【みなみけ】桜場コハル Part 10【今日の5の2】

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719サバイブ『性欲』 後編
「人は誰でも宇宙を動かせるほど無限の力を秘めている。
しかし、その力を破壊と殺戮に使う者もいるだろう。
創造に使うか破壊に使うかは、人に委ねられた最後の選択なのだ。
あらゆる生命の源である光を絶やすまいとする心…人それを『愛情』という」
「な、何者!?」
「お前に名乗る名前はない!
ヤンデレ空気の支配から春香を守れとの命により、ここに正義の鉄槌を下す!!」

怒号が居間に響き渡ると共に、彼はフライ返しを構える。
直後、フライ返しが少女の写真を掬い上げた。

「ちょっと返してよ!」

少女は彼の手元にいった写真を捕ろうと掴みかかる。
だが、彼は少女の手を次々とかわして行く。
そして彼は己のポケットに写真を押し込む。
取り戻せないと判断したのか、少女は彼から数歩後ろに下がる。
しかしその瞳に映す色は余裕だ。
微笑んだ、というには醜悪な笑みを浮かべながら、少女はその口を開く。

「それがどうしたの? 写真はこれだけじゃないんだよ」

その言葉に、私は一瞬、体を震わせた。

「家にはまだまだ春香ちゃんの恥ずかしい写真がいーっぱいあるんだよ。
その気になれば・・・・・・」

言葉を止め、少女は私を見る。
それは悪戯を思いついた無邪気な子供のもの。
されどどす黒い女の恨みを纏っているのだ。
彼女の瞳を見ていると、この一週間彼女によって行われた仕打ちを思い出す。
全身を拘束され淫具で犯され続けている私、
多数の見知らぬ男に弄ばされている私、
母、妻、女にすら属さず雌として、男に奉仕し続けている私、
まさかあれら写真も持っているのだろうか。
再び芽生えた恐怖と羞恥は、注がれる視線によって膨れ上がっていく。

「保坂フラッシュ!」

闇に沈む心を引き上げたのは彼の声であった。
いつのまにか彼に握られたカメラのフラッシュを光らせる。
ただし照らされているのは私ではなく少年の方だった。

「・・・・・・ってマコトくんの写真を撮るなんて一体どういうつもりなの?」

少女はやや困惑した表情で彼に疑問を投げつける。
すると彼は不敵に笑い始め、少年を指差して宣言した。

「もし妻の写真を悪事に使うのであれば、俺はこの写真を使って同じことを行おう!」
「「へ?」」
720サバイブ『性欲』 後編:2009/07/05(日) 03:19:13 ID:pSJsIB06

少女の声に吊られて私も唖然とする。
少年は理由はわからないが、体を震わせ、目に涙を浮かべながら少女にしがみ付いていた。

「でもマコトくんの写真を撮ったところで・・・・・・あぁっ!?」
「気づいたようだな。 そうだ、この写真をその手のところにばら撒く!」

その手のところとはどのようなことを言っているのだろうか。
いやまさかそれはないよね。
この前公園で、青いツナギを着た男の人が千秋と同じぐらいの男性と一緒にトイレに入っているところみたけど違うよね。
その後大きな叫び声が聞こえてきたような気がしたけど何も聞いてないよ、うん。

「マコトはこれだけの美男子だ。 さらには女の子にも間違える中性的な容姿、そんな彼の痴態を見て数多くの殿方は興奮するというわけだ。
そして彼の存在を知ったいい男達はつい彼を、近場のハッテン場にホイホイ連れていくわけだ」

真っ青な表情の少女を気にせず、彼はいつもの調子で脳内の展開を解説していく。
はっきり言って傍目から見たら不気味だ。
それでもいつもは私のことでしてくれるのでうれしかったりするが。

「その後、君の店もそんな美少年がいる店としていい男達のマスコットになるわけだ。
数年後、そこにはハッテン場の方々の交流所となっているわけだ」
「もうやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「仮にマコトを表に出さなくても店の周りには彼を監視するいい男達がこう言うわけだ。
や ら な い か」

いやもう止めてって言っているのだから止めてもいいのに。
そんなことを叫んだ少女はマコトくんを連れて逃げ出した。
律儀なことに、今まで抱えていた娘は私へと返してくれた。
扉を閉じる音の後、聞こえていた駆け足は次第にすぐに消えてしまった。
だが彼はいまだに妄想を言い続けている。
熱中しすぎると周りが見えなくなるのがこの人の欠点だと言えるところだろう。


「アナタ、もう帰っちゃったんだけど」
「おおそうか」

肩を叩いて彼に話しかける。
こうしないといつまでも終わらない。
もっとも結婚以降は大分数は少なくなっているが。

「さて春香よ、早速だがや ら な い か」
「いきなり何言ってるの!」

彼の爆弾発言に私は頬を赤らませる。
さっきまで性的暴行を加えられていたのに直後にそれはないでしょう。

「もしかして仕事のことを心配しているのか? HAHAHA、それはご無用だ。
何故なら今日は店長に有給休暇を申請したからな。 もちろん当日で」

それってつまり今日出勤して今日の分を申請したってことよね。
店長にとっては迷惑以外の何者でもない。 ていうかそれって単に早退じゃあ・・・・・・
でも助けられたことに関しては本当にうれしかったりするので何も言わなかったりする。

「娘は寝ているから問題ないな。 よしベッドにダイブだ!」

おおっと!
私は彼にやられるがままに手を引っ張られ、寝室へと引きずり込まれてしまった。
ちなみに娘も一緒だ。 寝ているけど。