぃ…、わ…悪かった。悪かったから許してくれ」
カシラが情けない悲鳴を上げながら言った。
「お前は、そう言って許しを請うてきた人を、何人手に掛けたんだ?」
業盛はにやにや笑いながら、カシラを見下していた。
「か…金なら出す。出すから、それだけは止めてくれ」
そんなカシラの声を、業盛は無視していた。
「大丈夫、死にはしないさ。ただ、もう二度と女に手を出せない様に…、
お前だけ、特別に一物だけじゃなく、両手も切り落としてやるよ」
業盛はそう言うと、カシラの右手に小太刀を突き刺した。
小太刀は手首の骨に当たり、止まった。悲鳴が上がった。
その悲鳴を無視し、業盛は力押しでその骨ごと右手を断ち切った。
「次は左だ」
そう短く言うと、業盛は左手にも小太刀を突き刺した。
今度は骨に突っ掛かることなく綺麗に断ち切れた。また悲鳴が上がった。
「さてと、最後はここか…」
業盛はカシラの股間に目を遣った。股間は既に尿で濡れていた。
それを見た業盛は、邪な笑みを浮かべながら、
「大の大人がお漏らしとは、恥ずかしくないのかい?」
と、言って、股間に小太刀を振り下ろした。
カシラが声にならない悲鳴を上げた。
「あれ…?なかなか切れないな…。
…そうか…、さっき手首の骨を切ったから刃毀れしたんだ」
業盛はそう言うと、小太刀を何度も振り下ろし、
そして抉り、一物を切り落とそうとした。
幾重にも重ねた布を切り裂く様な感触が、小太刀を通して業盛に伝わる。
完全に一物が断ち切れた時、頭は気を失っていた。
「あ〜あ、もうこの刀も使い物にならなくなっちまったな…」
そう言うと、業盛は小太刀を股間に突き刺したまま立ち上がった。
「あれ、水城がいない。すぐに終わるって言ったのに、どこに行ったんだ?」
業盛が人集りの方に向かうと、そこだけ綺麗に人の道が出来た。
皆、一様に青い顔をしてざわざわと業盛を眺めていたが、
当の本人はまったく気にせず、水城を探すべくその場から立ち去った。
業盛は表通りだけでなく、裏路地なども探した。
嫌な予感はしたが、嫌な結果が出るとは思えなかった。
仮に攫われたとしても、水城なら誘拐犯を半殺しにして逃げてきそうである。
そういう結論が念頭にあるので、探す必要もないと思ったが、
もしも、ということもあるので、業盛は東奔西走した。
日が沈み始め、都が紅く染まった頃には、業盛も内心焦りを感じた。
以前にもこの様な形で親友を失っているので、業盛は気が気でなかった。
「もしも、水城が殺されていたら、俺は、どうすればいいんだ…」
ふと、その様な言葉が口から吐き出されていた。
源蔵の出来事が、業盛の心に大きな傷を残したのは間違いのないことであり、
業盛は、いまだにそのことを引きずっていた。
「水城…、どこにいるんだよ…」
業盛は弱気になって、そう呟いた。
「呼んだかしら?」
すると、背後からその場に似つかわしくない声が聞こえた。
振り返ってみると、そこには水城がいた。
あまりに唐突すぎるので、業盛は驚きを通り越して呆れた。
「み…水城、どこに行ってたんだ。心配したんだぞ」
「ごめんなさいね。ちょっと買い忘れたものがあったから…」
水城は笑いながら言ったが、業盛は水城の身体から漂う違和感を知覚した。
「水城、買い忘れたものってなんだ?それに、少し血生臭いんだが…」
そう言った瞬間、水城の眼光が鋭くなった様に見えたが、すぐに目尻に柔らかさが出て、
「あぁ…、買い忘れたものはお肉よ。ちょうど店に行ったときに、
豚を屠殺していたから、その時移ったのかも…。…やっぱり臭いかしら…」
と、言った。さも当然の様な言い方である。
「それで、買えたのか、肉は?」
「あいにく、私の欲しかったお肉はなかったわ。とんだ無駄骨よ」
水城に違和感はあったが、たいしたことではないだろうと思い、追求するのを止めた。
「まぁ、風呂に入って臭いを落とすんだな。腰を揉んでもらうのは今度でいいさ」
業盛はそう言って、水城を気遣った。
「そう、じゃあ、早く帰りましょ。少し時間を掛けすぎちゃったわ」
そう言って、二人は並んで帰ろうとしたが、
「あっ、忘れてた」
水城が急に思い出した様に言って、業盛の腕に抱き着いた。
「もう迷わないように…、ねっ」
そう水城は言った。夕焼けにあたった水城の顔は血で染めた様に真っ赤だった。
投稿終了です。
前回より少し長い程度になりました。
うおおおお、GJです!
ちょうど見に来たら投下って今日の俺はなんて運がいいんだ
投下乙
某ゲームの展開に心痛めてたからいいカンフル剤になったよ
おお、来てた!GJです!
>>514 GJ!
ただ業盛、敵に容赦無さ過ぎる気が・・・
時代のせいなのか?
時代だからってこんな振る舞い通るのか?嫌気が差してきた。
>>519 平氏にあらずんば人にあらずの時代
都でも一本裏道に入れば死体がごろごろしていた時代
平民、それも無法者の扱いならこんなもんじゃないか?
一説によれば源氏天下の鎌倉時代はさらにひどかったらしいが…
まぁ江戸時代なら通らないな
何かな…誠レベルで主人公死ねば良いのにって思ってしまう
これは純粋なRPGとしてはまずいんじゃ・・・
こんな事になるんじゃないか。
登場人物 父 母 兄たかし 弟 ゆうすけ
兄弟「ねぇ、おかあさん、おとうさんドラクエ9買って〜」
父「そうだな、テストの成績もよかったし母さんがよければいいぞ」
母「ちゃんと仲良くするのよっ」
兄弟「わ〜いわ〜い(^O^)」
・・・そして購入・・・
兄たかし「うは、やべやっぱドラクエ面白w」
弟ゆうすけ「ねぇ、お兄ちゃん、僕にもやらせてよぉ、学校でも話についていけないし(´・ェ・`) 」
兄たかし「これ、セーブ一箇所だけなんだよ、もうちょいでクリアするから待っとけって!」
ゆうすけ「お母さん〜、お兄ちゃんがドラクエやらせてくれないよ〜」
母「仲良くしなさいって言ったでしょ!喧嘩するならファミコン没収するわよ!」
たかし「そんな事言われてもこれ、保存が一つしか出来な」
父「たかし、お前はお兄ちゃんだろ、二人でやればいいじゃないか。」
たかし「そんな・・・だってRPGだよ、これ・・・ゆうすけめ、ちくしょうチクったな・・!殺してやる(# ゚Д゚)」
ゆうすけ「ひでぶっ」
今日午後八時頃、○○県××市の□□さん宅にて、兄弟喧嘩の末、命が奪われるという悲しい事件がおきました
県警は動機を究明するために捜査を行っています。
ってなりそうじゃね?
何か水城より業盛の方がかわいく見えてきた
>522
さて、どこへの誤爆だ?
>>514 なんかいいカップルもといコンビ、GJでした。
水城さん、すっかり丸くなって、ツンデレ乙女になっちゃって……
対して業盛は……女性に対しては鈍感というか、天然とかヘタレの部類だなこりゃ。
最後になにやら意味深なやりとりがきたので、そろそろひと悶着ありそうだ……
次回の投下、楽しみにしています。
>>519 帯刀と抜刀を許された武士のはびこる時代と、平和維持の名のもとに道徳教育と法整備がなされた時代。
後者の価値観に染まりきった人間には、前者の時代はまず理解できないだけだと思う。
一見残酷で暴虐な業盛の仕打ちだって、一太刀で終わらせないで生きたまま後悔&反省させるやり方だし。
基本的には、あからさまな悪人(過去に私怨の場合もあったけど)を独自の基準で制裁してるだけだし。
しかし今回のは……もしかして最初の未亡人の人の件が、ひっそりトラウマになってるぽいのか……?
……なんか、本編の感想より長くなってる……orz
真夜中のよづりを待ち続けてます。
>>514 投下で流れをぶった切るとかそんなことは気にしなくてもいいんだぜ
そしてGJだ
毎回おいしい成分ありがとう
まとめWikiで、ずっとヤンデレ家族を読んでましたが……
面白い!妹かわいい!
続編待ってます。
ヤンデレ家族こそがこのスレの王様だもんな。俺も待ってるよ。
あれ完結させるの難しくないか?物語の流れから考えて…
/) ,..-──-
///) /. : : : : : : : : : \
/,.=゙''"/ /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ
/ i f ,.r='"-‐'つ ,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :'i
/ / _,.-‐'゙~ {:: : : : :i '⌒' '⌒' i: : : : :} こまけぇこたぁいいんだよ!!
/ ,i ,二ニー; {:: : : : | ェェ ェェ |: : : : :}
/ ノ il゙ ̄ ̄ { : : : :| > |:: : : :;!
,イ「ト、 ,!,! ヾ: :: :i r‐-ニ-┐.| : : :ノ
/ iトヾヽ_/ィ"___. ゞイ!. ヽ 二゙ノ イゞ
r; !\ヽi._jl/゙_ブ,フヽヾーtー:、__ ,r|、` '' ー--‐f´
いない君といるだれかも面白くないか?
長編短編全部楽しめてる俺
俺がバイトから帰ってきて寝る頃には桜の幹の新作がきっと書かれているにちがいない。
催促されない作者が不憫で仕方ない
催促してる奴がアホなだけ
>>535 催促されない作者に限ってよく投下するよなw
華麗にスルー
作者さんにはお世話になっております
>>537 そりゃ、催促しなくても速いペースで書いてくれるからじゃね
てゆうかネタ以外は、作った人が一生懸命書いてるから相当ぶっ飛んでなければ、基本面白い
ネタでも面白いものや長編でもつまらない作品も多いが……まあ主観だからな。前スレの埋めネタや共産ネタなんかは面白かった。
そもそも完結した長編が少ないから
いかにして物語を収束に向かわせるか、例を示してくれる作者様がいないのが大きいよね
長編になると複数のヤンデレが出てくる場合が多いし、
ヤンデレが複数出てくるとどうしてもハッピーエンドにするのは難しくなる。
そういう意味でも未完結の長編が多くなるのもしょうがないのかな?
バッドエンドじゃダメなの?
っていうか作者ってENDを先に決定してから書くんじゃないのか
真夜中のよづりはラストから始まるしな
547 :
名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 07:08:36 ID:6FIHd2W4
ヤンデレ家族って、作者の妹は相当強力だよな。
ファン有志が救援に向かわないと投下はあり得ないんじゃね?
なんかさびしいなぁ
おまいら保守ネタでも書かない?
俺?文才ないから^^
ヤンデレラ
ずっと前にふった女の子から突然、日にち教えていないのに
「誕生日プレゼント渡したい」
と連絡がきたんだけど
このスレ的には死亡フラグ?
>>551 フってから1年以内ならまだ気があるか、友達としての好意だと思う
1年以上ならあんな奴いたなーってことで何気なくしてきたのかも…
ヤンデレなら間は置かない危ガス
児童ポルノ単純所持が罪になる法案が通ったら、ヤンデレじゃなくてK察が家に乗り込んでくるぜ!
>>553 どうかな
その警察官がヤンデレだったら話はまた別だ
警察署……と見せかけて自宅に監禁ですね、わかります
犯罪者にしたてあげて匿うというなの軟禁とか?w
557 :
レス代行:2009/06/28(日) 20:00:25 ID:lYV84rCq
2: ◆ wzYAo8XQT. :2009/06/28 17:09:06 ID:v84fuTb20
ぽけもん黒ですが書き込み規制と個人的事情のため、今月は投下を見送ります
その代わりと言っては何ですが、来月二話投下したいと思いますのでなにとぞ
俺も2ヶ月規制くらった人間だからつらさがよく分かる
頑張ってくれ
>>559 ブログじゃね?
見てないけど。
あんまり作者さんの私生活ここに出すのはどうかと思うし。
ネタをそっち方向に広げるか?
投下が滞っている作者はもれなくヤンデレに捕獲されてる状態だろ。
ss書いてる作者をネタにssを書くんですね、わかります
武装親衛隊?
シャフトセキュリティシステム
>>565 レイバーでも、ヤンデレは止められ無いよ
今月はポケモンなしかー
ポポ派の俺がまたポポがそろそろ何かやらかしてくれるのを楽しみにしてます。
>>566 むしろヤンデレがグリフォンに乗ってくる
お久しぶりです。"天使のような"別ルート投下します。
―――まだ、間に合うと思うか…?
その問いかけに、俺の最愛の女性(ひと)はこう答えた。
「大丈夫だよ。歩、君は僕の…いや、僕たちの運命を変えることができた。……運命は、ひとつきりじゃないよ。さあ、行くといい。―――きっと間に合うよ、お兄ちゃん」
「光、晶…有難う。―――行ってくる」
俺は、奴の…神坂 飛鳥の自宅付近で待ち構えていた。未来が見えたときには既に奴は学校を離れていたので、下手に探すよりこうして待っていた方が確実だと踏んだんだ。
そして案の定、奴は帰ってきた。時間は19時58分。俺は神坂に声をかけ…ようとした…のだが…
*****
「やい神坂飛鳥!今日という今日は落とし前つけてやるぜ!」
声をかけてきたのは、今時珍しく特攻服を着た、見るからにヤンキーな男だった。
よくよく考えてみれば、大して聞き慣れたわけではないな。一応、確かに聞き覚えはある声だが。しかし…
「…誰だっけ?」
そう、思い出せない。
「キィー!忘れたとは言わせねえぞ神坂飛鳥!」
「だから、なんで俺の名前知ってんだよ。つうか名乗れよ」
「キ…サ…マァァ…フン、まあいい名乗ってやる」
男は目一杯息を吸い、大きな声で言った。
「俺こそは結意ちゃんファンクラブ会長、瀬野 遥! どうだ、思い出したか!」
「いや全然」
俺はしれっと言い返した。だって…知らないものは知らないし……名前聞き覚えないし?
あ…顔真っ赤にして怒ってる。ちょ、木刀なんかどっから出したんだ!? やべぇ、なんかすごい殺気―――
『―――どこ行くの? 飛鳥くん』
―――背筋がぞくりとした。
こいつか? いや、こいつは寒気がするほどの殺気じゃない。じゃあ一体…?
い、いやそれよりもこいつをどうにかしないと!?
「…わかった。頑張って思い出す思い出すから落ち着けって!」
「…チッ」
瀬野は舌打ちして、構えを解いた。ふう、助かったぜ。さすがに丸腰ではきついものがあるしな…
さて…どこで会ったっけな? 声には聞き覚えがあるんだけど…まてよ?
「お前、今何のファンクラブって言った?」
よく考えたらこれは重要なヒントだ。さっきはつい聞き流してしまったが…?
「決まってんだろ!? 俺たちのエンジェル、結意ちゃんのファンクラブだよ!」
「いやだから…その結意って…まさか!?」
まさか。まさかあの結意!? あのストーカー女のことか!?
ああ―――だんだん思い出してきた。
あれはそう、今から4か月くらい前のこと――――
*****
俺は町を買い物か何かでうろついていた。そしたら―――
『ちょっ、た、助けてよぉ!』
『―――ちっ、めんどくせえなあ』
ストーカー女と出くわしたんだ。その時は互いに面識はなかった…はずだが、大声で助けを求められては見捨てるわけにもいかない。んで俺は路地裏に自ら踏み込み。
『オイイヤガッテルダロハナシテヤレヨ(棒読み)』
『あ゛ぁ!? 誰だお前! 外野は引っ込んでろ!』
『いやー俺もそうしたいんだけど…ねぇ?』
と、ちらと結意を見やる。結意は仔犬のような目で助けを求めてる…気がする。
『くそっ、バカにしやがってぇ!』と、男の一人が殴りかかろうとして…
【ガスッ】
『!?』
ついカウンター入れちまったんだ。男はそのままダウン。残る二人も襲いかかるが、俺の敵ではなかった。結果、三人とも地面とフレンチキスすることに………
*****
「思い出したぜ。俺とお前は確かに以前会ってる」
「…気付くのおせえよ」
瀬野は悪態を突きつつ、俺を睨む。
「…んで、今さら何の用だ?」
「ああ、俺はな…」
ん? なぜまた木刀を構える? ちょ、冗談よくない! 落ち着けって! 話せばわか―――
瀬野は大きく木刀を振りかぶった。
「結意ちゃんを泣かせたお前が許せないんだよぉぉぉ!」
と叫びながら振り下ろしてきた。やべ、止まって見える。ああ―――俺、死ぬのかな?
【ばすっ】
………ん? 生き…てる?
「ふぅ…避けるかガードくらいしろよな? 神坂」
「お前…佐橋?」
どこからともなく現れた佐橋が、瀬野の木刀を鞄でガードしていた。
「て、てめえ誰だよ!?」と瀬野は慌てふためく。対して佐橋は、
「…北中の玄武、と言えばわかるか?」とクールに返す。それを聞いた瀬野は顔を蒼くした。
「北中の玄武…かつて北中に乱入してきた30人もの不良をたった一人で返り討ちにした、伝説の中学生。 まさかお前が、お前があの…佐橋 歩!?」
「そうだ」
からん。瀬野は手にしていた木刀を落とした。さっきまでの覇気は感じられない。どうやら佐橋を恐れているようだ。
「ちなみに神坂は中学時代、"南中の朱雀"と呼ばれていた。そうだな?」急に佐橋が俺に会話を振ってきた。
俺は「ん? ああ、確か…な」と返した。
もう随分と昔のことだ。近所をバカみたいな轟音をたてて走り回る暴走族がいた。俺は「うるさくて眠れない」といつも俺の布団に逃げてくる明日香の為に、そいつらをフルボッコにしてやったんだ。
族のヘッドの鼻と腕を折ってやり、片っ端から群れる雑魚どもを鉄パイプでいなしてやった。
連中の大半は失禁する始末で、その夜以来この街からは爆音は消えた。ったく…最近の若者は根性が足りんよ根性が。
なぜか翌日にはその一件が知れ渡り、それから変なあだ名がついたんだ。
ちなみに明日香はその晩、
『お兄ちゃん! 何であんな危ないことしたのよぉ! 馬鹿…ばかぁ…! うあぁぁぁん…』と泣きながら抱きついてきた。いやー、かわいかったなあの時の明日香。
それにしても……あん時の連中は木刀どころの騒ぎじゃなかったのに、木刀ごときでびびるなんて俺もヤキが回ったか?
と、瀬野はさらにガクブルしていた。
「お前が…南中の朱雀だと…か、勝てねえ…」
「ああ、やめておいた方がいいな」と佐橋。…そんなにびびられても困るなぁ。ああ、これだから俺はいつまで経ってもDTなのか?
「ところで瀬野。」
俺は瀬野に尋ねてみた。
「さっきの、『結意を泣かせた』っての…どういう意味だ?」
すると瀬野は再び顔を赤くし、
「ふざけんな! お前のせいで…お前のせいで結意ちゃんは泣いてるんだ! どうして結意ちゃんは…お前なんかのことを…!」
「……? 俺の、せい?」
「ってめえ…!」
怒りの形相で掴みかかってきた。おい、さっきのビビり様はどこ行った?
しかし俺は冷静に、瀬野の手首を掴んでくるりとキメてやった。
「落ち着けって瀬野? さっきから何の話をしてるんだ?」俺はもう一回尋ねた。
「っ痛ぇ…とぼけんなよ! てめえ、結意ちゃんのこと捨てやがっただろうが!」
「結意を…捨てた? 俺が?」
…今朝のアレのことを言ってるのか? こいつどこまで見てるんだよ?
確かにあの言い方はキツすぎたかもしれない。ムシャクシャして結意に当たる形になっちまったし、そこは反省べきだろう。
けど、捨てたわけじゃない。俺はただ、振っただけだ。俺はそう瀬野に言った。瀬野は、
「神坂ァ…ふざけんのもたいがいにしやがれ!」と、怒っている。まったく意味不明だ。
「てめえ、結意ちゃんと付き合ったろうが!」
「はぁ?」
「俺たちは、ずっと結意ちゃんのこと見守ってたんだ! とぼけたって無駄だ! てめえが結意ちゃんの家で一晩過ごしたことだって知ってる! …複雑な気持ちだったが、結意ちゃんがあまりに幸せそうだから俺たちは喜んだよ!」
それってスト…と言いかけて、やめた。瀬野の表情は真剣だ。とても嘘を言ってるようには思えない。
俺の隣では佐橋が腕を組みながら話を聞いている。会話の分析でもしてるのだろうか?
瀬野はさらにまくしたてる。
「けどてめえは結意ちゃんを傷つけた! その気にさせといて…ヤっといて捨てるなんて…あんまりじゃねえのか!?」
「ヤっ…えぇ!?」
おい待て、俺はまだ童貞だぞ!? 何だ…ますます訳がわからねえぞ。
「…だいたいの話はわかった」
ふいに、佐橋が口を開く。何がわかったんだ?
「俺の見た映像…まあ、未来のなかに不思議なものがあったんだ」
「映像? 未来? 何の話だ?」瀬野は佐橋に尋ねる。代わりに俺が答えてやった。
「佐橋は未来予知ができるらしいんだ」
「はぁ!? それなんて厨二だよ?」
「まあ、とりあえず佐橋の話を聞こうぜ瀬野。…俺だって、未だに信じらんないんだから」
ちっ、わかったよ。瀬野はそう言い、佐橋に向き直った。
「んで佐橋、不思議なものって?」と俺は尋ねる。
「俺が見たのは神坂、お前が殺される映像だが…」
「ちょっと待て。俺死ぬのかよ!?」さらっと爆弾発言しやがって!だが佐橋は、
「まあ落ち着け。それを回避するためにこうして話してるんだ。」と、あくまでCOOL。
「それで、見えた映像の中に、小学生くらいの女の子の遺体が見えた。もちろん、お前を手にかけた奴もな」
「…誰なんだ?」
「誰なのかはわからない。会ったこともない奴だからな。ただそいつは、遺体の少女と瓜二つだった。遺体の方は髪を二つ結びにして、犯人はストレートだったが」」
―――ツインテールとストレートヘアの少女。心当たりがあった。だけどそれは一番、そうであって欲しくない二人…俺の姉妹だ。
そういえば昨日明日香は、結意の家に殴り込みに行った。そのとき姉ちゃんと再会したんだ。
姉ちゃんと二人で結意の家に駆けつけ、鍵を壊し……あれ? あの時なぜ俺は結意の家に迷わずに行けたんだ? しかも、どうやって鍵を壊した? まったく思い出せない!
そういや、あのとき姉ちゃんは何か大切な話をしていたはず…それも思い出せない。
しかも瀬野はさっき、俺と結意は付き合っていたと言った。…ヤったとも。そこで俺は、ひとつの結論に達した。
―――記憶が、抜けている? だとするならば、やっぱ……
「…瀬野、結意は今どこに居る?」
「多分、自宅だと思うが…神坂、どうする気だ?」
「今から、結意のところに行く。お前らも、来てくれるか?」俺は二人に同意を求めた。
「構わない。お前を救うためだ」と佐橋。
「ったりめーだ! 嫌だっつってもついてくぜ!」と瀬野。
「…サンキュー。それじゃ、行くぞ!」
こうなったら結意本人に直接訊くしかあるまい。…俺一人で行く度胸はないが、幸いにも今はこいつらがいる。なんとかなるだろう。
もし結意が嘘をついたとしても、瀬野をシメあげ…もとい瀬野に確認をとればわかるはずだ。
そして俺たちは結意の家に向けて走り出した。
*****
「―――すごいよお姉ちゃん! この力があれば、あの雌猫を殺すことだって簡単よ!…いえ、もっと惨めな目にあわせてあげることだって…くふふっ…」
明日香は、"力"に目覚めた。目の前にあった卑猥な雑誌はもう一冊残らず消されている。…やはりこの子も力を受け継いでいたのね。
「ふふっ…早くお兄ちゃん帰ってこないかなあ? そしたら頭の中きれいにお掃除して、私以外の女に目が行かないようにしてあげるのに♪」
……明日香のとろうとしてる方法は人として間違っている。けど、それは口にはださない。時間がない。明日香の幸せのために、もはや手段なんて選んでられないの。早くしなければ明日香は……。
「…ええ、そうね。早く帰ってくるといいわね?」
「うん、すごく楽しみだよ!お兄ちゃんとあんなことやこんなこと…きゃははっ」
さて、私は夕食でも作っておこうかしら。なにしろ、腹が減っては戦はできぬと言うし。
私は飛鳥の部屋を出て、台所に向かった。時刻は20時32分。…少し、帰りが遅いわね。なにか嫌な予感がするわ…
*****
「さて、ここが結意の家なんだが…そうだな瀬野?」
「ああ、間違いねえ」
俺達は白塗りのアパートの前に来ていた。距離にして、俺ん家からダッシュで約10分程度か。昨日もそうだが、やはり迷わず来れた。
俺は結意の部屋の呼び鈴を押した。が…返事はない。もう一度押してみる。しかし反応は同じだ。
「おかしいな…この時間は家にいるはずなのに」とつぶやく瀬野。
―――やはり瀬野はストーカーだな。あえて口には出さないが…今度警察にチクってやろうか。それにしても…結意は今どこに?
「ちょっと待ってろ」瀬野は携帯を取りだし、どこかにかけた。
トゥルルルルル……ピッ
「もしもし…。………。…………、………そうか、わかった」ピッ
「どうしたんだ瀬野?」と聞いてみる。
「仲間に聞いてみたんだが…20時半過ぎに白曜の制服を来た男子と歩いてたらしいが、見失ったと」
白曜の制服。それは今俺が身に纏っているものと同じだ。
「…その男子の、特徴は?」
「特徴は聞かなかったが…結意ちゃんはそいつのことを"サイキ"と呼んでいたらしい」
心当たりはあった。…斎木 隼、俺の親友だ。俺達はマックで穂坂のノートを写していた。解散したのは20時半。
あのあとすぐに結意と合流した、という仮説は成り立つ。だが…どうして隼が? 一体どういうつもりなんだ?
「―――っ!」
不意に、佐橋が頭を抱えた。なにやら、苦虫を噛んだような表情だ。
「どうしたんだ佐橋?」瀬野が心配そうに声をかける。だが佐橋は
「…おい神坂、今すぐお前の家に行くぞ!」と言った。そのひとことで俺は全てを察した。
「――まさか、何か見えたのか?」
「…ああ。結意とかいう女、このままだと殺される! 急げ!」
瞬間、俺はダッシュしていた。二人も俺についてくる。走りながら俺は佐橋に尋ねた。
「殺されるって、誰にだよ!?」
「…落ち着けよ? お前を殺すであろう奴がだ」
「姉ちゃんが!? まさか、そんな!」
「とにかく、急ぐぞ神坂、瀬野!」
「ああ!」
姉ちゃんが俺を殺すってことすら信じられないのに、この上結意まで手にかけるというのか!?もう、訳が分からない。
とにかく、急ぐしかあるまい。そうすれば、すべてが明らかになる……自信はないけれどな。
俺は全力疾走しながら、ふと空を見上げてみた。そこに広がるのは、星ひとつ見えない濁った夜空と…不気味なくらい赤い月だった。
その赤い月は、これからの俺の運命を暗示しているかのようで………。
とりあえず、斎木に電話をしておこう。俺はブレザーの内ポケットを探った。だが手ごたえがない。
……そうだった、俺の携帯今壊れて……あれ? そういや、どうして俺の携帯は壊れたんだっけ?
第9話終了です。病みがなくて申し訳ない。
GJ!
何か起こりそうな…
>>578 GJ!
久しぶりだったから今読み返して来たぜw
581 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 05:18:38 ID:mEFPFmFX
あいかわらず中二病丸出しだな
583 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 16:41:27 ID:vSpqHnGc
どうでもいいからさげろよ単発
886 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/14(土) 23:10:12
前に娘が頑張って作ったの旦那が美味い美味いと感激しすぎて
ファビョッた嫁いなかったか?二の舞にならんようにな
料理の話をする某スレにあったレスなんだけど
これヤンデレネタに使えないだろうか?
言い出しっぺの法則というものがありましてね……
>>586 「お父さん、これいっぱいいーっぱい食べてね♪」
「うん、美味い。こんな美味いものを食べたのは初めてだ。」
「わーい♪ありがとー♪」
「……何よ。あんな経験の足りない小娘が作った料理なんて美味しい訳ないじゃない。あの人を満足させてあげられる料理を作れるのはあたしだけ、あたしだけなのよ。……そのことをもう一度教える必要があるみたいね。……フフフ、今夜は長くなりそうだわ。」
こうですか?
分かりません><
>>588 連レススマソ
改行してないから読みづらい…orz
携帯だとどの辺で改行していいか分かりませんぬ
(´・ω・`)
590 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 21:19:10 ID:vSpqHnGc
死ね
作品の投下をしてみたいのですが、誰が投下してもいいんですよね?
・・・といってもまだ、登場キャラとおおまかな流れしか出来てませんが・・・
おk
>>587 自分でも考えたけど思い付かなかったぜ!
>>589 一行40字前後くらいでいいと思う
モチロン文章の区切りの善し悪しで早目に改行したり長くしたりする
ただ、
>>588は他の行が短いから
その辺りも考慮してバランスをとる様にするといいかも知らん
>>591 お願いします神様
正直、文才はあまりある方ではありませんが頑張って文章を考えてきます。
あと、ヤンデレにはまったのも本当につい最近なので多少見苦しい、
もしくは勘違いしてるところもあるかも知れませんが、そこは注意していただけたら幸いです。
大丈夫。頑張って
ま、なんにせよ書き上げてからそういうことを気にすればいい
短編ならともかく中編や長編は、完結させるのが一番難しいからさ
ちなみに返答レスは不必要だから、とりあえずしばらく頑張ってみてください
ぽけもん黒まだ〜
ぽけもん、ぽけもんって何度も…書き終わったら投下するだろ。
ことのはぐるま…
返答レスは荒らし
催促してるやつは消えろよ
というか、ぽけもんの人は規制に巻き込まれてるって、わざわざ言いに来てくれてるのに……
他の書き手さんたちだって、同じように規制に巻き込まれて、解除待ちかもしれないのに……
無責任に催促なんかせず、おとなしく待つことも、大切なことなんだぜ?
そういえば規制されてる人の代わりに投下しますってコピペが貼られていたよな。
あれってどうなんだろ?
>603
保管庫内のBBS、
http://www2.atchs.jp/yanddere/ の、『監禁部屋からのレス代行スレ』にトリップ付きで書き込まれたレスのコピペだから問題ない。
催促もいいとは思えないが、するなら同BBS内の『感想・応援用掲示板』でした方がここでするよりはいいんじゃないかな。
スレが荒れない的な意味でだけど。
レンタルお姉さんならぬ、レンタルヤンデレってどうよ?
>>605 はじめは職業と割り切ってヤンデレキャラを演じてたレンタル嬢が本物のヤンデレに目覚める・・・
とかこんな感じ?
だとしたらアリだわ
>>606 それだ!
さぁ今からその話を書く作業に移るんだ
>>607-608 うう、ごめんよ
アイディアがでてきたまでは良かったんだ
ちょっと構成考えたけど文才無くてやっぱ駄目。で不貞寝してた
アイディアだけは出るんだよね
ならいっそアイディア提供に徹するのはどうだろう?漫画でストーリー構成と作画に分かれる感じでさ
で、作者が立候補して書いていく
文才はあるけどネタに困る作者が元気になってスレにもっと活気が出ると思うんだが
アイデア過多になってしまいそう
職人の数に対してアイデアはある人が圧倒的多数だろうし
ちわーす。ヤンデレンタルから派遣されました、エセです」
「ちわーす。いつもご指名ありがとうございます。あっこのクッキー、サービスです。プライベートで作ったんで、大丈夫なはずですよ?」
「ちわー。この前のクッキーが好評だったみたいなんで、今度はチョコケーキ作ってきましたよ。え、チョコだめなんですか? ……いやいや! あやまんないでくださいよ! こっちが勝手に作ってきたんですから……」
「ちわー! 久しぶりですね。へ〜、実家に帰ってたんですか。それで、あなたのご両親ってどんな人なんです? ただの興味本位ですよ、気にしないでください」
「ちわ。この前、町で見かけたんですけど、隣にいた女は誰なんです? やけに仲良さげでしたけど。……な〜んだ、お姉さんだったんですか。彼女さんかと思いましたよ。さっきの? 演技ですよ、演技」
「……つき、うそつき! 調べてみたら、あなたにお姉さんなんかいないじゃないですか! うそつきうそつきうそつきうそつきうs え? 年上の従姉? ……ハ、ハハハ、私のヤンデレの演技も板についてきたと思いません?」
勢いだけで書いた。いまは後悔してる。
「ヤンデレンタル?そんなサービス聞いたことねえよ」と友人に言われて教えてやろうとするも、
友人のPCや携帯からは公式サイトにつながらないし、
104で調べてみてもみつからないんですね。わかります。
ヤンデレは男性遍歴が多いほど魅力がなくなる
レンタルなんて以っての外だと思ったが
>>613で幸せになれました
>>615 キャラと割り切る水商売の嬢がターゲットに出会ってヤンデレに目覚める、というのがミソ
もともとヤンデレでは設定の面白みが失われます
ヤンキー待機
保管庫にあったヤンデレ喫茶が割と近い感じかな?
あらかじめ裏から調べて待ちかまえてるってもたまらんどすばい
621 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 16:12:36 ID:TGX6Brbr
>>92 GJ!
しかし自分という名の他人に乗り換えたミスター鈴を姉さんは愛せるのだろうか・・・
愛してもらえるなら「私」なんていらない。
はやくぽけもん黒頼むしにそう
624 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 07:46:13 ID:6rC2nyim
続きでシロのHシーン書いてくれないものか・・・。
このスレは本当に乞食が多いな
これで十八歳以上だって言うんだから、物乞いしてる連中の品性を疑う
626 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 11:15:20 ID:uTsHk/w0
>>625 初めてエロに触れた中学生あたりが入りこんでるのかもね
国語の教材として取り扱われることもある舞姫で目覚めた奴がいてもおかしくはない。
>>627 相沢の野郎…
あれは、元になった話がキた。ドイツから追いかけて来たってやつ。
舞姫に似た話で佐藤賢一「ジャガーになった男」を読むと、
例えドイツに残ったとしても…と想像できて楽しい。
以前も話が出てたから舞姫読み直したら
メチャクチャ萌えたじゃないか、どうしてくれる
>>629 次は『うたかたの記』を読むのだ
鴎外は何故この路線でずっと続けなかったのだろう…
投稿します。
六波羅には風呂が一つしかない。
それに、大人数が入ることは出来ず、せいぜい五、六人が限界である。
さらに、男だけでなく女も入るので、必然的に早風呂と遅風呂の奴が出て、
風呂に入ることが出来ないこともある。業盛はそれを嫌い、
風呂に入るはずだった奴等に、ね、ん、ご、ろ、に頼み込んで、
水城だけを風呂に入れさせることを了承させた。
業盛は水城と共に脱衣所まで付いてきて、
自身は脱衣所の入り口近くに腰を下ろした。
「三郎、そんな所でなにしてるの?」
脱衣所にいる水城が戸を隔てて聞いてきた。
「あぁ、部屋にいても暇だから、暇つぶしに覗きにくるかもしれない阿呆に、
礼儀というものをじっくりたっぷり教えてやろうと…」
「遠回しに焼きを入れるみたいな言い方ね。
勢いあまって殺してしまわない様に気を付けなさいよ」
笑い声と共に、水城はそう言った。
「ははっ、その辺りは手加減するさ。
それに、俺が殺すとしたら、それはこの世に生きている価値もない奴等だけだよ。
さすがにこの身分じゃぁ、人殺したら目立つしな」
半ば冗談と本気が混じった返答である。
水城にはどっちに取ってもらっても構わなかったが、水城の返答は奇妙なものだった。
「そうね、私も、そう思わないとやっていけなかったし…」
それではまるで、今まで何人も殺してきた様な口ぶりである。
「水城、それってどういう…」
思わず業盛はそう聞いてしまった。
すると、水城は急に慌てた様に、
「な…なんでもないわ。それより三郎。私、これからお風呂に入るけど、
覗くんだったら、覚悟を決めて覗きなさいよ」
と、言うと、この話はもう終わりと言わんばかりに、黙ってしまった。
直後に中で戸の開く音が聞こえた。どうやら風呂に入ったようだ。
業盛はしばらくの間、水城について考えていた。
始めて水城と戦った時、水城の強さは今まで戦ってきた奴より桁外れに強かった。
「きゃぁあああ!」
最初は武士の娘だからという理由で片付けていたが、考えてみると、
それでも理解できない所が多々あった。
男が強いのは当然である。戦争に備えて強くなければ生き抜けないからである。
「いやぁあああ〜、さぶろぉ〜!」
だが、女はいくら強くなろうと、戦争に出る訳ではないのだから強くなる必要はない。
例え強いにしても、精々自分の身を守れるぐらいで丁度いいはずだ。
「きゃぁあああ〜!いやぁあああ〜!
三郎、三郎、三郎、さぁ〜ぶぅろぉ〜うぅううう!」
だというのに、水城のそれは、人を殺すためのものの様に感じた。
「いったい、水城は何者なんだ?」
そのことを考えていると、脱衣所の戸が開いた。
「三郎…、私が悲鳴を上げてるのに、なんで助けに来ないのよ!」
身体から湯気を発している水城は、不機嫌そのものである。
どうやら、考え事に夢中で、水城の悲鳴を無視していた様だ。
「あぁ…、すまん。だが、入ってくるなって…」
「時と場合ってものがあるでしょ!もしものことがあったらどうすんのよ!
あんたには自覚ってものが足りないのよ!少しは察するってことを身に付けなさいよ!
この…、馬鹿ぁあああ!」
矢継ぎ早に水城が怒鳴るので、業盛は謝る機会を見失った。
「はぁ…、あんたに期待した私が馬鹿だったわ。
あぁ…、お風呂で叫んだから、頭がくらくらするわ。
夕食の支度は、少し休んでから取り掛かることにするわ。三郎は部屋で待ってなさい」
水城はふらふらとした足取りで、ゆっくりと部屋に戻った。
結局、業盛は謝ることが出来なかった。
夕食を食べ終えた業盛は、おもむろに立ち上がった。
「どこに行くの?」
目敏く水城が声を掛けてきた。
「風呂だよ」
そう言って、業盛は外に出た。
戸を閉じた時、水城が微笑んだことに、業盛は気付かなかった。
脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入ると、いつもは何人かはいるはずなのに、
その日は誰もいなかった。
「珍しいこともあるもんだな」
業盛はそう思ったが、対して気にも留めず、椅子に腰を下ろした。
室内は既に煮えたぎったお湯から湧き出る湯気で充満しており、
その熱気が業盛の身体を孕んだ。
じわりと身体から汗が滲んで出てくる。
「ふぁ〜…、ケホッ…」
思わずむせ返るほどの蒸気である。しかし、それがむしろ気持ちいい。
身体から汗を出し尽くした時の軽快感。
冷水を浴びた時の爽快感。水を飲んだときの充足感。
これらはなにものにも変えがたいものである。
しかし、唯一不満があるとすれば、
「こういう時、誰かが背中を擦ってくれればいいんだが…」
と、いうものである。
自分でやろうと思えば出来なくもないが、それではむらが出てしまう。
一度でいいから、均等に背中を擦ってみたい。業盛のささやかな希望である。
「じゃあ、私がやってあげるわ」
「あぁ、じゃあ、よろしくたの…む…」
あまりにも自然な会話の入り方だったので、こちらも普通に返事をしたが、
振り返ってみて、思わずあっとした。
そこには水城がいた。それも、かなりの薄着で。
「おわっ…!み…水城、な…なんでこんな所に…」
反射的に股間を隠した。
「なにって、あんたが風呂に入るって言うから、私も来たんじゃない」
「答えになってない!」
「別にいいじゃない、そんなこと。それよりあんた、背中擦って欲しいんでしょ。
私がやってあげるわ。これも約束の内に入ってるし」
そう言って、水城は背中を擦り始めた。
「どうかしら、三郎?」
水城は適度な強さで、さらに、業盛が擦って欲しいと思っている所を的確に擦ってくる。
「あっ…、あぁ…、なかなかうまいぞ」
業盛はしどろもどろになりながら答えた。
「そう、それはよかったわ」
水城の嬉しそうな声が聞こえた。見えないが、きっと嬉しそうな顔をしているのだろう。
業盛はそう思った。
しばらく、背中を擦る音のみが風呂場に響いた。
「こういう時、胸がないって本当に口惜しいわよねぇ…」
ぼそりと、その様に水城の呟きが聞こえた。
だが、聞き返そうにも状況が状況なので聞き返せない。
思い悩んでいると水城が、
「ふぅ…、三郎。私、着てる服が汗で透けてきちゃったから、
振り向かないでね。振り向いたら、許さないから」
わざわざそんな恥ずかしいことを自己申告してきた。
おかげで余計に水城を意識しなければならなくなった。
そして、またしばらく背中を擦る音のみが風呂場に静かに響いた。
「はい、背中が終わったわよ」
そう言って、水城は背中から布を離した。
「そうかい、じゃあ…」
先に外に出ててくれ、と言おうとしたが、
「次は前をやってあげるわ」
との、水城の発言に、業盛は火照った身体が、急速に冷えていくのを感じた。
「ちょ…、ちょっと待ってくれ水城。なにもそこまでやらなくても…」
「うるさいわねぇ…。あんたは動かなくていいの。全部私がやってあげるんだから」
「本当に…、本当に結構だから止めてくれ!」
しばらく、水城と業盛の言葉の綱引きが行われたが、一向に勝負が着かなかった。
そうこうしている内に、水城は回り込んで前を拭こうとする強硬手段に打って出た。
負けじと業盛はその場から離れようとしたが、ここで事故が起きた。
業盛の肩を掴んでいた水城が、足を滑らせて業盛の方に倒れ掛かってきたのだ。
水城が業盛を押し倒す形になった。
業盛は目のやり場に困った。水城の着ている薄着は汗で肌に張り付き、
水城の身体の線をこれでもかというくらい際立たせている。
胸のない水城でも、異様なくらい色っぽく見えた。
早くこの状況から脱しないとまずい、と業盛は思った。
水城の色っぽさだけでなく、風呂の熱気や、大声を上げたりしたことなどが原因で、
業盛の意識はかなり危険な所まで来ていた。
「うふふふ…、さぁ〜ぶろぉ〜…。はぁ…、はぁ…、はぁ…」
今まで聞いたこともない様な浮付いた声を上げて、
水城は身動きの取れない業盛の両頬に手を当て、
ゆっくりと自分の唇に近付けてきた。避けようにも、業盛は避けられない。
もはやこれまでか、と業盛は思い、目を閉じた。
しかし、いつまでたっても、唇になにかが触れる感覚はなかった。
ゆっくりと目を開けてみると、唇が当たるか当たらないかの所で水城は止まっていた。
水城は恍惚とした表情のまま、ぴくりとも動かない。
どうやら、熱気にやられて気絶したらしい。
業盛が離れると、支えをなくした水城は前のめりに倒れた。
とにかく助かったが、このままここにいるのは二人にとっても危険すぎる。
業盛は今にも途切れそうな意識を繋げるべく、まず頭から水を浴びた。
薄れゆく思考が、急速に覚醒した。
まず、目を回している水城に少しずつ水を浴びせ、
身体の熱を冷まさせると、丹念に身体を拭き、新しい服を着せた。
後は、部屋まで抱きかかえて運び、水を飲ませて安静にさせた。
そこまでやった業盛は、思い出したように喉の渇きを覚え、
水を二、三杯呷る様に飲み干した。
思い出した様に、疲れと眩暈が急速に業盛を襲った。
「あっ…、へっ…」
情けない声を上げて、業盛は受身も取らずに前のめりに倒れた。
「もう…、限界…。死にそう…。…うぐっ…」
疲労とか、気苦労とか、羞恥とかで、業盛は初めて音をあげた。
この日、業盛は、初めて卒倒というものを体験した。
投稿終了です。
またもや短い。すいません。
前回は、業盛の行いに対して、反響がありましたが、
今から業盛の性格を変えるのは不可能なので、
このまま行かせてもらいます。
すみません。
糸色「受け取り手のことを考えず、一方的に愛情を押し付ける!
これはもはや、愛の不法投棄ですよ!」
「絶望した――! 不法投棄される愛に絶望した――!」
>>637 いや、もう先生一年以上その台詞言ってないから…スレ違いですまん
変歴伝初めて見たけどいくらなんでも17話のゴロツキかわいそう
それまで道徳心満ち溢れたいい人だったのに
>>641 最初は俺もそうかんじたが、北斗の拳の登場人物のイメージで読んでみたらそれなりにしっくりきた
643 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:20:46 ID:PPjJhh13
書けたぜ!
投下、行きます!!
644 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:21:13 ID:PPjJhh13
眼が覚めたら、僕の胸元でさくらが寝息をたてていた。
丁度蹲る形で胸元に鼻先を微かに着けて、静かに眠っていた。
肩が呼吸をする度に小さく揺れている。
枕元に置いてあるハズの携帯が…、無い。
しまった。
ここで気が付いた。携帯を武士の家に置いて忘れてきてしまった事に気が付いた。
しまったなあ、と頭を掻くと、胸元から声が聞こえる。
「おはよう、幹也」
「あ、うん。おはよう」
さくらはニコリと笑うと、僕の首元に指を添える。
「もう…昨日みたいに…」
「うん?」
「昨日みたいにもう約束破っちゃ駄目だよ?」
さくらは僕の顔を覗き込んでそう言う。
小さい子の悪戯を諭すような口調なのに、少し怖い。
「う、うん」
さくらはそれを聞くと、さらに笑みを深くした。
「それと、今日から勉強しなきゃ駄目だよ?夏休みの宿題、まだ手も付けてないでしょう?」
ニッコリと表現するべき表情が何故か怖い。
少し腰を動かすと、尻が痛んだ。
多分、昨日のアレのせいだ。
「今日から私が付きっきりで宿題教えてあげるから、だからこれからはお家を出ちゃだめだよ?」
さくらは僕の顎の輪郭に沿って指でなぞると、僕を抱きしめた。
それから耳元でこう呟く。
「ねえ、幹也。私と熊原君……、どっちが好き?」
645 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:22:12 ID:PPjJhh13
◇◇◇
昼食を終えて、さくらが嬉しそうに食器を片付けに部屋を出た。たった一言、「部屋から出ちゃ駄目だよ?」そう言って。
そう、僕は起床してからこの部屋を『一人で』出ていない。
出たと言っても小便を済ませるために二回出ただけで、しかもそれにはさくらも同伴するといった形でだ。
少しの奇妙な感覚が、僕の背筋に汗を這わせた。
それからしばらくして、さくらが片づけを終えて帰ってきた。
表情からして、この上無くご機嫌な様子。
「さて、幹也、頑張って夏休みの宿題終わらせようか?」
僕は頷きだけで答えて、ベッドから机に移動した。すぐ横をさくらが固めた。
「じゃあ、始めようか?何からやる?数学?英語?」
僕は「英語」と一言だけ告げて、宿題のプリントを引っ張り出した。
さくらは嬉しそうにプリントを眺めていた。
「ねえ、幹也。私と熊原君と、どっちが好き?」
その言葉だけが、頭の中で渦を巻いていた。
さくらは、一体何を考えているんだろう。
僕はそんな事を思いながら、過去完了についてさくらに尋ねた。
___
____
_____
「はい、お疲れ様」
「お、おわったー」
宿題を開始して六時間、午後七時。信じられないことに二十に及ぶページ数を僕らはたった一日で済ましてしまった。
コレも偏にさくらのおかげだ。
「ありがとう、さくら」
「幹也もよく頑張ってたよ。お疲れ様」
さくらは僕の肩を揉みながらそう言う。
なんだかいつものさくらだった。
「晩御飯、一緒に作ろうか?」
「うん、じゃあ手伝ってもらおうかな?」
「がってん、承知」
「ふふ、なにそれ?」
さくらの後に続いて僕もお尻を摩りながら部屋を出た。
起床から十時間経っていた。
646 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:23:03 ID:PPjJhh13
◇◇◇
熊原武士は受話器を取ったり、戻したりさっきからおかしな事ばかり繰り返していた。
さすがにハブられてるな。
熊原武士は幹也の携帯を見てそう思った。
深い青色のプラスチック製の携帯には幹也の家族と、自分と姉、それから石田さくらの番号しか記憶されていなかったからだ。
最初は小町がメモリを見たのが始まりだった。
幹也がイジメられているのがどうにも気に食わない小町は幹也の携帯のメモリを見て、本当に友達がいないかどうか確かめたのだ。
結果、メモリに大いにショックを受けた小町に相談を受け、武士自身もイジメの真相を知った。
何人かの友人に聞いたところ、幹也は小、中学共に窃盗を繰り返していたらしく、その結果周りから孤立していったらしい。
コレを聞いて武士は何度も耳を疑い、幹也の楽しそうに笑っていた顔を思い出していた。
ありえない。
なんの証拠も無かったが、武士はそれを確信した。
アイツがそんなことする訳ねぇ、確かめてやる。
そうして、幹也にいざ電話をしようとしたのはいいが、もしかすると…。
そう思ってしまい、何度も受話器を置いたり取ったりを繰り返していた。
携帯のメモリ画面に映し出された自宅と記憶された電話番号。
「どうすっかなぁ」
思わず溜息が出る。
手元の携帯画面に映っていた困った表情を浮かべている自分の顔を見て、ふと名案が浮かんだ。
何の事は無い、この前みたいに遊びに誘えばいいだけじゃないか。
こっちには携帯もあるんだし、幹也も喜んで来るだろう。
武士はすぐさま番号を呼び出した。
二、三回呼び出し音が鳴って、向こうが出た。
647 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:24:03 ID:PPjJhh13
◇◇◇
電話に出たのは女の声だった。
「もしもし、菅野君のお宅でしょうか?熊原と言う者ですが、菅野幹也君はご在宅でしょうか?」
暫くの沈黙、沈黙。
思わず、もう一度呼びかける。
「もしもし」
「幹也は今、出掛けています」
内心、ホッとしたのが武士には奇妙だった。
「よろしければ、用件を伝えておきましょうか?」
どこかで、聞いた事のある声。
「…もしかして、石田さん?」
受話器の向こうのピリピリとした空気がスピーカー越しに流れ込んできた。
「……よく、分かりましたね」
幹也の近くで、唯一幹也を対称にしていた声だ。
石田さくら。その声はその人しか出していない。
受話器の向こうが張り詰めているのが分かる。
「いや、まぁね」
「それで、ご用件は?」
受話器の向こうの声が凄む。
「いや、菅野の奴俺のとこに携帯忘れていったからさ、昨日姉貴が電話に出てたけど今日取りに来なかったし、一応報告しとこうと思って…」
「分かりました、幹也には伝えておきます」
武士がよろしくと言い終る前に、電話が切れた。
「なんでかなぁ、感じ悪いなぁ」
648 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:24:34 ID:PPjJhh13
◇◇◇
晩ご飯を食べ終えた後、さくらに先に断ってお風呂を頂いた。
結局、今日一日外には出なかった。
明日あたり、武士に電話で断って携帯でも取りに行こう。
脱衣所から出ると、さくらが電話の前で立ち尽くしていた。
「さくら?どうしたの?」
さくらは僕の声にすぐ反応して、僕の方に向き直した。
「ううん、何でもないよ幹也。家庭教師の電話訪問だった」
さくらはそう言って笑う。
「そう」僕はそう言って、会話を切った。
冷蔵庫から牛乳を取ってコップに注ぐ。
一息分飲んで、僕がさくらに話を切り出す。
「さくら、明日武士の家に行っても、いいかな?」
さくらはこっちを見ずに首を横に振る。
「幹也は…」
さくらはゆっくり僕の方に近寄ってくる。
ゆっくりとした足取りに、僕だけを視界に留めている。
「何か、勘違いしてるね?」
「え?」思わずそんなマヌケな声が出た。
「幹也は熊原君と仲が良いみたいだけど、知り合ったのは何時ぐらいなのかな?」
さくらが僕まで二歩ほどの所に来る。
「きっと、そんなに長くないよね?」
僕は気圧されて、頷く。
「もしかしたら、ゲームかも知れないよ?だってよく考えてみなよ、可笑しいでしょ?言い方は悪いけど幹也は皆から孤立していたのに、いきなり友達なんて出来るかなぁ?もしかしたら熊原君が誰かと組んで幹也を罠に嵌めようとしてるのかも?」
さくらが僕との間をもう一歩距離を詰めてきた。
「武士は、そんな人じゃ…ないよ」
「本当?」さくらが僕の少し湿った髪に触れる。
「それは本当かな?幹也?ねえ、よく考えてみて?もしかしたら熊原君の気まぐれかも?」
「気まぐれ?」
「そう、気まぐれ。熊原君が少し退屈潰しに幹也と話しただけかも。遊ばれてるだけかも?」
「そんな事…言っちゃ…駄目だよ」
僕の声は震えていた。
「幹也、また裏切られちゃうかも?」
さくらがもう一歩前に出て、さくらの足の指先が僕の足の指先に当たる。
さくらは僕の額に自分の額を合わせる。
「幹也。幹也には私だけしかいないんだよ?」
頭蓋の骨を通して、直にその言葉が染み入ってくる。
さくらが両手が僕の頬を包む。
「なのに幹也は、幹也を虐めてた奴らみたいな事をするんだね」
「ぼく…が?」
649 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:25:01 ID:PPjJhh13
◇◇◇
うん。
さくらはそう言って、啄ばむ様に僕の唇にやさしくキスした。
「友達が出来たからって、飽きた方を捨てる。そんなのいけないよ。私、寂しかったな。ずっと一緒にいてあげたのに、友達ぶった奴の方に幹也が私の約束を破って行っちゃうんだもん」
僕は何も言えない。
「ねえ、幹也。それじゃ幹也も、幹也を虐めてた奴らと変わらないよ?」
さくらの言葉が鋭さを増していく。
「蔑ろにして、約束を破って、ねえ幹也?何か言ったら?」
「……ごめん」
その言葉しか出ない。
さくらは鼻で笑ってから、また口付けをする。
今度は深くて、長い。
ネチャ、とたまに粘着物の音を立てる。
唇を離すと、互いにに息が荒れているのが分かった。
「いいよ、許してあげる」
さくらは満悦な笑みを浮かべ、僕と自分の鼻の頭を合わせた。
ふと、視線を上げると、さくらの視線とぶつかった。
さくらの瞳は淀んで光すら飲み込んでいた。
でもその中に、僕は自分の姿を見た。
「ねぇ、幹也。もう一度聞くね?」
さくらは、続けた。
「私と、熊原君。どっちが好き?」
650 :
桜の幹 :2009/07/08(水) 15:26:53 ID:PPjJhh13
以上で、今回分は終わりです。
待ってたよ、GJ!
良い感じにトラウマを利用してるなw
次にどう動くのか・・・・・・
>>649 イイヨイイヨー
さくらの壊れ方が怖くて素晴らしいw
さくらにも、「オマエモナー」といいたい。
655 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 20:05:05 ID:BUTPiwhI
○<南無三!
|ヽヽ
>_ト ̄|○<ウーン!
○<歯を食いしばれ!
(( (ヽヽ
>_ト ̄|○<アーィ!
○<これに耐えられるか!
Σ )ヽヽ○ <ィイイイヤッ!
>_ト ̄|
656 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 20:09:24 ID:BUTPiwhI
○<骨がありそうだ…
|ヽヽ
>_ト ̄|○<たわけが…
○<受けてみろ!
(( (ヽヽ
>_ト ̄|○<やりおるわ…
○<ぬうぅーうう! そうりゃあ!
Σ )ヽヽ○ <この…俺が…
>_ト ̄|
>>650 携帯からだが、一話から見てるぜ
今回もいい味出してた、文句無しのGJだ
しかし尻の穴って・・・・・、やっぱり翌日にも響くんだろうか?単純に疑問
素人がローション馴染ませただけで、いきなり指二本突っ込まれて前立腺弄られりゃぁ普通に痛いと思うよ?
なんで知ってるかって? なにも、聞くな。
なるほど・・・
投下します。第二話です
「ふあぁぁ……あれ?」
目が覚めたら身体が縮んでいたーーなんてことは無く。
「昼休み……?」
黒板の上に掛かっている時計を見ると、針は一時を指していた。ついでに辺りを見渡す。
食堂にでも行ったのだろう、教室に居る生徒の数はまばらだった。
「にしても……どんだけ寝てたんだ俺」
朝学校に来てからの記憶がまんまり無い。というか全然無い。全く無い。
学校に来る時の記憶さえ危うい。どうやって来たかあやふやだ。
「……もしや俺は寝たまま学校に来るという偉業を成し遂げたのでは?」
「んなわけあるかアホ」
しまった、口に出ていたか。そして俺をアホって言ったのは誰だ。
「……なんだ、ヒィか」
声のした方に振り向くと、袋に大量のパンを詰めたヒィが立っていた。
「なんだとはなんだ、爆睡中の親友の為にパンを買ってきておいてやったというのに」
そう言うとヒィは隣の席に腰を降ろし、袋の中身を漁り始めた。
こいつの名前は時谷 彼方。中学の頃からの付き合いで、俺の親友。
ちなみにヒィとはこいつのあだ名。「彼」方だから「He」でヒィなんだそうだ。
自称天才イケメンで金持ち。前者は半分嘘だが後者は真実。
カッコいいより綺麗と言ったほうが正しいであろう、中性的な顔立ちをしている。
「うーん……なぁ、俺どんだけ寝てたんだ?」
いくら頑張っても思い出せない為、絶賛パン捜索祭り開催中のヒィに訪ねる。
「ん? 確か学校来てすぐ俺に一言だけ言ってから今までずっと寝てたな」
一言だけ言った? 何か言ったっけか俺?
「なにか言ってたのか?」
ヒィは口元に手をあて、ふむふむと考えるポーズになる。そして
「ああ、言ってたぞ。確か……『今から俺は寝るから、うなされてたら起こしてくれ』とか」
「本当にそんなこと言ってたのか?」
「ああ、たぶん間違っていないはずだ」
今度は俺が考え込む番だった。
そんなことを言った記憶が全く無い、学校に来るときの記憶も無い。
俺の知らない俺? ……もしや
「俺は二重人格だったとか?」
「いきなり何言ってんだ馬鹿」
俺の出した結論は、未だに袋を漁っているヒィの言葉に一撃で沈められた。
「ほら、カレーと焼そばとあんぱん、これでいいんだろ?」
ヒィが袋からパンを三つ差し出してくる。さすが親友、俺の好きなパンをしっかり覚えている。
「サンキュ、んじゃ食おうぜ」
「ちょっと待った。今日は別のとこで食うぞ」
パンを受け取り、早速食べようとする俺をヒィが止める。
「ちょっと前に、もっと静かで広い場所で食いたいって言ってただろ?」
「そういえばそんなようなことを言った記憶が……」
662 :
胡蝶病夢 第二話 ◆YOLz5qIxQc :2009/07/08(水) 23:21:03 ID:cNKewfV6
「というわけで、屋上に行こう」
そう言ってヒィはポケットから銀色の鍵を取り出した。
「………」
俺が言いたいことが分かったらしい。ヒィはニヤッと笑うと
「職員室にお呼ばれになったときにちょっとくすねてスペア作っておいた」
「それってバレたら不味くないか?」
「大丈夫だって。あそこには誰も近寄らないから」
「どうしてそう言い切れるのかね……」
「それに……」
「それに?」
「屋上にはロマンがあるじゃないか!」
「は?」
「ほら、早く行くぞ!」
「あ、おい! ちょっと待て! ……ったく」
言うなりパン袋を抱えて教室を飛び出ていったヒィ。
「んじゃまあ、俺も行きますか」
この出来事が、俺の運命を変えることになるとも知らずに……
「……なんつって」
思えば、これは冗談ではなく、神の啓示だったのだろう。
屋上へ向けて、一歩を踏み出す。
この時から、俺の運命は狂い始めていた。
「ところで、ロマンって何だ?」
屋上のドアの前で四苦八苦していたヒィに訪ねる。
鍵が新品だからか、なかなかうまく回らなかったようだ。
「そりゃお前、屋上と言ったら告白イベントって相場で決まってんだろ」
「はぁ……」
「案外、ここ開けたら誰か告白してたりしてな」
「ないない」
カチャリと音がして鍵が回る。
「うっし、それではご開帳〜」
ドアが開き、ヒィが外に出……ようとして止まった。
「どうした? 本当に告白してる奴でもいたか?」
鳩が眉間に豆鉄砲をブチ込まれたような顔をしているぞ、ヒィ。
663 :
胡蝶病夢 第二話 ◆YOLz5qIxQc :2009/07/08(水) 23:23:20 ID:cNKewfV6
「……人、いたよ」
「え、マジか?」
ヒィの横から外を覗く。そこには……人がいた。
広い屋上の奥のさらに奥、フェンスの外側に、彼女はいた。
「………」
「………」
沈黙。ヒィも俺も言葉が出なかった。
俺もヒィも動かない。彼女も微動だにしない。
唯一動いていたのは、風にたなびく彼女の長く、雪のように白い髪だけだった。
「……なあ」
先に沈黙を破ったのはヒィのほうだった。
「……これってさ……止めたほうがいいんじゃないか?」
「……ああ」
頭の中で 屋上+フェンスの向こう=飛び降り の式が成り立つ。
あまり刺激を与えないように説得を……
「もしもし、そこのお嬢さん!」
「やりやがった」
彼女がゆっくりと振り向く。
「実は大事なお話がありましてですね!」
「……?」
彼女は首をかしげる。
「えーと……貴方が好きです! 俺と付き合ってください!」
「………」
「……ってこいつが」
「おいちょっと待て」
なんか大変なこと口走ったぞコイツ。見ろよなんかすっごい驚いてるぞ彼女。
「何言ってんだオマエは」
「いや……反応が無かったからつい……」
「そういう問題じゃないだろ」
「ロマンがあったんだよ!」
「だからってお前は……ってうお!」
いつの間にか彼女が隣に立っていた。
「な、なにか……?」
何故か満面の笑顔を向けてくる彼女に恐る恐る話しかける。
「……ずっと待ってた」
「え?」
「貴方を、ずっと」
そういって彼女は、俺の顔に
自分の顔を近づけ
キスを
した。
そこで目が覚めた。
投下終了です
書きためが消えたため、新しく書き直してます
あとsage忘れすみません
>>664 >書きためが消えたため、新しく書き直してます
俺なら心が折れてるぜ
よく書き直して下さった
667 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 01:33:17 ID:feDMffj+
____
/ ! `i
/ .! .i
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r''" ,.‐(゚Д゚)‐.、 `i
ヽ _,.f==——————‐==ヨ /
`ー-.F ヲ-/
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|´___,,;;ヽ,`` /;;,,,___ヽ,|
| -=・=-./||ヽ-=・=-|
(`|  ̄/ |||| `\ ̄`|´)
ヽ、| ミ´ ノ、,,ゞヽ |, ) ザンギエフ、おまえはりっぱにやったのだ。
ヽ、 ._,==-,彡 /|,ノそして『ガイルに近付こうとする意思』はホーク達が感じ取ってくれているさ…。
|丶 .二二´ /;;;| 大切なのは…そこなんだからな…
| \___/;;;;;|
| ;;;;;;;;;;;;;/;;;;;|
/ ;;;;;;;/;;;;;;;ヽ
がらっ
「お兄ちゃん!」
「のふっ!なら、俺もお前のベッドに突っ込んでやる!行っけーーーーーーーー!」
ドサッ
「ゲボハッ!布団ダイブがこれほど危険なものだったとは……。……お前の布団、良い匂いがするな」
「そっそう!?恥ずかしいよ〜キャッ!」
「こういうことになるくらい覚悟出来てんだろな」
「こ、心の準備がアンッ!」
ふにふに
「乳首おっ起てやがって。毎朝こんなに興奮してたのか?」
「だって、一晩中お兄ちゃんのこと考えてたら、切なくなっちゃうんだもん」
「じゃあ、こっちの準備も出来てんだな」
ズチャ
「ひゃあんっ!あっん……うんん、はっはっあぁ〜ん!」
「夕日が綺麗だな」
「うん。今日のこと、忘れないよ。恋人になれた記念日だもんね」
「は?何言ってんだよ。俺は据え膳食っただけだぞ」
「え?」
その時、俺の目に写ったのは、夕日を反射して煌めくカミソリと、その光に照らされて赤くなったあいつの顔だった。
〜ヤンデレが産まれた瞬間〈とき〉〜
終
最初は甘えんぼスレに投下しようと書き始めたんだけど、サバイバルエンドになったので、こちらに投下します。
で、ヤンデレは何時出てくるんだ?
ヤンデレの書いた妄想と考えるんだ…
投稿します。
変歴伝ではないですが、長編になる予定です。
第一話『非情な王と、不幸な王子』
今から大体千年前、この世界は魔王の支配する暗黒の世界でした。
人々は、魔王の脅威に晒され、眠れぬ日々を過ごしていました。
そんなある日、一人の青年シグルドが、天の声を聞き、魔王を討つべく旅立ちました。
シグルドと仲間達は、幾万もの艱難辛苦を共にし、
ついに魔王を封印することに成功しました。
シグルドは人々に推されて王となり、さらに、自分に従った仲間達を各地に封建し、
魔王の復活に備えました。
それから千年の間、人々は平穏に暮らしていました。
しかし、その平穏は突如として破られた。
魔王が、復活したのです。
復活を告げるような大地震の後、魔王を封印した北の大地から、
無数の強力な魔物が溢れ出てきたのです。
一夜にして北の大地は魔物に溢れ、人々は皆食い殺されてしまいました。
この悲報は、ファーヴニル国にも伝えられた。
ファーヴニルは、シグルドを祖に持つ由緒ある王国です。
すぐさま重臣達が集められる…かと思ったが、その報告を聞いた王は、
すぐさま一人の王子を呼び出した。
名前はシグナム。ファーヴニル国の王太子です。
呼び出されたシグナムは、王から魔王の討伐を命じられた。
シグナムはすぐさま了承した。
「早速、そこの宝箱を開けるのじゃ」
シグナムの後ろには、いつの間に二つの宝箱が置かれていた。
いつの間に、とシグナムは思ったが、野暮なことは聞かず、宝箱を開けた。
中に入っていたのは、
ひのきの棒
20G
だけだった。
「恐れ入りますが…、これ…だけ…ですか…?」
シグナムの王を見る目が冷たい。
「そうじゃ、我が国は今財政赤字で転覆寸前なのじゃ。
ゆえに、出せるものはそれしかない」
「軍隊は…」
「軍備にどれほど金が掛かると思っているのじゃ、馬鹿者が!
下らんこと話す暇があったらとっとと魔王をぶっ殺してこんか!」
王が凄まじい剣幕で怒鳴り、シグナムはあれよあれよという間に、
魔物溢れる城の外に、なんの装備もなしで叩き出された。
こうして、勇者シグナムの(愛−友情)×絶望の冒険が始まった!
「あぁんんんのクソ親父ぃいいいい!」
シグナムはスライムに追われていた。右手には溶けたひのきの棒が握られている。
「どこの誰だよ!スライムは世界最弱の魔物だって言ったのはぁあああ!」
叫んでる間にも、スライムが溶解液をぶちまけてきた。
「くっそぉおおお!覚えてやがれ!次はこうはいかねぇからなぁあああ!」
捨て台詞を叫びながら、シグナムはなんとか町に逃げ込んだ。
町に逃げ込めば、魔物は町に入り込めない。なぜだかは知らないが。
とりあえず、身体を休めようと思い、シグナムは宿に向かった。
宿泊料は5Gだった。
まさか、全財産の四分の一を使ってしまうとは、シグナムは思わなかった。
シグナムは、ポケットに手を突っ込んだ。
血の気が引いた。手応えがない。
さっきスライムに襲われた時、落としてしまったのだ。
なんという不幸、シグナムはそう思った。
そんなシグナムの表情の変化を、亭主は目敏く見て取り、
見下す様な冷たい目付きになった。
金がないなら出て行け。商売の邪魔だ。目が雄弁にそう物語っている。
しかし、シグナムはこの日は機嫌が悪かった。
裸も同然で魔物溢れる野に叩き出され、全財産を失い、
止めが野宿では王族の沽券に関わる。
シグナムは目付きを鋭くし、王家の紋章を亭主に見せつけながら、
「我はファーヴニル国の王太子、シグナムである!
本日よりこの宿を、魔王討伐軍の本陣とする!これは王の勅命である!
勅命に逆らうものは、一族縁者だけでなく、
友人知人にも厳罰が下されるということを心得よ!」
と、言った。実際、嘘ではないので、
シグナムはスラスラと言い淀む事無く言葉を紡ぐことが出来た。
亭主はこの威に圧されて、シグナムを部屋に案内した。
部屋に案内されたシグナムは、ベッドに腰を下ろした。
王宮のベッドとは違い、硬く、黄ばんだ、安物のベッド。
王太子たる者が使うものではない。
シグナムは憎憎しげに、シーツを握り締めた。
魔王討伐に対する餞別の少なさといい、あの煙たがる態度といい、
まるで、自分がこの戦いで死ぬことを望んでいるようである。
ふつふつと、父に対して怒りが湧いてくる。
湧き出した怒りは、しばらくシグナムの頭を沸かした。
だが、シグナムの頭は熱していながら、どこか冷静に考えていた。
父は自分のことを廃嫡したいのではないか、ということである。
それは実際にありえた。
父は晩年に娶った後妻との間に出来た子を大層かわいがっていた。
その後妻が父の耳元で、
自分の子を王位に就けたいとそそのかしたと考えても、想像するに難くない。
つまり、これは体のいい厄介払いである。
既に、シグナムの怒りは収まっていた。頭の芯が冷たい。
「ふざけやがって…」
この様な形で政争に巻き込まれるとは思わなかった。
魔王もめんどくさい時に復活したものである。
「もしも俺が戦っている時に即位してみろ。
周辺諸国の兵を糾合して、攻め落として、皆殺しにしてやる…」
そう呟いた時、シグナムはファーヴニル王太子から、半ば叛乱者に成り代わった。
投稿終了です。
以前から、少し考えていたファンタジー物です。
それにしても短い。ヤンデレはもう少ししたら出すつもりです。
とりあえず期待込めGJ。
はたしてヒロインは戦士なのか僧侶なのか。
遊び人というダークホースも
魔王が勇者に一目惚れとか
GJ!
無口っ娘な魔法使いですね、わかります。
>>629 鴎外はあれで実話チックなのが誠死ね状態で困る。
超期待期待期待期待
しかし長編を同時連載するのはいいが変歴伝は終わりが見えてるのか?
まだ物語は終盤でもないだろうし結末まで流れが決まってるなら可能だろうけどさ
どっちも書ききれるならいいんだが途中で力尽きて未完で放り出されないかが心配だ
以前、誰が書いてもいいのでしょうか、と聞いたものです。
まずは、序章っぽいものを書いてみましたので、投下してみたいと思います。
「功君、功君・・・」
日が昇り始める気持ちのいい朝。涼やかな声が聞こえる。
功君と呼ばれた男が目を覚ます。なかなか寝起きがよい。
しかし男はそれ以上の行動に移らなかった。少し顔色を悪くしながら、
「・・・光、すまん、この二人を起こしてくれないか?」と自分の左右の腕を見比べる。
光と呼ばれた少女は「うん」と頷きながら、男の両腕に抱きついて寝ている少女二人に声をかける。
「沙織、詩織も起きなさい!功君が起き上がれないよ!」
「うにゃぁ・・・」「うにゅぅ・・・」と似たような声を出して二人はまだまだ眠たそうに起き上がる。
その顔は同一人物としか言いようがないほど同じ顔だった。
「もう!あれほど勝手に功君のベッドに入るなっていったのに・・・!」
「だってえぇ・・・」「一緒に寝たいぃ・・・」
「私だって、功君と一緒に・・・って違う!」
光、沙織、詩織は三人とも美少女で普通に通るほどの整った顔立ちをしている。
普通の青少年なら、こんなやり取りをされたら嬉しくもあり恥ずかしくもあり、といったところだろう。
しかし、男____高原功一はベッドに座って少し辛そうに俯いていた。
その様子にすぐに気づいた三人は功一に近づき心配そうに顔を覗き込んでくる。
「お兄ちゃん、大丈夫?」と右から詩織。
「功兄、大丈夫か?」と左から沙織。
「ああ、大丈夫だ。心配かけてすまんな・・・」
「沙織、詩織、功君はまだ完治してないんだから・・・気持ちは分かるけどできるだけ我慢して?」
「・・・うん、わかった」「ごめんな、功兄・・・」二人は素直に頷いた。
「分かれば宜しい。じゃ、姉さんが下で朝ごはん作ってるから、手伝ってきてあげて。功君も早く起きてね」
C
「「「「「いただきます」」」」」
キッチンで一斉にそろう声。[ご飯は皆揃ってから一緒に食べる]が高原家の掟
「ねえ、功一」と一番流し台に近い席に座っている女性が声を掛ける。
「ん?なんだ雪姉?」
「今朝の事、話は聞いたんだけど、まだ女性が苦手なの?」
「ああ・・・。普通に話したりちょっと触られたりするくらいならもう平気なんだがな・・・
突然声を掛けられたり、触れられたりしたら、体が反応しちまうんだよ」
雪姉こと高原雪菜は「そう・・・」と一瞬暗くなったが、間を措かずに
「大丈夫!功兄なら、すぐに克服できるさ!」
「そうだよ!ここまできたんだからもう少しだよお兄ちゃん!」
と、双子から励ましの声が飛ぶ。
「二人の言うとおりだよ姉さん。ここまできたんだから、もうそういう暗いのは無し!だよ」
「・・・ふふ。そうね」
暗かった顔がすぐに笑顔になる。
「でも、光や沙織、詩織に励まされるなんて、私も落ちぶれたものね」
「あ、言ったなー。私を甘く見てると後悔するよ、姉さん」
「そうだそうだ!光姉はともかくボクはもっとしっかりしてるぞ!」
「詩織も詩織もー!光お姉ちゃんよりしっかりしてるもん!」
「・・・あんたたち、私を馬鹿にしてるでしょ・・・?」
その後もしばらくキャアキャア言い合っていた姉妹だが、
「お前ら、早く食わねえと遅刻するぞ」
と、功一に急かされて朝食を手早く終わらせ、登校の支度を始めた。
「いよう、功一。相変わらずハーレム空間全開だな、おまえ」
後ろから聞きなれた声を掛けられる。
「おう、猛か」
「あ、竹原君、おはよ」
「ああ、おはよう光ちゃん!どうだい、今度遊」
「昨日断ったばかりです」
「あ、ははは・・そうだったね。じゃあ、沙織ちゃんか詩織ちゃ」
「ボクは功兄以外の男の人とはあそばないよ!」「詩織もー!竹原先輩よりお兄ちゃんがいいー!」
「ふふ・・・。ブラコンな妹達ね、まったく。ごめんね竹原君」
「おお!では雪菜先輩は・・・」
「残念だけど、私も妹達に負けず劣らずブラコンなの。貴方にも興味ないしね」
「何気に一番酷いぞ、雪姉・・・」
姉妹の口撃にボロボロにされる猛。いつもの光景だ。
しかし、ここからがいつもと少し違う展開だった。
しばらく、ガッカリしていた猛だったが、突然顔を上げて叫びだした。
「いや!俺は諦めん!聞いたか功一!明日あたりに俺たちの学年に転校生が来るらしいぞ!」
「ああ、そうらしいな。それで?」
「聞いて驚け!その転校生、すごくきれいな上に超お嬢様らしいぞ!」
猛は気づかなかったが、この言葉に高原家全員が反応した。
「・・・ぐ、マジか?」
「おう!マジよマジ!なんだ、気になるのか功一?」
「そりゃな」
「てめえ!こんな美人姉妹に囲まれてまだ足りねえってのか!?なんて野郎だ!」
そういうと、猛は
「てめえみたいなすけこましにお嬢様はやれん!いただくのはこの俺だーー!!」
と叫びながら学校に走り出してしまった。
「そういう意味の気になるじゃねーよ、落ち着きのないやつだな」
「転校生はきれいなお嬢様か・・・大丈夫?功君」
光が心配そうに聞く。双子と姉も何か不安そうに功一を見る。
「ああ、できるだけ近づかないようにするよ」
学校に着くと、雪菜は3年、沙織、詩織は1年、功一と光は2年の教室へ向かう。
功一は、教室の席について辺りを見回す。
どこもかしこも転校生の話で持ちきりだ。
「すごい熱気だね」
自分の席にかばんを置いた光が近づいてくる。
「ああ。特に男子がな」
と、一人の女子が近づいてきた。光の友達だ。
「ちょっとちょっと、やばいんじゃない光?」
「何が?」
「転校生ってすごくきれいらしいじゃない。高原君、なびいちゃうかもよ?」
「あはは、功君に限ってそれは無いよー」
「むむ、大した信頼だね。でも、お嬢様のほうから誘うかも・・・」
「それでも、功君は断るよ。しつこかったら、私もはっきり言うから」
「まて、おまえら。俺はそんなにモテモテボーイじゃないぞ」
なぜか、転校生が功一を気に入るという方向で進んでいる話を功一は切ろうとしたのだが、
「高原君、知ってると思うけど高原姉妹は美人ぞろいで有名なんだよ」
「・・・それで?」
「その4人に常に囲まれてる男って、普通の人から見たらすごくモテモテに見えると思うけど」
「俺達は一応兄妹だぞ」
「でも、義理でしょ」
「・・・・・・」
しばらく沈黙が続いたが、やがて
「ま、少なくともあそこで騒いでる男子よりかはモテてると思うよ、高原君は」
と、彼女が指差した先には
「うおーー!今度こそ彼女いない暦=生きた年に終止符を打って見せるぜーー!!」
と、叫んでいる猛の姿があった。
「・・・あいつは、黙ってりゃ結構いけてるやつだと思うんだがなぁ」
転校生の話題以外は特に何事も無く下校の時間を迎える。
帰宅後は雪菜、功一、光の三人で晩御飯の準備をする。沙織と詩織は部活動がある為帰宅が遅い。
晩御飯の準備といっても功一は料理はできないので、大体買い物の付き添いか、雑用である。
沙織と詩織が帰ってきたら、少し間を置いてから晩御飯となる。
「「「「「いただきます」」」」」
食事が開始されてから少したったころ、
「ねえ、お兄ちゃん」
と、詩織が功一に声を掛けた。
「ん、なんだ?」
「お兄ちゃんの学年に転校してくる人って、女の人なんだよね?」
「あ!それ!それボクも聞きたかったんだ!大丈夫なの、功兄!?」
沙織も話に加わり、功一に詰め寄ろうとするが、雪菜に止められる。
「落ち着いて、二人とも。後、沙織はご飯粒飛ばさない」
「あ、ご、ごめん・・・」
というやり取りを見て、功一は苦笑しながら答える。
「昔ならともかく、今はもう大丈夫だ。大体、クラスも半数近くは女子なんだぞ」
光もそれに追随する。
「そうそう、それに、2年は5クラスもあるんだよ。まず、同じクラスになるかわかんないよ」
「そういうことだ。だから安心しろ」
この話を聞いて二人は納得したらしく、
「うん、わかった」「それを聞いて安心したよ」
といって、食事を再開した。ところが、その直後に、今度は雪菜が二人に聞き返した。
「ところで、二人は今日の部活はどうだったの?」
すると、沙織が不機嫌に、詩織がニコニコと答える。
「ううう、その話はあまりしたくないな・・・」
「あは、今日も詩織が勝っちゃったもんねー♪」
「うるさいな!次だよ。次こそ勝つからね!」
「ふふふ〜、いつでもかかってきなさい、さ・お・り・ちゃん」
「うぐぐ・・・。く、くやしいぃぃ・・・」
というやり取りを見ながら功一は光に小声で話しかける。
「あの二人が空手を始めたのって、確か護身術の代わりだったよな?」
「うん、そうだよ」
「でも、あの二人、かなり強いらしいな」
「うん、特に詩織の方は、すでに3年の先輩でも勝てないほどの腕前らしいよ」
「・・・そりゃすげえな、あの二人とだけは喧嘩は避けよう」
と、この後もいろいろな雑談をしながら時間は過ぎていった。
しばらくして、功一は姉妹に寝ることを告げ、双子に勝手にベッドに入らないように念を押してから
自室に戻りベッドにもぐりこんだ。
(転校生か・・・。ま、なるようにしかなんねえか・・・)
以上です。次回作は現在構成中です。
いきなりキャラが多い上に、まだ増えるらしいです。
あと、題名はいいのが思いつきませんでした。次回までに何とかします。
・・・姉が大分空気っぽいな。なんとかしないと・・・
GJ!
頑張ってください!応援しています
>>692 GJでした。
なんだかいきなり大混戦の予感だ……!
空気なのはまあ、気にしないでもいいかと。
伏兵みたいな活躍をさせることもできるし。
それでは次回を楽しみにしています。
ドラクエ9にヤンデレヨウジョが登場…危なくナイフで切り刻まれるとこだったぜ
>>696 mjsk!?!?!?
ドラクエとか手出した事ねえしDSとか持ってねえけど
買ってくるわ!
ワレチュウ
ヤンデレ「ウフフ……スクエニくんに迷惑をかけるあの泥棒猫を始末しなくちゃ」
むしろ
ヤンデレ「ドラクエなんてものがあるから
>>697君がわたしのこと見てくれないのね……排除しなきゃ」
じゃないか?
ぽけもん成分が足りないよぉ…
最近やたらとぽけもんの催促してる屑何なの?
紳士なら静かに全裸で座して待てよ
せめてチンポに靴下くらいは履かせてやれよ…風引いたらどうする…
そういえば、非処女のヤンデレって少ないというかいないのな
俺は余裕でアリだと思うんだが、たしかにあまり見ないな。
ヤンデレだし、一途さを求めるのと、全体的に非処女に超否定的な住人が多いんじゃないかね。
そりゃ、愛しきあの人を思って自慰に耽れば勢い余って喪失することもありますよ。
深い悲しみに襲われるヤンデレ、どんな行動をとるか解らない。
ヤンデレ好きって独占厨が多そうな予感
まあわざわざ非にする理由もないし、現実でもあるような単なるメンヘラになりかねないからな
というかヤンデレの狂気的な行動が好きなのというか狂いっ娘萌え以外たいてい独占厨みたいなものじゃね?
元々男を愛するあまりに男以外排他的になり病むってのがヤンデレなんだし
独占厨と相性いいだろ
むしろ独占状態じゃないとヤンデレじゃなくてびっちとか基地外になっちゃうし
ヤンデレと非処女は別に相性悪くないと思う。
相手と出会ってからは一筋であって欲しいけど、過去はあっても良い。ある方が普通。
例えば、自分が相手に初めてでいて欲しいと思った時に、非処女の自分を省みて、
自分が捨てられるんじゃないかと病んでいく、とかも考えられる。
ただ、このスレの登場人物の年齢が比較的若くて、
長年ずっと想って来たという要素を入れると、
出会ってから一筋であるという条件を満たすのは処女になりやすいのかも。
>>709 友人がリアルヤンデレと付き合っていましたが、非処女だったそうです。
事後によく「一緒に逝こうよ」や「死にたい」とかリスカをしたそうです。
現在は別れて彼女の詳細は不明ですが。
>>708だけど厳密な意味で独占状態ではないよ
びっちだったのが今まであそんでた分手ひどくしっぺ返しくらったときに
優しくしてくれた男に執着してヤンデレになったでもいいとおもうんだ
ただ時系列的に同時期に別の男と関係持ったりするのはヤンデレじゃないってことかな
少なくとも惚れてる間は思い人一筋じゃないと
>>710 それはメンヘラだ
っていうか何度目だこの話題
じゃあ君たち、
この後ものすごい神作品が投下されて、めちゃくちゃ面白かったのに、
最後は昔にセフレの男とヤりまくってました、て過去がわかってもおkなんだな?
はいはい
俺なら萎えるわ…
お前らどんだけ現実に耐性ないんだよ
現実に耐性がないというか3次元にすると痛々しいだけ
「自分は嫉妬深い」とかいう女ならまだしも「自分はヤンデレ」とかいう奴は
ちょっと頭のネジが違う意味でゆるんでるから近寄りたくないww
ツンデレならともかくヤンデレは現実と相性が悪い
だって現実は警察のお世話になりそうだし
そもそも現実がいいなら現実にいろよ
わざわざこんなところに来る意味がない
別にどんな人間が来ようが自由だろ。
>>713 それを落ちに持ってこないならいいと思う。ある程度最初から書いてるとか。
>>713 過去の男のもヤンでたりしたらやだな
やっぱ初病みは主人公でいきたい
ヤンデレの自殺に対するスタンスは絶望先生くらいでいいんじゃないか?
リストカットせずにコネチカットしたりとか……
>>722 私を見て系のヤンデレならそうだろうが
独占欲強めのヤンデレは対象が自分じゃなくて男になるんだよな…
いやそれはそれでそそるんだが
>>711 いいねビッチからヤンデレになるのも
主人公と小さい頃から小学生まで一緒に遊んでたりした
超絶美人な幼馴染みが中学でもてはやされ
主人公とあまり話さない関係になって
高校生に上がった時、中学の時に妬んでたやつらに
いじめられてめちゃめちゃにされてた所を主人公に助けられて依存する
どんなに言い方をしようと
ヤ ン デ レ で ビ ッ チ は 受 け な い
んーじゃあさ。
ヒロインはある富豪の愛人の娘で、
富豪の部下の慰み者として生きていた。
富豪の死後、ヒロインを主人公がひきうける。
で、暮らしていくうちに主人公に恋愛感情を抱くヒロイン。
しかし主人公には恋人がいた。
人形のように生きていたヒロインは初めて自分の為に動く。
主人公を手に入れるために。
さてこのヤンデレ非処女ヒロインはアリかナシか。
ま、エロ漫画から思い付いたネタだけどねー。
非処女、ビッチなヤンデレは有りか、等の議論は荒れやすい、結局は個人の趣向の問題。
どうしてもスルー出来ないのなら、本スレで議論せずに保管庫内のBBSに議論、討論スレッドでも立ててそこですればいいんじゃない?
あんまり雑談(議論?)でスレが埋まると作者さんも投下し難いだろう。
ここで議論するべき内容じゃない もうやめよう
ビッチスレにいけよ
未亡人ヤンデレとかならいいんじゃね?
亡き夫に似た面影を持つ主人公に惚れてヤンデレ化
ってそんな作品あったな過去に、未完ぽいけど。残念。
ヤンデレってのは一途じゃないと病みに説得力が欠けちゃうから
どう頑張ってもNTRとか過去の男とかとは水と油だと思うんだがね。
思い入れがあるわけでもなく、肉体関係があるわけでもなく
ただつきあってただけの男とかならいいとおもうんだけどね
NTRフラグが軽く臭うくらいでそのまま何も起こらなかったらいいだけじゃないかな
でNGに「人によってはNTRと感じることもあるかもしれません」
といれとけば
虐待経験やレイプ被害持ちならむしろ大好物。
上記経験のせいで、主人公に出会うまで恋愛処女であることは必須。
主人公への恋愛感情をきっかけに、本人には何の責任もない
「穢れてる自分」からの罪悪感や劣等感で病んでいくのがいい。
「私は男君に愛される資格がない」が、どう変質していくのか
(どう救われるか、はあってもなくてもイイ)が、被虐ヤンデレの醍醐味だ。
甘いヤンデレが読みたいよww
ヤンデレの愛とかけまして、プロレス技と説く、その心は素人が受けると死ぬ。
重たいヤンデレの愛を受け止める人、プロラヴァーってのを思いついた。
投稿します。変歴伝じゃないほうです。
第二話『新しい力』
翌日、シグナムは図書館にいた。
叛乱者宣言はしたものの、シグナムの立場は非常に危うかった。
なにせ、ほとんど裸一貫で放り出されたのだから、
魔物と戦うにしても、王軍と戦うにしても、一方的に不利なのである。
こういう時こそ、情報がものを言う。
シグナムが読んでいたのは、『ファーヴニル国風土記』である。
この本には、この大陸の魔物のことが記されている。
シグナムは、まず前回戦ったスライムのページを見てみた。
『スライム
ファーヴニル国にもっとも多く生息するポピュラーな魔物。
その柔軟な身体は、全ての打撃攻撃を無効にする。
さらに、吐き出す溶解液は、鋼鉄をも溶かす威力がある』
「……な…なぁんだ。あの時は武器の相性が悪かっただけか。
当然だよな。世界最弱の魔物に、このシグナムが負けるはずがないもんな」
シグナムは笑いながら次のページをめくった。
それを見て、次のページをめくった。
めくって、めくって、めくって…、……めくって……、
ゴブリンのページまで読んだシグナムは、本を元の所に戻し、宿に帰った。
そして、ベッドに突っ伏した。
「無理っ!」
ページをめくればめくるほど、シグナムは自分が絶望の淵に追いやられていくことを、
自覚せざるを得なくなった。
シグナムの手に負えないほど、魔物達は強力だった。
ましてや、なんの装備もしていない自分が戦っても、
それは蟻が象に立ち向かうかのごとき無謀であった。
「せめて、剣さえあれば…」
そう願っても、それを買う金がない。
銅の剣、皮の鎧、皮の兜、皮の盾
これら全てを買うのに、585G掛かる。
銅の剣単品で270Gである。
王宮にいた時は子供の小遣いぐらいと考えていたのに、今となっては大金である。
唯一の稼ぐ手段である魔物狩りも出来ないのであれば、完全なる八方塞がりである。
「今日は…、もう、いいや…」
このまま眠ってやろう。シグナムはそう思い、目を瞑った。
シグナムが三日ほどふて寝していた間にも、各国は活発に動いていた。
どうやら、八カ国が連合して、魔王を討伐するらしい。
八カ国中、四カ国はシグナムの祖先のシグルドに従った仲間達を祖に持つ国である。
その情報は、各国を旅する行商人達によって伝えられた。
総勢二百万の大軍で、それを指揮するのは八カ国を代表する名将、猛将、名軍師。
人々はこの報せを受け、沸き立った。
きっと大いに魔王軍を蹴散らし、魔王の首を挙げるだろう。
そしてこのことは、偉大なる大詩人が歌にして、
後世まで延々と語り継がれるだろう。
皆そう思っていた。ふて寝していたシグナムだってそう思っていた。
しかし実際には、その様な華やかで光り輝く栄光は、誰の手にも渡らなかった。
一月ほど経った頃、行商人の集団が息を切らして駆け込んできた。
八カ国連合軍が、全滅した。
行商人達が伝えたのは、栄光とは掛け離れた凶報だった。
さらに一月経って、違う行商人達が駆け込んできた。
八カ国連合軍を催した国も、その軍を援助していた周辺諸国も、
次々と魔王軍によって攻め滅ぼされ、焼け野原にされてしまった。
行商人達は歯の根が合わぬ口でその情報を伝えた。
立て続けに入る凶報は、国中の人々に大いなる絶望を植え付けた。
残る大国は、ファーヴニル国のみとなった。
八カ国連合軍に参加も援助もしていないファーヴニル国は、
いまだに無傷で、五十万の軍隊を抱えている。
しかし、それでなにができるのか。
二百万の精兵と、それを名将、猛将、名軍師で固めた軍勢が、
あっという間に全滅したのである。
それを思うと、五十万の兵力など、焼け石に水である。
むしろ、魔王軍の報復攻撃を受けて滅ぼされてしまうだろう。
世の中は、再び千年前の暗黒時代に戻ろうとしていた。
それでもシグナムは動かなかった。
周辺からはシグナムを怪しむ者も出始めたが、それをも無視して宿に籠もっていた。
明日起きたらあの世にいた。
そうなればいいな、という諦観が、シグナムの心を支配していた。
だが、明日もいつもと同じ朝が来るだろう。
喪失とした気持ちを抱えながら、シグナムは目を閉じた。
シグナムは、深い闇の中にいた。
それが夢であることを、シグナムは理解していた。
いい夢だな、と思った。
あの世とは、こういうものだろう。
なにも聞こえず、なにも感じず、自分が存在するのかもあやふやな世界。
そんな優しい闇の中に、シグナムはいる。
このまま、夢でもいいから、この闇の中に溶け込みたい。
夢から醒めたら、目を覆いたくなる様な現実に直面しなければならない。
魔王討伐、王位継承、宿代の催促…、考えるだけで吐き気がする。
現に、今にも自分はこの夢の世界から去ろうとしている。
遠くから声が聞こえ、闇の一点に光が灯っている。
その光が少しずつ大きくなっていく。声も大きくなっていく。
シグナムは身を縮め、耳を塞いだ。
これからやってくる非情な現実に備えたのだ。
「…いい加減に返事ぐらいしやがれ!この…、へたれ勇者がぁー!」
怒鳴り声と共に、シグナムの腹部に鋭い蹴りが入った。
「うごっおあぅ!?」
身体が浮き上がった。夢なのに、滅茶苦茶痛い。
「まったく、さっきから散々声を掛けているのに、
ことごとく無視しやがって、私のことを馬鹿にしているのか!」
シグナムが顔を上げると、そこには誰かいた。
黒いマントを羽織り、顔面から光を発する謎の人物。
完全なる変人である。
「あんた…、誰…?」
「私か?私は導く者だ」
男とも、女とも取れない声が返ってきた。
「導く…者…?」
シグナムは疑いの目を向けた。顔面から光を発する変人が、
そんな大それた人物のはずがない。
「その目は私を疑う目だな。いいだろう、ではそのお前の疑惑を解いてやろう。
お前の名前は、シグナム・ファーヴニル。ファーヴニル国の王太子だ。
しかし、今はお前の腹違いの弟のレギン・ファーヴニルに、
王位継承権を奪われそうになっており、立場は非常に微妙だ。
これで足りないなら、お前の性格、性癖についても言ってやろう。
お前は基本的に負けず嫌いだが、打たれ弱くて、
どうしようもない事態に直面するといじけてしまうへたれだ。
次に性癖についてだが、お前の生前の母は、随分と胸が大きかったみたいだな。
毎日の様に母のおっぱいに吸い付いて、13歳ぐらいまでそれを止めなかった、
筋金入りの巨乳フェチだ!これでも足りなければ…」
「わぁあああ!!!わ…分かった!信じる!信じるよ!信じるから!
だから…、もう止めてくれぇえええ!」
あわてて、導く者(仮)の口を封じた。自分の性癖を他人に言われる恥ずかしさ。
経験したくもないことを経験してしまった。
「…で…、導く者のあんたが、いったいなんの用なんだ?
言っとくが、俺の現状は最悪だぞ。金も武器も仲間もいないんだからな」
「そんなことは百も承知だ。私がお前のところに来た目的は、
お前に眠る潜在能力を引き出してやることだ」
びしりっ、と導く者(仮)が指差した。
「潜在…能力…?」
「そう、私の言うことに従えば、
お前は超人的ななにかを手に入れることが出来る。
さあ、こう話している時間も惜しい。早速始めるぞ」
導く者(仮)が急かす様に言った。
疑っていても仕方がない。シグナムは従うことにした。
「まずは右手を頭の後ろに回し、左の耳たぶを掴め。
…掴んだな。そしたら次に、口を開けて、身体を揺らすのだ」
なんとも馬鹿らしい支持だが、シグナムは従った。
「もっと口を大きく開けろ」
導く者(仮)がそう言った。シグナムは顎が外れんばかりに口を開けた。
「そして、なにか一言」
「こっ…」
「よし、分かった」
こんなんで、本当に分かるのか。
シグナムの目は、そう導く者(仮)に語り掛けていた。
「お前の潜在能力は、灰だ」
「はい?」
「そう、灰だ。紙とか燃やした後に出る、あれだ。
他には、DUSTという言い方もあるが…」
なにやら変な講義が始まってしまったが、
シグナムにはまったく理解できない。
「なぁ、その灰で、どうやって魔物と戦うんだ?魔物に灰でもぶちまけるのか?
それで魔物が殺せるのか?」
「それはお前の勝手だ」
急に突き放される様に言われた。無責任もいい所である。
「もうそろそろ時間だ。私は帰る。
ちなみに、能力の行使の仕方は、右手にその力をイメージするだけだ。
それじゃ、GOOD LUCK〜」
導く者(仮)が、手を振りながら遠退いていった。
シグナムは追いかけようとしたが、その瞬間、光に包まれた。シグナムは目を瞑った。
目を開けて、最初に見た景色は、見慣れた部屋の天井だった。
「夢…か…」
夢なのに、頭に焼き付く様な強烈な夢だった。
灰の能力
夢の中で、導く者(仮)はそう言っていた。
能力の行使の仕方も覚えている。右手にその力をイメージする。
たったそれだけだ。
「馬鹿馬鹿しい…」
そうは言ってみたが、なんとなく試してみたくなるのが人の性。
シグナムは、掌を構えた。
「これでなにも起こらなかったら、俺はただの馬鹿だな…」
そんなことを考えつつ、シグナムは目を瞑り、右手に灰が渦巻く感じをイメージした。
しばらくそれを続けたが、これといって、身体からなにかが溢れ出る感覚はない。
ただ、先程からやたらと風が耳元を掠める音しか感じなかった。
やっぱり夢か、とシグナムは思い、目を開けた。
これといって、変わりはなかった。
ただ、シグナムの右手に、小さな灰の竜巻が出来ていること意外は。
シグナムは一瞬唖然とした。
左手で頬を抓ってみたが、やっぱり痛かった。つまりは、
「これは…、現実…!」
シグナムは大声を上げた。
あの導く者(仮)の…、いや、もう(仮)を付けるのは止めよう。
あの導く者の言ったことは本当だったのだ。
しかし、すぐにシグナムは落胆してしまった。
「灰で、どうやって魔物と戦えっていうんだ」
灰で魔物を殺せるなら、自分はとっくの昔に素手で魔物を殺している。
シグナムは自棄になって、右手に渦巻いている灰の竜巻を壁にぶちまけた。
灰は壁にぶつかって、床に積もるだろうと思った。
しかし、灰は壁に突き刺さり、その一面だけがハリネズミの様になった。
シグナムは再び唖然とした。そして、
「この能力…、使える…」
シグナムは自分が笑っていることに気付いた。
投稿終了です。
ミスがあったら、お願いします。
長いのに、ヤンデレが出ない。
たぶん、次あたりだします。
今度は変歴伝を挙げる予定です。
GJ!
導く者も攻略対象ですよね、顔光ってるけど
GJ!!
よかった〜光ってるのが顔で
頭が光ってたら絶望的だった
っていうか、マジに期待してる職人さんなんで言わせてもらうけど
どっちかをまず終わらせてから次を書いた方がいいと思うよ
>>745 それ俺が前回言ったら「よけいなお世話」って言われたわ
俺らは応援して見守るだけだ
まぁ、言われてもしかたないな。
飽きたら別のが書きたくなってくるんだろ。
どっちにしろ職人さんが書きたいもの書けばいいんじゃない?
俺らは善意で読ませてもらってるわけだし
初めて投稿します><よかったら読んでください、よろしくおねがいします><
今日も最後の授業が終わろうとしている。
周りの生徒は皆必死で授業の内容をノートに写している。そういやテストが近いんだ。
授業の内容なんて、とうの昔、高校に上がってから頭に入れることを止めている。あれから三年、大して変わってないな。
一度でも考えるのを止めてしまえば、立て続けに覚えなければならない方程式や英単語に付いていけなくなるのは当然の事だ。
じゃあなにを考えているのかというと、同じクラスの『遠藤さん』の事だ。遠藤さんはとても優しくて頭がよくて、綺麗な人だ。学力はトップクラスで本人曰く苦手な教科は日本史、だと言うけど92点という点数を俺のような馬鹿に見せつけられると、どうもそうは思えない。
そんな完璧超人の遠藤さんは、時々放課後の教室で俺に勉強を教えてくれたりする。
ぶっちゃけ勉強には興味ない。ただ遠藤さんという天使と仲良く一緒にいたいというだけだ。ちなみに容姿は、お目目はぱっちりでいつもニコニコ、髪の毛は鎖骨よりやや下までの黒のセミロングといった感じだ。
そして……考えている事はそれだけじゃない。
今日は呼ばれているのだ。
今日は遠藤さんではなく、いやらしい汚いおっさんに。
授業が終わった。俺は通学用の自転車で家には帰らず『あいつ』の元へペダルを漕いだ。楽しみでも憂鬱でもない。ただやらなければならない、俺の存在意義はそこにしか存在しないとしか思わない。
……『あいつ』にまた嫌味を吐かれるという事に対しては憂鬱ではあるか。
そういえば放課後遠藤さんに声をかけられた。
「………川上君」
「何」
俺は鞄を片手で背中に回したまま、目を合わさず言った。いつも態度を冷たくしてしまう。急に話しかけられるとついつい余裕を無くしてしまうタチなんだ。
「そ、そろそろテストだから、一緒に勉強しない……?」
「無理」
「そ……………そっか……。」
直接見てはいないが消え入りそうな声から察するに彼女はいかにも落ち込みましたと主張するように肩を下げ、俯いているのだろう。
ごめんよ、今日は許してくれ。
今日の事を振り返りつつ自転車を漕いでいると、見慣れた道に差し掛かった。騒がしい国道からはやや隔絶されたような、時が止まっているように静かだ。
右はこじんまりとしたやや年季のかかったマンションがぽつんぽつんと休み休みに立っており、そういう建物の隙間から田んぼが覗いている。
左には木や草が生い茂っており林になっている。その向こうは川だ。
俺の走っている道はもうアスファルトが剥がれ、ところどころに生えている。
もう田舎丸出しだ。
しばらくて『あいつ』がいるであろう自称『事務所』にたどり着いた。二階建てで茶色い煉瓦とコンクリートでできている。コンクリートはヒビが入っておりそこから草が生えている。
一階と二階の狭間の煉瓦の仕切りに『はな る靴屋』というボロボロの看板を頼りなく掲げている。
ちなみに、ここは靴屋じゃない。念のため。
俺は適当にその廃屋の前に自転車を停めた。
そして、階段へ上りそのまま二階へ上がった。廃屋なのに埃はかぶってはいない。もちろんそうだろう、何故なら以前俺は『あいつ』にここを掃除させられたのだから。
『あいつ』は部屋の奥に外装とは合わない黒の高級感のあるソファーに深く座っていて、煙草を口角にくわえている。
顔は長く、短髪で、もみ上げまで届く髭を蓄えている。おまけに高身長なので『演劇やってます』と嘘をついても違和感はないほどの貫禄がある。
今日はこれまた外装とはあわない光沢のあるスーツで中のシャツを着崩している。
俺を見るなり中年の嫌味な笑顔で迎えてくれた。きもちわりぃ。
「島田さん。」
「おぉ、リュウちゃん。待ってたんだぞ。」
「リュウちゃんって呼ぶな。」
「おぉ悪いな。ところでリュウちゃん。」
「………。」
嫌味なおっさんだ。俺は一先ず向かい側のソファーへ座ることにする。
「事件だ。」
島田さんの表情と声質はシリアスになった。
「だろうな。」
あいつはくわえている煙草を無数の煙草の残骸が捨ててある灰皿へ捨てた。
「ふーっ。今回は高校生ほどの少女による事件だ。目撃情報によると自動販売機や自動車、建物の破壊をしているようだ。今日も実際に自動販売機をとてつもないパンチで壊した現場を見たって人がいる。」
「……『使える』やつか。」
「だろうな。」
「にしても何のためにそんな事してんだよ。」
「高校生ぐらいの子がやる事にしっかりした理由なんざねえだろ。人を殺さなかっただけましと思え。」
……核心に迫るような声質で俺の目をじっと見つめて言った。俺にも言ってんのか?余計なお世話だ。
「……で、島田さんは今日も手伝ってくれないと。」
「当たり前だろ、めんどくさいんだもん。」
さっきまでのシリアスな顔は一変、眉毛を上げあっけらかんとした表情で当たり前のように言う。………やれやれ。
「その代わり、今日はあの子を連れていくといい。おーい」
島田さんの呼び掛けから数秒後、隣の部屋へ通じるドアがガチャ、と開き、見覚えのある少女が出てきた。
「こんにちは、川上さん。今日はよろしくお願いします。」
「よろしく。」
彼女は外国人の少女で名前はエリー。外国人……とは言っても、容姿でそう判断しているだけで『俺は』どこの国の子かはわからない。島田さんは彼女についていろいろ知っているようだが俺には教えない。俺も無神経ではない。聞かないようにしている。
彼女は『使える』という理由で誘拐、もとい島田さんに拾われてここで住んでいる。
歳は……13歳ってとこか。俺よりもずっと小さい。顔立ちは本当に無垢な少女だ。サラサラ金髪のロングヘアーだ。
ただ、顔立ちは綺麗だが彼女は感情があるのかわからない。
目は見開いており、瞳孔は開いている。笑ったり泣いたりしているところを見たことがない。ただ言うことを忠実に聞くロボットのようだ。
「いいか、以前こことここで事件が起こったという事は、こことこことここで事件が起こる確率が高い。そして恐らくこの近くに住んでいるんだろう。」
島田さんは机に置いてある町内の地図に指差している。その度トントンと音がする。
「つまりこの当たりを張り込めと。」
「そういうこと。」
「はぁー。」
めんどくさい事になりそうだ。俺は深いため息をし、ガクッと俯いた。だが、俺みたいな偏差値がサル並の男が人の役に立てるなら、やるしかない。
「じゃあ気を付けてね。」
「はいはい。」
俺は机にある地図を手に取れば立ち上がり、エリーに目を合わせた。
「行こうか。」
「はい。」
俺は外へ向かおうとしたとき、島田さんが声をかけた。
「そうそうリュウちゃん。」
「……何。」
「髪の毛プリンになってるよ。」
「………あんたが給料あげてくれたら美容院だっていくさ。」
目を合わせないまま会話した。おっさんはフッと笑った。
以上です。また書き溜めたら投下します。
>>755 GJ〜
このスレではあまりない雰囲気の作品っぽいので
期待して待ってるよ
>>755 GJ
金髪ロリとか嫌味なオッサンとかボロい建物で某物語を思い出したww
電車でこのスレ見てる奴がいてワロタww
スレの住人とリアルで対面できるなんてすごく低確率だよね
>>758 やばい、俺かも知れない。よく電車内でヒマだから
このスレだけじゃないけど携帯で見たりしてるし
去年、中国留学中に日本語を学ぶ中国人学生にこのスレを勧めてやった
結構気に入ってくれたようで、今も海を越えて見ているかもしれないな
>>761 以前中国からだとWiki見れねー
と書き込んだのはおまいかそれとも友人か?w
>>761 懐かしいな、それ俺だw
去年の9月から留学行って先月末に帰ってきた
おまえらwwww
電車の中はいかんだろw
という俺は学校の授業中にm(ry
このスレに書かれた小説をスレの始めから見てきたけど、ヤンデレじゃなくね?
全く不良っぽいヒロインがいない気がするんだが…
過剰に草生やすし気持ち悪い馴れ合い紛いなこと始めるし…
世間はもう夏休みなの?
>>757 となると主人公くんは
お口にホッチキスされることになるわけだが…
不良っぽいヒロイン=ヤンデレ
だと思ってるの?よく分からないな。
ヤンキーデレデレ っとボケてんだろ
ヤンデレを始めて知ったのはシャッフルアニメ版でした
当時はヤンデレなんて言葉もなく原作レイプで避難轟々だったけど
俺の胸は何故かときめいていたんだ…
ヤンデレっぽいのを初めてみたのは金田一かな
中2のとき、小説の参考にギリシャ神話を読んだがイアソンとメデイアの話が好きだった。
当時はまだヤンデレと言う言葉はなかったが、あれがヤンデレ初見だったのだろう
というか、中二病の一環で色んな神話や伝承に興味もって、色々書籍を漁っているうちに
始祖ヤンデレと出会うのは誰しもやっていないか?
自分がそうなのだから他人もそうなのだ、と思うのはやめなさい
とヤンデレに諭してあげたい
なんかどっかの古屋敷が舞台で
小さい頃に実の息子と金持ちの息子を取り替えた女が
今まで育てきた息子が実の息子をばかにしたからって血がつながらないとはいえ今まで育ててきた息子を殺し
実の息子が家を継げるように殺しまくり
最後には実の息子に毒を盛られてもかばってしんでいったという
ほかにもそこそこあったきがする
主に犯人だけだけどw
778 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 07:27:15 ID:xSP6k18g
このスレも終わりだな。馴れ合い厨のすくつと化した
>>777 その話、孫のほうじゃないか?
母親の過剰な愛情も、ある意味ヤンデレの一種になりうるのだろうか?
別に性的関係を望むものだけが、ヤンデレってわけじゃない気もするし。
>>779 過剰な独占欲のあまり……というのがヤンデレだとするならば、それもヤンデレではないだろうか。
ただし、あんまり受けは良くないだろうが。
782 :
sage:2009/07/16(木) 12:18:31 ID:byEkkBO3
>
>>777 それって、金田一少年の
「飛騨からくり屋敷殺人事件」じゃないかい?
↑
sageようとして間違えた、申し訳ない。
784 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 12:37:42 ID:SQtGzPXR
もう関係ない書き込みやめろよ
書いてくれる人いなくなるだろ
どのスレも本当に投下少なく無くなったな。
>>786 こういうレスが一番気持ち悪い
つうか自分自身で書く気はないのかよ
776 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/07/16(木) 01:30:46 ID:czQlVZ0C
自分がそうなのだから他人もそうなのだ、と思うのはやめなさい
とヤンデレに諭してあげたい
790 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/07/16(木) 21:55:11 ID:czQlVZ0C
>>786 こういうレスが一番気持ち悪い
つうか自分自身で書く気はないのかよ
はいはい、悔しかったね。 可哀相だね。
今から大学はテスト期間に入るからな
大学生は忙しいんじゃね?
>>788 【人工精子で「無断妊娠」も どうなる「父」の概念】
>>「その通り。女性が男性に無断で妊娠できてしまう。
>>付き合っている男子の髪の毛を拝借して
>>iPS細胞から精子を取り出すことも可能になる」
ヤンデレ科学者いいな。
いい妄想話が浮かびそうだ。
ヤンデレ同士の争いに敗れ彼を失ったヤンデレ科学者
せめてもの慰みに彼のクローンと自分のクローンを孕み
二卵性双生児の兄妹として育て互いを愛しあうよう洗脳しはじめた…
こういうことだな
俺たちは、『サイキッカー』、いわゆる超能力者だ。
超能力者というのは簡単に言うと物体を浮遊させたり、物体を止めたり、物体を燃やすことができる、そんなキチガイの人間の事を言う。
俺やエリーやその他の連中はその才能を達人の島田さんに買われ、雇われている。
俺は力のコントロールを教えてもらった。感謝はしている。嫌味がなければもう少し感謝してやってもいい、あと給料も。
事件が起きれば目撃者は島田さんへ相談しに行く。彼は元警察官らしいので、顔が広いのだ。
ちなみに『出勤』するメンバーはランダムで、島田さんの気まぐれにかかっている。……最近は俺がお気に入りのようだ。
事務所の外へ出、階段を降りたところでチラッと気づかれないようにエリーを見た。……いつものように、見開いた目は前だけを見ている。
おそらく階段を降りるときも足元は見ずに前だけを見ていたんだろうな。この子を知らない人がこの子を見ると、ホラー少女としか思わないだろう。
早くも気まずい空気が流れている。だってこんなに無愛想だもん………。仲良くもないし………。
目的地へはどう行けばいい。俺は停めている自転車を見つめた。
「エリー。」
「はい。」
「悪いんだけど俺自転車で来てるんだ。後ろに乗ってくれるか?」
「自転車の二人乗りは道路交通法に違反します。私はバスに乗り目的地に一番近いバス停で降り徒歩で目的地へ向かう事を提案します。」
「……くそ真面目なこというのな。道路交通法て」
「普通の事だと思いますが。」
………エリー先生は留守番電話のような血の通ってないような声で即答してくださった。
「……じゃあそうする?」
「その方が賢明だと思います。」
「……じゃあ急ぐか、もうそろそろ5時だし。早く行かないと暗くなるぞ。」
「あっ………。」
俺はエリーの手を取り、やや早歩きで足を進めた。ここから一番近いバス停を目指すことにする。
急に手を掴んでしまったからびっくりしてしまったのか、一瞬声を上げた。その時少し後悔したが、彼女は手を握り返してくれた。
……さっきまでの気まずさは少し去ってくれたようだ。
俺の中で暖かい安心感が生まれた。
安心感が生まれたついでにここは冗談でも言っておくか。もう少し心を開いてくれるかもしれない。
「気持ち悪いからってこの人ちかーんとか言わないでくれよ。」
冗談半分で、歩きながら彼女を見て言う。
「………。」
………………ん?バグか?彼女は何も応えないまま俺を見つめている。いつもの、何を考えているかわからない奇妙な顔で。
もしかしてあなたは気持ち悪いけど言えませんとか思っているのか……?!俺は恐怖した。妙に手汗が出てしまった。
「………す、すんません。」
俺は彼女の沈黙の迫力に押し負け、謝ってしまった。こんな小さな少女に。
どうやら俺は生み出した安心感を即殺してしまったようだ。同時に気まずさがただいまと戻ってきた。
それでもなんとかバス停へ到着した。
時刻表を確認すれば、数分でバスは着くようだ。小走りしなければ過ぎ去っていただろう。俺は急いで正解したと思った。
バス停にはささやかなベンチに日除けがある。
「ここでバスを待とう。」
「了解しました。」
答えてくれた。俺達は手を離し、ベンチに座った。
ふーっとため息した。疲れたな。学校も最後の時間までいたし、おっさんに嫌味言われたし、小走りしたし。
………今、ふと気になったことがある。この子は俺が目を見たら目を合わせる。なら……
ずーっと見つめ合うとどうなるんだ?何か表情に表すのだろうか。俺はこの子のことをよく知らない、ゆえに試したくなった。
さりげに顔をエリーに向け、目を見た。
するとエリーも俺の目を見た。見開いた目玉をぐるんッとして。
………………俺は心の中で10秒数えた。いまだにお互い見つめ合っている。彼女は顔の一切の筋肉を動かさない。
……俺はおかしくなって、笑ってしまった。
「どうして笑っているのですか?」
「え、え?だって、こんだけ見てんのに無反応ておかしいじゃん」
「?」
俺は深く考えずに応えた。けっこう笑ったみたいだ、息が少しだけ切れてしまった。彼女は不思議そうにしている。もちろん目を見開いたまま、だ。
俺は顔を反らした。
バスが見えてきた。俺はエリーに声をかけ、立ち上がった。
本当はもう少し書いてるんだけど今日はここまでにしておきます。
またよろしくお願いします><
中二設定でごめんなさい。
いいね
非常に先が気になるヒキだ
GJです
GJ! エリーは表に出さないだけで実は心を開いてくれてるのかな?
GJ!
同じく先の展開が気になるぜ
あと、「投下します」の一言があったほうがいいかと
802 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/18(土) 17:06:49 ID:62EFIxCr
初投稿です。よろしくお願いします。
803 :
そして転職へ:2009/07/18(土) 17:07:56 ID:62EFIxCr
明日で16になる自分に、父の記憶はない。自分が生まれる前に
死んだそうだ。また、父は光の勇者だと言われていたがそれは嘘だ。
勇者のみが扱えるといわれる稲妻の魔法。父は勇者でなかったので、
地獄のいかずちを召喚して魔物を倒していた。
父はあまたの魔物と戦い、経験をつんだのちに様々な困難に立ち
向かったともいわれるが、実際は逃げ惑う特定の魔物(銀色、硬質で体は
丸く頭が尖がり逃げ足が速い。倒したものは莫大な経験を得ることが
できる。その名はメタルスr…ごめんなさい)達に魔人のごとく斬り
かかり、殺戮の限りを尽くしてきただけだ。
そんな父は、もともと王国の一門番にすぎなかった。顔は十人並みといった
ところだったけど、剣の腕も魔法もいたって平凡。とても強そうには
見えなったらしい。ある日森にキノコを一人で取りに行った彼は魔物に
囲まれてしまい、命欲しさにこともあろうかその場で悪魔を呼び出して
契約をした。
『助けてくれ!命が助かるならどんな代償を払ってもいい!』
ならば、と悪魔は言った。
『望みどおりお前にあらゆる魔物を退ける力をやろう。ただしこれは
呪いの力、力を得たお前の血には生涯消えぬ呪いが掛かる。
おまえはお前を愛する者の手にかかって命を落とすことになるだろう。
おまえにとって愛されることはなによりも耐えがたい苦痛と死に変わるだろう。
その救われぬ魂は私がいただこう。』
そして彼は力を手に入れた。同時に呪われた運命も。
804 :
そして転職へ:2009/07/18(土) 17:08:55 ID:62EFIxCr
さて、文字どおり『あらゆる』魔物を退ける呪いの力を手に入れ、
むらがる魔物たちを自分に力を授けてくれた悪魔ごと叩きのめした
彼はそのままひとり旅に出た。とくにあてもあるわけではなかったが、
この力は彼の奥底に眠っていた冒険心を呼び覚ました。
たいていの魔物は敵にならなかった。どんなに強靭な牙をもっていようと、
空が飛べようと、火が噴けようと、悪魔が授けた邪悪な呪いはそれらを
すべて根絶やしにした。戦いにおいての彼は全知全能といってもいい。
人には扱えぬ地獄のいかずちも彼は呼び寄せた。
身につけたら命を落とすような呪いの防具も彼は難なく着こなした。
左手の「破壊の剣」により散った銀色硬質ちびっこ魔物は数知れず、
右手からは魔界の炎を召喚し、暴れ狂う暗黒の火炎からなる龍が全てを…
トガシ?な…何のはなしだい?
だが、やがて簡単すぎる戦いにうんざりしてきた彼はとうとう魔王討伐
にのりだす。魔王軍は数も膨大ながら精鋭ぞろい。彼も日ごとに体の
傷が増えていった。
そんな彼にも仲間ができた。旅の途中で知り合った僧侶だ。美しく、優しい
女性だった。呪いの力により聖なる力による回復呪文が利かなくなった
彼に豊富な知識と薬草で作った薬を作ったのは彼女だ。暗黒の力を使う
彼を彼女は神職でありながらも受け入れ、常に支え続けてきた。
何?そんな完全な人間はいない?なにかしら欠点くらいあるはずだ?
…強いて挙げるなら忘れ癖があるところ。現に彼の呪いのことは覚えていても、
どういった内容の呪いかまでは一日も待たずして忘れてしまったらしい。
更に挙げるとするなら、彼女が彼に恋をしてしまったことかな。
805 :
そして転職へ:2009/07/18(土) 17:10:08 ID:62EFIxCr
そんな二人に悲劇は訪れる。魔王の城までもうひと踏ん張りといったところで、
奮い立つ闘志に乗せられて、彼の口が滑ってしまう。
『もうすぐだな…。…実は俺、この戦いが終わったら○○国の王女と
結婚するんだ…。』
彼女の顔色がその時変った。止めようとする彼の手を払いのけ、森の中に
泣きながら逃げで行く僧侶。
夜になり戻ってきた彼女は、何事もなかったように焚き火をおこし夕食の
支度を始めた。彼は、彼女の泣いた理由に心当たりが無く当惑したものの、
いつもどおりに戻った彼女をみて、追及しなかった。
もう少し、焚火が強かったら…もう少し辺りが明るく照らせていたら…
彼は彼女がこっそり森から採ってきた『媚薬効果のある薬草』とか
『精がつきそうだが、副作用も半端なさそうなキノコ』『身体がしびれて
動けなくなる木のネッコ』等に気づけたのではなかろうか。
食事をたいらげた彼はしばらくのち、指一本動かぬままおいしく頂かれた。
これがこの話の語り手である自分…『ぼく』の誕生秘話。
物語はまだ続く…。
朝になって、事態はクライマックスになっていた。
体の自由が利くようになった彼に彼女は
『もう駄目、やはり心が結ばれぬのであれば意味がない。せめて心を命ごと
奪い去る。』
…といった趣旨の発言により、攻撃を仕掛けていた。
逃げ惑う彼の周りで暴走した魔力が爆発をひきおこす!
もはや賢者のレベルをも超えた彼女の猛攻に彼はついに追いつめられる。
切り立った断崖の上、あろうことか彼は足を踏み外し…
マグマ煮えたぎる火口へと落ちて行った…。
世界にとって最大の損失と言われた事件、勇者オルデガの死亡の誰も知らぬ
真相は実はこんなものだった…。
806 :
そして転職へ:2009/07/18(土) 17:10:49 ID:62EFIxCr
星空を眺め、僕は思考する。
明日になれば、僕は勇者の子としてお城に連れて行かれ、勇者として魔王を
倒しに行かねばならない。逆らうことはできないだろう。
でも、僕は嫌だ。世界とか、勇者とか、魔王などどうでもよく、ただ生まれ
育ったこの町で静かに生きたいんだ!
勇者が僕の生まれ持った職業であるのなら、そこから逃げればいい。
転職してやる!
運命は自分で変えるものだ。自分の道は自分で切り開く!
この世のどこかにあるという究極の職業安定所『ダーマ』。ありとあらゆる
転職が可能になる聖地。
明日からの僕の旅の終着点にして、勇者の終わり。そして運命から解放された
「未来」の始まる場所だ。
ランプを消して、床に就く。そして決意を胸に夢の世界へ飛び込む。
勇者をやめたら僧侶になろう。神の教えに生きれば、きっともう一つの
運命からも逃れられる。
暗闇に響く心臓の鼓動。そこから送り出される血にこびりついた父と同じ呪い。
父から子へ渡された世にもおぞましい贈り物を捨て去ることで
僕は新世界の住人になる!
続く?
807 :
そして転職へ:2009/07/18(土) 17:13:23 ID:62EFIxCr
以上です。とあるゲームが元なので、
嫌いな方は以後気にしないでください。
拙い文章ですが、なるべく早く向上させます。
>>807 GJ!
ただな、sageだけは忘れないでくれ。
やり方知らないわけじゃあるまい
GJ、そしてwktk!
僕は新世界のk(ry
なんでもない・・・
GJです
GJ!ドラクエ好きにはたまらん
冨樫ワロタwww
しかし早い話がヤンデレに好かれる呪いか
一部の人間には寧ろご褒美かな?
>>801 ごめん、すっかり忘れてた……
では今から投下します^^
バスに乗った俺たちは前にある整理券を取り、後ろの方へ乗った。田舎では後払いが基本だ。バス停の距離によって料金が変わる。
バスの中には結構人がいた。汗まみれの部活帰りの学生、友達同士仲のいい女子高生、スーツを着たサラリーマン、おばちゃん。
皆いろんな理由があってバスに乗っているんだろうが、その中でも俺らのような目的で乗っているのはいないだろう。
前に表示されている電光の掲示板で料金を確認している時、隣に座ったエリーから話しかけてきた。珍しい。
「申し訳ありません。」
「どうしたの?」
「私はお金を持っていません。」
なんだそんな事か。大して気にも止めずに反射的に答えた。
「俺が払ってやるから。」
「ありがとうございます。」
そういや混んでるな。速くついてほしいんだけど。
それからは一切会話はなく、ただバスがたまに停まり入ってくる客を迎えたり送ったりしている。俺は窓際で外を睨んでいるエリーに確認を取った。
「次だよね。」
「はい。」
俺が声をかけた瞬間バッと振り向き答えた。迫力にひるんだがその後はうんうんと頷きごまかした。何歳下の子にビビってんだよ……。
窓際のエリーは横にある次停まりますのボタンを押してくれた。
俺達以外にも降りる人がいるかもしれないし、モタモタしていると迷惑がかかる。再びエリーの手を取った。エリーもぎゅっと、小さくて折れてしまいそうな真っ白な手で、握り返した。
そして椅子から立ち上がり、前の料金を入れる箱に俺とエリーの分のお金を投入した。
降りる時にバスの階段でエリーがこけると良くない。まあそれも笑えそうで見てみたい気はするけど……いやいや
とにかく先に降り、エリーの両手を弱く握ったままお姫様のように迎えた。
当然ながら表情は変わらん。無愛想を極め尽くして精神崩壊起こしたみたいな顔をしている。
片手だけ離し、現場の一つである自販機が壊されたという場所へ歩き出す。
すっかり夕焼けが町を照らしている。学生の集団が歩道ででっかい声で会話している。
大きい自動車整備工場についた。事件が起きたのはここだ。道路に職員たちが使えるように自販機があったのだろう。工場の手前にも不動産屋があったり、道路を真っ直ぐ行けば公園もあるようだ。公園の小学生はバイバーイと言ってマウンテンバイクを漕ぎだした。
ここに自販機はそれこそ生命線だろうな。
子供に聞くのは効果的だろうが、今の時代変態と間違われてもおかしくはない。せめて後日、明るい時に声をかけよう。親しみ安いお兄さんを演出するため、野球ごっこに参加して、だ。
さりげなくエリーに相談するように投げ掛けた。
「にしても、自販機ってどこにあるんだよ。」
するとどこからともなく突然エリーが話しかけてきた。
「自販機が見当たらないという事は回収する必要があるほど破壊されたという事でしょう。赤に塗装されたプラスチックの破片、地面に雲の巣や虫の死骸があるということはここに設置されていたと考えられます。」
なるほどな。そりゃ手強そうだ。とりあえず……エリーはどこから声をかけてくれたんだ、留守番電話ボイスで。
「え、エリーどこ?!」
「ここです。」
ヒョコッと背後から出てきた。俺は驚き思わず声を上げ、後ろを振り向いた。
「………一応見てみてください。」
今度は彼女から俺の手を握り、早歩きで前へ進んだが………エリーはやっ!!こけそうになった。
さっき俺がいた場所は工場の大きな入り口付近、そしてエリーに連れられたここは大きな駐車場だ。社員のものと思われる車が数台停まっている。
たしかに、エリーが言っていたような形跡のある場所がそこにある。後ろのセメントの壁に隣接されていたのだろう、そこだけ汚れで真っ黒だ。
「ふーっ。とりあえず見てみるか。」
「お願いします。」
あんまり得意な分野ではないがやるしかない。
俺は隣接されていたであろう壁に掌が汚れることを覚悟の上でべたっと付けた。
いつものように『この情報』を読みとれ、読みとれ、読みとれ……………と手に体の全神経をやる。頭が痛くなり、きーんと頭に響く耳鳴りがする。
………すると物凄い衝撃が掌から腕を伝い頭に伝わった。瞬間、この場所に残された残留思念が映像のようになって見えた。俺の目の前にはコンクリートの壁しかないが、見えているものは俺がほしい情報が映像化されたものだ。
映像は砂嵐が走っていて、見にくいが、なんとかわかる。
「あ、あかがかかったセミロングの、女が、じはんきを何度かなぐって………つばをはいた……たばこを吸っているようだ………………。」
「お疲れ様です。」
「あッ………はぁーっはぁーっ……」
俺が見た女は、顔はよく見えないがとてつもなく怒っているようだった。エリー程ではないが目を見開いていて明らかに余裕のない顔だ。
そして華奢な腕からは考えられないような怪力で、何度も何度も何かを壊すプレッシャーのように同じポイントを殴っていた。
俺はフルマラソンの後のように、上半身を支えるため両手を膝に起き、俯いている。
喉が乾いた…………。こんなとき、自販機があったら………。壊したあいつは本当に鬼だ、と工場の社員さんたちに心底同情した。
さて、これからどうする。聞き込みといってもこの時間じゃあな。それにいつも以上に疲れた。ずいぶん運動してない奴にフルマラソンしたあと腹筋してと頼まれているようなものだ。ものだっ!
携帯を見ると、もうそろそろ6時だ。
「よし、手がかりは掴めた。残留思念の映像は曖昧だったが犯人の容姿は一目見ればこいつだ、と判断できる。今日はもう帰るぞ、俺立ってるのもやっとだから。」
「お疲れ様でした。あなたが帰っても私は聞き込みや張り込みをします。」
…………そういうわけにはいかない。
こんな目玉した女の子を一人じーっと電柱の裏とかに隠れさすのはよくない。警察につき出されるに決まっている。説得しよう。
「………頼む、君を一人にさせるわけにはいかないんだ。」
真剣に、目を合わせて言った。まあ嘘ではない。
「………。」
よし、もう一押しだ。
「そうだ、今度は俺が休みの日にじっくり調べよう。
俺は犯人の似顔絵を描いとく。君は俺が学校行ってる間、もし外出する時があったらそれに似た奴を探すんだ。」
「………わかりました。」
「いい子だ!」
無愛想ではあるが、今日こうしてじっくり話をしてみると何かが見えてきた気がした。………あ、そうだ!
「じゃあ今日は喫茶店行くか。アイスでも食べよう。」
「お気をつけて。」
「君も来んだよ。」
「お金を持っていません。」
「俺がおごってやるよ。」
「ですが………。」
「あああぁ!!俺はアイスが食べたいの!!でも男一人でアイス食べてるとこなんて見られたくないの!!わかったらこい!!」
俺は不満を訴えるためにじだんだしてやった。
「………わかりました。ごちそうになります。」
「よし!」
俺は両手でガッツポーズを取っていた。
「この辺りは俺が昔よくお世話になった『にゃんこ喫茶』という店がある。あそこのパフェは最強なんだ。」
「そうですか。」
俺たちは現場をあとにした。
そういや歩き出すとき、自然に彼女の手を握っていた。もちろん彼女も握り返してくれたが、しばらく気がつかなかった。
以上です。
次回あたり新キャラ出ます。
お楽しみに><
>>820 GJ
ただ「お楽しみに」は余計かな
何というか、板には個人の主張を嫌う風潮がある
馴れ合いはVIPで、な
良い書き手は、淡々と且つスマートに、だと思ってるし、事実だと思う
まあ、少しぐらいはそんなのもいいのかもしれないが…
嫌う人間もいることを忘れないでくれ
書き込むときは、話が書けて興奮していると思うが、落ち着いて言葉を選んでスマートに
こんな長文でスマートも何もないが、基本傍観、稀に投下する立場の人間からアドバイス
書き手が増えるのは良いことだと思う
書きながら書き手も成長してもらいたい
長文スマン
俺は書き手を応援してる、頑張れ
さて、再び潜航(基本ROM)に戻りますか…
>>821 何お前wwwwwww偉そうに馬鹿じゃねぇのwwwww
ブヒブヒ言ってんじゃねぇよクズ
投下宣言、投下終了レスでの自己主張は荒れる元
>>820 GJ〜
しかし台詞だけ読むと主人公、エリーを口説きまくってるように見えるなw
>>820 GJ 続き待ってます
>>826 そう思うならスルーすればいいのに
わざわざそんなレスして雰囲気を悪くしないでくれ
では投下します
第8話『謀略』
不思議とバイトしている時間は胃が痛くなってしまうことが日常茶飯事化してきたと思う。
店長が店にやってくるお客様の女の子まで無意味にナンパとかしたりすると俺ら店員は黙って見過ごすしか方法はなかった。
例え、休憩室に連れ込まれたとしても俺達は知らないふりをして、何事もなかったかのように仕事に没頭する。
扇誠に逆らう人間は彼の権力で上層部にグータラな人間と勤務評価が改竄される。
扇誠が店員の解雇要請をすると何だかよくわからないがその店員はすぐにクビとなるのだ。
だから、誰も扇誠に逆らうことができずに大人しく仕事するしかない。
正直にあの最低な男の顔色を伺いながら仕事するのは吐き気する日々であったが。
この最近は、楽しみというものができた。
「先輩!! 先輩!! 先輩!!」
エプロンドレスに白いフリルが付いている衣装を身に纏った相沢さんが嬉しそうにこっちへやってきた。
「今日はもうすぐで仕事終わりなんですよね? 一緒に帰りましょうよ」
「うん。帰ろうか」
「今日も先輩の家で瑞葵の手料理をたっぷりとご馳走します!!」
相沢さんとは、とある理由で一緒に帰ったり、夕食を作ってもらったりしている。
それがこの店で働く唯一の楽しみと言っていいだろう。
肝心なストーカーが俺と相沢さんの一緒に帰る姿を見せ付けるだけで勝手に嫉妬して、
ストーカーの対象を彼女から俺に変える必要がある。まあ、完全な逆恨みで襲われるかもしれないが、
男のストーカーなんてたかだか知れている。金属バットで足元をホームランで打ちまくる強打者のように
振るだけでどうにかなると思っている。
しかし、治安が悪化した世の中で一番恐れられているのは泣く子も黙るヤンデレ症候群に感染した病んでしまった女の子達だ。
彼女たちの執念深さは異常だ。
一度恋心を抱いた異性には地の果てまで追い詰めて、恋人同士の関係を強要し、自分の思い通りにならないと監禁する。
そこで自分のことしか考えられないように徹底的に調教と洗脳をする。
下手な宗教よりもマインドコントロールされた男の行く先は病んでしまった女の子と結婚するだけだ。
そんなもんに比べたら、男のストーカーなんぞ。
その場で転がっている小石同然だ。見つけたら、蹴り飛ばせばいいのだから。
ともあれ、ストーカー対策など考えずに俺はさっさと仕事を切り上げて相沢さんと一緒に帰宅するために急いだ。
偽装の恋人を演じるためには俺と相沢さんは小学生の遠足のように仲良く手を握りながら帰路を歩いていく。
旗から見ても二人は恋人同士に見えるはずである。そういう風に見えるための偽装してきたのだ。
すでに陽は傾き、人通りが少ない時間帯になってきた。空間は夜という暗闇に支配されている。
ストーカーが行動しやすい状況を作り出した。これで手を出してくれば、この件は簡単に解決するだろう。
相沢さんは不安そうな表情を浮かべて、俺の手を強く握り締めていた。
「こうやっていると本気で恋人同士に見えますね」
「そうかな?」
「そうですよ。先輩。このまま、周囲に私たちが恋人同士で、すでに婚約もしていることを告知しておきましょ」
「いや、待て。婚約って」
「これはカモフラージュで、本当は市役所に婚姻届を提出してあります。
まさに本当の夫婦になれば、ストーカーなんて虫の息寸前ですよ」
「俺の方が虫の息寸前だよ」
「あらあら。そんなことを言ったらダメですよ。ダ・ン・ナ・様」
女を殴りたいと思ったのは始めてだ。
相沢さんのちょっときついジョークはいつものことでいちいち気にしていたら仕方ない。
ともあれ、帰る前に打ち合わせしていた通りに人気のない場所へと俺達はいつもの会話をしながらストーカーを誘導しようとしていた。
ただ、相手のストーカーが昨日今日で姿を現れたりするのかはわからない。
俺と相沢さんがそういう仲だとストーカーが視認するだけで今は行動を起こさないかもしれない。
俺という邪魔者を排除するならば、それなりの策を考えて安全に事を運ばせることの方がストーカーにとっては有利に働くはず。
となると、ストーカーは周防忍に関する個人情報を集める。電話番号や住所などがあれば、いつでも俺を脅迫することは可能。
容易に相沢さんと別れるように実力行使で手段を選ばずに俺の嫌がらせ行為など。最悪の場合は周防忍を殺害することまで考えられる。
ゆえに。
のこのこと俺の後を追いかけてくるストーカーを現行犯で逮捕するしか。俺達に勝機がないわけだが。
相沢さんはいつまでも恋人同士に誤解されそうな話題で盛り上がっていた。もう少し気を遣って大人しくして欲しいもんである。
「先輩。来ましたよ」
「ん?」
「ストーカーと思われる私たちの後を追いかけてくる人物が300M以内にね」
「どうして、そんなことがわかるんだ?」
「女の子の勘です」
「勘? そんなもんでわかるはずが」
「女の子の勘を舐めたら駄目ですよ。恋人の浮気を、普段の言動や態度、持ち物から一瞬にして見抜くんだから」
「それはなんて恐ろしいって……そんなわけあるか!!」
「もう、先輩は愛しい女性の言葉を信じないんですか? 女の子の直感と勘だけは神をも軽く凌駕しますよ」
神話世界に出てくる女性達は嫉妬深く、愛しい人を独占したいヤンデレの原型を司る女神ばかりだったような気がする。
気が遠くなる昔の話でも女性というのは現代とはそうあんまり変わらずに退化はしていないが、進化もしていないように思える。
いや、確かに進歩しているのだ。
ヤンデレ症候群により、女性は愛ゆえに心を病み、その果てに凶行に走る。
神を圧倒する戦闘力で愛しい人を捕獲して永遠に死ぬまで監禁する。
尋常ではない行動力と悪魔のように狡猾な頭の回転の速さ。特殊部隊よりも優れた身体能力。
あらゆる武具を使いこなす器用さに加えて、決して諦めない執念は異常を通り越して狂気の域に達している。
現代に生きている女性はどこが病んでいるのだ。
だって、女の子の勘だけで浮気とか見破れてたまりますかっての。
「凌駕される神にちょっと同情するけど。ストーカーが300M以内ってことはこっちに近づいているの?」
「そうでしょうね。300M以内に近づけば、私の恋する乙女の直感範囲内に入りますし、
ちゃんと髪の毛の触覚が東経110度に反応しているわ」
「東経110度って。てか、何で髪の毛の触覚が反応するの?」
「お約束ですから!! ラノベでも何か女の子に特殊能力とかあったりする設定が多いじゃないですか。
後は他人ではどうでもいい複雑な事情とか。それと同じことです。瑞希ちゃんはこう見えてもスキル多し」
「ラノベで説明されても、俺は戸惑うぞ。普段からそっち系は全く読んでない!!」
「それはいいんですが、そのストーカーさんは物凄い速さでこっちに近づいていますよ。
オリンピック選手の目玉が飛び出すぐらいの速さで!!」
「なんだってっっ!!」
余裕の表情を浮かべていた相沢さんが戸惑いと未知の恐怖に怯える表情に変わっていく。
300M以内にストーカーを認識してから、数分も経たない内に状況は変化していた。
俺達は慌てるだけで何も出来ずにストーカーの接近を許していた。
この暗き闇の中で俺と相沢の間を人影のような線が横切っていた。
その線に反応すらできなかった俺の脳裏にあったのは。
死。
ただのストーカーではない。
人を超越したストーカーならば、致命的な隙となり、その数秒単位で恋敵である俺を殺すことも可能だった。
敵もまた遥か怪物。
油断すらも許されない強敵に自分の敗北が絶対的だと悟る。常人であると自負している人間が敵う相手ではない。
通り過ぎた方向から禍禍しい邪気が感じ取れていた。電灯もない世界を覆う深淵からでもはっきりとわかる事柄に俺は畏怖している。
相沢さんの表情も凍り付いていた。
ストーカーはゆっくりとした足音を響かせながらでこっちに近づいてくる。
「うにゃ、奇遇ですね。周防さん」
ストーカーが通り過ぎた方向からやってきたのは、なんと彩さんであった。
予想すらもしなかった人物の登場に俺は目を丸くして驚愕していた。
数秒前はストーカーの脅威に恐れて体中に緊張が走っていたというのに。
彩さんの天使のような微笑みを浮かべるだけでその場の雰囲気が一瞬にして変わった。
「あ、あなたがストーカーだったの? 桜井彩!!」
「ええっ? なんのことですか?」
「今、私たちの後を嫌らしく追いかけて忍者のような目に映らない速さで通り過ぎたでしょ!!」
「なにを言っているのかさっぱりとわかりませんね」
「嘘をつくんじゃありません。瑞希ちゃんの乙女の直感がそう告げているんです。ストーカーはお前だと!!」
「むむむっ、証拠もないのにストーカーを呼ばわりするなんて失礼にも程がありますよ!!
私は偶然そこで周防さんと出会ったんですからっっ!!」
二人は互いに親の敵だと言わんばかりに睨み合い、このまま放っておけばストリートファイトを始めそうであった。
実際に女性が殴りあうのは拳ではなくて、ビンタ。平手の破壊力次第では相手の耳の鼓膜を破裂させることもあるので、
相沢さんと彩さんも無益な争いに手を染めないで欲しい。
女性同士の戦いに男の俺が口を出せば、二人の喧嘩と責任の全てが自分に被るので。
大人しく静観していた方がこの場は正しいはず。
「証拠? そんなものは必要ないです。宇宙を支配した女の勘で私が直々に判決を申しましょうか?
ストーカーは桜井彩で決まり。以上、異論は受け付けない!!」
「うにゃ……。そんな根拠のないことで決められたら、裁判員制度なんていりません!! 私は喜んで辞退します!!」
「残念ながらそうはいかないわ。瑞希ちゃんはさっきに先輩に断言しちゃったので、後に引けないですぅ」
「それはあなたが悪いんでしょうがぁぁぁっっっ!!」
もはや、何かコントを見ているようだったが、あえて何も言わずに傍観しておこう。ってか、ちょっと関わりたくないし。
その二人が無意味な論争をしている最中に何者かの気配がした。それは察知するには常人の俺でもたやすいぐらいのちっぽけな何かが。
それを確認しようと、その方向を向くと何かのフラッシュのような眩しい光が何度も放たれた。
「これは?」
先ほどの圧倒的なストーカーとは違い、矮小な威圧感が感じ取れた。
そのフラッシュした方向に走り出すと、その何者かは慌てて逃げ出した。
急いで逃げ去る姿を追いかけようと思ったが、相手はストーカー。
俺が怯えたストーカーが相手だと返り討ちに遭うので、追うのは諦めるしかなかった。
彩さんと相沢さんがいた場所に戻ると、二人は相打ちになったのか倒れていた。
多分、クロスカウンターとかで互いの頬を拳で殴りあった結果、仲良くノックアウトしたに違いないだろう。
仕方なく、俺は二人の意識が取り戻すまで辛抱強く待った。
昨晩は結局何も手かがりを手に入れることはできなかった。
バイト先にある自分のロッカーの前で制服に着替えながら、昨日に起きたことは客観的に振り返ってみた。
意識を失った二人を発見してから。
彩さんと相沢さんの二人を介抱して、大人しくその場は解散することになった。
二人とも頬を真っ赤に腫れているので、俺は何とも言えずにただ帰ろうと告げるしかなかった。
そのストーカーに俺の姿を見られた可能性もあるので、状況は相沢さんが思っている以上に悪くなっている。
あの恐ろしいストーカーが俺を殺すための算段を現在考えているなら。それを逃れる手段は皆無に等しい。
もうすぐ、バイトが始まる時間なので気分を切り換えて。今日の労働に集中する。
また、あのクソ店長のご機嫌を伺いながら、仕事をするのは胃が激しく痛くなることだろう。
ホールの方に向かうと、クソ店長とこの時間帯にいるスタッフさん達が集まっていた。
今日の事は特に連絡もなかったのでいつもの時間帯に来たわけだが。まさか、俺だけ知らされていなかったというのか?
店長である扇誠は俺がこの場にいることを気付くと、嬉しそうな笑みを浮かべてこう言った。
「周防忍。てめえは今日限りでクビだ!!」
それは見事なアルバイト切りだった。
以上で投下終了です
今回で書き溜めの分がなくなりましたので、しばらくは書き続ける日々が始まりそうです
それでは。
835 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 11:18:38 ID:JzrXc8JR
面白かった
GJ
GJ
瑞希も彩もアホの子な匂いがするw
初めてヤンデレss書いたのですが、なんだか暴走してヤンデレ気味じゃないような気がする上に100kb超えてしまったのでうpロダにあげてみました。
かなりぐだぐだでまだまだ修行が足りないと分かっていますが、一人か二人の方にでも暇な時に見ていただければ幸いです。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org256583.txt.html パスはyanです。
もしもよろしければここはこうしろとか言っていただければ幸いです。
あとうぜぇ、とかもう書くなとか言われたら泣いてROM専に戻ります。
自分のオナニーssでお目汚し、失礼します。
>>838 読み途中だがGJ
なんか引き込まれるものを感じる
>>838 面白かったGJ!!
主人公がいい男すぎる
作者さんはヤンデレより主人公を描きたそうな感じを受けた
違ってたらすまん
とりあえず
>>838は百合描写あり、苦手な人は注意な
>>834 GJ!
>敵もまた遥か怪物
まさかこの言葉を聞けるとはw
>>838 まさかの文字化け発生;;
>>843 テキストのエンコーディングとか弄るのじゃ、駄目なのか?
>>834 GJ! っつーか、女の子2人が無駄にアホすぎて、可愛いなオイ(誉め言葉)。
この世界では、女性のヤンデレは人知を超えた存在として認知&認識されてるのね。恐ろしい世界だ。
というか、本来危険なはずのストーカーを「雑魚」呼ばわりする周防さんも、意外と……
続きの話、期待していますので、無理しない程度に頑張ってください。
>>838 続き無いのってくらい、GJ!
師父の孫姉さんは出ないのか・・・気になる
847 :
821:2009/07/19(日) 21:26:54 ID:LF6Xinqt
>>822と住人の方へ
>>821です
後から自分の文章を読み返したら
>>822の仰る通り半端なく偉そうでした
本当にすいません
スレが荒れないようにと思い書きこんだ結果このようになってしまい申し訳なく思っています
気分を害すような文章を書いてしまったことの反省として半年以上ROMり、文章に現れる態度についてよく考えてきます
>>821に書いた態度は本意とは異なる、と言わせてください
決して見下すような意図があったわけではありません
自分で「文章を書いたあとは興奮するから落ち着いて」と書きながら興奮していたと思います
長文失礼しました
最後にもう一度
本当に申し訳ありませんでした
荒らしだと思ってたら普通に謝りにきたでござるの巻
ヤンデレ好きには
ネジが一本外れた奴が多いな
狂気の沙汰ほど面白いのさ。
>>838 読み終わった、それなりに良かったと思うけど、サブの女二人の存在価値が分からない
あれだとヤンデレ中心に考えると、ただ読み手をいらいらさせるだけだと思う…
まぁ俺の主観が入っているのは断っておきます、とにかく一つの話を書ききったことに乙
皆さんご意見ありがとうございます。838です。
>>841 ぶっちゃけ途中から主人公が可愛くなりすぎました。反省しています。
>>842 次からは百合注意を書かせてもらいます。
>>843 文字化けは……すいません。
>>846 フイねえはヤンデレでした。尺の都合上全てカットです。フォーエバー。
>>852 2人は楊と椎名の過去と人となりを語るためのキャラでしたが伝わりにくくてすいませんでした。
的確なご意見も多く、励ましの言葉も頂いてまた書いてもいいんだね。僕は!と思えます。ありがとうございました。
次は少しずつあげられるといいなぁ、と思いながら書かせていただきます。それでは。
感想にレスすんのはあまり良く思われてないからやめたほうがいい
つまり男が好きなヤンデレがレズるのか?
ヤンデレカップルが犯罪の末に射殺されるSSあったと思うけど
タイトルなんだっけ?分かる人いたら教えてくれまいか
携帯から読んでたら
途中で削除されてもた
>>857 ボニーとクライドの話を見て、SSと間違われたものだと思われます
先日ゲーセン行ったらこんな電波が。
サツキ先生「はやく予選始まりなさいよ…(このままじゃ★が…!)」
うん、専用スレ行ってくる。
>>838 見ようと思ったら、もう流れてた……
良かったらもう一回upしてくれませんかー?
wikiにあがってんだろ
ヤンデレってこう、ベクトルを変えれば凄い事できそうなんだよな。
例えば男が不治の病に罹ったら勉強しまくって治療方法を発見する、
どころかそのまま不老不死の技術を確立して永遠に一緒にいそうな感じとか。
医師「この病は不治です、現在の医学では……」
ヤンデレ「役立たず!」
と撲殺し、最後は
「治療法が見つかるまで一緒にいるからね」
と二人してコールドスリープという絵が浮かんだがSSにする気はない。
・・・いいな、・・向こうで落ち合おう。・・・もし、会えなければ来世で会おう
って言葉を思い出したぜ
でも男の方は忘れてしまう…ということに
ヤンデレ孕ませて逃げたらどうなるの?
ヤンデレな女子生徒が教師を手込めにする
と言うネタをハリポタ読み返して思い付いたんだが
>>871 どちらかというとハーマイオニーヤンデレ化しか思いつかなかった
他の女ばかり追っかけるロンに、最初は愛想をつかしたり呆れたりだったのが・・・
ロンへの恋愛感情自覚→激しく嫉妬するもロン鈍感→完全ヤンデレ化
ヤンデレに殺されたヒロインに兄弟姉妹がいた仮定
主人公とヒロインがくっついたがために、ヒロイン殺された場合、
ヤンデレか男どっちに恨みを抱くの一般的だと思う?
そりゃ普通殺した本人恨むだろ
家族から見れば男とヒロインは普通に付き合ってただけだし
875 :
871:2009/07/22(水) 00:47:55 ID:NRyXJ+XS
>>872 いや、病むのがハーマイオニーなのは変わらないが、組み合わせがハーマイオニーとスネイプ先生って言うオチ。
(どうも海外ファンジンじゃこの組み合わせが主流なんだとか)
多分前に読んだファンジン小説が原因かもしれん。
でも、軽く虚ろな眼のヤンデレ女生徒に迫られたい……
pink prisonerって、いい歌詞だよな
ラルクのHONEYも良い歌詞だよね
このスレで読んだSSとキャラ名が全く同じSSを別スレで読み、
内容も似た感じだったんで、パクりか?と思って保管庫調べたら、酉が同じだったってオチ。
早トチりで書き込まなくて良かったぜ
投下します。
「ご注文は何になされますか。」
「にゃんこストロベリーパフェを2つ。」
「かしこまりました。」
「………。」
俺たちは今喫茶店にいる。
シックな色の木を基調とした床や柱があり、高い天井にはよくあるプロペラみたいなやつ(名前わかんね)がゆっくりくるくると回っている。
壁にはアンティークな時計や小さなにゃんこの絵がいくつか飾られている。
全体の雰囲気としてはモダンアンティークといったところか。
人気の店だから客も結構入っている。女子高生や会社の制服を着た女性、サラリーマンが書類を広げていたりする。
小さな談笑と店内で流れているジャズが心地いい。
雰囲気に浸っていると、さっきの男性店員がパフェを運んできてくれた。
「にゃんこストロベリーパフェでございます。」
「どうも。」
彼女は喜んでくれるだろうか。今後少しでもやり易いように親交を深めたいところなんだけどな。
スプーンを手に取り、バニラと生クリームとスライスされたイチゴをすくった。バランスよくすくうのが大事なんだ。
……うまい!疲れた体に甘さと冷たさが染みる。
彼女も食べている。
「おいしい?」
「おいしいです。」
「甘いもの好き?」
「はい。」
……ふと思った。俺はがっつきすぎなんじゃないかと。アイスにではなく、彼女に。
ロリコンの変態と勘違いされてなければいいんだけど。
勝手に困惑の渦に巻き込まれていると彼女が話しかけてきた。
「……私は、あなた方のように笑ったりすることができません。」
………笑ったりすることができませんって。
しばらく考えた。というより言葉を失った。
「……どうして?」
「『施設』ではそういった教育を受けていません。私は必要最低限の日本語と超能力の訓練しか受けていません。だから笑うということを理解できません。」
なんの躊躇もなく、いつものように淡々と答えた。
…………施設、か。
おそらく島田さんや俺がいる事務所の事ではなく、島田さんに拾われる前にエリーがいた場所だろう。
笑うことができないなんて考えられない。
でも、もしかしたら喋ることも許さず笑うことも許さず、ただ超能力の訓練だけを行う施設で育てられてきたとしたら、あるいはそういう事があり得るのかもしれない。
……こんなときどういう顔をすればいいのかわからない。おそらく今の俺の顔はお通夜の日そのものだろう。
彼女の表情や声に躊躇した様子はなかった。このまま彼女について聞いてもいいのだろうか。
………いや、今日は止めておこう。
彼女から話しかけてくれたってことは少し心を開いてくれたってことだ。もし聞きすぎて傷つけてしまったら元も子もない。
とりあえずこのお通夜ムードをどうにかしなければ。………まあお通夜ムードなのは俺だけかもしれないが。俺のスプーンは止まっているにも関わらずエリーは淡々とバニラを口に運んでいるし。
……そうだ。犯人の似顔絵を描こう。
「………?」
俺が学校の鞄を漁っているのを不思議そうに首をかしげて見ている。
ノートと筆記用具を鞄から出し、机に置いた。
「似顔絵描くって言ったろ?今から描いてやるよ。」
「頑張ってください。」
「……………できた!」
「……速すぎませんか?」
「赤がかかったセミロングで、鎖骨より少し下まである毛先がちょっとだけ巻かれてる。
服はハーフパンツにごついブーツが特徴的だった。なっ。」
俺的には特徴を捉えたつもりだった。顔のパーツはあやふやだったが、とにかくケバくてつり目だったのを表現できている。
「…………わかめか何かですか?」
「えっ。」
「わかめか何かですか?」
わかめ………?巻き髪だっつの。
エリーは軽くショックを受けた俺に追い討ちをするかのように続けた。
「こんな物ではわかりません。だいたい服だっていつも同じものを着ているとは思えません。」
「………ごめん…。」
……密かに自信があったものを否定されるってのは結構へこむよ。
……俺は静かに筆記用具を鞄へ戻した。
そういやさっきから俺の後ろの女子高生が笑ってるのは何なんだ。
それでもさっきよりも空気は和やかになったきがする。肩の荷が降りたというか。
……いや、無理矢理俺が振り落としたんだ。またいつか背負わなければいけない。
そろそろパフェも食い終わりそうだ。エリーはとっくの昔に食べ終わっている。
「人様にぶっかけといて何だよその態度はよぉ!!!」
「申し訳ございません……。」
突然後ろの方から女性の怒号が聞こえてきた。
見てみるとどうやら店員がお客さんに飲み物か何かをかけてしまったようだけど、こけた様子もないしさっきまでそんな大きい音は聞こえなかった。
店内の和やかな空気は一変、張りつめた空気になり女子高生はお互い顔を見合わせたりしている。
「あーあー。てめー最低だよなぁ。平謝りするだけだもんなぁ。」
「………。」
よくみるとさっきパフェを持ってきてくれた男性の店員だった。かわいそうに……。
「もういい。帰る。こんなとこ二度と来ねえよ。」
吐き捨てるようにいい放ち、わざわざ観葉植物の鉢を蹴ってカウンターへ向かった。
さっきまで怒られていた店員はすぐにこけた植木を立て直し、土をもどしている。
遠くだけど、あきらかに涙目だ。
さっきのクレーマーが俺の席を横切ろうとしている。
こいつケバいなぁ。つり目で嫌味そうだ。
赤がかかったセミロングの髪で、毛先が巻かれている。
………………あれ。こいつ見たことある。
…………あ、こいつ、犯人だ!!
横切った犯人はカウンターで立ち止まることはなくそのまま外へ出ようとしている。
「お、お客様お支払を」
「てめーら人様にぶっかけといて金払わすのかよ。」
「………。」
……最低だ。人間として。
とにかく俺らも追いかけてみよう。住所がわかるかもしれない。
エリーに言おう。周りに聞かれないように静かに。
「今のやつ、犯人だ。」
「私もそう思いました。」
「追うぞ。」
「はい。」
急がなきゃ見失う。
以上です。
ですよね
夏だなぁ
>>883 無感情な少女ってツボなので頑張ってくり
888 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:37:16 ID:Z5fxBRka
以前ネチケットを無視した形で投稿してしまいました。
以後気を付けます。
投稿します。
889 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:38:16 ID:Z5fxBRka
気がついたら不思議な世界にいた。切り立った崖の上、眼前に広がる
雄大なる大滝。空は澄み渡り、ただ膨大な水が恐ろしいまでの力を持って
轟音とともに下り消えていく、そんな世界。
「ここは…?」
あまりにも理不尽な展開に自分の頭を疑いたくなった僕は、頬を
抓ってみる。
「…痛くない。」
ならば、これは夢だ。…いや、まてよ。ひょっとしたらすでに僕は死んで
いるのかもしれない。ここが死後の世界ということもありうる。
何で死んだのかって?心当たりがあるんだ!
幼い頃、すこし遠くの町に母さんに頼まれ届けものに行ったら迷子になって、
そこで野良犬に遭遇したんだ。そいつはものすごくさみしそうな眼をしてて、
すり寄ってくるなりペロペロ僕の顔をなめ始めた。僕もほら、幼かったし
気の毒に思って持っていたお弁当を差し出したんだ。とたんにそいつそれを
がつがつ食べ始めてさ。最初は驚いたけど、しっぽをものすごく振りながら
うれしそうに食べているそいつがとてもうれしかった。
よろしくないのはここから。食べ終わったそいつはうれしさのあまり僕に
じゃれ付こうとして飛びかかってきたんだ。僕はすっかり襲われているのだ
と勘違いしてしまって、母さんから頼まれていた届けものの包みでその犬の
頭をぶん殴った。
何度も
何度も
何度も。
目の前にぐったりした犬が横たわっていた。目は閉じられ、半開きの
口から苦しそうな声が漏れている。
「だっ…大丈夫?」
自分でやっといてなんなのだが、おそるおそる手を伸ばしたその時!
「キャン!」
突然犬がカッと目を開き、鋭い悲鳴を上げ始めた。四肢が痙攣し始め、息が
急速に荒くなる。信じられないことに、体が徐々に大きくなり始めた。体内で
骨格が作りかえられているのだろうか?メキメキと嫌な音もする。
そのような変化の中にも関わらず、犬はなんとよろよろと立ちあがってきたのだ。
それも二本足で。
890 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:39:29 ID:Z5fxBRka
そこからはもうパニック。振り返らず脱兎の如く駈け出して、偶然見つけた
届け先の人の家に転がり込んだ。息を切らし、おびえた表情の僕にその家の人
(老魔道士だった)は何事かと尋ねてきたが、
「犬殺し未遂の自分にゾンビ化した犬が襲ってきた。」
とも言えなかったので、「歩きながら、郷土の吟遊詩人が得意としていた歌を
口ずさんでいたら、この王国で唯一、政府が公式に搾取と略奪の権利を認めた
超合法的最強盗賊団『ジャスラック』(表の顔は知的および文化的財産の管理人。
一応仕事はきちんとこなしている。)に身ぐるみはがされそうになって
逃げてきた。」とデタラメな説明をしたんだ。
「そうかい、まだ小さいのにそんなつらい思いを…。」
どうやら納得してくれたようだ。
その後、温かいココアを入れてもらい気分を落ち着けた僕は届けものを渡したが、
なんと肝心の届けものは犬を殴った時無残に壊れていた。
「ぎゃああああ!わしが貸していた秘宝『量産型ラーの鏡』があああああ!」
魔道士が絶叫する。
「しかもこれ、魔力切れてんじゃねーか!小僧テメェ、勝手に誰かの呪い
解除したんじゃねーだろうなァ!?これは王族とか特定の神官とか限られた
人間以外が使うと、永久に魔力切れを起こすシロモノなんだよォ!」
…あの、その能力の発動条件は?
「これで対象をぶん殴る。」
ああ、これで合点がいった。あの犬はきっとなにかに呪われていて、迂闊にも
僕がそれを解いてしまったんだ。そういえば、罪人に呪いをかけて姿形を変化
させて追放するという刑罰を聞いたことがある。地獄の一部、畜生道というもの
を再現した東の国の話だったと思うけれど…。それよりも母さんは何でこんな
いい加減かつ魔力切れがおきるような中途半端なものを借りてたんだ?
僕の解呪のため?だとしたら意味のないことだ。こんな中途半端なアイテムで
僕の呪いを解くなんてできっこないし、そもそもあの母さんが『鏡で人を殴る』
といった条項を覚えているはずがない。自分の息子に呪いが掛けられていることは
知っていても、どういう呪いかは覚えていないぐらいだから。(ではなぜ僕が自分の
呪いの詳細を知っているか?それはまたの機会に…。)
それよりもこの鏡を返すことを覚えていたのが奇跡だよ。
891 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:40:54 ID:Z5fxBRka
「怒ったゾオオオ…。あの光の勇者の伴侶というから金目当てで恩を売ろうと
したのによ…。すべてパーじゃねえか!ぶっ殺してやる!」
魔道士があそいかかってきた!暖炉の火かき棒を振りかぶって僕に振り落とす!
紙一重でかわした僕。しかし、バランスを崩して前のめりに倒れてしまう。
「チェストオオオオ!」
方言から推測するに九州出身の魔道士が、これぞ薩摩剣士だと言わんばかりの
気迫で僕の頭を打ち砕こうとする。…ってかお前もはや魔道士じゃないだろ!
大体九州ってどこだ!などというツッコミも間に合わず、哀れ少年は
短いその命を…
「うげっ!」
突然魔道士の手から火かき棒が滑り落ちたんだ。そしてそのまま彼はゆっくり
ダウン。白目をむいて崩れ落ちた。うずくまっていた僕が恐る恐る
顔をあげると、そこには何かいた。
「何か」と表現したのはそいつが顔から膝下まですっぽりと黒く汚らしい
『あ、これ?さっきホームレス狩りをして盗ってきました。テヘ。』と
いってもおかしくないくらいのフードをまとい、のぞいている足は傷と
泥だらけ。一瞬見えた眼はあやしく光り、どうみてもまともじゃないから。
よくよく見てみれば、背丈はそう僕と大差ない。手には不思議な文様の
刺青が彫られ、またガラス製の灰皿が…あれ?
手にはガラス製の灰皿が握られている。…ま、まさか!
「気絶しただけだ。忍び寄って近づきコレで股ぐらをぶん殴ってやった。
男っていうのはこうされると一撃なんだろ?」
そういって灰皿を振る怪しいやつ。…あれ、言いまわしが男にしては妙だな?
そう感じた僕。しかし当時の僕はちょっと気が動転していたというか
トチ狂っていたというべきかといった状態だったんで…。
「まったく…お前には感謝もあるが、あの解呪の仕方はひどくつらかったぞ。
大体その解呪が不完全だ。体の一部がまだ呪いが解けていない。この男
から助けてやった礼として、きちんとした解呪を私に…ん?」
ガツン!
今でも反省している。こいつも悪いやつだと思った僕は、近くに置いてあった
花瓶を思いっきり叩きつけたんだ。…子供の純真って凶器だね。
崩れ落ちる怪しいやつを尻目に僕は二回目の逃走をした。途中の道端で
気絶させられた挙句着物をはぎ取られたホームレスを見かけたが無視した。
今思えばあれも多分…。
その後家に帰ってありのままを母さんに話すも、
「あれ、お使いに行ってたの?てっきり近くの教会のあの子(僕の幼馴染)と
遊んでいたんだとばかり…。」とのお言葉。
自分で頼んだんだろ!僕の幼いころの懺悔録はこんなオチで締めくくられるんだ。
892 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:41:48 ID:Z5fxBRka
長い回想だったけど、前述のとおり僕は魔道士とあやしげなフードに恨まれて
いる。もしここが死後の世界だとしたら、たぶん寝込みを襲われた僕は気がつく
間もなくあの二人のどちらか(あるいは両方)に殺されてしまったのだろう。
いや、待てよ。ひょっとしたらあのフードは実は僕の花瓶の一撃で息絶えていて、
僕は殺人犯としてこの切り立った崖の上に追い詰められているのかもしれない。
前後の記憶がないのは、僕が自分の犯罪に絶対の自信を持っていたのに警察に
あっさりと見破られ、「くそっ!どうして僕が犯人だとわかったんだ…!?
完璧なはずだったのに!計画通りだったのに!…フフ、アハハハハハハハハ!」
といった具合に今の今まで現実逃避していたためかもしれない。
今にくたびれた鼠色のコートを羽織った刑事が来て
「今すぐそこから離れなさい!」
「うるさい!(僕)もうおしまいなんだ!あいつが…あいつが悪かったのに!
殺すつもりなんてなかったのに!」
「…なあ、あんた。もしあんたが殺すつもりなんてなかったって言うなら、
あんた飛び降りれないはずだろ?そんな簡単に自分を殺しちまうような男が
殺すつもりはなかったなんて言えねえだろうよ。」
「黙れ!もうおしまいなんだ…もう取り返しがつかないんだよっ!」
「そんなことはねえよ。…目元に指当ててみな。あんた今…泣いてるぜ。
自分のためであれ、他人のためであれ、泣くことのできるやつに、
もう手遅れだなんてことはありえねえ。」
「け…刑事さん…。………もう逃げません。逮捕してください。」
「…この林をぬけて、しばらく歩くと交番がある。そこの巡査は俺が昔
仕込んでやったしっかりしたやつだ。あんたの話、親身に聞いてくれるだろうよ。」
「…刑事さん…?」
「あいにく手錠は持ち歩かねえ主義なんだ。それに、もう手錠掛かっちまってる
みたいだしな。二つも三つもいらんだろ。」
「え…?」
「あんたの罪に、あんた自身がかけた『反省』って名の手錠がさ…。」
というやりとりが始まるかもしれない。
あーでもない、こーでもない。とりとめなく途方に暮れる僕に不意に
すきとおった声が聞こえてきた。それも空高くから。
「わたしの話、聞いてください!」
893 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:43:02 ID:Z5fxBRka
切り立った崖の上、眼前に広がる雄大なる大滝。空は澄み渡り、ただ膨大な
水が恐ろしいまでの力を持って轟音とともに下り消えていくそんな中
僕はなぜか正坐させられて精霊の説教を聞かされていた。
「だいたい、ひとり勝手に回想と妄想の世界に入り浸っていたあなたを
現実…あ、ここ夢の世界だ。まあいいや、現実に引き戻すためにどれだけ
この精霊である私が苦労と、挫折と、挑戦をしてきたと…。」
僕の知らないところでそんなことが…。いろんなひとが見えないところで
常に支え支えられを繰り返しているから、この世界が今日もあるんだね。
「なんだか誤魔化しませんでした?…まあいいや、それより…。」
急に声に威厳がこもる。
「私は精霊ルビス。魔王を討ち果たす使命を帯びたあなたにこれからいくつか
質問をします。」
前に話した通り、僕に魔王討伐の意思はない。…全部適当に「はい」で
答えてやろう。
「ではあなたの本当の名前を教えてください。」
「夢はよく見るほうですか?」
「近くの高い宿屋より、遠くの安い宿屋に泊りますか?」
「好奇心は強いほうですか?」
「女性って胸が大きいほうがいいですか?」
「…もういちど。女性は胸が大きいほうがいいですか?」
「いやいやいや、真面目に答えてくださいって。女性は胸が…。」
「ふざけないで!こっちも真剣なの!真面目に答えてよ!いい?
もう一度正直に答えて?女性は胸が…。」
「…なんで…どうして正直になってくれないの?…あ、そっかぁ。
私精霊様だもんね。その前で『いいえ』なんて畏れ多くて言えないんだよね?
じゃあ言うよ…女性は胸が大きいばかりじゃ駄目ですよね?」
「ちょっとおおおおお!なんで『いいえ』って答えるの?さっき
イエスマンに徹する意向を表明していたじゃない!」
「ぐずん…いじめないでよ…嘘でもいいからさァ…もう一度だけ答えて。
女性は胸が大きいほうがいいですか?」
「…あはっ、あはははははは!嘘だよ、これは嘘!悪い夢だもん!だって
そんなはずないもん!…え?もとから夢の世界だろって?…このヤロウ!」
不意に後ろに人の気配を感じた刹那、僕は突き飛ばされた。長時間の正座は
僕の足の自由を奪い、ぼくはあっけなく滝つぼに落ちて行った。
「それでは、最期の質問です。」
僕を突き落した人影が一瞬見えた。何かしゃべっているのを見たが、聞き取れない。
ただ、その人の胸を一瞬見た僕は自分の罪深さを悟った。
カラカッテゴメンナサイ。ココマデペッタンダトハオモッテナカッタンデス。
僕の意識は、そこでまた消えた。
894 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:44:32 ID:Z5fxBRka
目の前に三人の人影が見える。たぶん全員女の子だろう。声やシルエットで
そう判断したが、薄暗くてよくわからない。周りを見渡すと、ギロチンが
置かれている。不気味に光る銀色の刃だけがこの薄暗い世界ではっきりと
見えている。よく見るとギロチンは一機だけじゃない。二機だ。
耳元で誰かの声がした。男ともつかぬ女ともつかぬ暗く不気味な声。
「選べ。誰か一人をおまえは助けられる。」
何のことかさっぱりわからない。僕は震える声で尋ねてみる。
「一人…って、あとの人は?」
ガシャアアアアアン!
ギロチンの刃が二機とも落とされた。誰も触っていないのに、作動したそれは
これまた誰も操作していないのに刃が元の位置にもどりだす。
…殺す、か。
「お前が追い詰めた。」
またあの声だ。しかし今度は言っている意味がのみ込めない。
「お前が彼女たちをこうした。おまえの態度がここまで追い詰めている。
その身の呪いのせいではない。もはやお前ひとり死んでも悲劇は消えない。
お前が彼女たちを追い詰め、殺すんだ!」
何をふざけたことを!…と言いかけたその時。
「私ですよね?」
三人のひとりが話しかけてきた。…あれ、聞きなれた声なんだけど誰なんだ?
「私はいつもそばにいました。ずっといました。こんな形で終わりなんて
嘘ですよね?もっと一緒ですよね?ずっと一緒ですよね?私からは逃げられない
って気づいてますよね?」
背筋が凍る。息が苦しくなる。穏やかな口調なのに、喉元にナイフを突き立てられて
いるような感じだ。誰なんだ?本当に。
「助けて。」
二人目の人影が声をかけてきた。知らない声だ。今のところは。
「孤独に耐えきれなかったアタシに、光をくれた。そばにいるだけで支えだった。
いまさらあの暗闇に押し戻すの?さんざん光をくれて、それを奪うの?
ずるい!ずるいよ!もっとそばにいてよ…もっと光をください!光を!」
「信じてる。」今度は三人目だ。聞きなれない声、でも昔どこかで確かに聞いた声。
「あの時、私はお前に助けられた。だからお前にすべてを差し出すことを誓った。
私は信じている。ただ、それだけ。」
頭がズキリと痛む。確かに昔聞いた声。だが、どこで?
895 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:45:49 ID:Z5fxBRka
「選べ。誰をこの世界から救い出す?」
耳元で声が聞いてくる。頭の痛みがひどくなる。
「選べ。」
うるさい
「選べ。」
やめろ
「選べ。」
自分のすぐ後ろで声が聞こえた。振り返りながら僕は叫んだ。
「黙れ!僕はみんな助けてみせる!」
だが、誰もいない。その時
ドスッ!
背中が熱くなる。焼けるような痛みが走る。背中に手をやると、何かが
刺さっている。この手触り…ナイフ?
そのまま倒れこむ僕。ナイフが飛んできた方向をみると、三人のシルエット。
ナイフは一本、相手は三人。ならば誰が投げた?僕のせいとはどういうこと?
あの三人は、誰?
意識がだんだん遠のいてくる。
刺されたのがおなかだったら、決め台詞は考えていたんだけどな…。
場違いなことを考えつつ、やがて僕は何もわからなくなった。
ボクヲコロシタノハ、ダレ?
サンニントモスクウツモリダッタ。ナノニ、ナゼコロシタノ?
「起きなさい、勇者。起きなさい。」
母さんが起こしに来た時、ぼくはベッドから転がり落ちていた。
…ずいぶんと変な夢だったな。
過去の罪の回想や、精霊。そしてナイフ。刺された感じをまだ覚えている。
しっかりしないと。今日が旅立ちの日なのだから。ぼくは運命を変える。そうだろ?
身支度を整え、しばらく主のいなくなる部屋の扉を閉めた。
あれがただの夢ならよかったのに…。
続く
896 :
そして転職へ:2009/07/22(水) 20:47:37 ID:Z5fxBRka
以上です。導入部分も終わりです。
次回からもっと、セリフに頼りきりにならない
文章を研究したいと思います。
>>883 「人様にぶっかけといて何だよその態度はよぉ!!!」
ぶっかけ
咄嗟に白濁液を想像した自分に絶望した
>>896 プロローグだけなのでこの話自体にはまだコメントしづらいが、
今後の展開に期待してる
最後に投下した人から一時間後ってのはあんまりよろしくないと個人的には思うよ
もうちょっと投下を待ってあげて
上海ツアー「あんな女(ツアー)に参加しちゃだめだよ?」
>>888 ぶっちゃけかなり好みなので頑張って下さい!
>最後に投下した人から一時間後ってのはあんまりよろしくないと個人的には思うよ
もうちょっと投下を待ってあげて
あーうぜ自治は他でやれカス
「投下に間をあけるべき」みたいな意見は前からあったよな
でも正直、安価すればいいだけなんだから気にしなくていいかと
つうことで、
>>883 >>896どっちもぐっじょぶ!
>>883 GJ! しかし女なのに男みたいな口調の犯人だなw
>>896 GJ! はい・いいえの胸の所で吹いたw
ま、ずっと読者のやつには投下間隔の話なんかされてもわからんわな
投下間隔とやらのせいで、1日待たされたこともあるよ
>>905 アンタ、自己中って言われるだろ。
作者は君だけじゃないんだよ
>>904といい
>>906といい、難癖つける奴は何の根拠もなしに読者と決め付けたり、自己中という論点と関係ない人格攻撃したりと、論理性に欠けるよな
まあ
>>901も褒められたものではないと思うが
はっきり何時間何分あけると板で決めてないからこういう事になる
オレが909だったら投下は一日置きで!
910なら
>>909は無効
ってゆーか初期は直後の投下でも問題なかったんだが
感想なら安価すればいいし、いちいちこだわるなよ
つか
>>901が「個人的に」の四文字を読めないお馬鹿さんだったってだけの話
>>906 いや、一日も待ったのに自己中って……
それはあんまりだよ
24時間もあったのに感想を書いてくれないなんてあんまりだよ
この流れは…なんだかわからんが良くないぜ!
夏だなぁ
というわけで僕は抜かせてもらいますけど、気にしないでください
916
すみません、間違えました。
題名の無い長編その7の続きキボンヌ
そろそろ埋める頃か
何げに埋めネタにはいつも期待してる
45KBなら長編1本は入る、まだ埋めるような時間じゃない
職人的には投下したくないだろ。雑談かなんかで埋めた方が良い。
じゃあ好きな作品でも語る?
俺はぽけ黒とお隣の彩さんと桜の幹
いない君いる誰かとかちかち山とことのはぐるま
が特に好きだな、いつまで待っても損じゃない
よづり待ってるよ
ことのはぐるま
もう誰も信じない
ボクっ子最高だろ
黒の領域だな
大根こわいよ〜
>>923 あえて一つなら桜の幹
正直あそこまでされてたら惚れる
いない君はガチ
ああいう変態っていうか半電波みたいなの蕩れれわ〜
ヤンデレ家族・・・
玲子ちゃんとジミーのやりとりはホッとするよね
だからこそいい感じに病んできた葉月さんが引き立つんだろうけど
変歴伝とTomorrow(ry が好きな俺は若干浮いてる
ぽけもん黒と変歴伝
完結してないのと続いてないのは見ない
>>924 お茶会シリーズは気が向いたら続編を書くかも、という趣旨のことを作者先生がおっしゃっておりましたよ
桜の幹とデレ&ヤンかな
デレ&ヤンの続きを頭の中で妄想補完
短編は独人シリーズかなあの主人公がなにも知らずに
周りがドンドン病む展開がたまらない
>>936 もしかして私生き別れの双子かと思うくらいに同じ思考だよ
最高だよね!!
>>938 この先ずっとtxtをupするだけならここから出て行け
/ ̄ ̄ ̄ ̄\
( 人_____,,)
|ミ/ ー◎-◎-)
(6 (_ _) ) カタカタカタ
| ∴ ノ 3 .ノ ______
ヽ、,, __,ノ | | ̄ ̄\ \
/ \.____| | | ̄ ̄|
/ \___ | | |__|
| \ |つ |__|__/ /
/  ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄| 〔 ̄ ̄〕
>>940 確かにここはテキストをあげる場所ではありませんでした。
場違い、お目汚し失礼致しました。以後は名無しのROM専となりヤンデレを愛でていこうと思います。
それでは。
944 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/25(土) 15:57:13 ID:vLmrbUnF
まぁ、ねぇ…
この先ずっとtxtをupするならここから出て行け(キリリッ
さよならかまってちゃん
荒らしの言うことを真に受けんでも・・・
スレの容量圧迫しないしうpロダに上げるのは悪いことではないから気にしなくていいと思うよ
何話かに分けて投下した方がいいと思うんだけど
雑談でスレが消費されるよかよっぽどいいし
ヤンデレ作品が読めるならどんな形でも構わないけどな
そろそろここも終りだね
まだよ!
まだ終わらないわよ!!
ヤンデレは伊達じゃない!!
泥棒猫は嫌いだ!図々しいから!
ライバルが2人いて以下の様な四角関係になっていた場合、
男――ヒロ1
| \
ヤンデレ ヒロ2
ヒロイン1を消して、ヒロイン2に罪を擦り付ければ、消去法で男の彼女になれるんじゃね?
958 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 00:25:24 ID:fkLbjNa/
男は殺されたヒロイン1をわすれられない!
>>953 スネェーーク!まだだ!まだ終わってなぁい!!
この臭い流れを見てまだ終わってないというつもりか?
ブラジル…幼馴染
アルゼンチン…妹
イタリア…先輩キャラ
日本…ヤンデレ
サッカー代表に例えるとこんな感じかな
まさかそんな例えをする奴がいるとは思わなかった。ところでフランスとスペインはどこかね?
こう置き換えるととヤンデレが正義に見える不思議!
アジア…男くん
日本…ヤンデレ
米…生徒会長
英…お嬢様
中…片言っ子
露…ツンデレ
伊…アホの子
独…素直クール
>>964 そのキャラ達の外見をヘタリアにするとだなぁ……
ヤンデレは北チョンじゃないのか?
やっぱりもうだめだここ
どこのスレも最近投下少ないよね。
今一番作者頑張ってるスレはどこなんだろうね。
馴れ合いと取られるような書き込みは荒れる元だから、あんまここでやらないで欲しいわ…
所で次スレ…一応立ててこようとしたけど俺は無理だった…
>>970頼むわ
夏だなぁ
初投下です。2レス程の短い話を投下します。よろしくお願いします。
題名は「最後の晩餐」です。
私には両親がいない。お父さんとお母さんは、私は小学校一年生の時、事故で亡くなってしまった。
しかし、私にはお兄ちゃんがいる。両親が他界してからはお兄ちゃんは世界でたった一人の家族になった。
私はとってもかっこよくて、とっても頼りになって、とっても優しいお兄ちゃんが大好きで、何度も好きと言ってしまったこともある。
しかし、お兄ちゃんはいつも真面目に受け取らず、
「由紀には、いつか素敵な彼氏ができるよ」
と、笑いながら言うだけだった。
それでも、お兄ちゃんは私のことを愛してくれているはずだと信じていた。しかし――
2カ月前、お兄ちゃんに彼女ができた。
「ただいまー」
午後7時、部活を終えたお兄ちゃんが玄関のドアあけた。私は、スリッパの音をぱたぱたと鳴らせながら玄関に向かって硬直する。
「おかえり、おにいちゃ……」
「ただいま。由紀」
お兄ちゃんは、隣の女性に笑顔をみせながら隣にいる女性に声をかける。
「上がれよ。恵理子」
恵理子という名の女性は、同じく笑顔をみせながら私に向けて言った。
「おじゃましますね。由紀ちゃん」
「あ、はい。どうぞ」
私は表情を極力外に出さないように心がけながら、スリッパをふたつ置いた。
「ありがとう」
談笑しながら居間に向かう二人の後ろ姿を、私は眺めることしかできない。
お兄ちゃんの彼氏である内藤恵理子さんは、お兄ちゃんと同じ学年で、同じクラスだ。腰のあたりまで伸ばした黒髪が綺麗で、
大きな瞳と長い睫毛が特徴的なかなり美人だ。確か、茶華道部の副部長だったはずだ。
恵理子さんのパーソナルデータを反芻しながら、私は台所に戻った。
いつものように彼女は、家で食事をしていくのだろう。
今日のメニューであるカレーに、一人分の材料を追加しなくてはいけない。
「なあ。由紀」
ニンジンを切っている時に、お兄ちゃんが近付いてきた。
「どうしたの? お兄ちゃん」
普段は歯切れのよいしゃべり方をするお兄ちゃんだが、今日はもじもじとしている。何かを切り出そうとして逡巡しているようだ。
「あ、あのな……」
「なあに? 」
何度も躊躇った後、おにいちゃんはようやく話を始めた。
「今日、恵理子を泊めようと思うんだけれど……」
心臓がとまった気がした。
「恵理子さんを? 」
指の震えを懸命に抑えながら、私はほんの少しだけ首を傾げた。
「あ、そ、そのな、由紀が嫌というなら、やめるけれど」
「いいよ。お兄ちゃん」
私は、お兄ちゃんの言葉を遮るように言った。
「私のことは気にしないで。恵理子さんにヤキモチなんか焼いたりしないんだから」
内心の動揺を抑えて懸命に笑顔を見せる。
「わ、悪い。埋め合わせはちゃんとするから」
「じゃあ、明日駅前のケーキ屋で何か買ってきてね」
「あ、ああ」
ほっとしたような顔をしてから、小さなため息をついたお兄ちゃんが、背中を見せて去って行った。
「お兄ちゃん……」
ふいに瞼から涙がでて頬をつたい、ぽたぽたとまな板に落ちる。
「おにいちゃん。おにいちゃん」
泣きながらニンジンを刻み続ける。
「おにいちゃん。おにいちゃん。おにいちゃん」
ニンジンが細切れになり、プラスチック製のまな板が傷つき始める。
「オニイチャン。オニイチャン。オニイチャン。オニイチャン」
悲しみと入れ替わるように憎悪が噴き出る。かつてはニンジンと呼ばれていた赤いものをさらに粉々にしていく。
オニイチャンは悪くない。オニイチャンを誘惑したのは、あの悪い女だ。
「許さない。私のお兄ちゃんを奪うなんて絶対に許さない!」
私は小さな声で宣言してから、粉々になったニンジンを捨てて、調理を再開する。
「恵理子さん。お兄ちゃんをGETしてしてやったりと思っているでしょう。でもね。チャンスはピンチとも言うの」
私はぶつぶつと呟きながら、台所に並べたお皿にカレーを盛り付けていく。
ねえ。恵理子さん。本当は帰った方がいいわよ。
お兄ちゃんの部屋は鍵なんかついていないから、いつだって忍びこめるの。
無防備な恵理子さんの首なんか、ちょっと包丁の先で触ってあげるだけで死んじゃうんだよ。
私は、恵理子さんが大量に血を流してベッドに倒れているシーンを想像してから、居間でテレビを見ている二人を呼んだ。
「お兄ちゃん。恵理子さん。ごはんできたよ〜」
「りょうかーい」
お兄ちゃんと恵理子さんが、嬉しそうに台所にやってくるのを見ながら、私は微笑んだ。
恵理子さん。よく味わって食べてくださいね。あなたにとって最後の晩餐になるのだから。
(おしまい)
以上です。読んでくれた方、ありがとうございました。
いいんだよそんな事
>>977 この空気の中に、いい感じの作品投下、GJです。
キモウトじゃね?
まぁヤンデレの妹がキモウトってことだから
ここで間違っちゃいないっしょ
GJ!
>>980 まあ、作者さんが好きなところに投下すればいいんじゃね?
キモ姉妹スレの住人でもある俺に死角は無かった
ひさしぶりに1000いくのか
けっこう人多いスレだな。
1000にいくということは作品の投下が少なく、雑談が多いということだからあまりいい状態とはいえないな
絶望先生の木津千里はヤンデレ
990 :
名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 22:08:29 ID:OqCrew1L
俺が病んでる
スレを好きなりすぎて
格闘系と笑い系どっちが好き?
参考までに
どちらも好き
格闘系の話は好きだけどわざわざエロパロ板で読む気にはならない
>>995 相変わらずヤンデレさんは男君以外の全てに厳しいな
暴力に過ぎればリョナとなり
近親に棹差せばキモウトとなり
三角に交われば修羅場となる
とかくヤンデレは書きづらい
>>997 難しいからこそ、作者様の判断に委ねるしかないのだよ
ヤンデレとはそれ自体は結果に対する呼称であるが底には勿論過程というものが在った筈である
病んでしまった結果の所作それも重要ではあるがやはりヤンデレの肝は黒く染まり依存を強めていく過程にあるのではなかろうか
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