君に届けでエロパロ★3

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
前スレ同様神職人さま方の降臨を期待してます。

前スレ
君に届けでエロパロ★2
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232369648/

保管庫(管理人さまに感謝)
ttp://wiki.livedoor.jp/ekdo31/
2名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 03:21:21 ID:WIG1aGGh
>>1乙です
前スレの風爽新婚さんもGJです。
3名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:10:04 ID:zGq0LvNA
3が立ったか。てかはえーよw
4名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 00:46:59 ID:a7FK+8LT
>>1
サソ
これは乙じゃなくてry('A`)乙
5名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 18:05:23 ID:2AZg7QT7
保守するよーん。
6名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 18:10:57 ID:JBYsri3x
保守。
7くろねこのタンゴ1:2009/05/09(土) 19:51:00 ID:a0rvvr5k
新スレ祝い 
・ちょっとS風
・コスプレっぽい
・カプは風×爽
ダメな方はダサいタイトルでNG

−−−−−−−−−−

「はっ反対!だめ!」
風早は真っ赤になって主張した。
彼の眼前には愛しい恋人、黒沼爽子のセクシーかつ可憐な黒いドレスの姿。
あやねと健人の満足そうな微笑みとは真逆に風早はものすごい仏頂面で
まっかになりながら反対!だめ!を繰り返した。

話は二ヶ月ほど前に端を発する。
爽子たちのクラスで高校最後の学園祭に何をするか話し合われていた。
クラス委員の健人を中心に様々な案が出たが決定打がなく
こう着状態となっていた。
そこにピンのありがたいアドバイスが下った。
『貞子の黒魔術カフェ』でいいじゃないかと。
去年貞子の黒魔術カフェが大好評で売り上げが
全クラスの出し物中ぶっちぎりで1位を記録したためだ。
教師間で秘密裏に売り上げ1位の座をかけた賭けをしたピンの
個人的な思惑はともかくクラスの面々もその案に乗ることになった。
8くろねこのタンゴ2:2009/05/09(土) 20:01:16 ID:a0rvvr5k
せっかく立ってる「貞子」のキャラを生かさないのはもったいない、
今年はバージョンアップ版で衣装や舞台設定にも凝ろうという流れになり
『貞子の黒魔術カフェ st.2』をやることになった。
その際爽子にだけ仮装させるのはかわいそうだし、面白くない。
バージョンアップなんだから、皆で仮装しようということになり、コンセプトが決まった。
決まったコンセプトは『アニマルランドと占いの女王様』
黒の女王貞子はその恐るべき妖力で 周りの動物を魔法で人間にかえ、召使にしている。
その女王貞子とアニマル従者たちによる喫茶店という設定だ。
9くろねこのタンゴ3:2009/05/09(土) 20:07:15 ID:a0rvvr5k
爽子の魔女衣装とアニマル衣装のデザインはクラス一センスがよいと自称する健人と美の追求者であるあやねとですることになり
作成は爽子を中心とした手先器用軍団で行う事になった。
そしてデザインから衣装製作が行われ、はじめてのお披露目となったのだ。
「爽子ちゃんの衣装は俺とあやねの自信作だよー。あ、女の子の衣装は基本的にかわいくしてあるけどね☆」
「そのウザイハイテンションはどうにかなんないの?…まあそれはともかく、確かに自信のデザインよ、ふふふ。」
デザイン担当二人のその言葉に最初はにこにこと
「そっか。黒沼も秘密だって見せてくれなかったんだよな」
なんて呑気に言っていた風早の顔色がドレスをつけて現われた爽子をみて一変する。
黒いサテンのホルターネックドレスは上品なデザインではあったが肩から背中にかけて大きく開いており
白い肌と黒いドレスのコントラストが眼に痛いほどだ。
胸元は星のようなスパンコールビーズで飾られている。
白い腕は黒の手袋で肘まで覆われており、
ドレスと共に爽子の神秘的な魅力を引き立てていた。
すっきりとしたマーメイドラインのドレスは細身の爽子に良く似合っている。
10くろねこのタンゴ4:2009/05/09(土) 20:11:31 ID:a0rvvr5k
さらにロング丈のスカート部分には深いスリットが入っており
白い足がそこから覗く姿が扇情的ですらあった。
髪も普段の顔まで隠してしまう前髪を軽くピンで留めている。
真っ直ぐな黒髪は肩にかけゆるく編んであり
可愛いというよりは大人っぽい印象になっていた。
「…っ!なんだよこのドレス!」
「可愛いじゃん。ってか綺麗?うんうんやっぱ女の子は磨くと綺麗になるね。」
呑気にのたまう健人をぎりぎりと睨むと風早は冒頭の叫びを上げたのだった。
「反対!なんだよこの露出の高さ!」
「あーアンタがそういうと思って爽子に内緒にさせてたんだよね。
ヤキモチ王子に反対されたらこの子作るのやめそうだったから。
ジャージで魔女役なんかされたら台無しだからね。」
図星をさされ、真っ赤になり口を噤んだ風早に爽子がおずおずと聞いた。
「や、やっぱり、似合わないかなあ…。」
上目使いでうるうると見上げるその角度と表情は風早のジャスト萌えつぼだ。
ううっと言葉につまり風早はぼそっと言った。
「に、似合ってるけど…でも」
(俺以外にその姿見せるの反対!特に男!)
「…黒沼はもっと可愛いほうが似合うと思う。」
11くろねこのタンゴ5:2009/05/09(土) 20:15:45 ID:a0rvvr5k
セクシーすぎて、彼女を狙う狼が増えそうで嫌だとの本音を言えず
かろうじてその言葉だけ呟くように言う。
クラスメイトの中から苦笑と揶揄の声が漏れる。
この頃では風早の『爽子バカ』はすっかりクラスの名物となっていた。
「恥ずかしげもなくのろけんなよー。
心配しなくても貞子口説こうなんて勇者いねーよ。」
誰がそんな事を保障してくれるんだ、
それにこんなに、こんなにかわいいひとを見て
『貞子』なんていつまでもふざけたあだ名で呼ぶ奴がいるのかと
風早はそのクラスメイトに鋭い視線をむけた。
「黒沼のこと貞子とか言うな!」
慌てて爽子が風早を止めた。
「風早君、いいよっ。愛称、嬉しいし!」
前向きだがどこかずれたその言葉に脱力するクラスメイトとすっかりその思考に慣れた彼女の親友たち。
しかし風早はそんな爽子のずれた思考ですら可愛いらしく
愛しそうに爽子をみつめた。

「黒沼…」
「風早君…」

ほっとくとどこまでもバカ甘ワールドを展開しそうなこのバカップルに
あやねの鉄槌がくだった。
彼女はべしっとふたりの後ろ頭をはたくと
(風早には本気、爽子には甘めで)風早に言ってのけた。
12くろねこのタンゴ6:2009/05/09(土) 20:21:14 ID:a0rvvr5k
「とにかく!アンタは最初アニマル喫茶にも 
爽子の占いブースにも賛成したんだからね!もう反対の権利なし。」
「でも…こんな露出多いとは思わなかったし…」
まだぶつぶつと恨みがましく文句を言う風早に
それまで黙って成り行きを見ていた千鶴がうっとうしそうに提案した。
「そんなに気になるなら風早が守ってやればいいじゃん。
爽子の休憩時間とアンタの休憩時間あわせてさ。」
そのもっともな提案にクラスメイトも口々に賛同する。
「あーそれでいんじゃない?どうせ二人で学祭まわるつもりだったんだろ?」
「貞子もずっと休まないわけに行かないしね。
時間制で出番決めればいいよねー
『次の占い時間は何時から』とかって黒板に書いて」
「で、貞子の出番の時は風早もウェイターするってことにしとけばいいじゃん」
うーん、とまだ仏頂面を続ける風早にあやねが呆れたように言う。
「だいたい、ブースから出てこなきゃ足とか見えないんだからいいでしょ。
逆に露出少ないわよ。」
そして健人の台詞がそれを後押しした。
「そうだねー、もったいないけど占いコーナーがダメなら
爽子ちゃんにもウエイトレスしてもらわなきゃ。
黒猫ちゃんでもやってもらおうか。」
13くろねこのタンゴ7:2009/05/09(土) 20:30:12 ID:a0rvvr5k
風早のなかに瞬時に爽子の可愛い黒猫姿が思い浮かぶ。
『ご主人様、お茶です…にゃん』
恥ずかしそうにそんな仕草でお茶など出されたら…。

風早はぶんぶんと首を振った。

ダメだダメだ!そんなエロ可愛い姿を他の男の目に晒すわけにいかない!

「…わかったよ。じゃあそれでいいよ。
その代わり、黒沼のく、黒猫ウエイトレスは絶対なし!」
その言葉に健人がにやりと笑う。
「おっけーおっけー。あ、ヤキモチ王子のほうはこれな。」
目の前に出されたのは わんこの耳付カチューシャと 毛糸で作った茶色いしっぽ。
「…なにこれ。」
「何って…そんなに衣装代出せないからな。
男は制服にこーいうのつけるだけ。男着飾ったって面白くないもん。」

こうして衣装も決定し準備も終わり爽子のぎこちない魔女ぶりも
あやねの猛特訓によりなんとか板についた頃学園祭ははじまった。
(後半へ続く)

−−−−−−−−−−

後半は後ほど投下 今日かムリなら明日には投下予定

今更ですが
>>1
「…おれ 乙しちゃってもいいんだよね?」
14名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 15:00:31 ID:ky3sBp9L
>>1乙!!

>>7
夜勤明けさんキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!
15くろねこのタンゴ8:2009/05/10(日) 18:37:38 ID:O1lAaLb4
爽子の魔女と可愛い下僕達カフェは
大好評で目の回る忙しさだった。
特に陰気な外見の印象が薄らいだからか、
キャラにみんな慣れてしまったからなのか
爽子の相談ブースは列ができるほどの人気ぶりだった。
少し客足が途切れた頃を見計らって
風早と爽子は休憩を取り
ふたりで高校最後の学園祭をまわる事にした。

「はいこれひっかけて」
風早は爽子の背にぱさりと自分の制服のジャケットをかけた。
「え?寒くないよ?」
「…うん、でもひっかけてて。−他の奴にみられんのやだ。」
その言葉に爽子は戸惑いながらも風早の言葉に従った。
時折風早は子供のように独占欲を露わにする。

風早と付き合うようになって
彼と「そういう」関係になってはいた。
最初は恥ずかしさや、まだ学生なのにという罪悪感や倫理観が先にたち
大好きな人とはいえ強い抵抗感がある行為だった。
しかし求めあう気持ちと内なる規範との折り合いを少しずつつけ
ゆっくりとその扉を開いていった。
風早も辛抱強くそのペースにあわせてくれた。
愛する人と溶け合う陶酔感や幸福感は爽子の世界を豊かに輝かせた。
16くろねこのタンゴ9:2009/05/10(日) 18:41:20 ID:O1lAaLb4
自覚はできないが爽子の親友達からは
妙にエロくなったなどとからかわれることもあった。

しかし爽子は自分などに注目する男性もいないだろうと
いたって呑気に考えていた。
爽子にとっては風早が好きになってくれたことは「僥倖」だった。
「風早君の趣味が特殊でよかったな」と
その幸運に日々感謝してるくらいだ。
だから時折風早の見せる激しい独占欲を爽子は不思議に思う。

…風早君は自分がどれくらい
人の心をつかんでしまうのかわかってるのかな。
風早君であれなら私なんかヤキモチで
こんがり焦げ焦げにならなきゃおかしいよ。

爽子はトーストみたいに
焦がされた自分を想像してくすっと笑った。
「ん?どうしたの?なんか面白いもんでもあった?」
ふふっと笑って爽子はなんでもないよ、と答えた。
風早は不思議な顔をしながらも、
爽子が笑ってるので嬉しくなりにこっと笑った。

しばらく学園祭をふたりで仲良くまわり、
風早ガールズの嫉妬の視線やら
(風早の爽子バカが公認となった後はほぼ絶滅状態だったのだが、
それでも根強く残っている子もいた)
友達の冷やかしやらピンの心霊相談やらをかいくぐり
二人は一息つくことにした。
17くろねこのタンゴ10:2009/05/10(日) 18:43:20 ID:O1lAaLb4
「お腹、すかない?あっちでなんか買って食べようよ。
何か食べたいもんある?」
いつも風早は最初に爽子に意向を確かめてくれる。
息をするように自然に。
そんな優しさがやっぱり好きだなあと思いながら爽子は考えた。
その時ソースと焼き海苔のいい匂いがして、
爽子のお腹がくぅっと可愛らしい音をたてた。

恥ずかしさに頬を赤らめた爽子に風早は思わず噴き出した。
拗ねたように彼を見ると
風早はあははっと笑いながらごめんごめんと謝った。
「あーでもいい匂いだなー。…よし、焼きそばに決定!…いい?」
爽子はこくんと頷いた。
「じゃあ、買ってくるからここで待ってて。」
「あ、じゃあ私飲み物買ってくるよ。何がいい?」
「んっと、コーヒーで。冷たいの。」
ふたりは待ち合わせの場所を決め、
爽子は飲み物を買いにその場を離れ
風早は焼きそばを二人分購入すべく列に並んだ。

その時風早の耳に「〜貞子」という単語が飛び込んできて、
思わずそちらに耳を傾けた。
どうやら一年生の男子が爽子について話をしているようだった。
また心無い噂で愛しい人が傷つくような事があってはならないと
風早は耳に神経を集中した。
18くろねこのタンゴ11:2009/05/10(日) 18:50:07 ID:O1lAaLb4
もし心無い噂を無神経に垂れ流そうとしているのなら
釘を刺してやらねば、と風早は身構えたのだが、
その内容を聞いて別の意味で呆然と焦る羽目になった。

「お前さ、【貞子の黒魔術カフェ】行った?
俺ちょー相談した。すげーどーでもイイコト作ってさ。」
「あ、俺も俺も。だってやっぱアレはいっとかなきゃだろ」
「そーそ。やっぱ【貞子先輩】見たいよな!」
「見た見た!すげー注文した!…貞子先輩かー。
思ったより全然可愛くね?笑った顔とか。
あと格好エロかった。足がやべーよあれ。」
「そうそう、恐ろしい妖力があるとか聞いてたけど
ふつーだよなあ。俺わりと好み。
細くてちっこくて、謎っぽいって感じが何かいいよな。
ねらっちゃおっかなー」
「お前何言ってんだよー」

こんな会話に続いて二人の一年生男子の笑い声が続いた。
そんな会話を気もそぞろに聞くと風早は急いで二人分の
焼きそばを買い、待ち合わせ場所に戻った。
爽子は既にコーヒーと自分用の紅茶を買って待っていた。
「ごめん、待たせた!」
大丈夫だよーと呑気に答える爽子がふっと表情を変えた。
19くろねこのタンゴ11(真):2009/05/10(日) 18:54:34 ID:O1lAaLb4
順番間違えたo凶ギャフンこっちがほんとの11 ↑の11はほんとは12
脳内補完よろしく

−−−−−−−−−−
二人が付き合い始めた当初は爽子の価値を全く知らない周囲と、
自分に多少はあった異性人気の所為でそれはそれはかまびすしかった。

特に爽子は矢面に立たされる事になり、
それに対して風早はいつも胸を痛めてきた。
だから、自分が、自分こそが爽子に夢中な事を
あえて周囲に知らせてきたし、
もし爽子に飛んでくる矢を眼にしたなら
その矢を放った人間をその矢ごと叩き落してきた。
世界で一番大切な恋人を傷つけるものに
容赦するつもりなど欠片もなかった。
そんなことを地道に繰り返してるうちに
爽子への風当たりも少しずつ和らいでいった。
もちろん爽子が吹き付ける風に凛として耐えてくれた事が
一番大きかったと風早は思っている。
だから爽子の柔らかな寛恕と芯の強さに
泣きたいほど感謝していた。
吹き付ける風の痛さに爽子が
別れを選んでもおかしくはなかったのだから。
20くろねこのタンゴ13:2009/05/10(日) 18:59:13 ID:O1lAaLb4
「…何かあったの?」
「え?何で?別になんも、ないけど?
それよりどっかでコレ食べようよ。」
風早のいつもの笑顔にほっとした顔を見せて
爽子もそれ以上は追求せずににこっと頷いた。

大好評のうちに学園祭は終わりを告げた。
片付け終わった教室に爽子と風早は二人で残っていた。
爽子は片付けのためドレスは既に制服に着替えていた。

グラウンドでは後夜祭が開かれていてクラスメイトは全員そっちに行った。
しかし爽子は友達と協力して成し遂げた
高校生活学園祭の余韻を噛み締めていたかった。
爽子のたおやかな手がそっと机に触れ、愛しそうに教室を眺めた。
1年の時はこんな自分を想像もしていなかった。
「−風早君のおかげだね。」
「え?何が?」
爽子は極上の微笑みを浮かべて静かに言った。
「風早君がいなかったら、きっと私、俯いたままだった。
…私、風早君に出会えてよかったなあ。一生分の幸運だよ。」
風早は息を飲んで爽子をみつめた。
「…黒沼。」
そぅっと柔らかく呟くと風早は
ぎゅっと爽子の華奢な肩を抱き寄せた。
そしてそのまま爽子の桃色の唇と舌を貪った。
甘くていい匂いのする、至福の口付け。
21くろねこのタンゴ14:2009/05/10(日) 19:05:21 ID:O1lAaLb4
とろりと蕩けた爽子ともっと溶け合いたいのを堪えて
風早は爽子の赤い耳に囁いた。
「ね、もっかいあのドレス着てよ。」
「え…?」
「あのかっこの黒沼もひとりじめしたい。」
爽子は赤くなりながらも素直にそれに従った。
爽子が着替えている間に風早は電気をそっと消した。
明かりを落とした教室内はグラウンドの
キャンプファイヤーの火だけが薄く光をもたらしていた。
その薄闇の中で黒いドレスに包まれた
白い爽子の体は神秘的で神聖な感じを与えた。
儚いようでいて、深奥にしなやかな強さを秘めている
爽子の本質を具現化したかのようだった。
風早の中で今日の昼間聞いた1年男子の言葉が甦る。

…絶対、だめ。この子は、おれの。

風早はそっと爽子を抱き寄せて囁いた。
「すっげーかわいい。
でも三浦のアホってずっと思ってた。ライバル増やすなって。」
「らっライバルなんてそんな」
ありえないよと戸惑う爽子の無防備さが
愛しくもあり、焦れったくもある。
何か言おうとした風早の目に側の机に
無造作に段ボールにまとめてあった物品が目に入る。
その中の一つを取り出すと風早はニヤッと笑った。
「これ、つけてみてよ」
22くろねこのタンゴ15:2009/05/10(日) 19:08:16 ID:O1lAaLb4
風早の手にはアニマル喫茶で誰かが使った
黒猫の耳の付いたカチューシャがあった。
戸惑う爽子の頭に強引にそれをつけると
風早は満足そうに微笑んだ。
「ははっ黒猫みてー。」
爽子は真っ赤な顔でもじもじと身をよじった。
「はずかしーよぅ」
「…めちゃくちゃ可愛い、けど?」
風早の熱のこもった視線と、
情事の時に囁かれるような甘い声に爽子は体中を桃色に染めた。
風早はにっと笑うと爽子の頬に手を触れた。
風早の視線で敏感になった爽子がぴくん、と身をすくめた。
「今から黒沼は黒猫、な。」
「え!?」
「だめだよ 猫なんだから、ひとの言葉禁止。
…にゃんとしかいっちゃだめだよ?」
そう言うと風早は爽子をゆっくり引き寄せ髪に口付けた。
「かぜはやく…!ぅんんっ」
爽子の言葉は風早の舌の上で溶かされた。
とろっと糸を引く濃厚な口付けに
爽子は心臓が爆発しそうになってくる。
「猫の言葉意外話したら一回ずつお仕置き。」
「でも…ぁああ!?」
爽子のドレスのホルター部分がしゅるんと器用に解かれ
白い首筋に風早が吸い付いた。
「はい、お仕置いっこめ。」
このまま 【お仕置】されていったら蕩けて歩けなくなってしまう。
23くろねこのタンゴ16:2009/05/10(日) 19:10:23 ID:O1lAaLb4
そう思った爽子は口を噤んだ。
その間にも風早の手は止むことなくドレスの合間からねろりと入っていく。
風早の手は爽子の胸のふくらみを愛しそうに撫で、
その先端にたどり着いた。
「ひあっ…」
「にゃーん、でしょ?」
「にゃ、にゃああんっ」
爽子はざわざわと襲う快感を深呼吸でやり過ごそうとした。
しかしそれはできずにさらに強い快感が爽子を蕩かそうと手を伸ばしてきた。
風早の指がやんわり先端をつまみゆっくりとこね始めたのだ。
「んっ」
声が出そうになるのを風早の視線に気付き、抑える。
過ぎる快感に涙が滲む。
「に、にゃ…んっ」
これ以上こんなところで蕩かされてはかなわないと
爽子は風早を押し返す動作で止めようとした。
風早はその手をとってにっと笑った。
「やーめない。」
そして爽子のドレスとトップレスのブラジャーを
上から静かに剥ぐと果実のような白い胸が露わになった。
その先端で息づく桃色の乳首を
風早は子供のように口に含んだ。
「あああああっだめぇええ!」
「もー黒沼は猫だって言ってるのに。もっかいお仕置。」
楽しそうに爽子の耳に囁くと
再度桃色の果実を口に含み舌で転がす。
24くろねこのタンゴ17:2009/05/10(日) 19:13:55 ID:O1lAaLb4
そのままスカートのスリット部分から手を入れ、
太腿をなであげると爽子の下着に手を入れた。
爽子の体がビクンと跳ねた。
中心の泉は熱く潤っていて風早の指を貪欲に飲み込もうとしていた。
「黒沼…めちゃくちゃ熱くなってる…」
爽子は言葉を発せずただ首を振った。
恥ずかしさと快感がせめぎあってるのだと風早にはわかる。

爽子の体は愛するごとに敏感になっていく。
けれどどうしても快感に溺れきってはくれないと風早は感じていた。

どうしても自分に融けてほしくて風早はゆっくりと爽子の内を刺激した。
「…っ」
唇を噛んで声を堪える爽子に風早は熱い息をはきながら微笑んだ。
「いいよ、声出しても。可愛い黒沼の声、聞かせて?」
その言葉に堰が切れたように爽子は甘く喘いだ。
その声に風早の理性も粉砂糖のように崩れていく。
風早はかろうじて残る理性を必死にかき集めて呟いた。
「やば。止まんなくなりそう…」
爽子はその言葉で我に帰り、真っ赤な顔のまま乱れた衣装を慌てて直した。
風早はくすっと笑って爽子の頬に大切そうに口付けた。
「残念。…続きは今度な。」
「こっ今度?」
「うん。首輪買ってきてあげる」
25くろねこのタンゴ18:2009/05/10(日) 20:00:49 ID:O1lAaLb4
一瞬その言葉に戸惑った顔を見せた爽子だが
風早のあくまで爽やかな笑顔にそれを冗談だとうけとった。
「ふふ、じゃあ風早くんちでお世話にならなきゃね。」
「うん。おいで。」
風早の瞳には真剣な色がうっすらと浮かんではいたが
爽子はそれには気付かなかった。
だけどその言葉にぽっと赤くなって嬉しそうに微笑んだ。
(…冗談でもなんか嬉しいな。)
爽子がそんな事を考えていると風早はにこっと笑った。
「…その格好はめちゃくちゃ可愛いけど
もー他の奴にみせたくないから着替えなよ。」
赤くなって爽子は頷いた。
着替えようとすると風早が視線をそらすこともなくニコニコと見ている。
「…向こう向いててくれる?」
風早はその言葉に、にひっといたずらっぽく笑った。
「やっぱだめ?」
「うん、だめ。」
爽子もにこっと笑いながらあっさり拒否した。
風早はこの頃おねだり攻撃が効かなくなってきたなと心の中で嘯いた。
「…着替え、終ったよ。」
爽子の声で振り向くと風早はすっと手を差し出した。
爽子は自然にその手をとった。
「さ、後夜祭いこっか。」
「うん。あ、でも、私が行ったら盛りさがるかも!?」
爽子のその心配を風早の明るい笑いが吹きとばした。
26くろねこのタンゴ19 ラスト:2009/05/10(日) 20:05:52 ID:O1lAaLb4
「あはは、何言ってんだよ主役いなきゃ逆に怒られるよ。」
二人は手を繋いで歩き出した。
風早が隣の爽子をちらりとみて呟くように言った。
「…色はやっぱ赤だよな」
「え?」
「んー、なんでもない。」
訝しげな爽子をちらりとみながら風早は笑ってごまかした。
(やっぱ、赤いのがいいよな。白い肌に映えるもんな。)
訳がわからないながらも風早が嬉しそうだから
それが嬉しくて爽子は、ふふっと笑った。
「あのドレスもらえるの?」
「え、うん、あやねちゃんは記念にもらっときなって。
どうせアンタのサイズに合わせて作ったんだからって。」

材料費は出すっていったんだけど 
売り上げで出るからいいよって言うんだよね 

爽子はそう戸惑いながらも嬉しそうに話す。
「うん、よく似合ってたし、もらっときなよ。
黒沼めちゃくちゃ頑張ってたし。」
その言葉に爽子は嬉しそうに頷いた。
風早はそんな爽子に愛しそうに眼を細め、
その白い頬にちゅっと唇を落とした。
「でも着るのは俺の前限定にしてね。」
その言葉にちいさな黒猫はぽんっと赤くなった。
<終わり>

−−−−−−−−−−

お付き合いドモ。新スレ祝いでした。
27名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 23:31:14 ID:zfRGhbYO
GJでした!!
キュンキュンしました!(><)
風早エロいぞコノヤロー(笑)
28名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 07:48:06 ID:k4N0Q5rD
GJ!!
登場人物がみんな楽しそうで、読んでるこっちまで楽しくなるよ〜
29名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 22:43:22 ID:GHdvQztE
乙です!

次はケント横恋慕モノをリクエストしていいでしょうか…。
30名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:11:06 ID:mxFGL6AT
GJです!!


> 爽子は極上の微笑みを浮かべて静かに言った。
> 「風早君がいなかったら、きっと私、俯いたままだった。
> …私、風早君に出会えてよかったなあ。一生分の幸運だよ。」
> 風早は息を飲んで爽子をみつめた。


これ原作でもありそーだね。原作風早も爽子にこんなこといわれたらすごいことになりそうだなw
31名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 16:49:41 ID:noMiinuA
>>29
いいねケント横恋慕読みたい 
陵辱でも切な純愛系でもセフレ系でも
爽子が大好きなんだけど 風早は清楚依存系に弱そうなんで
そういう女にころっとなびいて「黒沼は俺がいなくても大丈夫だけど
この子は」とか言って捨てられてボロボロになる爽子を想像して
ときめいてしまう。
そこにケントがつけこんでも良い
32名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 17:43:19 ID:HNz5iOnO
えっ…風早浮気系?
それは…いくらなんでもあたし泣いちゃうかも…。
応援出来そうにないよう。
うわあああん。

…でもそんなキャンディキャンディなストーリー…見てみたいかも。

支援。

33名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 19:55:17 ID:HHTnoljj
めっちゃわかるわーそれ
34あっさりめ:2009/05/14(木) 18:19:37 ID:iDPCejeU
変化してきていることに気が付いていた
気持ちがついていかなくて、どうしたらいいかわからなかった
私はいつもあなたに甘えているね
 ***
私の隣で眠る翔太くん。
よほど疲れていたみたいで、ベッドに入ってすぐに寝息が聞こえてきた。
その寝顔に幸せを噛み締めて、私も翔太の隣に横になった。
いつもは翔太くんのぬくもりに安堵して、すぐに眠りに落ちるのに、今日は逆に目が冴えてしまう。
触れたいな。
35あっさりめ2:2009/05/14(木) 19:40:01 ID:iDPCejeU
翔太くんに触れたくて、そっと手をつないでみた。
それでも足りなくて、体を寄せて腕と胴の間にもぐり込んでみる。
翔太くんはよく腕枕をしてくれるけど、それに少し似てる。いいかもしれない。
でも……もうちょっと。
片手だけを静かに翔太くんに回して抱きしめる。
幸せ。
それなのに、またすぐに足りなくなって、困惑する。
どうしたんだろう私。
(起きてくれないかな)翔太くんは疲れて寝ているのにそんな事を考えてしまう。
(触れて…ほしいな)
あなたの優しい手で。
髪に。頬に。唇に。そして――――。
私、なんてことを考えてるんだろう。
恥ずかしくなる。
翔太くんに背を向け、熱い顔をおおった。
「ん、爽子?」
寝ぼけた声で私を呼ぶ愛しい人は、後ろから私を抱きすくめ、パジャマの裾から手をスルリと滑り込ませる。
36あっさりめ3:2009/05/14(木) 19:58:02 ID:iDPCejeU
「ん、やわらか…い…」
そのまま再び眠りに落ちそうな声音。
大きな手の先が、おそらく無意識に、私の肌を撫でていく。
(も、もう!寝ちゃうのに)
熱を持つ体に一人泣きそうになって、聞こえないように声を漏らす。
「……私、眠れないよ」抑えられない熱が声にうつる。
「触れて欲しい、よ…」
ガバッと翔太くんが起き上がった。
「あ、あれ?爽子いまなにか言った?!」
「なっなななんにも言ってないよっ!」
翔太くんは、そうかぁ、と深く息を吐いた。
「…だよな。俺ちょー恥ずかしい夢みちゃった」
恥ずかしい夢という響きに顔が熱くなる。恥ずかしいよね。だめだよね。こんなの――――穴があったら入りたいよ。
髪で顔を隠していたら翔太くんが苦笑した。
「やばいよ。俺の願望がでてきちゃった」
そして両腕で私を抱きしめて耳元に口を寄せた。
「爽子が夢で、すごい可愛いこと言うからさ」
甘い掠れた声で。
「ねぇ……だめ?」
優しく熱い吐息に、胸に火が灯る。その火に触れるように、翔太くんが胸のふくらみに顔をうずめた。
ずるい嘘も、あなたが包みこんでくれるから。
「……いい、よ?」
いまはまだ甘えさせて…。
 おわり
37名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:00:29 ID:1J5G2y/l
GJ!!
あっさりだがキュンキュンするぜー
38名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 20:19:47 ID:iDPCejeU
あっさりめ。タイトルじゃないのに間違えたです。最初、翔太「くん」つけ忘れっす。
結婚1、2年くらいで妄想。爽子も欲湧いてくるかなと。人間なので。
39名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:01:25 ID:+1xFHskT
ヌゲー可愛くて良かったよ!GJ
こういうのもいいね
40名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:06:31 ID:rxl6Tse2
GJ 可愛いなあ 爽→風のアクションはほんと可愛い。
優しい嘘はいいね 風早もGJw

あと風早ハピバ!爽子が手作りクッキーをあーんってしてくれる
呪いをかけとくよw
41名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 22:34:14 ID:SHFNLNaJ
というわけで職人さん。
風早バースデー企画を是非w。
42名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 10:16:38 ID:slg+ldtQ
ほしゆ
43名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 10:10:52 ID:dXDBxgBX
神様待ちほしゅ
44名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 12:55:43 ID:sEC4QJTA
神様〜
45名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 14:02:25 ID:J0h45oNT
風早浮気系を妄想してみたけどどうしても心は爽子でいっぱい。浮気は体だけだなぁ。
46名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 14:20:14 ID:GzQJF57c
それはそれで切なくて良いかも…!
47名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 15:12:55 ID:J0h45oNT
では、風早浮気話。エロ描写初書きなのでサラリと読み流しでとりあえず前半どぞ。

ここしばらくお互いの仕事が忙しく、すれ違いの日々が続いていた。たまに会えても爽子は大層疲れた様子ですぐに眠りについてしまう。
一週間、二週間……ひと月。
風早の我慢が限界に達しそうなある晩、爽子がやってきた。
「やっと仕事が一段落したよ」
安堵した顔で笑む恋人の顔を見て、自分も同じように笑った。そこに嘘はなかった。それだけではないけれど。
その晩、ベッドの上で、長い黒髪に顔をうずめた。白い顔と首筋に何度もキスを繰り返し衣類に手をかけた時、爽子の顔が苦悶していることに気がつく。
「爽子?」
急な変化に戸惑いながらも、急いで彼女の上から移動するが、うめき声についで額に汗が浮かぶ。
「んっ」
蒼白な顔に心臓を締め付けられる。
「待ってて!救急車呼ぶから!」
部屋からら飛び出そうとすると、弱々しい腕が制止した。
「風早く…違うの」
きつく刻まれた眉間はそのままに、苦しげな声が。
「…今月…ずれてて……ごめんなさい。きちゃったみたい」
とりあえず病気でないことにホッとしたが、爽子が薬を飲み布団に丸まってようやく寝息をたてたると、起こさぬように移動してから盛大なため息を吐き出した。
48風早浮気話2:2009/05/20(水) 15:26:18 ID:J0h45oNT
翌日、仕事帰りに職場の同僚と飲むことになっていた。爽子は臨時の会議で遅くなり、その日は会えないと言われていたし、アノ日はおそらくゆっくりとひとりで眠りたいだろうと思う。

「風早、今日よく飲むなぁ」
「のまずにはいられないりゆーがおれにはあるんだ!」
ガンッとジョッキをテーブルに置くとき、加減が出来なくなっていた。
(酔ってる)
まだ自覚できるから大丈夫だと思った。しかし風早は徐々に酩酊していき、すぐにその自覚も手放した。
「一緒に飲みませんか?」二人の女がそこにいた。ひとりは茶色い長い髪を腰近くまで伸ばしていた。
(爽子とどっちが長いかなぁ)
形の良い唇が笑いの形をつくり、光っていた。

風早の記憶は曖昧になった。
「わたしのへやすぐだから」
声が近付いたり遠ざかったりしながら、耳に残る。
長い髪が夜の闇のなかで揺れた。

唇を貪り
鎖骨の窪みを舌でなぞり
柔らかな暖かい山の頂上に辿り着き
熱い喘ぎが耳にかかる
さわこきょうはずいぶんこえだすね
よく回らない頭でそう思う。
積極的に吸い付いてくる唇。背中に回された手のひらがせわしなく肌を行き来し、片手が風早の下半身をまさぐる。
どうしちゃったの
さわこもしたかった?
おれがまんできないよ
いい?
49風早浮気話3:2009/05/20(水) 15:39:41 ID:J0h45oNT
急いで避妊具をつけて、熱いものを当て…いくよいれるよ。
ちらと顔を上げたら、予測外の潤む瞳と目が合った。
あっ。
だれこのオンナ。
だけど止まらない。
ズブと入ってしまい、熱くまとわり付くその快感。もう止められない。
このかんじさわこじゃない。爽子じゃないや。
背徳感が背中を突き抜け快感を加速させる。
腰の動きに合わせて、下の女が甘い細い声を繰り返し上げる。またそれに応えるように突いていく。暫くすると風早の僅かの誘導で、オンナは慣れたように体位を変えていく。
ああ、全然違うんだなと、快楽の片隅で自分の声がする。いつになっても恥じらいながらきごちなく自分の求めに応じる細い身体を思い浮かべる。
爽子じゃないならどんな格好させてもいいや。
風早は女の体を持ち上げて荒々しく腰を動かす。それに合わせてオンナは腰を振る。汗と蜜のにおい。でもこれは甘くない。
硬い乳首をくわえ込んだ。ああ、感じる場所は似てるね。途端に黒髪の、愛しいひとの裸体と重なる。耐えがたいほどの波が来る。
「あっ!」
オンナが叫ぶ。
イクイクイッチャウッ!
締めつけられて、爽子と呼ぶ。大事な名前を頭の中で。吐き出す瞬間の白い光の中で。
『ごめん』
ごめん爽子。間違えて。
キスはもうしないから。
50風早浮気話4:2009/05/20(水) 15:47:55 ID:J0h45oNT
カーテンを通す朝の光の下でみるオンナは、こげ茶の髪の長いの綺麗な顔立ち。でもどこにでもいるような女だった。
爽子以外のひとと初めて体を重ねたというのに、その身体を綺麗だとは思うが、もう触りたいとは思わない。あるのは身代わりにした眠る女への申し訳なさと、爽子へ罪悪感。
そっとベッドを抜け出し鞄から携帯を取り出すと、着信を知らせる点滅が光る。ギクリとして液晶をみると、やはり彼女の名前があった。昨晩の履歴の着信とメールが一件ずつ。
控え目な彼女らしい、おやすみの挨拶と、珍しく愛の言葉が書かれていた。無機質な携帯が急に大事になる。
天井を仰ぐ。
隠し通さなければ、と思う。
これだけは失えない。


前半おわり。続きはおそらくエロないけどいいのかな。
51名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 20:20:29 ID:sEC4QJTA
うわああああああぁ禿げ萌えた
!!!

体は浮気しても心は爽至上主義なところが風らしくて何とも…
聖母マリア爽でも知ったら泣いちゃうのかな。

ほんとここの神様は文才あるよね。
純粋に羨ましいです。

続き楽しみに待ってます。

52名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 23:01:05 ID:itpSCLSe
いいよいいよ!!
GJ
続き気になる
投下待ってる!

爽は知っちゃうのかな?
知って、感情ボロ出し泣きじゃくるのもいいなあ…
風爽至上の人には悪いが、知ってしまってどうしても許せなくて、妙な冷静さで心離れてしまうのも乙
ハピエンも好きだけどね
ああ楽しみだ
53名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 23:10:59 ID:wMAkbLa8
GJ!!
風爽というか現実の男の浮気ってこんなんかなって軽く凹むw
54名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 23:34:07 ID:ikAtsrJd
続き支援保守!

55名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:06:15 ID:KjP+qIwm
続き楽しみに待ってます!
浮気までの流れがリアルだ(笑)
どうか爽子は浮気に気づいて苦しまないで(><)
風早は罪悪感で悶え苦しみなさいw
56名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:14:34 ID:6EDkt4NJ
続き期待保守
57名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:47:48 ID:rvhX1m6v
GJ!!
58風早浮気話5:2009/05/21(木) 15:08:55 ID:By1KTR06
ありがとです。思ったより長くなってしまった。まわりくどくてすんまそ。
続き
***
その晩仕事を終えた爽子が風早の部屋にやって来た。いつもの心地よい空間に、異質なのは自分。何度洗い流しても昨晩のオンナの残滓がまとわりついているようで落ち着かない。
「風早くん?」
そんな自分とは裏腹に、体調が戻りつつつある爽子は、血の気はないがスッキリとした顔をしている。
「どうかした?調子わるい?温かくして今日はもう寝て」
暖かな眼差しを、腹を決めて真正面から受け止める。
その時携帯が鳴った。
風早は今まで爽子と居るときに電話に出るのを躊躇したことはなかった。いつも爽子のそばで会話をしていた。後ろ暗いことなどなにもなかったから。でも今日は…。
コレに出てはまずい、そう思ってしまったら不自然な間が出来た。
「風早くん?電話…」
のろのろと携帯を持ち上げる。このまま時間が止まってしまえと思った。そうでなければ今すぐにこの携帯を叩き壊せと。しかし、操られたように動く親指が、繋げてしまった。大きな同僚の声が響く。爽子の耳にも。
59風早浮気話6:2009/05/21(木) 15:13:26 ID:By1KTR06
「あっ、風早!おまえ昨日の女のうちになんか忘れた?ケー番知りたがってんだけど、ちゃんと彼女居ること話したっつったよなぁ。教えねぇよ?」
「ああ…」
忘れ物なんかしてないし、実は彼女がいて彼女が一番大事であなたは酔った勢いですすみませんときちんと朝出るときに話してきたよ。
そんなことは今声に出せないので、じゃあなと一方的に通話を終える。
爽子はまだうまく事態が把握できていないようであったが、不安気に、そして助けを求めるように風早をみた。
風早は膝をつき、ひれ伏した。


罪をさらけ出した風早に「ずるいよ風早くん」
そう言って黙った爽子は微動だにしない。顔を上げた風早は、蒼白い無表情な爽子に対峙する。
「ごめん!ごめんなさい!!」
風早はもう一度頭を床に押し付けた。
「俺弱かった。酔って…止められなかった」
懸命に言葉をつなぐがずっと爽子は黙したまま。しかし、「俺がすきなのは爽子だけなんだ」そう言った次の瞬間に、弾けるように爽子が崩れた。
60風早浮気話7:2009/05/21(木) 15:36:27 ID:By1KTR06
「んーーーっ!!」
爽子は駄々っ子のように近くのクッションを叩く。しかし慣れない拳の勢いに振り回されて前のめりによろけた。それを支えた風早の腕をパシと払いのけ、今度はその胸を叩く。
「ずるいよ、ずるいよっ」と繰り返す。子供の癇癪のようだと感じた。風早は打たれるままに、爽子を見守る。
「どうして言うの?聞いちゃったら私許さなきゃいけない。風早くんが誰かにキスするなんていやだよ、私に触れるみたいに誰かにするなんていやだよっ。いやだよっ!でもっ」
涙を流しながら爽子は声を絞り出す。
「風早くんを無くすのが一番いやだ。だから許さなきゃ。でもいやなんだよっ。どうしたらいいかわからないっ」
そのまま声をあげて子供のように泣き出す爽子を、風早は抱き締めた。細い体が力一杯抵抗し、風早の腕の中で暴れた。こんな力があったのかと驚きながら、「爽子」と何度も呼び掛ける。「ごめん、爽子、ごめんな」と。
何度引っかかれても、風早は腕を解かない。今、解いてしまったら終りのような、危うい場所に自分たちがいることを感じていた。徐々に爽子の動きが弱まり、最後に叩いた拳が風早の胸で止まる。
荒い呼吸とすすり泣きがずっと響いていた。
61風早浮気話8:2009/05/21(木) 16:05:44 ID:By1KTR06
大きな呼吸を幾度か繰り返し、顔を上げた爽子は風早に、なかないで、そう言った。
「泣かないで風早くん」
風早は苦しそうに伸ばされた手に触れられて、自分が泣いていることを知る。
「…ごめんね」
昏い眼で告げられて、砂袋で殴られたような重い衝撃に動けない。爽子の黒々とした揺れる瞳が風早を映す。
「私きっと風早くんに触れられるたびに思い出してしまう。考えてしまう。この手が、別の女の人の肌に触れたこと。ずっと忘れられないかもしれない…」
風早は別れの言葉を覚悟した。到底聞き入れることは出来ないと思いながらも、爽子にはそれを口にする権利があるのだ。風早は待った。
長い昏い沈黙は、爽子の震える声で破られた。
「埋められるかな…」
寂しい真っ暗な海の底から遠い太陽を仰ぎ見るような、心細さと祈りを感じて風早は震えた。
「さわって」
お願いと。消えそうな一本の蜘蛛の糸のような爽子の声を決して逃さないように辿って涙に濡れた頬に触れる。一瞬浮かんだ嫌悪感を、風早は悲しく受け止めた。爽子も同じだと思ったから。
62風早浮気話9:2009/05/21(木) 16:53:32 ID:By1KTR06
「風早くん…もっと」
いざなう声に、手を滑りこませて爽子の服を脱がせていく。まだ生理の終わらぬうちのこのような行為を、普段ならば爽子は決して許さない。しかし今を逃してはもう遅いのだとお互いにわかっていた。
涙は絶え間なく流れ落ちる。赤くなった鼻をすすり、しゃっくりを繰り返しながら、爽子は風早のゆっくりとした愛撫を受ける。熱い吐息で、時折訪れる嫌悪感と風早への愛を均そうと闘っている。
風早は跪き、真っ白な肌に祈りを込めて唇を落とし、肌に落ちた涙を吸い上げていく。
今は言葉では埋められないのだ。
時折、鼻をすすり上げる音に混じり「風早くんのばか」と聞こえた。途方もない愛しさと恐れが胸を占める。
風早は、愛していると、愛しているよと、決して口には出さずに、注ぎ込むようにまだ血の匂いのする爽子のなかに入っていった。
涙に汚れた爽子が、稚けなく微笑んでまた涙を零した。
 
おわり
63名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 17:31:14 ID:Ym8zQFVM
GJ!!!
欲をいわせてもらうと、このあと爽子に振られて絶望に沈む風早が読みたかったですw
64名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 17:55:26 ID:2k7FWpvy
乙!
…欲を言えば、もうちょっと鈍感で、何が何だかわからなくて戸惑う爽子が見たかった。
65名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 19:54:36 ID:KuuhPFSc
GJ!
自分もやっぱり、罪悪感と爽子を失う恐れに苛まれる風早をもう少し見たかったw
でも良かった!泣いた!
66名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 22:14:00 ID:By1KTR06
どもです。そうですね。風早もっと悶絶しないとねw。
書いてても脳内爽子がずっと泣いてるから可哀想でそっちばっかり気になった(≧Д≦)。そんなに泣くと目が溶けちゃうよー。でも結局爽子は乗り越えるだろうし、風早も許されて更に爽らぶになるかなーと。でもこの風はきっとまた浮気すると思うw
67名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 22:58:38 ID:T+7XrRuy
くそう!にくい!にくいぃぃぃ!!
GJ!待ってたー
憎い風早だw
爽に、もっとけちょんけちょんにされればいいのにw
68名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 01:10:59 ID:OM70wNl3
乙でしたー!!いろんな意味でリアルだったw


もし実際爽がほんとに
浮気されたら風のことは許せるだろうけど、

ほんとに好きなままではいられなくなって
その気持ちでは風早くんに悪いっていうんで
結局別れを選びそうだなあ。
絶対責めないし、
あくまで風に申し訳ないとかで。
69名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 01:47:05 ID:r6Sk/4OU
GJ >>68
爽子潔癖なとこあるからね。ありうる。
でもバカ素直だから男の下半身には別人格がwとか
言われたら納得しそうな気もする。

爽子可哀想萌えがすぎて妄想が暴走してる
上のほうのレスでもあったけど肉体の浮気じゃなくて風早の
本気の心変わりに泣く爽子がみたい。
「あなたなしでは生きてけない」と風に縋る清楚依存系女子に
風早を奪われてボロボロになった爽子が横恋慕ケントに
つけこまれるみたいなのを妄想してる。

風早は爽子が他の男に抱かれたらどうするんだろうなあ。
風と違って爽子の浮気は想像できないけどw
70名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 02:25:47 ID:q8x3ZsQu
乙です!

続き待って良かった!
爽子可哀想すぎてキュンキュンしました。

>>69
すごく読みたいその展開!

爽子が風早の見てる前で無理矢理…な展開は、ここの住人さん的にはおkですか?
71名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 03:45:57 ID:q8x3ZsQu
ここの神職人さんたちに触発されて、初めて挑戦してみました。

携帯からで、見苦しい改行があったらすみません。

爽子犯されちゃう系かもしれませんので、苦手な方はタイトルでスルーお願いします。
72月が見ていた*1:2009/05/22(金) 04:02:28 ID:q8x3ZsQu
じりじりと太陽が照り付ける夏の日、風早と爽子は、とある海沿いのペンションの前に立っていた。

「ほんとに、いいのかな。ただで泊まらせてもらうなんて…。」
遠慮がちに爽子は、睫毛をぱちぱちさせて翔太を伺い見た。

「気にしなくていいって!元々ただで手に入れたものなんだから!」
爽子の遠慮を吹き飛ばす様な爽やかな笑顔で、翔太は答えた。

この真夏の小旅行が決まったのは、一週間ほど前のこと。
風早の母が町内の福引きで、見事、『ペンション南幌へのお二人様宿泊券』を引き当てたのである。

「あら…お二人様と言っても、うちは四人家族だし、これじゃ喧嘩になるわねぇ。」

腕を組み、少し悩む素振りを見せた母は、
「そうだ!翔太、あんたお友達と行ってきなさいよ。
もう、二人で行けるような友達もいるんでしょう?」
と、
にやりと不敵な笑みを浮かべたのである。

正直、負けた気がしたが、翔太はそれに飛び付かない理由はなかった。

最近の翔太は、爽子に触りたいと思わなかった日はなかった。

あの漆黒の髪を指ですき、真っ白な首筋に顔を埋め、自分の印を残せたら。

そして、もっともっと奥まで進んで、誰も見た事がない彼女が見たい。
そんな事ばかり考えていた。

そんな翔太の衝動とは裏腹に、二人は驚くほど清いお付き合いを続けていた。

風早少年の苦悩など想像もしない爽子は、
うーっと唸りながら、
「本当にごめんね!このご恩はいつか必ずお返ししますので…」
と、
トンチンカンな事を呟いていた。

73月が見ていた*2:2009/05/22(金) 04:05:07 ID:q8x3ZsQu
初めての二人きりの旅行、奇跡的にも爽パパにも許してもらえた。
もちろん、ちづとあやねと一緒という設定で。

最初は、嘘をつくのは下手だから…と、中々うんと言わなかった爽子だが、
翔太の
「夏休み最後の思い出だから!来年は受験で思い切って遊べないだろうし…
 それとも…黒沼は、俺と二人は、いや…?」
という、捨て犬みたいな表情に、ついに白旗を挙げたのだった。

黒沼は、そういう気持ちになる事、ないの?
もっと、近付きたいのは、俺だけ…?

純白の布ような爽子の肌は、きらきらと太陽の光を反射して、翔太には眩しかった。

翔太は「あんまり日ざしに当たると、溶けちゃいそうだな……黒沼。」と、
着ていたパーカーを、ぱさっと彼女の肩に掛けた。
74月が見ていた*3:2009/05/22(金) 04:16:38 ID:q8x3ZsQu
爽子はというと、翔太と一日中一緒にいられるというだけで、これ以上ない幸せを感じていた。
海辺で波と戯れる翔太を見ているだけで、自然と顔が綻んだ。

そんな爽子に、翔太はとびきりの笑顔で、
「黒沼も入んないの!?」と呼び掛けた。

しかし爽子は、「あ、私、水着を持って来ていなくて…」と、
申し訳なさそうな笑みを浮かべるしかなかった。

本当は爽子も水着を持って来ていた。
本当は、一緒に無邪気に遊べる様な彼女になりたいのに、爽子は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

しかし、「こんな、青白くて貧相な身体、風早くんに見られたら、嫌われるかもしれない…」と考えると、
怖くてとても脱ぐ事ができなかった。

そうこうしているうちに、あっという間に太陽は西の海へと沈んでいった。

夕飯に爽子お手製のカレーを食べた後、二人はペンションのリビングのソファーに並んで腰掛けた。

「黒沼のカレー、ほんとに旨かった!俺、感動した。」
翔太はとびきりの幸せスマイルで、爽子を見つめた。

「あ、ありがとう…!」
爽子は嬉しくて、頬をピンク色に染めてうつむいた。

翔太はそんな爽子を見つめたまま、
「黒沼………」と呟いた。
心なしか声が掠れる。
二人しかいない部屋に、時計の音がチクタクと響く。

「ちょっと…散歩でも、いかない?」
75月が見ていた*4:2009/05/22(金) 04:26:08 ID:q8x3ZsQu
誰もいない真っ暗な浜辺を、月明かりだけが照らしていた。

「綺麗だね…」
いつの間にか小さなサンダルを脱いだ爽子は、細い足首を、水面にぴちゃぴちゃと戯れさせた。


綺麗なのは黒沼だよ。

漆黒の水面を照らす、真っ白な月は綺麗で、まるで黒沼みたいだ。
少し離れた所で水と戯れる爽子を見つめ、翔太はふとそんな事を思った。

水平線の上の月を、しばらく見つめた後、爽子は呟いた。
「潮の満ち引きって、不思議だよね…。
さっきまでここにいたのに、もうこんなとこまで来てる…。」

現にさっきまで爪先までしか浸かっていなかった爽子の足は、もうふくらはぎのところまで浸かっていた。

心なしか、彼女の身体も、沖へと近付いた様な気もする。

翔太は、何故か急に、そのまま爽子が海へ吸い込まれて行ってしまう様な気がして、心臓がドクリと音を立てるのを感じた。

いかないで

俺のそばを、はなれないで

その瞬間、ほとんど無意識に彼女のもとに駆け寄って、細い手首を掴んでいた。

突然のことにびっくりして、爽子は睫毛をぱちぱちさせて、翔太の顔を見る。

「かぜ…はや…くん?」

その時、どこからともなく、一台、二台、三台と、乾いたバイクの排気音が、浜辺へと近付いてきた。
76名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 04:27:38 ID:q8x3ZsQu
以上です。
いつの間にか新聞屋さんが来る時間になっていました。

また投下しますm(__)m
77名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 05:14:13 ID:OM70wNl3
>>69
自分はあんまり可哀相爽子は苦手かも・・・ただでさえ可哀相なんで。。
でも書いてくださる方いるなら読みますがw

爽子は浮気は絶対ないけど、自分でも気づかないうちに別の人に本気になって手がつけられない状態になっていたとかいうのはありそうだなぁと思う。高校卒業したらとくに。
それこそ風早に悪いんで、気付いたら悩んで別れ切り出すだろうけど。


>>71

乙です!
なんか予想外な展開で続きたのしみにしてます。
78名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 19:24:38 ID:ucafXxH4
>>69

個人的には、

>「あなたなしでは生きてけない」と縋る

風早→意外に黒く断る
爽子→情に絆される
風涙目
のイメージ。


爽子なしでは生きてけないのは、風早のような気もするがw
79名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 01:25:10 ID:kgQmXqk4
GJ!GJ!
80名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 03:22:39 ID:XgQDnwot
えー(´Д`)
いいところできらないでよ!
続き楽しみに待ってるよ
81名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 17:59:27 ID:prPt/4ka
起きてえー。
かいてえー
82名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 23:37:04 ID:NbNwV1nG
ありがとうございます。

>>72-75の続きです。

※爽子が風早以外の男達に凌辱されます。
なるべく鬼畜にならないように、心だけは風早に向いてるように書くつもりですが、苦手な方はタイトルスルーでお願いしますm(__)m
83月が見ていた*5:2009/05/23(土) 23:38:59 ID:NbNwV1nG
バイクの音は、どんどん大きくなって迫ってくる。
さっきまで真っ暗だった浜辺は、あっと言う間にバイクのヘッドライトにつつまれた。
少し離れた道路ぞいにバイクが停められ、4人ほどの若い男が、ギャハハと笑いながら近付いてくる。
爽子は何だか心の中がざわざわして、翔太のシャツの袖をそっと掴んだ。その指は、少し震えていた。
異変を感じ取った翔太は、「大丈夫だから」と、爽子の髪を撫でるようにしてすいた。

男たちが近付いてくるにつれ、少しずつ会話が漏れ聞こえてくる。
「………しかしほんと何もねーな!ここ!」
「女もいねーしよお…どこかに女いねーか!女!俺はたまってんだ!」
ギャハハと、下品な笑い声が響く。

「帰ろう、黒沼」
これ以上、この子をこんな場所に晒しておくわけにはいかない。
翔太は爽子を男達から隠す様に、その場を離れようとした。

するとその時、「…あれ、あそこに人いねえ?」男の一人が呟いた。
「…いるいる」
「しかも男と女…カップルか」
男達は、一気に翔太達に近付いてくる。爽子の顔が青ざめる。
「こんな夜中に浜辺でナニしてるんですかあ〜?」
「ギャハハ!」
「女の方、何か暗くね?」「つか怖くね?」
爽子の翔太の袖を掴む力がキュッと強まる。
翔太は爽子の顔を覗き見ようとする男を振り切り、その場を離れようとした。
「おい、シカトかよ」
ギャハハ!と笑い飛ばした後、男の一人が爽子の顔を覗き見た。
「…っと待て、よく見たらちょっと可愛くね?」
「…お、マジだ」
「おれ結構タイプかも!」
「…やっちまおうぜ」
じり、と男達が爽子に近付いた。
84月が見ていた*6:2009/05/23(土) 23:42:21 ID:NbNwV1nG
穏やかな夜は、一瞬にして悪夢へと変わった。
爽子は翔太から引きはがされ、翔太は複数の男に取り押さえられた。
「黒沼!!」
「風早くんっ…!いた…!」
爽子の髪が乱暴に引っ張られる。
「黒沼に触るな!!」
爽子を取り戻そうと抵抗する翔太に男達は蹴りかかる。
みぞおちを思い切り蹴られた翔太は、痛みに顔をしかめ、よろめいた。
「くろ…ぬま…」

その子は、その子だけは、傷付けないで。
大切な子なんだ。

「……!風早くん!」
ドカッドカッドカッと、何度も鈍い音が響く。
「やめて…!やめて下さい…そのひとには何もしないで…!」
「お願い…、お願いです、何でもしますから…」
涙をはらはらと流しながら、爽子は懇願した。
愛しいひとが苦しむ姿を見るのは、爽子にとって何よりもの拷問だった。
「だめだ…黒沼…」意識絶え絶えに、翔太が呟く。
「お、お願いです…」
「…に触る…な…」朦朧とする意識の中、まだ立ち上がろうとする翔太に、さっきよりも強い一発がくらわされる。
「女の方がよく分かってるじゃん。」
下品な笑みを浮かべ、男は爽子を砂浜に乱暴に押し倒した。
85月が見ていた*7:2009/05/23(土) 23:50:42 ID:NbNwV1nG
「…?…!?」
爽子は地面に打ち付けられ、何が起こっているか分からず、脅えた目で男を見上げた。
男は爽子の両手首を掴み、身動きを取れなくし、もう片方の手で胸のボタンをぶちぶちとはだけさせた。
「い、いや…!」
白いシャツワンピースのボタンはお腹まで外れ、水を浮かべれそうな華奢な鎖骨が露になる。

「…や…めろ……」翔太は最後の力を振り絞って、立ち上がろうとする。
切れた口元からは、血が流れていた。
「往生際がわりいんだよ!」
大柄な男が、翔太の腹を蹴りあげる。
瞬間、翔太は意識を失い、爽子の方を向いたまま、地面にドサッと崩れ落ちた。
「風早くん…!!!」
爽子は絶望的な悲鳴をあげた。

「お願いです、そのひとには何もしないで…!」
駆け寄ろうとする爽子の腕を掴み、男は冷酷な目で言った。
「そいつ、目障りだな。その辺のもので適当にしばっとけ。」
意識を失った翔太は、浜辺に打ち付けられていたロープで、腕と胴をぐるぐるに縛られた。

「お楽しみはこれからだよ」
男は冷酷な笑みで呟く。
ボタンは全部外されていたので、少し引っ張るだけでワンピースはずり落ち、薄いピンクの下着に包まれた胸が露になった。
月の光を反射して輝く二つの白い果実を前にし、男はゴクリと唾を飲んだ。
爽子はあまりの恐怖で、声も出せず
、ただ、涙だけがはらはらと溢れ落ちていた。
86月が見ていた*8:2009/05/23(土) 23:52:48 ID:NbNwV1nG
男は今すぐにでもむしゃぶりつきたい衝動を抑え、ブラジャーの上から爽子の胸を揉みしだいた。
「ぅ………」恐怖と絶望で、爽子はおかしくなりそうになる。
全く優しくなく、礼儀もないその手は、爽子の胸の上を乱暴に這い回った。

その時だった、男がブラジャーの隙間から手を差し入れ、爽子の胸の頂に直接触れた。
「…ゃ、あ…!!」
そんなとこを男性に触られたのは初めてだった。
ましてや、翔太以外の人に…爽子は言い知れないショックで、ガタガタと震えた。

「…感じてんの?」
気をよくした男は、一気に爽子のブラジャーをたくし上げる。
「ふ……ぅ!?」
桃のような二つの果実が、ふるんと溢れ落ちる。

「うお…!すげー!」
「綺麗だ…」
男たちは円になって、爽子の胸をまじまじと見る。
初めて男の人に、しかも翔太以外の人に、生身の身体を見られているショックで、爽子は気を失いそうになる。
急に外気に晒された可愛い二つの蕾は、たすけて、と悲鳴をあげているような気がした。

強い刺激を受けたせいで、爽子の頬は上気し、赤く染まっていた。
「はぁ、はぁ」と荒くなった呼吸に合わせて、二つの膨らみは上下している。
潤んだ目からは大粒の涙が溢れ落ち、長い睫毛を彩る。

そこにいる男達全員が、ゴクリと唾を飲んだ。
「……俺ら実は、すげぇ上玉引き当てたんじゃないの」

「もう我慢できない、いい!?」
さっきまで大人しく見ていた男の一人が、爽子の乳首にむしゃぶりついた。
「ひぁぁぁ!」
じゃあ俺も!と爽子を押さえ込んでいた男が、もう片方の胸を後ろからこねくりまわす。
「や…、や…!」
片方は、ちゅぱ、ちゅぱと、いやらしく吸われ、片方は指で摘まれ、左右に激しく動かされ、爽子はおかしくなりそうになる。
「ふぅ、ぁ、…ぅぅ、いや……いや……」
苦痛にぎゅっと閉じた瞳からは、涙がしとどなく溢れる。

「…おい、こいつ感じてるよ!」
気付けば、爽子のピンク色の先端は、ぷっくりと腫れ上がり、月明かりを反射して、ぬらぬらと艶かしく輝いていた。
爽子は何を言われているか分からなかったが、辱しめを受けていることだけは分かって、今にも消えたい気持ちでいっぱいになった。

かぜはやくん…たすけて…かぜはやくん…
かぜはやくん……
……しょうたくん…

ごめんね……

爽子は、側で倒れている、愛しいひとの顔を見つめた。
87月が見ていた*9:2009/05/23(土) 23:53:57 ID:NbNwV1nG
「俺、我慢できない…入れていい!?」仲間の一人が、声を漏らした。
「ちょっと待てよ…いきなりじゃつまんねえだろ。」リーダー格の男が制する。
「まずは彼氏よりも感じさせてるってこと、分からせてやらないとな」
爽子の顔が青ざめる。

「………う……」翔太は痛みの中、断片的になった意識を、少しずつ取り戻し始めていた。
目が霞んでよく見えない、白いもやに包まれてるみたいだ。
少し離れたところに、何か見える、真っ白な…

―さわこ、そうだ爽子…
おれの大事な…

「…………爽子!!!!」

翔太の目に写ったのは、大粒の涙を流しながら身体を弄ばれる、愛しいひとの姿だった。
88名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 23:56:18 ID:NbNwV1nG
以上です。
気分を害されたらすみません。
こっから、最後までいくか非常に悩みますOrz
89名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 13:34:57 ID:R57qA5/s
うわーん
こうなったら最後まで書いて
ぜひハッピーエンドでお願いします
90名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 23:49:35 ID:rlen2hVJ
描写がリアルで気になってしかたない
誰か早くお巡りさん呼んでー。
同じくハピエン希望。
確かに、かわいそうな爽子はヤバいくらい萌えるけど
風が爽ほどタフとは思えないから
風が崩壊しそうで胃が痛くなる
91名無しさん@ピンキー:2009/05/24(日) 23:56:10 ID:bBfu1HOs
激しくハピエン希望で(ノд<。)゜。

確かに、爽より風の方がトラウマになりそうだ、、
そうなる前に(つか今の状況でもトラウマになりそうだけど;^_^)
助かるのを祈ってます!
92名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 18:22:11 ID:dlFmzUDF
>>88
最後までいっちゃえいっちゃえ
93名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 18:48:42 ID:ZOudkpbx
ていうか続きは。
職人さんファイト。
94名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 18:51:38 ID:ZOudkpbx
…寸前で風早復活かおまわりさん希望。
怖かったね。って風早爽子で萌えたいので…
95名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 19:28:59 ID:InG9GKHY
最後まではいかないで欲しい!
風がまじで壊れそう…

おまわりさーん!
96名無しさん@ピンキー:2009/05/25(月) 21:35:22 ID:34O/YzVq
しかしドキュに襲われてる爽子エロイな。半端なくエロイ。
可哀想なのに萌える。だれかこの胸の黒いのとって。
でも風が可哀想なのには別に萌えないから、この場は
こんにちはおまわりさんの後、勢いでお浄めエチー希望
97名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 21:52:57 ID:sCa4OTdg
つづき・・・(涙)
98名無しさん@ピンキー:2009/05/26(火) 23:43:03 ID:AkQfuJDL
つづき…待ってる待ってる。
99名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 09:20:12 ID:8Z1DitJ0
ハッピーエンド希望が多いけど
まぁ職人さんの書きたいもので
100名無しさん@ピンキー:2009/05/27(水) 09:54:09 ID:PCoH7W4Q
職人さんが書きたいものを書けばいいと思うよ
あくまでこっちは読ませてもらってる側だし
101名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 13:42:44 ID:z3SKY2TU
月が…、さんが終わってから投下したほうがいいのかな。この緊迫した雰囲気壊しそうな話なんだけども。
102名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 16:28:50 ID:C6y8Ky9V
んにこたない
かぶらなきゃいつ投下したっていいのさ
103名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 18:25:47 ID:hDy4opIz
投下しちゃいな。しちゃいなよ
104電話の向こう側1:2009/05/28(木) 20:06:45 ID:z3SKY2TU
風爽、遠恋設定で。
***
こちらは嵐だった。
それでも久々の帰省のために取った航空券を片手に空飛ぶ気持ちで電話したんだ。なのに…。
『もしもーし。風早?相変わらず爽やかな声だねぇ』
なんで爽子の携帯に三浦が出るんだよ!!
『貞子ちゃーん。ダーリン』
三浦の呼びかけに『ダ、ダーリン…』と声が近づいた。
『風早君?ごめんね今手が放せなくて』
焦ったような爽子の声。
「……なんで三浦いるの?どこ?」
『あの、いま三浦くんの家に来ててね、あ』
『そうそう俺んち』
急に三浦が代わった。
通話口で囁き声。
『風早いま部屋に一人?』
「そうだけどなに?それよりなんで爽子が」
『んじゃいいもの聞かせてあげるよ』
遮る声が意地悪く笑った気がした。ガサガサガサコトンと携帯を置く音。遠くなった三浦の声が爽子を呼ぶ。
『じゃあ貞子ちゃん横になって』
『え?あの、風早君は…』
『また後でかけ直すってさっ』
105電話の向こう側2:2009/05/28(木) 20:14:34 ID:z3SKY2TU
「ちょっ!爽子っ!爽子っ!」
部屋が震えるほど叫ぶが爽子には届かない。
『緊張しないでいいからね。力抜いてこれ脱いで』
『はい』
『電気、暗くするよ』
『はい』
爽子っ!なんでそんな!抵抗してよ!それとも…合意のうえってことか?
今すぐ部屋を飛び出したい衝動に駆られたが、どうにもならないのはわかっていた。外は嵐。飛行機は飛ばない。
爽子と三浦を呼び続けるがこたえる声はない。
唇を噛んで携帯に耳を押し付ける。胸がぶすぶすと焦げつき口内に血の味が広がる。
『いくよー』
三浦の声がしてすぐに爽子が声を漏らした。
『あっ』
まだ固いけど、その声がじきに熱と甘さを増してくることを俺は知っている。
『んん、痛っ』
「三浦ぁーっ!!」
『「痛い」は禁止ねー。じゃあこれは?』
『あっ、だ、大丈夫…あっ、んっ、き、気持ちいい…』
『だろ?』
カッと熱くなる。胸にドス黒い渦が出来て目眩がする。爽子は俺の時はこんな声ださない。こんな素直に話さない。こらえきれない分が漏れるだけ。
―――なんで三浦を受け入れるの。
106電話の向こう側3:2009/05/28(木) 20:22:01 ID:z3SKY2TU
急に近くなった三浦の声。
『貞子ちゃん色白いねぇ。細いから折れちゃいそう。そんで感度よすぎ。我慢できなくてよがってるよ。すぐ涙目になっちゃってさぁ』
楽しそうに話す。
「お前っ、殺すからな」
地から響くような低い声。自分のどこから出たのかわからない。
しかし三浦は気にもせずに笑う。
『興奮するだろ。実況中継してやるからさ、ハハッ、ぬいちゃえばぁ』
ガンッ!!と近くにあった雑誌を壁に叩きつける。
声が先ほどより近くなり鮮明になった。すぐに爽子の大きくはないが切ない声を伝える。
『あっ!そこはダメ!ん、や』
『あははっ。貞子ちゃんかわいー。すごい声。じゃあこれは?』
『はっ恥ずかし…ハァ、や、やめっ…て。あっ、ダ、ダメっ!!いっ……!』

俺の知らない爽子。俺を…裏切る爽子。

107電話の向こう側4:2009/05/28(木) 20:30:04 ID:z3SKY2TU
昏い闇に沈み込もうとする俺を留めたのは、もうひとつ違う笑い声。誰?
『おしまーい。こうたーい』
三浦の明るい声が響いた。
『じゃあ次あたしね。爽子うつ伏せ!』
矢野?う、うつ伏せって?
『ケントは出てけ。ちょっとやりすぎだよ!風早にちゃんと説明しなよね。あたしが聞いてても可哀想になるわ!』
ん?
『えーあやねも面白がってたじゃん。風早の声がこっちに聞こえないように携帯押さえたりしてさ。ねぇ、爽子ちゃん』
『え?なにが?三浦くん、ありがとうございました…い、痛かったぁ』
『いえいえー。練習台ありがとねー痛かったよね。ちょっと胃が弱ってるかもよ。気をつけて。んじゃ、あやねー終わったら声かけてねー』
れ、練習台?胃?
「みうら?!」
ククククと心底楽しそう。
『悪い悪い、あんまりあからさまに警戒してくれるからからかいたくなっちゃってー』
「からかう…」
『今オレ足ツボとかやってんだー。貞子ちゃんどこ押しても反応いいから面かった』
「ツボ…」
『もしかしてホントに信じちゃった?んでやっちゃった?貞子ちゃんのあの声は結構クルね。オレも危うく、たっ』
「爽子に代わって!」
『えーいいの?いま半裸の貞子ちゃんをあやねが施術してるけど。見ちゃうよ?』
「ダメダメ!行くな見るなっ!!」
108電話の向こう側5:2009/05/28(木) 20:39:38 ID:z3SKY2TU
『連休に帰ってくんだって?貞子ちゃんがあやねにキレイにして欲しいって頼んだってさ。オレはオマケで練習させてもらっただけ。お前のためだろ?泣けるねぇ』
じゃあなーと悪びれる様子もなく通話終了。

頭を抱えて座りこむ。
「・・・・・・よかったぁーーっ!!!!」
危うく、どうにかなりそうだった。気が抜けると今度は爽子の声が耳にリフレインする。熱を帯びた体を持てあます。
「俺ってやつは…」

***
『風早君?』
いつもと変わらない声。
「あのね!三浦に、ううん、他の男にあんな声聞かせちゃダメだからね!」
『え?あんなって?』
「とにかく!もう誰かに爽子を触らせるのダメ!」
『…足の裏だよ?』
「ダメ!禁止!俺がやる!」
『えっ、やって欲しい訳じゃないよ。痛いし』
「うん、でも俺が触りたい」
『…うん』
「いっぱい可愛い声聞きたい」
『う、ん』
「早く会いたい」
『うん。早く…帰ってきて』
「うんっ!でもいま我慢できないから……電話でしよ?」

おわり
***
4のケントセリフ脱字ありで「面白かった」です。
すぐによめる展開だろうと思いつつ書いてみた。その後まだ側にいて盗み聞きしてる矢野ちんとケントに笑われたらいいと思う。
109名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 23:35:40 ID:z34OT5NX
GJ 可愛い
健人ひでぇよw
風早TELエチーでいいのか
でも風爽のTELエチは
なんかやらしそうだ
110名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 00:42:55 ID:W3A6a+Tm
GJー!
面白かったです
ありがとう!
この後は電話でなのか…w
111名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 06:11:43 ID:6IdygCmX
GJGJ
最後あたりの、爽の冷静なツッコミにワロタwww
112名無しさん@ピンキー:2009/05/30(土) 21:34:19 ID://LF5j9P
むしろ爽が計算じゃないのが本気で疑しくなってきたwww
113名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 22:03:42 ID:mbvCxWFN
遅くなりました。
散々展開に迷ったわりには、短いですm(__)m

※今回も、爽子が可哀想な描写が多いです
前回より凌辱的なシーンもあります

苦手な方はスルー推奨です
114月が見ていた:2009/05/31(日) 22:04:50 ID:mbvCxWFN
「おっ、お目覚めか」
「爽子っ!!!」
「……かぜはや…くん…?」
朦朧とした意識の中、爽子は翔太を見る。
その頬は涙で濡れ、胸には沢山の赤い跡が散り、そこで起こった惨劇を物語っていた。
「かぜはやくん…にげ…て…」
「起きてくるのが遅いよなあ。」
「あんたが眠ってる間、よっく楽しませてもらったよ。」
男は冷酷な笑みを浮かべ、まるで所有物のように、爽子の乳房をグイッと掴んだ。
「ふぅっ…!!」爽子は痛みに顔をゆがめた。
「やめろ!!!」
「いっぱい可愛い声出してもらったよなあ…?」
男はそのまま爽子の胸の蕾を、ふにふにと弄る。
「ふぅ…や……いや…」
「やめてくれ…!頼む…」
愛するひとの前で、こんな姿を見せてしまっている。
爽子は自責の念でいっぱいになり、ただ睫毛をふせて涙を落とした。乾いた砂に、ぽつぽつと雫が落ちる。

「ほらっ、彼氏ももっと近くで見たいだろ!」
仲間の一人が、固く縛られたロープの結び目を掴み、翔太の身体を爽子の前にドサッと投げた。
「風早くん……!」
倒れ込んだ翔太は、しゃがみこんだ爽子を見上げる形になる。
「こんな可愛い彼女ひとりじめなんて、ずるいもんな…?」
115月が見ていた:2009/05/31(日) 22:08:59 ID:mbvCxWFN
その時だった。男の手が、爽子のワンピースの裾の中に入った。
「やめろ!!!!!!」
「……!?」
爽子が声を失った瞬間、男の指が、爽子の一番敏感な場所を撫でた。
「…ふぅ……!?」
そこは他人はもちろん、自分でも触れた事がないところだった。
爽子は脚の先から襲い来るざわざわとした感情を、必死で振り切ろうとした。
「やっぱり濡れてるわ。」
男は下品な笑みを浮かべた。
「ほら、彼氏も見てみろよ」
男ははだけきった爽子のワンピースを一気にはがし、翔太の目の前で脚を開かせた。
「…いやあ……!」
小さな下着一枚で覆われた白い脚が、露になる。
「よーく見とけよ」
再び男の手が、下着の上から敏感な場所をくちゅくちゅとこねくりまわした。
「……いや…」
「ほら、気持ちいいって言えよ。」
「そしたら、酷いことするのはサワコちゃんだけにしてもいいよ」男は心にも無い言葉を浮かべ笑った。
―――そうすれば、翔太くんだけは、助けて…くれるの…?
「…きもち……ふぅぅ…、い…です……ふ…」涙をはらはらと流しながら、爽子は呟いた。
「爽子!!!もういいから……おれのせいで…ごめん…!…弱くて……ごめん…」
淡いピンクの下着に、透明な染みが広がってゆく。
男は濡れた指を爽子の顔の前に持ってきて「見てみろよ、こんなに濡れてるよ」と下品に笑った。
「…ふっ……やっ……」爽子は羞恥心に顔を背ける。
「お前……」翔太は歯を食いしばって男に向かおうとするが、身動きを取ることができない。
「彼氏の前でこんなに濡らしちゃって、淫乱な女だねぇ」男の指が下着の隙間から入りこみ、爽子の秘所に直に触れた。
「……いやぁ!!」
「やめろ!!!」
そのまま、敏感な場所をかき回され、初めて襲われる感覚に、爽子は気を失いそうになる。
116月が見ていた:2009/05/31(日) 22:10:02 ID:mbvCxWFN
「や、いやああ…!」
男の手は止まらない。
「他の男の手で感じて、恥ずかしくないの?」
「どうなってんのか見せてみてよ」
「……いやぁ!!」
小さな下着は、簡単に取り払われ、爽子の秘所が外気に晒された。
まだ、誰にも、見せたことがなかった部分。

男は、爽子の閉じようとする脚を開かせ、ごくりと唾を呑んだ。
「…すげー、きれーー…」
「え、もしかして、まだ…とか?」
「こんな、エッロいオーラ出しといて…?」
男は隠すものが何もなくなった爽子の秘所を、さらりと撫でた。
「うぅぅっ……」
「やめろ…………」翔太は、絶望の声をあげる。
―――やめてくれ……
翔太は最後の力を振り絞って、縄を解こうと身をよじる。
身体中が痛むけど、彼女の痛みに比べたら何でもない。
「しょた……くん……ごめな…さ…っ…………みちゃ……いや…」嗚咽混じりに爽子が鳴く。
「爽子……!!!」
男の手は、段々速く、激しく、爽子の中を掻き回した。くちゅくちゅと卑猥な水の音が響く。
「…ふぅ、ぅ、やああああ……」
「爽子……!」
「やあああぁ……!!」
「はぁっ!」男は声を漏らし、爽子から手を離した。
「はぁ…はぁ…しょた…くん………」
爽子は翔太に手を差しのべたまま、とさっと倒れた。
「……ごめ……なさい……」
震える唇からかすかな声が漏れ、虚ろな目からは、もう枯れてもおかしくはない、一筋の涙が流れ落ちていた。
117名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 22:13:06 ID:mbvCxWFN
以上です。
短くてすみません。

正直、このあとどうすればいいか分からなくなって書けませんでしたw

必ず風も爽も救われるようにしたいので、ちょっと捻ってきますm(__)m
118名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 23:09:06 ID:rWQAeVjd
GJ!!
待ってたよ!
職人さんのペースでゆっくりかいてくれ!
119名無しさん@ピンキー:2009/05/31(日) 23:48:11 ID:86MGRgEH
GJ!お疲れ!待ってるよん。
120名無しさん@ピンキー:2009/06/04(木) 19:37:34 ID:pXVmgaoM
まだかなまだかな・・・
121名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 23:51:27 ID:bBed6ed/
( ゚д゚ )ワクテカ
122名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 17:04:15 ID:pLYKrZ09
ほしゅー
123名無しさん@ピンキー:2009/06/09(火) 22:08:24 ID:h7AyQJQ7
ほす
124名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 18:21:20 ID:lXqf2eUd
連載再開みたいだね。
うわあああ楽しみだよおぉ

記念保守。

職人さんも頑張れ頑張れ。
125名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 20:34:46 ID:Dq8qC7a7
今回は本当ぽいのかな?
嬉しいねえ
古株の職人さんももちろん、新規の職人さんも増えてくれるといいなー
126名無しさん@ピンキー:2009/06/10(水) 23:42:28 ID:ca6MLDE9
実物みるまで信じないんだからねっ
127名無しさん@ピンキー:2009/06/12(金) 23:18:00 ID:wydTnlJw
ほしゅあげ
128名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 04:54:11 ID:glTjHlwA
おはようー。
まったり保守…。

私もなんか面白い妄想思い付くといいのにな…。
129名無しさん@ピンキー:2009/06/13(土) 10:14:22 ID:e0eYi7/6
おはよっさーん
ほしゅ
130 ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 20:08:56 ID:JhvBlsGF
軽め 大学生風爽 ヤッテルだけw
再開記念ということで

−−−−−−−−−−

小さなアパートのドアがかちゃりとあいた。
そしてその後すぐ電気がついて部屋が明るくなった。
そこに怪しげなマントをつけた男が一人、
そしてその後にちんまりとついて小柄な女が一人入ってきた。
その部屋の主の風早とその恋人である爽子である。

風早は白いシャツに黒いベストとスラックス 
そして赤い裏地のついたマントをつけている。
最もスタンダードないわゆる【吸血鬼】の格好だ。
そして爽子は白いふわりとした古風なワンピースを身につけ
手にはパーティグッズの店で見るような背中に着ける羽根をもっていた。

二人は風早の大学の友達が主催した
合コン件ハロウィン仮装パーティに行ってきたのだ。

風早は爽子手作りのマントで吸血鬼に
爽子は天使の格好に扮して参加した。
どちらもよく似合っており、特に風早は爽子が隣にいるにも関わらず
相変わらず秋波を送られ
それを受け流すのになかなか苦労した。
131 ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 20:17:06 ID:JhvBlsGF
鳥はいらんかった何故か。夜勤明けです。
題名は「襲っちゃいますよ」やな人はNGワード対応

−−−−2−−−−−

「楽しかったね!こんなイベントはじめて…!
でもよかったの?翔太君の学校の人の主催イベントに呼んでもらって
何か気まずい思いをさせたんじゃ」

「いいって!友達とか恋人とか自由に呼んでいいってイベントなんだから。
それにいっつも爽子のうまい差し入れもらってるから
もう友達みたいなもんだってアイツも言ってたよ。」

「と、友達…!…嬉しいなあ…。」

世界が広がった今でも爽子は人から手を延べられるたびに涙ぐんで喜んだ。

「もー爽子はちょっと感動屋すぎるよ。」

風早にしてみたらこんなに誠実で優しい爽子が受け入れられない方がおかしいと思っている。
あんまり当たり前の事だから一々感動する爽子が不思議でたまらない。
それは可愛くて愛しい美点だとは思うけど
ひとの好意に対する無防備さが時々心配になる。
24時間絶対傷つかないように見張ってるわけにはいかないんだから。

「もっと図々しくなっていいよ。
爽子はすっげーいい子なんだから皆が好きになるの当たり前!」
132夜勤あけ 襲っちゃいますよ3  ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 20:20:26 ID:JhvBlsGF
言ってしまってから自分の恥ずかしい台詞に気付き風早は耳まで赤くなった。
爽子もその台詞に赤くなって俯いた。
そのまま二人で赤くなって黙り込んだが少ししてからちらりと爽子が風早を見上げた。
そして風早と眼が合うとほろりと解けるように微笑んだ。
「…ありがとう。」
風早はその爽子スマイルに胸を打ちぬかれながらもようやくうん、と小さく呟いた。
爽子は頬を桃色に上気させながら嬉しそうにもう一度笑った。
風早はそんな爽子が可愛いなあと思いながらマントを脱いで側の椅子にかけた。
爽子はぽっと赤くなりながら風早をみつめた。
「…ん?どうしたの?」
「うふふ、やっぱり似合うな…と思って。本物の吸血鬼みたい。」
風早はくすっと笑うと爽子をぐいっと引き寄せ首筋に唇を落とした。
「…あっ」
爽子が小さな声を漏らし、羞恥に眼の縁をほんのり紅く染めると風早は囁いた。
「本物、だからね。獲物を食べちゃわないと。」
爽子がかぁっと赤くなるのを満足そうに見届けると風早はもう一度爽子に囁いた。
「先、シャワー行く?…一緒に入ってもいいけど?」
爽子はますます赤くなって小さく「一人で行くよっ…もぅ…意地悪…」と返した。
133襲っちゃいますよ4 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 20:27:40 ID:JhvBlsGF
爽子がシャワーから出ると入れ違いに風早がシャワーを浴びに行った。

バスタオルを体に巻いたまま髪を簡単に乾かし
風早の部屋においてある爽子用の着替えのTシャツに袖を通そうとして
ふと風早の脱いだマントが目に入った。
(…翔太君の吸血鬼かっこよかったなあ…女のひともみんな見てたもんなあ。)
それにつけても己の仮装の冴えなさよ…と爽子は自虐的な思考に陥ったが
風早が「可愛い」と褒めてくれたのでよしとしようと思い直した。
実際は爽子が気付かなかっただけでたおやかでほっそりした爽子の可憐な姿に
艶を含んだ視線を送るものがいなかったわけではないのだが。

そんな事は欠片も思いもせず、マントを見ているとふ、といたずら心がわいてきた。
風早はシャワーに行ったばかりでまだ戻ってくる気配はない。
爽子はちらっとバスルームを見てからはらりと身につけていたバスタオルを落とし
素肌にそのマントを羽織って見た。
ふわりと風早の匂いがして 
まるで抱きしめられてるかのような錯覚に陥り体にぶわりと熱が篭った。
(ああんもう、なんて私ってエッチな子なんだろ!)
134襲っちゃいますよ5 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 20:32:59 ID:JhvBlsGF
ぶんっと頭をふってそのままとてとてと鏡の前に移動してみる。
風早に合わせた大き目のマントはすっぽりと小さな爽子を包んでしまう。
爽子は恥ずかしいと思いながらも風早の真似をして吸血鬼っぽいポーズをとってみた。
とたんに恥ずかしさが極に達して頭に血が昇る。
(ヤダ、喉からから)
くるりと周りを見渡すと風早が飲み残した麦茶が眼に入り後で
もう一度いれればいいやとそれを手に取り一気に飲み干した。
その瞬間喉が焼け世界が回った。
それは爽子がシャワーを浴びてる時に風早がちびちびと飲んでいたウィスキーだった。
酒に弱い爽子と違い風早はザルで、酒はストレートで飲むことが多かった。
(やだ、これしょーた君のお酒…!?)
けほけほと強い酒に咳き込みながら鏡に映った自分を見ると唇がアルコールのせいで上気してまるで血をすすったように赤い。
まるで自分が吸血鬼になったような気がして爽子はこそっと呟いてみた。
「きゅ、吸血鬼ですよ〜襲っちゃいますよ〜」
気恥ずかしいのになんだかウキウキしてきてポージングしながらうふふと爽子は微笑んだ。
その瞬間、少し意地悪げな声が楽しそうに響いた。

「うん、襲って」
135夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 20:38:38 ID:JhvBlsGF
ちょっと眼が疲れたので後半は後ほど
136襲っちゃいますよ6 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:05:57 ID:JhvBlsGF
続きです

−−−6−−−−

爽子が瞬間に振り向くと上半身には何も身につけず
無駄な贅肉のない体を惜しげもなく晒して
風早が楽しそうに爽子を見ていた。
恥ずかしさと酔いでかぁっと赤くなる爽子に
風早はすっと近付いてくいっと爽子を引き寄せた。
「…襲わないの?抵抗しないよ?」
爽子は赤くなって俯いたが酔いと体に点った熱に突き動かされて
少し微笑みながら風早を見上げた。

見たことのない妖艶な笑みに一瞬風早は息を止めた。
「しょーたくん…私じゃしょーたくんの首まで牙が届かないよ?
…ちゃんと、こうしないと。」
と爽子は華奢な体で風早の体をそっとおしたおした。
力的に抵抗できぬわけもないのだが
とても逆らう気にはなれず風早は爽子の白い手がかける力のままに押し倒された。

煽った風早もまさかここまで妖艶な爽子が出現するとは思ってなかったため
爽子の次の行動の想像もつかずただされるがままになっていた。

「さわ…んんっ」
言いかける風早の唇を濡れたやわらかい唇が包んだ。
そして普段は自分から忍び込む事はほとんどない貞淑な舌がぬるりと入り、
絡んできた。
137襲っちゃいますよ7 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:08:07 ID:JhvBlsGF
それがそっとはなれた頃には
風早は自分がトロトロに融かされていることを朦朧と感じた。
普段慎ましく、情事のときですら恥ずかしげに
おずおずと快楽に身を許す爽子がキスしてくれた。
しかも小鳥のような軽いキスではなく熱く濃厚な口付けを。
その事実が風早を一気に蕩かしたのだ 。
爽子は再び艶めいた笑みを浮かべた。

「…おいし。」

酔いが後押しするのか
爽子はそのまま風早の素肌にかぷっと噛み付いた。 
ちょっと歯を立てられ軽く眉をしかめる風早に
爽子はくすっと笑った。
「抵抗しちゃだめ。」
そのまま首筋に唇は移動しまたかぷっと噛まれる。
襲ってくる劣情の誘いに耐え切れず
風早が爽子をひっくり返そうとするも熱情に潤む瞳に止められた。
「だめ。…襲われてるのはしょーたくん…なんだから。」

「…いいの?いつもは」
ベッド以外でスルの嫌がるのにって声ももう一度爽子に飲み込まれた。
爽子が風早の体に唇やら舌やらを這わせる様は
まるで猫のようにしなやかで官能的だ。
爽子の大きな猫のような瞳がちらりちらりと風早を見上げ、
その度に体の熱が弾けて蕩けだしそうに上昇していく。
138襲っちゃいますよ8 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:10:26 ID:JhvBlsGF
風早は 本当に魔法にかけられたかのように動けなかった。
これが夢じゃなきゃいいなぁ
とぼんやり快感の渦の中願うのが精一杯だった。

しかし爽子の柔らかな愛撫は次第に快楽を苦痛へと変えていく。
高まって今にもはじけそうな熱をどうにかして欲しいのに
手弱かな白い指は肝心なところには触れてくれないのだ。
何度も触れそうで遠ざかる快楽の波に
風早はついに根をあげた。

「…はっ…ぁ爽子…っ焦らさないで…」

焦らさないで 早く早くその熱い体におれを飲み込んでよ
今なら溶かされて食べられてしまっても
至福の中で死んでくから
だから早く

風早が熱に浮かされそんな事を考えていると 
囁くような声が申し訳なさそうに風早の耳に忍び込んできた。

「…ごめんなさい、どうしていいかわからないの…」

見ると爽子は真っ赤な顔で少し酔いが覚めたのか
羞恥心に消えてしまいそうに小さくなっている。

風早は快感に朦朧となりながらも
荒い息をなんとか抑えるとにっと笑った。 
そして自分に乗っている爽子の華奢な体を引き寄せると
耳元にそっと囁いた。

「…おれのいうとおりにして。」
139襲っちゃいますよ9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:14:25 ID:JhvBlsGF
そして戸惑う爽子に熱い息と共に言った。
「自分で、挿れてみて。」

戸惑う爽子の細い柳腰をぐっと持ちながら
風早はもう一度同じことを囁いた。
そしてそのまま爽子の腰をやんわりと持ち上げ
自分のはちきれそうな熱い幹を爽子の入り口に宛がった。
そこはすでに濡れそぼっており十分風早を受け入れる準備ができていた。
ノックするようにつついてやると爽子の体が敏感に揺れた。
「…!んぅ…っ」
風早が少し動かしてその先を促してやると
爽子が熱い息を吐いてこくっと頷いた。

「…ちょっと待ってて。」
風早が準備をしようと体を少し動かすと爽子がそれを止めた。
「爽子…?」
爽子ははにかみながら、そっと言った。
「あの…私が。」
すべて言えずにふしゅううっと赤くなりながらも
爽子の細い指は意思を示していた。
風早は少し息を飲んで爽子をみつめ、いいの?と目で問うた。
答えの代わりに爽子は薄い袋をあけ、
中身を取り出すと風早の前を寛げた。
熱く息づき脈打つそれに爽子は一瞬息を止めおそるおそる触れた。
ぴくんっと風早が体を動かすと爽子はびくっと手を離した。
140襲っちゃいますよ10 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:23:08 ID:JhvBlsGF
風早は焦れながらも愛しさに胸を突かれ、優しく言った。

「ムリ、しなくていいよ?」
ただでさえ、羞恥心の強い爽子は明るいところでのセックスを好まない。
そして常に受動的であるがために
自らの快感を引き出し、苛み、蕩かしていく熱塊を
間近でみた事などないはずなのだ。

爽子はその言葉にブンブンと首を横に振った。
そしてそおっと震える手で薄い避妊具を脈打つ風早の分身に着けた。
風早は真っ赤になりながらも懸命にそうしてくれた爽子が可愛くて
そしてその光景があまりにも淫らで
いますぐにでもその華奢な体をひっくり返して荒々しく突きいれ、
爽子という甘い実を貪りたい衝動に駆られた。
それをぐっとこらえて爽子の腰をもつ手に力をほんのりこめ、意思を伝えた。
「…がまん、できない。爽子、お願い。」
「う、うん…」
爽子は少し腰を浮かせると
屹立する熱い彼自身を自分の濡れる泉にあてがった。
そしてそのままずぷっと彼を自分の中におさめていく。
「は…っんんっ…ぁぁぅっ」
秘肉がねとりと彼に絡みつくたびに
堪えきれない快感が爽子の喉から甘い声を引き出す。
自分のものとは思えぬ媚を含んだ甘い声に
爽子はますます羞恥心が煽られる。
141襲っちゃいますよ11 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:25:35 ID:JhvBlsGF
風早をすっかりとおさめると爽子は熱く長い息をついた。
繋がっているだけでも沸きあがる幸福感と
常にないところを刺激される感覚に急激に快感が体すべてを駆け巡っていく。
血液の代わりに快楽が流れている気さえする。

そんな爽子に風早は熱い息をこらえてからかうように言った。
「動いてくれなきゃ、辛いんだけど。」
「はぁ…っんんっう、動くって…ふぁ…!やあぁ…!」
風早が腰を動かすたびに深い場所を刺激され体中がおかしくなる。
風早も熱い息をこらえるように爽子に途切れがちに囁いた。

「んぅ…、そう、いいよ。じょうず。
もっと、気持ちよくなっていいから、好きに、動いてみて。」
風早の体の上で白い魚のように爽子のしなやかな裸体が跳ねる。
風早の腿も腹も爽子の甘い液で濡れる。
爽子の淫らな体液と甘い汗が風早に染みこみ甘く融かしていく。
絹のような肌に漆黒のマントがまとわりついて
闇に浮かぶ月みたいだと風早はぼんやり熱の中思う。

慣れない体勢と動きに戸惑いながらも
爽子の敏感な体は徐々に快感を生み出す律動をみつけ始めた。
「はぁん…っしょ…たくん…っ…痛く、ない?…あああんんんっ」
142襲っちゃいますよ12 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:29:01 ID:JhvBlsGF
「ん、良いよ…っ爽子、かわいい…ぅんっ」
風早は爽子のなだらかな腹から掌をすべらせ、
絹肌の吸い付くような感触を楽しみながら
控えめな爽子の隆起に触れた。
ふにゅっと柔らかく愛撫すると爽子の体が大きく跳ね、
内部がきゅうっと風早を締め付けた。

「ふっ…さわこ…すごいよ、すごくきもちい…」
「ぁあっん!…ほ、ほんとぅ…!?」

風早は答えの代わりにもう一度爽子に微笑んだ。

「うれしい…」

風早は愛しさが自分を壊しそうな気さえした。
その愛しさが急速に風早を限界まで連れて行く。
爽子と少しでも長く繋がっていたいのに、
爽子が愛しすぎていつも途中でそれは挫折する。

「さわこ…今度はおれが」
「え…?ぁああっ…!」
今まで爽子にあわせて動くだけだった風早が下から激しく穿ち始めた。
「はっ…ああんっ…あぅっ!」
爽子が声をあげるたびに内部がきゅうきゅうと風早を締め付け
風早は互いの限界が近い事を察した。
風早は爽子の所在無げな手をとると自分の手と握り合わせた。
掌の熱さが互いに愛しさを伝え合う
143襲っちゃいますよ13 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/06/14(日) 22:31:36 ID:JhvBlsGF
「しょ、たくん私、もう」
「ん、おれ、も。」
風早が欲を吐き出すと同時に爽子も果て、
風早の体の上にそっと倒れこむように自分の体を重ねた。
そして二人で蕩けるような幸福感と、
全力で駆けた後のような倦怠感にゆったりと浸った。

−−−−−−−−−− 

数日後、爽子の家に久しぶりに帰省したあやねと千鶴が遊びに来た。
「今お茶入れるから待ってて」
とお茶の準備をしてきた爽子に軽く礼を言ってくつろいでいた千鶴が
側にあったミニアルバムを見つけた。
「爽子、アルバム見ていい?」
「え、うんもちろん」
爽子がお茶を入れている間にアルバムを覗き込んでいた
千鶴とあやねが声をあげた。
「仮装パーティ?へー風早のガッコの友達も洒落た事するねー。
爽子は天使ね。よく似合ってんじゃん。」
「お、お恥ずかしい限りで」
「風早は…お、生意気にも吸血鬼か。」
あやねがにやりと笑った。
「まあ 風早は爽子専門のバンパイアだろうけどぉ?
『襲っちゃうぞ』なんて言われたんじゃない?」
冗談交じりのその言葉に爽子はがしゃがしゃと
手に持っていたティーポットを落とした。
真っ赤になり、尋常じゃなくうろたえた爽子は
その後すべてをあやねの巧みな誘導尋問で
吐かせられたのであった。
(おしまい)
−−−−−−−−−−

ここまでです。
風早と爽子はバカップルになってほしい。
145名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 01:40:54 ID:G2Sagcaj
GJでーす
あー
この風早つぼっ!
146名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 03:31:00 ID:Yu7mH09H
夜勤明けさん投下きてたーーーー( ゚∀゚)o彡゜
イイッ!!GJです。積極的な爽子はかわいすぎる。

どさくさにまぎれて裸マント爽子・・・投下しておきますね。
ttp://www.ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo/01.jpg
147名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 20:57:04 ID:KaKxa9Gp
おふぅ…!いいねーいいねー
gjです
148名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 22:55:31 ID:O2PApRet
GJ!どうしたらいいかわからない爽子かわいいよかわいい!そんで裸マントの折れちゃいそうな細さと妖しさ、いいっ(*^^)b!
149名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 21:42:07 ID:ZplyF6LT
ぐぐぐぐぐGJGJ!
マント爽子かわいいな!積極的な爽子はいいねいいね!


久しぶりにリハビリを兼ねてギャグちっくな風爽を書いてみた。
オチとか全然ないよ!さーせん!
本誌再開を祝ってこそっと投下させてください。スレ活性化に支援…!
150【 どんなきみでも 】 1 :2009/06/16(火) 21:44:01 ID:ZplyF6LT


机の引き出しから出てきた衝撃的なものに、爽子は一瞬にして目が点になった。
しばらく思考回路が低下して、じわじわと少しずつ事態を把握していく。

無意識のうちに、引き出しの中に手を伸ばしていた。
ゆっくりと震える手でそのブツを引っ張り出して、目の前に掲げた。

放課後に一緒に学校を出て、受験勉強のために風早家で一緒に勉強をすることになり、
爽子は制服姿のまま翔太の部屋に訪れていた。

たまたまペンケースの中に消しゴムが無かったため、翔太の机の引き出しを引いて
消しゴムを探していたところで、その雑誌の切り抜きを発見してしまったのだ。

おそらく、そういう類の大人の絵本のなかの1ページを切り取ったものであろうそれは、
淫らな格好でこちらに色っぽく視線を向ける、女性を写したものだった。
綺麗に透き通った純白の肌に、ぽってりとしたピンク色の唇と、大きな漆黒の瞳を縁取る長い睫。
黒くてまっすぐの長い髪がざっくばらんに腰のあたりに散らばっていて、
その光景がやたらにエロチックな雰囲気を醸し出していた。

爽子は、思わず女性の胸元に目線をやった。
自分よりも、数倍大きくて、豊かなバストがまぶしく映る。

無意識に ぴとっ、と片手で自分の胸に触れた。
お世辞にも大きいとはいえない、控えめサイズの膨らみの感触に、どこか虚しさを感じる。
151【 どんなきみでも 】 2 :2009/06/16(火) 21:44:53 ID:ZplyF6LT

「……黒沼? なしたの?」

自分の隣に戻ってこない爽子を不審に思って振り向いた風早は、
爽子の手にあるものに目を向けて、慌ててがばっと勢いよく立ち上がった。

「―――くくくくろぬま!! それ!!」

焦りすぎて舌が回っていない。背中にだらだらと冷や汗が流れ落ちていくのを感じた。
先ほどから俯いたまま微動だにしない爽子の様子を見て、愛しの彼女の機嫌を損ねてしまったのではないかと
内心ドキドキしながら、そうっと彼女の瞳を覗き込んだ。
爽子の深い瞳がうっすらと潤み始めて、そのまま真っ白い頬にぽろりと一筋、涙が零れ落ちた。

「く、黒沼…ごめん。それ、友達の…雑誌をちぎったやつなんだ」

彼の言い訳としては、以前、友達から貸してもらった雑誌の中に、当時の彼の思い人である
愛しい彼女に雰囲気が似ているグラビアアイドルのページを見つけてしまい、
いてもたってもいられなくなった彼は無我夢中でそのページを引きちぎり、
「これは誰にも見せられない」という確固たる決意のもと、彼の机の引き出しに封印したまま放置されていたのだという。

「だから…ええと……黒沼、泣かないで……」

爽子の小さな頭を撫でながら、懸命に言葉を紡いでみるも、未だ彼女はこちらを向いてくれない。
微かにふるふると首を振った気配がしたものの、それからは小さく嗚咽を堪える音が部屋に響き渡るだけだった。
風早はどうすればいいのかわからず、とりあえず爽子の後頭部あたりをナデナデするに勤めた。
152【 どんなきみでも 】 3 :2009/06/16(火) 21:48:01 ID:ZplyF6LT

「…ごめ…なさ…い」

しばらく口を噤んでいた爽子が、とつぜんポツリとなにか呟いた。
小さな声だったので、正確に聞き取れず、風早はもう一度爽子の耳元に頬を寄せた。

「ごめん、なさい」

再度、蚊の鳴くような小さな声で、爽子がはじめて風早と目を合わせた。
爽子の瞳にはまだ涙が浮かんでいて、その痛々しい光景に風早は思わず胸が痛くなる。

「わたし…この写真の人より…ぜんぜん、小さいから……」

爽子の澄んだ瞳から堪えきれずに一筋の涙が零れ落ちた。
それを人差し指で優しく拭って、風早はまだ爽子の真意が読み取れないまま、ふわりとその細い体を抱き締めた。

「…えっと…ごめん、話が見えないんだけど…?」

くすりと風早が苦笑いした。爽子はその顔を見上げて、ちょっとだけ眉根を寄せた。

「…む、胸が…わたしのは、このひとよりずっと小さいもん…」

爽子の予想外の言葉に風早はびっくりして目を見張った。
ていうか、もん…!もん、って!!

『かわいいなああもう!』と本題とは別のところで、
萌えポイントをしっかり刺激された風早がこっそりニヤけた顔を片手で隠した。

こほん、とひとつ咳払いをして、爽子にまっすぐ向き直る。


「どんな黒沼だって、俺が黒沼をすきな気持ちは変わらないから」


突然の風早の宣言に、今度は爽子がきょとんとする。
風早の言葉をひとつひとつ把握して、次の瞬間、ぼぼっと頬を赤く染めてうろたえた。
153【 どんなきみでも 】 4 :2009/06/16(火) 21:50:44 ID:ZplyF6LT


「で、でも…あやねちゃんは、基本的に男の人は胸の大きい女性が好きだと」

「みんながみんなそうじゃないよ!」


『それに、俺はマニアック嗜好(な方だと自覚している)からそういうの関係ないよ!』
という心の声は口には出さず、爽子の主張を全力で否定して、
爽子の制服の白いシャツに包まれた、控えめな膨らみにそっと目をやった。

『……黒沼の胸って、ちっちゃくて、かわいいな……』

『…どんな感触なのかな。やっぱ、柔らかいのかな……』

『……さわって…みたいな……』

思考と目線がすっかり爽子の胸元に向いてしまい、爽子が先ほどから風早の視線が自分の胸を捉えていることに
気づき、更に赤面してぎゅうっと目を瞑っていることに彼はまったく気づいていない。

そしてふと、以前ガールズトークのネタとなったあやねの一言を思い出し、爽子は瞳を輝かせた。


『あのね、胸おっきくするには、すきなひとに揉んでもらうのが一番よ!』



「か、風早くん!……あの、あのね……?」


その後、爽子の儚げな唇から告げられた、夢のような内容の提案に、
風早は今度こそ顔のニヤけを止められずに、幸せそうにふにゃりと頬を緩ませた。




おわり


――――――
以上です。
お付き合いドモでした。
またネタが浮かんできたら投下しに来ますね〜。
職人さんの投下にもwktkしておきます…!
ではでは失礼します。
154名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 22:52:18 ID:eHNCxC9j
乙w
155名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 02:39:05 ID:ufqDjBDD
かwぜwwはwやwwww
ワロタgj

自分も久しぶりに書いてみようかと思ったら、全然書けなくなっててワロス
職人さん、カモン!!
156名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 21:26:33 ID:Fx2i5z/2
マント爽子絵 妖し美しいな
絵職人さんも楽しみにしてる
157名無しさん@ピンキー:2009/06/17(水) 21:48:28 ID:N81DTEVb
爽子かわいいよおおおお

萌え心を刺激されました
何かそういうポイントをつくような展開がすごく上手いね!
どーか是非また書いて下さい
158名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 14:34:25 ID:1CvVq4Zx
ほっしゅ

きっと今頃、職人さんたちは投下準備中……IYH!!!
159名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 17:56:11 ID:LJqGaQHA
マント爽子はフェ○うまそう。

妄言ほっしゅサーセンww
160名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 18:28:15 ID:8PZnhsAJ
>ていうか、もん…!もん、って!!
>『かわいいなああもう!』


お前は俺かww
161名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:13:39 ID:2pmw4sZq
管理人さま、いつもご苦労さまです

遅くなったけど再開記念に、合言葉は“エロパロはファンタジー”
前スレ389のつづき、今回は拘束もなくノーマルHの風爽
□□□

1▼同じ体勢で寝続けていたのか、肩が痛かったので俺は寝返りをうった。
間接的に照り返す日差しが透けた瞼の裏にまで入り込んでくる。
目を開けるのも億劫で、手探りに布団を掴もうとする指にやわらかいものが触れた。

(おモチ??)
「んー…」

上体を起こして、ぼやける視界をグーの手で擦った。

「え、さわ…こ?………………………あっちょんぶりけー……じゃなくてっあわ、あわわあわっわわあ!!!?」

爽子はすぐ隣でいつもと変わらないというような顔をして眠っていた。
でも違う、違うんだ。
両の手首はタオルで縛られ、それはベッドヘッドの主柱に掛けられている。
肘下に僅かばかりノースリワンピースが引っ掛かっていたが、前がら空きの丸見え状態では意味もなし。
そう、つまりほぼ全裸、今なら全身のホクロも数えられちゃいそうなほど全裸。
てか、俺も全裸。

俺は光の速さで目の前のパラダイスを脳みそに永久保存し、尚且つダビングを繰り返した後に、恐々そうっと彼女に布団をかぶせた。
心臓がばっくんばっくん上下して破裂しそうだ。

(おれ……あれ、俺がした!??ねえ!俺がしたのっ???)

自分でも呆れかえるほどの醜態を晒しながら、祈りに誓い問い掛けだった。
翔太の記憶は昨夜みんなと別れたあたりから、すっぽりと消え失せていた。
膝立ちの合間に揺れるイチモツはただ馬鹿正直に天を仰いでいる。

(正直すぎるっつーの!)

恨めしく自分の股間とこぜりあいをしていた翔太に、起き抜けのふにゃふにゃ声が降りそそぐ。

「しょぅた、くん…?」
「うぇっ!あ、お、おっは、ょ」

俺は下心丸出しの下半身を隠そうと、爽子にかけてやった布団の端を拝借すべくたぐり寄せた。
その瞬間、重力にならって平らに形を変えた胸が露わになる。

「ッ!!!」
「ふ……」

まだ八割がた夢心地の爽子は、小さな摩擦にくすぐったがって首を竦めるだけだった。
絵画的な艶やかさに圧倒されながら、俺は恐る恐る出来るだけ驚かさないように訊いた。

「さわこ…あの、俺、昨日のこと全然覚えてなくて。これ、えっと……俺が無理やりやった……?」

はっきりと言葉にのせる勇気はなくて視線だけを爽子の上に走らせる。
すこし乱れた髪に束ねられた手首、顔を出した乳房も薄布に守られた肢体も扇情的だった。

「え?……あっ!!私ッ、あ、無理やりじゃない…けどあの、これはそのえ、っと………うん…」
「よね!!!だよなっ!俺しかいないよな、はははっ、はは」
162名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:17:04 ID:2pmw4sZq
(無理やりじゃなくても覚えてないとか最低じゃん、俺…)

「ごめんっ爽子。俺、無理させちゃったよな…。本当ゴメン!!」

ベッドに頭が沈むほど土下座をする俺。
どこからか風が吹き込み汗ばむ背中を心地よく擽るのに、気まずい沈黙は無遠慮に二人の間をぎゅうぎゅうに埋め尽くしていった。

(消えてなくなりてえ)

爽子はそんな翔太を見て、必死に言葉を探す。

「で!でも翔太くん、言ったとおり“ちゃんと”…気持ち、よく…してくれたよ?」

俺のために取り繕って、元気付けるために言ってくれてるのはよーく分かってる。

「俺そんなこと言ったの?てか、きっ……気持ちよくなれたの…?」

分かってる…のに、つい反応しちゃった。
元々恥ずかしそうに頬を染めていた彼女の顔が、みるみるうちに首を通り越して肩まで赤くなっていった。

(何だろう、この生き物は。この可愛さは計算?)

…計算だったらどんなに良かっただろう。
この天然さで周りにキュンキュンを際限なく振りまいてるなんて、あなおそろしや。
翔太は身震いしてしまう。

「いや、それなら良かった…。んー、でも!イイ眺め!」

俺はいつもの調子で、ふざけた物言いに合わせて肩を竦めた。
でも本当は背中がぞくぞく痺れて、体のどっかが酷く乾いて。
手汗はかくは、舌の根は覚えのない疲労でへろへろだは、でまかせの虚勢をはるのも精一杯だった。

腰にいつもの重さがないのが不思議なくらいだった。

(あ゛〜〜〜〜なんで、なんで覚えてねえんだよ!ちくしょっ)

俺はこれほど自分のことを苦々しく思ったことはなかったかもしれない。
M・O・T・T・A・I・N・A・I!!!

「…は、恥ずかしいよ…」

不意に爽子が身を捩る。
揃えて揺れた膝が、隠しているとはいえ、起ちあがったままの翔太の逸物を掠めた。

「あ!ぅ」
「!!」

下半身からくるダイレクトな刺激に俺の口から出た間抜け声。
ガバッと掌で顔半分を覆い隠しても、なかったことには出来ず爽子の耳にはしかと届いてしまった。
爽子はへどもどした様子で真っ赤な顔を引き攣らせていた。
163名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:20:39 ID:2pmw4sZq
「………」
「ごめんなさい!あの、大丈夫……?んんっ!!?」

翔太は爽子の唇をきつく奪った。
息つく間もなく、角度を変えては何度も何度も重なり合わせる。
ついていた翔太の腕が折られ、爽子の頭を優しく撫で、包み込んでいった。
近くなった体から惜しげもなく体温が漏れ、翔太の体を甘い痺れがはしる。
細切れに漏れる爽子の吐息が翔太の顔をくすぐる。

「はっ…ごめん、やっぱこんな爽子見てたら我慢できないや」

小さい声で爽子にだけ聞こえるようにそう言うと、期待をこめて自分の腰をぐっと押しつける。
爽子は先の口づけで潤んだ瞳にで翔太を見上げた。

(あーー、もう…。そんな顔で見つめないでよ本当)

ついつい苛めたくなる気持ちを抑えて、額をつけて見つめ返した。
俺は再度優しく触れるだけのキスをした。

「ん…」
「昨日は俺にどんなことされたの?」

教えて?、と続けると目を伏せてもじもじと爽子は喋りだす。

「手を縛られて、いっぱい…な、舐めてくれて、キレイにしてくれた……」
「……それから?」
「私が声を出したら、翔太くんが…あの、あ、い、…いれたくなっちゃうからって……そこに落ちてる、ハンカチを口に…」

翔太の頭から血がスルスルと抜けて、顔面蒼白、絶句の一途。
これで腰の軽さとの合点がいく。
思う存分好き勝手した上に、幸か不幸か、いれていないのだから当たり前。

「…それで、私が…気持ちよくなって寝ちゃったの…。しょ、翔太くん?」
「…………。ごめん、本ッッ当にゴメン!!!やっぱりやめよう…俺、バカすぎる…」

翔太は顔も上げず、爽子の手首の拘束を解いて何度も何度もさすり、少し離れて座りなおした。
情けなさに握った拳に嫌な汗が滲んだ。
どうしても爽子の顔が見れない。

「そうだ…ご飯にしよっか?俺もかるくなら作れるようになったんだ…」
「………、翔太くん」

言いながら衣服をかき集めていた翔太に、爽子は静かに、でもはっきりと響く声で呼び止めた。
手を止め振り向くと、珍しく強い意志を露わにした瞳があった。
いつのまにかワンピーを脱ぎ、シーツを胸元で抱き締めた爽子が、さっきまで翔太のいた場所をぽふぽふと叩いている。

“こっちへ来い”と暗に迫られるがまま、翔太は従い、おずおずと正座で傍に寄った。
たおやかな両腕が伸びあがる。

「やだ…」
「え…?」

翔太の首に回された非力な腕に力が籠もった。
かと思えば、するりと片腕がほどける。
つーっと下腹部を撫でた指がそのまま降りて、逸物を握られた。
164名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:28:30 ID:2pmw4sZq
「ゥッあ!」
「こんなに、…く、苦しそうだし、やめちゃダメだよ…」
「だめだって!そんな、自分勝手なことばっかりしてるのにこれ以上…」
「じゃあ………あのっ私が、“してほしい”なら…いいよ、ね…?」

今まで“行為”自体を一度だって爽子から求めてもらったことなんかなかった。
いや、それは性格故ということは充分に理解していた。
告白から始まり、手を繋ぐのにもキスをするのにも何ヶ月もかかった。
こういった行為に及ぶことはもうないのかと思うほど。
それでも、なんとか高校卒業して更に1年かけてここまでこれたんだ。
だから、俺。

(また、都合のいい夢でも見てんのか?)

反応のない翔太をどう思ったのか、爽子がもう一度訊ねた。

「いい…?」
「あ……うん」

一糸纏わず、真白い肌をむき出しにさせた女に詰め寄られて断れる訳がない。
その女性が最愛の人なら尚更だろう。

翔太は苦笑した。

「爽子はさー、甘すぎじゃない?俺、甘やかされすぎじゃない?」
「そ、そうかなぁ…」
「うん。俺を喜ばせすぎっ」
「私なんかが翔太くんを喜ばせることが出来るなんて、嬉しいな…!」
「“私なんか”、じゃなくて“私だから”、だってば」

くすくす笑いあっては確かめるように抱き締めあう。

「よし決めた。今日は爽子の言うことなんでもきく!」
「ふふ」
「ほらっ!笑ってないで、言って?」

もともと欲の薄い爽子は、眉間に皺を寄せて暫く悩んだ。
翔太は笑みを残した顔で耳を澄ました。
遠くの線香花火ほどの小ささで、その言葉は落ちる。

「……………ぎゅって、してくれる…?」
「!!っ、…もー……」
「え?え?ダメだった!?」
「ううん、違う。ダメじゃないよ…。なんでもない」

逸る心臓と下半身をねじ伏せて、爽子をそうっと抱き締めた。
たのしそうに彼女は小さく笑った。

「んー?なに?」
「翔太くん、優しすぎてくすぐったい。翔太くんこそ私に優しすぎるよ」
「…そんなことないよ。してもしても、し足りないぐらい」
「私そんなに“やわ”じゃない。…強く、ぎゅってしてほしい」

翔太は頷いて、日に焼けはじめた筋立った腕で強い男の力で抱きすくめる。
肌の温かさが脳の奥によく響く。

「次はどうしたらいい?なんでも言って。嫌ならやめるから言って?」
「やめちゃやだ…。次は、キス…してほしい」
165名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:33:54 ID:2pmw4sZq
声色と同じように恥ずかしそうに震える唇に自分のそれを押し付ける。
二人、一緒に目を閉じた。
耳の内側からは馬鹿になった心音が鳴り続け、外側からは合間から漏れる鼻にかかる声が間近にあった。

「ん…ふ、…んンッ」

4▼だんだんとそこに粘膜質な水音が混ざる。
薄く爽子を盗み見ると、それはそれは悩ましげな表情をして、翔太から差し出しされた舌に必死になって応えようとしているところだった。
うら若き淑女は自分だけを求めて、自分だけに甘い声で縋った。

(失敗した。これじゃ“オウンゴール”もいいところ…)

勝手に煽られた翔太は角度を変えて口づけなおし、されるがままだった舌を深く深く蠢かす。
歯裏を撫で、戸惑う舌を追い回し、捕まえる。
大きく開けた口角で唇で、吐息をも惜しんで彼女を食んだ。

「む…、んっ、…ッ、ふ、ぁ」

互いにそう長くは続かず、息が荒くなっていく。
苦しげな表情で訴える爽子を流し目の端に捉えても、それでも食むのをやめられないでいた。
そのうちに胸板を押し返される。

「…ん、ん〜〜っ!ぷはッ!はっはぁ、はぁ…」
「はっ…は…、次は、ッどう、する…?」
「…ぁ、次は……触って。いっぱい触って…?」

ここにきてまで自信なく、窺うような物言いに笑いそうになった。

ゆっくりと押し倒して、翔太は爽子の上に圧し掛かった。
頭や頬をさすり、首筋に顔を埋める。
うなじに残る髪を丁寧に掃って、ついばむキスをする。
その間も言われた通り、両手を忙しなく動かし続け、撫で続けた。
耳の窪みから肩、肘、白い手の甲に浮いた血管を。
快感に耐える握り拳を解いて、五本の指に五本で優しく包む。
全ての手指、指先の点や腹の面、掌の面で爽子の体を弄った。
爽子は翔太の手にすべてを任せ、うっとりと瞳を閉じる。

「…っ…ん!ん…ふ…ああ…ぁ…」

降りていく唇で鎖骨を舐め終え、終えるのを惜しむようにキスをおとす。
やわやわと乳房の形を変えさせては、硬く主張しだした先端を口に含んだ。
唇で覆った歯で突起の付け根を噛んでやる。

「ぅっあ!…ッ、…ひっ!あ、」

足でシーツを蹴ったり、肩を丸めて何度も息を詰める爽子。
気持ち良さそうに鮮やかに高くなる声音に翔太は嬉しくなった。

それから足の爪先までたっぷり愛撫を繰り返した頃、爽子は無意識に腿を擦りあわせていた。
その様子を確認してから、故意に避けていた恥毛の上に手を近づける。
爽子はそれに気付いたのか、シーツに指を滑らせぎゅっと握った。
行為に陶酔しきった表情を少し強張らせながら、今から翔太の手で与えられるであろう悦を待った。
でも、あざ笑うように、翔太の手が恥毛に触れるか触れないかの距離で行き過ぎる。

「…ぁ、っ…な、んでぇ…?」

泣き言を呟いて、熱に浮かされた桜色の細腕が褐色のそれに絡みつく。
焦らされすぎた身悶えが伝わったのか、翔太の背筋もぞくぞくと震えを覚えた。
最中の誘いも懇願も、その時ばかりは無意識で。
導かれながら翔太自身も早急に求める気持ちが強くなる。
166名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:41:29 ID:2pmw4sZq
(ちゃんと言うこと聞くよ。だから…もっともっと、爽子から、俺だけを欲しがってみせて)

醜い渇望を隠して、そのまま手引かれた恥毛の奥へ、求められるままに誘われた。

「こっち…も、さ、触ってぁあンッ」

周りの室温とは明らかに違うじっとりとした空気の中へ腕を伸ばし、指を一本、挿し入れた。
整えられた爪が翔太の腕に微かに食い込んだ。  
小さな痛みでも爽子から与えられたものだと思うと、シーツの中で完全に起ちあがった逸物がずくんと疼いた。

一本指を最初はただ単純に出し入れだけをし、慣れると指の腹で内壁のこりこりした部分を重点的に攻めた。
それは爽子の“弱い場所”のひとつ。
声の間隔が短くなる。

「あ…あ、ぁあ…はぁッあっ」

翔太は愛でる手を休めることはなく、瞬きをするのも邪魔なほどに爽子を見ていた。
だから、彼女が自分のことを見ていることには、翔太はとっくに気付いていたのだ。
涙の筋を光らせ、翔太をじっと捕らえるその円らな瞳の意味が解らない訳がない。
この次にするべき行為がなにかなんて、二人とも知っている。

「…ふ、ぅん……も、しょうた、くん…。まだ、言わなきゃ…だめ?」
「……うん…」

返事をするのと同時にかき回すのを止めて、先を促す。
愛しい瞳が緩やかに翔太を見据え、頬の赤が体中へと染み渡っていく。
その広がる色は羞恥なのか、期待なのか、それとも“求め”を口にする自身への興奮なのかは、爽子にも分からなかった。
爽子は深呼吸をしてから、もう一度大きく息を吸った。

「ふ、二人で…きもちよく……なりたい…。後は、翔太くんの好きに、してほしい…」

消え入りそうな言葉尻をなんとか拾い集めて、翔太は体の中で反芻させた。
耐え切れなくなった爽子は真っ赤になった顔を隠してふるふると震え、こちらの出様を待っていた。

「爽子かわいい…」

つい本音が漏れた。
視線を遮る細腕に一つ口づけ、足の合間に入った。
情けなくも先走りの溢れる逸物を上から滑らして宛てがい、くぷん、くぷんと先端だけを出し入れさせる。

「ぁ、アッ!やっやだ、それ……あ、んん!」

爽子は驚きに心持ち上体を浮かせ、ぴくぴくと小さな肩に反応を見せた。
過剰なほどに滴った愛液が挿入もしていない幹部分を伝っていく。
そのまま陰嚢を辿って落ちて、それはシーツの色を濃くする。

歯を食いしばり一息に入れてしまいたい気持ちを抑えながらも、爽子の可愛さと幸福感に口角は上がり気味だ。
翔太は掠れ声で名前を呼ばれたのをきっかけに、ゆっくりと挿入を始める。
狭くきつく押し返す内壁を縫うように割り進み、濡れる恥毛が重なった。
そこで一旦動くのをやめて、すぐに達してしまいそうな逸物を鎮めていく。

「、はっ、はっン、…はぁ」
「…はぁっ……動くよ…?」
「…はい、ん!ひ、ぁああ!」
167名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:42:44 ID:2pmw4sZq
翔太は爽子の尻にぴったりと肌を押し付けなおし、そこからきゅうきゅうと絡みつく秘肉ごと引き摺りだすかの如く、ぎりぎりまで一気に引き抜いた。
見開かれた爽子の瞳から涙が零れる。
また狭まろうとする熱のなかをひたすら押し進んだ。
突く場所を変えては探り、一番高く上がった嬌声の内壁を狙って何度も腰を打ちつけた。

「ふぁ!あ!そ、こッ!!あ゛!ぁあ!あぅ!」

快感のさなか、不安定になにかを掴もうとする真白い腕に顔を寄せて絡まさせ、柳腰を包んで抱き起こす。
足を放り出して開けた中心に爽子を座らせると、真上から体重と重力が乗った。
結合部が沈み込み、さらに深まった。

動いていなくても辛抱ならないと言わんばかりに、背を爪でかりかりと掻かれるとこっちまで切ない。
汗ばむ体で抱き締めた。
どちらかが呼吸をする度、微かに腰がずれて痺れが走った。
互いの余裕の無さにつられて、興奮が異様なものになる。

「はぁッ、しょ、たくん…もぅ、いっちゃい、そ、ぉ…」
「だめ…だめだよ、まだ……!一緒ッ、に」

爽子の腰を逃げられないように掴み、下から自分の欲望のために突き上げた。

また俺の身勝手さを爽子に押し付けてる。
でも、とめられないのはいつものことで、爽子を前にすると欲しくなるばっかりだ。

「…さ、わこっ…ごめんね…」
「ひぅ!あーっ、ああぅ!」

爽子は頭を必死に振って襲い来る快感の波に耐えていた。
口からは喃語しか出なくなり、後ろ手に体勢を支える腕ががくがくと揺れ、剥がさんばかりに掴まれたシーツが横で波打った。
翔太は額の汗が流れるのも気に止めず、動きを速める。
突きあげに合わせて乾いた音が鳴り、爽子は胸を反らせた。

「ぁ!…はっ…ごめん、ごめん爽子…ッうぁ」
「ふあ、あ、…ァ、だめ、だめ!あーーーーー!!!」

震える肢体を全身で抑えつけ、同時に果てた。


――――

翔太は枕をふんわりと膨らませるとベッドヘッド前に置いた。
爽子に掌を向けて、流れるような所作で“どうぞ”と促す。

「…やっぱり、私も手伝わせてほしい」

二人で仲良く(?)気持ちよくなった後、今に至る。
翔太は適当な寝間着、爽子は翔太に借りた彼女には大きめのTシャツとハーフパンツ。
それらはもちろん、翔太が爽子に傅いて着させたものだ。

「爽子………俺の手料理じゃマズくなるんじゃないかって不安なんだ…そりゃ爽子のご飯は最高だし、そんな上手くは出来ないけどさ…」
「えっ?や!いや、そんな滅相もない!!」
168名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 02:47:04 ID:2pmw4sZq
慌てふためく彼女の様子に翔太は吹いてしまう。
わざとガックリ落として見せていた肩を、今度は可笑しさに震わせて顔を上げた。

「ウ・ソ。ちゃんと食べれるもの持ってくるから安心してよ!」
「う、うん」
「今回はいっぱい無理させちゃったし、いつも色々やってもらってるから、お詫びも兼ねて俺がお世話させてもらう」

テキパキとベッド周りを片付け、はりきる翔太を申し訳なさでおろおろしながら見守っていた爽子。
次はご飯だ!と部屋を出て行こうとする翔太の姿に、なぜか胸が詰まる。
それは、置いていかれた子供がもつようなものなのに。

「ま、待って!」

振り返った翔太は首を傾げて爽子の言葉を待った。

「あ、の…えっと」
「? ああ、退屈だったら適当にどこでも見てていいよ?好きにしてて」
「うん、ありがとう……。じゃあ、ご飯作るのは手伝わないし出来るだけ邪魔にならないようにするから、くっついてても、いッ、いい…?」
「“くっつく”…って、俺に?」

こくんと頷いて俯き加減のままベッドから降りると、爽子はそそくさと翔太の後ろに回り込んだ。

「え……爽子?」

翔太は首を右へ左へ回して爽子の表情を見ようとするが、既に背中に額をくっつけた爽子の顔が見える筈もなく。
そうこうするうちに服の端を掴んでいた白い手が脇腹に入り込み、翔太のお腹の前で解けないように細指を組んだのだ。

「え!?えっ!!?」
「…邪魔しないように頑張るから、今日だけ…」

爽子は、背後でおずおずと顔を上げた。
胸の柔さを感じるほどに体を添えて自然になる上目使いで、そんなお願いをされてはひとたまりもない。

「あ〜〜…うん。いくらでもくっついてて…」

二人で真っ赤になりながら、どちらともなく腹の虫が鳴るまで暫く黙りこくった後。
爽子を歩きやすくするために翔太はがに股で歩き、電車ごっこのようなたどたどしさで台所へ向かったのでした。

□□□
色々、投下失敗してるorz
締めくくりがよく分からん。あああー可愛い二人だな、書いてて楽しかったよ
でも爽は風に本当甘すぎだと思う。サイト餅、ゴム描写忘れてたゴメン
169名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 17:03:40 ID:ATDhkYTW
GJ!!
MOTTAINAIにうけたww高須ww
170名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 03:33:54 ID:x9jNSVJJ
GJだよー爽子可愛すぎる!うちに一人くださいなっ。
171名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 16:42:16 ID:NHZUYbbA
可愛いな可愛いね ラブいふたりにニヤニヤがとまらないよ
エロスのカーニバルのよう
風のテンションが最高w
M・O・T・T・A・I・N・A・Iw
しっかり尻に敷かれてるさまがなんとも二人の未来を暗示してる気がするw
172名無しさん@ピンキー:2009/06/23(火) 17:53:58 ID:8NpMq5r0
ほんと笑えたw GJ!!
原作の風もこんくらいチャーミングだったら可愛いげあるのにww
173:2009/06/26(金) 20:40:57 ID:N/WqH6tR
保守妄想、百合キス注意

 ここはいつもの教室。
とある日の昼休憩の時間、皆でナゼか‘王様ゲーム’をすることに。
尻文字や一発ギャグなど、バカな事ばっかりやって笑いあっていた。
 が、誰かの「ちょっと手緩すぎじゃね?」という発言から、次は際どいのにしようぜ☆という事になる。
そんな中、引き当てたのは千鶴。
王様は高らかに命令なすった。

「8番がこのクラスの誰かにチュー!!!ま、相手からOKでたらだけどな〜」

 8番とは…矢野ちん。
周囲はどよめく。
龍はぼんやりと見守り、風早は驚いたもののドキドキ。

「マジで……矢野とキス…!!」
「すげぇテクニックなんだよな?百戦錬磨だっけ?」
「うわ〜、俺選ばれねえかなー…。即おkなのに」
「選ばれた奴、しばく!」

 他男子は俺か俺かと異様な興奮を見せながら、囁きあっていた。
 言って放ってしまった王様本人も野郎共の囁きに同意する。

「確かに…やのちん、キス上手そうだよな…」

 視線を一身に浴びながら、矢野は呆れ果て、溜息をついて内心毒づく。

(たかがキスぐらいで……ガキが…)

 しかし周囲の過大な期待を含んだ視線に断れる雰囲気でもなく。
そうなると矢野の悪い癖がでる。

(…やってやろうじゃん)

 あっぱれなほどの男気、ここで引いたら“女が廃る”精神がでたのだ。
 周りをもう一度、品定めの見直す。
龍と風早は論外として、ちづは…なんか違うな…と矢野。
適当な他男子を選ぼうにもがっつく猿のような雰囲気にどうにも気分が萎える。

(ちっ。だからタメは嫌なんだよ)
174:2009/06/26(金) 20:41:48 ID:N/WqH6tR
ふと視線が止まった先には爽子。

(風早に見せつけられるし、爽子なら)
「…よし、決めた。爽子とならっ、してもいいよ?キス。爽子が嫌ならもちろん無理強いはしないけどね」

 矢野はとびっきり妖艶な笑顔で言った。
 そんな矢野の発言に、一番の抵抗したのは爽子本人ではなく風早だった。
指名された当人は頬を赤くはさせているものの、変に勘ぐり「役に立てるなら…!」と勇んでいる。
風早は“自分以外の男子じゃなければおk”な他男子が押さえつけ、すったもんだで爽子に決定。

「本当にいいの?爽子」
「う、うん」

 二人の周り、1メートルほどに距離があけられる。
椅子に腰掛ける者、机の上に乗り出す者、埃がつくのも構わず地べたに正座する者。
皆が一様に生唾を飲んで凝視した。
 爽子は準備万端、目を閉じて待った。
矢野が両手で、爽子の肩を怖がらせないように優しく引き寄せる。
爽子の薄い唇と、矢野のふっくらとグロスののった唇が触れ合う。

「…ん……ん」

 慣れない爽子が息をすると鼻から甘い声が漏れた。
風早は阻止を諦めたわけではないが、その光景に目を奪われ指一本動かせない。
 軽く冗談程度のつもりが爽子の可愛さに柄にもなく煽られる矢野。
酸素不足からうっすら口を開けてしまう爽子に、矢野は本気にテクニック丸出しベロちゅうをしてしまう。

「ンッ!…んぅ、ふ、ん…」

肩にあった筈の掌で、髪に差し込むようにうなじを押さえられ、爽子は逃げられない。

周囲はもちろんそのエロさに呆然。
キス終わり、唇が離れる時、細い糸がひいた。


これで矢野ちんがほんのり爽子を好きになりかけてる自分に驚愕して、内心のたうちまわったり、今までの爽子への色々な態度がそういう気持ちからなのかと変に納得したり。
それから、爽子に対しての態度がちょっと挙動不審になったりすればいいなぁあ。
妄想なのに長くてゴメン
175名無しさん@ピンキー:2009/06/26(金) 21:33:51 ID:enTYoybV
短いけどGJ やの爽はなんかエロくて妖しくて綺麗で好きだ
陽の色気と陰の色気の豪華競演みたいな
風早エンドじゃなければ矢野ちんエンドでもいいと思ってるくらいだ
176名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 00:11:05 ID:tvXfOHFB
風にみせつける矢野爽が大好物なので!!
ハゲ萌えました。
もっと書いてくださいw
177名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 03:05:02 ID:2/c+uFVv
久々に神の降臨を見た気分だ。
激しくグッジョブ!
178名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 11:57:23 ID:5hIvi3Nw
\\   / .:::::::::::::::::::::::::::::::::  く
\   / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、::::::   )  く   ホ  す
  \ l  ,ッィrj,rf'"'"'"    lミ::::::: く   れ  モ  ま
     Y           ,!ミ::::::: ヽ  な  以  な
`ヽ、  |           くミ:::::::: ノ   い  外  い
     |、__  ャー--_ニゞ `i::::,rく   か  は
``''ー- ゝ、'l   ゙̄´彑,ヾ   }::;! ,ヘ.)  !  帰
      ゙ソ   """"´`     〉 L_      っ
      /          i  ,  /|    て    r
≡=- 〈´ ,,.._        i  't-'゙ | ,へ     ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、    ;  l   レ'  ヽr、⌒ヽ'
        ゙、`--─゙      /!         `、
  _,,、-     ゙、 ー''    / ;           `、
-''"_,,、-''"    ゙、    /;;' ,'  /         、\
-''"    /   `ー─''ぐ;;;;' ,'  ノ          ヽ `ヽ、
   //    /     ヾ_、=ニ゙、、,,_
///   //    ,、-'´
//    // /  /
179名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 13:55:55 ID:uf0uc9PE
勘弁してくれ誰もいなくなったじゃんw
180名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 14:28:20 ID:ze62z10n
ワロタ
何でこのスレにこのAA?w
181名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 23:39:42 ID:atpFhsLB
ちゃんと下げてるのに…。

職人さんめげないでw
182名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 07:51:48 ID:h/J2hwmp
神降臨まだー?
183名無しさん@ピンキー:2009/07/05(日) 02:33:49 ID:9IAMN2k+
爽子のうなじはエロい。


ほっしゅ・・・
184名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 09:49:08 ID:niBFwe9m
ほすー
185名無しさん@ピンキー:2009/07/07(火) 08:03:03 ID:neiFOih8
ほしゅ
186名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 21:47:15 ID:wk69bblT
こないだ全然関係無いときにこのスレが頭をよぎって焦ったわ。
とりあえず保守。




187暑中お見舞:2009/07/09(木) 00:27:26 ID:RJnA8BGc
暇だから投下。文才まったくないただの妄想なのでご了承下さい。

―ピンポーン―
今日は、爽子が勉強を教えに訪ねて来る日だ。風早は、勢いよく玄関のドアを開けた。すると、風早は驚いた様に目を見開いた。目の前に立っている爽子はいつもとイメージが違っていた。ふわりとアップにまとめられた髪、胸元が大胆にあいたキャミソール、そしてミニスカート。

「…く、黒沼いらっしゃい。あがって!」

お邪魔しますと言って、爽子は二階にある風早の部屋へと足を進めた。一方、風早は階段を上りながら顔を真っ赤にしていた。
そして、部屋へ入るとうつ向いたまま座りこんでしまった。
(ヤバイ…目のやりばに困る…)

「風早君?大丈夫?気分でも悪いの?」

爽子は前屈みになり上から覗き込んだ。
ふいに顔をあげると、爽子の胸の谷間が目の前にあった。

「え……(!?)ぅわあぁっ!大丈夫!何でもないから!それより、今日は何かいつもの黒沼のイメージと違うけどどうしたの?」

「あ、実は、あやねちゃんが貸してくれた服なのだけれど。夏だしたまにはミニ履いてみたらって。あの…変かなぁ…?」

「いや、全然変じゃないよ!そういうのも似合ってるし可愛いよ!」(だぁぁぁ!可愛い!可愛いけど、ちょっと露出し過ぎじゃないか?俺ヤバイかも…ι)

風早がそんな事を考えているとはつゆ知らず、爽子は可愛いと言われた事を純粋に喜んで照れくさそうに微笑んでいた。

つづく
188暑中お見舞:2009/07/09(木) 01:49:02 ID:RJnA8BGc
初めて投稿したんですが、小学生の作文だと思って読んで下さい。では続きを。


気を取り直して、二人はテーブルに向かい合わせに座り勉強を始めた。
が、風早の頭の中では先程の刺激的な映像がフラッシュバックしてなかなか勉強に集中出来ずにいた。
そして、今日は両親と弟が、お盆という事もあり父の実家へ行っている。つまり家には、風早と爽子が二人きりなのである。
その静けさが、余計に妙な雰囲気を漂わせた。
自分のすぐ目の前には愛しいあの子がいる。夏だというのに透き通る様に滑らかな白い肌。短いスカートから露に出ている太股。
(ほんと俺、どうにかなっちゃいそう…はぁ…)

何気なく視線を上げると、爽子とバシっと目が合った。爽子ははにかむ様な笑顔を向ける。(その顔反則…)

「あの、風早君さっきから何か考えてるみたいだけど、何か悩み事でも?私で良かったら何でも聞くけれど。」
「黒沼は俺の事よく分かるんだね。頭パンクしそうな位悩んでるよ。いつも黒沼の事ばっかで悩まされる。…ねぇ、その恰好って俺の事挑発してんの?」

ゾクっとする様な瞳で見つめられた爽子の頬は、紅く染まり意識が遠くなる。

―――ハッ(!?)―

気が付くと風早の掌が爽子の頬に触れた…!と思った瞬間(!)
爽子の口は塞がれた。そして、何度も何度も優しく唇を重ねる。爽子が息つく間もないほどに。静まりかえった部屋には二人の水音だけが響き渡る。

「…っん…はぁ…」

つづく
189暑中お見舞:2009/07/09(木) 03:26:28 ID:RJnA8BGc
つづき

一度唇を離すと風早は額と額をくっつけ熱っぽく爽子に語りかける。

「俺もう勉強どころじゃなくなっちゃったじゃん。どうしてくれんの黒沼?」
悪戯な笑みを浮かべる。
一方、爽子は一瞬の出来事に首まで真っ赤にし、恥ずかしさのあまりうつ向いた。
勿論、風早とキスをした事が無いという訳ではない。いつもは口を軽くつける様な優しいキス。先程の様な激しいキスは初めてだった。
爽子は、恥ずかしさと嬉しさで不思議な気持ちになった。もっとして欲しい…そう思い顔をあげると、再び口を塞がれた。激しさを増してゆく口づけ。
爽子が息継ぎをしようと口を開けるとネットリした柔らかいものが口内に侵入してきた。それが舌だと気付いた爽子は、一瞬戸惑いながらもそれに応える様に懸命に舌を絡ませる。
その瞬間、ギリギリ保たれていた風早の理性は音をたて完全に崩壊した。
唇から首筋に口を落とし優しく愛撫してゆく。首筋に顔を埋めると甘い香りが漂った。その香りでいっそう欲情する。

「っあぁ…かぜっ…はや…く……ダメ…はぁっ…」

「もう…限界。黒沼がそんな瞳で見るから…我慢出来ない俺…したい…ダメ…?」
切な気に見つめる。

190暑中お見舞:2009/07/09(木) 05:10:14 ID:RJnA8BGc
つづき

爽子は風早のその顔に弱い。そんな瞳で見つめられたら…
爽子は恥じらいながらコクっと頷いた。

風早は華奢な爽子のカラダを抱き上げると、その場をベッドへ移した。
そのまま押し倒し唇で愛撫を続け、掌は下の方へ落ち爽子のその膨らみをたしかめる。
キャミソールをたくしあげブラのホックを外しプックリと立ち上がった敏感な部分を指先で転がした。

「あっ…」爽子は、突然襲いかかる刺激に思わず声を漏らした。
すると風早はもう片方のそれを口に含み舌先で転がしたり軽く噛んだりした。

「…はぁ…いやっ…ぁあ…ん…」

味わった事のない快感が爽子のカラダを駆け巡り、呼吸は段々浅くなってゆく。

「可愛い…これ全部俺の…誰にも触らせないでね…さわこ」

風早は爽子の胸に顔を埋めた。
爽子は愛しくてたまらない気持ちで満ち溢れ彼の頭を抱きしめた。
風早の掌は更に下へとのび、太股を撫でスカートの中へ入っていった。
ショーツの上から指で軽く秘部をなぞる。

――ビクッ―!

爽子のカラダが敏感に反応した。

「すごい…爽子もうこんなになってるよ」

ショーツの上からでも潤いが分かるほど蜜は溢れ出ている。
風早はそのままスカートとショーツを剥き取り、膝を割り広げ秘部へと舌を這わせた。
先程とは比べ物にならないほどの快感がカラダを巡り、爽子の声は大きさを増した。

「爽子…気持ち?もっと爽子の声聞かせて?いっぱい気持ちよくさせてあげるから」

つづく
191暑中お見舞:2009/07/09(木) 06:39:59 ID:RJnA8BGc
つづき

充分に潤ったそこに指をゆっくりと押し込み優しくかき混ぜた。クチュクチュといやらしい音をたてて…

「ぃやあ…ん…ぁあああっ…」

無意識にカラダをくねらす爽子。
いったん指を引き抜き、今度はぷっくりと膨れあがった花弁を指の腹で擦りながら舌を這わせた。
指の動きは段々と激しさを増した。

「っん…いや…かぜ…はや…く…ぁああああ!」

――ビクン――

爽子は大きく波を打ち絶頂を向かえた。

「ヤバっ…俺もう限界…爽子入れるよ?」

カタく熱くなった風早自身を爽子にあてがい、先を入口で滑らせ徐々に馴らしてゆく。

「…い、痛い…風早君っ」

激しい痛みに爽子は眉を歪め、目には涙が浮かぶ。

「大丈夫、力抜いて爽子」

ゆっくりと爽子の中に入り、深く浅く徐々に動きをつける。
内壁は風早に絡みつき締め付ける。

「う…ヤバっ……爽子きつ」

快楽に逆らえず腰の動きが段々激しくなる。爽子は痛みに耐えながらも風早とひとつになれた事に歓びを感じた。

「爽…子、俺の…名前…呼んで」

風早は爽子に覆い被さって瞳を見つめた。爽子は風早の首に腕をまわし、ギュッとしがみついた。

「…しょう…た…くん」

「さわ…こ…爽子!」
風早は自身を引き抜き、爽子の腹部に欲望を全て吐き出した。

ティッシュで綺麗に拭き取り、爽子の隣に倒れ込む風早。抱きしめ合い照れくさそうに二人は笑った。

つづく
192暑中お見舞:2009/07/09(木) 09:02:28 ID:RJnA8BGc
つづき

「ゴメンな爽子…俺、止めらんなくて夢中で…あの、その…カラダ大丈夫…?」

「少し痛いけれど、大丈夫。でもいいの。風早君だから。」

「あ〜超幸せ。俺もう死んでもいい〜」

「あの、風早君が居なくなったら私困るのだけれど…」

「あ〜、また元に戻ってる〜。風早君じゃなくて翔太君!」

「あ、ゴメンなさい風っ…(じゃなくて)翔太君ιι」

「俺もう爽子と一生離れられない。つーか離さない。」

「私も翔太君とずっと一緒に居たいな。」

「あ!そうだ!それから、今日みたいな恰好はあんまりしないでね?」

「やっぱり…変だったかなぁ…」

(だぁ〜ι…そうじゃなくて…)
「俺以外の男の前じゃ絶対着ちゃダメ! 」

「分かった。そうするね。」

 ――――――――――――――――――――――
爽子を家に送り、帰ってきた風早は、麦茶を飲みながら携帯を手にとった。と同時に電話がかかって来た。
(あれ?矢野からだ)

「もしもし、矢野?」
『あら王子様ご機嫌ねぇ。という事は、刺激的な暑中見舞は無事届いたって訳ね?笑』

「Σブーッ(!?)」

つづく
193暑中お見舞:2009/07/09(木) 09:48:20 ID:RJnA8BGc
つづき

麦茶を噴き出す風早。
『あらあら、王子様にはちょっと刺激が強すぎたかしらね?笑 あんたまさか爽―』

「ば!何もしてねーよっ!!」
あやねが喋り終えぬ内に風早はとっさに答えた。

(これは…したな。ま、付き合ってんだししても問題無いけど。意外にもヘタレ王子やるじゃない。)
『ブッ、それはそうよねぇ。ジェントルマンだもんねぇ♪笑』あやねは涙目になりながら笑いを堪えている。

「矢野…お前…(恥)用事ってそれだけ?他に用が無いなら切るぞ!」

『ああ、ゴメンゴメンそれだけ!プッ!じゃあね!笑』

――プーップーッ――

(矢野のやつ…余計な事……でもないか。)

後日、学校で風早があやねから『ジェントルマンジェントルマン』と言われからかわれた事は言うまでもない。そして、一人赤面する風早の姿があったとかなかったとか…。

終わり


いやぁ結局、文法やら爽子が処女とか細かい設定を完全に無視した感じで終わらせてしまいました。自己満なんで許してやって下さい。暇だったからつい…
194名無しさん@ピンキー:2009/07/09(木) 18:44:32 ID:/0xQkDLJ
GJ!!
いやまじおもしろかったです!
また暇な時に投下してくださいね!
195名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:06:01 ID:vqc1ktBA
ちっちゃくて細い爽子はミニスカート似合うはずだ。
超萌えましたGJ!!
196嫉妬と欲望:2009/07/10(金) 13:54:12 ID:Um/S/7an
エロあんま無いですがご了承下さい。


あやねは見逃さなかった。爽子の首に残っている紅いアザを。
(ふふっ、後で王子様でもイジメて遊ぼうっと。)

――そしてお昼休み

「風早、あんた爽やか王子のくせに意外と大胆な事すんのね?笑」

「は?矢野、なんなんだよ唐突に。俺何かしたっけ?」

『まぁまぁ、とぼけんなって。爽子の首にキスマーク付けたでしょ?』

あやねは小声で風早に言った。

「え?………」

先程まで笑っていた風早から笑顔が消えた。(な、何?この重苦しい空気は?あたしなんかマズイ事でも言った?)

「…俺そんなの付けてないよ。爽子に聞いたの?」

「いや、あたしが勝手に見付けて…てっきりあんたが付けたんだけど…」(マジかよ…風早じゃないとなると、もしかして…)

「あっ!…」(ヤベッ!)あやねはつい声を出してしまい焦った。

「矢野、もしかして思い当たる奴でもいんの?」

「いや、知らないι」

「いるなら教えて。俺確かめてくるから。」

いつも見る事のないあやねの焦り様に異変を感じ、すかさず聞いた。
観念したあやねは口をひらいた。

「多分だけど、健人。あいつまだ爽子の好きみたいだし、あんな事やりそうなのは健人ぐらいしか思い当たらない。」

「三浦…」

そう呟くと、周りを見渡し健人がいない事を確認すると、風早はすごい形相で教室からとびだした。

ちょうどその時、飲み物を買いに行っていた爽子と千鶴が教室へ戻って来た。

つづく
197嫉妬と欲望:2009/07/10(金) 16:24:51 ID:Um/S/7an
つづき

「ねぇねぇ矢野ちん!今さぁ風早がすごい勢いで廊下走ってったんだけど、何かあったの?」

「ゴメン爽子っ!実は――」

――その頃――

風早は学校中を駆け回り健人の姿を探していた。
(三浦の奴…ぜってぇ許さねぇ…)

ふと窓の外を見ると、中庭のベンチに座る健人の姿があった。
(あいつ…)

―はぁはぁはぁ―

「あれぇ?風早、息なんか切らしてどぉしたの?しかもコワい顔しちゃってさ!」
健人はふざけた様に言った。

「あ…もしかしてバレちゃった?ゴメンゴメン、ほんの出来心だって。そんな怒んなよ〜。」

そう言った瞬間鈍い音が響いた。
そして、健人は地面に尻餅をついて倒れた。

「ってぇ…」

手で血を拭いならが健人は体勢を起こした。

「三浦、今度爽子にあんな事したらこれじゃあ済まないからな。」

そう言うと、風早はその場を後にした。

健人は、あんなに鋭くて冷酷な目をした風早を見るのは初めてだった。
(はは…俺だってホントはあんな事するつもりじゃなかったよ…爽子ちゃんがあんまり幸せそうに風早の話をするから…そんな顔をメチャクチャにしてやりたかった…)

「やっぱ爽やか君には勝てないか…」

健人はうつ向いてしばらくその場に座り込んでいた。

つづく
198嫉妬と欲望:2009/07/10(金) 17:21:48 ID:Um/S/7an
つづき

「戻ってこないね風早…あたしが余計な事を…」

「あやねちゃん、そんなに気にしないで。元はと言えば私が悪いのだから。アザが消えるまで隠しておけば、三浦君との事を翔太君には気付かれない、そんなズルイ事考えてたから罰があたったんだよ。」

「矢野ちん、気にすんなって!悪いのは全部健人なんだからさ。無理矢理そんな事すんなんて最低だよ。あたしが後で殴っとくよ!」

――ガタンッ――

大きく音をたて勢いよく開いたドアの方にクラス中の視線が集中した。
その視線の先からは風早が爽子の方へ向かって走ってきた。

「あの…翔太君、私―」

――ガシッ―――

風早は爽子の手首を掴むと、その手を引いて何処かへ行ってしまった。

「あんな怒った顔の風早初めて見たな…大丈夫かな爽子」

千鶴は心配そうな面持ちをした。

「あいつらなら大丈夫だろ。」

龍がボソッと呟いた。
―キーンコーン――――――カーンコーン―
「翔太君、何処行くの?授業始まっちゃうよ!」

「爽子は授業の方が大事?俺こんな状態で冷静に授業なんか受けれない…」

そう言うと、階段を駆け上がり屋上へと向かった。

――ガチャ、キィー

屋上の扉を開き外へ出た。
そこでようやく風早の足が止まった。
けれど、風早は爽子の方を一向に向かない。
その後ろ姿は怒りに奮えていた。

つづく
199嫉妬と欲望:2009/07/10(金) 20:17:28 ID:Um/S/7an
つづき

「あのね…翔太君…私が悪いの!私がぼーっとしてたから三浦君とあんな事に…」

「ねぇ…三浦にキスされたの…?」

「…ごめんなさい――(!)」

風早は掴んでいた爽子の手をグッと引き寄せ強く抱きしめた。
そして、強引だが優しく激しい口づけをした。
風早は、受け入れたくない事実に抑えきれない怒りで頭がおかしくなりそうだった。気が付いた時にはカラダが動いていた。

「ゴメンな爽子…ホントは俺が守んなきゃダメなのに…俺…我が侭で嫉妬深くて自分の事ばっかで…」

爽子は目に涙を浮かべながら首を振った。

「違う…私が悪いの…」

「爽子のせいじゃない…」

そう言って、爽子の頬に触れ涙を拭いとった。

「もう誰にもこんな事させないから…誰にも触らせないから…」

再び爽子の口を塞いだ。口づけは首筋へと落ちてゆく。
健人が残した忌々しいそのアザを消し去る様に、その上から強く口づけをし新たなアザを残した。

「消毒…でも、これじゃあまだ足りない…爽子は俺のだって証もっと付けたい…」

「…あっ…」

爽子のブラウスのボタンは徐々に外され胸元が露に開けられた。
風早は胸に顔を埋め証を残してゆく。

「ん…翔太…君ダメ…こんなとこ…で…」

「はぁ…無理…もう止まんない…」

風早の愛撫は激しさを増した。爽子のカラダを求められずにはいられなくなっていた。
200嫉妬と欲望:2009/07/10(金) 20:50:22 ID:Um/S/7an
すいません。なんかグダグダになっちゃったんでこの話はさっきので終わります。
201名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 21:54:45 ID:gjy331EL
>>200
ぐっじょぶ
ケントってほんと空気嫁ねえww
むしろ尊敬するわw
また書きたくなったら続き書いてください!
待ってます(`・ω・´)シャキーン
202名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 01:21:25 ID:nrNUrmxs
いやここで終わりでも別にいいと思うわ。
グッジョブ。
面白かった!
別ネタでも続きでもまたきてねー。

個人的にエロ描写なくてもなんか面白い妄想ネタあればそれだけでグッジョブって感じだわー。
203名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 22:20:58 ID:w/O+QYJO
別マ発売記念
ほしゅ
204名無しさん@ピンキー:2009/07/15(水) 07:01:43 ID:pB3sehno
誰か矢野爽を書いてくれませんか…?
矢野ちんの爽子愛はすごいよ…矢野ちんの愛は風早を越えるかも。
205名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 03:35:28 ID:p4sj99pK
私もリクエストしたいんですけど…。
肝試しが見たいんです…。

設定!↓
今年も肝試し!ということで、爽子は張り切ってお化け役を買って出た。
ちづやあやねと充分打ち合わせした場所に、気合いを入れまくって待機。
でも今年はなんか違う。

出ると一瞬驚かれるけどそんなに怖がって貰えない爽子。

「うわあ黒沼!やっぱり居たんだー。」
「えー。おつかれー。本物かと思って怖かったー。貞子で安心したよ…。」
「ていうか貞子全員回りきるまでここに居るつもり?結構ハードじゃない?虫とか刺されんないようにしなよねー」
と去年はひびって何も言わずにぱあっと逃げていたクラスメイトがちょこちょこ声をかけてくれて心配までされる始末。

…去年はびっくりして、逃げられるばっかりだったから、こんなふうに、声を…かけられるなんて嬉しいな…

…でも、肝試しなのに…お化け役としては…なんか去年ほど役にたてていないような…

複雑だなあ…

ケントに至っては
「お。いたいたっ。貞子ちゃんじゃーん。
…だーめだって貞子ちゃん。俺全然貞子ちゃん怖くないもん。
ねー。遠藤ちゃん?」
「ねー♪えへへ。貞子絶対どこかに待ってると思って、
私達差し入れ持ってきちゃったー。
貞子これ貰ってー。」
とお菓子と飲み物がいっぱい。
「師匠…トモちゃん…あああありがとう…」
「ていうか貞子ちゃんその白いワンピース普通に超似合ってるよー!かわいいじゃん!
今度普通の時に着てきてよ!」

「っと、あ。遠藤ちゃん的に右?左?俺どっちでもいーけど。」
「私左ー♪」
「じゃ、貞子ちゃん、俺たち行くから、頑張ってねー。」
という有り様。

師匠…トモちゃん…私すごくすごく嬉しいけど、お化け役としてはもっと怖がって欲しかったかも…
206名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 03:44:54 ID:p4sj99pK
ジョーの場合、
「おー。黒沼じゃーん。おつかれー。飴あるぜ飴ー。」

じょ、城の内くん…
おつかれって、飴くれて…嬉しいけど…。

…今日は…お化け役だから、城の内くんにも、怖がって欲しいんだけどな…。

…みんなの役に立ちたいのになんだか手応えが去年より無いっていうか…
そんなに、私、怖くなくなってきたということなのかな…。

それって、嬉しいけど…やっぱり肝試しの企画的には残念だったりして…。

真田くん…。
今年もこっちを見て貰えなかった…。
(お役に立てず…)

ところ変わってやのちづ
「おっ。ひととおり済んだかな。」
「そろそろ爽子迎えにいこーよ。長丁場大変!おつかれ言いにいこー。」

「あ。矢野。」
「あれ風早どうしたの?もう終わったんじゃないの?
「…いや。最後の組と変えてもらった。」
「そーなの?」
「俺最後だから、爽子は、そのまんま迎えに行って、つれて帰るわ」
207名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 03:57:41 ID:p4sj99pK
「え?」
「あのさ、矢野たち、みんな、先に帰ってて。爽子、どの辺?」

ところ変わって森林の中。
「あっ。誰か来たっ。今度こそ髪の毛一本…」

「爽子…!見つけた!」
「あっ…風早くん?」

「うわーここにいたのかー。今日、大変じゃなかった?」
「たっ…大変ていうより、なんか、去年みたいに思いっきり人を脅かすことが出来なくて…なんか、嬉しいんだけどお化け役としてはちょっと失格かも…。複雑…だなあ」
「ははっ。そーなんだ。
ところで肝試し、俺でラストなんだよね…。」
「えっ…?そうなの?」
「うん。だから迎えに来た。…矢野とか吉田とか、他のやつらとか、もう帰ったよ。だからここに居るのは俺と爽子の二人きり」


208名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 04:03:08 ID:p4sj99pK
というわけで長いリクエストになりましたが肝試しの夜、深夜の真夏の森林で二人きり。
という設定で誰か続き書いて貰えませんか?エロを…
私にはうまいエロが思い付きません…。
(がんばりますが)
209名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 04:54:10 ID:p4sj99pK
「言ってたよな…。夏の夜が好きだって。…迎えにきたくせに、あれなんだけど…やっぱきもちいーから、俺、しばらく一緒にいていい?」
「…う、うん…。」
…いいけど、嬉しいけと。一緒に居れて嬉しいけど。

二人きりだなんて…
やっぱり未だに緊張するなあ…。

うまく話せないや…。
…しばらく二人とも会話もできないまま、静寂だけが流れた。
夏の夜の風だけが、爽やかにふきぬけていた。

静寂を破ったのは風早だった。

「…爽子…」
「な、何!?風早くん」
急に風早との距離が近づいて、風早の顔を見ると、風早は爽子の顔を覗きこんで、爽子の瞳を見つめている。
(うわー。…近い…)

まっすぐな瞳…。
「爽子…」
「何…?」
「…キスしていい?」
「ええっ…」
「嫌かな…。」
…嫌じゃないかも…。「…嫌じゃない…。」

「…で、でも私…ど、どうしたら…」

風早は照れながら、
「…ん…えと、こっちのほうに向いて目を…15秒くらいつむってて…」
と言った。

けど
「う、うん…分かっ……あ!」
15秒が待てなかった。
爽子が目を閉じた瞬間、爽子の柔らかい唇に、風早の唇が重なった。
210名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 08:46:00 ID:ojTmyZgz
>>208
リクエスト、といいながら普通に面白いよ!
てかありえそうな展開でニヤニヤしてしまったw

このままあなたが書き続けちゃいなよ!
211名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 09:17:44 ID:ywgZf9HX
GJすぐる!
本編の最初の肝試し思い出すわー
212名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 17:11:23 ID:ZX567da1
>>205->>207
>>209
ですが、マジでリクエストのつもりだったのですが・・・
誰かこの設定で続きのエロを。エロを書いてー。(涙)
213名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 21:08:50 ID:Xmlm4Iqg
じゃあ お言葉に甘えて軽めにさくっと。
期待に沿えるかどうかは保障しない

−−−−−−−−−−
すきな人の唇はとても甘いんだな…
爽子は生まれてはじめての感覚に頭上に燦く星みたいに
目の裏がちかちかした。
「…んっぅ…」
風早の唇が感触を惜しむように2,3度軽く爽子の唇を食んでからそっと離れた。

体の中で大きな太鼓がドンドン鳴ってるみたいだぁ…
爽子はボーっとしながら風早を見上げた。
座っていなければきっとへたりこんでいただろうなとぼんやり思う。
目の前にはだいすきなだいすきなひとの顔。
きれいな眼…。
爽子はその瞳の熱をもっと感じたくて眼を閉じた。

とたん、もう一度柔らかな唇が重なった。
「…ん……!」
さっきの触れるだけの優しいキスではなくて貪るような激しいキスは
何度も何度も唇を優しく食んで繰り返された。
「は…ぁ…」
たまらず爽子が熱い息を漏らしたとき、柔らかく湿ったものが唇をなぞった。
「…あ!…んんっ!?」
214名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 21:16:43 ID:Xmlm4Iqg
もぞりと爽子の唇にもぐりこんだものが風早の舌だと気付く頃には
爽子の頭の中は真っ白に霞がかかったように何も考えられなくなっていた。
柔らかく蕩かすように生き物みたいにそれは爽子の舌を絡めとっていく。
「んっ…んん…っ」
ぺちゃぺちゃと水音がやけに耳に響く。
自分の唇なのか彼の唇なのかわからなくなってきたときに
風早の舌が細く光る糸を引いて離れた
「はぁ…っん」
爽子が漏らした甘い吐息を喰らうかのように風早はもう一度やんわりと唇を重ねた。
(あ…また…はいって…)
爽子はするりと入ってきた舌を融かされた舌で受け止めた。
ぺちゃりぺちゃりと貪られる感覚は恐ろしいような、なのにいつまでもこうされていたいような
不思議なものだった。

風早の荒い息の音が爽子の耳に響いてくる。
びくんっ―
何をされたかわかる前に爽子の敏感な体が跳ねた。
風早の手がそっと服の上から爽子のやや控えめな胸をふにゅんと撫でたのだ。
「!っんんー!」
震える手は次第に力を増し、性急に爽子の胸を愛撫した。
優しくぐにゅぐにゅと揉まれ痛くはないのだけど恥ずかしさと体の中にぽつぽつと
火がついていくような感覚で爽子は気が遠くなりそうだった。

その時風早の唇がようやく爽子を離した。
215名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 22:57:03 ID:Xmlm4Iqg
「爽子…その顔 ヤバすぎ…」

かお…?どんな…?やっぱりぼーっと呆けたかお…?

爽子がぼんやりみつめていると風早は熱い息を吐きながら爽子に囁いた。
「ごめん、止まんない…もうちょっとだけ、触れさせて?」

え、と思う間もなく汗に濡れた冷たい指がワンピースの一番上から3番目のボタンまで
ぷち、ぷちと外された。
下着だけの胸が夏の夜のひんやりした外気に触れる。
さらに指が爽子のブラジャーの隙間をぬって直接肌に触れた。
「ひゃ…!?」
くにゅんと先端に触れられた瞬間、抑え切れない声が爽子の可憐な唇から漏れた。
「あああ…っんっ…やぁっ…!」
「…あんま、煽んないで。」
「あお、煽るって…?ふぁああ!やっ…何…これ…っああんっ」
爽子はたまらず風早のシャツにしがみついた。
先端をいじられるたびにびりっと蕩けるような快感が体を駆けていく。
「爽子…爽子、好きだよ。どうしようもなく好きで好きで仕方ないんだっ。
 …爽子、俺だけ見てて。絶対、ほかのやつなんて見ないで。」
荒い息の中切なげに囁く風早が愛しくて爽子は涙が溢れてくる。
「わ、たしも、好き…大好き…」
風早が爽子のブラジャーを上にずらすと夜目にも白い肌が露わになる。
216名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 23:54:05 ID:Xmlm4Iqg
小ぶりだが形のよい胸の上に桃色の先端が呼吸とともに息づくその美しさに
風早は息を飲んだ。
「さわ、こ。」
風早はごくんと息を飲んで桃色の先端を咥えた。
「ああ…っんん……!!」
とろりとした眼を涙で潤ませながら短い息で喘ぐ爽子の妖艶さに
風早の理性は今にも途切れそうになる。

「…とめらんない…やばい。」
爽子はえ、と小さな呟きを漏らした。
風早は一度大きく息を吸うとばちんと自分の頬を殴った。
「かっ風早君!?」
風早は無理矢理笑いながら言った。
「…ごめん、ほんっと止められなくなりそうだったから。」
「風早君…」
ほっとしたような残念なような顔を見せる爽子に風早はにっと笑った。
「でもこれは、でっかい虫に刺されたって言い訳しといて!」
「え?あ、ああ…っ!」
風早は爽子の胸元にちゅうっと吸い付いた。
離すと赤い痕が爽子の白い肌に浮かぶ。
「……おれのって印!」
照れ隠しに横を向く風早に爽子も赤くなって身支度を整える。
そしてあることに気付きさらに赤くなった
217名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 00:02:54 ID:Xmlm4Iqg
翌日。
水泳の授業にて始終にやにやにやにやしたあやねに
「でっかい虫に食われたもんねー お化け役おつかれ」
とからかわれる爽子と 
やはりにやにやにやにやした健人に
「あそこにはえらくでっかい虫が住んでんだなーな、風早。」
とからかわれる風早の姿があったそうな。
おしまい
−−−−−−−−−−

以上便乗投下でした。
205さんありがとう。
書きながら投下ごめん住人の人たち
218名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 00:36:54 ID:4RdRUHcK
>>205です

>>213-217さん、グッジョブです!!!
ありがとうございました!
オチまでちゃんとつけてもらって・・・・。
いやほんとありがとうございます♪
219名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 13:19:52 ID:1rlzLAka
コラボいいよコラボ
お二方ともGJっす!!
220名無しさん@ピンキー:2009/07/17(金) 21:28:55 ID:lY/26/jm
GJです!!!
爽子エロいよ可愛いよ爽子!

しかしケントばっちり目撃してるんだよね

平静装ってるっぽいけどあんなエロ爽見たら立ち直れなくなりそうw
221名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 03:07:55 ID:08fwBY97
コラボGJです!

そして、おこがましいのですが
8月号を見て、爽子と風早が付き合った後を想像していたら妄想が膨らみすぎて、
初SS書いてしまいました。。

設定は3年の学祭後夏休みより前、
キス以上がなかなか発展しない二人が次に発展するまでの葛藤が書きたくて、
書いてたら長くなったので本番までたどり着けず…m(__)m
携帯からなので改行変でもご容赦下さい…

とりあえず書きあがったとこまであげます!

本エロ以外見たくない人はタイトル「本当の君」NGで。
222本当の君 1:2009/07/20(月) 03:09:08 ID:08fwBY97
《翔太side》


黒沼と『彼氏・彼女』という関係になってから1年という月日が経った。

付き合いだした頃はほんとに、黒沼が俺の事を好きと言ってくれる事が夢みたいだった。
付き合う前はすれ違ってばかりでなかなか上手く話す事すらできなった俺は、
ぎこちなく、でも必死に彼女との間にできていた距離を縮めて行った。

一緒に帰ろうって誘ってみたり、
家に帰ってから電話してみたり(最初に電話した日は声が裏返っちゃったな。カッコわりぃ…)、
休日に会う約束をしたり、

手を繋いだり…

触れるだけのキスをしたり…


そうやって一つ一つ黒沼に近づこうとする度に、
黒沼はびっくりしたって顔をするから、また俺先走っちゃったかなって焦るんだけど
でも最後には頬を染めながら笑ってくれるんだ。

そんな彼女の反応を見ながら、『両想い』という甘い現実を実感していた。


でも甘い現実とは時に残酷で。
黒沼が笑って応えてくれる優しさに期待して、もっと黒沼が欲しいって気持ちが溢れだしてくる。
今の俺の黒い気持ち全部吐き出したら、きっと君は怖がる…と思う。
ここから先に望む事をしてしまえば、黒沼がまだ知らない、『本当の俺』を見てしまうから。

・・・・・・・・・
223名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 03:11:51 ID:08fwBY97
《あやねside》


「わたし風早君に嫌われちゃったかなぁ…」


放課後、爽子とちづの3人で教室に残ってたら、
突然爽子が顔面蒼白になりながら呟いた。
その様子の恐さ……じゃなくて、深刻そうな様子に私は耳を傾ける。

「はっ!?んなバカな。あの風早が爽を嫌いになるなんて、死んでもありえんでしょ!
あいつ爽子バカだもんなっ、ハハっ!」

ちづがそう笑ってのけて、私も全くだと思う。
それより、こんな事を言いだす時の爽子は大抵180度ズレた思考に入ってる時だから…
―またあのヘタレ王子が焦れたか…??

前にも似た事があった。

「今度は何?
半年前あんたがそうやって悩んでた時、最終的にはファーストキス迎えてハッピーエンドだったじゃない。」
「え?!!っっあ、……そ、そうだったね…」

あらあら真っ赤。

ふ〜ん。
じゃあ次となると…

「何?最近風早が手繋いだりキスしてくれなくなったとか?」
「なっっっっっっ!!!何でそ、それをっっっ!凄いね、あやねちゃん!」

エスパーだ!とか言って尊敬の眼差しを向けられる。
当たり前よ。何年あんたらのウブバカコントを見てきたと思ってんの。

「そんなんさぁ、あいつむっつりだから、あいつなりに自制してるだけねー?
つか、あいつ絶対もっと爽とイチャイチャしたいに決まってるしっ」
「そうね。王子様も男だからいつまでもキス止まりじゃそろそろ済まなくなってるんじゃない?」

私達があやしくニヤニヤと爽子を見ると、
爽子の瞳から涙が零れだした。

「そ……っ、それは私も……そうかもしれない…………です。」

えっ!?

ちづと私は顔を見合わせる。
まさか爽子がこんな事を言いだすとは…
そうか、だてに1年付き合ってるわけじゃないのね。
爽子の成長にちょっと感動しながら(ちづはアンタ父親かってくらい目に涙蓄めてるけど)、
私達は爽子の背中を押す。


224本当の君 3:2009/07/20(月) 03:14:30 ID:08fwBY97
「なら話は早いじゃない。あんたが今思ってる気持ち、そのまま伝えればいい事でしょ?」
「え…でも……こんな気持ち言ったら軽蔑されちゃうよ!
しかも最近風早くんなんかよそよそしいし……、
風早くんは私と、…その…キスしたいとか、もう思ってくれてもいなかったら…」
「んーなわけあるかぁぁぁぁ!!あいつぜってースケベだから爽にそんな事言われたら犬みたいに食らい付くに決まってるってー!!」
「いや、ちづ、その言い方はちょっと…爽子引いてる。あと声でか過ぎ。っつかちづが泣いてどうするの」

そうやってギャーギャー騒いでるうちに爽子も涙を拭いながらふふって微笑んだ。

―仕方ないな。ここは爽子が頑張らないと、あのヘタレ動けないだろうな…


「爽子、もし言葉で言いにくいなら、必殺技があるわよ?」

私は爽子にそう言って耳打ちすると、真っ赤になってたじろいだ。

まぁ、きっとアンタたちなら何とか乗り越えれるわよ。
報告待ってるから。


・・・・・・・・・・
225本当の君 4:2009/07/20(月) 03:18:03 ID:08fwBY97
《爽子side》


日曜日、いつものように私と風早くんは風早くんの部屋で一緒に受験勉強をしていた。

弟さんは野球の練習があるみたいで、いつも夕方前まで帰ってこない。
更に最近は風早くんのご両親がよく日曜にデートに出掛けているとかで、風早くんとは家に二人っきりになる事が多かった。


(風早くんのご両親はいつも仲がいいなぁ…)

(私の両親も仲がいいけど。
私達もそんな夫婦になれたらいいなぁ…)


――はっ!!

わ、わわわ私ってば何妄想してっっっっ!

「黒沼?」
「え!?」
「…どうしたの?顔が赤いけど」
「えっあっ…な…何でもないの!」
「…?」

あ〜しまったなぁ…
何一人で思い上がってるんだろう。

しばらく反省しながら熱い頬を押さえて俯いていた。


226本当の君 5:2009/07/20(月) 03:20:48 ID:08fwBY97
昨日あやねちゃんとちづちゃんに話した事をふと思い出す。

二人はああ言ってくれたけど、
実際1ヶ月以上風早君は私に触れてこない…
それは、例え今日みたいに風早くんの家に二人っきりになってもだ。

やっぱり、不安になるよ…


顔の熱はさっと引いて今度は青冷めてくるのが自分でも分かる。
その時ふと視線を感じた気がした。


顔を上げると、風早くんの視線とぶつかる。

―え?

あっ私今百面相してたかなっ…!?
変に思われちゃったかも!?

「あっ!…ごめんっ。なんか、…その……黒沼かわいいなって思って」

「!?!?」

うそ…

「あ いや、その…っ!何言ってんだろ俺!ははは…」

かわいいって言われた事に激しく動揺して、また私の顔は熱くなるばかり。
嫌われてはいないって思っていいのかな?


あ…風早くんも赤くなってる…

なんだかその顔をもっと見たくて視線が外せなくなってしまった。

すると…


「…――〜〜っ!あのさ、
そんな顔して見ないでよ……」

そう言った彼の手が、
私の頬に触れた
227本当の君 6:2009/07/20(月) 03:23:59 ID:08fwBY97
「……」
「……」


―もしかして、キス…されるのかな?

ドクンッ ドクンッ ドクンッ


――「………ごめん。」

え?

「今勉強中だったな!さっさとこの問題終わらせなきゃな。」


あ……

まただ――


気が付くと私の頬にあった彼の手の温もりは消えて
彼は私の視線から背けるように、机の上の問題集に視線を移した。
彼からの視線を感じなくなった私の体は妙に淋しくて

彼の温もりが消えた私の頬がやけに冷たく感じて


私……こんなにも風早くんの温もりを欲してたの?…


淋しい…

こっちを見て…?

せめて、あなたの視線に触れたいの…

あなたに触れてほしいの…


この気持ちが『本当の私』なの

風早くんが『本当の私』を知ったら嫌われてしまうのかな

でも…


奥底にしまい込んだはずの『本当の私』はとっくに悲鳴をあげていて

彼にその存在を知ってほしくてしょうがなくて

遂に私の中から飛び出してしまったんだ。


―――気が付くと私は、
あやねちゃんが言っていた『必殺技』を実行してしまった。

・・・・・・・・・・
228本当の君 7:2009/07/20(月) 03:25:14 ID:08fwBY97
《翔太side》


一瞬、何が起きてるのか理解できなかった。

今目の前にいる愛しの彼女は
俺の服の襟元をいきなり掴んで、もの凄い形相で俺を睨み付けている―


俺、何かした…?



・・・・・・・・・・

今日もいつもの様に俺の部屋で黒沼と一緒に勉強をしていた。


毎週の行事になったこの勉強会も、
最近はちょっと考えものだなと思う。


だってさ、ここ1ヶ月くらい前から、俺の親は気を利かしてるのか知らないけど
休みの日になるとデートとか言いながら出掛けて行くんだ。

弟は試合前だから土日は夕方まで帰ってこないし

つまり、この家には俺と黒沼二人っきりって訳で…


(まずいよな〜…)


とにかく、俺は変な気を起こさない様に必死で、
なるべく黒沼に触れないようにしていた。
229本当の君 8:2009/07/20(月) 03:26:14 ID:08fwBY97
…ホントは触れたくてしかたねーんだけど。



そんな事をまたぐるぐると考えていると、隣に座っている彼女のペンが急に止まった事に気付く。


あ、何だろう…顔が赤い?

黒沼? と聞くと、慌てたように手をぶんぶんと横に振りながら何でもないと言う。

あ。真顔になった。
あれ?今度は青くなった…?


…かわいいよなぁ…

触れたい…


それから俺はそんな内心をうっかり黒沼に見せてしまいそうになり、
なかなか勉強に集中できずにいた。

何やってるんだろう俺。

彼女にこれ以上触れたら、ヤバイ事は自分が一番分かってんのに…

でも、何か今日は黒沼の様子がいつもと違う気がする。

いつも以上に挙動不審というか…

どうしたんだろう。

聞いてみようかな?
教えてくれるかな。

230本当の君 9:2009/07/20(月) 03:28:45 ID:08fwBY97


そんな時―

いきなり俺の視界が横に勢いよくずれる

びっくりしてペンを落とした


え?


え!?


―そしてはじめのシーンに戻る


・・・・・・・・・・

見下ろすと、彼女は俺の襟元をぐっと掴んで、

俺を睨み付けている。

つか、

かっ、顔が近いんだけどっ…―!

「くっ、黒沼!?」


普段の彼女からはあまりにも予想できないこの態度に驚き過ぎて、
情けないけど声が裏返る。

俺、何かした…!?


その後、
俺はもっと予想できない事態にあう。


―捕まれていた襟元はさらに下にぐっと引っ張られ、
体制が前のめりになりバランスを崩しかけた。
反射的に目をぎゅっと瞑った。


「……っ!」


唇に何かが触れる


いや、“何か”じゃなくて…

間違えるはずがない。


これは俺がずっと欲しかった温もり
231本当の君 10:2009/07/20(月) 03:31:11 ID:08fwBY97

「……黒沼…?」

唇が離れると、俺はまた彼女を呼ぶ。

信じられないんだ。


だって、今までキスは何回かした事はあっても、いつもするのは俺からで。

今起きた事――
“黒沼からキスをしてきた”
という事があまりにも夢のようで……
体中から火が出そうに熱い。


「……まだ……、足りないの。」
「え?……くろっ、んっ!」


また黒沼の唇が俺の唇を奪う。
さっきの、ぶつけるようなキスじゃなくて、
今度は唇を味わうように執拗に吸い付いてくる。

俺はこの状況に追い付かないでいる頭の中を置き去りにして、
本能のまま彼女のキスに応えた。

右手を黒沼の赤く染まった頬に、左手を黒沼の細い腰に回し、ギュッと引き寄せると、
黒沼は俺の首や頭にしがみつくように腕を回してくる。
そして夢中に唇を重ねてくる。

それは、離れるのを惜しむかのような長い長い口付けだった。
232本当の君 11:2009/07/20(月) 03:34:57 ID:08fwBY97
半開きになった黒沼の唇の隙間から、舌を忍び込ませると、
一生懸命にそれに応えるように、舌を絡めてきた。

部屋中に、チュッ、クチュッ、という唾液のいやらしい音が響く

「んっ!ん、はぁ……」


こんな声…聞いた事なかった


黒沼から漏れる声が、俺を更に刺激していく



―――なんか……すげーヤバい…


意識が朦朧としてくるのを必死でつなぎ止め、
熱くなりかけた下半身にこれ以上の刺激は危険だという自覚をして、
彼女の肩に両手を置き、俺の体から軽く離した。


「あっ……あのさ…」

―――!!

うわっ!!!


引き離した彼女の顔を見て俺はまた思考停止する。


俺を真っ直ぐ見つめながら潤んだ瞳、
赤く紅潮した頬、
先程までの行為で唾液に濡れた唇、
軽く乱れた髪…


やっ、やややややばいだろ!!!
こんな顔反則すぎるって!!

かっ、可愛すぎる…

つかエロいっ

あーもう落ち着け俺!


「…どうしたの急に?…その、いつもの黒沼と違うから…」

なんとか平静を装いながら聞く。あ、でも顔の火照りは隠せてねーか…


「…こんな私は嫌いかなぁ……?」
233本当の君 12:2009/07/20(月) 03:36:13 ID:08fwBY97
「え…?」


小さくて聞き逃しそうなその声を拾って、黒沼の顔を覗き込む。

「……私ね、風早くんが思ってるような子じゃないの」

目に涙を蓄めて、訴えかけるように俺を見つめる。

「風早くん、前に言ったよね?私はガラスみたいに壊れてしまいそうだから、大切にしたいって…」
「あぁ…」


覚えてるよ。俺が黒沼に初めてキスした日、怯えたような君を見てそう言ったんだ。

「でも、『本当の私』は……ガラスのように繊細なんかじゃなくて……
もっと、もっとっていつも欲張りになって…
風早くんが大切にしてくれてるの分かって嬉しいはずなのに…、
それだけじゃ足りなくて……」


黒沼の目から涙が、頬を伝って膝の上で握り締められた手にぽとぽとと落ちていく。


「最近っ……風早くんが私に触れてくれないから……、
わたし…淋しくて、どうにかなっちゃいそうで…。

ごめんなさい、こんな風に、むっ、無理やり……

でも、もう抑えられなかったの
…」
234本当の君 13:2009/07/20(月) 03:38:55 ID:08fwBY97
俺は……

黒沼が一生懸命話してくれる心の声と
さっきまでの黒沼の行動を頭の中に駆け巡らせながら、
必死に彼女の気持ちを汲み取ろうとした。

でもそれは、
俺が思い浮かぶ『本当の黒沼』は、
あまりにも自分に都合がいいような気がして…。

沸き上がる嬉しさを押し殺した。

俺も伝えたい事があるんだ…


「俺は…黒沼にもっと触れたい。
でもそうすると、最近自分を抑えきれなくなるんだ。
さっきみたいなキスだけじゃなくて、もっと先に進みたくなるんだ…。
一応…男だし。

でも『本当の俺』を見せてしまったら、
君を怖がらせるかもしれない。
そう思ってあえて黒沼に触れないようにしてた。

それで黒沼を心配させてたなら、ごめんな?」


ぶんぶんと顔を横に振る黒沼。

そして涙を流しながら、
俺の大好きな笑顔を見せてくれた。

「すごく、嬉しいよ…!!」


あーもう…


そんな顔されたら…


俺がこれ以上自惚れない為にも否定して欲しくて聞いたんだ。

「黒沼は…こんな俺でも受けとめてくれる…?」
235本当の君 14:2009/07/20(月) 03:44:48 ID:08fwBY97
「受けとめるというか…私も…そうだから…」

「え?」

「もう一度言うけど、俺は…もっと黒沼が欲しい。
もっと、黒沼に触れたい。

黒沼は……?」

「……。私も…かっ…風早くんが欲しいよ…」


えっ

―――聞き間違いじゃないよな?
うわっ

なんか…

すげー嬉しい


彼女からこんな言葉を聞けるなんて思ってなかったから、
またこれも夢なんじゃないか?
と疑いたくなった。

でもさっきまでのキスの温もりが消えていない事に気付いて、
これもまた“甘い現実”だと知って
とっさに顔が熱くなった。


――また、君は助けてくれるんだね


俺達が付き合う事になった時も、それまで一方通行だと思っていた俺の想いは
君によって、君に届ける事ができたんだ。

また今日も、君がくれた精一杯の愛情表現が
俺の想いを届けるきっかけをくれたんだ。


目が合わせれなくなった俺の頬にそっと君の手が触れて、

また、俺の唇は彼女に奪われた。


「なんか悔しいなー」
「えっ??」
「ううん。もっと、いっぱいして?」
「…っ!う、うん…」
236名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 03:53:22 ID:08fwBY97
終わりです。
ってか、長っ!!!
す、すみません、こんな初心者の文章でレスを消費してしまい…

あやねに言われた言葉は想像にお任せします。
結局考え振り切った爽子はやっぱ強いなー、と今月号を見て思い、
付き合ってからも事あるごとにすれ違っては爽子のターンに風早も助けられてくのかなと。
そんな二人が書きたかったのです…

長々とすみませんでした!
237名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 13:15:55 ID:9ZDYEVhy
可愛いなー 積極爽子はどうしてこうも可愛いのか
原作の続きっぽくて(いやさすがに書かれはしないだろうけどw)
キュン萌えした!
238名無しさん@ピンキー:2009/07/20(月) 18:18:39 ID:08fwBY97
>>237
236です。キュン萌え頂きありがとうございます(>_<)
私も他の職人さん達の、スイッチの入った積極的爽子とヘタレ風早のコンビが萌えツボでして。


この先も爽やかなエロを目指して書きたいのですが…(濃ゆいエロは文才的に無理そうorz)
出来そうだったらまた投下しに来ます。
239名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 10:16:45 ID:qeow/k3Y
GJ!
原作でもちゅーくらいしてほしいな。。。
240名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 22:06:00 ID:k4yj1Y6L
GJ!
本当に原作の続きっぽい
ってか最終回みたいでちょっと寂しくなっちゃったよ
241名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 00:58:03 ID:s2CUGdGU
>>222-235
の続きができたので投下します。
GJコメありがとうございます!
原作の続きっぽいと言って貰えて感激です!

続きは、やっとのこと本番シーンです(;^_^A
10レスくらい消費します。
エロ度は軽め、甘めです。
キスしかしてない前回よりエロく無くなってるかも(ェ

NGは「本当の君〜甘い誘惑〜」で。
242本当の君〜甘い誘惑〜 1:2009/07/24(金) 01:00:05 ID:s2CUGdGU
《爽子side》


風早くんからキスをせがまれると、私はさっきまでの焦る気持ちから解放され、夢中で彼とキスをした。
彼も同じ気持ちでいてくれた事の喜びから、
彼への“すき”が溢れだして止まらない。


「すき…風早くん…」

唇が離れそうになる度に、まだ離して欲しくなくて、言葉に感情が漏れてくる。


すると、突然彼は私の腕を引っ張り、横にあったベットの上まで一気に導いた。

「きゃっ!?」

気が付くと仰向けに倒れた私の上に覆い被さる形で彼が私を見下ろしていた。


その表情は私が今まで見たことのない表情で―――

瞳の奥は感情が読み取れないほど深く、
眉を潜めながら真っ直ぐに私を見つめる。

いつものあどけなさの残る彼の顔はそこには無かった。


(あらためて…かっ、カッコいいな…風早くん……)

私はしばらく見惚れていたんだと思う。
初めて彼の笑顔を見た時のような…、
ううん、もっと確かな胸のときめきを感じて、身体中が痺れるような感覚になる。


そうしているうちに、彼の顔が私に近づいていき、

はっと、今からこの彼としようとしている事に対する実感が沸き上がり、突然の緊張感に襲われた。

唇が重なった瞬間、
無意識にビクッと音を立てて私の体が反応してしまった…

彼に握りしめられていた手が…ふっ、震える…

その反応に彼は気付いたのか、唇はすぐに離された――

「…怖い?」
243本当の君〜甘い誘惑〜 2:2009/07/24(金) 01:01:07 ID:s2CUGdGU
「だっ大丈夫!!」
「でも…黒沼震えてるし…」
「こっこれは…、緊張して…
でも怖いわけじゃないの。
大丈夫、だよ…?」


必死に気持ちを伝えていると、
彼はふっと優しく微笑んでくれた――

ドキン…

それは私が知っている、いつもの風早くん。


彼の優しい視線を感じていくうちに、手の震えがおさまると、再び彼からのキスが降ってきた。

それに応えるように、握っていた彼の手にゆっくりと力を込めていく。


そのキスが額、頬、首筋へと移動していき、
くすぐったさと、触れられた事のない場所への刺激に思わず「ひゃっ!」と声が漏れてしまう。


彼の手が私の胸を優しく包み込むと、
押し寄せてくる羞恥に眩暈を覚える―…

(やだ…恥ずかしいよ……!!)

気付くと彼の手は私のシャツを潜り、私の胸を隠す布を取り外そうとしてきた

「きゃっ!!か、かぜはやくんっ!!」

私はとっさに彼の手を止めてしまった。
244本当の君〜甘い誘惑〜 3:2009/07/24(金) 01:02:07 ID:s2CUGdGU
「…黒沼?」

私は顔を真っ赤にしながら訴えた。

「あ……あのその…、…私の…ち、小さいしっ…!!」

やっぱり…いざとなると見られるのは恥ずかしい。

「そんなの、俺には関係ないよ?
黒沼のだから見たいんだけど。
…だめ?」

そう言いながら、子犬のような上目遣いで見つめられてしまった。
――かなうわけがないよ〜っ!


「ずっずるいよっ…風早くん…」
「……。ずるいのは黒沼じゃん」
「え!?」
「さっきから俺、黒沼のせいで全然余裕ない…。」

…?

「…わたしのせい…?」
「うん」

その意味がよく掴めず、しばらく彼を見つめてると、
彼を止めていた私の手が緩んだ隙を付いて、私の胸に直接触れられた。

「きゃっ!!」

「隙ありっ」

いたずらっ子のような顔して、にっと笑った彼に、またドキドキしてしまう。


私ってばさっきから風早君の表情をいちいち気にし過ぎかな…?

心臓はドキドキしっ放しで……

でもいやじゃない――


私はそれから彼の触れる熱に煩悩されながら、
幾度となく生まれて初めての感覚に追い詰められていった―――

・・・・・・・・・・
245本当の君〜甘い誘惑〜 4:2009/07/24(金) 01:05:39 ID:s2CUGdGU
《翔太side》


初めて触れる彼女の身体、
初めて聞く彼女の甘い吐息、
初めて見る憂いを帯びた表情

その一つ一つに
俺は全身の感覚が支配されていくようだった。

(あーほんと…余裕ねー…)


俺は無我夢中で彼女の身体をひとつずつ暴いていった。
彼女の耳、首筋、胸、…そして彼女の一番敏感なところ…

どこまでも透明で白い肌と、柔らかな感触に触れる度に感動を覚える。


さっきの会話から、黒沼は俺に気をつかっているのか知らないけど、全く抵抗をしなくなった。

それどころか、唇をぎゅっと噛んで声が出るのを堪えてるようで…

苦しそうな唇にキスを落とすと、
彼女は、頬を染めながら儚げに微笑んだ。

――かっ…可愛すぎる…。


「…かっ、かぜはやくんっ…」
「…えっ?」
「なんか…私……おかしいの…」

彼女は真っ赤になって、涙声で症状を訴えてくる。


「身体が……熱くて…じんじんして…、頭がふわふわして…っ
こんなの初めてで…、私…どこかおかしくなっちゃったかもしれない…」

―――!!

それはつまり…

“感じてる”ってこと……?


今までの彼女の反応からそれは分かっていた筈なのに、
改めて彼女の口からそう聞くと、やけに生々しくて…

なんか、ずりぃな……
246本当の君〜甘い誘惑〜 5:2009/07/24(金) 01:10:59 ID:s2CUGdGU
「…大丈夫だから。俺も一緒」
「……風早くんも……?」

「うん。…さっきから俺も…
いつもと違う黒沼見てると、頭おかしくなりそう…」
「…っ!はっ、恥ずかしいよ…」

「つーか、もう限界」


もう限界。


その言葉の意味が伝わったのか、彼女は目を丸くしている。

「いい?…黒沼…」

・・・・・・・・・・

《爽子side》


『もう限界』

彼の表情から、
その言葉が何を意味しているのかが伝わってきた。


「いい?…黒沼…」

「うん……よろしくっお、お願いします」

彼の問いかけに意を決してそううなずくと、ははっと笑われてしまった。

でも、彼の優しい笑顔に緊張が少しだけ和らいだ…


彼は一旦私の傍から離れ、机から何かを探している。

そして取り出された袋を破り、彼の行動を見ていると、目を反らしたまま呟いた。

「あのさ…。用意周到とか思わないでよ?」
「……?」

あ、そうか!

今日は急にこんな事になったけど、風早くんは前もって予測して、ちゃんと準備しててくれたんだね!
247本当の君〜甘い誘惑〜 6:2009/07/24(金) 01:12:04 ID:s2CUGdGU
「ほんとだ、さすがだね!風早くん!」
「えっ!?」
「?」
「……いや、いい。なんでもない」

尊敬の眼差しで見ていると、彼は耳を赤くしながら、ばつが悪そうに苦笑した。


(あれ……?でもいつから準備してくれてたのかな?)

………そう考えたら、
何だか急に恥ずかしくなってきてしまった…。


ふとんに潜り赤面を隠していると、
ベットのきしむ音と共に、
再び彼は私を組み敷いた。


――これから私が彼から受ける刺激は、最初は痛いってことは予備知識として知っている。

緊張で目をきつく瞑っていたら、瞼に優しいキスが降ってきた。

びっくりして目を開けると、
目の前には優しい彼の顔。


「痛いだろうし…怖いかもしれないけど…
できる限り優しくするから…

…俺も初めてだから、ちゃんと優しくできるかなんて分かんねーけど。」

「うん…ありがとう…」


私の頬を包む彼の手から優しさが伝わってきて、目頭が熱くなる。

―――大丈夫だ、彼と一緒なら、乗り越えられるよ…。


彼を見つめていると、その熱っぽい瞳に吸い寄せられ、そのままもう一度唇を重ねた。

肩の力が抜けていく速度にあわせて、
私の身体の中心に彼の温もりが少しずつ押し入っていく―――
248本当の君〜甘い誘惑〜 7:2009/07/24(金) 01:13:02 ID:s2CUGdGU
《翔太side》


俺は彼女の痛みが少しでも紛れるようにと、精一杯優しくキスを贈り続ける。


彼女の中は想像を絶する程にきつくて、温かくて、
早く押し進みたいという本能に何度も負けそうになる。

でも、痛さを隠しながら苦しそうに肩で息をする彼女を見ていると、
わずかな理性がそれを留めてくれる。

「…痛い?」

「あ…、…実はちょっと痛い…けど…大丈夫だよ?」

「ごめんな…でももうちょっとだから我慢して、な?」

「あやまらないで…?私が…望んだことだから…」

儚く微笑み、そして俺を真っ直ぐに見つめる。

「私…風早くんから受ける痛みなら…、ちっともつらくないよ…?」


そんなの、反則じゃん……


こんな状況でも彼女は毅然としていて、
彼女がくれる言葉は俺を安心させる。

そんな彼女に甘えるかのように、俺は快楽に悲鳴を上げるそれを解放へと導いていった―――


・・・・・・・・・・
249本当の君〜甘い誘惑〜 8:2009/07/24(金) 01:15:05 ID:s2CUGdGU
そのまま俺は彼女の温もりの中で果てていった…


俺の胸の中で呼吸する小さな彼女に、
今まで以上の愛しさが込み上げる。

(夢じゃねーんだよな…)


こんなに幸せでいいんだろうか。
でも、彼女はきっと苦しかっただろうし、俺ばっかりが幸せで何だか悪い気がしてくる。


「ありがとな…痛かった…?」

「ううん、…風早くんが一杯優しくしてくれたから…
幸せだよ?」

幸せ……

黒沼も幸せって思ってくれるの?
そう彼女に言われる事に、
これ以上の幸せはないんじゃないかと思った。


そう思いふけっていると、
突然頭の後ろに手が回され、気付くとまた俺は彼女に唇を奪われていた。

「…っ!!」

不意打ちのキスに見舞われ、
本日何度目か分からない豪快な赤面をする俺。

マジで悔しい

「まだもうちょっとギュってしてても、い、いいかな?」
「…」
「…だ、だめですか?」
「結局負けっぱなしじゃん俺…」
「?」
「いいよもう、好きにしなよ」

悔しいけど諦めるよ。
これからも彼女にかなう気がしないんだ。

「なんか…怒ってる?」
「ちょっとね」
「え!?」



俺が君をすきな以上、
君が俺をすきな以上、

この幸せな誘惑には勝てる気がしかない……

・・・・・・・・・・
250本当の君〜甘い誘惑〜 9:2009/07/24(金) 01:16:09 ID:s2CUGdGU
《爽子side》


――まだまだ触れていたいな…

そんなわがままな私に呆れたのか、
風早くんはなかなか私を見てくれない。

(どうしよう…………)


不安になり、彼を私の腕から解放して、背中を向けて落ち込んでいると――

「きゃっ!!」

突然背中から彼に抱きつかれてしまった。
しっ…、心臓に悪いよ……


「何で離すの」
「えっ…!だって…嫌なのかなと思って……」
「嫌なんて言ってないじゃんっ」

そぉっと後ろを振り向くと、ちょっと拗ねたような彼の顔がそこにあった。

「しかえし。」
「……!」

彼からの強引なキスに、また私の頭はパンクしそうになる。


今日はどれだけ彼にドキドキさせられたんだろう…


私があなたをすきな以上、
あなたが私をすきな以上、

この幸せな誘惑には勝てる気がしかないよ……

251名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 01:25:23 ID:s2CUGdGU
以上です!

お互い好きで好きで仕方ない感じが出したかったので、爽目線・風目線を交互で進行させときました。
何か課程をだいぶはしょってますけど・・

ここまで読んで下さった方ありがとうございましたm(__)m
252名無しさん@ピンキー:2009/07/24(金) 14:15:12 ID:/gBh89lS
GJ!!
A面B面いいね
二人の会話が原作っぽくて萌えましたww
253名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 00:57:38 ID:4zzOrlEb
微笑ましい…。
ナイスナイス。
254名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 02:53:43 ID:ke0uFm1+
やっばいかわいい!
いじらしい!
イイ(・∀・)!!萌え死んだよ
255名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 10:55:19 ID:Qs4qkOmN
GJありがとうございます!>>242-250 の者です。

調子こいて続きをまた書いてしまいました…(´д`;)
保守がてら投下します。これでネタ尽きたので最後にします。
他の神職人さん達の投下を心よりお待ちしてます。


・風×爽。夏休み前、初エッチ体験してから約1週間後の学校にて。
>>222-235 >>242-250 の続きですが、読まなくても分かります。
・風目線。ギャグ寄り。ちょいエロあり(場所:学校)。
・風早とケントが、高橋留美子ばりのやきもちコントして欲しいな〜(めぞん一刻とか…古っ!)という切なる願いから妄想しました。

それでもいい!という方だけ、どーぞm(__)m
256やきもち風早くん 1:2009/07/26(日) 10:57:19 ID:Qs4qkOmN


黒沼とひとつになる事ができたあの日から、

俺達はお互いの気持ちを素直に話せるようになったけど――


「さーだこちゃ〜ん!勉強おしえて〜」


黒沼は俺の事が好きなんだって、前より自身が持てるようにはなったけど――


「貞子ちゃん!髪さらっさらだよね〜!」


俺の嫉妬深さは相変わらずで――


「貞子ちゃん、お茶ちょーだい!」

―――!!!


“ガコッ!!”


「い゙〜〜〜っったいな風早ぁーー!!」
「てめっ…なに間接キスしてんだよ!」
「えーだって喉乾いたし、ってゆーかさぁ、ふつー教科書の角で人殴るか〜!?」
「うっせーさっさとそれ返せ!!」
「何で風早に返すんだよ〜、これは貞子ちゃんのだろ〜?」

「「あーまたはじまった。」」


俺が三浦と喧嘩してると、吉田や矢野は「や〜ね〜余裕ない男って。」なんて言いながらニヤニヤ見てくる。

ったく……わかってるよ。俺がいちいち妬き過ぎな事くらい。
でもやなんだよ。
とくにコイツ、三浦は。


「いーじゃん風早最近貞子ちゃんにべったりだったんだしさ〜。
たまには俺にも貞子ちゃん貸してよ〜」
「確かに最近うざいくらい一緒に居るよねあんたら」
「爽が幸せそうなのはいいけど、
風早が幸せそうなのはなーんかムカつくんだよな〜」
「しょーた、最近にやけすぎ…」

なっ!!!

なんだよみんな口揃えやがって。

つーか龍まで!

257やきもち風早くん 2:2009/07/26(日) 10:58:15 ID:Qs4qkOmN
「別に…にやけてねーし…。
それに俺ら付き合ってるんだから一緒に居て何が悪いんだよっ」
「ま〜ま〜怒るなよ!いつもの爽やか風早君はどこ行ったんだよ!ほらスマイル!」

くっそ…――お前がケンカ売ってくるからだろっ…!

黒沼はオドオドしながら何で俺が怒ってんのか分からないって顔してるし…

「かっ風早くんっ…!なんか私怒らす事しちゃったかな…!?」
「貞子ちゃんはな〜んにも悪くないよー?」

そう言いながら三浦はいきなり黒沼を後ろから抱き締めた―――

「しっ…ししししししょうっ!!」

――コイツ…!!


俺はすぐ様に三浦から黒沼を引き剥がし、三浦に一発蹴り入れた後
黒沼の手を引いてその場から逃げ去った。

「いって〜〜。…ったくあいつ何必死になってんだよ…」
「ケント…、さすがに今のは風早キレるわ」
「だってさー…なんかずるいよ風早…
俺がどうあがいても貞子ちゃんは風早しか見てないんだぜ?
なのに何であんな余裕ないかなー」
「まぁ……あの子らはいつまでたっても気持ちは片想いだからね。」


三浦と矢野がそう話している間、
俺は黒沼の手を引きながら、ハラワタが煮えくりかえる思いでただひたすら走り続けていた。


258やきもち風早くん 3:2009/07/26(日) 10:59:01 ID:Qs4qkOmN


「はぁっ、はぁっ…」

俺も黒沼も息が上がる。

俺が黒沼を連れて走って行き着いたのは立ち入り禁止の階段。

二人っきりになれる所ならどこだってよかった。


「だあ゙〜〜〜〜〜〜〜ちくしょーー!!」

もうムカついてムカついてしょうがなくて、頭をガシガシ掻きながらそう叫んでた。

「か、かぜはやくん!!どうしたの?ほんとに…」

振り向いて彼女の顔を見ると心配そうにこっちを見上げてる。
怒りがおさまりきれてない俺は、多分不機嫌全開な顔してるんだろーな。

「くろぬま、隙多すぎ。」
「えっ!?」
「あいつ…三浦に触らせないで」
「師匠??あっ、さっきの…怒ってるの……?」

やっとわかった?

でもいざバレると今度は自分の器の小ささに情けなくなってくる。

ごめん、俺こんなんで。

目が合わせられねー…

「ごめん、ただのやきもち。
黒沼の事信じてない訳じゃねんだけど…
アイツは…黒沼に気ありそうだから嫌だったんだよ」

259やきもち風早くん 4:2009/07/26(日) 11:00:00 ID:Qs4qkOmN

あ〜カッコわりー…
こんな事言ったらさすがに黒沼も飽きるだろ…

って、あれ?

何でそんな嬉しそうに…

「やきもち……妬いてくれたんだ……」

ああそうだけど

「それって…風早くんは私の事が…すっ、すきだからだよね…!?」
「まぁ…うん。って何いまさら」
「うっ…うれしい……なぁ…」

うわっ
黒沼顔すげー真っ赤…めちゃくちゃ可愛い…

ってそこじゃねーだろ!

「嫌じゃない?こんな嫉妬深いやつ」
「…?嫌なわけないよ…うれしいよ!」
「なっ…」
「あ!でもね、師匠は別に私のことなんて何とも思ってないと思うの。だから、大丈夫だよ!」

――気付いてないから余計ほっとけねーんだけど。

「それに……」
「それに?」
「私は…風早くんしか見えてないから…」

こんな可愛い答えが返ってくるとは思ってもみなくて…


「黒沼こっち来て」

俺は階段の踊り場に腰掛けて、黒沼に手を差し伸べる。

「……なに?」
「いいから!…おいで。」

おずおずと近寄ってくる彼女に手が届きそうになった瞬間、
一気に腕を引き、俺の足の間に座らせた。

そしてそのまま後ろから抱き締める。

「えっ!ええっ…?!風早くんっ」
「動かないで。じゅーでん」


“キーン コーン カーン…”

昼の授業が始まる合図が響き渡った。
でも…まだ離したくない

「風早くん!!授業……!」
「さぼる。」
「ええええ!?」
260やきもち風早くん 5:2009/07/26(日) 11:01:13 ID:Qs4qkOmN

どうしよう、と焦る黒沼に追い討ちをかけるように、
真っ赤な耳たぶを唇で挟んでみた。

「ひゃっ!!」

可愛い声出しちゃって。

彼女の頬に手をやり、こっちに振り向かせて今度は唇を奪う。

そのまま制服越しから胸を揉むと、
黒沼は俺に手をついて引き離そうとしてきた。

「だっ…だめだよ…!こんな…学校だし…授業中だし…っ」

真っ赤になって潤んだ目で訴えくる。
そんな顔されたらもっと色々したくなるじゃん――

「黒沼真っ赤だよ?…この前はもっと凄いことしたのにさ…」
「へっ!?」

一瞬で固まる彼女。
――とか言いながら、俺も今相当顔赤いんだろうけど……


「なぁ……しよ?」

「…………ぇ」

いやとは言わせないって勢いで横から顔を覗き込む。

「なに?」
「!!……なんでも…ない…」

ちょっと意地悪かなとは思いつつ、
でも一度彼女に触れて火が付いた俺の体はどうしても彼女に離れて欲しくなくて。


261やきもち風早くん 6:2009/07/26(日) 11:02:02 ID:Qs4qkOmN
抵抗するのを諦めた彼女の制服の下から手を潜らせ、
彼女の胸をやわやわと揉みしだく。

「ふっ、んんっ…!」

唇をきゅっと締めて声が出るのを堪えている。
俺はもっと彼女が敏感な所を指先で転がす。

「ひゃぁっ!?」
「しーっ!声出すと誰か来ちゃうでしょ?」
「だっ、だって…」

俺だって、黒沼が感じてる声もっと聞きたいけど……
こんな可愛い声誰かに聞かせたくねーし…――


黒沼がこんな顔するのも、
こんな声出すのも、
知ってるのは俺だけでいい―――


俺はまた滲んでくる独占欲にかられて、
黒沼の首の根元あたりに『ひとりじめ』の印をつけた。

「っ!!」

彼女は驚いてこっちを見てきたから、
俺はいたずらっぽく“にっ。”と口角を上げる。

「これ……」
「ん。黒沼は俺だけのってしるし」
「……!!こんな…誰かに見られたら恥ずかしいよぉ…」

目に涙を蓄めて恥ずかしがっている彼女。
そんな姿に俺はまた堪らなくなって、
彼女へのいたずらを更に進める。

262やきもち風早くん 7:2009/07/26(日) 11:03:04 ID:Qs4qkOmN
スカートの中から太ももへと指を這わせ、
その上の中心までゆっくり近付けていく。
びくびくと体を震わす腕の中の彼女は、
その湿り気を含んだ布まで指が到達する瞬間、一際大きく身体を震わした。

「っっ!んんんーー!」

「すげっ……黒沼、この前より濡れてない?」

予想以上の彼女の反応にびっくりする。

「いやっ…そんな…っ!だって…!風早くんがこんなとこで…こんなことするから…」

俺も、ましてや学校のこんな場所で、もしかしたら誰かにバレるかもしれないというスリルに興奮していたのは確かだった。


「…誰に見られるかもしれないから、感じてたの?」
「えっ違っ…」

黒沼の言葉がいい終わらないうちに、遮るようにキスをする。

「…こんなかわいい黒沼…俺以外に見せたくねーよ」

言ってることとやってること無茶苦茶じゃん、と自分に突っ込みながら苦笑する。

でも…ほら、またそんな顔するんだ――

最近気付いたのは、俺がちゃんと素直に気持ちを伝えた方が
黒沼は喜ぶんだってこと。

でもやっぱり口にするのは恥ずかしい…

しばらくお互い赤面しながら見つめ合ってると―――


“ダンッ ダンッ ダンッ・・・”


―――!?

階段を昇る足音が近付いてくる――
263やきもち風早くん 8:2009/07/26(日) 11:04:12 ID:Qs4qkOmN


「やばっ…誰か来たかも」
「うそっ!?」

俺達はとっさに離れて、
黒沼は慌てて乱れた制服を整え直す。

「あー夏はあっちーぜー全くよ〜」

……?

ピン!?


「げっ!」

「うわっ…って おまっ……!
翔太と黒沼じゃねーかよ!」

やっべーーー!!よりによってピンかよ!

「何してんだおめーら!そこは俺の昼寝スポットだ!どけ!」
「教師がこんなとこで昼寝かよ!」
「あ゙〜?つーかお前らこそ今授業中じゃねーのか?」

!!…しまった忘れてた…

「はっは〜ん…授業抜け出してメモリ合いかぁ〜?それともいちゃこらついてたんか?ん?」

ニヤニヤ俺達を見比べてくる。
まじこいつムカつくっ

「せっ先生!ごめんなさい……!私がいけなかったんです!」
「いいよ黒沼。俺が連れ出したんだし」
「あ〜〜〜暑苦しい!!ただでさえあっちーのにこれ以上暑くすんな!
さっさとそこどいてガキはおとなしく授業に戻りやがれ!!」

ピンは無理やり俺達を引っ張り出すと、ドスッと音をたてて踊り場に寝転がった。


……つーか
今から二人で教室に戻るのもかなり気恥ずかしい

「どうしよう…」
「……う〜ん…仕方ないから戻るか!
後であいつらに色々聞かれても知らねっ」
「う、…うん」

264やきもち風早くん 9:2009/07/26(日) 11:05:03 ID:Qs4qkOmN


「ごめんな…?黒沼は悪くないのにさ…わがまま言って」

もとはと言えば俺が嫉妬して彼女を巻き込んでしまったわけで。
今さらだけど、ほんとに俺勝手すぎるよな…

「ううん…!私も…風早くんともっと一緒に居たかったから…」
「…ほんと?」

うん、と笑顔で応えてくれる黒沼に俺も吊られて笑顔になる。

「じゃあさ……後で続きしよーな」
「え!?」


―――俺は独占欲強いし、
勝手だし、

また今日みたいに黒沼を困らせるかもしれないけど

それだけ黒沼がすきですきでしょうがないんだ。

いつか、もっと余裕のある男になれるように頑張るから、

それまでは独占させて…?―――


・・・・・・・

おまけ


「貞子ちゃ〜ん、授業サボるなんて珍しいじゃん?」
「えっっ!??」
「しかも風早とふたりで。
こんなとこにこんなもんまで付けちゃってさ〜、俺ショック…」
「えとっ、あのっ、これはそのっ…」
「俺も付けていーい?」
「へ!?」

ガタンッ!!

「てめ三浦ああぁぁーー!!黒沼から離れろ!」
「なんだよ風早〜!さっき散々貞子ちゃんひとり占めしてたくせに〜!」
「いーから離れろ!今すぐ離れろ!」

「「あ〜〜もう、うるっさいおめーら!!」」


おわり


265名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 11:11:06 ID:Qs4qkOmN
以上でした!
てか連れ去りとかキスマークとか今まで散々出てきたネタかもしれませんが…orz
しかもこの風早ワガママ全開っすね。だからか爽子がいい子過ぎる気がする。。

原作でも、付き合ってから健人とヤキモチコントたくさんやって欲しいなぁと妄想してます。

私の自己満にお付き合い頂いた方、ほんとにありがとうございました!!
266名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 11:43:16 ID:Qs4qkOmN
誤字発見…orz

7P目、
> 「…誰に見られるかもしれないから、感じてたの?」
→「…誰かに」の間違いっす。

あわわわわ失礼しました!!m(__)m
267名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 13:08:00 ID:mUOcJpP+
超GJ! やきもちコントいいよいいよー!!顔がにやけるわ〜!
最後と言わずまたネタができたら是非!
268名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 04:02:27 ID:0RhQrjwt
ひゃっほうGJ
良かった
269名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 05:30:26 ID:AmZh5G3k
ケントが絡むネタ・・・大好き。
270名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 06:07:55 ID:AmZh5G3k
今度はケントサイド、マジバージョンでよろしくお願いします。
271名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 09:47:34 ID:ik4MT1i3
>>265です。お誉めの言葉ありがとうございます!
何せ初心者なもので、一気に3作品も連投してしまったことにびくびくしてましたが、
気に入って頂いた方も居たようでほっとしました(;^_^

ケントとの絡みは私も大好きなので、もしマジケント話書けそうだったら頑張ってみたいです。
あ、でも他の職人さんで思いついた方がみえたら、どうぞ先に投下しちゃって下さいね!

272名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 13:15:51 ID:/tZhdp/R
特に>>259が好きだ。
ありそうで。
273名無しさん@ピンキー:2009/07/27(月) 22:16:26 ID:VlSuoG/7
GJ 続けざま面白かった
ケントネタ好きだ マジバージョン見たいね。
ほんとに原作と地続きって感じだよ
274名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 02:52:06 ID:n95XKT7B
どうも、>>265の者です!
お言葉に甘えて、マジケントものただいま執筆中です。
展開的にエロ描写は少なくなりそうな予感…φ(.. ;)エロパロなのにすみません…。
過去の管理人様達の作品はホントに凄いなと痛感させられます。。

ケント目線の進行に苦戦しているので…、ちまちま書き蓄めて週末までにはうpできたらなと思います。
275ピロートーク:2009/07/30(木) 04:57:03 ID:UBm6Mgum
保守代わりに投下します。
エロ少なめでごめんなさい。

ピロートーク。

二人はベッドの中で裸で絡み合い、ぎゅーっと抱き合いながら、
お互いの体温と肌の感触を確かめ合っていた。
「・・・ねえ。風早くん」
「もー。爽子、また風早くんって言った。ちゃんとしょーた。って呼んで」
「うん。しょーた。くん。」
「爽子、ちゃんと自覚してる?もうすぐ自分も風早になるんだよ?分かってる?」
「・・・そうだった。・・・私、いつまでたっても、慣れないね・・・
ずっと、風早くんって呼んでたし・・・。」
「何回かトライしては、結局いっつも風早くんに戻ってたじゃん。」
「うん・・・。だって、なんか、恥ずかしくて・・・」
「今度は自分も風早になるんだよ?ほら、もーいっかい。」
という風早に爽子は顔をあからめながら
「・・・しょーた。くん。」
「よくできました。」
こういう、いつまでも純なところが、好きなんだよなあ。
二人は軽くキスをする。ほっぺたに。唇に。首筋に。胸元に。
「あ。でも俺ももう爽子のこと黒沼って呼ばないんだ。」
「・・・そう、かも。」
「それも、なんだかなあ。呼ばれたい?」
「・・・・しょ、しょーたくんに、爽子って、呼ばれるの、好きだから・・・」
「いいの?」
「いいの。」

276ピロートーク:2009/07/30(木) 05:00:48 ID:UBm6Mgum
またキスをする。今度は濃厚なキス。何度も何度も唇を重ねる。
肌と肌が触れ合う。あったかい・・・・。きもちいい・・・。しあわせ・・・。
「・・・しあわせだなあ。わたし。すごくしあわせ。」
「俺も。いますげー幸せ。」
「これから、風・・・じゃなかった。しょーたくんと、ずっと一緒にいられるんだね。」
「そーだよ。ずっーと一緒。離さないから。」
「嬉しいなあ。夢みたいだなあ・・・」
夢みたいなのは俺のほうだよ。と風早は思いながら、
爽子の細い身体をぎゅっと抱きしめる。
「爽子の身体。好き・・・・」
「な・・・。えっと・・・と、突然何を・・・」
爽子の顔が急に真っ赤になる。
「肌と肌が吸い付くみたい。こうやって触ってると、
ものすごく気持ちいい。ずっと触ってたい。」
「わ、私も、しょーたくんの身体、好きだよ・・・。あったかいから・・・。」
「好き・・・?じゃあ、もっといっぱい触ってよ。」
「・・・だきしめてもいいの?」
「・・・もうだきしめてるじゃん。」
「・・・もっとぎゅって抱きしめたいの。」
かわいいなあ。
「もっかいしたくなっちゃうじゃん。」
「もう一回?」
「うん。したい。」
爽子は顔をあからめたあと、風早にの唇にキスをした。
「・・・・きょうは、とくべつに・・・・」
「・・・とくべつに?」
「い、いいよ・・・・」
「最初から最後までしょーた。って呼んでくれる?」
「・・・・うん。しょーたくん。」
「風早くん禁止だよ?」
「・・・うん。じ、自信ないけど・・・」
「まちがって呼んじゃったら・・・。なにしようかなー」
「?????」
「・・・秘密。」


・・・というわけで二人はまたラブラブ2回戦に突入しましたとさ。
ほんとはこのあと濃厚なエロが書きたかったんですが
とりあえず今回は軽めでよろしくお願いします。
277名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 10:10:21 ID:zVdfoVge
GJ!!
なんだか幸せな気分になったよ!
結婚前夜よいね〜!
278名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 22:58:22 ID:TUCKpSDh
>「爽子の身体。好き・・・・」

いいそうwすごくいいそうw
279名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 01:00:11 ID:u6Emp1PR
>>278
wwww
280名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 03:39:01 ID:X4lEb4ra
萌えた
281名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 18:21:37 ID:UCKtlHTA
>>256-264の者です。
マジケント篇書いて見ました…がっ。苦戦の挙げ句、全くエロくなくなってしまいました(ノд<。)
ウブコント止まりです…

しかもケント目線だけで進行しきれず、風目線と爽目線の3人で進行することに……。
それでもいいっていう方はどうぞお進み下さい…

・カプは風×爽。二人のケンカに健人が関わって来ます。
>>256-264の設定を引き継いでますが、単品でも読めるはずです。時期は3年の秋頃。
・今月号までのネタバレが若干含まれてます。コミック派の方はご注意。

タイトルNGは「両想いと、片想い」
282両想いと、片想い 1:2009/08/01(土) 18:23:28 ID:UCKtlHTA
《翔太side》

今日は久々にジョー達とカラオケに行く事になった。
一応俺ら受験生だから、2年の頃までに比べると遊ぶ回数も減ったけど、
今日は2学期中間テストの最終日だし打ち上げがてらパーッと遊ぶ事にした。

「黒沼!」
「あ…風早くん」
「今日ジョー達とカラオケ行ってくるからさ、先帰ってて!」
「うん。わかった!」
「帰ったら電話するね」

黒沼と一緒に帰るのが日課になってたけど、今日は仕方ない。


彼女と笑顔でバイバイと挨拶を交わし、俺はジョー達の居る場所へと戻った。


・・・・・・・・・・

《健人side》

「あれ……?」

帰宅途中、前方に長い黒髪の女の子が一人で歩いているのに気付いた。
貞子ちゃん……?に見えるけど一人で帰るなんて珍しいよな…

駆け足で彼女の方へ近寄っていくと、やっぱりその女の子は貞子ちゃんだという事を確信した。

「貞子ちゃん!今日は一人?」
「あ、師匠!」

驚いてこちらに振り返る。
聞くと、今日は風早がクラスの奴らとカラオケに行くんだとか。

………てことは、
今日は邪魔者は居ないってわけね……


「今日のテストどうだった?」
「うん、出来るだけのことはやれたと思う…。…師匠は?」
「あ、オレ?貞子ちゃんに教えて貰った所はバッチリだったよ!」
「ほんと…!?よかったー…!」

ドキッ……


突然笑顔になった彼女に思わず言葉を無くす。

この笑顔……すきなんだよなー……

オレは、風早が居ないというこんな滅多にないチャンスを逃すまいと、
思い切って彼女を誘ってみた。

283両想いと、片想い 2:2009/08/01(土) 18:25:35 ID:UCKtlHTA


「貞子ちゃん、この後なんか用事ある…?」
「え…?とくにないよ?」
「じゃあさ。オレ今数学の参考書探してるんだけど、どれがいいかとかイマイチ分かんなくてさー。
よかったら貞子ちゃん一緒に選んでくれたら助かるなーなんて。」
「えっ!そんな…わっ私なんかが役に立てるのかな……?!」
「貞子ちゃんがいいんだよ!ね、お願い!!」

両手を合わせて彼女に懇願する。
すると、役に立てるかわかりませんが…なんて言いながら遠慮がちなOKを貰えた。

やった!

参考書ってのは口実で(実際探してたってのはあるけど)、
彼女と二人で居られるなら何だっていいんだ。


オレ達はその後本屋に寄り、
用を済ませると近くにあったカフェで貞子ちゃんとお茶していた。
といっても、やっぱり彼女は遠慮してくるから、半ば強引に
“お礼したいからおごらせて”と連れて来たわけだけど。


「貞子ちゃん最近風早とどう?」
「えっ?どう……と言われても……普通??」

顔を真っ赤にしてたじろぐ。
アイツの事になるとすぐコレだもんな…

「ケンカとかしないの?ほら、アイツわりと短気だし。」
「ケンカ……?したことないよ?」
「え、マジで!?」
「うっ、うん…」

…あ、そうか…。
アイツがいくら短気だろうが、貞子ちゃんには飛びきり弱いし
ケンカになりようがないってとこか……

284両想いと、片想い 3:2009/08/01(土) 18:29:58 ID:UCKtlHTA

「じゃあオレの入る隙はないって事か…」
「……??隙??」

ははっ、意味分かってないでしょ。
まぁ今はまだいっか…

「じゃーさ、アイツに泣かされたりしたらすぐオレに言いなよ!
オレ貞子ちゃんの見方だし」

「あっ…あありがとう師匠…!でも…、きっと大丈夫だと思う」
「もしもの時だって!覚えといてね」

そう笑顔で伝えると、彼女もふわっと微笑む。

この空気がすき


今は、彼女の笑顔が見れるだけでいい


彼女の幸せを応援するって決めたんだ


―――この時、オレ達は
オレと貞子ちゃんを遠くから見つめる影に気付いていなかった。


・・・・・・・・・・

《爽子side》

師匠と別れて家に帰ると、
放課後風早くんに「電話するから」と言われた事を思い出して携帯を開いた。

……まだ帰って来てないのかな。

きっと今頃楽しんでるんだろうな。
そう思いながら、夕食の手伝いをしに台所へと向かった。


夕食を済まし、部屋に戻って勉強をしていた私はふと時計を見る。

……もう11時だ。

いつもならもうとっくに帰って来てるはずなのに……

私から電話してみようか…

いやでも、迷惑かな…?まだ遊んでたら…

ゔ〜〜〜ん……
285両想いと、片想い 4:2009/08/01(土) 18:31:07 ID:UCKtlHTA


暫く携帯とにらめっこしていたけど
このままジメジメ考えるのは良くないと思い、
思い切って通話ボタンを押す。


規則正しい機械音と、自分の早くなった心臓の音がこだまする。

風早くんにかける電話はいまだに緊張するな……


『―――はい。』

あっ出た!!

「あっあのっ……かぜはやくん…?…もう帰った…?」
『……うん、ゴメン。俺からかけるって言ったのに』


……なんだか……声に元気がないみたい…?

気のせいかな…。

「ううん、いいの。…今日楽しかった?」
『…………』
「………風早くん……?」
『………黒沼は?』
「え…?」
『今日……、駅前のカフェで楽しそうに三浦と話してたじゃん』


―――あっ…

風早くん、見たんだ……


はっ…!もしかして誤解してるんじゃ……!!

「えっと……ちがうの!!
あれは…師匠が参考書選ぶの手伝って欲しいって……」
『……ちがうって、何が…?』
「………え…?」
『三浦とデートしてたって事が?』


“デート”………
風早くんに言われたその単語が胸に突き刺さる。

わたしがした事って……

286両想いと、片想い 5:2009/08/01(土) 18:31:58 ID:UCKtlHTA

『ごめん…黒沼がそんなつもりじゃなかったって事は分かるんだ…。
いちいちこんな事言いたくないんだけど…
でも、前に言っただろ…?
三浦は黒沼に気があるって。
だから三浦とは嫌なんだよ…』

「えっ…でもそれはないと思う…!」

『……なんでそう思うの……?』


風早くんの声のトーンがだんだんと落ちていく。


「でも…もし……仮に……!そうだとしても……、
私は師匠の事は友達だって思ってるし」

『――じゃあ黒沼は、
俺が…もし俺の事すきだっていう子と二人っきりで遊んでても
平気ってこと……?』


――――あ。

平気……じゃ………
……ない………


わたし―――


『俺だけかな……こんなに嫌なの』

「ちがっ…」

『ごめん…。もう寝るから……おやすみ。』

プツッ


――――間違えた……

わたし……
風早くんの気持ち全然分かってなかった………


“鈍さになれるな!!”

あ…

ふいに、前にちづちゃんに言われた言葉が頭を過る。

わたし、また自分を下げる事で

大切な人を傷つけてしまったんだ―――

・・・・・・・・・・
287両想いと、片想い 6:2009/08/01(土) 18:35:28 ID:UCKtlHTA

《翔太side》

頭の中がめちゃくちゃだ―――


あんな風に言うつもりなかった。

俺の醜い独占欲がほんとに嫌になる。

分かってるんだ、
黒沼は三浦とそんなつもりで一緒に居たわけじゃない事くらい。

でも………もし、
三浦と近づいて、黒沼が三浦に気持ちが揺れたりしたら………

―――そう考えるだけで
おかしくなりそうなんだ……


・・・・・・・・・・

次の日、俺はこのまま気まずくなるのは耐えられないから、
黒沼に昨日きつく言ってしまった事をまず謝ろうと思った。


教室に入ると、矢野と吉田の隣で話している彼女を見つける。

「くろぬ…「おい翔太!!!」

―――はっ!?

見事に声を被せられ、その声の方に振り返ると……

うげっ……ピン……

「お前に聞いて欲しい話があんだっ!!ちょっとこっち来い!」
「ちょっ…!っておい!!」

ピンは問答無用で俺の腕を引っ張って
そのまま俺は拉致られてしまった。

そしてピンの意味わかんねー霊体験話に付き合わされる。

(こんな事してる場合じゃねーんだけど………!)

やっと解放されたのはHR直前。
結局黒沼と話せないまま時間だけが過ぎていく。


それからというものの、
黒沼に話しかけようとする度にタイミング悪く誰かに話しかけられ、
俺の焦りも最高潮―――

なんで今日に限って……こんなにタイミング悪いんだよ……!!
288両想いと、片想い 7:2009/08/01(土) 18:40:26 ID:UCKtlHTA

昼休みになり、今度こそ黒沼に話しかけようと席を立つ。

「…くろ「おーい風早ー!!」


――――イラッ

今度はなんだよっ!!!

「お前今日委員会なかったかー?」
「あっ……やべっ!忘れてた」

しまった今日は体育祭の打ち合わせあるんだった…

あ〜もう…なんでこう……


仕方なく教室を出る。


―――もう、なんでもいいんだ。
話すだけでいい。

目が合うだけでいい。

なんでもいいから

許してくれなくてもいいから

黒沼に・・・会いたい


俺の望みを叶えて―――

・・・・・・・・・・


《健人side》

なんだか今日は貞子ちゃんの元気がない気がする。

オレは昼休み、一人花壇で花に水をやる彼女に声をかけた。

「貞子ちゃん!」
「わっっ!!ししょうっ!!」


……??

何でそんなに怯えてんの?

「どうしたの…」
「あっ!ええとっ……ごっごめんなさい……!」
289両想いと、片想い 8:2009/08/01(土) 18:42:12 ID:UCKtlHTA

オレが近寄ると彼女はもの凄い勢いで後退り、
そしてそのまま逃げるように走り去った。

………えっ何!?
なんで逃げるんだよ!

わけが分からず、逃げる彼女を追い掛けた。
すぐに追い付いて彼女の腕を掴むと、
振り返った彼女の目には涙が溢れていた―――


「なに泣いて……」
「………ごっ、ごめんなさい」
「謝ってるだけじゃ分かんないでしょ?」

泣いている彼女にできるだけ優しく聞く。
すると、少しだけの沈黙後、彼女はせきを切ったように話し出した。


「やっぱり……避けることなんてできないよぉ〜……!!」

「えっ!?」

顔をぐしゃぐしゃにして号泣し出す貞子ちゃん。
ちょっ、なに……?!

「私が……師匠と一緒にいると……彼を……傷つけてしまうからっ」


――もしかして、
昨日の事風早になんか言われた…とか…?


「でもっ……!私にとっては……師匠も大切な友達でっ…恩人でっ……
こんなにいい人避けるなんてできないよぉ…」

一生懸命そう話す貞子ちゃんに、
オレは堪えていた感情が一気に溢れ出そうになった―――


「ひゃぁっ!!?」


気付くとオレは彼女を抱きしめていた……

290両想いと、片想い 9:2009/08/01(土) 18:45:18 ID:UCKtlHTA

「ありがとう…貞子ちゃん。
…その涙はオレの為なんでしょ……?」

「……?……うん…」

「ははっ!それだけでじゅーぶんだから。
貞子ちゃんが俺の事避けても、
そうやって思ってくれた事思い出せば、
全然オレつらくないし。」

彼女がそうやって一瞬でもオレの事考えてくれた、

それだけなのにこんなに嬉しいとは思わなかったんだ……

「だからさ!笑ってよ!」


オレは彼女を少し離し、
チャッ☆と合図を送る。

「こっ……こう?」
「ちがーう!ほらっ、眉間!」
「………ありがとう……」

えっ…………?


「師匠は本当に優しいね……!
私、ちゃんと風早くんと話し合うから……
もう師匠に迷惑かけたりしないよ…!」

そう言って、彼女はふわっと花が咲くように笑った――


なんか、ちょっと悔しくなってきた。
アイツにこの笑顔ひとりじめされてると思うと…―――

291両想いと、片想い 10:2009/08/01(土) 18:48:05 ID:UCKtlHTA

「迷惑なんかじゃないんだけどな〜」
「へ?」
「だってオレ、貞子ちゃんの事すきだもん」

……ぷっ!
固まってるし

「ちなみに、“恋愛感情で”だからね?」

「――――ええぇぇ!?!?」

あ〜言っちゃった。
だって貞子ちゃんオレの気持ちも知らないで優しくし過ぎなんだよ。

「だからさ、今度貞子ちゃん苦しめたら遠慮なく頂くからって
アイツに言っといて!」


それだけ言ってオレは立ち去った。

もう嘘つくの疲れちゃったし。
オレ基本正直だからさ。

これからは遠慮なく奪いに行くから、
そのつもりでいてよ、貞子ちゃん。


・・・・・・・・・・


《翔太side》

今日一日散々邪魔を受けて、黒沼に一言も話し掛けられないまま時間だけが虚しく過ぎていった。

放課後、もう今しかチャンスはないと思い、
SHRが終わると同時に黒沼の席の方へ駆け寄る。

「黒沼!」
「…………!」

彼女と目が会う。

やっと………
彼女の名前を呼べただけで、
彼女と目を合わすことができただけで、

俺は心の底から嬉しさが込み上げてきた…

たった一日、話せなかっただけで
こんなになるなんて
俺ほんとどーかしてると思う。

292両想いと、片想い 11:2009/08/01(土) 18:48:57 ID:UCKtlHTA

「昨日の事……謝りたいんだ。ちょっと、今いい?」
「わたしも……っ!謝りたいの……!」
「えっ…、黒沼が謝る事なんてないだろ?俺が悪かったんだから」
「ううん!風早くんはなんにも悪くないの!」
「いや俺が悪いから!」

「ちょっと!夫婦ゲンカは他でやってくんない?」
「ホントいつもはずかしー奴らだな!」

ゔっ…………

矢野吉田ににらまれ、
俺達は居づらくなって場所を人気のない廊下へと移した。


・・・・・・・・・・


「「ごめん」なさい!!」


……?

第一声がもろに被って思わず目が点になる。


「あっ…あのっ昨日風早くんに言われた事…
あれ、ほんとだと思ったの」

「……え?」

「私も…もし風早くんが、風早くんをすきな女の子と一緒にいたら……
すごく、すごくつらい気持ちになると思ったの…!」


―――そんな事言われたら…

「……っ!」

俺は溢れだしてくる感情にのせて、
そっと彼女にキスをした。

唇に触れた熱に、
またじわっと愛しさが込み上げられる。
そして、赤くなった顔を隠すように彼女の頭を胸に引き寄せた。

293両想いと、片想い 12:2009/08/01(土) 18:49:50 ID:UCKtlHTA

「ありがとな…。
でも本当に昨日はゴメン…あんなふうに責めたりして……」

「………ううん。」

黒沼は頬を染めながら、言葉を続けた。


「私…風早くんが私の事好きってこと…
まだ夢だと思ってたのかもしれない…」

「……夢…?」

「うん、まだね…私だけが風早くんをこんなに好きなんだって思ってた。
でも、そうやって…私が風早くんの気持ちに向き合わなかった事で…
風早くんを傷つけてたんだって…やっと気付いたの」


彼女は俺の顔をそっと見上げた。

「わたしたち…“両想い”なんだね…」


―――っ!


「そっ……そうだけど…」

あーもうなんか……
改めて言われるとむちゃくちゃ照れるんですけど…。


「でも……だからって別に俺に気つかわなくていいからね?
黒沼にとっては…三浦も大切な友達なんだろ?
まぁ…俺は勝手に妬いてるだけだから、
黒沼のしたいようにすればいいよ。」


黒沼の事だから、変に気を遣うんじゃないかと思い、そう伝えた。
それは、こんなふうに言ってくれる彼女に対する俺なりの精一杯の思いやりだった。
確かに嫉妬はするけど、
それで黒沼が悲しむのは嫌だから…

294両想いと、片想い 13:2009/08/01(土) 18:51:50 ID:UCKtlHTA

「……それなんだけど…」
「………?」
「…………」

え?

なぜ黙る…


「なに?まさか三浦に告白されたとかじゃないよな?ははっ…」
「…!!!」
「………え゙っ。ちょっ………マジ!?」
「あっ!ちがっ!…わなくて…!!えと…」


冗談で言ったつもりが図星って顔されて俺まで焦る。

でも……

焦らなくても俺は答えを知ってるはず―――


「…黒沼は俺がすき?」

前に同じ事を聞いた事がある。

でも今度は勘違いなんてしないから。


「…うん…!」

「じゃあ……キスしてくれたら許す。」

「へっ!?」

なんでそんなに固まるかな。
いつも不意討ちでしてくるクセに…

「いやならもう知らねっ」

ぷいっと顔を背けると、
俺の顔はすぐに彼女の両手によって正面に向けられ、
背伸びした彼女の唇が俺の唇に一瞬重なった―――

「…………」

「…………」

「黒沼………かお超真っ赤。」

「!!………風早くんもだよ…?」

知ってるよ。

だって黒沼かわいすぎるから……
295両想いと、片想い 14:2009/08/01(土) 18:53:42 ID:UCKtlHTA

「まだ足りねー…」

今度はもっと長くて熱いキスをする。


今日ずっと黒沼に触れれなかったから、
もう全身が黒沼を求めてる。

さっきまで目が合っただけで幸せだったのに。

欲張りでほんとゴメン。


でも………いいだろ………?


俺達、“両想い” なんだから


・・・・・・・・・・


《健人side》

次の日になると、二人はいつもの二人に戻っていて
貞子ちゃんの笑顔も復活していた。

体育の時間、バスケのチーム戦で出番じゃないオレは暇を持て余していると、
同じく端の方でぼーっとしている風早を見つけた。

その視線の先を辿っていくと…

ふ〜ん…なるほどね


「やあ爽やか少年!今日も爽やかに彼女をストーキングか?」

「なっ………!!ちげーよ!!」

「まーた照れちゃって〜。」

オレは風早の隣に座ると、しばらくオレらの間に沈黙が訪れる。

先にそれを破ったのは風早だった。
296両想いと、片想い 15:2009/08/01(土) 18:54:38 ID:UCKtlHTA


「黒沼に……なんか言った…?」
「は?なんかって?」
「だからっ…!
すきって言ったかどーか聞いてんだよ!」
「あーそれねー…。」

バレちゃってたか。
まぁ別にいいけど。

「なに?言ったって言ったらどーすんのお前」
「……別に……どーもしねーよ」
「ハハッ!うそばっか!」
「……!そりゃ…嫌だけど、俺は黒沼信じるから」

………?
珍しいな。コイツからこんな余裕な発言が出てくるとは…

「じゃあオレ遠慮なくアピるけどいい?」
「はぁ!?」
「だってそーゆうことだろ?オレ本気出しちゃお〜」
「ちょっ…!待った!本気出すってどーゆうことだよ」

ははっ!やっぱり余裕ねーんじゃん。

「まぁまぁ、そんなに怒るなって!
貞子ちゃんすき者同士?これからも仲良くしよーぜっ」

オレは風早の背中をバシッと一発叩く。

「っだれが……!」


敵対心丸出しのアイツの顔に
オレは余裕たっぷりの笑顔を返し、その場を立ち去った。


こーやってアイツからかうのも実は楽しかったりするんだよな。


でも、オレはもう本気だからさ。

覚悟しとけよな……風早?


おわり

297名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 19:01:58 ID:UCKtlHTA
>>281です。以上です!長々とすみませんでした!

健人が爽子押し倒したりする展開をはじめは想像してたのに、
私の中の健人は割といいやつだったので…なんかかわいそうな展開になってしまいました。。
最後は爽やかにしたつもりですが…

あと、随所随所に原作のあらゆる展開ネタ使いまわしが……(´Д`)

こんな話でも読んで下さった方、ありがとうございます!

そして、だっだれか…
エロ有りでリベンジしてくれたら……(殴)
298名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 23:46:39 ID:l+PiqepY
GJ!!
ケントいいよケント
原作で一番幸せになってほしいと思うのは実はケントだったりするw
299名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 01:31:35 ID:yOYeyvj5
個人的につきあいたいのはケント。
300名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 11:11:45 ID:Pi9Td7TF
そういえば最近夜勤明けさんを見ないな
保管庫も6月から止まってる…
夜勤続きなんかな?
301名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 17:34:32 ID:dADrb0+b
夜勤明けさん素晴らしい作品書き続けてくれてるよ
スレにはお目見えしてないけど
302名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 17:54:31 ID:gC2TpC4/
GJ 速筆だなー。
チャラ男ケントが爽子に浄化されてマジになっちゃうのに
風と爽子はウザイほどに熱愛両思いっていうのは定番かもしれんけど
萌ゆ
303名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 20:25:50 ID:yOYeyvj5
夜勤明けさんこないだ見つけた気がする

304名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 21:27:41 ID:gC2TpC4/
特定の職人さんの話は続くと荒れる元になったりするのでこの辺で。
最初のスレであった風早と爽子のウブカップルに健人がエロ指南ってネタを
いまだに待っているw
あれに矢野ちんが加わってもいいな。
「童貞のアンタじゃ爽子に女の悦び教えられないでしょ」とか言ってw
305名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 12:31:01 ID:2H5As58A
>>281です。温かいレスをありがとうございました!
自分は原作のストーリー進行中のイメージ範囲内でしか書けないので、
どなたかにもっと違った視点のネタを書いて頂けたらなと思います。

あやねピンの本番主導権奪い合いとか(笑)
天然どS爽子に風たじたじとか(笑)
306名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 22:50:28 ID:1Bx05s1Z
確かにあやねピンの大人のセクースは見たいな〜
307名無しさん@ピンキー:2009/08/05(水) 22:27:42 ID:O2+WRQuh
ヤキモチ爽子ちゃんも見たい。
きっと可愛いはず。
308名無しさん@ピンキー:2009/08/07(金) 00:34:56 ID:yztd5JJq
ほしゅ
309名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 00:26:14 ID:IEYnNbb6
風爽で、積極爽子の初○ェラ話が書きあがってしまいました。

需要ありますか?
310名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 00:32:02 ID:Dhzg4cwI
全然アリアリ!
311名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 00:34:03 ID:/VfF6rk/
みたいみたいみたいみたい( ゚∀゚)o彡゜
312名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 01:00:14 ID:IEYnNbb6
早くもレスをありがとうございます!

じゃあ…お言葉に甘えて投下しちゃいます!
大学生になった風爽篇です。タイトルNGは「ケンタイキ?」で。
313ケンタイキ?1:2009/08/08(土) 01:01:02 ID:IEYnNbb6
季節は初夏。
大学2年になった爽子と翔太は、それぞれ別々の大学へ通いながらも交際を続けていた。
翔太は実家から少し離れた大学へ進学した為、高校卒業と共に一人暮らしを始めた。
二人は平日も毎日のように電話し、休みの日や授業が早く終わった日など暇さえあれば会って寂しさを埋めていた。


この日爽子は、大学1年の頃から仲良くしている友達、黒川美希と駅前のファーストフードで楽しく会話をしていた。

「あ〜〜〜、倦怠期かも……」
「えっ?ケンタイキ……?」

美希が発したその言葉に対し、爽子は聞いた事はあるけど、なぜ美希からその言葉がいきなり出てくるのかが分からなかった。

「うん、彼氏と。付き合ってからもう3年になるんだけどねー、最近むこうもそっけないし、私もいまいちトキメキがないってゆ〜かさぁ…」

友達は携帯のメールを眺めながら不満を呟いた。

「え……でも“倦怠期”って、長年一緒にいた夫婦がなるものだと…」
「あははは!それもそうだけど、普通に付き合っててもなるもんだよ?高校の時の友達とかよく愚痴ってるもん。
爽子はないの?確か風早くんと付き合い出したのって、私らが付き合い始めたのと同じくらいの時期だって言ってたじゃん。」
「えぇ…!?わたし!?」

(そんな……まさかっ、私は未だに翔太くんにドキドキしっ放しだし……)

爽子があたふたしていると、美希はその様子を見て笑いだした。

「あはははっ!爽子達はまずないか!風早くんも爽子もめっちゃ相思相愛って感じするもんね。」
「そっそんな…ことは…!」
「でもさ〜、きー付けときなよ?よく言うじゃん、付き合ってから3年が節目とかさっ。」
「そ……そうなの!?」

美希の言葉に動揺を隠せない爽子に、美希は「あんたらなら大丈夫だろうけどね!」とフォローをした。

(倦怠期………かぁ………)


……………………………………

爽子は美希と別れた帰り道、小説を買いに本屋に寄った爽子は、雑誌コーナーである見出しを見て足を止めた。

“倦怠期に効く!必勝テクニック”

(わっ!ま、まさに…これは……。)

先ほどの美希との会話で気になっていた爽子は、おそるおそるその本を手にした。

(私が大丈夫でも…、もし翔太くんに愛想尽かされてしまったら……いっ、イヤだよ……!!)
314ケンタイキ?2:2009/08/08(土) 01:01:49 ID:IEYnNbb6

今は大丈夫でもこれからもしそうなってしまった時の為だ、そう思い、ちらりとページをめくってみる。読み進めて行くと、あるトピックに目がとまった。

(えっ!?!?なに……!?コレ……普通のカップルって、こんなことするの…!?)

雑誌を持ちながら盛大に赤面する爽子。そして勢いよくパタンッとページを閉じ、逃げるように本屋から飛び出した。

(わたし…あんなことしたことないよ…!?
でも………翔太くんはもしかしたら、して欲しかったり……)

頭をぶんぶんと振り、爽子は挙動不審のまま家へと帰っていった。

……………………………………

その日の翌朝、翔太と会う約束をしていた爽子は、買ったばかりの水色のワンピースに着替えると、いつもより長い時間メイク台の前に座っていた。

(昨日見た雑誌にも、メイクに手を抜かないのは基本中の基本、って書いてあったな……)

大学に入ってから、あやねに薦められ少しずつメイクや今までしたことのなかったヘアアレンジに挑戦していった。
今日はデート仕様に、長い髪を少しすくって片側にお団子をつくり、いつもより丁寧なナチュラルメイクをして出かけていった。


駅前で翔太を待っていると、後方から爽やかに名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

「爽っ!」
「あっ、翔太くん!」

その声の方に振り返ると、爽子は目を丸くして言葉を失う。

「………!!!」

(……翔太くんっ……かっ、髪が……!)


そこには今までの幼さの残る黒髪ストレートの彼は居なかった。
焦げ茶色で、少しだけゆるっとした無造作なパーマがかけられ、軽やかさが増した髪型はとても彼の雰囲気に合っていた。
315ケンタイキ?3:2009/08/08(土) 01:03:20 ID:IEYnNbb6

「し、しょうたくん…!その髪…!」
「あ…コレ?昨日美容室でやってきたんだ。もう二十歳だしさ、そろそろイメチェンでもしよっかな、なんて。
……どっ、どうかな…?」


翔太は少し照れたように髪に手を当てる。

(かっ、かっ……かっこいい……!)

真っ赤になりながら口をパクパクさせる爽子。


「…え??」
「すっ……すごくっ……!似合ってると……思う…!」
「え!?…あ……っ!そ、そう……。なら、良かった…」

爽子に赤面しながらそう誉められた翔太も、また真っ赤になる。

(……ってゆうか、
爽子こそ…今日の格好とかめちゃくちゃ可愛いんだけど…)


しばらく赤面しながら二人とも黙っていると、翔太の方からその沈黙を破った。

「い、行こっか!みたい映画あるって言ってたよな!」
「あっ…う、うん!」

翔太はさっと爽子の手を握り、映画館の方へ歩き出す。

(手っ……!……どうしよう……今日はいつもより、緊張する…)


ちらっと斜め上の翔太の顔を見る。
目が合った瞬間、翔太は優しく微笑んだ。

(なんか……今までより大人っぽいなあ……)

しばらく見つめていると、翔太は急に目を反らした。

(えっ………今反らされた……?)

(やべっ………可愛いすぎて直視できねえ…)


それぞれの想いを口に出来ないまま、映画デートは続行していった―――

……………………………………

316ケンタイキ?4:2009/08/08(土) 01:04:18 ID:IEYnNbb6
映画館に着き、長い行列を経てようやく中に入った二人は席に座り一息を着く。

(なんか今日翔太くん様子がちがう……?あまり目を合わせてくれない気がするし…)

行列に並んでいる間も今も、あまり爽子と目を合わしてこない翔太に違和感を覚える。

(…なんだろ…?爽子今日様子がおかしい気がする…)

一方の翔太も、いつもより口数が少ない爽子に違和感を感じていた。


気まずい空気のまま映画は終わり、二人は近くのカフェで昼食をとった。
一見は映画の感想で盛り上がっているような二人だが、明らかに翔太は爽子と目を合わさない。

(今日はなんだか翔太くんがとても遠くに感じる…髪型のせい……?
でも…なんで目合わせてくれないの……?)

突然爽子のネガティブスイッチが入る。

(もしかして………、
わたし、翔太くんに愛想尽かされてしまったのかな……)


ドキドキドキドキ………

速い鼓動とともに嫌な汗が出てくる。

すると、爽子は思い立ったように翔太にある提案をする。

「翔太くん!」
「…ん?」
「今日、…翔太くんのお部屋おじゃましていい…?」
「えっ…!なにいきなり」
「あのっ……無理にとは言わないので……」

突然の爽子の申し立てに翔太は一瞬たじろぐが、
嫌な筈はなく、すぐに返事をする。

「ちらかってるけど、いい?」
「……!うん、ありがとう…!」
(はっ…!?なんだよ、どーゆう事?!爽子から俺の部屋来たいなんて…)

期待を押し殺す翔太と、
何かを意気込んでいるような爽子。

二人は妙なテンションのまま、翔太が一人で住むマンションまで歩いて行った。
317ケンタイキ?5:2009/08/08(土) 01:05:47 ID:IEYnNbb6


部屋に入ると、翔太はお茶を出し爽子の横に座る。

(……今日着てるワンピース…いつもより丈短くねーか…?
……って何考えてんだよ俺!!都合よくとらえすぎだろっ!第一、今日爽子あんましゃべんねーし…)

一人で葛藤を繰り返す翔太の横で、爽子はまだ一人で暴走し続けていた。

(やっぱり……今日の翔太くんおかしいよ……!あれ、やるべきかな……。どうしよう……ここまで来たけど、恥ずかしいし……
どうやって実行しよう……)

必死に昨日見た雑誌の内容を思い出し、どう切り出すか迷っているうちに翔太が話しを切り出した。

「爽子…」
「えっ!?」
「なんか今日変じゃない…?どうかした?」
「そ、そう?」
「うん…。だってさ、急にうちに来たいなんて言いだすし…」
「…………」

急に黙り込んだ爽子に、翔太は心配そうに顔を覗き込む。

「爽…?」

(もう、…いいや!)

爽子は意を決したように翔太の方へ向き直す。

「翔太くん!」
「えっ!あっ、はい」
「そこ…、座って…?」

爽子が指を指した方に振り返れば、そこには翔太のベットがあった。

「――はっ!?」
「お願い……!」

(ゔっ……)

爽子の上目遣いに負けた翔太は、意味が分からないままベットに腰かけた。

すると爽子が近寄り、翔太の目の前にちょこんと座ると、いきなり翔太のジーパンのファスナーに手をかけ、ジッと一気に下に下ろす。
318ケンタイキ?6:2009/08/08(土) 01:06:47 ID:IEYnNbb6

「ちょっ……!えっ!?爽っ!なにして…」

(うわっ!まてまてまてまて!!)

爽子は無言で翔太のベルトを引き、ジーパンと下着を下にずらすと、剥き出しになった翔太のモノをそっと口にくわえた。


「さっ爽っ!?何してんだよ!?」
「………」

(えっと……まずは……)


彼女の突然変異っぷりにこの上なく焦っている翔太とは真逆に、爽子は真剣な眼差しで行為を進行させていった。
爽子は先端をチロチロと舐めだす。両手を添え丁寧に上下させると、その体積が急に大きくなった。

「うっ……!」

(なにこれ!夢!?…いや違うし!なんで爽子がこんな事…?!)

しなやかな指で根元から中心までを擦りながら、裏筋を舌でペロペロと舐め回した。

(やっ……やばいだろ……!駄目だ、落ち着け、俺)

そして一気に口内に挿入する。

「ん!!」
(って落ち着けるかーー!!)

319ケンタイキ?7:2009/08/08(土) 01:09:57 ID:IEYnNbb6

手と唇をゆっくりと上下させると、爽子からも息が漏れてくる。

「んはっ…、んん…」

唾液を含みながら動く口内からクチュクチュと厭らしい音が漏れ、部屋中が爽子の行為の音と吐息の音で埋め尽くされていく。
このあり得ない空間の中で、翔太は途切れそうな理性と必死に戦っていた。


すると突然、彼女は心配するような目で上を見上げた。

「…翔太くん………、気持ちいい…?」

(こんなかんじでいいのかな……)

(ちょっ!その目……!!)

爽子の上目遣いに動揺する翔太は、耳まで真っ赤にし、目を反らしながら返事を返す。

「……当たりまえっ…だろ…」

そう返された爽子は安堵したように頬を染め、ふわっと微笑む。

「……よかった……」

そこにはいつもの優しい笑みを持つ彼女が居て、翔太は今起きている事とのギャップにまた混乱する。

「てゆうかさ、爽っ、」
「よし!もうちょっと、がんばるね!」
「は!?………んっ!!」

翔太の問い掛けをさえぎるように、爽子はまた行為を再開させた。

今度は先ほどよりもさらにスピードを付け、翔太に襲い掛かる刺激の強さも増す。

(ゔ……やばっ、このままじゃ……!!)

「爽子!!」

突然彼に名前を呼ばれた爽子は、ビクッと手を止める。

「……それ以上は、……もう…」
「あっ…」

爽子は手の中の完全に膨張しきって反り返ったその様子を確認すると、翔太の言葉の意味を理解した。

「えっでも、このまま……最後まで…いいよ…?」
「いや、でもさ」
「大丈夫だよ!翔太くんのなら…大丈夫…」
「え、なにが…」

爽子はすぅっと一呼吸置いて、再び行為を再開し、ラストスパートをかけた。


320ケンタイキ?8:2009/08/08(土) 01:12:55 ID:IEYnNbb6

「わっ!!」

手の動きを今まで以上に速め、既に限界寸前だったそれはすぐにでも達しそうになる。

「爽っ…!ヤバいって!イクっ!!」

(もう………無理………!!!)


「んっ……!」

限界を越したと同時に、爽子の口内に生温かいものが一気に発射される。

(あ゙ーーやっちゃった!!ごめんっ爽子!!)

翔太は爽子の口内で達してしまった事への罪悪感に追われているうちに、爽子から“ゴクッ”と喉を鳴らす音が聞こえた。

「………え?今の…」
「……ちゃんと、…飲んだよ…?」
「はぁ!?マジ!!?」

「うっ、うん…」

(よかった…ちゃんとできたみたい……)

爽子は達成感を感じながら翔太の顔を見上げると、バチっとその視線がぶつかり、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

(翔太くん…顔赤い……。ていうか、私……勢いとはいえなんて大胆なことを……!?!?)


しばらくお互い赤面して俯いていると、恥ずかしさで微かに手を震わしていた彼女に気付き、翔太はハッと我に返る。


「ありがとな…。」
「えっ……」

突然お礼を言われ、爽子はきょとんと翔太を見上げた。

「こんなにしてもらってから聞くのもなんだけどさ…、どうして急に…?」
「あ………」
「今日ずっと様子おかしかったし。」

翔太の優しい声色の問い掛けに爽子は我に返り、今まで自分がしてきた行為の身勝手さに、急に罪悪感を感じはじめる。

(……わ、わたし……翔太くんにこんな事して……、
もしかして軽蔑されちゃったかな……)

321ケンタイキ?9:2009/08/08(土) 01:13:52 ID:IEYnNbb6

「ごっ…ごめんなさい…」
「……?」

なぜ“ごめんなさい”という言葉が出てくるのか、翔太は一瞬疑問に思うが、
爽子の表情の変化に気付くと、今までの経験上その表情からなんとなく何を考えているのかが想像できた。

「あのさ、別に軽蔑とかしてないからね?全然。」
「えっ!?」
「あ、いや…、そんな顔してたから…。
まぁびっくりはしたけど…かなり…。」

(なんで…分かっちゃうんだろう…)

爽子は、これ以上彼には気持ちを隠せない、そう思い、事の成り行きや、本屋で見た雑誌の話、そして今日感じていた不安事について話しだした。


「はあ!?倦怠期!?」
「うっ、うん……」
「え…、でもそれは黒川が言ってた事なんでしょ?」
「そうなんだけど…、今日翔太くん全然目合わせてくれなかったから…、
もう、愛想尽かされちゃったのかなって……」
「俺が!?」

(……あ!そっか…俺今日緊張して…
あ〜もうこれだから矢野とかにヘタレ言われるんだろな俺…)

翔太は今日の自分の行動を思い返し、完全に誤解している爽子に申し訳ない気持ちになる。


「そっか……、そうだよな。そんなつもりじゃなかったんだけど…心配かけてごめんな?」

ふるふると首を振る爽子。
翔太はある事を言わなければと、心を決める。

322ケンタイキ?10:2009/08/08(土) 01:15:26 ID:IEYnNbb6

「今日さ、いい忘れてた事あった…。つーか、……最初から言うべきだった」
「……えっ……?」


爽子は視線を反らした翔太に何を言われるかと緊張をしていると、少しの間の後、翔太は再び爽子に視線を戻した。

そしてふっと眉を潜め、爽子の頭にぽんっと掌を置き、微笑みかけた。

「今日の爽子、めちゃくちゃ可愛い…」


(………うそ……!!)


突然降ってきた予想外の“可愛い”という言葉に、爽子は目を丸くして赤面する。


「……だからっ、その……照れてただけだよ…!!避けてたとかじゃないから、全然っ。誤解させてごめん…」

あ〜もう!と頭をガシガシと掻きながら照れている翔太に、爽子は恥ずかしさや嬉しさで胸が一杯になる。


「あっ……わ、わたしもね…!?」

慌てて爽子も翔太に言葉を返す。

「今日……翔太くんの髪型が急に変わって…カッコいいなって思って、大人っぽいなって思って…、でも…、そのせいか…なんだか遠くに感じてしまって…。
緊張して、なかなか上手く話せなくて…余計に焦ってしまって…」

だんだんと尻窄みになる爽子の声を聞きながら、その言葉ひとつひとつに翔太の胸が熱くなる。

しかし、翔太は今までの会話の流れを振り返ると、ふっと笑いを洩らした。

「つーかさっ、こんなの全然倦怠期じゃねーし!」

あはははっ!眉を潜めて笑いだした翔太の表情は、今日初めて見せる無邪気な笑顔だった。

(笑った……!)

爽子は胸がトクンと高鳴るのを自覚し、照れ笑いをしながら翔太に伝えた。

「わたし…翔太くんにドキドキしない日なんて一生来ないかもしれない……」

「そんなの……俺だって同じだよ」

翔太も照れ笑いをしながらそう返す。

323ケンタイキ?11:2009/08/08(土) 01:16:36 ID:IEYnNbb6

すると、翔太はバッと立ち上がり、ベットの中央に座り直した。

「爽っ、こっち!」
「……?」

ふとんをポンポンと叩き、手前に来て欲しい事を爽子に伝えると、爽子はそろそろと近づいていった。
そして真正面に座った爽子に、チュっと音を立ててキスをした。

「!!」

突然のキスに爽子は盛大に赤面する。

翔太は彼女の額に自身の額をコツンとくっ付け、照れながら呟く。

「俺がどれだけ爽子すきか、教えてあげよっか…?」

「えっ……?!」

「さっきのお返ししなきゃね」

イタズラっぽく笑う彼にまた胸を高鳴らせながら、爽子は慌てて言葉を返した。

「そんな…!いつも、私は貰ってばっかりだから…き、今日は私がそのお返しするよ…!」
「え!?」
「まだね、雑誌に書いてあった事、全部してないの!!」
「はぁ?!」
「だからね……続き、してもいいかな……?」

またもや彼女に面食らった翔太は、失笑しながら頷く。

「うん……、じゃあお願い。」


そうして二人は、お互いの気持ちを確かめあうように、深く深く身体を重ね合った………



おわり
324名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 01:18:38 ID:IEYnNbb6
以上です!
風早ヘタレ過ぎ?まいっか!

読んで下さった方、ありがとうございました!!
325名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 01:41:50 ID:cvuzad/E
即レスでこちらが申し訳ないぐらいだけど・・・

なにげにGJ!

>>309さんのこと、好きだよw
326名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 01:59:11 ID:/VfF6rk/
萌えた・・・・萌えたよ!!!
そのヘタレさが原作っぽくてイイッ!
>>309さんの積極爽子もっと読みたいです。
かわいすぎるぅ
327名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 03:04:59 ID:/VfF6rk/
わたしもついでに・・・
DSもってないはらいせに描いた妄想ゲーム画面
投下してみます。
風早視点のドキドキ恋愛シュミレーション!
ttp://www.ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo/06.jpg
328名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 03:06:13 ID:cvuzad/E
>>327
Bの設定で投下希望。
329名無しさん@ピンキー:2009/08/08(土) 11:24:43 ID:IEYnNbb6
309です。なんか…正体ばれてますね(笑)今回続き物じゃないから語り手とか変えて別人を装ったつもりが……
文章とか展開とかでバレますよね。ほんと、恐れ入りますm(__)m

>>327
ちょっ、Cはだめだろ風早!ww
いやでも普通にスケベな風早ならいつもCの選択肢がちらついてるはずww奴の脳内会議が見てみたい。
イラスト綺麗〜ヽ(´▽`)/私もB希望です。
330名無しさん@ピンキー:2009/08/09(日) 12:52:57 ID:cApadMEc
>「だからね……続き、してもいいかな……?」


そこをkwsk
331名無しさん@ピンキー:2009/08/09(日) 13:46:11 ID:St9jLyCS
爽子かわいすぎてワロタ
309さんありがとう!!!

わがまま言っていいなら、私も続きが読みたいです
332名無しさん@ピンキー:2009/08/09(日) 19:37:14 ID:rcd1Lk3V
309です。
なんと続きの需要があるとは……(感激 >_<。)
ご期待に添えれるかわかりませんが、ボチボチ書いてみます。書きたまったらまた来ます!
333名無しさん@ピンキー:2009/08/09(日) 21:31:17 ID:jKBOPfRJ
可愛い!このふたりはずっとこんなんで行けばいいよ
努力家の爽子はいつのまにか床上手にw
334309:2009/08/10(月) 03:09:07 ID:bBfu1HOs
リクエストありがとうございました。続き、勢いで書きあがりました。
爽子がぶっ壊れてます…(笑)
結局最後までいってないんですが、爽子が雑誌で得た事の実践編はこれで終了です。

SMとか嫌いな方はスルーで。あ、でも全然内容はハードじゃないです…(むしろギャグ寄り)

タイトルNGは「ケンタイキ?続き」で。
335ケンタイキ?続き1:2009/08/10(月) 03:11:02 ID:bBfu1HOs
「じゃあお願い。」

翔太がそう言うと、爽子はおずおずと翔太の胸板に顔を埋め、そのまま押し倒すように身体の重心を預けた。
そして翔太の赤い顔を覗き込む。

「あの……うまくできるかわからないけど……今日は私にまかせて…ください…。」
「ん。じゃあまかせるよ。」

(がっ、がんばろう…!)

爽子は翔太の期待に応えなければと心の中で意気込み、片手で片側に束ねていた髪をすっと解く。
翔太の鎖骨にサラっと解けた髪が触れ、その一連の動作と、羞恥で赤く染まる彼女の表情と、触れた髪の感触に翔太は思わずどきっとする。

(やばっ…。爽子…色っぽい…)


爽子が上気した翔太の頬に唇を寄せ、チュっと音を立てる。
そして耳たぶ、首筋、鎖骨へとゆっくりとキスが降りていく。
甘くくすぐったい刺激に呑まれながら、翔太は無意識に爽子のワンピースをたくし上げ、中に手を忍びこませようとしていた。

「あっ、だめ!」
「えっ!?」

突然の抵抗の声に翔太は驚き手を止めた。

「服くらいは……自分で脱ぐので…」

そう言うなりワンピースとキャミソールを恥ずかしそうに脱ぎ去り、下着だけの格好になると再び布団の中で翔太の身体に重なった。
更に、翔太のTシャツをたくし上げ、胸板に頬をくっつける。

(ゔっ……爽子の柔らかい感触が直接……)

(はっ…はははははずかしい……!!やっぱり!!)


ずんどこずんどこと煩く鳴り響くお互いの鼓動。
爽子は恥ずかしさを堪えながらも、また昨日見た雑誌の内容を思い起こしながら動作を再開させる。

(しっ…しっかりしなきゃ…!!翔太くんに喜んでもらわなきゃ!)

翔太の胸に指をそろそろと這わせ、その指を追うように唇を這わせていく。
指で薄く色づく中心の側面をなぞり、ペロッとその中心の突起を舐めはじめると、その身体がビクッと反応した。

「っ!」
「……翔太くん…どうかな…?」
「……ん、そのまま…続けて…?」

翔太の照れたようなその表情を確認すると、爽子は感じてくれているのだと認識し、嬉しくなりにっこり微笑む。

(…めちゃくちゃかわいい…。触れたい…)

爽子の愛撫を受けながら、そっと彼女の生身の肌に触れてみる。
ブラの隙間から手を忍ばせ、中心を探ろうとした瞬間、また突然爽子から声が発された。

「きゃっ!だめ!!」

爽子に触れていた手は爽子によってどかされてしまう。
待てを喰らった翔太はむくれたように爽子を見る。

336ケンタイキ?続き2:2009/08/10(月) 03:12:49 ID:bBfu1HOs
「えっ、なんで?」
「だっ…だって……、翔太くんが私に触れてしまったら…私が気持ちよくなってしまうから……」
「いいじゃん別に」
「だっ…だめなの…!!
今日は私が翔太くんを気持ちよくさせてあげたいから……」

ぶんぶんと首を横に振り、真っ赤になりながら懇願してくる爽子に負けそうになりながらも、それでも触れたい翔太は反論を続ける。

「そんな事言ったって…そんな格好で触れられたら、俺だって触れたくなるよ…。」
「………!!」

今の自分の姿を思い出したのか、急にフリーズする爽子。
だが……

「なあ、いいだろ?」
「あっ!そうだ!!」
「えっ?」

突然、爽子はポンっと片手の掌に拳を置き、何かを思い出したかのように表情を変えた。

「翔太くん、紐か、なにか結べるもの持ってない…?」
「はぁ!?なに突然」
「あの…荷造り用の紐とか…前引っ越した時、余りがたくさんあったよね…?あ、あと、ハンカチも必要かも…」

何を突然思いついたのか、爽子は紐とハンカチがどうしても欲しいらしい…。
この流れに対して違和感がありすぎるが、彼女の頑固さとお願いポーズに負けた翔太は、
ハンカチと工具箱に入っていた紐を取り出すと爽子に手渡した。

「…はい。」
「ありがとう!」
「で、なんに使うの……ってちょっと!!」


突然爽子が翔太の後ろに周り、翔太の両腕を後ろにまわし腰の辺りに両手首を揃える。
そして手首にハンカチを巻き、その上にぐるぐると紐を巻き付け硬く結んだ。

「よしっ…!できた!ハンカチがあるから、痛くないよね…?」
「…なに?…コレ…」

翔太は半ば諦めモードで爽子に聞くと、またしても予想を越える返答が返ってくる。

「“えすえむぷれい”…?」
「はあっ!?」
「って雑誌に書いてあって…」
「ちょっ待って!その雑誌どんな雑誌だよ?!」
「えっ……と、立ち読みしただけだから…よく分からないのだけれど……」
「…さわこ……意味わかってる?」
「え?……よくわからなかったけど…その中でもこれなら翔太くんも痛くないし、
私に触れないようにもできるから…いいのかなと思って……」

(いやいや、そーゆう問題じゃねーし!!)

337ケンタイキ?続き3:2009/08/10(月) 03:14:27 ID:bBfu1HOs
しばらく翔太は困惑するが、爽子に迷惑だったかな?というような困った顔をされたものなら、翔太も強く否定は出来なくなる。

「……今日は爽子にまかせるって言ったもんな」
「え……?」
「続き……して?」

小さくため息をついて降参の一言を伝えると爽子も恥ずかしそうに微笑む。
そして触れるだけのキスが降ってくる。

(……こういうのもたまには…いいか……)

そのままされるがまま爽子に身を預けていくと、爽子の舌や指が先程より明確に刺激を与えてくる。
右胸の突起に唇を運び、左胸の突起は指で弄ぶように弾かれ、迫り来る快感にただただ身を震わせた。
爽子は余った片手を徐々に下へと這わせて行く。
そこにあった熱く反り返るものに手が触れると、翔太も爽子もびくっと身体を跳ねさせた。

(……ヤバい。さっきイッたばっかなのに…なんかカッコわりぃ…)

(……こっこれは…ちゃんと上手く出来てるって思っていいのかな……?)


添えられた手で下着越しに擦り、翔太に迫る刺激も加速していく。

「くっ……!」

(翔太くん…、気持ちいい…のかな……?)

自分がしている愛撫に感じてくれているのだと思うと、爽子にもある感覚が芽生え始めてくる。

(なんか……変な気分になってきちゃった……)

熱に犯されたように、一層翔太への愛撫を激しくさせていく。
身体中にキスを降らせ、両手を拘束され座ったままの体制の翔太に身を預けるように身体を這わせていく。
翔太の下着がずらされ、しなやかな指で熱くなったモノを直接撫でていった。

(んっ……なんかヤバい…。爽子…ホントに雑誌で見ただけなのか…?)

爽子の本質が持つ物覚えの良さも手伝って、一回読んだだけのはずのその行為は、翔太をまんまと煩悩させていった。


338ケンタイキ?続き4:2009/08/10(月) 03:15:47 ID:bBfu1HOs
「もっと……もっと感じて……?」
「え……?」
「翔太くんが…感じてるところ、…もっと見せて……?」

(……!!!)

爽子の顔は、まるで自分が愛撫をしている時のような上気した表情で、思わず息を呑んだ。
そしてその表情は翔太の欲求を増長させる。

「爽子に触れたい……」
「えっ」
「爽子に触れさせてくれたら…爽子の感じてる顔見たら…、もっと俺も感じると思う」

先程から自分では触れられないもどかしさと闘っていた翔太は、もう限界が来ていた。

「でも……」
「もー無理。触れたくて仕方ねー…」
「でっ、でも…!」
「このまま触れられなかったら俺死んじゃう。」
「えっ!?」
「だめ?」

拗ねたように顔を覗き込む翔太に、爽子はたじろぐ。

(そっ…その顔は反則だよ翔太くん…)

少しの間悩んで、はっと何かに気付いたかのように爽子が顔を上げた。

「そっか……!!」
「………?」
「翔太くんは、“えす”の方なの!?」
「…………はあ!?」

(こんどはなんだよ!!)


「だったら…ごめんなさい!!私、気付かなくて…」
「いや、俺まだ何も言ってな」

い、と言い終わる前に、爽子は翔太の手首を拘束していた紐とハンカチを解き始めた。
紐が外れると、爽子がまた正面に周り、翔太の顔を覗き込む。

「あの……」
「ん?」
「翔太くんの……すきにしていいよ……?」
「へっ!?」

(なになになになに今度は!!!つーかその目やめてってば!)

「すきなだけ…“私を苛めて下さい”」

爽子の爆弾発言に翔太は完全にフリーズする。
しばらくの間赤面したまま石化した翔太に爽子は不思議そうに声をかけた。


339ケンタイキ?続き5:2009/08/10(月) 03:17:47 ID:bBfu1HOs
「あのっ……」
「はっ!…なっ、なに!?」
「これは…もしかして、“放置プレー”ですか……?」
「はあ?!ちっちがっ……」

(なんでそんな言葉ばっか出てくんだよ!!)

立て続けの爽子の大胆発言にしばらく動揺していると、事の発端を思い出し、ふと我に返った。

(…あそっか、…爽子は雑誌に書いてあった事を実行してるだけで……)

翔太は落ち着きを取り戻す。
今までの爽子の行動を振り返り、ふっと微笑むと、爽子を優しく抱き寄せた。

「無理しなくていいよ…」
「…………え?」
「別に…、俺SでもMでもねーし!」
「……そうなの?」
「うん、つーかそんなのわかんねー。爽子に触れられるならなんでもいい」
「…………」
「だからっ…、いつもの爽子でじゅーぶんだよ。無理にそんなセリフ言わなくていいよ」
「……でも、本心だよ……?」
「え?」

少し体を離し、爽子の顔を見る。

「翔太くんになら、私苛められても、いいって思う……」
「……爽…?」
「翔太くんが喜んでくれるなら…私、なんでもするよ…!」

両手を握りしめ、いつものガッツポーズで見上げてくる爽子。
その健気さと、可愛さに翔太はまた心を燻られる。
片手で赤くなった頬を隠し、照れながら言葉を返した。

340ケンタイキ?続き6:2009/08/10(月) 03:19:40 ID:bBfu1HOs

「そんなの……、そんなセリフ、俺以外に言っちゃだめだからね」
「え?…いっ、言わないよ…。翔太くんだから言うんだよ…?」
「うん。この先も…、一生だめ。」

プロポーズともとれるようなセリフに、爽子もまた赤面をする。

「触れていい?」
「……うん…。」

爽子は承諾の意を込めて瞼を閉じると、
その唇に翔太の唇がそっと重なった。
そしてゆっくりと爽子の身体を倒し、その上に翔太が覆い被さる。

翔太は先程までお預けを喰らって触れられなかった彼女の身体を、一つ一つ噛みしめながら触れていく。
すると、脚の間に忍ばせた手の下着の感触に驚き、突然声を上げた。

「あれ!?爽子もう濡れてる…」
「あっ!!!そっそれは…」
「もしかして…、俺に触れながら…感じてた?」

翔太に図星を言い当てられ、爽子は何も言えなくなる。
その様子に翔太は勘付き、にっと笑った。

「や〜らし〜」
「えっ!?そっ…そんな……っ!いじわるだよ…翔太くん…」
「いじめていいんでしょ?」
「!!……うん……。」
「じゃあ一杯いじめてあげる。」
「え!?ひゃあっ?!!」


この後、爽子は翔太の甘い反撃に酔い痴れるのであった。



おわり

341309:2009/08/10(月) 03:25:44 ID:bBfu1HOs
おわりです!
爽子は努力家なので、これからも業を収穫し続けては風早をフリーズさせていくのだと思います(笑)

またネタ浮かんだらフラっとやってきます。ありがとうございました!><
そしてまとめサイト管理人様、いつも更新ありがとうございますm(__)m
342名無しさん@ピンキー:2009/08/10(月) 20:08:41 ID:/NZsUrrR
爽子かわええええええええええ!!

309さんいつもありがとう!
また降臨してくれるの楽しみにしてます。
343名無しさん@ピンキー:2009/08/11(火) 22:28:38 ID:GbqJdY35
GJ!!
わがままきいてくれてありがとう
309さんが神に見えます
344名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 00:28:54 ID:n1B7AT6l
グッジョブ!

爆笑しましたw
今年のananのセックス特集からなんか引っ張ってきて欲しい(笑)
いや買ってないけど(笑)
345名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 01:45:21 ID:n1B7AT6l
あれ…
なんで、こんなことになっちゃったんだろう…
ここ…風早くんのベッドの上だよね…

…恐る恐る爽子が風早の顔を見上げると、風早は真っ赤な顔をして、爽子を見つめている。

…あ。

緊張感…。

346名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 02:15:41 ID:n1B7AT6l
数時間前、爽子は風早と受験勉強をするために、風早家を訪れたのだった。
「こっ…こんにちは…。あの、今日は、お土産に、フルーツタルト作って来たの…」
「うわー。そんなん別にいーのに!でも、嬉しーよ!たべるの楽しみだなー」
「…えっと…でも、一つ丸ごと持って来ちゃったから、多すぎたかな…って…。よ、良かったらご家族にも、どうかと思って…。」
「あはは。ありがとー!…でも…、」
風早は微妙な表情をする。
「えっ?…き、嫌いだったかな…」
「いや、全然嫌いじゃないよ。俺爽子の作ったのってすげー旨いし、大好きだよ。
ただ、さ、うちの家族、今みんな旅行に行ってて…」
「風早くんだけ留守番?」
「…うん。一応受験生なんだから、留守番して勉強してろって」
「…私ってば、先に知っておけば…もっとボリュームが少ないものを作って来たのに…
ごめんなさい…」
「何言ってるの黒沼。黒沼が俺のために、こんな大変なもの作ってくれたなんて、すっこい嬉しいよ。」
347名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 07:41:13 ID:n1B7AT6l
というわけで両親&おとーとは旅行に行ってて二人きりからえちーまで持って行きますが。
断続的な投下になりますので
他職人さんは配慮不要でガンガン投下してください。
ではー。
348名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 14:38:51 ID:wbXM4YsO
wktk
続き待ってまーす!
349名無しさん@ピンキー:2009/08/12(水) 23:59:29 ID:nfJnMCJ4
「大丈夫だよ」
恐縮する爽子に風早は優しく言って、二人分の飲み物を用意した。

二人は風早の部屋でいつものように隣り合わせになって勉強をした。
「かぜ、はやくん?」
「え。あ。ごめん。」
「分かりにくかったかな・・・」
「そんなことない。ちょっとぼーっとして聞いてなかった!」
「あのっ…もう一回ちゃんと…」
「ごめん。真面目にやる。」
戸惑う爽子に風早は笑って答えた。本当は勉強なんて言って、近くで顔を見たいだけかも。今だって爽子の髪の毛や白い頬に触れたくて仕方がない。
それに、今日はなんか…。

一方で爽子も、(つい、見ちゃうなあ。風早くん)と思っていた。風早と一緒にこうしているといつもドキドキする。一人でもくもくと勉強するのも楽しかったけれど、一人で勉強しているときよりもずっと楽しい。
(近くから見られるってうれしいな・・・。)

二人はそれぞれドキドキしながら勉強はひと段落し、おやつタイムとなった。
「うま。これ俺丸のままでも食えるかも」
「む、無理しないで…。」
「ほんとおいしーって。」
「ほ、ほんとう?」
(やっぱり、作ってきてよかったなあ。)
風早は結局もう一切れを食べてしまった。
350名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 00:10:33 ID:GSUtYH6T
「おいしかったー。」
風早はベッドに倒れこんだ。
「だ、大丈夫?私ったら、気を遣わせて…結構な量を食べさせてしまって…」
「いーよ。おいしいもん。俺黒沼の作ってれるもの全部好きだし。甘いの好きだし。」
「良かったあ…。そんなふうに言って貰えて嬉しい」
爽子は風早の顔を覗き込むようにして微笑んだ。
「・・・・・」
風早はしばらく爽子の瞳を見ていたが、
おもむろに腕を掴み、自分の方に引き倒した。
「やっぱ今日かわいい。」
「わわっ。か、風早くん!」
爽子の耳元で囁く声がする。
「…今、キスすると、甘い味がすると思う?」
「ええっ?あま…」
(あ、甘い味…するかな…)
「…ハ・ハーブティーの味も、すると思う…」
「…そっか。」
爽子には一瞬、笑顔が見えた気がしたけど、
すぐにその顔は近づいてきて、唇を奪った。
351名無しさん@ピンキー:2009/08/13(木) 00:11:41 ID:GSUtYH6T
「わっ。あ…ん。」
唇が触れ合い、爽子の口の中に風早の舌が入り込んでくる。…甘い。甘いもの食べたから当たり前かも。でもそれ以上に甘いかも…。
「ん…んんっ。」
(…やっぱり甘い味がするかも。)
「はあっ。」
(キス、いっぱいしたなあ。もう目を開けていいかな…)
「あ。」
爽子が風早の方を見上げると、風早も爽子をじっと見ていた。

緊張。
(…やっぱ、閉じたままの方が良かったかも。恥ずかしい…。緊張する…。)

爽子が身動きできずに風早をしばらく見上げていると、風早は急に爽子を抱きしめた。
かぷ。
「きゃあっ。」
(み、みみ噛まれた…!)
「どんな味だった?」
「え、えっと…あ。あま…」
(甘い味だった…かも)
爽子が答えられずに赤面していると風早は爽子の髪に触れ首筋のにおいをくんくんかいだ。
「か、かぜはやくん?」
「…黒沼、今日お菓子の匂いがするなあって、ずっと思ってた。」
戸惑う爽子の耳元で風早がささやくように言った
「今朝…作ってたから…」
「甘い匂い。おいしそう。」
そう言うと風早は爽子にまたキスをした。風早の唇が爽子の頬や唇や首筋に触れる。
「か、風早くん・・・わたし・・・」
「なーに?」
「お菓子の味は…し、しないよ?」
あたふたと答える爽子に、風早は笑って言った。
「するよ。すっごく甘い味。」
352309:2009/08/14(金) 15:40:47 ID:hWIJCDbf
甘甘GJです!虫歯になりそうな程甘いww
まだ投下途中みたいですが、かつてのヤン早職人様の話を読み返して触発されて書いた話が途中まで書きあがってしまって…
投下しても大丈夫でしょうか?
こんな甘い話の間にはあるまじき、黒い風と、椎名さんの前作・CFYの赤星栄治(=爽子のいとこ)が絡んでくる暗〜いお話です……
いっ…いいっすかね……(_ _;)
353名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 15:58:34 ID:YFc1pmFw
メリハリメリハリ
(^ω^)b
タイトルとかつけて混ざらないようにすればいいんじゃないかなっ!
赤星くん絡み読みたいです。
354名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 16:13:03 ID:Q3cxQOeN
ごめんなさい投下途中本人ですがアリだと思います!
投下しちゃってください。
読みたいです。
355309:2009/08/14(金) 16:13:57 ID:hWIJCDbf
それなら…タイトル付けて投下します!!
とりあえず前編までで。

黒風が苦手な方はご注意下さい。後半あらぬ方向に話が展開します…。
タイトルは「もう一度、君に届け」です。
356もう一度、君に届け1:2009/08/14(金) 16:17:07 ID:hWIJCDbf

君から俺が消えたのなら、俺が何度も会いに行くよ

もう一度、君に届けたい想いがあるんだ

君に届けたら、また笑ってくれるかな…

あの頃のように―――

……………………………………

大学1年の夏休み1日目、爽子は翔太と会う約束をしていた。
待ち合わせ場所のコンビニに一足早く着いた爽子は店内で時間を潰していた。

その時、突然爽子に声がかかった。
「あれ?座敷わらし?」
その聞き覚えのある声と、その呼び方に爽子は驚き振り返る。
「……!?えーじお兄ちゃん!?」
そこには、かれこれ6年以上は会っていない爽子の3歳上の従兄『赤星栄治』の姿があった。
幼い頃はよく遊んだものだが、元々家が離れていた事もあり、栄治が高校に入る頃にはパッタリと合わなくなった。

「久しぶりじゃん。」
「ほんと!久しぶり過ぎて一瞬分からなかったよ…!…ってアレ??なんでここにいるの??」
「あー、俺大学こっちの方だから。3年前引っ越したんだよ。つーかお前変わってねーな〜」
栄治は爽子の頭をくしゃくしゃと撫で、からかうように笑いかけた。
爽子も久しぶりの従兄との再開に嬉しくなり、思わず笑顔になる。
その時…

「爽子!」

爽子が声がした方に振り向くと、翔太が息を切らしながら慌てて駆け寄ってきた。
「ごめん、遅れて…」
「ううん、まだ待ち合わせ時間より5分も前だよ!」
「ははっ、そっか……」
翔太が隣をちらりと見る。
先程爽子と栄治が微笑み合いながら親しげに話していた様子を見た翔太は内心穏やかではなかった。

――誰だ…?コイツ…

「えっと……、知り合い?」
「あっ!そ、そう!…紹介するね、こちらは従兄の栄治お兄ちゃんです…」
「いとこ!?…あっ、どうもはじめまして。俺風早っていいます。」
爽子の答えに胸を撫で下ろした翔太であったが、先程からの睨んでくるような栄治の視線が気になり、安心出来ずにいた。
「おい、もしかしてお前の彼氏?」
「え゙っ!??」
爽子は栄治から発された『彼氏』という単語に敏感に反応してうろたえていると、翔太が代わりにその返事をキッパリと返す。
「はい。俺、爽子の彼氏です。」
「えっマジ!?お前彼氏できたの!?あんなに根暗で人付き合い苦手だったお前が!?」

栄治は昔の爽子を知っている為、爽子に友達ならともかく彼氏が居たという事実に衝撃を受けていた。
ましてや相手はパッと見爽やかで整った顔立ちをしており、いかにもモテそうな風貌をしている。
ますます疑わしくなった栄治は爽子の肩をぐいっと掴み、顔を近付け耳打ちをした。
「お前だまされてねー?大丈夫かよ」
「えっ!何いってるの!?まさかっ!!翔太君は人を騙すような人じゃないよ!?」
「ほんとか〜?」

357もう一度、君に届け2:2009/08/14(金) 16:18:10 ID:hWIJCDbf
二人がコソコソと話をしている間、それを見ていた翔太のイライラも積もりに積もっていく。

――爽子が俺以外の男とこんなに親しげに話してるの初めて見た…
いとこ…?って言っても何気にイケメンだしっ…。
ってゆうか、顔近すぎだろ……!!

「あのっ」

ついに耐えきれなくなった翔太が口を挟む。
「あの…、すみません、これから二人で遊びに行く予定があるんで、そろそろいいですか…?」
「………ああ、悪い。」
翔太はなるべく失礼の無いように穏やかな口調で話しかけたが、表情は嫉妬心を隠しきれていないままだった。
栄治はその表情を見ると、一瞬何かを考えたかのような間があった後無表情にその場から立ち去った。
そして去りぎわに爽子に一言伝える。
「またな、座敷わらし。たまにはお前ん家に顔出すよ。」
「あっ…うん!是非!お父さん達も喜ぶと思う…!」
「おー。じゃあな」

栄治が去ると、翔太が崩れ落ちるようにため息をついた。
「あ゙ーーーーっ!!もうホント俺ダメだ〜…」
「えっ何!?どうしたの??」
「………爽子のいとこにまで妬くなんてマジで情けねーよな…」

翔太が頭を掻き毟りながら、ぽつりと本音を漏らすと、爽子は頬を赤く染めて俯いた。
「……そんなこと…ないよ…?翔太くんのそういうところ…すっ…、すきだし…」

そしてコンビニの片隅で微笑み合いながらウブコントを繰り広げる二人。
その様子を、栄治は外から見つめていた。

―アイツ、男の前だとあんな顔するんだな…

そしてこの日をきっかけに、爽子と翔太の関係は音を立てて変化していくのであった――

……………………………………

358もう一度、君に届け3:2009/08/14(金) 16:19:09 ID:hWIJCDbf

それから数日たったある日、栄治はこの前の宣言通り黒沼家に訪れていた。

爽子の両親も、久々の栄治との再開に嬉しくなり、談笑を楽しんでいた。
すると突然爽子の携帯が鳴り響いた。
「あっ!…ごめんなさい、ちょっと席外すね…!」
そう言うなり慌てて階段を駆け上がり、自分の部屋へ入っていく。
その様子を見ていた栄治に、爽子の母親が話し掛けた。
「ふふっ。あれは彼からね。栄治君知ってた?爽子高校の頃からお付き合いしてる子がいるのよ?」
「ああ…、この前偶然会いましたよ」
「あらそうなの!私達も以前紹介してもらったんだけど、彼ほんとにいい子でね〜」

それを横で聞いていた爽子の父の表情が堅くなるのを見た母は、「あらいけない!」と話題を変えて父の機嫌をとり始めた。
それからしばらく爽子は部屋から戻って来なかった。
ふいに栄治は「お手洗い借ります」と言いながらリビングから席を立つと、
その足の矛先は爽子の部屋へと向かっていった。
扉を開けっ放しにしていた爽子の部屋から、電話の会話が聞こえてきた。

「えっ…だから、栄治お兄ちゃんはただの従兄だよ?心配することなんてないよ?」

―…?

栄治が部屋の前に立ち止まる。

「う〜ん…家に来るのは仕方ないよ…」
「爽子ー、いつまで電話してんだよ」
栄治はあえて「爽子」呼びにして電話の向こうまで聞こえるように大きめな声で話し掛けた。
「え゙っ!?栄治お兄ちゃん!入って来ちゃったの!?」
『はあ!?』
携帯から翔太の怒りを露にした声が筒抜けで聞こえてくると、栄治は「やっぱりね」と言うかのようにニヤっと笑みを浮かべた。

「翔太くん、ごめんね!また後でかけなおすね…!」
『えっ…て、ちょっ…』
携帯をパタンと閉じると、爽子は栄治の方に向き直る。

「ごめんなさい、せっかく栄治お兄ちゃんが家に来てる時に、長電話なんてしてしまって…」
爽子はぺこっと頭を下げる。
栄治はこの前から思っていた事を口にした。
「アイツ、…お前の彼氏さあ、束縛キツい奴なの?」
「…はい??」
予想もしていなかった栄治の言葉に爽子は間の抜けた返事をするが、栄治は言葉を続けた。

359もう一度、君に届け4:2009/08/14(金) 16:20:11 ID:hWIJCDbf
「この前もお前に触れたらもの凄い形相で睨んできたし。今だって、俺がお前んちに来た事怒ってたんだろ?」
「えっ?違うよ…!怒ってたわけじゃないよ…。ただ、翔太君はちょっと心配性なところがあるだけだよ…?」
「…心配性ねえ…。だいたい俺お前の従兄なのに、心配もなにもねーだろ。ちょっと行き過ぎてねーか?」
「…いきすぎ…?」

栄治の言葉に疑問符を浮かべながら、爽子はしばらく考えるが…

「そんなの…わからないよ。私は翔太君以外とお付き合いしたこともないし…。」
「まあ…そうだろうけど、嫌だったらビシッと言ってやれよ?じゃないとあーゆう奴はほっとくともっと束縛してくるぞ」
「…嫌じゃない。彼のそういうところも含めてすきだから」

爽子の以外なきっぱりとした答えに栄治は目を丸くする。
そこには6年前の爽子とは見違えるほどに燐とした一人の女性が立っていた。
そんな爽子を見つめながら、ふっと栄治は失笑した。
「ははっ、ごめんな。ならいいよ、お前が幸せなら。」
「……!!うん…」
「彼氏と仲良くやれよ。」
「うっ、うん…。心配してくれてありがとう…。」
頬を染めながらお礼を言う爽子に栄治も微笑み、ぽんっと爽子の頭に掌を置いた。

「んじゃ、そろそろ帰るわ。」
「あっ…、うん!今日は来てくれてありがとう!」
「あ、そうだ…」
栄治は立ち止まると携帯を取出した。
「番号教えて。」
「えっ?あ、うん、いいよ。」
爽子はたどたどしく携帯の赤外線通信を始める。
お互いの番号交換を終えると、再び栄治は階段の方へ向き直った。

「彼氏とケンカでもしたら愚痴で聞いてやるよ。いつでも連絡して来ていいからな。」
「…ありがとう。愚痴…はこれからも出ないと思うけど…。」
「あっそ。じゃあな、おばさん達にも挨拶してくるわ。」
そう言ってリビングの方へ向っていった。

―栄治お兄ちゃんは…やっぱり優しいな…

栄治の姿を見送りながら、爽子は6年前と変わらない彼の優しさに懐かしさを感じていた。
口は悪いが、昔からいつも自分の事を気遣ってくれる。
そんな心の温かい栄治が幼い頃から大好きだった。

一方、栄治は幼い頃から本当の妹のように可愛いがっていた従妹・爽子の変化に僅かながら動揺をしていた。
男が出来たからだろうか…
一見は昔と変わらない印象だったが、表情も柔らかくなり、よく笑うようになった。
そして、彼女がふと見せた「女性」としての燐とした姿に何より驚いていた。
その姿は、かつて栄治が愛して叶わなかった一人の少女と重なったからだ。

―何動揺してんだよ…、アイツは従妹だろ…

煮え切らない思いを抱えながら、栄治は黒沼家から後を去った。

……………………………………
360もう一度、君に届け5:2009/08/14(金) 16:21:09 ID:hWIJCDbf

空にはどんよりと重苦しい雲が行き渡っている。
この日翔太は大学にレポートの提出を済ます為に、朝早くから出掛けて行った。
要件を済ませ、爽子に電話をかけようとしたその時…

「あ。」
「…あっ!」

前方からやってくる男の姿に目を疑った。
そこに居たのは、先日初めて会った爽子の従兄・栄治だったからだ。
「やっぱり…。あんたこの前会った爽子の彼氏じゃん。」
「えっ、あれっ…?!もしかして俺達同じ学校だったんですか!?」
「そうらしいね」
恐ろしいほどの偶然に二人とも唖然とする。

しかし翔太は、先日爽子に電話をかけた時の事を思い出し、栄治の顔を見ながらその時の焦りがよみがえってきた。
その表情を栄治はまたもや見透かし、面白半分に翔太を煽る。
「お前さー、感情が顔に出やすいとか言われねえ?」
「は!?」
「そんなに爽子とられたくないわけ?お前に敵対心向けられるような筋合いはねーよ。」
図星を言い当てられ、翔太は怒りをぐっと堪える。
「そんなこと…わかってますよ…」

その時、講堂から出てきた男女のグループと目が合った。
「あーっ!風早じゃん!なに?あんたもレポート再提出組?」
明るく話し掛けてくる女の子は、大学で風早と同じ科で仲良くなった子だった。
栄治と話している途中ではあったが、取り敢えず返事を返す。
「うん、高橋達もそーだったんだ。」
「そうそう休みなのに最悪だよねーっ!あ、そうだ今度みんなでまたどっか遊びに行こうよ!」
「あーいいよ。また電話して。」
「オッケー!じゃーね!」
明るく手を振った彼女に翔太も明るく手を降り返す。

横で一部始終を見ていた栄治がはぁっとため息をついた。
「お前さー…、爽子束縛しといてそれはないんじゃね?」
栄治の言葉に振り返ると、呆れたような眼差しで翔太を見ていた。
「彼女には男寄せ付けたくない癖に、自分は堂々と女と遊ぶんだな。」
「はぁ!?…違いますよ。さっきの奴らは完全に友達としか思ってねーし…」
「同じだよ」
栄治がキッと翔太を睨む。
「お前だって従兄の俺にすら嫉妬したんだろ?矛盾してんだよ。」
「…………」
栄治の詰問に翔太は何も答える事が出来ない。
言い返す言葉が見つからない。
拳をぎゅっと握りしめ、俯いたまま口を堅く結んでいた。

361もう一度、君に届け6:2009/08/14(金) 16:22:26 ID:hWIJCDbf
「まあさ、爽子がいちいちお前みたいに妬くタイプとは思えねーけど…。
…でも…」
「……?」
「あいつは元々人付き合いも苦手だったし、お前がそーやって束縛する事であいつの住む世界を狭めるのはやめろよ。」

……?!?!

栄治の忠告は翔太にとって耐え難いものだった。今まで何度その事について葛藤してきたか。
彼女が一生懸命周りの人間に誤解を解こうと頑張ってきた事を知っている。
彼女に親しくなる人が増えて行くたびに、応援したくなる気持ちと、独占したくなる気持ちの両方が責めぎ合っていた。
自分なりに、彼女を束縛しないように今までも充分気を付けて接してきたはずだった。
それを会って間もない男に指摘されては、黙っていられない…

「……あなたに何がわかるんですか」
「…は?」
翔太は俯いていた顔を上げると、鋭く栄治を睨み付けた。
「…あなたには関係ない事です」
「……なに?逆ギレ?」
栄治は動せず翔太の反応を楽しむかのように、へらっと笑う。

―コイツ…、面白れー。ちょっとからかってやろうか…

そして追い討ちをかけるように言葉を吐いた。
「俺にはわかんねーなあ。何で自分が好きな女をそこまで縛り付けたいのか」
「!!……べつに、縛り付けてなんかない」
「お前がそういうつもりなくても、事実そうだろ。あいつにはもっと器のデカい男のが合ってるよ。俺みたいに?」
「…何が…言いたいんですか…?」
「さあ?そのままの意味だけど。
あっ!お前知ってる?従兄妹同士って結婚できるんだぜ?」
「!!」
栄治の挑発にまんまと釣られた翔太は今にも飛び掛かって来そうな勢いで栄治を睨む。

―ぷっ。マジこいつ面白れー!

笑いを堪えながら、栄治は翔太からさっと視線を反らした。

「おっと、俺そろそろ行かねーと。じゃあな、“しょーたくん”。」
「あっ!ちょ…おいっ!!」
翔太の呼び掛けにも振り向かず、栄治は満足そうな笑みでスタスタと去っていった。

取り残された翔太は呆然と栄治の背中を見つめている。
そして彼から言われた言葉一つ一つを思い返しながら、くっと顔を歪めた。

……………………………………

362もう一度、君に届け7:2009/08/14(金) 16:23:47 ID:hWIJCDbf

翔太は一人暮らしをしているアパートに帰ると、ベッドに横たわり、ぼーっと白い天井を見つめていた。

―アイツ…あんな事言ってたけど…、どういうつもりなんだよ…

自分には相応しくない、そう彼が言った事、そしてあたかも爽子を狙っているかのような挑発の言葉が翔太の頭を駆け巡る。
焦りと不安に押し潰されそうになり、胸の中がズキズキと痛む。
もしかしたら栄治は爽子の事を従妹として見ていないかもしれない。
俺は爽子を幸せにできていないかもしれない…
そんな心配を掻き消すように、瞼の上に腕をかざす。
しばらくそうしていると、静かな部屋に無機質な音が鳴り響いた。ビクッと飛び起き、携帯を持ち上げると慌てて通話ボタンを押した。

「もしもし、爽…?」
『翔太君…ごめんね、まだ学校?』
爽子に、レポート提出を終わらせたら電話すると約束していた事をすっかり忘れていた翔太は焦って爽子に謝る。
「あっ!いや、さっき家に着いた。ごめんな、電話するって言ったのに」
『あっ、そうだったんだ…!ならよかった…もう着いちゃったから…。』
「え?」
『…ごめんなさい、なかなか電話かかって来なかったから心配になって…、もう翔太君の前まで来ちゃったの…。』

―!?

翔太は慌てて玄関の方へと向かい扉を開けると、そこには爽子の姿があった。
「…………ごめんね、こんなストーカーみたいなこと…」
「あっ……いや…」
頬を赤く染めながら小さく立つ彼女の姿に、先程までのどろどろとした感情が一気に流れていくような感覚を覚えた。
しかし、今度はもっと、苦い程の愛しさが込み上げて来る。

――彼女は…俺のもの――

翔太は爽子を部屋へと招き入れると、
感情に流されるように爽子の身体を抱き寄せた。

「きゃっ!!?」
突然の包容に驚き、爽子は持っていた鞄を落としてしまう。
身体中が心臓になってしまったかのように、そこら中がドクドクと煩い。
お互いの脈を合わせるかのように、翔太は更にきつく爽子を抱き締めた。
「ん……!!翔太君…痛いよ…!?」
「…………」
「………どうしたの…?」
爽子は、なかなか口を開かない翔太が心配になり、顔を覗き込む。
その目は、涙こそ流れてはいないが、泣いているような酷く哀しみに溺れた目をしていた。
「…爽子にとって…俺は一番…?」
「…え…?」
翔太からやっとの事吐き出された言葉は聞き逃してしまいそうな程擦れていた。
「俺は…爽子に相応しくないのかな…」
「……なに…、言ってるの…?」
突然の彼の問いかけに爽子は戸惑い、目を泳がせた。
答え導きだす前に、爽子の唇は塞がれた。
「――んんっ!?」
それは、いつもの優しく甘い口付けではなく、荒く全てを吸い尽くすような激しい口付け。
――相応しくなくたっていい
――彼女が俺以外をすきにならなければいい

363もう一度、君に届け8:2009/08/14(金) 16:25:53 ID:hWIJCDbf
翔太は押し寄せる独占的に呑まれるように、爽子の口内を侵していく。
荒くなった彼女の息さえ、今は全て自分のもの
もっと、もっと、全部俺のものになってしまえばいいのに…
逃げる彼女の舌を追い掛けるように、舌を絡めていく。
逃げないで――
いつも俺が追い掛けてばかりだ。
どうか、逃げないで…

「んっ!しょっ、翔太くん、…く、苦しいよ…!!」
息絶え絶えに爽子が唇を剥がす。
まだ逃がしたくないんだよ――

「――きゃあっ!!?」

翔太は突然爽子をベッドの上に倒し組み敷いた。
手荒に爽子のシャツのボタンを外していくと、露になった白い肌に吸い付くように唇を落とした。
片手で爽子の肩を押さえ付けると、空いた手で胸を覆っている下着をずらし、柔らかな膨らみを力強く揉みしだく。
反射的に目をぎゅっと瞑った爽子は、小刻みに震えている。
それを見た翔太は嘲笑する。
「……俺が…、怖い…?」
「……えっ……」
その声に爽子が反応して瞼を開けると、そこにはいつもの翔太とは違う冷たい目をした男が居た。
「……こわく…ないよ」
「うそだ。」
確かに爽子はいつもと様子が違う翔太に驚き、戸惑っていた。
しかし、怖いわけではない。
ここに居るこの冷めた目をした男が翔太だというのなら、怖くはない。
「…ほんとだよ?」
「こんなに震えて…まだ強がるの?」
翔太の掌が爽子の頬に触れる。ピクッと爽子の目尻が動く。
しかし爽子はそれでも翔太から視線を反らさなかった。
「いつも爽子はそうだよね…」
「……え?」
「俺がどんなに我が儘言おうが、どんなに独占欲で醜い感情見せようが、絶対嫌な顔一つしないんだ…。
ずるいよ…」
翔太の目が曇っていく…。
爽子は慌てて言葉を返す。
「だって…全部、嫌じゃないから…!」
「なんで嫌じゃないの?今だって、爽子の事こんなに乱暴に扱って、なのになんでそんなに毅然としてんだよ!」
翔太は初めて爽子の前で声を荒げた。
そして爽子の詰め寄るような視線から逃れるように、爽子の身体から離れる。

364もう一度、君に届け9:2009/08/14(金) 16:31:46 ID:hWIJCDbf
「…嫌じゃないとか言いながら…、本当は俺に興味がないんじゃないの…?」
「えっ……?!ちっ、ちがうよ…!?」
「じゃあもっと俺の事で怒ってみなよ…」
「……え…?」
「いつもそうだ…俺だけ必死で…焦って…
なあ…。もっと…、爽子も俺の事で頭の中一杯になってよ…」
情けない。汚い。
こんな言葉、彼女にだけは言いたくなかったのに。
こんな情けない自分を見せたくなかったのに。
でも止まらなかった…
だから……これ以上こんな自分を見られたくなかった――

「ごめん…今日は帰りなよ」
「えっ?!いっ…、いやだよ…!!翔太君、何か誤解してるよ!」
誤解…?もう、何が誤解で、何が正しいかなんて分からない。
そんなのどうだっていい。
これ以上、こんな俺を見ないで…
「翔太君…!話を聞いてよ…!」
「……爽子が出てかないなら俺が出てくよ。鍵、出るときスペアキーでかけといて。」
―バタンッ

荒々しく扉を閉めると、翔太は足早に廊下を駆け抜けた。

――めちゃくちゃだ、俺…


……………………………………


爽子が悪いんじゃない。
悪いのは、俺の醜い独占欲だ…

君は心が白いから、こんな俺でも許してくれるんだろう。
でも、それがたまに苦しいんだ。俺だけがいつも必死で
俺だけがいつも追い掛けて
どんなに近づいても、どんなに触れても、その白い心は俺に染まってくれなくて――


外は朝方の曇り空から雨に変わっていた。
傘を持たずに家を出た翔太は、一人雑踏の中俯きながら力なく歩いていた。
すると突然後ろから名前を呼ぶ声がした…
「翔太君!!」
その声に振り向くと、今一番会いたくて、一番会いたくなかった愛しの彼女が傘をさしながら駆け寄ってきた。
左手にはもう一つの傘が持たれている。
「なん…で…」

その時、曲がり角から高速で車が突進してきた―――

―ヤバイ……!

反射的に彼女の方に駆け寄る
「爽子!!!」

……………………………………

365もう一度、君に届け10:2009/08/14(金) 16:32:54 ID:hWIJCDbf


ここは………


どこだろう……………?


天井……


お母さん……


お父さん……


お医者さん………?


お母さん……泣いてるの……?


ねえお母さん、何で泣いてるの…?


「爽子……!!目を覚ましたの…!?」


……………………………………

「風早君、本当にありがとう…!」
「あ、いえ…もともと俺の所為で、爽子さんを巻き込んでしまって…、本当に申し訳ありませんでした…」
「何言ってるのよ…!あなたが爽子をかばってくれたから、爽子は怪我せずに済んだのよ?」
「そうだ。むしろ、こちらが謝らなくてはならないよ…足の方は大丈夫かい?」
「ああ、ちょっとヒビ入ってた程度なんで、気にしないで下さい。
それより…爽子さんをあんな勢いで突き飛ばしてしまったので…俺心配で……」


あの時、翔太は突進してくる車から避けるように爽子を突き飛ばした。
翔太もそのまま逃げ込もうとするが、急ブレーキをかけて雨の中滑り込んできた車に足を当ててしまう。
鋭い痛みを堪えながら爽子の名を呼び続けるが、彼女から返事は返ってこなかった。
血相を掻いて携帯で救急車を呼ぶ。
加害者の車はすぐに車を止め、翔太達の方へ駆け寄り、自ら警察へと連絡を入れていた。

病院に着いて自身の怪我の処置が終わり、爽子の様態を聞いた所、
翔太に突き飛ばされた衝撃で一時的にショック状態に陥っているが、外傷はないとの事だった。
ただ、頭部を打っている可能性はある為、検査を行い結果が出るまで安静を言い渡されていた。

翔太も駆け付けてくれた両親に今日は実家に帰って安静にしていなさい、と言われたが、
自分の所為で爽子の身に何かがあったらと思うと居ても立ってもいられなくなり、両親の反対を押し切って病院に残った。
そして爽子の病室でひたすら爽子の目が覚めるのを待っていた。

366もう一度、君に届け10:2009/08/14(金) 16:33:57 ID:hWIJCDbf
「爽子……!!目を覚ましたの…!?」

爽子の母がそう言った瞬間、翔太の足は竦んだ。

「おかあ…さん?お父さん…?私…」
「心配したぞ…!怪我はないらしい。安心しなさい…!」
「けが……?」
「そうよ、風早君が庇ってくれたのよ!まだ頭部の検査の結果が出てないから、安心はできないけれど」
「かぜはや…くん………??」

爽子に名を呼ばれ、翔太も松葉杖を突きながらベッドの方へ近寄る。
「爽子……」

やっと目を覚ましてくれた…
このまま目を覚ましてくれなかったら、と思うと胸が張り裂けそうだった。
言いたいことが沢山ある。
どれだけ謝っても謝りきれないけれど。
ただ君が無事で居てくれた事が何より幸せで、
ただ傍に居てくれるだけで幸せだった事を思い知ったんだ――

翔太は爽子に微笑みかけるが、次に爽子の口から出た言葉はその微笑みを奪い去った。


「あなたが……かぜはやくん…っていうの………?」


……………………………………


367もう一度、君に届け11:2009/08/14(金) 16:38:34 ID:hWIJCDbf


彼女の記憶から
俺が消えた―――


「一時的な記憶障害でしょう。まだ精神的なショックが大きいと思いますので、しばらくこちらで様子を見ましょう。」
――記憶障害……
「爽子…どうやら高校に入ってからの記憶が無いらしいのよ…。あんなに生き生きとして学校に行き始めたのは高校に上がってからだったのに…」
――高校……
担当医と爽子の母の声がポツリポツリと翔太の心に届いてきた。
頭の中が真っ白だ
何も考えられない
ただ、足の痛みを感じながら、これは夢じゃないって事だけが分かる。

「あのっ……あなたが、私を助けてくれたんですよね…!?」
病室で呆然としていた翔太に、爽子がたどたどしく話し掛けた。
「あ………うん…」
「あっ、ありがとうございました……!それに、その所為で怪我をしたって……本当に、すみませんでした!」
何度も何度も頭を下げる爽子を見ながら、記憶は無くしたとしても爽子自身は変わっていない事に気付く。
「いいよ…。頭上げて…?」
「いえ…!このご恩は…必ずいつか返しますので…」
眉間にしわを寄せながら俯く爽子。
それは翔太が高校に入ってから間もない時に見た、まだ人と接する事に慣れていない彼女と同じだった。
そう、それは3年前の――俺と出会う前の君。
君の記憶はそこで止まってしまったんだね…

大丈夫、いつかきっと思い出してくれるだろう――

翔太は自分にそう言い聞かせて、爽子の両親に一言断りを入れ病室を去った。

……………………………………

明くる日、栄治は昨日翔太を挑発した事を思い出すとふと気になり、携帯で爽子の番号を検索する。
―アイツ激怒りしてたし、喧嘩になったりしてねーよな…

通話ボタンを押し耳に携帯を押し当てると、受話器から聞こえて来たのは『おかけになった電話は…』という機械的な音声だった。
何だか胸騒ぎがする…
根拠のない不吉な予感に突き動かされ、栄治は爽子の家へと向かった。

「あら!栄治君、どうしたの!?」
黒沼家に着くと、後から爽子の母に話し掛けけられた。
「こんにちは、出掛けてたんですか?」
「うん、実はねー…、」
母は病院から帰ってきた事を告げると、昨日起こった事故の事を栄治に話した。
爽子を翔太が庇い、翔太が足に怪我を負った事まで話すと、栄治は目を見開く。
「おばさん、爽子の入院先教えて。」
「お見舞いに行ってくれるの?悪いわねぇ」
病院の場所を軽く説明すると、栄治はお礼を言いながら走り去って行った。
「あっ…しまったわ…、爽子の記憶の事言いそびれちゃった…。大丈夫よね、お医者さまもついてるし…」


その後、病院に向かいながら栄治は昨日翔太に言ってしまった事を後悔していた。
―アイツ、爽子の事守ったんだな…
昨日は悪ふざけであんな事言っちまったけど、悪い事したな…

翔太にもし会ったら素直に詫び入れよう、そう思いながら爽子の病室まで歩いていた。

368もう一度、君に届け12:2009/08/14(金) 16:39:36 ID:hWIJCDbf

「よお。」
「あっ…!えーじお兄ちゃん…!!」
病室を覗くと爽子が驚いた顔で迎え入れた。
「ひっ、久しぶりだね…!!なんで…ここに居るの…??」
「はあ?何が久しぶりだよ。この前会っただろ」
「えっ…えっ??そうだったっけ…!?」
「おー。事故のショックで忘れちまったか?」
栄治はそう笑ってのけるが、爽子はまだ困惑したままだった。
しばらく会話をしていると、爽子の視線が急に扉の方へ向けられた。
「あっ…!」
栄治の視線も爽子の視線の先へと向けられる。
そこには無表情に立っている翔太が居た…
翔太は爽子達の会話を聞きながら、従兄である栄治の記憶は残っているという事実にやるせない気持ちになっていた。
あたりまえの事だと自分に言い聞かせながら、二人を傍観していた。

爽子は翔太の姿に気が付くと、ばっと身体を起こした。
「あのっ……“風早君”、でしたよね…?昨日は本当に…ありがとうございました…」
―?
爽子の翔太に対するよそよそしい態度に栄治は疑問を抱く。
「おい、なに急に敬語で話してんだよ。こいつはお前の彼氏だろ?」
「!?!?かっ…かれしっ……!?」
この前同じ事を聞いた時より遥かに動揺をしている爽子。
「まっ…まままままさか…!!私に彼氏なんて…!栄治お兄ちゃん、この人に失礼だよ…!!」
両手をぶんぶんと振り否定をする爽子に、翔太は失笑する。
さすがにそこまで力一杯否定されては、悪気はないにしろ翔太も傷付かないはずはなかった。
そして栄治の方へ視線を向けると、感情のこもらない淡々とした口調で告げた。
「…記憶障害らしいですよ」
「――はあ!?」
「高校時代からの記憶が無いそうです」
「えっ……」
栄治はしばし混乱をしたが、先程からの爽子の言動を思い返すと、
その事実を少しずつ受け入れようとした。
そして、松葉杖で片足を支え痛々しく爽子を見つめる翔太を見ると、はたと我に返り翔太に席を譲ろうとする。
「お前…足辛いだろ。取り敢えずここ座れ。」
「……え?」
「あと……昨日は悪かったな。悪ふざけが過ぎた…」
「………いえ…」
―今さら…謝られても…
俺が爽子にした事を消せる訳じゃない。
いや、消えたのか。
爽子の記憶からは――

369もう一度、君に届け14:2009/08/14(金) 16:41:59 ID:hWIJCDbf
「じゃあな、邪魔者は消えるわ。」
栄治が翔太の肩をポンと叩き、病室を出ようとする。
その時………

「栄治お兄ちゃん!!」

たたた、と爽子が栄治に駆け寄る。
そして栄治を引き止めるように腕を両手で掴んだ。
「帰っちゃうの…?」
「は?…ああ……」
「そ、そっか…、せっかく久しぶりに会えたのに、残念だなぁ…」
爽子の上目遣いに栄治は不本意にも顔を赤くした。
「ばっ……!バカやろー、また来てやるよ…」
「…ほんとに…?」
「ああ。」
「…ありがとう……!嬉しいなぁ…」

――見たくない
俺を知らない彼女が、
俺以外の男に笑顔を向けている。
そっか…
今の君にとって、一番会いたい人は
俺じゃなくてその人なんだね―――

翔太は松葉杖を突きながら爽子のベッドの隣にあった机の上にお見舞いにと持ってきた果物の袋を置く。
そして栄治達の方へ向きなおす。
「栄治さん、これ、爽子だけじゃ食べきれないだろうから一緒にどうぞ」
「…え?お前が食べてけばいいだろ」
「いや、俺は帰ります。」

そして病室を出るきわに爽子に一言伝える。
「おだいじに、“黒沼さん”。」
「あ、ありがとうございました…!そちらこそ…おだいじに、“風早君”。」
翔太はふっと優しく微笑む。
しかしその瞳はどこか遠くを見ているような、哀しみを帯びた瞳だった。

―俺の事は引き止めもしない。
分かってる
分かってるけど…


翔太は病室を出ると窓の外を眺めた。
そこには昨日の雨とは打って変わって、眩しい程の晴天の空が広がっていた。

「なんだよ……お前だけ勝手に晴れやがって…」

――この世に神様なんているのだろうか…

もしいるんだったら、
どうしてあの時
爽子の記憶だけを奪った……?

どうせ奪うなら、俺の記憶も奪ってよ
俺の心からも彼女を消してよ

――彼女から消えた俺を返して――


……………………………………
370309:2009/08/14(金) 16:48:46 ID:hWIJCDbf
お言葉に甘えて前編投下させて頂きました(><)
すみません、11〜13のナンバリング間違えちゃいました…。内容はちゃんと順番に並んでます。

後半戦は記憶喪失萌え(なんじゃそりゃ)と、ラストの幸せエチーが書けるように頑張ります!
371309:2009/08/14(金) 17:18:32 ID:hWIJCDbf
あ、まだまだ続きの投下は先になるので、職人の皆様は遠慮なく投下してくださいね…
ではでは
372名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 19:21:27 ID:FDxP3gpI
面白いね!(・∀・)
神が降りてるね!
373名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 00:23:04 ID:qLp/IGze
家族旅行中ふたりきりっも
爽子記憶喪失!?も

続きが楽しみすぎる。

+   +
  ∧_∧  +
  (0゚・∀・) ワクワクテカテカ
  (0゚∪ ∪ +
  と__)__)   +
374名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 18:57:56 ID:QoGovXVN
速筆だし面白くてドキドキする 原作の二人みたい
ふたりっきりでドキドキの初エッチの甘さも
記憶喪失のビターさも楽しみ 夏祭りだねwktk
375名無しさん@ピンキー:2009/08/15(土) 20:53:56 ID:RrRdr8yd
神ばかり(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
376名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 10:38:31 ID:+yTAJXas
お盆だから投下はないかなーと思ってた私がアホだった
2人ともGJ!!
377名無しさん@ピンキー:2009/08/16(日) 23:13:09 ID:et9rN6m5
職人さんGJ
正座で待機だなこりゃ
378309:2009/08/18(火) 01:33:29 ID:CoTdCaWJ
>>369の続きがやっと出来ました!
すみません…流れ的にエチー描写入れれなくなってしまいましたorzしかも長いし…。先に謝っておきます…。

代わりにホントに病んじゃったヤンデレ爽子が出てきます。(これが書きたかった。)

そんなのでも良ければどうぞ…!><
379もう一度、君に届け15:2009/08/18(火) 01:35:29 ID:CoTdCaWJ

それから連日、爽子の病室には度々友人達が駆け付けてきた。
高校卒業後も地元に残っていた千鶴や龍、大学に入ってから親しくなった友人など、
代わり代わりに爽子の病室に訪れては、高校入学以降の記憶が無い爽子の反応に皆悲しみを浮かべて帰っていった。
爽子自身、毎日やってくる「友人」と名乗る人達と会うたびに、担当医から教えられた“記憶障害”という事実を受け入れざるを得なくなっていた。

栄治も時々病室に顔を出しており、この日も爽子の病室に居た。
「私……ほんとに記憶を無くしてしまったんだね……」
ぽつりと呟いた爽子に栄治が微笑みかける。
「まーな…。でも一時的なもんらしいし、あまり気を落とすなよ?」
「………うん…」
爽子が弱々しく頷くと、栄治はふと気になった事を聞いた。
「そういえば…、あいつは?風早。最近来てんの?」
「え………?」
爽子は何の事か分からないといったような目をしている。
「まさか…あれから来てねーの!?」
「……あ、風早君って私を助けてくれた人?来てないけれど…」

――あのバカ…何やってんだよ……
確かに、自分の事を忘れた彼女を見るのは辛いかもしんねーけど…

爽子は、栄治をそっと見つめた。
「でも、私ね…、記憶はなくなったのかもしれないけど…」
「…ん?」
爽子は頬を染めながら微笑む。
「…こうやって栄治お兄ちゃんが会いに来てくれるのは、すごく…すごく、嬉しいなぁ…」

―――!?

ヤバイ…

何俺動揺してんだ……

栄治はバッと席を立つ。
「えっ!?どうしたの?!」
「おまっ…!そーゆう事は彼氏に言えバカ」
「えっ…え??何が??」
「あーもう俺帰るわ!またな!」
「あっ…うん!ありがとう…」
栄治は勢いよく病室の扉を開け閉め、荒々しく廊下を歩いて行った。

―もとはと言えば…
あいつがちゃんとしねーから…

栄治は不覚にも従妹である爽子にドキッとしてしまった事に動揺していた。
そして、それも翔太の所為にして、跳ね上がる心臓の音を落ち着かせようとしていた。

380もう一度、君に届け16:2009/08/18(火) 01:36:59 ID:CoTdCaWJ

すると、病院の受付付近で怒りの張本人の姿を目撃する…

――あいつ……!!

「――おい!」
「………あ……」
振り返った男の目はまるで生気を亡くしたような濁った瞳をしていた…。
しかし、それは紛れもなく翔太であった。
栄治は勢いよく翔太の腕を掴み取る。
「何やってんだよ…お前…」
「…何って……、足の診察ですけど…」
「見りゃ分かるよ…!そうじゃなくて…」
翔太は栄治が聞きたい事を察すると、ばつが悪そうに視線を背けた。
「なんで、爽子に会ってやんねーんだよ…」
「……俺が行っても、意味ないですから。」
そう言って翔太は片足を引いて逃げようとする。
その態度は栄治の逆鱗に触れた。
「――おい待て!!」
翔太は振り向かずに立ち止まる。
「……まだ何か…?」
「お前がそのつもりなら…。アイツ貰っていいんだな?」
「…!!」
栄治の言葉に振り返り、おもむろに表情を変える翔太。
それを見ながら栄治は嘲笑う。
「ははっ…、死んだ目してても一丁前にそういう事には反応するんだな。
でも文句は言えねーよな?アイツから逃げてばっかの今のお前に止める権利はないだろ。」
翔太はぐっと拳を握りしめる。
「……嫌なら逃げずに傍に居てやれ。じゃないと知らねーぞ…」
そう言い捨て、栄治は翔太の横をすり抜けた。


――“傍に居てやれ”…

全く…勝手な人だ。
束縛するなと言ったり傍に居ろと言ったり…
どうしろっていうんだよ――

どっちにしろ、今のこの状況じゃ俺に勝ち目なんてないのに…
俺が傍に居たところで、今の爽子にとって一番傍に居て欲しい相手はあの人だって事に変わりはないんじゃないか。

でも…爽子の記憶がもし戻ったとしても、
その時彼女の恋心もちゃんと戻るんだろうか…

俺が傍に居ていい権利も――

……………………………………

381もう一度、君に届け17:2009/08/18(火) 01:38:16 ID:CoTdCaWJ

アパートに帰宅した翔太は扉を閉めて溜め息を漏らす。
「…ははっ…。きったねー部屋…」
爽子の記憶が無くなった翌日から、まるで全てのやる気を失った翔太は身の回りの事もそこそこに、ただ生きる為に食欲を満たす事と睡眠をとる事だけを繰り返すだけの生活を送っていた。

――生きる意味…あんのかな…

ベッドに寝転がり、カーテンの閉まったままの薄暗い部屋で呼吸をする。
外から漏れる、車の雑音が不規則に部屋に鳴り響く。
その時、一際大きくインターホンの音が突き刺さるように鳴った。
“ピーンポーン…ピポピポピピピピーンポーン”

「うっ…せー」
この鳴らし方ですぐに誰が来たのかを察知する。
―吉田…
吉田千鶴が翔太の家に訪れる時の用件は大抵、龍への愚痴か、爽子の事だ。
―今日は…後者だろうな…

“ガチャッ”

「…なに?」
「おっす風早!生きてた?アハハハハ…」
「見ての通り。」
「あそ。ちょっと中入るよ」
と言う前にズカズカと部屋に上がっていく千鶴。
すると、中のゴミだらけの部屋を見るなり「ぎゃああああ」と絶叫をする。
「なんだよこの部屋!まるでピンの部屋じゃん!!」
千鶴はゴミをかき分けながらぶつぶつと文句を吐き捨てる。
「――で?用件は?」
翔太の質問に千鶴が振り返ると、翔太の目を見て表情が固まった。
「…なんて目してんだよ。」
「……………」
「風早…、爽子の見舞い行ってる?」
「……やっぱりその事か。」
翔太は溜め息をついてドスッとベッドに腰掛ける。
「行ってねーよ…」
「なんで…!」
千鶴の質問に暫く押し黙ると、翔太は頭を抱えながら呟いた。
「…あの日…俺の記憶も消えてくれたらよかった」
「……?」
「俺の記憶が消えた爽子を見ると…心が潰れそーに痛いんだよ。
今の爽子には…俺は必要じゃないんだって思い知らされるみたいで…」
ポロポロと本音を漏らす翔太。
千鶴は呆然と立ったまま暫く黙っていたが、握りしめた拳をふるふると震わすと、せきを切ったように翔太の頭に拳を叩き落とした。

“ガツッ”

「い゙―――って!!」
「バカやろー!!このヘタレ!!ヘタレ虫!!」
翔太が頭を上げると千鶴がくしゃくしゃになった顔で涙を堪えながら翔太を見下ろしていた。
「てめーだけが辛いんじゃねーんだよ!!私っ…私だって……っ!!」
その言葉に翔太は、高校時代の記憶を無くした爽子は、翔太は勿論、千鶴達の事まで忘れてしまった事に気付く。
そして涙を零しながら千鶴は続けた。
382もう一度、君に届け18:2009/08/18(火) 01:41:03 ID:CoTdCaWJ
「爽子…っ、あの子…、うちらが友達だって事も、沢山遊んだ事もなんも覚えてなくて…!
呼び方も“ちづちゃん”から“吉田さん”に戻ってやがるしっ…!」
―呼び方…
そう、俺だって“風早君”に戻ってたんだ…
「しかも…自分に友達が居る事すら信じようとしないんだよ!笑ってもくれない…。
高一の初めの頃の…人から壁を作ってたあの子に戻ってんだよ…!!」
―うん、知ってるよ…
あの頃の、俺達が出会う前の“黒沼”だ…
「だから!!風早がもう一回爽子の壁壊してくんねーと困るんだよ!!」

―??

「私達も…頑張るよ…!でも…
爽子前に言ってたんだ…。“風早君と会ってから生まれ変わったような気持ちになった”って――」

爽子が………?

「もう一回、…もう一度、あの子生まれ変わらせてあげてよ…!
これは…っ、風早じゃないとできない――」

俺じゃないと――できない事…?

「風早がしっかりしてくんねーと私らも辛いんだよ!フラフラしてねーで会いに行けよ!
3年前みたいに助けてやれよ!!」

…3年前の…俺――


“がんばれ!!黒沼”


「…それだけ言いにきた…。悪かったな!あんたもケガしてんのに…。」
「吉田…」
「ああ?」
「俺にも、何か…爽子の役にたてることあるのかな…」

翔太の言葉に千鶴が振り返り、二人の視線がぶつかる。
まだ迷いの見られる翔太の目に、千鶴が自信満々に応えた。

「あるに決まってんじゃん!」

――!!

千鶴の清々しいほどの笑顔とその後押しに釣られるように、翔太の心の中で僅かな希望が芽生えてきた。
「まー根拠はないけど。」
「…なんだよソレ。」
「へへっ!とりあえずさぁ、こんなウジわきそうな部屋でウジウジしてねーで会いに行けって事だよ!
そんだけ。じゃあな!」

383もう一度、君に届け19:2009/08/18(火) 01:42:13 ID:CoTdCaWJ
千鶴はそう言うなり嵐のように去っていった。
再び部屋に一人になった翔太は、とぼとぼと部屋を片付けながら、千鶴に言われた言葉を思い返していた。


“俺にしかできないこと”があるとか
そんな自信は全く無いけど………

俺にも何か爽子の為にできることがあるのかもしれない

――何もできないかもしれないけど……何もしないのは嫌だ――


翔太は再び病院へと戻る。
3年前の“黒沼”に逢うために…
……………………………………


翔太はまだ完治していない片足を引き摺りながら、爽子の居る病室へとひたすら向かっていった。
扉の前に立つと、ドクンドクンと跳ね上がる脈を一旦落ち着かせる。

――“黒沼”……

この扉を開けたら、
何か答えが見つかるのかもしれない――

はぁっと一息つき、そっと扉を開けた。


「…あ…」
中で本を読んでいた爽子が顔を上げる。
翔太は久しぶりに彼女の姿を視界に入れると、全身の血液が甦っていくかのような感覚を覚えた。
トクン…トクンと騒ぎ出す心臓。
「こっ、こんにちは…!」
ぎこちなく会釈をしてくる爽子を見ると翔太から自然と優しい笑みが零れた。
「久しぶり、“黒沼”。」
―久しぶり、3年前の“黒沼”…

翔太は爽子のベッドの横にある椅子に腰掛ける。
近くで見た爽子の姿は先日見た時よりも少しだけやつれたよう見えた。
「体調…どう?」
「あ……はい、あの…時々発作みたいなのがあるんですけど…それ以外は全く平気です…!」

―発作……?

「あの…風早君は足大丈夫ですか…?」
「あーうん。ギブスも取れたし、もうちょっとで完治するって。…それより、発作って…?」
「えっ?あ、たいした事ないんですよ!寝ている間に…たまに胸が苦しくなって…。
でも、安定剤を飲めばすぐに治まるし、どこかが悪い訳じゃないみたいなので、ご心配なく…!」
「そっ、そうなんだ…」
爽子の入院が長引いているのはその所為だったという事を初めて知る。
彼女がそうやって苦しんでいるのは全てあの雨の日の、自分の所為だと思うと、翔太の胸はズキッと締め付けられた。

384もう一度、君に届け20:2009/08/18(火) 01:43:52 ID:CoTdCaWJ

「あのっ…」
「……ん?」
爽子は突然いそいそと机からノートとペンを取り出す。
「あっあの、…あなたの事を…教えてもらえませんか…?」
――?
「私…知ってると思うんですけど、記憶を無くしてしまったので…、お見舞いにきてくれる皆さんにいつも申し訳なくて…。
なので、一度来てくれた人の事を絶対に忘れないように、ノートに書き留めているんです…」
爽子のノートには、千鶴や龍、大学で出来た友達のプロフィールや、爽子が無くした思い出などがずっしり書かれていた。
――黒沼らしいな……
何にでも一生懸命で、健気で、努力家で、そんな彼女の変わらない面をまた見た気がした。
「うん、いいよ。何でも聞いて?」
爽子は新しいページをめくると、“風早君”という文字を書き始めた。
「じゃあえぇと…」
爽子は翔太の名前、生年月日等を聞き出していく。

「あとさ…今更だけど、うちらタメだから敬語は要らないからね?」
爽子はその言葉に、ノートに書いた生年月日を見て顔を上げた。
「えっ!?…あ、ほんと!同い年なんですね!……あっ!じゃなくて…、同い年なんだ…?」
言い改めた爽子に、翔太は満足そうにうんうんと頷いた。
「じゃあ…私と…風早君は…そのっ、とっ、ともだち……だったの……?」
その質問に翔太は戸惑う。
――“恋人同士”って言ったら……きっと困るよな…

答えの返って来ない翔太に爽子は慌てはじめた。
「あっあのっ…ごめんなさい!私ったらとんだ勘違いを…!!」
「えっ!?」
「私に男の子の友達なんて出来るはずないのに…!」
「あっいや!そーじゃなくて!……高校では3年間一緒のクラスだったよ…」
翔太は“友達”を肯定したくない為、苦し紛れにそう伝えた。
それでもまだ恐縮している爽子を見て、翔太は言葉を続ける。

「黒沼は女子からも男子からも好かれてたよ。」
「――ええ!?」
「うん。はじめは…黒沼は色々と誤解される事も多かったけど…。でも自分で頑張って誤解を解いて、気付いたらみんな、そんな黒沼の事すきになってた…。」
――そう、俺も…気付いたら…

「でも……私……何をどう頑張ったのかすら覚えてなくて…」
爽子は布団をぎゅっと握り締めながら俯いてしまう。
「誰かがお見舞いに来てくれるたびに、失礼な態度しかとれなくて……。
こんな私じゃ、“友達”もみんな離れていくんじゃないかな…」
翔太は爽子からぽつりぽつりと零れる本音に耳を傾けながら、今まで自分が彼女から逃げてきたことを悔やんだ。

――俺、自分が一番辛いんじゃないかって…どこかで思ってた……
385もう一度、君に届け21:2009/08/18(火) 01:45:57 ID:CoTdCaWJ

すると翔太は、爽子のノートに一度視線を送ると再び爽子に言葉を返した。
「頑張った事がなんだったかとか、関係ないんじゃない?今だって、黒沼はみんなの事覚えようと頑張ってるじゃん。」
「……え…?」
「今できる事ちゃんと見つけてるじゃん。すげーよ黒沼は…」

――俺は自分に何ができるかずっと答えが出なかったのに…。

…でも、今分かった気がするんだ――

翔太は何かを振り切ったように、満面の笑みで言葉を贈る。

「だから…、大丈夫だよ!」

“大丈夫だよ!”


“トクンッ”―――


爽子の大きな瞳からはらはらと涙が溢れ出る――


「…黒沼…?」
「え…?……あっ」
爽子は翔太の言葉ではたと自分の涙に気付くと、ゴシゴシと目を擦った。
「ごめんなさい…何か…うれしくて……。ありがとう…、私、頑張れる気がする…!」
――爽子…?
翔太には爽子の涙の理由は分からなかったが、少なくとも嬉しいと言ってくれた事に胸が熱くなった。
そして爽子の目をそっと見つめて問い掛ける。

「黒沼……俺、」
「……?」
「これから毎日ここ来ていい?」
「――ええぇ!?」
「あっ!!嫌だったらいいんだけど…」
「そっ、そんなっ!嫌なはずないよ!!うっ…嬉しいよ!」
「えっ?なんで…」
力一杯嬉しいと言う爽子に翔太は一瞬期待をするが…
「だって…!風早君は、命の恩人だもん…!」

――!?
『尊敬』の次は『命の恩人』って……

翔太はデジャブかと思わせるそのセリフに笑いを漏らす。
「ははっ!相変わらずだよな黒沼は!」
「えっ?!私、今何か変なこと言ったかな!?」
何故笑われているのか分からない爽子はあたふたとする。
翔太にとっては、そんな反応までも相変わらず過ぎて笑いが止まらない。

――こんなに笑ったの何日ぶりだろ…
こんな事でも、俺は爽子が居ないとだめなんだって思い知らされる――


386もう一度、君に届け22:2009/08/18(火) 01:49:19 ID:CoTdCaWJ

それから翔太は帰る事を伝えると、席を立つ。
その時、爽子が声を発した。
「あっ!あのっ…!」
その声に翔太は立ち止まる。

「今日は…本当に風早くんのおかげで…今まで色々悩んでたけれど気持ちが楽になったの…。だから…
ありがとう……!」

――!!


翔太が見たのは、紛れもなく爽子の笑顔――

翔太の鼓動がドクンドクンと波打つ。
――俺の記憶を無くした君も、
そんな眩しい笑顔を見せてくれるなんて……

「…ありがとう。」

翔太もそう言って笑顔を返すと、爽子は頬を染めながら「えっ、なんで??」とうろたえていた。


――今日君に会いに行ってよかった。

君が誰と一緒にいたいかとか、
君の笑顔が誰のものかとか、
もうどうだっていいんだ。

君に俺の記憶がなくても、
今はその記憶を越えるくらいに、君の事が必要だから。


俺も見つけたよ
今の自分にできること…

それは、今も3年前も変わりない“黒沼を応援すること”

……………………………………


あの日以来翔太は毎日爽子の元へと訪れた。
爽子も次第に翔太に心を開くようになり、翔太もそれを感じ取りながら爽子の傍に居られる幸せに浸っていた。

この日翔太は足のケガの診察があった為、いつもより時間が遅くなった。
病室まで歩いていると、前方に見覚えのある影が近づいてきた…
「おっ、風早じゃん」

―栄治さん…

栄治と会うのはあの日以来であった為、翔太は気まずさを感じながら会釈をする。

387もう一度、君に届け23:2009/08/18(火) 01:51:41 ID:CoTdCaWJ
「爽子ん所、今日も行くんだろ?」
「えっ?なんで知って…」
「爽子が言ってたから。“風早君毎日きてくれていい人〜”ってな。」
――いい人、ね…
「それに…、お前の目みたらほっとしたよ」
「え?」
「もう逃げんなよ。」
そう言うなり翔太の背中をバシっと叩いて去っていった。
「いっ…てぇ」

―??なんなんだよ…。結局あの人は敵?見方??

翔太が栄治の後ろ姿を睨んでいると、病室から出てきた爽子が話かけてきた。
「あっ……!風早くん…!」
「!黒沼…どうしたの?」
「うん、今日は風が気持ちよさそうだから…ちょっと外に行ってみようかなって思って」
「…そっか。じゃあ俺も一緒に行っていい?」
「…!!うん…!」
翔太が笑顔で誘うと、爽子も頬を染めながら頷いた。

――爽子…顔赤い…?
最近爽子が自分に向ける表情が、どうにも付き合っていた頃の表情と被る。
それは、翔太を“すき”と言ってくれる時の表情…

――期待…していいのかな…。


二人は病院の庭のベンチに腰掛けると、翔太が話を切り出した。
「そういえば今日診察行ってきたんだけどさ、足のケガ完治したって言われたよ。」
「えっ!ほんと!?」
「うん。俺、元々丈夫な方だから!治りも早かったみたい」
「そっか!よかったぁ……あっ!あのね…、私も、もうすぐ退院できるかもしれないの。」
「……ほんとに!?」
「うん…。発作が最近なくなってきたから、もう大丈夫だろうって…!」
「そっか…!よかったな!」
翔太は無邪気な笑顔でそう伝えると、爽子は真っ赤になって黙ってしまった…

――ほらまた…こんな顔するんだ…

ドクン…ドクン…ドクン…


388もう一度、君に届け24:2009/08/18(火) 01:52:42 ID:CoTdCaWJ

暫く二人が沈黙をしていると、突然翔太のポケットの中で携帯のバイブが震えだした。
携帯を取り出すと、バイト先のカラオケ店の名前と番号が点滅している。
「あ、ちょっとごめん。電話出るね。」
「あっどうぞ!」

電話に出ると、店長は翔太の足のケガの容態を聞いた。
「あ…はい、もう完治しました。ご迷惑おかけしました。―――えぇ!?今日ですか!?」
用件は、今日入る予定だった人員が風邪をひいたらしく、人手が足りないから急遽バイトに入って欲しいというものだった。
一応病み上がりである翔太は渋ったが、店長の押しに負けて結局バイトに入る事を承諾してしまった。

「ごめん黒沼…。急遽バイト入れって言われて、今から行かないといけなくなった…」
「あっ、そうなんだ!どうぞ、おきつかいなく!」
「ごめんな、また明日な!」
「うん…また、明日…!」

翔太は足早にその場を去るが、爽子はその後ろ姿をずっと見守っていた…

……………………………………


「お疲れ様でーす。」
「あーお疲れ!悪かったな今日は」
翔太はバイト先のスタッフルームで帰る支度を進めていると、突然電話が鳴り響いた。
店長がその電話に出ると、突然表情が凍る。
「……事故った!?今度はお前か…――そうか、わかった。こっちはなんとかするから。お大事にな…」
――??
翔太はその会話が気になり足を止めていると、電話を切った店長がバッと翔太の方へ振り向いた。
「風早…!!頼む!!」
「えっ!?」

先ほどの電話は、毎日午前中から夜にかけてシフトに入っていたスタッフが車との接触事故に遭い、全治2週間の怪我を負ったという内容だったらしい。
翔太はその代わりに入ってくれとせがまれる。
しかしその時間帯にバイトに入るとなると、爽子の面会時間内に会えなくなってしまう…。
翔太は必死で拒んだが、他に代わりが居ないんだと店長に泣きつかれてしまった。

――もうすぐ退院できるって言ってたもんな……

今まで休みをとって迷惑をかけていたという罪悪感もある翔太は、爽子が退院すればまた会える、そう自分に言い聞かせて承諾の返事をした。


……………………………………

389もう一度、君に届け25:2009/08/18(火) 01:53:33 ID:CoTdCaWJ

それから数日たったある日、栄治が爽子の病室に入ると、爽子はすやすやと寝息をたてて眠っていた。
すると、突然爽子の閉じた瞼から涙が零れだした。

――泣いてる……?

「おい、爽子…?」
栄治が話し掛けても一向に起きない。
「……しょ…」
「………?」
爽子の口が微かに動く。
「……しょ……う…た……くん……」
――………翔太…?
小さ過ぎて聞き逃してしまいそうなその声は、確かにそう聞こえた。

そして突然爽子の体に異変が起こる――
表情が急に歪み苦しそうな咳を何回か吐いた後、荒く速い呼吸を繰り返した。
胸元を強く抑えて体をよじらせ、声にならないような悲鳴をあげた。

――発作!?

栄治はすぐにナースコールを押し、爽子の背中を懸命に擦る。
「おいっ!!爽子…!」
――なんで……もう発作はなくなったって言ってたじゃねーか…!
初めて見る爽子の発作に栄治は落ち着きを無くす。
すると、爽子の悲鳴からある単語が混ざりはじめた。
「い……か…ない……で……」

――?

爽子の病室に看護師が駆け寄ると、懸命に爽子の処置を始めた。
栄治は看護師にある質問をする。
「あの……こいつん所に毎日来てた男、最近来てますか?」
「あ…、あの黒髪の人ですか?」
「はい」
「最近見てませんねー…。あっ、そういえば…」
「え?」
「あ、いえ…。最近黒沼さんまた発作を繰り返すようになって…。その頃くらいかしら?あの彼が来なくなったの…」


――あの馬鹿……!

栄治は爽子の発作が治まるまで病室に居ると、
机の上にあった爽子の携帯から翔太の番号を探しあて、病室から後を去った。

……………………………………

390もう一度、君に届け26:2009/08/18(火) 01:55:01 ID:CoTdCaWJ

翔太はバイト先の店内は1Fのスタッフルーム以外は地下となっており、仕事中は常時電波圏外だった。
連日栄治は翔太の番号に時間帯をずらしつつ電話をかけ続けたが、全く繋がらない。

翔太が捕まらないうちにも、日に日に爽子の体調は悪化していく。
発作の頻度が次第に高くなり、爽子自身の体力も徐々に衰退していった。

栄治の焦りも絶頂となるその時、ある事件が起こる――


「大変です!黒沼さんが居なくなりました…!」

栄治は爽子の様子を見に病室へと向かっていると、病室から出てきた看護師にそう告げられた。
「黒沼さん…連日の発作で衰弱していましたので、もし出先で発作が起こってしまったら危険な状況になり得ます!
どこに行ってしまったのか…心当たりはないでしょうか!?」
看護師が慌てて栄治に質問すると、栄治はすぐに返答をする。
「――あります。ちょっと行ってきます。」

――あいつに決まってる……!!

栄治は病院から抜けると、直ぐ様携帯で風早の番号に電話をかける。
「繋がれ……!」
しかし受話器から聞こえたのは、もう何度聞いたか分からない機械的な音声のみ…
栄治は舌打ちをすると、とにかく自分の分かる範囲で爽子を捜し始めた。


……………………………………

「それじゃー俺あがります」
「お疲れー!」
「お疲れ様でーす」

翔太がバイトを終え店から出ると、ポケットに入れていた携帯が急に震えだした。
携帯を開いてみると、知らない番号からの着信だった。
翔太は不審に思いながらも電話に出てみると…
「……もしもし?」
『―――ばかやろー!!!』
「はい!?」
第一声にいきなり怒鳴られ翔太は硬直する。
『何度かけても繋がんねーし!留守電くらい設定しとけ!今まで何してたんだよ!!』
「えっ…えっ!?その声、もしかして栄治さん?」
『そうだよ!お前今どこだ』
「今?バイト終わって帰る所ですけど…」
翔太の答えに栄治は唖然とする。
『もしかして…今まで毎日バイトに行ってたとかじゃねーよな…』
「はい…そうですけど」
『――バカかお前は。』
――!?
翔太は意味が分からず二度目のバカ呼ばわりをされて混乱していた。

391もう一度、君に届け27:2009/08/18(火) 01:56:04 ID:CoTdCaWJ

しかし次に栄治から発された言葉に驚く。
『――爽子の発作、再発したんだよ…』
「……えっ…?」
『しかも前よりも酷い。どんどん体も衰退してく一方だ…』
「……なんで…」
『……こーなり始めたのは、お前が来なくなってからだよ』

――俺が………?

『しかもあいつ寝言で何度も言うんだ……お前の名前と……、“行かないで”って…』
翔太は栄治の言葉がすぐには信じれなかったが、栄治の声がだんだんと曇って行くのが分かると、鼓動が徐々に速くなっていく。
そして栄治は言葉を続けた。

『あいつ、さっき病室から急に居なくなったんだ。』

――!?

『こうなる前に、お前見つけたかったんだよ…!
お前が居ねーとあいつきっと駄目なんだよ…!
記憶はなくても、爽子はお前を求めてんだよ……!』

―――“爽子”が…俺を……

『――分かったらさっさと捜せ。お前なら分かるだろ?
見つかったら病室に連絡入れろ。それだけだ――』

プツッ――ツーッ…ツーッ―

――爽子……

翔太は携帯を閉じると暫く呆然としていたが、
何を考える訳でもなく、自転車を漕ぎ始めた。

――“行かないで”

――「翔太君、なにか誤解してるよ!?」

――「翔太君…!話を聞いてよ…!」

ただ、あの雨の日の彼女の悲痛な叫びが頭の中にこだました…


……………………………………

392もう一度、君に届け28:2009/08/18(火) 02:02:02 ID:CoTdCaWJ

翔太は急いで自転車を漕ぐ。
行き着いた場所は、自宅のアパート……

――居るはずないけど…

記憶を無くした彼女にここの場所が分かるはずがない。
そう思いながらも、何かに突き動かされながらここまで辿り着いてしまった。
息を切らしながら、階段を一段一段昇っていく。
翔太の部屋の階に着き、曲がり角を曲がった瞬間、そこには………


――息が止まるかと思った………

「―――なん……で………」


…部屋の前には、しゃがみ込んで眠っている女の子の姿があった――


「なんで……、なんでいるんだよ……!!」


その声に反射するように、彼女は目を覚まし顔を上げた。
そこに居たのは…間違える筈もない“黒沼”だった…

「かぜ…はやく……ん…だ……」

衰弱しきった彼女から弱々しく翔太の名が呼ばれる。
その声に吸い込まれるように、翔太は彼女の元へ一歩一歩近づいていく。
彼女の前にたどり着くと、視線の高さを合わせるように翔太がしゃがんだ。

「なんで……ここが分かった……?」
「……わ…、…わからない…の……」

すると爽子の瞳からボロボロと大粒の涙が零れ落ち、
突然翔太の胸にふわっと飛び込んだ。

「――あ…い…たかった……、やっと…あえた……!」


―――!?


393もう一度、君に届け29:2009/08/18(火) 02:03:36 ID:CoTdCaWJ

爽子は翔太の背中に手を回し、擦れた声で悲痛な叫びを続ける。

「なん…でっ…、なんで…いなくなっちゃうの…!?
いやだよ……、どこにも…いかないで……!」

爽子は子供のように泣きじゃくり、細い腕で必死に翔太にしがみ付く。

記憶の無いはずの彼女が、自分の家の前に居て…
愛しくて仕方がない彼女が、目の前でただひたすら自分を求めていて…
そんなあり得ない状況に、既に翔太の思考はパンクしていた。

ただ、本能のままに彼女をぎゅっと抱き締め返す――

――…!!

彼女の体温が肌に伝わってくる。

――夢じゃ……ないんだ……

翔太の表情に感情が宿り始めた頃には、自然と瞳から一筋の涙が零れていた――


「……ごめん……。ごめん、黒沼……」


肩をびくつかせながら泣き続ける爽子に、翔太は彼女の頭を撫でながら何度も謝った。
どうしてこの場所が分かったか…
どうしてここに居たのか…
聞きたい事は色々あったが、
それ以上に目の前の彼女の一生懸命自分を求めて来る姿が愛しくて堪らなくて、
ただひたすら彼女を抱き締めた――

……………………………………


爽子は泣き声が止むのと同時に、泣き疲れたのか翔太の胸の中で眠ってしまった。

翔太は爽子を抱きかかえながら部屋に入り、ベッドの上にそっと横たわらせる。
その隣に座りながら、暫く非日常的なこの状況にぼんやりとしていたが、彼女が病室失踪中だという事にハッと気付き慌てて病院に連絡を入れる。

「――あ、夜分遅くにすみません…。○号室の黒沼さんの事ですが…」
翔太は看護師に彼女が見つかった事を伝える。
「――えっ!?あの…、戻らなくてもいいんですか…?」
看護師は電話の主が翔太であることを確認すると、今晩は時間も遅い為、爽子には翔太の家でゆっくり睡眠をとるようにと翔太に伝えた。
また、万が一発作が起こった場合の緊急連絡先も翔太に教えた。
爽子の担当医は発作の原因は恐らく翔太と何か関わりがあるという事を知っており、そのような対応になったと言うのだ。

394もう一度、君に届け30:2009/08/18(火) 02:05:22 ID:CoTdCaWJ

翔太は電話を切ってからも唖然としていたが、
ふいに栄治に言われた言葉を思い出す。

――『…こーなったのは、お前が来なくなってからだよ』

言われた時は実感など全くなかったが、先程の看護師の話や、爽子の行動を思い返すと、急激な実感が襲ってきた。
改めて爽子の姿を見ると、元々華奢なその体は更に細さを増し、顔色も青白く、明らかに衰弱している事が分かる。


翔太は隣で横たわる爽子の手を優しく握ると、
爽子はきゅっと握り返した。
そしてうっすらと目を覚まし、微かな笑みを浮かべて翔太を見つめた。

「……黒沼……起きた…?」
「…よかった……夢じゃなかった…」
「…夢…?」
「うん…。風早くんが…ここに居る…」

――…!!

爽子の手が翔太を求めるように差し伸べられる。
翔太は彼女のその儚い姿に息を呑む。


今すぐにでも抱き締めたい。
抱き締めたら壊れてしまいそうな彼女に、今すぐ自分の想いを届けたい――


翔太は溢れだす感情に乗せて、彼女の手を掴み取り、小さな体を抱き寄せた。


「風早く…ん……?」


翔太は何か言葉を紡ぐ前に、彼女を少しだけ離し、熱に潤む瞳で彼女を見つめた……

そして爽子の視線が翔太の視線にそっと重なる…



「――黒沼……」



「……すきだよ。」




―――“トクンッ”



395もう一度、君に届け31:2009/08/18(火) 02:06:40 ID:CoTdCaWJ

「しょ…う…た……くん……?」

…爽子の瞳に翔太が映し出された

「しょう…た…君……」


その瞳から一つ、二つと透明な雫が零れ落ちる…


「翔太君……!!」


涙に濡れたその綺麗な顔はみるみる破顔していく――

翔太の名を呼びながら泣き崩れる爽子を見つめながら、
翔太の鼓動はドクドクと波打つ。


――もしかして……


「黒沼…!もしかして、記憶が……!?」

翔太の問いかけに、爽子は泣きながらこくこくと頷く爽子。

―――記憶が……戻った……?


「翔太君……!行かないで…!!」
「……え……」
「行っちゃやだ…!!まだ……誤解…解いてないよぉ……!」

爽子から漏れる叫びは、翔太が家にたどり着くまでに頭の中でずっと聞こえていた、
あの雨の日の“爽子”の声……

「私……、ずっと心の中で叫んでた……!翔太君に…ちゃんと伝えたいって、翔太君に会いたいって…
私ね…、翔太君がどんなに私に酷い事をしたと思っても、私には関係無いの…
私にとって一番辛いのは……翔太君が居なくなる事なんだよ……?」

――俺が…居なくなる事……?

翔太は息を呑んで彼女の言葉を聞いていた。
ずっと聞きたかった、“爽子”の言葉を――


「だって……記憶が消えても、翔太君が私の中から消える事はなかった…
記憶を無くしても、また“風早君”に恋してた…。
だから…この先私が何度記憶を無くしたって…、
また私はあなたに恋すると思う……」

396もう一度、君に届け32:2009/08/18(火) 02:08:17 ID:CoTdCaWJ

一生懸命に届けてくる爽子の言葉は、翔太にとってどれも夢のような言葉ばかりで、
飛び跳ねる心臓の音と共に必死に受けとめていた。
そして爽子は涙を浮かべながら、極上の微笑みを彼に贈る――

「私を生まれ変えらせる事ができるのは……今までも、これからも、“風早君”しか居ないの……」

――…!!

翔太は堪らなくなったように彼女の体をぎゅっと抱き締めた。
そして、額、頬にキスを優しく落としていき、唇を塞ぐ前に赤くなった彼女の顔をそっと見つめた。
「ありがとう…。もう……じゅうぶんだよ……」
「え……」
「これ以上爽子の気持ち聞いたら嬉しすぎて……今度は俺が気を失いそう…」
「……いいよ…?」
「え?」
「そうなったら……今度は、私がもう一度翔太君に気持ちが届くように頑張るから……」
「!?」
「…翔太君が…私に届けてくれたみたいに…」

ぱっと花が咲いたように笑った彼女に翔太は顔を火照らしていると、爽子が唇を押し当ててきた。
そして翔太の胸に体を預けた。

お互いの体温を感じながら、お互いの鼓動を感じながら、吸い寄せられるかのように唇を重ね合い堕ちていく…

「ただいま、“翔太君”…」

「……おかえり、“爽子”。」


二人は言葉で伝えきれない想いを乗せて、
気持ちを重ねるように深く深く溶け合っていった――


……………………………………

397もう一度、君に届け33:2009/08/18(火) 02:09:12 ID:CoTdCaWJ

翌日の朝、翔太が目を覚ますとその隣にはすやすやと眠っている爽子の寝顔があった。
「――わっ!?」
――あそっか…俺昨日…

翔太は昨夜起きた一連の出来事を思い返す。
そして爽子の記憶が戻った後の事も……

――つーか、爽子の体調も考えねーで、なに襲ってんだよ俺!

翔太は頭を抱えていると爽子から小さな寝言が聞こえてきた。
「…しょうた…くん…」
―!?
幸せそうに微笑みながらそう呟く彼女を見て、翔太は顔面真っ赤に染めてうろたえた。
折れてしまいそうな手を優しく握り、じわりと彼女の体温が伝わってくると、この上ない幸せを感じた。


そんな穏やかな朝から現実に引き戻すように、突然携帯の着信音が鳴りだした。
――……この番号…栄治さん!?」
翔太は慌てて電話をとる。

「――はい。」
『よお。起きてたか?』
「あ、今起きました……っあ!そうだ、爽子は無事見つかりました!あと、記憶も戻りました!」
『だろうな。』
「えっ?」
『そう思って、あの後病院に連絡しといたんだよ、お前が捜してるから大丈夫だって。担当医の人も発作の原因がお前だって事知ってたから話早かっただろ?』
「えっ?あっ…はい…」
『あと爽子の両親には、爽子は俺んちに居るって言ってあるから心配すんなよ?』
「――あっ!そっか俺連絡するのすっかり忘れて…」
『感謝しろよ。…まさかお前襲ってねーだろーな?』
「はっ!?いや、まさか!!」
『………。まぁいいけど、この後ちゃんと爽子病院に連れてけよ?』
「はい、分かってます…。………あの、栄治さん…。」
『あ?』
「栄治さんは……結局敵なんですか?味方なんですか?」
『はぁ!?なんだよそのショボい質問は!』
「………しょぼいって…」
『……別にどっちでもねー。』
「え……?」
『俺は爽子の兄みたいなもんだ。妹が幸せならそれでいいんだよ。お前みたいにツメの甘い奴に無駄に傷付いてるあいつ見てるのが嫌だっただけだ。』
「……シスコン……?」
『……今何か言ったか。』
「何も言ってないです。」
『あそ』
「あのっ…、ありがとうございました色々と。」
『礼はいいけど、もう二度とヘマして爽子泣かせんじゃねーぞ…』
「………はい。」
『じゃあな。後はよろしく。』
「はい…わかりました…。」

“プツッ”

398もう一度、君に届け34:2009/08/18(火) 02:10:28 ID:CoTdCaWJ

翔太は携帯を閉じ溜め息をつくと、爽子の寝顔を見て再び幸せそうに微笑んだ。

一方栄治は、翔太が本当に爽子を見つけだしてくれた事にほっと胸を撫で下ろしていた。

――あいつなら…大丈夫だ…。


……………………………………

病室に爽子と翔太が戻ると、爽子が記憶喪失中に書いたノートを翔太に見せた。
そこには、翔太の良いところがずっしりと書いてあった。
それを見ながら翔太は赤面をしていると、爽子がノートのある場所に指を差した。

「あのっ…ここ見て…?」
「えっ?」

そこに書いてあった文字は――


“私のすきな人”


「…言ったでしょ…?記憶を無くしても、翔太君は私の中では変わらないただ一人の“すきな人”なの…。」

頬を染めながら微笑み、そう伝えてくる爽子に、
翔太もそっと微笑みを返した。


――君から俺が消えたとしても、
俺は何度も君に届け続けるよ。

今までも、今も、これからも
変わらない想いを――



おわり


399309:2009/08/18(火) 02:15:15 ID:CoTdCaWJ
以上です。大量消費でごめんなさい…!!もうこんな長い話の投下は自重します…。

風早がなっかなか更正してくんないのがいけないのよ…
奴を立ち上がらせるセリフ選びに苦戦しました。。
赤星も最終的にシスコンで落ち着かせてしまってごめんよ。

長い文に付き合って頂いた方、ありがとうございました。
400名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 05:49:32 ID:HnCGIVB+
一気にぜんぶ読んだけど、本当に良かった!!
エロパロなのに号泣した!!栄治にも萌えたし
爽、風、ちづの気持ち、ひとつひとつ切なくて…
キューン、ズキーン、ムラムラ〜しました。本当にありがとう。
良かったらまた書いてほしいです。
長編大好きっス〜
401309:2009/08/18(火) 22:23:30 ID:CoTdCaWJ
有り難きお言葉…!(涙;)ありがとうございます!
でももう長い話は恐れ多いので自粛します。というかもう精魂尽き果てましたorz..
改めて見ると、エロパロなのに肝心なエチ描写を2行で終わらしてしまうのはいかがなものだろうと思いました…。

幸せな話がよみたいです…。
初エチ職人さんの続きをwktkして待ってます。
402名無しさん@ピンキー:2009/08/18(火) 23:35:51 ID:bIH02W+L
素人の自分がこう言うのはほんとおこがましいけど、作品を重ねるうちに文章とか展開が神になっていってて素晴らしい!

次回作楽しみにしてる!
403名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 00:21:57 ID:i0AK22S4
爽子赤星ネタいい!!
もういろいろ妄想止まらなくて私駄目…w

少女漫画板の君に届けスレに貼ってあった転載だけど、

http://www.nicovideo.jp/watch/sm6188714

のMADの2分20秒ぐらいから始まる「おまけ」
が爽子・えーじお兄ちゃん共演で激しく萌えます。
404名無しさん@ピンキー:2009/08/20(木) 01:30:52 ID:TpmE+Sqe
なんか萌えすぎて言葉が見つからないよGJ
何度でも恋をする風と爽子…いい。
しかしえーじお兄ちゃんはほんと報われないw
いい男なのに…w
405309:2009/08/20(木) 23:02:10 ID:WwXg+Ny4
皆様ありがとうございます(泣)なんだか今完全燃焼しすぎてネタがもう浮かばないっす…。

私もあの動画見ました!あれは神だ。
実は今回の妄想もあれからスタートしたようなものです。。
406名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:07:04 ID:bVcJLoZL
おまたせしており、大変申し訳ありません。
>>345
>>346
>>349
>>350
>>351
の続き、投下します。

407名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:07:31 ID:bVcJLoZL
そう言って風早は爽子の唇を優しく吸った。
「ん…」
何秒かキスをして、また何秒かキスをした。
すきなひととのきすはあまいあじ。

爽子は頭がぼおっとしていくのを感じた。
「…もっと食べていい?」
熱い吐息が爽子の耳に届く。
(もっと…って…)
「…それは…お菓子じゃ、なくて…」
「うん。…お菓子の匂いがする、黒沼。」
そうか。いま、自分はこのひとに、食べられているのかな。
(それは…つまり、どういうことに、なるのかな。)
風早に食べられている自分を想像してみる。
「たべたら、なくなっちゃうかな?ダメ?」
甘えるような声で風早が囁く。
なくなるかな…。なくならないんじゃないかな。
爽子の頭の中を色々なことが巡った。
爽子は自分の中のぼんやりとした熱が、だんだんはっきりしていくのを感じた。
「…たべても、なくならないと思う…。」
「…いいの?」
消え入りそうな声で、爽子は風早に言った。
「だい、じょうぶ。」
ごくん。と息をのんで、つぶっていた目を開けて、続けた。
「…い、いいよ…。」
「…うれしい。」
408名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:08:08 ID:bVcJLoZL
二人はその後何度も唇を重ねた。
風早の唇が耳から首筋を経て爽子の鎖骨を吸う。
手がそっと服の上から爽子の胸を撫でる。
ぴくん。と身体が少し強張るが、風早はそのまま続けて、大きな手でやわらかく爽子の胸を揉みしだいた。
「ん…」
白いノースリーブのワンピースの上に羽織っていたカーディガンはいつのまにかはだけてしまっていて、露出した腕に風早の肌が直接触れる。
温かい。

風早は爽子のカーディガンをそっと爽子の腕から外してやり、首筋にキスをしながらワンピースをまさぐった。
「服…どうやって、脱ぐの?」
「……う…うしろに…」
少し震えながら爽子は答えた。
覚悟を決めたとはいえ、実際に服を脱ぐのは恥ずかしい。
そう思っているうちに、風早の手が背中に周って、ワンピースのファスナーをおろした。
「待って…」
「あ…うん。」
風早の手が止まった。
どうしよう。でもここは。
「じ、じぶんで・・・」
爽子は風早を押しのけて、起き上がり、ワンピースを身体の下に降ろし、そろそろと脱いで、下着だけになった。白いレースの可愛らしい下着だけが爽子の身体を覆っている。
爽子は自分の身体を腕で覆うようにして、うつむきながら風早に言った。
「は、恥ずかしいから、あ、あんまり、見ないで…」
「…うん…あ。電気消すよ」
風早は爽子から離れ、部屋の電気を消し、
ベッドに戻って勢いよく服を脱いで、すぐに爽子を抱きしめた。
「見たいけど、あんまり見ないようにする…って、できなさそうだけど。」
「うん…。」
爽子はおそるおそる、自分の手をそっと振り解き、風早の背中に回し、胸の方に顔を埋めるようにした。
409名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:09:14 ID:bVcJLoZL
どくん。どくん。

心臓の音が聞こえた。
自分のじゃなくて、風早の心臓が速く波打つ音。とても速い音。
「…かぜはやくんの心臓のおとが聞こえる…。」
「ん…。ドキドキしてる。」
(風早くんも、ドキドキしてるんだ…)
そう思うと目の前に居るこの人がとてもいとおしく思えた。

身体が吸い付くみたい。と爽子は思った。

頭がぼおっとして、どういう状況かいまひとつわからない。
風早の手が爽子のブラジャーを外し胸があらわになると、
形の良い真っ白な胸の頂を風早の唇が吸う。
「あっ…やあ…ん…。」
思わず声が漏れる。
爽子は突然自分を襲った強い快感に身をよじるが風早は自分を放してくれない。
大きな手がやわらかく小さな胸をつつみ、もう片方の胸の先端を吸われる。
(あたまがまっしろになりそう…)
爽子の小さな喘ぎ声と、乱れる風早の呼吸の音だけがしばらく室内に響いていた。
410名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:09:46 ID:bVcJLoZL
風早の手が、唇が、身体が爽子の身体の色んな場所に触れる。
爽子は全身を愛撫され、どんどん熱を帯びていった。

風早の手がだんだんと爽子の上半身から下半身に移り、細い太ももに触れ、下着の上から爽子の秘部に触れる。
「きゃ・・・・ああっ。」
爽子は強烈な快感と、じわっと何かがそこから溢れ出てくるのを感じた。
「やっ…だめ…!…だめ…恥ずかしい・・・あああんっ」
爽子はあわてて風早の肩をつかみ、押しかえそうとするが、風早は愛撫をやめず、指を爽子のショーツの中に入れていく。
爽子の濡れそぼった秘部に、直接触れ、愛撫する。そっと、傷つけないように、やさしく指を動かしていき、中心に入っていく。
「…やっやあ。んんっ。」
爽子の中の羞恥心がだんだんと風早に触れられる快楽に侵食されていく。

するり、とショーツが剥ぎ取られた。
「はあっ。」
爽子は大きくため息をついた。
「我慢…できそうにない。今から、入れるよ?」
風早はそう言って、改めて爽子に口付けをしようとする。
少し震えながら、爽子はそれに応えて唇を絡ませた。
優しくキスをしながら、風早はごそごそとぎこちなく避妊具を探して付けた。
「痛いかもしれないけど…」
「う、うん…」
しなやかな爽子の身体の中に、風早は少しずつ入っていき、二人は完全にひとつになった。
爽子は最初全身に力が入っていたが、進むにつれて少しずつ力が抜けていった。
抱き合って肌と肌が密着して、二人の汗が絡みつくのを感じる。
(気持ちいい)
風早は自分を包む経験したことの無い快楽の中に
まっすぐ突き進みたい欲求を感じながらも、
爽子の痛みを少しでも軽減しようと、ゆっくり、ゆっくり身体を動かし、果てた。

「…大丈夫?黒沼。痛くなかった?」
風早は爽子の身体をやさしく抱いて、そう言った。
「大丈夫だったよ…痛くなかったといえば、嘘になるけど、でも」
「でも?」
「それ以上に、風早くんのことを、すごくすごく好きになった。
…ずっと、こうして触っていたい。」
そういって、爽子は風早を抱きしめた。
「…俺も。すごい好き。おんなじ気持ち。」
そう言うと風早は爽子の黒い髪をそっと撫で、陶器のように美しいその肌にもう一度唇を落とした。
411名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:11:32 ID:bVcJLoZL
以上です!!!!!!
うわああああああ。
いままでお待たせして…すみませんでした!!!!!!!

412名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 19:33:27 ID:1ggTyn/o
GJGJ ごっさ萌えた!
初H話は無条件でキュンキュンするね
続き楽しみにしてたから嬉しいよ〜
素敵な萌え話ありがとう!
413名無しさん@ピンキー:2009/08/22(土) 23:00:48 ID:WivtVxpt
GJ!!!
萌え悶えました!!初エチ話大好きです(>_<)
414【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 22:57:46 ID:vrBACWEw
もうすぐ夏も終わりますね…。
ってことでギリギリで季節ネタを投下。
大学生風爽で看病話です。
415【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 22:58:40 ID:vrBACWEw
前々からその前兆があったのは確かだった。
放っておけばそのうち治るだろうと、そのまま予防対策を怠っておけばこのザマだ。
今朝、目を覚ました途端に、異常な肌寒さと全身のだるさに教われた。
いよいよ自分の身体の症状を無視できなくなった風早は、観念して脇に挟んだ体温計をじっと見つめていた。

ピピピ、と器械音を鳴らした体温計の表示を確認して、深い溜め息をついた。

「…38度5分、か…」

――こりゃ、立派な夏風邪だな。

今日は土曜日。前々から約束していた爽子とのデートはキャンセルするしかなさそうだ。
お互いに別々の大学に通っているせいか、最近はなかなか一緒に過ごす時間を取れないでいた。
数週間ぶりにふたりの都合が合ったから、今日という日を待ち望んで、ワクワクした気持ちを抑えきれずにデート用のシャツを新調したくらいなのに。

じわじわと上がり続ける熱のせいか、はたまた楽しみを奪われた悔しさのせいか。
風早はちょっぴり涙目になりながら、爽子宛に詫びのメールを送信する。

416【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 23:01:08 ID:vrBACWEw

がっかりしたかな。
悲しませてしまったかな。
情けないことこの上ない自分に腹が立つ。
すぐに爽子からメールの返信が届いた。

『今から翔太くんのアパートまで行くから、待ってて!なにか食べたいものはある?』


予想していなかった内容に心が踊った。
心なしかドキドキしながら『爽子が来てくれるだけで嬉しい』ということと、
『でも欲を言えば、爽子の手作りの卵粥が食べたい』と文面を綴って送ると、
材料を買ってからアパートに向かうから、暖かい服装でベッドに横になっているように、と返事が帰ってきた。
了解!と短く返信して、箪笥から厚手のパーカーを引っ張り出して寝間着の上から着ると、風早はそのままベッドに寝転がり、襲ってくる気だるさに耐えきれず、重たい瞼を閉じた。


ピンポーン、と軽快なベルの音が部屋中に響き渡って、ふっと目を覚ました。
朦朧とした意識のなかで玄関のドアを開けると、大急ぎでやってきた様子の爽子が、
額に汗を浮かばせて、弾む呼吸を抑えきれずに息も絶え絶えに風早の名を呼んだ。

「…翔太くん!だいじょうぶ!?」

現れた愛しの爽子の姿を見て、急に心細さを感じた風早はヨロヨロと爽子に駆け寄り、その華奢な身体を抱きしめた。

「…さわこぉおぉー…!」
「遅くなってごめんね。生姜湯に使うショウガを探してスーパーまで遠出したものだから…」

お熱は?ちゃんと計った?
と風早の癖のついた黒髪を優しく撫でながら、汗の滲む額にそっと手のひらをあてる。

417【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 23:03:41 ID:vrBACWEw

つめたくて、きもちいい…。
心地よさに目を瞑る。
その間にも、爽子は持参した手提げ袋から可愛らしいエプロンを取り出して身につけると、
「いまお粥と生姜湯つくるね。出来上がるまでベッドで寝ててね」
ふんわりと笑みを見せて、いつのまに持っていたのか、風早の額にペタリと冷えピタをくっつけると、もう一度、ぼんやりと赤い顔をした風早の頭を優しく撫でた。


出来立ての卵粥をれんげであーん、と口まで運んでもらい、
「わたしも風邪を引くとよくお母さんが作ってくれるの」
と爽子母直伝の生姜湯をふうふうしながら飲ませてくれた。

冷たい水を絞ったタオルで身体の汗を拭いてくれたり、汗でびっしょりになった寝間着を着替えるのを手伝ってくれたり。

甲斐甲斐しく看病してくれる爽子の愛情をひしひしと感じて、これ以上ないくらいの幸福感に包まれながら、風早は再び深い眠りに落ちていった。

418【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 23:06:29 ID:vrBACWEw

目を覚ますと、いつのまにか薄暗い部屋の中には夕日の赤が線になって窓から光を射し込んでいた。

重たい頭を起こして爽子の姿を探すと、ベッドの縁に顔を伏せて、すうすうと寝息を立てている。

起こさないようにそおっと、爽子の漆黒の髪を撫でる。癖のない細い髪は風早の指からさらさらとこぼれ落ちていった。


「…水族館、連れてってやれなくて、ごめん」


想いが溢れて、言葉がついて出た。


「こんなときだけ、いっぱい甘えちゃって…ごめん」

ごめんな。


それから…ありがとう、爽子。



ふいに爽子の肩がぴくりと動いて、ゆっくりと頭を上げ、ぱちぱちと瞬きを繰り返す切れ長の瞳が風早の目線を捉えた。


419【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 23:08:48 ID:vrBACWEw


「…おはよ」

「お、おはよう…あれ?私いつのまに寝ちゃって…?」

わあっ髪がぼさぼさ…スカートも皺になっちゃってる…!
自分の容姿をみて慌てて身だしなみを整えて、はっと気づいたように風早の頬に手を当てた。

「翔太くん、具合はどう?少しは楽になったかな?」
ぴとっとお互いの額を合わせて熱を確認する。

「…よかった、熱は下がったみたいだね…!」

嬉しそうにホッとした顔を見せて、何事もなかったかのように風邪薬の錠剤を用意する爽子。


「…ちくしょう…この天然魔性っこめ……っ」


熱のせいではなく真っ赤に火照った顔を、枕に突っ伏して隠しながら、ぽつりと心の叫びが漏れた。


「……えっ?なにか言った?」

台所でガラスコップに水を汲んでいた爽子がこちらを振り向いた。

「…なんでもないよ!」


やられっぱなしじゃ、男がすたる。
やけくそ気味に、風早は爽子に向かって甘え声を上げた。



「…ね、それ、口移しで飲ませてよ」



途端に熟したリンゴの如く頬を赤く染めた爽子の姿を確認して、
してやったり、と風早はにやりと不敵に微笑んだのだった。




おわり
420【夏風邪の代償】:2009/08/23(日) 23:12:19 ID:vrBACWEw
以上です。
タイトルに番号ふるの忘れてましたあああサーセン!
それからエロのエの字どころか、きちゅもしてない始末…orz
サーセンサーセン(;´д`)

きっとこのあと口移しの延長で、
体力回復した風早が爽子たんを美味しくいただきますしたはずです。

ではではー
421名無しさん@ピンキー:2009/08/23(日) 23:41:59 ID:r+wlbfTr
GGGGGJです!!
爽子は絶対いい嫁になると思う。風早にはもったいない(笑)

天然魔性っ子wwww
この後が気になる〜!!
422名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 01:41:51 ID:fjOwEOQi
風邪なんて激しい運動して汗かけば治るとか言っておっぱじめればいいのに!笑
423名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 10:26:49 ID:fjOwEOQi
嫉妬と欲望以来久々の投下です!携帯だし考えながら書くので時間かかりますがご了承下さいm(__)m
風早と爽子は同棲している設定です。
424真夏の夜の夢:2009/08/24(月) 12:30:36 ID:fjOwEOQi
―ピンポーン―

「はいは〜い、今開ける〜!」

―ガチャ―

『翔太君〜たっだいま〜!!』

玄関のドアを開けると、爽子が勢いよく翔太に抱きついて来た。
そして、背後には千鶴とあやねの姿が。

「ゴメン風早ι久しぶりであんまり楽しかったから、つい爽子に飲ませすぎちゃってさι」

「もぉ、ちず飲ませすぎなんだよ〜。ま、そういうワケだから、後はヨロシク頼むわ!」

「そっか、吉田、矢野わざわざ送って来てくれてありがとな!」

「いいよ、アタシが飲ませたんだしさ!」

「爽子!それじゃアタシら帰るからね!おやすみ〜!」

『ちづちゃん、あやねちゃん今日はありがとう〜!それじゃあおやすみなさぁ〜い!』

そして、二人は帰って行った。
翔太は爽子を抱えとりあえずソファーに座らせた。

「爽子、大丈夫ぶ?今水持って来るから待ってて!」

――グイッ――

その瞬間翔太の身体が引き寄せられ爽子の隣に座らせられた。

『行っちゃダメ〜♪チューする〜♪』

すると、爽子は翔太の膝の上にまたがり首に手を回し、強引にいやらしく唇を重ねてきた。

「…んん…ハァ…爽子どしたの?今日は随分大胆だね?俺襲われた気分♪」

翔太は悪戯な笑みを浮かべた。

『だって〜翔太君の事大好きなんだもん♪』

そう言って、また激しく唇を重ねた。
425真夏の夜の夢2:2009/08/24(月) 14:40:10 ID:fjOwEOQi
爽子の舌が翔太の口内を犯してゆく。
普段攻めるのは常に翔太の方で、爽子からこんな事をしてくる事はまず無い。

「なんか爽子に喰われてるみたい。」
(やべぇ、スゲェ興奮する…)

静かな部屋にはいやらしい吐息と水音だけが響き渡っている。

翔太のシャツのボタンはゆっくりと外され脱がされてゆく。
翔太もまた爽子のワンピースを脱がせ、ブラのホックを外した。

爽子の唇は翔太の首筋から胸へと愛撫してゆく。

――ビクッ!――

気が付くと、爽子の右手は翔太の熱く膨張した下半身に伸びていた。

『ふふっ、翔太君のすごく硬くなってる。』

「だって、爽子スゲェやらしんだもん。」

爽子ソファーから床に下り、そのままジーンズのジッパーを下ろし、硬く膨れあがったモノを口に含んだ。

「…っう…ヤバイ…超気持ちい…」

翔太は、爽子の顔を隠す長い髪をかきあげ、愛おしそうにじっと見つめた。
爽子の舌が巧みに絡み付き口内で翔太のモノを吸いあげ翻弄する。チュパチュパといやらしい音をたてて。

「…爽…ダメもう我慢出来ない…入れたい…」

翔太は爽子を引き寄せ再び膝の上に乗せた。翔太は爽子の敏感なソコに下着ごしに指を這わせた。

『…っあん』

「すっごい爽子…パンツまでビショビショ…」

『私って本当はすごくいやらしいの。翔太君の事想っただけでこんなになっちゃうの。』
426真夏の夜の夢:2009/08/24(月) 16:37:31 ID:fjOwEOQi
爽子は自ら下着を脱ぎ捨て、翔太のモノを自分のソコに擦り付けた。

「…っう爽子…じらさないで」

すると、爽子は熱く硬いそのモノをゆっくりと自身の中に埋めた。

「…ぅうぁっ…!」

爽子は徐々に腰つきを激しくしてゆく。
翔太は我慢しきれず自ら爽子を激しく突き上げた。

『あっ…あっあっあっ…すご…い翔太…君』

乱れてゆく爽子を目の前に、翔太の衝動は止まらず激しさを増してゆく。

『あんっ…私…おかしくなっ…ちゃう…』

二人の呼吸はどんどん乱れてゆく。

『あぁっ…イっ…イクぅ!!』

――ビクンッ――

それと同時に翔太のモノが爽子の中で締め付けられた。

「はっ…爽っ…やばっイクっ!!」

翔太ものぼりつめ、爽子の中で果てた。

――ハァハァハァ――

爽子はダランと翔太にもたれかかった。絶頂を迎えたうえに酔いが手伝って眠ってしまった。

翔太は爽子をそっと抱き上げベッドへ寝かせ、自分もベッドへ横になった。

(さっきまであんな凄い事しといて…なんてあどけない顔で寝てるんだ…俺は死ぬまで爽子中毒だな…)

翔太は爽子の額にキスをして眠りについた。
427真夏の夜の夢4:2009/08/24(月) 18:29:50 ID:fjOwEOQi
――翌朝――

鳥の鳴き声とカーテンの隙間から差し込む光で爽子は目を覚ました。
起き上がりふと横に目をやると、スヤスヤと寝息をたてた翔太が眠っている。それを見て爽子は優しく微笑んだ。

(あれ?私いつの間にベッドに…そして全裸……?)

―――(!!!)―――

昨晩はかなり酔っていたものの、記憶はしっかりと残っていた。
淫らな自分の行動を思い出し一人赤面していた。

『お酒が入っていたとはいえ…私…なんて大胆な事を…(恥)』

一人でアタフタしながらブツブツ呟いていると、翔太が目を覚ました。

「…う〜ん…あれ、もう起きてたんだ?おはよ、爽子♪」

起きがけだというのに、翔太は何やらニヤニヤしている。

「あ〜あ、朝からいい眺め♪」

昨晩の興奮がさめやらない翔太は朝からハイテンションだ。

ハッ!と、爽子は両手で胸を隠して、また更に赤面した。

『あの…翔太君…私昨日………(恥)』

「昨日の爽子超凄かったぁ。あれ以上心臓バクバクしたら俺は確実に死ぬ。笑 爽子エロすぎ!」

翔太はニカっと笑った。

『もぉ…翔太君のイジワルぅ…』

「ごめんごめん。爽子があんまり可愛いから、ちょっとイジメたくなっただけ。笑」

そう言いながら爽子の頭をヨシヨシと撫でた。そして、額と額をコツンとぶつけた。

「一緒にお風呂入ろっか♪」

『翔太君お風呂だとすぐしたがるんだから…』

「つーか、お風呂まで待てないけどね。」
(我ながら朝から元気な下半身…ι)

――ガバッ――

おわり
428真夏の夜の夢:2009/08/24(月) 18:55:19 ID:fjOwEOQi
――後日談

数ヶ月後に爽子の妊娠発覚。はい、あの時中出した時の…。
妊娠の報告と結婚の挨拶をしますが、爽パパはショックで一週間ぐらい落ち込んだそうな…。
爽ママは「あら、私もおばあちゃんになるのね♪」なんてウキウキ。

おわり

最後まで妄想におつきあい頂き恐縮です!
テレビ観ながら書いてたんでグダグダ感が否めません(^_^;)誤字脱字とかもありそうですし…
ちょっとキャラクターを無視した仕上がりにも…
ラストとか無理矢理終わらせた感ありありだしι
しかも出来婚かよ〜!みたいなね。
429名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 21:16:14 ID:3ee1imlS
すごいね 夏祭りだ
初エチは可愛くてキュンとしたし
看病も風に同化して爽子にときめいた
そして積極爽子はほんとやらしくてけしからん
もっとやれ
430名無しさん@ピンキー:2009/08/25(火) 23:07:26 ID:HaaCbuB4
エロ爽GJ!
こんなエロけりゃ風が興奮するのも無理ないw
431名無しさん@ピンキー:2009/08/26(水) 18:46:54 ID:4YABvwri
>>423さんgjgj!!
そういう爽もアリですねww
すごく良かったけど、けど、(恥)とかみたいなのは、せっかく面白いのに萎えちゃう…
432【黒猫の恩返し】:2009/08/27(木) 00:58:16 ID:8vwVviKc

かなりファンタジーっぽい風爽話を投下です。
爽子が黒猫に変身して風早とにゃんにゃんする話。
(こう言うと語弊があるか…w)
エロは後半にぬるい感じのがちょっと。
でもほとんど直接的な描写はないっすー

ではでは、はじめるざますよー
433【黒猫の恩返し1】:2009/08/27(木) 00:59:12 ID:8vwVviKc

母から夕飯の材料のおつかいを頼まれていた爽子は、夕日に照らされた歩道を歩きながら、ふとある光景に目を止めた。

艶やかな黒い毛並みをした一匹のちいさな仔猫が、横断歩道のまんなかで立ち往生している。

青信号はチカチカと点滅して車の往来を警告しているけれど、動物にその意味が通じるはずもなく、
黒猫はどこかおぼろげな足取りでヨチヨチと震える前足を動かしようやく歩き出した。
このままでは、間に合わない。道路の向こうから乗用車がゆっくりとこちらに向かって走ってくる。
黒猫は迫る危険に気づかず、歩調を変えずにまだ横断歩道の中間にいた。

爽子は思わず走り出した。赤信号に変わった信号がチラリと視界に入る。だが、このまま黒猫を放っておけない。
危機一髪、黒猫が爽子の両腕に抱き抱えられる頃には、向かってきていた乗用車は横断歩道をビュウンと横切って行った。

はあはあ、と弾む息を落ち着かせながら、爽子は腕の中の黒猫に微笑んだ。

「…よかった…間に合って…」

ふと黒猫の右足に目を移すと、細い足首に大きな切り傷が浮かんでいた。
ガラスかなにかでつけたような傷は、まだ毒々しい真っ赤な血が滲んでいる。

「たいへん、怪我してるっ…」

黒猫がニャア、と痛々しい鳴き声をあげた。爽子はしっかりと黒猫を抱き直すと、急ぎ足で自宅への帰路についた。
434【黒猫の恩返し2】:2009/08/27(木) 01:01:12 ID:8vwVviKc

「…よし、これで大丈夫だよ」

家に帰ってすぐ、爽子は家の薬箱から包帯と消毒液を手に取り、二階の自室で待つ黒猫に手当てをはじめた。
血を拭き取った傷痕に消毒液をあてた時、小さくニャアと鳴いただけで、黒猫は大人しく爽子に身を委ねていた。
くるくると足首に包帯を巻き終えて、爽子は帰り道の途中で寄り道したスーパーの買い物袋から猫のエサが入った缶詰を取り出した。
「猫ちゃんのお口に合うといいんだけど…」

かぱっと缶詰の蓋を開けて黒猫の前に置いてみる。
黒猫はふんふんと何度か鼻を鳴らすと、美味しそうに缶詰の中身を食べた。
あっという間に缶詰をペロリと完食し、舌で口の周りをペロペロ舐めたあと、
爽子の膝にちょこんと乗り上げ、そのまま体を伸ばして爽子の頬をペロリと舐めた。

「ふふっ…くすぐったい…」

なんだか、黒猫からお礼を言われたようで嬉しくて、しばし爽子はそのまま黒猫に顔中を舐められていた。
自分は昔から子供や動物には怖がられることがほとんどだったのに、この猫ちゃんは平気なのかな?

疑問に思う爽子だけれど、こんなに自分になついてくれた動物ははじめてで、ただただ嬉しくて、小さな黒猫をギュウと抱きしめるのだった。

その夜、爽子は黒猫と一緒にお風呂に入り、黒猫の汚れた体を丹念に洗ってあげると、
すっかり爽子に心を許した様子の黒猫と一緒に、同じ布団で添い寝した。
435【黒猫の恩返し3】:2009/08/27(木) 01:03:57 ID:8vwVviKc

そして、爽子は夢を見た。
辺りは真っ白な何もないところ。
ここはどこだろうと見渡すも、なにもない。
すると、目の前に黒猫が現れた。
猫ちゃん、と声をかけると、黒猫はちょこんとその場に座り込んで、爽子を見上げた。

『助けてくれて、ありがとう。お礼といってはなんだけど、あなたに不思議な体験をさせてあげる』

ええっ?猫ちゃんが喋った!?
驚きで目を丸くしていると、黒猫は爽子の周りをぐるりと一周しはじめた。
何が起こるのかと身を固くしていると、自分の体が淡い金色に光始めたことに気づく。

『1日だけの効果だけど、きっと楽しんでもらえると思うわ』

そして、なにやら不自然に自分の体が縮んでいくことに気づく。

『それまでは、わたしがあなたの代わりをつとめてあげる』

不思議なことに、自分と瓜二つの姿をした長い黒髪の少女が、微笑みながらこちらを見下ろしていた。

待って、猫ちゃん、どういうこと?

そう言おうとして、声を上げた。
けれど、おかしなことに口から飛び出したのは、
ニャア、というか細い鳴き声だけだった。

えっ…ええええ!?


ふと自分の体を見下ろしてみる。見覚えのある真っ黒な毛並み。裏返した手にはピンク色の肉球。
頭に手をやれば、ピョコンとふたつの飛び出た三角の耳。お尻からはひょろりと長い黒い尻尾がのぞいている。


わ、わたし…どうなっちゃったの…!?



瞼の裏で朝日の光を感じて、うっすらと目を開けた。『ああ…なんだ、夢か』と内心ホッしていると、パタパタと階段を上ってくる足音が聞こえてきた。きっとお母さんだ。
436【黒猫の恩返し4】:2009/08/27(木) 01:06:51 ID:8vwVviKc

ガチャリと部屋のドアが開いて、爽子の母が顔を覗かせた。

「爽子ー!そろそろ起きないと遅刻するわよー!」

起き上がって返事をしようと口を開こうとするより早く、隣から声が上がった。
「はぁーい」

えっ!と驚いて振り向けば、そこには自分とまったく瓜二つの…パジャマ姿の黒沼爽子の姿があった。

「珍しいわねぇ、爽子がお寝坊するなんて。昨日、遅くまで勉強でもしてたの?」

「うん。そうなの」

目の前の黒沼爽子はにこりと笑みを漏らすと、こっそりとこちらに向かってウインクした。

「ああ、昨日の猫ちゃんも一緒なのね」

爽子の母がニコニコと微笑みながら、爽子(姿は黒猫)を抱き上げた。

「ごはんはなにをあげたらいいかしら?」

「昨日買ってきた猫缶がまだ残ってるから、それをあげるよ」

「あらそう?じゃあそれと一緒に昨日の晩御飯の残りのサンマの骨をあげましょうか」

爽子(の姿をした黒猫)と爽子の母がそんな会話をしている間にも、黒猫になってしまった爽子は必死で母に助けを求めていた。


ニャア、ニャア!

(お母さん、爽子はわたしだよ!)

ニャア、ニャア!

(そのわたしは偽者だよ!昨日助けた猫ちゃんなの!)

ニャア!

(お母さん!)

ニャアニャア!

(お願い、気づいてよ!)


そんな爽子の叫びも虚しく、朝ごはんの準備をするから、と母は部屋を出て行ってしまった。

437【黒猫の恩返し5】:2009/08/27(木) 01:09:07 ID:8vwVviKc


それからは、信じられない光景の連続だった。

爽子の姿をした黒猫は、不自由なくパジャマから制服に着替えて登校の準備をして、部屋を出て行った。
爽子は置いていかれないようにと慌ててドアの隙間からスルリと廊下へ飛び出した。

居間で朝食を食べる両親は、目の前に座る自分たちの娘がまさか黒猫が化けた姿だなんて、思ってもいないんだろう。
何度呼び掛けても、両親がこちらの訴えに耳を貸してくれることはなかった。

そして、爽子の姿をした黒猫は立ち上がり、学校に向かうために玄関に向かった。そのあとをちょこちょこと黒猫の姿をした爽子が追いかける。

「安心してね。今日1日、うまくあなたに化けていてあげるから」

ローファーを履きながら、屈んで黒猫に話しかける。
「深夜0時を過ぎたら、元の姿に戻るわ。それまで、猫ちゃんライフを満喫してね!」


いってきまーす、と居間の両親に声をかけると、長い黒髪をなびかせながら、自分の姿をした黒猫は家を出て行った。

438【黒猫の恩返し6】:2009/08/27(木) 01:11:06 ID:8vwVviKc

その後、爽子は途方にくれて、トボトボと近所の河川敷を歩いていた。

しばらく自宅に居て、なんとか母に「本当の爽子は自分だ」と訴え続けてみたが、
「猫ちゃんどうしたの?お腹が空いたのかしら?」
と猫缶やら魚の骨やらを差し出してくるだけで、まったく埒があかない。

夕飯の買い物に出掛けた母と一緒にドアの隙間から身を滑り込ませて、なんとか外に出た。

空は赤く染まりかけていて、もうすぐ夕日が沈みそうだ。

爽子は学校に向かって川沿いを歩き続けた。
通学路を辿っていけば、きっと学校帰りの猫ちゃんに会えるはずだ。

しばらく歩いていると、なにやら聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきた。


わんっ!わんっ!

(あれ…この声…)

わんわん!わん!

(…あっ!マルちゃん!?)

爽子の予想通り、向かいの歩道から、風早家の飼い犬であるマルが元気よくかけてきた。
赤い首輪に散歩用のリードは繋がっているけれど、そのリードを持つご主人様である風早の姿が見当たらない。

おかしいな、と爽子が訝しんでいると、息を切らしながら風早が猛スピードでこちらに走ってくるのが見えた。

「こらーっ!マルーっ!勝手にあちこち行くなっていつも言ってんだろー!!」

ご主人様の姿を見つけたマルは反省する素振りも見せずに、嬉しそうに風早の足に擦りついた。
風早はしばらくブツブツと文句を漏らしながらも、片手でマルの頭をがしがしと撫でてやっている。
439【黒猫の恩返し7】:2009/08/27(木) 01:12:57 ID:8vwVviKc


「…ん?黒猫?」

風早が黒猫爽子に目線を向ける。いきなり知り合いと遭遇してしまって、爽子はビクリと身を震わせた。

「マル、こいつを見つけて走ってっちゃったのか?」

風早の問いかけに、マルはくんくん、と鼻を鳴らして、『そうだよ!おれスゴイでしょ!』と誇らしげに尻尾を振った。


「野良猫かなあ?あんまり見かけない猫だけど…」

そう行って、風早は爽子の体を両手で優しく抱き上げた。
至近距離で見つめられて、爽子は胸が高鳴るのを感じる。

「…おまえ、帰る家ないの?」

風早の問いかけに、爽子は短く『ニャア』と答えた。

「…じゃあ…うち、くる?」


にっこり問いかけ風早が人懐っこい笑顔を見せた。
爽子が返事をする間もなく、風早の言葉を理解したのか、傍らのマルが勢いよく爽子に向かって尻尾を振った。

わん!わんわん!

『おれ、きょうからおまえのせんぱいだぞ!にーちゃんにひろわれたのは、おれがさきだからな!』

不思議と、マルの言っている言葉が爽子には理解できた。動物同士なら言葉を理解し合えるのだろうか。

そんなことをぼんやり想像しながら、黒猫爽子は風早の腕に抱えられて、夕闇の道を進みながらゆっくりと風早家へ向かって行った。
440【黒猫の恩返し8】:2009/08/27(木) 01:14:48 ID:8vwVviKc

「あらやだ、あんたまたノラ猫拾ってきたの!?」

風早家に着いて開口一番、風早の母は息子に抱えられた黒猫の姿を見て、眉を吊り上げた。

「…猫拾ってきたのははじめてだよ」

むすっとした表情で風早がふてくされたように小さく返す。

「うちにはもう、マルがいるでしょう!そう何匹も飼えないわよ!」

エサ代だって馬鹿にならないんだからね、と風早の母は困ったように顔をしかめている。

なんだか申し訳なくて、爽子ら「ごめんなさい」と一言謝った。
もっとも、口から出てきたのは『ニャア』という鳴き声だったから、その場の人間には意味は通じなかったのだけれど。

「…はは、おまえが落ち込むことないんだよ」

心なしかうなだれた様子の爽子を見て、風早が苦笑いしながらそっと頭を撫でてくれた。
その優しい仕草と、温かい体温が心地よくて、爽子はなぜだか泣きたくなった。

「とりあえず、今晩だけはうちにおいてやってよ。明日、学校から帰ってきたら里親探してくるからさ」

風早の提案に、風早の母は渋々頷いた。
心の中で風早の母にお礼を行って、黒猫爽子は風早に抱えられるままに、風早の自室に繋がる二階の階段を上がって行った。
441【黒猫の恩返し9】:2009/08/27(木) 01:16:41 ID:8vwVviKc

その夜、黒猫爽子は風早に連れられて、お風呂で綺麗さっぱり体を洗ってもらった。
入浴後、風早の自室で丸くなっていると、風早が母から貰い受けてきたという真っ赤なリボンを手にして戻ってきた。

「ほら。首輪は用意できないけど、いいもの貰ってきたよ」

贈り物の包装用だったというそのリボンを、風早は優しい手つきで爽子の首に結んでくれた。

「うん、すっごくよく似合うよ」

おまえ、美人さんだなあ。
思いがけない褒め言葉に、爽子は気恥ずかしくなって、『ニャア』と小さく鳴いて俯いた。

すると、なにを思ったか、風早はぽつりぽつりと黒猫を話し相手に呟いた。


「おまえ…なんだか黒沼に似てるね」


そう告げた風早の表情が、驚くほど柔らかで愛しげだったので、爽子は驚いた。

にゃあ、にゃあ。

(…あのね、風早くん)

にゃあ。

(わたし、爽子だよ)

にゃあ、にゃあ。

(きっと信じてもらえないだろうけれど、)

にゃあ、…。

(わたし、風早くんには気づいてもらいたい…)


「その子もね、おまえと同じように、綺麗な黒髪をしてるんだ」


(…風早くん…)


切なくて、苦しくて、爽子は小さく鳴き声を漏らした。
風早の手のひらが優しく降ってきて、ふわりふわりと爽子の頭を撫でてくれる。
442【黒猫の恩返し10】:2009/08/27(木) 01:19:24 ID:8vwVviKc

そして、爽子は風早と同じベッドで、風早の腕に包まれながら眠りについた。



肌寒さにふと目を覚まして、爽子はぼんやりとする思考回路をそのままに、小さくパチパチと瞬きをした。
暗闇のなかではなにも見えなくて、ただ近くで目覚まし時計の針の音と、静かに響く規則的な寝息が聞こえてくるだけだった。

暗闇に目が慣れてくると、爽子は現在の状況を把握しようと頭を巡らせた。

ええと…わたしは猫の姿になってしまって…ここは風早くんのおうちで…
風早くん…?

そおっと視線を上にやると、爽子の鼻先に風早の穏やかな寝顔があった。
ぼぼっと顔中に熱が集中してくるのを感じて、たまらず布団に顔を押しあてた。
…あれ?

見れば、布団の下の自分の体はしっかりとした肌色の胴体と手足が見えた。
ハッと気づいて頭上の目覚まし時計に目をやれば、深夜1時を過ぎていた。

…元の姿に戻ったんだ…!

…あれ?と、いうか…わたし……、

そろり、と布団の中の体を確かめる。
肌色、…ということは、もしかして…。

443【黒猫の恩返し11】:2009/08/27(木) 01:21:32 ID:8vwVviKc


「…きっ…きゃあああ!」

…ぜ、ぜぜぜ…全裸!!



「…うわあっ!なにっ!?」



爽子が悲鳴をあげたと同時に、風早も慌てて飛び起きた。
お互いに目が合う。しばしの沈黙。


「わあああああああ!」

「ひゃああああああ!」


ババッとお互いにベッドの端と端まで飛び退いた。
バクバクと高鳴る心臓の音を感じる。


「えっなっ…黒沼?…ええっ?…だって、黒猫…」

真っ赤に蒸気した顔をそのままに、風早は爽子を指差した。
一方、爽子は自分の格好にはたと気づいて、傍にあった布団を手繰り寄せて、胸元を隠した。

未だに混乱している様子の風早に向かって、爽子は一部始終を話して聞かせることにした。


「……あ、あのね…風早くん、実は…――」


444【黒猫の恩返し12】:2009/08/27(木) 01:25:43 ID:8vwVviKc


事情を全て話し終わり、ようやく落ち着きを取り戻した風早は、まだ半信半疑ながらも、
爽子の首に結ばれた真っ赤なリボンを見て、爽子の話したことを信じる気になったのだった。


「…とりあえず…よかった…元の姿に戻れて…」


不安で不安でしょうがなかった爽子は、元に戻れた安心感でぽろぽろと大粒の涙を流した。
小刻みに震える華奢な真っ白な肩を、風早はゆっくりと抱き寄せた。


「…そっか…それであの黒猫、黒沼に似てるなあって思ったのかな…」

ふわりふわり、と爽子の長い黒髪を撫でながら、風早は可笑しそうに呟いた。


「…わたしね…」

「…ん?」

「風早くんには、どうしても気づいてほしかったの」

「……」

「もしこのまま黒猫の姿のままだったら、もう二度と風早くんに会えなくなっちゃうのかなって、」


もしそうなら、嫌だな…て、

切なくて、悲しくて、泣きたくなったの。



小さく嗚咽を漏らしながら、爽子が涙に濡れた瞳で風早を見上げた。
風早はその色っぽい瞳にしばし見とれて、そのまま爽子の濡れた唇に口付けた。


「…気づかないはずないよ」


…だって、黒沼は俺の一番たいせつなひとだから。



爽子の柔らかくて甘い唇を感じながら、風早はゆっくりと爽子の細い体をベッドの上に優しく倒した。
445【黒猫の恩返しラスト】:2009/08/27(木) 01:27:57 ID:8vwVviKc

どきん、どきん、と高鳴る胸の鼓動は、どちらのものかわからない。
重なり合わせた肌から温かな体温を感じた。
爽子の頬や耳、首筋や座骨に次々と唇を落としていく。
時折、爽子のちいさな唇から喘ぎ声が聞こえる度に、風早は自分がどうしようもなく興奮してしまうのを感じた。


「…黒沼…すきだよ…」


行為の合間に、風早の掠れた声が爽子を捉えた。


「たとえ仔猫になったって、俺が一生飼ってあげる…」


突然襲ってきた痺れるような下半身の甘い疼きに涙が溢れた。
ふと目を向けた窓の向こう、カーテンの隙間から漏れる月明かりの中に、
猫の黒い尻尾が翻って去って行ったような気がして、爽子はじっと闇夜に目を凝らした。


「…どうかした?」

風早の掠れた声が耳元で震えた。

「…ううん、なんでもない…」

風早が爽子の首に結ばれた赤いリボンをさらりと撫でた。







おわり

446【黒猫の恩返し】:2009/08/27(木) 01:32:30 ID:8vwVviKc

以上で投下終了です。
こんなぶっとび設定なお話にお付き合い頂いた皆様、ありがとうございました。
その後、風早はたまに爽子とスルときは
「リボンつけてv」
っておねだりしてにゃんこプレイに勤しめばいいと思います。
更にプレイがエスカレートして、
どこで手に入れたのか黒猫の猫耳カチューシャと
尻尾付きの黒猫コスを爽子に強要すればいいと思います。


447名無しさん@ピンキー:2009/08/27(木) 09:21:03 ID:9sWTSXF5
GJ!!
夏祭りがまだ続いていたようで安心したよ
もうここはエロパロだけどエロなしでも全然いいと思うんだ


>>446
その妄想をkwsk書いてくれればいいとおもいます
448名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 01:42:09 ID:M7C3IA5j
パラレルに便乗してアリス爽子絵投下してみます。

イカレ帽子屋のお茶会で・・・あやしげなお茶を振舞われちゃったアリス爽子。

「そろそろ効いてきた?」

「あの・・・さっきいただいたお茶・・・いったい何が・・・」

頭がボーっとして体が熱い・・・


ってな設定で。
ttp://www.ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo/07.jpg

帽子屋のつもりで描いたのに帽子が似合わなかったのでただの風早に。orz
449名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 09:52:25 ID:0IIWMoDB
もっと描いて〜(´Д`)
450名無しさん@ピンキー:2009/08/29(土) 13:12:59 ID:197hD7JP
うひゃああ!黒猫爽子もアリス爽子もGJすぎる!!

爽子が全裸で戻った瞬間の二人の反応にニヤニヤが止まらなかったww
451名無しさん@ピンキー:2009/09/02(水) 01:15:56 ID:JYsuchTg
ほっしゅ。本誌発売前だけど職人さんがんばって〜
452名無しさん@ピンキー:2009/09/05(土) 23:26:53 ID:qhsYWeir
神様降臨待っています(-人-)
いつも読ませてもらうばかりですみません…
453名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 21:35:12 ID:i0RD6ppo
ガ、ガチで栄治おにーちゃんと爽子の絡みが見たい・・・
454名無しさん@ピンキー:2009/09/06(日) 22:42:22 ID:YJjS1yie
ほしゅ〜い
455留守番:2009/09/08(火) 03:27:17 ID:9PvPEQCm
漫画板では風爽祭だけど、栄治との絡み投下しちゃいます!


栄治は黒沼家を訪れていた。
というのも、爽子の両親が二日ほど家を空ける事になった為、爽子一人では心配だと父が栄治に留守番を頼んだからだ。
栄治は、しめたとばかりに快く引き受けた。

そして、その晩…

「栄治お兄ちゃん、お風呂空いたよ。」

リビングのソファーに座る栄治に爽子は声をかけた。

『おお、んじゃ俺も入ってくっわ。』
(アイツ…あんな薄着でチョロチョロしやがって、俺を男だと思ってねぇな。)

そんな事を思いながら風呂場へと向かった。爽子の密かな視線には気付かずに…

(あやねちゃんのアドバイス通りにしてみたけど…栄治お兄ちゃん何の反応もないよ…これでちょっとは私の事女の子として意識してくれるかと思ったのにな…はぁ…)

爽子は、肩を落としながら二階の部屋へと向かった。

そして、ベッドに座り考え事をしていると、いつしか眠りについていた。


その頃、栄治は風呂を済ませリビングにいた。

『あれ?アイツ居ねぇしιったくよぉ…』

そう呟くと、栄治は二階の爽子の部屋へと足を運んだ。

――コンコン!――

ドアをノックするが返事は返って来ない。

『おーい!爽子、入るぞー!』

――ガチャ――

栄治は、そっとドアを開けた。

!!!!!

(おいおい…なんつー恰好で寝てやがんだよコイツはよぉ…いくら相手がイトコの兄ちゃんだからって無防備すぎんだよ…)

栄治は、はぁ…と、ため息をつきながら頭を掻いた。

目の前には、先程目にした薄着で肌を露にした爽子が眠っている。
短いキャミソールワンピの裾からは、真っ白なレースの下着が覗き、胸元もザックリと谷間が見えていた。
456留守番1:2009/09/08(火) 03:29:02 ID:9PvPEQCm
漫画板では風爽祭だけど、栄治との絡み投下しちゃいます!


栄治は黒沼家を訪れていた。
というのも、爽子の両親が二日ほど家を空ける事になった為、爽子一人では心配だと父が栄治に留守番を頼んだからだ。
栄治は、しめたとばかりに快く引き受けた。

そして、その晩…

「栄治お兄ちゃん、お風呂空いたよ。」

リビングのソファーに座る栄治に爽子は声をかけた。

『おお、んじゃ俺も入ってくっわ。』
(アイツ…あんな薄着でチョロチョロしやがって、俺を男だと思ってねぇな。)

そんな事を思いながら風呂場へと向かった。爽子の密かな視線には気付かずに…

(あやねちゃんのアドバイス通りにしてみたけど…栄治お兄ちゃん何の反応もないよ…これでちょっとは私の事女の子として意識してくれるかと思ったのにな…はぁ…)

爽子は、肩を落としながら二階の部屋へと向かった。

そして、ベッドに座り考え事をしていると、いつしか眠りについていた。


その頃、栄治は風呂を済ませリビングにいた。

『あれ?アイツ居ねぇしιったくよぉ…』

そう呟くと、栄治は二階の爽子の部屋へと足を運んだ。

――コンコン!――

ドアをノックするが返事は返って来ない。

457留守番2:2009/09/08(火) 04:34:48 ID:9PvPEQCm
露になった姿で無防備に眠る爽子を目の前に、栄治の理性は限界ギリギリだった。
ベッドの横の床に座り爽子の顔を覗き込むと、頬にかかった長い髪をかきあげた。

(コイツいつの間にこんな綺麗になったんだ?)

そう思った時既に、栄治は無意識に唇を落としていた。

『ヤベッιこれ以上やったら止まんね…』

そう呟き、立ち上がろうとしたその瞬間、栄治の腕がグイッと引っ張られた。
振り向くと、潤った黒い瞳が栄治を見つめていた。

『あ…お前…もしかして起きてた…?』

「今起きた…栄治お兄ちゃん…もぉ行っちゃうの…?」

『お前俺の事誘ってんの?そんな事言ってっとホントにヤッちまうぞ。』

「いいよ…栄治お兄ちゃんなら…ううん、してほしいの…」

爽子の栄治の腕を掴む力がギュッと強くなった。
そして、視線を外す事の無い瞳が栄治をずっととらえていた。

『お前…いつからそんな悪い女になったの?』

爽子の頬に掌を寄せると栄治がニヤリと微笑んだ。

「私は…栄治お兄ちゃんを振り向かせる為なら…いつでも悪い女になるよ」

そう言って微笑んだ爽子を見て、抑えていた理性は完全に吹っ飛んだ。
爽子の身体に股がり両手を顔の横につくと、見下ろした。

『俺はとっくにお前のもんだよ』

そう言うと唇を落とした。

「…んん……はぁ…」

爽子は栄治の首に腕をまわし、求める様に引き寄せた。
爽子が自分の事を想っていてくれた事が嬉しくて、その想いに応える様に激しく唇を重ねた。
舌を絡ませるいやらしい水音と二人の吐息だけが部屋に響き渡っている。
458留守番3:2009/09/08(火) 05:54:08 ID:9PvPEQCm
栄治の唇はだんだん下の方へ落ちてゆき、爽子の首筋に舌を這わせるとピクッと身体が動いた。
爽子の反応を楽しみつつも、右手でキャミソールの肩紐をずらしスルリと脱がせた。

「ん…はぁ…はぁ」

爽子の透き通る様な白い肌、小ぶりだが形の良い二つの膨らみが露になる。
その頂を軽く摘むと、爽子の眉が歪んだ。
すると、今度は口に含み舌で刺激した。

「あぁっ…ぃや…ぅんん…あ」

爽子の顔は蒸気し、頬はうっすらとピンク色になっていた。

『爽子…お前すっげぇ感度いいな…ヤバい可愛い…』

爽子の太股をさすっていた掌が秘部へと伸びる。

「…ひゃ…あ…ぁん」

下着の上からスーッと指でなぞる。

『すっげぇ爽子…パンツまでビショビショ…あ〜あ、風呂入ったばっかなのに』

クスッと笑うと、一気に下着をずりさげポイッと投げ、自らも着ているシャツとジーンズを脱ぎ捨てた。
そして、爽子の膝をグイッと広げ、赤く膨れあがった蕾を口に含んだ。

「っあああ…」

舌でネットリと舐め回し、同時に指を這わせる。クチュクチュといやらしい音を出し。
秘部からはトロトロと甘い蜜が溢れてくる。

「やあぁ…だめぇ!」

爽子の膝は小刻みに震え出している。

『気持ちいいか?我慢しなくていいぞ』

意地悪そうに栄治が問いかける。
爽子は快楽に逆らう事が出来ず、自らの腰がうねる。

「…はぁ…ん…あっあっあっ…い…イクッ!ぁあああ!」

爽子の身体はビクンと大きくうねり、果てた。
459留守番4:2009/09/08(火) 07:02:35 ID:9PvPEQCm
『爽子、俺もう限界、入れっぞ。』

ボクサーパンツに手をかけ脱ごうとすると、爽子が身体を起こし四つん這いで側に寄ってきた。
すると、栄治の胸をグイッと押し倒した。
栄治は肘で身体を支え、パッと首だけ起こし爽子を見た。

『おい…どした?』

「今度は…今度は私が栄治お兄ちゃんの事気持良くさせてあげたいの。」

『え…ちょっ…おいっ!』

爽子は、有無を言わさず栄治のボクサーパンツを脱がせ、硬く膨張しそそり立ったモノに手を添え一気に口に含んだ。

『うっ…』

ジュルジュルと音をたて首を上下させる爽子。
時折、気持ちいい?と、栄治を見上げる。

その姿にゴクリと息を飲む。
パラパラと爽子の顔の横に落ちてくる髪をかきあげ、撫でる。
それを見ながらも、発射しそうになる衝動を抑えた。

『おい…そろそろ入れさせろ我慢できねぇ』

「だってまだ…」

『俺は…最初はお前ん中でイキたいんだよ、文句あっか?』

今度は栄治がまた爽子を押し倒し、グイッと腰を引き付けた。
自身のそのモノを手をかけ、濡れそぼった爽子のソコに擦りつけ、ゆっくりと沈めた。

『うぁ…くっ…すげぇきつ…爽子あんまり締めんな』

意識をソコから散らす為に唇を重ねる。
「ん…はぁはぁ…」

再び爽子の甘い声が響き、身体がリラックスしていく。

甘い口づけを交わしながら、腰の動きを徐々に速めていく。

栄治は唇を離し、爽子の身体をグイッと折り曲げ、脚を腕で支えながら律動を激しくしていく。
460留守番5:2009/09/08(火) 07:58:32 ID:9PvPEQCm
パンパンと肌がぶつかり合う乾いた音は響き、栄治のモノが爽子の中で絡み合い、接合部分からは蜜が流れ出ている。

『さわ…こ…好きだっ!』

律動は更に激しさを増した。

「あっあっあっ…あん…ダメ…イッ…ちゃう…ぁあああ…!」

『うっ…はっ…はっ…はっ…ヤバ…イキそっ』

――ビクンッ!――

栄治のモノがグッと締め付けられたと同時に二人は果てた。

「『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…』」

栄治はバタンと爽子の身体に覆い被さり、暫く二人は繋がったままの常態で横たわっていた。


「栄治お兄ちゃん?」

『んー?』

「大好き♪」

そう言って爽子は栄治の頬にチュッとキスをして、腕にギューッと絡み付いた。
唐突に言われたその言葉に、栄治は柄にもなく赤面していた。

「あれ?栄治お兄ちゃん赤くなって…る?」

『…うっせ!なってねぇよっ!』

「ふふっ♪ずっ〜と一緒に居ようね、栄治お兄ちゃん♪」

『それはいいけど…お前さぁ、その、栄治お兄ちゃんって呼び方何とかなんねぇ?』

「う〜ん…子供の頃から呼んでるからなぁ…」

アゴに指をおいて考え込む爽子。

『いや、お兄ちゃん取ればいいだけだからっ!栄治って呼べ!妹犯してるみたいで何か嫌だ…』

「……栄治………君?」

『う〜ん……しょうがねぇ、それで許してやるか。』

呼ばれたら呼ばれたで照れる栄治。
それが何だか可愛くて、見たことの無いそんな栄治の姿が見たくて、暫く名前を呼び続けた。
461名無しさん@ピンキー:2009/09/10(木) 20:27:22 ID:1iDmHll/
エロイなー 爽子とえーじ兄ちゃんもけっこうお似合だ。
しかしこの世界の風早はなにやってんだろ
梅あたりといちゃってるのだろうか
あと爽パパ気の毒w羊守るのに狼呼んじゃだめだよなあw
462名無しさん@ピンキー:2009/09/11(金) 00:35:53 ID:S40CHMqM
パラレルワールド設定ですね
こうなったら風早と梅のセクロスも見たいw
463留守番:2009/09/11(金) 00:43:32 ID:zTsjPOKD
この続きをまだ書こうかと思ったけど、気分がのらないので辞めましたιι

ここでの設定は、爽子は風早と付き合っていましたが、心の奥にある栄治の存在が消える事はなく別れました。栄治は、爽子が風早と付き合ってから爽子の幸せを考え、想いを伝える事なく身を引きました。
しかし、抑えていた気持ちはこの日を機会に再燃します。
爽子の家に来たのも大分久しぶりで、爽子が風早と別れた事は知りません。
勿論、爽子は栄治の気持ちを知りません。
こんな感じです。
464名無しさん@ピンキー:2009/09/11(金) 09:46:03 ID:7eSFKzpU
じゃあ赤星は爽に彼氏がいるって思っときながらやっちゃってんのかww

エロかったよ〜!GJでした!!
続きいつか書けそうだったら書いて欲しいです。読んでみたいヽ(´▽`)/
465留守番:2009/09/11(金) 12:15:43 ID:zTsjPOKD
そうなんです。栄治は爽子に告白?をされて浮かれつつも心の中で一瞬『あれ?風早は?』と思いますが、目の前の状況に理性を止める事が出来る訳もなく…ι『知るかそんな事!』と即開き直っちまった感じです。
二日間の間、絶倫な栄治はどこかれ構わずヤリまくりました。風呂場、キッチン、リビングのソファー…ここだけ聞くと、なんか最低な気もしなくもないですが…ι
いや!違うんです!爽子が処女じゃなかった=風早がヤリやがったという事実に傷付いた?いや、ムカついた?ちょっとした男心です。
風早と付き合っている事は知っていたし、キスぐらいはしてるだろうと思ってました。でもまさか、最後までいってるとは思っていなかったんです。栄治は自分の事は棚にあげて『あんのエロガキ…』なんて思ってました。
普段は、キスマークを付けるなんて子供みたいな事を絶対にしない栄治ですが、この時ばかりは付けまくります。
ニコニコ顔で帰って来た爽パパに、うしろめたい気持ちでいっぱいの栄治でした。爽ママは何気に鋭いので、二人の微妙な変化に気付き『うふふ』な感じでした。


サラッとこんな感じです。風早は爽子にフラれた訳なんですが、そこ着目すると重い話になっちゃうし、風早があまりにも可哀想なんでスルーしました!笑
466名無しさん@ピンキー:2009/09/11(金) 16:56:37 ID:FF+56Szo
GJっす!!
もう連載再開かーこのスレがあったから待てたよ
スレのみんなありがとう
467名無しさん@ピンキー:2009/09/11(金) 20:36:03 ID:GAxsMi5p
GJ!!面白かったです

しかしιはなんか萎える
なくても雰囲気伝わると思うよ
468名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 12:15:51 ID:FjM35t9f
ここでいきなり1巻の台詞を引用。

風早「職人って、暇なときって、なにしてんの?」
職人「『君に届け』とか…」
風早「あはは。そーじゃなくて、暇なときだよ」
職人「だから、『君に届け』とか…妄想しながら、わりと楽しく…」
風早「ちょっとまって。妄想って何それ!」

…ごめんね。風早くんw。
ありがとう風早くんw。

        エロパロ板 風早秋祭り

       ----------START-------------
469名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 18:24:43 ID:b+cASp5h
なんだそれww

もう別マ出たから、頼みたいんだけど
例のシーンのジョーが来なかったバージョンが読みたひ…
まだコミックスが出てからじゃないとダメなのかな>エロパロ
470名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 18:55:27 ID:ic9SnyOI
今までも風爽はエロいエロいと思ってたけど、
ここまできたら椎名先生も絶対エロ意識して描いてると思うんだけど…w
471名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 19:47:46 ID:ZJdmXCxH
ジョーが来なかった編と風早に「下心なしでみれない」を伝える編がみたい。
472名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 21:30:25 ID:6qH36FXU
wwwwごめんねの代わりに聞いて
このエロ小説風早君に届けww

そんなわけで秋祭り便乗 >>448さんのアリスイラストをもとに描いたので
脳内補完よろしく
アリスは爽子 いかれ帽子屋は風

−−−−−−−−−−−−−−−−−

-1-
「あの、なにか体がとても熱いのですが」
爽子はティーカップをテーブルに置いて熱い吐息とともに少し苦しそうに言った。
ティーカップにはほんの雫ほどしかお茶は残っていない。
マッドハッターはにこにこしながらさらりと爽子に言った。
「うん、じゃあ脱ぎなよ。」
「えっ」
爽子の逡巡などどこ吹く風で鼻歌でも歌いそうな勢いでマッドハッターは素早く腰掛ける爽子の服にそっと手をかけた。

ぼーっとして頭が働かない。お茶いい匂い。
このひともいい匂い。

爽子はぼぅっと熱に融ける瞳でマッドハッターをみつめた。
「脱がせてあげるね?」

マッドハッターの声が遠くに聞こえる。

ふわふわふわといい気分。
はしばみ色のおおきなきれいな瞳のひと

「あの…顔、近い…です。」
「近づけてるもん」
脱がせていい?とマッドハッターは爽子の耳をそっと噛みながら囁いた。
473アリス爽子2:2009/09/12(土) 21:30:47 ID:6qH36FXU
−2−

「ぁんっ」
爽子の可憐な唇から甘い声が漏れる。
「…美味しそう。いただきます」

食べちゃいやだよ、食べられたらなくなっちゃうよ

そう言いたいのに言葉が出ない
出るのは意味のない甘い声ばかり。

マッドハッターの唇と舌が爽子の細い首筋からなだらかな肩、
そして綺麗な鎖骨を辿る。白い肌に赤い実がなる。
「あっ…あの、帽子屋さん…!」
「かぜはや、だよ。おれは帽子屋だけどかぜはや。」
「かぜはや、くん。っぁあんっ、た、食べないで…ぁあぅ」
「やだ。とても甘いし、いい匂いだもん。」

いつの間にか爽子のエプロンドレスははだけて
腕のところにかろうじて残るのみになっていた。
小ぶりだが形のよい白い胸がぷるっと現われ外気の刺激にかすかに震えた。
「実がなってるもんちゃんと食べないと。」
マッドハッターが唇を落とすたびに真新しい雪のような肌が敏感に答えた。
「実が硬くなってきた。アリスが熟れてきたからだよ。」

うれてきた?

言葉の意味も判らないまま爽子は懸命に言葉を紡いだ。
474アリス爽子3:2009/09/12(土) 21:31:10 ID:6qH36FXU
−3−
「あ、アリスじゃないもん、爽子、です。んぅ…っ!」
「うん、知ってる。君はアリスで爽子で俺の恋人。」
爽子が疑問の声を発する前にその小さな唇は柔らかく塞がれた。
「ん…っはぁ…」
とろりと唇が糸をひいて離れても爽子はぼうっと
いかれ帽子屋のいかれた顔をただみつめるしかできなかった。
マッドハッターはにやっと唇の端をあげると
爽子のふわっとしたエプロンドレスの下から手を入れた。
「ふぁっ…!?」
いやらしい指が爽子の敏感な場所にたどりつき、生き物のように蠢いた。
「果汁も溢れてきてるよ…?早く食べなきゃいけないね」
マッドハッターはそう言うと爽子のスカートに頭をつっこんだ。
「ひゃ!?ああんっだめぇえ!そっそんなの…ああぁっ…!」
「布の上にまで溢れてきちゃってる。甘い、甘い蜜がしみてきちゃった。」
敏感な場所を温かい吐息と舌で下着の上から刺激され
爽子の体がびくんびくんと大きく揺れる。
「ぼ、ぼうしやさん、もうお願い、やめて、はぁんっ、だめぇっ」
「思い出してくんないとやめないよ」
「お、おもいだす…?あああっんんっ…な、なにを!?」
「君が忘れてる事。」
475アリス爽子4:2009/09/12(土) 21:32:06 ID:6qH36FXU
−4−
言葉を紡ぐ間にもマッドハッターの責めは続いた。
舌で、指で、吐息でぐちゃぐちゃにされ、爽子の喉は言葉を忘れてただ淫らな喘ぎを歌い続けた。
「だから脱ぎなよって言ったのに。少し腰、あげて?」
もはや思考できずに爽子は人形のように言われるがまま腰を浮かせた。
ずるりと湿った下着が粘液をひきながらその細い足から抜き去られる。
「爽子の蜜でとろとろだね。」
「いやぁっ…言っちゃやだぁ」
恥ずかしそうに爽子は顔を背けた。
両脚は力なく開かれていたがスカートに隠されてその秘所は見えない。
ただ甘く放たれる芳香だけがひそやかにその息吹を伝えた。
マッドハッターはくっと息を飲むと欲に濡れた声で爽子の耳に囁いた。
「…やっぱ、がまんできそうもないや。」
え、と小さく爽子が呟くのと同時に熱い塊が爽子の中心を貫いた。
ぐぅっと喉の奥で息を殺した爽子の瞳から
痛みのあまりになみだがぽろぽろと零れた。
「いやぁっ…いたい、いたいですっぼうしやさん」
「んっ…はぁ…だいじょぶだから、力抜いて…」
マッドハッターは爽子が落ち着くように柔らかな口付けを
頬や髪や唇にくり返した。
476アリス爽子6:2009/09/12(土) 21:34:41 ID:6qH36FXU
−5−

汗ばんだ彼女の顔の苦痛の色がほんのり薄らいだところで
マッドハッターはそっと囁いた。
「っ…動くよ?」
爽子は涙に濡れた瞳でマッドハッターを見上げた。
そして意味がわからないながらも酔ったようにかすかに頷いた。

ぎしりと爽子を支える大きな腰掛け椅子が音を立てた。
「んっあぁっ…やっ…あんっ…!」
マッドハッターの動きに合わせてぎしぎしと椅子がなる。
最初は苦痛の色しか見せなかった爽子の顔に違う色が浮かんでくる。
紅潮した頬ととろりと熱に潤み始めた瞳、
紅い唇からは淫らな喘ぎと熱く短い息がマッドハッターの律動に合わせて漏れ
時折何かを求めるように蠢く柔らかな舌がちらちらと見える。
「はぁっ…ぼうしやさんっ…何かあつ…あつい…ぃ!」
「ん、さわこ、が美味しくなってきた、しょうこ。」
「んぅ…!お、おいしい…!?ああ…ぅ!」
「…!んん、さわこ、少し緩めて…もうちょっとだけ…こうしてたい…っからっ」
ぽたぽたとマッドハッターの汗が爽子の白い肌に落ちる。
マッドハッターの熱いモノが爽子の奥を突いたとき、爽子の体が跳ね上がった。
477アリス爽子7:2009/09/12(土) 21:35:16 ID:6qH36FXU
−7−

「あっ!あああっぃやああ!だめっ…!」
「んっ…とけそ…っさわこっ」
小さな叫びとともに爽子の奥に熱い樹液が迸った。
その熱さに引きずられ爽子は白い絶頂に押し上げられる。
「あああっ!いゃあ…!?なに!?こわぃ…ああっぁあ!!!」
けいれんしたようにびくびくと体を小刻みに動かしたあと爽子はことんと弛緩した。
初めての絶頂に呆然と脱力する爽子にマッドハッターはそっと唇を落とした。
「…ほんとは思い出すまでしないでおこうと思ったんだけど」
苦く笑いながらマッドハッターは爽子の髪をかきあげた。
爽子はからからに渇いた喉を唾液で潤してようやく言葉を搾り出した。
「なにを思い出せばいいの?」
マッドハッターは困ったように笑った。
「君が忘れてる事だよ。いかれ帽子屋はいかれたことしか言えないから
君に探してもらうしかないんだ。」
「言ってることがよくわからないのだけど」
「いかれたことしか言えないからね。アリス、探してごらん。俺のたからものを。」

あれ?またアリスにもどってる。さっきは爽子って呼んでくれたのに。

爽子の心のおくがちくんと疼いた。
(了)

478アリス爽子8:2009/09/12(土) 21:36:02 ID:6qH36FXU
−8−

「三浦!なんだよこれは!!!」
風早がすごい形相で三浦に詰め寄った。手にはパソコンからプリントアウトした紙を握りしめて。
三浦はへらりと受け流した。
「よくできてるだろ?あ、だいじょぶ、スレには名前変えて投稿したから。」
「す、すれ?投稿…?」
「まー詳しくは言わないけど、そういう大人の楽しみ場があってああいう話を書いてネットに書き込んで読んだり読まれたりしながら楽しむんだよ。GJって言われるのは癖になるよ」
「……?何を言ってるのかわかんねーけど!とにかく!お前人の彼女を何だと思ってんだコンチクショー!」
「いいじゃん、お初はちゃんとお前にしたんだし」
風早はその台詞にかぁあっと赤くなった。
「そんな問題じゃ…!だいたいおれと黒沼はまだそんな関係じゃ…!」
「あー…じゃないかと思ってたけど。じゃあちょーどいいじゃん夜のオカズに。」
「するかあほっ」
「え、しないの?ていうかもうした?もしかして」
「…しっ…してねー…ですよ」
「なんだよ、その妙な間と言葉使いw」
びみょーに視線もそらしてるし…と三浦はにやっと笑った。
「な、なんだよ」
「別にー…あ、貞子ちゃん」
479アリス爽子9:2009/09/12(土) 21:36:51 ID:6qH36FXU
−9−
びくっと風早は勢いよく振り返り、言った。
「ちっ違うんだ黒沼これはっ」
「…なーんて」
睨む風早に三浦はへらへらと笑った。
「こんなベタな手にひっかかんなよー」
「…とにかく!もう人の彼女で変な想像すんな!もっかいいうけど、
黒沼は、「俺の」彼女。変な目で見るなら見るの禁止!」

鼻息も荒く風早は言いたいことだけ言うとずんずんと行ってしまった。
それを見ながら三浦はくすっと笑って呟いた。
「変な目で見るな、か。…もう遅いんだけどね。」
そして小さな溜息を押し殺した。
(了?)
−−−−
そんなわけでこれはKENTさんが書いたらしいので
お言葉は彼にかけてやってくださいw
480名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 22:12:18 ID:Y+mvHS/g
風早の言葉攻めエッローーー!!!

えっえっとGJケント?w
481名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 22:21:19 ID:ZJdmXCxH
ケントいい仕事するじゃん
また頼むよw
482名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 22:30:34 ID:RyyGHIki
gj
483名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 23:08:19 ID:XJO860Hy
ケントGJ?(笑)
アリス書ける人いいねー。
エロかつ学があるっていうか。


しかし…
私も今月の本誌のセリフをエロ向けに置き換える遊びが止まりません…。
エロい…。
今月号ガチでエロい…。
484名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 23:48:47 ID:eHjxIs5c
GJ、GJ!!
興奮していろんなサイトいってる。今日はもおみんなハイテンションですな
485名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 01:35:21 ID:4zGi6N4n
今月号の爽エッロおおおおおおおおおおおお

何もしてないのに何だあのエロさは
486名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 04:15:18 ID:2Vd/eKcm
今…かお見られるのすごくはすかしいっ

ってとこの爽子がなんか明るいところでエチーするのいやがるとこみたいで萌えた。
487名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 11:30:13 ID:F6fwjbFK
>>486
今…見られるの すごく はずかしい…

そこを無言で押し切る風早w
488名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 13:00:51 ID:qj7xOwAl
まって そらさないで こっちみて!

  ちゃんと黒沼が感じてるとこ 正面から見れてなかった気がするんだ

今月号エロ変換がとまらないw
489名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 18:41:38 ID:fIi1h7Ji
「あっダメ!開けないで!」もエロい。
ここまで来るとわざとでしょw
490名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 21:43:19 ID:i23Ced+U
「あっダメ!開けないで!」は閉じた足を開かれるところと妄想
来月号はどんなエロシチュが提供されるのかw
491名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 02:20:54 ID:eRrL6oG7
つまりは………
風はエチー中、爽が「あっ だめ! 開けないで!」と拒んでも無表情で脚を無理やりこじ開けて
爽が恥ずかしがって顔隠すと「そらさないで こっちみて!」とS発言かまして
まっかっか〜なかわゆい爽子ちゃんの顔をガン見するんだ
ってことが今月号でわかったわけですね。w
492名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 19:38:47 ID:Y+oa0stW
風早にはびっくりだよもう…。
493名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 19:44:23 ID:8rS8lQKR
問1.次の台詞を使って爽SIDE、風SIDEの二通りのエロパロを記しなさい。

       「そらさないで こっちみて・・・」



494名無しさん@ピンキー:2009/09/14(月) 20:48:00 ID:3IlgmfkW
祭り支援。風早良かったね!
ttp://imepita.jp/20090914/747740
495名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 00:18:29 ID:kDaswBmy
テンションが上がって妄想が制御不能になった職人様方の作品が読みたいですぺこり
496名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 09:32:34 ID:W3OxU37N
>>494
これは付き合ってるだろ
497494:2009/09/15(火) 15:35:29 ID:oMGPq0VX
ありゃ、気悪くさせたならごめんね。
支援になって無かった。

↓気にせずどぞー。
498名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 21:29:48 ID:OZYX36ms
いやいや普通にグッジョブ!
またの投下をお待ちしてますー
499名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 22:46:46 ID:B0JV3tmA
このGJ、君に届け!
500名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:15:12 ID:OstuGEBd
今月号に胸をキュンキュンさせて、それ関連の作品をずっと心待ちにしていましたが、
誰も投稿しないので、もう我慢できずに思わず書いちゃったぜ・・・。

今月号の、ジョーが来ないバージョンをエロ方面で書いてみました。
拙い文章ですが、投稿させてください!

-----------------------------------------------------------------

『すきなんだ』


「すきなの…すきなの……すきなの……」
搾り出すように出した爽子の少しかすれた声。
「あっだめ!あけないで!今、私…」
その声が耳に入っているのかいないのか、風早は教室のドアを開けた。そこには、目に涙をいっぱいためて、顔を真っ赤にした爽子がいた。愛しい。愛しい。愛しい人。
爽子の手を引いて教室に入れると、静かに風早はドアを閉めた。

もう、身体が勝手に動いていた。抱きしめずにはいられなかった。腕にすっぽりとおさまってしまう華奢な身体。初めて感じる爽子の体温。自然と抱きしめた腕の力が強くなってしまう。
それに反応するかのように、爽子の手が風早のシャツの袖をキュッとつかんだ。
そんな爽子の行動に気づくと、身体が一瞬にして熱くなった。風早は身体を離して爽子の顔を見つめる。
「−く、黒沼」
愛しいその人は、顔をさらに真っ赤にして下を向いてしまう。
「…わっ、わ、わ、私…」
「待って!」
風早は爽子の肩をグッとつかんで言った。
「そらさないで、こっちみて!…ずっと…ちゃんと黒沼のこと…正面から見れてなかった気がするんだ」
すると、静かに顔を上げて、長いまつげをゆっくりと上げて。彼女が自分を見つめる。
可愛い…。大好きで、大切な女の子。
501名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:16:30 ID:OstuGEBd
風早は、爽子の顔に自分の顔を近づけた。驚いて、パッと顔をそらす爽子。
「やだ……?」
小さな声で優しくそう言う彼の顔を見て、爽子は小さく首を横に振った。
それを確認すると、風早はそっと爽子にキスをした。彼女の柔らかい唇は、小さく震えていた。
「黒沼…俺は黒沼が好きだよ。黒沼は俺が好き?」
前にも聞かれたことのある問い。爽子は頬を染め、こくりと頷いた。
「それは…恋愛感情で?」
「…!」
また真っ赤になり、うつむく爽子。風早は下から覗き込んで言った。
「だめ。ちゃんと答えて。俺は、一人の女の子として黒沼が好き。黒沼は、俺を男として好き?」
すると、爽子が声を震わせて言う。
「すき……れ、れ…恋愛感情で…風早くんをすき。だいすきなの……」

自分が大好きなその子が、俺をすき。黒沼がすきなのは、俺。その事実だけで、風早は気持ちがどんどん高揚していくのを感じた。
風早は爽子をぐっと引き寄せると、再びキスをした。最初は、優しいキス。だけど、唇を重ねるほどに深いキスへと変わっていった。
「んっ…んふぅっ……」
慣れない行為に、爽子は苦しそうに息を弾ませる。だけど、風早はキスを止めなかった。ずっと想い描いていた、愛しい人とのキス。重ねれば重ねるほど、理性を失ってしまいそうだ。
一度唇を離して、もう一度爽子の顔を見る。はぁはぁと小さく呼吸をしながら、目を潤ませて、恥ずかしそうに上目遣いで自分を見つめている。
502名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:17:17 ID:OstuGEBd
「黒沼…可愛い……」
そう言うと、爽子をひょいっと持ち上げ、文化祭で使用した布が重ねてある場所に座らせた。そして、再び唇を重ねる。先ほどよりも、もっと激しいキス。少し遅れて、風早の手が爽子の胸に触れた。
「んぅっ…!か、かぜは…んんっ」
爽子の言葉を唇で遮った。爽子の胸が突起しているのが、服の上からでもわかった。その部分を、指でさすってみる。
「んあンっ…!」
自分でも聞いたことのない声が出て、爽子は自分の口を手で塞いだ。同時に、風早はその声を聞いてもう完全に理性を失っていた。
服の下から手を入れて、今度は下着越しに、爽子の胸に触れる。ゆっくり弄ると、下着を押し上げて、今度は直に触れた。
「ぁんっ…!んんーっ…!!」
必死で口を塞いで、声が出ないように耐える爽子。反応をたのしむかのように、風早は手の動きを激しくしていく。
「(やべ…とまらねー……)」
風早は爽子の制服の裾をまくって、胸をあらわにさせた。美しい形の、控えめな胸。固くなった先端を、口に含んだ。
「ひぁっ…!んふぁう…んん…!あんっ」
我慢できずに声を漏らす爽子。それに応えるように、チュパチュパと音を立てながら吸う。
「気持ちいいの?黒沼…もっとしてほしいの…?」
ちょっと意地悪そうに言う風早。
「やっ…!違っ……ぁあんっ…!」
涙目になりながら、爽子は言葉にすることができない。
503名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:18:45 ID:OstuGEBd
今度は、スカートの中に手をいれた。すべすべな、細くて白い太もも。
「…っ、かぜっ…は…やく…」
そして、最も敏感な場所に触れようとしたその時。
「かぜはや…く…ん……やぁっ…」
その声に、ピタリと手を止めた。
「怖…いよぅ……」
涙を流しながら、顔を真っ赤に染めた爽子を見て、サーッと我に返る風早。
「…っ!!ご、ごめん!!俺、夢中になって…あー!!ほんとごめん!!!ごめん黒沼!」
必死で謝る風早を見て、爽子は胸の鼓動が落ち着いてきたのを感じた。
「(あ…いつもの風早くんだ…)」
「ごめん!!ほんっとにごめん!!黒沼ごめん!!」
そのあまりの慌てように、思わずくすりと笑う爽子。
「だいじょうぶ…もう怖くないよ…風早くん」
「…ほんと…?き、きらいになった…?」
ブンブンと首を横に振る爽子にホッとする風早。
「本当にごめん…黒沼があまりにも可愛くてつい…ごめん」
その言葉に、また爽子は顔を真っ赤にした。
504名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:21:33 ID:OstuGEBd
「風早くんを、き、きらいになんて…たぶんずっとなれないよ…」
そう言って恥ずかしそうにうつむく爽子を見て、思わずはぁーっと脱力する風早。
なんでそんなに可愛いんだ…と思うと同時に、爽子をぎゅっと抱きしめた。
「黒沼、すきだよ。もう絶対に泣かせたりしない。もう誰にも渡したくない。」
そんなまっすぐな言葉に爽子はゆでダコのように顔を赤くした。
「わ、わたしも…風早くんがすき…だいすきなの」
それを聞いて、うれしそうに笑う風早。
「うん!俺も黒沼がすき!」
その言葉を受けて、まぶしい程の笑顔になる爽子。そんな可愛い彼女を見て照れ隠しをするかのように、
「…んじゃ、みんなのとこに戻ろうか」と風早は言った。
「うん。ちづちゃんやあやねちゃんたちが待ってる」
二人は手を繋いで教室をあとにした。

[END]
------------------------------------------------------------

リアルさをちょっと出すために、冒頭部分を原作そのまま入れてしまいました。
みなさん、原作を汚してしまいすみません(汗)。
505名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:51:03 ID:Vco0/Em7
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
寝る前に覗いてよかった!
ありがとう!!!
506名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:51:05 ID:P6gfWLhc
くぉおおお!!(//∀//)
GGGJです!ニヤニヤしたww
立て続けに燃料投下すばらしい!
しかし風早おちつけ(笑)
いや、わかるよ、爽子食べちゃいたいのはわかるんだけどw
507名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 08:06:47 ID:gkohTd+c
うわああああああああ!!!!!1
素晴らしい!素晴らしいようおうおおおお!!!
風、いかにも思春期って感じで可愛い!
GJすぐる…!ありがとう!!
508名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 18:00:56 ID:i8pY/kAA
GJすぎるとしか言いようがない
509名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 19:06:50 ID:Nkc6CrfZ
待ってた!ほんと待ってた!!
神すぐる…
510名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 22:05:05 ID:OstuGEBd
あわわ・・・みなさんありがとうございます!>>500-504です。
読んでくださってありがとうございます。

>>471さんのコメントをヒントに書きました。
「下心なしでみれない」編、私も読みたいのでどなたかお願いします!!
誰も投稿しなかったらまた我慢できずに書いちゃうかもしれませんが・・・

というか君届は主役二人がホントにネ申だなー・・・
最新号読み返しすぎてる私キモスw
511名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 08:37:54 ID:jKrCavSH
GJ!!
いやー別マ読んでこっち読むとにやにやがとまんねえww
512名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 09:50:39 ID:zZnpgtNh
別マの流れからエロに向かってるから
椎名さんの絵で自然と脳内再生されてさらに萌えるw
走り出したらとまらない風早&エロ爽がたまらん
>>510もっと書いてちょ
513名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 21:14:12 ID:GbyuQZC8
>>490

こうですか?わかりません><

ttp://www.ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo/08.gif


今月号がエロすぎてつい殴り描いてしまいました。サーセン。
514夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/09/19(土) 01:56:00 ID:2Oc+PU7R
494さんのイラストに刺激されて書こうとしたら
もうイメピタ消えてたorz
仕方ないので記憶を元に書いてみます。
できればもっかいあげてほしい…

翌日「もっかい話」した時という妄想で。
風の一人称で
−−−−−−−−−− 
「…っほんと?」
声が震える。情けないけど抑えられない。
黒沼は俺の言葉に小さく頷いた。
そして真っ赤な顔で
涙をたっぷりためた顔で俺を見上げた。
「め、迷惑なのはわかって…」
あ、だめだ、俯いてしまう。俺は慌てて彼女の肩を掴んだ。
震える小さな肩が愛しくて息ができない。
「だめ、俯いちゃだめ。顔みせて、見たい。」
「…っ」
また大きな猫のような眼からぽろぽろ涙がこぼれる。
もったいないよ。きっとその涙も甘い
ペロッと舐めるとほんとに甘い。きっと黒沼は粉砂糖でできてる
甘い。おいしい。可愛い。食べちゃいたい。
「あ、あの、風早君…っ?」
じゃましちゃだめ。やっと触れられた。やっとのどの渇きが取れたみたいな気がする。
あまりの甘さにこらえきれず溜息が出る。
そのとき、冷たい指が俺の腕に触れて、瞬間にさーっと現実にもどった。
…え、え今、おれ、何してたの!?
515夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/09/19(土) 02:01:43 ID:2Oc+PU7R
−2−
「…っごめんっあのっ…」
心臓が飛び出しそうだ。ああ、見上げるそのきょとんとした真っ赤な顔が
また凶悪に可愛いんだけど!
「ごめんっ…う、うれしくて抑えきれなくて…」
「う、うれしい…の?」
「あたりまえ!」
黒沼の不思議そうな顔を見て胸をえぐるような疑問に突然襲われた。
…俺たち、両想い、だよね…?
ひとりの男の子としての好きって言ってくれたよね?
まさか、それも黒沼特有の言葉とかで、
男の中では一番好きとかそういう意味…なの?
もう勘違いはいやだ。
ふられるんならいっそ潔くふられたい。
…諦めるつもりはないし、諦められるとも思えないけど。
「…おれたち、両想い、なんだよね…?」
一度ふられた時の痛みが甦ってさっきよりもっと声が震える。
黒沼からは肯定も否定も返ってこないで、またぽろぽろと大きな涙だけが流れた。
「…ごめんなさいっ」
…!もうだめだ、今度こそ立ち直れねー…
泣きたいのは俺のほうだよ何回俺のこと振れば気が済むんだよ…
「今、涙…とめるからっ…まって」
…え?
混乱してる間に黒沼は泣きながらも必死で話し始めた。
516夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/09/19(土) 02:07:11 ID:2Oc+PU7R
−3−
「き、期待してしまうので…!あわよくばって思っちゃうんで…!
いっそトドメをさしてください…!」
「と、とどめ…!?」
さあ、どうぞ、って目を瞑られても……目を…
……うっわー…白い肌、紅い頬、震える長い睫、濡れた唇…
気が付いたらもうその柔らかい唇に自分のを重ねてた。
一瞬強張って離れようとする華奢なからだを必死で捕まえた。
逃げないでにげちゃだめおれから逃げないで。
柔らかい、甘い、涙よりもっともっと甘い。
ずっと、夢見てた。
ずっと、こうしたかった。
何度も行為を重ねるうちにようやく黒沼の体から少し力が抜けた。
「…も、にげない…?」
ぼうっと潤んだ眼で俺を見ながらかすかに黒沼が頷いた。
むちゃくちゃエロイ…。
ちゃんと黒沼の言う事、きかなきゃって思うのに、ききたくない。
ふられてもいいなんて嘘だ。
ふられるくらいならこのままなし崩しに おれの にしてしまいたいよ。
「すきなこ…」
ぼうっとした黒沼の唇から言葉が漏れた。
「すきなこ?」
はらはらと哀しそうに黒沼の眼から涙がこぼれた。
「すきなこ、いるって…。かぜはやくん、すきなひとがいるって聞いたのに」
517夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/09/19(土) 02:15:21 ID:2Oc+PU7R
−4−
「…え?」
そりゃ、いるよ、目の前に。
「なのに、なんでこんなことするの…?」
「…もっかいしたらしらないって言ったよね?」
きょとんとした顔の彼女にたたみかける。
「好きな子が、好きって言ってくれて、
目を瞑ってさぁどうぞって言われたら、…するよ。
き、キスくらいするよ!そりゃ。」
「????ま、まって、あの」
「待たない!もうとりけしちゃだめ!
黒沼は、おれのことすきだよね?男として好きだよね?」
真っ赤な顔で彼女はまだ涙の残る眼でおれを見上げた。
「かぜはやくん…すきなの…」
…!可愛い、可愛い、愛しいその瞳から眼をそらせない。
「全部、すきなの…。」
我慢できるわけもなくて俺はぎゅうっと彼女を抱きしめた。
細い腕細い肩小さな体、甘くて清潔な匂い。
うわごとみたいに俺は彼女の耳に すきだ、と繰り返した。
離すのが怖くてずっと抱きしめていたかったけど
顔が見たくて少しだけ力を緩めてそっとその顔を見た。
耳まで紅く染めて、眼のふちに残る涙がキラキラ光って
…叫びだしたいほど可愛かった。
かわいいかわいいかわいい今キスしなきゃ死んじゃうおれが。
518夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/09/19(土) 02:16:08 ID:2Oc+PU7R
−5−
黒沼の小さな手を捜してたどりついたら指の一本一本をからめて握った。
そのまま可愛い唇をぱくんと食べる。
溶けそうなほど柔らかくて体が全部心臓になったみたいにどくどくいってる。
離したくない。もういちどおれはぎゅっと彼女の体を抱きしめた。
おれの、彼女。
おれの、恋人。
おれの、爽子。
「ゆめ…じゃないよね?」
かすかな可愛い声が俺の耳の側で呟いた。
俺が言ったのかと思った。
夢じゃないよな?
「好きだよ、黒沼。」
彼女は涙の残る眼で蕩けるように微笑んだ。ぽろりと涙が頬を伝った。
俺はまたそれをペロッと舐めた。
「ひゃ…っ」
「あま…。」
とたんに真っ赤になって顔を伏せてしまうけど、させないもんね。
「彼女になった日くらいもっと顔みせてよ。」
「かっかのじょ!?」
「…なんで盛大に驚くの?両思いなんだから俺たちは今日から彼氏彼女!」
黒沼はまた見る間に耳のふちまで赤くなる。
「…かれし、かのじょ…か、かんがえてもみなかった…!」
…あー…また腹へったような気分になってきた。
ねえ、黒沼。おなかすいてきちゃった、食べちゃってもいい?
519夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/09/19(土) 02:17:55 ID:2Oc+PU7R
−6−
紅い耳たぶをきゅっと噛むと黒沼がぎゅっと眼を瞑った。
「あ、あの…かぜはやく…んっむぐ…っ」
「眼を瞑ったらキスしていいよの合図だからね」
「えっ」
「恋人同士はそういう決まりだから!」
そ、そうなの…?ときょとんと俺を見る。
やばい、可愛い。
ニヤニヤがおさえきれない。俺ぜったいめちゃくちゃにやけてる。まずい
「黒沼はおれの全部がすきって言ったよね…?」
まっかっかな顔でこくん、と頷く。…かわいい…
あーもうこの手が瞬間接着剤でくっついちゃえばいいのに。
「おれも。おれも黒沼の全部、好き。だからおれに全部ちょうだい。おれの全部も黒沼にあげるから」
黒沼はぽっと赤くなったあと、めちゃくちゃ可愛い顔で微笑んだ。
花が咲くような笑顔ってほんとにあるんだ。
「…うん…!」

たぶん、黒沼はこの言葉のほんとうの意味なんてわかってない。
でもいいんだ。
「これからゆっくり教えていくからね?」
「うん?」
「ん、なんでもないよ。」
そう言って頬にひとつキスすると彼女はもう一度きらきらと微笑んだ。
(おわり)

アンカつけ忘れたので。>>494さんのイメージお借りしました。
520名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 02:38:37 ID:XIXE1gWe
GJ!!
ぎゃああああ爽子かわいすぎるうううう
521名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 02:41:55 ID:2IDDVcxk
(n‘∀‘)ηGJGJ

なんかい風早かわいいいうんだw
次は爽子の全部をいただいちゃう回でお願いします。
522名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 03:17:48 ID:FT11PIbp
GJGJ!!
同じく、いただいちゃった続きをお願いします!
523名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 03:37:02 ID:KU6YuvTO
>>513さんと夜勤さんGJ!
ニヤニヤしたw
524名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 14:09:05 ID:J2wI9Nmq
夜勤さん、ちょうちょうGJ!!
続きを是非是非お願いします…!!
525名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 14:26:16 ID:7nHW6J+w
>ニヤニヤがおさえきれない。俺ぜったいめちゃくちゃにやけてる。まずい
これは自分だーー!!ww
夜勤明けさんGJです!にやにやが止まらんっ(ノ∀\*)
本当、何度かわいいかわいい連呼するんだ風w
爽子は「風早くんはもしかして心変わりをしてくれたのかな?」とでも思ってるんだろうか。笑
食べちゃいたい食べちゃったバージョン私も見たいです!
526その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:10:25 ID:7nHW6J+w
祭りだ祭りだーー!!(*゜∀゜*)♪
夜勤明けさんのGJ熱もおさまらぬままデスが
祭りに便乗して、私も書き殴ったモノがあるので投下しちまいます。

今月号の妄想の先にたどり着いた未来話。
今の爽子の「下心」は風早と完全に違うけど、
それが一致した時どーなっちゃうの?w ってのを書いてみました。
10月号のシチュエーションから妄想してるのであえて似たセリフ出てきますがご勘弁を。
赤面爽子はあの10月号のかわゆい爽子を妄想しながらお楽しみください。笑

二人は高校3年で、既に1回はヤッてる設定でヨロ。ではでは。

………………………………………………
1

爽子と風早が付き合い出してから1年と数ヶ月が経った。
大学受験勉強の真っ只中、爽子と風早はお互いセンター試験に向けて
しばらく土日のデートも控えて勤勉に励んでいた。
ようやくセンター試験を終えた週末、二人は久しぶりに二人っきりで会う約束を交わしていた。
電話でどこに行って遊ぼうか等と話していたが、
この数週間の勉強疲れも残っている為、この日は風早の部屋でゆっくりと過ごす事にした。

 “ヒ゜ンホ゜ーン…”

爽子が風早の家に着くと、風早は満面な笑顔で爽子を迎え入れる。

「どーぞ、上がって上がって!」
「うん…!おじゃまします…」

爽子が玄関を通るといつも玄関先に顔を出して迎え入れてくれる風早の母の姿もなく、
廊下からリビングまでガランとした空気が漂っていた。

「あれ…?今日も風早くんのご家族だれもいないの…?」
「あーうん、父さんと弟は野球の試合だし、母さんはまた友達の家行ってる。」
「そっ…、そうなんだ…!?」

爽子はこの家に誰も居ないという事を知った途端、落ち着きをなくし始めた。

 ――今日も……、ふっ、ふたりっきり……!?

風早の家に来るのは1ヶ月ぶりとなるが、その1ヶ月前にやってきた時も家には誰も居なかった。
そしてその時、二人はめでたく初体験を迎えたのだった。
爽子はその日の事を思い出すと、突然パニック状態に陥る。
そしてドクンドクンと唸る心臓を押さえながら、小さな声を漏らした。

「…もっもしかして…今日も…!?」
「ん?なんか言った?」
「!?……ううんっ!なんでもないの!」

爽子は掌をぶんぶんと振りながら誤魔化す。
一方風早は爽子と久々に二人っきりで過ごせる事の喜びで始終ニコニコとしており、
特に爽子の様子に違和感を感じることもなく彼女を部屋へと導いていった。

527その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:15:38 ID:7nHW6J+w
2

それから二人は、風早の部屋で爽子が持ってきた邦画のDVDを見ながらくつろいでいた。
二人が並んでTVの方を見ていると、DVDが始まる序盤から落ち着きのなかった風早が突然口を開いた。

「黒沼……、」
「……え?」
「…こっちきて。」

風早は爽子の手を引き、脚の間に爽子を座らせると
後ろから抱きつくような形で爽子を引き寄せた。

 ――!!?!!?

突然風早に抱きかかえられ、爽子は全身を“カチン”と硬直させる。
それでも風早は気にせず爽子をぎゅっと抱きしめ、熱っぽくぽつりと爽子に呟いた。

「やっと二人っきりになれたな…。」

耳元から聞こえてきた風早の声に、爽子は硬直した顔を一気に赤く染めた。

「うっ…、うん…………!」

そう返すのがやっとと言う程、爽子は全身から火が出そうな勢いで動揺をしていた。

 ――どっ動悸が…!! どうしよう…私、この前の事意識しすぎ…!?

風早からの久しぶりの抱擁に爽子は明らかに動揺をしていた。
そしていつもより体を硬直させている爽子の様子に風早が気付くと、
横から顔を覗き込むようにして爽子に問うた。

「どうしたの?なんか震えてるけど…」
「…!!」
 
風早は爽子の体を少し離し、爽子の肩を掴んで顔をこちらに向けさせると
そこには目も頬も耳も真っ赤になった爽子の顔があった。

 ――……!!

その爽子の表情を見た瞬間、風早の目は見開かれた。
そしてそのまま言葉を失い、ただ爽子の真っ赤な顔を見つめていた…

爽子は風早の視線に縛られるかのように目を逸らせないでいると、
風早はゆっくりと爽子の唇へ自分の唇を近づけていった。
唇が重なると、二人の思考の渦はその相手の温もりを感じることだけに集結していった…
今感じる甘い刺激に酔い痴れながら、ただその温もりを求めて重なる部分を吸い合わせていく。

 ――眩暈が……する……。

しばらくそうしているうちに、
風早が一層深く交わろうと、彼女の口内に舌を挿入させていった。
爽子は朦朧とする意識の中、彼から押し寄せてくる熱を必死に受け止めようとする。

 ――もっと……、もっと……。
 
528その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:22:19 ID:7nHW6J+w
3

震える手で風早の胸元のシャツを握りしめ、
口内で必死に爽子を追い求めるそれに応えるかのように、爽子自身の舌を彼に絡めていった…
絡めれば絡めるほど、爽子は無心に彼の熱を求めて深く交わろうとする。
息を奪う程の激しい口付けに、次第に爽子の呼吸も乱れていく。

「んっ…、はぁっ…」

 ――……!?!?

爽子の口から吐息が漏れた瞬間、風早のハッと我に返り爽子を引き剥がした。
そしてじわじわと頬を赤く染めていきながら、呆然と爽子を見つめている。

「……くろぬま………?」
「…………?」

風早は、いつもの爽子には有り得ない、
激しくキスを求めるような行動に対し驚きを隠せなかった。
一方爽子は、急に目の前に映る彼の顔を認識すると、頭の中で一気に理性が蘇った。
それと同時に、爽子の顔は最高潮に真っ赤に染まる。

 ――……あっ!! わっ……わわわわ私ってば…!!今なんて大胆なことを……!?!?

爽子は無意識のうちに大胆な行動に走っていた事で激しい羞恥が襲ってくる。
そして真っ赤に染まる顔を両手で隠し、
バっと立ち上がりそのまま部屋の隅の方へと逃げ隠れてしまった。

風早はそれを追うようにして爽子の傍に寄った。
すると爽子はしゃがんで顔を隠したまま声を漏らし始めた。

「ごっ…ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!」
「えっ!?なにが!?」
「…わたっ、わたしっ、…私っ……」
「………???」
「こっ…この前の事が頭から離れなくて…!!それでっ…それで…そのっ…」

爽子は膝に顔を埋めてこれ以上は無理という程に小さく縮こまる。
そして声を震わせながら言葉を続けた。

「わたしっ…、もう下心なしで風早くんのこと見れなくなってるみたい……」

 ――!?

風早の思考がフリーズする。
風早は爽子の言葉をそのまま脳内で復唱していくと、
元々赤く染まっていた顔が一層真っ赤に染まり上がっていく。

 ――えっ!? 今…、なんつった!?

 
529その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:25:47 ID:7nHW6J+w
4

爽子からそんな言葉が出るとは思ってもみなかった風早は、
その衝撃で全身の熱が一気にこみ上げてくる。
そして爽子の肩を掴み、俯いたままの爽子に話しかけた。

「黒沼…、それ本当?」

風早の問い掛けに、爽子は恐る恐る顔を上げた。
そして潤んだ瞳で弱々しくコクリと頷いた…

 ――………!
 
「だからっ…、もう…どうすればいいのか分からなくて…っ」

爽子の言葉を聞くよりも先に、風早の中の理性は一気に追放されていた。
そして勢いよく爽子の腕を掴み、隣にあったベッドまで彼女を引きずり込んだ――

「かっ…かぜはやくん!??」

風早は爽子をベットに組み敷き跨り、爽子の問い掛けにも応じずに再び彼女の唇を奪った。
そして唇を離すと同時に右手でシャツを捲り上げ、その中の柔らかい肌に手を這わす。

「ごめん、嬉しすぎて…もう止まんない」
「……えっ…、
 ――んっ!!」

風早に熱っぽくそう言われた後、爽子は上半身に襲い掛かる刺激に体を捩じらせた。
風早は爽子の首筋から鎖骨まで降ろしていくように唇を落としていく。
その下では爽子のブラを剥ぎ取り、開放されたその柔らかな膨らみを掌で包みこむ。

突然の刺激に爽子は羞恥と混乱で涙を浮かべていたが、
それ以上に、風早から触れられるという“快感”が無意識のうちに全身を支配していった。

 ――!!? 体が…、なんだかおかしい……

意識とは違う所で爽子は風早の愛撫に反応を繰り返していた。
風早は爽子の胸の中心の蕾を指先で摘み、それと同時にもう片方の蕾をチュクっと口の中で吸い上げた。

「ひゃっ!あっ…、んんっ……!」

爽子から声が漏れ始めると、風早は爽子の顔を上目遣いで見上げた。
その先で爽子の視線とぶつかり、爽子は顔を真っ赤にして口を手で押さえた。

「手どかして。」
「えっ…!?」
「もっと黒沼の声聞きたい…」
「!!?」

 
530その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:29:30 ID:7nHW6J+w
5

風早はそう言うなり、爽子のスカートを捲り上げ
その奥にあるものを隠している布切れをずりっと下に下ろした。
そして固く閉められた脚に両手を添え、その脚を開こうとした瞬間……

「だっ…だめ!!」

爽子は突然声を張り上げ、風早の手を止めようとする。
しかし風早はその声に耳を傾けることなく、爽子の脚を無理やりこじ開けた――

 ――やだ………!!お願いっ!見ないで……!!
 
「……――!?」

風早は爽子の脚を開けた瞬間、そこにある光景に目を見開いた。
爽子の泉からは溢れる程の愛液が滴っており、その淫らな彼女の姿に息を呑む…

「黒沼……、すげー濡れてる……」
「―…っ!!?」

風早の言葉に爽子の羞恥はますます広がっていく。
耐え切れなくなった爽子は肩を震わせながら真っ赤になった顔を両手で隠した。
爽子の表情が見えなくなってしまった風早は、爽子の腕を握って手をどかそうとする。

「隠さないで!」
「っ!?むっ…無理〜〜っ!!」
「黒沼の顔が見たいんだよ…。こっち見て?」
「…………」

爽子は恐る恐る顔を隠す手をずらし、瞼をゆっくりと開く。
そこには目の前で熱っぽく爽子を見つめる風早の瞳があった。
視線が交わると、ドクドクと鳴り止まない心臓の音を耳の間近に感じながら
二人は頬を赤くして見詰め合う。
すると風早がふっと眉をしかめて微笑んだ。

「…その顔…、めちゃくちゃすき…。」
「…………!」

爽子は風早のその微笑みに反応して全身の熱が一気に騒ぎ出した。
朦朧としている間にも風早の愛撫は再開し、
体の中心から一層強い刺激が打ち寄せてくる。

「んあっ…!あっ…、あんっ!」

爽子の愛液を掻き回す音が耳に届いた頃には、爽子から再び声が漏れ始めていた。
爽子は意識とは違う所で大きくなる声に耐え切れなくなり、再び顔を手で隠そうとするが、
その手は虚しく風早にどかされてしまう。

「隠さないでって言ってるじゃん」
「だっ…だって……!?…んっ!」

風早は一貫して爽子から視線を逸らさなかった。
爽子は感じている様を彼に見られている事にこの上ない羞恥を覚えた。
しかしその恥じらいが全身の疼きを加速し、
漏れ出る声も溢れ出る愛液も抑えたい意思とは反して増長を繰り返していた。
 
531その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:33:43 ID:7nHW6J+w
6

与えられる刺激と風早の視線に縛られるように、ただただ悶え続ける。
その体は完全に彼によって支配されていた。

 ――どうしよう………
   すき………
   この人がすき………
   この人がすき過ぎる………
   すき過ぎて苦しい………
   だから…、早く―――

爽子は無意識のうちに風早の下半身へと手を差し伸べていた。
そして彼の膨張しきったそれに掌を這わせると、その瞬間風早はビクっと体を揺らした。

 ――………!?

突然爽子に触られたことで風早はハッと我に返る。
そしてそのまま爽子に問うた。

「……黒沼……?」
「…………えっ?」

爽子もまた自分のした行動にハッと気付くと、手を勢いよく引っ込めた。

「あっ…!わっ…わたし…!!あのっ…そのっ…、ちがうのっっ!!」
「!??」

爽子はしどろもどろに全身を赤くさせながら弁解をしようとする。
目を泳がせ、あわわわと声を漏らしながらまた顔を両手で隠した。
そんな彼女の姿に風早はまた視線を釘付けにされる。

「あ゛〜〜もう!!何でそんなにいちいち可愛いんだよ…!」
「…えぇっ!?」

恥ずかしがっている爽子を、風早は照れながらまじまじと見つめる。
その愛しさから込み上げて来る熱に突き動かされ、彼女に早く自分の熱を埋めたい衝動にかられていく。

「もう…、限界かも…」
「………えっ」
「挿れていい?」
「……!!」

その言葉に爽子は大きく目を見開き、
そして震える唇をかみ締めながらコクっと首を縦に振った…
風早はそんな彼女の仕草にまたドキドキと心臓が唸り、
小刻みに震える彼女の唇に優しくキスを落とした。

風早は一旦爽子から離れ避妊具を装着すると、再び彼女を組み敷き脚を両手で押し広げる。
爽子の中心に風早のものが宛がわれた瞬間、全身をびくつかせ体をしならせた。
その反応に風早は初めての時爽子が痛がっていた事を思い出すと、
はやる気持ちを抑えながらゆっくりと彼女に埋めていく。

全てがその中に包まれていくと、
その温かくきつくねっとりと纏わりつく感触に全身を震わせた。
二人の呼吸が次第に乱れていく。
 
532その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:36:12 ID:7nHW6J+w
7

「んっ…!!黒沼…、辛くない…?」
「だ…っ、だいじょうぶ……!」
「じゃあ…動かすよ…?」

 ――………!?

風早が動きを付け出した瞬間、爽子はその刺激に衝撃を受ける。
それは初めて彼と繋がった時には感じなかった、
痛みとは違う、全身を痺れさすような激しい刺激―――

 ――なに……?これ……!?

既に爽子の膣は充分な程愛液に溢れていたことも助かり、
風早も次第にスムーズに爽子の奥を突き動かすことができた。
風早の動きに速度が加わると、爽子の口からどこから出たかもわからない悲鳴が溢れ出ていく。

「あっ!…あんっ…!あ あ んんっ!!」

その声に呼応するように、風早の動きは一層激しさを増していく。
爽子は刺激に耐え切れず、彼にしがみ付きながら喘ぎを繰りかえしていた。

「黒沼…、どんどん濡れてきてるよ…?」
「!?…いやっ…、いわない…でっ!」

風早もまた、初めて爽子と体を重ねた日とは明らかに違う爽子の反応に興奮をせざるを得なかった。
淫らに乱れる彼女の姿を見つめながら、
顔を逸らす彼女の顎に指を添え、くいっと前に向ける。

「こっち見てってば。」
「いっ…、いやっ……!」
「だーめ!こんなに感じてる顔初めて見るんだから」
「!?…んっ、…だっ、だめっ…!!」

恥ずかしがる爽子の表情がまた風早の興奮を増長していく。
爽子もまた、風早からの熱い視線に捕らわれ、煩悩された意識の中で必死に悶え続ける。
ただ愛しいお互いの体を求め、幾度と押し寄せる波に呑まれながら強く強く抱き締め合う。

 目の前には すきですきでしかたない人の瞳、
 聴こえてくるのは すきなですきでしかたない人の吐息と行為の淫音、
 肌に感じるのは すきですきでしかたない人の熱い体温、
 そして、全身を貫いていく甘い快感――

二人がその快楽に登り詰めていくと、その先で風早の限界が訪れる。

「やばっ…、もうイク……!」
「んっ!!」

―――――…………


533その後の「下心」 @309:2009/09/19(土) 15:37:23 ID:7nHW6J+w
8

風早がそのまま尽き果て、しばらくの間そのままの体制でいると
胸の中で爽子が肩で息をしながらビクビクと体を震わせていた。
風早が顔を上げ、爽子の顔を覗き込みながら声をかける。

「黒沼…、大丈夫…?」
「…………………」

 ――……?

爽子から返事が返ってこない。
すると風早は爽子の頬をポンポンと叩き、もう一度声をかけた。

「黒沼ー?」
「……んっ……」

ようやく爽子から一声が出ると、うっすらと瞳を開けて虚ろに風早を見上げた。
そんな様子の爽子を目にして、風早は目を丸くして爽子に問うた。

「…もしかして…だけど…、」
「……えっ…?」
「黒沼さっきイった?」
「………………」

 ――……!!?

風早の言葉に爽子は我に返り、一気に顔面ごと真っ赤に染め上がった。
爽子自身、今のこの自分の状況が理解できておらず、
ただ瞼をパチパチとさせながらうろたえるしかできなかった。

風早は爽子の様子を見ながら再び顔を火照らせていた。
そして耐え切れなくなったかのように爽子の体をぎゅっと強く抱き締めた。

「ひゃっ!!?」
「もーだめだ俺…」
「えっ!?」
「黒沼の“下心”やばすぎ…。可愛すぎて俺死にそう…」
「???」

風早は爽子から伝わる“下心”をひしひしと感じ取りながら
胸の中でうずくまる小さな彼女の体を大事そうに抱き続けた。


おわり。

534309:2009/09/19(土) 15:40:41 ID:7nHW6J+w
以上でした。
他の職人さまのシチュやらセリフやら被っててすみません。
もう今月は下心祭でいいと思います。笑
被ってでもなんでも読みたい゚+。(*′∇`)。+゚
ではでは。
535名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 15:50:41 ID:G4xHx1y7
激しくグッジョブ!
536名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 16:09:46 ID:Uc4XoZdh
GJすぎる!
537名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 16:11:17 ID:HkVqCsqy
すごい!
今月号の二人とリンクして、すっごいリアルに脳内再生された!
うますぐる…
神すぎGJです!
538名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 16:11:29 ID:pAHg0Z5e
祭だ祭だGJGJ
職人さんがいっぱい降臨されてますなっ

皆様エロいよ可愛いよっ
539名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 17:26:17 ID:Y2BfewOk
GJGJ!
なんだこの祭りは!シルバーウィークだからか!
540名無しさん@ピンキー:2009/09/24(木) 11:09:25 ID:L6czlOsj
連休おわっちゃったけど…11月号までの燃料を投下してください〜
541名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 03:14:28 ID:t41YJFk/
じゃあ職人さんの筆が進むようなネタを出すために
何か話でもしようか?
来月号はお祭り騒ぎで忙しくて、爽子と風早まともに会話できないんじゃないかとか思ってる。

ところで高校の修学旅行って時期はいつくらい?
いつものメンバーで回ってくれるといいな〜。
542名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 12:09:50 ID:ntDxJm1U
うちとこは高2の5月とかだったなぁ。修学旅行。
風が湯上がり爽子とかに遭遇したらなんかエロそうなことになりそうなんだが…
543名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 20:08:35 ID:OS4xh1/9
うちは高2の冬で、北海道でスキー三昧だったな
インフル大流行で学年の1/5ぐらいが隔離組だったがw

自由行動とかあるなら何かありそうで楽しみだね〜
ベタなんでいくと揃いの土産物とか?
544名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 21:24:46 ID:kc0DItUv
私も北海道だったよー高2の春。
バスで山まで登って夜景見たけど、本当にキレイだった。
なんか光でスキって書いてあるんだよね。
同級生がウジャウジャで見づらかったけど、
あんな所好きな人と2人で見たらヤバイよなー。
北海道の人は見飽きたかも知れないけど、風早と爽子も行ってほしい。
545名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 22:20:22 ID:c2Mg1FSU
北海道が舞台の話だから、修学旅行は無難に京都・奈良〜東京コースかなぁ。

徹が来たときに車で3時間半かかるって言ってたから、
物語の舞台は時速60キロとして札幌から約210キロの街。
札幌から車で200キロ弱の海岸線の町って、
やっぱ椎名さんの出身地の羽幌が舞台のモチーフかね。
546名無しさん@ピンキー:2009/09/26(土) 23:46:31 ID:WUreF6zU
風が爽に奉仕しまくる話が読んでみたい
547名無しさん@ピンキー:2009/09/27(日) 22:13:33 ID:P5UvBXhm
禿しく同意!>>542
シャンプーの香りぷんぷんさせてる爽に風たまらず○○してしまいそう…

妄想鎮火目的にここに来てるのだが、バックドラフトするばかり〜ww
548その1:2009/09/27(日) 22:59:24 ID:sXRh3jdJ
1▼爽子が風早のことを崇拝に近い感情で思っていたとして。
風早と付き合った場合、当たり前だがエロ方面のお手本の中枢はほぼ風早のみとなる。
そうなると風早が焦らず(無理だろうけど)いっぱいいっぱいにならず(無理だろうけど)冷静に(無理だろうけど)
爽子に教え込んでいけば爽子も自分から求められる素直淫乱?にもなれると思うんだ
セクスは風早と2人きりのことだし、他人には迷惑かからないことだから、頑張って何でも受け入れて更に頑張っちゃいそう
…とか思ってたらこんなんなった、ゴメン

上記の小ネタ妄想、エロのみ風爽、キャライメージ崩壊ぎみかも、2レス借ります
---------------------------

 はたはたと、元気よく枕元で緑色がなびく。
寒くもなく暑くもなく、心地よい昼下がり。
寝転んだ俺の鼻先や額を風に遊ばれたカーテンが掠めていった。
「はっ…ああ…は…」
「いー天気……」
「ンぅ…ふ、ん…ん」
「風、寒くない?……ああ、爽子は暑そうだね?」
 利き腕を伸ばして、今、落ちようとしている汗の玉を顎から掬った。
「……さーわこ?あつい?」
 意地悪く、聞き返しながら揺さ振ってやった。
「あ!あ、あつい、あついッ」
 膝立ちで腰の上を跨いで、爽子がいる。
優しい髪を振り乱して、柔らかな腰を揺すって、清い瞳を濡らして俺を見る。
ただただ、俺を見る。
「しょ、ぉたくん」
「なぁに?」
「は…窓、しめてほしい……」
「暑いのに?」
「こぇ、声が」
「外に聞こえるから?」
 ぎゅっと目を瞑って、爽子はこくこくと頷いた。
ゆるゆると、腰は振ったまま。
「大きい声ださなきゃ大丈夫だよ?」
 嘲笑を優しさで包んだ声で訊ねてみると爽子の顔にカッと赤みがさした。
それを一頻り眺めてから、視線は外さず手探りで窓枠を掴んで勢いよく閉める。
バン、と音と振動が部屋に響いて、同時に爽子の肩が跳ねた。
(出したいんだよね、大きく、さ)
 カーテンは黙って、部屋の色が濃く暗く沈んだ気がした。
爽子の反応を待った。
549その2:2009/09/27(日) 23:00:54 ID:sXRh3jdJ
2▼「……翔太くん……」
 もじもじと内腿を俺の腰に擦り付けて見下ろしてくる。
うん、かわいい。
「もう……、あの…」
「うん」
 言い淀んでは、期待のこもった視線を投げかけて。
 でも俺は応えない、それは爽子も知っている。
そう、こういう時どうすれば欲しいものが貰えるか、俺が教えた。
「ん、んっ」
 白い指を腹について背筋を伸ばし、短い息を吐きながら爽子は腰を浮かしていく。
秘部からくぷりと滴りが溢れ、内から露わになる自分の逸物を伝った。
爽子はそれが半分ほど見えたところで動きを止めた。
両腕をほとんど肉のない内腿へとおずおず添える。
「ん……こ、こ…」
 きめ細かにに汗で滑る腿が本人の掌で押し広げられ、合間の淫靡な光景を知らしめる。
興奮で体が震えた。
「ここに、翔太くんの、が、もっとちゃんと、ほしいの……おねがい……」
 震える声が切羽詰って嫌でも途切れるのを聞いた。
切ない息を漏らしては肩まで赤く染まり始めた爽子の腰骨に手を添えて、力を痛いほどに籠める。
「よく出来ました」
「――――あああっ!!」

-------------------<終>
続かない^^   なんかもう色々と申し訳ない
でもでも爽子が可愛いからいけないんだあああああああ
保守にでもなればさいわい
550名無しさん@ピンキー:2009/09/28(月) 05:07:38 ID:0xx/6Iuy
風早全然無理そうじゃなくて笑ったw

爽子可愛いすぎGJ!
551名無しさん@ピンキー:2009/09/28(月) 12:53:43 ID:t5+aCT3c
GJ!!エロかったよ!
窓開けながらとか風どSw
でも爽子は本当に風早を喜ばす為なら何でもがんばってしまいそうだ。
爽子かわいいよ爽子。
552いち:2009/09/28(月) 23:16:44 ID:94ylFnDo
本誌48pの時点から、ジョー乱入しないバージョンを書いてみました。
微エロです。
初執筆・初投稿お目汚し御免。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼間の騒がしさが嘘の様だ。がらんどうの教室に大きくチャイムが響きわたる。
何がどうしてそうなったのか、俺は黒沼を腕の中に抱きしめていた。
絞り出すように言葉を紡ぎ、自分に気持ちを届けようと頑張っている彼女がいとおしくて。
顔を真っ赤にして目に涙を溜め、ともすれば野うさぎのように走り去ってしまいそうな彼女を失いたくなくて。


ああ。黒沼、ちっちゃくてやわらかい。何だかきもちいいな。
細いのにふわふわしてるし。なんでだろ。
自分とはまるで違う体つき。
こんなに華奢だなんて思ってなかった。
もっとちゃんと力を入れないと、するりと逃げていってしまいそうだ。

ギュッ…

あれ?
思わず抱きしめてしまったけど、「すきなの」って、どういう意味で…
次第に理性を取り戻し始めた、その時。

…ギュ…

あれ?
黒沼が控え目だが確かにオレを抱きしめている。
受け入れ…られている…のか?
離すのは惜しいけれど、どうしても確かめたくて、腕を緩めて肩をそっと掴み顔を見た。
553:2009/09/28(月) 23:17:28 ID:94ylFnDo
「く、黒沼」

ハッとなった黒沼は、みるみるうちに顔が真っ赤になっていった。
この反応はやはり…?

「…わっ わ わ 私…」

恥ずかしそうに両腕で顔を隠そうとする彼女。
だめだ。
ちゃんと顔を見なきゃ、見失ってしまう。

「…待って!そらさないでこっちみて!」

ああ。
泣いてるっていうのにまた大きな声で言ってしまった。
でも、確かめなきゃ。
今度こそ期待してもいいのだろうか?
ちゃんとこっちを、俺のことを見て欲しい。

「…ずっと…ちゃんと黒沼のこと、正面から見れてなかった気がするんだ」

素直で正直で真っ直ぐな黒沼。
きちんと正面からぶつければ、いつだって誠実に応えてくれた。
今だって、ほら。
ゆっくりと決心したように、伏せられていた長いまつげがそっと上がる。
まっすぐに俺を見る黒沼。
顔が真っ赤で、何も言えないみたいだ。
俺だって言葉が見つからない。
でも彼女の手は確かに俺のシャツをぎゅっと握りしめている。

黒沼、好きだ。
どうか、この信じがたい展開を。
どうか、この期待を裏切らないで…。

彼女はまばたきすらしないで自分をじっと見つめる。
おおきい目だな。この目、すきだな。

その目がどんどん大きくなったと思ったら、何故かくちびるにふにゅっとやわらかいものが触れていた。

やわらけ…黒沼のくちびる。
554さん:2009/09/28(月) 23:18:05 ID:94ylFnDo
ついキスをしてしまった。
はじめての、キス。
自分の無骨なくちびると、想像以上にふっくらとしたくちびるが、ただ触れるだけのキス。
不思議なもので、自分の目はいつの間にか閉じられていた。
十数秒そうして、これ以上どうしたらいいか分からなくなって、そっと唇を離し目を開ける。
そこには、更に目を大きくした彼女の顔があった。
事態が把握できてないみたいだ。

「黒沼…好きだよ」

「………」

「黒沼の好きは、俺の好きと一緒?」

「……いっしょって…おもっても………いいの?」

ぽつり、ぽつりと黒沼が言葉を繋ぐ。

「…風早君が、すき。だいすきなの…」

まっすぐ目を逸らさずに言ったかと思うと、ぽろぽろと涙をこぼす彼女。

とたんに自分の胸が苦しくなった。
間違いない。
黒沼は 俺のことが 好きなんだ。

「俺も黒沼がだいすきだよ…。ほんとに…何よりも大切なんだ…」

泣きすぎて、黒沼の目は真っ赤になっている。
いつもは真っ白な頬や鼻も、涙で濡れ赤くなっている。
そんなぐしゃぐしゃな顔さえ、どうしようもなく愛しい。
かわいすぎて俺がずっと見つめていると、黒沼はまた恥ずかしそうに下を向いてしまった。
555よん:2009/09/28(月) 23:18:44 ID:94ylFnDo
「黒沼…」
「あ…」

両手で彼女の頬を包み、自分のほうへ向かせる。
きれいにしてあげよう。
そっと両手の親指で涙を拭う。

「泣かないで…」

髪をやさしく撫ぜ、そのまま引き寄せ、二度目のキスをした。

触れるだけじゃ、足りない。
下唇をそっと食み、次に上唇を食んだ。
硬く閉ざされたくちびるも、やわらかく味わうごとに徐々にほどけてくる。
もっと中まで味わいたい。
ほんの少し開いた隙間から舌を忍び込ませてみる。
控えめでなめらかな、かわいらしい舌がそこにあった。
やさしく問いかけるようになぞる。
みずみずしくて、やわらかで、おいしい。
しばらくその味を堪能していると、応えるように黒沼の舌がかすかに動いた。
その反応を逃さないように、彼女の舌を捕らえる。
黒沼のキスは饒舌だ。
言葉が見つからなくても、彼女の気持ちを感じることが出来る。
俺のこの気持ちも感じ取って欲しい。
無言で愛を語り合う内に、だんだんと呼吸が乱れてくる。

「んっ…っふっ…」

苦しそうな、黒沼の吐息。
手が何かを探すかのように自分の背にまわされ、やがてシャツをぎゅっと掴んだ。
さらさらと黒沼の長い髪が腕に触れてくすぐったい。
もっと味わいたい。全然足りない。
556:2009/09/28(月) 23:19:30 ID:94ylFnDo
やがてそっと唇を離すと、先程とはどこか違う、上気した黒沼の顔があった。

「は…ぁっ」

一呼吸した彼女の、半開きになった瞳は潤み、桃色の唇も艶やかに濡れている。
またも俺の胸はぎゅううっと締め付けられた。

「なんか…」
「風早くん…?」
「黒沼、かわいくて…」

こんな表情見たことない。
これだけは絶対、ひとりじめ。
おれだけの、黒沼。

今度は左腕で彼女の腰をぐいっと引き寄せ、右手で長い髪をすくい耳に掛ける。
するとそこに、清らかで品の良い、けれども朱く染まった耳があらわれた。
触れたら火傷しそうだ。
確かめたくなって、外側のふくらみを舌でなぞり、柔らかな耳朶を口に含む。

「あっ…!」

か細く甲高い声が洩れる。
やっぱり熱いや。
そっと息を吹きかけ、熱を逃がしてあげる。

「んっ…!くすぐった…いよ…」

耳の輪郭に透明な産毛がかすかにそよぐ。
その流れに逆らわないよう、整えるように舌で丁寧に梳かす。

「やっ…ぁ…」
557ろく:2009/09/28(月) 23:20:13 ID:94ylFnDo
堪え切れないように彼女は身を捩らせる。
逃げる耳の、その反動のせいで真っ白でなだらかな美しい首筋がのぞく。
考える間も無く、その細くしなやかな流線を食んでゆく。

「やっ…あっ…んっ…!」

聞いたことのない、甘い甘い声。
感じてくれているのかな。
もっと聞いてもいいのかな。

「か、ぜ…は…やく…」

もっと、もっと。
惜しむようにゆっくりと下へ向かって味わってゆく。
やがて唇がパリッと糊の効いた張りのある襟にぶつかった。
ああ、すぐそこに美味しそうなくぼみが見えるのに。
もうちょっとだけ、いいよね…?

「ね…もうちょっとだけ、見たいな」
「え?わわっ ま、まって…!」

胸元を押さえる彼女の腕をやさしく諭すように押さえなだめる。

「風早くん、まっ…」

制止の声も無視して、赤いリボンのホックを右手で外し、とりあえずポケットにつっこむ。
一番上のボタンを左手ではずし、くっきりとした鎖骨を露にする。
あとちょっとだけ…
もうひとつボタンをはずしてみると、明らかにふくらみの始まりであろう部分が見え、かわいらしいレースの縁取りが現われた。
彼女の顔を見ると、困惑したようなどうしたらいいか分からないといった表情で、真っ赤になってこちらを見つめていた。

「だめ、かな…?」
「…で、でも……」
「かわいすぎて、とまらなくて…」


ほんとうに、かわいい。
ほんの少し髪が乱れ、頬は上気し、胸元がはだけ、困ったように潤んだ目でこちらを見つめる彼女。
あんまりかわいいから、急いて味わうのはちょっともったいない気がしてきた。


「黒沼、ぎゅって、して?」
「は、はい…」

彼女はちょっと安心したように、はにかみながらおずおずと背中に腕を回す。
日なたのような、なんだか分からないけど暖かないい香りがする。

「こうだって」

俺は隙間が出来ないように彼女をぎゅっと抱きしめる。
やわらかな2つのふくらみを布越しに感じ、腰の細さを腕で感じとる。
今は、まだこれだけでいっか。
彼女もお腹に固いモノを感じてるだろうけど、まあいっか。

「また今度、ね?」

胸元で真っ赤になっているだろう彼女の顔を想像しながら、
俺は久しぶりに、本当に心から微笑んだ。
558名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 01:44:43 ID:cFM67sEV
GJー!!本当に本誌もこうなれば良かったのに
皆さん素晴らしいし今週は祭だね
559名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 09:29:08 ID:3hB5YlPO
GJ!!

朝からいいもん見れたw
ありがとー!!
560名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 19:11:45 ID:Ka/LqzOE
GJ!!

なんていうか、
微エロが一番エロいよね。
561名無しさん@ピンキー:2009/09/29(火) 22:59:02 ID:KbHtn2Xb
本当はエロまで持って行きたかったんだけど、道半ばで断念。
ちゃんと書ききれる人すごい。尊敬するよ。
562名無しさん@ピンキー:2009/09/30(水) 01:02:45 ID:N9FkNMo2
>>561
「また今度」バージョンお願いします。大人の階段は一歩ずつですから!次はBまででどうでしょw
563名無しさん@ピンキー:2009/09/30(水) 09:19:39 ID:ag95wmdE
いやいやまじでGJ
ジョーが来なければこんな展開になっていたのかorz
564シャワーのあとで1:2009/10/01(木) 23:51:36 ID:SBXIJJq2
10月号関係ないけど
*******

細く柔らかにしなる肢体。シャワーと湯気の中にいても際立つ静脈を透かすその白い肌を水とともに墨のような黒い髪が流れた。

コンコン

水音で気が付かない彼女にバスルームの扉を叩いて合図する。
ハッと振り向いた爽子はうつむいて恥ずかしそうに身を縮めた。
「どう、どうぞ…」
そんな爽子に笑いながら聞いてみる。
「まだ慣れないの?」
何度肌を合わせたかもう数え切れないのに今でも爽子は恥じらう。
「電気消す?」
そう尋ねると慌てて首をふった。
「だって風早くん、この前電気消したら…」
…そうだった。
「わ、私今日はもうむ…り…だから……ね」
声は尻すぼみにちいさくなる。上気した白い肌にはさっき自分がつけた赤い小さな痣が幾つも散っていた。
「疲れちゃった?」
「…ん」
「痛い?」
「…大丈夫……ええと…ちょっとだけ」
「ごめんな。我慢できなくて」
565シャワーのあとで2:2009/10/02(金) 00:00:50 ID:SBXIJJq2
後ろから抱きしめると洗いたての髪から優しい匂いがする。
「大丈夫」
もう一度こたえる爽子の声も優しい。しかし頭上からのぞき見えるながめは凶暴だ。
形良い胸の膨らみに、やはり自分が付けた跡がくっきりといくつも残っていた。その先端を指でつつくと「あっ」と身じろいだ。
「だだだだめっ」
恥ずかしそうに背後の俺を見上げる。この顔も凶悪。心臓を絞め殺されそうになるから反撃せざるをえないんだよ。
音を立てて耳元にキスをすると耳たぶがほんのりと赤くなる。
「いい眺めだったからつい」「も、もお…。私終わったから先に出るね」
逃げようとするやわらかい体をガッチリと捕まえたまま浴槽の淵に座ると爽子を膝にダッコする形になった。
「あぶないよ」
爽子はギクシャクしながらつぶやいた。
566シャワーのあとで3:2009/10/02(金) 00:11:42 ID:LVYtipmX
「爽子を気持ち良くし足りない気がするなぁ」
「えっ?」
「痛くしないで気持ちよくしてあげたい」
「わた、私もう充分、ききき気持ちよくしてもらったよっ、あっ!…んっ…んんっ…」

肌に残る水分を貪るように舌で受けとめる。ふにゃりとやわらかい爽子の体を持ち上げて浴槽の淵に座らせ変わりに自分は膝をついた。胸の突端をパクンと食べる。細い背中が反り返り、小さな唇からたまにしか聞けないような声がもれでた。
「かわいい…」
その背を支えながら今度は俺が上目づかいに言うと、唇を手の甲で覆った爽子が赤い顔で涙を浮かべた。
「だ…だから言ったのに…もうおかしくなっちゃうよ…」
愛しくて全てを吸い込んでしまいたい。細い腰をかき抱いてすんなりとした足を捕まえる。その付け根に顔をうずめると、こらえる声は合間に隠しきれない快感を滲ませた。
「か…ぜはやく…お願い、明かり…消して…」

終わり
567名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 02:47:21 ID:RHEkkRRD
エロすぎるだろww

マジgj!!
568名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 04:09:04 ID:Udl7h557
うっはーっ!!
甘い雰囲気でしかもエロい。
マジGJでした!!
569名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 08:05:22 ID:W0ScNEJL
事後の雰囲気いいね〜
GJ
570名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 09:43:54 ID:aVFez6DP
事後!!事後!!
朝からいいもんみさせてもらったわーGJ
571名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 18:55:50 ID:mafeOpdV
>>570
いいみのもんた見た、に見えたw


グッジョブです!!
572名無しさん@ピンキー:2009/10/03(土) 15:36:58 ID:DgNjnSb8
いいみのもんたw

グッジョブです♪
573名無しさん@ピンキー:2009/10/03(土) 22:43:54 ID:yU2Cs7Nu
GJ!ww
               __,r-―....ー‐-、
             /:::::〈ヽ::::::::::::::l7:::::ヽ
            _/:::::::::::::::ヽ〉:::::::::/〉::rァ:ヘ
           ./<二>:::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:
           {::::-:::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
          /:::三::/   ¨ ̄ ̄¨ Z:::::::::::::}
          }::::彡::7   __    /::::::::::::::ノ
          {::::::::<  〃ー-、::ー'::r'ニ7::::::::{
          ヾ:::::::::{  r=rfテレ'^{:´^…彡::}
             ¨レV        l:\" /:::j
            ヽ  _    ,_;;r^::∨:::::{
         ,-"⌒`Y´  `}  /  ,、):::::::::::/
.      /⌒¨       〉ー :'|::::: {,ィー≠_::::::::/
     〈:::   l.  l   |:::::::::::l>'ー'´ ̄ ノ_:ノ
      }::.. |::::::l   |:::::::::::::::::::::::::::::/
      |:::::: ヽ::::\  l:::::::::::_. -― '´
    ┌' ̄' ┬─‐┐┐ r┬く._j__ /  ┼  r┬、
    l=  =| ロ |(フメ∨ ,ノ 七 /、_ノ / こ ∨ ,ノ
   │ = │   :| ̄ ̄ ̄[]] ̄|| ̄[]]_ ____| ̄|
    l=  =| ロ | ̄フ  / l   ||  | |_|_| |_|
    └t___r┤_冂__!/__∧_.∨___,八____\ ∠_/l二l
574名無しさん:2009/10/05(月) 10:30:32 ID:FZdbNNoo
ちづ×龍とかあやね×ピンとかも読みたい
575名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 13:23:59 ID:+yCQCyDi
それはちづ・あやねから“襲う”という意味?
576名無しさん:2009/10/05(月) 13:59:05 ID:FZdbNNoo
ちづと龍は一緒に部屋にいてなんとなくお互いに…ってイメージ
あやねとピンはピンから襲うがいいな
577名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 17:23:49 ID:y40PMaEt
いや、>575が敢えて訊いているのは、
>574の記載がカップリング表記の大原則である、
「攻め×受け」に則ってるかどうかだ、ていう意味と思う。
ピンから襲うってことは、ピン×あやね、と書くべき。
578名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 18:03:41 ID:FZdbNNoo
ごめん、ピン×あやね
あと風早大ピンチのケント×爽子も読みたいw
自分はうまく書けないから誰か頼む・・
579名無しさん@ピンキー:2009/10/05(月) 19:56:59 ID:5up24xsK
ちづ龍は野球部にかわいいマネージャーのひとりでも入って
龍のおっかけみたいになれば速攻で片付きそうだと
思っている。
580名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 10:14:56 ID:f7LQBFcP
ちょっと違うけどマネージャーが出てくる龍ちづの話書いてくれた職人さんがいるよ
夜勤さんが管理してくれてる保管庫にあるよ
この職人さんの話好きだけど ほかにも書いてくれてるのかわからない
もっと読みたいから降臨(屮゚Д゚)屮 カモーン!
581名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 14:09:49 ID:vIt4GO1Z
>>579
激しく同意
582名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 20:53:04 ID:PrKiohgo
>>580
うそ!
どれ?
てか探そうっと。
583名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 03:44:59 ID:jpONUF6e
>>577そんなの初耳だ。私は無意味に×を使っていたようだorz
584名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 14:01:17 ID:RNNw1hsv
×使うと腐っぽくて抵抗あるがww
585名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 02:38:46 ID:JJI+YO0C
初投稿ですが、エロ度低い風早×爽子ですが、
投稿してみてもよいでしょうか?
586名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 02:46:14 ID:eCxZpCit
ぜひぜひお願いします!
久々の投下楽しみです!
587【ひとりじめ 1】:2009/10/11(日) 03:13:28 ID:JJI+YO0C
ではお言葉に甘えて……
結婚2年目くらいの風早と爽子です。
ど、どぞ。


*****

つないでいたはずの爽子の手が、
突然俺の手の中からするりと逃げた。

「爽子……?」

ふと隣の爽子を見ると、見知らぬ男の子が彼女の手をぎゅっと握り締めていた。
爽子も少し戸惑っているようで、男の子と俺の顔を交互に見ている。

「…ボク、どこから来たの?ま、迷子なのかな……?」
爽子は男の子に視線の高さを合わせるようにしゃがみ込み、優しく尋ねた。

「………」
男の子は無言でぶんぶんと首を横に振る。

仕方なく俺も声をかける。
「きみ、名前は? お母さんは?」
俺がそう尋ねると、男の子は爽子の手をぎゅっと握り締め、
まだあどけない顔で「きっ」と俺を睨みながら言った。
「―――ひとりじめ。しないでよ」
588【ひとりじめ 2】:2009/10/11(日) 03:17:01 ID:JJI+YO0C
「………えっ??」

俺は一瞬たじろいだ。
けれど、すぐに冷静になって続けた。
冷静になったつもり、と言ったほうが正しいのか。

「あははっ……、『ひとりじめ』って。
このお姉ちゃんはね、お兄ちゃんのお嫁さんなんだよ。
だから、お兄ちゃんが独り占めしてもいいんだよ」

笑顔でそう言いながらも内心ちょっとムカッとしている俺。
言葉に気持ちが出ちゃってる。
うわー大人げねーな、俺……。

するとしばらく俺の方を睨みつけていた男の子の目に涙が浮かび始めた。
と思った途端、
「………ふ、ふえ〜〜〜〜ん!!!」

う、うわっ!
やべ、泣かせちゃったよ……!

焦る俺。

「しょ、しょーたくんっ……」
困った顔で爽子が俺を見る。

「ご、ごめん……」

だって、爽子は俺のだもん。
でも、子供相手に……大人げなかった。
ごめん、俺が悪い、よな。
589【ひとりじめ 3】:2009/10/11(日) 03:20:52 ID:JJI+YO0C
俺は、ふぅっとため息を付いてから、男の子の頭をなでなでした。

「ごめんな。お兄ちゃんが悪かったよ。
これから一緒にお母さんを探してあげるから、
お母さんが見つかるまで、お姉ちゃんをひとりじめしてもいいよ?」


「………ひっく、ひっく……ほ、ほんとう……?」

「うん。本当だよ!」

俺は笑顔で答えた。

すると、男の子は涙を拭いながら、やっと俺に笑顔を返した。
「―――ありがとう!じゃあ、ぼく、このお姉ちゃんをママにする!」


「………へ?」
俺の喉の奥から裏返った声が漏れた。

「……な、なに……?」

「―――だから、これからはママをひとりじめしないでね?…約束だよ!」

「え、ちょっ、な、何言って……」
590【ひとりじめ 4】:2009/10/11(日) 03:26:12 ID:JJI+YO0C
俺の呼び止めに応じることなく、男の子は爽子の手を引いて俺から離れていく。

「ま、待って!爽子……!」

二人はどんどん離れていってしまう。

なに…?
なんで行っちゃうんだよ!
なんなんだよ!

「爽子…!!」

叫んでも届かない。
走っても走っても二人には追いつけない。

待って、爽子、行かないで……!
俺をひとりにしないで!

俺だけの爽子……!
爽子……!

爽子……!!
591【ひとりじめ 5】:2009/10/11(日) 03:32:38 ID:JJI+YO0C
「爽子………!!!!」

大声で爽子の名前を呼んだ瞬間、
俺は目覚めた。
視界には寝室の天井だけが映る。

「……しょ、しょうた………くん?」
俺の声のせいで、隣で眠っていた爽子も目を覚ます。
「……ど、どうしたの……?」
ベッドの中で目をこすりながら、心配そうに爽子が俺を見る。

「………ゆ、夢?…………」

「夢……?」
爽子がきょとんとした顔で俺に尋ねた。

「……うん。夢………だったみたい。
よかった………。
だって、爽子、俺の前からいなくなっちゃうんだもん…………」
俺はこれでもかというくらい情けない声で呟いた。
592【ひとりじめ 6】:2009/10/11(日) 03:35:31 ID:JJI+YO0C
すると、しばらく俺をじっと見つめていた爽子が、
「ふっ」と優しく微笑んだ。

「……わたしが翔太くんから離れるわけがないよ……。
なにがあったって、ずっと一緒だよ……」
そう言うと爽子は俺の頭をなでなでして、かかえるように自分の胸に抱きしめてくれた。

「爽子……」
まだ夢から完全に冷めない俺は、爽子の言葉に目頭が熱くなる。

「好きだよ………爽子」
爽子の腕を解き、そっと彼女にくちづける。

愛しい人に何度も何度もくちづける。
そして唇が離れるたびに俺は囁く。

爽子……

爽子………

おれの爽子……

ずっと……おれだけの……
593【ひとりじめ 7】:2009/10/11(日) 03:38:09 ID:JJI+YO0C
「……ん………ふっ…」
時々爽子から苦しそうな、けれど愛しい声が漏れる。
そのまま、彼女の頬、耳、首すじ、鎖骨へと俺のくちづけは降りていく………。

「………しょ、翔太くん…っ、あ、明日、お仕事、でしょ……あ……んっ……」

「いーの」

「だっだめっだよ………あっ……やぁっ……」
爽子は感じながらも、か細い腕で俺を押し返そうとした。
その可愛い抵抗に、俺は少しだけ体を離した。
耳まで真っ赤になった愛しの彼女を熱い眼差しで見つめる。


「―――今夜は、朝までひとりじめ、させて?」
そう囁くと俺は、子犬のような目で爽子を見つめた。
594【ひとりじめ 8】:2009/10/11(日) 03:42:01 ID:JJI+YO0C
「〜〜〜〜〜〜〜…………も、もう、ずるい よ……」

爽子がこの「おねだりの眼差し」に弱いことを、俺は知っている。
そして爽子から「お許し」言葉が出るのをじっと待つ。


「………いいよ」
爽子は、仕方なさそうに微笑む。
「今夜は、ひとりじめ しても…いいよ?」

その笑顔が俺を一瞬にして悩殺することを、君はいまだに知らないんだ。
彼女の笑顔に赤面しつつも、俺はふたたび彼女に口づけた。

彼女の身体、肌の感触、匂い、声。

俺は彼女の身体をひとつひとつあじわうように、溶かしていった。

::::::
595【ひとりじめ 9】:2009/10/11(日) 03:51:36 ID:JJI+YO0C
それから約2ヶ月後―――

「ちょっと……病院にいくね」と出かけ
帰ってきた爽子から告げられた事実に、おれは驚愕する。
と同時に「初めての幸せ」をかみ締める。

彼女の中に宿った小さな小さな命に、
その存在に胸が熱くなり
同時に涙を流した。

ふと俺の脳裏に、あることが浮かんだ。
あの時の夢は、もしかして―――。

そうか、そうだったんだね。

ということは―――
もうすぐ俺だけの爽子じゃなくなるんだね。
俺は嬉しいような悲しいような、不思議な気持ちになった。

だけど………
だけど今はもう少し、俺だけの爽子でいて。

今は……
今だけはどうか 君を。

“「ひとりじめ」”

聞こえないようにそう呟くと、俺は爽子をそっと抱きしめた。
596名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 03:56:10 ID:JJI+YO0C
【ひとりじめ】END

*****

以上です!!
初めてなもので改行とか行数とか不適切だったかもしれませんが…
エロく書けませんでしたが…
お読み頂いた方、ありがとうございました!

神職人さんたちの投稿を、心よりお待ちしております。
ではでは。
597名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 04:00:00 ID:eCxZpCit
gj!!
わんこのように甘える風早にニヤニヤしましたw

その後 無事に生まれてきた男の子と、
大人げない爽子争奪戦を繰り広げるに一票w
598名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 10:03:49 ID:avpJ0cyv
あると思いますww

GJです!風かわいいな
599名無しさん@ピンキー:2009/10/11(日) 21:14:58 ID:jSwkOTZg
GJ!!!!
風の頭をなでなでする爽子に萌えw
風必死だな〜(笑)
でも男の子生まれたら風早は絶対嫉妬すると思います。
幸せな気分に浸れたよありがとう〜!!
600名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 14:58:40 ID:VmPZtViw
11月号効果でまた職人さんがいっぱい来てくれたらいいな(´∀`*)
601名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 22:56:53 ID:xuoh0iX9
587さんの控えめな態度に萌えたwwGJ
602名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:16:03 ID:ggLUP6oZ
久々に投下させていただきます〜



カツーン  カツーーーーン

北の大地の日暮れは早い。
ここは市街地から少し離れているため、すべての明かりが消されれば、巨大な黒い箱と化したその風貌が
ただただその異様さをほこっていた。

闇のみが支配する空間…その校内でひびく、ひとつの靴音…。

部活動を終えたあと、週末の疲れのためつい居眠りをしていたとある学生は、静寂な中、響き渡るその不気味な物音にふと目を覚ました。
一瞬、目を明けているどうかさえわからなくなるほどの闇の中で、「ここどこ?」と独り言をつぶやいたとき、
不思議な光とともに、その不気味な音がふいにとまった…様に感じた。
…あれ、教室?…なんの音??
音がやんだと思われる入口のドアのほうにふと目をやった彼は、そして見てしまったのだ!
「…だ〜れ〜…」
この世のものとは思えない、地底から響き渡るような声(もしくは音??)
そして、あの闇を仄かに照らす明かりは、間違いなく(??)異世界からの召喚状!!!!
「ぶっぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
一瞬見えた青白く、長い…髪の……
「うわぁーーーーーーーーーごめんなさーーーい!!!」
ついに、未知との遭遇をしてしまったと思い込んだ彼は、カバンももたずに、一目散で逃げ出してしまった…。



603名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:16:54 ID:ggLUP6oZ
「あっ…。さようなら〜。」
黒沼爽子は懐中電灯を片手に、ニコっと(一般的には不気味にニヤっと…)微笑ながら生徒の背中に挨拶をする。
−なにも言わないのに下校してくれるなんて、ほんとにみんな良い子だなぁ。
微妙な思い違いをしながら、爽子は微笑む。
かわいい生徒たちのことを考えれば、落ち込む気分も少しは軽くなった。
…ふぅ。
−ようやく無事業務が終了した。
ふと左手の腕時計を見ると、8時半を少し過ぎたところだった。
少しだけ残念そうにため息をつくと、思い直して帰る支度をする。

3時間前

「黒沼先生。」
「はい?」
珍しくほとんど残業もせずに帰り支度を始めていた爽子に、挨拶程度しかかわしたことのない同僚の女性教師が話しかけてきた。
「先生の下校指導は評判がいいですよね〜。」
「えっ?あ、ありがとうございます。」唐突に意外なことでほめられて爽子は驚いた。
「私なんかが言っても、あの子たちってだらだらしてなかなか帰ろうとしないのに、
不思議と先生のときはみんな従うって、評判なんですよ〜。何か生徒の心をつかむコツでもあるんですか?」
「い、いえ、そんな…。みんなすごくいい子たちなんで、挨拶するとすぐ帰ってくれるんです。」
ニヤーと微笑まれて、実はその理由を、たぶん当の本人より分かってしまったその同僚教師は、ちょっとひきつりながら話を続けた。
「あのーー、それでね、ご相談なんだけど…。」
「はい?」
「実は、その…、今日の下校指導代わってもらえないかしらって思って…」
「えっ?」
「いえ、あの、その、ほら、ほんと私が言っても、ちっとも言うこと聞いてくれないからっ、
今日は週末だし、残る子多いし、みんな帰ろうとしてくれないのよ〜。」
言いにくかったことも、ここまで言えば、逆に開き直ることができる。
最後は少し『よいしょ』も忘れず、微笑みながら、しかし否を言わせぬ雰囲気で、畳み掛けた。
けれど、
「あの、すみません。今日は予定があって、無理なんです。ごめんなさい。」
爽子は残念そうに、それでもきっぱりと断った。
「実はわたし、今日、急用ができちゃってっ。」
まさか断られるとは思っていなかったその女性教師はあわてて付け加える。
他の同僚にはすべて断られた。急に決まった合コンには、絶対出たい!!
それに、ほとんど話しかけたことのない彼女に振ったのは、一番週末に予定がないだろうと思ったからだ。
いつも彼女は熱心に残業しているし、雑用を積極的に引き受ける彼女には絶対断られない自信があった。
いままで断っている姿もみたことない。
なぜ、今日に限って!
604名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:17:55 ID:ggLUP6oZ
爽子は困ってしまった。
できれば、お役にたちたいんだけど…
時計を見れば、5時半になろうとしているところだった。
…待ち合わせは8時。6時半の下校指導だけならなんとか間に合うだろう。
「わかりました。わたしでよければ。」
「あーーと、あのついでに、校内巡回もお願いできるとうれしいんだけど…。」
待ってましたとばかりに、続いた言葉は、爽子も思いがけないものだった。
「えっ?」
「ほら今、校務員の増岡さんケガして休んでるでしょ!それで、今日だけ下校指導担当が巡回もすることになったのよ。だから…お願いしますね!」
「あ、あの、それは無理です…。」
「じゃ、お願いしましたから〜。あっ!いけなーーい、遅くなっっちゃった〜」
「あの…。」
何が遅れたのか、爽子の言葉を半ば強引に引き取って、その同僚の教師はあたふたと職員室を出て行ってしまった。
人の役に立てることはうれしい。いつもの爽子なら素直に引き受けたはずだった。
けれど、今日は…。

見回りまでやると、8時すぎちゃうな…。
爽子は小さなため息をついて、携帯を手に取った。

605名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:18:36 ID:ggLUP6oZ
風早がそのメールを受け取ったのは、ちょうど地元の駅に着いたときだった。
爽子からの着信音を認めた風早は、急いでメールを確認した。
『sb:ごめんなさい

今日仕事の都合がつかなくて、行けなくなりました。
本当にごめんなさい。
あとで、連絡します。』

簡潔な文章は相変わらずで、文面から彼女の思いは読み取れない。
…また、何か押し付けられたのかな?
爽子は何も言わないけど、約束の時間も几帳面な彼女が、なぜか週末の約束だけが遅れ気味になることに、ずいぶん前から彼は気づいていた。
しょうがないな…。
ちょっと落胆した彼は、ふと思いついてメールを送信すると、出てきた駅に戻っていった。


爽子がようやく正式な教師としてこの学校に赴任してきたのは、2ヶ月前だった。
教師余りといわれる中、なんとか採用されはしたが、地元からはかなり離れた地区だったので、今は家族と離れ、一人で暮らしている。
そして今日約束していた彼は、今は遠く他県に出向していて、
明日からの3連休にあわせ、ようやく3ヶ月ぶりに少し長めの休みがとれた今晩、久々に地元に帰省することになっていたのだ。
「さわこちゃん。一緒にお祝いしましょう。」とすっかりメル友にまでなっている、彼の母親の誘いをうれしく思い、
今日を、もう2週間も前から、楽しみにしていた。

学校からそのまま駅に向かうはずだったので、数日分の着替えを入れたバッグを
残念そうに担ぐ。
今朝は軽かったバッグが、ちょっとだけ重たく感じる…。
ふぅ…、そうだお母さんたちにも帰れないって連絡しておかなきゃ…。

606名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:19:15 ID:ggLUP6oZ
ガラッ
そのとき職員室の扉が突然開いた。
「ええーっとー、誰かいませんか…?」
−えっ?
扉のほうに目をむけると、うす闇の中、輪郭だけが映し出される。
「うわっ!…っと、…爽…子…だよね?」
それが誰かすぐにわかった。
もちろん顔も表情も見えなかったけれど、聞き覚えのあるその声だけで
デスクスタンドのみの薄暗く少し重たい雰囲気だった部屋が、
突然爽やかな夏の風が吹いたかのように、掃き清められた気がした。

「よかったー。真っ暗だから、もういないかと思って、焦ったよ〜。」
「あ、あの、どうして…?」
「さっきメールもらったから、そのままこっちまで足伸ばしたんだ。」
「でも…あの…、こんな遠くに…。」
「はは、飛行機で2時間もかかるところから来てるんだから、電車で2時間くらい遠くないよ。」
「みなさん、お待ちなんじゃ…?」
「うーーん、大丈夫だと思う。メールしといたから…。今日は帰れなくなったって。」ニッと微笑んで、風早は答える。
「でも、なんでこんなに暗くしてんの?危ないじゃん。」
「あっ、あの、えっと、省エネのために…。」
「えーー!相変わらず、真面目だなぁ。」
約束をたがえてしまったのに、いつものように自分をやさしく包み込む笑顔を見せる風早を見て、
やっぱり風早くんは心が広いと妙な感動を抱く。

607名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:19:56 ID:ggLUP6oZ
「あの、本当に今日はごめんなさい。約束してたのに…。」
人より表情の少ない彼女だが、それでも長年のつきあいから爽子がかなり落ち込んでいるのがわかった。
「うーーーん、少し、怒ってるかも…。」風早は少しだけすねた表情を見せる。
「えっ!えっ!?あの、本当にごめんなさいっ。学校の見回りがあるの…忘れてて…。」
「うーーーーん。1ヶ月も前からの俺の約束より、今日急に決まった仕事を選んだのが、ちょっとショックって感じ!」
「えっ…?」
「まぁ、いいや、会えたんだし。」おろおろして、うつむく彼女に、ニッと微笑んで彼はその細い身体を抱きしめる。
「結構心配だったんだよね。…さっき、学校について、外から見たら真っ暗だし。本当は仕事じゃなかったのかなって…。
爽が嘘つくはずないの知ってるけど、なんか隠してるんじゃないかとか…。」
「嘘なんか…!」
「なんせよりによって男子校だもんなぁ。」そう言うと爽子の唇に軽く自分の唇を重ねた。
「血気盛んな高校生が、笑顔のきれいな“くろぬま”せんせいに心奪われないかとか、毎日不安なんだよー。」
本気か冗談かわからない口調で、そのまま爽子はきつく抱きしめられた。
「大きな黒い瞳とか…。」まぶたにキスを落とす。
「…あっ、あの、ここ、学校…。」
爽子の言葉を無視して、風早は続ける。
「このきれいなうなじとか…。」風早は抱きしめたまま爽子の髪をかきあげ、薄闇に白く輝くうなじに口付ける。
「…あっ…、あの…。」
「ブラウスから見え隠れする、きれいな鎖骨…。」トップボタンをすばやくはずされ、あらわになったその鎖骨に
赤い印をおとすと、風早はなおも続けた。
「んん…。」
「そして、いろっぽい唇…。」そういうとその唇をその舌を深く交じあわせる。
「あんまり、心配させないで…。」ようやく離された唇からは、冗談とも本気とも取れない複雑な思いがもれていた。
608名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:21:15 ID:ggLUP6oZ
「…おかえりなさい、風早君。」懐かしいやさしいその抱擁に、小さな抵抗もできなくなった爽子は風早をみつめてつぶやく。
「今日はもう会えないと思っていたから…、会えて、すごく…すごく、うれしい。」
彼がここにいるという驚きが喜びに変わった今、その顔には風早が愛してやまない、あのつつましやかな笑顔がほころんでいた。

「ちょっと待って!その攻撃はヤバイ。」風早は真っ赤になって、口元に手をもっていった。
「えっ?なに??」彼の突然の動揺に爽子はびっくりした。やっぱり今日の約束をやぶったことで、何か大変になってるんじゃ…。
「我慢しようと思ったのに…帰るまでもたない…。」
−えっ?
驚きの言葉はそのまま彼の唇にさえぎられる。
深い、深い、口付けの後、風早は椅子に座りそのひざに自分と同じ向きで爽子をのせた。
「えっ?」
背中から回された右手は白いブラウスをたくし上げ、左手は第3・第4ボタンをすばやくはずして中に忍び入る。
ランジェリーとブラの下にまわされた手は、懐かしいふくらみを認めて、さらに気分は高揚する。
「…ん、ああ…あの、まだ…。」
抵抗を見せる爽子の向きを少し変え、少し強引に唇をふさぐ。
「むんん…。」
ここで、まだ灯っていたライトに気づいた風早は、ライトを消すと、右手を爽子を下半身に持っていく。
スカートをめくり、足をあげさせ、ストッキングをひざまで下ろし、すでに少し湿っているショーツの中を探る。
ようやく、激しい口付けから開放された爽子は、たまらず小さな嬌声をもらす。
「は…ん…ぁ…」
力が抜けてきて、風早の膝からずるっと身体が落ちそうになる。
あわてて引き上げて、今度は爽子を椅子に座らせる。
ほとんど何も見えない、しかも職場である学校の中での情事が、
背徳感と同時に奇妙な興奮を呼び起こし、爽子の身体はいつもより敏感になっていく。
風早は前かがみになりながら、口付けを繰り返す。
やさしくいたわりながら何度も。
額から、頬、唇、はだけた肩、腹部、スカートの下からのぞく、ふくらはぎ、ふともも…。
口付けで久しぶりに逢った爽子をすべて感じたい。

ゆっくりと、そして深く。

609名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:21:58 ID:ggLUP6oZ
「…か…ぜ…は…。」

カツカツカツ
闇の中に軽快な靴音が響き渡った。
「えっ!!、あ、あの、か、隠れて!!」
「えっ?」
甘美な夢に浸っていた風早は、不意な出来事に動揺してしまった。
不意をつかれて、爽子の足元に変な体制であわてて身を隠した。

ガラッ
「誰かいますかぁ?」
突然、開いた職員室の扉と追いかけてきた懐中電灯の明かりに、膝まづいていた風早は手を止めた。
座っていた爽子はすでに人形のように真っ青になって固まってしまっていた…。
そして、ついにその明かりが爽子を捕らえた!と思ったとき、
「うぎゃーーーーーーー!」
その人影は、叫び声をあげるなり、なにかにつまづいたのか
激しい物音を立ててその場から走り去ってしまった。

そう、彼が見てしまったもの…
乱れた着衣、青白い顔にかかる…乱れ髪、ライトに中に白く浮かび上がる…それは、まさしく見てはいけない何か!!!
けがをおして出勤してきた校務員増岡は、痛む足がどっちだったかも忘れ、そのままそこから彼自身経験したことのないだろう速度で逃走してしまったのだ。

「見られてしまった…。」青白い顔をよりいっそう青くして、爽子が動揺していた。
「…たぶん、爽子って気づかれてないと思うよ…。」爽子の服をすばやく直してあげながら、ちょっと複雑な心境でイタズラっぽく風早は笑う。
「それより早く部屋に案内して。続き…」
重なる吐息が続く言葉をかき消した。

610名無しさん@ピンキー:2009/10/12(月) 23:24:18 ID:ggLUP6oZ
翌週、連休明けのその男子校は
一躍心霊スポットとして名を上げることになったとさ…




というとこで尻切れトンボですが終わりです。
どもでした。
611名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 22:04:08 ID:mhpAAe/S
おおおおお!きてるきてる!GJ!!
やっぱり教師になりそうだよねえ。
タイプミスかもしんないけど、>>607で爽子のこと爽って呼ぶのに無性に萌えたww
612名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 00:10:30 ID:I1DoyD67
GJ!!
613名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 00:48:32 ID:xxcI385G
GJ!! 部屋に行ってからの続きkwsk!
614名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 20:34:03 ID:dN+3WDcE
GJです!!
風の盲目っぷりがよく表現されててかわいい
本誌でもお菊爽みてハニカむぐらいだもんなあ…

爽の「全部欲しい」を発言をポジティブに捉えてしまった瞳孔開き早の話が読みたいです
615名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 20:39:40 ID:CeGXfswX
皆様方GJ過ぎます…!
そういやアニメは何クールやるんでしょうかね。
616名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 21:58:55 ID:/5M7lE3W

>>615
某ラジオでの風早の中の人の発言によると、2クールらしいですよ〜。


>>614さんのご期待に答えられるようなシチュではないのですが、(すみません…)
高校教師爽子先生の流れに便乗させてくださいw
もし風爽が同じ高校に勤務していて、職場の教員たちや生徒たちには
恋仲であることを内緒にしていたら…的な話を書いてみました。
エロは最初の寸止めのみになってしまい、申し訳ないのですがw

ではでは、よければ読んだってくださいー。
617教師パロ (1):2009/10/14(水) 21:59:56 ID:/5M7lE3W


カーテンに遮られた空間で、愛しいひとの荒い呼吸が至近距離で感じられる。
小さく響く衣擦れの音に嫌でも身体は火照っていき、首筋や鎖骨を優しく吸われれば、途端に体じゅうから力が抜けていった。

「はぁ…んっ……風早、せんせっ……」

たまらずに口をついて出たその呼び方に、絶えず胸の膨らみを撫でていた彼が小さく苦笑いした。

「……こういうときでも、そうやって呼ぶんだね」

えっ?と問いかけようとして、すぐにその唇は柔らかい感触に塞がれてしまった。
ついばむようなキスを何度も繰り返して、風早の舌が爽子の唇をゆっくり縁取っていく。

「教え子犯してるみたいで、ちょっと燃える」

にっと不敵な笑みを浮かべて、艶やかな黒髪にサラサラと指を通していく。

「な、なにを…言って…っ…」

耳から湯気が吹き出そうなほどに顔を真っ赤に染めて、爽子が風早の胸にぎゅうっと顔を押し付けた。
雪のように白くて細い指先が、風早のベストをきゅっと掴んだ。
その可愛らしい仕草に胸キュンポイントを突かれた風早が、心なしか赤面しながら熱を持った爽子の頬に音を立ててキスを落とす。

「…それってもしかして、俺のこと誘ってんの?」

反論しかけた爽子の動きを止めたのは、突然聞こえてきた扉の開く音だった。
618教師パロ (2):2009/10/14(水) 22:00:55 ID:/5M7lE3W


「――黒沼せんせー!川村がコケて捻挫した!湿布ちょーだい!」


元気な男子生徒の声が保健室いっぱいに木霊した。
慌てて体を離した風早と爽子は、とりあえず乱れた着衣を直して意味もなく咳払いを繰り返した。

「…あれ?先生どこにいんの?」

「あっあの、ちょっと待っててね!今ベッドのシーツを取り替えてて…」

適当な言い訳で誤魔化しながらベッドの仕切りのカーテンを引こうとして、
爽子はハッと気づいたように風早の肩を勢いよく押し倒した。
なにか言いたそうな風早を無理やり布団の下に押し込んで、
更にその上からベッドカバーを被せて万全の体制を作ったことを確認すると、
今度こそ白いカーテンを横に引いて、男子生徒の前に姿を表した。


「…あれ?川村くんは?」

「あーなんかあんま動かない方がいいって監督が言うからさ。俺が変わりに取りにきた」

泥だらけの野球ユニフォームを身につけて、帽子を被り直しながらヘヘッと男子生徒がはにかむように笑った。

冷蔵庫から冷えた湿布を一つ取り出して、男子生徒に手渡す。
すると、いたずらっぽい笑みを称えたまま、男子生徒がからかいの声を上げた。

「黒沼センセ、今日もかわいーね!」

俺まじタイプ!今度デートして!
ちょっぴり頬を染めて、男子生徒は相変わらずはにかみながら捨て台詞と共に保健室を出ていった。
呆気にとられた爽子はしばらくポカーンとしていたが、
ふと布団に押し込まれたままになっている風早の存在を思い出して、慌ててベッドに駆け寄った。
619教師パロ (3):2009/10/14(水) 22:01:35 ID:/5M7lE3W


「風早先生、ごめんなさ――」

「あいつ誰!?どこのクラス!?」

爽子が言い終わる前に、血相変えた風早ががばりと布団を剥いで勢いよく飛び起きた。
あからさまに険しい顔をしながら、男子生徒が出ていった扉に向かって一瞥すると、
なにやらブツブツと呟きながら俯きがちに頭をがしがしと掻きむしる。

どうすればいいのかわからず、そばで立ち尽くしていた爽子の耳には、
「これだから遠慮を知らないガキは」とか、
「誰がお前なんかとデートすんだよふざけんな」やら、
「お前も思いっきりコケて盛大に捻挫してしまえ」など、
かなり大人げない内容の罵倒の言葉がチラチラと聞こえてきた。

「……か、風早先生……?」

おずおずと掛けられた言葉に風早は顔を上げて、むすうっと子供のように頬を膨らませた。


「……黒沼先生、隙が多すぎますよっ」


むううう、とすっかり拗ねてしまった風早の機嫌を取ろうと、
ティーカップに熱い紅茶を淹れて差し出しながら、爽子は小さく風早の頭を撫でた。
620教師パロ (4):2009/10/14(水) 22:02:22 ID:/5M7lE3W

風早と爽子がこの高校に赴任してきたのは一年前のことだ。
お互いに別々の大学を卒業し、教員免許を取った風早は国語教師に、養護教諭の資格を取った爽子は保健室の先生になった。
そして、赴任先の高校が記された通達を受け取ったとき、二人は多いに驚いたのである。
なんの偶然か、二人は同じ高校の同じ職場で働くことになったのだった。


「お風呂、お先にいただきました。風早くんも、お湯が温かいうちに入っちゃってね?」

パジャマ姿に肩からタオルを下げた姿で爽子がバスルームから現れたとき、
風早はちょうどリビングテーブルに大量の回答用紙を広げてひたすら丸付けする作業に追われていた。

「……風早くん、大丈夫?」

話を聞いたところによれば、確か明日にはテストの回答を生徒たちに返すことになっていたはずだった。

爽子の問いかけに、まるで今はじめてそこに爽子が立っていることに気づいたように風早が顔を上げて、
うーん、と両手を上げて身体を伸ばした。

「…今んとこ、間に合うかびみょーなとこ……いや、絶対間に合わすけど!」

だから、今日は徹夜!と爽子の大好きなあの爽やかな笑顔を浮かべ、爽子に心配掛けさせまいとする。
そんな心遣いがひしひしと感じられて、爽子は胸がきゅうんとなった。

「…あの、なにか…私にも手伝えることがあればいいのだけれど…」

心なしかしゅんと落ち込んだ面持ちで、爽子が風早の隣に体育座りで腰を下ろした。

「うーん…じゃあ…爽子が淹れた美味しいコーヒーが飲みたいな」

爽子の背中に腕を回し、ちゅ、と音を立てて真っ白な額にキスを落とす。
思わず触れられた額に手を当てて、赤面しながら爽子はキッチンに向かっていった。

(……不意討ちは、ずるいよ…風早くん……)

風早お好みのブラックコーヒーと、自分用のカフェオレをマグカップに用意しながら、
爽子はどんどん熱くなる頬の熱を下げられずにただただ小さく縮こまっていた。
621教師パロ (5):2009/10/14(水) 22:03:14 ID:/5M7lE3W


風早に先にベッドに入るように促されたのはちょうど深夜0時をまわった時だった。
風早の仕事はようやく折り返し地点に差し掛かったところで、残すは三学年のクラス人数分だった。
1クラスに約30人居るとして、クラスはA組からC組まであるから、合計90人。残すところあと90枚だ。

「でも…風早くんより先に寝るなんて出来ないよ」

「あともうちょっとで終わるから。そしたら俺も風呂入ってすぐ寝るよ」

「それなら、風早くんがお風呂上がるまで私も待ってる」

爽子は懸命に風早に食い下がったが、すでに瞼はのろのろと重たそうに閉じたり開いたりを繰り返していたし、
うっかりウトウトして隣に座る風早の肩にコトンと頭をもたげてしまうこともしばしばだった。
その可愛らしい様子に風早はしばしば見とれて作業を中断させてしまっていたことがあるなんてことは、愛しい恋人には内緒である。

「ほんと、無理しなくていいから。先に寝てな」

「…い、いやだよ」

「さーわ。言うこときいてよ」

「……や、やだもん…」

「…眠いんでしょ?」

「ね、眠くない…よ…」

「ほら、すっげーウトウトしてる」

「………してない…もん……」

「うそ。また俺んとこ寄りかかってきてんじゃん」

「……き、てな……い…も、………」


数秒後、肩のあたりから規則正しい穏やかな寝息が聞こえてきて、風早はくすっと苦笑いした。
体の向きを変えずに、ソファーに置かれた爽子愛用のブランケットを手探りで引き寄せて、片手でそっと爽子の背中を包み込む。
暖かい刺激に爽子は一瞬身動ぎしたが、すぐに風早の肩に柔らかい頬を擦り付けて深い眠りに落ちていった。

爽子がぴっとりと自分に寄りかかっているのを確認して、
風早は人差し指でずり落ちかけたメガネを押し上げ、再び回答用紙の山に取りかかった。
622教師パロ (6):2009/10/14(水) 22:04:24 ID:/5M7lE3W


爽やかな朝日の光がカーテン越しに部屋の中を明るく照らし出し、その暖かな日だまりに爽子はふっと目を覚ました。
気付けば、いつのまにか自分の身体は柔らかなシングルベッドのぬくもりに包まれていて、
いつもすぐ近くに感じる愛しい人の体温は、今日に限って何故か感じられなかった。

「…風早くん…?」

むくりとベッドから起き上がり、まだ重たい瞼を必死でこじ開けながら、部屋をぐるりと見渡す。
愛しい恋人の姿は、少し離れたところに置かれたソファーで見つかった。

チェックシャツにジーパンという私服姿にメガネを掛けたままの格好で、ソファーに横たわっていた。
片腕を額に置いて、もう片方を無造作にソファーの下に垂れ下げて、小さなタオルケットだけで暖を取って深い寝息を立てている。

なるべく音を立てないように、爽子はそおっと眠る風早に近づいた。
起こさないように、優しい仕草で掛けっぱなしのメガネをそっと外してやる。


「…おつかれさま、翔太くん」


普段は恥ずかしがってめったに呼べない下の名前を、この時だけは何故か素直に口にできた。

目の前で穏やかな寝顔を見せる恋人を眺め、大きな愛しさが沸き上がってくる。
抑えきれない衝動を止めることはできず、爽子はそおっと桃色に色づく唇を風早の瞼に押しあてた。

「…………なに、してるんだろう…わたし……」

すぐさま羞恥心に駆られ、小さく俯く。
ふと目線を横にすると、ベッド脇に置かれた目覚まし時計の針は7の数字を指していた。
いつも自分が起きている時間だ。

「……よし、朝ごはん作らなきゃ」

未だに静かな寝息を立てている風早は、出勤前の支度に間に合う時間に起こせばいい。

朝食は風早の好物をうんとたくさん作ってやろうと張り切って立ち上がり、
キッチンに向かった恋人の後ろ姿を、微かに頬を赤く染めた風早が薄目を開けて見送っていたことに、爽子が気付くことはなかった。
623教師パロ (7):2009/10/14(水) 22:05:06 ID:/5M7lE3W


「うあーっ!終わったあー!」

昼休みの保健室は昼食を食べにきた女子グループや、昼食用に用意したカップ麺のお湯を調達しに来た男子生徒数名で込み合っていた。
その中で、室内の奥の方に数台置かれていたフカフカのベッドに勢い良くダイブした風早先生の姿を見て、
「先生、なんかガキっぽーい」とクスクス笑いを零しているのは中央のテーブルを囲んでお弁当箱をつつく女子生徒達である。

「いやー、今回もなんとか無事にこのシーズンを乗り切ったよ…」

「先生、また徹夜で丸つけしてたんでしょー?ホント学習能力ないよねー」

もっと早く手ぇつけとけばいいのにさー、と再びクスクス笑いが響き渡る。

「お前ら、やったこともないくせによくそんなこと言えるなー」

ベッドに寝転がったまま、からかってくる女子生徒たちを非難の目で睨む風早の姿を、仕方なさそうに見つめるのは、
この部屋の主である爽子である。

「……あの、風早先生、…お行儀が悪いです」

くすり、と微笑みながら、ベッドのシーツの皺を指で伸ばしていく。

「黒沼先生ー、あいつら黙らせてくださいよー」

むうう、と子供のように頬を膨らます風早先生の姿を見て、密かに女子生徒数名が「きゃあ」と黄色い声を上げる。
「風早先生って、何気に結構カワイイよねー」やら「あんな彼氏ちょっと欲しいかも」とかなんとか、
女子生徒たちがコソコソと小声で交し合うのを、爽子は微笑ましく見守っていた。
624教師パロ (8):2009/10/14(水) 22:06:02 ID:/5M7lE3W

すると、グループのうちの女子生徒が、何気ない声を装って風早に声をかけた。

「風早センセーって、彼女とかいるんですかあ?」

ぎくり、と何故か肩が強張る爽子を横目に、風早は少し沈黙して、女子生徒の声に答えた。


「……いるよ」


えぇーーーッ、と歓声とも悲鳴ともつかない驚きの声が沸き起こり、更に質問した女子生徒が興奮気味に問いかける。


「どんな人?年下?年上?」

「同い年」

「かわいい系?キレイ系?」

「どっちにも当てはまるかな」

「なんの仕事してるひと?」

「…保健室の、せんせい」


途端に、ぴくぴく、と微かに爽子の頬が引きつったが、生徒たちに背中を向ける爽子の表情に気付いているのは風早しかいない。
爽子の反応を楽しむかのように、風早がなにかよろしくない悪巧みを考えたときに見せる含み笑いを浮かべているのに気付く。
なにか嫌な予感が頭を過ぎり、「風早先生、」と爽子が口を挟もうとしたその時、すっかり調子に乗った女子生徒が更に質問を続けた。
625教師パロ (9):2009/10/14(水) 22:06:57 ID:/5M7lE3W


「それってもしかしてー、黒沼先生だったりする?」

女子生徒はほんの冗談を言ったつもりで、「アハハ、それうける」とかなんとか盛り上がる周りの反応に満足していたが、
当の風早は顔色ひとつ変えずに、傍にいた爽子(もうすでに指一本動かせないほどに硬直していた)の細い腕を勢いよく引いた。


「……きゃ、ッ…――――」


爽子の小さな悲鳴に生徒たちが目を向けると、爽子は着ていた白衣を翻しながら、
ちょうど風早の腕のなかにその華奢な身体を引き寄せられたところだった。

なにが起こっているのかいまいち把握できずに沈黙する生徒たちに見せつけるように、
風早が保健室じゅうに響くようなよく通る大きな声で口を開いた。

「こんな話が出たところだし、いい機会だから、言っちゃおうか?」

「………えっ?」

困惑しっぱなしの爽子を尻目に、風早は腕の力を更に強くしてぎゅう、と爽子を抱きしめる。




「…俺、黒沼先生と結婚するんだ」



626教師パロ (10):2009/10/14(水) 22:07:51 ID:/5M7lE3W


………。

………………。


ええええええええ!?

あっという間に保健室の中は阿鼻叫喚、大興奮の波に飲み込まれていく。

風早先生、それホント!?
いつから付き合ってたの!?
どっちか教師やめちゃうの!?

あちらこちらから上がる生徒たちの声をどこか遠くに聞きながら、爽子は少しずつ意識が遠のいていくような気がした。



…あの………それ、わたしも初耳なんですが。



頭上でひたすらニコニコと微笑んでいる風早の顔を見上げ、爽子がなにか言い出す前に、
風早が得意げに爽子の頭にちゅっと唇を落とした。


「ホラ、思い切って結婚しちゃえばさ、どっちか転任させられちゃうけど、ずっと一緒にいられるでしょ?」


まさに名案!といった自信満々の表情を浮かべる風早を見て、爽子は度肝を抜かれたように口をぽかんと開いたまま、
しばらく固まっていたが、とりあえず浮かんだ疑問をそろそろと口にした。


「………どっちか転任させられた高校が、近場じゃなかった場合はどうするの?」


結婚してすぐ、別居生活することになると思うのだけど…。


爽子の素朴な疑問に、鼻っぱしを折られたような顔をして、風早はたらり、と額に冷や汗を流した。






おわり
627教師パロ:2009/10/14(水) 22:11:45 ID:/5M7lE3W

以上です。このあと風爽は結婚しますが、
養護教諭の爽子はこの高校に留まることになり、風早先生は泣く泣く隣町の高校に転任させられますw
でも別居だけは絶対やだと風早が涙目で訴えたので、同居生活をはじめますが、
風早は隣町の高校に通勤するために毎朝ものすごく早起きしなきゃいけない羽目になりますw
風早ドンマイww

ではでは、11月号効果で職人さんがたくさんやってきてくれることを願いつつ…。
失礼しまーす。
628名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 22:24:20 ID:JrWpiq0y
ちょーGJ!
なんかキュンキュンしたー
メガネ風早萌え!
629名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 23:16:22 ID:c5te2VKs
GJ!
風早幸せ者だなw
630名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 00:04:28 ID:hVdRllH3
さすが祭…!
これが…!
祭の威力…!
>>587
幸せすぎる…迷子の風早を受け止める爽子が女神過ぎる…
爽子大好きな風早はどうしてこうも萌えるのだろう
絶対息子には赤子の頃から「貸してるだけ貸してるだけ」って言い聞かせる
小学生の息子にもそう言って爽子ママに怒られるw

>>602
学校エロエロス 
エロもだけど地の文とかす…すきだなあ
お人好しな爽子カワユス 
エロイ爽子に我慢できない風早カワユス
爽ってよぶのかわいいよ 原作でも爽って呼んでくれればいいのに

>>616
もぅ のみ太先生ったらもぅw
生徒にまで大人気なくヤキモチ妬くなんて
可愛いじゃないか
爽子保健室の先生似合うなあ
631名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 00:17:41 ID:nCT2bQR2
昨日の夜、このスレに初めてたどり着いた
今日休みだったんで寝る間も惜しんで3スレ分読んだよ
(感想レスとか流れとかも読みたい派なんであえて過去スレで)
目がシパシパしてるけどニヤニヤとキュン死寸前が止まらん!
ネ申たちに感謝!

あとこのスレのpart1以前にも何回か?スレ立ってたみたいだけど(あまりのびなかったのかな?)
そのときのアドレス分かる方いらっしゃいますか?
632名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 06:47:04 ID:ayzdeAgE
>>616
2クールも…!
それは嬉しいですね
投下もありがとうございました!
ちょっと抜けてる風早に萌え萌えしました
633名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 10:22:48 ID:V8rWKoVO
いやー祭いいよ祭
にやにやが止まりませんww
GJ!!
634名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 18:48:29 ID:c3xrDlYC
みなさまどうもありがとう
風早って「爽子」って呼ぶより「爽」って呼びそうだなぁって
勝手な妄想で書きましたw
でも、今月号でまた風早と爽子のイメージが変わってしまったよ〜ww
やっぱ原作は神すぎる
635名無しさん@ピンキー:2009/10/15(木) 21:17:58 ID:6EYdjv0b
おお!見事に更新されていないww
みんな11月号で萌を消化させてしまったのか?
636名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 00:13:05 ID:Q595MvmR
>>631
初代スレたてた者ですが作品の投稿はほとんどないまま落ちたよー
637名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 00:37:17 ID:HZoX3qa/
ケン爽妄想が止まらない・・・11月号で風爽祭なはずなのに。
638名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 01:08:25 ID:8b1qwpRI
>>637
さあ!それをここで吐き出すんだ!
639名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 15:01:26 ID:v1FsAsvS
そろそろ500KBなので誰か次スレ立てて下さい〜

出先なので立てられませーん。
640名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 16:26:46 ID:YZxJbBGF
自分も出先だ
投下するのは次スレの方がいいかな
641名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 22:29:06 ID:wwfv9h0L
たてましたー
君に届けでエロパロ★4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255699694/
642ぴんあや1:2009/10/17(土) 02:43:15 ID:EsxD9SeI
>>641
書いてみたら全くエロの方向にいかなかったけど、埋め&ピンあやね作品が増えるのを祈って投下します
スレまたいだらすみません
-------------------------
 さいあく、とあやねは呟いた。
 彼女の暗雲の立ちこめた心中とは裏腹に放課後の校舎の窓から見える空は青く澄んでいて、それがひどく恨めしい。
 青天の霹靂、あまりにも突然降りかかった災難は、けれど全く予兆がなかったかと言われればそうでもなかった。

「いや、でも携帯で別れ話ってどうなのよ、男として人として」

 先ほどまで相手との間を繋いでいた携帯電話をカーディガンのポケットの中で弄びながらあやねはひとりごちる。

「まあ、でも」

 思えば、意気地のない男だったと短い期間を振り返ってあやねはため息をついた。
 お前は俺がいなくても大丈夫だもんなと、最後の最後にあてこすりのように言ってきたくらいだ。
 おおかた面と向かって責められたりするのは嫌だったのだろう――そんなこと、頼まれてもしないと言うのに。

「ま、殴られなかっただけマシよね、マシマシ。……あら」
「おー、やのちん、教室にいなかったと思ったらこんなとこに!」
「あっ、あやねちゃん」

 甲斐のないよかった探しをしながら薄暗い廊下を歩いていたあやねは、前方に見覚えのありすぎる友人たちの姿を見つけて瞬時にため息を呑みこんだ。

「あたしさー、これからバスケ部に遊びに行くんだけどやのちんもどう!?」
「遊びに……? あんたまたひっかきまわしにいく気でしょ。あたしパス。図書館で勉強して帰るから」
「はー、真面目だよねえやのちんって」

 試験前日しか自発的に勉強しない千鶴が心底感嘆して言った。けれどその言葉はあやね自身にはあまりしっくりくる言葉ではない。

「やなのよ、わっかんないとこがあんのも、試験前に慌てんのも。それに真面目って言うのはこういうのを言うのよ」
「わっ、私!?」

 遠慮会釈なく指をさしたあやねに、まさか自分に話が振られると思っていなかった爽子が驚いて目を剥く。

「ああ、もう爽子は真面目の真面目、もはや真面目通り越して孝行娘とか言う勢いだもんね。本当いいこ……!」
「爽子、これから資料室の整理手伝いでしょ? あたしも行った方がいい?」
「えっ」

 孝行娘のくだりで涙を拭いた千鶴を無視してあやねが爽子に聞くと、ただでさえ驚いていた彼女は更に全身で驚きを表した。

「し、知っててくれたの……!?」

 他人から関心をもたれると言うことにいまだ不慣れな様に、あやねは心の中でそっと憐れんだ。
 こんな小さなことでも幸せを感じるのは彼女の美徳だが、それはひどく悲しいことのようにあやねには映る。

「……だからあのアホ早がちゃっちゃとやる気だしゃいいのよあんの意気地なし……」
「あ、あやねちゃん?」
「っ、なんでもないなんでも! そんで、手伝い行こうか?」
643ぴんあや2:2009/10/17(土) 02:44:10 ID:EsxD9SeI
 声は聞こえずとも思わず拳を握ったあやねの怒りは感じ取った爽子が怯えるのに笑って返すと、「ううん」と爽子は首を振った。

「大丈夫っ、そんなに時間もかからないと思うし」
「そ? ならもし大変な様だったら携帯で呼びなね」
「ありがとう……!」

 ぱあっと広がる喜びの気配を背中に感じながら、あやねは二人と別れて少し足早に歩き始める。
 本当のことを言えば、助けてくれと請われなくてほっとした気持ちがないわけではない。

「ほんっとやのちんも爽子もしっかりしてるよなー」

 遠ざかる千鶴の声は、どこか違和感を伴ってあやねの耳に響いた。

「……爽子は、しっかりしてるように見えて抜けてて」

 だから周囲はやきもきと、手を伸ばすのだとあやねは知っている。

「あたしには、無理」

 ああいう風にはなれない、と。残念がるでもなくただ事実確認の用に呟いてあやねは校舎の奥へと進む。
 一人になれる場所が欲しかった。
 なんせ、さっき振られたばかりだ。

***

 もう何か月、何年使用されていないと言うのか。
 ろくろく手入れすらされていない風の空き教室には誰が運び入れたと言うのか古いソファが置いてある。

「やっぱほこりっぽいわ……でも移動するのも面倒だし」

 図書館には向かわず、あやねはかれこれ30分膝を抱えて座っていた。

「ここ、体育館の音が響くんだ」

 微かに聞こえてくる部活の音に、あやねはそう遠くない過去に帰る。
 ――あやねちゃんの指示わかりやすくて頼もしいね!
 バレー部に入ったのは成行きだったが、嫌いではなかった
 チームプレーの経験のないあやねも練習を重ねるうちにそれがどういうものなのか理解していった。
 勝てば楽しかったし、誰かとそれを分かち合うことは素晴らしいことだとあやねは知った。
 ――あやねちゃんはすごいね。
 ――あやねちゃんみたいな人には、私たちみたいな人の気持ちなんかわかんないよね。

「……っ」

 いらないことまで思い出しかけて、あやねは首を振った。けれど一度耳に返った言葉はなかなか消えてはくれなくて。
644ぴんあや3:2009/10/17(土) 02:44:38 ID:EsxD9SeI
「だれだあ、こんなとこ勝手に使ってんのは!?」
「……っ、ピン……!」

 突如大きな音を立てて開いたドアに驚いて顔を上げると、ピンが「矢野か」と言ってずかずかと近寄ってきた。

「ちょっ、なに入ってきてんのよ近づかないでよ……!」
「ああん? オメーが言えた立場かよ……ってうおっ、何泣いてんだお前!?」
「うるさい馬鹿っ、見んなっ!」

 自分がどういう状態なのか瞬時に思い出して、あやねが小さな歯を剥く。

「はっはーん。おまえまた振られたんだろ? 振られて一人で失恋パーティー? うわさっびしーい」
「あんた本当に教師なの……!? うわっ」

 人の不幸は蜜の味と公言してはばからないピンがにやにやと笑うのに癇癪を起して掴みかかろうと腰を浮かすと、狙い澄ましたかのように顔面に向けてタオルが投げつけられる。

「すんげーことになってんぞ、目の周り」
「……うっさいわね、わかってるから見ないでよ。つかこのタオル臭いんだけど!」

 ぶつくさ言いながらも遠慮なく拭うと、アイラインとマスカラの繊維の黒が白いタオルにべったりと付いた。

「……自分のタオルならためらうレベルだわ……」

 拭いたそばから流れおちるメイクにため息をつきながら拭っていると、

「おまえさあ」

 呆れたような声が降ってくる。

「ほんっと男運ねーよなあ」
「あんたにだけは言われたくないんだけど!?」
「いやでもマジでよ。翔太たちがピュアッピュアな爽やか三組やってる隣でオメーはよお」

 まるであやねの失恋の数々を見てきたかのように言って、ピンがため息をつく。

「……あいつらに見る目がないのよ」

 悔し紛れに嘯いてみるが、虚しいものはむなしい。
 それには特に答えずに、ピンがじっとあやねを見つめた。

「……何よ」
「すげー顔。ほとんどスッピンか。お前案外素朴な顔してんのなー」
「……っ、見んなっつってんでしょ!?」

 激しい羞恥に襲われたあやねがタオルで顔を隠そうとするより早く、ピンはタオルをひったくった。
645ぴんあや4:2009/10/17(土) 02:45:04 ID:EsxD9SeI
「何すんのよ!?」
「いいだろが、別にスッピンくれー。ったくいっつもべったり塗ったくってよー」
「やめてよね」

 微かに混じる非難の色に、あやねは細い眉を寄せて目線を反らす。

「聞き飽きたわよ。若いうちは素肌が一番綺麗なんだからとかなんとか。そーいうのもういらないから」

 タオルの代わりに膝に頬杖をついて、すんとあやねは鼻をすすった。まだかすかに、涙は目を潤ませている。

「どいつもこいつも言うのよね、高校生のくせにとか、肌のこと考えろとか。ったく、うるさいっつのよ」
「息苦しくなんねえのか」
「……何、皮膚呼吸がーとか言っちゃうわけ? あんた女の化粧に疎そうなのによくそういう」
「違えよ」

 重たい心とは裏腹にすらすらと出てくる言葉を遮って、ピンがあやねを小突く。

「そういう、よくわっかんねーもんで自分固めてよ。窮屈じゃねえのか」
「……なに、それ」

 流してしまおうと思っても、うまく顔が笑えない。怯えたように身体を引くあやねに、ピンが小さくため息をついた。

「あたしは強い女ですー、誰になんて言われようと気にしませーん。ってか? 馬鹿だねーお前は。ヴァッカだねー」
「殺すわよあんた……!」
「その顔ですごんでも怖くねーよ。……お前、どうせ男の前でも化粧落とした顔なんか見せたことねんだろ?」
「……っ」

 掴みかかったあやねの腕をつかんで、ピンが正面から睨んでくる。

「見る目もなにも、お前はなんも見せてねーじゃねーか。それで見る目がないだのと男をののしんのは卑怯だろうが」
「うるっさい、わね……」
「ただのションベンくせえガキのくせしてよ」

 カッと、腹の奥が熱くなって、あやねは衝動のままに腕を動かす。だがつかんだピンの手は力強く、それがひどくあやねの癇に障った。

「ピンのくせに好き勝手言ってんじゃないわよ……! わかったような顔して……! あたしは実際強いのよ。美人で強くて、誰にも頼らないで生きてけて……っ」

 ――お前は俺がいなくても大丈夫だもんな。
 そう、男たちは口をそろえて言った。いつからだろう、意気地のない男どもだと冷めた目で見るようになったのは。

「どうせ誰も助けてなんかくんないのよ!? そもそもそんなの、あたしのキャラじゃないしっ、それに……っ」

 努力を放棄して、最初からおまえは持っているものだからと拗ねて見せる女たちをあやねはたくさん見た。
 そうやって他人の同情を引いて、助けの手を請うような人間にはなりたくないと、ずっと思って生きてきた。

「しょうがないじゃない! こういう風に生まれついちゃったんだから、ずっと、小さいころから……っ」
「それで意地張って粋がって。誰が知ってる? お前がこうやって泣くことも、強くもねーただのガキだっつーことも」

 他人の助けを貰うことは、恥だと思っていた。けれど、最近そうではないのだと、知ってしまった事実は、あやねには重い。

「無理なのよ、あたしには……無理なの」
646ぴんあや5:2009/10/17(土) 02:45:39 ID:EsxD9SeI
 ただまっすぐに、素直であれば周囲は憐れみや下心ではなく純粋な厚意で手を差し伸べるのだと、爽子を見ていてあやねは気付いた。
 だが、誰もがあのように生きられるわけではけして、ない。

「ああいう風に、生まれたかった……純粋で、可愛くて」
「矢野」

 うつむいた頭に落ちるピンのため息に、呆れられた、とあやねは己の発言を悔いた。
 これでは、自分が厭うていた少女たちと違わないと、恥じてまた涙が落ちる。

「う、嘘よ、ジョーダン。あはは、何言ってんだろね、あたし」
「別に」

 ごまかすように笑ってみても、顔を見ることはできないあやねに言い聞かせるようにピンが続ける。

「お前は、お前だろうが……陳腐な言葉だけどよ」
「……っ、ほんっと、なにその陳腐なセリフ……っ」
「でも、そんなもんだろ。矢野」

 聞いたこともない声で、ピンが言う。

「……そうね」

 陳腐だと、そしりながらもそれはひどく心に沁みてあやねは小さく笑った。なんて陳腐で、わかりきった、けれど難しいことだろう。

「だからお前は」
「あたしは……?」
「っ、ええとなんだ、お前はそのままでも……って、あ゛ーーーーーー! もうめんどくさくてやってられっか、自分で考えろ自分で!」

 見上げて見つめてくるあやねに自棄のように叫んで、その手を離したピンはずかずかと部屋を出て行こうとする。

「っちょっと、何よあんた面倒臭いって!?」
「うっせ! オメーみてーなこまっしゃくれたガキに付き合ってる暇はねんだよ俺様にはっ」
「なんっですってえ!? ……っぶっ」

 あまりの言いように苛立ってその背を追いかけたあやねにまたしてもタオルが投げつけられる。

「あんた、よくも何度も何度も人の顔めがけてっ」
「それ、洗っとけよ」
「なんであたしが!」
「そんで」

 引き戸の前で一瞬立ち止まったピンが、あやねを向かないままに頭を掻いた。

「今度俺んち来るときは、スッピンでそれ持ってこいよ」

 早口で言葉を放り投げて、引き戸の向こうにピンが消える。
647ぴんあや6(last):2009/10/17(土) 02:47:23 ID:EsxD9SeI
「……なにあれ」

 あやねの手に残された白いタオルはごわついている。色気も、何もないただのタオルだ。

「なによ、あれ……」

 情けなさに、あやねは笑った。あれが必死な、ピンの精一杯なのだと思うと大人のくせにと思わずにはいられない。
 大人のくせになんて不器用で、格好悪くて、馬鹿なんだろう。

「そりゃあいつモテないわけだわ……」

 だけど、そういう大人になるのもそう悪いことではないのかもしれないと、あやねは思った。このままいじけて生きていくより、ずっと。

「お前はお前、か」

 そう自分に言い聞かせて、たどり着く場所がどこかはまだ分からないけれど。

「柔軟剤くらい使いなさいよね……」

 目元を隠すようにタオルに顔を当てると、ピンの家のにおいがするようで、あやねは声を出さずに笑った。

----------------

エロくなくてすみませんでした(平伏)
ちづも多分わかってるけど、口では矢野の嘘に付き合ってると夢を見て書きました。
誰かピンの無駄なデカさにドン引く矢野とか、矢野のスレた感じにイラつくピンとか書いてください。
648名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 10:03:26 ID:XbbCMw6Z
すごい、すごーーーい!ピンあや萌えるよピンあや!
そうか、あやねの強さはそれか、と納得してしまいました。
続き激しくキボーン!
649名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 12:04:37 ID:lf6P4UYL
何気に描いちゃいました…

http://h.pic.to/18w63r
650名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 17:45:25 ID:L1oKbiT3
爽やかな顔してどこ触っとるww
651名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 18:25:36 ID:lf6P4UYL
なんかこんなものまで…テヘッ( ̄∀ ̄)

http://k.pic.to/zxqwh

画力が無いのはご愛嬌って事で!笑
652名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 18:56:51 ID:XTqSdhw4
ちょwおまww
653名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 20:52:24 ID:rRNuCoC7
ぴんあやGJ!
654名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 20:55:34 ID:mXrVxG46
うん、ピンあやイイね。特に心情描写。
やりとりも「らしい」し
出来れば続きを見たいな
655名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 22:40:25 ID:WYrLK2AR
ピンあやいいねーーGJ
続きみたいっす!!
もう次スレかー
656ぴんあや:2009/10/17(土) 23:56:06 ID:iGuciJ3Y
エロじゃないのに温かいコメントありがとう…!
石つぶてを投げられても仕方ないと覚悟してたので、感涙です
エロに至るまでは長そうだけど、続きを書けたらなーと思っています
みんなピンあや書こうぜ!
657名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 17:59:27 ID:6RpCqZZC
658名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 21:55:22 ID:/H07WQSi
ちょww
さわやか顔でなにやってるんですか風早さんww
659名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 16:56:10 ID:E6oGshrH
すっごいスレチなのは分かっているんです

今DSのゲームでようやく風早エンドが見れた〜!!
最後はさわこが幸せそうでよかった…
けど風はちょっと調子に乗りすぎでした
660Cry For The Moon 1:2009/10/19(月) 23:28:29 ID:YHwooYAi
DS楽しそうだよね。爽子が幸せなのが一番だ。
そんなこと言っちゃうと投下するのが怖いネタをば。
注意※健人×爽子。騙し討ちで健人が爽子をやっちゃう話です。

******

「おめでとう!」

今晩の彼女は繰り返し皆からの祝福をうけていた。急な仕事で途中退場した風早のぶんも杯を飲み干しながら、貞子ちゃんはいつものように皆に気を配っていた。


「貞子ちゃん大丈夫ー?」
同じ方向で乗り合わせたタクシーの車内、左隣に座りぐったりと窓にもたれたまま動かない貞子ちゃん。車外の光が時折目を伏せた彼女の顔を浮かび上がらせる。反対側の隣に座る子もムニャムニャとなにやら寝言を言ってる。

本当は俺が一番先に降りるはずだったけどこれじゃあムリじゃん。
右隣の子の家に着いて先に降ろす。

斯くして俺は酔いつぶれた貞子ちゃんを自宅に送り届けることになった。
661Cry For The Moon 2:2009/10/20(火) 00:19:19 ID:4CL34P0e
一人住まい用のアパートにたどり着いて肩を叩いても揺すっても起きない貞子ちゃんを背負って部屋へ。財布の中身がアブナイのでタクシーはここで帰した。
チャリでも借りて帰ろうか。しかし酒くさいなぁ。無理して飲み過ぎだよ。顔に出ないからオレも含めて周りは気がつかないんだよなぁ。あーあ。風早にバレたら殴られるぞ。
バッグからキーケースを勝手に拝借して鍵を突っ込むが入らない。キーケースにある鍵を順に試す。三本目が正解だった。「おじゃましまーす」
入っていくと壁際にダンボールが積まれていた。代わりに室内はとても殺風景。引っ越しは来週末って言ってたっけ。着々と嫁入り準備が進んでるんだな。
「ん」
背中の貞子ちゃんが小さく動く。起きたかな。
そっとクッションの上に降ろすと座り込んだままぼーっとしている貞子ちゃん。
「大丈夫ー?今電気つけるね」
立ち上がろうとしたその時、上着の袖を掴まれた。
「かぜはやく…しごとおわったんだ」
貞子ちゃんは薄闇のなかで嬉しそうに笑う。
「風早はまだだよ。オレケント。いま水持ってくるよ」
「わわ…しかいがぐるぐる。みみもわんわんなってる…よ」
ブツブツ言いながら体が振り子のように傾いては戻るのを楽しんでる。
662Cry For The Moon 3:2009/10/20(火) 00:26:15 ID:4CL34P0e
風早と付き合うようになって貞子ちゃんの表情は格段に柔らかくなった。いまだに時々は固いけど中身がいい子だって皆わかったからね。ギャップも含めて大勢が貞子ちゃんを好きになっていったんだ。
感慨にふけっていたらいつの間にか貞子ちゃんがオレのベルトに手をかけている。ええ?貞子ちゃん?
もたもたと動く指先に思わず声がでかくなる。
「ちょっとなにしてんの??」
「きょう、しようねってかぜはやくんがいったでしょう?わたしねむくなっちゃうから…」
ぽわわーんとのたまう貞子ちゃんの熱を含む声にゴクリと息を飲んでしまったけど…そんなわけにはいかないじゃん。
「あのさぁ貞子ちゃん」
ピロピロピロ
貞子ちゃんの鞄からこぼれていた携帯が暗闇のなかで点滅する。
風早かな。とにかく早くこの場を離れたい。妙な汗をかいたオレは貞子ちゃんの携帯に手をのばしてハイと渡す。
貞子ちゃんはそれでもベルトと格闘。
「むずかしいなぁ」
駄目だこりゃ。
663Cry For The Moon 4:2009/10/20(火) 00:42:11 ID:4CL34P0e
「貞子ちゃんメールだよ、開けるよー」
風早からの帰るよメールを期待して勝手に携帯をいじる。だけど無情にも仕事のトラブルで今晩は行けないという内容で。
「あ、はずれた……」
のんきな声がして次はボタンに手がかけられた。(駄目だよ貞子ちゃん。風早じゃないよ)
そう口にするはずが声が出なかった。痺れたようにされるがままになっていた。だってさ――――

ずっと触れてみたかったんじゃないのか。
キッチリと一番上のボタンまでとめられたブラウスの下の、血を透かす白い白い肌に。
遠い昔にしまいこんだ思いが突如燃えだした。
ふたりのことは祝福してる。嘘じゃない。だけど。

一度だけ

風早は来ない。囁くのは誰だろう。
完全に力の抜けたオレの腕を貞子ちゃんがやんわりとどかした。細い手が俺のをまさぐり出す。葛藤の最中にすでにかたくなっていたそれを小さな手がたどる。

きっと後悔するなぁ。
いい友達を二人もいっぺんに無くすんだもんなぁ。
どうしてそんなに無防備なんだい。
少し恨めしくなる。
昔からずっと変わらず長い髪に指を絡める。
細く白い首筋が見えた時に操られるように腕が動いた。
664Cry For The Moon 5:2009/10/20(火) 00:53:57 ID:4CL34P0e
自分のネクタイを解いて素早く貞子ちゃんに目隠しをする。
少し驚いたようだが酔いのせいか緩慢に、ビックリしたぁと赤ん坊のように笑う。
婚約祝いのプレゼントにと買ってあった酒を開けて口に含んだ。
(一生後悔するぞ)
頭の片隅で点滅する制止の声を振り切って小さく開いている唇に近づきピリッと灼ける豊かな液体を流し込んだ。
「んん」
何度も繰り返してそのまま唇を貪る。口の端から伝い落ちる液体をそのままに舌をからめて味わい尽くす。
貞子ちゃんの腕がだらんと下がった。
苦しげに離れた唇からうっとりとした声が風早の名をつむぐ。
こたえられないオレは更に深く口付ける。
暗い部屋にデジタル時計の仄かな明かり。
荒い息づかいと衣擦れの音だけが耳に響く。ブラウスのボタンを外していく指が震えた。
空恐ろしい気がした。でも開かずにはいられない。
滑らかだけどどこか無機質な肌があらわれて、オレはそっと唇をよせた。跡をつけないように点々と口付けてゆく。
665Cry For The Moon 6:2009/10/20(火) 00:55:52 ID:4CL34P0e
ポツンと落ちた水滴で、自分が泣いていることに気がついた。
優しい手がオレの水源を探してさまよい探り当てて涙をぬぐう。

「夢だから忘れるんだよ」
耳元で囁くと、わからずにそれでも微笑む目隠しの貞子ちゃん。
かわいそうに。ごめんね、騙して。

スカートをまくりあげて下着をおろす。
貞子ちゃんは難なくオレの指を吸い込み体を反り返らせた。
はやくと急かす自分の内の声に逆らわずに財布から取り出した避妊具をつけて彼女の中に沈み込んでいく。
ブラウスの間から見え隠れするブラジャーをずりあげてツンとたった所を愛撫すると切ない喘ぎ声。細い細い腰を揺らすたびに締め上げられる。
何度も、何度も。

そのたびにうわごとのように俺ではない名前が繰り返された。

666Cry For The Moon 7:2009/10/20(火) 01:11:01 ID:4CL34P0e
「ああっ」
突如掠れた小さな悲鳴。ビクビクンと収縮する。
「オレも連れてってよ」
加速に合わせるように悲鳴が続き、何度もキツク締め付けられて頂点に達する。
オレが全てを吐き出してしばらく、貞子ちゃんも最後の身じろぎを終えて力なく横たわった。



後始末を終えて、貞子ちゃんの衣服を整え、気を失ったように眠る彼女に毛布を掛ける。オレが居た痕跡は残していないはず。
窓を開けると何事もなかったような平和な寝顔に月明かりがさした。冷たい新鮮な空気が行為の残滓を洗い流していく。
近寄って口付けの代わりにもう一度耳元に囁いた。

「全部、全部夢だよ」

青白い子供のような顔はほんの僅かに笑うような形になった。
もう君たちの前には姿を見せないよ。
バイバイ。
667Cry For The Moon (last):2009/10/20(火) 01:23:03 ID:4CL34P0e

迷ったけどキーケースを手に取り施錠した。
よく見ると部屋を開けるときに合わなかった鍵は真新しかった。
新しい未来の象徴をドアポストに落として歩き出す。


家にたどり着くまでにあの子の温もりを忘れよう。そう決めて冷たい月に見下ろされながらブラブラと慣れない道を行く。

声を。
すべらかな肌を。
柳のような細い肢体を。
流れる髪を。
香りを。
そして


月明かりに咲く白い花のような彼女に、生まれてしまった全ての気持ちを。

そうでないとオレは…。


月を見上げた。声を出して笑う。
「ハッハッハッ」
涙を流すかわりに深夜の道端で能天気な笑い声を空に響かせた。


終わり
668名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 01:41:41 ID:W8JKUeBj
うううせつねええ
ぐっじょぶ
ちょっと涙ぐんだ
669名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 02:27:58 ID:rQm+HEMt
ここにきて、まさかのケント…
670名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 03:54:20 ID:kqrht+PV
素晴らしすぎる!!!GJGJ!
なにげにケント×爽は秀作揃いだなー
まとめにあるケント×爽も切なくて描写がネ申だし…
671名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 08:31:25 ID:Npc4lGU5
ケント×爽子いいなぁ…!
672名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 20:57:06 ID:YYEceqRX
11月号のケントの表情みたあとだと、ケントの切なさハンパねえ!
切な萌え
673名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 00:14:15 ID:PaKWFqb1
ありがとう。そしてシアワセ祭に水さしてごめんよ。8巻とか読んでても全くケン爽妄想はわかなかったのに11月号読んだらね止まらんかった。でも風爽のシアワセがあってこそ。
674名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 16:46:00 ID:N2c14lhs
君届スレだけど、赤星と幸ちゃんのラブ読みたい!
誰か職人さ〜ん!お願いしま〜す(>人<)
675名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 20:14:22 ID:fLYzgYBs
>>674
とりあえず顔文字やめろ
676名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 20:57:55 ID:cJzCJP9K
ここにきてケント…www
グッジョブ。
677631:2009/10/21(水) 21:24:08 ID:y1y7A+ro
>>636
亀になりましたがどうもです。


スレ伸びてる!って分かってからこのスレ開く瞬間のニヤニヤ感がハンパねー
職人様ありがとー
678名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 21:32:05 ID:9xPRx1X/
健爽GJ!!!
切なすぎる…!まじ泣きそうになった!
読み終わった後の空虚感がハンパない。よくこんなの書けるね!神だヽ(´▽`)/
679名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 22:13:53 ID:60rPZco8
どうしよ、ケン爽もっと読みたい
680名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 23:31:05 ID:+vNXkTra
ケン爽もいいけど風爽も読みたいぜ
681名無しさん@ピンキー:2009/10/22(木) 12:59:47 ID:1BUtZT12
職人様、11月号の流れで風爽が大人の階段上るの読みたいです!
682名無しさん@ピンキー:2009/10/22(木) 17:53:49 ID:GgM17xKB
ピン矢野もケン爽も心理描写の繊細さがハンパないね。
こんなんが書きたかったよ。
ケン爽は確かに切ないなあ。
爽子が絶対揺らがないから
盗むか強奪するか別れを待つかしかないもんね。
しかも多分風早のことも好きで、
爽子に幸せになってほしい事も嘘じゃないから切ないんだよな。
683名無しさん@ピンキー:2009/10/23(金) 23:50:39 ID:6phMDuuv
容量あとどんだけだろ
684名無しさん@ピンキー:2009/10/23(金) 23:51:20 ID:6phMDuuv
500KBまでだっけ??
685名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 00:12:06 ID:wJqR/soA
すみません、新参者なのですが、矢野と風早なんていうマイナーカポーは需要無いです…よね?
しかもエロなし文才なしですorz

あと容量の問題がよくわからないので、投下しようか迷い気味です。
686名無し@ピンキー:2009/10/24(土) 00:55:03 ID:z1FtmXb0
矢野風!気になる組み合わせ…。
容量が気になるなら次スレに投下してみてはどうでしょー
なんにせよ、ぜひ読んでみたいです!矢野風!
687名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 08:44:18 ID:wJqR/soA
ではお言葉に甘えて投下してみます。
内容は
矢野→風早→←爽子
の矢野の片思いです。
キスの描写があります。
苦手な方はタイトル「雪と涙と罪悪感」スルーでおねがいします。

携帯からなので改行など、おかしな点があるかもですが御了承ください。
688名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 08:46:37 ID:wJqR/soA
書き忘れ事項が…。
そこまで長くないのですが一応次のスレにしておきますね〜。
アドバイスありがとうございました!
689名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 10:11:43 ID:ue8mKTI0
んじゃーあとはもう埋めなきゃねー
500KBまでだっけ?
690名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 18:00:37 ID:z+j2likZ
1000まで埋めればってわけじゃないから難しいな
691名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 18:02:14 ID:z+j2likZ
あと7KBだが、








692名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 18:03:40 ID:z+j2likZ
やっぱり行数は関係ないよね。そうだよね
かといってAA貼る気分でもないし
ううむ
693名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 18:58:24 ID:z+j2likZ
694名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:03:40 ID:z+j2likZ
695名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:07:50 ID:z+j2likZ
696名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:11:13 ID:z+j2likZ
697名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:11:54 ID:z+j2likZ
698名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:13:24 ID:qNwkc4c8
699名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:14:19 ID:qNwkc4c8
700名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:15:12 ID:qNwkc4c8
701名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 19:33:51 ID:z+j2likZ
702名無しさん@ピンキー