少女は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の触手を除かなければならぬと決意した。
少女には性がわからぬ。少女は、魔法学院の生徒である。
魔道書を読み、使い魔と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明少女は学院を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此の触手のスレにやって来た。
少女には父も、母も無い。十六の、内気な妹と二人暮しだ。
この妹は、学院の或る授業で、使い魔と契約する事になっていた。
卒業式も間近かなのである。
少女は、それゆえ、妹の衣裳やら儀式の生贄やらを調べに、
はるばる2chにやって来たのだ。
調べているうちに少女は、2chの様子を怪しく思った。ひっそりしている。
しばらく歩いて日向ぼっこしている爬虫類型の触手に逢い、問答無用で痛めつけた。
何かあったのか、二年まえにこの板に来たときは、夜でも皆が煽りあって、スレは賑やかであった筈だが、と質問した。
爬虫類型は答えなかった。少女はロッドで爬虫類型のからだを強かに打ち据えて質問を重ねた。
爬虫類型は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「触手は、人を犯します。」
「なぜ犯すのだ。」
「願望を抱いている、というのですが、誰もそんな、願望を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を犯したのか。」
「はい、はじめは自板の他のスレを。それから、自板の管理人を。
それから、エロパロ板を。それから、同人板を。それから、ひろゆきを。それから、801板の腐女子を……」
「おどろいた。触手は無敵か。」
「いいえ、襲おうとしたら逆にSSのネタにされましてございます。このごろは、少しく派手な暮しをしている触手には
、人質一本ずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めば陵辱モノのSSを書かれて、殺されます。
きょうは六本、男の尻の中で圧死しました。」
「………………ともあれ、呆れた触手だ。生かして置けぬ。」
少女は単純な女であった。たちまち彼女は、巡邏のブラシ型触手に捕縛された。
体中ブラシで弄られて、少女のあそこからは液が浸み出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。
少女は、触手たちの前に引き出された。「このロッドで何をするつもりであったか。言え!」
巨大な植物型は静かに、けれども威厳を以て問いつめた。そのロッドの先の宝石は、
コスチュームの上から押し込まれ……膣内の皺に、刻み込むかのように深く抉った。
「に……2chを……んんっ……触手の手からすっ……救うのだ。」と少女は悪びれずに答えた。
「おまえがか?」触手たちは、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、状況がわかっておらぬ。」
「くひぃ……いっ言うなぁ〜」と少女は、足をM字に固定された恥ずかしい格好でいきり立って反駁した。
「ひ……人の心をはっ辱めるのは……くぅ……最も恥ずべき悪徳だ!!」
「自力で襲うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。
人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」触手は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。
「わしだって、まともなアイの続編を望んでいるのだが。」
「なんの為の続編だ。自分の趣味を広める為か。」こんどは少女が嘲笑した。
「罪の無い人を犯して、何が続編だ……あっひぃぃ……そこ感じすぎちゃうからだめぇ」
「だまれ、下賤の者。」触手は、さっと豆を潰して報いた。
「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。
おまえだって、いまに、腹ボテになってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ……触手は悧巧……だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに……そこっ……違う場所……
命乞いなど……けっ決してしない。ただ、――」と言いかけて、少女は足もとの水溜りに視線を落し瞬時ためらい、
「ただ、私に情をかけたいつもりなら……いひっ……きついぃぃ……、中だけはっ中に出すのだけは、
みっ三日間の日限を与えて下さいぃ。たった一人の妹に、使い魔を持たせてやりたいのです。
三日のうちに、私は学園で儀式を成功さ……させ、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と触手は、嗄れた声で低く笑った。
「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」
「そっ……そうです。っひぃ……胸ぇ……帰って来るのですぅ」少女は必死で言い張った。
「私……は……約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。いっ妹が、私の帰りを待っているのだ。
そっそんなぁ……乳首までぇ……そんなに私を信じられないならば、よろしい、ここに私の使い魔がいます
。私の無二の友人だ。これを、人質としてここに置いてイクっ……行こ……う。私が逃げてしまって、
三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったらぁ……ああん……あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さ……いっいやぁ」
主人が犯されるのはいつものことなので、使い魔はぼ〜っと見ていたが、話が自分のことに及び、びくっと身を震わせた。
それを聞いて触手たちは、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。
生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。いやいや、正義の魔法少女だ。馬鹿正直に戻ってくるだろう。
かのメッツァー卿に倣い、放してやるのも面白い。それってキャッチアンドリリースニョロか?
あらゆる場所に微妙な罠を仕掛けるのだ。そうやって希望を与えては妨害し、三日目に間に合わなくさせて、絶望させるのも気味がいい。
人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの使い魔を磔刑に処してやるのだ。
ちょっと待て、その使い魔改造したら何かに使えね?妹のこと忘れるのはまずいだろjk。おいしいネタになりそうだぜぇ……
「願いを、聞いた。その使い魔を置いて行くがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。
ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。んあぁぁぁぁ!!もうらめぇ……」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
少女は無様に、絶頂した。しばらく、ものも言えなくなった。
竹馬の友の使い魔は、スライム型の内部に囚われた。スライムの透明な体内から、佳き友は、俺を勝手に巻き込むんじゃねーよ、コラ!
と鋭い視線を少女に送った。疑うことを知らない少女は、激励と解釈し、無言で首肯いた。
友と友の間は、それでよかった。少女は、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
つづく?