1 :
名無しさん@ピンキー:
2009年3月5日(木)発売予定のニンテンドーDS向けRPG【セブンスドラゴン】のエロパロスレです。
公式
ttp://dragon.sega.jp/ Wiki
ttp://www24.atwiki.jp/7thdragon/ 多少、早漏気味かなとは思わんでもないですが、妄想濃度がもっとも高まるピークの一つが
発売直前のこのぐらいの時期かと言う気もするのでスレ立てちまいました。
ドット絵で動くチビキャラに萌えたり燃えたり、ケモ耳をもふりたい、ウチの子の意外な性癖を晒したい。
そんな思いのたけを文字ネタにして、貴方の脳内のあの娘に、いやらしい事やひどい事をしてみましょう。
そんな訳ですので≪発売前ネタバレ注意≫かも。
ネタバレを嫌う方は発売・プレイ後にまたお会いしましょう。
とりあえず、ケモっ娘の耳は性感帯
いくらなんでも早すぎだろ
4 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 15:56:16 ID:yM39ULUm
>>1 コレはお前か?w
>439 :名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:39:10 ID:4YaUEBBX
>あー、早いところケモ耳サムライに酷いことしたい
>気丈に振舞うケモサムライの、耳とか尻尾の付け根をさわさわして骨抜きにしてやりたい
>そしたらあの全身タイツは脱がさずに、要所要所を破いて辱めてやりたい
>だけどコトが全部終わったら『ごめんね』って言って謝りたい
そしてお前は俺か
いくらなんでも気が早いぜ まだ一月もあるのに
6 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 19:42:28 ID:TLiRF8lY
>>3 >>5 ゴメンな、冷静になったら入れる前に出すぐらいの早漏だったと言う気がしてきた
>>4 俺違うww
俺違うけど気持ちは良くわかるww
すでに書き始めてる早漏書き手もココに一人いるから
あったらあったで使うだろうけどね(笑)
ただ、固有名詞とか用語とかちょっとまだ判然としない部分もあるしねえ
今でも糞早漏野郎と思ってるけど、気まぐれに公式覗いてみたら
ちょっとだけ
>>1の気持ちがわからないでもなくなったw
職業にも幾つかキャラパターンがあって、ミニストーリーついてて、絵師のギャラリーもあって
楽しみにしてるヤツなら妄想が止まらんわな。これなら
微妙な気もしてたけどゲーム買う事にしたし、保守ぐらいなら手伝うわ
>>4の文章糞きめえwwwwwwwwwww
と思って良く考えたら同感したうえに飼ってるフェレット2匹に似たような事してたwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ケンカごっこしてオヤツあげてちゅっちゅして体ペロペロされるのは基本
ちなみに乳首をペロペロされてる時にもう1匹の方に腹を噛まれるのも基本だ
>>9-10 こ、この、変態!変態!変態っ!!
・・・べっ、別にフェレットかわいいよなとか、ちくしょう羨ましいなとか、
擬人化したらやばいぐらいエロいとか全然思ってないんだからねっ!
ってか、フェレットってそこまでなつくのか
ああもう獣耳とちゅっちゅしてえ
獣耳♀3人と♂ひとりのハーレムパーティにするよもう
フェレットはメチャクチャなつくよ
普通に肩乗せて散歩したり、一緒にシリアル食べたり、背中はおろか何故か乳首をピンポイントで舐めてきたり
足が臭いからって噛んできたり、噛み返したらキキキッと怒ったり、そのうちキキキがキャッキャウフフになったり
発売まであと1ヶ月か・・・早く梨花ちゃん、沙都子、レナ、俺のひぐらしPTで冒険に出たいぜ・・・
ケモミミばかりに注目が言ってるようだが、
ツインテール騎士とか赤毛ヒーラーとかの一目でツンだと分かる女の子を
徐々にデレさせていくのは、定番中の定番ながらも最高だと主張しておく
ケモミミよりも騎士♂×姫の下克上が気になる俺は異端か
むしろ王道だろ
これが騎士♀×プリンセスだとFFTのエロ同人の読みすぎになるw
ゲームの性質上、固定の名前がないからSSは投下しにくいな。
ネタだけは腐るほどあるが。
>>16 世界樹スレ、剣と魔法と学園モノスレ見てこい
固有名詞なんて些細な問題だと分かる
>>16 逆
固定のキャラがないからこそいろいろな性格のキャラで好き勝手に創作できる
19 :
16:2009/02/08(日) 23:16:21 ID:1e23lc+S
>>17>>18 d
目から鱗が落ちた。
tkやりたい放題すぐるだろww萌えたww
実は男の子な根暗プリンセスをピンクプリンセスがにこにこしながらドS調教して
前立腺弄くりまくって心と肛門を雌に仕立て上げるSS希望
発売が遠いから職人さんもまだ書けんだろうな
なので求めるものをひたすら書き連ねて保守するしか…
ああ三月よ早く来い!
>>20 夢を壊してしまって大変悪いんだが、
ルシェ族の♂がエルフ耳、♀がケモ耳と言うことらしいので、
ケモミミである欝プリンセスは♀っ子なのだよなあ。
まあ、それすらも脳内設定で色々改変できるっちゃ出来るけどw
>>22 既に脳内設定してるヤツになんでわざわざそういう事をw
>>22 悪いが設定ごときでは『プリンセスを雄認定』しているような男は止められんのだよ
つーか、世界のどこかにはエルフ耳の女の子がいると思ったのに……
俺のそっちの夢がつぶれたわorz
……いや、流石にエルフ耳のアレらを♀認定はしないよ?
帽子メイジは何処からどう見ても女の子だろJK
あの子は絶対に巨乳だと思うんだ
パーティ4人ってのがまた悩むよな
あの子もこの子も欲しいのに全然枠が足りねえよ
世○樹と違って偶数だから、カップリング時に
ハブられる子が出ないのが救いといえば救いか
なんでだろう…?
二組のカップルが冒険ってなんとなく不健全な印象を抱いてしまうのは…
じゃあ男の子一人とそれを調教して遊ぶお姉さん三人なら健全だな
>>30 4人パーティーで二組の恋人同士とかだと2×2の単位になって
フォローとか行動がまず互いのパートナー優先とかでなんか揉めそう
「嘘つき!嘘つきぃ!あんた回復魔法が使えないって彼を見殺しにしたくせにぃ!
さっき自分の恋人のダメージ回復させてんの見たんだからねぇ!」
時々スワッピングして、合意の上でパートナー以外とも体の関係を深めておけば無問題
無難に1パーティー1カップル派かなぁ、自分は。
残り二人もちょっと怪しいけどあくまで仲間、別にラブいちゃではないくらいの糖度が理想。
乱交ワロタww
ちちくらべ的な意味では青髪ローグがいまんとこ一番か?
やかん姫と金メイジを忘れるとは
サムライ♀はどっちも着やせするタイプ
ここか、見つけたぞ
よく来たな
さあ妄想(たたか)おうか…っ!
待て・・・お前らだけをイカせはしないぜ!
♀しか入れない島とか、なんと言うこのスレ向きのイベント・・・
無理やり入れられた女装ショタが見つかって全島民から壮絶な逆レイプ輪姦ですね
かわええNPCも充実してオラワクワクしてきたぞ
マレアイアってホントに男子禁制だったのか…
男女1:9くらいでを妄想してた
もちろん女尊男卑で
マレアイアの人は男というものを見たことが無いそうだから
イベントをこなす→入島許可が下りる→ちょっと変わった女の人だとしか思われない
→無理やりお風呂に入れられても気付かれない→でもみんな身体上の違いに興味津々
→そうこうしてるうちにいつのまにかのっぴきならない事態にまで幻視した
マレアイア出身のプリンセス主導で
ガチ百合ギルドとか妄想してる俺は
まだまだということか…
ショタ分が足りねええええええええええええええええええええ
確かに。
ちんちん付いててもイケる子がななドラにはあんまいないよね。
もう俺には帽子メイジきゅんしかいないね
しかも公式のちびキャラが俺様って…大好物だわ俺男だけど
猫耳ファイター、プリンセス全員、イクラクンはちんちん付いてる。
帽子メイジはちんちん付いてない。絶対に付いてない。
そこまで逆転されると逆に尊敬するわ
俺たちはドラゴンと戦う前にまず現実と戦ってんだよ
ヒーラー子は半必須だろうに、公式でグラがなかなか公開されないから、
どっちを陵辱したらいいか決め切れないじゃないか
・・・やべぇ、もう二週間きったのにまだパーティ決まらねええええ
55 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 16:55:27 ID:P39eW4pG
金髪ローグのひんにゅーっぷりがヤバイ
青髪の方に吸い取られてるとしか思えない
>>55 金髪ローグの貧乳に青髪が吸い付いてる……だと?
デコローグカワイイヨデコローグ
なんでメイジの立ち絵だけまだなんじゃあああああ
帽子メイジきゅんはやく見せろ!ファミ痛いい加減にせいよ!
逆に考えるんだ、発売当日にまで愛を醸成できると思うんだ!
それはそれとして、グラドリ姫にツインテ騎士を調教させる計画が着々と進んでます、脳内で。
ファンタとイクラクンのほのぼのなカップルを夢想してここにきたらレベル高すぎてフイタw
お前らのレベルに俺は追いつけるのだろうか……
ほのぼのいちゃラブも良いものだ
そろそろ書き手さん降臨しないかなあ
自分も試しに書いてみるか・・・完成させたことないけど
外界に出たプリ子たちは島に子種を持ち帰るという重要な使命を帯びて(ry
妊娠するまで交尾を命じられる女装鬱プリンセスかわいいよ
64 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 10:02:35 ID:8GzCqugI
イクラクンのおちんちんおいしいお(^q^)
おっおっお(^p^)
ゴバーク
誤爆といわれなきゃわからん誤爆だなw
しかしいよいよ冒険開始まで後10日ほどだな
俺も早いところ嫁候補を3人までに絞らなければ・・・
未だ四人目を自分にせにゃならんとか思い込んでるヤツがいる事に悲しみを感じる
いいか?俺たちは己を「5人目であるマッパー、もしくは戦闘力のない指揮官」とすることで
メンバー全員を女性で固めれる事を世界樹で覚えたんじゃないのかよ!!!!!
世界樹やった事無かったから知らなかったぜ・・・
これで安心して騎侍魔姫のPTで進める
>>67 だが断るっ!
そんな軟弱な設定で『戦いを通じて芽生える愛情』が表現できると思うな!
・・・べっ、べつに世界樹のとき『俺はマッパー』設定でプレイしたら
どんどん脳内でパシリって言うかヘタレって言うかそういうポジションに
なっていったからじゃないんだからねっ!
誰がDSを握り締め冷徹なまでの正確さで仲間に指示を出しているのかもう一度思い出して欲しい。
それでも夜の宿屋のベランダで戦えぬ我が身を嘆くならば
きっと私服に着替えたナイトがふっと背中から抱きしめてくれる筈だ。
ルシェのナイトですねわかります
>>67 じゃあ俺はマッパー兼詩人をロールプレイするために毛糸のパンツを穿くよ!
>>72 自分たちの冒険譚をSSにしてこのスレに投下するのを忘れるなよ。
パーティの重要な収入源だ。
ばかだなあ
四人の娘さんたちがいちゃこらと百合ん百合んするのを神の視点から眺めるのが楽しいんじゃないかよう
ファイター♂とメイジ♀の始まりの物語を元にちょっと書いてみたんだが…
この流れの中で投下してもよいのだろうか?
かなり妙なネタも入ってる上にエロもなしなんだが…
>>77 何を躊躇う必要がある。どんどん投下すればいい
ってか投下してくれ
じゃあちょっと投下してみる
題は「ファイター♂とメイジ♀の始まりの物語」で6レス(予定)借ります
微妙な部分もあるんでスルーしたい人は題をNGしてください
カザン共和国。
ハントマンが建国した、まだ生まれて間もない国。
そして、侵攻を続ける竜と戦う者が集う国でもある。
そこに一人の少女が足を踏み入れた。
「うわ…人がいっぱい…」
少女の髪は白く、ピョコンと立った獣のような可愛らしい耳がついていた。
耳は本物らしく、少女はその耳をピコピコ動かしていた。
「こんなに人がいるなんて…あの人、見つかるかな…」
少女はある男にお礼を言おうとここまでやってきた。
その男は大きな斧を持ち、カザンに行くと言っていたからだ。
しかし、これだけ人が多いとその男を見つけるのは大変かもしれない。
(…ううん、見つけないと。ちゃんとお礼言うって決めたんだから)
少女は顔を上げて、街を行き交う人の群れに向かって歩き出した。
(これだけ人がいるんだもん。あの人を見た人が一人くらいいるはず)
「あの、すみません」
少女に声をかけられ、体格のいい男が少女の方を向く。
「ん、どうした?お嬢さん」
「お、大きな斧を持った男の人を見ませんでしたか?」
「あ〜、どこだ?ギルドオフィスって…」
男はそう言って頭をボリボリとかいた。
男は赤いシャツの上に防具を身に付けており、足元には男の物と思われる大きな斧と丸い盾が置いてあった。
男は街に入ってすぐにギルドオフィスと言う場所を探していた。
そこに名を登録する事によりハントマンとして正式に認められる、と言うような事を聞いたからである。
しかし、男はその肝心のギルドオフィスを見つけられずに、街を彷徨っていた。
「…ギルドオフィスを探す。これが俺の最初の冒険と言うことか…」
男は真剣な顔でそんな事を言うが、傍から見ればどこか情けない話である。
すると男のシャツが何者かに引っ張られた。
「あの…すいません」
「んぁ?」
男が振り返ると、そこには獣のような耳を持った白髪の少女が立っていた。
男はその少女に見覚えがあった。
カザンに来る途中でフロワロに沈んだ街に入ろうとしていた少女だった。
「あれ、君は確か…えっと、あの時はごめんな…何か怒らせちまって…」
男はそう言って頭を下げたが、少女は困ったような表情を浮かべた。
「そ、そんな事ないです!わ、私の方こそごめんなさい…酷い事言って…」
そう言って今度は少女が頭を下げた。
男にとってそれは予想外らしく、今度は男が困った表情を見せる。
「いいって別に。気にしてねぇしさ。だから顔上げてくれよ」
男にそう言われ、少女はゆっくりと顔を上げた。
男は少女が顔を上げたのを確認すると、口を開いた。
「ま、これからは気をつけた方がいいぞ。フロワロが咲いてる所はさ…」
「知ってる。竜に侵略され、人が住めなくなった場所…」
少女はそう言って、どこか悲しそうに顔を伏せた。
その様子を見て声をかけにくくなったのか、男は黙ってしまう。
気まずい空気が流れる中、少女が再び顔を上げた。
「あの、あなたはハントマンなの?」
「え?ああ、まぁ…うん、そうだな…」
突然の質問に少し慌てた様子で男は答えた。
「ん?あなた『は』?君はハントマンじゃないのか?」
男に聞かれると少女は首を縦に振った。
「え?じゃあ何でカザンに来たんだ?」
「それは…」
あなたにお礼を言うため、と答えようとしたがどこか恥ずかしくて少女は黙ってしまった。
「ま、言いたくないなら別にいいけどな」
「え?あ…あの…あなたはカザンがハントマンを集めてるからここに来たの?」
少女は気まずさから咄嗟に新たな質問を男にぶつけた。
少女に聞かれると、今度ははっきりと男は答えた。
「もちろん!ハントマンならここに来ないとな!」
男は斧を右手に持つと、それを肩に担いだ。
「それにさ、出来るなら助けたいんだ」
「え…助け…る?」
男はああ、と答えると空を見上げた。
「カザンはさ、竜に立ち向かうハントマンを集めてるんだ。俺にどこまで出来るのかは分からない。
もしかしたら誰かを助けたいなんて自惚れかも知れない。でも出来る事はしたいんだ。
君も見ただろ?フロワロに沈んだ街…あの街がどんな街か俺には分からないけどさ、それでも何か悲しくってさ…。
俺さ、あんな光景見るのは嫌なんだ。綺麗かもしれないけど嫌なんだ。それに…」
そこまで言うと男は少女の顔をじっと見た。
「君みたいな人も出したくないしな」
「え?」
「君さ、もしかしてあの街に大切な何かがあったんじゃないか?」
少女は辛そうに目を伏せた。
男の言うとおり、あの街には少女の兄が住んでいた。
「ま、色々クサい事言ったけどさ、結局俺は出来るだけ多くの人に笑ってもらいたんだ
俺、Sじゃないから人の辛そうな顔は見たくないし。ってこれもクサいか。俺、クサすぎるな。ぷんぷん臭うな」
「私も…」
「え?」
「私もハントマンになれるかな?」
少女がそう言うと男は驚き、目を見開いた。
「ええっ!?君が?う〜ん…」
男は左手をあごに当てると、難しい顔で少女を見る。
「戦闘なら大丈夫よ。私はメイジだから」
「え?チョコレートとか売ってるの?」
男が至って真面目な顔でそう言うと、少女はガクッと姿勢を崩した。
「違うわよ!魔法!魔法を使って戦うの!チョコレートって何!?」
「え?チョコレートってのはさ、お菓子の一つで、こう、茶色くて甘い…」
「知ってるわよ!私が聞いてるのは何でメイジと聞いてチョコ売りになるの!?」
「だってメイジだろ?」
「はぁ…メイジと言うのは簡単に言えば魔法使い。まぁ、魔法と言っても一応理論はあるけど…」
男がなるほど、と言って頷くのを見ると、少女は大きなため息をついた。
男はしばらく考えると肩に担いでいた斧を置き、少女の方に顔を向けた。
「なぁ、君、ハントマンになるなら俺と組まない?」
「へ?」
「いや、実は一人で心細くてさ。仲間を集めようと思ってたんだ。魔法を使うってんなら心強いし…ダメかな?」
メイジの少女は少し顔を赤くして黙っていたが、やがてコクリと頷いた。
「おお、本当に?ありがとう!」
男は心底嬉しそうに言うと、満面の笑顔になる。
実は少女は最初からこの男についていくつもりだった。
さっき言っていた男の決意に共感したと言う事もある。
しかし、あの時酷い事を言った自分をちゃんと止めてくれた彼の力になりたいと言う気持ちが一番だった。
「あ、そうだ、肝心な事言うのと聞くのを忘れてたな」
男はそう言って少女に右手を差し出す。
「俺の名前はファンタって言うんだ。よろしく」
「何かシュワシュワしてそうな名前ね」
「よく言われる」
少女も右手を差し出し、ファンタと名乗った男の右手を握った。
「私はイクラクン」
「何か、美味そうな名前だな」
「よく言われるわ」
イクラクンがそう言うと、二人はお互い手を離した。
「よし、じゃあ行くかイクラクンちゃん!」
「あの…呼び捨てでお願い」
「呼び捨て?ああ、まぁ、そうだな確かに。君付けとかすると『イクラクンくん』になって何か匂い嗅いでるみたいでいやらしいし…」
「だ、誰がいやらしいよ!」
「冗談だって、そう怒りなさんな」
そう言ってファンタはイクラクンの頭を撫でながら、顎の下をくすぐってみた。
するとイクラクンは気持ちよさそうに目を細め、口を半開きにした。
「おお…可愛い…」
その言葉で我に返ったのかイクラクンは慌ててファンタの手を払う。
「な、ななな何するの!」
「いや、実に気持ちよさそうでしたな。眼福でした」
「うぅ〜…」
イクラクンは涙目になってファンタをにらみつける。
その様子を見て、ファンタは少し笑った。
(元気なさそうだったが、もう大丈夫そうだな)
「あ〜、ごめん、悪かった、許してください、お嬢様」
「べ、別にいいわよ。お、怒ってないから」
イクラクンはそう言いながら恥ずかしそうにそっぽを向いた。
その様子を見た後、ファンタは置いてあった斧と盾を手に持った。
「イクラクンお嬢様も許してくれたことだし、行きますか!」
「行くって、どこに?」
「ギルドオフィス。そこで正式にハントマンとして登録できるらしいからな」
「ギルドオフィス…」
「そう、そこを見つけるのが俺達の最初の冒険」
イクラクンはそれを聞くとクスッと笑った。
「何か、小さい冒険ね」
「まぁな、でも、大事な一歩だぜ?」
「そうね」
ファンタが歩き出すとイクラクンもそれについていくように歩き始めた。
(そう言えば、まだお礼言ってなかったな…)
「ファンタさん」
「ん、どした?」
「ありがとう」
「……よく分からんが、どういたしまして」
こうして二人は最初の冒険を始めた。
小さいけど大きな何かを成し遂げる為の冒険を。
投下終了
すごい久しぶりに書いたから色々ひどい気がする、後半カオスになったし
…元々文章力ないんだけどね
一応それぞれの名前は公式から
ファイター♂の名前はブーンとファンタ、どっちにするか本当に悩んだ
俺より遥かに素晴らしい職人が降臨する事を祈る
ゴチ。
ああもうかわいいなイクラクン。
しかしあの世界でもチョコレートは明治なのかw
乙! イクラクンかわいいよイクラクン
名前のくだりの掛け合いが特にツボでした
自信を持って次の創作に取り掛かるんだ!
いい物読ましてもらったです、ごちそうさま
キャラスレもエロパロスレも見てるけどエロパロの方がキャラスレチックなのは何でなんだぜ?
このスレは名言が多すぎるw
せっかくなので
>>80-85の続編。
名前は公式から。
題は「あるギルドの始まりの物語」で10レス消費。
スルーしたい人は題をNG設定してください。
小さな国があった。
その小さな国は竜の襲撃に会い、滅んだ。
滅びる寸前、王は一人の騎士に自分の娘と逃げるように言った。
「これから先、お前がこの子を守ってくれ」と言って。
そして国は滅び、一人の騎士と姫は何とか生き延びた。
この世界ではそんなに珍しくもない話。
「ここが…カザン…」
一人の男がカザンと言う街の入り口に立っていた。
金色の目、白い髪、褐色の肌、そして人間にしては少し長い耳が男の特徴だった。
男は所々ボロボロの鎧を身に纏い、その隣には小さい少女が立っていた。
少女は青い髪に獣のような耳を持ち、その手の中にはぬいぐるみがあった。
「姫様、少し休みましょう。ここ最近はずっと歩きっぱなしでしたし…」
男にそう言われると、姫様と呼ばれた少女は首を横に振った。
「しかし…」
「…大丈夫だよ、グリオン」
少女はグリオンと呼んだ男の顔を見て、そう告げる。
「…申し訳ありません。私に力がないばかりに…」
「違うよ。グリオンは十分私の力になってくれてるよ…」
その言葉を聞き、グリオンの表情は崩れそうになる。
一度や二度の話ではない。
グリオンが少女を気遣うたび、少女はグリオンにそう言う。
そしてそのたびにグリオンは思う、もっとこの子を支えられる力が欲しいと。
「…それでは水を恵んできてもらいますので姫様はここで待っていてください」
「…私も行く」
「いえ、姫様はここで休んでいてください」
「…大丈夫って言った」
そう言う少女の姿はどう見ても疲れていた。
「嘘はダメです。少し休んでください。姫様に倒れられたら私が困ります」
「でも…」
「大丈夫です。すぐ戻りますから」
「あ…」
グリオンは言い終えると少女に背を向けて歩き出した。
少女はその背を追おうとするが、通行人にぶつかってしまう。
少女は尻餅をつき、ぬいぐるみが地面に落ちる。
「おっと、ごめんよ、大丈夫?」
「だ、大丈夫です…」
少女はぬいぐるみを抱えて立ち上がる。
ぬいぐるみが少し汚れたが気にしない。
すでにぬいぐるみは綺麗と呼べる状態ではなかったから。
「本当に大丈夫?」
「うん…」
「ごめんね、お譲ちゃん」
そう言って通行人は去っていく。
少女はすぐに辺りを見回す。
少女と一緒にいた騎士、グリオンの姿は大勢の通行人の中に隠れ、もうなかった。
少女はぬいぐるみを抱く腕に力を込める。
(グリオン、いない…一人…ぼっち…)
少女はしゃがみ込むと、声を出さずに泣き出した。
このカザンの街に来るまで少女はずっと騎士から離れなかった。
離れたらグリオンもいなくなりそうだったから、父親や母親のように。
だからどんなに疲れていても離れなかった。
だが、離れてしまった、こんなにも簡単に。
「っ…ぅ…」
「あなた、大丈夫?迷子?」
「…ぅっ?」
少女が顔を上げるとそこには大きな斧を持った男と白髪の獣耳少女がいた。
少女はさらにぬいぐるみを抱く力を強くし、警戒した。
「あ、大丈夫よ!私達怖くないから!」
「ああ、その証拠を見せてやろう」
「え?」
白髪の少女が男の方を向くと、男は奇妙な踊りをし始めた。
俗に言うヒゲダンスである。
「…何してるの?」
「子供は歌と踊りが好きだろう?だから、ほ〜ら」
そう言うと男は踊るスピードを速くする。
「な、怖くないだろう?」
怪しい上に何か怖かった。
少女は怯えた様子でその男の顔を見た。
男はそれに気づくと、ニカッと笑ってみせた。
それを見て、不思議と少女は男が怖くなくなった。
「もう!変な踊りはやめて!」
「ちぇっ、これからなのに…」
「いいから!……前回はまだまともでかっこ良かったのになぁ…」
「え、何?」
「すごい変人と一緒になっちゃったって言ったの」
白髪の少女は男にそう言うと、泣いていた少女の方を向いた。
「ごめんね、怖かったでしょ?お姉さんは怖くないから。私はイクラクン。あなたは?」
「…モモメノ」
「モモメノちゃんね、可愛い名前ね」
「確かにな。イクラクンと比べると天と地の差だ」
「そう言えばまだ私の実力見せてなかったよね。せっかくだし手加減なしで見せてあげる」
「よく考えるとイクラクンって名前もすごい可愛いよな。はぁいとかばぶぅとか言いそうで」
「それ、違うから。どっちかって言うと『チャン』だから」
「あの…お兄ちゃんの名前は?」
モモメノと名乗った少女がそう聞くと、男は再び笑って答えた。
「俺はファンタって言うんだ。シュワシュワしてそうだろ?」
「…うん」
モモメノは頷き、微かに笑った。
イクラクンはその様子を見ると、大きくため息をついた。
「最初っからそうしていて欲しいわ。いきなり変になられるとこっちが疲れるんだから…」
「ははは、悪い悪い。で、モモメノ、迷子なのか?」
正しくは迷子ではないが、モモメノは答えずにただうつむいた。
「…よし、俺が一緒に保護者を探してやろう!いいよな、イクラクン」
「うん、もちろん。モモメノちゃん、出来れば探している人の特徴を教えて欲しいんだけど…」
イクラクンに聞かれると、モモメノは顔を上げた。
「鎧、来てる…」
「鎧、か…ここじゃそんな奴いっぱいいるからな…おっ、そうだ。モモメノ、立てるか?」
「うん…」
ファンタに言われるとモモメノは立ち上がった。
「うし!」
「ぇ?」
ファンタはモモメノの後ろに回りこみ、彼女の太ももの間に頭を突っ込み、足をつかんだ。
「ちょ、何してるのよぉ!」
イクラクンはモモメノの太ももの間にあるファンタの頭を思い切り蹴った。
「ごっ!ま、待った待った!」
「うるさい、変態!」
「だぁ〜、違う違う!蹴らないで!お願いしますから!」
「ゎ…」
ファンタがその姿勢のまま立ち上がると、ファンタがモモメノを肩車する形になった。
「どうだ、高いか?人の顔、よく見えるか?」
「…うん、見える…すごい」
「よし、探そう。そして、イクラクンは俺に何か一言ください」
「う……ご、ごめんなさい…」
「うむ、では罰として俺の斧を持ちなさい」
「え、ちょ」
「さぁ、しゅっぱーつ」
「ま、待って…う、重い…」
そしてファンタとイクラクンは歩き出した。
30分後、彼らは元の場所に向かっていた。
「み、見つからないね…」
「ま、向こうも探してるかもしれんしな、すれ違ったかもしれん」
「そうかもしれないわね…」
イクラクンは重い斧を持って歩いていたせいか元気がなかった。
「ぁ…」
「ん、どうした?モモメノ」
モモメノの目は探している人物を捉えた。
「いた…あの人…」
「ん……え、あの人か?」
「…すごい人ね」
モモメノが探していた人物、グリオンは顔から出るものを全部出してひたすら「びめざま、びめざまぁ〜!」と叫んでいた。
「早く声をかけよう。やばそうだし」
「そ、そうね」
「本当に!ありがとうございましたぁ!」
グリオンはそう言ってファンタとイクラクンに向かって土下座をする。
「いや、いいって。どっちかって言うと俺達が勘違いしたせいであんたに迷惑かけたし」
「そ、そうですよ。顔を上げてください」
「いえ、姫様に寂しい思いをさせてしまったのがそもそもの原因です!」
グリオンはそう言って頭を下げ続けている。
グリオンの説明でファンタとイクラクンはモモメノが迷子じゃなかった事を知った。
「いいから顔上げてくれ。ほら、モモメノも困ってるだろ?」
モモメノは沈んだ表情でグリオンを見ていた。
「ごめんなさい、グリオン…」
「そんな!姫様は何も悪くありません!」
ファンタは二人のその様子を見ると、口を開いた。
「なぁ、モモメノってどこかの国のお姫様なのか?」
「そう言えばさっきからグリオンさん、姫様姫様って言ってるね」
「それは…」
グリオンは一瞬ためらったが、二人の方に向き直った。
「分かりました。貴方達には教えましょう。先ほどの事もありますし」
グリオンはそう言って自分とモモメノの事を話した。
グリオンは昔、死にかけていた所をモモメノの父に拾われ、王である彼に忠誠を誓った事。
ある日突然ドラゴンに国を襲われ、国が滅亡した事。
王はグリオンにモモメノを連れて国を出るように命令し、グリオンは苦悩しながらもそれに従った事。
そして、モモメノとこのカザンまで歩いてきた事をグリオンは話した。
ファンタとイクラクンは黙ってそれを聞いていた。
グリオンが話し終えるとファンタが口を開いた。
「なるほどね。でも何でカザンに来たんだ?」
「ここではハントマンを集めていると聞いています。私はハントマンとなり、お金を稼ぎ、姫様を守っていくつもりです」
「他の国で騎士をやるって事は考えなかったのか?」
「私の王は…あの人だけです」
グリオンはそう言うと、ファンタは少し考えた後にグリオンに言った。
「なぁ、あんた、俺達の仲間になるか?」
「む、それは…」
「俺達のギルドに入らないかって事。これからあんた一人だと大変だろ?」
ファンタがそう言うと、グリオンの表情が明るくなる。
「ほ、本当ですか!?」
「ああ、でも一つ条件がある」
「条件?」
「モモメノもギルドの一員として働いてもらう」
それを聞いた途端、グリオンの表情が変わった。
「そ、それはなりません!姫様を危ない目には…」
そう言うグリオンを無視し、ファンタはモモメノの前まで来ると姿勢を低くした。
「モモメノ、俺とイクラクンは竜の侵略から人を助けようと持ってる。お前にもそれを手伝って欲しい」
「お手伝…い?」
「ああ。でもすごい危ない事だ。死ぬかもしれない。でも、一つだけ約束してやれる事がある」
「約束?」
モモメノがそう言うとファンタは頷いて、笑った。
「お前に寂しい思いをさせない。お前が独りになりそうな時は俺とイクラクンが傍にいる。
もちろんグリオンだって一緒だ。この約束だけは絶対守ってやる」
「…本当?」
モモメノは知らない内に泣いていた。
何に泣いていたのかは分からないが泣いていた。
「ああ、本当だ」
ファンタはそう言ってモモメノの涙をぬぐった。
「…分かった…お手伝い、する」
「姫様…」
「と言う事なので、よろしくお願いしますぜ、グリオンさん」
「しかし…」
「大丈夫だよ、死なせないって。俺ってこう見えて臆病なんだ。
大切なものがなくなるのは怖くて仕方ないのだよ。だから死に物狂いで守ってやる」
「…分かりました。この命、ファンタ様に預けます」
「だが断る」
「え?」
「あんたに死なれるのは怖いんだって。あ、そうだ、イクラクン、悪いな、勝手に約束して」
「文句言うと思ったの?」
「ですよねー」
そう言ってファンタはモモメノに背を向けてしゃがんだ。
「話聞いた感じだと相当疲れてるだろ?おぶってやるよ」
「ぇ、いいの?」
「それは俺の台詞だ。可愛い子おぶれるんだから」
言ってる事が滅茶苦茶だがモモメノはほんの少しだけ笑みを浮かべてファンタにおぶさった。
「うし、グリオンさん、あんた、俺の斧持って」
「イクラクンが持ってる奴だ」
「こ、これです…」
イクラクンはグリオンにそう言って斧を渡した。
「これは…中々重いですね」
「は、はい…」
「悪かったな、イクラクン、後で何かおごるから」
「え、でも、あれは罰で…」
「女にあんな重い物持たせて何もしないわけにはいかんだろ」
ファンタにそう言われ、イクラクンは頬を染めた。
「…本当に…普段から真面目ならかっこいいのに…」
「んぁ?」
「何でもない」
イクラクンはファンタに顔を見られないようにそっぽを向いた。
「ま、モモメノはプリンセスってとこだし、ヒーラーがいないのはきついが何とかなるだろ?」
「アイテムで何とかするしかないわね…ねぇ、プリンセスやヒーラーは知っててメイジは知らなかったの?」
「え?」
「え、じゃなくて。最初メイジをチョコ売りって…」
イクラクンがそう言うとファンタは口笛を吹きながらそっぽを向く。
「知ってたの?」
「さぁ、ワシにはなんの事かさっぱり」
「知ってたんでしょ!知ってたのね!?」
「よし、ギルドオフィスまで逃げよう」
「逃げよー」
モモメノの台詞とともにファンタは走り出した。
「ちょ、待ちなさい!」
イクラクンもそれを追う。
「お、置いてかないでください!」
グリオンもまた、それを追う。
間もなくして彼らはギルドを結成する。
彼らがドラゴンを相手にどんな活躍をするのか、それはまた別の話。
〜おまけ〜
「全滅した時さ、「hageた」もいいけど「フラワロスwww」もいいんじゃないか?」
「いや、笑えないから」
エロがない事を言うの忘れた、申し訳ない。
あとまたクサい話で申し訳ない
ファンタも何か壊れてしまったけどどうかお許しを。
しかし発売前なんでもう無理だ、書けない…。
文章力は半人前以下なのに妄想力は一人前。
何にしてもセブドラ、楽しみです。
お目汚し、失礼致しました。
>>102 乙です。すごいほのぼのする。
まぁ作りたいパーティーと全員一致してるのもあるからかもしれんがww
>>102 乙です!
>>88なんだけど、続き書いてもらえて嬉しい。
>>103も言うとおりほのぼの和む。エロ展開ならずにこのままもいいなあ。
発売後には妄想力コンセントがかかることを期待する!
俺、正にこの面子で始めようとしてたからすげぇ面白かった。
こいつらの始まりはもうこのプロローグでしか考えられん。
実にGJでした。
>>102 乙、エロ抜きでほのぼのできるエロパロスレってすごく特殊な気がするw
というか自分のPTの始まり物語ってここに書いて良いのかな?
なんか>102を見てると自分でも書いてみたいような気になってきた
書けるかどうか分からないけどw
>>106 エロなしを住民が許容してくれるなら、かなあ…
まだ発売前で、スレのLRも出来てないから、やっちまったもん勝ちという気もしないではないけどね
ちなみに俺は盛り上がるなら何でも構わんよ
『エロ有OKのパロディ創作スレ』だと解釈すれば、エロ無しでも問題ないと思う。
むしろ「エロがないから投下できねえ!」って過疎るほうが嫌だし。
キャラスレはそういう雰囲気じゃないし。
というわけだから、
>>106の始まりの物語、待ってるよ。
昨夜、チビキャラトークで旅立った赤ヒーラーに涙。
複数の男に組み敷かれ体をまさぐられながら
「大切なモノは、アイツにあげてきたから
なにをされたって、失うモノなんて、ないんだ・・・」
と、虚ろな目で壁をみつめる赤ヒーラーさん、おはよう。
俺もやってみたいが、上手く書けないからな・・・
書けば上手くなるよ
書かないと上手くなれないけど
>>111名言だな。確かにそのとおりだ
自分もちょっと書いてみようかな。長くなりそうだが・・・
>>111 ・・・!分かった。
やれるだけやってみます。
夜になるだろうけど。
>>113 夜からあんたの夜明けが始まる訳なんだな
応援して待ってるぜ
>>114 お前と言う奴はまた上手い事言いやがって……
113ですが・・・
試しに書いたら、メッチャ長げぇぇぇな感じになってしまった・・・
このまま投下しても、大丈夫なんですかね・・・
どうしても長すぎると思ったらtxtにまとめればいいんじゃないかしら
まだ全然スレ容量はあるし、そのまま貼っちゃえばいいと思うよ。
まさか半日やそこらで100kとか書いたわけじゃないっしょ?
>>116 大丈夫なんじゃないかね? まだそんなに消費されてるスレでもないしさ
どうしても不安ならうpろだにtxt上げてURL貼ってもいいと思う
ごめんなさい!
パソコン使えないんで、携帯使ってるんですよ・・・
txtというのも、全く知識が無いんです・・・
携帯か、だったら普通に上げて大丈夫じゃないかな
とりあえず頑張ってみれ
分かりました。
出来るとこまでやってみます。
携帯からなんで、見づらいとことか、文才無いんで目茶苦茶だったりしますが。
タイトルに「旅の始まり」といれるんで、うざったいと思うならNGにしてくださいな。
ちなみにエロ無しです。ごめんなさい。
124 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 00:36:06 ID:iFs5EcGs
とある辺境の地に、小さな国があった。そこでは、ルシェ族と呼ばれる種族は、迫害の対象となっていた。
ゆえに、幼くして差別をうけ、ボロボロの状態だったルシェ族の男の子を、国王が偶然に見つける。
王は、ルシェ族の恋人がいたが、王という立場により、人目につく所では被差別種族の彼女と会う事が出来なかった。
この日も彼女に会う為に裏路地に来た帰りに、男の子を見つけた。
王は、元々差別に対しては反対の考えを持っていた為、こう呼び掛けた。
―――――君さえよければ、我が城へ来ないか?
それが、10年程昔のお話。
125 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 00:47:03 ID:iFs5EcGs
「そろそろ着きますよ、姫様」
「・・・うん」
二人の若い男女が、小さな辺境の国へと続く道を進んでいた。
二人ともルシェ族のようで、少年の方は強固な鎧に身をつつみ、少女はいかにも王族、といったような服装だ。
「三ヵ月ぶりですか、あの国へ帰るのは・・・」
「・・・そうだね。」
「王様達は皆、怒るどころじゃ済まないんだろうな・・・。」
「・・・だろうね。」
あの国であったのだろう出来事を思い出していく。
「まぁ、素直に謝罪すれば、王様はお優しい方です、この事も許してくださるはずです。」
「・・・どうかな?」
126 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 00:57:56 ID:iFs5EcGs
少女は、王族でありながら、被差別種族のルシェ族だった。貴族達や、城に仕える者達からも、同じルシェである母とともに差別をうけていた。
だが、たった一人、王だけは彼女らのことを良くしてやっていた。
王の手回しにより、護衛の者や、勉学を教える者に、年の近いルシェを遣わせた。
たった一人の味方。たった一人の父――――
「・・・姫様?」
はっ、と現実に意識を戻した少女。
「さぁ、この門の先ですね。行きましょう。」
甦る記憶、込み上げる思い。
離れていたのはたった三ヵ月だが、感慨深い物がある。
そして、門を開いた瞬間、目に飛び込んで来たものは、
美しい、地獄だった。
127 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 01:11:52 ID:iFs5EcGs
「なっ―――!?」
「うそ・・・・」
一面に狂った様に咲き乱れる毒花があった。
「これは・・・ひどすぎる・・・!」
あちこちに血がこびりつき、結晶化した人もあちこちにいる。
「・・・・お父さん!お母さん!」
「!? 姫様!一人では危険です!姫様!」
城へ向かって駆け出した少女は、ためらいもなくフロワロの中へ足を踏み込み、自らを傷つけながらも進んでいく。
お父さん、お母さん、お父さんお母さん、お父さんお母さん―――!
無我夢中で、自分と母の二人で過ごした城の一室へとやってきた。そして扉に手を掛け、開いた先には、結晶と化した母がいた。
「い・・・いやぁぁぁぁぁ!!お母さん、お母さぁん!」
いつも自分の事を一番に考えてくれた、最愛の人の変わり果てた姿に、泣く事しか出来なかった。
良くみると、母はペンを握っている。
そのしたには、手紙らしき物があった。
それを手に取り、読んでみた。
128 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 01:25:10 ID:iFs5EcGs
最愛の娘、サンへ
貴女がいなくなってから、もう二ヵ月が経とうとしています。
この国はもう持ちません。竜に襲撃されている様です。
貴女の姉さまは、貴女のおつきの方―――確かコッポラちゃんよね、二人はサンがいなくなってから一週間後位かしらね、貴女達を見つけるまでは帰らない、と言って国を出て行ってしまったの。
今となっては正しい選択だったのね。
私は、何があろうと、いつか貴女達が帰って来るであろうこの城を決しては なれたりはしま せん。
もうあ まり手も 動かなくな ってきたわ、最 後に一 つだけ。
母親らし いことあ んまりしてあ げられな くて、ご めんね。
「うぅ・・・お母さん・・・」
自分へと宛てられた手紙を読んだら、また涙が止まらなくなってしまった。
「おーい、姫様、どこで――あ、いた!」
遅れて来た少年は、泣きじゃくる少女に驚き、理由を聞いた所、無言のまま手紙を渡された。
129 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 01:38:51 ID:iFs5EcGs
一通り読んだ後、少女の様子を見るとどうやらあまりよろしくない。
「私も・・・死にたいよ・・・」なんて言っている。
そんな彼女に、こう話し掛けた。
「・・・父様や母様がいなくなってしまったからといって、決して姫様は一人では無いという事を忘れないで。今、姫様は自分も死んでしまいたい、と思っているかも知れませんが、そしたらコッポラさんも・・・ボクも、とても悲しくなります。
貴女には、ボク達が一生ついていますから、死にたい、だなんてこと言わないでくださいよ。お母様やお父様の分まで、生きなければいけないんです。」その言葉を聞いた少女ははっとした表情で少年の方を向いて、
「・・・そうだね、ヒトの言うとおりだ・・・。軽はずみに変な事言って、ごめんなさい。」
分かってくれたのならいいんですよ、と、ヒトと呼ばれた少年は答えた。
姫が、強い心の持ち主であって良かった、と少年はほっとした。
悪いが割り込んで一言。
エロパロ板で間を空けながら長時間かけてSSを投稿するのは好まれない。
どれぐらいかかるか分からない上にその間スレに書き込めないので。
なので携帯であっても一気に書き込めるよう手段を考えた方がいい。
131 :
旅の始まり:2009/02/28(土) 01:47:51 ID:iFs5EcGs
それからほどなくして、かつて小さな国であった地をでて、これからどうするかを考えた。
少しして、サンと呼ばれた少女が言った。
「私・・・お母さんの手紙には、『竜』にやられたって書いてあったのみて、思ったの。竜を倒すって。あの国の様なとこ、増やしちゃいけないって。」
「・・・敵討ちという理由もあるんでしょう?あんまり褒められた事では無いんですが・・・。姫様が決めた事なら、ボクも、全力を尽くさせてもらいます!」
「・・・ありがと、ヒト。」
「!? ・・・お、お礼なんていいですよ!?ボクがやりたい事をやるまでですから!」
―――こうして、少年達の歩む道は、決まった。
終わり。
132 :
名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 01:51:34 ID:iFs5EcGs
>>130 そうですね・・・
メモ帳機能を活用してみたいと思います。
コピーと張り付けを。
以上で俺の妄想プロローグは終わりです。
長時間書けての駄文レス、すみませんでした。
では。
最後の最後でsage忘れ・・・
ほんとにすみません・・・
>>133 よく頑張った!GJ!
まだ発売もされてないゲームでここまでの妄想を形にしてのけるとは見事
割り込んだ奴の言いたい事も分かるが、不慣れな奴と知っておきながら
投下の途中に割り込んでやるなよ。もう少し待ってやれよ。
説教はそれからでも十分だよ。
発売直前にして、ファイターのデコ娘が
じわじわと好きになってきた。
ついに手に入れた「最強の鎧」とやらが
80年代的な装飾過剰なビキニアーマーで
こんな露出鎧着れるか!と頭を抱えるデコ娘さん。
「全魔法属性、斬・壊・突攻撃に耐性があるが
唯一、触属性(触手攻撃)に弱いから注意」
と、説明する俺は、ついうっかりニヤニヤしてしまう。
「バカッ!バカッ!このヘンタイ!」
と、力いっぱい斧で殴られるが、デコさんは優しいので
決して刃のほうは向けず、アバラ数本折れる程度。
>>133GJでした。こんだけ妄想できるのもすごいけど、携帯でこんなに打つのは大変そうだw
今はスレ速度も遅いし、時間かけてもそんなに問題ないと思うよ。
あと駄文といわずに、作品を大事にしてあげてくれ。じゃないと登場人物が可哀想だろ!
>>133 GJ! ななどらで書くならこの系統かなと思ってたネタをひとつもってかれたw お見事です。
文章は普通に問題ないレベルだと思いますよ。
いろいろ勉強にもなったと思いますから、是非その書きたいモチベーションを大事にしてください。
『GJ』の一言で全ては報われた・・・!
>>138 早速見てみますね。
実はこれ、まだ後二人のエピソードも残ってるんだ・・・
もう少し勉強して来ます。
楽しみにしてますよ!
でもこういう人にはキャラスレに来て欲しかった・・・orz
141 :
102:2009/02/28(土) 20:29:16 ID:e1xhWUiY
訂正
>>99 ×助けようと持ってる → ○助けようと思ってる
>>101 ×フラワロス → ○フロワロス
ネタで間違える、カッコワルイナサケナイ(しかも既出ネタっぽい)
>>139 いい物読ませて頂きました、GJ
やっぱりセブドラってこういう国って多そうだ…
あと携帯の投下、俺もやった事あるよ
コピペ→書き込みページで書き込み→通信切る→コピペ→書き込みページ(ry
こんな感じのループで投下した
携帯からの投下の大変さは分かるつもりなので頑張って欲しい
それとレスくれた人、アリガd
セブドラ、早くプレイしたいな…
周りが楽しそうならそれで満足なファンタ
みんな好きだがファンタに特に懐いてるモモメノ
それを見て密かに嫉妬してもやもやするイクラクン
とりあえず姫様が笑顔なので満足なグリオン
俺、セブドラ買ったらこんな妄想しながらプレイするんだ…
>>141 また色々浮かんだら是非投下してくれ
102のファンタとイクラクンの行く末が凄く気になるw
突然思い立ったので投下します。
エロ微小(強姦)・虐待表現・グロ表現あり・欝です。
NGは「チェンジリング」でお願いします。
――花が、咲いている。
私が故郷を追われたのは、もう14年前のことだ。森の木々が薄紅の花を咲か
せる頃、ごく普通の人間の両親から生まれた私の頭には、柔らかな毛で覆われ
た獣の耳があった。私の姿を見た父親は動転して家を飛び出し、母親はうろた
えて泣き続けた。そしていつしか、母はすべての原因が私にあると考え、私は
寒い家の中で、たった1人で生きた。母の怨嗟の視線を常に感じながら。
今ならわかる。私の両親の双方に、ルシェ族の血が混じっていたのだ。薄い、
薄いその血は、奇跡的な結びつきの果てに、私の頭の耳として結実した。こう
いった「取替え子(チェンジリング)」は、珍しい事例ではあるが、まったく
ないわけではない。だが私の住んでいた無垢なる田舎の村では、それは単なる
不貞の証しでしかなかった。
12年、好奇と侮蔑の目に耐えながら生きた。
12年、無視と怨念を背に生きた。
12年目が終わろうかというある冬の日、私は村のワル気取りな連中に開店前
の酒場へと呼び出され――その場で犯された。6、7人の男たちは、何も知ら
ない私を好き放題に貫き、汚し、思うが侭に快楽を貪った。私はただただ痛み
に耐えながら、この地獄が過ぎ去ってくれることを祈り、同時に、これからの
日々はこの地獄とともにしかないことを悟った。
ああ、でもそれだけであったなら。それだけであったなら、私はきっとあの
地獄をも平穏な日々として受け入れ、男どもの性欲解消人形として毎日を過ご
しただろう。どんなに悔しくても、どんなに苦しくても、彼らは私が存在して
いることを認めてくれる。たとえそれが肉の奴隷でしかなかったとしても。
私の家には、「私」がいない。
甘美な屈辱に塗れた私の目の前に、鈍く光る刃が見えた。
――こいつ、耳の裏を触られるといい声で鳴くのな
――すっげえ笑える。うちの猫と一緒じゃん、それ
――ってことはあれか、こいつ、恥ずかしい場所をブラブラさせて歩いてるっ
てことか
――いかんなあ。いかん。不道徳だなあ
――こいつに、女の貞淑さってのを教えてやらんといかんだろ
全身にねばねばした体液を浴び、息も絶え絶えだった私は、自分の耳の後ろ
に冷たい刃の感触を覚え、そして次の瞬間、言葉にできない痛みが全身を突っ
走った。
ぼたり。ぼたり。
私の顔を覆う粘液とは違う熱さを持った液体が、私の頬を伝り、目に入り、
口のなかに鉄っぽい味がこみ上げる。私は悲鳴をあげた気がしたが、自分の声
はどこまでも遠かった。そもそも、声が出ていなかったのかもしれない。ただ、
視界が真っ暗に閉ざされていくのだけが分かった。
気がつくと、私は雪道を歩いていた。頭はジンジンと痛み、粗末な靴の中で
足の指が刺すような痛みを訴えていた。私は、歩かなくてはならなかった。行
くあてはなくても、歩かなくてはいけなかった。私のすべてを否定した故郷か
ら、一歩でも遠くに、歩かなくてはならなかった。
歩かなくてはいけない。自分の膝が崩れるのが分かる。
歩かなくてはいけない。頬に凍った地面を感じる。
歩かなくてはいけない。頭はなおも痛み続ける。
歩かなくてはいけない。歩かなくてはいけない。
歩かなくてはいけない。
もう、歩けない。
歩かなくてはいけない。
もう、歩けない。
歩かなくてはいけない。
もう、歩けない。
――もう、歩けない。
そのとき、遠くで馬の蹄の音が聞こえた。
それから14年がたち、田舎の雪道を任務先へと急いでいた師匠――カザン王
国の騎士だ――に拾われた私は、従者としての訓練を終え、騎士の称号を受け
た。他人に比べて耳があまり聞こえないというハンディキャップはあったが、
それは私にとってモチベーションを高める材料でしかなかった。
私は、歩かねばならないのだから。私は、戦わねばならないのだから。
王国は危急存亡の時を迎えており、騎士団にはいくらでも仕事があった。だ
から初の出陣となる私が、1人でそっと騎士団の建物を出たのを、見咎める者
はいなかった。
もっとも、どこに行くのかと問いただされても、私は答えられなかっただろ
う――私自身、なぜ自分が歩いているのか、説明できない。
ただ、気がつくと私は歩いていた。14年前に歩いた、あの道を。
私の頭のなかで、さまざまな風景が回転した。まずは、夜を待つ。人々が寝
静まったところで、最初に駐在の衛視を殺る。これで予備の剣が確保できる。
次に村長の家に侵入して、村長一家を殺る。村長の家にしか、馬はない。馬の
手綱を切って、馬は森に追いやっておく。これで逃げる人間は走る以外の手段
を持たなくなる。
それから、一軒ずつ、慎重に仕事をする。幸い、酒場は村の中央の広場にあ
る。酒場から人が出たようなら、そいつを先に片付ける。最初に酒場に飛び込
んだら、多対一になるし、騒ぎになれば逃げ出す奴もでてくるだろう。
そして――私は確実に捕らえられ、師匠は厳しく問責され、簡単な裁判の後、
師匠自らが私の首を刎ねるだろう。それまでに師匠が自決していなければ。私
の名前は騎士団の恥、カザン王国始まって以来最悪の大量殺人犯として歴史に
残るに違いない。
村が見える高台に立ったとき、太陽は山の端にかかろうとしていた。すべて
が茜色に染まっていて、私は自分がこの風景を懐かしく思うことに驚いていた。
でも、何かが違った。
私は、自分の動悸が高まるのを感じた。そんな。そんなことって。
14年は。私の14年は。
気がつくと、走り出していた。茜色に染まる花を蹴散らしながら、走った。
故郷に向かう道を、走った。
こんなことって。こんなことって。こんなことって!
村は一面、水晶に覆われていた。広場も、家々も、あの酒場も。人も。
「不貞の娘」「悪魔っ子」の14年ぶりの帰郷を迎えたのは、ゆっくりと夜色に
染まり始めた水晶だけだった。
私は、何も考えられなかった。気がつくと、私は自分の家のドアを開けてい
て、気がつくと、私はいつものように暖炉の前の揺り椅子に座って、いつもの
ように編み物をしている女の――形をした、水晶の彫像の背中に立っていた。
ゆっくりと、剣をかざした。
深呼吸をする。
14年。この風景を、心の奥底で燃やしてきた。
14年。これだけを、念じてきた。
でも、剣を振り下ろすことはできなかった。カラリと手から剣が落ち、私は
泣いていた。ひたすら、泣いていた。物言わぬ水晶の像にすがって、あの頃の
ように、声を殺して泣き続けた。
おかあさん。
おかあさん。
おかあさん……!
階段で、カタンと音がする。私は咄嗟に剣を拾い、背中の楯を構えた。油断
なく、周囲を見回す。訓練で叩き込まれた動きだ。ごく自然に、涙は止まって
いた。
階段の上には、両手で杖を構えた、ローティーンの少女がいた。赤毛が印象
的だ。
おびえた瞳が、おどおどと私を見る。本人としては、睨みつけようと思って
いるのだろう。でも私が彼女の視線を真正面から受け止めると、彼女の目はき
ょろきょろと踊った。
「お嬢さん、私はカザン王国の騎士だ。安心してほしい。国王陛下より、生存
者がいれば救出せよとの命令を受けている。ともあれ、降りてきてはくれまい
か?」
「出て行け! 何が騎士だ! ここは、あたしの家だッ!」
私は軽い衝撃を受けた。混乱した頭を整理する。14年あったのだ。そういう
ことがあっても、不思議ではない。母は、お世辞にも素行が良いとは言いがた
かったし、なによりこんな辺鄙な村でいわくつきの女が1人で生きていくとなれ
ば、できる仕事には限りがあった。
私は苦笑して、妹に呼びかける。
「お嬢さん、落ち着いて。お嬢さんのほかに、まだ生きている人は?」
「あたしの母さんは生きてる! まだ生きてる! 死んでなんかいないッ!」
「貴女の言うとおりだ、修正しよう。まだ水晶化していない人は?」
「……あたし以外、みんな……」
妹の顔がぐしゃりと歪んだ。泣き出しそうなのを、必死で堪えている。私は
剣をしまい、楯を背負いなおすと、階段を上がった。妹は、はっとして杖を構
えなおす。
私は構わずに階段を上る。妹は、大上段から大振りで私に殴りかかった。か
わす必要も、受ける必要もない。杖が私の額を打って、一瞬だけくらりとした。
額から血が流れるのを感じる。
大丈夫。こんなのは、痛みじゃない。
唐突に、妹は自分がとんでもないことをしでかしたのを悟り、杖を取り落と
した。真っ青になって震えている。
「大丈夫。安心して」
へたり、と妹の腰が落ちた。最後の数段を上って妹の頭をそっと抱き寄せる。
「怖かったね。ひとりで、よく頑張ったね。もう、大丈夫。大丈夫だよ」
火がついたように、妹が泣き始める。こんな小さな子が、この死者の森のな
かで、どれくらいの時間を耐えねばならなかったというのか。おそらくは私と
同じように冷たくあしらい続けた母の、憎んでも憎み足りない背中を眺めなが
ら、どれだけの感情を押し殺してきたというのか。
妹は、ひたすら泣き続けた。私は腕の中のぬくもりを逃がさぬよう、彼女を
抱きしめていた。
「あたしはッ! 絶対に、みんなを助けるんだからッ! あんたも協力してよ
ねッ! 騎士なんだから、困ってる善良な村人を助けるのは当然でしょッ!」
私は苦笑しながら、背後でわめきたてる妹の声を聞く。
「分かってる。これで何度目だ、いったい――。とにかく、まずは街まで行く。
状況を報告しなくてはならないし、私だけではできることにも限界がある」
「あんただけじゃないッ! 何度目だッ! あたしも戦うんだからッ! 村長
さんに、治療の魔法を習ったんだからッ! あたしだって役にたつんだッ!」
肩をすくめ、妹のわめき声を受け流す。ダメだと言ったら、彼女は確実に1人
で旅に出ようとするだろう。それくらいなら、つれて歩いたほうがマシかもし
れない。その治療の魔法とやらが、どれくらい使い物になるかわからないが。
「フン、また無視かッ! あんた、騎士のくせに、すっごい鈍感。頭に耳つい
てんの?」
ちくり、と心が痛む。振り返って、私は妹を睨んだ。
「ちゃんと二つ、頭についてる。わめきながら歩いていると、疲れるぞ。昨日
みたいに背負って歩くハメになるのは、御免だ。一緒に旅をしたいというなら、
なおさらだ」
「フン!」
妹が鼻息あらくそっぽを向く。負けん気だけは一人前だ。私たちは、しばら
く黙って道を急いだ。
「――ねえ、あんた、なんであのとき泣いてたの?」
沈黙に耐えられなくなったのか、妹がまたわめきだした。
「ねえ! 聞いてるのッ?」
私はため息をついて、振り向かずに答える。
「あの女性は、私の――古い、知り合いだった。それだけだ」
「フーン。あのクソ婆が、騎士なんかと知り合いだなんてね」
「人の世には、不思議な縁というものがある」
「縁ねえ。じゃあ、あんたとあたしが出会ったのも、何かの縁ってこと?」
「そうなるな。わかったら、歩け」
縁。それ以外、あり得ないだろう。なおもわめきたてる妹を無視して、私は
道の先に視線を送る。
街までは、もう一息だ。
以上です。欝なものを読んでいただき、ありがとうございました。
なんだこのどシリアスなSSは。
でも世界樹もそうだったけど、見た目に反してけっこうシビアなストーリー展開するから、こういうバックストーリー普通に合うんだよね。
面白かった。
151 :
139:2009/03/02(月) 01:34:43 ID:RshGpDxU
調子に乗って、続編投下しちゃいます。
相変わらずエロ無しです。
嫌な人は、『仲間たち』をNGで。
152 :
仲間たち:2009/03/02(月) 01:35:25 ID:RshGpDxU
「はぁ、くそ、ドジふんじまった・・・!」
ハントマンの集う、カザン共和国へ通じる小道から少し離れた所で、戦いが繰り広げられていた。
戦っている人物は、大きめの刃を持つ剣を巧みに操り、襲いくる魔物の群れに抵抗を続けていた。
だが、武器を弾き飛ばされてしまう。
「もう、駄目か・・・。これじゃ、何の為に隊長達が逃がしてくれたのか、わかんねぇや・・・」
魔物が、その者の首を狙って繰り出した攻撃は、
―――彼に届くことは無かった。
153 :
仲間たち:2009/03/02(月) 01:36:59 ID:RshGpDxU
辺りに響く、硬い物同士がぶつかりあう鈍い音。
「ぐっ・・・。ここはボクが押さえます!貴方は退いて下さい!姫様、この人の事、お任せします!」
「うん、分かった」
いきなり現われた一組の若い男女。良く見ると、少女には獣の様な耳が頭についている。
「!? ルシェ!?いっ・・・」
「怪我してるんだから、無理しないで。今、手当てするから。」
後方で、ルシェの少女は傷付いた剣士に、簡単な治療魔術を施す。
「凄いな・・・もう動ける。サンキューな!」
そう言いつつ、彼は駆け出す。自らの落とした剣へ向かって。
無防備に突っ込んでくる獲物を黙って見過ごす訳は無い、と言わんばかりに、今まで抵抗していた少年から、剣士へと目標を変更したようで、一直線に向かって行く。
154 :
仲間たち:2009/03/02(月) 01:37:47 ID:RshGpDxU
「ありゃ、やっぱり都合よくは行かないか。」
迫りくる魔物をどうにかしてやり過ごさなければ、剣を拾うことは出来ない。
魔物が攻撃を繰り出す。だが、剣士は動きを見切り上手く躱す。
その後も二撃、三撃と躱していくが、四撃目を躱した所でバランスを崩してしまう。
「ヤベッ、またピンチ!」
しかし、またしても攻撃は届かない。
「何やってるんですか!?怪我人は下がって下さいよ!」
と、白髪に褐色肌の少年が言った。
「お前もルシェか、今日はよくルシェに会うなぁ。」
の、呑気なこといってないで、武器を拾って戦うか逃げるかして下さいよ!
他人をかばいながら戦うことは、正直厳しいんですから!」
事実、ルシェの少年の構える盾は、魔物によって徐々に押し込まれていく。
「りょーかい。それじゃ、反撃開始だ!」
155 :
仲間たち:2009/03/02(月) 01:39:58 ID:RshGpDxU
彼の剣技は鮮やかなもので、一撃一撃にそれなりの威力があった。だが、仕留めきれない。
「くっそー、こいつタフだなー」
「我が騎士、ヒトに命ず」
後方から、少女の声が聞こえた。
「我に仇なす、あれを、討ちなさい」
「Yes.マスター!」
少女の号令とともに持てる力全てを発揮して、魔物にルシェの少年が切りかかる。
そして、そのまま魔物の頭部を捉え、一気に振り抜いた。
深々と入った切り口は完全に脳まで到着し、その組織を破壊している。
「ヒュー、やるなお前!」
「はぁ、疲れた・・・」
「お疲れ様。水、飲む?」
「はい、ありがとうございます。」
彼らは一息つくついでに、軽い会話を交わした。
156 :
仲間たち:2009/03/02(月) 01:40:39 ID:RshGpDxU
「いやー、済まないな!助かったよ!」
「本当、ギリギリでした。姫様が気付いて無かったら、間に合いませんでしたよ!」
「うん、何かね、音がしたから。」
「そういやまだ自己紹介してないなー。オレはブラックって言うんだ。君達は?」
「ボクは、ヒトといいます。」
「私は、サン。」
「へぇ、どこから来たんだい?サン姫さまは」
ブラックの問い掛けに、サンの表情が少し沈んでしまう。
それを見たヒトが、代弁した。
「あちらの方の、小さな国から・・・。今は、フロワロに沈んでしまいましたが。」
「!? ちょっとまて!? オレもその国から来たぞ!?」
ブラックの発言に耳を疑った二人。だが、王の名を知っているようなので、嘘では無いらしい。
「まさか・・・、あの噂は本当だったのか・・・」
彼の話によると、町の人々には、サンとサンの母のことは、一切知られていないらしい。
「でも、ときどき聞いたんだ。『王には、けがらわしいルシェの愛人がいる』って・・・。」
157 :
仲間たち:2009/03/02(月) 01:42:10 ID:RshGpDxU
その一言が、サンの心にショックを与えてしまい、さらに表情が暗くなる。
「・・・あなた、喧嘩売っているんですか?姫様を傷つけるようなら、容赦無く切ります。」
ヒトが殺気を、ブラックに向けた。
「ま、待てよ!確かにそんな噂は聞いたが、オレはルシェを嫌ってたりなんてして無い!むしろ好きだ!」
はぁ?、とヒトがうろたえる中、ブラックは主張を続ける。
「可愛いよな、ケモミミ。もふもふしてぇー。」
ビクッ、とサンが軽く硬直する。
「という訳で、仲直りしてくれないかなー、なんて・・・」
「・・・うん。許してあげる。」
「マジか!?やったー!」
嬉しそうなブラックをしり目に、ヒトがサンに耳打ちをする。
「・・・良いんですか?許して・・・。」
「悪い人じゃ無さそうだし。」
「・・・そう、ですね。」
この後、彼ら三人はギルドを立ち上げる事になるのは、また別のお話。
以上で投下終了です。
コピペ、凄く便利!
でも、内容が消化不良な感じです・・・
投下乙です。
発売前の妄想段階だから、書くほうも論評するほうもなかなか難しいと思いますよ。
いろいろと本格化するのはやはり発売後かと。
発売日以降、クリアするまでは関連スレの巡回を止めるんで(ネタバレ怖い)
半端ですけど、キリのいいトコまで投下させてください。
固有名詞一覧
・ナムナ ケモ耳サムライ♀
・ジェリコ 本作の語り手。エルフ耳ヒーラー♂
(名前は公式ちびキャラトークより)
前半エロ無しなので『俺はエロだけ読みたいんだよ!』という方はスルーよろしく。
読まなくても全然問題ない内容です。
その他いろいろと苦手な方は『フロワロの媚毒』でNGを。
ええ、タイトル出オチですね。
エロ有りの後編はたぶん日付が変わるぐらいに。
……最悪、明日、ソフトを手に入れる前までには仕上げます。
「突然すまない! 実は、宿屋を探してるんだけど道に迷ってしまったんだ。
あたいカザン初めてでね……こんなに広いとは思わなかった。
もしよかったら 宿屋まで案内してくれないか?」
彼女の第一声がそれだった。
道案内の相手に私を選んだのに多分深い意味はなかったのだろう。
ただ、おそらく
私がルシェで
彼女もルシェで、
声をかけやすかった――と、まあ、それがおそらく最大の理由だろう。
「ええ、私が宿泊している宿でよければ、ご案内しますよ」
「ホントに?! ありがとな!」
私と同族であることを示す、ルシェの女性に特有の獣耳。
それが道に迷った不安からか、さっきまではくたっと伏せていたのだが
私が『案内する』といったとたんにピンと立った。
ふむ、素直でよろしいかわいらしい。
「ジェリコです」
「あたいはナムナ」
名乗りあったあと、彼女と連れ立って歩きつつ、上から下までじっくり彼女を視姦する。
しかし残念。かなりのストライクゾーン外だ。
後、2,3年すればいい線行くかもしれないが、今はまだまだ発展途上。
乳や尻の張りがぜんぜん足りない。それにどうにも言動が子供っぽい。
おそらくまだ、一度も発情期を迎えていないのだろう。
しかし奇妙なのは彼女の服。
なんともけしからん格好である。うん、実にけしからん。
体のラインがぴっちりと浮かび上がる黒い全身タイツはフェチ度満点。
ナムナの体の起伏がもーちょっとあったら、私の理性はまともに働いていないだろう。
さらに、その上からハンテンとか言うアイゼンの民族衣装に身を包んだそのクラスは――
「えーと、サムライ……でしたっけ、その格好?」
「お! よく知ってるねー!」
「いや、カザンだとたまーに見かけますんでね」
とはいえ女の子、それも同族であるルシェのサムライというのは始めて見た。
まあ、ルシェは戦闘民族だ。
流派は違えどダンビラぶん回して魔物をぶった切る女の子そのものは珍しくも何ともない。
「ふーん、そっかー、カザンはサムライ仲間も多いんだー」
「まあ、にぎやかな街ですからね、サムライに限らずいろいろごった煮ですよ」
雑談しながら歩くうちにやがては宿に到着し、ナムナのチェックインの手続きを手伝ったあと、
私は色町へと遊びに出かけた。いやほら、もーちょっとで落とせそうな子がいたモンでね。
♂♀
――と、まあ、それが大体一週間ほど前の話。
「ジェリコ! 朝ご飯いこう、朝ご飯!」
困った。
なんだかすっかりナムナに懐かれてしまった。
「すみません……さっき研究を終わらせたところで床についたばかりなんです。
悪いんですけど、食事は一人でいってもらえませんか?」
勘弁してほしい。
娼館のおねーちゃんと明け方までしっぽりで、今の今からようやく寝れるんだから。
ちなみに何の研究って、そりゃ君、女体の研究に決まってる。
「もー! ジェリコは生活が不規則すぎるぞ!
健康な一日はちゃんとした朝食から始まるんだからな!」
知ってる。こう見えても一応ヒーラーだから、健康関係の知識は一通り。
まあ、知ってるからって知識を遵守できるかってそういうものでもないけどね。
結局、寝床から無理やり引き出されて(さすがはサムライ。小さくても腕力では私よりずっと上だ)、
宿の食堂でオートミールなんぞををつつくはめになったのであった。ああ、ベッドが恋しい。
「ジェリコはさー、何でカザンにきたんだい?」
言いつつ、ナムナは骨付き肉にかぶりつく。朝から肉とかよく食うなぁ。
「『知識』を求めて、ですかね」
「知識って言うと本とか?」
「書物で得られる知識も重要ですが、こういう大きな町では多くの人々と
直接触れ合うことでいろんな経験がつめることも楽しく思いますね」
世界は広い。
ルシェの女はたいそう愛らしいが、男としてそれ以外の種族の女性に興味を持って何の不都合があろうか。
特に、マレアイアの歌姫達とはぜひとも一戦お願いしたいところである。
……まあ、それだけが国から逃げた理由でもないのだが。
「あは! わかるよそれ。あたいもこうしてジェリコとお話してると楽しいよ!」
「ええ、こちらも楽しいです」
これはお世辞ではなく本当に。
感情表現の豊かな子だから、くるくる変わる表情を見てるだけでたいへん面白い。
「えへへへ……」照れ笑いの顔がかわいい。
「そう言うナムナはどうしてカザンに?」
……と、会話の流れで同じ質問をぶつけてみたのだが、なにやら言いづらそうにしている。
「どうかしましたか?」
「あっ、あのさぁ……出会ったばかりのあんたに、
こんなこと頼むの気が引けるんだけどさ、ひとつお願いしたい仕事があるんだ」
「……? 私もそんな腕の立つほうじゃありませんから、できる事と出来ない事がありますよ」
「あっ、そう言う荒事じゃなくってさ、
実は……あたい、カザンには家を飛び出した妹を探しに来たんだ」
「ははぁ、なるほど。人探しでしたか」
「最初はあたい一人でもどうにかなると思ったんだけど、
この街、すっごく広くてさ……」
「一人では手におえない、と」
「うん……」
うなだれると同時に頭の耳がしゅんとなる。
「あの馬鹿娘……『ハントマンになります』ってだけ書き置きしていきなりいなくなって……」
読めてきた。
ルシェの女は(と、言うか男も)血の気溢れるやつが多い。
その妹さんとやらは武者修行感覚で冒険者のメッカであるカザンにやってきたのだろう。
ちなみに私はルシェとしては例外。喧嘩とかぜんぜんダメ。
「まあ、私も暇といえば暇ですし、お手伝いさせてもらいますよ」
身体はちんちくりんとはいえ、ナムナも一応、女の子は女の子。
女の頼みを無碍に断るほど、私の男はすたっちゃいない(喧嘩はダメだが)。
「ホントに?! ありがとジェリコ!」
ナムナの耳がぴくりと定位置に戻る。ヘタったり立ったり、忙しい。
安請け合いの何とやら。
この時は『冒険者とかギルドオフィスで張ってりゃすぐ見つかるだろ』と、
思っていたのだが、数日後には後悔するはめになったのであった。
♂♀
「妹さん、見つかりませんねー……」
「いないねー……」
さらに一週間後。
私たちはカザン郊外で途方にくれていた。
このあたりは一面、美しくも不気味な花が咲き乱れている。
フロワロの群生地だ。
「妹さんの話はさて置いて、今は目の前の仕事に集中しましょう。まずは先立つものですよ」
「うん……ごめんなジェリコ。こんなことにもつき合わせちゃって」
「いや、実は私も金欠気味だったんでちょうどよかったです」
こんな所で私たちが何をやってるかといえば、フロワロ刈りである。
一定量以上のフロワロを刈ってカザンの大統領府に持っていくと、
こづかい銭程度のお金になるのである。
「都会は暮らしていくだけでも結構お金がかかるんだねえ……」
妹さんを探すうちに、ついにナムナの路銀がつきそうになったのだ。
そこで急遽ギルドオフィスからこの仕事を回してもらったというわけで。
「宿暮らしですからなおさらですね……」
私もまあ、ヒーラーとしての仕事はそこそこあるんだけど、
ちょっと最近きれいなおねーちゃんのいる店で遊びすぎちゃってね、うん。
「でも……冒険者が集まるカザン周辺ですらこれなんだから、他の国とかどうなってるんだろう」
ナムナは咲き狂うフロワロを見渡して、うんざりした顔をする。
「……特に、ウチの国のトップは頭カタイの多いですからねえ。ホント大丈夫なんでしょうか」
ナムナも私もネバンプレス出身だった。
ネバンプレスはルシェの帝国。
『ヒト』に迫害されたルシェ族が、追いに追われてたどり着いた西の果ての大陸に建国したそこは、
『ヒト』に対抗するため兵力を高めに高め、いまや地上最強の軍事国家へと変貌した。
そーゆー歴史の経緯から、正直な所『ヒト』の国と連携をとってドラゴンに相対できるとはとても思えない。
そして頭の固い連中はある意味まだマシで、『柔軟な発想』を持った一派が本気でタチ悪い。
――だってあいつら竜族の軍事転用を考えてんだもん。
実は私もかつてはその手の研究チームに居たのだが、いろいろ付き合いきれなくなって逃げ出したのだった。
いやしかし、カザンに着てよかった。本当によかった。女の子の平均レベルが高い高い。
「……ジェリコー? どうしたんだ、手ぇ止めちゃって?」
いけない、ボケーっとしていたらしい。ナムナが心配そうに顔を覗き込んできていた。
「失礼。少し疲れまして」
実際フロワロの花粉でだいぶ体力を削られてる。リカヴァを発動し、解毒した。
「ナムナ。貴女もそろそろリカヴァしましょうか?」
「平気。あたいはまだ頑張れるよ」
「『まだいける』は『もう危ない』です。フロワロの花毒を甘く見ちゃいけませんよ」
「あははっ、ジェリコは心配性だなー、毒消しあるから大丈夫だってー!」
ナムナはパタパターっと駆け出して、ざくざくとフロワロに刃を振るう作業を再開する。
やれやれ、元気な子だ。私はナムナの後に続いて刈り取ったフロワロを袋詰めにしていく。
異常なまでに繁殖力の強いフロワロは、刈ってもほったらかしにしておくと、
再び切り落とした花や茎から根を張るのだ。そうでなくとも、私たちが今日刈った範囲などは
三日もすれば、フロワロが生い茂った元通りの花畑に戻ってしまうだろう。
まったく、ハントマンの務めは不毛である。
――そして、だいたいそのあたりで異常に気がついた。
ナムナの耳がたれてる。顔が赤い。ふらふらしてる。
いわんこっちゃない。どうみても毒にやられてる。
ぽけーっとしてるナムナに近づき、今度は私が彼女の顔を覗き込む。
「……あれ? ジェリコ?」目の焦点が合ってない。
「『あれ?』じゃありませんよ、まったく。辛いなら早く言ってください」
「うん、ごめん……」
あわててナムナにリカヴァし、キュアする。
……おかしい、回復の兆しが見えない。何か突然変異したフロワロの新たな毒なのだろうか?
まずいな。
熱を測ろうとしてナムナのおでこに手を伸ばしたそのとき――
「……い、いやぁっ!!」
――バシッと、その手をはねのけられた。
「……っと、失礼。女の子にいきなり触るのはマナー違反ですよね」
いけない。ナムナがなんかおびえてる。
まいったね、グラマラスな女性ならともかく、今のは下心はなかったのに。
「こ、こっちこそ、ごめん……ジェリコ。あたい、なんかびっくりしちゃって」
息も荒い。どうやら相当悪いな、これは。
「体温を診たいだけなんですけどかまいませんね?」
「……えぇと、う……うん。が、がまんするよ……」
『我慢する』て。
なんか地味にショックだ。そこまで私に触られるのが嫌なのか。
別に私はロリコンじゃないんだけどなぁ……。
ともかくナムナの額にそっと手を添える。
熱い。
やはり良くないな。
しかしどうも、私に触れられるのは本気でこたえるらしく、
ナムナはぶるぶると身体を震わせて何かをこらえている。……やれやれ、嫌われちゃったかな。
「帰りましょう、ナムナ。歩けますか?」
私のスキルが効果を発揮しない以上、街で治療するしかないだろう。
「……うん……どうにか」
「よければ肩を貸しますよ」
「え、ええええっ! い、いらないっ! いいよぉっ!!」
そんな激しく拒絶しないでくれよぉ。おじさんだって傷つくんだぞ、そう言うの。
♂♀
投下いったん終了です。
続きはまた後ほどに。
>>166 ナムナかわいいよナムナ
あとジェリコのムッツリ具合がけしからん
下半身出してまってます
>>166 乙です。
間をあけずに悪いのですが自分も投下します。
今夜中でないと決まりがつかないので。
NGは『とある歌姫の冒険前の物語』で。
カザン共和国、冒険者(ハントマン)を目指すものならば一度はその名を耳にする場所。
各国から冒険者が集い、ドラゴンへの反抗の拠点としての機能を備えつつあるそこに、
一団の旅人達が向かっていた。
「カザンまで……あとどれくらいだ?」
そのうちの一人、前の方を歩く頑強な若者が尋ねる。
「Amazonの調子にもよるけど、たぶん明日にはつくよ」
それに答えたのは後ろを歩くもう一人の青年だった。こちらはやや知的な雰囲気を感じさせる。
「アマ……?何のことだか分からんが明日にはちゃんとした宿で休めると言うことだな」
最後尾を歩く和装の女性が話に参加し、
「ここ最近はフロワロのない場所を捜すだけでも大変でしたね」
前髪をヘアピンで留めた長髪の女性が同調する。そして、
「………おなかすいた」
一番前を歩く仏頂面をした少女が彼らが敢えて口に出さなかったことをストレートに表明した。
そう、彼らは空腹だった。昨日の昼から水しか飲んでいない。
「お前を責めるつもりはないぞ?ないんだが、どうしても言わずにはいられん。
……………あそこで交渉に失敗しなければなあ」
和装の女性が愚痴をこぼす。
その『お前』であるところの青年が泣き笑いのような表情になって肩を落とした。
「勘弁してよ……もうこれ以上槍玉に挙げられる精神力は残ってないよ」
「だからお前を責めるつもりはないといっているだろうが」
「その場に俺達も居たんだし、お前に出来なかったことが俺達にできるわけがないしな。
……とはいえ、この装備じゃ愚痴もこぼしたくなるさ」
「ほとんどの装備を失ってもうハントマンだかただの旅行者だか分かりませんものね……」
どうやら彼らはハントマンであるようだった。
それを前提としてもう一度彼らを見直せば、それぞれの装備の特徴が見えてくる。
安物だが大振りの剣を提げている若者はファイター。
簡単な盾とダガーを腰につけている女性はナイトと思えなくもない。
「私なんぞ刀がないんだぞ。いくらこの両手もまた魂だといってもそれは
剣を提げ、もののふとしての形を完成させてのことであってだな……」
本来なら刀を持っているはずだったという彼女はサムライで間違いないだろう。
「僕もなあ……詩集や童話類は全部置いてきて、あるのは必要最低限の魔導書だけ。
しかも宝珠がないから魔法の勉強の成果さえ確かめられないし」
「………おなかすいた」
リュックに何冊かの本をつめたこの青年はメイジのようだ。
そして先程から空腹を主張し続ける彼女は、……彼女だけはなんの手がかりもなかった。
武器も持たず、カバンも持たず、服装は至って普通の町娘風。ハントマンなのかどうかさえ疑われるだろう。
そんな彼女に、ファイターと思しき青年が声をかける。
「腹が減ったのは分かるけどな、そういう時は口に出すとイライラしてくるもんだ。
とりあえず今はそんなこと忘れて、別のことをしゃべらないか?」
「じゃ、早くカザンに着きたい」
「……えっと、その」
「早く着いて、あの子に会いたい」
そして彼女ははるか遠く、カザンがある方向をまっすぐ見据える。
「あの子に会って言うの。私は、プリンセスになる」
繰り返すが彼らは金がなかった。
もといた国を出てくるときに関税関係でひと悶着あり、装備のほとんどを捨て値で処分することになったのだ。
カザンでギルドを開くために一部を残したわずかな路銀で少しづつ進み、路程の3分の2を歩いた頃のことだった。
「なんだか今聞いてきた話だと、この先でフロワロのために大規模な通行止めがあるみたいだ」
そこはよくある宿場町。久しぶりにベッドで眠れると喜ぶメンバーをには振って湧いた災難だ。
「こんなところで足止めか?路銀もそうないってのに」
「明日からフロワロの除去作業をやるそうだけど、作業員を募集してるみたい。
働きによってお給金が出るからそれで何とかするしかないね。できれば路銀を補給するつもりでやろう」
「フロワロの除去作業ですか……この子はどうします?さすがにこの子を連れてはいけないと思います」
ふと自分の話題を出されて、少女は話し合う仲間達を見上げた。
「体力的にも作業を手伝ってもらうわけにはいかんし、待っていてもらうより仕方なかろう」
「このあたりなら人もたくさんいるし、知らない人についていかなければ大丈夫だろう」
「と、いう訳なんだけど……明日から通行止めが解除されるまで一人で待っててくれるかな?」
少女はこくりとうなずいた。
生来の性質で友達など出来たことはないし(と少女は思っている)、一人はなれている。
「じゃあ頼むよ。人目のあるところにいて、不審者に気をつけるんだよ?」
早速次の日から少女は孤独ライフを満喫していた。
朝起きると誰もいない。一人で食事し、一人で出かける。
言われたとおり人目につくところでしゃがみこみ、地面の何かを見つめてぶつぶつと独り言を呟く。
おなかがすけば何か買って食べ、すかなければ夜まで何も食べない。
朝起きて気分が乗らなければそのまま寝続けることさえあった。
そして四日目、今日も一人で空を見上げる少女の耳にかすかな歌声が届いた。
不思議と興味をそそるその歌声に、引き寄せられるように少女は近付いていった。
そう遠くない公園に、彼女はいた。
青い髪、紫の目、どことなく自分と似た雰囲気。
そして何より特徴的なのはその頭にゆれる獣のような耳だった。
もう一人の少女は、少女に気付くと歌うのをやめて話しかけてきた。
「こんにちは。はじめまして。ボクの歌を聴きに来てくれたの?」
その一言で少女は、ああ、この人は自分と違って誰とでもしゃべれるんだ、と思った。
仲間と出なければ一言も口をきかず、仲間にさえ滅多に話しかけない彼女にとって、
そのもう一人の少女は見た目が似ていても自分とは対極に位置する存在だった。
「……別に」
普段の彼女ならそう答えていただろう。
だが、今日は違った。
どうしてだか、本当にどうしてだか、彼女はいつの間にかうなずいていた。
「わあ、うれしいな、ありがとう。
君の名前はなんていうの?ボクはね……」
次の日から少女は、朝起きて食事をするとまっすぐこの人気のない公園に向かうようになった。
少女はもう一人の少女と、いろいろな話をして過ごした。
彼女はマレアイア出身のプリンセス見習いであること、彼女もまたカザンに向かう途中であること。
自分のこと、これまでいた場所のこと、これからカザンでハントマンのギルドを作ること。
他人と話すことなど必要がなければしない、むしろ必要があってもしない少女にとって
もう一人の少女との交流は初めての連続だった。
自分が今まで知らなかった暖かい嬉しさが確かにそこにはある。
「歌を歌うのは楽しいよ。それにボクの歌で皆が元気になってくれると思うと、なんだかボクまで嬉しくなるんだ」
「……そうなの?知らない人でも?」
「知らない人でも。だって、その知らないってもしかしたら友達になれるかもしれないってことじゃないか」
「友達に……なれるかな」
「きっとなれるよ。君とボクだって友達になれたじゃないか」
「………!!……友達?これが……友達」
「そうだよ、変なの。そうだ、友達の歌を教えてあげる。一緒に歌おう?」
「…………………うん」
そして少女はいつの間にか笑うようになっている自分に気付いたとき、
生まれて初めて他人のことを本当に友達だと、一緒にいたいと思った。
そしてその晩、
「フロワロは大体片付いたよ」
大切な時間の終わりは唐突にやってくる。
「明日……出発するんだって」
「……ボクは今夜にも出なきゃいけないみたい」
「そう」
「うん」
少女は言葉を捜していた。
生まれて初めて出来た友達との別れに、何を言えばいいのかが分からない。
ただこのままではいけないという漠然とした思いが胸の中で渦巻いていた。
「ありがとう」
結局出た言葉はそれだった。
「え……ありがとうって……なにが?」
「……なんとなく。
……
……そう。友達になってくれて、嬉しかった。だから」
「そんなの……ボクだって嬉しかったよ。ボク、ほんとは友達いなかったんだ。君が始めての友達」
「そうなの?私も……始めて……」
「なんだ、そうだったんだ……あのね?ボク、君が友達になってくれてすっごく嬉しかったよ」
「うん」
「本当に、本当に嬉しかった」
「うん」
「今まで生きてきた中で一番嬉しかった。
……
……………だから、ね」
「ボクの大切なもの、あげる」
そして、
差し出される耳。
「……これ」
それは青く、ふわふわの耳毛が可愛らしい付け耳だった。
「ボクの耳と同じなんだけど……イヤ?」
少女は答えずにそれを頭に載せた。
するとその耳は、まるでもとから少女の一部であるかのようにぴったりと自然に落ち着いた。
「……これで、おそろいだね」
「……うん」
「ね、いつかまた会おう?カザンか、マレアイアで」
「うん。約束だよ」
「約束」
人気のない公園で二人の少女が微笑みあう。
それは十数年来の親友のように自然で、暖かい笑みだった。
「話を聞くに、その子はルシェ族だったんだね」
話は現在、カザンへ続く街道に戻る。
「ルシェ」
少女がその言葉を反復しながら頭の耳を撫でる。
あの耳飾りは今も少女の頭の上にあった。
「向こうではルシェ族っていう種族の人間がたくさんいるらしい。
特にその耳は良くも悪しくもアイデンティティーみたいだから、妙な誤解を受けないようにしないとね。
いってる意味、わかるよね?」
「わかる。大丈夫、これは友達がくれた大切なものだから」
「誤解を受けたときはそのままにしないでちゃんとそういわなきゃ駄目だぞ」
「うん」
もう一度耳を撫でて、少女は先を見やる。あの子は今どこにいるだろうか。
ふと、翼を持つ影が少女達の前を横切っていった。
「あ、鳥ですね」
「大きい鳥だったな、この近くに巣か水辺でもあるんだろうか」
「……ちょっと待った、鳥?」
メイジ見習いの青年が影の向かっていった方向の上空に目を凝らす。
遥か向こうで、大きな影が旋回するのが見えた。
「鳥にしては、翼と身体の比率が……」
そういっている間にも、翼を持つ影はこちらへ近付いてくる。
……青年の視界で、その影が鱗に光を反射させながら大きく羽ばたいた。
「―――っ」
青年が息を呑む。
そして振り返り、ひとつ息を吐いて、言った。
「……来た!ドラゴンだ!」
ナイトが少女を引っつかみ、同時に全員が全力で走り出す。
すでにドラゴンは目を凝らさなくてもそれと分かる距離にまで近付いていた。
「畜生、なんだってこんなときに!!」
「おなかがすいて力が出ません……!」
「無駄口叩いてる暇があったら足を動かせ!追いつかれるぞ!!」
抱きかかえられて地上を疾走しつつ、少女はもう一度カザンの方角を見た。
いつかまた、絶対にあの子と会う。
そのときには自分も立派なプリンセスになって、二人で聞く人全員を虜にしてみせる。
そんな決意を胸に秘め、とりあえず彼女は自分を抱えて走るナイトを励まし始めた。
以上です。セブンスドラゴンが楽しみすぎて突発的に書きました。
エロありで書けるのは世界観が分かってきてプレイにひと段落着いた頃かなあ…
それでは重ね重ね
>>166氏、度々後につけて申し訳ありませんでした。
続きを楽しみにしております。
メタネタ入れんなwwwww
遅くなりましたが
>>165の続きです
えらい長くなったんで、前・中・後の3編構成に変更になりました。
今回は中編投下。エロあり。
着衣エロとか苦手な人は『フロワロの媚毒』でスルーよろしく。
>>173 お気になさらず。本編発売日みたいなイベントデー前後は投下が集中するものですし。
街までが、近くて、遠い。
少し歩いてはナムナを休ませ、少し歩いては休ませる。
「はぁ……はぁ……」
ナムナの乱れた呼吸がいまやはっきり聞こえる。我々ルシェは耳がいいからなおさらだ。
「ナムナ、そろそろ休みますか?」
「……んん、あたいは大丈夫……大丈夫だよ……」
大丈夫なわけない。今にもぶっ倒れそうじゃないか。
「あのね、ナムナ。私の何が気に入らないのか知りませんけど、
せめて手を引くぐらいはさせてもらえませんか?」
いやまあ、嫌われるのに色々と思い当たるフシはあるが。
朝は弱いし、女の移り香を漂わせたまま街中うろついてるし。
二週間も付き合ってりゃ、そろそろ私がどんな男かバレてるころだろう。積極的に隠すつもりもないんだが。
「あ……違うんだ…ジェリコ…そんなんじゃなくって……」
「違う……?」
うーん、嫌われてるわけじゃない……のか?
「気に入らないとかじゃなくて……むしろ、あたいの事、色々助けてくれて感謝してるし……」
「じゃあ、なぜなんです……?」
「わかんない……なんかジェリコに触られるとヘンになっちゃいそうで――きゃぁっ!」
「あぶないっ!」
際どいタイミングだがナムナの身体を支えるのに間に合った。
ナムナはもうちょっとで木の根に足を引っ掛けてすっ転ぶ所だった。
熱に浮かされてる上に、会話に気をとられていたからだろう。
「大丈夫ですか? どこかひねっちゃいませんか?」
抱きかかえたナムナの身体が思いのほか『女の子』していて多少どぎまぎする。
いかんいかん、沈まれ心臓。
「あ、あ、あ、ジェリコ……」
精神統一失敗。
こちらを見上げてきたナムナの上気した顔がかわいすぎる。
ダメだぞ、流されるな私。相手は病人だぞ。子供だぞ。
しかし困った。ナムナの様子がおかしい。
いや、さっきからおかしいんだが、今の今、一気に悪化した感じなのだ。
身体はぶるぶると振るえ、顔は真っ赤に染まった。
そういえば、ナムナの身体から独特の匂いが立ち上っている。
はて、コレはどこかで嗅いだ記憶があるんだが――
――と、つらつら考えていた思考がまとまる前に、
「ごめん、ジェリコ」
興奮した肉食獣のようにふーっ、ふーっと息を荒げたナムナに唐突に押し倒されていた。
いやまて、これがさっきまでぶっ倒れそうだった女の力か?!
「何すんですか、ナム――」
文句をいい終わる前にキスされた。
唇を唇にぐりっ、ぐりっとねじ込むように押し付けてくるものだから、正直、かなり痛い。
「ごめんね、ジェリコ……」
息継ぎのタイミングでナムナがまた一言詫び、そしてまた唇を押し付けてくる。
サムライの馬鹿力でねじ込んでくるものだから、肉がつぶれ骨がひしゃげるんじゃないかと錯覚するほどだ。
そのころになると、痛みで逆に頭は冷静になってきて、異常の原因の当たりがついた。
――ナムナは発情してる。
ようやく思い出した。ナムナの身体から発してる匂いはルシェの♀に特有の発情香だ。
ルシェは獣としての特質を強くもつ者が多い。
だいたい秋口から冬にかけて身体が子作りのための準備を始め――まあ、その、サカるわけだ。
個人差はあるが♀ならだいたい初潮から3〜5年ほど経過して、
完全に女としての身体が成熟したころに初の発情期を迎えるのが普通だ。
とはいえ、ここ数百年でだいぶ獣の血も薄れたらしいので、
誰にも彼にも発情期が発現するわけでもないのだが。
幸いに私も血の薄いほうらしく、コレまでの人生で発情期に悩まされた経験はない。
発情期に悩む女の子のお相手を務めたことなら多々あるけどね。
やがて、疲れたのか、飽きたのか、拷問じみた長い接吻がようやく終わり、
「どうしよう、あたい、ヘンになっちゃったよぉ……」
ナムナはぽろぽろと泣き始め、私の頬にも涙滴が零れる。
「ナムナ……」
「か、身体がじんじんして……急にジェリコにキスとかしたくなって……
だけど、わかんない……こっからどうしたらいいかわかんないよぉっ!」
対して私の方はだいたいわかってきた。
こりゃ沸き起こる性衝動に知識のほうが追いついてないんだな。
子供っぽいとは思っていたが、キス以上の性的な行動を知らないと言うわけだ。
とりあえず、落ち着かせるために押し倒してきたナムナの身体をそのまま抱きしめる。
「――ふぁ、あ、ジェリコ」
ナムナ、あんまり変な声を出さないで、こっちの理性が飛んじゃう。
「ナムナ。気をしっかり持って」
「え……う、うん」
ナムナも、ぎゅ、と私を抱きしめかえしてくる。ごめん痛いちょっとは手加減して。
ただ、おかげで少しは落ち着いたのか、ナムナの涙が止まった。
「よく聞いて。たぶん、ヘンなのは発情期が来ちゃったからですよ」
「はつじょうき……?」
ぐは。言葉の意味から教えなきゃならんレベルか。
女の子は女の子のコミュニティでそう言う知識を教えあうわけだが、
ナムナはまだ、教えてもらえる年齢にすら達してなかったと言うわけか。
「あー、ナムナは今、身体が大人になりつつあるというか……」
「えっとね、お赤飯なら……もう、炊いたよ……」
「ルシェの女の子はその後にもう一段階あるんですよ……」
――そして、かいつまんでサカりについて説明し
「身体が赤ちゃん作る準備って……そんな、あたい、まだ……」
「落ち着いて。落ち着いて、ナムナ。
今の貴女は突然身体が大人になってちょっと混乱してるだけですから」
っていうか、見るからにまだまだ身体も子供だ。盛りを迎えるには早すぎる。
「……え、えぇ、うん」
「それに今は春だし、そもそも盛りの季節じゃないんですよ。何でまた……」
「フロワロ」
「――え?」
「フロワロ、だと思う。あたい達がさっき刈ってた時何本か色がヘンなのがあって。
それを切ったら、花粉がババーっと出て、それを吸ってから、なんか、ぽーっとなってきて……」
「……結局フロワロでしたか」
発情を誘発するタイプの花毒ならキュアもリカヴァも利かなかったのも納得がいく。
要注意事項として、大統領府に報告しておかなきゃ。
「……でも、あたい……どうしよう、こんなの」
「うーん……」
ホントにどうしたものか。
盛りを抑える薬もあるんだが、ンなもん本国でしか手に入らない。
……と、なると、方法なんてひとつしかないわけだが。
「……ねぇ、ジェリコは……大人だから、どうしたらいいかわかる……んだよね?」
潤んだ瞳で見られてどきりとする。
さっきまでナムナは確かにおぼこい『少女』だった。
それがこの妖艶な表情はどうだ。今やこの子は自分が『雌』であることを急速に自覚しつつある。
「そりゃまあ、その……わかり、ますけど」
結局、何度かイカせて、身体を満足させてあげるしかないワケだが……
相手は子供だぞ。ロリだぞ。どうすんだよ私。
そして私の覚悟が決まる間もなく、ナムナの顔がずい、と迫ってきて、
「じゃあさ、おしえて、ジェリコ……」
抱き合ったまま、またもやキスされた。
今度はさっきのような暴力的な口付けじゃない。
不慣れながらも、男を誘う、柔らかで暖かな、女の子のキスだ。
私は人様よりは数多くの女性と関係してる部類に入ると思うが、その私ですらが思う。
女は魔物だ、と。
♂♀
「……と、まあ、今のが大人のキスです」
「ん……はぁ、キスも……こんな、きもち、いいんだね……」
まずい。すっかり流されつつある。舌入れてキスのお返しをしてしまった。
って言うかここフィールドだぞ、モンスターがきたらどうすんだよ。
まあ、やむを得ない。
治療行為の一環としてナムナにはこのまま気持ちよくなってもらっちゃおう。
「ね……今度はあたいにさせて」
「はぁ、まあ……」
断れよ、私! 手っ取り早く可愛がってあげて、眠らせちゃうしかないだろ、こんなの!
……と、理性の叫びはあるのだが、ナムナの小さな唇から差し出された舌に吸い付いていると、
だんだんそーゆー事がどーでも良くなってきてですね。
「きゃ……べろ吸っちゃヤダよぉ……」
「おいしいですよ、ナムナの舌は」
「ジェリコのばか……」
「じゃあ、今度は舌と舌で舐めあいっこなんてどうです?」
「え……う、うん」
素直に応じたナムナに口付けたまま、じっくりと舌と舌を絡めあう。
ナムナは最初のうちは零れ落ちる唾液を飲むのに抵抗があったようだが、
そのうち、こくりこくりと喉を鳴らして嚥下し始めた。
うんうん若い子は物覚えが良くてよろしい……じゃ、ないだろ私!
いけない、このままじゃロリコン一直線だ。
「あは……ジェリコの、飲んじゃった……」
念のために言っておくと飲ませたのは白濁液じゃない。唾液ね。唾液。
――だけどそのセリフの破壊力は強烈過ぎるんだよ、ナムナ。
「おいしかったですか?」
「んん? 味とかしなかったよ?」
この辺、機微がわかってないと言うか、まだまだ子供だなぁ。
「ナムナのは美味しかったですよ。いくらでも飲める感じで」
「ばかぁ……」
照れて怒りながらもどこか嬉しそうな表情をする。
コレでナムナも相手の体液を『美味しい』って言って飲んだら喜んでもらえることを
学習しただろう――って、何でそんなマニアックな調教をしてるんだ、私は!
「ジェリコ……コレで終わりじゃないんだよね……?」
「ふふ、ナムナは勉強熱心ですね」
いよいよキスまでしか知らなかったお子様にキス以上のことを教えてあげるときが来た。
……と、いっても、せっかく彼女もルシェに生まれたんだから、ルシェにしか味わえない
秘密のスポットを堪能してもらおう――あくまでも治療の一環として、だぞ。
いったん地面にあぐらをかき、赤ん坊をあやすかのようにナムナを抱きかかえる。
「えへへへ……、なんだかどきどきする」
彼女がいくら知識不足とはいえ、胸とかその他局部を触られるのだ……という程度には、
おぼろげながらも想像がついてるだろうし、今の今、その覚悟を決めてる最中だろう。
だが残念。
「――ふぁっ! あぁ、あ、ああぁっ! やっ、ダメっ、耳ダメっ!!」
責めるのは可愛い可愛い耳でした。
「何でダメなんですか、ナムナ。こんなに可愛い声で鳴いてくれてるのに」
「ジェリコのいじわるぅ……や、あっ、ヤだって、言ってるの……にいぃっ!」
大きくてふわふわの耳の後ろをくりくりとまさぐってあげる。ルシェの女は特にここが弱い。
「ふあぁあぁ……、やぁなのぉ……あたい、のーみそ、とけちゃいそうだよぉ……」
耳のみならず全身を震わせて反応する。感度良いね。
「じゃあ、もっと、とろけさせてあげますね」
唾液を絡めながら、耳のふちをなめ上げていき、時々甘噛み。
「にー! にー! にー! にー!」
「ふふ、どうしたんです、そんな赤ちゃんみたいな泣きかたして」
……と、言葉でいじめつつも、内心ちょっと焦ってた。やばい、感じさせすぎてナムナが退行起こしかけてる。
ルシェの耳責めは『脳にクる』子が多いのだ――治すんじゃなくて壊してどうすんだよ、私。
とりあえずキスしてごまかしておく。
ナムナの舌と唇はもうすっかりディープキスになじんでいた。
そればかりか、ナムナはすっかり応用までうまくなっていて、
私の頬や首筋までねっとりと舐め上げてくる。
もちろんこっちもお返し。
二人の顔がすっかりべとべとになったころ、我を取り戻したナムナに文句をいわれた。
「……ジェリコのばか。あたまおかしくなっちゃいそうだったぞ」
「いや、ごめんなさい、あんまりナムナが可愛かったからやりすぎちゃいまして」
「えへへへ……かわいい? あたいかわいい?」
可愛いと言うだけで一発で機嫌が直る。安上がりで良いなあ、この子。
「ええ、とってもかわいいですよ――ここもね」
「ひぁあぁっ!!」
覚悟を決めさせるとつまらないので奇襲しておく。責めるはおっぱい。
タイツの上からやわやわとさすると、ナムナはとっても可愛い声で鳴いてくれた。
「は、恥ずかしいよぉ……あたい、貧弱、だし」
「大丈夫、ちゃあんと女の子のからだですよ」
「えへへへ……」
さっきまでの責めでお子様ながらも身体が出来上がりつつあるのだろう、
乳首が勃って、身を包む黒い全身タイツを内側からつんつんと押し上げていた。
むう、コレは私も初体験の光景だ。
だれだよ、サムライのユニフォームをこの格好に制定した奴。本気で感動しちゃったじゃないか。
――いや、だから感動とかしてる場合か!
治療だから、コレ。
ち・りょ・う。
「ふあっ……あぁ、あぁ……」
「痛くないですか、ナムナ?」
「だいじょぶ」
おっぱいが発展途上だと芯が残ってるので痛がる子も多いが、どうやらナムナは問題ないようだった。
「ではナムナ、きもちいいですか?」
「……えと、その……わかんない」
わかんなくはないだろ? 嘘はいけない。
オトナはそう言うのちゃぁんと分かるんですからね。
「じゃあ今から分かるようにしてあげますね」
「わかるようにって……ジェリコ、なにを………っあ! あぁ! ふあぁぁっ!!」
オーソドックスに乳首責め。
既に浮き出ていた乳首をつまみ、痛みを感じない程度に押しつぶせば、たちまちナムナは大鳴きする。
「わかりましたか? きもちいい?」
「うぅ…知らない……そんなの」
ナムナ、いけないいけない。そう言う強情な態度が男をいじめっ子にするんだ。
――ここはオトナとしてそーゆーのを教えてやらなきゃいけないだろう。
「んうぅっ! ジェリコのばかっ! やぁぁ……ぁ、あ! 舐めちゃダメぇえっ!」
気づけば、ナムナの控えめな乳房にむしゃぶりついてしまっていた。
タイツがほんのり汗の味。
「ふく……汚れちゃうだろうっ、ばかっ、ばかぁっ!!」
ああ、そうだな、汚れちゃうよね。それはオトナとしてはやってはいけないミスでした。
「気持ち良いかどうか、おしえてくれたらやめます」
そして我ながらなんという大人気ない発言。
「ううっ……ばかぁ……………ちぃいよ」
「んん? 何か言いましたか?」
「気持ち良いって言ったの!!」
言って、羞恥心が限界に達したのか、顔を両手でおおいかくしてイヤイヤをする。
「ごめんね、ナムナ。恥ずかしかったですか?」
「は、恥ずかしいに決まってるじゃないかぁ……」
「じゃあ、お詫びに今から――もっともっと気持ちよくしてあげますね」
ついでにもっともっと恥ずかしくなっちゃうだろうけどね。
「もっとって……ん! ぁあ! やぁ、そこ……いやぁ!!」
新たに手を伸ばしたそこは、すでに湿っていた。
もちろん、女の子の一番大事なところである。
「んぅ…いやぁ……やぁなのぉ……!」
「大丈夫ですよ。そのうち嫌じゃなくなってきますから」
私が汚すまでもなく、内側からにじみだす分泌液がタイツをとろとろにしていってる。
まさぐるほどに、指とタイツがじんわりと愛液に濡れていった。
「わかりますか、ナムナ。おまたがくちゅくちゅ言ってるのが」
「……な、なにこれぇ! んぁ……ぁあ…どうなってるのぉ!」
「女の子はね、えっちな気持ちになってくると、おまたからエッチなおもらししちゃうんです」
「そんなぁ…あたい……あたい……ヘンになっちゃったよぉ」
「ヘンじゃないです、コレで正常。ナムナはちゃんとした女の子ですよ」
「……ホントに?」
「本当、本当。大人はみんなやってることです」
「……何でこんな風になるの?」
「それは……その……」
ミスった。気づかれたくない所に気づかれてしまった。
膣への陰茎の挿入を潤滑にするため、とはいえない。最後まで教えてしまったら――
――この状況でこの年頃の子ならヤりたがるだろう。この辺、男も女もあまり関係ない。
だが挿入はまずい。
発情してるってことは排卵も促されてるだろうわけで、相当高い確率で孕ませてしまう。
だいたい子供に挿れたらロリコンだ。
「女の子がエッチな気持ちになってることを、男の子に教えるためです」
やむなく、次善だと思われる回答でごまかしておく。
「そうなんだ……」
「そーなんです」
「じゃあさ……男の子はどうなるの?」
「……え?」
やばい。それはやばい。
「男の子は、えっちぃ気持ちになると、どうなるの? やっぱりおまたがヘンになるの?」
あああああっ! 今一番気づかれたくないことをっ!!
「……ちょ、ナムナっ!」
「だめ……今度はあたいがジェリコをいじめるんだから」
(性的)好奇心いっぱいになったナムナは再び私を押し倒す。はねのけようにもビクともしない。
うわぁ、女の子に腕力でかなわないって情けなさ過ぎる……やはりちょっとは鍛えよう。
「あー、そっかぁ、男の子は……」
そしてもちろん私の身体の変化には気づかれてしまったわけで。
「……おっきくなるんだね。あそこが」
「まぁ……そういうことです」
み、認めざるを得まいっ! 子供の身体で興奮してしまったことをっ!
でもね、違うんだ。私はロリコンじゃないんだ……そう、きっとアレだ!
私もフロワロの媚毒にやられてしまったからなんだ、きっとそーだ! そーに違いない!
「……ジェリコ、見ていい?」
「ナムナ……何を……」って、そりゃまあこの流れだったら。
「うっ、うわぁ……すっごぃ……!!」
あのねナムナ。
いきなりジッパーおろして引っ張り出すのはやめてもらえません?
使い込みすぎて色も形も可愛げありませんけど、大事な一人息子なんで。
「こんな風に……なるんだ。おっきい」
「はっきり言います。ナムナのすけべぇ」
「……ち、ちがうもん、あたいがすけべぇなワケじゃないもん、フロワロのせいだもん」
ええい、さっきの私の思考とおんなじ様なことを。
「だから、フロワロのせいで……ヘンになっちゃったから…ジェリコにえっちなこと、したい」
ナムナはごくりとつばを飲み、おずおずと、私の欲望の分身に手を伸ばしてくる。
「すご、こんな熱いんだ……」
そしてやわやわとなでさすり始めた。
「うっ…ナ、ナムナ……お、お願いだから……う、ううっ……」
「えへへへ……ジェリコかわいー。声がかわいくなってるよ」
うん、ごめんナムナ。
実は今の喘ぎ声は演技だから。
ベッドの上で自分を装うのは女だけの専売特許じゃないんでね。いやここ地面の上だけど。
君にはまだまだテクニックもスピードも足りない。
だけどまあ今だけは『男を感じさせてる優越感』に酔うといい……って、やばっ!
ちょっとうまくなり始めてるよこの子!
「あれ、ジェリコ。先っちょからぬるぬるしたお汁が出てきたよ。
――これって、女の子と一緒で気持ちよくなってる証拠だよね?」
「え、ええまあ、その……」
「やったー!」
さ、さ、先走りがでちゃうぐらいはしょうがないだろっ?!
テクそのものはへったくそだけど、年端も行かない女の子にペニスを握らせてる
背徳感が極上のスパイスになってだね――って、それはロリコンの思考だぞ、私!
「……ね、ジェリコ。ここにキスされたら嬉しい?」
「べ、べ、別に嬉しくなんか……ない、です」
「えへへー、うそつきジェリコ。嬉しいくせにっ! えいっ、キスしちゃえっ!」
――ああ、やはり女は魔物だ。
フェラチオなんて教えてもいないのに、この子は本能的に男の喜ぶ方法に気がついてる。
フロワロの媚毒の影響があるのはわかるとしても、コレがついさっきまでは
『濡れる』という概念すら知らなかった子供なんだから、恐れ入る。
「あは……ヘンな味ぃ……」
ナムナは臆した風もなく、私の愚息にちゅ、ちゅ、とついばむようなキスを繰り返し、
やがては桃色の舌を突き出してぺろりと舐めたり、
小さなお口を開いて咥えこもうと(デカイから無理無理)試したりしてきて……。
――ああもう、理性の限界だ。
しんぼうたまら……たま、たま……
――――――――――――――――――――――――
(<、,,> ":::::::::::::::::::::::::::: 、
〜〈/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::) い ロ た
〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<、 い リ ま
~そ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,) よ コ に
、_ ,, /::::::::::::::::::::::::、,ゝ===く:::::::,:::::ヽ ね ン は
`V::::::::::::::::::::、_γ `ヾ,_ < ! も
l::::::::::::::::::::::く( γ⌒ヽ )> く,
〜v,ん:::::::::::::::´:::::::=; ,=ニ `/l/!/⌒Y
l:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ===イ ´::::゙:::::::::::::::::::::::::::::::
、m,.. ,ゞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
´ " ~ ヘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
――――――――――――――――――――――――
ついに、私の中のバックベアード様から許可が出た。
ナムナ、君に教えてあげよう。
女が魔物なら、
男は獣だってことをね。
ダメだぞナムナ。
サムライともあろうものが私の愚息と戯れるのに夢中になって隙だらけだぞ。
「ふぁあっ! やぁ、だめぇ……! みみっ、耳だめって……いった、のにいっ!!」
弱点はさっき調査済みだ。
やわらかい耳を可愛がってあげれば、途端にナムナの身体からはくたくたと力が抜けていく。
すっかり骨抜きになった所で、足を割り開き、ナムナの股座に向かって顔を近づけていく。
「……やぁ、ジェリコ、何する……んだよぉ」
「もちろん、さっきのキスのお返しですよ」
眼前のそこは、タイツの内側から溢れるエッチなおつゆでもうすっかりベタベタだ。
そして、布の一枚外から割れ目に食らい付き、愛液を吸い上げる。
「――やぁぁっ! あ、あああっ!」
んー、いい声いい声。
熟した大人のそれと比べると、ナムナの愛液はちょっと酸味が強い。
ぴりぴりとした刺激を楽しみながら、清水のごとく湧き出るそれで喉を潤す。
「やぁぁぁ……、だめぇ、ジェリコ…そんなの飲んじゃだめぇ……」
「とっても美味しいですよ。ナムナの自身の味ですから」
「美味しくってもだめなのぉ……」
みれば、内からタイツを押し上げてぷっくりとクリトリスが浮き上がってた。
迷わず指でくりくりとつまんで、いじめてあげる。
「あ、あ、あ、あぁぁぁあああっ!!」
あー、ちょっとお子様には刺激が強すぎたかな?
仕方ないので指の変わりに舌でつん、つん、とつつく柔らかい攻めへと変化させる。
「あ、あぁ……あ、じぇ、じぇりこぉ…じぇりこぉ……」
うんうん。今度は強すぎず弱すぎず、いい感じでナムナの理性がぶっ飛んでいってる。
ナムナ。今キミはとってもやらしい顔してるんだよ。
鏡がないからキミ自身にみせてあげられないのが残念だけどね。
そして染み出る淫水の味が濃くなり始めてる。コレはそろそろ……
「じぇ、じぇりこぉ……あたいっ、あたいっ、こ、怖いよぉっ!」
「ナムナ。怖がらずにそのまま素直に感じて。もうちょっとだから」
「いや、あぁあ、いやうぅあぁぁあっ! ヘンにっ、ヘンになっちゃうっ!!」
そりゃそうだ。ヘンにしてあげてるんだもん。
えい、そしてトドメだ。
「あぁ、あぁあぁぁっ! なんかダメっ! ダメっ、だめぇええええっ!!」
タイツを押し込むようにして、外から膣口にぐい、と指をねじ込んであげると
ナムナは足をピーンと突っ張らせた後、とうとう動かなくなった。
♂♀
投下終了。続きはまた後日。
未開封のななドラソフトをエサ代わりに残りを頑張ってきます。
では、ネタバレが怖いので早々に退散。
GwwwwJwwwwww
とりあえずバックベアードで吹いたw誰かが割り込みかけたのかと思ったじゃないかww
第一人称の描写が秀逸過ぎて思わず引き込まれるですはい。
PTスレでやれといわれたけど
自重してこっちに妄想文を。
金髪デコローグ、ピンクネコ耳騎士、イクラ、鬱姫のパーティでやってるが
鬱姫は女装した亡国の王子って脳内変換してやってる
ある日ひょんなことから女装がばれて
以降パーティの性奴隷になってると妄想
よなよな奉仕させられ道中でも性的虐めされる鬱姫萌え。
↓で挙げられたネタを書いてみるテスト。
褐色騎士×鬱姫の純愛。
ありきたりでサーセン。
Yes
官能の奉仕者って名前がエロいよね
アイテルさんが非処女だったので俺は深い悲しみに包まれた。
アイテル…シマッテル…
「お店つぶれましたもの」
『前作』と違って、NPCでも妄想が膨らむのがいいな
まだあんま進んでないが、
とりあえずプレロマのファロたんは、
相方の男(名前忘れたw)のことを想って、夜な夜なオナニーしてると思うね
デッドブラックにヤられてしまう話を考えた
だが奴の技が完全なる闇以外に何があったか忘れた…
エロい人教えておくれさ…orz
>>198 魚竜が使ってきた氷属性の攻撃を使ってたような
投下行きます。
>>185の続きになります。これで一応完結。
エロあり。着衣エロとか苦手な人は『フロワロの媚毒』でスルーよろしく。
カザン郊外。
お天道様もまだ高いうちから、幼いルシェの身体にむしゃぶりつく外道が一人。
いやまあ、私の事なんだが。
まったく他人に見られたら通報されても文句の言えない光景である。
……そういえば、街に近いのに人の気配がまったくしないな、この辺り。
――ああ、しかし、ナムナはなんと愛らしい。
今までの私の女性観が間違っていたと言わざるを得まい。
そう……大きいおっぱいも、小さいおっぱいも、おっぱいは等しくおっぱい。
それらは平等にかわいがり、愛すべき存在だったのに、
――私はそうとも気づかず大きなものばかりを偏愛していた。
巨乳至上主義者だった昨日までの自分を、今はただ、深く恥じ入るばかりである。
やはり人間は一生勉強の連続だ。
そして、それを教えてくれたナムナには感謝せねばならない。
――だから、お礼にもっと可愛がってあげなきゃ。
「んっ……ぁあ……」
ナムナの意識はトんでしまってるが、ぐったりした身体をまさぐったり舐めたりするほどに、
小さく喘いで反応し、やがて――
「ふぁ……ジェリコぉ……?」こっちの世界へ帰ってきた。
「おはようございます、ナムナ」
「んん……おはよージェリコ……あたい、なんかヘンな夢見ちゃ……ふあっ! ふあぁぁっ!!」
目覚まし代わりの一撃に、タイツ越しにかるーく乳首をつまんであげた。
残念ナムナ。
夢じゃなくって余裕で現実でした。
「さっきは可愛かったですよ」
「あ、あぁ、あぁ……ジェリコ……あたい、あたい……」
一気に状況を把握しつつあるのだろう。
羞恥のせいか口をぱくぱくさせるだけで、まともに言葉が出てこないようだ。
「どうです、初めてイッちゃった感想は?」
「…………イッちゃう?」
あー、そりゃそうか。言葉の意味は知らないよね。
その反応、ウブくて大変によろしい。
「イクって言うのは、えっちな気持ちよさが頂点に達することです」
理解がおよんだナムナの顔がますます赤くなる。
「あ、あうぅうう……ジェリコのばかぁ…あたい、あの時、
ヘンになるからイヤって言ったのに……何で止めてくれなかったんだよぉ……」
「本当にイヤでした?」
「……うー」
ちなみに今も左手はナムナのちっちゃなおっぱい(ちっぱい)の感触をやわやわ味わい続けている。
コレに抵抗してない……いや、恥じ入りながらも身を任せてるって時点で答えは明白だ。
「言いづらいみたいですね。じゃあ質問を変えましょうか」
「んぅ……?」
「まだまだアレの続きがあります。ナムナさえ良ければ……お教えしますよ?」
「え、え……えぇ、えと、えと、えーと……」
今、ナムナの小さな頭の中では、理性とか肉欲とか羞恥心とか性的好奇心とかそーゆーものが
争いあっているのだろう。表情はくるくると変化し、大きな耳はぱたぱたと立ったり座ったり。
「ジェリコの好きにしていいよ……」
そして出した答えは男の子への判断丸投げ……に見せかけた肯定のお返事。
うんうん、わかるよその気持ち。えっちな事には興味あるけど、自分から『したい』って言えないもんねー。
だけどね、そんな言いかたしたら、男って生き物はほんっとーに好きにしちゃうんだぞ?
「それでは、今日の所はやめちゃいましょうか。ナムナもお疲れみたいですし」
私もつくづく酷い男だな。
念のため言っとくと、もちろん全然やめる気はない。愚息ももうギンギンだし。
「え、ええっ……」ナムナの耳が一気にしゅーんとなる。
一度イカせてあげたからだろう。
ナムナの顔からさっきまではあったメスっぽさが抜けて、元通りの子供っぽい雰囲気が戻りつつある。
その、半ば正気になったナムナの口からやらしいことがしたい、と、言わせたいなーって。
「ごめんなさい。私も調子に乗りすぎちゃいました。ナムナがそんな嫌がってるとは思わなく……」
と、私が『謝罪のふり』を言い終わる前に、
「い、イヤじゃなかったよっ!!」
おお。来た来た。
「ジェ、ジェリコがあたいの体さわるの……は、恥ずかしいけど…気持ち、よかったし……、だから……」
しかし、そこが限界だったようで、口をつぐんでしまった。
これ以上いじめちゃ流石にかわいそうだ。
「わかりました。じゃ……続けちゃいますよ?」
「う、うんっ……!!」
元気いっぱいの返事を返してきたナムナの唇を、そのままキスしてふさぐ。
さすがに子供は順応が早い。私が舌を差し出すより早く、ナムナの舌が私の唇をこじ開けて侵入してきた。
「んぅ……ぁ、あぁっ……」
子供相手にやられてばかりはいられない。
私の唾液とナムナの愛液でどろどろになってたタイツの股間部分を再びこね回す。
ナムナは気づいてるだろうか。
自分がくいくいと腰を動かして私の指をより深く味わおうとしていることに。
声は子供で、だけど反応はすっかり大人で。その嬌声に私の情欲までますます高められていく。
そして、互いが互いの口内をたっぷり味わいあった後。
「ナムナ、ひとつお願いがあるんですけど」
「…あぁ…んぅ……え、なぁに、ジェリコ?」
「私も気持ちよくなりたい。ナムナの身体を使わせてもらってかまいませんか?」
「……え? えぇ?」
「二人いっしょに気持ちよくなる方法があるんです」
「あたいと、ジェリコと……ふたりで?」
「ええ、大人はみんなやってることです。どうです、登っちゃいませんか、大人の階段を」
ナムナは、はにかみながらもこっくりとうなずいてくれた。
……ああ、ついに。
ネバンプレスの父さん、母さん、ごめんなさい。
いろんな女の子を泣かせてきましたが、遂にわたくし、
年端もいかないような女の子に手ェ出す鬼畜に身を落としてしまいそうです。
……いや、流石にね、子供に挿れるのはどうかなーって、自分でも思うんですよ?
コレでもすっごく悩んだんですよ。15秒ぐらい。
だけどほら、私の中のマリーが『中に出すのがダメなら外に出せば良いじゃない』って応援してくれたので、
いっぺんぐらいはチャレンジしておこうかなーって、ね。
ナムナをばんざいさせてハンテンを脱がし、今や私たちのいろんな体液でべたべたになった
黒い全身タイツをしげしげと眺めて、そこではた、と気がついた。
――このタイツってどうやって脱がすんですか?!
ぐは。
女性の着衣の脱がせ方で悩むのなんて何年ぶりだろうか。
ナムナに脱衣法を聞いてもよいのだが、ここまでぴっちり首から下を覆い包むものは相当時間がかかるだろう。
だからって破るのは論外。
着替えはないし、そもそもこのタイツかなりの防刃性能がありそうだ。私程度の力ではとてもとても。
ああもう、だれだよサムライのユニフォームをこの格好に制定した奴。さっき感動して損した。
こんな格好でお外で突然エッチしたくなった時どーしろっていうんだ。機能性ってものを考えろ。
「……ジェリコ、どうしたの?」
ナムナが不安げに私の顔をのぞいてくる。
むう、ちんたらしてらんない。せっかく身体を準備させたのに、このままではお互い萎えてしまう。
思い、悩み、そこで妙案が浮かんだ。
――よろしい。ならばスマタだ!
「ナムナ。今から私のおちんちんをナムナのおまたに挟みこんでこすりたいと思います」
「おちん……」言いかけてナムナは口をつぐむ。
あ、ナムナも流石にその単語は知ってるんだね、よかったよかった。
性器を示すスラングを知らない子を淫語責めしても、面白くも何ともないし。
「ジェリコ……ホントのホントにみんなそんな事してるの?」
むう、いい勘してる。確かにあまり一般的なプレイとはいえまいが、ここで引かれちゃちょっと困る。
「ええ、(風俗店などでは)ごく普通の行為です」
我ながらよく言う。
女の子をだまくらかすときは、にっこり笑顔で相手の目をまっすぐ見る事。
スケコマシの基本テクニックである。子供相手でもその辺は手を抜かない。
「そうなんだ……」
「むしろ今提案したのはソフトな部類に入ります。もっともっとすごいことも大人はやってるんですけどね。
ナムナは初めてだから、やさしいところから慣らしていこうと思いまして」
さっき子供にハメようと考えてた男のどの口が言うか。
しかし考えてみりゃ面白いものである。性器同士を完全に結合させる
『よりハードなプレイ』の方が世間様では一般的なのだから。
「お互いの一番気持ちいいところ同士でこすりあって、私がナムナを気持ちよく、
ナムナが私を気持ちよく……どうです、やってみたくなりません?」
ナムナはしばらく逡巡していたが、やがて、
「……したい」
はっきりと意思を告げてきた。
嗚呼、何度見ても良いものだ、女の子が自己の性欲に屈するこの瞬間は。
おそらくはこの先の光景を想像し、肉欲が高まってきたのだろう、
一度は落ち着きかけていたナムナの呼吸がはぁはぁと再び荒くなり始めてる。
さて、これ以上は待たしちゃ悪い。
「ナムナ。四つん這いになっておしりをこっちに向けてください」
「……えと……こう?」
「そうそう」
黒タイツに包まれた肉付きの薄いお尻が差し出される。
ナムナ本人は意識してない本能的な行動なのだろうが、
それはゆらりゆらりとくねって、男を誘う動きを見せていた。
肝心のおまたの部分は、淫水で濡れたタイツが張り付いて割れ目を浮き上がらせている。
「……ふぁあっ?!」
揺らめく尻たぶをつかんで固定し、痛いぐらいに怒張した私の愚息を彼女の淫裂になでつける。
そこからたっぷり溢れる天然のローションを亀頭へ、竿へと塗りつけて、これで準備完了。
「ナムナ、少しだけ足を閉じて……そう、太腿をぎゅってする感じで」
「んぅ……? こんな感じ……?」
「ええ。――ナムナ、行きますよ」
「う、うんっ……」
ナムナの閉じられた右腿と左腿そして淫裂、その三つの肉壁の中心部の無いようで在る小さな隙間に――
「ふあぁっ……! ジェリコッ……ジェリコのがあたいに……あ、あぁぁっ!!」
――ついに私は挿入する。
これはたまらない。
愚息を挟み込んだナムナの両腿から子供の高い体温が伝わってくる。
腰を動かせば愛液で濡れたタイツは私の亀頭にも張り付きそうになって、未体験の快感を送り込んで来た。
なんとも独特な、それでいて大人の膣内にも勝るとも劣らない性感だった。
「――っは、これは、なかなか……」
「ふぁ! あ! あぁっ……ジェリコっ! すごっ……すごすぎるよぉおっ!!」
色々とはじめてづくしな女の子なんだからもっと優しくしてやんなきゃ、とか思うものの、
あんまりにも気持ちがいいもんだから、いろいろと試したくなってしまう。
ごめんね、ナムナ。
今日だけ、今日だけロリコンだから許して。
明日から普通のスケコマシに戻るから。
ああ、それにしてもスマタというのは大正解だったかもしれない。
実際に挿れる挿れないって話になってたら、今ごろ痛いの痛くないのと大騒ぎしてる頃だろう。
「わかりますか、ナムナ? 今あなたのおまんこを私のおちんちんがごしごししてるんですよ」
その淫語に反応して、後ろを振り向いたナムナの顔はもうまっかっかに染まっていた。
「やだぁ……ジェリコ…、そんなえっちなこと言ったらやぁだぁ……」
「でも、ナムナは今、そんなエッチなことをしてるんですよ?」
「だめぇ……言うのはやぁなのぉ……」
――などと恥ずかしがるナムナは、不器用ながらもすでに腰を使い始めている。末恐ろしい子だ。
こんなイケない子には、自身がエッチである事をよーく教育してあげなきゃ。
ナムナに悟られないよう、少しずつ、少しずつ、抽送のスピードを緩めれば、
ナムナの身体はそれを嫌って、本人すら気づかず徐々に腰の動きを激しくし、
自分の気持ちいいところを探して、割れ目を愚息にこすりつけてくる。
そして、私自身がほとんど停止したころ。
「ふぁぁぁっ…だめっ……ジェリコ……だめだよぉ、こんなのぉっ!!」
「さっきから駄目駄目って、何が駄目なんです、ナムナ?」
「……だからっ……ああぁ…そのっ、ジェリコが、えっちだからっ……!」
「ふーん、おっかしいなあ。私、今ぜんっぜん動いてませんけど?」
「……え?」
気づくまで時間がかかったんだろう。
ナムナの身体は数秒はそのまま快楽をむさぼっていたが――
「あ、あ、あ、あ……」
ようやく状況を理解したのか、腰の動きがぴたりと止まった。
「ナムナはえっちな子ですねえ。一生懸命おまんこ私のおちんちんにこすりつけてきちゃったりして」
そして駄目押し。つくづく私もひどい男である。
「ち、違……」
「違わないですよね?」
「う、うぅ……」
「『ジェリコがえっち』ですって? どっちがえっちなんですかねえ?」
「あ、あう、あうぅうう……」
ええい。
バックで突いてちゃ今のナムナの『いい顔』が見えないじゃないか。
愚息を温かいおまたから引っこ抜くのは名残惜しくあったが、
辱めたいという欲求がそれに勝ったので、ナムナの身体を抱え上げて仰向けにひっくり返す。
「いやぁぁ……恥ずかしいよぉ……」
ナムナは顔を両手で覆い隠すのだが、指の隙間から私の愚息の元気なありさまをばっちり注視している。
ありがとう、ナムナ。お約束どおりの反応を見せてくれて。
「かわいかったですよ。ナムナがえっちな気持ちになってるところ」
「いじわる……ジェリコのいじわる……ばか、もうキライだ……」
「そりゃ残念。私、えっちな女の子は大好きなんですけど」
「え……だいすきって……」
ナムナはそこであっけにとられたような顔をして、
「ジェリコ……あたいの事、すき?」
「好きですよ」
やれやれ。条件反射だな。
この悪癖だけはどうにかしなきゃならない。
濡れ場で女の子に『好き?』と聞かれると、どうにも即答で応じてしまう。
この癖のせいで、こっぴどい目にあったことも二十回や三十回で利かないってのに。
……ああ、しかし、今や私もすっかりロリコンだ。ナムナにすっかり情が移ってしまってる。
「じぇ、ジェリコが……すきって…すきって……すきって……」
――あ、やばい。
またもやルシェ特有の発情香がナムナの身体から立ち上りはじめている。
「……あ、あの……ナムナ?」
「あたいもすきっ!」
すごい勢いで押し倒されました。ちゅーされました。待って、息できないよ。
「……ぷはっ…ジェリコ……えっち……したい、するよ、するからね?」
そして激しい口付けを終えた彼女の目は、なんていうか、その……イッちゃってまして。
「あ、……あの、ナ、ナムナッ?!」
体重は向こうのほうがぜんぜん軽いだろうに、力学的なポイントを抑えられてちっとも押し返せない。
……うわ、私ってマゾっ気あったんだ。
逆レイプの体勢なのにすっごいどきどきしてる。きゃー、どうしよう。
「……おまたに、じぇりこの……おちんちんを……ふぁっ、ふあぁあっ、ふぁぁあっ!!」
そして始まる擬似騎乗位。挿れてなくてこすりつける動きだから、上下ではなく前後運動なんだが。
「ナ、ナムナッ! 痛っ……痛いんですけどっ!?」
あの、すみません、そんなに激しくされると愚息が潰れちゃいそうなんですけど。
「ごめんね……ふぁぁっ! ごめんねじぇりこ……っ!」
ああ、まずい。
なにがまずいって、愚息が痛いのがだんだん快感に変換されてきてっ……
「き……きもちいいいよぅっ! あたいのおまんこ気持ち良いよぉおっ!」
すみません、やめてください、このシチュでそのセリフは御馳走すぎますっ!
「やぁぁ……もぅ、だめっ、だめえぇ……あたまっ、また、まっしろにっ……!」
「――っ、は……、ナムナっ! キスしましょうっ! 一緒にっ、一緒にっ!」
この私が女の子にキスをねだるなんてなんて屈辱。だけど今はそれ以外したくないっ!
「――うんっ、じぇりこっ!!」
そして、互いに互いの唇を押さえつけ、舌を絡めあい、唾液をむさぼって――
「「―――――――――――――――――っ!!」」
多分、二人同時に達した。
ナムナの割れ目に押さえつけられた愚息がすごい勢いで射精してるのを実感する。
こんなにも長く、激しい射精は数年ぶりだろう。
……服が、どっちのもエライ事になってるだろうが、それの処理はあとで考えよう。
しっかしまあ、ルシェの血がいくら獣の属性を持つからと言って、
今のようなケダモノそのものみたいな交わりは稀である――いや、挿れてないんだけどね。
果てに果てたナムナの身体はくたっと力が抜けて私に身を預けてくる。
かるい、ちいさい、やわらかい……そして、お日様のようにあったかい。
どうにもいとおしくなって、その身体をぎゅうと抱きしめつつ、
ナムナの髪と、そして獣耳をなでなでしていると――
――ざ、ざ、ざ、ざ、と言う、蛇が這いずるかのような音が接近するのを私の耳が探知した。
♂♀
音が近づく。
いや、もう視認できるっ!
蛇のように長くそして太い胴体、申し訳程度の小さな羽(と、いっても、体格比の話である)、
人の2,3人はまとめて丸呑みできそうなデカい顎、その顎に並ぶ大剣のごとき牙、
そしてその全身をきらめく硬いウロコに包んだその生物は、人類の敵――
――ドラゴンだ!
そうか、ここは竜族の巡回ルート!
人の気配も、魔物も気配もしないと思ってたら……大物の通り道だったと言うわけだ。
ミスの中でも最低の部類だ。
情事に溺れるあまり魔物の接近を許してしまうだなんて。
その時、恐怖のあまり、『もう一発ぐらい抜いとくかー』と思ってあえて八分勃ちを維持させていた
我が愚息が血の気の引くあまりしゅるしゅるーっと縮んでいくのを自覚した。
どうする。
どうするって逃げるしかない。
いや、この接近スピードから考えて人の足で逃げ切るなんてことは――
「ナムナ。起きて」
身支度をし、戦闘態勢を整えつつ、官能の余韻に意識のトんでいたナムナをゆすり、起こす。
大人のチョンボで子供を死なせるワケには行かない。
なんとしてでも彼女だけは逃がさなければ。
覚悟を決める。
「んぅ……ジェリコ?」
彼女の身体は愛液やら精液やらでベタベタだが、今は悠長に洗い落としてる時間がない。
とにかく、起こして走らせたい。
「竜です。逃げて、ナムナ」
「えっ……?」
「回復と防御に徹すれば、私だって数分はコイツを足止めできます、その間に、あなたは街から増援を!!」
大嘘もいいところだ。
ぶっちゃた話、最初の1分で物言わぬ肉塊になってる自信がある。
だが、サムライの脚力があれば、それだけ時間を稼げれば、彼女一人なら何とか……
だからナムナ。お願いだから逃げて。
一秒でも早く、
一歩でも遠く。
「ジェリコ、待って……」
待たせてらんない。もう、竜はほとんど目の前だ。
「安心してナムナ。大丈夫、持ちこたえてみせます」
女の子をだまくらかすときは、にっこり笑顔で相手の目をまっすぐ見る事。
スケコマシの基本テクニックである。子供相手でもその辺は手を抜かない。
――そこだけは、今は、絶対手を抜いちゃいけない。
私が死ぬときには、痴情のもつれで後から刺されて死ぬんだろーなー、とか漠然と思っていたが、
それに比べりゃ、女の子を守って竜に殺られる……ってのは随分マシな死に様だ。
迫る竜を目前にして、恐怖よりも先に戦いへの昂揚感が全身を包むのを感じて、
『ああ、やはり私も戦闘民族ルシェだったんだなー』と苦笑する。
やれやれ、やはりもう少し鍛えておくべきだった。
ざ、ざ、ざ、ざ、ざざざっ
――来た。
見る間に竜は眼前に迫り――
「だから待ってってば、ジェリコ」
状況を理解してるのか居ないのか、立ち上がって頭を振ったナムナは、なかなかにのんきな口調でそんなことを言う。
「ナムナっ! いい子だから逃げてください早くっ!」
「…………なんで逃げるの?」
ああああ、やばいっ! たぶん、イカせすぎてナムナの頭が覚醒してないっ!
「だからド、ドラゴンですって! 強敵ですっ! 逃げてっ、貴方だけでもっ!」
予定外の状況に、さすがに私の脳髄がパニックを起こし始めた時――
「いや、あんなの、やっつけちゃえば良いんだろ?」
ナムナが突拍子もないことを言い出した。
「……はい?」
あの、なんておっしゃいました、ナムナ?
「だからぁ……あんな大蛇ごとき、あたい達でパパっとやっちゃえばいいじゃん」
「大蛇ごときって……」
ざ、ざざ、ざざざっ!!
「――シャァァァアアアアァッ!!」ドラゴンが、大口を開けて咆哮する。
あああ、もうっ! もめてる間に、とうとう奴が戦闘範囲にっ!!
仕方ない。ナムナを背中にかばい、構える。
馬鹿デカい竜のその眼にガンつける。目ェそらしたら、負ける、死ぬ、終わりだ。
――が、私のそんな覚悟を無視して、
「どいて、ジェリコ」
ナムナが私の身体を押しのけようとしてくる。
「ナムナ、だから、貴女はっ――」『逃げろ』と言おうとしたのだ。したのだが……。
「ど・い・て」
めちゃくちゃドスの利いた声で『どけ』と言われて思わず性根が冷える。
『竜からそらすまい』と思っていた顔を、あえてナムナのほうに向けると、
やばいぐらい彼女の目が据わってた。
「……あの、ナムナ、さん?」
思わず『さん』付けだった。
怖かった。
眼前の竜なんか相手にならないぐらいヤバかった。
具体的に言うと、さっき通常形態に戻った愚息が、さらに全長の5分の2ぐらい縮んだね。
固まる私を押しのけて、ナムナがそのまま前に出て――
「っていうか……このっ――ばかヘビっ!!
せっかく……せっかくジェリコといい雰囲気だったのにっ!!」
――そして、剣光一閃。
ナムナの一刀のもとに丸太ん棒のごとき竜の首が切り捨てられた。
竜は――竜の胴体は、自分がまだ死んだことに気づいていないのだろう。
暴れ、のたうち、切断面からホースのように血流が噴出した。
あたり一面に降り注ぐ文字通りの血雨を、シャワーのようにナムナと私は浴び、
「えっちで服汚しちゃって、どうしようかと思ってたけど……これでごまかせるなっ、ジェリコ♪」
真っ赤っ赤のちまみれすぷらったでそんなことを言うナムナに、
私は憔悴しながら「ええ、はい、まあ……そうですね……」と、言うのが精一杯だった。
いやはや、さっきまでの私の覚悟はなんだったんだ。
……まあ、いいんだけどね。死なずにすんだから。
こうして私は、自分がついさっきまでいたずらしていた小さな女の子が、
ものすごい達人であると言うことを知ったのであった。
♂♀
さて、話にはそろそろ落ちがつく。
アレからさらに一週間後。
私とナムナは結婚式に出席していた。
誰の結婚式かと言えば――
「お、お姉ちゃん……ごめんね、せっかく会いにきてくれたのに……」
「いいさ、あたいのことなんか気にせず、幸せになるんだよっ!」
――さんざん、探しに探したナムナの妹さんのである。
ナムナの妹と言うからには、もちろんルシェであり、頭にはぴょこんと獣耳が飛び出てる。
筋肉のつき方からすると、おそらくはファイター――いや『元』ファイターと言うべきか。
妹さんはとうの昔にハントマンを廃業し、花嫁となることを決意していたのであった。
やれやれ、ギルドオフィスなり酒場なり冒険者の立ち寄りそうなところを
いくら探しても見つからなかったわけである。
「ふたりは、やめるときも、すこやかなるときも――」
そして、式が始まった。
このご時世であるから、細かいところは略式である。
儀式を執り行っているのも、正式の聖職者ではなくて、
妹さんが元所属していたギルドのヒーラーくずれだそうだ。
妹さんの旦那さんはと言えば、こちらもファイターのようであった。
幸せなはずの日に、どことなくバツが悪そうな顔をしているのは――できちゃった結婚だからだろう。
ええい、ナムナよりもさらにちっちゃい子を孕ませるだなんて、
この、ロリっ! ぺドっ! 最終日東館壁際っ!!
――と、普段ならなじってた所だろうが、今の私には彼の気持ちはよーくわかる。
おそらく。
おそらく同じだったのだ。
あの日のナムナと、私と。
フロワロによって妹さんが発情してしまい……
……旦那さんはルシェ女の魅力に抗し切れず、思わず抱いてしまったのだろう。
今にして思うと、私も危ないところだった。
あの壇上に立って、添い遂げる誓いをしていたのは私も同じだったかもしれないのだ。
女にだらしなくて、いいかげんで、泣かすことしかできない、この私が、だ。
ただ、旦那さんと私を分けるものがあったとしたら――
ナムナと妹さんのハントマンとしてのユニフォームの違いだろう。
サムライ♀の全身タイツと、
ファイター♀のスパッツと、
脱がしやすいか、脱がせにくいか、それだけ、それだけの差だったのだ。
――と、思索にふけっていると、隣に座っていたナムナがつんつんと肩を突付いてきて、
「ね、ね、ジェリコ……」
「何です、ナムナ?」
と、たずね返しつつも、私はナムナが言いたいことの見当がついていた。
「あたいたちもさ……、いつか、その……」
……やっぱりね。
式場だとそーゆー気分になりやすいよねー。
つまみ食いしちゃった女の子から結婚迫られるのってコレが初めてじゃないけど、さて、どうしたものか。
「そうですね、竜どもを地上から追っ払って、エデンに平和を取り戻したら……考えてみますか」
とりあえず、達成不可能な目標を掲げて、ごまかそうとしてみたのだが――
「ホントにっ?! じゃっ、じゃあっ! がんばろうなっ、ジェリコっ!!」
――あの、ナムナさん。何でそんな超やる気になってるんですか?
「えーっと、ナムナ……いくらなんでも私たち二人だけじゃ……」
「わかってるって! あたいたちでギルド作ろう、ギルド! そんで強い奴らいーっぱい集めてさ――」
――意識が遠のくのを感じる。
ドラゴン狩りの最前線のギルドに所属する事になってしまったりしたら、
せっかくこのあいだ運良く拾った命を、またもや捨ててしまうことになりかねない。
おかしいな、私はカザンで市井のヒーラーとしてちんたら生きていくつもりだったのに。
ギルド設立の夢を語るナムナの横で、
私は今まさに、人生の重要選択肢を踏み間違えたことを、激しく悔やみ、悩んでいた。
<了>
投下終了。
本編プレイ前に書き始めたブツなので、発売後の今となってはおかしい設定もあるかと思いますが、ご勘弁を。
さて、コレを書き終えたのでようやく本編をプレイできます。って言うかまだパーティ編成も決まってねえよ。
クリアした頃にまた来るかもしれませんが、そのときはまたよろしく。
すごく面白かった!
ナムナは可愛いし怖かっこいいし
男キャラのジェリコにまで萌えるとは思わなかったw
良かったらまたこの二人の話が読んでみたいな
なんという変態紳士w
GJでした!
>>211 ふぅ…
面白かった。乙
お前さんのおかげで、プレイ前は脇役の予定だったうちのジェリコさんが主役に
ついでにギルドに入れる予定の無かったケモミミ娘も入れちまったぜ
これは是非とも続きを期待せざるを得ない
面白かったです
スケコマシジェリコさんが良キャラすぎる
GJせざるを得ない
>>211 GJ!ジェリコもナムナもいいキャラしてるなぁ…
自分も負けじと何かを書いてみたいけど、組み合わせがよくわからないので↓の人に任せます
若侍×ルシェメイジを希望してみる!
投下します。長いので前半後半に分けます。
・ジェリコ ルシェヒーラー♂
・ケイト 緑ナイト♀
(共に名前は公式ちびキャラトークから)
前半の投下分は長い上にエロありません。
「ねーよ」という方は『とある女騎士の休日』でNGかスルーをお願いします。
「……納得いかん」
「私に言われても困るのですが」
憮然とした表情で吐き捨てられた言葉に、青年は困ったように笑った。
カザン市街、とあるギルドが拠点として使う大型の屋敷の一室で、二人の男女がボードゲームに興じていた。
男の方はルシェの青年。褐色肌の顔に、温和を絵に描いたような柔らかい表情を浮かべている。対比のように白い長髪を後ろで束ねており、一見でのイメージは「紳士的な若者」といったところか。
女の方は、淡い緑色の美しい髪の持ち主だった。今は不機嫌そうに顔をしかめているものの、長い睫や肉感的な唇、すっきりとした顔の造形は、遠目にも美人と分かる。
そして二人は共通して「落ち着いた雰囲気」の持ち主であり、物静かに盤上の駒を見やるその様は絵画の一種のようですらあった。
だが、実際は緑髪の女性――ケイトが放つピリピリとしたオーラによって、二人しかいない屋敷の空気は非常に物々しい。
盤上どころか実際に戦でもしているかのような剣呑さである。
そしてケイトの不機嫌な理由は実に単純なものであった。
「確かにハントマンと言えど休息は必要だ、今日まる一日をそのまま休日としたお前の提案は非常に嬉しいし感謝もしている」
「はぁ、恐縮です……」
「そしてモモメノ様が街を見て歩きたいと仰った事に不平がある訳でもない」
元々から欲の少ない御方だ、少しわがままを言って下さるくらいが丁度いいんだ」
「はい」
「そして私とは別に行動なさっている事も、認めたくはないがお察しできる。私とて自分が行楽の付き合いに向いてない事は分かっている」
「まぁ、人には向き不向きがありますから」
「だが、だがな……」
「だが、どうしました……?」
言葉を切り、俯いて肩を震わせ始めたケイトに対し、ルシェの青年――ジェリコは恐る恐る問うた。
そして訪れる、爆発の時。
「なぜモモメノ様は、よりによってあの大たわけ者を付き添いに選ばれるのだーーー!!!」
屋敷中に響き渡った大声に、屋根にとまって憩う鳥達は驚き、一斉に飛び去っていった。
ケイトは元々ハントマンではなく、小さな国の王女モモメノに仕える護衛騎士兼お目付け役だった。
竜の脅威に晒される世界の中で、我関せずと保守的で排他的な国王に反発し、城を飛び出したモモメノを追って、このカザンに辿り着いたのである。
国へ帰ろうと促しても、「ハントマンになる」と首を横に振って譲らないモモメノ。
しかし「誰かを救いたい」と願うモモメノは、そのための具体的な方法を全く知らなかった。
そして騎士としての生き方しか知らないケイトも勿論、自国の権威が及ばないカザンではなす術もなく……。
二人が途方に暮れていた時に手を差し伸べたのが、他ならぬジェリコと、その相棒である黒衣のローグ、ヤック(ケイト曰く「大たわけ者」)であった。
ハントマンのギルドを立ち上げたばかりだと言う二人の厚意に甘える形で、ケイトとモモメノはそのギルドに籍を置く事となったのだ。
とりあえずモモメノの衣食住の心配が無くなったケイトは、不本意ながらも自国に定期的に書状を送り、今のハントマン生活を続けていた。
「不本意ながらも」とはいえ、ケイトはむしろ今の生活に「慣れ」以上の好意的な感覚を見出していた。
ジェリコはヒーラーという職に違わぬ物腰柔らかな男で、必要以上の詮索をせずケイトとモモメノを受け入れ、気を使ってくれている。
ヤックは、ジェリコが「親友ですよ」と言うのが信じられないほど粗野な男ではあったが、その言動には一本芯が通っており、決して悪人ではなかった。
自国ではケイト以外家族にすら心を許さなかったモモメノも、下心なく良くしてくれるジェリコとヤックには次第に心を開いていった。
――ここまではいい。
ケイトにとっての問題は、モモメノがヤックに対して「明らかに仲間意識や友情以上の何か」を抱き始めてしまった事だ。
もちろんケイトは生真面目で実直な性格ではあったが、他人そういう色恋沙汰に関して口出しをするほど無粋でもない――と、ケイト自身は思っていた。
だが、本音と建前には天地ほどの差があった。
騎士としての義務感だけではなくモモメノを妹のように大切にしているケイトには、将来モモメノが寄り添うであろう殿方の理想像というものがあったのだ。
(理知的だが勤勉で、それを気取らない優しさと快活さを備え、武力と財力を併せ持った……)
ほとんど娘の幸せを願う親のような心境だが、もちろん、ヤックはケイトが抱く「モモメノの伴侶理想像」には程遠い。
妙な危機感を覚えるケイトをよそに、モモメノは順調にヤックに懐いており、それがケイトを余計に苛立たせていた。
そしてケイトが何より気に入らないのは――当のヤックも「まんざらでもねー」ってオーラを出している事だった。
ケイトとて聖人君子ではない。自分の中の「薄汚い手でモモメノ様に触んな指数」がぶっちぎりに高い事も自覚している。
自分によく懐いてくれていたモモメノが他の誰かと仲良くなる事に少なくからず嫉妬を抱いていたのかもしれない。
そしてジェリコの提案によって休日となった今日を利用し、モモメノはヤックに街の案内を頼む形で散策に出掛けてしまった。
もちろん、出発直前までケイトは渋ったが、モモメノの「大丈夫……」→ヤックの「心配すんなっての」→ジェリコの「主のご希望じゃないですか」の3連コンボによって渋々折れたのだった。
当然、折れたからといって納得したわけではなく、自分と同じく屋敷に取り残されたジェリコを気晴らしのボードゲームに付き合わせ、これ幸いと愚痴を吐き出して今に至るのであった。
「心配でならんのだ……あいつがモモメノ様をいかがわしい賭場などに連れ出したりしていないかと」
何度目かもしれぬ溜息をつくケイトに、ジェリコはやんわりと笑って答えた。
「大丈夫ですよ。ヤックは悪ぶってはいますが、本当に純粋で子供のような男です。『いかがわしい場所』なんて、むしろ私の方が詳しいくらいですよ」
「む、お前がそう言うのであれば……私がこれ以上悪く言うわけにもいかんのだが」
「えぇ、ぜひ大目に見てやって下さい。それと……」
「うん?」
何事か、と顔を上げれば、そこにはいつも通りのジェリコの笑顔があった。そしてジェリコはその表情を崩さず、
「チェックメイトです」
「んな!?」
ケイト頓狂な声を上げつつ盤上に視線を落とす。
愚痴を言いつつもしっかりと戦略立ててゲームを進めていたつもりだったが、ジェリコがいつの間にやら巧みな運びで勝利を決定的にしていた。
今からどの駒を動かしたとて敗北は免れないだろう。
「むぅ、私の負けか……ジェリコ、もう一回だ!」
「はい、そうしましょう」
嫌味を感じさせない笑顔と口調で、ジェリコはてきぱきと駒の配置を変え始めた。
そして、生来の負けず嫌いから何とか勝利をもぎ取ろうとゲームだけに集中し始めたケイトの奮戦むなしく、ジェリコは涼しげに全勝したのであった。
◆ ◆
「……むぅ、参ったな」
きょろきょろと辺りを見回しながら、ケイトは今日何度目かの――しかし、今までとは全く意味合いの違う溜息を吐いた。
幾度も幾度もジェリコにゲームを挑み、ありとあらゆる戦術で勝ちを得ようとしたものの、ジェリコは事も無げにその全てを打ち破ってしまった。
ふと我に返り、ボードゲーム程度で熱くなりすぎたと恥じるケイトに、ジェリコはこれまたいつも通りに微笑みで「いえいえ」とだけ返した。
妙に気恥ずかしくなり、「散歩に行ってくる」とジェリコに言い残したケイトは、そのまま街へと逃げるように出掛けていったのだ。
だが、カザンという国はケイトが思っている以上に広く複雑な場所だった。
多少の滞在で慣れたと思っていたケイトだったが、気恥ずかしさで闇雲に歩き回っていたおかげで、全く見知らぬ界隈にまで来てしまっていたようだ。
「人気の多い場所からも外れてしまったようだし、どうすればいいんだ」
辺りは窓の少ない無骨な建物が連なる薄暗い通り。
人の気配もなく、国の中にありながら物騒な空気を漂わせるその場所に、ケイトはぶるる、と身を震わせた。
早くこんな場所からは離れたい――そう思い、ケイトが来た道を戻ろうとしたところで、人の気配すらなかった路地に声が響いた。
「もし……そこのご婦人」
聞き慣れない声だった。
ケイトが振り返ると、今しがたまで誰の気配もなかった通りの真ん中に、フードを目深に被った壮年と思しき男の姿があった。
フードに遮られ、目は隠れているが、それが逆にケイトに薄ら寒いものを感じさせる。
努めて冷静を装い、ケイトは男に答えた。
「何か?」
「道に迷ってしまったようでして、大きな道までで構いませんので案内をお願いできれば、と……」
「む、申し訳ない……恥ずかしながら私も道に迷っているのだ」
「左様でしたか、それは失礼を……」
言いながら、男が顔を持ち上げた。
ケイトは何とはなくそれを見やり……、
――男のフードの内から覗く、妖しい光を放つ赤い瞳と視線がかち合った。
「……っ!?」
その瞬間、ケイトの目に映る風景がぐにゃりと曲がった。次第に視界が明滅していき、意識が遠くなっていく。
薄れゆく意識の中、ケイトが最後に見たものは――フードの男の口元が、下卑た笑みを浮かべている事だった。
(この男、魔法の心得が………)
不覚を取った悔しさに打ちひしがれながら、ケイトは意識を手放した。
◆ ◆
次にケイトが目を覚ましたのは、オンボロな小屋の中だった。
木造で、柱や床のあちこちが朽ちている、今となっては打ち捨てられたらしい古めかしい小さな小屋。
(やはり、縛られているか……)
身動きが取れない――両腕は後ろ手に拘束され、両脚も丈夫なロープで縛られており、寝転がる体制のままで起き上がることも難しい。
苦戦しながらも視線を巡らせると、小さな窓の外は夕日に染まる朱色。
自分はどれだけの間、意識を失っていたのだろうか――そう思っていると、意識を失う直前に聞いた声が、ケイトの耳朶に触れた。
「お目覚めか?」
先ほどとは全く雰囲気の違う声に、肩越しに背後を見やったケイトは思わず息を呑んだ。
くたびれた椅子に腰掛けるフードの男……そしてその周囲には、一目見ただけで「そういう人種」と分かる、だらしない身なりの男達がニヤニヤと笑いながらケイトを見下ろしていた。
「貴様、何者だ!」
ケイトは男達を睨みつけ、怒鳴りつけた。
どういう人種かなど、ほとんど分かりきってはいたが、それでも気丈に振舞っていなければ、戦いとはまた違う恐怖に呑まれてしまいそうだった。
フードの男は、そんなケイトの心中を知ってか知らずか、面白そうに答えてみせる。
「商人さ。上玉の女を飾り立てて金持ちに売り払う、ちょいと特殊な商いだがね」
――やはりか。
世界中を覆い尽くす滅びの花フロワロ。
その影響で物資の流通が滞り、経済的にも混乱が起こっている昨今、そういった手軽に大金を得られる「商い」に手を染める者が少なからずいる。
(まさかカザンで、しかも自分が被害に遭うなど思ってもみなかったが)
そこらの軟弱な男よりは力量があるつもりだったが、自分を戒める拘束は思いの外強靭で、力ずくでの脱出が不可能のようだ。
どうしたものか、とケイトが思案を巡らせていると、それを打ち切るかのようにフードの男が告げた。
「だが、飾って提供すればいいってものでもないんだ。お客様に失礼がないよう、愛玩動物の躾をしないとな」
男にとっては何気なく放たれた一言だったが、ケイトはその言葉に全身の血が引くのを感じた。
騎士として生きてきたケイトも女を捨てたわけではなく、もちろん「そういう事」に関しての知識はあった。
そしてその知識があったが故に――ケイトは今すぐにでも悲鳴をあげてしまいたい衝動に駆られる。
「お前さんがどれくらい勉強熱心かにもよるが……まぁ、男を見ればすぐに股を開くぐらいにはしておこうか」
そこでケイトはようやく気が付いた。
フードの男の周囲にいる有象無象は、ただ何の目的もなく集まっている訳ではないのだと。
モモメノの為ならば命を捧げることも恐くない――そう思ってきたケイトは今、まったく別の恐怖に屈しようとしていた。
誇り高き騎士の仮面が剥がれ、明らかな怯えの色を宿し始めたケイトを見やったフードの男は、満足そうに笑って、片手を掲げた。
「犯っちまいな」
『いやっほぉー!』
それと同時に、周囲にたむろしていた男達が喜色満面でケイトに迫っていく。
「いっ、いや……!」
何とか逃れようと身をよじるケイトだが、完全に動きを拘束されている今の状態では、這うことすらままならない。
いよいよ目に涙を浮かべ始めたケイトに、集団の中の一人が服を剥ぐために手を伸ばす。
逃れるように目を硬く閉じたケイトを見やった男が下品に笑いながらケイトの衣服に手を掛けた瞬間、小屋の中に悲鳴が響き渡った。
「ぎぁああああああああああ!!??」
「えっ……?」
――ただし、男の。
状況が飲み込めないケイトは閉じていた目を開き、そこで目にした光景でますます状況に混乱する事になる。
ケイトに触れようとした男が弾かれたように床へ倒れこみ、ケイトに触れた手を押さえながら苦痛の表情でのたうち回っていた。
「熱ぃよ、痛ぇよぉ……!!」
のた打ち回る男の掌が、まるで劇薬に触れたかのように焼け爛れている。
異常に気付いたフードの男が、声を荒げて立ち上がった。
「女ぁ! 貴様何をしやがった!」
(こっちが訊きたいくらいだ…!)
ケイトは、恐怖とはまた別に意味合いで泣きたくなる。なぜ自分はこうまで災難に巻き込まれるのか。
混乱でざわつく小屋――次の瞬間、またもや状況が一変する。
頑丈なドアが乱暴に蹴り開けられ、それに巻き込まれた男が一人、間抜けな声を上げながら床に倒れた。
小屋の中にいる者達の視線が集中するなか、長身の男がゆっくりと部屋に踏み込んできた。
絶句する男達を前に、実にゆったりと部屋に踏み込んだ男は、そのまま歩を進めてケイトの傍らにしゃがみ込んだ。
「ギリギリでご無事みたいですね、ケイトさん」
その男の正体を認めた瞬間、ケイトは激しい安堵と共にその男の名を呼んだ。
「ジェリコ……!」
「はい、ジェリコですとも」
拠点でくつろぐ時と変わりのない、温和を絵に描いたような柔らかい笑顔。
ケイトはそこで気が付いた――自分に触れようとした男の掌は、ジェリコが自分に毒素の鎧を纏わせることで遠ざけられたのだと。
仮にも犯罪集団である自分達の前で、あまりにも堂々と居座るジェリコに、我に返ったフードの男が唾を散らしながら怒鳴りつけた。
「な、な、何だ貴様は!」
ジェリコは焦ることなく悠然と振り返ると、にっこり笑って頭を垂れた。
「あぁ、ノックも無しに失礼。こちらに知り合いがお邪魔していると小耳に挟んだもので」
そういう事を訊いてるんじゃねぇ――と言いかけたフードの男は、一礼して持ち上がったジェリコの顔を見て硬直する。
この時、ジェリコがケイトに背を向けていたのは幸いだったのだろう。
そのジェリコの表情を見なかったおかげで――ケイトはジェリコの笑顔にも「種類」があることを知らずに済んだのだから。
「――失礼」
短く告げたジェリコが、ケイトの顔にばさりと自分の上着を被せた。
「わっぷ!? なんだこれは、おい、ジェリコ!」
ジェリコの意図が分からないケイトは必死で身をよじってみるが、すっぽりと顔を覆ってしまった上着は、手を使わないと外れそうになかった。
一人悪戦苦闘するケイトを他所に、ジェリコの身体が滑るように動き、手にしていた棍が振るわれる。
ぼきゅ、と生物的に嫌な音がした時には、その棍はフードの男の喉を潰していた。
「げ、ぎゅ……!」
魔法の詠唱すらままならず、フードの男は喉を抑えて床に崩れ伏す。命に別状はないだろうが、しばらくは呼吸も難しいだろう。
少なくとも直接的な戦闘とは縁遠そうな男が見せた動きに、いよいよ人さらい達が狼狽し始める。
「こんなにも沢山の方々で知人のもてなしを……これはもう是非御礼をしないと」
笑顔は変わらずとも、身の回りの空気を徐々に剣呑にさせていくジェリコ。
――鈍い打撃音が、一対多数の変則マッチにとって代わる。
◆ ◆
ケイトが拘束を解かれ、視界を元通りにされたのは、小屋の外に運び出されてからだった。
気が抜けたのか、ケイトはそのまま腰を抜かしてしまい、今はジェリコにおぶさりながら帰路についている。
腰を抜かした時もそうだったが、ケイトはジェリコにおぶさってからは一層顔を真っ赤にして俯いていた。
「本当に、すまない。助かった……」
これで何度目かも分からないケイトの言葉に、ジェリコはいつも通り、温和を絵に描いたような柔らかい表情で「いえいえ」とだけ返した。
「なかなか帰ってこないので心配してたんですよ。街の人に聞いたらあなたが曰くありの道に入っていったって言うもんですから」
「うぅ、言い訳のしようもない」
騎士としてこんな情けない姿を見られたくない、というケイトの意思を汲み、ほとんど人が通らない道を選んで歩くジェリコ。
女とはいえ人一人を背負っても全く歩調が乱れないジェリコの背中で、ケイトはその肩幅が広い事に今更のように気が付いた。
「ありがとう……」
「いえいえ、どういたしまして」
ジェリコの表情は見えなかったが、おそらくはいつもと変わらず柔らかく微笑んでいるのだろう。
礼を言っても一方的に肩透かしをくらっているような気分になったケイトは、どうにか自分の感謝の念を分かってもらおうと、静かな決意と共に言葉を紡いだ。
「なぁ、ジェリコ」
「はい、なんです?」
「礼がしたいんだ」
「あはは、お礼なら何度もお聞きしましたよ、それで十分です」
「いや、どうにも気が済まんのだ」
――そうとも、騎士も働きによって主君が御褒美を下さるものだ。
生真面目で不器用な女騎士は、自分の感謝の気持ちを何かの品物で形として贈ろうと考えたのだった。
「私をあのような不貞の輩から救ってくれた事に、本当に感謝しているんだ。欲しい物あらば何でも言ってほしい。私にできる範囲ならばどのような金品でも構わない」
「はぁ……」
「普段は無欲だが、お前にだって欲しいものはあるだろう。是非私に用意させてほしいんだ」
背負われているにも関わらず、どんと胸を張るケイト。
その意気込みを背中にびしびしと叩きつけられるジェリコは、苦笑しつつ「欲しい物、ですか……」と呟いた。
「では、一つお願いしましょうか」
「おお、お前にも欲しいものがあるんだな! 是非聞かせてほしい!」
ずい、と肩越しに身を乗り出してジェリコの顔を疑うケイト。
ジェリコはいつもと表情を変えることなく、静かに告げた。
「あなた」
――この間、たっぷり数十秒。
ケイトは、わくわくと期待に満ちていた笑顔のまま硬直していた表情を徐々に崩れさせる。
「え……………………???」
人さらいに囲まれた時など比較にもならないパニックを起こしているケイトに向かって、ジェリコは困ったように笑いながら続けた。
「欲しいもの、と言われましても……あなた以外には特に思いつきませんので」
「わ、わ、わ、わわ私が…って、どういう……」
わたわたとうろたえ始めたケイトに、ジェリコは「あぁ、予想通りの反応だなぁ」などと思いつつ答える。
「どういうって、まぁそのままの意味ですが――あぁ、無理にとはいいません、忘れて下さって結構」
やんわり笑い返して、そのまま前を向いてしまうジェリコ。
ケイトは顔に差す夕日でもごまかしきれないくらいに顔を赤く染め上げ、先ほどの姿勢の良さもどこへやら、再びジェリコの背に顔を埋めてしまった。
そのまま、奇妙な沈黙が続くこと数分。
ジェリコが肩越しに振り返り、ケイトを真っ直ぐに見つめて一言。
「………いけませんか?」
いつの間にか笑顔ではなく、真摯な表情へと変貌していたジェリコ――その視線を真っ直ぐに受けたケイトは、
ジェリコの肩に頭を預け、小さく「不埒者だ、お前は……」とだけ呟いた。
すっかり赤くなってしまった耳と、肩にしがみ付いた手が僅かに強くなった事が、何よりも分かりやすい答えだった。
(続くんだってさ)
投下終了です。ありがとうございました。
エロは後半です。
投下してから気付きましたが、うちのジェリコは、うざやかなようです。
それではまた後日、後半を投下しにきます。
>>230 読ませるねぇ
ヒーラーって後衛職なのに
スキル次第では武闘派だよな
>>230 乙でした。続きを楽しみにしています。
>>219 了解です。やっぱりキャラ名や喋り方は公式サイトのものにするべきかな?
>>233 公式のやつの名前使った作品が増えるにつれて、読んでるほうはだんだん混乱すると思うんだ…
性格とか背景設定とかは書き手がそれぞれ自由に決めていくだろうし。
いっそ完全オリジナルとか、職業名だけで話を進めるほうがよいかも。
>>234 ご自由に、でいんじゃねーかなぁ?
センスドゴンを楽しめるユーザーなら、ニュアンスを行間から脳内補完する程度の想像力はあるだろう
あとは、例によって軽く冒頭に注意書き、でよくね?
>>235 うん、とにかく基本は書き手の自由だと思う。
一番大事なところが抜けてました。ごめんね。
自PTの人相悪い金髪戦士×白髪ルシェメイジ(イクラクン)カップルのエロ書いてるが
本編プレイ&エロ部分が長すぎる気がしてなかなか終わらんw
でも金髪戦士×ルシェメイジをプッシュしたいから頑張るよ
ちょっと長くてしつこいくらいのが好きだから期待してる。
ドラゴンを倒すならこの体も魂さえもくれてやる!というエメル様を好き放題しちゃうハントマン
フアロを捕獲した直後、その下の地下牢で延々とやりたい放題しちゃうハントマン
アイテルを・・・・・無理orz
あぶねえ、書いてるやつを今読み返したら
「ファイター」って書くべき部分を
全部「ソードマン」って書いてたwww
>>240わかるわかるww
自分も新作書きたいけどギリギリのレベルでゆっくり進んでるから
なかなか余裕が出ないなちくしょー。
>>240 共通の住人は多いだろうなw
うちも、最初から6人ギルドだからなかなか進まない。
でも書きたくなってきたなー。久しぶりにエロ書いてみるか。
あ、ありのままいまおこったことをはなすぜ!
『SSを書こうとして、資料のためにDSを開いたら、
いつの間にか砂漠のフロワロが消滅していた』
な、なにを(略
みなさんのSS楽しみに待ってます。
普通に定番モノ書きたいが物語が重いし、難しいし‥‥orz
選択できNEEEEE!
『とある女騎士の休日』の後半(の一部)を投下します。今回はエロありです。
書いてたら思った以上に長くなってしまいましたので、もう少し分けてます。
引き続き、「ねーよ」な方はタイトルでNGかスルーをお願いします。
窓から差し込む夕日で鮮やかな朱色に染まる拠点は、それ以外いつも通りだった。
ジェリコ、ヤック、ケイト、モモメノ――4人がそれぞれ決めたテリトリーに、自分の探索用の道具や私物、嗜好品を、個性がよく分かるレイアウトで配置している。
――ジェリコのテリトリーは出入り口の最も近く。
彼の本分を示す薬学や医学、魔法書の類がジャンルごとに整頓され、配置されている。
薬物の調合などで少々雑然としているスペースの存在が、ジェリコらしいといえばらしかった。
――ヤックのテリトリーはキッチン台に隣接した食器棚の手前。
探索に使う道具や武具と、趣味で収集しているボトルシップが一緒くたに散らばっている。
食事で食器を出すのに邪魔だから整頓しろ、と何度も声を荒げた経験がある事を、ケイトは思い出していた。
「あの、ジェリコ……」
寝台が4つ連なる就寝部屋からは、女性のテリトリー。
――道具保存用の空き宝箱付近がケイトの空間。
ジェリコ以上にすっきりと整頓された空間には、鎧や剣、盾など必要最低限の品しか置いていない。
密かな愛読書である恋愛小説のシリーズが探索用バッグの奥深くに隠されているのは、ケイトにとって最大の秘密だ。
――窓や入り口からは見えることのない安全な一画こそが、(ケイトが定めた)モモメノのテリトリーだった。
「王家の者にとって最低限の身嗜みを」と、ケイトが自国から持ち出してきた衣服の影響か、保有スペースは4人の中でも一番大きかった。
それにも関わらず整頓されているのは、こまめに折を見てケイトが整えているからだろう。
竜を狩り――ぶちまけられる臓物や気色の悪い血液に塗れ、怨嗟の言葉を浴びせられ、心身共に疲弊してカザンに帰還した時、この屋敷の変わらぬ部屋の景観こそが、平穏への到達を最初に教えてくれた。
戦闘でモモメノに被害が及ばぬよう、ジェリコやヤック以上に神経をすり減らすケイトにとって、この拠点に入る安心感は、誰よりも顕著にあったのかもしれない。
だが、今のケイトには、そんな安心感を覚える余裕すら許されなかった――背中に柔らかな衝撃を感じた瞬間から。
「ジェリコ、その……」
ケイトは戸惑いながら、旅仲間である青年の名を呼んだ。
腕は動かせない――それら全てを包み込むように、ジェリコが自分を抱き竦めている。
苦しさは感じないが、払い除けようとしてもその拘束は思いの外強く、またジェリコが動く気配もなかった。
「もう、か……?」
艶やかな髪に顔を埋めるジェリコに問いかける。
うなじのあたりに生温かい息がかかったような気がした。そして返ってくる短い答え。
「えぇ、我慢できません」
それを聞いたケイトに軽い衝撃がはしった。
――ケイトが知るジェリコという男は、礼節を弁えたどこまでも紳士的な人物だ。
モモメノはもとより、ケイトはこの拠点でドアノブに触れた経験がない。それは誰あろうジェリコが、出入りを目敏く見つけて先回りし、ドアを開いて待っているからだ。
ケイトが、自分には婦人への気遣いの類は不要だ、と何度言っても、ジェリコは困ったように笑うだけで、次にはまたドアに先回りしているのである。
同じように、食卓に着くときも女性陣の椅子を引いたり――モモメノとケイトがそのタイミングを同じくした時にはモモメノを優先するものの、それと同時に申し訳なさそうな顔をしている事も知っている。
そんな、王宮の執事に召抱えても問題なさそうな男が、「我慢できない」と言い切ったのだ。その衝撃たるや、魔物の攻撃で混乱したモモメノに鞭でシバかれるくらいのものがある。
その言葉の意味を裏付けるように、回された腕の力が強くなったような気がした。
「普段のお前からは、考えられない……」
力なく呟いたケイトの背後で、ジェリコは薄く笑った。
「普段の私、ですか」
可笑しそうに揺れる声が聞こえると、ケイトを抱き締める力が消え去り、代わりに彼女の身体はふわりと浮いていた。
花嫁を抱き上げるようにケイトを易々と抱え上げたジェリコは、そのままつかつかと食卓を横切り、寝室へと入っていく。
その足が向かうのは自分の寝台――自分の匂いが染み付いたその空間に、ジェリコはケイトを横たえた。
「せめて風呂に――」
「普段通りって仰いますけどね」
心の準備のための時間稼ぎを――遠まわしな小賢しいセリフを言おうとしたところで、ジェリコがそれを切って捨てる。
顔は相変わらず笑顔のままだったが、そこに抗い難い圧力が含まれている事に、ケイトは初めて気が付いた。
ジェリコは笑顔ひとつでケイトの自由を封じ込めて、続ける。
「ご存知ですか? 私は普段の態度で自分の本性を隠してるんですよ?」
身を起こそうとするケイトに覆い被さりながらも、ジェリコの独白は続く。
「本当の私は衝動的で、独占欲が強くて、目的の為には手段を選ばない、性根の腐りきった男です」
ケイトの頬に、男らしく大きな掌が添えられる。
熱い――すくなくともケイトにはそう感じられた。その掌に同調するように、ジェリコの言葉にも熱が入り始める。
「この肌に私以外の誰かが触れるなんて、考えたくもない。あなたに牙を向ける竜どもを、何度くびり殺してやろうと思ったことか」
「ジェ……」
何かを言おうとしたが、それはジェリコに唇を塞がれ、言葉になりきらなかった。
問答無用に女を黙らせる、荒々しい口付け。
最初は強くついばむだけだったそれも、ケイトが大人しくなると共に、深く重なりあい、やがて口内にその食指を伸ばし始めた。
じゅるじゅるとわざとらしい音をたてて唾液を啜り、また逆に自分の唾液を相手へ送り込む。舌先で歯列のひとつひとつを丹念に愛撫し、お預けをくらう舌には、時折思い出したかのように絡み付いて、からかうように焦らす。
息継ぎもそこそこに、彼女の口を貪る。一方的で容赦も加減もないその口付けは――ジェリコ自身が言う通りの、彼の本性を如実に表しているかのようだ。
時折、重なる唇の隙間から唾液が溢れ、ケイトの口まわりをずるずるに汚していくが、彼女はそんな事を気にしている余裕などなかった。
満足に息ができず、また苛烈な攻めもあって濁りだすケイトの意識。
普段はひとつの隙もない光を宿すケイトの瞳が徐々に蕩けだすのを見計らい、ジェリコは彼女の平服である白いセーターの裾に手をかけ、肌着のシャツごと一気にたくし上げてしまった。
まるで菓子の包み紙を剥ぐかのようにあっさりとした動き、その包装の下には――男にとっては菓子よりも甘美な代物が眠っていた。
――ぶるん、と……
擬音をつけるならそれ以上に適切なものはない。
そもそも何かで表現しようとすること自体が無粋に思えてくるような、極上の柔らかさを持つ肉の果実が、勢いあまってふるふると揺れる。
騎士として厳しく鍛えても決して女性らしさを失うことのない豊かな乳房が、ケイトの清廉さを表すかのような純白のブラに窮屈そうに収まっていた。
ちぅ……、と可愛らしい音で締めくくって互いの唇が離れる。
「あ、ジェリコ……」
唾液の橋がぷつりと切れるのを見るともなしに見ながら、ケイトは数分前からは考えられないほど甘ったるい声をあげた。
とろりと垂れ下がってしまった目と同様に、意識まで蕩けさせられてしまったのか、下着を晒す自分の痴態を気にかける余裕すら見受けられない。
「すご、すごかったぁ……キス、が…あんなに、いやらしいなんて」
そもそもケイトはキス自体が初めての経験だった。
恋に恋する、というほどではないが、誰にも明かしていない趣味の恋愛小説を読みふけって、そこに遠まわしな表現で書かれた「やらしい行為」を夢想するのが関の山だ。
キスは激しいものでも舌を触れ合わせるくらいで、愛しい異性と交わすそれはとても甘いもの――それが今までのケイトの認識だった。
一番甘いのはケイト自身の認識に他ならなかった。
激しさは頭がくらくらするほどの酸欠じみた気分にさせられ、『甘い』という点は事実だったのかもしれないが、そのレベルは段違い。
ケイトが身を以って体験したその甘さは、砂糖や果実のような甘さ、という表現が子供っぽく思えるような――例えるならばドロドロに煮詰めたシロップが近い。
要するに匂いをかいだだけでむせ返ってしまいそうな、ドロッドロでグッチャグチャの甘さだったのである。
丹念に丹念に、それこそ実際に十数分ほど費やして、ケイトの少女めいた幻想を打ち砕いたジェリコは、自分の唇をちろりと舐め回し、そして抜け抜けと普段通りの笑顔をケイトに向けた。
(意識がはっきりしない内に「剥いで」おきますかね……)
微妙に邪悪に笑ったジェリコは寝台の上に座りなおすと、投げ出した両脚の間に、ケイトの身体を捕らえるように抱き起こした。
「ジェリコぉ……」
切なげに睫を震わせるケイトの唇を、笑顔で再び塞ぎにかかる。
余韻を刺激するかのように、小鳥がついばむようなキスを繰り返しながら、ジェリコはケイトの背に回した手で、彼女の裸体を守る最後の砦を実にあっさりと崩落させた。
未練がましく纏わりつく紐を、腕を通して完全に取り剥がす。
「綺麗、ですね……」
素直な感想が口を割った。
普段は無骨な鎧に隠れ、日の光に晒されることのない、白い肌。ミルクを溶かし込んだかのようなそれは陶器にも例えられるほど美しい。
その瑞々しく豊かな丸みに反して、頂にある桃色の吸い口は、ぽつんと控えめに存在していた。
普段、厚手のセーターを押し上げるほど自己主張が強い乳房は、女性らしく魅力的な丸みと重量感を備えていたが、決して過度ないやらしさを感じさせなかった。
それは形云々の問題もあったが、一重にケイト自身の凛とした雰囲気が強くはたらいているからなのだろう。
だが、その魅力が健康的なものであったにせよ色香に溢れるものだったにせよ、ジェリコには全く関係のないことだった。
ジェリコが欲したのはケイト自身――たとえこれが魔乳だろうが貧乳だろうが適乳だろうが、彼自身の欲望には何の影響も与えなかったに違いない。
期待に身を震わせながら顔を下げたジェリコは、その豊かなふくらみを下から一気に、べろりと舐め上げた。
「ひぁ、ん……!」
舌に重たい抵抗感を感じつつ、持ち上げるようにして舐め上げる。
舌が撫ぜる位置が徐々に上がっていき、それが桃色の先端に触れるかどうかといった瞬間、ジェリコは素早く顔を引いた。
支えを失った彼女の乳房が、ゆさりと重たげに揺れる。
「あう、ぅ……」
熱いぬめりが乳房を這い回り――しかし、敏感な頂には触れずに引っ込められる。
経験は無いにせよ、その先の感覚に対する期待があった――ケイトが切なげに鳴いて視線を下ろすと、自身の乳房に顔を埋めてにこやかにこちらを見やるジェリコがいた。
「……!!」
あまりの気恥ずかしさに、できる限りの力を込めてジェリコを睨みつけるが、その顔の手前に自分の乳房が重たげに揺れていては、非難めいた視線も、滑稽にさえなってしまう。
「失礼、あまりにも可愛らしいので悪戯してしまいました」
ジェリコは顔がにやけそうになるのを堪えながら嘯き、みたびケイトの身体を抱え上げた。
ケイトが自分に背をもたれるような体勢にし、ついでのように味気ないズボンを彼女の脚からひっこ抜く。
ジェリコは、下に一枚を纏っただけの状態になったケイトを満足そうに抱き締め直した。
「あ、恥ずかし、い……」
また元の調子に戻って赤くなってしまった顔を両手で覆い、ケイトはいやいやと身をよじる。
「お前だって、嫌、だろう? こんな、ごつごつした、熊…みたいな、身体……」
「熊、ですか……」
腕の中で悲壮さを漂わせたセリフを反芻しながら、ジェリコは改めてケイトの裸体を眺め直した。
ごつごつした、熊のような身体――どう謙遜すればそんな表現が出てくるのか、疑問である。
剣術の鍛錬や度重なる行軍で引き締められたケイトの身体は、その影響での小さな青アザや擦過傷などはあったものの、むしろそれが無ければ存在自体が冗談であるかのように完璧だった。
無駄な肉など一切なく引き締まった、熊というよりは豹に近い、しなやかな体躯。
それを維持しながら、胸や尻はあらゆる女性が羨むほど、豊かながら整った肉付きをしており、黙っていれば彫像と言われても信じてしまいそうな造形美が完成していた。
だがジェリコは、「豹のようだ」と自分が抱いた感想とは少しばかり違った意向を口にした。
「熊はいけませんね、私が……兎に変えてさしあげます」
「うさ、ぎ……?」
自嘲気味に自分を罵ったケイトの頭上で疑問符がチークダンスを踊る。
兎とはまた――愛らしくはあるが、そんなイメージが自分にないのは、他ならぬケイト自身が一番自覚していた。
「わたしを、うさぎに……変える、のか………?」
訝りながらこちらを見つめ返すケイトに、ジェリコはサディスティックな笑顔をちらつかせながら答えた。
「えぇ、兎さん……季節構わず情欲を持て余して発情しっぱなしの可愛いケダモノに、ね……」
爽やかな笑顔から飛び出したエグいセリフに、ケイトはますます赤らめた顔を俯ける。
そのいじらしい仕草を見やったジェリコは満足げに微笑んで、彼女のへの侵略を再開した。
(もうちょい続くらしい)
投下終了です。ありがとうございました。
次の投下で頑張って完結させます。
寸止め(にもなりきってませんが)申し訳ありません。
それではまた後日、最後の投下をしにきます。
GJ!
とてもきれいな文章でドキドキです。
続きを期待しております。
GJオーダー
俺のケイトが……俺のケイトが……どんどんいやらしイケない子にっ!!
いいぞ、もっとやれ。
>256
大丈夫、イケる子になって帰ってくる
何このドSヒーラー、いいぞもっとやれ続きwktk
あとウチの一軍とほぼ同じ構成で参ったw
>>257 だれうま
ファロたんはノワリーにどんなおしおきされてるの!
みはぁりへぇいしが海賊に襲われて
「れぇいぷされているのれすぅ」
「ぜっちょぅをむぅかぇているのれひゅぅ」
「かぁいぞくがかれはぁてましたのでぇす」
な輪姦SSを
港町の道具屋のルシェに萌えた。
なんか依存っぽくて積極的な性格に萌えた。
誰か書いてくれないかなぁ‥‥。自分で書くしかないのか‥‥?
あの子は庇護欲をそそる。
そして君には大いに期待している
帝竜マダー?
デッドブラックたんを虐めたいんだけど
264 :
261:2009/03/16(月) 02:27:28 ID:GSkCaSCb
勢いで書いた。続き書けるかどうか分かりません。
◇エロ無しの短編です。
◇???×港町の空腹ルシェです。
それでも良いという方だけ、どうぞ。
265 :
261:2009/03/16(月) 02:29:18 ID:GSkCaSCb
「また…きてください…絶対に…!」
一体何度聞いたセリフだろうか? その言葉に含まれている意味は、とうに理解はしているものの、未だに自分の幼く未熟な心は揺さぶられる。
彼女の名前は聞いたことがない。だが、『港町の空腹ルシェ』と言えば大半の冒険者は分かるであろう。(これはおそらくではあるが語尾に『ニャ』と付ける宿屋のルシェよりも認知度は高いのではないのだろうかと思う)
道具屋を開いている彼女は行く人来る人に懇願の眼差しを向け、少しでも情が有ろうものなら、何も買わなければ彼女の潤んだ瞳に罪悪感を覚え、ついつい、いらぬ物まで買ってしまうのだ。
‥‥誤解しないでもらいたいがこの『マナ水』は必要だから買ったのだ。決して、決してあの娘に会うために着たわけではない。
話がずれたが、そんな彼女の姿は実はワザとではないかと疑う人もいる。気持ちは分かる。私も一瞬だが疑ったがその線は薄い。いや皆無だ。
私は『アイゼン皇国』で生まれ、貴族の跡継ぎとして育った。
だが、金や体面に執着する父母や、飢え苦しむ貧民街の現状を知り、自分の出来ることを見つける。或いは得るために冒険者の道を選んだ。
彼女の目はあの時、私が貧民街を初めて歩いた時に出会った子供の目と同じであった。間違いない。
無論、実験もした。ある日、『アゴート揚げ』や『はちみつうーろん』等を買って彼女に渡し、
「先日の礼だ。あげるよ」
と言ってみた。
(嘘は言っていない。以前、どうしても『パロメディ』が欲しくて、頼んでみたら後払いで一つくれたのだ)
すると一瞬目を丸くし、おずおずと「いいの?」と如何にも涎を垂らさんばかりの顔で俺をいや、『アゴート揚げ』を見つめながら聞いてきた。‥‥俺はアゴート揚げ以下か?
「当然だ。いいよ」と答えると嬉しそうに食べ始める。三人分の量は瞬く間になくなり、食べ終わった彼女は心底うれしそうな笑顔でこう言った。
「ごちそうさま〜えへへ」
不覚にも齢二十余でときめいてしまった。
それ以降、一週間に一回のペースでここに来ては、それこそ、北の『ネバンプレス帝国』に始まり、『カザン共和国』、『ミロス連邦国』、果ては『サイモン村』や我が故郷『アイゼン』の名物を彼女に持ってきてあげている。今度は南の国に行ってみようと思う。
266 :
261:2009/03/16(月) 02:30:06 ID:GSkCaSCb
だが、最近困ったことがあるのだ。どうも彼女の魅力に気付いたらしい馬鹿野郎がいるのだ。確か紫がかった色の髪をしたインテリらしき冒険者だった。近々告白するらしい。
さて、ここまで永く長い話をしたのは他でも無い。これだけ話せば俺が言いたいことが分かってくれたと思う。頼む。どうか俺に協力してくれ!
【クエスト『人の恋路を邪魔する奴は‥‥』が発生しました】
267 :
261:2009/03/16(月) 02:35:44 ID:GSkCaSCb
以上です。これで少しでも活気づいたら良いなぁと思います。
話は変わりますがナナドラ難しいですね。妄想したくても、レベル上げでいっぱいいっぱいですよ。
アイテルやら、王者の剣のユーリィやら、排他的なルシェやら何やら妄想したいですが話が進まないので出来ません。今はコレで精一杯ですよ‥‥orz
ではノシ
なんかね、適当に書いていたと思ったら、えらい設定が膨らんでしまいました。でも名前は考えてない。
異種姦、異種妊娠注意。
その名は
無限に広がる大海原…… 水平線の向こうに一体何が待つのか。 ハントマンならずとも、冒険心をくすぐられる光景を前に、
ギルド「セブンセンシズ」のメンバー四人は、
「どうしようか」
途方にくれていた。
「回復薬も無し、マナは尽き、体力も残りわずか……
ああ、一体どうしてこんな事に」
天を仰いで、両手をさしあげるように広げた姿勢が一枚の絵画のように絵になっている。
それもそのはず、彼女はミロスのとある高級官僚の一人娘でありながらハントマンとなった変り種だった。
後ろにたらした金のツインテールに真紅のドレスが、海の蒼に映える。
前から見れば露出の高い胸の辺りが、背をそらしたことによって大事な部分が見えそうで
見えない位置まではみ出しており、男性ならば前かがみならずには居られない光景だったが、
この場に男性は居ない。
彼女の父親が、ハントマンになるに当たって許可を出した理由の一つがそれだった。
「やっぱりマレアイアに行くなんて無茶だったんですよ……」
その後ろでは同じく金髪にツインテールの騎士が、膝を抱えて座り込んでいる。
海上での戦闘で前衛を勤める彼女は、あちこちに生傷を作り、髪も塩で固まっていた。
「だから嫌だっていったのよ! こんなところで死ぬなんて、間抜けすぎるわよ!」
腕を組んで立ち、そっぽを向いているのは青いポニーテールが印象的な娘だった。
背にかけられた矢立にもほとんど矢が残っていない。
「いやー、こりゃ参ったね」
最後の一人は獣人ルシェの少女。普段は柔らかそうな桃色の髪に大きな耳も、今はごわごわだった。
一見して人懐こそうな顔立ちは、苦笑している時もその印象を崩さない。
ただ、その顔に海水と一緒に血や、魔物の返り血が付いているのが今の窮状を表していた。
腰の後ろに佩いた大剣、フランベルジュこそが、強敵ひしめく紺碧の大海原にあって、この一行の生命線と言えた。
「どうするんですか、これから……」
騎士が半分涙目になりながら、誰にともなくつぶやく。
「んー。まだマレアイアまでは結構な距離が有るし、こりゃ引き返すしかないかな」
応えたのはルシェの少女。どうやらまとめ役は彼女らしい。
「はあ……プリンセス発祥の地、一度は見てみたいものですが……仕方がありませんね」
天を仰いでいた真紅の姫君も、振り返って話の輪に入る。
「次はちゃんと準備してから動きましょうよ」
溜息をつきながら立ち上がった騎士が、ふと見ると……ローグの少女は残り少ない矢をつがえ、
海に向かって構えていた。
「来たわよ! 数2!」
そしてまた、死闘が始まった。
それから、何度か魔物に襲われたものの、運良く一人の死者も出さずに
南海を抜ける事が出来たのは奇蹟と言えるだろう。
「いやあ、どうにかなるもんだね」
「日頃の行い、というものですか」
「ああ……陸が見えてきました……!」
「やれやれ……一時はどうなるかと思ったわよ」
皆が一様に安堵して、気を緩めるのもしょうがないといえるだろう。それほどに過酷な旅路だった。
そして、それがいけなかった。
しゅ、という空気を裂く音にルシェの少女が反応しかけた瞬間、その首筋に触手の影が伸びる。
(しまっ……)
た、という言葉すらも発する事ができない、これこそは内海名物触手の痺れ毒。
フランベルジュを得て、真っ先に狩って狩って駆りつくした魔物だった。
なんとか動く眼球で周りを探ると、四匹のローパーがそれぞれ一人ずつに襲い掛かり、
あっという間にしびれ毒が全員に回ってゆく。
(こんな、ことが……)
ありうるのだろうか。四匹の触手が狙い済ましたかのように四人全員にしびれ毒を注入するなんて。
だがそんなことを考えている場合ではない。一刻も早く剣を構え、ローパーを切り捨てなければ、
四人全員がお陀仏だ。
しびれ、感覚のない腕でフランベルジュを抜こうとする腕に、そうはさせまいとローパーの腕が絡みつく。
厚手の布地を貫いて、わきの下に毒針が差し込まれた。動脈に乗ってあっという間に毒が回り、握力がなくなる。
もはや立っている事すらも困難になり、膝をついてうつぶせに倒れこんでしまう。
(みんな、を……助けなきゃ……)
思う心はしかし、体から乖離してしまったかのようにおぼろげに散じてしまう。毒の量が多いのか、意識が定まらない。
ローパーはさらに首筋や脚に触手を伸ばし、少女を絡めとろうとした。
(死ぬ、の……ここで……)
恐怖心すら沸いてこない事がいいことなのかわるいことなのか……それすらも分からない。
これから自分はローパーに首といわず脚といわず、巻きつかれて全身の骨を砕かれながら食べられてしまうのだろう。
だが、意外にも全身に這った触手の感触は優しく、骨を折るどころか撫でる位の力しか出してはいない。
それに、自分が動かす時には感覚がないのに、触手の感触ははっきりと伝わってくる……
どうやら、唯一肌の見える首から、服の下へ入り込もうとしているようだ。だが、戦士がそんなに簡単に
肌を見せられるはずはない。色っぽい理由があるわけではなく、素肌に攻撃があたるととんでもなく痛いためだ。
動きづらそうにしながらも、ついに先端の毒針を引っ掛けて首元の服を持ち上げるという技までも使って服の中に進入してきた。
意外にもローパーの触手はぬるぬるとしていながらも滑らかな感触で、戦闘で火照った肌にはそのひんやりとした感触が心地よい。
一本が入るとそこにねじ込むようにして、二本目と三本目も入り込んできた。そして、
最初の一本はそのまま下腹部へ、そして残りは胸の膨らみに巻きつくようにしてとぐろを巻き始めた。
「はぁ……ん」
普段の彼女を知るものなら目を疑うほどに、「女」の仕草だった。
とろんと半開きになった目、そして口。胸に巻きつかれ、ぐにぐにと刺激されるだけで既に頬は紅潮し、
全身から力が抜けてしまっている。今の彼女は恐怖から解放され、初めての性感にうっとりと身をゆだねていた。
ズボンとショーツという障害を越えて、ついに秘所にたどり着いた触手が、波打つように秘裂の表面をなぶる。
触手の表面のぬめりに、すぐに少女自身のぬめりが交じり合い、くちゅくちゅと淫らな音を立てる。
ルシェの鋭い聴覚は、仲間の声ではなく自分の体が立てる淫らな音だけを拾い上げている。
「あっ、んあぁっ!」
クリトリスが弾かれ、ひときわ大きな嬌声を上げた。全身にしびれるような快感の波を感じ、
それと同時に強烈な疼きがじわじわと下腹部と胸と中心に後から後からわきあがってくる。
服の中でうごめく触手の動きが、むしろもどかしくなってきた。
(服……脱がないと……)
いつの間にか動くようになっていた両の腕を使って、ごそごそと金具を外し、鎧から脱ぎ捨てていく。
全部の金具を外した時点で、触手がうやうやしく鎧を持ち上げ、甲板にそっと下ろした。
後は簡単なもので、上着もズボンのベルトもするするとはずれ、あっという間に胸から下、膝から上が裸になった。
脚甲とガントレットは外すのももどかしいのでそのままだ。
触手の胴体部分に尻を乗せて、全身にくまなく触手が這ってゆく。内腿や腹、背筋に耳の穴の入り口付近など、
これまで想像もしていなかったような自分の性感帯を次々に暴かれて、ルシェの少女は耳にふさわしい、
盛りのついた獣のように鳴き声を上げながら、髪の桃色よりなお紅いその舌を、てらてらと唾液に輝かせ
口の外にだらしなく出していた。まるで舌なめずりをするように、触手を期待の眼差しでみつめながら……
そしてまた一筋、未だぴったりと閉じたままの性器から、尻の穴を伝って触手に愛液が滴る。
というような光景を尻目に、ローグの少女はその青い髪を振り乱しながら、束ねられた触手にヴァギナを貫かれていた。
その口には一本の触手が突っ込まれており、かなり太く広がっている。少女が荒い息をするたびに蠕動を繰り返すそれは、
麻痺毒で広がった気道を完全にふさぎ、ローパーの体内で生成された別の毒と空気を混ぜた気体を容赦なく少女の肺へ送り込む。
その結果として、両手を前に突き出した形で縛り上げられ、口をふさがれ、立ったまま触手の束に貫かれながらも
自ら腰を振り、足元に愛液の泉を作る少女、という構図が出来上がる。
普段からへその下までしかないズボンが足首まで下ろしてあり、完全には脚を広げる事が出来ず、がに股になって
腰を振るその様が、余計に淫靡な雰囲気をかもし出していた。
と、突然束ねられた触手が一気に引き抜かれ、その衝撃に思い切りのけぞり、白目をむきながら失禁する。
大きく開いたままの膣からぼたぼたと愛液が零れ、痙攣を繰り返す口からずるりと触手が引き抜かれる。
新鮮な空気を求めて肩を上下させ、もはや完全に露出した乳房もふるふると揺れていた。限界まで硬く勃起した乳首は、
触手の毒針に弄ばれて紅く充血していた。
脱力した身体を持ち上げられ、やはりローパーの胴体の上に乗せられる。だが先ほどの剣士の少女の時と違い、
その動きは荒々しく、胴体の一番上の部分も活発にうごめいている。
そして……
「がっ、ぎ、ぃいいいっ!?」
先ほどの触手の束によって、抜いた後でも子宮口が覗けるほどに開いていた膣口が、さらにこじ開けられていく。
ローパーの上部から現れたそれは、まさに生殖器だった。今までの触手など、まさに指先での愛撫に過ぎない。
少女自身の拳よりもさらに一回りは太い『男根』は、すさまじい衝撃を与えつつも、栓の壊れたように垂れ流される
愛液のすべりによって順調に奥へ奥へと飲み込まれてゆく。さらに幹の周りには細く短い触手がまばらに生えており、
自ら這うようにして少女の膣内へと侵入した。
途中からはもはや慣れてしまったのか、ローグの少女も力を緩め、自ら膣を開いて自身の一番奥へ生殖器を誘う。
ローパーに完全に腰掛ける体勢になると、にちゃりと粘液の音がした。
まだ縛られたままの腕を気にする素振りもなく、子供の木馬遊びのようにローパーごと前後に揺らす動きで、
極太の生殖器を貪欲にしゃぶりつくさんと膣を締め上げる。
前に後ろに、自分にかかった体重がほぼ生殖器と膣によって支えられる度絶頂し、得られる快感も深まってゆく。
むずがるように胸を気にすると、たちまち大きな胸の根元を絞り上げるように触手が締め付け、先端に向かって揉み解してゆく。
さらに乳首にまっすぐ毒針をつきたてると、ずぶりと深くまで沈めた。胸の内側に液体を注ぎ込むと、つぷ、と
しずかに引き抜く。血は一滴も垂れておらず、乳首にあいていたはずの穴も綺麗にふさがっていた。
すぐさま少女は、両の乳房が燃え上がってしまうのではないかと思うほどの熱さを感じる。
「あつっ、ん、ああああっ! いいッ! イクッ! イクぅーーッ!」
その熱さが半ば酩酊状態だった意識を覚醒させ、快感をも明確にさせた。
触手も限界が近いのか、その巨根を限界まで膨らませ、少女の膣内を余すことなく蹂躙している。
熱を持った胸に絡みついた触手は胸全体をもみほぐすように動き、少女を快感の渦へ叩き落す。
青い髪を振り乱しながら、もはや首が据わっていないうつろな表情で、それでも腰はローパーの動きに合わせて
しごき上げるように淫らに動く。その様は長年連れ添った夫婦の営みのように息が合っていて、
少女はいまや触手と一心同体とすらいえた。
先ほどの覚醒の反動か、快楽を貪る事に集中して、もはや人らしいあえぎ声もない。あ゛ーー、と言うような
音が形のいい唇から漏れるばかりだった。
生殖器が限界まで膨らみ射精の前兆を見せるのにあわせて、無意識に子宮口に先端を擦り付けるように深く腰を落とし、
円を描くような腰の振りに変える。
応えるように触手も胸を揉む動きから根元を搾り出す動きに変えた。
(あ……来る……)
射精を待つ心にも、もはや期待感しかない。じわり、と胸に滲み出してくるさらなる快感の予感も、
たぶん同時に来るだろうことも予測できた。
腰を振ることも止めて、ぴったりと子宮口に押し当て、膣の締め付けの緩急だけで『味わう』ことに専念する。
ぎゅむ、と一気に縮んだローパーが、同じ速度で戻ると……
脳髄まで貫くような衝撃と共に、精液がほとばしる。水のようにさらさらのそれは、性器の太さと量の多さをもって、
水圧によって子宮の中へと進入してゆく。その脈動、子宮にたまってゆく重み、そして、
ぷしゅああ、と音さえ聞こえそうな勢いをもって白濁した母乳が噴出する感覚。
全てが少女を、人の身には余るほどの快楽の高みへと押し上げてゆく。
後に「空高く飛んでいて、下には雲も見えた」と語る、絶頂中の絶頂の中……
少女は天使のように穏やかな微笑を浮かべ、意識を手放した。
崩れ落ちたローグの少女にさらに精液を注ぎ続ける触手と、
剣士の少女をひたすらに焦らして、前も後ろもぷっくりと充血させ、今は母乳を優しく搾りながら戯れている触手、
双方を眺めながら……
紅き姫君が、露出したローパーの性器を、胸の谷間と口全体でもって熱心にねぶっている。
傍らには、ヴァギナを避け、大股を開かされた格好でアナルをほじられているナイトの姿があった。
「んほぉっ! はひっ! もっと! もっとケツ穴ほじってくださいぃ!」
先ほど落ち込んでいた時とは別人かと思うほど表情は弛みきって、淫売そのものといった言葉で
触手相手に懇願している。
「うふふ……あなたは本当に可愛いわね。そんなに触手にしてもらうのが気持ちいい?」
「はひぃ! ぎもぢいいれすぅ! またイクッ! イクううううう!!」
絶頂と同時に小便を垂れ流し、愛液の水溜りと交じり合う。ナイトの少女のほうは、まだまだ収まらない
触手の責めに、先ほどと同じく腰を振ってかいがいしく応える。
ツインテールが鎧を叩くのもかまわず、一心不乱に触手をアナルでしごき上げる少女は、
外見的には全く肌を露出しては居ない。 ただ、ズボンの股間の部分がジッパーで開くように改造してあり、
そこから綺麗な尻と性器が惜しげもなく露出されている。
身も心も触手に捧げたように甘い声で叫び続ける彼女を横目に、姫はねっとりと触手のモノに舌を這わせる。
責めの手が弛んだのが不満だったのか、スカートの下から膣にも尻の穴にももぐりこんだ触手たちが、
ドリルのように螺旋を描いて胎の中を余すことなく揉み解してゆく。
その責めにもうっとりと目を細め、艶っぽい溜息をつく位で、かわいらしい催促、というほどにしか認識していない。
「ふふ……分かっていますわ。ただいま……」
ともすれば自身の首ほどもある太さの幹を、すっぽりと巨乳で挟み込み、両手で強く圧力を加える。
さらに思い切り開いた口が、極太のそれを飲み込んだ。両手で挟んだもので肉棒を手前に引き寄せ、
さらに首を突き出して、口内どころか食道まで使ってそれをしごき始めた。
高貴さ、そして清楚さすら感じさせる普段のたたずまいから、大口を開けた雄を喜ばせるための顔へ、
スイッチを切り替えるように変わっている。
根元を胸に、半分から上を口に、激しく愛撫されて、ローパーすらも震え、触手がだらりと力なく垂れ下がる。
だがヴァギナとアナルにくわえ込まれた触手だけは、垂れ下がる事すら許されず、さらに姫の体内での愛撫を受ける。
そして、姫の長い舌がローパーの精子が沸きあがってくるはずの道へねじ込まれると、ローパーがたまらず痙攣し、
一気に射精が導かれた。
噴出するその一瞬前に顔を引き、鈴口に口付けると、とてつもない勢いで吹き上がる精液をうっとりと目を細めて
飲み下してゆく。
びくんびくんという痙攣を、胸の圧力で押さえつけながら、むしろ胸で精液を搾り出すように上下動を止めない。
一分以上も続いた長い射精を、結局一滴も漏らさずにその胃袋に納めてしまう。
「ふう……おいしい。噂に聞いた珍味ローパーの精液、おなか一杯いただきました。
……出来れば彼女のように、子宮に注いでもらいたかったのですけれど」
ちらりとローグの少女を見やると、妊婦のようにぽっこりと下腹部が膨らんでいる。倒れた少女と触手はまだ結合しており、
ゆるゆるとした後戯を楽しんでいる。表情はボーっとしているものの既に意識は戻っているらしく、触手にいとおしげに
舌を這わせていた。
「まあ、それはこれからたっぷりいただきましょう。……噂どおり、とってもコクがあって美味しくて……
マナもたっぷり回復しましたから」
先ほどまでアゴがはずれているかと思うほどに大口を開いて性器をくわえ込んでいたとは思えない清楚な笑みを浮かべ、
少し指先を喉元に当てて調子を確かめると、
――皆さん、じっくりと楽しみましょうね
一瞬で場を支配した。ぎしり、とローパー四匹の動きが止まり、人の目にはわからないが恐らく姫に向かって正面に向き直る。
「んぅ……? だぁめ、やめないでぇ……」
剣士の少女は、まるっきり恋人に甘える口調で、股の間に突き出た性器をはさみ、いわゆる素股のようにたどたどしく腰を振る。
ローグの少女は無言のまま口に咥えた触手に舌をねっとりと絡め、抱きしめるように胸の間に挟んだ二本の触手の先端にほお擦りし、
膣の中で強烈な存在感を主張するいちもつをきゅ、きゅ、と締め上げ、触手に『奉仕』していた。
それら二組の『カップル』を、ほほえましげな視線で見やってから、
「あなた方はそのまま、各々で楽しんでいてくださいませ。後でご一緒しましょうね?」
こともなげに言ってのける。
二匹のローパーがまたうごめき始めた。心なしか、その動きに優しいものが混じったように見え、姫は笑みを深くした。
「さて……とっても素敵な協力者もできたことだし、あなたの開発も一気に進みますわね」
まるで世間話をするように気安く、絶頂を繰り返して今はぐったりしている自らの騎士に水を向けた。
後ろに手を回して紐を外しチャックを下ろし、真紅のドレスをぱさりと下に落とすように脱ぎ捨てる。
ここからが本番と言わんばかりに艶然と舌なめずりする、その下半身は、まるで魔物に寄生されたかのように
触手がのたくっている。何本もの触手がより合わさって前後両方の穴にもぐりこみ、触手の粘液ではない液体が
ぽたぽたと滴り、より怪しい輝きを放っていた。
その触手が姫の意を汲んだように一度抜け、なんとドレスを摘んで綺麗に折りたたんで脇に片付ける。
「姫様ぁ……こ、これ、凄すぎて……あたし、壊れちゃいま……ふやぁああっ!?」
体力を使い切ったのか、ほんの少し戻った理性の光を、姫の一瞥で動き始めたかのように触手が肉欲で塗りつぶす。
姫はドレスを脱ぎさって、肘まで覆う絹の手袋と、白のレースが美しいガーターベルトのみ。
そんな劣情をかきたてる格好で騎士に歩み寄り、彼女を責める触手を見つめた。
「あなたはこの子のお尻がお気に入りみたいだけれど……もっといろいろなところを試してはいかがかしら?」
その言に引きつる少女は無視して、
「まずは邪魔な鎧を取ってしまわないと……ねえ、これどうやったら外れるの? ローパーさんに説明してあげて?」
尻の穴を陵辱される事に使われていた全神経を、一気に素の状態に戻す発言だった。
「は? いや、その」
「いいから。 手順を説明しなさい」
主従である以上、命令とあらば従うほかない。
「ええと……まずは脇の内側にある留め金を……」
残り二人の嬌声が響く中、大海原の真ん中で、ローパーに鎧の脱がせてもらう、というシュールな光景が繰り広げられる。
意外にもローパーはスムーズに鎧を外し、金のポニーテールをもつ主従はそろってほぼ全裸となった。
「はい、よく出来ました♪ ……前からやってみたかったのよ。 ローパーさん。『この子のお小水が出る穴を気持ちよくしてあげて』」
不思議な響きを持つその声は、プリンセスという戦闘職を知る者なら常識の、『リクエスト』と呼ばれる発声法だ。
しかし、自分自身や仲間同士で攻撃しあう、位にしか使えないはずなのだが……どういうことか、完全に意のままに操っているように見える。
そんな疑問より先に、まず発言の内容が従者たる騎士の少女には引っかかった。
「お、おしょ……!? 姫様、そんな……」
「嫌、なんて言わないわよね? 彼、お上手だもの。きっと気持ちよくしてくれるわ」
姫の言葉に、少女はつばを……いや、よだれを飲み込んだ。未知の快感に対する恐怖と期待……そのどちらもが、
心の内側で『徹底的に犯しつくされたい』という欲求の燃料になっていく。
触手も、「信用しろ」といわんばかりにやんわりと子宮の裏側や尾てい骨のあたり……あっという間に暴かれた、
彼女の性感帯をなで上げ、性欲以外の感情がどろどろと溶けてゆく。
「……はい」
「聞こえないわ。いつもの、ちゃんとしたお願いをしなさい」
きっぱりと断言する間にも、騎士の少女の琥珀色の瞳からは理性の光が消えうせてゆく。
「ローパー様ぁ……、私の尿道も、お尻の穴も、オマンコも、全部全部犯し尽くしてくださいっ!」
雄に媚を売る以外には使いどころが一切無い、甘ったるい声でローパーに懇願する。
まってましたとばかり、ローパーは尿道の付近に毒針を突き刺し、強制的に弛緩させる。
そこへ触手がねじ込まれてゆく。弛緩したとはいえ相当にきついそこは、強い抵抗を持って触手を阻んだ。
「ぎっ……があぁあっ! 無理っ、こんなの無理ですぅ!」
さすがにこの激痛には耐えられないのか、涙を浮かべながら主に……あるいはローパーに懇願する。
「しょうがない子ね……ローパーさん。もう少しお薬を増やしてあげて」
今度は毒針そのものが尿道に挿入され、内部で麻痺毒を出す。さらに弛緩した尿道がずるずると触手を飲み込み、
ついに膀胱にまで達した。
限界まで股を開いた姿勢で尿道に触手を飲み込んでいる少女をうっとりと眺め、
そっと恥丘に手を伸ばした。
「なんでも、クリトリスにつながる神経がすぐ横に通っているそうですけど……」
ふっくらと普段以上に盛り上がっているそこを、横から包むようにぎゅ、と押さえつける。
「――――!!!!」
声にすらならない叫びを上げてのけぞる。痛みなどではない事は、小便のかわりに噴出する愛液の量が教えてくれた。
「まあ、とっても気持ちよさそう。後で私もお願いしようかしら」
冗談でもなんでもなく、自分が尿道を責められているところを想像して、愛液が一筋股間から滴る。
こりこりとクリトリスをいじってやって、
「では、このままじっくりと楽しんでいてください。くれぐれも傷はつけないように、お気をつけて」
ローパーは返答の変わりに、先ほどの姫のように外から尿道の中とクリトリスとを挟むように圧迫して、
少女のまっすぐなポニーテールを激しく波打たせた。
「うふふ。ごゆっくり。さ、私にもお願いしますね……?」
言いながら、自分のパートナーのローパーに歩み寄り、心を通わせるかのようにそっと目を閉じると、
一本の触手が滑らかに膣にもぐりこんだ。そして、一番奥までもぐりこむと、子宮口にその毒針を突きたてる。
自らの一番大事な器官を人外に許す背徳感に、さすがの姫も戦慄にも似た身震いを覚える。ただその戦慄も
これからする行為への期待感のスパイスに過ぎなかった。
何点かに分けて麻痺毒を打ち込んだ後、前戯代わり、そして毒を回すために子宮口を優しく揉み解してくれる。
それだけでも絶頂に達してしまいそうな快感を、これからの期待感で押さえ込んだ。
だが、ぐぷり、と肉の輪を通った感触が確かに感じられた時、さすがの姫も軽く絶頂してしまった。
慎重に子宮に進入した触手は、慣らしのために優しく優しく内壁を撫でる。
押さえようの無い神経の反射で姫の全身にぞわぞわと怖気が走り、次の瞬間にはそれを快感として捉えられるようになった。
「あ、はぁ……ひさし、ぶり、ですわ……こんな……っ」
人一倍に性交の楽しみを知っていると自負している姫君だが、かといって別に巨根でなければ達する事は出来ないとかそういうことは無い。
むしろ相手が平均よりずっと小さなものであろうと、きちんと手順を踏んで相手と同時に達する事をたしなみとしているくらいだ。
だが、性感に翻弄される、という経験など、初めての『あの人』以来ついぞ体験した事はなかった。
気絶するほどの絶頂の中にあってさえ、姫としての精神の柱が揺るぐ事はなかった。
それを……人外の、ローパーに子宮の内側を撫でられただけで揺さぶられている。
屈辱、と取るべきか。……いや、当然なのだ、という思いの方が強かった。
「ああ……撫でられるだけで、こんなにも身も心も震えるなんて……とっても素敵……」
自らの身体を浅く抱き、うっとりとそうつぶやく表情には一切の翳りは無い。人であろうが魔物であろうが、
雄と雌のまぐわいに種族の貴賎など無い、と言わんばかりの、すがすがしい、素直に肉欲を求める笑みだった。
姫としてはすぐにでも子宮まで繋がりたかったのだが、これにはローパーが渋った。さらに時間をかけて、
麻痺毒とは別の、崔淫剤とでも言うべき液体を子宮に撒き散らしてゆく。
「そう……体が丈夫になるのですか。私のことを心配してくださるのね? ありがとう……」
心に熱いものを感じ、先ほどまで握っていた、精神のタガを完全に外す事に決めた。
(『あの人』も踏み入る事のなかった女性の聖域を初めて許す殿方……ですものね)
素直に、生娘のように、感じるままに快感に身をゆだねよう。そうしたいと思える。
だんだん大胆に、ヌルヌルと子宮内壁を這う感触に、身を任せる。あっという間に性欲は膨れ上がり、
目の前の巨根から放たれる精で思い切り満たして欲しいという衝動が沸きあがってきた。
「ねえ……お願いします。もう……我慢できませんの……」
それでもその瞳は聡明な光を失わない。それこそがこの姫の本性なのかもしれなかった。
ゆっくりと触手が抜かれ、子宮から出るときにまた軽く絶頂した。これからこの感覚を何百回も味わうのかと思うと
胸の高鳴りを抑え切れない、という風に、胸に手をやる。
ローパーは縦に長く、生殖器は上部についている。そのため、挿入するには姫が自ら股を開いて、
腰を前に突き出すような体勢を取った。後ろから挿入してもらえばこんな体勢でなくてもいいのだが、
これから『愛し合う』男性と、向かい合ったまま繋がりたかった。
棍棒のように太く、ごつごつとしたそれが膣口にあたり、本当の生娘のように、ぴくり、と震えてしまう。
そんな自分がおかしくてかすかに笑いながら、じっくりと味わうように、ゆっくり腰を落としていく。
半ばまで埋まったところで、普段の一番奥に差し掛かった。姫はどんな大きさのものでも収められるよう、
深くなるように自身を『調教』しているが、我慢しきれないほど発情してしまった今、子宮がおりてきているようだった。
ここから、さらに腰を下ろす。
先ほどとは比較にならない太さが子宮口をこじ開け、一瞬意識が飛び、膝が落ちた。
ごりゅ、と体の中の衝撃が音として聞こえ、
「ああああああああっ!!!」
衝撃が声となって迸った。 のけぞって白い喉をさらし、両脚を痙攣させ、絶頂に潮を吹く。
生まれて初めての、性技もなにも無い、本能を揺さぶられるような至上の快楽。
貫かれた瞬間から、子宮に全神経が集中してしまったように、指一本動かす事が出来ない。
触手が四肢に絡みつき、姿勢を固定してくれる。もはや優美な微笑すら浮かべることが出来ない
力の抜けたその顔は、意外にもまだ幼さを感じさせる。代わりに、膣で彼を抱きしめる事で返礼とした。
胴体の収縮と、触手で釣った体の上昇が同時に行われ、やや乱暴に引き抜かれる。
「ぉおんっ!」
仔犬のような、動物じみた嬌声を反射的に上げる姫は、普通なら下品としか思えないようなだらしない表情を
浮かべていても、雌として凄絶な美しさを放っていた。
ローパーのほうも、最上の雌を前にもはや我慢が出来ないのか、子宮から引き抜くとすぐに折り返し、
もう一度子宮口をごりごりと蹂躙しながら進入する。
「あおぉっ!」
理性を完全に飛ばし、本能だけで吠えながらも、プリンセスの艶声はあくまでも美しかった。
いつのまにか全裸になって、ローパーの胴体を抱きしめているルシェの剣士、
精液に胎を膨らませ、羨むように熱い視線を向けるローグの少女、
自らの主が決して見せたことの無かった、本気の乱れ振りを目に焼き付けながら、尿道とクリトリスの責めに断続的に絶頂するナイトの少女、
苦楽を共にした仲間の熱い視線に見守られながら、一匹の雄と雌として、お互いに最高の快楽を与え合っている。
金髪の姫君は、涙も鼻水もよだれも全部流して顔中をぐしゃぐしゃにしながらも、見るものに感銘と……
そして劣情を湧き上がらせる、美しさを備えていた。
それから先のことは、もはや姫の記憶に無い。
激しい快楽の残滓が全身にたゆたっているのを感じるのみだった。
目が覚めて、まず最初にしたことといえば……
「っ!? 敵は!? 魔物は!?」
狂乱から覚めた各々が、襲撃に対する警戒心を強めることだった。
次に襲われれば全滅もありうる、という状況で、武具をうっちゃってサカっていたのだからまあ当然だろう。
しかし周囲には一切魔物の気配はなく、穏やかに凪いだ海が広がっているだけだ。
「心配要りません。この方たちがここにいる限り、新たな魔物は襲ってはこないそうですよ」
なんだかよく分からないが、魔物の中でそんな取り決めのようなものが出来ているらしい。
まあ本来の生息域を離れれば、ハントマンもローパーも外敵とみなされ、襲われる事になるが。
「この方々の精液でマナも取り戻しましたし、このまま中央海域を使って私たちの家に帰ることにいたしましょう」
「え? ちょっと待ってください、姫様。まさかその……彼ら、を、一緒につれて帰るんですか?」
素っ裸で、股間から『彼ら』の精液を滴らせながらではあるが、さすがに面食らったようにナイトの少女が言う。
「は、はいはい! あたしは……その、賛成かな」
腰が引け気味のその意見に即座に反応したのは、剣士の少女だった。抱き枕のようにローパーの胴体を抱きしめたままである。
「何? そいつに情が移っちゃった?」
からかう様にそう言いながらも、ローグの少女も自分の相手に寄り添うように座っている。
「えへへ……あのね、話し合って、決めたんだ。初めてはあたしの部屋で……って」
余人から見れば、気がふれたとしか思えない発言だったが、ここにいる四人と四匹の間では、
このシュールな内容にもすとんと納得できるような空気があった。
「まあ、初々しい」
「それだけですか……いや、もういいです」
呆れたように嘆息しながらも、振り返って『彼』を見る琥珀色の瞳には、既に肉欲の光が宿っている。
「ふふ。女性ばかりで男っ気が無いと思っていましたが……みんな、思わぬところですばらしいお相手とめぐり合えましたね」
それから。彼女たちの本拠地であるギルドハウスに帰還するまで、一度も襲撃を受けることはなかった。
一人が操舵を担当し、他の三人が交代で肉欲の宴に興じる……暇な時は、操舵をしながらも触手と戯れながら、
のんびりと船旅を続ける。船から嬌声が途絶える事が無いほどだった。
プロレマを横切り、さらに東へ。向こうにアイゼンの国土が広がる断崖絶壁の東大陸海岸線を眺めながら、
四人ともが子宮や胃袋を精液で満たしたりもした。
そして、彼女たちの本拠地……ほとんど知るものの無い、ドーン島が水平線にうっすらと見える、
山岳にシミのように小さく広がる平原、その小さな森の中のギルドハウスにたどり着く。
プロレマの生物学者が聞けば、不謹慎ながらも知的好奇心を押さえきれないだろう。彼女たちは、
ローパーの子供を何度も身篭った。
それは、時に人、時にローパーの形を取って生まれてきたが、そのほとんどは生まれてまもなく死亡した。
彼女たちは大いに悲しんだけれども、肉欲と……そして確かに芽生えていた愛に突き動かされ、何度もまぐわい、
そして子をなした。
剣士の少女は、『夫』への愛ゆえにギルドハウスに居残り、ハントマンを事実上廃業した。一番多く子を孕み、
そして肉体を『ローパーの妻』として愛を交し合った彼女にはしかし、終生丈夫な子宝には恵まれなかった。
過度の出産がたたり、体調を崩して死にいたるまで、その人懐こい笑みを絶やす事はなかった。
「あなたとの赤ちゃんを遺す事が出来なかったのは、残念だけれど……一緒に暮らせて、本当に幸せだったわ」
眠るように息を引き取った彼女と共に、その夫も何処ともなく姿を消した。
この異常な状況に違和感を覚え、離反したのは、意外にもローグの少女だった。
「ここに居たら私、本当にダメになりそうだから……ゴメンね。さよなら」
それから彼女は色々なギルドを渡り歩き、よき先達として活躍する事になる。しかし、
一度覚えてしまった魔性の快楽は忘れる事は出来ず……一番多種多様な『お相手』と経験したのも彼女だった。
ナイトの少女は、初めこそ少々の疑問を覚えていたものの、幸か不幸か、生来の優しい性格が影響して
『夫』との愛をはぐくむに至った。
もはや新たに人を招くのもはばかられるセブンセンシズの最後の二人として、東と西、両方の大陸をまたにかけ活躍した。
一仕事終えて帰ってきた彼女を夫が出迎えるたび、ルシェの少女との浮気を咎められていたという。
そんな彼女も、丈夫な子を産むことはなかった。ただ、ルシェの少女ほど頻繁に妊娠していたわけでもなく、
夫の老衰死を看取ることになる。
最後に、金髪に真紅のドレスの姫君は。
ローパーを夫とすることはなく、しかし『特別な殿方』として子をなす事にも応じた。
『あの人』の影を追い求め、世界中を駆けるも、結ばれる事はなかったらしい。
ローグの少女は多様な種族と交わったが、姫のほうは人間を含めれば相手にした数は一番だった。
ただあくまでも節度を持っていると主張する彼女は、何度かの妊娠の際、全て相手を特定できてはいた。
『あの人』に再開してからは、生まれた子供の教育のためギルドハウスに留まる期間が増えていった。
そんな中で、彼女もローパーとの子供を身篭る回数が増え……ついに、丈夫な子を授かった。姿はローパーだった。
一番子宝を望んでいた剣士の少女、そしてナイトの少女も、わが子のように可愛がり、また(元)ハントマンとして
自らの技をも教え込んだ。
時は流れ……さまざまな出来事を経て、今ではセブンセンシズのギルドハウスの痕跡すらも残っていない。
だが、不用意に訪れたハントマンは戦慄するだろう。ローパーとしては破格の強さを誇る強敵を前に。
その名は……
終わりです。どうしてこんな話になったのかまったくわかりません。全体の推敲とか全然してませんから
なんか整合性が取れないとかはほっといてください。意味不明な設定とかは流してください。
ああいうアレはやっぱりこういうことがあって存在するんじゃないかと思って、前半から強引につなげてみました。
最高だ
ナインテールGJ
>>265 続きが気になる…!
誰かこのクエストを書いてくれるといいなぁw
自分も妄想したくとも、先にクリアして
落ち着かないとorz
>>268 こういうのもいい!
鬱展開でぬくと賢者タイムで死にそうになるNE
なんと言う触手祭り
『ななドラのあのね』と言うタイトルをなぜか幻視したw
>>265 このクエストは受けたいな、是非とも受けたいぜ!
>>269-278 ラブラブエロエロでGJです、ナイスなご褒美です。
ローグさんはなんかもう複数本作れそうだNE!
『とある女騎士の休日』の完結部を投下します。書いててこんなに長くなるとは思ってませんでした。
前回に引き続き、「ねーよ」な方はタイトルでNGかスルーをお願いします。
ケイトが祖国で所属していた王国近衛騎士団は、やはり国の規模に比例したささやかなものだ。
ただでさえ男がほとんどのむさ苦しい騎士団にあって、ケイトの存在は際立ったものだと言えた。
その清廉な美貌もさることながら、内気なモモメノが自ら父に願い出て護衛騎士に召抱えるなど、やはり人を強く惹きつける何かを持っていた。
騎士の鑑と言える立ち居振る舞いや、弱きを助け強きを挫く正義感、そしてそれを振りかざすに足る力量を備えたケイトは、事実上、騎士団の要となる存在だった。
ケイトが騎士として頭角を現すにつれて民間人からの騎士団入隊希望者が増え、また在籍する女性騎士達はケイトを目標として、おろそかになりがちだった鍛錬にも真面目に取り組むようになった。
そんな、ケイトに憧れる国の人々は――今の彼女の姿など想像したこともなく、これから先にすることもないに違いない。
カザン共和国のとある屋敷の中、寝室で鎮座したベッドの上で、ケイトは秘所を覆う薄布一枚という刺激的な格好で、ひとりの男の腕の中に納まっていた。
恋する乙女のように顔を赤らめ目を蕩けさせ、しかし乙女というにはいささか悩ましく、ケイトは――
「ジェリコ、っ……ん、ふ……ぅ……」
色香の過ぎた香りを漂わせながら身体をよじらせていた。
そして、ケイトを弄ぶように愛するのは、彼女の旅仲間であるルシェ族の青年――ジェリコ。
ジェリコはケイトの背に密着し、艶やかな髪に幾度も口付けを降らせながら、彼女の胸元に寄せた掌を――触れることなく、ゆらゆらと宙空に彷徨わせていた。
「ん……んぅ……」
ケイトが先ほどから漏らす吐息が声になりきらないのも、この奇妙な「寸止め」が原因だった。
触れるか触れないか、空気の薄膜一枚を隔てた微妙な位置で、ジェリコの掌が蠢く。
まるでその悩ましいフォルムをなぞるような、触れそうで触れない遠まわしな愛撫。
その拷問まがいの薄い快感に耐えかねたのか、ケイトがじわりと涙目になりながら言葉を震わせた。
「ジェリコ、こんなの…やだぁ……」
「いやだ? どう嫌なんです?」
返ってくるのは、楽しげな問いかけのみ。目の前の治療士は「こういった状況」ではここまで変貌するのか、と軽いショックを受けながら、ケイトは泣く泣く自分の望みを吐露する。
「ちゃんと、ちゃんと……触って」
半泣きになりながら、ジェリコの掌に自分の手を重ねて、自分の乳房へと押さえつける――否、押さえつけようとした。
だが、腕に力を込めて踏ん張るジェリコの大きな掌はぴくりとも動かすことができなかった。
自分ではだめなのだ、ジェリコでないと――この大きくて温かい掌でないと、気持ち良くなんてなれない。
まるで幼子のように必死なケイトを見やるジェリコは、薄く笑いながら彼女の耳に口を寄せた。
「どこを触ってほしいんです?」
吐息交じりに耳元で囁かれ、ケイトは羞恥に打ちひしがれながら口を開く。
「わたしの、わたしのぉ……む――」
「胸っていうのはナシですよ。そんなムードもない言い方じゃ冷めちゃいます」
なけなしの勇気を振り絞った言葉さえ途中で切り捨てられ、ケイトの退路がなくなった。
胸じゃなければ――言葉自体に心当たりはあるが……それを言えというのか、幼稚だが直接的な、あの言葉を。
だが、言わなければジェリコは何時間でも、この拷問のような「寸止め」を続けるだろう。
この拷問から抜け出すため――という建前の下、快感を求める欲望に屈したケイトは、今にも泣き出しそうな震える声で、告げた。
「おっ、ぱい……」
してやったり――ジェリコは満足げに笑いながら、次の工程へと移る。
もう少し、もう少しで――苦労して積み上げた砂の城を自らの足で踏み崩すような、あの例えようもない快感が得られるのだ。
ジェリコは気持ちの昂ぶりを必死で抑えて、再びケイトの耳元で囁いた。
「おっぱい、おっぱいですか……」
わざと羞恥心を煽るように、いたぶるような楽しげな声色で――ケイトの耳朶をくすぐる、トドメの言葉。
「ケイトさんの――えっち」
「……っ!」
――ぽろり、と
ついに、ケイトの目尻から大粒の涙がこぼれ落ちた。それは頬を伝って、ジェリコの手にぽつりと落ち着く。
一度限界を超えてしまえば、涙は続けざまにぽろぽろとこぼれる続けた。
それに伴うかのように、ケイトが今まで羞恥で押さえ込んでいた感情が――ついに爆発した。
「いい……えっちで、いいから……はしたない女って思ってもいい、からぁ……」
しゃくり声で途切れ途切れに、しかし止めどなく、ケイトは自分の望みをぼろぼろと零す。
「もう、イジワルしないで、ちゃんと……気持ち良くして、ジェリコぉ……」
(あぁ、これで心置きなく――)
ジェリコは自分の身体が震えるような高揚感を、確かに感じ取っていた。
これでいい――理性だの建前だの、そんなものを全て取り払った丸裸のケイトこそが、ジェリコの欲したもの。
ケイトの震える肩を掴み、自分の方へ向き直させたジェリコは、普段のそれよりもいっそう温かく――春の日差しのように微笑んで、ケイトに情熱的なキスを降らせた。
◆ ◆
「あぁ……ジェリコ、すごいの、すごいの……」
宵闇が支配し始めた空の下、灯りも点っていない屋敷の暗闇に、ケイトの甘い泣き声が響き渡る。
その合間にはピチャピチャと淫猥な水音が添えられており、屋敷に充満する性の香りを強めていた。
ジェリコは、その引き締まった左腕をベッドとケイトの背の間に差し入れて細い腰を抱き、その豊かな双丘を思うさま愛していた。
唇と同様にジェリコのキスを待ちわびた桃色の突起に、さんざん待たせた償いをするかのような熱烈な口付けを施していくと、その度にケイトは肩をわななかせて、切なく鳴く。
「あん…やぁ……っ!」
唾液でべっとりと濡らし、それを拭うように舌先でこね回し、痺れるほど強く噛んだかと思えば、ちぅ…と優しく吸い上げて――
ケイトもすっかり身体の固さがなくなり、素直に快感を受け止めていた。花の蕾のような唇を割って響く声も、蜜のように甘く蕩けている。
――だが、
「ひぁ、あ……あぁ、ん……っ!」
彼女の声に含まれる艶は、いくら期待に染まっていたとはいえ、あまりにも濃さが過ぎた。
何故か――それは、ジェリコが彼女も気付かないほどあっさりと、かつ自然に、空いた右手で未開の花園を開拓し始めていたからからだった。
文字通り「最後の砦」となった白い薄布も既に取り払われ、今やケイトは完全に生まれたままの姿となっていた。
誰にも晒されることのなかったデリケートな場所に手をあてがい、陰核をぐりぐりと押しつぶしながら、残りの指で秘唇をなぞる。
まだ、どの男も受け入れた事のないその場所は、しかしすぐ後に踏み入るであろう男の熱を想い、とろとろと愛液を吐き出しながら薄く開いていた。
(……(たぶん)処女なのにコレですか、随分と想像力が豊かなようだ)
軽くこじ開けるように、指を少しだけ侵入させてみると、うねってその指にしゃぶりつき、熱烈な歓迎を見せるケイトの「オンナ」。
しかし同時に、抗いがたい緊張があるのか、肩も硬直させてしまっている。
不用意に時間をかけるのは逆効果と踏んだジェリコは、ねぶり回していた乳首を一際強く吸い上げ、引っ張り上げるように口を離した。
「ぁあ……!」
ちゅぽん、と気の抜けた音がして、ケイトの豊かな乳肉がタプタプと弾んだ。
ジェリコの愛撫にいちいち可愛らしい反応を見せるケイト――その姿がまたジェリコの加虐心をゆさぶる。
だが、ジェリコはそれを辛うじて抑え込んで彼女の両脚に割って入ると、腰にまわるベルトの留め金に手をかけた――出番を待ち望んだものが、解放される。
臍につかんばかりに反り返った、長大で荒々しい肉の幹が、肌着ごと引きずり下ろされたズボンの内から現れた。
それをもろに直視したケイトは言葉を失いながら息を――そして、僅かに湧き出した唾を飲み込んだ。
窮屈な拘束から放たれた赤黒いそれは、熱く蕩けた女の柔肉を欲し、びくびくと猛り狂っている。
「す、ご……ぃ……」
遠い記憶――無邪気に外を飛び回っていた幼い頃、父と一緒に風呂に入った時に見た父のそれは、幼心にも強烈なインパクトを残していた。
だが……、とケイトは身を震わせる。今、目の前で張り詰めるそれは、そんな幼いころに定着した潜在意識下のインパクトさえ容易に粉砕する、凶悪な代物だ。
その肉の凶器の切っ先をケイトの割れ目に押し付け、ジェリコは彼女の顔を真っ直ぐに見つめた。
その表情は笑みではなく、この屋敷までの道中で彼女を欲した時の、真摯に引き締まったもの。
「いきますよ」
よく通る声で告げられた、確認の言葉――それで我に返ったケイトは焦るように、咄嗟に言葉を返す。
「あ、あの……ジェリコ――!」
「なんです?」
真顔で返事をされ、ケイトは言葉に窮してしまった。
きまりの悪そうに視線を泳がせる顔は羞恥と快楽によってほんのりと赤くそまっており、その口が紡ぐべき言葉はなかなか出てこない。
少しばかりの間、脚をもじもじ手をもじもじ肩をクネクネと一人ダンスを披露していたケイトだったが、意を決し――た、と思ったらまた視線を外す。
律儀に待つジェリコが少々ジト目になってきたところで、ケイトはようやく何かを決心したかのように、ガチガチに緊張していた身体の力を抜いた。
胸の前で手をもじもじと合わせ、顔をこれ以上ないくらい真っ赤に染めて、上目遣いで――
「初めてだから、その――優しく、な………?」
――ガッシャーン、っとな。
そんな音が立ったかどうかは分からないが、少なくとも表面上は表情を変えることなく頷いたジェリコの理性は、大きな打撃を受けて木っ端微塵に砕け散っていた。
己のポーカーフェイスの才能を全力で褒め称えながらも、内なるジェリコはボタボタと赤い液体を垂れ流す鼻を押さえながら悶えていた。
普段は一点の隙もない高潔な女騎士が、純愛系エロ小説のテンプレートじみた言動を素でやらかしたのだ。これを見て揺らがない男はゲ●かイ●ポくらいのものだろう。
(ああああぁぁぁ、そんなギャップを見せられたら我慢できるわけがくぁwせdrftgyふじこlp;)
今すぐにも叫びだしたい衝動を抑え、ジェリコは(表面上だけは)優しく微笑み、ケイトに応えた。
「もちろんです。でも――最初だけは加減しません。最初の痛みは、私があなたを女にする大事な証なんですから、忘れさせませんよ」
一息に言い終えたジェリコは、これまで抑えこんできた自分の欲望を全て解き放ち――ケイトの処女を奪った。
「あ、あああああああああーーーーーっ!」
いくつもの感情が混ざり合った、大きな心のうねりを伴う悲痛な声が、屋敷の薄暗闇に満ちていく。
身体的には完成していても、刺激される事がなかったゆえにきつく閉じたままだったケイトの膣は、侵入してきた熱い肉塊を強く締め付ける。
それは拒絶によるものではなく――自分自身を強くジェリコのものに擦りつけて奥へ奥へと煽動するような動き。
長らく待ちわび、ようやく会えた愛する者への抱擁に似た、熱烈な歓迎だった。
だが、文字通り身を裂かれるような痛みに塗れるケイトに、それを感じ取る余裕はない。
一気に奥まで突き入れられたジェリコのペニスはあまりにも大きく、痛くて苦しくて、それでも、その痛みを待ちわびていた自分もいる。
苦しい、愛おしい、狂おしい――色々な感情がぐるぐると混ざり合って、それは大粒の涙になってぽろぽろと零れ落ちた。
「いたいよ、いたいよぉ……っ!」
ケイトは目をきつく閉じて痛みに耐え、助けを求めて腕を宙に彷徨わせる。
その様を見やり、ジェリコはクッションに沈んでいた彼女の上半身を抱き起こし、背から回した手で彼女の後頭部を押さえるようにして強く抱き締めた。
「ケイトさん、あなたの純潔を奪って、その痛みを与えたのは私です、この私ですよ」
ジェリコは一言一言を区切って、ケイトに聞こえるようはっきりと告げる。
その肩に頭を預け、ケイトは泣きじゃくりながら何度も何度も頷いた。
「分かりましたね? 忘れませんね?」
「うん、うん……!」
必死に返事をしながらジェリコにしがみ付くケイトは、腹を圧迫するような苦しさに耐えかねたかのように仰け反り、彼の背中に爪を食い込ませた。
ジェリコは背中にピリピリとした痛みを感じながら、それを呑み込まんばかりの快楽を下腹に感じ取っていた。
――情けないが、あまり保ちそうにない。自分の理性がなくなる前に……
ケイトの艶やかな髪を慈しむように撫でていた手を下ろし、ジェリコは静かに片手で印を切った。
「それなら――もう、辛くて痛い時間は…終わりです」
あやすように囁いたジェリコは、規律正しい印で大気中のマナを集めたその手で、ケイトの腹――臍の下あたりを、優しく撫でた。
「あ、ぅ……?」
痛みに溺れていたケイトは、自分に触れるジェリコの掌からにじみ出る温かな感覚に気が付いた。それはじわりと体内に染み込んでいき、膣の中の痛みを徐々に取り払っていく。
ジェリコの手に収束した治癒のマナが、ケイトの体内に染み込んで細胞を賦活させ、痛みを取り除いているのだ。勿論、所有の証となるのだから、処女膜の再生などの無粋はない。
じくじくとした痛みが、母の腕の中のような優しい温かさに包まれて消え去ると、頑なに強張っていたケイトの身体の力が抜けていく。
「もう、痛くありませんか?」
頬を伝った涙の跡を拭い去りながら尋ねるジェリコに、ケイトはようやく、笑顔で頷くことができた。
「よかった……。それでは、もう我慢しませんよ」
言いながら、ジェリコはケイトのしなやかな身体を抱き直すと、一度だけ、激しく彼女を突き上げた。
「ぁあんっ!」
ケイトの唇から漏れ出した声は、彼女が見知らぬ誰かのもののように甘く蕩けきっていた。体内に打ち込まれた鈍い感覚に、ケイトは白い喉を晒して仰け反った。
「これでようやく――」
ジェリコの、喉から絞り上げるような声が響き――そこでようやく、ケイトはジェリコにも理性を保つ余裕がないのだと理解した。
「もう、手順も儀式もいらない………あなたを悦ばせて、めちゃくちゃにしたい」
迷いもなく自分の全てを欲するジェリコを目の前にして、ケイトの胸を得体の知れぬ燻りが焼いた。それは、海の潮が満ちるようにじわりじわりと全身に広がっていく。
ケイトは衝動のままに、ジェリコの唇にむしゃぶりついた。
自らの意思で舌を差し込み、ただ求めるがままにジェリコの口内を舐めまわし、粘膜を啜る。
ひとしきり堪能した後に離れたケイトの顔は、ひどく淫靡になっていた。口のまわりは唾液にまみれ、瞳は媚薬でも飲まされたかのように蕩け、呼吸が荒い。
ジェリコの欲望の炎が、じりじりとちっぽけな理性を燃やし尽くそうとする中で、ケイトは一言だけ告げた。
「………きて」
――それが、トドメ。
一匹の獣となり果てたジェリコは無造作にケイトを押し倒し、がむしゃらに腰を叩きつけはじめた。
屋敷に再び、ケイトの大きな声が響き渡る――ただし、先ほどのものと同じ人物とは思えない、艶と幸福感を孕んだ声で。
それから後の二人は、まさにつがいの獣だった。
手も足も指まで絡め合い、互いの口を貪りながら腰を振りたくる。
「あぁ、は、ぁんっ……じぇりこ……! そこぉ、そこ、すごいよぉ……!」
普段の理知的な姿など見る影もないジェリコの荒々しい攻めを受けながら、ケイトはうっとりと顔をゆるめて鳴き続ける。
すらりとした長い脚は彼の腰に絡みつき、もっと奥へと誘うように抱き締めており――ジェリコもそれに応じるように、攻めを苛烈にしていく。
「ケイト、ケイト……!」
ジェリコもまた、普段から身に纏う理知的な紳士という仮面を脱ぎ捨て、本能が促すままにケイトを求め、ケイトに自分を与える。
幾度も幾度も彼女の膣をえぐり、子宮口を小突いて、マーキングをするように膣内に射精し――それでもまだ足りない、とばかりに腰をふり、舌を絡めあう。
向かい合っての交わりを堪能すれば、今度は獣のように交わり犯し合った。
四つん這いになったケイトの背にのしかかり、思うさま腰を叩きつける。
獣のような体勢で犯されるケイトは、その背徳感や羞恥も手伝い、さらに身体を仰け反らせ、存分に乱れた。
重たげに揺れる乳房をこねるように揉みしだき、ケイトの耳に、首筋に、肩に、跡をつけるように口付けていく。
「じぇりこ、すき、だいすきぃっ! もっと、してぇ……ぁ、はぁっ……いっぱい、いっぱいぃ……っ!」
身体を支える両腕が力を失い、突っ伏したような体勢になっても、ケイトはジェリコを求め、ジェリコもそれに応えた。
完全に理性を失ったジェリコは、射精している途中も休まず腰を振りつづけて、ケイトを限界以上の絶頂に押し上げる。
「ぁ……ふぁっ、いくぅ……いくいく、いっくぅぅぅぅぅう!」
僅かな時間にオンナとしての性の悦びを覚えたケイトは、何度もそれを味わい、はしたなく貪り尽くして、幾度も身を震わせ絶頂に達した。
「しゅごい、おなかぁ……ちゃぷちゃぷって、あ、ぁんっ……またっ、いぐぅぅぅっ!」
――時計が八つ鳴る頃には、ケイトは汗と精液と愛液に塗れ、身体に力を入れることができなくなっていた。
それでも膣はジェリコを求め、己の膣内を抉り続ける肉棒に絡みつき、優しく愛撫する。
「……しゅき、じぇりこ……しゅき……だいしゅきぃ……」
――時計が九つ鳴る頃には、ケイトはとりとめの無い求愛の言葉を垂れ流し続けながら、それでもジェリコを求めていた。
ジェリコもまた荒い息をつくのみで、言葉を発することもなく、それでも腰の動きを止めることはなかった。
「んぉううぅっ! あひっ、ん、んお゛っォォ……あぁあ゛あ゛あ゛あぁぁ……!」
――時計が十鳴る頃には、ケイトは既に言葉を発する理性を失い、白目を剥いて舌を突き出し、獣のように喘いでいた。
無駄な肉など一切存在しない腹は、内側に放たれたジェリコの精液のみでぽっこりと膨らんでいる。
「ケイ、ト……あい、して……いるん、だ……」
朦朧とした意識の中で、ジェリコは呟く。
最後の方はほとんど記憶がない。疲れ果てた身体は、のろのろと前後運動を繰り返すのみ。
「か、は……っ」
びくりと身体を震わせ、ジェリコはケイトの中へ精を放った。
「……っ!」
喘ぐ声も枯れ果てたケイトだったが、それでも身体に注ぎ込まれる熱を感じ取り、ぴくりぴくりと身体を震わせる。
ジェリコが何度目とも知れぬ射精をし、同時にケイトが何度目とも知れぬ絶頂を迎える――それを皮切りに、ついに二人は同時に意識を手放し、柔らかなベッドに沈み込んだ。
汗と涙と唾液と精液と愛液と――あらゆるものに塗れながら、疲れ果てた二人はそれを拭うこともできず、深い眠りに落ちていく。
寝息で僅かに上下する二人の身体――その場には、むせ返りそうなほど濃い性臭が渦巻くのみ。
二人の熱だけで上昇しきった屋敷の室温が冷めるには、かなりの時間がかかりそうだった。
――そして、
夢の世界へ旅立った二人が当然気付くことはなかったのだが――二人が眠る屋敷のドアは薄く半開きになっており、その隙間から室内の様子を見やる二つの瞳。
「な、なぁ……モモメノ………………(ごくっ)」
「ん、なに………ヤック………(ぽっ)」
大人達のスんゲェ見本を何時間にも渡って見せ付けられた少年少女が、今まさに危険極まりないゴールインをしようとしていた。
(やっとこさ終わり)
投下終了です。ありがとうございました。
書いてる途中で何かを間違えた気がします。多分気のせいじゃありません。
ところで作品が増えてきてますね。いいぞもっとやれ
それではまた後日、別の作品が書けたら投下しにきます。
お疲れ様でした!
次の作品もアリエッタと一緒に読ませてもらいます。
アリエッタの顔が真っ赤になってるのが可愛い。
ごちそうさま。たいへんおいしゅうございました。
さぁ次はヤック×モモメノですね、わかります。
ジェリコの兄さんテクニシャンすぎだケイトかわいいよケイトGJ
……ふぅ。
……堪能した。
いやしかし、なんと凄いえろえろ……
本当にエロ過ぎ、なのにとても綺麗な文章で、かつちょっとしたユーモア、くだけた感じも含んでいて……
素晴らしいです。ありがとうございました。GJ
セブンスドラゴンは、様々な想像(妄想)力が膨らむ、良いゲームソフトだと思う
このスレのジェリコさんは、女慣れしたむっつりスケベばっかりか!
レズ風俗店の豊富なマレアイアとか夢が広がるな
302 :
261:2009/03/17(火) 14:04:16 ID:/FmDRS2M
以下の注意事項をまずは見て下さい。
◇???(脳内補完で)×港町の空腹ルシェ
◇エロ無し。短いです
◇ちょっとしたネタバレアリ(ハノイに会った方はOKです)
ではどうぞ
303 :
261:2009/03/17(火) 14:05:36 ID:/FmDRS2M
【恋する男】
「君達‥‥受けてくれるのか‥‥!
いや、すまない。こんな変なクエストを受けてくれるとは思わなかったんでな」
「報酬の1000Gは本当だ。前払いで500G渡しても良い」
【リーダーはその提案をやんわり断った】
「何? 必要ない? そうか、そうだな。君達の噂は聞いている。東大陸の帝竜を二頭も倒したそうじゃないか。更に様々なクエストをクリアしていると聞く。信用しよう」
【依頼人は椅子から立ち上がり、出口に向かう】
「依頼内容を話すにあたっては確認事項がある。ちょっと宿屋までついてきてくれ」
◇◇◇
「彼女こそ、僕のラヴを受け取ってくれるはずだ! あの無垢なる笑顔の何て素敵なことだろうか! あぁ‥‥罪深い人だ!」
【隣の部屋から聞き耳を立てないまでもハッキリと聞こえるであろう、大声で叫んでいる男を、コッソリとドアから見ている五人】
「見えるか? あれが先日言った馬鹿野郎だ。あのままだと近い内に絶対告白するだろう。依頼はそれを阻止して欲しいんだ。
非人道的以外なら何でも良い。とにかく、何としてもアイツを食い止めてくれ」
【依頼人はそう言うと何故か壁の方へ静かに体を向けた】
「‥‥俺にだって、本当はこんな事をしなくてもとっとと俺が告白すれば良いって事ぐらい分かっている。
だが、俺はやっと、彼女の知人というポジションになる事が出来たんだ。それを失いたくない事は君達にも分かってくれると思う。
だが、今度会った時、俺は告白する!
俺も男だ。彼女の優しさにつけ込んでダラダラと先延ばしにするよりも、当たって砕かれて! サッパリとしてやる!」
【依頼人は静かにこちらへと視線を戻す】
「期間は一週間後の午前。次の土産話をするためにここに戻ってくる。それまで抑えていてくれ。頼んだぞ!
アイゼンまで俺は一旦戻る。それまで抑えていてくれよ! では!」
◇◇◇
一日目
「さて、準備は整った! いざ、行かん! 僕のラヴを伝えるためにぃいい!」
【グィ】
「え?」
【ビターン!】
「ぐはぁ!? な、何だ? 何で僕は転んだんだ? ぐっ‥‥こんな泥だらけの格好じゃ僕のラヴの全てを伝えられないじゃないか‥‥仕方ない、今日は諦めよう‥‥だが、明日こそ必ず! 僕のラヴを! あの方にぃいい!」
304 :
261:2009/03/17(火) 14:10:02 ID:/FmDRS2M
二日目
「さぁ、今日こそ僕のラヴの全てを渡す! 待っててくれ‥‥僕のディスティニーぃい!」
【先回りして】
「何か‥‥買って下さい‥‥え‥‥? 私に‥‥用がある‥‥?」
【|>はい】【いいえ】
「分かりました‥‥宿屋に向かいましょう‥‥後‥‥すいませんが‥‥」
【? という様子で彼女を見る】
「食べ物を‥‥持ってませんか‥‥?」
【しばらくして‥‥】
「こんにちは。今日は貴女にお伝えしたいことがってあれ? いない‥‥どこいったんだろう‥‥はっ! さては僕のラヴをみんなの前で受けるのが恥ずかしさ故に逃げてしまったんだな! 待っててくれ! 今行くよ! 僕のディスティニーぃい!」
【この後も息のあった四人により、何とか交わし続け、時は約束の日となった】
(いやだって本当に一週間もこんな事書いてたら身が持たなうわ何する止めr)
一週間後
「ど、どうなった!?」
【ここ最近の現状を話す】
「そうか‥‥ありがとう。こんな願いを聞いてくれて‥‥俺は今から彼女に会いに行く。見たいんだったら見ても良い。君達には見る義務は無いが権利はあるからな」
【男は覚悟した顔付きになった】
「‥‥では、また会おう!」
【男はゆっくりと威厳溢れる姿で歩いていった。見ますか?】
【はい】【いいえ】
305 :
261:2009/03/17(火) 14:18:23 ID:/FmDRS2M
以上です。最後の選択肢はまぁ、ノリです。見たくない人は心のAボタンで【いいえ】を。見たい人は同じく心のAボタンで【はい】を。
そうそう、一つ、皆さんに頼みたいことがあるのですが‥‥。
今どうしても、『排他的ルシェ』が他民族(出来ればアイゼン)の男にベタボレする話を読みたいんです。どうか、誰か受けてくれませんでしょうか?
ここら辺に貼っときますよ。ではノシ
【クエスト『彼女を開放的にしてくれ』が発生しました】
イア【いいえ】
積み重ねるべきを積み重ねた依頼主のラヴはきっと成就するに違いない
しかし、スーパーメロウタイムの人はほっときゃ自滅するんだがなw
排他的ルシェって確か例のイベントの後いなくなってたよね…
まさかエメルの陰謀の犠牲に…
陰毛と聞いて
例のイベント後、町からいなくなっているのを確認…なんということだ…
311 :
261:2009/03/17(火) 17:47:50 ID:/FmDRS2M
‥‥え?
>>311 まぁ待て。ここはアレだ
むしろ誰かに惚れてどっかにいったと妄想すればいい
かなり後半までのネタバレを前提にしたものを書いた(5部構成のうち1部)んですが
どこかパスワードつきのうpろだにUPするほうがいいですかね?
さすがにこの時期にネタバレ投下はちょっと憚られるものが。
ネタバレ注意の警告してから投下すれば問題無し。
NGとかもできるし。
どうなんだろうね?
ネタバレ注意と書いておけば良いとは思うけど…
読みたい人がここにひとり。
ネタバレありとつけときゃいいんじゃまいか
ゲームを全然進めていない者ですが、「ネタバレ注意」って書いといてもらえれば
今は回避して後でじっくり読ませてもらいます。
txtにしてくれると助かるとは思うが、専ろだとか無いからなあ
やりやすい方法でやっておくれ
319 :
イカルガ:2009/03/18(水) 00:55:23 ID:d47zzsJW
思いっきりネタバレシリーズです。
斑鳩とななどらのネタかぶせです。
NG指定は「イカルガ」でお願いします。
今後もシリーズは「イカルガ」で統一しますので、ネタバレ回避の場合は、ゲームクリアまでNG指定お願いします。
簡単なキャラ紹介を先に。
シンラ:ナイト(男) 男の詳しい外見なんてどーでもいいですよね?
カガリ:白ヒーラー(女) 脳内で衣装を黒ワンピに変換してください。
ヴァイス:白ローグ あれはきっと男装の女性
シュヴァルツ:黒ローグ あれはきっと(ry
明日のこれくらいの時間から投下開始します。
(以下本編・前置き)
我、生きずして死すこと無し。
理想の器、満つらざるとも屈せず。
これ、後悔と共に死すこと無し。
320 :
イカルガ:2009/03/18(水) 00:58:12 ID:d47zzsJW
割り込みなど気にせず、↓以下、職人さまの投下などよろしくお願いします。
なんで混ぜるのがよりにもよってそれなんだ!ww
……とか思ったが『前作』の方でもっと頭のおかしいコラボSSがあったなww
『前作』も、ななドラも色んな意味で、創作の幅が広いよね。
サイモン村のボクッ子が幼馴染にゼンダメンマを作ってあげようと
筍を取りにいくが何故かローパー形スライムがいて
という所まで考えたが私には構成力がなす
あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
俺はエロSSを書いていて、詰まったので息抜きにナナドラをやったら、
いつのまにかワールドマップのフロワロが輪ゴムの周りと飛空挺が必要な場所を除いてなくなっていた……
な、何を(ry)
なにやってんだよ俺…ドレッドノート倒せばストーリー進むだろ……
324 :
イカルガ:2009/03/18(水) 23:32:10 ID:d47zzsJW
エロなし(猥談程度)、ネタバレ満載(本編クリア後推奨)です。
以下Chapter1を投下、3レスお借りします。
登場キャラクタは
>>319を参照してください。
325 :
イカルガ:2009/03/18(水) 23:34:00 ID:d47zzsJW
chapter1: [理想 ideal]
「大丈夫……いつかきっと、分かり合える日が来る」
「そして遠い未来へ、命は受け継がれるから……」
俺は汗だくになって跳ね起きる。いつもの夢だ。あの手術を受けてからこの
かた、毎晩のように見る、あの夢。分かり合える? 馬鹿馬鹿しい。この戦い
は、俺たちと奴らの生存競争だ。人間がいままさに市場へと運ばれていく牛に
憐憫を感じるのは、その牛よりも自分のほうが絶対的に立場が上であり、牛の
運命のすべてを自分が握っていると確信しているからだ。牛と人間の立場が対
等であれば、そこには勝利感と達成感以外には存在し得ない。ましてや、分か
り合うなど。
「Activation confirmed. おはようございます、シンラ」
いつもどおり、まるで感情のこもらない「おはようございます」が投げかけ
られる。
「いま何時だ、シュヴァルツ?」
「+1762.3、現地における24時間表記では0506です」
「朝か。ヴァイスと、カガリはどうしてる」
「ヴァイスは警戒斥候中。0515帰投予定、現時点での任務成功率は99.76%。
カガリ女史は就寝休養中。ramp指数に基づく戦闘活動効率の規定値を維持す
るconscienceの回復まで、期待値で3042.5秒」
「あと2時間は寝かせてやってくれ。それから、コーヒーを頼む」
「了解。睡眠増強剤放出まで5秒。放出完了しました。ついては、提案なので
すが」
「分かってるよ」。いつものお説教だ。俺はシュヴァルツから熱い缶コーヒー
を受け取りつつ、思わずうんざりした声を出してしまう。
「この2,592,000秒での統計ですが、シンラとカガリ女史が休息前に性交渉を
行うほうが、カガリ女史の回復率に112.6%の向上が見られます。シンラも101.6%
の効率向上が確認されました。以上のデータに基づき、operation controlとし
て毎休息前3482秒以内での性交渉を推奨します」
寝起きの缶コーヒーを飲んでいた俺は、思わずむせ返った。
「あ、あああアホか。そんなに毎晩毎晩もたねえっつーの」。しかも時間指定
つきかよ。3482秒……1時間弱? いやいやいやいや、違うぞ、何か問題が違
う。こいつらと話してると、どうも感覚が狂う。
「そのようなものなのですか? 平均的な成人男子のデータをもとに計算した
のですが」
「あのなあ」。そこで俺は違和感の原因に行き当たった。「まず、何より、だ。
嫁入り前の娘が、性交渉を推奨だの何だの、そんな言葉を淀みなく口にするな
っての」
「その指摘と、任務効率との間には、有効な相関が認められな」
「いいから俺の話を聞け。俺のメンタルを管理するのも、お前らの任務のはず
だな? 俺は、実際の中身がどうであれ、年端もいかない小娘相手に、スイー
ツなシモネタで盛り上がりたくはないんだ。オーケー?」
「了解しました、シンラの言語処理野に効率低下を確認。今後、慎みます」
「遠まわしに馬鹿にされた気分だ」
「いえ、直接馬鹿にしました」
「おま」
「ヴァイスが帰投。0515をもって警戒斥候に出ます。ご武運を」
ツッコミを入れる隙もなく、シュヴァルツが薄明の森へと姿を消す。圧倒的
な質と量を誇る敵ですら、彼らを見つけるのは至難の技だ。俺の目で探して見
つかるはずもない。俺は缶コーヒーの残りを確認しながら、近くの切り株の上
に腰を下ろし、何とはなしにため息をついた。
まったく、タケハヤも同じ思いをしてるんだろうか。あのアイテルって女も、
どこかシュヴァルツやヴァイスに似たところがある。エメル総指揮官とアイテ
ルを中心としたチームが造り上げたハイブリッド戦闘生命体なのだから、性格
が似ているのはある程度まで予想できるが。
326 :
イカルガ:2009/03/18(水) 23:38:23 ID:d47zzsJW
俺たちは、地球に侵攻してきた異星生命体である「竜」との戦いにおける切
り札として生産された、人造兵士だ。とはいっても、ベースはあくまで人間だ
し、俺自身、普通の人間として育ってきた記憶はある。偽造記憶である可能性
は否定しないが、そこを疑っても仕方ないだろう。偽だろうが、本物だろうが、
俺の記憶は俺のものだ。人造兵士であろうがなかろうが、俺は俺であるように。
この人造兵士の第一号になったのが、いまや人類戦士の二つ名で呼ばれるよ
うになったタケハヤ。彼は竜の遺伝子を体内に取り込むことで、文字通り人間
を超越した。その代償は大きかったが、彼が踏み出した一歩によって、押され
っぱなしだった人類は巻き返しを始めている。
俺はタケハヤと同じ、第一世代の人造兵士に相当する。俺にも竜の遺伝子が
投入されているが、タケハヤのような大御所クラスの竜ではない。俺は人類が
なし得る限界程度であれば容易に超越できるし、そこらの竜に遅れをとること
もあり得ないが、本当にヤバイどころが相手となるとタイマンは到底不可能だ。
だからこそのチームだが。
カガリは、第二世代の人造兵士になる。第一世代での数多くの失敗をもとに
理論化された生産工程によって、彼女らの世代は高い生存率と適応率を見せて
いる。身体にかかる負担も低いようで、潜在的には俺よりもタフだ。ただ、微
妙な差とはいえ爆発力に欠ける。
ヴァイスとシュヴァルツは、第三世代――あるいは、完全に新世代の戦闘生
命体だ。第一世代・第二世代で得た教訓をもとに、人間のもつ生物としての弱
点を補うように、野生生物の遺伝子が配合されている。生存率と適合率はきわ
めて高く、自己繁殖も可能とあって、戦争が超長期戦になった場合における決
定力として期待されている。
しかしまあ、いくら野生生物の遺伝子を配合したからって、猫耳娘が量産さ
れるってのはどういう理屈なんだろうか。お偉さん方は、文化統計的に見て親
しみやすい外見を構築することで、既存の人類種からの忌避反応を低減させる
必要があったとか何とか言っていて、実際に彼・彼女らが登場するプロモ映像
は熱狂的なファンはついている。憑いている、に近いくらいに。
ヴァイスはその手のプロモ映像の収録に参加したこともあるそうで、綺麗に
化粧して水着を着た写真を見せられたことがある。戦車とは男性の性的願望を
具現化した兵器であり、それゆえに陸戦の主力となり得たのだと論じた軍事科
学者が大昔にいたそうだが、してみるとその議論はそこまで完璧には間違って
いないということか。アホらしいことこの上ないが、そのアホらしさを大真面目に
追求して大金まで投じてしまえるのがエメル総指揮官の総指揮官たる所以かも
しれない。
彼女は、信じられないくらい、既存の価値観や習慣に固執しない。自分は人
間ではないと言わんばかりに。その果断さが、人類の生存を維持してきた。
ともあれ、いずれの世代にしても、普通の人間たちや、あるいはエメル総指
揮官にとってみれば、俺たちは鉄砲玉以上の何かではない。俺たちは、人間で
ある以前に、武器なのだ。
けれど俺たちにとってみれば、それはなんら語るべき問題ではない。武器で
あろうが何だろうが、俺たちは俺たちの命を生きている。だから、俺たちはた
だの武器ではない。武器は死なない。俺たちは死ぬ。死ぬために、俺たちは生
きる。生きねばならない。
もしかしたら、俺たちの戦いは無為に終わるかもしれない。俺たちの夢も、
理想も、中途で破れるかもしれない。だが、それならばそれでいい。理想が実
現されなかったからといって、理想そのものが朽ちるわけではない。俺たちが
死ぬことによって生きる、そのことで、理想は誰かの手に委ねられるだろう。
だから、俺たちに悔いはない。生きている今も。死ぬその寸前にも。
327 :
イカルガ:2009/03/18(水) 23:42:07 ID:d47zzsJW
「シュヴァルツから入電。敵の偵察部隊を発見したとのこと。現状では0717に
コンタクトします。誤差プラスマイナス15%」
「カガリが起きる前に接敵する可能性は?」
「16%強。無視できる数字ではありません。1時間以内の活性化を提案します」
「寝起き悪いんだよなあ、あいつ。仕方ない。最低活動保障のラインで起こし
てくれ」
「了解。1726.8秒後、およそ30分で覚醒パルスを発信します」
「シュヴァルツには敵部隊のトレースを続けさせろ。ヴァイス、戻ったすぐで
すまないが、もういちど斥候に。他の部隊がいないか、確認を急げ」
「アイ・サー。シンラはどうします?」
「俺は、とりあえずコーヒーを飲み終えることにする」
「了解。では、ご武運を」
ヴァイスが音もなく走り去っていった。俺は手元の缶コーヒーを一息であお
ると、タバコを取り出して火をつける。何を悠長なことをと言われそうだが、
チームの一人が動けない状態でバタバタあがいても仕方ない。
黒いシンプルなワンピースに身を包んだカガリは、ハンモックの上で静かな
寝息をたてている。戦場にいるという緊張感は、まったく感じられない。でも
それは、俺たち全員に言えることだ。正直、任務を達成して本部に戻り、そこ
でマスコミのフラッシュを浴びてマイクを突きつけられるときのほうが、よほ
ど緊張する。
俺は半分ずり落ちていた彼女の毛布をかけなおしてやる。30分に満たないと
はいえ、少しでもちゃんと眠らせてやったほうがいい。彼女が目覚めたら、野
営を畳んで戦闘の準備を進めねばならない。だがそれまでの間、彼女の寝顔を
見守る時間があってもいいだろう。秒で数えるような時間だとしても。
無意識のうちに、ため息が出た。俺はタバコを地面でもみ消すと、武器の点
検を始めることにする。
装備をひととおり点検して、野営の片付けに手を付け始めた頃、カガリが目
を覚ました。ハンモックの上でしばらく虚ろな目をしていたが、俺が戦闘準備
をしていることに気がつくと、のそりとハンモックから降りる。
「おはよう。だいたい30分くらい前、シュヴァルツが敵の偵察部隊を発見した。
現在もトレース中。ヴァイスは周辺の索敵。ヴァイス、報告を」
「異常ありません。敵偵察部隊は単体での行動であると判断します」
インカムからヴァイスの落ち着いた声が聞こえる。シュヴァルツと違って、
ヴァイスはわりとファジーな報告をよこす。緊急時にはありがたい。
「わかった、シュヴァルツに合流しろ。ランデブーポイントの予測は?」
「46-85です。野営地から23分前後」
「了解、油断するなよ。シュヴァルツ、敵のデータを送ってくれ」
インカムのマイクをオフにする。カガリはまだぼんやりしていた。俺は焚き
火をかき回して、地面に埋まっている缶コーヒーを掘り起こすと、カガリに投
げてよこす。
「ありがと。こんなもの、どこにあったの?」
「ここから30分くらい歩いたところにあるコンビニの自販機で買ってきたそう
だ。ヴァイスが手に入れた」
「コンビニ? 自販機? そんなものがまだあるの?」
「ここはそういう場所ってことだ」
カガリはちみちみとコーヒーを啜っている。
「コインを入れて、ボタンを押したら、熱いコーヒーが出てくる。これだって
ひとつの理想よね。敵は、やっぱり、人間?」
「多分な」
「イヤになるわ」
カガリは一息でコーヒーの残りを飲み干すと、荷物をまとめ始めた。俺は焚
き火を消し、自分の荷物を背嚢に放り込む。
「敵の装備確認。通常装備の歩兵1個小隊です。対竜装備は確認できず」
インカムからシュヴァルツの声が聞こえる。
「了解、46-85で待ち伏せを仕掛ける。俺たちも移動を開始する。武運を」
「ご武運を」
今日も長い一日になりそうだ。俺たちは背嚢を背負いなおすと、山道を歩き
始めた。
328 :
イカルガ:2009/03/18(水) 23:43:57 ID:d47zzsJW
以上です。chapter2は連休中にでも。筆が乗れば連休前にUPできると思います。
本格的なエロはどう計算しても3〜4章です。本当に(ry
グッジョブ!!
セティスとシャンドラの百合が止まりません、誰か助けて
どこら辺がネタかぶせなのかよく分からん
そもそも斑鳩が分からない。面白いけど
>>269-278 シナリオがそこまで進んでやっとSSのタイトル(?)の意味がわかった、なるほどね
タケハヤ・・・タケハヤ・・・
と、うわごとのように繰り返すアイテルさんレイプSSまだ?
233です。
・若サムライ×ルシェメイジ…の超前半のみです。ぶっちゃけまだサムライしか出ません。
・エロも無いうえ、短いです。携帯なので改行とかも変かも。
それでも良いと言う方だけ、どうぞ。駄目な方はスルーお願いします。
登場人物
ソウマ 若サムライ。一応貴族。主人公。
ソウマ父 おっさんサムライ。一応貴族。
334 :
233:2009/03/20(金) 16:41:59 ID:WXVyIZWF
「やっと着いたな!」
「はい、父上!」
私の名前はソウマ。
アイゼン皇国出身の新人ハントマンだ。
父と共に、このハントマンの聖地、カザンにやって来た。目的は勿論、
「さぁ、早速ドラゴン共を一匹残らず狩り尽くすのだ!」
「はい、父上!」
ハントマンの存在意義とも言える、ドラゴンの殲滅だ。
ただ厳密に言うと、私と父はハントマンになった目的が微妙に異なる。
父は『帝竜』なる上位のドラゴンを打ち倒し、名声を得るために。
そして私は、世界の平和のために。……偽善者と呼ばれても構わない。
我が祖国の王、他の貴族達は言う。『ドラゴン程度で慌てるな。我が国は安全だ』と。
確かにアイゼンの騎士団は強いし、現に何度か防衛に成功している。しかし、他国はどうか?
ここに来るまでに、一面にフロワロが咲き乱れ、滅びた村や町を何度も目にした。
(今でこそ人が賑わうこのカザンの町でさえも、3年前に一度滅びている)
滅びた村や町。死んで逝く沢山の人々。残された者の悲しみ、絶望……
それを黙って見ていることなど出来る筈がない。
この世界で、私は無力でちっぽけな存在だ。
それこそ、今この瞬間竜が飛来してきたら、為す術なく食われてしまうかもしれない。
しかし、それでも、何もせずにただ世界の崩壊を眺めるよりは数段有意義だ。
貴族の生活…惰性の安息よりも、私は勇ましい死を選ぼう。
それがサムライの生き様だ。
おいおい、アイテルさん関係はネタバレ注意だぜ・・・
それに俺にはそんな可哀想なことできない・・・!
「おい、聞いておるのか?。早く建物に入るぞ」
「は…はい、父上!」
考え事をしていてつい父の話を聞きそびれてしまった。
しかし、おそらくこの正面の建物がギルド登録を行う場所なのだろう。
しかし…ギルドか…
私の職業はサムライ。父の職業もサムライだ。残りのメンバー枠は二つである。
実に情けない話だが、我々サムライは…その…なんだ…紙装甲だ。だって上半身裸だもの。
別に露出狂ではない。サムライの武器、刀を扱うために素早い動きが要されるためだ。
とにかく、油断すれば私達は一撃昇天しかねない。残りのメンバーはやはり援護型が望ましい。
ナイトがガード、そして私がアタック…傷を負った場合の回復…ヒーラーも必須だな…
侍侍騎癒…なかなかお目にかかれないギルドになりそうだな…
「うむ。これからよろしく頼むぞ」
「きへへ…早く竜を斬り刻みてぇ…」
「ふしゅー…ふしゅー…ふごぁあ…」
「ちょっと待ったぁー!!!」
室内に私の絶叫が響きわたる。…失礼、他のハントマンの方々。
しかしこれが叫ばずにいられるだろうか?
私が熟孝している間に、父があっさりメンバーを決めてしまったのだ!しかも…
「父上!なんで残りの二人もサムライなんですか!」
そう、メンバーが侍侍侍侍になってしまったのだ!しかも二人とも父そっくりの顔である!
「何か問題あるか?」
大ありですよ。こんな脳味噌筋肉なメンバーはあり得ませんって。
しかも片方は「斬らせろ〜」とか呟いているし、もう一方も鼻息が異常に荒い。
どう考えても危険だ!絶対に犯罪者のたぐいである。
「父上…流石にこのメンバーでは…回復魔法を
「回復ぅ?魔法ぅ?そんなものは軟弱者が使うものだ!
いいかっ!我々サムライの説明文をよくみろ!我々は最高の攻撃力を持っているのだぞっ!
一撃で敵を両断すれば回復の必要も無し!敵が少々固かろうが、圧倒的攻撃力の前では無意味!
我々サムライは最も優れた種、最強の職業!それが四人!これぞ至高にして究極のギルド!
我がギルドの前では全てが塵芥も同然!つまり…
(省略されました。続きを読むには侍侍侍侍で冒険してください)
よしきた、侍4人連れてきたぞ。
しかし最強武器は1人しかもてないという現実を告げるべきか……
とまぁ、これが僅か5時間前の出来事である。
結局私は、父に押しきられて侍侍侍侍の珍妙なメンバーで森の竜退治をする羽目になった。
そして現在、私は……
最期の時を迎えようとしていた。
何故私達じゃないのかって?
父も、あの危険なサムライ二人も、もう既にこの世にいないからだ……
三人が死に至った理由を話そう。
まず共通理由。カザンに刀が売られていなかったこと。これが致命傷だった。
我々サムライの最高の攻撃力、それは刀に大きく依存している。
はっきり言うと、サムライは刀がないと、真価を発揮できないのだ。
刀マスタリーにSP全振りした父は、その恩恵を受けることなく、食われた……
次に、やたら斬りたがっていたサムライだが、彼は居合の構えをとった直後、食われた……
(我々は基本構えなければ技が使えない。その時点で敵の先制を許す事になった)
そして、やたら鼻息の荒かったサムライは、マナ水とナマ水を間違えて、即死した……
今は亡き父上、死者をけなすのはサムライの美徳に反するが、一言言わせてください。
「あなたが死んだのは自業自得だ!」
幸いにも私は無手の心得があり、こうしてなんとか生き延びたが……
最早体力精神力共に残り僅か。回復アイテムも脱出アイテムもない。
(アイテムなぞつかってんじゃねぇ!と父に全て踏み砕かれた)
血を流し過ぎたのか、目が霞む。サムライ道とは、死ぬことと
くきゅ〜……きゅぎゅる〜……
……なんとも情けない。今わの際に腹を鳴らすとは。だが実際空腹だから仕方がない……
せめて死ぬ前に……おにぎりが食べたかった。そう、真っ白で、ちょうどあんな三角形の……
……おにぎり?
幻覚か?私の前方に、真っ白で、三角形のおにぎりがあった。しかも二つ。
あぁ!だがしかし!もう幻覚でも構わぬ!あのおにぎりを食べてから!死ぬ!
いただきます!
「……ん」
なんだか変わったおにぎりだな。ふかふかしていてとても心地好い……
「ふ……ぁ…ぅ…」
妙だな?おにぎりから声が聞こえた。カザン周辺のおにぎりは喋るのだろうか?
……
…………
………………
「うおわああああああああ!!?」
森に本日二度目となる絶叫が響きわたる。
だがこれが叫ばずにいられようか?
私がおにぎりだと思って頬張ったモノ……それは
白くて、三角形で、ふわふわな、
耳!
そう、耳!その正体は倒れていたルシェの少女の耳だった!私は馬鹿か!?
いや、今はそれは置いておこう……
見たところ、このルシェの少女は足に怪我を負っている。
こんな所に放置なぞしたら、即、ドラゴンや魔物の餌食だ。
私一人ならばこの場で死を選んだものを…!こんな少女がいるとなると話が変わってくる。
どうしたものか……
A なんとか森を脱出し、このルシェの少女を近隣の町に送る。
B もう脱出無理。せめて死ぬ前に気持いいことしたい。
C とりあえずルシェの少女の怪我の応急処置をする。
D まだ幻覚が見えているフリをして、耳の感触を楽しむ。
E サムライらしく、死ぬと決めたからにはこの場で死ぬ。
とりあえずここまでです。
この後の展開は↓の人に選んでもらいたいとおもいます。では
わりこみすまんかった・・・
てか父上退場早すぎるよw
ここは紳士らしくAだ!
親父wwwwアホだwwwww
俺もAがいい。
本能がDを所望しているが、話の流れとしてAが読みたい
手持ちのもので何ができるかはともかく、苦しんでいる女子供を放っておくわけにはいかんだろう
俺はCを選ぶ。町に送り届けるのはその後でいいだろう
どうも。たった今、確認が取れました。いませんね。いませんったら、いませんね。
‥‥orz
立ち直りました。ですが、ちょっと、精神力にダメージが強かったです。すいませんが、小説の方は遅れそうです。
ですが、幾らか出来たので投稿します。注意事項は前回と同じで。では。
【|>はい】【いいえ】
「いらしゃいませ‥‥あ‥‥お久しぶり」
「あぁ、久しぶり‥‥元気だったか?」
彼女――名を知らない彼にとっては彼女としか言いようがない為、彼女は『彼女』である――は、彼――くどいようだが、名を知らない彼女にとっては彼としか言いようがない為、彼は『彼』である――を見つけると、少しだけ、口元を緩ませた。
「うん‥‥それで‥‥」
「あぁ、ちゃんと持ってきたよ。今、とり出すからさ」
「‥‥うん」
彼女は彼の言葉に少し目線を残念そうに下げる。その表情に彼は気付き、自分が何かしてしまったのだろうかと不安になった。
「どうか‥‥したか? もしかして、朝ご飯食べたばっかりだったとか?」
その言葉に彼女は少し驚いたいや、反射して普段では絶対出さない大声を出す。
「う、ううん! あの、そうじゃなくて! あ‥‥その‥‥何でも、無い‥‥」
そんな彼女の様子に彼は少し、苦笑いして、「‥‥そうか」と呟く。
「食べたくないなら貰ってくれるだけでも良い。コレは俺が勝手にやっていることだからな」
彼の言葉に彼女は何か言いたそうに顔を上げたが、何も言わずにゆっくりと頷いた。
「‥‥ところで、その、最近何かあったか?」
「‥‥?」
「いや、何かいつもより元気が無いみたいだからさ」
他の客がいたら「この子はいつも元気がないよ」と言うだろう。
だが、長い事彼女の色々な表情を見てきた彼にとってみればいつもと違う事は大体分かるのだ。
「何も、無かったけど‥‥」
「そうか、ならいいんだ。っと、忘れてた。ほら、今日はアイゼンの『まんじゅう』というヤツだ」
「!」
彼が取り出した『まんじゅう』という甘い匂いをした食べ物に頭上の耳をピーンと伸ばし、目はキラキラと輝き、口からは今にもよだれが垂れそうである。これで犬の尻尾が有ればちぎれんばかりに振るうだろう。
「今日はあまり、客も来ないみたいだし、後でその、一緒に‥‥食べないか?」
恥ずかしがりながらの彼からの提案に少し意外だなと驚いたものの、すぐに彼女は首を縦に振った。
「! そ、そうか。えと、その、長旅をして直ぐに来たから汚いだろうし、体、洗ってくるよ。じゃあ、お昼にまた!」
「え? ‥‥あ、あの」
本当は体は洗ってから来たのだが余りにものプレッシャーに彼は焦り、彼女が呼んでいるにも関わらず、凄い勢いで店を出ていった。
「‥‥えへへ」
誰もいなくなった店で彼女は幸せそうに笑う。『まんじゅう』が美味しそうだと言うこともあるが、彼女にとってそれは二番目でしかない。
(嬉しい‥‥でも‥‥ズルいなぁ‥‥私)
【ギィ‥‥】
そこまで考えて、店のやや古い木の扉が開く音を聞いて彼女は――こんな締まりの無い顔を誰かに見られるわけにはいかないのだ――身を引き締めた。
そこにいた人物は冒険者にしてはやや小綺麗な姿から察するに、おそらくメイジだろう。そしてその手には可憐な花が沢山――それこそ、手に持てるかどうかというぐらいの量の花があった。
そしてその人物は歯がキラッと光らんばかりの笑顔をした。
◇◇◇
「逃げちゃ駄目だ‥‥逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ!」
彼はブツブツと宿屋の裏で自分自身に言い聞かせるように呟やいている。
そんな純情な彼を四人は暖かく見守っていたのだが、そろそろ約束の昼だ。じれったくなった一人が、石ころを勢いよく彼の背中に投げつける。
「逃げちゃだっ!? 〜〜っ! だ、誰だ! 今、俺に向かって何かした奴は!」
叫ぶものの当然誰も何も言わない。
「ったく‥‥ってあぁ! もう昼頃じゃないか! くそっ! こうなったら腹をくくるしか‥‥!」
彼はようやく店へと向かった。それを追いかける四人。水をくむ女性はそれを面白そうに見ていた。
◇◇◇
彼は店の前で立ち往生していた。その顔はさながら帝竜に初めて出会った冒険者のようだった。
(腹をくくれ! 今日こそ‥‥今日こそ告白するんだ! 彼らの協力を無駄にはしないためにも‥‥! よし、行くぞ!)「よぅ、待たせた「あぁ君のなんたる美しいことか! それこそ、他の娘に比べたら月とすっぽん! 君こそこの世で最も美しい!」
彼は凍った。迂闊だったのだ。約束は今日の午前まで。午後にあいつが来る可能性をすっかり忘れていた。彼はそのまま何もできずにただ突っ立っていた。
「あの‥‥」
「あぁ‥‥何も言わなくても結構です! 貴女のその顔を見れば全て分かります! あぁ、貴女は罪深い人だ。そんなに私を困らせないで下さい」
言ってることが支離滅裂だ。だが彼には何もできなかった。その男は続ける。
「きっと貴女は恥ずかしがっているのでしょう! こんな衆目の面前で恥ずかしがり屋の貴女はラヴを言うことなんて出来ない。そうでしょう!」
「‥‥私には‥‥好きな人がいるんです」
「えぇそれは――! え?」
「!?」
男は大袈裟な身振りのまま凍り、彼は彼女の言葉に息を呑んだ。――もしかしたら、自分では?
期待を抱きながら彼女の言葉を待った。
「それは‥‥どのようなお方で‥‥?」
「私の‥‥命の恩人です。私は‥‥私は彼以外、好きになることなど‥‥ありえません」
いつもよりハッキリと静かに言う彼女にコレは彼女の本心だろうと確かに感じた。感じたが、同時にそれは『分かった』。知りたくなかったこと。そして可能性として考えていた事。
「彼は‥‥私が幼い頃、魔物から私を助けてくれたんです‥‥身体を張って‥‥」
彼と彼女の出会いは一月前、この関係はただの彼の気紛れから始まった。
「私は彼こそが、私の命‥‥いえ、全てを捧げるべき存在だと、私は感じました」
彼の記憶には幼い頃、魔物から誰かを助けてやった事など無い。つまり――
「だから‥‥貴方の好意は‥‥受けられません」
――彼女は自分を好きなどではない。
彼は自分の足元が、瓦解したとハッキリと感じた。そして、理解した。彼女は自分に振り向かないと――。
「そうですか‥‥分かりました‥‥」
ここまで言われては、熱い告白をした男も流石に引き下がった。
そして出て行く途中、立ち尽くしていた彼にぶつかった。
「あぁ‥‥すまないね。今‥‥出ていくよ」
それだけ言うと、男は背中からフロワロでも生えそうな様子で出ていった。
「‥‥!」
彼女は先の言葉にやっと彼がいることに気づき慌てふためいた。
「あ‥‥あの‥‥!」
「あ‥‥あぁ、その、ゴメン。急用が入ってさ、お昼は一緒にできそうもないから‥‥ゴメン」
「! ま、待って‥‥!」
彼は逃げ出すように店を出ていった。彼女が呼んでいたのが聞こえたが、今あの場所にはいたくない。ただそれだけが彼の頭に入っていた。
◇◇◇
「あぁ‥‥君達か」
彼は夕暮れ時の海岸で呆けていた。
「すまないな、君達の協力を無駄にしてしまって‥‥これ、やるよ」
【『不器用な旅人のお守り』を手に入れた】
「それ、彼女が‥‥『食事のお礼です』って‥‥くれたんだ‥‥だけど‥‥もう、必要‥‥ないからさ‥‥」
四人の誰もが、彼を元気づけようと様々な言葉で慰めたが、彼は静かに、無表情で言った。
「どっちみち‥‥俺は彼女に干渉し過ぎたんだと思う。たまに、そんな素振りが見えていたからさ‥‥あの時も‥‥いや、もう止めよう」
彼は静かに立った。その目はフロワロで埋め尽くされた海を見ているようだったが、よく見ると、その瞳は何も移していないことに四人は気がつく。
「俺は少し、旅に出るよ‥‥砂漠にいると‥‥忘れられないから‥‥どっか‥‥山奥にでも行こうと思う‥‥クエストが完了した旨は伝えておくよ。世話になったな‥‥」
彼は覚束ない足取りで立ち去っていった。
途中、立ち止まり、誰に言うわけでもないのに、彼は誰かに語るように呟いた。
「そう言えば‥‥俺は彼女の名前も知らないんだったな‥‥ハハハ‥‥とんだ、妄想野郎だな。道化だよ‥‥ハハハ‥‥ハハハ、ハハ‥‥ハ‥‥」
【クエスト『人の恋路を邪魔する奴は‥‥』を完了した】
以上です。
【いいえ】を選んだ方には簡潔にまとめてあげました。
主人公は傷心して旅に出た。以上。
まぁ、こんなエンドのまま終わるわけ無いから。失恋エンドなんて認めないよ。
続きは期待してても良いし、期待しなくても良いので。ではノシ。
>>339 私的にはCで。男は例え死にかけだろうが空腹だろうが真っ裸になろうが紳士であるべき。
なんというか…。
俺もこれに近いこと経験したことあるわ。
「呼び止められる」ことはなかったけどな。
リセットしてこのクエやり直していいかな?
変なメイジを店にいれなきゃいいんだろ?w
>>344 「彼」ーーーーッ!!
ううおおううう……青年に、幸、あれ……!!
>>233氏
>>261氏 GJ。
投下は前の人から間をおくのがマナーだけど、一晩あけたらOKかな?
新しいの書けたので投下します。
・CPは特になし。
・ネタバレも特になし。
・エロも特に(ry
「ねーよ」な方はNGに『駆け出しローグの日記』でどうぞ。
一人の勝者の影には一人の敗者が、
一人の名将の影には幾百の部下が、
一人の英雄の影には幾千の名も無き勇者達がいる。
ここにとある小さなギルド、誰もが知る英雄の影でマイペースに活動するひとつのギルドがあった。
後にそのギルドに所属することとなる一人のローグの物語である。
「う……」
目が覚めると同時に、あたしは腹から響く鈍痛に呻かされる羽目になった。
顔をしかめながら目を開ければ、そこは薄暗い、どこか建物の一室と思しき部屋だった。
ここはどこ?私はだ……いやいや、自分が誰かくらいは分かってる。
あたしはここらでその日暮らしを営む……
……ここらって、『ここ』は本当に『ここら』なんだろうか。
寝てる間に誰かに運ばれたなんてことは……誰かって、誰?
……ここはどこ?
「目が覚めたみたいだね」
声をかけられて初めて自分ではない誰かの存在に気付く。
それは一見柔和そうな、物腰の柔らかそうな若い男だった。
だけどあたしの勘が、その笑顔の影に非情な判断を下せる冷徹さがあると告げている。
いや、そいつだけじゃない。やっと戻ってきた感覚で辺りを探れば、その部屋には複数の人影があたしを取り囲んでいた。
その中の二人に、あたしは見覚えがあった。
気を失う前の記憶が戻ってくる――
あたしが町で見つけた男。
そして次の日、突然あたしを呼び止めて連れて行こうとした女。
必死で振り払おうとするあたし。
食い込む拳、背骨のきしむ音――
「――――っ!」
いっぺんに状況を理解して青ざめるあたしに、男が声をかける。
「早速事情を理解してくれたみたいで助かるよ。確認するけど、そこの彼の顔に見覚えはあるね?」
……嘘をついても逆に自分の首を絞めるだけだ。
そう判断したあたしは正直に答えることにする。
「あたしが……財布を盗ったお兄さん……」
「ほう、あっちは『お兄さん』か」
それまで黙っていた女が口を開いた。
一発で沈められた記憶が甦り、知らず身体が縮こまる。
「お前、昨日私になんて言ったか覚えているか?私はこれでもあの『お兄さん』と同い年なんだがな」
面白がるような口調とは裏腹に目は笑ってない……気がする。
……昨日?昨日、何か言ったっけ。逃げるのに必死でよく覚えてないけど……あ。
「え、えっと……確か、とし「ちなみにもう一回言ったら殺す」
マジだ。本気と書いてマジだ。目がマジだ。
もう一度言ったら確実にあたしはエデンに別れを告げることになる。
恐怖におののくあたしを見て、若干呆れたように男が口をはさんだ。
「ほらほら、怖がらせないの。
……さて、僕らの懐事情はそう芳しく無くてね。君が彼からスり取った僅かな金額でも無いと困るんだ。
君が盗んだお金を返してくれるなら僕達は少なくともこれ以上君を責めるようなマネはしないんだが……」
――それは温情処置のようでいて、その実最悪の展開だった。
盗んだお金を返せば不問にすると言っているのは、でなければどんな手段もいとわないと言っているのと同じだ。
そして前にも言ったとおりあたしはその日暮らしだ。盗ったお金なんて残っている訳が無い。
考えろ。どうやってこの場を切り抜ける?どうすれば、どう言えば見逃してもらえる?
あたしの頭脳がフル回転する。このときの必死さは間違いなくあたしの人生史上最高だろう。
そして出た結論は…………不可能、だった。あたしの頭でそんな名案が出るはずもない。
だらだらと冷や汗が落ちる。
「……どうしたのかな?」
黙り込んでいるあたしに痺れを切らしたか男が問いかけてきた。
その声の優しさが逆に恐ろしい。
「すっ……すいませ……食べるのに……使っちゃいました……」
あたしの返事を聞いた男は、しかし怒りも逆上もしなかった。
やっぱりね、と言うように首を振り、そして、
「……そう。じゃあ、身体で払ってもらうしかないな」
あたしは目の前が真っ暗になった。
――――――――――――――――――――――――――――――
――二日前、午後0時05分、カザン共和国、弁当屋『旅人食堂』裏にて
「しかし……出遅れたよなあ」
「出遅れましたねえ」
行きかう人並みを眺めながらぼやくハントマンの男女がそこにいた。
一人は頑強なファイターの若者、一人は前髪をヘアピンで留めたナイトの女性だった。
「この辺りのドラゴンは例の英雄御一行が一掃した後か」
「噂ではその英雄さんたちは執政官の命を受けてすでにアイゼンに向かったそうですよ」
「ドラゴン退治の役は完全に奪われたか……復興で仕事に困らないのはいいが……どうするかな……?」
考えをめぐらせながら一歩踏み出した若者は、その瞬間に走ってきた人影とぶつかった。
「わっ!?」
「ああ、すまない!」
「ううん、こっちこそごめんね!!」
そう言い残して走り去っていく少女を見送って、ファイターはまた口を開く。
「人通りの多いところでよそ見するもんじゃないな」
「ゆっくりできる拠点があればいいんですけど、今の私達には夢のような話ですし」
「そうだな……とはいえ宿代も馬鹿にならないし、メイジに仕事採りのついでに拠点探しも頼むか」
「安くていい物件があるといいですけど」
そこで会話が途切れ、しばらくの間町の賑わいを聞きながら二人は空を眺めた。
時間の流れるのを忘れそうな感覚にひたるファイターだが、ふとかけられた声が彼を現実に連れ戻す。
「……この辺りで黄色い髪をした、肌の浅黒い娘を見なかったか?」
どこからとも無く現れたその男は、それだけ言って返事を待つ。
「……少し前にここでぶつかったが」
「そうか、それでどちらの方向へ?」
「すまないがそこまでは」
「……分かった。協力に感謝する」
男ははそう言い残して人ごみに消えていく。
あとに残された二人は顔を見合わせ、
「なんか胡散臭い感じがしたが……教えない方がよかったかな」
「さあ……」
と呟いた。
更にしばらくして、痺れを切らしたファイターが口を開く。
「…………遅いな。今日は混んでるのかな?」
「そうだと思いますよ、お昼時ですから」
「かな。ちょっと見てく……っと!」
弁当を買いに行った仲間を見に行こうと立ち上がったファイターはまたしても走ってきた人影とぶつかった。
激突されて踏みとどまるファイターの目の前で、見覚えのある黄色い髪がヒョコヒョコと揺れる。
「ととっ……」
「ん、あれ?」
「ああ、さっきのお兄さん!ほんとにごめんね!!」
「いいよ、お互い様だ」
先程と同じように少女は走り去ってゆく。
「あ、さっきここで……っていっちまった」
ファイターが先程声をかけてきた男の事を思い出したときには、少女は声が届かないところまで離れていた。
その後姿を見送るファイターに、別の方から声がかかる。
「待たせたな」
いったん少女の事を頭から振り払い、右手の路地に目を向ければ、
光の反射で濃い紫にも見える黒髪の女サムライが弁当の袋を提げてやってくる。
その隣には無口そうなプリンセスの少女が連れ添って歩いていた。
「ギルドの財布は持っているか?清算を頼みたいんだが」
「あ、ああ」
そういって領収書を差し出してくるサムライにファイターは財布を取り出し……そして、首をひねった。
「……こんなに少なかったか?」
「……見た?」
「見事な手つきだったな」
広場を見渡せる宿屋の一室に、彼らはいた。
先程のメンバーにメイジの青年を加えた五人は窓際に固まって一人の少女を見ている。
そう、彼らが見たのは二度ファイターにぶつかったあの少女が鮮やかな手つきで財布をスり取る瞬間だった。
「そうか……取られたのか」
ファイターが複雑な顔でしゃがみこむ。そんな彼を見て、メイジがやれやれと言った表情で声をかけた。
「このくらいで落ち込まない。それより見ててごらん、たぶんもう一回ぶつかるよ」
そう指差した先で、確かにあの少女がもう一度ターゲットに近付いていく。
ナイトが首をひねってメイジに尋ねた。
「本当……どういうことですか?」
「一回目で財布を盗んで、何割かを抜いた後二回目で戻してるんだよ。
余計な危険を冒してでも全部を奪わない辺りまだ良心はあると見ていいかな」
「……!じゃあ、まだ更生の余地は」
少女にいっぺんの希望を見出し顔を明るくするナイトにメイジが水をさした。
「今は、ね」
「ああいうことを続けているとな、しだいに罪悪感が薄れていくものだ。繰り返し繰り返し
盗みを重ねるうち次第に抜き取る割合が多くなっていき、終いには」
「させません!」
「……うわっ!?」
台詞をぶったぎって突然声を上げるナイトにサムライが後ずさる。
「まだ更生の余地はあるんでしょう?だったら放っておいては駄目です!
未来ある若い子が悪の道に堕ちるのを、黙って見てる訳には行きません!!
………ギルマス、私達で何とかできませんか?」
訴えるような視線を受けてメイジが若干引き気味にしながら頭をかく。
「まさしくナイトの鑑だね……ま、お金を盗まれて知らん振りってワケにも行かないし、
どっちにしろあの子を放っておきはしないよ。
……それに、君たちにあの子の行方を聞いたって男も気になる。接触は早い方がいいな」
口元に手を当てながらそれだけ言い、メイジはごそごそと何かの準備を始める。
そして翌日、同じ部屋に、今度はメイジだけの姿があった。
時計を見ていた彼は、ふと妙な物体を取り出して町の地図を広げたテーブルに向かう。
それは一言で言うなら底に魔石のようなものをつけた紙コップだった。
席に着いた彼は、その紙コップに向かって口を開く。
「コードネーム『シャルル』より各員、状況を報告せよ」
耳に当てて反応を待つと、おずおずとした声が返ってくる。
「コードネーム『ブーン』より……なあこれ本当にやらなくちゃ駄目か?コードネームとか意味あるのか?」
「ある。こういうのはノリが大事なの」
「無いんじゃねーか!あー、こちら『ブーン』、見当たらない、以上」
「『ケイト』です。こちらも見当たりません」
「『ラン』だ。この辺りにはいないようだ」
開き直ったファイターを皮切りに、仲間達が状況を報告していく。
「ふむ……西、東、南にはいないと。『モモメノ』、そっちは?」
「………」
反応の無さにメイジの動きが止まった。
「『モモメノ』?『モモメノ』ー。……軍オタごっこがつまらなかったなら謝るから機嫌直してー」
「………」
「ごめん本当に「……いた」え?」
「『モモメノ』から『シャルル』、広場からクエストオフィス方向に『ハッチ』を見つけたよ」
一瞬、全員の間に沈黙が落ちる。
「……でかした!ええと、その位置なら……」
「私が近い、押さえに行く!ファイターとナイトは路地を押さえろ!」
「ちょっ!押さえって、基本的に言葉での説得だからね!?」
「分かってる!」
「こっちに来たら任せてください、真心で説得して見せます!」
「ああそれはいいんだけど……何だか嫌な予感がする、気をつけて!」
慌しく情報の交換を終えればメイジにできることは無い。
意味も無くテーブルの回りをうろうろするメイジの耳に、少しして再びプリンセスの声が飛び込んできた。
「あっ」
「どうした?」
「予想外の事態になった」
「……っ、詳しく!それで!?」
「『ラン』が『ハッチ』をのした」
散々引っ張っておいてこのオチだ。
あたしの目の前では、後ろから出てきた女の人に盾でぶん殴られた男が頭を抑えて呻いている。
「いっ………たいなあ、いきなり何するのさ?」
「何じゃありませんよ!身体で払うとか!誤解を招くでしょう!間違ってはいませんけど言い方ってものが……」
「分かった分かった、僕が悪かったよ。いっぺん言ってみたかっただけだ……
おほん。あー、そういえば自己紹介がまだだったね。
僕達は最近オフィスに登録した新規参入ギルドでね、冒険屋兼ハントマン……の予定だ」
「冒険……屋?」
「出稼ぎと旅行者と開拓民と何でも屋を足して割ったようなものかな、新天地と仕事を探してここに来たんだ」
「ああはい……それで?」
出稼ぎと旅行者と開拓民と何でも屋。いや、イメージは出来ないこともないけど……
「あわよくばしばらくここを拠点にドラゴン退治をして仕事と冒険の両方にありつけないかなー、と
思ってたんだけど考えが甘かったみたいでね。政府直属の少数精鋭ギルドが……これは君には
どうでもいい話か。ごめん、本題に入ろう。僕達は人手が欲しい。できれば健康で、よく働いて、
戦うことが出来て、今僕達に欠けているタイプで、なおかつタダ働きさせられる人材が」
「……それって、まさか」
「そのとおり、君のことだ」
「いやあのちょっと待ってよ!……じゃなくて待って下さい!
そ、そんな化け物退治なんかとてもじゃないけど無理ですって!」
「心配ない、彼女が稽古をつける」
そういって彼が指差したのは…………
「わ、私か!?」
ひいいいいいいいいい。
昨日あたしを一発でのしたサムライのおば……お姉さんじゃありませんか。
「そうだなー、一週間でこの子を一人前のローグに出来る?ついでに最低限の社交マナーも」
「ちょちょちょちょっと待て!引き受けるなんて言ってないぞ!?」
「君以外に適任なんていないじゃないか、ファイターとナイト君は稼ぎ頭だし
僕は剣なんて使えないしそもそも僕がいなけりゃ仕事そのものが受けられないし
それとも何か、プリ君に見てもらう?」
つられてサムライのお姉さんが部屋の隅っこにいるプリンセスに顔を向ける。
……まあ、むしろ教えを受ける側だよね。この子。
「……はぁ。仕方ない、引き受けよう」
「あのー、あたしの意思は?」
「……空気を読め、選択肢はお前に有って無きが如しだ」
「……はい」
いや、うん、確かにこの空気じゃいいえなんて言えないよね。
「よし、じゃあ契約成立だ。よろしくね。僕は一応ギルマスやってるから困ったことがあったら言って」
そのお兄さん……ギルマスがそういって笑うと、後ろのファイターのお兄さんとナイトのお姉さんが出てくる。
「まあ、なんだ、よろしくな」
「よろしくおねがいします。これからは真面目にしなくちゃだめですよ」
「あ、はい……よろしく」
なにしろ財布をスった相手なので顔を合わせ辛いが一応返事はしておこう。
……と思ったらいきなり怖いお姉さまから指導が飛んできた。
「よろしくではなくよろしくお願いします!あと相手の目を見てはっきりと」
「はいよろしくお願いします!」
「さて、そういうわけでこれから当分お前の面倒は私が見ることになる。何か質問は?」
「なんとお呼びすればよろしゅうございますかお姉さま」
「こいつは……とりあえずお姉さまはやめろ」
「じゃあ師匠」
「私はそんなにできてない」
「じゃあ先生」
「もっと他にないのか」
「じゃあウバ桜の保護者さん」
「……」
「……」
「……」
「……」
「…………せっかく入った新人だが仕方ない。……居合スイッチ」
「わあああ嘘です、嘘です!言ってみただけですごめんなさいほんのジョークですって!!
ストップ、タンマ首落はやばい!!すいませんチョーシこきました謝りますだから刀しまってーーー!!!」
「……ふん。いいか、私は24だ、二度と忘れるな。……それとお前」
「はい、なんでしょう姐御」
「あね……まあいい。お前の名前は?それと歳は」
「あ、17です。で名前は……」
こうしてあたしはこのギルドに所属することになった。
しかしまあよく数日前まで赤の他人だったあたしをあっさりギルドに入れてくれたものだ、
このギルドには危機管理という言葉が無いのだろうか。
ギルマスに聞いてみたことはあるが、返ってきたのはこんな言葉だった。
「うーん、まあ、君が悪い子に見えないからかな。うん、皆直感的に君を信頼できると思ってるんだよ」
直感で善人か悪人か分かるんだったら世話無いだろう。
実際あたしは出来るものなら逃げ出したいとすら思ったことがある。
いやまあそりゃ三食食べさせてもらえるし暖かい寝床で眠れるし基本的に好意的に接してくれるしで
言うことはないんだけど、………いかんせん姐御が怖すぎる。
朝から晩まで刃物の使い方をみっちりレクチャーされるのはいいがスパルタなのだ。この前なんか
ショートソード一本持たされて草原に放り出されて死ぬかと思いましたよええ。
その上ちょっとでも弱音をはくと容赦なく鉄拳と激しい言葉責めが飛んでくるんだから
一日しごかれてふらふらの頭でふと逃げ出したいと思っても仕方ないんじゃないかと思う。
……まあ、さっきも言ったとおり基本的にこのギルドの人たちはいい人ばっかだし、
恩を仇で返すのもポリシーに反するというかぶっちゃけ良心が痛む。
仕方ない。少なくともこんなあたしにかけてくれる信頼だけは裏切らないようにしよう。
――――――――――――――――――――――――――
「思いっきり裏切っちゃったよおい……」
あたしはその、エビフライが3尾だけ残った紙袋を手に青ざめていた。
どうしてこんなことになったのかというと、このエビフライが美味しすぎたのがいけないのだ。
宿屋の地下にある酒場『六花亭』のエビフライはとにかく大人気で、あたしはお使いで
予約してあるそれを取りに行った。で、無事に受け取ったまではいいんだけど
その帰り道で、………美味しそうな匂いに我慢できなくなった。
や、もちろん1尾だけのつもりだったんだよ?たくさんあるし、お使いの駄賃として1尾くらい
つまみ食いしても罰は当たらないかなー、と一口。
……すっごい美味しかった。自慢じゃないけどあたしは生まれてこの方たいした物を食べてこなかった。
そんなあたしにとってこのエビフライはどれだけの誘惑を発していたか分かってもらえるだろうか。
袋の中を確認する。うん、もう1尾くらいは大丈夫。もう1尾くらいは……
で、このザマだ。
「どうしよう、こんなのがばれたら……」
考えただけで鬱になりそうだ。
他の人ならまだいい、だがあの人に知られた日には……
「ん、どうしたこんなところにしゃがみこんで?」
「……ひぎゃあああああぁぁぁぁぁっっ!!?」
情けない話だがあたしは反射的に逃げ出した。
走り出した数秒後、あたしは自分の行動が結果的に正しかったことを認識する。
あたしに声をかけたのはそう、よりによって一番知られたくない人物、姐御その人だったのだ。
「おい、いったい何なんだ!?人の顔を見るなり逃げ出して!」
後ろから姐御が追ってくる。しかし追いつかれるわけには行かない、そんな勇気はあたしには無いのだ。
逃げ足と裏路地での土地勘は完全にあたしのほうが勝ってる。
そのアドバンテージを活かし、あたしは一気に姐御との距離を引き離した。
「ちょ……こら…………待っ…………」
姐御の声が遠くなっていき、そして、聞こえなくなる。
……撒いたかな?この先に隠れて様子を見ることにしよう。
あたしは路地のさらに奥のほうへとなるべく静かに滑り込んでいく。
それにしても、よく考えたら逃げたって根本的な解決にはなってないんだよね。
信頼を裏切ったことに変わりは無いんだし、どうしよう。
目の前の困難が去ったと思ったらまた別の困難が立ちふさがってあたしを悩ませる。
……そんなことを考えていたあたしだったから、足を引っ掛けられても受身を取ることすらできなかった。
「ーーーーっ!!」
一瞬宙を飛び、身体の前面から着地して三回転半しやっと止まった。
うう……痛い。思いっきり打った。
今足を掛けたのは誰?あれは絶対に走ってくる獲物を転ばせるための……
「久しぶりだな」
そして聞こえてきたのは、このエデンでも姐御よりずっと上、トップクラスに聞きたくない声だった。
「ここ数日、ずいぶんと探し回ったぞ」
……こいつがどういう奴なのか説明するのは難しい。
しいて言うならこの辺りの裏家業に手を染める不良共のまとめ役といったところだ。
「おい、聞いてるか?まあいい。連れて行け」
「!?」
辺りを見回せばどこにいたのか、いかにもゴロツキですといった風情の男達がにじり寄ってくる。
冗談じゃない。あたしは速攻で逃げ出すが、包囲をすり抜けようとしたところで腕を掴まれてしまった。
「このっ……!離せ……!」
必死で抵抗はしてみたがいかんせん力で劣り多勢に無勢じゃ逃げるのには無理があった。
完全に押さえつけられたあたしはそのままずるずると路地の奥のほうへと引きずられていく。
ああ……これなら姐御に捕まったほうがよかった……
「さて、用事は分かっているな?」
「なんのことですかねー……!」
押さえつけられたあたしを上から見てくるあいつに精一杯のガンを飛ばしてやる。
するとあいつは手に負えないというように顔を背けた。
「……ここなら助けを呼んでも人は来ない、適当に好きなようにしろ」
――っ!!その言葉を合図に何人かの男達があたしの衣服に手を掛ける。それが示すことは一つだ。
「なっ、こっ、ばっ!ちょっと……!まさかこんなとこで、何しようっての!?」
「お前にも分かっているはずだ。お前が上に従わないのなら、上はお前に罰を下すしかない」
「何であんな奴に従わなくちゃいけないのよ!あんなのあたしたちとは関係ない……接点無いじゃない!!」
あたしが必死で抗議している間にも男達はあたしの衣服をはぎとっていく。
ええい、空気を読め。それともそういう空気だとでも言うの?
「堅気には堅気の、裏家業には裏家業のルールがある。それがなければ人間は人間として生きられないからだ。
そして俺達のルールは義理と面子がなければ成り立たないんだ。上を立てるとはそういうことだ。
その面子を省みなかったお前は、例えどんなに理不尽だろうと、必要なかろうと、見せしめにならなければいけない。
……殺せとは言われていない。これに懲りたら、……お前は足を洗った方がいい」
それだけ言うと、あいつは背を向けて去っていく。
行かせる物かと伸ばした手は当然届くはずもなく、身体ごと押さえつけられて地に落ちた。
……畜生。
それでも首を捻り頬を汚しながら見上げるあたしの視界であいつが小さくなっていく。
……上半身が地面に押さえつけられ、腰を掴まれて持ち上げられた。
……畜生。
畜生。
畜生。
畜生。
………ちく………しょ……
「シッ!」
「っぎっ!?」
……風を切る飛来音と悲鳴。
何が起こったのか、この体勢では視認できない。
もう一度、無理やり首を捻る。その先には、ここ数日で見慣れたその人がいた。
「……姐御?」
間違いない。姐御だ。……もしかして、助けが来たんだろうか。
いや、でも、姐御は武器を持っていない!!いつも持ち歩いているカタナはどこに!?
答えは簡単だった。力が緩んだ隙を突いて抜け出せば、横っ面に赤く痕をつけた男が姐御の刀を握っている。
……サムライの魂をぶん投げたのか、この人は。
「っ……てめえ……」
だけどその代償はあまりにも大きすぎる、なにしろ武器を相手に渡してしまったのだ。
男がカタナを通りの向こうに放り投げる。そして戦う手段が無くなった姐御に……
……
訂正、姐御はカタナが無くなったくらいで止まる人じゃなかった。
男がカタナをぶん投げてその視線を姐御に戻すより早く、瞬間移動かと思うような速さで接近した姐御が拳を放つ。
打ち下ろされた拳は的確に男の横っ面を捉え、その身体を敷石に叩きつけた。
そういやサムライはその両手もまた魂として戦えるとか姐御が言ってたっけ。
一瞬で叩きのめされた仲間を見て周りのゴロツキたちが後ずさる。
あっけに取られるあたしに、辺りに注意を配りながら姐御が呆れた顔を向けてきた。
「散々探し回ってやっと見つけたと思ったらこれか。お前はこんなことのために私から逃げたのか?」
「……そんな風に見えますか」
「見えん。見えんから助けに来た」
助けに来た。
その言葉を聞いたとたん、なぜだか泣きそうになってきた。
さっきまでの方がずっとひどい状況だったのに、どうして?
「……なんなんだこれは」
声がするほうに顔を向ければあいつが何ともいえない顔をして立っていた。
おそらく様子がおかしいことに気付いて戻ってきたのだろう。
「すまんがそれはこっちのセリフだ。大の男がよってたかって何なんだ?」
「説明しても分かってはもらえない、だがこれは俺達の問題だ。
こちらの世界に生きる者達にとっては譲れないことでな、お引取り願おう」
「断るといったら?」
「悪いがもう一度言わせてもらおう、これは俺達の問題だ。あんたがこちらの人間で無い以上
あんたに口を挟む権利は………っておい!」
……わあ、セリフの途中で乱闘を開始するヒーローって初めて見た。
ちなみに男達が痺れを切らして襲い掛かってきたわけじゃない、姐御が自分からいったのだ。
あたし達を取り囲む五人のうち、左方向にいる男をいきなり強襲して正拳突きを叩き込み、それから構えを取る。
またもや一瞬あっけに取られた男達だったが、今度は黙っていなかった。
憎まれ口を叩くことも無く、短剣を手に無言で突っ込んでいく。
「危ない!」
思わず叫んでしまった。
だけどそれは若干遅かったようで、受け流しながらのカウンターを叩き込まれて次々と男達が
地面とお友達にされていく。
ほんの数秒後には、軽く構えを取り直す姐御だけがそこに立っていた。
「……あんた、話して解決しようって気はないのか」
一部始終を見ていたあいつが呆れたような顔で聞いてきた。うん、あいつのことは大っ嫌いだがそこだけは同感。
「どうやら話が平行線にしかならないようだったんでな。どうせ戦うなら済ませてしまおうと思っただけだ。
……いいか、前はどうだったのか知らんが今こいつは私達の仲間だ。お前達にはお前達の道理が
あるんだろうが、それが大切な妹分を守らなければならないという道理より勝るとでもいうのか」
あ、また泣きそうになった。
たぶんこれはあれだ、名前だけは知ってるけど実際には経験したことの無いあれだ。
「……仲間?……なんだ、そうか。それじゃ確かに話はつかないわけだ……」
あいつは頭を押さえて何事か考え込みながら地面に突っ伏す男達を見回す。
そして小さくひとつため息をつくとこちらに視線を戻し、
「それはつまり、もう完全にこちらの世界から足を洗ってそっちで生きていくととっていいんだろうな」
それを受けた姐御はこちらに視線をよこす。自分で答えろ、ということだろうか。
あたしは目一杯縦に首を振った。
「戻ってくることは許されないぞ。どんな些細なことだろうと、どこの町だろうとだ」
それにもひたすら首を縦に振る。
「……ふん。今のを絶対に忘れるなよ………報告は多少『手心を加えて』やろう」
それだけ言うと、あいつは倒れてるゴロツキたちを呼んで帰っていった。
後にはあたしたちだけが残される。
「……で、今のはなんだ、昔の仲間か」
「別に……少し前ちょっと貫禄のあるヤクザの顔を立てなかったってんで落とし前をつけにきたチンピラですよ」
「その割には少し物分りがよかったがな」
助けてもらっておいてなんだがあたしは何だか醒めていた。
話半分に姐御の言葉を聞き流しつつ周りを見回して何かを探す。
……目の端に、泥だらけになった紙袋が映った。
無言で近寄り、くしゃくしゃのそれを拾い上げる。
あ、ラッキー。中に入っていたエビフライは皆飛び出てしまって、その上踏まれてグシャグシャだった。
これならもとの数なんてわかりゃしないし、全体的な分量が減っていても誤魔化せる。
良かった、割とひどい目にはあったけどこれで怒られないで済むや。
…………なのになぜ、あたしはそのエビフライの残骸を拾い集めているのだろう。
「なんだ?……うわっ、ひどいなそれは。さすがにそれは拾わなくてもいいんだぞ?何してるんだ?」
姐御が近寄ってきた。
あたしは土のついた尻尾をそろえ、なんとかエビフライ3尾の形を作って姐御に見せる。
「……ごめんなさい、おいしくてついつまみ食いしてこれだけにしちゃいました」
あのときほど呆気に取られた姐御の顔をあたしは見たことが無い。
……しばらくしてやっとあたしの言ったことを理解してくれたらしい姐御はバツの悪そうな顔で
そっぽを向き、頭をかきながらあーとかうーとか言い出した。
「まあ……、別にいいさ、お前の歓迎パーティーのメインディッシュが無くなるだけだからな」
「……え?」
今この人はなんと言っただろうか、歓迎パーティー?損害賠償でタダ働きすることになったあたしに?
「あの……」
「あっ!?そういえば本人には知らせ……ちょっと待て、いまのはなしだ、忘れろ!」
……ああ、もう駄目だ。温度感覚がおかしい、胸が熱い、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
やっぱり間違いない、もう疑う余地なんてない、この感覚は。
嬉し泣きだ。
「………っ、うぅ……。ぅえ………」
「ちょっ……おい、何だ?いきなりどうした?やっぱりなんかされたのか?おい……」
姐御が見たことが無いほどオロオロしながら聞いてきたが、当分まともな受け答えは出来そうにない。
しばらくの間、あたしは何も言えずただしゃくりあげ続けた。
そんなわけであたしは正式にこのギルドの仲間になった。
あのあとの歓迎パーティーではなぜかメインディッシュに山盛りのエビフライがでた。
たぶんかなり無理をして譲り受けてきたんじゃないだろうか。
そんなことを考えたらまた泣きそうになったのでビールを一気飲みして誤魔化したら、
姐御に乾杯が先だと殴られた。
そろそろ書くこともなくなってきたが、あたしは今でもこのギルドで元気にやっている。
相変わらず馬鹿をやって笑いあってたまに姐御に殴られる日々だ。
そうそう、この前姐御にふと思いついて
「姐御、一生ついてくね」
と言ってみた。そしたら姐御はそっぽを向いて、
「……馬鹿。早く独り立ちしろ」
といって、頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
以上。まだまだ素人臭いが頑張るぞ。
とりあえず今回は職業名で通しましたが、次はオリジナルの名前をつけてみよう……かな?
( ;∀;)イイハナシダナー
>>いっぺん言ってみたかっただけだ……
アホスwww
( ;∀;)ダナー
GJ! ナイスな人情話でありました!
姐御にしごかれたい(エロくない意味で)
デコローグは新人末っ子ポジションがよく似合うw
いい話GJでした
ところでこのスレ的に♂グラを♀キャラとして書くのはアリですかね?
マレアイアのイベントでさえ『自分は女です』で押し通れるんだから、
SSで見た目の性別を逆転して書くことにいったい何のためらいがあろうか
じゃあ削乳男装侍で書いてみる
仕上がるかはどうかは分からないが
>>369にすごい期待してる!
そして♀化な流れなら言える
ジェリ子はアリだと
電車に揺られて二時間ちょっと。暇だから書いていたら出来ました。注意事項は前々回と同じ。
エロが無いのはごめんなさい。何か、長くなりそうです。私の悪い癖ですが。では、どうぞ。
◇◇◇
四人はやりきれない想いを胸に抱いたまま、とりあえず、足りなくなった道具を買い足すために道具屋へと向かった。
「あ‥‥! ‥‥いらっしゃいませ」
先程の事もあり、四人は何だか目を合わせ辛くなったので早々と立ち去ろうと商品を手に取り、レジに置いた。すると。
「‥‥冒険者(ハントマン)ですよね‥‥?」
彼女は急にそんなことを訪ねてきたと思ったら、驚く事を言ってきた。
「お願いです‥‥! どうか、私を‥‥私を貴方達のギルドに入れて下さい!」
彼女の普段を知っている人からは考えられない迫力に四人は事情を聞くことにした。
◇◇◇
質素ながらも一通りの家具が揃った一軒家。四人は彼女を落ち着かせた後、彼女の自宅へ送り、今に至る。
「‥‥すいません‥‥取り乱してしまって‥‥」
彼女は頭上の耳を垂らした。一人が彼女に説明を頼んだ。もう一人は彼女の耳をにやけながら見て、隣の仲間に小突かれた。
「実は‥‥私、失恋してしまったのです」
彼女は静かに語り出した。
逆に我が家のハッチにはちんちん付いてるけどな
◆◆◆
私は‥‥アイゼン皇国の出身で‥‥幼い頃、ある貴族の使用人として雇われました。
私の主人は、その、乱暴で‥‥私はストレス発散の為、様々な事をされてきて‥‥ヒドい時は寒い日に‥‥いえ、これは‥‥関係なかったですね。
九つになった頃、私は‥‥買い物に行く途中にある貴族と、出会いました。
彼は‥‥その時、十ぐらいだったと思います。薄汚れた私と違って‥‥凛々しく、綺麗な‥‥そう、綺麗としか私には言い表せない‥‥。
そんな彼に私は、その‥‥あの‥‥一目惚れを‥‥した、のです‥‥。
‥‥身分が違うことは分かっていました。使用人と貴族何て、お伽話じゃない限り、無理だって事は‥‥。
それでも、私は‥‥私は彼と‥‥一緒になりたかったんです。
例え‥‥彼に妻が出来ても‥‥彼の下で働けたらどんなに幸せでしょうか‥‥。そう、夢見たこともありました。
そんなある日、主人は‥‥野盗に襲われて‥‥亡くなりました。
私は解雇され‥‥その、運良く、身寄りのない老夫婦の養子となり‥‥今、ここにいます。
そして最近‥‥その貴族の方が、何故かこの近くまで来ていて‥‥しかもたまにですが、私に会いに来てくれていたのです。 それからは‥‥毎日が幸せでした。辛い日も彼がまた来てくれるなら、そう思えば、私は頑張れた‥‥。
しかし、今日‥‥来てくれた彼に対して、私は、‥‥傷つけてしまった。
多分‥‥もう会いに来てくれないと思います。いつもなら、私に一言、交わしてから帰りますから‥‥。
私‥‥彼に謝らなきゃいけないんです。彼が私を嫌っていてもいい‥‥。せめて‥‥別れてしまうならせめて‥‥! 彼に‥‥謝罪と‥‥お礼の言葉を言いたいんです‥‥。
お願いです。私を‥‥貴方達のギルドに連れていって下さい。彼は冒険者で、色々な場所を行き来すると聞いています。貴方達に付いていけば‥‥ここで待っているよりも、彼に会える可能性は高い‥‥そう考えています。
‥‥帝竜を倒したギルドだと、私は風の噂で聞きました。老若男女、分け隔てなく、接していて、信用あるギルドだとも‥‥貴方達がそうなんですよね‥‥?
私には‥‥大した物なんてありません。お金も、ほんのちょっとしか‥‥。
ですが、どうか‥‥どうか私の願いを‥‥叶えて下さい‥‥お願いです‥‥もう一度だけでもいい‥‥彼に‥‥会いたいんです‥‥! お願い‥‥!
【クエスト『貴方に会った、その日から‥‥』が発生しました】
ごめん。割り込んでごめんなさい。
最悪のタイミングで他人のフラグを折って行った
スーパーメロウタイムの人はもっと酷い目にあえばいい
以上です。
アレ? 短編にするつもりがアレ‥‥?
まぁ、スレが活気づくまで時間がかかりそうだからね。それまでの繋ぎ程度にでも楽しんでくれると嬉しいね。
ちなみに私は残り300切ったから、頑張れば終わると思うんだよね。でもまだ先は長そうだなぁ‥‥。
私としては方々のSSなら沢山読みたいのですが、特にサムライ×メイジの続きの早期投稿を希望しますよ。書き方も好きですしね。
では、皆様また会いましょうノシ
【ここから先、ネタバレ注意! 火山に行った方のみお先に進み下さい】
P.S
私の書いている空腹ルシェ。何か意識してないのに(まだ会ってすらいなかったのに)エアリエッタに似ているんですよね。
もうストライクですよ。卑怯ですよね。あれは。
そういう事で、以前の私のクエストは‥‥まぁ、そのままで。もう一つ貼っておきます。誰か職人さん。お願いします。
【クエスト「ルシェメイドの‥‥」が発生しました】
では今度こそノシ
お疲れ様でした。続き楽しみにしています。
>>294です。
GJな作品が続けざまに投下されてますね。
>>364氏の姉御かわいいよ姉御。
新しいのが書けたので、前半部分を投下しに来ました。作品続きの流れになってしまいますが、ご容赦を。
前回の投下に少し目を通していただければ、今回の内容設定もある程度分かっていただけると思います。
前回同様、「ねーよ」な方は『とある女騎士の油断』でNGかスルーをお願いします。
――我ながら、たるみすぎだ。
それが、女騎士ケイトが自分を客観的に見た感想だった。
治療士を生業とするルシェの青年ジェリコと結ばれて以来、自分は何をするにもジェリコの事を考えて、本来為すべきことに集中できていなかった。
竜を狩り、命を質に入れるハントマン稼業にあって、上の空状態は死を招きやすい。
生真面目で、そのような精神状態とは無縁と思われたケイトの気の抜け具合は客観的に見ても重症だったようで、ここ数日は「今の貴女を前線に置くわけにはいきません」と言い切ったジェリコが、ヤックと二人だけでハントマン稼業をこなしている。
共に屋敷の留守を任されたモモメノにもやたらと気を遣わせてしまっているようで、本来はお目付け役でもあるケイトがモモメノにあれこれと世話を焼かれる形となってしまっていた。
『ケイト、一緒に香茶でも飲んで落ち着こう……? 私、淹れるね……』
『モ、モモメノ様! そのような気遣いは……! 私が淹れますから、どうかお座りになってお待ち下さい!』
『でも……』
『モモメノ様にそんな事をさせる訳には参りません! え、えっと、葉は確かここに……』
『それ、スパイスの香草……』
『あぁっ!? こ、こちらでしたね。えっと、カップを……!』
『それはスープ皿だよ……』
『えぅあぇっ?? あ、あった、ティーカップ。すぐにお淹れしますね……!』
『カップにそのまま香茶の葉を入れちゃダメ……』
『あぅ……?』
『ケイト、いいから座って休んでて……』
『うぅぅぅぅぅぅ……! 申し訳ありません、申し訳ありません……!』
脳裏にフラッシュバックしたその時の光景に、頬が熱くなってくる。
仮にも一国の王女であるモモメノが危なっかしい手際で淹れてくれた香茶の方が、自分の淹れたものより美味だと感じたのは記憶に新しかった。
(護衛騎士でありお目付け役でもあるというのに何なのだ、この体たらくは。まさしく本末転倒ではないか! 全く以ってどうしたというのだケイト、いつまでもこのような調子ではモモメ――)
「何ボーっとしてんだコラぁっ!!」
「えっ?」
――ガィン!!
思考に突如割り込んできた怒号と金属同士がかち合う鈍い音が響き、ケイトの意識は現実に迎合された。
気が付けば右手にジンとした痺れがはしっている。
右手から視線を持ち上げると、そこには呆れたように嘆息して、前髪から覗く片目でこちらを見やるヤックの姿。
ヤックは刃を潰した訓練用の短刀二本を両手に、しばらくをケイトを見やっていたが、ケイトがきょとんとしたまま様子が変わらない事にますます呆れ返り、ため息混じりに肩を落とした。
ケイトはケイトで何が起こったのかを理解できておらず、いよいよ本格的に混乱し始めたところで――背後からガラン、という大きな音が響く。
振り返ると、そこに落ちていたのは、これまた刃を潰した訓練用の刀剣。
それが自分のものだと気付いたケイトは、再び振り返ってヤックの姿を認め――ようやく自分が、早朝の日課である、ヤックとの模擬戦闘訓練の途中なのだと思い出した。
バツが悪そうに剣を拾うケイトに対し、ヤックはゴキゴキと首を鳴らしながら口を開く。
「お前よぉ、もう拠点戻っとけ。今のお前と訓練してたら逆に腕がなまっちまいそうだ」
つまらなそうに吐き捨てるヤックに、ケイトは顔を赤くして反論した。
「な、何だと貴様! 侮辱するつもり――」
「じゃーお前は今の自分が本調子だって胸張れんのかよ?」
ケイトに最後まで言わせることなく切り捨てたヤックの言葉に、彼女は黙り込んでしまう。
言い返したいが、今の自分は言い訳のしようもなく絶不調だ。返すべき言葉を探して口をパクパクと動かしていたケイトだったが、やがてシュンと肩を落としてしまう。
「いや、全面的にお前の言う通りだ。失言を詫びよう……」
「いーからよ、戻って朝メシの準備でも手伝ってこい。あ、俺の目玉焼きは半熟で胡椒多めな」
「承った、では先に失礼する」
剣を鞘に納めたケイトはおざなりに一礼し、気恥ずかしかったのか足早に立ち去った。
沈んだ背中が立ち去るのを見るともなしに見送りながら、しばらく短刀の型の反復訓練を繰り返していたヤックだったが、ケイトが角を曲がり、その姿が見えなくなったのを確認するなり――
「はぁぁあああああ〜〜〜〜〜〜…………」
肺の空気を全て搾り出すかのように大きな溜息を吐き出し、
「ジェリコのバカ、骨抜きにしすぎだろ……」
自分が覗き見てしまった、ジェリコとケイトの濃密な情事を思い出し、僅かに顔を赤らめながら呟いた。
◆ ◆
「何をしているのだろうな、私は……」
朝食を終わらせたケイトは自分の寝台に腰かけ、深々と溜息をついた。
一人ごちたその言葉に答える者達は、誰一人として屋敷にいない。
ジェリコは溜まっていたクエスト完了の書類を整理しにオフィスまで出向き、ヤックも「適当にフロワロ散らしてくるわな」と、滋養強壮の薬剤を大量に持ち出してカザン周辺に出ていった。
モモメノはケイトのために何かを買ってくると言って出て行ってしまっている。
自分が仕えている国の城ほどではないが、それでも一団体では持て余しそうな広さの拠点には、ケイト一人だけ。
耳に痛いほどの静寂しか返ってくるものはなく、ケイトの独り言はむなしく霧散してしまったようだった。
――ゆっくりと腰を上げ、立ち上がる。
歩を進めて、向かう先はジェリコの寝台。
隣に据えられたヤックのものとは比較にならないほど綺麗に扱われているようで、シーツも毛布も全ておろしたてのようだ。
ところどころ、僅かに残された皺をなぞるように指を滑らせ、ケイトは困ったように笑い、ここにはいない治療士に向けて呟いた。
「どうしてくれるんだ、ジェリコ。あの時お前が言った通り、私は兎のようになってしまったぞ」
浅ましい――そう思いながらも、その身体は自然と上掛けをめくり、ジェリコが使う寝台の中へと潜り込んでいた。
「お前の姿を見たり、声を聞いたりするだけで、あの時のことを思い出してしまうんだ」
ジェリコの香りが染み付いた枕に顔を埋めて、ケイトは自分の腹を撫で擦る。
体内に直接熱い湯を吹き付けられるように、ジェリコの精液を何度も受け入れたあの感覚が思い起こされ、ケイトは「はぁ……っ」と、溜息交じりに短く喘いだ。
同時に、身体を包み込むジェリコの香りが鼻腔をくすぐり、体内で何かが蕩け始めた。
――まずい。
そう感じた時にはすでに遅く、両脚の付け根がジワリと湿り気を帯びる。
「あぁ……あの時も、こんな感覚で……っ! あいつが、容赦なく……抉って、きたんだ……ん、はぁ……っ!」
自然とズボンを下ろし、下着の中に手を差し入れる。
あの時のジェリコの猛りを思い起こしながら、潤い始めた入り口に指を這わせると、僅かに粘質を孕んだ水音が聞こえた。
――あの時、ジェリコはそれこそ獣のように容赦なく自分を攻め立てた。そして自分もそれを求めた。
今、ジェリコが自分を見たらどう思うのだろうか、こんなに浅ましく身体の熱を持て余す自分を見たら……。
蔑むだろうか、見損なうだろうか、それとも、いつも通りに微笑んで受け入れ、慰めてくれるのだろうか。
次第に、自分の指でジェリコの猛りを模し、秘所に侵入させていた。
角度も強さも早さもバラバラに、自分を快楽に慣れさせることなく狂わせ続けた、苛烈な快感の拷問。
指を折り曲げ、柔らかな膣壁を撫でると、ジェリコが同様に反り返しで自分を抉った感覚がフラッシュバックする。
「ぁ、ジェリコ……! だめ、そんなに、強く……っはぁ、んっ!」
瞼の裏で、ジェリコが優しく微笑みながら、自分を攻め立てている。
その柔らかな笑みに反するかのように、自分の膣内を何度も行き来する肉の塊は火傷をしそうなほどに熱く、そして固く張り詰めて……
「ただいま戻りました」
どこかでジェリコの声が聞こえた気がした。
末期だな――と、ケイトは自嘲した。ありもしない声を聞くほどに、彼を求めているというのか。
ジェリコが、今の姿を見たらどんな顔をするだろう――多分……、
「ケイトさん、こちらでしたか」
と言って部屋に入ってきて、自分の寝台で喘いでいる私を見て――呆けるように立ち尽くすのだろうな。
「――えーっと………」
そうそう、丁度こんな表情だ。
そして目のやり場に困るようにちょっと慌てて、でも少ししたら冷静になるんだろう。
「ケイトさん……?」
「………えっ?」
蕩けきった意識で淀む視界の中に、見慣れた顔があった。
あぁ、ついに幻視まで――そう思いかけて、ケイトの思考は、冷水をぶっかけられたかのように一瞬で覚醒した。
目の前にいるジェリコからは、確かな気配が――ぶっちゃけ、本物だった。
「私のベッドで何してるんです……?」
そう言ったジェリコは、何かに気付いたかのようにスンスンと鼻を鳴らした。
そして、柔らかな上掛けから僅かに香る「その匂い」に気付き……、
「あぁ、なるほど……」
などと言い、微妙に邪悪に微笑んだ。
――ここで、ケイトの意識が凍結した。
「いけませんね、こんな無用心な空間で……」
いつも通りの口調で言いながら、ジェリコは玄関へ舞い戻り、その扉に鍵をかけた。
続いて、その足は就寝スペースの窓辺へ――気持ちの良い日差しを受け入れていた窓のカーテンを閉ざし、外から視線が入りうる全てのルートを遮断した。
カーテンを閉じたジェリコが、ケイトに振り返る。
カーテン越しに薄く差し込む日光を背にしたジェリコの微笑みは、よく見えない分、何やら恐ろしいものがあった。
凍り付いていたケイトの意識が、氷が解けだすようにじわじわと現実に戻ってくる。
「あ、あ、あの……っ! ジェリコ、これは、だな…………その……っ!」
「えぇ、私のせいでしょうとも。気付いて差し上げられなくて、申し訳ありませんでした」
ジェリコはにっこりと恐ろしい笑顔のまま、じわじわとケイトに迫る。
寝台の傍らにたどり着いたジェリコは、そのまま上掛けを勢いよく剥ぎ取った。
「あ……っ!」
悲鳴になりきらない声を上げた時にはすでに遅く、そこには上を着たまま、下半身はぐちゃぐちゃに濡れた下着一枚で、乱れて寝そべるケイトという、暴力的なまでに官能的な眺めが広がっていた。
「こんなにして、可哀想に……」
「じぇ、ジェリコ……!!」
上擦った声で非難の声を上げるケイトだったが、今のあられもない姿でいつもの迫力がこもる筈もない。
そんなケイトの様子さえ面白がるように微笑み、ジェリコはゆっくりと彼女に覆い被さっていった。
「ジェリコ、待っ……やっ、まだ昼にもなってないのに……!」
「身体の異常は即座に対応しないといけません。治療士としては勿論、男としてね」
最後の抵抗もむなしく、ケイトは完全に寝台へと押さえ込まれてしまった。
心底楽しそうなジェリコの表情を見て、ケイトは今日で何度か思った言葉を、再び思い出していた。
――我ながら、たるみすぎだ。
その思考もどこか遠くの方で巡っているかのようで……。
ケイトの羞恥と諦念を煽るかのように、彼女が身に纏っていた残りの衣服が、ばっさばっさと宙に舞った。
(続くと思う)
投下終了です。ありがとうございました。
例によってエロは後半です。展開がベタすぎるという反論は受け付けなくもない。
それではまた後日、後半を投下しにきます。
キター!
……そりゃまぁ、はぢめてのせっくすが
あんなにすごかったんだから骨抜きにもなるわなww
GJ!
あいかわらずエロいですw
まさかの続編、そしてお約束サイコー!
続きも楽しみにしてます
アイテルネタマダー?
390 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:26:37 ID:3pkJMSN/
chapter2を投下します。
ネタバレ満載・まだ非エロです。
携帯からだと読みにくいかと思いますがご容赦。
通常EDまでのネタバレを大量に含んでいますので
クリア前だという場合などは「イカルガ」でクリアまでNG指定お願いします。
chapter5まで続きます。
391 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:29:44 ID:3pkJMSN/
chapter2 [試練 Trial]
俺たちの潜入しているH国は、人類側にとって重要な脅威となっている国家
だ。少なくともエメル総指揮官はH国を蛇蝎のように嫌っているし、それには
それだけの理由もある。
H国を制圧した竜は、自らを人類の解放者であると宣言した。ヘイズという
名のその竜は、他の竜たちと異なりフロワロを撒き散らすこともなく、また自
分に従う人間には寛大な態度を示した。結果、H国では竜と人間の「共棲」が
成立し、ときおり下級の竜が暴走して人間を襲うことこそあれ、H国はヘイズ
の統治により平和を維持するどころか、以前よりも発展しつつある。なにしろ
和平派の人間たちは旧国連軍を主体とした人類防衛戦線に加わるよりはH国へ
の亡命を志すし、そういった亡命者をH国は拒まなかった。ヘイズはH国の人
間たちに未知の技術を惜しみなく与えており、ついこの前もH国では新技術に
基づいた人工衛星の打ち上げ実験が行われたばかりだ。
竜の中にも宥和派が存在するという事実は、竜と戦う人間たちの士気に確実
な悪影響を与え続けている。現状ではヘイズ以外の竜は人間に対して殲滅戦争
を宣言しているが、本当にこれが未来永劫続くのか、竜との交渉は不可能なの
かという疑問を、H国の平和は掻き立て続けた。
エメル総指揮官の方針は簡潔だ。人類の裏切り者であるH国は滅びるべし、
プロパガンダ攻勢で人類の統一的抵抗を破綻させようとするヘイズに死を。
とはいえ、防衛戦線側はH国と戦争をしているわけではない。エメル総指揮
官はそれを強く望んでいるが、そんなことをすればただでさえ権力闘争と民族
間のゴタゴタで揺れ動き続けている防衛戦線は簡単に崩壊するだろう。
「敵は竜」。その一言が、何千年にも渡って共食いを続けてきた人類を、かろ
うじて団結させるに至ったのだ。その剣が同じ人間にも向けられるとなれば、
かつて大国に抑圧され続けてきた少数民族・宗教グループは、迷うことなく防
衛戦線を離脱するに違いない――たとえその先に各個撃破と殲滅戦しかなかっ
たとしても。
彼らも、同じなのだ。彼らもまた、彼らなりの理想の器を持ち、その器が満
ちることがなかったとしても、悔いることはない。そのことを、エメル総指揮
官は理解できない。
とはいえ、俺個人がH国の方針に対して何を思うかといえば、「胸糞悪い」
以外に言葉はない。あいつらは竜と共棲しているのではなく、ただ単に、竜の
おめこぼしに預かっているだけだ。その関係は、支配と被支配でしかない。そ
んなものを指して生きているなどと言えるか? 彼らは生きているのではなく、
飼われているのだ。小屋に詰め込まれた鶏のように。これが平和だというなら、
人類が作ってきたありとあらゆる強制収容所は、みな平和だったということに
なる。阿呆め。
だが、カガリは迷いを抱いている。彼女はもともとH国の人間で、最初の侵
攻のなかで両親を殺された結果、流れ流れて今の場所にいる。たとえそれが見
せかけの平和であったとしても、かつての同胞たちが安らかに暮らしているの
であればそれを無碍にはできないという思いは、彼女の中に確実に存在してい
る。祖国の安寧と繁栄が目に見える形で彼女の前に現れているいま、その感慨
が深まっているとしても不思議ではない。
彼女の迷いは、わからなくもない。俺たちが任務を遂行し続ければ、H国は
他国同様にフロワロの咲き誇る荒野に変じるだろう。戦いの中で何十万、何百
万という人間が死に、勝利したとしても復興には百年単位での年月が必要にな
る。司令部はH国におけるプロパガンダ戦略によって毎秒0.3人の人的損害が
発生していると計算しているが、目に見えないところで滑り落ちていく砂粒を
どんなに思ったところで、目の前で起こるカタストロフを肯定するのは難しい。
ましてやそれが、友もいれば親族もいる土地となれば。
392 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:32:18 ID:3pkJMSN/
敵の偵察部隊との戦闘は一瞬で終わった。ヴァイスとシュヴァルツは指向性
EMPグレネードの投擲と同時に完璧な待ち伏せを仕掛け、瞬きひとつの時間で4
人を地に這わせる。俺は20メートルを一歩で踏み込み、最初に無線機を背負っ
た男を右拳で殴って昏倒させると、その隣に立っていたベレー帽の男――おそ
らく指揮官――を左手の理力楯で張り倒す。楯で殴られた男は水平に吹っ飛ぶ
と、木の幹に身体を打ちつけて地面に転がった。ちょいとやりすぎたが、死に
はしないだろう。
俺が次の一歩を踏み出す前に、ヴァイスとシュヴァルツが残った4人を片付
けた。鮮やかなものだ。得意のナイフを抜かずとも、彼女たちの戦闘能力はま
るで侮れない。
カガリが倒れている指揮官に歩み寄り、容態を確認する。彼女はちょっと首
を振ると、目を閉じて精神を集中させた。かざした手がほのかに光る。
「シンラ、やりすぎよ、これ」。手をかざしながら、カガリがぶつぶつと文句
を言う。やっぱりやりすぎだったか。でもほら、死にはしないじゃないか。
「あたしがいなかったら死んでたっていうのは、死ななかったうちにカウント
しないでほしいんだけど」
俺の心を見透かしたようにカガリが文句を言う。へいへい。
「接敵情報の漏洩は確認できません。定時連絡用ダミー・プログラムのインス
トールを行います。インストール完了。露見まで期待値で98.36分」。淡々と
シュヴァルツが事後処理を行っている。
「ヴァイス、カモフラージュコートを射出。ずらかるぞ」
「了解。射出まで3秒、退避を。射出。カモフラージュコート完了しました」
地面に倒れた兵士たちの上に、光学的な迷彩が塗膜されていく。ペイントを
塗りたくるともいう。シュヴァルツは近くの下藪を切り払ってペイントの上に
撒き散らした。原始的だが、こういうのはその程度で十分だ。敵が熱探知して
くるような状況ではない。サーモビジョンを搭載した戦闘ヘリで山狩りをし始
めるようなら、そのときはそのとき。
俺たちは駆け足で山道を移動し始める。目的地までは、まだまだ遠い。
俺たちがこんな益体もないピクニックを何週間も続けているのには、当然だ
が理由がある。H国は民主制国家だったが、実態は一党独裁と血縁主義による
事実上の封建社会だ。政治の中枢は大統領府だが、大統領を動かしているのは
H国を影から支配し続けているフィクサーだ。俺たちはそのフィクサーに直接
面会し、エメル総指揮官とのチャンネルを作るべく派遣された。
フィクサーが住んでいるのは、山奥の一軒屋だ。先方と最低限のコンタクト
はできているらしく、目的地までたどりつければ、そこから先はフィクサーの
私兵と戦って血路を切り開くような真似をしなくてもいい、とは言われている。
そこまでの道のりがあまりに遠いというだけで。
その後も何度か偵察部隊や、ときには小規模な攻撃部隊との戦闘になったが、
俺たちはなんとか切り抜けることに成功した。そして、夕闇に沈もうとしてい
る瀟洒なコテージを見つけたころには、H国に侵入してから2ヶ月が経過して
いた。
「シンラ、まもなく目標地点の哨戒空域です。IFFを発信してください」。
シュヴァルツに促されて、俺は背嚢から小型の通信機のようなものを取りだ
し、スイッチを入れた。先方から送られてきたこの機械は、簡単に言えば先方
にとっての敵か味方かを識別するための電波を発するものだ。IFFがオフにな
ったまま敷地に入れば、連中は容赦なく最新鋭の攻撃部隊で俺たちを狙ってく
るだろう。勝てないとは思わないが、そんな無駄な苦労は御免だ。
「IFF波発信を確認。こちらの通常通信チャンネルに入電あります」
「念のため防壁のレベルを上げろ。防壁が上がり次第、つないでくれ」
393 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:34:55 ID:3pkJMSN/
「防壁展開完了、つなぎます――ようこそ、人類戦士の諸君。門は開けてある。
車の一台も出してやりたいところだが、時勢を鑑みて失礼させていただくとし
よう。そこから門までは直線距離で1キロもないはずだ。お茶を用意しておく」
通信は唐突に切れた。
「直線距離で1キロとか言ったか、今」
「言ったわね……」
「それで、俺たちの目の前には立派な渓谷があるんだが」
「古い衛星写真によると、上流・下流とも5キロ先まで橋はありません」
「わかったよ、久々の空の旅だ。ヴァイス、抑制回路の部分遮断を申請。シュ
ヴァルツ、バックアップしてくれ。カガリ、俺の背嚢を頼む。乗り心地はお前ら
でなんとか工夫しろ」
「抑制回路の部分遮断を受理。解放まで10秒」
「精神負荷の共有回路をオープン。安定化効率に全体の機能の15%を投入」
「乗り心地ってさあ。じゃあ今回はあたしが背中。それ以外は認めないから。
もう足は絶対にイヤ」
「共有回路を起動中は運動性能が低下しますので」
「あたしが背中」
「飛行途中での落下の危険性が」
「あたしが背中」
「人が集中してるときに、観覧車の座席取りみたいなことで揉めるなお前ら。
カガリが背中、ヴァイスはすまないが足にぶら下がってくれ。シュヴァルツは
俺が抱えてく。オーケー?」
「えええええええじゃあたしが」
「了解しました、ありがとうございますシンラ」
「結局、私はまた足なんですね」
「ねえシンラ、二人を両手で一人ずつ持つとかダメなの?」
「俺の空力特性のこともちょっとは考えてくれ」
「計算によると、効率低下は1.3」
「黙れ。翼部展開するぞ、離れろ」
俺は意識を集中して、自分の内側にいる竜に向き合う。奴らの持つ大きな翼
を頭の中に描き、それが自分の背中にも生えている様子を想像する。ツン、と
鼻の奥が熱くなるのを感じる。大丈夫、暴走には程遠い。
次の瞬間、バサリと音をたてて巨大な羽が俺の背中に生えた。軽く眩暈がす
る。シュヴァルツがこめかみに手をあてているのが分かる。彼女は生体通信を
介して俺の精神的負荷を分散させているのだ。たかが翼を生やす程度でこれな
のだから、あのタケハヤの負荷を分散処理するアイテルがどれほどの苦痛に耐
えているのか、ちょっと想像ができない。タケハヤがどれほどのものを押さえ
込んでいるかに至っては、想像すらしたくないが。
俺はシュヴァルツを俗に言うお姫様抱っこでかかえこむ。カガリがジト目で
見ているのが分かるが、そういう場合じゃないだろ、お前。俺が軽く姿勢を下
げると、カガリは背中にしがみついた。
「テイクオフ。ヴァイス、カウントしろ」
「了解、テイクオフまで3秒。3、2、1」
ゼロ、の声と同時に俺は両足で地面を蹴ると、翼を大きく羽ばたかせた。ヴ
ァイスが人間離れした跳躍力をみせて、俺の両足を掴む。わずかにバランスを
崩したが、2、3回羽ばたくうちに安定を取り戻した。
「くっそ、やっぱり3人は重いぜ」
「前回に比べてシュヴァルツの重量が増加していますので当然かと」
「な、なな、そ、増えたってほど」
「700g強も増量しておいて、太っていないとは言わせません」
「ささささっき多めに水分補給したからであって! 正味534gのはず」
「なんだ、ちゃんと増えてるんじゃん」
「でででででもカガリさんだってそれを言ったらキログラム単位で」
「シンラ、その子だったらここから落としても生きてるわよね?」
俺は無言で飛行速度を上げる。打ちつける気流の激しさに、女どもは一斉に
口を閉じた。女三人集まれば姦しいってのは誰が考えたんだ。
1分ちょっとの空の旅の後、俺たちはコテージの門にたどり着いた。玄関ま
で飛んでいくってのもありだが、最低限の礼儀は守ることにしよう。俺たちは
外交使節でもあるんだから。面倒なことこの上ないが。
394 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:39:04 ID:3pkJMSN/
玄関先で翼を畳んだ俺を、執事らしき男が出迎えた。異形の姿を見ても、取
り乱す風はない。俺が自分たちが防衛戦線の使者であることを改めて告げると、
男は黙って俺たちを邸内に迎え入れた。
コテージは豪華なつくりで、H国の上層部が貯えてきた資産の膨大さをうか
がわせる。カネになどほとんど意味のなくなった世界ではあるが、それでもカ
ネの威力が通じる部分はまだまだ多い。
俺たちは和室と洋室がつなぎになった、不思議な客間に通された。カガリは
「由緒正しい成金趣味ってやつね」とか呟く。そういうことは、思ったとして
も口にだしちゃいけないぜ、カガリ。俺も思ったけど。
しばらく待つと、和室の襖が開いて、フィクサーが姿を現した。生体通信の
秘話回線をオープンする。
『虹彩パターンのスキャン完了。照合。フィクサー本人である確率は86.7%』
『武装は確認できません。本人の身体能力も脅威レベルは無視可能』
『オーケー、この回線を維持しろ。以後圧縮言語を使え』
『アイ・サー』
俺は席を立つと、フィクサーが伸ばした手を取って固く握手を交わし、改め
て着席する。
「ようこそ、老いぼれの終の棲家へ。だいたいの話は聞いているよ」
「我々の計算では、この国の体制が維持されることで、毎秒0.3人の死者が発
生していると測定しています。あなた方の平和と安寧は、他の人間の血によっ
て購われている。そのことを、どう思われますか」
「悪いが、どうとも思わないな。21世紀生まれの君らは知らんだろうが、儂ら
が若いころには、『アフリカでは2秒につき1人の子供が死んでいます』とかい
うCMがテレビを賑わしていたよ。毎秒0.5人だ。その悲惨は、先進国の平和と
安寧のために無視され続けた。毎秒0.3人ならば、我々はなかなか大した努力
をしていることにはならんかな?」
「人類の旧弊を支持することが、現在の弊害を擁護することになると?」
「では君たちは旧弊を背負っていないとでも言うつもりかね? 『敵は竜』と
は、大いに結構。儂らは『敵は帝国主義者』と習い、次に『敵はファシズムと
民族主義』と習い、その舌の根も乾かぬうちに『敵はアカ』と習ったものだよ。
君たちもまた、人類がかつてそうであったように、敵を敵と認めること以外
では結束できずにいる。君たちのやろうとしていることは、どんなに控えめに
言っても、人殺しに過ぎん。儂らの咎が、人殺しがあたかも存在しないかのよ
うに振舞っていることだとすれば、君らは自分たちの手で人を殺して、それを
自由のための戦いと称している」
「我々は竜と戦っています。人ではない」
「ではこの国で竜との戦争を始めるか? その戦争を始めるという決断は、人
殺しをするという決断とどこが違う」
「どんな犠牲を払ってでも、ここで戦わなかったら、人類はいずれ全滅します。
よもやこの国の現状が永久に続くなどとは思っておられますまい」
「永久に続く国家など存在しない。永久に続く種も存在しない。なぜ人類が絶
滅してはいかんのかね? この竜の試練を乗り越えても、人類はいつか必ず滅
びるだろう。生物とはそういうものだ」
「俺は……まだ人類が滅びてほしくない。あなたは、もう滅びても構わないと
思っているのかもしれない。けれど俺たちは、そう思ってはいません」
「ハッ、本音が出たな。君らにしても、結局は人類が犯してきた過ちを繰り返
す烏合の衆の一員に過ぎんということだよ。儂も含めてな。人類はいつだって、
己と『己たち』の主張を信じて、その正しさを認めさせるために殺しあってき
たのだ。
よいかね、平和や自由の形は、人の数だけある。だから人はそれぞれの平和
や自由を求めて、殺戮者となる。君もまた、自由を求める殺戮者となるか?」
『シンラ、エメル総指揮官から入電』。シュヴァルツが脳裏に耳打ちをする。
『10秒待ってもらえ』
「もしそれが必要なら、俺は殺戮者になりましょう」
『ダメです、強制オープン――シンラ、こちらエメルだ。新しい任務を発行す
る。ただちにその空域を離脱、チームβ4と合流しろ。以後の行動はβ4に従
え。以上――回線遮断されました』
395 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:42:24 ID:3pkJMSN/
「そうやって愚行を繰り返すのか?」
「では、あなたは愚行を繰り返さないのですか?」
沈黙が落ちた。ヴァイスがエメル総指揮官からの最優先命令を執行しろと煩
く騒ぎ立てるが、彼女にはβ4の動向を調査させることにする。
「賢く生きるのも結構。あなたが仰るように、平和や自由の形は、人の数だけ
あるのでしょう。だから、賢く生きる道だって否定はしない。
でも俺は、人間ってのは本質的に愚かなのだと思っています。愚かさを棄て
た人間など、人間ではない。この戦争は、人類が体験したあらゆる戦争と異な
る戦争です。人間が人間であること、その意味を問われている。ならば俺は、
人間として、愚かでありたい」
「そうして、気合と根性だけを武器に、マシンガンが待ち構える丘の上を目指
すのかね――と、ちょっと失礼する」
気がつくと、執事が電話を持ってフィクサーの横に立っていた。電話ごしに、
なにやらボソボソと討論をしているのが聞こえる。
『シュヴァルツ、通話傍受。唇も読め』
『実行中。通話の傍受はできましたが暗号プロトコルが解読できません』
『なんだと?』
『人類のテクノロジーには、相当する暗号化技術がありません』
『竜の移転技術か。唇を読めるか』
『シンラ、嫌な予感がする』
『非科学的なことを言うな、カガリ。根拠を示してくれ』
『根拠は、あたしのカン。シンラ、今すぐ動いたほうがいいわ。たぶん、もの
すごく切羽詰った時間勝負になる』
『ヴァイス、シュヴァルツ、カガリの観測を再計算しろ。最優先だ。急げ』
『読唇結果を報告。防衛戦線に所属する小隊の侵入が確認された模様です』
『β4だ。ヴァイス、β4との通信をオープン』
『自閉モードです。アクティブ反応なし』
『じゃあなぜバレた』
『こちらの自閉モードを感知できる警戒網が完成していると思われます』
『シンラ、急がないと』
『落ち着け、カガリ。β4はそう簡単にやられる連中じゃあない。ヴァイス、
本部に緊急連絡。β4は敵に感知されていることを報告しろ』
『7秒前から実行中。通信途絶。遠距離生体通信にジャミング』
『つながるまで繰り返せ。ただしあくまでカガリの観測の再計算を優先しろ』
『アイ・サー』
「状況が変わったようだ、勇者殿。君との対話は非常に興味深かったが、どう
やらこれ以上の話し合いは無駄なようだな」
「……何と?」
「哀れな。君たちは捨て駒ということだよ。我々の哨戒網が、君たちのお仲間
を洋上に発見した。竜反応だけでなく、フロワロシード反応が認められている。
ここから先は儂の推測だが、君たちのお仲間は我が国の寒村にでも上陸して、
そこの住人を皆殺しにし、フロワロを撒き散らすつもりではないのかな」
「馬鹿な。そんなことをしたら……」
「エメルならば、やる。もちろん儂らはことのすべてを衛星から記録させても
らうが、そんなものは捏造だと言い張るつもりだろうな。そして、たとえH国
においても竜の脅威は存在すると宣伝する。おおかた、君たちのお仲間は、竜
に変装する力でも持っているのではないのかね?」
『シンラ、β4は擬態化に特化した偵察・特殊工作部隊です。まさか』
『うろたえるな。相手のペースに乗せられてどうする』
「では、あなたはどうされるつもりなのです」
「答える義務はないが、答えよう。何もしない。我々は、君たちが薄汚い工作
をする証拠を手に入れる。君らは、我々の竜との宥和が完全ではない証拠を手
に入れる。状況はイーブンだ。ならば無理に人外の戦士たち相手に戦う必要は
ない。こちらにばかり無駄な損耗が積み重なる。
さあ、行きたまえ。君たちがここでできることは何もない。せいぜい、儂を
殺す程度だ。だがエメルのことだ、儂を殺せばこの国がより深く竜に支配され
ることくらい分かっている。儂の暗殺命令は出ておらんだろう?」
「ヘイズに通報すれば、俺たちも含めて、侵入したチームは助からないでしょ
う。あなたこそ、こんな事態になったのに、なぜ通報しないのです」
「これが儂にとっての自由と平和だからだよ、戦士どの」
396 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:46:01 ID:3pkJMSN/
「あなたは、この状況に対して『何もしない』と言う。ではもし、今から起こ
ろうとしている非道を止める者がいたら、それをどう評価しますか」
「馬鹿だな。長生きできんタイプの馬鹿だ。だが、確かにそういう馬鹿こそが
人類の希望なのかもしれん。君の言うとおりにな」
『ヴァイス、シュヴァルツ、本部およびβ4との連絡タスクを最低レベルに置
け。周辺警戒に全力を投じろ』
『アイ・サー』
『シンラ! いったいどういうつもりなのよ!』
『話は後だ。動くぞ』
「わかりました。彼らの上陸予想地点を教えてください」
「おやおや、君は敵国の人間だ。儂がそんな軍事機密を言えるはずがなかろう。
さあ、帰られよ。楽しいひと時を感謝する。君らの車は裏の駐車場に動かして
おいた」
「感謝します」
俺は席を立った。しぶしぶという様子で、カガリも立ち上がる。ヴァイスと
シュヴァルツはそもそも着席していない。
『シンラ、説明して。何をどうするつもりなの』
コテージの玄関に歩きながら、カガリが生体通信で俺に訴える。
『初期の任務を続行する。それだけだ。お前のカンは正しかったよ。急がなく
てはならない』
『ちょっと、ぜんぜんわけわからないわよ。説明してよ』
『あの老人は、軍事機密は教えられないと言った。だがこの国には軍隊はない。
存在するのは、あくまでも軍事力を持った警察隊だ。だから軍事機密があり得
るとすれば、それはかつて他国の軍隊が駐屯していた場所ということになる』
『だからどうするのよ』
『今からそこに向かってβ4の作戦を阻止する』
『はぁ!?』
『シンラ、それは重大な軍法違反です。承認できません』
『落ち着けよ。俺たちはβ4と合流しろという命令を受けた。それ以前の命令
は、現地のフィクサーとのパイプ作りだ。以前の命令を遂行するにあたって最
も効率がよいのが、β4を撃退することだ』
『しかし以後の行動はβ4に従えと』
『β4との連絡は取れていない』
『承服できません。シンラの議論は、ただの言葉遊びです』
『シンラ……残念だけど、あたしも賛成できない。そりゃあ、この国の人を守
ってくれるのは、嬉しい。あたしも、できるなら、そうしたい。でも、かとい
ってそんな……』
『いいか、エメルのプランはそんな単純なものじゃないんだ。β4は間違いな
く竜に擬態して作戦を実行する。その作戦が実行されれば、エメルにとってみ
ればそれはそれで問題はない。とはいえそのままなら、老人の言うとおり、分
け前は半々だ。
だがもし、H国に侵攻しようとした竜を、たまたま現地にいた防衛戦線の部
隊が撃退したとなったらどうなる? エメルはH国ですら竜の危機に瀕してい
るという証拠を手に入れ、さらには防衛戦線の正しさも示すことができる。こ
れならば第1世代のチームを2個も投入する理由が分かる』
『……ずいぶん幼稚な自作自演ね。でも彼女ならやる、か』
『し、しかし、その推測には裏づけがありません』
『本部に問い合わせても、本部は絶対にだんまりだ。俺たちが勝手に想像して、
勝手に行動するという状況以外、許されないからだ。自作自演の証拠はできる
限り減らさなくてはいけない。
それに、だ。仮にβ4を俺たちが看過したとして、俺のプランを実行した場
合と、どちらが有効だと思う』
397 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:50:09 ID:3pkJMSN/
『そ、そ、それは……』
『シンラのプランのほうが論点が整理されています。不確定要素が多すぎて有
効度は計測できませんが、トータルで概算すると戦線への寄与度は高いと判断
します』
珍しくシュヴァルツが曖昧な表現を使う。
『ただし、シンラのプランを採用した場合、我々が軍規違反に問われるのは必
然です。本部に帰投すれば軍籍剥奪のうえ、重罪に処せられるでしょう。かと
いって孤立無援での活動は不可能です。それでも実行しますか?』
『孤立無援にはならない。うまくやれば、あの老人が俺たちをサポートしてく
れる。防衛戦線とは縁切りになるが』
『シンラ……あなたって、本当に馬鹿。定期的なメンテナンスなしに、あなた
は生きていられないのよ? それはあなたが一番よく分かってるはずじゃない。
それに、あなたはエメル総指揮官のプランだなんだとか言ってるけど、要す
るに、この汚い工作が気に入らないんでしょ? 罪のない人間を殺してでも政
治的有利を確立しようなんてのは絶対にイヤだってことなんでしょう? でも
さ、あなた、そんな意地のために死ぬの? そこまで馬鹿なの? 死んだらも
う竜とは戦えないのよ?』
『メンテナンスがなくても、1年くらいならやれる。その間にヘイズを殺せば
いい。秘密裏とはいえこの国の中枢部と手を組めるんだ。やってやれなくはな
いだろう。ヘイズを叩いた後は、俺に脅迫されて渋々ってことにすれば、エメ
ルもお前らを悪くは扱うまい』
『……分かった。あたしは乗る。でも、あなたに脅迫されたからじゃない。あ
たしは、あたしの意思で、あなたの作戦に乗るわ。こんな子供じみた謀略で何
の罪もない人たちが死ぬだなんて、あたしには耐えられない。そこまで人間の
プライドを虚仮にされたくない』
『馬鹿だな、お前も。ヴァイス、シュヴァルツ、お前たちは拒否していいんだ。
なんとか俺たちだけでもやってみる』
『私たちも討議をしました』
『シンラのプランに賛同します』
『私たちは元来、あらゆる命令に優先して、シンラの命令に従えと言われてい
ます。今回のシンラの命令は、危険ですが理不尽ではありません。また最終攻
撃目標がヘイズであるというならば、いっそう従わない理由がありません』
『私たちは、ベストを尽くし、武運を祈るだけです』
『やれやれ、俺たちは阿呆の群れってことか。今さらだが先が危ぶまれるな』
『指揮官が指揮官ですから、やむをえないと考えます』
『遠まわしに馬鹿にされた気分だ』
『かなり直接的に馬鹿にしました。罵倒語辞典のインストールを行うことを推
奨します』
『まったく』
『ねえ、話がまとまったところで質問なんだけど、β4の襲撃にどうやって間
に合わせるの? 空を飛んでも間に合わないと思うんだけど』
『間に合うさ。空を飛べば』
『シンラ単独であれば確実に間に合いますが』
『何で俺一人で行くんだよ。ありえないだろ。ほら、そこにクルマがある。暖
気も済んでるようだな。ヴァイス、シュヴァルツ、操縦を頼む。俺たちはカー
ゴに入る』
裏の「駐車場」には、VTOL式の小型輸送機がエンジンを回していた。執事が
コクピットから降りてきて、俺たちに一礼する。
398 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:52:43 ID:3pkJMSN/
5分後、俺たちは亜音速で空を飛んでいた。この速度ならばβ4の移動に間
に合うはずだ。
隣を見ると、カガリが緊張した表情で虚空を睨んでいた。ここから先は、地
獄への片道切符だ。俺は膝を強く握り締めているカガリの手に、自分の手を重
ねる。僅かに、カガリの瞳が緩んだ。俺は躊躇せずにカガリの唇を奪うと、彼
女をたっぷりと味わう。カガリも俺の背中に手を回し、情熱的に接吻に答えた。
1分近く、そうやってお互いの暖かさを確認しあっただろうか。さすがにそ
こから先に進むには、状況が状況だ。名残惜しい気持ちはあったが、どちらか
らともなく唇を離す。
「……この世の中の命、意志、存在、すべてのものにはちゃんと存在理由があ
る。不要なものなぞ存在しない。そう、父親に教わったわ。
あたしは、どうしてもエメル総指揮官の方針に納得できない。彼女にとって、
あたしたちは必要のない存在だって言われてるみたいで。よっぽど竜のほうが
親近感を持てるわ。少なくとも、あいつらはあたしたちを必要としてるんだか
ら。餌として、ね。これって、元H国の人間ならではの危険な思想かしら」
「そうでもないさ。最大の問題は、エメルは現場の意識との間にズレがあるこ
とを認識できてないってことだ。戦略そのものは、間違ってない。だが戦略を
形にするのは、現場の人間だ」
「信用してるのね、彼女のこと」
「総指揮官だからな。信用しないわけにはいかない」
「信用してるのに、命令に従わないの?」
「あの爺さんの言うとおりさ。平和や自由の形は、人の数だけある。平和と自
由を守りたいと思う気持ちに変わりはない。だからといって、自分の平和と自
由を棄てる奴が、どうして他人の平和と自由を守れるんだ」
カガリは短く笑った。
「あなたって、エルネストみたい」
「誰だそれ」
「ただの独り言――『もしわれわれが空想家のようだといわれるならば、救い
がたい理想主義者といわれるならば、できもしないことを考えているといわれ
るならば、何千回でも答えよう、そのとおりだ、と』」
「そんな馬鹿がいたのか」
「ええ。じゃあ、アレイダはちょっと眠るわ。ヴァイス、到着予定時刻の15分
前には起こして」
『イエス、メム。良い夢を』
カガリは目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。誘眠剤が放出されたのだろう。
しかし、エルネストとやらが誰かは知らないが、似たようなことを考えた奴
がいるというなら、俺もきっとそいつと同じような末路を辿るのだろう。エル
ネストの前にも同じような道を辿った奴はいるだろうし、彼もその前例の存在
を薄々知りつつ、己の最期に向かって全力疾走したに違いない。
歴史に学ばない愚者と笑うなら、それもいい。俺にとっては関係のない評価
だ。ただ、俺は最後まで走らねばならない。それ以上でも、以下でもない。そ
れが、俺にとって、生きるということなのだから。
399 :
イカルガ:2009/03/23(月) 00:55:02 ID:3pkJMSN/
chapter2は以上です。次からやっとエロ展開に。
斑鳩以外にもだいぶいろいろ混じってますが、気づいた人は適当にニヤニヤしてください。
こいつを持って行け
つGJ
401 :
102:2009/03/23(月) 19:59:05 ID:UK+oNOOg
お久しぶりです、102です。
ファンタ(茶ファイター)×アリエッタ書いたんで投下。
と言っても本番なし、アリエッタの自慰のみ。
そしていかにも続きがありそうな終わり方でおもらしあり。
あと結構暗い。
上記で「あかんなぁ、スルーさせてもらう」と言う方は題をNGに。
PCでアクセス規制喰らってるので携帯で投下させていただく。
9レス借ります。
題は「戦士とアリエッタ」で。
私は信じられなかった。
この生活がいつか変わる事が。
いつか幸せになれる事が。
「…ぅん…うぅん…」
「お、気がついたな。大丈夫か?」
「…………!」
私は信じられなかった。
私を介抱してくれた事が。
私を心配してくれた事が。
私が起きたのを見て嬉しそうな顔になった事が。
「逃げて、ごめんなさい………怒られると思ったの…」
「いいっていいって、それより名前、何て言うんだ?」
「…私の…名前は、アリエッタ…ここの、メイド……
この前は…すごく疲れてて…庭を掃除してる最中に倒れてたみたい…」
「ぶっ倒れるまで疲れてたのに働いてたのか?どうしてまた…」
私は信じられなかった。
礼も言わずに逃げた私にまた声をかけてくれた事が。
私の名前を聞いてくれた事が。
私の話をちゃんと聞いてくれる人達がいた事が。
「な、何じゃお前ら!」
「…あ……」
「こんなに健気に働いてるんだからそんなに怒らなくていいじゃないですか。しかも可愛いのに…」
「こいつはわしの使用人じゃ!わしがどう扱おうと勝手じゃろうが!!」
「……ノラミラシラノイソクニノナトラマニマニニ。モラカイミチニノチスチカカイクニキチモナミチ」
「お?………ふ、ふん…!気がそれたわ…とにかく、これからはもっとしっかり働くんじゃぞ!わかったな!」
「……ふっ、あの爺、ルシェ語は分からなかったようだな…アリエッタ、怪我ないか?」
「う、うん…」
私は信じられなかった。
またここに来てくれた事が。
私を庇ってくれた事が。
私を……か、可愛いと言ってくれた事が。
「さぁて、いよいよだ。アリエッタ、忘れ物はないな?」
「忘れて困るもの、ない」
「…さいですか。よぅし、皆、今から俺達は夜逃げ屋ギルドだ」
「まだお日様、沈んでない」
「…こういうのは気分ですのよ?アリエッタさん」
「よく分からないけど…気をつけて行こうね…!」
「む…ああ、そうだな。なぁ、アリエッタ」
「何?」
「行くところがないって言ったよな?なら、家に来るか?」
「え?でも私、戦えない…」
「いや、戦えってんじゃなくて…俺達、家を持ってるんだけど留守が多いからさ。留守の間の事、お前に任せたいんだ」
「私、に?」
「まぁ、嫌なら他にいい所を…」
「やる!やらせて!」
「本当か?じゃあ決まりだな…っと、そろそろ行くか」
「…うん!」
私は、信じたくなった。
この生活から抜け出せる事を。
私でも幸せになれるかもしれないと言う事を。
きっとこれからは、素敵な生活が送れるという事を。
「ふぅ、こんな所かな?」
アリエッタは掃除をし終えた部屋を見回した。
現在、アリエッタは「トチキイ」というギルドの家で住み込みで働いていた。
ちなみにこのギルド、既にいくつかの帝竜を倒してきている。
メンバーはサムライのナムナ、メイジのシャルル、ヒーラーのモル、そしてファイターのファンタである。
彼らが留守の間、アリエッタは家の事を任されていた。
「ファンタ、何してるのかな?」
アリエッタは窓から空を見上げならそう呟いた。
アリエッタはファンタに惹かれていた。
トチキイの人達は皆いい人ではあるが、ファンタはその中でも特別だった。
アリエッタは空から視線を外し、ベッドの方に目を向けた。
ファンタが使っているベッドである。
話は変わるが、この家にはいくつか個人で使えそうな部屋がある。
使わないのも勿体無いのでトチキイのメンバーはとりあえず一人一部屋ずつ持っている。
それでも部屋は余っているのでアリエッタも一つ部屋をもらった。
と言っても特別な物は特に置いてないが。
話を戻し、ファンタの部屋。
アリエッタはファンタのベッドまで歩いて行き、ゆっくりとそこに腰を下ろした。
「帰って…来ないな」
ファンタ達はネバンプレスに謎の帝竜を討伐しに向かった。
それから10日間、まだ彼らは帰ってこない。
アリエッタはファンタに会いたかった。
このギルドハウスに来た時、アリエッタは期待していた。
これからはもっといっぱいファンタと過ごす事が出来ると思っていた。
しかし現実はそう思い通りにはならなかった。
留守が多いとは聞いていた。
もちろん、それは仕方のない事だとも思った。
しかし、やはり会いたいものは会いたいのだ。
その気持ちはアリエッタの中で日に日に強くなっていった。
おまけにいくら彼らがすごいギルドと言っても命の保障などどこにもない。
トチキイが倒れた、と言う報告も噂もなかったが、不安は常にアリエッタに付きまとった。
「ファンタ……」
アリエッタはふと視線をずらし、ファンタのベッドを見据える。
「ファンタ…ファン、タ…」
アリエッタは枕の方に向かって倒れ、そのまま枕に顔を埋めた。
留守が多いとは言え、真竜が出現するまではギルドハウスに泊まる事は少なくなかった。
だから、枕を含むファンタのベッドには彼の匂いがついていた。
アリエッタは枕を抱きかかえると、ベッドの上で体を丸める。
「んっ…これ、ファンタの…匂い…」
枕についた匂いを嗅ぎ、さらに枕に顔を埋める。
アリエッタはそのまま右手でスカートをずり上げていく。
ある程度ずり上げると、アリエッタはそのままショーツ越しに秘裂を人差し指でなぞる。
「んぅ…ファンタぁ…」
自慰をする事は何度もあった。
このギルドハウスに来てからは毎晩彼を想って自分を慰めた。
しかしそれは自分の部屋で、自分のベッドでしてきた事。
このようにファンタのベッドの上でする事はなかった。
こんな事のせいでファンタのベッドを汚したくなかったし、彼自身も汚してしまいそうだと思ったからである。
だが、会えない事で強くなった感情はついに抑えきれなくなり、アリエッタを突き動かした。
アリエッタは自分の秘所を引っ掻くように人差し指で何度も擦る。
「くっ…んぅぅっ…」
枕から顔を離すと、アリエッタは熱のこもった息を吐き出す。
「ふぁ、んたぁ…んっ…!」
アリエッタは自分の肉芽を人差し指の腹で転がすように、擦るようにして撫で責める。
アリエッタの体に甘い痺れが走り、彼女は息遣いを荒くしていく。
「は、あっふぅっ…んんっ…!」
脳裏に浮かぶ彼の姿。
自分を庇ってくれた姿、不安を感じてた自分を励ましてくれた姿。
そんな彼が好きで、一緒にいたくて、欲しくてたまらない。
いつの間にかアリエッタは腰を浮かし、尻を突き上げ、秘所を弄っていた。
長いスカートも完全に捲くれてしまい、水色のショーツが丸見えになっている。
ショーツにはすでに彼女の愛液によって染みが広がっていた。
「ふぁん、た…ふぁんたっ…ふぁんたぁ…!」
アリエッタはショーツをずらし、直接クリトリスを弄り始めた。
「はっ、ふぁんっ…た、あっ、あぁ…!」
アリエッタの口からは涎が垂れ、それが枕を濡らす。
しかし、枕を濡らしていたのはそれだけじゃなかった。
アリエッタは大粒の涙を流して泣いていた。
(私じゃ…釣り合わない…)
いつもそうだった。
絶頂に達しそうになると、いつもアリエッタは考えてしまう。
ファンタは強いし、優しい。
対して自分は弱いし、大した事も出来ない。
ニギリオの宿からここまで来るのに何度かモンスターと戦闘になった。
その時、アリエッタは何も出来ず、怪我をしないように離れて見てるだけだった。
ファンタはそんなモンスターに立ち向かっていき、その隣にはナムナがいた。
彼女はファンタの隣で戦っていて、その姿はとても綺麗だった。
戦闘後は勝利を二人で喜んでいた。
今も彼女は彼と一緒に戦っているのだろう。
彼を手助けする力を持ち、彼の支えになれる彼女。
それに比べて、彼に助けてもらってばかりで、挙句の果てに彼が休む為の場所を汚す自分。
同じルシェなのに、こんなにも違う。
もし、彼女と何もなくても…彼と私じゃ釣り合わない。
「ふぁ、んたぁぁ…うっ、あ、はぁっ!」
涙は止まらず、手も止まらない。
こんな事を考えても手を止める事が出来ない。
その事が悔しくて、また涙を流す。
そしてアリエッタは自分の肉芽をきゅっと摘みあげた。
「はっ、んぅぅぅぅぅっ!」
彼女は絶頂を迎え、体を振るわせる。
それと同時に愛液とは違う黄金水が音を立てて噴き出していく。
「あ、あぁぁぁっ…」
噴き出した黄金水はやがて勢いをなくしていき、アリエッタが体をぶるっと震わせると止まった。
アリエッタは体を起こすと、捲くれていたスカートはずり落ち、丸出しだった下半身を覆った。
直接見なくても、布団がぐしょぐしょになっている事は分かっている。
「……布団、綺麗にしないと…」
「…アリエッタ?」
アリエッタは声を聞き、目を見開いた。
そして、ゆっくりと振り向くと、部屋の入り口に彼が立っていた。
「ファ…ンタ?」
「その…えっ…と…」
気まずい空気が部屋を覆う中、アリエッタはベッドから降りるとファンタの横を抜けて部屋を飛び出した。
「っと!?お、おい!アリエッタ!?く…」
ファンタは一度部屋を見回すと、扉を閉めて走り出した。
私は信じたくなかった。
彼と私が釣り合わない事を。
私は信じたかった。
これからは幸せになれるかもしれないと言う事を。
きっと彼は私を軽蔑する。
当然だよね、私のあんな姿を見たのだから。
もう、あそこには…戻れないよね。
…ごめんなさい、ファンタ。
411 :
102:2009/03/23(月) 20:21:23 ID:UK+oNOOg
投下終了です
ノリと勢いだけで書いたので、えらい作品になってしまったYO!
とりあえず誰てめぇ的アリエッタになってしまった事をここで詫びる
ちなみにトチキイとはsageをルシェ語にしたもの
続く終わり方だけど特に希望がなければこのまま完
続きを書くとしてもこれからちょっと忙しくなりそうなんで多分遅れる
それでもおkならば書かせて頂きます…多分
それにしても素晴らしい職人さんがこんなに増えて嬉しいのう…
>>このまま完
こいつ……真竜より鬼畜やでぇ……
続きを書け、いや書いて下さいお願いします
体壊さないように気をつけてくださいね。
続き待ってる…!
ちょ、まて、続けこら。いや続けてくださいお願いします。
ルシェ言語の解読に10分かかったw
『このドケチクソジジイ。もてないからってひがむな!』かw
415 :
339:2009/03/24(火) 00:28:38 ID:e8+5hDUE
これは続きが気になる…!
ゆっくりでもいいので続きを書いてください!
339です。
若サムライ×ルシェメイジの続きです。
・ようやっとメイジ登場
・でもエロはまだです
・もしかしたら無駄に話が長くなるかも
前回に続いて、受け付けない方はタイトル『選択の結末』NGかスルーお願いします。
登場人物
ソウマ 若サムライ。主人公。一応貴族。
エリス ルシェメイジ。森の中で倒れていた。
ナッくん 木の実を3つ持ってる。
416 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:29:43 ID:e8+5hDUE
→A なんとか森を脱出し、このルシェの少女を近隣の町に送る。
やはり少女一人をこんな所に置いていくわけにはいかない。
しかし脱出するにしても、まずはこの子の足の応急処置が先だろう。
しかしどうしたものか……パロの実すら持っていないぞ……
【ガサガサッ】
っ!ドラゴンか!?
「やぁ!オイラマスクナッツのナッくん!愚かな人間よ!我が血肉となれぃ!」
「うむ。これでよし」
回復量が少ない木の実も、3つ使えばパロの実と同じ効果が得られる。
木の実を刷り潰したものを患部に塗り、着物の切端を包帯代わりにして応急処置をする。
さて……応急処置はこれでいいとして、どうやってこの森を脱け出そうか……
地図も父に破かれている。現在位置も、出口もわからない。持ち物は
ナマ水半分に、スライムゼリー×2、それからボタンミート×1に、海竜の尾ひれ×3……
困った。絶望的である。とても少女を背負った状態で脱出できる気がしない。
先程のマスクナッツはともかく、ここには基本的にそれ以上の強さを誇る魔物が沢山いる。
蜂やキノコの毒にやられたらじわじわ衰弱死確定。
猪の突撃をくらったらもう歩けまい。
火の玉の炎を受ければ、ミディアムレアで食われる。
そして、あと何体いるかもわからないドラゴン……
まともに戦って生き延びるのはほぼ不可能だ。ひたすら逃げるしかない。
しかし、EX逃走も3回しか使用できないこの状況、逃げ切れるのか?
いや、逃げ切るのだ。敵に背を向けるな!と父の教えにあったが、人命がかかっている。
サムライの誇りは確かに大切だが、その誇りに巻き込んで他人を死なせてしまうことは、
絶対に間違っている。私は私が正しいと思った道を行く!
すみませぬ、今は亡き、微妙に憎き父上。これより私は……
「無様に敵に背を向けてでも!ひたすら逃げます!」
417 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:30:49 ID:e8+5hDUE
走る走る逃げる逃げるっ!!
スライムを殴り飛ばし、キノコを蹴り飛ばし、フロワロの中にいた小さい竜も踏みつけて、
後ろから追いかけてくる猪や竜から必死で逃げる!
エグゾーストゲージも残り0!それでも逃げる!
よしっ出口だ!逃げ切れ
【来た!ドラゴンだ!】
【サーペンタスがあらわれた!】
くっ…あとたった数歩だというのに!
この細い道では、一旦逃げて横をすり抜けることは不可能、そして後ろは多数の竜と魔物!
脱出するには、こいつを倒すしかない……!
即座に背負っていたルシェの少女を左腕で抱きかかえ、残る右腕で無手の構えをとる。
―――――グオオオオォォォ!!
竜が咆哮をあげ、飛び掛ってくる。
だがこの竜とは既に何度かこの森で交戦した。
故に相手の攻撃の『クセ』もわかる。
この竜の『クセ』、攻撃属性!それは『壊』属性!
竜よ、サムライは刀が無ければ何も出来ないと思うな!
「見切った!壊撃雲身っ!」
ゴシャリ……と鈍い音がなる。と、同時に眼前の竜が崩れ落ちた。
どうやらうまい具合に心臓を潰すことが出来たようだ。
……格好つけたことを言ったが、もしこの一撃で仕留められなかったら、
死んでいたのは私の方だ。我ながらなんて運まかせな戦いだろうか……
いや、倒せたから良しだ。今はするべきことが残っている。
事切れた竜を踏み渡り、出口に急ぐ。
418 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:31:42 ID:e8+5hDUE
「〜っ!」
あぁ、太陽のなんと眩しいことか!
たった数時間しか経っていないのに、もう何年も見ていない気がする。外に出られたのだ……!
う〜む……人間死ぬ気になれば意外となんとかなるものだな……
しかしまだ終わりではない。
家に帰るまでが遠足の法則と同じだ。町に辿り着くまでが戦いなのだ。
この森から近いのは……ミロスかカザンだな。
しかし、先程無理な体勢でカウンターをした影響か、右腕が何故か動かない。
これでは構えることも厳しい。今度こそ逃げる事しか出来ない。
となると、いざ戦いになった時、逃げやすいカザンの方が安全だな。
もう一息だ。全力で走ろう。
「ようこそ!ここは……大丈夫かいあんた?それに背中にしょってる子も……」
「大丈夫に見えるか?そんな質問をする暇があったら、頭のラビを取ってくれぬか……」
全力疾走して、なんとかカザンの町に辿り着くことが出来た。
しかし町に着く寸前、ラビ達の奇襲を受け、体力は風前の灯だ。
しかも、一匹が私の頭にかじりついて離れない。現在、状態異常『出血』真っ最中である。
【ドブシャッ】
あ、やばい。
今ターンが進んだのか、出血の追加ダメージを喰らった。
いかん……今のでLIFEが0になったかもしれん……
ああ……何だか……意識が遠のいて……
…………
………
……
…
419 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:33:34 ID:e8+5hDUE
「う……」
「よかった……気が付きましたか?」
はて……気が付いた?私はまだ生きているのか?
ああ、そうだ、確かルシェの少女を町に送ろうとしてカザンに辿り着いたはいいが、
出血で体力が底をついて、そのまま倒れたんだった。
とりあえず、まずは状況確認だ。とにかく目を開けよう。
「ん……ん?」
だんだん周りの様子がわかってきた。どうやらここは何処かの病室らしい。
そして視界の右側に映るのが……
「……おにぎり?」
しかも二つ。真っ白で三角形の。……あれ?前もこんなことを言った気がする。
いや違う!今度こそ間違えない!これはおにぎりではなく
「お、おにぎりですね?すぐに持ってきます!」
「ま、待ってくれ!今のは寝惚けただけだから大丈夫だ!」
慌ててどこかにおにぎりを探しに行く少女を、同じく慌てて引きとめる。
私がおにぎりだと幻視したものは少女の耳で。
そしてその少女こそ、私が森で救助したルシェの少女で。
どうやら無事に町まで送ることに成功したらしい。
それを思うと、自然に安堵の溜め息がでた。
こんな私でも、人を一人救うことができたのだな……
420 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:34:39 ID:e8+5hDUE
「ふぅ、君が無事でよかった。足の怪我は大丈夫か?」
「私は大丈夫です。あなたこそ大丈夫ですか……?」
「大丈夫とは?」
「全身打撲、切傷、火傷、右腕骨折に出血多量…すごい大怪我だったんですよ…?」
なんとまぁ…我ながらよく生きて町につけたものだ。まさに奇跡である。
「3日間も目を覚まさなくて…私、不安で不安で……」
……実感がわかないが、どうやら私は相当危険な状態で、
しかもこの少女は、そんな私を気遣ってくれていたらしい。感謝感激である。
「町の人から聞きました…ボロボロのあなたが、私を背負って町まで駆け込んできたって……」
「あぁ、森で倒れているのを見付けてね。ほうって置けなかったんだ」
「ごめんなさい……私なんか助けたせいで……そんな大怪我を……」
少女が涙ながらに謝ってくる。
だが実のところ、怪我の八割は救助前に既に出来ていた。決してこの子のせいではない。
「いや、私は元々死ぬつもりだった。むしろ君が倒れていたからこそ、私も生きているのだ。
それに3日間も付き添ってもらったようで…礼を言うよ。ありがとう…え〜っと……」
ここまで言って私はあることに気が付く。
まだこの少女の名前を聞いていなかった。
少女もそれに気付いた様子で、慌てて自己紹介をする。
「あっ…ごめんなさい。私、エリスって言います。耳でわかるかもしれませんが、ルシェです」
少女――エリスは耳をパタパタと動かして一礼をした。むぅ……かわいい。
「エリスか…いい名だな。私はソウマ。アイゼン皇国貴ぞ…」
言い終わる前に、視界からエリスの姿が、
消えた。
421 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:35:46 ID:e8+5hDUE
何処へ?……いた!
彼女は立っていた位置から真後ろの空中にいた。そして……
「申し訳ございませんっ!!」
着地の瞬間に土下座の姿勢をとった。
【バック宙土下座】……
この世に数ある土下座の中でも、最高位、最高難易度の土下座だ。
後ろに跳ぶことで相手との距離をとり瞬時に自分が格下であると示し、
その瞬間に土下座をする電光石火、幻の謝罪技。まさかこの目で見ることができようとは……
いや感心している場合ではない。何故私がそのような大技を使われたのだろうか?
「い、いきなりどうした……?」
「申し訳ございません!貴族の方に無礼の数々を……!」
ああ、なるほど。そういうことか。
しかし私は貴族と言っても、別段凄い金や権力があるわけでもない。所詮下級貴族だ。
それに貴族だからと妙な優遇をされるほうが嫌いである。その事を伝えねば。
「そのことなら気にしなくて
「それどころか私はまだ受けた大恩のお礼もしていませんでした!」
「いやだから
「何も出来ない駄目な使用人で申し訳ございません!」
「ちょ
「どうか捨てないでください!精一杯ご奉仕しますから!」
話が通じない……というよりも、今の彼女は一種の錯乱状態だ。
そしてそれは……アイゼンの貴族に植え付けられた『恐怖』が原因だろう。
アイゼンの悪しき風習に、ルシェの差別があった。いや、極一部を除けばいまだにある。
さらには、表向きは法律で禁じられているが、その法の目を掻い潜り、
ルシェを奴隷(名目は使用人)として扱う貴族も少なくない。
この怯え方、おそらくこの少女、エリスも、相当酷い扱いを受けてきたのだろう………
まったく……同じアイゼンの人間として信じられないものだ……
422 :
選択の結末:2009/03/24(火) 00:36:44 ID:e8+5hDUE
とにかく、エリスを落ち着かせ……
ん?なんだろうか……妙に股間が……ま……まさか……!
「ん……ふぅ…あむ……」
「――――――っ!!?」ああやっぱりか!
いつの間にやら、エリスは私の着物を脱がせ、我が愚息に舌を這わせていた。
これもおそらく、彼女の主人である貴族に無理矢理仕込まされたのだろう。
ああなんということを!許さんぞ主人よ!見つけ次第、即斬刑だ!
そして少しは自重しろ我が愚息!斬馬の構えをとるなぁ!
い…いかん!このままでは…!この場合するべきことは……
A 気持ちいいので、このまま流れに任せる。
B なんとか引き剥がして、落ち着かせる。
C 攻められるより攻めるために、押し倒す。
D ナースコールと思われるボタンを、押してみる。
E 目の前の耳を、掴んでみる。
F 突如食われた筈の父上が乱入。
ここまでです。
再び恐縮ですが、↓の人に今後の展開を委ねます。では
GJw
しかしルシェメイジのご奉仕より、常にいっぱいいっぱいな若サムライのほうに
ニヤニヤしてしまうのはなんでだろうなww
Fでお願いします
よっしゃ
F
>>424-425 これ答えたの絶対父上だろ・・汚いなさすが父上きたない
もうちょっとイチャイチャしてからGO!!して貰いたいので
Bに一票
父上人気だなwww
間に合わないがEで。
後生でござる!Bにして下され!
Bで。
しかしできれば書き手さんの選択が見てみたいな
サムライを名乗るなら、その意思を見せるのだ!
個人的にはBで
>>雲身
侍4人と聞いて全員雲身ってコレ最強じゃね?
と思ったが、普通にちょっと考えれば敵だって属性攻撃してくるって気付く罠
もうちょっとほのぼのムードを楽しみたいのでB
GJw
侍ならかわいそうな境遇の子は優しく抱いてあげないとね!
というわけでBをチョイスするぜ!
そしてマスクナッツに合掌w
マスクナッツフイタwwwwwwwww
GJ!!!
おいこら侍!!!!!!
てめぇが本能の赴くままにやったらその糞貴族と同じになるぞ!!
それでもいいのか!?
侍ならBだろおおおおおおおおおおおおおおお
まとめるとBを試みつつFで中断、そして頭にかじりついてきたラビがペットになったり
なんやかんやの後Eしながらゴニョゴニョですね。
……え?そんなこといってねぇ?
うぉぅ…こんなに選んでもらえるとは…どうもありがとうございます!
>>429 了解です。次は選択肢を出さずにやってみます。…出すかもだけど。
>>434 ラビは私の脳内で既に帰らぬ人になっているのでペット化はちょっと…ごめんなさい。
BEFの混合ならなんとか頑張ってみます。
♂ハンター×アリエッタもの投下します。
ネタバレ範囲は、アリエッタイベント最後の方まで……かな?
♂ハンターは特定の職種を設定してないので、お好きな設定でどぞ。
色々と趣味に走りまくってるので、普通にセックスする描写とかはなし。
規制のせいでPCから投稿出来ず、
携帯電話からせこせこ投稿するハメになったので
時間かかったりミスったりしたらごめんなさい。
「……んっ……はぁ……ふ…ぅ………んっ……」
ほのかに耳をくすぐる甘い声と、下半身を包む違和感で、俺は目を覚ました。
その違和感の正体は、不快な感覚ではなく、快感だった。
男なら誰もが経験する、あの朝の生理現象を、柔らかく、暖かな感触が包み込んでいる。
「あぁ……んっ………れろ………ふぅ……」
一定のリズムにそって、ゆっくりと下半身に刺激がこみ上げてくる。
たゆたっていた意識が少しずつ覚醒していく。
俺は、下半身に目をやり、その快感の正体を確かめた。
本当は見るまでもない。はじめからわかっている。
目に飛び込んでいたのは、小さな口で懸命に俺の肉体へ奉仕している少女の姿だった。
綺麗、というよりは可愛いという表現がぴったりだが、それでいてどこか陰りがあるようにも見える幼い顔つき。
美しくしなやかな緑髪からは、ルシェ族最大の特徴である、猫のような愛らしい耳がぴょこりと飛び出している。
俺の覚醒にまだ気づいていないのか、顔を前後して健気な奉仕を続けているその少女の名は――
「アリエッタ……」
「あ…… 起きたんだね、おはよう……」
這わせていた舌を離し、こちらを見上げたアリエッタの顔は、ほんのりと上気していた。
「そのまま楽にしててね。もっと気持ちよくしてあげるから……」
アリエッタは、うっすらと微笑むと、俺の股間に再び顔を埋めてきた。
「んっ……」
その先端に軽くキスをする。
ちゅっという軽い破裂音が響き、ペニスが小さく跳ねた。
目を覚ますまで、既にどれぐらいの間彼女から奉仕を受けていたのだろうか。
俺のものは既に、丹念にアリエッタの唾液を受け、てらてらと光っていた。
そんな俺のペニスに、アリエッタは心底いとおしそうに頬擦りをくれる。
「つっ………」
ふにふにした柔らかな頬の感触の心地よさに思わず声を漏らしてしまった俺に
もう一度にっこり笑って、アリエッタは舌による奉仕を再開した。
先端から根元まで、時間をかけてちろちろと舐め上げる。
そうしてる間にも、手で太股を、睾丸を、やわやわと撫でさするのも忘れない。
「く、ちゅ……んん………はぁ……あぁん………」
偶然なのか意図的なのか、ペニスにかかる暖かな吐息が、快感に拍車をかける。
いや―― 恐らくは、意図的なのだろう。
アリエッタの奉仕は、幼さを色濃く残したその容姿とは不釣合いに、あまりにも巧みだった。
今度は肉茎を唇で柔らかく挟み込み、ハーモニカを奏でるように左右に動かす。
(アリエッタ……お前は……)
体の奥底から搾り出されるような快感と共に込み上げてきた、言葉にならない思いが胸を締め付ける。
この奉仕の巧みさと引き換えに、この少女は多くの苦難を味わってきたのだということを、俺は知っているのだから――
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
初めて彼女と会ったのは、もうどれぐらい前になるだろう。
たまたま訪れた温泉宿で働いていたルシェの少女、それがアリエッタだった。
初めて会った時は、声をかける時間すらも与えてくれず、すぐに俺の視界から姿を消してしまった。
随分可愛い容姿の子だな、そう思った程度だったが、その表情の奥底に憂いを帯びているように見えたのが妙に気にかかった。
それから俺はなんとなく、温泉を訪れては少女と話をするようになった。
幸いにも、初対面で嫌われてしまった、というわけではなく、
彼女は誰に対しても人見知りをする性質なだけのようだった。
初めはとまどっていたアリエッタだったが、やがて少しずつ、俺に心を開いてくれた。
驚いたことに、アリエッタは温泉宿の外の世界のことをまったく知らないようだった。
対して値も張らないmささやかなアクセサリーのプレゼントも喜んでくれたし、
ほんの少しばかり脚色した冒険譚も目を輝かせて聞いてくれた。
「あなたみたいな人がご主人様になってくれたらいいのに……」
そう言われて、悪い気はしなかった。
――そしてある日、いつものように俺と話をしていたアリエッタは唐突にぽろぽろと大粒の涙を流しはじめた。
「おい、どうしたんだ?」
「あなたと話してたら……なんだか凄く哀しくなっちゃって……
私ね…… 本当は、凄く汚れちゃってるの」
途中で何度も嗚咽を漏らし、つっかえながら、語ってくれた。
この温泉で、裏ではどんなことが行われているのかということを。
――反吐が出そうだった。
俺はなにも、自分のことを公明正大な人間だなんて思っちゃいない。
「必要悪」という言葉の意味だって理解してるつもりだ。
売春も大いに結構だと思ってる。
だがそれは、自分の意思でそれをやっている人間に限っての話だ。
他人を、ましてやまだ幼い少女を奴隷として束縛し、
性の捌け口にして利を貪るような行為だけは、俺は断じて認めたくはない。
だから俺は、その日のうちにアリエッタを連れて逃げ出した。
アリエッタを食い物にしていたあのクソジジイの顔面に一発お見舞い出来なかったことだけが唯一心残りだった。
俺は、アリエッタをひとまずカザンにある自宅(ギルドハウスだが)に住まわせることにした。
「ありがとう…… こんなことまでしてくれて……
迷惑かけてしまってごめんなさい……」
「謝らなくていいさ。俺がしたくてしたことなんだからな。
とりあえず、しばらくはここでゆっくりするといい。先のことはこれから考えよう」
アリエッタは、ひどく申し訳なさそうな表情でこくりと頷いて、もう一度お礼の言葉を口にした。
だが、異変が起こったのはその数日後のことだった。
「ただいま。今帰ったよ、アリエッタ。
………………アリエッタ?」
俺が出先から帰宅すると、すぐに玄関まで出迎えてくれていたアリエッタが、
その日に限っては姿を現さなかった。
ここに来て以来、今まで一度も外出していなかったのに、今日は買い物にでも行ったのだろうか。
不審に思った俺は、アリエッタにあてがった部屋のドアを開けた。
彼女は、ちゃんとそこにいた。
「なんだ、いたのか。出かけてるのかと思ったよ。
いるのなら返事ぐらいは………おい、アリエッタ!!! どうしたんだ!?」
そこで俺は異変に気づいた。
アリエッタの様子は、一目見てわかるほどにあきらかに異常だった。
シーツにくるまって、真っ青な顔でガタガタと震えている。
「う……うぅ……くる、しいよ……
気持ち……わるいの……頭が……ヘンに…なっちゃい……そうなの……」
俺は、アリエッタにの額に手を当てる。
その額は、汗でぐっしょりと濡れていた。
体中の細かい震え、が否が応にも伝わってくる。
幸いにもというべきか、高熱を発しているというわけではないようだった。
だが、だからといって今のアリエッタの様子は、とても楽観出来る状態には見えない。
そういえば、一昨日ぐらいからどことなく体調が悪そうだったのは気になっていた。
「熱はないみたいだけど……どうしたんだ……
すぐに医者を呼んでくるから待ってろ!」
そう言って飛び出そうとした俺の腕を、アリエッタの手が弱々しく掴んだ。
「いっちゃ……だめ……原因ね、わかってるの……」
「???
なにか、持病でも持ってるのか? だったらなおさら医者に」
アリエッタは、力なく首を横に振った。
「あのね………」
言いかけて、黙り込んでしまった。
「どうしたんだ? 言ってみてくれよ」
「………、……せて……」
「え?」
「…い…き、……せて………」
「ごめん、よく聞こえない」
アリエッタは、長い沈黙の後に、意を決したように声をふりしぼった。
「せーえき、のませて……」
「………なんだって?」
今度は聞き取ることが出来た。
だが、理解できなかった。
今、精液と言ったのか? 飲ませてくれといったのか?
頭の中で疑問がぐるぐると回り続ける。
一体なんなんだ、この状況は。
「うん…………あのね……私がね……そういうことするのずっといやがってたから……
前にね、変なクスリを飲まされたの………」
話が――見えない。
「変なクスリ? クソジジイにか?」
「………うん。あの変な真っ赤なお花から作れるクスリだって言われた。
これを飲むと……その……男の人のあれなしでは生きられない体になるんだって……」
そんな――バカな。
「うそだって……思ってた……でもね、違ったの……
5日ぐらいすると、体中がヘンになったの……気が狂いになるの……
こらえ……られなかった!
でも……精液を飲ませられた途端にうそみたいにおさまった……
それで、言われ、たの……これでもうお前は一生逃げられ、ないって……」
「なんだって……そんな、ことが…………………
嘘……だよな………
………く……クソがぁぁぁぁ!」
俺は、感情の赴くまま壁を全力で殴りつけた。
どういう仕組みなのか知らないが、
連中、フロワロまでも悪用していたというのか?
人間を滅ぼすためにフロワロを散布したドラゴン。
それすらも悪用して己が利だけを貪ろうとするニンゲン。
――屑なのは、どっちだ。
クソジジイの、物欲に凝り固まったにやけ面が脳内でフラッシュバックした。
一発殴っておくべきだった?
冗談じゃない。一発や二発で済む話じゃない。
あのクソジジイ、次にあったら二度と足腰が立たないぐらいに――
「……ごめ、ん………ごめんね……… どうしても言えなかったの……
今度こそがまん……出来ると思ったの……に……
こんなこといったら、嫌いに…………なっちゃうよ、ね……」
激昂のあまり目先さえ見えなくなっていた俺は、アリエッタの声でようやく我に帰った。
「違う、違うんだ! 俺はお前に怒ってなんかいない! 嫌いにもならない!
悪いのは全部……あのクソジジイだ……!
………おい、アリエッタ……アリエッタ!?」
アリエッタは、ふらふらと立ち上がった。
そしてそのまま、部屋を出て行こうとする。
「今まで……ありがとう……
本当に嬉しかった……私、出て行くね……」
「バカいうな! その体で外に行けるわけないだろうが!」
手をひっぱるかわりにアリエッタの体をギュッと抱きしめた。
ほんの少し力を込めるだけで折れてしまいそうな華奢な体。
「どこにも行くなよ……こんな形で行かせるもんか……」
「うぅ………」
アリエッタが腕の中でしゃくりあげた。その肩がますます震える。
「行きたくない……私も……行きたくない……よ……
この数日……生まれて初めて……本当に幸せだった……
ここで毎日……あなたが帰ってくるのを迎えてあげたい……のに……けど……けど……!」
「アリエッタ……おい、アリエッタ……!」
アリエッタの膝から力ががくりと抜け、そのまま倒れこみそうになった。
どうやら、もはや立っていることもままならないらしい。
俺は、その細い体をベッドの上へと横たわらせる。
アリエッタの顔からは完全に血の気が引いている。
考えたくないことだが、もはや一刻の猶予もないのかもしれない。
これは、麻薬と同じようなものなのか?
もしかすると、このまま我慢させ禁断症状を乗り越えさせれば、やがては依存が抜けていくのかもしれない。
だがそれは、なにもかもが不明瞭な今この状態で行うにはあまりにも危険な賭けに思えた。
「……アリエッタ。その薬を飲まされたのはいつぐらいか覚えてるか?」
「……一年……ぐらい、前……」俺の問いかけに帰ってくるのは、息も絶え絶えな、か細い声だ。
「薬自体は一度だけ?
「うん……」
「薬じゃなくてその……精液を飲んだあと、副作用みたいなことはいつもないのか?」
「………うん。ない、と……思…う……」
今はとりあえず、やむをえない、か――
躊躇ってる暇はなかった。
「アリエッタ……俺のを飲むのとか、嫌じゃないのか?」
「うん……嫌じゃ、ない……」
アリエッタは今にも消え入りそうなこえで、しかしきっぱりと答えた。
「他の……人のなんて…………もう二度とイヤ………
でもあなたのなら……イヤじゃないの………」
「…………………」
「そうだよね、あなたのほうが……やだよね………
急に、こんなこと言われても……」
「……嫌じゃないさ。全然、嫌じゃない。
アリエッタのためなら」
アリエッタのためなら?
なに、「気は進まないけど仕方なく」みたいな言い方してんだ?
お前は最初から、アリエッタのことを女として見ていたんじゃないのか?
胸の中で誇大化していく自己嫌悪を、無理やり押さえつける。
「嬉しい……ありがとう……」
「ああ。どうすれば、いいのかな……」
「脱いで……お口でさせて……お願い……
それぐらいなら、出来るから……」
衣服を脱ぎとり俺はペニスを露出させた。
こんな事態だから当然のことだが、その部位は力なく縮こまってしまっている。
「ごめん……口元まで……きてもらっても、いい……?」
アリエッタに言われるまま、俺はペニスを彼女の青ざめた唇にあてがった。
「ああ………んっ……」
うっすらとあいた唇から桃色の舌が覗き、俺のペニスにそっと触れた。
アリエッタの――舌が俺のものに――
信じられないほどに易々と股間に大量の血が漲った。
「凄い……もう……こんなに……」
自己嫌悪が更に膨れ上がったが、一度いきり立ったペニスはその勢いを失わない。
むしろ、ますます強固に膨れ上がっていくようだ。
「ん……」
アリエッタの口がゆっくりと、大きく開かれる。
俺は、吸い込まれるようにその口中に剛棒をつき立てた。
そして、俺は結局――
アリエッタの弱々しいフェラチオでいともあっさりと果て、その口内に精液を吐き出した。
「ありがとう……もう大丈夫みたい」
疑っていたわけではないが、薬の話はやはり本当だったらしい。
俺の精液を嚥下したアリエッタの顔には少しずつ赤みが差し、
その数分後には体の震えもすっかりおさまったようだった。
そんな彼女の顔を、俺は自己嫌悪の念でまともに見ることが出来なかった。
「……なんていうべきなのかわからないけど……ひとまずは良かったかな」
言うべきか悩んだか、結局俺はもう一言付け加えた。
「……気持ちよかったよ」
「あ……」
アリエッタの頬に、これまでとはまた質の違う赤みが差す。
「……は、恥ずかしいな……そんなこと言われると………
………………………
あのね……さっき言ったこと……嘘じゃないからね……
あなたのなら……イヤじゃない……ううん、本当はさせて欲しい……して、あげたいの……」
「……アリエッタ」
嬉しかった。
やっぱり俺はもう、アリエッタのことをこんなにも――
「これからもお世話になるし、次からは……
せめてもっともっといろんなことして……たくさん気持ちよくさせてあげるからね。
私に出来ることはそれぐらいだから……」
そう言って微笑んだアリエッタのその笑顔が、無性に哀しかった。
俺は何も言わず、アリエッタの体をただ強く抱きしめた。
「残念ながら今のところ、加工されたフロワロの成分を
体内から完全に排出する手段は見つかっていないというのが現状なんだ。
禁断症状で死に至った例も……ある。
ただし……定期的に口腔から精液を摂取することですべての症状を抑えられるのは事実のようだ。
こんなことを言うのも気休めに過ぎないかもしれないが、そのことによる副作用も今のところ見つかっていない。」
それが、世界一医学が進んでいるというプレロマの医者の言葉だった。
どうやら、忌々しいことに、あの薬は裏社会を中心に少しずつ広まりつつあるらしく、
精液依存症となった患者を目にする機会も増えているらしかった。
流出元はやはりというべきか――温泉宿のあるあの地方のようだったが、現時点で正確に特定はなされていない。
だがあのクソジジイはいつか必ず、然るべき報いを与えてやる。せいぜい今は、目の前の金にせいぜい溺れているがいいさ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺が快楽を身を任せつつもぼんやりと回想に浸っている間に、
いつのまにかアリエッタは、ペニスへの奉仕を続けたままで、
器用にも上半身の衣服をはだけ、真っ白な素肌を露出させていた。
なめらかな肩と鎖骨のくぼみは、まだ幼い少女にも確かに女を感じさせた。
いまだ成長途上であろう控え目な乳房の中心の、
乳房のサイズに相応しく、控え目でつつましい桃色の乳首が目に眩しい。
アリエッタは、握ったペニスの先端を、その突起にすり合わせた。
「ん………気持ち、いい?」
「ああ……最高だよ、アリエッタ」
俺は手を伸ばし、アリエッタの耳に触れた。
「あっ……だめぇ……」
ルシェ族全体の特徴なのか、個人の嗜好なのかはわからないが、
アリエッタは耳を撫でられると、その快感に激しく反応した。
表面を優しく撫ぜてあげるだけで、乳首や下腹部を愛撫するとき以上に可愛い声で鳴くのだ。
「あっ……んっ、んっ……んんんぅぅぅっ……!」
アリエッタの体が、びくんびくんと跳ね上がった。
どうやら、乳首と耳に刺激を与えられただけで軽く達してしまったらしい。
「もう……今日は私がしてあげる番なのに……」
不満顔で膨れてみせるが、その様子まで愛らしい。
「いいだろ、別に。俺だって十分気持ちいいよ」
「もっともっと、気持ちよくなってくれなきゃだめなの……
あ……そうだ……」
アリエッタは、口中から出した大量の唾をペニスへと塗りたくった。
たちまちのうちに、肉棒がこれまで以上にぬるぬるになる。
「こういうのは……どう?」
言いながらアリエッタは右手をあげ、腋にペニスにあてがった。
腋毛の生えてないすべすべのそこに押しあてられ、擦り付けられる。
「なんだこれ……ああ……気持ちいいよ」
「ほんと? じゃあもっとよくしてあげるね」
アリエッタは腋を閉じ、体を前後に揺すり刺激を加え始めた。。
まだ女として成長しきっていないような少女の腋でペニス扱かれるのは、
性器に挿入するのと同等か、ある意味ではそれ以上の快楽だった。
「マジで凄いよ……これ、ほんとにヤバいかも……」
「私ね、あいつにはほんの少しだけ感謝してるの……
あなたに会えたし、無理やりにでも色んなこと覚えさせられたせいでこうやって悦んでもらえるから……」
「……冗談でもそんなこというなよ」
「ほんとだもん……あなたに会えただけで……
これまでの不幸が全部どこかにいっちゃったぐらい幸せなんだもの」
「……バカ」
話してる間にも、アリエッタの腋による奉仕は続いてた。
次第に早まるその動きに、絶頂の予感が込み上げてくる。
「ああ、もう……イきそうだ」
「うん、出して……!
イっちゃうときは、私のお口に、いっぱいだしてね……!」
アリエッタは口を大きくあけて舌を出し、精液を受け止める体勢に入った。
「くっ………アリエッタ……出る……ッ!」
俺は腋からペニスを引き抜くと、眼前に突きつけた。
アリエッタの白く細い指が、爆発寸前の剛直を扱きあげる。
「………ッ!」
ペニスから白濁液が勢いよく発射された。
その大半がアリエッタの口中に流れ込み、収まりきれなかった分が溢れ出す。
アリエッタは、最後の一滴が出尽くすまで待ったのち、口を閉じてこくんと飲み込んだ。
「ああ……おいしい………」
トロンとした表情に、火照った肌。ゾッとするほどに可愛かった。
俺は自分の精液の味にも構わず、アリエッタと口付けを交わし、激しく舌を絡めあった。
「なあ、アリエッタ。今日はミロスの城下町に行かないか?
その格好も可愛いけど、年頃の女の子なんだ。他の服も欲しいだろ?
アクセサリーでもなんでも、好きなもの買ってやるよ」
「え、本当に?」
アリエッタの表情がパッと輝く。
だが、その表情はまたすぐに曇ってしまった。
「でも……やっぱり、行けないよ……」
「追っ手が怖いか?」
その問いかけに無言のまま、コクリと頷く。
「大丈夫さ。こんなところまで追っ手をよこすほどあの強欲ジジイもヒマじゃない。
あいつは、いなくなった女一人を手間かけて探すより、他の手段で稼ごうとするようなやつだ。
……それに」
「……それに?」
俺はそこで言葉を溜め、アリエッタの頭に、ぽんと手を乗せた。
そのまま優しく、ふわふわの髪と、ついでに耳を撫でさする。
「あ……」
「それに……アリエッタ。
お前のことは、この先どんなことがあろうと、俺が絶対に守ってやる。
だから心配するな。信じられないか?」
「……ううん、行く!」
そう言ってようやく頬をほころばせたアリエッタの姿は、これまでに見たどんな姿よりも一番輝いて見えた。
今日はアリエッタとずっと一緒にいよう。
一緒にミロスまで行って、欲しいものを欲しいだけ買ってあげて、
これまで食べたことがないような美味しいものを、
泣きが入るぐらいまでいっぱい食べさせてあげよう。
ドラゴンを滅ぼす? 世界を救う?
そんな大それたこと、考えちゃあいない。
今はただ――
目の前のアリエッタを――
この、最愛の少女を――必ず、必ず幸せにしてみせる。
例えこの先どんなことがあろうとも。
それが今の俺に与えられた、最大のミッションだ。
なってやるよ、アリエッタの光に。兆しに。
(了)
以上でございます。
可愛いよなあ、アリエッタは!
ブシドーとかバードとかが出る例のゲーム以来の、
凄い久々な投稿だったので、少しでも楽しんでくれた人いると光栄です。
読んでくれた人どうもでした。
ああもう、アリエッタはあざといな。
あざといかわいさだな。
かわいいな、もう。
それはさておき、やっぱり『前作』と職人さんが被ってるのねw
ジェンジェン爺はしぬべきだとおもいます(^p^)
GJ!
最高だ
>>451 伊達にトリップはつけて無いな……まあ俺も書いてるがな!
アリエッタかわいいよアリエッタ
ごちそうさまでした。
自分も投下しようと思ったら規制に巻き込まれていた…
これはもっと推敲しろと言うことか。
俺もクソジジイは死ぬべきだと思う^p^
アリエッタのSSありがとうございました。
美味しいものを食べて幸せそうな顔をしてるアリエッタ可愛いよ
>>450 エロいな
エロかわいいよアリエッタ
今回シグルイねたは入れてないのねw
しかしかなり投下が増えてるのに、
ここまでヒーラー娘さんは金髪も赤髪も脇キャラとしてすら出番無しか(だよね?)
やっぱみんな回復役はプリンセスなのか?w
そんな中、実プレイでは人気の薄そうなジェリコさんが
スケコマシとドSの既に二人いるという罠
>>423のクソ貴族も
>>450のクソジジイも、ルシェの子にひどい事するやつは
みんなドラゴンに食われて死ね!
>>456俺ヒーラーは話題にもあがらない眼鏡使ってるんだが・・・
もしかして眼鏡人気ない?
つ鬼畜ジェリコ
あら、間違った・・・
そういや一つも見てないな
それうちのリーダーだな>眼鏡癒
ヘタレショタにするかボクっ娘にするか未だに決めかねているが
『とある女騎士の油断』の後半を投下します。
例によって、「ねーよ」な方はタイトルでNGかスルーをお願いします。
「前の時は確か、私も理性がトンでましたからね、今日は丁寧にいきましょうか」
――思えばこのジェリコという男、笑顔が一番恐いのではないのだろうか?
にこにこと笑いながら性的な行動の方針をほざくジェリコに対し、ケイトは軽い戦慄を覚えた。
この治療士の青年は仲間を治癒術で癒すときも、魔物を毒の霧で滅すときも、一切この笑顔から表情を変えることがないのだ。
そしてジェリコは、その笑顔を崩すことなく、ケイトの抵抗を軽くいなしつつ器用にその衣服を全て剥ぎ取ってしまった。
「わ、私の意思は完全に無視か!」
「その姿で叫ばれても、あまり説得力がないのですが」
「そういう問題では――」
「はい、そこまで」
言うが早いが、彼女に最後まで言わせることなく、ジェリコはケイトの肉感的な唇に食らいついた。
先ほどの自慰で中途半端に身体の力が抜けたケイトは、完全に為されるがままだ。抵抗の意思を宿していた瞳も、少し口腔内を舐めまわし、吸い上げられただけで、潤んで色を変える。
頑なに歯を閉じ、何も受け入れない――そう決意していたケイトの口内は、ジェリコの熱烈な口付けによってわずか数秒で陥落し、彼の舌の侵入を許してしまっていた。
しまいには己の口を犯す舌に自ら絡みつき、愛撫を懇願し始めるケイト。
ケイトの舌が反応し始めた事に内心喜ぶジェリコは、それに応えるように彼女の口腔内の粘膜を吸い上げるかのように、じゅるじゅるとわざとらしい音を立ててみせる。
「は、ぁ……っ! じぇりこの、キス…すごく、やらしぃ……ん、ちゅ……っ」
軽犯罪に手を染めた幼子が味をしめ過ちを繰り返すように、ケイトもまたこの抗いがたい快楽の虜となり、ジェリコの舌により強く絡みつこうと、ぐいぐいと唇を押し付けた。
大人のキスも、舌を絡ませる程度しか類を知らぬケイトに、ジェリコは教え導くかのように唇を甘噛みしたり、舌で歯茎を撫でまわし吸い上げたりと奉仕する。
――そして、
キスばかりに意識を向け、他への注意力が皆無になっていたケイトが気付くはずもなかったのだが……
「ぁひぃっ!?」
ぐちゅり、という水音――自慰ですっかり濡れそぼり、受け入れる準備がすでに出来上がっていたケイトの膣の入り口に、ジェリコの中指が不意をついて突きこまれた。
思わず口を離し、仰け反るように白い喉をさらすケイトを見たジェリコは、面白そうに笑う。
「はは、不意打ちなんて卑怯ですよね。分かってるんですけど、ケイトさんを見てるとつい――」
ジェリコは聖人君子のような微笑で「つい虐めたくなるんです」と言い放ち、挿入した中指を無造作に折り曲げ、熱く蕩けた膣壁をがりっ、と引っ掻いた。
「あ、くぁぁ……っ!?」
白く明滅する視界にくらみながら、ケイトは目を見開き、口を開けて、体内に渦巻く快感のエネルギーを逃がそうとする。
だが、ジェリコはそんな抵抗をあざ笑うかのように、今度はさらに人差し指まで突き入れ、それを無造作に何度も何度も引き抜き、折り曲げ、また突き込み、傍若無人に暴れ回らせ始めた。
「ひぅっ、あひぃ……っ、ぁ、くぅ…い、くぅ……いくぅっ!!」
――心の準備もできない内の不意打ち。
膣を容赦なく掻き回す二本の指に翻弄され、彼女は抵抗する意思を定める暇さえ与えられず、敗北の断末魔を上げるように、身体をぴんと張り詰め反らせたまま絶頂に押し上げられてしまった。
ケイトはピクピクと小刻みに肩を震わせ余韻に翻弄されながら、涙と涎を垂らしてジェリコに言葉を紡ぐ。
「じ、じぇりこ……わたし、だけ……」
「あれ? 何か言いました?」
――ぐりゅっ、
「ひぐっ!?」
否――言葉としての形を成す前に、ジェリコの指が再び暴れ始めた。
指に絡みついた彼女の愛液を再び彼女になすり付けるように、執拗に、執拗に、柔らかな肉を撫で回し、掻き乱す。
猛々しく、しかし巧みに膣内の性感帯をひっかき回される度、二本の指を受け入れる秘裂からはぬちゅぬちゅといやらしい水音が響き、ケイトの肩は小刻みに弾み、震えた。
「あ、今きゅって締めつけてきましたね。ここが弱点ですか」
彼女の敏感な反応に気を良くしたジェリコは、指を鉤のように折り曲げたまま、膣から勢いよくずるりと引き抜いた。
見つけたばかりの敏感な部位を引っ掻かれ、それだけでケイトは軽く絶頂に達してしまう。
「ジェリ、コ…っ! よくも、やりたい…放題に、ぃ…!」
恨めしげに睨み付けたつもりなのだろうが、軽くイキ癖がついてしまい、ピクピクと肩が震えた今の状態では、その視線も蕩けてろくな迫力がこもらない。
だが、自分に向けられた視線の意図を完全に見透かしてなお、ジェリコは微笑みを止めることはなかった。
「終わったみたいに言わないでくださいよ。むしろ、これからが本番なんですから」
ジェリコは彼女の牝鹿のように美しい脚を無造作に掴み、ぐるりと身体を反転させた。
身体に上手く力が入らないケイトは、為されるがままにうつぶせになり、美しい曲線を描く尻をジェリコに向けて高く掲げるような体勢になってしまう。
ぼんやりとした意識の中で、彼女は自分の細腰ががっしりと掴まれる感触を認めた――そして、どろどろにほぐれきった秘裂に、熱く張り詰めたものが添えられた感触も。
「いきます、いいですね」
問いかけにも聞こえる、一方的な宣言。
ケイトの是非を聞く事もなく、ジェリコは力強く腰を突き進め――
「あひぃ…っ!? き、てるぅ…きてるきてるぅ………!!!」
途中で進行を止めることも躊躇することもなく、ケイトの膣をごりごりと押し分けて愛液を纏いながら、彼女の中を圧倒的に満たし、埋め尽くした。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
朦朧としていたはずの視界で、不可視の電流がバチバチと弾ける。
大きすぎる快感のために濁りかけていた意識が、それを上回る異常快楽で強制的に叩き起こされたのだ。
彼女が受け止める快楽に比例するかのように次から次へと溢れる蜜が、ジェリコの巨根をくわえ込んだ秘裂の隙間から、ぷしゅっ、と気の抜けた音と共に噴き出した。
ケイトは以前のような苦痛を伴うことなく、自分の腹に納まった熱い塊から快感だけを受け取り、痙攣するようにビクビクと身を震わせて何度も快楽の高みへ上り詰めた。
――だが、それだけで終わるはずもなく、
ジェリコはそのまま容赦も何もなく、巨大な男根をギリギリまで引き抜き――先ほど探り当てた弱点に向けて、勢いよく打ち込んだ。
否、打ち込んだ「だけ」ではない。
大きく張り出したものでこそぎ落とすように、何度も何度もそこをゴリゴリと攻め始めたのだ。
しかし単調にそこだけを攻めるのではなく、引き抜く過程、突き入れる途中においても、浮き出た血管などで彼女の性感帯を自ら作り上げるかのごとく、そこかしこを容赦なく抉り、擦っていく。
「だめ、ジェリコ…だめぇえええっ!!」
白目を剥き、首を激しく振り、苦痛じみた快感から逃げ出そうとするケイト。
しかし、ジェリコはその背中に密着するように覆い被さり、彼女の固くなった乳首を摘み、ますます攻めを苛烈にしていく。
「だめ? 何がだめなんです?」
「こわれるぅ……!! イキすぎてぇ、気持ち良すぎて、こわれ……ひぎぃっ!」
ぐい、とジェリコが身体を起こすと同時に、ケイトの二の腕が掴まれ、強引に引き上げられた。
背後から二の腕を引っ張り上げられ、仰け反るような体勢になったケイトは、自重でより深くジェリコの巨根をくわえ込むこととなってしまい、さらに狂おしく甘い悲鳴を上げた。
「あひっ、ひあぁぁ……っ、おくぅ、奥まで、犯されてるぅ…っ! っんぉおおお゛お゛お゛お……いいぃ、イイよぉっ、またイグぅ…!」
小さな絶頂ではほとんど平常時に近いような快楽の嵐の中で、ケイトは舌を突き出しながら喘ぎつづけ、豊かな乳房を弾ませ続ける。
「イッた、イッたのにぃ…っ! イッたのにイクの! まだイクぅ……あ、あぁああ゛あ゛あぁっ、イクの終わらないぃぃいいいいっ!」
「ケイトさん、出しますよ…ケイトさんの中に……!」
「だして、じぇりこの…っ! しろいの、ビュビュって! いっぱい、しゃせー、してぇぇぇ!」
美しい若葉色の髪も乱し、快楽に溺れるケイトに向けて、堰を突き壊したジェリコが思う存分欲望を吐き出し始めた。
熱くたぎった粘液がどくどくと脈打ちながら、彼女の子宮に注がれ、すぐに溢れ返って膣に充満し始める。
だが、それが外に漏れ出すことはない――隙間なくびっしりと膣を埋め尽くすジェリコの巨根が栓となり、逆流を阻んでいるのだ。
「でてるぅ、あかちゃんのへやに、しろいせーえきがドバドバ出てる……じぇりこに、孕まされてるよぉ……」
体内に熱いものが吹き付けられる、途方もない快感――すでに下りられなくなったケイトは、その極上の快楽に溺れ、心底幸せそうなイキ顔を晒して、くずれるようにうな垂れ失神した。
――もちろん、ジェリコの欲望がたった一度の吐精で治まるはずもなく、
ケイトはそのまま体位を入れ替えられ、正上位で陰核をぐりぐりと潰されながら狂いそうになるまで犯されたり、その豊かすぎる乳房までもを犯され射精でその清麗な顔をジェリコの精で白く汚されたり……。
しまいには、自分の愛液が纏わりついたジェリコの巨根への口淫奉仕まで教えられ、後始末をさせられたりと――、
彼の果て無き欲望に翻弄されつつも、その全てを享受し、むせ返りそうな愛欲にまみれ、どこまでもどこまでも上り詰めていった。
――ちなみに、互いの欲望を存分にぶつけ合い満足した二人が我に返ったのは、陽が朱くなって西に沈みかけた時刻だった。
ヤックが(ローグの技能を無駄遣いして)玄関のドアを開錠し、モモメノと共に顔を赤くしつつも覗いていた、という事も蛇足である。
(いろいろオワタ)
投下終了です。ありがとうございました。
かっとなってやった。あまり反省していないしボリュームが不足気味なのも自覚している。
実を言うとゲームは一週目の世界協定締結直後なので、そろそろ攻略してきます。
それではまた後日(本編クリアしたら)、別の作品が書けたら投下しにきます。
>>466 あらやだ、あいかわらずいやらしい。
しかし、噂をすれば影、だなw
このスレのジェリコさんは酷いやつらばっかりかw
>>457 うちも眼鏡メディックだし、人気無いとは思わんのだが
ただ、pixivとかPTスレとかそういう所を見て回った感じじゃ
プリンセス率高いよな、ってw
>>466 GJです!エロい、エロいぜ・・・
省略された第二ラウンド以降もじっくり読んでみたかったところw
またこの二人の話が読みたいです。
ゲーム頑張ってくださいな!
>>466乙です。
新しいのが書けました、投下します。
・CPは特になし。
・ネタバレも特になし。
・「姐御」を「姉御」に統一。
引き続き「ねーよ」な方(特に姉御)は『駆け出しローグの日記』をNGでどうぞ。
あたしは急ぐ。
こんな、こんなはずじゃなかった。
ほんとならとっくに終わらせて、姉御のところに戻ってるはずだったのに。
ここはどこ?
辺りの景色はどこもかしこも見たようで、出口の無い無限回廊に迷い込んだような錯覚を感じる。
ない。ない。ここにもない。
お願い、あの角を曲がったら。
……その先に続くのは同じように続く廊下。
軽く絶望で心が塗りつぶされそうになる。
止まっちゃ駄目だ。限界は近い、もうすぐ急げなくなるかもしれない。
なんとしてもその前に見つけなくちゃ。
心を奮い起こし、再びあたしは急ぎ始める。
……トイレ、どこ………?
――五時間前、午前6時40分。
窓から差し込む日が眩しい。
小鳥のさえずりに引き寄せられて、あたしは現実に浮かんできた。
身体を起こして窓から見上げるとミロスの美しい空が見えた。
うん、今日もいい朝だ。
歩きながら腕を頭の上で組み、目一杯伸びをする。
若干身体を捻りながら背骨を鳴らすと、眠気が少し消え代わりに爽やかな気分が沸いてきた。
ドアをくぐる。
テーブルの向こう、あたしの向かいに光の反射で紫に見える黒髪の女の人が座っている。あたしの師匠だ。
テーブルの上には七人分の朝食。ちなみにその内容は
白いご飯。
味噌汁。
焼いたメザシ。
漬物が少々。
小鉢に納豆。
……いまどきアイゼンでもなかなか見ない朝食ではなかろうか。
「って言うか、姉御料理できたんですね……」
「起きてくるなり開口一番それか」
あたしの口からつい漏れた本音を耳ざとく聞きつけた姉御が、味噌汁をすすりながら軽く睨んでくる。
「前から思っていたがそもそもお前は私をどんな風に見ているんだ。
昔からよくお手伝いをしてさっちゃんはいいお嫁さんになるわねと言われた私だぞ」
「へぇーへぇーへぇーへぇー」
「こいつ……」
「えー、だってギルマスもリーダーも姉御は料理が出来るなんていってませんでしたよ?
他に誰もいないときは自分で何か作れって」
「む……そうなのか?昔おままごとで泥団子を喰わせた事を根に持ってるんだろうか……」
「何やってんですか」
「まさか本当に食べるとは思わなかったんだ、大体食うほうも食うほうだろう」
「いや、そりゃそうですけど……」
「まあなんだ、もうこの話はいいだろう。……おはよう」
「……おはようございます」
「おはよう、今日もいい朝だね……」
テーブルについて朝食に取り掛かっていると、朝だと言うのにメイジ衣装フル装備の男の人がやってきた。
席に着き、肩まであるボサボサの青髪を手櫛しながらふああふ、とあくびをひとつ。
「ああおはよう、また徹夜したのか」
「うん……帳簿つけて届出の書類書いて内職やって新しい魔法の詠唱書いてたらいつのまにかこんな時間でさ……」
「あの、昨日もそんなこと言ってませんでしたっけ?ほんとに寝てます?」
「寝なきゃ人間生きていけないでしょー。少なくともおとといは……あれ?その前だっけ?えーとちょっと待ってね」
「食え。そしてさっさと寝ろ」
この人がうちのギルマスだ。
性格はなんというか、理知的で柔和ないい人なんだけど電波体質なのが玉にキズだ。
完璧な人間をやって尊敬されるよりも見下されてでもネタを仕込みたいという彼の美学は理解できない。
そんなギルマスだが放っておくとすぐ肉体の限界まで仕事や研究をやって過労で倒れるので注意が必要だ。
暇さえあれば本を読んでいるくせにギルドの誰より(ローグであるあたしより)目がいいという分からない人でもある。
「朝っぱらから寝てたら駄目人間でしょーが、まだ大丈夫だよ」
「お前は別ベクトルですでに駄目人間だ。いいから寝ろ」
姉御達が押し問答をしているうち、残りのメンバーが起き出してきた。
さっきまで朝の静けさに包まれていた食卓に、にぎやかさと活気が満ちてくる。
「味噌汁……懐かしい味だ」
あたしの右前方にいる丈夫そうなファイターの人がリーダー。
ギルマスがいるのに別にリーダーがいるのかと突っ込まれそうだが、あまり気にしないで欲しい。
しいて言うなら机仕事はギルマスが、畑仕事はリーダーが先導することが多いのでこういう呼び名になったみたい。
実直だけどギルド一物分りのいい人間の出来た人で、かついい感じにヘタレなのが何ともいえない。
苦手なものは爬虫類全般(何でこの人ハントマンになったんだろう)、特にワニが大嫌いらしい。
「懐かしいですか……私にはまだ良く分からない味ですね……」
その隣で味噌汁と格闘している女の人が副長。
ギルマスがいてリーダーがいてその上副長がいるのかと(以下省略)、
これはあだ名だ。眼鏡の真面目そうな冒険者がいいんちょと呼ばれていても変には思わないでしょ?
ちなみに命名はあたし。リーダーについて歩く様子と、ナイトらしい生真面目な性格からなんとなくつけた。
正義感が強く、というか強すぎて若干空回り気味なところもあるけど自己反省を忘れないいい人だ。
「……」
あたしの正面でもくもくと漬物をつついているのが姫ちゃん。
正直この子のことはよくわからない。無口な子だ。
頭の上で耳が揺れているが実はこの子はルシェでは無い。つけ耳だ。
従ってこのギルドには一人もルシェがいないことになるが、ギルマスいわく別に雇用機会均等法に
喧嘩を売っているわけではなく単に出会いが無かったから……らしい。
あの耳はルシェの親友から送られたおそろいのもので、その親友はいまはこの世にいないらしい。
「どうしたの、箸が止まってるよ?食欲が無い?」
「あ、ううん。なんでもない」
そして、今あたしに話しかけてきた彼が……このギルドのヒーラーだ。
あたしより三つ年上の彼はその、まあ、なんというか、あたしの、いい人……っての?
こんなあたしを女の子として見てくれる数少ない人で、大人しげだけどいざというときにはとても頼りになる。
初めて会ったときは単に童顔だなー、位にしか思わなかったけどこうして見るとなかなか……いい男だよね。
……あー、おほん。
安全な場所で怪我した人を直すだけではなく脅威であるドラゴンを倒さなければならないと考えた彼は
ハントマンになることを決意、ちょうど振り返った先でドラゴン退治について計画を立てていたあたしたちに
勢いで入団を希望して今に至る。
以上、これがうちのギルドのメンバー。
なかなかクセのある人達だけど、皆いい人なのはあたしが保障……
「副長もチケット持ってるみたいなこと言ってたけど見えませんね」
「午後から来るのかもしれないな」
「うー……それにしても久々に心から泣いた」
「やっぱ古くてもいいものはいいんだな……」
演劇終了後、あたし達は喫茶ルームでお茶にしていた。
国風に合った美しさで知られるミロスの劇場は、副長も一度来てみたいと言っていた話題のスポットだ。
しばらく無言で心と身体を温めなおした後、気分を変えるために話題をシフトしてみる。
「それにしても姉御、ほんとに誰か他に誘う人いなかったんですか?いやあたしは連れて来てもらってよかったけど」
「お前もしつこい奴だな……おらんと言ってるだろう。ほっといてくれ」
「だって……姉御24だよね?あと六年って長いようで短いですよー、姉御は婚活とかしなくていいんですか」
「……」
「……」
「……コンカツ………………あ、油揚げに衣を着けて揚げなおしたものとかか?」
――駄目だこりゃ。
「……はぁ」
「え?違うのか?……え、えと、まさか本当に狐を揚げたりしないよな……?
ちょ、ちょっと待て。じゃあ、ええと……」
「や、もういいです。姉御はつくづく恋愛に縁が無いってことだけ分かりました」
「なっ!?」
一瞬呆気に取られる姉御だが、やがて眉間に険悪な色が浮かんでくる。
「……って、何だと?お前最近ずいぶん態度がでかくなったんじゃないか……」
しかし悲しいかな、泣きはらした目のせいでご機嫌斜めの子供が頬を膨らましてるようにしか見えないんだよね。
はっきりいって怖くない。全然怖くない。
「だってそーじゃないですか。こちとら彼氏持ちですよ?そーゆー相手は普通外すか
もしくはこれをやるから二人で行ってこい、ってのが大人の対応ってもんでしょ」
「ぐ……」
姉御がごにょごにょと詰まる。だって私だって見たかったし、とか言ってるみたいだ。
あのおっかなかった姉御に競り勝っていると言うささやかな優越感に浸っていると、姉御が話題を切り替えにかかった。
「……お前が誰と交際しようと勝手だがな、むしろもうちょっと慎めんのか?
仲良くするのはいいがそれにしたって恋人ができるなり暇さえあれば四六時中べたべたと……」
「なんですかそれ。ちゃんと戦う練習だってしてるじゃないですか、ダガーフェティシュだってレベル5まであげたし」
「あぁっ……、そういう問題じゃなくてな、……色ボケは少し控えろといってるんだ」
むっ。
色ボケとは言ってくれるじゃない。
あたしにあの虐待のような訓練を毎日受けさせた人の言うことだろうか。
ちなみに前回がソードマスタリー編とすると、今回はダガーフェティシュ編だ。
そりゃ最初の頃こそ
「握りが甘い、それだとすぐに吹っ飛ばされるぞ」
「はい」
「リラックスして構えることとゆるく構えることは違う、忘れるな」
「はい!」
「左旋回したときに半身が解けてるぞ!いかなるときも付け入る隙を与えるな!」
「はいっ!」
みたいなまともな訓練だった。
それがどうだ、最後にはまたもや置き去りで、しかも今度はまだフロワロの残っている洞窟だ。
フロワロが残っているということは当然『奴ら』がいるわけで……
他にも色々ひどい目にあって、今日やっと休日なのだ。
ちなみに明日からは姉御と一対一の実践訓練、姉御から一本取れるまで続くらしい。
冗談じゃない、構えを取らず純粋な接近戦だけなら短剣が勝つのが当たり前だと姉御はいうが、
そんなこと絶対にありえないのは空を飛ぶ猫がいないくらい明らかだ。
とまあそんな訓練をサボりもせずやってきて色ボケとはあんまりだと思うんだよね。
あたしの口から棘を含んだ言葉が飛ぶ。
「色ボケって何ですか、あたしが今までやらなきゃいけないことすっぽかして遊んでたことありますか?
別に姉御が目に毒だっていうなら控えますけど何もそんな言い方しなくたって」
「だからそうじゃなく……いや確かにそういう意味でもあるんだが……」
「……」
「……」
「……」
「………夜」
「夜?」
「……夜、お前の部屋から声が聞こえてくる」
「……」
「……」
えーと、それって。
「――――――――――――!!?!??!?!!!??
な、な、な、なんっ………」
「それもアホのように毎夜毎夜。昨日だって寝ようとしたら……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!?昨日は普通に寝ましたって!だって火曜と金曜はお休みにしようって……」
「……」
「……」
「あ、そ、そうか、悪かった」
「い、いや分かってくれればいいですけど」
「……」
「……」
「……え、週二日以外は毎晩?」
……………………。
……
じ……
自爆したーーーーーーー!?
っていうか彼との夜の生活を曜日まで!?
羞恥と極限の混乱に陥りながらも、
あたしの耳は姉御の「なんだ、やっぱり色ボケじゃないか」と言うセリフを聞き逃さなかった。
くうぅっ。
恥ずかしい。消えてしまいたい!セクハラだ!……ええい、これも全部姉御のせいだっ!!
あたしの心に理不尽な復習の炎が灯る。
心の奥からこみ上げるヤケクソ気味の羞恥に突き動かされ、あたしは報復の刃を抜いた。
「あ、姉御だって人の事いえないじゃないですか!?
昨日の晩、壁の向こうから一人で慰めてる声を聞かされてなかなか寝付けませんでしたよ!
……き、聞きたくなかったけど聞いちゃったんですからね!?」
「……」
「……」
「……………ええと」
え、何この反応。そんなナチュラルに困惑した顔をされても……
「昨日から、私の部屋は一階に移ったんだが」
「え」
そうなの?とするとあの声は……
かちゃん。
音のしたほうに顔を向ける。
あ、いつの間に来たんですか副長。
どこにも見ないと思ったがやっぱり来たらしい。
建物自体のおしゃれさと劇場への期待で興奮しているみたい。
スプーンを取り落としたことにも気付かない様子で、緑色の髪と見事なクリスマスカラーのコントラストを作るほど
顔を
真っ赤に
……………………。
……
ご……
誤爆したーーーーーーー!?
「いやあの」
「すっ………
………すいませ……………………!!!」
誤魔化そうとする間もなく副長は泣きそうになりながら逃げ出した。
そのまま逃げていくかと思いきや、空気の読めないレジ員に止められて半泣きでお金を支払っている。
後に残された気まずい沈黙の中、あたしも冷静さを取り戻してきた。
「……お前、あれは」
「スイマセンでした、ほんとスイマセンでした」
「いや別に悪気が無いのは分かってるんだが……」
「うぅ、悪いことしたなぁ。姉御もなんかすいませんでした」
「あ、まあ、気にするな」
大きな犠牲を(副長が)払いながらもなんとなく和解する。
何か話す雰囲気でもなくなり、あたし達はしばらく無言でお茶をすすった。
……
しばらくして、下腹部に誰もが知るあの感覚が走る。
外に比べてここは石造りの大きな建物で気温は低いし、身体を冷やしたかな?
「すいません、トイレ行って来ていいですか」
「ああ、そこをまっすぐ行って突き当たりを右だ。しばらく行くと分かるはずだ」
「はい」
そうしてあたしは喫茶コーナーを離れ、トイレを探すために歩き出した。
「あ、右じゃなく左だったか……まあ案内も出てるしすぐ気付くだろ」
――――――――――――――――――――――――――
――現在、12時05分。
あたしは急ぐ。
なんだってこんな事になったんだろう。
まだまだ大丈夫だと思って迷子の親を捜してあげたのが間違いだったのか。
ううん、あれを間違いと言うほど不人情な人間ではないつもりだ。だけど、そのツケは今確実に来ている。
あたしが別のところに気を取られて気付かないでいるうちにそれはいつのまにか差し迫ったところまで来ていた。
意識した瞬間、時間経過で増大したそれはあたしから全ての余裕を奪う。
焦ってあたしは元の場所へ……
……あたしは、自分のいる場所が分からなくなっていた。
そんなわけであたしは今、下腹部を刺す感覚に耐えながらトイレを探してこの広い建物をさまよっている。
一歩歩くごとに、着実に大きくなるその感覚。
おかしい。トイレはどこ?この西館どこかにはあるはずなのに……
ふと目を向けた先に、所狭しとプリントや張り紙が貼られている掲示板を見つける。
今も職員らしき女の子が脚立に上って新しい張り紙をしている最中だ。
もしかしたら館内の地図が載っているかもしれない。
そう判断したあたしは、その掲示板へと近寄っていった。
「遅いな………何やってるんだ?……何だか私もトイレに行きたくなってきたぞ……」
掲示板に近寄っていくあたしの先で、女の子が作業を終えたようだった。
張り紙をしている間前のめりだった身体を戻し、屈めていた背をうーんと伸ばす。
あ、危ないよ?
そんな不安定なところで身体を反らしたりしたら後ろにひっくり返っ………ちゃったああああぁぁぁ!!
「ひぁっ……!?」
女の子の悲鳴になりかけた声が耳に届く。
あたしは反射的にダッシュをかけ、脚立ごと倒れてくる女の子の下に走りこんだ。
オーライ、このくらいなら楽勝で間に合うって……
どさっ。ガッシャアアアン。
「………!!!」
はっきり言って、このときの自分をほめてあげたい。
尿意のことも忘れて本気でダッシュした上、これだ。
確かに落下位置にいくのは楽勝だった。
だけど、あたしには生憎落ちてくる女の子を受け止めて姿勢を崩さない程の腕力は無いのだ。
当然のことながら、姿勢の悪さも手伝ってあたしは女の子を受け止めたまま床にしりもちを突き……
……女の子が、下腹部に落ちた。
もう一度言おう。はっきり言って、このときの自分をほめてあげたい。
膀胱が破裂するかと思うような衝撃に声も出さず悶えるあたしに、女の子がおずおずと声をかけてくる。
「あ、あの!すいません、大丈夫ですか!?……あ!あの、私が落っこちたせいで何か怪我を……」
「だ、大丈夫、平気……」
「そう……ですか……?」
「うん……あ、それより……聞いてもいい?トイレ、どこ……?」
「え?」
不幸中の幸いだ、この子にトイレまでの最短距離を教えてもらおう。
「えと……一番近いトイレは反対側……東館の二階にありますけど。案内、出てませんでした?」
「………え?」
……
………
…………姉御ーーーーーーー!?
……そろそろ本当に限界だ。
あたしは気の遠くなるような距離を踏破し、東館までやってきていた。
気の遠くなる距離といっても百メートル足らず、普段のあたしなら10秒とちょっとで走り抜けられる距離だ。
だけどもはや走ることすら出来ないあたしにとってそれは無限とも思える距離だった。
辛うじて普通の歩き方に見せているが、見る人が見ればあたしの歩き方の不自然さに気付くだろう。
あと少し、あと少し……
……
……見えた!
東館二階、職員も使う小トイレ。男女用それぞれ1つずつしかないそのトイレのくすんだ扉も、
今のあたしには天国の扉に見える。
洗面所に入ってすぐ右側、『女子用』のプレート。あたしはそのドアノブに手をかける。
長かった……間に合ってよかった。
やっと、やっと。
やっと………
がたん
……………え?
ドアノブに付いた小窓。
そこから覗く色は。
……『使用中』を示す、赤、だった。
――――――――――――――――――
ざーーー。
未だ被害を抑えるために無限と思える時間を耐え忍ぶギリギリの感覚。
そしてそれでも間に合わずに一部を漏らしてしまった絶望。
その二つが入り混じって奇妙な温度になっているあたしの頭に、遠くで水の流れる音が聞こえる。
そして、ドアの開く音。
「……こんなところで何してるんだ?」
聞こえるはずの無い声が聞こえてあたしは顔を上げる。
……姉御?
………。
ああ、そうか。
姉御が入ってたのか。
姉御が入ってたからあたしは、
「……っ!」
「うわっ!?」
だっ。
ばたん。
かちゃかちゃかちゃ……
――――――しばらくお待ちください――――――
ざーーー。
醒めた頭であたしは昨日の訓練を思い出す。
「常に半身で……グリップは柔らかくしっかりと……」
習ったことを呟きながら身支度をする……下着はトイレットペーパーに包んで捨てる。
ズボンに隠してある簡易ナイフを取り出し、しっかりと握る。
「……」
そして、何かに導かれるように、もう一本をこれまで使わなかった左手に握った。
「……よし」
よし、これで、戦える。
「……」
そしてあたしは、
「……っ!!」
ドアを蹴り開けた。
「どうし……うわっ!?」
「うわああああぁぁぁぁん!!」
「ちょっ、おい、ちょっと待て!いきなりなんだ!?」
「うるさい、うるさい、うるさああぁいっ!!」
「待てって!何だ!?何で泣いてるんだ!?私が何か悪いことをしたか!?」
ああ、ごめんね姉御。
本当は分かってるの。
姉御のあれはほんのちょっとした間違いで、あんなでかでかとした案内に気付かなかったあたしの過失の方が
ずっと大きいんだって事は。
でも、でもね、姉御の言うことを疑わなかったあたしの最後の希望を、
よりによって姉御が打ち砕くのはあんまりだと思うんだ。
なんかもう、自分でもどうにもならない。誰かにこの怒りをぶつけないとやってられないの。
ほんとにごめんね、でも今だけは言わせて。
「姉御なんて…………だいっきらいだああああぁぁぁぁ!!!」
余談だが、翌日からの修行は一対一をすっ飛ばして次のステップに入った。
以上です。今回はつなぎとしての割合が多かったので次回はもっと密度の高いものを書きたいとです。
あとチキンなので結局今回も字キャラ名出しませんでした。
それにしても続きが楽しみな作品ばかりで当分楽しみだなあ……
480 :
102:2009/03/26(木) 23:16:16 ID:iw851GPL
どうも、102です
希望してくれた人がいたから時間に少し余裕もできたので続きを書かせて頂きました
相変わらずノリと勢いだけで書いたYO!
今回はエロなしカオス
相変わらずアリエッタは誰てめえ状態
「ん〜、ダメだな、それは。うん、ダメだ」と言う方は題をNGに、もしくはスルーで。
題は「ファンタとメイド」で。
13レスほど借ります。
俺は出来るだけ多くに人に笑顔でいてもらいたくて、ハントマンになった。
別に人助けがしたいとかそんなんじゃない。
ただ、多くの人が笑顔でいてくれたら、俺も笑えるからだ。
その子は俺を見て怯え、逃げていった。
俺はその子が気になった。
その子を宿の中で見つけて声をかけたが、その子はただ無言で仕事をし続けた。
俺は時間をおいて話す事にした。
その子は俺達に自分の事を話してくれた。
俺はどこか辛そうに笑うアリエッタの姿が嫌だった。
もっと明るい顔でアリエッタに笑って欲しかった。
俺は竜を倒しても、このままじゃ俺の見たい笑顔は見れないと思った。
アリエッタは主人にぶたれそうになっていた。
俺は気づいたら爺の前に立っていた。
アリエッタは俺達に礼を言うと、一瞬だけ本当に嬉しそうに笑ってくれた。
俺はもっとその笑顔が見たくなった。
だから、決めた。俺はこいつの世界を変える事を。
そして俺達はアリエッタを連れて、カザンに来た。
彼女は俺の見たい笑顔で、俺達にお礼を言ってくれた。
俺は多くの人に笑顔でいてもらいたかった。
でも、それならアリエッタだけをあの宿から連れ出すのはおかしい。
あそこで辛い目に遭ってるのはアリエッタだけじゃないからだ。
でも俺達は、俺はアリエッタだけをあそこから連れ出した。
俺は誰よりもアリエッタに笑ってもらいたかった。
…俺はアリエッタが好きだ。
なら、このままにはしておけない。
あの時、アリエッタは笑顔ではなく、泣いて飛び出していったのだから。
「ふぅ…疲れた〜」
そう言って大きな帽子を被ったメイジ、シャルルは椅子に座った。
「まさかあんなに大きな竜がいるなんて…」
長い金髪を大きな三つ編みで纏めたヒーラー、モルは頬に手を当ててそう言った。
「すごく大きくて硬くて黒光りしていて、攻めるとビクンビクン反応して、頭が亀みたいで…あんなの初めてだ」
獣のような耳をピンと立てたサムライ、ナムナがそう言うとシャルルとモルは固まった。
「む、どうした?二人とも」
「あ、あんた、恥じらいとかないのか?」
「馬鹿にするな。恥じらいぐらいある」
「そ、そうですよね、女の子ですもんね…」
「しかし今の言い方だとまるでチンコの例えだな」
「恥じらいないじゃないか!」
シャルルがそう言うとナムナは不機嫌そうに眉間にしわを寄せる。
「あると言ってるだろう」
「いやいやいや、恥じらいある女の子が普通にチンコとか言わないだろ」
「む、それじゃあチンポ」
「同じだよ!」
「これでもだめなのか?なら…」
ナムナが言葉を続けようとすると突然アリエッタが彼女にぶつかってきた。
「むぅ?アリエッタか?」
ナムナがそう言って振り返ると、アリエッタは何も言わずそのまま家を飛び出した。
「ア、アリエッタさん!?どこに行くんですか!?」
「シャルルのせいだな。シャルルが細かい事気にするからだ」
「何で僕のせいになんだよ!」
「別にチンコでもチンポでも…私に恥じらいがある事に変わらないだろう?」
「恥じらいあるならそんな単語連呼しないっての!」
「二人ともそんな場合じゃないですよ!」
モルがそう言うのと同時に今度はファンタが飛び出してきた。
「お前ら、今アリエッタが来なかったか?」
「何か飛び出して行ったぞ」
「シャルルのせいでな」
「何でだよ!」
「だ〜か〜ら〜!そんな場合じゃ…」
「分かった、あんがとな!あ、それと俺の部屋に入るんじゃねぇぞ!」
ファンタはそう言って家を飛び出した。
「ファンタさん!?…いったいどうしたんでしょう?」
「部屋に入るなって何かあったのか?」
「とにかく私達もアリエッタさんを…」
モルが家をファンタの後を追おうとすると、ナムナがそれを制した。
「ファンタだけで大丈夫だろう。私達まで行く必要はない」
「え?でも…」
「ファンタは私達に協力して欲しい時は素直に協力を求める奴だ。そうしないと言う事は大丈夫と言うことだろう」
ナムナはそう言って静かに椅子に座った。
「さて、シャルル…」
「ん?」
「チンコ、チンポが駄目ならば…ちんぽこ肉棒ペニス陰茎おちんちん…どの言い方が一番恥じらいがあるんだ?」
「…お前の恥じらいって何なんだ?」
「くそ、どこ行った!?」
ファンタはアリエッタを探してカザンの入り口まで来ていた。
そんなアリエッタを探すファンタの目にある人物が目に入った。
「お〜い!おっさん!」
ファンタにそう呼ばれ、カウボーイハットを被った男は振り向いた
「ん?おお、マイキューピッド!どうした?とりあえず俺を呼ぶ時はミュルの彼氏で頼む」
「ミュルの旦那(仮)、緑の髪の可愛い獣耳メイドを見なかったか?」
「お前、今旦那(仮)って!…………それっぽい娘が今さっきここを通ってカザンを出たぞ」
「分かった、あんがとさん!」
「おい…」
男に声をかけられ、走り出そうとしたファンタは足を止めた。
「俺も…(仮)を外せるよう頑張る…。あの娘がお前の何なのかは分からんが…お前も頑張れ」
「………ああ、モチのロン!」
そう言ってファンタは駆け出し、カザンを飛び出した。
「…ミュルの所に行くかな…」
男はそう言って空を見上げた。
アリエッタはカザンを飛び出した後、ただ闇雲に走っていた。
自慰による体の熱は既に冷めていたが、涙はまだアリエッタの目から流れていた。
疲れが出てきたのかアリエッタの走るスピードが落ちた瞬間、彼女は脇腹に強い衝撃を受けた。
「ぐぅっ!?」
アリエッタはそのまま姿勢を大きく崩し、勢いよく倒れてしまった。
(な、何?)
アリエッタが周りを見てみると、5体のラビが彼女を囲んでいた。
(モンスター?しかもこんなに…逃げなくちゃ)
アリエッタは立ち上がろうとしたが、右足首に痛みが走った。
(っ!?もしかして今ので捻った?)
アリエッタが立てずにいる中、ラビは立てない彼女に近づいてくる。
アリエッタは一瞬焦ったが、やがて諦めたように顔を伏せる。
(この場を凌いだってもう行く所なんて…それなら、このまま…)
「みーーーつーーーけーーーたぁぁぁぁぁああああ!!!」
「え?」
アリエッタが顔を上げると、そこには猛スピードでこちらに走ってくる男の姿があった。
その男は紛れもなくファンタだった。
ファンタの声にラビ達も反応し、彼らは一斉に視線をファンタに向ける。
しかしその瞬間、一匹のラビがファンタに吹っ飛ばされていた。
ファンタはそのままアリエッタの元まで走ってきた。
「ファン…タ…?」
「大丈夫か?怪我はないか?」
「わ、私は別に…っ!ファンタ、後ろ!」
「っ!」
ファンタが振り向くと2匹のラビがげっ歯を剥いて襲い掛かってきた。
ファンタは一匹は撃退するが、もう一匹は仕留められず攻撃を受けてしまった。
「ちっ…そういや、モンスターがいたんだっけか…」
残るラビは3匹、今のファンタには素手でも十分倒せる相手である。
ファンタはジェンジェン爺から庇った時と同じようにアリエッタの前に立った。
「アリエッタ、逃げるなよ。すぐ終わるから」
「え?」
「行くぜ!お前らのげっ歯、人参に見えるんだよぉ!」
そう言ってファンタはラビ達との戦闘に突入した。
決着はあっという間に着いた。
無論、ファンタの勝利である。
「はぁ、一人とは言え経験値これっぽちか…さて、アリエッタ」
ファンタは振り向き、アリエッタの方を向く。
アリエッタはそんなファンタから視線を逸らした。
「本当に怪我ないのか?」
「大丈夫だよ…それよりファンタの方が…」
「俺なら大丈夫だよ…今証拠見せてやる」
そう言ってファンタが目を瞑ると、どこからともなくファンタのLPとMPを表示する板が現れた。
「ほら、LFが5しか減ってない。だから大丈夫だ」
「これ、何?」
「心のBボタンを押すと出てくるんだ。押しっぱなしで走るスピードが速くなる」
「心のBボタン?」
「ああ、喜びと悲しみの間にある」
板が消えると、ファンタはアリエッタに向かって手を差し伸べた。
「夜になる前に帰るぞ。あいつらも心配してるだろうし…」
しかしアリエッタは顔を伏せ、そのまま黙ってしまった。
ファンタはそれを見ると静かに正座をし、そのまま土下座した。
「ごめんなさい!すんませんでしたぁ!」
「え?な、何で謝るの?」
アリエッタがそう言うとファンタは顔を上げた。
「いや、だって…俺の不注意が原因だろ、あれは。自分の部屋とは言え、ノックするべきだった…」
「ち、違うよ。ファンタは悪くないよ…悪いのは…私…」
「うぃ?何で?」
ファンタに聞かれると、アリエッタは自嘲気味に微笑んだ。
「だって、あそこはファンタが休む場所だよ?
その場所を…ファンタが命懸けで頑張っている時にあんな事をしたの…。
ファンタも…私の事、本当は怒ってるよね?」
それを聞き、ファンタは少しの間黙っていたが、やがて勢いよく立ち上がった。
「俺は!健全な男なので!宿でオナニーする事も!珍しくありません!」
「………え?」
「メナスさんやノワリーさんが!頑張っていると言うのに!のうのうと!オナりましたぁ!」
そう言った後、ファンタがアリエッタを見てみると、彼女はただ呆然としていた。
「悪いな、俺もこんな奴なんだ。我慢できない時があるんだよ」
「……………」
「それに怒るなんてありえないって。寧ろ拝みたいくらいだ。眼福だった」
「え?」
「あ、いや、え〜…と、とにかく怒ってない。うむ、うん、怒ってないぞ」
アリエッタは見る見るうちに顔を赤くして、顔を伏せてしまった。
ファンタも困ったように頭をかいていたが、やがてアリエッタに再び手を差し伸べた。
「と、とにかく帰るぞ。そうじゃないと困る。主に俺が」
「でも……」
「……あ〜!帰るぞ!いいな!?」
「え?ひゃっ!?」
ファンタはアリエッタを抱え上げた。
お姫様抱っこである、こういう場面ではもはやお約束である。
「さ〜、帰るぞ〜」
「あ、う…」
ファンタが歩き出しても、アリエッタは顔を真っ赤にして何も言えずに体を丸めた。
しばらくして、アリエッタが唐突に口を開いた。
「…ねぇ、ファンタ」
「何だ?」
「……軽蔑、した?」
「いんや、全然。ってかさっき言ったろ?が、眼福でしたって…」
「う…」
アリエッタは顔を伏せて黙り込んでしまった。
ファンタはそれを見ると、やがて何か決心したような表情になった。
「悪い、アリエッタ」
「え?」
「ムードとか全然無視してあれだが…俺、お前が好きだ」
「…………え?」
アリエッタは何を言われたのか分からずに、ただ呆然とする。
ファンタはアリエッタに構わずに言葉を続ける。
「アリエッタ、お前を愛してる」
「え、あ………で、でも私、ナムナさんみたいに綺麗じゃない」
「俺はお前の方が綺麗だと断言できる」
今ので発言でナムナ好きの方々を敵に回したかもしれないが、話は続く。
「でも、私じゃあなたと…釣り合わない…」
「…そうだな、お前みたいに可愛くていい娘、俺には釣り合わないなぁ…」
「え?ち、違うよ。私なんかがあなたと…」
「アリエッタ」
ファンタはアリエッタの方を向くと、じっと彼女の顔を見つめた。
「俺が誰を好きになるかは俺が決める」
「あ…」
「お前は…誰が好きなんだ?」
「わ、私、は…」
「ま、気ぃ遣わなくていいって。どんな答えでも、俺はお前がずっと笑顔でいられるように頑張るだけだ」
ファンタはそう言ってアリエッタに笑って見せた。
アリエッタはそれを見て、決心した。
「ファンタ」
「ん?」
「降ろして…」
「…ああ、分かった」
アリエッタは降ろされると、ファンタの前に立つ。
そして、じっとファンタを見据え、口を開いた。
「私、やっぱりファンタと、釣り合わないと思う。でも…あなたの隣で胸を張って立てるような人になる。
……私、ファンタの事、好きだよ…」
アリエッタがそこまで言うとファンタはアリエッタを抱きしめた。
「ふぁ、ファンタ?」
「いえね、辛抱たまらなかったので…嫌なら離れる。超名残惜しすぎるけど…」
「ううん、嫌じゃ、ないよ」
そう言ってアリエッタはファンタの背に腕を回した。
少しの間、ファンタとアリエッタはそうしていたが、やがて何かを思い出したようにファンタがアリエッタから離れた。
「って、早く帰らないとやばいな」
「え?」
「いや、ベッド、何とかしないと…」
「あ…」
ファンタに言われ、アリエッタも思い出したのか顔をまた赤くする。
「ご、ごめんなさい」
「いや、俺はいいんだ。けどバレると色々面倒な事になる気がする。
一応部屋に入るなとは言ったが…と、とにかく帰るぞ!」
そう言ってファンタはアリエッタと手を繋ぎ、走り出そうとしたがアリエッタは辛そうに顔をゆがめた。
「どうした?アリエッタ」
「…ごめんなさい、足、実は痛めてて…わっ」
ファンタは何も答えず、アリエッタを再び抱え上げた。
「それなら、治療も早くしないとな。って、そういえば、下着もあのままだったんだっけ?」
「っ!!」
アリエッタは恥ずかしそうにファンタから顔を逸らした。
「……やっぱり早く換えたいのか?」
「〜っ!し、知らなぃ…」
アリエッタはもじもじとそう言うと黙り込んでしまった。
「よし、じゃあ行きますか!」
そう言ってファンタはカザンに向けて走り出した。
その腕の中に愛しい人を抱えて。
494 :
102:2009/03/26(木) 23:44:55 ID:iw851GPL
投下終了
相変わらず規制喰らってるので携帯で投下。
ちなみにこの作品、もうちょっとだけ続くんじゃ
ここまで書いたのでちゃんと書こうと思う
ファンタ×アリエッタ書いてるけどファンタ×イクラクン忘れてるわけじゃないよ
ネタがないだけなんだ
しかし
>>479の言うとおり続きが気になる作品が多いなぁ…
なんと
ファンタ×イクラクン×アリエッタの三角関係に期待せざるをえない
>>479 詳しく
ヒーラー♂×ローグ♀の夜の生活をリアルな筆致で詳しく
あと、自キャラ名出すのが恥ずかしいなら
ギルド名だしてみるなり、名前欄に酉でも入れてみてはどうだろうか
そのほうが『同一ギルドのシリーズもの』ってわかりやすいだろうし
連投失礼
勘違いだったら悪いが
472 473の間が抜けてね?
>>494 お疲れ様!GJ!
アリエッタ好きだけど、他の人が考えるアリエッタも好きだなぁw
499 :
479:2009/03/27(金) 16:37:14 ID:JEujY10h
>>497 GYAAAAAAAA!!!
仰るとおり
>>472と
>>473の間が抜けてる……orz
以下、その間に入るはずだったSSの一部。
……しまった。
すっかり紹介した気になっていたが、この人の事を最初に書くべきだった。
姉御に目を向ける。
寝乱れた長い黒髪で、メザシを口の端にくわえながら漬物に箸を伸ばす。
……この人はこういうのが本当に絵になる人だ。
これが姉御。サムライだけど、さっき言ったとおりあたしの師匠。
そしてお世辞にも育ちの良くないあたしのお目付け役。
姉御と言う呼び名はこのギルドにお世話になることが決まったときびくびくしながら呼んだのが始まりだったが、
なんとなく定着して今でも基本的にこう呼んでいる。あとは気分でたまに師匠と呼ばせてもらっているが
そういうときの姉御は口では『師匠と呼ぶなと言ったろう』とか言いながら何だかまんざらでもなさそうなので
これからもたまに師匠と呼んでみようと思う。
居合と無手に鍛錬を欠かさず、普段大雑把に振舞ってはいても常にサムライの魂は忘れない。
そんな姉御が昔は斬馬系のサムライ崩れだったというから世の中はよくわからない。
カタナを扱う自己流の剣士として己が信じる道を往き、ブシドーだのなんだのを歯牙にもかけなかった姉御だが
こっちに来て本物のサムライに出会いその教えに一転心酔、それまでのスタイルを捨て去って
名前まで変えたというんだから本当に極端な人だ。よっぽどどこか感銘を受けるところでもあったんだろう。
と、あたしの視線に気付いたのか、箸を咥えた姉御がこちらへ視線を送り返してくる。
「……なんだ?私の顔に何か……ご飯粒か?」
「すいません、なんでもないです」
ぺたぺたと頬をさわる姉御に首を振って否定する。
そうか、と食事を再開しようとした姉御はふと何か思い出したように持ち物を探り始めた。
「……そういえば福引で劇のペアチケットをもらったんだが……お前、一緒に来るか?」
――――――――――――――――――――――――――
ああ、できない、私にはできない。
たとえ永久に手に入らないのだとしても、
この手でこの方に血を流させるなんて。
それならばいっそ、……私は、泡となって消えてしまおう……………
「……っ……うぅ………」
「まだだ、エンディングまで泣くんじゃない」
そういう姉御の目には既に今にも溢れそうなほどの涙が揺れている。
あたしたちは文化ホールの一席に座り、遠い昔に書かれたというおとぎ話をモチーフにした劇を観賞していた。
「そんなこと言ったって……あ、姉御こそもう限界じゃないですか……」
「ば、馬鹿……目にゴミが入っただけだ」
「それならあたしだって、せっかくの、ペアチケットなのにっ、あたししか誘う人がいない姉御の不憫さを……」
みしっ。
「……痛い、超痛い」
「この、馬鹿………うう……」
「えうう………」
あたしも姉御も結局のところ、エンディングまで耐えることは出来なかった。
こんな大事なところ抜かしてどうする……久しぶりの大チョンボ。
あといくつか助言どうも。題で分かる気もするけど考えてみます。
ちなみにヒーラーの彼は設定だけ恋人ってもうこれ死亡フラグじゃね?ってくらい
空気になる予定ですができるだけご希望に添うようにしたいとです……
お久しぶりです。何かいない間に活気づいているのに驚きました。ここはカザンかと内心思いつつ、続きを投下します。
注意事項は以下。
◆名無し×港町の空腹ルシェ
◆エロ無いし。短いし。何か続いているし。
以上、「嫌、これはない」と言う方は飛ばすなり、NGするなりして下さい。では、どうぞ。
「貴方達は‥‥」
彼女にクエストを受理した旨を伝えると顔を綻ばせ微笑んだ。
「受けてくれたんですか‥‥? あ、ありがとうございます‥‥! では、今準備して来るので‥‥」
四人の内の一人はふと、この店はどうするのかと彼女に尋ねる。
「それは大丈夫です‥‥義姉さんが暇そうらしいので」
それだけ言うと、彼女は自宅へと向かっていった。
◇◇◇
「ふーん、アンタ達があの有名な? もっとこう、妖怪みたいな奴だと思っていたけど、へー。
あ、そうだ! ねぇ帝竜ってどんなの!? やっぱり厳つくて、怖がった?
カザンには沢山の冒険者(ハントマン)がいるって本当?
ミロスの女王様ってどんなんだった?
メイドって隠しジョブなの?
あ、他にさぁ!」
彼女の義姉はまるでリアクトが常時発動したかのように、ずっと俺のターン状態だった。
「あの‥‥義姉さん‥‥?」
「あぁ! もう急に冒険者になるなんて最初は私も吃驚したけど、事情が事情だから仕方ないとして、お姉ちゃんは可愛い妹が心配何だからね! 辛くなったら帰ってきてよ?
あ、お土産は何でも良いわよ? あ、でもちゃんと『彼』は捕まえてくんだからね!
後、朝ご飯はちゃんと食べんのよ? 体も洗いなさいね? 嫁入り前なんだから顔とかに傷をつけちゃ駄目なんだからね! 他に――」
◇◇◇
それから知らない人にホイホイついてっちゃ駄目よ? きっとソイツはのんけだって食っちゃうんだから!
耳をピクピクさせちゃ駄目よ? 男はみんな獣耳に弱いんだから!
あ、それから「えと‥‥義姉さん?」
「え? 何?」
「冒険者の方々が‥‥」
義姉が彼女の目線の方へと目をやると、四人は地面に絵を描いたり、しりとりをしたりしていた。
「あ、ごめんなさいね〜てへ☆」
「‥‥」
義姉は漸く話を終えて、彼女は簡単な鎧などを付けて四人に準備完了を伝える。
「じゃあ‥‥行ってきます。義姉さん」
「うん、いってらしゃい。あ、最後に一つだけ良い?」
「‥‥?」
義姉は彼女に近づくと、しっかりと彼女を抱きしめ、彼女だけに聞こえるよう、静かに呟いた。
「気をつけてね。私はずっと‥‥待ってるから」
「‥‥うん、分かったよ‥‥お姉ちゃん」
◇◇◇
「はぁ〜、あの子がまさか旅に出るなんて思いもしなかったな〜」
一人いなくなった家の中で義姉は呟いた。
「ま、恋心にはかなわないからしょうがないんだけどね」
パリッと、煎餅を食べながら、義姉はまた呟いた。
「‥‥淋しいなぁ」
ズズッと、煎餅を食べた後冷茶を飲み、ほぅと溜め息を吐く。
「でも、ま、可愛い妹の為だからね☆」
ギィと木の椅子から立ち上がり、店へと向かう。
「さて、お仕事お仕事! いっちょ、一肌脱ぎますか!」
◇◇◇
「どうでした‥‥? 義姉さんは」
四人は苦笑いしながら元気な人だと、当たり障り無い感想を述べた。
「そうですね、でも‥‥正直、義姉さんは五月蝿いと思ったでしょう」
三人はまた苦笑いし、まぁねと一人が答えて、隣の一人がソイツの足を思い切り踏んだ。
「私も‥‥そう思います‥‥。
私、喋るの苦手ですから‥‥いつも、義姉さんが一方的に喋るんです」
彼女は微笑みながら語る。
「五月蝿いと思った日もありました。喧嘩した日もありました。‥‥でも」
彼女は目線を下に向け、ゆっくりと喋る。
「私‥‥義姉さんの‥‥お姉ちゃんの‥‥『妹』、なん、です‥‥血は、繋がって、なかった、けど‥‥『妹』、なんです‥‥」
彼女は瞳に涙を溜め、肩を震わせ、途切れ途切れ喋る。
「コレは、私のワガママです。それでも‥‥お姉ちゃんは笑って見送ってくれました。
‥‥私は戦う事はできません‥‥貴方達の荷物になることは分かっています。
でも私は‥‥私はどんな事があっても、お姉ちゃんを悲しませたくないんです。
だから‥‥もう一つ、私のワガママを聞いて下さい」
彼女は涙を拭い、四人に向いて、頭を下げ、静かにハッキリと喋る。
「私は私のできることをします。なので‥‥私を守って下さい。私は‥‥死ねないんです。お願いします。私のワガママ‥‥聞いてくれますか?」
四人は一瞬、それぞれ顔を見合わせ、再び彼女を見て、当然と答えた。
「‥‥ありがとう」
彼女は柔らかに笑い、そこにいた四人共、彼が惚れた理由を何となく察した。
以上です。
名無しをエロくするって簡単かと思ったら難しかったです。いや設定とか入れなきゃ簡単なのは分かりますが‥‥。
まぁ、これからも勝手に続けますんでそこんとこよろしくお願いします。もう顔も見たくない方は【冒険者No.261】をNGするなりして下さい。
ではノシ
追伸
アリエッタのSSが増えて嬉しいです。作者GJ。
今ならお姉さんを落とせるレアイベントが発動するわけですね、わかります
>>261 待ってましたああああああああああああ
GJ!!!!!
これからも勝手に読ませてもらいまする。
つまりお姉さんにスーパーメロウタイム☆ですね。
色ボケ帰れ
>>505GJです!これまた続きが気になりますね。
自分も早く書き上げないとな……
>>509にこの板におけるハノイへの正しい対処法を見た。
よし、自分も出来るだけ早く新しいの書くぞ……
前回レスくれた皆様どもー。
朝起きたらメイドがご奉仕の真っ最中、って人生の中で一回は経験してみたいよね!
>>456 うわ、以前にもコメくれてた人! 覚えててもらえたの凄い嬉しい
一年ぶり? ぐらいにこんなところで再会出来るとはちょっと感動w
つうか、そんなにシグルイの印象強かったのか……w
で、まだ誰も書いてないそうなので、大好きな金髪ヒーラーちゃんの話書きましたよー。
相手の男はご自由に。
先陣を飾るにふさわしくない、だいぶアレな話になっちゃって
あなたの中のヒーラー像を著しく傷つける可能性がございますので
ヒーラーは清純派だと心に決めている人、エロよりストーリー性を重視する人には心底おすすめできません。
か弱い女の子に見下されながら丁寧語で罵倒されたい羞恥系Mの人に捧げます。
今回も挿入とかないです。ついでにいうとシグルってもないです。
こんばんは。来ちゃいました。
って、さっきまでもずっと一緒にいたのに、
今更こんばんはなんて挨拶するのも変ですよね。あはっ。
中、入れてもらってもいいですか?
それじゃあ、失礼します。
今日は大変でしたよね。お疲れ様でした。
ほんと、一時はどうなるかと思いましたよ。
でも、みんなでちゃんと無事に帰れて……本当に良かったですよね。
だから今夜は……ご褒美です。
……どうしました?
いいんですよ、もう始めちゃって。わかってますから。
自分でしてるところ、私に見てて欲しいんですよね?
ふふ、そんなに血走らせた目をしちゃって。
遠慮しなくてもいいんですよ?
思う存分、いやらしい姿を私に晒しちゃってください。
ちゃあんと、全部ここでしっかり見ててあげますからね。
ほぉら、邪魔な服は脱いじゃって……ね?
ああ、もー。
だからってそんなに焦らなくていいのに。
よっぽど見て欲しかったんですね。ほんとは。
……あらら、もうそんなにしちゃって。
そりゃ、遠慮しなくてもいいとは言いましたよ?
でもね、何かする前から勝手にそんながちがちにしちゃって。
恥ずかしくないんですか?
ま、別にいいですけどね。
もっとよく見て欲しいですか?
じゃあこっちに来てくださいよ。
わざわざ見てあげてるのに、私の方から来いだなんて図々しいにも程がありますよ。
ふふっ、いやらしいおちんちんですねー。
触られてもいないのにこんなにおっきくしちゃって。
…………いや、そんなに大きくもないかなあ?
んー。失礼ですけど……なんていうか結構……お粗末、ですよね。
わ。今なんだか、びくん、ってなりましたよ?
お粗末って言われて興奮しちゃったんですか?
年下の女の子におちんちんの大きさを馬鹿にされて、ですか?
サイテーですね。
ほらまた。びくんって。気持ち悪いなぁ。
そのお粗末なおちんちんの先っちょから、汚らしいおつゆがいっぱい溢れてきちゃってるじゃないですか。
息までそんなに荒げちゃって。男の尊厳はないんですか?
え? 触って欲しい?
冗談ですよね? なんで私がそんなことしてあげないといけないんですか?
自分でしてくださいよ。
約束は守ります。ここで見ててあげますから。
……そうそう、最初から素直にしてればいいんですよ。
あなたなんて、そうやってハァハァいいながら自分で慰めてるのがお似合いなんですから。
気持ちいいですか? 気持ちいいですよねー。
女の子に見られてながら、自分の小汚いおちんちん一生懸命こすっちゃってるんですもんね。
本当は、いつも想像してたんでしょ?
こうやって私にじっくり見られながら思う存分おちんちん扱いてみたいって。
それともあれですか?
私のこと、いつも頭の中で犯しちゃってたりしてたんですか?
私が組み敷かれて泣き叫んでるのを想像して興奮して、その粗末なものを扱いてたりしてたんですか?
……ふふふっ、からかってごめんなさい。
そんなのは違いますよね。
女の子を犯すなんてとんでもない……あなたは、自分が虐げられたいだけ。そうですよね?
こうやって罵られれば罵られるほど興奮する、ただのド変態なマゾ野郎なんですもんね。
今日、あれだけ頑張って戦ったのだって、全部この瞬間のためなんですよね?
そうすれば、あとで私からご褒美が貰えますもんね。
あーあ、他のみんなが知ったらどう思うのかなあ。
知ってます? 最近ギルドに入ったあの子。
あなたのことに憧れているんですよ。
でも、リーダーがこんなにド変態で、しかもこんなに小汚くて情けないおちんちんの持ち主だってことがバレたら。
あの子どころか、他のだーれも口聞いてくれなくなりますね。
イヤですか?
それとも、それまでご褒美になっちゃいますか?
救いようがないですね。この変態。
……もう、びっちょびっちょじゃないですか。
おちんちん扱くとき、部屋中響くような音でぐちょぐちょ言わせちゃって。
先走り液のにおいを撒き散らして。
なんでそんなに興奮してるのか意味わかんないんですけど……
あれれ、もう出ちゃいそうなんですか?
おちんちん扱いてるの見られて、罵られて、それだけでイっちゃいそうなんですか?
ちょっと早すぎません? 短小の上に早漏ですか?
ま、お似合いですけどね……ぷぷっ。
……え? 服を脱いで欲しい、ですか?
そんなことを私がしてあげると本気で思ってるんですか?
調子に乗らないでくださいよ。
……といいたいところですけど、まあいいでしょう。
年下の女にお願いしてる間にも必死になって汚らしいおちんちんを扱いてるその姿、
いくらなんでもみっともなさすぎるんですもん。哀れんじゃいます。
……さ、これでいいですか。
ほおら、あなたが見たい見たいとおちんちんから涎をたらして
みっともなく懇願したロリな体ですよ。
満足しました?
こんな、発展途上でぺったんこな胸と、
毛も生え揃ってないようなすじまんこに欲情する男なんて……普通はいませんよね。
いたら男として、いや、人としてちょっとどうかなって思っちゃいます。
なのにあなたときたら……なんですかその目は。
理性のカケラすら見てとれません……
おちんちんだって、ますます硬くしちゃって。
生まれてきて恥かしくないんですか。
ご両親に申し訳ないと思わないんですか?
いくらなんでも気持ち悪すぎすぎですよ。
って言っても、悦ぶだけなんですよね、あなたは。
無敵ですね、ある意味。
え、今度は腕をあげて欲しいんですか?
……ほら、これでいいですか。
もう……そんなに凝視して……
つるつるの腋なんて見て、なにか楽しいですか?
わかんないなぁ、ド変態の腐れちんぽの考えることは。
もう我慢の限界ですか?
イくのは勝手ですけど、そのまんま私の腋にその汚らしいおちんちんを向けたまま射精しないでくださいね。
あなたの汚らわしいザーメンで私の体が………
………あ!
駄目だっていったのに、なにしてるんですか!
あー、もー!
どれだけ出せば気が済むんですか!
まだドクンドクン出しちゃってるじゃないですか……
うわ、腋もお腹も……体中べったべた……
それにこのにおい……
くっさい……死んでください、このバカちんぽ。
はぁ……ここまで屑じゃしょうがないですね。もう言葉も出ないです。
責任とって早く綺麗にして下さい。
どうやるかなんてわかりきってるでしょ?
あなたが汚したんですよ、全部舐め取って下さい。自分で。
……で、躊躇しないですぐに舐められるんですね、自分のザーメンを。
信じられないです。
それでも人間ですか? まるで獣ですね。
なんていったら動物に失礼かもしれませんけど。
自分のザーメンを悦んで舐めとるなんて、世界中の生き物探してもあなたしかいないんですよ。
聞いてますか? この屑。
……あはははっ、くすぐったい!
余計な部分を舐めなくていいです、自分の出した汚いザーメンを綺麗に舐め取ることだけに専念してください。
ほら、そこだけじゃないでしょ。
足の方まで垂れちゃってるじゃないですか。
そう……指の間まで全部ですよ。一本一本口に含んで丹念に……ね。
ついでに足の裏も……ほら。
どうせ舐めたいとも思ってたんでしょ? 靴とソックスをはいて一日中歩き回ったあとの足を。
あなたはそういう人ですもんね。
で、ちっちゃなおちんちんをそうやってまた目いっぱい硬くしちゃってるんですよね。
さっきだしたばっかりなのに。
あなた、種馬ですか?
いや、そんなに雄々しいものじゃないですね。
あなたなんて、いいとこ豚です。
そう、種豚。
ぶひぶひいいながらちっちゃなおちんちんのついた腰をぴょこぴょこさせてるのがお似合いってトコですよ。
私の中にそのキモいおちんちん入れて、かきまわして、放出して、
その情けない遺伝子が入った汚らしい精子を着床させたいですか?
……させるわけないでしょ?
私、処女なんですよ。夢見る乙女なんです。
初体験は、格好よくて優しくて、心の通じ合った人と愛し合って……って心に決めてるんです。
それがよりによって、あなたみたいな種豚のおちんちんをなんで受け入れなきゃいけないんですか。
身の程を知ってください。
せめて、もう一回出したい?
好きにしてください……もういい加減に呆れました。
その代わり、さっさとしてくださいね。
そろそろ眠くなってきたので、部屋に帰って寝たいんです。
もっとも、あなたに限ってその心配はいらないんでしょうね。
どうせまたすぐにイっちゃうんでしょ? その短小早漏ちんぽ。
ほら、もっと踏んであげますよ。
精液と涎でべっとりの足で、あなたの顔を。
嬉しいでしょ?
おちんちんがますます破裂しそうになってますもんね。
……ま、最後だからちょっとだけサービスしてあげますよ。
横になってください。
……手でなんてしてあげませんよ、お口でなんてもってのほかです。
でも、人並み外れたド変態の種豚野郎なあなたならもっと悦ぶんでしょうね、きっと。
大好きな足でしてあげます。
ほらほら、どうですか?
そうやって下から見あげると、私のロリまんこ丸見えですよね。
その状態でおちんちん、足でグリグリされてますよ?
あー、気持ち悪すぎです。
さっさとイってください、この種豚。
うるさいなあ、そんなに喘ぎ声だしちゃって。
他のみんなに、聞こえちゃいますよ?
本当は年下の女の子に言われるままなされるがままで、
足コキでイカされちゃうようなド変態だってバレちゃいますよ?
ほおら、そう言われただけでますます硬くなった。
変態、へんたい、ヘンタイ、へんたい、変態!!!
変態! 変態!!! 変態!!!!!
…………出しちゃいましたね、ぴゅっぴゅっ、って。
二回目なのにさっきより飛んだんじゃないですか?
あーあ、自分の顔までザーメン飛ばしちゃって。傑作ですね。
似合ってますよ、その姿。
とっても素敵です。みんなを呼んできちゃいたいなぁ。
……なんか、足の裏のがまた硬くなってきてるんですけど?
いい加減、本気でウザいです。
あなたを悦ばせないようなお仕置きします。
前から試してみたかったんですよね。
おちんちんについてる玉、本気で潰したらどうなるのかって。
冗談じゃないですよ?
ほら……こうやって思いっきり……えいっ!
………………
うわ……なんか、ぐちゃっていいましたね。
なんとも言えない感触が足の裏に……
そっか、こんな感じなんだ……本当に弱点だったんですね、男の人のここって。
ちょっと感激です……聞いてます?
なんかそれどころじゃないみたいですけど……
心配しないでくださいね、すぐに治してあげますよ。
私のお仕事、忘れちゃったんですか?
良かったですね、私で。
腕力や知力じゃどうにもならないこと、世の中には沢山ありますもんね。
起こしてあげますよ、奇跡ってものを。
ふふっ、やっすい奇跡ですよね。神様が怒るかな? こんなことに奇跡の力をつかっちゃったら。
……本当に大丈夫ですか? なんか泡ふいちゃってますけど。
お喋りが長すぎましたか。
それじゃ、いきますね。
さあ、これで……………
…………………あれ?
もう一回…………
………………………………あれれ?
あ! そっか!
今日はお昼にもう起こしちゃってましたね、奇跡。
神様、ごめんなさい……
やっぱり奇跡なんて、そうそう起きるものじゃないんですよね……
一日に4度も5度も起こせるもんじゃないんです。
奇跡は一日3度まで。うっかりしてました。
……というわけでごめんなさい、今日は無理みたいです。
帰って寝ますね。
大丈夫。一晩休んだらまた起こせますから、奇跡。
そうしたらすぐに来て、治してあげますよ。
……あー、完全に白目剥いちゃってますね……ちょっとだけやりすぎちゃったかなぁ……
ま、平気ですよね。うん、大丈夫、大丈夫!
それじゃあ、おやすみなさいませ。
あなたに、神のご加護があらんことを。
(おしまい)
というわけで終了です。
うん、こんなヒーラーがいてもいいと思うんだ!
今回も読んでくれた人、ありがとうございました。
>>521 とりあえず一言だけ言わせてもらう
GJ!
うむ、こんな金髪ヒーラーが居てもいいじゃない
GJ
ちんちんきゅーって縮んだ
ちんこがひゅっってなった
因みにマジで睾丸潰すとショック死します
このドS金平いぢめてぇ……
クリアしたので来ました。またよろしく。
エンディング後の世界を扱っていますので【ネタバレあり】です。
固有名詞一覧
・ケビン 眼鏡ヒーラー♂
・モル 金髪ロリヒーラー♀
(名前は公式ちびキャラトークより)
エロは微エロ、グロ表現あり(治療風景)
前述どおりエンディング以降のネタバレあり
以上がダメな方は『ヒーラーのお仕事』でNG設定などをお願いします。
午後『お客さん』が一体搬入されてきた。
薬品の刺激臭と、肉の生臭さ、血の鉄臭さが混ざり合った空間。
ここはヒーラーのもう一つの戦場、治療院。
それにしても、今日の『お客さん』は実に酷い。
ヒトの屍体と言うより、コレはもう単なる一山の肉塊だ。
施術台の上よりは、肉屋の軒先で量り売りされている方がよっぽどお似合いだろう。
屍体は十分見慣れたつもりだったけど、ここまでヒデェのを見ると流石にくらくら来る。
このバラバラの肉片を、組み立てて一個の人間の形に仕上げ、なおかつ蘇生させる。
それが今日の僕たちの――師匠と、僕の仕事だった。
モル治療院。
ウチの師匠のモル様は他のヒーラーがさじを投げた患者(っていうか大抵は屍体だ)さえも治癒してのける凄腕なのだ。
……ただし、超ボッタクリの。
「あー、こりゃデスシザースに殺られたか?」
師匠はそのちいさく白い手で、施術台に乗っけられた肉塊の一つを掴み、検分していた。
「ええ、お連れさんが、ゼンダ竹林でやられたみたいな事言ってましたけど……何で分かるんです?」
急な『来客』に、ぐうたら寝こけていた師匠をたたき起こしたのがついさっき。
『お客さん』の死亡状況はまだ僕しか聞いていないはずなのに。
「ここの切断面見てみな。アイツのハサミにやられたら、こんな感じにスパっといく」
「なるほど。だけど、蟲の類にやられたにしちゃ、屍体に喰われた跡がない様な……」
「アイツぁな、ああ見えて草食なんだよ。だからこそ、てめえのエサのゼンダ竹に手ェ出すやつは許さねえ」
「へぇ……」
充満する血と肉の匂いに包まれながら、僕は師匠の言葉に耳を傾けていた。
言葉使いこそ少々荒っぽいものの、声そのものは少女のそれ。
スプラッタな状況に少々参りかけていた僕は、ついついそのソプラノに安らぎを求めてしまっていた。
「曲かけろ」
師匠の端的な指示。こういうときにはすっごい頼もしい。
「了解。なんにします?」
「灼熱――いや、やっぱ風と木」
ふむ、僕たち自身の手を早めるよりも『お客さん』の体力を優先する判断か。
僕の手指がプレロマ特製『音の出る機材』のボタンをあれこれ弄ると楽曲が流れはじめた。
生身のプリンセスの歌謡には及ぶべくもないが、この『機材』からの聖歌でも気休め程度の効果はある。
とは言え、間違いなく大施術になる。その気休めが成否を分けるかもしれないわけで。
風と木の詩。
聞くものの生命力を高め、その優しくも力強い調べは死者の肉体すら賦活する……って……
……あの、動き始めたんですけど。バラバラ屍体が。
いやいやいやいやいや。
コレはない。
無しにしてください。
賦活化された肉片がそれぞれビクビク動き出すとか、それどこの怪談ですか。
「ケビン。なぁにボサっとしてんだ。『お客さん』眺めてる暇あったらとっとと手ェ動かせ」
「すみません師匠僕コレ絶対無理です」
「ンなモン単純な反射で動いてるだけだろうが! ヒーラーが屍体相手にビビってんじゃねえよ!」
呆然としていたところを、師匠ににらまれた。
にらまれるままに、彼女の翠緑の瞳を眺め続けていたいと言う欲求に駆られたが、
どうにかそれを振り切って作業に取り掛かる。
ウチの施術室の機材や台は師匠の背丈にあわせて、ちいさなサイズのもので統一されてるもんで、
師匠よか頭二個分大きい僕が作業するには少々しんどい。
「とりあえず……パーツごとにミルロメディス注射しときましょうか?」
「それと破損部にヒュプノ結晶粉末塗って賦活を促進させとけ。ついでに動くと邪魔だし麻酔も微量な」
なるほど、既に作業をはじめていた師匠の傍らにはおとなしくなった身体部位がいくつか転がっている。
蠢く肉塊に触るのは正直おっそろしいが、どうにか薬品を注入し、肉片の痙攣をおさめていく。
「それ……と、それ。接合するから肉切開して骨を露出しとけ」
師匠の指が、二つのパーツをそれぞれ指差す。
「針は何番です?」
「五番。糸はフロワログラス」
師匠は恐るべき事に骨さえ縫う。
縫って繕いつなぎ合わせる。
師匠の手の中で鋭い真鉄の針がひるがえり、強靭な蝶の繭糸が明かりを照り返してきらきらと光る。
豊富な経験と失敗を恐れないクソ度胸、そして何より施術者の人間離れした握力。
これらが揃って初めてなしうる文句なしの神業だ。同職として正直、見惚れる。
「うわっ……」
僕は僕で作業を進めていたが、何個目かの肉塊を手にしたとき、驚きのあまり取り落としかけた。
他の肉塊に比べてもひときわ大きく重いそれは、ヒトの頭部だった。
「師匠、この人、顔面がヤバイです」
と、いっても、とんでもないブッさいくというわけではない。
「おいおい……かじられてんじゃねえか。脳は無事か? 頭やられてると流石にどうにもならんぞ」
野犬の歯型だろうか。顔面がごっそり削り取られて大変無残な有様になっていた。
「たぶん……兜かぶってたみたいで頭蓋の中身は大丈夫かと。でもどうしましょう、コレ?」
「……ったく、重要器官の損傷と欠損は最初にチェックしとけって、いつも言ってんだろうが」
「う、すみません……」
頭はひねりつつも、師匠の手は流れるように動き、次々に屍体を縫い合わせていく。
「ケビン。おまえがやれ。得意だったろ顔面整復」
「待ってください僕ですか。生体の整復なんてやったことないですよ」
ダンジョンで拾ったしゃれこうべの生前の顔を想像し、そこに粘土で肉付けする訓練はさんざんやった。
自信もある。だけど、生身の顔に文字通り“肉付け”するってのは初めての経験だ。
「見りゃわかんだろ? あたしは“首から下”で手一杯。おまえ以外の誰が手ェ空いてるってんだ?」
「でも……」
「デモもストもない! やれっつったら、や・れ!」
まずい。師匠本気で怒りかけてる。
確かに『お客さん』の状態を考えれば一刻一秒を争う。僕がぐちぐち悩んでる暇なんてない。
「だけど、整復ってことはドラゴン幼体……つかうんでしょう? 良いんですかこんな高い薬剤」
ドラゴン幼体はいわば生体向けの充填剤だ。
筋肉の欠損部分に植え付ければ数分で馴染んで一体化し、文字通り“肉付け”できる。
しかるべき手順で精錬すれば最高級の戦場覚醒剤にもなるのだが、
腕の立つ冒険者が減った昨今では滅多に採取される事がなく、べらぼうに高価な品だ。
「良いも悪いもそれしかねぇだろ。後でコイツらからキッチリふんだくれ」
いいながら師匠は、だいぶヒトの形になってきた『お客さん』を指差す。
「払えますかねえ……」
ゼンダ竹林で死んだってことはそこそこ稼げるパーティなんだろうけど、
それでもかなり厳しい金額になるんじゃないだろうか。
「払わせる」
断言。師匠は絶対金を回収する自信があるみたいだった。
「ま、一応、担保は取っておくか」
「担保って……いつものアレですか?」
「いつものアレだ。つーか、くっちゃべってる暇があったら、いいかげん自分の仕事しろ!」
「はっ、はい!」
おしゃべりが過ぎたようで、叱られた。
自分の仕事に集中する。皮は剥がれ、肉はこそげ、一部、頭骨さえ露出している
グロいお顔とにらめっこし、もともとの筋肉の流れにそって幼体をすり潰したペーストを植え付けていく。
機材から流れる『風と木』のおかげか、僕の心にも妙な高揚が生まれ、それが更なる集中を呼び込んだ。
「よしよし、上手いもんじゃねぇか。折角だから前以上に男前にしてやりな!」
僕の作業を覗き込んだ師匠から激励を受ける。
「はは、了解です」軽く笑って応じれば、
「ふふっ」師匠はにっこり微笑み返してきてくれた。
嗚呼、この人の笑顔と笑い声にだけはホントどうにも逆らえない。
まだまだ作業途中だというのに、師匠に出来栄えを褒められた事が嬉しくてならない。
一見小さなおんなのこにしか見えないこの女性に、本気で惚れこんでしまってる自分を、僕は深く自覚した。
3時間後に施術はつつがなく終了し、更にその38時間後
白銀水の浴槽に漬け込んでおいた『お客さん』は無事に蘇生した。
♂♀
―― つつがなく行かなかったのは、むしろ施術のあとだったわけで。
「だから兄ちゃんよ。払わないとは言ってないだろ? 高すぎるって言ってんだ」
『お客さん』の蘇生直後。
応接室のソファーで向かい合いつつ、顔面整復時にさんざん眺めたあのときの顔と僕は再びにらめっこしていた。
眼輪筋が無駄にぴくぴくしてるのは、僕の施術が未熟だったせいか、このファイター氏が怒ってるせいか。
……やれやれ、元気なものだ。数日前にはバラバラ屍体だったとはとても思えない。
「ですから、先ほどからご説明させて頂いてますけど、薬剤だけで通常蘇生に必要な量の10倍は使用してるんです」
「じゃあ結晶10個分でだいたい3万5千ってトコでしょう? それがどうして12万にもなるのよ」
ファイター氏の肉塊を持ち込んだ、ローグ嬢がぶーたれる。
手間賃、ってモンを考えて欲しいなあ。
「技術料と、言うのもありますが、例えばその顔――」と、僕は鏡を取り出しファイター氏に手渡して、
「――顔の半分ぐらいがうっすらピンク色でしょう? 鼻から下がごっそりなくなってたんですよ。あなたの顔は」
その光景を想像したのだろう、血色の良かったファイター氏の顔が見る見るうちに青ざめる。
「……たいした腕じゃないか兄ちゃん。元通りの男前だぜ」
本人が言うなら、顔の造形はまずまずだったらしい。
「顔だけじゃなく、左の前上腕と側腹部の一部も欠損していました。
それの修復に入手の非常に困難な薬剤を使用してます。今回の施術料の大半はその薬剤だと思っていただければ」
「うーむ、確かにそれなら高いのもなあ……」
「ちょっと待ってよ」
ようやくファイター氏を丸め込めそうだったのに、そこにローグ嬢がわって入ってきた。
「私はそんな高いクスリ使えって、頼んだ? 勝手にそんなの使われても困るんだけど」
生き返ったらすぐコレだ。
“お願い! なんだってするからこの人を助けてあげて!”と、
半狂乱になってウチに駆け込んできた時のことをもう忘れちゃったんだろうか。
たかが数日前のことなのに。
「いえ、貴女は同意してますよ。施術前にこちらの書面に署名いただいたはずです」
僕はぺら紙一枚を彼女の眼前に突きつける。
用紙には専門用語と法律用語がずらずらずらと書き連ねてあるが、要点をまとめると二つ。
・施術に失敗しても文句言うな。
・施術にいくらかかっても文句いうな。
そんな内容を、多少オブラートに包んで、なおかつ分かりやすく彼女に伝える僕。
「――と、まあ、こちらに書いてありまして」
「そんな小さな字……いちいち読んでるわけが……」
ないでしょうね。
あんなボロボロ泣きながらでは、まともに書面など目も通せてなかっただろうし。
「だいたい前金だけで2万も払ってんのよ。これ以上ボッタくろうっていうの?」
「まあ、兄ちゃん……いくらなんでも高すぎらァな。ちょっと宿のほう帰って仲間と相談してきていいか? な?」
ファイター氏の目が泳いでるのは、僕たちの施術が不完全だったワケでもないだろう。
まずいなあ、たぶんこのまま逃げる気だ。
「ではせめて、質草がわりに装備一式置いてっていただけます?」
「いやいや兄ちゃん。商売道具取られちまったら稼ぎたくても稼げねえぜ?」
まったく、ああいえばこういう。これだから冒険者って人種は……。
「兄ちゃんよ。だいたいココは闇医者だろう? 書類書類というけれど、出るトコ出たら困るのはそっちだろうが?」
う……痛いところを付くなあ。確かにウチは大統領府未認可の治療院だけど。
こんこん。
頭をひねって悩んでると、ノックの音に思考を中断させられた。
「入るよ」
ノックと共に応接室に入ってきたのは師匠だった。
なにやら生体保存用の保冷箱を抱えてるけど……いつものアレか……。
そのまま、ちょこちょこと部屋を横切って僕の座ってるソファの横に腰掛けると、
箱を机の上に投げ出し、挑発的な笑みをファイター氏に投げかけた。
「話は聞こえてきてたけどさ、あくまで踏み倒すつもりかい?」
「踏み倒すたァ、聞こえが悪いなお嬢チャン。ちょっと帰って考えさせてもらうだけだって」
「それを踏み倒すっつーんだ。まあいい、担保はとってんだ」
「……担保?」
ワケがわからないと言う顔をするファイター氏。
そして、師匠はちらりとファイター氏の股間に目を向けたかと思うと
「ふふ、アンタ、またぐらの方がスースーするって思わない?」
ファイター氏は大きく目を見開いたかと思うとそのごっつい手の平で
自身の股間をバタバタと叩き、まさぐり、何かの確認をする。
「……ってオイ! ねえよ! 無え!!」
師匠は、脇においていた保冷箱のふたを開け中に納められていた肉片をつまんで
それをファイター氏に見せ付けると、とびっきりの可愛らしい笑顔でこういった。
「これ、な〜んだ♪」
師匠の指にぷらんとぶら下げられたそれは、サオ状の器官に、タマ形の器官、ソレを包む袋状の器官。
「てめえ、そりゃ俺の……」
「そ。アンタの『お宝』さ」
早い話が男性器ですね。
施術の最中に男のイチモツを切り取って保管しておく。これが『いつものアレ』の正体だ。
さすがというかなんというか相変わらず、師匠はえげつないことをしやがります。
「返せ! 俺のチンポ返せ!」
「ちょっと、落ち着きなって! 相手は子供だよ?!」
ファイター氏が師匠に向かって飛び掛りそうになるが、ローグ嬢が慌てて抑える。
いやそのなんていうか心の底から同情します。同じ男として。
師匠は何食わぬ顔で、再び肉片を箱に戻したかと思うと
「返してやるさ。金さえ払ってくれりゃあね――」
そこで、くるりと僕のほうを向き
「――って、ウチのお兄ちゃんが言ってましたぁ♪」
僕!? 僕ですか!? そのタイミングで振ってくるとか止めてくださいよっ!
あと、師匠のほうが僕よか5倍は長く生きてるはずなのに(自称)何が『お兄ちゃん』ですかっ!?
「オイコラ兄ちゃんよ……何が面白くって、こんな真似してくれやがんだ、あァ?!」
ファイターさん、凄まないでください怖いので。
「だいたいこんな小さい子に、あんな事させるなんて……最低ね!」
ローグさん、にらまないでください怖いので。うわ僕なんかもう完全に悪者扱いですよ。
助け舟が欲しくて師匠の顔を見ると、すっごいニヤニヤしてます。楽しまないでください。この状況。
つまり『僕一人でどうにかしてみろ』って事ですね。やれやれ……。
「まあ、先ほど彼女が告げたとおりで。しかるべき代金を
お支払いいただければ貴方の息子さんを無事にお返ししますが」
「テメエは人さらいか!」
ウィットにとんだジョークで場を和ませようとしたが、どうやらファイター氏はお気に召さないご様子。
「『お仕事』に関わる身体部位ではないでしょう? 手持ちがないなら頑張って稼いで来てくだされば」
「ションベンとかどうすんだよ!」
「ご心配なく。外陰部に女性のと類似な尿道口を整形してます。
まあ、女性と同じく座って排尿していただく事になりますけど」
「糞が……つーか兄ちゃんよ。このままテメェをぶちのめして力づくで
俺様のチンポ取り返しちまってもいいんだぜ? モノさえもらっちまえば、治療院はココだけじゃねえんでな」
ったく、実力行使のカードを切るのが早すぎるっての。コレだから脳筋は。
そんなん言われたら僕だって取れる手段が限られてくるってのに。
「……そこまでおっしゃるのなら、ご自由にどうぞ」
僕が一言告げると、師匠はそのまま無言で生体保冷箱をファイター氏へと差し出した。
オッケー、師匠が何も言わないって事はこの方向であってる。
「……お、お、お? ンだよ兄ちゃんやけに物分りがいいじゃねえか。ハナっからそうすりゃ良かったんだよ」
口笛さえ吹いて、上機嫌なファイター氏が保冷箱に手を伸ばそうとしたとき――
「ただし、他所でくっつけても、せいぜいションベンの為の蛇口にしかなりませんよ、それ」
――僕はなるたけ『悪徳医師でござい』という顔を作って、ファイター氏に言い放った。
「それって……どういう……」
ポカンとなったファイター氏の代わりにたずね返してきたのはローグ嬢の方だった。
「勃たなくなっちゃう……ってコト?」
「ご理解が早くて助かります。僕の首を賭けてもいいですが、他の治療院では切り落とした
そのペニスに男性機能を取り戻すことはできませんよ。プレロマの技術を応用しましてね
生体プロテクトを施してあります。ウチ以外じゃまず解けませんよ」
横目で師匠の方をうかがえば、満足そうにニヤリと笑ってた。どうやらコレで正解のようである。
この人こういう嫌がらせが大好きなのだ。
「インポのチンポでよければどうぞ。ウチもこれ以上はお支払いを強制しませんので」
その一言が決め手になったのだろう。
一時間後にはウチのなじみの高利貸しから借金している『お客さん』達の姿があった。
♂♀
そして、ファイター氏のペニスも無事に再接合したその日の深夜。
「寒い。そっち入るぞ」
師匠がノックもなしに僕の寝室に上がりこんできたかと思うと、開口一番そういった。
「どうぞ」
寝ぼけまなこを擦りつつそう答えると、師匠はあっという間にベッドの中に潜り込んでくる。
「おー、ぬくいぬくい」
「もうそんな季節ですか、一年って早いもんですね」
半ば竜である師匠の肉体は体温の維持を苦手とするらしく、寒さの影響をモロに受けて冬には目に見えて動きが鈍くなる。
こうやって、師匠が暖を求めて僕との同衾を強要するのは、個人的には秋の終わりの風物詩みたいなものだった。
「ンなもん序の口だ。ハタチを過ぎれば時間なんて週単位で飛んでくぞ。
三十路になりゃ月単位で吹っ飛ぶし、それよか年食いゃ去年の話も昨日の話みたいなもんだ」
「なるほど……師匠が言うと説得力があります」
「何をしみじみと納得してんだ……ったく」
百年を生きた魔女(自称)だと言うのに、そのむくれた顔は、肉体年齢である少女そのままに愛らしい。
「いや、流石に言うことが違うな、と思いまして」
「ふん…まぁいい。手はずは去年と同じだ。あっち向いてろ」
言われるままに顔をそむけ、背中を差し出すと、師匠はそっと抱きついてきた。
早い話が僕は一晩、彼女の湯たんぽ代わりになるわけだ。
「また無駄にでかくなりやがったな……硬いし、抱きごこちも悪い」
「……えと、なんかその、すみません」
幼い頃はすっぽり抱きかかえられていた僕の身体は、おととしには師匠に並ぶほどにすくすくと育ち、
とうとう去年には背丈は追い抜いた。今年もぐんぐん背は伸びて、最近では師匠を見下ろすほどになってしまった。
師匠にスパルタンに鍛えられたかいもあって、ゴツゴツと筋肉もついてきた僕の身体は、
確かに少女向けの抱き枕としては大きすぎるのかもしれない。
「せめてあたしも、もう頭一つ大きかったらなぁ……身体ちっさいと畜熱が難しくって好かん」
「でもほら、師匠の体って体積のわりに凹凸が少ないから、表面積も小さいし逃げ出す熱も少な、痛っ!」
殴られた。そりゃそうか。
「てめえ誰のカラダが平らだって?! これでもか?!」
あの、その、師匠。そんな思いっきり抱きつかれると、
脂肪分控えめとは言え二つの胸のふくらみがですね、僕の背中にですね、
「当たってます師匠! 当たってます!」
「当ててんだよ!」
僕の好み的には、凹凸がクッキリハッキリしてるのよりも、
むしろこのぐらい慎ましやかなサイズの方がジャストフィットと言うか、
ジャストフィット過ぎて僕の身体の一部がのっぴきならない状態にですね
「ヤバイです……その、勘弁してください」
「ふぅん……? ヤバイって、ココが?」
「あんっ」
師匠の手がするりと伸びて、僕の下着の中に侵入したかと思うと、元気になりつつある肉茎をきゅっと握る。
「気色悪い……野郎がそんな艶っぽい声出してんじゃねえ。しゃあねえ、勘弁してやる」
でも、そこで手ェ止められると生殺しって言うかですね、放置プレイっていうかですね。
「その、師匠……こんなんじゃ興奮して僕が眠れそうにないんですけど」
ここで食い下がっておけば、『じゃあお姉さんが、一本抜いて楽にしてあげる♪』みたいな展開も
ほんのちょっとだけあるかもしれない。ほんのちょっとだけ。
しかし無慈悲にも、師匠は僕に抱きついていた手を離し、密着していた身体を遠ざけた。
「もういい。あたしの胸が気になるってんなら去年までとは逆でいくぞ」
「……逆?」
「お前があたしに抱きつけ。そんだけ身体育ったんなら、その方がきっと温いし」
それはそれで興奮モノでとっても困るって言うか嬉しいって言うか。
「ごちゃごちゃ抜かすな! お前の都合とか知ったことか!」
ええ、まあ、どの道僕には師匠の言うことに拒否権ってないんですけどね。
そして布団の中でごそりと寝返りをうった師匠の背中を、今度は僕の身体が包み込んでいく。
ちいさく、やわらかく、そしてちょっとつめたい。
ざっと体感で僕の体温より5℃ほど低いというところだろうか。
「おい、こら……変なモン当てんな」
当然というかなんと言うか、この状態で僕の剛直がおとなしくなってる筈もなく、
身体と身体が密着すると寝巻きごしとは言え、師匠のお尻を元気に突付いていた。
「すみませんでもコレ健全な成年男子のまっとうな生理現象――」
「健全な成年男子があたしのカラダで勃ててんじゃねえよ! このロリコン!」
「……いや、だって、この状況じゃ」
「言い訳はもういい。眠いし寝る。言っとくが変なところ触ったら殺す、
その変なモンそれ以上擦り付けたら殺す。とにかくあたしの安眠を妨害したら殺す」
自分のいいたいことだけ言い捨てると、師匠の身体はくてっと力を失い、愛らしい寝息を立て始めた。
どうやら生殺し確定のようです。今夜は。
だけどそのまま抱き続けているうちに、ちょっぴり冷たかった師匠の身体は僕の体温を吸い込んで温かくなり、
僕自身へと熱を反射するまでになってきた。これはこれで、いやらしくない意味で気持ちがいい。
なるほど。去年までの師匠の気持ちが良く分かる。
人肌の存在をその手に抱きかかえているというのは妙な安心感があるのだ。
その腕に抱きかかえた肉体の柔らかさと、肌に感じるヒトの熱と、
鼻腔に流れ込む少女特有の香りを味わううちに僕もいつの間にやら眠りについてて――
――そして翌朝、目が覚めるとベッドの中でいきなり師匠と目が合った。
なんだ? 朝っぱらから様子がおかしい。
「オハヨウゴザイマス、師匠」
「おう、おはよう。大変ぐっすりお眠りあそばしたみたいだな、ええ、おい?」
森林の色をそのまま溶かし込んだような翠緑の瞳が怒りに燃えている。
しまった、寝ぼけて胸の一つも揉んでしまったとかだろうか?
ちくしょう。どうせシバかれるんだったら、もっと意識がハッキリしてる時に揉みたかった。
「あの……何かやらかしちゃいました、僕?」
「何もなかった。何もなかったから睨んでんだ、わかるな?」
わかんないです。
「何もなかったんなら……良いことなのでは?」
「よかねえよ馬鹿。こんだけ分かりやすい据え膳出されといて、普通に寝る野郎がいるか?」
「でもその……昨晩は変な事したら殺す、って」
「だったらソレをちゃんと萎えさせとけ。一晩押し当てられてたこっちの身にもなれッてんだ」
言いながら僕の股間を師匠は膝でぐりぐり突付く……あ、確かにまだ硬いままですね、はい。
「使う気が無いならそもそも勃たせてんじゃねえ。襲われないってのも、それはそれでムカつくんだよ!」
「そんな、理不尽な……」
「ごちゃごちゃ言うならそれ以上勃たないように、素手での去勢を決行してやろうか、あァ?!」
「ごっ……ごめんなさいっ!!」
何が悪いんだかサッパリわからないけど、とりあえずこういうときにはあやまっておく。
師匠は布団をがばっと跳ね飛ばすとベッドから飛び降りる。
「あー、ちくしょう。そんなそこまで魅力ないか。あたしは……」
ウェーブのかかった金髪をカリカリと引っかきながらそうぼやく。
「大丈夫です師匠。僕的には、ばっちりストライクです」
たとえば寝巻きが少しはだけた薄い胸元が、そこはかとなくラブリーです。
言ったら殺されそうだから言いませんけど。
「お前にそんな事言われたって、嬉しくなんかねえよこのロリコン!」
どうしろと。どういえと。
その後、師匠はひとしきり怒鳴り終わると、ドスドス足音を踏み鳴らしながら僕の寝室から出て行った。
ああ、毎日が綱渡りだけど、とりあえず今朝も死なずにすんだらしい。
神様、ありがとうございます、今日も僕の命をつないでいただいて。
♂♀
GJ! 好みは絶対わかれるけどGJw
なんかヒーラーがどんどん黒くなるな…
投下終了。続きます。
……実は金髪ヒーラー子1番乗りを考えてたのはこちらもだったり、残念w
代わりについカッとなってちょっとシグルってみた、今は後悔してます、いやゴメン
>>521氏。
ところで、『(スケコマシの)ジェリコ×ナムナ』の続きのご要望の声もあるようなので、
それもいずれは手をつけようと思うのですが、
↑の続きとどちらを優先させればよろこばれますかね?
>>grOH0oZHc2氏
神様、ありがとうございます、最悪の割り込みにならなくてorz
いやほんっとごめんなさい。
それはそうとしてきっとジェリコ×ナムナの需要のが大きいとエスパー
GJ。相変わらず流れるような文脈で一気読みしてしまうw
続きはどちらでも構わないってかどちらでも最高ですb
>>512 某やわらか淫語が大好物な俺にとってど真ん中ストレートのご褒美です先生。GJ!!
そして未クリアにつきネタバレ回避しつつなので反応できなくてすまぬ
>>526 クリアしたらイカルガとかもちゃんと読むんだ、俺……もうPT組み変えてサムライ入れるかなあorz
>>521 俺もサドロリの臭い足でイかされたいです
>>521 GJです!なんというドS……ドラゴン幼体使ってでも奇跡を起こして!
>>536 同じくGJです!続きは……両方ともお願いします!(時間かかってもいいんで)
>>539 自分もサムライとメイジの話を書くにあたって、サムライを試しに使ってみたら、
すごいサクサク進んだんでおすすめします。鬼の形相万歳!
そろそろスレの残り容量が危ないかな?
お二方GJです! 初ヒーラーが両方ともロリっ娘Sとは何の因果か。
そろそろ新スレの季節ですかね。
自分は立てられないんで、どなたかよろしくお頼み申す。
代わりと言っちゃなんだけど、近々保管庫つくろうと思います。HTMLですが。
こんばんは。書けました。投下します。
注意事項は
◇名無し×港町の空腹ルシェ
◇エロ無し、短し、何か続いているし。
です。
嫌な方は「冒険者No.261」をNGで(いいのかな?)。
では、どうぞ。
「あ〜知らないねぇ〜」
「アイゼンの奴なんか知るはずないだろ!」
「だ〜れ? そのおにぃちゃん? ねぇそれよりさぁ〜♪」
「ウホッ! いい男」
ネパンプレス帝国に着いて三日間。四人は手分けして情報収集に勤めた。
一人は酒場で、一人は城で、一人は街中で、一人は広場でそれぞれ探したが、何の情報も得ることなく今日も日が暮れた。
四人は疲労――走り回った者もいれば、子供と遊んだ者もいて、何故か尻を押さえた者もいた――しながら、宿へと戻ってきた。
「あ‥‥お帰りなさい‥‥どうでした‥‥?」
四人共首を横に振る。
「そう、ですか‥‥。私の方もダメでした」
彼女は各店を聞いて回っていたが、そこでも何の情報を得ることは出来なかった。
「お店の方は‥‥最近、殆ど冒険者(ハントマン)は来ていないそうです」
彼女の耳が元気無さそうに垂れる。それを見て、やはり一人はにやけ、やはり隣りの仲間が背中を抓った。
「彼‥‥どこにいるんでしょうか‥‥? もしかして‥‥魔物に‥‥?」
彼女は不安からか、最悪の結末を口にする。四人は各々それは無い、と励ました。
「だって‥‥キャンプでは誰かが見ていたのに‥‥ここでは‥‥誰も‥‥」
悪い方向へと考えてしまう彼女の悪い癖は旅の途中幾度もあった。そのたびに、流砂を抜ければ、キャンプに行けば、砂漠に行けば、ネパンに行けばと延ばしてきた。が、どうやらそれも限界みたいだ。
彼女は疲弊からか、泣き出した。静かにしかし止めどなく溢れる涙を止める術を四人は持っていない。
困り果て、一旦戻った方がいいかと思い、宿を出る支度をする。その途中。
「アレ? もしかして‥‥アンタ達‥‥」
誰かが後ろから声をかけてきた。一人、自分の事かと振り向く。すると、どこかで見た三人組がいた。
「やっぱり! 覚えてる? ほら、カザンで会った!」
その言葉に四人全員がかつて、リタという女性の為に仲間を集めた懐かしい記憶を思い出す。
「いやーあの時は世話になったわね! おかげで最高の旅が出来てるわ! 本当にありがとう!」
元気よく、ハキハキと喋るリタに四人は少しばかりの元気をもらったような気がした。
リタは三人で行動しているのを一人が思い出して、他の人はと尋ねる。
すいません。残り容量を考えたら、投下しちゃヤバかったですね。失念してました。
自分も立てられないので誰かお願いします。
これは……もしかして皆尻込みして誰も立てに行かない状況?
それともまだ余裕がある?
何にしても次スレ
>>1の文体とテンプレ案を出さないといけないと思う。
とりあえずスレタイは『7THDRAGON/セブンスドラゴンでエロパロ 2匹目』を提案。
連投失礼。↑のは『立てられるけどどんな
>>1、テンプレにすればいいか分からない』
という人という意味のつもりで書いた。本当に失礼。
↑は30秒くらいで作ったものなので、みんなでゆっくり叩いていってね!
>>548 いや、文句つけるとこないわw
流れ作ってくれた
>>546もTHXですよ!
SS控えてるみたいだし、それで建ててしまったらどうだろう。
保管庫の人もがんばれ。応援してます。
完全に個人的な趣味だが
スレの本数の単位は『2匹目』よりも
『竜二体目』とか『第二帝竜』とかの方が燃えるっちゃ燃えるw
いいと思います。ただ『DS用のため』の用は削除したほうがいいかと。
何もしてないのにつっこんでごめんなさい。
目指せ666匹目!
・・・あ、やっちまった、
>>552を誤読してる。
ごめんなさい・・・
スレ建て乙です。
そしてドンマイ。
556 :
548:2009/04/04(土) 19:27:41 ID:0ma0CYKk
静まり返ったここなら言える
ミートーイーター取得したハルカラさんの下のお口に(ry
リトルミートを食いちぎられるんですねわかります
むしろハルカラの出るところは出てるお肉をだね・・・
しかし、ハルカラさんはどこでもここでも
かわいそうなぐらいアホの子設定ばっかりだな
布団敷いたから一緒に寝ようかアリエッタ。
アリエッタはいつもぽかぽか暖かいね。
寒がりな自分と相性ぴったりだね。
明日はおいしいもの食べにでかけよう。
おやすみアリエッタ。
絵板でのハルカラさんには世界中のドラゴンを食べつくす
ヤンペコ(病んでる腹ペコ)属性が付加されたけどな
第二帝竜でも言われてるし何か小ネタを考えた方が良いのかねぇ
それはもうサイコパスの領域では?
吸血鬼のひめごとに出てきた誰かさんみたいに
いずれPTメンバーすら食ってしまいそうだ。
そこで性的にイーターしてもらう方向で話を進めればだな
こっちが完全に埋まるまで、第二帝竜への投下は控えた方がいいのかな?
小ネタも意外と難しいですよね……
性的な意味でイーター……
「海老フライ売り切れなの!?」
「悪いな。また明日来てくれ」
「そんなぁ……ボクお腹ペコペコだよぉ〜……」
「俺の自慢のソーセージならあるぞ!どうだい?少しだけ味見を……」
「うわぁ!おいしそうなソーセージ!いただきまーす!」
ガリィッ!!
すみません、自分には無理でした。
埋め埋め
気が付いたら思いついたネタが全部特殊性癖だったんだぜ……not大丈夫my脳。
だが後悔はしていない
>>565 そこまで気にしなくていいっしょ
なんとなれば、JOJOネタでもカイジネタでも
アスキーアート使って一気に埋めりゃ良いだけで
うめ
うちの鬱姫は、真OP後に騎士子と一緒にギルドに入った亡国の姫だよ
普段は暗いけど気配りの行き届いた優しい子だよ
戦闘時には、前衛サポート・回復・騎士子への指示と大活躍だよ
でも、夜寝る前になると、親の仇のドラゴンを殺した時の興奮を思い出して
自分でもおかしいと思いながらも昂ぶった体をこっそり慰めてるよ
意外と常識人な褐色ローグは、いずれ止めさせた方がいいのかなあと思ってるよ
ルシェメイジは押し殺した喘ぎをオカズにしながら手を出す機会を狙ってるよ
保護者の騎士子は爆睡中で気づいてないよ
俺はカザンのエロリスト
昨日はランさん食したぜ(性的に)
明日はガッサンほってやる (性的に)
食せ食せ食せ 竜など食せー!!
SHYOKUNIKUせよ 食肉せよ!
SHYOKUNIKUせよ 食肉せよ!
ドラゴンなど我が胃袋にブチこんでくれるわーっ!
信者「異常食欲者のハルカラーさんにとっては、
ドラゴンなど食欲の対象でしかないんだ…(ガクガク」
出たー!ハルカラーさんの一秒に十回キリングリアクト!
埋めがわりに愚痴をこぼしてみます。
赤トンボと黄色の鮟鱇この世から消えてください!
二人旅に挫折して、折角プリンセス入れたのに、深海の闇→とんぼ返り、混乱攻撃→乱入…
ヒーラーとナイトがいないだけでここまで厳しくなるなんて…!
やはり色々な意味でミートイーターな桃ファイター入れるべきなのか……
あれ?それもうただの普通プレイじゃない?
裏ダンの3階かな。まぁ、トンボは最強だから……
乱入されない位置を模索して頑張るしかないよ、うん。
普通にラスト以上に死にまくるし
うちのpt
メガネメイジは小難しいことばっかいってうんざりするんだけど
それにグチいれながらも翻訳するツンデレヒーラー・・・と出来てる
メイジのやつどこからか仕入れてきたエロ本で得た知識をヒーラーに試しているらしい
鬱姫は無口だがかわいい動きと月明かりの詩でptを癒す癒し系
リーダーのルシェナイトは真面目で奥手だが巨根で絶倫
そして鬱姫におねだりされて毎日エッチしてるエロエロptですがなにか
>>571 侍とメイジだけで本編クリア出来るんだな・・・4人パーティで
未だにフレイムイーターが倒せない俺情けない・・・
うちのパーティは
桃ファイター(斧)、メガネヒーラー(回復)、ルシェローグ(弓)、鬱姫(支援)
桃→眼鏡←鬱←ローグ
とローグだけもてない何とも可哀想なパーティですがなにか
>>569-570 お前らのせいでウチの桃耳戦士が
「お高くとまりやがってこのメスタワーめが!」
とか言いつつ紅杭の塔をイートしようとし始めたじゃないか
どう責任を取ってくれる
パーティ話になると鬱姫さん大人気だなw
しかしスレにおいては彼女のエロ話がかかれてないと言う矛盾
みんな、好きすぎて逆にかけないのか?
>>575 ・・・責任だと? ならば元気な悪魔の子種を授けてくれるわー!!
悪魔の白子!そういうのもあるのか
うちの鬱姫はパーティー唯一の男の娘で、毎日他の三人に唾責めで虐められている
うちの鬱姫は緑ナイ子さんと姉妹のように育ってきたプラトニック百合関係。いわゆるスールな感じ
でもナイ子さんは最近、カザンで組んでからずっと一緒に冒険してきた回復特化のルシェヒラが気になってたりする
鬱姫に対して自身が気付かないほどほのかな想いを抱いていた眼鏡メイジ君は、雑魚戦回避のため黒髪侍と入れ替わりで2軍に行きました
いまではカザンのギルドハウスで薬学Lv5を活かして2軍の赤平と勉強しています。よかったね?
なお、姫からは惚れた腫れたの騒ぎにはノータッチです。歌うのと魔物をいたぶる方が楽しいのだとか。
>>581 いいと思う。投下5分前ルールも、投下する曜日や時間を気を付ければ要らないとすら感じるし。
保管庫のうpろだも貼っといたらどうかな?
>>582 あー、悪い。
保管庫うpろだへの誘導忘れてた。
早いとこって言われても、後10kbか・・・。
ほんとの意味でSSが投下されないと雑談っぽいので10kって難しいんだよな。
原稿スレに投下してる職人さんは、現在進行中ので頭一杯だろうし
かと言って、設定を晒すにも自分のメインパーティは微エロすら
考えてなかったしなぁ。
もうちょっと煮詰めてくるか・・・。
. -―― ァ
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弋宀V r` / | ´ /\ `. |
,≧z} } /ミー- .. _ .. -―. :ア. | / \. |
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//,.ィf个y':.メ、|:... : :|/ヽ: . ヽ . :彡' ⌒{
/ (/rく.Yノ^爪入、 {`:.....:i| z\斗 >‐ vミ⌒
人_厶>ィ':.:.人}: i| `ト \:..:{ ____`}八__人__)
__r「,乂ノ`T:.:.:.:.:.\ヒ.ノ )ノ 了 ア}: ..:{:⌒: `ヽ
_ゝ-ぅー┘ j_:.:.: 彡':{ ┌- _ ヒノノ:...:人:..{:._ ミ廴
辷ろ └<::.::.::.ヽ._∨ ノ /:. イ: :从`ヽ ̄´
ア「 廴, `ヽ::}::::}>‐zァ┬‐{/'´ |ノ
ーヘ厂 _}::::〈ノ`ヽ Y:::>:┐ /\
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}ー__ 二 イi「 ヽ__:./′. / | ̄ ̄ ̄| \
 ̄トミ _}リ_ イ:.:.h. / | ̄ ̄ ̄| \
}≧`了⌒了≦{ ̄´ . | ̄ ̄ ̄
j!{米,リ { i米i}. | ヽ/
ノ`┬イ ト┬ヘ . レ' \_
ヽノァ′ └rヘイ
廴ノ ヽ_」
人類は敗れた。勇者たちは倒れ、戦士たちは死んだ。
アイテルは、世界の狭間で最後の時間を待っていた。もうすぐここにも竜の手先がやってきて、彼女を殺すだろう。
だが青い髪をした少女の心に、絶望はなかった。ヒュプノスが滅び、人類とルシェ族が滅ぶ。そうであるからには、いつか竜も滅びる日が来る。
そして竜が不可避なる滅びを内包するのと同様に、自分たちもまた終焉の時を迎えようとしている。早いか、遅いか、それだけの問題。
書架が立ち並ぶ薄暗い通路の向こうから、かつり、かつりと足音が聞こえる。少女にはそれが誰だか分かった。ニアラだ。
真竜の名を冠するニアラ自らがここまで来たということは、つまり、アイテルが地上における最後の生存者だということだろう。
やがて、半ば竜、半ば人間の姿をしたニアラが、暗闇の向こうから姿を現した。
「久しぶりだな、ヒュプノス。ずいぶんとてこずらせてくれたが、そのぶん楽しませてもらった。礼を言おう」
「人間の姿を真似るなんて、趣味が悪いのね、ニアラ」
「彼らは私を大いに楽しませてくれた。最後の一人に至るまで、な。素晴らしい敵にして、最高の餌に、わずかばかりの敬意を払うにやぶさかではない」
「そんな言葉では、私の絶望は引き出せない。絶望には希望が必要だけれど、私の希望は遥か遠い日々の中にしかないのだから」
「所詮ヒュプノスとはそういうつまらん連中よ。人間やルシェのほうが食いでがあった。だが――」
ニアラの口が耳元まで大きく裂ける。鋭い牙が並んだ口が、シュウシュウと音を立てた。笑っているのだ。
「連中の絶望をたらふく食ったら、久々にヒュプノスの絶望も味わってみたくなった」
ニアラが指を鳴らす――ようなそぶりをすると、薄暗がりの奥から一人の男が姿を現した。途端に、それまで無表情だったアイテルの顔が凍りつく。
「勇者様ご一行が持っていた剣を再分解して、そのうちの一人を再構成した。さぞ会いたかっただろうと思ってな」
そこにはタケハヤの姿があった。アイテルが心を捧げた男。そして無限にも近い時間、その側に身を置きながらも、指一本触れることができなかった恋人。
「くく、喜んでいただけたようだな? 安心したまえ、彼の狂気は私の管理下にある。なにしろ私が創ったのだからな!」
「――アイテル。君なんだね? 生きていてくれたんだね? 会いたかった。本当に、本当に会いたかった」
タケハヤがうわごとのように愛の言葉を呟きながら、アイテルに近寄る。アイテルは反射的に一歩退こうとして、その場で動けなくなった。
彼がタケハヤではないことなど分かっている。そしておそらくはここに来るまでに、無数の人間を殺してきたのだろうことも分かっている。でも。でも。
とまどう彼女を前に、タケハヤは困ったような顔をして立ち止まる。
「――アイテル? もしかして、君は――俺の事を、もう愛してはいないのか……? 確かに俺は、君の愛を失うに相応しいことをした。だがそれは――」
青い髪の少女は、激しく首を横に振る。
「アイテル、君のことを愛してる。今度こそ、もう二度と離さない。二人で一緒に、静かに生きよう。これから先、俺の戦いのすべては君のためのものだ」
タケハヤとアイテルは、一歩ぶんの空間を残して向かい合った。互いに、互いの瞳を見つめあう。
アイテルは何度も口を開きかけては閉じ、開きかけては閉じ、その様子をタケハヤは静かに見守り続けた。
アイテルの手が拳を握り、開き
下唇を小さな歯が噛みしめ
何回も何回も深呼吸を繰り返し――
そして
そして、アイテルが一歩を前に踏み出し、タケハヤはその身体をしっかりと抱きしめた。
不思議と、彼女の心に絶望はなかった。もう、世界は終わったのだ。その最後の時間に、ほんの僅かな奇跡を祈って、何が悪いのだろう?
そう思うと同時に、彼女は自分のささやかな絶望がニアラに食われていることを意識した。
でも、止められなかった。そこには、漠たる幸福感だけがあった。
タケハヤの手が彼女のマントを剥ぎ取り、チュニックのボタンを引きちぎって、ボディスーツのジッパーを性急にひき下ろしたときも、そこに絶望感はなかった。
彼の両手が、あまり発育のよくない胸の上をまさぐり始めると、陶然とした快感が立ち上がってくる。
気がつけばこぶりな乳房の乳首は痛いほど突き立ち、下腹部が傍目にも分かるくらいに熱と潤いを持ち始めた。
タケハヤがズボンを脱ぎ棄てる。人ならぬ力を与えられた彼は、その男性自身もまた戦闘能力に劣らぬ強暴さを見せ付けていた。
彼は青い髪の少女の腰を両手で支えると、淡い翳りの中に自身の巨大な幹をつきたてる。アイテルの両足が爪先立ちになった。まだ完全には準備ができていなかったアイテルは痛みを訴えたが、その声にはたっぷりと甘さが忍んでいる。
目じりにうっすらと涙を浮かべながら呻く少女の口を、タケハヤの唇が塞ぐ。二人は両手を互いの肩にまわし、互いの舌を貪った。唾液の糸が口の端から垂れ、胸元へと滴っていく。
くちづけを交わしたまま、タケハヤは下半身を蠕動させ始めた。身体の深奥を突かれたアイテルは、必死で彼の首にしがみつく。
ピストンは最初からハイピッチで繰り返され、かろうじてつま先でたっているアイテルの両足があっというまに痙攣しはじめる。ボディースーツが一撃ごとにずり落ちていき、やがて彼女の足元に落ちたが、そんなことはどちらの意識にもとどまらなかった。
アイテルはひたすらに身体の中を突き刺され、突き上げられ、捻られ、抉られ続ける。卑猥な音を立てながら体が上下するたびに、言葉にできない快感が彼女を支配していた。
絶頂を極めるどころの騒ぎではない――最初の絶頂は、彼と身体が繋がったその瞬間に、既に訪れていた。全身が燃えるように熱く、どこを触られても頭の中が真っ白のなりそうな快感が走る。
激しい突き上げで乳首が胸板に擦れればそれだけで達し、彼女を抱きしめる強い手が腰から背中に回ればそれだけで達した。
両足は細かく痙攣し続け、タケハヤを抱きしめる両手はガクガクと震えている。太ももには愛液がとめどもなく流れ落ち、ボディスーツをぐっしょりと湿らせていた。
アイテルの瞳が焦点を結ばなくなってしばらくして、タケハヤが思いつめたような表情で天を仰ぐ。腰の動きが激しさを増した。
「――アイテル! おお、アイテル!」
朦朧としていた少女は、愛する男の呼び声に答える。
「タケハヤ……タケハヤ……」
「アイテルっ! アイテル……っ!」
「タケハヤ……」
やがて男は動きを止め、女は唇をわななかせた。
がくり、とタケハヤの膝が崩れる。放心していたアイテルは一緒に床に倒れた。
「……タケ、ハヤ?」
彼は息をしていなかった。
「うそ……うそ、タケハヤ……やだ、やだ、やだああああっ! タケハヤっ!!」
のそりと、大きな人影が動く。
「おやおや、タケハヤ君の命数が尽きたか。やはり死んだ者を無理矢理動かすのには限界があるな」
舌なめずりしながら、ニアラが囁くように言った。アイテルは呆然とした表情のまま、床に倒れた恋人の身体を揺すっている。
「いや、いや、いや、いや、実に美味。ヒュプノスの絶望など、人間のこってりとしたまろみ、ルシェの爽やかな酸味に比べれば萎びたサラダのようだと思っていたが。
いいだろう、アイテル。もうしばらく、私のために生きるがいい。そしてその絶望を私に食わせてみよ。なに、お前が本当に絶望するのは、これからだ」
ニアラの眼が光る。と、どこからともなく、何十人ものタケハヤの姿が現れた。
「エデンを攻略するのに、一人では足りなくてな。そうれこの通り、いくらでも代わりはいる」
青い髪の少女は、呆けたような顔でタケハヤたちを見た。
「アイテル――」
「アイテル、愛しているんだ――」
「アイテル、やっと会えた――」
何十本もの手が、アイテルに伸びる。地面に四つんばいになったアイテルの口には巨大な怒張が突きこまれ、背後からは別のモノが彼女を狩り立てた。乳房を、背中を、尻を、太ももを、たくさんの手が愛撫する。
少女は、無上の快楽に悶えながら、どうして自分は気が狂わないのだろう、どうして絶望が自分を殺してしまわないのだろうと考え、
そして死にたいと思っても死ねないので――
そのうち、アイテルは考えるのをやめた。
以上です。
埋め用に大急ぎで書いたので、誤字脱字・重複表現など見苦しい点ありましたらご容赦を。
もうひといき、頑張って埋めましょう!
591 :
システム:2009/04/22(水) 23:12:29 ID:wXVSNB7M
それじゃあ、また改編したものを埋めついでに投下しますね、細かい説明は、次の本編投下時に。
興味本位でハントマンになろう、とこの子を無理矢理誘って遠路遥々カザンにやってきたあたし達
《一日目・1415時》
【カザン入り口(東)】
「着いたー、カザーン」
「ようやく着きましたね」
「それじゃあ、あたしは宿を探してくるね−」
「あっ、うん、気を付けてねー」
ソーマと別れてから、知らない街を歩いていると何だか楽しくなってきてあたしは走りだしていた、
少し走ったところで広場が見えて来る、広場には色んな屋台があってあたしは目を奪われていた。
「お財布お財布…うわっと」
よそ見をしていたら誰かにぶつかってしまい尻餅をついた
「いたた」
「大丈夫か?」
「うん、だいじょぶだいじょぶ、あ、ごめんなさい」
「そうか、気を付けろよ」
その人はあたしの頭を撫でると、行ってしまった
「あ、そうそう、宿宿」
あたしは当初の目的を思い出す
「でもその前におやつだ−」
あたしは屋台巡りに向かった…
《1435時》
「おっ菓子っおっ菓子」
あたしは目に付いたお店を片っ端から覗いていく、ドーナツ、クレープ、パンケーキ、烏賊焼き、綿菓子、お好み焼き…
抱えるほど食べ歩いていたらソーマが見えた。
「ん!?ん−ほ−ま−」
「え?あ、見つけた、スズちゃ−ん探したのよ、またそんなに買って、それで宿屋は見つかったの?」
「ううん、まだ、そ−あも食べる?」
「うん、…あ、宿ならあそこが、はむ」
「知ってうの?」
「むぐ…教えてもらったの」
「ふ−ん、人見知りなのによく聞けたね−」
「そうじゃないの、…でも教えてもらったの」
「?変なの−、まいいや、そこ行こ」
あたしはソーマに付いていく、…「あ、これ美味しい」「でしょ−」…
…「鈴かすてら、久し振りね」「ソーマ好きだもんねー」…二人で色々と食べ歩いていたら着いたようだ
《1730時》
「確か…ここね、六剣亭」
「ここ−?入ろー」
「待ってスズちゃん、口の周り」
「ん−?」
「ほらほら、よし、と、行きましょ」
【旅の宿 六剣亭】
カウンターに身を乗り出して、人を呼ぶ
「ごめんくださ−い」
「いらっしゃい、宿泊費は7Gだよ、泊まっていくかい?」
「泊めて−」
「お願いします」
「じゃ、ここに名前お願いね」
「はいは−い、スズリ(硯)と、ソーマ−」
「はい、ソウマ(爽麻)、です」
「ごゆっくり」
【硯編、続】