【みなみけ】桜場コハル Part 10【今日の5の2】
包丁の音が台所に響く。
鍋の中の味噌汁は湯気を出している。
脇の皿には既に目玉焼きとウインナーソーセージが出来上がっている。
後は今切っている葱を味噌汁の中に入れるだけ。
ご飯を盛り付けて味噌汁を入れ、彼女が使っているテーブルの上に置く。
「いただきます」
箸を使ってウインナーを摘んではご飯と一緒に頬張る。
米と肉の味が口の中で混ざり合い、味気無くもしつこくも無い味が生まれる。
そして間間に味噌汁を飲む。 白味噌のさっぱりとした甘みが口の中に残った油を洗い流す。
これらはなんの変哲も無い普通の朝食だ。
「……やっぱり何か足りないわね」
隣を見て呟く。
本来はここに夫が座っているのだが、生憎彼は出張で家を出て行ってしまっている。
海外まで出て行ったということなので、帰ってくるにはもう少しかかりそうだ。
従って、今現在この家にいるのは私と娘だけだ。
「ぇぅ……」
背負っていた娘が僅かに泣き声を漏らした。
そういえばこの娘のご飯がまだだった。
服のボタンを外し、ブラジャーを片方の面だけずらす。
―ちゅぱちゅぱちゅぱ
母乳が乳首を通して娘の口の中に入っていく。
食いしん坊なのか、飲んでいる時間は結構長い。
「おはようハルカちゃん」
「!?」
不意にかけられた声に春香は体をびくんとさせ、振り向く。
そこには眼鏡をかけた高校生ほどの少女と彼女に寄り添っている同年代の少年の姿があった。
☆ ☆ ☆
薄暗い部屋の中、一人の女が屈み込む。
彼女の眼前にそそり立つのは少年だ。
十代後半にしては小柄であるが、それでも春香からしてみれば十分大きい。
「……ッ!」
少年が微かに声を漏らす。
感じているのだ。
彼の下半身を覆う物は既に脱ぎ捨てられていた。
代わりに股間から反り勃つ竿を肉の塊に包まれているだけだ。
春香の豊満な乳肉は、彼女が両手を押し付けることによって竿を固定する。
胸に力を入れられることによって、母でもある彼女のそれから乳液が噴出す。
「……」
「感じているようだねマコトくん」
眼鏡の少女が微笑む。
マコトと呼ばれた少年の顔は紅潮しており、息を荒げている。
対する春香は平常と変わらぬ表情で、無機質に奉仕を続けている。
「……ッ!!」
両胸からはみ出た竿の先端が咥えられたことによって、マコトの体に新たな波が走った。
舌で軽く舐め、続いて口の中に入れられた異物を撫で回していく。
最初は雫が零れる程度の音だった。
次第にくちゅくちゅと波を打つようなものへと変わり、それに呼応するかのようにマコトの呼吸が速くなっていく。
「随分手馴れてるんだね。 夫と毎晩ヤっていたってことかな。 それともやっぱりあの時の経験?」
「んっ!?」
「……ッ!?」
少女の言葉に驚いた春香は竿への力加減を誤ってしまう。
結果、立てられた歯がマコトの肉棒に喰らいこみ、彼は苦痛の声を漏らす。
実は南春香が主人以外の男にこのようなことをするのは、これが始めてではない。
数ヶ月前の悲劇により、藤岡家から多額の慰謝料を請求される羽目になった。
おまけに病んでしまった妹の治療費もかかる。
それらは両親に支払い義務が発生するのだが、それほど手早く多額の費用を用意できるはずがない。
慰謝料のために組んだローン、そして入院費に毎月20万以上が消えていくのだ。
当時新米調理師だった彼女の給料でも援助には至らない。
そこで彼女が出した手段が……
「大丈夫マコト!? ……風俗やってたならこんなミスはしないで欲しいなあ」
片手でマコトの頭を撫でながら、不機嫌そうに少女が嘆く。
「娘さんの前なんだからさ、今度は良い所見せてね」
「うぅ……」
少女の腕に抱えられたのはまだ立つことすらできない赤ん坊だ。
今は両目を閉じて寝息を立てている。
されど母である春香は手を伸ばすことをせず、少女に従っているだけだ。
少女が指を鳴らす彼女はそのまま奉仕していた少年に押し倒された。
☆ ☆ ☆
「はぁん……」
春香の上に覆いかぶさったマコトは、己の肉棒を春香の秘所へと挿入する。
交尾のことしか考えない獣は、前戯により肉壷を慣らすという行為は行わない。
蜂の棘のように春香の花弁へと差込、無理矢理蜜を搾り出していく。
「はうっ!」
ただ己のDNAに刻まれた本能を満たすだけに、上へ下へ縦横無尽に動かす。
少年の体から解き放たれた獣は、彼の顔をも醜く歪ませ、
目の前の雌へと野生を解き放った。
「……ッ!」
「はぁ……あっ……」
されど春香は目の前の少年に怯える気配は見せない。
それどころか、マコトが腰を動かすたびに何度も嬌声を上げているではないか。
「ぅあっ!」
時折悲鳴を見せるが雌の臭いに溶け込んで、花に新たな香りを生み出す。
興奮剤へとなったそれは、マコトを更なる欲望の渦へと堕としていく。
「いぅくぅ……」
人は苦痛には耐えられるが快楽には耐えられない。
乙女を卒業した春香は己の純潔を奪われる恐怖も痛みも既にない。
彼女の肉体は、娼婦時代にあらゆる雄に順応できるように作り変えられているのだ。
だから夫でもないマコトの体を受け入れる。
心が拒んでも肉体はそれに応じず、マコトの快楽に引きずられていく。
「……ッ!」
「はぁ……あっ……んっ!」
マコトは己の腰を反らし、
種子が己に注ぎ込まれる吐き出して受粉させようとする。
「はぁ……あっ……あっ!ぁぁあんっ!!!」
「ふふふ」
少女が微笑む。
いまだ眠っている赤ん坊の頭を撫でている。
安らかな笑みではあるが、第三者からはとても微笑ましい光景には映らないだろう。
少女の腕は、抱きかかえられた赤ん坊を揺り篭のように揺らしている。
子守唄は、男と女の声。
それは何も意味を込められることもない。
抑え切れなかった感情を声として発したに過ぎないのだ。
されど少女は笑っている。 まるで玩具で遊ぶ子供のように。
☆ ☆ ☆
目の前のマコトくんとハルカちゃんが絡み合う。
マコトくんの顔はすごくうれしそう。
もう一週間になるというのに、毎日飽きもせずにハルカちゃんに会いに行こうとするのだ。
時間になると、彼は私の腕を引っ張って連れていこうとするので、私も胸が弾む。
私自身は参加しないけどこれでいいんだ。 どうせ家に帰ったらすぐにできるし。
それにしてもハルカちゃんも素直になったよね。
初日に全裸にしてさー、初めてのマコトくんとのSEXをビデオに撮ってネットに流すと言ったら何も言わなくなったもん。
そうだよ?
ハルカちゃんとマコトくんがSEXをするのは最近が始めてじゃないんだよ。
2,3年前、ハルカちゃんの結婚が決まった辺りの年にマコトくんったら何か吹っ切れたのかハルカちゃんを襲っちゃってね。
薄暗い密室に閉じ込めて何度もヤったんだって。
ハルカちゃんの夫に助けられた時のハルカちゃんは酷い有様だったね。
目の焦点が合ってなくて話しかけても何もしゃべらなかったんだよ。
あの時のハルカちゃんの夫は本当に怖かったね。
それでマコトくんが殺されそうだと思ったからたまたま一緒にいた私が庇ったからなんとかなったんだけど。
でもマコトくんね、壊れちゃったの。
正気に戻って自分がどれだけ酷いことをやったのかがわかっちゃったんだよね。
今までも色々あったんだけど(ややこしいから省略)全部決壊しちゃってダムのようにあふれ出しちゃったんだよ。
その後はみんなも知る通り。
そして最近、二人に感動の再会をさせて再びマコトくんにSEXをやらしてあげたんだ。
壊れちゃったせいか罪悪感なんてもんはないんだ。 だから欲望に浸れるんだよ。
別にハルカちゃんに恨みがあるわけじゃないんだ。 私はマコトくんの喜ぶ姿が見たいだけだから。
だからごめんねハルカちゃん。 マコトのためだと思ってね。