「あっ! ああ……んっ……んふぅ……あんっ!」
倒れ込んでしまった彼女の、天を向いている双丘を僕はそのまま執拗になで回し続け、そして刺激する。その最中で、
先程のように、幾度も双丘の先端らしきものが僕の手に当たる。
「あっ、あっ……やあっ! ああん、はあん……ううん……」
やはり、刺激が強いのか。その都度、ちとせは今まで以上に何ともそそる声を上げる。そして、先程以上に僕の手に
伝わってくる、その何とも柔らかく温かい触感。
――ああ、なんて愛おしい。
しかしそればかり続けていると、流石に少し不安になる。つい思わず、聞いてみた。
「あ、その……痛かったりしないかな?」
「そ、そんな事……ありませんわ。とても……いいですから……」
恍惚の表情を浮かべつつ、ちとせがそう答えてくれた。
――くそっ、なんて可愛いんだ。
その言葉に甘え僕は更に数分、ちとせの双丘の感触を味わい続けた。
「ふう……」
ちとせの温かく柔らかい双丘の感触に満足した僕は、今までは敢えて視線からは封印していた、彼女の双丘を
拝ませて貰う事にした。
僕は今まで彼女の双丘を攻めていた手を一旦どかすと同時に、彼女の着ている浴衣の前面を大きく広げた。
「あっ……」
ちとせから恥じらいの声がした。そして少なくとも僕以外の男が見た事はないであろう、彼女のその女性の
象徴たる双丘が、遂に露わになった。
――うーん……
大きさとしては並……よりも少し、小さいかもしれない。だが……その形は申し分ない。そしてなにより……
均整が取れていて、綺麗だ。
「あ、あの、胸……小さいですか?」
胸元を解放された直後に僕の動きが止まった事を不安に感じたのか、彼女がそんな聞いてきた。その大きさの事は、
ちとせも気にしているようだ。
「んー……かもね。でも、僕は気にしないよ。こんなに綺麗だからね」
僕はそう言うと、彼女の双丘の先端だけをそれぞれの手で弄り始めた。
「はあっ、や、ああ……だ、だめですっ……ひゃんっ、ううんっ、ああんっ……!」
やはりここは敏感なのだろう。彼女からの反応が楽しくて、僕はそれを続けた。
――それにしても、いい反応だ。
どんどん僕の気分も高ぶってくる。こうなると……もっと強い反応を楽しみたくなる。もっともっと、彼女の
温もりを、その肢体の感触をいろいろと感じ取りたい。
「小さくても気にする事はないよ。恋する女は綺麗になるって言うし……それに」
「そ、それに……なんです?」
「これからまだまだ、成長するかも知れないよ」
僕はそう言いながら、今度は彼女の双丘の先端に頭を近づけて……強く吸い付いた。
「えっ……やあっ、ああんっ……! そ、それっ、だめ、やっ、やめて下さ、ああっ……ああんっ!」
突然の事に不意を突かれたのか、そしてかなり感じたのか。初めてちとせの体が大きく動いた。
そして彼女は、自分の急所を攻めている僕の頭を手を使ってどかそうとしてきた。
「だから、だっ、だめっ、それは……ま、待ってく、あんっ……や、ああんっ! だっ、だから……
あ、ああんっ……!」
だが僕はそれに構わず、もう片方の先端に目標を変えて更に続けた。
「た、タクトさっ、だから、そ、その……やんっ! だ、だから、あんっ! 恥ずかしくて、やっやあんっ!
な、何だかわたくし、おかしくなりそ……ああっ、だから、だか、ああんっ……」
僕の頭を必死でどかそうとしながら、そして僕の行為による快感に思わず声を上げつつも、彼女は抗議を続けていた。
少し、涙声になりながら……そして、その手にもかなり力がこもってきた。
――これ以上続けるのは良くないか。
ちとせはどうも相当本気でやめて貰いたいようなので、名残惜しかったが……
僕は彼女の望み通り、双丘の先端へ対する口による行為をやめた。
「はあっ、はあんっ……もぉ……タクトさんったら……」
ようやくその強すぎる刺激から解放されたちとせが、少し怒ったように僕にそう言った。
――ここは特に弱い……と言う事か。
これはまだ、後に取っておこう。まだ今のちとせには、刺激が強すぎるのかも知れない。やはり、何事も段階を
踏むべきだしな。
「ごめん、ちょっとやり過ぎたよ」
僕はそう言い、身を起こした。
「もう……」
今度は少し呆れたような声で、ちとせがそうつぶやいた。
さて。一旦落ち着いて、僕は改めてちとせを見た。上半身は、先程までの行為で浴衣をはだけさせていたので、
ほぼ全てが見える状態になっていた。が、先程までの行為がよほど恥ずかしかったのか。その双丘は彼女の両腕で
隠されている。
そして彼女はうっすら瞳に涙も湛えていた。その姿も、また何とも色っぽい。何と言うか……ゾクゾクした。
まあしばらく上半身は守りが堅そうだ。となると……次は下半身か。
そう思い視点を下半身へと移した僕の視線は、やや乱れた浴衣から覗いている、ちとせの白く美しい脚で止まった。
思えば……ちとせの美脚を見たのは、今日が初めてだったな。
ちとせはいつもはあの……彼女が独自にカスタマイズしたのであろう制服を着ているので、その脚はあの青く
長いスカートの下に隠れていて窺い知る事は叶わない……と言っても、日常的にちとせの制服姿を見ているのは、
エンジェル&ツインスター隊のメンツくらいのものだろうが。
しかし今日は当然、私服である。今日の彼女は、膝上10センチほどのやや短めのスカートにロングブーツという……
いわゆる「絶対領域」を強調したような服装だった。
なので昼のデート中には、その美しく健康的な太ももを幾度となく目で楽しむ事が出来た。正直……あまりに眩しくて、
いろいろと困るくらいだったのだが。
そして今はその美しい足の先端から根元までも、見ようと思えば見られる状態である。暗い部屋の中ではあるが、
色が白い事もあって、その美脚を堪能する分には殆ど差し支えはない。
――よし、今度はその美味しそうな太ももを堪能させてもらうとしましょう。
僕は体を引いて、彼女の足元の近くに移動した。そして、先程ちとせが動いた際に露わになったのであろう右脚の、
その脹ら脛をそっとなで始めた。
当然、女の子のこんな所を触るの初めての事だ。いや、そもそも女の子の体をじっくり触る事自体が初めてか。
そして今の所、ちとせからの反応はあまりない。ならば……
僕は今度は舌を使って、その脹ら脛を愛撫し始めた。これには、ちとせも少し反応した。
「あっ……」
そして脹ら脛から、足先までゆっくりと移動していく。そして、僕は足の指の裏側に舌を這わせてみた。
「えっ、ちょ……ああっ、んんっ、やだっ……」
ただ単にくすぐったいのだろうか、それとも快感を得ているのだろうか。彼女は時折、体を大きく動かして反応する。
――しかし……これは何と言うすごい光景だろうか。
彼女の白く美しい脚を、足先から眺める……ちとせのこんなところを目で堪能出来るのは、多分僕だけなんだろう。
ふと、その足の根元に目が行った。下半身はまだそれほど浴衣が乱れていないので、僕が今愛撫している最中の、
その露わになっている方の足も、根元辺りで浴衣によって隠れている。
そう言えば……上は付けていなかったが、下はどうなんだろう。
個人的には、折角の浴衣なのだから下も履いていないと嬉しかったりするのだが……
――まあ、履いていたらいたで楽しめるので、それはいい。
僕はそう思いながら、彼女の足先への愛撫を、徐々に移動させて、最初の脹ら脛の辺りまで戻った。そして今度は
昼間に目で楽しませてもらったその太ももへと、近づいていく。
僕の顔が、秘部に近くなったからだろうか。また少し、ちとせの体が硬くなった。
――んん、柔らかいな……
双丘とはまた違った温かく柔らかい感触が、僕を刺激する。時折、その傷も染みも一つとして無い白い太ももに
唇を寄せ、軽く吸い立てたりして、刺激を与えてみる。
「ん、んんんっ……はあっ、んんっ! んんぅ……」
これもちとせの反応は悪くない。が、少しちとせの反応の仕方が違う。この反応は……
最初の首筋に対して舌で行った愛撫で示した、戸惑いの反応に近い。
まあ、こんな所に普通顔を近づけられた上に舌で触れられるなんて事はまずないのから、当然なのかもしれない。
でも僕がそんな事を彼女に自由に行えて、その反応を楽しめるのは……僕達がお互い、愛し合っているからなのだ。
「ちとせ……」
僕は思わず、そう愛しい彼女の名をつぶやいた後も、舌による太ももへの愛撫を続けていた。すると……
次第に、何とも言えない匂いが漂ってくるのが判った。それは、足の付け根側……彼女の秘部の方からであった。
――これはもしかして。
いわゆる女の香り……というやつだろうか。いい匂い、とも言えないが……嫌な匂い、でもない。
それにしてもそんなに近いわけでもないのに、これだけ匂いが判ると言う事は……まさか。
さて、舌による愛撫は脹ら脛から太ももへと移行している……つまり、このまま行けば、僕の舌は彼女の秘部に
やがて達する事になる。が……敢えて彼女の予想を裏切ってみようと思った。
やっぱり、ここもいきなり口で……というのは、ちとせが嫌がるかも知れない。胸でもあれだけ感じていたのだし。
僕は太ももへの舌での愛撫を中止すると、がばっと彼女に覆い被さるように体を移動させる。
そして今度は右手を……彼女の秘部へと、股下から滑り込ませた。
「あっ、ああっ! やあんっ……! だ、た、タクトさ、そ、そこはっ……」
秘部に触れられた恥ずかしさからか、ちとせは反射的に両脚をきゅっと締めて体を丸め、僕の右手の動きを
封じようとしてきた。そんな僕の右手には、薄い布の感触ではなく……秘裂の傍に生い茂っているのであろう、
淡い叢の感触が伝わってきた。
やはり……履いていないのか。つまり一つになる上で物理的に妨げとなるものは、彼女側には最初からなかったと……
もしかして、それは僕に抱かれるつもりだったからだからなのだろうか……
――ちとせ……何て、何て可愛い子なんだろう。
そう思うと、僕は何とも言えない感情に満たされるのを感じる。そして彼女の体と太ももに挟まれている右腕こそ
動かせないが、指先は動かせる事を察知して、彼女の秘部に対する攻めを開始した。
「やあっ、だから、そこは、はんっ……んんっ……だ、だめぇ、っ、んん、んんぅ……!」
僕の攻めを秘部に受けて、彼女は丸まった体勢のまま身悶え始めた。僕は更に続ける。
「やあん、タクトさっ、こ、これはっ、ううん、ひゃん! つ、強すぎて、あのっ、んんうっ! やっ……
あんっ……はあん……!」
与えられる快楽に抗えないのか、ちとせは次第にその丸まった体勢が取れなくなり、閉ざしていた両脚に
込められていた力も緩まっていた。先程の事もあり、流石にあまり続けるのは気が引けたので、僕は一旦秘部から
手を離した。
「ああっ……はあっ、はあんっ……」
ちとせはやや辛そうに呼吸を整えていた。そして僕の指には、彼女の快楽によって生じたであろう、やや粘りを
帯びた無色の液体が、まとわりついていた。
その光景に……僕は再びゾクゾクする物を感じた。
再び彼女の秘部に対する行為を始めようと思ったのだが、そこで僕は、今だ自分は何一つ脱いでいない事に気が付いた。
既にちとせは、かなり露出している状態になっているのに……これはフェアじゃないな。
とにかく、先程からこれまでにないくらい怒張している男の欲望を少しでも楽にしようと、左手で下着を脱ぎ始めた。
そして右手で、彼女の秘部に対する攻めを再開した。ただ、左手と同時進行と言う事もあって、今度は緩やかめに。
「あ、あうん……ふうっ……んんっ、はあっ……あぁん……あっ、あんっ……」
緩やかに攻めている為か、今度はちとせも割と大人しく僕の行為を受け入れてくれて、快楽を味わっている。
僕の右手の指は、先程から彼女の淡い叢の中央にある秘裂を、その中にある肉芽、更には最も秘められた場所である
肉襞にと、幾度か蠢き回るように動かしては刺激している。それぞれ部位で異なる感触を僕が指から受け取ると同時に、
快楽と羞恥の感情から自然とちとせが発する艶めかしい喘ぎ声が、僕の耳に届く。そしてどこからともなく、秘部の
全体を潤おわせる為の液体が溢れてきて、湛えられていく。
僕が秘部への攻めを続けていたので、ちとせの秘部は驚くほどの潤いを湛えており、そのせいで時折、何とも言えない
淫靡な音を出している。
「あっ、はぁん……つ、強い……んんっ、はぁっ、んんんんっ……やあんっ、あんっ……」
つまり……もうちとせは十分すぎるほどに「濡れて」いるようだ。
これまでの僕の行為でこうなったというのなら……これほど男冥利に尽きる事はない。
僕は左手で下着を脱ぎ終えた。これでお互い、浴衣を着ているだけの状態になった。
同時進行で行っていた脱衣が完了したので、僕は右手による秘部への愛撫を集中し、加速させる事にした。
当然、ちとせもそれに併せて反応が加速する。
「いやっ、ああん……うん、んんっ、あああ……ああっ! だ、だめっ……あっあっ、んんぅ!」
そして空いている左手で、既に防御が解けていた彼女の柔らかな双丘のその感触を、再び楽しませてもらう。
「やあっ、ああっ、そんなっ……むっ、ああん、あん、ひゃあんっ……!」
左手に、数分前まで味わっていた感覚が戻ってきた。流石に利き腕ではないので、その敏感な桃色の先端を効果的に
弄ると言う芸当は難しいが、それでも彼女から少しでも良い反応を得ようと、僕は巧みに指と手を動かしながら、
その柔らかい感触を再び楽しんだ。
まあ、本当は手ではなくて口で行きたかったのだが……まあ、お楽しみは後に取っておこう。
秘部と双丘の二箇所を同時に攻められているからか、彼女の秘部の潤いも、更に少しずつ増し始めていた。
触れているほどに、溢れてくる。そしてその潤いから生み出される何とも言えない音が、相変わらずそこから生じている。
「あんっ、あん……はあ、ああっ……んんっ、あっ……んんぅ、んっ! ああっ、やあん……い、いいっ……」
ちとせの何とも切なそうな声と、彼女の快楽と羞恥の感情より生み出される生理現象によって生じる淫靡な音が、
部屋に響く。
年下の可愛い女の子の、浴衣だけを身に纏う和風の美少女のそんなあられもない姿を見続けていた僕の男の欲望は、
数分前からもう張り裂けんばかりに怒張し続けていた。
そろそろ、仕上げに入る時か。もう、彼女的には僕を受け入れる準備は出来ているようだし……ならば。
「随分、良い感じになってきたね」
「え……」
僕の行為で快楽に満たされて、頭が上手く働かない為に質問の意味がわからないのか、ちとせはそうとしか
言わなかった。
「だから、そろそろ……ね」
僕は、ずいっと彼女に覆い被さるように体を動かして彼女を上から見つめた後、視線を自分の足元へ向けた。
すると彼女もそれに釣られて、僕の足元に見る。
多分この時に、僕の下半身で存在を主張している男の欲望の姿を初めて目にしたのだろう。ちとせが少し目を
見開いたように見えた。そしてそれで、僕の先程の言葉の意味を理解してくれたのだろう。
「あ、は、はい……」
彼女が了解してくれた。更に、僕は一応念押しする。
「でも、本当に……いいのかな?」
「はい……タクトさんになら。で、あの、その、わたくしは、その……初めてなので……」
「大丈夫、優しくするから。僕に任せて」
彼女を安心させるべく、僕ははっきりとそう言った。そして彼女の口から出た「初めて」と言う単語を聞いて、
ちょっと安堵もした。
ちなみに、任せてとは言ったものの……僕も彼女とが初めてなのだ。まあ、年上の男なんだから、リードしてあげる
のは当然だけど……しかし、上手く行くかどうか。
なんにしても、いよいよ……だな。
一旦冷静さを取り戻した僕は、この時に備えて旅行鞄の前ポケットにしっかり入れておいた「アレ」を取り出すべく、
一旦布団から離れようとした。こう言う時こそ、慌ててはいけないのだ。
しかし……そんな僕をちとせが呼び止めた。
「あの、待って下さい」
「え……な、何かな?」
「その……アレを?」
「ま、まあ。ちょっと待ってて、すぐ準備するから」
しかしその後、彼女の口からとんでもない言葉が飛び出した。
「そ、それなら、大丈夫です。今日は……大丈夫な日ですから」
……え?
「そ、その……色々と避妊の方法を調べてて……『基礎体温法』って言うのを知って……ちゃんと、毎日
体温を測って、調べました……それで……今日はその、大丈夫な日なんです。ですから是非タクトさんとは、
そのままで……」
あまりに突拍子もない彼女の言葉が、僕はしばし理解出来なかった。
――えーと……
彼女の言葉を、僕は反芻する。そして、程なく一つの結論に達した。つまり……
旅行の約束をしてから今日までの、一ヶ月とちょっとの間は……ただ休暇が取れなかったのではなくて、彼女が
自身の「安全日」を確認した上で、僕と事に及びたいが為に、必要な期間だったと。
――これはお兄さんびっくりだ。彼女がそこまで計算していたとは……
と同時に……それは彼女が今日、僕に抱かれる事を前提に行動していたと言う事であると気が付くと……
また僕の胸の内に何とも言えない感情が溢れてきた。
でも……
「……あの……どうされたんです? 信じて頂けないのですか……?」
――と、とても前置きが長くなってしまったが、僕が迫られた選択とは……つまりこのまま彼女を信じて生で
するか、それともやはり万が一を考えてアレを使うか……と言う事であった。
こう言っては何だが、ちとせはかなり計算高いようである。それは今までのやりとりなどで、何となく判ってきた。
そもそも基礎体温法なんてものを調べて実行している時点で……
いや、ちゃんとそう言う事を予測して行動出来る点は、悪い事じゃないだろう。僕も、あまりに頭の悪い子は遠慮
願いたい。
ふと僕はそこで、ちとせがエンジェル隊と上手く行ってない事を愚痴ったようなメールをもらっている事もあり、
そしてちとせに関しては「エンジェル隊に復讐しようとして悉く失敗した」等と言う、突拍子もない、ちょっと
黒い噂話も耳にしていた事もあって……一つの可能性を思いついてしまった。
まさかちとせはここで僕と既成事実を作り、退職の口実とするつもりなのでは……
いやいや……いくらなんでもそれはないか。既成事実の相手としてぺーぺーの僕を選ぶというのがあり得ない。
だいたい彼女くらいの美少女なら、もっと条件の良い男だって選べるのだから。
思考がそれてしまったが、彼女の要望を受け入れた際に生じる可能性がある危険……つまり妊娠。それが
あり得るのは、ちとせの計算ミス、またはちとせの唐突な体調変化による、安全日そのもののズレ……と
言う事になるか。
しかし「安全日」だからって、絶対に安全と言う事ではない事ぐらいは、僕だって知っている。その計算さえ
合っていれば、相当に安全ではあるらしいのだが。
で……僕としてはどうなのか。
――そりゃあ……僕だって、生で出来るならその方が絶対に良い。
一人の男として、ちとせのような美少女と交われる感触を、直接味わいたい。感じ合いたい。
でも、もしちとせが妊娠、と言う事になったら……僕は彼女の人生を奪ってしまう事になる。
または、心と体に大きな傷を残してしまう事になるかもしれない。
でも、そもそもアレを使ったって、不慮の事故で破れたりして、駄目な時はあるのだし……
何だかしばらくいろいろと考えたが、中々考えがまとまらず、混乱しかけた。が……
やがて、僕は一つの結論に達した。
ちとせだって、危険は承知しているはずである。でもそれを承知して覚悟が出来ているから、こうして僕に純潔を
捧げようとしてくれているのだろう。
ならば僕も……それに応えよう。彼女の望みに。
冷静に考えれば、いい加減な、間違った結論なのかも知れないが……
そもそも、万が一の時に責任を取れる覚悟無くして、女の子と交わってしまっていいワケがない。
僕は……覚悟を決めた。一つ深呼吸してから、ちとせに話しかけた。
「わかった、ちとせ……じゃあ、遠慮無くそのままで行くよ」
「は、はい……」
心なしか、ちとせが嬉しそうな表情を見せた。
「もちろん、万が一の時は……ちゃんと責任は取るよ」
「そう言って頂けると嬉しいです……でも、大丈夫ですから」
「ああ、君を信じる。じゃあ、ちとせ……貰うよ。足、開いて」
僕はそう言いつつ、ちとせの軽く広げられた白い両脚を間に腰を下ろした。
そしてその両脚の間にある秘部を、僕の視線から隠していた浴衣の端布をめくってよけた。
「あっ……」
ちとせが恥ずかしそうな声を上げた。
――そう言えば彼女の秘部は、まだ露わになってなかったな。
そして僕は、先程まで手による行為で大いに潤っていた彼女の秘部に目をやった。
彼女の秘部……その周囲に茂る、彼女の淡い叢はちゃんと確認出来る。ただ、その中にある秘裂、そして肉襞の
部分は、部屋が暗いせいで流石によく見えない。
――ちょっと残念だ。まあ、だいたいの位置は判るけど……
まず、僕は手探りで肉襞の位置を探す事にする。当然、敏感なところをまた触られる事になったちとせが反応する。
「あ、あ……やんっ……あ、タクトさん、そっ、そこです……」
彼女がその場所を教えてくれた。目標は確認出来た。後は……挿れるだけだ。
――い、いよいよだ……
自分の心臓が激しく高鳴っているのが判る。
目の前には、その浴衣を乱してその裸体を晒している黒髪の美少女が、僕と一つになる時を待ってくれているのだ。
これで、胸が高鳴らせないわけがない。
僕は自分の男の欲望の先端を、先程ちとせが教えてくれた肉襞の入り口に当てた。
「はっ……」
途端、彼女が身を強張らせる。
「いや……ちとせさ。そんなに力入れると、その……」
「あ、す、すみません……」
彼女は口ではそう答えたが、全く力が抜けている様子はない。よほど緊張しているのだろう。
無理もないか……僕だって緊張しているのだ。何せお互い初めてなのだから。しかも彼女は、挿れられる方なのだ。
「……行くよ」
「はい……お願いします。わたくしを、女にして下さい……」
また、何ともゾクゾクする台詞がちとせの口から飛び出してきた。
――本当に、可愛い娘だ。
僕は意を決し、自分の体ごと押し込むように、怒張した男の欲望をゆっくりと彼女の肉襞の中へ押し込み始めた。
「ああっ! あぁ……はあ……や、あ……」
――ぐっ……。
ちとせが力んでいるせいなのか、思うようには奥へと進んでいかない。
最も、今までの行為で彼女の肉襞の内部はしっかりとぬめっているので、引っかかるような事はないのだが。
「うぅ……あぁ……うぅ……んぅ……」
少しずつ進む度に、ちとせは小さく悲鳴を上げる。
――これで、いいんだよな……?
愛しい年下の少女が僕の行為によって生じた苦しみに耐えているのを見て、僕は自分の行為に少し不安を感じていた。
が……程なくして僕の男の欲望の先端が、何かに軽く引っかかる感じが伝わってきた。壁に当たった感じではない……
とすると、これは……あれだ。そう……彼女の、純潔の証。
その正体を察した僕は、一度深呼吸をした。そして、話しかける。
「ちとせ、大丈夫かな? ここから先は痛いかもしれないよ」
「今まででも、結構痛かったんですよ……もう……」
ちとせに軽く怒られてしまった。
――それは失礼した。女の子って、大変なんだな……
でも一つになる為には、彼女にはもう少し耐えて貰わなくてはいけない。
「ごめん……でも、多分これで最後だよ」
「あ、あの、なら、タクトさん。その、手……握って、貰えませんか」
可愛いちとせからのささやかな願い。もちろん、断る理由はない。それで少しでも安心出来るならば……。
僕は左手をそっと差し出す。すると彼女はすぐに右手で僕の左手を握りしめてきた。少し痛いぐらいに……
そこからも、彼女の極度の緊張が伝わって来た。
でも、彼女は耐えようとしている。この僕と一つになりたい為に……まだ少女と呼んでも差し支えない年齢の
ちとせが、僕と交わりたいと言う、その一心で……。
僕は意を決した。僕は一度ちとせの頬を軽く撫でると……その痛みを一瞬で終わらせるべく、挿入を止めていた
怒張した男の欲望を、一気に彼女の奥まで押し込んだ。
「あっ……はあああんっ、いいっ!? ……ぐっ、ううううん!」
一気に引っかかりを抜けた僕の男の欲望は、彼女の肉襞の奥にある壁に当たった。それと同時に、彼女の右手により
握られていた左手が、更にぐっときつく、痛いほどに握りしめられていた。
「……たぁっ……はああっ……んんう、はあっ、はあっ……」
涙声になりながら、ちとせが苦しそうにそう声を漏らしていた。そして……僅かにだが、鉄の匂いが漂ってきた。
つまり、血の匂い。それは僕が、彼女の純潔を奪った証……更には、ついに一つになった証でもあった。
「ああ、タクトさんの……感じるぅ……」
少しの沈黙の後、ちとせが涙に潤んだ声でそう言ってくれた。
「う、嬉しい……わたくし、この時を……待って……」
――全く、いちいち言う事が可愛くて、たまらない。
こんな可愛い年下の女の子が、その破瓜の痛みを堪えてまで、僕と一つになれた事を喜んでくれているんだ……。
「ああ、良く頑張ってくれたね。嬉しいよ」
「あっ、タクトさん……」
僕は思わず、眼下で僕を見上げている、愛しい美少女に抱きついた。そして待った。彼女の痛みが和らぐのを。
誰が言っていたかは覚えがないが、「痛みは一瞬だ」というわけには、どうもいかなかったようだし。
そして待つ間に考えていた。この後、どうしようか……と。
と言うのも、痛がるちとせを気遣うあまりか、挿入を完了するまでは体が忘れていたようなのだが……僕の男の
欲望を包み込んでいるちとせの生の肉襞の感触が、今も僕の感情を激しく刺激しているのだ。
正直、挿入を完了した時点で出てしまいそうだった。我ながら、良く耐えたと思う。そして今だって、
気を抜いたらそのまま達してしまいそうな程である。
この後の行為を普通に進めていけば、彼女が達する前に間違いなく自分だけ先に達してしまう。
――こうなるなら、先に一発、抜いておけば良かったかも知れない。
少し後悔する。ただ……
僕は彼女の弱点を見つけてはいる。自分の限界が近い……いや、もう十分近いけど。そんな状況になった時に
そこを攻めて、彼女を一気に高ぶらせれば、彼女も共に達させる事が出来る可能性はある。
いや、女の子の体の事は良く知らないし、そんなに上手く行くかは判らないが。
まあ初めての事だし、先に達してしまってもいいんだろうけど……それはちょっと情けなくはある。やはり、
最初だからこそ、絶頂は極力一緒に迎えたい。
「あの」
しばらく痛みに耐えていたであろうちとせが、抱きついたまま考え事をしている僕に告げた。
「タクトさん……わたくしならもう、大丈夫です。その、続けて下さいますか……」
「判った。でも、無理なら言ってくれよ。僕なんかの為に、無理しなくて良いからね」
僕は愛しいちとせの頬をまた軽く撫でる。そして彼女の要望通りに、ゆっくりと彼女の中での、活塞を開始した。
「ああんっ、はあっ……やっ……いっ……あ、はぁん……んんっ……むうっ……」
正常位でゆっくりと、彼女が痛くないようにしながら彼女の肉襞の感触を味わいつつ活塞し、自身の限界を
迎えないように彼女との性行為を楽しみつつ、そして彼女のやや幼さを残す美しい肢体をじっくりと鑑賞しつつ。
僕は彼女の背に手を回して、そして体位を調整していた。
――それにしても……この彼女の中の、絡みつくような感覚は……なんだろう……とても温かくて……
本当に、たまらない。
僕は初めて味わう、女体の神秘と言うべき感覚に酔い始めていた。もちろん、自身の限界と戦いながら。
「あん……んんっ……やぁん……あっ……ああっ……あんっ……!」
そして活塞の都度に発せられる、こんな彼女の艶めかしい喘ぎ声が、そして声を発する時のちとせの表情が……
否応なく僕の感情を高ぶらせて来る。
目の前の、まだ発育の可能性を残している美少女の初々しい白く美しい肢体。そこから、成熟した女が発する
女の色香が。そして快楽が……存分に伝わってくるのだ。何と言う、至福の時。
「ああっ……た、タクトさんの……はあっ……あああっ、気持ち、いいっ……んんっ、ふうっ……!」
どうやら……ちとせはもう大丈夫らしい。なら、僕も頑張って耐えなくては……耐えるものの質が全然違うけど。
僕はタイミングを見ながら、僕は布団に寝ている彼女の上体を抱き起こした。そして更に繋がった部分が抜けない
ようにちとせを膝立ちに近い体勢にする。そして僕は脚を揃えて伸ばし、腰を浮かせている彼女の尻を、
自分の腿の上に乗せた。
そう、所謂「対面座位」だ。何とか、この体勢まで持って行きたかったのだ。
「あのっ、タクトさ……やっ、こっ、これ、深っ……やあんっ……んんっ、ああっ、ああんっ!」
確かに……僕の男の欲棒の先端が、肉襞の奥に当たっている。先程までの正常位とは違い、僕の男の欲望が
間下から彼女の肉襞に入り込んでいる状態である。ちとせの体は重力に従って沈み、僕の欲望をより深く、
銜え込む事になっている。
「んんっ、か、感じ……あっ、んんう……ううん、はっ、あっ! やん、お、おおき……や、か、ううん、
んんぅ! あ、ああん……あっあ……」
僕のすぐ目の前では、その長い髪をやや振り乱すようにして体を揺すりながら、浴衣だけを身に纏っている
ちとせが、僕と結合している部分から受ける快感を貪っている。
――いいな、これ……
一方で僕も、ちとせと結合している得られる快感を味わいつつ、更には体位の関係で密着している彼女の肌の
温もりとなめらかさを、思う存分堪能していた。
最も、この体位にしたのはこれだけが目的ではない。
――思った通りだ。
僕の視線のすぐ下には……控えめながらも、その先端はちゃんと存在を主張している彼女の双丘があった。
その双丘も、彼女の動きに合わせて僅かに揺れて、その弾力を主張していた。
その光景だけでも、かなり淫靡である。
僕はちとせの中での活塞を続けつつ、体を前に軽く傾け始めた。それに併せて、彼女の上体も、少し後ろに傾く。
「あん、はあんっ……あん、あっあっ……やっ……」
――よし、丁度良い位置に来た。
丁度良い位置に来た物……それは彼女の双丘にある、桃色の先端であった。ちとせは今は目を閉じて、快楽を
貪っている。それを確認して、先程は刺激の強さ故か途中で拒否された、口による愛撫を開始した。
「ひゃあ、やああんっ! や、やだ、タクトさ、それはだっ……やあっ、やああんっ! ひゃあんっ、だ、
だめぇ、だめぇっ……! だめですぅ、あ、ああんっ……!」
不意に弱点を攻められ、ちとせは今までない色っぽい声を上げ、激しく身を捩らせ始めた。そして無意識にで
あろうが、彼女の肉襞が僕の欲望を更に締め上げてきた。
――ぐっ、こ、これは……すごい、そして、まずい。予想以上だ。
僕は、さらに我慢を強いられる事になった。
「やあん、はあぁぁっ……だか、だから、だ、ダメです、そ、たっ、や、わたっ……あん! わ、私、おっ、
おかしく、な、なぁ! はぁんっ……いやあっ……やめっ……」
ちとせは僕からの攻撃で与えられた強い刺激に艶めかしい声を上げながら身を捩らせ、何とか逃れようとする。
が……僕は逃がさない。逃がすつもりはない。今までそれを我慢していた分、執拗に彼女の双丘の先端を、
口で味わいつつ愛撫し、時には強く吸い立てた。
「ああん……あん! だめっ、ああ、んんっ、ひゃあ! あんっ……ああっ、んんっ! や、ああんっ!
はぁん……! だ、だめぇ……あっあっあんっ……ひゃんっ……!」
その敏感な先端のそれぞれに様々な刺激を受ける度、ちとせは身を捩らせてながらも、都度何とも艶めかしい
声を上げて身悶える。そんなちとせの姿を堪能する僕の気持ちは、これまた加速度的に高ぶっていく。
もちろん、繋がった部分の活塞も止めてはいない。
「ああっ、いやあっ! あっ、だ、だめっ、た、タクトさっ、な、何か……っ、ああっ、ああんっ、やぁん!
はあっ……!」
……どうやら、彼女が一気に限界近くまで上り詰めたようで、その時が近づいているようだ。
もう、僕の我慢の持ちそうにない……丁度良い。
「よし、そろそろ行こう、ちとせ」
僕は彼女の双丘から口を離すと、腰が動きやすいように伸ばしていた足を畳んで、彼女の中での活塞に集中する。
そして、活塞を少し加速させる。
「あ、ああんっ……! た、タクトさぁんっ、私、わたしぃっ! ああっ、んんっ! あっ……きゃあっ、
い、いやぁんっ! ああっ……」
体位の関係上、僕が腰を動かすには彼女の体重分も持ち上げなくては成らず、意外にしんどかったが、彼女と
一瞬の最高の快楽を共有したい一心、僕は何とかそれを続ける。
それに気が付いたのだろうか、それとももっと強い快感を得たくなったのか。やがてちとせも、自分から体を
上下に揺すり始めた。それにより、彼女の肉襞と僕の男の欲望の摩擦がより高まり、それに併せて快感もみるみる
強くなって行く……
「ああっ! わ、私、わたしいっ……な、何だかあっ、あんっ! やぁん、た、タクトさぁんっ、いやぁんっ!
ああんっ! だめぇっ……だ、だめぇっ……」
ちとせが涙声になっていた。相当に高まっているようだ。それを見て、僕の気持ちも燃えてくる。
「ちとせ……ちとせっ……!」
彼女は僕の為に、その美しい肢体……完成を間もなく迎えるであろう、女としての肉体を捧げてくれている。
彼女は危険を承知で、僕と男女として結ばれたい一心で、一つしかない純潔を捨ててまで、激しく僕と交わって
くれている。僕は、こんな素敵な女の子の全てを、今、味わっている……最高だ。彼女の全てが欲しい。
もう、離したくない……! 誰にも渡したくない。僕の、僕のものだっ……!
そんな彼女を愛する思いが高まり、僕はいつしか彼女の体を強く抱きしめていた。そして、呼ぶ。心から愛する、
そして目の前で快楽を共有している、愛しい美少女の名を。
「ちとせ……ちとせぇっ……!」
「ああっ、タクトさぁ……やんっ! わ、私、わたしっ! やあっ、あん、もうっ……! あ、や、やっ、
あぁっ、はあんんっ……!」
半泣きで僕を求めながら、なおも快楽を得るべく体を揺すり続けているちとせを見て、僕は彼女を絶頂に
登らせるべく、温存していた最後の一押しを放った。
それは……僕は今まで刺激を与えるのを中断していた……目の前で揺れている彼女の双丘の桃色の先端への、
口による愛撫。そしてそれと同時に、今まで活塞で彼女の肉襞を刺激し続けていた怒張した欲望を、一気に
奥まで強くねじ込んだ。
「や、あっ!?」
この一押しが効いたらしい。
「や、あっ、あああああああああああああーーーーっっっ……! ああんっ……! タ、タクトさぁぁん……!」
やや戸惑い気味ながらもついに限界を超えたちとせが絶頂を迎え、上体がのけぞる。そして、激しい恍惚の声を
上げた。そしてその瞬間は僕にしがみつき、まるで僕の欲望を絞り上げんばかりに締め付けてきた。
「ぐっ、ちとせ……くぁっ!」
これで時を同じくして僕も限界を越えた。そして絶頂を迎えたと同時に、ちとせの中で暴れていた僕の男の欲望が
ついにその快楽の証を、彼女の肉襞の奥……腹部の奥にある子宮に目がけて、遠慮無くぶちまけ始めた。
「ああっ、あん……これ……タクトさんの……んんぅ……ふぅん……」
僕が放ち続けている快楽の証を、その体で全て受け止めているちとせが力ない声で、そう譫言のようにつぶやいていた。
我慢を続けて貯まりに貯まっていた快楽の証はあまりに多く、また体位の関係でたちまち彼女の秘部からも、
少しずつあふれ出してくるのが判った。
そして男の欲望が快楽の証を波打つように吐き出し続けてるいる間、僕の心を支配していたのは……
僕にこの上ない快楽を与えてくれたちとせに対する強い愛情、自分がちとせの初めての男になれたという優越感、
ここまで我慢していた事に対する開放感、無事にちとせに快楽を与えられたという安心感、そしてちとせの様な
美少女の胎内に自分の子種をあらん限りにぶちまけたという背徳感、そして……もしかしたら、これで妊娠させて
しまったのかもしれないと言う、ちょっとした罪悪感。
それにしても、今まで数え切れないほどこの瞬間を迎えたが、こんなの強烈なのは当然、初めての事だ。
やっぱり……こんなに素晴らしい相手が居るからだろうな。
「ああっ……あっ……やぁぁっ、うぁぁ……ううん……ぁ……」
そのちとせは、僕の快楽の証を受け止めている間、恍惚の表情を浮かべ、おそらく人生で初めて味わったので
あろう性の絶頂の余韻に浸り続けていた。
しかしやがてそれも落ち着き、急激に力が抜けたのか、僕の方へともたれかかってくる。そして……荒い呼吸を
繰り返し始めた。
僕はそんなちとせのやや控えめな双丘の谷間に顔を埋めたまま、ちとせが落ち着くのを待つ。その小さな体で、
今までの僕の行為を全てあらん限りに受け止めてくれた彼女に対する、感謝の気持ちを抱きながら……
ちとせの呼吸が落ち着いてきたところで、僕はゆっくりと体を離して、ちとせの体を布団へと寝かせた。
それに倣うように僕も彼女の横に身を横たえて、彼女の体を軽く抱き寄せる。
そして、軽く口づけをして、天井を向いてやや放心している彼女の頬を何となく撫でてみた。
「あ……タクトさん……わたくし達……」
ゆっくりと僕の方に顔を向けつつ、そうちとせがつぶやいた。
「ああ……貰ってしまったよ、君の大切なものを」
「愛する人に捧げる事が出来て、幸せです……」
そう言い、彼女が軽く微笑んだ。そして、言葉を続ける。
「ねえ、タクトさん。これが……女の悦び、と言うものなのでしょうか……?」
そう僕に問いかけるちとせ。
「んー……ちとせがそう思うなら、そうじゃないのかな」
僕はそう答えた。そして、見つめていた。たった今、交わい終えたばかりの愛しい相手を。ちとせ……まだ
幼さも感じさせるが、ほぼ女として完成を迎える直前の、言うなれば、開花直前の美しい花のような少女。
そんな、まだ完熟を迎えていない状態……まだ少し青い果実のようなちとせの肢体を、僕は頂いてしまった。
いろいろな意味で、完熟を待った方が良かったのかも知れない。でも……
改めてちとせを見る。暗い部屋の中でも判るほど頬を紅潮させ、瞳はやや潤み焦点が定まっていない感じの、
何とも色っぽい表情を浮かべていた。
――これが女の顔……とでも言うべきものなのかな。
その妖艶な表情に、僕は少しだけ、背筋に寒いものが走った気がした。
そのせいか……先程あれだけの快楽の証を吐き出したばかりの僕の男が欲望が、なんと再び怒張を始めていた。
今は繋がってこそいないが、体はかなり密着しているので、当然彼女にもそれに気付かれる事になった。
「あ、あのっ……タクトさん……!? こ、これ……」
いきなり変化を始めた僕の男の欲望を直接体で感じて、驚いているのだろうか。ちとせは戸惑いの声を上げて、
僕の方を見た。
「はは……何だか、一回じゃ収まらないみたいだ。だからさ、もう一回……お願いしても良いかな?」
女の子の事はよく判らないから、一応、お伺いを立ててみる。大変そうだし。
「……はい。タクトさんが望まれるのでしたら……どうぞ」
あっけなく、お許しが出た。
「あの、また、わたくしに……女の悦びと言うものを、教えて下さい」
こんな、ゾクゾクする台詞を付けた上で。
「わかった。じゃあ……遠慮なく頂くよ。僕の……可愛いちとせ」
僕は、再度ちとせの上に覆い被さり、早速二回目の性行為を開始する。
「ああっ、そんなっ……んんっ……あんっ……」
快感さめやらぬちとせが、また身を捩らせ始める。
そして十数分後、お互いに敏感になっていた僕とちとせは、再度の絶頂を迎えたのであった――
とまあそんなわけで、僕とちとせはめでたく恋人同士となったのであった。
後日になって届いた「来ました」と言う彼女からのメールを受け取って、僕はひとまず安堵した。が、今度は
彼女との初夜で得た快感が忘れられなくて悶々とする羽目になったのであった……。
更には、行為によって生じたと思しき腰の痛みにも……まあまだ若いので、こちらは早い段階で治ったけど。
とりあえず、ちょっとした筋力トレーニングでも始めてみようかと思った。
そんな状態は、温泉旅行から約一月後、彼女と再会するまで続く事になるのだが……その話はまた別の機会に。
900 :
名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 16:38:35 ID:iotDgFTU
900!
久々に来たら投下ラッシュだな。
>>867 ちょっとギャグ漫画っぽくて面白かった。
続き待ってます。
>>880 ちとせはアニメ版では積極的って感じか。
なんにせよちとせ可愛かったです。
一月ほど前にアニメ版ちとせが大好きでここに長いSSを投下させて頂いた者です
続編を匂わすような形で終わらせたはいいものの ほとんど反応がないのでどうしようかと
思っていたのですが……このスレが再び盛りあがる事を期待して、続編を投下しようと思います
現在最終チェック中なので、連休中には投下出来るかと……
904 :
902:2011/02/12(土) 16:50:44 ID:Kv98RgvT
というわけで
>>881-899 で書かせて頂いたやつの続きを投下します
テキスト量も同じくらいです シチュは和姦で基本どノーマル、今後状況は代わっても
これはまず変わりません
ちなみに作中でのちとせの私服ですが、これはネット上で拾った出所不明のちとせ画像から
まんま流用だったりします
では14レスほど続けてお付き合い下さい
僕の名はタクト・マイヤーズ……まあ、これは偽名だが。例によって、以下この名で通させて貰おう。
一応トランスバール軍の下士官で……普段は庶務課で雑事をしながら暮らしている。そして、こんな僕の恋人は
ツインスター隊所属の少尉、烏丸ちとせである。
前回そのちとせの僕の馴れ初め、そして男女として結ばれた時の話をしたと思うが……今日はその続きをお話し
させて貰おう。
あの熱い一夜の後、僕達はそれぞれの生活に戻った。今の所は二人だけの秘密の恋であり、そして身分違いの恋。
そしてちとせが何かと忙しい事もあり、次はいつ直接会えるか判らない状態だった。
そして僕は、ある事に悩まされていた。
――ああ、ちとせが欲しい。
あの日の、彼女との激しく愛し合い、そして求め合った夜。純和風の美少女のやや未発達ながらも均整の取れた
その美しい肢体、柔らかい胸の感触、綺麗なその白い脚。そして一つになり、共に絶頂に達した時に生み出された、
途方もない快感……
彼女との熱い一夜の事を少し思い出すだけでも、僕の男の欲望が反応してしまうので、処理に困っていた。それは
自宅でのささやかな楽しみである、通信対戦でのチェスをしていても途中でやめたくなってしまうほどだった。
正直、ちとせと頻繁に会える状態だったら、僕は間違いなく猿のようになってしまっていただろう。
とにかくそのくらい、ちとせが恋しかった。
だからといって自分で処理するのは、あんな素晴らしい体験をした後ではただひたすら事後に虚しくなるので、
滅多にしなくかった。なので……いろんな意味で溜まる一方だった。
そんな折……愛しのちとせから、久々にメールが届いた。
風の噂で「ちとせらしき子が巨大なピンクのゴキブリになっていた」等という、何とも妙な話を聞いており、しかも
しばらく連絡が途絶えていたので、少し心配していた所だったのだ。
で、その内容は……掻い摘んで言えば「○月○日と○日、休暇が取れましたのでまたお会いしませんか?」。
ちなみにその日付は、約一週間後。そして彼女と温泉旅行に行った日からは、約一ヶ月後である。
――会いませんか、か。
……と言われてもな。多分、会うだけでは済まない。しかも連休。そしてその日付。まあ……そう言う事なのだろう。
直接、会って何をするかに言及しないのはちとせが恥ずかしいからなのか、それとも計算なのか、はてまた情報漏洩と
言う万が一を考えての事なのか……
とにかく、彼女にまた会えるのは嬉しい。別に僕の休暇はシフトを考慮すれば簡単に取れるので、それは問題に
ならない。だが……問題はどこで会うかと言う事。間違いなく一戦交える事に……いや、絶対に一戦じゃ済まない
だろうけど。
まあとにかく交わる事にはなるので、それなりの場所が必要になる……
さて、僕は只の庶務課の下士官。要は只のぺーぺーなので、経済的に恵まれているわけではない。経済的な事を
言えば、間違いなく特殊部隊の少尉であるちとせの方が豊かだろうが……年上の男として、年下の彼女に出費を
迫るのはやはり気が引けてしまう。僕の為に結構無理する彼女の事だから、相談すれば逆に全部出すとまで言って
くれそうだが……彼女に背負わせている危険の事を思うと、やはりそれは出来る事ではない。
だから、また本星へ行って……というのはちょっと不可能に近い。前回の時は温泉宿代もそうだが、本星へ行く
シャトルの運賃だけでもかなりの出費だったのだ。なので、最近の僕の生活はカツカツなのである。
となると、ここ(エンジェル基地)の中で……と言う事になる。が、まず、彼女の部屋に行くと言う選択肢は
ありえない。忍び込めるとも思えないし、ばれてしまったりしたらちとせの立場がまずくなる。
そりゃ、一度は行ってみたいけど……。
ならば……ここ(エンジェル基地)は基地とは言っても、実際には衛星軌道上の小惑星の中に作られた、一大
都市である。実際、中はかなり広い。
なので一応、いろいろな宿もある。ならどこか手頃な宿を探して、そこで……と思ったが、これもちょっと
厳しい。
本星ならばともかく、この基地内にある宿にペアでのお泊りと言うのは……やはり少々リスクが高い気がする。
ようやく軍人として馴染んできたらしい彼女に、余計な噂を立てるような事は避けたい。
今でも「日々エンジェル隊に復讐しようとしている」等という、なんだか黒い話が伝わって来たりしていると
いうのに……
そもそも、その宿へのお金でさえ、今は惜しいくらいなのだ。
じゃあ、どこで……と、僕は一つ最適な場所を思いついた。
――ここ(自室)だ。
幸い、細かい事が気になる質が幸いして、また経済的余裕が少ない事も手伝って、部屋は小綺麗にしているので
彼女を招き入れる分には問題はない。ちとせに見られて拙いと思うものは……まあ、このパソコンの中くらいに
しかない。そして、幸いにも近辺に知り合いは住んでおらず、しかも日中は周囲に殆ど人の気配が無い。
……壁の薄さはどうだったかな。少なくとも、今まで隣や上下から変な音が聞こえたと言う事はないし、
これも大丈夫だろう。後は少々狭い事ぐらいだが……
――行ける。
となれば……問題はちとせ。彼女が了解するかどうかだけだ。
翌日、すぐさまちとせ指定の日付で休暇を取り付けた僕は、ちとせに「落ち着いて話したいので、君さえ良ければ
僕の家でどうかな?」と言う感じで返事を送った。
が、すぐに返事はなかった……不安になったが、ただ単に任務が入っていただけらしく、数日後に「わかりました。
楽しみにしています」と言う返事が来た。
楽しみにしています。か……
――これも多分、いろんな意味を含んでいるのだろうなあ。
ちとせに当日の待ち合わせ場所を指定する為のメールを書きながら、そんな事を考えていた。
そして当日。
待ち合わせ場所に現れたちとせは、黄土色のハンチング帽に茶淵の丸い伊達眼鏡という変装をして現れた。どこで
手に入れたんだか……
ちなみに服装自体は、以前の温泉旅行の時と同じ、絶対領域が眩しい例のかわいらしい格好であったが……その変装の
せいでややミスマッチであった。
彼女がエンジェル……じゃなくてツインスター隊の隊員である事は、僅かな人間しか知らないので、むしろ
こんな格好の方が目立ってしまうかも、と思った。
「お久しぶりですタクトさん! さ、早く参りましょう」
これが相変わらず、何ともかわいい姿を久々に見せてくれたちとせの最初の言葉であった。
僕は、自分の愛車にちとせを案内する。
……と言っても、四輪車ではない。さっきも言ったように経済的に苦しい故、中古で手に入れた低排気量の
二輪車が、僕の足であった。
まあ低排気量ではあるが結構力はあるし、ちゃんと二人乗りも出来るし、燃費も悪くない。中々いい奴だ。
ここは基地の中なので、急な天候の変化で悩まされる事もないし……
「そんなには飛ばさないけど、ちゃんと掴まっててくれよ。ここからは10分も掛からないから」
僕はちとせの為にわざわざ買っておいた、真新しいジェットヘルメットを手渡しつつそう言った。当然、これも
僕の持ち出しで……地味に痛い出費だったりする。
でもこの二輪車を手に入れた時には、いつかは可愛い女の子とタンデムが出来たらいいなあ……とは思っていた
ので、この出費も痛し痒しと言ったところかも知れない。
そんなわけで……僕は僅かな時間ではあるが、ちとせとのタンデムを楽しんだ。のだが……
心なしか……後ろに乗っている彼女が、僕の背にわざと自分の胸を押し付けている気がしたのだが……。
――いかん、欲求不満で変な事を。
いくらなんでもちとせがそんな事は……と思っていた。
程なくして、僕の家に着いた……と言っても、只の集合住宅のワンルームであるが。
今日は平日の昼間と言う事もあって、人の気配はない。そんなわけなので、誰にも会う事なく僕はちとせを伴い
自室の前まで来る事が出来た。
そして入口の電子錠を解除し、彼女を先に部屋に入れる。そして僕が入り、扉を閉める。
がちり、とオートロックが作動する音がした。すると……
「タクトさんっ!」
「わっ、ち、ちとせっ……」
振り返った僕に彼女がいきなり抱きついて来て、口づけをしてきた。思わず扉に押し付けられてしまう。
「どうしたんだ、いきなりっ……」
これには流石に不意を突かれた。いきなりのちとせの行動に、僕は動揺していた。
「だって、だって……わたくし、ずっと寂しかったんですっ……んんっ」
ちとせは更に抱きつきながら、唇を求めてきた。
そりゃあ、僕だって会えなくて寂しかったが……どうもちとせもそれは同じだったようだ。
――いじらしくて、可愛いじゃないか。
あ……と言う事はやはりさっきのは、ちとせが自分で胸を押し付けていたと……これまた、なんて大胆な事を……。
――何にしても、少し彼女を落ち着かせるのが先だ。
僕はそう思い、ひとまずはそのままちとせの唇と、その体の温もりを楽しませて貰う事にした。
「んんっ……ふうっ……はあっ……」
初めての夜の時のように、しばし僕とちとせはしばし舌を絡め合うような、濃厚な口づけを続けた。
そして……少しちとせの口づけが落ち着いて来たところで、体を離す。
「ふう。で……落ち着いたかな?」
「あ……はっ、はい。いやだ、わたくしったら、つい……」
一旦落ち着いて、今までの事が気恥ずかしくなったのか。ちとせは赤くなって、少しうつむいてしまった。
――おっと、こう言う時は、僕がフォローしてやらないと。
「とにかく、上がって。大した持てなしも出来ないけどね」
「は、はい」
ちとせはそのロングブーツを脱ぐのに時間が掛かるようなので、僕はその間に先に、自室で飲み物を用意して待
つ事にした。
――少しでも、一人だけの時間があれば、落ち着きやすいだろう。
そう思いながら。
数分後。僕の部屋に入ってきたちとせは、少しもの珍しげに部屋の中を見渡した後、部屋の中央にあるちゃぶ台の
傍らに置かれた、紺色の座布団にゆっくりと腰を下ろした。
これも僕があらかじめ、用意しておいたものだ。ちなみに僕はベッドに腰掛けている。
そして、そのベッドも……と言ってもただのパイプベッドだが、この時に備えて色々と準備済みである。
具体的には、いつも使っている掛け布団の代わりに、シーツをかけてある。そして、マットレスと敷き布団の
間には、ビニールシートが挟んであるのだ。マットレスは汚してしまうと面倒だから、である。
それは……旅先でのちとせとの初夜の朝、寝ていた布団が大変な事になっていた事から得た教訓の実践であった。
「ここがタクトさんの……?」
「いわゆる1Kってやつだね。まあ独り身だからね、これでも十分なんだけど……流石に二人だと手狭かな?」
ちなみにここのワンルームを住居として選んだのは、家賃が安い割りにはそこそこ設備が揃っていた為である。
少し狭いが、ちゃんとトイレとは別に風呂場だってある。
ただちょっと、仕事へ行くには遠いのが欠点かも知れない。でもそれは愛車のお陰でさほど苦ではないし、
そんな場所だからこそ近所に知り合いの姿がないので、ちとせとの密会の場所に好都合だったのだが。
その後はいろいろと話を始めたのだが……何だかお互い浮ついて、話がうまく進まなかった。
もちろん、お互いが浮ついている原因はわかっている。お互いに……待っているのだ。
こう言う時は男で年上の僕が言うべきと判っていても、何となく言い出し辛かった。
先程、彼女に不意打ちの先制攻撃をされた為だろうか。
だがこんな事で、折角手に入れた二人だけの自由な時間を、簡単に浪費するわけにはいかないので……僕から
切り出した。
「なあ、ちとせ」
「はいっ、なんでしょうか」
「その……そろそろ……しないか?」
思い切ってそう言うと……
「あ、はい。では、タクトさんのお好きなように……」
ちとせは、顔を赤らめてうつむき気味にそう言った。
――よし、お許しが出た。
僕は立ち上がり、ちゃぶ台の横に座ったままのちとせに近づき、腰を下ろした。
「好きだよ、ちとせ」
そう言いながら、うつむき加減になっている彼女の顎を右手で軽く持ち上げつつこちらに向けて、再び口づけを
開始した。
「うんっ……んんっ……ふうっ……」
そして左手では……彼女の短めのスカートとソックスの間から覗いている、あの白くて眩しい太ももをまさぐった。
「やあっ……く、くすぐったいですわ……んんっ……あ、ああっ……やあっ……んっ……」
この綺麗な太ももは……さっきから僕の視線の先にあってそれが何とも目の毒だったのだ。前回の旅行の時にも
困った。その旅行の時に交わった際にその感触を楽しんではいるが、その時は暗かった。
が……今は日中である。そんな明るい中でみるちとせのその太ももは、これまた綺麗で眩しい。
そして実際にこうして触れてみれば、またこれがすべすべで、そして柔らかくて……また触られて少し恥じらい
ながらも、気持ちよさそうに身を震わせているちとせも可愛くて……そして、何より前回の旅行のデートの時、
そして今日出会った時から男として触れてみたくて仕方がなかったあの部分に、遠慮無く自分の手で触れて楽し
んでいる、と言う状況が僕の心を大いに高ぶらせていた。
ちとせの唇を味わいながら、彼女の両脚の太ももの温かくすべすべした感触も僕はしばし楽しんだ。その最中、
何度か彼女の秘部にも触れる事になった。もちろん当然というか、下着越しにではあるが……明るい状況の中で
女の子のそんな所に手を入れて自由に触れていられるという状況だけで、僕はかなり興奮していた。
「ああ……はあっ、いいです、タクトさん……んんっ、ふぅっ……はあっ……」
ちとせの吐息も、次第に色を帯びてきた。これで、お互いに高まっている事を確認出来た。
――とりあえず、導入としてはこんな所だろうか。
僕は口づけと太ももへの愛撫を終わらせると、以前のようにちとせをお姫様だっこした。
そして僅かな距離ではあるが、部屋にあるベッドの上まで彼女を運び、そっとベッドの上に寝かせた。
そして、僕は上着を脱ぎ捨てると……ベッドの上の彼女に覆い被さる体勢になった。
「さあて、本番はこれからだよ。いいね?」
「は、はい……」
僕はまず寝転んでいるちとせの傍らに膝立ちの状態になると、その双丘がある胸元に両手を伸ばした。
今は寝転んでいる上に、まだ着衣のままなのでその形は全く確認出来ない。それでもあるべき箇所をまさぐって
いると……確かで、そして柔らかく懐かしい手応えがあった。
「んっ……ん……あっ、ああっ……や……」
快感を味わい始めたちとせに、僕は行為を続けながら話しかける。
「それにしても……さっきは流石に驚いたよ。君があんな大胆な事を、さ」
「そ、それは……あっ、やっ……だって、切なかったんです。それでっ、や、あ、あっ……!」
「嬉しいな、そこまで僕の事を思ってくれてるなんてさ」
嬉しくなった僕は、ちとせの服で隠れて見えない双丘への行為を、加速させた。
「あっ、あんっ……だっ、だって、好きなんですもの、ひゃあっ……! なのに、会えなくて……
んんっ……やぁ……! ああっ……」
時折可愛い声を上げながら、ちとせは言葉を続ける。
「だから私……つい、そのっ……」
「ん? 何?」
「え……い、いや……な、なんでもありませんわっ!」
急に顔を赤くして、ちとせはぷいっと顔を横に向けてしまった。
でも僕は……話の流れから、本当はあの後、何と言いたかったのか……何となく理解していた。
合っている保証はないが、つまり自分で……と言う事だろう。男の自分ならともかく、彼女まで……
そんなに僕を望んでいたのなら……たっぷりと楽しませてあげたい。愛してあげたい。
そんな思いを強くした僕は双丘への行為を終わらせて、ゆっくりと足元へと移動する。
そしてその萌葱色の短めのスカートから伸びているちとせの左脚をそっと手にとって持ち上げ……先程味わわせて
貰ったその白く美しい太ももを、今度は手だけでなく、舌も使って同時に愛撫し始めた。
「やあっ、そこは……ちょっ……ああっ、あっ……!」
前回の時は暗い中でのこの行為だったが……今回は違う。今は彼女の白く健康的な太ももを、視覚的にも存分に
堪能出来るのだ。
ちなみに彼女の脹ら脛は、今は薄紫色のロングソックスで覆われている。もちろん、それを脱がせるような事は
しない。よって僕の行為は、そのなんとも魅力的な白い太ももへと集中する事になる。
「はあっ……ううん、んんっ……あっ……ああっ……! やっ、やだっ……見ないで……下さっ……はあんっ……
だ、だめ……そこ……あはっ……」
部屋が明るいからだろうか、ちとせは初夜の時以上に敏感な反応で、僕の行為を受け入れて快感を得ていた。
その最中に気が付いた。どうもスカートの中身を見られたくないらしく、彼女は行為を受け入れつつも、必死に
片手でスカートの裾でその部分を隠していた。
もっとも、隠してはいるものの隠しきれる物ではなく、ちらちらとそのスカートの下の白い下着らしき物が眼には
入っていたが。
――こう言うところが、適度に恥じらいがあって良いよなあ。
そう思いつつ、僕は今度はもう片方の脚を持ち上げて、その太ももをさっきと同じようにその感触を手と顔で
楽しみ、そしてその美しく魅力的な眺めを目でも堪能した。
「やっ……ああっ、あうう……やっ、あっ、はああ……やあっ……んんぅ……」
ちとせは相変わらず恥ずかしそうに股座を隠しながらも、秘部に近い場所から伝わってくる感覚に身を小さく
震わせ続けていた。
――そろそろ、次に行きますか。
今まで味わっていたちとせの脚を僕はゆっくりと下ろすと、顔付きもより色っぽくなったちとせの傍らに、
膝立ちになった。
そして彼女の着ている、ベージュ色のカーディガンのボタンを全て外して、前を開けた。
その下にあるのはちとせの上半身をほぼ全て覆っている、やや厚めの布地の青いハイネックのシャツである。
僕はそのハイネックを脱がせようと、腹部の部分の布地に手を掛けた瞬間だった。
「あ、あの。その……部屋、暗くして頂けませんか……」
彼女から注文が来た。相変わらず……明るいのはダメらしい。
――仕方がない、可愛い彼女の願いだもんな。
そのまま無視して無理矢理に……言うのは、僕のルールに反する。
「わかった……ちょっと待っててよ」
僕は近くの壁に掛けてあったリモコンを手にした。窓のロールカーテンは電動制御なのである。ま、どうでも
いい事だが。
ロールカーテンを完全に締めてみるが……暗くはなる。だが流石に日中という事もあってそんなに暗くはならない。
初夜の時に比べれば、断然明るい。
「あの……これ以上、暗くは出来ないんですか?」
「うーん、ちょっと……」
一応、後は外に有事の際に使う雨戸みたいな分厚いシャッターもあるが……あんなのを平時に昼間から下ろすと
流石に目立ってしまう。
――しまったなあ……暗くする事を考えてなかった。
ちとせの声色からして、流石にこの明るさで僕に素肌を見せるのは抵抗があるようだ。ちとせも、少し困った顔を
している。このままでは、夜まで待たなくてはならない。
――えーと、何か、大きくて簡単に光を遮れるモノは……
別に夜まで待てば良いのだが、折角ここまで盛りあがったのにここで終了だなんて、僕にとっては生殺しに近い。
ちとせとこのまま楽しみたい、という男の本能の下……僕は必死で思案を巡らせた。
そして……とあるものの存在を思い出した。
「そうだ、アレだ!」
僕はクローゼットの奥に仕舞い込んであった、防災キットを引きずり出した。
――確かこいつは、結構な遮光性があったはず。
そしてキットの中から僕が取り出したのは……小さく折りたたまれた、銀色の物体。
「あの……それは?」
突然クローゼットから妙なモノを取り出し始めた僕に、ちとせが怪訝そうに問いかけてきた。
「これはスペースブランケットだよ。まあ、名前は色々あるみたいだけど……ほら、こんなのさ」
僕はそれをバサッと広げて見せた。たちまち2メートル近い四方型の、両面で銀と金に別けられた薄いシートが
現れる。
「これは有事の時に使う、人間の保温用に作られた特殊なシートさ。裏に返せば、救難信号代わりに使えるって
やつでね。ここに越して来た時に買っておいたんだよ。もう一つあるから、これをうまく窓に掛ければさ……」
「……あっ!」
そこでちとせも、僕が何をしようとしているのか理解してくれたらしく……広げた二枚のスペースブランケットを、
ロールカーテンへと貼り付ける作業を手伝ってくれた。そして……
「上手く行きましたわね」
ロールカーテンにスペースブランケットを貼って遮光性が上がった事により……僕の部屋は、お互いの姿がやや
見えづらくなるくらいまで暗くなっていた。
「まあこれは保温の他にも、目隠しの為にも使えるからね。まあ、一度は確認も兼ねて使っておかないといけな
かったし……丁度良かったよ」
そして、肝心な事を聞いてみる。
「その、これなら続けても大丈夫かな?」
「あ……はい。これなら大丈夫ですわ。続けて下さい……」
僕はほっとした。
――次の時までには、ちゃんとした遮光カーテンでも買っておかなくちゃな。
何にしてもお許しが出たので、ちとせとのお楽しみをめでたく再開する事にした。
僕はまたちとせをお姫様だっこしてベッドに寝かせる。
「じゃあ……これ、脱がせて貰うよ」
改めてちとせの上半身を覆っている青いハイネックをめくり上げた。と、その下に今度は白い布が現れた。
Tシャツだろうか。
――もう一枚か。
僕は白いTシャツもめくった。すると彼女の素肌が……以前にも見た、そのスマートな腹部が遂に現れた。
軽くその腹部を撫でた後……僕は一気に青のハイネックを、Tシャツと共に首元まで摺り上げた。
そこには、以前交わった時にはなかった……白い胸当てが彼女の胸元を覆い隠していた。
それを見て、僕はひとまずその胸当て越しに彼女の双丘の感触を再度楽しむ事にした。
「やっ、あんっ……ああっ……ふぅっ……」
厚みのある化繊の布越しにではあるが……相変わらず、柔らかいし、温かいし、良い反応が得られた。
そして、これが僕が味わいたかった感触である。
緩急を付けて行為を続けながら、僕は胸当ての下に手を滑り込ませて、直接双丘の先端に触れたりしてみる。
「あっ、やあっ……! く、くすぐった……あっ、ううん……ああっ、ああ、んっ……!」
その都度、彼女は小さく喘ぎ声を上げる。その光景は、男としてはとても興奮させられるものであり……僕は
しばらくそれを続けていた。
思わず口でも行こうかと思ったが思ったが……そのお楽しみは取っておく事にして、僕は双丘から手を離した。
――では、次はどうしてあげようか……そうだ。さっきは彼女が必死で遮っていた部分を……
僕はそう思い立ち、一旦彼女の裸の腹部に軽く手を這わせた。くすぐったいのか、ちとせは軽く身を強張らせる。
そこから僕は、その手を一気に彼女の足の方へ……つまり、スカートと腹部の間にある僅かな隙間に手を潜ら
せて、一気に下腹部から秘部へと滑り込ませた。
そんな僕の右手は丁度彼女の下着越しに、彼女の秘裂の中に触れる事になった。
「やっ、やあんっ! た、タクトさっ……!」
彼女が僕の行為に対してまた恥ずかしさからか、反射的に身を丸めた。その為、手首辺りがスカートのベルトで
締め付けられる形になり、軽い痛みが走ったので僕はすぐに手を抜いた。なので、秘部に触れられたのは一瞬
だが……僅かに湿り気を感じた。
「はは、驚いた?」
「もう……」
ごまかすようにそう言うと、少しむくれ気味にちとせがそう言う。まあ、彼女の高まりは確認出来た。
なら次は……今度は、最初の太ももへの愛撫の際に幾度か触れていた……秘部を隠している下着を、今度は
ちとせの股下から右手を差し入れてまさぐり始めた。
「やっ……ああっ、やだあっ……! ふぅんっ、はぁ……っ! やっ、は、恥ずかしっ……んんぅ……!」
下着越しとは言え、やはり刺激が強い上に恥ずかしいのか。ちとせは抵抗し始めた。手で僕の行為を邪魔しよう
とする。
しかしそれをかいくぐるように、僕は指を巧みに下着の上を滑らせて行き、幾度も刺激を与えていく。
「やめっ……ううんっ……! はぁん、はぁ……ああっ、や、やめっ……! やっ、いやっ……ああ……!」
――何だか、湿ってきたぞ。
次第に、指先に液体の感覚が伝わるようになってきたのを確認して、一旦手を引く。
「はあっ、はあ……ふあ……」
刺激が強かったのが、ちとせは肩で息をし始めていた。
そして僕は……明るい時にちとせが必死で中身を隠そうとしていた、そのスカートをいきなりばっとめくり
上げた。
――こんな事、こういう関係でもなかったら絶対に出来ないよな……。
それによりその短いスカートに隠されていた……飾り気の少ない白い下着が露わとなった。
「やっ、やだっ……! みっ見ないで下さいっ!」
そんな事をされると思わなかったのか、慌ててちとせはめくられたスカートを元に戻そうと、スカートをめくり
上げた僕の左手を自分の手で押し戻そうとする。
僕はそんなちとせに少し驚きながら、それに抗いつつ再度右手で下着越しの秘部への指攻めを僕は開始した。
「ああっ……! やだぁっ、いやあっ……! ホントにもっ、もう、やめてっ……やああっ! たっ、タクト
さぁんっ!」
歓喜とも悲鳴とも付かない声でちとせに大声で抗議された為、僕は流石にそこで手を止めた。
「やあっ……いやあっ、ダメですっ! もう、本当にすごく恥ずかしくて、私……その、だから……もう……
やめて下さいますか……お願いですから……」
顔を振りながら、涙ながらにそう哀願されてしまった。
――可愛い。
僕はそんなずれた感情を抱いていたが……それと同時に、ちょっとした罪悪感も覚えていた。
しかし初夜の時に、同様に暗い中で直接秘部を攻められた経験があるというのに……今回の下着越しでの攻めに
対して、そんなにあからさまに抵抗する理由が判らなかった。
――女の子って……難しいなあ。
ちとせのご機嫌を損ねてしまったようなので、僕は一旦冷静になる。
と、そこで……唐突に、ある事を思い出したのだ。
「あ、そうだ……ちとせ。ちょっと」
「な、なんですタクトさん。突然……」
「いや、ちょっと思い出した事があってね……今のうちにお互いさ、体を綺麗にしておかない?」
「……?」
ちとせが怪訝な顔をしたので、僕は説明した。
「いや、昔にね……何かの本で読んだ事があるんだよ。男女が交わる時には、ちゃんとお互い清潔な状態がいい
って。特に最初のうちは……ほら、病気がね」
何分古い記憶なので、その病気がなんだったかは中々思い出せなかったが……次第に記憶の糸が繋がってきた。
確か、女性の方が危険が高くて……そうだ、確か膀胱炎。尿道が短い関係で、女性の方がこの病気には罹りやすく、
初夜を迎えた後に発症する事が多いので気をつけた方が良い……そう、確かそんな感じだった。
僕達の初夜の時はお互いに温泉に入った後だったので、それは気にしなくても良かったのだが……今回は違う。
「万が一さ、君がそんな病気に罹ってしまったら、いろいろと大変だろ。だから、さ」
それは僕の本音だった。ちとせには既に妊娠という危険を背負わせてしまっている。だからこそ、それ以外の
危険……性病と言う危険だけでも、遠ざけておきたかった。
「もっと後でも良いけどさ……そこまで行ったら止まられないかも知れないし。だから、今のうちに、ね」
少し気まずい雰囲気になっていたし、ここらで少し休憩のような感じで体を洗いに行けば時間を置く事も出来る。
我ながら、良い提案だと思ったのだが……ちとせはすぐに答えなかった。
そして考え込んでいるのか、視線をそらしてしばし無言の状態だったが……
「……そうですね。タクトさんがそう仰るのなら、そうしますわ」
やがて、そう言ってくれた。
そしてバスタオルの用意等の関係もあって……僕が先に風呂場へと行く事になった。
当然だが風呂の水なんて溜まっていないので、シャワーで体を洗い流す。
僕は先程までの行為で少し汗ばんでいた体を洗い流した後、ちとせ用のバスタオルを脱衣場に用意して、腰にバス
タオルと言う格好で自室に戻る。
「先に上がったよ。タオルは用意してあるから。ちょっと狭いけど我慢して」
「はい、では……」
僕が風呂場で体を洗っている間、先程までの行為で乱されていた着衣を整えていたらしいちとせは、入れ替わりに
静かに部屋を出て行った。
そしてしばらくすると……シャワーの水音が、聞こえ始めた。
つい先程まで僕が居た風呂場でちとせが今、その美しい肢体を洗っているのだろう。もちろん一糸まとわぬ姿で……
僕の脳裏には……明るい浴室で一糸まとわぬその肢体の双丘を、太ももを、そして秘部をうっとりとした表情で
手で撫でながら洗い流している、美しいちとせの絵が浮かんできた。
――いかん、つい想像してしまった。
本当にそれだけで興奮してしまい、胸が高鳴る。そして、時間経過によって収まっていた男の欲望の怒張が、
また始まっていた。
やがてシャワーの音が止み……風呂場の扉が開く音。
この後、濡れた体をぬぐったらちとせは僕との行為を続ける為に、この部屋に入ってくるだろう。
僕の部屋はちとせの要望で暗くなっているが……隣の玄関のある部屋は当然明るいまま。なので、入って来る
その瞬間だけは隣の部屋の光で、その姿がはっきりと見える。
ちょっとした期待もあり……僕はそれとなく、彼女からは見られていると判らないようにシーツを被って顔を
隠しつつ、その時を待った。
――って、何やってるんだ僕は。ちょっと……情けないよなあ。
と内心思いつつ。
そして……ついにちとせが部屋に入ってきた。
バスタオルだけを体に巻き、そしていつも赤いリボンで結っている髪も解いた状態で……。
その姿が見えたのは一瞬とは言え……その姿は美しかった。僕は何だか大変な物を見たような気がして、彼女が扉を
閉めると同時に、思わず壁側に寝返ってしまった。
肝心のちとせは、ゆっくりと僕の寝ているベッドに近づいてきた。そして、ふぁさ……と、彼女がバスタオルを
解いた音が。そして……
「タクトさん、その……お待たせしましたわ……」
ちとせが僕のベッドに、そしてシーツの中へと入ってきた。そして、壁を向いている僕の隣に身を横たえた。
これで僕の後ろには、シーツ以外は一糸まとわぬちとせが横たわっている事になる。
――では……再開と行きますか。
僕は一呼吸おいてからベッドの上で膝立ちになると、すかさず二人で被っていたシーツを、一気に取り払った。
するとベッドの上には……当然、膝立ちの僕と、そして横たわっているちとせが残される。
そう、そこにはまさしくリボンで髪すら結っていない「生まれたままの状態」のちとせが、横たわっている事に……。
僕はこれを狙っていたのだ。先程ちとせが部屋に入ってきた姿を見た瞬間から、例え暗い部屋の中であってもいい
から、僕は一糸まとわぬ彼女の姿を見てみたくなっていたのだ。
だが……暗いとは言え、いきなり裸体を晒す事になって驚いたのか。
僅かな間を置いてちとせは無言のまま、さっと胸と秘部を隠す体勢を取ってしまった。
――惜しいな。
思えば、僕はまだ彼女のその美しくもまだ発展途上な肢体を、完全には鑑賞出来ていない。
それは恥ずかしいという理由で、彼女が明るい所でするのを嫌がるからなのだが……
――そう言えば、温泉の時に、家族風呂に一緒に入りたかったんだよなあ。
ふと、そんな事を思った。温泉の時、夜に交わるまではまだ僕とちとせは恋人同士ではなかった。
だから、家族風呂に彼女を誘う事は出来なかった。また宿のチェックアウトが早かったので、翌日に……と言う
事も無理だった。それに……多分今でも、ちとせには家族風呂は拒否される気がする。
――なんだか……彼女のその美しい肢体を、明るい所でじっくり眺められるまでは……結構ハードルが高そうな
気がしてきたな……
これについては、多少強引に行ってもいいかもしれないが……今はいい。
多少暗いところであっても、愛するちとせの肢体を、これからも存分に味わえる事には変わりないのだから。
――ひとまず、楽しもう。
僕は、胸元を隠しているちとせのその腕をそっと退ける。ちとせも、それにはほとんど抵抗はしない。
そして露わになった、仰向けでも僅かに形を止めている彼女の双丘に対して、手による愛撫を開始した。
「あっ、んっ……もう、タクトさんったら。胸が……お好きなんですねっ、うぅんっ……んっ……!」
ちとせがいたずらっぽい顔でそう言った。
「だってこうすると、ちとせが可愛くなるから」
僕はそう言いながら愛撫を続けた。単調にならないよう、攻め方に変化を付けて彼女にも楽しんで貰う。
「ああっ、いいっ……きっ、気持ちいいです、タクトさんっ、やんっ……! んん、ふう……んっ……!」
ちとせが気持ちよさそうな声を上げ、快感を味わっている。自分の行為で素直に喜んで貰える事は、やはり
嬉しいものだ。
「それに……」
僕は一旦手を止めた。
「こうして刺激を与えていればさ……少しは大きくなるかも知れないからね」
そして今度は手ではなく、口による愛撫を始めた。そう、彼女に対して今の所かなり効果が高い行為だ。
「やっ、何言って……あっ、ああんっ! やあんっ……! ああん、んんっ……! やっ、あっ、やんっ……!」
やはり、大きさの事は少し気にしてはいるようだ。でもあまりそれを言うと怒る可能性があるので、
僕は言葉は発さずに、口による先端への愛撫に集中する。
「あんっ、やっ……すっ、吸っちゃダメですっ……! はあっ、あっ……やああ……あんっ、ああっ……!
はぁんっ、ひゃっ、ああんっ……!」
やはりここはかなり敏感なようで、ちとせはしきりに身を震わせては喘いでいた。だが、ここは出来れば最後に
攻めるべき場所だ。だから今はこのくらいでいい……
――そう言えば、胸が好きなのはマザコンだって聞いた事があるが……僕ってマザコンなのだろうか。
まあ、そんな事はどうでも良いか……
ここはあまり続けるとちとせが嫌がるので……ほどほどで双丘の先端への愛撫を終了した僕は、膝立ちのままで
視点をある場所へと移した。そこはちとせが未だに脚を閉じて隠している……秘部であった。
思えば、初夜の時には指でかなり攻めたのだが、結局口では攻めずに終わった……二回目の時にも。
だから今回は、ここを口で攻めてみよう。それが、今日を言う日を待つ間に必ずちとせにしてみよう、と
思っていた事であった。
――でも……大丈夫かな。
なにしろ先程は、下着越しに指で攻めていただけであんなに激しく、泣いてまで抵抗されたのだから。
その事があり、少し不安でもあった。
「ちとせ。その……脚をさ、開いてくれるかな?」
その言葉を聞き、ちとせがおずおずと閉ざしていた両脚を開き始めた。
――彼女は、次に僕が何をすると思っているのだろうか。まあ、秘部に何かするとは思っているかな。
ならば、あえて期待を裏切ってその脚を……と普段なら思うのだが、今日家に入った瞬間に僕を求めてきた、
可愛いちとせの大胆な行動の事が頭にあった。だから今回はあんまり焦らさないで、とりあえずちとせを一度
満たしてあげたい。
だからといって、ここからいきなり挿入するのはいくら何でも急過ぎる。よって、僕の男の欲望を受け入れやすく
なるよう、秘部への攻めへと入る事にした。その上で、ちとせの予想を少しでも裏切る事もする。
僕はちとせの開かれた白い両脚の付け根にある、秘部へと目をやる。相変わらず部屋が暗いので、今回も周囲の
淡い叢を除いては、良くは見えない。
あんまり動きを止めているとちとせがまた恥ずかしがると思い、僕はまず、右手で秘部を軽く弄り始めた。
僕の指に、久し振りにその肉芽や肉襞の独特の感触が伝わってくる。
「あっ……やんっ……! んんっ、きゃ、やん……! あっ、ああ……」
秘部を攻められ始めたちとせが、身を震わせて喘ぎ声を上げる。前回同様に、そこは既に潤いに満ちていたが……
――やはり、まだまだ足りない気がする。
そう感じた僕は、右手をどけると同時に一気にちとせの秘部へ顔を近づけた。そして、予定通りに……間髪
入れずにその秘部への、口による攻めを開始する。
「あっ……や、やああんっ……! だっ、ダメですぅ、そんなのっ、あっ…… や、やああんっ……! いっ、
いやああっ……!」
当然、恥ずかしいのだろう。ちとせはまた脚を閉じて体を丸め、そして腕で秘部にある僕の頭を退けようとして、
僕の行為を阻もうとしてきた。
だがその中の「脚を閉じる」という行為……それは半ば、僕の顔を半ば固定しまう事でもある。故に僕の顔は、
ちとせの秘部へと押し付けられる形になった。僕の顔じゅうに、彼女の秘部の色々な感触と、淡い叢の感触が
伝わってきていた。
――いっ、いろんな意味でこれは……苦しい。
そして凄い状態だ。ある程度予想していたとは言え、これはあまり続けていられる状態ではない……
しかし嫌がってはいるが、先程よりは抵抗が明らかに弱い……それを感知して僕は舌によるちとせの秘部への
攻めを何とか続行した。
「だからぁ、ダメですっ、はぁぁぁぁん……! だ、だから、そっ、そんなところっ、きゃああっ……!
はっ、ああん……! あああっ……やあっ……! だめっ、やめっ、はああっ……んんっ……」
ちとせは相変わらずだったが……次第に、激しく抵抗しなくなった。
「はあっ、ああっ……! うんんっ……やあんっ! んふぅ……あ、あっ……あっあっ……」
次第に脚や腕の力が抜けていき、僕の頭も解放された。
――く、苦しかった。
どうやら羞恥よりも快楽の方が勝ってきたようだ。僕は頭と秘部との距離を少し置いた上で、更に静かに攻めを
続ける。
――初夜に手で秘部を攻めていた時も、そう言えばこんな感じだったかな。
しかし先程の下着越しの時の抵抗の仕方を考えると……今の直接の口攻めの方が抵抗しなかった事が、少々不可解
ではあった。服を着ている時の方が、ちとせは感度が高いのか。それとも、体を洗いにいく形で時間を置いたのが
功を奏したのか……
なんにしてもちとせの秘部への攻めを、お互いに落ち着いて楽しめるようになったので、僕はじっくりと口に
よる行為を続けた。ゆっくりと、じっくりと……ちとせが快楽をむさぼれるように。
「あん、はぁん……! た、タクトさっ、ああんっ……いちっ……やっ、あんっ……! うぁ……あんっ……!
ひゃあん……! だっ、だめっ……ああっ……!」
ちとせの言葉と声色が、どんどん乱れていくのがわかった。そして僕の舌先から、ちとせの秘部にある肉襞や
肉芽、そして秘裂の触感が。そして、どこからか溢れてくるやや粘りのある液体の、何とも表現し辛い味も
同時に伝わってくる。そして秘部自体が秘めている「女の香り」も、僕の鼻へと漂って来ている。
――これは……たまらない。ゾクゾクする。
自分の口という部分で、愛する美少女の秘部を執拗に攻め立てているという状況に、僕は……何とも言えない、
言うならば背徳に近い感情を強く抱いていた。それに対するちとせの女としての反応が僕の欲情を更に強くする。
――そうだ。
僕は更にちとせに刺激を与えようと……初夜の際に二度、僕が男の欲望を突き立てて攻めたその肉襞の中へと、
舌を差し込んでみた。
「えっ、やっ、やああん……っ! たっ、タクトさっ、そこはっ、だっ……いやあっ、ああん……!」
これにはちとせが激しく反応し、体こそ丸めないものの、先程のように僕の頭を腕で再びどけようとしてきた。
「ほんとにだめぇっ……! そこはだめです……やぁん! ああんっ……! あああっ……」
しかし背徳に近い感情に支配されつつあった僕は、構わず続けた。
先程のように続けていればきっと大人しくなるだろう……そんな思いもあって。
「だぁ、だめえっ、強すぎでっ、やあんっ……! もう、だめえっ、ああっ! ああっ、来ちゃう……タクト
さぁん、だめぇえっ! あ……っ!」
そして……
「やあっ、あっ、はあああああああああああーーーーっ!!!! ああっ……あっ……」
ちとせが、その身を一瞬強張らせたかと思った刹那、その身を震わせて激しい恍惚の声を上げた……なんと、
達してしまった。
――しっ、しまった……これはやり過ぎた。
「ああ、ああ……やあ……はあぁ……あ……」
一気に達してしまったせいだろう、その後ちとせは力なくぐったりとしてベッドに身を預け、その余韻に浸り
ながら肩で大きく息をし始めていた。
意図せずちとせを絶頂にまで導いてしまった事で、そしてまたもちとせのコントロールに失敗してしまった事で、
一気に彼女への性欲に満ちた感情が冷めてしまった。
慌ててしまった僕は、彼女の傍らに移動して声を掛ける。
「ご、ごめんよちとせ……その、強すぎたかな」
「はあっ、はあ……い、いえ……私こそ……なんだか、はあっ……今日は我慢が……なんだか効かなくて……
その……」
「いやいや、君が謝る事はないよ。僕が、下手なだけだから……」
――しまった。僕は何をやっているんだ……
後悔した。性欲に負けて、なんだかちとせをさながら生きた玩具のように扱ってしまった事を。
なんだか申し訳なくて……目の前に愛するちとせが全裸で艶姿を晒しているにもかかわらず、あれほど怒張していた
男の欲望さえも、すっかり鎮まってしまっていた。
――どうしよう。
ちとせを抱く気が萎えてしまい、悩もうとした時。そのちとせが話しかけてきた。
「あっあの、タクトさん……その、続けては……下さらないのですか……?」
「いや、それは……」
「だってタクトさんは、まだ……それにわたくしも、まだ……タクトさんのを頂いてませんし……」
「でも僕は、君を……」
「これで終わるなんて、嫌です。ちゃんと、最後までして下さい……その、もっと教えて下さい……」
僕の動きがまだ固まっているのを見て、ちとせは更に続ける。
「確かに、時々……私、本気で嫌がる事、ありますけど……それは、ただびっくりしたとか、そんな感じで……
だからそれで、タクトさんの事を嫌いになる事なんてありませんわ。だからそんなの、気にしないで下さい……
それに、別に……さっきの事も……気にしてません。ですから、その……」
必死に僕にそう語りかけるちとせ。
――かっ、可愛い。なんて、何て健気で可愛い娘なんだろう。
ただ、満足していないから雌の本能で僕を求めているだけかも知れないが……でも愛するちとせが更に求めて
きた事が、僕はとても嬉しかった。
そしてそんなちとせへの愛しさからか……僕の心に目の前の美少女を抱きたいという気持ちがまた蘇ってきた。
それに応じるように、男の欲望も、再び怒張を始めていた。
――よし……行ける。
僕は愛しくて堪らなくなったちとせへと、ばっと覆い被さるように体を移動させた。そして今は眼下にいる、
健気な僕を求めてきた年下の美少女に声を掛けた。
「わかったよちとせ。じゃあ……続けさせてもらう。いいね」
「は、はいっ! 是非っ」
と言うわけで、再開の運びと成ったが……さて、どうしよう。やはりここは……挿れてしまおうか。
既に彼女は一度、達している。なので、多分男の欲望を受け入れる準備は、もう整っているはずだ。
今は愛しいちとせを焦らしたくはないし……僕もそんな彼女に挿れて、男として快感を得たい。
――よし。
僕は、この時に備えてベッドの近くに隠しておいた「アレ」を取り出した。
初夜の時、安全日と聞かされていたとは言え……初夜にあれだけ派手に生で交わってしまったので、彼女からの
「来ました」メールが来るまでは、僕はもう気が気でなかったのだ。
正直、心臓に悪かった。なんにしても、危険要素は減らすべきだと思い直して、今回は使うつもりだったのだ。
もう初夜で、生の感触は存分に楽しんだのだから。
「あの、その……タクトさん」
アレの納められた四角く平たい物体を手にしていた僕に、ちとせが申し訳なさそうに声を掛けてきた。
「今回は生ではしないよ。君の事は信じてあげたいけど、基礎体温法ではちょっとね……」
「その、避妊薬を通販で手に入れてまして……もちろん、身元は割れないように、です。もう飲んでありますから、
今日もして下さい。その、そのままで……」
いきなりのちとせの爆弾発言であった。
――なんだろう、この娘は。そこまでして、僕と……
でも……避妊薬は服用者に少なからず危険が及ぶ可能性もある事も、寡聞ながら知っていた。昔に比べれば、
かなり良くなってはいるらしいが。
少し考えてから、僕は少し諭すように話しかけた。
「なあ、ちとせ……あんまり……その、無茶しちゃダメだよ」
「えっ……は、はい……すみません……その、私……」
僕の言葉を聞いたちとせは、すっかり意気消沈してしまった。
「……でも嬉しいよ。そこまで僕の為にしてくれるなんて。だから」
僕はちとせに軽く口づけをする
「今日もこのまま……行かせてもらうよ」
「は、はい! お願いしますっ」
僕は前回と同じように、彼女の思いに応える事にした。
最もその選択は、ただの偽善なのかも知れない。でも……僕の為にその肢体を差し出そうとする健気な少女の
強い思いに、僕はまた応えたかった。
――で……今回はどうしようか。
いざ一つになろうとした段階で、どうやって一つになろうか全く頭に無かった事に気が付いて、僕は少し考えた。
初夜の時は、二回とも挿入は正常位で済ませていた事もあり……今回は、何か変化が欲しくなった。
――そうだ、あれだ。
「ほら、ちとせ」
僕は一旦ベッドから降りると、ベッドを椅子に見立てて座った。
「あの……タクトさん?」
「ほらちとせ、アレだよ。最初の時のやつさ。ほら、こっちにおいで」
そう、対面座位で最初からする……それが今回の僕の選択であった。だが、今回はベッドの段差を利用する点が
その時と異なるが。
「ええと……」
ちとせは少し戸惑いながら、身を起こしてベッドから降りた。そしてゆっくりと、僕の目の前へと移動し……
少し僕側に近づいてきた。
ちなみに座って待っている僕の目の前には……ちょうど、彼女の秘部が来ていた。最も部屋が暗いので、はっきり
と見えているのは、相変わらずその淡い叢の部分だけだが。
――また、凄い光景を見てしまった。
どうすればいいのか判らないからか、そんな僕の視線に気が付いていない様子のちとせは、そのままおそるおそる
腰を下ろし始めた。
「あの、こう……ですよね?」
「ああ、そのままゆっくりと、ね」
僕の男の欲望の先端が、ちとせの秘部に当たった。だが……そこは肉襞ではない。
「ん……んん……」
ちとせは位置を微調整して、僕の男の欲望の先端を自分の肉襞の入り口に当てた。そして、大きく深呼吸をした。
「それでいいよ、ちとせ。そのまま、落ち着いて腰を落としてみて」
「は、はいっ……」
思えばこれが初めての、ちとせ主導による挿入作業である。そしてちとせは、少しずつ……腰を下ろし始めた。
「んんっ……あっ、ああんっ……!」
そんな彼女の声と共に、突然ちとせの体が僕の太ももの上に落ちてきた。それにより、僕の男の欲望が一気に
ちとせの肉襞の中に差し込まれてしまう。
「あっあっ、やあああっ……! ああっ、ひゃあっ……!」
「くっ……ううっ……!」
これで挿入が一気に終わってしまい……僕達は一気に挿入の快感を味わう事となってしまった。
どうもちとせが挿入時の快感で急に脚の力が抜けてしまい……こうなったようだ。
かなり急な挿入になってしまったが、これでこうして交わるのは三度目なので……ちとせも別に痛がったりは
していないようだ。その点は安心する。
「あっ、やっ……ごめんなさいタクトさん……やんっ、なんか力が……抜けちゃって、その……」
「ああ、いいよいいよ……」
彼女の体が落ちてきたのは僕の肉の厚い太ももの上だったので、さほど落下によるダメージ自体はない。
そしてちとせはかなり感じている時の声を出していたが、また達したわけではないようだ。僕もちょっと危ない
感じだったが……大丈夫。
「あ、暖か……あうっ……! こ、これっ、やぁ、ふ、深いっ……」
一気に奥まで僕の欲望を銜え込む事になったちとせは、活塞が始まる前から、早くも快感を得始めていた。
「たっ、タクトさんっ。あっ、やあっ……」
――ううう、相変わらず……いい具合だ。
久し振りに味わう、ちとせの肉襞の中が僕の男の欲望を包み込んでくるかのようにまとわりついてくる感触に、
僕は酔いしれた。
――しかし本当になんだろう、この何とも言えない感覚は……癖になる。
僕は顔を上げて、ちとせと唇を軽く合わせ始めた。
「んんっ……あふっ、ふうん、むぐっ! ぐむっ、むぅん、あっ、やっ……ふっ、ふう……!」
口づけをしながら、結合部分の活塞も始める。
「ああん、ふぅっ……んんっ、ううん……! むーっ、ああっ、んふっ、あっ……あっ、あふぅん……っ!」
――いいぞ、いい感じだ。
ちなみに僕の肩の辺りには、彼女の双丘が押し付けられている。
いつもなら、彼女への攻めの決定打として、ここへの口での攻めを使うのだが……今回はやらない。
その柔らかい感触を、体で存分に味わわせて貰うだけにする。
今回はあえてここを攻めずに、ちとせをまた絶頂に持って行けるか……試したくなっていた。
僕は口づけをやめて、少しの間彼女への活塞だけを行っていたが、僕は別の箇所からちとせに刺激を与えるべく、
両手を彼女の背中に回した。そしてその手は下へ移動していき……その桃尻へと辿り着いた。
――ここは、まだ大して触れた事がなかったな。
この体勢では、なで回すくらいしか出来ないが……今日はいつも以上に感度が高いようなので、そのくらいの方が
良いだろう。
「あっ……」
僕の手がちとせの桃尻に触れた時、ちとせはそう一言だけ漏らした。
その後は活塞を行いつつ、手でじっくりと桃尻をなで回しているのだが……。
「あん、あ……ああっ、あんっ……! んん、やっ……い、いいっ……やあっ……ああんっ! あんっ……」
あまりちとせには変化が見られなかった。
一方で僕は、ちとせのその桃尻に触れていると言う事実と、そのなめらかでボリュームのある桃尻の感触を
感じ取って、それなりに高まっていた。
このまま行けば、僕は達せそうだが……ちとせがどうかまでは判らない。感度は高いようなのだが……
――こっちの活塞だけで、頑張ってみるか。
僕はそう決心した。と言っても、手による桃尻への愛撫はそのまま続ける事にした。
今までその包み込み絡みつく肉襞の感覚を味わうべく、ちとせと共に緩やかに続けていた活塞の速度を少し
上げると同時に、押し込む際にはより奥まで突き刺さるよう、力を込めた。
「あふっ……!? や、た、タクトさっ、やぁん……! あっ、はあんっ……ううん、ああっ……はぁ……
ああっ……!」
最初は少し戸惑っていたちとせだったが、次第に慣れてきたようで、ちとせの腰の動きも加速してきた。
僕も負けじと加速する。
「ああん、やぁん……! あっあっ、ああっ、ああんっ……! ひゃあん……あつぅ……だ、だめぇっ、いっ、
いやぁ……! あっ、ああっ……」
ちとせの反応がもっと良くなってきた。男の欲望と肉襞の中との摩擦が激しくなり……そして、お互いに腰を
使っている事で、お互いの上半身も幾度か触れあう。特にちとせの双丘の先端が揺れて僕の体に触れる度……
そして一人の女として性の快感をしっかりと味わい、その潤んだ瞳で僕を見つめてくれるちとせのその女の顔を
見る度、僕はより興奮し……相当高まって来ていた。
「た、タクトさっ、ちょっ……ふぁんっ! やっ、やぁん、あっ、あっ……! きっ、来てっ、あんっ……!」
来てる、と言う単語が聞こえた気がした。
――ならば。
「来てるんだね? よし、じゃあ行こうちとせ」
女の悦びを再度得たいと僕と交わる事と望み、今またその成長しきってはいない若く美しい肢体を僕に捧げて
くれているちとせ。そして今、絶頂の時へと向かって女として快楽を貪り、また僕にこの上ない幸福感と快感を
与えてくれようと、ちとせは今も激しく僕と向かい合ったまま、その肢体を揺らしている。
――本当に可愛いよ。君は……
そして再び、僕の心にはちとせを愛しく思い、切なく思う気持ちが沸き上がる。
「ちとせっ、ちとせっ……好きだ、ちとせぇっ!」
僕はちとせの細い体を抱きしめた。
「ああっ……私もですタクトさぁんっ! き、きてぁっ……! た、タクトさぁん、タクトさぁぁぁん……!
一緒にぃっ……!」
僕が愛しくなってか……ちとせは、僕と唇を合わせてきた。
そして……
「ふぅんっ、ふあっ! やっ、あああああああああああーーーーーーっ!!! はあっ、はっ……」
ちとせは自分の中で暴れ回る僕の男の欲望を、まるで仕上げとばかりにしっかりとその肉襞の中で締め上げながら
恍惚の声を放ち、その身を仰け反らせ振るわせながら……本日二度目の絶頂を迎えていた。そして程なくして、
僕も今日初めての絶頂を迎えた。
――はは。やっぱり、ちとせは最高だ……
ちとせの肉襞の中に埋まったままの男の欲望から、僕の大量の快楽の証がちとせのその細い体の中にある胎内へ
と派手にぶちまけられているその感覚を、久々にしっかりと味わいながら僕は思った。
「あっ……ああっ……ああ……あ……はあ……」
ちとせも、自分の秘部に差し込まれた怒張した男の欲望から熱い快楽の証をその胎内で受け止めつつ……今日
二度目の絶頂の余韻を味わっていた。
そして僕達はそのまま軽く抱き合いながら、互いの性の交わりで久々に味わった絶頂の余韻にしばし浸っていた……
そして次第に快楽の証の放出が落ち着いてきたところで、僕は傍らに避けてあったシーツを手にして、ベッドへと
倒れ込む。抱き合っている状態なので、ちとせも一緒に倒れ込んでくる。
「ああ……タクトさん。愛してます……」
「僕もだ……ちとせ……」
僕の名を呼ぶちとせに、僕も呼び返してから愛しい彼女と軽く口づけを交わした。そして無事に事を終えた僕らは……
久々に激しく求め合って疲れてしまっていたのか、そのまま心地よい眠ってしまっていたのだった。
そして……ようやく僕が目を覚ました時には、すっかり日も落ちていた。
――ああ……気が付かないうちに、寝てしまってたのか。
僕は一つだけ、伸びをする。愛するちとせはまだ静かに寝息を立てているようだ。
僕はそんなちとせを起こさないようにそっと身を起こして、日も差さなくなってほぼまっ暗になってしまった
自分の部屋を出る。
そして風呂場の脱衣所で体を洗う際に脱いでいた服を着てから、キッチンにて夕食の支度を始めた。
ちなみにメニューはご飯、味噌汁、そして鶏の唐揚げである。鶏の唐揚げに関してはちょっと作り方に拘りが
あったりするのだが……。あと、ご飯も折角なので竈炊き風にしたかったのだが……眠ってしまって時間が足り
ないので、今回は諦めてレトルトのご飯を出す事にした。
30分程で二人分の食事を用意出来たので、僕は作った料理を持って、先程までちとせと愛しあっていた部屋に
入り、そして電気を付けると……シーツにくるまり、まだベッドで寝息を立てていたそのちとせが目を覚ました。
「あ……タクトさん……?」
起きたばかりで、頭が回っていないのか、状況が少し理解出来ていない風だった。
「おはよう。夕食の準備、丁度出来たところだよ。食べよう」
「あ……あっ、はい」
ちとせがその身を起こそうとするが……すぐに自分が全裸である事に気が付いたのだろう。すぐに、ばっ! と
シーツでその肢体を覆い隠した。そして、少し赤くなりながら僕に言う。
「あ、あの。タクトさん……」
「ん、何だい?」
ちょっといたずらっぽくそう返す。
「その……ちょっと向こうを向いてて下さいませんか。あっちで服、着てきますので」
「まあまあ、そう言わずにさ。シーツにくるまった格好なんかでどう?」
「な、何言ってるんですか!」
冗談っぽく言ったが、真面目に叱られてしまった。
「ごめん。わかったよ、ほら」
僕が背を向けると、彼女はすぐにベッドから飛び出して部屋を出て、脱いだ服がある風呂場へと入っていった。
やっぱり、明るい所で彼女の美しい肢体を眺める事は、当分叶いそうに無さそうだな……。
――改めて、残念だな。
そう思った。
「おいしいです……料理、お上手なんですね」
「ありがとう。お褒め頂いて光栄だよ」
少し不安ではあったが……ひとまず、僕の料理で彼女には満足して貰えたようだ。安心する。
「そうだ。いつかは、君の手料理を食べさせて欲しいな」
「え? それでしたら、喜んで。今度来る時にでもどうですか?」
「じゃあ、今度来る時には必要な食材を教えて。用意しておくから」
こうして僕の念願の一つであった、彼女の手料理も確約を取り付けられた。
――良いなあ、こう言うのって……
今まで碌に女性付き合いがなかった僕にとって、それは大変幸せな一時であった。
食事を終えたその後は、来たばかりの時には何だか浮ついてしまっていた会話も、弾むようになっており……
僕達はしばらくいろいろと話し込んだ。
その最中で、僕はある事を思いついた。この後はどうするつもりのだろう。まあ、多分このまま泊まっていくの
だろうが……一応、聞いてみる。
「そう言えばちとせ、この後はどうするんだ?」
「そんなの……決まっているじゃありませんか」
すると彼女は、正座して三つ指を付いた後、僕に頭を下げながら言った。
「今夜も……どうか、床を共にさせて下さい、タクトさん」
ちょっと芝居掛かった風に。もちろん、僕はそれに応じるであった。
そんなわけで。結局翌日の昼に別れるまで、僕達はその後二回程……いや、二セット計四回と言うべきか、事に
及んだ。
最初の一セットの二回は夜に。そしてもう一セットは、翌日に彼女を昨日の待ち合わせ場所まで送っていこうと
した矢先、突如ちとせにせがまれて……であった。
まあ、そのおかげで昨日は途中で断念した彼女のその私服を脱がせながらの行為と、その前には私服を着たままの
ちとせと交わるという行為を楽しむ事が出来た。そして、色々と収穫があった。
最も、相変わらず明るい所ではさせてくれなかったけど……
思えば今回は、最初の回は途中で色々な問題が起きたりして中断する事が多く、最後に行くまで苦労をしたわけ
だが……そういう状況でもちとせが僕と交わるのをやめようとしなかった事が、僕は地味に嬉しかった。
また、しばらくは出会えない日々が始まる。次会えるのは……また約一月後になるのかな。
しばらくはこんな感じで月に一回、人目を忍んで出会っては激しく愛し合う……そんな事が続くのだろう。
それが良いことなのかは判らないが……僕とこうして過ごす事が、ちとせの励みになるのなら……僕は続けて
いきたい。そう思った。
そして、とりあえず帰ったら……まずは計五回の行為によってこれまた大変な事になっている、敷き布団の洗濯を
始めなくちゃなあ、とも。あと、遮光用のカーテン探しも……
そして後日。
ちとせからのメールである。例によって「来ました」との知らせがまずあって、一安心したのだが……
それと同時に、急な依頼も書かれていた。それでまた……この時の事についてはまた別の機会に話すとしよう。
>>868-
>>873のカズヤとアニスのSSを書いた者です。
続きが書き終わったので、投下します。
短くしようと思ったんですが、全然短くなってないです。
カズヤとアニスは応接室から出てからまっすぐカズヤの部屋へ向かった。
アニスは結局一人でカズヤの部屋のシャワーを使っている。
カズヤはミントに言われた通り一緒に入ろうとしたがアニスは猛烈に拒否したのだ。
「まだ時間あるから平気だ!」「早く出るから来るな!」「ミントの思う壺みたいで嫌だ!」とか
色々な理由をつけて追い出した。
カズヤは「せめて扉開けてシャワー浴びなよ。」などと提案し殴られ、アニスには「動けなくなっ
たら呼ぶから絶対覗くな!」と怒鳴りつけてられ締め出された。
ドア越しに「スケベ野郎が!」と捨て台詞まで聞こえ、カズヤはドアの前で呆然と待つしかなかっ
た。
(まさかこんな事になるとは……)
アニスはテキーラ話してきた事を思い出した。
いつだったかテキーラは「今度はキス以上の大人の関係になるのよ!」とか言い出し、アニスに自
分の性知識を託していった。
最初に聞いた時は顔を真っ赤にしつつ、ただただ聞いていた。
でもカズヤにそんな度胸があるとは思えなかったし、自分もそんな事はすぐできる訳がないと思い
、それは遠い未来の事にしていた。
(俺は今が楽しけりゃそれでいいって思ってたしなぁ。)
その遠い未来が今になってしまっているが、こればかりは楽しめるかは不安だった。
シャワーを浴び終わり、体を拭きカズヤから借りたTシャツとハーフパンツに着替え始める。
Tシャツもハーフパンツも不自然に布が余ってダボつき、服にはカズヤのにおいがついている気が
して着ていて妙にむず痒い気分になってくる。
(ああ〜やべぇ……緊張してきた……)
緊張でドアを開けたらカズヤがドアの真横で座っていて驚いた。項垂れているようにも見える。
「おい、どうかしたのか?」
俯いているカズヤの様子を伺おうと近寄って、顔を覗き込んだ。
「寝てんのか?」と声をかけた瞬間、アニスは急に抱き寄せられ、唇を奪われた。
「んぅ!?…はぅ……んんっ」
舌を絡ませられ、不規則に声が漏れる。
いつもよりも執拗なキスをされ、思考が止まる。カズヤは興奮しているのかアニスの舌に繰り返し
舌を強く押し付ける。
お互いキスが上手いわけではないが、舌が絡み唾液が混ざる度にゾクゾクと全身に快感が走る。
「んっ…あふ……ぅん」
舌を這い出され、カズヤの唇を舐めたらザラリとした感覚と甘みを感じた。その瞬間アニスは我に
返りカズヤから逃れた。
「はぁ、はぁ……」
唇を離し息を整えているが心臓は高鳴ったままだ。舌の甘みを思い出しながらアニスは声をだした
。
「お前、いつもと違った、けど……。」
「はははは……」
「もしかして……」
「ばれた?」
「……。」
「アニスが飲んだ媚薬……僕もミントさんから貰って飲んだ。」
「やっぱりか、このエロエロ魔神。」
呆れながら小突いたが、カズヤは「ひどいな〜」と笑ってるだけだった。
「アニスだけ薬飲んでて、僕も飲まないと不公平かと思って”僕にも媚薬ください”って念じたら貰えた。」
どうやらコンドームを貰った時に一緒に媚薬も受け取っていたらしい。
「不公平ってなんだよ……」
「アニスが一人だけそんな状態だったら、恥ずかしがってショック受けるかと思って……。」
「……そうか。」
考えていなかったが、事に及んだらきっと激しく乱れるのは媚薬を飲んだ者だけ。
確かにそれは終わった後相当恥ずかしいかもしれない。だが……。
「なんか慌ててて時間調整ができなくて、僕、もう効いてきたみたいなんだ。」
「……馬鹿か、オメーは。」
粉薬の要領で飲むと短時間で効果が出るらしい。
呆れてものが言えないとはこの事。今のこの状況はいいのか、悪いのか微妙だった。
ヨロヨロと立ち上がり「僕もシャワーに入るから待ってて」と言い残しバスルームの扉を閉めた。
ネクタイを外そうと首元を緩めた瞬間、ガチャリと再び扉が開きアニスが入ってきた。
「?どうしたの?」
「あ、洗ってやる……。」
「は?」
「風呂で倒れられても困るからな。」
「ええええ!?」
アニスはカズヤの前に回りこみぎこちない様子でボタンを外し始め、カズヤは言葉が出なかった。布ごしにアニスの指が触れる度に胸が高鳴る。
狭い場所なので、自然と距離が詰まる。さっきまで使っていたらしい石鹸の香りが通る。
いつもは豪快に動き回る彼女が縮こまって自分の胸元に留まっている姿はどこかいじらしい。
(さっきスケベ野郎とか覗くなとか言ってたくせに、自分は入ってきちゃうんだもんな……)
それと同時にさっきの暴言を思い出し苦笑いする。
いつも通りの不条理行動だと思って笑って流せばいい筈だが、何故かそれがつまらなく思えた。
胸元が完全に開き、ズボンのベルトに手がかかった頃にカズヤは声をかけた。
「アニスも結構エッチだよね。」
「……は?」
「勝手に僕の服脱がし始めちゃって。脱げないなんて言ってないでしょ。」
「なっ!」
「しかも、君だけ服着てるのもなんかズルいよねー。」
「ず、ズルい……!?俺は別に……」
「アニスも脱いでよ。」
順序を無視してアニスにかぶりつきたい気持ちが湧き上がる。だが、不思議とそれをセーブできている。
それよりも、この”つまらない”という感覚が抑えられない。アニスが困った様子になっているのが面白くて可愛い。
「僕だけ裸なんて恥ずかしいよ。」
「わ、わかった……。」
アニスは顔を赤くしながらハーフパンツを脱ぎ始めた。
あまり見えないように脱いでいるようだが、一瞬薄いピンク色の下着がチラリと見えた。
「アニスのパンツってピンクなんだ。」
「ばっ!バカ野郎!」
ばしん!と勢いよく頭を叩かれた。
「痛いなー!もー!」
カズヤは悲鳴を上げたが、アニスは顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
「ひ、ひ、人がなに履こうと勝手じゃねーか!」
「そんな事言ってないってば。可愛いって。」
「かっ……!?おめー、薬のせいで頭おかしくなってんのか!?」
そうかもしれない。
さっきから彼女の照れる姿が見たくて思い浮かんだ言葉を片っ端から言っている。
普通こういう時は安心させる筈だと思うが、怒られても叩かれても別に構わない。可愛い姿が見れてむしろ嬉しい気もする。
(これが僕の”セイヘキ”ってやつなのかも……)
雑誌なんかで見るアブノーマルな世界とはかけ離れてるが、これも変な気がする。
いつもと違う自分に慣れない。
「つ、つーか、自分で脱げるならさっさと脱げ!俺だけ脱がすな!」
「はいはい。」
アニスは平然と脱ぎ始めるカズヤに圧倒されているのかその様子を凝視している。
確かに見られて脱ぐのは恥ずかしいなと思いながらトランクスだけになった。
「アニス、脱がないの?」
「えっ……や、やっぱ脱がなきゃダメか?」
「ダメ、かな。」
「……うぅ〜」
悔しそうな声をあげて真っ赤になっていたが、少し横を向いてTシャツをたくしあげた。
腕をあげると同時に形のいい胸があらわれ、その中心の赤みに目が奪われた。
「結局一緒に入る事になってんじゃねーか。」
「勝手に入ってきたのはそっちでしょ。」
カズヤも思わず下を向き、トランクスを脱ぎだした。
今更すぎる文句に軽く答える。緊張してきたのにまだ口だけは動く。
「さっさと行け!」
「はいはい。」
視姦しようとしているのを悟られたのか先に風呂へ行くように促された。
視界のふちでアニスもかがんで下着を脱ぎ始めたのが見えたが、流石に大人しく従った。
バスルームに入ると湿った空気が流れていた。
「早く座れよ。後ろ洗うぞ。」
「は、はい。」
カズヤを改めて後ろから見ると意外と広い背中だな、とアニスは思った。
同い年ぐらいの男にはあまり縁が無かったし、トレジャーハンターの一家に居た男たちも大柄な者が多かったので最初はカズヤを”女みたいな奴”と思っていた。
でも、こうやって見ると体系が違う。力も少し自分の方が弱いだろう。
(初めて会った時も凄い力で捕まえられたしな……)
と、画面越しではなく、直接初めて出会った時の事を思い出して顔が赤くなる。
あの時はカズヤに組み敷かれてしまい、身動きが取れなくなった。
逃げる為に叫んだらカズヤは「ごめん」と力を弛めた。そのスキに投げ飛ばしたが、これからあの体勢にまたなってもカズヤ「ごめん」とは言っても力は弛めないだろう。
それに自分も叫んだとしても投げ飛ばす事はきっとできない。
テキーラの言っていた「好きになった方が負け」というのも今はわかる。「相手が気になって自分を通せなくなる」とも言っていたが、今、正にその状況だ。
薬のせいなのか、カズヤはいつもより自分に対して強気に出ている。対して自分は焦って言うがままにカズヤに従っている。
(って、テキーラの言ってた通りになってるじゃねぇか!)
ここまで考えて完全にカズヤのペースになっていると気づき、少し腹が立ってきた。
ふと、テキーラに言われた「相手以上に自分を好きにさせる」という話と、以前託された知識のうちの「男をメロメロにさせる方法がある」というのを思い出した。
(……やるしかない!)
カズヤは前の方は自分で洗っていたが、泡を流そうとシャワーを流し始めた。
泡が消えぬうちに、アニスが顔を真っ赤にして前へ回り込んだ。
「な、なに……?」
「ちょ、ちょっと後ろ詰めろ。」
「?こう?」
素直に後ずさるとアニスはカズヤの股に手を伸ばしてきた。
「え!?ちょちょちょ、ちょっと!?」
「いいから、黙ってろ。き、気持ちよくしてやるから……」
最後の言葉は消え入りそうな声で発せられたが、アニスはカズヤのペニスをつかんだ。
アニスは今まであまり見ないようにしていたが、改めてカズヤの性器をまじまじと見た。
平均などは知らなかったが、思った以上の大きさに少し焦る。だが、それも一瞬で少し硬度のある竿をしごき始めた。
「ぅく……ぁアニス…」
呼びかけには答えずアニスは手を上下させ、カズヤを刺激させている。
カズヤのそれは芯は硬度を持っていたが、外側は不思議な柔らかさがあり、アニスも未知の感触を味わっていた。
アニスは最初は遠慮がちに手を動かしていたが、手の強弱を変えてカズヤの反応を見て感度が上がる強さを見抜いた。
こんな時にまで洞察力を働かされても複雑なのだが、快感には耐えられそうに無かった。
濡れた手に流しそびれた泡と、刺激により出た透明な粘液が混ざりあっている。
くちゅくちゅという音に、ぬるぬるした感覚がカズヤの息も荒くなっている。
「あ、アニス…も、もういいから!」
「黙ってろって言っただろ……」
アニスは上目づかいでカズヤの声に答えた。その目は潤んで頬はほんのりと赤い。
(アニス、やってて興奮してるのかな……?)
そんな考えが浮かんだが、アニスが自分の股間に顔を近づけてきたので、一瞬で吹き飛んだ。
「うわっ!」
近づいたと思った瞬間、舌先で亀頭部分を撫でられ、その舌は裏筋にまで及んだ。
じっとりとした感触と弱い刺激がじれったいが、動悸は早まっていく。
口の奥にまで含まれ、頬の形が変わるほど懸命に刺激されて体温が上がる。
「ふぐ……んん、ふぅ」
口に含んだまま頭を動かし、苦しいのか声が漏れる。カズヤはアニスのその姿を朦朧としながら見た。
浴室は全体的に白く、キャラメル色のアニスの濃い肌がくっきり浮かび上がり艶かしい身体を強調させる。
膝を折り上体をかがめているが、狭いのでおしりを少し上げた状態だ。そこから腰のラインはカズヤの性欲がそそられる。
またアニスも興奮しているのか膝をゆっくりと擦り合わす姿まで見えて、硬さが増し自然と自分も腰を動かしていた。
「うぁ……も、もう…」
「んん、わふぁ…った」
口に含んだまま「わかった」と喋られ続けて頭を動かされる。動かすごとに水の音は激しくなる。
もう自分の出した粘液なのか、アニスの唾液なのかわからない液体がアニスの口から自分の竿に伝う。
一瞬アニスから愛おしそうな吐息が亀頭にかかり快感が走る。
「っアニス、ごめんっ……!」
「んぐぅ!?」
限界に達しアニスの頭を腰にグッと押し付けた。その瞬間勢いよく射精してしまった。
「ごほっ、ごほっ……」
「ご、ごめんね!大丈夫?」
「むぅ…」
(なにが「大丈夫?」なんだか……。)
カズヤは自分で発した気遣いの言葉に呆れる。射精した瞬間に頭を押さえつけたのは自分なのに、と少し罪悪感を覚えた。
アニスの上体を起こし、肩を抱く。アニスは口を抑えているが、白く濁った精液がぽたぽたとこぼれてきた。
アニスの口のまわりや、胸元、太ももに白く光沢のある精液がついている。濃い色の肌とのコントラストに反応してしまった。さっき射精したばかりなのに。
「にっ、にが……まずっ!」
一瞬喉が動いて精液を飲もうとしていると気づき、カズヤは慌てて背中をさすった。
「ほら、早く吐いて。」
「うぅ……」
背中をさすられ、アニスはカズヤの吐き出した欲望を口から出した。
「わ、わるい。ぜ、全部飲めなかった。」
「……それ、飲むものじゃないから。」
ゲホゲホと咳き込み涙目になり、全く悪くないのに謝られる。
それも違和感があるが、アニスは精液を飲むものと考えていたのも驚いた。
「そ、そーなのか?」
「うん。さっき「まずっ」って言ってたんだし、判るでしょ?」
「はっ?言ってたか?」
「……う、うん。」
「そ、そか。わりぃ…」
「いいけど、なんで飲むものだと勘違いしてたの?」
「テキーラが、これ飲み干して「おいしい」って言うと良いって言ってたんだよ。」
話を聞いてみると、男性器を手や口でマッサージすると喜ばれ、出た精液を全て飲み「おいしい」と言うと相手は感激してもうメロメロになる……という事らしい。
なんという事を吹き込んでいるんだ、と友人に少し怒りを感じ、鵜呑みにする恋人にも少し呆れた。
「僕は前半は嬉しいけど、後半はそうでもないからね。」
「え?そ、そうだったのか……?」
「パティシエとしても、人にマズいものは食べさせたくないし。恋人としても嫌な思いはして欲しくないし。」
「うう…ちょっと飲んじまったじゃねーか……。」
「ははは……ほら、口ゆすいで。」
「おう。」
「はぁ……」
シャワーで口をゆすがせたが、アニスはまだぐったりとしカズヤに寄りかかっている。
「大丈夫?」
「わりぃ、なんか、のぼせたみてぇだ……」
肩を抱いているので自然と顔が近くなっている。少し伏せた目と赤くなっている頬。顔と髪が濡れているし、ぐっと艶っぽくなっている。
(アニス、さっき僕の、口に入れて……)
いつもの明るい顔、今の艶かしい顔を思い出した。
自分の為にしてくれたついさっきの事。普通は嫌がる事なのに懸命に舌を動かしていた。
たどたどしく与えられた刺激も充分にカズヤをいきり立たせた。
人に教わりやった事だが精液を飲もうとする姿もカズヤの心を揺り動かし、言い知れぬ興奮が蘇ってくる。
(確かに、メロメロって合ってるかも。)
「のぼせてるなら、部屋に行く?」
「すまねぇ、なんか足に力がはいんねぇ……。しばらくこのままでいいか?」
「うん、いいよ。」
ふと、先ほどのミントから貰った媚薬を思い出した。足に力が入らなくなると言っていた。最初に紅茶を飲んでから90分はもう過ぎてるだろう。
自分も飲んだが、ずっと座ったままだったし、さっき欲望を吐き出したばかりなのでいつから本格的に薬が効いたのか全く判らない。
(もしかして、今のアニスは媚薬が効いてる状態?)
半信半疑のまま太ももを撫でてみると、アニスはぴくんっと反応した。
「……カ、カズヤ?」
うっすら涙目になり見上げられる。そのまま口づけを落とし舌を滑り込ませる。
「ん…ふぅ」
すぐに声が漏れてきて現状を確信した。のぼせていると思っているようだが、どこか息が荒い気がする。
「アニス、たぶん今、媚薬が効いてるんだよ。」
「えひゃ……!?」
アニスが答えると同時に胸に手を置かれ、少し間抜けな声が出る。
「その、さっき色々してくれてありがとう。」
「いや、べつに……」
「上手くできるはわからないけど、今度は僕がするよ。」
そう言って浴槽のふちに寄りかかるように座らせ、両手で胸を揉み始めた。
「ふっ……」
肩を震わせたが構わず続けた。胸はカズヤの手におさまり形を変えていく。
どちらかというと細い体系のアニスは、胸も少し小さく見える。
でも触れてみるとぽよんと柔らかく、そのまま手の平が溶けるような感覚さえして感触に夢中になる。
軽く乳首に触れた事で身体がビクビクと振るえた。両手でそれを摘み動かしてみる。
突起は固さを増し、撫でたり、潰したりして弄るたびに跳ねるように震える。
様子を伺うとアニスは少し苦しそうに目をつぶり、唇をかみ締めている。
「んんっ……!」
(まだ恥ずかしいのかな……?)
羞恥心で固まっているのを見ていると、可愛い事は可愛いがなんだか悔しい。
そこに顔をうずめ片方の乳首に舌を這わせる。
「っぅく!ひぁっ……!?」
アニスは思わぬ声に自分で驚いているようだった。声を抑えようとしているのか、口を手で覆っている。
ちゅぱちゅぱとワザと音をたてて吸い上げ、舌で尖った部分を転がす。空いた手で片方の突起も潰すように弄る。
舌と指の動きでアニスがビクビクと反応する。
「く…あ……あぁっ!」
かぶりついた乳房からカズヤは離れた。乳房から唾液が伝う。
妙な緊張してきたのを誤魔化す為に話しかけてみた。
「そんな口押さえなくてもいいんじゃないの?」
「う、るさい、バカ。」
「もう媚薬飲んでるんだからいっそ開き直ればいいのに。」
「おまえは開き直りすぎなんだよ……。」
アニスの膝をずらし、太ももに手を這わせる。なぞった奥の敏感な部分に指を当てた。
手探りに指を動かすと何処も柔らかい。濡れた部分はパティシエ修行で扱った蜂蜜のようだった。
「んっ…!」
か細い声が聞こえたが、そのまま指先を蜜泉の奥に潜らせる。少し入り口が狭く指はわずかに沈むだけだった。
「いっ、ぅや……あっ」
入り口をほぐす様に指を動かす。相変わらず狭く、弾き返されるような手応えがするが力を入れるごとにアニスの全身が震え、粘液が溢れ出す。
自分の僅かな動きだけで大きく反応する彼女から目が離せない。
そのまま続けると蜜と指との摩擦で入り口が解れてきた。やっと指が一本入り受け入れされている様にも感じた。
「気持ちいいのかな……?どう?」
「よ、よく、わかんねぇ。」
「そうかー。凄く溢れてくるから気持ちいいのかと思ってたけど……」
「なっ!?そ…そういう事……ひゃっ!」
話してる途中でワザと入り口をなでる。甲高い声が響きカズヤは思わず笑ってしまった。
先ほどの発言と行動、そして今の笑いが逆鱗に触れ、アニスは顔を真っ赤にして睨み付けてきた。だが若干上目遣いで見つめられ、瞳は潤むばかりでカズヤを逆撫でするだけだった。
「ふっ…ふざけ…やっ……」
「ごめん。アニスの反応が可愛いから、つい。」
「バッ……バカ!」
「ふふっ。」
「くっ、ニ、ニヤニヤしやがって〜……!」
「でも下はずっと溢れてるけど?」
「あっ!……やっ!」
さっきと同じパターンに引っかかる形になり、会話の途中で下を弄られる。
またカズヤの口車に乗せられたと悔しそうにする。
「あのさ、どこが一番気持ちいいのか知りたいんだけど……。」
「し、知るか!」
もう騙されるもんかと言わんばかりにそっぽを向かれた。
「よく見えないから、ちょっと見せてね。」
「はっ!?わ、うわぁっ!バカ!!」
それならそれで、と一瞬カズヤは笑ってアニスの太ももに頭を潜らせた。蜜の元に顔を近づけて観察しはじめた。
「や、や、やめっ…やめ!」
アニスはカズヤの予想外の行動に焦り、混乱しているようだがカズヤは声を無視した。
カズヤは女性器を初めて見たのだが、意外と単純なつくりだな、と思った。
柔らかい膨らみに、濡れた筋が通っている。ピンクの層にある隙間はやはり狭く小さい。
つん、と触れてみると筋はピクピクと動いていた。ここに自分の性器が入るのか不思議だった。
頭上から「見んな!触るな!」との抗議の声が浴びせられたが、それも無視した。
カズヤは顔をさらに近づけて舌で筋に流れる蜜を舐め取った。
「ひゃっ!?」
アニスは不意打ちで舐められ、予想以上の感覚に悲鳴をあげた。
「やぁっ、ば、かぁっ……ひっ!き、きたな…ぃ」
「さっき君がしてくれた事のお返しだよ。」
「ふっ、あっ…あっ……!」
続けて何度も舌を動かされ、膝をもじもじと動かす。声も甘く響きカズヤの脳を刺激する。
アニスは動かないカズヤの顔を退かそうと額に両手をつけた。上手く力が入らず思うようにいかずにいる。
「や、カ、ズヤぁ…もぉ……やっ、めて…くれ、頼む…」
「どうして?もっとしたい……。」
羞恥心に耐えられずに哀願したが、聞き入れてもらえない。
アニスにとってはカズヤが自分の性器を舐めているのも、自分が上げる声も非現実的なものに感じられた。
自分も同じことをカズヤにしていたのだが、するのとされるのでは大分違う。
ふわふわとした快感がいっぱいになり、カズヤを離そうとした手にも力が抜けていった。
カズヤは筋の上部にある膨らんだ小さなつぼみに触れる度アニスから甘い声が漏れるのを察し、そこを集中して刺激した。
まもなく愛液は溢れ出しそれも舌で掬いあげる。味は無機質だが舌がずっと欲しがる。溢れれば溢れるほど必死で舌を動かす。
「ひゃぁ!あぁっ!」
声は大きくなり、全身が跳ねる。
「ぁあっ!や、カズヤぁ、あっあぁ……」
カズヤの名前を呼んだ瞬間、アニスは大きく痙攣し力が抜けていった。
「……もしかして、今イッたの?」
「え…?」
ふいに見上げると、アニスのトロンとした表情と胸のライン、太もものふちが綺麗に見える扇情的な角度だった。カズヤは自分の大胆な行動に今更恥ずかしくなって、素早く上体を起こした。
「イクって、今のがか……?」
「たぶん。」
「……。」
自分が快感に達してしまったと指摘されてアニスは顔を俯ける。
さっきまでのふわふわした感覚から急に現実感が増してくる。自分があんな風になるなんて信じられなかった。
だが、下部にカズヤが残した指先や舌の感覚、ふいに息がかかった時のくすぐったさまで鮮明に思い出された。
その時の刺激によがって、高く甘い声でカズヤを呼んでいたのは現実だ。
またカズヤも自分にした事が信じられなかった。
つい一時間前まで”自分の興味や欲望だけでアニスを傷つけたくない”と思っていたのに随分脆い信念だ。
アニスの反応が可愛くて、興奮して、イクところが見たくて……。本当に興味と欲望で行動していた。
最中にアニスの恥じらいながらの静止の声を聞いても止められなかった。むしろ背徳感を煽り歯止めが効かなく、執拗に舌を動かしていた。
しかも、あれだけしておきながら……否、してしまったからこそ今もアニスへの執心は続いている。
「アニス、ごめん。無理矢理しちゃって……。」
「……。」
「こんなの理由にならないと思うけど、なんか…その、アニスが可愛くて、こ、興奮して……。」
「……。」
さっきまでの威勢は何だったのか、急にしどろもどろになって説明しだすカズヤ。執心は続いているが、罪悪感も生まれている様だ。
「も、もっと見たいなー…なんて思っちゃって。それで、続けてしたら、やっぱり可愛くて、止められなくて、えーっと……。」
「……もういい。聞いてるこっちが恥ずかしい。」
「ご、ごめん。……やっぱり、怒ってる?」
「別に、怒ってはねーけど……。」
確かに少しは怒っている。だがそれよりも羞恥心の方が勝っている。
その気持ちに全く気づいていないのか、カズヤはアニスの様子を伺いずっと見つめている。
「アニス……?」
「怒っていない」と言えば目を逸らすと思ったが、むしろ顔を顔を覗き込んできた。
カズヤはいつまでも顔を上げないアニスが心配になり、落ち着かせようとアニスの頬に手を持っていこうとする。
「バカ……!顔見るな!」
「!?」
だが、その行動を察知したアニスはカズヤに抱きついてしまった。
首からしっかり抱きついたので、確かに顔は見えないが、二人は何も身に着けず裸のまま抱き合ってしまった。
顔を見られたくない一心で取った行動だったが、これは顔が見られるより恥ずかしい事だと気づくのには時間がかからなかった。
(何やってんだ俺!?)
ピッタリとお互いの胸が触れている。自分の胸がカズヤの少し硬い胸板に吸い付き、触れた部分から全身に熱が広がる。
顔が近いので息遣いや生唾を飲む音が鮮明に聞こえる。一度落ち着いた筈の興奮が再び蘇ったのかカズヤの息は落ち着かない。
「アニス……。どうしたの?」
「……。」
「……アニス。」
カズヤは耳元で囁き、行き場の無かった手を再び顔に触れさせた。だが、アニスは逃れるように顔を胸にうずめた。
「すまん。は、恥ずかしい。」
「な、何が?」
「顔…見られるのがっ!」
(今更なんじゃ……?)
この状況の方が恥ずかしいと思うのだが、アニスの声は裏返っているし、震えている。
カズヤは顔から手を離し、今度は背中に手を回して胸をより押し付けるように抱きしめた。フワフワの胸から心臓の動きが伝わってきた。
「……なんで恥ずかしいのか教えてよ。」
「あんなとこ、な、舐められて、変な声出してたら……ふつう、恥ずかしいに決まってるだろ。」
「あはは……だよね。」
そう言いながら顔を摺り寄せて、耳にキスをした。少し動いた瞬間アニスの太ももに、硬く強張ったカズヤ自身が押し付けられた。
「ちょっ……このっスケベ野郎!」
「し、仕方ないでしょー。僕は”好きな子”に裸で抱きつかれてるんだよ……。」
「うぅ……。」
”好きな子”を強調させられて、それ以上何も言えなくなった。今度こそ、とカズヤはアニスの頬に触れた。もう抵抗する気が無くなったのか大人しく顔を見せてくれた。
アニスは顔を真っ赤にして目は逸らしているが、どこか嬉しそうにも見えた。
カズヤの思い込みかもしれないが、それが、本当に嬉しくて照れくさい。ドキドキする。
さっきまでの行為が嘘の様に二人は軽く触れるだけのキスをした。それでも、このキスが今までで一番緊張したかもしれない。
「あの……アニスさえ良ければ続きがしたいんだけど。」
「続き……。」
「うん。」
凄く恥ずかしがってたし、ダメかもしれない。一応、当初の目的の媚薬の効果を薄める為の性的欲求は解消されているわけだから断られるのも無理はない。
カズヤは半分諦めていたのだが……。
「わ、わかった。」
そう言ってアニスは床に寝そべった。諦めていたので、意外な展開だった。
「えと、本当にいいの?」
「……いい。その代わり、必要以上に変な事言うなよ。」
「変な事って?」
「今日、ずっとそうじゃんか。脱衣所の時とか、その後とか……なんか、意地悪っていうか。」
意地悪とはアニスの羞恥心を煽って困らせる様な態度を事を指しているらしい。
正直、その困ってる姿を見たくてあんな態度を取っていたのだが、彼女はそれが続けられると思い釘を刺してきたのだ。
「えーと、嫌だったの?」
「そーゆーのを止めろって言ってんだよ!」
含み無く聞いたのだが、既に意地悪という事になってしまった。
「困るんだよ、お前がそうだと……。身体も熱くなるし、変になっちまうし……。」
(それは「そうされると興奮します」って宣言してるみたいなモンなんだけど……。)
アニスは何とか止めてもらおうと考えながら喋っている。だが、顔を真っ赤にして全裸で寝そべりながら、足をモジモジして言われても逆効果とは気づかないのだ。
「ごめん、でも、変になって困ってる所が見たかったんだ……。」
「は?なんで……?」
「でも、これから先は僕も余裕が無くなると思うから、意地悪なんてできない、と思うよ。」
カズヤはアニスに覆いかぶさるようにして頬にキスをした。恥ずかしそうに目を伏せられたが、そのまま首筋や肩、胸元にキスを落としていった。
”と思うよ”に若干の不安が残るが、何だかキスされると許す気になってくるので不思議だった。
(んな事言ったら調子に乗りそうだから、ぜってー言わねーけどな。)
「ふっ、あっ、あっ……」
再び秘部に指を這わす。直前まで弄っていたので既に蜜は糸を引いて溢れている。
(ハッキリ聞いてないけど、アニスも初めてなんだろう。)
先ほど見た陰部は殆ど閉じられていた。自分の性器を捻じ込んだら痛いのも納得がいく。
なるべく痛みを軽く出来るといいと思い念入りに解す。
「そろそろいいかな?」
「あ、ああ……。」
「痛かったらしがみ付いても、引っかいても、噛み付いてもいいからね。」
「ん。覚悟しとけよ。」
どう考えてもアニスの方が痛い思いをするのに、その言葉は強がりか照れ隠しか。どっちにしろアニスらしくて笑ってしまう。
足を開き、アニスの入り口にカズヤ自身を宛がわせた。入り口に這っている蜜は外気に触れ少し冷たかったが、その先は熱が篭っていた。
ゆっくり身体を沈ませるが、少し先に入って押し返される、少し入ってまた押し返されるの攻防が繰り返される。
「んんっ……」
「くっ、あ、アニス、力抜いて。」
力が抜けた事を確認すると、さっきよりも体重をかける。少しずつ受け入れられていく。
包まれていく肉棒に全神経が集中し、予想以上の快楽に目が回りそうになる。
「痛い?」
「だ、だいじょ、ぶ……。つ、づけ…ろ。」
我に返って声をかけるが、平気だと返される。どう見ても大丈夫ではないが、そのまま押し進む事にした。
ぐいぐいと身体を沈めると最後まで自分を押し返していた薄い膜にたどり着いた。
その膜があるという事は、彼女が受け入れた男は自分が初めてだという事……。
意を決して膜に向かって身体を貫いた。
「ひっ!やっ……ぁあああ!」
段々と奥に進み薄い膜はついにぱつん、と裂けてアニスに激痛が走る。その証拠にじわりと生温かい血液と愛液が流れ出た。
最奥の肉壁にぶつかり、カズヤの肉棒は全て包まれ、二人は完璧につながった。
「ぜ、全部、入ったよ。」
「ひっく、くぅ……」
「アニスのナカ…、すっごい事になってるよ。」
「……ばか。」
陶酔して説明にならない言葉を口にする。確かに馬鹿みたいな言い方だけど、初めて味わったこの感触は凄いとしか言えなかった。
「痛い?」
「ちょっと……。」
「ごめん、じゃあしばらくこのままでいるから。」
「ん……。」
「僕も、頑張るから……。」
「……?」
アニスを落ち着かせようと頭や顔を撫でたりしているが、カズヤもそこまで余裕があるわけではない。
アニスの膣にピッタリ納まった一物はきゅうきゅうと吸い付かれている。
中の押し付けられる様な狭さで少し痛いが、気を抜いたらあっという間に快楽で果ててしまいそうになる。
「……。」
「おい……。」
「な、なに?」
「なんか……喋れよ。」
カズヤは自分が果てないように必死で頭の中で気を紛らわしていたのだが、アニスの方は沈黙に耐えられないらしい。
予想外のリクエストに何とか応えようと頭を働かせ、話題を出した。
「そういえば、初めて会った時ってこんな体勢になったね。」
「そうだな……。さっき俺もその事思い出した。」
「あの時はまさかこうなるとは思わなかったよ……。」
「……それも思った。」
「今日は投げ飛ばさないでよね。」
「飛ばさねーよ。つーか、変な杭が刺さってるしよ。」
「うぅ……。」
変な杭を刺してる張本人はもごもご何か言いかけたが、その様子は何だか面白かったのかアニスはクスクスと笑っていた。
「まったく、お前だって杭抜く気なんてないくせによぉ……。」
色っぽい笑顔で見上げられドキリとしてしまう。言われた言葉は悔しさに似ているのに何故か舞い上がって熱くなる。
「アニスこそ、さっきまで泣いてたのに、余裕だなぁ。」
「あっ……。」
また意地悪したくなって、ゆさっと軽く身体を動かした。その瞬間彩られた声は苦痛でも抗議でも無かった。
「……っ!」
「ア、アニス……。」
「はぁ……。」
いつの間にか痛みも和らぎ、準備ができていたらしい。アニスも自分でも驚いた様子で真っ赤になっている。
だが、快感は本物だったらしく切なげな吐息を漏らした。
今度はカズヤが驚きムクムクと中で膨らんだ。自分の与えた刺激に素直に反応した恋人が愛おしくてたまらない。
「ふ……。」
「もう、動いてもいい?」
声は出なかったが、こくんと頷いたのを確認して背中に手を回し、ゆっくり腰を動かした。
繋がった部分が擦れて気持ちいい。カズヤは振動するたびに快感に引き込まれていくが、果てないように懸命に抗った。
長く味わいたいのもそうだが、もっと乱れる恋人が見たくて仕方ない。
「ふ、あっ……あぁっ!」
「感じてるんだね……。」
「あぁっ…や、いぅ、なぁ……。」
「声、我慢しないでよ。」
「んっ、ぃやだ……んんっ!」
快感の指摘で尚更歯を食いしばり、必死で声を押し殺すアニス。未だ羞恥心で抵抗する彼女に焦燥してしまう。
「はぁ……あっ。」
「意地っ張り……。こんな時ぐらい、素直になってよ。」
「やっ…ぁ…ばか…い、今…おれ……へん、なのにっ……!」
「可愛いのに……。」
息も絶え絶えに意地を張り続ける彼女にはやはり意地悪したくなってしまう。優しくしたい気持ちもあるのに、それはずっと遠くに行ったままだ。
アニスは必死でしがみつき痛みに耐えている。可哀相だとは思うが、自身を引き抜く程の罪悪感は生まれなかった。
そんな気持ちが交錯したまま、アニスの腰を持ち上げ、より深く腰を衝突させる。
「やっ…!?は……あ、あぁ…あっ!」
「別に、嘘じゃないんでしょ……。だったら変でもいいよ。」
「はぁ、あっ、あっ……それぇ、奥にぃ…やぁ、あんっ!」
「うわぁ…”あんっ”って……可愛いなー。」
「ば、ばかぁっ!」
意地を張り続けていたが、深い刺激に根負けしたのか、不意に可愛いと言われたからなのか、今は舌足らずな声を出している。
刺激に素直になったアニスにとらわれ、カズヤは動きを早める。
「やぁあ、あっ、うぅん…やっ、か、カズヤッ……!うぁ、うごき、はぁ…はやぃぃっ!」
しがみ付いていた手に力抜け、アニスの上半身は床についた。離れた事により悶える姿を晒してしまった。
痛みはまだ残っているのに腰は無意識のうちにカズヤの動きに合わせている。胸も動くたびに上下に跳ねている。
膣は脈打つが、どんなに動いてもペニスをぴったり包み込む。
アニスは最早その行為に焦がれて、とろけている。
恍惚な表情で見つめられ、痺れるような甘えた声に火がつきカズヤは本能のままに腰を打ち付ける。
「ああっ、はぁ……んっ、あ、ああっ!」
繋がった部分はぐちゅぐちゅに濡れ、ぶつかる肌の音が浴室に響く。
アニスの言葉はもう快感しか表せない。先ほど感じた圧迫感が再び広がっている。
カズヤの方も同じように熱情にのまれ、もう限界が近い。
「は……あ、カズヤぁ…あ、もぅ……っ!」
「っ…アニス……!」
「っ…んんっ…やあっ、あぁっ……ああっ!ふぁあっ!」
「くっ……!」
身体を大きく揺らし、膣内が今までに無い程収縮した。アニスは絶頂に達し、甘い悲鳴をあげた。
瞬間、カズヤは肉棒を引き抜いた。遅れて勢いよく射精し、精液がアニスの身体を打った。
胸や腹、顔と髪にまでかかった精液は妖しく光り、今までの快楽を物語っている。
「はぁっ、はぁっ……アニス……大丈夫?」
「はぁ、ん……。」
ゆっくりと頷くのを確認してホッとした。顔にかかった精液を拭ってやる。
無我夢中で続けて快感に果てると脱力感が残る。だが、二人の間にはふわふわとした感覚が漂う。
うっとりとしたまま、見つめ合うとお互い愛おしく見える。二人はそのまま自然ととろけるようなキスをした。
「はー、足いてぇ……。」
「ご、ごめん……。」
少し苦しそうな呟きと申し訳なさそうな呟きが聞こえる。
カズヤがアニスの背もたれになるような形で一緒の浴槽に入っている。
あの後、べとべとになった精液を流したが、なんだか疲れてしまったので湯船に浸かって落ち着こう、という事になった。
「背中もいてぇ。」
「つ、次は気をつけます……。」
最初はカズヤが身体を支えていたものの、途中からはアニスは固い床に身体を倒して激しく動いた。
ベッドではなく浴室でする事になったのはアニスからの誘導だが、背中が赤くなっているのを見ると罪悪感で謝ってしまう。
「しかも僕、コンドーム着けるの忘れちゃったし……」
「あー……。」
無我夢中で行為に及んだが、後々考えるとコンドームは封すら開けられず、未だに紙袋の中にある。
カズヤは寸での所で精液を外に出したが、知識があまり無いのであの行動が避妊になっているのかよく解らなかった。
「まあ、それは、大丈夫……だ。日付的に……。」
「?」
それがどういう意味なのか解らなかったが、今は言及しない事にした。
「何のためにあんな恥ずかしい思いしてミントから貰ったんだか……。」
「ごめん。次はちゃんと着ける…し、あと、ちゃんとベッドでしよう。」
「……。」
「背中、痛そうだし……。」
「……。」
赤くなった背中をそっと撫でた。本気で嫌がっていなかったと何となく解っているが、自分の欲望をぶつけた事には変わりない。
気遣いが無かったと取れる行動に後から罪悪感が増す。
「本当にごめん。……やっぱり怒ってる?」
「別に怒ってねぇよ。……つーか。」
「な、なに?」
「お前、さっきから”次は”って……もう次とか考えてんのかよ。はえーよ。」
「うぐぅ!」
まさかの回答に言葉が詰まる。
「どんだけエロいんだよ。まったく……。」
「ごごごごごごごめん!」
安心させるつもりで言っていたが、よくよく考えたら次回を見越した発言と気づかされる。
「いいんだけどよー。猿じゃねーんだし……もう、ちょっと……。」
「さ、猿はヒドイなぁ……。」
「あー、まぁ、どっちかっつーと犬っぽかったけどな。」
野生的と言えば聞こえがいいが、この場合あまりいい意味では無いだろう。
「いや、あの、本当にスイマセン。」
「否定はしねーんだな。」
「う……。」
「はぁ……怒り通り越して呆れるぜ。」
確かに呆れているようだが、なんとなく声が甘いし、少し楽しんでいる様な気がした。
これはもしかしたら、さっきの意地悪の仕返しなのだろうか。それならそれで、カズヤも言いたい事がある。
「だって……アニスが僕の事メロメロにしたんじゃないか。」
「はぁっ!?」
「最初に僕にした事忘れたの?そう言ってたと思うけど……。」
「な、ななな……。」
内心怒られるかもしれないと思いながら言ってみたが、アニスは物凄く照れている。後ろから見える耳が赤くなっている。
確かに最初にしてくれた事は、テキーラに”メロメロにさせる方法”として教わった事。
実際にしてもらって、本当にメロメロになって、あれから色々してしまった。
その時のアニスはいつもと違ってるけど、言葉では表せないぐらい凄く可愛くて、色っぽい。もっと見たくて自分もあんな風になってしまう。
「……そんなワケで、まだまだメロメロのままだから、アニスには責任とってもらわないとね。」
「ふざけんな!てめぇ!」
一通り説明したが、流石に怒ったのか勢いよく水をかけられた。
「うぶぅ!?」
「そんなの、お前がただ単にエロいだけだろっ!」
「あはははは……。」
「ううぅ〜……。」
悔しそうに呻き、アニスは顔を半分湯に漬けてしまった。
「でも、すっごく嫌だったらもうしないよ。できないのは残念だけど、嫌われたら意味ないし。」
「……。」
実際嫌だったかと聞かれると、よく解らないので困るのだ。
とにかく恥ずかしかった事は覚えている。
あちこち触られた時のとろけるようなフワフワした感覚と、その感覚を与え続けるカズヤには胸が熱くなる。
気持ちいいとか、嬉しいとかそんな事を考える余裕は無かった。
でも、凄くドキドキしたし、嫌だったとも言えない。これが”気持ちいい”と言って良いのかも解らないので考える時間が欲しい。
それなのにカズヤはもう次の事をせがんで自分を困らせる。余韻に浸る暇も与えないつもりなのか。
でも何故か自分を困らすような事を言うカズヤも嫌いにもなれないのだ。
「わかったよ……。」
しばらく無言で考え込んでいたが、溜息をついて許可を出した。
「え、ホント!?」
「……き、気が向いたら、な。」
本当に嬉しそうにするので、こっちが恥ずかしくて困る。本人は意地悪のつもりでは無いだろうが、やっぱり意地悪だ、とアニスは思った。
どうもアニスは自分を困らせるこの”意地悪なカズヤ”に弱いようだ。
とっくに媚薬の効果が切れている筈なので、このカズヤは素なのだろう。再びこのような状況になったら出てくるのだ。
(男のくせに、小悪魔って奴か?)
どのみちこの小悪魔に勝つには、このような状況に誘い出さないといけないのだろう。
それに、この行為が自分にとっていい事なのかを確かめられる人物はカズヤ以外はありえない。
そんな事をボンヤリ考えながらカズヤに寄り添い、今日の出来事を胸に刻んだ。
あの甘くも刺激的な出来事から数日経った。
カズヤとアニスは内に含むものがありつつも、いつも通りの日常を送っていた。
「おかしい……。」
「どうかしたの?」
「ミントからの試験モニターの振込みが全然されてねぇんだ。」
「ああ……。そういえばそうだね。」
何をするでもなく、ピロティでダラダラと過ごしていたのだが、アニスは急に疑問を呟いた。
アニスはあの後「あんな恥ずかしい思いしたんだから落とし前つけなきゃ気がすまねぇ!」と息巻いていた。
「やっぱり、感想言わないと振込みしてくれないんじゃない?」
「うぐ……!い、いや、勝手にあんなモン飲ませてるんだ!これは何が何でも報酬ふんだくらねぇと!」
カズヤの方はもう報酬など気にも止めていなかった。急ではあったものの個人的には良い出来事だったという結論に達しているのであった。
アニスはそれはそれ、これはこれ、と言った風に恥をかかされた分キッチリ貰うという考えらしい。
「何をふんだくるんだい?」
「穏やかじゃありませんわねー。」
再び報酬に対して決意を燃やすと、後ろからもう聞きなれたタヌキ上司ことタクト、そして噂をすれば例の媚薬の持ち主ことミントの声。
「出やがったなミント!あの時の落とし前つけさせてもらう!」
「なんですの?イキナリ……。」
タイミングよく現れたな、とミントに詰め寄りだすアニス。だがミントは、アニスの言ってる状況が理解できないようだった。
「すっとぼけやがって!れ、例の試験モニターの報酬だ!」
「……え?」
「なに?ミント、試験モニターって?」
「あれ?司令も試験モニターやってるんじゃ……?」
「何のこと?」
タクトも件の試験モニターの対象として時折協力しているのだと思っていたが、なんだか反応が違う。
「あっ!もしかしてミント、例のアレやってくれたの?」
考え込んだと思ったら、急に納得した様にミントに語りだした。一抹の不安がカズヤとアニスの背中を通る。
「ええ、まさかタクトさんの仰った通りになるなんて……。」
「は……?」
「ま、まさか……。」
「君たち見てると全然先に進んでないなぁーって思ってねぇ。カズヤも二代目タクト・マイヤーズにしては押しが弱いかなって思ったんだよ。」
そう言ってニヤニヤとこっちを見てくる。この先の発言に身構えたが嫌な予感は止まらない。
「アニスもその辺は積極的じゃ無さそうだし。で、ミントに「媚薬飲ませました」って言って煽ってみてよって言ってみたんだよね。」
「いやぁ……。」
「「まさか本当に信じるとは。」」
「「…………。」」
完璧に嵌められた。
頭の中では色々と言いたい事があるはずなのに言葉が出ずに呆然とする。
「実際そんなに上手くいくとは思わなかったんですけど……。あそこまで盛り上がられると本当の事は言いづらいですわよねぇ。」
いくらなんでも余計なお世話だろう、と遠くで思ったがそれ以上に気になる事があった。
「ちょ、ちょっと待って下さい……!じゃあ、あの時僕達が飲んだのって……。」
「もちろん、ただのスティックシュガーですわ。」
「なっ……!」
「大体さー、そういうモニターって未成年にはやらせないんじゃないの?」
「ですわね。」
「た、確かに。」
実際、今この瞬間もからかわれて嘘を言われているかもしれないのだが、確かめる術は無い。それでも突きつけられた真実にどんどん顔を真っ赤にする。
あの時のアニスの甘ったるい声、カズヤの積極的な態度、そして触れられる度に感度よく反応していた二人。
媚薬を飲んでしまったから、とほぼ開き直っていたがあれはお互い自発的に快感を求め合ったと証明されてしまった。
「アニスさんにはお灸を据えるつもりだったんですがね。」
「て、テメェら!」
「まあ、そんなに照れなくても。結構楽しんだんじゃないの?ねえ、カズヤ?」
「えっ!?」
急に話を振られて言葉が詰まる。違うなどと否定できず、上手くかわす方法も思いつかずにただ顔を赤くするだけ。我ながら情けないと思いながらカズヤは押し黙るしかできなかった。
「ふふ、楽しんだのは本当みたいですわね。」
「だね。」
心を読まずとも、カズヤの気持ちは顔に書いてあるのだろう。
ついにアニスも何も言えなくなったのか、時々呻く声が聞こえるものの無言となってしまった。
「俺はオフィスに戻るよ。それじゃあ、仲良くねー。お二人さん。」
「私もお暇しますわ。お二人の邪魔も悪いですから……。」
何も言い返す事もできずに、二人は置き去りにされてしまった。
「お、おい……お前、いつあんな性格になったんだよ……。」
「えーと……よ、よくわかんない。」
アニスは目を合わせられずに頭を整理しはじめるが全く処理が追いつかない。ただ恥ずかしいという思いが押し寄せるだけだった。
「……この、エロ野郎。」
「ご、ごめん……。」
カズヤがアニスの悪態を全く否定できずに謝るのも何回目だろう。情けないがあの時から自分を受け入れてくれたアニスの虜なのだ。
でも、薬によって好意が増幅されたというのは何となく嫌だった。
図らずもあれは自分の意思からの行動だと判ると逆に安心した。そして、内心自発的に感じてくれた彼女に心を躍らせた。
「か、帰るっ!」
「えっ!?」
だが、アニスはその”自分の意思”に素直になれず席を離れようとしている。
真っ赤で戸惑う顔はあの時と似ていて、カズヤの胸に迫るものがある。でも、本気で怒らせたり、傷つけるのは本意ではない。
照れと怒りで自室に逃げ帰ろうとしている彼女をどう落ち着かせるか、頭をフル回転させてカズヤは後を追うのであった。
おわり。
追記
7のみズレてて読みにくくてすみません。
メモ帳などで調整してみて頂けるとありがたいです。