【イヴァリース】ファイナルファンタジータクティクス 第5章【FFT】

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378名無しさん@ピンキー:2010/07/02(金) 01:10:02 ID:IebAmx8H
家畜に神はいない。
下賤な人にはそれが分からんのです。
379名無しさん@ピンキー:2010/07/19(月) 14:42:05 ID:eMHuAhFB
家畜には家畜専用の神がいるッ!
380名無しさん@ピンキー:2010/08/03(火) 07:28:51 ID:XaLhbPl3
久々にきたらティータ陵辱きてたか
しかし、ダイスダーグはラムザ憎しで、アルマ狙いそうな気がせんでもない
381名無しさん@ピンキー:2010/08/04(水) 12:29:53 ID:M4RE1ufb
ダイスダーグはマザコンなのでそれはない
382名無しさん@ピンキー:2010/08/04(水) 13:00:27 ID:ZFKNttnP
>>381
余計アブねーわ
383名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 08:52:00 ID:WYHZgjsE
上げときます

ああもう何ヶ月規制する気だよ氏ねorz
384名無しさん@ピンキー:2010/08/14(土) 04:55:13 ID:vL52n183
385名無しさん@ピンキー:2010/08/21(土) 17:23:53 ID:iiHo6Grj
オウガ用にPSP買ってきたついでに獅子戦争も買って来た
テム子可愛いよテム子
386名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 09:41:11 ID:ADcSjDzJ
アルテマに犯して貰いたい
387名無しさん@ピンキー:2010/09/08(水) 18:38:42 ID:RfVVT45E
それアルマゲスト

テマたんなら俺の横で寝てるよ
388名無しさん@ピンキー:2010/09/09(木) 09:55:32 ID:S5il8H6H
それザルモゥ

職人さん帰ってくるの飛空艇の墓場で待ってる
389名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 13:44:04 ID:68PlHWAp
アグリアスとかけまして、ノーパンと解きます。
そのこころは、どちらも「はかない」でしょう。
390名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 17:58:20 ID:a3xlZkQC
ねずっち乙
391名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 10:32:19 ID:XQ/YNe3F
ティータSSの続きを投下。
わかってはいると思いますが今回も激鬱です
駄目な人はNGに『誰がために鐘は鳴る』とブチ込んでおいて下さい
392誰がために鐘は鳴る中編 下1:2010/09/18(土) 10:33:12 ID:XQ/YNe3F
どこかで鐘が鳴っている。
わかっている。ここはベオルブの屋敷ではない。
今日は教会が主催する、戦争孤児のための慈善バザーだ。どこかのテントでくじ引きが行われている事を、昨日も準備を
手伝っていたティータは知っていた。誰かが一等を引き、店員役の少女が派手に鐘を鳴らしているのだろう。
そこまでわかっていながらも、家畜を呼ぶためのベルが鳴らされる音に、ティータは反射的に身体を強張らせる。子供達
にレモネードを注ぐ手が震えてしまう。
気が付くと、冷たいジュースは音を立ててコップから零れていた。早く始末しなければとおしぼりで拭き始めるが、手の
震えは収まるどころか激しくなるばかりで、傍のコップすらも倒してしまう。甘たるい匂いの液体はますます広がった。
「……ティータ、どうしたの?顔色、真っ青よ」
このバザーの実行委員も務めているアルマが、いち早く自分の異常に気付き目を向ける。
「あ、ううん……。ちょっと、人ごみに酔っちゃったみたい。大丈夫よ、アルマ」
「ごめんなさい、少し休んでくるわ」とだけ言い残し、ティータはそそくさとその場を離れた。人を避けるように、隅の
ベンチに腰掛ける。
手の震えは、まだ止まってくれない。
(兄さん、ディリータ兄さん。私、もう……)
今は何もされていないと言うのに、堰を切ったように涙が溢れ出す。
学校では「身分違いだ」といじめられ、屋敷では「価値がないから」と虐げられる。どこにも逃げ場はなく、心を休める
時もない。
幼い少女に、限界が近づいていた。
他の娘なら、こんな辛い目に合わされるなら、と兄を捨てても逃げ出していただろう。それとも、もう少し賢しければ誰か
に助けを求めていたかも知れない。
だが、彼女はそんな薄情さも要領の良さも持ち合わせていなかった。元来内向的なティータは、同時に驚くほどの芯の強さ
を秘めている。しかしその頑なさは皮肉にも、ますます少女を苦しめる結果になった。
つまり、ティータは兄のために自らを犠牲にし、一人で抱え込み耐え続けるという「最悪の選択」を選んでしまったという
事だ。ダイスダーグが、そこまで少女の内面を見抜き、手を伸べたのかはわからない。だがこれまでの全ては、彼の思惑
通りに進んでいた。
ただ一つ、ダイスダーグの思い違いがあったとすれば、一年が経ても少女が完全には屈服していないと言う事だろうか。そう、
実際彼女は“よくもった”のだ。だがその強靱さも、今や燃え尽きようとしている。
「――疲れた」
ぽつりと呟き、空を仰いだ。きっぱりとした青の境界線が涙で滲み、歪む。
ティータは知らなかった。怒りや憎しみが、ここまで心を磨り減らすものだとは。嫌悪を維持するにも努力を必要とするなど、
今まで誰かを激しく恨んだ経験のないティータは知らなかった。
いっそ、あの嫌らしい義兄に心まで捧げてしまえたら、今より楽になるのだろうか。そんな悪魔の誘惑を否定する矜持すら
心の波にさらわれてしまいそうで、ティータは目を閉じる。
「ディリータ兄さん……」
心を奮い立たせるための魔法の呪文を口にするが、心境は何一つ変化しない。
それどころか、瞼に浮かぶ兄の肖像に激しい妬みを感じ、ますます気分は塞いでいくだけだった。
393誰がために鐘は鳴る中編 下2:2010/09/18(土) 10:33:53 ID:XQ/YNe3F
ある晩いつものように鐘が鳴らされ、ティータは部屋のドアを開けた。
予想通り既に義兄はベッドに腰掛けていて、黙ったまま目線で指示を出してくる。
「……ダイスダーグ兄さん」
もう何の感慨もない。羞恥で頬を染める事も涙混じりの瞳で男を睨みつける事もせず、ティータは無言で服を脱ぎ始める。
乙女なら当然備わっている羞恥心すら、既にティータは奪われていた。
すぐに全裸になったティータは、そのままダイスダーグの足元にひざまづき、顔を上げる。そのまま唇を近付けた。
「……兄さんは」
最初の頃は嫌で嫌でたまらなかったキスを捧げ、呟く。今は慣れ過ぎたせいで大して嫌悪の気持ちも湧かない自分のだら
しなさが、何より腹立たしい。
奇妙な居直りが、少女の中に芽生え始めていた。
「私をいじめて、楽しいですか?……兄さんは何でも持ってらっしゃるでしょう。ベオルブの家督も、地位も、権力も、
何もかも。そんな兄さんが、何も持たない私をいたぶって、面白いのですか?」
「……」
ダイスダーグは答えない。ティータは舌先で主の顔を撫でながら続けた。
「……勘違いしないで下さい。別に、今さら文句を言いたいなんて思ってません。ただ、不思議に思ったんです。
それで兄さん、今日のご命令は何ですか?」
部屋に響く舌打ちの音。ダイスダーグの渋面が、少しだけ動いた。
「面白くないな」
「はい……?」
ダイスダーグは、ティータの顔面に先ほど脱いだばかりのドレスを投げつけると立ち上がる。
「出かけるぞ」
394誰がために鐘は鳴る中編 下3:2010/09/18(土) 10:35:57 ID:XQ/YNe3F
連れてこられたのは、イグーロスの外れにあるうらびれた歓楽街だった。
その一角には何の看板も出ていない、黒く塗られたドアがある。その前でダイスダーグはチョコボを止め、ティータを
引きずり下ろした。
ドアの先には、ドアに塗られた色と同じくらい真っ暗な階段が口を開けて待っている。まるで犬のように首輪を引っ張られ、
地下へと続くその階段に連れ込まれた。
「に……兄さん?どこですか、ここ。何をするつもりで……」
「黙れ」
口を利く事すら禁じられたティータは、もつれる足に躓きそうになりながら階段を降りていく。
そしてダイスダーグは、つきあたりの小さなドアを開けた。ほぼ同時に背中を押され、ティータはその中に突き飛ばされる。
「きゃっ!?……痛い、うう……」
部屋の中はそれまでとは対照的に明るく、ティータは眩しさに目をつぶった。やがて明るさにも慣れてきたティータは、
体勢を整えながら起きあがる。
そこは奇妙な部屋だった。入口のドアの小ささとは対照的に、広々とした空間が広がっている。隅に小さな便器があり、
行水用なのか大きなたらいが立てかけられている。部屋の中央には、大の大人が三人くらいは眠れそうな巨大なベッド。
部屋の壁紙は深紅に統一され、奥の一面は鏡張りになっている。その鏡の中には、栗色の髪を乱した少女――つまり
自分だ――が、無様に尻餅をついていた。
「な、なに、ここ……?え、えっ!?兄さん、ここはどこですか、兄さん!」
ティータは慌てて閉ざされたドアを叩き、何度もノブを回す。が、ドアは既に施錠されその向こうからは何の返答もなかった。
その代わりのように、背後からドアの開く音がする。
「だれ!?に、兄さん……?」
予想に反して、入ってきたのはダイスダーグでは無かった。一目見て柄が悪いと分かるような、数人の男達。皆筋肉の
盛り上がった身体に粗末な服を着て、未だドアにしがみつくティータを欲望の滾る目で見つめている。
その中の一人と目が合い、慌ててティータは視線を逸らした。
「へえ、今日は随分と可愛らしいお譲ちゃんだな」
「見ろよ、あの服装。もしかしたら良いとこのご令嬢ってやつか?オレ、一度でいいから貴族の女とやってみたかったんだよ」
「なに、なんなんですか?あなた達、誰なんですか!?」
「何だ、おっぱいもお尻もまだ小さいじゃないか。オレはもっとこう、色っぽい方が好みなんだがなあ」
「あー、お前はそうだったっけ。でもオレはちっちゃい女の子も結構好きだぜ?身体も軽いからどんな体勢ででも遊べるし、
いじめてるみたいでそそられるし」
彼らは狼狽するティータに構う事無くずがずかと部屋に入り込み、下品な笑い声を立てる。
(う、嘘。うそよ……)
聞くに堪えないような男達の言葉に、ティータは胸元をぎゅっと握りしめた。ここに至って少女はようやく理解する。
あの義兄が、こんな所にまで自分を連れ出した理由を。それは――。
「兄さんごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!もう私兄さんに生意気な事なんて言いません!
ちゃんと兄さんに従いますから!だから助けて!兄さん、兄さん助けてッ」
ティータは狂ったようにドアを叩き、涙を零しながら許しを請う。けれど、ドアの向こうから返ってきたのは、
やはり沈黙だけだった。
「ほら、こっちに来いよ。今夜は俺達がお前の『兄さん』だ」
「やめて、触らないでっ!」
抵抗虚しく、男の手が自分の肩を抱え込んでくる。腕を掴まれる。後ろから羽交い絞めにされ、早くも胸元のボタン
に手がかかった。
「いや、いや――いやあああああああああああああああッ!」
それは、ティータが一年ぶりにあげる嫌悪の絶叫だった。

395誰がために鐘は鳴る中編 下4:2010/09/18(土) 10:37:34 ID:XQ/YNe3F
「っ、くぅ……。いやです、やめて……お願い離して!」
ティータは、執拗な男の口付けから逃れるなり叫んだ。
ベッドの上に投げ飛ばされ、着ていた服のボタンは全て外される。露わになった胸元や捲れあがったスカートの裾から
男達の手が入り込み、まだまだ未発達な肌を這いまわる。四方から伸びては撫でまわしてくる指に、ティータは必死で
抵抗していた。
首輪を掴んでキスを強要していた男は、既にボタンが外されたブラウスを大きく開いた。零れ出た乳房を乱暴に掴む。
「なぁ、無駄な抵抗はよせよ。もう、こんなになってるくせに」
既に尖り始めた乳首をきゅっとつねられ、ティータは快感混じりの痛みに小さな悲鳴を上げる。その隙に男は覆い
被さって来て、また唇を寄せられた。
「ふ、うぅ……ん!んくぅ」
左右の乳房をそれぞれ違う男に舐められ、スカートに侵入した手はするするとショーツを脱がせると秘所をなぞり
上げる。敏感な場所を三つ同時に責められたティータは、たまらず身体をくねらせた。けれど、首輪を掴まれていては
逃れる事も出来ない。
「は……う、やぁっ」
両腕を掴まれ、いつもダイスダーグにされているように拘束を受ける。男達は女を縛る行為に慣れているのか、ティータの
手首はあっという間に固定され、革紐は幼い乳房をくびり出した。
「痛い、痛いです……!お願い、もう止めて下さい」
まるで自分から胸を突き出すような姿勢に、ティータの顔は羞恥に染まった。一人が懐からナイフを取り出し、
「動くなよ」と告げると肩やウエストにひっかっていた服や下着を剥いでいく。あっという間に、ティータは裸にされた。
15歳の裸身はまだまだ初々しさに溢れているのに、その瑞々しい肌には無残にも縄がけされている。まるで毒蜘蛛が蝶を
絡め取っているような誰も足を踏み入れていない雪原が無残に荒らされるような、背徳的で危うい官能が漂う姿。
男達はティータの未成熟ゆえの色香にたまらず吐息を獣のそれへと変化させ、ティータは恐怖と嫌悪でますます身体を震わせる。
しかしその怯えすらも、男達にとっては劣情を煽るスパイスにしかならないのだ。
「やめて下さい、見ないで!もう、何にもしないで……う、うぅっ」
ついに哀れな少女は泣きだしてしまう。しかし男達は非情だった。
「やめろって、こんな状況で止められる訳ないだろ?金だって払ってるのに、馬鹿だなあ」
「ここだって、とっくに濡らして口を開いてる。本当は見られて嬉しいんじゃないのか?貴族の変態お譲ちゃん」
すぐに手が伸びてきて、また全身をまさぐられる。ぴったりと閉じた足を無理やりこじ開けられ、秘められた場所に
舌がぴたりと張りついた。
「や、やぁっ!あ、ああっ」
あまりの恥辱にティータは叫ぶ。だがその嗚咽も、情けない事に確かに愉悦が混じったものだった。そして、
もっと屈辱的なのは――
じゅるっ……。ぴちゃっ……。
決して男の唾液だけではない粘着質な水音がその場所から立てられ、ティータは反射的に男の顔を太ももで挟みこんでしまう。
その様子が誘っているようにしか見えないと男達にからかわれ、ティータはまた大粒の涙を零すのであった。
396誰がために鐘は鳴る中編 下5:2010/09/18(土) 10:39:18 ID:XQ/YNe3F
男達は慣れた手つきで少女の身体を開いていく。それは、強制的に性感を開発されたティータにしても同じことだった。
男達はティータの足からとっくに手を離していたが、少女は足を開いたまま身体を襲う快楽に身を委ねている。
「……はっ、はぁ、はぁ」
男の指が胎内で蠢くたび、ティータは荒い呼吸でやり過ごそうとする。しかし次の瞬間、違う男の唇にクリトリスを
思い切り引っ張られ、「あくっ!」と軽く絶頂に達してしまった。軽いピストン運動を繰り返していた指を思いきり
締め付け、シーツに垂れるほど蜜を垂らしていく。男達にからかわれなくとも、ティータはひどく感じやすく調教された
自分の肉体が恨めしくてならなかった。
「もう、いや……ああっ!」
膣を襲う指は、いつしか二本に増えていた。その指が胎内で開いたり閉じたりを繰り返す。クリトリスも包皮を剥かれて
舌に包まれ、ざらざらとした感触に狂わされる。絶えず揉まれ、吸われる乳房。乳房にも性器にもありつけなかった男は、
ティータの顔をべろべろと舐めまわし、縛られた手にペニスを押しつけて腰を振っていた。
「ほら、いけよ!もう我慢できないんだろ?縛られてすげえ感じてるくせに」
まるでその声に誘われる様に、少女の身体は大きく震えた。
「や、いや、あ、あぁぁぁぁぁっ!だめ、いく、いっちゃう!」
そして――何度目かのエクスタシーの後、ティータは快楽に弛緩しきった身体を抱え上げられた。後ろから肩を抱かれ、
座って待っている男の下腹部へ向かって、少しずつ腰を落とされていく。
「あ……いや……」
犯される事はとうに覚悟していたとはいえ、少女はあまりの屈辱にいやいやと首を振る。
「やめて……やめて下さい」
けれど自分の肉体はこちらの意志をどこまでも裏切るのだ。花唇の先にペニスの先端が触れた瞬間、ティータは自分の
胎内が舌舐めずりするように疼くのを自覚してしまう。嫌でたまらないのに、待ちわびてしまう。そう、あの義兄に
犯されていた時のように。
「はぁぁぁぁっ!」
ティータの口から、快楽に彩られた吐息が漏れた。入口が大きく拡げられる。支配される。この上なく屈辱的で、でも
ずっと待ちわびていた一瞬。
「あん、あん、やっ」
すぐに激しい上下運動が始まった。ティータは拘束を受けているため、腕を使う事が出来ない。だから腰を大きく
グラインドさせ、男の動きに合わせようと必死になる。少しでも快楽を貪ろうと身体を揺さぶる。この一年、義兄に
教えられた通りに。
「ひゃ、あ、あう、あん、やっ、こんなのやなのに、あっあぁぁぁ」
「何が嫌なんだよ。よだれまで垂らして」
近くにいた男が、髪を掴んでティータの顔の向きを変えさせる。そのまま唇にペニスを押しつけられ、フェラチオを
強制させられる。
「くっ……」
「ん、んふっ……ぐ」
まるで性交のように顔を激しく揺さぶられ、あまりの苦しさにティータは涙を零した。そこにまた下から突き上げられる。
苦痛混じりの快感は瞬く間に倒錯的な悦びに変わり、一際甘い嬌声が喉から漏れ続ける。
397誰がために鐘は鳴る中編 下6:2010/09/18(土) 10:40:34 ID:XQ/YNe3F
二人の男が膣内と口内に同時に射精した時、少女も深い絶頂を味わわされていた。用の済んだ男達はティータから離れる。
開きかけた唇と性器から、飲みきれなかった精がぽたぽたととシーツに垂れた。
しかし男達の玩具となった少女に休む暇などない。ベッドに寝転がる少女に、早くも次の男が覆い被さってきた。その男は
先ほどの二人よりもいくらか優しい性格なのか、呆然としているティータの髪を撫でてきた。精液で汚れた唇に指を這わせ、
その下の首輪にも触れる。
「かわいそうになあ。こんな首輪までつけられて。『兄さん』に、散々苛められたんだろ?」
「……」
何と答えたらいいのか、ティータはしばし考えあぐねる。目の前の男は、この地獄のような部屋から救ってくれる気が
あるのだろうかと計っているのだ。
「だから今日は、俺達が慰めてやるよ」
考えるだけ無駄だった。今度は正常位で、少女は再び犯されていく。ドロドロに汚れ開ききった花弁をかき回され、
ティータは引き攣った声を上げた。
「う……うぁ……」
繰り返し快感を教え込まれた身体は、留まる所を知らない。ティータの内壁が襞が、侵略者を歓迎するように蠢きはじめる。
まるで口唇奉仕のように、下半身が精を絞り取ろうと吸いついていく。
「あ、ああっ!」
「はぁ……うっ!あー、気持ちいい。やっぱり若い子はいいな」
少女は男と目を合わせ、恋人同士のように濃密な口付けを交わす。束縛された胸を掴まれれば激しく反応し、くぐもった呻きを
上げた。正常位をとらされているため、縛られた腕に負荷がかかるがそんな事は全く気にならない。
ぱんぱんと、肉がぶつかり合う音が部屋に響く。
「やっ……あ、だめ、やだっ!」
単調だが激しいピストン運動に、少女はたちまち追い詰められていく。
「おいおい、お前だけで独占するなよな。まだまだ順番だってつかえてるんだしさ」
「あ、悪い悪い。そうだな……じゃ、口でいいか」
ティータの意志など完全に無視した取り決めが行われる。乱暴に首輪を掴まれ、身体をひっくり返された。四つん這いに
転がされ後ろから犯されると同時に、目の前にペニスを突き出される。
「やっ……あぁっ。も、もう、嫌です……」
「うるせえな、早くしろよ」
男は弱々しい抵抗を見せるティータの髪を掴み、屹立したそれで少女の滑らかな頬を嬲る。仕方なくティータは口を開け、
再びペニスを口に含んだ。口の中に広がる、生臭い匂いと不潔な味。
「う……んぅ、ぐ……」
(兄さん、ダイスダーグ兄さん。どうして……)
喉をつつくペニスを何とかして舌で押し戻しながら、ティータは義兄の仕打ちにむせび泣く。その瞬間、後ろから挿入した男が
また激しい抽送を開始し、少女の思考は粉々に砕かれた。
398誰がために鐘は鳴る中編 下7:2010/09/18(土) 10:42:27 ID:XQ/YNe3F
少女は犬のように這わされ、腕も使えず尻だけを突き出した格好で両方の口に肉棒を咥えこんでいる。その様子は、
まさに家畜そのもの――ご丁寧にも首輪まで嵌められているのだから――のあさましさだった。バックから犯す男は
ティータのまだ小さい尻を掴んで媚肉の感触を味わい、口腔を犯す男はまるで手綱のように少女の長い髪を引っ張っては
乱暴に腰を押しつける。
「ん、んんっ、ふ、う……」
苦しい。息が出来ない。吐き気によって込み上げる唾液が口の中だけではなく鼻にまで逆流し、呼吸を塞がれる。
ティータは舌でペニスを愛撫するふりをしてなんとか口と屹立の間に隙間を作ったが、そんなものではとても足りない。
もう恥も外聞もなく、ティータはよだれを垂れ流し、頭を振り乱すようにして顔を上下する。早く男に達してほしいのと、
顔を動かす隙に呼吸を確保するためだ。
しかし後ろから責めてくる男が少女の邪魔をする。ペニスによる抽送だけでは飽き足らず、空いた指でクリトリスを
つまんできたのだ。充血し切った突起は少し触れただけで痺れるような刺激を少女にもたらし、男の指をしとどに
濡らしていく。
「きゃうっ、あう、あ、かはっ!」
ティータは思わずペニスを吐き出し、小さな悲鳴を上げた。前にいた男は舌打ちと共に少女の首輪を掴み、再び口による
奉仕を強制させる。
苦痛と悦楽の地獄は、永遠に続くようだった。
「ん、あく、ふ、んぐっ……」
「ほら、見てみろよ」
ふと髪がかき上げられた。ペニスを口に含んだまま、強引に顔の向きを変えさせられる。
視線の先には鏡があった。壁一面に嵌めこまれている大きな鏡。それを初めて見た時には、「どうしてこんなに大きな鏡が」と
疑問に思ったものだったが……。
「やらしいよなあ。縛られて、顔中よだれまみれにしてよがり狂ってる。まだガキのくせに」
鏡の中には、大の男二人に挟まれている一人の少女がいた。上半身を縛られお尻だけを高く高く突き上げ、口にはペニスまで
頬張って髪を振り乱して。男の言う通りの、淫乱で家畜のような――いや家畜以下の姿をした、自分。
「――いや」
認めたくなくて、ティータは大きく首を振る。すると鏡の中の淫蕩な少女も自分そっくりに首を振った。
「何が嫌なんだよ。自分の姿を見て興奮してるんだろ?ほら、ここをこんなにひくひくさせて」
後ろの男までティータをからかい、秘肉をかき回すように腰を振動させる。
「ひ……!や、やめてッ!」
だがそれも男の言う通りなのだ。自分の姿のあまりの惨めさ淫らさにティータは絶望しながらも、その悲しみが仄暗い欲情を
さらに滾らせる。意識しなくとも、身体の奥深くが蠢きだしてしまう。ぽたぽたと蜜を溢れさせてしまう。ダイスダーグに
抱かれていた時と同じように。
399誰がために鐘は鳴る中編 下8:2010/09/18(土) 10:43:40 ID:XQ/YNe3F
「いや、いや、いや……あう、ん、んふっ!く……あッ」
鏡を見る事を強制されたまま、再び犯される。男達もかなり昂ぶってきたのか、その動きはますます激しいものに
なっていった。
(だめ、だめ……兄さん助けて)
ティータはいつものように、ディリータの顔を思い浮かべてやり過ごそうとする。けれどもその面影を、今は微塵も
思い出せない。思い出すのは、状況を救える唯一の人物であるダイスダーグの顔だけだ。
(……そうよ。私があれだけ心の中で助けを求めても、兄さんは何にもしてくれなかったじゃないの。私を一度も
救ってはくれなかった。私はこんなにも、兄さんのために我慢しているのに!)
自らの意志で兄のために犠牲となる事を選んだくせに、ティータの中でディリータに対する逆恨みのような感情が
生まれていく。男達に揺さぶられるたび、これまで薄皮一枚の矜持で保たれていた少女の精神が、少しずつ崩壊
していく。
「……兄さん、兄さん」
ダイスダーグと別れたドアを、ティータは祈るような思いで欲した。今少女が必要としているのは、誰より愛しい
実兄ではない。自分をこんな状況に陥れた義兄こそ、ティータが今必要とし、救ってくれる人物なのだ。
しかし少女の祈りは通じず、その代わりのように口の中のペニスが大きく痙攣し、射精を始めた。一呼吸おいて、
後ろから貫いていた男も身体の奥深くに精液を叩きつける。その刺激でティータも昇りつめながら、それでも
血走った目でドアだけを見つめていた。
散々少女を弄んだ男達は、用が済んだのかやっとベッドから降りた。しかし飢えた目をした男達が、また新たに
部屋に入って来る。彼らもまたニヤニヤと笑いながら、ティータの元まで行進を始める。
(うそ……。これで、終わりじゃ無かったんだ……)
ティータは拘束すら解かれないまま、また犯されていく。
だがもう、この少女にとって性交も絶頂も奉仕も、全てが流れ作業のようなものだった。何人か目の時、後ろの穴まで
指で拡げられペニスを挿入される。同時に秘所と口も犯され、全ての穴を穿たれたティータは人形のようにガクガクと
身体を揺さぶられた。身体を襲う圧倒的な快楽に絶叫しつつも、もうティータの意識はそこにはない。
それだけは誰にも犯されることの無い心の中で、少女はただ一人の名だけを呼び続ける。
400誰がために鐘は鳴る中編 下9:2010/09/18(土) 10:48:05 ID:XQ/YNe3F
この部屋に入ってから、もう何時間がたったのだろうか。ティータには、既に時間の感覚はない。地下室だから窓もなく、
今が真夜中なのか明け方なのかもわからなかった。
凌辱は終わろうとしていた。一体何人を相手にしたのか、途中から数えるのもやめてしまったが、おそらく15人近くは
いたはずだ。中にはティータを気に入って身体中にしゃぶりつき、口と膣で二回の射精を迎えた者もいた。最も、それが
誰だったか――男達は名も名乗らなかったから、顔でしか判別がつかないのだが――は思い出せないが。
最後に射精した男達はティータを縛っていた紐を解くと、
「すっげえ良かった。また、相手してよ」
と馴れ馴れしくキスして部屋を出ていった。散々乱暴な行為を働いたとは思えない図々しさだったが、ティータは
それもどうでも良かった。この地獄のような時が終わる、それだけで充分だ。
部屋に一人取り残されたティータは、身じろぎ一つしない。動きたくない、と言うより動けないのだ。ひどい疲労で、
本当に指一本動かすことすら億劫だ。身体中にこびりつく性の残滓を拭う事もせず、寒さで粟立つ肌に毛布をかける事も
せず、ただティータは横たわっていた。
「……ふ」
少女の見開いた瞳が、三日月形に細められる。
「ふふ、ふ……ふふふ。……うふ、ふふふふふふ」
(私、どうして笑っているんだろう。何がおかしいのかしら)
だが一度緩んだ顔の筋肉は、なかなか元に戻ってくれない。ティータは相変わらず寝返りすら打てない身体を持てあまし、
低く喉を震わせていた。
その時だった。さっきはあれほど開けと懇願していたドアが、ダイスダーグを求めては叩いていたドアが、あっさりと
開けられる。眼球を動かさなくとも、そこから入ってきた人物が誰であるか、ティータにはわかっていた。
「ダイスダーグ兄さん……」
ダイスダーグは身体のあちこちに拘束具の赤い跡が残り、身体中の穴から精液を垂れ流している自分を見下ろしていた。
いつもと変わらぬ苦虫を噛み潰したような顔が嘲りに歪み、こちらを罵倒しているようだ。だがティータはそんな侮蔑など
気にもならない。「ほら、その身体で稼いだ金だ」と数枚の金貨を顔にぶつけられてもへっちゃらだった。ティータは
自らの汗と粘液と精液で汚れた身体を何とか持ち上げ、傍らの男に摺り寄せていく。
「兄さん……。もう、会えないかと……」
目の前のベルトを外し下着の隙間に指を伸ばし、苦労してティータはダイスダーグのペニスを引っ張りだした。全く
勃起していないそれに、ティータはまるで宝物のように頬ずりをし、キスを繰り返す。
「ティータを、助けに来て下さったんでしょう?ダイスダーグ兄さん。嬉しい、です」
そのキスは段々と激しくなり、やがて愛撫へと変化していく。亀頭部分から玉袋に至るまで舌を這わせ、よだれでべとべとに
した所でがぶりと咥えこむ。いつもならそこで救いを求めるようにディリータの面影を求めていたものだが、ティータは
もうそんなものは必要としない。
「兄さん、ダイスダーグ兄さん……。嬉しいの」
ティータはありったけの愛情をこめて口を上下させる。喉を突いてくる感触も、髪を引き絞られ顔を揺さぶられるのも、
今のティータには苦痛でも何でも無かった。むしろ嬉しげに、義兄の激しい動きに合わせていく。
401誰がために鐘は鳴る中編 下10:2010/09/18(土) 10:48:37 ID:XQ/YNe3F
頭上から義兄の欲情しきった息遣いが聞こえる。口の中にも愛おしくてたまらない――これまでは嫌でたまらなかった――精液の
味がかすかにし始め、ティータは愛撫する舌の動きをいっそう激しくした。先端を強く吸い、早く彼が絞り出す体液を
飲みたいと願う。
(兄さん、兄さん……)
やっとわかった。最初からこの人を受け入れていれば、こんな苦労なんかしなくて済んだのに。
(兄さん、ティータはいい子になりますから。だから、もう見捨てないで)
ダイスダーグは、快楽の仕上げをするように首輪を掴んで激しく揺さぶる。もう自由になった手でティータは義兄の手を
包み、その動きを止めた。
「だめ、兄さん」
口の端から先走りの粘液を垂らしたまま、ティータは上目遣いで男を見上げる。欲情を隠そうともしないその様は、
とても15歳の少女とは思えない媚態だった。
「お口も良いけど、私、兄さんとしたいの。私の汚れた身体を、兄さんの手で綺麗にして欲しいんです。兄さんも私で
気持ち良くなって、中でいっぱい出して下さい」
これまでは泣く泣く呟いていたセリフを、ティータはうっとりと口にする。ほんのかすか、ダイスダーグの口元が笑った気がした。
「……その汚い身体を、使う気にはなれん」
「だったら」
今やこの淫靡な部屋の支配者となった少女は、悪戯っぽく微笑む。隅に立てかけてあるたらいを指さした。
「そこに、お湯を準備してもらえばいいわ。行水すればすぐ綺麗になるもの。そうだ、兄さん。一緒に入りますか?」
402誰がために鐘は鳴る中編 下11:2010/09/18(土) 10:49:58 ID:XQ/YNe3F
翌日。
その報せを受け取ったのは、イグーロスの城だった。
目の前には、弟の初勝利を喜ぶザルバッグと兄の無事を喜ぶアルマがいる。しかしティータだけは、すぐに反応
出来なかった。兄のディリータがアカデミーでの厳しい日々に耐え、初陣を勝利で飾ったと言うのに。
「どうした、ティータ?兄が勝ったのだぞ。嬉しくないのか」
ザルバッグの声に、アルマも怪訝そうな顔をこちらに向ける。いつものように上手くやり過ごさなければと思った瞬間、
ティータの中で何かが弾けた。
「は」
その声を、まるで自分のものではないようにティータは聞いた。ティータの寝室には一か所だけ建付けの良くない窓が
あり、開ける時には耳障りな悲鳴を上げるのだが、その音によく似ていた。無機質で不快な音。
「は、あは、あははははっ!あっははははははははははは!」
一度笑いだすと、もう止まらない。喉を震わせ、腹を抱えてティータは笑った。一年ぶりに取り戻した笑いはこれまでの
分を吐き出しているのか、次々とこみ上げる。
「はははは、うふ、くふふ、あはははは、はははは!そう、兄さんが、兄さんが」
少女の突然の哄笑にザルバッグもアルマも戸惑った顔をしていた。それがおかしくて、さらにティータは笑う。一つの
笑いが次の笑いを生み、その発作のせいで涙まで出てきた。二人の顔が奇妙に歪む。それを見て、また声を出して笑った。
「ど、どうしたの……?ティータ?」
「あはっ、あはははははははは!ははははっ――だって、嬉しくて……くくっ」
まだしつこく続く痙攣と戦いながら、ティータは兄妹に向き直る。
「うふふ。嬉しいに決まってるじゃないですか、ザルバッグ兄さん。私のディリータ兄さんが、ラムザ兄さんと
共に活躍したのよ。こんなに幸せな事はありません」
自分の回答に、ザルバッグもアルマも納得してくれたようだった。
「そうか。ティータはディリータを本当に心配していたからな」
「そうよね、きっとそれだけ嬉しかったんだわ。ティータがまた笑ってくれて、私も嬉しい」
(そんなんじゃないのに)
二人の勘違いがおかしくて、またひとしきり足を踏み鳴らして笑う。とうとう脇腹まで痛くなってきて、ティータは
その場にしゃがみこんだ。ついでに溢れる涙を拭う。
「嬉しいのは当たり前だわ」
誰にも聞こえないように、口の中で呟く。
「だって、やっと努力が報われたんだもの。兄さんのために、私は今まで耐えてきたんだもの。兄さんさえ幸せなら
私はそれでいい。私が何の価値もないんだったら、せめて兄さんは、兄さんだけは」
また笑いがこみ上げる。少女は顔をニヤニヤと歪ませ、決意を改めて口にした。

――兄さんのためなら、私はどうなっても構わない。

続く
403名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 10:52:23 ID:XQ/YNe3F
やっと規制解除キターーー。まるまる三ヶ月、長かったなぁ
>>380
自分アルマよりティータ派なんですよ。薄幸な内気ロリは至高
続きは規制さえ入らなければ、今月中くらいにまた落としに来ます
404名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 00:56:48 ID:EDHqJkwe
>>403
おお、ついに続きが!神よありがとう
ティータたまらん…
405名無しさん@ピンキー:2010/09/19(日) 04:25:57 ID:zY7BwEN6
おもしろかった。
鬱エンドしかなさそうだけど続きが気になる。
406名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 08:17:11 ID:jkX0irhd
GJです!
長兄の鬼畜っぷりが…
規制きませんように
407名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 04:02:45 ID:pzmc7H8y
ティータSSのラストを投下
鬱です。クソ長いです。
NG『誰がために鐘は鳴る』
408誰がために鐘は鳴る・後編1:2010/10/03(日) 04:03:57 ID:pzmc7H8y
「――どうした?
ああ、その話か。もちろん、お前やラムザの気持ちは良くわかる。だが仕方無いだろう。お前とて、それくらいの分別のつく年齢に
もうなっている筈だ。北天騎士団が、ベオルブ家があんな下賤な賊に……え?そうじゃない?
そうか、聞きたいのはそういう事だったのか。そうだな……特に思いつかんな。確かに兄のディリータを心配し、かなり心を
痛めていたのは気付いていた。私から個人的に忠告した事もある。
何、かね?いや、わからない。邸の中で時折鐘が鳴り響いていたのは聞こえていたが、あれはてっきりお前や兄上が女中を
呼ぶために鳴らしているのだと……そうか、違ったのか。では、ますます見当がつかないな。
そもそも、どうして鐘の音があの娘と関係があるのだ?ああ、お前にもわからないのか。
いや、気にしなくていい。役に立てずに、私の方こそすまなかったな。
ちょっと待ちなさい。これは兄として進言しているのだが、辛いだろうが『あれ』の事はなるべく早く忘れるんだ。ベオルブは
武門の棟梁として模範を示さねばならぬ。だからどんな事情があるにせよ、奴らに屈する訳にはいかなかったんだ。理解してくれ。
そうか、わかってくれるか。ありがとう。私とて辛かったんだ。許せとは言わぬが……。
ああ、そうだな。私もこれから盗賊狩りなんだ。骸旅団を殲滅したとは言え、まだまだこのガリオンヌは治安が良くなったとは
言い難い。お前も気をつけるんだ、いいな」

「――鐘?知らぬ。
どうして、それを私に聞く……?
……そう、か。しかし私は知らん。用件はそれで終わりか?すまないが忙しいのだ。もう出て行ってくれ」


「ご武運を、ディリータ兄さん!」
ティータの叫びに兄は軽く手を振って応え、チョコボに乗ってイグーロスを去るラムザ達の背はすぐに見えなくなった。
「――ふふっ」
自分と同じように兄と一時の別れを惜しんでいたアルマが、不意にこちらを覗きこんでくる。
「どうしたの、アルマ?」
「私ね」
アルマは愛くるしい顔を悪戯っぽく綻ばせ、ティータの腕を取った。
「本当はね、ラムザ兄さんと再会した事よりも、ティータがまた元気になってくれた事の方が嬉しいの。だってティータったら、
ディリータがアカデミーに入ってからずっと元気が無かったんだもん。あ、これはラムザ兄さんには内緒よ?拗ねちゃうと困るから」
「そう……。心配かけてごめんね、アルマ」
「ううん、もういいの。また、ティータの笑顔が見られたから」
そこで、二人の少女は弾けるように笑い合う。もちろんティータも笑った。少女の笑顔はどこか虚ろで目の焦点も合っていなかったが、
アルマは親友のそんな変化に気付く事は出来なかった。
結局、最後の最後まで。
409誰がために鐘は鳴る・後編2:2010/10/03(日) 04:05:21 ID:pzmc7H8y
鐘が鳴った。
その鐘の音は澄んではいるが、教会の鐘のように荘厳で遠くまで聞こえるものではなく、良く耳をすまさないと聞こえない
ほどの小さな音だ。しかしティータはそのかすかな音色を耳で捕らえるなり、本を置いて立ち上がった。傍ではアルマが
歴史の教本から顔を上げ、怪訝そうにこちらを見上げている。
「どうしたの、ティータ?」
「鐘が、なったの」
アルマはわけがわからないと言った顔で首を傾げる。
「かね……?そんなの、私には聞こえなかったけど」
「ううん、確かに鳴ったわ。……私、行かなきゃ」
「ティータ?」
呼びかけるアルマの声を背に、ティータはうきうきと部屋を飛び出していった。階段を駆け上がり、廊下を進む。弾む足で
右に曲がると、そこはもう目的の部屋の前だ。
先ほどまで確かに鐘が鳴っていた部屋に、少女はノックもせずに入っていく。
「兄さん!」
部屋に入るなり、ティータは奥のベッドに座っていた男に駆け寄り、抱きついた。幼い頃、実の兄にそうやって甘えていたように。
「また、ティータを必要としてくれたのですね?嬉しいです」
くすくすと笑いながらダイスダーグの顔を覗きこみ、桜色の唇を寄せる。重なり合った二つの口からは同時に舌が出て、すぐに
互いの境界線を越えた。舌と舌を絡ませ合い、互いの歯茎や口腔を舐めあう。交換した唾液を、少女は蜜を味わうように
目を細めて啜った。そしてまた舌腹を重ねる。そのテクニックは実に巧みで、とても15歳の少女とは思えないものだった。
「うふふっ。兄さん、大好き」
少女は男の首に回していた腕に力を込め、囁く。その言葉に彼は満足したようだ。
男の機嫌を損ねない事。少女はそれだけに、全神経を傾けていた。
まるで恋人同士のように何度も濃厚なキスを重ねた後、二人の手は同時に互いの衣服を脱がせ始める。ティータはダイスダーグの
ベルトを、ダイスダーグはティータのブラウスを。少女の手は優しく、男の手は乱暴に。互いの最後の下着を剥ぎ取った時に
再び唇は合わせられ、そこから漏れる息もいささか荒いものとなっていた。
410誰がために鐘は鳴る・後編3:2010/10/03(日) 04:06:52 ID:pzmc7H8y
ティータはかすかな羞恥に頬を染めながら、シーツを払いのけるダイスダーグの手を取った。細い産毛がまばらに
生えているだけの、未成熟な恥部へと導く。
「ほら」
指を押しつけると、早くもくちゅりと湿った音がした。
「私、兄さんに呼ばれただけでこうなってしまうんです。ずっとそうだったの。こんなはしたない女の子なんて、兄さんに
相応しくないですよね。でも、ティータを嫌いにならないで」
これまでなら、口に出すだけで寒気が来るような媚態。しかしティータは泣きもせず嫌な顔一つ見せず、熱っぽい
上目遣いを続ける。
ダイスダーグの目が、満足げに歪んだ。
「……ふん。やっと素直になったか。最初からそうしていれば、娼館に投げ込む手間も無かったものを」
ティータの表情に一瞬険が滲む。しかしすぐにそれはかき消され、代わりに眉を下げた殊勝な少女が現れた。
「ごめんなさい、兄さん。この間ね、ディリータ兄さんにも言われたの。いい子でいろって。それなのに、私は兄さんに
逆らってしまった。……悪い子、でした」
早くも膣内に潜り込み、滲む愛液を掻き出すような動きを送って来る指に耐えながら、ティータは続きを口にする。
「あ、うぁ……!で、でも、もうわかったんです。私にはダイスダーグ兄さんが必要なの。こんな何もない私に価値を
見いだして下さるのは、兄さんしかいないんだもの。これからも、ティータを可愛がって下さいね……?」
それは――少女にとっては敗北宣言で、男にとってはようやく手にした勝利宣言。
凌辱を続けて一年、ティータの心からの服従を手にいれたダイスダーグは、高らかに笑う。そして、その言葉を確かめるかの
ように、少女の手を後ろで固定し、戒めを与えようとしてきた。
その手を、ティータは首を振って拒む。
「いや」
拒否されるとは思っていなかったのだろう、ダイスダーグの眉間に皺が寄る。男の機嫌を損ねないよう、少女は慌てて続きを口にした。
「違うの。だって、縛られちゃったら兄さんを抱きしめられないでしょ?」
あの、兄が勝利した日に取り戻した笑顔で笑う。けれどもその目はどこかぼんやりとして、濁ったものだった。少女は手首に
絡みついていた紐を自分で解く。そして、ゆっくりとダイスダーグを押し倒していった。
411誰がために鐘は鳴る・後編4:2010/10/03(日) 04:08:50 ID:pzmc7H8y
まだ15歳の少女が、年齢も体格もはるかに勝る男に全裸で跨っている。誰かが偶然その光景を覗き見たとしたら、
これほど奇妙な光景もないだろう。
ティータは身体の中で確かに滾る欲情に目を細めながら、眼下のダイスダーグを眺めた。
(この人は私を犯す時、いつもこんな風にして眺めていたのね)
自分の胸の下に居るダイスダーグは、いつもよりずっと小さく見える気がする。なるほど、この体勢なら自分に
優越感を感じるのも当たり前の話かも知れない。
「兄さん。今日はティータに、全部任せてね」
言うなり、まずは綺麗に切り揃えられた髭にしゃぶりついた。そのまま舌を移動させ、耳への愛撫を開始する。
耳の一番外側を舌先でなぞり、耳たぶを軽く吸い、たっぷりの唾液と共に尖らせた舌先を耳の穴に挿入した。
「――っ、く……」
「ごめんなさい、痛かったですか?」
吐息が耳に入るように、わざと湿った声を出す。案の定ダイスダーグは首を振り、背中に回される腕の力は
一層強くなった。
「……それとも、気持ち良いですか?それなら嬉しいですけど」
もう一度冷たい空気を濡れた耳に送り込み、ティータは舌腹を少しずつ下に降ろしていった。首筋、鎖骨、肩先、
脇の下、そして胸。今までは受けるばかりだった愛撫を、今度は少女の唇が一つ一つなぞっていく。鳥肌の
立っている乳首を少し強めに吸うと、ダイスダーグの身体はびくりと仰け反った。ふと下に目をやると、男の性器は
石のように張り切っている。
どうやら自分の奉仕は、想像以上の効果を上げているようだ。
「……」
互いに無言のまま、ティータは舌を更にその先へと伸ばす。へそを通るとその下にはもう、屹立しきった性器が待っている。
少女の到着を待ちきれないのか、既に先端には雫が滴っていた。
「兄さん……」
「……ふ、うぅっ!」
少女が熱く猛るペニスを口に含んだのと、ダイスダーグが低く唸ったのはほぼ同時だった。ティータはいくらでも
湧いてくる唾液をまんべんなくまぶしては、ローションのようになじませる。そうしてから根元まで含み、唇をすぼませ
甘くしごく。同時に口の中のペニスに舌を這わせ舌先を回転させるようにして、巧みに先端を刺激してやった。情熱的に
顔を上下させる。
これまで散々教え込まれた通りの、的確な愛撫の仕方。
「う……ッ」
「んっ……。ふぐぅ……」
ぴちゃぴちゃと、淫らな水音が部屋に響いていく。
412誰がために鐘は鳴る・後編5:2010/10/03(日) 04:11:25 ID:pzmc7H8y
誰かに強制されるのではなく、ティータは自らペニスを咥えこんでいる。喉に先端が当たるほど深々とスロートを
繰り返し、込み上げる吐き気を堪えては舌を動かした。
嘔吐を我慢しているせいか、唾液はいつの間にかさらさらとしたものから股間から溢れだす蜜のように粘っこいものへと
変化していた。口の端からそれを垂らしながら肉棒になすりつけ、さらにねちっこいフェラチオを続ける。
歯の裏側で亀頭部分を軽く擦る。開いている手で玉袋から内股までを撫でまわす。一旦ペニスから口を離し、軽く
しごいてからまた先端を吸う。
「あ……んふっ……」
長時間の口唇奉仕は、いつしか少女に飢えをもたらしていた。肌が火照っていく。まだ何もされていないのに、恥ずかしい
部分に電流が流れ始める。湧きだす疼きを持て余し、少女は身体をもじもじとくねらせた。その足首を掴まれる。
「ひゃ、あふぅっ!?」
ベッドの上で仰向けに横たわるダイスダーグに対し、ティータは横向きで寝そべるように奉仕していたから、彼が身体を
捻るだけで蜜が垂れ恥毛を濡らす股間は晒されてしまう。
「私の上に乗れ」
短く命令され、否応なく身体の位置を動かされる。自ら馬乗りになって恥部を晒すような姿勢に、今さらながらティータに
羞恥がこみ上げてきた。その恥ずかしさを忘れるように、ペニスを咥えこんだ口を激しく動かす。
だが少女のそんな防衛など無視して、すぐに開き蜜を垂らす花弁に舌が入り込んでくる。
「やっ……!」
その激しい刺激に、ティータは思わず肉棒から唇を離し叫んだ。
ダイスダーグの舌は、まずは滴るほどに溢れるティータの体液を隅々までこそげとっていた。細かい襞の一つ一つにまで
舌を這わせ、ざらざらした舌腹でクリトリスから膣口に至るまで刺激し、尖らせた舌でまだ幼いクリトリスをノックする。
既にぷくりと膨れ、半ば包皮が外れかかっていた少女の突起は、背中から脳天まで痺れてしまうようなきつい快感を
もたらす。
「ひっ……うくっ……あう、あん、やぁぁぁぁぁっ!」
早くもエクスタシーが近い事を知らせてくるクリトリスからの信号に、ティータは首を振って拒んだ。甘い電流を
忘れようとするかのように、目の前のペニスにかぶりつく。
負けじと粘っこい唾液をペニスに落とし、口の中で裏筋に沿うように舌を動かした。時には先端の尿道口に尖らせた舌先を
滑らせてみたりして、きつく刺激してやる。
「――っ!」
それはまるでシーソーゲームだった。ティータが痙攣させられればそのお返しのようにペニスへの愛撫が強くなり、
ダイスダーグも低いうなりを上げるたびに秘裂への攻撃を激しいものにする。
そうした繰り返しはしばらく続き、やがて我慢の限界に達したのか男が少女の長い髪を引っ張って、ようやく
その遊戯は終了になった。
413誰がために鐘は鳴る・後編6:2010/10/03(日) 04:14:01 ID:pzmc7H8y
「あ……はっ……。気持ち良かったですか、兄さん……」
ダイスダーグは沈黙したままだったが、先走りの汁を大量に分泌するペニスが、彼の代わりに答えを教えてくれる。
ティータは精液の匂いのする透明の液を指ですくい取って舐め、くすりと笑った。
「うれしい……。ね、ダイスダーグ兄さん、私もう我慢できません……。その、しても、いいですか?」
ダイスダーグの耳元で囁くと、少女はその身体にのしかかっていった。唾液でべたべた粘つく先端を、自らの
スリットと重ねる。場所を確認するように指ではまり込んだ部分に触れると、そのまま腰を沈めていく。だが、
ティータの入口はひどく小さく、さらに愛液と唾液でぐちゃぐちゃになっているため、すぐには入らない。
「あっ……。やん、あぁ!」
入れようと苦心してるうち、何度かペニスの先端がクリトリスの上を滑った。ティータはその度に腰を浮かせ、
甘い悲鳴を上げてしまう。そのもどかしさに耐えかねたのか、ダイスダーグはティータの腰を掴み導いてくる。ずくっ、
と入口が押し広げられる感触がして、一気にペニスは少女の胎内へと飲み込まれていく。
粘つく襞は待ちかねた侵入者の登場に嬉しげにはねた。
ぴったりと重なった瞬間、二人の口から同時に呻きが漏れる。男は純粋な快楽のため、そして少女は媚態と絶望のためだ。
ティータは込み上げる嫌悪に蓋をして、ダイスダーグの肩を抱きしめ、身体を密着させる。
「……ふぅ、あ……やあっ、あっ、あん!」
身体を倒した態勢での騎乗位を取ったティータは、まるで激しく泣くようにくなくなと肢体をくねらせる。足の指に
力を入れ、ダイスダーグを思い切り締めつける。すると自分を犯す異物はますますその存在感を増して、ティータにも
ダイスダーグにも快楽をもたらすのだ。
「ひっ、あぁっ、あぅ、あ、ああぁぁっ!」
身体を密着させているせいか、勃起したクリトリスは自分の身体とペニスの間で潰されていた。その小さなペニスは
ティータが腰を動かすたびに男の陰毛によって擦られ、身体は燃えるように熱くなっていく。
「にいさ……すごく、気持ちい……、兄さん、兄さん」
繰り返しダイスダーグを呼びながらキスをねだる。舌を絡ませ、口の中に入ってくる自分の粘液――先ほどの
クンニリングスの残滓だ――の匂いに吐きそうになりながら、それでもティータは恍惚の表情を崩さなかった。
リズミカルな律動によって産み出される激しい快楽。自分が本当は喜んでいるのかそれとも嫌悪しているのか、
わからなくなってくる。どちらを望んでいるのかもわからなくなってくる。
(ダイスダーグ兄さんが好き。こんな私を可愛がってくれるこの人が大好き。兄さんを好きにならなきゃ私の居場所は
ないんだもの。ちゃんとしなきゃまた娼館に売り飛ばされちゃうもの。だから好き、好き、好き好き好き、大好き)
だがすぐに、この一年間ずっと育ててきた憎悪が頭をもたげてくる。
(ダイスダーグ兄さんなんて大嫌い。私をこんな目に合わせるこの人が大嫌い。私が一体何をしたと言うの?価値が
無いならひどい目に遭うのも当然だと言うの?憎い憎い憎い悔しい。兄さんなんて今すぐいなくなればいい。
なんで、どうして私だけが――)
ティータは二つに心を引き裂かれながらも悶え続ける。度重なる虐待によって傷つき、捩れた心は歪んだ快楽を
少女に与え、それによって思考をバラバラに崩された。
ダイスダーグに抱かれている時はいつもそうだ。嫌いでいたいのに、憎みたいのに彼から与えられる悦びが邪魔をする。
抗えない肉体に泣きながら歯噛みしてしまう。
そして、今も。
「あう、きゃう、あ、だめ……もう、や、いきそう、いくッ……!」
絶頂の予感に導かれるまま激しく腰を動かしていたティータは、もっと気持ち良くなりたいと無意識のうちに股間に
手をやった。恥も外聞もなく、膨れ切った小さな真珠を自らの手で捻り潰す。たちまち脳天まで痺れるような電流が
身体を支配し、肉棒を咥えこんだ襞も大きく収縮した。
414誰がために鐘は鳴る・後編7:2010/10/03(日) 04:15:28 ID:pzmc7H8y
ティータは大きな絶頂に達し、身体を弛緩させ恍惚に浸っていた。ダイスダーグは少女の身体を腕で支え、
強引に起き上がらせる。まだ快楽の余韻を引きずる少女を、下から大きく突き上げた。
「ああっ!」
もう身体に力が入らないティータは、がくりと腰を折って再び男の身体の上に倒れようとする。ダイスダーグの
乳房を掴む手が、それを阻止してきた。
「ほら」
まだ硬く発達途上の乳房を揉みほぐし、下から少女の胎内を掻き回しながらダイスダーグは促す。
「全部任せてくれと言ったのはお前であろう?だったら、最後までちゃんとするんだ」
「は、はい……あっうぁっ!」
息をつく暇もなく激しい上下運動を受け、少女は大きくのけぞる。
「やっ、ああ、気持ち良い、気持ち良いの、兄さんのおちんちん大好き、だめ、わたし」
既に頭を薄桃色の靄に支配されているティータは、恥ずかしげもなく淫らな言葉を口走った。身体の求めるままに
再び腰を動かし、膣内で最も感じる場所へと導いていく。
ティータとダイスダーグは恋人同士のようにぴったりと呼吸を合わせ、快楽を二つに分けあう。獣のように貪り続ける。
「あう、あう!……ああ、や、落ちちゃう、またいきそうなの、やだぁっ!」
ダイスダーグの大きな手は形が変わるほど乳房を握りしめ、乳首をきゅっと捻り上げてきた。普段なら痛いだけであろう
愛撫も、今のティータにとっては快楽を煽る道具にしかならない。
「気持ちいい、おっぱいもあそこも……みんないい気持ちなの、ああッ、また落ちちゃう」
ティータの清楚な顔は真っ赤にほてり、連続して襲ってくる小さなエクスタシーに華奢な身体を震わせていた。
それはまさに、言葉通りの堕ちる快楽。ダイスダーグに対する嫌悪も憎悪も全て消え去り、今の少女は絶頂しか望んでいない。
(私はもうこの人の僕でいい。この人に精液を出させることしか利用価値の無い人間でいい。
だってこんなに気持ちいいんだもの)
何もかもを捨ててしまいたくなる心の中で、誰かが笑っている。自分を抱きしめてくる優しい腕。
「いい子でいろよ」と囁きかけてくる声。
(ディリータ兄さん……?)
しかしその面影も、子宮を突き上げてくる肉茎の刺激によって消失してしまった。その律動はさっきよりも早くなり、
射精が近づいている事に気付く。すぐにティータもダイスダーグの動きに合わせ、共に昇りつめようと腰をくねらす。
濃密な蜜を吐き出し続け充血しきった花弁は、熱く濡れた絹のようにペニスにぴったりと張りつき収縮した。
「ああ、いや、いやいやいや、いっちゃう、ねえ、だめッ!」
少女が昇りつめるのと同時に射精が始まる。
子宮口にはまり込んだペニスからのおぞましい迸流に、一瞬少女の身体がすくむ。しかしそれも圧倒的な性感によって
押し流され、ティータは何度も「兄さん」と叫びながら、気絶するほどの高みにまで押し上げられていった。
415誰がために鐘は鳴る・後編8:2010/10/03(日) 04:23:52 ID:pzmc7H8y
その日は、昼間から鐘が鳴った。
ティータは前回と同じように笑顔を振りまきダイスダーグのどんな要求にも嫌な顔一つせずに応え、そして
思惑通りに絶頂を強いられていた。
男の筋張った肩越しに見える窓からは、紫色の雲が空を覆い隠しているのが見える。雷も鳴っていて、今にも
雨が降りそうだ。
この所、ダイスダーグが自分を呼び出す回数は目に見えて増えていた。馬鹿の一つ覚えのように「兄さん、大好き」と
喘ぎながら、ティータはその理由を考えている。
あの思い出したくもない凌辱の後から、自分が心から慕っているふりをしているせいだろうか。それとも、
北天騎士団に所属するディリータが時折イグーロスに顔を出すようになり、義兄は兄の顔を見ながら歪んだ優越感に
でも浸っているのだろうか。どちらにしろ大同小異だ。
(私には関係の無い事だもの。これしか価値の無い私には)
その時ダイスダーグは射精のためのラストスパートを始め、ティータの思考はそこで遮断された。

性行為が終わった後も、ティータの屈辱は終わらない。
世界で最も憎むべき男に、裸のまま甘え何度もキスをねだらねばならないのだ。ある意味では、犯されるよりもっと
苦痛な時間。
あの日、娼館に売られ見ず知らずの男達から暴行を受けたティータが、ダイスダーグに媚びた理由。それは単純な算数だ。
かたや見ず知らずの15人の男。もう片方は憎んでいるとはいえたった一人の義兄。計算するまでもなく、どんな恥辱を
受けようが一人の方が楽に決まっている。だからティータは、もうあんな凌辱はごめんだと必死で縋りついた。
だがこうして呼び出し回数が増え、さらにこんな時間まで強制される事を考えると、あの時の自分の選択が正しかった
のかどうかすら、良くわからなくなってくる。
ただ一つだけわかっているのは、自分は何があろうと、ディリータを守らなければならない事。
だからティータはダイスダーグを慕うふりをし続ける。心の中でずっと渦巻く、憎悪と嫌悪に蓋をして。
ようやく服を身につける事を許され、ティータは安堵を顔に出さないようにながら脱ぎ散らかされた下着に手を伸ばす。
はやる気持ちを抑え、名残惜しそうな態度を崩さないように注意深く。
「ティータ」
名前を呼ばれるだけで手に汗が滲む。ティータは消え入りそうな声で「何でしょう、兄さん」と返事をした。
「……お前は、変わったな」
手が伸びてきて、髪を撫でられる。
(嫌だ)
反射的に身体が硬くなった。ティータは激しい暴行を受けるより、優しく触れられる方がずっと嫌だった。ただ犯されて
いるだけなら、憎むだけでやり過ごせる。襲いかかる快楽に身を任せれば全てを忘れてしまえる。でも、愛し合う
恋人同士のように遇されるのは、もっと心を抓まれていくような気がしてしょうがないのだ。
触れられた髪を今すぐ切り落としたい気持ちと戦いながら、ティータはそれでもじっと耐えていた。髪を梳く指が
下に降りて来て、首輪を引っ張ってくる。
喉を締め付けられる息苦しさに、ティータは小さな咳で応えた。
「きついのか?」
「はい。少し」
「そうか、わかった」
416誰がために鐘は鳴る・後編9:2010/10/03(日) 04:26:26 ID:pzmc7H8y
ダイスダーグは、ティータも予想していなかった行動に出た。首輪を掴んでいた指が留め具に移動し、少女の首を
絞めつけていた革紐の先端を引く。そして、カチャリと小さな金属音と共に、この一年少女を縛り続けていた首輪は
あっさりと外された。
一年ぶりに外気に触れた首は、少し痒い。
「に、兄さん……?」
思わず、期待で声が上ずってしまう。もしかしたら、義兄はこちらの殊勝な態度に胸打たれ、自分を解放
してくれる気になったのだろうか。だとしたらどんなに楽になれるだろう。そうだ、自由になったらその足で
兄の元に向かってもいい。もう自分達兄妹に、ベオルブの庇護など必要ない。兄の追っていると言う骸旅団など
取るに足らぬ事だ。自分達は両親が耕していたあの小さな畑に戻り、そこで二人静かに穏やかに暮らせばいい……。
たった一瞬で、ティータはディリータと作りあげる麦畑や見事に実った麦穂まで夢想してしまう。
しかしすぐ傍の抽斗を探っていた義兄が取り出したのは、これまで嵌めていたものとそっくりな、家畜用の
首輪だった。
「……」
ティータは無言で唇を噛む。やっと自分を縛りつけていたものから自由になれたと思ったのに。もう
こんな惨めさを味わう事も無くなると期待してしまったのに。
自分はこの牢獄から、まだまだ解放されないらしい。
もう笑顔を作る事も出来ない少女は、憑かれたように数メートル先のドアを見つめている。
(逃げたい。今ならまだ逃げられる。あの首輪を着けてしまったら、明日も明後日もその次もずっとずっと
同じ生活。学校でも家でもいじめられて、誰にも打ち明けられなくて。逃げたい、逃げたい、逃げたい。
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい――)
首輪を持ったダイスダーグの手が近づく。ティータは浮立つ踵を必死で堪えている。
その時だった。
玄関で悲鳴が聞こえ、屋敷の中をどたどたと踏み荒らす複数の足音が聞こえる。ダイスダーグは
ティータの首に触れていた手を離し、そしてティータも身体を強張らせた。
「なっ……!?これはどういう事ですか、兄さん……?」
「やはり、な。予想はしていたが……。下がっていろ」
抜刀したダイスダーグは、乱暴にティータを押しのける。物々しい怒声と足音は、真っ直ぐにこちらに
向かって駆け上がって来るようだ。けれどもティータは、ダイスダーグの肩越しに見えるドアから
まだ目が離せない。
首輪を嵌められていない首にそっと触れる。一年ぶりに触れる素肌は、こちらに決断を迫るかのように
疼いていた。
(そうだ、まだ間に合う。今ならここから逃げ出せる。この、誰かが襲ってきた今なら、混乱に乗じて――)
その、襲撃してきた賊に襲われるかもしれないと言う可能性すら、今の少女は殆ど忘れかけていた。
ベッドから立ち上がる。一歩踏み出すともう止まらなかった。ティータは剣を手にドアを見つめる
ダイスダーグの背を押しのけ、自由に向かって走り出す。
「ティータ?どこに行くのだ。下がっていろと言ったはずだが……?」
肩を掴んでくる手を乱暴に払いのける。もう少女の目には、牢獄からの出口しか映っていない。
ただの樫のドアだと言うのに、それはこの上なく光り輝いて見える。
(ああ、もう私は逃げられる。逃げてやる。もうこんな所はうんざり。兄さんと私、二人で静かに、
幸せに暮らすの)
ほんの一瞬で、自由へと続く扉の前まで来た。あと三歩。二歩。一歩。
(兄さん、兄さん。待っててね、すぐに行くから)
417誰がために鐘は鳴る・後編10:2010/10/03(日) 04:29:35 ID:pzmc7H8y
「――っ」
真夜中、少女は自分をきつく拘束する縄の痛みで目を覚ました。
性交目的の拘束には慣れていたが、ただ自由を奪うだけの縄は苦痛だけをティータにもたらす。おまけに
転がされているのは粗末な土の床で、傍には見張りの目まであるのだ。眠りが浅くなるのは当然だった。
ベオルブ邸を襲撃した骸旅団に拉致されたティータが気がついた時には、もうこの部屋に運び込まれ風車小屋の
粉挽き機に縛りつけられていた。彼らは意識を取り戻した自分に殆ど注意を払う事もせず、緊迫した様子で動き回っていた。
彼らの口から漏れる「人質」「ベオルブの令嬢」と言う単語。
どうやら、骸旅団は自分をベオルブ家の娘だと思っているらしかった。
(違うのに)
猿轡を噛まされ、何も喋れないティータは俯く角度を更に深くした。瞼を下ろし、いつものように
兄の面影を浮かべる。
(ディリータ兄さん……)
もう、自分が誘拐された事を兄は知っているのだろうか。エルムドア侯爵を救助した兄は、今度は骸旅団の
殲滅作戦に参加すると言っていた。きっと今頃はそれも成功させ、イグーロスに戻っているのだろう。
そして……。
(最低だな、わたし。いい子でいたかったのに、兄さんに心配をかけてしまうなんて)
骸旅団が襲ってきたあの時、ティータは自由への渇望を抑えきれなかった。価値の無いものとして虐げられ
続ける事にどうにも我慢できなかった。
もしあの時、もう少しだけ辛抱していれば、兄に心労をかける事も無かったのに。
ああ、本当にディリータは今どうしているだろう。眠れているのだろうか。無理はしていないだろうか。
自分を取り戻そうと、危ない目に遭っていないだろうか。もしそうなったらどうしよう。兄が、誰より大好きな人が
死んでしまったらどうしよう。次々に溢れだす不安は出口を求め、目の縁までたどり着く。
「う……」
ぽろぽろと涙が零れてきて、ティータは口の中に突っ込まれた布切れを噛みしめた。
「……うるせえな。泣いたって助けは来ないんだ。黙って寝てろ」
ティータの泣き声に気付いたのか、見張りの見習い剣士が眠たげな声を上げた。それに頷き、音を立てない
ように何度も鼻を啜る。
(ああ、いっそあの時、骸旅団の凶刃に倒れてしまえばよかった。そうすれば兄さんは悲しみこそすれ、
危険な目に遭う事も無いはず。それなのに――)
まだ涙が滲む瞼の裏に、憎んでも憎みきれないダイスダーグの顔が浮かぶ。
あの、数日前の突然の襲撃。ティータは誘拐されたが、怪我ひとつ負わなかった。それはダイスダーグが
とっさに庇ってくれたからだった。
そう、あの時。ティータが逃げ出そうとした瞬間、運悪く骸旅団の剣士が部屋までたどり着いてしまったのだ。
いきなり開かれたドアに吹き飛ばされ、倒れ込む自分に銀色の光が襲ってくる。放物線を描いて振り下ろされる刃。
だが、ティータがその一撃で死ぬ事はなかった。その代わりのように、頬に生温かい雫が降って来る。
その独特の生臭さで、すぐに血だとわかった。
「ダイスダーグ兄さんッ!」
ダイスダーグは深手を負いながらも部屋に入ってきた賊を始末し、そしてティータに「逃げろ」と指示してきた。
そして屋敷の中を逃げる最中、骸旅団に捕まったのだ。
どうしてあの男は、こんな自分など庇ったのだろう。もしあの時殺されていれば、兄を悲しませる事には
なっただろうが、少なくとも危険な目に遭わせる事も無かったのに。
(本当に、どこまで私の意志を無視すれば気が済むんだろう……)
ティータは脳裏の義兄に、ありったけの呪詛を投げつける。
(でも)
そこからは口に出して呟いた。もっとも、喉から漏れるのはくぐもった呻きだけだったが、それでも
ティータは疑問を声に出さずにはいられなかった。
「どうして兄さんは、私を助けたの?私なんて、何の価値も無いはずなのに」
418誰がために鐘は鳴る・後編11:2010/10/03(日) 04:32:07 ID:pzmc7H8y
数日後。
未だ骸旅団に拘束され続けているティータは、逃げる彼らと共にアジトを転々としていた。場所を移動するたびに
人数は徐々に減っていき、そしてジークデン砦にたどり着いた今は、ゴラグロスと言う名の騎士が一人いるだけ
となっている。
彼はティータを床の上に投げ捨てると、砦に備蓄されている火薬の山に向かう。ゴラグロスの注意がこちらに
向かないように苦心しながら、少女は体勢を立て直した。
(ここが、私の最後の場所になるのかな)
砦の内部をぐるりと見回す。しばらく使われていなかったらしく、かび臭く埃っぽい。
骸旅団の頭目であるウィ―グラフがゴラグロスと口論をしていた時には俄かに湧いてきた希望――それは、解放
された自分と強くなった兄が、数々の危険を乗り越え再びめぐり会うと言う少女じみた夢物語――も、
今では綺麗さっぱり失っている。
あの兄達が、北天騎士団の面子を潰し盗賊集団に屈してまで自分を助けるとはとても思えない。ましてや
自分はベオルブの人間でもなく、何の身分も持たないのだ。だから、今必死で生き延びようとしてるこの騎士も、
自分と言う切り札に意味がないのに助かるはずがない。おそらく、自分もこの騎士も骸旅団の頭目の
ウィ―グラフという男も、あと数日も生きられないだろう。
骸旅団とは違う形とはいえ、『持たざる者』故の辛酸を散々舐めてきたティータにとって、それは確信に近かった。
「――ああ、クソッ!畜生、ウィ―グラフが、あの革命バカが……」
彼はかつての上司への悪態を繰り返しながら、火薬の準備を整えている。少女はすっかり緩くなっていた
猿轡を吐き捨てると、その背に声をかけた。
「無駄だと思いますよ、そんな事をしても」
まさか自分が喋るとは思っていなかったのだろう、ボロボロのマントに覆われた背がびくりと反応する。
「どういう意味だ?」
「騎士さんも私も、もうおしまいって意味です。ダイスダーグ兄さんもザルバッグ兄さんも、あなた達
骸旅団の脅しに屈するとは思えませんから」
ゴラグロスの血走った目がギロリと動く。淡々とティータは続けた。
「それに、あなた達は私の事をベオルブ家の令嬢と勘違いしてるみたいだけど、私だってあなた達と同じ。
何の身分も持たない、価値も無い人間だもの。ダイスダーグ兄さんやザルバッグ兄さんではなく、私を
誘拐した時点で騎士さんが助からない事は決定していたと思います」
言い終わった瞬間、頬に衝撃が走った。追い詰められた男の平手が飛んできたのだ。少女は石床に倒れ込んだまま、
それでも表情を変えなかった。
「……だから、もう私を楽にして下さい」
「貴様は、さっきから何を言っている?貴様が何者だろうと、ベオルブの関係者には変わりないだろう。
こちらは貴様を解放する気はない」
「違うの」
手が使えないティータは、ゴラグロスが腰に差している剣を顎でしゃくる。
「その剣で、今のうちに殺して欲しいんです。兄さんはきっと、私を助けにやって来るわ。その目の前で
私が殺されたら、兄さんはどれほどショックを受けると思いますか?どんなに悲しむでしょう。私、
兄さんにだけは心配をかけたくない。どうせ悲しむなら、少しでもそれを少なくしてあげたいの」
再び少女の頬で小気味いい音が鳴った。両方の頬を打たれたティータは口を噤み、諦めたように目を閉じる。
「うるさいッ!オレは生きるんだ!どうやってでも逃げ延びてやる」
ゴラグロスの足音が遠ざかる。
やがて、ティータの耳にチョコボの足が立てる地響きが届いた。
目を開けるまでもなくわかる。兄と、北天騎士団の到着だ。ティータの目尻から、一筋涙が落ちていった。
419誰がために鐘は鳴る・後編12:2010/10/03(日) 04:33:57 ID:pzmc7H8y
痛い。
寒い。
痛い寒い痛い寒い痛い寒い痛い寒い。矢で貫かれた腹から、温かな血がぼたぼたと落ちていく。
下から兄の叫び声が聞こえる。兄の友人だった人の高笑いも。
剣のぶつかり合う音が聞こえる。自分が射られゴラグロスも殺され、これで何もかも解決したと言うのに、
どうして彼らはまだ戦っているのだろう。

砦の外に居たのは予想通り北天騎士団と――そして、兄のディリータの姿もそこにはあった。
「兄さん、ディリータ兄さんッ!」
そのやつれきった顔に「どうして来たの」とは言えなかったから、その代わり力の限り兄の名を叫ぶ。
(お願い、兄さん。私の事なんか見捨てて、早くここから立ち去って。じゃなきゃ、私がこれまで我を続けてきた
意味が無くなってしまう。兄さんを守りたくて、傷つけたくなかったから、ずっとずっと耐えてきたのに。
私が死ぬ所なんか見ちゃだめなのに)
だが、兄がこの最後の願いに気付くはずも無かった。
「ティータッ!」
兄も自分と同じくらい泣きそうな顔をして叫び返す。
(兄さん、兄さん)
「さあ、早く退けよッ!吹き飛ばされたくなかったらな!」
ゴラグロスが今一度ティータの髪を引き絞り、盾にするように前に押し出す。
砦を挟んで向かい合っているザルバッグが、近くにいた兄の友人に号令をかける。今まで本当の家族の
ように接してくれたザルバッグが、初めてこちらから目をそらすのをティータはぼんやりと眺めていた。
そして――、
「……!」
声も出なかった。
全身から力が抜けていく。膝が折れ、ゴラグロスの腕から身体が滑り落ちるのがわかった。横たわった頬に、
雪で凍えた橋が冷たい。けれども射られた腹部だけは焼けるように熱く、流れ出す血のぬくもりを感じる。
「ディ……リータ、にいさ……」
射られた瞬間、ザルバッグがまるで謝るように顔を背けたのも、自分を撃ち抜いたのが兄の友人だったはずの
アルガスと言う少年であった事も、もっと言ってしまえば自分の生命すらも今のティータにはどうでも良かった。
ただ、自分の懸念通り兄にショックを与えてしまった事だけを、少女は後悔していた。
「アルガス、良くもティータを……!殺してやる、殺してやるッ」
(だめ、だめよ兄さん。価値の無い私とは違って、兄さんは、兄さんにだけは幸せでいて欲しかったのに。
そのためなら、どうなっても構わなかったのに。それなのに、兄さんが泣いてるだなんて)
ティータは「だ……め……」と憤怒も露わに戦い続ける兄に手を伸ばす。だがそこで腹に突き刺さった矢が、
主張を存在するかのように激痛をもたらした。
白い空から次々と舞い落ちる白い雪。その中で、ティータの意識も白く塗り潰されていった。
420誰がために鐘は鳴る・後編13:2010/10/03(日) 04:35:27 ID:pzmc7H8y
凄まじい爆音。火薬の匂いと湿った木片が燻される黒い煙が、喉を突き刺す。
ティータは全身を襲う衝撃で目を覚ました。すぐに腹部の激痛も蘇り、少女は寝返りを打ちながら呻く。
(わたし、まだ生きてるんだ)
薄目を開ける。その目は、すぐに限界まで見開かれた。
「兄さん」
目の前でディリータが倒れていた。落下した砦の破片がぶつかったらしく、額が割れ血を流している。
揺さぶってみるが、意識がないのか何の反応も示さない。
ティータは痛む腹部を押さえながら、兄の胸元まで頭を移動させ耳を押し当てた。鎧越しだから聞き取り辛いが、
確かに心臓が脈打つ音が聞こえる。
(生きてる?兄さんは、まだ生きている)
少女はますますひどくなる矢の痛みに耐えながら、素早く作業に取り掛かった。血を流す兄の額を何度も何度も拭い、
ハンカチで縛る。ぐったりしたままの肩を抱きしめ、身体中を使ってディリータの上に覆い被さった。これまでのように
兄を守り続けるために。これ以上傷つかないように。
ディリータを救うために自分が盾になる、それだけなのに全身から脂汗が噴き出す。火薬による黒煙は肺を直撃し、
咳が止まらない。咳き込む度、口の中に血の味が滲む。未だに突き刺さったままの矢は掻き回すような激痛をもたらし、
気を抜くと兄から手を離してしまいそうだ。
(苦しい。苦しい。でも)
自分の血と兄の血が混じりあい、手がぬるぬると滑る。それでもティータはディリータの肩を抱き、その手を
離そうとはしなかった。
火の粉は雪のように次々と降り、少女の長い髪を焦がす。木片がティータの背中を直撃し、少女はかすかに喘いだ。
そしてすぐに大きな爆発。今までで最も大きなその爆発によって砦は完全に崩壊し、そこにかかる橋も燃え、崩れ落ちていく。
ティータの意識は既にない。けれどもその小さな手はまだ兄を掴んでいた。やがて少女の心臓がその機能を停止し、
砦の全てが燃え尽きてもなお、その指は兄を守るために折り曲げられたままであった。
421誰がために鐘は鳴る・後編14:2010/10/03(日) 04:38:09 ID:pzmc7H8y
ガラン……ガラン……カラン……。
鐘の音に、アルマは泣き腫らした顔を上げる。
荘厳で美しい音色を響かせる教会の鐘は、父バルバネス崩御の際ベオルブ家が教会に寄贈したものだ。
数日前までは雪が降りそうに寒かったのに、今日のイグーロスは雲一つない晴天。葬儀にはこの上なく
不釣り合いな小春日和だった。
今、墓の並ぶこの丘では、ディリータとティータの葬儀が遺体もないまま行われようとしている。神父は
真新しい二つの墓石の前で、最後の祈りを捧げていた。
「……大いなる父の祝福を受け、汝の肉体は大地へ戻らん。願わくば聖アジョラの御加護によりディリータ・ハイラル、
ティータ・ハイラルの魂を至福の地へ導きたまえ……、ファーラム……」
「……ファーラム」
黒い服を着た人々の行列から一人外れたアルマは、祈りの言葉を口にする事も出来ない。ハンカチを顔に当て、
ずっと嗚咽を漏らし続けている。
「ティータ……、ディリータ……」
やっと、ティータが笑顔を取り戻してくれたのに。ディリータも、兄のラムザとずっと一緒に戦ってくれると
信じていたのに。なのに、その二人はもうどこにもいない。
「ラムザ兄さん……」
そして兄のラムザも、ジークデンでの戦いを最後に行方知れずとなっていた。自分の元に届いた手紙には、
ティータを殺す命令を下したのは次兄のザルバッグである事、ティータもディリータも生きている可能性は極めて低い事、
これからはベオルブの名を棄てて生きていきたい事などが淡々と綴られていた。そして最後には「どうか心配しないで
欲しい」と結びの文があり、アルマは「心配するなだなんて、無理に決まってるじゃない」と手紙を抱きしめて号泣した。
(なんで?どうして、こんな事になってしまったの?)
たった数週間前まで、アルマは自分の幸せを疑った事もなかった。誰より大切な兄は騎士としての一歩を踏み出し、
その傍にはずっと一緒に育った親友もいていつも兄をサポートしてくれる。親友のティータも少々引っ込み思案だが
優しい子で、兄のいない寂しさもティータと喋っていれば忘れる事が出来た。生まれた家はガリオンヌ領でも
指折りの名家で、骸旅団の戦士達のように飢える心配もなければ明日を不安に思う事もない。
けれどもその幸福は脆くも崩れ去り、アルマだけが一人取り残されてしまった。
葬儀が終わる。長兄のダイスダーグは、最後まで無表情を変えないままその場を立ち去る。次兄のザルバッグ――ラムザ
からの手紙を受け取った時、アルマは当然彼に猛抗議した。しかしザルバッグは「仕方なかった」の一点張りで、
ついぞティータに対する謝罪の言葉一つ得る事は出来なかった――は墓石の前で放心したように座り込むアルマの肩を叩き、
「アルマ、わかってくれるな?……これも、ベオルブのためだ」
とだけ言い残してハイラル兄妹の墓から踵を返した。
「そんなのわかるわけない。何がベオルブのため?平民だからって、骸旅団に屈する訳にはいかないからって、
ティータを見殺しにするのが正しいやり方だって兄さん達は言うの!?う……う、ううっ、う……」
誰もいなくなった墓地で、アルマは声を上げて泣いた。このところずっと崩壊している涙腺は、ぬるい水滴を次々と頬へと落としていく。
「ティータ、ディリータ、ラムザ兄さん……!」
ガラン……ガラン……カラン……。
どのくらい泣いていたのだろうか。アルマは今日何度目かの鐘の音に気付いて顔を上げる。
青銅に金メッキを施した巨大な鐘は、澄んだ音をアルマのいる墓地まで届ける。荘厳で美しく、でもどこか悲しげな調べ。

ティータのために鳴らされた、鎮魂の鐘だった。


おしまい
422名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 04:39:07 ID:pzmc7H8y
予想以上に長くなってしまい、9月中に間に合わなかった。申し訳ない
読んでくれた人ありがとう。そしてお疲れ様でした
423名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 09:47:40 ID:+1T5qans
まさか本編につながるとは思わなかった・・・w

とても読み応えがあってえろえろでしたよー!
大作、お疲れ様でした!
424名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 01:17:57 ID:FxwvhJ8c
>>407-422
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
大作お疲れまでした。読み応えありで楽しかったです!
ダイスダーグ×ティータ、ダークで萌えましたw
425名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 01:12:23 ID:onV1Lxq5
きれいに繋げたなあ。すげー良かった。おつかれ様です。
426名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 21:26:09 ID:HaQHgyT/
クックック……食い込み天使……
427名無しさん@ピンキー
クックック・・・黒マテリア・・・