キモヲタが書いた話で興奮してるかと思うと泣ける

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71あかしそ:2009/06/03(水) 03:07:52 ID:cSTdGLld
レンコは、服を着て宇宙船のマトリックスに戻っていた。

大気圏突入には、摩擦が強すぎて水は全部蒸発し、レンコを守れなくなるからだ。

水生物は、雨になって落ちた後地球の水と話し合い、人間を守ることに決めたら、治療と称して地球を侵略している宇宙人に攻撃を仕掛けるそうだ。

宇宙船は見事ディズニーシーに墜落、無人のシーは丸ごと破壊されたが島の住人と生き残った宇宙人は生きて保護された。

一年が経った。
島で海女になって暮らしていたレンコは、仕事上がりに海岸の温泉に入った。
いつの間にか海岸の一角に温泉が湧いていた。
小屋で囲って海女のリフレッシュ場所になっていた。
たまたま一人で入っていたレンコを、呼ぶ声がした。
見渡しても誰もいない。ふと温泉の湯の中を見た。そして潜った。
『ひさしぶり。僕はあの水の意識の一人』
どうして?うそ!?一人になれるの?よくここが分かったわね!
『会いたかった。レンコ、僕に名前が付いたら、欲望を満たす役を僕にさせてくれる?』

その日から、レンコの家にはペットボトルでお持ち帰りされた『水生物のリュウ』が住み着いた。
祖父母は、立派な老人ホームに入った。宇宙船を宇宙人ごと地球に帰還させたご褒美に、偉い人が建ててくれた。

NASAと国連軍は宇宙人の研究を続けている。

水生物は地球の水と話し合いを続けている。

拉致被害者は家族の元に帰った。例の国のご長男は復興したディズニーランドでぬいぐるみに入って働きだした。

金を欲しがっていた者の中で目を覚ました者は、土を耕し始めた。

地球の未来はもう誰も予言していない。誰も決めている者はない。
神や預言に頼らず、これからは自分たちで判断し、作っていく時代になった。


**** 2012の結末 ****

おしまい
72名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 04:07:21 ID:ks1uYw8R
>>71
GJです!
まさかエロパロ板でこんな本格的なSF物が読めるとは
73名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 04:30:58 ID:PttZ/5pC
すんばらしい
74名無しさん@ピンキー:2009/06/03(水) 18:24:24 ID:SofzqbOo
おいおいおいおい
GJ過ぎるだろ!!
75名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 06:37:19 ID:yc29qDP0
GJ
76名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 08:52:56 ID:/k9tIpC4
なにこれすっげぇ
クオリティ高え
地球の壊れ方が本当にありそうで驚いた
77名無しさん@ピンキー:2009/06/07(日) 09:28:19 ID:wJeRI0SH
なにこのスルー力検定
78名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 20:08:13 ID:YxalJbyJ
まさかの良スレ
79名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 02:22:26 ID:SOk0V/Gt
お…面白かった、なんかすげぇ
80あかしそ:2009/06/19(金) 17:05:20 ID:raK0STfd
あざーっす♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ \(^^)/
81名無しさん@ピンキー:2009/06/20(土) 16:33:00 ID:4GLr0xbN
あかしそ
気が向いたらまた何か書きにおいで

いやおいで下さいぷりーず。
82名無しさん@ピンキー:2009/06/21(日) 22:12:22 ID:T9HN788T
面白いスレだな
83名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 13:30:08 ID:MiIf8sug
保守
84名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 11:17:12 ID:cA3Y5jTt
プールはいりてー
85名無しさん@ピンキー:2009/06/29(月) 08:29:39 ID:yJxKOZRn
保守
86名無しさん@ピンキー:2009/07/06(月) 21:40:05 ID:Gq6Qb36D
ところでほしゅってなんにちおきくらいにするもんなんだ?
87名無しさん@ピンキー:2009/07/12(日) 00:26:51 ID:JyU83fre
「涙ってのはどうやったら止まるんだ?先生」
88名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 21:54:13 ID:T/btR2xk
泣いた
89名無しさん@ピンキー:2009/07/19(日) 15:11:40 ID:coD4ndWp
夜の野球試合
90名無しさん@ピンキー:2009/07/22(水) 12:40:33 ID:sIRxpDM2
91名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 00:43:06 ID:gIpSCX0L
ないたー
92名無しさん@ピンキー:2009/07/26(日) 10:53:07 ID:iagRtz+L
ナイスダジャレ
93名無しさん@ピンキー:2009/07/29(水) 13:29:30 ID:BhWMi8jm
スチームモップ仕事場にほしいなぁ
うちはモップを前進させる前に物をどかさんばならないのだ
94あかしそ:2009/07/30(木) 22:57:14 ID:V9aZ+z89
んばんわーっす♪とりあえず職人来てないみたいだから続編おとしまーす。
パソコン古いからゆっくりにするね。
前同様途中で止まったらなま暖かく許してちょ
95あかしそ:2009/07/30(木) 23:11:15 ID:V9aZ+z89
こないだは温かい声援ありがとうございました。


*****続2012の結末 汚された製薬界*****


そこは島の立ち入り禁止区域だった。
「おれ鬱だ。氏のう」
謎の2ちゃん用語をつぶやき、密かに断崖絶壁に向かって青年は草木を分け入っていった。
視界が開けたその場所は、下は深い崖、その下は海、上は重い曇り空というビジュアルであった。
そして青年は、精気のない目で空を仰ぐと、迷うことなく身を投げた。


レンコは家の中で、巨大な水槽にリュウを“飼っていた”。
カムフラージュとして金魚一匹を入れられて同居するリュウとレンコ。
リュウは気の向いたときだけレンコにねだって温泉にもぐったり、雨に打たれたりして仲間と交流する。

そんな平和なある日、リュウが慌ててレンコに投身事件を知らせた。
急いで二人はウェットスーツと酸素ボンベを持って、立ち入り禁止区域の崖の下へ来た。
リュウもペットボトルからレンコと共に海へ潜った。
96あかしそ:2009/07/30(木) 23:29:23 ID:V9aZ+z89
滝壺の底から水仲間に案内され、二人はゆっくり潜水した。
300メートル潜水しただろうか。
青黒い水の色の中に、ライトで照らすとやっと見える青年の死体があった。
レンコは死体に向かって手を合わせ、合掌した。

急いで呼ばれたわけを、水生物仲間達が話し出した。
水は青年の迷える霊魂と話をしたというのだ。
相変わらずレンコの想像を超える連中である。
霊魂と水達が取引し、リュウはその新鮮な身体をもらえることになった。

水はリュウに発破をかけた。
「よし入れ!」「押ーす!」
「いやちょっと待て!」
止められた。「脳直ーす!」
脳がやられていたが、そこは地球外生命体の能力でリセットする。
水生物達のやることはレンコには分からない。
青年の頭だけが何かに囲まれている。淡く光り、水圧が違うようで歪んで見える。
そして電気なまずが発するような電流が流されているらしい。
それはしばらく続いた。

「入って、よーし!」「押ーす!」
青年の身体がびくびくと動き出した。水の一人がレンコに耳打ちした。
「心臓がちゃんと動き出したみたいよ。脳も動いているよ。脳のこの人間の記憶はそのままだから、しばらくは二重人格な生活になるけど、こいつならやりとげるから心配しないで」

二人は再び海面へ上昇しながら、水達とリセットされた脳から詳しい取引内容を聞かされなければならなかった。
97あかしそ:2009/07/30(木) 23:58:57 ID:V9aZ+z89
マモルの身体はリュウのものに。
そして自殺には異例の措置として霊魂は天国へ直送されたそうだ。

一週間、一日おきにリュウは弱々しい体を鍛えた。
「なんで、こんなに、弱っちいんだこいつ!」
「鬱病でしょ?人間はね、脳が病気になると規則正しい食事も睡眠も受け付けなくなるものなのよ」
「もったいない!こうして、鍛えて、食えばもりもり強く、なるのに!」
DVDプレーヤーを人けのない港に持ち出し、時代遅れの『ビリーズブートキャンプ』をしながらリュウは文句を言っていた。
「人間はね、体だけムキムキに鍛えても生きていけないの。この人も何か悩みがあったんでしょ」
「自然と一緒に生きればいいんだよ!魚と草食って、新鮮な水飲めばいい!」
「……」
「暗くなったら寝る。明るくなったら起きればいいだけじゃないか」
「そういう自給自足を、仲良くしようとして、人間はうまくできないの。できなくて、どうしてもできなくて、宇宙人に付け込まれたの」
「ふーん」
「そのビリーだって、元軍人なのよ。戦争をするのがお仕事の人達だったの」
「ふーん」
「……魚焼くね。タコが手に入ったからたこ焼きも作るね。漬けも食べようか…」
「ねえレンコ」
「なに?」
「名前。ぼくの名前」
「名前?」
「この弱っちいやつはマモルっていっただろ。マモルとリュウでマモリュ」
「……」
「変えていい?」

『宇宙船天空に満つる日』は公式な呼ばれ方として『2012ショック』という別名が出来た。
その前に、アジアでパンデミックを起こした新型インフルエンザがありそれは
2009年型とマラリアの合体菌らしく、飛沫感染の他にも蚊やゴキブリを媒介にして強力に広まった。
その威力は、せっかちな人間を地球への失望に駆り立てるのに十分であったと言われている。

そのワクチンはいまだ世界で大量に需要があった。
98あかしそ:2009/07/31(金) 00:12:49 ID:IIsDWpu+
2009年型のインフルエンザワクチンを公的に開発、販売していた製薬会社は
アメリカのWHOを中心として各国に存在していた。
しかしそのライバル社として世界的にのし上がってきた会社があった。
『Vampsヴァンプス』陰のニックネームバンパイアが
生物兵器としてインフルエンザウイルスも極秘に作っていたというスクープが週刊誌にあげられた。

しかしスクープはスクープとして放置されなければならないほど
地球人は忙しかった。

60億の地球人口は宇宙船の『2012ショック』によって30億人に減らされていた。
警察も政治家も公務員も軍隊も不足、悪人が増えない変わりに裁く者もいなかった。

そしてとうとう彼らは日本の中心へ。
ヴァンプスジャパンあがりの人間が厚生労働省の高官に配属された。
これ以上の人口削減を防ぐため、全国の水道水に無味無臭の水溶性ワクチンを配合させると言い出したのだ。
それは厚生労働省の会議を難なく通っていった。
99あかしそ:2009/07/31(金) 00:19:10 ID:IIsDWpu+
水道水を押さえられたら、天才の悪人にとって人間は操り放題である。

マモルは両親親類をインフルエンザと宇宙船ショックで亡くしていた。
その上、実験台として知らずにワクチン入り水道水を飲まされながら
ヴァンプスジャパンの総裁の家で使用人をしていた。

ワクチンは、もともとマモルが飲んでいた抗うつ剤の作用をなぜか消してしまった。
理由が分からないまま仕事の集中力を失い、神経を衰弱させ、心神耗弱状態になり
医者不足で医者にもかかれないままマモルは自殺に追い込まれた。

人類の支配に水を使うことは許せない。
証拠を押さえて悪人を裁きにかけなければならない。
これがマモルが身体を提供した取引内容であった。
マモルとリュウの合成でマモリュと変名した水達と、レンコの潜入作戦が始まった。
100あかしそ:2009/07/31(金) 00:41:33 ID:IIsDWpu+
レンコとマモリュは、連絡船に乗り本州へ渡った。
旅の途中は、各地で水仲間の協力を受けられた。
街を越え、山谷を越えて二人が着いたのは、ある古墳であった。
バスは、カムフラージュである観光客用の入り口をアナウンスして通過していった。
さらに山奥に入ると、不似合いなリムジンが黒く光りながら古墳の一角へ入っていった。

蔓草に囲まれた入り口から入ったそこは、管理人室を装った住居入り口だった。

ヴァンプスジャパン総裁の家に、各国ヴァンプスのトップが集まった。
門から玄関まで超長い。
マモリュの頭に地図が浮かんできた。
車のタイヤ跡がうっすら付いた森を、二人は虫をはらいながら奥へと走った。
いきなり暗くなり、行く手に石がくりぬかれたような洞窟が出てきた。
マモリュは迷わず奥へ進んだ。行き止まりになった。
「ここが地下への入り口だ」
蔓草をかき分けると指紋センサーが出てきた。手をかざした。
ウィーンと音を立てて入り口が開いた。
中へはいると自動的に扉が閉まり、眼前のシャンデリアが点いた。
別世界があった。
101あかしそ:2009/07/31(金) 00:44:43 ID:IIsDWpu+
独り言※ うわー下書きしたのに読み返すと粗がイパーイある!下手でごめんね。
102あかしそ:2009/07/31(金) 01:26:00 ID:IIsDWpu+
「レンコはここからは“ドール”だ。監視カメラで見られてると思って、ふらふらしていてよ」
「はいはい」

ヴァンプスのトップ連中は、ビジネスをゲームにする中毒になっている。
そして人を人と思うことを忘れたため、変態趣味に陥っている。
もともと悪評判で潰れそうだった精神病院には、従業員が『2012ショック』で
地球を見捨てていなくなり、干からびた患者だけが残されていることがある。
その病院から、身よりのない、正常な意識のない気に入った患者をもらい受けてきて
パーティをする時に玩具にする。
若い美しいそれは“ドール”と呼ばれる。

シャンデリアの玄関ホールからエレベーターに乗る。
「R」で降りるとそこは美しい温室だった。
地下でも空調が完璧に整備されている。
温室の奥の扉を開けるとワニハウスがあった。
「ここで大抵のスパイは帰るっていうカムフラージュなんだよ」
プールのような水槽で、大小5〜6匹のワニが二人を睨んだ。
「マモルが旅に行った後、誰か餌やったのかな。後でやらないと」

その奥に違法薬草の栽培部屋がある。
様々な緑の葉が、長方形の箱から育っていた。
そんな薬草は見たことがないレンコにとっても、異様な光景だった。
「悪いことやってるのはここですっていうこれもカムフラージュだな」
マモリュが言った。
その奥に地下会場の厨房がある。
厨房の端に小さな扉があった。『食材保管庫』
中にはいると、古い寝袋に包まれた人間がいた。本物の“ドール”だ。
マモリュとレンコは、二人で寝袋からフローリングの床にドールを引き出した。
水商売にスカウトされそうな整った顔立ち。
レンコは都会で働いていた時を思い出した。
そのドールも、心臓だけが動く死体のように、マネキンのように転がった。
顔にかかる髪をどけようともしない。
水商売時代に聞いた、恐い噂話を思い出す。売り上げのパワーゲームに溺れ
アル中から薬中になり、中毒者も平気で利用する男に遊ばれて…
レンコは着てきた服をドールに着せて、上からコートをかけた。

『食材保管庫』を出たら厨房の準備から隠しカメラで監視されている。
全裸のレンコはドール運び用のキャスターに乗せられ、マモリュに運ばれた。
ドール洗い場。
タイル張りの床にキャスターがセットされ、レンコはまな板のマグロのようにマモリュに洗われる。
それでも人間を洗うので、シャワーヘッドからは適温の湯が出た。
マモリュは、大喜びだ!
食器用洗剤をスポンジに付けてみるみる泡だらけにしてレンコを洗う。職人技だ。
「いいねえいいねえ。この仕事いいねえ!なんで心の病気になるんだろう!」
103あかしそ:2009/07/31(金) 01:57:12 ID:IIsDWpu+
スピ系にはよく知られている例の、ピラミッドに目があるマークが
二つ組み合わさった菱形のテーブルに、レンコは十字に貼り付けられた。

それでも両手両足は意思があれば外せるように、そして見た目も配慮して青々とした蔓草で縛られた。
血流を守るため首、肩、腰、膝下に畳んだタオルが入れられた。
マモルが意外と細かい配慮をしていたことにマモリュは感心した。
少しのけぞらせた首から股までと股から足首まで幅広のラップがかけられた。
体幹の中央に両面テープで固定される紙皿。
胴体を埋める大量のツマ。
先進国に止めさせられたはずの鯨ベーコン、山を覆うふぐ刺、伊勢エビ、
ウニのお造り、鮪の花盛り。花瓶を徳利にしたぬる燗ストロー付き。
ラップの溝に隙間無く並べられるイクラ、膝下には高級茶菓子。
ドールは女体盛りにされて接待に出されるのだ。

「ワクチン大量流通、おめでとう!」
「ジャパン!きみの功績は我々の大きな励みに!」
「水道を制したジャパンを称えよう!」
パーティ会場では、今まさに乾杯が行なわれ、宴が始まったところであった。
レンコは、うつろな目を装いながらヴァンプスの面子を観察した。
いかにも悪魔が味方に付いていそうな面々だ。
ヴァンプスジャパンは精力的な三十台。
いかにもジムで鍛えているような筋肉質な体がタキシードの上からでも分かる。
ヴァンプスUSAはメタボ腹の白人。遠慮無くやらしい目をレンコに送る。
ヴァンプスタイランドは日本語が堪能。ジャパンと互角に話す。
表面的には他にいない善人のキャラだ。
ヴァンプスオランダは杖を突いた老人。しかし目の光り方はただ者ではない。
ヴァンプススペインは背が高く濃いぃ顔立ちで、誰にでも笑顔を振りまく。
ヴァンプスブラジルは珍しそうに遠慮無くレンコを見つめた。煙草臭い。
ヴァンプスチャイナはあがり症らしく、レンコに背を向けるとフーフー息切れをさせてお冷やを飲んでいた。
他はヴァンプスイタリー、ドイツ、イギリス、トルコ、エジプト、ケニア…
そして部屋の隅にまだ引きこもっている者もいる。
レンコは顔を覚えきれないほど何人もの吸血鬼に囲まれた。
104あかしそ:2009/07/31(金) 02:18:30 ID:IIsDWpu+
「きれいな娘ですね」
「まさに生きた人形。この薄化粧は誰が?」
「シェフです」
「シェフに賞賛を贈りたい。呼んではもらえないのか?」
「ああ」
ジャパンは躊躇した。マモルが鬱病だったことを思い出している様子だ。
「彼にはわたしから十分に賞賛を伝えておきます」
「Oh罪悪感を感じているのでしょうね。真面目でいい使用人です」

白人の一人が、大量のツマを素手でつまみあげた。
そしてそれはレンコの目隠しにされた。
レンコは小さくイヤイヤをしてみたが、ツマは落ちない。
「Oh美しい」
「じっと見られている気がしたから、これはいいアイデアですな」
胸の膨らみに敷かれたフグを、まとめて箸で取られたのが分かった。
あらわになった胸に、誰かが吸い付いた。
周りから歓声があがった。メインのご馳走に手を付けた第一号になったからだろう。
「さ、こっちはジャパンが」
誰かが主賓のジャパンに勧めている。ジャパンは英語できっぱりと遠慮している。

レンコに盛られた海鮮とデザートが次々と無くなった。
酒も飲み干され、股からいつの間にか徳利が引き抜かれた。
ラップが取り払われた。
レンコは何をされているかが見えない。緊張で呼吸が荒くなり胸も腹も上下する。
「いいなあ。美しい!」
ジャパンが口を開いた。
「では、皆様方もメインをお召し上がり下さい」
そして「ヘイ、インド」とヴァンプスの一人を呼び寄せ、声を潜めて何かを伝えた。
レンコの体は、柔らかくくすぐられ始めた。
105あかしそ:2009/07/31(金) 02:35:03 ID:IIsDWpu+
マモリュは当然本物のドールを後で解放する予定で隠していた。
その“ドール”は、目を開けると幻覚でも見えるのか、空中に手を伸ばしてまさぐっていた。
空間認識も自力で出来ないほど病んでいた。
マモリュはふとある言葉を思い出した。
マモリュは宇宙空間の取り憑きで妙に記憶していた。

「みょうほうれんげきょう かんぜんおんぼさつ みもんぼんだいにじゅうごげ
にじむじんにぼさ いげもんおつ せそんみょうそうぐ がこんじゅうもんび
ぶっしがいんねん みょういかんぜんお ぐそくみょうそうそん げとうむじんに
にょうちょうかんのんぎょう ぜんのうしょうほうしょ ぐぜじんにょうかい
りゃつこうふしぎ じちせんのくぶつ はつだいしょうじょうがん………」

読経は、効いた。
ドールの目の焦点が次第に合ってきた。

ドールはキラランと名乗った。
ドールは、拘束される前は徘徊したことがあるそうで、厨房の地下への潜り方を知っていた。
マモルも知らなかったルートだ。地下から証拠物のあるジャパンの書斎へ行けるかもしれない。
平面図はマモルの脳の記憶に入っている。
キラランは証拠のダウンロードとメモリフラッシュの入手に協力すると言った。
キラランはマモリュの服をはおり、カメラに背を向けてずっと座り続けた。
マモリュは地下へ潜った。
106あかしそ:2009/07/31(金) 03:01:39 ID:IIsDWpu+
「いやっ!はんんっ!はうっ!」
レンコは腕の蔓草を引きちぎらないように注意しながら、体をよじらせて苦しんで見せた。
これはショーなのだ。
目の上のツマが落ちてきて、ヴァンプスインドの顔がうっすらと見えてきた。
ターバンに髭面かと想像していたが、予想外にレンコの許容範囲だった。
インドはツマを一度避け、レンコと目を合わせにっこりと微笑んだ。
それから再びテーブルナフキンを大きく広げ、レンコの顔全部を覆ってしまった。
「あふ!」
意味のある言葉は言えないが、せめて文句を言いたかった。
胸が、その白い肉をすくわれるようにもまれ始めた。
その先端も尖るまでついばまれた。
レンコの心臓がいっそう大きく鼓動してきた。
インドは、“上手”らしい。レンコは感じ始めていた。

「はぁ…はぁ…ぁあん…んんん…」
テーブルナフキンは、重くてなかなか息づかいだけでは取れなかった。
指は、胸の谷間に置かれた。そして股へ向かって一直線になぞって行った。
少し、間が開いた。
ヒヤリとしたものが股に当てられていた。
周りは英語で話しているので分からない。果物らしい。
クリッ クリッ クリッ クリッ 
「ううん…んんっ…う゛ー…んんっ…」
クリッ クリッ クリッ クリッ …
レンコの太股はブルッと震えた。
その時だ。ジャパンとインドがなにかを囁き合った。

二人が左右から脚を羽交い締めにし、M字型に開かれた。
107あかしそ:2009/07/31(金) 03:24:05 ID:IIsDWpu+
「ヴァンプスオランダ!どうぞ!」
ジャパンがオランダを呼ぶ。足音もなにもしないので、ずっとレンコの足元に陣取っていたのか。
「ノウノウ。わしはここで見てる。他の者が好きなようにすればよい。わしはここでよい」
「ご遠慮なさらずに。もうすぐゴールに行きそうですよ」
「見る楽しみもあるのだよ。ほら、良さそうじゃないか。だれかしなさい」
少し静寂があり、だれかの手が、秘所の入り口をなで回していた。
レンコは高ぶった。しかしその手は去っていった。
次に小さな機械音がした。まさか…電動の…入れられる?
恐さでレンコは全身が強張った。それはジャパンとインドに伝わり、いっそう力強く腕を締められた。

機械でそこは振動させられた。
駄目!駄目!いや恥ずかしい!
オランダ始め何人もの吸血鬼に見られていると思うと、自意識も何もかもが操作されているような…
下半身の中が充血して膨れるのを感じる。
「ああん!んふっ!んんー!んーんー!」
最後に一際大きな声をあげて、レンコは全身をびくびくさせた。
「ナイス!」「ビューティフー!」「イェイ!」
血を吸った吸血鬼達の歓声がレンコに聞こえてきた。

「ジャパン、今日のドールは反応が良くて素晴らしかった。2回戦が見たい」
「お褒めにあずかり光栄です。2回戦をリクエストされたのは初めてですね」
「ジャパン、すぐ次か。相変わらずすごいポテンシャルだな」
「おれ達は大丈夫だが…年寄りもいるから次のショーまで休憩取ろう」

レンコの顔のナフキンが外されたのは、テーブルが厨房に戻されてからだった。
レンコの目に入ってきたのは、本物のドールキラランだった。
「静かに。彼は今スパイしてる。わたし留守番してる。このまま寝てて」
108あかしそ:2009/07/31(金) 03:46:03 ID:IIsDWpu+
黙って目を閉じながら、レンコはマモリュを心配した。
しかし、心配しても仕方がないので違うことを考えることにした。
何年も前、水商売していたときのえっちの経験…
好きな人と、そう思っていた人となら…
でもストーカーに追いかけられ始めたら、好きな人もどこかへ消えちゃったけど…
こういうショーと、一対一のは、違うんだなぁ…

証拠書類を探しに行きたいなぁ…
2回目も遊ばれるなんて想定外だったなぁ…

「メイヤ!!父上に謝れw」
「ヴァンプストップは仲間にも本名を明かさないのにね。それだけの品格を備えていてほしいものです」
「メイヤ!お前の名前は世界中に知られたぞ!」
「悔しかったら父上呼んで来い!」
扉の向こうで悪酔いした者達がイジメをしていた。
イジメの声が少し収まった。側近が携帯電話を渡したらしい。
しばらく話して「パパ!僕にはこの役目は無理だ!」という英語が聞こえてきた。
また酔っぱらいの歓声があがった。
「ガンダワ共和国!メイヤヴァンプス!ばんざい!」
「なんだその顔は。やんのかこら!」
しばらくすると、騒ぎは静まった。
「いってえ!お前の体はどうなってんだよ!」
「やれやれメイヤ!一発くらい殴り返せ!」
また騒ぎが始まった。ジャパンは見かねたらしい。
「皆様方!気持ちよく酔ったまま眠って頂くための最高のベッドルームを用意しました。
もう満足されたかたは、ご案内しますのでどうぞお休み下さい」
ざわざわと小さな話し声が聞こえた。しばらくの時が経った。
「なーんだ!結局尻尾丸めておねんねしたのはメイヤ一人じゃねーか!」
109あかしそ:2009/07/31(金) 04:07:47 ID:IIsDWpu+
マモリュは証拠物を手に入れた。
地下を移動しながら会場の喧噪を聞いていた。
そして、ゲストの寝室へ向かう足音に耳を澄ましていると…
「ソーリー。バスルームへ行きたいので案内はここまででいい。このカードキーで部屋は分かるから」
メイヤの声がした。
そしてその足音は、厨房に向かっていた!

マモリュは聞こえていた。
メイヤは自分から本名を不注意に明かしたのではなく、インターネットオタクのチャイナが調べていたのだ。
どんなネットワークでも知られない、極秘にする指導力もトップの力の内、と説教をされ
その話が酔っぱらい達に拾われてしまったのだ。
(レンコ!キララン!気付いてくれ!)

厨房の扉の向こうでは、酔っぱらいの冗談が続いていた。
「メイヤ、ずう体あれだけデカイのにもしかしてゲ…………」
「いやまだチェリーボーイかも」
「ばかにされるの嫌だーって、厨房に襲いに行ってたら?」
容赦のない笑い声がした。キラランはビクッとして、カメラがあるにもかかわらず廊下に耳を澄ませた。
「足音が来る。保管庫へ!」

保管庫から二人が出てきた。
カメラにいきなりナフキンがかけられた。
監視していたジャパンの側近がジャパンに知らせた。
ジャパンは直接厨房へ見に行った。
そこには、壁のように大きな体のメイヤと、テーブルの上に小さくなって座るキラランがいた。
「さっきのドールはスパイか!?」
言うが早くジャパンは銃を出して撃った。
「う、う、うわーっ、ヴァンプスガンダワ!なにをしている!?」
メイヤはキラランを庇って腕を打たれていた。
110あかしそ:2009/07/31(金) 04:33:59 ID:IIsDWpu+
メイヤは打たれていないほうの腕でキラランを担ぎ上げた。
「ジャパンさよなら。ぼくはヴァンプスの二代目を捨てる」
そう言って、血をしたたらせながら、華やかな廊下ではなく、古びた勝手口へ歩き出した。
ジャパンは、煙を出す銃を降ろすことも出来ず、混乱でへたりこむしかなかった。
代わりに側近が指令を出した。
「緊急事態発生!緊急事態発生!」

メイヤがワニハウスへキラランを担いでたどりつくと、そこでマモリュとレンコに鉢合わせした。
「えーと…その…」
「一緒に逃げるなら来る。来ないなら今来たほうへ早く引き返した方がいいよ」
マモリュはハウスの天井から何かを吊るした。
「早く!」
レンコはメイヤとキラランの二人も誘導して温室へ逃げた。

天井から吊るされたボイスレコーダーからはワニの悲痛な声がしていた。
ピギャー!ピギャー!…
ワニは我が子でなくても群れの子は守ろうという本能がある。
子ワニの姿が見えなくても上へ下への大騒ぎで
駆けつけた警備員達は誰もそのハウス内を突破しなかった。

エレベーターは開かなかった。
メイヤが階段を知っていた。
指紋探知のセンサーは幸いに開いた。
4人は息が切れても切れても、バス通りに出るまではずっと走り続けた。

トップ達は乗ってきたヘリで日本を脱出した。
メイヤとキラランは証拠物のコピーを持って、大使館へ亡命の申請へ出向いた。
申請の後、とりあえずメイヤを入院させ、キラランは栄養失調で同じ病院に入院させ見届けた後
マモリュとレンコは島へ戻った。
ヴァンプスがまた何か動いたら、ウイルス兵器開発の証拠コピーはいつでも公開される。

メイヤとキラランが体を治し、島へ呼び寄せ安全を確保したら
マモリュとレンコは公開する記者や媒体を探そうと思っている。


おしまいっ!
111名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 08:33:50 ID:zITJSjGL
超GJ!
112名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 11:03:23 ID:jNSJxSvt
GJっした。
特殊な文体ですね。
113名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 22:22:42 ID:I38hyx+p
5時までGJ
114名無しさん@ピンキー:2009/08/05(水) 21:19:26 ID:ZgsO7lbr
きもくたっていいじゃない

に ん げ ん だ も の
115名無しさん@ピンキー:2009/08/05(水) 22:06:55 ID:NzZObhAT
>>114
ワロタw
116名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 19:36:37 ID:v0tNffOJ
出番だ
117名無しさん@ピンキー:2009/08/07(金) 15:17:02 ID:TSAMfe6k
オシゴト オツカレ
118名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 01:41:52 ID:2yMlPxMp
お疲れ様
119名無しさん@ピンキー:2009/08/21(金) 00:27:08 ID:gnH/CDE2
泣かせたい
120名無しさん@ピンキー
>>110
まさかつづきが来ようとは……。
今さらだけどGJ!
前の話の時も思ったけれど、世界観とかセンスがちょっと小松左京っぽい気がした。