ヤンデレの小説を書こう!Part23

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1名無しさん@ピンキー
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part22
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1233930672/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
 ・版権モノは専用スレでお願いします。
 ・男のヤンデレは基本的にNGです。
2名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 13:04:14 ID:wj6uVLMd
3名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 13:47:26 ID:ZRm8lZ+i
乙なんだよー
4名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 15:01:01 ID:33rM7fKH
俺が言えた事じゃないけどありゃひどいな
5名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 15:37:50 ID:KoIhy3VO
ゆっくりしていってね系の小説でヤンデレを発見した
http://thewaterducts.sakura.ne.jp/cgi-bin/up/src/fuku5451.txt
6名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 15:48:58 ID:tACtr6W8
産廃のアドレスをそこかしこに貼って良いのか?
7名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:26:17 ID:phtDnAxw
>>5
これなんていうスレの?
8名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:28:55 ID:KoIhy3VO
>>7
ゆっくり虐待スレの
9名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:41:00 ID:9f+kaOrH
複乳板からきましたー

?符「東方シリーズ総合スレッド 5684/5684」
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/gsaloon/1238563765/647
10名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:45:44 ID:v6m1U/fY
>651/654:ゲーム好き名無しさん[sage]
>2009/04/01(水) 21:41:34 ID:75QOSvne0(21)
>いや保管庫やめてからもう見て無かったよ!!
>datだけ取得してたよ!!

前保管庫の管理人さんか?w
11名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 21:53:49 ID:tACtr6W8
東方ジャンルの本スレはネタとその場のノリで形成されているぜ
真に受けると色々と損するのでスルーしましょうぜぜぜ

ところで前の保管庫の連絡先アドレスまだ生きてるんだよな
amazonの個人情報漏洩の時に見てみたら(ry
12名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:36:47 ID:QV07k5q2
そういや東方=複乳ってなんで?
東方で複乳が関係あるもの見たことないんだけど
13名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:40:15 ID:yyCG9Diq
情報漏洩と言うチャンスによだれを垂らすヤンデレか…

14名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:34:44 ID:H1NoYvxK
なんか最近ヤンデレを勘違いしてる輩が多いな。schooldaysとSHUFFLE!を見直してこい

そりゃそうと>>1乙です!
15名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:49:02 ID:U2xC924Z
>>1 乙!
16茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/02(木) 02:24:58 ID:uJ2Lhw3o
>>1乙です。
早速上げさせてくれ。
傾向としてはヤンデレ、若干ツン、敬語、委員長…ってとこかな。
17茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/02(木) 02:27:15 ID:uJ2Lhw3o
すまんまだ古い方あったんだな…!
あっちであげてくるよ。
迷惑かけてごめん。
18名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 02:30:24 ID:HyMlkYc8
もう行っちゃったかもしれんが下手すると容量オーバーになるぞ
19茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/02(木) 02:33:21 ID:uJ2Lhw3o
>>18
ごめん詳しく教えてくれないか?
文字数のことだろうか。
20名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 02:39:14 ID:HyMlkYc8
その通り
専ブラや携帯で見れば前スレ今494KBなのが分かるけど
1スレあたりのMAXが500KBだからそこそこの長さのSSだと途中で投下出来なくなるぞ
21茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/02(木) 02:44:20 ID:uJ2Lhw3o
丁寧に教えてくれて本当に有難う、確かにそうだよな。
携帯メールで四千文字近かったからあっちが終わるの待った方が良いかもしれないな。
22名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 02:48:12 ID:HyMlkYc8
待つ必要ないからここに投下汁
保管庫見れば分かるが半端な容量余った時は後から時間とネタのある人が埋めネタを投下して埋めてる
だから今残ってても気にする必要ないよ
23茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/02(木) 02:57:12 ID:uJ2Lhw3o
うああ本当に丁寧に教えてくれて有難う!
じゃあお言葉に甘えて今から上げるよ。
24プリプリプリンセス 一話:2009/04/02(木) 02:58:53 ID:uJ2Lhw3o

「ごめんね、結婚を前提に付き合ってる人が居るの」
彼女、藤代ひたちはそうのたまわって黒いプリーツを翻し立ち去って行ってしまった。
ガッテム。
分かってる、席が隣だったからって…中学最後の夏休み前だからって…人生甘くない。
因みに俺の中学は私立である程度余裕で持ち上がりに高校に進学する。
その為に夏休みにヒィコラして受験(その代わり小学校には死ぬほどしたがな)は関係無く、みんな楽しく遊べる訳であって。
地元の夏祭りに誘いたいとか…まぁ告白ラッシュが重なるのだ。
それに乗っかって俺は藤代ひたちに告白した一人という訳だ。
惨敗だけど。
25プリプリプリンセス 一話:2009/04/02(木) 03:00:03 ID:uJ2Lhw3o
中学生で結婚を前提になんておかしいコメントは確実に俺を拒否している理由だけに過ぎないだろう…凹むぜ。
ほんのちょっとの勇気程度で世界が変わるのは主に少年漫画の作り話くらいだっていうことも知ってる、だがあの断り方はどうなんだか。
中三であれは無いだろう、あれは。
「…ああ」
夕暮れの教室はベタか、ベタベタ過ぎて失敗したのか。
いや分かってる、あの藤代ひたちは学校が終わればすぐに帰るのは有名だったし。
それでもってそんな藤代を呼び止めて機嫌を損ねた上で告白なんてしたって、なぁ…はははは。
「何を先刻からブツブツと仰有っているのですか?」
「おわっ!?」
俺、口に出ていた?
「…安心して下さい、貴方が失恋する話なんて誰かに申しましても盛り上がりませんので言い触らしたりなんかしませんよ」
26プリプリプリンセス 一話:2009/04/02(木) 03:00:49 ID:uJ2Lhw3o
突然だがこの組には二人の姫が居る。
一人は先程の藤代ひたちだが、もう一人は藤代同様にお姫様のような容姿…からでは全く無く名前からとられたものだ。
天王台姫子。
大層な名前の割に暗いわ何故か敬語だわ、毒舌だわで有名で男子陣には全く人気が無い。
そして真面目な性格や県内有数の進学校(何せ私立中学だ)でトップクラスの成績を誇ることから先生からの覚えもめでたい。
必然的に委員長になってしまうわけである。
今更無いだろと突っ込みだいような分厚い瓶底眼鏡と平行に切りそろえられた髪(つまりはおかっぱだ)は妙な違和感を残して、到底容姿なんぞを誉められないようなナリをしている。
27プリプリプリンセス 一話:2009/04/02(木) 03:01:28 ID:uJ2Lhw3o
要は可愛い姫と可愛くない姫、みたいな比べ方で男子の中では二人が主に委員長…天王台へのからかいを込められてセットで呼ばれている訳だ。
「それに、告白なんてする前に夏休みはそのガタガタな成績を改善させた方が宜しいのでは?」
「うるせーな」
成績は、委員長がオール八割強だとすると俺は理系九割強、文系三割という分かりやすい(そして厄介な)点の取り方をしているのだ。
悪目立ちすることは当然で、担任が日本史なもんだから更に反感を買う原因になる。
努力してない訳じゃない、けど興味が無いものを覚えてくれる頭なんかも持って無いわけで。
28プリプリプリンセス:2009/04/02(木) 03:02:37 ID:uJ2Lhw3o
「更にそういう口の利き方をなさっているから、余計先生に目を付けられてしまうんです」
「…俺の頭ん中、読んでんのかよ?」
流石に成績の下りは口に出てなかった筈だ。
「…貴方の考えることは、理解しようと努力してますから…」
「へ?」
間抜けな声が出てしまった。
「それ、どういう意味?」
続きを待って委員長をジッと見つめると彼女は直ぐに踵を返して捨て台詞を吐いた。
「ッ! 貴方なんかに、彼女が出来る訳が無いです…っ」
29プリプリプリンセス 一話:2009/04/02(木) 03:04:14 ID:uJ2Lhw3o
何だと!?
相変わらず人のメンタルにクる言葉を言うだなんて性格も可愛くない。
これでもフラれた直後だってのに…!
俺が失敗した後で気づくくらい他人に鈍感なのは自分でも分かってるさ。
けど何も真っ赤になって怒ることは無いだろう。
そもそも委員長には関係の無いことだし。
それよりも。
「…はあ、明日どうやって藤代と顔を合わせたら良いんだ!」
席が隣なんだ。
気まずいことこの上ない。
俺は委員長が何故教室に戻って来たのかも、何故あんなに怒ってしまったのかも分からずにトボトボと家路についたのである。
ちくしょう!
明日なんて来なければ良いのに!



つづく
30茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/02(木) 03:05:39 ID:uJ2Lhw3o
まだ病み展開に持ってくにはきっかけとか色々やりたいので長くなる。
こっちにあげられて良かった、有難う。
31名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 03:12:35 ID:HyMlkYc8
なんか健気ないいんちょ可愛いよいいんちょ
俺もこれで寝れるw
32名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 04:04:42 ID:7KDrSpq7
>>30
今後の展開に超期待
33Chains of pain:2009/04/02(木) 04:35:11 ID:K95U9KCO
こういう試みは初めてです。
汚い文ですがよろしくお願いします。


いつも通りの朝……何にも変わらない目覚め。
枕元で騒いでる目覚まし時計を黙らせてあくびをすると、窓の外の風景が目に入る。
今日は雨か……なんかだるいな……
ベッドからでると、慣れた手つきでネクタイを締め、ブレザーを着ると部屋を後にした。
「お兄ちゃーーん! 朝できたよー!」
妹の声だ……朝から良くそんな声が出せると思う。
階段をふらふらしながら降りていくと、一階のリビングで妹が声を掛けた。
「あ、お兄ちゃん、朝ごはん出来たよ。トーストは何枚焼く?」
「……ん? え〜っと、一枚でいいや……」
「了解ぃ! ちょっと待っててね」
なんて朝からテンションが高いのだろう、出来るのならそのテンションを少し分けてもらいたい。
ふと妹に目をやると、妹はトースターとにらめっこをしていた。
そして……
「ん? 何、お兄ちゃん。この可愛い妹にいやらしい目を向けて……」
自分でそれを言うか。
確かに妹は兄である僕から観ても可愛いと思う。
顔はどこをとっても申し分ないくらいに整っているし、身長は少し低いぐらいだが
それに丁度いい感じに体のバランスが取れている。
大きすぎず小さすぎず……けれども身長を考えてやや小さめなところがいい。
綺麗な黒髪はツインでまとめていて、妹の明るさを際立たせている。
「……いや、別に……なぁ優花、何かいい事でもあったの?」
それを聴いてうれしそうに笑う優花。
「それがさ、今日お父さんとお母さんからエアメールが届いたんだ!」
テーブルの上を指差しながらうれしそうに言った。
つられる様に目をやると確かに開封済みのエアメールが一通。
「二人から? 珍しいね……」
封筒の上にあった折りたたまれた手紙を広げる。
34Chains of pain:2009/04/02(木) 04:35:42 ID:K95U9KCO
春斗と優花へ

あまり電話や手紙を送れなくてごめんね。
二人で仲良くやっていますか? もっとも仲が良いのはわかってるから
正直、心配はしてません。冷たいかな? ごめんね。

今、お父さんとお母さんはロサンゼルスにいます。
今度夏休みには帰ってこれると言っていたのですが、
大きな仕事が来てしまって帰れそうにありません。
本当にごめんね、こんな私たちを許してください。
けれども、冬休みには必ず帰るようにします。
冬休みには泊り込みでスキーでもしに行きましょう。
それでは、冬休みに。

両親より

「……そっか、やっぱり駄目になっちゃったか……」
あれ? すると優花はなんで喜んでるんだ?
「そうなんだよね、でも冬休みにスキー行くって!」
「それでうれしそうなのか?」
「うん!」
なんと無邪気なのだろう。
ただそれだけでこんなに喜ぶのは今の中学生では珍しすぎるだろう。
「…………それに……おにいちゃんと二人きりで一緒にいられるし……」
「……へ? 今何か言った?」
確かに今、何かを言われた気がする。
「え? ううん、何も言ってないよ……お兄ちゃんの聞き間違いじゃない?」
聞き間違い? 本人が言うのだからそうなのだろう。
「そっか……って、あ……もうこんな時間……」
妹の焼いたパンとトーストを急いで食べると、鞄を持って立ち上がる。
丁度その時だった、部屋中をドアホンが鳴り響いた。
「もしかして七海さんじゃない?」
「相変わらず時間ぴったり……それじゃあ、いってきまーす」
「……って、お兄ちゃん! ケータイ忘れてる!」
ケータイ? そういえばいれてなかったっけ?
「うん、ありがと。いってきます」
優花からケータイを受け取ると、急いで玄関まで行き、靴を履いて傘を持ち、外に飛び出した。
35Chains of pain:2009/04/02(木) 04:36:48 ID:K95U9KCO
「おはよう、春斗君……」
「七海……おはよう」
外には、幼馴染の夢七海が待っていた。
「それじゃあ学校行こうか……」
そう言って二人で歩き始める。これも何ら変わらない日常の一コマだ。
僕と七海は気がついたら一緒にいた。
それは別に深い意味があるわけじゃなくて……ただ小さい頃から一緒にいた。
恐らく僕と七海の両親が友達で、海外に住んでいた七海の両親が日本に移住したんだと思う。
その証拠に七海の髪は綺麗な金色である。
両親がアメリカに住んでたとは言え、父親がハーフなため、実際にはクオーターと言う事になる。
そのため髪の色は金色だが、顔立ちや背丈は完全に日本人のもので、そのアンバランスさも
上手い具合にバランスが取れている。
……と、まあ七海について語ってみるのだが、そんな彼女は友達とか恋人というより
家族という方がとてもしっくり来る。別に恋愛対象として見たことは一度もなかったし、
そこは恐らく七海も同じだろう。
「……ん? どうしたの春斗君……」
「いや……相変わらずいつになっても春斗君って言うなと思ってね……」
「えっと……なんだかもうそれで定着しちゃって……嫌、かな……」
「ううん、別に気にしてないよ」
「そっか、ありがと」
登校時間約三十分、退屈することはなさそうだ。

家の中ではテーブルを叩く音が響いた。
「あの女……なんでいつもいつもいつもいつもいつもお兄ちゃんと登校しているの!?」
優花は手に持っていたグラスのコップを壁に向かって投げつける。
グラスは見事に粉々に割れ、破片が床に飛び散った。
「いつも十五分も余裕を持って来るなんて信じられない! 十五分もあったらお兄ちゃんと
たくさん会話が出来るのに!」
トーストを握りつぶし、テーブルの上に叩きつけた。
優花はカーテンを少し開くと、二人が歩いている姿を確認した。
「…………きっとあいつ、あたしからお兄ちゃんを奪い取ろうとしているんだ……」
その場にしゃがみこんでうつむきながらも右手を握り締めた。
「お兄ちゃんのメール……ほとんどあいつからだったし……絶対そうだよ……」
優花はその綺麗な手を緩めると、無言でガラスの片付けに取り掛かった。


終わりです。
一応続きます。退屈しのぎになってくれたら幸いです。
36名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 05:00:01 ID:i0HPeVTc
GJです!

退屈しのぎどころか、
日々の楽しみになりかねない
37名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 05:19:02 ID:7KDrSpq7
退屈しのぎなんてレベルじゃなくGJ!
38名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 09:17:00 ID:tbY0LXm7
>>12
東方 Katzeh

ググれ
39鳩大福:2009/04/02(木) 11:49:04 ID:K95U9KCO
>>36
ありがとうございます。
書き方の勉強をしながらがんばっていこうと思います。
40名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 17:46:11 ID:UiOTtFBm
>>30 >>39
まとめてで悪いけど、GJ!
続きを楽しみにしてます!
41名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 20:26:13 ID:Gfdhvhg+
んっ・・・ ・・ ・・・・・・・ふぅ。
やっと、前スレが埋まったよ、予想より長かったけど・・・まあいっか。
ゴミを片付けられたからね。そしてゴミは―――前スレに埋もれて、やがて電子の藻屑となる。
もう、このスレは、男君と、私だけ・・・・

チッ
まだゴミが・・ 残って・・・・>>42め・・ ・・・・今度こそ・・・・・




すべては男君のために―――――――
42名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 20:35:37 ID:/+nnd75a
アッ――――――!?
43名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 22:10:36 ID:VlzEZy4J
三日後
とある公園のトイレで肛門から血を流している>>42が発見される
その顔はまるで串刺し刑にあったような苦悶の表情であった
近所の人の証言によるとアッ――――――!?という悲鳴は聞いたが
すぐに静かになったらしい
証拠はなにもなかった
またダイイングメッセージと思われるイイオトコがさらに謎を深めた
警察の必死の捜査もむなしく明日時効をむかえる

新聞をたたみながら私はほくそえむ
最愛の人を守れた嬉しさと
なぜかあのときに出会ったツナギの共犯者を思い出しながら…
44名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:18:46 ID:CPERMk/q
第一発見者は>>44
45名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:29:43 ID:XQ1t6Q9E
>>44
お前か
46名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 23:54:09 ID:VlzEZy4J
>>45
私ではない
47名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 00:46:34 ID:ER5lLHFv
>>30>>39
GJ!
48 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:26:53 ID:4MML4f/6
投稿します。
49変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:29:27 ID:4MML4f/6
ここの所、清盛が外出する回数が多くなっている。
朝早くに出て行って、日が暮れる頃に帰ってくる。業盛は仕事上、それを毎日の様に見ていた。
しかし、だからといって業盛はそのことに対して疑問は持たなかった。
持つだけ無駄というのもあるが、変なことに巻き込まれて、
酷い目に遭うのもまっぴらごめんだからだ。
業盛は、松清・康清(業盛命名)に餌をあげながらそう思った。
「さてと、今日の仕事終わり…っと」
餌やりを終え、二度寝を決め込もうとした矢先、弥太郎が声を掛けてきた。
「三郎。今日、暇か?」
「これから寝るので忙しいから暇じゃない」
「そうか、じゃあ今日家に来ないか?」
「なぁ、話し、聞いてるか?」
「実は前に父上にお前のこと話したら、どうしても会ってみたいって言ってさ」
「無視か」
こうして、業盛は弥太郎の家に行くことになった。

「所でさ、お前の家って、ここから遠いのか?」
弥太郎の家に向かいがてら、暇なので聞いてみた。
「いや、家は都の中にあるからすぐに着くよ」
「へぇ〜、お前の実家って都にあったんだ」
「いや、実家は伊賀にあって、都の方は別宅なんだ」
「ふ〜ん…」
会話が途切れてしまった。
二人はその後はまったくしゃべることはなかった。
50変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:30:11 ID:4MML4f/6
「着いたぞ。ここが俺の家だ」
弥太郎の指差した方を見てみると、あまり大きくない家が見えた。
どちらかといえば、商人の家の様に見えた。
「俺はこの後用事があるから、三郎は勝手に上がっててくれ」
そう言って、弥太郎はどこかに行ってしまった。
ここにいてもなにもすることがないので、業盛は弥太郎の家に上がることにした。
戸を叩くと、目の前に筋骨隆々として、商人服がまったく似合わない男が出てきた。
「誰かな?」
「あの…天田…業盛と言う者ですが…」
なぜか敬語になってしまった。
「あぁ、あなたが倅の言っていた三郎殿か。どうぞ中へ」
目の前の男に促される様に、業盛は家の中に入っていった。

「よくいらした。私はこの家の主で家長と言う者。
あなたの噂は倅から聞いております。なんでも凄まじい腕の持ち主と聞いていますが…」
「い…いえ、それほどでも」
褒められたのは嬉しかったが、どちらかといえば恐ろしさが先行した。
「所で、なんで商人の格好などをしているのですか?」
業盛は最大の疑問をぶつけてみた。
「あぁ、実は副業で商人の真似事をしているのですよ。
そのせいで、武士より商人の方で名が通ってしまっているのですよ。恥ずかしながら…」
家長は笑いながら言った。
なんて言っていいか分からないので、とりあえず相槌を打っておく。
それにしても、変な物好きもいるものだ。
武士なんだから荘園から入る税だけで十分暮らしていけるはずなのに。
これもあれか?下々の苦労もなんとやら…か…?
どこか、自分と相通ずるものがあるな、と業盛は思った。
少しばかり、この強面に好感を持った。
「所で、私を家にまで招いて、なにかあるのですか?」
このままでは雑談に向かいそうな雰囲気だったので、話題を元に戻す。
「あぁ、それは…」
「お父様!!」
家長の言葉を遮って、どこかで聞いた様な声が響いた。
「話が長すぎるわ!三郎が来たらすぐに呼んでって言ったじゃない!」
「す…すまんな…水城(みずき)」
どうやら、彼女の名前は水城らしい。しかし、そんなことはどうでもいい。
よりにもよってあの女が弥太郎の親族だったなんて…。
神よ…。あんたは俺になんの恨みがあるというのだ。
「それはそうと、三郎!」
水城が指差してきた。
「こ…この前は、た…助けてくれて…ありが…とう…」
俯いて、途切れ途切れに感謝の言葉を紡ぎだす。
もしかして、このことのためだけに呼んだのだろうか。
だとしたら、あまり悪い気はしない。
「それで、今日は…」
水城がそう言って、指を弾くと、扉をぶち破って三人の男が現れた。
三人とも木刀を持ち、殺気を発している。
「あんたがどれほど強いのか、この私に見せてよ」



…訂正…。やっぱり最悪だ。


51変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:31:08 ID:4MML4f/6
「なんでこんなことになってしまったんだ…」
家長はため息を吐いた。
思い返せば数日前の水城とのあの会話。


「あのね…お父様の兵を貸してほしいの」
「お…って、はぁ!」
危うく応じてしまう所だった。
「水城、それはどういうことだ。結婚するのに、なぜ兵が必要なのだ!?」
「お父様、なにか勘違いしているみたいですけれど、私はまだ結婚する気なんてありませんよ」
「ではいったい、なぜ!?」
「確かめてみたいの…」
「確かめるって…なにを?」
「私より、強いかどうかを…確かめたいの」


水城がそこまで言うのだから、今回の相手の三郎殿は、今まで以上の使い手なのだろう。
しかし、水城に勝つのは無理だろう。
なにせ、相手は水城と、今まで鍛えに鍛えた精兵五十人だ。
天地がひっくり返ろうと、三郎殿には勝ち目はないだろう。
結局、娘の孫の顔を見ることは絶望的だろう。
家長は再びため息を吐いた。


52変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:31:39 ID:4MML4f/6
三人の内の一人が、有無を言わさず斬り掛かってきた。斬り殺してやろうかと思ったが、
後でなにか咎められると面倒なので、まずは相手の木刀を奪う算段を考えることにした。
とりあえず、業盛はそれを後ろに跳躍して躱した。
しかし、示し合わせていたかの様に、後ろに潜んでいた奴が斬り掛かってきた。
業盛はそいつの手首を掴み、勢いそのままに三人に向かって投げ付けた。
二人は避けたが、一人は躱せず直撃した。さすがに三人同時は無理だった。
とりあえず、気絶している奴から木刀を奪い取った。これでやっと対等に戦うことができる。
「いったいどういうつもりだ!」
業盛は水城に怒鳴り声を放った。
「だから、さっき言ったでしょ。あんたがどれくらい強いか見せてって…。
聞こえなかったかしら…ふっふっふっ…」
水城はさぞおかしそうに言った。
「こんなくだらないことはしたくはないのですがね」
「くだらなくなんかないわよ。これにはそれなりの意味があるもの。
それに、あんたはここから出れないわよ。私に勝つか、負けるかしない限り…ね」
どの道、戦わなければならないということか。だったら仕方がない。
「分かりましたよ…。あなたの言う通り、戦ってあげましょう」
業盛はそう言うと、一瞬の内に間合いをつめ、残った二人を打ち倒した。
これで終わりのはずがなく、兵達が木戸をぶち破って部屋に集まってきた。
しばらく応戦したが、こんな狭い所で戦うのは不利だと思い、業盛は外に出た。
外に出たら出たらで、既に多くの兵達が待ち受けており、業盛はすっかり囲まれてしまった。
包囲網はじりじりと縮まっていく。業盛は前後左右に目を配り、警戒していた。
ちょうど業盛の後ろにいた一人が打ち掛かってきたが、躱し、打ち倒す。
これを合図に周りの兵達も打ち掛かってきた。
まるで、豪雨の様に木刀やら薙刀の乱打が降り注ぐが、業盛はこれを苦もなくいなし、
確実に倒していく。視界が徐々に広がった。
業盛を囲んでいた兵達が、後ろに引き始めたのだ。包囲網が崩れたのかと思ったが違った。
包囲網の崩れた間隙から、なにかが飛んできた。三つ、見て取れた。
その内の二つを躱し、一つを素手で取った。
矢だった。鏃は付いてはいないが、当たれば気絶するぐらいの速さだった。
これは最早戦争だな、と業盛は思った。
53変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:32:20 ID:4MML4f/6
この光景はなんなのだろう。家長はあっけにとられた。
ぶち破られた木戸、底の抜けた床、穴の開いた天井、そして、倒れている兵達。
正直、信じられない。まさか、三郎殿がここまでやるとは思わなかった。
せいぜい、三、四人ほど倒して、後は袋叩きというのが大方の予想だった。
だが、実際は違った。三郎殿は疲れる様子を見せることなく、
水城に貸した精兵五十人のほとんどを打ち負かしたのだ。
格が違いすぎる。剣速といい、間合いをつめる速さといい…なにもかもが別世界だ。
もしかしたら…この男なら出来るかもしれない。
力の狂気に囚われた水城を救うことも、ほとんど絶望していた、娘の孫の顔を見ることも…。
いや、できる。三郎殿なら、出来る。
だから、私は心の底で応援した。
「三郎殿、がんばれ」と…。
54変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:32:59 ID:4MML4f/6
「これで、満足しましたか?水城さん?」
業盛は、今まで傍観していた水城に向って言った。
周りには、気絶した兵達五十人。全て業盛一人で打ち負かした。
「あぁ…やっぱりすごいわ…。たった一人でお父様の兵達を打ち負かすなんて…。
…ぞくぞくしちゃう…」
水城は身体を抱きしめる仕草をした。
「もう…我慢できないわ…」
水城はそう言って、真剣を取り出した。
「お父様の兵達を打ち負かしたあんたの腕……最後は…私自身が確かめてあげるわ!」
そう言って、水城は刀を抜き、凄まじい勢いで業盛に迫ってきた。
業盛も木刀を捨て、刀を抜き応戦する。
凄まじい剣圧だ。じりじりと水城に押される。
刀を合わせた時、水城と目が合った。完全に目が逝っていた。
「ほら、どうしたのよ!さっきまでの勢いはまぐれだったのかしら!!
私を失望させないでよ、三郎!!!」
水城が乱撃を加えてくる。
しばらくそれを凌いでいた業盛は、一歩後ろに跳躍し、間合いを取った。
「つまらない…つまらないつまらないつまらないつまらないっ!!!
どうして引くの、三郎!逃げるの!?結局、あんたもその程度だったの!?」
水城が端正な顔立ちを崩して吼える。
対して、業盛は冷静だった。
「もう…あなたの実力は分かりました。次で、けりをつけます」
業盛はそう言って、刀を鞘にしまい、居合いの構えを取った。
「次で……ふっ…あっははははははははははっ!次でけりをつけるって!?
やれるものならやってみなさいよ!!」
水城はそう言うなり、先ほどを上回る勢いで業盛に迫った。
水城が斬り掛かる瞬間、業盛は刀を抜いた。

けたたましい金属音が鳴り響いた。

水城の手に刀はなかった。業盛が刀を跳ね上げたのだ。


55変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:33:37 ID:4MML4f/6
水城はなにが起きたのか理解できなかった。
気づいた時には、握っていたはずの刀は遥か遠くの地面に突き刺さっていた。
ありえない!この私が負けるなんて絶対にありえない!なにかの間違いだ!きっとそうだ!
そうに違いない!じゃなきゃ説明が付かない!付け様がない!
じゃあ、なんで負けたの?分からない…分からない分からない分からない分からないっ!
…どうして…どうして負けちゃったの…。教えてよ…お父様…お兄様…。
水城は涙を流しながら、地面にへたり込んでしまった。
「やっと、終わったか…」
三郎の声が聞こえた。下を向いていて見えないが、刀をしまう音が聞こえた。
「水城さん…もう、こんな馬鹿げた事に私を巻き込むのは止めていただきたい。
私はあなたの戯れ事に付き合うほど暇じゃないんですから」
水城が顔を上げた時、業盛は背を向けていた。
駄目、行かないで!
心の中でそう言ったが、声になって出ない。
やっと…やっと見付けたのに…もう…もう一人になるのは嫌だよ…。
「ま…待ちなさい…」
やっと声が出た。三郎は歩みを止め、私を見ている。
「わ…私と…け…結婚…しなさい…」
言えた…素直に言えた。
だが、業盛は驚いた様な素振りは見せなかった。
「…それだけのために、わざわざこんなくだらないことを…?」
ただ、冷静にそう言っただけだった。
「そ…そうよ…。私の夫になる男が弱っちかったら、私の面目が潰れるでしょ。
だから、この私が直々にあんたの実力を確かめてやったのよ。よかったわね。あんた、合格よ」
違う!私が言いたいのはこんなことじゃない!
「いま…ここでその答えを言わなければなりませんか…?」
「あ…当たり前でしょ!今すぐ答えて!」
「…分かりました…。答えましょう…」
業盛が、まっすぐに水城を見据えた。
「結婚の件…」
そして、ゆっくりと口を開く。



「お断りさせていただきます」


56変歴伝 12 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/03(金) 01:34:49 ID:4MML4f/6
投稿終了です。
57名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 01:46:36 ID:kqSmnS5M
>>56
おお、GJ!
今回はまた激しい回やね。

次回も楽しみにしてます。
58名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 02:22:43 ID:h49sGgRJ
>>56
GJ!見える…乙女がヤンデレになるフラグが見えるぞ…
っていうか業盛ヤンデレホイホイだな。これで何人目だよ
59名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 05:37:42 ID:9bHdLifv
>>56
GJ! それにしても業盛強いな
60名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 15:10:56 ID:BvJpJBVi
GJ!最高
61名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 18:52:06 ID:NR5YoYE4
GJ!
62名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 23:06:21 ID:vKHuB6qb
GJ
63名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 23:57:56 ID:7ZiIM15x
>>56
GJ!!!
64鳩大福:2009/04/04(土) 04:37:16 ID:cCFA0o5R
とりあえず続きを投下します。
65Chains of pain:2009/04/04(土) 04:38:23 ID:cCFA0o5R
「春斗君、今日はお弁当?」
昼休み、購買部へ行こうとしていた僕の元へ七海が弁当を
片手に歩いてきた。
「あぁ、七海……ううん、今日は違うよ」
「そうなんだ。……えっとさ、今日は春斗君の分も作ってきたんだ」
「え、本当? ありがとう。それじゃあ……」
「……屋上で食べようか」
二人で歩き出す。
階段を登り、屋上に出ると、雨はすっかり上がり、
雲を蹴散らすかのように日が差し込んでいた。
屋上のベンチに二人で座ると、お弁当をひざの上に広げる。
七海がお弁当を作ってくれるのは何も珍しいことじゃない。
高校に入ってからは基本的に優花が作ってくれるお弁当を食べている。
けれども元々、朝の手間を掛けさせない様に購買部で昼食を
済ませようとしていた僕は、優花にその旨を打ち明けたところ、
あたしの料理を食べたくないんだとか何とか泣きつかれてしまった。
しかし、何とか説得することに成功し、週に二日は購買部で昼食を買う、
ということで同意してもらったのだ。
もちろんその事は親しい七海も知っている。
だから僕がお弁当で無い日には僕の分を作ってくれるのだ。
「ごめんね……いつもいつも、本当に僕はパンでいいのに……」
「……だめだよ。春斗君は顔に似合わず夜食したりするんだから、
お昼ぐらいはちゃんとしたご飯を食べなきゃ」
なんて鋭い指摘。確かに昨日も深夜にカップラーメンを食べた。
……って、ん? なんだか違和感が……
「で……でもさ、ちゃんと夜は優花の作ってくれた料理を食べ……」
「またすぐ優花ちゃんに頼ってる! 自分でも意識しなきゃ意味ないじゃない!」
「…………ご、ごめんなさい……」
なんだか優花と同じ事を言っているような……
「こんなダメな兄さんじゃ優花ちゃんも大変だわ……」
七海はため息をつきながらも箸を進めた。
「……う〜ん、やっぱり自分で弁当を作らなきゃダメなのかな……」
これは今咄嗟に思いついた事ではなく、前々から考えていた。
七海が言った通り、確かに僕は優花に頼りっぱなしだ。
それは他人に言われるまでもなく自分が一番わかっていることだし、
どうにかしなければならないとも思っている。
もちろん、余りにも優花が何でも出来てしまうのでついつい頼ってしまっている
僕の頼り癖をどうにかしない事には何も始まらないのだが……
66Chains of pain:2009/04/04(土) 04:39:45 ID:cCFA0o5R
「…………お料理……覚えたい?」
七海の箸が止まる。
決してこっちを見ることはなかったが、はっきりとした声で言った。
「そうだね、出来るのなら……」
お弁当に入っていた卵焼きを箸で切り分けながら答えてみた。
「……じゃあさ、今日の放課後、あいてるよね」
「うん、よくわかったね……空いてるよ……って、あれ? もしかして……」
七海の方を少しだけ見た。
「……今日、家で料理を教えてあげるよ」
「ほ、本当!? ありがとう、本当にありがとう! 家で作れないからさ……」
それは願ってもない事だ。七海の料理のレパートリーの多さや
上手さはいつもご馳走になっている僕が良くわかっているし、
自宅のキッチンは使えない……まぁ、理由は言うまでも無いが……
「うん、それじゃあ帰ったら家に来てよ。あたし待ってるから」
「それじゃあ……お邪魔しようかな」
七海は笑顔でうなずくと、おにぎりをその小さな口でかぶりついた。
その笑顔は乱暴な日の光よりも強くて……柔らかな気持ちにさせてくれた。

……そう、微かな違和感を残したまま……

今日は開校記念日ということで、優花は日ごろできない場所の掃除をしていた。
「……ふぅ、やっぱりゴミが溜まってたか……掃除しておいて正解だね」
掃除機とはたきを上手に使い分け、流れるように進めていく優花。
そんな彼女の手にはいくつかの絆創膏が貼られ、先ほどの狂気を静かに物語っていた。
「あとは……お兄ちゃんの部屋か……」
自然と笑みがこぼれる。
「いつもお兄ちゃん掃除させてくれないけど、今日くらいは別に良いよね?」
もちろんそんな事など建前でしかない訳だが……
掃除機を持ち上げると、右手にはたきを持って階段を軽やかに登っていく。
「……失礼するよ、お兄ちゃん……」
ゆっくりとドアノブをひねると、静かにドアを開けた。
「……あれ?」
春斗の部屋は、優花の想像とは裏腹にちゃんと片付けられており、
一見すると、どこにも掃除する場所は無いように感じられた。
しかし……
「……お兄ちゃん……こんなところに埃が残ってる…………掃除しなくちゃ!」
カーテンレールの上をわざわざ人差し指でなぞり、そうつぶやきながら
モップを利き手である左に持ち替えた。
しかし、やり始めると、とたんに掃除はあっという間に終わってしまう。
「…………あんまり無かったかな……」
つまらなさそうに唇を尖らせると、ベッドに目が行った。
(……少しぐらいなら……いいよね?)
ベッドに入ると、優花は幸せな気持ちがふわふわと訪れた。
「うんっ……お兄ちゃんの匂い……幸せ……」
枕に顔を埋めると、瞳を閉じた。
いつも思い出すのは最後に春斗に抱きしめてもらったときの記憶……
多分小学校五年生ぐらいの時だろう、この記憶が一番新しいため、
恐らくそれ以降抱きしめてもらっていないのだと思う。
その時は自分の不注意によって春斗を傷つけてしまった。
何度も謝った。がんばって手当てをした。それでもきっと自分は嫌われてしまった
のではないかという不安で頭の中が真っ白になり、死んでしまおうとも思った。
けれどもそんな不安はすぐに消し飛んだ。
なぜならば、そんな自分をみて何も言わずに抱きしめてくれたのだ。
その瞬間、不安は解き放たれ、涙が溢れ出した。
泣いたのだ、自分よりも辛いであろう春斗ではなく自分が。
けれどもなぜか幸せだった。それは春斗に対してとてもあってはならない事、
それでも何故か幸せだったのだ。
今となってはその傷も癒えてしまって、多分春斗は覚えてないだろう。
だが信じている。いつかまた抱きしめてもらえる事を……今度は覚えることが
出来ないくらい純粋で、痛みもない幸せを。
67Chains of pain:2009/04/04(土) 04:40:20 ID:cCFA0o5R
春斗が自宅に帰ってくると、いつも玄関まで駆けつけてくる優花の
足音がしない事に気がついた。
(……出かけているのかな……まぁ、静かでいいんだけど)
靴をそろえると、いつも通り階段を登り、部屋の前までたどり着いた。
(……ん? 扉が僅かに開いている……)
ため息をつくと、扉をゆっくりと開ける。
(……やっぱりか……あれだけいつも言っているのに……)
ベッドで幸せそうにすやすやと眠る優花。
「おい、優花。起きてよ……いつもあれ程言っている…………」
「…………お兄ちゃん……むにゃむにゃ……えへへ……」
優花をゆする手を止める。
「……まったく……」
幸せそうに眠っている妹にタオルケットを掛けなおすと、
私服を持って廊下に出て行った。
68鳩大福:2009/04/04(土) 04:40:51 ID:cCFA0o5R
はい、とりあえず今回は以上です。
よろしくお願いします。
69名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 04:44:41 ID:Ov80eYq8
GJ
70名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 06:18:19 ID:bSV1E96m
>>68
早朝にGJ
関係進展のために自宅に招くクラスメートと、兄との過去の思い出に縋る妹。
オラぁワクワクしてきたぜ。次回のんびり待ってます。
71名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 07:41:42 ID:HmUL6WYr
>>68
GJ! まさか早朝にくるとは
72名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 11:12:59 ID:Ft9xUCif
GJなんだが
三点リーダーの多用が俺には読みにくい
73名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 20:29:04 ID:wHjZDYPc
俺は三点よく使うから特に読みにくいってことはないかな。
ともあれGJ!
74刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 00:59:20 ID:ggy9qjoO
すいません、中編投稿します。

ちなみに、ツンデレが逆レイプするだけです。
75刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:01:29 ID:ggy9qjoO
自分の部屋に祐二の体を運ぶ。
・・・はっきり言って重い。
こいつ、こんなに重かったっけ?
ずっと一緒にいたけど、こんなに成長してるとは思わなかった。
中学生の頃はひょろ長で軽そうだったのに。
仕方ないから、祐二の体を引きずりながら運ぶ。
・・・ちなみにうちの家の両親も祐二と同じように、現在家にいない。
祐二のように海外旅行に行ってるのでは無く、父親の転勤に母親がついて行って、ひとり学校に通うため残っただけだ。
「・・・よいしょっと」
ふぅ、重かった。
二階の私の部屋に運ぶだけでも一苦労だ。
私は最後の力を振り絞り、祐二の体をベッドの上に寝転がす。
「まさか死んでないわよね?」
祐二の頭部を手で触ってみる・・・うん。血とかは出てないみたいね。
さすがに、お皿で殴るのはやりすぎだったかもしれない。
祐二が死んでしまっては元も子もないのだ。
「ま、あんたが死んだら私が後を追って死んであげるから安心しなさい」
私はいったん祐二を自分のベットに放置したまま、一階に降りる。
目を覚ませば、きっと祐二は姫宮さんのもとへ逃げ出してしまうだろう。
そうなればまた私は祐二を失ってしまう。
そんなのは嫌だ。
「祐二が逃げださないように、手足を縛らなくちゃ」
私は長めのタオルを数枚持ち出すと、それを手に二階に戻る。
相変わらず気を失っている祐二の両手両足を大の字に広げると、ベットの両端の柱にタオルで両方を縛りつける。
・・・これで、私の目の前で大の字で拘束されている祐二の出来上がり。
「祐二は私の事、恋愛対象としては見れないんだよね?・・・じゃあ、私が今からする事は祐二にとっては嫌な事だよね?」
私がこれからする事で祐二は助けを呼ぶために叫びだすかもしれない。
だから、猿轡をつけてあげないとね。
私は持ってきたタオルの一枚を祐二の口に巻きつけると後頭部で縛る・・・これでよし。
「じゃあ、祐二。私がいままで我慢してきた気持ち、全部受取ってもらうからね?」
私は祐二が横たわるベッドに腰かけると、両手で祐二の穿くズボンのチャックを下ろした。
まず、ズボンを脱がせないと・・・それから、祐二のトランクスも脱がせて、と。
「うーん。男の人の下半身ってこうなってるのか・・・流石にグロイわね」
76刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:04:16 ID:ggy9qjoO
初めて見る祐二の下半身のソレは、半勃ちのまま股間の間に横たわっている。
私はそれに顔を近づけてみる。
・・・むむむ。この匂いは・・・なんというか非常に独特で、いや、大好きな祐二の匂いなんだから臭いとかは・・・ないんだけど。むむむ。
「慣れが必要ね・・・」
私は気を取り直して半勃ちの祐二のソレを手で掴むと、優しく擦ってみた。
いわゆる手コキとか言うやつだ。
見よう見真似で掴んだ手を上下させてみる。
「むぐぅっ!」
気を失って寝てるはずの祐二の口から声が漏れ、それと同時にピクン、と下半身が仰け反った。
ううむ、強く擦りすぎたかな?
もうちょっとゆっくり上下させた方がいいんだろうか?
「こ、こんな感じかな?祐二」
私はゆっくりと、出来るだけ優しく祐二のソレを撫でながら聞いてみる。
もちろん祐二からの返事はないのだが、特に反応も無いことから、痛いのでは無い事はわかる。
それに、その・・・勃起、してるし。
祐二の股間のソレは硬くなって、上に反り返っている。
気持ち、いいのかな。
だったらうれしいな。
「じゃあ、祐二。その、いただきます」
完全に充血して反り返った祐二のソレを、私は顔をよせて、そのまま口に含む。
んっ、熱い・・・。
まず初めに感じたのは咥内全体に感じる祐二のソレの熱さ。
それから、自分が祐二のソレを口に咥えてるという幸福感。
咥内に唾液を走らせて、自分の頭を上下させる。
フェラチオなんて、正直知識ではあるものの、するのなんて初めてだ。
祐二はきっと姫宮さんには、これをやってもらった事があるだろう。
姫宮さんのより、私は上手くならなければならない。
毎日だって、してあげる。
祐二が望むなら何度でもしてあげる、姫宮さんなんかには負けないんだから。
ねぇ、祐二、気持ちいいかな?姫宮さんのより。
・・・いつのまにか、私は夢中で祐二のソレをしゃぶり続けていた。
私の口の中は自分の唾液と、祐二のソレの先端から滲み出た液体でグチャグチャになっていた。
77刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:06:02 ID:ggy9qjoO
確か、カウパー液とか言うやつだ。
ちょっと・・・しょっぱくて、苦い。
「んぐぅ・・・!?ふうむっ・・・!!」
あ、祐二が目を覚ました。
驚いてる、驚いてる。
その顔、ちょっとおもしろいよ。
普段、おちゃらけて、平然としてる祐二の余裕しゃくしゃくの表情からは想像出来ないような慌てっぷり。
「むむぅ?ひほひいい?」
あ、祐二のを咥えたままだった。
私は祐二のソレから口を離し、顔を上げる。
自分の唾液と祐二の精液が糸を引く。
「どう?祐二、気持ちよかった?」
「ふぐぅっ・・・!ふぁにふぁってふぇ!」
あは、今度は祐二がちゃんと喋れてない。
猿轡してるんだから当たり前か。
でも、かといってそれを取る訳にはいかないのよ、祐二。
「私ならいくらでも祐二を気持ちよくしてあげられるよ?姫宮さんがどれだけエッチな事が上手でも負けないんだから。・・・私の方が祐二の事大好きなんだもん。あんな祐二の為に食事も用意出来ない女より、私の方がずっと祐二に尽くせるんだから・・・!」
そうよ。
姫宮さんなんてちょっと上品そうなお嬢様ってだけじゃない。
ちょっと性格と顔が良いからって私の祐二に手を出したりして。
そのくせ、祐二にちっとも尽くせてない。
恋人なら、祐二の食事の面倒を見てあげるなんて当然じゃない?
それが出来ないなら恋人だなんて名乗るな!
「祐二、大好き。祐二はずっと幼馴染のままが良かったのかも知れないけど、私はそうじゃないの。・・・ずっとずっと祐二の彼女になりたかった」
あは。
祐二が驚いたような顔してる。
そういえば祐二に自分の気持ちを告白したのって今日が初めてだね。
私はずっと、祐二の望む幼馴染のままでいようと思ってたから。
「祐二から姫宮さんと付き合うって聞かされた時、私、目の前が真っ暗になったよ」
今でもあの時の絶望感はよく覚えてる。
その場で卒倒しそうになるのを耐える私の目の前で、あんたは初めての彼女ができたー、ってはしゃいでた。
78刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:08:19 ID:ggy9qjoO
自分を恋愛対象として見ていないと、想いを寄せていた幼馴染から直接言われたようなものなのだ。
そして、同時にあんたをどこぞの見知らぬ女に取られてしまったという事実を、本人から聞かされた絶望感。
「大好きなあんたから姫宮さんの惚気を聞かされた私の気持ちがわかる?あの頃のあんたは姫宮さんの事ばっかりで、私の気持ちに気づきもしないで」
「・・・・」
目の前の祐二が絶句する。
驚いたかな?
まぁ、そりゃそうよね。
ただの幼馴染だと思ってた私からこんな事言われるんだもの。
「あんたから姫宮さんの事を聞かされる度に、どれだけ姫宮さんに嫉妬したかわかんない。姫宮さんを殺してやろうと思った事も一度や二度じゃないし」
あんたから姫宮さんの話を聞かされる度、私は自分の心が壊れていくのを感じていた。
どうしても耐えられなくなって、私はある日から祐二と姫宮さんの様子を盗み見るようになった。
・・・いま考えてもあれは常軌を逸していたと思うが、私は二人がデートする様子をストーキングしていた。
「でも、二人を見てるとね・・・楽しそうな祐二を見てると・・・ああ、祐二の隣に居るべきなのは姫宮さんみたいな人で、・・・私じゃないんだって解った」
姫宮さんと一緒にいる祐二は、私がいままで一度も見た事無い表情だった。
いつもいつもボケとツッコミな関係の私たちと違い、なんだか二人の間には穏やかな空気が流れていた。
活発な会話は無いけれど、終止和やかな雰囲気の二人はお似合いのカップルに見えた。
「だからね、祐二が幸せそうなら、ああ、それでもいいかって。そう思ったの。・・・だから、私はいらないんだって。祐二の傍から離れようって」
私は丸出しになっている祐二の下半身の、充血したソレを手で優しく掴む。
祐二のソレは痛いほどに勃起していた。
「焦らしてごめんね、祐二。今、入れてあげるからね?」
すでに祐二を私の中に迎え入れる準備は出来ているもの。
私は、自分の穿いていたスカートの裾を掴み、捲りあげる。
祐二の目の前に露わになる私の・・・女性器。
下着は先ほど祐二のモノに奉仕する前に脱いでおいた。
「それじゃあ、祐二。私の・・・処女・・・あんたにあげるわ」
お、紅くなってる、紅くなってる。
さすがに姫宮さんの股間を(たぶん)見慣れている祐二であっても、私のモノを見せられるのは恥ずかしいらしい。
79刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:10:41 ID:ggy9qjoO
握ってる祐二のソレもピクピクしてるし、興奮してくれてるのかな?
だとしたらうれしいな。
「それじゃあ・・・いくね」
私は自分の声が若干震えているのを感じながら、祐二の股間の男根を握ったまま、ゆっくりと腰を降ろしていく。
初めての性交な訳だから、勝手が良くわからないが、とにかく自分の女性器に祐二のコレを入れれば良いのだろう。
私は、祐二の男性器の先端を女性器の入口にあてがうと、大きく息を吐く。
「・・・祐二が悪いんだからね?祐二が今更私を求めるから・・・ずっと姫宮さんだけを見ていれば良かったのに・・・そうすば、こんな事にはならなかったのに、この馬鹿」
そうだ、祐二が悪いんだ。
私が必死に押し殺そうとしてた想いを、解放するような真似をするからだ。
・・・ずっと、幼馴染のままなんていられる訳ないじゃない。
ズブッ・・・!
「うぐふっ・・・!!」
「うあわっ・・・!!」
祐二のくぐもった声と、私の声が重なる。
私は一気に腰をずり降ろし、根元まで祐二の男性器を自分の中に迎え入れたのだ。
ええ、そりゃあもうズブリと、
「うぐぅ・・・っ!!」
ちょっ・・・これ、なんなの?すごい痛い。
いや、もうこれは洒落にならないくらい痛いんですが。
初めては痛い、なんてのは良く聞くけれども、これは本当に痛い。
じゃあ、抜けばいいだろうって?動かすのはもっと痛いのよ。
正直、勢いで根元まで入れたりせずゆっくり入れれば良かった。
「う、・・・あは、あはは。入っちゃった」
「ふぇふふぁ・・・(刹那?)」
私は額に脂汗を浮かべながら、祐二に向って余裕の笑みを浮かべてやる。
本当は痛くて堪らないのだが、ここでその姿は見せられない。
股間に走る激痛に耐えながら、私は自分に鞭打って腰を上下させる。
痛い、いたいよぅ。
「あはは、気持ちいい?ねぇ、姫宮さんより気持ちいいよねぇ?そうだっ・・・よねっ!?」
私は祐二に跨った騎上位の状態で、必死に腰を上下させる。
自分が痛いだけなら、せめて祐二には気持ち良くなって欲しい。
そう思って一心不乱に腰を上下させるが、祐二の反応は正直・・・。
80刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:13:26 ID:ggy9qjoO
「祐二、どう、かな・・・?気持ちいい・・・?ねぇ・・・どう?」
痛さで感覚が麻痺してきた自分の下半身をただ気力だけで振り続ける私。
それとは対照的に、目の前の祐二の様子は・・・すごく冷めてる。
まるで憐れみを込めたような瞳で私の事をじっと見ている。
とりあえず、気持ち良くないのは確からしい。
静かな室内に私が腰を打ちつける音だけが響く。
「・・・ふぐっ・・・うっ・・・ううっ・・・」
いつのまにか私の口からは嗚咽が漏れだしていた。
視界も、歪んで見える。
祐二の男性器は射精に至ることなく、萎えてしまい、私の女性器から抜け出していた。
「ううっ・・・うわぁ・・・ああああああっ!!」
私は、その場で泣き出してしまった。
どうしてかなぁ・・・どうしてうまくいかないんだろう。
いつもいつも、どうしてこう失敗ばかりなんだろう。
ずっと幼馴染で好きだった祐二に全然素直になれないまま、告白すらできなかった事。
その幼馴染を自分よりずっと美人で性格のいい、彼にぴったりな女に盗られたこと。
そして、彼への想いを忘れようとして、結局できなかったこと。
自分の体で彼を振り向かせようとして・・・こうなってしまったこと。
「うわああぁ・・・ごっ、ごめん。ごめんなさい、祐二・・・」
やっぱり、祐二の傍にいるべき女じゃなかったよ。
だって全然祐二に尽くせてないもの。
ずっと幼馴染のままでいれば良かったのかな?
でも、それだといつか私の心が壊れていただろう。
・・・幼馴染ですらいられない。恋人になんか、これじゃあなれそうにも無い。
私、何のために生きてるのかな?
「ごめん、祐二。・・・こんなことしてごめんなさい。私、あなたに酷いことしちゃった。謝って済む問題じゃないけど、本当にごめんね」
私はゆっくりとベッドから降りて床に立つと、祐二の手足を拘束するタオルを外していく。
・・・・四肢が自由になった瞬間に私は祐二に突き飛ばされ、そのまま祐二は出ていく。
かと思ったんだけど、手足の自由を取り戻した祐二は、ゆっくりと起き上がり、猿轡になってる布を解いた。
・・・それだけで、そのまま私を見つめる。
「刹那・・・」
祐二は自由になった口で私をなじる事もせず、ただ静かに私の名前を呼んだ。
私はその場に立っていられなくて、崩れ落ちる。
瞳から涙が止まらない。嗚咽も止まりそうもない。
81名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 01:16:12 ID:0UQTaz0+
初支援
82刹那の想い 中編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/05(日) 01:17:21 ID:ggy9qjoO
中編投稿終了です。
83名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 01:22:36 ID:/OYPU/X5
>>82
GJ
不器用すぎる刹那に、なぜか泣きそうになったぜ。
それじゃあ、後編をのんびり待ってます。
84名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 01:32:21 ID:19qP1A//
>>82
GJ!
85名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 12:26:33 ID:PL1woh0Q
>>82
GJー
なんというか、これからの展開が読めないからすげーwktkする
86名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 00:42:26 ID:cdg72geV
>>82
いい子だなー、かわいいなー。
こういう娘が幸せになれなきゃ世の中間違ってるよ。
うん、すげえいい。続き楽しみにしてます。
87鳩大福:2009/04/06(月) 04:55:37 ID:X/JahByB
また投下です。
よろしくお願いします。
88Chains of pain:2009/04/06(月) 04:56:34 ID:X/JahByB
「……あれ? ……ここって……」
目を開けると見慣れない天井に違和感を覚えた。
「そうだ! いけない……今何時……」
勢い良く起き上がる。
窓の外は日が沈んで暗くなっていた。それが不安を煽る。
「ど、どうしよう……ごめ……」
ベッドを出た優花は急いで部屋から出ようとする、しかしその途中で
机の上に置いてあるメモ書きに気がついた。
「これって……お兄ちゃん……?」
そのメモ書きを手に取り目を通した。

優花、疲れてたのかな?
あまりに気持ちよさそうに寝ていたので今回は見逃します。
けれども、次は許さないのでそのつもりで!

それと、七海の家に遊びに行ってきます。
あまり遅くならないから心配しないで。

「お兄ちゃんの字だ……許してくれるって……」
優花はそうつぶやくとそのメモ書きを大切そうに折りたたんだ。
「…………でも、あの女の所に行ったんだ……そうなんだ……」
思わず握り締めた左手を右手で押さえ込む。
「なんでなの? お兄ちゃん……」
開いていた窓から心地よい風が吹き込む。
その風はまるで自分の怒りの熱をもって行ってくれるような気がして、
惹かれるままに窓の傍まで行き、そのうつろな目で外を眺めていた。
89名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 04:57:55 ID:X/JahByB
「お邪魔しま〜す」
「あ……うん、どうぞ」
七海は一人暮らしだ。理由は簡単、両親同士が友達だから。
両親は世界中を飛び回っている。それは必然的に様々な人と出会う反面
長い付き合いというものが無いということでもある。
つまり、必然的に親友と呼べるような友達は多くないという事であって、
親友である七海の両親は同じ仕事をしている良きパートナーということである。
「どうしたの? 考え込んで……」
「……あぁ、なんでもないよ」
「そっか、じゃあ早速……」
「そうだね。よろしくお願いします」
「ハイハイ」
洗面台で手を洗い終えると、早速キッチンへ移動した。
「……それじゃあまず、カレーの作り方を教えたいと思います」
「わかりました、先生」
一瞬空気が固まる。
「……春斗く〜ん? そんな事を言っているとうっかり刺しちゃうかも……」
意地悪そうに軽く笑うと、ふざけて包丁で刺す動作を軽く見せる。
「……ごめんなさい……」
「よろしい…………で、カレーの作り方ね?」
「あ、うん。まず何をすればいいのかな? 具材を切る、とか……」
「なんだ、軽くなら知ってるんだ……そうだね、下ごしらえはやらないと
後が大変だからね」
七海は慣れた手つきでたまねぎの皮を剥くと、根っこを切り落とした。
「はい、じゃあまずここまでやってみて」
「あ、うん」
見よう見まねでやってみる。さすがにこれは簡単だった。
「そうだね、上手い上手い……じゃあ、次はたまねぎをみじん切りにしよう」
「……みじん切りなの?」
「そうだよ。あれ? もしかしてカレーは簡単な物だとか思ってる?」
具材を切って、炒めて、煮込んで、ルーを入れて……
「……え、違うの? 僕はそうだと……」
「多分、春斗君が知っているのは本当に簡単な作り方だね」
やっぱりそうか……
「カレーってさ、すごい奥が深いんだよ。いろんな物を入れたり出来るしさ、
作り方に一工夫いれると大分味が変わるんだよ」
「へぇ……僕は何も知らなかったんだな……」
その後、七海に教えてもらいながら具材の下ごしらえは終わる。
次は炒める段階。七海はフライパンに薄く油を敷いた。
「それじゃあ炒めようか。今日は時間があんまりないからここだけ工夫をするね」
「……ごめんね、もっと時間がある時に頼めばよかったよね……」
「大丈夫だって、また教えるからさ」
90Chains of pain:2009/04/06(月) 04:58:37 ID:X/JahByB
笑いながら答える七海。そして、フライパンに視線を戻す。
「…………もっと時間があれば……か……」
「……え? 何? ごめん、聞いてなかった……」
「ううん、なんでもない」
「そっか……」
最近はこんなことばかりな気がする。
今朝の優花もそうだ、本人は何も言っていないと言っていたが、
どうしてもすんなりと納得が出来ないでいる。
「それでね、たまねぎを焦がさないようにちゃんと炒めるんだよ」
「焦がさないように?」
「そう、きつね色になるまでだね……」
「なるほど……それじゃあ」
炒め始める。焦がさないようにずっとたまねぎを動かす。
「………………」
「…………そうだね……その調子……」
ちょっと小さくなってきたような。
「………………」
「…………そうそう、がんばれ春斗君」
小さくなったのかな……わかんないぞ。
「…………え〜っと……」
「……何? 春斗君……」
正直、申し上げにくいのですが……
「……何分ぐらい炒めていればいいのかな?」
「わかんない」
そんな。
「だってさ、きつね色になるまでだよ? それはもう目で確認するしかないよ」
「……やっぱり、そうだよね」
ああ、一秒が一分に感じられる。
結局、何分手を動かし続けていたのかわからないまま他の具材も入れ、
しばらくしてから炒める工程が終わった。
「後は煮てルーを入れるだけだよ。大丈夫、もう大変な事はないから」
そう言って鍋に水を入れるように指示する。
「そっか、僕さ、料理ってこんなに大変だとは思わなかったよ……」
「はは……それがわかったのならよかった……」
具材と共に次第に上がっていく温度を二人で見て感じた。
しばらくすると、七海がルーを入れる。
91Chains of pain:2009/04/06(月) 04:59:04 ID:X/JahByB
「…………あのさ……」
「うん?」
「えっとさ…………ううん、なんでもない。ごめんね…・…」
そう言いかけて七海は下を向いた。
「……別にいいよ……」
しばらくの沈黙の後、火を止めた。
「さ、出来上がりだよ。されじゃあ早速食べる?」
「そうだね、う〜ん、慣れないから手首が痛いや……」
もちろんそこまで痛い訳ではない。
「えっ、手首が痛いの!? ちょっと待ってて、湿布を持って……」
「大丈夫だって……」
「いいから! 待ってて!」
キッチンの奥に居た七海は湿布を取りに行くためにすれ違った。
「……あれ?」「……ちょっと……」
足が引っかかって二人して倒れる。
ものすごい音が部屋に響き渡り、下になっていた僕の背骨がきしむ。
「うわっ…………だ、大丈夫? 七海……」
「……う〜ん……大丈夫みたい……」
七海は僕の上に覆いかぶさるように倒れていた。
92鳩大福:2009/04/06(月) 05:00:45 ID:X/JahByB
今回は以上です。
>>89が名無しさんになってなすけどそこはミスです。
またよろしくお願いします。
93名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 06:07:15 ID:Noc5UU6N
早朝にGJ〜
ちらちらと違和感を感じてきた春斗。
病みを隠しきれない2人の少女。
じわじわ盛り上がってまいりました……。
続きをゆるゆる待っています。
94名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 07:26:54 ID:84775PCj
早朝投下来てたGJ!
95大田:2009/04/06(月) 10:32:06 ID:SSPDoFCl
ぽけもん 黒マダーーー??
96名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 20:04:14 ID:Tzn6zoKR
>>95sageろよクズ
97名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 21:05:21 ID:W5tRkW3q
>>96
クズは華麗にスルーしとけ
98名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 02:37:06 ID:b4mRdZDW
ヤンデレにパンツ何色って聞いてみたいのは俺だけじゃないはず
その後の展開にガクブルしながらニマニマするのも俺だけじゃないはず
99名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 02:39:38 ID:ClE6Ccpj
なんか適当なトラウマが原因でヤンでしまった娘とかがすきだ
100名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 05:08:02 ID:BQdBcs+s
100ゲトズサー
101名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 05:16:59 ID:K2nbF1Tj
>>99
…どうして!?
どうしてみんな私の100get邪魔するの…?
彼の為に必死でキリ番ゲットしようと頑張ってるのに…。
…許さない。許さない。地獄の底の最下層の奈落のどん底の最大深度の
暗闇まで叩き落としてあげる…。
こうですねよくわかりますん><
102茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/07(火) 10:14:15 ID:53Qxqfew
投下します。
今後の委員長の病みシーンとか告白編とか色々ありすぎてどっから書いて良いかわからない。
早く病ませてぇ…
103プリプリプリンセス 二話:2009/04/07(火) 10:15:16 ID:53Qxqfew

「松戸くん、おはよう」
「お…おはよ」
何故機嫌が良いんだよ、藤代。
「昨日、帰りがちょっと遅かったから心配されちゃったんだぁ」
「はぁ…」
「珍しいな、とか言ってたの!ひたちのこと気にしてたの!」
それはただ単純にあれだけ帰宅部だった彼女にしてみては珍しいって意味だったんじゃないだろうか。
だがしかし藤代は全く耳を貸すつもりは無いらしく昨日親にでも心配(というか驚き)されたことに悦に入っている。
涎、垂れそうだぞ。
「たまになら遅くなっても良いかも…ありがと、松戸くん」

104プリプリプリンセス 二話:2009/04/07(火) 10:16:06 ID:53Qxqfew
それを付き合う前提での感謝であって欲しかった。
それは嫌味なのか。
いやいやどちらかというと、告白なんて"どうでもいいこと"みたいに彼女が捉えてる感じがする。
若干腹が立ってきたが緩く微笑む藤代は愛らしい。
こちらに向けていてこちらを見ていないというような違和感はするんだけどな。
「はは…それはどうも」
苦笑いしながら大人らしく(中三だが)対応をしたその時バサバサッと後ろの方で冊子が落ちる音がしたので振り向くと、委員長が立ち尽くしていた。
入り口前に委員長の教科書や参考書が散らばっている。
105プリプリプリンセス 二話:2009/04/07(火) 10:18:48 ID:53Qxqfew
相変わらずの瓶底メガネとおかっぱと、いつも固く結んだ口は表情を読ませない。
「姫ちゃん大丈夫?」
すかさず近くに居た女子(委員長は女子には快く思われている)がすぐに拾い出す。
「委員長?」
「…あ、」
俺の呟きが聞こえたのか、すぐに我に戻ったらしく他の女子らと一緒に本を拾い集め出した。
藤代と俺はただの風景に過ぎないそれを黙ったまま見て、やがて始業ベルが鳴ったことで普段通りつまらない授業を聞いてノートを写すことに取りかかるのだった。
俺らの席は前から二番目の窓際で、扉近くに座る委員長のことなんか全く気にしなかったんだ。



つづく
106茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/07(火) 13:48:02 ID:53Qxqfew
携帯の充電しとけば良かった…
これで終わりです。
107名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 15:19:38 ID:ygUWUlMi
委員長いい病み方しそうだから楽しみにしてるぜ
あと、書く順番悩んでるんならプロット(あらすじ)をちゃんと書いといた方がいいぞ。
108名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 15:44:42 ID:8lB4aK5R
>>106
お疲れ&GJ。
プロットもそうだけど、投下前には余裕を持ったほうがいいよ。
特に今回、途中で投下が止まってたんで、ちょっとレスが遅れたし。
続きを楽しみにしてます。がんばってね。
109茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/07(火) 16:21:25 ID:53Qxqfew
>>107-108
有難うございます。
いつも最初と最後と書きたいシーンしか作っておかないから、肉付けの順番が困ったんだ…
次からは気をつけます。
110名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 19:57:08 ID:BOscIHoH
藤代も病んでる感じがそこはかとなくあるね
兄弟か…
111名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 20:49:04 ID:Y9ORJx9s
>>109
GJ!
まあ、あまり焦らずやってくださいな。


>>110
ていうか、藤代ひたちってことは作者さんの前作、ドナドナドンナから3年後の話かと。
112名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 00:22:33 ID:NkorP73Q
今アニメのefを見てるんだが7話の留守電のシーンがヤンデレっぽくて良い!
やっぱヤンデレに留守電は必須だと思うんだ。だって大量の留守電ってめっさ怖いから!めっさ怖いから!!
113名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 01:41:45 ID:Pq0UJOlu
>>109
GJ!!
ひたちが児童書書きの兄さんと同棲してるのかが問題だ!
お父さんは許さんぞ!!!
114名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 01:55:20 ID:wqE/eYKz
>>109
GJ!
ひたちかわいいな・・・。
115名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 14:23:55 ID:pzM5VR9+
>>112
確かに見えるかも知れないがあれは依存じゃないか?

こちらにどうぞ
http://speedo.ula.cc/test/r.so/yomi.bbspink.com/eroparo/1219254210/1-n?guid=ON&kenken=
116名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 14:52:06 ID:NkorP73Q
>>115
ああ、最終話まで見てがっかりしたよor2
しかしあのシーンだけ見るとヤンデレっぽいんだよ。くそっ!あそこで見るのを止めてれば…ッ!!
117茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/08(水) 16:13:20 ID:9ia+/YsW
みんなひたち覚えててかなり嬉しかった。
ネタとして出さなそうなので>>113に答えてみる。
ひたちはいかんせん中○生なので何か無ければ7時くらいには飯作って帰ってます。
そして逆に帰宅は親に部活と偽ってるようです。
今やってるの終わったら恐怖のサークル歓迎会編も書いてみたいものです。
118名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 19:23:58 ID:ou9cDzvx
依存型のヤンデレって保管庫になかったか?
119名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 20:23:25 ID:OvLNOCob
依存型のヤンデレ
ttp://www34.atwiki.jp/yanderemewtwo/
120名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 01:15:32 ID:Nkm4SVeY
依存スレもよろしくお願いします。
http://same.ula.cc/test/r.so/yomi.bbspink.com/eroparo/1219254210/l10#down
121名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 02:23:28 ID:D5hlEhHT
>>120
携帯厨死ね
122名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 02:44:05 ID:TL2kRA9b
携帯かよ・・・
てか思ったんだがいつのまにかテンプレから関連スレ消えた?
それとも最初からなかった?
キモウトスレへのリンクとか前はってたきがするんだが
123名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 03:13:26 ID:MELrcaCp
かなり昔……調べたらpart3の終盤の話し合いで切った。
関連スレ貼っても他スレと無用なトラブルになりかねんし、実際いらないな。
よそはよそ、ここはここだ。
124名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 11:29:15 ID:RmOCgGL1
この人(スレ)以外いらないというわけか
まさにヤンデレ
125名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 21:41:03 ID:M96s/FVY
>>124
座布団やんよ
126名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 21:49:20 ID:Km14KyFk
綿の中に大量の髪毛を混ぜた座布団ですねわかります。
127名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 22:53:53 ID:A9nnGwqd
むしろ人毛100%
128名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 00:45:52 ID:zhcrJrHP
すわり心地がきになる
129名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 00:51:28 ID:fZrBZmVb
>>128
匂いも気になる。座るといつもどこからともなくあの娘の体臭が…
130名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 01:04:12 ID:3wW8OyBx
>>121
あの…携帯ってだけでそんな悪いのか?
俺みたいに携帯でしかアクセスできない者はどうすれば良いんだ?
131名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 01:17:51 ID:sJeTee1i
>>130
ネットカフェ行くかパソコン買ってネットに繋ぐこと。

補足しとくと、携帯が悪いわけではない。
携帯を使ってちゃんねるに書き込んでくる人たちの受けが
余り良くないから叩かれるだけ。
お前に悪気は無いんだろうと思うし、こちらも無いことはわかっているが、
携帯から書き込み際にはあまり下手なことはしないほうが吉。
それはどんな人にも言える事。
132名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 01:23:07 ID:kQwb6+/g
>>130
あ〜、違うから違うから。
携帯厨が蔑まれるのは、基本的に空気が読めないって言われるからよ。
単純に低年齢な人間が多いのもあるけど、今回みたいに携帯サイトアドレス載せるとかね。
書き込み画面から、投稿前に本スレの流れが確認できずに、ネタ投下中に割り込むとかね。
そういう「流れ」や「雰囲気」を乱しちゃう(故意過失問わず)ところで、嫌われるのよ。

投下の際に不利なだけで、単にROMるだけなら、基本的に問題ないから……。
あなたが長文を投下する時は、コピペとかでスレ確認→投下の時間を短縮すればいいんだから……。

だから、携帯から見たくないなんて、言わないで。
私のことを見なくなるなんて、言わないで。
私はあなたに見られていないと………… アナタニアイニイクカモヨ
133名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 12:02:33 ID:3ZohJrQ7
俺も携帯(´・ω・`)
まあ>>132の言うとおり携帯で書き込む時は最低限の注意が必要だよな
134名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 15:53:50 ID:pXTuxRw9
彩さあああん!
135名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 16:30:51 ID:G2FVY4O1
>>133
こういう自己アピールも携帯が嫌われる原因だからやめとけ

お前の後ろのお嬢さん、携帯握り潰してるぞ?知り合いかい?
136名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 21:47:38 ID:GoOmvkun
携帯死ね
137鳩大福:2009/04/11(土) 00:06:08 ID:8TBwVrSe
投下しますよ。
なんかぐだぐだになってきてしまってますが、
よろしくお願いします。
138Chains of pain:2009/04/11(土) 00:07:00 ID:8TBwVrSe
背中に激痛が走る……
それは声すら出せない程の激痛だった。
確かに僕は七海の下敷きになった。だがその程度でこんなに大きな
痛みが生まれると思えない。
……ではなぜ? 理由……わからない。
けれども過去にもこのような事があった気がする。
あぁ……あれは忘れもしない……

「ごめんなさい……ごめんなさい、お兄ちゃん……」
背中が熱い。
痛いという感覚はこんなにも苦しいものだったのか。
「ごめんね……本当にごめんね……だから、あたしを嫌いにならないで……」
「……大丈夫だよ。本当に大丈夫だから」
胸が痛い。
こんな所に怪我を負っていたのか? いや、そんなはずは無い。
これは熱くない。いや、僕にとってはもっと辛い。
……呼吸が出来ない。なんでだろ?
「ごめんなさい……背中……痛いんだよね? ごめんなさい……」
暗い顔をされると僕の胸は痛み出すのか?
「ねぇ、お兄ちゃん……お兄ちゃん! 何か言って! 嫌いにならないで!」
どうやらそうらしい。
「お兄ちゃん……」
泣かないでくれ……僕は優花の涙も暗い顔も嫌いだ……
僕は優花に悲しみを与えたくなんて無い! 
……だから、優花。
「…………お兄ちゃん!?」
……もう、泣かないでくれ。
「うん、大丈夫だから……優花は何も悪くないんだ」
優花の体温が服を通してでも伝わってくる。
……あれ? なんで泣き出すんだよ?
「もう……泣かないでよ……」
だんだん痛みが引いていく……そうだよ、笑ってよ……優花。
139Chains of pain:2009/04/11(土) 00:07:47 ID:8TBwVrSe
ほんの一秒未満の失神。
いや、そんなものを失神と呼ぶ方がおかしいかな?
「…………春斗君……大丈夫……?」
あぁ、一応大丈夫だよ。
それより泣いているのかな? 七海……
痛かったのかな? それとも僕を気遣ってくれているの?
「……七海こそ大丈夫?」
「…………う、うん……」
そっか、なら良かった。本当によかった。
正直、誰も泣くのを見たくない。
……あの時に知った痛み。
それは恐らくどんな傷よりも深くて治りが遅いことを僕は知った。
優花の涙……七海の涙……人の涙……つまり、心の傷。
治療薬なんて存在しない。
あったとしたらそれは偉大で、どんな賞でも足りないぐらいだ。
僕は見たくない、人の悲しみを……
頼む、だから泣かないで、笑顔でいてよ……
「ねぇ、春斗君……このままでも良いかな?」
「このままって?」
七海の手が僕の頬をなぞる。
「七海? 何をして……」
反射的にその手を払ってしまう。
「……ははは……冗談だよ?」
なんで目がうつろなの?
「僕は起きたいな……」
「ごめん、ごめん……」
起き上がった七海が手を差し伸べてくれた。
140Chains of pain:2009/04/11(土) 00:08:12 ID:8TBwVrSe
遅い。
もう既に鈍間な針は九を指していた。
「……お兄ちゃん、あのメモは嘘だったの?」
最悪な展開が頭の中に次から次へと浮かんでくる。

「じゃあね、七海。また明日……」
扉を開けようとするお兄ちゃん。
「……帰らないで……」
あの女が後ろから抱きつく。
「な、七海!? ど、どうしたの? もしかして風邪に……」
「ばか、春斗君のバカ。本当にどうしようもない馬鹿」
状況のつかめないお兄ちゃん。
頬を赤く染めて瞳を閉じるあの女。
「……これが風邪に見えるの?」
「えっと……なんていうか」
「……スキ」
目を見開くお兄ちゃん。
「だから、大好きだって言ってんの!」
「……冗談だよむぐっ……」
唇が重なり合い……二人の時間は……止まる。

「……って、イヤーーーーーーーーーッ!」
思わず叫んでしまっている。
どうやら思っていたよりも想像力が豊かなようだ。
しかし、そんな事が起こる可能性は無きにしも非ず。
こうしている間にも春斗は……
「ただいまーーーっ」
って、帰ってきた!!
「あっ……お兄ちゃんお帰りーーっ」
いつものように駆け出す。一秒でも早く春斗の顔が見たいから。
そして食べてもらうんだ、あたしの気持ちを。

……今日は春斗の大好物……カレーなのだから!!
141鳩大福:2009/04/11(土) 00:09:15 ID:8TBwVrSe
今回は以上です。
もっと才能があればよかったのですがなかなか難しいですね。
142名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 00:14:13 ID:49Z/oaHb
>>141
GJ。
産みの苦しみはいろいろあるさ〜。
諦めずに、ガンガン書いていってください。
次回をゆったりと楽しみに待ってます。
143名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 00:52:59 ID:EwTbKgH7
>>141
GJ
これからの展開に期待
144名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 01:22:29 ID:C8/ijtyF
>>141
GJ
妹、かわいいよ。
145 ◆wzYAo8XQT. :2009/04/11(土) 22:05:38 ID:VngcjGT5
ぽけもん 黒 四月分投下します
第十四話です
146名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 22:07:03 ID:VngcjGT5
 香草さんのフラッシュのお陰で、僕達は短時間で洞窟を抜けることが出来た。
 僕と香草さんが手をつなぐと、ポポも手を繋ぎたいとごね(正確には翼だが)、結局ポポともつなぐことになった。
 結果不意打ちに対応できず、僕は体当たりを計三回も喰らうことになってしまった。
 香草さんはポポに文句を言ったが、香草さんが文句を言えば言うほどポポは僕に引っ付くので、すぐに諦めたようだ。
 数時間ぶりの日光が目に厳しい。
 僕は目を細めて天を仰いだ。痛む体に突き刺さるような眩しさだ。
「香草さん、洞窟抜けたよ」
 香草さんにそう告げる。
 名残惜しいが、もう手を離さなくてはならない。
「そう」
 彼女はそう返事して、フラッシュを使うのをやめた。
 そのまま歩き出す。僕の手を掴んだまま。
「あ、あの、香草さん?」
 僕が呼びかけると、香草さんは立ち止まって振り向いた。
「何?」
 僕の視線は香草さんの顔とつないだ手を往復する。
 香草さんはそれから察したのか、勢いよく僕の手を振りほどいた。
「あ。べ、別に……この馬鹿!」
 また馬鹿呼ばわりされてしまった。
「何も見えないkら仕方なく繋いでいただけなんだからね!」
 香草さんは顔を真っ赤にして僕に怒鳴る。
 そうだよね。仕方なくなんだよね。
 僕の浮かれていた心がどんよりと沈む。
「ご、ごめんね」
 僕は香草さんに謝ったが、香草さんはふいと前に向き直り、そのまますたすたと歩き出してしまった。
「ポポはゴールドの手を放さないですよー」
 ポポはにこやかに僕の手を強く握る。
 地上に出たんだからポポには飛んで哨戒してもらいたいんだけどな……
 結局、再びポポは飛び上がり(やんわりと告げたのに、また激しく狼狽して、慌てて飛んでいった。僕はそんなことで嫌いになったりはしないと言っても効く耳持たずだ)、香草さんはずんずん進む。

「大きな井戸だね」
 僕達はすぐに大きな井戸の前に着いた。
 口は人が数人同時に入れそうな広さがあり、ご丁寧に階段までついていた。
 これが『ヤドンの井戸』か。
 この井戸にはヤドンが大量に生息しているらしい。
 そもそも檜皮村はそれ自体が大きなヤドンの集落のようになっているということだ。
 でも特に用も無いので素通りする。
 村に入った僕達は、すぐにおかしなことに気づいた。
「この村、やけに警官が多いんだね」
 過疎の進んだ小さな村であるはずの檜皮村なのに、異様なくらいの警官の数だ。
 目に付くだけでもいちにいさん……十一人もいた。
 あくまで今見えている範囲だけで言えば、明らかに村民の数より警官の数のほうが多い。
「あのー、何かあったんですか?」
 何事かと思って、僕はその警官の一人に声をかけた。
「ん、ああ。ロケット団がこの村に拠点を作っているという情報があってね。一昨日が一斉摘発の日だったんだよ。まだ残党が潜伏している可能性があるから我々が警備しているというわけさ。君達も気をつけなさい」
 なるほど、道理で警察が多いわけだ。
 ロケット団。その言葉に一人の男が頭をよぎる。
 シルバー。
 吉野町で会ったときも吉野町のすぐ手前でロケット団を退治したばかりだった。
 彼はロケット団幹部の息子だ。
 今はロケット団の要職に納まって、ロケット団と行動を共にしている可能性も十分にある。
 もしかしたら、アイツを見つけられるかもしれない。
 僕は胸の内に熱を感じた。
「ゴールド?」
 香草さんに声をかけられて、現実に引き戻される。
 僕は何かあるとすぐ考え事に耽ってしまう癖があるからな。
 気をつけないと。
 それよりも、今第一に考えることは、どうしたら香草さんと契約解除するのを防げるかだ。
 重ね重ね言うが、僕は本当は香草さんと契約解除なんてしたくはない。すごく強いし、それに……可愛いし。
 数日前はすっかり落ち込んでしまって、旅を止めることばかり考えていたが、今はもう少し前向きに考えることが出来ている。
 それでも、シルバーにあってしまえばすべては終わりになってしまうのだけれど……
 しかし、実際はもう檜皮村についてしまっている。
 つまり契約解除まで残すは役所へ行き、手続き済ませるだけとなっている。もう目の前にあるようなものだ。
 どうすればいいんだろうか。
「何?」
 僕は香草さんに返事をする。
「あ、あのね、あ、あの……け、契約解除のことだけど……そ、その……ななか……な、何でもないわ」
 一体何なのだろうか。
 何か契約解除について僕に言いたいことがあるのは間違いないと思うけど。
 洞窟でのことを考える限り、香草さんは僕にそこまで悪感情を持っていないとも考えられる。
 だから説得が不可能だとは思いたくないんだけどなあ。
 香草さんのほうからその話題を切り出してくれた今こそ絶好のチャンスだったのかもしれないけど、何も言葉を用意していなかったから何もいえなかった。
 余計なことを言って神経を逆撫でしてしまったら元も子もない。
 ……うーん、こんなこと人に言ったら、彼女にはっきり拒絶を示されるのが怖くて逃げているだけの言い訳と言われそうだ。
 でも僕のこの性格は今に始まったことじゃないしなあ……
 説得の文言を考えながら村を一周したが、僕は奇妙に思った。
 この村、役所が見当たらない。
 一周したし、役所がそんな村のはずれにあるはずも無いから、見逃してない限り役所は存在しないことになる。
 これは一体。
 それと、村を一周している間、香草さんがやけにそわそわしていることも気になった。
 僕と契約解除できることが嬉しいのかとも思ったけど、どうも喜んでいる感じには見えなかった。
 むしろ焦っているような。
 もしかしてこの村に何かトラウマでもあったりするのだろうか。
 檜皮村は鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた村で――というか森を切り開いて作られた村で、その性質上虫ポケモンの宝庫となっている。
 だから香草さんが過去に旅行経験でもあって、この村に来たことがあれば、なんらかの嫌な過去を持っている可能性もある。
 直接聞いてみようかとも思ったけど、仮にトラウマがあったのだとしたら傷を抉るような行為になってしまう。
 そう考えると聞くことが出来なかった。
 香草さんにそわそわしている原因を尋ねることはできないけど、村人に役所の場所を尋ねることはできる。
 僕は畑で仕事をしている、初老の男性に尋ねてみた。
「すみません、この村の役所の場所をお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「あー? 役所ならほれ、そこだ」
 意外なことに、役所はすぐそこにあるらしい。
 男が指差す先を見ると、そこには木造で平屋の建物があった。
 役所というより公民館と言ったほうがふさわしいような見た目だ。
 それに、どこにも役所であることを示す表記が無い。
「けど、今言ったって何も出来ねえよ」
「そ、それってどういうことですか?」
「あー、この村、見てのとおり過疎が進んでてなあ、役所無くなっちまったんだ。今じゃそこの公民館に週に一度街から職員さんが来て、そこを臨時の役所として使うことになってんだ」
「週に一回って、それは何時なんですか?」
「あー、ちょうど昨日だよ。残念だったね、お若いの」
 香草さんが背後で息を飲むのが聞こえた。
 男は残念だと僕を慰めたが、僕にとっては残念どころか大喜びだ。
 心の中でガッツポーズを作った。
 ありがとうございましたと礼を言って男と分かれた後、僕達はまた歩き出す。
「そういうわけだから香草さん、契約解除はしばらくできないね」
 僕は香草さんに笑顔で言う。
「そういうことなら、し、仕方ないわね」
 香草さんはいやいやながら了承してくれたようだ。
 まあ、了承せざるを得ないしね。
「それってまだチコと一緒にいるってことですか!?」
 ポポが僕に尋ねてきた。不快感をあらわにしている。
 うーん、だからポポにとってはこれが正しいリアクションなんだろうけど、僕にしてみれば複雑だなあ。
「そういうことだよ。それとポポ、そんなに嫌がること無いじゃないか。契約を解除していない以上、香草さんも大切な仲間なんだからさ」
「チコが乱暴するのが悪いんです」
「香草さん、もう少しポポに優しく……」
「全部その鳥が悪いのよ」
「香草さん! だからそんな言い方しないでって言ったじゃないか!」
 まったくの平行線だ。悲しいけど、二人とも仲良くなんてのは無理なのかな。
「何よアンタはポポばかり! そんなにポポが大事なの!?」
 しかも香草さんの逆鱗に触れてしまったようだ。
「言っただろ? 香草さんも仲間なのと同じようにポポも仲間なんだよ!」
 僕がそういうと、香草さんは途端に無表情になって黙り込んだ。
 分かってくれたのかな。
 僕達はまたポケモンセンターに向けて歩き出したが、空気は重い。
 というか最近空気が軽かった覚えが無い。石英高原を目指す旅とは、皆このように胃の痛いものなのだろうか。
 香草さんは先ほどのようにそわそわはしていないけど、今度はイライラしているように見える。

 本当に香草さんは分からない。
 ポケモンセンターの部屋のベッドの上で、しみじみとそう思う。
 まだ日は暮れてはいないが、万全の体調で挑むためという建前でジムに挑戦するのは明日にした。何せ皆それほど消耗してはいない。確かに万全ではないかもしれないが、本来ならわざわざ日を延ばすほどではない。
 役所の人が来るまで後六日だ。
 となると普通に進めば明らかに役所の人がこの村に来るより僕達が次の街である古賀根街につくほうが早い。だからそんなに急ぐ理由がないのだ。
 幸いなことに香草さんも異論無い様だったし。
 ポポはニコニコしながら僕の隣に寝そべっていて、香草さんはイライラした面持ちで向かいのベッドに横になっている。
 やっぱり、契約解除できないことがそんなに不満なのか。
 そりゃ、ここまでくればもう僕とはおさらばできる思っていたのに、それが外れたらイライラもするよね。
 やっぱり、僕は香草さんに嫌われているんだなあ。
 はあ、と溜息一つ。
 そしたらポポが慌てた様子で、
「何か悪いことしたですか!?」
 と尋ねてきたから困った。
 ただの深呼吸だと誤魔化したけど、彼女の異様とも思える強迫観念には困ったものだ。もっと自分に自信を持ってもいいのに。
 僕みたいな凡才と違って、彼女は才能に恵まれているのだから。尤も、その自覚はないのかもしれないけど。
 そうして僕は悶々と香草さんを説得する台詞を考えながら時間をすごし、そして翌日を迎えた。
 道路にでたが、まだ警官の数は多い。
 そういえば寝ていたから曖昧なんだけど、夜中に外が騒がしかったような気もするから、またひと悶着あったのかもしれない。
 お疲れ様ですと警官に挨拶をし、僕達はジムへ向かった。
 檜皮村のジムは村に合わせたのか、虫タイプを使うジムだ。
 香草さんは虫が弱点だけど、逆にポポは虫に弱点だから大して問題は無い。
 むしろ前の桔梗町のジムよりも楽かもしれない。
 僕はそんな楽観的思考をしながらジムへ入った。
 ジムの中には鬱蒼と人の背丈を越す草が生い茂っており、向こう側の様子が何も見えない。入り口のすぐわきに階段があったので上ることにした。
 階段の上には通路があり、このジムの全景がよく見渡せた。
 白線の中は一面の草むらである。
 なるほど、木を隠すなら森の中、虫を隠すなら草むらの中、というわけだ。
 桔梗町に続き、また自分に対して有利に働くようなジム作りがなされているわけだ。
 ジムとはすべてこういうものなのだろうか。
 戦う場所を選べないのは挑戦者の辛いところであり、戦う場所を選べるのはジムリーダーのアドバンテージというわけだ。
 戦う前から戦闘というものは始まっているのかもしれない。
「よくきたね、挑戦者?」
 ジムの壁をぐるっと周回する様に伸びている通路。その通路のちょうど僕達の向かい側に彼女はいた。
 入り口では草の所為で見下ろす位置の彼女も、見上げる位置の僕も、お互いの姿が見えなかったようだ。
 その少女は声の通り、活発そうな少女だった。
 肩の手前でザクザクと切りそろえられた紫の髪と、緑の丈夫そうな服が特徴的である。
「ええと、君がジムリーダーかな?」
 状況的には彼女がジムリーダーなのだろうけど、それにしてはかなり幼い。僕よりも絶対に年下だ。だから僕は失礼になるかもしれないと思いつつも尋ねた。
「そうだよ。ぼくが檜皮ジムジムリーダーのツクシさ! ご存知の通り、虫ポケモン使いだよ」
 彼女がそう言うと、草むらの中から二人のポケモンが飛び出した。
 ゴツゴツした装甲に全身を覆われた緑色のポケモンと、こちらもゴツゴツした甲冑に全身を包んでいる緑色のポケモン。
 トランセルとストライクだろう。
 トランセルはまだ硬そうというだけだが、ストライクのほうは両手に構えられた二本の大刀がいかにも凶悪そうな威圧感を放っている。
 それに、二人ともあれだけ重そうな装備をしているのに、一っ飛びで簡単に二階ほどの高さのある通路まで上ってきた。重装甲だからといって鈍重と言うことにはならないということか。
 しかし僕のパートナー達はそれを見ても平然としている。
 あの装甲から想像される防御力の高さに素早さ、さらにストライクのほうは高い攻撃力が想像できる。
 それなのに、何のリアクションもなしとは、この子たち知覚に何か問題があるんじゃないかな。
「キリとナギだよ」
 ツクシさんの紹介を受けて、二人とも順にお辞儀する。
 トランセルのナギさんはお辞儀のときそのまま前のめりに倒れてしまった。
 装甲の稼動域狭そうだもんなあ。
 しかも一人では起き上がれないらしく、手足をバタバタと動かしている。
 可愛いなあ。
 思わず和んでしまう。
 お陰で僕の右腕が折れそうだ。
「……って痛い痛い痛い! ど、どうしたのさ香草さん!」
 香草さんに僕の右腕を曲がらない方向に引っ張られていた。
 一体どうしたというのか。
 せっかくナギさんを見て穏やかな気持ちになれたというのに、そんな気分は一瞬にして吹き飛んでしまった。
「長いのよ。早くしなさいよ」
 香草さんはどうやらお怒りのようだ。
 ツクシさんと話を始めてからまだ一分程度のはずだ。決して長くは無いと思うんだけどなあ。
 そもそも、暇つぶしで腕を折られたらたまったものではない。
 そういえば最近あまりご飯を食べてないみたいだから、栄養バランスか崩れてイライラしやすくなっているんだろうか。
 光合成に頼りすぎちゃダメだよね。今度からちゃんと言わないと。
「ええっと、僕は若葉町から来たゴールド。よろしくね」
「なんだその子供をあやすような口調は!」
「え、そんなつもりはなかったんだけどな。ごめんね」
 ツクシさんは向こう側でピョンピョンと跳ねている。これはこれで可愛いなあ。
 そして香草さんは今度は僕の指を折りたいようだ。
「か、香草さん! 人間の指は普通そんな方向には曲がらないたたたた!」
 僕は香草さんの手を必死に振りほどこうとする。
 しかし段々力が強くなっていっているような……
 僕がこの村のポケモンセンターの医療設備がどのくらい充実しているかに望みを託し始めた頃、香草さんの手が強い力で払われた。
 ポポが翼で香草さんの手を叩いてくれたのだ。
「チコ、それ以上は許さないです」
 ポポが香草さんを睨みつける。
「へえ。どう許さないのか教えてほしいわね、鳥頭」
 香草さんもポポを睨み返す。
 あれぇ、どうしてこんな険悪ムードに。
「や、やめてよ二人とも。ポポ、僕は大丈夫だからさ。香草さんも落ち着いて」
「ははは、君たち、挑戦者かと思ったらコントでもやりにきたの?」
 ツクシさんにも馬鹿にされてしまった。
 確かにご尤もだけど、言われっぱなしも癪なので皮肉を返してやる。
「君こそ、こんな小さな女の子がジムリーダーなんて驚きだよ」
「ぼ、ぼくは男だ! それに年は関係ないだろう!」
 明かされる衝撃の事実。
 髪型。可愛い顔。そして子供ということを加味しても明らかな女の子の雰囲気。とても信じることが出来ない。
「お……男? そんな……嘘だ」
「嘘じゃねーよバカ!」
 怒られてしまった。怒鳴り声すら可愛らしい。
「でもどこからどうみても可愛い女の子にしか見えないよ」
「お前、男が可愛いと言われて喜ぶと思ってるのか!」
 ご尤もだ。尤も、僕は彼女が男だということを信じるつもりは無いが。
 自称=事実とは限らない。
 きっと彼女は女の子なのに虫好きだとからかわれるから自分のことを男だと称すようになったに違いない。僕はそう信じ続ける。
 そして背後からの殺気がやばい。
 香草さん的に考えて、余計な話をしすぎてしまったようだ。
「ねえねえゴールド、ポポは可愛いですか?」
 急にポポに飛びつかれた。
「うん、ポポも可愛いよ」
 僕は頭を撫でながら答えてやる。
 そして背後からの殺気がもうとんでもないレベルに達しているような。
「そ、それで、彼女達が僕のパートナーのポポと香草さん。よろしく」
 これ以上のんびりしていたら僕の身が大変なことになりそうなので、若干唐突かと思いつつ自己紹介を進める。
 香草さんは苛立ちを隠そうともせず、無愛想な顔でじっと前方を睨んでいる。
 ポポはキチンとお辞儀をしたが、なぜか前のめりに倒れた。
 しかも倒れたままジタバダと手足を動かしている。
 数秒の後、顔だけ起こして僕を見上げてきた。
 これは一体何なのだろうか。
 もしかしたら先ほどのナギさんの動作を自己紹介のときの正当な作法と思い込んでしまったのかもしれない。後でちゃんと教えておかないと。
 僕が何も言えずにポポを見ていると、ポポは突然立ち上がり、恥ずかしそうに頬を染めながら服の埃を払っていた。
 僕の様子からおかしいことが分かってくれたのかな。
 そんなことを考えていると、突然アナウンスが入った。
 草むらで見えないけど、ちゃんと審判もスタンバイしていたようだ。
 さて、問題は……
「私が行くわ」
「ポポが戦うです!」
 この二人をどう宥めるか、だ。正直言って頭が痛い。
「香草さん、香草さんには悪いんだけどさ、今回はポポに戦ってもらおうかと思っているんだ」
「どうしてよ!」
「どうしてって……ナギさんの装甲を見て、あの装甲に単純な打撃でダメージを与えるのは難しいだろうし、キリさんの鎌で香草さんの蔦は無力化されちゃうと思うんだ」
「ゴールドの言うとおりです!」
「そんなわけ無いでしょ! あんなの、簡単に捻じ切れるわよ!」
「捻じ切っちゃダメだよ!」
 捻じ切ることを前提に話を進めていたとは。
 どうして香草さんはこうバイオレンスなのだろうか。
「じゃあすり潰す?」
「一体何をどうするつもりなのさ!」
 このフィールドでどうすれば対戦相手をすり潰すという発想が出てくるのか、僕にはさっぱり分からない。
「しょうがないわねえ。ポポ、ちょっと私の目を見なさい」
 ポポは怪訝そうに香草さんの目を覗き込む。何だろう?
 僕も不思議に思って香草さんをじっと見る。
「フラッシュ!」
「ぎゃあああああああ!! 目が、目がぁ!!」
 突然香草さんの目から迸った閃光により、僕は目を焼かれ地面をのた打ち回る。
「何でアンタがダメージ受けてんのよ……。そして何でアンタは平気なのよ」
 香草さんは僕を呆れたような目で見て、その後ポポに訝しげな視線を向けた。
「ポポにはそんなの効かないですよ」
 確かに、正面から喰らったはずなのにポポはピンピンしている。
 そうか! かなり明るくないと物が見えないということは、逆に言えば明るさに対する耐性が高いということか!
 なるほど、これは思わぬ発見だ。多分今後役に立つことはなさそうだけども。
「君達、本当に何しに来たの?」
 ツクシさんは何かバカを見るような目でこちらを見ている。ツクシさんが呆れるのも無理はないんだけどさ。
「二人とも、どの道また入れ替え戦だからね! 勝っても負けても交代なんだよ!」
「じゃあポポは先がいいです」
「私は後がいいわ」
 僕の予想に反してすんなり決まった。二人にもようやく協調性というものが芽生えてきたのかな?
「雑魚と戦ってもしょうがないし」
「どうせチコは負けるです。そしたら両方ともポポが倒せるです」
 前言撤回。君達の魂胆はよーく分かった。
 どうして二人はこれほどライバル意識を燃やしているのかな。
 ポポとナギさんがフィールドに飛び降りたことで審判によるルール説明が始まる。
 二度目なので特に効くべき点も無い。
 試合開始の宣誓と共に、バトルが始まった。
「ナギ、硬くなれ!」
 ツクシさんは早速ナギさんに指示を出した。
 まずは防御を固めるか。元から硬そうだし、防御に徹しられたらかなり厄介だ。
「ポポ、電光石火でぶつかれ! 相手に防御を固めさせるな!」
 僕の指示通り、ポポはあっという間に距離をつめ、ナギさんを弾き飛ばした。
 しかしこれではたいしたダメージは見込めない。それは分かっている。
「ポポ、そのまま風起こしだ!」
 体性を崩したナギさんに烈風が襲い掛かる。
 ナギさんはなすすべなくじりじりと交代していく。
「ナギ、耐えろ!」
「ポポ、体当たりで一気に押し出すんだ!」
 僕はもともとダメージを与えることによる勝利を狙ってはいなかった。
 あれだけ防御がしっかりしているとなると正攻法で倒すにはかなりの体力の浪費となるだろう。
 そもそもツクシさんの戦略はおそらくそれだ。
 専守防衛に徹し、こちらが疲労や焦りで隙が生じたらそこを叩いて潰す。
 ならば相手が守りを固める前に速攻で片をつけてやればいい。
 風で移動を封じ、適度に追い詰めたらそのまま体当たりで押し出す作戦だ。
 ポポにはそれが出来るだけの能力がある。
 そして僕の思惑通りにナギさんは場外にはじき出された。
 ナギさんの場外でポポの勝ちである。
 よし、これで余裕が出来た。
「ポポ、よくやった!」
 はしゃいで戻ってくるポポを抱きとめ、労いの言葉をかけてやる。
 香草さんの目が痛いのでそれもそこそこに、二戦目の準備を始めた。
 ツクシさんはかなり悔しそうだ。
 トランセルはもともと戦闘向きのポケモンではない。
 それをあえて手持ちに入れているということは、なんらかの理由か、自分のトレーナーとしての自負があるのだろう。
 しかし、ナギさんはホントに癒し系だなあ。
 ツクシさんの前でしょんぼりしているナギさんを見ているだけで、なんだか微笑みがこぼれる。
「ナギ、よくやった。しっかり休んでくれ。……キリ、頼んだぞ」
「イエス、マスター」
 ツクシさんの命で、フィールドにキリさんが降り立った。
 鳥ポケモンほどではないが飛行能力を備えている上に、ナギさんにも劣らない重装甲。極めつけは二本の大きな刀だ。速度、防御、攻撃を兼ね備えた、まさに驚異的なポケモンといえる。
 香草さんはすでにフィールドに待機していた。
 僕は指示が出しやすいようにポポと少し距離をとる。
 そして、試合開始が宣言された。
「香草さん、蔦で周りの草を薙ぎ払って!」
 開始と同時に僕はそう指示を出した。
 ナギさんの装甲の色から考えて、草むらにまぎれられて高速で攻撃されたらおそらく手も足も出ない。一方的に削られるだけだ。
 ならばまずすべきことは隠れ場所を無くすこと。僕はそう考えた。
「遅い!」
 しかし、その声と共にキリさんが上空から切りかかってきた。
 これは蔦で受け……いや、まずい!
「リフレクター!」
 僕は慌てて叫んだ。
 上段からの加重のかかった二本の刀はおそらく蔦では受けることが出来ない。
 回避にしても蔦が長く出ている今ではどうしても蔦が引きずられて回避が遅れる。
 一手目から失策だったかもしれない。
 間に合え……!
 金属をこすり合わせるような、鈍い音がフィールドに響いた。
「ぐぅ!」
 香草さんの短い悲鳴が聞こえた。
 見れば、刀は束ねられた蔦にかろうじて受け止められていた。
 しかし蔦越しとはいえ、刀は香草さんの左肩に打ち据えられていた。
 リフレクターはちゃんと発動していた。それなのに、なんて威力だろうか。
 相性の問題もあるだろうが、ここまでパワーのあるポケモンとの戦闘は初めてだ。
 もしかしたら、力は香草さんにも引けをとらないかもしれない。
「香草さん、眠り粉だ!」
 僕の指示を受けて、香草さんからキラキラと光る粉が散布される。
 キリさんは咄嗟に飛びのいて距離をとった。
 最初からあたると思っていなかったので、距離をとらせることが出来ただけでも十分だ。
 香草さんは左肩を抑え、苦痛に顔をゆがめている。
 あの様子だと、もうこの戦闘中はまともに左腕を使えないかもしれない。
 何てことだ。
 これはもしかして本当にポポの予想が当たってしまうかもしれない。
 ……僕がそんな弱気でどうするんだ。
 後ろ向きな考えは今は必要ない。今すべきことは最善を尽くすことだ。
「香草さん、葉っぱカッター!」
 キリさんの強襲によっていくらも草をなぎ倒せなかった。だから遠距離から攻撃できつつ、同時に草も刈れるこの技を選択する。
「キリ、剣の舞」
 キリさんは大刀を上手く生かしながら舞を始めた。
 それは優雅さと雄雄しさを兼ね備えている、美しいものだった。
 しかも同時に自身に襲い掛かる葉っぱも打ち落としている。
 剣の舞はそもそも自身を鼓舞することにより攻撃力を上げる技であって攻撃技ではない。
 しかしそれで葉っぱカッターを受けられるとは、ますますまずい。
 このままではどんどんキリさんの攻撃力が上がっていくことだろう。
 やはりこの戦いも、早期決戦が理想のようだ。
「香草さん、蔓で相手の動きを封じるんだ!」
「させないよ! キリ、連続斬りで相手の蔓を切りまくれ!」
 伸びていく無数の蔓を、キリさんは次々と切り落としていく。
 そもそも片手しか使えないため、蔦の数が足りていない。それに加えあの速度だ。近付くこともできない。
 いや、それどころかキリさんはジリジリと近付いている。
 このままじゃいずれあの凶刃が香草さんにも降りかかってしまう。
 なんとかしないと。何か手は無いか。
 必死に考えても、何も名案が思いつかない。
 策はいくつか思いつくが、それを相手に伝えず香草さんだけに伝える術が考え付かない。
 前回のジム戦の快勝で、ジム戦を甘く見ていたかもしれない。
 戦う直前でないと戦う相手はわからないとはいえ、ジムによって戦うポケモンの傾向は分かっている。だからそれにあわせて、事前にいくつか策を作って話し合っておくべきだった。
 そうしているうちにもキリさんはドンドン近付いてくる。
 もうダメか。
 白旗を揚げようかと思ったそのとき、突然キリさんの体が浮き上がった。
 両足をしっかりと蔦にとられている。
 よく見ると、香草さんの左腕から伸びた蔦が、草むらを迂回してキリさんのところまで繋がっているのが見えた。
 左腕は使えないんじゃなかったのか?
 香草さんはそのままキリさんを壁に向けて叩き付けた。
 キリさんは空中で慌てて両足を縛っている蔦を切ったが、ついた勢いはそう簡単には止まらない。
 キリさんはそのまま場外となってしまった。
 香草さんの場外勝ちだ。
 審判によって試合終了が宣言されると、僕は急いで香草さんに駆け寄った。
「香草さん、腕は大丈夫なの?」
「演技よ。私だって相性の悪い相手に無策で挑んだりしないわよ」
 意外な答えだ。香草さんは普段はどんな属性だろうと関係ないといっているが、実際はしっかり考えているんだなあ。
 思わず感心してしまった。
「どう、あの鳥には出来ない戦い方でしょう?」
 香草さんは僕を挑発するような目で見てくる。わざわざ感心したのに、損した気分だ。

「ボク達の負けのようだね。お前、ふざけた奴かと思ったら、中々仲間に恵まれているんだな。規定どおり、インセクトバッジを渡そう。それと、こっちは連続斬りの技マシン。相性の悪い相手を倒したからって、まだまだ先は長いんだからね。甘く見ないことだね」
 ツクシさんは悔しそうな顔をしていたが、口調から判断すると、僕達を認めてくれたようだ。
 よしよしと頭を撫でたくなるのを堪えながらバッジを受け取る。
 こうして、僕は二つ目のバッジであるインセクトバッジを手にした。
154 ◆wzYAo8XQT. :2009/04/11(土) 22:11:57 ID:VngcjGT5
投下終了です
155名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 22:12:07 ID:lekLlOmv
支援
156名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 22:21:29 ID:49Z/oaHb
>>154
おつかれさまです&GJ!
ポポと香草のいがみ合いがわかりやすく顕在化してきたな……
ところで、新しい仲間はそろそろ増えるのか?
次回を楽しみにしています。
157名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 22:44:08 ID:STv+ajK9
>>154
GJ! 5月分が楽しみだぜ
158名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 22:45:11 ID:lSQAMWfv
>>154
ポポも香草も怖くなってきたな。
これからが楽しみです
159名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 23:13:55 ID:MBn41iRA
>>154
GJ
このギスギスした感じがたまらん
次に進化した時が運命の分かれ目な気がする
160名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 23:58:18 ID:GTecacHU
ポポたんかわいいよぉ
161名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 00:01:52 ID:iJSChlj9
>>154
GJ!
眠り粉や痺れ粉がいつゴールドに使われるかwktkして待ってます
162名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 01:11:23 ID:NczWrtMi
どうやら俺は完全にポポ派らしい・・・依存ヤンデレなんて大好物すぎる。GJ!!
163名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 01:34:57 ID:mAcriouu
俺は完全に香草さん派らしい。
ともあれGJです
164sage:2009/04/12(日) 02:11:55 ID:H1yDfpm0
香草さんは蔓で簀巻きにして犯すのか?
165名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 02:22:34 ID:c1smQVOK
>>164
sageられてない、sageられてない。
メール欄と名前欄を間違える人、久しぶりに見たぜ。
166名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 08:55:49 ID:mAcriouu
何か昔、俺も間違ったことあったな、なんて懐かしんだ俺がいた
167sage:2009/04/12(日) 11:40:54 ID:H1yDfpm0
>>165
なんてこった
168名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 12:07:38 ID:+31l5kLW
できてないwできてないwww
169名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 12:35:29 ID:k7j7z1nI
>>167
こ、こ、これがドジっ子ってやつなのか!?
170名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 13:35:28 ID:3/lrSFGZ
ドジっ子ヤンデレ………
171 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 17:35:58 ID:c1smQVOK
作品を投下します。
ここでは2回目になるのかな?
あ、この話は別スレ作品の補完的なお話です。
タイトル「枯れ落ちて朽ちゆく枝」。

次レスより投下開始。4レスほど借ります。
172枯れ落ちて朽ちゆく枝 (1/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 17:36:47 ID:c1smQVOK
 
「こんばんわ、桃枝(ももえ)さん。お願いしてもいいかしら?」
「ええ、いいですよ。○○市まで送ればいいんですよね?」
 
 ワタシの名は桃枝。とあるしがないアパレル系の会社員だ。
 こんなワタシだけど、すでに愛する夫がいたりする。
 まだ28歳だが、10才の息子と8才の娘だっている。
 
「けれど大変ね。貴女もこんな時間まで仕事があるなんて」
「ふふ、仕方ありませんよ。
 ワタシだってあの人だって、稼がないといけませんからね」
 
 そう、ワタシは今の夫が好きで、あの時学生の身で結婚を迫った。
 それだけあの人が好きで、ちょっとばかり人には言えない手段もとった。
 それを知っても、あの人は苦笑いして許してくれた。
 だから、ワタシはいま、最高に幸せだ。
 たとえ少々急ぎすぎたせいで、稼ぐために共働きになろうとも。
 たとえ仕事の都合で、あの人と別々に暮らさざるを得なくとも。

「まあ、今日からしばらく休みだったわよね?
 これから、愛しの夫のところに向かうのかしらね?」
「……!? もう、からかわないでくださいよ!
 思わずワタシ、ハンドル操作を間違えるところだったじゃないですか!?」 
 
 この女性は、ワタシが愛する夫の、実のお姉さん。
 とても弟思いで、学生時代からブラコンとして、名実ともに有名だった女性。
 一説では、この人がいる限り、私の夫――彼には手が出せないといわれていた。
 
 でも、ワタシは彼を諦められなかった。
 一目惚れ――入学式の時に、桜の樹の下で微笑む彼が、とても眩しかった。
 ぜったい彼を逃がしたくない。彼はワタシが一生をかけて愛するんだ!
 
 だから、この恐ろしい「お姉さん」の隙をついて、彼に告白した。
 でも多分、彼はお姉さんに遠慮をして、告白を断ってくるだろう。
 だから、ワタシは少々荒っぽい手段で、彼をつかまえることにした。
173枯れ落ちて朽ちゆく枝 (2/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 17:37:25 ID:c1smQVOK
 
「知ってるのよ? 貴女のおなかの中に、3人目の子供がいるってことはね。
 まだ2ヶ月くらいだけど、順調に育てば、今年の夏過ぎには産まれるのかしら?」
「!?――もう、どうしてそれを知ってるんですか?
 まだあの人にも、話してなかったんですけどね……?」

 彼に告白した時、断りの返事を貰うより早く、彼に睡眠薬を嗅がせた。
 場所は体育館裏の倉庫前だったから、すんなりと彼を密室に引っ張りこめた。
 そしてそのまま、彼を裸にして――その、エッチさせてもらった。
 そしてワタシは妊娠して、彼になんとか認めてもらうことに成功した。
 もちろん、事前準備も一切怠らなかった。
 排卵誘発剤を服用して、この計画の成功率を十全にさせてもらったのだ。
 
 
「ホントにもう、何を言ってるのよ、貴女は。
 大切なあの子のことで、私が知らないことなんてないわよ?
 それと同時に、あの子の妻である、貴女のことだって、ね?」
「―――っ!? そ、そうですか……」
 
 結果、彼は私のことを認めてくれて、学生の身で結婚まで約束してくれた。
 ただ1人、この人だけは最後まで、ワタシたちの結婚に反対していた。
 けれど、ワタシと彼ががんばって周囲を説得したおかげで、最終的には認めてくれた。
 彼の家が貧乏だったせいで、その説得には、実に3ヶ月を費やした。
 結局、高校卒業後に2人で働きながら、であれば結婚してもいいということで、纏まった。
 
 
「本当に、本当に心の底から、羨ましいわ、貴女が。
 私の大切な弟と、一緒に幸せに生きている、貴女が」
「…………」
 
 この人に対しては、彼が直々に説得してくれた。
 その期間はゆうに4ヶ月かかったらしい。とにかく最後まで抵抗された。
 でも、ワタシが息子を出産すると同時に、彼女の気性はとても落ち着いた。
 むしろ、ワタシの息子を、とても大切に見守ってくれるようになった。
 だから、今更あの頃のような、ワタシを構わず攻撃してくる事態には――
 
「本当に、本当に心の底から、妬ましいわ、貴女が。
 私の愛しい弟を、横から掻っ攫っていった、貴女が」
「…………!」

 駄目だ。10年前の悪夢再来だ。
 彼女はまた、ワタシに向かって、牙を剥いてくるつもりのようだ。
174枯れ落ちて朽ちゆく枝 (3/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 17:38:10 ID:c1smQVOK
 
「ワタシこれから、あの人のところに行って、妊娠のことを伝えるつもりなんです。
 なのでお姉さん、ワタシまたあの人と一緒に、両親達の墓参りに行くつもりです」
 
 ワタシの両親は、8年前に旅客バスの事故で亡くなった。
 偶然にも、夫の両親と一緒に出かけた先でのことだった。
 お互いにそれほど裕福でなく、私たちのせいで苦労をかけていた彼らを労うための旅行。
 ワタシ達があんなプレゼントを用意しなければ、みんな死ななかったのかもしれない。
 そんな思いがあるから、ワタシが娘を出産する前にも、墓前に報告に行っていた。
 今回もそのつもりで、まずはあの人の住む安アパートに向かう予定だったけど――
 
「そう。また貴女は、自分の息子と娘を置いてけぼりにしちゃうのね?
 私がちょくちょく顔を出しているけど、あのチビちゃん達いつも泣いているのよ?
 あのチビちゃん達だって、まだまだ母親を必要としているのにね――」
 
 痛いところをついてくる。もはや彼女からは、敵意しか向かってきていない。
 解っている! ワタシがちゃんと、あの子達の母親として機能していないことも。
 知っている! ワタシよりも彼女の方が、よほど母親として機能していることも。
 くそっ! 叶うならば今此処で、このオンナの息の根を止めたいのに――!?
 
「やれやれ。10年間我慢してたけど、やっぱり貴女は、あの子の伴侶に向いてないわ。
 あの子や、あの子の子供達を幸せにできないなんて、妻失格だものね。
 だいたい、貧乏なのを解ってて、既成事実で攻めるなんて、間抜けすぎるのよ。
 私は今の貴女みたいにならないように、わざわざ避妊していたというのにね。
 貴女の身勝手で、私の弟の息子と娘が泣いてるんだもの。最悪ね、貴女は」
「わかってる――わかってたわよそんなコト!? だからもう黙れ……!?」
 
 苛々する! こんなオンナに事実を淡々と突きつけられるということに!
 幸せ!? 嘘なんかついてどうするのよワタシは!?
 あの人と、ワタシと、あの人とワタシの子供達と、みんな揃って初めて幸せだったのに!
 ワタシが欲しかったのは、ただただ食い扶持を稼ぐために、働く生活なんかじゃないっ!?

「だけどあの子の息子と娘は、もうすぐ幸せになるわよ?
 さすが、私の血縁であるあの子の血をひいていた、というべきかしら?
 ――ふふ、どういう意味か聞きたいって顔をしてるわね?
 簡単よ。まだ4才に過ぎないあの子の娘が、私みたいなことを言い出したの。
 その相手は、まだ10才に過ぎない男の子――あの子の息子よ」

 そんな……!? ワタシとあの人の子供達が、またそんな外道に……!?
 まずい、こんなオンナは振り捨てて、早く止めに――

「――あら? つい話に夢中になってたけど、もう○○市内なのね?
 ここで降ろしてもらったのでいいわ。ありがとう、桃枝さん。
 それじゃあ、あの子の家に向かうか、子供達のいる自宅に向かうか、好きになさいな?」

 そう言って、ワタシが急停車させた車の扉から、悠々と降りる彼女。
 撥ね飛ばしたいが、それより早く、事実を確認しに行かないと――
175枯れ落ちて朽ちゆく枝 (4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 17:38:49 ID:c1smQVOK
 
「あ、そうだそうだ、忘れてたわ。
 貴女に対しての伝言が2つあるの。聞いていきなさい。
 1つ目、あの子の娘――さくらちゃんから。
 『あたいはおにーたんとけっこんする。だからおかーさん、じゃましないで』。
 2つ目、純粋に私からの、貴女へのメッセージ。
 『1では孤独、3では不安定。ならば安定させるには、どうすればいいのかしら?』」
 
 何を言っているのかわからない。本気でわかるつもりもない。
 このオンナが車の扉を閉めるのを確認した後、ワタシは必死でアクセルを踏み込んだ。
 最後の最後、バックミラーに映るあのオンナの呟きも、一切無視して。
 
 
 ― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ―
 
 
「最後まで、馬鹿で愚かなヤツだったわね、あのメスブタ。
 3が不安定なら、その中の『1』に孤独になってもらう、ただそれだけよ。
 それじゃあバイバイ。私は貴女を踏み倒して、幸せになるわ。
 さあ、あの子を幸せにするために、私もがんばりますか――」
 
 そう言って、徒歩でその場を後にする女性。
 彼女の手には、やたら金属のぶつかりあう音のする、スポーツバックがあった。
 
 
 ― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ― ※ ―
 
 
 あれ、ワタシは確か――そうだ、あの人のところに向かう予定だったんだ。
 でもおかしいな、身体がちっとも動かない。目の前も真っ暗だ。
 そういえば、ワタシが眠る前に、眩しい光が正面から来て――
 思い出した。ワタシは車の運転中、急に眠たくなって、車線を飛び出して――
 
 あはは……、残念だけど、ワタシの物語は、ここで終わりなのね。
 あのオンナに後を譲ることになるのは悔しいけれど、仕方ないみたいね。
 いいわ。アンタがワタシの大好きな秋桜(しゅうさく)さんを、幸せにしなさいよ?
 ワタシがいなくなっても、あの人が泣いてくれるなら、ワタシが生きた意味はあるんだから。
 
 そして、間違いなくワタシの大切な子供達――桜華(おうか)、さくら。
 アナタ達も、絶対に――ワタシの分まで、シアワせになりなさいよ。
 あはは、ホントウはもっとイきていたいけど、もうムリか。
 
 それじゃあばいばい、さくら。
 
 さようなら、おうか。
 
 おやすみなさい、しゅう……さ……――
 
 ――――――――――――
 
176 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 17:39:39 ID:c1smQVOK
以上、投下終了。

選択肢を間違えた、ヤンデレ(だった)女性の末路。
そんな感じの話でした。
177名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 18:35:40 ID:Rle26q62
そうですか
178名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 19:00:54 ID:NOV3mM5m
お疲れ様
179名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 19:10:55 ID:mAcriouu
うむ。GJそしてお疲れ様でした。

180名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:13:48 ID:A7LqQrBv
お憑かれ様でした
181名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:45:31 ID:dScUN0lk
>>154
乙!
182名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:50:44 ID:7t/4BqU6
ぅぉ…某スレとのリンクですか…?
ゾクゾクするようなセリフ回しに痺れました。
こういう書き方ができる方を本当に尊敬します。

ですが、一つだけ指摘を

>まだ28歳だが、10才の息子と8才の娘だっている
>まだ4才に過ぎないあの子の娘

どちらが正しいのでしょうか?
183名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:54:15 ID:KZtHl501
>>176
アンタには悪いんだが、キモ姉キモウトスレから出てこないでくれ
こっちのスレとあっちのスレは違うスレなんだよ
184 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/12(日) 21:08:54 ID:c1smQVOK
>>182
ごめんなさい。素で間違えてました。こちらの校正ミスです。
>まだ28歳だが、10才の息子と8才の娘だっている
これが間違い。正確には、「8才の娘」→「4才の娘」でした。
なので、息子と娘(兄妹)の年齢差は、6才違いです。
ついでに、桃枝さんの対話相手の「お姉さん」は、29歳です。

他の年齢表記は、間違ってないみたいですが、微妙に誤表現があるみたいです。
そちらのほうは修正せずに残しておきます。重ね重ねすみませんでした。

>>183
わかりました。次回からは直接的なリンクネタはしないようにします。
185名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 21:14:29 ID:Zcs1+8Xm
>>183
自治厨うぜぇ

>>184
気にスンナ
おもしろければおkだ
186名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 21:15:30 ID:r725mzDL
別によくね?見たくないならスルーでいいじゃない。
投下GJです!
187名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 22:41:10 ID:Rle26q62
言われないと分からない変なのがいるから>>183も仕方なく言ったんだろ
うぜぇとか言うな
188名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 23:04:00 ID:A7LqQrBv
リンク物の内容はスレをまたいでするのはどうかなとは思う(俺もやろうと考えてたことあるが)
スレまたいでする必要があったかも微妙だしヤンデレかどうかもぶっちゃけ微妙だしな
でも面白ければ問題ないとも思うし>>183も言い方が悪いと思う。

まあスレが荒れるからこの辺で落ち着こうや。殺伐よくない!
189名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 23:25:48 ID:KkOOIeXd
>>183
wwwwwww
そういえば今は春か
190名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 23:36:51 ID:zV3cYgLk
あぁあぁ、出たよ馴れ合い
191名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 23:50:00 ID:29M4rXyn
>>190=183
君は本当に口が悪いな
そんな棘のある言い方しても他人の心象悪くして荒れる原因になるだけだろうに
そういうとこが配慮に欠けている
他人に何か注意する前にまず自分を省みた方がいいと思うよ
192名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 00:32:36 ID:sq4dnEcF
ちょw もう流しても良くないか?
193名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 00:45:00 ID:0ikupgmz
このスレ定期的に荒れるNE☆
194名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 01:29:14 ID:8zXgCyFa
春ですからね。そりゃ世間知らずの若者や常識知らずの若者が入ってきたりしますよ
そして桜吹雪の舞う桜の木の陰からそちらをずっと見てる貴方のお知り合いらしき人も出てくるわけで…
195名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 02:00:00 ID:kjH7qgIC
行き来してたから気がつかなかった
196名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 10:25:57 ID:8zXgCyFa
>>195
どうして…どうして…どうして…どうして…どうして…どうして…どうして…どうして……どうして………



あたしだけを見てくれないのかなぁ……?
197名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 11:57:53 ID:aWCXJoea
あああぁあああぁああ
198名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 11:58:41 ID:GzyuoLR5
>>195
気がつかないのも当然だって。

だって今、桜の樹の根元に掘られた穴の中に埋められてる最中じゃん。
息をしてない>>195をいとおしそうに頬擦りしてる>>196もいっしょに中に入る準備をしてるみたいだし、両想いだよねー。

…来年の桜はきっと綺麗だろうな…
199名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 12:05:19 ID:47SSYoJZ
関係ないけどもうすぐ保管庫アクセス数100万だな
前保管庫合わせたらどれぐらいになっているのやら
200名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 15:00:44 ID:K40wy5aF
前の保管庫ってカウンターとか有ったっけ
201名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 15:42:27 ID:UvmnDbi2
なかったから>>199も総数分からないって言ってるんだろ
202名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 18:14:06 ID:kjH7qgIC
そういや「ヤンデレ家族と傍観者の兄」はどうなったの?
203名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 20:55:30 ID:TN91CutN
作者が休養取ってるんじゃね?
でもブログが全然更新されてないんだよな……一月に一回は更新してたのに。
204名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 21:47:39 ID:KXwxnwtM
飽きたかネタが尽きたか
205名無しさん@ピンキー:2009/04/13(月) 22:00:51 ID:c3bQ7wHj
>>203
他の多くの職人は生存確認すらできないから、それに比べればマシなんだけど、それでも月に一度くらいは生存報告が欲しくなるよな
>>204
その言い方はないだろう
そもそもあれだけ驚異的なペースで書いてたんだ、しばらく休むのも無理はない
206名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 00:08:44 ID:MhLXpsbN
それかストーリーを処理しきれなくなったか…
207刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:16:36 ID:diqIsyRp
ごめんなさい、後編投稿します。
208刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:18:11 ID:diqIsyRp
「うぐっ・・・ごめん。ごめんなさい・・・」
口からはただ謝罪の言葉が漏れるだけ。
取り返しのつかないことをしてしまった。
酷い事をしてしまった。
疎遠になっていた幼馴染を気遣って、関係を修復しようとやってきてくれた祐二に。
「私に・・・祐二を好きになる資格なんてないのに。祐二の幸せを奪う権利なんて無いのに!」
いくら、祐二の彼女になれなかったからって、想いを遂げられなかったからって・・・こんな事をしていい理由になる訳が無い。
さめざめと泣き続ける私の頬に祐二の手が近づく。
「ひっ・・・!」
ぶたれる・・・!
そう思った私は思わず短い悲鳴をあげて、仰け反ってしまう。
「あ、すまん・・・」
けど、祐二の表情は憤怒でも軽蔑でも無く・・・悲哀の表情だった。
一度、私の頬に伸ばした手を戻して、今度はゆっくりと私に近寄ってくる。
そして、私の身体に腕を伸ばす。
ぴくり、と震える身体。
祐二はゆっくり、ゆっくりと私の体をその腕の中に納めていく。
「あっ・・・」
私の体は祐二にすっかり抱きしめられていた。
どうして?という疑問だけが私の頭の中を駆け巡る。
少なくとも、私は祐二に殴られても仕方無い事をしたのだ、それなのに、抱きしめられている意味がわからない。
「ゆう・・・じ?」
「刹那。俺、お前に謝らなくちゃいけない事が沢山あるわ」
ぎゅう、っと。
祐二は私の身体を強く抱きしめる。
それと同時に私の頭の中はより混乱していく。
謝る?
いったい祐二は何を言っているのだろう・・・私に謝られることはあっても、謝ることなど何も無いはずだ。
「えー、まず第一にお前がここまで追い詰められてるのに全然気づけなかった事だ。こんな事ならもっと早くお前に晩飯の世話を泣きつくんだったって、後悔してる!そしたらもっと早く気がつけたのにな」
これだけの事をしても祐二はまだ私の事を気にかけてくれるのだろうか?
209刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:20:50 ID:diqIsyRp
確かに私は失恋して、こんなになるまで追い詰められたけど、それはあくまで私の身勝手な祐二への想いと、ましてやそれを当人に伝えられないヘタレさが原因だ。
祐二が気に病む事じゃ無い。
「それから第二にお前が俺の事、その、好きだって知らなかった!全然気がつかなかった!鈍感で済まん!・・・そのうえお前の前で亜衣の事で惚気たりして・・・ホント・・・すまなかった!」
なんか・・・祐二、テンション変じゃない?
なんか無理に叫んでるような気が・・・。
まぁ、あんな事した私が言う事じゃないけど。
「第三!俺、お前に言って無いことがありました!・・・実は亜衣と別れました!」
「はぁっ!!?」
あれ、え?ちょっとまって。
今、こいつは何と言いやがりましたか?
は?別れた?・・・え、誰と?姫宮さんと!?
「ちょ、ちょっと待って。姫宮さんと別れたぁ!?ど、どういうことなの!?」
「いや、ははは。うーん。・・・その、あいつと過ごしてるうちに自分が本当は誰が好きなのか気がついちまったんだよ。・・・俺が本当に好きなのは、亜衣じゃなくて、刹那だって」
・・・え?
自分の思考がすべて静止した。
祐二が言った事の意味が理解出来ない。
・・・わ、私が好き?
「離れてみて初めてわかったんだ。一緒にいて一番楽しいのは誰か。これから先、ずっと一緒にいて欲しいのは誰なのか。」
祐二が私を好き、祐二が私を好き、祐二が・・・
頭の中でその言葉だけがリフレインする。
私は祐二が大好きで・・・でも素直に言い出せなくて・・・そのうち祐二を彼にぴったりの女に盗られて・・・その事でヘタレな私は祐二を諦めようとして・・・でも諦められなくて・・・暴走した私は祐二を縛りつけて犯して・・・。
でも、今、私は祐二に嫌われるどころか、愛の告白を受けている。
何なの?これ・・・。
「・・・ばか」
「えっ?」
「ばか祐二ィッ!!どうして、そんな、いまさら私の事好きとか!!・・・うぐぅ・・・ばかぁ・・・」
涙が止まらない。
祐二の胸の中で嗚咽を吐く。
210刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:22:31 ID:diqIsyRp
「そういう事は、本当に早く言いなさいよ・・・馬鹿祐二」
「すまん」
私は祐二の身体を強く抱きしめ返す。
もう二度と離さない、というくらい強く。
確かに私は、祐二の彼女になるには相応しくないかもしれない。
でも、そんな私を祐二は選んでくれた。
「もう離さないんだから。もう絶対に他の女に渡して諦めたりしないんだから。・・・でも、こんな事してごめんなさい」
冷静に考えれば、いくら祐二も私の事が好きだった、って言ったって私のやった事は普通に犯罪だ。
もしもあのまま、初めての痛みに我慢して、ずーっと祐二を監禁し続けていればどうなっただろうか?
せっかく姫宮さんじゃなく私を、祐二は選ぼうとしてくれていたのに。
それを自分で潰していたかもしれないと思うとぞっとする。
監禁され続けて、いずれは私を嫌いになったかもしれないのだ。
「俺も刹那の異変に全然気づいてなかったんだから、お互いさまだって。・・・あ、初めては痛いもんだぞ?」
「し、知ってるわよっ!それでも痛いものは痛いの!」
でもその痛さのお陰で、いまはこうやって祐二と抱き合っていられるわけだから、それはそれで良かったのかも知れない。
・・・あ、でもこれから祐二とその・・・付き合っていくに当たって、その・・・また、するんだろうし。
そしたらまた、あの痛みを私は味あわなければいけないのだろうか?
正直、勘弁してほしいが、祐二としたくない訳じゃなし。
「で、でも祐二が・・・その、またしたい・・・って言うなら。してあげない事も・・・」
「いや、正直逆レイプはもう勘弁願いたいです、刹那さん」
「なっ!なぁっ・・・なぁぁーっ!!?」
顔を真っ赤にして祐二を見上げる私、そこに祐二の顔が間近にある。
せっかくのいい雰囲気を壊す祐二に文句の一つも言ってやろうと思ったけど、私はこいつの顔を今更ながらマジマジと至近距離で見て、思わず顔を背けてしまう。
唯でさえ赤くなっている私の顔が、よけいに熱を帯びる。
「お前、散々あれだけやって、いまさら恥ずかしいか?」
「う、うるさいわねっ!は、恥ずかしいものは仕方無いじゃない!」
はぁ、とため息を一息ついた祐二は、私を抱きしめていた腕を解く。
祐二からの拘束が解かれ、自然と私も祐二を抱きしめていた腕を解く。
それだけの事で、ちょっと、残念だと思ってしまう。
211刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:25:50 ID:diqIsyRp
もっと、抱き合っていたいな。
「刹那、キスしていいか?」
「なぁっ!?」
祐二の提案に驚く私。
いや、まぁ・・・あんたが寝てる間に何度となく唇を奪ってきましたけれども。
でも、そんな、あんたが自主的に私とキスしたいとか・・・そんな、恥ずかしいじゃない。
・・・逆レイプしといて何言ってんだ私。
「嫌だって言ってもやるけどな、さっきのお返しって事で」
「ちょ、まっ・・・!」
私が抵抗するまでも無く、祐二は私の唇を奪った。
夢にまで見た、祐二とのキス。
私が一方的に彼の唇を、寝てる間に奪うんじゃなくて、彼の方から私に口付けする。
夢見心地でしばらく祐二に唇を奪われていたが、やがて、彼の方から唇を離した。
「・・・いきなりディープですか、刹那さん」
祐二の突っ込みも上の空で、私は祐二の唇が私から離れていくのをただ呆けたように見守った。
互いの唇の間に出来た唾液の橋を見つめる。
「あれ、刹那?おーい、刹那さーん?聞いてる?」
「もう一回・・・」
「は?」
光悦とした表情を浮かべたままの私は、祐二の返事も無視して、再び祐二に抱きつく。
いきなり私に抱きつかれて慌てる祐二。
私は、そんな祐二の唇を無理やり奪う。
「んぐっ・・・!」
私はそのまま、祐二の唇を凌辱し、舌を差し込む。
祐二が逃げられないように、両腕できつく祐二を抱きしめる。
・・・私のスイッチを入れちゃったあんたが悪いんだから。
想いが通じ合った恋人同士のキスが、こんなに気持ちいいものだと思わなかった。
結局私達は、そのまま夜が明けるまで口付けを続けていた。
・・・祐二は途中から半分寝てたけど、私は自分自身に歯止めが利かなくなっていって、結局朝日を拝む羽目になってしまった。
「もう絶対離さない、もう絶対諦めないから。ずっと傍にいるからね、祐二」
いまや完全に熟睡している祐二の耳元で、私はそう囁いた。


「起きろっ!こら、馬鹿祐二ッ!!」
212刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:27:44 ID:diqIsyRp
「ん・・・」
私は祐二を覆っている掛け布団を勢いよく剥ぎ取ると、眠っている祐二のお腹に一撃を加える。
手に持ったカバンを直撃させたので、祐二は途端にお腹を抱えて丸くなる。
そして、その体勢のまま悶える。
「うぐぉぉぉ・・・おま、なんてことを・・・」
「あれ?幼馴染で恋人の私がせっかく、久しぶりに起こしに来てあげたのに祐二は嬉しくないの?」
しばらく声も無く、悶えていた祐二が私をジト眼で睨むもんだから、言ってやる。
・・・まぁ、流石にやりすぎたかな?
ちょっと反省。ちょっとだけね。
「うぐぐ・・・お前の起こし方が凶暴なのを忘れてた、完全に失念してた。」
「忘れてたの?通りで。あんたがいきなり、久々に起こしに来てくれー、なんて言うから変だと思ったのよ」
あの、祐二と結ばれた夜から、私たちは元の関係を取り戻しつつあった。
お昼のお弁当を毎日作ってあげる、放課後に一緒に帰宅する、勉強を一緒にする、毎朝迎えに来てあげる・・・祐二が姫宮さんと付き合い始めてから、失ってしまった日常を取り戻す。
こうやって祐二を叩き起すのも、私がいつも日課にしていた、失ってしまった日常の一つだ。
「あ、じゃあ明日からは恋人っぽく、あ、朝フェラで起こして・・・あげようか?」
「朝から何エロい事言ってんだ。普通に起こしてくれ刹那。ていうか顔が真っ赤だぞ?自分で言ってて恥ずかしかった?」
う、五月蝿いっ!
私は祐二の顔を無言で殴った。
「と、とにかく早く起きなさいよっ、学校行くわよ!」
「・・・・」
返事が無い。
どうやら先ほどの一撃で気絶してしまったようだ。
・・・朝フェラを試してみようかな。


「腹イテェ。前より強烈になってたぞ、刹那」
「う、うるさいわねっ!」
祐二と一緒に学校へ登校する。
ただそれだけの事ながら、私にとってはとても大切な時間で、かけがえの無い時間。
祐二が姫宮さんと別れて、私を選んでくれたから、取り戻す事が出来た時間。
213刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:29:58 ID:diqIsyRp
「叩き起したのは、正直悪かったわよ。私も久しぶりで、その、嬉しかったから、つい・・・。なんならこれからずっと朝フェラで起こし・・・」
むぐ。
祐二が私の口を慌てて押える。
そして、周りを見回している。
「頼むから往来でそういう事を堂々というのはやめてくれ」
ふぐふぐ。
祐二に口を押さえられているので反論が出来ない。
確かに登校中のこの道には、同じ学校の生徒や通勤中のサラリーマンや近所の主婦などいろんな人が通るし、現にいまもたくさんの人が私たちの周囲にいる。
私には目の前の祐二しか見えてないけどね。
私は祐二をギョロリと睨む。
「はぁ・・・。常識を弁えた俺の幼馴染の刹那はどこに行っちまったんだ・・・」
祐二が私の手を離す。
常識など知った事か。
そんなものの為に祐二を諦めそうになった昔の私は死にました。残念。
「幼馴染で、祐二の恋人ならここにいるじゃない。それで十分でしょ?で、結局どうやって起こして欲しいのよ?」
「いや、普通に起こして欲しいんだけど」
それじゃ、つまんないじゃない。
そう言おうとして、私は思わず言葉を飲み込んでしまう。
目の前に、突然その人物が現れたから。
その人は祐二の元恋人で、私も何度かあって話したことがある人。
「姫宮・・・さん」
すらっとした長身に、腰まで伸びる長い黒髪。
女の私から見ても清楚で恵まれてると思う美人。
整った顔立ちで、一見すればどこかのお嬢様のようにも見える。
・・・本当に、こんな美人さんがよく祐二を彼氏に選んだものだ。
その超絶お嬢様美人の姫宮さんが、いま私たちの目の前に立ちつくしている。
「あー、亜衣。・・・その、久しぶり」
祐二が片腕をあげて、なんだか間抜けな挨拶をする。
対する姫宮さんは祐二の言葉に返事を返さず、ただ黙ってこちらを睨みつけている。
・・・うわぁ。怒ってる、怒ってるよ。
私の知っている姫宮さんは終始笑顔の、女神様みたいな女の人だったから、いまの彼女の表情はものすごく怖い。
すごく鋭い視線で私の事を睨みつけている。
214刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:31:55 ID:diqIsyRp
「あなたみたいな人の方が良いだなんて。・・・おかしいよ、祐二君」
姫宮さんからものすごい殺気を感じる。
私は思わずたじろいで、祐二の腕に抱きつく。
祐二の顔を見上げれば、流石にバツが悪そうな顔をしてる。
て、言うか全然ちゃんと別れられてないじゃない。
姫宮さん、どう見ても未練たらたらなんですけど。
「私の方がこの人よりずっとずっといいのに。幼馴染ってだけで祐二君に選ばれて・・・そんなの、許せないよ」
うわぁ。
これって修羅場じゃないの?祐二。
どうすんのよ、これ?
て、いうか姫宮さんがここまで祐二にご執心だったとは思わなかった。
振られたんだからあきらめなさいよ。
「こんなのおかしいよ。絶対おかしい。・・・この人がいるから祐二君が私から離れていっちゃうんだ・・・!」
「まずいっ・・・!!」
いきなり、姫宮さんが私に向って走り出した。
私はいきなりの彼女の行動に何も出来ずにただ茫然と立ち尽くしていた。
そして、祐二が突然私を抱きしめても、何も出来ずにただ立ち尽くしていた。
「ぐあっ!」
私を庇った祐二の背中に姫宮さんがぶつかる。
・・・私は祐二に抱きしめられている。
姫宮さんはそんな祐二の背中に抱きついている。
何?これ。
傍から見たら三人の男女が朝から抱き合っているという摩訶不思議な状態になっている。
でも、そうじゃない。
私は祐二の背中を見る。
「うあ、あああ・・・・ああああああっ!」
私の口から声にならない声が漏れる。
祐二の背中には、姫宮さんが手に持っている包丁が突き刺さっている。
ドクドク、と血液が、祐二の血が出て行ってしまう。
「くそ、いてぇ・・・刹那、」
祐二が私の名前を呟くと同時に、崩れ落ちる。
嘘、こんなの嘘だよね?
私は地面に崩れ落ちた祐二の体を慌てて抱きしめる。
地面いっぱいに祐二の背中から溢れ出た血液が染みを広げていく。
215刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:34:27 ID:diqIsyRp
「祐二!嘘だよ、こんなの嘘だよ!いやぁぁぁぁっ!」
「どうして!?どうしてその女を庇うの!?どうしてよ祐二君!」
祐二を刺した女が何か叫んでいる。
周囲では、通行人が何やら騒いでいる。
でも、私には目の前の祐二の事しか考えられない。
「祐二、祐二!大丈夫!?ねぇ、しっかりして!!」
「・・・刹那、ごめん」
あ、ああ・・・血が止まらない。
祐二の顔がどんどん青くなっていく。
こんな、こんなの嫌だよ・・・。
死んじゃ嫌だ・・・せっかく、祐二と結ばれたのに・・・やっと想いが通じ合えたのに・・・。
「本当に・・・ごめんな・・・刹那」
「嫌だ・・・」
祐二の指が私の頬を撫でる。
私は、祐二の背中に手を回して、背中に刺さっている包丁の柄を握る。
「ぐはっ・・・」
包丁を祐二の背中から抜くと、傷口から血液が大量に噴き出していく。
激痛に、祐二の顔が歪む。
ごめんね、祐二、すぐ、終わるから・・・。
「刹那?・・・何を?」
祐二の表情が驚愕の色に染まる。
私は祐二の背中から抜いた包丁を、逆手に握りしめると、そのまま高く振り上げる。
グサッ。
「うあっ・・・!!」
包丁を突き立てた腹部から鮮血が噴き出る。
はっきり言って、すごく痛い。
私は、祐二を刺した包丁で、自分のお腹を刺したのだ。
「刹那、何で・・・」
「これで、一緒だから。・・・もう、離さないから」
「嫌ぁああああああ!!!!」
背後で、姫宮さんが絶叫してる。
あはは、ざまあみろだわ、なんてね。
でも、姫宮さんには感謝してる。
だって、よくよく考えてみればこれが祐二と永遠にずっといられる最善の方法なんだよね。
生きて、祐二ともっとデートとか色々したかったけど。
けれど、いつか、もしかして祐二と別れる、なんて事になるくらいなら・・・。
216刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:36:12 ID:diqIsyRp
「愛してる」
祐二の唇を、自分の唇で塞ぐ。
すると、祐二が、私の体をきつく抱きしめてくれた。
ありがとう、祐二。
ずっとずっと、一緒だから・・・。
意識が遠のく・・・体から力が抜けていく・・・視界がぼやけていく・・・。
祐・・・二・・・。
217刹那の想い 後編 ◆PLalu2rSa. :2009/04/14(火) 00:38:32 ID:diqIsyRp
以上ですべて投稿終了です。
読んで頂いた方、ありがとうございます。
218名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 00:41:33 ID:d1mJlVe/
な、なんという結末……!
まさかのデッド&ハッピーエンドとは。
GJでしたぁ!

あ、あとアレね。
投稿前にあやまる必要は、別になかったと思うよ。

また次回作を書くなら、楽しみに待っています。
219名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 00:46:13 ID:G6HZqaF2
>>217乙でした。
なんつうか、このハッピーエンドからの急展開は「なん…だと……!!」としか言えねえ。
220名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 01:30:11 ID:4hNt4vXq
死ななきゃ気がすまんのかね〜
221名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 01:35:54 ID:xj7HBJvG
GJ!
222名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 02:36:17 ID:8PenB5zV
死んじゃった………GJ
223名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 07:49:33 ID:SiLA+bA1
これぞヤンデレなしか出来ないbad&happy end
GJ!
224名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 08:51:58 ID:hLaRWyV7
愛があれば終わりなどどうな形でもイイ!!
それを元にヤンデレは創られていますから
とにかくGJ!
225名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 16:42:17 ID:Oncd3rtL
GJ面白かったです
226名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 00:38:32 ID:coQHdgS7
彼女は男にとって必要な人だ
だけど今は"TPO"が違う
だから追われる
そして彼女は強い
彼女はヒロインじゃない
男の守護者
男を見守る監視者
暗闇の騎士 "ヤンデレナイト" だ
227鳩大福:2009/04/15(水) 03:14:45 ID:JVkwr/Bz
なんだか上手くなっていない気がしてますが、
一応投下します。
本当に退屈ですがよろしくお願いします。
228Chains of pain:2009/04/15(水) 03:15:36 ID:JVkwr/Bz
「うん、それじゃあまた明日、七海……」
「また明日。ちゃんとカレー、食べてよね」
「もちろんだよ」
春斗の手にはカレーのタッパーがあった。
「……優花ちゃんによろしくね」
「わかってるって」
笑顔でそう返すと、春斗は歩き出した。
「…………また……明日……」

「ただいまーーーっ、ごめんね優花」
いつものように扉を開けて入る。
「お帰りなさいお兄ちゃん」
優花の足音が近づいてくる。
春斗は自分のタッパーではない別の匂いに気がついた。
「……お兄ちゃん、今日はカレーだよ」
優花は春斗の前で立ち止まると、さっそくタッパーに目が留まる。
「……あぁ、これ? 七海の家で教えて貰ったんだ」
「…………へぇ、教えて貰ったんだ……七海さんに……」
「どうかした? 優花、顔が暗いよ?」
その一言に優花は我に返ると、苦笑いをした。
「そう? なんでもないって」
「ならいいけど……でさ、これ僕が作ったんだ」
タッパーをじっと見つめる優花。
「……そうなんだ、七海さんにも手伝って貰ったんでしょ?」
「う〜ん、僕だけだったらこんなに上手く作れないよ」
「…………あの女が作ったんだ……」
あれ? 今、何か言ったよな?
「それでさ、自ぶ……」
「うん、お兄ちゃんが作ったんでしょ? あたしが味見してあげる」
笑顔でそう遮ると、優花は僕からタッパーを取り上げた。
「……どうしたの? 優花……変だよ?」
「そんな事ないよ。お兄ちゃんが作ったんでしょ? うれしいな……」
靴を脱いで家に上がる。
「ご飯を用意してあるから食べてね」
「あれ? 優花は食べないの?」
「……あたしは、先に食べたから……」
今一瞬、笑顔が消えた気がした。
「そっか……じゃあ食べるね……」
優花はタッパーを持ったままキッチンの方へ歩いていく。
その後姿は、普段あんなに明るい優花とはまるで別人な気がした。
「……いただきます」
席についてテーブルの上に置いてあるカレーを見る。
やはり優花のカレーは綺麗というか、完璧なつくりだった。
(やっぱり優花はすごいな……)
スプーンを左手で持つと、いつもの様に口に運んだ。
229Chains of pain:2009/04/15(水) 03:16:00 ID:JVkwr/Bz
食器を洗い終えると、部屋に戻ることにした。
「優花、ご馳走様」
「うん、おいしかった?」
優花は丁度リビングに入ってきたらしく、いつもの笑顔で聞いてきた。
「すごいおいしかったよ。あれってどうやって作ってるの?
なんだかルーで作るのとは全然味が違うというか……」
「ひどいよお兄ちゃん、ちゃんと香辛料の調合から作っているんだよ?
ルーからなんて邪道だよ」
「香辛料の調合……って、そんなに大変な事をしているの!?」
幸せそうに笑う優花。
「もちろん、ルーだと思うような味がだせないんだよ?」
「……大変じゃないの?」
「大変じゃないよ、最初からそうだもん。慣れちゃったよ」
知らなかった。今まで何も気にせず食べていた自分が恥ずかしい。
「ごめんね、そんなに手が込んでたなんて……」
「あれ? なんでお兄ちゃんが謝るの?」
「……気持ちの問題かな……」
「えへへ……お兄ちゃんは楽しいね。ところでこれからお風呂?」
「……そう……だけど、どうかした?」
「な、なんでもないよ」
顔を赤らめながらキッチンの奥へと消えていく優花。
今日の優花は変だと、改めて思った。

リビングの時計は二時を指していた。
もう既に春斗も寝てしまっている。そんな時間に薄暗いキッチンに優花はいた。
「…………このカレー、あの女が一緒に作ったんだ……」
カレーを生ゴミの入った袋に突っ込む。
「このカレーをお兄ちゃんだけが作ったんだったらあたしは喜んで食べるのに……」
袋を縛ると、その袋を大きなゴミ箱に投げ入れる。
「これで安心だね、毒物はちゃんと処理しなくちゃ」
うつむいた優花は歯をかみ締めた。
「……お兄ちゃん……」
230鳩大福:2009/04/15(水) 03:16:35 ID:JVkwr/Bz
以上です。
よろしくお願いします。
231名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 03:18:18 ID:RTWySZQb
>>230
むむ、寝る前に……GJ。
優花の独占欲の強さが滲み出た、いい話でした。
232名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 03:54:27 ID:p9YSdhny
>>230
むむ、寝起きに……GJ。
優花がいい感じに病んでますな。
233名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 09:38:58 ID:+VgJXcZK
>>230
むむ、出勤前に……GJ。
食い物を粗末にするのはどうかと思うが
対抗意識の強さがよく現れてた。いいね。
234名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 10:52:38 ID:k43N4HuM
>>230GJ
今日は学校休みだ!!
235茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/15(水) 12:08:34 ID:57mxx06l
便乗してGJ
流れを切りそうで申し訳無いが投稿します。
236プリプリプリンセス 三話:2009/04/15(水) 12:09:20 ID:57mxx06l

「松戸ぉ、お前藤代と何気に仲良いな」
「そんなんじゃねぇから」
マジで!
下手な言い訳されるくらいなんだからこれはガチだ。
あの後結局何も音沙汰無く夏休みの宿題の話を毎時間ノートに書きながら、昼休みの今に至る。
友人共は未だに藤代との仲を疑っているらしい。
こちらもあちらもお隣さんとしてしか関係は(俺としては変わりたかったが)持てなかったくらいだ。
…そしてこちらはもう早く席替えになって欲しいくらいだし。
「九月になったらお前等も仲良くなれるかもしれないぞ、席替えで」
「松戸てめぇッ!」
瞬発力はあるんだ。
友人共からの拳から逃げるべく廊下を走った。
あー…外は暑いし、図書館にでもいくか。
図書館は勿論冷暖房完備で蔵書も多いのだが、人気はあまりない。
受験とは無縁のこちらにとっては、中間期末と統一テストで身の上は保証されるからな。
わざわざ夏休み前に来る奴らは本好きかがり勉か、俺みたいなイレギュラーか。
「ん?」
見覚えのある頭だ。
…ああ、委員長か。
一階の方はそのまますぐ二階で勉強出来るよう飲食スペースが解放されている。
委員長は常連なのだろう。
あれだけ成績が良いんだし。
237プリプリプリンセス 三話:2009/04/15(水) 12:10:35 ID:57mxx06l
「そうでした…隣ですし…いえ、それでも…」
委員長は膝に昼食らしき菓子パンを乗せたままブツブツと呟いていた。
くそ、声が小さくて何言ってるかわからねえ。
「…ああ、どうすれば良いでしょうか…くんが、とられてしま…ます…」
委員長は丸まったままソファーに座り込んでいるから聞こえるものも聞こえない。
誰か開けっ放しにした窓から漏れてくるアブラゼミの奇声だってBGMになっているのだから余計だ。
朝は具合悪そうだったし、何となく心配になってきた。
とりあえず後ろから回り込んでゆっくりと近付いてみる。
大丈夫そうならそのまま通り過ぎようと思っていたんだが、小刻みに動く腕が気になったのがいけない。
「委員長っ、腕!」
「は…?」
赤い爪痕で何本引っ掻いたのかがわからないくらいに委員長の片腕が真っ赤に腫れていた。
凶器は綺麗に切りそろえられた委員長自身の爪だった。
「一体何でこんなになるまで…」
「あ、あの…手!」
てを、はなしてください。
消え入りそうな声は今度は十分聞こえて、すぐに離した。
委員長と言っても女の子なんだ、何となくこっちまで恥ずかしくなる。
238プリプリプリンセス 三話:2009/04/15(水) 12:11:20 ID:57mxx06l
「一体どうして」
少しうろたえたが、やはり気になるものは気になる。
「…蚊です…家の周りが林なので…藪蚊がその…凄いので…つい」
委員長…ちゃんと薬塗っとけよ。
昨日まであれだけ俺に毒吐いてた委員長はやけにしおらしい。
やはり具合が悪いのだろう。
「委員長、具合悪そうだし保健室行ったらどうかな?」
その腕のこともあるし。
保健室という言葉を聞いて、何故か委員長は肩をビクリとさせた。
「…保健室は…嫌い、です…」
病院じゃあるまいし、それに授業を平然と休めるというのに委員長は拒否する。
本当に今日の委員長はこちらの調子が狂うくらいに、どこかおかしい。
本人が蚊だと言っているからそうなのだろうけど赤く腫れた腕は異常だった。
一体いつからかきむしったらこうなるのか…。
「とにかく、その腕は冷やしたりとかしておけよ」
「…あなたに言われる筋合いなんてありません」
「うおっ、かわいくねー奴!」
「け、結構です!」
言い合いで委員長も勢い良く立ち上がる。
「言ったな!?」
グシャッ。
「…グシャ?」
「あ」
俺の右足に柔らかい感触。
239プリプリプリンセス 三話:2009/04/15(水) 12:12:43 ID:57mxx06l
ゆっくりと下に目を向けると、先ほどまで委員長の膝にあったパンが潰されてある。
つまり、だ。
立ち上がった委員長がパンを知らず知らずに落として、俺が踏んじまった訳で。
「あああっ!」
すまん委員長ッ!
大事な昼飯を男子の下履きで踏みつけてしまっては、袋越しでも食えないだろう。
クリームは潰れてはみ出てるしな。
「構いません…今度、変わりをおごって貰います」
「ま、任せとけ!」
こちらに非があったもんだから、ついつい勢い良く返してしまった。
普通に一対一で話す分には、本当に委員長は普通だった。
今までも、そして多分これからも委員長に対しては仲間の目もあるし深く付き合わないんだろう。
だからこそこんなやりとりが何となく気恥ずかしくなる。
「見ているだけで良かった筈なのに、どうしてもっともっと…と欲しくなってしまうのでしょうか」
え、それはパンの話だよな?
「…そんなにこのパン好きだったのか?」
「…そうですね、もっと好きになれそうです」
「それは…本当に悪かった」
良かった、委員長の皮肉は今日も冴えてる。
目に入った夏服から伸びる真っ赤な引っ掻き痕が異常だとか、全然そんなのも忘れるくらい委員長は委員長だった。
だからこそ、腕の本当の理由までわからなかったんだけれど。

240茂中 ◆0lI03N/8RU :2009/04/15(水) 12:14:49 ID:57mxx06l
投稿終わりです。
ここまで読んでくれて有難う。
241名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 12:26:21 ID:iXTPuEdH
>>240
静かな狂気とデレが良い感じでニヤニヤしたw
242名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 16:49:18 ID:LEZWocaV
GJ!!
いいんちょハァハァ
243名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 19:40:40 ID:RTWySZQb
>>240
昼に来てたのか……GJ!
独り言いいんちょ怖いよ。
皮肉屋いいんちょ愛おしいよ。
244 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/16(木) 01:44:39 ID:bVR/i4+L
前回はいろいろ荒れる要因を作り、申し訳ありませんでした。
今回は普通に、ヤンデレ(だと思う)作品を用意してみました。

というわけで、作品を投下します。
タイトルは「いなばとさかめ」。某童話を少々アレンジしたものです。

次レスより投下。3レス借ります。
245いなばとさかめ (1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/16(木) 01:45:45 ID:bVR/i4+L
 
 昔むかし、あるところに、1人の「兎」のような青年と、1人の「亀」のような少女がいました。
 「兎」の青年は、名を「因幡(いなば)」と言い、たいそう女の子にもてていました。
 とても男前と評判の人相で、よくわからない、自作の細長く白い髪飾りを二本つけた変わり者です。
 「亀」の少女は、名を「蓑亀(さかめ)」と言い、たいそうドジでのろまな娘でした。
 いつもは長い髪を前に垂らしていて目元が窺えず、何故か常に重そうな甲羅を背負う変わり者です。
 
 
「なあ蓑亀、なんでお前さんは、そんなに足が遅いんだ?
 その重そうな甲羅を外したら、少しは早足になるんじゃないのか?」
「うるさいよ因幡、それはできない相談なのよ。
 これはあたしのお母様が残した、大切な甲羅だから、捨てられないの。
 あんたこそ、その変な二本の白い髪飾りを外しなさいよ、この勘違い男さん?」
「これは俺のお洒落だ。これに文句をいうなよ、このドジっ娘ちゃん?」
 
 二人は決して心の底からいがみ合うでもなく、まるで子供のような苛め苛められの関係でした。
 しかしとうとうある日、いつもしつこい因幡の態度に、蓑亀は我慢ができなくなりました。
「いい加減にしてよ! そんなにあたしの足が遅いと言うなら、競争(かけっこ)でもしてやるわよ!
 その結果によっては、もうあたしのことを、のろまなんて苛めないでよっ!?」

 普段は多少ひね気味とはいえ、これまで目立った激昂などしなかった蓑亀に、誰もが驚きました。
 しかし因幡だけはあまり驚かず、むしろ楽しそうに、蓑亀の提案に乗ってきました。
「ようしわかった。ならばここから南の「果て山」の頂上にある「一本大樹」まで競争しよう。
 俺が勝ったら、俺の言葉に文句は言わない。お前が勝ったら、俺を好きにすればいい。
 まあ、俺にはお前に負ける要素など、どこにもないがな。なんせお前はのろまだからな」

 売り言葉に買い言葉というものか、この物言いに蓑亀もつい乗ってしまいました。
「ええ、それでいいわ。じゃあ明日の朝日が山から昇ったら、この場所から出発しましょう?」
 
 
 そして次の日。競争が始まる――朝日が山から昇るほんの少し前のことです。
 因幡と蓑亀は、昨日と同じ場所で、競争のための準備をしていました。
 周囲には何故か、噂を聞きつけた因幡の取り巻き女たちや、付近の住民たちが集まっていました。
 しかし蓑亀も因幡も、そんなことなど気にしていませんでした。
 
 そして出発前に、蓑亀に向けて、因幡がこんな提案をしてきました。
「蓑亀、お前の足は遅いから、優しい俺はお前に少しだけ、施しをやるよ。
 お前が出発してから、半刻過ぎた頃に、俺が出発してやる、いいよな?」
 
 明らかに馬鹿にした発言に、蓑亀は少し苛立ち、反論しました。
「だからあたしのこと、あまり馬鹿にしないでよっ!
 ――あたしもあんたと一緒に出てやる。じゃないと勝負の意味がない」
 
 しかし因幡のほうはその反論に取り合わず、結局「施し」を譲りませんでした。
 そのうち、出発地点にいた因幡の取り巻き女たちの野次に負け、仕方なく施しを受け入れました。
 
 そしてついに朝日が昇り、号令役を買って出た「住民その一」の合図が上がりました。
「それでは、位置について、ようい――ドン!!」
 
 その大声に押し出されるように、蓑亀は勢い良くその場から駆け出しました。
 しかしその足取りは、お世辞にも速いとはいえないものでした。
246いなばとさかめ (2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/16(木) 01:47:10 ID:bVR/i4+L
 
 競争を始めて一刻過ぎた頃――
 結局、丘を八つばかり越えた辺りで、蓑亀は因幡に追いつかれてしまいました。
 
「ふふん、相変わらずのろまだな、蓑亀ちゃん。
 俺は本気を出してないのに、もう追いついちまったぜ?
 悪いけど、俺はお前に負けてやるつもりなどないぞ。それではさらばだ」
 
 そんな一声とともに、因幡は蓑亀を置き去りにして、本当に先へ行ってしまいました。
 その健脚はとてもすさまじく、瞬き三度する間に、丘の向こうに消えてしまいました。
 そしてその場には、取り残された蓑亀がただ一人、寂しそうに呟いていました。 
 
「ふふ……、わかってたじゃない。あいつはあたしのことなんて、なんとも思ってないのに。
 惨めだよねあたし。今あいつが来てくれた時、本当は心細かったから嬉しかったのに。
 ――構わないわ、あたしは負けるとしても、最後まで走りきってみせるから。
 もう、何ひとつ最後までできない『のろまなかめ』なんて、言わせないんだから……!」
 
 そう叫んで、彼女は因幡の後を追うように、再び果て山への道を目指して走り出しました。
 
 
 それから数刻後――
 果て山に続く道の途中にある、木々と湖に囲まれた、とある森の木陰の一角でのことです。
 ここは多少視界が悪いために、普段から人気がなく、とてもとても静かな場所です。
 そこに何故か、余裕の高いびきをかきながら眠る、因幡の姿がありました。
 
「はぁ……、なにをやっているんだろう、このイナバカ兎は。
 あたしのこと、そんなに余裕で勝てる相手だと、思い込んでいるのかしら?」
 ならばこちらも、その油断につけこんで、さっさと先に進ませてもらおう――
 そう思ってふと因幡の寝顔を見た時、蓑亀は思わず、その歩みを止めてしまいました。
 
「こいつ、こんな可愛い寝顔をするんだよね……。
 普段は、あんなにあたしを、意地の悪い顔で苛めるくせに、ね……」
 
 そう、実はこの蓑亀という少女、密かに因幡に惚れていたのです。
 けれど因幡は多くの女たちにもてて、彼女のことを振り向きもしませんでした。
 それどころか、彼女の欠点をあげつらえ、小馬鹿にするような態度をとり続けていました。
 
 だけど、蓑亀は知っているのです。
 一見女遊びが激しく、女たちを傷つけていそうな彼は、決して付き合う女性を泣かせないことを。
 二股などは一切せず、誠実に別れ話を告げてから次の女性と交際する、意外に真面目な因幡の性格を。
 その上、決してもてること自体を周囲に自慢せず、若い女たち以外にも公平な態度をとる男であることを。
 
 それなのに、何故か自分だけ、ほんの少しだけど苛められてしまうのです。
 その事実に、いつも彼女は傷つき、いつも泣いてばかりでした。
 今回のこの競争だって、少しでも彼に認めて欲しくて、勢いで思わず挑んだだけなのです。
 
「あんたは――あなたはいつも、他の女性ばかりを追い続けている。
 あたしはあなたのことを愛しているのに。こんなにも愛していると、心の中で叫んでいるのに。
 イヤだ、あたしはあなたに、どこかに行って欲しくなんて、ないのに……!?」
247いなばとさかめ (3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/16(木) 01:47:46 ID:bVR/i4+L
 
 そんな時、ふと彼女の頭の中で、今は亡きお母様の言葉がよみがえりました。
『蓑亀、この甲羅はね、貴女や私のご先祖さまが大切に守ってきた、霊験あらたかな甲羅なのです。
 普段は重いだけだけど、中に身体を引っ込めれば、人がふたりは暮らせる大きさがあります。
 そして中にいる間は、外からのどんな災いからも守られ、誰にも邪魔されることはありません。
 この甲羅のおかげで、私は貴女のお父様と結ばれたのですよ。うふふふ………』
 
 
 その話を思い出した途端、蓑亀は言葉では言い表せないほどの、恐ろしい笑みを浮かべました。
 そして何かを呟きながら、これまで家の外では脱いたことのない、大きな甲羅を脱ぎ始めたのです。
「うふふ……、そうだよね。やっぱり態度とかじゃあ、わからないよね?
 ちゃんと、行動で示してあげないと、あなたは振り向いてくれない――そうよね?」
 
 そして現れたのは、この世のものとは思えないほどに均整な、一糸纏わぬ少女の姿でした。
 丈夫な甲羅の中に隠れていて、ずっと守られていたためか、傷ひとつない芸術品のような身体――
 重い甲羅をずっと支え続けていたため、女性の丸みを帯びつつも引き締まった、奇跡的な全身――
 加えて、それまで長い髪で隠れていた目元を晒し出した彼女は、絶世ともいえる美少女でした。
 
「大丈夫、大丈夫よ因幡。あなたの気持ちはあたし、ちゃんとわかってるつもりだから。
 いつもドジだのろまだと馬鹿にするのは、あたしの気を引きたかったからなんでしょう?
 いつも他の女と遊んでばかりいたのは、あたしに当てつけて、振り向かせたかったからでしょう?
 だったらね、あたしがちゃんとね、あなたの望みを叶えてあげるね――」
 
 そう言って、寝ているままの因幡を両腕で抱えて、蓑亀は自分の脱いだ甲羅に潜り込みます。
 長年甲羅の重さに耐えてきたその肉体には、男ひとりの重みなど、軽いものでした。
 そして完全に甲羅に潜り込んだ蓑亀は、内側から入り口を封印してしまいました。
 
 この場所には人気が全くないため、このことは誰にも知られることはありませんでした。 
 
 
    − ※ − ※ − ※ − ※ − ※ − ※ −
 
 
 そして十年の月日が経った頃――
 蓑亀はおろか、因幡さえ辿り着くことのなかった、果て山の一本大樹は、変わらずそこにありました。
 不審に思った因幡の取り巻きや他の住民たちが、必死で探したものの、ついに彼らは見つからず――
 誰もが諦め、口をつぐみ、そして忘れ去られたその場所に、ひとつの影が近づいていました。
 
「うんしょ、うんしょ……、やっぱりコレ、おもたいなぁ……」
 その影は、まだ年の頃は十にも満たない、可愛らしく幼い少女でした。
 その頭には、どこかで見たような、白く細長い二本の髪飾りがつけられており――
 そしてその背には、かつてのろまと苛められた少女が背負っていた、大きな甲羅がありました。
 
「うんしょ……、っと、やっとついたぁ〜」
 誰もいない大樹を愛おしそうに眺め、少女は一人、静かに歓びました。
 そして、少女は最後に、青い空を見上げながら、ただ一言、ぼそりと呟きました。
 
――ねえ、おかあさま。ねえ、おとうさま。これでアタシ、ヤクソクをはたせたよね?
 
 
                                               ― めでたし、めでたし…… ―
 
248 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/16(木) 01:49:05 ID:bVR/i4+L
以上、投下終了。

恋するいじめられっこ少女の、頑張り物語。
そんな感じの話でした。

余談ですが、これの元ネタ「兎と亀」がイソップ童話だったことを、すっかり忘れてました。
……あやうく、タイトルの頭に「日本似非昔話シリーズ」とか、つけるところでした。
249名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 02:48:33 ID:g5k/KmNj
GJ!
250名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 04:20:14 ID:KUamwJca
gj
なんか悲しい…
251名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 07:16:28 ID:bXOZx4Da
GJ
252名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 13:36:34 ID:9Uy0X3Vx
GJ!なんだが…ヤンデレなのか?
253名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 20:03:14 ID:fEw7AmoY
メンヘラ乙
254名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 20:52:01 ID:Jwe6t9C0
メンヘラは違わないか?
ヤンデレと呼ぶには微妙というのは同意だが
255名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 22:44:46 ID:/BtgG7/I
256名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 22:47:09 ID:e70njyG0
>>256
…すげぇ
257名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 22:49:06 ID:hcql1HPy
>>256
…すげぇ
258名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 23:04:37 ID:ZCJF90/n
所詮は三次元

別れ話しを突きつけられても、健気に元彼氏の家に盗聴器やカメラを付けて
監視したりと。

萌えが足りないぜw
259名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 01:07:58 ID:VaD29spD
別れ話を切り出されて病む女が良い
別れようと言われたことを信じられず、別れ話を記憶の底に封印していつも通りにメールを送る女
メールを送り続けても受信拒否してるから電話をかけるも着信拒否。さらに病む女
ストーカーまがいの行動で男の行動を監視していると男が知らない女とデートしている現場を発見
さらに病んで壊れていく女は男につきまとい、男の新しい彼女にも襲いかかる
女を始末して、今度は男を襲い気絶させて自宅に監禁。普段と変わらない様子でそれなのに病んでる女
1ヶ月後、そこには仲睦まじく重なり合って倒れてる2つの死体が発見される

ってこんなありきたりな話を考えたがひねりもなんもないのでボツ。ヤンデレは難しい
260名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 01:18:28 ID:ZT+GCsxo
別に捻りがなくてもいいじゃないか
歪んでいるのはヤンデレの愛情表現だけで十分だ
261名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 01:28:47 ID:DENplbl5
>>259
どうしてそこで諦めるのか。
ネタを考えるのはタダでできる。そして話を書くのもタダでできるんだよ?
いいじゃないか、書いてみたら。というか書いてくださいおねがいします。

まあ確かにヤンデレの表現は難しいと思います。
262名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 18:27:49 ID:ugsuiDR9
>>259
お約束というものは極めれば美学ともなる。
そのプロットはその類だと思う。
263名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 21:12:16 ID:Gg2z2vNA
偶然見た週間ストーリーランドにヤンデレっぽいのがいて驚いた。
やってたのって何年前だっけ?
264名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 22:39:24 ID:6YBVnR6o
10年前くらいかな
265名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 22:40:56 ID:zG0U5MSd
週間ストーリーランドとか懐かしすぎる
266名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 00:02:23 ID:UqqM5jZZ
>>263
あの右腕の無いセーターを渡して似合うように手を斧で切ったあれか
これだけ書くとただの猟奇殺人者みたいだけど
267 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:03:20 ID:zsd3wU52
投稿します
268変歴伝13  ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:07:30 ID:zsd3wU52
随分とふざけたことを言う女だ、と業盛は思った。
最早彼女に対する敬意は微塵もなく、今あるのは侮蔑の感情だけだ。
なぜ結婚をするためだけに、こんなくだらないことをしなければならないのか。
元より、俺はこんな女と結婚する気などさらさらない。
頭を下げられようが、金を積まれようが、誰が結婚するものか。
再び水城の顔を向ける。
月の光の様に冷たく、鋭い勝気な目を大きく見開き、
紅を塗った様な唇は、なにか言いたげにうごめいている。
断られたことが屈辱だったのだろう。いい気味だ。
とっとと帰ろう。ここにいるだけでイライラする。
「お待ちください。三郎殿」
さっきの戦いをずっと傍観していた男が、いまさらなんの用だ。
くだらない理由だったら、張り倒してやろうか。
「どうか…どうか私の娘と契りを結んでいただきたいのです」
ほら、やっぱりそうだ。そんなことだろうと思った。この男は親馬鹿だ。それも重度の。
一時的にでも、この男に好意を抱いた自分が馬鹿らしくなる。
この親馬鹿の言葉を無視し、とっとと帰ろうとするが、何度も追いすがり、服の裾を掴んでくる。
つい足を止めてしまったのが失敗だった。
振り払うか、打ち据えるかして、とっとと帰ればよかったものを、
心に残る微かな良心が、それを邪魔する。
「三郎殿、お願いでございます。私の娘と契りを…契りを…」
「いい加減にしてください!私は彼女と結婚する気など毛頭ありません!
なぜそれほどまで私に執着するのですか!?」
「あなたが…あなたが初めてだからです。娘が始めて異性に対しての話をしたのも、
娘を力の狂気から救い出してくれたのも、全てあなたが始めてだったからです」
「だからと言って、私は彼女と結婚するつもりなどありません!他を当たってください!」
「お願いでございます。娘は、本当は素直な優しい子なのです。
あなたのお仕事の邪魔はさせません。だから…だからお願いします…。どうか…どうか契りを…」
埒が明かない。元より、こんな親馬鹿と話しをするだけ時間の無駄だ。
力を込めて、この馬鹿親の裾を掴む手を振り払い、再び歩を進める。
「お待ちください」
本当に…本当にこの親馬鹿はしつこいな。
さっきから鸚鵡の様に同じことを繰り返しやがって…。
こっちはあんたとの言葉遊びを楽しむ暇はないというのに。
「でしたら、せめて娘と少しの間だけ過ごしていただけないでしょうか?
それで気に入っていただけたのなら、どうか…どうか…お願いします」
大手が駄目なら、搦め手から攻めるという、なんともまぁ、陳腐な考えだ。
一蹴してやろうかと思ったが、ふと、いい考えが浮かんだ。
「つまり、それはその間に私が心変わりしなかったら、結婚の件は諦めてくれるのですか?」
この親馬鹿は、功を急ぐあまり、失策を犯した。
ここで首を横に振ろうものなら、俺はその矛盾を糾弾し、拒絶を通すことができる。
仮に首を縦に振ったとしても、俺がこの女に心動かすはずもない。
どっちにしても、圧倒的に有利なのは俺だ。
さてと、この親馬鹿はどちらを選ぶのかな…?
「…分かりました。あなたの言う通り、心変わりしなければ、結婚の件は諦めましょう」
後者を選んだか。まぁ、どっちでもいいのだが…。
「では、七日間、彼女と同居しましょう。それで駄目なら、約束通り…」
とりあえず、念を押しておく。後で白を切られたら面倒だからな…。
これでやっと、あの親馬鹿から逃げることができた。その代わり、お荷物を持たされたが…。
六波羅の帰途、水城が話し掛けてくる。それが、酷く神経を逆なでさせる。
「ま…まったく…私と暮らしたいのなら、もっと早く言えばいいのに…。
わざわざ焦らすなんて…あ…あんたも随分と偉くなったものね…」
この女、自分の立場を、まったく理解出来ていないらしい。
無知は罪と言うが、その通りだ。
どうせ、この女もすぐに理解できるはずだ。
それを分からせるのは今日からでも十分だ。
そう…なにせ、今日から俺はこの女と『同居』するのだから…。
269変歴伝13  ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:09:51 ID:zsd3wU52
「ここがあんたの部屋ね」
六波羅に着くなり、水城は迷うことなく、業盛の部屋を見付け出した。
「思いの外、すっきりしてるわね…掃除する必要がないくらい」
「そうですか…それは…よかった…」
そう言うと、業盛はつかつかと歩き出した。
「ちょ…ちょっと、どこへ行くのよ!?」
水城が呼び止める。業盛はゆっくりと振り向いた。
「どこって…隣の部屋ですよ」
「な…なに言ってんのよ!私達これから七日間、一緒に同棲するんでしょ!?
あんた、約束を破る気!?」
「破るだなんてとんでもない。これから一緒に暮らすじゃないですか?この同じ屋根の下で」
「そういうことじゃないのよ!なんで一緒に暮らさないのかって聞いてるのよ!!」
水城は顔を赤くして言ったが、対する業盛は冷静そのもので、
「水城さん…。なにか勘違いしていませんか?私は『同居』するとは言いましたが、
『同棲』するなんて、一言も言ってませんよ」
と、いけしゃあしゃあとのたまった。
水城は顔をさっきよりも赤くして、なにか言おうとしていたが、
業盛はそれを無視してさっさと部屋の中に入っていった。
部屋の中には、当然のことながら住人がいる。
だらけきった声の、だらけきった男がそこにいた。
「あ〜、なんか用か、さぶろ…」
男はそこまで言って、止まった。
「どうした?」
業盛の問い掛けに、男は口をパクパクと動かしながら、業盛の後ろを指差した
「後ろ?後ろが、どうかしたのか?」
振り向くと、顔を真っ赤にした水城が仁王立ちして、こちらを睨みつけていた。
「なんだ…まだいたんですか…」
「まだいたんですか、じゃないわよ!なに勝手に話を終わらせてんのよ!
あんな屁理屈で私が納得する訳ないじゃない!」
鐘の様に大きな声を耳元で叫ばれたので、業盛は耳を塞いだ。
「さ…さぶ…三郎…。こ…この…この人は…?」
まるで癲癇を患ったかの様に、男は業盛に聞いてきた。
面倒だったが、とりあえず掻い摘んで説明してやった。
270名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 02:10:04 ID:vOMDXJt5
支援
271変歴伝13  ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:10:25 ID:zsd3wU52
「…と言うわけだ。これで、この部屋に泊まる理由が理解できたか?」
「な…納得いかねぇー!!!」
屋敷中に男の叫びが木霊した。
「うるさいな。大声出す必要ないだろう」
「だ…大体な、なんでお前がこんな美人さんと結婚できるんだよ!
それ以上に、なんでそれを断るんだ!俺に対する当て付けか!ふざけんな!
俺が…俺が、何度告白して、何度玉砕したと思っていやがるんだ!!!」
後半は最早、完全にただの愚痴。業盛も水城もドン引きである。
なんだか話が面倒な方向に向っている。そう感じた業盛は、男ににじり寄った。
両肩に手を置き、耳元に口を寄せ、水城に聞こえない様に小さな声でしゃべりだす。
「あのさ…今はお前の愚痴なんかどうでもいいんだ。
今重要なのは泊めるか、泊めないか…この二つだけだ。…分かるよな…?
それぐらい分かる頭は持ってるだろ?持ってもらわなきゃ俺が困るんだ?
なんだったら確かめてみようか?今、ここで、お前の頭カチ割って、中身見てやろうか?
なぁ…どうなんだ?答えてくれよ。答えられないのか?
もしかして、それすら答えられないのか?答えろよ。なぁ…なぁ…なぁ…」
優しく、まるで子供をあやす様に言い聞かせているが、目は笑ってないし、
それに、さっきからなにかが軋む音が聞こえてくる。
「答えを…聞かせてほしいな…。泊めてくれるか、くれないか…。
お前が一言『はい』と答えるだけで全てが解決するんだ。
分かるか…。分かってるよな…。分かってくれなきゃ…」
軋む音が、更に大きくなった。男の顔が苦痛に歪む。
「わ…分かった…。分かったから…手…手を…」
「そうか、そうか。やっと了解してくれたか」
業盛はそう言うと、男から手を離した。
「と、いう訳です、水城さん。これからあなたは七日間、私の部屋で暮らしていてください。
私はこの部屋に泊まりますから…とっとと出てってください」
業盛はそう言うと、水城を部屋から追い出してしまった。
こうして、二人の同居生活初日は、別居、もとい別室から始まった。
「ちょ…ちょっと待ちなさいよ!話はまだ終わってないわよ!この…開けろ、開けなさい!!!」
この日、水城の絶叫が屋敷中に響いた。
272変歴伝13  ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:11:01 ID:zsd3wU52
別居生活二日目。
暑さ甚だしい中秋の朝。ただでさえ暑い上に、蝉達がジージーと騒ぎたて、
各部屋では、様々な地獄の様相を呈している。
そして今日は、それらに新しく怒号が加わり、苦痛の三重奏を奏でた。
「三郎!起きなさい!!!」
水城の声である。わざわざ業盛を起こしに来たのだ。
しかし、そこに業盛はいなかった。いたのはそこの部屋の主だけだ。
「三郎はどこ!!」
男は水城のいきなりの襲撃に驚き、呆然とした様に答えた。
「い…池の方にいるんじゃ…」
水城はそれを聞くと、呆然としている男を無視して池に向った。

「ここにいたのね!」
池では業盛が鯉に餌を与えていた。
「まったく、せっかくこの私が特別に起こしにいってあげたのに、
勝手に起きるなんて、いい度胸してんじゃないの!」
水城は顔を赤くして言った。それに対し、業盛はそ知らぬ顔をしていた。
「ちょっと、聞いてるの!」
業盛は水城の言葉を無視し、さっさとその場から立ち去ろうとした。
「無視するなー!」
水城がそう叫んで、業盛に蹴り掛かった。
しかし、業盛は振り向くことなく、その蹴りを躱した。
「なっ…」
水城は思わず驚嘆の声を上げた。
そんな水城を尻目に、業盛はさっさと部屋に向って歩き出した。
「ま…待ちなさいよ!」
我に返った水城は、業盛を追って走り出した。
「き…今日はひもじい思いをしているあんたに、私が特別に朝食を作ってあげたわ。
あ…ありがたく思いなさい」
水城がそう言うが、業盛はスタスタと部屋に帰り、朝食の支度を始めた。
「ちょ…ちょっと、私が朝食を作ってあげたって言ってるのが聞こえないの!?」
水城の問いに、業盛は答えない。
「くっ…いつまでも調子に乗ってんじゃないわよ!この…馬鹿ぁー!!!」
水城はそう叫びながら、拾った石を業盛に向って、思いっきり投げつけた。
石はあやまたず、業盛の頭に向って飛んでいった。
だが業盛は、飛んできた石を持っていた包丁で弾いて躱し、
何事もなかったかの様に、朝食作りを続けていた。
「も…もういいわよ!そんなにしゃべりたくなかったら、一生そのままでいれば!!
もう…知らない!!!」
水城はそう言うと、部屋から出て行ってしまった。業盛は終始無言だった。
273変歴伝13  ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:11:36 ID:zsd3wU52
業盛が美女を連れてきたという話は、屋敷中に知れ渡った。
最初は業盛が裏切った、という感想だけで、みんなこの話題に関心を示さなかったが、
二人が不仲だ、と聞くと状況は一変した。
今なら自分に靡くかもしれない…そう思った屋敷中の男達は、水城のいる部屋に殺到した。
ある者は、顔に似合わない臭い台詞を吐き、
ある者は、高価な品物を手渡し、関心を引こうとした。
しかし、それら全てを水城は無視し、罵声を浴びせ、退けた。
それは別居生活三日目になっても変わらなかった。
「なぁ…三郎。お前、いくらなんでもやりすぎなんじゃねぇーか?」
論語を読んでいた業盛に、男(名前忘れた)が言った。
「やりすぎ…?なにがだ?」
「お前が水城さんのことを嫌いなのは分かるんだけどさぁ、
だからって、あそこまで拒絶する必要ないんじゃねぇかなぁ…って」
今日も水城が朝食の誘いに来た。
しかし、業盛が無視したため、怒って出て行ってしまったのだ。
「小人と女は養いがたいからだよ」
業盛が論語の一篇を読んで答えた。
「いや、そんなこと言われても分からねぇし…」
「はぁ…つまり、馬鹿と女は面倒見れないって意味だよ」
まるで、これぐらい知っとけ、とでも言いたそうな目を男に向けた。
「いや…だからって…」
「まったく、お前って奴は!」
会話を遮り、業盛が男に怒鳴った。
「お前は俺とあの女が結婚するのには反対だったんだろ!?
なんで今になって批判しやがる!?」
「いや…その…」
「だいたいなぁ、お前の態度がはっきりしないから、いつまでたっても結婚できないんだよ!
他人のこと応援する暇があったら、まずは自分の方をなんとかしろよ!!
男だったらなぁ、他人の女を略奪するくらいの気概を見せてみろってんだ!
そうじゃなきゃ、お前はただのクズだ!虫けらだ!!蛆虫だ!!!」
ずけずけと、無遠慮な言葉が、男の繊細な所を突き刺す。
男は業盛の口撃に耐え切れず、俯いてしまった。しかし、しばらくすると身体を振るわせ始めた。
「そう…だよな…。俺はいつもここぞって時に、へこたれちまうんだよな…。
三郎…お前のおかげで、今の俺に足りないものがなにかやっと分かったぜ!」
男が顔を上げたとき、その目はキラキラと輝いていた。それはまさに、覚悟を決めた目だった。
「そうか、やっと分かったか。それでこそ男だ!
よし!思い立ったが吉日だ!その思いのたけを、水城にぶつけてこい!」
「おう!!」
威勢のよい返事。今の男は自信に満ち溢れていた。
「あ…ちょっと待て」
しかし、そんな意気軒昂な男を、業盛は止めた。
「なんだ、三郎。俺はもう決めたんだ。止めないでくれ!」
男はそう言うと、業盛の制止を無視し、水城の部屋に向った。
「顔に死相が出てるから、気を付けろって言おうとしたんだけどな…。
まったく『人の話は最後まで聞け』って親から教わらなかったのか」
しばらくすると隣の部屋から、なにかがなにかを殴る音と、なにかがなにかをぶち破る音と、
なにかがなにかの上をすべる音が聞こえた。

男は帰ってこなかった。


274 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/18(土) 02:12:30 ID:zsd3wU52
投稿終了です。
また規制です、はい…。
いきなり書けたのでびっくりしました。
275名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 02:34:31 ID:kmIp9pnW
GJ!
276名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 03:24:18 ID:rWWyAG52
乙!!そしてGJ!!
277名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 03:31:12 ID:Zn9eE2CS
GJですぞ!GJですぞ!実はこのスレで一番楽しみにしているのですぞ!!
278名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 09:10:57 ID:nes2cNsU
どうぞw
【隔離】場外乱闘専用スレ【施設】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239770078/
279名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 16:33:11 ID:VwWPiV+H
変歴来てたんかー。
このツンデレさんがどんな風に病むのか気になりますな。
GJ!
280名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 18:34:55 ID:XStMpyXX
おや、変歴伝久しぶり〜。
規制くらってたのか……
っと、忘れてたGJ!

なんだろう、ヤンデレ候補が増えるたび、業盛の性格が捻くれてきてるような……
次回、楽しみにしています。
281名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 00:37:47 ID:+KL73Wuj
ヤンデレ「あの女殺しちゃった」

誠「うわあああああ!」
男「なんで●●を殺したんだ!」
漢「君の罪は俺が被ろう」
282名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 04:12:57 ID:Z/z45+hL
男「祥子お前、最近危ないぞ?殺人だけはやめてくれよ?」
祥子「分かった。殺さない。」

祥子「あなた、北海道の農場で働かない?殺さない代わりにしてはまだ甘い方よ?」
女「星林さん、私の彼を…はい、分かりました。行きますから銃下ろして!」


祥子「泥棒猫の粛正終わり。流血のない私って人道的だな〜」
男「ポロニウムを混ぜて暗殺も無しな。」 
283 ◆gEED5ynBW2 :2009/04/19(日) 06:33:59 ID:qK+5wTWT
投下します
284one wish! ◆gEED5ynBW2 :2009/04/19(日) 06:34:50 ID:qK+5wTWT
「誰なの?あの女?」

彼女が色のない眼で僕を見つめて言った。
眉間に皺が寄り、歯をむき出しにして、まるで般若のようだ。
「前から・・会社でお世話になってる人だよ・・」
カラカラに乾いた喉でなんとか言葉を紡ぎだす。ワイシャツはもう汗でびっしょりだ。
「お世話・・?お世話ってなぁに?・・下のお世話ってこと?」
「違うって。なんでそういう話になるんだよ・・・。仕事でよくフォローしてもらってるんだ」
さっきから膝の震えがとまらない。止めようとして力を入れると余計に震えが大きくなる。
とにかく彼女に僕が震えていることを悟られてはならない。
僕が彼女を恐れていることを悟られてはならない。
今日こそはっきりと言うんだ。
「でもそれだけじゃないよね・・?仕事だけの関係じゃ・・ないよね?見たんだよ?
あの女と楽しそうに腕組んで歩いてるとこ・・。あんたが心底楽しそうにあの女と喋ってるとこ・・。」
そういいながら彼女はヒタヒタと少しずつ僕に近づいてくる。
「私たち付き合ってるんだよねぇ?・・・なんで?ねぇ、なんで!?」
彼女が僕の胸に凄い勢いで飛び込んできた。僕は受け止めきれずにそのまま床に倒れ、彼女にのしかかられた。
冷たいフローリングに背中がひんやりする。もともと背筋は凍りついていたのだが。
ふいに、顔に水滴が落ちてきた。彼女は涙を流していた。あの・・男勝りな彼女が・・。
僕は少し心が痛んだが、もう後戻りはできない。
「・・・ごめん。本当に・・ごめん。・・・僕と別れてくれ・・・。」
言ってしまった。ついに・・。
「好きなんだ・・・彼女が・・。好きになってしまったんだ・・。」
怖くて彼女の顔が見れない。水滴が落ちてこなくなった・・。涙はもう止まったようだ。
「ごめん・・ほんとはもっと早くお前に言うべきだった・・。こんなことになるまえに。
彼女とも話したんだ・・・お前にちゃんと事情を説明して、わかってもらおうって・・。みんなに祝福してもらいたいって。」
「しゅく・・ふ・・く?」
彼女が口を開いた。深い谷から這い上がってくるような、低く、冷たい声だった。
「子供が・・できたんだ。」
「・・・ッ!!」
これで終わりだ。そう思った。
許せるものではないだろう。交際している相手がいながら他の女性を妊娠させたのだから・・。
「お腹ももう目立つくらいだ。来月にはここのアパートを引き払って、新しい場所に移ろうと思ってる。
・・・・・だから・・もう・・あがっ!!??」
激しい衝撃が喉を襲った。彼女が全体重をかけて首を絞めてきたのだ。女とは思えない力で。
「ははっ・・・あはは・・・・あははははははははははははははははははははははははははははは・・・・・。させなーーーーいっ♪
絶対させなーーーーい♪君だけ幸せになんかさせなーーーーーーーーーいッ!!・・・・・・・買い物いかなきゃぁぁ・・・・・・。
なにがいいかなぁぁぁあああ・・・おっっっっっっきいいハサミでぇ・・あの女の腹ザックッザク切ってぇ・・・♪ ガキ引きずりだしてえぇぇ
・・・トイレに流しちゃおおおおおおおおおおお・・。。。そのあとあの女の顔をぉぉおおぉ・・・何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もさしてえ
・・切り分けて生ゴミの日に出しちゃおっっっ!!ねぇ・・・すごい素敵だと思わない????ねぇ?????????????」
視界に靄がかかる・・・・彼女の声が遠くなる・・・・・・・・・・・・・笑い声だけが・・・・・耳に・・・はっきりと・・・・。
            
          

コンコンコンッ!
285one wish! ◆gEED5ynBW2 :2009/04/19(日) 06:38:35 ID:qK+5wTWT
ドアをノックする音で俺は我にかえった。続いて凛とした、そしてよく通る声がドアの向こうから聞こえてきた。
「勇之介!起きているの?起きてるならさっさと支度して下へ下りてりてきなさい!」
俺は本にしおりをはさみながら返事をする。
「起きてるよ。今から支度するから、ご飯先に食べててもいいよ。」
「あんたのためにいちいち手間をかけたくないの!わかったらさっさとしなさい!」
イライラしたような声で、ドア越しに叫んでいる。姉さんはいつもこうだ・・。
「っていうか朝いらないっていってるのに・・・」
俺は体を起してのびをしながら呟いた。
火曜日の朝7時・・今日も学校という名の仮眠施設に行くために、制服という名のパジャマを着、教科書という名のマクラをカバンに詰め込む。
昨日の夜から今日の朝にかけて友人に借りた本を読んでいたため、一睡もしていない。まぁ徹夜でなにかするのは慣れているのだが。
大概徹夜明けは、頭が痛かったり、体が重かったりと体調は良くないのだが、今日は一段と良くない。おそらく読んだ本の内容のせいだろう。
友人から大プッシュを受け、半ば押し付けられるように借りた本なのだが・・・。
本の表紙には包丁を持って、にこやかに笑っている女性の絵が描かれている。友人曰く「ヤンデレ」とか言うらしい。
「よくわからん・・・」
本をパラパラとめくり、後半の方に挟まっているしおりをぬいた。
でも、続きは気になる・・・・。とりあえず切りのいいとこまで読んでおこう。




ハッ!?
しまった!
壁にかけてある時計を見る。針は8時10分をさしていた。
「ギャーーーっ!!!」
いつもこうだ。

286one wish! ◆gEED5ynBW2 :2009/04/19(日) 06:39:25 ID:qK+5wTWT
鞄をひっつかみ、急いで階下へ向う。
朝飯を食べてる時間はない。
「姉さん、ゴメン!朝いらない!いってきます!」
「待ちなさい」
その一言で足が止まるほど重く、力のある声だった。
くそっ・・。勢いでいけると思ったんだけど・・。
「どういうことかしら?散々待たせた挙句・・朝いらない??・・・私言ったわよね?早く下りてきなさいって」
「はい・・いいました・・」
やばい・・完全に切れてる・・。
「何度もあんたの部屋の前に行って用意できたかって聞いたよね??」
「え?そうだっけ?」
最初の一回しか記憶にないのだが・・・。
「行ったでしょっ!?なんどもなんどもっ!!その度にもう少しもう少しって言ったじゃないっっ!!!」
肩をワナワナと震わせながら、鬼のような形相で叫ぶ。
・・・どうやら本を読んでるとき無意識に返答していたようだ。俺のバカ・・。
「ゴ・・ゴメン!姉さん。本に夢中になっちゃってて・・。気付かなかった・・ハハ・・」
「ほッ・・本・・!?・・私との朝食よりも本・・・ですってぇ・・ッッ!!!」
何故か火に油を注ぐ感じになってしまっている・・。なんで朝飯くらいでこんな怒るんだ姉さんは・・。
台所の時計に目やるとすでに8時20分を過ぎている。完全に遅刻だ・・・いや本気で走れば・・・。
「姉さん!もう時間が本当にまずいんだ!文句なら帰ってからいくらでも聞くから!」
「だめよ。とにかく朝ごはん。暖めなおすから一緒に食べるわよ。・・・今日という今日は許さない」
だからなんでそこまで朝飯にこだわるんだ・・・。ここはもう最終手段を使うしかない。
「わかった!じゃぁ、家に帰ったら姉さんの言うことなんでも聞くから!ね?それでいいよね?」
これのどこが最終手段だと思う人もいるかもしれないが、俺にとっては間違いなく最終手段だ。
これが友人なら、後にうやむやにして誤魔化したり、冗談ですんだりするだろう。
だが、姉さん相手にそれは通じない。ガチでなんでも言うことを聞かなきゃならなくなる。捨て身の技なのだ。
「・・・・・・・・・・・・・・フフッ・・・・」
一瞬の逡巡の後姉さんが不敵な笑みをうかべる。しかし、ハッとしたかと思うとすぐにもとの表情に戻った。
「仕方ないわね。行きなさい。でも帰ってきたらホントになんでも言うこときいてもらうから。」
それだけ言うと姉さんは台所にもどっていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「やっぱ、やめときゃよかった・・・。」
俺は姉さんのあの不敵な笑みを思い出しながら、学校へ向かって走り出した。
287 ◆gEED5ynBW2 :2009/04/19(日) 06:40:39 ID:qK+5wTWT
投稿終了です

稚拙な文章ですいません
288名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 06:49:50 ID:UHG9bvDV
GJ
289名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 07:47:23 ID:UX722dge
GJ
290名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 08:12:40 ID:BXtQjcBi
GJ
続きはあるんだろうね?
291名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 09:24:42 ID:uGttvh2h
>>287
GJ!
まさかの「1レス目から夢オチ」にはびびった……
続き(もちろんあるよね?)を楽しみにしています。
292名無しさん@ピンキー:2009/04/19(日) 12:41:25 ID:XfzSboEa
GJ
続き楽しみにしています
293名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 00:27:37 ID:IOw/LoRH
確かに稚拙
だがGJ
294電話:2009/04/20(月) 01:17:28 ID:7ngXRHmA
トゥルルルル…カチャ…
「はい、●●です…■さん!なんで家に?はい…(中略)切りますよ!」
トゥルルル…カチャ
「またオマエかよ!え…(以下略)」
トゥルルル…トゥルルル…カチャ
(男、罵倒の後に切る)
トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…カチャ…
ただいま留守にしております、ピィっとなりましたらご用件をお話下さい。
ピィーッ「いるのは解ってるんですよ、ねえ、お話しましょうよ。私はホントにあなたの…カチャ」
トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…
「もうイヤだ!!いい加減にしてくれ!」
トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…
「▲署の者ですが。●●さんのご家族の方ですか?(中略)彼は死んだんですから出せと言われても無理ですよ!」 
295名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 02:22:02 ID:xff6N3Tb
≫294
君のおかげで、昔、学校の怪談がやってた頃のメリーさんを思い出した。
あれで愛情があったら、ヤンデレの神なれただろうに。
296名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 02:27:23 ID:kUWYzHs5
>>295
半年ROMれ
297名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 10:13:35 ID:8L6JXxHz
彼女が車で彼を轢いているんですね
298名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 23:29:37 ID:wZDf2rF7
>>297
今朝のニュースでもやってたなw
まじヤンデレw
299名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 00:20:30 ID:LdgNEmen
それはヤンデレではありません、ただの痛い人です。

ヤンデレならば、ストーカーコースか拉致監禁コース。はたまた心中コースに直行します。
愛する人をただ轢いたりしません。
骨折したところを持ち帰り監禁はするでしょうが。
300名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 00:26:01 ID:Gxqi7Fj0
.>>299
マナマナかよw
301名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 08:51:13 ID:mrWQXmnO
>>298,300
死ね
302名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 13:54:00 ID:T2inA4yy
むしろイ`
303 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/04/21(火) 21:16:26 ID:byGE+nEo
すみません。
全然話しが進まない上に中途半端ですが投下させてください。
NGは酉で。
ちなみにタイトルは深い意味無いです。
1
太陽は高く雲無く輝く。正午前、四時間目の授業。クラスの一番廊下側、一番後ろの席で、オレは全員の視線を一身に集める。
 奇声を発して机を叩き、席を立って後ろ戸をスライド。
「腹痛いんで、トイレに行って来ます……」
 止める奴なんて居ない。
 静まり返った空気の中で、声を掛けれる鈍感な奴なんて居ないんだ。
「もっ、早過ぎるだろっ!? 昨日の今日だぞ?」
 廊下を走り、駆け抜け、長い階段を上へ、上へ。
 五階まで来て、使われてない準備室の隣に在るトイレまで来て、何の躊躇も無く、女子トイレの中へ、奥へ。
 すると聞こえるのは、

「んっ、んにゅ……んんっ、ふぁあぁっ」

 小さな、小さな、喘ぎ声。
 奥の個室、扉一枚向こう側。鍵なんて掛かって無いドアノブをひねれば、
「おそ、いっ……わよぉっ、拌羅(ステラ)、おねえちゃん♪」
 洋式の便座に腰掛け、ミニスカートを捲くり、白いパンツの上から指を擦り当て、気持ち良さそうにオナニーをする双子の妹。
 妹の浮音(シフォン)が、学校のトイレで、オレの目の前で、オナニーしてた。
「オレを、姉と呼ぶなっ!! 早くヤメなさい!!」
 信じられない。どうしてこんな事になったの?
 どうしてこんな場所で、こんなものを見なくちゃいけない?
「ほらっ、お姉ちゃん……いつもみたいに、貝合わせしよっ? ぬっちょぬっちょ吸い付かせてさ、エッチなオユでくっつかせようよ?
 クリも擦り合わせて、ベロチューして、悶え合って、むさぼり合おうよ? お姉ちゃんの、おっきくて、熱くて、カチカチのクリトリス……膣内に欲しいな?」
 オレと同じ顔の妹が、同じ顔の兄を誘う。シルクの生地にシミを作り、ネバ付く糸と湯気を立てて。
 丸く大きな瞳は潤み、肌は髪の色と同じに紅く染まる。本当に、興奮してるんだ。
 双子の兄貴なのに。戸籍はどうあれ、シフォンの兄で居ようと決めたのに……
 いつ、どこで、どこが、誰が、間違った?
「はっ」
 そんなの決まってる。オレ達双子の兄妹は、産まれた時から、瞬間から、運命の唄の命ずるままに。
 この関係だって、オレが姉、妹が弟になる可能性は多分に有った。
 けど、きっと、必ず、それでも、二人は今と同じ間違いを侵していただろう。
 同じ髪に、同じ瞳に、同じ唇に、同じ体格なのに。胸の大きさも、お尻の丸みも、腰のくびれだって同じ。声だって殆ど一緒。
 ただ一つ……足の付け根に存在する性器が、男か女かってだけ。

 オレとシフォンは同じ日、同じ時間に産まれ、同じ性器を持って育った。男と女、その両方。つまりは両性具有(アンドロギヌス)。
 そして四歳を迎え、性別を決める段階で、オレは女の、シフォンは男の性器を捨てた。何の問題も無く、兄と妹として、成長して行く筈だったんだ。
 だけど、そんな儚い夢さえ叶わない。オレの身体は妹とうりふたつ。どこまでも、いつまでも、女らしく、女らしく。
 それだけじゃない。オレとシフォンは繋がってるんだ。シフォンの受ける痛みや、苦しみや、快楽は、全部ダイレクトに伝達される。
 でもその逆は違う。オレからシフォンに繋がるのは快楽だけ。それ以外は一方通行。
 だから、だから。だから……だからオレはっ!! 女の顔してっ、女の身体してっ、授業中にスカート持ち上げてっ、チンポおったてる変態になったんだっ!!
 シフォンが所構わずオナニーなんてするからっ。存在しない女性器が疼いて、熱くなって、イキたくて、たまらないよ。
 たくさん近親相姦して、いっぱい中出しエッチして、シフォンの絶頂はオレに伝わり、オレのと合わさって更にシフォンへと戻る。
 そこからまたプラスされて、いつまでも加算されて、二人の中を駆け巡って、気を失うまでイキっぱなし。
 学校でも、ファミレスでも、デパートでも、満員電車の中だって……女同士のフリして、仲の良い姉妹のフリして、くっついて、イチャついてっ!! 公共の場で、チンポをハメてる。
2
 もう、そんなのはイヤだっ!! 普通の兄妹に戻りたいよ。
 でも、そんなの既に……
「んんっ、どーしたのステラお姉ちゃん? ふぅっ、早く脱がないとシフォン、イッちゃうよ? パンツの中で射精しちゃうよ?」
 どうしようもないよ。
 とにかく今は、下着を脱ぐ事だけを考えれば良い。
 シフォンは濡れて張り付いたパンツの上から、クリトリスを右手の爪先でカリカリと引っ掻き、
 そして空いた左手の人差し指と中指は、アヌスの入り口をなぞり弄りながらほぐしてる。
「まって!! まだイクなシフォン!! すぐにパンツ下げるからぁっ!!!」
 身体が震えた。何をしようとしてるか一瞬で理解する。
 オトコの子だぞっ!? ダメっ、そんなの絶対ダメぇっ!! お尻に挿れられてイキたくない!! 二本なんて、はいら、ないよぉっ。
「んむっ……」
 スカートを捲くり上げ、口で咥えて急いでストッキングに手を掛ける。
 できるだけチンポを目立たなくする為に、パンツの上にキツい黒ストッキングを穿いて締め付けて来た。
「ふっ、むぐぅっ……」
 でも、それすらも裏目。パンツとストッキングを一緒に下ろそうとするけど、勃起するチンポに引っ掛かって中々はかどらない。
 イク寸前の敏感な部分を、余計に刺激して射精を促すだけ。
「ぁあぁっ!! おねっ、ちゃん……シフォン、イクねっ? んにゅ、シフォンの指……感じてね? ふんんっ、イクっ! イクよぉっ!! おねっ、ふあぁぁああぁぁぁぁぁぁっ♪♪♪」
 硬くなったクリトリスをキュッと抓(つね)り、長い愛撫ですっかり弛筋したアナルの中へ、熱い愛液でふやけた二本の指を思いっ切り差し挿れた。
 狭い腸内を分け入り、前立腺も、腸壁のヒダヒダも、指を折り曲げてゴリゴリと抉り、容赦無くこそぎ落とそうとしてる。
 オレにも同じ。まるでお尻にペニスを挿れられ、激しくピストンされてるかのよう。
 そんな事されたら、次々と精子を作り出して、次々と管を通して、尿道へと噴き上げるしか無い。もっ、だめっ。
「ヤメろシフォン!! ヤメっ、ふぎいぃっ!!? っああぁぁっ……とまんない、よぉっ」
 ビュクビュクといつまでも終わらない音を響かせて、ストッキングの中に、パンツの中に、大量の精液を漏らした。
 力が抜けて膝が崩れ、トイレの床にアヒル座りの格好でお尻を着く。
 精液はパンツを濡らし、黒いストッキングにも滲んで白濁に汚していた。
 さいあく、サイアクだよ。幾らシフォンの感触だって、お尻を犯されて気持ち良くなるなんて最悪過ぎる。
 オレは、ワタシは、妹から離れられないの?
「大好きだよ、お姉ちゃん……ねっ、シフォンに種付けして?」
 便座に腰掛けたまま、パンツを横にズラしてアソコを両手で拡げる、たった一人の妹から。
 私と同じ髪を肌に張り付かせ、同じ瞳を蕩けさせ、同じ胸を弾ませて、違う性器をヒクつかせてる。
 そんな妹に私は……
3
 はっ、ばっかじゃねーの? 実の兄妹でセックスとかさ、気持ちわりぃよ。
 一応ブックマーク登録してページを閉じ、携帯を畳んでブレザーの内ポケットへ。
 暇潰しに流行りの携帯小説を読んで見たが、俺にはさっぱり理解できん。昔、ケンシンねぇが買ってた少女漫画には、兄妹恋愛の話しとか在ったし、面白かったけど。
 天使禁猟区ってタイトルも未だに覚えてる。実写映画化した、僕は妹に恋をするってのはツマランかったがな。
 まぁ、だから兄妹の恋愛を書く奴なんてみんな女さ。認められない禁断の愛に、悲劇のヒロインを気取りたいだけだ。
 禁断の愛をテーマに掲げる、実際には存在しない有りがちなフィクション。
「くだらん……」
 俺だってそう。ケンシンねぇが実姉だったら、中学の時に三回も告白なんかしない。全部フラれて、もう諦めちまったけど。 本気、だったなー……
 椅子の背もたれに体重を預けたまま、天井の蛍光灯を眺めて溜め息を吐く。広い学食の隅、二人掛けのテーブルで、ラーメンを啜る友人を目の前にして。
「溜め息をするな。メシが不味くなるだろ……何か、あったのか?」
 昼休み、雑音と生徒が溢れ返る場所で、それでもコイツは箸を置いて俺の心配をする。
 こんな五月蝿いのに、さっさと昼飯を食っちまえば良いのに、メシを食おうとしない俺を文句を言いつつも当たり前に気遣う。
 勉強も出来て、運動も出来て、社交的で、誰にでも優しい。軽い口調なのに人が心から傷付く事は決して言わないし、ファッション雑誌に乗っててもおかしくない顔と体型。
 同じ男の俺でも、コイツだけは特別だと思う。そんな奴だから、学食の隅でボーっと携帯を弄ってる俺が気になり、他の友人達を断って前の席に腰を下ろしたのだ。
 コイツは、加藤 綱(かとう つな)は、俺がこの学校で悩みを打ち明けられる、唯一の親友。
「いや、さ……知り合いの授業参観へ、俺が父親代わりで出席する事になってな」
 昼休みが終わった後、学校を早退し、家で着替え、ミツヒデの通う小学校に向かう。
 それが憂鬱で、食欲も湧かずに携帯小説を読んでいたのだ。
「はっ? 授業参観ってよ、家族以外が行っても良いもんなのか?」
 綱はテーブルに左肘を着き、その手の上にアゴを乗せる。
 一見だらしないポーズも、コイツだとサマになるから不思議だ。それでも失恋した事が有るってんだから更に不思議。加藤以上の男なんて、そうそう居ないと思うんだがな?
「あー、隣人が父親代わりに出席するのを担任が許可したんだと。実際は兄代わりらしい。まっ、どっちにしても……行くのがめんどい」
 去年まではケンシンねぇが出てたらしいが、今年は外せない用事とやらで行けない。
 それで一昨日の夜にピンチヒッターを頼まれ、昨晩はミツヒデが学校で許可を貰ったと嬉しそうに報告して来た。
 なら、拒否なんて無理な話し。二人の期待に応えるだけさ。
 深く息を吸い、大きく吐き出し、三度も繰り返し、手付かずの食器を持って席を立つ。
「諦めて行ってこい、頑張れよ××××。恥を掻かない様にな」
 そんな何気無いセリフを聞いて、微笑して手を振る加藤を見て、唐突に……

「ぐうっ!?」

 本当に突然に、グラリと足元が揺らいだ。
 一歩下がる間に下半身へと神経を集中させ、足場を固定し直してバランスを取る。
 食器は震えただけ、中身は僅かも零れてない。だけどどうしてだ?
「おい、大丈夫か××××?」

 加藤も席を立ち、心配そうに俺の肩を両手で掴む。
「××××?」

 何故だ? 加藤に名字を呼ばれただけだぞ? とにかく、返事をしないと。
「はっ、心配すんな加藤。だから……」

 だから加藤、お願いだから……俺を、名字で呼ぶな。

307名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 21:27:17 ID:byGE+nEo
今回はここまでです。
308名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 22:10:29 ID:JycDMEhx
フフフ・・・・GJ。
309名無しさん@ピンキー:2009/04/21(火) 22:48:13 ID:QNEy8LxD
>>307
お〜、GJ!
というか、どんな携帯小説だそれは。
それにしても、「永遠のいいひと」加藤綱の名を、ここでみるとは。

続きをまた、楽しみにしてます。
310名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 14:55:22 ID:vN8lK3im
デレ&ヤンのつづきってないのかな
311 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:07:21 ID:gA0Krdgw
以前、ツンデレ+ヤンデレって短編を書いたのですが、
女性視点もあればとの指摘があったので、書いてみました。
少し、読みにくいかもしれませんが、どうぞ。
312ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:08:14 ID:gA0Krdgw
「早く昼休みにならないかしら…」
多くの生徒が惰眠と、喪失感を味わう五月。
だらけきった教室の中で、ただ一人、七尾だけが目を爛々と輝かせながら、授業を受けていた。
今は四時限目。この授業が終わったら昼休みだ。
彼に会える。たったそれだけのために、彼女は学校に来ていると言っても過言ではない。
空腹は最高の調味料、と言うのと同じで、恋にとって焦らしは最高の調味料なのだ。
だがしかし、最高の調味料といえども、過ぎたるは及ばざるが如し、とはよく言ったものだ。
まったく分針が進まない。秒針は世話しなくグルグル回っているというのに、
分針はさっきから四十分の所で止まっている様に七尾には見えた。
後五分で昼休みだが、その五分が異様に長い。
早く動け、分針!七尾はそう時計に向けて念じる。
七尾が念じれば念じるほど、彼女の金色の髪が、まるで炎の様にメラメラと揺らめいた。
黒板の前にいる教諭は、それが見えるだけに、彼女に対して問題をあてなかった。
あてたら最後、とんでもないとばっちりを受けそうなのは、目に見えていたからだ。
教職という、聖職者の位にいる人でも、やはり自分の身がかわいいのは当然のことの様だ。
七尾の念が通じたのか、遂に昼休みになった。
多くの生徒が、級友達と机を合わせて弁当を食べる中、
七尾は弁当を持って、二つ隣の教室の前に立っていた。
この中に彼がいる。
七尾は息を整えると、勢いよくドアを開けた。
313ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:08:45 ID:gA0Krdgw
「幸斗、き…今日、お弁当作り過ぎて余っちゃったから、あんたにあげるわ。
べ…別に、あんたのために作ったんじゃないからね」
幸斗と七尾の関係は、七尾が高校に上がる前のことまで溯る。
買い物をしに東京に来た時、彼女に目を付けたクズのチンピラ達が絡んできたのだ。
大声を上げようとしたが、チンピラに口を塞がれ、路地裏に連れて行かれた。
このままでは輪姦される、と思ったが、声を出そうにも出せない。
七尾は自分の不幸を呪いつつ、目を閉じた。
しかし、いつまでたってもなにも来ないので、目を開けてみると、角材を持った男がそこにいた。
「大丈夫ですか?」
そう言って、男は手を差し伸べた。
七尾は見惚れてしまったが、つい照れ隠しで、
「なに勝手なことしてんのよ!」
と怒鳴って、その場から立ち去ってしまった。
後になって、七尾はそのことを後悔した。
均整な顔付きといい、チンピラ達をのしてしまう強さといい、優しさといい、
それら全てが、七尾のストライクゾーンど真ん中だったからだ。
家に帰ってから、七尾はそのことを思い出すたびに枕を濡らした。
高校に上がってからも、七尾は鬱屈として高校生活を楽しまなかった。
しかしある時、七尾は二つ隣の教室から、男が出てきたのを偶然見付けた。
急いでその教室の生徒に、男の名前を聞くと「川原幸斗」と教えてくれた。
まるで漫画の様な展開に、七尾は運命を感じた。
そして、今まで信じてこなかった神様に、初めて本気で感謝した。
314ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:09:34 ID:gA0Krdgw
その日以来、七尾は幸斗のために弁当を作っている。
いろいろ愛情を込めたせいか、弁当は余り物と言うには矛盾するくらいの量になっている。
幸斗は七尾が来ると、露骨に嫌な顔をした。
「あの…、七尾さん。僕、ずっと前から言ってますよね?弁当は自分で作るからいらないって」
幸斗がこう言うと、
「あんたねぇ、私がせっかくお弁当を分けてあげるって言ってるのよ!
男だったらつべこべ言わずに食べなさい!」
と、七尾が返すのが日常茶飯事となっている。
周りからは夫婦漫才と揶揄されるが、七尾は夫婦と言われるたびに、
お腹の中がキュッとなる感じがした。
正直、七尾は幸斗が好き…いや、愛していた。
頭が良くて、強くて、かっこよくて、優しくて、かわいくて…全部あげたら限がないが、まるで、
名前の通り、この世の幸せを全て集めたかの様な男性だ。
もし、彼が自分のことが好きだと言ってくれたら、襲い掛かっている。間違いなく、絶対!
そう思いながら、妄想の中で幸斗を押し倒している七尾を、
幸斗の一言が強制的に現実に引き戻した。
「あんなのを毎日食べてたら、僕が死んじゃいますよ!」
さすがにこの一言には七尾もショックを受けた。
全ては幸斗のためにやってきたことが、彼を苦しめていたとは、七尾は思っても見なかった。
結局彼のことを分かってないと思った七尾は、目に涙を浮かべ、
「い…いいわよ。分かったわよ!
せっかく私が好意でお弁当をあげてやってるのに、
食べないって言うなら、もうお弁当が余っても、あんたには絶対あげないんだからね!」
と、つい捨て台詞を吐いて出て行ってしまった。
教室に戻ってから、七尾はそのことを後悔した。
315ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:10:06 ID:gA0Krdgw
「どうすればいいのかしら…」
七尾は悩みながら下駄箱までやって来た。
弁当を作らなかったら、幸斗の教室に行く大義名分が消える。
それだけはなんとしても阻止したい七尾は必死で考えた。
ふと顔を上げてみると、幸斗が下駄箱で靴に履き替えていた。
近付いてみると、幸斗は口を動かしていた。七尾は幸斗の口の動きに全神経を集中させた。
「さすがにあれは言い過ぎたかな…」
と、聞こえた。
あれとはお弁当のことだろう、と察した。
あれは自分が悪いのに、幸斗は自分以上に悩んでくれてる。
やっぱり、幸斗は優しい。七尾はそう思った。
再び幸斗の口の動きに全神経を集中させる。
「本当にもう少し弁当の量が減ってくれれば、喜んで食べるんだけどな…」
それを聞くと、いてもたってもいられなくなり、七尾は幸斗に声を掛けた。
「それ、本気で言ってるの?」
「えぇ、本気…って、うわぁ!な…七尾さん。いつからそこにいたんですか!?」
驚かれて少しショックを受けたが、驚いた時の幸斗はすごくかわいい。
「あんたが間抜け面でブツブツ呟いてた時からよ。それに、人を幽霊みたいに失礼ね」
だが、それを悟られない様にあえてそっけなく言った。
ここであえて、胸を強調する様に腕を組んだ。一般の高校生より遥かに発育した胸を、
これでもかとばかりに幸斗に見せ付ける。
それを見た幸斗は、慌てて目線を下にして、
「…で、なにか用ですか?」
と、言った。照れる幸斗もかわいい。
自分のアソコがぐちゅってなった。彼に聞こえたかも、と心配になった。
「き…今日、私と一緒に帰りなさい」
とりあえず、いつもの様に彼を誘った。彼と帰りたいというのもあるが、
彼を狙っている女に牽制するのが本当の狙いだ。
「あの…いつも思うんですけど、あなたの家、隣のアパートなんだから、
一緒に帰る必要ないんじゃ…」
でも、いつも彼はそのことを察してくれない。鈍すぎるのも考え物だ、と七尾は思った。
こうゆう時は、あれしかない、と七尾は目に涙を溜め、無言で幸斗を睨み付けた。
これで大体の願いを幸斗は聞いてくれる。
「わ…分かりましたよ…。一緒に帰りましょう…」
案の定、彼は承諾してくれた。
「まったく…、一緒に帰りたかったら最初からそう言えばいいのに…」
嬉しさを隠すために、あえてまたそっけなく言った。心の中ではガッツポーズを取っていた。
316ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:10:41 ID:gA0Krdgw
家に帰ると、七尾はベットに突っ伏した。
「幸斗…幸斗ぉ…」
七尾は自分の胸に手を置き、空いた手をアソコに導いた。
今日は思わぬ収穫があった。
幸斗と一緒に帰っている時、偶然幸斗の手が自分の小指に当たったのだ。
あの時はつい怒鳴ってしまったが、本当はとても嬉しかった。
初めて、幸斗に触れられた。その事実が、七尾の恋情を加速させた。
自分の胸が潰れるくらい揉みしだく。乳首は硬くなり、摘むと頭の中が破裂しそうになった。
本当は、幸斗に揉んでもらいたい。吸ってもらいたい。嬲ってもらいたい。
そう思うが、幸斗は一向に自分のこの気持ちに気付いてくれない。
「つらいよぉ…苦しいよぉ…もどかしいよぉ…」
うわ言の様に呟いて、七尾はアソコに当てた手を動かす。
陰唇の周りを撫で回し、感度を上げていく。
次第に自分の陰核が勃起しているのに気付いて、それを摘んだ。
一瞬、気が遠くなった。体が痙攣して、愛液がほとばしる。
放心状態になったが、かまうことなく膣の中に指を入れる。
三本、最近になって中に入れられる様になった指の数だ。
中に入れると、膣内が蠢き始め、指に絡み付いた。
まるで、自分が幸斗に犯されている様な感覚に陥った。
枕を噛んではいるが、どうしても声が漏れてしまう。
「ゆ…幸…斗ぉ……わ…私がこんな身体に…あっ…なっちゃったのは、
ん…ぜ…全部ゆ…幸斗の…せ…せいなんだからね…。せ…責…任…あふ…と…取りなさい……」
指を動かすスピードを加速させる。自分の中のなにかが、
どんどん込みあがってくるのが自覚できた。
「んぁ…ん…も…もう…駄目ぇ…」
愛液と尿を撒き散らし、七尾はそのまま果てた。
317ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:11:19 ID:gA0Krdgw
七尾にとって、六月は祝日がない分、幸斗と一番多く接する事のできる月だと認識している。
ただし、行事がないので発展も期待できない月だとも思っている。
要するに、中途半端な月なのだ。その様な月は、自分が行動を起こすべきである。
そう考えた七尾は、この日ついに行動を起こすことを決心した。
昼休みになって、七尾はいつもの様に幸斗の教室に向った。ただ、いつもと違うのは、
「今日から、私もここで食べるわ」
そう言って、有無を言わさず空いている机を幸斗の机にくっつけたことだ。
幸斗と昼食が食べられるのは嬉しいが、その隣に座っている男が邪魔だった。
名前は知らない。いや、別に知る必要はないが。
昼食の件になると、その男がしきりに話し掛けてきたが、それを無視し、
「そういえばさ、あんた、彼女とかいるの?」
強引に幸斗に話題を振った。
空気男をあしらえるし、現在の幸斗の周辺を探ることが出来るので一石二鳥、と考えたのだ。
「いませんけど…、なにか…?」
期待通りの答えが返ってきたので、七尾は満足した。
幸斗に弁当を持ってきたり、一緒に帰ったりなどして、彼を狙う女達に牽制を掛けてはいるが、
中にはそれを掻い潜る強者がいるかもしれないので、直接聞かないと確信が持てなかったのだ。
「やっぱりね。あんたみたいな奴に女がいるはずないか」
安堵の気持ちを隠すため、あえて憎らしく言う。
「それ、地味に傷付きます…」
幸斗が目に見えて落ち込んだ。
彼を落ち込ませるのは本意ではないが、今は我慢。
ここで折れたら、今まで進めてきた『IILE計画』が無駄になる。
ちなみに二つのIは焦らす(irritate)のI。
Lは最後(last)のL。Eは食べる(eat)のE。
要するに、「焦らして焦らして最後に食べる」という意味だ。
文法がおかしい?そんなことは別にどうだっていい。
とにかく、今は非情に徹する時なのだ。
一番辛いのは自分なのだが…。
「そう言う石川さんにはいるんですか、彼氏?」
さっきまでいい具合に無視していた空気男が、横から口を出してきた。
こいつ、なかなかいい質問をする。
空気男から残り香に格上げしてやろうかしら、と七尾は思った。
「私に見合うような男はこの学校にはいないわ」
この際、はっきり言っておいた方がいい。
この学校には自分の身の丈を顧みない馬鹿が多い。
この男が、それを言い触らしたら、断る手間が省けるのでそれはそれでいい。
そしたら、この男の格を、残り香から刺激臭ぐらいに格上げしてやってもいいと思う。
しかし、私の答えに、幸斗と残り香は顔を見合わせて笑った。
幸斗は別にいいとして、残り香が笑うのは気に食わない。
やっぱり、この男の格は空気…いや、この際だから無味無臭でいいや。
「あの〜、もう一つ聞きたいんですけど、なんでいつも幸斗に弁当持ってくるんですか?」
無味無臭がしつこく聞いてくる。答えなくてもいいが、無視するとしつこそうなので、
「前から言ってるでしょ。作りすぎて余ったから、仕方なくこいつにあげてるって」
特別に答えてやった。無味無臭の分際で教えてやったんだから、ありがたく思って欲しい。
「それって毎日の様に起こることですか?
それに、なんでよりによってあげるのが幸斗なんですか?」
こいつ、本当にしつこい。それに痛い所を突いてくる。馬鹿なくせに。
「そ…それは、知らない奴にあげたら、そいつが盛って襲い掛かってくるかも知れないじゃない」
とりあえず、当たり障りのない様に答える。
「つまり、石川さんは幸斗のことをだいぶ前から知っていたと…」
無味無臭がなにやら確信に迫った様な聞き方をしているのは気のせいだろうか。
「そ…そう言うことになるわね…」
とりあえず、肯定の答えしか出来なかった。
「ふ〜ん…」
一瞬、無味無臭が笑った様に見えた。もしかして、この後の展開を予知したのだろうか。
だとしたら、この無味無臭は超能力者なのかもしれない。馬鹿なくせに。
昼食を食べ終わると、七尾は自分の教室に帰った。
今回はいろいろ収穫があった、有意義な昼休みだった、と七尾は思った。
318ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:12:17 ID:gA0Krdgw
七月になった。多くの学生にとっては中間考査などの試練の時であるが、
七尾にとってもある意味試練の時であった。
「IILE計画」も最終段階に入ったのだ。
今まで幸斗に対して冷たい態度を取ってきたが、それももうすぐ終わる。
決行は終業式の日。
場所は放課後の屋上。本当は校舎裏と言うのもよかったが、あそこは蚊が多いので止めた。
幸斗に自分の気持ちを伝える。そして、夏休みを彼と過ごすのだ。
本当は幸斗自身からの告白のほうがいいのだが、彼は恥ずかしがり屋だから無理だろう。
私自身が動かなければならない、と七尾は思った。
本当は今すぐにでも告白したいが、我慢する。
焦らして焦らして、最後に美味しく食べる。そのためなら二週間など耐えられる。
大丈夫、幸斗は逃げない。七尾は楽観的に考えていた。
だが、テスト期間に入った、ある日の昼休み。
いつもの様に幸斗の教室で弁当を食べていると、幸斗が急に切り出した。
「二人とも聞いて。実は僕、付き合うことになったんだ」
箸が止まった。おかしい。幸斗は誰とも付き合っていないと言ったのに。
「マジかよ!?誰とだよ?」
「このクラスの中山美優さんだよ」
中山美優…。七尾の頭の中でその名前が反響した。
「幸斗、お前、美優さんと付き合うのか!
俺はてっきり、石川さんと付き合うもんだと思ってたぜ!」
無味無臭の言う通り、私もそれが当然だと思っていた。
だが、幸斗が決定的なことを言った。
「だから、そんなんじゃないって言ってただろ。
僕と七尾さんはあくまで友達。そうですよね、七尾さん?」
「そ……そう…よ…。わ…私達は…あくまで…友…達…よ…」
違う!本当は、こんなことを言いたいのではない。だが、口から出てきたのは、
自分の思っていることとは反対の言葉だった。
「それから七尾さん。明日から弁当作ってこなくていいから」
ショックに打ちひしがれている七尾に、幸斗の言葉が追い討ちをかける。
「えっ…!どう…して…!?」
「明日からは美優さんが弁当を作ってくれるって言うから。今までありがとう。七尾さん」
それだけは駄目。そんなことになったら自分の存在意義がなくなってしまう。
分かってる。分かっているのに、口から出てきたのは、
「えぇ…私もこれから早起きしなくて清々…するわ…」
いつもの様な、憎憎しい言葉だった。
この後、幸斗はなにかを言っていたが、まったく聞き取れなかった。
いや、実際は聞こえていた。でも、頭の中が強制的にその言葉を遮断したのだ。
放課後になって、幸斗の後を付けて下駄箱に向かうと、
そこでは幸斗と楽しそうに話す美優の姿があった。
本来ならば、その隣にいるのは私なのに…どうして…?どうしてどうしてどうしてどうしてっ!
どうして彼はあんな女を選んだの!?私のほうが、彼のことを誰よりも知っている!
彼のことを誰よりも一番愛せる!彼のためなら死ねる!彼のためなら誰だって殺せる!
分からない!理解できない!!納得できない!!!
彼は私と結ばれるべきなのだ!結ばれなければならない!!結ばれる運命なのだ!!!
その様な自問自答を繰り返す。考えれば考えるほど、七尾の思考は闇の底に堕ちていった
「………そうか……そうだ…そうだよ…これは…幸斗は、私を試してるんだね…。
私の愛が本物か…試してるんだね…。そうだよね…そうに決まってるよね…。
彼は私のことが好きなのに…あんな泥棒猫とくっつくわけないもん…。
あっはははは…分かったよ、幸斗…私…やるから…。
あなたの望む、合格点を必ず出すから…頑張るから…待っててね…ふふふ…あっはははは…」
淀んだ瞳でそう呟くと、七尾はふらふらとした足取りで、家に帰っていた。
319ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:13:07 ID:gA0Krdgw
終業式の日になった。本当はこの日に幸斗に告白をするつもりだったけど、
もうそんなことはどうでもよくなった。
ただ単に、告白の日が、試練の日になっただけだから。
終業式が終わり、生徒達が教室に帰る中、七尾はまっすぐに美優の元に向った。
「美優さん。お話があるんですけど…」
七尾はそう言って、美優の手を引いて歩き出した。
「ちょ…ちょっとどうしたんですか!?」
「ここでは話しにくいので、付いてきてください」
美優の言葉を半ば無視して、七尾は体育館から少し離れたトイレに美優を招き入れた。
「あの…こんな所で、いったいなんの話があるんですか?」
「美優さん。あなた、幸斗と付き合ってるんですってね…」
七尾の唐突な質問に、美優は少し驚いた。
「えっ!えぇ…そうですけど…」
驚いた中にも、どこか嬉しそうに美優は答えた。
当然だ。お前は今、幸斗というこの世でもっとも崇高な人間と付き合っているのだ。
お前の様な、薄汚く、下劣で、下等な泥棒猫が付き合うにはもったいないぐらいに!!
でも大丈夫。今すぐ起こしてあげる。
お前が見ている幸せな夢から、本当の現実の世界に戻してあげる!!
「嘘……ですよね…?」
「はぁ…?」
七尾の言葉が理解できないらしく、美優は疑問の声を上げた。
「あなたが…幸斗と付き合ってるなんて…嘘なんですよね…?」
七尾は今度ははっきりと、美優に言った。
「なに言ってるんですか、七尾さん。私は彼から直接…」
凄まじい音が響いた。七尾が美優の言葉を遮る様に、美優を壁に強く押し付けたのだ。
「つ…な…なにするんですか!?七尾さん!?」
「ふざけたこと…抜かさないでくださいよ、美優さん…。
私…知ってるんですよ…。あなたが勝手に幸斗にくっついているだけだって…。
それで彼と付き合ってるだなんて…誇大妄想にも程があります…」
「こ…誇大妄想なんかじゃ…」
再び、美優の言葉を遮る様に、風を切る音が、美優の耳元で聞こえた。
見てみると、どこから取り出したのか、七尾の手には包丁が握られていた。
「ひっ…」
美優の口から悲鳴がこぼれ出た。
「もう一度…聞きますね…?あなたが幸斗と付き合ってるなんて……嘘……ですよね…」
ゆっくりと、平坦な声で、美優に語りかける。
「あ…あなたの方が、誇大妄想じゃ…」
風を切る音。再び壁に包丁を突き立てられた。
「ひっ…」
「私はそんなことを聞いてるんじゃないんですよ?
もし…また関係のないことをほざいたら…今度は…」
七尾はそう言うと、包丁を引き抜いた。包丁の切っ先は、美優の首に向けられていた。
もしも、意に適わないことを言えば殺す、と七尾は暗に言っていた。
美優は歯の根が合わず、ガチガチと歯を鳴らした。
「……は……はい…そう…です…わ…私は……う…嘘を…つ……吐いて…いました…」
美優が目に涙を溜めながら、途切れ途切れに言った。
「やっと正直に言ってくれましたね。それじゃあ、今言ったことを、
幸斗にも言ってくださいね」
包丁の切っ先は、未だに美優の首に向けられている。
「ひっ……わ…分かり…ました…。今日…放課後に……幸斗さんに……ちゃんと…言います……」
美優は、強制的に幸斗と別れざるを得なかった。
七尾は悲しみに沈んでいる美優に、淀んだ瞳を向けた。
その瞳には、勝利を確信した喜びだけではなく、狂気も含まれていた。
320ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:13:48 ID:gA0Krdgw
ホームルームが終わると、七尾は幸斗の教室に向った。
教室を覗いてみると、幸斗が机に突っ伏していた。
どうやら、雌猫はしっかりと言ったらしい。
本当は屠殺してやりたかったが、そんなことをしたら、身体があの雌猫の血で穢れてしまう。
身体が獣臭くなったら、きっと彼は嫌がるだろう。
私は今、試験を受けているんだ。合格点を出さなければ、私は捨てられる。
必死に考えて、出した答えが、これだ。きっと、彼も認めてくれるだろう。
もう一度、教室を覗いてみる。
幸斗は未だに机に突っ伏して動かない。
試験のためとはいえ、あんな雌猫に振られたのだ。心優しい彼は、傷付いているのだろう。
でも、大丈夫。今すぐにでもこの私が慰めてあげる。
あの雌猫も出来なかったことを全部してあげる。
七尾は教室の中に踏み込み、まっすぐに幸斗の元に向った。
「ぶざまねぇ〜、幸斗」
まずはいつもの様に憎らしく声を掛ける。
「七尾さん…。今はしゃべりかけないでください…。すっごくへこんでるんで…」
顔を上げた幸斗は目の辺りを赤くしていた。
泣き顔の幸斗もすごくかわいい。今すぐにでも抱きしめて慰めたいが、我慢。
「数週間前まではあんなにへらへら気持ち悪いくらい笑ってたのに、
その落差を見ると、笑いが止まらないわね」
それにしても、よくもまぁこんなに思ってることと違うことが、
ペラペラと言えるのだろう?自分でも不思議に思った。
「まったく、いつまで泣いてんのよ。男でしょ、あんた」
もしかして、自分にはSっ気があるのだろうか。…どうしよう、少しぞくぞくする。
「だったら、少しぐらい慰めてくださいよ」
彼が…彼が私のことを必要としてくれている。あぁ…どうしよう…アソコが湿ってきた。
「慰めてほしいの?慰めてほしいんだ?そんな年して…。あっ…あっはははは…」
でも…まだ駄目…。後…後少しだけ我慢。
「いいわよ、慰めてあげるわ。私の家に来たら、好きなだけねぇ…」
そう、好きなだけ…あなたのことを愛してあげる。
「いや…いいです。もう少し、こうしています。心配してくれて感謝します」
彼はなにを遠慮する必要があるのだろう?
もしかして、まだあの雌猫のことを思っているのだろうか。
「あんたねぇ…。いつまで、あの女のこと引きずってんのよ!?
あの女はあんたのこと捨てたんでしょ!?だったらあんたもあの女のこと忘れなさいよ!」
だとしたら、全力でそれを断ち切らなければならない。
人間である幸斗が、あんなのとくっついちゃいけない。獣姦になってしまう。
「………」
幸斗は黙り込んでしまった。悩むことなんてないのに…。
確かに獣を慈しむのはいいことだけど、甘やかすと獣は付け上がるんだよ。
現に、幸斗は優しくしていた雌猫に引っ掻かれたじゃない。
やっぱり、私が教えてあげなきゃいけない…。
「あぁ〜、もう!決めたわ!私、なにがなんでもあんたを慰めてあげるわ!来なさい!」
強硬手段だけど、幸斗を引っ張っていくことにした。実力行使だけど仕方がない。
教室の入り口まで引っ張っていくと、
「な…七尾さん。分かりました。一人で歩けますから。だから、手を離してください」
と、言ったのでしぶしぶ手を離した。
「まったく…分かればいいのよ」
本当はもっと手を握っていたかったのだが、まぁいいか…。
だってこれからもっといろいろ触るから…。
321ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:14:19 ID:gA0Krdgw
「お茶入れるから待ってなさい」
初めて幸斗を家の中に入れた。
幸斗の匂いと私の匂いが交じり合って、まるでセックスをしている様な気持ちになる。
あぉ…どうしよう、もうショーツもグショグショだ。
私は自分のアソコに手を…いけないいけない。またトリップしていた。
こんな所で失敗したら、それこそ今までやってきたことが水の泡になる。
気を取り直して、まず、淹れたての紅茶の中に、この日のために買ってきた睡眠薬を入れた。
底に沈殿しないように丹念にかき混ぜる。
…あぁ…私のアソコも幸斗のモノでめちゃくちゃにかき混ぜて欲しい。
私は握っていたマドラーを自分のアソコに…いけないいけない。
…なんだか、自分がだんだんアホの子になっている様な気がする。
実物がすぐ目の前にいるのだから、後少しなのだから耐えなければ…。
馬鹿なことをしすぎて、少し待たせてしまった。
紅茶を持っていくと、幸斗は俯いて黙っていた。
「あんたねぇ…まだ落ち込んでんの?しつこいと、誰にももてないわよ」
聞かなくても分かるのだが、とりあえず聞いてみる。
「いいですよ別に…。今年の夏は家で寝て過ごしますから…」
そう言って、幸斗は紅茶を啜った。
「美味しいかしら、それ?」
飲んだのを確認した七尾は幸斗に言った。
「えぇ…、美味し…」
幸斗はそこまで言うと、持っていたティーカップを滑り落とした。
「あら…、ずいぶんと早く効くのね」
まさかこんなに早く効くとは思わなかった。いい薬だな、と七尾は思った。
とりあえず、薬が効いて眠っている幸斗を引っ張り、ベットの上に乗せた。
万が一のため、逃げられない様に両手足を縛っておく。
これで準備完了だ。
「さぁ幸斗…いっぱい愛し合いましょ…」
七尾はそう言うと、自分の服を脱ぎ始めた。
322ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:15:15 ID:gA0Krdgw
始めて見た幸斗のそれは、縮こまっていて、あまり大きくなかった。
「刺激を与えたら、大きくなるかしら…」
なけなしの性知識で、とりあえず幸斗のそれを扱き始めた。
少しすると、幸斗のそれは少しずつ硬くなり始め、
一分も扱くと、最初の時よりも遥かに大きくなっていた。
大きくなったそれを見ると、いろいろ試してみたくなり、
まず胸で挟んで扱いてみた。しばらくすると幸斗のものから知るが出始め、
それがぬちゃぬちゃと水っぽい音を立て始めた。
七尾は幸斗の先っぽから出てくる汁を舐めてみた。
独特な味がしたが、嫌いじゃない。むしろ、幸斗から出たものなのだから、もっと舐めたい。
そう思い、七尾は胸で扱くのから、手で扱くのに変えた。
「な…なにを…してる…んっ…ですか…」
しばらく扱いていると、幸斗が目を覚ました。
「なにって、見ての通り、慰めてあげてるんじゃない」
そう言って、七尾は止めることなく扱き続けた。
「や…止めて…ください…。こんな…度の…過ぎた悪ふざけは…」
この期に及んで、やっぱり彼は鈍いなぁ…。七尾は再びそのことを再認識した。
「あんたねぇ…、ここまでしてるってのに、まだ悪ふざけだって言ってるの?
まったく、あんたって本当に鈍感ね…あんたのことが…好きだからやってるのよ」
お仕置きとばかりに、扱く速さをあげた。
扱く速さをあげた直後、幸斗は我慢できなくなったのか、射精した。
幸斗から吐き出された精液が、七尾の身体に飛び掛る。
「あらあら、こんなにたくさん出して…。そんなに溜まってたのかしら?」
そう言って、手に付いた精液を丁寧に舐めた。なんとも言えない味が口の中に広がる。
「そんな、この学校に好きな人はいないって言ってたじゃないですか!」
彼は私の言ったことを信じていた様だ。正直なのはいいことだけど、
やっぱり正直すぎるのもどうか、と思った。
「あんなの嘘に決まってるじゃない。私はあんたのことが好きだったのよ。
私のことを助けてくれた時から…ずっとね」
「でも…いくらなんでも別れてすぐにこんなことをするなん…うぐっ…」
幸斗が、またあの雌猫のことを言い出そうとしたので、七尾は抱きしめてそれを遮った。
「あの女のことはどうでもいいの。私はあの女の様に途中であんたのことを見捨てたりしない。
あんたのためだったら、どんなに恥ずかしいことだってしてあげるから、
あんたの気に入らない所、全部直すから、だから…だからお願い…。私のこと…抱いて…」
やっと自分の言いたいことが全部言えた。幸斗に自分の思いを全部伝えることができた。
そう思うと、七尾は自分の目から涙が流れていることに気付いた。
幸斗が苦しそうだったので、少し離れてあげると、
「ありがとう…。僕も…あなたのことが…好きです…。今まで気付かなくて…ごめん…なさい…」
と、言ってくれた。
七尾は嬉しくなって、再び幸斗を抱きしめた。
その後、七尾は幸斗の縛めを解くと、幸斗に押し倒された。
胸を吸われ、揉まれ、アソコを舐められ、最後に処女を捧げることもできた。
少し痛かったけど、最後はとても気持ちよかった。
今、幸斗は私の隣で疲れて眠ってしまっている。
私は、幸斗の唇にキスをした。


ねぇ幸斗。私、合格よね。合格したんだよね。
合格したから、これからずっと一緒にいてもいいんだよね。
私、もう幸斗から離れないよ。だから、幸斗も私から離れないでね。
もし、幸斗が私のこと嫌いになったら、私…死んじゃうから…。
だから、ずっと一緒にいようね。死が二人を分かつまで、ずっと…ずっと…ずっと…。
323 ◆AW8HpW0FVA :2009/04/22(水) 21:16:14 ID:gA0Krdgw
投稿終了です。
最後は少し失速した感が否めません。
324名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 21:32:55 ID:A6fSdTxD
おお、懐かしいなGJ!
325名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 21:56:50 ID:qQmhuKmi
>>323
GJ!
326名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 00:09:01 ID:hLCy+DQz
GJ!!!スゲエ懐かしい!
327名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 00:23:54 ID:EiGgb+yu
GJ!!

幸斗←これは"こうと"でいいの?
328名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 02:30:33 ID:wk6fo1d2
>>327
ゆきとじゃないの?
329 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 07:31:11 ID:np2bNnLo
多少長いのができたので、前編だけ投下します。
タイトルは「良家のメイドさん」。今回はメイドさん視点。

次レスより投下。3レス借ります。
330良家のメイドさん 前編(1/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 07:35:10 ID:np2bNnLo
 
「おはようございます、坊ちゃま」
 私の1日は、いつもこの挨拶から始まります。
「ああ、おはよう――」
 私の挨拶に対し、いつも坊ちゃまは、笑顔で返してくださいます。

 申し遅れました。私(わたくし)は、この家に仕える、しがないメイドです。
 名前? そのようなものは、別にどうでもいいではないですか。
 私はただのメイド、それで構わないのです。
 そう、思わないと――辛くて辛くて、この身が張り裂けそうなのです。
 
 
 先日、坊ちゃまがある女性を、屋敷に連れ帰って来ました。
 彼が誰か客人を招くことは、とても珍しいことです。
 ですので、私も少々気になり、お2人のおられる部屋に、紅茶をお運びしました。
 そこで見た光景は、特にどうということも無い、至って普通の会話でした。
 
 てっきり、坊ちゃまの新しい彼女かと、思ったのですけどね。
 それだったら、始末をする必要が、ありましたから。
 
 
 はい、わざわざ私の心中を吐露する必要などないかと思いますが、私は坊ちゃまが好きです。
 いえ、好きではないですね。そんな甘いものではないです。愛しているのです。
 
 彼の笑顔が好き。彼の泣き顔が好き。彼の怒る顔が好き。彼の哀しむ顔が好き。
 彼の声が好き。彼の髪が好き。彼の顔立ちが好き。彼の瞳が好き。
 彼の信条が好き。彼の趣味が好き。彼の、彼の、彼の――
 おっと、申し訳ございません。つい取り乱してしまいました。
 ともかく、私は坊ちゃまを、心から愛しているのです。
 
 もちろん、坊ちゃまにはこの私の胸の内は、お伝えしておりません。
 そのようなこと、一介のメイド風情である私には、許されるはずがないのです。
 ですから、坊ちゃまをずっと見ているだけで、私は幸せなのです。
 
  
 そう言い聞かせてきた私の世界にも、当然のように終焉が訪れます。
 そうです、そのような事態を招いたのは、他ならぬ坊ちゃまでした。
 ある日、坊ちゃまは私の前に来て、嬉しそうにこう仰いました。
 
「あのさ……、今度ボク、あの女性と結婚する、つもりなんだ……」
 
331良家のメイドさん 前編(2/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 07:39:27 ID:np2bNnLo

 私はメイド。良家に仕えるだけの、ただの一介のメイドです。
 わかっていました。私の恋は報われることなどないと。
 私は坊ちゃまの幸せを、指を咥えて眺めていることしか、できないと。 
 
 
 私の生い立ちは、それほど幸せなものではありませんでした。
 物心ついた時、父親は既にいませんでした。
 母に聞いたところ、最初から母子家庭であったようです。
 父親は、名前はわかっているのですが、生粋の遊び人だったそうです。
 まあ、そんな駄男が家庭に居なかっただけ、よかったのかも知れません。

 母は当時、ある名家に使える、給仕(現在はメイド)の1人でした。
 朝は早くから働いて、夜遅く帰って来るほど、忙しい身だったそうです。
 そんな生活だったので、私は幾分、放任主義で育てられました。
 母はお屋敷に住み込みで働いていたので、住居には困りませんでした。
 母が私の面倒を見られない時には、職場の方に子守りをしていただきました。
 だから、それほど極端に寂しいと思ったことは、1度もありませんでした。
 
 そんな折、私はこの家の大奥様に、坊ちゃまを紹介されました。
 ちょうど年の頃も近く、遊び相手にはいいのでは、という判断だったそうです。
「こんにちは、ワタクシはここのキュージのムスメ、メイです。
 これから、よろしくおねがいしますね、坊ちゃま?」
「うん、はじめましてメイちゃん。ボクは土方(ただまさ)だよ。
 これからも、ボクと仲良くしてね♪」
 
 思えば、あの時の笑顔に、私は一撃で恋に落ちたのです。
 
 それからは、本当に坊ちゃまによくしていただきました。
 坊ちゃまは私より1歳年上でしたが、ともに同じ学校に通わせていただきました。
 学校では先輩後輩の関係、屋敷では主従の関係。
 常に共にいることができ、まるで恋人のようだと、錯覚さえしてしまいました。
 
 本当に、自分勝手な考えでした。本当に、心地よい夢の中でした。
 
332良家のメイドさん 前編(3/3) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 07:44:00 ID:np2bNnLo
 
 ここまでで、私の思い出語りはおしまいです。
 舞台は現在、真夜中の坊ちゃまの寝室前に移ります。
 
 
 坊ちゃまの結婚式は、名家のプライド故か、かなり盛大に行われました。
 当主である大奥様のご友人、お仕事仲間、親類一同。
 新婦である坊ちゃまの親友一同、職場の同僚一同。
 そして、相手方――新婦様のご家族及びご親戚一同。
 色々思惑が渦巻いているようでしたが、とにかく派手でした。
 
 坊ちゃまは――とても幸せそうな笑顔を見せていました。
 周りの坊ちゃまの取り巻きたちも、とても楽しそうに、冷やかされていました。
 しかし――私は少々、気になってしまったのです。
 坊ちゃまの結婚相手――若奥様の顔が、ちっとも嬉しそうではないのです。
 
 いいえ、それは大層美しい、笑顔ではあるのです。
 しかし、それが作り物臭い――とでもいうのでしょうか。
 とにかく、私はそこに、違和感を感じてしまいました。
 
 
 そのため、私はこの時間、この場所に居るのです。
 もしかしたら、坊ちゃまは幸せになれないのではないのか?
 あの若奥様の作り物めいた笑顔は、坊ちゃまを害するものではないのか?
 
 そのような疑念がどうしても晴れず、僭越ながら、毎夜ここに訪れていました。
 そして今宵は、ちょうど寝室の扉の鍵が、開いたままでした。
 だから、私は真実を知るため、お部屋の中を覗き見ることにしました。
 

 そこにある光景は、私の予想しているものとは、全く違っていました。
 たしかに坊ちゃまも、若奥様も、ベッドの上で一糸纏わぬ姿をしていました。
 しかし、坊ちゃまは仰向けで、虚ろな瞳のまま、微動だにしていません。
 そして、坊ちゃまの奥様は、何故か坊ちゃまに、懐中時計を向けています。
 しかも、坊ちゃまの裸体(やはりステキです)に、一切触れていないのです。
 夜毎聞こえていた奥様の嬌声は、坊ちゃまの枕元にある、録音機からの音声です。
 
 どう見ても、愛のある性行為の光景などでは、ないのです――
 若奥様は坊ちゃまに、何の感情も抱いておらず、それどころか――
 
 
「きっ――貴様ああぁぁぁぁっ!?
 坊ちゃまに、何をしているんだあああぁぁぁぁ!?」
 
――私は、恥も外聞も全てかなぐり捨てて、若奥様――この女に飛び掛かりました。
 
333 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 07:45:51 ID:np2bNnLo
以上、投下終了。
続きはまた、後ほど投下します。
334名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 09:43:28 ID:cg20TKvw
ほほう、これは気になる。だから全部終わるまでGJなんて言わないんだからね!
つーか3レス程度で分けるんならまとめて投下してほしいな。長くても10〜15レスなら範囲内だし
335名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 12:33:49 ID:88czllH8
>>333
なんで懐中時計なのか気になる
続きに期待してる
336名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 12:38:42 ID:BWMe1mzy
>>335
ふつうに催眠術をかけてるんじゃないの
337 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 22:58:07 ID:np2bNnLo
こないだの続きを投下。坊ちゃま視点。
中編なのに2話分あるという、ジレンマ。

次レスより投下。4レス借ります。
338良家のメイドさん 中編A-side(1/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:09:04 ID:np2bNnLo
 
「おはよう、あなた」
 愛しい妻の声で、ボクは目を覚ました。
「ああ、おはよう――」
 そこでふと気づいた。今日はメイの挨拶がない?
 
 ええと、知らない人にご紹介。ボクはある名家の長男坊です。
 名前は――漢字だと読みにくいけれど、土方と書いて「ただのり」と読みます。
 一応名家の長男坊として、家の跡継ぎのため、系列会社の一社員として、修行中です。
 そして、つい先日ですが、美しい嫁さんを貰いました。
 
 
「玲(れい)、今日はキミが、ボクを起こしてくれたのかい?
 いつもなら冥(メイ)が、ボクを起こしに来るはずなんだけど……」
 そう、昔からの顔なじみであるメイド、冥が何故か今日は来なかった。
 本来なら、ボクの妻よりも早く来て、ボクを起こしてくれるはずなんだけどなぁ?
 
「――あなた。言いにくいけれど、心して聞いてくださいね。
 彼女は――冥さんは、つい1時間前に、屋敷を離れたそうなのです」
「ええっ!? なんで、そんなことになったんだい?」
 本当に驚いた。ボクと冥は、幼い頃から、ずっと一緒だった。
 それこそ、15年近く懇意にしていた、仲の良いメイドだった。
 彼女はこの屋敷で働く前から、母親とともにこの屋敷で暮らしてきた。
 だから、彼女も死ぬまで――彼女の母親と同じように、この家に仕えると思っていたのだ。
 
 
「それが、理由はいっさい語ってもらえなかったのですよ。
 今朝になって突然、私の前に来て、『暇をください』と言ってきたの。
 もちろん私も、いろいろ説得はしたのだけれど、無駄でしたわ。
 彼女の意思は固くて、どうしようも無かったので、仕方なく――」
「そうなのか――」
  
 正直なところ、妻の言葉が信じられなかった。
 なんというか、冥はボクを信頼して、いつも傍に居てくれた。
 それこそ、幼馴染――むしろ妹のような存在だった。
 だから、彼女が傍にいないということが、とても悲しくて――
 
「あなた――瞳から、涙が溢れていますよ。
 それも、あまりに多くて、寝巻きを汚してしまうくらいに」
 妻にそう言われて、ようやく気がついた。
 ボクは今、とても悲しくて、泣いているという事に。
 
 
「あなた……、落ち着いたら、食事にしましょう。
 それまで、私は自分の書斎で、お待ちしてますからね?」
 そう言って部屋から出ようとする妻の手を、ボクは掴んで止めた。
「待ってくれ。玲、すまないけど、もう少しだけ、傍にいてくれないか?」
 なぜか、心が空虚になって、とても寂しくなった気がした。
 だからだろうか。妻に傍にいて欲しいと、心の底から思った。
 
339良家のメイドさん 中編A-side(2/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:15:02 ID:np2bNnLo
 
 だいたい2時間程度経ったのだろうか。
 ボクはどうやら、妻の膝枕の上で、また眠っていたらしい。
「おはよう、あなた。もう調子はよくなったかしら?」
 どうやら、妻にまでいらぬ心配をかけてしまったようだ。
 
「手厳しいことを言いますけれど、彼女がいなくなったのは、仕方のないことです。
 彼女にも彼女なりの事情が、おそらくあったはずなんですから。
 もしそれが、あなたにも相談できない事情なら、もうどうしようもありません。
 だから、私たちが彼女に対してできるのは、彼女のこれからを祈ることくらいです」

 妻なりの、不器用な物言いと慰め方。
 ボクは彼女との見合いの席で、この言動に一目惚れしてしまった。
 基本的にボクに対して、なにか上のものを見るような態度をとる人たちの中で――
 彼女の誰に対しても変わらない、その態度に惚れてしまったのだ。
 
 
「まったく、しょうのない人ですね。でも仕方ありませんよね。
 私にも弟がいますが、あの子がどこか手の届かないところに行くのは、とても怖いですもの。
 あなたにとって彼女は、妹のような存在だったんでしょうから、ね……」
「ああ……、彼女は昔から、ボクをずっと慕ってくれていたからね。
 もしかしたら、ボクに恋をしていて、今回の結婚の件で、傷つけたのかもしれない。
 そう思うと、とても怖くて――ボクは彼女に謝らないといけないのかもしれない――」
 
「でも、彼女は自分で、身を引く覚悟をしたのでしょう?
 でしたら、あなたが今彼女を追いかけることは、彼女の決意を穢すだけですよ。
 だから、彼女の決意の分も、私たちが幸せになればいいんです」
「幸せに――か……。なれるのかな、ボクとキミとで」
「なれますよ。なんたってあなたは、とてもステキな人ですもの。
 私は、今でも幸せなんですから。わかりましたか、あなた?」
 
340良家のメイドさん 中編A-side(3/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:22:08 ID:np2bNnLo
 
 恥ずかしい話だけれど、このすぐ後、ボクたちはまた愛し合った。
 その日は仕事も休みだったので、つい調子に乗ってしまった。
 
 不思議なことに、その時の行為は、これまでで一番の快感だった。
 いつもは夢心地の中のような、よくわからない快感だったのだ。
 しかし今日は違う。これまでと全く違う、とても肉感的(リアル)な快感だった。
 
「ああ、愛していますわ、あなた――いえ、土方さん……」
「ああ、ボクもだよ、ボクの愛しい、玲……」
 
 
 
 そして、あの日から5ヶ月が過ぎた。
 ボクと妻は、相変わらず仲睦まじく、夫婦関係を続けている。
 そしてつい先日、妻の玲から、妊娠した旨を告げられた。
 どうやら、3ヶ月目らしい。母子共に健康だそうだ。
 
 もちろん、ボクは諸手を挙げて喜んだ。
 あの日から、ずっと子作りのための性行為――避妊なしの行為を続けていた。
 そろそろ母からも「孫の顔が見たい」と催促されそうだったので、丁度よかった。
 
 
 どうやら吉報というものは、連続して届くのが常らしい。
 妻の妊娠報告から数日後、冥らしき人物の消息が掴めたそうなのだ。
 いや、掴めたというか――どうやら妻の実家に、住み込みで働いているらしかった。
 依頼した調査によると、妻が裏でこっそりと、自分の実家に彼女を派遣したらしい。
 おそらく、妻の心意気だったのだろうと、ボクは思うことにした。
 
341良家のメイドさん 中編A-side(4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:26:51 ID:np2bNnLo
 
 違和感を感じ始めたのは、いつごろからだったのだろうか。
 
「いいえ、実家に妊娠を報告するつもりは、ありませんわ」
「いや、しかしそれでは、キミの家族に申し訳ないと思うのだが――」
 そうだ。妻が頑なに、実家との連絡を拒み出した時だった。

 妻が嫁いできてから数ヶ月、彼女は実家に向けての連絡を一切絶っていた。
 理由を聞いても、彼女らしくもなく、ひたすらかわされるばかり。
 そこで、業を煮やしたボクが、勝手に彼女の実家に連絡しようとした時。
 
 
「もう、駄目じゃないですか、そんな失礼なことをしては。
 私の実家にいるあのコに、迷惑が掛かってしまうでしょう?」
 妻が、後ろからボクの持っていた電話機を破壊し、ボクを壁に押し付けた。
 妻の細腕から恐ろしい力が発揮され、どうもがいても、逃れられそうにない。
 
「いや、だからボクは――キミの母親か弟くんに――れんら、くしよう……と……」
「その必要はないと、おっしゃっているんです」
「なぜだ、彼女には――冥には、なるべく迷惑をかけないように――するつもりで」
 
 
 ボクのその言葉に反応したのか、妻は突然、豹変したように笑い出した。
「うふふ、うふうふ、うふふふふふふ!
 まったく、まだ気づかれないのですか――土方坊ちゃま?」
 
 初めにボクは、自分の耳を疑った。
 突然目の前にいた、妻であるはずの人物から、冥の声音で、懐かしい呼び名が聞こえたから。
「!? な、なんで――キミは……、冥、なのか……!?」
 
 驚愕するボクに、彼女はただ淡々と、恍惚した表情で言葉を紡いできた。
「ええ、そうですよ。あの日から、私は若奥様と入れ替わっていたのです。
 ですから、坊ちゃまはあの日から、私と交わっていたのです。
 どうやって入れ替わったかは、これからゆっくりと、閨の中で語り合いましょう?」

 すべては、あの瞬間から始まっていた? いや、しかし―だとしたら――!?
「待ってくれ、冥!? 妻は――玲はどうなったんだ!?
 ボクの聞いた、玲の実家にいる冥らしき人物は誰なんだ!? 答えて――」
 
「さあ、そのような些細なことは、どうでもいいではないですか?
 ふふふっ、さあ土方さま。また今宵も、2人きりで愛し合いましょう?」
 
――そしてボクは、もう何度目かもわからない、彼女との行為に流されていった。
 
342 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:31:04 ID:np2bNnLo
以上、A-side投下終了。
長引くのもアレなので、B-sideも連続で投下します。
もう一つのクライマックス。ある家庭の長男坊視点。

次レスより投下。4レス借ります。
343良家のメイドさん 中編B-side (1/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:38:30 ID:np2bNnLo
 
「おはようございます、弟さん」
 知らない女性の声で、俺は目を覚ました。
「ああ、おはよう……!?」
 そこでふと気づいた。メイド服を着たアンタは、いったい誰ですか?
 
 あ、知らない人は始めまして。俺はとある中流家庭の長男坊っス。
 名前は、晴(はれ)。けれど、皆には何故か音読みで「せい」と呼ばれている。
 年の頃18歳。現在実家を離れて、大学生活を満喫中だ。
 そういや、美人でブラコンの姉貴がいたけど、こないだ金持ちんトコに嫁いで行ったっけ。
 
 
「ええっと……、その、アンタはいったい、どなたですか?
 この部屋――もとい俺の実家にも、アンタみたいなメイドを雇う金なんざ、ないんだが……」
 これは事実だ。ウチには姉貴の嫁ぎ先みたいに、給仕さんを雇う余裕など、ひとつも無い。
 むしろ、1ヶ月前までは、今は亡き親父の借金で、困っていたくらいだ。
 
「ええ、存じ上げておりますわ。ですが、別に心配はいりません。
 私は、あなたがたのために、ここに派遣されてきた者ですから」
「ふえ!? そうだったのか? そんな連絡はもらってないけど……」
 まさか、姉貴がこっそり、メイドさん派遣を手配したのか?
 いやいや、多分それはない。なぜなら俺の姉貴はブラコンだからだ。
 姉貴は結婚するまで、異常なほどのブラコンで、常に俺にべったりしていた。
 だから、俺は今まで恋人もいなければ、姉貴以外の女の子と、手をつないだことも無い。

 
「あの、お恥ずかしいことに、私が若奥様――あなたのお姉さまに粗相を働いてしまいまして。
 今朝になって、急に若奥様の勅命で、こちらに来るように指示されたのです。
 もちろん、アナタのご母堂には、連絡を通してますので、ご安心ください。
 最低でも、こちらには1年近くは、お邪魔する予定になっておりますので――」
「そうっスか…………」
  
 正直なところ、姉貴も心が狭くねぇか、と思わないでもない。
 なんというか、それってほとんど、左遷じゃないかよ。
 それこそ、1年間も追放されるなんて、屋敷所属のメイドさんである彼女には屈辱だろう。
 だから、なんとかして姉貴に口利きして、彼女を屋敷に返してやれれば――
 
「あなたは、優しいひとなんですね。
 こうしている今も必死で、お姉さまに私のことを、許してもらおうと考えています」
 突然目の前の女性に指摘されて、すこしビックリした。
 どうやら、俺は考えていたことを、うっかり口にしていたらしい。
 
 
「それほど心配していただかなくとも、構いません。
 私だって1度でいいから、屋敷の外で働いてみたかったのですから」
 そう言って俺の手を、両手で優しく包み込んでくれるメイドさん。
「そうっスか……。じゃあメイドさん、今後ともヨロシクお願いします」
 初めて姉貴以外の女性に、正面から手を握ってもらえた。
 なぜだか懐かしい気分になりながら、俺は今日からの生活を考えてみた。
 
344良家のメイドさん 中編B-side (2/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:43:07 ID:np2bNnLo
 
 だいたい2時間程度経ったのだろうか。
 俺はメイ(呼び捨てで構わないと本人談)と、色々な話をした。
「晴(はれ)さま。あなたになら、私の本心を、話してもいいのかもしれませんね」
 突然そんなことを言われて驚いたが、俺は真剣に、彼女の言葉に向き合った。
 
「実は今回の派遣は、晴さまのお姉さまに、私のほうから頼み込んだのです。
 私には、ほんのささいなことですが、屋敷に居たくない理由がありました。
 なので、今回の粗相の件を機会に、ここまで逃げ出してきたのです。
 私は――あのお2人に、私の居ないところで、幸せになって欲しいのです――」

 メイらしい、敬語で取り繕った、不器用な心情の告白。
 俺はこのたった数時間の会話の中で、完全にメイに惚れてしまっていた。
 基本的に、なにかと姉貴のことを通して俺を評価する連中の多い中で――
 俺のことだけを真っ直ぐ見てくれる、その真摯さに惚れてしまったのだ。
 
 
「晴さま、私はショックを受けて逃げ出した、卑怯で臆病なメイドなのです。
 私は坊ちゃま――もう手の届かない彼の許に居るのが、とても辛かったのです。
 私にとって、坊ちゃまは雇い主にして、片思いの相手だったんですから……」
「ああ……、確かに俺も、姉貴が嫁いだってのには、結構ショックを受けたな。
 今までずっと一緒だったから、なんかいなくなって、寂しいしなぁ。
 ホントは俺、姉貴に嫁になんて、行ってほしくなかったのかもしれない――」
 
「でも、私は自分で、あのお2人から身を引く覚悟を決めました。
 そして、私が自分から本家に戻ることは、おそらくありません。
 あのお2人が幸せになってくだされば、それが私にとっても、最良なのです」
「幸せに――か……。なれるのかな、俺の姉貴と、姉貴の選んだ『坊ちゃま』は――」
「なれますよ。なんたってあのお2人は、とても魅力的な人たちですから。
 だから私は、これから自分の新しい幸せを探します。協力してくださいね、晴さま?」
 
345良家のメイドさん 中編B-side (4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:46:28 ID:np2bNnLo
 
 そんな俺たちが愛し合う関係になるのに、それほど時間は掛からなかった。
 最初にセックスをした日は、大学も休みだったので、つい調子に乗ってしまった。

 不思議なことに、その時のセックスは、なにか懐かしい感じがした。
 お互い初めてだというのに、夢の中で何度も経験していたような気がした。
 夢の内容がさらに鮮明になって、より鋭敏になったような、とても最高な時間だった。
 
「ああ、愛しています、晴さま――いいえ、晴(せい)くん……」
「ああ、俺もだ。大好きだよ、メイ……」
 
 
 
 そして、あの日から5ヶ月が過ぎた。
 俺とメイは、相変わらず仲睦まじく、恋人関係を続けている。
 そしてつい先日、メイから、妊娠した旨を告げられた。
 どうやら、3ヶ月目らしい。母子共に健康だそうだ。
 
 俺の身分的にはちょっと厳しいかもしれないが、とても嬉しかった。
 最初の日から、何度か避妊なしのセックスを重ねていたから、そりゃ妊娠するよなぁ。
 おふくろが「孫の顔は見れるのかねぇ〜」と常にぼやいてたので、ちょっと安堵してるけど。
 
 
 俺たちは、この件をおふくろに報告するため、長期休暇を利用して帰省した。
 懐かしい町並みを、恋人であるメイを連れて歩くのは、なんだか誇らしかった。
 実家に帰ると、おふくろもそこそこビックリしていたけど、とても喜んでくれた。
 まあ、姉貴が嫁ぐ前の状態がアレだったから、おふくろもすごく心配していたしな。
 まっとうに家庭を持つことができそうな俺に、安心してくれたんだろう。
 
346良家のメイドさん 中編B-side (4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:50:21 ID:np2bNnLo
 
 違和感を感じ始めたのは、いつごろからだったのか。
 
「いいえ、本家に妊娠を報告するつもりは、いっさいありません」
「あ〜、でもそれだと、メイの雇い主たちに申し訳ないんだけど――」
 そうだ。メイが頑なに、本家との連絡を拒み出した時だった。

 メイが派遣されてきてから数ヶ月、彼女は本家に向けての連絡を一切絶っていた。
 理由を聞いても、彼女らしい敬語で、ひたすらごまかされるばかり。
 そこで、納得のいかない俺が、勝手に彼女の雇い主たちに連絡しようとした時。
 
 
「まったく、駄目じゃないですか、そんな無礼なことをしては。
 私を派遣してくださった若奥様に、ご迷惑が掛かってしまいますよ?」
 メイが言うと同時に、俺の両腕が急に動かなくなり、持っていた電話機を落としてしまった。
 何かよくわからないが、かなり強力に固められているようで、もがくことさえ不可能だった。
 
「いや、だから俺は――姉貴に直接――れんら、くしよう……と……」
「ですから、その必要はないと、申し上げているのです」
「なんでさ!? 姉貴には、なるべく迷惑かけないように――するから」
 
 
 俺のその言葉に反応したのか、メイは突然、豹変したように笑い出した。
「うふふ、うふふふ、あはははははは!
 まったく、まだ気づかないのかなぁ――せ・い・きゅん?」
 
 最初に俺は、自分の耳を疑った。
 突然目の前にいた、メイであるはずの人物から、姉貴の声音で、あの呼び名が聞こえたから。
「!? な、なんで――アンタ……、姉貴、なのか……!?」
 
 驚愕する俺に、彼女は喜々として、満面の笑みで言葉を紡いできた。
「うん、そうだよ。最初っから、私はあの『メイ』ってメイドと、入れ替わっていたの。
 だから、せいきゅんはずっと、私と交わっていたのよ。びっくりしたでしょ?
 入れ替わった方法は――知ってるよね? 私が得意だった催眠術――『操心法』だよ♪」
 
 すべては、あの瞬間から始まっていた? いや、しかし――だとしたら――!?
「待ってくれ、姉貴!? それじゃあ今、本家――嫁ぎ先はどうなってるんだ!?
 本物の『メイ』って名前のメイドは、どうなったんだ!? 答えろ――」
 
「さあ、そんなちっちゃいことは、どうでもいいじゃないの?
 ふふふっ、さあせいきゅん。また今夜も、2人きりで愛し合いましょう?」
 
――そして俺は、もう何度目かもわからない、姉貴とのセックスに流されていった。
 
347 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/23(木) 23:55:54 ID:np2bNnLo
以上、投下終了。
続きはまた、明日の朝くらいになります。
 
ナンバリングミス。>>345は(3/4)でした。
他にも誤植があるかも知れません。
348名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 03:05:02 ID:z0iLEArw
うほほほほほ
乙!
349名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 10:10:16 ID:1C2F9keZ
ヤッたかと思ったら協力してたwww
350名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 12:34:16 ID:HevMUwTG
姉スキーだけど冥の方に惹かれるなあ
351 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/24(金) 21:06:30 ID:ykeltbix
朝に投稿するなんて、偉そうなことを言ってごめんなさい。
ようやくできた、後編を投下。若奥様こと姉貴視点。

次レスより投下。4レス借ります。
352良家のメイドさん 後編 (1/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/24(金) 21:08:55 ID:ykeltbix
 
「夜分遅くにこんばんは。ごきげんはいかが?」
 私は、電話の向こうの彼女に、問いかける。
「まあまあですね。そちらこそ、お変わりないようで、なによりです」
 彼女も、電話越しの私に対して、答えを返してくれた。
 
 ええと……、面倒だけど、やっぱり私も、自己紹介をするべきなのよね?
 私は玲(れい)。とある名家に嫁ぐことになった、中流家庭の小娘です。
 正直なところ、今回の結婚には私、断固として反対していたんだけどね。
 見事に母さんに嵌められて、超盛大な挙式まで挙げちゃったわけで……。
 
 
「そちらの首尾はどう? ちゃんと愛しの彼に、真実を伝えられたの?」
「そちらこそ、溺愛する弟さんに、自分の気持ちを伝えられましたか?」
 電話越しに、似たような質問を返す、私と彼女。
 仲が悪いわけではない。むしろ、こんなやりとりができるということは――
 
「よろしい。お互い成功したみたいね。お疲れ様です、冥さん」
「いえいえ。つつがなく成功しました。お疲れ様です、玲さん」
 そう、私たちはいろいろあって、互いの恋のキューピットをやることになった。
 なんとも馬鹿げているが、いろいろ利害関係が一致しての結果だ。
 
 
 私は、見合い結婚の相手である良家の坊ちゃまではなく、実の弟を愛していた。
 彼女は、私の結婚相手である「坊ちゃま」に、15年以上も想いを寄せていた。
 ちなみにその間、私の弟は全く関係ないところで、のうのうと学生をしていた。
 図で表すなら、“冥→土方→玲→晴(せい)”といった感じの片思い。
 ……考えてみると、コレはあまりにも、不毛な一方通行の愛憎劇だわ……。
 
 そんなわけで、私と彼女は、利害の一致により協力することにした。
 正確にいうと、私は彼女に、彼女は私に成りすますことにしたのだ。
 
 こんな無茶な作戦を始めたのは、5ヶ月前の夜。
 私のヒミツを彼女に見られた、あの時まで遡る。
 
353良家のメイドさん 後編 (2/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/24(金) 21:11:05 ID:ykeltbix
 
 
「きっ――貴様ああぁぁぁぁっ!?
 坊ちゃまに、何をしているんだあああぁぁぁぁ!?」
 
 激昂と絶叫とともに、襲い掛かってきたメイド姿の女。
 私は慌てず、もう片方の手に隠していた、もう1つの懐中時計を向ける。
 確かこの技術は、興奮している相手には、通用しにくいはずだけど――

「…………っ!? な、なんですかコレは!?」
 よし、なんとか固定に成功したようだ。
 正直ギリギリだった。私の首に、彼女の爪が食い込む直前だったのだ。
「ふう……、さすがに死ぬかと思ったわ〜。
 ところであなたは確か、彼と一番仲のいいメイドさんだったかしら?」
 
 そうだ。彼女の顔にはとっても、見覚えがある。
 そこで寝ている私の夫(らしき人)に、いつも付き従っているメイドだ。
 
「答え……てく……ださい、若奥様。あなたは何を……なさっているのですか……?
 あなたは……自分の夫――私の坊ちゃまに、危害を加える……おつもりですか?」
 身体を意識レベル――正確には脳から神経のレベルで封じているんだけど――
 そんなことには一切興味がないように、私を睨みつけてくる彼女。

 この殺意と攻撃性は、ただの雇い主と使用人の関係で出るものじゃない。
 強いていうなら、弟に寄り付く害虫を、薙ぎ払う時の私みたいな――
 
 
「ああ、そういうことか――そういうことね。
 あなたは、いまそこで寝ている彼に、恋しているってワケなのね」
 私の言葉に、明らかに同様をみせる、メイド姿の女。
 もう何も言わなくても、その反応だけで充分だわ。
 
「まったく、この男も罪なヤツね。こんな美人を惚れさせといて、私を選ぶとは――」
「当然です。私はわざと、坊ちゃまにこの気持ちを知られないようにしていたんです」
 ううむ……。本当に、使用人の鑑のような娘だわ、この人。
 でもね、そんな感情なんて、いつまでも隠せるはずがないでしょうに――
 ああそうだ、いいこと考えついちゃった。
 
「ねえ。そんなあなたに、協力してほしいことがあるの。
 断るかどうかは、私の話を聞いてから判断してくれない?」
 
354良家のメイドさん 後編 (3/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/24(金) 21:16:11 ID:ykeltbix
 
「――わかったわ、冥さん。
 もうすぐせいきゅ――晴くんが目を覚ますみたいだから、あとは手筈通りに」
「了解しました、玲さん。
 こちらも、もうすぐ土方さまが起床されそうなので、ご指示の通りにします」
「ええ、それではあなたに、永久の幸福がありますように」
「はい、あなたにも、永き恋の祝福があることを祈ります」  
 こうして私と彼女は、互いを繋ぐ携帯電話の通話を終結させた。
 
 
 私のとっておきの技術――『操心法(そうしんほう)』。
 意識から人間を操作する技術で、催眠術や強制暗示を実戦レベルに高めた技術。
 ウチのろくでなしの父さんが、失踪する前に教えてくれた、唯一の忘れ形見。
 そういえば、晴くんには父さんのこと、「亡くなった」って伝えたっけ。
 
 もっとも、私のこれに関する習得率はいまいちで、そんなに自由には行使できない。
 まず、懐中時計みたいな、一定のリズムを刻む音や光景を与えないと、操作できない。
 そして、私にはせいぜい、相手の肉体運動を操作する程度のことしかできない。
 あとは、相手にこちらの意図する夢を見せて、それを現実と誤認識させるくらいか。

 最初から相手の記憶や意思を操作できてたら、結婚式自体を破談させられたんだけどなぁ。
 
 
 愚痴が長くなりそうなので、この辺で。
 とにかく、私はこの技術を使って、寝室での「行為」を一切回避させてもらっていた。
 部屋の外には、自分が晴くんを思って自慰した時の「音声」を響かせてごまかした。
 
 相手に夢の中とはいえ「犯されている」と考えると、殺意が沸いてしまうが、仕方が無い。
 私は最初っから、晴くん以外には貞操を許す気はなかったから。
 私は晴くんが生まれた時から、ずっと晴くんを愛していたのだ。
 いまさら他のどこかの誰かに、身を許すつもりなど、毛頭ない。

 結局十数日ほどでバレたけど、最初に気づいたのが冥さんで、本当によかった。
 彼女は私と利害が一致したので、口八丁手八丁で、こちらに協力してもらえたのだ。
 特に、入れ替わりの際の変装が楽だったのが、一番のもうけものだった。
 なんせ彼女、髪を下ろして眼鏡をコンタクトに変えたら、結構私にそっくりだったもの。
 いっそ整形を覚悟していた私としては、これ以上ない偶然だった。
 
355良家のメイドさん 後編 (4/4) ◆6AvI.Mne7c :2009/04/24(金) 21:17:56 ID:ykeltbix
 
 ともかく、こうして無事に、互いの変装は完了した。
 次に口調や仕草に関してだけど、こちらもあまり問題はなかった。
 私はもともと、晴くん以外には外面モードで対応していたから、真似をするのは容易だった。
 冥さんのほうも、普段から敬語を使っていたから、私の外面モードの真似は楽だったそうだ。
 
 そんなこんなで、ほぼ完全に入れ替わった私たちは、それぞれの恋を叶えるために奔走した。
 まずは、冥さんになりすました私を、私の実家――晴くんの許へ派遣する手続きをとった。
 こうして、冥さんと「坊ちゃま」、私と晴くん、それぞれの愛し合う土台が完成した。
 さらに勢いと今後のために、妊娠しちゃうところまで、関係を深めておいた。
 
 
 ついでに冥さんにも、私の『操心法』を、1から覚えてもらった。
 いざという時に微調整ができるように、と考えたのだが、意外にも出来がよくてビックリした。
 正直なところ、計画の前倒しができるくらいに、彼女は立派な『操心法』の使い手になった。
 
 そう、実はここ4ヶ月くらいで、私たちは記憶や意思の操作ができるようになったのだ。
 人体実験も完了してあるので、実践することにまったく支障はない。
 ちなみに被検体のみなさんは、メイド姿の私目当てに集まってきた、晴くんの友達連中だ。
 
 
 とにかく、ここまで来たら、私たちの計画も最終段階だ。
 
 あの「坊ちゃま」と結婚したのが、冥という名の女性だと、屋敷内外の全員に認識させる。
 そして、私が晴くんの恋人であることを、親族や知人全員に認識させる。
 その他の関係者に疑う連中がいたら、その時は私たちが直接、記憶操作してやればいい。
 よし、まずは目の前にいる、晴くんの心を操作することから始めようか。
  
「さあせいきゅん、あなたにまた、夢をみせてあげる。
 目が覚めたときには、あなたはもう私の恋人の座から、逃げられないわ♪」
 
――これでようやく、みんな幸せになれる。これからは4人――いえ、6人とも幸せになろうね?
 
356 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/24(金) 21:19:39 ID:ykeltbix
以上、投下終了。

ようやく全部終わりました。
けれどコレ、長編としてバラして投下する必要が、なかったような……

後始末話ゆえに、だいぶ病み度が下がってしまいました。
357名無しさん@ピンキー:2009/04/24(金) 21:21:46 ID:z0iLEArw
GJ!!

利害の一致したヤンデレ怖いよ怖いよ姉きmおい(ウボァ
358名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 09:28:30 ID:r8zz7inO
>>356
ぶっちゃけどこがヤンデレなのか分からない
描写が薄い、全体の流れが悪い、短い中に無理に詰め込もうとして大ざっぱすぎる
ヤンデレとは思えないしつまらない。ヤンデレについて勉強して、もっと長い話を書けるようになってから出直すべき
起承転結の“承転”を細かく長く書いたほうが良い。どんな話でもだが、ヤンデレは過程が大事だ
>>356が次に投下する作品が面白い作品であることを期待している。乙
359名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 13:05:46 ID:0CbMiHVb
GJ!!!
360名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 15:30:20 ID:PhmLtEL1
また評論家気取りのアホが湧いたか
361名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 15:58:04 ID:1XEjQdEH
言い方は悪いが評論化気取りのアホとは明らかに違うだろ。どうみても正論だ
スレが殺伐としてたら廃れるっていうのも分かるが、臭いのを何も言わないで放置してたってまともな書き手は去っていくだろ

こんなこと書くとまたエスパー(笑)に自演認定されるんだろうがな
362名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 16:01:39 ID:PhmLtEL1
いやアホだ
〜について勉強しろだの出直せだのは、正論じゃなくてただの厨二。
363 ◆6AvI.Mne7c :2009/04/25(土) 16:32:42 ID:xTdlVArJ
目立ちすぎた誤字の訂正をひとつだけ。
>>353 30行目
×同様 → ○動揺


>>358
投下したネタに対して、的確な指摘をもらったのは初めてです。
正直なところ、嬉しかったりします。
 
情景描写に関する文章能力に関しては、現在修行中の身なので、置いておくとして……
構成に関しては、最初に結末ありきで書くのが、ダメになる原因だと思っています。
オチを書くために文章を作る節があるので、過程が散漫になるというか。
“承転”の時点で、ヤンデレの病む課程がほぼ終わっているのが、問題なんですよ、いつも。
 
今後は一括で投下できる短編でゆっくりと、何作か書いてみようと思います。
というより、1対1の話を普通に書いたほうがよかったと、今になって思います。

スレの流れが悪くなる前に、また引っ込みます。
364名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 16:57:04 ID:UUGhZBn6
俺らはいつでも>>363の帰りを待ってるからな!!
365名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 18:53:58 ID:uYld/rPR
男に近づいた女の髪の毛を全部切って、ハゲにしたヤンデレ。
そのことを男に問い詰められた

男「なんでそんなことをしたんだ!」
ヤンデレ「あなたを釣ろうとしたから、びくにしてあげたの」
366名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 23:02:23 ID:RzQ9eNZd
何となくネタ振り。絶体絶命都市と言うゲームを買った。

助けたヒロインがもしヤンデレ(依存型)化したら…
・主人公が離れようとしただけで半狂乱
・ヘリに乗せようとした時に「捨てないで」を連呼する。
・人をおぶって脱出の際に後ろの人に殺意を浴びせる。  
367名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 00:01:07 ID:GYDEQY8s
まぁ、さすがに人がせっかく書いてくれたものに
つまらない、出直してこいはちょっと・・・・・
368名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 00:02:01 ID:GYDEQY8s
sage忘れた・・・
369名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 00:36:48 ID:guM7tZHm
でもまぁヤンデレの小説ですから……
370名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 00:57:36 ID:WQQEfO92
上産業は内容についてだけど
そっから下はただ自分の好みじゃないって言いたいだけ

なにがそのジャンルになるのかなんて
感性の問題なんだからそれを他人に押しつけるなよ、、、
371名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 01:24:11 ID:+FzmB3YR
空気を読まずにすいません。
投下させていただきます。
372Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:24:46 ID:+FzmB3YR
 どんな病気だろうが、当人の心持次第で良くも悪くもなる。要は気合論だ。
 それが精神的な病ならば余計に顕著、というよりは、むしろ、100%それが原因だと、俺は身をもって証明した。

 浅井叶とのあの短い会話は、僅かながらも俺の心を晴らした。仲直りとは到底言えなければ、俺を都合よく利用しようとしている可能性だって十二分にあった。
 それでも、もう目も合わすことのないと思っていたかつての親友が俺の名前を呼んだのだ。この後どう転がろうとも、今はそれでいいじゃないか。たった一筋の細い光明だが、俺に悩みを忘れさせるには充分だった。
 叶の後を追って練習に復帰してからは1時間少ししかやれなかったが、本日分の部活は最高の状態のまま終わることが出来た。
まるで自分の手が伸びてボールを支えているような安定したトスを上げれたし、ネット際でのダイレクトプレーも冴えた。
急激にテンションの上昇した俺に周りは引き気味だったような気もするが、それすらも気にならないほど俺はハイになっていた。

「いい汗かいたなぁ」着替えながら思わず声を大にして言ってしまった。
 部活が終わり、 ロッカーが並んだだけの質素な部室で着替えていた。
1年生は人数の関係で使えないが、2年生に進級すると、ようやく使用許可が与えられる。せまっくるしいものの、自分用のロッカーがあるというのは予想以上に便利である。
 横で、佐藤が笑った。「はいはい、お疲れちゃん」
「ぞんざいだな、おい」
「むやみやたらにテンションたけーんだよ、憲輔」
振り向くと、既に着替えを済ませ、カバンを担いだ叶がいた。ワイシャツの裾はズボンに入れられていない。
「なんだ、もう帰るのかよ」
「逆だね。これから居残りだよ」ため息をついたかと思うと、空いた手で髪をいじり始めた。「この前の補習サボったから、タイマン勝負だよ」
「昔のお前なら考えられないな」
「俺だって変わったの。じゃあ、くるみちゃんによろしくな」
「浅井」部室を出ようとした叶を、先輩が呼び止めた。「明日、3年の卒業アルバム用の写真撮るから、ユニフォーム忘れるなよ」
 うっす、と返事をし、後ろ手に手を振って去る叶を見送って、再び着替えに専念する。
 すると、佐藤が素早く近寄り、耳打ちをしてきた。「お前ら、仲直りしたの?」
 佐藤を含め、高校の人間で俺たちの確執について詳しく知るものは、当人である俺と叶以外はいない。
それでも同じ中学出身であることは知れ渡っているし、地元の高校なので、同じ地区でバレーをしていた人間にはそれなりに名が通っている。誰が初めでもなく、自然と俺たちの不仲説は学校に浸透していったのだ。
それが部内ならなおさらである。
「仲直りっつうか、半歩近づいたっつうか」
「なんだそれ」
「前よりはマシになったってことかな」
 手際良くワイシャツのボタンを閉めて、ズボンを履くと、シャツの裾をしまった。
汗と清涼スプレーの匂いが蔓延した狭い部室から一刻も早く脱出したかったのだが、このまま外に出て、すぐに帰路に着くことにも、若干の抵抗があった。
373Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:25:14 ID:+FzmB3YR
「それよりさ、昼飯食いにいかないか?」奢るぞ、と喉まででかかったが、理性がハイテンションを押さえつける。
「やや、かたじけないでござる御大将。拙者とウメ丸はこれより城の周囲に罠がないかの確認をせよ、との命が城主殿より下っているのでござる」
「意味わかんね」
「シンプルに言えば、俺とウメは今から地域清掃の罰則よ」
「罰則?」コンプレックスに言う意味があるのか、とツッコミたかったが、呑みこんで別の疑問を口にする。
「ほら、俺この前、事情聴取うけたじゃん?あれで『怪しまれるようなマネするんじゃない』ってさ」
「ああ、そうか、ドンマイ」
「おいこら、てめぇ」佐藤の左腕が俺の首を締め上げてくる。「冗談、冗談ですから」と必死になって謝る。
 解放されると、息を整え、出来るだけ真摯な態度で向き合う。「俺のせいで迷惑かけてごめんな」
 佐藤が罰則を与えられるのは勘違いとはいえ、俺の責任であることは間違いない。
「気にすんなよ、元はと言えば、そそのかした俺が悪いんだ」
 もちろんウメもな、と笑う佐藤を見ながら、声に出さずとも、俺は最大限の感謝を彼に贈っていた。
「俺らは無理だけどさ、恭を誘えば?」
「ごめん、これから麻雀」いきなりのフリにも動じることなく、彼は素早く答えた。
 柴崎恭平(しばさき きょうへい)は1年勢の中では一番の遊び人だ。見た目が良く、センスもあるため、それなりにモテる。
ただ、何を勘違いしてるのか、彼の口癖は『麻雀できなきゃ大学で友達作れないよ?』である。
「相変わらず、3年の先輩の家でやってんのか」
「まぁ、学校から近いし」
「あの竹林の辺りだっけ?」
『あの竹林』という言葉に、身震いがした。薄暗い空間が目に、蒸し暑さが肌に、木霊する冷えきった声が耳にフラッシュバックする。
「とりあえず、ラウンジ行かね?」場所を変えて、あわよくば話題も変えてしまおうと思った。右脚のケガがひどく痛んだ、ように思えた

 部室を出て歩いている時、俺が「そういえばシバちゃんは」とうっかり言ってしまった。案の定、彼は指を指して文句を言ってくる。「恭平だ」
 彼は苗字で呼ばれることを、さらにはシバちゃんと呼ばれることを、ひどく嫌う。先輩や後輩、ましてや先生までもに名前で呼ぶことを強制しているのだ。
曰く、「『柴崎』のあとに続いていいのは『コウ』だけなんだ」らしい。意味が解らないが、迫力があるのでみんな従っている。自分の名前が『コウ』だった場合、どうするつもりだったのだろうか。
 ちなみに、大半の人は彼を『恭』と縮めて呼ぶ。俺の場合は、叶と被るのを避けるため、最後まで呼ぶことにしている。 
「恭平は浅井のことは誘わないのか?」
 俺も佐藤もウメちゃんも、どちらかと言うと地味な部類に入るため、恭平は俺たちと深く関わろうとはしてこない。それは構わないのだが、叶と絡まないのが、俺にも理解できなかった。
「あいつは」恭平は眉間にしわを寄せたかと思うと、俺を睨み付けてきた。「あいつはダメだ」
「ダメですか」
「ダメだ。悪い、良くない、Bad、Badly」呪文のように呟くと、それ以来、恭平は口を閉ざした。
 佐藤と顔を合わせて、首を傾げる。
 似たもの同士、凡人にはわからないライバル意識のようなものがあるのだろうか。
374Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:25:35 ID:+FzmB3YR

「帰ろう、お兄ちゃん」
 休日の部活だというのに、くるみは学校まで来ている。普段通り、生徒会室で篭って自習をしているそうだ。ただ、今日は髪に癖がついていたので、昼寝でもしていたのかのしれない。
 みんなにフられた俺は、素直にくるみと2人で、コンクリートから上がる熱気に苦しみながら家路を辿っている。うだるような暑さの中、響くセミの声が鬱陶しい。
 さきほど聞いたとおり、佐藤とウメちゃんは清掃だ。何度か手伝うと提案したのだが、くるみとの事を気遣われ、断られた。正直、俺は手伝ったほうが気が楽だった。
 窪塚さんとの関係が崩壊寸前なのだから、当然、くるみとの関係も不安定になってしまっている。
俺が女子と二言三言会話を交わしているだけで、くるみはあの敵意に満ちた表情を向けてくる。その度に俺は総毛立つ思いをするハメとなる。
 原因は、やはり俺だろう。事故で全てを失った彼女は傍にいた俺に依存した。一種の吊り橋効果というやつだろうか。だが、今の俺は彼女を支えきれていない。
俺では役不足なのだ。役不足ならば、適任者を捜す以外あるまい。このことを考える度に、僅かに頭が痛むが、いつも無視した。
 ふと、叶の顔が浮かぶ。
「なぁ」
「ん?」少し前を歩いていたくるみは踊るように、華麗なターンを決めた。両手を後ろに回し、少し汗ばんだ顔で微笑む。「なぁに?」
「それ、蒸れないか?」右目のアイパッチを指差して、言った。
「これ?夏用の薄いやつにしてるから大丈夫だよ」
「そんなものがあるのか」本来の機能と矛盾しているような気もしなかったが、世の中には俺の知らないことが多くあり、これもその一つだと思ったので、言わないことにした。
 事故によって傷ついた眼球は、幸い、摘出という最悪の結果にはならなかった。この状態で1番恐いのは化膿らしく、手術は主にそれに対するためのものだった。
今でも通院を定期的に行うのはその経過を見るためで、たいしたことは行われていない。医者が言うには、アイパッチを外しても問題はないらしいのだが、くるみはまだ付けている。
理由は言わないが、どこか恐怖があるのだろう。何せ、未だに医者に睡眠薬を貰っているぐらいだ。トラウマは俺が思うよりずっと深いのだろう。
 指先でアイパッチを撫ぜるくるみを見ながら、本題を切り出す。
「好きな人とかいないのか?」
「んひっ」この上なく変な声の後、硬直した。「な、なんでそんなこと」
「いや、嫌ならいいんだ、別に」
「嫌じゃないっ、よ」
 俯きながら口をもごもごさせるくるみに首を傾げながら待っていると、意を決したように俺を見上げてきた。
その表情はどこかニヤついているようにも見えるが、まるで焦点が合っていないかのように俺の視界はぼやけて、表情がよく見えない。
「あの、ね。好きな人は・・・いる、よ」
「誰だ?」
「えっと・・・昔から、そばにいる人」
昔から、と聞いて俺の胸は躍る。
「それって、地元のか?」
「違うよっ、その、こっち、東京の人だよ」
「そうか」思わず笑顔になってしまった。
375Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:26:00 ID:+FzmB3YR
 よもや、俺の知らない人ではあるまい。こっちに来ている時、くるみはいつも俺と一緒で1人で出歩くことはなかった。となると、必然的に絞られてくる。
 叶との短い会話の中で思い出された情景が、より鮮明になって、再び脳裏に浮かぶ。
 あれは確か、小学校低学年の頃だ。家から数分歩いた先の河川敷にある、芝生が敷き詰められたグラウンド。俺は、くるみと叶の三人で、いつも通り遊んでいた。
くるみは終業式よりも早く遊びに来ていて、あの日、7月7日はくるみの誕生日だった。
 当時からダメっぷりを発揮していた俺は、確かその辺にあった綺麗な小石をあげたような気がする。それに対して叶は小学生にあるまじき、小洒落たアクセサリーをプレゼントしていたと思う。
その時、叶が言ったのだ。“俺はくるみちゃんが好きだ”と。そして、首を縦に振ってくるみは答えた。
 叶が言うまで、俺は完全に忘れていた。それでもあいつは覚えていたし、くるみだってそうだった。
 昔から一緒にいて地元の人といえば、叶以外にいない。
「よかったじゃないか、くるみ」
「え?」
「お前のこと好きだぞ、あいつも」
「ほんっ・・・あいつ?」
「部活のときに話したんだよ、叶と。そしたら、あいつもお前のことが好きだってさ」
 今まで分からなかった問題の解き方が分かったような気分になる。暗闇だった視界が晴れて、光が溢れてくるようだ。
「安心しろよ、俺が間取り持つからさ」
 そう、これでくるみの問題は解決する。
 叶は、根はとてもいいやつだ。頭も手も遅い俺とは比べ物にもならないほど有能で、器量だってある。そんな叶なら、きっとくるみを支えてやれる、支えてくれる。
 くるみは俺では手に余る。俺には無理なんだ。だったら、他人に任せるしかない。好き合ってる同士ならなおさらだ。
 胸を締め付ける痛みも、脳が発する警告も、俺は無視した。
 これでいいんだ、と言い聞かせ、暑さに立ち眩みながら駅へと向かった。
376Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:26:27 ID:+FzmB3YR


 窪塚りお。彼女に対して好意的な感情を抱いたことは、一瞬たりともなかった。
 4月、入学式。私はお兄ちゃんと一緒に登校するだけで有頂天になってしまい、その余韻を抱き締めながら教室に足を踏み入れた。その途端、私の周りには人だかりが出来てしまった。
テレビで見たと言い、上っ面だけの心配やいたわりの言葉をかけてくる人たちに、恐怖が過ぎった。病院の窓から見た、記者の群れと姿が重なってしまったからだ。
 思わず、ワイシャツの上から指輪を握り締めた。お兄ちゃんが私にプレゼントしてくれた、あのチョーカーだ。
 握った掌を中心に、暖かさが全身へと広がる。大丈夫だ、とお兄ちゃんが言ってくれている気持ちになった。
 私は今までにないほどの笑顔で、知らない人と話が出来た。ありがとうございます、とお礼を言い、心配するほどじゃないですよ、と謙遜した。友人に囲まれた今を思えば、あの時の私はきっと100点満点だ。
 一段落して席につくと、ふいに近づいてくる人がいた。どのような人かという印象を抱く前に、彼女は机の横を通り過ぎた。
━━消してやる。
 そう一言残して。
 聞き間違いだと、そう自分に言い聞かせた。それから、テレビに出て目立つ私を不愉快に思う人だっているかもしれないとも考えた。チョーカーを握っても、震えは止まらなかった。
 その後、クラスの大半と友人になったことを考えれば当り前なのだが、一般的にイジメと呼べるような出来事はなかった。ラブレターというドッキリ紛いのものは何度もあったが、平和だった。
━━消してやる。
 でも、私の視界の隅にはいつも、窪塚りおがちらついていた。同時に、聞こえないはずの声が、耳を侵していくように、日に日に明瞭さを増していくようになった。

 入学式からほんの数日後、私は窪塚りおがバレー部のマネージャーになったことを知った。私はすぐに、彼女がお兄ちゃんを狙っているのではないかと疑い、部活を見学したとき、それは確信となった。
 お兄ちゃんを狙う存在は前々から予見していた。あれだけ魅力的なのだから、気を惹かれるのは仕方のないことだ。彼女を責めるつもりはない。
 だからといって、お兄ちゃんは絶対に渡さない。私にはお兄ちゃんしかいない、お兄ちゃんが必要なのだ。
 私は努力した。できるだけ彼女と引き離そうと頑張った。彼女が歩み寄ってくるのなら、お兄ちゃんを遠ざけた。接触を試みるものなら、私が壁となった。
 だけど、無理だった。私では止め切れなかった。

 恐い。彼女に限らず、誰かの手でお兄ちゃんが遠くに行ってしまうのが恐い。
 どん底に突き落とされたとき、手を差し伸べてくれたのはお兄ちゃんだ。私が落ち着くようにずっと傍にいてくれた。
私を傷つけようとする存在から守ってくれたし、私のために生活を投げ出そうともしてくれた。どんな時でも、お兄ちゃんは私のために行動してくれた。
 私自身が異常なのは理解していた。お兄ちゃんと離れると息が詰まるし、他の人と仲良くしているのを見ると歯止めが利かなくなりそうになる。
でも、仕方ないのだ。今の私にはお兄ちゃんが必要。もうお兄ちゃん無しでは生きていけない。
 掴んだこの手は絶対に離さない。離してしまえば、私はたちまちに落ちて、もう二度と這い上がれなくなる。
 いやだ、あそこに帰るのは嫌だ。血まみれのシート、砕けたガラス、激痛、トラック、血溜まり、潰れた腕、暗闇、重み。
━━消してやる
 その声と同時に、私は叩きつけられるような衝撃で、現実へと引き戻された。
377Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:26:50 ID:+FzmB3YR

「寝癖ついてるぞ」
 校門で待ち合わせたお兄ちゃんは開口一番にそう言った。指差され、慌てて頭の右側を触ると、少しだけ外側に跳ねていた。恥ずかしくなり、俯きながら急いで直した。
 どこか疲れた顔をしながら、お兄ちゃんは私を見て笑っていた。恐い夢だったが、こうして笑ってくれるなら見た甲斐もあったといえるかもしれない。
 夏本番、コンクリートが溶けてしまうんじゃないかと思うほどに、日差しは強い。お兄ちゃんの近くに寄りたいが、汗の匂いで嫌われたら嫌なので、仕方なく間を空ける。
緑道に入ると日陰が涼しく、これが駅まで続くのだからありがたい。葉が揺れる音とセミの声が調和する。
 蒸れないか?、と言ってアイパッチを指差されて、一瞬たじろいでしまった。
「夏用の薄いやつにしてるから大丈夫だよ」嘘をついた。
 確かに普通よりさらに薄めのを使っているが、アイパッチに夏用などない。そもそも、通気性を良くしてしまったら意味がない。
 医者が外してもいいと言っても、私は外さなかった。
 怪我をすれば、絆創膏を貼る。貼っている間、周りの人は大丈夫か、怪我は治ったかと心配してくれる。
だけど、外してしまえば、例え傷が癒えきっていなくても、よかったねと言われ、それで終わってしまう。
 それじゃあダメなのだ。お兄ちゃんにはいつまでも私を見てもらわなければ、心配してもらわなければいけない。
騙すのは心苦しいが、彼女が言っていた“『事故に遭った可哀相な子』ていうレッテルがなきゃ見てももらえない”という言葉は本当だ。本来なら、私など、お兄ちゃんの傍にいる価値はない。
「好きな人とかいないのか?」
「んひっ」シリアスになっていた所への不意打ちに、この上なく情けない声が出てしまった。「な、なんでそんなこと」
「いや、嫌ならいいんだ、別に」
「嫌じゃないっ、よ」
 勢いで返事をしてしまったが、これはもしかして、遠まわしな告白と言うものだろうか。こんなシチュエーション、本かドラマで見たような気がする。
好きな人を訊いて、訊かれた方が好意をほのめかし、実は俺も・・・というやつだ。
 顔が熱い。きっと、今の私はすごく気の抜けた顔をしているに違いない。お兄ちゃんは私から目を逸らしたのは幸いだった。
「あの、ね。好きな人は・・・いる、よ」
「誰だ?」
「えっと」チョーカーを握り締める。「・・・昔から、そばにいる人」
 俯きながらお兄ちゃんを見やると、その顔は嬉しそうだった。これはもしかしなくても、と期待を膨らます。
「それって、地元のか?」
「違うよっ、その、こっち、東京の人だよ」
「そうか」
 笑顔で頷くお兄ちゃんを見て、私の口元は緩んでしまった。
 いきなりすぎる気もするが、これこそが私の待ちわびた展開。お兄ちゃんはずっと、私を妹としか認識していないと思っていたけど、気持ちは同じだったのだ。
 ああ、どうしよう。胸の高鳴りが止まらない。まずは予定帳とカレンダー、携帯のスケジュール帳にも記念日として書こう。他が見えなくなるくらい、たくさんのハートマークを書こう。
家に帰ったら記念日の定番、ケーキを焼こうかな。きっとお兄ちゃんは首をかしげるけど、私はそれを見て笑ってあげよう。そういえば、今日は伯父さんは帰ってこないと言っていた。
伯母さんもいつもより遅いと言っていた。お姉ちゃんが帰ってくるのは具体的にはわからないが、多分もう少し先になるんじゃないかな。
・・・2人きり。最後までとはいかなくても、一緒にお風呂に入るくらいはお兄ちゃんも許してくれるかな。
378Tomorrow Never Comes10話「Lemon Head」 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:27:27 ID:+FzmB3YR
「よかったじゃないか、くるみ」
 邪な妄想を展開していたところ、急に言われた。いよいよ、いよいよだと、身構える。
「お前のこと好きだぞ、あいつも」
「ほんっ」世界が色づいたのも束の間、瞬く間に萎れていく。「・・・あいつ?」
「部活のときに話したんだよ、叶と。そしたら、あいつもお前のことが好きだってさ」
 話した?キョウト?あいつ?好き?
 違うよ、お兄ちゃん。次の台詞は『俺もお前のことが好きなんだ』だよ。ねぇ、なんで私のほうを見ないの?
「安心しろよ、俺が間取り持つからさ」
 安心、取り持つ。
 だから違うんだって。
 あたまがうごかない。いみがわからない。なんでまえをむいたままはなすの?わたしはこっちだよ、ねぇ。


 お兄ちゃんは何か勘違いをしている。何かは、具体的にはわからない。でもそれは、窪塚りお同様、私とお兄ちゃんの関係を壊すものだ。


━━なんで、かな。
 なんでみんな邪魔をするのかな。
 私はただ、お兄ちゃんと一緒にいたいだけ。誰にも迷惑をかけてない。
 それなのに、なんで。
 なんで、なんでみんな私からお兄ちゃんを奪おうとするの。なんで私を遠ざけようとするの。
 ダメなんだよ。私は弱いから、脆いから、お兄ちゃんがいなきゃ生きていけないの。お兄ちゃんが必要なんだよ。
 他には何もいらない。お兄ちゃんだけがいればいいの。
 それなのに、それなのに・・・


 気付くと、お兄ちゃんは大分前まで行ってしまっていた。私は1人、立ち尽くす。
「大丈夫、大丈夫だよ」
 右手でチョーカーを握り締め、左手で涙を拭う。
「今度は私が守るからね、お兄ちゃん」
 陽炎がゆらめく中、冷え切った身体を抱き締めた。
379兎里 ◆j1vYueMMw6 :2009/04/26(日) 01:29:02 ID:+FzmB3YR
終わりです。
追加
最初の投稿の一行目に『 病は気から、という言葉がある。』です。ごめんなさい。

入学やら事故でやらで随分と遅れてしまいました。申し訳ありません。
需要は少ないかと思いますが、もうしばらくお付き合いをお願いします。
380名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 01:29:40 ID:7klw1u5c
gj
381名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 01:45:08 ID:pCuQ9bSg
>>379
被虐的かつ自虐的に病んでるな〜。
GJでした!

いやいや、あなたが事故にあったのか。大丈夫っすか?
またゆっくりでいいので、投下してください。
382名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 02:13:32 ID:vuY8IVq4
GJ!

待ってたかいがあった!続き楽しみにしています
383鳩大福:2009/04/26(日) 02:58:56 ID:guM7tZHm
よし、空気読めない王は俺だ!
という事で久しぶりに投下します。
384Chains of pain:2009/04/26(日) 02:59:53 ID:guM7tZHm
いつもと何ら変わらない朝。
僕はいつもの様に窓の外を見た。
外は晴天、今日は憂鬱にならなくて済みそうだ。
さて、朝七時ジャスト、いつもよりも三十分は早い。
ゆっくりしていても十分間に合う時間だ、
このままもう一度寝てしまっても良いが折角早起きしたのだ、
落ち着いた朝を過ごすとしよう、とりあえず着替えることにする。
体を動かした瞬間、自分の指が何かに触れた。
「…………って、優花、どうしたの!?」
そこにはパジャマ姿の優花が幸せそうに寝息を立てていた。
優花は寝返りを打つと、僕の腕にしがみついた。
「……う……ん、えへへ……お兄ちゃん……すー……」
そういえば優花は寝ているときいつも僕の名前を呼んでいる気がする。
別に不快ではないが、時々考えることがある、優花は普段一体何を
考えてすごしているのか、だ。
僕の記憶の中で、優花が友達の話をした事は滅多にない。
優花に友達がいる事は知っている、というか多すぎるぐらいだ、
妹のこの性格を考えると、誰からにでも好かれることだろう。
しかし、寝言にしてもいつも口にするのは僕について、
まさか学校でさえそうとは思わないが、それでも時々わからなくなる。
そもそも反抗期とは家族から反抗したくなる時期だ、
親が普段家に居ないとはいえ、僕だって例外ではない。
本来であれば優花は僕を鬱陶しく思って目も合わさないだろう。
しかし、なぜかそうはしないのだ。それどころか日に日に優花の
僕への接し方は別な意味で変わってきている。
具体的に言うと、最近では家に居る限り優花は必ず僕の傍にいる。
大体三日前だろうか、僕がソファーに座ってテレビを見ていると、
優花は飲み物を持って僕の隣に座った。
それに二日前にしてもそうだ、僕が昼寝をしていると、
優花も同じ布団に入って昼寝を始めた。
さすがに違和感を覚えて、その時試しに僕は優花に質問してみた。
『なんでそんなに優花は僕にべったりなの?』と……
すると優花は、
『あたしがお兄ちゃんにべったりしたら嫌、かな……』
なんて悲しそうな顔をしながら言った。
僕はそのとき『別に嫌じゃないよ』なんて笑いながら言ってあげたけど、
正直僕には不快という感情よりも疑問に感じた方が強かった。
果たして優花は僕のことをどう思っているのだろうか、
親への愛情が僕に向いてしまっているだけ? それとも裏があるのだろうか?
まさか恋愛感情? ……いや、それは百パーセントありえない。
しかし、それを今考えたところで、本人に聞かない事には答えなんて
知ることは出来ない。
今はただ、普段通りにすごす他ないのだ。
「優花……ほら朝だよ、優花だって学校あるんでしょ?」
優花を起こそうとするが起きる気配は全くない。
「……う〜ん、ダメだよお兄ちゃん……」
優花の夢の中で僕は一体何をしているのだろうか……
ふと僕は、優花の目の下にうっすら出来ているクマに気がついた。
(優花がクマ? 珍しいな……)
普段何時に起きているのかは知らないが、優花がこんな時間まで
寝ているのは珍しい気がする、さては夜更かしをしたのだろう。
だとしたら優花を起こすのはなんだか悪い気がしてくる。
僕は着替えて朝ごはんを作っておくことにした。
385Chains of pain:2009/04/26(日) 03:00:17 ID:guM7tZHm
フライパンを熱して油を薄く引いて卵を割って、水を少し入れてすぐふたをする。
一番簡単な目玉焼きの作り方だ。これはさすがの僕でも知っている。
しかし、それだけでは少ないと思うので、お味噌汁も作ることにした。
朝を三十分早く起きたのは正解というか、ついていたというか……
もし、いつも通りに起きていたら間違いなく朝ごはんはなかっただろう。
そんなこんなで作り終えると、既に七時四十分になっていた。
炊いてあったご飯をお茶碗に盛り付け、二人分をテーブルに並べると、
丁度そこに眠そうな優花が下りてきた。
「……あ、優花。おはよう」
眠そうに目をこすりながら優花はその二秒後に驚いた表情と共に声を出した。
「えっ……もしかしてお兄ちゃんが、なんで……」
そこまで驚かれるとさすがに傷つくなぁ。
「今日は僕が朝ごはんを作ったんだ……自信ないけどね」
驚いた顔のまま目玉焼きと味噌汁と僕を交互に見る。
「お兄ちゃんが……あたしの為に……嘘、だよね……」
そこまで僕は信用がないのだろうか、
僕だって何にも作れないわけではない。
「お兄ちゃんが……あたしの為に……あたしの……」
急に泣き出す優花に、僕はどうしたらいいかわからなかった。
「な……どうしたの、優花? 僕、酷い事しちゃったかな……」
どうしたらいいかわからず、優花に駆け寄った。
優花に座り込んで泣く優花の肩に手を乗せると、優花は僕に抱きついた。
「……ゆ、優花! 本当にどうしちゃったの!?」
「あ、ありがとう……ありがとう、お兄ちゃん……」
何がなんだか良くわからないまま、泣きじゃくる優花の頭を撫る。
しばらく泣いた優花は落ち着き、朝ごはんを幸せそうに食べた。
「うん、おいしいよ、お兄ちゃん」
「……そう? ありがとう、優花。それでも僕はまだまだだね」
「ううん、本当においしいよ、それにお兄ちゃんが作ってくれたんだもん」
そう言われるとなんだか急に照れてくる。
「……お兄ちゃん」
「なに? 優花……」
「ありがとう、お兄ちゃん」
その優花の笑顔が、この晴天の朝より綺麗に見えた。

マンションの一室……
少女は一人、パソコンとにらめっこをしていた。
そこに映るのは春斗家全ての部屋、様々な角度から映されたその映像に、
死角など存在しなかった。
少女はイヤホンをつけ、その映像を笑いながら見ていた。
もちろん、先ほどの出来事も全て……
「…………春斗君……」
握り締めた左手で机を思いっきり叩きつける。
部屋に響き渡る鈍い音、そして少女は歯を食いしばった。
「優花ちゃん……あのね、この世界(私と春斗君)にはね、妹でも許されない
事があるんだよ?」
少女は立ち上がる。
そろそろ行かなければならない、春斗を迎えに。
そして少女、七海は予感していた、いつかは自分は優花を……
現れたデスクトップには笑顔の春斗がいた。

それから数ヵ月後、優花は桜の舞う中、高校の校門をまたいだ。
386鳩大福:2009/04/26(日) 03:02:12 ID:guM7tZHm
今回は以上です。
回数を重ねるごと行が減っていく気がしてなりません。
387名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 04:43:02 ID:pCuQ9bSg
>>386
間髪いれずにGJ!
この回だけ純情な妹に、ノックアウトされた……!

あれだよ、行数が減るのは、一行内の表現量が、増してきてるからだよ、たぶん。
続きを楽しみにしてます。
388名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 15:17:41 ID:V446ggd0
どちらもまた波乱が来そうで楽しみであります
しかし主人公は無意識に地雷を踏むなぁw
389名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 18:58:31 ID:dIihWC8Y
どっちもGJ!
390名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 22:30:49 ID:jlObiyme
十日ぶりに来たら投下されまくってた!!
みんなgj、今から読んでくる!!
391名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 22:36:42 ID:sznrYRNH
>>379
GJ!!
・・・ってことは更新スピードがるんだよね? やったー
392名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:12:16 ID:NIeS55JI
初心者です
長編を投下されている作家さんの後なので
かなり気が引けますが投下してみます…
タイトル
「サッカー部の彼氏」
393名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:13:48 ID:NIeS55JI
2年生になってもう1ヶ月…
もうすぐゴールデンウイークだね…
また同じクラスで本当に嬉しかったよ…
初めて酒井君に会ったのは去年の入学式の時だったね
私初めて酒井君に会った時本当にびっくりしたんだよ
運命の出会いって本当にあるんだなぁって…
教室や廊下で私のことチラチラ見ないでちゃんと話し掛けてくれていいのに…
ねぇ酒井君…
私酒井君のこと考えるだけでおっぱいもあそこもすぐに固くなっちゃうし…
もうおかしくなりそうだよ…
でもね酒井君…
いくら照れてるからって阿部さんと仲良くするの私あんまりうれしくないよ…
ゴメンね…私がいけないんだよね…
酒井君は私のどこが好きなの…?
やっぱりおっぱい…?
他の男子と話している振りをして私にだけ分かるようにメッセージを送ってくれるのも嬉しいけど
私やっぱり普通に話したいよ…

あれ…?
何か今日の酒井君何か違う…
何だろう…?
あれ?いつもの整汗剤のにおいじゃない…
ん…?
これって阿部さんの香水のにおい…?

………

………

………!!
394名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:16:04 ID:NIeS55JI
あっ…そうか…
そうだよね…
私があのバカ女すぐに殺さなかったからあのバカ女酒井君にずっとまとわりついてるんだよね…

安心して酒井君…
私が守ってあげるから…
ちょっとだけ…
ちょっとだけ我慢しててね…

(金曜日。夜8時。地下鉄。席の右端の方)

おい酒井…
いやぁ何て声掛けていいか分かんねぇけど…
明日は学校来いよ…
いやほらお前がいないとうちのチームって
クロスのターゲットいなくなるじゃん…
だからさ…その阿部のことは…


ああ……
なぁ鈴木……

なっ何だ?


いや俺駅ここだから…

そっそうか…
じゃあまた明日な…
明日は午後練だけだからグランドに1時に集合な…

(土曜日。夕方。美術室)
何だよ向井…
急に呼び出して…

やっぱり運動してる時も格好良いよね…

……?
用が無いなら帰るぞおれ…

酒井君…
(ゆっくりと距離を詰める)

なっ何だよ…

今まで辛かったでしょ…
でももうそんな思い酒井君はしなくてもいいんだよ…

(明らかに常人の表情じゃない…)
お前…何言ってんだ…?


だから酒井君…
もう我慢しないでいいんだよ…
私…
酒井君見るだけでもう我慢できなくなっちゃって…
395名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:18:14 ID:NIeS55JI
……!?
ギュッ

(何だ!?こいつ…!?)

やめろよ!!

(抱きつかれ豊満な胸部が体に押し付けられるが反射的にすぐに両腕を使い突き飛ばしてしまう)

ドスン

あっ…スマン…
(床に倒れ込み制服のスカートがめくれ脚と下の下着が露わになっている)

………

(視線を向けてしまうが必死に見ないようにして)

いっいきなりどうしたんだよ…
向井…
向井…?

(そのまま床に座り直す制服の女子)
(近付きしゃがむ上下トレーニングウエアの男子)

(表情が再び尋常ではない様子に変化する)
(しかし抱きつかれた前の表情ではなく憎悪に満ちた表情に変わる)
(いつもの様子からは想像も付かない表情)

向井……?

酒井君…

ダンッ!!

……!?
(突然長身の男子に抱きつき押し倒す女子)
(体を再び密着させ仰向けの男子の上でうつ伏せになる)

痛って…
何だよ向…
(Yシャツのボタンが2つ外れ押し付けられた胸部と下着が目に入る)

……
何であの女なのよ!!
はっ…?

でも安心して…
ちゃんと包丁で首と胸刺してから旧江戸川に突き落としておいたから…
もう酒井君はあのバカ女に毒されることなんて…


396名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:20:07 ID:NIeS55JI
……!!
まさかお前…!?
(背筋に今まで感じたことのない寒気と恐怖を感じ)

(嘘だろ…冗談?いやこいつ明らかにまともな目をしていないし…)

(怒り、悲しみ、憎悪…表現の仕方がわからない感情で胸の中が一杯になる)
向井…

………!!
どうしてそんな顔するの!?
やっとあのバカ女から解放してあげ…

離れろ!!

キャ!!
(再び突き飛ばされる)

バカはお前だ…

ハァハァハァ…
(立ち上がり机の上に置かれたバックから血液がベッタリついた包丁を取り出す)

向井…

お前…マジで…


酒井君殺して私も死ぬ!!

(包丁を握り迫ってくるクラスメイト)

(恐怖)

(それしかない)

(美術室内でリアル鬼ごっこ)

(捕まった)

(美術室の隅。壁を背にして鬼と対面する)

そうだ…こうすれば…
グサッ

ぎゃあああ!!
(感じたことのない肉体的な痛み。そしてリアルな死への恐怖)
(左の上履きの上から包丁の刃が垂直に刺さり足の裏まで貫通する)
(血液が吹き出し、靴下、上履き、床を濡らす)

スゴい酒井君の血がいっぱいだ…
もったいない…
(激痛からしゃがみこむ。心臓が左脚にもあるみたいだ…)
397名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:22:12 ID:NIeS55JI
(四つん這いで床に顔を擦り付け床に流れる血液を舌でペロペロと舐めている女子)
酒井君おいしいよ…もっと酒井君欲しい…
(トレーニングウエアの下と下着を一気に脱がし、男性器を露出させる血まみれの普段は物静かな女子)
ずっとこうしたかった…
うんっクチュクチュ…
(血まみれの口で局部を含み、口の中で局部に舌を絡ませる)

(意識が遠退いていく)
……

ねぇ!?なんで大きくならないの…!?あっ…そうか…
(血まみれのYシャツを自ら引きちぎり下着を外す)
こっちも…
(スカートの中に手を入れ下の下着だけを脱ぎ捨てる)
(全く反応していない局部を自らの限界まで反応している性器に入れようとするがうまく入らない)
あれっ…酒井君…

そっかぁ…今日も部活でたくさん走ってたし、たくさんヘディングしてたし…
疲れちゃたんだね…ゴメンね…
私がいいこいいこしてあげるから…
安心して寝んねしていいんだよ…
(痛い…痛い…寒い…)
酒井君何か冷たくなってきた…?
温めてあげないと

ギュッ
(激痛による気絶。さらに大量の出血により体温が急速に低下していく男子)
(安堵した顔で男子の体を包み込む女子)

酒井君……
大好き

398名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:23:33 ID:NIeS55JI
投下終了します

勉強してまた戻ってきます

ではまた
399名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:30:01 ID:pCuQ9bSg
>>398
投下お疲れさまです。
病む過程も病んだ故の狂気もよかったっす。

ただ……鍵括弧とかがないんで読みづらいです。
あと改行は少なくお願いします。

話自体はよかったので、また次回を楽しみにしています。
400名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:36:58 ID:NIeS55JI
>>399
アドバイスサンクスです

401名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 23:52:56 ID:Vi3d9mCq
ぐっじょぶ!!!
ところで最近 香草さんを見ないんだが
どこに行ったのだろうか?
402名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 00:06:59 ID:X+baNsL4
皆さんGJ
なんか、背筋がゾクゾクしてきました
403名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 00:34:47 ID:HuMjLdkg
ひぐらしのレナってヤンデレなの?
404名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 00:37:42 ID:Q74UzzSz
黙れ
405名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 16:06:51 ID:ZhqnYid7
 昔々、南方の国に若干16歳の若き王がいました。
 その王は家の古い体質を嫌い、嫁を取らずに自分の代で血筋を絶やそうとしました。
 しかしそんなある日、王が散歩をしていると、川の畔に女の赤子が捨てられておりました。
 王は見捨てる事が出来ず、自分の赤子として育てる事に決めました。
 トイレや食事のマナー、勉学や武道も自ら教え、赤子だった幼女もすくすく美しく育ちました。
 そして女は、その時既に、若い父を男として愛していたのです。

 女が城に来て16年を数えた時、初めて女は父にワガママを言いました。「一つだけ願いが有る」と。
 女は、愛する父と結婚したかったのです。
 すると王は悲しい顔をした後、「最後の試練を乗り越えたら、どんな願いも叶う」と応えました。


 王に拾われた女は王に実の子のように育てられた!

 女はどんな厳しい修行にも耐えた
 王は厳しくも優しく、少女の心にぬくもりを植えつけた!

 最後の試練として目隠しでの闘いを強いた王。
 女を待っていたのは、余りに悲しい結末であった!

 こんなに悲しいのなら
 苦しいのなら愛などいらぬ!
 若き女の悲しき叫び声がこだまする!!

 時はまさに世紀末。
  世界は、核の炎に包まれた!!
406名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 17:58:45 ID:/IxFc5Pv
なんというサウザー。
これはまさに引かぬ、媚びぬ、省みぬ。
407名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 18:07:53 ID:3+6f+h35
>>405
昔々なのか世紀末なのかどっちなんだよwでも家来はみんな間違いなくモヒカンだろwww
408名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 18:21:53 ID:lNvaCCXQ
15世紀の末でも20世紀の末でも世紀末は世紀末だろ
昔々の世紀末の何がおかしいんだ
409名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 18:44:49 ID:leslS1NO
前世紀の末なんですね。
…続くのか?

410名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 19:32:47 ID:+PwALMcd
大臣「ヒャッハー! 汚物(隣国王女)は消毒だぁぁぁッッ!!」
411名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 21:49:28 ID:SXY6nz7A
世紀末ポイ捨てるが病んだ幽霊(死んでるのに病むとはこれいかに)に取り憑かれた退魔師が女子霊専門の除霊をするという電波が来たんだ。
いったい何処のどいつが流したんだ?
412名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 22:13:54 ID:3IinJs5o
>>411の脳が本当に電波にやられているんだが
413名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 23:01:45 ID:aqyC6R/p
すまん、411が衛星から受信最中にムシャクシャして妨害電波飛ばしちゃった。頭上をYS-11EAが飛んでたろ?アレだ。
414名無しさん@ピンキー:2009/04/28(火) 16:00:40 ID:AM9OSf4b
>>411
病ンデ霊と申すか
415411:2009/04/28(火) 19:40:46 ID:xCxgDRsN
夢に出たから祓う意味を込めて保守投下する
なお、文書力は拙いので勘弁願う


ーカタカター
また背負った刀が震えている。
ひれん、歴代の使い手が鬼女と恐れられ、村一つを滅ぼしたり城を一人で落としたり川を断ち切ったりと無茶な逸話があるイワク付きの刀、いわゆる妖刀である。
無論使い手は最後に惚れた男と心中するという……まさにヤンデレブーストソード!!なのだ

とある神社に封じられていたのだが、修業で逗留していた俺が刀のつくも神に惚れられてしまい……基取り憑かれてしまったのだ
使い手が総じてヤンデレだったがためにこの剣精……ひれんもまたヤンデレなのであるがため、俺は大変なことになっている
逸物をチョン切られそうになったり憑依して周囲の女を皆殺しにしようとしたり……


いかん、気分が欝ってきた……

こんな俺だが一応ちゃんとした雑誌、「月刊ヤンデレのススメ」に広告を出してるので定期的に仕事が来る
いつもヤンデレ絡みだから恐いんだけどな……
今から向かうのもヤンデレ関連の仕事だ

「来て頂いてありがとうございます。」
待ち合わせの喫茶店に居たのは複雑な顔で出迎えた人のよさそうな男と凄く楽しそうな顔をした女だった
女の肩にはおまけも憑いている……アタリだ
「あー、早速だが場所を移そう……ここじゃ絶対血が流れる」
「や、やっぱり……穏便に、とはいきませんか?」
いや……こっちがひれん抑えるので精一杯なんだよ!
ひれんはヤンデレな憑き霊にのみ反応する。ひれんは否定してるが同族嫌悪らしいが……


(中略)(笑)


「わざわざありがとうございました。さ、男さん。帰って存分に愛し合いましょう?うふふふふ」
今回の霊はストッパータイプだったようだ。
切り祓うまではただほほえんでいるだけだった女は報酬を俺に渡すと男を肩に抱えて悠然と歩き去っていった……
祓う相手を間違えたかもしれない、一瞬そう思ったが微妙にうれしそうな顔で連れ去られた男を見て考えるのをやめた
ひれんを鞘に収め、
「さて、俺も帰るか……ぐっ!?」
首に手がかかっている。見るとひれんが実態化して俺に抱きついていた……
思考停止ついでにひれんが祓った後に発情することまで忘れていた
「ねぇ、ご主人さま?あたしたちも、ね?」
オチる寸前、ひれんがそんなことを囁いてきた……
次に起きたらひれんが満足するまで精を貪られることが確定した瞬間だった……
帰路で何人の女性が倒れるのか……それだけが心配だった……

Fin.
416名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 04:51:42 ID:euQItqFu
>>415
つまんね
417名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 09:57:31 ID:BMoQyVo2
>>416
嫉妬スレで大恥をかいた一万年さんですか?
この人はあまりにも文章が下手すぎて皆から嘲笑されて
逆恨みで荒らしている人なんですよ
418名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 13:20:05 ID:r/NE5h0T
それはお気の毒に…
419名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 14:21:32 ID:euQItqFu
まったくだな
420名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 14:47:14 ID:l21WQR9Q
こんなとこにまで出張ってくるのか
421名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 15:16:26 ID:r/NE5h0T
それはそれでお疲れだよな
422名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 16:05:39 ID:djgetkvX
なんだか知らんがスレ違いだ
他スレの話はよそでやれ
423名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 22:44:16 ID:os1RVpYy
1万年をバカにすな(ノ>д<)ノプンプン
424名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 23:01:29 ID:99pzhpOX
保守
425名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 23:14:50 ID:trvXR2vb
一万年が必死になって暴れてる
ロクなSSも書けないくせにスレを荒らすなよ
426名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 00:19:38 ID:pRu/eDDE
一万年の名前を使っての出張荒らしとはな
これがスレを擁護しようっていう「健全な住民」なんだから
嫉妬スレ住民のレベルも地に落ちたもんだ
もういいから糞スレに帰って二度と来るな
427名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 00:28:20 ID:i/QhIVMD
>>426
どうせ一万年さんの自作自演だろ
428名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 00:37:50 ID:oJQnS4jZ
止めとこうぜ、あいつ関係話題は
429名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 01:13:36 ID:yAJA9tuj
病弱なお嬢様がお金も人も使わず(武器は使う)愛に動かされひたすら頑張る。

そんな一途で健気な姿勢に萌える。
430名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 08:30:21 ID:3Gxgw4K9

ヤンデレ「貴女にも見えるでしょ? 頭上に輝く死兆星が!!」

ライバル「ふふっ、貴女の優しい拳では、この身体に傷一つ付ける事はできない!!」
431名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 08:47:11 ID:r8usurlU
北斗でリメイクシリーズを思い出した……
性格的にはあまり間違ったチョイスじゃないのに
なんだろう…………釈然としない
432名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 17:54:09 ID:Rz/vYIzn
一万年は基本的スルーしよう。書き込みの無駄だ
433名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 18:54:58 ID:Fo35Kc/s
ところでこの凶器を見てくれ、コイツをどう使うと思う?泥棒猫さん?
434名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 20:21:38 ID:knC2ElhH
すごく…絶命の危機です…
435名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 21:10:13 ID:hRQ4Iu93
>>433
「そこで問題だ! どうやってあの凶器に対処するか?

3択−一つだけ選びなさい
 答え@先日男君に告白された私は目の前の牝豚=男君の幼馴染(笑)を惨殺するアイデアをひらめく
 答えA男君がきて助けてくれる
 答えB殺される。ヤンデレは先にキレたほうが勝ち。
 
私がマルをつけたいのは答えAだけど期待は出来ない……
つい先ほど夕日の中で『明日から私たち恋人同士だね』なんて言ってお別れのチュウまでした男君が
あと数秒の間に都合よくあらわれて、白馬の王子様のように間一髪助けてくれるってわけにはいかないわ。
逆に目の前の牝豚に捕まってすでに監禁されているかもしれない」
436名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 00:21:56 ID:OfSIiKxM
「告白される」だとか「明日から恋人どうし」だとか・・・ 
便所のネズミのうんこにも匹敵するそのくだらない物の考え方が命取りね!
クックックックッ
実姉のわたしにはそれはない…
あるのはシンプルなたったひとつの思想だけ…たったひとつ!

「生まれる前からわたしのもの」!

それだけよ…それだけが満足感よ! 
わが血縁の前にひれ伏すがいいわ!
437名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 07:37:23 ID:obsjVMri
5月1日
  きょう、ひとりのおにいちゃんをつかまえた。
  わたしがよおちえんからかえっていて、そのときに
  しらないおにいちゃんがえっちなかおでみていたから
  いえにつれてかえりました

  すぐはだかんぼにしてオリのなかにいれると
  うれしそうになついてきました
  そしてまえのおにいちゃんにはにげられたけど
  きっとしつけがたりなかったからだとおもいました
  だからこのおにいちゃんにはうーんときびしくしようと
  おもいました
438名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 09:03:02 ID:EUySZryJ
これはヤンデレじゃなくただの基地外
439名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 09:04:49 ID:DmF4n1O+
>>438
デレを見せてから判断してもいいじゃない
440名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 09:51:21 ID:EUySZryJ
「おにいちゃん」であれば誰でもいいという前提からヤンデレではない
よって結果もヤンデレではない
ヤンデレのようなもの、になる可能性はあるが
441名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 20:44:51 ID:4qhMOpbN
職場でなんか話題に上っていたんだが…
「いま、会いにゆきます」ってどんな話なんだ?
以下、タイトルと会話の断片から、俺は勝手な想像(妄想)を始めた。

ある少女の猛烈なラブコールに負けた男。何度かの監禁未遂・心中未遂を越えて結婚に至った。
暫くして、病弱だった妻は出産時に死んでしまう。男は寂しく思いながらも、子供と二人で暮らしていく。
数年が経ったとき、彼に再婚の気配が… 新たな母に喜ぶ子供。
その時、草葉の陰から彼女は現れた!
そんな、一途なストーリーじゃないかと… 
442名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 21:00:53 ID:fWmEd+pC
いま、会いにゆきますはネタバレすると

亡くなった妻とほぼ同じの少女が記憶喪失になった状態で発見される
主人公と子供と少女はかつての家族のように暮らすんだけど
その少女は、とある事件で車に轢かれたショックで、タイムスリップした
実の妻でした

って設定だったんじゃなかったけ?
443名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 21:01:37 ID:fWmEd+pC
でも、結局、主演男優と主演女優は結婚したが、すぐに別れたような気がする
444名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 21:05:04 ID:4ylbORui
>>441
1行目と3行目がなければ、だいたいあってるが……

しかしその妄想、面白そうな話になる予感がするぜ。
原作通りに還ってきた妻が記憶喪失→でも無意識に病んでるとかだったら、いい長編になりそうだ。
445名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 22:50:56 ID:xMXldaye
>>438>>440
これは誤爆でした。でもこれは私の愛だから。
エロ小説スレにルーラしますw
446名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:24:17 ID:Q/Yn08dL
ヤンデレ「不正経理さんを殺しちゃった」
男「強欲に成敗乙」
ヤンデレ「大食いっ娘さんを殺しちゃった」
男「暴食に成敗乙」
ヤンデレ「NEETっ子さんを入院させちゃった」
男「怠惰に成敗乙」
ヤンデレ「威張る可愛いあの人を殺しちゃった」
男「傲慢に成敗乙」
ヤンデレ「ビッチさんを殺しちゃった」
男「色欲に成敗乙」
ヤンデレ「奥さんに嫉妬して殺しちゃった」
男「嫉妬に成敗乙、死ね!」バーン!
ヤンデレ「わたしは死んだ」
男「憤怒に成敗乙」

それが映画『セブン』
447名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:27:11 ID:q+4PEci6
頭の悪い子だ
448名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:42:01 ID:Q/Yn08dL
ヤンデレを苛むのは杞憂の苦しみ、それに気づかない時点でアホの子・・・
449名無しさん@ピンキー:2009/05/01(金) 23:49:10 ID:q+4PEci6
これは痛い子に触っちゃったか
休みになるとどうしても新参が増えるな
450あなたのために  ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 12:47:42 ID:Y7M3agut
投稿します 全四話です。

では、第一話から。
451あなたのために 第一話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 12:49:52 ID:Y7M3agut
「マサトくん、朝ですよ、起きて下さい」
私は出来るだけゆっくりと、マサトくんの身体をゆすってあげます。
マサトくんはすごく低血圧で朝が弱いので、間違っても叩き起こしたりしてはいけません。
「んー・・・?ミク・・・?」
マサトくんがゆっくりと瞳を開き、私の姿を認識してくれます。
寝ぼけ眼のマサトくんの顔はとっても眠そうで、それでも起こさなければならない事に、私は思わず罪悪感を抱いてしまいます。
「はい。おはようございます、マサトくん。そろそろ起きないと学校に遅刻してしまいますよ?」
「・・・眠い。もう少し寝ていちゃダメ・・・?」
温かい布団の中から、頭一つだけを出してマサトくんは私に懇願してきます。
マサトくんのお願いとあれば、私としてはその意向に全力で添いたいと思うのですが・・・。
でも、マサトくんの起床に関しては、マサトくんのお母様にお願いされています。
マサトくんのお母様から全幅の信頼を頂いている私としては、それを裏切る訳にはいきません。
「マサトくん、朝ごはんがもう出来ています。早くしないと冷めてしまいますよ?」
私がそう言うと、マサトくんは布団の中に頭を引っ込めてしまいました。
・・・やっぱり、二度寝してしまうのでしょうか?
しばらくして、お蒲団の中から、マサトくんのくぐもった声が聞こえてきます。
「・・・ああ、ミクの作ったご飯は美味しいよね。あれって秘訣とか・・・あるの?」
マサトくんがお蒲団の中で何やらもぞもぞと動き始めました。どうやら、観念して起きてくれるようです。
お蒲団に潜り込んだまま、本当に二度寝されてしまったらどうしようかと思いました。
マサトくんは、お蒲団を身体に巻きつけて、ベッドの上に胡坐をかいて座られました。
「うーん。そうですね、特別な事は何もしていないんですが、強いて言えば変わった調味料を少々・・・」
私は蒲団を身体に巻いて、寒そうなマサトくんに予め用意していた防寒着をお渡しします。
最近は特に寒くなってきましたから、マサトくんがお身体を壊さぬように、防寒対策を講じておくのは当然の事と言えるでしょう。
しかし・・・私はとんでもない嘘吐きです。
先程の私の台詞ですが、これには二つの嘘があります。
一つは、特別なことは何もしていない、という事。
実はマサトくんが美味しいと感じてくれるように、私は常にお料理の特訓をしています。
お料理雑誌や、お料理番組は欠かさずチェックしていますし、日々修業は欠かせません。
それに、マサトくんが毎日の食事で“おいしい“と言って頂いた味付けを、ノートに逐一記録し、次に活かすようにしています。
452あなたのために 第一話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 12:52:21 ID:Y7M3agut
二つ目は、調味料の事です。
はっきり言って、変わったどころではありません。
お料理が少しでも美味しくなるために、願いを込めて、私はマサトくんが口にするお料理に、実に色々な物を入れています。
私の作った料理が、マサトくんに少しでもおいしい、と感じて欲しいという気持ちを込めて。
詳しくは言えませんが、その・・・体液とか、血液とか・・・。
マサトくんに嘘はつきたくないのですが、こればかりは正直に言う訳にはいきません。
「あ、遅くなったけど・・・おはよう、ミク」
「はい。おはようございます、マサトくん。今日もよろしくお願いします」
防寒着を着込んで私に挨拶をしてくれるマサトくん。
そして、それに出来る限りの最高の笑顔でお答えする私。
長年、幼馴染としてマサトくんのお世話をさせて頂いている私の一日は、こうして始まるのです。


マサトくんに朝食を食べていただき、登校の用意を済ませてもらってから、私たちは家を出ました。
私もマサトくんも共に高校生で、同じ学校に通っています。
「今日は一段と寒いね・・・」
「はい。天気予報では近々雪が降るかもしれない、と言っていました」
それを聞いてマサトくんは、どおりで、と呟いて自分の両手に息を吹きかけました。
私は用意していた手袋を通学カバンの中から取り出すと、それをマサトくんにお渡しします。
「ああ、ありがと。いつも準備が良いよね、ミクは」
マサトくんはそう言って、私の差し出した手袋を受け取ってくださいました。
私ごときにお礼の笑顔を向けるマサトくんの、その眩しさと来たら・・・。
「あ、ありがとうございます・・・」
私は思わずマサトくんの笑顔から瞳を逸らしてしまいました。
子供の頃から一緒に登下校させて頂いている私ですが、いまだにマサトくんの笑顔をまともに見る事が出来ません。
流石は、中学でもっとも告白された回数の多い男子生徒、という異名を取るだけはあります。
確かに、マサトくんのこの笑顔を見てしまった女の子は、彼を好きにならずにはいられないでしょう。
「あ、母さん、今度の休みに一週間だけ帰ってくるって」
453あなたのために 第一話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 12:54:31 ID:Y7M3agut
「そうなのですか?・・・じゃあ、久しぶりに皆さんでお食事が出来ますね」
マサトくんのお母様は今、海外でお仕事をされています。
有名なデザイナーとして活躍されているらしく、なかなか日本には帰って来られません。
ですから、お母様の留守中にマサトくんのお世話をするように、直々に私がお願いされているのです。
「またあの酒盛りパーティの様相を呈すかと思うと、正直ゲンナリするけどね・・・」
マサトくんは心底、ゲンナリする、といった表情で言葉を紡ぎました。
・・・マサトくんのお母様がご帰宅される際は、うちの両親と私、そしてマサトくんと小母さまの四人で毎日、晩御飯と称したパーティが開かれます。
大のお酒好きのマサトくんのお母様とうちの両親は、未成年の私たちの前にも関わらず、飲み明かすのです。
皆さん楽しそうですし、私はすっかり見慣れてしまいましたが、マサトくんはお気に召さないようです。
「でも、皆さん楽しそうですし。うちの両親も喜ぶと思います」
「うん、まぁね。母さんも楽しみだって言ってたよ・・・僕もミクの作る料理は楽しみだしね」
・・・褒められました。とてもうれしいです。
私は自分の顔がとても熱くなっているのを感じました。
それと同時に、とてもいけない事ですが、私の・・・股間、女性の部分が凄く疼くのを感じます。
・・・マサトくんのお母様がご帰宅される際は、私はいつもより腕によりをかけて食事を用意します。
普段はマサトくんの健康を気遣い、なおかつ経済的な食事を用意するのですが、この時ばかりは豪勢にいきます。
だって、マサトくんのお母様に自分の料理の腕をフルにアピールしないといけないのですから。
毎日のマサトくんのお世話を任せて頂くには、お母様より信頼を得なければならないのです。
「小母さま、お身体とか、壊されていませんか?」
「うん。大丈夫だって。まぁ・・・一人暮らしだし、だいぶ不摂生しているらしいけれど」
マサトくんのお母様は、海外で一人暮らしをされています。
夫のリョウゾウさん・・・マサトくんのお父さんを病気で亡くされてから、マサトくんを養うために一生懸命働いておられるのです。
お母様が外で働いておられる分、私が代わってマサトくんのお世話を任されているのです。


454あなたのために 第一話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 12:56:43 ID:Y7M3agut
私たちが通う高校は、自宅近くの駅から二駅先にあります。
ですから、毎日電車を利用するのですが、今日もその方は駅のホームに居られました。
ベンチに腰をかけて、熱心に何かの文庫本を読みふけっておられます。
「おはようございます。マサキ先輩」
さっそく彼女の姿を見つけたマサトくんは、マサキ、と呼ばれたそっくりな名前の女性にご挨拶されます。
心なしか、マサトくんの声はいつもより弾んでおり、彼女を見つけられた事が非常に嬉しいようです。
私はというと、ただ何も言わず、こちらに気づいたマサキ先輩に黙って会釈だけをしました。
他の方なら、マサトくんよりも先に、朝のご挨拶を差し上げるのですが・・・この方に限ってはどうしても、そんな気が起こらないのです。
失礼な事だとは重々承知しているのです。
先程から何故か心の奥底がズキズキと痛むのは、その所為なのでしょう。
「ああ、誰かと思えばマサトと氷室さんじゃないか。おはよう」
「おはようございます、マサキ先輩」
マサトくんが再び先輩に向って挨拶を繰り返します。
その、だれもが見惚れてしまう、とびっきりの笑顔を惜しみなく向けて。
・・・でも、対するマサキ先輩は、いつも通りの能面のような表情を崩しません。
このマサキ先輩に関してだけは、マサトくんの魅惑の笑顔も通用しないみたいです。
「君たちが来たという事は、私はまたも電車を乗り過ごしたらしいね」
マサキ先輩は、そう言って手に持っていた文庫本のページを閉じられました。
そして、腕に付けた時計を見てふぅ・・・とため息をつかれたのです。
一体、どれくらいマサキ先輩は此処で文庫本を読まれていたのでしょうか?
「相変わらずですね、先輩。今度は一体何の本を読んでいたんですか?」
「聞きたいかい?・・・いま読んでいるのは『素晴らしき殺人術の世界』というやつだね。低俗だろう?」
女性の私の眼から見ても、とても綺麗で美しいマサキ先輩の口から紡ぎだされる言葉。
相変わらずそれは、この方の見た目に全然合っていなくて。
そんな恐ろしい本なんて、存在している事すら私は初めて知りました。
この方の見た目の容姿からすれば、純文学とか、恋愛小説とか読んでいるのが適当だと思われるのですが。
他人の趣味嗜好をとやかく言うつもりは全くありませんが、正直、私には理解できません。
「先輩って、本当にそういう殺人鬼とかお化けとか好きですよね」
そう言ったマサトくんの肩を、いきなり先輩が、がばり、と両手で掴みかかりました。
その瞬間、衝動的に私は、マサキ先輩に飛びかかって、突き飛ばしそうになりましたが・・・我慢しました。
455あなたのために 第一話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 12:59:08 ID:Y7M3agut
マサキ先輩に突然肩を掴まれ、彼女の顔が眼前にまで迫ったマサトくんは、顔を真っ赤にしています。
「マサト・・・勘違いしてもらっては困るよ。私が興味あるのは人が人を殺す、殺人なのであって・・・決して怪奇現象やオカルトの類じゃない。一括りにされては困るよ」
マサトくんの両肩を力いっぱい掴んで、私には理解できない論理を力説するマサキ先輩。
正直、いい加減離してあげて欲しいと思います。
ほら、マサトくんだって困ってるじゃないですか。
「わ、わかりました、良く解らないけど、わかりました。ごめんなさい・・・」
マサトくん、先輩の顔が近いからって表情がデレデレしすぎですよ。
私の前ではそんな顔を一度も見せてくれた事なんかありませんのに。
「ああ、いや。私こそ取り乱してしまってすまないね。・・・自分でも低俗で変だという事は重々承知しているんだがね」
あ、電車がやってきました。
これに乗らないと遅刻は確実になってしまいます。
マサトくんの、学校生活での規則正しい登下校の管理も任されている私としては、これに乗り遅れるわけにはいきません。
「マサトくん、電車が来ました。これに乗らないと遅刻になりますよ?」
私はマサトくんを電車に乗るように促します。
けれども、マサトくんはマサキ先輩から目をそらしてくれません。
「あ、うん。そうだね・・・・。じゃ、先輩、行きましょう」
スッ、とマサトくんはマサキ先輩に向けて右手を差し出しました。
本当に自然な動きで、下心なんか感じられないのですが、私はそれを見て、さらに心の奥底で再びズキ、という音を聞いた気がしました。
「ありがとう。君たちさえいれば私は、今後も遅刻しないですみそうだね」
456あなたのために  ◆PLalu2rSa. :2009/05/02(土) 13:01:50 ID:Y7M3agut
第一話、投稿終了です。
457名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 13:32:46 ID:+jt+2Id9
GJ!!!
458名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 18:34:06 ID:8aYIJWgc
乙、続きが楽しみだ
459名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 20:59:32 ID:+0Zac+6A
GJ!
話としては楽しみなんだが、キャラの名前で妙な気分になってしまうw
460名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 21:40:23 ID:P3v5uUIX
巨大びー玉ンですか?
わかりません><
461名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 20:28:39 ID:peyj5Fjg
>>459
マサトくんがマコトくんに見えるのですか?
462名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 20:48:51 ID:Y7tViW/O
主人公とヒロインの名前が某鬼畜冥王アニメを元にしてるってことだろう。
ストーリーが違えば特に問題はない。

期待してます。
463名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 20:50:40 ID:XuPulHj5
名前を考える時はどうしてる? 
俺は明○安田生命を参考にしている。
464名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 22:06:10 ID:Y7tViW/O
書き手スレとか裏話スレの範囲でしょう、そういう話題は。
自治したがりの人が声でかくなる前に忠告するけど。
465名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 22:24:18 ID:l/N6b/cZ
>>464のいうとおりだぁね。

ところで、そんな発言するくらいだから、>>463の人も書き手の1人なんだよね?
せっかくだし、なんか書いていってよ。
466名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 22:24:21 ID:N7EBeb0m
鏡見ろボケ
467名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 22:34:42 ID:XuPulHj5
すまん、生意気言ってるけど既に書いてる。
題名はあえて言わない。
468名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 23:43:50 ID:uukLnfU2
言わないのではなく、言えないのです
469名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 00:10:46 ID:E/XpmoGn
もうそういうことでいいです。
470名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 01:25:48 ID:/R/SmXus
なら、やっぱり彼は私が好きだったんだわ!


あんな雌豚なんかじゃなく、私が!
471名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 01:31:44 ID:PMmVvo7K
もうそういうことでいいです。
472名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 03:41:05 ID:5fz774Vt
こうして吉田幸恵の夜は更けていくのであった……
473名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 18:20:56 ID:Ati6XebL
君がため 惜しかりざりし 命さへ
474名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 23:46:20 ID:tU2GV/se
ほんとに書いたのかよ(笑)
嘘っしょ、書いたんなら題名言えし
475名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 00:17:30 ID:fN6azarn
まずはsageろ、そして黙れ
476名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:28:55 ID:Fe2d1tXp
>>474

だしだし症候群だおw
477名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 01:49:54 ID:Z0PbhZzs
ヤンデレの女の子と離れる職業に就いたときの反応。

1.航空自衛隊レーダー基地
…電話と手紙の嵐。検閲(特定の政党・遅滞せる債務等の検査とか)が大変。
2.陸上自衛隊
電話、手紙、駐屯地乱入(実際に起こる事があるww)
警衛に捕まり、応接室に連行された彼女と対面し、お偉方によって説得される。
内容は大体「彼女とヨリをさっさと戻してもう揉め事起こさないでくれチミぃ」と言う様なかんじ。
海上自衛隊は艦の中は安心、陸に上ったときがヤバい。

知人の経験談だから陸自以外はよく知らないが… 
478名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 02:16:16 ID:KEHfWOq+
どっかのスレみたいになっちゃうからケンカはやめようよ
479名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 03:24:33 ID:ElDWYgvi
優しさを失わないでくれ…、たとえその想いが何百回裏切られても…。
480名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 09:35:47 ID:L0Bb2odJ
優しさを失わないでくれ。
弱い者をいたわり、互いに助け合い、
どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。
例えその気持ちが何百回裏切られようと。

このオリジナルから省略した部分が
小泉や厄介な隣国の影響である事は十分理解出来る
481名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 09:49:15 ID:8lJf2piW
政治ネタを持ってくるな・・・
特亞系の話は面倒なことになるからやめろ
どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。
とかかれると妙にいらっとするし
482名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 21:18:14 ID:xEiTGJ34
ヤンデレ喫茶はもう二年も前のものなのか…
あいつらは今も幸せにしているのかな・・・
483名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 21:39:17 ID:4wjPgn5R
何寝ぼけたこと言ってんだ
永遠に幸せに決まってるだろう
484名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:15:47 ID:ibzsfuLx
高校生>中学生>社会人>小学生

ヤンデレヒロインを年齢層別に分けると大体こんな感じになるっぽい。

一番多いのは高校生で主人公と同じく2年生。
次点で1年生、出会ったヒロインと幼馴染の確執が起こりうる。
中学生ではたいてい、高校2年生の主人公の従順な妹や従妹。
485名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 00:24:10 ID:KJ4mT/SN
確かにこのスレ見てる限りそんな感じだな

個人的には中学生、高校生とかの良くも悪くも多感で精神的に不安定な時期よりも
ある程度精神的に成熟しているヒロインが病んでる方が落差があって好きだな
486名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 01:08:51 ID:ibzsfuLx
選択肢によってゲームオーバーになるというFC美味しんぼ並の人生を男に

ヤンデレ「やっぱり、アンコウさんより私の方があなたにふさわしいよね」
男「アンキモアンキモアンキモ…」
487名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 17:28:24 ID:47p0nZHi
 あるところに仲の良い姉弟がいました。姉は今年十七を迎えるムチムチJKで、弟は今年十歳になろうかと言う年齢一桁の小学生です。
 元気が有ってサッカーが好きで、だけれども背が小さく女の子みたいな顔と声の、そんな弟……舞人(まいと)を姉は家族として愛していました。
 しかしそんなホノボノとした日は、前振り無く急に終わりを告げるのです。
 姉がハンバーグを作りながら、サッカーの試合からマイトが帰宅して来るのを待っていると、玄関の開く音が響き、ぐずるような泣き声が聞こえてきました。
 急いで玄関に駆け付けると、マイトが涙ぐんで立ち尽くして居るのです。
 サッカーのユニフォームはビリビリに引き裂かれ、太腿からは白濁とした粘液が泡立って垂れ落ちています。
 姉は弟の手を引き、脱衣所で服を脱がせ、自分も裸になると、程よい温度のシャワーを頭から浴びせ掛けました。

 今から一年前……増える痴漢被害を重く見た政府は、電車を女性専用車両と男性専用車両に分けた。
 結果、男性から女性への被害は無くなったが、その代わりとして可愛らしいマイトが痴漢されてしまったのだ。
 満員電車の中、半ズボンをズリ落とされ、イライラと性欲の溜まったサラリーマンに囲まれて、幼い尻穴をギンギンに反り返った肉棒で中出しファック。
 S字結腸まで深々と突き込まれ、代わるがわるハメ回され、口にも一杯に咥えさせられて喉まで犯された。
 何度も熱いザーメンを注がれ、勃起したペニスを扱かれて、健康的に日焼けした肌を白く汚されたのだ。
 姉は唯々、弟の身体を洗うだけ。温かなシャワーで少しずつ、少しずつ。
 髪を、顔を、首を、胸を、腹を、足を、そして……
「お姉ちゃん、ココもぉっ」
 自ら拡げて見せる、大量の精液が逆流して来るアヌスの中も。
 姉は左手にシャワーを持ってソコに当てながら、右手の人差し指を差し挿れて掻き出して行く。
 こびりついた汚液を剥ぎ取るように、敏感に腫れた腸ヒダを引っ掻くように、指をくの字に曲げてゴリゴリと出し入れする。
「あぅっ、おねえちゃ……ゃあぁぁっ」
 するとマイトは切な気に声を上げ、身体をよじらせて指から逃げようとした。
 前立腺から連結する刺激に小さなペニスを固くさせ、甘い悲鳴をバスルームに響かせる。
 この声が、姉を狂わせた。指を締め付けて離さないアナルが、姉をオカシクしたのだ。
 痴漢だけズルイ。男だけズルイ。今まで見た事の無い弟の表情を見れるなんてズルイ!!

 姉は弟を愛していた。
 家族として愛していた。
 だが……

 こんなに苦しいのなら、
 こんなに悲しいのなら愛などいらぬ!!

 まさに世紀末、
 世界は、核の炎に包まれた!!
488名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 18:09:59 ID:wUIgw3XD
GJをだしたかった、けど……

そのオチは全くいらない。
酷い二番煎じにも程がある。

おふざけとかいらないから、一度くらい真面目な短編、書いてくださいよ……
なにかどす黒い話が仕上がりそうなので、期待しています。
489名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 19:49:00 ID:OTz3oPji
なんという二番煎じオチ…

やっぱり痴漢はスーツを着たマッチョなモヒカンたちなのか……ってヤンデレ関係ねえッ!!
490名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 22:01:57 ID:fwk/KRxY
じーじぇい!
491名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:39:23 ID:Kdva4D8Z
>>487
こうゆうのも好きなんだけどさ、
出だしで期待してしまう分だけ、オチでへこんでしまう。
492名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 02:40:46 ID:ZkUJ8LNB

・・・カタカタ・・・カチッ・・・(私はいつものようにネットのファッションサイトを見ている)
妹「今日は、なんか収穫ないぁ・・・いい服でないかぁ・・・このスカート・・たかーい・・・ねっ、お兄ちゃん!」
そういいながらパソコンモニタの右下にあるWebカメラの画像に問いかける・・
その画像には一人の男の子・・・そう、私のお兄ちゃんの映像がライブ形式に流れている。
部屋の天井に設置されてるのであろうそのカメラに本人はまったく気が付いていない・・・
(・・・だって私がこっそり設置したんだもん・・・)思わずよだれが出そうになる。

・・・ん、おにいちゃんしちゃうの??ん?出したいのぉかなぁ?
画面に問いかける
画面の中の男の子は机の方に向かい、引き出しを開ける・・・・
そして・・・一番したの引き出しを取り外し、その裏から1冊の本を取り出す。
妹「そっか、出したいんだね・・・いいよ♪」
・・・カチッ・・・
マウスのクリック音と共に●REC(録画)のマークが点灯する。
妹「お兄ちゃん可愛い・・・えっ、ちょっと、今、目あっちゃったよぉ。」(足をバタつかせてしまう)
Webカメラ越しに目がたまに会ってしまう・・・
妹「イキそうなの?お兄ちゃん!・・・いっちゃうの?」
その男の子はテッィッシュの箱に手をかける
Webカメラの映像を凝視しながら
妹「1、2、3、4、5、、、5枚か、、、」ティッシュのとった枚数を数える。
すぐさま、自分の杖の上にあるティッシュ箱からから、同じ枚数を取る
そして、工作用のノリを取り出し、おもむろに染み込ませる・・
妹「今日は少ない方だねぇ・・・よっ・・・・完成っと。」さっきのティッシュを丸める。
1分後・・・
そろそろ、お兄ちゃんもキレイキレイしたいよね・・・・せーの、
妹「お兄ちゃんーお風呂沸いたよー!早く入ってーー!」
兄「うん、わかったよー」
Webカメラ映像から兄の姿が消える・・・・
妹「潜入開始♪」
席をたって、さっきの丸めたティッシュを持って部屋を出る・・・
妹「あった、あった・・・ゴミ箱に入れられたティッシュの塊と手元のティッシュを交換する」
その後、部屋の枕を一瞬抱きしめて部屋を後にする。
妹「さて、お兄ちゃんセックス、しよっか♪」
ノートパソコンをベットの上に運ぶ。
丸められたティッシュの塊を丁寧に解くと、その中心部にはべったりと精液がこびりついていた
妹「今日は五枚だから、3枚でいいかな♪」
3枚の精液がべったり付いたティッシュをもう一度丸める。
そして、それを自分のショーツのクロッチをずらし、性器にくわえさせて、もう一度クロッチを戻す
妹「あん、おにいちゃんの当たってる」
残りの2枚を鼻元にあてがう・・・
妹「お兄様の匂い・・・・」目がトロンとしてしまう・・・
そして、パソコンの再生をクリックすると、先ほどの男の子はしきりに自分のペニスをしごく映像が流れる・・・
妹「あんっ、、、お兄様そんなに強引にしないで下さい・・・」
自分の股間にくわえさせられた、精液まみれのティッシュをグイグイ、ショーツ越しに押し込む
妹「いやん・・・あんっ!、やめてください、お兄様!!」クンクン、スー・・・ハー
精液まみれのティッシュを鼻にあてがい、鼻のみで呼吸する
妹「あんっ、あんっ、あんっ・・・あーーーーーーーいやーーーー」
その瞬間にショーツにシミが広がっていく・・・・
口元から垂れたよだれを拭きとり・・・
妹「携帯に入れて・・・明日の昼休みも見ないとね♪」
・・・・そういって、携帯電話が繋がれた、パソコンの転送ボタンをクリックする・・・
493名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 03:37:33 ID:X9JBmU5j
つまんね
494名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 04:10:46 ID:fZj3FMc4
面白い話……なんだけど、アレだわ。
キモウトスレに投下して欲しかった内容だねコレ。

向こうのスレ基準なら、GJ!
495名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 04:16:44 ID:eViHsBXN
>>492
GJ
だけど途中で「お兄ちゃん」から「お兄様」に呼び方が変わってるのはどうして?
496名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 04:28:10 ID:eViHsBXN
>>494
仲間がいた
理由が上手く言えないけど自分もヤンデレスレよりキモウトスレ向きだと思った
こっちにも姉や妹のヤンデレ作品があるけど、それらと>>492は何かが違うような
497名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 08:58:15 ID:Rt+fn3DQ
他スレの基準なんて知らんがな
なんであそこの住人はここに介入してくるかなぁ
498名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 10:28:20 ID:7OfASXge
そりゃ、このスレの派生だからじゃないの?
499名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 10:54:05 ID:Rt+fn3DQ
派生じゃねえw
あそこの初代>>1がアホな理由で勝手に立てたんだ
重複だとか散々叩かれたけど続いて今に至ってる
今更消せとは言わないけどせめて余所には迷惑かけるなって話
500名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 11:08:49 ID:ZkUJ8LNB
すいません・・・やっちまいましたわ・・
誤投下してすいません・・・;;

これから、内容よく見ますわ。
501名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 11:34:36 ID:bxh+nZ6/
いやいや完全に派生でしょwww
修羅場→ヤンデレ→キモウト的なかんじでwww
502名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 12:58:11 ID:JKbbfjUi
残念だけど違う。●無料配布中だし過去ログ読めばよか。
それは別としてお互い独立したスレなんだからやっぱりそこは分けないと。
俺も色々なスレ見てるけど書き込むときはそこに限定したレスしかしないようにしてるよ。
503名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 16:27:55 ID:nHYziQh8
504名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 17:16:08 ID:R/dmVh18
電話帳で男と同姓同名の人名が並ぶ中でも、一発で分かるのがヤンデレ
505名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 17:50:13 ID:gdQpi3rT
キモ姉妹スレ住人や依存スレ住人ってやたらとヤンデレスレを敵視してるよね……
類似ジャンルなんだからもうちょっと仲良くしようぜ……
506名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 18:51:40 ID:R/dmVh18
法華宗と創価学会の関係みたいなもんだろ
507名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 19:17:33 ID:01m7+yjA
いくらなんでもその例えは酷すぎる
508名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 19:23:27 ID:au3d06f7
>>506
言い得て妙だな・・・

時系列だけ見て遡れば結局
求む嫉妬ゲームスレ見てた人たちの枝分かれだと思うがね。
例え袂を別ち、別の道を歩いていようと最初は一緒。
509名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 21:05:34 ID:gdQpi3rT
せめて耶蘇のカトリックとプロテスタントにして欲しかったZE!
向こうの方が公にコロコロしあってるし
510名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 21:17:53 ID:V9tGxkoU
だったら数的にもユダヤとイスラムとキリストでいいじゃないか
511名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 21:34:02 ID:BqkLpvfq
まあ職人もかぶってるみたいだしな
読み手としては、素晴らしい作品であるならまったく問題ない
スレ違いでさえなければ
512名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:40:51 ID:zdqniHUg
最終的には互い互いに独自でやって行きましょう。

さてなんか良いネタは無いだろうか
513名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:53:37 ID:jrVkl8eU
>>505
敵視してんのおまえだろ?
荒れる元を作るなよ
514名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:58:17 ID:gXkdOpXf
普通に両方見るだろ
昔は嫉妬スレもあって、この三つを巡回してた
515名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:58:43 ID:gdQpi3rT
敵視してない立場の俺が
依存スレの簡易まとめhtml作った時にどんだけダメージ負ったと(ry
516名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:13:30 ID:3IrTMBY5
>>514
嫉妬スレはまだあるだろ
517名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:15:05 ID:gXkdOpXf
>>516
もう死んだよあのスレは
518名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:27:41 ID:UXRHAmwz
今は一万年しかいませんけどね
519名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:31:41 ID:R/dmVh18
・小さいころから一緒だった幼馴染VS後からポッと出た同級生
・たくさんの女の子が主人公とくっつきたがるハーレム

小さな違いはあっても、学校を舞台にすると大体この2つに分けられるが
皆はどっちが好き?


 ある意味様式美となっているけど、他の女と仲良くする主人公を見て
幼馴染が嫉妬して、見えないところで物に八つ当たりするシーンは
何度読んでもいいものだ。胸がキュンとなる
520名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 23:48:17 ID:R/dmVh18
4GBのMP3プレイヤーの中には録音した男のボイスで一杯。
登下校時や勉強のときに、聞いては股を濡らす日々
       ↓
しかし、目を離したすきに男に近づく同級生に持っていかれて
音声を全部消された上にあの女の声で『いくらなんでもナシですよ。
もしかして、男くんを隠し撮りしたり部屋に盗聴器を仕掛けてませんよね?
付きまといすぎです。愛も極まってキモいです。
あなたは厄介者ですから、出来る限り関わらないでください。
イピカイエー』というメッセージが残されていた!
521 ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:04:33 ID:au4Gh5d4
短編を投下していきます。

約5レス使用します。
522しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:07:06 ID:au4Gh5d4

 声をかけたのはただ暇だったから。
 その子がよく神社にお参りに来ていたわけでも、何か特別な力を感じたわけでもない。
 その子は、その日初めて私の神社にやってきた。
 特別な力を感じるどころか、むしろとても弱々しかった。

 初めて会ったその男の子は、まだ十にも満たない年齢で、
しかも手のひらと顔を自分の涙でべとべとに塗りたくっていたのだから。
 泣き声が静かに震えていて、まるで鈴の音みたいに心地よく感じられた。

 どうしたの。なんでそんなに泣いているの? ――と、私は問うた。
 その子――この時点で私はその子に鈴と名付けた――はびくりと肩を震わせた。
 ゆっくりゆっくり、鈴が振り向く。
 どれぐらい振りだろう。
 その時、久しぶりに人間と目を合わせた。
 汚れのない子供の瞳。いつの時代も子供の純粋さは変わらない。
 純粋に泣いて、怒って、欲しがって、壊して、喜んで。

 ふと、私が純粋だったころはどれぐらい前か振り返った。
 そして、一秒もしないうちにやめた。
 無意味だ。そんなことを考えることが。
 私は純粋ではない。
 人の想いを糧にしているのだから、純粋であるはずがない。
 余所の事情は知らないけれど、きっと、神とはそういうものなのだ。
523しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:08:01 ID:au4Gh5d4
「お姉ちゃん、だれ?」
 シロ、と答える。もちろんそんな短い名じゃない。
 儀式で読まれることを前提にした長大な名がある。
「シロお姉ちゃん……? ヤシロお姉ちゃんに、にてる」
 似てる? ああ――ヤシロっていうのがこの子の姉なんだ。
 偶然出した名前がいい展開をつくった。
 少しだけ、鈴の警戒の色が薄くなった。
 けれど、鈴の纏う空気は、より悲しみを濃くしていく。
「ヤシロおね、えちゃんじゃ……ないんだっ……。
 ぇうっ…………やっぱり、お姉ちゃんは……!」
 鈴が泣く。一際大きな声で泣く。

 神――私だけかもしれないけど――にできることの一つに、強い感情を向ける人間の心を読める、
というものがある。
 人間が数十年の時を生き、どれほど知恵を付けようとも、いくら嘘を吐き続けていても、
私が人間の内面を読み違えることはない。
 断片的ではあるけど、それだけで人の気持ちを理解することができた。

 鈴の感情は、喪失による悲しみ。
 流れ込んできたのは、遠くにいる少女に手を伸ばす鈴の姿。
 少女の輪郭は明確。ということは、死んだ訳ではない。
 輪郭を無くしているのは鈴の方だった。
 ――浮かんだ鈴の姿には、両肩が無かった。
 表情はひどく曖昧。その姿は霧に隠された林のよう。
 ヤシロという少女がなにかしらの事情で遠くに行ってしまった、ということか。

 気まぐれか、人の言うところの母性本能か。
 私は鈴の肩を掴み、抱きしめていた。
 神と人が抱き合っているなんて、まずあり得ない。
 そもそも存在の次元が違う。生きた年月が違う。
 けれど、今の私は鈴より少し大きい少女の姿だから、人の目には姉弟にしか見えないだろう。
 これだけ近いと、神の力を必要としなくても伝わってくる。
「…………ぇ? お姉ちゃん……?」
 鈴の体から緊張が抜ける。
 少しだけ増した重みから、鈴が安らいだのだとわかる。
524しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:08:40 ID:au4Gh5d4
 次に私がやったことは――鈴の唇を奪うことだった。
 可愛かった。まるで、鈴が助けを求めているみたいで。
 ぶるぶる震えて、悲しみに打ちひしがれていて、何者にも抵抗できない。
 助けを待つことしかできない存在。弱い人間。
 人が問題を抱えながらも協力し合い、神に頼らない時代になってからは久しく見ていない。
 ひどく愛おしく感じられた。
 だから、神らしくもなく――いえ、私らしくもなく、独占したくなった。

 唇で、鈴の唇を優しく噛む。
 一旦離れ、また私は口づける。
 唇を合わせ、舌を這わせるたびに細かな反応が伝わってくる。
「ん……ぅ、うんっ…………ぷ、ぁ……」
 鈴は逃げない。私に身を任せ、なすがまま。
 唇と歯を舌で刺激して、侵入する。
 ぬるりとした口内は熱で満たされ、暖かい。
 鈴の断続的な吐息から、感情を読む。
 悲しみはない。ひたすらに先を求める欲があった。
 人はこういうものをなんと言うんだったか。
 わくわく?
 いや、期待も入り交じっているけどそれだけじゃない。
 興奮と混ざり合ったこれは――ああ、わかった。

 どきどきする、と言い表すんだったわね。
525しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:09:29 ID:au4Gh5d4
 鈴坊と出会ってから五年ほど過ぎた。
 鈴坊はいつのまにか私の背を追い抜いていた。
 それを気にしているのか、近頃は近くで話そうとしない。
 私が神ということは知っているから、恐縮しているのだろう。
 その心構えはいいけれど、私は面白くない。
 甚だ不愉快、とまで言ってもいい。
 そもそも、視線で見下ろすことと相手を見下すことを結びつけるのは人の常識でしかない。
 仕方なく本来の姿で鈴坊を待っていたら、さらに恐縮して距離を置くという有様。
 力のある神主でもない鈴坊じゃ、そうなるのが必然か。
 見下ろしても見上げても駄目。
 ならば、別の手を用いるしかない。

 というわけで、ある手段を実行するために、こうして神社の裏の縁側に座って鈴坊を待っている。
 これが私の考え。一週間に一回、二人揃ってここでお菓子を食べる。
 たいして広くない縁側だから、必然的に近づくことになる。
 人里の美味しいお菓子も食べられるから、私にとっては一石二鳥だ。

 日が直上から降りてくるころ、鈴坊はやってくる。
 その手にお菓子を包んだ袋を持って。
「シロ姉さーん……あ、もうここで待ってたんだ」
 遅いよ、もっと早く来なさい、と私は言う。
 手招きすると、困った顔を浮かべながら鈴坊がやってくる。
 そしていつものように、できるかぎり距離を置いて腰を下ろす。
 これが鈴坊のよくないところ。
 並んでお菓子を食べようと言っているのに、私から距離を置く。
526しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:10:43 ID:au4Gh5d4
 そんなことをしたら私がどうするかわかっているくせに、いつも同じ事を繰り返す。
 鈴坊には、お仕置きが必要だ。
 ……もしかして、お仕置きしてほしいのだろうか。

 それならば話は早い。隅に寄って座る鈴坊との距離を詰める。
 満面の笑みを浮かべ、しかし目は鋭くして。
「ちょ、待ってシロ姉さん! 僕は姉さんを避けているんじゃなくって、
 神様に慣れ慣れしくするのは失礼だと思って!
 だからもう、アレは…………」
 だーめ、とだけ言って、私は鈴坊の頭を掴む。
 この時点で、ちょっと前なら顔を真っ赤にしていたのに、今日なんか露骨に嫌そうな顔をする。
 だけど関係ない。私は今日もまた、鈴坊を引き寄せて唇を奪う。

 鈴坊がやっぱり男の子なんだな、と思うのはこの瞬間。
 初めて会って口づけをしたときと同じく、どきどきしている。
 次第に衝動が大きくなってきているのも感じ取れる。
 共に過ごした年月を重ねるごとに増していく。
 この瞬間だけは、鈴坊も私を女として認識するらしい。

 ただし、一瞬だけ。
 それを過ぎれば私のお仕置きが本格的に始まる。
 鈴坊はなんとか私を引きはがそうとするが、もう遅い。
 唇を重ねたところで、私のお仕置き――活力の吸引が始まっている。
 吸引が始まればその間対象は動けなくなる。私の方から離れるまで。
 鈴坊が意識を失う寸前のところで、唇を離す。
 途端にバランスを崩し、鈴坊は倒れた。
 今日は運悪く縁側から滑り落ちた。
 顔面から落ちたけど――いいでしょう。その方がお仕置きになるもの。

 鈴坊の持ってきてくれたチョコレイトをかじりながら、いつも考える。
 お菓子と、鈴坊の活力。
 私はどっちを目当てにして、この縁側で足をぶらぶら遊ばせているのだろう?
 そして、毎日来てくれるはずがないのにほぼ毎日ここで過ごすのは何故なのか?

 ――くだらないわね。
 鈴坊はただの人間。私はここに祀られる神。
 いつまでも共に過ごすことは叶わず、この時もまた、過ぎてゆく時に埋没していくだけ――
527 ◆KaE2HRhLms :2009/05/08(金) 02:12:05 ID:au4Gh5d4
あと一回か二回、続きます。

「鈴坊」は「すずぼう」と読みます。「りんぼう」じゃありません。
528名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 02:35:44 ID:axCFlhEh
クールな神様が可愛いんでニヤニヤして病むの待ってます
529名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:09:01 ID:j71/dOW4
どうも皆さんお久しぶり&コンバンワ、皆のアイドル「タロキチ」です

うそですwikiの題名の無い長編5の人です

えーと…投下がものすごく遅れてしまい申し訳ない
530名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:09:44 ID:j71/dOW4
この世には、色々なヤンデレが存在する(色々と言っても、根本的な所は同じだが)
ゴイスーな能力を持っていたり、ロリロリだったり
アンドロイドであったり、身体能力がやたら高かったり
盗聴と盗撮に長けていたり、国内の有力者の令嬢だったり
ポ○モンだったり

十人十色というべきか…そんなところだ、うん

彼女ら…もといは「ヤンデレ」とはある意味、純粋な愛情表現の一つと言えるものだろう
好きな人を獲られたくない、他の女には触らせない、たまに他の女と話させないというのもある
彼女らには一定のテリトリーがある、ソレを超えない限り彼女らはいたって温厚だ
ただし、一度でも超えてしまうと「ヤンデレ」たちは行動を開始する

ま、見てる分にしては面白いが…自分だと…なぁ?

そんな素晴らしい彼女ら「ヤンデレ」に惚れられた男達は……いや、語るまい


さて、ムダ話はここら辺にして、話をコチラ側に戻そう


俺とアヤちゃんはファミレスの奥の方の席に居る
ココなら、色々と話しても他人には聞かれないだろう
アヤちゃんはというと、オーラが非常に暗い状態で俯いたままだ

まいったな…ファミレスに連れて来たのはイイが
どう、話を切り出したものか…てか何の話をすればいいんだ?

世間話?面白話?何でもいいか…

人の恋路に深入りするのはいいことではないが
ここでアヤちゃんと話をしておかないといけない
自分で言うのもアレだが、俺は鼻が利く方だと思っている
ここで話しておかないと後々不味い事になりそうな予感がする

だが、いくら鼻が利いても、話しかける言葉が出てこないとは我ながら情けない
531名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:11:25 ID:j71/dOW4

たとえ、言葉が見つかっても話の進め方にも気をつけないといけないな
先ほどの表情といい、呟きといい
アヤちゃんは「ヤンデレ」であろう…あくまで推測だが

タイプは恐らく「スタンダート型、攻撃的思考」のヤンデレだろう
このタイプは変に捻くれていない分、行動や思考が単調であり、手の込んだトラップよりも
実力行使を行いやすく、自分の……

「…タロウ君」
「はい?」

アヤちゃんに急に話しかけられて、声が裏返ってしまった

アヤちゃんから話かけてきた、脳内解説中に不意打ちをされるとは…
しかしアヤちゃんから話し掛けてくるとは考えもしなかった
なにせ、あのオーラで俯いたままなら、誰も話し掛けてくるなんても思わないだろ

今のアヤちゃんの様子は…相変わらず暗いが、何処と無く黒い感じする
何というか…こう、キレイな黒い感じじゃない、とても嫌な黒い感じ

「…タロウ君は…私の味方だよね?」
「へ?」
「味方だよね?…いつも、アっちゃんと上手くいくように手を貸してくれてたし
 味方でしょ?ねぇ…いつもいつも、わたしたちを手伝ってくれたもんね
 だから、私とアっちゃんの味方だもんね、だからあのアっちゃんの妹のクソ猫も」
「ストーップ!!」
「どうしたの?タロウ君?」
「味方って…そもそも、敵は居ないんじゃ…」
「何を言ってるの?アっちゃんに言い寄る女は全部敵だよね?それとも…
 それとも…私とアっちゃんを裏切るの?他の女の肩を持つの?私とアっちゃんの仲を裂くの?
 タロウ君はそんな事しない…よね?…味方だもんね?タロウ君は信用してるよ
 あ…まさかとは思うけどあんなアっちゃんにくっついてるクソ猫を擁護したりしないよね?
 もししようとしていたら…ソレはよくない事だよタロウ君、いまならまだ考えを改めれるよ?
 タロウ君は私とアっちゃんの味方、いっしょにワルモノを退治しよう?」
「…ま、まずは落ち着いて」
「私は落ち着いているよ、タロウ君のほうが落ち着いていないよ」

ごもっとも…
これで、アヤちゃんは「ヤンデレ」確定だ
確定したからといってどうという事はないが、
自分は『「ヤンデレ」の相手をしている』ということで少しは心に余裕が持てる
後は、慎重に言葉を選びつつ…とかいっても、現に俺はビビッてしまっている
先ほどの言動が証拠だ、「落ち着いて」などと何の意味も無い事を言ってしまった
532名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:12:25 ID:j71/dOW4

落ち着くのは俺の方だ…現状を把握してと

さっきのアヤちゃんの言葉からして、他の存在に対して敵対心をむき出しにしている
俺はかろうじで信用されているらしい
そしてメイちゃんへの強烈な敵対心

「こうしてる間にもクソ猫とアっちゃんが一緒にいるんだよ、アイツが無防備なアっちゃんを
 放っておくワケが無い、発情したクソ猫が何時手を出すか」
「いや…メイちゃんとアツシは兄妹で、仲がいいだけで男女のそう言ったのは無いと思うよ」
「関係ないよタロウ君、兄妹とか以前に…男と女じゃない!兄妹だからって関係ないよ!!
 あのクソ猫はアっちゃんに発情してるような悪い猫、早く駆除しないといけない
 はやくしないとアっちゃんが汚されちゃう、一刻もはやく駆除しないと!!」
「…いやだから、そういうのは無いって」
「…タロウ君ウソは良くないよ、あのクソ猫がアっちゃんがスキなの知ってるんでしょ?」
「え?いや…それは…その…」
「…知ってるよね?だから早くなんとかしないと早く駆除しないといけないのは解るでしょ
 アっちゃんが汚されてしまう…私のアっちゃんがぁぁああ!!」

やばい…アヤちゃんがヒートアップしてきたぞ
このままだと店を飛び出して、メイちゃんを駆除しに行ってしまうかもしれん
それだけは、何としてでも避けなければいけない

最悪の出来事は想定するだけで起こしてはならないのだ

なんとかクールダウンさせないと…正攻法でいってみるか?
アヤちゃんには悪いが、彼女はとてもマトモな状態とは言えない
そんなアヤちゃんに普通に話が通じる可能性は低い…

「アヤちゃん、自分の言ってる事の意味がわかって言ってる?」
「何?」
「人を傷つけるような事はしてはいけない」
「傷つけるのはイケナイ事?私のアっちゃんに手を出そうとしているのに?」
「そうだ、そんな理由で人を傷つけてはいけない」
「そんな理由??そっか…そっか、タロウ君は味方じゃないんだ…私とアっちゃんの仲を邪魔する
 ワルモノになっちゃうんだ、だったら…」
「ち、ちょっと!!ちょっと待った!!俺は2人を応援してるし、だからこそその…
 事件が起こるような事は避けた方がいいんじゃないかなー?って」
「ソレも一理あるね、あんまり目立ったら私にもアっちゃんにもよくないね、
 てっきり変な事、言い出すから裏切られたのかと思っちゃった、タロウ君がそんな事するハズ
 無いの、に私とアっちゃんの事を思うからこそだよね」

あぶないあぶない…
アヤちゃんはいつの間にか握り締めていたフォークをテーブルに置いた 
…あやうく、俺が駆除されるところだった
533名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:13:20 ID:j71/dOW4

「でも、やっぱりアっちゃんに近づいてくるクソ猫共は駆除しないと…」

またもや駆除理論を語り始めたアヤちゃん
聞くフリをして、少し頭をスッキリさせよう

脳内のキャパに少し余裕が出てきたところで、考えよう
何故アヤちゃんが「ヤンデレ」となってしまったのか
「ヤンデレ」は比較的何か過去に大きな
人間の性質を変えてしまう位の出来事がありソレがトラウマとなって
「ヤンデレ」と化す…たまに例外はあるが
アヤちゃんについては彼女の人生は俺が知る限り、今まで何も問題は無いはず
トラウマと言えるモノもなし
「ヤンデレ」になる条件が整って無い…あくまで俺の持論だが

とすれば…危険だが「押し」で行くか

「なぁ、アヤちゃん?」
「何?」
「もしアヤちゃんがメイちゃんを駆除出来たとする、そしたらアツシはどう思うだろうな?」
「どう?そんなの決まってるよ、アっちゃんは感謝してくれるハズだよ!」

決まってる…か、だが怯んではいけない「押し」だ

「警察はどうする?それにアツシの親御さんたちは?それにアヤちゃんの親御さんだって…」
「そんなのは関係ないッ!!関係ないのッ!!」
「関係ないワケないだろ」
「私はアッちゃんだけ居ればイイのッ!!他の奴等はいらないッ!!関係ない!!」
「そんなの許されるわけ無いだろ」
「関係ないって言ってるでしょ!!私は…アっちゃんが」

ああ!!もう!!ラチがあかない!!

「このッ…バカヤロウ!!」

―パシィィ

「我侭いってんじゃねぇよ!お前一人の勝手で皆を不幸にすんのかよ!そんなの許さねぇ!」
「ッ………」
「アツシはそんなことされても絶対喜ぶはずがねぇんだよ!アイツはそんな人間じゃねぇ!!」
「・・・」
「だからよ……あ…」

………我に還る…………もしかして、俺ってばやっちゃった?
534名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:14:01 ID:j71/dOW4

現状把握!!…頭をクールダウン!!
右手には嫌でも人を叩いた感触がのこっている
俺の右手はアヤちゃんの左頬を、結構強めにビンタしてしまったようだ

熱くなって、つい手が出てしまった…最悪だ
この程度で感情が爆発するなんてガキか俺は…最低だ
ココが奥の席でなかったら大変なことになっていただろう

アヤちゃんは叩かれた方の頬に手を当て、目に涙を浮かべて
俺をまっすぐ見つめてこう言った

「でも…でも…それでも、私はアっちゃんがスキだから…」

と、

ものすごく気まずい…全身から罪悪感がじわじわ染み出してきた

アヤちゃんはポロポロと涙を流しながら

「私は、アっちゃんと一緒に居たいだけなのに…」
「アヤちゃん…えっと…叩いたことは謝る…ゴメン」
「ううん…いいよ、私が悪いの…タロウ君の言ってる事は正しいよ、正しいけど…
 気持ちが抑えられないの、頭では理解してるのに、
 アっちゃんが他の人に取られるかと思うと…気持ちが抑えきれないの」
「でもさ、抑えきれないからって人を傷つけるのはダメだ」
「・・・・・・・・・」
「あのさ…何て言うか…もっといい別の方法があるはず!」
「…・・・・・・」
「ほら例えば…ええと…いや俺も協力するからさ!2人が上手くいくように!!」
「…うん」

アヤちゃんがすっかり大人しくなった、変なオーラも無し!
コレは「押し」が成功したということなのか?
まぁ・・・多少想定外なコトが起きたが、
結果オーライということで、ああ…罪悪感が押し寄せる…
535名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:16:34 ID:j71/dOW4

「さっきはマジでゴメン」
「・・・・・・・・・」
「お腹へってない?…お詫びに奢るから…何か食べる?」
「…ハンバーグ」
「りょーかい」

食事を済ませたあと俺はアヤちゃんを家まで送り届けた
道中では叩いた事を何度謝った事か…10回以上謝ったな
最初は暗い表情だったけど、俺がバカしてるうちにいつもの表情になり
アヤちゃんの家に着く頃には普通に笑ったり、話したりできた

別れ際に

「今日は…えーと…その…助けてくれてありがとう」

の言葉と最高級の笑顔を貰った、俺には勿体無いな…

さぁて…

自宅近所の公園に立ち寄り、自分以外はこの公園に誰も居ない事を確認する
ベンチに座り携帯を取り出し電話をする、相手?相手はもちろん・・・・・・

「オイーッス、何用だタロウ」
「よう、アツシ…実は話しがあってよ、俺んちにの近くの公園まで来てくれ」
「えらくテンションが低めだな!街でなんかあったか?」
「ちょっとな」
「らしくないなタロウ、まぁいいか…すぐ向かう」
「おう」

ふぅ…やっぱ色々と話しておかないとダメだろ
アツシに話しておけば最悪の事態は避けられる可能性は上がるだろう
それでも………ダメなときは俺が意地でも何とかしてやるさ

俺は自分の中でそう覚悟を決めた
536名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:20:00 ID:j71/dOW4
とりあえずココまで…続きはまた後ほど

う〜ん、病み部分が足りない
なんだかなー色々試したけど中途ハンパな感じになってしまった…
537名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 04:21:29 ID:tn1O5zmz
>>527
GJ
538名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 04:29:31 ID:AMtp9lkL
>>527
誰かと思ったらヤンデレ家族の作者さんじゃないかwお帰りー

>>536
いや、十分病んでると思うぞ
しかし主人公苦労人だがアホだなw
539名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 08:12:39 ID:1AH3D75L
>>527>>536
うほっ
良いSSが2本も来てた
まじGJです


>>537
そういう露骨にスルーする事はやめような
540名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 09:23:53 ID:Akw29Vti
え、このスレスルーも禁止になったの?w
541名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 11:39:12 ID:KQxPJtOI
禁止はないんだろうが
書き手が折角書いてくれた直後にスルーすんのはどうかなーとは思うな
長々と感想きっちり書いていて、とかならまぁわからなくはないが内容もたかがGJの2文字
少なくとも俺には出来ん真似だわ
他の人はどう思うかわからんけど

付けたしみたいで申し訳ないが
>>527>>536
共にGJです
542名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 12:25:51 ID:Hz2C0A5S
時間を空けて投下することもできない作者はスルーされて当然かと
543名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 12:57:27 ID:CfHNYvdZ
そんなことよりヤンデレに萌えようぜ!
544名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 13:19:26 ID:o3yZlyRu
割り込むならともかく、時間を置くのは必要か?
545名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 14:16:29 ID:Hz2C0A5S
作者に一度でもなってみ。気持ちがわかる
546名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 17:12:56 ID:qlJyjn01
>>536
GJっす

お久しぶりです
主人公の気苦労は絶えないっすね
547名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 17:37:25 ID:5dJI1A+E
>>527
GJ、新作お疲れ様〜

>>536
GJ、楽しみにしてたので続きが見れてよかったよ
548名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:06:36 ID:DpVdtMw5
そろそろぽけもん黒がくるとおもうんだ
549名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:24:18 ID:ZY4szrXX
抽出 ID:Hz2C0A5S (2回)

542 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/08(金) 12:25:51 ID:Hz2C0A5S
時間を空けて投下することもできない作者はスルーされて当然かと

545 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/05/08(金) 14:16:29 ID:Hz2C0A5S
作者に一度でもなってみ。気持ちがわかる
550名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 22:05:07 ID:UvfrnF46
ヤンデレ家族の作者ってどこか行っちゃったの?
551名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 23:00:42 ID:THEOKtTM
まずsageろ、話はそれから
552名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 23:03:42 ID:5dJI1A+E
>>548
そうであることを切に願う
>>550
もう一度ゆっくりとここまでの流れを確かめてこい
553名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 23:03:43 ID:HlnmgsCv
このスレ雰囲気変わったな
554名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 00:58:08 ID:d0PNJzrG
一万年は今度ヤンデレスレを荒らすとか言っているけど
どうするの?
555名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 01:06:35 ID:QxdZNk/k
バックステッポ習得すればいいと思うよ
556名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 01:07:26 ID:e/yBClDm
自治厨ばっかだな
557名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 03:21:41 ID:QWcO+BsE
荒れる予感
558名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 04:06:47 ID:W9I54YWt
変歴伝が来る予感。そして今夜刺される予感…
559名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 07:38:27 ID:QDwdf54H
続きが投下されない作者の5割が刃物で刺され、3割が監禁され、1割が修羅場に巻き込まれている。
560名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 10:54:02 ID:pGU02JC1
残りの1割は?
561名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 11:33:57 ID:SXoAUTL5
ヤンデレさんと仲睦まじくしている。
562名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 13:08:40 ID:pGU02JC1
洗脳されたんですね。わかります
563名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 18:04:41 ID:TxQCkMfW
ちがうよ、ぜんぜんちがうよ
残りの1割は、ヤンデレ自身なんだよ?男君?
564 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 20:56:04 ID:aBnEldWP
投稿します。初めて推敲をしました。
565変歴伝 14 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 20:57:09 ID:aBnEldWP
別居生活四日目。
業盛の元に弥太郎がやってきた。顔は真剣そのものである。
業盛はそんな弥太郎に、白眼を向けていた。
「用事というのは済んだのか、弥太?」
その声音には、感情もなにも含まれていなかった。
「あぁ…済んだよ」
あたかも蛇に睨まれた蛙の如く、弥太郎はおとなしく答えた。
「そうかい…じゃあさっさと消えてくれないか。目障りだ」
そう言って、業盛は弥太郎から興味を失ったかの様に背を向けた。
「三郎…話があるんだ」
業盛は弥太郎の呼び掛けに無言で返した。
場の空気は、普通の人なら裸足で逃げ出したくなるくらいに悪化していた。
「確かに…騙したのは悪いとは思ってる。けど、あれしか方法がなかったんだ」
「お前は目的のためなら、親友も売れるってことか…最低だな」
「そ…そういう訳じゃ…」
「違わないさ!!!」
業盛が再び弥太郎に目を向けた。
「俺はお前等の勝手な理由だけで、あの女を押し付けられたっていうのか!?ふざけるな!!
それで今更ぬけぬけと、俺のことを舐めてるのか!?」
業盛の怒号が屋敷中に響いた。弥太郎は身を竦ませた。
「失せろ!今度くだらないこと言ってきたら…」
「言ってきたら…」の後はなにも言わなかったが、
話の前後でなんと言いたかったのか理解できてしまう。
弥太郎は俯き、そのまま業盛の部屋から出て行ってしまった。

「ふぅ…」
弥太郎が出て行った後、業盛はため息を吐いた。
業盛は許せなかった。親友が自分に嘘を付いたことを。
自分に敵対する者を半殺しにしても、なにも感じない業盛だが、
親友に裏切られたのはなにより堪えた。
もうこれ以上親友を失いたくない。これが以前に平蔵を失っている業盛の切実な心情だ。
あの時、もしも素直に謝れば許してやれたのに、弥太郎は言い訳に走ってしまったのだ。
それが業盛には許せなかった。
「これから、どうしようかなぁ…」
この日、業盛は弥太郎との関係修復の方策を考えることに終始することになった。

566変歴伝 14 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 20:58:03 ID:aBnEldWP
別居生活五日目。
ひたすら無視し続ける業盛を、水城はまったく懲りずに夕食の誘いをしていた。
業盛は水城を一瞥することもなく、黙って餌やりに専念していた。
それに怒った水城が喚き散らしながら付いてきた。
無視していると、急に水城が静かになった。
気になって振り向いてみると、水城が泣いていた。
「…どうして……どうして無視するの…?」
泣いている水城を尻目に、業盛はさっさとその場から去ろうとした。
「待ってよ!どうして!?どうして無視するの!?
私…、あんたのことが…好きなのに…、本当に好きなのに…、どうしてなの…?」
今更そんなことを言われても、ここまで来るとどうしようもないことである。
後二日で水城と別れることが出来る。
それさえ過ぎてしまえば、水城に纏わり付かれることもなくなる。
再び、静かな日常に戻ることが出来るのだ。
最近になって、これほど静かで、穏やかな日が、
素晴らしいものなのだと考えさせられるとは思わなかった。
その点、水城には感謝しているが、恩を返したい、と思うほどは感謝していない。
業盛の抱く悪感情が、水城の全てを否定するのだ。
例え水城が絶世の美女であっても、その悪感情がある限り、業盛が水城に惚れることはない。
「分かりました…。私…いや…、俺がなんであんたを無視するのか教えてやるよ」
以前の様な丁寧な言葉遣いではなく、急に粗暴な業盛のしゃべり方になった。
「あんたのその人を見下した様な態度!しゃべり方!目付き!
なにも!かもが!全て!気に入らないんだよ!
今回のこの茶番だってあんたの馬鹿親がしつこく強請るから、仕方なく付き合ってやったんだ!
じゃなきゃ、どうして俺があんたみたいな戦闘狂と結婚しなきゃならないんだよ!
なにが、本当は好きなのに…だぁ?ふざけるな!
俺はあんたのことなんかこれっぽっちも思っちゃいないんだよ!
勘違いするのもいい加減にしろ!目障りだ!とっとと消えろ!」
思いのたけをぶちまけ、さっさと部屋に帰った。水城は追ってこなかった。
567変歴伝 14 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 20:58:53 ID:aBnEldWP
別居生活六日目。
この日、水城は業盛を起こしに来なかった。
きっと今日が最後とばかりにしつこく声を掛けてくるのだろうと想定していたが、
どうやらそれは思い過ごしの様だった。
今朝はあのキンキン声を聞かずにすんだので、業盛は晴れ晴れとした気持ちだった。
ただ、業盛の清々しい気持ちとは裏腹に、今日はいつもと違い天候がおかしい。
昨日までの暑さが嘘の様に寒いのだ。
薄着でいたので、その寒さが身を震わせた。
それに、近所迷惑と思うほどけたたましく鳴いていた蝉達が、今日に限って沈黙している。
死滅したのだろうか?だとしたら明日から水城もいなくなるので安眠できる。
業盛はその程度にしか考えなかった。
餌やりを終えた業盛は、部屋に戻ると、もう一枚上着を羽織った。
多少はましになったので、朝食作りをすることにした。
いつもの水城だったら、餌やりに付いて来て朝食を誘うか、
部屋までやって来て朝食を誘うかのどちらかだったが、今回に限ってそれもない。
昨日のあれが効いたのだろうか?思い当たる節はそれしかない。
業盛は炊き上がったご飯を頬張り、ごっちゃ煮(旬の食材色々)を啜った。
水城があれで諦めるとは思えない。きっとなにか仕掛けてくる。
だが、なにで仕掛けて来ようとも跳ね除ける自信が業盛にはある。
好きでもない女に、生まれてこの方十八年間守り抜いてきた操を捧げるほど、
自分は節操なしではない。来るなら勝手に来ればいい。全て跳ね除けてやる。
漬物のカリカリ具合を楽しみながら業盛はそんなことを考えていた。
568変歴伝 14 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 21:00:09 ID:aBnEldWP
夜になった。相変わらず外は寒く、虫の声さえしない。
もしも古代の偉人だったら、この異常気象になんらかの危険を察知しそうなものだが、
あいにく業盛は劉邦や曹操の様な英雄ではない。
平々凡々の一武士を自認している業盛は、夕食を食べ終え、夜風に当たっていた。
「ふぁ〜やっぱり食後はこれに限るなぁ〜。気持ちぃ〜」
食後で火照った身体を、心地よい冷風が冷ましてくれた。
「んっ…」
背筋を伸ばしつつ、業盛は水城の部屋に目を向けた。
「結局、今日はあいつの顔も声も聞いてないなぁ…」
この時間まで、一度も接触がないのはさすがにおかしい。
水城の性格からして、あの程度で諦めるとは到底思えない。
なにか良からぬことでも考えているのではないか?…悪寒が走った。
調べてみる必要がある、業盛はそう判断した。
ゆっくりと部屋に近付き、戸を少し開けた。行灯を点けていないらしく中は暗い。
目を細めてみると、うっすらと水城は壁にもたれ掛かっているのが見えた。
どうやら、戸を開けたことには気付かれていない様だ。
だが、これでは水城がなにを言っているのかも、考えているのかも分からない。
そう思っていると、水城が懐からなにかを取り出した。そして、それをおもむろに引き抜いた。
その刹那、戸の隙間から漏れた月明かりが、引き抜いたそれに当たって光を反射した。
業盛はそれがなんなのかを理解した。水城が引き抜いたのは匕首だった。
なにをするつもりだ…?そう思った次の瞬間、水城は思いも寄らないことをした。
匕首を自分の喉元に向けたのだ。その後なにが起こるのか、業盛は瞬時に理解した。
理解したと同時に、業盛は水城の部屋に踏み込んでいた。
569変歴伝 14 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 21:01:57 ID:aBnEldWP
匕首は水城の喉元で止まっていた。
業盛が匕首の刃の部分を掴んで止めたのだ。
そのため、匕首から業盛の血が滴り落ちた。
呆然としていた水城の頬を、業盛は手の甲で張った。
「なに馬鹿なことやってんだ!」
たかだが振られただけで死のうとした水城に、業盛はそう怒鳴らずにはいられなかった。
ゆっくりと、水城がこちらに目を向けてきた。焦点の合っていない目が業盛を見据えた。
「…三郎…三郎…」
うわ言の様に呟き、水城は業盛に抱き付いた。
「うわっ!止めろ!離れろ、水城!」
必死に振りほどこうとするが、水城は抱き締める腕の力を弱めない。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
咽び泣きながら、ひたすら謝罪の言葉を述べ続ける水城。
「もう…一人は嫌だよ…私を一人にしないで…」
そう言いながら、水城は抱き締める力を強めた。
「一人?あんたには父親も弟もいるだろう?なに言ってんだ?」
必死に水城を引き剥がそうとしながら、業盛はそう言った。
「私…いい子にしてるのに…お父様やお兄様の役に立ちたいから、
強くなったのに…どうして二人とも私のことを避けるの?
私のことが嫌いになっちゃったの…。私…もしかして悪いことしちゃったの?
だから避けるの?悪いことしちゃったから避けるの?
私…謝ります…謝りますから…だから…許して…許してください…お願い…します…」
水城を引き剥がそうとした力が、弱まるのが自分でも分かった。
返ってきたのは、聞いていることとはまったく違うことだったが、
そこからは水城の心情をいくらか読み取ることが出来たからだ。
水城は寂しかったのだ。父や兄に認めてもらおうと強くなった結果、
二人はその強さを恐れて、水城を避けるようになってしまった。
自分が孤立していることに気付かないように、水城は自分の武を磨き続けて、
寂しさを紛らわせていたのだ。その結果、武にのめり込み、
家長の言う「力の狂気」に取り憑かれたのだ。
それを業盛が打ち砕いてしまったので、自らの拠り所をなくした水城は、
自分が惚れた男、つまり業盛を新しい拠り所にしようとしているのだ、と仮説を立てた。
だが、なぜ水城が強くなる必要があるのかなどは分からない。
分からないにしても、水城が強くならなければならない理由が、あの家にあるというのは明白だ。
あの父親は、水城の幸せを願っていたくせに、水城のことをまったく理解していなかったのだ。
ここに来て、業盛の心情に変化があった。
自分の仮説が当たっているのかは分からないが、水城があの家で寂しい思いをし、
その反動であの様になってしまったのだと考えると、水城が可哀想に思えてきたのだ。
業盛が持っていた水城への侮蔑や敵意の感情は氷解し、業盛の顔には柔らかな笑顔が宿っていた。
570変歴伝 14 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 21:02:27 ID:aBnEldWP
「水城」
業盛は水城に呼び掛けた。
水城は業盛の声に反応し、顔を見上げた。目の焦点は未だに合っていない。
業盛は水城の頭に手を置き、ゆっくりと優しく撫でてやった。
水城の髪は絹の様にさわり心地がよかった。
「さ…三郎…」
水城は、真っ直ぐに業盛を見つめた。
「あんたが俺にやった仕打ちは許せないが、
それだけあんたも苦しんでいたってことが、なんとなく分かったよ。
だから、今回は特別に忘れてやるよ」
「じゃ…じゃあ…」
水城の目に生気が戻ったのが手に取る様に分かった。
「まぁ…さすがにあんたと結婚をするつもりはないよ。だが、友達としてなら付き合ってやるよ」
そう言うと、水城は一瞬残念そうに俯いたが、すぐに顔を上げ、
「じゃあ…じゃあね、三郎…。友達として、一つお願いしてもいいかな」
と、言った。
「なんだ?」
「今日、私と一緒の部屋で寝て欲しいの…駄目…かな…?」
水城が上目遣いに言った。侮蔑や敵意の感情が消えた今、その表情が業盛の急所に入った。
少し悩んだが、
「まぁ…いいだろ」
と、業盛は快諾した。
『別居』生活六日目。最後の最後に、二人はやっと『同居』することになった。


夜、屋敷中が寝静まった頃、水城は起き上がり、業盛の方を見た。
そして、ゆっくりと業盛に近付いた。
完全に警戒を解いていた業盛は、水城の接近に気付かず、小さく寝息を立てていた。
水城は業盛の寝顔を見下ろした。
歳の割りに、未だ幼さを残した顔。息継ぎをするたび動く、小さな唇。
水城は堪らず業盛に口付けした。
軽く触れる程度のものだったが、二人にとっては始めての口付けとなった。
甘い、というのが水城の始めての感想だった。
ふと水城は、布団から飛び出している手に気付いた。
手には、真っ直ぐに赤い線が引かれていた。
その線は匕首を止めた時に出来た傷だった。
なにかの衝動に駆られた水城は、その傷口に舌を当て、舐め始めた。
部屋から、いやらしい水音が響いた。
「…んはぁ…、ごめん…ね、三郎…。私の…せい…で、傷ついちゃって…」
傷口を舐めながら、ひたすら水城は謝り続けた。
「でも…三郎の血を…舐めてると…、どうして…かな…、気持ちが…高ぶるの…」
意識とは無関係に、水城の手は自分の股間に向っていた。触ると、既に濡れていた。
「あはぁ…私…、三郎の血を舐めて、こんなに…感じてる…」
この時、水城は自分が心底業盛のことが好きなんだ、と再確認した。
気付くと、業盛の手は水城の唾液でベタベタになっていた。
水城は唾液をふき取ると、業盛の布団の中に潜り込んだ。
「私、もうあんたから離れられそうにないや。こうなった責任、しっかり取ってよね、三郎…」
そう言うと、水城は業盛の頬に口付けをした。
水城は業盛の匂いに包まれながら、ゆっくりと目を閉じた。
中秋の夜は、穏やかに更けていった。
571 ◆AW8HpW0FVA :2009/05/09(土) 21:05:28 ID:aBnEldWP
投稿終了です。推敲ちゃんと出来てたかなぁ。
水城はちゃんとヤンデレになってるか不安です。
あと、皆さんでよければ、その内、
変歴伝の外伝やIF物を書いてみようと思います。
では、また。
572名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 21:16:02 ID:cpT6CrEV
>>571
お久しぶり&GJ!
推敲も水城の病みも、ちゃんとできてたと思います。覚醒ktkr!

スピンオフはもう少し、作品の結末に近づいてからのほうがよいかと。
それでは、また次回の投稿を、ゆっくり待っています。
573名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 21:41:05 ID:40sbDImT
GJ

>>571
前出てきたヤンデレはもう出てこないのかな?
574名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 21:52:27 ID:yQvrLq/g
>>571
GJ!
個人的には作品が完結してからスピンオフを書いてほしい。
575名無しさん@ピンキー:2009/05/09(土) 23:28:22 ID:X3FCNfPM
同じく。そしてGJ

変歴伝はもっと更新速度が上がれば今の倍以上の住民が読むだろうな
576名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 00:45:37 ID:ivR1eQtU
GJ



中国からだと保管庫が見れない、日本はどう?
577名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 02:20:25 ID:Ii7ApMFG
変歴伝への期待が止まらなさすぎて困るGJ

>>576
やたら遠くから乙
日本だと見れるよ
578名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 10:15:39 ID:ivR1eQtU
>>577
マジですかorz
579名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 10:55:24 ID:dR5WfaLt
>>548
早く来てくれないよ5月が乗り切れないよな
580名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 18:21:06 ID:XfW97ae/
>>579
意味不明
581名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 19:17:01 ID:FnNQzLfH
まあyとtは隣同士だし
582名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 20:15:23 ID:DOKapTpz
察するってもまた優しさってもんだぜ?
勘違いするのはヤンデレだぜ?
583名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 21:49:40 ID:kGrmezSa
雌猫が勘違いするかも知れないから私以外の女に優しくしちゃダメだよ
584名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 22:29:22 ID:ivR1eQtU
>>581
TとYは隣同士とな・・・
TsundereとYandereだ!
585名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 22:37:35 ID:FnNQzLfH
まあツンツンしすぎて思いを気づかれないまま好きな人に彼女が出来て病むパターンもあるし。
見事なキーボードの配置だと感心するがどこもおかしくはない。
586 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/05/10(日) 23:19:25 ID:Fay/PfN/
次から投下します。
それと、タイトルが意味無さ過ぎたので、
『ハンゾウッ、タイマンだZE!!』→『寝取られ姉妹』に変更しました。
ですが、他の男に姉妹が寝取られるって内容では無いです。
587『寝取られ姉妹』その2 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/05/10(日) 23:21:35 ID:Fay/PfN/
1
 気温が籠り、湿気も篭る、不快指数だけが募るリビングの中央で、白雪姫が静かな寝息を立てる。
 ソファーへ横たわり、ハーフジーンズと淡い青色のタンクトップを纏い、男の俺と同等の身長と、腰のラインまで伸びたサラサラな黒髪を持つ、早乙女 献身(さおとめ けんしん)。
「相変わらず、綺麗だよな……」
 スーツに着替え、ミツヒデの部屋からプリントを取って内ポケットに入れ、水でも飲んで行こうとキッチンに来たらケンシン姉さんが見えた。
 初恋の人で、だけれども俺が三回告白しても駄目だった、今でも憧れの女性。
「俺には、勿体ないなっと」
 レースのカーテンを閉め、エアコンのドライを点ける。そしてタオルでも掛けてあげようとケンシン姉さんを見たら、その先のテーブルに指輪が乗ってた。
 中学一年の頃、初めて告白した時に右手人差し指へ嵌めた五千円の安物で、サファイアを似せた青いガラス細工の、俺が買えた精一杯。
 結局はフラれたけど、気に入ってるのか未だに指輪は付けて貰ってる。当時は間違ってて別な指にしちゃったけど、本当は……
 子供とは付き合え無いって三回もフラれたけど、ミツヒデとの責任を取らなくちゃイケないから二度と言わないけど、寝てる時にしか言えない卑怯な俺だけど、ずっと、ずっと。
「ケンシン姉さん」
 指輪を手に持ち、眠れる白雪姫の前で跪いて、お腹の上に重ねられた左手の薬指に……

「ずっと、好きでした」

 最後の告白を添えて、ガラスの指輪を嵌め直した。
 きっと俺の顔は真っ赤になってるだろう。三年前の俺と同じく、目の前でパッチリと瞳を開ける、ケンシン姉さんと同じように。
 って、はっ? 何で起きてるんだ!? 慌てて指輪を外そうとしても、手を握り締められてはどうしようも無い。
「ふふっ、オチてしまいそうだよオトウト。だがダメだぞ? お前が大人になるまで……十八になるまでは断ると決めてるんだ。一応は会社の社長が、未成年と付き合ってました……では示しがつかんからな。後一ヶ月だ、我慢できるだろ?」
 姉さんは上体を起こし、切れ長の目を細めて、俺を見上げて優しく微笑む。
 嬉しそうに頬を染め、四度目の告白すら断って。
「子供とは付き合わないって言ったじゃん」
 だけど、
「んっ? 可愛いなオトウトは、まだフッたのを根に持ってるのか? だ、か、らっ、こうやって……お前が大人になるのを待ってるんだろ?」
 だけど、
「好きな人も居るって」
 だけどっ!!
「そうだな、ふふっ……目の前でオドオドしてるよ」
 笑ってるけど、俺を見てるけど、そんな理由だったらっ!! 俺に、きちんと教えて欲しかった。
 そうすれば、強くいられたんだ。ミツヒデとあんな関係にならずに、仲の良い幼馴染みで居た……のに。
「ありがとう姉さん。でもさ、その指から指輪は外して貰えないかな? もう、告白とかしないからさ」
 高校卒業したら話すから。ミツヒデの事はきちんと責任取るから。俺が幸せにするから。
 だから姉さん……そんな悲しそうな顔しないで。
588『寝取られ姉妹』その2 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/05/10(日) 23:22:34 ID:Fay/PfN/
2
 リビングの中、ソファーへ腰掛けてエアコンの風に髪をなびかせ、細めた瞳と眉で俺を見据える。
 微動もせずに、言葉の撤回をひたすらに待つ。
「ケンシンねぇ」
 好きでした。誰もが振り返る麗顔も、誰もが羨むスタイルも、誰よりも一番近くで見ていた俺が、誰よりも一番好きでした。
 でも、ね……そんな資格はもう無いよ。ならいっそ、
「起きてるの気付いてたからさ、からかっただけだよ。男としては、とっくに諦めた人だしね」
 そんな想いは嘘にしよう。
 俺が好きなのは、俺が好きにならなきゃいけないのは、ケジメを着けなきゃいけないのは、素直に本心を伝えれない、年下の生意気な幼馴染み。
 年上の幼馴染みとは、これから先も、ずっと幼馴染みのまま。その関係は変わらない。変えちゃいけないんだ。
 俺は彼女を見下ろして、優しく、優しく、ニッコリと笑う。傷付けないようにと、別な人を好きになってと。
「オトウト……嘘は良くないな」
 それなのに、ケンシン姉さんは瞳を細めたまま、イタズラっ子みたいな笑みで口元を広げるだけ。
 何かを見透かして、核心を突く。そんな危険度最高潮の雰囲気で、言葉を、紡ぐ。

「昨日の、オナニーのオカズは誰だ? 私だろっ? 熱い声で呼び捨てにして、ケンシン、ケンシンってペニスを扱いて、私の膣内に……中出しする想像をしながらイッたのだろ?」

 硬直は感染する。真実と真言を媒介として俺へと、瞬きする間も無く発症した。
 確かにそう……だけど、中学の頃からケンシン姉さんだけど、何で知ってるのっ!?
「お姉ちゃんは、ぜーんぶ、お見通しだぞっ♪♪」
 姉さんは上目使いのまま、変わらない微笑みのまま、上体を前傾させ、両腕を俺の背中に回して組む。
 顔を股ぐらに埋めて、ファスナーの金具を唇で挟んで、
 ジジッ、ジジィィッ……
 躊躇いも無く下げおろす。
「んむっ、セックスだろオトウト? 私がさせてあげなかったから、他の女に走って、妥協しようとしてるんだろ?」
 ケンシンねぇは切羽詰まってるんだ。勘違いして、自分の身体を安売りすんなっ!!
 この際、嫌われたって良い。どんな酷い事を言ったって良い。俺はもう決めたんだから、だから、だからっ!! 実は好きでしたとか……俺の片思いを報わせないで。
「ちがうッ!! 姉さんの代わりじゃ無くて、本当に好きな人ができ……ぎぃっ!!?」
 そう、伝えたいのに。

 ぐぢゅぅっ!! ぢゅぷぢゅぷ、ぢゅっぷぢゅっぷぢゅぴゅっ、にゅくにゅくにゅく……

 背中に回された手はキツく解けなくて、
 これから起こるで有ろう出来事の魅力に勝てなくて、
 トランクスの中から外へと引きずり出されたペニスは、唾液で満たされる唇の隙間へと沈み込んだ。
「んぢゅっ、ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ!! ぢゅちゅっ、ふんん……んはぁっ!!」
 とてつもない気持ち良さが、全身の力と理性を吸い尽くす。
 姉さんが、俺のを、フェラしてる。
 美味しそうにむしゃぶり付いて、蕩けそうなぐらいに熱い、ヌルヌルな唾液で根元まで包んで。
「んふっ、私にしろオトウト。こっちだって何年も待たされてるんだ……悪いが、寝取らせて貰うぞ?」
589名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 23:23:28 ID:tom4To91
どっちみちタイトルに意味は無いんだなw
590『寝取られ姉妹』その2 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/05/10(日) 23:25:02 ID:Fay/PfN/
3
 息が荒い、熱い。俺も、姉さんも。鼓動は破裂しそうな程に高鳴って、シンクロして互いに伝達される。
「もう、呼ばないでおこうと思ったんだがな……ふぅっ、マイ・ドーリィ。久し振りに、お前のミルクを飲ませておくれ……んむっ」
 力が抜けて行く。アソコだけが別の意志みたいに固くなって、マイ・ドーリィ(お人形さん)と呼ばれた瞬間に、抵抗しようとする心が全てヘシ折れた。
 唯々、快楽の中に身を委ねるだけ。
「おねっ、ちゃん……きもち、いいよっ」
 束縛を解こうとしていた手は、無意識にケンシン姉さんの頭上へと置かれる。
 リビングに響くエアコンの音と、それを超える卑猥で粘着質な水音。

「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ♪♪」

 俺を抱き寄せ、顔を前後に動かして挿入感を演出し、長い舌を裏スジまで余す所無く絡み付かせ、ノドの奥……食道まで使った、深いストロークでペニスを扱く。
 ずぢゅぷ! ずぢゅぷ! ずぢゅぷ! ずぢゅぷ! ずぢゅぷ!
 ストローでシェイクを啜るかのよう。
 強気に吸い上げて頬張り、プリッとした唇と、柔らかな頬肉と、狭いノドの奥で、早く早くと精液を誘惑して搾り取ろうとする。
「うぎぃっ!? おねえちゃ、おねえちゃ、おねえちゃん!!」
 それぞれが全く違う刺激でペニスをドロドロに溶かし、とてつもない気持ち良さに犯され、下半身はすっかりケンシンねぇに屈伏した。
 俺は大声で叫ぶだけ。何度も謝り、心の中でゴメンと繰り返して、ミツヒデに、この人の妹に、ゴメンナサイ。
「ほらっ、いっぱい、だふぇ! わたしを……んぢゅちゅ♪ えずかせてっ、くるひまふぇろ!! んぢゅ〜〜〜〜〜っッ!!!」
 やっぱり今でも好きで、何年も想い続けて来て、ずっとオカズにしてた人と初めてできた。
 セックスじゃないけど、フェラだけど、気まぐれかも知れないから、こんなチャンスは二度と無いかもしれないから、それだったら……
「おねえちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
 ぢゅぶぶぶぶぶっ!!
 ケンシン姉さんの頭部を掴み、腰を押し出して奥深くまでネジ込む。
 イクからねケンシンねぇ!!
「んぶっ!? お、あっ、あっ……もっ、らめらぁっ、だふぇオトウト♪♪」
 イク寸前の敏感なペニスは、カウパーを巻き散らしながら咽頭を擦り上げて突き刺さり、食道のヒダ肉で締め付けられる。
 身体を小刻みに痙攣させ、見上げたまま瞳を見開く姉さんのノドに、その中に直接、何年分の想いを注ぎ入れた。
 空になるまで、ビュクビュクと精液を吐き出す度に跳ねるのが治まるまで、嚥下する動きをヤメるまで。ずっと、ずっと。
「おねえちゃ……ふぅっ、ふぅっ、ふぅぅっ!!」
 そこまでして要約、ペニスをノドの奥からゆっくりと引き抜く。
 そして要約、理性は解放されて、高まる鼓動も急速に静まり返る。
「んぐっ!? ぷっ、はあぁぁぁっ……ごほっ、凄く……興奮したろ? だから、ヤサシイお姉ちゃんにしておけ、なっ?」
 むせながらも立ち上がる姉さんを、口元から零れた精液を拭う姉さんを、冷静な頭で見守れてるんだ。
 なのに、自分が怖い。何でこんな事をしたのかわからない。
 相手は幾ら大人だって女だぞ? 力なら俺のが有るんだ、それなのに何故? 何故、手を解けなかった?
「っと、ここまでだ。私も用事が有るし、お前は授業参観だろ? 妹を……悲しませるんじゃないぞ?」
 誘惑に負けたのか? ちがうっ!!
 ケンシン姉にしてもらいたかったのか? ちがうっ!!
 俺はミツヒデを守る事だけを考えていた筈だ。
「ふふっ、浮気は許さんからな? マイ・ドーリィ」
 はず、なんだ……
591名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 23:27:51 ID:Fay/PfN/
以上です。
>>589他の男にじゃないけど、誰かが、寝取られます。
592名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 23:43:30 ID:hHxu4+o3
最近ヤンデレについて、包丁持ってりゃヤンデレだとか、気が狂ってりゃヤンデレだとか、なんか拡大ぎみに解釈して、書いている記事が多い気がするんですよ。
なんか愛についてすっ飛ばして、書いている物が多いといいますか。例えるなら、グリコのキャラメルのオマケだけ集めて、キャラメル本体に見向きもしないような
やっぱり相手に愛して貰うための、努力や過程と云いますか、純愛的な部分も必要ではないかと思うんですよ。






ところで同志よ、『パルムの僧院』にヤンデレが入っていると聞いたんで、買おうかと思うんたが、如何だろうか。
593名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 00:01:36 ID:RQeL9Rp2
>>591
いいねえ。でも寝取りとかはなるたけソフトにやって欲しい。
どうしてもやりたいって言うなら止めないけど。
まあ今回のはGJ。
594名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 00:29:33 ID:AZ9IFoW1
2年程前から、隣町に住んでる女に言い寄られてた
高校からの友達で性格は良いんだけど顔が好みじゃないから、
やんわりと付き合えないと断り続けてた
その頃仕事も上手くいかず、悪いことは重なるもので母ちゃんが事故で死んだんだ
同情だけは絶対にされたくないから、
母ちゃんが死んだことを誰にも言わず一人で落ち込んでた
母ちゃんが死んだその日の夜、その女から電話が
「お母さん亡くなったらしいね・・・。」
「・・・」
「今まで言わなかったけど、私もお母さん死んだんだ・・・
昨日だよ。家の階段から落ちたんだ・・・」
「・・・え?」
「・・・一緒だね」

・・・この一言で救われた様な気がした。彼女なら分かってくれると思った
同情なんていらないと思ってた。ただ甘えたかったんだ
抑えてた感情が一気に溢れ出し、大の大人がわんわん泣いちまった
そんな俺の醜態にも、彼女は一緒になってわんわん泣いてくれて、
いつしか彼女のことが好きになってた
これが俺と嫁のなれ初め
595名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 00:59:18 ID:MWyNttOy
階段から落t…
596名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 01:56:11 ID:gFUX6PVl
>>592
ヤンデレは献身的なイメージがあるよな。
自己中心的な奴にはメンヘラという単語があるんだから
そっちを使うべきだと思う。

特に某ラノベのヒロインとか。
597名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 02:48:58 ID:Xpll2m11
今日、高校時代の友人三人と俺の四人でサバゲーを実施した。土と草の香りがする同窓会になった。
「小ネタ、狩るものと狩られるもの」

五月某日、俺は同じ軍オタで世界史教師をやってる奴と、大手銀行の外回りやってる奴と何かの自営業やってる奴に誘われた。
俺は、陸自に二年間勤めていた。そんな高校時代の四人はサバイバルゲーム会という形で再会した。
そして、彼女にその事を電話で伝えてから出発した。彼女の疑心暗鬼ぶりを俺はナメていた。
89式小銃で藪を潰していくと、自営業がヒットした。あと残りの一人を狩るだけで2対2のゲームは終わる。
そして世界史教師の襲撃にペアの外回りが戦死し、一騎打ちになるも、世界史教師の声が聞こえなくなった。
代わりに彼女の声が聞こえた。どうやら俺はつけられていたらしい。家に置いていたAK-47片手に歩いてくる。
「何処に居るんですか?そんなにお友達の方が大事なんですか?
やっぱりわたしを家政婦程度にしか思って無かったんですね。
それとも私以外の女と付き合ってるんですか?」
怖ェ!なんか言ってるが意味分かんねえ!教師の鉄帽の塗料が銃床(ストック)にこびり付いてるのは何故?
    
598名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 03:13:03 ID:Xpll2m11
「やっぱり監禁」とか何とか不穏な言葉が聞こえてきた。
本当の意味での生存戦略(サバイバル)が始まった。
岩の陰をほふく前進で進み、防衛線に着いた時に、友の無惨な様を見た。
教師、外回り、自営業は首を殴られ気絶しており、塹壕に詰められている。
その時、砂利を踏む音が近づいてきたので逆の方に駆け込んだ。
すると今度は二方向から足音が聞こえてきたので藪に飛び込み伏せた。
「お義兄ちゃーんはここですか〜!お姉ちゃん、この足跡新しいよ。」
三姉妹総出で山狩りかよ!下山しようにも通路は封鎖、三人もあのまま埋められてしまうかもしれない。
次女が藪を鎌で刈り始めたので俺は西側下山口方向に逃げることにした。
三女が飼い犬のペリーを放った!あいつ頭いいから追ってきてる!カンパンとジャーキーを投げ捨てて時間稼ぎをする。
さあ街まで後20m弱!前には誰もいな…
「お家にお邪魔してます。帰りましょうか?ねえ?あの子達には陽動お願いしたの。」
さすが俺が好きになった女の子だ。戦術には長けていたようだ…
縄で縛られて連行された男の消息は未だ分からない。 
599名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 11:34:38 ID:mtoP+H2P
ヤンデレな彼女に看病されたい。
600名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 12:57:23 ID:gibMJZ2Y
「布団より人肌で温める方が良いんだよ」と突然服を脱ぎだし全裸凸してくるヤンデレ
601名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 13:25:37 ID:DYQPalh3
治らなければ一生面倒見てあげられる
という事に気付かれて人生オワタ
602名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 13:33:33 ID:g0xyPrvH
血塗られしソードマスターはまだなのか
603名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 14:24:53 ID:RFozKxd1
>>602
ウオオオ
いくぞオオオ!
604名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 15:05:54 ID:b2e1oU8C
作者が颯爽と登場したのかと思ったかそんなことはなかったぜ!
605名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 18:11:31 ID:RFozKxd1
ここはヤンデレ銀行。
解約しようとした常連客は皆、受付嬢に監禁されてしまう。


トム「まさか、換金に来て監禁されるとは思ってませんでーした」
606名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 18:17:42 ID:I2qUegp+
お前、それが言いたかっただけちゃうんかと
607名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 20:25:44 ID:RFozKxd1
>>606
的確すぎるツッコミに吹いた
608名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 20:50:24 ID:B1KmkO1I
今日あたりそろそろ香草さんがくるはずなんだ!
……だから裸でまってます!
609名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 21:11:58 ID:mAuHo9/R
馬鹿ヤロウ!ネクタイと靴下は如何した!
610名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 22:49:13 ID:MWyNttOy
ゼンラ
夏服でいいですか?
彼女が離れてくれなくて暑いので…
あっやめモニタわらないで
611名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:11:38 ID:odoAzr5r
>>610
なんでそんな牝猫とくっついてるのかなあ?
そんなモノより私とくっつくほうが楽しいに決まってるよね?
612名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 23:45:34 ID:OqkEbHvB
>>611
なに言ってるの?
>>610くんは私と結婚する!って言ってくれたのよ
そうよね、>>610くん
あなたが年少だった時、言ってくれたよね…?
613名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 00:18:28 ID:+yguP4GC
あれ、>>610君…
どうしてそんな娘とくっついてるのかな
どうしてそんなに楽しそうなのかな
あははは!>>610君がそんなことするわけないよね
>>610君のこと信じてるもん!
じゃあこれは夢かな
不愉快な夢だなぁ
まぁいいや私のものじゃない>>610君なんて>>610君じゃないもの
だから
           死んじゃえ
614名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 00:22:49 ID:MtCGq9Vg
>>610大人気w
615あなたのために  ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:36:26 ID:93m2XEnV
続きを投稿します。 

第二話です。
616名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 00:38:45 ID:kTNJ87XT
いいな、>>610は人気者で〜
誰も見てくれないならからここで死ぬ!!
独りほど辛いものはない…
何でもするから独りにさないでっ!!


ぽけもん黒が待ちきれないから死ぬ!!
617あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:41:20 ID:93m2XEnV
マサトくんと、マサキ先輩は同じクラブで出会いました。
当然ながら私もマサトくんと同じクラブに入ったのですが、そこで私たちが一番初めに打ち解けたのがマサキ先輩でした。
きっかけは簡単です。
マサトとマサキ。たった一文字違いの名前という事で二人は部内で話題になりました。
秋津マサトと若槻マサキ。
女性でマサキ、というのはなんだか珍しいです。
でも、マサキ先輩はその名前に負けないくらい変わった人でした。
黒髪の長身に、整った顔立ちに能面のような無表情を張り付けた、絶世の美人。
それが、誰が見てもマサキ先輩の外見を評した時の言葉です。
・・・でも、中身はまるで変なのです。
どれだけ変なのかは、先ほど見て頂いた通りなのですが・・・。
その日、私たち3人は一緒にお弁当を食べていました。
マサトくんとマサキ先輩が意気投合してからと言うものの、こうやって三人で食べるのが習慣になっているのです。
「最近、この付近で起こっている殺人事件は知っているかい?」
昼食時だというのに、マサキ先輩はそんな話を切り出しました。
この方の殺人鬼好きは本当に困ったもので、食事中だろうと何だろうと、構わず話題に乗せてこられます。
「マサキ先輩、その話、昨日も聞きましたけれど・・・?」
しかも、話題はここら一帯で起こっている、とある連続殺人事件の事なのです。
マサトくんが言うように、マサキ先輩は昨日も同じ話をされていました。
本当に先輩は殺人鬼が好きなようで、いつもこんな話ばかりされています。
「おや、そうだったかい?・・・まぁ、いい。で、その殺人事件の話なんだけど」
マサトくんは先輩の話を聞くために、私が作らせて頂いたお弁当を突く箸を止めてしまいました。
毎日、マサトくんのお母様に代わって、朝食と一緒に用意させていただくお弁当。
先程マサトくんが箸で持ち上げようとしていたおかずは、私の血液を隠し味にした卵焼きです。
血の生臭さとかは味付けで完璧に消してあるので、絶対に気づかれないのはわかっているのです。
けれども、マサトくんが私の卵焼きを口の中に入れる瞬間をこの目でしっかりと焼きつけておきたい。
そう思って、マサトくんがお口に運ぶのをドキドキしながら見つめていたのに。
いまや、マサトくんは私が作ったお弁当などすっかり上の空で、マサキ先輩のお話に聞き入っています。
618あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:45:27 ID:93m2XEnV
・・・仕方が無いので、私は自分のお弁当を片づける事にしました。
「と、言う訳で氷室さんも気をつけた方がいい。特に夜道は危ないからね・・・氷室さん?」
「えっ・・・?」
突然、マサキ先輩に声をかけられて、私はびっくりしてしまいました。
思わず、掴んでいたミートボールを床に落としてしまいます。
「ああ、もったいないな。折角の美味しそうなミートボールが台無しだね。何か考え事でもしていたのかい?」
私は転がったミートボールを、ポケットから取り出したティッシュで包み、拾いあげました。
別に大好物と言う訳でも無いのですが、確かにもったいないです。
それにしても、マサトくんがマサキ先輩とのやりとりに夢中で、私のお弁当を食べて頂けない。
その事で、考え事をしていたなんて、とてもお二人には言えません。
「ごめんなさい。ちょっと、ぼーっとしていたら、突然声を掛けられてびっくりしてしまいました」
「そうかい。じゃあ、先程の話は聞いていなかったようだね?」
マサキ先輩は、相変わらずの能面のような無表情でそう言われました。
正直、怒っているのか、怒っていないのか、私では何も読み取れません。
もしかして、マサトくんなら、先輩の喜怒哀楽が手に取るようにわかるのでしょうか?
「ごめんなさい。聞いていませんでした。・・・それで、どのようなお話だったのでしょうか?」
本当の事を言えば、私はマサキ先輩のお話は、オカルト的なお話ばかりで苦手なのです。
けれど、このままお話を無視するわけにもいきません。
マサキ先輩のお話を聞いていなかった私が悪いのですから。
私は先程のお話をもう一度お聞かせ頂く事にしました。
「ほら、最近さ、大学生の女の人が殺される事件が続いてるだろう?・・・僕らは高校生だけど、気をつけた方がいいって話をね?」
意外な事に、答えてくれたのはマサトくんの方でした。
しかも内容は最近、近所で横行している殺人事件のお話。
マサトくんのおっしゃるとおり、私たちの街では女子大生が定期的に喉を切り裂かれて惨殺される、という事件が起こっていました。
「私の安全を心配してくださったのですか?ありがとうございます。・・・それなのに聞き流してしまって・・・本当に申し訳ありません」
私はマサトくんとマサキ先輩、二人に向って深々と頭を下げました。
まさか私の身の安全を心配していただいていた、なんて。
それなのに私は、マサトくんが私のお弁当を味わってくれない事に・・・嫉妬、していたなんて・・・自分が恥ずかしいです。
619あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:48:12 ID:93m2XEnV
「そんな大げさに謝らなくても。本当にミクは丁寧なんだから」
そうは言うものの、最近付近で起こっている連続殺人の被害者はみんな歳ごろの若い女性なのです。
私も両親から常々気をつけるように言われておりますとおり、いつ被害者になってもおかしくありません。
ですから、その事を気にかけてくれたお二人を無視していたのは、非常に良くない事です。
・・・ふと、マサキ先輩を見ると、私の方をじっと見つめておられます。
能面のような筈の表情のマサキ先輩の口元が、心なしか吊り上っているような気がします。
なんなのでしょうか?どうして私はこの方に見つめられているのでしょうか?
「フフフ・・・相変わらず氷室さんは面白いなぁ。マサトもそう思うだろう?」
「マサキ先輩、私の何が可笑しいのでしょうか?」
よく分からず人から笑われるのは、決して心地の良いものではありません。
思わずマサトくんを見てしまいましたが、彼の顔はマサキ先輩に釘付けで、何も窺う事が出来ません。
それどころか、マサトくんのその表情を見て、私の心は張り裂けそうになってしまいます。
どうしてなのかは・・・わからないのですが。
「いやいや、馬鹿にしているつもりは無いんだよ。ただ、君のその言葉使いと態度・・・いくら聞いても中々慣れるものじゃないね。・・・いや、微笑ましくて結構なんだが」
「うーん。僕はミクのこの性格は昔からのものなんで、全然違和感無いんですが、流石に先輩はありますか?」
なるほど、どうやら私のこの、ですます調の事を言ってらっしゃるようです。
マサトくんが言っているとおり、昔から私はこのですます調に丁寧語なので、今更変える事が出来ないのです。
子供の頃はマサトくんしかお友達が居なかったので、自分の喋り方がおかしい事に気が付かず、両親からもこれと言って指摘も無かったので、今に至るのです。
「うん、もう凄い違和感があるね。最初はなんて他人行儀な娘かと思ったよ。いやはや氷室さんを見ていると楽しいなあ」
マサキ先輩は能面のような無表情で、私には全然楽しそうには見えません。
でも、馬鹿にされている訳では無くて良かったです。
むしろ私たちと居る事を楽しんでくれているようで。
・・・余りにも無表情過ぎて、とても楽しんでいるようには見えないのですが。
「そう言えば二人は幼馴染なのだったね?」
「ええ。ミクとは生まれた時からずっとですね。家が隣なんで」
そうです、私とマサトくんは同じ病院で生まれました。
生まれた時からずっと一緒に居るので、マサトくん無しの生活は全く考えられません。
620あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:51:22 ID:93m2XEnV
マサトくんは、昔から私にとって大切な人ですから、今こうしてお世話させていただける事が凄く幸せなんです。
「なら、いざと言う時は恋人のマサトが氷室さんを守ってくれる訳だ。なら、私の忠告は杞憂だったかな?」
・・・マサキ先輩の言葉に、私は思わずピクリ、と反応してしまいました。
こ、恋人同士なんて、そんな・・・恐れ多いと思います!
私とマサトくんは所轄ただの幼馴染で、そんな、恋人だなんて・・・なれたら、なれたらどんなに幸せでしょうか?
でも、きっと、恋人同士だなんて恐れ多くてなれないけれど、だけど・・・。
マサトくんは、私を守ってくれますよね?
殺人鬼に、もしも私が襲われたら、守ってくれますよね?
だって、私たちはお互い大切な幼馴染なんですから、ね?
・・・けれど、それを慌てて否定したのはマサトくんでした。
「あ、いや。ミクとは幼馴染なだけで。・・・きっといつか僕より素敵な男性が現れて、守ってくれますよ」


私はテレビを見ていました。
テレビでは連日ニュース番組で例の連続殺人が報道されています。
剃刀の刃で被害者の喉元を一裂きして現場を立ち去る・・・。
証拠も目撃証言も無く、増える一方の被害者たち・・・。
こんな恐ろしい事が出来る犯人さんはきっと、すごく怖い人に違いありません。
「また被害者が出たそうですよ。怖いですね、マサトくん・・・」
・・・返事はありません。
だって、ここにマサトくんは居ませんから。
今頃、マサトくんはマサキ先輩と何処かに遊びに行っているのでしょう。
私は一人寂しくマサトくんのお家で留守を守っているしかありません。
だって、マサトくんのお母様にお家の事も頼まれているんですもの。
「どうして犯人さんは女性ばかりを狙うのでしょうか?」
・・・またまた、返事はありません。
家の中に、私の声がむなしく響くだけです。
今頃マサトくんは、マサキ先輩に告白して、恋人同士になっている筈です・・・。
今日、家を出る前のマサトくんは私が今まで見た事の無いくらいおめかしして、出かけて行きました。
あのとても輝かしい笑顔で告白されたなら、全ての女性は断ることが出来ないでしょう。
私はマサトくんのお部屋から持ってきた、彼の枕を左手で強く抱きしめました。
621あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:53:58 ID:93m2XEnV
マサトくんの匂いがして、とっても気分を落ち着けることが出来ます。
「なるほど、面白い考えですね・・・女性ばかりを狙うのは怨恨のせいですか・・・」
テレビでは、犯罪心理学の権威、という方が犯人像を必死に推理されています。
その方によれば、犯人さんは、女性に対し何らかの怨恨を持つ人間、との事です。
「マサトくんはどう思われますか?・・・一体誰がこんな事をしているのだと思われますか?」
・・・そうですね。マサトくんはいま、お家にいらっしゃらないんでした。
私も薄々気が付いていた事なんですが、マサトくんはマサキ先輩の事が、好き・・・・だそうです。
昨日の夜、私の部屋に思いつめた表情で、マサトくんはやってきたのです。
そして、マサキ先輩が好きだと言う事を伝えられ、どうしたら良いのかアドバイスをしてほしい、と言われました。
私は何故だか目の前が真っ暗になって、気絶してしまいそうになりました。
だけれども、大切なマサトくんが、私に助けを求めてきているのです。
それに答えない訳にはいきません。
私は精一杯のアドバイスと、励ましをマサトくんに捧げました。
マサトくんがマサキ先輩の事が好きだと言うのならば、私も全力でそれを応援するべきです。
だって、それが、マサトくんのお世話を任されている、私の義務というものでしょう?
「あ、あれ?私、・・・なんで手首から血が流れているんでしょう・・・?」
私は、自分の右手首から血が流れ出ているのに、今更ながら気がつきました。
どうして、私の手首は切り裂かれているんでしょうか?訳がわかりません。
しかも、私のすぐ傍に、血の付いた化粧用剃刀が転がっているではありませんか。
これで私は自分の手首を切りつけたのですか?
何故、そんな事をしなければならないのでしょうか。
「・・・自殺なんていけませんよね、マサトくん。私はこれからもマサトくんのお世話をする為に生きていかなくてはならないのですから。ね、そうですよね、マサトくん?」
そうです、私はこれからもマサトくんのお世話をして、尽くして生きていかなければなりません。
だって、マサトくんのお母様からお世話をする事をお願いされていますし。
何より、毎日のお世話をマサトくん自身が望まれているんですから。
ねぇ、そうですよね?マサトくん・・・。
例え、マサトくんに恋人が出来たとしても、それは揺らぐことない真実です。
私はマサトくんのお世話をする事に、人生のすべてを捧げると、そう誓ったのですから。
マサトくんに恋人が出来たのなら、お二人が幸せになる為に全力でお力添えをしなければ・・・。
622あなたのために 第二話 ◆PLalu2rSa. :2009/05/12(火) 00:56:56 ID:93m2XEnV
第二話、投稿終了です。
623名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 01:11:39 ID:OP2MAa03
どうしてもマサキ先輩の顔があのマサキを連想してしまうwww
624名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 02:32:30 ID:+yguP4GC
ふふっ>>616さん嫉妬なんか必要ないですよ
私が、私だけがあなたのことをいつまでも見つめ続けますから
あぁ、だから>>616さん
ぽけもんが投下されないからって死ぬなんて言わないで
あなたの関心他所へ向いてると考えただけで
私…どうにかなってしまいそうなんですもの

あら、そんなに怯えた顔をなさらないで下さい
私があなたに酷いことをしたことなんてないでしょう?
あなたの部屋に盗聴器を仕掛けるのも、
あなたの食事に私の体液を混ぜるのも、
あなたのまわりの雌猫を駆除するのも!
全てあなたのためを思ってのことなんですもの!
さぁ、あなたに近寄る雌猫のいない二人だけの新天地に行きましょう
あら、どうして抵抗なさるのです?
ふふふ、わかってます。あなたは照れ屋なんですよね?
普段ならあなたのその初心な仕草も可愛らしくてついつい股間を湿らしてしまいますが
今は移動するのが先決ですから…ね?

バチバチッ!

ごめんなさい、痛くしてしまって
でも、スタンガンの出力も最低にしてありますから死ぬことはないでしょう
ええ、わかってます。そういう問題ではありませんよね
ですから、むこうへ着いたらたっぷりお仕置きしてください
あらいけません、想像しただけでまた湿らしてしまいました
これも含めてお仕置きしていただかないと

二人の、二人だけの新天地で

あははははははははははははははははははははははははは!
625名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 07:32:08 ID:fYq+C9DE
>>622
ミクが健気でカワイソス

でももっと病んで欲しいと期待してしまう
626名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 10:10:30 ID:6GSILu3I
>>622
GJ!
言い聞かせるように自制しつつも無意識に自傷するミクが切ないなぁ。
続きを楽しみにしています。
627名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 12:17:32 ID:SJPPrMto
>>624
つまんね
628名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 16:01:38 ID:Brc58CwS
>>622

GJっす

ミクの健気過ぎて、泣けて来ます


マサト…無神経過ぎだわ
629名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 21:33:05 ID:QWJV5A7E
>>627
黙れ、一万年。

>>622
GJ!
何か、某作品のキャラと同じ名前だから凄い違和感が・・・
630名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 22:18:31 ID:5hqX3NM2
>>627
なんか俺、おまえのことは好きになれそうにないわ

>>622
GJ!!
新しい病み方だなw
631名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 22:25:01 ID:phADM7CR
芙蓉楓に正しくヤンデレを混ぜたらこうなりそう。
好みど真ん中です。GJ
632名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 22:28:18 ID:1zuo/+0V
>>621
なぜゼオライマー
633しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:26:18 ID:yuN2Y14u
投下します。
おそらく五レス消費。
634しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:27:14 ID:yuN2Y14u
*****

「いい、鈴坊。知らない人について行っちゃ駄目だよ。
 それから道に迷った時は下手に動かず地元の人に聞くこと。
 羽目を外して夜更かししたり食べ過ぎたりしたら、許さないからね。
 寝る前はちゃんと歯を磨くんだよ。あと、それから」
 手のひらで姉さんの言葉を遮る。
 すぐに姉さんは黙ってくれたが、眉をしかめた不機嫌な表情になってしまった。
 こういう顔を見ていると、とてもじゃないけど神様には見えない。
 ませているだけの、小学生の女の子だ。
 ……こんなこと、本人には絶対に言えない。
「鈴坊……失礼なこと考えてなかった?」
 ぶんぶんぶん、と首を振る。

「ふん? まあいいけど、そんなことより、今はこっちの方が大事。
 鈴坊、旅行っていうのを甘く見ちゃだめだよ。
 集団で旅行に行くなんて初めての経験でしょう。用心するに越したことはないよ」
 姉さんはちょっと心配しすぎだよ。それに修学旅行はこれで三回目だし。
「むっ、私が心配しちゃ駄目だっていうの?
 鈴坊はまだ子供なんだから、お姉さん的役目の私がいろいろ教えてあげなきゃ。
 あ。今、子供子供って見た目じゃ自分の方が子供じゃないか、とか思ったでしょ」
 そんなことは思ってない。
 むしろお姉さん的役目っていう方に引っ掛かった。
 年で言えばお姉さんっていうか、曾がいくつつくかわからないおばあちゃ――
「あー、なんかお腹空いてきたな−。何か食べたいな−。
 最近はご無沙汰しちゃってる、誰かさんの活力とか、生命力とか、じゅみょーとか」
 ――やっぱり僕にはお姉さんが必要だね。
「ちっ。いつのまにか余計な知恵をつけちゃって……。
 んー、でも、結構真面目な話なんだけど、活力分けてくれないかな。
 もうかなりの間ご無沙汰だよ? たまにはお姉さんの頼み聞いてくれてもいいんじゃないかなー?」
 駄目です。
「じゃあちょっとだけ。つまみぐい程度に」
 駄目ったら駄目。
「いいじゃないかー。減るもんじゃないし。
 むしろ鈴坊の体に溜まってる、放っておいたら害になる気とかも綺麗にしてるんだから、
 鈴坊にとってはいいことしかないんだよ?」
 そういう問題じゃないって。
「それに、嬉しいでしょう? 私と口づけできて」
 ……ノーコメント、で。
「ふん、鈴坊のケチ」
635しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:31:20 ID:yuN2Y14u
 僕が姉さんの執拗な誘いを断るのには、はっきりした理由がある。
 まずいんだ、姉さんと――キスをするのは。
 十六才になった僕と、ゲームに出てくる可愛い少女――見方によっては幼女――
みたいな姿のシロ姉さんがキスをするっていうのがまず良くない。

 そして、姉さんのキスは気持ちよすぎる。それが一番まずい。

 一瞬で鼓動が早まって、姉さんしか見えなくなる。
 まるで、世界に姉さんだけしかいないみたいに。
 姉さんに抱きつかれて、柔らかい唇と触れ合っていると、首から下が麻痺したみたいになる。
 それに代わって、女の子の身体を求める肉欲が暴れ出す。
 今すぐ身体を突き破ってでてきそうなほどに高ぶっていて、崖っぷち状態になる。
 そうなったら、姉さんが離れてくれるまで、我慢し続けなくちゃいけない。
 それが――何よりも辛い。
 耐えるのが難しすぎる。
 姉さんとキスしている間、いつも僕は姉さんの衣服をはぎ取りたい、
その柔らかい小さな身体を貪りたい、欲望のたけを姉さんに向けて吐き出したい、と考える。
 でも、それはできない。
 姉さんは神様だから。
 ヤシロ姉さんの代わりに姉さんになってくれた、大切な人を失いたくないから。
 姉さんのために、姉さんの誘いをやり過ごす。
 万が一またキスすることになっても、僕は絶対に我慢しきる。
 そのためにも、今回の修学旅行でひとつ大きな勝負に出る。
 上手くいけば、姉さんの誘惑に対抗するバリケードを、また一つ自分の中に作ることができるはず。

「ああ、そうそう。鈴坊、これ持って行って。
 神社の神様が直々に手作りした御守り。これがあれば事故や事件に遭うことは絶対にないよ」
 そう言って姉さんが取り出したのは、達筆な文字の書かれたお札だった。
 ……達筆すぎて最後の『加護』しか判別できない。
 その前に書いてあるのは、たぶん姉さんの本名なんだろう。
 何度聞いても教えてもらえなかった答えが目の前にあるのに、脳力不足で理解できない。
 なんてもどかしい気分にさせるんだ、姉さん。
「もし困った時はそれを両手に持って神社の方角に三回御辞儀すれば助けてあげる。
 あ、でも周りをどうでもいいものに囲まれてるときだけにしてね。
 狙いは正確じゃないから、鈴坊も注意してね」
 落雷かどでかい雹でも降らす気なんだろうか、この神様は。
「さて、ここまでやったんだから、当然鈴坊はお土産を買ってきてくれるよね。
 ちなみに、その土地の銘菓が喜ばれるから、覚えておくように」
 はいはい、っと。

 やれやれ。
 どうせくれるんなら、恋愛成就の御守りにしてほしかったなあ。
636しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:32:12 ID:yuN2Y14u
 四泊五日の修学旅行。日本国内の有名な文化遺産を見て学ぶのが目的。
 学校行事って言っても、僕たちにとっては団体旅行みたいなもの。
 勉強はそっちのけ。最初から遊んだり観光したりするのが目的だ。
 もっとも、僕にはもう一つ大きな目的があったりするんだけど。

「鈴鹿君、私こんなのヤダ……」
 暗がりの中、苅屋(かりや)さんが弱々しく語りかけてくる。
 お化け屋敷に入ってしばらく黙っていたから、退屈させてしまったかもと心配したが、
どうやら怖くて僕に話しかけるだけの余裕がなかっただけみたいだ。
「うう……なんなのここ。本で読んだ怪談なんかよりずっと……ヒィッ?!」
 突然通路に光が差した。
 光は視界全体を照らすことなく、たった一箇所だけをライトアップする。
 暗闇の中に浮かび上がったのは、和服を着た不気味な人形だった。
 顔色は真っ白。大きく開いた、血走った目がこっちをじっと見てる。
 口は大きく開いていて、歯茎まで見える。
 笑顔にも見えない。威嚇にも見えない。
 その顔の不可解さが、背筋に冷たいものを走らせた。
「いやあぁぁぁぁっ!? 出た! おばけ!
 鈴鹿君どけてどけて! 無理、むりむりむり! もう帰るぅっ!
 おかしいってココ! 絶対に本物が居るよ! 
 もっと怖かったり小っちゃかったり大きかったりするの!」
 しかし苅屋さんには僕以上にダメージがあった模様。
 腰を後ろからがっちり掴まれてしまった。
 背中で苅屋さんの震えを感じる。
 あれ、もしかして……泣いている?
「なんにもしてこないくせに、驚かすだけのくせに。
 わけわかんないよ。こんなの、作り物なのに……」
 あー……失敗だったかな、ここは。
637しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:33:06 ID:yuN2Y14u
 お化け屋敷から出て少し休憩をとる。
 腰が抜けて歩けなくなった苅屋さんをベンチに座らせ、自販機で買ってきたお茶を渡す。
「うう〜……正直、甘く見すぎてた」
 まあ、怖がらせるのがお化け屋敷の役目だから。
 でも、まさかあそこまで怖がるとは思ってなかった。
「わ、私お化けとか妖怪とか怪談とか都市伝説とか、かなり詳しいんだよ!
 たかが遊園地の施設ぐらいなら平気だろうって、思ってたのに……。
 かっこわるいわ、私……」
 その手のやつに詳しいからこそ、楽しんでくれると思ったんだけど。
 本で読むのと自分で体験するのとじゃ違うのか。
「はああぁぁぁ、あーあー、あ。
 一気に株が下がっちゃった。まさか自分でも気付かなかった弱みを鈴鹿君に握られるなんて」
 いや、気にすることないよ。
 ――むしろ、やっぱり可愛いな、なんて思ったぐらいだから。
「ふう。お茶飲んで回復。
 ちょっとリハビリってことで他のところ回ろうよ」
 いいよ、どこ行こうか?
「うーん……とりあえず歩こうか。
 アトラクションに乗ってばっかりじゃなくてさ。
 ここがどんなところだったか覚えておきたいから」
 ん、どういうこと?
「鈴鹿君と一緒に過ごした遊園地はどんな場所で、どんな空模様だったか。
 心に刻んでおきたいな、ってこと」
638しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:34:52 ID:yuN2Y14u
 遊歩道。苅屋さんの2歩後ろをついていく。
 草の手入れの行き届いた道は、良い感じに木陰になって涼しかった。
 空が青い。風がよく流れている。喧噪が遠い。
 苅屋さんと二人きりでどこかの公園に遊びに来たみたいだ。
 ずっとこの道が続いて欲しい、なんて思う。
 けど、それと同じぐらいに、向こうに見える曲がり角で終わって欲しいとも思う。
 歩道の終わりで、言うつもりだ。
 僕は苅屋さんのことが好きだ、と。
 出会ったのは中学校のクラス替えの時だった。
 都市伝説や怪談を嬉々として話してくれるときの顔が、いつのまにか頭から離れなくなった。
 友達は僕と苅屋さんが付き合っていると思っている。
 苅屋さんは否定も肯定もしない。ただ笑って、さらりと受け流す。
 それを見て、もしかして苅屋さんも僕のことを好きなのかも、と思った。
 言う決心がなかなかつかなかったが、今なら大丈夫。
 苅屋さんのさっきの台詞も後押ししてくれている。

 喧噪が近づいてきた。
 もうすぐ、苅屋さんに告白する。
 いやでも、まだ距離が――いいや、ここで言わないと後がない。
 口の中の唾を飲み込む。
 鼻と口の両方から息を吸い、吐く。
 そして、声をかけて苅屋さんを呼び止める。

 あの、ちょっといいかな、苅屋さん。 
「……………………ああっ! フライドポテト売ってる!」
 大事な話が――え?
「なんで今まで目につかなかったのかしら!
 ここのポテトはどんな味かしら? さくさくしてない湿ったポテトはお呼びじゃないわよ!
 行くよ鈴鹿君! ひゃっはー! ポテト祭りだぁーっ!」
 苅屋さんが走り出す。
 右手を掴まれている僕も一緒に人混みの中へ。
 
 苅屋さんが嬉しそうなのはいい。
 手を繋いでいるのも嬉しい。
 けど、なんだかこれは……フライドポテトに負けたみたいで、複雑だ。
639しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/12(火) 23:37:25 ID:yuN2Y14u
今回はここまで。

独白が多いとよっぽど濃いキャラじゃないとクールに見える不思議。
この話はあと二回で終わる予定です。
640名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 23:47:30 ID:nzKdyt4W
       ,;r''"~ ̄^'ヽ,
      ./       ;ヽ    逃げるやつは皆泥棒猫だ!
      l  _,,,,,,,,_,;;;;i
      l l''|~___;;、_y__ lミ;l        逃げないやつはよく訓練された泥棒猫だ!
      ゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |
     ,r''i ヽ, '~rーj`c=/        ホント 恋は戦場だぜ!  フゥハハハーハァー
   ,/  ヽ  ヽ`ー"/:: `ヽ
  /     ゙ヽ   ̄、:::::  ゙l,
 |;/"⌒ヽ,  \  ヽ:   _l_        ri                   ri
 l l    ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
 ゙l゙l,     l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
 | ヽ     ヽ   _|_  _       "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
 /"ヽ     'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄  [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/  ヽ    ー──''''''""(;;)   `゙,j"  |  | |
  _,,,,,,,,,ヽ、        ,,,,,r-'''''ーー'''|   |  | |
''"    ヽ,,___,,,r‐''''''二__    |__|  | |
          \'''"   /     ノ    | |

>>639
おお、乙、乙
641名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 00:15:11 ID:GqXXh9DQ
GJ!
おねえちゃーん
642名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 01:47:17 ID:O+85ZOlr
>>639 GJ!
苅屋さんも良いキャラしてるわぁ
643名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 02:57:56 ID:03bA+MNC
>>629
一万年さんチーッス!
644名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 03:50:05 ID:vHGiWPb8
>>639 GJ!!ところで苅屋さんもいづれヤむのだろうか?
645名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 03:58:15 ID:cdQfw97G
GJ!
シロ姉さんという存在がありながら、苅屋さんに告白しようとする鈴坊・・・。
何というヤンデレ化フラグ・・・。
これは期待せずにはいられない!
646名無しさん@ピンキー:2009/05/13(水) 12:18:33 ID:E+IZGxZk
>>639
GJ!
世話焼き&セクハラ系のお姉さんキャラシロがどんな感じで病むのか。
個人的にはお守りが何かをしでかす予感がして楽しみです。

それでは、次回を待っています。
647名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 04:00:53 ID:Qg9AAypc
先ほどヤンデレに監視されてて合鍵作られて部屋に入ってくる夢を見てしまった…本気で怖かったぜ起きたら変な汗かいて寝れなくなっちまったよ
648名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 04:37:10 ID:tNfjHBom
ヤンデレ好きなのに、何故恐怖する?
ヤンデレが忽然と消え去ったために俺の方が必死に捜し回る夢を見て、
もの凄くうなされた俺に謝れ。

そういえば以前も同じ事を書き込んだことあったな、確か。
649名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 10:59:09 ID:/pB1Qg6r
たとえ犬が好きでも、見知らぬ犬が自分目掛けて全力疾走してきたらビビるか逃げるかするだろ?
それと同じだよ
つまりヤンデレ=犬
650名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 11:03:13 ID:HpazudgO
>>650
女は犬とそう言いたいのかアンタたちは!!
651名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 12:47:54 ID:iGPG6RJB
>>650
とりあえず落ち着け、な?
652名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 17:07:14 ID:NPtzaLKX
>>650
汚らしい雌犬の臭いがする……
私はあなたとは違うわ
653名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 17:40:30 ID:taSglmns
誰か分からない彼女と学校に行く夢を見た。
何故か高校生くらいの俺が、同級生おぼしき女の子に手を引かれて登校するんだ。
右隣の席に座ってて、当時ムカついていた奴からの消しゴム攻撃を叩き落としていた。
その度に嬉しそうな顔してこちらを見るからほめるとまた喜ぶ。
ただ、クラスの仕事の伝達に来た子に過度な敵意をぶつけたりするのが困った。
一学期最後の日になって目が覚めた。酷い喪失感とよく分からない気持ちで髭を剃った。

実在しない架空の産物なのに…夢とはいえ数カ月一緒にいたから、情が沸いて電車の中で泣きかけた。       
654名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 18:25:03 ID:gktrmUcE
>>653
現実に、一緒に泣いてくれる人が見つかるといいな。

俺はもうだめぽ
655名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 18:55:37 ID:NPtzaLKX
>>653
まだあわてるような時じゃない(AA略
656名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 22:58:07 ID:marKoUHM
ぽけもんまだー
657名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 23:03:06 ID:nCOoG9SS
まだー w
658名無しさん@ピンキー:2009/05/14(木) 23:57:45 ID:NPtzaLKX
            ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'',    / 時 催 ま ヽ
             ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{     |  間 .促 だ  |
             ヽ::r----―‐;:::::|    | じ す    |
             ィ:f_、 、_,..,ヽrリ    .|  ゃ る     |
              L|` "'  ' " ´bノ     |  な よ     |
              ',  、,..   ,イ    ヽ い う    /
             _ト, ‐;:-  / トr-、_   \  な   /
       ,  __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃   `i,r-- 、_  ̄ ̄
      〃/ '" !:!  |:| :、 . .: 〃  i // `   ヽヾ
     / /     |:|  ヾ,、`  ´// ヽ !:!     '、`
      !      |:| // ヾ==' '  i  i' |:|        ',
     |   ...://   l      / __ ,   |:|::..       |
  とニとヾ_-‐'  ∨ i l  '     l |< 天  ヾ,-、_: : : .ヽ
 と二ヽ`  ヽ、_::{:! l l         ! |' 夂__ -'_,ド ヽ、_}-、_:ヽ
659名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:03:48 ID:f2crRARJ
実はヤンデレだった彼女をうっかり孕ましてしまった夢を見た
もちろん責任は取れないだろう
660名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:07:06 ID:oRZPOEyE
夢で終わらせない
661名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:08:45 ID:oz9CcuWm
>>653
お前それ洗脳だぞ…
多分お前の家のテレビには一定の間隔で一瞬だけ例の彼女が映るようになってる。
寝てる時には耳元で青春ストーリーを囁いてる。
それに泣いてしまったんだろ? 彼女を恋しいと思ってしまったんだろ?
そろそろ迎えに来るぞ…
662名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:11:54 ID:f2crRARJ
夢だったらよかったのに

なんでお腹が大きいんだ
663名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:15:18 ID:Nuqa0mgh
その昔、らーじPONPONなるゲームがあってだな……

詳しくはらーじPONPON 蹴る でググってみてくれ
664名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 00:47:41 ID:UnZ1BVKY
そういえば、高校の時に明らかにヤンデレな彼女と付き合ってたダチがいてだな
卒業してから会ってないし、連絡もないし・・・・・・

今頃、何やってるだろうかと言うか、生きてるのかな?


まぁ、あの頃はダチに同情してたけど、
今思えば。そう言う子でも、羨ましいなと思ってしまうのが、独り身の性か
665名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 01:24:48 ID:f2crRARJ
リアルにヤンデレ女が彼女だったらキレる
例えどんなに綺麗で金持ちでもいやだな

なんか従妹からメールが入ってるので明日行ってきます
666名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 12:27:27 ID:e9H03jqg
もちろん、kwsk聞かせて貰うぞ
667名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 13:27:03 ID:GqWnPG3z
俺の従姉はすごいぞ
可愛いし、頭良いし、留学もしてて英語ペラペラだ
大学は同志社

俺はギリギリFラン入った
668名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 13:29:08 ID:4gNimNiA
>>667
で、その従姉は誰かのことを愛に基づいて監禁なり監視なりしてるのか?
してないのなら帰れ
669名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 17:56:52 ID:nm1ltZyC
>>667
スペックは重要じゃない。問題はヤンデレであるかどうかだ
ただの人間には興味ありません!監禁、惨殺、薬物投与も辞さないヤンデレだけ紹介しなさい!
670名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 18:14:02 ID:3Q1cpgDJ
>>667
そんなエリートスペックでヤンj人いるのか
671名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 20:02:24 ID:pLueogsZ
ふ、読めたぜ
>>665は明日には帰らない人になってるな
672名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 21:34:16 ID:Lr//bIaS
え?帰れない人?
673名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 01:04:00 ID:H169ExCz
少し過疎るぐらいが調度良い、って本当だね
674名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 15:38:05 ID:23TFuJiQ
>>627
頭のどっか打ちでもしたのか?
675名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 17:03:35 ID:DiNd2gnh
ぽけもん黒まだー
676名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 18:39:46 ID:6FykAkwG
>>675
おまいは作者をヤンデレから奪還する大変さを判っていない
677名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 18:53:41 ID:XFDFh/Zn
誰か素直クールな後輩がヤンデレになっていくさまを書いてくれる人はいないのか
678名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 19:20:44 ID:2n2Nz2TJ
誰か俺を愛してくれるヤンデレはいないのか
679名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 20:12:58 ID:jMSJBQ3F
俺が愛してやるよ
680名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 20:21:20 ID:2VAjZAMM
>>677
素直クールとはちょい違うが書いてる最中だわ。出来上がって投下するか消すかは出来次第
681名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 22:00:12 ID:H169ExCz
お前が書け、と言ってやってくれ…
682名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 22:28:35 ID:2VAjZAMM
>>681
すまねぇ、普段ならお前が書けと言ってたところだが、ちょうど書いてる最中だったもんでな。
683名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 23:48:57 ID:esXG5yjZ
久しぶりに来たんだが、ヤンデレ家族は完結したの?
684名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 23:57:57 ID:dGNMeqh+
宅浪の俺にはぽけ黒がオアシス
685名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:11:28 ID:PMqvIwUQ
>>683
作者はヤンデレに監禁されてるらしいからまだだよ
686名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:13:15 ID:8/Jl6Aq0
ヤンデレに逆レされたい
687名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:17:37 ID:6pi5+jHZ
ヤンデレが男を監禁して勝手に愛し合っていても、地球はいつも通り回り続ける
688名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:18:46 ID:ZxyVhMSb
>>685
そうなのか。よし、今からちょっと救出しにいってくる
689名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 00:19:21 ID:41w6/aHd
終わってない作品って結構あるんだよな…
幸せにおなり…作者さん…
690名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 10:49:21 ID:qatedcTp
知らなかった。このスレはノンフィクションだったのか。
691名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 11:04:52 ID:6pi5+jHZ
>>690
そりゃもう
692名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 14:49:45 ID:+1yg2tK+
>>688
バカヤロー準備していかなきゃ返り討ちだ
……いや、準備しても勝てるかどうか……。
693名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 16:50:48 ID:NGII2Av3
実はね、私が本当に手に入れたかったのは作者君じゃなくて>>688君、キミなんだよ
作者君を押さえておけば優しい688君のことだもん、絶対助けに来るからね
なんだか作者君に妬いちゃうなあ・・・あ、大丈夫だよ、殺してないから
エサは活きが良くないと喰いつきが悪いって言うからね

これからは作者君の書く小説にも負けない現実をあげるからね♪
694名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 17:46:10 ID:qtqL90jo
ヤンデレに対抗できるのはヤンデレだけ
一度ヤンデレに愛されたらどう頑張ってもヤンデレに愛されるしかない
せいぜい病みのベクトルが違うヤンデレに乗り変えるくらいしか
695名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 18:50:24 ID:6pi5+jHZ
>>694
無限ループって怖いな
696名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 19:22:12 ID:8/Jl6Aq0
不覚にもヤンデレにお尻を開発されちまった
もう彼女無しじゃ……
697名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 19:59:11 ID:J2fVz52M
>>696
あのエロゲ思い出すからやめろ
698名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 20:19:50 ID:hDpibfNL
緑の子ですね、わかります。
699名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 20:54:18 ID:6pi5+jHZ
一時、緑髪ってだけで地雷扱いされる原因になった、あの……
700名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 22:02:08 ID:sFHPjqvM
そうか、俺が高校の頃髪の毛を緑色に染めて周りの反応が痛かったのはそのエロゲーが原因か…
701名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 22:32:03 ID:dv/fw2TG
さすがに女装させられてケツを掘られるのは人を選ぶわな。
702名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 22:35:51 ID:NhK2OoHh
そういうのにすごくそそられるのだが
素直に巣に帰るわ
703名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 23:27:34 ID:+1XMyWOt
ぽけもんが投下されないからもうだめだ
704名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 23:44:05 ID:PMqvIwUQ
我慢ができない子にはお仕置きDEATH
705名無しさん@ピンキー:2009/05/17(日) 23:56:13 ID:ZxyVhMSb
ツンからヤンへの変化を見るとなんかグッとくる
706名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 03:45:25 ID:j+j58Dk4
つい一昨日夢でキモイオッサンにねちっこい痴漢を受けて掘られかけた夢をガチで見た俺超涙目
(本屋の中で後ろかケツ揉まれたり肛門に指突っ込まれたりして我慢してたら脱がされて入れられそうになった夢)

ヤンデレでもやって良いことと悪いことがあるんだよ!マジで震えて起きた俺にお前ら謝れ!
707名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 06:49:52 ID:wXxxW7uS
俺はアナルでも問題ない

ただし美人のヤンデレに限る
708名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 10:27:21 ID:4lYAPRtD
青い髪の子に前立腺をうりうりされたい
709名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 12:35:47 ID:FQrkvckp
>>707
同意だ、実際問題美人なら逆レイプされても犯罪にはならないよな
710名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 12:57:21 ID:ZxkbSc9Y
インフルエンザか、なんか知らんけどウィルスと一緒に俺に届いた。
ってか朝飯食ってから書き続けたの読んでくれるか?
711名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 13:09:01 ID:j+j58Dk4
>>710
アナル関係ないならどんとこい!
712名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 13:11:40 ID:ZxkbSc9Y
>>711
流れをぶった切るけどアナルのアの字も出ないwww
じゃ、お言葉に甘えて
713桜の幹:2009/05/18(月) 13:12:27 ID:ZxkbSc9Y
多分、給食費の盗難事件から始まったんだと思う。
小学校の頃、皆が親から預かってきた給食費が消えたことがあった。
発覚が一時間目の前にあるホームルームだったので、担任の教師はこの中に犯人がいると、すぐさま持ち物検査を強行した。
勿論、犯人はあっけなく捕まった。
犯人はランドセルの底にびっしりと給食費の封筒を隠していたのだ。
教師は犯人を咎め、クラスメート達は侮蔑の目で犯人を突き刺した。
「何でこんなことをしたんだ!!」
教室中に響き渡る怒号と、胸を締め付けられる様な罪悪感。
でも、咎められているのは、
「答えろ!幹也!!」
何故か、この僕だ。
それから、僕は担任に何度も小突かれ、初めて六限目まで説教された。
最後の終わりの会で皆に謝れと教師に命令され、クラスメートの前で土下座をさせられた。
ここで終わるならまだ「そんな事もあったな」なんて冗談めかして言えるのだろうけど、事の収拾はそれでは済まなかった。
翌日から、クラスメート達からの視線は変わり、陰湿なイジメが始まった。
靴を隠される、リコーダーを折られる、机が消える。
そんな事が毎日毎日続けられた。
悔しくて、悔しくて、毎日寝る前に泣いた。
教師に相談しようにも、担任にだけにはこの事を言いたくなかった。
もう担任の顔も、イジメの内容もハッキリとは思い出せなくなってきたけど、毎日毎日悔しさを噛み締めていたのだけは今でも覚えている


もう、五年も前の話だ
714桜の幹:2009/05/18(月) 13:13:01 ID:ZxkbSc9Y
「幹也君、帰ろう?」
あの頃と変わらない口調で幼馴染の石田さくらはそう言う。
勿論、僕の答えは決まっている。
「うん、帰ろうか」
教室でも、廊下を歩いていても、話しかけられるのはさくらだけ。
皆、僕の事なんか気にも留めない。
靴を履いて、校門を出ると、さくらは急に腕を絡めた。
「幹也、今日は何かあった?」
もうこれも定石になりつつある。
「何にも」
そっか、と嬉しそうにさくらは絡めていた腕にまた力を込めた。
小五のあの事件から今まで、さくらはずっと僕と帰ってくれている。
それは多分可哀相だとか、同情とか、その辺のもんが色々混ざり合ってこうなってるんだと思う。
見事なまでに社会に打ちのめされた僕にとってさくらは唯一の友人であり、
「ねぇ、幹也」
「ん?」
「今日さ、家に誰もいないんだよ」
「・・・・・」
「だからさ、今日も・・・しよ?」
唯一の関係を持てる相手だった。


「それとも・・・嫌?」
「嫌って事も無いけど・・・」
「じゃ、決まりだね」
僕が知る中で、石田さくらはかなりの美少女の部類に入る。
髪型はボブカットで、身長は僕とあまり変わらない。大きな瞳は少し垂れていて、鼻はこれ以上どうすれば可愛くなるのか教えて欲しいと

言わんばかりに通っている。唇は血色のいいまま可愛らしく定位置に鎮座。おまけにプロポーションも抜群で、何と言うか色々な意味で反

則的なまでに遺伝子の恩恵を受けている。
おかげで中学では告白された回数も凄まじかった。
仕舞いには教師からも告白されていたくらいだ。
転じて僕は何の取り得も無い普通のイジメられっ子。
小学校五年生から現在の高校一年までイジメられなかった年は無く、おかげで性格には起伏があまり無い。
一日の内、会話が成り立つのは家族とさくらだけだった。
携帯にはさくらと家族のアドレスしか入っておらず、メールの大半はさくらとだ。
いつからこんな事になってしまったのだろう?
僕は隣で嬉しそうに僕と腕を組むさくらを見てそう思った。

715桜の幹:2009/05/18(月) 13:13:33 ID:ZxkbSc9Y
あの事件の当日、僕は罰として教室の大掃除を一人でやるように言い付けられた。
ワックスを持って三階の教室まで行く途中、僕の中でまた悔しさが湧き上がり涙が零れてしまった。
下校から一時間経っても、帰れない僕は両目を腫らして、教室に戻った。
すると、
「んしょ、んしょ」
雑巾で落書きされた僕の机を丁寧に磨いているさくらが居た。
「あっ、幹也!」
僕は、腫れた両目を伏せる。
「何してんの?さくら」
「幹也の机がさ、ほら」
多分、油性マジックで書かれていたんだろうけど、さくらの必死の処置で薄められた「泥棒幹也」の文字が見えた。
「皆、酷いよ。幹也は何も盗ってないって言ってのにさ。あれ?幹也?」
僕は多分両目が痛いって言ってるのに泣いてたんだと思う。
さくらは困った顔してから、無理な笑顔を作って僕を励ましてくれた。
「大丈夫だよ幹也、私だけは幹也を信じてるから」
僕はぐずりながら、さくらはそんな僕を励ましながら、下校時間ギリギリまで掃除を続けた。
716桜の幹:2009/05/18(月) 13:14:15 ID:ZxkbSc9Y



玄関を開けて、靴を脱いで入るとさくらはすぐに僕に接吻を要求する。
いつもの事だ。そう言い聞かして、僕はさくらの唇に触れる。
「んっ」
すぐに離す。でも唇を離した直後、乱暴にさくらに頭を鷲掴みにされて今度は強引な接吻を強制される。
「んっ!?」
舌が入ってきた。そのまま僕の舌に絡めてから次は歯茎を舐め取っていく。
そしてまた舌を絡める。
そんな事が長い間繰り返されて、さくらはゆっくりと唇を離した。
「「はっ」」
互いに同時に呼吸する。さくらはそんな事がおかしいのか微笑む。
「ベタベタになっちゃったね」
さくらはそう言うと、今度は僕の口の周りを丁寧に舐めた。
よし、と言ってさくらは満足したように笑う。
「今日も、たくさんエッチな事しようね」
さくらは妖しく僕の唇を指でなぞる。
いつから僕らはこんな関係になってしまったのだろう?
さくらは肉欲のために僕を求め、僕は唯一の君を繋ぎとめるために君の肉欲を満たす。
きっと、僕がいなくてもさくらは誰でもいいんだろう。
都合が良かったのが僕だっただけで、他の理由が思い浮かばない。
でも、それでも僕は構わないと、そんな理由でも傍にいて欲しいからと、僕は君からの要求には逆らわない。
そんな僕の陰鬱な思考が、君を狂わせてしまったのかもしれない。
ごめん・・・・・さくら。


717桜の幹:2009/05/18(月) 13:14:49 ID:ZxkbSc9Y
◇◇◇
「幹也、帰ろう?」
もう私だけにしか喋らくなった彼に私はいつも通りの声を掛ける。
彼は眼鏡の向こうから、私を一瞥するといつも通り弱々しく、こう答える。
「うん、帰ろうか」
教室でも、廊下でも、彼に話しかける人は誰もいない。
着実に、そして加速していく彼の孤独に私の心はいつも醜く歪んでいく。
私は彼の孤独を演出していく、私は彼の孤独を加速させていく。
そして彼が着実に私の物になっていく。
私の色に染まっていく。
それが私を喜ばせ、満たしていく。
校門を出て、私はすぐさま彼と腕を組んだ。
彼は困ったような顔をするが、断れないのを私は知っている。
念には念を、私は彼に尋ねる。
「幹也、今日は何かあった?」
彼は悲しそうに「何にも」と呟く
「そっか」
今日も異常無し。私はそれが嬉しくてまた幹也の腕を強く抱きしめる。

718桜の幹:2009/05/18(月) 13:15:16 ID:ZxkbSc9Y
私の幼馴染、菅野幹也は昔から私の特別だった。
小さい頃から二人で近所を駆け回り、小学校低学年ぐらいまではずっと私と二人っきりで遊んでいた。
幹也はあの頃から素敵だった。可愛い黒縁眼鏡に、華奢な体。でも声も性格も気持ちいいほど良く出来てて、誰もが構いたくなってしまう魅力を持っていた。
対して私は空っぽで、私は幹也を楽しませるといる事で満たされていた
だから私は幹也と遊ぶために幹也の好きな話題を探し、幹也の好きな遊びをするために私は駆け回った。
でも、それも小学校四年生ぐらいまでで、幹也に私より面白い友人が出来た途端、幹也は私とあまり遊ばなくなった。
私はそれが面白くなくて、なんとか幹也を取り戻せないか毎日悶々としながら眠る前に考える様になっていた。
やがて、幹也は私と帰らなくなってきた。
「さくら、帰ろう」
いつもならこう言って、私に駆け寄ってきた幹也は私以外の奴と楽しそうに談笑しながら帰っていた。
私はそれを見て、脱力感と共に危機感を覚えた。
このままではいけない。
このままでは幹也が私を忘れていく。
でも、どうすればいい?
あんな奴、殺してもいいけど、殺人なんてしたら簡単に事件が暴かれて私はきっと幹也の傍にいられなくなってしまう。
もっと良い方法を、考えなくちゃ。
自分でも醜いと、冷たいと思ってしまう心が渦を巻いていく。
なんて、無様なんだろう。
幹也を思うためにこんなに歪んだ心持ち。こんな心、幹也に見せたらきっと拒絶されてしまう。
・・・・・。
・・・・・そうか。
アイツらがどれぐらい醜いか、どれだけ簡単に幹也を裏切るか、幹也に教えなくっちゃ。
そうじゃないと、幹也が騙されちゃうもんね。
幹也のために、幹也のために誰が一番幹也の事を考えているか教えなくちゃ。

719桜の幹:2009/05/18(月) 13:16:03 ID:ZxkbSc9Y
玄関に入り、私は靴を脱いだ幹也に接吻をねだる。
幹也は恥かしがって触れる程度のしかしないけど、私はもうそんなのじゃ我慢できない。
唇が離れた瞬間、私は強引に幹也の頭を掴んで引き寄せる。
唇が優しくプレスされる。
それだけで私の脳内の化学物質は変化し、甘い痺れを全身に送信する。
背中に走ったそれは、毛穴にまで分散して均等に私を痺れさせていく。
(堪らない・・・・・)
舌を、入れる。
幹也は舌を引っ込めて空しい抵抗を取るけど、そんなのはまさしく逆効果、火に油を注いでる。
私は抵抗された方が燃えるのかもしれないないよ?幹也。と内心毒吐きながら、幹也の舌を引きずり出す。
まるで絞り取るようにして唾液を飲み込むと、今度は歯茎を舐めていく。
そんな事を満足するまで続けた。
「「はっ」」
ほぼ同時に息を吸う。
私の唾液でベチョベチョになった幹也の顔に私は満足を覚えて微笑む。
「ベタベタになっちゃったね」
そう言って彼の顔を舐める。
(嗚呼、私今ものすごく感じてる)
舐め終わり。幹也は呆然と言った様子で私を見つめていた。
幹也の瞳の中には私しか映っていない。
それだけで私は興奮してしまう。
「今日も、たくさんエッチな事しようね」
私は微かに震える指で彼の唇を形に添ってなぞった。

720桜の幹:2009/05/18(月) 13:20:46 ID:ZxkbSc9Y
私が幹也の身体を求めるようになったのは小学校六年生ぐらいの頃からだった。
あの事件からすっかり幹也は人を遠ざけるようになった。
これもあの糞担任の「愛の鞭」というやつのおかげだろう。
幹也を殴ったときはPTAに直訴してやろうかと思ったけど、あれのおかげで幹也は私以外の他人に疑心暗鬼になってくれたのだから。
あの事件からまた幹也は私と登下校を共にするようになった。
それが堪らなく嬉しかった。
修学旅行の時も私としか行動しなかった幹也。
勿論、教師達が撮った写真の中の幹也は私としか写っていない。
その写真をわざわざ私は二枚ずつ買って、幹也と分けた。
幹也には私しかいないって事を教えるために。
それから私はその写真の中の幹也を夜な夜な眺めるようになるのだけれども、私はその写真を眺めるたびにムラムラとした気持ちになり、

僅かにくすぶる疼きを気にするようになった。
卒業式の前日の晩、私はついにその一線を越えた。
なぜ疼くのか怖くなった私はそこに触れてしまったのだ。
触った瞬間、感じたことも無い衝撃に体が震えた。
それからは無意識に幹也の名を呼んでいた。
写真の中にいる筈も無いのだけれども、私は写真の中で笑う幹也を犯した。
それが、私の決意をさらに明確な輪郭に決めた。
「み・・・・・きや。幹也には私がいるもん。他には何も要らないよね?ね、幹也」
多分、私はこのとき薄く笑みを零していたのだと思う。
だって、初めて少し自分の中が自分の手で埋めれたと思ったから。

721桜の幹:2009/05/18(月) 13:22:34 ID:ZxkbSc9Y
初めての幹也との情事は中学を卒業してからの春休みの半ばだった。
中学も順当にイジメ生活を送っていた幹也は勿論受験を終えてしまった春休みに私以外に遊ぶ相手なんかいる訳も無く、ほぼ毎日私と惰眠

を貪っていた。
私はこの頃から、もうオナニーごときでは満足出来なくなっていて、『幹也とエッチなことをしよう』と企んでいた訳だ。
今でも覚えてる三月二十九日。
合格発表を共に喜んで、私と幹也は私の家で昼食を食べる事にした。
家に着いて、食事を終えた直後、幹也が私の肩に『桜の花びらが着いてる』と気付き取ろうと近づいた時。次に私は、幹也を押し倒してい

た。
私を仰ぎ見る幹也の瞳には私しか映っていない。
我慢できず口が開く。
「幹也、しよ」
この頼みを幹也が断らない確証があった。
元々、幹也は人が良い性格のため、人に頼まれたら断れない性分だった。
それに、たった今幹也には家族以外に関係を持つ人物は私しかいない。
畳み掛けるみたいに私は口走る。
「それとも幹也は、私のこと・・・・・嫌い?」
断れば幹也は孤独に堕ちる。
幹也は断らない、絶対にだ。
「・・・・・」
沈黙。
幹也にも分かっている筈だ。喉元にナイフが突きつけられている事ぐらい。
「沈黙は、了解でいいって事だよね?」
私はその事を確認する様に幹也に口付けをする。
何度も、何度も。
徐々に間隔を短く、接する時間を長く、そして深く。
初めての接吻を終えて、私は呟いた。
「幹也、私がずっと傍にいてあげるから」
そう言って幹也の瞳の中にいる私はひどく上機嫌に微笑んでいた。

722桜の幹:2009/05/18(月) 13:26:20 ID:ZxkbSc9Y
情事を終えて、私は幹也の胸板に顔を埋める。
幹也は仕方無しに私と身体を重ねてる。それは知ってる、だってそれをキッカケにこうして今も身体を合わせていたわけだし。
こうやって幹也と抱き合うのには概ね満足はしている。
でも、私はもっと自分を満たそうとしている。
幹也が私を仰ぎ見たときに映った私だけしかいない幹也の世界。
それを垣間見ることが出来たあの瞬間に私の全ては満たされる。
だから私はこれからも幹也の孤独を深くしていくだろう。
幹也を他の色が混ざる余地が無くなるまで染めていくだろう。
大丈夫、ここまでやって来たのだから。
小学校の頃クラスメートの給食費を幹也のランドセルに詰めた時だって、心は痛んだけど幹也のためを思うと我慢出来た。
中学に入った頃だって、幹也の嘘で固めた悪評を流した時も、私は幹也のためにと心を鬼にして出来たじゃないか。
今年だって・・・・・。
幹也、幹也のために今までやってきた事で私は間違いなんて一つも犯してない。
だから大丈夫。
幹也は私だけに、私だけを知ってればいい。
友達なんか要らない。私がいくらでも面白い話を聞かせてあげる。
恋人なんて私以外認めない。いくらでも幹也の空洞を埋めてあげる。
だから幹也は私だけでいいよね?
私は心の中でそう呟いて、横に眠る幹也の頭を優しく抱きしめた。


残念ながら、俺の妄想は続く。
723名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 13:36:37 ID:lZxvIcTr
こういう狡猾で黒い女の子は可愛いです
724名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 13:56:18 ID:j+j58Dk4
ヤンデレは腹の中がドス黒いぐらいがちょうどいい
アナルも関係なかったしGJ!でももう少し病んでほしかった
725名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 14:09:17 ID:+ZSKsShW
主人公の名前が幹也だから少し勘違いした…
だがGJ!
726桜の幹:2009/05/18(月) 14:11:19 ID:ZxkbSc9Y
頑張って脳味噌に来た電波今週中に出し切る
今勝手に決めた
727名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 14:21:44 ID:GjVUEO4Y
>>722
こちらの世界を囲いこむタイプのヤンデレって、怖すぎるぜ!
そういうわけで、GJでした!
728名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 15:09:06 ID:hMst3saa
>>726
GJ!
嫌われフラグも立っているから、すごく楽しみだ
729名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 20:05:00 ID:FQrkvckp
>>726
GJ!!!
ナイスな電波だった!
730名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 22:12:45 ID:GBYbKGPR
ほトトギすまだー
731名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 22:25:40 ID:+ZSKsShW
最近催促多過ぎ
732名無しさん@ピンキー:2009/05/18(月) 23:58:10 ID:iJWOJV5S
別に多くねーじゃん
733名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 00:44:36 ID:B/yP/mfX
>>725
しかも黒縁眼鏡だしな

>>726
GJ!
これからもがんばって!
734名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 00:44:59 ID:ADjaklYO
催促とか普通しないものじゃないのか?
735名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 01:43:58 ID:cj9CnN7N
>>726GJ
久しぶりに俺の胸にグッとくる作品に出会えたよ。ヒロインがやってることが主人公にバレたり、第三者の女子が現れたりした事を妄想するだけでご飯がすすむ
736名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 03:17:50 ID:1fDilPds
投下の後すぐに他の作品の催促があるとヘコむよね
「てめーのつまんねぇ駄作なんざお呼びじゃないんだよ。ペッ!」みたいな感じでさ

そこで作者が病んでいって催促した読み手のために毎日毎日作品を投下するわけだ
自分の作品だけを読んでもらおうと、気に入ってもらおうと一作10レス分の作品を一日何作も投下する
だんだん作品内容の中に読み手が描写されるようになっていき、あまりの生々しさに恐ろしくなっていく
やがてあと書きに「>>***さん、私の作品はどうでしたか?楽しんでいただけましたか?」と名指しでかかれるようになる
「>>***さんのために一生懸命書いたんですよ。感想が知りたいです」
「>>***さん、面白かったですか?どうでしたか?ダメなところとかありませんでしたか?」
「>>***さん、今回の作品の主人公は>>***さんがモデルなんですよ。感想が聞きたいです」
「>>###さん、>>***と私の間に入らないでください。>>***さんが私の作品を読んでくれないじゃないですか」
「>>***さん、見てますか?返事ください」「>>***さん、どうして返事くれないんですか?」
「>>***さん、見てますか?見てくれてますよね?」「>>***さん、>>***さん、>>***さん…」
あまりの不気味さに書き手も住人もスレからいなくなる。だが作者だけが毎日投下し続ける。
そしてある日突然作品の投下がなくなる。ストップするスレにROMっていた住人達は不安になる
そして数週間が過ぎた頃、スレに短い文章が書き込まれる

「>>***さん、見つけた。感想聞かせてね」
737名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 04:45:48 ID:WHyxxP3O
>>736
てめーのつまんねぇ駄作なんざお呼びじゃないんだよ。ペッ!
738名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 05:02:34 ID:+LA+sdJM
>>736
怖いわ………怖いわッ!!
739名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 06:41:56 ID:PZij6Wld
おーい、>>737ー?
無事かー?
740名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 07:14:36 ID:lcKagB8g
いや、最近催促大杉だろ
紳士は座して待つべきという名言を知らないのかよ
741名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 09:13:03 ID:L655ppXm
でも催促されてる作者は悪い気はしないと思う
催促=人気みたいなもんだし
742名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 13:04:15 ID:Kn29iOCo
このタイプは破綻すると修復が困難だからな
743名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 14:48:46 ID:IyDxff3M
引きこもりの少年がいつも書き込んでる掲示板が、実はその少年の書き込み以外全部ヤンデレのジサクジエンで
掲示板全体で少年がそのヤンデレを好きになるように巧みに誘導してたってSSがあったけどタイトルが思い出せない。
744名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 14:51:05 ID:3sWx9O5e
まとめサイトにそれっぽいタイトルがあったよ
745名無しさん@ピンキー :2009/05/19(火) 15:19:29 ID:BeLsK2jw
ぽけもん黒まだー
746名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 17:24:47 ID:+LA+sdJM
ぽけもん、ぽけもんしつこいな。
747名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 17:25:41 ID:kNdquKaE
>>743
最後は天井から見てるってやつだなw
俺は最近見た気がする
748名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 18:17:00 ID:m6Kv4g8v
>>743
タイトルはいたってシンプル
「ヒキコモリと幼馴染」だな
749名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 18:30:38 ID:8F+jUJjn
SFとヤンデレのコラボレーションはまだ無いよな?
750名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 18:50:34 ID:r/aHQiQT
外宇宙探索のやつが無かったっけ?
751名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 20:34:34 ID:0BnRJ7Rj
>>750
あったな。
最後は宇宙船内で監禁生活スタートだったか?
752名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 20:41:03 ID:2drdaX79
伝奇とヤンデレのコラボレーションはないはず
753名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 21:12:18 ID:997if2bI
デクスターシーズン2のライラがいい感じに地雷女だな
754名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 21:27:12 ID:xamfBk8j
>>726
GJだけどヤンデレじゃなくて自分第一な女に見える
755トライデント ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:49:47 ID:yiEWmAzi
では投下致します
756お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:52:37 ID:yiEWmAzi
第5話『誤解と誤認』

「周防さん。どうぞ。今日は知り合いの猟師さんが日本海に行って、大マグロを猟銃で狩ってきたんですよ」
「いや、ちょっと待ってくれ。漁師じゃなくて、猟師かよ」
「そうですよ。最近はイノシシさんもマスコットキャラクターに選ばれて大流行です。
 猟師さんもイノシシ狩りをすれば、どこぞの動物愛護団体がダイナマイトを体に巻きつけて特攻してくるので。
 そう簡単に山で狩りができなくなったそうです。」
「その動物愛護団体はテロリストだよ。絶対に」
「で、周防さんに大トロの美味しい部分を持ってきました。一緒に食べませんか?」
 彩さんは華麗に俺の会話をスルーされた。俺は仕方なく、テーブルの上に置かれた
 新鮮な大トロを見て、口から涎が出ていた。だって、美味しいそうだもん。

「いつも、すみません。毎日、差し入れして貰って。本当になんてお礼を言えばいいやら」
「そんなことを気にしないでくださいよ。周防さんが私を助けてくれなかったら、いつまでも引越し作業に没頭してたよ」
 それはねぇだろ。さすがに。
「わたしのほんのお礼の気持ちです。受け取ってくださいね」
「いや、さすがに2週間ずっと朝昼晩のおかずを差し入れしてもらったら。
 なんか悪いような気がする。何か軽くNice Boatのフラグが立ちそうなぐらいに!!」
「ううん。そんなことないですよ。猫だって、優しくしてもらったことは絶対に忘れませんし、
 一度受けた恩は周防さんが死ぬ前で永遠にかえしていこうと思ってますから」
「永遠って……」
「さあ、脂が乗ったところが美味しいんですから。細かいことは気にせず食べましょう」
「わかった。桜井さんがそこまで言うならば、その大トロは手巻き寿司にして食べよう」
「うにゃ!!」

 すでに空き部屋であった隣の部屋に彩さんが引っ越してきてから2週間の月日が経っていた。
 あの日、引っ越してきた次の日からこうやって彩さんにおかずなどを差し入れをしてもらっている。

 女の子が作ってくれた手作りの料理に感激していた。彩さんを助けた時以上のことをもうすでにしてもらっている。
 ロクに家事ができない俺は毎食コンビニ弁当やフライものを飽きるぐらいの食べる生活を送っていたので、

 彩さんの差し入れはまさに救いだった。
 そんな彼女に俺は感謝を込めてある提案をしてみた。引き受けるかどうかは知らんけど。

 
757お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:53:49 ID:yiEWmAzi
 その夕食は彩さんが作ってくれた大トロのフルコースをご馳走になった。
 結局、手巻き寿司にせずに彩さんに全てお任せにした。彼女の料理の腕は半端ではなかった。
 いつも差し入れする料理とは違い、今回は材料が一級品であり、普通のおかずとは味が断然に違っていた。
 よくテレビとかに出てくる有名料理店のメニューの品々がテーブルに運ばれる時は目を丸くして驚いた。
 俺は彩さんが作ってくれた料理を絶賛しながら、二人で仲良く分け合って食べた。
 彩さんが後片付けのために食器を洗っている最中であった。

「あ、あの桜井さん。ちょっといいかな?」
「もう少し待ってくれませんか? 今日、食べ終わった食器を洗い終えますから」
「客人なんだから。後片付けは俺がやるよ」
「そんなのダメです。料理と言うのは材料を切り刻んで、調理して、食べてから、後片付けまでの作業のことを言うのよ。
 周防さんはそこに座ってのんびりとテレビで見ていてください。後でお茶を入れますから」

「いや、大切な話なんだ」
「た、た、大切な話ですか……」
 一瞬だけで硬直していた彩さんが洗い流している水道の水を止めて、後ろを振り返って、こっちにやってきた。
 ピンク色のフリルの付いたエプロンを脱いで、空いているちゃぶ台の席に着いた。

「なんでしょうか?」
「明日、俺とデートをしてください!!」
「で、で、で、で、デートですかっっっっ!!!!!」
「もしかして、俺とどこかに行くのはそんなに嫌だったとか?」
「そ、そ、そ、そんなことはないです。ありえません。でも、どうして、私なんかをデートに誘おうと思ったんですか?」
「桜井さんが引っ越してきた日から俺に色々とおかずとか差し入れしてもらっているから。
 感謝の形を込めて、デートに誘おうと思ったんだけど」

「周防さん!!」
「は、は、はい」

「無闇に女の子にデートをするって言ったらダメですよ。その、ちょっと勘違いしちゃうじゃないですか」

 勘違い!?

 彩さんは白い肌が真っ赤に染まっていた。俺と視線を合わせないように彼女はそっぽを向いていた。

「本気にしちゃいますよ」

 本気って……。
 デートに誘うこと=告白して付き合いましたってレベルを軽く通り越したことになっている。
 恐らく、誤解している。彩さんの誤解とは俺が彼女に求婚を申し込んでいることになっているのではないか? 
 待て。そういうつもりで誘ったわけではないし。今は恋愛事は曖昧にしておきたい。

「その、とりあえず、デートしてくれるんだよな?」
「はい。こんな私を誘ってくれるのでしたら。1億回ぐらい周防さんとデートしてもいいです」
「だったら、明日とか暇?」

「その日なら私は暇ですから。というか、周防さんとデートするためなら、アルバイト先に退職届けを叩きつける覚悟です!!」
「辞めなくていいから!! じゃあ、10時頃に彩さんを迎えにいくよ」
「はい。待ってますから。ずっと、待っています」

 こうして、俺は彩さんとデートすることになった。
758お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:55:06 ID:yiEWmAzi
 自分の家に戻ってから。
「うにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 私の部屋に喜びの奇声が響き渡っていた。
「忍さんと忍さんと忍さんと忍さんとデートだよーーーーーーーーーー!!!!!!」
 今までの私の愛情を篭った料理の差し入れ効果がついに実ったのだ。
「忍さんが忍さんが私をデートに誘ってくれたよ」
 これ以上に嬉しいことがこの世に存在していいんだろうか。
 でも、デートのことを考えるだけで私の頬はにやりと笑みを浮かべてしまいます。
「やった。やったやったやった。やったよーーーーーーー!! 
 彩よ。男の子と初デートだよ。この偉業は歴史の教科書に残る。よくやったぞ!!」
 恐らく、血塗れでドロドロした戦国時代を勝ち抜いて、日本を統一しちゃう程の偉業に匹敵するでしょうね。
 とはいえ。
 明日のデートは忍さんを私の大人の魅力で落とすという大切な日だ。
 作戦行動はよく考えなくてはダメですね。ちょっと、露出度が高い服を着て行って、忍さんを誘惑するとかはどうでしょうか? 
 男の人は見えそうで見えない方がいいと聞きますし。
 うーむ。
 どうしましょう。
「忍さんの好みがわかりません」
 そもそも、男の人とは喋ったり、一緒に遊んだりとした経験は全くないですよ。生まれて初めてのデートなんですから。
 この年齢で初デートというのは少し遅れているように思えますが。

 いいでしょう。
 私の手料理とこの前のバーゲンで買った新しい服で忍さんを悩殺することにしましょう。

 そう決意するとモニター越しの忍さんにキスをして、さっさとお布団の中に入り込んだ。

 明日は3時に起きて、いろいろと準備しなくちゃ……。

759お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:56:59 ID:yiEWmAzi
 普段、料理の差し入れをしてもらっている彩さんの感謝を込めてデートに誘ってみた。
 最初は映画館で眠たくなりそうな恋愛中心の洋画を見た後、お昼は彩さんが作ってくれた特製の
 お弁当(中身はいつもより豪華)をご馳走になった。
 そのまま、商店街でショッピングを楽しみ、模範的なデートコースを問題もなく忠実に実行していった。
 空が夕焼けに染まる頃には俺と彩さんが満足にデートを楽しんでいたはずだった。
 イレギュラーさえ起きなければ。

「あれ。先輩じゃないですか!!」
 と、子犬のような人懐っこい明るい声が聞こえてきた。その声は毎日職場で嫌になるほど聞いている。
「瑞葵ちゃんは見てしまいました。ちょっとクールで一人狼を気取っている先輩が、
 あろうことにお、お、お、女の子とデートしているじゃないですか!!」
「相沢さん?」
「はーい。先輩が現在進行中で最も気になる異性No.1の瑞葵ちゃんですよ!!」
 バイト先の後輩である相沢瑞葵が興味深そうな目でこっちを見ていた。
 手には隣にあるCDショップの紙袋を持っていたので、この辺で買い物を楽しんでいたのだろうか。

「ええっ!? 異性No.1って」
「桜井さん。違います。相沢さんはただのバイト仲間なんです!!」
「ふっ。また一人の男性のココロを惑わせてしまった、罪作りなボク」
「う、うにゃ!! や、や、や、やっぱりそういう仲だったんですか!!」
「落ち着いてください。全部、相沢さんのホラですから。信じたら駄目だ」

 酷く憔悴しきった彩さんがその場に座り込み、地面にのの字を書いていた。
 後輩の瑞葵は何故か勝ち誇った表情を浮かべて、俺の腕を組んでいた。いつの間に?

「今日は一人で暇だったんですよ。最近、売れ行きの悪い邦楽の売り上げに貢献するために10枚もシングルCDとか買いました。
 先輩も寂しげな青ウサギに博愛の手を」
「誰が青ウサギだ。黒ウサギの間違いでは?」
「うふふ。私はそんなに腹黒い女の子じゃあありません。世界の悪を一人で背負い込み、
 瑞葵レクイエムを実行するぐらいの清純派妹キャラなのですよ!!」

「あんた、一人っ子じゃあなかったんですか!?」
「世間は何かと毒入りにやかましい」
「食べても膨大な賠償金請求できないからな!!」
 と、瑞葵の天然ボケを俺がまともなツッコミで返していた。

 その光景を傍から見れば仲の良いカップルに見えたかもしれない。
 特に彩さんが座りながらちらりと俺達を羨ましそうに見ていた。
760お隣の彩さん ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:58:37 ID:yiEWmAzi
「あの、周防さん。こちらの方は?」
「俺のバイト先の後輩の、『相沢瑞葵』というナマモノ」
「ナマモノなんて失礼ですね。私は相沢瑞葵という薄幸な一般市民です」
「一般市民というよりはトラブルメーカーなんだけど」
「で、先輩。そちらの人は先輩の彼女さんですか?」
「いいや、違う。この人は桜井彩さん。俺が住んでいるアパートの隣に住んでいる人なんだ。
 今日はいつもお世話になっている桜井さんにお礼の意味を込めてデートしているんだ」
 それ以上の深い意味はない。逆に俺が彼氏だと勘違いされる方が彩さんにとっては迷惑な話であろう。

「うぐぅ。隣に住んでいる人……隣に住んでいる人」
 同じ言葉を何度も彩さんは小声で繰り返していた。偶然に聞こえてしまったけど、聞かなかったことにしよう。

「じゃあ、私はお馬さんに蹴られたくないのでとっと退散しますね。後は二人で仲良く赤ちゃんが妊娠するトコまでいっちゃってください」
「あのな。俺と桜井さんはそういう仲じゃあないっての」
「あははは。では失礼しますね」
 相沢さんが去ってゆく姿を見届けると俺は思わず嘆息した。
 あいつの相手は疲れる。どこまで本気かわからないから、何を信じていいのかさっぱりとわからん。
 台風が過ぎ去った後に俺は未だに座り込んでいる彩さんに手を差し出した。

「ありがとうございます」
 その言葉に先ほどの覇気はなかった。彩さんは少し落ち込んだ表情を浮かべ、自嘲的な笑みを浮かべて言った。
「相沢さんって子に変な誤解とかさせちゃってごめんなさい」
「へぇ?」
「周防さんはあの子のことが好き……なんでしょう?」
「ううん。違うってば。あいつとはただのバイト先の先輩と後輩の関係なんだから」
「本当に?」
「本当だ」
 彩さんにだけは嘘は吐かない(多分)

「良かった」

 はい?
 良かったとはどういう意味なんだろうか。彩さんは俺の手を
 しっかりと握ってから立ち上がって、そのまま離そうともせずに前へ歩きだした。
 手を繋いだ二人はまるで初々しい恋人同士のように街を歩いた。
761トライデント ◆J7GMgIOEyA :2009/05/19(火) 21:59:36 ID:yiEWmAzi
以上で投下終了です

762名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 22:05:45 ID:kxlzZptR
>>761
GJ!!!
763名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 22:25:46 ID:kNdquKaE
>>761
GJ!!!
待ってましたよ!!
お疲れ様です
764名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 22:26:30 ID:UyMa44Vv
>>761
good job!!!!!!!!
765名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 22:39:15 ID:wxt90OFh
>>761
携帯からだがGJ!
お隣の彩さん、ちょいとドジっ娘っぽいのが良いぜ!
>>754
ヤンデレの基本概念がエゴだからなぁ、まぁ概念なんて物は時間の経過とともに意味が混濁されていくから結局色々な意味の『エゴ』って言葉が出来ていくんだよな。
そもそもお前のヤンデレってなによ?って話になるわけだ。好きすぎて刺しちゃうタイプか?それなんて『猟奇的』って言葉とも当てはまっちゃう訳だ。まぁヤンデレ=猟奇的なのかもしれんがな。
次に、好き過ぎて監禁しちゃうタイプだ。これなんて完璧にお前が言う自分だけタイプじゃね?ここに来て早くも『ヤンデレ』に二つの意味が内包されている様に見えるけど、実は違う。結局猟奇的も、エゴなんだよ。
だってそうだろ、『私を見てくれないから殺す』、『お前がいると○○が私を捨てる』結局第一に来てるのが『私』なんだよ。
つか、そもそも自分第一だろヤンデレは。
766名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 22:48:00 ID:6H6sQpnR
彩さんきたああああああああああああああ!!
GJです!
767名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 22:52:01 ID:xamfBk8j
>>765
お前の挙げてるのは全部ヤンデレじゃないぞ
当てられもしないなら具体例出すなカス
ただ罵っときゃいいのに
768名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 23:02:11 ID:M6F9AnCv
>>765
>>767
やべぇ、全然意味わかんねぇww
769名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 23:36:08 ID:kNdquKaE
>>768
同意だwww
770名無しさん@ピンキー:2009/05/19(火) 23:47:54 ID:bgbDLE3D
>>765
ヤンデレの基本概念は究極の捧身行為だよ。己が人生のすべてをかけて一人の人を愛するんだ。愛情表現がほんのちょっとだけ過剰なのはご愛嬌
エゴといったらエゴだけど、それを言ったらすべてエゴだし
771名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 00:12:36 ID:2KNTLli8
まてテンプレを見ろ
病んだ愛情表現をする娘も含むらしいぞ
772名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 00:21:35 ID:k79zhtlk
そもそもヤンデレの基本ってなんだ
773名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 00:38:26 ID:HGGZjwZ7
>>772
それはヤンデレ好きな俺たちにとって最大の悩みであり踏み入れてはならないと思う
774しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:02:26 ID:XBtPrPsw
とっくに日付は水曜日。

投下します。
またまた五レス消費。
775しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:03:30 ID:XBtPrPsw
*****
 
 ……フライドポテト祭りはないでしょう、私。
 とっさに目についたのがポテトの売り子さんだったのが悪かったわ。
 もしも鈴鹿君が私のこと食いしん坊な女だって思い込んだらどうするのよ。
 いくら告白を遮りたかった――いえ、告白を誰もいないところでしてほしかったからって。
 もうちょっと言い方ってものがあるでしょう。
 あああ、これじゃいつも通りね。
 今日はいつもと同じ展開になっちゃ、いけないのに。
 今日こそは鈴鹿君との仲を深めるって、決めてるんだから。

 どうしようかしら。
 とっさに言ってしまって、さらにフライドポテトを買ってしまった手前、食べない訳にはいかない。
 うう……捨てるのももったいないし……。
「食べないの、苅屋さん?」
 私と違って鈴鹿君はジュースだけしか持っていない。 
 これじゃ私、本当に食欲旺盛な女だわ。
 一緒にポテトも買ってくれていればよかったのに。
 ――ん? そうだ!

 ずいっと鈴鹿君にフライドポテトの入った袋を差し出す。
「ん、なに? あ、もしかして食べきれなかったりする?」
 あはは、と笑ってごまかす。
 普段なら食べきれないことはないけど、この状況じゃ無理だわ。
「じゃあ、ちょっとだけもらうよ。…………あ、これ美味しいね。サクサクしてて」
 そうなんだ。さっきちょっと口をつけただけじゃ味も食感もわからなかった。
 まずいわね、これ。
 ポテトの味じゃなくて、私の心境が。
 鈴鹿君がさっきから落ち着いてないのはわかってる。
 でも、私はそれ以上に緊張してる。

 結局、さっき買ったフライドポテトは鈴鹿君に全部食べてもらった。
776しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:05:15 ID:XBtPrPsw
 男の子っていうのは強情というか、意地を張るところがある。
 今の鈴鹿君の態度がそう。
 せっかく私が二人っきりになれそうな場所に連れて行こうとしてるのに、
ジェットコースターとかの無難なところに行って時間を潰そうとする。
 さっきの遊歩道での告白、受けてればよかった。
 鈴鹿君てば、タイミングを逃したから明らかにこの遊園地での告白を諦めてる。
 修学旅行中、ここ以外じゃ二人っきりになれる場所、無いよ?
「うーん、ジェットコースターが駄目だったら……おみやげでも見に行く?」
 それはそれで私的においしいけど、二人っきりにはなれない。
 どうしたら、どうしたら……あ、そうだ!

 鈴鹿君!
「ん、行きたいところでもあった?」
 大変だよ、さっき鈴鹿君の方を見てる小さい女の子が居たわ!
 ――嘘だけどね!
「え、まさかシロ……は、ないか。
 これだけ人が集まってるんだから一人ぐらいは見ててもおかしくないかと」
 私の第六感が告げている、間違いなくあの子は鈴鹿君の守護霊だわ!
 まだ遠くには行ってないはずよ、捜しましょう!
「捜すったって、この人混みの中からどうやって」
 とりあえず高いところにいけば見つけやすいはずよ、さあさあさあ!
777しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:07:55 ID:XBtPrPsw
 ――観覧車。
 向かい合った二つの座席と窓しか存在しない、密閉空間。
 入ったが最後、押し込められた二人は否応なくそこから出ることは許されない。
 ただただ、終着まで待っているしかない。
 遊園地で二人っきりになれる場所の定番と言えばここ。
 古今東西、恋愛イベントをこなすなら観覧車の中と決まっている。
「うわ……観覧車って初めて乗ったよ。こんな景色なんだ」
 鈴鹿君は窓から見える景観に釘付け。
 いや、違うでしょ。
 せっかく二人っきりの、絶対に誰にも邪魔されない状況になったんだから告白してちょうだいよ!

「……ねえ、苅屋さん」
 な、なあに?
「苅屋さんって……か……」
 か?
 ――可愛いよね、って言いたいのね!?
「か……格好いい、よね」
 …………はあ。初めて言われたよ、そんなこと。
 ちなみに、どのへんが格好いいの?
「あー、えっと……な、なんとなくそう思っただけで」

 ……ヘタレって言いたいわ、すっごく。

 あのね、鈴鹿君。
 格好いいって言われて喜ぶ女って滅多にいないと思うよ。
「え、あ、そうなんだ。ごめん」
 まあ、可愛いって言われたらほとんどの女の子は喜ぶけど。
「そうなんだ、そうだよね」
 うん、そう。
「苅屋さんって……可愛いよね」
 だから格好いいって言われて喜ぶ女は……って、え?
778しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:08:42 ID:XBtPrPsw
 はいぃ?
 ちょっと、待って。
 初めて言われたわ、鈴鹿君に可愛いって。
 いや、いやいやいやいや、そんなことより、まずいわ。
 非常にまずいことになってる。
 顔。顔が熱い。
 今の私、絶対顔真っ赤にしてるわ。
 そんな真っ直ぐ見つめないで、鈴鹿君!
 いつもみたいにちょっとだけ視線逸らすとかしてよ! こっちが逸らせないじゃん!
 どうしよう。
 今、すっごく鈴鹿君に……バカって言いたい。

「たしかに、苅屋さんは格好いいんじゃなくって可愛いよ。ごめん」
 ひ、開き直ったね、突然。
「開き直ることにしました」
 ……さっきまではダメダメだったくせに。
「それはアレ、言い出すきっかけがなかったから。
 いきなり可愛いって言うのはなんだか、口説いてるみたいで」
 今は完全に口説きモードじゃないのよ……。
「ここまで来たんだから、さ。もう、口説いちゃおうかと」

 口説いちゃおうか?
 どこのプレイボーイよ、鈴鹿君。
 いいでしょう、やってみるがいいわ。
 存分に口説いてちょうだいよ!
779しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:11:12 ID:XBtPrPsw
「ちょっと、そっちにいくね」

 鈴鹿君が私の右にやってくる。
 観覧車の座席は二人かけたらもう限界。
 だから、必然的に私と鈴鹿君の距離は近くなる。
 今まで、結構長く友達づきあいしてきたけど、ここまで近づいたことはない。
 すごい違和感を覚えた。
 けれど、その違和感こそ、二人の距離が近しくなった証拠。
 照れる。緩んだ頬を見られたくない。もう自分の膝しか見られない。

「僕は、苅屋さんのことが好きなんだ。
 何でかって言われると、答えられないけど、苅屋さんじゃなきゃ駄目だと思ってる。
 苅屋さん以外の子と付き合う気にはならないんだ」

 は、反論を許さない告白だわ。
 「どうして私なの」とか、「私より可愛い子はいっぱい居るよ」とか、口から出てこない。
 お、落ち着きなさい。
 そ、素数を数えて、いえ円周率の方がポピュラーでありマイナー……あれ?
 だあぁぁぁ――もう!
 口説かれてる! 口説かれてるわ私! 

「僕と、付き合ってもらえますか? 苅屋さん」

 どこまでもストレートな鈴鹿君。
 鈴鹿君が好きだったのに何も言えず、友達の関係で我慢していた。
 だけど、こんな告白を受けたら首を縦に振らざるを得ない。

 ……こ、これからも、どうぞよりょ、よろ、よろしくお願いします…………鈴鹿君。

 そう言うと少しだけ楽になって、鈴鹿君の方を見ることができた。
 鈴鹿君は顔を真っ赤にして、今まで見たことのないおかしな顔で笑ってた。
 私は幸せで、これまで生きてきたなかで一番浮かれていた。
 今なら近くで誰かが騒いでても聞こえはしないだろう。
 そんな妙な確信が心の隅にあった。





「――――鈴坊。私は許さないよ、そんなこと」
780しろとすず ◆KaE2HRhLms :2009/05/20(水) 01:13:01 ID:XBtPrPsw
今時の高校生って五月に修学旅行に行っているんですね。
てっきり時季外れだと思っていたのにタイムリーだったとは予想外。


次回、ほとんど出番のなかった神様のターンにして、オチです。
781名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 01:26:52 ID:C75JDdZK
>>780
GJ!!!
今夜は立て続けにきたから眠れそうにないぜコン畜生!!
782名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 01:27:41 ID:2KNTLli8
GJ!
シロの反撃が楽しみだ。
783名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 02:48:39 ID:c0jYaF6m
どちらの作者さんもGJ
まさか読みたい作品が連続でくるとは…
784名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 12:59:59 ID:XReiF2rK
>>761
GJ! お久しぶりです。
基本がドジっ娘っぽい彩さんが、なんともいとおしいです。
こんな人が、どこまで病んでいくのか。

>>780
間髪いれずにGJ!
最後に一言だけで出てきたシロの存在感が半端ない。さすが神様。

どちらの作品も次回の投下を、楽しみに待っています。
785狂っているのは誰?:2009/05/20(水) 15:57:47 ID:1JuYGTjx
初めて書かせてもらいます。
読みにくいかもしれませんがよろしくお願いします。

「娘を探していただきたいのです」
それが、しがない探偵である私への依頼内容だった。
差し出された写真には、綺麗な黒髪の美少女が写っていた。
名前は小野田春香。今年高校生になったばかりだという。
依頼してきた両親は、年の差が20もあり、二人で建設会社と営んでいるという肩書きをもち、
その印象といえば、父親の方は社長という肩書きには似つかわしくない頼りない感じの髪の薄い初老で、
娘がいなくなったことでかなり動揺しているのか、
その不安げな表情がまた頼りない感じに拍車をかけていた。
それとは、逆に母親の方は凛とした表情が似合う若々しい美女だった。
気品が漂うクールなキャリアウーマンといった印象で、
娘がいなくなったことにも冷静に対応し、私の娘に関する質問にもすべて母親が答えていた。
「娘さんがいなくなってどれぐらいたちますか?」
「一ヶ月ほどです。家出することは何度かありましたが、
これほどまで長い期間はありませんでした。」
「警察には届けを出しましたか?」
「いいえ、私どもの勝手な都合ですが、
経営している会社のイメージや従業員の目もありますので、
この件は穏便に済ましたいと思っています。
ですから、探偵さんもこの事はできるだけ内密にお願いします。
その分の報酬を用意させていただきますので」
まるで、ビジネストークのような口ぶりの母親に、少々面食らいながらも、
私はこの依頼を受けることにした。
誘拐などの可能性もなくはないが、身代金の要求などがないことからみて、
ただの家出騒動で終わるだろうとタカをくくっていたし、
提示された報酬も魅力的な額だった。しかし、一番の理由は、
この「小野田春香」という少女に、
10年前に別れた妻に引き取られた当時6歳の私の娘の面影が浮かんだせいだろう。
だが、この安請け合いが後悔に変わることを、その時の私は知る由もなかった。
786狂っているのは誰?:2009/05/20(水) 16:06:49 ID:1JuYGTjx
小野田春香の年齢から見て、この手の家出の原因といえば、
思春期にありがちな親への反抗。
もしくは学校でのいじめや進路の問題。
あと考えられるは金か男か?そんな思考を巡らしながら、
依頼主である両親が、参考になればと置いていた娘のアルバムやスケジュール帳に目を通していた。
アルバムは幼少のころからごく最近のものまであり、「小野田春香」の成長の過程が刻まれていた。
しかし、ところどころのページには貼ってあった写真を抜き取ったあとがあり、
その抜き取られたであろう写真の共通点は安易に想像ができた。
このアルバムには娘と父親が一緒に写っている写真が一枚もないのだ。
きっとこれが家出の原因の一つなのだろう。
父親への嫌悪感。年頃の娘ならだれしもがもつ感情だ。
そういえば、両親と面会したあの日、去り際に父親がヘラヘラした苦笑いを浮かべた表情で
「娘がいなくなったのは私のせいかもしれません。私に対する感情が異常なんですあの子は・・・このころはあんなに素直だったのに・・・」
とアルバムの最後のページに貼られた、おそらく「小野田春香」が子供の時にかいたであろう父親の顔と
「将来の夢はパパのお嫁さんになること」という文字を見つめ語っていた。
異常なのは父親を理解できない娘なのか、それとも娘を理解できない父親なのか?
それを判断するのは私の仕事ではない。
しかし、同じ親という立場ならどうだろう?
机の上にかざってある幼き日の自分の娘の写真を見ても、
その答えは返ってこなかった。
787狂っているのは誰?:2009/05/20(水) 16:22:05 ID:1JuYGTjx
この町は狭いようで広い。
この町を、いやこの町にいるさえわからない「小野田春香」を私一人で人探しなど途方もなく骨の折れる作業だ。
手がかりは彼女のスケジュール帳に登場してくる人物に手当たりしだいに調べて回ることぐらいしか私には思いつかなかった。
彼女のスケジュール帳に登場してくると思わしき人物は大きく分けて4人。
「父」「母」「友美」そして、最後が「F」という人物だった。
私は「F」という英語で書かれた人物が気になったが、名前がはっきりしている「友美」という人物に目をつけ、調べを続けた。
その結果、「友美」とういう人物は「小野田春香」のクラスメイトの「坂上友美」である事が比較的簡単に調べることができた。
私は彼女の高校に張り付き、下校途中の彼女に狙いをつけ「警察の方からきたものですが・・・」という使い古された言い回しで、
コンタクトをとり、「小野田春香」さんについて話が聞きたいと、カフェに誘導ことに成功した。
「ハルちゃん、ずっと学校きてなくて心配していたんですぅ。もしかしてなにかの事件に巻き込まれたんですかぁ〜?」
舌足らずな物言いで坂上友美は心配そうに、その大きな瞳をウルウルさせながら、私に質問を投げてくる。
坂上友美の印象は、まさに今時の女子高校生といった感じで、薄い顔に濃い化粧をして、そのふくよかと表現するには、
軽すぎる太い足を組みかえながら私を見つめている。
「今、それを調べているところなんだ。一番最近、彼女にあったのはいつごろ?」
「えっーと、確か。あの病院いった帰りだからぁ〜一ヶ月前ぐらいかな?」
「その時、彼女に変わったところはなかったかい?」
「えー?一ヶ月も前のことなんか覚えてないよー」
「そうか、じゃあ、この彼女のスケジュール帳に書いてある「F」って誰のことかわかる?」
「あ〜それはね・・・おじさん、これ内緒だよ?「F」はハルちゃんの彼氏の藤原太志君!」
「藤原太志君・・・「F」。藤原君って君達と同じ学校?連絡とかとれる?」
「友美とハルちゃんと太志君は中学のツレなんだー。携番は知ってるけど、今は無理!」
「無理?どうしてだい?」
「太志君、今、第一病院に入院してるから」
「入院!?どうしてだい?」
「さぁー知らない。自分で調べれば?警察なんでしょ?おじさん」
「あはは、それもそうだね。ありがとう。参考になったよ。あっこれ、おじさんのケーバン。なにかわかったらここに電話してくれないかな?」
「まじ?警察の携番GETだぜー!私、助手やりたいー」
「あはは、高校卒業したら考えてもいいけどね。それじゃあ、頼んだよ」
そういって、彼女のカプチーノ代より大目の金額をテーブルに置けば、私は藤原太志が入院しているという病院にいくために席を立った。
外から店の中の坂上友美を見れば、楽しそうに携帯を取り出ししゃべっているが見えた。

つづきますが、少し時間があくかもしれません。すいません
788狂っているのは誰?:2009/05/20(水) 17:36:37 ID:1JuYGTjx
坂上友美から得た情報。
スケジュール帳の「F」なる人物が入院している第一病院。
その「F」こと藤原太志は、この病院の外科病棟に入院していた。
彼にくだされた診断結果は、右足首の腱の断裂。
あともう少しで歩けなくなる一歩手前だったらしい。
原因は本人曰く「家の雑草を鎌で除草していた際に誤って足首に刃が当たってしまった」らしいとのことだった。
そんな下調べを入院患者や看護師相手に病院内でおこなったのち、
私は彼の病室を訪ねてみた。
坂上友美にもつかったように、「警察の方からきたものですが・・・」という言葉と共に。
しかし、右足が吊られた彼は私の言葉に反応もせずに、
雑誌のクロスワードパズルをただ無表情に黙々と解いていた。
そんな彼の横に座り、私は静に言葉を続けた。
「藤原太志君だね?少し聞きたいことがあるんだ。小野田春香さん知っているね?」
彼は答えない
「実は彼女、ご両親のもとからいなくなっちゃたんだ。なにか知ってることないかな?」
彼は答えない
「これ彼女のスケジュール帳なんだけど、この「F」って君のことだよね?
だいたいどの月も一週間に3回は君の名前がついているんだけど、
これってなんの日なんだい?デートした日とか?彼女なんだろ?春香さんは・・・」
彼は答えない。
私はしびれを切らし、彼のために買ったフルーツの詰め合わせをベッド脇に置き
「なんか悪い事きいちゃったかな?・・・あっ、これお見舞い。怪我早くなおるといいね。お大事に・・・」
そういって席を立とうすると、
徐に彼が私に先ほどのクロスワードパズルの雑誌を差し出してきた。
「なんだいこれ?」
彼が問題を解いていたページを見れば、そこには6マスのパズルのマスに「Fは僕じゃない」
そして、5マスのパズルのマスに「ビデオ見て」と書かれていた。
そして、彼のベッドの布団の隙間からビデオテープが私の手に渡される。
その表情は先ほどの無表情とは違うなにかに怯えた表情だ。
彼の行動からこの部屋が誰かに監視されているのは容易にわかったが、
ここはあえて彼の演技に合わせることが今できる私の務めだろう。
「それじゃあ、私は行くよ。お大事に。またなにか気がついたことがあればここに電話してくれ」と、
自分の携帯番号をテーブルの上に置き、私は彼を心配しつつも病室を後にした。
渡した己の携帯電話の番号が彼への助け舟になることを祈りながら、
最後にみた彼の表情は微かに笑っていた。

789名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 18:01:50 ID:I2JApfz8
投下感覚永杉だろ
790名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 18:19:35 ID:Oe0MeyCW
書きながらじゃねえだろうな
791名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 19:09:24 ID:QZgOAisL
きっと実況してるんだよ、そうだよ。
792名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 19:22:42 ID:C75JDdZK
実況だと!?
なんて才能の持ち主なんだ……
793名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 19:46:58 ID:l3k0gNFK
うああああああ!!
二ヶ月目に突入した規制に耐えきれずとうとうpに手を出してしまった!!!
ファックファック
794名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 19:48:55 ID:BRtNt0Vk
そろそろ、2時間経過か・・・もしかして、実況中に・・・・
795名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 20:26:07 ID:OCpJ6tG8
>>789-794
彼に群がる女がこんなに…
796名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 21:18:06 ID:C75JDdZK
くそう、なんとか監禁から脱出できないのだろうか……
797名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 21:31:46 ID:QZgOAisL
わりぃ、自殺用の青酸カリと三十年式歩兵銃しか持ってねぇ
798名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 21:34:41 ID:eWfUf7jX
>>793
お試し●出てるんだから取ってくればええやんけ
今更言っても遅いが
799名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 21:50:44 ID:OCpJ6tG8
>>796を救うために、体にヤンデレ邸の隠し通路を網羅した刺青を体に彫った。
後は>>796を監禁しているヤンデレに愛されて、監禁されるのを待つだけだ。
800狂っているのは誰?:2009/05/20(水) 21:51:30 ID:qaDsj/FR
藤原太志から託されたメッセージとビデオを胸に抱え、
私は自分の探偵事務所へと戻っていた。
藤原太志は誰に監視されているか?
スケジュール帳の「F」とは誰なのか?
このビデオテープの中身はいったい?
そして、「小野田春香」はどこにいったのだろうか?
さまざまな思いがよぎり、戸惑いを隠しきれない、
私に今、できることはこのビデオテープの中身を確認する事だけだった。
荒々しくビデオデッキにテープを押し込めば、再生ボタンを押す。
テレビの砂荒がある映像を映し出す。暗い部屋にはその映像の明かりだけが灯されている。
「これは・・・」
私はその映像は見るや否や、絶句した。そして停止ボタンを押し、目を背けてしまった。
喉が熱い、胸が締め付けられるほどの嫌悪感を私は感じられずにいられなかった。
停止した画面には、裸で絡み合う二人の姿がそこにはあった。
その二人のことを私は知っている。それは紛れもなく、写真でみた「小野田春香」と、
その父親であった。
私はもう一つの事実にきがついた、それは、画面の右端に表示された日付の存在に。
その日付を早送りで確認すると、
見事にスケジュール帳の「F」の日付に見事に合致していた。
「F」とはつまり、父=fatherに性的虐待を受けた日を表していたものだった。
この耐え難い事実は私になにを伝えたいのだろう?
それは決まっている、これこそが彼女が失踪した原因だ。
その時、私の携帯が鳴った。見たこともない番号だった。
「もしもし」
「もしもし、刑事さん?春香です。私、小野田春香です」
電話の声の彼女の声は、ひどく怯えていた。

遅くなってすいません。
801名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 22:21:47 ID:OCpJ6tG8
>>800
GJ!


アルバイトの時給が900円として、4時から10時近くまでリアルタイムで書き続けた5400円分のSSだ
ありがたく拝読したぜ!
802名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 23:42:23 ID:C75JDdZK
>>800
GJ!
いやぁ〜ここで実況SSが拝めるとは夢にも思わなかったわw
良い仕事だったお疲れ様!
803狂っているのは誰?:2009/05/21(木) 01:11:48 ID:Y8ESVoAU
もう少し続きます。なんとか書き終えますのでお付き合いお願いします。

「君が小野田春香さん?どうして?この番号を?」
「友美です。私の事を探してくれている刑事さんがいるってメールで教えてくれたんです」
「生憎、私は刑事じゃないよ。君のご両親から君を探すようたのまれた探偵なんだ」
「・・・パパが私をさがしているの?・・・嫌、もう私の事はほっといて・・・」
「ああっ、電話を切らないでくれ!落ち着いて聞いてほしい。
君と君のお父さんの事を私は知っている。藤原君から預かったビデオを見たんだ」
「!?あれを見たんですか?私、もう生きていけない・・・
どうして藤原君が・・・信用してたのに」
「大丈夫!!このことは誰にも言わない。
もちろん君のご両親にも報告はしない。
藤原君はきっと君のことを心配して、私にビデオを託したんだと思うよ。
だから、私も君を助けたいんだ。
君も本当は助けを求めてるんじゃないのかい?
だから、こうして私のところに電話をしてきた。そうだろ?」
「私を助けてくれるの?本当に?」
「ああ、もちろんだとも。実は私にも君と同じ年齢の娘がいてね。
だから、同じ親として君のお父さんが君にしたことは絶対に許せるものじゃない」
彼女は電話ごしでも判るほど、嗚咽まじりの涙を流していた。
「今から君を助けにいくよ。
もちろん私1人でだ。会ってこれからどうすればいいか二人で考えよう。
今、どこにいるんだい?」
「探偵さん、ありがとう・・・」
彼女の居場所は、呆れるほど近かった。
両親の建設会社が建設を依託されたが、
依託をした会社が倒産し、建設途中で工事が止まっている
雑居ビルの建設現場に彼女は身を隠していたそうだ。
私はその建設現場へ急いだ。
その道中に私は不謹慎ながらも、なぜか満足感に満たされていた。
探偵の自分ではなく、
本当の娘にはなにもできなかった不出来な父親の
私が始めて娘に近い「小野田春香」になにかできるのでないか?
いや、今こそ娘にできなかったことをしてあげたい。
そう感じていたからかもしれない。
804名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 01:55:23 ID:CBIlm1wW
書き終えてから投稿しろ
805狂っているのは誰?:2009/05/21(木) 02:03:23 ID:Y8ESVoAU
息を切らしながら建設現場の階段を駆け上がる。
そして、最上階にたどり着けば
「小野田春香さん、いるのかい?私だ。さっき電話で話した探偵だ」
なるべく彼女を刺激しないようにやさしく声をかける。
「探偵さん・・・・?」
最上階の暗がりから彼女の声がした。
月明かりが差し込み、彼女の姿が露になる。
その姿は写真よりも数倍美しく感じた。
私の姿を確認した彼女はその綺麗な表情まま、
大きな瞳に涙をためて私の方へ駆け寄ってくる。
そして、私の胸に飛び込み、子供ように大きな声で泣き叫んだ。
「わたしっ・・・怖かった・・・わたし、怖かったよ〜」
己の胸で泣きじゃくる彼女を、私は無言なまま抱きしめていた。
彼女を宥め、落ち着きを取り戻すまで・・・・
ようやく落ち着きを取り戻した彼女は、色々と初対面である私に打ち明けてくれた。
父親の性的虐待は幼少のころから続いており、その事を母親は知らないこと。
その事実を知っているは、藤原太志と坂上友美だけということ。
「パパは私を取り戻すためならなんでもするわ。
たぶん、藤原君の怪我はパパの仕業だと思う。私達の関係をよく思っていなかったしね」
「私には理解できない。自分の娘を性の対象にみるだなんて・・
つらかったんだね。でも、もう大丈夫だよ。あとはおじさん任せて」
「どうすれば私、パパから逃げられる?」
「君には少しつらいと思うけど、この事実を君のお母さんに報告するよ。
君のお母さんなら冷静で、いい解決方法を見つけくれるさ」
私は所詮この子の他人だ。ならば頼み綱は母親しかない。
あの母親ならきっと大丈夫だ。
きっと私に依頼しにきたのもあの母親の案に違いない。
今から思い返せば、あの父親の不安げな表情も納得がいく。
父親はこのことがばれることを恐れていたのだ。
私を藤原君ように脅すのとはわけが違う。
大人は大人なりの戦い方というものがある。
「あ〜ぁ、おじさんが私のパパだったらよかったのにな。
ねぇ、パパから逃げられたら、私、おじさんの事「パパ」ってよんでいい?
あっ、でも、おじさんの本当の娘に怒られちゃうか」
「おじさん、娘とはもう10年もあってないんだ。だからかまわないよ」
「やったぁー、じゃあ、私、おじさんの娘になってあげるね」
その時のくったくのない彼女の笑顔は涙がでそうなほど輝いていた。

次から事件のクライマックスとなりますが、
もう眠いのでこの辺でくぎりをつけたいと思います。
続きは、明日書きます。お付き合いありがとうございました。ノシ

>>804 ごめんなさい。明日はそうしますね。
806名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 02:14:01 ID:z3nHobAR
>>805
ゆっくりじっくりお疲れ様〜
また明日の夜あたりに、続きが投稿されるのを待っています。
807名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 03:02:56 ID:dfAYFOgZ
GJ!
だが親父の娘に対する病んだ愛情を書いた話じゃないよな?
他にヤンデレが出て来るんだよな?
808桜の幹:2009/05/21(木) 15:08:24 ID:6bFSWasi
ゴメン、やっぱ今週中とか無理。書きたい事の表現って難しい
とりあえず投下行きます
809桜の幹:2009/05/21(木) 15:09:06 ID:6bFSWasi
「い、石田さん!付き合ってください!!」
委員会が終わった後、僕はさくらの告白の現場に付き合わされていた。
なんて事はない、いつもの事だ。
『断ってやけになられたら怖いから』
そう言って僕はいつもこの現場に付き合わされていた。
「ゴメン、私貴方の名前も知らないの。私そんな人とは付き合えないよ」
さくらはそんな事言って、いつも通り男子生徒を振る。
もう中学の時からなので慣れっこだけど、やっぱり断られた男子はいつも憎たらしそうな目で僕を睨む。
そのときの目は多分いつまで経っても慣れないだろう。きっと。
「幹也君、帰ろう?」
「う、うん」
さくらはそのまま踵を返し文字通り颯爽とその場を後にした。どうやら今日は機嫌が悪いみたいだ。
僕は未だにさくらの後姿を見つめていた男子生徒に礼を一つ下げ、すぐにさくらの後を追った。



「幹也・・・・・」
「ん?」
指を絡ましてきたさくらは落ち着かない様子で僕に聞く。
「委員会の時、お話してたの・・・・・、誰?」
さくらの指が震えている。
「あ、ああ・・・・・、C組の熊原武士って人と、その熊原君のお姉さんだけど、さくら聞いてたの?」
「・・・・・」
「さ、さくら?」
さくらは滅多に作らない眉間の皺を寄せて、何か考えてるみたいだった。
「・・・・・幹也」
「うん?」
さくらの指先が微かに汗を帯び始めている。
「早く・・・・・帰ろう」
さくらの絡めた掌が僕を引っ張る。
何だか、今日のさくらは本当に不機嫌みたいだ。


こんな不機嫌なさくらを見ていると僕は小さくなってしまう。
でも、僕はポケットの中にある携帯の感触に喜んでいた。
だって、今日は僕が始めて友達とアドレス交換した日なのだから。
810桜の幹:2009/05/21(木) 15:09:41 ID:6bFSWasi
蝉が鳴く七月の下旬、文字通り夏。
僕らは今、一学期最後の生活風紀委員会に出席している。
明々後日に控えた終業式に四月からの生徒の服装の乱れや、遅刻欠席の合計発表の集計を取るためだ。
「幹也、こっちは終わったよ」
僕とほぼ同時に開始したはずのさくらが僕を三頭身ほど突き放して集計を終える。一体、このスペックの差は何なのだろうか?
「私も手伝おうか?」
さくらは僕の肩に顔を乗せる。
シャンプーの良い香りが妙に気に掛かる。
「いいよ、これは僕の仕事だから」
「別にいいのに。幹也はやっぱり損な性格だね」
コツンとさくらが眼鏡の縁を弾く。
「おばさんからメール来たけど、今日一人なの?」
「えっ?僕んトコにはメール来てないけど」
ついにさくらのほうに信頼が傾いたみたいだ。
「あはは、そっか。ま、落ち込まないで今夜は私が腕によりを掛けるからさ」
さくらは笑ってそう言う。直後、校内放送の予報が鳴る。
『一のBの石田さくらさん、石田さくらさん。直ちに職員室まで来てください』
さくらと僕は目を合わせる。
「じゃ、行ってくるから」
「うん」



誰もいない視聴覚室。
少し熱いから窓とさくらが出て行った出入り口のドアを開けて作業を再開する。
僕がシャープペンシルを走らせる音しかしない。
なんだかどこかの世界に閉じ込められたみたいな気分だ。
集中をその音だけに埋没させていく。
「あ!」
シャープペンシル以外の音が混じったので僕はすぐさまそれに振り向いた。
そこには夏の制服が良く似合う長い髪の大人しそうな顔立ちの女子生徒がヒョコっと顔を出していた。
「もしかして、委員会終わっちゃいました?」
悪びれるように、控えめの疑問文が投げかけられる。
「え?いや・・・・・その、ええと、はい、えっといま、集計しているところで」
僕も僕でしどろもどろの返答を返すのが精一杯でなぜか質問した方の女子生徒に笑われてしまった。
「よかった、今日は部活の主将集会で遅れてしまいまして・・・・・ああ、でも遅れてしまい申し訳ございませんでした」
肩に掛かっていた長い髪を背中の方に払って、笑みを含みながら謝辞を告げる。
「えっと、それより貴方お名前は・・・・・?」
「あっ、えっと、一年の菅野、幹也です・・・・・」
「一年生ですか、じゃ後輩くんですね。私は二年の熊原小町って言います、よろしくお願いしますね、幹君」
「幹・・・・・君?」
喉に魚の骨が引っ掛かったみたいな呼び方に僕は思わずリピートしてしまう。
「はい、友情は愛称から始まるんです、だから貴方は幹君、いいですね?」
悪戯っぽく笑う先輩に僕は少し見惚れてしまっていた。
いや、『友達』っていう響きに痺れていたのかもしれない。
僕はいつの間にか、先輩と自然な形の会話を成立させていた。
811桜の幹:2009/05/21(木) 15:10:35 ID:6bFSWasi
「幹君は部活動してないの?」
すっかり敬語が取れた先輩はニコニコ笑いながら聞く。
「はい。僕、なんだか皆で活動するのに慣れてないみたいで・・・・・クラスの皆からも嫌われてるみたいなんで」
乾いた笑い声が出る。酷い、自虐だな。
先輩は少し逡巡してから、何か言おうとした瞬間。
「ここに居たのか、姉ちゃん」
後ろからまた違う声が掛かった。
今度は少し擦れた声だ。
振り返ったそこには僕よりも少し高いくらいの身長の男子生徒が居た。
「お!出ましたね、タケくん」
「出たって、俺は幽霊かよ。っと、そっちのヤツは?」
顎だけで僕を指名する。
「あ?ああ、こっちはミッキー。タケと同じ一年らしいよ?知らなかったの?」
「えっ、ちょっ、ミッキーって、ええ?」
「知るかよ、初対面だぜ。ってか本名で紹介してくれ」
僕は急遽に変化したあだ名に、弟と名乗った男子生徒は先輩のあだ名癖に戸惑っていた。



「ええと、俺は熊原武士。お前は菅野幹也でいいんだよな?」
疑問文を投げかけられて僕はその通りなので頷くしかない。
「姉ちゃん、面倒なあだ名付けんの止めろよ、センス無いし」
「何で!あるよ!センス溢れてンよ!!ね、ミッキー!?」
僕は呆気に取られて気持ちの籠ってない笑顔を作るしかない。
「おい、姉ちゃん。どうやら菅野は気に入ってないみたいだぜ?」
「な、なんで!?ね、ミッキー!なに笑ってんの!?」
そう、僕は久しぶりに笑ってた。
こんなにも嬉しい気持ちだけで笑ったのは久しぶりだったんだ。
「畜生、ミッキーの癖に」
なんて少し拗ねた様子で先輩は僕の脇腹を小突いた。
それは何だかくすぐったくて自然に笑みが零れてしまう。
「あ、そうだ!」
拗ねていた態度から一変、先輩はスカートのポケットから可愛らしいスライド式の携帯を取り出す。
「ミッキー、アド交換しようよ」
「えっ?」
「あ、俺にも教えてくれよ」
「えっ、っと、うん、いいけど」
僕は新品同様の携帯を取り出してメニュー画面を起こす。
それから少し僕は赤外線画面を起こすために格闘する。
「おい、菅野お前、赤外線分かんねぇのか?」
「ミッキー、不器用だね」
「うう、申し訳ないです・・・」
すると、武士が僕の携帯を指差す。
「それ、ド○モか?」
頷く。
「じゃあ、メニュー画面で0番押せよ」
「あ、出来た出来た!」
「今日び珍しいぞお前、赤外線くらい聞けよ」
「ミッキー、喜びすぎ」
僕はこの日始めて友達とアドレス交換をした。
たったそれだけの事だけど、僕はこの学校に来て良かったと心の底から思ってしまった。
貧乏性なのかもしれない。
812桜の幹:2009/05/21(木) 15:11:35 ID:6bFSWasi
「じゃね!ミッキー」
二人が視聴覚室を出て、集計がやっと終わった頃。さくらが開けていたドアの向こうの廊下に立っていた。
「幹也・・・・・」
立ち尽くすさくらは少し不機嫌だった。
「さ、さくら?」
「ちょっと告白に呼び出されてさ。幹也、付き合ってよ」
「う、うん」
この時にはさくらが不機嫌なことを僕は確信する。
さくらは何も言わないまま僕の手を握った。
813桜の幹:2009/05/21(木) 15:12:00 ID:6bFSWasi
「ゴメン、私貴方の名前も知らないの。私そんな人とは付き合えないよ」
私はそう言って、一度も男子生徒の眼も見ずに踵を返した。
今、私はイラついてる。



幹也が私以外と話していた。
幹也が私以外の人と楽しそうに話していた。
職員室から出た時、向かいの校舎の二階を見ると、幹也の笑顔が見えた。
私はそれが信じられず、すぐに向かいの二階にある視聴覚室に戻る事にした。
視聴覚室まであともう少しと言うところで男女二人が視聴覚室から出てくるのが見えた。
私は急いでいたのを気付かれないように速度を緩めて、息を静かに整えた。
私は二人に眼もくれず、視聴覚室の開かれたドアから中を見た。
幹也が嬉しそうに携帯を操作してからポケットにしまった。
それだけで私は立っているのがやっとになった。
なんて事だ。あろう事か幹也はさっきの女子生徒と喋っていたのか。
私だけしか登録されてなかった幹也のアドレス帳に二人も汚らわしい名前が記憶されたのか。


どれぐらいそうしていたのか。
幹也が、大きく伸びをした。
と同時に私もはっと我に帰った。
「幹也・・・・・」
なにも考えられなくなった頭はただ、ただ幹也にしがみ付こうとその名を呼んでいた。
幹也はそんな囁きに気付いたのか私の方を見る。
「さ、さくら?」
何か言わなきゃ、幹也を、手放してしまう。
「ちょっと告白に呼び出されてさ。幹也、付き合ってよ」
頭の中で何度も何度もさっき見た二人を塗りつぶす。
そうだ、認めちゃいけない。
私と幹也の間に他人なんか認めない。
私と幹也には互いしかいない。
そうじゃなきゃいけない。
そうしなきゃいけない。
私は心の中でそう呟いて、幹也の手を握った。
814桜の幹:2009/05/21(木) 15:12:43 ID:6bFSWasi
帰り道も、晩御飯を作っている最中も、晩御飯を食べている最中も、幹也はすこぶる上機嫌で、私はイラついていた。
あの幹也の気持ちの昂りは私が与えた物じゃない。
それが私を苛立たせた。
気に食わなかった。
食器を片付けている最中、聞き慣れない携帯の着信音が響く。
ソファに座っていた幹也はそれを嬉しそうに確認し、メールが来たと嬉しそうに私に報告する。
返信の内容を考えている幹也を見て、私は小学校の頃経験したあの危機感を思い出していた。


晩御飯を食べ終え、さくらが食器を片付けている最中、携帯が鳴った。
「さくら!メールが来たよ!」
僕は始めてのメールに年甲斐も無く喜んでそれをさくらに報告する。
さくらはそんな報告が馬鹿らしいのか無視する。
そのままいても仕方が無いし、僕が返信の内容を熟考して、返信する頃にはさくらが一人で片づけを済ましていた。
「幹也・・・・・」
さくらはそう呟いて、僕の膝の上に座る。
揺れているさくらの眼が、妙に色っぽい。
「んっ・・・・・ちゅ、」
いきなりの接吻。
僕は突然の事にさくらの肩を掴むが、さくらの両腕が素早く僕の頭を固定する。
僕はされるがまま、長い間さくらの揺れる瞳を見つめているしか出来なかった。
「はっ、はぁ、幹也、私・・・・・」
そのままさくらの手が僕の股間に伸びる。
それからしばらく撫でた後、ジャージの中にさくらの手が入っていく。
「しよ?私、今日一日中ガマンしてたんだから」
「さくら・・・・・、き、今日は」
僕はさくらから眼を離す。
「なに?嫌なの?幹也」
さくらの圧迫に僕は答えられない。
やがて止まっていたさくらの手が、僕のをしごき始める。
「ふふっ、幹也いいのよ。それで、いいの」
さくらは耳元でそう囁くと、今度は僕の耳たぶを舐め始めた。
それから耳たぶを甘く噛み、耳の凹凸に沿って舌を這わせる。
「幹也」そう言って何度も薄い息を吹きかける。
その度に背中に痺れが走る。
横目でさくらを見るとさくらは嬉しそうに笑っていた。
僕はさくらの機嫌が直った理由も聞かないまま、さくらと口付けをする。
明日は土曜日、今日は徹夜かな。
815桜の幹:2009/05/21(木) 15:13:43 ID:6bFSWasi
以上です。
埋めにもなったのかな?
816名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 15:43:09 ID:ukS/cY+w
>>815
ういGJ
嵐の前の静けさって感じでゾクゾクしまつ
817名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 15:45:01 ID:ukS/cY+w
連レス失礼
容量一杯なので次スレ立ててきます
818名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 15:55:20 ID:ukS/cY+w
無理だったorz
誰か頼む


ヤンデレの小説を書こう!Part24


ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part23
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238557896/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
 ・版権モノは専用スレでお願いします。
 ・男のヤンデレは基本的にNGです。
819名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 17:08:03 ID:hGCtaIVl
>>818
もう>>818くんったら、わたしがいなくちゃダメなんだね
ほら、ちゃんと立てておいたよ

http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242892972/

(ふふ、こんな事もあろうかといろいろ裏工作しておいてよかった)
820名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 21:17:36 ID:Y8CAtf8m
次スレに行く前に私の>>818に摺り寄る雌猫さんを埋めなくちゃ♪
821名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 23:18:09 ID:vmFkr+zv
>>818逃げて!超逃げてー!
822名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 01:50:34 ID:6DrGgFJi
彼は向こうに行ったみたいだし、私もそろそろ行こうかな。
向こうでも彼に盛った雌猫がたかるのかしら…
あ、ここはもう用無いし埋めとこう…
823名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 03:17:47 ID:7BxS4uNc
男君が次スレに行っちゃうワケないもんね
私を困らせるためのフリだったんだよね?
あれ?男君どうして怯えてるの?
私はここに居るよ?
ほら男君の目の前にいるじゃない
だから怖がる必要なんて無いんだよ
ボロボロに泣いちゃって…かわいそうな男君
でも…その表情ちょっぴり可愛いかな
他の雌猫は次スレに蹴落としてやったから安心して
だからもう泣かないで…男君いつもみたいに笑って
ずっとずっとずっと私と一緒に
お互いの温もりを感じながらスレに埋まろうよ
ね?いいでしょ?
私のダイスキな男君
スレが墜ちても絶対離さないから
824名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 06:18:33 ID:qiJfppo6
……め…て



…埋…な……で



たs…
825埋めネタ:2009/05/22(金) 16:31:19 ID:m8rSakWU
1
 俺には二歳から一緒の幼馴染みが居る。スポーツも、勉強も、家事だって出来て、溢れるカリスマ性は人望を集めて離さない。
 そんな奴だから、高校一年にして生徒会長になった。
 そんな奴だから、他の男に奪われたくないと告白した。
 だけど、

「すまんな……恋とか、愛とか、よくわからぬのだよ」

 フラれた。小学三年の時から十度目。
 綺麗で、スタイルが良くて、こんな女は他にいないけど、俺は、十度目の告白で諦めた。

「疲れた。肩を揉んでくれないか? 上手にできたら、そうだな……ゴムを付けて、その上から、ふふっ、私の指で気持ち良くしてやろう」

 俺を無理矢理に生徒会へ入れて、その気も無いのに挑発してっ、ずっと側に居させ、束縛する。
 手でしてくれたって、口でしてくれたって、決してイカせてくれない。
 すんどめで終わらせて、オモチャ代わりにして楽しんでる。
 気付いてるのか生徒会長さん、俺だって普通の高校生なんだぜ?
 今までは、気を引きたくて、役に立ちたくて、頑張って来たけど……もう限界!! 俺だって普通に恋愛して、普通にセックスしたいんだ!!
 いつまで経っても振り向いてくれない女に、これ以上付いて行けねーよ。
 だからさ、これからは恋愛感情抜きの、普通の友達になろうぜ?
 お前には二度と告白したりしないから……お前も、二度と気の有るフリをするな。もしかしたらって、期待させるなよっ!?

 そう言って別れたのが一週間前。
 そして今日まで一週間、生徒会長は学校を休んだ。
826梅ネタ:2009/05/22(金) 17:05:40 ID:m8rSakWU
2
「なんだよ、落ち込んでんの? あははっ、元気だせって! なっ?」

 最後の授業が終わり、掃除が終わり、靴を履き替えて校舎を出る。
 隣には、中学時代から一緒のクラスメイト。幼馴染みよりも背が低く、制服を来てなきゃ小学生に見える奴だ。

「代わりにさ……わっ、私が付き合ってやっからよ。アイツなんて、もう忘れろよ?」

 そんな奴だけど……
 俯いて、顔を赤くしながら告白されたら、可愛いって思ってしまったら、好きになるって決まってんだろ!?

「私、ずりーよな? お前がフラれた後で落ち込んでる時に……ぜーんぶ計算してたんだぜ?
 でも、好きなのは本当だからよ。慰めてやっからよ……だから、私とっ、つきあって……ください」

 答えだって決まってるさ。
 俺は腕を広げ、抱き締めようとして……

「あぶなーいっ!!」

 目の前のコイツに、思いっきり突き飛ばされた。
 尻餅を着き、見上げればコイツの後ろ姿。何かから俺を守るように立ち塞がっている。
 そして前方へ視線を向ければ、高い砂山を背にして、一週間振りに見る幼馴染みが居た。
「私は悪くない、私は悪くないっ!! 私を好きだったのだろう? なら、なんで簡単に諦めるんだ!? 私を落とせ、私を惚れさせてみせろぉぉぉっ!!!
 ははっ、そうか……part23がたぶらしたんだな? 私には分かっているぞっ!!
 だがここまで。このスレを終わらせる秘孔を突いた。スレの命も後三レス!!」

「面白そうねpart24。なら数えてあげるよ!!」
827名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 17:09:15 ID:m8rSakWU
「1レーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!」
828名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 17:11:10 ID:m8rSakWU
「2レーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーレ!!」
829名無しさん@ピンキー
「3レーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!! ぐはあぁっ!!? このスレの秘密をっ!!?」

「ふははははははははっ!! 男君は、このpart24が貰っていくぞっ!!」

「ぐふっ、そん……なぁっ。男、もう一度……ぬくもりを」



 23スレ 完