君に届けでエロパロ★2

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1名無しさん@ピンキー
驚きの大盛況
職人さんと風に感謝

前スレ
君に届けでエロパロ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208068519/
2名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 21:54:56 ID:Tu5smLoo
保管庫(管理人さんに感謝)
ttp://wiki.livedoor.jp/ekdo31/
3名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 22:04:01 ID:V5r0U3hI
スレ立て乙です!
4名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 00:45:30 ID:rKcS3cMc
乙です
これからも平和に盛り上げていきましょー
5名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 13:14:28 ID:2kh6FS95
華麗なスレ立ておっツー
残り容量少なかったからドキドキしたよ
前スレもう書き込めんかった
この盛況ぶりはやはり黒風降臨がでかかったねw
黒風降臨がなきゃ爽子がエロインだとも気付かなかったよ
あと業務連絡です
まとめ管理人ですが適当に編集してるんで、誤字脱字、文挿入などの要望が
ありましたらTOPページにある連絡先に連絡してね。
あと自サイトに載せるんで消して、とか逆にHP名載せてとかの要望もどぞ


6夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/20(火) 13:57:28 ID:2kh6FS95
書き込めなくなってので前スレレス>>780
OH!ばれてますねwでもでかいのはヤン早だけですよ。
後はエロなし小ネタ系ばっかっす。
故に横恋慕〜お仕置きの風はヤン早の風です。ケントの事怒れねえw
7名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:03:03 ID:2kh6FS95
>>風梅さん
大作乙です。風爽至上もんだけど、風梅もありだなとオモタ。
原作の我侭かわいこちゃんのままの二人だとうまくいかんような気もするけど
懊悩を経て内省を身につけた梅なら荒み風も支えられるかもなぁ。
ケン爽編が激しく見たい。
風梅作者さんのせいで私の脳内では風梅の娘と健爽の息子が
あり得ない偶然で出会いロマンスを繰り広げておるとこまで妄想が発展した。
この妄想脳が憎い(いや別に憎くないが)

>>782

こういう過程だと風爽ENDはなさそう。風爽の恋は完全に死んでる。
ちゃんと爽子は殺してあげてる…と思う。
爽子はその恋の死体を糧にでき、風早はその死体を埋めることができずにいるんだろね。
それを救えるのは爽子の手じゃないな。風爽者にとってはちょい切ない。
爽子は貪欲な風を満たすものを常にもってる唯一の人って気がする。
だから風には爽って感じがするんだけど
爽子はすぐ満たされちゃう子だから風の貪欲さゆえの苦しみはわかんないだろなとおも。
梅は風と同様の貪欲ファイター系だからその苦しみがわかる。
一緒に苦しむことができるというのが風梅ポイントではないかと踏んでますがどうすかね。
8名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:36:42 ID:00Um0MXP
>>6
前スレ>>780じゃないけどヤン早の人と同じだと自分も思ってましたw
描写とかすごい好きです!続き楽しみにしてます!
9名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:48:02 ID:QMuej80O
スレ立てありがとう!

>>7
夜勤明けさん、いつもありがとう。ほんと文才あるよね!すごい。。

今回の風梅みたいなのだったら、切ないけど自分もアリだと思うな。

風爽だと、風がいつか崩壊しそうだと原作読んでても思う。
前スレで誰かが、強制支配って言葉使ってて、ほんとは風が爽を強制支配したくてしかたないのに、
逆に自分が支配されて苦しいんだろうなぁって思った。

爽は一見簡単に支配されやすそうだし、
最初の頃は確かに爽の世界は風が全てって感じで、おそらく風自身もそう思ってたんだろうけど、
意外と爽は誰からも支配されないような子で、常に自分が自分を支配してる。

だからたぶん風と付き合ったとしても、爽は自分のペースで我が道をいくだろうし、これからますます世界が広がっていくと思う。

それに風は堪えられるかなー。
付き合ったら、風のほうは常に爽に(爽はそんなつもり全くないけど)縛られ
て、気遣ってってな感じになりそうかと思うんだけど…

と、自分の風爽観を長々すみません
10名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:26:33 ID:oV5mo0q9
続きマダカナマダカナwktk(・∀・)
11名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:17:02 ID:2Lm33Na2
>>9
そこで風の成長が必要になってくるんだろなきっと。
「待つこと」を覚えようよ風w
爽子は手綱をムリヤリ引いたりはしないでしょ。
爽子と合戦やってるわけじゃないのに何と戦ってるんだよ
12名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 02:24:12 ID:ll5T8zVD
本誌では風早も成長するエピがあるといいな。
今月のピンのセリフからみても、やっぱり風早も成長しなきゃいけない。
爽が風早と出会って変わったように、風早も変わっていけば良い関係になれると思う。

エロパロなのに本誌の話してすまんw神職人さん達の描写がリアル過ぎてついのめりこんでしまう
13名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 12:33:30 ID:Yz9NFfKg
風梅の人にできれば本誌連載再開まで続けて欲しい…
14名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:11:52 ID:BHJs7/kd
現実にこういうカップルがいたら、ダメになっちゃう方が自然だよね・・・
(この漫画でそれやられたら読者のトラウマになりそうだけど)
15名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:25:30 ID:/qEQpkW3
どの部分をとらえて「こういう」なのか分からないけど、カップルって最初はみんなこんなもんだと思うけど。
16名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:48:16 ID:2Lm33Na2
いつかこのスレでおススメBGMの話になってたけど
賛美歌いいよ賛美歌 あとミサ曲とかパイプオルガンもおすすめ
自然音(台風とか)もいいね。台風はドキドキしてきたので陵辱とかのシーンで
使うといいかもしんない。
とにかく賛美歌はおすすめ。エロ書いてるときの背徳感が半端ねえw
17名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:50:50 ID:pQ7act2Q
スレチだけど
風は結構待ってるよなー
体育祭のときとか爽が自分が付き合うって思ってもないって分かった時、今はいっかって言ってたしね。
だけど今回のケントの一件で焦りも出て来て黒風が降臨したんだろうなって思ったよ。

あと風があやねタイプとくっついたら多分すぐ破局するだろうけど、爽とだったら大丈夫な気がする。


長々ゴメン。
18名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 20:18:35 ID:2Lm33Na2
ああうんごめん誤爆
ここにしてたのね。
19名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 22:40:55 ID:+4aznad1
>>16
wwwww
20名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 22:53:48 ID:pQ7act2Q
>>18

いや自分がスレチだった
誤解させたねゴメン
21夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:06:25 ID:2Lm33Na2
>>20
いやほんとごめん >>16の誤爆が自分なんす 20さんは別にスレチじゃないよ
時折ここは本スレより本スレっぽいしw

新スレ記念にやっと最後のパーツが埋まったから投下
今回の投下で風早魔王のお仕置篇と爽子積極篇は終わり
何かネタあったらまた投下しに来る

投下前注意
カプは風爽 ちょっとS早
前スレの続きなんでざっとあらすじ説明
いらん人はスルーして
爽子に強制わいせつを働いた三浦(前スレ横恋慕にて)だったが、三浦はわりとマジ惚れだった。
だから風に二度と黒沼に近付くんじゃねえ(#゚Д゚)ゴルァ!!されてもコッソリ爽を見てました。
風もそれに気付いててなんか面白くない。
そんな時爽子が呑気に三浦に微笑むの見ちゃったよ。
黒風魔王降臨しました。
暴走してなんかエロイことやらかしてます。←今ここ
22十月桜15 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:12:32 ID:2Lm33Na2
暗闇で熱い息と舌に肌を侵食されるうちに爽子はその感覚だけがすべてになっていった。
荒い息が自分のものなのか風早のものなのかもわからなくなっていく。
自分の口から漏れる媚びるような嬌声すら遠くに聞こえる。

「あっ…んんっ…かぜはゃくっ…」

身を灼き、駆け巡る快感に翻弄され、言葉を紡ぐ事さえできない。
時折垂らされる冷たい液体にびくんと身体は跳ね、
それは熱い舌に舐め取られていく。
舌はまるで生き物のように爽子の乳房や腹を這い回った。
爽子は強い快楽の波に飲み込まれそうになって、不安が沸き起こる。

「か…ぜはやく…んんっ…あぅ、
なんかこわ…こわいよぉっ…おねが…そばにいて…っ」

自分の身体を支配する快楽を与える熱い舌は間違いなく
風早のモノな筈なのに爽子は怖くてたまらなくなってくる。
爽子の眼から恐怖のものなのか過ぎる快感によるものなのかわからない涙がどんどん溢れてくる。
その時布越しにざらりと瞳と頬を熱い舌で舐められた。
「あ…かぜはや…くん?」
「うん。大丈夫、側にいるから。」
「こわいのかぜはやくん」
ひっくひっくと泣きじゃくりながら子供のように爽子が訴えた。
23十月桜16 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:16:57 ID:2Lm33Na2
少し沈黙があって、昏い声が少し震えながら問うた。
「俺から、逃げない…?」

爽子は何を言ってるのか判らなかった。
風早から逃げようと思ったことなど一度もないのに。

こくこくと頷くと手首の戒めがしゅっと外され代わりに風早の温かな指が
爽子の指に絡められた。そしてそのまま深く口付けられる。

「んぅ…っ」

風早の熱い舌が絡められ、自分の舌と区別がつかなくなっていく。
爽子はそのことに酷く安堵した。
その安心をもっと得たくて自分からも懸命に舌を絡めた。
「んっぁっ…はぁ…んんっ」
彼とつながっていない方の手が風早の存在を探してさまよい、
風早の背中を探し当てると、
ほっとしたようにそこにまきついた。
くん、と風早の身体が一瞬こわばり、さらに口付けは激しくなった。
息も舌も唾液も混ざり合っていく。
まるで溶け合うかのような感覚に爽子が酔いはじめたころ
絡められた指がすっと離れた。
無骨な手は愛しそうに爽子の体中を這い回ったあと、
再度するりと下着の中にもぐりこんだ。
その間にも絡みつく舌の緩急はやむことなく続けられている。
24十月桜17 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:26:41 ID:2Lm33Na2
男にしては細い指が爽子の熱い泉をなで、やんわりと入ってきた。

「…っ!ん…っふぅ…っ」

瞬間、爽子の身体が跳ね、絡み付いていた舌を思わず噛んでしまう。

「つっ!」

風早の身体がびくっと硬直し、錆びた鉄の匂いが爽子の口腔に広がった。
それが風早の血の匂いだと気付いた瞬間、
爽子は自分でも信じられない感覚に捕らわれた。

一滴でもそれを逃したくない…。

爽子は風早の口腔内にゆっくりと舌を這わせた。
普段の爽子なら瞬間に襲われるはずの罪悪感は塵とも顔を見せず、
代わりに恍惚感だけが爽子を支配していた。

「は…ぁ…」

極少量のそれを舐めとり、爽子が満足げに熱い息を吐くと
風早の楽しげな声が爽子の耳に囁いた。

「ひっで…。黒沼って吸血鬼だったの…?」

その言葉に爽子はかぁっと赤くなった。
(わ、わたし、とんでもないことを…!)
「ご、ごめ」
謝ろうとする爽子の声を風早が遮った。

「やっぱり、お仕置、だね?」

その言葉の意味はすぐ後の風早の行動が教えた。
爽子の秘所に再度指がもぐりこみくちゅ、くちゅと動き始めたのだ。
25十月桜18 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:30:14 ID:2Lm33Na2
「ぃ…ああっ…!はぅ…んんっ!」
時には緩く、時には激しく、敏感な入り口周囲をなぞったかと思えば
中にやんわりと入り込む。
その動きはまるで壊れ物を扱うかのように慎重で優しく繊細だった。

体中に点けられた小さな炎がそこを起点にあっというまに大きな炎となって
爽子の華奢な身体を灼いていく。
どこかに向かって全速力で追い立てられるような感覚に
爽子はただ意味のない嬌声をあげるしかなかった。

「あっ…あぅ…ぅっあんっ…ふぁあ!」

暗闇の中白い霧を全力で走り、その先に晴れ間が見えそうになった時、
そこに連れて行ってくれるはずの指の動きがぴたりと止まった。

「達きそう…?でもだめ。イったらお仕置きにならないもん。」

爽子には見えないはずの風早が
にっと嬉しそうに微笑んだのが見えたような気がした。
26十月桜19 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:36:12 ID:2Lm33Na2
「…おね…がい、もう許して…」

爽子は快感と、到達しそうな時に止められる苦痛を
交互に繰り返されくたくたになりながら荒い息で言った。
風早のからかうような声が爽子に囁く。

「許すって?黒沼は何も悪いことしてないのに何で謝んの?」

何も…悪いことしてないのに、なんでこんなに苦しいの…?

爽子は朦朧としながらもそう思う。

私が何か…とてもいけないことをしたから、こんな苦しいんじゃないの…?

爽子は自分のしでかした『悪いこと』を考えようとしたけど、
快楽の熱い波がそれを許してくれない。

「−俺はさ、待つって言ったけど、
それは誰かにかっさらわれてもいいって意味じゃないから。」

風早の言葉の真意を問おうとする前に風早が再度言葉を紡いだ。

「ああ、これも汚れちゃったね。
ごめん、ちゃんと脱がせてあげればよかったね。」

言いながら風早は爽子の下着をずるりと膝まで下げた。

「!やっだめぇえ!」

「だって、すごく濡れちゃってるよ…?きれいにしないと。」
風早は膝に残っていた下着を難なく剥ぎ取った。
「ああ…」
27十月桜20 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:43:29 ID:2Lm33Na2
恥ずかしさで溜息めいた声が出る。
今だけは視界を覆う布があってよかったと思う。
爽子が束の間それに安堵した瞬間に衝撃が体を襲った。

「きれいにしてあげるね」

そう言いながら風早は爽子の両足の間にもぐりこみ
しとどに潤った中心に舌を差し込んだ。

「やっ…だめええ!あああっ!!」

ぺちゃ、ぺちゃとみだらな水音が爽子をますます追い立てて
脳髄まで快楽が灼いていく。
過ぎる快感と羞恥心で爽子は気が狂いそうな気がした。
喉から出てしまう甘すぎる嬌声が恥ずかしい。
爽子はせめてこの声だけでもとめたいと自分の手の甲を唇にあてた。

「ふぅ…っんん…むぐぅっ…」

くぐもった嬌声に風早が眼を向けると爽子が懸命に手の甲を噛みながら
声を押し殺す姿が見えた。

白い肌は赤く染め上げられ濡れる中心もしっとりと風早に吸い付く肌も
その快楽を受け入れる準備ができているのに
心だけが淫らな獣を押さえ込もうと必死に抗っている。

風早は何度目とも知れぬ息を呑んだ。
己の淫靡さを知らぬ爽子に焦燥感と怒りにも似た凶暴な気持ちがわいてくる。

自分ばっかり自由でいようと思うなんてずるい。
28十月桜21 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:50:15 ID:2Lm33Na2
俺はとっくに君に繋がれてるのに。
俺に手綱はくれないくせに
風早は爽子の口に当てた手をとりあげ自分の指に絡めると
秘所に再度顔をうずめた。
爽子の身体が痙攣したように動き
嬌声は阻まれる事なくのどの奥から搾り出された。

もっともっと俺に溺れればいい

風早はそう思いながら溢れてくる彼女を舐め取っていく
「あぅ…!…ぜ…やく…っ!おねが…も…ゆるし…」
「だーめ。」

君が俺に繋がれてくれないうちは許せない

爽子がすすり泣く声がして風早が顔をあげた。
爽子はまた風早が知らない人のように思えて
風早がとても遠くて、怖くなったのだ。

「か、ぜはやくん、行かないで。遠くに、いかないで。」

風早を占めていた焦燥は瞬時に保護欲に塗りつぶされた。
風早は爽子をそっと抱きしめながら優しく頬とか唇に口付けを繰り返した。

「怖がらないで、黒沼。大丈夫だから。」
「でも、こわいよ、かぜはやくん」
「大丈夫、黒沼にひどいことすんの俺だけだから。
 他の奴なんかに絶対させないから。」
「ほんと…?」
「うん。約束。」
「お願い、側にいて。」
29十月桜22 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/21(水) 23:53:49 ID:2Lm33Na2
「うん、ちゃんといるよ、心配しないで。」
「ほんと?どこにも行かない?」
「うん、ずっと黒沼の側にいるよ。」
「…嬉しい。」

爽子は童女のように無邪気にすら微笑んだ。
風早は微かな笑みを浮かべ爽子の髪をひとひら掬い口付けた。

世界にふたりだけみたいだね。
ずっとこうならいいな。
ほんとに俺にしか開けられない、世界一綺麗な箱があればいいのに
そしたらそこに君の心を入れておくのに。
世界一綺麗な俺のたからものを入れておくのに。

爽子は風早にぎゅうっと抱きついて離れようとしない。
風早は爽子をなだめる様に背中を撫で続け、時折頬や髪に口付けた。
爽子はその度に安心したように微笑み、
やがて疲れきった身体を休めるようにことりと眠りに落ちた。

風早は爽子の視界を覆っていた赤いリボンをしゅるっと外した。
リボンはまだしっとり湿っており、爽子の眼の淵の涙の跡が痛々しい。

風早はその部分に贖罪するように唇をつけた。
そしてさらり、さらりと流れる黒髪を梳いた。
30十月桜23 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 00:01:41 ID:2Lm33Na2
ごめん、黒沼。
黒沼は何も悪くないんだ。そんなこと、わかってる。

でも
俺は多分、君を失ったらおかしくなる。

あんとき、ほんとに三浦を殺してやりたかった。
でもそれは黒沼を酷く傷つけたからじゃなくて、
奴が俺から君をとりあげそうなのが嫌でたまらなかったからなんだ。
どこまでもエゴイスティックな感情だよ。
黒沼は人を憎むのが苦手で、許す事ばかり得意で、
こんな自己中心的な独占欲なんかに汚されたりしないのに。

…いつか君はこんな俺の小ささに呆れて去っていくんじゃないだろうか。
黒沼は自分がどんなにきれいな人なのか気付いてない。
周りの奴がなんでそれに気が付かないのか不思議なくらいで、
その幸運を俺はこっそり喜んだ。
黒沼がどれだけ人に受け入れられたかったか知っていたのに、
誰も君の美しい本質なんか見えなければいいとどこかで願ってた。

君は前に俺のことを憧れで尊敬しているといったけど、本当は逆なんだよ。
俺が君に憧れて焦がれ続けてるんだ。

どうか、俺の小ささに、卑怯さに気が付かないで。
…そんなこと怖くなくなるほどに俺を、おれだけをもっと欲しがってよ。
31十月桜24 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 00:11:12 ID:/cvAS9dR
「…爽子。」

風早は眠る爽子にそっと名前を呟いた。
綿菓子みたいに切なく甘く口の中で融ける名前。

「―はい。」

爽子が覚醒しているとは思わず風早は眼を見張った。
爽子はそっと手を伸ばし風早の髪に触れ微笑んだ。

「どうして、泣きそうな顔してるの…?」

風早は自分の髪に触れた爽子の手首をやんわりと持った。
白い手首にうっすらと拘束の証が残っている。
風早は爽子の手首に乞うように口付けた。

華奢な白い優しい手。
黒沼の、心みたいな手。

「ダメだよ、許しちゃだめ。俺の酷い独占欲も三浦の横恋慕もゆるしちゃだめ。なんでも黒沼は許しすぎる」
風早は言いながらどんどん心が削られていくような錯覚を覚えた。

爽子の寛恕の恩恵を一番こうむってるのは、自分の癖に。
許さないでと言いながら 許されなくなる瞬間が怖い

爽子はゆっくりと身を起こして風早をそっと自分の胸に抱き寄せた
「か…翔太君…」

風早は思わず爽子を見上げた。


はじめて、自分から名前を呼んでくれた。
その熱さに風早は言葉を失った。
爽子は風早を絹よりも柔らかな声で包んだ。
32十月桜25 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 00:23:49 ID:/cvAS9dR
「違うよ、何でも許すわけじゃないよ。全部許すのは 翔太くんだけだよ…。」

風早は胸の奥から熱いものがせりあがるのを感じた。
黒沼は俺の小ささに気付かないんじゃない。
彼女はゆっくりとしたまばたきの合間に俺の小ささをそっと見逃してるんだ。
そうでなければ俺が彼女の側に居続けることなんてできなかった。

「黒沼。」
「うん」
「俺のことしか許さないってもっかい言って。」
「翔太君しか許さないよ。」
泣きそうに笑う風
「俺のこと、あんまり甘やかさないで。」
「甘やかしてる?」
ふふ、と爽子は小さく笑った。
「俺、黒沼に痛いことばっかりしてる。いっぱい泣かせてるし。」
「いいの。」
「だめだよ。甘やかしちゃダメって言ったじゃん。」
「いいの。翔太くんがくれるんだから、痛みでもなんでもいいの。」
「ごめん、ほんとはわかってる。黒沼が一番傷ついたってわかってる。」
「うん」
「俺から逃げないで。」
「うん」
「ずっと他の奴から隠れてて。」
「…それはちょっと無理…かも。」
「今だけうん、って言って。黒沼が嘘つかないの知ってるけど、
 今だけ嘘ついてよ。」
「―だめ。」
33十月桜26 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 00:30:47 ID:/cvAS9dR
風早は爽子を見上げた。
爽子は静かに続けた。

「翔太君にだけは嘘をつきたくないの。
ほんとうの気持ちしか言わないって決めてるの。」

風早はまた顔を伏せた。

「黒沼。」
「うん。」
「俺、黒沼が好きすぎておかしくなりそう」
「−うん。私も。」
「嘘ばっか」
「ほんとう。嘘は言わないって言ったよ、私。」

「だって、黒沼はいつもきれいできちんとしてるもん、
おかしくなんてならないよ」

爽子は風早の伏せている顔を下から覗き込むようにして唇をそっとあわせた。

風早が眼を見張ると冷たく微かに震える指が風早の頬に触れた。

見ると爽子は涙をたっぷり湛えた眼で少しだけ微笑んだ。

「あのね…私、今でも風早君にさわる時少し…き、緊張するの。
だいすきすぎて、風早君が壊れたらどうしようって。
でも、触れたくて、触れたら嬉しくてそれだけで泣きそうになるの。」

もう一度爽子が微笑むとその涙はつ、と頬を伝った。

「だから、風早君に触れすぎたらきっと私が壊れちゃうなって思う。
なのに、またすぐ触れたくなるの。」
風早は声も出せずただ爽子の薄い桜色の唇をみつめていた。
34途中ですが 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 00:34:01 ID:/cvAS9dR
ごめ、全部UPしようと思ったけど
眼の疲れがピークに達して眼を開けてらんない。
明日残りUPするよ。できてるから。
35名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:39:07 ID:Hcy2f2+/
GJ!!すごすぎる。泣けてきたよ〜。
明日お待ちしてますw
36名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:43:17 ID:OKIXnhYK
最高!
37名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:47:33 ID:CiZY76VV
なんかもう神々しいね
本当にありがとう
明日も楽しみにしてます
38名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:59:50 ID:TT0NMOmj
>>34
エロも素晴らしいが、風の気持ちが切なくて涙出てきましたよ〜!!
続き楽しみにしてます!
39名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:05:53 ID:qV+WUjwh
本当に途中まで半端なくエロくて行け行けな気分だったのに、後半はまっすぐな二人に感動して泣けてきた…
投下ありがとう
続き楽しみにしてます
40名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:34:42 ID:JAnCuHA6
GJです!
お互い好きなのに傷つきながら気持ちを伝え合っていく感じが素敵。
エロさも切なさも兼ね備えてておみごとです
41名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:48:16 ID:XWkvbtqX
>>21
そういってくれてありがとう。

夜勤明けさん本当文才有るよ!!
ラスト期待してるw
42名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 13:08:34 ID:fHkTAyjw
エロパロとは思えない深さww
夜勤明けの人といい風梅の人といい神すぐる!!
43風梅:2009/01/22(木) 19:46:35 ID:7l/v3v3Q
こんばんわ、風梅を書いてるものです。
本当は続き書きたくて書きたくて仕方ないんですが、
今自分大学3年なんですが就職活動中で
いま結構1次締め切りとかで忙しい時期で。。

でも、ネタが浮かんで浮かんで仕方ないんで週1とかでどかっと
載せていきたいんですが、いいでしょうか・・
なんせこの前は風梅の話の妄想で夜寝れなかったというww

勝手言ってスミマセン
44名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 19:51:51 ID:Hcy2f2+/
>>43
いつでもお待ち申しておりますww
45名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 20:01:54 ID:UZTa8o5d
>>43
そんなお若いのにあの上手さ…
益々しびれました。
就活も頑張ってね!
46名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 20:20:23 ID:TT0NMOmj
>>43
自分も待ってます!
少しずつでいいんで、できれば長く続けていって欲しいっすw
47風梅21(かな?):2009/01/22(木) 21:32:10 ID:7l/v3v3Q
爽子。

心なしか、呼吸が苦しい。
東京は空気が悪いな。
やっぱり北海道とは違う。

風早はこほっ、と息ついた。

大きな瞳は変わらず、強く真っ直ぐに風早を見つめている。
それに、風早は思わず目を逸らす。
息がしにくい。

爽子。

風早脳裏に浮かぶ、あの笑顔。

爽子。

綺麗な長い髪。
透き通るように細く柔らかいそれは、触るたびほのかに甘い香りをかぐわせていた。


爽子。

爽子。

爽子。

君への愛おしさは日に日に増し、ただただ一緒にいることが何よりの幸せで。
その笑顔を見れば、嫌なことなど全て心地よく静かに浄化されていく。
愛しい、愛しい、世界で1番愛おしい君。
愛しい、愛しい、僕だけの君。

君がいてくれればよかったんだ
君が笑ってくれてれば。
君を泣かすようなやつは、誰であろうと俺が絶対に許さない。
君を傷つけるあらゆるものから、誰よりも先に君を守る。

なのになんで。
なんで俺はあんな思いを抱くようになってしまったんだろう
彼女が他の男と話してるだけで。
いや、俺以外の人間と仲良くしているだけで。
俺以外の空間にいるだけで。

いつしか風早の心にはどす黒い欲求の塊が出来ていた。
しかし、初めは単なる石ころ同然のものだった。

こんな気持ちは、持つだけ意味が無い。
俺よりも同じくらい、今の爽子には大切な事がある。
いや、そもそも比べる事すら間違っているんだ。

風早はそんな思いを軽く払い、爽子を本当に心から応援していた。
日に日に明るくなる爽子を、日に日に笑顔が増える爽子を、あやねやちづと共に見守っていた。

しかしその塊は、彼の純粋な心をゆっくりと静かに侵食していく。
その変化に、誰も気付くことはなかった。
そう、風早本人さえも。
48風梅22:2009/01/22(木) 21:34:56 ID:7l/v3v3Q
「風早・・・・?」
胸を押さえ、荒々しく呼吸する風早。
「・・・どうしたの?」
風早は崩れるようにその場に落ちた。

「風早っ!!」
「・…うるせえな・・大丈夫だよ、ちょっと飲みすぎただけ」
心配する梅の手を冷たく払いのけ、風早はおもむろに立ち上がった。

さっきまでの余裕の表情はもうどこにもなかった。

「話そんだけ?ならもう俺帰るから」
梅の目を見ることすらせず、風早は踵を返し、その場から立ち去る。
その足取りはとても頼りないものであった。
その大きな背中は、何かを訴えていた。

寂しさを?

愛されることを?

どうしようもなかったあの時の気持ちを?


梅はきゅ、と拳を握ると、走って風早の腕を掴んだ。
「だめ!!ひとりじゃ無理だよ、そんな状態で帰れるわけないじゃん!!!」
「ほっとけよ、んだよ・・・胡桃沢に関係ない・・・」
苦しそうに風早は抵抗する。

だったらそんな顔しないでよ。
そんな壊れそうに、今にも消えそうに喋らないで。

風早はいるよ。
今ここにいる。
風早翔太は、今確かにあたしの目の前にいる。
消えさせない。
絶対にそんなことさせない。


梅はタクシーを拾った。
風早の腕を引張ると、彼を無理やり後部座席に押し込む。
梅は自分も彼の隣に乗り込むと、彼のジャケットから見えていた財布を取り出し、運転免許証を取り出した。
「この住所まで行ってください!!」
49風梅23:2009/01/22(木) 21:37:36 ID:7l/v3v3Q
「・…電車で帰・…っ…」
抵抗する風早に、梅はまた風早の腕を強く掴んだ。
「そんなふらふらで帰れるわけないじゃん!!」

車は静かに動き出した。
風早は諦めたのか、抵抗をやめ、目を伏せた。
梅はそれを見て、強く掴んでいた彼の腕から手を離した。
そして、今度はゆっくり手に触れた。

大丈夫、風早。
大丈夫だから。
別にうざがっていいよ。あたしはとっくの昔にふられてんだからさ。
でも風早、ちゃんと気付いて。
あなたは独りじゃない。
こんなの間違ってる。

梅はその一心で風早の手を強く握った。
どういう気持ちで風早がそれを感じていたのかはわからなかった。
ただ、彼は小さな少年ように、静かに力なく俯いていた。


とりあえずここまでです。とりあえず風梅現在編終わらすんでw

あと、スレ立ててくれた方マジでありがとです。
私がいきなり大量投下したせいでつね・・・

ありがとうございます!
50風梅24:2009/01/22(木) 22:23:51 ID:7l/v3v3Q
暗い部屋。
梅はほとんどひとりで歩けなくなっていた風早を支えながら、部屋に入った。
部屋中に、いっぱいの彼の香り。

梅は思わず胸が締め付けられた。
しかしすぐ目をぎゅっと瞑ると、急いで中に入った。

とりあえず、今は早く彼を楽にさせてあげないと。

なんとかベッドに彼を落とす。
ギシッという鈍い音が、静かな部屋に響いた。
梅の小さな身体にかかっていた彼の体重が取り攫われ、梅は大きくため息をついた。
「…風早。大丈夫?水飲む?」
彼からは返事が無い。
「・・…」
梅は、静かに床に座り込んだ。

そして、ほんの数10センチ先で静かに目を瞑って寝息を立てる彼を見つめた。
目から一筋の涙を流している、その彼を。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
風早は、夢を見ていた。
遠い、あの頃の記憶を。



「翔太くん、おまたせ!ごめんなさい、遅くなってしまって・・・」
昇降口で待っていた風早に、爽子が走ってきて後ろから声をかけた。

「ううん。全然。お疲れ様、委員会」
にっこり笑う風早に、爽子は咲くような笑顔になった。

俺のだいすきな笑顔だ。

と、後ろから能天気な声がかかる。
「お、風早爽子ちゃんカッポーじゃーん」
後ろから出てきたのは健人であった。
「健人くん。お疲れ様」
笑顔になる爽子。
爽子は、本当に自然に笑顔が出るようになっていた。
その笑顔は「ピュア・ホワイト」と称されるくらい、今や皆を和ませるものになっていた。

「・・・三浦も、委員会お疲れ様。」
風早が言う。
「別に大変じゃないよー。爽子ちゃんがすごい助けてくれるしさー。
なんか俺何のためにいるの?みたいなカンジ??」
ハハハハーと暢気に笑う健人。
それを聞いて思わず爽子が否定する。
「え!いや!健人くんがいつも私を助けてくれるから!そんな、私こそご迷惑を…」
「あ!だめじゃん、また言ってるよ、ご迷惑、って!約束したでしょー言わないって」
ハッ!!と、爽子は眉間にシワを寄せる。
「わ、私としたことが・・・・」
あはははは、と、和やかな雰囲気の中、風早が声をかけた。
51夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 23:46:34 ID:/cvAS9dR
投下してもいいのかな?
52名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:48:22 ID:iI477oFN
お願いします!
53十月桜27 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/22(木) 23:57:24 ID:/cvAS9dR
投下まずかったらストップかけて。
昨日は途中でおわってすまね。
誰かオラにアントシアニンをわけてくれ
では昨日の続き投下

−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「き、キスだって、離れたとたん…寂しくなるの。
もっと…してたいとか思っちゃうの。」

爽子は真っ赤になって小さくなった。

「はずかしい…けど。」

風早は内側からこみ上げる熱情に押し流されて理性を手放した。
爽子の白く柔らかな体をぐっと押し倒した。
その華奢な肩の感触に泣きたくなって白い首筋と肩に噛み付くように跡をつけた。

「…あっ…」

爽子は小さく声を漏らし、風早の背中にするりと細い手をまわした。
風早は爽子を一瞬みつめると深く口付けた。
ぺちゃ、ぺちゃと柔らかな極上の舌をなぶり、
少し離すと、とろ、と唾液が糸を引いた。

「…はぁ…」
爽子の短く熱い吐息が理性の鎖を蕩かしていく。
54十月桜28 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:04:00 ID:s6uDyKUO
爽子がこらえきれないようにぎゅっと腕に力をこめ風早の広い背中を抱きしめた。

「すき。…だいすき。」

その言葉は風早に胸が抉られるような熱さと痛みを与えた。

どこまでも深く柔らかな爽子の寛恕に自分は甘えるだけでいいのか?
このきれいで可愛いひとに触れる資格が今の自分にはあるのか?

風早は一瞬止まってぐっと爽子の身を離した。

「風早君…?」
「だめだよ、黒沼、今はできない。」

爽子は一瞬まだ、怒ってるのかと衝撃を受けた。
風早はさすがに爽子との付き合いの中で彼女の思考パターンを学んだのか、
即座にそれを見抜き、慌てて言った。

「違うから!黒沼に怒ってるとかじゃないから!」

「え、あの、じゃあ」

私に女性的魅力が足りないとか…と爽子はとぼけた台詞を真顔で呟いた。
風早は脱力しながら溜息をついた。

「…なわけないじゃん。そりゃ、抱きたいよ。抱きたいに決まってるよ。
どうにかなりそうに好きな子前にしてるんだからさ。
…でも、だめだよ。こんな風に流されるみたいにしちゃだめなんだよ。」

風早はむりやり笑った。

55十月桜29 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:08:19 ID:s6uDyKUO
「大事にして。もっともっと宝物みたいに自分の事大事にして。」
「…」
「黒沼は俺の大事な大切な人だから、俺のために大事にして。」

爽子は涙ぐみながらもうん、と頷いた。

「でも、じゃあ、今感じるこの気持ちはどうしたらいいかなあ」

爽子は風早に思いつめたように言った。

「気持ち…?」
「その…風早君が大好き、だから。何かしてあげたいなあって
…何かしてほしい事…ない?」

この場でしかもしどけないその姿でそういう事を言う過激さには
何も気付いてないのだろう、爽子は真剣に言っている。

風早は内心の溜息を押し殺した。

(ああ、もうそういうとこが無防備すぎて心配なんだけど…!
俺にだって理性の限界はあるからね黒沼!)

それでも爽子の気持ちが嬉しくて愛しくて泣きそうになる。

「…えーと、あのさ、じゃあ、とりあえず名前で呼んで。
二人だけのときだけでもいいから。『風早君』に戻ってるよ、黒沼。」

ぽっと赤くなり、う、うんと爽子は頷いた。

風早も赤くなりながら言った。

「あとそれと…キスして。…ほっぺ、じゃなくて」
56十月桜30 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:12:36 ID:s6uDyKUO
爽子はこくん、と頷き、柔らかい唇よりもっと柔らかな口付けをした。

爽子の普段の受け止めるだけの口付けではなくて、
風早の奪うような性急な口付けとも違う包み込むような優しい口付け。

(う…わっ…何だこれ。やばいくらい…きもちいい…。)

指先まで幸福感が染み渡るようなこんなキスは爽子にしかできないな
と風早はうっとりと思う。

もしかしたら自分が爽子を好きすぎるからそう感じるだけなのかもしれないけれど。

何度か惜しむように繰り返されるついばみのようなキスが与える快感に
風早が酔っていると優しい唇がそっと離れた。

それを惜しむ間もなくつ、と爽子の細い指が
風早のシャツをやんわりたくしあげた。

驚きすぎて声も出ない風早を気にするそぶりもなく
爽子はむき出しになった胸にちゅ、と口付けした。
「…っ!」
思わず爽子の細い肩を掴むと爽子は蕩けるような瞳で風早を見上げた。
潤んだ黒い瞳は風早の言葉をすべて奪うのに十分な破壊力を持っていた。

爽子は熱い吐息の合間に唇だけで声を出さずに短く言った。

『触れたいの』

熱にあてられて目眩がひどくて動けない。
57十月桜31 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:16:26 ID:s6uDyKUO
風早はこのまま爽子に融かされて死んでもひどく幸せのままな気がした。

風早が言葉をなくしている間に爽子は動きを再開した。
唇は胸から平らな腹部に移る。

温かくて柔らかくて吸い付くような唇は
時折ちう、ちうといやらしい音を立てて動いていく。
爽子の熱い息が時折敏感な肌をかすめ、
それは耐え難い快感となって風早を襲った。

視覚も聴覚も触覚も見たことがないほどの爽子の淫靡さに支配され、
その官能に熱は限界に近く膨張していく。

あーこのままだと黒沼にそれが気付かれちゃうなと風早が思った瞬間に
爽子の白い指が風早の制服のジッパーを下げた。

「くっ黒沼!?」

「お、おとこのひとはこうすると喜ぶと」
「誰に聞いたの!?」
「―荒井先生が」

ピンにまで殺意を抱きかけた瞬間に爽子は続けた
「服を洗濯したお礼にとくれた本にそう書いてありました…。」

あのアホ、なに黒沼に渡してんだ!!と怒りかけた風早は
瞬間あまりの快感にすべての思考が飛んだ。

爽子の柔らかな唇が風早の熱塊に触れたかと思うと 
柔らかくて温かな口腔がそれを包み込んでいた。
58十月桜32 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:20:19 ID:s6uDyKUO
マシュマロよりももっとぐにゃりと柔らかい弾力に富んだ舌が
ちろちろと遠慮がちにそれに触れてくる。

「くろっぬ…!や、だめだっ…て!…ぅんっ…!」

爽子の清らかな唇が自分の醜い欲望の固まりに触れている、
そう思うだけで達しそうになる。

(…このままじゃ、黒沼の口の中に…!)

止めなければと思うのに風早は指一本動かす事ができずに
爽子の成すがままになっていた。

ちゅぷちゅぷといういやらしい水音が耳を刺激する

苦しそうな顔でそれでも懸命に舌を動かし
時折反応を確かめるように濡れた瞳で
風早を見上げる爽子の妖艶さに風早は完全に飲み込まれる。

風早の指がそっと爽子の黒髪をさらりとかきあげた。
指が耳に触れた瞬間にぴくんと爽子は動きを止めた。

嫌がられたのかな、と心配になった爽子が身を引こうとすると、
ぐっと頭を抑えられる。
眼だけで見上げると風早が荒く熱い息を抑えながら吐息のように爽子に言った。

「…やめないで。」

爽子は絞り出すような切ない声で乞われ、体中が熱くなった。
(かぜはやくん、だいすき…だいすき)
想いをこめるように爽子は続けた。
59十月桜33 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:24:19 ID:s6uDyKUO
顎や唇が飲みきれない唾液でぬらぬらと濡れるのがわかる。
傷つけないように柔らかく舌を這わせる。

時折息をするためにちゅぽっと熱から唇を離すと
唾液と風早自身の分泌液が混ざり光る糸を引いた。

その度に蕩けそうに熱い目と息で、動作を止めた爽子を咎めるように
風早が眼を向ける。

爽子はその視線に痺れるような快感を覚えた。
体が熱くなって、自分の中心が蕩け潤ってくるのがわかる。

なんて淫らな体なんだろうと自分を苛めば逆にそれが自らを煽る結果になった。

爽子は血液の温度が数℃上がったような気さえした。
その熱で蝋のように融ける中心が微かな自分の動きにも連動して
ぐちゅりと音をたてる。

こんなはしたない自分は風早には気付かれたくないと願いながらも
一方で風早の望む事ならどんな淫らなことでもしてあげたいと思う。

爽子は本で見た知識を懸命に思い出しながら
ぴくぴくと風早が反応した箇所を舌と時には指で何度も辿った。
風早の息がどんどん荒く、そして早く熱くなってくる

「爽子…爽子っ」

小さく風早が声を洩らした瞬間、熱塊がぐんと硬直し、解けた。
60十月桜34 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:29:43 ID:s6uDyKUO
爽子の口腔を苦い液が満たした。
反射的に爽子はそれを嚥下した。
飲みきれなかった白濁が唇から零れた。

粘る喉の感触と口腔内の感触に爽子が咳き込むと
風早は慌てて爽子の背中をさすった。
「…ごめんっ止めらんなくて…ごめんっ」

爽子は涙で潤んだ眼で首を横に振った。
「だ、だいじょぶ、だから。謝らないで。」

風早は爽子の華奢な体を抱き上げるようにして向き直らせると
ぎゅうっと彼女を抱きしめた。
長い抱擁の後、風早は独り言のように言った。

「絶対、むり。離れんの、無理。
俺死んだらきっと幽霊になって黒沼につきまとってる。」

爽子はそれを聞いてじわりと泣きだした
それに気付いた風早が慌ててなだめると爽子が呟いた。
「…やだよ。死ぬとかいっちゃやだ。私より先に死んじゃ嫌。」
「でもおれ、黒沼見送んのなんか絶対たえらんないよ。」
そして二人は黙り込んだ。
やがて風早は明るく言った
「俺、すっごくいいこと思いついた。1,2の3で一緒に死ねばいいんだよ」
きょとんとしてた爽子もほっかりと笑った。
「うん。じゃあ約束ね。」
二人は子供のようにくすくすと笑いあって指切りをした。
61終わり 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 00:45:34 ID:s6uDyKUO
以上です。エンドマークが入りきらなかった。
前スレ373さんのネタを使わせていただきました。
373さんありがと。>>47
GJです!風はほんとかわいそうなほど業の深い『人間』なんだなあ。
風梅見てるとケン爽のイメージがわいちゃったので、もし作者さんさえよければ
書かせてもらいたいです。
マナー違反かな?とも思うので作者さんの許可もらってからと思ったんで。
うーんでも作者さんのケン爽のイメージ壊しちゃ拙いかなあ。

62風梅25:2009/01/23(金) 00:57:59 ID:DuYjmFSW
「―じゃあ、そろそろいこっか?」
微笑みながら爽子の手を握る風早。
「あっ…うん。じゃあ健人くん、また明日ね」
爽子がもう片方の手で手を振る。
「うん。ばいばーい」
手を振り返しながら、健人は遠くなるふたりを見つめていた。


「…よかった。うん…よかったよ」

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

「翔太くん?どうしたの?歩くの少し早いよ」

風早はその言葉にはっとし、爽子を見た。
「―――ごめん。…なんか、今日はいつもより時間が遅いから
爽子と一緒に居れる時間少ないって思ったらじれったくて。」

そう素直に照れて言う目の前の男の子に、爽子は胸が暖かくなるのを感じながら、嬉しそうに微笑んだ。

爽子はピンの言いつけで、本来なら1クラス1人でいいはずのクラス委員を健人と任されていた。
健人は2年の時意外にも楽しそうに委員をやっていたので、ピンはそのまま彼を委員に任命した。
3年になると、担任にはさまざまな雑用が増えてくる。
しかしあの健人をうまく丸め込んで良いようにこき扱う言語術は、彼には無かった。

そこでピンは爽子をもうひとりの委員として指名し、ここぞとばかりに雑用を頼もうと考えたのである。
人に頼られてることこそ生きがいの爽子は、それを喜んで引き受けた。



しかし、ひとりだけ納得していない風早がいた。

「じゃあ俺が三浦の代わりに委員になる!それでいいだろ!」
63風梅26:2009/01/23(金) 01:00:01 ID:DuYjmFSW
体育教官室でピンに突っかかる風早。
「なーにいってんだ、お前が体育委員じゃなかったら誰が俺の世話をやくんだっつーの」
「しらねーよっ!」

3年の4月に突如言い放たれた理不尽なピンの言い分。
「別に黒沼だって嫌々やってるわけじゃねぇだろ?むしろ喜んでたじゃねーか。
それに2、3年のクラス委員ってのは1、2年の時よりも人前に出る機会が多い。
黒沼にとってもいいことばかりだと思うけどな。お前も彼氏なら応援するとこなんじゃねーの」

ピンの言っていることはあながち間違いではない。

でも。
よりにもよってなんで三浦と。

「っ・・・この、あほんだら!!!!!!」
風早は捨て台詞と共にどうしようもない感情をドアにぶつけた。
勢いよく閉じられたドア。
「ガキかよあいつは」
ふー、と一言一掃すると、ピンはまた机に向かう。

「なにアレ。あほんだらって・・・ほんっと余裕ないなー王子様は」
しきりから笑いながら出てきたのはあやねだった。


カーテンが閉められた体育教官室の窓からは、グラウンドで部活に勤しんでいる生徒達の声が聞こえる。
今日は始業式だったため、彼が顧問する野球部は各自の自主練習なのだ。


「…ね、今日家いってもいい?」
いすに座っているピンを、あやねは少しの期待をその瞳に浮かばせて静かに見下ろす。

ピンは彼女を見上げた。

綺麗にマスカラで覆われたその長い睫毛。
リップによってほんのり赤く染められた、ふくよかな唇。
細い首筋、そこに繋がる鎖骨には、ブラウスによってチラチラ隠れている華奢なネックレスが光っていた。

セーターの下腹部がピンの腕に触れそうなくらい、彼女は近づいた。
「…ちゃんと家帰れ。親御さん心配すんぞ」
とそっけなく返し目を逸らすと、パソコンを開き、春からの新しい体育委員の名簿を作り出す。
「・…へーきだよ。ちづの家に泊まるって言えば」
ピンの反応に不満なのか、あやねはピンから離れ、さっきまで風早が座っていた簡易椅子にとすんっ、と腰を下ろした。
「そんなんダメに決まってんだろが。わかったら早くお前も帰れ。」

完全なる子供扱いに、キレるあやね。

なんだよ、二人の時は教師と生徒やめるんじゃなかったのかよ。

ちっ!!と大きく舌打ちをするとあやねは言い放った。
「この根性なしが!!!!!!!」

捨て台詞を吐いて、先ほどの風早に負けるとも劣らずの力でドアを勢いよく閉め、走って出て行く。

「・…あいつら・…」
64風梅27:2009/01/23(金) 01:04:44 ID:DuYjmFSW
「翔太くん、今日はどうしようか。また河原でマルちゃんと・・・」
爽子が嬉しそうに口を開く。
今、そのふたりの時間を本当に幸せそうに思っているような笑顔。
汚れの無い、とても綺麗な微笑み。


健人と別れた後、ふたりは夕焼けに照らされた河原道を歩いていた。
夕焼けですっかり赤く染まった川は、どきっとするほど艶やかであった。

「・・・爽子んち行きたいな」
爽子は一瞬、その言葉にドクンッと心臓が飛び跳ねるのを感じた。

彼の目は、真っ直ぐに自分を見つめている。
でも、何かがいつもと違う。
そう、彼はたまにこの目をする。
普段の無邪気な風早には垣間見ることが出来ないような、「男」の目。

爽子はそんな彼が少し怖かった。
誰よりもだいすきなひとなのに、こんなこと思うのは失礼だって分かってる。
でも、爽子の脳裏にあの時の出来事が甦る。


2年の3月14日。
爽子は、小さく、綺麗に包装されたベビーピンクのリボンが付いている箱を風早に渡されていた。
「バレンタインのお返し。」
にこっと笑って、風早は言った。
思わぬプレゼントに、爽子は驚き動揺であたふたしている。
「えっ・・・わ、わたしに?!そんな、わたしそんなつもりじゃ・・・」
「うん。俺も別に意味はないんだ。ただ、黒沼にあげたいなって思っただけ。
ね、開けてみて?」
穏やかな表情で言う風早に、爽子は少し戸惑いながらもその手のひらサイズの小さい箱のリボンを
ゆっくり解く。
「・・・・・!」
爽子は思わず声を飲んだ。

そこには、トップにキラキラ光る小さなリボンの装飾が施された、華奢なゴールドの指輪が箱に収まっていた。
「・・・きれい・・・・」

思わず目じりが熱くなる爽子。
「・・・・どう?・・・迷惑だったかな・・・?」
65風梅28:2009/01/23(金) 01:12:28 ID:DuYjmFSW
ぱっと見上げると、不安そうな顔でこちらを見つめている、世界で1番すきな男の子がいた。
「めっ迷惑なんかじゃないよ!!あの、わたし・・・嬉しい。すごく嬉しい!!
こんな素敵なプレゼント・・生まれて初めてで・・・ありがとう翔太くん!」
正直な気持ちを言葉にすると、風早は大きく息を吐き、その場になだれ込んだ。
「・・・・よかっ・・・たぁぁあ・・・!!俺、思い切ったことしたかなって、内心すごい不安で・・・・
龍に聞いても、龍は吉田にあげるなら指輪じゃなくてラーメンのタダ券10枚組、とか言うし・・・」

恥ずかしそうに顔を赤らめながら、その男の子はこれ以上ないくらいの優しい笑顔で爽子を見つめた。
爽子はそんな彼が愛おしくて愛おしくて仕方ない感情に包まれた。
胸は高鳴り、痛いのに心地よいその胸の強い締め付けは、彼女に更に極上の幸せを感じさせる。

わたし、この笑顔がだいすき。
翔太くんが、だいすき・・・!!

「手、かして?」
風早は優しく爽子の小さくて細い指をまるで宝物のように引き寄せ、箱に入っている指輪を取り出した。
(すっげー、綺麗で細い指・・・・強く掴んだら壊れちゃいそ)
その小さなぬくもりを感じながら、風早はその薬指に指輪をそっとはめた。
「あ・・・」
小さく爽子が声を漏らした。
「よかった。ぴったり!」
無防備で愛おしいその笑顔を見せる風早に、爽子はぽろ、ぽろ、と涙を流す。
「爽子?えっきつい?!えっでも矢野、ちゃんとこないだ・・・・」
「俺かっこわりー!!」と顔をまっかにして焦る風早に、爽子があたふたと弁解する。
「ち、違うの!ぴったりだよ!そうじゃなくて、あの、わたし・・・わたし・・・」」
涙がぽろぽろと流れ、上手く爽子は言葉に出来ない。
「っ・・・しあわせ、で」
66風梅:2009/01/23(金) 01:19:14 ID:DuYjmFSW
夜勤明けさん!
激しく乙です!!
もうすごいですねー!
文才ありすぎで。
ラストもすごいよかった。
あったかいな・・・
自分が書いている風は完全に変わっている風なんで、
なんか切なくなった。

いま私が書いてる風梅編は、かなり長編になってしまうと思うのですが、
私なりに風と梅をちゃんとしたかたちで救ってあげたいと思っています。

もちろん私も健爽編もすこし盛り込んでいくつもりなんですが、
夜勤明けさんバージョンのふたりを是非みてみたいです!
作品の通り、自分エロはあんま盛り込んでないんで、ドキドキがないというww
本来の趣旨であるエロパロを完全無視しているし・・・

私のことはスルーして頂いて構いませんので、すばらしいエロ健爽期待してます!!
67名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:52:21 ID:to44RY9r
お二人ともGJです!!!
神すぎる…
ストーリーもだし、各キャラ血が通ってる
ただただ尊敬
夜勤明けさんのケン爽、風梅さんの続き(風梅、ピンあやね、ケン爽)…沢山楽しみがあり幸せですw
夜勤明けさんにアントシアニンが安定供給されることと風梅さんの活動がうまくいくようお祈りしてます
68名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 02:11:29 ID:4lUYMZ2w
>>66
ピンあやねまで書いてくださるとは!

夜勤明けさんも風梅さんもすごいです!
がんばってください!応援してます
69風梅29:2009/01/23(金) 02:32:36 ID:DuYjmFSW
その瞬間、爽子は大きな胸のなかに包まれていた。
「わたし・・・しあわせすぎて、あの、いいのかなって。翔太くん、怖いよ・・わたし、しあわせすぎてこわい…」

心地よい彼の鼓動。
暖かいぬくもり。
彼に全身を包まれて、爽子は心から安心するのを感じていた。

「そんなの、俺もだよ」
ふたりはそっと見つめ合い、笑い合った。

しあわせ。
わたし、しあわせだよ。

爽子は照れながら指輪を見つめた。
小さなリボンの装飾の真ん中には、ピンクのとても小さい宝石が埋め込んであった。
(すごくきれいだな・・・わたしにはもったいないくらい。)

「あ、でも無くさないように普段はちゃんとしまっておくね。心配しないでね」
と、微笑みながら見上げる爽子。
びくん。
一瞬、身体が硬直する。
見上げたそこには、さっきまでの愛おしい彼の笑顔はなかった。

「・・・どうして?」
静かに風早が口を開く。
心なしか、さっきまでとは少し声が低い。
「えっ・・・」
「他の男に見られたくないから?」
大きな瞳は真っ直ぐ爽子を捕える。
爽子はその目に今まで見たことのない彼を見た。

「ち、違うよ、こんな素敵なもの、もしなくしてしまったら・・・・」
「そしたらまた俺が買うよ。爽子が気にすることじゃない」

そう言い放たれ、爽子はつごもった。
(翔太くん・・・少し、怖い・・・)

風早はそんな彼女の戸惑いの表情にはっと我に返り、再び爽子を抱きしめた。
「ごめん、わがままいって…でも俺、爽子にそれつけてて欲しい。だめ?」
爽子は、いつもの口調に戻った彼に少し安心したようだった。
「・…うん。わかった。つけるね。ありがとう、翔太くん」

優しいキスが、爽子を包む。
唇が触れるだけの、優しくて暖かいキス。
爽子はその心地よさに酔いしれるように、ゆっくり目を閉じて、彼のぬくもりを味わっていた。
70風梅30:2009/01/23(金) 02:59:30 ID:DuYjmFSW
「ん…んぅっ…?」
突如顎を掴まれ、暖かい彼の舌は口をこじ開けようとしていた。
「あ・…っ!」
風早の舌が、唾液と共に爽子の小さな口内に入り込んできた。
それは爽子の舌を捕え、激しく絡ませてくる。
「んっ、は、ぁ…っし、しょ…たく…っ」
今までのキスとは比べ物にならない程の、激しいキス。
初めての感覚に、爽子は呼吸の仕方がわからず、ただただ、息を荒げる。

ぴちゃ、ぷちゅっ
誰も居ないその静かな教室中に、ふたりの荒々しい呼吸と、唾液と舌が絡まる音だけがいやらしく鳴り響く。
風早は舌を絡ませ、彼女の柔らかい唇を吸いながら爽子を窓際へ追い込み、なおも激しく彼女の口内を愛撫する。
窓の外では、声を張り上げて一生懸命練習に励んでいる野球部の部員たちがいた。
爽子はそれを片目に見ながら、思わず目を伏せる。
(は、はずかしいよっ…)




と、顎を掴んでいた風早の大きな手が、爽子のブレザーのなかに入り込んできた。
思わぬ行動に、爽子はこれ以上ないくらい大きく目を見開き、声を出した。
「やっ…翔太く…っんんっ!!」
大きなその手は、ブラウスの上から彼女の小さな胸を鷲掴むように揉む。
非力な抵抗は、風早の激しいキスと、彼の大きな身体、
そして彼女の手首を強く掴んでいるもう片方の大きな手によって、何の意味もなくなっていた。
「っや、ぁ…っ!」
彼の大きな手は、今度は勢いよくスカートを捲り上げた。
そして、爽子の真っ白な太ももを大きく撫でる。
風早の呼吸は更に荒くなる。
はぁっ、はっ、はぁっ!
首筋に当たる生々しいくらい温かい彼の息。
それは爽子の白くて細い首筋を幾度と無く繰り返し湿らせる。
-------------------------------------------------------------

もうきりのいいとこまで投下します。
もう少しお付き合いください・・・

まだまだ要望うけつけるんで、みなさんどんどんお願いします!!

個人的に、ちょっと時空がいろいろ変わりすぎで、
みなさんわかりにくいかな、と思っちゃってるんだけど、どうだろう。

回想多いかな
71風梅31:2009/01/23(金) 03:34:50 ID:DuYjmFSW
爽子は冷たい壁に強く押し付けられながら、なすがままになっていた。
(やだ、こんなの、違う・・・!)
必死で爽子はかぶりを振る。
その非力な懇願は、もはや風早の意識のなかには入り込むことがなかった。

ブー、ブー、ブー。
その時、爽子のブレザーに入っていた携帯電話が振動した。
ふたりの体温と呼吸の、その独特の匂いによって充満した教室に、その鈍い音は鳴り響いた。
一瞬、風早の身体が止まる。
それを見逃さなかった爽子は、風早を力一杯突き飛ばした。

携帯を開くと、それは健人からのメールであった。
「今日の爽子ちゃんの講座もすごい良かったねー
この勢いに乗って今度は下級生のとこにも講座開いたりしたらどぉ?!笑」
(…健人、くん…!)

風早が、やりきれない程泣きそうな顔でこちらを見つめていた。
「しょ…」
思わず駆け寄る爽子。
「ご、ごめんなさい、わたし、ひどいこと…」
俯く風早に、爽子こそ今にも泣きそうな顔をしていた。

風早は思った。

なんで謝るんだ。
爽子は何も悪くないじゃないか。
最低なのは俺だ。
何やってんだよ。
こんなことしたら、爽子に嫌われる。
嫌だ。
嫌だよ。
絶対に君だけには軽蔑されたくない。
爽子、すきだよ。
だいすきだ。
お願いだから、俺を捨てないで。
お願いだから、ずっと傍にいて。

俺を、嫌いにならないで。


風早の瞳からは涙が流れていた。

それを見て、衝動的に爽子は風早を抱きしめていた。
強く、強く、彼の全てを覆うように。
72風梅32:2009/01/23(金) 04:22:26 ID:DuYjmFSW
「…爽子?」
夕焼けで赤く染まった風早の顔が、爽子を覗き込んだ。

「あ・・・っご、ごめんなさい」
はっと我に返り、風早を見上げる。
「ううん。急にしゃべらなくなるから、どうしたのかと思った」
少し微笑んで、風早は言った。
「ご…ごめんなさい」
「いいって。気にしないで」
「…ち、違うの。あの…」

風早の表情から笑顔が消えた。
爽子はいつも、「その」目を見るのが怖かった。
................................................................

風早は、あのホワイトデーの出来事以来、爽子に執拗に触るようになっていた。
それまで定番だった河原での放課後散歩はあまり無くなり、外に出かける事も風早は嫌がった。
誰もいない放課後の教室や、爽子の母親が習い事で夕方家を空けている時は、彼女の部屋でふたりだけの時間を堪能する。
そして、肌を探る。
その時、風早は必ず「その」目になっていた。

爽子は、恋人同士がそういう行為をする、という事は知っていた。
以前あやねが悪い顔をして、コンドームと一緒に爽子に与えていた知識のひとつがそれだったからである。

わたしは翔太くんがすきで、翔太くんもわたしをすきでいてくれている。
すきなひとに触られるのは嬉しい。
わたしも触れたい。

そう思う爽子であったが、「その」目をする風早にどうしても違和感を感じずにはいられなかった。
すきだ、を連呼しながらも、まるで、人形のようにわたしを扱う彼。
わたしの言葉はほとんど聞き入れてくれなくて、ただ力で押さえつけられているわたし。

毎回、そんな風早を最後まで受け入れることは爽子には出来なかった。

どうしてそんな風にわたしを求めるの?
そんなことしなくてもわたしは逃げないのに
わたしは翔太くんが



世界で1番だいすきなのに

.............................................................


下を向いて、少し躊躇していたが、爽子は努めて明るく言った。
「今日、私はやめに帰らないといけないの。お母さんに用事を頼まれていて…」


「―――そっか。わかった」
風早はにっこり笑った。「その」目は、先ほどまでの色は無かった。
「…ごめんなさい…」
申し訳なさそうに謝る爽子。
「いいって。行こっか。送る」
笑顔と共に再び差し出された、大きな手。
だいすきなひとの、温かい手。
爽子はすこしざわついた心を鎮めるように、軽く息を吐いて、その手に従った。
73風梅33:2009/01/23(金) 07:31:01 ID:DuYjmFSW
ふたりから笑顔を奪ったのは何だったのだろうか。
何が、ふたりを引き離す運命に至らしめたのだろうか。

風早の嫉妬心?
愛する人への独占欲?
爽子の純粋さ?
ひとをすきになるという純粋な気持ち?

いや、違う。








ただ、運命は決まっていたのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
風早は薄暗い部屋になかで、静かに目を覚ました。
月明かりが、ぼんやりと暗い部屋を包む。
彼の頬には、乾いた涙の筋が付いていた。

開かれた瞳の先には、頭だけをうつぶせにベッドに乗せて、風早の手を強くしっかり握る女の子の姿があった。
彼の全てを包み込むような、温かいその小さな手。

「・…くるみざわ」
かすれるように声は出た。
そのかすかな声に、彼女はぱっと頭を起こす。
「…大丈夫?風早」

赤く腫れている、大きな瞳。
風早はそれを見つめながら、力なく笑った。
「……俺って、なんでこんなに女の子泣かしちゃうんだろ。泣かしたくなんてないのに」
74風梅34:2009/01/23(金) 07:39:59 ID:DuYjmFSW
それを聞いて、梅は軽くふざけて言って見せた。
「そりゃたくさんの女の子と同じように遊んでたら、泣かすに決まってんじゃん」
「はは」
風早は仰向けになると、もう片方の手の甲で目を覆った。

ゆっくりと静かな時間が、その暗い部屋に流れる。
風早は、呼吸が楽になっているのを感じた。

「…もう、具合大丈夫?」
水を持ってこようと、梅は立ち上がろうとした。
と、風早の手が、梅の手を強く握り返した。
強いのに、弱い。
まるで小さな少年が、はぐれないように母親の手を握るような。


「……わかってるんだ……」
消えるように、暗闇の中で風早がゆっくり口を開く。
「…爽子がなんで三浦を選んだのか。なんで俺は爽子にふられたのか」

「…ちゃんと納得してるんだよ、俺」

先ほどまでの余裕の表情を醸し出していた乾いた笑顔とはまた違う、親しみある時の彼の笑顔が、満月の光によって薄く照らされたそこにあった。
薄明かりのせいか、彼の瞳の色はよく見えない。
しかし、先ほどまでの冷たい彼の瞳は、もうどこにもなかった。

どうしようもないやるせなさが、梅を覆う。
「そりゃ時間はかかったけどさ。でもどうしようもなかった。
ちゃんとわかってるよ」
梅は黙って聞いていた。しっかりと、彼の手を強く握って。
「爽子と別れた時さ、実は少しホッとしてる自分がいてさ。
俺、しんどかった。苦しかったよ。
どんどん大きくなるあの気持ちが溢れて溢れて、
もう自分でも手に負えなかった。
爽子の事さえも信じれなくなってたんだよ…」
梅の力はよりいっそう強くなった。
75風梅35:2009/01/23(金) 07:47:44 ID:DuYjmFSW
風早は、その温かさに目をゆっくり閉じた。

「…困らせたいわけじゃなかったんだ。あんなふうに泣かしたり、傷つけるつもりなんてなかった。
ちゃんと応援したかった。・・・本当なんだ。」
風早は、自分の心の、暗く深い闇に覆われていた部分が少し薄くなるのを感じた。


ああ、そっか。
俺、こんなふうにあの時の気持ちを言葉にしたのは初めてなんだ。



「俺がダメだった。ただそれだけのことなんだよな」


以上です。続きはまたちかいうちに投下しまつ
なんか、これ仕上げないと他のことがあんまり手につかんw
でも焦って書いて粗くなるのもいやなので
しっかり頑張ります。
34はちょっと粗い…スンマセン
76名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:24:45 ID:cSmFbybi
リクエストしてもよい・・・?
ピン×あやねもっと見たい(;´д`)
77名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 19:54:51 ID:s6uDyKUO
>>風梅さん(いや別に作者さん名ではないだろうが)
ぐぅううじょおおぶ!
哀しいことだけど風爽の別れすら自然なことだったのかなと思えるね。
そして風梅も自然だ。梅は自分の幼い企みが爽子の在るがままの姿に
負けたときにちゃんと成長してたんだな。
だから風と梅は我侭な子供同士、ではないんだ。

ほんの小さな分岐点の違いで風爽が比翼連理の
仲になったり、こんな風に別れてしまったり、
いろんな世界が無数にあるんだろうね。
すげーなこんなに妄想を刺激する話はオイラには書けないよ。
あと、ケン爽の許可くれてありがとう!
イメージ壊したらごめん、だけど風と別れたちょっと後くらいのケン爽が
書きたいなと思って。
そんな時期なんでエロのない話ですがw
あ、それと投下混ざってごめん

んでは皆様 ケン爽及び黒沼S子さん編(こっちはカプは風爽)
で再びお会いしますね
78夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/23(金) 20:05:40 ID:s6uDyKUO
ごめん コテ付け忘れ
風爽が好きすぎるから風には爽子と思うけど
別れてしまって、別々の道を歩んだ二人のそれぞれの子供が
ほんとに偶然出会って恋に落ちてそれぞれの家族に紹介される日が見たい気もするw
「腐れ縁って奴…?」と溜息をつく梅 苦笑いするしかない風
なんだかおかしくて微笑む爽 馬鹿笑いするケント みたいなw
79名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 20:07:14 ID:O/Ym2dBZ
お二人ともGJ
風梅さんの続き、夜勤明けさんのケン爽&S爽子首を長くしてお待ちしてます。

個人的には超ラブラブな風爽をリクエストさせてくださいw(エロはありでもなしでも)
80名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 20:33:39 ID:aGJS4a2C
自分も超ラブラブな風爽が読みたいです!
神々達のすんばらしい文才のおかげで本気で感情移入してしまい、切なさにノックダウンしてるので・・
81.:2009/01/23(金) 20:44:25 ID:DrgAiESv
風爽大好きな自分としては風梅の展開は切なくてたまらないけど文章が上手くてひきこまられてしまう。
でも、やっぱり風と爽の組み合わせが好きだ
82名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:27:50 ID:vX/dUxs0
お二方共、GJ

つかぬ事を伺いたいのだが、>>69の「つごもった」は口ごもった的な意味?だよね?
私が知らないだけか
83名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:45:12 ID:s6uDyKUO
ラブラブいいねラブラブ
エロ薄めだけど眠くなるまで書くわ
ラブくて軽くてちょいバカなの
地球のみんなオラに少しずつカフェインを分けてくれ
>>82
つごもり→月末→追い立てられる感じ
とかいう暗喩…とかいう大嘘説をぶち上げて見るw
84名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:47:20 ID:ofoJqzB1
>>83

期待!!
カフェイン贈呈!!
85風梅:2009/01/23(金) 22:55:15 ID:dvPUOhn8
風梅です〜

そうです〜そんな意味合いですw
口ごもったみたいな
勢いでグワーって書きなぐったから、あとで読み返したら
「あ、ここ誤字脱字してるw」て思うとこ結構あるんで
皆さん自分の好きなように解釈お願いしますw

あと、自分もあやねピン編好きなんで、これ終わったあとじっくり書くつもりです!
風梅編ではあやねピンは同窓会で出てくるだけのつもりなんで…

でも、やっぱり皆さん正式カプ以外はやっぱ受付けにくいみたいですね…

とりあえずここまで書いたんで最後まで書き終わらせるけどw

もし不快な思いをさせてしまっていたらごめんなさい。
86名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:06:38 ID:s6uDyKUO
いやいやいや風梅面白いって
風爽至上もんの私でも思わず引き込まれる
リアリティがありすぎて切なさが半端ないだけだと思うよ

ここはエロも許されているパロ って場(だと思う)なので
いろんなカプがあっていいと思うよ
ちづ×ケントとか(これは書けそう)龍×爽とか(これは無理)
梅×爽とかw(百合も好きだ)
それと誤字、脱字、脱文は絶対やるw注意してもやる。
自分も特にアントシアニンが足りんときはやる
87名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:25:27 ID:wpWNesp9
おおお〜なんだこの祭りは〜!!!!!感動しました!

夜勤明け様、風梅様GJです!!!!!!!!!

夜勤明け様>>黒風いいです!ちゃんと愛もあるし…そしてまさかの積極爽…
エロい…ラブぃ…
S爽も健爽も楽しみにしてます!!!

風梅様>>ストーリーがすごい!!プロの小説家みたいです。
なんかこれで漫画が一本かけそうですね…
ラブラブな風爽回想編も読めてうれしいです。
風梅の続きが気になります!!
就活も頑張ってください。


正統派カプ以外だと、
健梅なんてありえそう。
健は爽に、梅は風にフラれてなぐさめ合って…って感じで。


龍爽…wwwこの二人が揃うと、神聖すぎて行為が進まなそうwww
88名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:32:17 ID:aGJS4a2C
健梅、健あやねは本誌でもありえそうなカプだな〜健人って女の子に怒られてるイメージw
龍爽は萌える!!進展しなくても萌えますw
89名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:47:27 ID:O/Ym2dBZ
79です
風梅さん、こちらこそ不快な思いさせてしまってごめんなさい
もちろんどんなカポーもwelcome!
こちらこそよろしくって感じです。
(百合でも何でもどんとこい!もうこのさい龍×ピンでもw)

ごくたまにでも正統バカップルな二人の
ウブコントとか、ぷしゅーとかが、息抜き程度にでも読めるとうれしいなぁって程度ですww
90名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:59:58 ID:78sCM7jG
風梅好きですよ〜。切なすぎて
今日はコミクス1巻から思わず読み返してしまったw
同窓会でみんなが再会するの楽しみにしてます。
91風梅:2009/01/24(土) 00:52:02 ID:yN87o3Vt
>>89>>79さん
全然不快なんかじゃないですよ!
なんか誤解させてしまってごめんなさい
いや、私が勝手に梅をヒロインに持ってしまったんで、
みんな受け付けないかなって不安になってたんで…

私も超ラブラブな風爽好きですwwww
92名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 02:21:48 ID:btobn4t1
君に届けって
こんなに人気あったのか
931夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:02:51 ID:d+McDfwt
カフェインどもです。
切ないのを書き疲れたのでラブラブで軽いノリのやつを
書いてみた。エロはちょい少なめ
カプは風爽
今日が夜勤なのでUP後すぐ寝る。後半はあさって?
ではドゾ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
※二人は大学生になってます。

「モデル?」
風早はきょとんとした顔で爽子に聞いた。
いつものデート、お気に入りの店で、爽子は風早に
『あの、絵のモデルになってくれないかなあ。…スケッチでいいんだけど』
と突然言い出したのだ。
詳しく話を聞くと爽子の大学ゼミでの宿題に『絵』が出たという話らしい。
精神状態を絵で表し、心理分析するという課題なのだと。
「そうなんだ。風景とかじゃダメなの?」
「う、うん翔太くんじゃなきゃだめなの。その課題が…」
真っ赤になって呟くように言う爽子。
「…『一番好きなもの』だから」
それを聞いて風早もかぁあっと赤くなる。
爽子は真っ赤な顔のまま説明を続けた。
その言葉を聞いて、一番最初に思い浮かべたものを
書かなくてはいけないのだという。
(そんなん、バカ正直にしなくてもなんとでもごまかせるのに)
942夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:10:55 ID:d+McDfwt
爽子のどれだけ付き合っても褪せることのない真摯さに
風早は浮かぶ微笑を隠せない。

その微笑みをどうとったのか爽子は慌てたように付け加えた。
「あ、あのね、『もの』って思ったわけじゃないよ!?
ただ、それ聞いた瞬間、翔太くんの笑顔しか思い浮かばなかったの…」


……ちくしょう、可愛い…っ。もう、なんなんだよこの可愛さ反則だろ!?

白い頬を桃色に染め、恥ずかしそうに瞳を伏せる爽子は震える
長い睫までもが可愛く色っぽい。
風早は頭の中でクールになるおまじないを唱えた。

いつまでも我侭な子供のままの俺じゃない。
ちゃんと大人の男になるべく日々努力してるんだからな。

この可愛いひとの側にずっと居続けるために。
このたまらなく愛しいひとに相応しくあるために。
風早は大人の余裕を見せながら今度こそ優しく微笑んだ。

「もちろん、いいに決まってるよ。
そうだなー、水曜日暇?俺午後講義ないし、
昼一緒に食べてそっから俺ん家でやろ?」
953 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:14:05 ID:d+McDfwt
風早は大学こそ爽子と同じ道内だったが、少し地元からは遠かったためひとりぐらしを強いられている。
しかしその言葉には下心などなかった。
…いや全くなかったといえば嘘になるけど、
その時は純粋に爽子の絵のモデルをやってやるつもりだったのだ。

「では、おねがいします。」
風早は斬りあいでもはじめそうな真剣な彼女の表情に笑いを抑えられなかった。
「あははっ爽子ってば、なんでそんなに果し合いするみたいなんだよ」
風早のおひさま笑顔はいつも爽子を安心させる。
爽子もつられてふふっと笑った。
…風早のおひさま笑顔はいつも爽子を安心させる。
その反対に爽子のきらきらプリンセススマイルはいつも風早を赤面させた。
風早は息を整えながら神様に軽く恨み節を呟いた。

絶対神様は爽子を可愛く創りすぎだと思う…。

いい加減慣れてもいいと思うのに
風早は未だに爽子の笑顔には心臓が締め付けられるし
爽子の声にはうっとり聞きほれるし
爽子の唇に触れると酔っ払ったような幸福感に支配されるし
肌をあわせるようになった今でさえ
手をつないだだけでフルマラソンくらいなら走れそうな気がするのだ。
964 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:17:42 ID:d+McDfwt
風早の内心の葛藤など知る由もなく爽子は真剣にスケッチに取り組んでいた。
その生真面目なまなざしに風早も神妙な顔でじっとモデルを続けた。

さわさわいう風と気持ちのよい日差しが窓から入ってくる。
そして目の前には世界一愛しい爽子。

(あーなんかものすごい幸せ…)
風早はしみじみと幸福感に浸った。

しかしそのまったりした平和な時間は長くは続かなかった。
別に外的要因があったわけではない。

ただ風早がふ、と爽子の視線を意識してしまっただけだった。

今爽子の視界を占めてるのは俺だけ…なんだよな。

爽子の、綺麗なものばかり映す澄んだ綺麗な眼。
その瞳で真摯で生真面目にみつめられているのだと思うと
風早は血液が沸騰しそうな気がした。
(や、やべ、しずまれ心臓…!)
「翔太くん…?あ、ごめんっ疲れた?喉乾いた?お茶、いれよっか?」
「あ、うん…そーだね。疲れてはないけどお茶、飲みたいかも。」
とりあえず、爽子の視線を強烈に意識したが為に喉はからからになっていた。
975 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:19:50 ID:d+McDfwt
お茶を飲んだあと再度デッサンは開始された。
もう疲れたのならやめようか?という爽子に
風早は大丈夫と言い張って続けさせたのだ。

だって爽子の視線ひとりじめなんだもん

風早はそんな至福の時間を手放す気にはとてもなれなかった。

爽子の視線は風早の体中を心地よく焼き続けた。
ずっとこの時間が続けばいいのに…と風早はうっとりと思った。
見たこともない爽子のゼミの教授にまで感謝した。

「おわった…!終わったよ翔太くんありがとう!」
風早の至福の時間を爽子の嬉しそうな声が終らせた。

嬉しそうにスケッチブックを抱きしめて頬を染め言う君はとてもとても
可愛いけどさ。
風早はなんだか面白くなかった。
もっともっとこの至福に浸っていたかったのに
爽子はそんな風に喜んで終らせようとしている。
風早は爽子にほんのり意地悪したくなってきた。
986 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:24:25 ID:d+McDfwt
昔みたいに焦燥や嫉妬で爽子を酷く傷つけるほどの
余裕のなさにはさよならしたが
今でも風早は爽子に構ってもらいたい病にかかっているのだ。

「ありがとうね翔太くん…!」
「うん、じゃあ、今度は俺がお礼してもらおうかな」
「え?うん、もちろん!今日は腕をふるってご馳走を…」
風早は爽子の手からさりげなくスケッチブックをとりあげ
机の上におくと爽子をやんわりと抱きしめた。

「うん、ご馳走して。今すぐ食べるから。」

その言葉の真意を問おうとする前に風早の身体の変化が爽子にそれを伝えた。
爽子は自分の腹にあたるその変化に頬を赤らめ瞳を伏せた。

風早は熱い耳朶に唇を触れさせながら楽しそうに囁いた。

「…ずっと爽子に見られてると思ったら、
こんなんになっちゃった。責任、とって?」
99後半に続く 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/24(土) 04:27:58 ID:d+McDfwt
眠くて後半に続くを入れ忘れた。
レスの無駄遣いスマヌ
次回後半はあさってくらいにUP
100名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 05:18:34 ID:BJotrcV8
GJ!ラブラブも素敵!
後半楽しみにしてます
101名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 06:20:31 ID:NszKn9ND
GJです
ラブラブでも切ない系でも鬼畜でも、美味しく読める自分にバンザーーーイ、君に会えてよかった〜〜
102名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 07:23:15 ID:TLxdQYDU
GJGJ
掛け合いがおもしろい
後半待ってます〜
103名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:21:03 ID:oGxVPLBu
このスレがこんなに盛況していることが嬉しい
104名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:39:30 ID:AWF67OSg
Wカフェイン職人!!ありがとう!!
105名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 21:49:26 ID:/++RnZ9W
風梅さん、夜勤明けさん、お忙しいのに、本当にありがとう!!
神職人様方のおかげで休載中も楽しく過ごせそうですw

原作と違うカップリングすらおもしろい。
龍ちづは龍ちづじゃないとなんか成り立たない感じだけど、他は意外とそうでもないね。風梅もおもしろいし。
女の子同士のカップリング話もでてたけど、
やの爽ってありえないかな?w
前から原作で思ってたんだけど、三人の友情で、やの→爽だけがそんな感じするんだよねw
ちづ爽、やのちづ、爽→やのはほんとに友情で一切そんな感じしないんだけど。私だけかww
106名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:08:55 ID:BJotrcV8
あやねは爽子に憧れももってそうだからなあ
風早と同じであやねも、爽子を眩しいくらい綺麗で可愛いくて大切な子って思ってて、力になりたいって思うのかもね
107名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:50:51 ID:d+McDfwt
やの爽はありだと思ってたw爽子にマジ迫りされたら落ちそう。しかし爽子はほんとSを引きつけるよなw
108名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:56:26 ID:TLxdQYDU
意外なところでピン爽カポーも面白そうだ
除霊(?)してもらううちに爽に惚れてしまうピン!
そして、風とはちがうADULT☆なピンに惹かれてしまう爽…妄想は尽きずw
109名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 02:30:25 ID:S3CsQxYO
>>108
いいね、ぜひ作品にしてほしいwww
110風梅35:2009/01/25(日) 03:03:14 ID:mjgTQnMh
風早は薄暗い天井をぼんやりと見続けている。
そしてゆっくり、大きく息を吐いた。

「でも…それでも」
「…爽子に、俺を受け入れて欲しかった…」


初めて聞いた、彼の本音。
「ほんっと、わがままだよな、俺…」

そこには、幼い無力な男の子がいた。

ただただ、愛される事だけを望んでいるような。
光ある手が差し伸ばされるのを、ただただ待ち続けているような。
小さくうずくまって、彼は待っているのだ。
この出口の無い暗い暗闇から引き上げてくれる、暖かいその手を。


「…ダメじゃない」
「何も、わがままじゃない…」
ゆっくりだが強い梅の声は、少しひんやりしたその薄暗い部屋に静かに響く。




「…暖かい手」
風早が静かに、少し微笑みながら、頭を傾けてその繋がれた手を見た。
深い寂しさに覆われたその瞳は、わずかな微笑のあと、動きを止めた。
111風梅36:2009/01/25(日) 03:06:29 ID:mjgTQnMh
「・・・……爽子………」

涙と共に溢れるのは、彼の彼女への深い深い想い。
伝えても伝えきれなかった、今はもうどこにも行き場のない想い。
彷徨い果てたその想いは、数年の時を経て彼の心から溢れ出る。

「爽子…爽子…っ…」
繋がれた風早の手に力がこもる。
梅はその力を全身で受け止めた。
「…なんで…なんで……爽子…」
熱い涙で歪む、彼の痛い程切ない表情。



梅は彼の頭を抱きしめた。

大丈夫
大丈夫だよ、風早
お願い、風早。ねぇ、気付いて。

あなたを愛することで、幸せになった人間がここにいる。


「わたしに全部ぶつけてよ…!どうしようもないんでしょ?!辛いんでしょ?!」
梅の胸の中で、風早は嗚咽する。
「全部ちゃんと受け止めるから!!大丈夫だから!!ねぇ風早…っ」
唇を強く噛み締めながら、ただただ必死に言う梅。
赤く腫れた彼女の瞳に、もう涙はない。

「…わたしを爽子ちゃんだと思って、全部ちゃんとぶつけて…!!」
力強く目を閉じる梅。


次の瞬間。
激しくベッドが軋む音。
見上げると、悲しみにくれた、涙で頬を濡らす彼の顔があった。
昇った満月の光で出来た影は、ふたりを薄く照らす。
「……爽…子…っ!」
強いキス。
全てを残さず吸い取るような、激しいキス。
首筋や鎖骨、胸にとめどなく付けられる、赤い印。
風早の呼吸はどんどん荒くなり、名前を連呼する。

爽子。
爽子。
爽子。

梅は強く目を瞑って、彼を受け止めていた。


お願い、神様
彼からこの苦しみを取り裂いて
彼を救い上げて
わたしなんでもするから
わたしが彼を守るから
この痛みを全てわたしが背負うから
だからお願い、神様

どうか彼に、またあの光を。
112風梅37:2009/01/25(日) 04:31:42 ID:mjgTQnMh
部屋に呼応する、ふたりの荒い呼吸。
もうこの手には抱く事が出来ない女の子への想いを胸に、風早は夢中で梅のなめらかな肌を貪る。

「あぅ…んっ…っ!!」
初めて感じる男の肌。
レースがあしらわれたレモンイエローのブラジャーが勢いよく取りさらわれた。
ざらざらした大きい手は梅の膨らんだ乳房を揉みしだき、その手のひらの中でぷっくり実った突起を入念に転がす。
思わず声をあげてしまう梅。
まくられたスカートから見える彼女の太ももには、熱く興奮しきった彼の下半身が何度も激しくこすり付けられている。
(あ…あつ・・・っ)
幾度となく繰り返される淫らなキスに、梅はうまく呼吸が出来なくなっていた。
「…さわこ…、…っはっ…はぁっ…」

頭がうまく回らない。
互いの身を包んでいた服は激しく乱れ、梅の首にたくし上げられた白く柔らかいモヘアニットは、彼女の上半身に付けられた幾数もの赤い印を誇張する。

今も彼は自分ではない女の子の名前を何度も何度も発し続けていた。
梅の心臓は、その度に、まるでナイフに突き刺されたかのように激しい痛みを感じる。

わたしを、わたしとして見てくれていた風早。
なのに今、彼はわたしに、わたしではなく別の女の子を重ねている。

しかし今はこの快感にだけ、身を任せていよう。
悲しみなど全て忘れてしまうくらい、溺れてしまえばいい。
梅はそう心に決め、全身で彼の愛撫を感じるように目を閉じた。

風早の舌と指による執拗な全身愛撫。
なおも彼女の火照った肌は、彼の唇によって赤く染まり続ける。
乳房の突起を激しく吸われると、全身がピリピリして何も考えれなくなる。
積み重なっていく初めての感覚に、梅の身体はどんどん熱を増していった。

と、太ももに激しく摩擦され続けていた、今にも破裂しそうな熱の塊が、梅の身体から離れた。
「あ…っ!」
思わず梅が切れるように声をあげる。
風早が息を荒げながら両手で梅の細い膝頭を掴むと、躊躇なくそれを拡げたのだ。
その瞬間、脚の付け根の更に中央に篭っていた熱が、一気にふたりを包む。
113風梅38:2009/01/25(日) 04:49:11 ID:mjgTQnMh
「やっ・・・!」
その熱が風早を包んだ事が恥ずかしくて、頬を真っ赤に染めた梅は、咄嗟に脚を閉じようとした。
しかし、押さえられた彼女の膝頭は、彼の力によってびくとも動かない。
「っ、ひゃあぁあぁっ!!」
間髪入れずに、風早の温かい口が、すでにぬるぬるに滑る梅のパンティーにむしゃぶりついた。
唾液でまみれた舌は、生地ごしに上下をなぞりながら、小さな突起を何度も突き、何度もくるむように吸う。
「うぁっ、あ、あぁああああぁっ、だ、だ、め、そんな…っ変になっちゃ…っ!!」
更に火照る梅の身体。
梅は、彼が今夢中で愛撫している部分の奥がどんどん熱くなるのを感じていた。
熱くなっては弾けるように、何かがどんどんそこから溢れてくる。


パンティーは剥ぎ取られ、彼の熱い呼吸が梅の濡れそぼった秘所にあたる。
「くぅ…んっ」

激しいキスで再び口を塞がれた梅。
「んっんんんっふ、ふぁ、んんっ!!」
風早の指は直接彼女の秘所をまさぐり、膣へと侵入していく。
大きく目を見開く梅だったが、初めて指を受け入れた梅のそこは
風早の太い指にねちゃねちゃと激しく出し入れされると、その指を逃すものかと絡みつくようにいやらしく吸い付く。
膣で上をこすられ、ますます熱い粘液は溢れ出るばかりだった。
梅は身体が今にも発火しそうになるのを感じながら、ざわざわとしたとてつもない快感が押し寄せてくるのを感じていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

またきりのいいとこまで投下します
もーこれ仕上げなきゃほかの事手つかないやwwww
週1どころか2、3日に1回投下してるなww

あと、ちょっと風の行動や文章の表現に引いてしまう方がいたらスミマセン。
114名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 05:07:03 ID:vMAuxmVs
めっさエロス!
続き楽しみにしてます
115名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 05:44:21 ID:Puzsby6+
エロス以外の何物でもない
GJ!
116風梅39:2009/01/25(日) 05:52:32 ID:mjgTQnMh
朦朧とした意識の中、風早の溶けそうなほど熱い棒が、見事にすんなりと膣に侵入してきた。
と、少し弾力あるモノによって侵入を妨げられた、ビクンビクンッ、と脈打つ風早の肉棒。
梅は少し眉をひそめる。
しかし、風早が少し腰を深く進めると、ぷちゅんっという水音と共に肉棒は更に奥へと侵入していった。
「っく、あぁ…っ」
初めての感触。
(う、そ、すっごい硬くて、熱い…っ)
彼の執拗な前戯のおかげで痛みこそあまり感じないが、下腹部が押し上げられるような妙な感覚を覚える梅。

こ  つ  ん っ

「ひぁっ!」
子宮を突かれ、思わず身体が反れる。
次の瞬間から、激しいピストンが開始された。
ぷじゅっちゅくくっ、ずにゅっ
梅の腰は風早に持ち上げられ、根元まで挿れては戻し、再びそれは根元まで梅の膣をとことん貪る。
「あっあぁっああぁあっ!!や、だ、だめぇっ…そんな、…っ」
梅の膣からはどんどん温かい蜜が溢れ、硬柔ある2つの皮膚同士の摩擦をより滑らかにする。

あたまがおかしくなりそう。

梅は彼のいやらしい腰の動きを薄ら目のなかで見ながら、先ほどまでの快感が一気に昂ぶるのを感じ取った。
「あ、あ!っ…あぁ!あぁあっ」
風早は挿入したまま器用に素早く体位を変え、梅をベッドにうつ伏せにさせると、その小さなお尻を上向けに掴み、
更に激しい挿出を続けた。
じゅっつぶぶっぶちゅっずちゅっ!!
とめどなく溢れ出る粘液は、風早の肉棒をぬらぬらと照らす。
風早の息遣いはどんどんどんどん荒くなっていた。

「あ、あぁ、もう俺、爽子、…っイクよ、イッ…あ、っ」

と、風早の右手が梅の秘所の突起へと伸びると、指の腹でくにゅっとすり潰した。

「!やっだ、だめ、そこっ・…ああああぁっだめだめ…ぇっ!!」
きゅうう、と梅の膣は強く伸縮する。

次の瞬間、熱い肉棒は爆発し、ふたりは荒い呼吸の中、全身で痙攣を繰り返したのだった。
117風梅40:2009/01/25(日) 06:53:09 ID:mjgTQnMh
ぽたっ、ぽたっと、風早の熱い汗が梅の華奢な背中に落ちる。
梅は、初めて感じた快感による不定期な痙攣を、繰り返していた。
風早は、その梅の背中を見て、はっと我に返ったようであった。
「………っ、くるみ、ざわ……」
大きく目を見開き、肩で呼吸をながら、風早は彼女の名前を呼ぶ。

泣かない
泣くもんか
こんなこと、全然大したことじゃない

小さな肩は、小刻みに震える。

大丈夫
わたしの事はいまはどうでもいいんだ
泣くもんか
泣くな、わたし

きつくシーツを握り締める梅。

振り返ったその瞳に、涙はなかった。

急に罪悪感が押し寄せてきたのだろうか。
風早はおもむろにその瞳から目をそらした。
「……胡桃沢、俺…っ」

梅は再び風早を頭から抱きしめた。
小さな子をなだめるように、優しく、強く。
温かい、ふたりの体温。
風早は梅の体温を、その鼓動を、静かに感じていた。

「風早。」
梅はゆっくりと口を開いた。
118風梅41:2009/01/25(日) 07:03:47 ID:mjgTQnMh
「風早がダメだったんじゃない。
爽子ちゃんがダメだったんじゃない。
健人がダメだったんじゃない。
誰もダメなんかじゃなかったんだよ」

「誰のせいでもない。風早が自分を責める理由なんて、どこにもないんだよ」

風早の頭に回された梅の細い腕に、優しくて強い力が込められる。
「……でも……・…」
その言葉に躊躇する風早。

「ねぇ風早、わかってる?」
「風早は、わたしを幸せにしてくれたんだよ」

「…俺、が…?」
風早は梅を見上げた。

ああ、なんて不安そうな顔。
なんて寂しそうな顔。
愛おしい、あの頃のあなたの顔。

梅は穏やかに微笑んだ。
「風早をすきになったおかげで、わたしはたくさん成長できた。
あなたをすきになったことを後悔したことなんて1度も、ない」

自信を持って。
あなたは人を幸せにした。
あなたはわたしに、光の道を導いてくれた。
わたしは前に進むよ。

だからあなたも、光を手に入れて。

「あなたはいつだって、わたしを照らす太陽なの」
119風梅42:2009/01/25(日) 07:38:38 ID:mjgTQnMh
子供のように小さく寝息を立てる風早。
その手はしっかりと、梅の手を握っていた。

梅は彼の前髪を優しく撫でる。
そしてゆっくりとベッドから起き上がり、繋がれた手をそっと離す。
身なりを整えると、梅は再び彼のもとへ行き、布団をかけなおした。

足音を立てないように、ゆっくり玄関に向かおうと踵を返す。
と、薄明かりの中、テーブルの上にある見慣れた1枚の葉書を見つけた。
爽子の名前名義の、同窓会の葉書。
その葉書には、梅のものとは明らかに違った部分があった。
葉書の下部分に綺麗な字で書かれてある、3行のメッセージ。

「翔太くん、お元気ですか?身体は壊していないですか?
今年の同窓会には、是非翔太くんにも来て欲しいです。会って、たくさんお話が出来たらいいね。
では、当日待っています。  爽子」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

梅は静かに部屋を出た。
後ろを振り返る事は1度もしなかった。

あの高校3年から、彼を避けだした梅。
思い出に固執していた、この2年間。
前に進まなくてはいけなかったのは、ほかならない自分もなのだ

「…泣かないっつーの…なんで泣かなきゃいけないの、わたしが」
「〜〜っ、ひっこめ、うぜー…っ…でてくんな…っ!」

溢れ出るのは大粒の涙。
見上げた雲ひとつ無い満月の空は、とても美しく光を放っていた。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
以上
なんかありきたりな展開になってしまったけども、とりあえず残すは同窓会編
長かった…42個も消費してごめんなさい。
41の梅はなんか悟り開きすぎな気がしてきたから、もしかしたら後で41・改
を投下するかもしれないっす
120名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 08:28:44 ID:yzPUi+yM
うわあああ!エロすぎる!
エロすぎてくらくらするわ。

風爽至高派だけど、描写が上手すぎて、違和感なく読めました。
ぜひともこの文才で描かれた、風爽が見たいなあ・・・。
121名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 10:34:53 ID:0jSiEVLl
梅が切ない…
すごく引き込まれました!同窓会編も楽しみにしてます!
122名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 17:22:36 ID:Xpkdydwk
GJGJです風梅様っ!
素晴らしい文才ですね。
入り込めたぁ〜。

次も楽しみです!
123名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 20:54:44 ID:iBG+6r3P
エロイんだけど梅も風も切なくて痛々しいね。
この痛みがリアルだなあ…。
爽子への思いを殺してくれるのが別の女性ってこともあるんだな。
梅は風への想いを誇りにできてるから痛々しくても昂然とカッコいいな。
風は爽子を好きになって幸せだった事を思い出せればいいね。
恋がもたらすものが痛みだけではないと知ってくれればいい。
124名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 11:41:11 ID:u3DTTXJT
本当に凌スレだわ
125名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 12:27:19 ID:1KfBw0nA
風梅様 GJです
エロさが半端ないのにせつね

切ない祭の中だけど一個投下。
not男女カプ 
とどのつまり百合注意 キャラ崩壊注意
エロのみ注意
爽子総受け

↓ココヨリ


「ほら爽子、ちゃんとこっち向いて…」
爽子は柔らかな快感に支配され息も絶え絶えに言った。
「あ、あやねちゃん、私、恥ずかしい…」
くすっと笑うあやねのふっくらとした唇はどこまでも艶かしい。
「何が?何が恥ずかしいの?言ってみな。」
その時爽子の白い胸をやわやわと後ろから弄っていた千鶴が
爽子の真っ赤な耳朶に囁いた
「そうそうご主人様の言う事は聞かなきゃだよ。ちゃんといってみ?」
爽子はそれでも恥ずかしそうに唇を噛んだ。
淫らさを抑えようと懸命な姿が嗜虐心をそそり、
その姿は息も呑むほどに淫靡だった。
ほとんど意味を成していない爽子の乱れた衣服をさらにほっそりとした指で
あやねがそっと剥いだ。
「言わなきゃ、お仕置きよ?」
「あら、お仕置なら私に任せてもらわなきゃ。」
梅がにっこりと微笑んだ。
普段の柔和な仮面は脱ぎ捨て、それはあたかも
得物を前に妖しく目を光らせる麗しきハンターだった。
126名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 12:45:15 ID:1KfBw0nA
「前から爽子ちゃんの白い肌に似合うと思ってたのよね」
梅の手にあるのはは赤いベルベットで作られた首輪
「綺麗な肌、傷つけるのやだから布で作ったの。…爽子ちゃんほど
上手に縫えないけど、私もがんばったんだよ?」
それを見てか、梅の嗜虐性を垣間見たせいか爽子の眼が怯えの色を浮かべた。
「ふふ、梅GJ。爽子怯えさすとかーわいいのよね。」
あやねのそんな言葉ににっこりと梅は微笑んだ。
「ありがと、あやねちゃん。それと梅って言うな。
ノートに名前書いとくからね。」
その脅迫は軽く流しあやねは梅のお手製首輪を爽子のほっそりとした
白い首に巻いた。
「うふふ、かわいい。よく似合うわ」
あやねは艶かしく光る唇をペロリと舐めると爽子の桜色の唇に重ねた。
そしてそのまま指はいまやかろうじて主を守る下着に入り込んだ。
「んんっ」
淫らな喘ぎを漏らして爽子の身体がぴくんと動いた。
127名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 13:06:11 ID:1KfBw0nA
「やめっ それは俺でもまだっ…うーんうーん矢野ぉーやめろー」
うんうん唸りながら爽子の膝枕で寝くたれている風早を見ながら
矢野は言った。
「ねえ、さっきから風早がなんかものすごく不快なんだけど
殴っていい?」
「だっだめだよっ昨日遅くまで試験勉強してたんだって。ようやく
終ったんだから寝かせてあげて。」
爽子は恋人に不穏な視線を送る親友に慌てて言った。
まさか彼が自分の膝の上でそんな淫らな夢を見てるなんて欠片も思いもせず
爽子は愛しそうに風早を撫でた。
「ほんとアンタは風早には甘いんだから…。」

ちなみに眼を覚ました風早はどっぷり落ち込んで
しばらくは爽子をはじめ、あやね、千鶴、梅の顔すら直視できなかったらしい…。
(おしまい)
−−−−−−−−−−−−−−−
ありがちな夢オチで しかも風早を爽やかさの欠片もない奴にしてしまったw
まあ彼も性少年なので当たり前に淫夢くらい見るよ
個人的には龍ちづのエロじゃなくてもいいからカプが見たい
あと矢野がらみ。ピン矢野 ケン矢野いいね
ケン矢野なら「アンタがあたしを満足させられっかよ」→勝負→矢野ちんの思わぬ
可愛さにメロメロみたいな
128名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 14:37:59 ID:Wg2rM2kV
ワロタwwwww
結構好きだ  GJ!! 次も是非
勝手なイメージだが風はこんな夢みてそうだとおもたよ
129名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 14:40:52 ID:7rR8fIqO
GJGJ
こーいうのもいいね!
130名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 19:26:29 ID:EjZ6qhcQ
>>127
GJ!楽しかった

そのケン矢野ピン矢野イイ!
131名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 23:00:54 ID:1KfBw0nA
風早って原作のままだとキスだけでも燃え尽きそうなほどウブな感じだけど
エロに特化させるとほんとエロ大使だよなあ。
潜在スケベ力スカウターぶっちぎりみたいな。
そんな事より風早の独占欲って爽子抱けば少しはおさまんのかな。
抱いたら「俺の女」って感じがするから余裕も出てくるのかなとも思うけど。
でも抱いたら抱いたで余計爽子しか見えない君になる気もするし
132名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 23:15:18 ID:fKe8tM08
原作の今現在の風早だと、結構強引で考えなしなところもあるから付き合いだしたら手は速そうw
一度抱いたらもっと色んな黒沼がみたい!って燃え出すタイプかなー。そんでもっと独占欲強くなる気もする
あくまでも今現在の風早なんでこれから成長したらわからんw
1337 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:26:31 ID:rg0zPfGw
>>93〜99の続き
風早は爽子の華奢な体をやんわりと抱き、そっと唇を落とした。
優しいバードキスから徐々に口付けを深くしていくと
慣らされた舌が熱く絡んでくる。
性急に爽子の服をたくしあげ
やわやわと彼女の控えめな乳房を愛撫するとぴくん、と身体が動く。
風早はそれだけでもうかぁっと血が湧き上がる。
はやく爽子のすべてに触れたくてたまらなくなる。
風早が爽子の服を剥ぎにかかると、爽子に軽く止められた。

「…じ、自分で脱ぐ…から。」

風早は少し意地悪気に微笑んだ。

「うん、じゃあ見ててあげる。」
「えっ…恥ずかしいよっ」
「今日ずっと爽子も俺のこと見てたじゃん。お返し。」

うー…と軽く唸りながら爽子は恥ずかしそうにセーターとスカートを脱ぎ、
軽く躊躇しながら薄い白いレースのブラジャーも外した。
控えめではあるが形のよい白い胸がぷるんと現れる。
爽子が恥ずかしそうに胸を隠しながら
最後の一枚をそのなだらかな細い腰から取り去る様を
風早は息を呑んで見ていた。
風早は何度見てもその度に爽子の白い裸身に感動を覚えた。
華奢なのにしなやかで、どこまでも柔らかで、瑞々しい。
1348 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:31:09 ID:rg0zPfGw
清潔な林檎の花の香りが匂いたつような気さえする。
風早は耐え切れず爽子を胸に引き寄せるとそのままベッドに押し倒した。
ぎしり、とベッドのきしむ音がやけに部屋に響く。
もう一度夢中で爽子の柔らかな唇を貪り、
吸い付くような肌に唇の雨を降らせていると爽子の咎めるような声がした。
「翔太くんも、ちゃんと…脱いで?」
そして夢のように儚い声が 肌が触れ合わないのは嫌…と囁いた。


荒く熱いふたつの呼吸が静かな部屋に響く。
慎ましやかに抑えられながらも耐え切れず漏れる
爽子の甘いあえぎが風早を限界まで追い立てた。

風早は手早く薄い避妊具をつけた。
ほんとうはこの薄い隔たりですら邪魔だと感じる。
準備もできていないのに
その欲求を通す事は大切な存在を傷つけることに他ならないということも
重々承知していたが。
溶け合う時に自らの肌ですら邪魔に感じるのだから
無理もないことではあった。
風早は爽子を抱く度に
このままこの白い肌に溶け込んでしまいたいという欲求にかられるのだ。
1359 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:35:28 ID:rg0zPfGw
「爽子…」
自らを埋める前にいつも風早は切なげにそう爽子に囁く。
爽子はそれでその後に来る重さとそれに続く嵐のような快楽に備える。
そしてふたつの呼吸は混ざり合い、同じ律動を刻んだ。
風早の小さな部屋が濃厚で甘やかな空気に支配される。
互いの名前を繰り返しながらやがて甘い灼熱が二人を包み込んだ。


情事の後の気だるさにうとうとしていた爽子は
ふと目を覚まして風早が指を折りながら何か数えてるのに気が付いた。

「何数えてるの?」
「…んー…あとどれぐらいで爽子迎えに行けるかなーと思って
やんなきゃいけないこと数えてた。がっこ卒業して、就職して…」

はーっ遠いなーがんばんなきゃなーと風早は溜息をついた。

高校の卒業式の日、爽子の両親の前で
風早は第一回目のプロポーズをかました。(爽子父は3日寝込んだ)
それ以来なんどもプロポーズされていて
さすがの爽子もそういうそれでも未だにその手の言葉に頬を染め
嬉しそうに微笑んだ。
爽子も自分の未来が風早と共に在ることを全く疑ってはいない。
二人に必要なのは待つことだけだった。
発言を驚く事はなくなった。
風早は爽子の髪をさらさらと弄りながら言った。
13610 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:41:11 ID:rg0zPfGw
「…昔さ、龍に『爽子っていい名前だから子供につけようかな』
って言ったら『母親とおんなじ名前つける気か』って言われた事あったんだ。」

爽子はぼぼっと赤くなった。

「母親…ってわ、わたし?」
「あたりまえじゃん。俺がおとーさんで爽子がおかーさん。」
「翔太くん、子供ほしいの…?」

爽子の言葉に風早は少し考えてにひっと笑った。

「半分、半分かなー。爽子とずっと二人っきりていうのも悪くないし、
野球チーム作れるくらいできても嬉しい気がする」

爽子はいつかくる未来にぽぉーっと思いを馳せた。

「しょ、翔太くんに似るといいね!」

明るい笑顔で会う人みんなを照らすあったかいおひさまみたいな。
爽子が眼をキラキラさせて言うと風早はうーんと少し難しい顔をした。

「俺は爽子に似ればいいと思う。
ていうか俺に似てるのなんか1%くらいでいいや。」

えええっと驚く爽子に風早はくすっと笑った。

「俺に似たら欲深い子になりそうだもん」

風早は自分の爽子への尋常じゃない執着を自覚していた。
爽子は少し考えてそうかなあと言った。
13711 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:45:21 ID:rg0zPfGw
「ははっ俺がめっちゃ欲張りなの、爽子が一番知ってんのに」
「翔太くんは欲張りっていうか…」
うーん…と爽子は自分の中の言葉を探りそして見つけ出して嬉しそうに言った。

「きっとすごく豊かなんだと思う。」
感情も、思いも、情熱も。
そして生きるエネルギーも。
だから太陽に魅せられるように簡単に人は風早に魅せられる。

爽子は自分にはないその豊かな貪欲さにすら惹かれた。
風早が同じように爽子の何にでも満足と幸福を見出す
清廉さに焦がれているとも思わずに。

風早は少し息をとめ、爽子の柔らかな笑顔をみつめた。
花の香りがするような、大好きな微笑み。

俺はきっと何度でもこうやって君に恋をするんだろう。


「…爽子。」
「ん?なあに?」
「もっかいしよっか。」

その言葉にぽんっと赤くなった爽子が可愛くて
風早はちゅ、ちゅ、と頬やら唇やらに口付けを降らせながら
第二ラウンドに入ろうとして爽子に止められる。

「えー…や、なの?」

爽子は赤くなりながらもぼそっと言った。
「嫌、じゃないけど…」
爽子の視線の先には時計。

「…やべっ!もーこんな時間!?」
13812 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:49:34 ID:rg0zPfGw
爽子と付き合うにあたって、爽子父より門限の厳守が言い渡されている。
友達どもはにやりと笑いながら
アリバイ作りには協力するとは言ってくれてるのだが
爽子父の『いくら公認でも、嫁に出すまでは俺の娘でいさせろ』
という言い分もわかる。
ましてやこんなに可愛い娘なのだから手放したくない気持ちは
風早には痛いほどわかりすぎた。

もし将来爽子に似た娘ができて誰かが自分と同じことを娘にやらかしていたら
とりあえず顔の形が変わるほどに殴っとく。
…実際にやりはしないだろうがそれぐらいの気持ちだろうと思う。

だから爽子父の思いをあまり裏切りたくないなと思うのだ。
身支度を整え、彼女を送るべく車のキーをちゃらりと取った風早に
同じく手早く身支度を整えた爽子が残念そうに言った。

「ごめんね、今日ほんとはお礼にご馳走作るつもりだったのに…。」

風早は、爽子をよしよしと撫でるとくすっと笑った。

「ご馳走、もらったじゃん。…ちょーうまかった。」

その言葉にきょとん、としたあと咀嚼して
意味を悟った爽子はまた赤く頬を染めた。
139終わり 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/27(火) 00:59:12 ID:rg0zPfGw
爽子が言葉を出せず、甘えるような咎めるような眼で風早を見ると
風早も赤くなってあはは、と笑った。

「やっべ、そんな顔で見られたら
爽子のおとーさん裏切りそうだから早く送ってくよ。」

いろんな季節を乗り越えて二人はここまで来た。
たぶんこの先もいろんな季節を二人で過ごしていくんだろう。
そしてやがて二人で見ていた桜を
3人、4人と増えていく家族と共に見るのかもしれない。

…春まであと少し。
(おしまい)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
小ネタのはずがちょっと長くなった。
甘バカップル
ちなみに風の車はガッコの先輩に拝み倒して譲ってもらった年代物の中古
人脈を駆使し手入れをし、ようやく乗れているような代物です。
北海道の交通事情がわからんので車を持たせてしまいました

次はケン爽。もしかしたら2篇書くかも。黒沼S子はそのあと。
140名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 01:39:54 ID:Y5Qh9wZl
ギャー!GJGJ!
なんだかニヤニヤしてしまうww
141名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 01:44:24 ID:s9Iop5z+
夜勤明けさん最高!!
GJGJ〜!!
黒沼S子ちゃん楽しみ〜
142風梅43:2009/01/27(火) 02:40:29 ID:Mibo7l1F
「爽子―?どしたの」
健人が窓際に立って空を見つめている爽子に声をかけた。
「あ…ううん、満月がすごくきれいだなって。ほら」
星空が散りばめられた高い夜空に目を輝かせている。
「お、すげー」
健人は窓際に寄り、一緒に空を見上げた。
ふたりは軽く視線を交わし、健人は身をかがめ、愛しい小さな彼女にキスをする。
だいすきな人の体温を感じながら、微笑む爽子。
「…お父さん、酔っ払って健人くんにいっぱい飲ませようとしちゃってたね。ごめんなさい」
「あはは、でもおれ嬉しいよー。だって爽子のお父さん、最初おれと全然口聞いてくんなかったんだもん」
やっぱ一人娘だもんなぁー。としみじみしたように言う健人。
「でも。お父さん健人くんのことなんだかんだで気に入ってるみたい。
じゃなきゃあんなに健人くんの前でお酒飲まないもの。下のソファでいまお母さんが介抱してるんだよ」
健人は優しい表情で爽子を見つめる。
「風早には紹介してたの?」
健人は彼女の頭を撫でると、ベッドに腰掛け、同窓会の出席者リストを見ながら言った。
「あ・・ううん、でもお母さんには・・会ってたかな。」
カーテンを閉め、爽子はベッドに腰掛ける健人の足元にちょこんと座った。
「…風早からは同窓会の返信あった?」
健人の口調は優しい。いつも優しく、爽子を包む。
その声は、いつも彼女をとても安心させていた。
「…ないの。でも別に当日1人や2人くらいなら増えても大丈夫だと思うし…」
爽子は健人を見上げながら、あと1週間後に迫った同窓会のことを考えた。

日時は12月31日。
全てが初めてだったあの日の記憶が、爽子の綺麗な思い出のなかで甦る。

-----------------------------------------------------------------

風早は笑っていた。
笑って2人を祝福してくれた。

健人はそれが強がりだという事を知っていた。
あやねも、ピンも、龍も、千鶴も、きっとあの爽子でさえも気付いていたように思う。
だけどみんな何も言わなかったのは、彼の爽子に対するその最後の優しさを、壊したくなかったから。

「わたしが、わたしが翔太くんをあんなに傷つけていたの。
わたしのせいなの。わたしがダメだったの。翔太くんの全部を受け入れられなかったわたしが全部―――」

自分を責め続ける爽子を、おれがこれからは全力で守ろう。
小さな肩を腕に包みながら、健人はそう心に誓った。

「爽子ちゃんは何もダメじゃない。」
「風早がダメだったんでもない。――誰もダメなんかじゃないんだ」

小さなこの愛おしい女の子を、絶対守りぬくと決めた。
風早が何よりも誰よりも大切にしたがっていたこの女の子を、あいつに恥じぬように、全力で。
143風梅44:2009/01/27(火) 02:41:36 ID:Mibo7l1F


翔太くん、元気ですか?
身体を壊していませんか?

わたしがこんなに変われたのは、ほかでもないあなたのおかげ。
あなたは私に幸せを教えてくれた。
あなたはわたしに光をくれた。
なのに、わたしはあなたを傷つけることしか出来なくて、ごめんなさい。

ねぇ翔太くん。
あの時は出来なかった話を、いまならたくさん出来る気がするの。

かたちは変われど、翔太くんはわたしにとってとてもたいせつなひとです。
あの時の想いは変わってしまっても、それは何年たっても決して変わることはありません。
お礼を言っても、言い足りない。
本当にありがとう。

わたしはいま、とても幸せです。
翔太くんは、幸せですか?


目を覚ましたとき、あの暖かいぬくもりはもうなかった。
彼は、長い夢を見ていたようにぼんやりとその手を見つめる。

あなたのおかげでわたしは幸せになれたんだよ。

梅の言葉が脳裏に甦る。

幸せ。
俺は、爽子にたくさんの幸せをもらった。
たくさんの光を、彼女に照らしてもらった。

―――爽子はどうだったんだろう。

心が少し軽くなった気がした。
机に置いてあった葉書をもう一度拾い上げ、彼はひとつの決意を決めた。

暖かい手のぬくもりをその手に思い出しながら、風早は窓からまぶしい太陽を見上げた。


144風梅45:2009/01/27(火) 02:46:58 ID:Mibo7l1F
「みんなーひさしぶりー!!」
能天気に同窓会の居酒屋にやってきたのは、ジョーだった。
自分のクラスの紙が貼ってある座敷に上がると、そこには懐かしい顔ぶれがたくさんいる。
座敷の仕切りは取りさらわれていた。誰でも気軽に他クラスの人と喋れるように、と爽子が店の人に交渉したのだった。
「ジョー遅いよ。もう乾杯してるよー」
すでにみんなはだいぶ飲んでいるようで、テンションがやけに大きい。

「あやねーーーー!!!」
ゲッ、という表情をしながら、あやねは抱きついてくるジョーを交わしながら、健人に話しかけた。
「で、爽子は?なにしてんの」
「ああ、なんかピンに電話してるよ。これないかもしんないんだってー」
「…ふーん」

ジン・トニックを一気に飲み干すあやね。
その横にすかさず座るジョー。そのノリは高校時代と何も変わらない。
昔を思い出したようにあやねは思わず笑いをこぼした。
「あ、アンタさ、風早と同じ大学なんでしょ?アイツくんの?今年」

枝豆を食べる龍の手が止まった。
「えーあ、聞くの忘れちゃったー!でもなんか忙しそうだし、多分こないんじゃないかなー」
「龍は?なんか聞いてないの」
他のテーブルから揚げを奪いに行っている千鶴を見送りながら、あやねは聞いた。
「・…んー…、と。」
少し見上げながら、龍は言った。
「だいじょぶだと思う」

「は?何がだよ、答えになってねーよ」
怪訝そうにつっっかるあやね。どうやら彼女はいま、機嫌が悪いらしい。
「だから、だいじょぶ」
「あぁん?!」
身を乗り出してすごむあやねに、健人が笑いながら割ってくる。
「まーまーまーまーまー!!あやね次なに飲む?飲みほだから遠慮なく今日は飲みまくっちゃってよ!」
「魔王!!!瓶ごと持ってきて!!!」
「あははは、りょ〜〜か〜〜い!!」」

ピッチをあげて呑みまくるあやね。
「ちょ。見て〜〜やのちん!から揚げ大量〜〜!!」
嬉しそうにふたつの小皿いっぱいにから揚げを奪ってきた千鶴に、あやねは睨みを効かす。
「ま、また一段と悪い顔に・・・」
(魔女?)とビビリながら龍の横に座りなおす千鶴。
龍はもくもくとビールを飲み、枝豆の糟は彼の小皿に大量に積まれていた。
「ちづ!!なにあんたウーロン茶ばっか飲んでんのよ!!今日は爽子の誕生日でもあるのよ?!飲め!!飲みまくれー!!」
うがーっと、問答無用で千鶴に新しくグラスに酒を注ごうとしたあやねを、龍がそっと制した。

「こいつ、いま酒ダメ。身体に悪いから」
「…あぁ?なにが、…」

千鶴が顔を真っ赤にしている。
再びマイペースに枝豆を食べ続ける龍。

ふたりをしばらく見つめるあやねの顔が、みるみる緩んでいった。
そしてこれ以上ないくらいの満面の笑みを浮かべながら、

「最高の誕生日プレゼントだわ!!」
自らのグラスを、龍のグラスと千鶴のコップに当て祝福の乾杯を鳴らしながら、
あやねは新たな喜びを胸に、更にまたグラスを空けた。
145風梅46:2009/01/27(火) 02:58:08 ID:Mibo7l1F
そんな仲間たちを微笑ましく見ながら、健人は席を立ち、爽子の様子を見に行こうとした。
中ががやつきすぎてうまく声が届かない為、爽子は店の外でピンに電話をしていたのだ。

「――――あ。」
通路で健人がすれ違ったのは、梅であった。
「くるみじゃん!うわーかわんねーなー!元気?どーよ東京はー!」
HAHAHA、笑う相変わらずの健人。
梅はここに来てからずっと気になっていた事を聞き出そうとした。
「ケント、ねえ今日、風早は……」

核心を突かれたような思わぬ発言に、健人は頭を少しかきながら、少しため息混じりに上を仰いだ。
「・・・ね。こっちはずっと待ってるってゆーのにさ」
いつものお調子口調が消えた健人は、優しい表情をしながら梅を見下ろし、爽子のところへ向かった。

そんな健人を、梅は少し放心しながら見送っていた。
同時に、自分が恥ずかしくてたまらなくなる。

わたしは何を期待していたんだろう。
もしかしたら来るんじゃないかと思っていた。
ううん、きっと来るはずだとまで思ってた。
「わたし、うぬぼれすぎ…」

自分が少しでもあの風早を変えたと思っていた。
風早を助けたかった。
なのに結局自分は、カヤの外の人間。
いや、そもそも、あの夜の出来事は全て自分が見ていた夢だったのではないか。
前に進めてなかった自分が見た、彼の幻想だったのではないか。
彼を助けたと思い込んだ事で、自分を慰めようとしていただけなのではないか。

梅は静かに力なく呟くと、またみんなの座る席に戻っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「爽子?なにしてんの」
空には輝く満天の星。雪はもう止んでいて、地面は真っ白に染まっていた。
健人が白い息を吐きながら店の外にやってきた。どうやら電話はもう終わっているらしい。
彼女は鼻の頭を赤くしながら健人を振り返った。
「あ・・健人くん。荒井先生ね、やっぱり今日はやめとくって…」
「入んないの?さっきあやねが例のこと聞かされてたよ。だからそろそろあの2人のサプライズ…」
寒いし、とコートだけ羽織っている爽子を気遣い、健人は店のなかに彼女を促そうとした。

「あ…っ、まって、もう少しだけ…あの…」
爽子の何かを訴えるような顔。
健人はすぐそれが何を意味しているのかに気付くと、彼女の白い首が冷えぬよう、自分のマフラーをそっとつけた
優しい彼の匂いがするマフラー。
「……キリのいいとこで入っておいでよ。みんな爽子がいないとさみしがるから」
暖かい優しさに包まれるのを感じながら、爽子は微笑んだ。
「ありがとう。もう少ししたら戻るね」
146風梅47:2009/01/27(火) 03:44:56 ID:Mibo7l1F
健人が店に入ろうとした、その時だった。

「―――あ…」
その声に、反射的に振り返る健人。

彼が振り返った先には、数年ぶりに見るその姿があった。
髪は染められ、顔つきは少しシャープになり、昔の少年らしい面影はほとんど見られなかったが、微笑んでいるその顔は、時が経っても決して変わらない。

「…おせーよ」
近づいてくる彼に健人は自ら歩み寄り、軽く咎めるように少し笑って言った。
「何年待たせるつもり?」
冗談なのか核心づいているのかわからない健人の言葉に、彼はまたゆっくり微笑んだ。

あの時の笑顔。
あの頃の笑顔。
わたしに光をくれた、あの笑顔。

彼は健人の先にいる、小さな女の子を見た。

「じゃあおれ、先に入ってるから。」
健人はそのまま踵を返すと、ふたりを置いて騒がしい店の中へ入っていった。

扉を閉め、一息おくと、健人は大きく息を吐く。

「…よっしゃ。」
自分に声を掛けるように、健人は座敷へ戻った。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
あやねが暴れている。
文字通り、本当に暴れている。

嬉しそうにあやねの隣にいたはずのジョーは、あやねに潰されたのか、顔を真っ赤にしながら座布団に仰向けになって倒れていた。
龍はというと、千鶴を軽くはしっこへ避難させ、その隣でまだ枝豆を食べ続けていた。

「ケントケント!お、おれ、今日あやねのことお持ち帰りしようと思うんだ!協力してくれよっ!」
健人は先ほどトイレでジョーに言われていた台詞を思い出した。
ん〜〜「お持ち帰り」という言葉がすがすがしいほど全然似合わないなぁ〜と思いながら健人は笑っていたのだが。

どうやらしっかり返り討ちにあったようだ。
まあ、この場にピンでもいたら酒豪の彼女に張り合えてたかもしれないが。

「おれも飲もっかな〜〜〜」
あやねの隣に座ると、もう魔女としか言いようの無い顔をしたあやねの瞳が、ギランッと光った。
「よく言ったケント!!飲め!!飲め!!!」
高笑いしながらグラスに酒をどくどくと注ぐあやね。
「こ、こえ〜〜〜〜〜〜〜〜…大丈夫?ケント。アンタ爽子送ってくんでしょ?」
千鶴が今度はピザを丸々1枚自分の取り皿に取り、それを食べながら言った。
「おれ今日バイクじゃないもん。それに、なんか今日はおれも飲みたい気分!」
147風梅48:2009/01/27(火) 05:56:40 ID:Mibo7l1F
ふたりはしばらく見つめあっていた。
先に口を開いたのは、爽子ではなかったか。

「翔太くん…よかった、来てくれた…」

風早は白い息を空に大きく吐きながら、笑って言った。
「あははっ、うん。ごめんね遅くなって。まだ間に合うかな」

懐かしい笑顔だった。
屈託の無い、太陽のような笑顔。
爽子はその純粋な笑顔を、何年ぶりに見ただろうか。

「三浦のやつ、相変わらずよゆーだよなぁ。俺ほんとそこはかなわないや」
風早は少しおどけて言ってみせた。

「そ、そんなこと・・健人くんは」
かなわない、と言った風早の台詞を否定しようとしたのだろうか。爽子が焦って言葉を続けてきた。
「――うそ。比べるもんじゃないよな。ごめん」
ひと呼吸置いて、風早がゆっくりと口を開いた。
「…仲良くやってんだね、三浦と」

「…うん。」優しくにっこりと微笑む爽子。

その笑顔に、風早は胸が締め付けられるのを感じた。
でもそれは切なくなったからじゃない。
悔しくなったからじゃない。


自分がずっと守り抜きたかった彼女のその笑顔が、いまも変わらずそこにあったからだ。

もう戻せないあの時間。

ふたりで未来を描いていけると、ただ漠然と思っていたあの頃。
初めて誰かを愛するという気持ちに、迷いながらもただ真っ直ぐだったあの頃。
自分じゃない誰かの横で笑っている君を想像することなんて出来なかったあの頃。

もう俺は君の手を取ることは出来ない。
もう俺は君の傍にいることは出来ない。
感じるもの全てを、あの頃のように一緒に共有することは出来ない。


だけど、その笑顔はいま、変わらずに目の前で咲いている。


「………俺、爽子にいっぱいもらったんだ」
「え…?」
満天の夜空を見上げながら、静かに風早は言った。

<風早はわたしを幸せにしてくれたんだよ。>

梅のあの時の言葉。
風早は拳を強く握り、おもむろに目線をそれに落とした。

<風早をすきになったおかげで、わたしはたくさん成長できた。
あなたをすきになったことを後悔したことなんて1度も、ない。>
148名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 12:02:40 ID:5bhi+WnZ
ケン爽、前回のその後が気になってたんだ。楽しみだー
149名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 15:13:37 ID:FW9ajp4J
切ない…。
切なくて、このままモトサヤに戻ってほしいとつい考えてしまうw
150名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 19:25:40 ID:ti9UXMLL
夜勤明けさんのほのぼのと風梅さんのせつなさがいい!お二人ともGJ!!

風早ってたしかにソッコーでプロポーズしそうなイメージw
151名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 21:07:07 ID:YTymoUCo
>>夜勤明けさん
乙です!
甘々な描写もお上手ですね
二人にはこんなバカップルになってほしい

前から思ってたんですが、表現がとても丁寧ですよね
やわやわ、とか、はらはら、とか
繊細かつエロくて

>>風梅さん
乙です
リアルすぎて、キャラに違和感なくて切ないです

本当に良スレだなぁ
二度もDat落ちしか過疎期が嘘みたい
152夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 00:36:31 ID:UJSj6AQ1
自分がニヤニヤしたくて甘バカップルを書いたよ。
たまに発作的に甘いものを食べたくなります。>>151
thx そんなん言われたら惚れる

>>風梅さん
切ないけどきれいだー。風爽ものでも風梅とケン爽応援したくなるよ
そんなアナタに触発されて「風と別れたちょい後のケン爽」を書いたよ
エロ一切なし。
風梅さんのケン爽と違うだろうけどこんなイメージです的な。
もう一個このイメージで書いてもいいかな。
あとケン爽書いてたら風爽ベースのケン爽書きたくなってきた。
横恋慕で決着つけたつもりだけど燻ってる気もするしね。
だから今書いてるケン爽投下したらしばらく潜るよ
153名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 01:34:14 ID:CGFWHI2q
風梅-健爽でOK
154名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 01:59:10 ID:UJSj6AQ1
>>153

風梅さんの見てたらそう思うかもw
でも爽子の存在抜きで風梅に萌えることは私にはできんな。
風早はなんとなく爽子に焦がれるイメージしかもてない
風早の欲しいものは爽子しか持ってない感じっつーのかな
155金糸雀1 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:08:21 ID:UJSj6AQ1
↑などと言いながらケン爽とか投下するけどw
「風早と別れてしまった爽子」前提のケン爽
風梅さん書く許可ありがと
−−−−−−−−−−−−−−−−−
金糸雀

「爽子ちゃん、じゃんけんしよ。
はいじゃんけんぽん。」

突然三浦にそんな事を言われ、戸惑いながらも反射的に爽子はパーをだした。
三浦の出したのはチョキ。
三浦はにこっと嬉しそうに笑って言った。

「よし、爽子ちゃんの負け。だから今度の土曜午後から俺に付き合ってよね。」

爽子が風早との嵐のような恋に終止符を打ったのは少し前のこと。
爽子は少し落ち込んだようにも見えたが
もともと華やか、とか明るい、と言ったタイプではないため
顕著に見える変化はなかった。
減っていた笑顔も少しずつ戻るようになってきていたし
泣くことは全くなくなった。

周囲はもう爽子は辛い別れから立ち直ったのだと理解した。
極近い関係のあやねや千鶴でさえ爽子の涙を見なくなった事で
なんとなく爽子は大丈夫と思うようになってきていた。
元々彼女たちがどたん場での芯の強さを知っていたことも
影響していたのだろう。

しかし三浦だけはその笑顔に哀しみの海がたぷんとたゆとうていることを知っていた。
156名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 02:09:59 ID:lOU7p5qY
自分は健爽 風梅ってなんか違う気するな。
風梅さんの話はすごい引き込まれるし、好きだけど。
なんていうか…何かが違うw
恋愛って壊れてしまう危うさがあるというか、不安定なものな気がするんだけど、
健爽とか風梅だと安定感があるというか…
なんか物足りなく感じるんだよね。
CFYの赤星と幸に似たそんな感じ。

意味不でスマン
157名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 02:11:19 ID:lOU7p5qY
うわ…流れぶったぎってごめん。
158金糸雀2 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:12:35 ID:UJSj6AQ1
だって三浦はずっと爽子を見ていたのだから。
爽子が風早と付き合い始め、小さな白い蕾がやがて満開になっていく様を
ずっと眩しく見ていたのだから。
その花が激しい恋の嵐で無残に傷つき散っていく様を
切なく見ていたのだから。

泣かないで
でも無理に笑わないで

いつしか三浦はそう胸の中でそう願うようになっていた。


強引な約束は強引に果たされた。
土曜、午前中の授業が終ると爽子は三浦にひっぱられるように連行され
気が付いたら海へ向かう電車の中だった。

駅の売店で買った昼食代わりのサンドイッチを電車の中で口にしながら
(爽子はあんまり行儀良くないなと思ったが、初めてのそんな経験は少し楽しかった)
爽子は三浦に聞いた。

「なんでいきなり海に行くの?」

同じくサンドイッチをほおばりながら三浦が答えた。

「あ、知らないんだ爽子ちゃん。
 今の時期の夕方の海は一見の価値があるよー。」



その言葉通り晩夏の夕焼けに彩られた海は荘厳なまでに美しかった。
暮れかけた藍色の空が薄く溶けた静かな海にその日の終わりを告げる
赤い太陽も身体を休めるように溶けていく。
159金糸雀3 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:17:56 ID:UJSj6AQ1
「う、うわあ…!すごいね…!綺麗だね!」
「爽子ちゃん 手を出して。」
「手?」
爽子が手を差し出すと三浦はくすっと笑ってかぶりを振った。
「違う違うこう。」
三浦のするように掌を上に向け、不思議そうな顔で爽子は手を差し出した。
その掌に三浦はざらざらと何かを乗せた。
それは色とりどりの金平糖だった。
星の欠片のようなその美しいお菓子に爽子は思わず微笑んだ。
「…かわいい、ね。」

昔お父さんにおねだりしたなぁ。
魔法のお菓子みたいにキラキラして見えて食べるたびドキドキしたっけ…。

爽子は遠い昔を思い出し懐かしさにほんのりと切なくなった。
「健人君のポケットは、魔法のポケットみたいね」
「あ、ばれちゃった?実は俺魔法使いだからさ。」

その言葉にきょとんとしてから、ふふふっと爽子は笑った。
それはこの頃の爽子の涙を内包した哀しい微笑ではなく、本当の笑いだった。

三浦は爽子が心から笑ってることに安心した。
その笑いはそれでもいまだ癒えぬ傷の疼きが見える痛々しいものではあったけど。
爽子は掌の砂糖でできた星を一つ口に運んだ。
160金糸雀4 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:23:42 ID:UJSj6AQ1
甘さが口の中に広がりやがてそれは儚く消えていった。
それを繰り返すうちに爽子はどうしてだかぽろぽろと涙がこぼれてきた。

風早と別れて以来、友達の前では泣かないようにしていたのに。

泣くと大事な友達が自分達の事のように心を痛める。
あやねも千鶴も爽子がどんなにこの恋を大切にしていたか知っているからこそ
爽子の痛みを自分たちの事のように哀しんでくれる。
そのことに爽子はどれだけ救われたかしれないけれど、
この張り裂けそうな胸の痛みをこれ以上友達にまで与えたくなかった。

だからいつからか、爽子は誰かの前で泣くことをやめた。
涙のこらえ方はマスターしたと思っていたのに。

「ご、ごめんなさい、今!止めるから!」

謝る爽子の頭をぽんぽん撫でて三浦は言った。

「この金平糖は魔法使い作の金平糖だから泣けてくる事もあんだよ。」
だから泣いて良いんだよと三浦は穏やかに続けた。

その言葉に爽子の涙腺はこらえきれず崩壊した。

ひとつ金平糖を噛むたびに泣いて泣いて
泣き止む頃にはたくさんあった星のかけらはほとんど消えていた。
161金糸雀6 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:28:56 ID:UJSj6AQ1
爽子が鼻をぢーんとかむと三浦がうわ、色気ないなーと軽く笑った。
その言葉に爽子も微かに笑った。
爽子はぽつりと言った。

「健人君、私、翔太君がだいすきだったよ。
ううん、きっとずっと大好きなままだと思う。」

あの太陽みたいな笑顔はもちろん、
内在する正義感、人を愛し、人に愛される健康で眩しい魂、
豊かな感情と表情、子供のような我侭さですら好きだった。
すべてが煌いていて憧れだった。

風早の開いてくれた扉で爽子の世界は少しずつ光で満ちた。
それはもう爽子の一部になって魂に染み込んでいる。

「だいすきで大切で特別で、ずっとそれは今でも変わらないのに、
どこで私まちがっちゃったのかなあ。」

いつからか爽子のだいすきで大切な笑顔が風早からどんどん消えていった。
自分も風早の前でどんな風に笑っていたか思い出せなくなっていった。

「まちがわなければ、翔太君を幸せに出来てたのかな…」

爽子の髪が潮風に弄られた。
そこには生真面目で不器用な、いとけないだけの少女はいなかった。

三浦の眼前にいるのは恋の迷路で迷い、傷つき、哀しみを知った清冽な少女だった。
儚く大人しい外見にほのかに凛とした印象がついて
純粋なだけではない清廉さがあった。

三浦は眩しそうに眼を細め、爽子をそっと見た。
そしてたぶん同じように、眩しい思いでこの少女をみつめていた恋敵を思った。

手の中で大切に握りしめすぎたら柔らかな小鳥は死んでしまう。
風早も同じように柔らかで無防備な恋を抱きしめすぎて殺してしまったんだな…。

風早にもそれがわかっていたから、恋だけじゃなくこの子まで壊す前に
愛し過ぎて壊してしまう前に別れを選択したんだろう。

「まちがいだけ考えてても仕方ないよ。」

三浦は少し真面目に言った。

「うまくいってる恋人同士が
全部正解だけ寄せ集めた結果なわけじゃないじゃん。」

爽子は三浦を見た。
「…爽子ちゃんは風早をこれ以上壊したくなかったんだよな?」

別れる直前の二人はとにかく危うかった。
爽子の手を離すくらいなら
自らの手をちぎりかねない風早と、そんな風早を見ていられないくせに
望まれればそのまま共に闇に飲み込まれそうな爽子

白く光る刃を抱き合うような真剣でとても危うい恋をしていた。
163金糸雀7 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:38:22 ID:UJSj6AQ1
そんな二人の雰囲気に気付いていたのは三浦だけだった。

だから三浦は下心をぎゅうっと胸の奥に殺してただ爽子を笑わせ続けた。
そうしないと永遠にこの清廉なひとに会えなくなるような気がして怖かったのだ。

でも風早と爽子は踏みとどまった。
彼らは別れという救いを選択した。

「爽子ちゃん、偉かったよ。…偉かった。」

ケントはまた爽子の頭を優しく撫でた。
爽子はまたぼろぼろと泣けてきてしゃくりあげながら
微かに残った掌の小さく美しいお菓子を口に運んだ。
甘くて口の中ですぐ溶ける星の欠片は
どこか不器用で真剣で傷つけあうしかできなかった初恋に似ていた。

この恋は宝物だった。
こんなに燦く季節にはもう二度とめぐり合えないだろうと思うほどに大切だった。

けれどもう二度と戻れないと、もう戻る事はできないと
大切な宝物の恋を爽子はその手で殺した。

「爽子ちゃんは男らしいからなあ。」
「おと…っ」
きょとんとする爽子に三浦はにっと笑った。
「俺より、風早より男らしいからなぁ。」

風早と爽子が別れたという話は野火のように広がった。
164金糸雀8 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:42:39 ID:UJSj6AQ1
本人たちはそのことについて全くの沈黙を守ったが
風早の非凡なるカリスマ性はそのまま周囲の爽子への敵意に転じた。

以前のように見下される事はなくなっていたが
地味ながら清らかで純粋な爽子の魅力が他の人間へじわりと広がっていたため
「可愛くなっていい気になった爽子が風早を弄んだ」などと心無い噂すら広がっていた。

爽子を直接知るクラスメートや友達は決してそんな事は信じなかった。
しかし風早の爽子への執着が誰の眼にも明らかだった事
そして風早が好きだった少女たちの爽子への潜在的な嫉妬心があった事が
爽子を傷つける噂を広げた。

爽子はそれでもまったく何も語らなかった。
ひそひそと背後で交わされる噂話を肯定も否定もせずに昂然と頭をあげていた。

あんな事を言われて腹が立たないのかと
千鶴が怒り泣きながら爽子に訴えた事があった。
爽子はそんな千鶴の友情に涙しながらも

『…きっと説明しきれないから』
と繰り返した。

爽子はふと、三浦を振り返った。
涙はもう消えていて、何もかも洗い流したようにすがしく微笑んでいた。

「−健人君、ありがとう。ここに連れてきてくれて。」
165金糸雀9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:48:04 ID:UJSj6AQ1
ふふっと笑って爽子は問うた。

「どうしてここに連れてきてくれたの?」

しばらく考えてから三浦はそーだなーときりだした。

「人魚姫って理不尽じゃない?」
「…にんぎょひめ…?」
「あれってさ、絶対王子が大馬鹿だったのが原因なのに
あいつちゃっかり王女様と結婚して幸せになってんだぜ。
人魚姫ひとりが全部背負って泡になっておしまいって
なんか納得いかないんだよなあ。」
「あ、あの…?」
「ちっちゃい頃から『女の子は幸せであるべし』って思ってた俺としては
あの話許せないんだよなあ。」

何度絵本を読んでもらっても人魚姫の末路が気にいらなくて
いつも母に文句を言った。
何がなんだかわからず不思議な顔をしている爽子にもう一度三浦は笑った。


俺は君を泡と消える人魚姫にしたくないんだ。
言葉を持たず、誰をも責めず泡になる事を選んだ
潔すぎる彼女のようにしたくない。
166金糸雀10 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 02:51:12 ID:UJSj6AQ1
いいんだよ、俺を好きになってくれなくてもいいんだ。
俺は君の大好きなあいつみたいな笑顔も持ってないし
欠片もあいつに似てないし。
ただ、そんな哀しく笑わないでほしいだけなんだ。
ただ、君にまたあの蕾が綻ぶような笑顔を見せてほしいだけなんだ。


三浦は不思議そうに自分を見る爽子の頭をぽんぽん、ともう一度撫でた。

「独り言。ただ綺麗だから誰かと見たいなと思ってさ。
たまたまスケジュールのあいた女の子がいなかったんだよ。
あ、男は却下ね。…あーもっと俺の仔猫ちゃん達を増やさなきゃな。」

仔猫ちゃん…?
ガールフレンドを指す、いささか古いその表現の意味が通じず
爽子は首をかしげた。
そして何を想像したのかぼそっと 
いいなぁー…仔猫ちゃんの集団…とうっとり呟いた。

三浦はその様子に噴出した。

「言っとくけど、別に俺ほんとの猫に囲まれて生活してるわけじゃないからね。」
「えっそうなの!?」
見たかったのに…ともらす爽子を三浦は気付かれないようこっそりとみつめた。

幸い海に眼をやる爽子は三浦の視線に気付かないでいてくれている。
167金糸雀11終わり 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/01/28(水) 03:07:43 ID:UJSj6AQ1
大丈夫、俺は友達のラインを超えたりはしないから。

激しくて幼くて純粋すぎた恋の刃に傷つき、全身血に塗れて慟哭する爽子に
三浦はとても自分の想いをぶつける気にはなれなかった。

晩夏の少し寒い潮風に爽子が小さく震えた。
三浦はふっと笑って言った。

「そろそろ帰ろっか。ほんとうの星も出てきたし。」

いつの間にか藍色の空はすっかりその色を濃くし、
遠くに見える灯台に灯が点り始めていた。
爽子は頷いてもう一度、連れてきてくれてありがとうと笑った。

それは三浦がもう一度みたいと希んだ蕾がやんわりと綻ぶような笑顔だった。
(Fin)
−−−−−−−−−−−−
エロ一切なしw
>>156
携帯経由だから時間かかる私のせいよ
あと言いたいことなんとなくわかる
安定しすぎてるというか、お似合いすぎというか、普通な感じ。
ケン爽はイメージできるから書くけど、風梅は書けない。
(風梅さんのは好きだけど自分ではイメージできない)
風爽に萌えるのは違いすぎて傷つけあわずにいられないのに
それでも惹かれあってしまうみたいな抗いがたさかなと思う。
違う二人が化学反応起こすのが好きなんだ
168名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 03:17:12 ID:F2+Co/T3
はいリアルタイムゲット!嬉しい〜

なんか、このケン爽のケント自身が海っぽいと思ったよ。
振り返ればいつも変わらずそこにいる、的な…
いや意味不明すぎてスマソw
とにかく、夜勤明けさんGJです!!
169名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 05:34:48 ID:itrBi0va
GJ!
こういうのもいいっすね・・切な萌える!
夜勤明けさんの文、読みやすく綺麗

>>156
似合い過ぎて物足りないっての分かります。
風爽は自分にとって別格
170名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 12:40:27 ID:kNTVXfWu
夜勤明けさん、いつもながらGJです!次から次へとほんとすごいですね…
この話の健人は理想の男だなw


風爽は、風爽っていうか
風→爽が危険な感じするw
爽単体や他カップルはほのぼの純粋なんだけど、
風→爽は純粋にみせかけといて、狂気じみた思いを併せ持ってる印象。
高校生にしてストーカーぽいしw
爽がそれに気づいてなくて、いい人だと信頼しきってるとこがなおさら危険な感じw
171名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 16:52:45 ID:DVeFqy6Y
ケン爽GJ!
ほんとに綺麗な文だ〜!
細やかなのに簡潔で…大好きだ!
172名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 19:05:04 ID:PDeQxB4z
夜勤明けさんマヂGJです!

人魚姫のエピとかすごい゛らしい゛よね
本編と同じくらいらしい
何でそんなん思い浮かぶんだ
173名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 22:38:05 ID:UJSj6AQ1
>>170
あーうん、わかる。
純粋すぎて危険な域の風→爽の想いとか爽→風の幼女のような
絶対の信頼とか。なんかこう…なんかこう…エロス。
風って対爽限定だけどヤンデレ気質だよね。
血まみれの手で爽やかスマイル浮かべても違和感が何故かわかない。
どうしようw
174名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 00:56:49 ID:o4nfqFTO
>>風梅さん
リアルすぎてまるでその場にいるようです。切ない。
まるでキャラクターが生きてるみたいなだけに
切なさも半端じゃないです。
定期的に投下してくれるとほんと嬉しい

でも一方でラブラブなのも見たい。
龍ちづ職人さん達とか滑稽ラブさんとかたくさんいた
前スレの神々にも
また投下お願いしたい…。
とことんエロスなのもいい。
いろんなカプ物もいい 
特に矢野ちんがらみのは今までほとんど出てないから
見たい
クレクレでスマン。でもこればかりは作れる職人さん待ちだから
神々よ頼みます
175風梅49:2009/01/29(木) 01:48:53 ID:nd7a4GwK
「…爽子は俺と付き合った事、後悔してる?俺と一緒にいて、…少しでも幸せになれた…?」
あの時の事に向き合うのはやはり怖い。
でも、向き合わなきゃいけない。
そう気付いたから。
気付けれたから。

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
自分の心臓の音が聞こえる。
そのあまりの大きさに、いま目の前にいるこの女の子にも、周りを通っている見ず知らずの人にも、この音が響いている気がしてならなかった。
彼は顔を少し下げ、力を入れた手を再び強く握りしめた。
溜め込むように。
思い出すように。

と、再び見上げた目の前の彼女の瞳には、涙が溢れていた。
「―――えっ、あっ…ごめ…っ俺いやなこと思い出させちゃっ…」

「違うの!!違う、ごめんなさい、ちがう…」
焦って強く否定する爽子。
風早は不安を隠せない。
泣かせるのはいつも自分、そんなあの時のやるせない想いが再び押し寄せてきたようだった。

「ちがう…後悔なんてしてない、するわけない。いやな事だなんて、思うわけない…!!」
爽子は強く風早を見た。
「幸せだったに決まってる!!少しどころか、幸せすぎてわたし、死にそうだった!」
声を荒げ強く呼吸をしながら、爽子は続けた。
176風梅50:2009/01/29(木) 01:53:29 ID:nd7a4GwK
今回は携帯からなのでレス大量消費してしまいます…ごめんなさい!
ラストまで一気に載せます

―――――――――――――――――――
「………翔太くん、しってるはずだよ……?」
ふたりの心は確かに交わっていた。
ふたりは確かに幸せに包まれていた。

初めて風早が爽子の名前をあの花壇の前で呼んだ事。
千鶴、あやね、そして風早のことで、初めて風早に爽子が叱られた事。
初めて風早が手を取ったあの体育祭の事。
初めてふたりがクリスマスプレゼントを交換した事。
初めてすきと爽子が風早に伝えたあの日の事。
初めてデートしたあの日の事。
初めてキスをした、あの気持ち。
初めて爽子が妬きもちを態度に表した風早のあの嬉しそうな表情。
溢れる笑顔が、笑い声が、ふたりを包んでいた事。

幸せではないなんて誰が思うのだろうか。
ついには絡み合ってほどけなくなっていたふたりの心。
ついには切るしかなかったその心。

しかし幸せはあった。
確かに、そこにあったのだ。
177風梅51:2009/01/29(木) 01:56:57 ID:nd7a4GwK
「翔太くんがわたしに光をくれなかったら、わたしはいまここにいない…!」
なおも強く、涙を堪えて彼を真っ直ぐ見上げる爽子。
彼の瞳に映るのは、そんな彼女と、もう1人の姿。
「………女の子ってさ、強いよね」
呟くように、小さく風早が言った。
「…え……」
「………俺なんかより、ずっと強い……」

真っ直ぐに彼を見つめる姿。
涙でではなく、言葉で想いを伝えるその姿。
闇に逃げずに、光に向き合うその姿。

爽子は少し不思議そうな顔をしていたが、そんな風早に優しい笑顔をこぼした。

「…翔太くんがそうさせるのかもしれない」

「えっ?」
爽子の言葉に、少しびっくりする風早。
「…翔太くんは、太陽だから。太陽は、人を照らして元気にするでしょう?太陽は、あらゆるものを成長させるでしょう?」
「…や、だから俺そんないい存在じゃ…」
ふふっと笑いながら、爽子は少し意地悪そうに言った。
「…だから太陽はいつも輝いてなきゃだめなの」
「太陽は、そんな顔してたらだめなの!」
彼女の咲くような笑顔が風早を包んだ。
178風梅52:2009/01/29(木) 02:02:26 ID:nd7a4GwK
以前よりももっと包まれるようなその心と笑顔に、風早は光を見た。

目の前に差し出された手は暖かく、彼を光のところまで優しく導く。

〈風早〉




〈大丈夫だよ、風早〉
―――――――――――――――――――

風早は笑った。
その時、なにかが爽子のなかで溶けた。
爽子にはそれがなにかわからなかったが、とても清々しい気持ちを感じた。
胸の奥にあった小さなものが、スゥッと消えていくような、そんな気持ちを。

彼女がだいすきだった、爽子が支えられていた、あの笑顔で。
爽子も笑った。

風早は、随分長い間真っ暗な闇をさ迷い続けていたように感じた。
いやしかし彼女なら、暖かい手を強く握りながら、そんなふうに思う風早を怒るかもしれない。

風早はまた笑った。

爽子はそんな彼の表情が先程より変わっているのを感じた。
けれども、彼のそんな笑顔はやはり変わらず爽子を照らす。

全てを大きく包む、その太陽の光で。
―――――――――――――――
179風梅53:2009/01/29(木) 02:05:07 ID:nd7a4GwK
「風早!え、あれ風早じゃん!?」
「うそ、えー!なんか変わった!?」


彼が店に入った瞬間から、店はざわめきに包まれた。
「ひさしぶり!」
彼はこぼれるような笑顔を溢した。
その昔となにひとつ変わらないその笑顔に、みんなもまた大きな笑顔になる。

「んだよ風早ー!ひさしぶりじゃん!更にイケメンになっちゃって、この〜!」
首に腕を回され、頭をグリグリと回される風早。
あははははっ、と、みんなの暖かい笑い声が店に響く。


爽子はそんな彼を横に思った。
みんなを笑顔にさせる、幸せにさせるその笑顔。
そんな屈託のない笑顔を、爽子は眩しそうに見つめ、微笑んだ。

クラスの座敷に着くと、久々のクラスの人気者にみんなが沸いた。
そこに一杯の花を咲かせたように、みんなの顔が華やぐ。

「おっ風早きたの!久々の登場じゃんアンタ!」
龍が黙って持ってきた皿一杯のサラダを食べながら、久しぶりに見る中学からの級友を歓迎した。
唐揚げやつまみのポテチばかり食べる千鶴に、龍はどうやら野菜を千鶴に与えようとしていたようだ。

「…かっわんねーな吉田!なんだよすげー皿積んであんじゃん、ちょっと食いすぎじゃないの?」
180風梅54:2009/01/29(木) 02:08:47 ID:nd7a4GwK
懐かしい昔の仲間達の姿。
なにひとつ変わらないその笑顔たち。

その場にいることが少し場違いな気がして、風早は座るのを若干躊躇していた。

しかし彼はいまや無理やり座らされ、手にはグラスを持たされている。
ビールがクラスメート達にドクドクと注がれ、彼はみんなの笑顔が放つ光に眩しささえ感じていた。

(……俺のほうが、みんなに照らされてるよ…)

テーブルを挟んだ目の前に座っているのは、龍だった。

龍は少し微笑むと、いつものように言った。
「遅い、しょーた」
「……ただいま、龍!」


いきなりぐゎしっと首を取られたと思うと、これはまた一段とひどい顔をしたあやねがそこにいた。
「うわっ魔女?!」
風早は思わず声を漏らした。
新たな瓶を片手に持ちながら、顔を少し赤くしているあやねが言った。
「んだよ王子様よ〜おっせんだよくんのがよ〜!なに髪なんて染めてんだよこら〜〜!飲め飲め〜〜!」

「アレッ健人は?」と、千鶴は先程まであやねの隣にいた意気込んだ青年をふと探したが
彼はいま向こうで倒れ、焦る爽子に介抱をしてもらっているところである。
181風梅55:2009/01/29(木) 02:13:27 ID:nd7a4GwK
「帰った?」

ある姿を探して、風早は隣のクラスの座敷にいた。
「うん、くるみならつい今しがた帰ったよ〜。なんか今日は用があるんだって〜」

「…ありがと」
風早は玄関へ向かった。

外にはまた雪が降り出していた。
風早は周囲を大きく見渡した。
風早の足取りは段々早くなる。

〈あなたはわたしを幸せにしてくれたんだよ〉
頭に呼応するのは彼女のあの時の言葉。

〈あなたと出会って、わたしはたくさん成長出来た。〉

頭に大きく響く、彼女のあの時の声。
風早はついに走り出した。

〈あなたをすきになったことを後悔したことなんて、一度もない。〉

泣き顔。
強い瞳。
優しくて強い腕。
風早の瞳に流れるように浮かぶのは彼女の姿。

風早は自分の手を強く握りしめていた。

暖かかったあの手。
自分を導いてくれたあの手。

風早は更に雪のなかを駆けていく。
あの手を探して。
自分を引き上げてくれた、彼女を探して。

182風梅55:2009/01/29(木) 02:17:40 ID:nd7a4GwK
梅はバス停にいた。
雪が降ってきた事に気付いたのは、店を出て随分後であったように思う。

店に彼が来た。
彼が笑ってた。
あの頃の、本当の笑顔で。
自分が守りたかった、だいすきなあの笑顔で。

梅は雪を降らせ続けるその白い空を見上げ、ゆっくり目をつむった。
雪が彼女の顔を濡らす。
同時に白い頬を涙が濡らす。

今しか感じれないこの想いを静かに胸に溶かしながら、梅は顔を濡らし続けた。

――――――――――――――――――――
ザッ、という雪を踏む音が近くで鳴る。
梅はふと目を開けた。

「……なにしてんの…?」
梅は小さく声を上げた。
「………なにしてんのよ…?」
戸惑うように梅の瞳には更に涙が溜まる。

そんな梅を見て、彼は笑った。
「…言わなきゃいけない事があるから、胡桃沢に」
見上げたそこには、肩で大きく呼吸をする風早がいた。
世界がふたりだけしかいないように、綺麗な雪はふたりを静かに白く包む。

「ありがとう」
「俺、来て良かった。…ちゃんと知れて良かった」
静かに風早が言った。
「逃げてた事と向き合うのすげー怖かったけど…でもすげーすっきりした。胸の奥にあったものが溶けた感じ。」
183風梅56:2009/01/29(木) 02:21:09 ID:nd7a4GwK
風早は指で自分の胸をトン、トン、触った。
「…胡桃沢がくれた勇気のおかげ」
彼のその瞳には、確かに光が戻っていた。
「……へたれでごめんね」

梅は瞳と口を歪ませ、泣きじゃくった。
「へ、へたれじゃないじゃん、違うよ!」

「…でも、弱いし」

「よ、弱くない!……弱いけど、でも、そ、それが風早じゃん!!そんな事いうな!!」
泣きながら眉毛を上げて怒る梅に、風早は笑った。
そして自らのコートの袖で、彼女の涙を拭った。

「よ、汚れるよ、化粧つく…」
下を向いてその腕をかわそうとする梅に、「いーよ」と風早は優しく言った。

「笑って。」

太陽の笑顔が、梅が見上げたそこにあった。
梅は笑った。
目に涙を溜めながら、鼻を赤くしながら、大きくほころんだ。

ふたりは笑い合った。
ただただ、子供のように、無邪気に笑い合った。
なんて綺麗な気持ちだろう。
なんて清々しい気持ち。
全ての深く暗い雲は取り拐われ、光に満ち溢れた青空のしたで、ぽかかぽかの暖かいものに照らされている、そんな気持ち。
いまなら何でも出来るような、優しく強いちからを身体中に浴びたような、そんな気持ち。
184風梅57:2009/01/29(木) 02:24:47 ID:nd7a4GwK
――――――――――――――――――――いつの間にか笑いは消えて、ふたりはお互いの瞳を見た。

風早は、遠くで、バスの光がこちらに向かって来るのを捉えた。

「…あたしのバージンは高いよ?」
なにか言おうとしていた風早を、梅は遮った。
風早はその言葉に思わず顔を真っ赤にして、あたふたと焦る。
「えっ…は、初めてだったの?!まじで?!ごっごめん俺、あの時…っ」


そんな彼の態度を見ながら、梅は更に意地悪そうに言った。
「……償いとして!」
「は、はいっっ!」


梅は笑った。
大きく笑顔をこぼして、言った。
「もう女の子を弄ばないこと!すきじゃない子以外としないこと!」
「その笑顔で、いっぱいその子を幸せにしててあげること!!」


強くて、暖かいその眼差し。
風早は、その瞳には敵わないと感じた。
「……ん。約束する!」



バスが来た。
梅の前でドアが勢いよく開く。

梅は乗り込みながら、優しい表情で見送る彼を振り返った。

「ばいばい、風早!!」
185風梅58:2009/01/29(木) 02:28:48 ID:nd7a4GwK
「ちょ、やのちん大丈夫?!飲みすぎだよいつのまにか二升も空けちゃってさ!ハメ外しすぎだよも〜」
フラッフラになったあやねを必死に介抱する千鶴と爽子。
「だぁいじょーぶだよあたしは〜!!東京で男に飲まされても絶対勝ってたんだから〜!もう一件いこ!ね!」
雪は再び止んでいた。
ひんやりした澄んだ空気が、お酒と熱気で火照ったみんなの身体をクールダウンさせる。
楽しかった同窓会はなんとか無事に幕を閉じ、みんなは家路につくか、二次会に行くメンバーは各自居酒屋前で待機していた。

「よっしゃ、んじゃ二次会行くかー!カラオケ!」
少し回復した健人が、大声でみんなに声を掛けた。
「いーね、いこいこ!爽子の誕生日祝いと龍と吉田の結婚祝いも兼ねてさー!」
みんなが更に一斉に沸いた。
「風早いこー!」
すっかり回復したジョーが声を掛ける。
「おー!」

誰かが言った。
「風早ほんとあの笑顔変わんないよね〜!」
すかさずジョーが嬉しそうに食いつく。
「俺なんて大学で毎日見てるもんねー!」





龍は、笑顔で周りに囲まれている風早を見ていた。
186風梅59:2009/01/29(木) 02:33:12 ID:nd7a4GwK
風早の笑顔。
彼に本当に屈託のなかった太陽のような笑顔が戻ったのは、数年と数ヶ月ぶりであることに気付いたのは、恐らく龍と、梅だけだったであろう。

龍は微笑んだ。
そして、ゆっくり千鶴の手を握った。
「なに、龍?」
「んー…特に意味はない」

――――――――――――――――――――「やのちん、みんなカラオケ行っちゃってるよー。あたし送るからさ、今日は帰ろーよ」
千鶴が気持ち悪そうにうずくまるあやねの背中を揺すりながら言った。

「ちっちづちゃん!ちづちゃんと真田くんは行ってほしいの」
すかさず爽子は言った。
みんなの思わぬ和気あいに、事前にふたりに用意していた結婚&おめでたサプライズを同窓会の場で出来なかったからだ。
「わたしがちゃんとあやねちゃんを送っていくから、みんなは行って」
にっこりと笑いながら、爽子があやねを支えようと身体をゆっくり起こそうとした、その時。


「ピン!」
風早が声をあげた。
その場にいた龍、健人、千鶴、爽子はその声に顔をあげる。

ぐぃっ

みんなの前を素通りし、あやねの腕を強引に取るピン。

「…あ、荒井先生?」
突然の出来事にあたふたする爽子。
187風梅60:2009/01/29(木) 02:35:18 ID:nd7a4GwK
「わりーな黒沼。こいつは俺が引き受けるから、お前ら行っていーぞ」

なにが起こっているのか分からず、みんなはしばしその場に固まっていた。
しかし最初に口を開いたのは、健人であった。
「ん〜じゃ、お言葉に甘えて行こっか!」
「で、でも…」
まだ事態を飲み込めない千鶴と爽子に、健人は笑いながら促した。
「まーまーまーまー!ここはピンに任せよ!」
???な顔をする千鶴に、龍がいつものトーンで言った。
「千鶴、身体冷える」

そんな五人をネオンの中で見送りながら、ピンは大きく白い息を吐いた。

「……おら、帰るぞ」
いつになく真面目な顔をしてあやねの身体を起こそうとするピン。
「………うっさいな、いーよ、ひとりで帰れる…」

だだをこねる小さな子供のように、あやねは彼の腕を拒む。
頑なにそこを動こうとしないあやねに、ピンは更に強く腕を掴み、彼女を立ち上がらせた。

「……やっ…ちょ、やめてよ!なにすんのさ、拉致?!」

「んなフラフラで帰れるわけねぇだろ。どっか知らねぇ男に連れてかれるだけだぞ。いーから来い」

「…それは自分じゃん!ちょ、痛いってば」強がる態度とは裏腹に、あやねの瞳には弱々しく涙が浮かぶ。
188風梅61:2009/01/29(木) 02:41:14 ID:nd7a4GwK
「…なんだよ………ずっとほったらかしにしてたくせに……」

バタンッ
強引にあやねを助手席に乗せるピン。
懐かしいシートの匂い。
あやねはしぶしぶ大人しく座り直す。

ピンは黙ったまま運転席に乗り込み、キーを刺し、タイヤにチェーンを巻いた車を発進させた。
「…………」
あやねは黙っていた。
横目で少しピンを見ても、彼はただ目の前を見て無表情でハンドルを握っているだけ。

………なんだよ。
いつも肝心なことはなんも言わなくて。
あたしがどれだけ悩んで、どれだけ不安だったかわかってんの?
なんで連絡くれなかったんだよ。
待ってたんだよ、あたしはずっと。
今更なんだっていうんだよ…

あやねは唇を噛み、ぶっきらぼうに窓の外を見ながら言った。
「……あたしん家の場所覚えてんの?」
信号が赤になり、車が止まる。
「……お前んちじゃねぇよ」
ピンは前を向いたまま依然として無表情にいい放つ。

「俺んち。」


「………は…?なにいってんの、…?ダメに決まってんじゃん、大晦日だよ?親が心配するし」
189風梅62:2009/01/29(木) 02:48:32 ID:nd7a4GwK
あやねは自分のひざをきゅ、っと掴み、依然として顔を背け、ぶっきらぼうを装う。

「誰か友達の家に泊まるっていえば平気だろ」
見上げたそこには、ひとりの男の顔。

優しく微笑む彼の顔。
あやねはその彼の顔を見て、悔しさと嬉しさが同時に込み上げてくるのを感じた。

静かに見つめ合い、そっと近づくふたり。
窓の外には、再び雪が優しく降り始めていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――「梅ー!ごはん食べよ、食堂いこ!」

やけに元気なあやねが職員室から出てきた梅に声をかけた。
同窓会以来、やけに機嫌がいい。
何かあったのかな…と梅は思ったが、何も聞かなかった。

「いい出会いないかなぁ」
明るく日が射す窓際の席で、梅が食後のコーヒーを飲みながら一人言のように言った。

突然の梅の言葉に、あやねは理解出来なさそうだった。
「え、なに突然…」

ガラス越しに輝く太陽を眩しそうに見上げながら、梅は清々しい笑顔を浮かべて、呟いた。
「……今なら、前に進めそうなの!」
190風梅64:2009/01/29(木) 03:19:31 ID:nd7a4GwK
そんな親友の笑顔に、あやねは何も言わずにただ優しく微笑む。

彼女が見上げる太陽を、あやねは一緒に見上げた。
眩しく照り注ぐ太陽。

あやねは目をつむり、その光を身体一杯に感じようとした。
「…きもちいーね」

「うん」

太陽はいつもわたしの傍で輝いている。
わたしを照らしていた太陽は、今も大切にこの胸で笑っている。

どうか、ずっと輝いていて下さい
どうか、ずっと人を照らし続けて下さい

照らすのに疲れた時や、自信を失った時は、ちゃんと雲に隠れてね

その時は、必ず誰かがあなたを支えてくれるから
あなたはひとりじゃない。
あなたはみんなに愛され、囲まれている。

くなる事を恐れず、光を放ち続けて下さい




「っっっしゃぁあぁ!!!」
梅はガタッ!と席を立ち上がり、大声をあげた。
あやねは思わずコーヒー勢いよく吹き飛ばす。
そんなふたりの様子に、食堂にいるみんなの注目が一斉に集まった。

「ちょ、なにその体育会系の掛け声。ちづじゃないんだからさ、ねぇ」

みんな見てるから、恥ずかしいから、とあやねが呆れたようにこそこそと梅を座らせようとする。
191風梅ラスト:2009/01/29(木) 03:32:28 ID:nd7a4GwK
「あやね!わたし頑張るから!!いろいろさ!頑張るから!!」

息を荒げてなおも声を上げる梅。
うん、わかったから、恥ずかしいから座ろうね、と言うあやね。
「わたし頑張って輝く!!わたしもっと強くなる!!」

あやねは勘弁したように座らすのを止め、光に満ち溢れた彼女を見上げた。

「……もう充分強いけどねぇ」
あやねは笑顔を溢した。
梅も笑顔を溢した。

梅は再び太陽を見上げる。

優しく彼女を包むように、先ある未来への道を光射すように、今日も青空の上で照り続いていた。


おわり。

賛否両論ある終わりだと思うけど自分的にこの風梅を書こうと決めた時からラストは梅ひとりエンドでしたw

長〜くて長〜い読みにくい文を読んでくれた方、ありがとうです。
更にコメントくれた方、ありがと!


ちなみに補足。
梅が風とヤった満月の日と、健爽が爽子の部屋でみた満月の日はおなじ日、同じ時間です。

あとわかりにくいとこ疑問に思ったとこあったら言って下さい!

ちなみに次はエロだけの短編で健あやねのテクニック対決でも書こうかなとw
あとリクエストあったら、是非いってくれたら嬉しすです(^ω^)
192名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 04:35:31 ID:sqVk2yP0
風爽がヤっている最中を第三者の人間が偶然見てしまう話が読みだいです
193風梅追記:2009/01/29(木) 05:27:55 ID:nd7a4GwK
何度も連投スマソ
風梅ラストを急きょ直前で変えたので、梅が風の声を遮って「バージンが高い」っていう回とラストがあんま噛み合ってないことに投下して気付いた。
個人的には、あの時梅は故意的に風の話を遮り、わざと話を反らそうとしてあのバージン話をしたわけです。
もし未来に風と向き合う時があるなら、それは今でなくてもいい、と
梅は風に笑顔が戻ったことで充分満たされていて、ふたりの関係にその先があるならそれはその時に任せよう、みたいな。

風もそんな梅のきもちに気づいたのか、自分でなにかを思ったのかはわからないけど、自分もその場は梅を見送った。
だからあのときは笑顔でさよならをした。

とりあえずこの風梅話は
ふたりの恋愛発展〈風の笑顔が戻る、風が前に進む なのでこうしました。
読み返したらもっと↑のシーン丁寧に書けばよかったと後悔したから、簡単だけど補足です。
あと、千鶴の妊娠が発覚したのはあくまで結婚が決まった後ですwそのときすでに式の段取りは決まってて…みたいな
んで千鶴と龍は高3のあの卒業式の前夜までいわゆる恋人同士の関係ではなかったです

龍はいきなり結婚を切り出したというわけで。まぁ龍からしたらいきなりではないんだけど
ん〜長くなってゴメン…ラストはもう一個の梅エンドにするつもりだったんだけど、まぁぼかしてみんなにその先を想像してもらえればいっかなと急きょあのラストを即興で書いたw
いつもより少し荒くてごめんなさい。
補足でした
194名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 08:13:14 ID:0mdoczTg
GJ
長編、お疲れ様でした〜
195名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 08:48:21 ID:4cmoPgmo
GJです!しかもこんな明け方までw
ピンあやねもっと読みたいです
196名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 09:00:06 ID:Ual7Slga
長編お疲れ様でしたー!
GJGJ!!素晴らしかった。ありがとう!
今度は、その素晴らしい文才を駆使して、風爽の幸せなのを書いてほしいです。
197名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 14:09:47 ID:MDni3889
GJ!!
もー君に届けだいすきだ
198名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 17:30:31 ID:D/F599Z4
GJGJGJ〜〜〜!!!!!
風梅さんあなたはプロですか!?神ですか!?
これ普通に本にしてほしいですわ。
今最初から最後まで見てきました〜。

昔あやねが「友達の家に泊まる」って言ってもダメって言われたのに
今度はピンから言ってくる・・・
う〜ん♪これは話的にかなりいいですね〜。
199名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 21:26:40 ID:POjggNdg
本当にお疲れ様です。
十日あまりの間かなり楽しませてもらったよ
個人的にラストはこれが自然でいいと思う。
200名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 21:40:25 ID:o4nfqFTO
GJそして乙です
風梅もありだと思ったけど、これ見てたらなんか逆に
風にとって全人類中、爽子しか「女」じゃない気がしてきた。
さすがに元鞘とは思わんけど(健人も気の毒だし)
あの激情は対爽限定でしかないんだなとなんか切ない

切ない祭を堪能したのでなんかただエロエロしてるのが
見たい。>>192の第三者が風爽エチーを見ちゃうのも見たい。
目撃者が千鶴でエロスな気分になって龍を押し倒すのもよし
目撃者があやねでエロスな気分になって(ry
目撃者が健人or梅だとちょっと切ないのでいっそ二人で目撃→アンアンアアンでもよし
読みたい
201名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 21:55:54 ID:o4nfqFTO
パラレルもいいね
人魚姫のエピが出てたけど人魚爽子と風王子って
王道じゃね?
龍爽コンビは昭和初期の頃の慎ましやか夫婦って感じだから
そういうパラレルでもいいし、互いが婚約者でありながら
龍は近所の元気娘ちづに、爽子は偶然しりあった学生・風早に
道ならぬ恋をしてしまうとかいうのもいいと思う。
妄想の種はつきまじ君届に
休載の間ここだけが楽しみだ。神々よもっとクレクレ
202名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 01:54:56 ID:FBpfxxLJ
風梅さん乙でした!
ホントにこれ、本になって欲しいってくらい!


途中から風早と爽子が恋空の二人みたいに思えてきた。
爽子にはケントが居ても、
月日が経っていつかまた風早と会った時に
ときめき合うんじゃないかと妄想。

まだまだ続きがありそうって思えるほど
リアリティーある話でした!
あなたネ申!
203名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 12:34:31 ID:kruJBaS8
携帯で投下すると見辛いかな?
今パソコン壊れてて、でも職人さん達に触発されてお話書いたんだけどどうだろう
204名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 12:51:24 ID:scwBI5kQ
カモン!
205名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 14:41:15 ID:h4M59Kre
カモン!ベイベー
206滑稽ラブ主:2009/01/30(金) 14:55:17 ID:/h3oQGZo
>>174さん
ありがとう!
まさか自分の名前が出てくるとは思わず。
そのうち書いてみるよ!
滑稽な龍ちづとか・・・?
207滑稽ラブ主:2009/01/30(金) 14:56:18 ID:/h3oQGZo
下げ忘れた・・・すまん
208名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 16:12:04 ID:h4M59Kre
私も待ってるんだよ、滑稽ラブ主さん


そう               全裸で
209名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 17:08:16 ID:scwBI5kQ
>>203
2回目だけどいうよ!カモン!
>>206
174だけどこっちがありがとうだよ
初々しくて可愛くて大好きだった。
滑稽龍ちー楽しみにしてる でも風爽も…風爽も…!
>>208
偶然だなブラザーオイラも今パンツ脱ぎかけたとこだぜ

好きな職人さんの名前ならナンボでもあげられるぜ
黒風さんの妄想暴走黒風に尋常じゃなくときめいたのが
このスレに入り浸るきっかけだったしね
このスレ大好き。
原作の遺伝子がすんごく入ってる感じ。続きでもおかしくないのとか
たくさんあるし。
読むたびドキドキしたりニヤニヤしたり切なくなったりほんわりしたり
もうめちゃくちゃお得なスレだよ
210名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 18:44:34 ID:kruJBaS8
カモンありがとう!携帯から恐縮ですが投下します。

上の方でちょっと出てた風爽プロポーズの話を書いてみました。
エロなしです。
初書きなので、おかしなとこもあるかもしれないけど、暇つぶしにどぞ
211名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 18:59:27 ID:kruJBaS8
仕事の帰り道、いつもとは違ったルートを行く。向かった先は、男には入りずらく感じる程可愛らしく構造されたケーキ屋。
自動ドアが開き店に足を踏み入れれば、甘ったるい匂いが一杯だ。そして華やかな甘味達が目の前に並んだ。


「これ、下さい」


買うものは決まっていた。君がいつも俺のために作ってくれるケーキに似た、イチゴのケーキ。今日は特別な日だから俺が買っていくんだ。君が作ってくれるケーキに比べたら、敵いっこないんだけどね。

ケーキを下げた袋を持って次に向かったのは、花屋。君に似合う花はなんだろう、ずっと考えてた。優しくて、可愛くて、あったかい笑顔。


(・・・あ)


ちょうど目の前に、白いコスモス。爽子の笑顔みたく可愛くて優しいのに、その白さが儚さを醸し出している。側にある札に、花言葉が書いてあった。


『美麗、純潔、優美 』


「・・・これ、下さい」


爽子にぴったりの花、みつけたよ。喜ぶだろうか。笑ってくれるだろうか。そして俺の告げる言葉に、どんな顔をするんだろうか。
考え出せば鼓動が速くなる。早く、早く会いたい。

鞄から四角形の小さな入れ物を取り出して、ポケットの中に入れた。その時が近づいたことを実感し、思いをはせる。この小さな入れ物の中に、未来の二人が待っている。




想いが通じ合ったのは、高校二年の秋だった。とても傷つけた。たくさん泣かせた。でも君は俺を好きだと言ってくれた。
すれ違った分、手にした幸せが大切で大切で。もう傷つけたくない。自分の幼さで彼女を泣かせたくない。その一心だった。

高校を出て、お互い別々の大学に行った。大学卒業後、就職が決まると同時に、お互いの両親から承諾をもらい同棲することになった。
朝起きれば、すぐ側にいる。疲れて帰ってきた夜は、料理を作って待っていてくれる。爽子自身慣れない環境に困惑も多いだろうに、疲れた顔を見せずに笑ってくれた。
その笑顔が、大好きだった。生まれて初めて、誰かを守りたいと思った。

そして月日は流れ25才の今、一つの願いを抱えて彼女の元へ向かった。
212名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 19:41:30 ID:kruJBaS8
家に着いて、インターホンを鳴らす。パタパタと足音が聞こえて、ガチャリという音と共にドアが開かれた。


「お帰りなさい、翔太君」
「ただいま、爽子」


視界に映る大好きな人の存在に、自分の顔が幸せそうににやけているのが見なくてもわかる。
日常で交わす何気無い一言でも、爽子が口にすればそれは魔法のように特別なモノに変わる。
黒髪が、白い肌が、爽子の全てが目に映るだけでこのマンションの一室が特別な空間に変わる。
一緒にリビングまで行って、いつもはソファーに腰かけるところだが、今日は違った。


「はい、これ」


立ったままケーキの箱を爽子に渡せば、不思議そうな顔をしてその箱を眺めた。


「ケーキ。買ってきたんだよ」


そう言ってみて、なんだか無性に恥ずかしくなる。
一気に出してしまえ!と思い、背に隠していたコスモスの花束を爽子に渡した。


「・・・え・・」
「これも、爽子に!」


自分の顔が真っ赤になってるのが分かる。花を贈るなんて、ドラマでもあるまいし恥ずかしくてたまらない。
爽子は少し困惑するような表情をした後、直ぐに焦点が合ったかのように目を見開いてああっ!と声を上げた。


「〜〜ああああっ、ありがとう・・・!!」


爽子が馬鹿にするような子ではないことは知っている。だけど″ありがとう″と言ってくれたその言葉にほっとした。


「一人で・・・買いに行ってくれたの?」
「うん、少し恥ずかしかったけどね」
「・・・ありがとう・・・」


泣きそうな顔をする爽子の頬をそっと撫でる。俺の指にぴくりと反応すると、そっと顔を上げた。優しく微笑みかければ、爽子も釣られるように微笑んだ。

ああ、それ。その笑顔が見たかったんだ。


(可愛いな・・・)


「何だか・・・翔太君が私のためにこれを買ってくれてる場面を思い浮かべたら、すっごく温かい気持ちになったよ」
「私、すごく嬉しい。すごくすごく嬉しい。」


ああ、また泣きそうな顔になった。
213名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 20:00:52 ID:kruJBaS8
「好きだよ。今も、あの頃とひとつも変わらない」


あの頃、初めて会ったあの日から。君に恋をしていたあの日々から。
何一つ気持ちは変わらない。むしろ大きくなっていくばかりで。


「うん、私も翔太君が・・・だいすき」


君の頬に触れて、熱くみつめあって。それだけで心が優しくなる気がした。同時に、胸が痛くなる程熱く焦がれる。
触れた場所から君を壊してしまいそうな恐怖と、君をどうしようもなく守りたいと思う気持ちが交差し、ふいにとても不安になった。


「翔太君……?」


泣きそうだった爽子が、急に表情を変えた俺の顔を覗きこむ。
目が合うと、今度は爽子の方から笑ってくれた。そして自分も笑顔になっていることに気付く。


(・・・なんだ、不安なんて)


―――不安なんて、その笑顔をみれば全て消え去ってしまうんだ。
愛しい想いに胸いっぱい包まれて、君を傷つけてしまうかもしれない恐怖は、君を絶対に守り抜くという強い意思に覆われた。

爽子の左手を大切に握り、ポケットに入れておいた大事な入れ物を取り出す。
爽子は不思議そうにその入れ物を見つめ、やがて中から出てきた煌めく光に言葉を詰まらせた。


「・・・っ・・・!」


何も言わずに爽子の左手を取り、薬指に煌めく指輪をはめた。細い薬指にきらきらとこぼれ落ちそうな光。
自分が手に持っていた時よりも、爽子の指にはめた今の方が何倍も輝きが強い。

深く息を吐いて、決心したように風早は言葉を切り出した。


「これから・・・何年たっても、何十年たっても・・・爽子が、おばあちゃんになっても。・・・俺は、爽子の笑顔を守りたい」


目を見開いて、風早の言葉を黙って聞いている爽子。
風早は続けた。
214名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 20:19:58 ID:kruJBaS8
「俺の側で、ずっとずっと笑っててほしい。そんで、たまには怒ったり泣いたりしてさ。もっともっと甘えてもいいし、ワガママ言ってもいいし。」


自分の痛みよりも人の痛みに傷つく、優しすぎる君。
もっともっと、自分を甘やかしていいんだよ。もっともっと、俺に頼っていいんだよ。


「これ以上ないって思うくらい、幸せにするから


俺と、結婚して下さい」


沈黙が流れる。周りも、時計の針の音も止まった気がした。ただ自分の鼓動の音だけが頭に響く。
言いたいことは、すべて言った。その唇が動く瞬間、息を呑んだ。



「・・・はい・・・。・・・私で、よければ」


涙がいっぱいにたまった瞳で、そんな震えそうな声で。
俺の気持ちを受け止めてくれたんだ。
″私でよければ″って。こんな時まで爽子らしい。

爽子だから。
爽子じゃなきゃ、ダメなんだ。
ダメなんだよ。


「・・・っ・・あーー!!もー俺今なら死ねる!」
「えっ・・・ええ!?」


俺の言葉に本気で顔を青くして慌てふためく爽子。ははって思わず笑ってしまう。
変わってないな。爽子は昔と何も変わらない。

優しく腕の中に引き寄せて、溢れそうな想いごと抱きしめた。あたたかな温度が流れ込んで、幸福感でいっぱいだ。
腕の力を緩めて顔をのぞきこむ。どうしたって手放せない大切な存在にキスをした。


「・・・爽子、愛してるよ」
「・・・私も、愛してます」


柔らかく微笑んだ愛しい君に、もう一度恋をした。初めて出会ったあの日、君の笑顔に恋におちたように。
きっとこの先、何度も何度も君の笑顔に恋をするだろう。

その度に、何度も何度も君に届けるよ。

君との間に生まれた、大切な大切な″愛する″という気持ちを。




終わり
215名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 21:09:31 ID:scwBI5kQ
GJ〜!
ドキドキした。かわいいのうかわいいのう
切ない祭が続いてたから甘いものが身に染みるう
今日の疲れがふっとんだよ
もー風早ってばもー。いいぞもっとやれ。
何度も何度も君に届けるよ ってとこ好きだなあ
これで初書きってすげー
爽子も風も彼ららしいしニヤニヤした。
しかしここ神が多いな。ヴァルハラか。
216名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 23:15:52 ID:JP/2nrOx
GJ!!

こないだ自分も触発されて初風爽書いてみた。
しかも、上の方で第3者目撃ネタがちょうど出てたけど、
書いたのまさに第3者目撃ネタ。
何故かギャグっぽい雰囲気に・・・

長くなりそうだけど投下してみます〜
無理そうだなと思った方は、NGワード「恋の魔法」で
217恋の魔法 1:2009/01/30(金) 23:16:38 ID:JP/2nrOx
――オレはその日、見てしまった。

初夏、屋上。
さわやかな風に吹かれて、ジョーこと城ノ内○×は真っ青な空の下、寝そべっていた。

「・・・最高〜〜〜。」

立ち入り禁止のこの場所は、ジョーのとっておきの場所であった。
ここに来れば、逃れられるような気がした。
そう、高3の、受験勉強という名の悪夢から。
それに・・・

――集団に群れるのが好きなオレだけど、こうしてたまにはのんびり一人もいい。
ふっ、なんちゃって・・・。

ジョーが自分に酔っていたその時。
耳に届いたのは、聞こえるはずのない物音、人の声。

がちゃり。

「・・・開いてた。」

「・・・ほんとだ。いいのかな、立ち入り禁止なのに・・・。」

「大丈夫。俺たちだけの秘密なっ。」

ドアとは反対側の壁際にいたジョーは、声の主を探った。
どうやら、犯人は男と女、二人連れらしい。

――ちくしょー。彼女いない歴18年のオレへのあてつけか・・・!
  あてつけた上に、オレしか知らないとっておきの場所を奪うのか・・・!!

ジョーは怒りと涙を抑えながら、よく知った二人の姿を確認した。

――・・・風早〜〜〜!!と、貞子。

ふたりは最近よく一緒に居る。
見詰め合って、赤面したり、放課後ふたりきりでいるのを見た、という目撃情報が増えたり。
公言こそしていないが、付き合っているのだと見ていて分かる。
まったく隠していないその様子に、周囲は苦笑を隠せない。
それだけではない。
デレデレな風早を見て『風早が貞子の黒魔術にかかった』なんて噂まで流れている。

と、ジョーがそんなことを思い浮かべているうちに、当の本人たちは二人だけの世界に入ってしまったようだ。
218恋の魔法 2:2009/01/30(金) 23:18:02 ID:JP/2nrOx
――・・・出て行くタイミングを失った・・・。
しょうがないか。
  あっちはオレのことに気付いていないみたいだし、オレはオレでリラックス〜〜〜

といきたいところなのだが。
否が応でも二人の会話が聞こえてくる。

―なるほど。マジかよ〜〜〜

すぐ傍で繰り広げられる甘い会話を聞いてたら、
風早が貞子に魔術をかけられてるっていう噂が、ジョーには本当のことのように感じられてくる。
はぁ、と溜め息をつきそうになったところで、会話の雲行きがだんだん怪しくなってくるのを感じた。

「ねぇ、しるし、まだ残ってる・・・?」

なぜか、風早の声が急に色っぽくなったのだ。

「え、あ・・・。自分じゃよく見えなくて・・・。」

その熱のこもった問いかけに答える爽子の声も、
(ジョーからしてみれば)いつもの生気のない声とはまったく違っていた。

・・・陰からのぞくと、爽子の耳が少し赤くなっているのが見えた。

「見せて。」

真剣なまなざしで、力強く言う風早に戸惑いを隠せない様子。

「ここで?」

「誰も見てないよ・・・。」

爽子の返事を待たず、風早はその漆黒の長い髪をするり、と爽子の片方の肩にひとつにまとめた。

「・・・ッ!!」

艶やかな髪の黒と、それとはまったく正反対のうなじの白ーー・・・。
そのコントラストに、ジョーの視線は一瞬にしてとらわれた。
太陽の光が、その白を綺麗に照らしていた・・・。

とらわれた視線は、照らされた白に、ほのかに色付く紅を見つけた。
うなじの、髪の生え際のごく近いところに付けられた―――

――キスマークだ。

ごくり、と生唾を飲み込んだ。
唾を呑み込むその音がやけに大きく感じられて、二人に気付かれてしまったのでは、とジョーは慌てた。

しかしそれは杞憂に過ぎなかった。
219恋の魔法 3:2009/01/30(金) 23:18:58 ID:JP/2nrOx
「薄くなってるよ・・・。」

その瞳に熱を宿した風早が、紅いしるしを見て呟く。
爽子は恥ずかしいのか、黙り込んで俯いている。

「もう一回、つけていい?」

「え・・・。」

「俺のだって言うしるし、消えちゃったら嫌だから。」

甘い言葉を紡ぎながら、風早の唇は美しいうなじに吸い寄せられていった。

――・・・うわ。

普段よく知っている相手なのに、まったく知らない人のように感じられた。
ただ、首筋にキスを贈っているだけ、なのに。
その光景はひどく甘美に思える。

ちゅ

と、唇が肌に吸いつく音と、

「あ・・・。」

爽子が小さく声を上げたのはほぼ同時だった。

するり。

キスを終えると同時に、まとめていた髪を開放する風早。
はらはらと落ちてくる髪の毛の隙間から見えるのは

通るような白と、鮮やかな、赤―――。

ジョーは全身が熱くなった。
まだ初夏なのに、さわやかな風が半袖から出ている腕をくすぐっているのに・・・
まるで真夏の太陽に灼かれているかのような、そんな熱さを感じた。

「・・・なくても。」

爽子の、ぼそぼそ呟く声が聞こえる。

「え?」

「・・・しるしなんかなくても、私は風早くんのものなのに。」

一瞬、時が止まる。

滅多に見せない極上の微笑で、極上の台詞を捧げる爽子。
そして次の瞬間、目の前の魔女に屈する王子・風早の姿があった。
220恋の魔法 4:2009/01/30(金) 23:20:42 ID:JP/2nrOx
「もう・・・・反則だろぉ・・・。」

その言葉の意味が分からない、と言った表情で、爽子が『え、え、』と焦っている。

――天然でやってるなんて、魔女より性質が悪い。
  わざと誘ってくれていたほうが、何倍もマシかも。

あんな表情で、あんなことを言われたら、理性を保てと言われるのは酷く酷である、とジョーは思った。

「誘ったのは、黒沼のほうだからね。」

「ひゃ・・・。」

あっという間に、爽子の身体はコンクリートの床に倒されていた。
そしてほぼ同時に、そのピンク色の唇に、魔術にかかった男の荒い口付けが降り注ぐ。

「ん、や・・・」

言葉を奪うように、唇を塞ぐ。

「か、ぜはやく・・・」

まさかこんな場所で、こんな展開になるなんて、予想外だった爽子が抗議の声を上げようとしたのだが、
それがかえって風早の舌を自らの口内に誘い入れることになり、逆効果になってしまった。

「ん、ふっ・・・」

くちゅ、くちゅ・・・

唾液のいやらしい音と、漏れる吐息に聴覚は奪われ。
口付けを受けながら捩る腰、くしゃくしゃに掴まれる漆黒の髪、
二人を繋ぐ唇から漏れる透明の唾液に視覚は奪われ。

本当に放っているかは分からないのだが、
においたつような爽子の色香に、嗅覚は奪われ。

ジョーは頭がおかしくなりそうになるのを感じた。

それでも目を離すことが出来ない。

――・・・なんで、なんでなんでなんでなんで・・・!!!

まったく、絶対、天と地がひっくり返っても有り得ないのに。

――オレ、めちゃくちゃ興奮してる・・・!!
  貞子に欲情してる・・・・・・!!!!!!!!

心臓と、彼の分身は、これ以上ないくらいにどくんどくんと脈打っていた。
221恋の魔法 5:2009/01/30(金) 23:25:34 ID:JP/2nrOx
風早の手は、いつの間にか爽子のブラウスの裾に伸びていた。
その間も、唇はまだ爽子の唇、舌を奪い続けている。

「ひゃっ・・・!!」

突然、爽子の身体が跳ねた。

「や、あっ。」

風早の手が、ブラウスの下の小さな膨らみを捉えたのだ。
ブラウスの下の、ブラジャーを上にずらされ、爽子の先端はその手の平や指先で弄ばれていた。

「や、んっ、あ。」

「感じるの?かわいい・・・。」

爽子の反応に満足そうな笑みを浮かべる風早。
その表情のどんな変化も逃すことを許したくないのであろう、
指の動きを変える度に色を変える爽子を、じっと見続けている。

「・・・摘ままれると、気持ちいいの・・・?」

くす、と、口角を上げ、うっとりと爽子の表情を見つめる。
爽子は恥ずかしくなって、思わず顔を逸らした。
それでも、風早の責めから逃れられるはずがなく・・・
それが却って彼の嗜虐心を煽った。

――・・・・・・・・!!!!!!

風早の視線から逃れたくて背けた顔の先には、ジョーがいた。
一瞬目が合ったような気がして心臓が止まりそうになるが、
敏感な部分を責められている爽子には、他の何も見えていないようだった。

頬を染め、涙で潤んだ瞳はどこともなく宙を見ている。
濡れた唇は半開きのまま、切ない息を漏らしている。

女性のそんな姿など、AVでしか見たことがない。
それでも、そんじょそこらの男子高生には負けない程の本数を見ている自負のあるジョーですら
今まで見たどんなAV女優よりも、艶やかで、エロいと思った。
222恋の魔法 6:2009/01/30(金) 23:36:45 ID:JP/2nrOx
首筋を這う、赤い舌は、ブラウスの襟まで達した。
行くあてがなくなった舌は、今度は捲り上げられた真っ白なお腹に降りてきた。

「やぁっ・・・」

必死で身を捩って、舌の愛撫から逃れようとする爽子。

「なんで逃げるの、爽子・・・。」

熱にうかされたように、風早は問う。

「んっ、だって、ここ・・・。」

ここは学校内で、しかも屋外であることが爽子にとっては大事件のようだった。

「・・・悔しいな、爽子はまだ、そんなことが考えられるほど理性が残ってるんだ・・・。」

俺はとっくに、そんなもの失くしてるのにね、と続けながら、
しゅるり、とブラウスのリボンをほどく。

「あっ」

リボンは風に飛ばされ、離れた場所に落ちた。
爽子がリボンに気を取られているうちに、風早はあっという間にブラウスのボタンを外してしまった。

そよぐ風が素肌をくすぐっている。

先ほどの愛撫でずらされた下着のせいで、前だけ肌蹴た上半身は、敏感な部分が露になっていた。

可愛らしく存在を主張しているピンク色の先端は、すぐに風早に食べられてしまった。
223恋の魔法 7:2009/01/30(金) 23:40:19 ID:JP/2nrOx
片方の先端は、大きな男の手で弄ばれている。
先ほど言葉攻めされていた通り、2本の指で摘まれるのが感じるらしい。
少し引っ張られるように摘まれ、爽子は嬌声を上げる。

もう片方の先端は、男の唾液によってぬらぬらと光っている。
舌先でちろちろと揺らされたり、膨らみごとしゃぶられたり、
ちゅう、と卑猥な音まで聞こえる。

「あ、あ、あ、やあっ、んっ」

容赦ない攻撃に、爽子は首をいやいや、と左右に振ることしか出来なかった。

ジョーは、視覚、聴覚、嗅覚を支配され、もうどうにもならないほど身体が求めているのを感じていた。

触覚と、味覚。

自分も、目の前の魔女にやられのだ、と思った。

――触れたい、触りたい、味わいたい。

それでも目の前で繰り広げられている濡れ場をまだまだ見ていたくて、ジョーはそばに行きたいのを必死で堪えた。


気付けば爽子のスカートは器用にも取り払われていた。
舌は胸、腹を責めながら、男の手は下へ下へおりてくる。

ショーツの中に入るのかと思えば、手はそのままショーツの上を辿り、太腿へ・・・。
早く触って欲しいのに、望んだ場所に触れてもらえず、爽子は太腿をこすり合わせた。

「触って欲しいの・・・?」

恍惚の表情で、風早は問う。
爽子はただいやいやと頭を降った。

「ふぁ、はぁ。はぁ。」

「かわいい、爽子・・・。」

切ない吐息を奪うかのように、再び口付ける。
最初の荒々しいキスとは違う、溶ける様な、濃厚なキス。
224恋の魔法 8:2009/01/30(金) 23:58:36 ID:JP/2nrOx
爽子は浮遊感の中にいた。
ふ、と身体の力が抜けるキスに、すべてを預ける。

その時、手がショーツの中に入ってきたかと思うと、
つぷり、と指が進入してきた。

「あっ・・・。」

「濡れてるね・・・もうびしょびしょだよ。」

敏感な部分と、中を行ったり来たりする。
爽子の中から溢れ出るものが、その指の動きを滑らかにする。

「ん、や、あ、やぁ。」

くちゅ、くちゅ、くちゅ・・・

喘ぎ声と、いやらしい音で満ちていく。
気がおかしくなりそうな、甘美な音。

ジョーはそっと、ズボンのチャックをずらし、痛いほどに張り詰めた自身を取り出した。
ずっと触れて欲しかった自身は、よろこびの涙を流す。

風早の方も限界が近かった。
こんな場所でこんな淫靡なことをしているということにも興奮したし、
太陽の下で輝く爽子のうつくしい身体に、いつもとは違う魅力を感じた。

湿ってしまったショーツをずらし、爽子の片足に引っ掛ける。
もう完全に力が抜け切ってしまっている身体は、すぐに思い通りに足を開いた。

匂いたつような色香が風早を誘う。
導かれるように風早はそこへ顔をうずめた。

「やぁ!!!」

羞恥で染まった表情だったが、すぐに恍惚の表情へと変わっていった。

ぴちゃ、ぴちゃとわざと音を立てたり、ちゅう、と悦ばせたり。
どんな愛し方にも、爽子は敏感に反応する。
225恋の魔法 9:2009/01/30(金) 23:59:12 ID:JP/2nrOx
「・・・爽子・・・好きだよ。」

「私も・・・大好き。」

睦言を合図に、風早の自身が取り出され、準備を終えて爽子の入り口に宛がわれた。
未だに慣れないのか、その瞬間は少し身を硬くする爽子。

「大丈夫だよ・・・。」

優しい優しいキスを贈りながら、風早はゆっくりと爽子の中に入っていった。

最初はゆっくりと動いていた風早だったが、次第にその動きは早くなる。
緩やかな喘ぎ声が、段々と嬌声に変わっていく。

その声も、表情も、身体も。
すべてが愛しくて、すべてが欲しいと、男の想いが痛いほど伝わってきた。

これほど幸せな行為はないはずなのに、
風早は貪欲に爽子を求めているような気がして、
ジョーは自身を慰めながらも切なくなった。

そして爽子に目を向ける。

風早の動きのひとつひとつに翻弄される身体。
いやいやと振る頭も、言葉も、風早に自分を捧げるための手段なのかもしれない。
爽子にその気はなくとも。
すべてを与えたいと、爽子の身体も、心も、そう望んでいるような気がした。

すべてがお互いに支配される。

そんな行為を偶然にも目にしてしまった自分は、幸運ではなく不運だったんだと思う。

ジョーは朦朧とそんなことを考えながら、達した。

まもなく、二人も絶頂を迎えた。

その時―――・・・
226恋の魔法 10:2009/01/30(金) 23:59:54 ID:JP/2nrOx
キーンコーンカーンコーン。

「・・・・・・!!!!!」

「やっべ、予鈴だ!!」

一気に現実に引き戻される。
余韻を楽しむことも出来ず、恥ずかしさを感じるまもなく、二人はわたわたと後始末を始める。
バタバタバタ、とあっという間に屋上から出て行った。

ハッと気付けば、校庭や校舎から、生徒たちのキャッキャという声が絶え間なく聞こえてくる。

――異世界にいた。今、オレ、いってしまってた・・・・・・・!!!!!!!

すごいものを見た、と、さっきとは違う意味でドキドキしてくる。

「も〜〜〜どうすんだよ・・・あいつらのせいで・・・
 オレ、完全に遅刻じゃねーーか・・・。」

はぁ、と溜め息をつきながら頭の整理を始める。

――あの風早がデレッデレ・・・。 
  貞子は・・・・ほんとに魔女だった!!!!!!

でも。

――貞子のあの色気・・・。

先ほどの媚態を思い出して思わず赤面する。
そして普段の爽子の姿を思い出して、苦笑してしまう。
さっきはリングの貞子じゃなかった!!

――あの貞子が・・・なぁ・・・。

ただの、一人の、女だった。

――いや、貞子が魔女なんじゃなくて、風早の方が魔法使いなのか・・・??

  貞子が魔女で風早も魔法使いで・・・ん?なんだ??えーーーーーと。

「わからーーーーーーん!!!!!!!!」

――もう5限目いいや。

なんだか疲れ切ってしまったジョーは、その場に寝転んでしまった。

まだジョーはわかっていない。
二人をあんな風に変えた正体は至って簡単。
『恋』という魔法なのだ。

それが分からないうちは、身を焦がすような恋は当分先なのかもしれない。

227恋の魔法 つけたし:2009/01/31(土) 00:03:07 ID:JP/2nrOx
つけたし。

疲れ切って眠りこけてしまったジョー。
目を醒まして屋上から出ようとしたとき目に入ったのは、爽子のリボン。

何故だか高鳴る鼓動を抑え、そのリボンに触れてみる。
くらり、と、眩暈を感じる。

――これ・・・なかったら貞子困るよなぁ。
  返さねーと・・・いや、でも。
  なんでオレがこれをってなるよなぁ〜〜〜〜〜〜

先ほどのふたりの濡れ場を見て、まさかの行為に及んでしまったことが
ジョーに後ろめたさを感じさせていた。

うーんうーん。
その場で悩むジョー。

彼はそのとき、真面目な爽子がかばんの中に予備のリボンを持っていて、
あのあとそ知らぬ顔で教室のイスに座っていたことを知らなかった。

そして、後に予備のリボンをつけている爽子を見て、
拾ってしまったリボンを返すタイミングを外し・・・・

未だにそれは、彼の部屋の、AVやエロ本置き場にひっそりと置かれている。

*******************************

スレの大量消費&お目汚し失礼しました〜
ジョーが出てくるだけでギャグ要素に・・・
でも何故か彼を選んでしまいました。

神の第3者ネタ、読みたいです。
風の目の前でやられちゃう爽とか
楽しみにしてます〜
228名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:07:22 ID:I6rlzbkx
GJGJGJ!
オチもいいねー!ジョーってとこがまたww
おもしろかった!
229名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:18:44 ID:uSPxQ1S8
ぐ、ぐっじょぶすぎてビビるわあ!
ツボすぎる…ケンシロウ並の正確さでツボ突かれた
しかもものすごい風爽の愛し合いっぷりが伝わってくる
風→爽だけじゃなくて爽→風なのがいいんだよ
230名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:23:18 ID:ERei53dF
龍が好きだが、現実惚れるのはジョーなタイプ
ジョー可愛いよジョー
231名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:30:51 ID:Mwq8tNvY
GJ!まさかのジョーで笑えたww
ジョーは二人きりのときに爽子のあの笑顔で微笑まれたら、あっさり落ちると思うw

そういえば、ここでは爽子は貧乳っていうのが定説なんだねw
まぁ本編でも華奢だけど、扉絵とかでは意外といい体してそうにもみえるw
232名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:40:59 ID:s45VxPDS
たしか2巻のカット絵??に爽子のビキニ(フラダンス)姿の絵なかった?
胸の大きさはあれくらいじゃない?
233名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:58:34 ID:mpj4cETm
実はボインちゃん…、あると思います
234名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 01:09:35 ID:uSPxQ1S8
自分の場合は貧乳萌なんで貧乳にしちゃうけど
隠れボインちゃんであのヤバスな色香だとすると色々マズイw
青少年に毒だw
風じゃなくても隠しときたくなるだろ>>211
風爽の幸せな未来が嬉しすぎる。触発されていろんな幸せ妄想が
わく
235名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 02:43:32 ID:s8aSImit
>>227
まさかのジョー!
超いい!!
面白かった〜〜!
爽子に隠れた色気があるってのよく表現されてて…

抵抗できない風の前でやられちゃう爽子、見たいですね〜!
236名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 16:00:04 ID:uSPxQ1S8
>>211さんの幸せ話に触発されて
書いてみた。カプは風爽
>>211さんの風爽イメージで 台詞一部借用しますた

>>211さん投下いいかな。不快に思われたらごめんなさい
OKもらったら投下するよ
237211:2009/01/31(土) 17:36:17 ID:3knEaLVj
>>236
全然OKですよ!!楽しみです!
238春夕1:2009/01/31(土) 18:55:50 ID:uSPxQ1S8
>>237

ありがとう。では投下 風爽エロなし 
ちょい哀しい。ラブラブ意外×な方はNGワードで
−−−−−−−−−−

「はいお茶。喉かわいたろ?」
俺の言葉に彼女は柔らかく微笑んだ。
「ありがとう翔太くん。」
「…あのさ、俺」
言いかけて、やめる。
彼女は小首をかしげるようにして言った。
「なあに?」
「…いや、いいんだ。なんでもないよ。」
彼女は窓の外に眼を向けた。
窓の外では桜が薄桃色の花びらを爛漫と咲かせていた。
「今年も桜がきれい…。」
そう言うと彼女はくすっと笑った。
「桜が咲くたびに翔太くんったら毎年はじめて出会ったときの事話すんだもん。」
童女のような無邪気な笑み。
彼女は緩く編んだ髪を肩のところでひとつにまとめていた。
かつては白い肌に映えたであろう濡れ羽色のそれは今や優しい白銀に変わっている。
重ねてきた年月は彼女から漆黒の髪は奪ったが、
優しい少女のような笑みは奪えなかった。
俺は彼女の春色の微笑が小さいころから本当に好きだった。
「どうしたの?翔太くん、元気ないみたい。」
俺がなんでもないよ、って笑ってみせると彼女も安心したように微笑んだ。
239春夕2:2009/01/31(土) 18:58:43 ID:uSPxQ1S8
家に帰ると親父が俺に声をかけてきた。
「どうだ?おばあちゃんの具合は。」
「うん、今は苦しくもなさそうだったよ。
相変わらず俺とじーちゃん間違えてるけど。」
親父は少しおかしそうに笑った。
「お前はほんっと若い頃の父さんにそっくりだからな。」
昔から祖父を知る人は必ず俺を見るとそう言った。
だから、女の好みまで一緒なのかな。
俺はひそかにそう思う。
いつからか俺の理想は「春色の微笑みを持つ女性」になっていた。

大好きな明るい祖父と優しく上品な祖母の仲のいい姿が俺の理想の夫婦像だった。
その祖父が本当に大切な祖母を置いて旅立ってしまったのは一月半ほど前のこと。
急に倒れてから3日ほどで、そのままあまり苦しむ事もなくあっけなく逝ってしまった。
気丈にも祖母は涙一つ見せず祖父の手を握りながら最期を看取った。

祖母は葬式でまだ蕾の固い桜にそっと手をやりながら言った。
誰に言うわけでもなく独り言のように。

『今年も桜見ようって言ったのに…。せっかちなんだから…。』

そして俺に少し哀しそうに微笑んだ。

『これだけ長い間一緒にいたのに、まだ足りないなって思うのよ。』
240春夕3:2009/01/31(土) 19:04:14 ID:uSPxQ1S8
祖母が体調を崩したのはそれからすぐ後のこと。
すぐ医者に連れて行ったがすべてが手遅れの状態だった。
我慢強い祖母は誰にも面倒をかけないようにと体調の変化をずっと隠していたのだろう。
進んだペインコントロールのおかげで苦しみはほとんどない様子だったが、
桜の花が散るようにあっという間に身体は衰弱していった。

そしてその頃から俺を祖父と間違うようになっていった。
夢見るような瞳で愛しそうに俺に『あの頃』の思い出を話す。
その微笑みは俺の知る優しく穏やかなだけのそれではなく
綻び始めた桜の蕾のように初々しいものだった。

ベッドに入り目を閉じて、祖父と祖母の恋物語に思いを馳せる。
いつしか俺は眠りに落ちていた。

夢の中で一人の少女が慌てて走ってくるのが見えた。
長い漆黒の髪を少し乱れさせながら白い頬を桃色に染めて駆けてくる。
俺に向かってきたのかと思ったら、彼女は俺をすり抜けてその先に駆けていった。
振り向いて彼女の行った方向に目をやると いつのまにか桜が咲いていて
その木の下に少年が立っていた。
241春夕4:2009/01/31(土) 19:08:33 ID:uSPxQ1S8
俺より少し若いけど、俺にそっくりなそいつのもとにたどり着いた少女はにっこりと極上の微笑みを浮かべた。
『ごめんね、ちょっと遅れちゃった。』

少年はにっと笑うと少女の頭を撫でた。

『爽子は昔からちょっとのんびりしてるからなあ』

爽子。その名前を何故だか俺は違和感なく聞いていた。
そうか、あの桜の蕾みたいな少女は。
少女は少し拗ねたように頬を膨らませた。

『翔太くんがせっかちなんだよー。今年も桜一緒に見ようって行ったのに。』

少年は、ははっと明るく笑った。
あ、笑顔は昔と変わらないんだな。
誰もが愛した太陽みたいな笑顔。

『ごめんごめん。けど、ほら。桜満開だよ。』

どこからか吹いてきた風が桜を舞い上げた。
二人はそれをみあげてどちらからともなく微笑んだ。
『−翔太くん、約束守ってくれてありがとう。』
『約束?』
『“おばあちゃんになっても、笑顔を守る”って言ってくれた事。
“これ以上ないってくらい幸せにする”って言ってくれたこと。』

少女は桜の花が咲くように笑った。

『ありがとう。本当にずっとずっと幸せだったよ。』
242春夕5:2009/01/31(土) 19:15:33 ID:uSPxQ1S8
少年はちょっと呆けた顔でそれを聞いて次の瞬間赤面した。

『〜もー…。爽子は天然でそれやるから怖いよなあ…。
あのさ。そんなん俺のが5倍くらい幸せだったって自信ある。−ありがとな。』

二人はみつめあい、そして互いにまた微笑んだ。
少年は少女に手を差し出した。
『…そろそろ、いこっか。』
少女はその手をとって頷いた。

ああ、行ってしまうんだな。
そう思ったとき手をつないだままの二人が俺を振り返った。
一度だけにっこり笑ってそしてやっぱり行ってしまった。

親父の慌てた声で目を覚ました俺は、親父から聞かなくても
今病院から受けた連絡がなんなのかわかった。

「…ほんとうに仲のいい二人だったんだな。」
俺の呟きの意味は後でゆっくり親父に教えてやろうと思う。
この大好きな祖母を亡くした痛みと
ほんのりとした恋心を失った痛みが和らいだ頃に。
(おしまい)
−−−−−−−−−−>>211さんの幸せカプの最期はこんなイメージ
>>211さんの幸せカプに幸せになりすぎてつい書いてしまった
ありがとうー
でもある意味死にネタなので不快にさせた方いたらゴメス
243211:2009/01/31(土) 19:29:51 ID:3knEaLVj
>>242
うわ〜本気で涙が出ました!
ありがとう、私の拙いお話にこんな素敵なお話をそえて下さって。
私も、211の話の二人はこうなってたと思います。
哀しいけれど幸せな話でした〜GJ!!
244名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 20:17:59 ID:I6rlzbkx
GJGJ!せつないね…
風梅でせつないのばっか書いてたから、今回はその反動?でほぼ全編エロのSケンとあやねを即席で書いてみたんだけどこのふたりオッケイ?
↑で出てた、ケントあやののテク対決からネタもらっちゃいました…
変態ケントに引く人いるかもー…
245名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 20:37:33 ID:Xr95b+86
KENTあやねぜひ投下を!

>>242
マジ泣きしました
素晴らしすぎる
ほんとGJ
246サドケント:2009/01/31(土) 20:51:20 ID:I6rlzbkx
きっかけは何だったか。
放課後たまたまふたりでたわいもない話をしていたら、どちらかともなく恋愛の話になって、経験人数の話になって…

誰もいない放課後の教室から、ふたりはいまラブホテルにいた。

健人はあやねの腕を軽く掴むと、ベッドに寝かせた。
「どうしたいー?」
いつものお調子者の笑みを浮かべたまま、健人はあやねの上にのし掛かる。
ふたりの重みで、ベッドが深く軋む。
その音にあやねの身体がわずかに反応した。「あー緊張してる」
健人はその彼女のわずかな動きを見逃さなかった。

「…してねぇよ!なによどうしたいって」

普段ではありえないこの距離。
声を出す度、息がかかる。
唇は今にも触れそうだ。

「ん?ほら俺フェミニストだからぁー、女の子にはずっと気持ちよく感じてて欲しいわけよ。あんま不快な思いってさせたくないじゃん?」
そう言いながら健人は少し顔を離すと、あやねのリボンに手をかけ、そのホックをポチッと押しリボンを外した。
そのリボンを自らの鼻先に当て、健人は彼女の香水の匂いを軽く吸いながら彼女を薄目で楽しそうに見下ろす。
その余裕の表情に少し苛立ちを覚えたあやねは、強気に吐き捨てるように言った。

「そのアンタの態度が不快にさせるんじゃない?」
健人は静かににやける。
「いいねーその顔。俺すき」
健人はあやねを見下ろしながら自身のカッターシャツのボタンを引きちぎるように外す。
ボタンがひとつシーツに落ちた。
あやねはそれを見ながらなおも強気に言う。「…あたしのボタンは引きちぎんないでよ」健人は何も言わず、代わりに更に笑みを拡げた。
(こいつ…)
そう思うあやねの顎が健人の親指と人差し指でくぃっと掴まれ、健人の唇が彼女のふくよかな唇を挟んだ。
熱く柔らかい舌はすぐ入ってきた。
あやねも負けずと自らの舌を絡ませる。
247サドケント2:2009/01/31(土) 20:59:43 ID:I6rlzbkx
改行おかしくなっててごめんなさい

以下続き↓

舌で唾液を絡ませ口内を撫で回しながら、お互いの舌を強く吸う。
お互いが責め合う強く激しいキスであった。
呼吸をするためたまに離されたその唇からは熱い息が漏れ、
また再び目の前の唇と舌を貪る。

と、健人が唇を少し離して言った。
「…いい舌持ってんじゃん」

「その上から目線どーにかなんないの?」
健人は笑いながら更に彼女にのしかかり、身を近づけ
今度は彼女の耳裏や首筋を強く吸った。

健人は男のくせに甘い香水の香りがする。

あやねはその匂いと舌の感触を受けながら、自分の膝に
健人の張り出した固いものが当たるのを感じた。
(…もー勃ってんのかよ)
あやねは自分の膝をわざと健人の固いものが擦れるように動かした。
健人はそんなあやねににやりとした笑みを流しながら
あやねのカッターシャツのボタンを三番目まで律儀に外す。
そしてブラが露わになるように大きく開かせた。
「んー…やっぱ大きいねぇ」
健人は嬉しそうにフロントホックのブラを外し、ストラップレスのそのブラを引き抜くと
それをベッドの下に無造作に落とした。

そしてその豊かな膨らみを堪能するように大きく揉む。

「…んっ」
大きく全体で乳房を揉みしだきながらも、強弱を絶妙につけながら力を加える。
健人の手のひらが吸い付く度に、柔らかい乳房はいやらしく形を変えた。
その荒々しくも優しい健人の愛撫に、あやねは思わず声をあげてしまう。

「いーね、もっと聞かせて」
既に固くなっているぷっくりした乳首を人差し指で指でピンピンっと弾きながら、
健人は楽しそうにあやねを見つつもう片方の乳首を音を立てて吸う。
「……ふぁっ…あ」
あやねの細い腰がうねり、唇から熱い呼気が溢れる。

「……そんな可愛い声出されちゃ張り合いなくなっちゃうじゃーん」

健人は彼女のそんな反応を味わいながら
なおも突起を玩具のように弄び続ける。
「…ぁあっ…くぅ…んっ」
甘い喘ぎ声と共に更に腰が動く。
あやねが腰を動かす度、健人の下半身に頻繁にあやねの細い脚がこすれ、当たる。

健人の息が少し荒くなる。
「…ねぇ、さっきの強気な態度はどこ行ったの?このまま挿れて終わっちゃうよ?」
息を荒げるあやねの耳に、健人は悪戯に囁いた。
248サドケント3:2009/01/31(土) 21:05:02 ID:I6rlzbkx
プライドの高いあやねはその言葉にカァッと表情を変え、彼を睨み付ける。

「……っ、いーよ、あたしもする」

(えらそーにしやがって。知ってんだよ、さっきからどんどん固くなってんの。触ってほしいんでしょ?)

健人はにやりと笑い身体を起こし、あやねの耳に髪をかけた。
あやねも身体を起こすと、まずズボン越しにその張った部分を軽く触る。
熱い。
それに、かなり固くなっているようだ。
更に細い指でなぞると、健人はもどかしそうにあやねの首筋を触り
彼女の頭を前に傾かせようとした。

あやねはベルトを解き、馴れた手付きでスラックスから熱いものを取り出す。
外に出た瞬間大きく反り返るその肉棒の脈打ちを味わうように、軽く上下に擦る。

「…なによ、えらそーにいっときながらもうこんなにしてんじゃん。先、濡れてるよ?」
呼吸を荒げる健人を、あやねは意地悪そうに見上げた。

「うん、だってあやねの身体やらしーからさ」
あやねは濡れる先をキスするように吸いとった。
健人の身体がビクッと反応する。
更に舌でその先の割れ目を掘るように強く動かしながら
手のひらでやわやわと玉袋を揉む。
「…っ、ん、あ〜…イイね、それ…」
健人は嬉しそうに声を荒げ、あやねの耳や髪を撫でる。
あやねは舌でその脈打つ肉棒全体を唾液で濡らすと、一気に口に含んだ。
あやねの髪を触る健人の力が少し強くなる。ぢゅぽっ!ぢゅっちゅぶっ!
あやねはその柔らかい唇を締ぼませ、勢いよく頭を上下させた。
部屋中に響く、粘膜を吸ういやらしい音。
「……うーわ、っ…すげぇ音…」
健人は荒々しく息を吐きながら、またもや嬉しそうに自分の股間にあるあやねの頭を見下ろす。
ビクッビクッと大きく脈打つその熱い肉棒。
どんどん固さは増し、何度吸いとっても先端からは透明な液体が溢れ出している。

更なる行為を求めるように、健人があやねの頭を両手で掴んだ。
あやねはそんな彼の要望とは裏腹に、その熱く太い肉棒から口を離すと、わざと焦らすように触れるか触れない位の距離で舌をゆっくりチロチロと這わせ始めた。
掛かるあやねの熱い息とそのもどかしい舌使いに、健人は強く呼吸を荒げた。

登り詰める快感が、彼女の悪戯な愛撫で途中で何度も止められる。

「……っ…ちょ、焦らしすぎじゃない?」
249サドケント4:2009/01/31(土) 21:11:52 ID:I6rlzbkx
そんな健人の軽く咎めるような物言いに
あやねはクスッと笑いながら言い放つ。
「…あたし、イクのをギリギリで止めた時の男の情けない表情みんの大好物なのよね」

あやねは愛撫を続けた。
「……っへぇ」
健人はもどかしそうに腰をうねらせ、呼吸は激しく荒れるばかり。
限界まで赤く腫れ上がった肉棒はぬらぬらと光り
苦しそうに激しく大きくなる。

「…もうこんなになってる」
あやねはそんな健人の様子を楽しむように軽く笑いながら
人差し指で小さく弄り続ける。

と、次の瞬間、健人が強くあやねをベッドに押し倒した。

「えっ……きゃっ」
健人はあやねの豊かに膨らんだふたつの乳房を掴むと
その間に自身の熱い肉棒を勢いよく挟み、激しく腰を動かし始める。
「ちょっ…やだ!なにすんのよっ!」
突然の屈辱的な行為に、あやねは激しく抗議した。
健人は呼吸を荒げながら、そんなあやねを再び見下ろす体勢で言った。
「俺せっかちだからさぁー…、焦らされんのキライなんだよね」

穏やかな物言いとは正反対の、激しい腰の動き。
彼の腰が淫靡に連動する度にあやねの豊かな乳房は
たゆんたゆんっと揺れ、その固い肉棒の熱で彼女の肌は汗ばんでいた。

「やっ………うぅんっ!やめてってば…っ!」
なおも抗議を続けるあやね。
細い腕で健人の脚を押し、その大きい身体を退かそうとする。
(ふっ…ふざけんなっ!なんであたしがこんな扱い…っ!)
健人はそんなあやねの表情を嬉しそうに見る。
そしていやらしく腰を動かし続けるのだ。

「…っあ〜〜〜〜柔けぇ……すっげ興奮する、あー…ヤベ、出そ…っ」

健人は抵抗するあやねを大人しくさせるために彼女の乳房を内側に更に寄せ
赤くぷっくり膨らんだ乳首が肉棒に摩擦するようにした。
彼の脚に掛けられていたあやねの力が、急に弱くなる。
「ぁんっ!やぁっ…ぁあっだ、ぁあっ…なっ…」
肉棒に擦られてくにゅくにゅと形を変えるその赤い突起。
乳房を掴む健人の力と息づかいが更に強くなり
肉棒ははちきれんばかりに熱を上げ続ける。
その余りの強い力に、あやねは少し唇を噛んだが
こすれる強い快感が優っていることに悔しそうに目を薄める。

「あ〜出る出る出る出る出るっ…」
250サドケント5:2009/01/31(土) 21:21:37 ID:I6rlzbkx
「…っ…く、っぅ!」
すぐに鼻を塞がれたので、あやねは
口に出されたその苦い白濁液を飲み込むしか出来なかった。

顔を紅潮させながら軽蔑の目を向けるあやね。
「ごめんねー、だってあやね意地悪すんだもん、俺我慢出来なくてさー」
健人は笑いながら優しくあやねの頬を撫で、耳を触る。

「…っ、あんたねぇっ…不快な思いさせたくないんじゃなかったわけ?!」
馬鹿にしたような健人の態度に怒りを覚え
再び身体を起こそうとするあやね。
「おっと」
健人がそのあやねの両手を掴んだ。
「やだな〜そんな怒んないでよ。だいじょーぶ、これからあやねも気持ちよくなるからぁ」
またもや笑いながら健人が言う。
掴まれた彼女の細い手首は、びくとも動かなかった。

穏やかに笑っているくせに、その力は物凄く強い。
その有無を言わさぬような健人の瞳は
あやねを少し動揺させる。
「…っ」

すると、健人が自らのネクタイを拾い上げると
その細い手首を彼女の頭の上に構えさせ、きゅっ、と縛る。
「ん、これでよし」

「は?!ちょっ…ほどきなさいよ!」
「だって同意のうえなのにあやねすげ〜暴れるんだもん。
おれだってほんとはこんなことしたくないんだよ〜?」
「…っの、どこがフェミニストだよ、ただの変態じゃん!!」
健人は次に、あやねのスカートのポケットから少し出ていたハンカチを見つけると
それを細長くしてあやねの口を塞いだ。

「んっふぐっ…!?んんんーっ!!」

「ごめんね?あやねの可愛い声もっと聞いてたいんだけどさぁ
ちょっと鳴きすぎかなーって思って」
静かに笑いながら見下ろす健人。

その目は明らかにいまこの場に激しく興奮しているようだった。

「…あやねみたいな強気な性格の女の子ってー…
おれすげー虐めたくなんだよね」
猫が舌なめずりをしながら、じわじわとゆっくり時間をかけて
玩具の小鳥をいたぶり始めるように。
「んっんんー!!」

「…さ、本領発揮しますか」


以上前編終了
後編は明日投下しまつ
251名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 21:43:39 ID:13qMlmfr
なんだこの神スレ
252名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 22:02:19 ID:uSPxQ1S8
ちょっ誰かテッシュもってきておっきいの。
エロス過ぎて鼻血が噴出しそうです
健人そんな奴だったのか健人w
何はともあれ
   *      *
  *     +  グッジョブ!
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *

携帯からゆえ激しくずれたらごめんw
253名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 22:21:40 ID:s8aSImit
マジ神スレすぎる・・・

>>238
GJです!
いいねぇ切ないねぇ

>>ケンあやねさん

エッロいなぁ
こんな君届もあるのか・・・

願わくはこのスレがずっとありますようにー
254名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 01:58:44 ID:66ujDvSf
>>242
GJ!
自分は切ないというよりも素直に素敵だなって思ってしまった
付き合い初めや新婚でラブラブなのは普通だが数十年共に
老化し姿形が変わってもこんな風に人生を終えられるなんて素晴らしい

サドケンも続き楽しみ
エロ濃度たけぇww
255名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 09:44:39 ID:s90h473z
GJ!GJ!!
まとめGJで申し訳ない。ありがとう!
職人様方のおかげでいろんな妄想できるわw

ふと妄想してたら、爽子は風早以外の人に惹かれるっていうのが結構想像ついてしまうんだよなぁ。相手は既存のキャラじゃないけどw(個人的にケン爽はありえないと思うのでw)

爽子が成長したら、
風早のような憧れで尽くしてくれる人よりも、
自分が共感して、何かに向かって頑張ってる人とかに強く惹かれていきそう。

風早をすきになったからこそできる恋、みたいなのに燃えそうだなーと思った。
風爽すきだけど、風梅さんの影響大なのか、このパターンを想像してしまうw
256名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 13:15:13 ID:f5RPja5T
風早がそれを1番わかってる気がする。
だからこそあんなに誰かが
爽子を見つけてしまうのを恐れているんだと思う
257名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 14:13:10 ID:s90h473z
誰かに見つかって爽子がすかれるというよりも(それも大問題だろうけどw)、
爽子のほうから、誰かに惹かれていったら結構厄介だと思う。(ああみえて本当に親しくなる人は、自分で選別してるようにもみえるし)


そうなると意外と積極的に攻めるんだよ。
で、「風早くんのおかげだよ、今までありがとう」とかなんとかサラっと残酷なことをしちゃいそうな子なんだよなぁ。

本スレみたいだな、スマソ
258名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 14:45:46 ID:GSs214oF
てか本スレ過疎すぎだよね
パラレルがあるぶんこっちのほうがいろいろ見解しやすい
259色香1:2009/02/01(日) 15:47:34 ID:dLyAdWTs
コスモスもジョーも年老いてもエッロエロでも、イイ!!!
滑稽さんも他の書き手さんも投下、正座で待ってます

私は色々な人の見解や解釈が読めて、投下はもちろん、雑談も嬉しい派
自分の理解力が乏しいから「おお〜なるほど」ってなる

拙いけど一つ投下させて頂きたい、暇つぶしにでもなれば幸い
爽子のオナニー、自慰です
嫌いな方は“色香”でNGお願いします、自サイト載せ
スレがもっと賑わいますように〜

ーーーーー

買い物袋のガサガサ、靴がコトンと鳴って明るい足音が近づいてくる。
いつもの朗らかな声で母が弾けるように声を上げた。
「ただいま〜」
今日はお野菜が特売でね〜、と嬉しそうに離す母の話に相槌をうちながらエプロンの紐を慣れた手つきで結んでいく。
先程から姿が見えないと思っていた父が部屋の隅に丸まっていた。
「……? お父さん?」
「む゛〜〜〜ぅ」
「お父さんっ」
「放っときなさい! お父さんはね、“文明の利器”と戦ってるのよっ」
うふふーと笑ってキッチンに立つ母の横に並ぶ。
クエスチョンマークを浮かべた爽子に母は耳打ちした。
「けーたい、よ」
「携帯!!?お父さん、買ったの?」
「今さら若者ぶっちゃってね〜、買うって聞かなくて。……ま、爽子の為なのは見え見えだったからいいかなぁと思って」
手際よく刻まれていくキャベツを引き受け、ザルに入れていく。
「だから今は悪戦苦闘中なのよ」
「……そっかぁ……」
じんっと目頭が熱くなるのを感じながら、爽子はシャキシャキキャベツを洗い始めた。
260色香2:2009/02/01(日) 15:48:46 ID:dLyAdWTs
お好み焼きが焼きあがる頃、父は恥ずかしそうに席に着いた。
味噌汁を食卓に並べて食べ始まると、食後の団欒まで携帯電話の話題で持ちきりだった。
階段を上がり、自室に戻った爽子の胸は優しい気持ちでいっぱいだ。
かちゃりと閉じた背のドア越しにまだ楽しそうにお喋りを続ける声が聞こえてくる。
心配性の優しい父に、朗らかな母。
そしてこんな時にでも必ず、心にぽうっと灯って浮かぶ青年がいる。
 『爽子』
思い出そうとしなくても、はっきりとその声は聞こえた。
 『爽子』
返事を待つように、頭の中で流れる筈の風早の声が爽子の耳に直に入り込んでいく。
暖かい湯水にたゆたうような気持ちの中、不意にフラッシュバックが起こった。
先日の風早の家にお呼ばれした時の情事が、生々しく体に蘇ってくる。
(……ッ! 体、が)
風早と付き合い始めてほどなく1年が経とうとしていた。
清い関係、ではもうない。
お互いに拙いながらも手探りのおっかなびっくり、風早の手解きを受けながら。
場所をかえ時をかえ、執拗に浅ましく快感を追う行為は何度だってくるくる繰り返される。
誰も居ない部屋の空間を瞳いっぱいに写す爽子の感覚はひどく遠くにあった。
 『……はっ……』
脳内で響くはずの吐息が耳元でリプレイされる。
いつの間にか迫り上がった両手が胸元で止まった。
「ぁ……」
薄いシャツの上から形を確かめ、小粒な突起をわざと避けながら揉みしだいていく。
それは風早の手つきそのものだった。
「ふ、ぅん」
鼻から微かに漏れる息が甘さを孕んでは、一人の部屋を満たしていった。
爽子は自分の記憶を必死に辿って追って、縋りつく。
 『触っても、い?』
いつもは元気いっぱいの声が、今は少ししわがれ遠慮がちに問いかけてくる。
爽子は頭を振って、隅に追いやられていた理性を奮い立たせた――つもりだった。
(こんなこと、自分でするなんて)
快感の隙間からちらちらとしか顔を見せない理性などでは、到底、風早が与えてくれるあの衝撃を止めることは出来ない。
(だめだめだめだめっ)

261色香3:2009/02/01(日) 15:49:36 ID:dLyAdWTs
物欲しげにぷっくりと膨れた突起を薄目で見つめ、ついには手を伸ばす。
爽子は目前の快感に負けたのだ。
「あっ、ああっ」
シャツ越しでもはっきりと分かる程に勃起したそれを、爽子の儚げな十の指が捏ねていく。
強く捻ったかと思えば触れるか触れないかに擦り、風早の行為に見立てて自身を煽っていく。
膝がガクガクと揺れて今にも崩れ落ちてしまいそうだった。
「んう……しょぅた、くん……はぁ、あ」
 『気持ちいいでしょ。だって、そんな顔してる』
可愛くて仕方がないといった風に笑う声が淫靡で愛しい。
胸を締め付けられるその想いに、爽子はいつも腰を揺すって応えてしまうのだ。
爽子が自慰に没頭し始めた頃、とんとんっと足音が聞こえた。
誰かが階段を上がってくる音。
(きっとお母さんだ)
衣服の擦れにさえ出かけた喘ぎを喉の奥で殺して、全神経を耳に集中させた。
「爽子〜、先にお風呂もらっちゃうわよ〜」
全身が心臓になったかのようにドクンドクンと波打つ。
「……はーい……」
スリッパが擦れる音が遠退いていくのを聞きながら、爽子は犬よろしく短い息を幾度も吐いた。
(浅ましい女でごめんなさい、卑しい娘でごめんなさい……)
心は清純であろうと謝罪し続けるのに、反対に体はその後ろめたさを異常なほどの興奮材料にしては快感を見出していく。
体は疼きが酷く、すでにショーツの中はぐっしょりと濡れそぼっているのを爽子はずっと前から知っていた。
また、声が響きだす。
 『脱ごっか?』
恥ずかし気に瞳を伏せておずおずとショーツに手を掛けると、ぬちゃりと水温が零れる。
「……ん」
場所を変えベッドの上に座り込む。
添えた指が愛液に濡れる感触に爽子はびくりと肩を上下させ、ゆっくりと目を閉じた。
瞼の裏に浮かぶのはただ一人。
角張った掌、笑顔と浮き出る鎖骨、柔らかな黒栗毛、大きな足裏に赤子の体温。
大好きで、好きすぎて毎日辛いほどで。
 『爽子っ……』
「あ! ああ! 翔太くん翔太くん翔太くぅンンッ」
262色香4:2009/02/01(日) 15:54:07 ID:dLyAdWTs
『すき、めちゃめちゃ好き』
性交の度に囁かれ続ける言葉が、わずかに残る理性を吹き飛ばすには充分すぎた。
淵をなぞっていた指は順々に挿入され、吸い込まれるように奥へと突ついて進む。
弧を描きながら膣壁をぐりぐり擦れば、白雪色の喉が引き攣って甲高い鳴き声が上がる。
「う、あ、っあふぁ! や! んっふぅ」
きつく閉じられた目尻から涙が滲んだ。
 『爽子、声も顔も隠さないで。全部、全部』
「かくしてないっ! かくしてなっい、よ……いっぱい、ちゃっんと……ひぃああっ!」
風早の前では噤まれる唇も、この部屋の中でだけはあっさりと快楽に拓かれる。
熱に犯され、記憶に犯されていく。
(ふとどき いやしい はれんち はじしらず こうがんむち なんて、あさましい体)
惚けた脳が打ち出す単語の羅列を振り切るように爽子は寝具に突っ伏した。
 『ふっ、すごい音……ん……く……』
ぐ、ぎゅちゅ、じゅぷ、ぐぷ、じゅっぷ、つぷぷっ。
打ち付ける手が速さを激化させて、肉壁が喜びの淫声を鳴らし続ける。
考えることさえも儘ならなくなると快感が純然として。
本能のまま獣のように尻を突き出し揺らしては、胸や秘所を必死に貪る自分の姿に爽子の興奮は最高潮に達した。
 『…………も、いっちゃう、の? おれも』
「だめッッ、ひ!! や、あっ! ふああ、ぁ……あぁァーーーーーーー!!!」
(すき、すき、私のほうがいっぱい、もっと、もっといっぱい)
爽子は父の選んでくれた枕に顔を埋めて思う存分イった。
痙攣がやまらず、止められない。
辛うじて立つ膝の間に力なく垂れた腕の上に、とろりとろりと弾けた愛液が落ちてくる。
そんな小さな感覚にさえ全身を敏感にさせた爽子には拷問だった。
部屋中に充満するその匂いが汗と吐息とない交ぜになり芳香となる。
「はっ……は……はぁ……は、っ」
色香となる。

【おしまい】

見直すと投下できなくなりそうだし、ここに何か書こうとすると言い訳と愚痴になっちまうyo
精進します、はい
263名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 17:52:51 ID:K333ACtj
な、なんというGJ・・・・・
エロいな・・
風早の囁きがイイね
264名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 20:31:16 ID:wSw+q0UO
GJ!!新鮮でよかったです!
もっと色々投下してほしいくらいですよ。風編とかw
265名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 21:43:59 ID:f5RPja5T
GJ
言葉の選び方とか好きだ。
それとわかるなあ爽子って心は貞淑清らかなのに
身体は敏感という男性向け王道の子なんだよな
自制心が強いのを崩すのが萌えるというか
爽子の淫靡さの核だよね、自分の浅ましさを責める姿が。

そんな自分は爽子が痴漢されちゃってしかも嫌なのに
感じちゃってそれを風に責められるなんてサドちっくな妄想をしてます
風がそこまでひどい男とは思わんけどw
266名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 21:53:44 ID:O5kjfA/J
GJ!

そして>>265はそれをSSにしたためるんだ
267サドケント5 〈風梅〉:2009/02/01(日) 23:42:36 ID:GSs214oF
えっと、真面目な話の途中に豚切り投下ごめw
サドケント後編
――――――――――――――――――

ちゅっ
健人は彼女の頬に音をたててキスをした。

彼女のスカートに手をすりこませると、
柔らかい太ももをゆっくりとさする。
「…っ!」
あやねの腰が大きくうねった。
長くて太い指が彼女のパンティに伸びたかと思うと、
健人はその中心をこねるように撫で回し始めた。
パンティはすでにぬるぬるに滑り
彼の指を容易に動かせる。
「なーんだ、もぉこんなにしてたんだ」
健人は彼女に見せるように
その指についた光る愛液を舐めてみせた。

あやねは顔を赤らめながら眉をしかめて顔を逸らす。
健人はそんな彼女の態度さえ楽しんでいるようだ。
再び顔を彼女の太ももの間に埋めると、
ぷっくり浮き出ている小さな丸い突起を生地の上から舌で丁寧にこねる。
「っ…んんっぅ!っ…」
あやねはその刺激に身をよじらせ
目を強くつむった。
健人は指を軽く曲げ、第2関節を器用に使い
密が溢れているその中心をぐりぐりと押し進める。
「っん!んんっ…ふっ!」
もちろんパンティ越しなので内部に深く入るわけではない。
そのもどかしさに脚をくねらせるあやね。

健人は一旦指を離し、今度はパンティに手をかけた。
いとも簡単にその濡れた布をシーツに落とすと
健人は彼女のしなやかな脚を再び大きく拡げさせた。
「うーわ、まる見え」
外気に触れたそこは真っ赤に膨れ上がり、
ぬらぬらと光りながらひくんっひくんっ、とついている。
舌なめずりをしながら、健人は彼女の膣のヒダを拡げた。
舌を大きく出してそのヒダを舐めながら、強く吸う。
その度にあやねは全身でビクビクと痙攣する。
「…んんっ…ふぅんっ」
声が出せない分、あやねは彼の太い指をもっと
奥深くに受け入れようと腰を動かしていた。
「ん〜…いい反応」

健人はにやりと笑いながら
更に指を駆使して、どんどん速く突く。

ぬちゅぐちゅっぢゅぶっ

指が出される度に彼の指は愛液でぐちょぐちょにぬめり
より柔らかく彼女の膣をほぐし続ける。
「んんっんんんっ!ふっ!!」
あやねはなおも強く頭を左右に振り続け
激しく押し寄せるあの強い快感を全身で感じ取ろうとしていた、その瞬間。

「――――んぅっ…?!」
268サドケント6〈風梅〉:2009/02/02(月) 00:00:48 ID:GSs214oF
健人が指の動きを止めたのだ。

あやねは腹部を大きく痙攣させながら
明らかに先程とは異なる抗議の声をあげる。

「イきたいならちゃーんと言わなきゃね」

健人が彼女の脚の間から顔をあげ
あやねの声を塞いでいたハンカチを取り除いた。
「…はっ、はぁっはぁっ…」
大きく呼吸をするあやね。
「ね、あやね…?」
彼女の頬にキスをしながら
健人はあやねの顔を見る。


「……や…っ」
「…っ、こんなの、やぁ…っ…」
健人は思わずその表情を固まらせた。

大きな瞳をいっぱいに潤ませて涙を流し
とても切なそうな顔をして彼を見上げる、その表情。
小さな肩で大きく呼吸をし、しゃくりあげながら
弱々しく抗議する目の前の彼女。

普段の強気な姿などもはやどこにもなく
ただただ懇願するように彼を見る、その瞳。

今までの彼女の強い抗議とは全く
比べ物にならないくらい、非力な懇願なのに。


健人は、静かに深い溜め息を大きく吐いた。
縛っていたネクタイをほどくと、あやねの上半身を優しく抱き起こし
健人は彼女を抱き締める。


(…そのカオ反則……)

優しく何度も彼女の髪を撫でながら
彼は自身の今までの行為を強く後悔した。
269サドケントラスト 〈風梅〉:2009/02/02(月) 00:06:45 ID:Qlo1FOas
ちゃ…っと、ちゃんと抱いて欲しいのに…っ…」
抱き締められた彼の腕のなかで
彼女はなおも弱々しくしゃくり続ける。


「…ごめん、あやね……」
―――――――――――――――――――

さて、お互いの好奇心から始まったこの勝負の行方の結果は
健気な涙にやられた、健人の負け。

しかし、この時彼の胸のなかであやねの瞳が鋭く光った事を
彼は、知らない。

――――――――――――――――――
終わり。
6の話、ちゃんと確認したのに抜けてた部分があった…orz
でも話はまぁつじつまあう…のかな
文が抜けた事で健人は中途半端な変態になっちゃいました
健人ふぁんの方ごめんなさい
270名無しさん@ピンキー:2009/02/02(月) 00:17:34 ID:DgW474vD
>>262
おつです!エロいです!

爽子の何がエロいって背徳感の塊なとこがいいんだよなあ・・・
271名無しさん@ピンキー:2009/02/02(月) 01:04:25 ID:3jNnCKX5
>>269
おおおおGJ
抜けてた部分つーのが気になる、、
272名無しさん@ピンキー:2009/02/02(月) 01:53:57 ID:A1EQP/V8
>>269
乙です
抜けた部分が気になりますw
273名無しさん@ピンキー:2009/02/02(月) 12:07:42 ID:Y8wSdX16
GJエロかったそして矢野ちんの
小悪魔っぷりがいい
つかSカップルだよなw

健人は底が浅いKYチャラ男だけど化ける気もしてる
ケン矢野、ケン爽、ケン梅どれも結構面白そうだ
274花火:2009/02/03(火) 02:21:10 ID:FRjKAbyL
266たんの召還に応じてみたよ
爽子痴漢モノ NGは題名で 拙い文ですが。
−−−−−−−−−−

男は獲物を探してあたりを見渡した。あたりは既に人ごみで身動きが取れない。
火薬の匂いと夏特有のむわりとした空気、屋台の食べものの匂いが鼻をついて
男の興奮は高まった。

痴漢。
それがこの下卑た男の趣味だった。
だいたいこのストレス社会少しくらい楽しみがないとやっていけない。
そう心の中でうそぶくと男は狩猟場にでかけた。
男にとって絶好の狩場とは人ごみがあり、暗闇があるところ、である。
破廉恥なその行為を人ごみと暗闇が隠してくれるからである。
その条件をしっかりと満たしてくれるもののひとつにこの花火大会がある。
地元にしては大きめなこの大会では見学時には身動きが取れないほど混み合う。
しかも季節が夏とあって、女の子はみな薄衣となっている。

アレは食べてくれって言ってるんだよな
男は自分に都合のいい解釈をするとにやりと笑った。
その時男の眼が一人の少女を捕らえた。
長い髪をゆるく結い上げ淡い水色の浴衣を身にまとった華奢な少女だ。
275花火2:2009/02/03(火) 02:23:07 ID:FRjKAbyL
漆黒の髪から白いうなじが覗き、それが殊に官能的だ。ほんのりみえる肌は肌理細やかで触れ心地が良さそうだった。

あの子にしよう。
今時染めていない黒い髪というのも気にいったし、何より大人しそうなのがいい。
強気な女はすぐ反撃してくるからな。
男は器用に人ごみの波を利用しながらその少女に近付いた。

びくん。
少女の尻にそっと触れたとたんその身体がこわばるのがわかった。
なかなか敏感な身体じゃないか。尻の肉は薄いがこれぐらいのほうが好みだな。
少女は振り向き、男を見たが男が平然としているのを見て戸惑った顔をした。
そのまま何も言わずにそっとまた向き直り微妙に身体をずらした。

ああ、いいね。これぞ日本の女だよ。

男は目の前の得物が極上であることを予感し、ごくっと喉をならした。
触られたといってすぐ騒ぎ出すような喧しい女は男の好みから遠く外れる。
自分の勘違いではないかと思いそっと身体の向きを変えるくらいの慎ましさが好ましい。

男はさりげなくその少女に近付くと今度はもう少し大胆に薄い尻を撫で回した。
びくんともう一度身をすくませると少女は男を振り返った。
「あ、あの…」
276花火3:2009/02/03(火) 02:27:08 ID:FRjKAbyL
鈴のようなか細い声が少女の薄桃色の唇から漏れた。
少女の白い肌はごく薄いメイクのみまとっており
思ったとおり清楚で大人しいタイプのようだった。
少女は戸惑いながらも続けた。
「すいません…手が、あたっているようなんです。その…身体に。」
男はにこやかに少女に答えた。
「あ、ああ、すいません。人ごみで手が出せないもので…」
男は少し身体をずらした。
少女はほっとしたように息を漏らし、ちいさく頭を下げた。

いいねえ。今時こんな大和撫子が生息してたのかよ。

男が再度痴漢行為を働こうとした時、声がした。
「爽子。ごめん、ちょっとそっちになかなかいけない」
少年が懸命に人の波を泳いでこようとしているが、どうにも動きが取れないでいる。
少女がその声の主にようやっとと言う感じで顔をあげにこっと微笑んだ
「よかったはぐれないで。ごめんね私が手を離しちゃったから。」

なんだこんな清純そうな顔して男持ちかよ。
あーどうせずっこんばっこんヤりまくってんだろうな。
男は内心で舌打ちした。
チラッと見えた少年が整った顔の爽やかなタイプであることも気にさわった。
277花火4:2009/02/03(火) 02:30:15 ID:FRjKAbyL
自分が学生の頃ああいう感じの男がいた。そいつはもてまくっていて、
男がひそかに好きだった子も想いをよせていた。

ちらりと少女に目をやるとほんのり頬を染めて
さっきとは比べ物にならない色香を放っていた。
少女の相手はまだ身動きが取れないでいるようだ。
男はにやりと笑った。

男は少女−爽子というらしい−の尻を再度撫で回した。
爽子はまだ偶然かと懸命に身体をずらした。
男は下卑た笑いをくくっと漏らした。
尻に触れていない方の手で爽子の腰をグッと固定し、ふうっと耳に息を吹き込んでやる。
「−っ!?」
びくっと身体を硬直させた爽子が振り向こうとすると男はくぐもった笑いを漏らしながら言った。
「大人しそうな顔して彼氏持ちかよ。おじさんにもその身体味見させてよ。」

「…んぅっ…や、やめてください」
爽子は執拗に尻や胸を撫でられ、泣きそうになりながら懸命に体をよじった。
「いやなら大声出してもいいんだよ?」
言いながら男は爽子の浴衣の合わせからすっと手を差し込んだ。
びくんっと爽子の身体が跳ねた。
和装だからであろうか薄い着物のような下着のあわせからさらに指を差し込むと直に柔らかな肌に触れた。
278花火5:2009/02/03(火) 02:42:28 ID:FRjKAbyL
男の手は先端に行き付いた。
恐怖に縮こまるそれを執拗に愛撫すると爽子の白い首筋から
甘い汗の匂いが立ち男は興奮を煽られる。
幸い周囲の人間はみな花火に夢中だ。
多少大胆な事をしてもばれまいと踏んだ男は爽子の首筋をペロリと舐めた。
「ひぁっ…!」
「爽子っていうんだね。可愛い名前だ。」
低い声で耳元でそう囁いたとたん男の掌の中でその先端が形を変えた。
男は舌なめずりするようににやりと獣めいた笑みを浮かべた。

−−−−−−−−−− 
今回はここまで。導入部だけだけど。
次回は来週水曜以降

せっかくだからリクをおいていこう
風梅さんの風爽がみたい 龍ちづ職人さんのちづが龍にラーメン以外の
料理を作ってやるとかそんなお話が見たい 黒風さんの妄想暴走風が見たい
滑稽さんの滑稽龍ちー待ってます 色香さんの背徳感に塗れながらも
快楽に負けて悶える爽子がもっと見たい 前スレにあった原作のIF展開みたい
なのも見たい
リクのが多くなったが気にしない
279名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 16:52:59 ID:pDEqrxlL
うっひょうGJ!
また正座で待たねば
リクもいいね〜
280名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 21:57:19 ID:5vjwEvAR
もしや夜勤明けさんですか!
(違ったら無視してね申し訳ない)

ただの痴漢話じゃなく男のキャラ設定もしっかりしてるし、すっごい面白い!

風早何してるんだ〜!
続きが待ち遠しいです
281名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 03:28:55 ID:Yp7Lzulb
   / ̄\  ワーイ
三┏| ^o^|┛
_三 \_/
   ┛ ┓

    ティウンティウンティウン

      ◎
    ◎   ◎
      ◎
  ◎  ◎  ◎ ◎
      ◎
 ̄ ̄ ̄◎ ̄|  ◎
     ∧◎∧∧∧
ばれたw
282名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 07:02:21 ID:2YZIs3T2
ワロタ
GJです!!

皆は読んでて誰が書いたとかわかるモン?
(あの作品の作者の方かな〜的な)
私はわからーん
283名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 09:26:46 ID:SvoGMFKR
夜勤明けさん、リクしていいですか?
ヤン早シリーズの風爽で、風が精神的に成長して、やっと最後までできるお話が読みたいです。
前回今の自分に爽子を抱く資格がないみたいなこと言ってたんで。
あとは痴漢話、にやにやしながら待ってますw
284名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 13:32:26 ID:oDwDbBsG
GJ!!
最近神多すぎて大変だ!
保管庫の人もがんばってください
285名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 16:29:22 ID:rDwzZQvq
じゃあ、自分もリクします

風爽一緒にお風呂編とか見たいな。

原作の2人じゃ無理だけど、ここならそんな願い叶えられそーだし

神も多いですからね!
286名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 11:18:23 ID:Gs7sDmEQ
>>283 >>285

リクまとめるとお風呂で初エチーですぬ
287名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 14:47:21 ID:RQPzRkWC
ほっしゅ
288夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/06(金) 01:16:34 ID:h0ScSGyu
ほっしゅ代わりにいいわけ
>>280
いや悪気はなかったんですよ
ただ風もひどい奴(予定)だし
爽子はただ喘いでるだけ(予定)でちょいキャラ崩壊傾向なんで
コテはいっかなーとw
ばれるとはおもわなんだ(/ω\)ハズカシーィ

>>281

私もわからんwよく280たんはわかったな

>>286
ちょw混ぜるなwハードルたけえ
289名無しさん@ピンキー:2009/02/06(金) 01:18:08 ID:ItAiIz3/
ティウンティウン
290名無しさん@ピンキー:2009/02/06(金) 21:49:12 ID:h0ScSGyu
まとめサイト管理人です。
リンクウィキ作ってまとめTOPページからいけるようにしてあるんで
サイトマスターさん、ブログマスターさんは自由にリンクページを作ってください。
更新したぞのお知らせも自由にしてください。
291名無しさん@ピンキー:2009/02/06(金) 23:36:08 ID:yy6NRsmh
>>290
おつです!いつもありがとう。
292名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 00:00:29 ID:hgai6BhY
夜勤明けさんもしかしてまとめサイトの管理人までやってたりする??

だとしたら本当神だ!!
ありがとう!!!
293名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 01:10:20 ID:Gkb08PTl
>>288
ゴメン夜勤明けさんの作品すぐわかるw

作品も普通のコメントも感性がなんかよくて気付いてしまう。
ヤン早も好きだ\(^o^)/

wktkして待ってます。
294名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 06:15:30 ID:xssLYzt+
管理人さん、いつもありがとうございます
295名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 22:09:25 ID:6rb3L2AP
ストーリー物は確かに萌える。
しかしただラブラブいちゃいちゃぐちゃぐちゃしてる風と爽だっていいと思うんだ
周囲にもうこいつらやだって思われるくらいバカップルでもいいと思うんだ
風の一番の好物は爽子でいいと思うんだ。
風は甘くていい匂いーとかいって無邪気なふりして爽指とか舐めればいいと思うんだ
爽子も素でクリームとか指ですくってはいあーん、な真似をすればいいと思うんだ
296名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 21:18:29 ID:2fleYBx1
爽子かっわいー
297名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 14:00:53 ID:mpIeLvp9
職人さん来ないかなー(´・ω・`)ショボーン
298名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 01:15:23 ID:yKcrqeLZ
次は君のターンだ
299名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 20:03:54 ID:ShYvsbD1
ターン終了
300名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 00:12:53 ID:g8kFEwrp
ほしゅ
301名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 00:44:29 ID:mIfqqFsD
爽「あのっ……」
風「どした?」
爽「…えっと…………」
風「俺には遠慮なんかしないでなんでも言ってよ!」
爽「ほしゅうううううううううううううううううううううう」
302花火6 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 02:49:18 ID:d6Ji1PPU
>>293

Σケ 勹||| 恐ろしい子…!

もうばれちゃったからコテ付けちゃうもんね
キャラ崩壊気味 爽子痴漢もの 嫌な人はNGワードで
>>276-278の続き
−−−−−−−−−−
絹のような滑らかなさわり心地の控えめなふくらみの感触を時には優しく時には荒く揉むと爽子の眼に涙が浮かぶ。
ぐにゅぐにゅと柔らかな隆起を掴めば爽子は苦しそうに短い息を吐いた。
ぷっくりと膨らんだ隆起の先端をぽつんとつついてやればびくびくっと華奢な肩が小さく痙攣する。
「感じてるね。可愛く尖ってきたよ、ココ。」
びくんと身体を動かすと嫌々と爽子は頭を振った。
恐怖に震えながらもそれでも気丈な声が爽子の唇から漏れた。
「は、なして。大声、出しますよ。」
鈴のような細い声も、桃色の薄い唇の色と形も好みだ。
男はにっと笑うと揶揄するように耳朶に囁いた。
「いいよ。爽子ちゃんがこんなにやらしいんだって皆に見てもらおう。
あのハンサムな彼氏にも爽子ちゃんは痴漢されて感じちゃう、
やらしい子なんだって見てもらわなきゃね。」
爽子はその言葉に瞬時に桃色に頬を染め
恥ずかしそうに眼を伏せ唇をきゅっと噛んだ。
303花火7 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 02:52:22 ID:d6Ji1PPU
男は爽子の可憐な反応に男の本能がわしづかみにされた。

『辱め』ってのはこうでないとなあ。女が自分のやらしさを「恥ずかしがる」から「はずかしめ」なんじゃねーか。近頃の女にはこういう慎みがない。俺はいいウサギちゃんを捕まえたらしいな。

男は破廉恥なその思考を恥じる事もなく爽子の華奢な体を弄り続けた。
羞恥と悔しさで染まる頬とは反対に爽子の身体は敏感に男の指に答えた。
男の興奮はそのギャップにどんどん高まっていく。

周囲に誰もいなければ暗がりにつれこんで思う存分この白く小さな身体を貪ってやるのに。
男は爽子の細い首筋の匂いを楽しみながらそんなことを考えた。
実際恐怖で声も出せないこんな感じの女を公園のトイレで犯した事がある。
その時の快感は今でも夢に見るほどだ。
男は痛いほど脈打つ自身の分身を爽子の尻に擦り付けた。
「彼氏ちゃんと可愛がってくれてんの?爽子ちゃん欲求不満なんじゃないのかなあ。
よかったらコレ使って気持ちよくなってもいいんだよ。」
「も…やぁっ…!」
嫌がる様子がますます男を煽る。
我慢しきれず男は自分の身体で巧妙に隠しながら爽子の浴衣のすそを捲り上げた。
304花火8 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 02:57:35 ID:d6Ji1PPU
そして薄いショーツの布越しになだらかな尻を撫でた。
「あれー爽子ちゃんパンツはいてちゃだめじゃない。着物は下着脱ぐのが基本だよ」
いいながらショーツの中に徐々に指を入れていく。
爽子はさすがに身を強張らせ細い腕でその手をよけようとするが
男は巧妙に爽子の動きを封じる。

伊達に痴漢が趣味じゃないんだよ。

男はにやりと笑い爽子に囁いた。
「大人しくしない子は躾けないとね。」
臀部の割れ目をなぞりながら前に指を滑らせていくと執拗な愛撫のためか爽子の泉はたっぷりと潤っていた。
「爽子ちゃん濡れ濡れだねえ。ほんとえっちな体だ。」
爽子は限界を感じたのか小さく息を吸った。
大声を出そうとしたのだと瞬時に悟った男は爽子の愛液をたぷっと擦ると爽子の唇にその指をつっこんだ。
「爽子ちゃんの味だよ。」
羞恥と嫌悪感とそして確かに反応する自分の身体の浅ましさに爽子の心が折れたのかその眼からはらりと涙がこぼれだし
抵抗する力がすっと抜けた。

大人しい子は好きだけど、抵抗も反応もないんじゃつまらねえな。

男は爽子の口腔を弄っていた指を引き抜くとポケットから器用に何か取り出した。
305花火9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 03:02:02 ID:d6Ji1PPU
小さな容器に入ったクリームのようなもので、男はそれを爽子にみせつけた。
「コレが何かわかる?」
爽子はその声に少し眼を上げた。
「コレは爽子ちゃんを気持ちよくするお薬だよ。」
それは爽子には全く未知の世界の代物だった。
そのため爽子は本能的に強く怯えたのだろう
これまでとは比べ物にならないほどの抵抗を見せた。
「…―っうたくん…っ!」
か細く小さな悲鳴がその可憐な唇から漏れた。
男は巧みにその身体を押さえ込むと冷たい半液体のクリームをとろりと指につけると爽子の秘所に刷り込むように塗り付けた。
「彼氏にされてると思ってなよ。−爽子、可愛いよ。」
その時びくんっと大きく身体が跳ねた。

−どうやら名前を呼ばれるのに弱いらしいな。

陰部にもぐりこんだ指に伝わる締め付けと潤いがそれを伝えてくる。
「…ぅうっんっ…っ」
声をこらえているからだろう噛み締めすぎて唇から血が滲んでいる。
男が膨れ上がったクリトリスをゆっくりなでると短い息が少しずつ荒くなっていく。
膣壁を指腹で辿るとぬるりぬるりと淫液が指を誘うようにまとわりついてくる。
306花火10 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 03:07:34 ID:d6Ji1PPU
感度を増大させるクリームの効果もあるだろうが、巧みな男の指遣いに爽子の快感は強制的に引き出されているようだ。
それでもその手綱を引こうと懸命に抗う姿が逆に男の嗜虐心を煽る。
身体はとっくに熱に蕩けているのに瞳だけは気丈に抗う光が残っている。

儚い外見と思ったが、なかなか落ちないな。そうでなくちゃ面白くないよ。

男はこの柔らかい膣に自身を埋め、精液をその胎内にぶちまけたいという欲求が抑えられなくなってきた。
いっそこの場で挿入してやろう。
男は興奮の極に達した頭でそう決め、爽子のショーツをずりおろした。
「爽子、いれるよ」
荒い息でそう囁き、さすがに大声を出そうとするだろうと口を手で塞いだ。
身体をうごかし、少し爽子の足を開かせ、片手でジッパーを下ろし脈打つ男根をとりだすと既に雄臭い液が染み出してきている。
爽子の入り口にそれをあてがおうとした時に冷たい声がした。
「お前、なにしてんだよ」
男は自身に添えていた手首をぎりと握られあまりの痛さにうめいた。
男は爽子を弄るのに夢中になりすぎて、爽子の連れの動向をうかがうのを忘れていたのだ。
307花火11 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 03:12:46 ID:d6Ji1PPU
男はそのまま人ごみから引きずり出され、すぐそばにある建物の陰までつれていかれた。
掴んでいた腕を離され反動でよろめいた足を少年の足が蹴倒した。
男はうぉあっとおかしな叫び声をあげて座り込んだ。
少年の殺気に怯えたためか屹立した男根はそのままの姿で固まっておりかなり間の抜けた姿になっている。
しかし男にはそんな事を気にする余裕はなかった。目の前の少年は怒りに燃え上がるというよりも狂気すら孕んだ冷徹な目で男を見下ろしていたからだ。
男は媚を売るようにヘラリと笑った。
「わ、悪かったよ。ほんの出来心って奴だ。」
少年は無言で男の顎を蹴り上げた。
ぎゃっと声をあげ倒れた男は次の瞬間激痛に声を失った。
屹立した男根を少年の足が踏んだのだ。
ぶちっと嫌な音がして不自然な方向に曲がった男根はそのまま力を失った。
「うぎゃああああ!!」
悶え苦しむ男に少年はようやく口を開いた。
「殺していい?」
淡々とした口調が返って恐ろしく、男は青ざめた。
「け、警察をよんでくれ。自首するから!」
「俺の爽子にさわっといて、?まる程度ですますとか思ってんの。」
308花火12 終わり 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/11(水) 03:26:23 ID:d6Ji1PPU
「俺の爽子に触っといて、捕まる程度ですますとか思ってんの。」
男は少年の発する心底冷たい殺気に股間が温まるのを覚えた。
恐怖に失禁してしまったのだ。

爽子が警らしていた警官を連れてそこにきたときには痴漢はむしろ安堵したように素直に捕まった。
過剰防衛だと風早も注意されたが爽子の証言で痴漢の悪質さ
緊急性の高さなどが認められたためお咎めなしだった。

痴漢が連れて行かれ、一息ついた風早は爽子の様子がおかしい事に気が付いた。
「爽子?」
爽子はとろんとした眼で風早を見上げた。
熱を孕んだその瞳は、情事の時に見せる淫靡な男を誘うものだった。
「あっ…ごめんなさい…何?」
風早はこくっと息を呑んだ。
「…火、つけられちゃったの…?」
「―え…?」
風早は爽子の手を引くと側にある小さな神社の裏に連れて行った。
「しょ、翔太くん…?」
風早は爽子の華奢な身体をひきよせ、耳元で低く囁いた。
「爽子の身体に残る感触が、俺のじゃないなんてやだ。」
−長い夜は始まったばかりだ。
(終わり)
−−−−−−−
>>292

携帯厨にていつも細切れ大量レスせなならんのでせめてもの詫びっす
309名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 03:35:08 ID:j47dxY2/
わーいリアルタイムで読めたw夜勤明けさん乙です!

正当なことしてるんだけど、風早こえええw
その後がとても気になる
310名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 08:40:01 ID:/RrzTstX
夜勤明け様GJ
その後の「長い夜」をぜひぜひ書いて頂きたいです…
311名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 13:50:50 ID:mIfqqFsD
うっひょうううう!
GJ!!!    いいねーいいねー
風早には悪いけど、おっさんに最後まで思いっきりやられてしまうのをwktkしてたんだけどなぁ
こういう終わりもイイ
312名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 18:23:48 ID:2fS7fu97
>>308
GJ!
夜勤明けさん、管理人もやってくれてるんだ?!
おつです、本当にありがとう!!
313名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 20:38:46 ID:Pnxf7VjS
さすが夜勤明けサソだぁ!
一週間待った甲斐があったー

黒風最高
続きが読みたくて仕方がないです
314名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 09:47:19 ID:KVX8bijn
1週間長かった!
GJ!!
315夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/12(木) 23:09:14 ID:3K3T10sn
続きは書けたら書きます
しばらく潜ります
刺身の上にたんぽぽを乗せる仕事が忙しいんだお
316名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 11:37:59 ID:mfyYZkCO
今日休みだからなんとなく考えていた。
爽やかストーカー風早はいっそポリネシアンセックスに挑戦すれば
いいんじゃないだろうか。
ご飯も食べずに半日から1日かけてセックス。準備期間も含めると
なんと5日もいちゃいちゃしてるんだよ。
爽子のVDのプレゼントはこれでいけばいいと思うよ。
チョコペンで裸にあいらびゅんとか描いて召し上がれ☆も捨てがたいが。
まあ爽子はやんないだろうけどね
317名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 13:10:14 ID:j1YrEyk9
裸エプロンも忘れちゃいけないぜ
318名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 14:52:18 ID:77kVBBED
ポリネシアンセックスなついw
数日前から前戯だけしてムラムラしながら寝て気持ちを高めるんだよぬ
めっさエロス
319名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 00:37:32 ID:QmS2gTpZ
1巻の一番最初の扉絵エロい。
風早の表情といい、騎乗位でやってるように見える。
320名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 01:08:44 ID:kW7iZFIJ
ちょww思わず確認したw
賛同せざるを得ないなその意見には。
休載前のあの扉もエロかった。あのまま風押し倒すんじゃないかって
気が気じゃなかった。

全然関係ないけど風早は嗜好はSだけど
あんだけ欲張りなくせに寡欲で意思表示が下手な爽子に惚れるあたりが
どMだよなあ。
爽子は嗜好はM(自分いじめが趣味だし)なのにあれだけ清廉だと
存在そのものがどSだよなあ
となんとなく思った。
321名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 05:43:50 ID:fpoodXQ6
騎乗位wその発想はなかったww
風早ってキャラ的に正常位か対面座位が好きそう。
爽子の顔常に見ながら自分が主導権もってたいっていう。
322名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 11:30:37 ID:rmzW0o0X
騎乗位ワロタwww自分も確認しちゃったよw
風早うっすら汗かいてる?

…今更だけと1巻の表紙もすごいねー。
323名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 23:56:57 ID:kW7iZFIJ
   _ _        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  / / _______
     /  ,//, /  /| ガタガタ
    /_____///  / "|
   |  |‖| ̄|  |
   |  |‖|  |  |
   |  |‖|  |  |||
   |  |‖|  |  ///
   |  |‖|  |/
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´

バレンタインのプレゼント。風早にあげる。中身はさ…おっとこれは内緒だった。
職人さんカモンの願いをこめて…
324名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 21:11:38 ID:/eDFDID3
職人マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
325名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 21:41:38 ID:wWNoIvZU

せっかくのバレンタイン時期なのに、
まったく関係のない日常系?なお話を投下です。
バレンタインな話を待ってた方、いらっしゃったらゴメンナサイ…。

エロ無しで、新婚さんな風爽です。

326名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 21:44:40 ID:wWNoIvZU


なんだってこう、女という生き物は何かと面倒なことが多く、
この毎月決まった時期にやってくる、例の月のモノなんかは特に彼女ににとっては生き地獄のような恒例の生理現象なのである。


「…、……いたい…ッ…」


ある日のマンションの一室。
天気はまさに爽快な晴れ日和だったが、そんな清々しい朝を迎えられていないひとが約一名。


「………うぅ…んーーーーー………ッ」


―――痛い。
痛い痛い痛い痛い……!!!


広げた右腕の腕枕の中で苦しみもがく爽子の様子に気付いたのは、彼女の愛しの旦那様である。


「―――んぅ、さわこ…?なしたの?」


彼の問い掛けにも返せないほど、どうやら相当の激痛と戦っているらしい彼女は口をつぐんだまま。


「爽子? どした、具合悪いの? 顔真っ青だけど……」

徐々に血の気が引いていく彼女の顔を覗き込むしかない彼は、ただオロオロするばかりである。


「―――……しょ…た…く、ん…」

やっとのことで口を開いた爽子は、おもむろにダブルベッドの横に置かれた小さい棚の引き出しを引っ張り、
その中からメモ帳とボールペンを取り出した。


『生理痛なの。コンビニで、"イブ "。無かったら、頭痛薬。ごめんね、買ってきてくれないかな?』


すっかり涙目になって必死で懇願する愛しの彼女の頼みを断るわけにはいかない。

慌ててそのメモを引っ掴むと、コートと財布を手に持ち、急いで玄関を飛び出した。

327名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 21:57:36 ID:wWNoIvZU

一番近くのコンビニには徒歩3分で行ける。
軽く小走りで歩道を進んでいくと、セブンでイレブンな看板が見えてきた。
店内に駆け込み、化粧品・薬品コーナーに目を走らせる。

―――あった。

『イブ』と書いた白と紺色のパッケージを無事に発見し、会計を済ましてもと来た道を戻る。


―――まったくもって、女っていうのはめんどくさい生き物なんだなぁ…。

そんなことを、考えながら。



「ただいま。買ってきたよ、イブ」

彼がコンビニ袋から小さい箱を取り出して、
中から錠剤を二粒てのひらに乗せて、台所でコップに一杯の水を注ぐ。


「起きれる?」

「んぅ…無理…かも…」

「―――ん、了解」


まるでその答えが返ってくるのを待ち望んでいたかのように、慣れた仕草で彼女の口内へ錠剤を入れ込むと、
コップの水を自分の口に含み、そのまま口付けて水を流し込む。

「んっ―――ハイッ!飲み込む!」

口端からはみ出て流れ出た数滴の水を、チュッと音を立てて唇で拭いてやり、そのまま彼女を抱き締めて二度寝態勢に入る。
右手でベットの脇にあるストーブの設定温度を上げるのを忘れずに。


「…ありがとう、翔太くん」


返事の代わりに、本日二度目のキスで返した。


―――外は少し寒いけど、良い天気。
君が元気になったら、居間のソファの上で寝息をたてる飼い犬を連れて散歩に出掛けようか。

………あ、念のため、“イブ ”持っていこうか?


おわり
328名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 22:01:19 ID:wWNoIvZU

ちなみに余談↓

その後、恐らくこれから何日間かは新婚さんならではの夜のお楽しみを、
おあずけされるであろう事実に気付いた風早はこっそり涙を呑んだとかなんとか…

お付き合いありがとうございました^^
329名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 23:20:56 ID:tjarQZAw
GJ!
もういちゃついてんじゃないよ!ばか!すき!
330名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 23:25:35 ID:VLPMTF5X
うふふーほほえましい
GJ!
331名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 23:36:45 ID:J+8yrt3k
かわいいいいぃぃいいいい

萌えましたGJです!!
332名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:34:28 ID:gwstVCdH
保守代わりに一服。
バレンタイン、抜けてる爽子&焦太編です。
エロなし。


女の子が一年に一度、勇気を出せる日。
またこの日がやってきた。
去年は渡せなかった哀しいチョコレートたちも、今年はしっかりと行き先が決まってることが
なんだかうれしいような、はずかしいような、誇らしいような…。
そんな妙にむずがゆい気分で朝の準備を終える。

−あやねちゃん、ちづちゃん、ともちゃん、えっこちゃん、荒井先生、師匠、…か、…。−
最後の名前は、思い出すだけで、心臓が飛び出しそうになるほど鼓動が早くなる。
とりあえずバッグの中には、渡すべき物はしっかりと入っている。
「い、いってきます。」
いつもの家族への挨拶もなんだかやっぱり浮き足立っている。


「爽、おはよー。」眠そうな声が背中から聞こえる。
「おはよう、ちづちゃん。」
「風早、正門ですれ違ったよ。もうすぐこっちくるんじゃないかな。」
「えっ、か、風早くんっ?」唐突にその名を呼ばれ、明らかに動揺する。
爽子の様子にはあまり気も留めず第一に友人は「今年はわたすだろ!あいつ喜ぶよ、きっと。」などとさらりという。
「う、うん。・・・あのちづちゃんたちにも作ってきたから、また食べてもらえるかな。」
「イヒヒ、もう昨日から食う気マンマンよ。」
「あ、ありがとう。」
私の作ったものを喜んでくれる友達がいるって、本当にうれしなぁ。
しみじみと幸せを実感し、爽子の朝ははじまった。
333名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:36:37 ID:gwstVCdH
「おはよ。爽子。」
「おっはよーやのちん。」
「あっ、おはよう。あやねちゃん。」
「さっき自転車置き場で風早見かけたよ。もうすぐ来ると思うよ。」
「えっ、か、か、風早くんっ?」続いてやってきた友達から、またしてもその名聞かされて、挙動不審になる。
その様子に半ばあきれながら第二の友人は、「今年こそは渡すんでしょ!ちゃんと持ってきたよね?」と少しきびしい目で、爽子のバッグに目を向ける。
「う、うん。…あの心配してくれてありがとう。あとであやねちゃんも食べてね。」
「ありがと。ほんと、あんたマメだよね。」

ひとしきり朝の挨拶が終わった頃、入り口付近が騒がしくなる。
「おはよー風早。」「風早、おはよう。」「おはようございます。風早先輩。」
「おはよう。」一瞬にして、大雪のことも忘れさせてくれるようなその爽やかな笑顔の持ち主こそ、話題の主。
こんなみんなの中心にいるような風早君が、自分と付き合っているなんて、やっぱりちょっと信じられない…。

けれど、その視線がこちらを見とどめると、さらに幸せそうな笑顔が広がる。
「おはよう、黒沼。」
「お、おはようっ。」
今日もまたしてもその笑顔にみとれてしまい、挨拶が遅れてしまう。

「じゃあ、あたしら先行くね。」あやねがニヤニヤしながら歩き出す。
「このお、幸せモノ。」ちづが風早を冷やかしつつ、あやねの後をおう。
取り残された爽子は少し気まづさを感じながら、靴を履き替えようとしている風早を待っていた。
そうだ、いまのうちに渡してしまおうか…。
バッグの中に手を入れようとしたとき、
「あっ。」
その声で視線を向けた先には、風早が少しとまどったようにいくつかの小さな包みを持っている姿がみえた。
それは明らかに義理とは違う、手の込んだラッピングの小さな箱。
−かわいいなぁ−その手元を素直な感想でじっとみつめる。
その視線に気づいたのか、先ほどまでの笑顔を失った風早が慌てたように、
「あ、あの黒沼。これちゃんと返してくるから、気にしないでっ」
「えっ?」
「これ返してくるよ。…受け取れないって…。」
少し赤くなりながらうつむく風早。
−はっ!!−
ふと爽子は去年の梅の言葉を思い出す。
『風早、本命チョコは受け取らないんだよ』
気持ちが重いからだろうか?
いや、もしかして、ご家族に糖尿病の方がいて、いまから甘いものは控えているとか…?
そして、自分のバッグの中のひときわずっしりと重い袋をみつめる。
…私のチョコも(大本命だし、この量だし)受け取ってもらえないんだろうか…?

あぁ、来年からは作ってこないようにしなくちゃ!。

多大な勘違いとも知らず、爽子はまたしても風早にチョコを渡すチャンスをひとつ失ってしまうのだった。
334名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:37:13 ID:gwstVCdH
−なんか様子が変?−
やっぱ、さっきチョコみられたのが原因かな?
隣の、いつにもまして固い表情の爽子を見て、風早は思う。
−もしかして、少しはヤキモチやいてくれたのかな。−
いや、まさか、黒沼に限ってっっ。…でも、そうだったら、少しうれしいかも。
いつもより楽天的にそう考える風早は、隣の爽子とは対照的になんだか浮かれている。
去年もらえなかった爽子の手作りチョコ。今年こそは!と昨夜から少し興奮気味なのだ。
−さっき、吉田が冷やかしていたのも、たぶんチョコのことだよな。−
たかがチョコ、されどチョコ。
自然とにやついてしまう自分が、ちょっとはずかしい。

「あ、あの、黒沼、今日、その、…」「かぜはやーーお、はよー!」
−う、また…−
なぜか校内では二人きりでゆっくり話せたためしがない。
少しは気ぃきかせろよっ
「っはよ…。」
さすがにうらめしげににらみつけると、そのまま当の爽子は「じゃぁ。」といって教室に入ってしまった。

あ、あれっ?
あとでくれんのかな?
あっ、あいつらのと一緒に渡してくれるのかな??
もしかして、二人きりのときとか…???
でも、今年こそは、あいつらより先に食いたいよなー。
でも催促するのもなんだかなぁ…
友人たちとの会話も上の空で、風早はチョコの行方ばかり考えていた。

けれど、今日に限って、二人きりになる時間が取れない。
休み時間のたびにどこからか呼び出しがかかり、落ち着いて爽子と話す時間がないのだ。
それどころか、なんだか避けられているような気がする。
昼休みになっても、視線さえあわない爽子をなんとなく不審に思っていると、龍の手元に、忘れようとしても忘れられなかった、ブツがある。
「!!それっ!」
「?これ?あぁ、黒ぬ…。」「−龍、まだ食べるなよ!」いままさに一口目をたべようとしていた龍の手をつかみ、にらみつけた。
「?なんで?」
「とにかくどうしても!」
「じゃあ、いつならいいの?」
「とにかく、まだ!」自分で言ってて、情けなくなる。
「もしかして、お前ま…うぐ。」急に口をふさがれた龍はすべてを納得する。
「早くもらってくれ…。腹へった。」
平然とした表情といわれれば、余計に落ち込む。おれだって、はやくもらいたいよ…。

ついに放課後になってしまった。
「まだだめなの?」龍が無表情で問いかける。
「…いいよ、もう。」本当に落ち込んできた。

335名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:38:37 ID:gwstVCdH
今年こそはもらえるはず…だよね?
だんだんと自信がなくなっていく。去年のことは結構なトラウマになっているのだ。

まさか、もしかして今年も、無理?

何か怒らせるようなことしたんだろうか?

本当は黒沼って俺と別れたがってるとか…??

考えはどんどんどんどんネガティブな谷を落ちていく。

なんか、変なことしたかなぁ…。

それでもまだ、望みはあった。
帰りはいつも二人きりだから、きっとそのときに渡してくれるんだ、と。

けれど、いつもと違い、妙に無口で何かを考え込んでいるような爽子に、
なかなか話を切り出せない。
ついに、爽子の家まで、もうあと5分もないというところまできてしまった。
風早は本当に焦りだす。

情けないけど、なにかあるんだったら、やっぱり聞いてみないとわかんない!
「黒沼!あの、なんか言いたいことあるんじゃない?」
336名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:39:09 ID:gwstVCdH
「えっ?」チョコの行き先をどうしようかと深刻に悩んでいた爽子は急に問いかけられて、動揺してしまった。
しかし、それをきっかけに、ようやく決心した。
そして爽子は思い切って、さっきまで考えた結論を言ったみることにした。
「あ、あの、風早くん…。これ…。」

ついにその時が!爽子がバッグから一抱えほどのきれいにラッピングされた包みをみて、翔太は心が踊った。
やっぱり黒沼は用意してくれてたんだ!
「ありが…」「あの、ご家族の皆さんに…。いつもお世話になってるので。」

−えっ?…家族??−
おれんじゃないの?

さすがにあまりにも意外な言葉に虚をつかれた風早は、我に返ると爽子に問いただした。
「…俺には…?」
ついに言ってしまった…。
ヘタレすぎ、俺…orz

「黒沼、もしかして俺のこと嫌いになった。…別れたいとか…、思ってない?」
ショックのあまり、今日一日考えていたネガティブな思いが、口につく。

「…えっ…?」
風早の思ってもみなかった言葉に、今度は爽子が心底驚く。
「どうして?」
「俺には、チョコあげたくないんでしょ…?」情けなさすぎ、俺…(泣)

「あ、あの、だって、風早くん、本命のチョコはもらわないて聞いたから…。
何か理由があるんだよね。」
「へ?」

「ごめんなさい。来年からは作らないようにするから。でも、せめてこのチョコ、ご家族(…はっ!ご家族一同、血糖値を気にしていらっしゃるかも!!)
…や、あの、ご近所にでも食べて欲しくて…。」

「え、え…??」
「迷惑になるかとおもったんだけど…」ちょっと寂しそうに爽子は俯いた。
「どうしても渡したくて…。せめて風早くんに近い人にでも食べてもらえたらって…。」
「一粒一粒に気持ちを込めすぎちゃったから…、ごめんなさいっ。」
「う…。」
「は!!でも、念はこめてないので、(たぶん)大丈夫だと思う。」
−…気持ち込めすぎ…って
翔太は、爽子の言葉を理解すると、真っ赤になって俯いた。

そしておもむろに爽子に手にある、そのずっしりとしたその袋を取りあげると、少し怒ったような、すねたような、照れたような顔でつぶやく。
「これ。俺のもの。誰にもやんない。」
そして、急いで周囲に人がいないことを確認すると、恒例となった唇への儀式を行う。
…これからもずっと黒沼からのチョコ、待ってるから。

こうして今日も、爽子の幸せな一日が暮れてゆくのであった。
337名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 20:01:26 ID:j8602enz
さwwわwwwこwwww
発想が斜め上いきすぎだw
原作のあの大量のチョコ思い出したwGJ!
338名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 20:18:00 ID:D4qwuFxo
かわいいwwww

スレ違いカップル万歳!!!
339名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 21:29:02 ID:Kc9m3+tb
GJGJ!!
さすが爽子!この天然魔性っ娘めww



せっかくなので未来捏造でバレンタイン話を…
風爽の一人息子が出てきます。名前は「快人」(かいと)くん。
爽子と名前を並べたら「爽快」で…いいかな…と。(安易?)

では、どうぞ。
340名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 21:45:01 ID:Kc9m3+tb


北海道の2月はまだまだ冬真っ盛り。
北幌の地区も例外ではなく、朝の透き通った空気にピリリと肌がうずく。

そんな爽やかな朝の風景に似つかわしくない、切羽詰った声を上げる男子生徒が、ここに一人。


「…だあぁーッ! だから! 帰ってきてから食べるって言ってんじゃん!」

「で、でも! お母さんは今食べてもらいたいの! 今すぐ感想が聞きたいのっ!」

「かぜはや動物病院」と書かれた看板が掲げられている動物病院の一角にある、一軒家。
玄関先でほんのり顔を赤く染めた少年の腕を、長い漆黒の髪を軽く一つにまとめた女性が必死の形相で引き止めている。


「もう母さんほんとしつこいって! 学校遅刻するからマジで!」

「お、お母さんだってマジだもん! 大本命だもん!!」

「もんって言うな! ていうか真顔で実の息子にそういうこと言うな!!」


うぅーー快人くんひどいーーと半ば涙目で訴えかける母親の顔を見て、途方に暮れる。
コートのポケットに入れた携帯で現在時刻を確認すると、午前8時10分。
341名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 21:56:23 ID:Kc9m3+tb

「ちょ…やばいもうカンペキ遅刻…ッ!!  父さん!! もーこの人どーにかして!!」


居間のソファで、まだパジャマのままひざに顎を乗せてくつろぐ飼い犬を撫でながら、
片手で今朝の朝刊を流し読みする父に向かって助けを求めるも、


「一口くらい別にいーだろー。昨日から爽子ほとんど徹夜して作ったんだから言うこときいてやれよ」


息子の心境を知ってか知らずか、実にのほほんとした返事が返ってくる。

―――…この万年新婚夫婦め!!!!


「〜〜〜〜〜〜…!!  わかったよ! 一口だけだかんね!?」


んがっと大きな口を開けて、母親の片手にあるガトーショコラに勢いよくがっついた。


「……ハイハイ! おいしいおいしい! 行ってきます!!」


もう顔中が熱くてたまらない。真冬だというのになんだろうこの暑苦しさは。
「か、快人くーーん…!」と感激してウルウル目を潤ませた母親の「いってらっしゃい」を背中で受けて、
朝の通学路に飛び出した。一息遅れて、完全に面白がった父の「気をつけてなー道路ツルツルだぞー」という声も遠くから聞こえた。
342名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 22:29:57 ID:Kc9m3+tb

…まったく、あの夫婦は自分たちの息子が思春期真っ盛りのお年頃だということをわかっているのだろうか。

煮え切らない気分で、口端に付いていたケーキの欠片をペロリと舐め取った。


ふと数メートル先に目を向けると、見知った女生徒の後姿が見えた。


「…ねね!」


名を呼ばれた女の子がこちらを振り向く。
父親ゆずりの少し垂れ目な大きな瞳と、母親ゆずりのふっくらした唇をキュッとむすんで、
どこか営業スマイルを思わせる笑顔で「あぁ、快人」と返してくれた。


「おはよ、さみーなー今日!」

「おはよ…なんか顔赤いけど、どーかした?」

不思議そうに上目遣いでこちらを覗き込む。色っぽい仕草にちょっとドキッとした。


「いや…なんでもない」


ふーん、とさして興味なさそうに首に巻いたチェックのマフラーを巻き直す。

…今年は、もらえる、かな?


思わず、横目でチラチラと隣を歩く彼女の通学鞄を盗み見る。

本命でも、義理でも、なんでもいい。

ねねからもらったものなら、なんでも。



寒さでかじかんだ手を、意味もなくグーパーと動かす。
意識しだすと、もう心が落ち着かない。

彼女のふわふわした茶髪が、細い肩をかすめて揺れた。
そんな小さな光景にも、キュンと胸が高鳴るのを感じる。


昔からずっと一緒の幼馴染、長年の片思いの相手。

彼女が果たして、その鞄の中にチョコレートを忍ばせてくれているだろうか?


密かな希望を胸に秘め、通いなれた北幌高校に足をはやめた。

343名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 22:33:05 ID:Kc9m3+tb

以上です。そういえば書き込む前にエロ有無の表記を忘れました。
すいません…エロのエの字も見当たりませんorz


ちなみに、「ねね」とはKENTとあやねの一人娘です。
龍と千鶴の息子も登場させようかと思ったのですが、
いい感じの名前が思い浮かばず…次回(あるのか?)に保留です。

ではでは、またネタが下りてきたら投下しにきまーす。
344名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 23:23:28 ID:wQMdOwn6
GJGJ
>>332
さすがsawako発想が尋常じゃないw
次の年には健康にいいハーブチョコとか作ってきそうだ
あと焦太wその誤字のほうが今の風には相応しい気がするw
可愛いのう 愛しいのう

>>339

未来物はほのぼのしいなあ。
年食ってもいちゃいちゃいちゃいちゃしてんだろうな風爽は
息子の前でも平気でちゅうとかしてんだろうなコンチクショー
まあ爽子ならいいか。可愛いから許す。
新婚ものとかいいなあ 新婚でお風Hとか。
345名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 23:43:34 ID:deSkaW0I
快人と爽子の「もんって言うな!」のやりとり笑ったw
かわえぇ〜w

焦太職人さんもGJ!

本誌の小説よりこのスレの方が楽しかったりする。
346名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 00:06:18 ID:XbNnHUq8
>>332-336です
読み直すと、誤字脱字、矛盾だらけで、
なんつう読みにくい文章やと自己嫌悪に陥っております…orz
投稿する前に気づけよ!って感じなんですが、ほんと、ちょっと書き直したい…
でも、みなさまのあたたかい励ましでちょっと復活しました。
ありがとうございました^^


ちなみに、『焦太』は本スレでどなたかが唱えていた愛称をパクらせてもらいましたw


>>339
未来編、いいですね〜。GJGJ
獣医さんかぁ。風早、お勉強頑張ったんだね〜w
というか爽子も意外に獣医さんもありかもww二人で一緒に頑張ってwww
あぁ、妄想が〜


なんか触発されてプロポーズ編


翔太:「爽子、結婚しよう。」
爽子:「えっ?」
翔太:「俺と結婚すれば、もれなく世界で一番爽やかな人になれるよ!」
爽子:「えっ??」
翔太:「風早爽子。ほら、これ以上ないってくらい爽やかでしょっ」
爽子:「あっ、でも、名前負けしないかなぁ…」
翔太:「…」

347名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 00:27:55 ID:0ExYrOhM
ちょww 風早ドンマイwww

でも確かに風早爽子ってこれ以上ないくらい爽やかな名前だなwww


↑の未来編を書いた者ですが、風早の職業を何にするか迷って最終的には自分の願望を反映してみましたwww
きっと一浪して爽子に勉強教えてもらいつつ医大に合格したんですよwww

白衣姿の風早先生を妄想してちょっとニヤけたのはナイショwww
348名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 01:30:39 ID:HHZmJloc
か わ い い

皆GJ! GJ!
妄想とニヤけが止まらんではないかっ
あふ〜ん
349名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:39:46 ID:E6BujJt2
>>339です。
乱闘すみません…何故か昨日から妄想電波を受信しまくってます。

せっかくのバレンタインシーズンってことで…うっすら甘い風爽を投下。
風早狼化の一歩手前? エロはありません…。
 
350名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:40:26 ID:E6BujJt2

……さて、この状況は一体どうしたものだろうか。


帰りのSHRで毎度の如くピンに呼び出しをくらっていた風早が、ようやく教室に戻ってきた時、
2年D組の教室内には、異様な光景が広がっていた。


「………あー、かぜはやくんだぁ……」


しばし脳内がフリーズしていた風早の目の前に、どこか舌ったらずな口調で爽子がふらふらと近寄ってきた。
その足取りは、どこか危なっかしくて、時々足をもつれさせながらニコニコ微笑んでいる。

「えっ…え? 黒沼?」

「かぜはやくん…」

よく見ると、目の前の彼女の顔は全体的に赤く染まり、大きな瞳は潤みを帯びている。そして、心なしか少し息が荒い。
小刻みに繰り返されるどこか色っぽい呼吸の音を捉えて、風早は体感温度がぐんと上がるのを感じた。
度々、がくんっと身体が前のめりに大きく揺れる爽子の肩を支えるように両手で押さえる。


「ちょ…ちょっと…――吉田!矢野! 黒沼になにしたんだよ!」

窓側の席に座り、こめかみにうっすら汗をかきながら成り行きを見守っていた千鶴が、ビクンと小さく反応した。
351名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:41:27 ID:E6BujJt2


「あー…えっとぉ…いや、うっかり、ね…矢野ちん…」

千鶴が、オロオロしながら横目で隣に座るあやねに助けを求める。

「あたしが持ってきたチョコの中に、一種類だけアルコール入りのが入ってたのよ」


ふぅ、と小さくため息をつきながら、あやねが爽子の食べかけチョコレートの残骸をヒョイと持ち上げ、風早に見せた。
机の上の少し大きめな缶の中には、様々な形をした小さなチョコレートが綺麗に並べられて治まっていた。

「それを知らないで、爽子がうっかり一口食べちゃって、すっかりベロンベロンになっちゃったってわけ、」

まぁ予想通りというかなんというか、やっぱり爽子お酒に弱かったのね。
と、どこかあっさりした口調で、事態の深刻さを微塵も感じさせない風に、あやねが淡々と述べる。

すると、それまで口をつぐんでいた爽子が急に風早の顔を見上げ、うっとりとした眼差しで小さく呟いた。


「…かぜはやくん…ぎゅってして…?」


―――――ちょ、……やばいやばいやばいやばいやばい!!!!!


どういうつもりなのか、爽子は甘えたがりの子猫のように、風早の胸元に顔をすりすりと擦り付けた。
さっきよりも遥かに高い密着度。高鳴る心臓。ほのかに香る柑橘系のシャンプーの匂い。

ごくり、と思わず生唾を飲み込む。
必死で理性を保ちながら、平静を装うように小さく深呼吸して、そっと爽子の顔を覗き込む。
352名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:42:50 ID:E6BujJt2

「く、黒沼? どうしたの? 具合…わるい?」

「…んん…ちょっと…からだがあついの……」


風早の腰に回された爽子の細い腕に、ぎゅっと力が入った。


「……こうしてると…かぜはやくんのにおいがして…すごく…あんしんする……」


未だ風早の胸の中で、とろんとした眼差しで愛おしそうに風早を見つめる。
その表情はどこまでも柔らかで、優しい。

もう少しでうっかり手放しそうになる理性を、ギリギリのところでしっかり捕まえつつ、
どうしようもないほど可愛らしい彼女の容姿や仕草の一つ一つに、ノックダウン寸前。


―――これは……反則……だろ…!?


はぁー…と大きく溜息をついて、観念したように、ひょいと爽子の腰と膝の裏に手を差し込む。
そのままヒョイと軽々と彼女の体を持ち上げると、ちょっと慌てた彼女がゆっくりとした動作で彼の首に両腕をまわした。

「おぉーっ! 生ではじめて見たわ、お姫様だっこ!」

よッジェントルメン! と自分達の立場がわかっているのかいないのか、
暢気な声ではやしたてる千鶴とあやねに軽く睨みをきかせ、少し頬を膨らませながら風早が口を開いた。
353名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:46:44 ID:E6BujJt2


「ちょっと保健室のベッドで休ませてくる! お前ら、ちょっとは反省しろよ!」


器用に片足で教室のドアを開けて、爽子の身体を落としてしまわないように、体制を立て直す。



しばらく廊下を歩いてから、周りに誰もいないことを確認して、そっと爽子の額にキスを落とした。
意識が朦朧としているのか、重そうな瞼をパチパチさせながら、「めいわくかけて、ごめんなさい…」と小さく呟く。

「………ほんとだよ……まったく、」

心配させんなよな…。


「ほんとうに…ごめんね…どうしたら、ゆるしてくれる?」


また、先ほどの甘くとろけそうな上目遣い。


――――あぁ、もう……降参だよ、黒沼。



「―――じゃあ…ベッドについたら、覚悟しててね?」



いたずらっ子のようにちょっと口の端を上げて、もう一度、今度はその甘い唇にキスをした。


―――もうすぐ、チョコレートよりも甘い時間がはじまる。

354名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:49:53 ID:E6BujJt2

以上ですー。

チョコレートよりも甘い時間は各自で脳内補完をお願いしますorz
すいません…がっつりエロが書けないヘタレですいません…。


>>344さんが言ってた新婚お風呂Hが読みたいわたすです。
どなたか…神職人はおらぬか…!!
355名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 18:53:32 ID:E6BujJt2
うわっ…今更ながら誤字発見…。

>>349 
乱闘→連投 です。AとEはキーの位置が近くて…すいませんorz
356名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 19:14:10 ID:r9p0VsKm
GJ!
風早が、あやね・ちづの前で理性を手放さないでいてくれてよかったw
357名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 19:19:42 ID:XbNnHUq8
ふにゃふにゃ爽子かわええ
ニヤニヤがとまりませんww
358名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 19:29:54 ID:G+OiQjFP
その後の保健室でのふたりが気になる〜
359名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 23:37:04 ID:txt9dCS1
もうかわいいなあかわいいなあ
チョコレートより甘い時間に妄想が止まらん(*´д`*)ハァハァ
酔い爽はほんとかわいいねえ
風じゃなくても骨抜きになるよ
今腹痛気味なのがなぜかちょっと改善したよ
風呂Hいいね!
風爽はもちろん 龍ちづのもいいな ちづがテンパっててもいいし
実は龍がテンパっててもいい。(ちづはなぜか落ち着いてる)
360名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 23:55:35 ID:G+OiQjFP
めちゃめちゃエロい、ドスケベなエロ早に翻弄される、爽子な話が見たい…

職人様カモーン
361名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 00:06:37 ID:I1xInUbv
風早って「スケベ」って言葉が似合うよねw爽やかなのにw
自分もエロエロ風爽読みたい!
362名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 01:06:52 ID:yFYHLLZb
ちょっと積極的でかわいい爽子が見たいために
わざと酔わせようとする風早が見たい
でも、エロモードに入って、いざって時に爽子寝ちゃうとか
363名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 11:24:49 ID:/bw+l6Fr
>>350
ふにゃふにゃ爽子かわいいいいいいい
GJ!

>>管理人さん
いつもいつもご苦労様です
作者さん別作品一覧のところの、“龍ちづ三部作”は消して頂けませんか?
また投下することがあってもこの名前?は使わないし、どうにもこうにも恥ずかしくて
お手数ですが宜しくお願いします、ごめんなさい
364名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 17:06:49 ID:TMjiJrei
>>363
おけーです。
とりあえず名前はスレ番号でいきましたけど
この名前にして欲しい要望がありましたら遠慮なく言ってください
ついでにお知らせ
リンクページと作者さん別ページは誰でも編集可にしてありますので
実はこれ自分が書いたシリーズなんだと思う方は編集してくださって
おけです。編集わからんとかできん(特にページの名前変更はできないみたいです)
とか言う時はスレかメール(まとめのほうのTOPに記載)でお知らせください
365名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 21:44:31 ID:/bw+l6Fr
>>364
うああ何て言ったらいいのか
名前ではなくて、“作者さん別作品一覧”自体から龍ちづ三部作を消して頂けませんか?
ただひっそり作品一覧の中にだけあればいいっていうのか、作者さんの中に混じるほどじゃないっていうか
本当に、うまく伝えられなくて申し訳ない!
このレスも分かりづらかったらスルーして下さい ごめんなさいorz
366名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 23:51:03 ID:TMjiJrei
>>365
あいあい対応しましたえ〜
確認してね。レス使うのもったいないから
このお話が続くようならメルメルでお願いしまっす

上のほうのレス見返したら爽子が風意外に惚れるやもと
言う話が出ていたけどどんなキャラがあうのかなあ
個人的にはベタだけどアウトローで心を閉ざしたタイプ
でも能力はあって一匹狼的な?そんなタイプが爽子の真摯さや
優しさに惹かれていくと厄介な気がする
367新婚さん1:2009/02/19(木) 00:23:30 ID:6UnNUH8N
新婚さん設定で書いてみました。甘い祭便乗
−−−−−−−−−−
翔太と爽子が数々の苦難を乗り越えて無事ゴールインしてから1年。
今日は珍しく友人みんなの休日がそろう。
と言う事で高校のときの仲間でプチ同窓会をしようと言う運びになった。

「オー久しぶりだな。お前達まだ別れないの?俺の出番マダー?」
挨拶代わりにそんな軽い冗談でジャブをかます健人を翔太は半分本気で小突きながら
「そんな日は永遠にこねえよばーか」
などとかわしている。
そんな男共のじゃれあいを微笑ましく見ながら爽子はおずおずと大きな箱をとりだした。

「あの、これ、クッキー…。たくさん焼いたからいっぱい食べて。」
爽子が相変わらず控えめにほんのり笑いながらそれを差し出すと千鶴は
いっただきまーすとぽりぽりやりだした。
そしてふ、と気づく。
「あれ?こないだ電話した時 爽、ケーキ焼いてくるっていってなかったっけ。」
「う、うん、ごめんあれはその…諸事情で…手違いでクリームが」と
ごにょごにょ言葉を濁す爽子。
千鶴はがっかりと肩を落とした。
368新婚さん2:2009/02/19(木) 00:27:58 ID:6UnNUH8N
「爽子のケーキ楽しみにしてたのに〜。んまいんだよな、そこらの店のよりんまいだよな。
あー思い出したらますます食べたくなってきた。」
そんな千鶴にじーんと感動し
爽子は「宅配で送るよ!」などとすごい宣言をしている。
そんな二人にくすっと笑いながらクッキーをつまむあやね。
「でもまあ、このクッキーだけでも美味しいじゃん。」
その言葉には頷くもののなおも未練がましく
「はぁ…ケーキ…」と溜息をつく千鶴。
千鶴はごめんね、と落ち込む爽子に目を向けた。
「でもなんでケーキなくなったの?アンタあんなにはりきってたじゃん。」
千鶴の言葉に爽子は、ぽっと頬を染めた。
そして男子の揶揄の嵐から逃れて爽子の側に寄ってきた翔太に
救いを求めるように眼を向けた。
「な、なにどしたの。」
「ケーキ…なんでなくなったのかって…」
その言葉と爽子の縋るような眼に風早もぼんっと赤くなった。
赤面しながらみつめあうふたりは昨晩のことを思い出していた。
369新婚さん3:2009/02/19(木) 00:30:48 ID:6UnNUH8N
明日は久々に皆に会えるとはりきってその日半日勤務だった爽子は特性のケーキを作ろうとしていた。
半日かけてクッキーを大量に焼き、スポンジケーキを仕込んだところで翔太が帰ってきた。
「うわ、いい匂い。もうできたの?」
「あ、今スポンジは焼けるの待ってるとこ。ご飯の後でクリーム作るね。生物だからこれだけはギリギリにって思ってたんだ。」
二人で仲良く夕飯を食べ、爽子が片付けがてら、できたスポンジを覚ましているとお風呂からあがった翔太がひょこんと顔を出した。
「おいしそー。今俺も手伝うよ。」
「えっいいよ!疲れてるんだから休んで!」
翔太はははっと笑った。
「そんなん、爽子もおんなじじゃん。片付けしてもらったし、ちょっとぐらい手伝わせてよ。
クリームつくんのってけっこう体力いるって言ってたよね前。」
眩しいおひさま笑顔でそう言われてしまうと抗えるはずもない。
その笑顔に勝てたことなど一度もないのだから。
エプロンをつけて爽子の指示に従ってガシュガシュと生クリームと砂糖を混ぜていく。
手早さの必要なこの作業は翔太に向いていたようで大量の生クリームがあっという間にできあがっていく。
「こんなもんでいい?」
370新婚さん4:2009/02/19(木) 00:32:53 ID:6UnNUH8N
爽子がスプーンでひとさじ掬い、滑らかさを見るとばっちりいい感じに出来上がっていた。
「俺も味見〜」
と甘えるような仕草であーんと口をあける翔太に爽子はくすっと笑ってスプーンを差し出そうとしてふ、と思いついたようにスプーンを皿の上においた。
「?」
爽子はうふふ、っと微笑むと焼いてあったクッキーを取り出しスプーンのクリームを乗せた。
「はい。このほうが美味しいでしょ?」
きらきらと無邪気に微笑まれ、その笑顔に翔太の胸はきゅううんと絞られた。
いったいいつになったらこの攻撃に順応できるのだろう。
きっと俺が突然死したら原因は奥さんにきゅんきゅんしすぎの心臓の過労だ。
そんな埒もない事を考えながら翔太は爽子の差し出した生クリームつきクッキーをくわえた。
ぽりぽりと二口ほどでクッキーはなくなったがその時爽子の細い指が翔太の唇に触れた。
「…あっ」
と小さく声を漏らし爽子は仄かに赤くなって眼を伏せた。
−翔太は色気攻撃を受けた!1000万ダメージ!−
昔々のゲーム画面のようなそんな文字が翔太の頭の中を瞬間に走った。
これはダメだろ。昔封じ込めたはずの爽子を誰にも見せたくない病が再発しちゃうだろ。
371新婚さん5:2009/02/19(木) 00:36:22 ID:6UnNUH8N
翔太は赤くなった顔を隠すように頬をぽりっとかいた。
そのときうっかり泡だて器をもったままだったので
ぽたっとテーブルにクリームがこぼれた。
「あ」
爽子が片付けるより早く翔太の指がそれをすくった。
そしてにやっと悪童のように笑いながら言った。
「爽子も味見して?」
爽子はちょっと躊躇しながら翔太の顔をみあげるも、素直にその指に舌を這わせた。
ちゅぷ、ちゅぱっという水音と爽子の柔らかな舌が指を舐め上げる感触に
翔太の野生パラメーターは急上昇し、ぱりんと割れた。
側にあったスプーンでクリームを掬い
自分の口に一口放り込み爽子を引き寄せると
爽子の桜色の唇を貪った。
翔太の口の中にあったクリームが爽子の口腔に舌で移され
そのままぐちゅりと中でつぶされ、かきまわされる。
甘く濃厚なクリームの感触と愛しい人の熱い舌の感触が
ないまぜになって爽子を一気に蕩かした。
「は、ふっ…」
悩ましい息を漏らした爽子に翔太は甘く囁いた。
「…こっちのほうが美味しいだろ…?」
とろっとした瞳でこくっと頷く爽子に翔太は瞬時に
理性の二文字を己の辞書から消去した。
「−俺も飾りつけ挑戦してもいい?」
372新婚さん6:2009/02/19(木) 00:39:21 ID:6UnNUH8N
蕩かされたまま、え、と目を向けた爽子の頬に軽く口づけし
にこっと笑うと翔太は言った。
「ハイ、万歳。」
「万歳?」
「ん、手ぇあげて。」
わけがわからないながらも爽子は万歳すると
そのままずるりとセーターと下着を脱がされた。
キッチンはお菓子作りのためにヒーターは抑え気味にしてある。
しかしその肌寒さを感じる間は爽子にはなかった。
あっさりブラジャーも慣れた手つきで外され
爽子の椀のような胸がぷるんと顔を出した。
「きゃっ…しょ、翔太君恥ずかしいよ…っ」
爽子は自分の身体を明るいところで見られるのはどうも苦手だった。
「何で?いいじゃんたまには爽子の可愛いおっぱいにちゃんと挨拶したいな」
う〜っと唸り、恥ずかしそうに爽子は翔太を上目で見ながら胸を隠そうとするが
翔太はしれを優しく許さない。
「恥ずかしいよぅ…あんまりお、おおきくないし」
爽子にも人並みにあやねのような柔らかくおおきく女性らしい胸に憧れる気持ちがある。
自分の胸はどうも貧相な気がしてならない。
「え、でも可愛いよ。形もきれいだし…味もいいし。」
「味?」
言うなり翔太はぺろりと爽子の微乳いや美乳を舐めた。
373新婚さん7:2009/02/19(木) 00:43:36 ID:6UnNUH8N
「やぁああんっ」
翔太は敏感な爽子の反応に満足げに微笑んだ。
「うん、爽子の味最高。だから、ね。飾りつけさせて?」
翔太はボールに入ったクリームを側の皿においてあったゴムベラで大胆にたっぷり掬うと
爽子の身体に指で塗りつけ始めた。
そのぬるり、ひやりとした感覚に爽子の肌は粟立った。
「いやぁあんっな、なに?翔太君なにするの!?」
「だから飾りつけ。ケーキより甘い俺の奥さんに飾りつけ。」
歌うように楽しそうに翔太は作業を続けた。
白い胸が白いクリームでうっすらと覆われた。
ぺろんとひと舐めして翔太は熱い息を吐いた。
「ん、やっぱ甘い…。」
この白い肌はケーキの何十倍も甘い。一口舐めただけで天国に行ける。
翔太はうっとりと思う。
「翔太くん…も、やめようよぉ。恥ずかしいよぅ」
いつまでも理性と羞恥心の方が自分への欲求より勝ってしまう爽子に
翔太は焦れながらもそういうとこがどうしようもなく好きだなあと
またそこに戻る自分に呆れる。
恥ずかしそうな爽子をもっと夢中にさせたくて
もっと自分に向かせたくて翔太はさらに暴走する。
翔太は側にあったチョコペンで爽子の胸の合間におおきく「しょーた」と書いた。
374新婚さん8:2009/02/19(木) 00:46:09 ID:6UnNUH8N
「俺の、だもんね。名前かいとかないとね。」
子供みたいに笑う翔太に爽子も呆れたように笑った。
「胸だけ、なの?」
なんとなく言った言葉だったが、その言葉は危険すぎた。
翔太は瞬間爽子の顔をまじまじとみて、次にぼんっと赤くなった。
「…やべ、とまんね。」
翔太は顔中に疑問符を浮かべる爽子に深く口付け舌を弄り身体を柔らかく蕩かした。
そして胸の周りを柔らかく食みながら時折ねっとりと舌を這わせた。
爽子の華奢な体が震えだす。寒さゆえではなく快楽に。
「あ、あ、んんっ…」
爽子の足がもじもじと揺れ、熱が彼女を焦がし始めたのがわかる。
柔らかな胸の桃色の先端が触れて欲しそうに尖り、翔太を甘く誘惑した。
もちろんその誘惑を断る理由はなく、果実よりも甘く瑞々しいそれをぱくんと口に含む。
そして口腔内で舌を生き物のようにその小さな果実に絡ませた。
「ああっんっん、ん、」
爽子の短い喘ぎが翔太を追い立てた。
早く彼女の中に入りたくて気が狂いそうになりながらそれを必死で抑えて愛撫を続ける。
もっともっと気持ちよくなってほしくて、もっと夢中になってほしくて。
爽子も既に静止の声はあげる事はなかった。
375新婚さん9:2009/02/19(木) 00:48:37 ID:6UnNUH8N
かわりに翔太にからめた腕の力をぎゅうっとこめた。
先端を柔らかく吸いながらそっと足の間に手を伸ばし薄い布に隠された爽子の秘所へと辿りつく。
胸への愛撫を続けながらじゅぶっと潤ったそこに指をやわっとそわせるとびくびくと淫肉が動くのがわかった。
そこにある快楽の芽はすでにぷっくり膨れて翔太の指をまちわびていた。
その可愛い芽を優しく擦ってやると爽子の身体が大きく跳ねた。
「うふぁ…っああああんっしょ…たくんっそれやだぁあぁ」
「…いや?なんで?」
秘肉に指をそっといれるときゅうきゅうと締まるそれが指に食いついてくる。
「離さないでって言ってるよ…?」
爽子はその言葉に恥ずかしそうに首を振った。
「何か、だめ…っおかしくなる…っ」
−あ〜もうどうしてこう俺の奥さんは簡単に俺の限界を突破させるかなあ。
でもせっかく明るいとこだし、もっと爽子の全部が見たい…。
翔太の中でスケベ心が突き入れたいと叫ぶ狼をかろうじて押し留めた。
どっちにしろ後でこの2者は共闘する事になるのだが。
立って致すか寝かせて致すか一瞬迷いながらも
翔太はゆっくりと爽子をキッチンの床に押し倒した。
やっぱり顔が見たい。翔太はそう思ったのだ。
376新婚さん10:2009/02/19(木) 00:53:39 ID:6UnNUH8N
快感に焦がされ溶かされていく爽子の表情は淫靡で綺麗でものすごく可愛い。
たぶん自分以外は見たことのない筈の大事な宝物。
翔太は爽子のスカートを捲り上げ
既に半分脱げかけているショーツをするりと細い足から引き抜いた。
そっと足を開かせるとてらりと淫液でぬめる秘肉が翔太を妖しく誘った。
「んんん…やだぁ…あんまり見ないでぇ…」
泣きそうな顔で恥ずかしそうに首を振る爽子は逆に雄を強烈に誘惑する。
爽子の蜜壷は蕩ける淫蜜を零しながらひくんひくんと蠢いていて
翔太はそれを見ているだけでもたまらなく達しそうになる。
そこはどれだけ肌を合わせても清らかなままの爽子と
いやらしく溶け合える唯一の場所。
翔太は愛しさをこめてそれに口付けを送った。
「んんっ…!」
ぴちょりと舌を差し入れると甘い蜜がとろりとこぼれてくる。
やっぱケーキなんかより何百倍も甘い…。
その蜜を味わうように舌を動かしていく。
「ひぁっ…やっ…んぅ…っあ、あっぁあっしょーたくっっ…!」
蕩ける蜜壷は芳しい愛蜜を零し続ける。
「んっ…しょ…たくんおねが…」
「もう、きていい…?」
爽子は強い快楽に朦朧としながらも首を横に振った
377新婚さん11:2009/02/19(木) 00:57:19 ID:6UnNUH8N
「ちが、…ちゃんと…んんんっ…脱いで…っ」
爽子は荒い息の合間に必死で言葉を紡いだ。
「ちゃんと…はぁっ…しょ…たくんっ…感じさせて…っ」
…もう、限界。
さすがに狼をこれ以上押し留められない。
翔太は衣類を剥ぎ取るように脱ぐと
今か今かと待ちわびていた分身を彼女の蜜壷に飲み込ませた。
じゅぷりと音がして抵抗なくそれは入っていく。
抜き差しせずとも温かい秘肉が翔太自身をきゅ、きゅっと締め付けた。
「…ふ…すげ…きもちい…」
待ちわびていたのは爽子も一緒だったようで離したくないとばかりに
淫肉が絡みつきしなやかな腕が翔太の背中に絡みついた。
「感じてる爽子の顔、すごい…すき。」
その言葉にも反応してさらにきゅううっと爽子が翔太自身を締め付けた。
「…っ!」
−あんまり持たなさそう。頭の中で方程式、が長持ちのコツだっけ…?
翔太は朦朧とそんな事を考えながら愛しい妻に深く口付けした。
それを合図として甘やかな律動運動が繰り返された。
抜き差しするたびじゅぷ、じゅぷといやらしい音が静かなキッチンに響き
爽子の甘い喘ぎがそれに続いた。
「あ、あ、あぁっもっ…」
「…いき、そ?」
378新婚さん12:2009/02/19(木) 01:01:18 ID:6UnNUH8N
翔太は荒い息の中爽子の頬や耳にキスしながら聞いた。
爽子はいやいやと首を振った。
「わか、わかんなっ…あぅ…っおかしくなっちゃうっ…んんんっ」
爽子の中がきゅううっと締まって限界が近いことを伝えてきた。
「…んっ…いいよ、イっても。」
俺も、限界。方程式なんか1次方程式で頓挫。
この甘さにそんな無粋なもので抗えるわけがない。
「あっあああっしょーたくんっすきっだいすきっ…」
「さわこ…っ」
翔太が爽子の中に欲望を放つと同時に爽子の中がきゅううっと締まり
ひくひくと痙攣した。
絶頂後の倦怠感に二人とも少し動けずにいたが
先に体力を取り戻した翔太が爽子の中から身を引くとこぷり、と白濁が零れた。
快感の余韻と倦怠感にまだ朦朧としている爽子を翔太は横抱きに抱えた。
「爽子は軽いからお姫様抱っこが楽だなあ。」
翔太はにっこりと爽子に微笑んだ。
「…翔太君?」
「汗とクリームと俺の…でべたべただから気持ち悪いだろ?
お風呂、いれたげるよ。」
爽子の可愛い遠慮など翔太が聞くわけもなく
爽子は温かいシャワーで全身くまなく洗われ
いい匂いのするバスタブでたっぷりと温められた。
379新婚さん13:2009/02/19(木) 01:06:30 ID:6UnNUH8N
それだけですめばよかったのだが
翔太が爽子の綺麗な身体を洗ってやっているうちに
ほんのり色づいた爽子の色っぽさや息遣いにまたムラムラきてしまい
そのままついついその場で第2ラウンドに突入してしまった。
その後軽くその痕跡を流し
体力の限界にきた爽子を再びお姫様抱っこでベッドまで連れて行った翔太も
さすがに激しい情事2連発に疲れて
爽子と共にベッドにダイブインした。
当然その場にほっぽっておかれたなまもののクリームが使えるはずもなく
破棄される運命となった。
おまけに疲れきった二人が眼を覚ました時には
身支度以外許されるほどの時間もなく
とりあえず作ってあったクッキーだけ詰めてプチ同窓会に駆けつけたのであった。
−−−−−−−−−−

((い、いえない…))
「ん?なんで赤くなってんのあんたら。」
挙動不審な新婚バカップルにあやねが鋭くつっこんだ。
「「な、なんでもないよ!!」
頭を振りすぎてくらくらする爽子を慌てて支える翔太。
相変わらずいちゃついてるなーとつっこみをいれる千鶴。
「あんたら仲いいワリに子供できないわね。まだ早いからって避妊してる?」
380新婚さん ラスト:2009/02/19(木) 01:11:59 ID:6UnNUH8N
首をふる爽子ににやりとあやねが笑い、からかうようにいった。
「知ってる?仲良すぎると子供できないんだよ。」
「「え、なんで!?」」
なぜか千鶴もそこに食いつく。
「…なんでちづまで食いつくのよ。ま、いいわ。ふたりとも耳貸しんさい。」
小さな声であやねは二人に囁いた。
「あのね、Hしすぎるとせーしがうすくなんのよ。」
耳をつけた爽子と千鶴は聞いたとたん真っ赤になる。
「そ、そっかーそういうこともあるんだ。」
二人はあやねの知識にしきりに感心した。

楽しい時間をすごし、二人は仲良く手をつないで帰宅した。
お茶を飲みながら一息ついた翔太に爽子は突然「子供、欲しい?」と聞いた。
「そーだなあ、自然にできれば欲しいかな?」
と翔太は爽子似の可愛い女の子にパパ、パパと懐かれる妄想をしてニヤニヤした。
まさかこの時軽く頷いた事で翔太は涙をのむはめになるとは思わずに。
なんと次の日から爽子にHは3日に1回制限がかけられたのだ。
「ね、俺たち新婚さんなんだよ。新婚さんはいちゃいちゃするのが仕事なんだよ。」
2週間耐え、耐え切れなくなった翔太がそう言って爽子に泣きつくまでそれは続いたのであった。
(おしまい)
381名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 01:18:54 ID:LoX+n2Bl
リアルタイム遭遇!
甘い甘いー
相変わらずすごい文才だ
何でそんなに思い付くんだ

夜勤明けサソ激しく乙です!(・∀・)
382名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 01:19:10 ID:XOECeu7K
リアルタイムできたー
クリームネタGJw
383名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 01:31:06 ID:iOJXmP+G
リアルタイム遭遇できたーやったあ

夜勤明けさん毎度ながらGJです!

風早いいかげんにしろwwwどんだけスケベなんだおまえwww

「新婚さんはイチャイチャするのが仕事なんだよ」
に盛大に吹きました。
飲んでたミルクティー返してくれ風早よww

このままゲロ甘な流れが続いて、たくさんの神職人さんが色々投下してくれないかなぁと密かな願いww

自分も電波を受信したら載せにきます(・ω・´)
384名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 06:56:21 ID:uXRPfx2s
風早どんだけスwケwベwwww
でも可愛いクリーム爽子を見れたのはスケベのおかげ、感謝しよう
GJGJ!

>>366
確認させて頂きました
本当にありがとうございました!
385名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 07:18:21 ID:uDQv7TY8
GJ!!
こんな二人、想像は出来ても自分は絶対書けない!!
本気で文才あると思います!萌えた〜w
386名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 09:53:14 ID:d44qmrcR
朝読むと危険ですね〜ww 動悸が…ww
すごい表現力に、毎度毎度、感動の嵐www
387名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 19:02:14 ID:QvTDGRG+
>>366
夜勤明け様、管理人さん作業・職人さん作業いつもありがとうです!オツです!!

爽が風以外に惚れるキャラか〜。
孤高なスポーツマンとか?w
爽同様不器用で、なにかと悪戦苦闘してるんだけど、負けじと努力してるような男に落ちそう。

それみた爽が感動して、

私じゃ何か力になれないかなぁ…?

と思いそう。気づいたらフォーリンラブみたいな。
天然ちゃんだからねw>爽

でも爽系の性格の子って本来はそういう人が好きそうだな〜。風あやうしかもねw
388名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 22:48:57 ID:r+YRpGT1
>>387
からくりサーカスの鳴海みたいな人かな
不器用で中身は熱くて優しい男の惚れる男
(でも女にはもてない)みたいな人とか
389名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:36:33 ID:QrbLADtv
風×爽
本番なし、縛り・脇なめ・まんぐり返し有り、苦手な方はスルーを
電波っぽくなた

□□□
高校卒業後、風早は県内切っての有数都市の大学へ、爽子は地元の女子大へと進学を決めた。
電車で2時間近くかかるこの距離に二人の気持ちが萎えることはなかったが、その代わりに切なく積もっては、短い逢瀬の中で触れ合って溶けていく。
その度に春が来るように、芽吹くように愛は育ち続けて今に至る。
そして今日は高校の同窓会が催されたのだ。
3年振りに嬉しい面々にすっかり心はあの頃に帰り、二人とも酒は必要以上に進む。
やんややんやと囃される中、あやねや千鶴の裏工作により、同窓会を理由に外泊を許してもらえることができた。
次の日は祝日で、久しぶりにゆっくりと過ごせる幸せを一人先に噛みしめ潰れた風早を、一人暮らしのマンションへと爽子は連れ帰ってきたところだった。



「たっだい、まーーーーーーー!!」

蹴破ったのかと思えるほどの勢いでドアが盛大に開かれた。
三日月が覗く中、部屋の籠もった空気がぱっと半転するように入れ替わっていく。
夏らしい剥き出しの肩にサアサアと6月の風が吹いた。

「翔太くんっ。夜も遅いから、ね?声、小さくしよう?」
「うんッ!!!」

宥める爽子の努力は虚しく、風早の元気な返事と挙手によって粉砕される。

「んー、んーー、んっん〜」
「ふふ、何の歌?ぁ、わわっ!!」

機嫌よく鼻歌をうたう風早の足元は酷く覚束ない。
終いには靴を脱ぐのに足を取られて、支えていた爽子ごとずっこけ倒れこんでしまった。

「……くっ、あははははは」

ケラケラ笑い出す風早に爽子は小さなため息を一つ漏らしただけで、後は愛しそうに見つめるばかりだった。

「はっはははっ。……爽子ぉ、だいじょーぶ?ごめんね」

お互いに起き上がり向き合って座る。
風早は幸せそうに綻びながら視線を落とし、目元をとろんと緩ませふわふわと体を揺すっていた。

(酔っぱらいさんだ……)

「……可愛い……翔太くん、そろそろ中に入ろっか?」

男としては聞き流す訳にはいかない台詞も、今の風早の耳には入らない。
ひたすらに爽子の問い掛けに頷いて、促されるまま部屋に入る。
暑さに悪態をついて、上半身だけ裸になるなりベッドに体を放り投げた。
うだる熱は留まるばかり。
390名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:37:18 ID:QrbLADtv



ぱきゅっと小気味いい音が鳴った。

「はい、お水とタオル」
「あっとー」

ペットボトルの蓋は外してから手渡すと、風早は口をつけずにサイドテーブルに置いてしまう。

不思議そうに見やる爽子に、酔っぱらいはにへら〜と笑って手招きをしてみせた。
ベッドの真ん中に陣取って座る風早の横に腰を下ろすと、両の手を取られて甲を撫でられる。

(ぁ……)

引かれるままに顔を寄せ合って少し肌が触れそうになるだけで、甘い空気が流れ出る。
その雰囲気を感じ取った爽子はすぐに距離をとった。

「あ、待って……汚いから、お風呂に」
「大丈夫」

もう一度繋がれたままの手を引き寄せ、肩口に頭を預けて風早は繰り返す。

「だいじょーぶ。爽子はいつだって、きれえだもん」

すりすりと甘えながら爽子のなだらかな肩を額でなぞる。
爽子は急に違和感を感じて手元を覗いた。
無造作に風早の膝の上に置かれていた筈のタオルで、いつのまにかか細い両手首は8の字に拘束されていたのだ。

何か言いかけるのにも気付かずに話は続く。

「でも、俺のは本当、汚いから入れるのはやめとくね。
それに今日はめーいっぱいちゃんとしてあげたいんだ。
いつもはあんまり時間なくてちゃんとしてあげれてない気がするからさ」

硬さを保った胸板で爽子を押しやり、備えていた片手で背中を支える。
滑らかに変わる映像の中、スローモーションのように破顔した風早が離れていった。
縛られた両腕が頭上高く持ち去られると、ベッド隅の突き出た主柱に引っ掛けられてしまった。
想像しうる範囲を遥かに超えた状況に、爽子はどこか他人事でぼんやりと呟く。

391名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:38:11 ID:QrbLADtv
「“ちゃんと”…?」
「うん」

一人納得する風早に、爽子は置いていかれたような不安が胸を過ったが一先ず大人しく聞いてみた。

「入れるだけがSEXじゃない俺の愛はそんなに小さくないっ!
あ、いや、俺のちんちんが小さいとかそんなんじゃなくて……
いや、確かにそんな大きくもないのかもしれないけどさぁ」

言い終らない内から爽子のワンピースに手が伸びて、喉元から腿まで続くボタンの列を解かれていく。
汗でじっとりと濡れた肌の上に広がっていく室温に、やっとのことで爽子の頭が状況に追いついた。

「!!?翔太くんっ!やだ」

まるで鍵盤カバーでも剥ぎとるかのようにワンピースが衣服の意味を無くした。
紐のないブラは造作もなく外れ、爽子は今、肘上に袖が僅かに残るばかりだ。

そこには曲線の美があった。

「きれぇー……」
「お願い、きたないから……翔太くん」

いくら懇願しても耳にかけてもくれなかった風早の手が止まった。
う〜〜と呻いたかと思うと、風早はがさつに頭を掻き立ち上がり部屋を出て行く。
ほっと安堵の息をついたのも束の間、すぐさま戻ってきたその手には橙色のハンカチが一つ。
それは爽子がプレゼントしたハンカチだった。

「こーふんしちゃったら入れたくなるから……声、これで塞いどくね。これならきれいだから」

含羞の笑みで差し出されたハンカチは、呆気に取られた爽子の薄い唇に押し込まれていった。
気付いたときには口いっぱいに乾いた布地の味が広がり、唾液の全てを吸い取られ呼吸もままならない。

どんな問いも願いも届かない。

「ど、こ、に、し、よ、う、か、な〜〜」
「っっ!んッ」

楽しそうな風早の一本指が歌にあわせて右へ左へ、上から下へ、下から上へと辿って行く。

「て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り!!」
392名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:39:05 ID:QrbLADtv
ピタリと止まったそこは二の腕でだった。

「決まり。じゃあこっから、ね」

顔の真横で広げられた舌がぞるりと舐めるのを、見るのと感じるのは同時だった。

「ん!ン゛ッん!」

抑えられた腕は小刻みに震えるだけで何の抵抗にもならなかった。
風早の舌は別の生き物のように這いずりまわるので、爽子の目には自我があるように映る。
舌は蛭を、僅かに残る服を邪魔だと言わんばかりに鼻で押し上げる姿は子犬がミルクを飲む姿を思わせた。
そうこうする内に、うねうねと舌は降下しだす。

(え?うそ、そん)

爽子の凝視を、風早は不敵な微笑みだけで撃ち殺す。

(な…だめ やめて)
「ーーッッ、ん゛〜〜〜!!!!!」

いくら手入れしているとは言え、そこはワキだ。
汗もかく、毛も直にはえてくる場所。

泣きじゃくる爽子は、気がふれたように無心に顔を振ってはせめてもの拒否を示した。
それでも風早の舌は忙しなく余すことなく、汚れをも丸ごと舐め取っていった。

「ちょっとしょっぱいや」

その口は満足気にのうのうと言って退ける。
涙が散ってもなお髪を振り乱し続ける爽子に、風早は呆れと恍惚をひと混ぜして声をかけた。

「……そんなに汚いのが気になるなら、俺が爽子を綺麗にしてあげるよ?」
「っ!!」

言うが同時、蓋の開いたペットボトルから水がごぼごぼと落ち出し、爽子の肌とぶつかっては咲き乱れるように飛散した。
ぴっちゃんぴちゃりと、最後の一粒まで滴る。
倒れこんだ風早の唇はこのためだけに誂えて在って、肌から肌へと起伏を辿った。

「ん、んう、ぅ」
393名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:40:02 ID:QrbLADtv
唇を窄めて雫をすする愛撫に、爽子の声に快感の色が出始めた。
冷えた水溜りの下で、肉体は精神を食いつぶし熾火にくすぶられながら燦々と燃えている。
彼の濡れた頬で、唇で、鼻先で。
この鎖骨に、乳房に、あばらに、踵に。

巻きつくように足の親指を吸われているときに初めて目があった。
風早の額に張り付く黒髪を、爽子も自分の舌で吸いとってやりたかった。
また涙が込み上げる。

「ふー…ん、ふぅ!」
「爽子……どこが一番いい?やっぱりおっぱい?」

乳首をスイッチ一つ押すのとかわらずに潰された。

「っうう」
「首や耳もよかったかな?ああ、でも脇もよさそうだったし……腰の辺りもすごい声だったしなー」

垂直に突き立てられた爪がカリカリと腰骨を掠める度に、自分の下半身がくねるのがよくわかった。

「でもやっぱり最後はここ」

視線を股間にうけたのも一瞬、次にはカブトムシでも見つけたかのような無邪気な声が耳に入った。

「わあ、すけすけだ、スッケスケ。ほら!」
「んぐぅ!!?」

見てと言わんばかりに両手で腰を折られた。
まんぐり返しをされたのだ。
目の前に白かったはずのショーツが灰色に変わり、隙間なく肌に密着していた。
見たくなんかないのに風早の顔もそこにあるので目を逸らせることも出来ない。

「すっげえ」

(翔太くん)

「……ヒッ、ふっ、うっ、う゛〜〜」

感嘆の息が吹きかけられ、爽子は無上の羞恥にまたぼろぼろと泣いた。
染みたシーツが襟足にひややかだった。

無理な体勢に肺が軋んで、さらに酸欠がひどくなる。
風早の片手がやさしく腿の裏を撫であげてきた。

「っぅ、ふ」
394名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:40:52 ID:QrbLADtv
とっくに服従した体がぴくんと応えると、手首のタオルが軋んで膝から下が泳いだ。
それに気をよくしたのか、いとけなく微笑んだ風早が秘部越しに覗く。

「なかでも気持ちよくなろうねー」

透ける布地を剥がすようにずらし、男そのものの指が無遠慮に突き刺された。
いちだんと低い喘ぎと淫音が風早を囃しだせば、もったいぶった合いの手が始まる。

「あ」
「ぅゥん!」
「お尻の穴も、」
「ふう゛うう!」
「前にあわせて」
「ーーー!!」
「ひくひくってしてる」
「うンッむ!」
「爽子は」
「っ!ッッっ!」
「ぜんしんがエロエロだねえ……」

風早は自分の指ごと、淵も勃起したクリトリスもを舐めあげる。
ぷぴゅっと潮が出ては精液のように爽子の顔の上を嬲って滑り落ちた。

快感と快感とがせめぎあう。
爽子の背中にあたる風早の股間からも、膝裏を抑えこむ汗ばんだ掌からも、擦りつくシーツからも匂い立っていた。
遠いようで近い快楽の全てが膣の中から呻いていた。
爽子は頑是なく叫びだしたかった。
堪らなかった。
髪の一本まで爪先まで、水風船のように爽子のなかは隙間なく詰まっている。

出口はたった二つ、発狂でもしないかぎり膣と喉のたった二つ。

(ああ、ああ、ああ)

噴火の一途を背筋沿いに辿れば、快感の捌け口はすぐそこだった。
爽子は気が遠くなるのを必死で繋ぎとめ続ける。

不意に律動が止まった。

「ちゅう、ぐらいなら汚くないっかなぁ…」

問いかけるでもなく風早が呟いた。
空いた手が伸び、ハンカチがずるずると取り除かれる。
放られた橙は床へ、薄汚い色でびちゃあと涎と一緒に落ちた。
395名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 23:42:55 ID:QrbLADtv
「ほっ、げっほ…はぁ、は、ん!」

幾度となく交わしてきた筈なのに、風早は畏怖しているように見えた。
遅鈍にちぅっと目尻を吸ってから薄い唇がかさねられた。
初めてのように打ち震える舌先は、涙と愛液と涎の味がした。

(なまえ…呼びたいよ……)

だんだんと深くなる口づけに舌が残りの酸素まで奪っていく。

「ぅむ…ふ、う……うッん…しょ、ぅた…く、ぁっ」
「……………っ……」
「あ、あ゛ぁ!!?」

止まっていた手が動き出した。
膣の内に空洞が出来るほどの抉りように、爽子は視界が揺れるのが自身の所為だと気付けなかった。

「ん゛ーー!!ん゛ーーー!ん゛ーーッッ!」

ハンカチの代わりにある顔が邪意に満ち満ち溢れて、心から笑うさまを爽子は目にした。

「ッンん゛〜〜〜〜〜い゛、あああ!!!!!!」

しゃがれて、小鳥のようにさえずったらまっさかさま。
奔流は溢れて腹側と背中へ、二手に分かれて垂れていった。

息も止まって、爽子の瞳から誰もいなくなってやっと震えが止まった。
順々に足先から泥沼に引き摺りこまれる。

風早は爽子の隣に身をすり寄せた。

「さわこー、きもち良かった?ふふ」
「…よかった…」
「い〜っぱい、イったねぇ」
「……イったね、…ぇ……」
「さわこ、さわこ、爽子、さわこーー」

壊れたように意味もなくただ反芻していた爽子の声が消える。

「あれ……爽子ぉ?寝ちゃったの?……ん〜……俺も、ねるー……」

夢か現実か。
あやふやで不明瞭な色彩は、風早の瞼と共に閉じられた。
□□□

次の日、朝起きて正気になった風早(昨夜の記憶なし)がこのまんまの状況の爽に萌えて、謝りたおしながらもう一回ギシアンすればいい。 すればいい!!
396名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 09:35:15 ID:45kzw+Tx
す れ ば い い ! !
397名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 13:14:05 ID:rK4wue4T
GJ!!
後日談読みたい
398名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 20:01:50 ID:yjw6OE1P
本番まだー?
399名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 21:24:23 ID:mT6JAMXj
その後のギシアン読みたい!
400名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 22:35:50 ID:TxrWUVen
エローい 心のてぃんこがエレクションだ
401名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 03:32:30 ID:8vdYoc/y
>>388
スラムダンクのミッチーとかw
挫折してひねくれもしたけど、立ち直る強さ持った努力型タイプ。

苦労とか挫折を味わってきた人で、
自分と同じような思いや強さを持った人に出会うと
知らず知らずのうちにマジ惚れしちゃいそう。
しかもそうなると、
爽は受け身どころか積極的なSになりそうw


>>389
ぐっじょぶ!!!
402名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 13:40:59 ID:G6W+e0vn
ミッチーもなるみも大好きだ!
誰かそれをうpしてくれ!!
403名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 14:08:11 ID:R+ZWdtuw
私も鳴海、大好きだ
からくりと君届、ちょっくら読み返してくる!!
404名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 17:06:17 ID:TAeitQJb
鳴海と言って通じる人が複数人いる事に驚w
ミッチーも鳴海も大好きだが、風がかわいそすぎないか?
それこそからくりのラスボスみたいに狂いかねんw
逆に風が爽子以外にマジ惚れしそうなのは爽子以上に
清廉なのにヤバ色気がある子じゃないと考えにくいしなあ

でも積極的でSな爽子は見てみたいマジで。うP!うP!
405名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 18:46:01 ID:qy/dZ8QB
みなさん他漫画のキャラとのカプリクエストしてるの?・・斬新www


爽子ってなんか、自分の世界があって無意識に自分と他人を区別してる感じする。
そういうとこがまた色っぽいなーと思えるんだけど。
うまくいえないけど、
爽子の中で“こっち(自分)側”と“あっち側”に分かれてて、
今まではこっち側に自分しかいなかったのが、
最近の本誌でようやくやのちづが入ってきたって感じ。
風早はまだ“あっち側”の人っぽいんだよなー。

その“こっち側”になんのためらいもなく、
すんなりと入れる人が現れたら、
爽子はアッサリと、でもしっかり流れていきそうな気がする。
だから爽子からは危険な香がするww

風早はボヤボヤしてたら危ないと思うw
406名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 19:27:26 ID:x98sAHpi
ボヤボヤしてなさ過ぎるから最近の風早君は…とか言われちゃうんだけどね。漫画読みに。
407名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 20:58:27 ID:TAeitQJb
>>405
クロスオーバーって奴だね
つか自分は「みたいなかんじのオリキャラ」ってつもりで言ってたよw
ナチュラルS爽は対風で見てみたい

爽子確かに危険な香がするよ

妄執してくれない感じというのか
爽子は爽子なりに風に執着してるんだけど
そのMAXの執着心ですらさらりとしてる気がして
ハラハラする。
風の為には何でも出来そうだけど 
風を手に入れるために何でもする感じはしない。

風はボヤボヤというか、やり方がわかんなくて
足掻いてる感じがする。
408名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 21:59:04 ID:R+ZWdtuw
>>405
私も「そういう感じのオリキャラ」って意味だよw
さすがに鳴海×爽子ではかけねぇww

爽子は性格から故って所もあるだろうけど、風に対する必死さが足りないっつーか
なにふりかまわず、醜態さらしてまで奪ってまでっていう意気が今一つない希ガス
風早はあんなに切望してるのにねぇ


>>388とかが言うようなifで
“もし爽子が他に好きになるなら〜”を別漫画のどっっかで読んだような気がして
からくり読むついでに本棚あさってたら見つけた!!!!
津田雅美の「わたしは行かない」(天使の棲む部屋収録)に展開?がそっくりなんだわ
自分を変えてくれた太陽のような彼氏(=風早的)がいるのにもかかわらず、
転校先で出会った自分の欠けていた部分を分かり合い、補い合えるような男に惹かれていくって話
その男がまさに皆が言うようなどんぴしゃ男だわ

ああースッキリしたー
409名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 22:09:42 ID:5fSQQOca
爽子には誰でも合う気がするけど、そんなところも含めて風爽が好きだなあw
上手く気持ちが合致しないというか、重なってるんだけど微妙にずれてるような所に萌える
恋愛は一生片思いって言うしね
410名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 22:23:11 ID:R+ZWdtuw
あー確かに萌えるけど、永遠にずれ続けるのは切ないなー
爽子はそれでも満足してそうだけど、助兵衛の風早は辛そうだ
風早ドンマイw
411名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 00:41:29 ID:bRfFU+yf
つかどこまでも普通の人の風早になんで爽子の価値がわかったんだろ
爽子のタフな純粋さはなんか人生の裏街道とか歩いてきたような
アウトローな人にはわかるだろうけど、普通の子には単に鈍感な
子にしか思えない気がする。
412名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 02:09:12 ID:uhpCGJp/
既出とは思いますがエピソード14の扉絵みるたびに
腰から下がどうなってるのか気になってしかたがないw

爽子の足の位置からして風は足と足の間に入り込んでるのか?w
413名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 07:11:36 ID:xmLbLsyD
>>411
単純に一目惚れからはいったからじゃ?それで目で追ってたら性格もよさげで、話してみたら想像以上だったと。
最初は爽の深さまではわからなくても、
風のようにたくさんの人達と接してきた人は、きちんとみてたら表面的な性格の良さは普通にわかるだろうし。
風は爽の価値をよくわかってるけど、どこまでも恋愛感情でだからな。
414名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 18:37:43 ID:dznFbQQj
>>412
あれ気になってたw超体密着してるよな
まあ間違いなく風早は勃ってるんだろうねw
415名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 20:03:07 ID:bRfFU+yf
>>414
「あの…あたってます」
「あててんだよ」
だな
416名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 02:09:26 ID:NNXahpMe
今手元にないんだけど、episode.14てどんな扉絵だっけ?
誰か解説を〜
417名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 05:08:23 ID:CFx/Iq2v
>>415
タカヤww
418名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 09:37:11 ID:RHUYuppr
アリスの恰好してるやつ
419名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 00:14:27 ID:amftUPjh
爽子がアリスなら風は3月ウサギなのかチェシャ猫なのか。
あわてんぼうの3月ウサギが似合う気もするし
Sっぽいチェシャ猫が似合う気もする

なんとなくケントはマッドな帽子屋のイメージw
420名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 15:21:09 ID:eQpeMey9
>>412
凝視してしまった
尚且つ、妄想で補ってしまった
421長い夜1 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/27(金) 23:36:04 ID:P1ecPc2G
投下もないみたいなので前後編でこま切れ投下
痴漢もの(花火>>308の続き。風×爽バージョン 嫌な人はNGで。
まずは前編

−−−−−−−−−−
花火が終って波が引くように人がいなくなった神社の裏手は夏の匂いと土の湿った匂いが混ざり合って妙に官能的だった。
風早は爽子を引き寄せ囁いた。
「今、その火、消してあげるね。」
風早の息吹にすらぴくんと敏感な反応を返す爽子に風早はくすりと笑った。
「だめじゃん、俺以外に感じたりしちゃ。」
爽子はくっと唇を噛んで俯いた。
風早は昏く燃える炎が心を焼くのを覚えた。
神社の裏の欄干に爽子をつかまらせ、後ろからいささか乱暴に浴衣を捲り上げた。
浴衣を捲くられ、小さな尻が薄い下着に包まれて呼吸と共に息づく様は微かな
灯りしかないその場の空気とあいまってひどくいやらしい。
後ろからの体勢は初めてだったが
その淫靡さに煽られて爽子の下着をずるりと膝下まで下げた。
下着は既にしっとりと濡れており、下ろす時ねとりと光る糸を引いたほどだった。
風早の中で昏い炎がじりじりと大きくなっていく。

神聖な神社の空気は夏の夜のにおいに犯されて
逆に妖しく官能的だ。
422長い夜2 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/27(金) 23:38:51 ID:P1ecPc2G
同じように清らかな爽子が汚い痴漢の猥雑さに穢されて
それが淫靡さを際立たせていた。
「…俺が可愛がんなくてもよさそうだね。」
可愛い耳たぶにそっと噛み付けばびくんっと爽子の背筋がこわばった。
ひっくりと刺激を待ちわびている秘所に指をそわせると
泉のようにたっぷりと潤っているのがわかる。
つぷっと指を差し込むと爽子の唇から甘い喘ぎが漏れた。
風早は片手で爽子を弄りながら空いたほうの手でポケットから
避妊具を取り出すと器用に口でぴっと袋を破った。
手早くそれを自身につけると一気に爽子を貫いた。
高く甘い声が爽子から漏れる。
きゅきゅうと締め付けてくる感覚に気が遠くなるほどの快感を覚えながら
風早は荒い息を抑えて言った。
「こんな風に乱暴にされるの好きなんだ。−すげえ感じてるみたい。」
風早は自分の中の黒い炎に煽られるまま言葉を紡いだ。
「だってあんな奴に触られてもこんなにびしょびしょにしちゃうくらいだもんね。
爽子がそんなにやらしい子だとは思わなかったよ」

爽子が荒い息を懸命に抑えながら哀しそうに風早を見た。

「俺ももっと乱暴に…犯すみたいにしたげればよかったね。ごめんね。」
423長い夜3 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/27(金) 23:43:23 ID:P1ecPc2G
爽子の顔が泣きそうに歪んだ。
大きな切れ長の眼が快感の為ばかりではなく潤む。
その泣きそうな顔にも煽られる。

俺だけの爽子。
閉じ込めるわけにいかないのに、どんどん綺麗に淫靡になっていく。
だからあんな下衆の眼にもとまっちゃうんだ。

風早は苦い嫉妬と醜い独占欲の火に焦がされ
煽られるように激しく爽子を穿った。
「あっああっんっ!ち、ちがっ…の!」
汗ばむ肌が吸い付いたり離れたりする感覚にすら
意識を持ってかれそうになりながら風早は爽子に囁いた。
「は…っ何が…違うの?」
風早から汗が滴り爽子の白い肌に落ちる。
その刺激にぴくんぴくんと反応しながら
爽子は喘ぎながら声を紡いだ。
風早は腰の動きは止めずに少しだけ緩やかにしながら爽子の様子を窺った。
「んんっ…ちょっと…だけ、似てたの…っ」
「似てた…?」
「声とか…言い方…がっ あぅっ」
「誰に…?」
「あああんぅっ…しょ、しょうたくんに…っ!
気持ち悪いのに、似てる…っておも…っ
そしたら…何か変に…あああっだめぇえっ」

爽子の限界が早くも近付いてきたことを風早は慣れた身体の感じで悟った。
424長い夜4 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/27(金) 23:49:32 ID:P1ecPc2G
浴衣の上から胸をやわやわと愛撫するとますます爽子の中が収縮する。
「俺…に?俺に声、似てたから感じちゃったの…?んぅっ」
爽子は既に声は出せずただ必死にこくこくと頷いた。
爽子への愛しさが急速に風早の中で膨れ上がる。
わかってるのだ。爽子が裏切るはずないって事ぐらい。
身体が反応してしまったのも本当は責めることじゃない。
そんな事ぐらい百も承知なのに
爽子への妄執だけはどうしても風早の制御できない部分だった。
「爽子…に、こんな事するの俺だけ…だからっ」
他にこんなことする奴がいたら全部排除してやる。
ほんとにあの痴漢だって殺しとけばよかった。
風早は快感に支配されながら朦朧とそんな事を考えた。
「あっああっ…しょうたくっ…あぅ私…もっだめっ…!」
「んんっいいよイッても…っ俺も…すぐ」
爽子が達すると同時に中がきゅううっと締まる。
それにひっぱられるように風早も達した。
しばらく爽子の細い体に後ろから覆いかぶさっていた風早は息が整ってから
爽子からゴムごとずるりと自分を引き抜いた。
そして衣服を軽く整えた。
爽子はとろりとした眼でゆっくり振り返った。
425長い夜5 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/02/27(金) 23:54:25 ID:P1ecPc2G
それを正面にむかせて風早はできるだけ優しく口付けた。
「ごめん、爽子が悪いんじゃないよ。」
見上げる爽子の頬に口付けて風早は爽子を抱きしめた。
大丈夫、もしまた爽子に触ろうとする奴がいたら俺が殺してあげるからね。
そんな物騒な呟きは口に出さずに風早はうっとりと爽子を抱きしめていた。
爽子はしばらく風早の腕に放心したように身を預けていたが
小さな囁き声が風早の耳に届いた。
「あのね、お願いがあるの。」
「…ん?何?」
「もっと、してほしいの。」
意味がつかめずに風早は爽子をみつめた。
爽子がとろりと官能に蕩けた淫靡な眼で風早を見返した。
「…もっと、もっと抱いて。もっと」
爽子が風早の背中に手を回して熱っぽく囁いた。
「もっと…めちゃくちゃにして。」
(続く)
−−−−−−−−−−
今回はここまで。
風はひどい男で、爽子はえっち子。
キャラ崩壊すみませんです。
426名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 00:01:12 ID:w/mHcu54
リアルタイムGJ!
いいね〜夏に浴衣
427名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 21:23:29 ID:vmVDbewL
GJです!!
続きが楽しみ〜w
えっちな爽子カワユス
428名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 12:38:25 ID:DvopEofj
職人さん来てるーーー!!!
GJ!!
429名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 12:50:34 ID:h6KgP38t
ひゃっほうGJ
430Under the Rose1:2009/03/02(月) 23:25:51 ID:E63Wfv+L
アリスの話が出てたのでなんとなく思いついた。
エロなし 長い(10レスくらい) NGは題名でヨロ
時期的には2年次の初夏くらい。風早と気まずくなってから。
−−−−−−−−

初夏の爽やかな風に乗って野薔薇の香りがした。
ああ、もうそんな季節なんだなと爽子はその香を吸い込んだ。
園芸種の艶やかな香りとまた違う野薔薇の
地味で清潔な香りにここしばらくの胸の痛みが薄らいでいく。

風早とうまく話せなくなって大分たつ気がする。
自分の好きばかり大きくなって
意識ばかり過剰になってどうしていいかわからない。
風早は相変わらず親切だし優しいし、話しかけようとしてくれる。

なのに自分は嫌われたくないとか
…特別に好きになってもらいたいとかそんな下心が漏れ出しそうで
怖くて前みたいに話せない。

そんなものが漏れてしまえば風早に嫌われるかもしれない。
嫌われなくとも優しいあの人はきっと困るだろう。
それだけは嫌だ。

爽子は深い溜息をついた。
この頃ではぎこちなさが風早にも伝染して微妙に避けられてる気さえする。
爽子はブンブンと首を振った。
431Under the Rose2:2009/03/02(月) 23:29:09 ID:E63Wfv+L
風早君にとっては私は友達のひとり。
きっといつも通りふるまってるだけ。
…私が期待しすぎてるだけ。

自意識過剰な自分の浅ましさが恥ずかしくて
風早の顔を見るたびに酸素が薄くなるように苦しくて
この頃は夜もよく眠れない。

そんな思いを振り切るように
爽子は普段の真面目な生活に拍車をかけ真面目になった。
学校の生活を真剣にやり、
家でも母の手伝い、掃除やゴミ拾い、勉強を行った。
もっと人の役に立つ人になって自信をもてば
もう少しマシな態度で風早に接することもできる気がしたから
また人に教えられるように要点を整理しながらノートを作った。

『隣の子特典。勉強教えて』そう言ってくれた風早の
明るい笑顔を思い浮かべると久しくない幸せな気分に浸ることができた。

そんな思いつめた様子の爽子を心配した母から薦められて
爽子は公園に散歩に出てきたのだ。

『今の季節は野薔薇が盛んよ』
そう優しく微笑んだ母の言葉通り
公園は白や淡い桃色の野薔薇がそこかしこに咲いていた。
休日の午後の公園は三々五々と人はいるものの穏やかだ。
432Under the Rose3:2009/03/02(月) 23:34:30 ID:E63Wfv+L
ああ、そうだ。学校の花壇にも薔薇コーナーを作ろう。
アロマセラピーとかもあるもの。
香りがいいものがあると皆喜ぶよね。

そんな事を考えていると寝不足が続いていたためか
爽子はうとうとと眠りに落ちていった。
−−−−−−−−

『大変大変遅れちゃう』
そんな声で眼を覚ました爽子は眼をこすりつつその声の主を見た。
それは慌てたように走っていく少年だった。
癖のある柔らかそうな黒髪にぴょこんと白いウサギの耳がはえている。
爽子が呆然とそれを見てると、ウサギ少年が足をぴたっと止めて振り向いた。

ハシバミ色の大きな瞳が人懐っこそうで
その顔は端正に整ってはいるが瞳の明るさと愛嬌が
少年の印象を冷たい印象から遠ざけていた。

『追いかけてくれないの?』
少年の口からそんな言葉が聞こえ、爽子はきょろきょろと辺りを見回した。

『君だよ。君しかいないじゃん。』
『え、あの、私』
『アリスが追いかけてくんないと話が始まんないんだけど。』

少年はくすりと笑った。
アリス…アリス…?爽子は思わず自分の格好を確認した。
433Under the Rose4:2009/03/02(月) 23:39:44 ID:E63Wfv+L
袖の膨らんだワンピースにエプロンドレス。
髪には丁寧にカチューシャリボンまでついている。
確かにこれは昔見た絵本で見たままの「不思議の国のアリス」だ。
『俺いかないと。』
走り出すウサギの少年を爽子は慌てて追いかけた。
しかしウサギの足はとても速くてあっというまに遠ざかっていく。
『待って、待ってよウサギさん』
懸命に走るけどちっとも追いつけない。
爽子はどうしてだかすごく泣きたくなった。
『待って、待ってってばウサ…風早君!』


息が切れるほど駆け続けて気が付くと野薔薇がそこかしこに咲く
綺麗な場所に来ていた。
爽子は一本の木の枝に座る少女に気が付いた。
しなやかで小柄な身体にふわふわの紅茶色の長い髪。
大きなキラキラした瞳に音がしそうなほど長い睫。
ピンク色の唇に健康そうな血色のいい頬。
まるでフランス人形みたいなその姿は
まさしく爽子の理想とする少女の姿そのもので爽子はしばし見惚れた。

『何か用?』
少女の頭の上の耳がぴくぴくと不機嫌そうに動いた。
434Under the Rose5:2009/03/02(月) 23:45:36 ID:E63Wfv+L
…耳?
違和感を感じてよくよく見るとふわふわの髪の上に
ぴょこんと可愛らしく猫の耳が付いている。
さらにしっぽも意思を持ってひょいひょいと動いていた。

爽子は少しビックリしたが
ウサギの少年がいるぐらいだから猫の少女がいてもおかしくはないのだろうと思い直した

『あの、ウサギさんを見なかった?』

猫の少女はぷいっとそっぽを向いて不機嫌そうに答えた。

『うっざ。』

可憐な少女の唇から出たとも思えないそんな台詞に驚いて
爽子は思わず後ろに誰か隠れてるんじゃないかと背伸びをしてみた。
少女は呆れたように鼻をならした。

『だいたいなんでアンタにそんなこと教えなきゃなんないの。』

他力本願もいいかげんにしてよねと顔をにゃごにゃごと撫でながら続けた。
それもそうかと爽子は思い『自分で探します…』とトボトボと歩き出した。

さてどう行こうかと周りを見渡した爽子に
猫の少女は意地悪そうに笑った。

『どっちにいけばいいかわかってるの?』
『えっと、どっちにいけばいいんでしょう』
『どっちに行きたいのあんた。』
爽子はどうにも答えられず言葉につまった
435Under the Rose6:2009/03/02(月) 23:49:27 ID:E63Wfv+L
チェシャ猫の少女はさらに面白そうに笑った。
『じゃあどこにも行かなくていいんじゃない?』
『でもウサギさんが』
爽子はどうしてもウサギを見つけねばならない気がした。
しかしチェシャ猫はその言葉には答えずくすりと笑うとすぅっと消えてしまった。
『まあその足じゃどこにも行けないわね、どっちにしても』との言葉を残して。

足元をみると自分の足には薔薇の蔦が絡まって動けなくなっていた。

どうしよう これではウサギさんを追うどころではない。
動く事すらできないなんて。
爽子は哀しくてぽろぽろと泣き出した。

その時ふわりと周りが明るくなった。
そこにはテーブルがあって薄茶の髪にシルクハットを深々とをかぶった少年が
お茶を飲んでいた。
さっきのウサギと同様に端正と言っていい顔立ちで
やや眦の下がった眼が華やかさと愛嬌を添えていた。
『泣いてる女の子がいるとお茶が美味しくないんだよね。』
少年は爽子にお茶を差し出した。
『これでも飲んで泣きやみなよ』
『あ、ありがとう、でも足が動かないから座ることもできません。』
『困ったね』

彼はたいして困ってる風でもなく寧ろ楽しそうにうそぶいた。
436Under the Rose7:2009/03/02(月) 23:54:16 ID:E63Wfv+L
『今俺は女王のパイを盗んだ罪で首を切られそうなんだ。
君が代わりのパイを作ってくれたらその足の薔薇を切ってあげるよ』

呑気に話してるけどそれはものすごく大変な事なんじゃ!

『つ、作ります!』
爽子は勢い込んで言った。
でも道具も材料もないのに。
それにこの足じゃ…と爽子が戸惑っていると周りにキッチンが現れた。

『アシスタントもつけるからさ』
シルクハットの少年のその言葉にきょろきょろと見回すと
さっきのウサギ少年がエプロンをつけて爽子の側に立っていた。
でも彼は爽子を見ても知らん顔をしている。

『ねえ、さっき会ったウサギさんだよね?』
ウサギの少年はちらりと爽子を見たが首をかしげた。
『さあ?』
爽子はその言葉にぎゅっと胸が痛んで泣きたくなった。
でもパイ作りがある!と唇を噛んで涙を堪えた。
ウサギはそれを見て微かに笑った。
それは少し意地悪気な微笑だった。

『俺が忘れてるんじゃないよ。君が思い出してくれないんだよ』
その言葉に問い返そうとするとウサギにパイ作りを急かされた。

『早くパイを作んないと あいつの頭が胴体から離れちゃうよ?』
437Under the Rose8:2009/03/03(火) 00:00:25 ID:E63Wfv+L
そんな物騒な言葉を聞かされてもシルクハットの少年は
全く気にしない風に笑ってお茶をすすった。

『3月のウサギは頭がおかしいからね。本気で聞いちゃダメだよ。』

爽子は急いでパイを作ろうととりかかった。
パイの材料は揃っていたから手順どおりにパイを作っていく。
動かなきゃ行けないところはウサギに手伝ってもらった。

外側はできてきたので中に詰めるクリームを作る作業に移り
生クリームと砂糖をさっくりとまぜていくと
ウサギが長い耳をぴょこんと動かし愛嬌たっぷりの笑顔を見せながら言った。

『味見させて?』

爽子は戸惑いながらクリームをスプーンですくって差し出した。
だがウサギはにっと笑うと
『そっちじゃなくてこっち』
と、ぱくんと爽子の指を咥えた。
『ひゃんっ…!』
爽子の奇妙な叫び声を気にも留めず
ウサギは柔らかく赤い唇で爽子の白い唇を食んでいく。

ねろんと指をしゃぶられ
柔らかい舌が指に絡みつく感覚に背筋がざわざわりと騒ぐ。
どこか甘い粘液に支配されるような感覚に爽子は赤くなる。
ウサギはそんな爽子に掠れたような声で囁くように言った。
『いい匂い。それにすごく甘い。』
438Under the Rose9:2009/03/03(火) 00:06:54 ID:0pvdlqU2
ウサギはとろりと指を舐りながら爽子を見上げて
さらに甘くうっとりと囁いた。

『指全部にお菓子の甘いにおいが染みついてる…』

白い指にウサギの赤い舌が絡まる様を見てると
なにかとてもいけないことをしているようなそんな気分になる。
爽子は罪悪感とぞわりと背筋をかける甘い痺れの誘いを畏れて
手を引こうとするがウサギの真っ直ぐな熱っぽい目に絡め取られて動けない。

『−逃げないで。俺から逃げないで』

息すらするのを忘れてウサギの大きいハシバミ色の瞳をみつめていたら
シルクハットの少年の茶化すような声がした。

『3月ウサギの言う事は、いつもたわ言ばかり。
イカレウサギの言う事なんて聞いちゃいけないよ。』

その言葉を聞いたとたん足元の薔薇の蔦がにゅるにゅるとのびて
爽子の手と足を縛った。
棘がちくちくと全身を攻撃してくる。

動けないでいる爽子にウサギは哀しそうに笑った。

『やっぱり、逃げるの?』

否定しようとしても首すら振れない。
口の中にも薔薇の蔦が触手のように入り込んで苦しそうにもがく爽子は話せない。
気が付けばウサギの熱病めいた瞳が眼の前にあった。
439Under the Rose10:2009/03/03(火) 00:09:18 ID:0pvdlqU2
その熱から逃れるようにぎゅっと眼を閉じたら
柔らかく熱いものがまぶたに触れた。
眼を開けたときにはまた熱病めいた瞳が爽子を見ていた。
痛みを堪えるような苦い笑みがウサギの口元に浮かんでいる。
その口からゆっくりと言葉が漏れた。

『これは忘れて。薔薇の下だから。』

薔薇の下…どこかで聞き覚えのあるフレーズに爽子が一瞬気を取られた時
薔薇の蔦は全部外れて爽子の足元がぽっかりあいた。
そしてあっという間もなく体は自由落下していく。

はっと眼を覚ますとやっぱりそこは麗らかな初夏の公園だった。
何かとても不思議な夢を見た気がする。
何故かかぁあっと頬が熱くなった。
そしてふ、と一つの言葉が胸の奥によみがえる。
『忘れて。薔薇の下だから』
誰がこう言ったんだっけ…。
爽子はそれはどうしても思い出せなかった。
代わりにその言葉のもうひとつの意味を思い出した。

Under the Rose …秘密…

無意識のうちに白いたおやかな指がそっと目蓋を押さえた。
爽子は身のうちにこもるじりじりとした熱の正体をつかめないまま
初夏の陽射しに溜息をついた。
440Under the Rose11:2009/03/03(火) 00:14:35 ID:0pvdlqU2
学校では相変わらず風早との間に
微妙な薄い紙が挟まっているような関係が続いていた。

そっと想い人に視線を寄せると相変わらず人の中心で笑っている。

爽子はまた無意識のうちに瞼に指を置いていた。
鼻腔というより脳の奥で薔薇の香を嗅いだ気がした。

「ん?どした爽子。虫にでも食われた?」
千鶴のそんな言葉に爽子ははっと指を離しなんでもないよ、と首を振った。
そして昼食のため裏庭に向かう千鶴とあやねにおいつこうと
少し早足で歩いていった。
441Under the Rose12 ラスト:2009/03/03(火) 00:21:38 ID:0pvdlqU2
風早はその後姿にちらりと目をやり、誰にも気付かれないように溜息をついた。
その時友達のひとりが風早が何かを握っている事に気が付いた。

「何持ってんだ?」
すっとそれを隠すと風早はにこっと笑った。

「別に。」

隠すなよーと言う友達も風早の柔らかな拒絶の空気に鼻白み
別の友達との会話に戻っていった。
「飯くおーぜ飯」
誰かのそんな台詞に呼応してクラスの面々は散っていった。

人の少なくなったクラスで風早は隠していたものを掌を開いて見た。
そこには小さな桃色の折り紙に包まれた白い野薔薇の花びら。
風早はそれを切なそうにみつめ、眼を閉じるとそっと唇に押し当てた。
(end)
−−−−−−−−−
今見たら少し文抜けてたので補足。
爽子はベンチに腰掛けてうとうとしたのです。
Under the Roseは「秘密を保つ」って意味
442名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 00:27:20 ID:MW/6xOf+
GJ!!
上手ですね、とても面白かったです
443名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 00:41:12 ID:ejJnfwgm
うまああああい
静かな色気があっていいっすね
風は哀しそうに笑うのが似合うね
444名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 00:48:46 ID:GeLHKY0k
やっぱり風は爽とくっつかない方が、いい男になれる気がしてしまう…
とにかくGJ!
445名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 12:54:08 ID:xuQO+oYP
>>441
不思議の国のアリスの元ネタを知らないからよくわからないけどw、文才からみるによくできてるんでしょう!GJ〜!!

>>444
同じく自分もそう思う。
446名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 00:06:04 ID:0pvdlqU2
今日矢野ちんの誕生日なんだね
ハッピバスデー矢野ちん
ピンにプレゼントおねだりして
お前はまだガキとか言われてピンクのリップをもらい
それつけて強引にちゅうして
ピンのほっぺと唇をピンクに染めるがいい
447名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 00:49:37 ID:qw6afLSg
オメ!やのちん
私はちづと爽の2人から同時に、左右両方からオメデトウのほっぺチューをしてもらい、柄にもなく照れるやのちんがいいなー
448名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 09:05:03 ID:BCyazc70
あやねちゃんは、彼氏だなんだいいながら、実は本気で爽子をすきなんじゃないかと思う。
449名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 09:20:44 ID:KkXkCzLc
いや、実は風早が気になってると思う
イヤよイヤよも好きのうち
450名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 19:07:58 ID:c/du+Fy7
職人さんこないかなー
451名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 20:02:10 ID:Gny7Jkl0
そこの君、君届SS、
か か な い か ?
452名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 21:53:44 ID:EC1O7KfL
>>451

すごく…よみたいです。

風と爽の新婚ネタとか未来ネタがあったので便乗して
千鶴と龍の新婚旅行とか読んでみたい
職人さん(,,゚Д゚) ガンガレ!

そう言えばむらっと来たときそれぞれどんな反応になるのだろう
風早とかはまあ普通だろうけど龍や爽子といった性欲の薄そうな
人たちのむらっは想像つかない
453名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 00:09:49 ID:BZFyyBMt
職人さんでも初めて書く人でもカモン

>>452
自分の勝手な想像(願望)だが
爽子はトリップ系(本気ムラムラしたらところ構わず的な)
龍は……わからんw
その場ではグッと堪えて、一晩にするエチ回数がいつもより増える、とかか?

自分で書いてて萌えてきたwww
書けたらなーーだれかーー
454名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 01:25:36 ID:Olq6qeK2
>>453
前者なら
風「今日の映画面白かったね」
爽子「…うん。そんなことより抱いて(はらり)」
AVより展開早いw
後者なら
ちづ「ちょ、アンタ盛りすぎっどしたの」息も絶え絶え
龍「…千鶴があんなこと(どんなこと?)するから」
そんであんなことの内容を聞いてもきっと千鶴にはぴんと来ないんだきっと。
(近所の子供と本気で遊ぶ姿が可愛かったとかそんなん)
455名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 14:48:42 ID:BZFyyBMt
>>454
前者、AV超えww

でも私が考えてたのは、前者なら
爽「…(熱っぽく虚ろな瞳で見つめる)」
風「さ、爽子?」
爽「…(おもむろに頬・首・服に手をつっこんで上半身を撫でる)」
風「! ッ、どしたの…? ん」
爽「…(風の喘ぎ・吐息にだけピクピクと反応するがそのまま続行)」
爽は終始あまり喋らずハァハァ言ってる感じ
この後は積極的爽が押し倒して、風は押されっぱなし的な

休日の昼下がりにになに必死に書き込んかでんだか\(^o^)/
456名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 18:06:20 ID:dq0hxA3Z
>>454-455

それを文章にするんだ!!さあ!!
457名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 21:33:24 ID:Olq6qeK2
>>455
いいね いいね
そのエロ可愛い生き物はどこのロフトに売ってますか

爽子も龍も人間だものムラムラ来たっていいと思うんだ
爽子も風をマジ食いしちゃえばいいよ
いつも「甘い」とか「美味しい」とか言われてる(脳内妄想)お返しにさ
「翔太君だって甘いよ(くす)」とかってS子様降臨させちゃいなよ
458名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 22:51:36 ID:BZFyyBMt
>>457
もう私が買い占めたのでどこのロフトにも売ってません

爽子ほしーよー、私女だが嫁さんにしたい

私の脳内妄想では半無理やりシチュが多いから、爽も日頃のお返しに風をやりたい放題すればいいのに
459名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 00:06:13 ID:/EGewQ7p
私も爽子欲しいなー。
ホントに可愛すぎる。
嫁というか、ペットというかw、とにかくいつも近くに置いときたいw
自分も女だけど、爽子にグリグリベタベタして甘えたいww

爽子は欲自体が本当にないからなー。強いていうなら、睡眠欲が一番強そうw
風がその気になっても
空気読まずにアッサリ眠りそうだよw
460名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 00:07:58 ID:91WNCFhy
>爽子は欲自体が本当にないからなー。強いていうなら、睡眠欲が一番強そうw
風がその気になっても
空気読まずにアッサリ眠りそうだよw

何度もありそうww
461名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 00:26:00 ID:/biGlhen
あー確かに近くに置いときたいよね
甘えたいし甘やかしてみたい
風が爽子の一番になりたい気持ちが不覚にもわかる気がしてしまうw
>>458
その脳内妄想とお返し爽のうぷ!うぷ!
462名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 15:28:43 ID:5ihWyAz8
爽子が三つ指ついて「おかえりなさい」とかハニカミ笑顔で言ってくれちゃうなら、私はたたきに頭を擦りつけて土下座ただいまで帰宅するのにな〜
463名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 10:43:34 ID:C32QWJB/
ww何その土下座合戦
でも新婚はそうするんだよーとかあやねちんかちづに騙されて
爽子が結婚1日目にそんなんしたら
風早超テンパりそうw
それこそ462のように土下座しながら
「たっただいまでござりまする」とか
言っちゃうかも
そしてもちろん長く語り継がれると。
「ござりまするって〜ぎゃはははは」
「王子じゃなくて殿だったんだねアンタ」
みたいな
464名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 11:11:26 ID:PTdsbwKb
もうエロなしでいいからなんか書いてくれよ、職人。。。
465名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 22:13:31 ID:zOepSlsN
自分に文才があればいいんだけどね
ここを見るのが毎日の楽しみな自分としては・・・

職人様夜勤明け様・・・
466長い夜6 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:27:25 ID:KFFtd4d7
>>308 花火の続きの 長い夜 >>421>>425の続き

−−−−−−−−−−

爽子は細い腕を風早の広い背中に巻きつけもう一度囁いた。
「…お願い。」
「でも爽…んっ」
戸惑いの疑問符を唇で封じ、爽子は甘い舌をとろりと絡めた。
くちゅ、くちゅという舌と唾液が絡み合う音の合間に
「あ」とか「ぅん」という短い喘ぎが混ざる。
その官能に風早の脳髄が犯されそうになってはじめて爽子が唇を離した。
桃色の舌がてろりと糸を引く。
爽子は嫣然と微笑んでもう一度言った
「ね、…お願い。」
風早は爽子の様子を訝しく思ったが、
清廉で慎み深い爽子が燃えるような熱い身体を絡ませてくる
その淫靡さに理性を働かせることができなくなる。
「…爽子っ…!」
名前を呼びながら愛撫を返せば蕩けるような反応を返してくる。
口付ければ細い喉がのけぞり、甘美な喘ぎが漏れる。
汗ばむ肌は甘やかな香りで誘いの手を伸ばしてくる。
着乱れた浴衣から薄闇に白い裸身がのぞき
それは昼には清潔な顔を見せる白い桜が
夜に妖しく化ける様子を思わせた。

「もっと、もっといっぱい触って。全部、触れて。」
467長い夜7 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:32:28 ID:KFFtd4d7
ごめん注意書き忘れたorz
カプ風×爽 痴漢されちゃった爽子にいけないことする
風早君は悪い男 でも今回の爽子ちゃんはとってもエロ子ちゃんでした
というお話
嫌な人はNGワードで

−−−−−−−−−−


風早は爽子の放つ官能に蕩かされそうになりながらも違和感を感じた。
しかし風早はその肌に触れることをどうしてもやめる事はできなかった。
「爽子…無理してない?」
なけなしの理性を必死に集めてそう小さく囁くと
爽子は首を横に振りもう一度風早の唇をふさいだ。
風早はその瞬間爽子の尋常ならざる官能と
尋常ならざる切実さに黙って付き合う事を決めた。

執拗に優しい愛撫を絹の肌に繰り返すと白い肌には赤い花が咲いていく。
僅かな灯りしかないこの薄暗闇ではその鮮やかさは見えないが、明日、
陽の下で見たらその緋色の所有印はさぞかし淫靡だろう。
その光景を思うとなお体の熱が高まる。
風早は突き入れたい衝動をこらえながら
爽子の身体を少しずつ蕩かすことに専念した。
爽子の切実さが今日の事件に起因している事が風早にもわかったからだ。
風早は自制を忘れて責めるような事を言った自分を恥じた。
468長い夜8 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:34:49 ID:KFFtd4d7
その贖いの気持ちもこめて優しく薄皮をそっとはがすような
繊細な愛撫を施していく。
指となじんだ肌の感触が爽子の熱の高まりを伝えてきて
風早は爽子の唇を己のそれで塞いだ。
指と舌との熱で爽子を溶かしてしまいたかった。
爽子の腕の力がぎゅっと強まり塞いだままの唇からか細い悲鳴が漏れた。
荒い息をつく爽子の耳朶に風早が低く小さく囁いた。
「…イった?」
爽子は無言で頷いた。
しかし爽子は風早から離れようとしない。
そっと離そうとしてもいやいやと首を振る。
「…翔太君…まだ、熱いよ…?」
爽子がほんの少し身体を動かし風早の熱塊にふれる。
甘い痺れを堪えて風早が息をつき、無理矢理微笑んだ。
「だって爽子のそんな姿見せられたら…」
「じゃあ」
「いいんだよ。爽子が気持ちよくなればいいの。」
爽子はそれを聞き黙り込んだ後昏い声で言った。
「…やっぱり、私を抱くの、嫌…?」
「…え」
「あんな人に触られて、なのに、
なんだかおかしくなっちゃった私なんて汚い…。だから嫌になっちゃった…?」
風早はまさかの言葉の衝撃に何も言えずぽかんと爽子を見た。
爽子の瞳からきらきらと涙が溢れ出している。
469長い夜9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:37:41 ID:KFFtd4d7
「あ」
「あ?」
「…ありえねーよ!なんで俺が爽子を嫌いになれるんだよ」
いっそ嫌いになれたらと自嘲的に思うほどに執着してるのに。
爽子の視線にかぁっと赤くなりながら風早は視線をそらし
呟くように言った。
「…あのさ。恥ずかしいんだけど、
ちょっと…とまんないかもしんないからさ。」
「…とまんない?」
涙の残る眼で爽子がきょとんと聞いた。
「爽子が色っぽすぎて…止める自信ない。
壊すほど、しちゃいそうで怖い。」
我慢、きかなくて1回しちゃったし…と風早は恥じ入るように小さく続けた。
爽子は何も言わずに風早をただみつめた。
その視線に気付いて風早が爽子を見た瞬間に
爽子の華奢な腕が風早の首にぎゅっと絡みついた。
「爽子…?」
「…いい。壊して。」
戸惑う風早に爽子は囁くように言った。
「翔太君に壊されるなら…いい。」
その言葉と熱い吐息に風早の理性は瞬時に蒸発した。

いつだってこの子が欲しくて欲しくて渇いてる。
そんな相手が自分を求めてくれている。
これがもし毒盃なんだとしてもそれをあおらずにいられない。
「ほんと、とまんないから。」
470長い夜9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:39:45 ID:KFFtd4d7
一言だけそう囁くともう一つ避妊具をとりだし自身につけようとした。
しかし爽子の手がそれを優しく止めた。
「爽子?」
爽子は黙って首を横に振る。
「でも、爽子」
爽子は切実な震える声で呟くように言った。
「お薬、飲むから…」
体の関係を持った時、
風早は世界で一番大切なひとを傷つけないためにと
避妊についてもきちんと調べた。
だから風早もモーニングアフターピルのことは知っていた。
しかしそれは爽子の身体に負担をかける事だということも知っている。
躊躇する風早に爽子は泣きながら訴えた。
「翔太君以外に触れられたところから腐っていきそうで苦しいの…!」
爽子は常にない激しさで途切れがちに訴え続けた。

このままだと自分を嫌いになる。自分で自分を傷つけてしまいそう。

爽子は だから、と続けた。

「翔太くんで私の中をいっぱいに満たしてほしいの…!お願い…」
爽子の儚い外見に隠された激しさが風早を突き動かした。
爽子の内罰性を十分理解している風早にはその言葉の切実さがわかる。
風早はきゅっと唇を噛むと熱く滾る自身を取り出した。
そして爽子の片足を抱え上げそのまま爽子に突き入れた。
471長い夜10 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:42:15 ID:KFFtd4d7
「んぅう…!」
風早は短い息をはっと吐き出すと爽子の小さな尻を抱えあげた。
「え?あああっ…!」
「ちゃんと、つかまってて。」
立ったまま抱えられ、
繋がった姿勢の不安定さに爽子は必死に風早にしがみついた。
襲いくる快感がその不安定さを強めた。
風早は詰めていた息をゆっくり吐くと荒い息を堪えながら囁いた。
「このままだと動くの辛いからイけないね。俺はそれでもいいけど」

ずっと爽子と繋がっていられるのならそれもいい。

風早は半ば本気でそう睦いた。
爽子は彼の肩に顎を乗せ安定を図っていたが、そこからすこし顔をあげた。
そして熱い短い息を吐きながら嬉しそうに微笑んだ。
「―うん。」
二人はしばらくみつめあった後、ゆっくりと唇を合わせた。
爽子と繋がったまま風早は地面にそっと腰を下ろした。
「んんっ…!」
爽子はその動きの生む刺激に少し身じろぎ風早に回した腕の力をこめた。
風早は爽子が落ち着くのを見計らって動き始めた。
時には深く、時には浅く、入り口も深奥もどこまでも自らの一部を触れさせた。
その度に爽子は切なく啼いた。

風早は爽子の柳腰を持ち上げそのままの姿勢で留め置いた。
472長い夜11 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:44:04 ID:KFFtd4d7
飲み込まれそうな快楽の手の追撃が唐突に止んで
爽子は潤んだ眼で乞うように風早を見た。
風早は荒い息を抑えながらにっと笑った。
「ちゃんとイきたい…?」
爽子はかぁっと赤くなりながらこくっと頷いた。
風早は爽子がどれだけ肌を合わせても
獣のように欲望を貪ることに抵抗がある事を知っている。
その不可侵性に焦がれもし、また泣きそうな気持ちで苛立ちもするのだ。

彼女のすべてが、欲しいのに。

「言葉に出さなきゃわかんないよ。」
「しょ…たくっ…」
ぽた、ぽたと淫らな液が繋がった部分から風早の肌に落ちる。
甘い香りを放ちながら風早を誘惑する。
風早は動かしたい衝動を必死で殺した。

…早く、言って?俺がこらえきれなくなる前に。

爽子は赤くなって唇を噛んでいる。
爽子の我慢強さに風早が白旗をあげそうになった時、小さな声が囁いた。

「イきたいの…。焦らさないで…っ。」

風早はその言葉に考える間もなく爽子を突き上げた。
「あああっ!」
風早の動きに合わせて甘い喘ぎが爽子の唇から搾り出される。
普段は白い肌に良く似合う清純な桃色の唇が紅くぬめりながら熱く切なく喘ぐ。
473長い夜12 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:47:01 ID:KFFtd4d7
風早は爽子の放つすべての淫らさをひたすらに貪った。
二人は罪のようなセックスに溺れていった。

すすり泣きが風早の耳に入った。
過ぎた快楽に啼かされたのかと思い
なだめるように爽子の汗ばんだ頬に口付けると
爽子が泣きながらとぎれとぎれに言葉を紡いだ。
「ごめ…なさい」
爽子は自分を責める名人だ。
痴漢に反応してしまった事が辛くて、
自責の念に苛まれてるのだと風早は胸が痛んだ。
責められるべきは暴走して爽子を苛めた自分のほうだ。
風早は爽子の髪を優しく撫でた。
「…今日のことは爽子が悪いんじゃないよ。暴走して、ごめん。」
荒い息を抑えながら途切れ途切れに爽子の耳にそう囁くと
爽子はきゅっと風早を抱く力をこめた。
「ちがうの、私、…翔太くんがすき…すぎて、
壊すかも、しれなくて、今だって、あんな人に触られて、
あなたまで汚すのに、それでも触れられたくて、ごめんなさ」
途切れがちな爽子の言葉は途中で風早の唇に飲み込まれた。
愛しすぎてもどかしさがこみあげる。
このまま永遠に繋がってられたらと風早は今度は本気で願った。
474長い夜12 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:49:07 ID:KFFtd4d7
壊すほどに好きなのは俺のほう。
たぶん君の周りに死体を積み上げても君を繋ぎとめられるなら
百万の死体の上でも笑える気がする。

風早は爽子には気づかれないよう微笑んだ。

爽子を傷つけ、穢した痴漢は殺しても飽き足りない。
でもそのおかげで爽子が自分にしがみついてる。
普段慎みが隠してしまっている、蕩けるような本音を見せて。

怒りと悦びが風早を支配した。
その悦びが風早を急速に絶頂に導いていく。
「はぁっ…ごめ、爽子っ…俺、あんまりもたな…っんぅ、とばす…よ?」
爽子が頷くのを確認し、風早は律動を激しくした。
爽子の中も収縮の間隔が短くなり風早に終りが近いことを告げてくる。
爽子の名前を耳元で何度も囁くと爽子の体が蕩けるように熱くなっていく。
その熱に風早も融かされる。
二人は唇を合わせるとお互いを喰らいあうように激しく舌を絡めあった。
そのまま二人は極限まで離れる事はなかった。
475長い夜13ラスト 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/03/11(水) 22:57:19 ID:KFFtd4d7
着乱れた浴衣を木の陰で直し
髪だけは直せなかったので爽子は長い髪を緩やかに編み
肩のところでひとつにまとめた。
風早に手を引かれて歩き始めたところで爽子はぴくんと身体を震わせ
赤くなり立ち止まった。
「ん?どうしたの?」
「翔太君、その…」
小声で告げた内容に風早も赤くなった。
風早の残滓が爽子の内腿を濡らしたのだ。
「…トイレ、いく?」
風早の言葉に爽子が頷いた。
少し歩いたところで風早は立ち止まり、爽子に真剣な目で向き直った。
「俺、急いで大人になる。めちゃくちゃがんばるから。」
「…え。」
爽子の視線に赤くなりながら、風早はにこっと笑った。
「−ただの決意表明!」

爽子に告げるのは時が来てからで良い。
こんな勢いみたいに告げるのは嫌だから。
今はこの台詞は心の中にしまっとく。
『その左手の薬指はあけといて』

花火の匂いは既に遠くの空に消えていた。
(Fin)


−−−−−−−−−−
ここまでです。お付き合いどもです。
諸事情でしばらくスレには来れないと思います
職人さん降臨祈願ダンスを踊っときますヽ(;´Д`)ノ ランタ タンタン♪
476名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 23:38:43 ID:CCBBvZmT
gggggGJ!!!
欲しがる爽子イイ
では私もヽ(;´Д`)ノ ランタ タンタン♪
477名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 02:43:21 ID:kwJTOQPj
GJ!!
相変わらずの文才すごい
この二人のセックスは、相思相愛なのにどこか危うくて切ないね
ぜひとも薬指の願いを果たしてエロにかまけるといい
夜勤明けさんありがとう
いいもの読めた
478名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 15:30:39 ID:xPghaTYR
夜勤明けさんGJです!
風爽、切なくてイイ
479名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 16:34:51 ID:LQ18D9Hi
夜勤明け様おつです!!
今日は仕事休みで暇なので今後の君届について、妄想してしまった。

爽告白して、風爽が無事に付き合うことになる。
爽は幸せを感じるのもつかの間、周囲の男子に嘲笑われ、女子には嫉妬され、やのちづに励まされ前向きに捉えようと頑張るけど、見えない傷が少しずつ爽を侵食していく。

爽と両思いになれたことで満足な風は、その爽に気づいてフォローするも、心底の傷みまでは理解できず、それより二人の時間のほうを大切にしようとする。

悩んだあげく、爽は風のことも考えて自ら幸せを手放す。
風に説得されても、決意は変わらず違う方向に前向きに進んでいく。やのちづは爽の決意を応援。

失恋を経験した爽は、自己反省に励み、自分に足りなかったものを見つめて努力していく。
そんな中出会った人と一悶着ありながらハッピーエンド。


凡人がぼんやりと妄想しても、こんな陳腐なストーリーしかでてきません〜。
最近の流れをみてたら、どうにも風爽がうまくいくようには思えなくて〜。

職人様お待ちしております。
480虜1:2009/03/13(金) 18:10:06 ID:tlq08xJ5
風×爽 つきあって三ヵ月後くらいってことで。
長いので三回くらいに分けて投下します。

「あっれ、また俺貞子ちゃんの隣ー?」
学期が変わったことで行われた席替えにどきどきしていた爽子の頭上から降ってきたのは、
聞きなれた三浦の声だった。
WAHAHA、またしばらくよろしくねー、とぶんぶんと爽子の手を振る三浦は、恥ずかしげもなく
爽子にぱちりとウインクを投げる。
「やっべ、俺、貞子ちゃんと運命の赤い糸?なーんて言ったら風早に怒られちゃったりして
 ねーって・・」
相変わらずのハイテンションで明るく教室内を見回した三浦は、シャレにならないくらい鋭い
視線で自分を睨みつける風早の視線にたじろいだ。
「あ、もしかして彼氏、まだあの時の事怒ってたり・・・する?」
さすがに気が引けて爽子の手を離した三浦は、彼氏なんてそんな!と慌てる爽子に問いを
重ねる。
「えー、だって風早と貞子ちゃん、つきあってんでしょ?なんで否定すんの?」
周りの女子の耳ダンボに気を配るつもりなどかけらもない三浦は、そばのあかねが呆れる
ほど大声で無邪気につっこむ。
慌てて顔の前で両手を振る爽子は、周りからの注目に耳まで真っ赤だ。
「そ、そんな、風早くんはええと、その、あの・・・・・」
だんだん声が小さくなる爽子の口元にえー?と言いながら頭を寄せる三浦の顔を、視線で
撃ち殺したいとばかりに睨みつける風早に、幸い(?)二人は気がついていない。
「隠したいの?なんで?」
ホワーイ?と首を傾げる三浦に、爽子はだって風早くんの名誉が、とだけ小さく答えた。
そのたった一言で全てを察した三浦は、ははーん、と大きく何度も頷いた。
二人がつきあってるという噂は仲間内から徐々に広まってはいるが、まさかあの貞子と風早
が!と信じない人間はまだまだ多かったし、風早ファンの女子が陰で爽子に何を言っている
かなど、自称恋の達人三浦にはたやすく想像できることだった。
481虜2:2009/03/13(金) 18:12:54 ID:tlq08xJ5
「要するにあれだ、貞子ちゃんは風早くんに自分はふさわしくない、とそう思っちゃってるワケ」
でしょ、と視線で問いかける三浦の言葉に、爽子はさすが!とばかりに目を見張った。
女の子はみんなそれぞれに可愛いし、全員に幸せになってほしいと本気で考えている三浦は、
引け目を感じている爽子を心からいじらしいと思いながら声に力をこめる。
「だーいじょうぶだって、貞子ちゃん、ぜんっぜんアリアリ!
 カワイイよ、自信持ちなって!」
爽子の肩をばんばんと叩きながらニコニコと笑う三浦の視線から目を外して、爽子はうつむく。
実際、三浦は初めこそ爽子を暗いと思ったが、近くでその素直さに触れ、ふとした拍子に見せる
はにかんだような微笑を知ってからはむしろ明るくけなげな彼女を好ましく思っているのだ。
実際今も、その伏せた長いまつげが落ちる白い頬に口付けたらどんな顔をするのかな、という
いたずら心を抑えるのに苦労してるくらいだ。
三浦はその頬を隠す今時珍しい黒髪の一筋をそっと指ですくい、さらさらと落ちる髪の感触を
楽しんだ。
爽子は急に髪に触られたことに驚き、がばりと顔を上げてぱちぱちと何度も瞬きする。
その無防備さをそのままにしたい、と願いつつも、三浦は爽子の幸せを優先する事にした。
「でも・・・あれだ、うん、貞子ちゃんは髪型がよくないね、うん」
自分の顎に手をやり、うんうんと一人で頷いた三浦は、いいことを思いついた、という目で爽子
を見つめた。
「・・・・ね、貞子ちゃん、今日の放課後、なんか用ある!?
 いやー、俺さ、あん時のこと、ホント悪いと思っててさ、いつかちゃんと償いたかったんだよねー。
 でね、これ俺の超得意分野なワケ。俺に今日貞子ちゃんの時間ちょうだい。
 も、一気に問題解決してみせるからさ」
482虜3:2009/03/13(金) 18:15:20 ID:tlq08xJ5
授業終了を告げるベルが鳴った途端、教室の端からまっすぐにこちらへと向かってくる風早を視界
に捕らえた三浦は、少し慌てて小声で風早にはナイショね、と付け加えてウインクした。
学校で待ち合わせると風早に見つかりそうだから、駅前のマックね、と一方的に約束を取り付けた
三浦は、爽子の答えも聞かずにじゃー後でねー、と逃げるように席を立った。
「駅前のマック・・・・」
爽子は、お金持ってきたかな、と鞄からお財布を取り出そうとした手を、上から伸びて来た手に掴
まれた。
驚いた爽子が見上げた先には、明らかに不機嫌な顔の風早が見下ろしていた。
「・・・・・三浦と、何話してたの?」
教室内なんかで私に触ったりしたら風早くんの名誉が!と考えた爽子は、思わず風早の手から
自分の手を引っ込めた。
風早が怒っている原因も、その仕草に風早が傷ついた表情を浮かべたことにも気がつけない爽
子は、ううん別に、また隣だね、って言われただけだよ、と曖昧な笑みを浮かべて答えた。
風早に隠し事をするのは心苦しい。でも三浦から内緒だと言われたことを勝手に話してしまうの
はいけないことだ、と爽子なりに考えての返事だったのだが、それは風早の怒りに油を注ぐ結果
となった。
「・・・・なんで三浦に髪なんか触らせんの?
 で、俺が触ると引っ込める、って何?俺って黒沼にとって・・・」
483虜4:2009/03/13(金) 18:16:37 ID:tlq08xJ5
爽子のななめ前の席の女子が耳をすませていることに気がついた爽子は、慌てて風早の言葉を
遮る。
「あ、あの、私、先生に呼ばれてるんだった!ごめんなさい、行くね」
ばたばたと席を立って教室を出て行った爽子を見送るしかなかった風早は、目の前にあった三浦
の席を蹴飛ばし、周りからぎょっとした目で振り向かれた。
「・・・・何?風早、どしたの?」
呆れたように訊いたあやねに、なんでもねーよ、と答えた風早は、椅子を元の位置に戻すと、不機
嫌さ丸出しで自分の席へと戻って行った。

まったくあの王子様、ああ見えて短気でやきもち焼きなんだから。どこが爽やかだっつの。
そのワリにちゃんと爽子を守れないから、あの子、変に気ィ回して周りに隠してんの、分かって
んのかね。
あやねは肩をすくめると、一つため息をつく。
・・・・・まあ、二人が両思いになれたのはいーんだけどさ、うん、このままじゃいかんよ。
あやねは主のいない爽子の机をとんとんと指で叩きながら考え込む。
あんなイイコなんだからさ・・・・ちゃんと、自信持たせてやってよ、王子様。
何も知らずに戻ってきた三浦が、なにー、俺に会いに来たのあやねー、と能天気にあやねの肩に
手を回す。
あやねは秒殺の勢いでその手をふりほどくと、人差し指を三浦の鼻先へと突き出した。
「もうほんっと、あんた、これ以上余計な事しないでよ?
 あの二人を邪魔したい人間は山ほどいるんだからさ」
その言葉を聞いた三浦は、心外だとばかりに目を見開いた後にっこりと笑った。
「わーってるって!つか、俺、今度こそ貞子ちゃんのこと助けるつもりだからさ」
きらりと白い歯をみせて笑う三浦に、あやねはいいから何もすんな、と毒づきながら、ケリを入れた。
484虜5:2009/03/13(金) 18:18:23 ID:tlq08xJ5
マックって、中に入って待ってればいいのかな、それとも外?
風早にこれ以上嘘をつく自信がなかった爽子は、HRが終わったあと、友達に囲まれている彼に
視線だけでさよならを言うと、素早く学校を後にした。
いつもなら花壇に水をやってから帰るのだが、昨日雨が降っていたから今日はやらなくてもいい
はずだ。
そう思った爽子は、雨上がりの校庭を抜け、いつもと違う道を駅に向かって歩いて行った。
だからなんとか友達の輪を抜けた風早が花壇の辺りを探し、校門を抜けていくら走っても、あの
長い髪を下ろした背中を見つけることは出来なかった。
「・・・・・んだよ、黒沼。なんで避けんだよっ・・・!」
息を切らした三浦は、立ったままひざに手をついて、くやしさを吐き出した。
風早と爽子は、必ずいつも一緒に帰っているわけではない。
だから一応視線で先に帰る、と告げた爽子が避けているとまでは言えないというのは風早にも
分かっていた。
でも、いくら爽子が鈍感だとはいえ、自分が三浦と親しくするのを嫌がっていることくらいは察し
て欲しい、と風早は思う。
風早は三浦が心の底から嫌いだ。
黒沼に触んな。見んな。しゃべんな。
そう言えたらどんなにすっきりするだろう、と風早は想像する。
黒沼は、心が綺麗だから、人の好意を疑ったりしない。
本当は誰より人と仲良くしたいのに、最近までうまく人と関われないヤツだったから、優しくされ
ればすぐ嬉しくなって、三浦にさえもあの笑顔を見せる。
でも、あの笑顔は、俺のだ。俺だけのだ。
風早はぎゅっと目をつぶると三浦に触れられてとまどうように顔を赤らめていた爽子の表情を必死
に頭から追い出そうとした。
妬いている自分をみっともないとも思うし、子供だと分かっていても、でも、ちゃんと安心させて欲しい
と思う。
485虜6:2009/03/13(金) 18:20:27 ID:tlq08xJ5
まだキスさえ数える程しか交わしていない淡いつきあいに、もちろん風早は満足していない。
爽子がそのへんの小学生よりも純真だと分かっているから堪えているだけで、本当はあの長い髪
を思う存分撫で、あの華奢な身体を抱きしめ、白い肌に唇を乗せたい、と思う。
いつの間にか着いてしまっていた爽子の家のインターフォン越しに出てきた爽子の母は、彼女が
まだ帰っていないことを教えてくれた。
寄り道?黒沼が親に連絡もしないで?
嫌な予感を感じた風早は携帯を取り出し、爽子の番号をいらだたしげに呼び出した。

「さー入って入って。ねーちゃん、いるー?」
いつもの強引さで三浦に連れてこられた場所が彼の家だと分かった瞬間、さすがの爽子もこれは
まずいのでは、と思った。 
「あの、師匠、どうして師匠の家に・・」
言いかける爽子をにっこりと笑顔で黙らせた三浦は、まーまー話は中でするからさ、と言うと、爽子
の背中に手を置いて無理矢理家の中へと導いた。
「ねーちゃん、電話で話した子、連れてきた。あ、靴脱がなくていーからさ、こっち来て」
三浦の家は自営業らしく、自宅と店舗が玄関でつながっている。
店舗の方を覗き込んで姉と話している三浦は、にこやかに爽子を手招きした。
恐る恐る爽子が中を覗くと、いくつかシャンプー台が並ぶ明るい美容院だということが分かった。
486虜7:2009/03/13(金) 18:21:49 ID:tlq08xJ5
「あなたが貞子ちゃん?いらっしゃい、さ、こっち座って」
黒いカフェエプロンをつけた女性が、カットする椅子へと手招きする。
三浦の「ねーちゃん」だというのが爽子にも一目で分かる、弟そっくりの美人だ。
「え?あの、私・・・」
とまどう爽子に、三浦が俺のねーちゃん、美容師なんだ、この前まで青山で働いてたんだよー、と
説明のようなそうでないような話をする。
三浦は強引に座らせた爽子の髪を触りながら、姉の方に向かって意見を求めた。
「・・・ね?この髪型だとさ、ちょっと暗く見えちゃうでしょ?
 かなり長すぎだしさー、眉毛も見えないし。ねーちゃんはどんな感じがいいと思う?」
ええっ、私の髪型を変えるために!?とようやく三浦の意図を察した爽子は、そうねえ、とりあえず
色を明るくしてー、と答える三浦の姉の指が通る自分の髪を鏡越しに見つめた。

や、やっぱりこの髪、変かな。
前、あかねちゃんたちに相談した時には、これが一番似合う、って言ってもらえたんだけどな。
「ね、貞子ちゃんも可愛くなりたいでしょ?」
ふいにふられた三浦の問いに、爽子は少しとまどった後、こくりと頷いた。
脳裏に、風早とくるみが並んでいた姿が浮かぶ。誰が見ても自然な、お似合いな二人。
私がくるみちゃん程可愛くなれるはずはないけど・・・。
「私が少しでも変わったら、風早くん・・・他の人から、何も言われなくなるかな・・?」
爽子のつぶやきに、三浦は切ない気持ちになった。
「貞子ちゃんはもともと可愛いよ?髪で隠しちゃってるのが、もったいないだけ」
三浦の笑顔に、爽子は、あ、ありがとうと照れたように目を伏せた。
487虜8:2009/03/13(金) 18:23:39 ID:tlq08xJ5
「・・・・ね?だからさ、15センチくらい切ってさ、この辺りを軽くして・・・・」
爽子の両肩に手を乗せた三浦の顔が頬に近づいてきて、爽子は真っ赤になってしまった。
し、師匠って自然に触ってくるから、なんか振り払うのも変って言うか・・・。
そんな爽子を叱るように、鞄の中の携帯が着信を告げている。
爽子の携帯はめったに鳴らない。
あ、帰り遅くなるってお母さんに電話し忘れた!と気づいた爽子は、膝の上においていた鞄
を慌てて開け、耳元へと携帯を持っていった。
「も、もしもし・・・?」
しばらくの無言のあと、電話の向こうから聞こえてきたのはいつもより低い、風早の声だった。
「・・・・・黒沼、今どこにいるの?」

てっきり母親からだと思って出た爽子は、かなり慌てた声で、えっと、あの、と言葉をなくした。
でもバージンヘアだし、色抜くのもったいなくない?いーじゃん、どうせやるならさー、という三
浦姉と、三浦の会話が受話器を通して風早にもかすかに伝わる。
「・・・・後ろにいるの、誰?」
重ねて訊かれた爽子は、仕方なく、あの、師匠の家にいるの、と答えた。
「・・・・三浦!?・・・・なんで三浦んちにいんの?」
怒りを押し殺したような風早の声に、爽子は受話器を握り締めたまま、固まった。
「あの、あの、今ね、あのね」
不穏な空気を感じた三浦が、顔の側で携帯を持つ真似をし、(もしかして風早?)と小声で問
いかけた。
三浦は、あーあ、内緒でびっくりさせようと思ったのになあ、と思いつつも爽子から受話器を取
り上げ、明るい声で三浦でーす、爽子ちゃん借りてまーす、と応じた。
488名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 18:30:28 ID:tlq08xJ5
二回で最後まで投下できそうです。残りは後ほど。
489名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 19:18:15 ID:D32ZMBs7
わっふるわっふる
490虜9:2009/03/13(金) 19:31:32 ID:tlq08xJ5
すぐに迎えに来るって電話切っちゃったよ、アイツ俺んち知ってんのかな、と三浦は爽子に
肩をすくめておどけてみせた。
風早くん、怒ってた・・・・。
爽子は、にじみそうになる涙をぐっとこらえて、膝の上の切れてしまった携帯を見つめた。
「・・・・・・なんだかよく分かんないけど、染める時間はなさそうね。
 ・・・・でも、ちょっと巻いて感じだけでも変えてみよっか。おでこ見せて、カワイイピンでも
 つけようよ」
三浦姉は、さすがに慣れた手つきで爽子の髪を濡らし、手早くカーラーに巻きつけていく。

「ほら、可愛い!」
「わ、貞子ちゃん、マジかわいいじゃん!風早、これ見たら怒りなんか忘れちゃうよー」
鏡に映った、いつもよりも柔らかな印象の爽子を、二人は言葉の限り褒めちぎった。
少しふわふわした髪先や、柔らかな色合いの花のかたちの髪飾りが、悲しかった爽子の
心を少しだけ明るくしてくれる。
・・・・いつも、こんな風にしてれば、風早くんのそばにいても、変じゃないかな・・・。
ちょっと色乗せてみよっか、と三浦姉が爽子の唇に小さなブラシでグロスを塗る。
・・・風早くん、可愛い、って思ってくれる・・かな。
初詣の時は、なんだか怯えさせちゃったっけ・・・。
その時、せわしなく何度も鳴らされたチャイムが風早の来訪を伝えた。
「あー、俺が説明してくるよ。誤解解けてから感動のたいめーん、ってことでよろしくね、
 貞子ちゃん」
ある意味最強のKY男三浦は、はいはーい、と明るい返事と共にドアを開けた。
491虜10:2009/03/13(金) 19:33:04 ID:tlq08xJ5
「黒沼は!?」
開口一番そう告げた風早に、三浦は唇の片端を上げ、ちょっと外出ようよ、と風早を
ドアの外へと追い出した。
「俺、三浦に用無いから。黒沼呼んで。連れて帰るし」
自分より少しだけ背の高い三浦を見上げるように睨みつけた風早の肩を、まあ落ち
着けよ、と叩こうとした三浦の手を、風早はふいと避けて視線を強めた。
三浦は行き場をなくした手で髪をかきあげ、ふう、と一つため息をついた。
「・・・・・あのさー、どうして貞子ちゃんがここに来たのか、知りたくないの?」
三浦のからかうような視線に、風早の怒りは抑えきれなくなる。
「どうせお前がテキトウなこと言って強引に連れて来たんだろ?
 黒沼をからかうのがそんなに楽しいか?あいつをおもちゃにすんな!」
一気に言い切った風早に、三浦が笑顔を消して怒りをあらわにした。
「俺はいつも真剣だけど?
 あのさー、風早。貞子ちゃんが、どうしてお前とつきあってるのを隠したがってるのか、ちゃん
 と分かってる?
 お前は周りが何言おうが、どう噂されようとどーでもいいかもしんないけどさ、矢面に立つのは
 みんなのアイドル風早くんじゃなくて、貞子ちゃんなんだよ?」
492虜11:2009/03/13(金) 19:34:18 ID:tlq08xJ5
風早は、三浦の言葉を聞いて黙り込んだ。
確かに、自分に向かっても「マジであの貞子とつきあってんの?」と訊いてくる奴らは何人か
いたし、その度にそうだよと肯定し不愉快な程驚かれてきた。
それなら黒沼は周りから何を言われているのか?そう考えて身体の奥が凍えた。
「・・・・お前には関係ないだろ」
どうにか切り替えした言葉に力がないことは、風早も認めざるを得なかった。
「・・・・貞子ちゃん、可愛くなりたいってさ。お前のためじゃねーの?
 あの子はさ、もう自分が悪く言われるのは慣れちゃってるんだよ。
 それって、可哀想じゃねえ?イイコなのにさ。
 ちょっと髪型でも変えれば、すげー可愛いのにさ。
 だから、連れてきて可愛くしてあげたかったんだよね。俺のねーちゃん美容師だから」
爽子のためを思って放たれた三浦の言葉が、風早の中に暗い怒りを灯した。
爽子は訊けば答えてくれるし嘘などけしてつかないが、なかなか自分の気持ちを言葉には
しない。
なのになぜ気持ちを話す相手が、自分ではなく三浦なのか。
493虜12:2009/03/13(金) 19:35:27 ID:tlq08xJ5
「・・・貞子ちゃんを強引に連れて来たのは、お前の想像通り。
 だから、貞子ちゃん、怒んなよ。じゃ、今連れてくるから」
三浦はそう言い残すと、ドアの向こうへと消えた。
現れた爽子の姿に、風早は息を飲む。
いつもは隠されている、爽子の優しい雰囲気を柔らかな髪型が引き立てている。
黒沼はいつでも、爽子を可愛いと思ってる。
でも、これはだめだ。
こんな姿を学校で見せる訳にはいかない。他の男に見せてなんか、やれない。
何も言わない風早の様子に、爽子は勇気を出して声を振り絞った。
「へ、変かな・・・?似合わない・・・?」
似合うよ、と言って欲しくて訊いた爽子の手を取って、風早は無言で歩き出した。
「か、風早くん・・・・?」
もつれるような足取りで、爽子は風早に引かれるまま彼の家へと連れて行かれた。

「今日親と弟、遅くなるから」
お邪魔します、と入った玄関先でそれだけを言うと、風早は無言で自分の部屋へと
向かう。
爽子はいつもと違う風早の様子にとまどいながらも、靴を脱ぎ、彼の背中を追った。
扉を閉めた途端、爽子は風早の腕の中に抱きすくめられた。
誰も分かってない、と風早は思う。
周りの奴らも、そして黒沼自身も、全然分かってない。
494虜13:2009/03/13(金) 19:37:27 ID:tlq08xJ5
先に好きになった方が負けだというなら、たくさん好きになった方が負けだというなら、
初めから負けていたのは自分なのだ。
黒沼が自分に惹かれたのは、生まれたばかりのひよこが初めて見た生き物を親だ
と思うのと同じ感覚だ、と思う。
初めて黒沼を見つけたのが俺だから、初めて優しくしたのが俺だから。
だから、他の男を知って、他の男に見つけられてもまだ俺を好きでいるかどうかなんて、
誰にも分からない。
でも、自分の気持ちは違う。俺は、黒沼以外はいらない。
黒沼じゃなきゃだめなんだ、と腕の中の爽子を抱きしめながら風早はつよくそう思う。
「か、風早くん、痛いよ・・・」
身をよじる爽子の顔を両手ではさみ、風早はその唇に自分のを押し付けた。

いつもの風早くんじゃない、と繰り返される口づけを受けながら爽子は感じていた。
今までのキスが、陽だまりにいるような、優しい気持ちを告げるために交わされるものだった
とするなら、今日のキスは、奪うような、嵐の夜のようなキスだ。
何度も貪るように爽子の唇を挟んでいた風早は、耐え切れなくなったように、その唇を
割り、熱い舌で爽子のそれを探す。
とまどうように受け入れる爽子をもっと欲して、もどかしげに風早は絡め、吸う。
左手で爽子の身体を拘束したまま、右手で髪を何度も透くように梳かす。
身体中の体温が上がってゆくのが、きつく抱きしめられているせいなのか、羞恥のせいなの
か、それとも。
何も考えられない爽子の背中を、風早の大きな手がゆっくりとさする。
その手が、ジャケットの中に滑り込んだのに爽子が気がついた時には、二人の身体は床へと
倒れこんだ後だった。
495虜14:2009/03/13(金) 19:38:33 ID:tlq08xJ5
二人の息が溶け合い、何度も何度も舌がつながりあっても、風早の乾きは強まるだけだった。
止めなければ、と思えば思うほど、鼓動が跳ね上がり、身体の芯が燃え上がるほどに、熱い。
「黒沼・・・やだ・・・?」
ずるい訊き方だと百も承知で、風早は爽子の耳元で囁いた。
爽子の瞳が、何度も瞬く。
こわばったように何も言えない爽子の頬に、目の横に、耳に、キスを落とす。
しがみつくように風早のジャケットを握り締めている爽子の右手を取り、床に押し付け、指を
絡める。
急いじゃだめだ、俺が欲しいのは黒沼の心、なんだから。
呪文のように自分に言い聞かせて、止めろ、と自分に向かって叫ぶ。
なのに、身体の中で波のような大きな力が湧き上がって、うまく抑えられない。
背中を撫でていた右手が、耐えかねたように爽子のシャツをたくしあげ、中へと滑り込む。
「・・・・っ!」
爽子が息を飲んで身体を固くしたのが、風早にも洋服越しに伝わってくる。
496虜15:2009/03/13(金) 19:44:08 ID:tlq08xJ5
「か、風早くん・・・!」
否定の言葉を聞きたくなくて、唇をふさいだ。
ごめん、黒沼、止まんない。
風早は、その手を爽子の腰の辺りから上へと向かって、ゆっくりと何度もさすり上げる。
たどり着いた胸のふくらみにそっと触れ、人差し指と中指で中心を挟んだ。
「あ・・・っ!」
唇が離れた隙に、爽子から声が漏れる。
その少し掠れた、甘い声が風早を勇気付ける。
少し強めた手の平で、何度かやわやわと感触を楽しんだあと、背中のホックを探し、少し
手間取ったあとにその拘束を外す。
シャツとともにブラをめくり、空気にさらされた白い肌に唇をよせた。
甘い香りが風早を包む。誰も見たことが無い、誰も触れたことが無い、俺の、黒沼。
禁忌に近づく背徳感よりも、こんなに無垢な爽子を汚す罪悪感よりも、今風早の中にあるのは
たとえようもないほどの恍惚感だった。

こんなに柔らかな、こんなに美しいものに触れるのは初めてだ。
真っ白な肌に、控えめなピンクの蕾。
祈りを捧げるようにそのふくらみに優しく口付け、そっと舌でたどり、乳首を口に含む。
「や、風早くん、やめて・・・!」
びくりと風早の動きが止まる。
ひじで身体を支え、視線を上げて爽子の表情を探ると、爽子の瞳には涙が浮かんでいた。
「・・・・・・ごめん・・・!」
背中に冷水を浴びせられたように、我に返った。
俺は、何を。
なんの準備もなく、俺はいったい、どこまで進むつもりだったんだ。
これ以上進んで、止まれるはずなんてないのに。
497虜16:2009/03/13(金) 19:45:09 ID:tlq08xJ5
急いでシャツを下ろし、震える爽子を抱きしめた。
「ごめん、ごめん・・・・急ぎすぎた・・・」
許しを請うように、爽子の涙をぬぐい、乱れた髪を梳く風早の手を爽子が優しく止める。
「い、いやなんじゃないよ・・・?でも、っ、こ、怖くて・・・」
震える唇で懸命に話そうとする爽子を、風早は痛ましい思いでみつめる。
ついこの間まで、つきあうことすら考えたこともなかった黒沼に、俺はなんてことを。
「ホント、ごめん・・・俺、冷静じゃなかった。
 黒沼のこと、誰よりも大事にしたいと思ってるのに、焦って、誰にも渡すもんかって・・・。
 誰よりも先に黒沼に触れれば、もう黒沼が逃げられない気がしてた。
 サイテーだな、俺・・・・」

眉根をよせる風早の言葉の意味を、爽子は心の中でゆっくりと考えたあと、そっと手を伸ばし、
風早の髪に自分の指を通した。
「私・・・なにがあっても風早くんが好き・・・だよ?
 風早くんが私を嫌うことがあっても、私が風早くんを嫌うことなんて、絶対ないよ?」
透き通るような爽子の綺麗な瞳に映る、自分の姿に風早は苦笑する。
俺は子供の頃から、なんにも変わってない。
弟が生まれて、母親が取られた気がして、泣いてわめいて駄々をこねた、あの頃と。
いつも自分の気持ちばっかりだ、俺は。
「好きだ・・・・好きだ、黒沼・・・」
抱きしめたまま、何度も何度も、繰り返す。
「初めは黒沼が変わってくのが嬉しかったのに、今はもう、怖いんだ。
 俺だけの黒沼でいて欲しかった。黒沼が可愛いのも、優しいのも、俺だけが知ってたかった。
 でも、それじゃ、だめなんだよな。それじゃ、黒沼を閉じ込めてるだけだ」
498虜17:2009/03/13(金) 19:46:14 ID:tlq08xJ5
風早は爽子の身体を抱き起こすと、両頬を手で包み込む。
「黒沼、すっげー、可愛い。今までの髪も好きだけど、その髪も似合ってる。
 俺、ホント、今のままの黒沼が大好きだ。でも、黒沼の良さが他の奴らにも分かってもらえる
 ように、俺も協力する」
爽子は流れる涙をぬぐうと、風早の胸にそっと頬を寄せた。
「私ね、風早くんと知り合うまで・・・・知らなかったの。
 こんなに誰かを好きになる気持ちも、誰かに嫌われたくない、って気持ちも。
 いろんなこと、あきらめてたの。でも、頑張ってみよう、って思えるようになったの。
 ぜんぶ・・・風早くんの、おかげだよ」

言葉にするのが苦手な爽子が一生懸命話すのを、風早は静かにみつめていた。
自分は、変われるだろうか。
こんな短気な、自分勝手な自分を、戒められるのだろうか。
「黒沼、俺のこと美化しすぎだよ、ぜんぜん分かってない・・・・」
風早は、爽子の手を握るとその指にそっと口付けた。
「俺も、黒沼にだけは嫌われたくなくて・・・・なかなか言えなかったんだ。
 でも、もうカッコつけんの、やめる。
 三浦とあんましゃべんないで。アイツにどっこも触らせないで」
風早の言葉に、爽子はえっ、と言葉を失う。
「し、師匠は私だけにああいうことをするんじゃなくて、ええと、誰にでもっていうか・・」
あわあわと手を振りながら話す爽子の顔を引き寄せ、その額に風早はキスを落とす。
「・・・・・うん、本当は分かってるんだ。アイツがそんなヤなヤツじゃないって。
 黒沼のことも、結構真剣に考えていろいろやってんだって。でもだめ」
風早は自分の額を爽子の額にあわせると、あの爽子が大好きな笑顔を浮かべる。
「アイツは黒沼のいいとこもう知ってるから、これ以上、近づけちゃだめ」
499虜18-ラスト:2009/03/13(金) 19:48:43 ID:tlq08xJ5
翌朝、自分なりに昨日の髪型を再現してみた爽子を見たクラスメートは、のけぞった。
「あれ・・・貞子・・・だよな?」
「うん・・・・」
あわててあやねと千鶴が爽子に走り寄る。
「ちょっ・・・・あんた、その髪、どうしたの!」
爽子はにぃーと笑うと、イメージチェンジ・・・?と不気味バージョンの微笑みで二人を硬直
させた。
(あ、あんたそれじゃ場末のマダムだよ・・・)
「いーからこっち来なっ!」
爽子を連れてトイレに駆け込んだあやねと千鶴の奮闘により、なんとか見られるまとめ髪
へと変身させられた爽子は、さすがっ!と感動したあと、ひしと二人の手をつかんだ。
「あ、あのね・・・・私、少しでも・・・その・・・・かわいくなりたいなって・・・。
 あの、それでね、ええと・・・いろいろ、教えてくれる・・・?」
爽子の言葉に、あやねと千鶴は大喜びでまかせとけーーと、叫んだ。
あやねは爽子の表情の柔らかさに、ふと思いついてかまをかけてみる。
「今日の爽子、なんか、すっごく可愛いよ。昨日風早となんかあった?」
面白いほど真っ赤になった爽子に、千鶴とあやねが怒涛の尋問を始めたのは言うまでも
ない。

おしまい

ヘタレ風早ですいません。
500名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 20:10:15 ID:b7O//hUK
GJ!
良かったよ良かったよーー!!!
面白かった、乙です
501名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 20:27:23 ID:HtBZRyPi
GJ ドキドキしたー爽子可愛いよ爽子
風早は落ち着けw
風早は自分の価値に無頓着なんだろうね
というか世界中の人に評価されても
爽子に認められなければ意味がないんだろうね
だから自信ないんだよ
まあ確かに爽子の世界が広がって、爽子の真価に相応しい男でも現われて、
そいつと想いが通じ合いでもしたら
「風早君への好きは本当の恋じゃなかったの」とか
言ってもおかしくないもんなあ爽子は。
ある意味赤ん坊みたいなもんだしね。
502名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 20:36:36 ID:wt5aodKk
GJ!!萌えたwさいこうだ!

爽子はタフだから、爽子から気持ちが変わったり、風早の想いが重くなって別れるってことはないと自分は思うよ
ただ風早は脆そうだから、気持ちが大きくなり過ぎて潰されそうになって自分から爽子にさよならしそうな気がする
503名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 20:52:04 ID:vkSBBAJA
乙です!
すごい、ドキドキした!
ケントの姉が美容師って設定、めちゃめちゃありえそうだ!
こんなさわこイメチェン話が本編で読みたいってずっと思ってた
リアルな文章で漫画読んだ気分になりました
504名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 21:28:05 ID:LQ18D9Hi
わー!w自分で職人様お待ちしております。とかいっときながら、まさかこんなに早くきてくださってるとはw
ありがとー!いいよいいよ!!!


今の本誌の二人みてたら付き合ったとしても、いつか訪れるかも?な別れの匂いがプンプンする。
風爽は初恋の、高校時代限定の恋って感じ。でも初恋としては完璧。

爽は高校時代の経験からして卒業したら、いい女になってくこと間違いなしだろうから、さらに大きな恋をしていきそう。たぶんいつまでも受け身な彼女じゃないw
風はもっと落ち着いた恋をしそうかな、どこかに爽の面影を探しながらw こちらは逆に受け身になってそうかもw
505名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 22:01:16 ID:HtBZRyPi
うーん 時折現われる獣のような執着心を飼いならして
殴りたくなるバカップルになっても萌えるがw
風爽は別れてしまっても風早はいつか自分が好きになる人には
爽子を求めてしまってる事に絶望しそうな気がする。
そんな絶望に萌える自分はサドなのかもしれない
再会→愛あるレイプコースのフラグにしか思えn(自重
506名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 22:35:01 ID:Yu94by1+
>>499  GJ!!!  萌えた

風爽が奇跡的につきあえたとしても、つきあうまでに既に
自身の執着心・嫉妬心の深さにうちのめされた風が限界くると思う。
今まで清く正しく浅く生きてきた風に、爽子は自分の一番直視したくない
人間のドロドロな部分を映す“鏡”みたいなもので、毒すぎる希ガス。
私はそのまま苦渋の別れを選択した風が、別れても別れなくても
味わう絶望がイイ。
「結婚するなら2番目に好きな人」「初恋は実らない」的な。
私もどんだけサドwww
507名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 23:05:17 ID:LQ18D9Hi
うーん。風は気の毒だよね。
爽と出会うのが早過ぎたかな?
もうちょい年取ってからだったら、さっさと結婚に持ち込めばいいしw

爽にとっては風との出会いは絶好のタイミングだったし、ぶっちゃけ高校時代限定の初恋にしちゃってもいいと思うんだ。感謝と綺麗な思い出だけが残って。

でも風のほうはそうはいかないよね。
最初のうちからこれだけ恋心にはじまり、嫉妬心やら執着心やら植え付けられといて、
前向きで強い爽の世界が、これから広がる様をみていくのは、もうそれ自体がサドだと思うw
508名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 23:48:33 ID:Yu94by1+
確かに気の毒w
社会にでてからなら外堀から埋めて結婚にもってけば、心はともかく
夫っていう世間的に揺るがない位置を確立できたのにねえ。
そうすると、結婚したのちに爽子が自分から惚れていけるような男が
現れた時が見ものかもね
すっげードロドロやそれぞれの葛藤が見れそうでいいな〜〜w
509名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 00:47:51 ID:J7ngU/4+
なにその昼ドラ展開w
いっそ風と爽子はものすごい年の差が
あって出会えばよかったのにと思う
17歳の爽子と32歳くらいの風早
だったらうまくいくような気が。
…ごめんおっさんと少女が好きでw
510名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 01:02:50 ID:nTUZ7v+h
>>509
手出したら犯罪者になってしまう

いや、でも自分も好きだよ。先生と生徒で妄想してしまったw
そのぐらいの年の差だとプレイもマニアックになりそうw
511名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 01:20:21 ID:y9wPPc/O
オッサンの風早が想像できないw
無理やり想像しようとしたらちょび髭になってしまう
でもオッサン好きだよ、龍はいいオッサンになりそうで楽しみだ

はい!先生!私は野外プレイがいいと思います(・∀・)イイ
512名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 14:16:39 ID:o9kV1q8t
>>508
でも社会にでてからだと今までの黒沼を知らない
とかって今度は過去に嫉妬しそうw

爽子のが高校限定ってのわかるな〜
爽子が風早に惹かれてる
爽やかで〜みんなの人気者で〜って高校時代特有のもので
卒業しちゃうと意外とたいしたことじゃなかったりするよねw
同窓会なんかで会うと爽子タイプの人のほうが光輝いてたりするし、実際も

この期に及んでも爽子は
自分に〜してくれる風早くん
憧れ爽やか風早くん

がすきだから高校卒業していろんな人知ったら
それ以上の人みつけて
そっちいっちゃいそう〜って思う

その点龍ちづは安心だ、結婚までいきそう
513名無しさん@ピンキー:2009/03/14(土) 15:56:47 ID:s7LKXxkG
年の差カップルなら若手教師の爽と生徒の風もいいな
514名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 01:06:29 ID:3aD8jaRq
年の差なら、えーじお兄ちゃん×爽で、それにヤキモキする風の話が見たい!

だめかなw
515名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 23:18:43 ID:8cTfSZUB
>>405

超亀だけど。。
この二人って両思いだけど何が違うって
心の距離感が全然違うよねえ?
爽子は風早を別世界の人と思ってて
風早は爽子が自分の一部化してる気がする

爽子は爽子で、風早の気持ちもうちょい考えてやれよ〜
と思うし
風早は風早で、爽子、爽子ってもうちょい自分もてば?とも思う
普通はこれ男女逆だと思うけど、いかがなものか
516名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 09:55:36 ID:skpoIBPj
>>513
めちゃツボだ 誰か 風早先生×爽子生徒でも 
爽子先生×風早生徒でも
いいから書いて欲しい

>>515
男女で決まるんじゃなくて、課題の違いなのかも。
爽子は試練が外部攻略(そして風早は外部の一部)
風早は爽子という迷宮攻略が試練だからw

それに爽子は「手に入らなくて当たり前」と思ってる節があるけど
風早にはそう思う理由がないから、諦め易さがちがうんでない
校内カーストって社会に出ちゃうとたいしたことない事象だったと気づくけど
高校生くらいだとそれがわからないから結構心理に影響するからね。
517名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 20:01:39 ID:UeJ7+6tO
>>514
いいね!ニコ動でえーじにいちゃんと爽子が出てくるのあるけど、あれ好きだ。
風早のやきもちは「俺の知らない黒沼を知ってる人…むうう」
王子様大変!みたいな可愛い嫉妬がいいかも?
518名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 20:18:48 ID:yLJlLgm1
それいい!
あれぐらいの工房って、三つ上の大学生の男がすごい余裕のある大人に見えたりするからさw

十数年ぶりにに再会して、うっかり爽の色っぽさに気付いちゃって、
うっかり頭なでたりとかして、風にはキリキリマイしてもらいたい。
519名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 22:59:59 ID:UG/ncEOj
えーじお兄ちゃんは工房の頃から大人びてかっこよかったよ…爽達と同年代の頃の話だったとは思えないwえーじお兄ちゃん×爽(もしくはやの)みたい。

ところで思うんだけど
本誌で風だけは爽に同情しなかったとかいわれてるけど
自分には、風は爽に同情どころか
悩み苦しむ爽をみて心の中で 萌えーーーー!!!!
を連発しているようにしかみえないw(もちろん自分と爽の関係が安泰という条件の下でw)
1、2巻とか生き生きしてみえるw
520名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 20:34:24 ID:g2pQXAae
>>519
結構前から思ってたw
風早は薄幸萌えなとこあると思う
梅があんなに上手に世論操作が出来ない人なら
孤立した悩みをうちあける→同情が愛へ
のパターンもとれたろうにw

現時点では王子は爽子にべた惚れなので浮気は考えられないが
不幸で健気なシンデレラ系の子で依存系が登場したらやばいなーと思う
爽子は健気だけど結局自分の足で歩ける子だし
「黒沼は俺がいなくても大丈夫だけどこの子には俺がいないと」って
寝言いいそうなんだよな風早王子は
521名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 02:33:56 ID:+BSB1I+L
板違いと思いつつ
>>455
あたりの爽子に萌えてうっかり描いてしまいました。
発情爽子にオロオロしつつもちゃっかり流れにまかせる
風ssがすごく・・・読みたいです。

ttp://ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo.jpg

522名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 02:36:34 ID:qg9zQ6Bv
うまいなあ
523名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 03:01:20 ID:lW/8yej7
風早の右手が既にスタンバイw
524名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 03:24:43 ID:zSwWZJgj
>>520
> 「黒沼は俺がいなくても大丈夫だけどこの子には俺がいないと」って
> 寝言いいそうなんだよ

うわぁいいそうw

梅はやっぱりないかなー。現に一人で泣いてる梅をみても、それ以上特に興味なかったみたいだし

風のは幸薄萌えとギャップ萌えだろーなぁ。
あと自分に依存してきそうで全然してこない
爽の絶妙な距離の取り方に悶々としながらも、萌えてそう

風って妙に美化されてるけど、
単に爽子の萌えとエロスの塊に惚れ込んでるだけなような気がw
爽やかな顔して心の中で
萌えーーーって叫んでそうだもんw
525名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 13:16:26 ID:CUNJsxi0
>>523
本当だ、スタンバってるw
526名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 22:21:35 ID:U3LV3to4
>>521
光の速さで保存した。しかも制服って学校で何してるんだw

他の場所での話を出すと荒れるからぼかすけど
某所で見た爽子先生と風早弟に仄かにときめいたw
優しく教え上手な爽子先生に憧れる風早弟。
恋人がいるかどうかとかは謎。でも自分を見る目はほかの生徒に対するよりも
優しいような気がする。募る想いに兄に相談すると複雑な顔をしていたが
数日後兄に兄の部屋のクローゼットに隠れてるように言われ
訳がわからないながらも大好きな尊敬する兄の言う事だからと素直に聞く
風早弟。そしてそこにやってきたのは憧れの爽子先生だった。
ってとこまで妄想した。
誰か書かないか
527名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 22:28:05 ID:gZfBA6BD
勢いあるなぁ
528名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 23:11:02 ID:CUNJsxi0
>>526
S風が弟に現実の非情を教えるため、爽子に近づこうとした事への戒めのため
公開エチーが始まるんですね、分かります
529名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 20:55:28 ID:RIbOr8nc
>>528
やべめっちゃツボwえーす風!えーす風!
弟って何歳くらいなのかな
530名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 23:09:45 ID:xdO/RbTl
10〜12歳ぐらい、風と離れてるのでは?
勝手な憶測だが
531名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 00:38:50 ID:TzMn7VJK
神光臨まだー
532名無しさん@ピンキー:2009/03/24(火) 08:55:50 ID:rjJS6qBa
ほっしゅ
533名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 14:48:31 ID:M8xT136h
保守
534名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 20:24:11 ID:5ns70d+6
神・・・(´;ω;`)
535名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:12:09 ID:74Z7938e
泣くんじゃないよ。・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ヨチヨチ
アニメもあるしジャンルバブルで新規の神も
旧神々もやってくるさきっと
521タンとか見てて思ったけどイラストもいいね
イラスト職人は今のトコ521タンだけだけどさ
536名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:23:00 ID:oNZ9dYW5
エロ無しですが、職人様降臨の願いを込めて投下します。
風爽で、ほんのり甘?なお話です。
携帯からなので、改行などおかしな所があったらごめんなさい…orz
537名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:30:33 ID:oNZ9dYW5

放課後、いつものように担任から命じられた雑用をこなして教室に戻ってきたころには、もう夕方5時を過ぎていた。
今朝から降り続けていた大雨はまだ止む気配を見せず、ざあざあと教室の窓を叩きつけている。
爽子は先程から脳裏にかすめている嫌な予感を振り切るように、慌てて教科書類を通学鞄に詰め込んだ。急いで帰れば、きっと間に合うはず…大丈夫、大丈夫。
だが、爽子の祈りは惜しくも天に届かず、
次の瞬間、どぉん、と大きな雷鳴が静かな教室に響き渡った。

びくっと小さな肩を震わせて、爽子はゆっくりと窓の外に視線を向けた。

いつもは静かに佇んでいる中庭の白樺の樹が、ごおごおと不穏な音を立てて左右に激しく揺れている。雨に濡れたせいでぐっしょりとしなだれてしまった葉っぱがなんだか痛々しくて、少し泣きたくなった。

「はやく…帰らなくちゃ」
呟いた声は不安げな吐息と混ざって震えていた。
だが、はやる思いとは裏腹に、大きな雷鳴に驚いてすっかり足がすくんでしまい、爽子はしばらくその場で硬直したまま動けないでいた。
538名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:34:23 ID:oNZ9dYW5

すると、教室の扉が勢いよくガラリと開いて、髪を少し濡らした風早が中に入ってきた。
窓側の席で立ち尽くしていた爽子の姿を見つけるやいなや、ぱぁっと顔を輝かせて、あっという間に爽子の目の前に駆け寄る。

「やっぱり黒沼、まだ帰ってなかったんだ!」

にっこり笑いながら話しかけるも、いつもならすぐに返ってくる返事がない。
不思議に思った風早が、俯いている爽子の顔を覗き込んだ瞬間、
その澄んだ瞳のふちから、大粒の涙がぽろっと零れ落ちた。

「……くろぬま?」
「……ご、ごめんなさいっ…」

慌てて制服の袖で目尻を拭うも、次々と溢れ出る涙を止めることはできない。
ついに嗚咽まで洩れてしまいそうになって、こちらを見つめる風早の心配そうな顔にいたたまれなくなり、
くるっと素早く風早に背中を向けて、その場にしゃがみこむ。

「ごめんなさい、なんでもない、の…あのっ…ちょっと…急に雷が鳴って…えぇと…!」

どうしよう、上手く説明できない。

この雷の中、独りきりの教室で、世界に自分だけ取り残されたみたいで。
怖かった。誰でもいいから、そばにいてほしいと思った。

……ううん、違う。

他の誰よりも強く、現れてほしいと願った人がいた。
539名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:43:56 ID:oNZ9dYW5

途切れることのない雷鳴が、窓の外からゴロゴロと響いてくるのがわかる。
小さく丸くなって小刻みに震える爽子の肩に触れたのは、風早にとってはほとんど無意識の行動だった。
そのまま片手で彼女の頭を抱き寄せると、ひゃあっと戸惑ったような声が腕の中から聞こえてきた。

ぎゅう、と両腕に力を込めて、この愛しい存在が離れていかないように、と願いをかける。

ドキドキと波打つ心臓の音は、彼のものか、彼女のものか。

振り向いた爽子の赤く染まった顔を見て、
くすぐったいような恥ずかしさを感じつつも、風早はごまかすように小さく笑って、彼女の耳元にそっと唇を寄せた。


「大丈夫、そばにいるから」


だから、どうかこれからは、
孤独に泣いたりしないで。

引き寄せられた腕の中で、微かに聞こえる風早の心音が耳に心地良い。
雷鳴の不穏な響きですっかり怯えて緊張していた神経が、ゆっくりとほぐれていくのがわかった。


それからしばらく、風早は爽子が落ち着きを取り戻すまで、
なだめるように背中を優しくさすってくれていた。
そんな一つ一つの気遣いが嬉しくて、爽子は何度も泣きそうになるのを我慢した。
540名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 23:55:21 ID:oNZ9dYW5

日がすっかり暮れてしまったあとで、ようやく大雨と雷が止んだ頃、
二人は爽子が持参していた雨傘に並んで入り、雨上がりの通学路を歩いていた。

「…あの…風早くん、今更なんだけれど…」
「…ん?」
「あの時、どうして教室に戻ってきたの?」

隣を歩く風早を見上げて、ずっと気になっていたことを思いきって口にしてみた。

「あぁ、帰り道の途中で、玄関に置き傘してんの思い出してさ、
それで慌てて戻ったら、黒沼の靴がまだあったから…もしかしたらまだ残ってんのかなって思って」

少し恥ずかしそうに頬を染めて、爽子の視線から逃れるようにふいに目線を逸らせた。

「えっ…?じゃ、じゃあ、風早くんも傘持ってたんだ…!」

私ったら、それを知らないばかりに無理やり相合い傘みたいなことを…!

慌てて爽子が謝ると、風早はとんでもないとばかりに顔の前で手を左右に振った。

「…いやっ…あの、なんか勘違いしてたみたいでさ!結局、傘見つかんなかったんだ」

だから、黒沼が残っててくれて助かったよ、と今度はしっかり彼女の目を見て言う。

……本当は、彼の傘は生徒玄関の傘立てにしっかり残されていたのだけれど。

何気なく見た靴箱の中で、彼女のローファーがぽつんと置かれたままだと気づいて。

上手くいけば、黒沼と相合い傘ができるかもしれない。

なんて、密かな期待を込めて風早が教室に向かったことなど、爽子は知る由もなかった。




おわり
541名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 00:06:14 ID:BMhkidG/
以上です。お付き合い頂きありがとうございました!
話を書き上げた後で、爽子はあんまり雷とか怖がらないタイプかなぁ…とも思ったのですが…;
小さい時に一人で留守番してて、たまたまでっかい雷に遭遇して、それ以来ずっとトラウマ…という裏設定をくっつけておきます(笑)
ではでは、失礼しました〜。
542名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 00:15:17 ID:gAfpj+V3
GJGJ!!

さわこかわいいよ
543名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 00:54:52 ID:ONM+BwEN
GJ 風早が相合傘を期待して教室に行くあたりにワロスw
爽子可愛い。持ち帰りたい。給付金に合わせてセールしてくれ。
優しい空間だなあ。携帯で写真撮りたい抱き合う二人を。
544名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 01:04:05 ID:BZ4DfXJ7
GJ!GJ!
寝る前にほんわかな気分になれて、いい夢みれそうだ
545名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 12:46:46 ID:fqwfDesW
GJ〜!!
雷にビビるさわこかわいい!
原作のさわこはたしかに雷を怖がるタイプじゃなさそうw虫とかもw
女の子らしくてか弱くみえるけど、神経図太そうで笑えるww
むしろそういうとこが逆にかわいいw
546名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 14:50:45 ID:6v/EmsHY
GJ!!
ぶっちゃけアニメはあんまり期待してないからここで充電する!
547名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 20:15:56 ID:Rbl2gFf+
まさかの神降臨!
GJです!
キュンキュンした!
548名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 21:10:49 ID:iDZIwBW2
うわー。GJ!
そんなキュン話の後に書くのもためらわれるが526さんの期待に応えて書いてみた。
NGワードは「水中花」で。
549水中花:2009/03/26(木) 21:12:04 ID:iDZIwBW2
翔太君のお部屋、何も変わってない。

高校時代に何度かお邪魔した風早の部屋。
初めて訪れた日は心臓がバクバク音を立てているのが聞こえちゃうんじゃないかと思うくらい緊張したけれど
実際部屋に入ると、そこは風早のにおいで満ちていてすごく安心したことを思い出す。

一緒に勉強したり、アルバムを覗いたりした日。
2人が初めて口づけを交わしたのも、初めての夜を迎えたのもみんなこの部屋だった。

ちょっとだけ昔の、まだ学生時代の出来事に想いを馳せて
爽子は自然に笑みがこぼれた。


「明日は親も弟もいないから久しぶりに俺の家に来ない?」
爽子が風早にそう告げられ、やってきた土曜日。
爽子は今年大学を卒業して母校である北幌高校の教師になった。
副担任として受け持つことになった生徒の中に風早の弟が存在するため
爽子は風早の家に行くのを遠慮していた。
大学も北幌からは距離があったため、
風早の家に遊びに来たのは実に4年ぶりの事なのだった。


コーヒーの香りが漂ってきて爽子は扉のほうへ目を向ける。
爽子お手製のお菓子とコーヒー、爽子のための紅茶をトレーにのせた風早が階段を上がる音がする。
この光景も昔と変わらない出来事だった。

しばらくお互いの近況を報告し合ったあと、風早は爽子に
「うちの弟はちゃんとやってるの?」と問うた。
「もちろん!翔太君と同じように、いつも笑顔で、皆をまとめてて・・・・・
すごいなあって尊敬するよ!」
爽子の答えに風早は弟のことを褒められ嬉しい表情を見せたが
同時に何か悩む様な複雑な表情をも見せたため、爽子は首をかしげた。
550水中花:2009/03/26(木) 21:14:24 ID:iDZIwBW2
「今日はさ、昔みたいに風早君って呼んでよ?俺も黒沼って呼ぶから。」
唐突な風早の提案にどこか今日の風早はいつもと違うことに気づく爽子だったが
そのことを問いただす間もなく風早に抱きすくめられる。
「翔太くん?」
「風早君、でしょ?黒沼」
いたずらっこのような顔を見せる風早に爽子は安心する。そして
「か、かぜはやくん・・・・」と久しぶりに苗字で恋人の名を呼び、照れた表情になった。
高校生の頃の風早の苗字を呼ぶだけでいっぱいいっぱいだった日々を思い返したからだ。

「黒沼っ」
そんな爽子の表情を見つめ、何度も爽子を呼びながら
次第に風早は切ない目つきになっていき
そのまま深いキスを交わし、爽子の服をゆっくり脱がせていった。

風早はいつも爽子の事を壊れやすい宝ものを扱うように慈しむように求める。
今日もそれはいつもと変わらなかったが、
いつも以上にゆっくりと一部分ごとに指を這わす風早に
いつしか爽子は風早の異変を忘れ 風早くん、と何度も呼びながら果てた。

風早はベッドの中で眠る爽子を愛おしそうに見つめた後
「ごめんな」と一言言ってお風呂を入れるため階下へと向かった。

551水中花:2009/03/26(木) 21:15:17 ID:iDZIwBW2
クローゼットの中で一部始終を見ていた風早弟は衝撃を隠せなかった。
ほのかに恋心を抱いていた憧れの爽子先生と尊敬する兄の情事は
まだ高校生活が始まったばかりの風早弟には刺激が強すぎた。
だが。


「しょーたの彼女、笑うと凄く可愛い」


風早が初めて爽子を家に連れてきた日、風早弟は家にいた。
最初爽子を見た第一印象は「ちょっと暗い感じの人」で
どうして兄がこの人を恋人に選んだのか不可解だった弟だったが
風早の家族と一緒に夕飯を食べた時に見せた爽子の笑顔を見て
いっぺんに彼女のことが好きになった。
この笑顔にしょーたは惚れたのかな?
そう思いながらドキドキした幼かったあの日。
風早弟の淡い初恋は爽子だったのかもしれない。

あのお姉さんは爽子先生だったのか。
今思い返すと、爽子が教室で見せる笑顔は、
あの日兄の彼女が居間で見せた笑顔と変わらないように思えた。

結局昔も今も、好きになった女性は兄のものなんだ。

少しさびしく思いながら、自分が好きになった女性が選んだ相手が尊敬する兄であったことを誇らしく思う気持にもなる。

「爽子先生」
弟はクローゼットから物音をたてないように出て、未だ兄のベッドで眠る爽子を見つめる。
今ならば。
兄が階下に降りている今のうちであれば、呼吸のたびに上下している爽子の薄桃色の果実に指を這わせることができるかもしれない。
憧れてやまない爽子先生が、自分の指や口で甘く切ない声を聞かせてくれるかもしれない。

自分の前で無防備に眠る爽子を見て風早弟はその思いを遂げたいと考えた。
しかし。

「今日の午後、お前クローゼットの中に隠れてろよ」
そう自分に告げた時の兄の顔を思い出す。
先ほどの情事で見せた、爽子をとても大切に扱っていた兄のことも。
自分が爽子先生への憧れを口にした後、
兄は何度もどうするのがいいのか考えたに違いないのだ。
そして、自分のために本当は他の誰にも見せたくなかったであろう恋人の姿を敢えて見せることを決意した兄。
そんな兄を裏切るようなことはできない。

「爽子先生、好きです」
爽子が起きないように小声で告白し、風早弟はそっと爽子の額に口唇を落とした。
「かぜはやくん。大好き」
その時夢ごこちで言った爽子の声を聞いて切ない思いを抱いたまま、
風早弟は兄の部屋を後にした。
552水中花:2009/03/26(木) 21:16:40 ID:iDZIwBW2
翌日。
複雑な思いで弟を見る風早に弟は
「昨日あんまりにもいい天気だったからさ。
しょーたのクローゼットの中で寝ちゃってたよ」
とうそぶいた。
風早も、自分を思って昨日の一部始終を「見なかった」ことにしようとしている弟に気づいていた。
「そっか、悪かったなあんなとこに居させて」
そう微笑む風早に、弟は微笑みを返した。
昨日の美しかった爽子先生を思い出しながら。  (了)
553名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 21:24:22 ID:BMhkidG/
GJGJ!

ちょ なんというドS風早www
弟切ないなー可愛いなー萌えー(*´∇`*)
554名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 21:56:12 ID:ONM+BwEN
GJすぎる…!
弟可愛いよ切な可愛い 二度の初恋がどっちも爽子なのね
風早はS風だけど 弟への愛も感じられるよ!
宝物みたいに爽子扱う風早に萌えス(*´д`*)ハァハァ
時折ここは祭が起こるからたまらん
ほら534タン言ったとおりでしょ
ちゃんと神は降臨するじゃないか
555水中花:2009/03/26(木) 22:12:57 ID:iDZIwBW2
おおっと。GJと言ってくれた皆thanks!
タイトルの「水中花」は
「綺麗な花をこの手に取って眺めてみたいけれど水の中に咲く花は決して触れることができない」
という意味。
綺麗な花は爽子。触れられないのは風早弟。
556名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:46:48 ID:HMcacYPC
風早ファミリー祭(?)に便乗させてくださいw
弟くんの話を読んで、風早家の妄想が止まらなくなっちゃったんで、
受信した電波をうっかり文にしてしまいました

風早ママン目線です。
風爽付き合いたてなかんじで

携帯から投下するので、読みにくかったらごめんなさい!



□□□


「しょーたーっ!そろそろ起きなさーいっ!」


いつもと変わらぬ、日常的な我が家の朝の風景。
なかなか姿を見せない寝起きの悪い我が息子に、ほとほと呆れ返りながら、
すでに顔を洗って着替えを済ませた次男と顔を見合せ、二人で溜め息をつく。


「昨日の今日だからなぁ…あいつ、ゆうべは興奮して寝付けなかったんじゃないか?」

マグカップに牛乳を注ぎながら、夫が含み笑いで目配せしてきた。

……なるほど。
ごくごくと喉を鳴らして牛乳を飲み干す夫の意見に納得して、
もう一度、二階の息子の部屋に続く階段に目を向けた。


―――昨日、息子にはじめての彼女ができた。
557名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:52:24 ID:HMcacYPC

時は昨日の晩飯時に遡る。
一家4人で食卓テーブルを囲んでの晩御飯。
お手製のクリームシチューを美味しそうに頬張る夫と息子たちを眺めて、目を細める。

ふと、目の前に座る長男の心ここにあらずな様子が気にかかった。
最初に二口ほどスプーンを口に運んで以来、かちゃかちゃとシチューを掬うだけで、まったく食が進んでいない。

「…翔太、どっか具合でも悪いの?」

ワンテンポ遅れて、「…別に、」と適当な返事が返ってくる。

「食欲ないの?」
「…そんなことないけど」
ならどうして、と言いかけた私の問い掛けを遮って、隣に座る夫が面白そうに口を開いた。

「胸がいっぱいで、食べられないんじゃないのか?」
にやにや、という効果音が聞こえてきそうな夫のにやけ顔に、不思議に思った次男が声を上げた。

「とーちゃん、どーゆうことー?」

何故か先程から絶句している長男の目を覗き込んで、心底楽しそうに夫は続けた。


「…黒髪の、ロングヘアー」


がたんっ!と大きな音を立てて勢いよく立ち上がった長男は、顔から耳たぶまで真っ赤に火照らせて口をぱくぱくしている。

「なっ…んで…知っ…!」「夕方、河原で手ぇ繋いでただろー」
「やっ…ちがっ!あれは黒沼が転びそうになったから…!」
「へぇー黒沼さんっていうのか、あの娘」
「わーーーっっ!!」

慌てて夫の口を塞ごうとして手を伸ばした長男の顔は、もうこれ以上無いというほど赤く染め上がっていて。
しゅうしゅうと音を立てて、耳から湯気まで出てきそうだ。
そのあまりに滑稽な長男の様子に、思わず吹き出してしまった。

「…かーさんまで…わっ…笑うなよ…っ!」

じろりと睨んでくる顔が、なんとも可笑しくて笑いをこらえる。

「ふふっ…いいなぁ、お母さんも翔太の彼女にお目にかかりたいわぁ」

「…ぜってーやだっ!!!」


両親に散々からかわれ、すっかりむくれた長男は、
ヤケクソのように食べ掛けのシチューをかっ込んだのだった。

558名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:55:52 ID:HMcacYPC

あのあと、しばらく両親にからかわれ続けた息子は、
今日、長く片思いをしていた黒沼爽子というクラスメイトに思いを告げて、
めでたく愛しの彼女と恋人同士になれたということを、うっかり自白させられたのだった。



そんな昨日の出来事を反芻していると、やっとのことで二階から階段を下りてくる音が聞こえてきた。
がちゃりと廊下から居間に続くドアが開き、のろのろと寝ぼけ眼の長男が顔を出した。

「おはよ…」

「もうっ!今何時だと思ってんの!」

早くご飯食べないと遅刻するよ!と、長男の分の目玉焼きを乗せた皿をテーブルに置く。
あくびを噛み殺しながら、箸で目玉焼きの黄身を割って口に運ぼうとした長男が、ふと思い出したように口を開いた。


「…そうだ、黒沼と待ち合わせしてたんだった!」


それからの彼は、まさに電光石火の如く朝の身支度を済ませると、起床してからものの10分ほどで、
玄関から朝の通学路に飛び出していった。


「恐るべし、愛しの爽子ちゃん効果…だな」

出勤のために背広の上からコートを羽織った夫が、苦笑いしながら息子が出ていった玄関を見つめていた。
559名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 01:59:48 ID:HMcacYPC
その日の夕方、学校から帰宅した息子の顔は、
昨日とはまるで正反対の、生気が感じられない青い顔をしていた。
こめかみ辺りにうっすら縦線が何本か並んでいそうな落胆ぶりに、なんだか心配になる。


「……おれ、なんであんなことしちゃったんだろ……」


ぽつりと呟いて、そのまま居間のソファーにダイブすると、思い出したように唸り声を上げながら両手で頭をがしがしとかきむしっている。


こりゃあ…愛しの爽子ちゃんと、トラブルかな?


なんて勝手に予想を立てていると、タイミングを見計らったように、玄関のチャイムが鳴った。

お隣さんから回覧板かしら、などと思いながら玄関のドアを開けると、
そこには、一人の見知らぬ少女がなにやら深刻な面持ちで立っていた。

息子と同じ高校の制服を身に纏い、腰まで伸びた長い黒髪をなびかせながら、
風でとんでしまわないように、と頬のあたりで髪の毛を片手でおさえている。

少しつり目がちな大きな瞳が、びっくりしたように見開き、
そうっとこちらの様子を伺うように上目遣いになった。
560名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 02:07:08 ID:HMcacYPC

「あ…あのっ…はじめまして!
わたし、風早くんの…クラスメイトの、黒沼爽子と申します…っ、
突然、お伺いしてすいません!
えぇと…風早…しょ、しょうたくんは、いらっしゃいますか…!?」


一気にそれだけ言い終わると、ひどく緊張しているのか、震える指先でぎゅっと制服のスカートを握りしめた。


「――……くろぬま!?」

玄関先の彼女の声が居間まで聞こえていたのだろう、
私がなにか言う前に、慌てた様子で息子が廊下に顔を出した。


「……か、かぜはやくん…!」


息子の姿を目に捉えた彼女は、その大きな瞳にじわっと涙を浮かばせると、勢いよく頭を下げた。


「さっきは…ごめんなさい!
わ、わたし…思い切り、突き飛ばしたりして…っ!
…風早くんは、なにも…悪くないのに…っ!」


涙声になりながら、必死に訴えかける爽子ちゃんの目の前に立つと、
息子は紺色のブレザーに包まれたその細い肩に触れた。
まるで繊細で壊れやすい宝物に触れるような仕草で、彼はそのままゆっくりと彼女の体を引き寄せた。


「…おれのほうこそ、ごめん……
いきなりあんなことして…怖がらせんの、わかってたのに。
黒沼みてたら、がまんできなかった……
びっくりさせて、ごめんな」


抱きしめられた腕の中で、爽子ちゃんがふるふると首を横に振ったのがわかった。
561名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 02:11:21 ID:HMcacYPC


……と、いうか…我が息子よ、
後ろにいる母の存在を、忘れてはいないか?


目の前で繰り広げられる、実の息子とその彼女の甘い囁き合いを眺めつつ、

さて、はたしてこのまま成り行きを見守っているべきか、
それとも二人に気付かれないように、さりげなく居間に戻って爽子のためのお茶を用意すべきか…。



数秒ほど悩んだのちに、やはりここは空気を読んで、
甘いムードを壊さぬようにこっそりと姿を消そうと、静かに居間に戻って、
紅茶用のポットとティーカップを食器棚から取り出した。

そのままキッチンで水を入れたヤカンに火を付けながら、
思わず浮かんだ疑問を口にしてしまった。



「それにしても……
一体、なにをしでかしたんだ、息子よ……」



キッチン台に手をついて、溜め息をつきながら額に手を当てて呟くご主人様の母親の後ろ姿を、
風早家の飼い犬であるマルちゃんだけが、不思議そうに眺めていた。




おわり
562名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 02:17:51 ID:HMcacYPC

以上です。お付き合いありがとうございました!

ぶっちゃけ需要があるのかどうか、わかりませんが…ww

風爽が無事にくっついたのち、
爽子は風早家全員から可愛がられてたらいいなぁ、という妄想から生まれた話でした。


ちなみに、風早さんちの翔太くんがなにをやらかしちゃったのかは、
皆さんのご想像にお任せしますwww

563名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 07:39:53 ID:GBTV0+6+
>>548
うわあああああGJ!!!
読みたかったから嬉しい
弟、切ないなー

>>556
GGGJ
凄い読みやすかった!
ママンの呆れたような表情が目に浮かんでワロタ
何したんだ風早w
564名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 20:04:39 ID:rx8sWw0C
>>548
526だけど まさか書いてくれるとは思わなかった!
ありがとうゴッド
呟いてよかった
弟が切ない 可愛い キュンとするなあ
>>556
GJ!
可愛いな。爽子が来たら風早そっちのけで爽子をちやほや
可愛がりそうな一家だ。
「あの、『俺の』彼女なんで…」って涙眼風早が浮かんだw
565556:2009/03/28(土) 12:53:39 ID:HowwIHtI
GJありがとうございます!

「あの、『俺の』彼女なんで…」
吹きましたww
風早カワイソス(´・ω・`)
566名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 16:39:40 ID:b10TD9Qg
みんなみんなGJだよおおおおおおおおお
久々にニヤニヤできました
567名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:11:00 ID:tkFyDcXX
本誌でも期待したい修学旅行編を投下。
風早ちょい積極的。
エロは薄めです。


…例の如く、エロの書けないヘタレでごめんなさいorz

で、でも!今回はわりと頑張った方なんだよ!
568名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:12:11 ID:tkFyDcXX

修学旅行で京都の旅館に来ていた爽子たちは、温泉に入り終わると浴衣に着替え、
事前に呼び出されたピンの部屋の前に集合した。

「ったく、ピンのやつどういうつもりよ!こんな時間に呼び出しといて…」

「どーでもいい用事だったら張り倒してやるっ」

ピンからの呼び出しのせいでゆっくり風呂にも浸かれなかった、
とぐちぐち文句を言っているのは、千鶴とあやねである。
そんな二人の横で、「でも、何か大事な用事かもしれないし…」と必死でフォローしているのは、
風呂上がりなので、長く伸びた黒髪を頭頂部でおだんごにまとめた爽子だ。


「…あれっ?黒沼!?」


名前を呼ばれて振り向けば、爽子ら三人と同じく浴衣姿の風早と龍がこちらに歩いてくるところだった。

「お前らもピンに呼ばれたの?」

艶やかな浴衣姿の爽子をちらりと横目で見て、慌てて目を逸らしながら風早が続ける。

「他の生徒にバレないようにこっそり来い、って言われたのよ」

ピンに言われた通り、爽子達は浴場が空いている時間帯を狙って入浴し、そのまままっすぐピンの部屋に来ていた。

「俺らもおんなじこと言われた。…なぁ、龍?」

隣でぼーっとしている龍に話を振れば、眠たそうな顔で龍がこくりと頷いた。

その時、目の前の部屋のドアががちゃりと開いて、中からピンが首だけを覗かせて風早達を見回した。

「……よし、全員いるな。静かに入れ」

そう言ってなにやら目配せすると、ドアを大きく開いて廊下にいた風早達を部屋の中に誘導した。
569名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:14:37 ID:tkFyDcXX

「一体なんの用だよ、ピン」

訝しそうにピンを見上げて風早が溜め息をつく。

怪訝な顔をした風早を一瞥して、ピンは皆の後ろの方で成り行きを見守っていた爽子に声をかけた。


「…黒沼……この部屋、なんか感じるか?」


はぁっ?と爽子と龍以外の三人が呆れた声を上げる。

問いかけられた爽子は、きょとんとした顔で、こめかみに軽く冷や汗をかくピンを見上げた。

「…えぇと……特に、なにも…感じませんが」

きょろきょろと部屋の中を見渡して、
「私たちが使う生徒用の部屋とは、ほとんど同じだものね」
と、ピンの問いかけに爽子流の間違った解釈をして、不安そうなピンを見つめて言った。


「…そうかっ!黒沼が言うなら安心だな!」

よーし、これで安心して夜通し酒が飲める!
などと、急に元気になったピンは、備え付けの冷蔵庫の中からコンビニ袋を取り出し、
なにやらガサゴソと手を突っ込んで、小ぶりなサイズの焼酎の瓶を数本引っ張り出した。

「よし、黒沼!お酌しろ!」

すっかり機嫌を良くしたピンが、未だ話がよく見えていない爽子を手招きした。

駆け寄った爽子に冷蔵庫の上からグラスを持ってくるように言い、
絶句していた爽子以外の一同を振り返って声高らかに宣言した。


「よし!お前ら!今夜は俺の酒飲みに付き合え!」

570名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:16:58 ID:tkFyDcXX



…数時間後。

すっかり酔っぱらったピンを尻目に、最初はぐちぐちと抗議の声を上げていた風早達も、
ピンがコンビニで買い込んだジュースやスナック類を広げ、皆で語り合ったりしながらそれなりに楽しいひとときを過ごしていた。


「…おーい黒沼ぁー!酒持ってこーい!」

爽子が先ほど注いだばかりのグラスをあっという間に空にして、
ピンが呂律の回っていない口調で爽子を呼ぶ。

残り一本になった焼酎の瓶を手に取り、慌てて立ち上がった爽子の腕を、
強い力でぐいっと引っ張る感触があった。

驚いた爽子が振り返ると、隣に座る風早がどこか熱っぽい瞳で、じいっと爽子を見上げていた。


「行かないでよ」


突然の台詞に、動揺を隠せない爽子は何も言うことができない。


「ピンのとこなんか、行かないで」


再度、爽子を見つめる熱い瞳がゆらりと揺らぐ。
風早の熱視線に耐えかねた爽子が、腕を掴まれたまま一歩後ろに下がろうと身を引くと、
逃がすもんか、と言いたげに掴んだままの腕な力を込めて、
風早は勢いよく爽子の体ごとこちらに引き寄せた。

571名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:19:16 ID:tkFyDcXX

その瞬間、爽子が持っていた焼酎の瓶がするりと爽子の手から滑り落ち、
そのままテーブルの上に落下したかと思うと、
大きな水しぶきを上げて中身の焼酎が辺り一面に飛び散った。


一番被害を被ったのは風早と爽子で、
特に座っていた風早は頭から焼酎のしぶきを被り、水浸しになっていた。
爽子は風早ほどではないが、勢いよく飛び散った焼酎がうっかり口に入ってしまったような気がして、
先ほどから感じている顔の辺りの熱っぽさはそのせいか、と一人納得した。


「…ごめん、黒沼、だいじょうぶ?」


問いかけられて、はっとして風早を見ると、
前髪からぽたぽたと焼酎の雫を滴り落としながら、申し訳なさそうにこちらを覗き込んでいた。

「かっ風早くんこそ!お酒まみれになっちゃって…」

洗面所で洗い流さなきゃ!
と爽子が慌てて風早の手を引き、部屋の奥にある洗面所のドアを開き、中に風早を誘った。

風呂場に続くドアを開け、浴室に備え付けられた洗面器を持ち出すと、
その中にぬるめのお湯を張り、壁にかけられた小さめのタオルをそこに浸すと、力いっぱいタオルを絞って水気を切った。

「ちょっと気持ち悪いかもしれないけれど…ごめんね」

水気を絞ったタオルを丁寧に畳み、そうっと風早の頬を撫で拭いた。
焼酎のべたべたを取り除こうと、力を入れすぎないように優しく、入念に風早の顔面を拭いていく。

爽子のほどよい力加減と、ふわふわのタオルの感触が心地よくて、
風早はしばし目を閉じて、爽子に身を委ねていた。

572名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:22:29 ID:tkFyDcXX


「…だいたい拭き終わったよ…風早くん、大丈夫?」

しばらく目を閉じていた風早が、爽子の声に目を開けると、
予想外の至近距離で爽子の顔が目に入り、
爽子の黒目がちな大きな瞳に吸い込まれるように、じっとその澄んだ瞳を見つめ返した。


「……風早…くん?」


返事がないのを不思議に思った爽子が、上目遣いでじっとこちらを見つめてくる。
風早はすっかり爽子の瞳に捕らえられていた。
頭がぼおっとして、思考が追い付かない。
どうしてこんなに熱っぽいんだろう。
ひょっとして、ピンのやつジュースの中にチューハイでも紛れ込ませてたんじゃないか?


ああ、でも今はそんなことどうでもいい。

目の前の彼女をいとおしく思う気持ちが胸いっぱいに広がって、今すぐ溢れ出しそうだ。


………触れたい。



ぷつり、と理性が途切れる音を聞いたような気がした。

気付いたら、目の前の彼女の柔らかい唇を塞いでいた。
何度か触れるだけのキスを繰り返して、
彼女が呼吸をする為に少し開いた唇の間を舌で割り込んだ。
困惑した彼女が手のひらで自分を必死で押し返そうとしているのを感じて、
その小さな白い手のひらも自分の指に絡めて、洗面所の壁に打ち付けた。

573名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:25:53 ID:tkFyDcXX


「……んんっ…ぅ…ぁっ…はぁっ…」


繋いでいない方の手で、うっすらと紅色に色づく彼女の頬に触れると、マシュマロみたいな柔らかい感触がした。
そのまま首筋からうなじにかけて指先でするりと撫でると、
腕の中の彼女が微かにぴくり、と反応する。

その愛らしい反応にすっかり気を良くして、更に手のひらを降下させていく。
浴衣の合わせから胸元に割り込んで、なだらかな鎖骨に触れた。
その下には下着のレースの感触があって、レースに包まれた二つの柔らかい膨らみを想像してしまい、
かあっと頭に血が昇るのを感じた。


「……やぁっ…か、ぜはゃ…く、っ……」


喘ぎ声に紛れて、彼女が自分の名を呼ぶ。
それだけで胸がいっぱいになって、泣きそうに激しい感情が押し寄せてくる。


バスタブの縁に手を付いて、彼女の細い体を無理やり反らせて再び唇を奪った。
574名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:28:50 ID:tkFyDcXX

口内に下を這わせながら、再び彼女の柔らかい肌に触れようと手を伸ばした、

その瞬間、



ざああっ
と、二人の頭上から生温い水が勢い良く降ってきて、
ひどく驚いた二人は、思わず声を上げて互いの体を引き剥がした。
目線を上に向けると、バスタブの横に備え付けられたシャワーの口から、
すごい勢いでお湯が吹き出していた。


どうやら、先ほど風早が腕を伸ばした時に、誤ってシャワーのレバーをひねってしまったらしい。


降ってきたシャワーの水のおかげですっかり平静を取り戻した二人は、
つい先ほどまで繰り広げていた甘く濃厚な情事を思い返して、
危うく沸騰しそうなほどに顔を赤面させた。


バツが悪そうに目を逸らせた風早が、
胸元が乱暴にはだけかけた爽子の浴衣を急いで正しながら、

もう少しで聞き逃してしまいそうな声で、
ぽつりと呟いた。



「…続きは、また近いうちに、ってことで」






おわり
575名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:36:37 ID:tkFyDcXX
以上です。お付き合い頂きありがとうございました!

「続きは近いうちに」
としっかり期待しているあたり、
下心アリアリなのがモロバレですね、風早。


そういえば、保管庫に移管するにあたり、
タイトルとか付けた方がいいんでしょうか?
今まで10個ほどお話を投下してますが(多ッ)
一度もタイトル付けて投下したことないんですよね…。

やっぱりタイトルあった方が解りやすいのかな?
そこんとこどうなんでしょ…管理人さん。
(もし見ていらっしゃれば、こっそりと教えてくれると嬉しいです…!)
576名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 22:51:01 ID:b10TD9Qg
567タソのがんばりに全米が涙した!!!
GJ!!
577名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 23:42:40 ID:F2L7rc6+
10個も凄えっ
浴衣ははだけさすためにあるようなもんだよね
可愛かったよGJ!!!
578名無しさん@ピンキー:2009/03/30(月) 12:45:40 ID:uSswQHbf
GJ!
可愛いなあ ピンの暴君ぶりにフイタw
てか風スケベめ我慢しきれないんだね
その我慢のなさに萌えるよw
もっとやれ

管理人ですがタイトルはあったほうがいいですね。
基本レス番でタイトル付けしてるんでまとめの手間とかは別に変わんないんですが
来訪者さんが見るときに探しやすいと思うんで。
579575:2009/03/30(月) 14:10:52 ID:JqRSCDwP

GJありがとうございます!

>管理人さん

GJありがとうです。
タイトルの件ですが、承知しました!

そこでお願いがあるのですが、私が過去に投下して保管庫に移管してある
タイトル無しの話に、編集でタイトルを付け直していただけないでしょうか?

自分で編集できるのかと思い試してみたのですが、できなかったので…。

お手数をお掛けしてしまって申し訳ありませんが、
どうかよろしくお願いします。

投下番号とタイトルを載せておきます。

1→黄昏にふれた
69→たとえば、こんな未来
176→朝の光をあびて
326→幸福な痛み
340→いつかのバレンタイン
350→チョコレートより、甘い時間
537→雷が止むまでに
556→青春観察日記
568→シャワーに溶ける熱

これで来訪者さんが閲覧しやすくなれれば幸いです。
管理人さん、お時間があるときでいいので、よろしくお願いします!
580名無しさん@ピンキー:2009/04/01(水) 19:04:35 ID:jFoZ4Pvb
保守
581575:2009/04/01(水) 19:29:01 ID:RbyNCp67

まとめwiki管理人さん、タイトル編集してくださりありがとうございました!

しっかり確認しました。本当に助かりました。

これからもちょくちょくお話投下に勤めますので、
保管庫への移管作業、よろしくお願いいたします!


ではでは。
582名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:57:44 ID:yK0rqMDE

以前、未来捏造モノ(風爽の息子「快人くん」登場モノ)を投下させていただいた者です。
続編のネタが下りてきて、うっかりマッハで書き上げてしまったので投下させてください…。
需要があるかどうかはわかりませんがw いやむしろ無いかもしれないんですがw
自ブログでの公開のみにしようと思ってたのですが、少しでもスレの活性化に貢献しようと思いまして…!
では、↓からどうぞ。


□□□□□



夕陽が静かに沈む頃、快人はひとり放課後の家路を歩いていた。

結局、ねねからはバレンタインのチョコレートは貰えなかった。
…正直、すごく期待していただけに、ショックが大きい。

「義理チョコくらい、貰えるかと思ってたんだけどな…」

ぽつりと寂しげに呟いた言葉は、吐息と共に真冬の寒空に向かって白く浮かんで消えた。



父が営む動物病院と同じ敷地内にある自宅の玄関に着いて、ドアを開ける。


「…ただいまー…」


すると、すぐにエプロン姿の母が居間から顔を覗かせた。


「おかえりなさい、快人くん! 外、寒かったでしょう? 温かいココアでも淹れようか」


ふわり、と優しく花のように微笑んで、
もう自分よりすっかり背の高い愛しの息子を見上げて、目を細めている。


「いいね。ほんとに外、寒かったんだ」


早く飲みたいな、と憂鬱な気分を吹き飛ばすように、無理やり笑顔を作って、
母と共に居間へと続くドアを開けて、暖房の効いた暖かい部屋に足を踏み入れた。


キッチンで二人分のココアを淹れている母の背中を見つめながら、
ダイニングテーブルの椅子に腰掛けると、待ってましたとばかりに愛犬のマルちゃんが勢い良く足に絡み付いてきた。
テーブルの下に屈み混んで、両手でふわりと愛犬を抱き上げると、嬉しそうに尻尾を振っている。


「マル、ただいま」


「おかえり」と返事を返すように、元気な声でマルちゃんがワン!と鳴いた。

583名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:02:12 ID:yK0rqMDE

膝の上で丸まるマルちゃんを撫でながら、母と向かい合ってテーブルでココアを飲んでいると、
動物病院と繋がっている裏玄関のドアが開き、白衣姿の翔太がどこか疲れきった面持ちで姿を表した。


「…ただいまー…」


その口調が、先ほど帰宅した息子の言い方とそっくりだったので、
夫の分のココアを淹れようと席を立った爽子は、ガスコンロのヤカンに火を付けながら、
二人に見えないように背を向けて、こっそりと幸せそうに微笑んだ。



爽子お手製のマカロニグラタンを食べ終えて、夕食後のまったりとした時間を、
家族揃って居間のソファに座り、テレビを眺めて過ごしていた。

トイレに行くと言って席を立った翔太が戻ってきた時、さっきまで座っていたソファの爽子の隣には腰掛けず、
なにを思ったのか、そのまま爽子の後ろにまわり、愛しの妻の背中を両腕でぎゅっと抱きしめた。


「わぁっ!…しょ、翔太くん…!?」


驚いた爽子が振り向くと、なんでもないとでも言うように、
「…なんとなく」とだけ小さく囁いて、
柔らかなハーブのシャンプーの香りがする爽子の髪に顔を埋めてしまった。
584名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:08:04 ID:yK0rqMDE


爽子の隣で一部始終を傍観していた快人は、もう慣れっこになっているものの、
やはりどこか冷めた目線で我が両親を見つめていた。



「…………俺、二階行ってようか?」




息子として、せめてもの心配りである。

こんなことは日常茶飯事に起こりうることなので、特に驚くことも、気にしたりすることもない。


「ええぇぇ…!? ちょ、快人くんっ…!!」


旦那様の腕の中で、助けを求めるように必死で息子に声を掛けるも、
どこか生温かい眼差しで、「…ごゆっくり」と返されてしまった。


同じくソファの上で寛いでいた愛犬にも、
「さ、邪魔者は退散するぞ」と声を掛けると、
未だ父の腕の中で身動きが取れない母の赤く染まった顔を尻目に、
マルちゃんと一緒に、廊下に続くドアを開けた。

てててっと軽快な音を立てながら、二階の自分の部屋へと続く階段を駆け上がる飼い犬を追いかけて、
自分も自室に向かおうと階段に足を掛けたところで、
タイミングよく、玄関からピンポーン、というチャイムの音が廊下に響き渡った。
585名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:11:43 ID:yK0rqMDE


誰だろう、こんな遅い時間に…?
と訝しく思いながら、恐らく居間でお取り込み中であろう両親の代わりに、
スイッチを押して玄関フードの灯りを付けて、ドアを開けた。


月明かりと玄関の電灯に照らされて現れたのは、快人の幼馴染みである、三浦ねねだった。

毛糸の帽子を被り、帽子とお揃いのマフラーを首に巻いて、
暖かそうなダッフルコートに身を包み、どこか仏頂面で寒空の下、ぽつんと玄関先で佇んでいる。


「…ねね…!? どした、こんな時間に…」


快人が言い終わらないうちに、ずいっと胸元に何かが押し付けられた。
目線を下に向けると、可愛らしいペーパーバックの中に、
ピンク色の包装紙で包まれた小さな箱、それを結ぶ赤いチェックのリボンが見えた。



「……さっき、辰己のとこにも寄ってきた」


学校で、渡せなかったから…。

ほんのり頬を桃色に染めて、恥ずかしそうにねねが俯く。
586名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:14:45 ID:yK0rqMDE


胸の中にじわじわと広がっていく幸福感を感じながら、快人は満面の笑みで顔を上げた。


「ありがとう! 大事に食べるよ!」



途端に、ほっとしたようにねねが引きつっていた頬を緩めて、ふんわり微笑んだ。


「今年も、いつもみたいに快人と辰己に義理チョコあげようと思ってたのよ」


漆黒の闇の中に、小さな星がキラキラと瞬く冬の夜空の下、快人とねねは、並んで夜道を歩いていた。
こんな遅い時間に女の子ひとりじゃ危ないから、と快人が提案したのだ。

さりげないジェントルマンな気遣いができるところは、しっかり父のDNAを受け継いでいる。


「ママが…『あんたは快人と辰己のどっちが本命なの?』なんて言うから…」


こちらを窺うように、快人の顔を見上げる。


「…えっ…じゃあ、このチョコ……?」



心臓が早鐘のようにドクドクと波打っているのがわかる。


隣で俯くねねの返事を待って、快人は密かに息を整えた。


ねねのチャームポイントである、ふっくらとした柔らかそうなピンクの唇から、
吐き出された吐息が、外気に触れて真っ白な息に変わる。

ふわふわと星空に向かって消えていく吐息の向こう側で、
ねねのいたずらっ子のような無邪気な笑顔が見えた。
唇に人差し指をあてて、垂れ目がちな大きな瞳を細める。




「―――ないしょっ!」





おわり
587名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:30:31 ID:t9rd4l9K
>>582
gj!!投下ありがとです。
こういうのもいいですねw

ラブラブな風パパと爽ママもっと見たいwwww
588名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:31:42 ID:yK0rqMDE

以上です。お付き合いありがとうございました!

読んでくださった方がちょっとでもキュンってなってくれたら嬉しいなぁ、と思います。


ちなみに、「辰巳(たつみ)」というのは龍と千鶴の息子です。
龍と同じくそれらしい動物系の名前をつけてみました。

そして、文中に登場するマルちゃんは、二代目マルちゃんです。
初代マルちゃんは、ちょうど快人くんが生まれた年にご臨終なされて、
しばらく風早家にはペットがいなかったのだけれど、
5歳になった快人くんがある日、かつて少年風早が初代マルちゃんを拾った河原で遊んでいたら、
同じ場所にダンボールに入っていたマルちゃんそっくりの子犬が捨てられていて、
そのまま子犬を自宅に持ち帰った快人くんは、
翔太パパと爽子ママに「家で飼おうよ!」って提案して、
風早はその子犬を見て初代マルちゃんを思い浮かべて感慨深げに、
「ちゃんと自分で責任持って世話するんだぞ」って
かつてマルを飼う時に父親から言われた言葉を繰り返して、
爽子は風早との恋のキューピットの役割を果たしてくれたマルちゃんを思い、
目にうっすら涙を浮かべて、優しく微笑みながら快人くんをぎゅっと抱きしめればいいと思います。

…あれ、なんだこのT●S愛の劇場ちっくな展開は^^


ではでは、また電波を受信したら投下しにきます!
589名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 01:44:34 ID:yK0rqMDE
>>587さん
GJありがとです!

風早が急に爽子に甘えてきたわけは、
昼間、以前から病気でお預かりして治療してたわんこが力つきてご臨終なされてしまい、
がっぷり落ち込んでしまったせいです。無意識に爽子に癒しを求めてます。
爽子は何も言わないけど様子がおかしい風早を察して、
「おつかれさま」って頭ナデナデしてあげればよいと思います。
そして次の日の朝にはすっかり復活している風早先生^^
…おっと!昨晩、風早家の夫婦の寝室では何が行われていたのか、
なんていう質問は愚問ですよ!www
590588:2009/04/02(木) 03:18:28 ID:BPExGQ31
すいません、タイトル表記を書き忘れましたorz

『その後のバレンタイン』 です。

保管庫に移管する際には、よろしくお願いしますです。
591名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 14:04:14 ID:W18lw0XP
わーーっ!!GJ
風爽にあてられる快人くんカワイソスw
592名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 02:40:04 ID:sPk4QW1Y
593名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 18:28:23 ID:05CAN2ly
GJ!

過疎だね〜
他の職人さんたちは自サイトで書いてるのかな?
594名無しさん@ピンキー:2009/04/03(金) 19:19:41 ID:mfUbFnjA
かわいい!GJ
風爽夫婦の万年新婚ぶりに乾杯
>>593
YOUほんとの過疎を知らないよ!
この板には一月に一SSスレなんてのもある…
保守と雑談で保ち続けてひたすら職人を待つのだ。
595僕と爽子先生1 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 00:41:23 ID:W16LRZ7X
投下 549さんとネタかぶったけど。
NGはコテか題名で
−−−−−−−−−−

「お帰り。」

俺が部活から帰ると久々に兄貴が帰省していた。
っていっても同じ道内に住んでるんだけど、
大学に通うのに家を出てそのまま就職した兄貴は仕事が忙しいとかでなかなか帰ってこない。
そんな薄情な兄だが、
小さいころからめちゃくちゃ遊んでくれて、野球もうまくて、
いつでも友達に囲まれてた明るくて優しい兄が俺は大好きだった。
さすがに高校生ともなると気恥ずかしくてそれを口に出してはいえないが、
帰ってくるとやっぱり嬉しい。

「にーちゃん!腹減った!いつものないの!?」
照れ隠しにじゃれ付くと兄貴はにやっと笑って 
まあお前の目当てはそれだろうと思ってたよとかぬかしやがった。

兄貴に会えるのが嬉しいのは確かなんだけど
彼の帰省には美味しいおまけがついてくる。
兄貴の彼女というひとが何でも上手に作る人で
クッキーやらケーキやらを帰省のたびに家族分まで持たせてくれるんだ。
大半は食べ盛りの俺の胃に納まるけど、そんじょそこらの店のよりうまい。
596僕と爽子先生2 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 00:46:08 ID:W16LRZ7X
手渡されたこぎれいな袋を開けてぽりぽりと兄彼女手作りのクッキーを貪ってると兄貴がおかしそうに
お前は相変わらず子供だなと笑った。

「にーちゃんは馬鹿にするけどな。…今に俺に大人の『彼女』ができるかもしんないだからな。」
兄貴はちょっとびっくりしたように目を瞠った。
そうだ。兄貴に相談してみよう。
あのひとと兄ちゃんは同じ年だし。年上の女の口説き方、とかわかるかもしれないし。
そう決めた俺はこの頃の俺の心を占める憧れのひと 
爽子先生のことを相談することにした。

一通り聞いた兄は笑うでもなく、かといって口説き方を教えてくれるでもなく、なんというか変な顔をしていた。
でもこんなチャンス逃すわけには行かない。
俺は兄に相談さえすればこの恋が実るような気がしていた。
「にーちゃん、そんな顔してるけどさ、爽子先生…俺のこと好きなんじゃないかと思うんだよね。」
激しい咳き込みにびびって兄を見ると飲んでたお茶に盛大にむせてた。
「お前…ガキの癖に…」
「子ども扱いすんな!…だってさ、なんか俺を見る眼が他のヤツラと違うんだよな。
なんていうか優しいっていうか。いや、爽子先生って皆に優しいんだけど」
597僕と爽子先生3 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 00:49:07 ID:W16LRZ7X
でも俺を見て小さく微笑むのを絶対俺は見逃さないんだ。
だってほろりってほどけるみたいな微笑みなんだ。
俺は大好きなあの綺麗な微笑みを思い出してぽーっとなった。
「先生と生徒の恋ってアリだと思う?」
「いやないだろ。っていうか、さ…その、先生とお前のはないな。」
「なんだよ!せっかく相談してやってるのにさ。だいたい爽子先生なんてまだ22歳だし
俺が大学出てもまだ20代じゃん。俺気にしないよ!
爽子先生ならきっとおばさんになっても可愛いし」

黙ってるとちょっと怖い感じだから可愛いっていうのは変かもしれないけど
ほろりとほどける笑顔はまさに「可愛い」だしなー。
それにけっこう天然なのも知ってるんだ。

思い出してにまにましてると兄の顔がますます変な顔になる。

「俺さ、告ろうかと思ってるんだ。」
今度はあからさまに兄貴がお茶を噴出した。なんだよもー傷つくなぁ。
「だってさ、女の口から言わせんのってなんか、ヤじゃん?男としてさー」


−思えばこの時の兄貴の複雑な顔の意味を俺は考えるべきだったのだ。
もちろんこの時はそんなこと欠片も思い浮かばなかったけれど。
598僕と爽子先生4 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 00:51:51 ID:W16LRZ7X
結局兄貴には役に立つ言葉なんかもらえなかったなあ。
夕食後風呂上りのコーラを飲みながら俺は兄貴に口をとんがらして
そんなブーイングを出した。
兄貴は一つ溜息をついてにやりと笑った。
「…わかった。おにーさまがいいアドバイスをやる。」
ちょいちょいと指を動かされ
促されるまま側によるとひそっと囁かれるように言われた。

「明日の午後俺の部屋のクローゼットに隠れてろ。」
「…なんだよ、それ何のおまじないだよ」
「いいから。知りたかった答えが見つかるぞ。」
俺は不思議に思ったけれど兄貴が言うんだからなんかいいことあるんだろって思った。
兄貴は頷いた俺にもう一度にっと笑って言った。
「あ、それと絶対声出すなよ?」


クローゼットは育ち盛りの俺にはちょっと狭いぜ。ちくしょう、しょーため。いいことがなかったら後でアイス奢らしてやる。俺は兄貴に毒づきながら何とかその小さい空間に身を納めていた。
そしたらドアの開く音がしたから俺は息を潜めた。

「その辺座ってて。今お茶入れるから。」
「うん、ありがとう。ふふっ翔太くんち久しぶりだね。なんか緊張するよ。」

!この声は!
599僕と爽子先生5 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 00:55:19 ID:W16LRZ7X
俺が間違うはずもない。この声は、爽子先生の声だ。
そっか…しょーた…いや兄貴様。
俺の為に爽子先生を呼び出してくれたのか…。
さすが俺の兄貴!…あれ?でも兄貴と先生、知り合いだったのか?
それに今「翔太君」って…。
「あはは、今日は愚弟もいないから大丈夫だよ。」
おかしそうに笑う兄貴の声に続いて爽子先生のくすくすと笑う声が聞こえた。
「あいつ、どう?爽子のクラスにいるって聞いてびっくりしたよ。」
さ、さわこ!?なんで呼び捨て?
あ、ああ、うん、龍兄だって千鶴さんのこと呼び捨てにしてるもんな。
あんな感じだよな、きっと。俺は違和感をムリヤリ飲み込んだ。
「うん、昔の翔太くんを見てるみたいで楽しいよ。
翔太君みたいに明るくて、みんなの人気者。でも」
爽子先生がふふっと笑う声がした。
「翔太君よりちょっぴりやんちゃ、かな?」
「あいつのが子供っぽいだろ。
−俺はあの頃、切ない片思いに苦しんでたからね。
誰かさんが気付いてくんないから」
その分あいつより大人だったと思うよーって兄貴の声に
爽子先生の声が止まった。
「…もう。翔太くんの意地悪。」
俺はこっそりとクローゼットの隙間から覗いてみた。
600僕と爽子先生6 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 00:58:12 ID:W16LRZ7X
爽子先生はほんのり頬を染めて、見たこともないくらい可愛かった。
兄貴はそっと爽子先生に近寄った。
首筋に唇を寄せたように見えて俺はごくっと息を飲んだ。

「−いい匂い。シャワー、してきたんだ。」

爽子先生は真っ赤になってすっと眼を伏せた。
何これ。何で、爽子先生あんな、エロイの。

「…だって、翔太くん、すぐしたがるから…」

したがるって何?トランプとか?
ホントは答えが判ってる気がしたけど、俺はそれを必死に否定した。
でも次の瞬間頭がハンマーで殴られたみたいな衝撃を受けた。
兄貴がにっと笑って爽子先生にそぅっとキス、したから。

「ん、よくできました。」

そのまま兄貴はゆっくりと壊れ物を扱うみたいに
柔らかく爽子先生をベッドに押し倒した。
「…んぅ…っ」
二人の唇と舌が絡み合い
ぺちゃぺちゃという音とちぅっという粘着な音が繰り返される。

時折爽子先生の唇から漏れる声が俺を麻痺させていった。
甘い甘い猫の鳴き声みたいな可愛い声。
俺は身を乗り出しもっと見ようとクローゼットをもう少し開けようとした。
…!?あかない!…バカ兄貴めやりやがったな。
601僕と爽子先生7 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 01:01:14 ID:W16LRZ7X
そんな俺の心の声が聞こえたのか兄貴はちらりとこっちを見た。
そしてにんまりと笑って 唇の上に人差し指をあて
『しーっ』のポーズをとりやがった。
「しょうた、くん?」
「なんでもないよ。」
「でも…んんっ」

爽子先生の言葉を唇で封じたエロ兄貴はそのまま爽子先生に覆いかぶさった。
布と布がこすれるような音で服を脱がせてるのだとわかる。
爽子先生に悪いと思いながらも 甘い蜂蜜みたいな声に引かれて
なんとか少しでも見ようとするのに兄貴が邪魔で爽子先生が全然見えない。
時折ちらりと白い肌が見え隠れする程度だった。

「んぅっ…はぁっ…ああっ…!」
「爽子…かわいい。もっと…足、開いて…ん、そう、…はぁ…」
「あ、ああんっ…っだめぇえっ!そんなとこ…なめちゃやだぁ…っ!!」

ぴちゃぴちゃという水音と爽子先生の甘い喘ぎ、
兄貴の熱い睦言が全部混ざり合って俺の中にも耐え切れない熱が湧き上がる。
でもこんな狭いクローゼットの中ではそれをどうすることも出来ずに熱は身体の中にこもり続ける。
少しでもそれを逃がしたくて口ではぁはぁと熱い息を吐く。
602僕と爽子先生8 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 01:04:36 ID:W16LRZ7X
「ここの、印…消えちゃったね。もっかいつけとくよ…?爽子は俺の、だから。」
「んんっ…ふっああんっ…そんなとこ…っ誰も見ないのに…やああんっ…!」

そんなトコってどこだよ!?声しか聞こえないよ兄貴どけ。
ちゅっという音に続いてまた粘るような水音。
そして猫みたいな可愛い甘い喘ぎが部屋中に染みていく。空気まで甘くてエロイ。

「いいの。見えるトコにも、見えないトコにも付けときたい…爽子…も、いい?」
「はぁ…っぅう…っんっ…おねがい…きて、しょうたくん…っ…あああ!っ…!」

ひときわ高くてとびきり甘い声が部屋に響いた。
肌と肌がぶつかり合う音が何を示すかくらい俺の乏しい性知識でもわかった。
憧れの人と、大好きな兄の情事の激しくてエロい音と声にくらくらと眩暈がしてくる。

身体は熱で溶けそうに滾るのになんだかぽつんと泣けてきた。
俺はそのまま声を殺して、ほんの少し泣いた。

爽子先生が帰った後、どれくらいたったのかクローゼットの扉がぎっと開いた。 
腰が抜けて立てない俺を兄貴はにっと笑いながら引き出してくれた。
「…ひでーよ にーちゃん…」
603僕と爽子先生9 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 01:08:03 ID:W16LRZ7X
「ひどいのはお前だバカ。おにーさまの恋人の顔もおぼえてないのか。」
「だってにーちゃん彼女なんてうちに連れてきた事…」
そこまで言って俺は唐突に思い出した。
「思い出したか?」
「えええっ、だってあれ にーちゃんがまだ俺ぐらいの時じゃん!
…まさか、あのときの彼女が…爽子先生なの?」
「…黒沼先生、な。」
「な、なんでちょっと怒ってんだよ。」

兄の怒りオーラにビビリながらも少しずつ俺は思い出してきた。
大好きな兄が髪の長い女の子を照れくさそうに連れてきてみんなに紹介した。
とーちゃんもかーちゃんも兄貴をからかいながらもなんだか嬉しそうだったあの日。
「…あーなんとなく思い出してきた。
でもそっから一回も連れてきてないじゃん。
忘れても仕方ないだろ。ってか別れたのかと思ってた。」

「お前、ほんとに忘れてるんだな。爽子がうちに来なくなったの
お前のせいなんだけど。」

衝撃の事実に俺は思わず叫んでしまった。

「俺!?なんかした!?」
兄貴は耳を押さえながら言った。
「正確には、『お前がいる時は』来なくなったんだけどな。
 …お前が泣いたせいで。」
604僕と爽子先生10 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 01:13:13 ID:W16LRZ7X
その言葉に当日の記憶が鮮やかに甦る。
髪の長いほっそりした女の人を兄が連れてきて
子供心にもその人が兄の『特別な人』なのだとわかって
興味津々で彼女を覗き込んだとき、にぃーっと微笑まれて
…そして確かに俺は泣き出した。

『にーちゃんが幽霊の彼女連れてきたー』って。

蒼くなった弟に兄はくすっと笑いながら言った。
「やっと思い出したか。かわいそーに爽子、
いっつも来る前に『今日は弟さんいない?大丈夫?』って気にしてた。
緊張して笑顔が固くなっちゃったんだろうな。」
あの時の怖い笑顔の女のひとが、あんな綺麗な笑顔の女のひとになるなんて。

呆然としてる俺に兄貴はほんのり意地悪気に笑った。
「−まさか、今日の事ってそん時の仕返しなんじゃ。」
その言葉には答えずにもう一度にやっと笑った兄貴に俺は、がくっとなった

もしかしたら憧れの爽子先生は近い将来義姉になるのかもしれない。
嬉しいような寂しいような複雑な気持ちだ。

「でも…肝心なとこ、見えなかった。」
思わず出た呟きにごいんと拳骨が振ってきた。
「あったりまえだろ 誰が大事な恋人の肌を他の男に見せるか」
605僕と爽子先生11ラスト 夜勤明け ◆GpMDEyOdbo :2009/04/04(土) 01:16:55 ID:W16LRZ7X
「あったりまえだろ 誰が大事な恋人の肌を他の男に見せるか」
「自分で見せといてこれはひでーよ…」
「見せてない。聞かせただけ。
弟だから、優しい方法をとったんだ。他人なら容赦なく」
「容赦なく!?」

兄貴は俺のその言葉ににっこり笑った。

「…冗談だよ。」
…うん、多分、冗談なのだろう。
冗談なのだと思いたい。
明るく、誰にでも優しく親切な大好きな兄が見せた
不穏な表情は見なかったことにする。
そう決めた。
…でも学校で爽子先生の笑顔の綺麗さに気付いてる奴らは皆無なわけじゃない。
そんな奴らにはそれとなく釘を刺しておこう。
「あの笑顔は売約済みだよ」って。
−これ以上兄の不穏な微笑みを見ないためにもそうしよう。
俺は決意を固めて溜息をついた。
(おしまい)

−−−−−−−−−−
ここまでです。お付き合いドモです。
606名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 02:29:27 ID:88Mk5Ca6

夜勤明けさんGJです!
相変わらずの素敵文才をお持ちで…!
やはりあなたは君届同人界の神だ
おっと夜勤明けさんの後ろに後光がみえるぜ
 
最近は風早ファミリー祭りが盛んで嬉しい限りですw
いつか原作で風早両親ズ登場しないかな〜…
弟くんの下の名前も気になります
 
弟かわいいよ弟
「そんなトコってどこだよ!?」に思わずニヤニヤしました
一体どこにちゅうしたのよー風早くーん

私も夜勤明けさんの弟話を読んで
「爽子が風早家に初お呼ばれ」という妄想電波をキャッチしたので
近々、投下しに来ます。マッハで書き上げよう…

607名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 06:21:00 ID:xKGfbAUX
エロくてよかったGJ!!!
夜勤明けさん乙です

爽子の怖い笑顔で弟が泣いちゃうのは本編でもありそうな話だね
608名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 09:34:30 ID:ZmLvfR7X
GJ!!
弟かわいいよ弟(・∀・)ニヤニヤ

>>606
全裸で待ってる!
609浴衣祭り:2009/04/04(土) 13:36:16 ID:jfXIfkf1
流れをぶったぎって悪いけど投下。

風早は目の前に立っている恋人に見惚れていた。
夏祭りだからひょっとしたら着てくれるかとは思っていたが
実際に浴衣で黒髪をお団子に結った爽子を目の当たりにして
あまりの可愛らしさと醸し出す色気にノックダウンしたのである。

2人で出店の並ぶ道をそぞろ歩くと、爽子がパアッと目を輝かせた。
「わあ、ヨーヨー釣りだ!懐かしいね」
色とりどりに水面に浮かぶヨーヨーを見て風早は
どれがいいの?と爽子に尋ね、買い求めた。

お金を払うよって言う爽子だったが風早は頑として譲らなかったので
爽子はお礼を言って嬉しそうにヨーヨーを弾ませながら歩き
少し先にあったお店で同じように目を輝かせた風早のために水鉄砲を買った。

ふふっ、風早クンはこういうのが好きなんだなあ。
男の子なんだなあ。

ヨーヨーを弾ませながら爽子がそう考えていた時
2人の目の前に小学生らしき男の子が立ちはだかる。

「しょーた!」と声をかけた子はどうやら風早父のリトルリーグにいる子のようで
風早にまとわりつく様にじゃれた後で風早とお揃いの水鉄砲をとりだした。
風早に攻撃を開始した男の子はそのうち興奮したのか
誤って撃った鉄砲の水は爽子のヨーヨーに当たって、割れた。

びっくりしたのととんでもない事をしたという思いから泣きじゃくる男の子に
風早と爽子は「大丈夫だから」と繰り返しなだめて、
男の子もごめんなさいと言いつつその場から去った。

可愛い子だったね、と爽子は笑顔で風早を見たが
風早は爽子をじっと凝視しながらも顔を赤らめて、
何も言わず爽子の腕をつかむと人込みから離れた公園へとひっぱって行った。


かぜはやくん?
何がおきているのか爽子はわからないままだった。
610浴衣祭り:2009/04/04(土) 13:41:03 ID:jfXIfkf1
ヨーヨーが割れた時の水しぶきは爽子の浴衣へと吸い込まれていった。
そのせいで、白い浴衣に咲き誇るピンクの花柄とは違う
少しだけ薄く、小さなピンク色が浴衣の胸元から透けて見えていた。
冷たい水のせいで硬く尖ったそこはまるで風早を誘っているように見えた。

そんな無防備な格好でいたらだめだよ?
急に擦れた声で熱っぽく風早は爽子に囁いた。
風早が公園へと爽子を連れてくる道ですれ違う男たちの目線が
全員爽子の可愛らしい胸へ注がれている気がして風早は気が気ではなかった。
この子は俺だけのものだ!
皆に宣言したくてたまらない風早は爽子に自分の印をつけたい衝動に駆られ、
その衝動のままに胸元の突起を浴衣の上から摘みあげた。

やあっ! かぜはやくん? 何?
まだ付き合いを開始して日が浅い2人がそういう仲になる日は来ていなかった。
爽子が自分の身に何が起こっているのかわからず固まったままでいる間に
風早は浴衣の上からだけでは足りなくなり、
そっと合わせの中に手を滑り込ませる。

自分の手の中に息づく膨らみに風早は我を忘れ、
手の中のやわらかな感触を忘れないようにと思うままに揉みしだく。
いつの間にか息を荒げていることに風早は気づいていなかった。

かぜはやくん、こわいよっ!
んんっ、と甘い声を我慢できず洩らしながら涙目になる爽子に風早は我に返る。
慌てて浴衣を直すと、風早はごめんと謝り爽子を抱きしめた。


今はまだ、こうして自分の腕の中にかき抱けるだけでいいのだ。
世界で一番欲しかった宝ものはやっと手に入れたばかりなのだから。

611名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 14:45:39 ID:Com/owPH
↑のお話、投下終了してるのかな?
流れをぶった切ってしまったらごめんなさい…。

昨日予告した、風早ファミリー話・爽子風早家に初訪問編です。
途中まで書けたので、投下します。
続きはまた夜にUPしに来ます。


□□□□□



「……とりあえず、ちょっと落ち着きなよ…しょーた…」


居間のソファに座り、片足を貧乏揺すりしている兄の挙動不審な様子を見て、弟が呆れた声を上げた。

1分おきに時計をチェックしては、窓の外をしきりに気にして、
首を伸ばして除き込んでいる翔太の顔は、それでもどこか嬉しそうに綻んでいた。


「1時に来ることになってるんでしょう? まだ約束の時間まで20分もあるじゃない」


いくらなんでも気が早いわよ、と母も苦笑いを浮かべている。


「それより翔太、昨日お隣さんから旅行のおみやげに貰ったシフォンケーキがあるんだけど、
3時のおやつに持っていこうか?
爽子ちゃん、ケーキとか好きかしら…」


紅茶はアールグレイがあったはずなんだけど、あんた紅茶飲めたっけ?
などと、母が居間の食器棚からティーポットとカップを取り出しながら、
その奥にしまわれていた小さな籠の蓋を開いて、茶葉が入った缶を手に取った。

「うん。…あ、おやつなら、もしかしたら黒沼がカップケーキを焼いて持ってきてくれるかも…」


昨日の下校中、「風早くんのご家族、甘いものってお好きかなぁ?」
と、首を傾げて尋ねてきた可愛らしい彼女の姿を思い返す。
大丈夫だよ、と頷いたら、じゃあカップケーキを焼いて持っていくね、と言ってふわりと微笑んだ。

612名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 14:49:50 ID:Com/owPH


「あらぁ、爽子ちゃんて料理も得意なのね!」


そういえば、ごくたまに学校から帰ってきた息子が、
台所で見慣れない弁当箱を洗っているのを見かけたことがあった。
どうしたのかと聞けば、愛しの彼女である爽子ちゃんが、
息子の分まで弁当を手作りしてきてくれたらしい。
食べっぱなしじゃ悪いから、せめて家に持ち帰ってしっかり洗い、明日また彼女に弁当箱を返すのだという。
興味本意で、どんなおかずが入っていたのか聞いてみると、息子は満面の笑みで、
「からあげに、ミニハンバーグに、ポテトサラダにきんぴらごぼう!
あと、茹でたブロッコリーと卵焼きもあったかな?」
と思い返しながら言った。

息子の大好物のオンパレードな品々に、思わず舌を巻いてしまった。
事前にリサーチしていたのだろうか。
それとも、前日に息子がリクエストでもしたのだろうか。

それにしても、朝の短い時間に調理するには、
随分と手間のかかるメニューばかりだ。
息子のために、うんと早起きして作ってくれたのだろうか。
もしかしたら、前日の夜から下ごしらえをしていたのかもしれない。


以前、諸事情で息子に謝りに我が家を訪れた時に見た、
清楚で大人しそうな、女の子らしく長く伸ばした黒髪の女の子の姿を思い出して、申し訳無さに胸が傷んだ。
それと同時に、それほどまでに息子のことを大切に想ってくれているのだと、
どこか誇らしく、嬉しく思う気持ちでいっぱいになった。

613名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 14:51:52 ID:Com/owPH



「……お? 爽子ちゃん、来たんじゃないか?」


風早の向かいのソファに腰掛けていた父が、窓の外に目を向けて、
玄関先の人影を見つけて声を上げた。

途端に、矢の様にすばやい早さで玄関に向かって行った息子の後ろ姿を見送って、
「………青春だなぁ、」とぽつりと父が呟いた。



はやる気持ちを押さえて、玄関のドアを開けると、
今まさに家のチャイムを押そうと、右手の人差し指を立てたままのポーズで、
玄関先に佇む爽子の姿が目に入った。

薄い桃色がベースになったギンガムチェックの膝丈ワンピースを身に纏い、
足元には濃い茶色の編み上げブーツを履いている。
手には可愛らしい模様があしらってあるペーパーバックを持っていて、
仄かに甘く香ばしい匂いが鼻をかすめて、おそらく中には昨日言っていたカップケーキが入っているのだろうと、
風早は相変わらず用意周到な爽子を微笑ましく思って、
思わず緩んだ頬を隠しきれずに、照れ隠しにニッコリ微笑み、
「いらっしゃい!」と声をかけた。

614名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 14:53:56 ID:Com/owPH


「…あ、お、おじゃまします!
ちょっと早く来すぎちゃったかな…?
ここに来るまで迷っちゃいけないと思って、家を早く出てきたから…」


風早に導かれて玄関に入った爽子が、風早を窺いながらしゃがんでブーツを脱ぐ。
脱ぎ終えたブーツを丁寧に揃えて、どこかぎこちない動作で風早のあとを追って居間に続く廊下を歩いた。

がちゃりと音を立てて開かれたドアの向こうには、
キラキラと顔を輝かせた風早そっくりの弟が待っていた。


「しょーたの彼女だーっ!」


びっくりして声も出ない爽子を気に留めずに、
弟は勢い良く爽子の細い腰元に抱きつくと、
ぎゅうっと力を込めて、満面の笑みで爽子の顔を見上げた。


「おねーちゃん、名前なんてゆーの?」


いきなりの急展開に思考が追い付かず、暫く固まっていた爽子が、
はっと我に返り、慌てて目線を弟に合わせて、問いかけに答えた。


「あ、えっと……黒沼爽子、と申します…」


少し照れ臭そうに微笑みながら返した爽子を見て、急に危機感を感じ、
急いで爽子から弟を引き剥がそうと、風早が躍起になる。

615名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 14:56:53 ID:Com/owPH


「…ちょ…! もう、お前、さっさと離れろよ!」


黒沼、困ってんだろ!と、膨れっ面の弟に向かって声を荒げる。
なんだよー、しょーたのケチー!とぶうぶう文句を言いながら、
それでも諦めずに爽子の気を引こうと、弟は爽子の片手を引いて、ぐいぐいと引っ張る。


「爽子、おれとPSPで対戦しよーよ! モンハンってやったことある?」

「も、もんはん?」


初めて聞いたなぁ…、どういう遊び?
と、すっかり弟に乗せられた爽子が、
弟に手を引かれながら、二階の階段を上っていく。


「おい! ちょっと待てってば!」


…ていうか、弟!

なにあっさり、爽子って呼んでんだよ!

俺だってまだ、苗字でしか呼んだことないのに…!


俺の最重要課題を、あんなにサクッとクリアしてしまうとは……。


我が弟なれど、恐るべし。

実の弟に軽く尊敬の念を抱きかけながら、
風早は慌てて二階の弟の部屋に消えた二人の姿を追って、階段を駆け上がった。
616【 未来の娘 】 6 :2009/04/04(土) 21:46:27 ID:88Mk5Ca6


弟の部屋から無事に爽子を奪い返して、自分の部屋に促す。

爽子が来るとあって、数日前からきっちり片付けと掃除を徹底しただけあって、
通常の状態とは比べ物にならないくらい小ざっぱりした自分の部屋に、少し違和感を覚えながらも、
「…じゃあ、そのへんに適当に座ってよ」と爽子と目を合わせずに言う。
なんだか、妙に気恥ずかしい。
自分の部屋に、はじめて彼女を呼ぶ。
思ったより、こっ恥ずかしいんだな…と、脇腹の辺りがむず痒くなってくるような感覚に、
風早は自分の部屋に居るにも関わらず、変な居心地の悪さを感じていた。


「…すごい、綺麗に片付いてるね」

「黒沼が来るから、必死こいて掃除したんだよ」


いつもの状態のままだったら、とても女の子を招けるような部屋じゃなかったんだ。
うっかり発見されては困るような、あんなものやこんなものも、
ベッドの下あたりに放置したままだったし…。
爽子が来る前に気づいて、絶対に見つからないような場所…洋服ダンスの底にこっそりしまっておいた。

照れくさくて赤くなった顔を隠そうと、頬に手をあてる。


「ごめんね、私が急に風早くんのおうちに行ってみたいなんて言うから、なんだか気を遣わせてしまって…」

「ぜんぜん!気にしないでよ! うちの家族、黒沼が来るのずっと楽しみにしてたんだよ」


母さんなんか、昔、自分が着てた服を爽子に着せたい、なんて目をキラキラさせて言ってたんだから。
自分の息子の彼女を着せ替え人形にする気か、って俺が丁重に断っておいたけどね。

苦笑いする風早を見て、ふと緊張が取れたように爽子がほどけるような笑顔を見せた。
お互い目が合って、ふふふ、と笑い合う。
617【 未来の娘 】 7 :2009/04/04(土) 21:47:14 ID:88Mk5Ca6


すると、コンコン、とドアをノックする音がして、
ドアが開き、廊下から風早の母が妙な含み笑いを浮かべて、顔を覗かせた。


「お取り込み中かしら? ごめんなさいね」


―――なっ……! なんてことを言うんだ、この人は…!


かぁーっと一気に顔に熱が集まってくるのを感じた。

こっそりと横目で隣に座る爽子を見ると、なんのことだかわかっていないようで、
きょとんとした表情で、母からケーキと紅茶のポットとカップが乗ったトレイを受け取っている。


「もーっ! いいから、母さんはさっさと出てってよ!」


真っ赤になった顔を爽子に見られたくなくて、
顔を伏せながらぐいぐい、と母親の肩を押して部屋の外へ追い出す。


「あーん、お母さんも仲間に入れてほしいなぁー」

「勘弁してよ! はいはい、さっさと出てく!」


「なによぅー、翔太くんのいじわるー」とかなんとか文句を言いながら、母親の声が階段の下に消えていく。
ふぅ、とほっとしたように溜め息を吐いて、くるりと振り返った。

爽子はテーブルの上に乗せたトレイから、ケーキの小皿とティーカップと紅茶が入ったポットを下ろしていた。
そのまま『こぽぽぽ』と小さな音を立てて、しなやかな動作でティーポットを傾け、
いい香りを放っている紅茶を静かにティーカップに注いでいく。
二人分を注ぎ終わり、ふと自分の上着の横に置かれたペーパーバッグに目が行って、
「あっ!」と焦ったような声を上げた。
618【 未来の娘 】 8 :2009/04/04(土) 21:49:01 ID:88Mk5Ca6


「私ったら、おみやげのカップケーキを風早くんのお母さんに渡し忘れちゃった!」


ちょっと下に行ってくるね、とペーパーバッグを片手に立ち上がり、部屋を出て行く。
別にあとでもいいのに、と思いながらも、「先にケーキ頂いててもいいよ」と微笑む彼女に頷いて、
背中を向けて階段を下りていく爽子の後ろ姿を見送った。




「あ、すいません…」


突然現れた爽子の姿に、居間のソファに座っていた風早夫妻が顔を上げる。


「あら、爽子ちゃん。 どうしたの?」

「あの、おみやげのカップケーキを渡すのを忘れていて…。
 よければ、お二人と弟くんで召し上がってください…!」


おずおず、と効果音が付いてきそうな動作で、持っていたペーパーバッグを母に差し出す。
「あらあら、美味しそうな良い匂い!わざわざありがとうね、」と風早にそっくりな優しい笑みを見せて、
母が嬉しそうにバッグを受け取った。


「あとで、二人のぶんも分けて持っていくからね。……ところで、」


にやり、と怪しげな笑みを浮かべて、母がずずい、と爽子に詰め寄った。
その異様な雰囲気に、思わず爽子はドキリと胸が高鳴る。


「ウチの翔太とは、どういうキッカケで付き合うことになったの?」




なかなか帰ってこない爽子を心配して、風早が階段を下りて居間のドアを開けようとすると、
中から両親の興奮した賑やかしい声が漏れ聞こえてきた。
爽子を捕まえて、なにを盛り上がって話しているんだろう。
よくよく耳を澄ませて聞いてみる。


「―――じゃあ、先に好きになったのは翔太の方なのねー!」

「あ、ええと…たぶん、ですけど…」

「ふむ。…で、その公開告白とやらは、爽子ちゃんとしては恋愛感情のつもりで告白したつもりじゃなかったんだね?」

「は、はい……あ、でも、今思えば、その頃から風早くんのこと…恋愛感情として好きだったかもしれません…」
619【 未来の娘 】 9 :2009/04/04(土) 21:51:10 ID:88Mk5Ca6




………―――ばたんっ!!!!



「なに話してんだぁーーー!!!!」



「わあぁっ! か、風早くん!!」

「あら、翔太。今ねー翔太と爽子ちゃんの愛のメモリーを…」

「なにが愛のメモリーだっ! ふざけんな!」

「まぁまぁ、いいじゃないか。母さんずっと気になってたらしいぞ」

「父さんまで…いい加減にしてよ……それと、黒沼も!」

「は、はいっ!」

「そういうこと、特に俺の親とかにしゃべんないで! 恥ずかしいから!」

「ご、ごめんなさい…!」

「もう、爽子ちゃんを責めないでー。かわいそうじゃない」


幸せそうに母がぎゅうう、と愛情を込めて爽子の体を抱き寄せ、
びっくりするやら緊張するやらで顔を白黒させている爽子に、「ねぇ?」と微笑みを向ける。


―――ぎゅ、ぎゅう…って……。

俺だって、まだ数える程しかしたことないのに…!


むうぅぅ、と頬を膨らませる息子を母は面白そうに眺めて、
「あぁ、爽子ちゃんが本当の娘だったらよかったのにー…」と心底残念そうに、
なでなで、と爽子のなだらかな黒髪を片手で優しく撫でる。

すると、横で成り行きを見守っていた父が、ふいに口を開いて、
その衝撃的な台詞に、風早と爽子は同時に固まり、顔を真っ赤にしてうろたえた。



「……近い将来、娘になるんじゃないのか?」






おわり
620【 未来の娘 】  :2009/04/04(土) 21:58:26 ID:88Mk5Ca6

以上で投下終了です。
1〜5まで、タイトル表記を忘れてしまいましたorz 
ほんと、うっかり者ですいません…。
保管庫に移管する際には一緒にして頂いてかまいません。
よろしくお願いします。 >保管庫の管理人さん

爽子はほんとに近い将来、風早家にお嫁に行って、
風ママと仲睦ましく本当の親子のようにショッピングに出かけてたりしたらいいと思います。
風早が「…俺なんて、もう何ヶ月も爽子とデートしてないのに…」って涙目になるくらいにw
そして弟くんは高校生になった時にクラスの副担任が爽子先生になって、
自分の兄よりも爽子のキラキラプリンセススマイルを一人占めしてたらいいと思います。
風早可哀相!ちょう可哀相!でもそんな不遇な風早萌え!

ではでは、お付き合いありがとうございました〜。
621名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 23:35:33 ID:xKGfbAUX
お二方とも乙です!
ほんわかした〜
622名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 23:37:16 ID:ZmLvfR7X
GJ!!
三月は神降臨が少なくて寂しかったよー!
623白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:09:00 ID:c0dIz6wg
皆さんGJ!!

えー、エロなしで
「白雪姫」もどきを一つ投下させて下さい
携帯からの投下は初めてなので粗は見逃してくだされ
ーーーー
むかーしむかし、冬の頃のことです。
ごおごおと降る雪のなか、お城があって、そこには一人の王妃さま、あやね様がいました。
あやね様は美容にびんかんでした。
お城のステンドガラスはすべて紫外線除去シートがはられ、各部屋には冷暖房・加湿器完備、ドレッサーは特注の収納力抜群のとても機能的なものを好んでいたのです。
城内には専用インストラクター付きジム、室内プール、そしてお風呂はもうそれはそれはすばらしい造りでした。

「爽子!私そろそろお風呂にはいるから」
「は、はいっ!」

もちろんテレビ・ジャグジー・足湯・垢すり・エステ付きです。

「体重計と全身用保湿クリームを忘れないで、無農薬やさいジュースも。今日のはSK−Uのフェイシャルトリートメントエッセンスとアユーラのサインディッッ!!!」

よくばりな王妃さまは、召使いの爽子に言いつけるのに噛んでしまいました。
すると食後のローズヒップティーのカップの上に、ぽたりと血が一滴おちました。
あやね様はカッとなり、カップを払いのけました。
ですが、床に落ちたコレールのカップはひび一つはいりません。

「なんて頑丈……!」

おろおろする爽子をよそに、あやね様は高らかな声をあげました。

「そうね…そろそろ出産適齢期だし…、私はこのカップのように体が強く、血のように赤くみなぎるほっぺをした子がほしいわ!」

爽子はさっそく生まれてくるであろうお子さまを心待ちに、夜な夜な帽子から靴下にいたるまで編みはじめるのです。



それからしばらくしたのち、あやね様は一人のお姫さまを産みました。
そのお姫さま、千鶴さまはまるまると玉のようなお子さまで、コレールのカップのように体がつよく、血のように赤くみなぎるほっぺをしていました。
爽子は狂喜乱舞し、あやね様はホルモンバランスの変化から荒れてしまった肌のリカバリーに余念がありませんでした。

あやね様はふしぎな鏡を持っていました。
その鏡のまえに立つと、いつでも、こう訊ねました。

「鏡や、鏡、壁にかかっている龍!国じゅうでだれがいちばん美しいか、言いなっ」
「…………」
「おきろ!!龍!」

あやね様は鏡の精、龍をけりおこしました。
手鏡をあやね様にむけて、龍はこたえました。

「……、王妃さまです」

龍はいつもボーッとして寝てばかりいましたが、嘘だけはいいません。
その言葉をきいてあやね様は自尊心をたもっていました。
624白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:11:18 ID:c0dIz6wg
月日はながれ、千鶴さまはぐんぐんとおおきくなるにつれて、元気も100倍。

あるときは、寒さもかまわず白銀の野山をはしりまわり、よく転げ、雪だるまのようになってまで遊んでいました。
それを見た城下のものたちからは、千鶴さまは白雪(だるま)姫とよばれるようになりました。

またあるときは、動きやすいように、爽子にズボンをこしらえるよう頼んだりもしました。
ですが千鶴さまの可愛らしいスカート姿がみれなくなると爽子が泣くので、それだけはやめにしました。
かわりに、スカートを短くしてもらったのです。
成長された千鶴さまはミニがよくおにあいでした。

龍はめずらしく寝ていませんでした。
あやね様はまたいつものように、訊ねました。

「鏡や、鏡、壁にかかっている龍!国じゅうでだれがいちばん美しいか、言いな」
「……王妃さま、ここではあんたがいちばん。でも白雪姫は、千鶴は、千ばいもうつくしい」

龍ははっきりといいました。
手鏡には原っぱをかけまわる千鶴さまがうつしだされました。
あやね様はこのことをきくと、おどろき、滝のような冷や汗をかき、目を白黒させたりしました。


それからというもの、あやね様は千鶴さまにいじわるをするようになりました。
毎日たべていたラーメンを5日に1度にし、ゲームは1日1時間と決めました。
千鶴さまのかなしみは爽子からみても目に余るほどでした。
自尊心をたもてなくなったあやね様の心はねたみのつるが巻きつき、もうじっとしてはいられなくなりました。

そこであやね様は、ひとりの女狩人、くるみをじぶんのところへ呼び、言いつけたのです。

「ちづを、森の中につれていってしまってよ。いじめたくなんかない……私はもうちづを、二度と見たくない」
「…………それでいいの」
「は?」
「それでいいの、って聞いてるの」

くるみは面倒くさそうに、でもまっすぐに聞きました。
爽子はくちびるを噛みしめて堪えながらあやね様のうしろに立っていました。

「…いいのよ」

しぼりだすようにあやね様は、千鶴さまをころしてくるようにと、くるみに言いました。

くるみは言いつけに従うため、ころした証拠に血をハンカチにつけるためにも、短刀をぬき、理解しきっている千鶴さまのむねを突き刺そうとします。
すると千鶴さまは泣きながらいいました。

「頼む。みのがして」
「みのがしてって、行くあてもないじゃん。どうすんのよ」
「あたしはもっともっと奥の森へいくよ。……家には絶対かえんない、やのちんにも爽子にも、もうあわない…会わないから」
625白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:13:28 ID:c0dIz6wg
くるみは千鶴さまのことばに心をうたれ、わかったと一言だけいうと去っていきました。
くるみは城へもどると、あやね様に梅干汁をしみこませたハンカチを証拠としてみせました。
あやね様はそれを見て、千鶴さまはしんだものと思いました。



千鶴さまは土にめりこむヒールをぬぎすて、泣きながらはしりだしました。
小枝がスカートをかすれようとも、つぶてを蹴飛ばそうとも、風と葉音にこどくをつきつけられても、茨がみを切ろうとも、千鶴さまは走りました。

「はっはぁ、はぁっ……へぶぅッッ!!!」

とうとう夕方になろうとしていました。
樹の根にあしをとられ顔面からたおれこみ、千鶴さまはやっととまりました。
顔をあげると、一軒のちいさな家をみつけたので、精根つきた千鶴さまはふらふらとその中にはいりました。
その家の中にあるものは、全部が全部ちいさいものばかりでしたが、とてもりっぱでした。
部屋の中には白い布をかけたテーブルと7つの椅子と7つのベッドがありました。
千鶴さまはなにをするのも億劫で、すぐさま1つのベッドに入りました。
またすこしだけ泣いてから、ぐっすりと眠りました。

日がくれて、森も山もまっくらになった頃、このちいさな家の住人がかえってきました。
その住人たちというのは7人の小人たちでした。
1日の仕事を終えた小人たちは家へはいり、灯りをつけると口々に話しはじめました。

「だあっ!!疲れたーー」
「うるさいよ、ピン。近所迷惑だろう」
「せんせい、近所はいません」
「森のなかだしねー」
「HAHAHA、ナイスジョークッ!」
「えっ!だれか寝てる!!?」
「しょうたのベッドに寝るやつなんか……」

「 「 「 いたーーーーーっ!!! 」 」 」

小人たちがざわめく中で、千鶴さまは目をさましました。
泣きはらしたまぶたは腫れ、手足は傷だらけ、あたまには葉っぱをつけたままの千鶴さまをみて小人たちはドン引きです。

「おまえ、だれだ?」
と、横柄短気なピン。
「もしかして迷子なの?」
と、先生の善。
「し、白雪姫さまじゃない?」
と、恥ずかしそうな遠藤さん。
「そう言われれば…」
と、ぼんやり平野さん。
「おー!白雪姫!どうしちゃったのー?こんなド田舎までー。せっかくの可愛いドレスもズタボロだし、かおも酷いよっ。おんなのこはねえ」
と、ビィハッピーな健人。
「白雪姫の話もきこうよ」
と、すこし眠そうな翔太。
「ぶぅへっっくしゅん!」
と、ジョー。
626白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:14:50 ID:c0dIz6wg
千鶴さまは母の王妃さまが、自分をころそうとしたのを女狩人がみのがしてくれ、一日じゅう駆けずりまわって、やっとこの家を見つけたことを小人たちに話しました。
その話をきいて、善は言いました。

「…それは大変だったね。ここでしばらく休んでいけばいいよ」
「いい、の…?」
「そのかわり、体調がよくなれば働くんだよ?僕たちの家のなかの仕事をちゃんとひきうけて、いっしょに生活していくんだ」
「ありがとう!あたし洗い物、得意なんだ!」

ほかの小人たちも千鶴さまをこころよく適当に受け入れてくれました。
千鶴さまはつとめて明るくふるまい、小人の家の仕事をきちんとやりました。
夜まで働く小人たちのために得意の洗い物はもちろん、せんたくも、ご飯づくりも、雑巾がけも頑張りました。
昼間ひとりでおるすばんをする千鶴さまをしんぱいしたピンが、こんなことを言いました。

「まだ気ぃぬくなよ。おまえの母ちゃん、おまえがここにいる事なんかすぐに知るだろうから。……あんま考えたくないがな。だれもこの家んなかにいれんな、わかったか」

こくんと頷いて千鶴さまはねむりました。
その日みた夢は、お城でわらいあう千鶴さまと爽子とあやね様の夢でした。



こんなこととはすこしも知らないあやね様は、くるみが千鶴さまをころしてしまったものだと思って、じぶんが国じゅうでいちばん美しい女になったと思い込んでいました。
あるとき、鏡の前にいって、訊ねました。

「鏡や、鏡、壁にかかっている龍!国じゅうでだれがいちばん美しいか、言いな」
「王妃さま、ここではあんたがいちばん。でも白雪姫は、…いくつも山をこした7人の小人たちの家にいる千鶴は、まだ千ばいもうつくしい」

龍は苦しげに言いました。
手鏡には小人たちの家ではたらく千鶴さまがうつしだされました。
これを聞いたときのあやね様の驚きようといったらありません。
あまりの腹立ちにからだを大きくブルブルと震わしていました。
一瞬にして、あやね様はくるみが自分をだましたということも、千鶴さまが、まだ生きているということも、みんなわかってしまいました。
あやね様はさけび声をあげました。
爽子はただただ心を痛め、なにも出来ないでいました。

すぐにあやね様はまだだれも入ったことのない離れの秘密の部屋に入って、そこで毒のうえに毒をぬりかさねた1つのリンゴをこさえました。
そのリンゴは見かけは美味しそうな赤みをもち、皮の下には健康的な白みをもっていました。
一目見るとだれでもかじりつきたくなるようにしてあったのです。
けれども、その一きれでも食べようものなら、それこそたちどころに死んでしまうという、げに恐ろしいリンゴでした。
627白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:16:42 ID:c0dIz6wg
さて、見事な毒リンゴができあがると、あやね様は巧みなメイクテクで顔を浅黒くぬり、年寄りの百姓のかっこうをして、だれにも王妃さまだとは思えないようになってしまいました。
そうしたあやね様は7つの山をこして、7人の小人の家へいき、戸をトントンとたたきました。
千鶴さまはなにかと思って、窓から首をだして答えました。

「はーい?」
「こんにちは、おじょうさん」
「こんちはっ。ばーちゃん、どうしたんだ?あ、部屋には入れてあげらんないだ。ゴメンな…」
「いいえ、入らなくてもいいんです。いやね、私はね、今リンゴを捨ててしまおうかと思っているところなんですよ。でも勿体ないからおまえさんにも、ひとつ、あげようかと思ってね」

立ち居振る舞いから、声色から、喋り方まで変えたあやね様に千鶴さまはちっとも気づきません。

「リンゴ?でも…」
「おまえさんは毒でもはいっていると思っているのかい。まあ、ごらんなさい。このとおり、二つに切って半分は私が食べようかね。よう熟れたほうを、おまえさんにあげよう。あげよう」

リンゴはたいへん上手にこしらえてあって、よく熟れた赤いほうのがわだけに毒がはいっていました。
千鶴さまは、百姓のおばあちゃんがさも旨そうにたべているのを見ると、そのきれいなリンゴがほしくて堪らなくなってしまいました。
リンゴぐらい…すこしだけなら、とつい手をだし、毒のはいっているほうの半分をうけとって口をつけてしまいました。
けれども一かじり口にいれるかいれないうちにバッタリと倒れ、そのまま息がたえてしまいました。
するとあやね様はその様子をおそろしい目つきで食い入るように見つめ、「今度こそ…今度こそ…今度こそ」とつぶやくように言いました。
そして大急ぎで家にかえっては鏡にすがり訊ねました。

「鏡や、鏡、壁にかかっている龍!国じゅうでだれがいちばん美しいか、言いなっ」

ぜえぜえと肩で息をするあやね様を見て、龍はおどろいたような、絶望したような顔で言いました。

「…ッ、王妃さまです。王妃さまがいちばん…」

これであやね様の波立ったこころを無くすことができました。



あやね様が部屋からでていったあと、龍は考えていました。

魔法使いにつくってもらって自我をあたえられたときから、何十年ものあいだ次々と人の手のなかを流れていくなかでも、龍はずっと一人でした。
今までもこれからも、だれかにころしてもらうまで、一人だと、龍は思っていました。
けれども、龍は千鶴さまとであいました。
生まれたときから兄弟のように友達になって、動けない龍に寄り添うように、千鶴さまは毎日あったことを話して聞かせてくれました。
千鶴さまのやさしさに触れて、龍ははじめて生きながらにして一人ではなくなりました。
628白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:18:28 ID:c0dIz6wg
でも千鶴さまがいなくなった今、龍はまた一人になってしまいました。

龍は自分がつくられたときのことを思い起こしました。
魔法使いは鏡にうつった人々も、龍もしあわせになれるようと呪いをかけていました。

『龍よ、もしもだれかのために走りたくなったときは、人間になりたくなったときは―――』

龍は手鏡をたたきわり、床にとびおりると走り出しました。



夕方になって小人たちは家に帰ってくると、千鶴さまが地べたにころがって倒れているのを見つけました。
びっくりして駆け寄ってみれば、もう千鶴さま息ひとつしていません。
もう死んで、ひえきってしまっていました。

7人の小人たちは千鶴さまをベッドにはこび、なんとか助ける方法はないものかと思い思いにうごきはじめました。
ピンが頬をはたき、善が体中をくまなく調べ、遠藤さんが髪をすき、平野さんがてあしをよく洗い、健人が耳元で歌をうたい、翔太が鼻をつまみ、ジョーが脇腹をこちょばしました。
小人たちはみんな一生懸命でした。

「やめろ。もう生きてない」

ピンの言葉でみんなの動きがとまり、じゅうぶんに時間をかけて体中にとどいた頃、遠藤さんと平野さんがおおきな声をあげて泣きだしました。
そして、7人ぜんいんでベッドをかこんで泣きました。
夜があけると、千鶴さまをうずめようかと思いましたが、まだいきいきと顔色も鮮やかで、かわいらしく、しずかに眠るような千鶴さまを見て、ジョーが言いました。

「まだ、生きてるみたいじゃん…。土の中ってまっくらだし、冷たそうだ……」

みんなはうんうんと頷き、外から中が見られるガラスの棺をつくり、その中に千鶴さまのからだを寝かせました。
棺を小高い丘へはこびあげると、朝日がのぼり、光がよくあたりました。

「…は、はぁ…っ、それ…千鶴…?」

小人たちが振り返ると、そこには息をきらし裸足でボロボロの龍がいました。

「龍ッ!!おまえ、走って…?」
「はっ、…は…」

翔太が駆け寄るのにわき目もふらず、龍は棺のまえに跪きました。

「千鶴を…白雪姫を、つれてかえる」
「………龍……吉田はしんでるんだぞ…。それにつれてかえったって矢野が…」
「あの城につれてかえらしてくれ、翔太」

龍は千鶴さまをまだ生きているかのように抱えあげました。

「千鶴は、それでも、矢野と黒沼を大事におもってた。埋めるにしても、あの城に埋める」
629白雪姫もどき:2009/04/05(日) 00:20:03 ID:c0dIz6wg
龍の決心はつよく、だれも、翔太でも引き止めることはできませんでした。
小人たちにむかって一礼した龍は、もと来た道を歩きだしました。



千鶴さまを大事そうに抱きかかえて龍が歩いていると、茂みから白馬があらわれました。
白馬に乗ってあらわれたのは隣国の王子、徹さまでした。

「あれっ?龍…と、ちー?」
「兄貴」
「俺、ちーが小人たちの家に世話になってるっていうから、迎えにいこうとしてたんだけど」

手綱をひいて馬をおちつけると、徹さまはにこにこしながら言いました。
千鶴さまがしんでしまっていることには、徹さまは気付きません。

「もう、その必要はないみたいだなー」
「うん。……兄貴」
「ん?なんだよっ」
「その、白タイツは…やめといた方がいいと思う」
「わかってるッッ!!!わかってるって、自分でも凄いわかってるんだから言うなよ…」



徹さまが行ってしまうと、龍はまた歩き出しました。
山をこえて小川を渡り、谷をこえて、お城が見えてきました。
あとは山をくだればよいところまで来ると、龍の足はぐらぐらと揺れ、1本の樹の根につまづいてしまいました。
よろめいた龍はおもわず、千鶴さまを抱きかかえたまま尻餅をついてしまいました。
すると、千鶴さまのかじった毒リンゴの一かけらが鼻の奥からとびだしたのです。

「ぶっ」

龍はたまらず喉をならし笑ってしまいました。
まもなくして、千鶴さまは目をパッチリひらき起きあがって、元気よく言いました。

「なに笑ってんだよ」
「千鶴…っ!!」

安心したのか、いよいよ笑いのツボにはまってしまった龍の目にはやさしい涙が浮かびます。

「てか、ここ……えッ!龍、おまえ足、ど、ど」
「人間になったんだ」
「鏡は!?」

誇らしそうな龍を、千鶴さまは驚いて見つめました。
龍は、それはもう大事に大事に千鶴さまを抱きしめて言いました。

「かえろう。一緒に、あの家にかえろう」

龍は千鶴さまの手をとって、お城までの道をたどりました。
630白雪姫もどき(ラスト:2009/04/05(日) 00:29:51 ID:c0dIz6wg



お城につくと、そこにはあやね様と爽子が、たって待っていました。

「…ちづ」
「……やのちん……」

ながい沈黙のあと、はらはらと爽子が見守るなか、あやね様が言いました。

「おかえり…、それと……ごめん」
「え…?」
「私バカだった。本当に、ごめん」

うつむき頭を下げるあやね様の上から泣き声がふたつ降ってきました。

「や゛っ、や゛の゛ぉぢ〜〜〜ん!!!!」
「よかった…!よかったねえ!ちづちゃんッ!!」

滝のような涙をながす二人に抱きつかれ、あやね様もこらえがきかず泣いてしまいました。

「…ひ…ぅッ…、私ほんとバカだったわ…龍のアホに、っ、私の美しさなんか分かるわけないのに!」

ひどい言われようだとは思いましたが、龍は黙っていました。

「ごめんね、ちづ…ありがとう、爽子」

あやね様をなんどもなんども説得したのは、爽子でした。
卑屈にどんどん暗いほうへ引き込まれていくあやね様のこころを、爽子は必死につなぎとめていたのです。

抱きあったまま3人は、ぶったおれるまで仲良く踊りつづけました。
心地のよい日差しのなか、龍は芝生のうえにねっころがり、すうすうと寝息をたてはじめました。

<おしまい>


【配役】
白雪姫 → 千鶴
いじわる王妃 → あやね
召使い → 爽子
女猟師 → くるみ
七人の小人 → 健人・ジョー・翔太・遠藤さん・平野さん・ピン・善
隣国の王子 → 徹
魔法の鏡 → 龍


規制に初めて引っ掛かったorz
駄作で申し訳ないがずっと書いてみたい話だったんだ、楽しかったー
エロなし大量レス消費でごめんね
2、3日したらこの設定でのエロ投下しにくるよ
他の書き手さんの作品もお待ちしてます
もちろん全裸で
ノシ
631名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 20:10:34 ID:5nI6YHRW
GJ!!
おもしろかったよー!
千鶴メインってのもいいね!
632名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 23:10:47 ID:bNT+mTgG
GJ!
面白かったー
なんかセンスを感じるんですが神職人さま…?
同設定エロSSも楽しみにしてます!
633名無しさん@ピンキー:2009/04/06(月) 02:02:17 ID:Frkh5bDP
さいこうだ〜!!!!
634白雪姫もどきエロ:2009/04/06(月) 23:54:41 ID:2AqU3zww
白雪姫もどきの後の龍ちづ
“白雪姫”の話あっての龍ちづだから、二人ともキャラ崩壊な部分があるかもしれん
ダメな人はやめといてね
7レス借ります
ーーーー

太陽はもうとっくに昇りきった。
素肌のうえをジリジリと焦げつかせ、日射はわすれられないように色に残していく。

「…あっちい…」
(どこ行ったんだ…)

龍は半そでを肩まで捲り上げると、ついでにそのシャツで汗を拭った。

あの一騒動以来、城はすっかり元通りになった。
ただ違うのはその光景に、“おいかけっこ”が加わったこと。
もちろんそれは、千鶴と龍との、だ。

二人の“おいかけっこ”は今日もつづく。
城内からだだっ広い森まで、バラ園に果樹園、龍は散々と探して歩いていた。

森の奥深くを再度よく探す。
わきの茂みから裸足の指が覗くのを龍は見逃さなかった。

「千鶴!」
「あ、見つかった」

茂みを掻き分けると、千鶴が気持ちよさそうに寝っころがっていた。
周りの木々は高く枝を伸ばし、細切れの陽光を降らす。
相変わらず無邪気にそう言い放った千鶴の格好を見て、龍は軽くため息をついた。

「見事にどろどろだな」

まっさらだった筈のTシャツは薄汚れ、ツギハギだらけでも毎日手洗いにプレスもされているミニのスカートは皺くちゃだった。
剥き出しの手足は土まみれで、擦ったのか頬まで乾いた泥でパリパリだ。

風呂をすすめると、あーとか、うーとか適当な相槌で起き上がろうともしない千鶴に龍は業を煮やして行動を起こす。
両腕に力をこめて抱き上げると、千鶴はいとも簡単に体の両端から宙に浮いた。

(かるい)

「ぅえ!え、ちょ、じっ自分で歩けるって!!龍!聞いてんのかッ」
「……そんな耳元で叫ばれたら、嫌でも聞こえる」

じたばたする千鶴を歯牙にも掛けず、龍はずんずん大股で歩いた。
635白雪姫もどきエロ:2009/04/07(火) 00:00:24 ID:STfKUmMs



「ほんっと、体力あるよな…」

疲れたのか、抵抗をやめた千鶴はぐったりと龍の懐で呟いた。
龍は澄ました顔で返す。

「千鶴ほどじゃない」

(この野球馬鹿野郎め。いつかぎゃふんと言わせてやる)

心のうちで毒突きながらも、千鶴は目の前の胸板にこてんと頭をあずけた。

「……、っ…」

龍の背筋が伸びて、また一筋の汗がこめかみを滑り落ちる。

(日向の…においがする)

龍の顔の影がちょうど千鶴のそれを守るように隠した。
懐の心地よさに気を取られて、ちらりと送られた視線に千鶴は気づかなかった。

そのうち城内に差し掛かると、一瞬、誰かのてのひらに捕まったように闇が覆いつくした。
気温もすこし下がって、立ち籠める香りまで変わる。
浴場が近づくにつれて、あの湯の沸くなんともいえない優しい香りがしてきた。

浴場は鳥かごをモチーフに造られていた。
壁には様々な形を組み合わせたモザイク柄や、鳥の羽根や花と蔓の紋様が彫られていた。
中央の丸い浴槽からもうもうと湯気が這い出る。

「じっとしてろ」

龍は千鶴を注意深くおろし、浴槽の淵に座らせた。
スカート越しに暖かく湿った感触がじんわりと広がっていく。
円蓋に並ぶひかえめな窓から西日が差し込む。
何本もある光柱の一つは足元を照らし、その光の中で湯気はきらきらと反射を繰り返して、千鶴は目を細めた。
上から吹く風のおかげで思ったよりは涼しかった。

石鹸を泡立てた龍の手が千鶴の足を指から洗い始める。

「ぷっは!くすぐって」
「おい。そんなに動くとはまるぞ」
「だって、…!つッ」

一度裂けたあとの再生された薄い生皮膚は、とても柔らかく、突っ張るだけでまた血が滲みそうな危うさがあった。
龍の指がそういった痕を思いのほか強く掠めたのだ。
大小、千鶴の肢体に無数に残る傷はまだ痛々しい。
特に足は膝下を中心に数が多かった。
汲んだ湯でそうっと洗い流しながら、心配そうに龍は訊ねる。
636白雪姫もどきエロ:2009/04/07(火) 00:01:58 ID:STfKUmMs
「痛むか?わるい」
「びっくりしただけだから。あんまし……見るなよ。傷だらけで見てて気分のいいモンじゃないだろ」

苦しみが今でも胸を焼くように、夕立の空のように、その一言で龍の顔が歪んだ。

千鶴は知っていた。
龍は、自分を責めて悔いていた。
今は元通りになったものの、事の発端は自分の言葉の所為だと思っている。
負い目を感じてか、人間になり千鶴に仕えるようになってから龍は必要以上に世話をやき、傍について、過保護だった。
こういった顔を見せることも度々あった。

龍は傷を見つめ続けている。

「気にしなくていいから、本当。…それに!どーせ見るなら、やのちんの胸でも見てるほうが目の保養になんじゃね?」
「……」

明るく言ってみた冗談も虚しく消えた。

(うそでもいいから笑えってーの)

静謐な時間のなかに気まずさが濁る。
不意に、伏せていた龍が顔を上げて視線がぶつかった。
真剣でまっすぐな瞳に射られて千鶴は動けない。
ゆっくり、龍は口を開いた。

「王妃さまは、うつくしい。でも白雪姫は、……千鶴は、千ばいもうつくしい」

かあっと顔も脳も熱い。
千鶴は浴場の淵を両手で握り締めて、思ったよりもずっと大きくなった声で言った。

「からかうのもいい加減に――」
「俺は嘘はつかない。からかってるわけでも、同情してるわけでもない」

天窓の上を一羽の鳥が横切って、二人の間にも薄闇が落ちてきた。

「千鶴が好きだ……この傷だって、俺の“印”だと思えば、嬉しい」

柔い痕を龍は舐めた。
口づけを何度も降らす。

「ぁ…!!なッ!なっにして……」

逃げるために引こうとするのを、細い足首を掴んで龍は許さなかった。
一つ一つの痕を愛しそうに舌と唇が辿る。
その行為とは裏腹に龍の眉間には苦悶が見て取れた。

(辛いんなら、そんなことしてくれなくていい)
「…そんな、ッ…顔、して、平気なフリなんかすんな!!」
637白雪姫もどきエロ:2009/04/07(火) 00:03:46 ID:2AqU3zww
龍の肩口を怒りに任せて引き寄せて、千鶴は押し付けるだけのキスをした。
強張りが全身にまわって、緩んでいくのが掴んだ肩と唇から伝わる。

体を離すとお互いから吐息が漏れた。

「千鶴」

呼ばれて反応をかえす間もなく、今度は龍からキスをされる。
膝をついた龍にされるキスは、下から食らいつくように貪って、唾液も声も酸素も奪われるものだった。
押さえられた後頭部が痛いぐらいで。

「……ん゛…、…っ…………ッぅ……ぁ…」

無遠慮に侵す舌に弄ばれて、息もうまく継げない。
絡まる舌が熱い。

(あつい、あつい、あつい、あつい)

形のない筈の焦熱が廻って、脳の裏まで這いまわる。
急に時間の流れがのろくなった気がした。

でも終わりは来て、龍が下から見上げるように視線を向けて、不安げな表情をつくった。
離れた唇を寂しがってか、龍は千鶴の手に手を重ねる。

「嫌か?」

もう、その言われてる意味がわからないほど、お姫様でもいられないのは知っている。
でも自分の口から特別な人に特別な言葉を伝える日がくるなんて夢みたいなことだ。
夢だと思った。

千鶴は決まりが悪そうにはにかんでみせた。
握られた方とは反対の手を伸ばして、龍の頭を抱き寄せる。

「嫌な奴に、こんなこと許すかよ」

押しつぶされた鼻に痛みと千鶴の匂いを感じた。
気丈に言い放ちながらも、目の前の頬と耳が赤いのに龍は気づく。

「…じゃあ、遠慮なく」

こぼれる笑みを隠そうともせず、くっと喉を鳴らした龍の掌があやすように背を撫でていった。

(なんだそれ……笑うなっ、エロ馬鹿)

そのまま肩から、少しかさつく唇で確かめながら触れられていった。
胸までくると口が大きく食むように開いて、乳房を服の上から甘噛みされる。
中心の突起に歯がかすめたとき、つい声が漏れた。

「ぁあッ……!」
638白雪姫もどきエロ:2009/04/07(火) 00:05:48 ID:2AqU3zww
勢いよく口元を手の甲でかばい、また耳まであかくした千鶴に気をよくした龍はそこで遊びはじめた。
押しては引っぱって、歯で擦ったかと思えば舌が嬲る。

「…は、ぁ゛…っ、……し、しっつ、こい…っつーの…」

涎で透けたシャツとブラまでが張り付き、そこだけがぬらぬらと鈍く光っていた。
頭にカッと血がのぼる。
自然と引ける腰をきつく抱きしめられているせいで深まる密着が憎い。
足を割ってある精悍な体が押しつぶすスカートの中に、湿りを帯びはじめた秘部があるからだ。

見透かしたように、重ねていた龍の腕がそこへ伸びた。
薄地を掻き分けて直に指が触れると、千鶴はぎゅっと目を瞑った。

「……」

一旦、龍は指を離した。
千鶴の不安を汲んでか、龍は腰を浮かせて千鶴の額に額をこつんと当てる。
恐る恐る瞼を開けると、息がかかるほどの距離にいる龍が静かに見つめていた。
キスをした。
互いの想いが溢れて、さっきまであった心細さがちいさな切なさに取って代わられる。

腰に残っていた腕で流れるように抱きしめられると千鶴も膝立ちになった。
冷えたタイルに膝がわずかに食い込んだ。
もう一度、殊更ゆっくりに指を差し込まれる。

「……っ………ぁ…」

千鶴が遠慮がちに龍のシャツの裾を握り締めた。
頭上から精緻な観賞を受けながら、千鶴の声が少しずつ解れ出る。
時折ピリッと走る痛みを、徐々に甘さが上回っていく。
抜き差しや、円を描く指の本数が1本増えた。

どうにか2本分の圧迫感を逃がしたあたりで、緩慢だった動きが鋭くなった。
千鶴はその快感に堪えかねて龍の首に巻きついた。
崩れ落ちそうになるのを、首に掛けた腕だけで支える。
龍の耳の中で千鶴のくぐもった声が反響した。

「ふぁ、あ…ッ…んぅ!ん゛」
「…………!!」

龍の起立は痛々しいほどだった。
黒い布地を突き破るために片時も休まず起ち上がりつづける。
いつもは誰にも見つからないよう、ひたむきに隠し続けてきた本能が。
血肉に包まれた本能が、自制のたがを外して金切り声をあげる。

龍は動きをやめ、千鶴の手首を引いて促した。

「手、ついて」

肩で息をする千鶴は言われるがままに背を向けて淵に手をかけた。
力が入らず滑りそうになる膝を、足先の指を返して爪をタイルに立てて支える。
639白雪姫もどきエロ:2009/04/07(火) 00:08:29 ID:STfKUmMs
入れるぞ、と低く発せられた声は惚けた千鶴の斜め上を通り過ぎていった。
あてがわれた肉が肉に食い込む。
その時になってやっと千鶴はその体勢にさせられた意味を知った。

「え……?あ!?まっ――」

振り返ってももう遅い。

「千鶴……もっと息、しろ」

起立の先だけが入り、半分ほどが龍からは見えなくなる。
互いに、特に千鶴は、痛みばかりが広がる。
濡れてはいても、内壁は侵入を必死に拒んでいた。
呻くように名前を呼ばれても千鶴は返せない。
犬さながらに浅く早い息を繰り返す。

「っ、はっ、はっ」

千鶴のしなやかな体躯が小刻みに震えていた。
龍にも、悠然と装う余裕は微塵もないのだ。

龍は汗の粒を舐めとり、前にまわした褐色の腕で腿と胸を刺激する。
性急な愛撫に千鶴の細い腰がぴくぴくと反応した。
あたえられる快感を全身で思い出しはじめる。

(りゅ、う!)

進められた腰が溶けた秘部に包まれた。
火照った肌が一つに戻ろうと求めあっている気がした。
クレッシェンドが深くなる。
腰を掴む掌のかさつきや寄り添う踝、隙間なく埋められた接合部。
後背にかかる切なくあがった息も、全ての触れた場所から快感が流れ込む。

「は…ンんぅ…あ、あっ!」

龍が千鶴のうなじに噛みつくと、甘い痛みに背中が跳ねた。
そのまま覆いかぶさると、限界が近いのか打ちつける腰に気遣いや容赦がなくなる。
テクニックもクソもない。
肌のぶつかり合う音が天蓋によく響いた。

「ぁ!やっ、あ、あ、ァ、っ!も、ぅッ、りゅ、う!!」
「俺、も、…いく…、………ぅ、ぁっ……!」

初めて聞く上擦った声に煽られて、千鶴の最後の叫びは仰け反ったわりに声にもならなかった。

「ああ、ひっあぁあ、―――――――――ッッ!!!!!」
640白雪姫もどきエロ(ラスト:2009/04/07(火) 00:15:25 ID:STfKUmMs



「なに考えてんの?」

やけに大人しい千鶴を横目で窺いながら龍が聞いた。

息が整ってから、情事の後処理はテキパキと龍がこなした。
力の入らない千鶴の体も湯で洗われ綺麗になる。
子供のように脇を持たれ、湯船につけられたのは数分前のこと。

「…なーんにも…」

気付けば光柱の色が橙に染まっていた。
二人で湯につかり、ただただ並んで座ってぼんやりとしていると不思議な気分になる。
並ぶ4本の足を見るともなしに見る。
たゆたう像がなんだか愛しくなって、いてもたってもいられなくなった。

(ずっと、こうして、こうやって)

「…なぁ、龍」
「ん?」
「結婚しよっか」

龍は大きく開いた目でつぶさに千鶴を見つめるばかりだった。

欲がでた。

きっと一生、龍は自分に仕え続けるだろう。人間になった“家来”という立場で。
想い合えているからといって、体を重ねたからといって、奉仕の態度が変わるとも思えない。
このまま有限の生を終えるまで、自己嫌悪と自責の念を忘れずに忘れられずに、龍の体は傍にいる。

そんな不毛な後悔より、もっともっとあたしの近くにいてほしくなった。
心の中から、そんなこと忘れ去るぐらいあたしと笑ってほしい。
忘れられなくてもいいから。

(一緒に生きたい)

「あたし、龍のこと幸せにできるように頑張るからさ…」

ようやっと言葉の意味が理解できたのか、視線を外して長い沈黙のあと、龍はため息をついた。

「それ……、こっちのセリフ」

お互いの照れが伝染して、それはいつの間にか大きな笑いになる。
たくさんたくさん笑った。
ーーーー

エロなのにエロくなくてスマンかった
これ書いてから龍ちづ風爽に結婚式に何着せる?妄想が止まらない
641名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 21:15:57 ID:CNyX7n7g
ちょっと来れない間に祭が!
>>609

浴衣いいよGJ
祭の描写が色っぽいなー
爽子って浴衣が似合う気がしてならない

>>611

風早家族祭w

パパの爆弾発言がw
風早そっちのけで可愛がられる爽子に
(俺の黒沼なのに…)とむううっと拗ねる風早を感知したw

>>623

龍ちづ待ってたよ!GJGJ
うまいなあ。
龍と千鶴はほんとあー結婚しそうって思う
642名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 10:52:22 ID:Aw9DQxyY
GJ!!
640タソはまだまだ私達にエロを提供してくれるということですね、わかります
643名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 13:35:00 ID:yHs36Di7
ちょwww
644名無しさん@ピンキー:2009/04/08(水) 21:36:32 ID:eq2SvNb7
おおおお!!!
ここ数日で投下がすげえ!!
皆さんGJすぎる!
しかし、ここ、全体的にレベル高くていいよなあ……


つか、そろそろ次スレ考える時期?
もう475KBだし

最初は過疎ってたのが嘘みたいな盛況っぷりだ
645名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 15:48:07 ID:8UlVV0QL
もうそんな時期かー
646名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 20:59:08 ID:M7pQAoqP
はやいねー
作者さんは無事に出産されたようでなにより
647名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 19:34:51 ID:oYjnzqoU
お、無事出産されたか!
あとは復帰に向けて頑張って欲しいね
このスレあればなんとか待てる!!
648名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 05:52:02 ID:l/F9/kex
初めて保管庫読んだけど
いいね〜〜〜エロだけじゃないエロみたいなww
個人的には風梅話の中にちょこちょこあった
あやねとぴんの話が読みたいwww
649名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 13:00:49 ID:YMqCfOFD
>>648
ピンあや、読みたい読みたい
この二人って一筋縄じゃくっつかないイメージだ
650521:2009/04/12(日) 23:15:54 ID:AwwULqnH
風早ファミリー祭りの時に触発されてまたまた描いてしまいました。
SSの挿絵的なものということでご勘弁ください。

ttp://ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo02.jpg


ttp://ichigoya.sakura.ne.jp/kimitodo03.jpg

嫉妬王子は弟にも容赦ないだろうな・・・と思いまして。
651名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 00:47:12 ID:Y+s4Idwj
あれ?dat落ち?
652名無しさん@ピンキー:2009/04/14(火) 17:21:08 ID:08D5Sfc+
ん?
653名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 07:57:04 ID:Y4Gb+n1h
次スレたてた?
654名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 13:50:37 ID:xBVF4t3B
まだ大丈夫じゃない?
655名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 00:05:19 ID:iRG7vkgc
>>650
可愛い!GJ!風早王子大人げねえw
656名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 09:28:40 ID:nes2cNsU
ケンカはこちらw
【隔離】場外乱闘専用スレ【施設】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1239770078/
657名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 10:51:11 ID:IunHdLLx
神降臨まだー
658名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 19:12:43 ID:elFXvwxG
保守がわりに導入だけ投下
保管庫には入れないで頂けるとありがたいです。






何かを堪えるような、くぐもった呻き声が聞こえた気がした。

千鶴は人気のない校舎裏で眉をひそめた。
訝し気な表情のまま、声の主を探す。
人気がないせいか、この辺りはイジメの絶好のスポットなのだ。
熱血魂と人情魂に火がついたのは、あながち場違いとも言えなかった。
校舎の影の、更に奥まった場所。
声はそこから聞こえる。
千鶴は睨むような目つきのまま、そちらに足を向けた。


「んっ…や…ああっ」
その光景を見た瞬間、千鶴は反射的に身を隠した。
そこには二つの人影があった。
校舎の壁に押し付けられた片方の人影は、紛れも無く爽子だ。
もう一つは片手で爽子の長い黒髪を弄びながら、余った片手と
身体で彼女の自由を奪っている男子の後ろ姿。
男子の顔は見えないが、時折爽子の唇が彼の名前を形作る。
男子はいつの間にか、爽子の髪に絡めていた手を徐々に移動させ
肩から胸、腰を撫でるように辿っていた。


千鶴は気付かれないように細心の注意をはらいながら
真っ赤な顔のままその場を後にした。
後で男子を蹴り殺そうと、半ば本気で考えながら。



最後まで男子の名前を出せませんでしたが一応風早です。
続き(龍ちづ)は、書けたらまた投下します。
659名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 03:26:42 ID:IgheqI23
>>650
ひざ枕を先越されたんですねwわかります。
660名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 08:39:27 ID:yV9dskpR
>>658
GJ!!
いいね!続きが読みたいです!
661名無しさん@ピンキー:2009/04/22(水) 23:58:53 ID:ScbOycCE
>>658
続きにwktkしつつほっっしゅ。
662名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 09:41:59 ID:Zn5u1Pil
ほしゅー
663名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 04:09:37 ID:nrWBkEUb
保守代わりにサクッと投下させていただきます。
新婚さん風爽で、糖分はわりと高めです。

書き上がってみると無駄に長い話になってしまいましたorz
スレ残量が少ない時に大量消費ごめんなさい…。
664【 スプリング・ハズ・カム 1 】:2009/04/25(土) 04:11:50 ID:nrWBkEUb

「ただいまー……」

ある春の日の深夜のこと。仕事で帰宅が遅くなった翔太が自宅の玄関に足を踏み入れた瞬間、居間の奥から爽子のくぐもったような声が漏れ聞こえてきた。

「…さわこー?…まだ起きてたの?」

玄関で靴を脱いで、居間の扉の隙間から漏れる部屋の明かりを頼りに、廊下を突き進んでいく。

がちゃり、と静かに音を立ててドアを開けて、最初に飛び込んできた光景に、翔太は思わず息を飲んだ。

そこには、ベランダの横の壁にそって置かれたソファーの背もたれに寄りかかり、
心なしか苦悶の表情を浮かべて荒い息を繰り返す爽子の姿があった。
こちらをゆっくりと振り返ると、小さく唇を開いて 「しょうたくん、おかえりなさい…」と儚げな声で囁いた。

「爽子っ?…どしたの、なんでそんな顔真っ青にして…!」

愛しの妻の細く柔らかい身体をそっと抱き寄せれば、通常よりもどこかひんやりと冷たい体温を肌で感じて、翔太はすっかり不安に駆られてしまう。
その小さな頭を自分の肩に静かに寄り掛からせて、そのまま漆黒の艶やかな長い黒髪を撫でる。
彼女のこめかみからうっすらと冷や汗が滴り落ちていくのを目にして、明らかに尋常ではない事態に少しずつ呼吸が荒くなっていくのを感じた。

「あのね…ついさっきまではなんともなかったんだけれど…」

ぽつりぽつり、と息も絶え絶えになりながら、変わらず青白い顔をした爽子が必死に言葉を紡いでいく。

665【 スプリング・ハズ・カム 2 】:2009/04/25(土) 04:17:45 ID:nrWBkEUb

夕方、翔太の勤務先から電話があった。
日付が変わる前に仕事が片付きそうもないから、自分の帰りを待たずに先に寝るように、という旦那様の忠告に素直に従い、
いつものように二人分を用意していた夕食の肉じゃがを、翔太が帰ってきたらすぐに電子レンジで温めれば食べられる状態にしておいた。

浴室でバスタブに温かいお湯を張り、お湯が溜まるのを待つ間、居間のソファに腰掛けて読みかけの小説を開く。
小説の一章分を読み終えたところで、お風呂場のバスタブにたっぷりと溜まった温かいお湯を確認した。
もくもくと漂う湯気の温かさに心惹かれて、そのまま入浴してしまうことにする。
日々繰り返される家事や仕事に、さすがにどっと疲れが出てきてしまったのだろう。
爽子は湯船に浸かりながら、突如教われた睡魔に抗うことができずに重たい瞼を閉じた。

ふと目を覚ましたときには、長い時間お湯に浸かりすぎたせいか、すっかり頭がのぼせてしまったようだった。
顔中がやたらと熱っぽく感じられて、妙に息苦しい。
一向に正常に作動してくれない思考回路が、身体の異常に小さな悲鳴を上げているようだった。

666【 スプリング・ハズ・カム 3 】:2009/04/25(土) 04:20:27 ID:nrWBkEUb

おかしいな、なんだか体がやけに重たい…。

ただのぼせてしまっただけにしては、やけに身体全体のだるさが目立っているような気がした。
おまけに、あれほど湯船の中で眠り込んだでいたにも関わらず、もうはや強烈な睡魔がどこからか押し寄せてきた。

くらり、と突然の立ち眩みに目が回ってしまい、慌ててバスタブの縁に手をかけて身体を支えた。

…もしかして、流行りの風邪にでもかかってしまったのだろうか?
だけど、風邪箘の予防対策は万全だったはずだ。
春先のこの季節にはいつもインフルエンザが流行るから、
我が家もウイルスに侵食されないうちに、と外出のあとはしっかりうがいと手洗いを施していたのに。

そんなことをつらつらと反芻していたら、ふと心細さに鼻の奥がツンと反応した。

667【 スプリング・ハズ・カム 4 】:2009/04/25(土) 04:23:46 ID:nrWBkEUb

―――よくわからないけれど、なんだかすごく 寂しい。


こんなことで情緒不安定に陥るなんて、どうかしている。

自分でもそう自覚していながら、どうしようもなく押し寄せてくる心細さに涙が溢れてきた。

脳裏に浮かぶのは、ただひとり。

世界でいちばん大切で、愛しくて、
私の心を大きく満たしている、あなたの存在。


「…しょ…たく、…っ…こわい、よ…たすけて…っ!」

いくら彼の名前を呼ぼうとも、さきほど電話で交わした通りなら、彼はまだしばらく仕事から戻ってこないはずだ。
混乱した頭で、とりあえずここから出なくては、と思い至る。
ふらふらの自身の体を必死で支え、風呂場を上がり洗面所でバスタオルを手に取り、体の水滴を拭き取った。
今度は急激な気温の変化を敏感に感じとったらしい体が、
肌寒さで小刻みに震えだしてきて、慌ててパジャマをしっかり着込んだ。
居間に戻って、ソファに置いたままだった膝掛けのブランケットを広げてふわりと自身を覆った。

668【 スプリング・ハズ・カム 5 】:2009/04/25(土) 04:27:21 ID:nrWBkEUb

一向に収まらない熱っぽさと、体のだるさに体力がどんどん奪われていく。
同時に誘ってくる睡眠欲に抗えず、再び重たい両瞼を閉じかけたその時、
玄関の方から、がちゃがちゃと扉の鍵を開く音が微かに聞こえてきた。

「んっ…!…しょうたくん…っ」

爽子が息を飲んで廊下に目をやると、心待ちにしていた愛しい彼がドアの向こうから姿を表したのだった。


「大丈夫?…今からでも、病院行ってみようか?」

爽子に負けず劣らず、すっかり青い顔をした翔太が爽子の潤んだ瞳を覗き込んだ。
その問いかけに、爽子はやんわりと首を横に振った。
「ううん…もう時間も遅いから…」

このままベッドで休めば、きっとすぐに回復するはず。

なにより、心から信頼している旦那様がそばにいてくれるのだから。

爽子にとっては、どんなに優秀なお医者さんに診断してもらうよりも、
同じベッドで翔太と添い寝して、暖かな彼の体温を感じながら眠りにつく方が、よっぽど治りが早くなるような気さえしていた。

669【 スプリング・ハズ・カム 6 】:2009/04/25(土) 04:30:55 ID:nrWBkEUb

「えーと…なにか、してほしいこととか…ある?」

そうだ、なんかあったかい飲み物でも用意しようか。
言いながら、翔太が爽子を抱きしめていた腕を緩めて、ソファから腰を上げた瞬間、
離れていく体温を逃したくなくて、爽子は思わずすがるように強く翔太の服の裾を掴んで引き留めた。


「……さわこ?」


いやだ、おねがい、はなさないで。

ずっと、そばにいて。

わたしを、だきしめて。


ぽろぽろとその黒く澄んだ瞳から大粒の涙が零れおちていく。

およそいつもの彼女らしくない言葉を受け止めて、
こわれものの宝物をそっと抱きしめるような、
優しくて穏やかな仕草で、翔太は震える爽子の肩を引き寄せた。


「…心配しないで、ここにいるから」



―――ずっと、ずっと、いっしょにいるから。


670【 スプリング・ハズ・カム 7 】:2009/04/25(土) 04:34:18 ID:nrWBkEUb

涙で震える彼女の長い睫毛の縁に溜まった水滴を、そっとくちびるで舐め取った。
そのまま目元や頬、薄いくちびるにキスの雨を降らせてゆく。
抱きしめられた腕の中で、彼女がくすぐったそうに身をよじったのが気配でわかった。

その可愛らしい反応が嬉しくて、思わず口元に笑みを浮かべると、
仄かに桜色に染まった爽子の白い耳にくちびるを寄せて、甘く囁いた。


「…寝室まで、抱き上げてお連れしますよ…おひめさま」


それを聞いた彼女がくすっと微笑んで、「…おねがいします」と小さく返し、恥ずかしそうに頬を赤く染めて、彼のくちびるにふわっと優しいキスをした。


「ありがとう」と、

「だいすき」の 気持ちを込めて。



翌日、爽子を連れて朝いちばんに近所の病院に駆け込んだ翔太が、
寝ぼけ眼で爽子の診断結果を告げた医者の
想定範囲外の言葉に、目を丸くして固まってしまったというのは……、

…また、別のお話。





おわり

671名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 04:38:11 ID:nrWBkEUb
以上で投下終了です。
お付き合いどうもありがとうございました〜。

弱ったときなどに出現するw
風限定での積極的な爽子は半端なくかわゆいと思います!もえ…!
672名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 07:38:33 ID:fl8uXoA9
投下だひゃっほーーい
あんまーい!!GJ
風早うらやましいぞ…
673名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 14:39:13 ID:HqaU6PTP
GJ!!
もう次スレまで投下ないかと思ったよ
ありがとう
674名無しさん@ピンキー:2009/04/26(日) 22:10:40 ID:eIo+n+UW
あまああああああああああああああ!!!!!11
だがそこが最高です。

弱り爽子かわいいね。
投下乙でした!!
675名無しさん@ピンキー:2009/04/27(月) 20:18:07 ID:tAHSkQ3O
ほしゅー
676名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 01:41:12 ID:ztWqJXXb
ほす!!
677名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 20:55:58 ID:APJGIV85
GWは投下なしか・・・
678名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 14:45:17 ID:3jpHF+fH
次スレの用意……
679名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 18:55:35 ID:yBhmVSmw
スイーツ(笑)
680名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 22:14:55 ID:c6xku8QQ
>>658の続きで龍ちづになる予定のもの
保管庫には入れないで頂けるとありがたいです。

細切れで申し訳ないんですが、GWに絡めてしまったのに
GWに投下する余裕がなさそうなので先行投下。
続きはGW後に投下します。






千鶴は大いに悩んでいた。
放課後に風早をつかまえて口を割らせてからずっと、家に帰るまではおろか
家に帰ってからも、床をごろごろと転げ回りながら悩んでいる。
既に風呂も食事も済ませ、そろそろ寝る時間だというのに、一向に眠気が訪れない。
先程の爽子の件、ではない。
大きく関係しているのは事実だが、今の千鶴はそれ所ではなかった。

「男は好きな女に触りたいと思うもの」

風早に言われた台詞が、頭でぐるぐると廻っている。
自分は龍に触れられた事はない。
頭を撫でられたり、慰める為に抱きしめられたことはあっても
男女として触れ合う事など皆無だった。
部屋に二人きりでいる時でも、ゲームや漫画、お喋りをするだけ。
あいつは、本当に自分のことを好きなんだろうか。
友達の延長、幼なじみの延長という事はないんだろうか。
風呂の中で見下ろした自分の身体を思い出して、思わずため息が出てしまう。
女らしい柔らかさや円みのない身体。
「美しい」「可愛い」といった修飾語を付けようのない顔には
目つきが悪いと評するに遜色ない雰囲気が纏わり付いている。
これで女を感じろ、と言う方が無理なのかもしれない。
「やっぱ、触り甲斐がないよな」
自分の肩や足に手をやり、硬い感触に眉をしかめる。
大体、龍が悪いのだ。
自分に好きだと言っておきながら、何をする訳でもない。
部屋に行けば以前と同じ、口を開けば相変わらず。
これで安心しろと言う方がおかしい。
今日ずっと悩んでいたのは龍のせいだ。
ぜんぶ龍のせいだ。
決めた、龍が悪い。
折しも明後日からはゴールデンウイーク。
時間はたっぷりある。
対決して、白黒はっきりさせてやろう。
そもそも何を悩んでいたのか、主旨がずれている事にも気付ない。
千鶴は鼻息も荒く布団に潜り込み、苛立ちに任せて荒々しく寝返りを打った。
681名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 09:52:31 ID:l5rYm76X
GJ!!
先が気になる!
続きは次スレか…
682名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 23:42:07 ID:7rJQh262
ほしゅうめ
683名無しさん@ピンキー:2009/05/03(日) 23:51:07 ID:hvDASyFz
684名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 09:47:37 ID:Ob6pdL/L
685名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 18:50:29 ID:a4H4OYop
うめ
686名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 23:28:20 ID:Blclh9Vz
なんという神スレなんだ。
今日一日マジ楽しかった。
ありがとう職人さんたち。
687名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 11:06:09 ID:FkxXvvTK
確かに神スレ
688名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 21:25:55 ID:NOezt8Eg
次スレまであと9KBも待てない神様ーー・・・
689名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 22:43:19 ID:FfP0lRzd
スレ埋め代わりに、新婚さん風爽をサクっと投下させてください。
残量も残り少ないので、ちょっと短めです。
ではでは、どうぞ。
690【 はなこい 】 1:2009/05/05(火) 22:44:03 ID:FfP0lRzd


遅めの晩御飯を食べ終わり、一息ついたところで、
爽子がキッチンの奥から見慣れない大きな焼酎のパックを手に取り、いそいそと戻ってきた。

「今日、スーパーで見掛けてね?…思わず、買っちゃった」

たまには、いいかなーって思って…。
ほんのり微笑んで、淡い水色のガラスでできたグラスをふたつ用意すると、
こぽこぽと軽快な音を立てて、焼酎をグラスに注いでいく。

それは、テレビのCMで放映中の、新発売の焼酎だった。
可愛らしい商品名のおかげか、若い主婦に人気があるのだという。

「へぇー…めずらしいね。爽子が自分からお酒飲もうなんて…」

爽子が根っからお酒に弱いということは、翔太も十分承知の事実だった。
高校時代にのバレンタインには、毎回のように矢野にはめられて
アルコール入りのチョコレートを食べさせられてフラフラになった彼女の身体を
苦笑いしつつも役得だ、と半分矢野に感謝しつつ保健室まで運んだ思い出まである。
691【 はなこい 】 2:2009/05/05(火) 22:44:53 ID:FfP0lRzd


「…はい! 翔太くん、どうぞ」

向かいのテーブルに座る翔太の前に、
なみなみと注がれた焼酎のグラスが置かれる。

「ん、じゃ…かんぱいっ」

ココン、とお互いのグラスを軽く触れ合わせて乾杯すると、
ふたりは同時にグラスを傾けて、焼酎を口にした。

ほんのりと甘い風味が口いっぱいに広がって、
なるほどこれは評判通りに、飲みやすく万人受けしそうな美味しさだ。

翔太が内心納得していると、目の前の爽子が
「…ふわ、」と意味のないため息をついたのが目に入った。
ふっと軽く微笑んで、手を伸ばして軽く俯いている爽子の白い頬をくすぐる。

「…さわこ、もう酔っ払っちゃった?」

…うん、そうかも…。
ふらふらと頭を不安定に左右に揺らせて、
やんわりと肯定の言葉が爽子の口をついて出た。

「…相変わらずだなぁ。ちょっとソファに横になんなよ」

イスに座る爽子の片手を引いて立ち上がらせて、
よろよろと翔太に導かれるまま、ちょっと離れたソファに座らされる。
そのままぽすん、と身体を倒して、重たい瞼をゆっくりと閉じた。
692【 はなこい 】 3:2009/05/05(火) 22:45:52 ID:FfP0lRzd



―――数時間後。

なにかが身体に寄りかかってくる感触を感じて、爽子はうっすらと目を開けた。

すると、目と鼻の先に旦那様の潤んだ両目が見えて、ひどく驚いた。

「……しょうた、くん?」

どうしたの、と言い掛けて、言い終わる前に唇が塞がれる。
覚えのある甘い味が口内に広がるのを感じて、爽子はまた頭がふわふわしてくる感覚を覚えた。

呼吸をするために唇が少し離れた瞬間を見逃さずに、爽子は翔太の肩に触れて、身体を離す。

「……どうしたの?」

俯いた翔太の瞳から、ぽつん、と涙が一筋流れた。
ぎょっとして、爽子は思わず目を見張る。
瞬く間にひとつ、ふたつ、みっつと止め処なく零れ落ちていく涙を止めようともせずに、
翔太は再び、爽子の細く柔らかい身体を抱き寄せた。

「…爽子は、俺のだもん」

爽子の耳元で、翔太がぽつり、と小さく囁いた。
腕の中の爽子がなにか言う前に、もう一度、念押しするように翔太が口を開く。

「おれだけの、だもん」

ぎゅうう、と爽子を抱きしめる腕の力が強くなり、息苦しさに爽子は胸がきゅうっとなる。

693【 はなこい 】 4:2009/05/05(火) 22:46:36 ID:FfP0lRzd


「他の誰にもやらない。永遠に俺だけのものだ…」

すっかり涙声になった翔太の弱気な呟きに、
さてどうしたものだろう、と爽子は頭を抱えてしまう。

「…爽子、どこにもいかないで。ずっとそばにいて」
「うん…私は、どこにもいかないよ」
「…うそだ…。いつか、俺のとなりからどっか離れていっちゃいそうな気がする」
「そんなこと、絶対ないよ。ずっと翔太くんのとなりにいるよ」
「ほんと?」
「ほんとう」
「じゃあ、約束」
「…うん、約束」

ゆーびきーりげーんまん、
うーそつーいたーら……―――

「…うそついたら、どんな罰にする?」

ちょっぴり面白がったような爽子の問いに、
翔太もうっすら微笑みながら、ほんのり赤い顔で答えた。

「…徹夜で、えっちの刑」

そして、高校時代から何も変わらない、にぱっとした愛嬌のある笑みを浮かべ、
爽子の唇に三度口付けると、さりげなくその身体をソファに押し倒した。

「え、わ、ちょっ……しょ、翔太くん…!」
「んー?」
「ほら、えーと…ふたりとも明日仕事だし…朝早いし…っ」
「いいじゃん、一回だけ。…ね?」



―――絶対、一回じゃ終わらないよね…?

捨てられた子犬のような潤んだ瞳を向けられて、爽子はついに覚悟を決めたのだった。






おわり

694名無しさん@ピンキー:2009/05/05(火) 22:48:01 ID:FfP0lRzd
以上で投下終了です。お付き合いありがとうございましたー。
次スレ立つの楽しみにしてます!
695名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 02:59:14 ID:UMuA2Yeo
酔っ払いはかわいいなぁwGJです!

そろそろやばそうなので次スレ立てました。

君に届けでエロパロ★3
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241546253/
696名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 10:16:30 ID:dgPR8qN5
>>695
乙!
まさかエロパロがここまで栄えるとはなー
697名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:16:06 ID:zGq0LvNA
二人の存在がなんかエロいんだよ。
どのマンガよりも。

絶対風早って爽子に溺れそうだし。
爽子がそれにおどおどしながら手ほどきされていく様子が
想像できて萌えるw

つきあったら絶対爽子に

さわりたくてさわりたくてさわりたくてさわりたくて

ってもだえ苦しみそうだしw手も早そうだしw

初チューまでは作者に描いて貰いたい。初チューまでは。

未だにキス未遂のシーン読み返しては
萌え萌えですよ私は。
698名無しさん@ピンキー:2009/05/06(水) 23:20:22 ID:zGq0LvNA
初エッチとかリクしていいっすか?
もう激しくがいしゅつですか?
でも書いて欲しいー。
かいてほしいよー。
699名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 00:43:24 ID:a7FK+8LT
スレ終わりだからコソーリ呟き

相変わらず爽にちょっかい出してくるケントに
焦れた風が爽におもちゃ仕込んで、
ちょっかい出してきたら教室だろうと遠隔操作で・・・

ってなシチュエーションは駄目かな(´・ω・`)

妄想をここの神みたいに具現化できない自分がもどかしい
700名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 02:40:30 ID:Q0ksoM83
>>697
貴方は私ですか?

Kiss未遂もだけどコミクス2巻での朝の教室で
「何があったって…」「絶対にないよ…」
の後の思い詰めた表情の風、席を立った後どーするつもりだったのか?
風が呟いたようにバス通組、早く来すぎと思たよ。気になるなー。
701名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 03:12:01 ID:FBwxtyze
ピンが目をつぶって10秒っていっておいてくれれば(n‘∀‘)η

初エチーはまず場所がないから大変そうだw
両親が留守の間にっていうのはドッキドキだしな!
702名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 07:37:55 ID:KdenuXiR
仮に両親が留守になったらなったで
何日も前から欲望と妄想が暴走してとまらなさそうな
風早が想像つきすぎ。
703名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 16:11:51 ID:yLRqAyYb
そういや、前スレでピンの10
704名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 16:13:09 ID:yLRqAyYb
ごめん、ミスって途中で書き込んだ上に勘違いっぽい
まとめに入ってなかった
705名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:21:07 ID:TPhMCyuN
そういう意味ではこの二人恋カタの主人公とかぶるな〜。

やりたくてしかたない風早と
鈍感+ビビり+意外と深く考える爽子で

耐えられなくなった風早が一回爽子にキレちゃいそう。
風早は付き合ってもいないのにあの調子だからな〜wいろいろ大変そうだよね。
706名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 20:35:45 ID:xOooCUFo
【速報】
別マ7月号より表紙&巻頭カラーにて連載再開

重大なお知らせも…



再開キター
707名無しさん@ピンキー:2009/05/07(木) 22:03:07 ID:a7FK+8LT
どれだけ待ったよホント…
708名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 00:51:22 ID:rX+h8Tgr
\(^o^)/ヤターーーー もう貞子の黒魔術カフェでチュッチュしちゃえばいいよ
709名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 03:39:51 ID:FwoDz7qM
やったーひゃっほう!!!!
710名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 09:13:01 ID:2AZg7QT7
てかソース出せ。ソース。
みんなぬか喜びしちゃ駄目だってば。

ほんとなら嬉しいけど
711名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 21:41:15 ID:a1I41a/I
重大なお知らせが連載終了だったら嫌だな
712名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 02:48:11 ID:XENwuObw
うめ
713名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 05:47:27 ID:T1saLz6G
あらっ?まだ書き込める?
714名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 10:46:50 ID:ky3sBp9L
うめ
715名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 15:24:03 ID:T1saLz6G
うめたてうめたて
716名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 15:34:45 ID:l6RUsxas
別マの君届新聞に、「1月に無事に女の子が生まれて、もうちょっとしたら戻ってくる」て感じのコメントがあったらしいけど、
誰か見た人いるかなあ。うめ
717名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 17:02:48 ID:U19WtrZa
保守♪
718名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 01:05:10 ID:GHdvQztE
次スレいくまえに職人さんにもう一本投下して欲しい感じ。
719名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 02:53:03 ID:qcLQA/EQ
500KBでおわりじゃないのー?
720名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 03:22:01 ID:k4N0Q5rD
501じゃなかったけか
721名無しさん@ピンキー:2009/05/11(月) 09:49:17 ID:41dnX1Q/
722名無しさん@ピンキー
そいや