【田村くん】竹宮ゆゆこ 8皿目【とらドラ!】

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1名無しさん@ピンキー
竹宮ゆゆこ作品のエロパロ小説のスレです。

◆エロパロスレなので18歳未満の方は速やかにスレを閉じてください。
◆ネタバレはライトノベル板のローカルルールに準じて発売日翌日の0時から。
◆480KBに近づいたら、次スレの準備を。

まとめサイト
ttp://yuyupo.web.fc2.com/index.html

エロパロ&文章創作板ガイド
ttp://www9.atwiki.jp/eroparo/

前スレ
【田村くん】竹宮ゆゆこ 7皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230800781/

過去スレ
[田村くん]竹宮ゆゆこ総合スレ[とらドラ]
http://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date70578.htm
竹宮ゆゆこ作品でエロパロ 2皿目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1180631467/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 3皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1205076914/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 4皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225801455/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 5皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1227622336/
【田村くん】竹宮ゆゆこ 6皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229178334/

2名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:31:31 ID:+Os1ytIv
☆☆☆狩野すみれ兄貴の質問コーナー☆☆☆


Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A「基本的にはそうだな。無論、自己申告があれば転載はしない手筈になってるな」

Q次スレのタイミングは?
A「470KBを越えたあたりで一度聞け。投下中なら切りのいいところまでとりあえず投下して、続きは次スレだ」

Q新刊ネタはいつから書いていい?
A「最低でも公式発売日の24時まで待て。私はネタばれが蛇とタマのちいせぇ男の次に嫌いなんだ」

Q1レスあたりに投稿できる容量の最大と目安は?
A「容量は4096Bytes、一行字数は全角で最大120字くらい、最大60行だそうだ。心して書き込みやがれ」

Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A「あぁん? てめぇは自分から書くって事は考えねぇのか?」

QこのQ&A普通すぎません?
A「うるせぇ! だいたい北村、テメェ人にこんな役押し付けといて、その言い草は何だ?」

Qいやぁ、こんな役会長にしか任せられません
A「オチもねぇじゃねぇか、てめぇ後で覚えてやがれ・・・」
3名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:34:52 ID:HJc624/l
4名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:36:47 ID:x3DrXFIs
>>1
5マナーについて :2009/01/17(土) 01:44:11 ID:KhsayrQV
※以下はそうするのが好ましいというだけで、決して強制するものではありません

・読む人
書き込む前にリロード
過剰な催促はしない
好みに合わない場合は叩く前にスルー
変なのは相手しないでスルー マジレスカッコワルイ
噛み付く前にあぼーん
特定の作品(作者)をマンセーしない
特に理由がなければsageる

・書く人
書きながら投下しない (一度メモ帳などに書いてからコピペするとよい)
連載形式の場合は一区切り分まとめて投下する
投下前に投下宣言、投下後に終了宣言
誘い受けしない (○○って需要ある?的なレスは避ける)
初心者を言い訳にしない
内容が一般的ではないと思われる場合には注意書きを付ける (NGワードを指定して名前欄やメ欄入れておくのもあり)
感想に対してレスを返さない
投下時以外はコテを外す
あまり自分語りしない
特に理由がなければsageる

理由が理解できない項目も有るかもしれませんが、長くなるので別の場所で聞いてください
お願いします
6名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:47:50 ID:I0huZtjE
あのときさ。>>1が次をたててくれなかったら…私一人で次スレをたてにいってたら、今頃どうなってたんだろうね。
次スレどころか前スレまでdat落ちしてたかも…
いろんなifを想定しちゃって私も>>1乙しそうをなるよ

>>1
7名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:58:37 ID:4az4hZsj
>>1乙でさー!
8名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 02:07:08 ID:qNQGDGnA
>>5
自治坊 乙

公開自慰行為については、妄想や意欲を削いだり、それぞれの趣味を拒否するような事は書かない方がいいぞ。
むしろ傍観者の態度を厳しくした方がより良い。


9名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 02:08:11 ID:qNQGDGnA
※以下はそうするのが好ましいので、出来るだけ従って下さい。

読む人
・書き込む直前には必ずリロード。
  職人の連続投下に割り込まないために、行ってください。
・過剰な催促は決してしない。
  職人の能力に合わせましょう。無償なのですから。
・好みに合わない場合は絶対に意見などを書かないで、カンペキに無視する事。
・荒しや変なのは絶対に相手しない。 マジレスカッコワルイ
・噛み付く事は絶対にしないで、カンペキ無視(専用ブラウザなら、あぼーん 指定)の事。
・特定の作品(作者)をマンセーしない
・必ずsageる(E-meil 欄に 半角英数字で 「sage」 を記入)
  age 書き込みは 荒しだけが行う行為です。相手にしない事。 



・書く人
・書きながら投下大歓迎。
 でも出来るなら、一度メモ帳などで完成させてからコピーしてくれると、喜ぶ人が多いです。
・連載形式の場合は一区切り分まとめて投下してください。
・投下前に投下宣言、投下後に終了宣言を行うと良いでしょう。
 連投規制などで、うまく投下できない場合なども有りますからね。
・内容が一般的ではないと思われる場合には注意書きを付ける (NGワードを指定して名前欄やメ欄入れておくのもあり)
・投下時以外はコテを外す
・誘い受けしない (○○って需要ある?的なレスは避ける)
・初心者を言い訳にしない
・感想に対してレスを返さない
・あまり自分語りしない
・必ずsageる(E-meil 欄に 半角英数字で 「sage」 を記入)
  age 書き込みは 荒しだけが行う行為です。相手にされません。 

理由が理解できない項目も有るかもしれませんが、長くなるので別の場所で聞いてください。
お願いします 。
10名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 02:09:09 ID:qNQGDGnA
位のほうが良いのでは?
職人本位でないと、誰も書かなくなって、保守荒しの餌食になってしまいますよ。
11名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 02:10:06 ID:xLaky3iA
1行目くらい読めよ
12名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 02:14:50 ID:NTA5zvRF
>>10
強制の時点で>>5より職人のためになってないと思う。

>>1
13名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 02:20:45 ID:4az4hZsj
まだ作品がないんでレスを。

>>9
条件付でも書きながら投下大歓迎って…
結構スレが荒んだよね?書きながら投下の時…
明記しないほうがいいと思うので>>5でいいと思います

生意気言ってスマソ
14名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 03:04:40 ID:7BmA8E1b
>>1
15名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 03:08:20 ID:c5pFUIas
>>1
16名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 04:29:48 ID:IKERGjYn
>>9
書きながら投下を歓迎しちゃダメだよ。他の書き手に迷惑かかるからね。投下したい時にやられてるとテンションが下がるんだよね。
それにせっかくスレに勢いもあるんだから数時間独占させるのはどうかと思うよ。
ここの住人が優しいからなんとかなってるだけなんだしさ。

だから>>5でいいんじゃない?

>>5の内容を>>2っぽくしてくれると嬉しい。ギスギスしないだろうし。

って事で>>1
17名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 04:37:32 ID:B2+31+pA
>>1、大・乙・だーーー!

保管庫を携帯で読み込むとメチャ重いんだぜorz
18名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 06:43:11 ID:Gav7B09B
>・書きながら投下大歓迎。
>>9 バカ言うな。
これから投下ってときに、これでスレ占有されて不愉快になった者の気持ちを少しは考えろ。
19名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 09:34:43 ID:y+a4sJQf
不毛な議論は前スレでやれ
20名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 09:47:56 ID:Gav7B09B
前スレで、書きながら投稿云々を論じることこそ不毛だろ。
ここで、釘を刺しておかないと、また、書きながらのバカが出るんだよ。
21名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 10:16:43 ID:y+a4sJQf
ここでテンプレ議論したってさ、断言できるが無駄だぞ
書きながら投下するやつはエロパロ初心者なんだろうが、そんなやつは妄想を形にしたい気持ちで一杯でテンプレなんて読まん
もう毎回なるべく冷静にそれとなく注意してくしかないんじゃね

俺らは「またかよ」だけど、職人の入れ代わり早いこのスレではそいつらは毎回「初めて」のことなんだから
22名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 10:23:45 ID:FEySdJPd
>>21
とはいってもテンプレ読めない奴と読めるやつ両方いるはずだから>>5を採用すべきだとは思うがな

>>1
乙なんだからね
23名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 10:42:15 ID:KWrk9FXu
一応年齢的にはみんな大人なんだから>>5でオッケーだろ
ちょっと考えればわかることじゃん

度し難いやつがいたら「ROMれ」でいい
24名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 10:43:27 ID:Gav7B09B
書きながら投稿は、明確な禁止事項にしないと、
「そんなルールはどこにも書いてない」
と居直る奴がいるし、実際に過去にもいた。
何よりも、推敲もしていない垂れ流しを読みたくないし、
書き手としても、そんなのに自分の投稿を妨害されたくないのだ。
25名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 11:00:47 ID:vfbefSnD
とりあえずまだ問題も起きてないですしこの議論はいったん中止ってことにしませんか?
起きてからじゃ遅いかもですが問題起こす人は注意を未読だと思うのでこれで埋めても…起きたらそこで一人が注意ってこれで…
26名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 11:13:34 ID:Ji5XJeoB
なんかあったら「テンプレ読め」で済ますためにあるようなもんだしな
>>5で良いと思うよ
27名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 11:31:38 ID:y+a4sJQf
だから、>>5でもういいじゃん
結論出ない不毛な議論はせめて前スレでやろうぜ
せっかくの新スレなのに職人が二の足踏んじゃうだろ
28名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 11:33:55 ID:XTRRKhYq
お前らいい加減にしないか、職人が投下しづらくなるだろうが
新スレになって、あみドラを裸待機してる俺に風邪をひかせる気か(`・ω・´)キリッ
29名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 11:49:57 ID:gR/NObGP
ショートショート

「やめてやるやめてやるやめてやる…」
隣の席で級友が呟くのを聞きながら竜児は思った。
(そういや川嶋がストーカーにぶち切れたときもこんな風にぶつぶつ言ってたな。
さすが幼馴染、キレ方までそっくりだぜ。
あの時は、川嶋の奴、その直ぐ後に猛ダッシュで走り去ってったんだよな〜)
北村が猛ダッシュで学校から走り去っていった。

休み時間、川嶋を捕まえて言ってやった。
「なぁ、お前と北村って、なんだかんだいって似てるよな」
「はぁ? いきなりなんなの高須クン、気持ちわるいコト言わないでよね〜」

                        おわり
30名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:23:33 ID:M5CIg4EK
>>29
テンプレ読め。
でなきゃ来るな
31名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:31:42 ID:cROB08hP
>>28
テンプレ守れ粕

>>5
>>特定の作品(作者)をマンセーしない
32名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:44:30 ID:vj9YAhkB
何この馬鹿な流れ…
33名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:46:30 ID:NTA5zvRF
だから1行目読めない奴多すぎだろw
あとマンセーの意味も分かってないの自治気取るな
34名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:47:37 ID:P6cwFgGb
>>31
テンプレ読めカス
このスレのテンプレは>>1-2であって>>5は今のところテンプレ案だ
それに>>5にも強制はしないと書いてあろうが
35名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 13:09:17 ID:dztjT4iB
テンプレテンプレ

なんか美味そうだ
36名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 13:18:25 ID:GfbzKG15
マイタケおいしいです
37名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 13:57:24 ID:MUC+ZrQ4
テンプレ案をテンプレに昇華したいなら、ちゃんと理由まで明記すべき。
別の場所で聞けったってその別の場所でもウザがられるなら同じことだしね。

全部の理由を明確化できたら、まとめの人に申し訳ないけど、まとめページに
記載してもらえばいいと思う。
「わかるだろ?」「空気読め」で、なあなあにしてきたツケなんだから
ここらでいっちょ負債は整理したほうがいいと思います。

あと読み手。書き手には執拗にルールを強要するくせに、
読み手のマナーは気軽に破るこの空気をなんとかしてくれ。

雰囲気が悪いせいで製作意欲をなくしてる職人は絶対いるよ。
38名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 14:52:32 ID:QLH+lOUv
前々スレあたりから意図的に空気悪くしようと励んでるやつがいるよな
無視てもいいんじゃない
39名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 15:42:40 ID:XTRRKhYq
ここまで投下1作品
40名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:23:38 ID:DAVr8aP6
『竜児 温泉へ行く』の数日後の話ということで
※オリジナルキャラが出ているので注意
41名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:24:03 ID:DAVr8aP6
『竜虎 子守をする』


『ピンポーン♪』
普段鳴ることなんてめったにない高須家のチャイム音
「ったく…朝っぱらから誰だよ…集金は来たばっかだし…」
時刻は午前七時
普段ならとっくに起きて弁当の用意や掃除に時間を費やしている竜児だが今日は違う
今日は日曜日。一週間に一回くらい主夫だって朝はゆっくり過ごしたいのだ
主夫ではないがこの高須竜児も例外ではない
「はーい!今開けまーす」
とか言いつつ、恥ずかし過ぎる寝巻(泰子が買ってきた)をパーカーでしっかりと隠してから玄関に向かう
『ガチャッ』
ドアを開けると同時に竜児の体をくすぐる冷たい朝の風
そして現われたのは二人の女性だった
女性と言っても一人は可愛らしい五才くらいの女の子。そしてもう一人は綺麗な三十代ぐらいの女性。
ぱっちり開いている女の子のこの大きな目はきっとこの女性から受け継いだのだろう
DNAの神秘に感動する竜児だったがすぐに気付いてしまう
よく考えればこの鋭い己の三拍眼だって亡き(?)父親から受け継がれた代物なのだ
ちなみにこれに関しては全く感動したことはない。というかひたすら迷惑しているのだ
「ええっと、その目…じゃなくてその顔…竜児くんよね?大きくなったわね〜竜児くんが小さい頃何回か会ってるんだけど…」
「はあ…」
全然見覚えにない女性に戸惑う竜児だがその人は続ける
「宮田…いや、覚えてないか〜てゆうか今日のことでやっちゃんからいろいろ聞いてない?」
竜児は首を傾げる
宮田と名乗るこの女性も知らないし泰子からも何も聞いていないから当然の反応だ
そんな竜児を懐かしそうに眺める宮田は急に自分の腕時計を確認し顔を強張らせる
「げっ……ごめんなさいね…もう時間が…詳しくは後々やっちゃんから聞いて!じゃあこの子よろしくね!」
早口でそう言った宮田は階段を早々と下りて止めてあった車に乗りすぐに見えなくなってしまう
「今日はよろしくね。名前なんていうの?」
「………竜児です…」
竜児は取り残された女の子にとりあえず名を名乗ってみる
自分でもよくわからずなぜか敬語になった
42名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:25:00 ID:DAVr8aP6

『ガチャッ』
本日二度目の高須家のドアが開く
「竜児〜今日ちょっと服買いに行くからついてき……何やってんのあんた…?」
「……違うぞ大河…これは別にそうゆうあれではないからな…」
竜児は今はやり(?)の美少女アニメ(?)『プリキュラ』のフィギュアを持ち、いろいろとセリフまでしゃべっていたのだ
竜児の隠し通していた趣味がついにばれてしまった…というわけではない
ままごとをしていたのだ。この横に座っている少女と二人で
そしてその例の少女はというと、やってきた大河に目を向けて一言
「……誰?」
ほぼ毎日高須家にやっかいになっている大河に言わせてみたら、あんたこそ誰よ…?という感じなのだろう
大河は竜児のもう一つの顔を見てしまった後、その少女に気付きハテナ顔だ


43名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:25:50 ID:DAVr8aP6
「……泰子…とにかく起きてくれ…」
宮田と名乗る女性が行ってしまった後、訳の分からない竜児はお勤めを終えたばかりの泰子を無理矢理に起こしていた
泰子というヒントでしかあの見ず知らずの女性へと繋がる道がないのだからしょうがなかったのだ
竜児は早速さっきの出来事を目がうつろな泰子に話した
「あ〜そういえば…子供を一日だけ預かって欲しいってミヤちゃんに頼まれて〜あっ!そっか〜今日だったんだ〜」
泰子は左手をパーに右手をグーにしてぽんと叩き一人で納得する
「………そっかじゃねえ…どうすんだよ、あの子。泰子は帰ってきたばっかだし…まさか…俺が?」
「そうゆうことになっちゃうね〜」
竜児の疑問に軽く答えてみせる泰子は続ける
「まあ〜何事も経験だよ〜竜ちゃんと大河ちゃんが結婚して〜赤ちゃん生んで〜その子を育てる時のための訓練だよ〜」
「はぁっ!?べっ…別に俺達は付き合ってるだけでまだ結婚とか子供とかは…うん…ない…ないない…」
泰子のとんでもない発言に竜児の頭はフル回転。凄まじいスピードで妄想が脳を駆け巡る
俺と大河の子供……外見が俺…性格が大河で…うっ…!
そんな竜児にも目をくれず泰子はというと
「くか〜………」
寝てしまった…
どうやら泰子のバッテリーが空になってしまったらしい
我に返った竜児はとりあえず泰子に布団を掛けてからふすまを閉める
そして毎度お馴染みの危ない目付きで問題の女の子に近付く
別に今からこの女の子によからぬことでもしてやろうと考えているわけではない
困惑しているのだ
己の容姿のおかげで今まで子供に好かれたことなんて一度もない竜児は子供の扱いが全くわからない
さっきは普通に話しかけられたが大丈夫だろうか
下手に近付けば泣いたりするんじゃないだろうか…そんなことを考えながら一応話しかけてみる
「ええっと…お名前教えてくれるかな…?」
「ゆゆ!それより竜児!何して遊ぶ?」
「えっ……」
竜児は立ちすくんでしまう
信じられない事態が起きたからだ
その子は怖がるどころか満面の笑みで自分に寄ってくる
自分と一緒に遊びたいらしい
今までこんなことあっただろうか…いやないな
ならば付き合ってやろうじゃないか
こんな子供は初めてなのだから


44名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:26:22 ID:DAVr8aP6
そして今の今まで竜児はずっとゆゆと遊んでいたのだった
朝から昼までずっとままごとだ
元々竜児は顔があれなだけで子供や動物は嫌いではない。むしろ好きな方だ。その顔でだと?ほっとけ…
ゆゆは人懐っこくすぐに竜児を気に入った
竜児も竜児で妹がいたらこんな感じなんだろうなあとか思っていた
そう、とにかく楽しく過ごしていたのだ
しかしそんな和やかな空間へ昼飯をたかりにきた一匹の虎…いや大河だ
しかもこんな時間までどうせ寝ていたのだろうから昼飯ではないな。朝飯になるのか。ぐうたら人間め
とか思っていたところでようやく大河の二言目
「このロリコン野郎…」
ロリコン疑惑のレッテルを張られた竜児は誤解を取り除くためにこれまでのいきさつを大河に説明する


45名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:27:00 ID:DAVr8aP6
「ねえ…」
「何だ?…ああ肉か?さすがにナポリタンに肉はちょっとなあ…ミンチがちょっと入ってるだろ。それで我慢してくれよ」
「まだ何も言ってないじゃない…ていうかあんたの犬脳ではどんだけ私イコール肉なのよ…そんなことじゃなくて…」
大河は竜児の胡座の上にちょこんと座っている少女に目をやる
「なんかその子の位置が気に食わないんだけど…」
「まあ…いいんじゃねえの。まだ子供なんだし」
ゆゆは昼食のナポリタンを豪快にすすり口をケチャップまみれにしてしまう
そこにすかさず気遣いの高須こと竜児が上手にティッシュでゆゆの口元を拭いてやる
「ありがと。あと竜児の作ったナポリタンすっごくおいしい!」
「そうかそうか。そりゃ良かった。それよりゆゆはピーマンとか食べられるのか?嫌なら残してもいいからな」
「ゆゆ好き嫌いないの。何でも食べれるんだから」
「おうっ!そうか〜えらいな〜ゆゆは」
そう言って竜児はゆゆの頭を撫でてやる
そんな微笑ましいやり取りの最中
「……ちっ」
竜児にだけ微妙に聞こえる舌打ち
最近は大人しくなったためか、大河の舌打ちを聞くのは久しぶりだ
「……どうした?大河?」
「べっっつに〜私何も言ってないんだけど」
「……いや今…舌打…痛て!……」
竜児の言葉がまだ続いている真っ直中
右足にまるでペンチでつねられているかのような激痛が走る
しかしその激痛の正体はペンチではない
大河が足の指を器用に使って向かいに座っている自分の足を思いっっきり挟んでいるのだ
「……おい…大河…」
竜児がそれに気付くと同時に大河は足を引っ込め元の位置に収めてから、私じゃないわよ…と一睨み
竜児は現場をばっちりと目撃してしまったが何も言わないことにした
こうなった時の大河は質が悪い
どうせここで何か言ったところでまた大河はキレるのだ
自分がこの事件を丸め込むことでその場が収まるのならば仕方ないこと。そうやっていつものように自分に言い聞かせる
46名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:27:33 ID:DAVr8aP6
そんな修羅場があったことも知らないでゆゆは大河に話し掛ける
「ねえ、大河は竜児の彼女なの?」
今聞くには非常に気まずい質問
しかし確かにそうだ
日曜日にずかずかと他人の家で飯を作らせるこの女って何者なんだろう…とか思っていたに違いない
「………そうだけど…」
大河はゆっくりと間を溜めてから答える
しかし顔は竜児やゆゆではなく高須家ペットのインコちゃんに向けてだが
そしてゆゆの第二の質問が二人に襲いかかる
「じゃあ毎日キスするの?」
「「はあ!?」」
思わず竜児は声が裏返る
しかしどうやら自分一人の奇声ではないようだ
大河も早速顔を赤らめてその目は今日一番の大きさだ
あうあうと何やらよくわからない言葉を発しているが竜児にはわからない
そしてようやく人語を話す
「……まっ…まあね…」
「は?……」
大河は子供に堂々と嘘をつく

強がったところで自分と大河は旅行の時の一回しかキスしたことないのだ
別に大河とキスをするのが嫌なのではない
むしろしたいのだ
あの日、あの時はムード的なこともあり初めてにしては上手く(?)キスが出来た…と思う
しかしどうやら自分と大河は不器用な人間らしい
その日以来キスという行為自体がいつの間にか封印されているのだ

竜児はすっかり顔が湯で上がってしまった大河を遠い目で見つめる
目線が合うと大河の顔は再びインコちゃんへ
そんな二人を交互に見た後に更に少女はとんでもないことを言う
「じゃあ今日一日は竜児はゆゆの彼氏ね。いいよね竜児?」
……最近の子供はませすぎではないだろうか
そもそも今の会話でどうしてそこに行き着いたのだろうか
しかし所詮は子供の言うことだ
大河からの痛い視線が気になる竜児だったがとりあえず頷いてやったのだ

そしてこの後すぐに大河のペンチが再び竜児の足を捕らえたのは言うまでもない


47名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:28:11 ID:DAVr8aP6
「プリッキュラプリッキュラプーリキュッラプーリ… 」
「……何…?その呪文みたいなの」
「さっきの映画のテーマ曲。なんていうか…頭に残りやすい…ていうかお前も見てたじゃねえか」
「始まってから五分くらいで寝ちゃったから知らない」
「……映画代がMOTTAINAIだろ…」

昼食を終えた竜児達は何もすることがなかったので映画館が中に設備されているデパートにやってきたのだった
その際にお小遣いを泰子からもらったので映画を見ることにしたのだ
しかしそうなるとゆゆに合わして映画を見るしかない。ゆゆを一人にするわけにはいかないからだ
そしてそんなゆゆが選んだ映画は今話題(?)の『プリキュラ』の最新作
大河はものすごく嫌がったが最後は結局折れてたっぷり九十分間の映画に付き合わされたのだった
ちなみに竜児は午前のゆゆとのままごとのおかげでそれとなくストーリーを理解し、それなりにその映画を楽しめたのだった

48名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:28:41 ID:DAVr8aP6
「はあ…全く無駄な時間を過ごしたもんだわ…」
「まあそう言うな。なかなか迫力があって面白かったじゃねえか。とくに最後のシーン…主人公達と敵のボスとの攻防戦…なあ、ゆゆ」
竜児はいつもの危ない目付きでゆゆに同意を求める
まあ男子高校生が『プリキュラ』について熱く語っているだけで充分危ない気もするが竜児は気にしない
「あんた本当に大丈夫?掃除、料理、プリキュラが趣味ってどんな高校生よ。ということは今までそんな目で私のこと見てたってことよね?
……ちょっと離れて歩いてよね…私のこの半径2メートルの結界に入りでもしたら…千切るわよ…」
気にしない……
しかし一応大河から2メートルの距離を取る
「………ゆゆ…?」
そういえばゆゆの返事がない
さっきまで自分の横にいたはずなのに
「竜児、あそこにいるわよ」
大河の指した指の先、そこには小さな喫茶店の前で突っ立っているゆゆがいた
ガラスのショーケースを何やらじ〜と見つめているゆゆの姿が
そして目の先、ショーケースの中にあるのは『この冬限定!!スーパーDXパフェ』と書かれているサンプル模型
そして今まで模型に向けてられていた視線が竜児に向けられる
時刻はちょうど三時
まあ、おそらくそうゆうことなんだろう
竜児は悟った
思わぬ出費がこの後襲いかかるであろうということに


49名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:29:05 ID:DAVr8aP6
「竜児〜はい!あ〜ん、」
「えっ…ああ…あ〜ん」
竜児は横に座るゆゆからのあ〜んを素直に受け入れる
それは別に悪い気はしない。しないのだが…
向かいに座るちっちゃい奴の目がとにかく怖いのだ
自分の目付きも相当悪いが今のこいつには負けている気がする…ビームでも飛んで来るんじゃないだろうか
「大河は竜児にあ〜んしたことあるの?」
頼む…ゆゆ…もうこれ以上大河を刺激しないでくれ…
竜児は静かに目を閉じ、ただそれだけを願う
「………あるわよ…ていうか毎日ね」
確実にキレると思われた大河はまた嘘をつく
だからなぜ嘘をつくんだ?
そんな竜児の疑問と言う名の列車はある場所に辿りつく
「大河…お前…もがっ……」
口にさっきのゆゆからのあ〜んと同じ味が広っていく
大河はテーブルを乗り込んで自分のパフェを向かいの竜児の口に次々と放り込んでいく
「ねえ竜児…?毎日朝昼晩こうやってあ〜んをしまっくってるわよねえ…そうだよねえ…竜児…?」
やきもちを妬いているのでは?と思ったのだ
そんな自分の勝手な妄想が傲慢だと思う
しかしどう考えても大河のあれはゆゆに対してのやきもちにしか思えないのだ
今思えば大河のあの目はあの時と同じ
かつて生徒会長で名をはせた兄貴こと狩野すみれに向けての目と同じなのだ
北村と兄貴の何かしらの接触がある度に大河はあんな目をしていた気がする
その目が今まさにゆゆに向けられているのだろうか
ゆゆには悪いが、そうならいいなと竜児は思う
そこまで自分のことを大河が想ってくれていることが何より嬉しいからだ
そしてそう思ってしまうと自然に顔がにやけてしまう
「でも竜児…すごく嫌そうな顔してるよ…」
まあにやけたところで誰もそれがにやけているとは解釈してくれないが…
「ちっがーう!竜児のこの顔は喜んでる時の顔なのよ!」
「そうかなあ…?この顔が…?」
「そ、う、よ!」
妄想でにやけているんです…とはとてもじゃないが言えない竜児だった


50名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:29:32 ID:DAVr8aP6
三時のおやつには高過ぎる会計を終え、店を出ようとしたその矢先…独
独独独独独独……!!
背中に何かを感じる…
「大河…」
「うん…奴がいる…」
二人はゆゆにはわからない黒いマイナスオーラ全開の何かを感じ取っていた
その何かの根源と目があう
そいつはドリンクバーを頼んでひたすらにため息をついていた
そいつの横には四つはあるだろう紙袋。当然中身は入っている
正直関わりたくなかったが目が合ってしまったのだからしょうがない
一応独身こと担任恋ヶ窪なのだ
学校では一応優等生をの竜児は恋ヶ窪のテーブルに向かい挨拶ぐらいしておこうと思う
そしてその後にゆゆと嫌々ながらも大河も付いていく
「あら高須くんに逢坂さん…奇遇ね…こんな所で会うなんて…いやそれもそうか…こういう所は若い男女とかが来る所だもんね…ごめんね…独身なんかがそんな空間をぶち壊して…」
最近は更に威力を増した担任の独っぷりに竜児と大河は思わず退けてしまう
「あら、どうしたのその子?親戚か何かかしら?」
独身の言うその子とはおそらくゆゆのことだろう
変に誤解されても迷惑なので竜児は正直に答える
「ゆゆといって母の友達の子で一日だけ預かってるんです」
「そうですか…いいですね子供…ほんと可愛くて…私も欲しいなあ…あっ、でも結婚もまだだし無理かあ…私には一生縁のないことよね…ははっ…」
独身はそう言ってドリンクバーのオレンジジュースを一気飲み
「竜児…あんた地雷踏んだわよ独身の…もう店出ようよ…なんか私さっきから重いのよ…この辺の空間が…」
大河の言う通り自分は地雷を踏んだようだ。そして大河の言う通り確かに重い…見えない何かが自分にのし掛かっている
一刻も早くその場からドロップアウトしたい竜児だったが一応担任だ。少しだけでも宥めてやらないと後々の目覚めが悪い
「大丈夫ですよ。先生にもきっと良い人が現れて結婚して子供生んで幸せな…」
口がこれ以上回らない…
これ以上根拠なんて何処にもない未来予想が言えない…というより言ってはいけない気がする…
そんな竜児の気遣いに気付いた独身は笑ってみせる。しかし目は死んでいる…
「ふふっ…高須くん…いいんです…そんなに気遣わなくて…わかってますから…」
「いや…そんなこと…」
はい!地雷二つ目!と言わんばかりに大河からのアイコンタクト
なぜだ…なぜか自分も悲しくなっていく
そうだ…話題だ。話題を変えよう。こんなにもやもやしたまま帰るのなんて嫌過ぎる
そうはさせるものか!竜児は紙袋を瞬時にリサーチ
靴やら服やらのブランドものがチラッと見えた。これだ!
「そういえば先生、その紙袋どうしたんですか?ここのデパートのですよね?それもブランドものばかりでセンスもいいし」
ちゃんと褒めたつもりだった
やっぱり独り身の方は大人の余裕っていうのがあるんですね、と
「ああ…これね…最近給料入ったから自分へのご褒美かな…ははっ…お金の使い道が衝動買いって…ほんと…私も墜ちたものね…」
はい!どか〜ん!勇者竜児によって最後の地雷も爆発してしまいましたとさ。めでたしめでたし
「…それじゃ先生…俺達はこのへんで…さようなら…」
「はい…さようなら…」
竜児達は真っ白になった独身…いやもはや独神を置いて店から戦線離脱
逃げる?違う…一時退却も立派な戦法の一つだ


51名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:29:59 ID:DAVr8aP6
「ねえ、あのおばさんって何だったの?」
「あれは独身と言う名の生霊。この世にまだ未練があるから一人で喫茶店を彷徨っているのよ…」
「えっ…何それ…ゆゆ怖い…」

独身改め独神を後にした竜児達はデパートを出ることにした
日曜日だろうが関係ない
高須家には腹を空かせる泰子やインコちゃんが竜児の帰りを待っているのだ
しかも今日はそれだけではない
大河はもちろんだが今日はゆゆだっているのだ
ゆゆの親、宮田がいつ向かいに来るかわからない以上、今日はゆゆの分の食材も必要だ
さっきの独神のせいでどうも気分が乗らない竜児だったが己の使命は遂行しなければならない

日が暮れてくると訪れる客もさすがに段々と減ってくる。それでも今日は日曜日なのだ
友達、恋人、家族連れ、デパートのフロアはそんな人達でごった返していた
「ったく…本当に客が多いわね…全然出口に辿り着かないじゃない…」
あちらこちらに人、人、人
帰りようにも人に遮られてなかなか進めない
「日曜日だからって何だって今日はこんなに人がいるんだよ…あっ…すいません…」
「こちらこそ…ひいっ!ヤンキー…すいませんでしたー!」
さらには行き交う人と肩がぶつかるのもしょっちゅうだ
まあ竜児とぶつかる人は肩の痛みより竜児から解き放たれるデスアイの方がよっぽどなのだが…
「竜児…あんたこれで三人目ね…」
「……うるさい…俺はちゃんと謝ってるだけだ…それよりゆゆ。俺の手握ってろ。迷子になるかもしれねえしな」
「ゆゆ…迷子になったことないもん…でもその方が恋人同士みたいだしね」
そう言ってゆゆは竜児の右手を掴む
「………竜児…左手貸して…」
そう言って大河は竜児の左手を掴む
大河は手を掴むなり竜児から目を逸す
大河の手はかなり細い。しかし握力は半端ないのだ
そんな奴の力一杯が竜児の手に集中する
正直痛過ぎる…
「……おい大河、ゆゆの手掴んでやれよ…これじゃなんか…俺が恥ずかしいし…」
「いいのよこれで」
左から大河、竜児、ゆゆ。つまり真ん中が竜児だ
絵図ら的には『犯人、デパートで少女二人を人質に!!』なのだろうか
まわりにいるおばさん達がこちらを見て何やらひそひそと言っている
こんなこと日常茶飯時の竜児だがやはり傷付いてしまう
この場から逃げ出す為にも今の竜児はひたすらに出口が愛しかった


52名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:30:50 ID:DAVr8aP6
「痛っ……」
出口まで後数メートル
ゆゆがこけた。かすり傷をしたようだ。膝からは少しだけだが血がにじみ出ている
「ゆゆ!大丈夫か?」
「うん…平気…そんな痛くない…」
竜児はいつも常備のティッシュ(大河用)でとりあえず膝の血を拭いてやる
消毒液や絆創膏は今手持ちにはないからしょうがない。どこかその辺の薬局屋で……
しかし今はそれが問題ではない
ゆゆはなぜこけてしまったか…だ
「あいつらか…」
竜児は見ていた
ガラの悪い金髪の三人組がゆゆにぶつかってきたのを
明らかにゆゆには非がなかった。向こうが一方的にぶつかってきたのだから
そしてその三人組はというと簡単に無視して行ってしまったのだ
「大丈夫、竜児…歩けそう…」
自分の傷は平気だ。痛くもないしどうにでもなる。しかし他人の傷はどうだ。そんなの我慢ならない
喧嘩は出来る方ではない。正直ものすごく怖いが…動かないといけない気がする
土下座しろとまでは言わない。ただ一言謝って欲しいだけなのだ
竜児は意を決して三人組を呼び止めようとする
「おい!待…」
「ちょっと待ちなさいよ!!そこのキモ金髪三人組!!」
竜児の声に重なる暴言混じりの怒声
この声の主をよく知っている。そう、大河だ
「今この子にぶつかったわよ!あんた達謝罪の言葉もないわけ?」
大河はその三人組を睨み付ける
「はあっ!?なんだよ!そっちのガキがぶつかってきたんだろうが!」
しかし三人組も負けてはいなかった
竜児のような見た目ヤンキーではなく見た目アンド根性のどちらも本物のヤンキーのようだ
そして大河もさすがは手乗りタイガーと恐れられているだけはある
たじろぐ素振りも見せずにすぐ様その場で戦闘体制
竜児ももしもの時の為に一応体はスタンバイ
そんな中三人組の一人の顔が一気に青くなっていく
「……おい…こいつって大橋の手乗りタイガーじゃね…?」
「えっ…うわっ…マジかよ…しかもあいつは…」
さっきの罵声はどこへやら。大河に啖呵を切ったさっきの不良は急に様子が豹変する
「……おいっ…やっぱりあの目…ヤンキー高須じゃねえか…」
竜児はここぞというばかりに普段より目をぎらめつけ三人組を睨んでやる
「「「……すっ…すいませんでした〜!!」」」
それが効いたのだろうか。三人組は周りの人を避けながら全速力で去っていった
「はあ…よかった…行ってくれたか…」
「へえ…やるじゃん竜児」
「お前こそ…な」
竜児と大河はハイタッチ。別に盛大に戦闘劇を繰り広げたわけではないが二人はお互いを称える
『パチパチパチパチ…』
突然の歓声
いつの間にかたくさんの見物人が竜児達を囲み拍手をしていたのだった


53名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:32:19 ID:DAVr8aP6
「それで大河が怒ってくれてね竜児がギラっ!て睨んでみんな逃げちゃったの。すごかった!」
「へえ〜そうなんだ〜大河ちゃん竜ちゃん偉かったねえ」
泰子はそう言って愛する我が娘と息子を撫でてやる
娘は黙ってそれを受け入れるが、ゆゆいわく目がギラっ!な息子はそれを大変嫌がる
何もギラ!っなのは今からこの三人を調教して下僕にしてやろうと考えているからではない
生まれつきこうなのだ
まあそのおかげでさっきもどうにかなったわけだが

時刻は七時
結局あの後なんだかんだで帰りが遅くなってしまった竜児達はようやく夕飯にありつけていた。もちろん大黒柱の泰子も同席だ
メニューはハンバーグ。デミグラスソースに大根下ろし、どちらでもお好きな方をお選び下さいお客様
子供が好きそうでなおかつ肉好き大河のことを考えると必然的にこのメニューに辿り着いたわけだ
しかもゆゆのは特別だ
ハンバーグの上にたっぷりとチーズを乗せその上からもたっぷりと竜児特製のデミグラスソース
皿の隅にはポテト、栄養を考えてにんじんにブロッコリーを添える
そして最後にこれまた竜児特製の爪楊枝で作った旗をハンバーグに挿してやればちょっとしたお子様ランチの完成だ
久しぶりの来客者なのだ
これぐらいしてやらないと、と竜児は張り切ったのだった

「竜児!ハンバーグすっごくおいしい!ジューシー!」
「そうだろそうだろ。今日はちょっと奮発していつもより良い肉買ったしな。そりにいつもよりハンバーグの焼き方には工夫して…」
「竜児…これ何?」
大河はハンバーグの工程を事細かに語ろうとする竜児を完全に無視。行儀悪く箸でゆゆのハンバーグに突き刺さる旗をちょんちょんする
「あっ…それは…まああれだ…」
「だから何なのよ?」

大河の言うそれは猫のつもりだったのだ
しかし竜児が旗に描いたそれはあまりに猫には見えなかった
体は良い。ちゃんと猫のように小さいサイズに収まっている
しかし…
つぶらな瞳とはかけ離れた猫らしからぬ何やら反抗的な目
薄茶の毛の上からは模様で描いたつもりの茶色のライン
尻尾と耳はまるで敵に威嚇しているかのようにぴんとなっている
そう、これではまるで…
竜児も描いた後にうすうす気付いていた
それでも誰もつっこまないことを刹那に願い一応全力を尽くした己の作品をハンバーグにぶっ刺したのだった

「わかった!手乗りタイガーだ!」
元気いっぱいのゆゆの声
さっきの三人組のせいで大河の学校での通り名を知ってしまったらしい
元気がいいのはいいことだ。しかし正直空気は読んで欲しい。まあまだ五才の女の子にそんなことを求めるのはあまりに酷なのだが
その声から何秒経ったのだろうか
『ポキポキポキ』
「待て…大河…俺は猫のつもりで描いたんだ…本当に…信じてく……」

午後七時十六分――
一人の男が満面の花畑の世界に旅立とうとしていた


54名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:32:48 ID:DAVr8aP6
「ちょっと待って…よし、これでどうだ!」
大河は二枚のトランプをイッツシャッフル。そして目の前に勢いよく振りかざす
「う〜んと…これ!やった!ゆゆあがり!」
ゆゆは同じ数字の二枚の札を持って御満悦
一方大河はというと
「…………」
自らの手に残ったジョーカーを見つめてほうけている
「二十戦二十敗…大河…お前ある意味才能に満ちあふれてるよな…」
「…………」
目でわかる。大河のこの目は『黙れ…』なのだろうな、たぶん…よし黙っておこう…
竜児は先程殺られかけたことを思い出しその場で口を閉ざす
「わかった…私ジョーカーに見放されてるんだきっと…次はジジ抜きよ!竜児ぃ!カード一枚適当に外しとけぃ!」
「大河よわ〜い。もう諦めなって」
「うっさい!ゆゆ…あんたに勝つまで絶対終わらせないからね…」
「じゃあ一生終わらないね!」
「くっ…」

時刻は八時――
高須家では第一回トランプ選手権が行われていた
テーマはババ抜き
運と直感で勝敗が決まるのがこのゲームの特徴だ
しかし日頃の行いが悪いのかゲームが始まってからというもの大河の手持ちのカードがゼロ枚になることはない
そして一方の弱冠超能力者(自称)の泰子は無敗の王者に絶賛君臨中
泰子のカードがなくなる前に他の誰かのカードがなくなることは絶対にないのだ
正直ここまでくると見えない何かがこの出来レースを仕組んでいるとしか思えない
見えない何か…まさか独神…!?
竜児は本気でそんなことを思ったりしていたのだった

「ふふ…」
突然頬を緩ませる泰子
「うっ…やっちゃんまで…そりゃやっちゃんはババ抜きの天才なんだろうけど…」
大河は自分を笑う泰子にいじけてみせる
「違うよ〜そうじゃなくてなんかいいな〜って思って…こういうの」
「なんかって何だよ?」
竜児は泰子の意味深な言葉を問いただす
「竜ちゃんがパパで〜大河ちゃんがママで〜ゆゆちゃんがその子供で〜あっ…てことはやっちゃんはおばあちゃんになっちゃうのか〜」
「はうっ…」
大河は何を思ったのか…ホディブローを食らったような声を出し急にその場でトランプを並べ出す
ハートの13、スペードの7、クローバーの5、ハートの10…
並べる理由はわからないし並べ方はもっとわからない。今から手品でも披露してくれるのだろうか
「ゆゆはママの子だもん!大河と竜児の娘じゃないもん!」
「そっか〜ゆゆちゃんはミヤちゃんの子だもんね〜じゃあ〜そのうちよろしくね〜竜ちゃんに大河ちゃん♪」
よろしくって何を!?と言う竜児を放ったらかしにして泰子はトイレ〜と言ってその場から離れて行く
まあ竜児も泰子のよろしく〜♪の意味はわかっていたのだが露骨過ぎる
体温の上昇と汗ばんだ手のひらによって自分が動揺していることが嫌でもわかってしまう
一方大河はというと、並び終えた五十四枚のトランプをまじまじと眺めて再び手に取り同じ作業を繰り返す
ちなみに顔は赤を通り越して別の色になるんじゃないかと思うくらい真っ赤に染まっている
二人は目が合うとさらにそれぞれの体の状態変化に拍車をかけてしまう。何も暖房器具で室内の温度が上がってこうなっているわけではないのに
そしてゆゆはそんな竜児と大河を昼食のときのように交互に見た後…
「竜児…大河…頑張ってね!」
だから何を!?とはもうさすがに言えない竜児だった

そしてそんな中――
『ピンポーン♪』
高須家に響くチャイム音
チャイムを発動させたのはおそらくゆゆの親、宮田だ


55名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:33:29 ID:DAVr8aP6
「なんかあっという間…今日は楽しかったです。竜児!大河!やっちゃん!今日はありがとうございました!」
そうしてゆゆは頭を下げる
「どういたしまして。また遊びに来いよな。飯位なら作ってやるよ」
「うん!」
「おい、お前もなんか言っとけ」
竜児は自分の後ろで隠れるように身をひそめる大河を引っ張り出す
「もう!痛いったら……まあまた来なさいよ…トランプ…まだ勝ってないし…」
大河は不器用なりに別れの挨拶をする
ゆゆも今日一日で大河の不器用さは充分承知しているのだ
大河のそれが自分に心を開いてくれているとちゃんと理解してくれているだろう
そしてゆゆは満面の笑みで大河のそばに駆け寄る
「大河…今日はごめんね。竜児を好き勝手して…竜児が幼稚園にいるゆゆの好きな子に似てたから、つい…」
大河は拍子抜け。そして急にクックックと声を押し殺しながら笑い出す
「おい…大河…?」
「竜児に似てる幼稚園児…竜児に似てる幼稚園児…駄目…おなか痛い…」
ゆゆはその言葉が気に入らないのか、頬を膨らませすぐに訂正する
「まあ竜児ほど目はギラッ!じゃないけどね…」
「そうよね…さすがにね…」
大河はつぼにはまって痛くなった腹をさすり一応納得
「お前ら…ひど過ぎるぞ…」
なるほど…だからゆゆは俺を怖がらなかったわけか…
竜児はそんな今さらの疑問を解消する

「今日はゆゆの面倒ありがとね!竜児君にその恋人さん。原稿が今日締め切りで…ほんと助かったわ」
宮田はそう言ってさっきのゆゆよりも深々と頭を下げる
「面倒って言うほど何もしてないですよ。ゆゆは今日一日ずっとしっかりしてました」
「そう?ならまた頼んじゃおっかな…うそうそ!でもほんとにありがと。また今度埋め合わせするからね。じゃあおやすみなさい〜」
そう言って宮田はゆゆと手を繋ぎ階段を降りて行く
その光景はやっぱり親子だ
歩きながらゆゆは今日一日の出来事を母親に一生懸命話している

そんな二人の横にはよく見るといつの間にか私服を着ていた泰子がいた
「泰子どこ行くんだ?」
「ミヤちゃんところ〜ゆゆちゃんが寝ちゃったら久しぶりに一緒にお酒飲みながらおしゃべりするの〜先寝てていいからね〜」
そして取り残された竜児と大河はというと
「寒い…さっさと中入ろうぜ」
「…………」
「…大河?」
「……うん、早く入ろ」
再び高須家のドアを開けて中に避難するのだった


56名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:33:52 ID:DAVr8aP6
「大河ー茶ぁー飲むかー?」
「……いい…」

大河の様子がおかしい
竜児がそう感じたのはゆゆ達と別れてすぐのことだった

泰子とゆゆが行ってしまってから三時間
さっきまでの騒々しさとは打って変わって高須家はすっかり静まりかえっていた
静まりかえっていたと言っても別にいつもと変わらない
たいして面白くないもないテレビを眠くなるまで見るといういつもの風景だ

しかし何かがいつもと違うのだ
竜児はテレビを見る振りをしていつもの指定席に座っている少女に目をやる
そう、大河がいつもと何かが違うのだ
大河の焦点はテレビに向けられている
しかし向いているだけであっておそらくは何も見ていない
何か考えこんでいるような…どこか違う何かを見ているような…そんな目をしている
大河との付き合いは短いが縁は太いのだ
竜児はそんな大河の異変にずっと前から気付いていた
「なあ大河」
心配になって声をかけてみるが返事は返ってこない
そういう時は決まって大河は怒っていて自分を無視している時なのだ
しかし今日はそうではない
大河は自分の声に少しも反応しないからだ
テレビを消してもう一度呼んでみる
「…大河!」
ようやく聞こえたのか、大河は竜児の方に顔を向ける
「何…?」
「いや…お前ずっとぼーっとしてたから…なんとなく…」
「そう…」
やはりおかしい
いつもの大河ならここで『そんなしょうもない理由で私の名を軽々しく口に出すな』ぐらいの罵倒は当たり前なのだから
「大河…何かあったのか?ゆゆと別れてからずっとお前そんなだぞ」
「そんなって…?」
「なんか考えこんでるような…悩んでるような…もしよかったら俺に話してくれよ」
竜児は傷つけないように慎重に大河の心の中を探っていく

57名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:34:23 ID:DAVr8aP6
大河は普段の素行を考えると想像がつかないくらい繊細な少女なのだ
泣いているところだって見たことがある
他人がそんなことかと思うことでもこの少女は深く悩んだりするのだ
竜児はそんな大河の一面をとっくの前から知っいる
だからこそ聞いてやる
話せば楽になるし自分に解決出来る範囲ならいくらでも手を貸すことが出来るからだ
そして今までもそうしてきたのだ自分と大河は

大河はその場で三角座りに切り替えてゆっくりと話し出す
「子供の頃のこと…思い出してたんだ…」
「子供の頃…?」
竜児は思わずおうむ返し。そう、子供の頃のこと…と大河は続ける
「さっき…ゆゆとゆゆママが笑いあって手…繋いでるの見てさ…私にもそんな頃があったなあって思って…」
「そうか…」
「ほら…私の親って離婚してるでしょ…そんで私はここに捨てられた…」
大河の言う『ここ』とは竜児のアパートの横にそびえ立つ高級マンションのこと
誰もが一度は住んでみたいと思うマンションだが大河にとってはそこは捨てられたことを意味するただの寝床に過ぎないのだ
「親のことは今でも嫌い…でもね…そのおかげでみのりんや北村君、ついでにバカチー…それに竜児…あんたに会うことができた…」
大河は昔の…それも自分の傷口を掘り返すような辛い過去を話してくる

大河の親父は最低だ
それは文化祭の一件で竜児は充分に理解した
しかし最初からそうだったわけではないはずだとも思うのだ
最初から我が子を愛せない親なんてそんなに多くないはずだ
きっと大河も最初は愛されていて…
そしていらんな糸が絡み合っていろんなすれ違いが起きて結果的に大河が悲しむことになった
きっとそうゆうことなんだと思う

58名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:35:03 ID:DAVr8aP6
「私は今が好き…竜児がそばにいてくれて…やっちゃんが優しくて…ブサ鳥が変な顔して…
でも時々思い出しちゃうんだ…昔のこと…まだ楽しかった時の子供の頃を…」
そう言った大河の大きな瞳から徐々に涙の滴が
腕で涙を隠しているつもりなのだろうか。こちらから見たらバレバレだ
竜児はその涙の分だけ大河がどれほど苦しんでいたかが手に取るようにわかってしまう
「思い出したくないのに…忘れたいのに…あの頃のことを…家族なんてもういらないのに…」
そんな大河を見て…聞いて…感じて…自分はどうすればいい?高須竜児…
そんなの簡単だ
「大河…」
竜児は立ち上がり座っている大河を無理矢理に起こしてから再び一緒に膝を落とす
「りゅっ…竜児…?」
そのままゆゆにやったみたいに自分の胡座の上へ大河を背中向きで座らせる
そして腕ごと覆い被さるように大河の小さい体に腕を伸す
それと同時に大河の髪から甘い匂い…鼻をくすぐりとても心地良い…しかし今はそんなことではない
大河の傷を癒してやりたい
ただそれだけだ

59名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:35:33 ID:DAVr8aP6
「大河…俺にはさ、夢があるんだよ」
「夢…?」
今度はようやく泣きやんできた大河が竜児におうむ返しをする
「そんな大それた夢じゃない。家族がみんな幸せな面して毎日を過ごす。そんな夢だ」
「何それ…?そんなのって夢なの…?」
「夢だ。それにそんな簡単な夢じゃないとも俺は思ってる。現にお前の所みたいに幸せになれなかった家庭があったわけだしな」
今の言い方はちょっと酷かったか…と思いつつそれでも竜児は続ける
「でもいつか…見つける奴は見つけるんだと思う。幸せってやつを。俺はその一人になりたいんだ」
「幸せ…」
大河にとってその言葉はあまりに残酷だ
だが言ってやる
言ってやらないといけないのだ大河に
「だからお前もこれからだなんだよ大河…それに俺もこれからだ…
……その夢が叶った時…隣りにお前が…大河が…居てくれてたら…」

もっと幸せだろうな――
最後はちょっと口ごもる
恥ずかしいのだからしょうがない
聞こえてなくても別にいい
聞いてて欲しかった部分は前半の方なのだから
竜児はそう言った後、大河の頭に自分の頬を乗せる
大河の髪からはやっぱり甘い匂い…変なことを言ってしまった自分の羞恥心を取り除いてくれる…そんな安心する匂いだ
「……ぐすっ…竜児…」
大河は再び涙を流す
悲しいから出る涙ではない
嬉しいから出る涙だ
それでもその涙を服でしっかり拭いてから竜児の方に体を向ける
「竜児…私もその夢…私の夢にする」
「おう」
そして大河は時計を見て急に顔を赤らめる
しかし別に時計に惚れているわけではない
大河は竜児の顔にゆっくりと自分の顔を寄せていく
「ほら…ゆゆに言ちゃったでしょ…毎日キスしてるって…あと二分で今日が終わっちゃう…だから…」
ふいに唇に何やら柔らかい感触
竜児はその感触に覚えがあった
確か…大河と初めてキスした時もこんな…
そしてようやく理解する
大河の唇が自分の唇に重なっていることに
大河はようやく唇を離した後、竜児の体に飛び付きいつものように自分の頬を竜児の体にすり付ける
「竜児…ありがと……大好き…」

聞こえていたのかもしれない



60名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:36:22 ID:DAVr8aP6
その夜――
竜児と大河は夢を見た
見たのは夢の夢

それは――


自分の横にはちっちゃくてすごくドジな…大好きな少女がいて――


自分の横には目付きが悪くて世話好きな…大好きな少年がいて――

そんな幸せな未来の夢

だけど所詮は夢なのだ
朝が来るとそれは覚めてしまう

でも今は…そんな幸せな夢が現実になればいいなと思うくらいはいいじゃないか


いつかは叶えたい夢なのだから

あいつも叶えたいと思ってくれている夢なのだから


朝――
少年は早くに目覚めてしまう
「今日は学校だってのに…」
独り言ではない
目の先で寝ている少女に向けてだ

「まあいいか…」
今はただこの可愛い寝顔を見ておこうと思う
そしてなんとなくそのミルク色の頬を指でつついてやる
「竜児ぃ…私…幸せだよ…」
その少女は盛大によだれを垂らしながら寝言を言う
それを拭いてやらないとと、立ち上がろうとした少年は気付く



もう夢は叶っているじゃないか――




おわり
61名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 17:40:29 ID:vBIB9XRD
子守が死守に見えた
おれはもうダメみたいだ
62名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 18:02:21 ID:UOuA9h7v
>>60
GJ!
竜虎最高!
63名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 18:19:58 ID:cROB08hP
おつおつ
大河かわいいよ大河
64名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 18:46:54 ID:5nBl0LD5
すっげー…
凄い才能だな!
GJ
65名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 19:44:06 ID:pth3pua5
タイガーが可愛すぎ
子煩悩な竜児もイイ
おまいらもう子供作っちゃえよー

>>60GJ
66名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 20:01:20 ID:x9j58frE
GJ!
大河の可愛さは異常だね。
67本音サミットR:2009/01/17(土) 20:30:20 ID:I0huZtjE
「おぉ、こうして皆集まると、2ーCを思い出すな。
俺も皆と一緒に昼飯を…といきたいところなんだが、
今日は、放送室で昼飯なんだ。いや、非常に残念だ。」
「あ、大明神の失恋レストラン。だっけ?
あれ、あたしも一回出てみたかったんだよな〜
ねぇねぇ、まるお〜?あたしも連れてってよ!!ほら、アシスタントとか居た方が、らしいっしょ!?
ね?奈々子も出てみたいよね?」
「うふふ。そうね。せっかくだし、一度位は出てみたいわね」
「おぉ、お前たち…そうか…出てくれるか…
去年、募った時はナシのつぶてだったのに…
よしッ、では、早速行こう。すぐ行こう。
と、いう訳だから、スマンが高須達は4人で昼飯にしてくれ。」
「あ、北村君、ほんじゃコイツを持っていってくれ。
コイツは、あたしが作詞した曲を自撮りしたMDだ。
ぜひ、今日、くれぐれも今日に流してくれたまえ。」
「ああ、ありがとうな櫛枝」
「フフフ、それじゃ、亜美ちゃんも頑張ってね」
「………」
「そうだッ高須君!!
オカズの件なんだけど…その、卵焼きを…卵焼きをくれないかい?」
「おう。卵焼きか?はい、どうぞ」
「あ〜実乃梨ちゃんずる〜い。」
「あたしはさ、傲慢でズルイんだよ…
おぉ〜この黄金に輝く卵焼きの旨そうな事よ…
びゃぁ〜ウマヒィ〜〜
やっぱり、高須君が焼いた卵焼きは最高ですね。
はふはふ…巻かれたカニカマも…」
「亜美ちゃんも〜卵焼き好きなんだけどなぁ〜
高須君のはあと一個しか無いから、ねぇねぇ逢坂さん?
亜美ちゃんのタコさんとその卵焼き…交換しない?」
「………」
「…無視すんなッ!!」
「うっさいなぁ、ばかちーは…KYD…」
「kYD?何よそれ?」
「空気を・読んで・黙れ」
「ンだとぅ!?ちびとら」
68本音サミットR:2009/01/17(土) 20:30:42 ID:I0huZtjE
「お、落ち着け!!
卵焼きなら俺のをやるからッ。な?
だから、落ち着け川嶋。」
「あ〜ん。高須君てば優し過ぎ…
でも、高須君の卵焼きが無くなっちゃうね…
じゃ、あたしの、ハムエッグあ・げ・る。
はい、ア〜ン」
「あぁッ!?それならエビフライは私のもんだっ!誰も触るんじゃな〜〜〜っい!!」
「あ…ちょ…お前の弁当にもエビフライはあるだろ?何で俺の取るんだよ!?」
「いいひゃん、へふほんじゃなひ…もぐもぐ」
「いや、減るから…今、確かに、一個減ったぞ!?」
「解ったわよ、じゃあ私のエビフライを竜児が食べれば問題無いでしょ?
ほら、口開けなさい、ア〜ン」
「ほら、高須。昆布をやろう。ア〜ン」
「「「ア〜ン」」」 「………………」

……ゴトッ…ザー…
ーミンミンミノリン♪ミッノリンリン♪
ミンミンミノリン♪ミッノリンリン♪
す〜な〜お〜にぃスキ〜とぉ〜言えない私も〜勇気をだして〜HEYアタック!
恋のまじない〜ミノリビィ〜ムか・け・てあ〜げるぅ〜わ〜
私でも〜主役にな〜れ〜るのか〜な?
いつでも君の〜隣にい〜るよ〜
カモンレッツダンス♪カモンレッツダンス♪ベイベ〜
君に恋する〜♪ス・ペ・シャル・ミノリン・ハ〜ト♪
恋の〜マジカル♪ミッノリンリン♪ー
「お、放送始まったね。
どうだい?コレはあたしが、好きな人のためにコンサートをヤルとしたら…
と、いうテーマで作詞した歌なんだ。
今のはショートverでフルverは、ほれコッチのMDに収録されてるんDA
よしッコイツは高須君にあげよう♪」
「………」
ーえ〜本日も始まりました、司会の大明神です。どうぞ宜しくー
ーアシスタントの木原ですー
ーアシスタントの香椎です。宜しくー
ー先程の曲は、ソフト部K枝さんリクエストによる『恋のミノリ伝説』でした。
それにしても、女性が2人もいるとスタジオが華やかで良いですねー
ーそーですねー
ーそれでは最初のコーナー『教えて大明神』では、皆様の質問、ご意見をご紹介したいと思います
ではアシスタントの木原さんー
ーえーッと最初のお便りは…あ、コレだ
ペンネーム・サガットさんからのお便りー


続く
69名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 20:39:48 ID:vzLGq2iE
>>60
GJ!ここだとオリキャラ珍しいから新鮮に感じたぜ!
70名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 20:48:55 ID:CbKPqMTc
>>68
乙 櫛枝の作詞した曲が新OPだと思ったのは俺だけじゃないはず
71名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 21:34:26 ID:dgGzDdiT
投下、スピンオフ2のネタあり


72運命なんて…:2009/01/17(土) 21:35:02 ID:dgGzDdiT
春田や能登と理想の女子との出会い方という、思春期ならでは?の馬鹿会話を楽しんだ日のこと
「じゃあ俺スーパー寄るわ」
と二人に宣言したとおり学校帰りにスーパーに晩飯の材料その他もろもろを買いに来た俺、高須竜児であるが…
晩飯の献立を考えつつ、さきほどの会話で「春田のはねぇよなぁ…リアリティがねぇし、本当のアホとはああいうのを言うんだ」
と能登と二人で春田を馬鹿にしていた自分を思い出し、俺の考えだってリアリティねぇじゃねぇか…と、ちょい自己嫌悪

だいたいこういう会話してる時点で俺も春田と同類なんじゃないだろうか?…う〜ん…櫛枝は、花を拾うようなタイプじゃない気がするし
じゃあ俺の理想の出会いって一体…つーか理想って?あ〜考えれば考えるほどわからなくなってきた…よし、馬鹿らしい考えは捨てよう!
今はさっさと買い物を切り上げて晩飯を作る!これだよ、あんま遅くなると腹を空かせた虎が凶暴化する、それはなんとしても避けたい
…肉だ、虎の怒りを静めるにはやはり肉!腹いっぱい食わせて逆鱗に触れないように…今日は肉に決定!

そうして会計を済ませ、後は店を出るだけなのだが、そこで俺の視線がふと、花売りのほうに…
馬鹿らしい考えはもう捨てたんじゃなかったのかよ、と自分にツッコミを入れるが、こう見るとだんだん気になってきた…しかし…
クソっあんな会話するから…このままじゃ俺の脳内がどんどん春田化……いや待て、今日にかぎって都合良く首から折れてる花が
……あった…これは、これは…俺に行けというのか…?いつもなら迷わず拾って店員さんに声をかける俺だが
今拾いに行ったら、俺がいつも出会いの為に花を拾いに行ってるような気がして、なんかやな感じだった…
でも見て見ぬふりはそれこそ俺としてどうだろう…と自分に言い訳をして少しの期待(ホントに少しだぞ?)を胸に花の元へ、でも…

そして、ちょん…と二人の手が触れ合う、う、嘘だろ?ま、まさかこんなベタな展開がホントにあるなんて!!…
俺は驚愕しながらも内心ドキドキで相手の顔を見ると…

「なんだ高須じゃないか、奇遇だなぁこんなところで、しかも折れてる花を拾ってあげるなんてさすが高須だ!
こんな優しい友人がいて俺は嬉しいぞ、はっはっはっはっは!!」
「き、北……村…?」
「いや〜それにしても奇遇だ、こんな小さな花を二人で掴み合うとは…実は俺、相手が女の人かと思ってちょっと
ドキドキしてしまったんだがまさか高須とは…これも運命だなぁ!はっはっはっはっは!!」
「う…あ…ああ……」
「ん?…どうした高須?少し顔が赤いようだが、まさか高須も俺と同じ考えd
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
73運命なんて…:2009/01/17(土) 21:35:32 ID:dgGzDdiT
…なんてことになったらどうしよう、でも拾いに行かなきゃ出会いは…あぁ…こんなことで悩んでるなんて、俺ってやっぱり春田レベル…OTL
そうして俺がうじうじと悩み尽くしている間に、なんとも意外な人物に花が拾われてしまった

「よ、よぉ、川嶋……」
「た、高須くん!?なんでこんなトコに……って晩御飯の買出しかぁ、相変わらず主婦だねぇ〜」
「…川嶋も、こういうことすることあるんだな…ちょっと意外だ」
「っ……そんなことより高須くん、今日もタイガーにご飯作ってあげるの〜?亜美ちゃんもご一緒したいなぁ〜」
「話題を摩り替えるなよ、俺、お前のこと結構見直したっていうか…もしかしていつも拾ってあげたりしてるのか?」
「…えっと…これは……そう!亜美ちゃんとっても優しいから、首から折れて床に落ちちゃってるお花かわいそぉ〜って
拾ってあげたの♪亜美ちゃんホントに優しいよねぇ〜?た・か・す・くんっ?」
「…ああ、川嶋は優しいとこあるもんな、そっかぁ…川嶋も……」
「…も?」
「ああいや、なんでもねぇ…」
「ふ〜ん…」

落ち着け、俺…もし、もしもだぞ?あの時妄想北村が出現せずに花を拾いにいっていたら、今頃川嶋と手がぶつかっていたんじゃないか?
と、いうことは俺の運命の出会い(笑)は川嶋相手に成立していたということに……川嶋かぁ……あいつもあれで実はいいとこ沢山あるし
……やべぇ…ドキドキしてきた……ハッ!でも俺には櫛枝という人が…神よ、俺はどうすれば……大河?あいつはカンベンしてくれ

「高須くん?さっきから黙っちゃって…考え事?」
「お、おう…そんな感じ……か、川嶋はさ…」
「ん?なぁに…?」
「う、運命とか…信じるか?」
「ハァ?運命?そんなの信じる訳ないでしょ、」
「えっ!?…な、なんで?」
「運命なんて都合のいい言葉は、弱い人が逃げるのに使うだけ…あたしは、運命なんて必要ないと思うけど?」
「…そっか……逃げか…」

俺…櫛枝との仲がなかなか進展しないから…川嶋、いや…運命の人に逃げようとしたのか?
そんなの…俺……最低じゃねぇか…
74運命なんて…:2009/01/17(土) 21:35:58 ID:dgGzDdiT
「川嶋、やっぱ俺が間違ってた、運命なんて言葉で逃げちゃダメだよな…ありがとう!俺…もっと頑張ることにする」
「なんでお礼を言われてるのかわかんないんだけど…つーか高須くん、なんで突然そんなこと聞いたの?」
「ひ、ヒミツ」
「え〜答えてあげたんだから教えてよ、高須くんのケチ」
「うっ……わ、笑うなよ?」
「うんうん、笑わない笑わない」
「…え〜と、花拾ってたよな?それで俺…か、川嶋のことをう、運命の相手だと、思って、でも
 川嶋が逃げるなっていってくれたんだよな?だから俺、頑張ってその、く、櫛…」
「…………………………………………」
「か、川嶋?」
「……笑えねぇ…」
「……は?」
「全然笑えねーよ……つーか花拾って運命の相手ってなんだよ…しかもあたし自分から…はは、はははは…」
「川嶋?おい、大丈夫か?」
「ははは…高須くんちょーうける…ははははは…」

な、なんだ!?突然川嶋が壊れたぞ…えっと…こんな時は…どうすればいいんだ?……どうすれば…

「肉だっ!!」
「ひゃ!?…なに、突然どうしたの高須くん?」
「さっき、おまえ一緒に飯食いたいって言ってたよな?」
「え…う、うん…」
「なら今日のお礼もかねて、家に来るか?…あっ、そっちの都合が良ければだけど……」
「……いいの?」
「おう!大河と泰…家の母親も一緒でよければだけど…」
「それはいいけど…」
「なら決まりだな、よ〜し…美味いもん作るから楽しみにしてろよ?」
「……うん!」
75名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 21:36:29 ID:dgGzDdiT
終わりです、多分続かない
76名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 21:47:22 ID:YT3uAfKf
>>60
素晴らしい
竜虎可愛すぎるぜ
GJ!
77名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 21:48:09 ID:zIfhVJSl
Good.
竜児が素直過ぎて萌えた。
78名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 21:57:05 ID:lVeDJfaA
>>72
GJと言わざるを得ない。
79名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 22:03:28 ID:nIHplgMZ
>>68
GJ!
続きも楽しみにしている。

>75
GJ
できれば続いて欲しい。
80名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 22:30:45 ID:nIHplgMZ
投下。竜児が大河の傷口を嘗めるって電波が届いたので。

「竜児。ちょっと紙で指切っちゃった」

 そういい、大河が指を見せてきた。

「大丈夫か? ちょっと待ってろ」

 俺は救急箱から消毒液と絆創膏を取ろうと思ったが、両方切れてしまっていた。

「あれ? この前買ったと思ったんだけどな」

 俺はどうしたものかと首を捻ったが、すぐにドラッグストアに買いに行くことにした。

「ちょっと絆創膏買ってくる」

「え〜」

「嘗めてりゃ少しはマシになるよ」

 あながち間違いではないかもしれない。人間の唾液には殺菌作用があるらしいしな。

「それじゃ竜児が嘗めて」

 大河がトンでもないことを言ってきた。

「嘗めれば治るんでしょ?」

 大河め、絶対にできないと思ってやがるな。よーし、偶には予想外のことをしてやろうじゃないか。

「分かったよ」

 そういい、俺は大河の指を嘗めた。

「え? ちょっ……んっ」

 やってから、すぐに羞恥心がこみ上げてきた。
「あの……そのな……ドラッグストア行ってくる」

 俺は逃げる様に家を後にした。それからというもの、大河は怪我をする度に傷口を嘗めろと言ってくる様になったのは、また別のお話。
81名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 22:34:10 ID:pLFtsTha
>>80 2828
82名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 22:46:22 ID:RWK4NCtl
>>71-74
いいぜー! あーみんサイコー
83名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 23:59:13 ID:nIHplgMZ
前スレでタイガー・ダイアリーを書いた者です。
再びヤンデレ注意。今度はみのりんです。

「高須君」
 放課後。一人下校をしていると誰かが呼びかけてきた。ちなみに大河はHRが終わるとすぐに教室から出て行った。
 誰かと振り向けば、そこに立っていたのは我が憧れの人、櫛枝実乃梨だった。
「よっ! 今日は一人で帰りかい?」
「大河が用事あるらしいからな。櫛枝は?」
「今日は部活もバイトもお休みなのですよ。一緒に帰らない?」
「おぅ」
 まさか、櫛枝に一緒に帰ろうと誘われることになるとは……これも大河のお陰か?
「それじゃ帰ろうか」
 そういい、櫛枝は俺の手を取った。
「おぅ」
「ん?」
「その……手が」
「嫌かい?」
 櫛枝が悲しそうに聞くので思わず
「そんなことはないぞ」
と返してしまった。いや、本当に嫌ではないんだけど、ただ恥かしいというかなんというか。
「あのね、私も最近ようやくね、幽霊が見えるようになったよ」
 突然、櫛枝はそう言った。
「その幽霊はね、竜なのに虎の世話をしてるんだよ。変だよね。竜と虎って仲悪い筈なのに」
 櫛枝は心底面白そうに言った。
「それでね、その竜は見た目は怖いのに中身は繊細でね。料理が上手でね、お裁縫も上手でね、なんだかお母さんみたいな感じなの。でもね、ちゃんとカッコイイ所もあるんだよ」
「なあ、その……もしかしてその幽霊って……」
「勿論、ダメなところもあるんだけどね……今日はそれを排除してあげるの」
 突然、櫛枝の雰囲気が変わった。
「く、櫛枝?」
「さっき言った虎なんだけどね、竜にベッタリなの! 甘えすぎって感じ! 竜もきっと困ってると思うんだ」
 もし、もし竜が俺のことを刺しているのならそんなことは無い。その意思を伝えようとしたが、櫛枝の雰囲気に、喉が緊張して声が出てこない。
「でも竜は優しすぎてそういうことが言えないんだ」
 違う。大河が迷惑なんてことはない。
「だからね、虎を消しちゃおうって思ったんだ」
 櫛枝は何を言ってるんだ? 虎……大河を消す?
「竜が他の奴に世話を焼くようになったりすれば虎も諦めるんだけどな。そしたら私も虎を消さなくてすむ」
 まるで、それは脅しのようだった。私と付き合わなければ、大河を殺すと。
「ほら、帰ろう?」
 そういい、櫛枝は手を差し出してきた。俺はその手を取る。さっきまでは感じていた恥かしさは、恐怖へと変わっていた。
「竜がずっと私さえみてくれれば私は満足。だからずっと見ていて欲しいな」
「ああ、俺が竜だったらずっと櫛枝のことをみてるよ」
 その言葉には一切の感情は篭らなかった。それでも櫛枝は満足したようだった。
 これからはきっと、櫛枝のことを見つめ続けるだろう。








一切の感情も篭らないまま。
84名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 00:01:53 ID:nIHplgMZ
投下終了。最初はヤンデレ予定ではなかったんですが何故かヤンデレチックに……
また電波受信したら投下します。お目汚し失礼。
85名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:09:01 ID:npCCvjjb
病んでるだけでデレてねえッス
86名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:18:18 ID:AesTBise
なんという投下ラッシュ
皆GJ
87名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:33:05 ID:CZcVo89R
>>84
GJです。

>>84さんに感化されて自分も書いてみました。
電波文にして超短文。
病みまくりなので、苦手な人はスルーして下さい。
88コレカラモズット:2009/01/18(日) 01:33:30 ID:CZcVo89R
ある晴れた日のコト幽霊が私の前に姿を見せた。
その幽霊は必死に話しかけてきた。俺はここにいる。どうか見て欲しい。どうか聞いて欲しい。どうか。どうか。
私は幽霊を見た。幽霊から聞いた。
幽霊の心は私のモノ。幽霊の躯は私のモノ。幽霊の全ては私のモノ。全て。全て。全て。全て。全て。
ワタシノモノ。ワタシノモノ。
何を怯える?悲しい?辛い?苦しい?
でもね、それが私の愛。アナタへの愛。
ワタシの愛はアナタのモノ。全て。アナタノモノ。
遠慮はいらないから、アナタの剣で私を貫いてごらん?さあ
私の苦しみはアナタの愛。私への愛。
アナタに足は必要ない。腕も。目も。耳も。鼻も。頭も。
私以外の女の前へ立つ事は許さない。私以外の女を抱く事は許さない。
私以外の女を見る事は許さない。私以外の女の声を聞く事は許さない。
私以外の女の匂いを嗅ぐ事は許さない。
私以外の女を考える事は許さない。
ワタシノアナタ。アナタノワタシ。

「竜児?竜児?アア、そうだ。もう話せないんだったネ。
安心して、声に出さなくても私には解るから…
ん、そう…愛してる…か…私もよ。竜児だけを愛してるわ。
これからもずっと一緒だヨ…」
89名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:42:23 ID:8NaC8McG
>>84,88
GJ! なんというヤンデレラッシュ。みんな病んでるのか…
90名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:50:44 ID:AmuF6Plt
>>88
これはいいヤンデレ。
怖いよ。すっげえ怖いよ。だがGJ
91名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 01:52:35 ID:SfX7Hh6d
>>88
GJ!
ある晴れた日のコト
これはハルヒかw
92名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:12:20 ID:JDx38Q6o
投下します


・竜虎です
・エロなし
・時間軸は9巻のあと半年後くらい
93名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:13:20 ID:JDx38Q6o

『二人で』

受験を控えた高校三年生の夏休みの午前。竜児は持ち前の凶悪な三白眼を細めてベランダにいた。
別に、次に道を通った通行人を無差別にどんなひどい手段で殺そうか、などと考えているわけではない。
ただ新発売のちょっとお高い漂白剤で洗った洗濯物が、すごく真っ白になったのが嬉しいだけなのだ。

「今日もいい天気だな……なんかいいことでもありそうだ」
それにしても最近は向かいのデカいマンション様のおかげで本当に日当たりが悪くなった。
これじゃあ乾くものも乾かないよな、いい加減に乾燥機買うか、大河の家で借りるだけでいいかどうしような。
ビチョビチョのシャツを片手に、そんないかにも主婦的なことを考えていると、大河の家の窓が唐突に開いた。
そしてそこには手乗りタイガーこと竜児の彼女、逢坂大河がいた。

「おう大河、おはよう」
「……おはよ」
お人形みたいな可愛い容姿で、だけど中身は凶暴で。
自分は本当にこいつと付き合ってるんだよなあ、と考えて竜児は少しにやけてしまった。これは思い出し笑いだ。
二人で逃げだしたあのバレンタインからもう半年か。
散々周りを心配させたし、泰子と喧嘩もしたけれど、今はバイトをしながら大学に行く、というので和解して落ち着いた。
それにしてもあの夜の大河は本当に笑えた、だって
『わ……私はね、…アンタが、高須竜児が………すきゅ!』
噛んだのだ。一番いいところで。
さすがドジの大河だ、と笑いながら大河を抱きしめた。
そうしていつかと同じように星座を指差しあいながら、二人で歩く未来を語り合った。
94名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:14:05 ID:JDx38Q6o

「なに人の顔見て笑ってんのよ。その顔面凶器で笑われると鳥肌が立つ」
「おう、なんでもねえよ」
一人思索にふけっていた竜児を不審に思ったのだろう、大河はしかめ面だった。
まあ見せてくれる顔の8割がしかめ面だから、いまさら不満は無いのだが。
しかしそれを抜きにしても、今日の大河の様子は少し変だった。どことなく不安そうな顔。

「どうした大河、なんか変なもの食ったか?朝食食えるか?」
「アンタは私の体調を食欲で測ってんのか」
正直そのとおりだ。こいつは食こそ命!と言っても過言ではない奴だ。
でも正直に言うと後でボコられるので黙っておく。
……自覚は無いが、こんな情け無い自分を、尻に敷かれてると言うのだろうか。

「まあいいわ。ねえ竜児、あのね、その、……んー」
そのまま「んー」と思案顔で悩む大河。
こいつがこんなにハッキリしないのなんて珍しい、よほど言いづらいことなのだろうか。
「なんだよ、なんか言いたいことあるのか?なんでも言ってみろ、ちゃんと聞いてやるから」
「んーとね、あのね。……できちゃったみたい」

……できちゃった?
最近はまっていたぷよ○よのベリーハードでもクリアできちゃったんだろうか。
それとも48の殺人技の抜け出し方でも編み出せたというのか。それはすごい。

どこまでも鈍い竜児も、次の大河の一言でやっとすべてを理解したのだった。


「赤ちゃん、出来ちゃったみたい」


***
95名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:15:16 ID:JDx38Q6o

「うぉぉぉぉおお……」
高須竜児、17歳。高校三年生。只今近所のファミレスで人生最大の窮地に陥っています。

「うっさいわね。アンタ少しは黙れないの?」
それにしても隣の席にいるこいつはなぜこんな平然としているんだ。
妊娠といえば一番負担がかかるのは女性の体じゃないか。
「お前だって少しは考えろよ!これからのこととか心配じゃないのかよ!?」
「さして心配じゃないわ」
「なんでだよ!?」
ジュー、と牛乳をすする大河。どうでもいいけどフリードリンクに牛乳置いているのなんてここくらいじゃないだろうか。

「私は竜児を信じてるから。竜児は絶対私を見捨てない。
 アンタと過ごす将来のイベントが少し早くきただけじゃない、何を心配しろってのよ?」
「……おう」
……それはずるい。大河、それはずるいぞ。そこまで言われて嬉しくない男はいない。
好きな女にここまで信頼されるなんて、まさに男冥利に尽きるだろう。幸せすぎる。
だが、もちろん大河のことを見捨てようなんてホコリほど考えてもいないが今はそうではなくて。

「学校のこととかよ、今はまだいいけどお腹だってデカくなってくるんだろ?
 それに不本意だがお前の親にも報告しなくちゃならん。課題は山積みだぞ」
「うちの親なんかどうでもいいって。……お、みのりーん!ばかちー!こっちこっちー」
竜児が振り返ってみると、ファミレスの入り口にはお馴染みの二人がいた。
そう、情け無い話だが自分ひとりではどうにもならないので、内容は伏せて二人を助けとしてを呼んだのだ。
大河の話を聞くと、生理が遅れているだけなので妊娠している確証はないらしい。
そこらへんの女体の神秘についても女性陣に聞いておきたかった。
櫛枝と大河のことを話すのは未だに多少のためらいがあったが、大河が一言「みのりんはそんな弱くない」と言ってのけ解決。
96名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:16:00 ID:JDx38Q6o

「おっまたせー大河!高須くん!」
「まったく、急に何なのよ。あたし今日は仕事あるからノロケ話なら短めにしてよねー」
「突然ですが、私妊娠しました!」

「「……」」
大河、それ言い出すの早すぎるって……。あまりにも突飛な告白に完全に固まっている二人。
やがてゆっくりと首だけ動かして…ああやっぱり。こちらをものすごく強張った顔で睨んできていた。

「高須くん、これどういうことなのかな。
 このババに分かるように懇切丁寧に、ちゃんっっと一から説明してもらっていいかな」
「おう…あ、いや櫛枝、俺にも突然のことで何がなんだか……」
「あー……ついに一線を越えた訳ね。そして妊娠しちゃったと。
 高須くん、まさかとは思うけど近藤さん使わなかったとかはないよね」
「……」
使った、と言ったら嘘になるので何も言えなかった。
二週間ほど前。
夜ご飯を食べた後、成り行きで大河と肌を重ねることになり、準備もしてなかった竜児は近藤さんを用意していなかった。
そうして事が終わったあとに心配になって、でも隣で安心して眠る大河を見て、今日まですっかり忘れていたのだ。

「……はあ。サイッテー。避妊くらいしろっつーの。救いようが無いわ」
「そこはいいのよ。竜児も私もいっぱいいっぱいでそんな余裕無かったし」
そう言ってのける大河に呆れる川嶋。櫛枝はずっとこちらを見ながら何かを考えているようだった。
「だからってアンタ……学校どうすんのよ」
「別に。言いたい奴には言わせておけばいいのよ」
「そんな問題かっつのー…。アホとらにはどうせおろすって選択肢も無いんでしょ」
「ああ無い無い」
ジュー、と牛乳にオレンジを混ぜたのを一気飲みする大河。
97名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:16:41 ID:JDx38Q6o
頑なな大河の様子に、何かを求めるようにこちらを見てきた川嶋だったが竜児も気持ちは大河と同じだった。
おろすなんて有り得ない、そう目で言いながら頷いてみせる。
それを見て諦めたのか、川嶋はため息をつきながら「あたし来た意味ないじゃん」とつぶやきながらコーヒーを飲んでいた。

「……高須くん」
「おう、なんだ?」
真剣な顔をした櫛枝。正直何を言われるか恐恐諤々だったが、内容は至ってシンプルだった。
「大河を悲しませたら許さないよ」

一年ほど前にも同じ事を言われた気がする。
あのときは大河を好きだとはまったく自覚も無くて、どう答えていいのかわからなかったけど。
今ならハッキリと言える。

「おう。絶対にそんなことはしねえ」
離れないと決めたのだ。守ると決めたのだ。
櫛枝のおかげでそんな簡単なことを思い出した。
なにも迷うことはなかった。誰になんと言われようと大河とならやっていける。
思えば随分と小さなことで悩んでいたものだ。学校の奴らになんと言われようと、近所で噂になろうとささいなことだ。
よく目を見開いてみろ高須竜児。目の前に居る大河は、こんなにも幸せそうじゃないか。
それだけで自分には十分なことに思える。二人、一緒に居るだけで幸せなんだ。

「それじゃあ産婦人科を探そうじゃないか」
櫛枝は満足そうにうなずき、なぜか持っていた地図を広げるのだった。

***
98名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:17:24 ID:JDx38Q6o
「ねえ竜児、子供の名前どうしよっか」
夕暮れの病院からの帰り道。どうやら妊娠していることは確定したらしかった。
それでも動揺しなかったのは、ひとえに大河と一緒に居たおかげだ。

「そうだな、女の子なら可愛い名前にしてやりてえな」
「可愛くない名前で悪かったわねえ」
ふくれっ面になる大河。それを見て笑ってしまう。
「別にそういう意味じゃねえよ。俺はお前の名前が好きだぞ」
「名前だけなんだ?あー可哀相な私」
ほらやっぱり大河はずるいのだ。
もちろんそうじゃないと分かっているくせに。

「……そんな訳ねえだろ。俺は、お前の全部が好きだ」

へ・へ・へ、うんうん。と顔を赤くして満足そうな大河。
気持ちを正直に言うのは恥ずかしいが、こういう大河を見れるならまんざらでもない。

「竜児」
「おう」
「好き」
「……おう」
そうして手を繋ぐ。
それだけで二人は赤くなってしまうのだったが、それでいいと思う。これが自分たちなのだ。


――竜虎は並び立った。
そして、歩を同じくして歩き出したのだ。

大河とならどこまでも歩いていける。
竜児とならどこまでも歩いていける。

口には出さないが、二人とも同じ思いを抱きながら。





end
99名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:18:19 ID:JDx38Q6o
以上です
100名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:24:53 ID:Tu0ldieL
>>99
GJです!!
みのりんの一言がすごくよかった
守ると決めた竜児の強さは惚れ惚れするね
やっぱ竜虎が自然と最強だわ


101名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:28:51 ID:W3ANzyHU
GJだが2週間じゃ妊娠したかわからんと思う
102名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:58:18 ID:UEVpoVnZ
>>101
それに竜児は人一倍そういうことには気を付けるんじゃないかな。
自分の母親がまさに同じような状況で苦労してきたのをずっと見てきたわけだから。
もしも大河がそんなことになったとしたら、誰よりもやっちゃんが激怒するんじゃないか?
103名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 03:07:25 ID:sotiWLlM
妊娠に拠る変化は、先ず「生理が来ない」ってので認識する程度
二週間では、外見的・感覚的に人間が理解出来る様なレベルでは出ない
一応、試薬や犬の嗅覚などで自覚症状出てない時に判別出来る様だが…
104名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 03:13:19 ID:sYeiSbaL
>>68
GJ! あえてなのかは分からないけどみのりんなら
ほら、竜児、昆布をやろう
な気がする 亜美の時みたく
一応つっこんでみる
105名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 03:29:52 ID:SJw7BoM2
>>101>>103
分かりずらくてすまない
H→
一週間後くらいが大河の整理予定日だった→
一週間たってもこない,あれおかしいな、妊娠した?
みたいな流れのつもりだった

>>102
確かに
俺の脳内泰子がお気楽キャラ過ぎて許してた
次は気を付けるわ
106名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 03:33:55 ID:W3ANzyHU
>>105
月経一週間前って安全日じゃね?
間違ってったらごめん

つってもオギノさんも確実じゃないけどな
107名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 03:45:32 ID:zsAZGofU
つっこみどころはあったけど、
気にならんぐらい良かったぜGJ
108名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 04:08:01 ID:CZcVo89R
3項程投下します。
109本音サミットR:2009/01/18(日) 04:08:41 ID:CZcVo89R
『私、恋してるんです。
きっかけは彼が作ってくれたチャーハンでした…
とても美味しくて、こんなに美味しいチャーハンが食べられる私は特別な存在なのだと思いました。
最初は、違う男性に恋をしていました。
正直に言うと、彼の親友に、です。
彼も、私じゃない、他の女性に恋をしていました。私の親友に、です。
奇妙な出逢いだったんです。私達は、互いの恋を応援し合いました。
でも、いつしか私は彼を愛する様になってしまっていたんです。
彼はきっと驚いたと思います。ずっと、年の離れた妹みたいに接していてくれたから。
私も、彼に自分の気持ちがバレない様にムリして嘘をついたから。
でも、限界だったんです。ついに私はバレンタインの日に彼に想いを打ち明けました。
私にも、彼にも、事情があって、なし崩し的に返事は保留という事になったんです。
その日から、私は彼に以前にも増して甘える様になりました。
彼もそんな私を受け止めてくれています。
でも、彼は未だに返事はくれないんです。
彼は果たして私を女と見てくれているのでしょうか?
この間、膝枕をしてくれていた彼の腰に抱きついたまま、寝たフリをしたんです…
そしたら彼、私を抱き上げて自分の布団に入れてくれて…
でも、彼もそのまま寝ちゃったんです…
VネックTシャツにノーブラで誘っていたのに…彼、何もせずに…
私不安なんです…ひょっとしたら私このまま一生、妹のままなんじゃないか?って。
大明神さん。私はどうすれば良いんでしょう?
彼に女として意識させるにはどうすれば…私、怖いんです。』
ー以上が、ペンネーム・サガットさん。からのお便りです… ………大明神さん、どう思う?……ー
ー………いきなり、ヘビーですね……
えっと…これは彼がはっきり返事をしてあげるのが一番なんですよね。
だから、ペンネーム・サガットさんは、勇気を出して、もう一度想いを伝えるのが良いんじゃないでしょうか?ー
ーでも、それって女の子は怖い。って思うんだよね…
言えば今までの関係も壊れてしまうんじゃないか?って…
あたしも、そういう風に想う相手が居るから…ペンネーム・サガットさんの気持ち…解るなぁー
ーうふふ。そうよね。
乙女心って男性が思う程、強くないのよ。
もしかしたら、彼の優しさはペンネーム・サガットさんを傷つけているかも…
ねえ?木原さん?ー
110本音サミットR:2009/01/18(日) 04:10:11 ID:CZcVo89R
ーそうそう。好きな人の優しさが、かえって残酷って事ある。
帰って家で独りで泣いちゃったりして…ー
ー大明神さんも、覚えていた方が良いかも知れませんねー
ーそ、そうなんですか?
でも、彼はペンネーム・サガットさんを妹みたいに思っているという事ですから…
辛くあたるのも難しいんじゃないでしょうか?ー
ーそれが残酷なんだよ…
好きになれないなら、はっきり言って欲しい。
あたしだったら、きっと、ずっと頑張っちゃう…
そんなのって…ぐすん…つらいよ…ー
ーそうですよね。はっきり言ってくれないと女の子は一歩も前に進めないんです。
ほら、木原さん…泣かないで…
あと、大明神さんは木原さんに謝って下さいー
ーえ?ボク?これ、もらい泣きですよね?
え?ボクの発言?いや、ボクはただ彼の 気持ちを代弁というか…
……その、本当にスミマセンでしたー
ーでは次のお便りをご紹介しましょうね。
こちらはペンネーム・いつも隙間にさん。からのお便りですー
『最初は、遊びだったんです。
気に入らない女が居て。そいつのお気に入りの男の子を横取りしてやろうって…
そいつは可愛い娘だったけど、あたしの方がもっと可愛いし、正直、大した男じゃなかったから、楽勝だって思ったんです。
けど、あたしは勝てませんでした。彼の一番になれなかったんです。
何で?あたしの方が絶対可愛いのに…
その時はまだ、自分を取り繕ってたから、あたしの方が良い娘なのに…どうして?許せない…
嫉妬で、頭の中ムチャクチャになって、彼にあたしの本性を見せてしまいました。
私は自分が嫌いでした。こんなに醜く歪んだ性格で素顔だって冷たい陰険な奴。
外面ばっかり良くて中身は最悪。
でも、彼はあたしの本性を知っても、あたしを嫌いにならなかったんです。
隠さなく良い。取り繕わなくて良い。って
幼なじみ以外にそんな事言ってくれたのは、彼だけでした。
以来、私は誰の前でも素顔で居られて、自分の事が少しだけ好きになって
彼の事が本当に好きで、好きでたまらなくなってしまいました。
友達もできました。本当に心から大切な友達です。
ある日、彼が好きなのは、その大切な友達のうちの一人だって解ってしまいました。ショックでした。
そして、偶々、あたし以外にもショックを受けて落ち込んでいる女の子がいる事も知ってしまいました。
111本音サミットR:2009/01/18(日) 04:11:27 ID:CZcVo89R
最初、気に入らなかった女です。
彼の想い人は、その気に入らない女の親友でした。
気に入らない女も、いつしか、あたしの大切な友達になっていたから、私は胸が張り裂けそうでした。
あたしの心を殺してでも、彼女と彼を救いたい。
そう思って、あたしは動きました。自分の恋は後回しで良い。
でも、無理だったんです。自分の心を殺す事が出来なくて、結果、あたし達の関係はムチャクチャになりました。
全部、あたしのせいなんです。元々、綺麗に纏まっていた関係をあたしが壊してしまいました。
もう、此処には居られない。そう思いましたが、皆があたしを引き留めてくれました。
こんな事があったのに、あたしは今も彼に想いを寄せています。
今も、気に入らなかった女とその親友とあたしとで、彼の取り合いをしています。
けど、あたしは罪悪感でいっぱいなんです。
あたしに彼を愛する資格があるのでしょうか?
あたしはまた取り返しのつかない事をしてしまうかもしれない。
彼も友達も皆、壊してしまうかも…
大明神さん、あたし、どうすれば良いんでしょう?助けて…ー
以上が、ペンネーム・いつも隙間に。さんからのお便り、ですね
さぁ、大明神さん、ご感想をお願いしますー

続く
112名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 04:56:59 ID:7ZfRt8gW
別に書きながら投稿じゃないから良いんだけど
なんでここで続く、にするのか分かんないな
続く、で続き物らしくきっちり盛り上げて引っ張る人と、二分するね
やっぱ職人としては定期的に投下してないとテンション上がらんのかな
それともまとめて投下すると規制とか気しなきゃだからいやなのかな?
113名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 05:34:06 ID:U5PYzoX0
どこのクレーマーだよwww
114名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 06:01:52 ID:lVddadAI
108 GJ
115名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 07:09:21 ID:YaKco39q
>>113
亜美ちゃんに決まってるだろ
116名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 07:43:28 ID:4hyLHZZp
ついに区切り方まで注文つけるようになったか
117名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 08:04:55 ID:2q+7Brj/
とにかく文句を言ってないと精神の安定が保てないんだ。
本当は>>57のような失敗ageにすら文句を言いたくて、
顔色が黄色から赤へ、そんで青くなるまでギリギリ奥歯を
鳴らして悶えてるんだ。

なんつったって>>9やしな。
・必ずsageる(E-meil 欄に 半角英数字で 「sage」 を記入)
  age 書き込みは 荒しだけが行う行為です。相手にされません。 

マジでこの空気は撲滅すべき。
118名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 08:35:07 ID:8WEOSaym
俺は同意なんだけどな
つか、何か意見すれば反射的にうぜえから消えろ、ていうのはこのスレでは当然の行為なのか?
それならテンプレに、意見は厳禁、する奴には聞く耳持たず叩きましょう、と書いた方が良いんでない?
119名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:18:26 ID:umtVJdKM
>>108-111
GJ!
あっという間に芸風確立されたと思ったら変えてきたな
こんどは宇能鴻一郎路線でいくのか?


>>115
お前のせいで>>112がホントに亜美ちゃんが文句つけてるようにみえてきたんだ
どうもありがとう
120名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:19:14 ID:U5PYzoX0
意見と文句は同じじゃないよ
あの文章だと
こっちの方が面白いし、投下のペースが自分に合わないから変えてくんない?
嫌な書き方したけど
文句とされても仕方ない文章だよ
121名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:23:05 ID:+D/sW3qY
もうほとんど荒らしでしょう。
他のエロパロ板みても
こんな区切り方とかをしつこく上から目線でいってくる人少ないし、
いたら普通に叩かれる。

たぶんごく少数のひとが繰り返し書きこんでるだけで、
まわりにこれだけ自重しようといわれてるのに
それでも言い方の配慮とか考えないなら、
もうスルーの対象にしていいんじゃないか。

122名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:31:58 ID:Y3Bz7eBF
>他のエロパロ板みても
>こんな区切り方とかをしつこく上から目線でいってくる人少ないし、
>いたら普通に叩かれる。

どこの板?
ハルヒ系の板なら、すげー辛辣だぞ。
伏線生かしてないとか、端的に「つまんね」て理由で書き手が叩かれているぞ。
123名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:40:37 ID:Tcc7bKMl
>>122
ようイカレ野郎
貴様がいるからハルヒスレが荒れたのか
124名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:41:08 ID:7ZfRt8gW
おいおい、荒らし扱いかよ(´・ω・`)
普通に疑問だから書いたんだがな、自分が書くとき見せるために書く
だから続くにしても区切りはつけるから、下二行は嫌味とかじゃなく普通の疑問だぜ
他の奴から文句言われるほど、嫌なレスしたつもりはなかったんだがな
125名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:45:10 ID:ACFX1zYY
国語の教師がいるようだな
126名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:47:03 ID:+D/sW3qY
谷川流スレのレス2のQ&Aみれば、面白い言い回しで書かれてるが
叩きは幼なじみに照れ隠しで怒るようにとか、
煽りに大人なら反応しないのでかまうなとか、
上から目線の辛辣・煽りレスを自重して、
かつそういうレスはスルーしようって基本姿勢は明らか。
このスレは人も多いからそれでも変なのは出てくるけど、
それが正しいと勘違いしてはいけない。
レス1にテンプレで削除依頼対応するから変なのに反応するなってあるくらいなんだから。
127名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 09:58:48 ID:7ZfRt8gW
>>112で職人にレスつけて、内容が明らかな誹謗中傷でもないのに
職人本人からならともかく、他の奴が必死に何人も文句言ってくる現状が
このスレが定期的に荒れる原因だと思うけどね

まぁ今回は>>112のレスが感じ悪かったって声が大きいし
こう書けば良かったとか、そもそも言うべき事じゃないとか
それが統一意見としてあるなら今後は従うさ
128名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:12:41 ID:G01o0Ow/
つーか>>108が何度も微妙なとこで区切るのはGJ(笑)が沢山欲しいからだろ、何が「3項程投下します。」だよ
おい>>108、お前のいっぱい褒めてもらいたいってくだらない考えでここが荒れてるのわかってんのか?
129名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:19:21 ID:W1KZS3eU
>>127
貴方の無神経さには頭が下がるわ。
 貴方の >>112 の書き込みが場の雰囲気を壊したのよ?
職人様がせっかく投下して下さったのに、ご自身のお考えだけを「もっとも正しい」と押し付けている事になります。
職人様に投稿料または相当する金銭を支払うまたは相当する飲料水や物をお渡ししているなら、>>112 の書き込みも解らないでは有りません。
でも無償で読ませていただいてるのであれば、職人様を侮蔑してる事になります。ですから職人様は気分を悪くして「大人の対応」をしているのです。

そして、作者様の心中を察して他の人が代弁しているのですよ。
お聞き入れなさい。
130名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:19:36 ID:+D/sW3qY
>>127さん

>>128のようなレスはあなたはどう思いますか?
131名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:27:02 ID:Y3Bz7eBF
信賞必罰で対応すべきだね。
このスレの流れであれば、次元の低い投稿まで過剰に保護することはない。
132名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:29:05 ID:7ZfRt8gW
>>130
>>128みたいな煽りを引き出してんのが、俺の>>127のレスなのか
俺のレスに文句つけてきたレスのせいなのかと言えば、後者だと思うけどね
>>130さんとか文句言ってる人にも同じ質問したいけど
それがまたくだらんのを引き付けるしもういいでしょ
133名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:34:59 ID:ACFX1zYY
毎日投下されてそんな少しづつ読まされるのもなんだから俺は後で管理人さんがまとめてくれたのを読むつもりでまだ読んでないんだけど
概ね評判いいみたいだから多少のことには目をつむれよ
134名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:38:54 ID:7ZfRt8gW
>>133
俺もまとめサイトだけ出入りすることにするわ
はっきりいってこのスレの現状がまともだと思えないし
これ以上、作品や職人にたいする意見以外のレスで邪魔してもいけないしねノシ
135名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:41:47 ID:lXYZ74lb
作品の区切り方とかに文句言うんなら、
もう掲示板で見なかったらいいじゃん。
保管庫に載るまで待てばいいじゃん。それができないのに自分の都合だけで
職人の創作意欲を失わせるような発言はするなよな。
136名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:41:53 ID:hY4sEsOI
人にはそれぞれリズムがあるんだから、それはそれでいいんじゃないの。
全員のニーズにかなったやり方を見付けるのはやはり難しいよ。
sageてないならともかく、自分でなんとかできる範囲の事はそうしていかないと。
137名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 10:54:05 ID:G01o0Ow/
読み手のマナーばっかり議論に出すけど不満が出る以上読み手だけが全部問題って訳じゃないだろ、
書き手も意見言われたらできる限りそれを反映させる、それでいいじゃん、
つーか自分の不備でここまで荒れてるのに顔を出さない>>108ってなんなの?
だいたいお前らが職人(笑)とか呼んで妙に持ち上げるから勘違いしてる>>108みたいのが調子に乗るんだよ
138名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:04:47 ID:lZ4ZjMAF
>>108
GJ

続きはまだなのかい?
全裸で正座して待ってるんだぜ
139名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:05:06 ID:5QUYOkyh
>>128は実際正しくないか?
とても長い文章を何個かに分けて投下するならわかるが
短く分けすぎだとは思うぞ
140名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:07:43 ID:+D/sW3qY
>>139
ヒント
皆その煽りを無視してるという事実
141名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:12:11 ID:umtVJdKM
みんな暇なら、作文しようぜ!
142名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:18:51 ID:X95Q0S5K
>>131
こういう意見時々見かけるけど、いわゆる「次元の高低」
を判定する物差しが個々人の主観しか無い以上、
「信賞必罰」なんてシステムは絶対に機能しないと思う。
例え131がどれほど客観的かつ真摯に批評しようとしても、
他人がそれを必ずしも肯定してくれるとは限らない訳で。
結果、読み手の主観同士が対立→批評自体がエスカレート
(=辛口化)となって、最終的には「信罰必罰」な
救いの無い荒廃スレになるだけかと。

まあ、SS道場ごっこは余所でやってくださいな、ということで。
143名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:41:43 ID:ACFX1zYY
嫌なら読まなきゃいいじゃん
金払ってプロの作品読んでるわけじゃないんだから
面白ければ讃え、不快ならスルーがなんでできないの?
144名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:47:00 ID:jqs9ZPiI
ななドラ待ってるぜー
145名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 11:54:55 ID:+D/sW3qY
作文するぜ。
みのりんと亜美の仲直りを妄想してみた
146名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:01:25 ID:+D/sW3qY
「あーみんと仲直りしたいんだ」
「…」
「あーみんは私にとって大事な人なんだ。
だからこのまま終わりたくない」
「…嘘。みのりちゃんは
全然わたしに本当のこと言ってくれない」
「…」
「そういうのは、もういいよ…辛い」
「私、高須くんが好きだよ」
「…っ」
「廊下で叫んだの聞こえたかもしれないけど…
私は高須くんが好きだった。
前みたいに隠さないよ。
ちゃんとあーみんに言う」
「みのりちゃん…」
「高須くんが好きだったし、
それでも大河が高須くんを必要としてるなら私はひこうと思ってた。
でもそれは間違ってた。
大河のためなんて大河に失礼だ。
私は自分の夢があって、それを意地でも追い続けたい。
それで…今みたいな状況で恋愛しようとしても私は絶対幸せになれない。
だから高須くんとはそういうことにならない。
…ふぅ。あーみん、これが私のまるっと本心だよ」
「…どうして?」
「え?」
「どうして高須くんをみのりちゃんが
あきらめなきゃいけないのかな?」
「だ、だから私には夢が…」
「夢追ってたら恋愛できないの?
みのりちゃん何かおかしいよ。
タイガーが問題なくなったなら、
ちゃんとアイツが一人で立てるようにして、
みのりちゃんはちゃんと夢を追って、
それで高須くんとつきあうようにすれば全部とれるじゃない」
「いや、その、…高須くんが
本当に好きなのは私じゃないんよ」
「相手が好きでくれてなければ、
自分の好きな気持ちは簡単に諦められるの?
ふりむかせようともしないで」
147名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:02:40 ID:HM/kkB3p
>>142
辛口化に向かう根拠がゼロ、妄想乙
一人の書き手が好き勝手やって他の職人がこなくなったスレになるだけかと。
作者マンセーで劣化してくださいな、ということで。
>>143
そう、書きながら三十分おきとかもスルー、あぼんでいいんだ
148名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:04:34 ID:+D/sW3qY
「ぐっ…。いや、あはは…。
やっぱあーみんは…」
「……嫌な奴、だよね…」
「いや、いちばん厳しくて優しい。
まいりました。降伏でごわす。
アハハ…私、その、こわくて…そこまで考えなかったんだ。
今あーみんにいわれてわかった。
やっぱりあーみんが私には必要だ!つきあってくれ!」
「!?…うふふ…うん、いいよ」
「いっ!?」
「仲直りしてあげる。みのりちゃん、
本音を打ち明けてくれたから」
「…そっか。愛してるぜぇあーみん」
「わっ」
「ぎゅー。ぎゅぅ。」
「…ごめんね、みのりちゃん」
「ん?」
「みのりちゃんのこと、
本当はわたし言えないんだ。
わたしも自分の気持ちにむかいあいたくない。
こわいの。もし自覚しちゃったら…
勝ち目がないのにって」
「あーみん…もしかして」
「自分が本気になるまえに
相手を好きにさせたかったんだけど…
全然だめで…わたしの方がだんだん…
やだな、こういうの、ほんと」
「あーみん…」
「だから本当はみのりちゃんに
何かいう資格ないんだ。ごめん」
「私は感動しているよ。
打ち震えているといってもいい!
あーみん結婚しよう!」
「ええ!?」
「うれしいんだよ、あたしゃ。
あーみんが話してくれて。
うん、私もあーみんも自分の気持ちと
もっと向かいあっていかなきゃだね」
「…ありがとう。みのりちゃん」
「どういたしまして!残念!
あーみんこれからもよろしくね」
「うん、…ありがとう」
149名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:05:26 ID:+D/sW3qY
以上です。ちょっと投下手間取ったかな。すいませんm(__)m
150名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:15:24 ID:umtVJdKM
>>145-149
GJ!
151名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:21:56 ID:DxO0SwEH
ワロタ
152名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:26:04 ID:X95Q0S5K
>>147

「信賞必罰」=なんでもGJ連発じゃなく、SSの出来次第
によっては厳しい批評もしよう、ということでしょ?
だったらベクトル的に、より厳しい方向へとエスカレート
していくと思うんだが。

最終的には「なんでもGJ」か、112みたいな「なんでもダメ出し」
の2択になるだけかと。
で、どっちかつーと前者のほうがマシかと俺は思う。
153名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 12:44:29 ID:sYeiSbaL
>>149
GJ!みのりん派だけどこのあーみんカワイイな

もう言い合いは止めようぜ
149さんが荒れてるにも関わらず投下してくれたし 作品読むと一回和むからこれを機にって事でさ
154名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 13:14:28 ID:ACFX1zYY
>>149
GJ!
みのチワいいよいいよ
155名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 13:39:45 ID:bPEdfY37
GJしてる奴は解る。区切り方に文句つけてる奴もまあ良いや。
でも、後で保管庫で見るとか何の宣言なんだよwwwちょっとワロタ

>>108
GJ。ペンネーム・サガットさんて、誰?と思ってたけど、あれか。アッパーカットか。
てか、今気付いたけど、>>88も同じ人が書いてるんだな。何か鳥肌立った。

>>145
GJ。何かガチ百合に走りそうだな。特にみのりんはレズ疑惑あるし。
156名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 13:47:05 ID:2y/N2BYm
とりあえずこのスレは1日1回は荒れないと気が済まないのかね…
もっと穏便にいこーぜ。
あみのりんGJ
157名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 14:53:40 ID:mRmmiuAU
>>155
あああ、言われるまで>>88が本音サミットの人だと気付かなかったぜ。
「サガット」の解説もありがとう。

>>本音サミットの人
短めでも毎日投下してくれる方が嬉しいぜ。自分は。
158名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 14:59:20 ID:mRmmiuAU
>>152
「何でもGJ」って事は無いでしょう。
面白ければGJが増える。つまらなければスルーされる。それだけの事。
159名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 15:16:55 ID:DxO0SwEH
>>149
乙です
この二人は親友になるだろうし今後注目だなあ…
160名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 16:21:29 ID:18D9fp57
長いと「区切れ」短いと「まとめろ・続きまだ?」など文句や催促が出る。
なら最低限のルールだけ決めて後は職人さんの好きなようにさせるべきだと思うけどね。
161名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 16:54:34 ID:sYeiSbaL
>>157
サガット分かんないんだけど汗
3日に一回とかの方が楽しみが…何でもない
あみのりんとはまた良い言い方をw
アリナミン…おしい…
162名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:14:48 ID:lZ4ZjMAF
ストリートファイター2のサガットの必殺技は「タイガーアッパーカット」
163名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:29:07 ID:lXYZ74lb
>>162
そんな奥深い由来があったのか。
164前スレ958:2009/01/18(日) 17:31:48 ID:42Vb9R/Y
前スレ>>963
勘違いすんなよ。
俺は同一人物じゃねーっての。
165名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:39:04 ID:bPEdfY37
色んなネタ詰め込まれてるよな。
卵焼きのところはみのりんがマスオさんになってるし。
「こんなに美味しいチャーハンを」は飴のCMだし。
多分、俺が気付け無いだけで、他にもあるんだろうけど。
166名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 18:35:41 ID:G01o0Ow/
>>71-75
今更だけどGJ、最近亜美ちゃんオンリー少なかったから嬉しい
167名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 20:22:26 ID:XvBax/QW
果てしなくどうでもいいけどみのりんはサガットの「タイガー」の物真似が異様に上手そう。
あの独特の発音を見事にこなしてくれそうだ、
いや俺が覚えてるのはストUターボまででそれ以降サガットがどう発音してるのかは知らんけど
168名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 20:28:35 ID:umtVJdKM
サラリーマンNEO見ていて「セクスィー部長」ならぬ「ヤンクィー高須」というのを思いついたんだが、
今さら高須が女の子シビレさせてもそこいらのSSと変わらんし、どうしたもんかと
169名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 21:11:39 ID:UkP98Vdh
>>168
ものすごくどうでもいいが、現在(ストIV)ではちゃんと「タイガーショット」って言ってる
最初のタにアクセント
170名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 21:19:24 ID:zgp55P5X
開いて一瞬スト4スレかと思った
171名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 21:32:53 ID:sYeiSbaL
>>162
そうなのか ありがとう
深いなぁ…ネタって
172前スレ958:2009/01/18(日) 21:55:34 ID:42Vb9R/Y
前スレ>>958の続き。後日談。
では以下より投下

173前スレ958:2009/01/18(日) 21:56:40 ID:42Vb9R/Y
夢はいつしか形を変える。



高校2年の秋以降、北村祐作はそれまで以上に勉強に打ち込むようになった。
当然、交友関係・生徒会・部活などのハードルを越えながら。
限界を超え、また新たな限界を超える。それの繰り返しだった。
東京大学へと現役合格。それでも彼の前進は止まらなかった。

北村が24歳の年の6月、幸太とさくらが結婚した。
披露宴に呼ばれた北村は、会場の遠くから狩野すみれを見つけた。
和服が良く似合っていて、そして驚くほど女性らしくなっていた。
話し掛けたいという衝動を抑えながら、式に参加した。


過去を断ち切り、前へ進む。
その一心の努力。

高校2年生の時に語った、考古学者になるという夢。
太古の人々の生活に想いを馳せ、それを解明したい。
そんな気持ちから始めた考古学の勉強。

しかし、やがて彼の興味は少しずつ逸れていくこととなる。
文化というのは、その場、その時の環境により左右される。
その観点から、歴史考古学から環境考古学へと転進。
さらにそこから、生物学へと転進した。文系から理系へと、転進したのだ。
容易なことではない。いくら東京大学は駒場キャンパスでの一般教養課程で理系文系を選択しなおせるとは言え、
それでも履修科目の関係から、並大抵の努力では乗り切れない。
それでも、生物学への道を彼は選んだ。そして、とある研究機関に、研究員として就職した。
別に、あの夏の思い出、秋空の下の誓いを忘れたわけじゃない。

狩野すみれに対する想いは、北村祐作の心の片隅に封印されているうちに、
いつのまにかキラキラ光るような、懐かしい高校時代の思い出の1つへとなっていた。
そう、あの秋空の下での誓いも、だ・・・。
174前スレ958:2009/01/18(日) 22:00:26 ID:42Vb9R/Y
北村が26歳の6月、今度は高須竜児と逢坂大河が結婚した。
高2の始めの頃から半同棲、高2の終わりには恋人関係となった彼らにしては遅すぎるとも言える結婚かも知れない。
その会場に、何故か・・・狩野すみれがいた。
いまや恋ヶ窪姓ではなくなった、元2-Cの担任と、元2-Cメンバー、そして竜児の会社の人々が出席者の殆どであるその披露宴で、
彼女はひときわ異彩を放っていた。
自分をぶちのめした、あの逢坂大河(今は高須大河だ)を、見にきたのかもしれない。

そして、二次会の時のことだ。
「おう、北村。久しぶりだな。最近どうだ?」
突然、狩野すみれが話し掛けてきた。
「はぁ・・・、まあぼちぼち、ですかね?仕事も充実していますし。」
「・・・夢、叶えられたか?」
「すいません。考古学者じゃなくて、いつのまにか生物学の研究職に就いてました」
苦笑しながら、言う。
「んだと?約束を破る奴は・・・こうだ!」
「ちょ・・・先輩苦しい・・・!やめてくださいよもういい大人なんだから。てか、酔ってます?」
「うるさーい!お前も飲め!」

こうして、2人の交友は再び始まった。
ただし、恋愛ではない。
休暇の度に日本に帰り、そして必ず北村を自分に付き合わせる。
そして、その関係がどうも恋愛ではないか、そう確かめるまでに2年。
結婚するまで、さらに2年の歳月が必要だった。

やれやれ。
30歳となった北村祐作は、ため息をつく。

175前スレ958:2009/01/18(日) 22:01:23 ID:42Vb9R/Y
・・・・・・・・・・。


「なんか・・・すげえ・・・いい話だな」
竜児がつぶやく。

「すごいわね・・・」
大河もつぶやく。
やがて、それは波のように元2-Cメンバーへと広まっていく。
「俺、なんか感動しちゃったよ〜」
能登が涙を流しそうになりながら(かわいくない)、感激する。
「すごーい。私もあんな恋愛したいなー」
「私も私もー」
女子達がうらやましそうにしゃべりだす。
「俺も大恋愛の末の結婚だったなぁ」
これは春田だ。案の定無視される。
そして、その盛り上がりが最高潮に達した時だ。

「では、これより二次会の方へと移らさせていただきます。」
櫛枝が語りかけるかのような口調で告げる。
大きな拍手が起きる。

そして、スポットライトに照らされた入り口に、北村祐作と、狩野・・・いや、北村すみれが現れる。
お色直しをしたすみれの、その、あまりの美しさに誰もが言葉を失う。

「北村夫妻の登場です!」


実乃梨が、芸能人リポートのようにマイクを突き出し、問う。
「新婦のすみれさん、今のお気持ちをどうかおひとつ!」

その場にいる者の、その全ての視線が彼女に集まる。
そして、息を吸い、一言――

「幸せ・・・。この一言に尽きます」

fin
176前スレ958:2009/01/18(日) 22:02:34 ID:42Vb9R/Y
終了。
177名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 22:02:54 ID:YlWHUhzy
>>173-175
GJGJ
いい話だなぁ
178名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 22:05:07 ID:4h+icnOD
GJ
面白かった
続編期待してます
179名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 22:07:55 ID:Dp0tw1eZ
独神が独身じゃ無くなってる……
180名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 22:10:49 ID:s8TLKhOZ
>>175
GJ 最初見た時北村は狩野から卒業できませんでした的なシリアスENDかと思ったがハッピーENDでよかった
北村SSは数が少ないうえにシリアスが多いからこういうENDは新鮮な感じがして良いね
181名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:32:59 ID:+Wdd99S0
北村も独神も結婚できてヨカタ(つД`)
182名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:47:24 ID:xDq+zMHU
ごめん、ROM専だったが空気読まずに勇気をもって投稿してみる。ちわドラで。
183名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:50:08 ID:xDq+zMHU
「なぁ、亜美ちゃんってさぁ・・・」

「ねぇ、川嶋さんって・・・」


その噂はある日突然、なんの前触れもなく、この2−Cを駆け巡った。




川嶋亜美は本当に、おふざけでもなんでもなく、高須竜児が好きなのではないか。



と。
____________________


「ねえねえ、亜美ちゃん」

お昼時、木原麻耶は空気も読まずどストレートに話を切り出した。
菓子パンを齧っていた私は麻耶の呼びかけに顔を起こす。

「亜美ちゃんは高須くんのこと好きなの?」

・・・まぁ朝からちょこちょこと聞こえていた話。解答はすでに用意してあるし、なにより噂話にいちいち心を揺らしていたらモデルなどという仕事はつとまらないのだ。

「やぁだぁ〜、何言ってんの〜?この私があんなヤンキー面のおばさん男に惚れるわけないじゃん!」

とりあえず、否定。

「え〜?でもぉ、なんか亜美ちゃん高須くんといると楽しそうというか自然というか・・・」

なんというか・・・意外と信憑性の高い噂らしい。面倒臭い。

「そぉ?まぁ確かに高須くん顔に似合わずいい人だし嫌いじゃないのよ。でも恋愛感情とは別。ありえないわ!」

「またまたぁ〜、それは亜美ちゃんが自分の気持ちに気づいてないだけだって!」

む・・・知った口を・・・

・・・そんなもの、気づいてるに決まってる。
自分の気持ちがわからないと悩むほど、川嶋亜美は馬鹿ではないのだ。

しかし面倒臭い。その辺のモブキャラ達には勝手に騒がせとけばいいけど、そうはいかない人達も、いる。
飛び入りの「異分子」が調和を乱すわけにはいかない。

(なんて説得するか考えとかなきゃ・・・)

「そんなことないっつの!あ、ちょっとごめんね。電話してこなきゃ。どのぐらいかかるかわからないし先食べちゃってて!」

適当な言い訳をして席を立つ。向かうのはもちろんあの場所。


184名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:52:47 ID:xDq+zMHU
____________

「はぁ〜〜・・・・・・・・・」

長いため息をついて、いつものスキマに腰を下ろす。

「・・・・・・ばっかみたい。」

どいつもこいつも誰が誰を好きだとか、私が何?楽しそう?自然?なんか文句あるわけ?小学生かっつの・・・・・・

「はぁ〜〜・・・・・・」

高須竜児。

私がこの男が好き、というのは本当にただの噂かというと、まぁその・・・・・・そんなことはない。

それどころか、ハッキリ言える。


私は、高須くんが好き。


でも分かっている。彼には好きな人がいること。そして自分なんかよりもっと、彼を必要としてる人がいること。
これは自分がこの学校にやってくる前にすでにできあがっていたカタチ。
彼には外見が綺麗なだけの自分に用意するスキマなんてなく、私自身にも入る資格など、ない。

「・・・ってなんでこの私が一人で鬱な気分に浸らないといけないのよ・・・意味分かんないっつーの・・・」

とりあえず立ち上がり、アイスコーヒーを一本買う。そして封も開けないまま、また「席」に着く。

「はぁ〜〜・・・・・・」

もう何度目かのため息。

(・・・高須君はこの噂、どう思ってるのかな・・・)

185名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:54:14 ID:xDq+zMHU
迷惑か、はたまたなんとも思っていないか、それとも・・・・・・



「よう、川嶋。またここにいたのか。」

「!?」



完全に不意打ちだった。「美少女亜美ちゃん」の皮もかなぐり捨てて、みっともなく、それはそれはみっともなく飛び上がった。

「そ、そんな驚くなよ・・・・・・」

突然現れた男、高須竜児は悪魔さえ裸足で逃げ出すような凶悪な顔に苦笑いを浮かべていた。

「い、いや、ほんと完全に不意打ちだったから・・・」

なぜこうもタイミングの悪いときに(ある意味絶妙だが)来るのだろう。間の悪い男だ。

「ま、いいけど・・・。それより、これ落としたぞ。ホレ。」

さっき買ったアイスコーヒーを手渡される。どうやら先ほどの醜態を晒した時に落としたらしい。

「ん、ありがと・・・・・・」

受け取るときには別段漏れもへこみもなく・・・とか考えられるほど落ち着く事ができた。

「それより」

「なぁに?」

「またなんか考え事か?お前ここにいるときいっつも変な顔してるし・・・」

相変わらず怖い顔だが、本当に自分を心配して言ってるんだとわかる、優しい声色。

「そういうわけじゃないわよ。高須くんが考え事してるときにしかこないの。」

少し熱くなる顔をアイスコーヒーで冷ましつつ言い返す。

「ふ〜ん。で、なんだ?考え事って。」

「高須くんには関係ないでしょ。・・・・・・って言いたいところだけど、だいたい予想はついてるんじゃない?」

「う・・・やっぱあれか・・・?」

「そ。アレ。麻耶たちがうるさいから逃げてきたの。」

「あ〜〜・・・・・・」

「ていうかなによ、わかってるなら最初からそう聞けっつーの。なによ、考えごとか?なんて気取って出てきちゃって。好感度アップ狙い?キモ〜い。」

なんとなく強気で出てみる。いつも通り、意味なんてない。ただそれでも、こんなことを言っても相手してくれる彼が、好き・・・で。
やっぱり、私は歪んでる。なんだかこういう自分のサドっ気が、薄気味悪く感じるときがある。どっちがキモいんだか・・・・・・

186名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:56:41 ID:xDq+zMHU

「ばっ・・・!別にそういうわけじゃねぇよ!お、お前の好感度など上げたって俺にはなにもないっ!」

いい反応だこと・・・

「あらそう?100ぐらいまであげるとぉ〜・・・・・・キス、とかできちゃうかもよ・・・?」

わざとらしく身体を寄せて耳元に囁く。彼の赤くそまる顔が、可愛い。

「う、うるせえ!だいたい俺には櫛枝という心に決めた女性がいてだな・・・・・・!というか!こういうことをするから誤解されるんだろうが!」

彼の赤い顔に、ホントにキスしてやろうかな・・・とかちょっとハイになってた気持ちは、彼の発言で一気に冷却された。

全部、分かってたはずなのに。自分勝手なものだ。

「・・・・・・やっぱりさ、高須くんは迷惑?私と噂されるの。」

「・・・・・・そういうお前こそ」

「聞いてるのはわ・た・し。で、どうなの?大事なことよ?」

187名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:58:00 ID:xDq+zMHU
困ってる困ってる。でも、彼を困らせてるはずなのに、ぜんぜん楽しくなんかない。
迷惑だって言われたら?だからもう寄るな、とか話しかけんな、とか。
彼がそれを口に出す事は十中八九無い。心の問題。そう思われていたら・・・

「う・・・分かった。答える。ただ言っとくぞ。俺は今からものすごいアホなことをいうぞ。お前を俺は底の浅い人間だと落胆させるようなことだ。・・・準備はいいか。」

「な、なによそれ・・・いいわよ、準備完了。」

意味の分からない発言に、半ば投げやりな返事を返す。

188名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:59:44 ID:xDq+zMHU
「いくぞ・・・・・・正直、俺は悪い気はしてない。なんつーか川嶋は見た目はまぁいいわけで、
嫌われてるって噂とかならキツいにしろ別にそういうのは・・・な。
俺だって普通の男子高校生なわけで、モテるという感覚に憧れないわけではないんだ。」

なんかものすごい勢いで俗っぽさ満載の言葉を吐くヤンキー面の少年。呆然とせざるをえない。

「それによる弊害もそりゃなくはないんだろうけど・・・櫛枝の誤解とか大河の機嫌だとか・・・
ま、そんなのは自分でどうにかすりゃいいわけだし。
だからお前は俺のことはきにしなくていいから、あんなヤンキー顔ありえないとか言いながら歩き回ってりゃいいんだ。
俺もこじれさせんよう努力する。これが俺の気持ち。お前は?・・・・・・って聞くまでもないか・・・・・・」

「・・・・・・なんかじゃない。」

189名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:00:33 ID:xDq+zMHU

「え・・・?なんだ?よく聞こえん。」

「迷惑なんかじゃ・・・無いよ。」

言ってからしまった、と思った。なんだそれは。気があるとアピールしているようなものではないか。

「・・・・・・・・・」

なんかこいつは固まってるし。

「・・・・・・な〜んてね。冗談。ま、そんなに迷惑じゃないわよ。この程度の噂でぐちぐち言ってたらモデルなんてつとまんないわよ。もしかしてちょっと本気にした?」

馬鹿にしたように頬をつつく。

「く・・・・・・男の純情を弄びやがって・・・」

怒るような、また悔しがるような表情。普通の人には殺気立った表情にしかみえないんだろうけど。
この愛嬌を理解できる自分に少し、優越感を感じる。

「でも、ね・・・」

「ん、なんだよ。」

「いい回答だったとおもうよ。98点!」

批評と同時にその場を立つ。別れ際には得意の満面亜美ちゃんスマイルをくれてやった。


頬の赤らみまで作れるようになった覚えは無かったと思ったが、きっと気のせい。


緩む口元も、高鳴る胸も、全部・・・気のせいなんだ。



続くかはわからない・・・・・・

190名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:02:09 ID:u4M1YEdb
なんかなげえな・・・
初投稿で勝手がわからんかった・・・文句頼む
191名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:05:07 ID:2GQsB9HI
初投稿だから〜とか言って予防線アピールしてるのがウザい
192名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:06:44 ID:AHVES8pl
おつ
193名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:07:03 ID:bJJoxZu0
>>191
ID変わった途端戻ってきたのか
まとめサイトだけ見るんじゃなかったの?
194名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:07:31 ID:oaQ8/fKa
>>191
そういうことを言ってやるなよ。
195名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:08:47 ID:NZcUe9+y
GJ、竜虎派なのに思わずニヤっとしてしまった
次からはsageることに気を付けれー
196名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:09:39 ID:AHVES8pl
>>193-194
文句がほしいらしいから別にいいんじゃね
初心者いうのはどこでも嫌われる行為だし
197名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:10:04 ID:u4M1YEdb
sageは書き込み押した瞬間にきづいた。スマンカッタ。
198名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:10:58 ID:JnOnZCpF
>>190
素晴らしい!、是非続けてくれ。
文句が欲しいならなぜもっと早く脱ROM専しなかったと言っておく
199名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:16:03 ID:YztllQk1
>>189
GJだ

だから続け

あみドラのいちゃいちゃらぶらぶなベッドシーンまで続け
200名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:29:44 ID:ltgVez1N
・文章としては、亜美さん、竜児クンのクセが出てて良いのではないかな?

おそらく、テレビ漫画動画で知ったのだと思うけど
原作の麻耶さんと亜美さんや竜児クンとの距離がわかるともっと書きやすくなると思う。
文句書いておくぜ。

>>6 とか >>9 とか読んだ?初心者を言い訳にしては好くないんだよ?
・改行を工夫すれば、もっと読みやすいと思う。

次回作を待ってるよ。
よい作品を投下するには、書くしかないし。
恥ずかしいなら
「練習用殴り書きスレッド4」
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1218717327/l50
使うのも悪くないと思う。
201名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:33:58 ID:ltgVez1N
>>199
学友達の目を盗んでの密会?
例えば、土日使って亜美ちゃんの別荘にしけこむ?
それとも
実乃利や大河の前で堂々と?

はたまた
何だっけ?どっかのスレかなにかで有ったけど、屋外で?
202名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:41:51 ID:u4M1YEdb
>>200
原作全部読んだ。

泣かざるを得ない。いろいろなものに
203名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:44:04 ID:u4M1YEdb
____________


時間は少し前にさかのぼる。

俺も川嶋が教室を出るのを見てはいた。向かうであろうところも検討はついてる。
ただまぁ例の噂の流れている最中、はいはい俺も、とはいかない。
そもそもあいつが席を立つたび連れ立って出て行っていた覚えなど無い。

そう、ここで俺が出て行くという選択肢を選ぶ場合があるとすると・・・

「竜児、ちょっとジュース買ってきなさい。あ、今すぐ飲みたいわけじゃないから急が
なくてもいいわよ。」

第三者によりソレ以外の選択肢が消された場合である。

そして俺はクラスの連中の生暖かい視線を一手に浴び、例の場所に向かう事になったの
だった。


まぁ遅かれ早かれ、あいつとは話をしとこうとは思っていたが、他人に乗せられてとい
うのが面白くない。

で、そんなことを考えているとあっという間に到着。そして案の定、彼女の場所である
自販機と自販機の間からはスラっとした白い足が覗いていた。

「よう、川嶋______



____________

今日の川嶋はおかしかった。いや、川嶋を見る俺の目に問題があったのか。とにかく普
通じゃない。
おかしいのは言動か。いや、あの人をおちょくるような発言はいつも通りじゃないか。
じゃあなんだ、雰囲気か。・・・言われてみるとなんだかいつもより色っぽかった気もしな
くも・・・・・・

204名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:44:42 ID:u4M1YEdb


張り手一発。邪念を振り払う。
噂流されて意識とか小学生か。俺は。

そう俺には櫛枝という心に決めた女性が・・・・・・


今日は夜眠りに就くまで、あのスキマに体育座りをする川嶋が瞼に焼き付いて離れなか
った。

どこか、悲しそうな表情で。


205名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:46:12 ID:u4M1YEdb
つずく
多分展開的にみのりんとか麻耶嬢とかなな様とかスルーしてもらうことになりそう
206名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:54:13 ID:nC1NYeTI
えーと
つづく から 続く(つづく) のです。
つずく と 続きません(つづきません)。 躓く(つまづく)と思います。

 
207名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:56:17 ID:AHVES8pl
>>203-205
GJ!
208名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:01:34 ID:u4M1YEdb
そこつっこまれるとはおもわんかったわwサーセンww
209名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:03:58 ID:X7gPUAwi
竜児「あれ、ゆり先生って案外かわいくないか?」大河「は?」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1232279683/
210名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:06:56 ID:2GQsB9HI
なんでこのスレって2、3レスで投下を区切る書き手ばっかなの?馬鹿なの?死ぬの?
211名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:09:40 ID:X0q5PVtr
>>203-205
GJ!続きが楽しみだぜ。

>>210
待つって楽しみもあるだろ?
212名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:12:33 ID:GKoGocPC
乙なんだが今回のは流石に少なすぎる気がするな。
レス数もそうだし文字数というか中身も。
213名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:13:10 ID:FrrAs1lR
>>211
どうせ前の粘着くんだからスルーしとこう
214名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:17:47 ID:u4M1YEdb

翌日。

川嶋亜美は慢心創痍だった。
昨夜はあまり眠れなかった。そう、あいつのせいで。それと、自己嫌悪。

「あぁ〜〜〜・・・・・・・・・・」

目の下の大きなクマを隠すように机に突っ伏す。

「亜美ちゃん大丈夫?」

そう声を掛けてきたのは奈々子。私とは違ってメイクばっちし、肌つやもよし。
・・・うらやましい事だ。

「正直大丈夫じゃない・・・ホームルーム終わったら保健室行って寝てくるわ。」

「そっか、お大事にね。」

奈々子の返事を確認して、再度机に突っ伏す。

215名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:18:37 ID:u4M1YEdb
「高須くーん」

ヤツを呼ぶ奈々子の声に顔を起こす。ちょうど登校してきたところの高須くんになにか
嬉しそうに話をしている。・・・まぁ大体予想は付く。

「亜美ちゃん具合悪いみたいだからあとで保健室連れてってあげてね。」

ってところだろう。
あぁ、面倒臭い・・・・・・

で、ゆりちゃんによるHRも無事終了。

そして律儀にもコイツはこっちに来るわけで。あぁ、面倒臭い。

「なぁ川嶋、俺はどうすりゃいいんだ・・・?」

おずおずと話かけるこのヤンキー男に、なぜかどうしようもない殺意を覚える。

「どうすりゃいい、ですって?馬鹿?あんた何しに来たわけ?」

「何って、まぁお前を保健室に連れて行けと言われてだな・・・ていうか意味が分からん。
怒るな。たのむから。」

「・・・・・・ん。」

「え?は?」

「ん!」

左手を差し出す。面倒臭い。早くつれていけ、馬鹿野朗。なんで顔あかいんだお前。早
くいけよ。

「いいんだな、いくぞ。」

無言で頷く。

ん。

・・・・・・あれ、左手になにか柔らかい感触。

気づいたときはもう遅かった。クラスの連中の大絶叫の中、私達は教室を後にした。

216名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:27:57 ID:2GQsB9HI
なぁ…これって書きながら投稿と何が違うんだ?
217名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:38:45 ID:FrrAs1lR
違わないわな…
流石にこれはないと思う…
218名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:43:18 ID:4PeHOeuy
>>215よ。内容は俺的に最高なんだが、書き溜めたほうが見やすいよ。
219名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:47:19 ID:8NUuj5aT
投下、いきたいと思います。
220本音サミットR:2009/01/19(月) 01:47:46 ID:8NUuj5aT
ー香椎さん、何だか怒って…いや、何でもありません。
えっと、ペンネーム・いつも隙間にさん。のお便りは…えー…これも難しい問題ですね。
これは、誰が悪いという事でも無いと思うんです。
ですから、つまりですね…何と言うかー
ーペンネーム・いつも隙間にさん。は、自分の事が許せないでいるんだって思う。
1人で苦しんでる。でも、そんなの辛いだけだよ。
きっと彼も、友達も、そんなの望んでない…ー
ーそうですね。ペンネーム・いつも隙間にさん。は、1人じゃないハズです。
ペンネーム・いつも隙間にさん。は、優しい娘です。強い娘です。
けど、1人で全部抱え込まないで。いつも隣に居る友達に分けてくれたら良い。
3人だったら、どんなに重くたって、潰れたりしない。立ち上がれる。
友達を信じて…友達にも、貴女を支えさせてあげて…
あたしだったら、そう思うわよ。ー
ー………そ、そういう事ですので、ペンネーム・いつも隙間にさん。も、
そんなに臆病にならないで、素直にぶつかっていけば道は開かれるんじゃないでしょうか?ー
ーそれじゃ、次のお便り紹介するね。
次のお便りは、ペンネーム・饅頭コワイさん。からのお便りー
『好きだった女の子から告白されたら、嬉しいでしょうか?迷惑でしょうか?
一度、自分をフった女の子が告白してきたら…どう思うでしょうか?
あたし、ある男の子を一度、フって、二度、傷つけました。
理由は言い訳にならない。全て、あたしの身勝手です。
でも、あたし、彼が好きなんです。
夢のために諦めた恋だけど、今は彼と夢を見たい。
一緒に夢を見て、あたしの夢も彼の夢も叶えて、2人で笑えたら…
叶えた夢だって、一緒に喜んでくれる彼がいればこそだって、思うんです。
傲慢でズルイ考えだって解っています。
あたしは、もう既に彼の一番ではないだろうって事も…
それでも、もう一度、彼の隣に…
今日、彼に告白するつもりでいます。
ほんの少しずつで良い。みんな、オラに力を分けてくれッ!!』
……以上です。大明神さんー
ー熱いお便りですねー。校内放送で全校生徒に告白宣言とはなかなか…
では、告白が成功する様、この失恋大明神がパワーを送りましょう。
それッ!!だ・い・みょ・う・波ッー
ー…前から思ってたけど…何なの?それ…
まぁ、別に良いんだけどさ。
ところで、大明神さんは、好きだった女の子が告白してきたら、どう?ー
221本音サミットR:2009/01/19(月) 01:48:36 ID:8NUuj5aT
ーぶっちゃけてしまうと…それは時期によりますね。
勿論、嬉しいに決まっていますが…
好きだった女の子よりも、もっと魅力的な女性と出会っていれば…良い友達で…という事もありますー
ー………ー
ー大明神さん?無神経もいい加減にしないと…
本当に頭叩き割りますよ?いっぺん、ブチますよ?ー
ー………ー
ーコホンッ。そろそろお時間ですね。
では、本日の失恋レストランは、この辺りで閉店させて頂きます。せっ〜の…ー
ーーばいに〜ーー
ー………ー



「何だったんだ?今日の失恋レストラン…
大明神、アシスタントに完全に呑まれてたぞ…」
「でも良いじゃん?アシスタントの娘達良い感じだったじゃん?
元気な感じの娘と上品な感じの娘。
あ〜あ〜俺、声だけで惚れちゃったかも…」
「でも、お便り三通の彼って…どう考えても…たか…」
「シッ!!お前、死にたいのか!?
皆、解ってんの!解ってて、スルーなの!察しろよ。」
「おい…ここもヤバイんじゃないのか?
隣のクラスだが…もしも…って事もある…
巻き添えを喰う前に俺は避難するぜ!」
「俺も」「俺も」「私も」「皆、待ってぇ〜」



「高須君…あたし、今日、バイト無いんだ…部活も休む…
放課後、屋上で待ってっから…
卵焼き…美味かったぜッ!!
ヘヘ…それじゃ、またな!!」
「そっか…なら、あたしも逃げない。
高須君、あたしも放課後待ってるよ…2人の場所で…
これで全部終わり…今まで、ありがとう…それじゃ、また」
「………なあ、大河?
いくら鈍い俺だって全部、解っちまった…
俺、最低だ…最低だ…どうすれば良い?」
「この上、私に聞いてくるなんて…上塗りってやつね………
なんて、以前の私なら言うんだろうな…
竜児は最低なんかじゃない。私が保証してあげる。
…私、今日は早退するわ。竜児、私は竜児が誰を選んだって遺恨なんて残さない。
みのりんも、ばかちーも、それは同じ。
親友とその彼の幸せを誰よりも願うもの。
それじゃ、家で待ってるわ」



選択肢は一つじゃない。選択肢の数だけ物語は在る。
ただ一つ、変わらないのは、どれを選んでも幸せなのだ。
君だったら、どれを選ぶ?俺の心は…決まってる。

ー本音サミットR・終ー
222名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:49:12 ID:8NUuj5aT
終了です。長らくお付き合い頂きありがとうございました。
私の小出しで迷惑をお掛けした様で申し訳ありませんでした。

次は、お待ちかね?の分岐エンド編。分岐の数は3つとは限りませんが、どうぞ宜しく。
パソコンで書く事が出来れば、それなりの分量で一度に投下できると思いますが、
携帯だった場合は最大6000字で勘弁して下さい。
一度のコピペ限界量が6000字なもので。
223名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:07:08 ID:X0q5PVtr
>>222
GJ!
分岐エンド編が楽しみだぜ!
224名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:07:18 ID:dKw0taNt
GJ! ペンネームが秀逸だぜ
とらドラ好きなのが伝わってくるよ
225名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:08:32 ID:u4M1YEdb
>>216-218
ほんと悪い。今回投下分で今日最後。続きはまとめてから出します。
226名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:09:08 ID:u4M1YEdb
____________

「いっ!意味が分からない!た、高須君なにしてんの!?」

教室を出てすぐの廊下、完全に正気に戻った私は自分のしでかした行為に気づき、動揺
していた。

「し、知らん!お前がこうしろって言っ・・・言ってはないか・・・」

「はぁ〜!?じゃあなんでこんなことしてるわけ!?」

「手差し出されたらこれ以外どうしろっつうんだよ!」

「え・・・・・・な、舐める・・・?」

「もっと酷いことになるだろうが!」

そんなこんな騒ぎつつもなんとなく、手は離せずにいた。

「い、いやなら離せよ・・・」

227名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:09:09 ID:FrrAs1lR
>>222
GJ!
分岐の方も期待してます
228名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:09:59 ID:u4M1YEdb
「あん!?」

「いや・・・」

結局、保健室に到着するまで手はつなぎっぱなしだった。

「あ〜あ、どうすんだよ、結構な数の人に見られたぞ?」

「わかってるわよ・・・・・・」

そう、わかってる。これはまずい。なにをしているんだ私は。
どうすれば、どうすればどうすれば・・・・・・

眠気で霞がかる思考で一つ思いついた。

「あんた、早く他の誰かとくっつきなさい。」

一番簡単で、一番平和で、一番残酷な方法。これしか、ない。

「そりゃそうなるに越した事はねえが・・・」

「なによ、やってもらわなきゃ困るの。七十五日なんて長すぎんのよ。・・・大丈夫よ、あんたなら。」

「川嶋・・・・・・」

「別に高須君がどうだから、とかいう意味じゃないわよ。高須君は人のためならけっこ
うなんでもできるじゃない。だから今回は私のため。いいでしょ?今回を機にみのりちゃんに本気でアタックしてさ、それで・・・・・・」

目元が、熱い。無理なんかしてないのに。100点の答えだというのに。

「川嶋?」

「っふぁ〜ぁ。なんかもう亜美ちゃん眠くなっちゃった。ほら、授業始まっちゃうぞ。出た出た!」

顔を見られまいと、彼の背中を必死に押す。

「お、おい!川嶋!」

「じゃあね♪」

シャッ、とカーテンを閉める。

涙はまだ、止まらない。



229名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:32:14 ID:+xhYrHG/
>>222
今回もGJです
分岐にしますか 原作やゲーム等でもして欲しかったのと
みのりん派ですが竜児×太陽虎ちわわの話はそれぞれで口元緩むので超期待す
230名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 03:17:35 ID:o049TtcG
>>228
続き期待してるぜ
231名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 03:25:27 ID:jxE2gOMn
>>228
なんか切ねぇな
噂話からってのが複雑だ
もちろんGJです!続きも期待してます
あと他の方のようにある程度まとめて投下することをオススメします。

せっかくの良作なんだし投下でミスするのはつまらないと思いますんで
232名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 06:44:50 ID:kGeVOkZI
細かく分けようがまとめて投下しようがどうでもいいが
保管庫管理人さんの負担増えるようなことは控えようと分別のできる大人なら考えるのが普通
233名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 06:47:48 ID:9RgfQnEk
>>232
保管庫は関係ない。人はそれを詭弁と言う。
234名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 06:57:55 ID:2kILdxAz
>>183-190, 202-205, 214-215, 225-228
GJ!あーみんはサイコーだ!
俺も今日明日にはデカいの落とすつもり


>>219-222
GJ!
携帯から投稿ってマジか?推敲どうすんのって感じ
235名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 09:04:38 ID:w642xjbg
>>234
メモ帳ならできるじゃん
236名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 09:25:04 ID:LCztJvFG
案の定、書きながら投稿が横行か、
亜美の一人称なのか、竜児の一人称なのか、三人称なのかはっきりしない箇所がごろごろ…。
推敲不足は明白だな。


237名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 10:07:04 ID:CT4bU0ry
朝からご苦労様です
はやくまとめ読んできてね
238名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 10:38:48 ID:X+e5wEQ+
>>222
GJ!! 続き楽しみにしてるよ。
一つだけアドバイスしとくと、
「ー」と「−」は使い分けた方が良いよ。
なんか、読みにくい。
239名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:01:11 ID:49UAQMzB
>>222
GJ。Rは北村と麻耶と奈々子のサミットだったんだな。アシスタントに放送乗っ取られてる北村www
奈々子もホント良い味出てるし。

分岐エンドは病まないよね?「どれを選んでも幸せなのだ」ってあるし、ホント期待してるぜ。
まさかの>>88パターンは、怖いからヤメレwww

240名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:14:19 ID:i3b4uPQB
作文できた。推敲もした。これより投下する。
これより連投します。前スレ>>651-656「失われた彼女の王国」の続きです。
注:性交描写あり
241名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:14:54 ID:i3b4uPQB

―これまでのあらすじー
なんでまたこのイカレたモデル体型娘は人ン家に上がり込んだと思えばいきなりストリップショーおっ始めやがったんだ? 嬉しいけど。
てな高須君。
一方、その級友たちはカラオケルームで延々恋のから騒ぎ。


「皆の諸君、いよいよだ。川嶋は状況を開始した」通話を切った木原麻耶がおごそかに述べる。
「あの高須城が、…落ちたというのかッ!」さも無念そうに呻く北村。
「ははッ! 殿、心中お察し申し上げまするぅ〜」と、かしこまってヅラ頭を深々と下げるみのりん。
「亜美ちゃん… 散らしたのねッ…」シスターのように両手を胸の前で組み、眼を瞑って天を仰ぎながら感極まったかように香椎が呟いた。
「うぉ〜ん、たかっちゃぁ〜〜ん」と号泣する春田。
「だから、お前はなんで泣いてんだよ」と能登が突っ込み。
『遊ばれてるのに判らないなんて♪』大河はひたすら歌い続ける。


つるつるのお腹を触る。う… ウェスト○○cm。
「あたし思うんだけどさ〜、高須クンって〜 目をちょっとだけイジッたら大化けするっていうか〜 結構イケると思うんだよね」
桃のようなお尻をなでる。ひ… ヒップ××cm。
「わりと人気でると思うよ? 暗くさびしげな目をした個性的なイケメン俳優として、たぶん50台までは充分通用すると思う」
かっこいいのに触るとふわふわのバスト。
「芸能界じゃ整形なんて当たり前だしさ。そんなにマジになって大げさに考えなくてもいいって… って高須クン聞いてる〜?」
そういいながら、亜美は竜児の耳たぶを優しくつねる。
トップ△△cm、アンダー◇◇cm。うう、心頭滅却。
この体があのラフ絵の舞台衣装をまとったさまを想像するだに、身が震えるほどの興奮を禁じえない竜児であった。
いかん、また勃ってきた。竜児は気をまぎらすため自分の母親の顔を連想するが、この界隈で一番の美人と評判の泰子の顔
(化粧時限定)はマザコン気味の竜児にはむしろ逆効果だったようで、一向に勃起は収まらなかった。
「俺は芸能人じゃねェ… なぁ川嶋、お前ブラのサイズは幾らだ?」
「ん〜とDカップ? かな?」
「トップとアンダーの差が20cmあるぞ… お前Eカップじゃん」
「あらそう? フハハッ」
どんだけスタイルいいんだよこいつ。そう思いながらも竜児は、その話題が出たついでにクラスで密かに囁かれている
川嶋亜美・美容整形疑惑について、その疑念をふと問いただしてみる。
「…そういうお前は整形してんのかよ?」
竜児の首筋に添えられた指先がピクッとかすかに震えた。
「だったら高須クンはどうする?」
そう言いながら、無表情にじっと見つめてくる。
「こんな、つくりものの顔でも、高須クンはあたしと付き合ってくれる?」
「別に気にしねェけど、お前やっぱ…」
「…ブハッ! ひっど〜い、亜美ちゃんのツラ、これ自前なんだけど〜?」
「…え」
「この顔もー、この胸もー、ぜ〜んぶ天然ものですよ〜 メスもシリコンも食塩水も入ってませんよ〜」
わかったから揺らさないでくれ。

伊豆の別荘へ行こうと新宿駅に集合したあの夏の日、ただでさえ、おまん目立ちまくりじゃ〜のスタイル抜群の肢体に
短めの赤いキャミにショートパンツという実に挑発的な出で立ちで現れた彼女。
自分は周りの注目を浴びまくっているのに、連れの俺らには変わらぬ素の顔のままで接してくれた。
こいつは、サバけた性格のマジでいい女。そんなこいつが好きだ。友達として好きだ。
でもその魅惑的な容姿は友達にしておくにはあまりに悩ましく、あまりに刺激的、そして危険。
242名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:15:40 ID:i3b4uPQB

「お前って、ほんとイイ女友達だわ」
常に他人にみられることを意識した、背筋をピンと伸ばしたプロフェッショナルの姿勢を感心して眺めながら竜児は言った。
そういや、こいつがきてからクラスの女子たちの猫背が直ったんだよなぁ。ただきれいなだけってわけじゃない、隠れた努力家なんだ。
「なにそれ? イイ女ってこと、イイ友達ってこと、どっち?」
「ぜんぶ含めて気に入ったってことさ」
「え〜 それって告白?」
亜美の大きな瞳は、竜児の視線を離そうとしない。

(この友情関係を壊したくない、こいつに嫌われたくない、でもこいつとヤりてぇ。…どうする? 好きだって言ッちまうか?)
竜児の表情から、欲情と逡巡を読み取る亜美。
(友達じゃイヤなの、こうしてあたしが全てを差し出してるのに遠慮しないで。もっと踏み込んできて、プッシュして)
自分を女として扱って欲しいという、亜美のせつない願いが指先から伝わってくるのが竜児にも痛いほどわかった。
触れる肌ごしに、お互いの緊張とせめぎ合いが伝わる。

竜児の迷いを理解した彼女は一歩踏み込む。
「高須クンは、女の子にも性欲があるって知ってる?」
「えっ」
「男の子たちって、自分たちが煩悩だらけなのは当たり前だって思ってるくせに、女の子もそうだって認めようとしない…
…女の子の内面だって、全然きれいじゃないのに。あたしだって毎晩、自分の指であそこイジッて、ひとりエッチしてるんだよ。
目つきの悪い、きれい好きで、辛いカレーを作るのが上手な同級生の男の子にしてもらってるって想像しながら」
…あたし言っちゃった。

「俺だって、お前を何度ヲカズにしたかわかんねェよ」
…言っちまったよ俺。
なんとかと憐憫と侮蔑と嘲笑のこもった表情を予想して、亜美の顔を見上げた。

両手で竜児の頭を優しくなでながら、亜美はほっとした表情を浮かべていた。
「だったら遠慮しないで、もっともっと触りまくっちゃって!」

「こんくらいならやってもイイのか?」
「やぁん、もー、高須クン、くすぐったいー」
メジャーは床に落ちて踏んづけられていた。
竜児の指先が、クモのような動きで亜美のなめらかな腰や尻をするすると這い回り、そのこそばゆい感触に彼女は嬌声をあげて
くねくねと体を揺らした。
「どんどん触れって言ったのお前だし」
「ひゃははっ、こそばいってそこ、やだえっちー」
その黄色い声をもっと聞きたくて、竜児は執拗に指先で亜美を責めつづけた。その指先が尻の奥の方へと吸い込まれる。
「!?」
「ドコ触ってもイイんだよな?」
股の割れ目に沿って、ショーツの上から指を前後にはわせた。
(毎晩、俺のコト考えながら、こんなトコをイジッてるだって…)
「…かすクン」
自分の首筋に置かれた指がはっと硬直するのを感じた。布ごしに彼女の湿り気と悦びが伝わってくる。
(俺にヤられてるつもりになって、自分の指で慰めてるだって…)
ささやくような甘い吐息が頭上に降りかかり、竜児の短い髪をゆらす。
(空想の中で、いったい何発ここにぶちかまして中にぶちまけたと思ってんだよ…)
たまらなくなり、彼女の尻を両手で鷲?みにして、なめらかな縦長のへそに鼻の頭を突っ込み、つるんとした下腹部にキスの雨を降らせた。
「ひゃッ、ふあッ」
彼女の細く優しい指がわななき、あてどなく自分の頭をまさぐる。
(そんなの聞かされたら、自分を抑え切れねェ…)
ショーツの縁を唇で捉えて軽く噛み、そのままゆっくりと下にずり下げる。
「高須クン、きて…」しぼり出すような、か細い声。
もう止められない。
243名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:16:14 ID:i3b4uPQB

羞恥で大きく見開かれた彼女の目を見上げ、竜児は心の中で弁解した。
(俺のことをヲカズにしてたんだから、このくらいされても文句言えないよな?)
愛らしく繊細なスリットに口付けをして
(ちょっとしたおふざけだ、友達同士の親愛の情のしるしみたいなもんだ)
その細い隙間を尖らせた唇でこじ開け
(ヤらせてくれるよな? 俺たち互いにオナペット同士だもんな?)
その中に秘められた奥への入り口を舌先で探りながら
(こんなイイ体してヤらせないなんて、お前はそんな友達甲斐のない冷たい奴じゃないだろ?)
あらわになった敏感すぎる突起を音を立てて啜りあげ
(これはおしおきだ、別荘のシャワールームでねぇしたくないの〜って、男子の純情をもてあそんだお返しだ)
美しく整った襞と襞の間を指の腹でなぞりながら
(その翌朝にも、ビキニの前のホックをここ外れるんだよ〜(ボヨョン)え〜じゃあつけて〜攻撃したお返しだ)
別の指を彼女の奥深い湿った部分に進め
(これは洞窟で迷子になったフリしたおしおきだ、油揚げでぶったりせずに最初からこうしてやればよかった)
なんかぬるぬるするけどここでいいんだろうか
(自販機の隙間に座ってジュース飲んでたときだって、ホントは俺にわざと見せつけて興奮してたんだろ?)
彼女の奥の内側を何度も何度も指の腹で強くこすりあげ
(いつも自分でヤッてるみたいに俺の見てる前でイけ、イッちまえよ亜美!)
次第にその往復するスピードを増した。

「んッ、んッ、あん、ん」
せつなく喘ぎながら、彼女はよろめいて竜児に体をあずけ、唇を竜児の肩に押し当てた。目の前で白いうなじが誘うように艶めかしくうねる。
両手を竜児の背中に回してしがみ付き、潮のように高まってきた快感に全身を震わせて耐えながら、熱い吐息を竜児に吹きかける。
片手で彼女の腰を抱きかかえ、もう片方の手でさらに愛撫を続ける。
「たッ、かっす、クンッ、あッ…」
指の動きに反応して若い肌がみるみる汗ばんでゆき、うっすらと紅色に染めあがっていく。誘うような女の匂い。
竜児は自分が与えた刺激の大きさに驚いた。まるで可憐なつぼみが花開いていくようなあざやかな肉体の変化に魅了される。
それが嗜虐的な快感を呼び、竜児は強く興奮した。
目の前のうなじに口付けをしたかったが、あとを残すとマズい。つのる思いを指先に込めて、その動きを早める。
「あたしッ、もうッ… イクッ」
彼女自身が周りからぎゅうっっっと締め上げてくるのを竜児は感じた。それに抗してさらに執拗に攻め立てる。
腰の奥でじわじわと膨張していた快感の塊が沸騰しはじけ散り、奔流となって背中の髄を駆け上がって彼女の脳髄に達し爆発した。
とろけそうな快感の大波が頭蓋の中を押し寄せては引き返し、さざ波となって全身に波紋のように拡がり、
甘い余韻となってその肉体のすみずみまで満たしていった。
長い足をぴんと突っ張らせ、細い肩を激しくわななかせ、竜児の背中に爪を食い込ませて、
幼い子供のように泣きじゃくりながら亜美は果てた。
244名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:16:38 ID:i3b4uPQB

自分にしがみついたままひくひくしている彼女を竜児は優しく抱きかかえ、トイレまで運んで行き、ショーツを脱がせて座らせてやった。
自分が着ていたシャツを脱いで亜美の肩にかけてやると、彼女のためになにか冷たいものを用意しようと自分は台所に行った。
手を洗い、さっきの出来事を思い出しながらハチミツ金柑をソーダで割り、氷を浮かべてストローを刺す。
ふと足元に眼をやると、自分の太ももに亜美自身から流れだした飛沫が白い糸のように細い線を描いていた。

竜児が飲み物を持って自室にいくと、彼女は先に戻っていた。
ブラしか付けてない裸の上に、竜児が一日着ていたシャツを羽織り、椅子に座って長い足をきれいに組んでぼけーッとしている。
いつも手入れされている長い髪はどうしようもなく乱れ、あちこち束になって跳ね、汗ばむ肌に張り付いているのにも構わず、
まださっきの余韻が残っているのか、頬に涙のあとを幾筋も残したまま、その美貌にけだるい表情を浮かべている。
竜児を見ると彼女はにっこりと微笑み、(怒ってないよ)と言わんばかりにウィンクをしながら竜児のシャツの襟にむちゅっとキスをした。
ソーダ割りを勉強机に置き、竜児が言う。
「さっきは、その… あんなことしてご免」
おしゃれな友人のぼさぼさの髪を整えて少しでも正気に近づいてもらおうと、竜児は手をのばして額に付いた髪の毛を払ってやった。
火照った肌に指先が触れると彼女は心地よさそうに眼を瞑った。ときおりピクンッと唇を震わせ、せつなそうに吐息をつく。
まだまだ正気には程遠いようだ。自分のしでかしたことで彼女がみせた変貌ぶりが、竜児は少し怖かった。
俺たちの関係も、もう元通りには戻らない。
床に落ちたメジャーを拾い上げながら、竜児は言う。
「サイズ、ちゃんと測ろう…」
「…だめ」
「川嶋…」
「もっとして」ねだるように見つめる。
甘ったるい匂いが鼻孔を突く。
「…急がねェと文化祭に間に合わねェ。だから、今は先に衣装の方を」
「その前にちゃんと最後までして」竜児の手を取り自分の胸に押し付けて言った。
「もっと亜美ちゃんかわいがって」
245名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:17:01 ID:i3b4uPQB

「あ〜みん、ついに動いたか… これを機に一気に勝負に出るつもりのようね。面白くなってきたじゃん」
と、ヅラ装備オヤジ系女子高生、櫛枝実乃梨は腕を組み、歌い終わった大河の方に流し目を遣った。
「いいのかな〜大河? 高須くんとられちゃうよ」
「はい次!『せつない胸に風が吹いてた』いきまーす!」
「…大河?」
「好きにやらしとけばいいのよ。あのバカ犬、ばかちーにデレまくってんじゃん。ばかちーは腹はドス黒の根性ひん曲がった性格破綻者だけど、
背ェ高いし、なんたってモデルだし、スタイルもボーンボーンだし、えっちするのに最高のパートナーでしょ」
(性格破綻者って自分のコトじゃん…)とみなが声に出さずに苦笑い。
「だって櫛枝、あたしらが亜美ちゃんと張り合ったってぜったい勝ち目ないっしょ〜?」と木原。
「高須君も亜美ちゃんのコトまんざらじゃなさそうだしー」と香椎。
「はっはっはっ、高須が誰と付き合おうと、これからもずっと俺たちみんなの友人であることに変わりはないさ!」
「男ってみーんなバカ。あのどーしようもないほどスポイルされた高慢ちき女はこの世界はわたしだけのためにあるーなんて思ってんのよ。
ばかちーは自分になびかないオトコがこの世にいるんだってことに我慢がならないだけ。なんとかこっちを振り向かせて
己の自尊心が満たされさえすれば、あとは用済み、ポイッと捨てちゃうのよ」
「ふんふん、そしてあ〜みんに捨てられて傷心の彼を大河が慰めて…」ふむふむと頷きながらみのりん。
「優しく包み込んで…」うんうんと相槌打ちながら木原。
「…くわえ込む、と」嬉しそうに香椎。
「あんたそれ… ま、一緒か」と、ふくれ顔の大河。
「女って怖ェ…」能登が呟く。
「でもー、本命じゃないオトコをわざわざ別荘に二人きりで誘ったりしないよー?」と香椎が意義を唱える。
「そーだよ、せっかく亜美ちゃんがみんなの前でなまちち晒してまで高須君を別荘に誘ったのに、まるおったら一緒についていっちゃうんだもん!
あたしとナナは空気読んで行かなかったのに! ひどいよ〜」北村に絡みだす木原。
「俺は高須と一緒に旅行したかっただけだぞ?」
「大先生…」能登が呟く。
「あーオレも亜美ちゃんと二人きりで別荘行きてぇー」と春田。
「無理っしょ」「それは無理ね」木原と香椎が即座にその可能性を否定する。
246名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:17:26 ID:i3b4uPQB

「りゅうじに初めて会ったときにばかちー言ってたもん。『全然いらねーけど』って。かわいそうなりゅうじ、目に見えるようだわ、
ばかちーにゾッコンになってさんざ振り回されてもてあそばれたあげく、男の純情をずたずたに引き裂かれて
ゴミみたいに捨てられるんだわ。あの駄犬が思い詰めてバカしでかさないようにちゃんと見張っとかないと…」
『いやいやいやいや』木原と香椎が手を横に振りながら、
「ねーよ」「それはない」と強く否定。
「なんで〜? あ、曲始まった。『せつな〜い胸に風が吹いてた〜 帰らぬ My old days〜♪』」
「あーオレも亜美ちゃんにもてあそばれてえー」
「春田よ、ソープへ行け!」北村があさっての方向を指差して叫ぶ。
「北方謙三かお前は…」みのりんが呟く。あれ絶対、兄貴のまねだ。
「逢坂、お前はひどい考え違いをしているぞ! 確かにあいつは昔ッから凄い猫ッかぶりで根性曲がりの二重人格だったが、
それは小さい頃から両親や周りの大人の俳優たちの真似をして、人前で演技するのがくせになっているだけだと俺は思ってる…
ああ見えて根は臆病なチワワだから自分から人を傷つけるようなことはしないし、
それに結構寂しがりやだから、高須のことは、本当の自分を受け入れてくれる相手が欲しいだけなんだと思う」
「よくわかってんじゃんまるお〜」嬉しそうに北村を全力でバシバシ叩く木原。
「なにげにひどい辺りは、さすが幼馴染ね」と香椎。
「祐作、惚れたぜ!」とみのりん。
「すまん櫛枝、俺にはもう高須という心に決めた相手がいるんだ」
『ウホッ』ハモるみのりんと香椎。
「高須だからこそ、大事な幼馴染を安心して任せられるんだ! 今頃亜美は理想的なロストバージンを迎えていることだろう!」
(なんなのこいつ…)と互いに顔を見合わせるクラスメイトたち。
『虹のよォ〜にィ、消えたストォ〜オォ〜ウェ〜♪』巻き舌で歌う大河。
「そうだな、今度俺も混ぜてもらって3Pなんてのもイイな、高須が前から、俺が後ろから亜美に挿れて、そうすれば亜美の腹の中で
高須のいきり立った肉棒の感触を肉の壁ごしに感じとることができる! はっはっはっ、最高じゃないか!」
大先生のぶっ飛んだ発言に唖然とするクラスメイトたち。
「変態だ…」「大変な変態だ…」戦慄する春田と能登。
「あああああたしでよければいつでもお尻の穴を使って!」木原麻耶がいきなり逆上して立ち上がって叫ぶ。
「よかったら前も使ってあげてね?」と香椎。
「…駄目だこいつ、はやくなんとかしないと…」みのりんが呟く。
「いや冗談だよ?」さらりと言ってのける北村。
「死ねばいいのに」にべもないみのりん。
「これだから亜美ちゃん、いっつも北村君に冷たいのよねー」と香椎。
「会長もね」とみのりん。
『この胸ェ〜にィ、浮かぶストォ〜オォ〜ウェ〜♪』大河の熱唱は続く。
247名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:18:42 ID:i3b4uPQB

「あたしばっかよくしてもらってもよくないし、高須クンもあたしと一緒に気持ちよくなろ? 我慢しないで、ね?」
性行為をためらう竜児だが、亜美はパンツにいきなり手をかけ、一気にずり下ろす。
「もうこんなに勃起してんじゃ〜〜〜ん!」
「おっ、おい」
「これでおあいこ… ってなにこれ… ちょ、おま、こんなぶッとくてグロいのが今から亜美ちゃんのお腹の中に入るってわけ?
…つかマジで入んのコレ? あたし死んじゃうかも…」
そんなに立派じゃないって。
「高須クンって、顔だけじゃなくってアソコも凶悪ヅラだよね? こんなもんぶら下げて毎日学校来てるなんて、ありえなくない?
あたしら女子を殺す気?」
殺す気ねーし、露出したまま行ってねェし。北村じゃあるまいし。
「…つかコレマジでデカいんですけど… 逢坂さんすっげー」
それは勃起しているからです、ってそこでなぜ急に大河の話題が?
「うぅ、痛いのイヤ… でも亜美ちゃんガンバります! チビ虎なんかに負けてられるかッて〜の! モデル根性見せたるわ〜い!」
そうだ、モデルは根性! …ってなんだそりゃ。
亜美はバッグからコンドームの小箱を取り出すと、封を開けてひとつつまみだす。
「あたしも仕事柄、デキちゃったらマジでヤバいんで、悪いけど高須クンこれ使ってくれない?」
勿論です。俺だってデキたらヤバい。
「…それとも、その机の引き出しの中にもう使いかけのが入ってるとか?」
いえいえ、そのようなゴム製品は見るのも使用するのも生まれて初めてです。
「じゃあ… 逢坂さんとは着けずにヤッてんの?」
ヤッてません、ヤッておりません。
「したコトないの? 逢坂さんとも誰とも? マジで初めて?」
はい、あなた様が初めてです。
「…ふ〜ん、そっかぁ〜 …高須クンってマジ童貞なんだ…」
嬉しそうに言い、ピッと封を切りながら
「初めて同士、気楽にやろっか」
248名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:20:04 ID:i3b4uPQB

ふとんの上に仰向けで寝転がった彼女の長い脚をひらく。そのまま持ち上げていくとひざがあごのあたりまで届きそうだ。しなやかで柔軟な肢体。
「ちょ、その姿勢キツい…」
「あぁごめん」
エロゲのCGでみるまんぐり返しの体位は、現実には無理があるんだな〜と彼女の体で検証し納得する竜児、まさに外道。
むせかえるような女子の体臭。なめらかで吸い付いてくるような若い肌。
彼女の性器にあてがい、挿れようとすると亜美が言った。
「待って、キスして… あたしファーストキスまだだし」
「お」
「…いやだからそこじゃなくて上、顔のほう」
「なんだって? おーい川嶋―」
「そこに話しかけるんじゃない!」
ぐっと顔同士を近づけると、各種広告媒体で見るのとほとんど変わらない美貌がまじかにどアップになる。まじまじと見とれていると、
「…だ〜か〜ら〜 亜美ちゃん整形してねーって言ってんじゃん」
「いやそうじゃなくて、雑誌の表紙とかでみるのとマジで一緒だから、同一人物なんだなと」
「さっきからケンカ売ってる? あたしキレていい? …あたしはそんなに写真修正する必要ないんだって、まだ若いから」
その有名モデルの記念すべき初体験の場が、こんなボロ借家の一室ってのは川嶋さん的にはどうなんでしょうか… と思いつつそのままキス。
「ん… ん」
キスのあと、彼女は言った。
「ほんとは、あの別荘で、高須クンを夜の海岸に誘い出したら、キスのあと押し倒して乗っかってヤッちゃうつもりだったの」
「悪かったな、せっかくの初体験がこんな雰囲気ねー場所になっちまって」…やっぱあの時ヤる気満々だったか。
ちいさなあごから首すじにかけて唇をはわせていく。
「あっ、首とか胸にキスマークは駄目、舞台とか撮影の仕事あるから」
「…俺の背中はもう爪跡だらけなんですけど?」
「高須クンはど〜でもイイの! どうせ人相悪いんだし」
「悪かったな、じゃあいくぜ」
竜児は挿入した。彼女の蜜壺の中で重くて粘っこい水蜜が圧し潰されるような音がした。
「…っんく」
竜児の下で鍛えられた筋肉が引きつり、美しい黒髪は荒々しく振り乱され、細い体が弓のようにのけぞる。
「すまん、痛かったか?」
「こ、こんくらい、ど〜ってことねえっす… もう全部入った?」息も絶え絶えといった様子。
「いやまだ先っちょだけ」
「ぐえ〜」
「…蛙が押しつぶされるような声を出すなよ」
「いひひっ、でもなんか気持ちいい」
「ご免、川嶋… 遠慮せずにいくから覚悟して」
「おっしゃ、カモン」
本能のおもむくまま、彼女の奥深いところに向かって激しく腰を突き動かしはじめる。
「ふッ、くッ、んッ、あンッ」
彼女の瞳から大粒の涙がこぼれ落ち、くいしばった唇からせつないうめき声が漏れるのも構わず、竜児は己の欲望に身をまかせて
腰を利かせて勢いよく彼女自身につるべ打ちにぶち込み続ける。
パチン、パチン、竜児の睾丸が亜美のお尻をスパンキングする音がリズミカルに響く。
形のよいバストがばいーんばいーんと激しく揺れる。
彼女の体から次第に力が抜け、しどけなく開いた口元からついっと涎が流れる。そこに唇を重ね、唾液と舌先を吸い上げる。
「んふぅ…むうん…」
彼女の全身から甘い汗の匂いが立ち上がり、竜児を包み込んだ。そのめくるめく香りが刺激となって、さらに竜児の腰を加速させる。
亜美が腰を浮かせ、竜児の動きに呼応するように押し付けてきた。彼女の肌がねっとりと腰に吸い付いてはぺりッと剥がされる。
「たか、すクン、あたし、もうッ」
「あみ、おれも、イクッ」
彼女の長い脚が竜児の腰をはさむように後ろに組まれ、ぐっと押さえつけてきた。
互いに密着し、どこまでが自分でどこからが彼女なのかもうわからない。
わななく太腿のあいだで、竜児は長々と射精した。
先ほどから我慢に我慢を重ねていたせいか、いつものような射精の快感は乏しく、その代わりに
自分自身が彼女の中に溶け出して沁みこんでいくような優しい感覚に竜児は包まれた。
249名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:20:32 ID:i3b4uPQB

それから3日間、徹夜続きで竜児はなんとか亜美のステージ衣装を完成させた。
授業の休み時間に机に突っ伏して少しでも仮眠をとろうとするたびに、彼女がきゃーきゃーはしゃぎながらつむじ風のように襲来して、
馬乗りやら肩車やらおんぶに抱っこやら卍固めやらアルゼンチンバックブリーカーやらの様々なボディアタックをかけてきては、
竜児の貴重な睡眠時間を台無しにするのだった。
「お、俺はお前のロデオマシンじゃねェ…」
「だってずっと我慢してたんだも〜ん」
「なにをだよ」
「モデルだって彼氏が欲しいんじゃ〜い!」


ミスコンは大盛況だった。
スポットライトの中、彼女が肌もあらわな狂おしいボンデージスタイルで現れると観客は大興奮。
彼女は舞台中をところ狭しと動き回り、観客をあおり、魅了した。大衆をまるで魔法にかけたように意のままに操るさまは、まさにショーマン。
自分の美貌が持つ力、その逆らいがたい魅力が他人に及ぼす影響力を本能的に自覚した者だけができるパフォーマンス。
これはプロの仕事だ、と竜児は思った。俺の料理や掃除なんて足元にも及ばねェ。
川嶋、お前はプロだよ。


文化祭の夜。竜児は生徒たちに混ざって、夜空にパチパチとはぜるキャンプファイヤーの火を見つめていた。
ときおり、火に虫が飛び込んではパチンとはじけ、はかなく燃え尽きる。
あの日、俺と彼女は突然熱に浮かされたように、この炎より激しく化学反応のようにまぶしく燃え上がった。
明日になればこのキャンプファイヤーも片付けられて跡形もなくなる。まるで、夏の日にアスファルトに撒かれた水のように。
あるいは春の日に舞い降る雪のように、雨の中で頬をつたって流れる涙のように。
あの夜のことは運命なんかじゃない、単なるもののはずみ。まったくもって偶然の出来事。
ちょっとした事故みたいなもの。

「高須クン」
彼女はミスコンのステージ衣装のうえに黒いコートを羽織っていた。短時間で無理やりでっちあげた衣装なので、あちこち両面テープで
地肌に貼り付けている。簡単に脱ぐわけにはいかないのだ。多分、一度脱いだらしわくちゃになって二度と着れないに違いない。
まだ興奮冷めやらないのか肌を上気させながら彼女が言う。
「凄く動き易かったわよ」
「あんなに動き回りやがって、プールのときみたいにポロリしちまうんじゃねェかと見ててハラハラしたぜ」
「あたしもドキドキした。素肌の上に直接、高須クンの衣装付けてたから、なんか今でもずっと高須クンに抱かれてるみたい」
竜児は先ほどのステージ上の彼女を思い出す。
若さと美しさ、皆が手に入れたいと望むもの全てを備えもった彼女はまるで生きた宝石、みんなの宝物のような存在。
この世の他者すべてから自己という存在を全肯定された彼女は、持てる者の高揚と自信にあふれて光り輝いていた。
「それ、もう二度と着ないだろ」
「そうかもね… でも捨てずに取っておくわ。初めての思い出に」



                      おわり
250名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 13:05:40 ID:Q50oQ6aZ
昼なのに ああ昼なのに 大人の時間なんですねー
251名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 13:07:32 ID:GKoGocPC
逆に言うとこの時間にここにいるのは子供ではないはずさ
252名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 13:08:00 ID:v2pFKWpJ
万葉を聴き込んでる高校生って……
なんという俺
253名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 13:37:55 ID:rgbZQAl9
>>241-249
女をイカせておいて、トイレに連れていくってどういうことだよぉ
普通に風呂連れていってやれよ
この作品の竜児は、エロシーンの初行為にしても、優しさが足りない設定すぐる
254名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 14:51:24 ID:kGeVOkZI
男は優しさだけじゃいかんのだよ
GJ!
255名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 15:03:12 ID:2GQsB9HI
>>254
いや、そういう優しさは必要だろ…
256名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:06:39 ID:4DB0hdfR
普通に風呂に連れて行って一緒に入ったら、またムラムラしてお風呂プレイしてしまうんですね( ゚∀゚)
257名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:11:57 ID:rgbZQAl9
>>254
なんかさ、初エッチで頭でお仕置きだとか考えてんのはS気質話で理解できなくないが
相変わらずジュース持ってたりの優しさはある割に、いまいち行為に愛情がない設定で
竜児視点で運命なんかじゃないって言ってるのに、亜美は喜んでて
続くで次回この状態をなんとかする予告がないと、なんか鬱小説的な感じ
258名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:22:16 ID:NQ/XAznt
確かにあれっと思うところはあったが、はっきり言って自分はそんな
細かいところはどうでもいいと思った
>>257はどうでもいいことだと思わなかったんだろうけど、自分が
そう思ったから直してくれ、なんてよく言えるね
259名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:23:04 ID:NQ/XAznt
見直したら直してくれなんて言ってなかった。>>257すまん
260名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:28:17 ID:Td+1G0ht
>>257
もうスレにはこない、まとめで済ますって言ってたのに
なんでまだ来てるの
261名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:45:09 ID:CT4bU0ry
リアルじゃ誰も構ってくれないんだろ
触るな触るな
262240-249:2009/01/19(月) 16:52:57 ID:i3b4uPQB
いや>>257はちゃんと読んでまじめに意見を言ってくれるんで、俺は嬉しいよ?
263名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:59:40 ID:E5qul/s5
欝方向と捕らえる話も有りだとは思うけど
確かに2人の間の温度差も感じるし、大河もすっきりしないで終わってるしね
こんな微妙な関係ENDも好きですぜ

ヤル・ヤラナイの攻防での亜美ちゃんエロス!たまらんかったですGJ
264名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 17:17:26 ID:VZlpYzcb
同一人物だっていってる人もどうせ一人、しつこく言ってるとあらしと同じだからまとめてスルー
まともな感想なら放置しろ
265名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 23:52:25 ID:42Njbe5v
この板では嫉妬スレに次ぐカススレだな。
荒らしていいスレみたいなんで明日から荒らしますね。
266名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 00:12:52 ID:U6itrSt7
>>249
GJ!
おっしゃ、カモン
がいい感じだったぜぇ
267名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 00:21:12 ID:pnlkjfHn
>>266
でもそのセリフ亜美ちゃんっぽくないよね
268名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:08:17 ID:Tfzg0v+R
電波受信したのでネタだけでも投下

老朽化対策でリフォームするために一時的に家を追い出されることになった高須家。
大河に話をしたらリフォームが終わるまで家に来ればいいじゃないと言われ、完全な同棲生活に。
風呂の順番や寝場所の話でもめる竜虎。
269名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:19:38 ID:z7j0SLP5
投下いきます。
270本音サミットRー実乃梨ノーマルエンド:2009/01/20(火) 01:23:11 ID:z7j0SLP5
「来たね…高須君…
色々、考えていたんだけど…緊張して全部、忘れちゃった…
だから、ド真ん中。直球勝負!!
あたしは高須君が好きだ。どうしても好きだ。付き合ってくれ!!」
「おう。」
「…おう。って…おKって事?」
「おう。ホームラン狙いのフルスイング。
ちょっと、格好つけてみたんだけどな…
やっぱ、伝わり難かったか。」
「……た…た・きゃ・す・きゆ〜〜〜ん!!」
「ッー。櫛枝…」
「高須君…高須君…高須君…竜児君…竜児君…

「櫛枝…」
「………やっぱり、竜児君は…あったかいや……」
「………」



「かくて、みのりんは、最愛の彼の腕の中で、何度も何度も 彼の名を叫んだのであった。」
「……?何で、急にモノローグ始めたんだ?
てか、誰に向かって言ってんだ?」
「誰でもない…強いて言うなら幽霊さんに。
実はさっき竜児君に抱きついたの…
頭…冷えたら、恥ずかしくなってきちゃって…
アハハ。いわゆる一つの照れ隠し。ですナ」
「櫛枝…ーッテ!!イタイ!イタイって!」
「あたしの事は、みのりんと呼びたまえ…
みのりんって呼んでくんなきゃ……お仕置きだべ〜〜〜」
「解った…解ったから…
………み、みのりん?……」
「合格だ。竜児君」
「……お前…内ももは、反則だぞ…」
「ぷッー……フフフ…アハハハ
………竜児君は優しいね……
あたし今、スゲー調子に乗ったのに、全然…怒んない。嬉しい…」
「そ、そんなの当たり前だろ!?
俺は、くしえ…もとい、みのりんが好きだから。大切だから…
そんな事で、本気で怒ったりなんか…まず、しねえ。」
「そか…ねぇ?ひとつ聞いても良いかな?
いつから、あたしの事好きになった?」
「…三年になってからだ…
一年の時に、櫛枝実乃梨って女に恋したけど…その恋は、二年の時に死んだ。
死んで当然だったんだ、俺、そいつの事良く知りもしないで、ただ憧れてただけだったから。
二年の最後に、櫛枝実乃梨と知り合えて、そして、好きになった。
だから、みのりんを好きになったのは三年」
「うっ…うぅ……
ダメだ…こらえらんない…泣きそう…
嬉し過ぎて泣きそう…
幸せだよぉ〜嬉しいよぉ〜優しいよぅ……」
「みのりん…」
「竜児君、あたしのホッペをツネれ!!
夢かもしれない!本当のあたしは、母体の中で、機械の電力にされてるんじゃ!?」
271本音サミットRー実乃梨ノーマルエンド:2009/01/20(火) 01:23:31 ID:z7j0SLP5
「大丈夫。夢じゃない。
………みのりんのホッペって…
やらかいな…ぷにぷにでモチモチで…」
「……竜児君て、もしかして…
いやいやいや、あたしは、良く理解ある細君だッ
触りたまえ!揉みたまえ!!
ホッペと言わず、ココもソコも…等身大のMINORINを!!
ただし、腹…テメーはダメだ」
「…みのりん…そうだよな。俺たち恋人どうしだもんな…」
「あぁ…竜児君…」





「ちょ、みのりん…
ムリだって、ホント続行は不可能だって…
明日。な?明日もヤルから…」
「そんな事言って…そっちのボウズはやる気満々じゃねぇか…ヘッヘッへ。」
「あれ〜ッ!!」
「ほら、ココが高須スポットだ…」
「指でなんて…悔しいッでも…ンンッ」






「はいはい、良い子ですね〜
ん?どうしたのかな?お腹減った?おトイレ?」
あれから、一年。みのりんはオンボロな我が家で子守をしている。
俺たちの子供。では、無い。親友の妹だ。
「義父とアイツのガキなんか…」と言っていた親友は、
その妹が産まれた瞬間、手のひらを返すように溺愛し始めた。余程、可愛かったのだろう。
今では、妹のおかげで他の家族ともうまくやっていると言う。
しかし、ドジで不器用な親友に育児は難しいらしく、度々、こうして家へ来るのだ。
「アンタとみのりんの子供が産まれた時の予行演習よ
それに、あの子にだって、色んな優しさに触れさせてあげたいもの」
良い姉を持ったな…俺たちの子が産まれたら宜しくな…
言葉は解らないだろうから、アイコンタクト
最近では、慣れたのか、懐いてくれたのか、泣かなくなった。

実乃梨ノーマルエンドー・完
272名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:25:46 ID:z7j0SLP5
終了です。
Rの最後はR指定というオチでした。
言うほどエロくはしないんですが…

次は、亜美か大河か…
近いうちに投下したいと思います。どうぞ宜しく。
273名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:36:20 ID:Tfzg0v+R
>>272
GJ!ネタはマトリックスネタかな?
大河の妹(弟?)が登場するとは思わなかった。
原作でも兄弟仲良くなれることを願うばかりだよ。
274名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:49:17 ID:DVPe+L83
>>268
それを基に良作一発頼む
275名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:58:31 ID:lh075AHR
>>274
もちろん性的な意味での一発だよな
276名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 02:53:17 ID:U6itrSt7
>>272
GJ!
あんた最高だぁ!
そしてノーマルエンドとな?三人でそれぞれ別れるのに更に分かれるのか?
ノーマルシリアスエロエロと可能性は無限大か?策士めw
277名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 04:14:20 ID:BiG9Uvij
>>272
GJ、実乃梨がしっかり原作してるな
しかし彼氏がみのりんって呼ぶ絵想像するとなんか笑っちまうな
実乃梨がそう呼ばせるあたりはいかにも実乃梨らしいけどね
278名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 04:32:39 ID:p37WmtQE
>>268
ネタだけ投下も妄想乙とか言われちゃうよ
おっと、俺が言うわけじゃないから誤解すんなよ
279名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 05:14:33 ID:wZ+jkrac
いいんじゃない?
ここにいる限り妄想は絶えないもんだしね
280名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 08:17:19 ID:dF2cIqVj
>>269-272
GJ!
みのりんは台詞回しが難しいんだが、感じ出てる

推敲おじさんももう出る幕ないな
281名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 08:25:56 ID:vVM9mqHB
>>280
さ   げ   ろ   



と突っ込んで欲しそうな書き込みだな。
282名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 08:31:52 ID:2X6IFufj
朝からギスギスすんなよ
283名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 08:40:04 ID:kD2/DZ/H
朝からギシギシに(ry
284名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 09:49:14 ID:BPUcsR8w
))281
sageて無い人は荒し認定で相手にしなければ良いの。
相手をした貴方も荒しです。
285イン娘:2009/01/20(火) 10:10:57 ID:Ek5/cav6
朝からご主人様がギシギシしてると聞いて来ました。
286名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 10:20:52 ID:BPUcsR8w
って言うか イン娘さん?
貴方の御主人様の行動は、どうきょしている貴方が一番ご存知のハズ。
287名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 12:13:38 ID:z7j0SLP5
本日、二度目ですが、投下いきます。
288本音サミットRー亜美ノーマルエンドー:2009/01/20(火) 12:14:27 ID:z7j0SLP5
「やっぱ、ココだよな…
2人の場所…って言ったら…
けど、お前…2人の場所で待ってる。なんて、普通、そんなのどこか解らねぇぞ」
「…でも、来てくれた…解っててくれた。
迷わなかったでしょ?」
「おう。まあ、な…他に心当たりもねぇし…
真っ直ぐ、ココへ来たよ。
てか、どうしたんだ?ずっと、うずくまって…
大丈夫か?具合悪いのか?何か、飲むか?」
「違う…大丈夫…
ちょっと泣いてたから…涙でぐしゃぐしゃになった顔…見せらんなくて…
ハハ…ダメだね。あたし。
来てくれたのに…顔見せられない…
笑って…待てなかった…んだ…
震え…止まらなくて…怖くって…」
「ゴメンな…ほら、これ使えよ。
ハンカチ。ちゃんとスペアの綺麗なやつだから。
落ち着くまで、そのままで良いから、話、聞いてて欲しい。
俺は、川嶋亜美が好きだ。もう、迷わない。迷わせない。
俺の道の少し先には、いつもお前が居てくれた。何度も助けてくれた。
お前が、俺より先に歩いて、転んで、怪我して、俺が歩きやすい様にしてくれたから…
俺は、大怪我しないで済んだ。
けど、お前はいつも、泣いてたんだな…ゴメン。損な役やらせて。ゴメン。気付いてやれなくて。
今更かもしれないけど…これからは、俺の隣を歩いて欲しい。
一緒に歩いて、転んで、笑って。
そんな道をお前と2人で。
これが、ペンネーム・いつも綺麗にさん。から、川嶋亜美へのお便り。」
「…あたしで良いの?
あたしが好きでやってた事だから…高須君が気に病む必要なんて無い…
同情だったら……ううん…同情でも…嬉しい…」
「同情なんかじゃ…無いさ。本当に好きだから。
惚れちまったから…もう迷わないんだ」
「…ッー。…高須君!!
もう、良いや…こんな涙…止まる訳ねぇ〜っつの。
…高須君、目、閉じて?
亜美は、これからアナタの隣を歩いて行くよ…」
「「………」」
「亜美ちゃん…実は、高須君が、初めてなんだ…
フフ、てか、さっきの台詞…高須君が考えたの?
高須君て顔に似合わず、意外とロマンチストさん。だね?」
「悪かったな…これでも、五限にノートも取らずに考えたんだよ…」
「に・あ・わ・ねぇ〜〜!!
ハハハ、何それ!?超ウケる」
「…お前…まぁ良いか。やっと、いつもの調子に戻ったな。」
「…でも、嬉しかったよ…」
「………」
289本音サミットRー亜美ノーマルエンドー:2009/01/20(火) 12:14:50 ID:z7j0SLP5
「ねぇ?高須君はさ、どうして、亜美ちゃんを好きになってくれたの?
亜美ちゃんのどこが好き?」
「今朝、ココで…可愛いって思ったから…かな?
どこって言われても…全部。としか…
可愛いところか…陰険なところか…別のところか…
…別のところ。だろうな。今朝、感じたのは今までにない川嶋だった。
守りたい。頼られたい。そんな風に思った。」
「へ?今朝、なの?
あんだけ、アピールしてたのに…今朝、て…
別に良いんだけど…呆れた…
そっか。亜美ちゃん、高須君に守って貰えるんだ…
じゃ、もう仮面なんて要らないや…」
「…悪かったな。
鈍感は鈍感なりに、一生懸命、川嶋を守る。」
「うん」
「…やっぱり…可愛いな。川嶋は」
「フフ、そんなの知ってるよ。
高須君は、亜美ちゃんが高須君のどこが好きなのか、聞きたい?
知りたくない?気にならない?…なるよね?
教えてあげる。亜美ちゃんは高須君の優しいところが好きだよ。
度量っていうのかな?深くて、大きくて、包み込んでくれる。大好きだよ。
顔は…ヤンキー面でも、真面目でヘタレな高須君には良いギャップ…
アハハ。結局、あたしも全部。だね。全部、好き」
「おう。川嶋…なんか照れるな…」
「そりゃあ、亜美ちゃんに、ここまでベタ惚れされてるんだもん…
照れろ、照れろ。照れて良し!
こぉ〜んなにッ!!可愛い彼女が居て…高須君は幸せ者だ。なんてな…」
「お前も照れてんじゃねぇか…耳まで真っ赤…」
「だって…亜美ちゃんも、幸せなんだも〜ん」
「おう。そうか…」
「そ。あたしは幸せ
親友も居る。彼氏も出来た。
ずっと、欲しかったものが、全部ある。
本当に転校なんか…しなくて良かった…」
「今なら、川嶋が転校したって別に構わねぇよ。
絶対に切れない絆が出来たから、俺は構わない。
けど、木原や香椎は悲しむだろうし、俺だって、可愛い彼女と学校生活楽しみたいからな…
やっぱり、離れたくないな。」
「そうだね。あたしも同じ。
離れないって知ってるのと、一緒にいたいって思うのは別問題。
それより、明日から高須君との学校生活かぁ〜
きっと、皆にからかわれちゃうね?注目されちゃうね?
あぁ〜楽しみ。皆、祝福してくれるかな?
思い出…いっぱい作っていこうね?」
「おう。」
「「2人一緒に」」
290本音サミットRー亜美ノーマルエンドー:2009/01/20(火) 12:15:57 ID:z7j0SLP5
「へぇ…大恋愛ですね…
それで、亜美さんは彼に…そう…おっしゃったんですね?…
女優、川嶋亜美は…へぇ…そう…
それで、亜美さんはハチミツがお好きと伺っておりますが… 」
「………何、この番組?
てか何か、話噛み合ってなくないか?」
「だって、このババア、亜美ちゃんの話、全然、聞いてねぇ〜んだもん。
仕事だから我慢したけど…マジでキレちゃう五秒前。だったわ。
ホント、ババアの台本に茶でもこぼしてやれば良かった…」
「……オイオイ…」
「この後は亜美ちゃん主演の昼ドラだよ!?
『チワワとトラ』…健気な亜美ちゃんが…陰険な小娘にイジメられちゃうんだ…」
ーこの後は、「女子ソフトボールー日本×オーストラリア」を放送致します。ー
「……んだと!?
亜美ちゃん、何も聞いてね〜ぞ?どゆこと!?」
「いや、今日勝てば、日本初の金メダルなんだから…
当然だろ?てか、知らなかったのか?」
「ニュースなんか見ないもん…忙しいしさ…
そか、順調。って聞いてたけど…頑張ってるんだ…」
「今日はオフだろ?
一緒に応援してやろ〜ぜ?
我が国のエースを、さ」
「うん」


ーさぁ、櫛枝実乃梨!!第一球…投げましたッ!ー

291名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 12:17:34 ID:z7j0SLP5
終了です。

亜美は個人的に好きなキャラなので、勢いで書いてしまいました。
次は大河のハズです。宜しくどうぞ。
292名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 12:36:00 ID:TUfYoME9
会話文だけの奴は、もういいよ。
293名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 13:05:41 ID:9fbeDpoK
>>287-290
GJ!
あーみんサイコー!
294名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 13:14:30 ID:NiqHNm5k
GJ。キャラの使い分けができてていいね。
「ー」と「―」は区別した方がいいよ。
295名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 13:15:50 ID:BiG9Uvij
>>292
だから見たくない職人のはあぼんしとけよ
職人だとなんでも擁護する奴がいるスレだしそういう事いうと荒れるだろ
きっちり毎回タイトルつけててくれててタイトルの一部が同じ
あぼんも出来るようしてくれてんだからさ
296名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 13:52:50 ID:1rMDGvQU
>>292
おまえだけの趣味を押し付けるなよ。
おまえ以外の多くの読者は大歓迎してるの。

言い換えれば、たとえ話で
100人のうち99人と1人で意見が分かれた場合99人の意見が通る訳。
まぁ99人が基地外で1人だけ正常かもしれんが。
297名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 13:58:32 ID:TUfYoME9
句読点を使いこなせない奴が、あれこれ言うな、てか?
で、  ID:BiG9Uvij も排除っと…。
298名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:05:34 ID:qYFHRtxm
>>295
>>296
荒らしに反応するなよ。
299名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:15:21 ID:kD2/DZ/H
触ってはいけない
300名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:25:58 ID:2X6IFufj
これ保管庫さんどうすんだろうな
もう更新しないのかもしれんが
301名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:40:28 ID:9fbeDpoK
作文できたんでこれより投下します。タイトルは「〜という夢を見たんだ」
302名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:41:18 ID:9fbeDpoK

「なぁ川嶋、ちょっといいか?」
校舎の廊下の隅、自販機コーナーに連れ出すと竜児は言った。
「今度SONYから出たノーパソのCM、あのケツってお前じゃね?」
「(ギクッ)…な、なんの話かなぁ?」
「いや、毎日テレビで流れてるじゃん、ジーパン穿いた女がケツポケットにちっこいノーパソ挿してるCM、
あれみてるとな〜んかこのケツ見覚えあンなーって思って」
「……」
たしかにあれはあたしのケ…お尻ですけど、ちょっとあんたねェなんでわかんの? いちおー広告代理店との間で
守秘義務契約あるんで、ハイそれあたしの尻ですなんておおっぴらには言えないんだけど…。
「あれ、違ったか? 確かにあれは見慣れた川嶋のケツ… オンナのケツに関しちゃ俺の目に狂いはない
ハズなんだが…」
そ、その危ない目で人のケツじろじろ見んな。
竜児は某一方通行さんをほんのちょっとマイルドにしたような壮絶な微笑を浮かべ、
「ま…、色々あんだろうけどさ、いいヒップだよなあれ」


川嶋亜美はマックユーザーである。
元はと言えば、iPodを買ったときにまだPCを持っておらず、なんでもいいからノーパソを一台ということで、
「なんかこれかっこいい〜」という実にスィーツ(笑)な理由でMacBook Airをお買い上げなさったのだが、
いろいろ触っているうちに無線LANの設定やらなんやら詳しくなり、今ではiTuneで再生した楽曲を
AirMac Express経由で部屋のミニコンポで鳴らすなんて当たり前にやるようになっていた。
今も部屋であぐらをかいて、愛機Airを弄っていた。
ふと、今日学校で竜児にCM出演について尋ねられたことを思い出す。
「VAIOかぁ」
部屋の隅に転がっているVAIO TypePの箱を眺める。
CM出演の際、SONY広報の人からタダでもらって、「キャーこれカワイー」と大喜びで一度は起動してみたのだが、
Vistaのモッサリの動作スピードとゴテゴテのユーザーインターフェースに閉口し放り出したままになっていた。
「亜美ちゃんマカーだからWindowsよくわかんねーし」
303名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:41:50 ID:9fbeDpoK

「そういやNetBookにマックOS入れて使うのが流行ってんだよね」

そのままバチスカーフを起動し2ちゃんにアクセス、新Mac板のスレ一覧をつらつら眺め、ドザの立てたスレにコピペ爆撃かましつつ、
「〜という夢を見たんだ」スレをダブルクリック、スレにリンク貼ってあった先の海外サイトからdmgファイルを速攻でダウンロード、
謎のリンクをダブルクリックするとBittorrentクライアントAzreusが自動的に起動し、isoファイルのダウンロードが開始された。
適当なUSBメモリを挿してDisc Utilityで領域確保、ダウソしたファイルをまとめて放り込んでType Pに挿して起動、インストール開始
…という夢を見た。
なんじゃ無線LANうごかねーじゃん別にドライバ要るなー、どれどれー、なーんだあるじゃん、よし動いたーなどという夢を見つつ、
気が付くと朝になっていた。

休み時間に竜児が自販機コーナーに行くと、川嶋亜美がいつもの隙間に嵌ってショボショボした眼でVAIO Type Pを弄っていた。
「おっ、それ例のCMの奴じゃん」
「おー高須クン…、コレもらい物なんだけどなぜか家にあったんで持ってきたんだ」
「どれどれ… うわコレ字ちっせー、うんと近くに寄らねェと読めねェな」
亜美が見上げると間近に竜児の顔。
ちょ、顔が近いよ鼻息荒いよ高須クン!
「だって、こうしねーと画面見えねェし」額と額を擦り付けるようにしながら竜児が言った。
…ってこれもいいかも〜。

その日の放課後、ストバの窓際の席で竜児と仲良く肩寄せ合って、小さい画面を覗き込みながらご満悦の川嶋亜美であった。

                                              おわり
304名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:52:54 ID:3K7rgFrs
みんな平和にいこうぜ 
亜美ちゃんはいつもかわいいなぁ
305名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 14:53:51 ID:U6itrSt7
>>291
GJ!
みのりんに続きあーみんも最高だぁ
306名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 16:25:23 ID:pnlkjfHn
ホントこのスレの住人はアレだな…意見を言えば荒らし扱い、職人(笑)は無条件でマンセー
書き手もこんな空気の悪いとこでよく投下する気分になるなぁ…
307名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 16:38:24 ID:EOBFzvWD
だから作品を気に入らなかった奴は作品自体をスルーしてるとあれほど
職人(笑)とか言って煽ってるやつのほうが空気悪くしてるだろjk
てかそんな空気悪いところなのになんでわざわざ来てるの?
308名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 16:43:13 ID:LJWLKbTe
いいペースで投下が続いててすばらしいな
309名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 17:30:49 ID:2X6IFufj
>>301
困った、カタカナ語のほとんどがわからん
310名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 17:42:37 ID:pnlkjfHn
>>307
作品は読みたいけどお前らの態度が気に食わない
311名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:01:35 ID:jkO0e+67
>>310
空気悪いところの作品を読みたいのか?
こうすればもっと良くなるんじゃね?的な意見やアドバイスは良いと思うが
他の人が読みたがってる作品を自分が気に入らないから否定する292見たいなやつはどうかと思うぞ
312名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:02:58 ID:2X6IFufj
>>310
さすがプロの在宅SS評論家は言うことが違うな
313名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:06:47 ID:LJWLKbTe
>>310
正直だとは思うが…。
ここでは書いてくれた人に
それなりの敬意や感謝をあらわしていこうっていう
住人さんが主流だから気に入らなくても
それは受け入れないと
いらない煽りの人扱いになっちゃうよなぁ

辛口スレとかどこかの板に立てて住み分けするとか
314巴里男子:2009/01/20(火) 18:18:25 ID:mMqK6zzU
横浜紀行の後編が早く見たい・・・・・・・・・・・
315名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:23:01 ID:pnlkjfHn
>>292も言い方は悪いけど「もうちょっと心理模写入れたほうがいいんじゃない?」って意見だろ?
それを「おまえだけの趣味を押し付けるな」とか「荒らしに反応するな」とかさぁ…
お前らの言う職人とやらは読み手の意見を伝えらないほど偉いのかよ?
だいたいお前らはなんでそう攻撃的なんだ、>>313の落ち着いた態度を見習え
316名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:29:19 ID:EOBFzvWD
もう来んな



以上
317名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 18:48:52 ID:dF2cIqVj
>>314
あの書き手のことだがら実際に横浜に取材に行ってるのかもしれん
318名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 19:15:06 ID:U6itrSt7
>>314
気長に待とうぜ
長い作品だから時間かかるさ
319名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 19:30:46 ID:w0PE2Lzq
>>315
つっても、このシリーズは心理描写は必要ない位台詞が凝ってるし、良いんじゃないの?
あえて、会話文だけで成立させる様に頑張ってるのが解る作品だから、>>292が荒らし扱いされるのは仕方がない。

>>290
GJ どのキャラも活き活きしてるけど、テツコが一番活き活きしてるな。
みのりん→大河 亜美→みのりんっていう風に互換されてるんだな。大河編も期待してる。

>>303
GJ 用語が解らないけど、雰囲気で楽しめたっす
320名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 19:41:38 ID:kD2/DZ/H
じゃあそういう風に言えばいいのに。
会話文だけのはイラネとかだけじゃなく>>315のようにまともに感想を言えばいい。
あれじゃト書き形式は俺嫌いだからいらない、そんなレベル。
自分が先ずそんな態度を取ってるのに言いたいこともはっきり言わない時点でどっちが悪いかは確定的に明らか。
その後の対応ではまともないい方で窘めてる奴をNGとかgdgd言ってるんだから。
321名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 19:42:35 ID:dsNpgEys
とりあえず、意見するのが無駄なのは確か
丁寧に言っても、文句言うなら見んな、とくるし
過剰に反応する奴も荒れる原因のひとつなのに、誰も指摘しない不思議なスレ
322名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 20:05:10 ID:4bFK5e2K
そろそろNG行き
323名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:07:32 ID:2X6IFufj
てかさ、面白ければ称えて、つまらなければスルーがなんでできないわけ?
みんながみんな面白いと思ってるわけじゃないけど、みんな素人の作品にケチつけたりしてないよ
最低限のマナーじゃん
文句言いたいならジャンプでも買ってアンケートはがきに書いててくれ
324名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:22:24 ID:4kLYp+vf
別に職人の事は誰彼構わずマンセーしろってんじゃなくつまらないからって
わざわざ文句つける必要もないだろうってだけの話なのにな。
書きながら投下とかに注意する分にはいいけど、
金払ってるわけでもなく読む事を義務付けられてるわけでもない物に
わざわざケチつけるなんてどんだけストレス溜まってんだ
325名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:22:25 ID:D7IjSgFp
反応がおもしろいから
326名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:26:43 ID:CQjrsRaX
クソスレ
327名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:41:01 ID:AsJaQ3Ka
>>287-290

いつも楽しませてもらってます。
大河偏も期待してますね。
328名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 21:51:30 ID:o2YChb8z
>好みに合わない場合は叩く前にスルー
>変なのは相手しないでスルー マジレスカッコワルイ
>噛み付く前にあぼーん

これで全部解決めでたしめでたし
329名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 22:07:40 ID:dF2cIqVj
本音サミットR君は感じ若い人とみた。
携帯からの投稿といい、屈託の無い感情表現といい。
幾ら叩かれてもめげずに投下してくるんで、何気に煽り耐性が高いというか、
俺は微笑ましく思ってるんだが。
330名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 22:19:11 ID:Tfzg0v+R
>>278
ん、職人のカンフル剤にでもなればと思ったんだがまずかったか。
そういえばこのスレはネタだけ投稿はほとんどないね、気をつける。

>>274
頼まれても何も出んぞ!いや、出したいんだけどねorz
331巴里男子:2009/01/20(火) 22:21:14 ID:mMqK6zzU
>>318  そうですね 待つことにします。 ありがとうございました。
332名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 22:41:32 ID:LJWLKbTe
>>331
次からメール欄に「sage」といれてほしい。
でないと板の一番上にきちゃうから
333名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 22:46:18 ID:BiG9Uvij
文句とか中傷と、普通の感想が判別出来ずに必死に反応するのが多いのは悲しいね
ここ勿体ないとか言ってる感想に他の人がケチつけてるのは
職人がそれを納得した場合、いかしてつぎ良い作品を書いてくれるとは考えないのかね
まぁ言い方が重要で「もういいよ」とかは論外だけどな
334名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:04:21 ID:LJWLKbTe
>>331
それでいいと思う。
書きながら投下する方がいたときも
だいたいの人は「乙!ところで次回からはまとめてくれ。理由は〜」
みたいな書き方で、それでちゃんと通じてたから。

そういう礼儀ふまえた意見は全然ありで、
「なんなんだこいつ」とか
「どうせGJがほしいんだろう」とか
「〜しろよボケ」みたいな口汚いレスは
荒らしとして無視でいいのでは。
335名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:05:15 ID:LJWLKbTe
すまん>>331でなく>>333だった
336名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:23:21 ID:g4Glk01Z
池沼にかまいすぎ
スルースルー
337名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:27:59 ID:d5QFT2gT
なんだか良く分からないが、オレの嫁はあーみんということでいいのか!
338名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:30:01 ID:0336drjl
メール欄に 「 sage 」(半角英小文字で ”sage”)を書かないと、荒らし を呼び込む事が多々あります。
また、何回もsageないと、荒し扱いされる危険性があります。
くれぐれも 『sage』を書き込むようにしてください。

別に最下層になったからと言って、消される事は全く有りません。
age荒しの皆さんが、脅しで「過疎ってると判断され、消される」と書きますが、全くのウソ、恐喝と言っても良いでしょう。


>>332
板の一番上に行くとなぜ困るのか書かないと説得力有りません。

>>268 >>330
はぁん?

>老朽化対策でリフォームするために一時的に家を追い出されることになった高須家。
>大河に話をしたらリフォームが終わるまで家に来ればいいじゃないと言われ、完全な同棲生活に。
>風呂の順番や寝場所の話でもめる竜虎。

やっちゃんとインコちゃんいないし。
今だって、寝場所と風呂は原則別個だけど、

早朝はn竜児クンが起こして、朝食を与え一緒に登校
一緒に下校し、それぞれの家で着替えると、高須家に集合
お買い物とか、お勉強とか、夕食とか、一緒。
テレビとトイレ、台所は高須家のを利用。
洗濯は竜児が行う。ただし、テレビでは下着の洗濯は不明だが、小説では、大河の下着は竜児は行っていない。
なお小説4巻以降では、早朝の、やっちゃん帰宅直前まで、大河は高須家にて睡眠。

半同棲ではないですか。

ってか、まあ良い。


・・・・・・・

スピンオフでも「台風の雨漏りで、インコちゃんはトリップ、毘沙門天国は水没寸前」と言うのもあるから、書く。今から。
まとまったら投下するな。
書きながら投下はダメだそうなので。
339名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:43:54 ID:vTeVnhWq
>>338
> なお小説4巻以降では、早朝の、やっちゃん帰宅直前まで、大河は高須家にて睡眠。

そんな描写なくね?
340名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:54:44 ID:Tfzg0v+R
>>338
はぁん?って。俺なんか変なこと書いたか?!(゜д゜;)
ネタだけだから詳細まで書いてないけど、
大河のマンションに高須家が居候しても面白いなと思ったんだ。
やっちゃんもインコちゃんも路頭に放り出すような竜虎じゃないだろう。
それと半同棲と完全な同棲は微妙に違うだろう。
341名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:58:11 ID:gqZ9WBad
>>339
寝そうになるけど強制的に帰宅させてるはずだよな
大河が高須家の風呂に入ったのも秋が初めてつってるし
342名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 23:58:26 ID:vVM9mqHB
>>338
御意見無用の流れもどうかと思うが、これは只の馬鹿。
根本的に自分の頭が足りていない。
343名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:00:35 ID:b+TSaz4B
論破できないから下手な煽り来たよ
344名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:02:45 ID:MNjC8dSH
恐喝(笑)って言っちゃったりsageる理由書けとか言いつつ自分も書かなかったり一言「今と殆ど同じじゃね」で済む事を長々書いちゃったりがんばってますね
345名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:06:26 ID:o3ort6SM
煽りは荒らしと一緒だねニコッ
346名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:18:26 ID:RvG03FUv
>>340
そう言う意味ではなく。ここは完成品を投下する場であって
こういうシチュ思いついた、この設定で誰か書いて!
ってのはスレ違いってことじゃないかな。
ぶっちゃけ俺もそう思う。
347名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:33:15 ID:h4odyP1Q
>>342,>>344
禿同。馬鹿ほど文章が長くなるんだよな。>>338は典型的なアレ。
348名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:43:20 ID:OOqBK6mz
自作自演がひどいスレ
349名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:43:47 ID:+a2Ee4fC
>>346
「誰か書いて!」とは言ってないが・・・、行間で言ってるように見えるな。すまん。
職人に対して強制する気は毛頭ないことは言っておく。

一応、確認のために聞くがネタorシチュだけの投下って有り?無し?
350名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:52:36 ID:bI1Jw7EN
>>349
節子、それ投下やない
351名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 01:27:17 ID:5sKudhxp
どーでもいいけど、
あんま馬鹿馬鹿言うなよ。どうせこんな時間にエロパロ板にいるやつなんて、
みんな馬鹿なんだからさ。
352名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 01:37:26 ID:ExnEW/DR
キチガイってなんでのうのうと生きられるんだろう
353名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 01:40:34 ID:M2n3PrB3
…などと意味不明な言葉を発しており、動機は未だ不明
354名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 01:40:43 ID:5sKudhxp
>>352
キチガイでも食事と呼吸くらいはできるからさ!
355名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 01:46:48 ID:tQLdA6WJ
キチガイはキチガイだから生きてられるんだよ
まっとうな神経してたら自分の行動を顧みて自ら死を選ぶ
356名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 01:56:38 ID:ExnEW/DR
>>355
成程納得。
338とかどう考えても変な思考回路だしそういうもんなんだろうね。
357名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 03:35:34 ID:N9Z8nTJl
書き込み多いなと思ったらなんだそういう事か
スレが荒れるのはある種人気作品の宿命かね
358名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 03:55:09 ID:7ySEO7zq
アニメ化の弊害とも言えるな。
その分投下も増えるわけだし、多少のことには目を瞑るべきかね。
359名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 04:12:59 ID:2hzikx5q
投下いきます。少しお時間下さい。
エロ有りなので、ご注意を
360本音サミットR−大河ノーマルエンド−:2009/01/21(水) 04:14:11 ID:2hzikx5q
「大河ッ!!……お〜い大河〜ッ?
…あれ?居ないのか?
……まさかとは、思うけど…一応…」
「zzz」
「寝てやがる…何て奴なんだ…
まぁ、仕方ねぇ。せっかく寝てるものを、起こすのも可哀想だし…
先に、夕飯の支度済ませとくか。
それにしても…良い寝顔だな…
いかん、いかん…夕飯が先だ、夕飯がッ」
「zzz」



「情熱の〜あっかい薔薇〜♪そっしてジェ〜ラッシィイ〜♪」
「ムニャ…あ、竜児?今日は何肉?……
って…わ、私、寝ちゃた!?うそッ?今、何時?」
「おう。大河、おはよう。いや、おそよう。か?
もうすぐ七時。夕飯時だよ。そして、メニューはチャーハン。俺、特製のチャーシュー付きだ。
やっぱし、他人ん家のキッチンは使い難いな…
俺が育てたフライパンだけでも持ってくりゃ良かったぜ。」
「竜児…ごめんなさい。やっぱり怒ってるよね?」
「あぁ。怒ってるとも。
ただし、お前が寝てた事に、じゃねぇ。
俺が怒ってるのは、お前が、俺ん家のテーブルの上に合い鍵を置いてった事だ。
家で待ってる。って言うからダッシュで帰ったってのに、お前ときたら…
まぁ、ココもお前の家なんだから、別に良いんだけど…
一回、俺ん家に上がったんなら、そのまま待っててくれりゃあ良いのに。
ていうか、合い鍵、居間に置いたまま、どうやって出たんだよ?玄関は鍵、閉まってたし…
そういや、以前、お前、俺ん家に忍び込んだよな?
完全な密室トリックじゃねぇか!?
あ〜あ。俺ん家のセキュリティーは一体どうなってんだよ!?
チクショー。セコムしてますかぁ!?
おまけに、お前ん家の鍵は開けっぱなしだ…しかも、寝やがって。
いくら、オートロックだからって。キチンと鍵閉めろ。
ったく。危ないだろ!?心配すんだろ!?」
「だって…だって、だって、だって…
私が竜児の家で待ってて、それで竜児が私を選ばなかったら気マズイじゃんか…
それに、合い鍵は…相応しい人が持つべきだって…
私の家の鍵を開けといたのは、竜児が来てくれた時…すぐ入って来れる様に…
寝ちゃうなんて思わなかったんだもん…
布団に入ってたら、時間は過ぎるから…だから…だから…」
「ほら。泣くな。
俺も言い過ぎたよ。ごめん。
ほら、合い鍵。大河が持っとけ。もう離すなよ?
責めてる訳じゃないんだ…ただ心配で…
お前が居なくなったんじゃ!?って思って…
361本音サミットR−大河ノーマルエンド−:2009/01/21(水) 04:14:48 ID:2hzikx5q
寝てた。って解った時、ホントに安心したよ。
お前が俺に依存してる。能登や木原は、そんな事言ってたけど、逆かもな。
大河がそばに居るから、俺は竜児でいられるのかもな。」
「…竜児…私が竜児の役に立つんなら…
こんなに嬉しい事ってないよ」
「さ、飯食おうぜ。早く食わないと冷めちまうしな。
今日はチャーシュー大盛りだぜ?盛るぜぇ?超盛るぜぇ?
ちゃんとスープもある。鶏ガラからとった本格中華だぜ?」
「うん。私も、お腹減っちゃった…
ねぇ竜児、食べさせてくれる?」
「お、おう。それじゃ、口開けろ。はい。アーン」
「アーン」



「竜児、ご飯の後は…戦国風呂よッ」
「戦国風呂?」
「そう、私は今まで、思い違いをしていたわ。
私に興味ないから…私が哀れ乳だから…私に女としての魅力がないから…
だから、竜児は手をだしてこない。
けど、違ったのね…
貧乳好きじゃないなら…貧乳好きにしてやるわ…
さらば、巨乳!呼べよ、貧乳。
貧乳のIT革命。貧乳の宝石箱。
その身体に、貧乳の破壊力。とくと刻み込んでくれるッ」
「ええッ!?今日は、
大河…今まで手を出さなかったのは、お前が大事だったから。
でも、もう良いだろ?俺だけの虎になってくれ。
とか、言って。優しく俺が抱くんじゃねぇの!?」
「問答無用!!それは第二ラウンドよッ。
ほら、服、脱ぎなさいって。
…いや、竜児は何もしなくて良いや。
ぜ〜んぶ、私がシテあげる。」
「ひゃあぁあ〜〜」
「いつか、私の家のお風呂に入らせろ。って言ってたじゃん?
今日入ろうよ、ね? 一緒に…
お風呂〜♪でっしょ♪でっしょ♪」
「お、おう。じゃ、お前も服、脱がなきゃな…
…いや、脱がさなきゃ…な」
「ひゃあぁあ〜〜♪」

−今晩は、お楽しみ。
竜虎、相討つ。(性的な意味で)のじゃった。−
362本音サミットR−大河ノーマルエンド−:2009/01/21(水) 04:18:09 ID:2hzikx5q
スリスリ。と、身体の前面を−特に、控え目な胸を押し出すように、
竜児の背中に押し付ける大河は、ご満悦だった。
「ほらほら、どうよ?私の胸は…
ドキドキしない?ゾクゾクこない?
竜児の背中は、おっきいね。
おっきいから…洗うのも大変だ。」
ツン。と−抵抗を感じる箇所が二つある。
石鹸で滑るから、抵抗は無いハズなのに、等間隔に二つ。
「私、敏感なのよ…すぐに勃っちゃうの。」
けれども、そのシコリが心地良くて、
「あぁ、良い気持ちだ…
ありがとう。大河。」
「えへへ。後ろは綺麗になったよ?
次は前を綺麗にしてあげるから…こっち向いて?」
やはり、恥ずかしいのだろう。でも、嬉しいのか−
トマト顔。ニヤケ面。幸せトマト。
振り向く竜児も、ゆでタコ。
蒸気と彼女の魅力にあてられて、ハードボイルド。
「ねぇ?男でも、乳首って気持ち良いのかな?」
くりくりくり…
「初めて見たな…RYUUJI…
ここも綺麗にしなくっちゃ…私基準で舐められる位…」
するするする…
「あふん。あふん。」
おもほえず、嬌声(こえ)だって、でる。
「足で…洗ったら、RYUUJIは、どう?
足の指でRYUUJIを引っ掛けてRYUUJIをゴシゴシするの…
きっと、気持ち良いよ?
RYUUJI袋もRYUUJI玉も一緒にマッサージ…
ねぇ…どう?」
頷いて−しまったのだろう。
「お、おう?あぁあ……」
彼女の前面に竜撃砲。やってしまった−
「キャッ。えへへ。かかっちゃった…
でも、私の身体は竜児が洗ってくれるもんね?」
華奢で精緻な造りのお人形に、白濁のコーディネート
それは、竜児を扇情した。かつて無いほどに。情熱を、持て余す−
「うおぉぉッ!!大河…大河」
小さな胸を…首筋を…
「あぁん…竜児…竜児…」
ペロペロ。ぺろぺろぺろ
美味しい?甘い?辛い?苦い?しょっぱい?
2人の味。そんな感じ。
「竜児…今度は、TAIGAも、可愛いがってあげて?
ほら、寂しくって…泣いてる…」
「お、おう。俺基準で舐められるまで、な。」
「あふん」
「大河…気持ち良いか?」
「…うん。あぁッ!?そこはぁ…」
「TAIGAは寂しんぼ、だな。
いくら、撫でても泣き止まない。」
「やぁん…意地悪…しないで。」
「ここも、良いのかな?
他の場所とは感触が違うけど…」
「………ッーー」
「これで、TAIGAも、泣き止んでくれるかな?」
363本音サミットR−大河ノーマルエンド−:2009/01/21(水) 04:18:32 ID:2hzikx5q
「こんなんじゃ、TAIGAは、泣き止まないわ。
RYUUJIがTAIGAを慰めてくれなきゃ…
TAIGAは、ずっと泣いたまま。」
「おう…」
「ひゃあ…んん…TAIGA…思ってたより痛くない…かも?」
「RYUUJIは、思ってたより、痛いぞ…
けど、動いたら、良くなるかもな。」
「いッ−−あぅ……
RYUUJI…RYUUJIがTAIGAの…
一番、深いところに触れてるよ…あ…」
「おう。これなら、泣き止めそうか?」
「うん。今日は大丈夫だから、このまま…
このまま、TAIGAを…」
「大河。大河ぁ〜」
「竜児、竜児ぃ〜」


竜児は、湯船に抱かれて、大河は、竜児の腕の中−
2人の時間。幸せの時間。
「ねぇ?貧乳好きになった?」
「お、おう。けど、お前のは、肉質が柔らかいから、押しつぶされてるだけで…
完全に無いわけじゃないぞ?ほら…」
「ひゃッ…もう、またTAIGAが泣くよ?
お風呂でたら、優しく抱いて貰うんだから…」
「お、おう。」
「ベットで、お姫様みたいに、優しくしてもらったら…
コンビニ行ってアイス買って…
そしたら、家に帰って、獣みたいに、激しくやろうねッ!?」
「おう。」
「竜児ィ…幸せに…幸せにしてね?」
「お、おう。2人一緒なら、必ず、幸せだ。」
2人の夜は終わらない。
太陽も、月も、2人の夜を祝福する様に…邪魔しない様に…
その夜は姿を見せなかった。
星々が輝く、2人の夜空。
364本音サミットR−大河ノーマルエンド−:2009/01/21(水) 04:19:54 ID:2hzikx5q
「あはは、ばかちーの奴、また、視聴者は見た。で、チクられてやんの。ぷぷッ。
−女優の川嶋亜美が、ファミレスで独り寂しくディナーを取っていました。
あまりの、独神っぷりに、周りの客はドン引きでした。
さらに『何で、喫煙席ねぇんだよ?チッ。』と恐ろしい表情で舌打ちし、店員さんは涙目でした。
亜美さん、芸能界は大変なんですね。本当に心配です。−
だってさ。絶対、ホントだよ、コレ。」
「おう。こういうのは、ネタだと思ってたけど、これは本当っぽいな…」
「ホント、変わらないね…」
「そだな。でも、それは、俺達も、だろ?」
「うん。そだね。」



−今週の一位は、川嶋亜美『バカップルなクラスメート』ー −これは、あたしが、高校生の時の話なんですけど、

−大河ノーマルエンド・完−
365名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 04:20:27 ID:2hzikx5q
終了です。
流石にエロシーンが会話だけだと面白くないので、普通に書かせて頂きました。
「−」「ー」の区別は、携帯だと同じに見えるので難しいものです。
ご指摘頂き、ありがとう御座いました。

これで、一通り、終わりましたが、まだ見ぬ隠しエンドがあるか、ないか。
乞うご期待という所で、どうぞ宜しく。
366名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 04:59:57 ID:8kwWCiJ4
>>359-365
GJ!
来たな人気者wいつ寝てんだw
367名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 05:58:29 ID:bdq97e+5
>>365
GJ!!!!
次回も期待して待ってます
368名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 08:30:06 ID:yw+04edn
隊長ー!!抵抗を感じる箇所って何で有りますかー!!
369名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 11:29:50 ID:D//aRpfK
隠しエンド?

ななどら? いや まやまる? まやが積極的に攻めそうなまる(裸)はウケそうな。

まる(裸)とドラか?まる攻めドラウケ。。。。。
まるが夫でドラが妻 ってのも悪く無いとかなんとか。

やっちゃんと大河、っていう、親娘?姉妹?も悪く無いなぁ。

能登と春田の位置がわからねぇ。
370名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 12:07:32 ID:TZWK07rY
>>369
おちんちんランド禁止。
371名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 13:25:45 ID:TgK1h/IV
独身エンドがあると聞いて
372名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 14:41:23 ID:TZWK07rY
作文できたんでこれより投下します。タイトルは「学校の裏サイト」
373名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 14:41:44 ID:TZWK07rY

「2年C組の川嶋亜美、いるかー? いたらカオかせや。ちょっと生徒会室まで」
生徒会室に連れ込むと、兄貴が言った。
「実は折り入って頼みがあるんだが… うちの舎弟が粗相やらかしまってな」
「…祐作のアホがなにか?」
「この夏休み、お前さんの別荘であいつ、女子の前でおちんちんランド開園しやがったそーじゃねェか」
「あ〜 ま〜 そうっスねー」…あれは消去したい記憶。
恋する乙女の亜美ちゃんは、高須クンのイチモツ(空想上)を思い浮かべながら毎晩のようにイタしているわけだが、
祐作のアレを見てしまってからというもの、そのイメージが上書きされてしまって、いざイタそうにも幼馴染のナニが
具体的なメージとして脳裏に浮かんでしまい、げんなりしてイタすにイタすことができずにいたのだった。
「実はその現場を携帯のカメラで撮影した奴がいて、そいつが学校の裏サイトにうpしやがったんだ」
「うわ、みのりちゃんてば外道…でもあのアホなら別に気にしないんじゃないですか?」
「あいつ露出狂だしな… しかし、いくら男子のとはいえこの学校の生徒の裸体写真が出回ってるとなると見過ごしておけねェ。
そこでだ、お前さん、聞くところによればネットとか随分くわしいんだってな」
「いや、あたしはそんな…」
「今月号のパソコン専門誌にインタビュー記事出てたぜ… 『Mac Fan』だっけ? かなりのヘビーユーザーらしいじゃねェか」
そういえば取材受けたんだった。『Mac好きな芸能人』コーナーで取り上げられたんだ。
「ははは、あれはパソコン誌へのリップサービスって奴で… ホントは大したコトないんです」
「ま、そう言わず、ちょっとその裏サイト見れなくして欲しいんだ。責任は全部わたしが取る」
「…」
「ちなみにうpしやがったソフトボールバカの方はこっちでシメといたから」
「そりゃいい気味… ってそんなことしたら逢坂さんが黙っちゃいませんぜダンナ!」
「大丈夫だ… 祐作の露出写真をセットで手を打った」
「友情ってなんだろう…… あっでも高須クンはマジ怒るかも」
「あーあの子ならうちの店の顔馴染みだから、割引券一万円分ってことでハナシは付いてる」
「やっすいなーそれ… わりと現金なんだ彼」
「コトを起こす前にちゃんと根回ししとかねェとな。それよか頼んだぜ」
「わかりましたよもー」
亜美が部屋を出ようとすると、米海兵隊の鬼訓練教官ばりのいつもの口調を改めて兄貴が言った。
「ところで川嶋さん… その、祐作のアレって… どっどんな感じだった?」
374名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 14:42:10 ID:TZWK07rY

川嶋亜美はマックユーザーである。
最初はファッショナブルなMacBook Airを愛用していたが、次第に記憶容量と処理速度の限界を感じるようになり、
今では一体型デスクトップ機のiMac 24インチに同じく24インチのシネマディスプレィをDVI接続してデュアルモニターとし、
バルクで買ってきた1TBのハードディスク4ツを外付けケースに詰め込みストライピングモードで運用していた。
気に食わない業界の先輩のエロコラをフォトショでちゃっちゃっと作って、ログを残さないように画像掲示板にひっそり投稿、
なんてあたり前にやって… いたりはしない。
兄貴がくれたメモのURLをSafariに打ち込み、表示された大橋高の裏サイトを眺める。
「…あ〜 あったあった、この淫獣め… ナニが写ってるわけじゃないし別にいいじゃん… これリクエストしたの麻耶じゃね?」
どこかにセキュリティホールないかとHTMLソースを表示させ、つらつらと眺める。勿論読めるわけではない。
「亜美ちゃんWeb屋さんじゃねーし、ハイパーテキスト構文なんて読めねーし」
眺めていると、画像サーバーらしきIPアドレスが目に付いた。
「ここにDoSアタックかけてみっか」
パラレルズを起動し、仮想環境でWindowsをブート。ありふれたXPでなく、猛者好みにカリカリにチューンされたWindows 2000だ。
nLiteを使って最新パッチ適応後のリカバリディスクを作成してあり、いつ吹っ飛ばされても即座に復旧可能だ。
「え〜と田代タシロ… 田代砲、超田代砲、メガ粒子田代砲、山田砲…いろいろあるんだ」
いったん接続を切り、プロキシサーバーを介して接続すべくコマンドプロンプトで操作。
「なんかterminalイジッてるみたい〜 おっとこれはunixのコマンドだ」
田代砲をチャージし、おもむろに発射。
しばらく経って裏サイトにアクセス、当該サイトの沈黙を確認。愛するダーリンのことを思いつつひとりエッチに勤しんだのちに就寝。


「うまくやってくれたみたいじゃねーか」
兄貴はことのほかご機嫌だった。
「他校の裏サイトも同じサーバーにあったみたいでさ… 非公式にお礼言ってきてたぜ」
「はぁ、まぁ」
                                              おわり
375名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 15:40:59 ID:yQcFGGJU
>>327
GJ! 亜美がMacユーザっていうのは、ものすごくしっくりくる。
数学が得意な竜児だったら、FreeBSDとか、OpenSolarisか? という想像も楽しい。
376名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 15:45:12 ID:5sKudhxp
えー、亜美はマックよりモスバーガーって感じじゃね?
377名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 15:52:12 ID:M2n3PrB3
亜美ちゃんがMacユーザーってのは中の人ネタだろ?
378名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 16:43:50 ID:yz73wwsR
>>374
GJなんだが、それは専門用語がわからない人にはちんぷんかんぷん
なんじゃないだろうか
でも続きをwktkしてますw

あとみんな分かってると思うが、鯖に攻撃するのは場合によっては訴え
られるから、いくら亜美ちゃんに憧れるからって真似しちゃダメだぞ
379名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 18:16:36 ID:2vZ5YNE5
そういや大河ってパソコン持ってんだよな
竜児は大河の部屋でネットしたりしてんだろうなぁ
380名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 18:22:48 ID:wJgdN0uL
>>374
あーみんめっちゃ詳しいなwGJ
381名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 18:47:04 ID:fLRyRwv9
本編のラスト
---------------------------
小雪舞う大橋高校の屋上に、竜児と亜美は、両手を後ろ手に縛られて、転がされていた。
その竜児のこめかみに、大河は、無慈悲にも、ぐいっ、とばかりに木刀を押し当てる。
あまりの痛みに竜児は「うっ」という声を漏らして顔をしかめた。

「畜生、警官隊が包囲してやがる。てめえらを人質にして、立てこもったのはまずかった。
こうなりゃ、エロ犬にばかちー、てめえらを血祭りに上げてから、糞みてぇな警官を一匹
でも多く地獄の道連れにしてやらぁ!!」

大河は、竜児の傍らで半ば気を失っていた亜美に歩み寄る。そして、その顎を木刀の切っ先で
持ち上げた。

「おい、ばかちー、起きてるか? 何がむかつくって、てめぇの存在ほどむかつくもんはねぇ。
エロ犬とべったらべったらしやがって、うっとうしいんだよ。てめぇはただでは殺さねぇ。
まずは、この木刀をぶっこんで、エロ犬の雑種が産めない体にしてやるぜ……」

言うが早いか、大河は木刀の切っ先を亜美の陰部に押し当てる。

「ああぁ! 痛い、痛い、やめてぇ!!」

亜美の絶叫とともに、ぶつぶつ、という布地が千切れるような音が聞こえてくる。

「やめろぉ!!」

その時、大河の木刀で、大腿骨をへし折られ身動きがままならないはずの竜児が、
文字通り必死の思いで狂気に駆られている大河にタックルした。

「てめぇ、エロ犬!! 邪魔すんなぁ! こうなったら、てめぇからぶっ殺してやらぁ!!」

大河は背筋を伸ばし、木刀を上段に構え直そうとした。その刹那、SWATの放った弾丸が、
大河の眉間を貫いた。
その後頭部からは、赤ペイントのスプレーのように、血と脳漿が吹き出してくる。

「て、てめえら……」

これぞ、邪悪さの権化と言うべきか。
大河は脳漿をまき散らしながらも、なおも呪詛の言葉を吐き散らし、どう、とばかりに、
うつぶせに倒れ込んだ。
屋上には、その大河の骸を中心にじわじわと血だまりが拡がっていく。

「川嶋、大丈夫か」

「た、高須くん……。あたしは、大丈夫……。高須くんはど、どうなの?」

痣だらけの痛々しい姿ながら、亜美は竜児への気遣いを見せた。
竜児は、そんな亜美を抱きしめながら、

「終わった、悪夢は終わったんだ……」

と、諭すように呟いた。
382名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 20:13:56 ID:PsHXI/pD
>>365
GJ!
お疲れ!今回も楽しませて貰いました
まだ見ぬエンドを期待してます
ノーマルじゃないエンドか…三人以外のエンドか…
383名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 21:44:31 ID:AqC6G64B
>>381
SWATって事はそこはアメリカのハイスクールかい?
384名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 22:30:34 ID:go5UYP/k
手乗りタイラントですね。わかります。
385名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:15:48 ID:aW+aagN1
まとめサイト全然更新しねーな・・・
386名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:37:42 ID:VnCfgjNt
言いだしっぺ(ry
387名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:42:27 ID:TZWK07rY
>>381
GJ!
ここ数日投下する奴二人だけだったんでめっちゃ嬉しいんだぜ
388名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:56:41 ID:mWdpi0JL
>>365
GJ
エロ文なのに綺麗な文章だな。普通にラノベみたいだ。
何気に、選ばれなかったパターンも三人分あるんだね。大河の妹エンドは、そうきたか。と思った。
389名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:09:28 ID:xxII9x9W
>>381 亜美ちゃんENDな時点で最高です!!
390名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:20:23 ID:Qk44jlRm
今から投下します。時系列的には、三年の夏くらいをイメージしてます。
とにかく甘えん坊な竜児を書いてみたかっただけの作品です。
391名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:20:54 ID:Qk44jlRm
居間に座り込み、テレビ画面を真剣な眼差しで見つめながらも、ゲームのコントローラーを持つ手は忙しなく動き続ける。
そんな大河の様子をぼんやり見つめながら、竜児は自分で作ったアイスティーをストローでかき回した。
カラカラと涼しげな音を立てて回るそれはグラスの表面が水滴で覆われ、時間の経過を見て取ることができる。
ゲームに没頭している大河のすぐ横にも同じグラスが置いてあるが、手を付けた様子は無い。アイスティーが飲みたいと散々喚いたくせに、今は待っている間に始めたゲームに夢中。
気紛れという言葉があまりにも似合ってしまう彼女に聞こえないように、竜児は小さく溜息をついた。
 けれど、そんなことはもう慣れたもので。竜児はテーブルの上に放られたインテリア雑誌を手に取ると、無言でパラパラと捲り始めた。
A4程の大きさの誌面には、毎号載っている海外の家具の特集が敷き詰められている。
左手で頬杖をつき、読むというよりはどちらかというと眺めるような眼差しでそれらのページを捲っていく。
 そのまま、また時間がゆったりと流れていった。部屋の中には、窓からの風でなる風鈴の音とテレビゲームの電子音が響いている。
その合間に、たまに雑誌を捲る音が混ざった。
392名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:21:40 ID:Qk44jlRm
次にグラスの中の氷が音を立てた時、竜児は既に雑誌に飽きたのか読み終わったのか、相変わらず頬杖をついたまま再び大河の背中を見つめていた。
おもむろに立ち上がると、そっと彼女の背後に歩み寄る。そして。
「んなっ!?」
 短い悲鳴と共に、大河の上半身が前のめりになる。
後頭部から背中にかけて感じる温もりと重さから状況を瞬時に悟った大河は、テレビ画面から目を離さずに少しだけ姿勢を戻した。
「…… 重いわよ、バカ。さっさとどきなさい」
 自分の背中に寄り掛かっている竜児に呟く。
「お前はゲームやってるだけじゃねぇか。別に邪魔じゃねぇだろ」
 すました顔でそう言うと、竜児は後頭部をうりうりと大河の頭に擦り付けた。それによって視界がぶれてしまい、テレビからは派手な爆発音が響いた。
「あぁぁっ!何すんのよ!このバカ!」
 コントローラーを持つ大河の手が震える。振り返って頭を引っ叩いてやりたいが、背中に竜児が寄り掛かっていてそれが叶わない。
「おう、たかがゲームだろゲーム。明日になって、学校が始まったら半日あえないんだし、今日くらい甘えさせろ」
 な、と言いながら、竜児は大河の後頭部にコツンと頭を合わせた。頭や首や背中から伝わる竜児の体温と、言い聞かせるように落ち着いた声が心地良くて、大河はコントローラーを放り投げると、同じように竜児に体重を預けた。
「・・・めっずらし〜いわね、甘えたがりな竜児なんて。ばかちーやみのりんが見たらびっくりするわよ」
「おまえが俺をほったらかしにするからだろ」
 確かに珍しい竜児の愚痴に、大河は知らず口許が綻んでしまう。普段は仕方無さそうに笑いながら自分のワガママを聞いてくれる竜児が、自分に甘えてくる。
それが、なんだかとてもくすぐったかった。
「・・・氷が溶けてアイスティーが薄くなっちゃった」
 横に置かれたままその存在を忘れられていたグラスを見て、大河が呟く。
「・・・新しく作るか?」
 結局いつもの調子に戻りそう尋ねてくる竜児の言葉に、大河は天井を見上げて首を左右に振った。
「いいわよ、後で」
「?」
 予想外の返答に、竜児が少し驚いているのが空気でわかる。
「意外に楽ちんだから、もう少しこうしててあげるわよ」
「…おう」
 いつもの素直じゃない言葉の端に柔らかさを感じ、竜児は頷くと目を瞑った。
 相変わらず風鈴の音が聞こえる。さわやかな夏の日に部屋の中で、触れ合わせた互いの背中だけが、少しだけ熱かった。

END
393名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:22:17 ID:Qk44jlRm
では、これで終わりです。お目汚しすいませんでした。
394名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:43:03 ID:IUkke3zI
GJ!
やっぱり竜虎だね
395名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:18:13 ID:IzshNCoE
GJ
竜児の可愛さに2828
396名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:46:48 ID:YRuFPjgz
>>391-392
うーん、良い雰囲気だ
職人さんのレベルが高いのが1番の理由だけど
大河と竜児カップルは原作で近い絡みがあるからか、良い作品が多く嬉しいね
397名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:56:10 ID:cC9dhihp
会長が、会長が見たいよー
398名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 02:06:41 ID:ztgGNfPI
相馬 「最近田村見かけないわねー」
399名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 02:08:26 ID:ojPHdIpo
>>391
GJ
竜児が甘える側ってのは珍しくて中々良いな
今回のアニメが兄貴と大河の乱闘で過激だったからこれで少し落ち着いたw

賛否両論かな・・・?
今回のとらドラ
400名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 02:58:49 ID:8dZqO+3b
>>399
否はあんま無いっぽいよ
原作で見なくなってアニメにも出なくなるとみのりん派でも会長の話は見たいな

竜虎以外はねぇムズいよねぇ まぁだからこそ投下されたとき嬉しいんだけど

みんなGJ!
401名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 03:55:05 ID:9+erw7zN
投下いきます。
402本音サミットRー番外編ー:2009/01/22(木) 03:55:41 ID:9+erw7zN
−TELLLLL…ガチャ
「おぅ!私だ。元気してたか?
で、最近の生徒会はどんな感じよ?特に、会長様は。」
「…こうやって、毎晩、電話されて…
元気な訳ないでしょ?寝不足です。
そっちは朝でも、こっちは深夜なんです。
せめて、二回に一回は、こっちに合わせて下さいよ…」
「だっはっは。細かい事、気にすんなよ。義姉弟分(きょうだい)だろ!?
なぁ、それより、早く教えてくれよぉ〜
なあ、頼むよ。」
「実妹が居るのになんで俺に…
はいはい、解りました。
会長は、今日も失恋大明神として活躍してましたよ。
…何か、アシスタントに放送乗っ取られかけてましたけど…」
「…アシスタント?おいッ!?女か?
まさか、あの逢坂大河って野郎か!?」
「…違いますよ。手乗りタイガーさんじゃありません。
女の人っていうのは当たりですけど。
同学年みたいでしたね。今時な感じの明るい子でした。
確か、木原さん。って言ってた様な…
会長と仲良い感じでしたよ。」
「幸太よ…その野郎の写真、寄越せ…
明日、朝一の速達で」
「うわ…嫉妬ですか?勘弁して下さいよ…
そんな事、出来る訳ないでしょ?
初対面の女の人の写真なんて、いきなり撮りに行ったら、即、変態扱いですよ…
だいたい、さくらちゃんに何て言えば良いんですか?
義姐さんが無理言う度、俺がさくらちゃんに言い訳しなきゃならないんだから…
少しは、俺の身にもなって下さいよ。」
「良いじゃねぇか…どうせ元々、不幸体質……
なぁ、頼むよ…じゃあ、アレだ。また、さくらの写真やるから。
おねえちゃん手帳、第六十七巻−さくらと温泉旅行−に収録されてる、さくらの浴衣姿の写真。
うちは、温泉旅行なんて一回しか行ってねぇから、貴重な一枚だぞ?それで、どうだ?」
「…う、解りましたよ。
何とか、手に入れて、そっちに送りますよ。」
「おう。いつも、すまんな。」
「けどね、義姐さん…
そうやって、会長と親しい女の子チェックしたって…キリないですよ?
今の会長…何か光輝いてますし…
こんな事なら、とりあえず、キープしとけば良かったんじゃないですか?」
「う、うるせぇな…
私だって、こんなハズじゃなかったんだよ…」
「まったく…それならそれで、本人に直接、電話なりなんなりすればいいのに…
変なところで乙女なんだから…」
403本音サミットRー番外編ー:2009/01/22(木) 03:56:05 ID:9+erw7zN
「−ッバカ言えッ!そ、そんな事、出来るかッ!!
あんだけ、大騒ぎして…格好付けて、こっちに来たんだぞ?
今更、そんな…それにあの野郎も、今のこんな私を見たら、さぞかし失望するだろうよ。」
「はぁ…義姐さんは、元々そんな感じだったと思いますけど…
学業の方は順調なんでしょ?
だったら、余暇に恋したって良いじゃないですか…
遠距離恋愛も良いと思いますけどね…俺は、御免ですが。」
「お前…」
「俺は、1日に1度はさくらちゃんの顔見ないと、死んじゃいますんで…
今日はもう遅いんで、明日してみたらどうです?
会長の電話番号なら以前と同じままです。
案外、会長も義姐さんからの電話待ってるんじゃないですか?」
「そう…かな?」
「そうですよ。
俺は義姐さんに感謝しています。
義姐さんが背中を押してくれたから、俺はさくらちゃんと恋人になれた。
今度は俺が、義姐さんの背中を押します。」
「幸太…」
「そういう訳だから、頑張って下さい。
というか、明日、さくらちゃんとデートだから早く寝たいんです。
こないだも、義姐さんの長電話のせいで、デートに遅刻しちゃって、さくらちゃん怒らせちゃったんだから…
もう、大変だったんですよ?
そういう訳ですから…おやすみなさい。」
ガチャッ!ツーツー…
「………」

−翌日−

TELLLL…ガチャッ
「はい、北村です…」
「お、おう。俺だ。
覚えてるか?最近、調子はどうだ?元気か?」
「…!?その声は…ま、まさか、会長!?な、ななな何で!?」
「バカ…会長は、オメーだろ?先輩と呼べ…先輩と。」
「は、はい。失礼しました。
…先輩は、今アメリカに居る…んですよね?」
「ああ、居るよ。国際電話だ。
というか、何だよお前。随分、他人行儀じゃねぇか…」
「いや、突然だったので、気が動転してしまって…
そうですか…先輩はお変わりありませんか?」
「聞いてるのは、こっちだっつのに…
質問に質問で返すな。バカ。
ああ、こっちは元気でやってるよ…
学業の方も順調…問題無い。無事に宇宙へ旅立てそうだ。」
「…そうですか。なによりです。
先輩に言うのも何ですが…頑張って下さい。
地上から、応援しています。」
「ありがとう。
それで…だな…今年の正月は日本に帰るから…
その、会って話さねぇか?お互い、積もる話もあんだろ?」
404本音サミットRー番外編ー:2009/01/22(木) 03:57:26 ID:9+erw7zN
「えッ!?…勿論、良いですよ。
ランチの美味しい店、検索しておきます。」
「ああ、頼んだ。
それじゃ、またな」
「はい。それじゃ、また今度。」


TELLLL…ガチャッ
「はいはい。…もう、何ですか?今、良いトコなのに…
……はいはい……デートに誘えた?
え…まさか、その報告だけ?
あのね…義姐さんも、もう子供じゃないんだから…
それで…俺達もデートしろ?
ちょっと…デート位2人でやって下さいよッ
え?恥ずかしい?…
義弟にこんな電話してる時点で、もう充分、恥ずかしいわッ!!
アンタ、もう良い大人でしょ!?大学生でしょ!?
は?飛び級だから、まだ、子供?
ったく…今度だけですからね。」
405名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 03:58:17 ID:9+erw7zN
終了です。

アニメ…良かったなぁ…
という訳なので、予定を変更して急遽、書いてみました。
宜しくどうぞ。
406名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 04:15:55 ID:8dZqO+3b
>>405
GJ!
早ぇ 会長柄にもなくデレデレw
俺だ―はまたオレオレ詐欺かとw
会長と北村の再会は原作でもいつか書いてほしいところ

寂しいところありがとう!
407名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:46:38 ID:+Yi26DCB
普段竜虎ばっか書いてたので、あーみんSS書きたくて練習がてら書いてみた。
虎肥ゆる〜の一場面の妄想です。
タイトルは『金曜の夜』です。
408名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:47:23 ID:+Yi26DCB
金曜の夜、時刻は八時。
下心丸出しのモデルの男共の誘いをやんわりと断り、
川嶋亜美は自室でゆっくりと連休前のひと時を過ごしていた。
ベッドの上で寝転び、だらしなく雑誌を読むその姿は、
クラスメイトたちが知る普段の亜美からは想像もつかないものだろう。
明日は勉強も仕事も忘れ、奈々子と買い物に行くことになっている。
読みかけの雑誌を放り投げ、「…んっ」と一伸びした、その時だった。

〜♪〜♪♪

ケータイが着信を告げる。
静寂を破るその音の方向に手を伸ばし、亜美はめんどくさそうに画面を見る。
画面に出ている、発信相手の名前は……、
「高須…くん!?」
ケータイを落としそうになり、慌てて掴みなおす。
だらしのない自身の姿を見られていたような気がして、左右をキョロキョロ。
亜美は身体を起こして座りなおした。
「なんで?どうして?」
呟くも答えは浮かばず、ただ着信音だけが続く。
亜美はなぜだか固まっている指に気づき、一呼吸の後に電話に出た。

「……え、もしもし?なぁに急に、超びっくり。どしたの?」
平静を装い、剥がれそうな仮面を必死に貼り付ける。
震える声に気づかれてないだろうか、亜美の不安は、
当然のことながら鈍感相手には杞憂だった。
「おう、いきなり悪い。その……ちょっと、頼みごとが、あって。」
竜児はそんな亜美の動揺にはまったく気づかず、
ただ、電話をかけはしたがその頼みごとをはたして聞いてくれるものか自信がなく、口ごもった。

そんな竜児の様子にただならぬものを感じる亜美。
え、これってひょっとして……、
亜美が息を飲むのとほぼ同時、竜児が口を開いた。
「あー、その……明日、なんだけど……お前、ヒマか?」
「え?」
「こんな時間に、急で悪いんだが……、明日ヒマならちょっと付き合って、もらいたいんだが……。」
え?え?ええええええええ!!!!
409名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:47:57 ID:+Yi26DCB



高鳴る心臓の鼓動。
亜美は悟られまいと平静を装うとするが、うまく声がでない。
「え……あ……その………」
電話のディスプレイに竜児の名前を見たとき、最初に頭に浮かんで最初に消した竜児の用事の予想。
まさか、ホントに誘われるなんて思ってなかった。
「やっぱ忙しいか?」
「ん、い、忙しくない!……明日はぁ、たまたまヒマで………」
奈々子ごめん。
亜美は心の中で友人に謝罪。

そんな亜美の内心にちっとも気づかず竜児は、
「ヒマなのか、最近仕事少ないんだな。」
デリカシーの欠片もない一言。
「あるっつーの!めっちゃ忙しいっての!
 ホントにたまたま……、そんなことより!
 明日、明日ヒマなら……、なんだっていうのよ?」
まさか、デートだなんて、亜美は熱くなる頬を自覚する。
しかし帰ってきた返事はそんなロマンチックなものではなかった。
「あー、ちょっとジムに連れていってもらいたいんだ。」
「ジムって、スポーツジムに?なんで?」
亜美の問いに、竜児は力強く答える。
「おう、お前言ってたろ、ジム通ってるって。
 だから助けてくれよ、このままじゃ大河がどんどん太っちまう。」
410名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:48:28 ID:+Yi26DCB



高鳴る心臓の鼓動。
亜美は悟られまいと平静を装うとするが、うまく声がでない。
「え……あ……その………」
電話のディスプレイに竜児の名前を見たとき、最初に頭に浮かんで最初に消した竜児の用事の予想。
まさか、ホントに誘われるなんて思ってなかった。
「やっぱ忙しいか?」
「ん、い、忙しくない!……明日はぁ、たまたまヒマで………」
奈々子ごめん。
亜美は心の中で友人に謝罪。

そんな亜美の内心にちっとも気づかず竜児は、
「ヒマなのか、最近仕事少ないんだな。」
デリカシーの欠片もない一言。
「あるっつーの!めっちゃ忙しいっての!
 ホントにたまたま……、そんなことより!
 明日、明日ヒマなら……、なんだっていうのよ?」
まさか、デートだなんて、亜美は熱くなる頬を自覚する。
しかし帰ってきた返事はそんなロマンチックなものではなかった。
「あー、ちょっとジムに連れていってもらいたいんだ。」
「ジムって、スポーツジムに?なんで?」
亜美の問いに、竜児は力強く答える。
「おう、お前言ってたろ、ジム通ってるって。
 だから助けてくれよ、このままじゃ大河がどんどん太っちまう。」
411名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:50:24 ID:+Yi26DCB
おう、ミスった
連投しちまったスマソ
412名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:50:55 ID:+Yi26DCB



「は?タイガー?太る?」
思わず飛び出る間の抜けた声。
今、この男はなんと言ったのだ?
「だから、ダイエットのために大河をお前が通ってるっていうジムに連れて行ってやってくれよ。
 お前しか頼れるやつがいないんだ。」
「………。」
頬から熱が急速に冷めていく。
動揺した自分がバカだった。
亜美の無言の間に耐えられず、竜児が問う。
「……川嶋?ダメか?」
はぁ、亜美は肺から空気を絞り出した。
まったく、この男は、わざとやってるんじゃないだろうか、亜美は思った。
「……それって、高須くんも一緒にってこと〜?」
「お、おう。お前ら二人じゃ心配だし。」
「なによそれ…。わかったよ。連れてってあげる。」
「す、すまねえ、恩に着る。」

そもそも、この鈍感男に自分を誘うような器用なことできるわけがないのだ。
冷静に考えればそんなことあるわけがないのだ。
でも、ひょっとしたらと、期待してたのだ。
「ったく、この借りは高いよ。どうやって返してもらおうかな〜。」
「い、言っとくが金はないぞ。」
「そんなの期待してねえっつーの。じゃあ明日10時に、旅行の時と同じ待ち合わせ場所でいいよね?」
「おう、川嶋、ありがとうな。」
「ふん、亜美ちゃんの優しさに心酔してよね。それじゃあね。」
413名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 07:52:37 ID:+Yi26DCB



おう、また明日、という竜児の言葉を聞いて電話を切り、
亜美は一息ついてベッドに倒れこんだ。
「……なにこれ、マジありえなくない?」
結局タイガーかよ、焦って損したじゃん……。
亜美は呟きながらケータイを操作する。
とりあえず、電話しなきゃ……。
「……あ、もしもし奈々子?ごめ〜ん、明日なんだけど、ちょっと急用ができちゃって……」

残念がる奈々子に詫びて電話終了、身体を持ち上げる。
「チビ虎が一匹付いてるけど、高須くんと休日に会えるのは事実なわけだし〜。」
頭を切り替え、クローゼットを開く。
とりあえず明日着る服を選ぼう。
せっかくだから気合入れてオシャレしよう。
そして亜美は仮面を外し、素のままの、年相応の少女の笑顔を浮かべるのだった。



End
414名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 08:08:55 ID:EpXKubjs
>>407-413
GJ!
某かんなぎのつぐみみたいなあ〜みんの役回りに泣いた
というかジム行くのに新宿駅まで出ないといかん田舎っぷりに笑った
415名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 09:25:56 ID:iBTCXCMK
>>414
小説 を基にしているのなら、竜児、大河、宅から徒歩約15分の駅なんだけどね?
漫画動画 ならJP新宿駅だけどね。
416名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 10:18:41 ID:iBTCXCMK
今日、関東地域、近畿地域、愛知県、などでテレビで放映された
「生徒会選挙」までの間を小説から追いかけると
亜美が通っているエステは、竜児、大河の住んでいる街の私鉄駅から各駅停車で3駅目。
この私鉄はSuiCaで乗れる。
片側3人の向かい合わせ席が取れる自由席の特急があり、大河、竜児の住んでる街の駅に停車する。
亜美別荘近辺は太平洋沿い。

って訳で、名古屋鉄道だとか、京浜急行電鉄だとか、なんかその辺りみたいですね。
一瞬、小田急電鉄の町田駅や大和駅、本厚木駅辺り、または京成電鉄だとかと思ったりしたのですが、特急は指定席なので違いますね。

実は、3人がけ席で6人向かい合わせの出来る、自由席特急は、JR新幹線だけなのですけどね。
417名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 10:57:04 ID:KFE4kyVX
鉄め・・・
418名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 11:19:46 ID:ZvySCre/
鉄、ではないの。
新宿 に反応、したの。

とはいえ、聖地がどこだかは気に、なるの。
419名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 11:28:54 ID:ZvySCre/
ロボ板の新スレに幼児ロボが立った。

需要有るのかな?
成長しないのに。

学生くらいから熟年くらいが、扱いやすいと思う。

皆さんはドウデスカ!?
420名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 11:34:54 ID:ZvySCre/
ごめんなさい なの
誤爆 したの。

鬱 なの。
逢坂に木刀で殴られたらすっきりするかな? なの
421名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 11:54:27 ID:QBLXOyCK
>>418
聖地の特定なんて不毛なだけだぞ


―――小説では、街や高校の設定はあまり明記されていませんよね。
アニメでは、そういう設定まわりはどうなっているのでしょうか?

竹宮:『とらドラ!』の舞台って、自分が住んでいた街や通っていた学校をモデルに、
いろいろとつぎはぎしたものでして……。監督さんに、具体的な設定は?って聞かれても、
「いやー。詳しくは……(汗)」みたいな会話が結構ありました(笑)。

岡田:竜児や大河のマンションの間取りとかもそうでしたね。

竹宮:簡単な設定とかイメージはあるんですけど……。
町並みはこんな感じとか部屋の広さはだいたいこのくらいとか、そういう感じのもので、
整合性よりもイメージ優先で書いていました。

岡田:そのあたりをスタッフと話し込んでいましたよね。

竹宮:「どこの町?」「名前なんていうの?」「その川なに?」「何LDK?」みたいな。
「わ、わかりませぇ〜ん(涙)」って……。

岡田:じつは、そういうタイミングになるまで高校の名前とかも決まっていなかったそうなんですよ。
先生に、「高校の名前はなんですか?」って聞くと、「お、大橋で……」それでよろしくお願いしますって(笑)。

竹宮:そうなんです……。今まで街の名前も、高校の名前も決めていなくて……(汗)。
打ち合わせ中に、スタッフの方から「じゃあ、今すぐ考えてください!」って言われました。


―――コーヒーショップでスドバというのがありましたが……。

竹宮:スドバだけは最初からありました!どうでもいいところですが!ちなみに、
街の名前などは決めましたが、「じゃあ日本のドコにあるのか」と聞かれると、
「ココです!」というのは決めていなくて……。
なんとなく都内じゃなさそうな気配はするんですよね。

電撃文庫MAGAZINE11月号増刊とらドラ!VS禁書目録
対談:竹宮ゆゆこ・岡田麿里より抜粋
422名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 13:52:18 ID:J8mQZplT
てか小説では竜児の部屋にベッドがあるような描写あるけど
アニメでは思いっきり布団で寝てるよね
423名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 14:42:50 ID:P5UmCyHA
まあ、あの家にベッドは絵面的に合わないからじゃあないかしら
424名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 14:43:59 ID:tF6HDLlu
>>407-413
ジムに行って、まるでハリウッド御用達のフィットネス・プログラムに出てくるみたいな
ボディラインばっちりの亜美ちゃんの出で立ちに思わず勃起してしまう竜児
ズボンの上からはっきりとわかるほどのその昂ぶりを見て興奮を隠し切れない亜美
むせるような更衣室で二人は荒々しくお互いの肉体をむさぼりあうのであった
425名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 16:34:52 ID:cC9dhihp
>>402
会長GJ!!!!

これからも会長SSが増えることをいのる
426名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 18:48:14 ID:1Xrt7/+4
>>424
でも九巻の亜美ちゃん、オパーイが少し垂れぎみだたきがする…
427名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 19:32:03 ID:vsZWkMhg
>>426
亜美ちゃんおっぱい垂れてなんかないわよ何言ってんの!
428SL66:2009/01/22(木) 22:05:20 ID:OE9XxlDi
宜しければ、
2時間後の午前零時に、「横浜紀行 後編」(89kB)を投下する予定です。
全30レスの予定です。お待ちください。
429名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:07:13 ID:9+L4LkrZ
>>428
待ってました!
お待ちしております
430名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:29:51 ID:jrrZO6vH
全裸で正座して待ってるぜ
431名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:49:19 ID:+Yi26DCB
別にもったいぶらないで今すぐ投下してもいいのに
432名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:09:55 ID:RD63oY1j
わざわざ予告する理由がわからん
433名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:13:13 ID:vsZWkMhg
わくわくしてきた
434名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:16:00 ID:+WG0gCKy
長いからリロしそこね割り込みとかが有り得ると踏んで予防線張ったんだろ。
というか投下予告くらい長編には普通だろ。何カリカリしてるんだか
435名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:22:00 ID:o5XsMlig
>>405
なんつーか、幸太は会長の天敵だな。GJ!!
しかし、義姐ってさくらとのゴールイン前提かw

>>407
GJ!!
スピンオフの亜美サイドか。
しかし、亜美は報われないなぁ……
436名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:25:27 ID:o5XsMlig
>>432
何時頃から投下、とか○分後に投下とかの前言は創作系のスレなら常識だと思うけど。
437名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:26:49 ID:o5XsMlig
>>436
うお?タイプミス。
×前言
○宣言
438名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:31:07 ID:ZUzBOqZn
お前らそんなにカリカリすんなよ
新参職人さんがちょっと間違えただけじゃないか

>>431
気にすんな。最初は誰だって素人
暗黙のルールとかはこれから覚えていけばいいのさ
いい作品書けるんだからこれからも頑張ってくれ
439名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:38:42 ID:0IEye1ym
更新しない糞管理人死ね
440SL66:2009/01/22(木) 23:59:57 ID:OE9XxlDi
大変、お待たせ致しました。
横浜紀行 後編 全38レスで、お届け致します。
なお、午前零時から投下を開始することに深い意味はありません。
ちょっと、昆布と、鰹節で一番出汁を、とっていたからです。
では、投下を開始致します。
441名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 00:00:36 ID:1/AjiYgg
まとめはwikiの方がよかったのか?
442横浜紀行 後編 1/38 by SL66:2009/01/23(金) 00:00:49 ID:OE9XxlDi
「博物館に喫茶室が併設されていて助かったな…」

竜児は、飲みさしのエスプレッソのカップをソーサーに置いた。
コーヒーの味わいはまずまず、と言うよりも、下手な喫茶店よりも上質なのではないかと思われた。
ロココ調の家具を意識したのか、有機的な曲線で構成されたフレームへ花模様をあしらったファブリックが張られた
座席に、傍目には唐草模様を連想させる曲線で構成されている脚部を持ったテーブルを挟んで、竜児と亜美は差し
向かいに座っていた。
ランプなどの調度品は、アール・ヌーヴォーを意識したものらしく、伸びやかな曲線で構成されたフォルムに、紫や緑
の中間色でレリーフ状の花模様が彩色されている。
部屋の明かりはハロゲンランプらしく、そのセピアを思わせる暖かな光が、ロココ調やアール・ヌーヴォーな調度品と
相まって、ノスタルジックな雰囲気を醸し出していた。

大粒の激しい雨がステンドグラスになっている窓を洗い、突風が窓枠をガタガタと揺らした。
博物館の建物は防音がしっかりしているので、さほどのようには感じられなかったが、実際には、傘を差すのもまま
ならないほどの風雨に違いない。

「天気予報では、夕方から天気は下り坂って言っていたけど、天気の崩れがちょっと早過ぎ。それも、ここまでひどい
なんて…」

「今どきに、こんなに激しいにわか雨は珍しいな。上空に冷たい空気が流れ込んで、大気の状態が不安定になって
んだろう」

「傘はないし、あったとしても今の状態じゃ役に立たないだろうし、もう散々ね…」

亜美は、カフェラテを一口すすり、そのカップをソーサーに戻す際に、口唇が当たっていた箇所をナプキンで拭った。
ほんのわずかだが、グロスがカップの縁に付いていたらしい。

「いよいよとなったら、タクシーだな」

竜児は、「そうね…」と、相槌を打つ亜美をじっと見て切り出した。

「それはそうと、川嶋、よかったら、そろそろお前が言っている『異分子』とやらについて、説明してくれねぇだろうか。
幸か不幸か、俺たちはこの悪天候で、ここに雪隠詰めだ。お前の長話を聞く時間は十分にある」

差し向かいで座っていた竜児が、身を乗り出すように迫ってきたことに気圧されのか、一瞬、亜美は「えっ…」と絶句した。

「そうね、これからあたしが話すことは、聞いててあんまり気持ちのいい話じゃないけれど、それでも話して構わない
かしら…」

喫茶室の客は竜児と亜美の二人だけだった。
博物館の館内には、未だ何人かの見学者が居るようだったが、他の多くは突然の悪天候に横浜を観光する意欲
そのものを削がれたのか、博物館から電話でタクシーを呼んで次々に帰ってしまった。
したがって、適度に薄暗いセピア色の照明で彩られた喫茶室は、貸切状態同然。鬱な話も、気が滅入る話も、
場合によってはグロな話も、何でもありだ。

「元より、お前の話を聞くつもりで、この博物館に雨宿りもかねて逃げ込んだんだ。どうしても話すのが辛いって言う
のなら、その限りじゃないが、話を振られた俺にも聞く権利ってもんがある。
よかったら、順を追って説明してくれねぇか」
443横浜紀行 後編 2/38:2009/01/23(金) 00:01:49 ID:OE9XxlDi
亜美は、つん、と顎を持ち上げ気味で瞑目したまま、ふぅ〜っ、と肩の力を抜くように嘆息した。
眉間には、亜美が考え事をするときに現れる、小じわが刻まれている。記憶を手繰り寄せようとしているのか、
あるいは竜児に話すべき内容とそうでないものとを峻別しているのかもしれなかった。

「そうねぇ…、何から話そうかしら…」

「川嶋、ゆっくりでいいから、落ち着いて話してくれ」

その一言で、亜美も話すべき事柄がまとまったのか、眉間の小じわを和らげて、うっすらと目を開けた。

「そう…、高須くんは、高二のクリスマスのことを覚えているかしら? ほら、二人して、豆電球のケーブルに小さな
ベルを結びつける細工をしていたでしょ?」

「ああ…」

竜児も思い出した、あの時は、最初に手がけていた亜美の処置が正直不味く、結局、竜児が手助けしてやる羽目に
なったのだ。

「あたしがテグスでベルをうまく結べなくて困っていたところを、高須くんに助けてもらった、あの一件のこと…。
あの時に、最後の方であたしが言ったことを憶えているかしら?」

今度は、竜児が記憶の糸を手繰り寄せる。だが、亜美があれだけ過敏に反応する『異分子』なる文言について、
明確な記憶は思い当たらなかった。

「すまねぇ、川嶋、あの時は、いろいろあったからなぁ…。お前に、『幼稚なおままごと』って詰られた記憶ばかりが
鮮明で…、どうにも肝心な部分が思い出せねぇ…。恥ずかしいが、川嶋の相方失格だな」

亜美は、目をつぶったまま小作りな頭を左右に振り、「いいんだよ…」と、呟いた。

「あの時、あたしは、あんたに弱音を吐いたんだよ…。でも、それを、あんたに聞き届けられることが急にイヤに
なって、『今言ったこと、全部忘れて』って、あんたに念押ししたんだから、高須くんが憶えていないのは、
仕方ないこと…」

「弱音? 川嶋は、そんなことを言っていたか?」

「弱音っていうか、あたしの願望丸出しの恥ずかしい台詞。正直、高須くんには覚えていて欲しくないような一言…」

竜児は、再度、記憶の糸を手繰り寄せる。それは、あのベルを結びつけたテグスのように、細くて儚い、不確かなもの。
不意に脳裏に閃くのは、体育館で竜児と一緒にマットに座って、ベルを結び付ける作業をしていた制服姿の亜美の
姿と、竜児を食い入るように見つめていた大きな瞳。
そして、『今言ったこと、全部忘れて』と、亜美が無理に笑顔を装いながら否定した、あの言葉。

はっ、として目を見開いた竜児を認めた亜美は、竜児があの時の亜美の言葉を思い出したことを確信したのか、
頷くように微かに顎を動かした。

「そう、あの時、あたしは、高須くんに、『あたしのことも一から入れてよ、出来上がった関係の途中から現れた異分子
じゃなくて、スタートのそのときから、あたしも頭数に入れて』って、これはもう、お願いっていうか、ほとんど弱音だね…」

亜美は、うつむいて、ふふっ…、という笑いとも嘆息ともつかない、かすかな吐息を漏らす。それは自己嫌悪と自嘲の
444横浜紀行 後編 3/38:2009/01/23(金) 00:02:35 ID:OE9XxlDi
発露なのか…。

「あの時は、ママ役の実乃梨ちゃんがいて、子供役のタイガーがいて、そしてパパ役の高須くんがいて、この三人の
関係がすごくがっちりしているように思えて、一学期途中から転校してきたあたしには、もう割り込む余地なんか全然
なくて…。で、高須くんは、ママ役の実乃梨ちゃんばっかり意識して、あたしのことなんか、あたしが真剣に高須くんの
ことを思っていることに、高須くんは全然気付いてくれなくて、でも、高須くんは、時々、気まぐれみたいに、
そんなあたしにもやさしくしてくれて…」

亜美は、両手を膝の上に組み、背中を丸めてうつむいた。

「そのやさしさって、実は、すごく残酷なんだよ…」

消え入るような声ではあったが、それは、いばらの刺のように、竜児の心に突き刺さる。
脳裏には、あの時の亜美の静かな眼差しが浮かぶ。少し冷たくて、どこまでも透き通るような瞳は、竜児の心を必死
に見透かそうとするものであると同時に、竜児に、求め、訴える姿ではなかったか。
そういえば、『スタートのそのときから、あたしも頭数に入れて』の後に、亜美は何と言っていたか?

『そうしたらあたしのこともっと…あたしも、…あたし、は、』

意味上の主語・述語の関係も定かでない、その場限りの感情の吐露。だからこそ、その言葉には、焼けつくような
亜美の焦燥感が顕わになっていたのではないか。

「高須くんが、時々、あたしに示してくれたやさしさは、明らかに実乃梨ちゃんたちへのものとは違っていて…、
そうした時は、いつも思い知らされたんだ。あたしは、途中から割り込んできた『異分子』なんだって…」

亜美の語り口は淡々として、表面上はあくまでも冷静だった。その感情を顕わにしない口調と、婉曲な物言いが、
かえって竜児の心を責め苛む。いっそ、亜美に対してぞんざいだったことを、面と向かって罵ってくれた方が、
どれだけ気楽だろうか。

「すまねぇ、川嶋。あの頃の俺は、櫛枝や大河のことばかりに気をとられていて、お前が俺に好意を寄せていることに
ついて、恥ずかしいほど鈍感だった。結果、無自覚にお前のことを苦しめていたんだな…。最低だ、俺って…」

「高須くんが、謝ることじゃないよ。あたしたちの出会いは、そんなに格好いいもんじゃなかったからね…。あんたは、
あたしの真っ黒な本性を早々に見破っていたし、あたしは、あんたのことをヘボいヤンキーと誤解していたし…。
その後、あたしはすぐに、あんたのことを見直したけど、あたしの素直じゃないところを知っている高須くんにしてみれば、
いくらあたしが真剣に告白したって、信じろ、という方が無理なんだよね…」

亜美は丸めていた背筋を心持ち伸ばして、「だから、これは、あたしの責任…」と、呟きながら、面を上げた。
頬は白磁のように白く、瞳は、あのクリスマスの飾り付けをしていた時と同じように、冷たくて静謐だ。

「だが、過去においては、そうだったかも知れねぇが、今、俺たちは、ここにこうして一緒に居る。それでいいじゃねぇか」

‐結果オーライでは、ダメなのか? 今という現実に満足し、それを享受すればいい、という割り切りはできないのか?
それとも、この件では未だに俺を赦せないのか? 
竜児は、未だ過去に拘束されているかのような亜美の心情を正直なところ計り兼ねた。

「うん、そうね…。本当に、今こうして、高須くんと一緒なのは、ほとんど奇跡に近いんじゃないかしら。言いにくいこと
だけど、実乃梨ちゃんが、あんたのことを袖にして、タイガーが親に引き取られていったりして、そして、あたしは高須
くんと同じ大学に合格した。諸々の要素は、偶然に彩られた不確かなものばかりで、本当に、今、二人がこうして居ら
445横浜紀行 後編 4/38 :2009/01/23(金) 00:04:53 ID:BObJ80FD
れる方が、不思議なくらい…」

「はっきり言って子供のような大河はともかく、櫛枝の代わりに、俺がお前を選んだと思っているんなら、
そいつはすまねぇと思う。全ては、俺が優柔不断だったからダメだったんだ」

竜児は、素直に詫びた。『そんなことはない』と、口先だけの否定をしても、洞察力に優れた亜美には通用しない。
だったら、正直に認めた方がはるかにいい。

「高須くんが優柔不断なのは確かだけど、結局は、後からのこのこやって来たあたしに方に問題があるのさ。だって、
実乃梨ちゃんもあんたのことを本心では好きだったんだから、本当だったら、あたしにお鉢がめぐってくることなんか
なかったはずなんだよね…。あの時は、本当にいろいろな事があって、結局、何だかよく分からないまま、
棚ぼた的に、今、こうしてあたしは高須くんと居る…。脆い偶然の連鎖の結果、まぁ、奇跡みたいなもんだよね…」

絶望的な状況から、事態が劇的に好転したような場合、人はそれを奇跡と呼ぶ。
しかし、その奇跡は、一歩間違えば全てが無に帰すような、脆い偶然の連鎖に裏打ちされている。だから、人は今が
あるという現実とは別に、過去における危うかった状況や、そのおぞましさに慄然とするのだ。
亜美は、過去に怯えているのかもしれない。『異分子』であったにもかかわらず、棚ぼた的に願望を叶えてしまった
という引け目が、その棚ぼた的な危うさが、亜美の心を脅かしているのだろう。そこには、ある種の罪悪感が含まれ
ているのかもしれない。

「奇跡じゃねぇよ。ここに、こうして俺たちが居るのは…。そりゃ、櫛枝や大河のことは、お前にしてみりゃ、偶然に裏
打ちされた不可抗力みたいなもんかもしれねぇが、お前だって、受験勉強を頑張ったじゃねぇか。その結果、お前は
俺と同じ大学に合格して、俺と一緒になっている。三年になってからの成績の伸びを見て、独身が驚いていたぞ。望
ましい結果を得るために、お前は必死で努力した。だから、今の状況は、奇跡でも偶然でも何でもねぇ。必然なんだ」

受験のみを引き合いにして必然を説いても、今の亜美に対して説得力はないだろう。それは、竜児が百も承知だった。
だが、何かを言わないと、息苦しくてしかたがない。
亜美は、そんな竜児を、静謐な瞳で物憂げに一瞥する。

「高須くんって、そういう考え方ができるところ、すごいよね。これは、今のあたしが言うと皮肉に聞こえちゃうかもしれ
ないけど、本心で言ってるつもり。高須くんは、自分はもちろん、他者と共有しているような過去の苦しいこと、辛いこ
と、それまでをすべて飲み込んで、今という結果を前向きに解釈できちゃう。ほとんどの人は、辛いことや苦しい記憶
は忘れることで解消しようとする。でも、高須くんは、過去から逃げないんだ…」

「そんなことはねぇ。俺だって無力で儚い存在だ。本心は、つらい過去の記憶はきれいさっぱり消去してしまいたい。
だけど、人の記憶ってのは、コンピュータのデータみたいに簡単に消去できねぇんだ。だったら、イヤでも過去を飲み
込んで、今という現実に対処するしかねぇ」

竜児なりに一応の気遣いのつもりだったが、ふさぎこんでいる亜美にはむしろ逆効果であったかもしれない。

「高須くんは、いつだって正論を振りかざすんだよね。そして、高須くん自身も、その正論通りの言動をする。
でも、あたしは、ダメだよう。高須くんみたいにはなれない。今回みたいなことがきっかけで、イヤな思い出が次々と
蘇ってきちゃう…。高須くんが知っての通り、あたしは腹の中が真っ黒な醜い子。その心の醜さで、多くの人を欺いて
きた。今は、その罰を受けつつあるのかもしれない…」

『その罰』とは、実乃梨や大河への罪悪感か。その罪悪感に起因する自己嫌悪と悔恨で、亜美の心はがんじがらめになっているかのようだ。

「何だか、話が支離滅裂なんだが。お前の言う『異分子』とやらの説明はどうなったんだよ? 
446横浜紀行 後編 5/38 :2009/01/23(金) 00:06:01 ID:BObJ80FD
例えば、お前が外人墓地を見て感じた『異分子』と、中華街で感じた『異分子』とは、意味合いが違うんじゃねぇか?」

竜児は、亜美の独白めいた発言を打ち切るようにして対話を軌道修正することにした。
亜美の本心を知る機会を無為にし、亜美の本当の悩みが解決できなくなるおそれはあったが、これ以上、自己嫌悪
のくびきに亜美が拘束されたままでいるよりはマシだろう。

「そ、そうだった…。そうね…」

亜美は、思い出したように、はっとした。竜児の指摘に気付き、論点を、『異分子』の意味するところに戻すつもりの
ようだ。
しばしの沈黙後、亜美は語り出した。

「中華街での一件は、単に『よそ者』というイメージでしかないんだけれど…、あたしにとって身につまされたのは、
外人墓地の方。不遜な言い方を許してもらえれば、明治時代での最先端の知恵や技術や学問を携えて日本にやっ
て来た『お雇い外国人』と、現役高校生モデルとして大橋高校に転校してきたあたしとが、オーバーラップしちゃった
んだよね…」

「ああ…、転校生として現れた川嶋は輝いていたよな。現役モデルって言う、並の高校生には無縁な属性を背負って
たんだからな」

亜美は、竜児の言葉に対して、「ふっ…」と、皮肉っぽい笑みを浮かべた。

「肝心の高須くんには、全然、効き目がなかったけどね…」

それは、ファミレスでの大河との一件を北村と観察して、転校生として大橋高校に亜美が現れる前に、亜美の本性を
把握していたから…、というのを竜児は言いかけたが、自重した。このことは、今はまだ伏せておいた方がよさそうな
気がしたからだ。

「あたしと、歴史に名を残した『お雇い外国人』とじゃ、全然スケールが違うけど、一般人にはない属性っていう点だけ
は共通するかも…。で、いやらしい話なんだけど、あたしは、その現役モデルっていう属性を利用して、人気者として
大橋高校に君臨しようとした。表面上は、それはうまくいったような気がする。でも、結局は、他者との相違点を強調
すればするほど、『異分子』として浮き上がっちゃうのね…」

「そうかもしれないな…」

亜美の言う通りなのだろう。
自己が特別な存在であることを誇示すればするほど、周囲からは浮き上がってしまう。
だが、ここで亜美が言っている『異分子』と、冒頭で述べたクリスマスパーティーの準備で亜美が言った『異分子』とが、
どう関連するのかが、未だ分からない。

「なぁ、川嶋、話の初っ端で、お前はたしか、クリスマスパーティーの準備で『スタートのそのときから、あたしも頭数に
入れて』と、言っていなかったか? スタート時点云々であれば、本人の属性は二の次で、当事者であった川嶋に
機会が均等に与えられていなかったというだけの問題に還元されるよな?」

「機会均等? そうね、最初からあたしもみんなと一緒ならば、あるいは…」

「であれば、『お雇い外国人』を引き合いに出して、モデルという属性故に疎外感を味わったというのは、
ちょっと違うんじゃねぇか?」
447横浜紀行 後編 6/38:2009/01/23(金) 00:06:38 ID:BObJ80FD
亜美の言う、他者との相違点を強調した結果の『異分子』と、クリスマスパーティーの準備で亜美が言った『異分子』
とを一括して把握するには、何か別の要素が必要であるような気が竜児はしてきた。
そして、その要素を亜美は未だ明らかにはしていない。

「そ、それは…。そう、なのかな…?」

口ごもり、うつむいた亜美の姿から、竜児は、彼女が何かを隠していることを確信した。おそらくは、亜美にとって話し
にくい事柄なのだろう。

「なぁ、川嶋。お前が『異分子』であったことを今でも苛むことになった原因は、本当のところ、大橋高校とは別のところ
にもあるんじゃねぇか?」

竜児は、できるだけやさしい口調で、亜美に畳み掛けるように問い掛けた。
亜美は、背を丸め両手を組んで、暫くうつむいていたが、その姿勢のままおもむろに顔だけを上げた。

「うん、実は、そう…」

「やっぱり、他にも何かあったんだな?」

亜美は、顎を引くようにして軽く頷いた。

「これは、祐作や麻耶、奈々子はもちろん、高須くんにも内緒にしておきたかったんだけど、高二の三学期のゴタゴタ、
あれですっかり大橋高校がイヤになって、東京の高校に戻ろうかと思っていたんだ…」

「いや、それだったら、俺はお前から直に聞かされたし、みんなも勘づいていたよ」

あのときは、確かにひどかった。竜児自身も、進学するしない、で泰子や独身ともめた。それは、常に『いい子』であろ
うとしてきた竜児が、他者に対して悪意あるむき出しのエゴを放射した初めての出来事でもあった。
そして、亜美も、修学旅行で実乃梨と大喧嘩して、実乃梨から『とっとと前の学校に帰れや!』と罵られたのだ。

「うん、でも、重要なのは、こっから先の話。実はね、あたし、東京では劇団に入って、女優としての修行を始める
つもりだったんだ。これは、ママである女優川嶋安奈の希望でもあったわけで…」

「そんなんじゃないか、ってのは、北村も気づいていたし、能登や春田もそんな風に思っていたみたいだな。もっとも、
能登や春田の場合は、芸能人である川嶋亜美を欲していた、てなミーハーなもんなんだろうが…」

竜児の『ミーハー』という単語に、一瞬だけ、亜美は口元に淡い笑みを浮かべた。能登や春田のひょうきんな姿が
脳裏に浮かんだのだろう。だが、すぐに元の、瞳を大きく見開いているものの、静謐だが感情が伺えない、
さざ波一つない湖面のような表情に戻った。

「でも、結局は、あたしは劇団には入らなかった。
なぜかって言うと、演劇の基礎も出来ていない素人なのに、有名女優の娘で、現役高校生モデル上がりだっていう
だけで、役が付くって聞かされたから…。その劇団には、子供の頃から役者としての勉強を積んでいる子がゴロゴロ
居るところなんだよね。それを、あたしが役をもらうっていうのは、そうした人たちを蔑ろにすることなんだよ。
だからその劇団には入らなかった…。ううん、訂正、入れなかった…」

「そんなことがあったのか…」

俗に言う『親の七光り』。芸能界に限らず、どこの業界でも聞く話だ。
448横浜紀行 後編 7/38:2009/01/23(金) 00:07:15 ID:BObJ80FD
実力伯仲なら、何らかの後ろ盾や裏付けがある方が、より高く評価される。下手をすれば、本人に実力がなくても、
後ろ盾や裏付けがありさえすれば、デビューする機会はめぐってくる。
もっとも、実力不足でデビューしたとしても、評価されずにそのままフェードアウトする場合もあるのだろうが、それで
もデビューする機会が与えられないよりは、はるかにいい。
だが、亜美は…。

「そこの劇団で下積みやってる子なんて、みんな演技上手いんだよね。正直、あたしが彼女らの域に達するのは、
かなり難しいって思った。でも、彼女らは何ら後ろ盾がないから、よほどの実力者じゃないとデビューの機会は来ない。
そこへ、モデルではあるけれど、演劇ではズブの素人であるあたしが横滑りするように割り込んできたら…、
まずいよね…」

亜美は、苦しそうに眉間にシワを寄せ、唇を引き結んだ。何があったか竜児には分からないが、その劇団とやらで、
亜美はよほど思い知らされたようだ。
何の後ろ盾もないという点では、竜児の立場は、亜美の言う劇団の下積みの団員に近い。
竜児が、その劇団の下積みの一人だったとしたら、突如、現れた有名女優の娘に羨望よりも嫉妬、嫉妬よりも敵意を
抱いたかもしれない。

「その劇団でも、川嶋は『異分子』だったってことなんだな? まぁ、確かに『異分子』なんだろうな…。
モデルという形で既にある程度の名は知られていて、なおかつ、親は有名女優だからなぁ…」

‐なるほど、外人墓地を見て、気が滅入ったのはこのせいもあるんだな…。

「うん、モデルとかで実績があったとしても、本気で演劇やってる人から見たら、モデルなんて、多分、茶番だと思うん
だよね。でも、親の七光りで、いきなり好評価じゃぁ、周囲とは浮くよね。本来なら、もっと前から演劇の勉強をしておく
べきだったんだ。劇団に居た彼女らと同じように…。彼女らと同じスタートラインから始めて、女優を目指すべきだった
んだ…」

結局、亜美は、フェアじゃない割り込みを第一に忌避しているのかもしれない。大橋高校では、竜児と大河、実乃梨
の関係が出来上がっていたという不利な条件での割り込み、劇団では、親の七光りという有利な条件での割り込み、
双方に有利、不利の違いはあっても、フェアじゃない割り込みという点では共通する。

「なんかねー、自分の実力とか、自分の存在とかとは別の要素、さっき言った親の七光りとかで、優遇されちゃうのは、
正直、心苦しくなっちゃったんだよね。モデルだったっていう過去にこだわるのもバカバカしくなってきちゃったし…。
『私はモデルよ』なんて、鼻にかけても、結局は嫌われるだけだしね」

それに、途中から割り込んできた『異分子』だからこそ、自己のモデルという他者にはない属性に依存する。依存した
結果、ますます他者との乖離が激しくなる、という悪循環も断ち切りたかったに違いない。
亜美が外人墓地を見て、陰鬱な気分になったのも、日本人とは異なる属性を持つお雇い外国人たちが、当時の日本
に割り込んできて、その異なる属性に故に優遇されたことを、自己に重ね合わせていたのだろう。

「川嶋は、根が真面目なんだな…。俺が川嶋の立場だったら、どうなっていたか…。もしかしたら、
親の七光りやモデルでの実績をできるだけ利用して、その業界でのし上がってやろうとしたかもしれねぇ」

半ば冗談の慰めのつもりだった。
それに応えるように、亜美は、「ふつ…」と、軽く吐息し、引き締めていた口元と眉間のシワをほんの少しだけ和らげた。

「心にもないことを言うんじゃないよ。清廉なあんたに、そんな真似はできないって…。
でも、あたしの場合は、他の下積み団員の嫉妬や敵意の中で平然と過ごせるほど肝がすわってなかったからねぇ。
これは、あたしが根性なしだったってのもあるんだけど…」
449浜紀行 後編 8/38:2009/01/23(金) 00:07:59 ID:BObJ80FD

「いや、そんな状況だったら、俺だって無理だ」

並の神経では務まりそうもない。
亜美は頷いて、

「そう、芸能人で『ジュニア』と呼ばれる二世、三世は、そんな下積み連中のことなんか、『ごまめの歯ぎしり』程度に
しか思っちゃいない。そういう普通じゃない感覚がないと、芸能界ではやっていけないんだ。あたしも性格悪いけど、
あたし程度の悪さじゃ、到底無理だね」

ちょっと自棄気味に、「へへっ」と、笑うように相好を歪めた。

「あたしってさぁ、本当は、ごまめみたいな小物なんだと思うよ。て、いうかチワワか…。チワワって、バカ犬でさぁ…、
自分よりもはるかに大きな犬に吠えかかっていくんだよね。バカだよね。まるで、かつてのあたしみたい…」

「川嶋は、賢い子だろ? ちゃんと分相応をわきまえたからこそ、その劇団には入らなかった…、違うか?」

「分相応か…。気遣いの高須にしては手厳しいね。でも、そうなんだよね…」

竜児は、瞑目して、ふぅ、と一息ついた。亜美は、本来は、竜児には打ち明けるつもりがなかった事柄まで話してくれ
たのだ。

「どうだ? 川嶋、話すべきことを俺に話して、少しは気持ちがすっきりしたんじゃねぇか? 
だったらもう、くよくよするな。過去は過去だ。思い悩んだって、何も変わりゃしねぇ」

だが、亜美の表情は依然としてさえない。眉間の小じわもそのままだ。

「話が『異分子』云々からは外れるけど、劇団に入らなかったことでママとの関係は悪くなっちゃった。ママはカンカン
だった。娘であるあたしのために、裏では色々と手を回していたんだろうね。それがかえって仇になるとも思わずに…。
で、あたしは、ママとは暮らさずに、引き続き大橋の親戚の家で暮らしているというわけ」

「それで、川嶋は転校しなかったんだな」

亜美は、「うん…、そう…」と事務的に前置きして、カフェラテのカップに口をつけた。亜美は、中身が既に冷めている
ことで、一瞬、「うっ」と絶句して顔をしかめたが、そのままカップを傾けて中身を飲み干した。

「でもね、この劇団に入る入らないの一連の騒動で、ママを含めた業界の思惑が透けて見えちゃった…」

竜児が、「その思惑ってのは、どんなものだったんだ?」と、亜美に問い掛けたとき、
喫茶室のスタッフが、「お下げします…」と、言って、空になっている竜児と亜美のカップを片付けた。
そのスタッフは、「よろしければ、お代わりをお持ちしましょうか?」と、畳み掛けてきたが、
亜美が首を左右に軽く振ったことを確認して、竜児は「結構です。お勘定をお願いします」と、そのスタッフに告げた。

「ちょっと、河岸を変えた方が、川嶋も話しやすいかもしれないよな?」

「そうね、それに、この博物館の中を見学していないし…」

レジで釣り銭を受け取る。観覧車の料金は亜美が負担してくれたから、ここは竜児の奢りだ。
450横浜紀行 後編 9/38 :2009/01/23(金) 00:08:46 ID:BObJ80FD
照明が薄暗い階段を上がって、上階の展示フロアへ行く。

「ここは、服飾関係の学校法人が公開している博物館なんだな…」

仄暗いハロゲンランプで照らされたフロアには、古代エジプトから現代に至るまでの衣裳シルエットが二分の一の
スケールで再現されて、回廊の左右にずらりと並んでいた。

「ファッションって反復性があるのね。廃れたはずのスタイルがもう一度復権することがある。この展示を見ていると、
それが実感できるわね」

「元ファッションモデルらしいコメントだな」

「そうね、でも、もうモデルであったことを、ことさら強調したくないの…」

亜美の憂鬱そうな態度で、竜児は己が軽率さを恥じ入った。

二人は、ガラス工芸品を展示しているコーナーに行き着いた。
ガラスケースの中には、アール・ヌーヴォーのガラス工芸品がいくつか収められていた。
館内には竜児と亜美の他には見学者が見当たらない。夕方といってもよい時間帯だったことから、帰ってしまったの
かもしれない。

「エミール・ガレの作品みたいだな…。川嶋の別荘にあった奴と似たようなものだな」

「うちの別荘にあるのはレプリカだと思うよ。それに、似たようなのは、ここの喫茶室にもあったよね?」

「あれこそレプリカだろうな…。不特定多数の客が利用する喫茶室に、貴重なオリジナルを、誰もがさわれるように
置いとくわけがねぇ」

「レプリカ…。複製品、クローンだよね?」

「ああ、そういう解釈もありだな。生物と無生物っていう違いはあるけどな」

竜児は、亜美が言う『クローン』の意味を計りかね、怪訝な表情で亜美を見た。
その亜美は、かつて大橋高校で自販機の隙間に座っていたように、通路の壁を背にして、膝を折り曲げてお尻を床
につけた。

「お前、その格好好きだなぁ…」

「どうせ、他に見学者は居ないみたいなんだから、いいんじゃない?」

そして、傍らに腰かけるようにと、竜児に手を振ってくる。竜児も、お付き合いで亜美の左隣に座った。正直、博物館
のスタッフに見つかったら面倒ではあるが、その時はその時だ。
腰かけた亜美は、暫く呆然とするようにガラスケース内の展示品を眺めていたが、そのまま竜児の方を向かずに、
出し抜けに言った。

「高須くんは、『新世紀エヴァンゲリオン』ってアニメ知ってる?」

「ああ、話題になった作品だから、DVDを借りて一通りは見た…」
451横浜紀行 後編 10/38 :2009/01/23(金) 00:09:35 ID:BObJ80FD
アニメとは、また川嶋らしくないな、と竜児は思った。
アニメのようなヲタっぽい話題は、およそ亜美には似合いそうもない。

「ヒロインの綾波レイって、知ってる?」

「おぅ、赤い目をしたショートカットの女の子だよな?」

「そう、その子」

「その子がどうかしたのか?」

亜美は、数秒間の沈黙の後、囁くように話し出した。

「あのアニメのヒロインの綾波レイって、主人公の母親のクローンなんだよね」

「そうだったな。容姿が主人公の母親そっくりだった」

「うん、だけど不自然な出来損ないのクローン…。劇中で、綾波レイの殺風景な私生活が出てくるけど、決まって得体
の知れない内服薬が大写しになるんだ。それに、培養槽っていうのか、時々、LCLっていう特殊な液体に全身を浸し
てケアしてるんだよね。多分、アレを服用して、培養槽に定期的に浸からないと、綾波レイって、人としての形を維持
できないんじゃないかな?」

竜児にも思い当たるシーンがあった。たしか劇場版だったか、綾波レイの片腕が、腐敗した肉のように骨ごとごっそり
と肘から脱落した。あれは、亜美の言うように、必要なケアを怠っていたから、という解釈も成り立ちそうだ。

「そのクローンである綾波と、お前とにどんな関係があるんだよ?」

亜美が言わんとしていることは、竜児にも何となく察しはついていた。

「綾波レイはあたしと同じ、あたしは綾波レイと同じ…」

「バカ言え! お前にはちゃんと父親と母親が居るじゃねぇか。それも長者番付に載るような」

亜美は、ちょっとうつむいて、「そうなんだけどさぁ…」とだけ呟いて、膝を抱えた。

「あたしが言っている『クローン』てのは、生物学的なものじゃなくて、なんていうのかなぁ、比喩的なものなんだよね。
女優川嶋安奈を継ぐ者っていうか…」

「でも、それは周囲も認めていることだろ? 
ほら、酒屋の稲毛のおじさん、あのおじさんだって、初対面で川嶋が川嶋安奈に似た感じだって言ってたじゃねぇか。
娘が母親の職業を継いだとしても、それは不自然でも何でもねぇ。それを『クローン』だって言うのは、どうかと思うな」

竜児は、傍らに居る亜美の横顔をじっと見た。雰囲気や小作りな顔貌は、確かに母親である川嶋安奈に似ている。
川嶋安奈が若い頃はこんな感じだったのかもしれない。だからと言って、短絡的に自身を『クローン』と揶揄するのは、
いささか自嘲が過ぎる。

「うん、自分でも『クローン』ていうのは、ちょっと何だとは思うけど、ママや業界が、川嶋安奈と類似するカテゴリーの
女優を欲しているのは確かなんだな、っていうのが分かっちゃって、ものすごく幻滅した…。
そこには、あたし、川嶋亜美のパーソナリティーは一顧だにされず、ただただ、川嶋安奈の将来の代替品という位置
452横浜紀行 後編 11/38 :2009/01/23(金) 00:10:17 ID:BObJ80FD
付けだけが用意されているというわけ…」

「芸能界のことはよく分からねぇけどよ、社会に身を置くってのは、そんなもんじゃねぇのか? 
自身が持ってるパーソナリティーを丸出しにして勝負できる奴は、そうはいねぇよ」

居たとしても、それは専制君主なようなものだろう。いや、専制君主だって、表の顔と裏の顔を使い分けている。
尊大で残虐な皇帝が、実は臆病な小心者だったというのは、よくある話だ。

「でも、多くの人たちは、別に全人格を否定されはしないでしょ? あたしの場合は、完全に川嶋安奈の将来における
代替品。代替品に独自の個性は要らないの。ただただ、オリジナルに忠実な『クローン』であればいいだけ…」

「川嶋の考え過ぎなんじゃないのか? さっきの話では、劇団に横滑りするのがきついから難しいとは思うが、仮に、
川嶋が女優とかになったとしたら、最初の頃は、母親のそっくりさんで売り出して、その後、徐々に自分の演技の幅を
広げて、独自の個性を出していけばいいんじゃねぇか?」

竜児は、慰めに、「もっとも俺は、川嶋が女優になったら、俺にとって遠い存在になっちまうから、困るがな…」と、
ちょっと照れたふりをしながら付け加えた。
亜美は、ほんの少し相好を緩めて淡い笑みを形作り、「ありがとう」と言った。

「でも、嘘の仮面をかぶり続けるのに疲れちゃったのも事実。
高二の頃、高須くんに、嘘の仮面がいずれ破綻することを指摘された時は、『プロだから、そんなヘマしない』って
意気がったけど、本音はやっぱきつかったんだよねぇ…」

「ああ、そんなこともあったっけなぁ…」

「で、堪えたのは、修学旅行での実乃梨ちゃんの一言。『ウソのツラでモデルでもなんでも一生してろ』。
売り言葉に買い言葉の応酬でのものだけど、これほどあたしの存在を言い当てているコメントはなかった…」

「櫛枝とのことは、もう考えるな。俺も、あいつのことはできる限り思い出さないようにしているんだ」

亜美は、竜児をじっと見た。気のせいか、その眼差しには竜児への淡い疑惑と不信が込められているような気がした。

「そうね…。で、話をママや業界と、あたしとの関係に戻すけど、モデルとしてのあたしは、綾波レイと同じようなもの
だった。劇中で、綾波レイって、主人公の父親で、特務機関で一番偉い人に贔屓にされていて、綾波レイも、その人
の言うことには素直に、むしろ喜んで従っているんだよね。例えば、ほとんど人体実験に等しいものにさえも…。
あれって、ママの言いなりになってきたあたしのカリカチュアみたいで、すっごくイヤだった…」

「川嶋は、根が素直な子だったから、おふくろさんの言うことに従っただけじゃないのか?」

亜美は、竜児の慰めのつもりの一言を一蹴するかのように、「ふん」と鼻を鳴らした。

「従うにしても程度ってものがあるんじゃない? なんかねー、ジムのプールは培養槽だし、サプリメントは綾波レイの
内服薬みたいなものだし、とどめは永久脱毛とかの処置。年端もいかない子にレーザーを照射して、体毛の毛根を
破壊するんだよ。照射されているときは、焼けるような痛みがある。でも川嶋安奈の『クローン』であるあたしは、
甘んじて受けなきゃいけない。これって、どんだけ残酷?」

「そんなことをされていたのか…」

ジムのプールやサプリメントは、亜美の被害妄想と言ってもよさそうだが、『体毛の毛根を破壊』の一言に、竜児は
453横浜紀行 後編 12/38 :2009/01/23(金) 00:10:53 ID:BObJ80FD
ちょっと背筋が冷たくなった。そんな処置を亜美に施した、母親をはじめとする彼女の周囲の人間は、一体、どんな
人種なのだろう。

「劇団を見学して自分の無力さを思い知らされた時、エヴァンゲリオンのDVDを見直したんだけど、それで自分の
立場が綾波レイとさほど変わらないような気がして、ママや業界の思惑通りにはなりたくないって思ったんだよね…」

「あの作品は、正直なところ救いがないから、鬱な時に見るもんじゃないけどな…」

「でも、あたしが、川嶋安奈の『クローン』であることから決別する機会を与えてくれたのも事実。ちょうど、高須くんも
進学を決意した頃だったし、高須くんと同じ大学に行って、芸能界とはすっぱり縁を切ろうと思ったの…」

「木原からは、川嶋が俺と同じ大学へ行きたかった、ということしか聞いてなかったがな…」

竜児は、ちょっとだけ気落ちしたような気がする。亜美が酔って竜児の家に乱入してきたとき、それをフォローした
麻耶の『亜美は竜児目当てで、今の大学に進学した』という電話でのコメントは、その場限りの方便だったのか、
と思った。

「あたしがあんたを追っかけて、同じ大学に進学しようとしたのは本当だよ。でも、裏にはこういう事情もあった…。
ママは、芸能人の子弟が通う、どっかの私大へ進学させるつもりだったし、ママの思惑を挫くには、
芸能人には無縁な、どちらかと言うと地味な国立大学に進学するのが一番でしょ?」

亜美の顔には『してやったり』のつもりらしい、性悪そうな笑みが一瞬だけ浮かんだ。

「同意を求められても困るけどよ…。で、今の川嶋は、おふくろさんの思惑からは外れた生き方ができている。
もう、これでめでたし、万事がOKなんじゃねぇか?」

「それがねぇ…」

亜美は、憂鬱そうに目を閉じた。

「何だ、まだ何かあるのかよ?」

「うん、今度は局アナになれ、なんて言ってきているんだよ。高須くんも知っての通り、うちの大学、結構、大手新聞社
やテレビ局への就職が多いでしょ? だから、アナウンサーになれって…。演劇やモデルをやめるんだから、それに
代わるものをやれってんだよね。何が何でも芸能界への接点を持たせるつもりみたいだね」

「いや、俺だって、川嶋は局アナ狙いだと勘違いしていたからなぁ。これ言って木原に怒られたけど…」

亜美は、不満そうに頬をちょっと膨らませた。

「そうなんだよね。祐作だってそう思っていたし、あたしとしては心外…。
でも、局アナになることを阻止できるような打開策がなくってさ…、正直、ちょっとイラついていたんだよね。
司法試験に合格すれば、ママの思惑を完全に粉砕できるだろうけど、
法科大学院を卒業しないと受験すらできなくなっちゃったからねぇ。でも…」

竜児には、亜美が弁理士試験を受験することにした真の動機がようやく分かってきた。

「それで弁理士試験か…」
454横浜紀行 後編 13/38 :2009/01/23(金) 00:12:01 ID:BObJ80FD
憂鬱さに支配されていた、亜美の茶色い瞳がほんの少しだけ輝いたように見えた。

「そう、法科大学院を出なくても受験できて、司法試験に準ずる難易度の弁理士試験に合格すれば、もうママは何も
言えなくなる。
高須くんが受験するっていうのも渡りに船だったし…。
高須くんの相方として頑張るには、これ以上のものはないでしょ?」

「そいつは、光栄だな…」

「だから、リミットは三年。在学中に弁理士試験に合格しなきゃいけない。困難だけど、不可能じゃないと思う。
特許庁の統計では、合格者の平均受験回数は四回弱だっていうから、社会人に比べて時間に余裕がある学生時代
に頑張れば、三回以内の受験で合格できる可能性はあるんじゃないかしら」

それだけ言うと、亜美は、膝を抱えて黙り込んだ。
竜児も、「弁理士試験か…」と反芻するように呟いて、考え事をするかのように沈黙した。
亜美の言うように、頑張れば三回以内の受験で合格できるかもしれないし、竜児自身もそのつもりである。
だが、亜美とその母親である川嶋安奈との反目が気になる。
母親からの影響下から脱したいがための弁理士試験の受験。
弁理士試験を目指すといっても、動機が後ろ向き過ぎはしないだろうか? 

「なぁ、おふくろさんと、仲直りするつもりはねぇのか?」

「仲直りも何も、とりあえず表面上は仲良くやってるよ。ただ、あたしの方にママへの抜き難い不信感が生まれただけ。
ママも、あたしのことを急に手に負えなくなったわがままな娘、ぐらいには思っているでしょうね。
ただ、ママの最後の思惑を粉砕すべく弁理士になろうとしていることまでは把握していないと思うけど…」

「そうか…」

これ以上は、よその家族の事情だった。部外者である竜児に立ち入る権限はない。
動機が多少は後ろ向きでも、亜美は自分なりに考えて、今後の目標を設定したのだ。それ自体は悪くない。
だが、

「なぁ、川嶋。こんなことを俺が言うのも何だが、お前は、女優川嶋安奈の娘であり、現役高校生モデルとして、
ひとかどの実績を挙げた。それを、すっぱり捨ててしまうつもりなのか?」

これだけは訊きたかった。
亜美は、物憂げに小首を傾げるようにして竜児の方を向いた。

「捨てるってわけじゃないけど、さっきも言ったように、ママには抜き難い不信感が生まれちゃった。だから、表面上は
ともかく、内心では以前のようにはいかないと思う。モデルとしても、あれを実績といえるのかどうか…。演劇の世界
から見たら子供だましもいいところだし、何よりも、上っ面の美しさでどうにでもなるっていういい加減さが、今となって
は恥ずかしい…。それをよしとしていた、あたしって、どんだけバカなんだって…」

「まぁ、俺にはよく分からねぇけどよ…」

亜美は、今日、横浜赤レンガ倉庫に立ち寄った際に、亜美はファッション雑誌の撮影で訪れたことを思い出し、『ここ
で、ポーズとって、写真撮ってもらったんだ、たしか…』と、その時を懐かしむかのように言ったはずではなかったか。

「川嶋には、今は不仲とはいえ、両親が健在で、親の七光りがあって、それなりの資産があって、川嶋自身にも実績
455横浜紀行 後編 14/38 :2009/01/23(金) 00:12:52 ID:BObJ80FD
がある。そのほとんどに縁がない俺は、どうすればいい? どう、お前に共感すればいい?」

亜美は、はっとっして、竜児を見た。瞳は不安そうに大きく見開かれている。

「どうした? 川嶋…」

「高須くんは、そんな風に、あたしを見るんだ…。違う、ごめん、あ、あたしは、そんなつもりで言ったんじゃない。
そんなつもりなんかじゃない…」

「川嶋、気を悪くしたんなら、すまねぇ。ただ…、せっかく一般人にはないものが手元にあるのに、
それを全く顧みないってのは、ちょっとどうかと思っただけだ」

亜美は、悪寒を感じたかのように、ぶるっ、と身を篩わせた。

「あたしって、本当に勝手だよね…。高須くんも不愉快になって当然だよ…。
でも、正直、女優の娘であるとか、モデルやっていたっていうレッテルが重いんだ…。
下手にこんなレッテルがあるから、周囲から変に見られて『異分子』になっちゃう。
大学でも、地味な服装で目立たずに居るのも、変に周囲から浮かないようにしたいから…」

「だが、大学にだって、川嶋のファンだった奴は居る。少なくとも、そういった連中は、川嶋には好意的なんじゃねぇか?」

亜美は、瞑目して左右に頭を振った。

「うちの大学、結構お堅いでしょ。モデルとかの浮ついたものを極端に嫌う女子が少なからず居るから、身なりや言動
にはこれでもかなり注意しているんだ。男子は、かつてのストーカーを彷彿とさせるようなキモイ奴ばっかだし…。
もう、うんざり…」

そういえば、先日の土曜日に線形代数学の講義を終えた竜児を待っていた亜美が、数学科の陰険そうな女子学生
数人にからまれていたことを竜児は思いだした。

『あなた、モデルやっていたのよねぇ?』

『で、なんで、そのあなたがこの大学に来たの? ルックスがいいだけじゃなくて、お勉強もそこそこできますってこと?
なんかイヤミね』

『親は女優なんでしょ? そっち方面にでも行けばいいのに』

その言動には、嫉妬と侮蔑と嫌悪と敵意と、少しばかりの羨望に入り交じっていた。
竜児は、彼女らの輪の中に飛び込んで、

『話し中悪いけど、俺、こいつと同じ高校の出身。よろしくな!』

と、極悪フェースで数学科の陰険女子を退散させ、唇を噛んで屈辱に耐えていた亜美を救出した。
亜美が、キャンパスではグレーやブルーを基調とした地味な服装で大人しくしていることが多くなったのは、それ以降
ではなかったか? あれは、亜美なりの予防策というわけなのだろう。
目立たずじっとしていることで、小うるさくて陰険な女子や、ストーカーもどきの男子を避けようとしていたのだ。
加えて、キャンパス内では、可能な限り竜児や北村と一緒にいるというのも、その予防策の一環か。

「川嶋、すまねぇ…。いろいろ辛かったんだな。俺が『共感できない』と言ったことは忘れてくれ…」
456横浜紀行 後編 15/38 :2009/01/23(金) 00:13:45 ID:BObJ80FD

亜美は、力なく竜児に寄りかかり、うっすらと目を開けた。

「いいんだよ、あたしは客観的に見れば恵まれ過ぎているのに、その恵まれた施しに自分自身が耐えられなくなって
いたんだ。だから、あたしは、自分を変えたいと思って、高須くんと同じ大学に行き、弁理士試験も受験するつもりで
いる。それだけのことなんだ…」

『異分子』であったことに端を発した亜美の懊悩は、竜児が想像していたものよりも深かった。親子の確執や、大学で
のこと、特に母親との不仲は竜児には全く解決不可能な問題だ。
亜美自身が、その心の裡で解決を図らなければならない。
そのために竜児は思う。『川嶋、何を意固地になっているんだ』と…。


***
気抜けして脱力した亜美の肩を支えながら、竜児は博物館から出た。受付のスタッフからの視線が妙に痛い。
そのスタッフには、人相のよくない男が、顔色の悪そうな女の子の肩を抱き、その子を引きずるように無理に歩かせ
ているように見えたに違いない。
もしかしたら警察に通報されるかも知れなかった。その時は、亜美が弁護してくれるだろうか…。

にわか雨は過ぎ去り、濡れた路面が赤い夕日を照り返している。北と東の空には、にわか雨を降らせた積乱雲が
渦巻いていたが、西の空は晴れ渡り、オレンジ色の太陽が洋館の建ち並ぶ街並みの彼方に見えた。

心の裡を全て吐き出せば、心理的には楽になる、よく聞く話だが、真実ではない、と竜児は思う。
亜美は、おそらく全てを竜児に打ち明けたに違いない。しかし、打ち明けたからといって、心の裡の懊悩が解決する
わけではないのだ。むしろ、亜美自身ですら認識していなかったような心的外傷が露呈し、
結果、彼女をさらに精神的に追いつめることになってしまったのではないか。
竜児の傍らの亜美は、双眸を物憂げに半開きにして、夕日で赤く染まっている外人墓地の門をぼんやりと眺めている。

「なぁ、川嶋。墓ばっか見ててもしょうがないから、港の見える丘公園に行ってみよう。こっから目と鼻の先だし、一応は、横浜のデートスポットの定番だしな…」

公園は、岩崎博物館から100メートルほどしか離れていない。山手本通りを突き当たりまで行けば、
そこはもう港の見える丘公園だ。
雨上がりといっても、大荒れに荒れた天気の後だっただけに、公園には竜児と亜美の他には誰もおらず、先ほどの
豪雨でずぶ濡れになった哀れな野良猫が二、三匹ほど、うろちょろしているだけだった。
竜児は、高台からバルコニーのように扇状に張り出しているような展望台のベンチに亜美を座らせ、
自らも、その右隣に腰掛けた。
ベンチは、にわか雨でびしょびしょだったから、竜児は、持参したタオルで如才なく拭く。

だが、肝心の眺めは…。
展望台からは、灰色の煤けたような壁ばかりが目立つ倉庫群が、無愛想に拡がっていた。
雨に濡れたせいで、かえって、壁の色が濃く見え、煤けてうらぶれたような感じがいっそう強調されていた。
その上を、首都高速道路の高架がループ状に伸び上がり、横浜ベイブリッジにつながっている。
さらには、それらの光景に赤い夕日が、どぎついアクセントを添えていた。
SF映画に出てくる近未来の都市といった感じはしたが、鬱な気分の時に見て気持ちが落ち着くという類の光景ではない。

「雨上がりって、いうのに、薄汚れてて、気が滅入るわね…。夕日を浴びていても、ちっともきれいじゃないし…」

亜美が、今にも眠ってしまいそうなほど、儚げな囁きで、目の前に広がる景観が期待はずれであることを告げた。
457横浜紀行 後編 16/38 :2009/01/23(金) 00:14:38 ID:BObJ80FD
その亜美の横顔を、夕日が赤々と照らす。
横合いからの光で立体感が強調された様は、憂いを帯びた表情と相まって、息を飲むほど美しかった。
特に、その憂いを帯びた表情は、亜美の姿を見慣れているはずの竜児にとっても新鮮だった。単に目鼻立ちが綺麗
というレベルではない、何かを感じさせる…。

亜美は、そんな竜児の視線を感じたのか、きょとんとして、竜児の方を向いた。

「どうかしたの? あたしの顔、何か変?」

「違う、違う、その逆だって…。やっぱり、川嶋って、すげえ美女なんだなって思って見とれていただけさ」

亜美は、はっとしたが、すぐに疑い深そうに目を細めた。気落ちしている自分に対する竜児の作意を感じたのだろう。

「高須くんが、あたしの容姿を誉めたのは、これが最初だね…。だから、ちょっと信じられなくってさ…」

そう言えばそうだったかも知れない。竜児だって、亜美が特別美しいということに異論はない。そのことが、あまりにも
常識的な事柄となってしまったのだろう、敢えて亜美の美貌を褒め称えたりはしなかった。

「川嶋がかわいいとか、美しいとかってのは、誰もが認めることじゃねぇか。だから、俺如きが改めて言うまでもねぇと
思ってな…」

これは、亜美に値する弁解めいたものでもあったのかもしれない。
竜児自身、さすがに今まで一回も亜美の容姿を誉めなかったのはまずかったと思ったからだ。

「そうね、それは正論かもしれないわね…」

-おや?
蒼白に近かった亜美の頬に血色が戻ってきた。ただし、眉を心持ちつり上げ、眉間には微かに小じわが寄っている。
喜色ではなく、僅かながら怒気を孕んだもののようにも思えた。

「でも、大学にたむろしているようなストーカー紛いの連中に、『きれいだよ』なんて言われても、亜美ちゃん、ちっとも
うれしくないし、逆に気持ち悪いんだけど? その辺は理解してる?」

不愉快そうに竜児を大きな瞳で一瞥する。
先ほどの憂いを帯びた表情はたしかに美しかったが、怒りとはいえ、ストレートな感情が織り込まれた表情も悪くない。

「でも、言われねぇよりはいいんじゃねぇか?」

色恋沙汰に鈍い男を演じて、わざと亜美の神経を逆なでするつもりだった。これで、少しでも亜美が元気になってくれ
るのなら、竜児は喜んで愚者を演じる。

「はぁ? 高須くんて、バカ? 不特定多数のわけの分からない連中にいくら誉められても、うれしくねぇっつぅの! 
そんな連中に誉められるよりも、特定の誰かに誉められたいじゃない! 違うの?」

眉を大きくつり上げて竜児を睨む。『いいぞ、これでこそ川嶋だ』と、竜児は内心ほくそ笑む。

「なぁ、川嶋にとって、特定の誰かってのは、誰なんだ?」

「もう、本当に、あんたって人はぁ! あたしにとって特定の人っていったら、言うまでもないでしょ! 
458横浜紀行 後編 17/38 :2009/01/23(金) 00:15:18 ID:BObJ80FD
それを、あたしに言わせるような無粋なことをさせないでよ!!」

くわっ! とばかりに双眸を見開いて、頬に血の色みなぎらせ、亜美は竜児に詰め寄っていた。
その迫力に、竜児はちょっとたじろぎながら、最後の一押し。

「な、なぁ、川嶋。ちょっとは、元気になったようだな…」

「え?」

竜児を、ポカポカ叩こうと、肘を曲げて構えていた両の拳の動きを止めて、亜美は一瞬、硬直する。
そして、竜児に一杯食わされたと悟るや、耳まで真っ赤に染め上げて、

「ばかぁ~っ!!」

竜児のデコに右ストレートをお見舞いした。

「「いてて…」」

竜児は額に手を当て、亜美は右手を指先を下に向けてぶらぶらと振って、それぞれの痛みを癒す。

「もう、鈍感で石頭のくせに、あたしを謀るなんて、生意気なんだから!」

観覧車で半ばふざけて叩かれたことを別にすれば、亜美から本気で殴られたのは、久しぶりだ。

「川嶋、効いたぜ…。だがなぁ、鬱になって落ち込んでいるお前よりも、嫉妬深くて、ちょっと性悪だけど、
元気があって、俺と一緒に居てくれる、いつもの川嶋が俺は好きなんだ」

竜児は、亜美のパンチが炸裂した額を押さえながら、にやりとした。

「あんたが心にもないことを言うからよ!! それに、あたしのことを、あんたに真っ先に誉めて欲しいってことを、
あたしの口から言わせようとした小賢しさは、もう、勘弁できないんだから!!」

「川嶋が怒っている二番目の理由は、たしかにその通りだ。そいつについては謝るよ。済まなかったな…。
だが、一番目の理由については謝罪できねぇ」

「な、何よ…、何なのよ! それに、亜美ちゃんのことを、嫉妬深いとか性悪とか、いろいろ言ってくれるわね」

つんと澄ましてはいるが、紅潮した頬が小刻みに震え、口元がちょっと緩んでいる。
照れていることを隠している時に亜美がよくやる仕草だ。

「なぁ、川嶋。俺がお前のことを美女だって言ったのは本当だ。これには、お為ごかしや嘘は一切ねぇ。それどころか、昔よりも今の方が、ずっとずっと綺麗になった。改めて惚れ直したぜ…」

純朴な竜児にしては、精一杯の賛辞なのだろう。言い終える前に、今度は竜児がちょっと赤面し、神経質そうに、
前髪に指を絡ませた。

「本当? あたしって綺麗になった? 惚れ直したって、本当!?」

亜美は、竜児の言葉に、豆鉄砲を喰らった鳩のように、目を丸くした。
459横浜紀行 後編 18/38 :2009/01/23(金) 00:16:00 ID:BObJ80FD

「ああ、今が一番綺麗だよ」

「本当に、本当? あたし、もう、エステもろくに行ってないし、ジムもやめちゃって、近所をジョギングしてるだけだし、
イヤなことの連続で、表情も冴えないんだけど…」

「容貌が整っているとか、スタイルがいいとか、肌が綺麗とかの上っ面だけじゃないよな、今の川嶋の美しさは。
なんつぅか、半人前な俺じゃうまく言えねぇけどよ…」

「どういうことよ?」

疑い深げな口調でそう言いながらも、亜美は、紅潮した頬が火照るのか、それを冷ますかのように両手で押さえている。

「お前にもいろいろなことがあって、それは今もお前を苦しめているかも知れねぇ。だが、そういった苦しみと向き合う
ことで、お前も多少は成長した。それが、さっきの横顔に現れていたような気がするんだ」

「え? 成長? どこが?」

「川嶋の全部というか、特に内面だな」

亜美は、頬を紅潮させたまま、目を細めて、ちょっと性悪そうな笑みを浮かべると、「そうか、ここなのね?」と、言って、
両手で乳房を支えて揉むように揺さぶった。
竜児は、「ふはは…、そっちじゃねぇよ」と、苦笑する。

「おう、いつもの川嶋が戻ってきたな。モデルだったこととか、おふくろさんとの確執とか、大学での変な連中とか、
イヤなことや気に入らないことはいろいろあるだろうが、少しずつ解決していこうや。今すぐは無理でも、きっと、
いつかは何とかなるさ」

亜美は、「うふふ」と、竜児に対して悪戯っぽい笑みを返す。

「そうね、今はちょっと厭世的な気分になっちゃってるけど、あたしなりに戦ってきたのもたしかなんだわ…。
本気で受験勉強したのも、今となってはいい思い出ね。ああしたことが一種の通過儀礼になって、
あたしという存在を成長させたことは認めるわ」

「そうだな…」

熟した杏を思わせる夕日が、山手の街並みの彼方に没しようとしていた。
公園には、竜児と亜美の二人きりだ。そのまま肩を寄せ合って、お互いの存在を確かめるような軽いキス…。
今、この瞬間にも誰かがやって来そうな気配がして、竜児も亜美もドキドキする。
触れ合っていた口唇を、そっと離して頷き合う。
事件というか、ハプニングというか、アクシデントに彩られた、初デートはフィナーレなのだ。

夕日を真正面から浴びながら、二人は山手本通りを無言のまま並んで歩く。
初夏の夕日は意外なほどに眩しく、竜児は例の黒眼鏡を掛けた。
そのミラーレンズには、夕日で赤く染まっている山手の街並みと、傍らを歩く亜美の姿が写っている。
亜美も、お揃いの黒眼鏡を掛けようと思ったが、バッグの中からその眼鏡を探すのが億劫で、
裸眼のまま目を細めて沈み行く太陽の方角へ向かっていた。

道は、公園と教会の前を通った後、女子高が密集している地域にさしかかった。
460横浜紀行 後編 19/38 :2009/01/23(金) 00:16:45 ID:BObJ80FD
どの学校も、お嬢様学校として有名なところで、そうしたものに疎い竜児でもそれらの校名には聞き覚えがあった。
そのうちの一校から、ラケットを入れたバッグを肩に掛け、スポーツバッグを手に提げた影が三つ、
山手本通りに現れ、竜児と亜美の方に向かってくる。
日曜日だというのに、部活だったのだろう。ラケットが小作りなことがバッグの上からも伺えることから、バドミントンの
練習をしていたらしい。長い手足に引き締まった体つきであることを、それらのシルエットが主張する。
中学時代にバドミントン部だった竜児には、彼女らが、かなりの腕前であろうことが察せられた。

竜児たちと、その三人との距離が縮まってくる。

「あれ?」「ねぇ、あの人…」「うん、うん…」

逆光なので、彼女らの表情は、はっきりしないが、何かを言い合いながら竜児たちをじっと凝視しているかのようだ。

「あんた、サングラスかけてても、何か、雰囲気がまずいのかしら…。やっぱヤンキー風味?」

「おい、それはあんまりだろ…」

三人が間近に迫ってきた。だが、彼女らは、竜児ではなく、亜美に視線を集中させている。
そのまま、亜美を見つめたまま、三人はその場に立ち止まり、何やらひそひそ話を始めている。

「ねぇ、あの女の人、やっぱ、あのモデルさんだよね」「うん、うん、川嶋亜美さん」「やっぱり?」

竜児は、亜美の右脇腹を肘で軽く触れ、「おい、お前のファンみたいだぞ…」と、囁いた。

「あの~、すいません、ちょっと宜しいでしょうか?」

三人のうち、最も背が高いボブカットの子が声を掛けてきた。

「はい?」

内心では、ちょっと動揺しながら亜美は立ち止まって、その子たちを見た。白い夏服の半袖と、ちょっと丈が短めの
スカートから伸びる贅肉のない健康そうな腕と脚、そして何かを期待するかのように夕日を映して輝いている六つの
瞳があった。

「あの~、川嶋亜美さんですよね? モデルの…」

おずおず、といった感じで亜美の前に歩み出たボブカットの子は、亜美をまっすぐに見据えてはいるものの、体の前
で組んだ手を、ちょっと落ち着きなさそうに、すり合わせるように動かしている。
それが、思いがけないものを目にした時、又は緊張している時に、その子がよくやる仕草なのかも知れなかった。
そこには亜美を咎める邪険な雰囲気はみじんもない。

「はい、川嶋です。でも、正しくは、『元モデル』だけど…」

にっこりと、とっておきの営業スマイル、天使のような笑みを彼女たちに向ける。

「「「うわぁ! やっぱり」」」

まるでソプラノとメゾソプラノの合唱のように、三人の歓声が通りにこだました。
461名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 00:17:21 ID:BObJ80FD
「私たち、雑誌に出ていた川嶋さんをお手本に洋服選びをしていたんです。川嶋さんは、私たちにとって、あこがれの
存在そのものです!!」

セミロングの髪をポニーテールにまとめた子が、喜色満面といった感じでそう言った。
亜美は、改めて三人の体型を観察した。亜美と同じく手足がすらりと長い彼女たちであれば、
亜美が着ていた服も似合ったことだろう。

「ありがとう、こんなところで私を覚えてくれている人たちに会えて、うれしいわ…」

亜美は、涼やかな笑みを絶やさずに、三人の顔を見比べるように、視線を移動させた。亜美に見つめられた子は、
それぞれ頬を朱に染めて、ちょっと恥ずかしそうにうつむいた。
見る者を男女の別なく魅了するモデルとしての瞳の威力は、今もって健在なのだな、と竜児は思う。

「あ、あのぅ…、あたしたち、川嶋さんがモデルをやめたと聞いたときは、本当にがっかりしたんです。もう、モデルを
やることはないんですか?」

ロングヘアを、今日の亜美のように一本の三つ編みにした子が、おずおずと尋ねてきた。
亜美は、その子の髪を、「今日のあたしと同じね…」と、前置きして、その子が赤面する反応を楽しむかのように
一拍置いてから、話し始めた。

「ええ、受験勉強に専念するため休業したんだけれど、ちょっと長く休みすぎたみたい。
だから、もう、モデルには戻れないわ」

三つ編みの子は、「そうですか…」と、さも残念そうに、語尾が消え入るように言い、他の二人と目を交わす。

「今は、大学生なんですよね?」

亜美よりも少しだけ背の高そうなボブカットの子の問いに、亜美は頷いて大学名と学部名をを告げた。
三人の「「「すご~い」」」というどよめきが波紋のように広がっていく。

「ええ、でも、本当に猛勉強して、何とか合格。だから、今後は、大学生らしくちゃんと勉強していこうと思っているの」

三人は口々に、「川嶋さんかっこいい!」「やっぱ、見た目通り頭いいんだ」「才色兼備だよね」と、かしましい。
亜美は、そんな三人を微笑ましく思うのか、淡い笑みで、それでいてちょっ%8
462SL66:2009/01/23(金) 00:18:20 ID:BObJ80FD
すいません、461は何かのエラーです
やり直します
463横浜紀行 後編 20/38 :2009/01/23(金) 00:19:03 ID:BObJ80FD
「私たち、雑誌に出ていた川嶋さんをお手本に洋服選びをしていたんです。川嶋さんは、私たちにとって、あこがれの
存在そのものです!!」

セミロングの髪をポニーテールにまとめた子が、喜色満面といった感じでそう言った。
亜美は、改めて三人の体型を観察した。亜美と同じく手足がすらりと長い彼女たちであれば、
亜美が着ていた服も似合ったことだろう。

「ありがとう、こんなところで私を覚えてくれている人たちに会えて、うれしいわ…」

亜美は、涼やかな笑みを絶やさずに、三人の顔を見比べるように、視線を移動させた。亜美に見つめられた子は、
それぞれ頬を朱に染めて、ちょっと恥ずかしそうにうつむいた。
見る者を男女の別なく魅了するモデルとしての瞳の威力は、今もって健在なのだな、と竜児は思う。

「あ、あのぅ…、あたしたち、川嶋さんがモデルをやめたと聞いたときは、本当にがっかりしたんです。もう、モデルを
やることはないんですか?」

ロングヘアを、今日の亜美のように一本の三つ編みにした子が、おずおずと尋ねてきた。
亜美は、その子の髪を、「今日のあたしと同じね…」と、前置きして、その子が赤面する反応を楽しむかのように
一拍置いてから、話し始めた。

「ええ、受験勉強に専念するため休業したんだけれど、ちょっと長く休みすぎたみたい。
だから、もう、モデルには戻れないわ」

三つ編みの子は、「そうですか…」と、さも残念そうに、語尾が消え入るように言い、他の二人と目を交わす。

「今は、大学生なんですよね?」

亜美よりも少しだけ背の高そうなボブカットの子の問いに、亜美は頷いて大学名と学部名をを告げた。
三人の「「「すご~い」」」というどよめきが波紋のように広がっていく。

「ええ、でも、本当に猛勉強して、何とか合格。だから、今後は、大学生らしくちゃんと勉強していこうと思っているの」

三人は口々に、「川嶋さんかっこいい!」「やっぱ、見た目通り頭いいんだ」「才色兼備だよね」と、かしましい。
亜美は、そんな三人を微笑ましく思うのか、淡い笑みで、それでいてちょっと眩しそうに見る。

「なぁ、やっぱりモデルだった過去ってのは、そう悪いもんじゃねぇだろ?」

竜児の耳打ちに、亜美は微かに頷いた。
そうした二人のやり取りに気付いたボブカットの子が、ちょっと頬を引きつらせて、亜美の方を向いている。

「か、川嶋さん、すいません、一緒の人は、川嶋さんの何なんですか? ひょっとして彼氏なんですか?」

ボブカットの子が、どもりながらも勇を奮うようにして亜美に問うた。
その問いに、竜児はもちろん亜美も一瞬、「え?」と、たじろいだが、亜美はすぐに笑顔を取り戻し、ちょっと誇らしげ
に胸を張った。

「そう、私と同じ高校の出身で、今は同じ大学に通っている高須くん。この人と一緒に勉強して、二人そろって合格したの」

「「「お、おぉ~!!」」」
464横浜紀行 後編 21/38 :2009/01/23(金) 00:20:16 ID:BObJ80FD

今までよりも一段と大きなどよめきが辺りにこだました。閑静な文教地区には不似合いな歓声が、
その後も「きゃぁ、きゃぁ…」と余韻のように尾を御引いている。
何の邪気もなく礼賛する少女たちに囲まれてまんざらでもなかった亜美も、ちょっとまずいと思うほどに、
彼女らのはしゃぎようは弾けていた。

「あ、あの、あんまり道端で騒いでいると、近所の人に迷惑だろうし、それにあなたたちの学校の近くだから、
先生方に見つかったら大変…」

三人は、亜美の言葉に「もっともだ」と頷いたが、一瞬、企み事がありそうに、にやりと笑って互いに目配せした。

「じゃ、じゃぁ、川嶋さん、それに川嶋さんの彼氏さん。よかったら、どっかで何か食べながらお話ししませんか? 
この近所に、私たちが部活の帰りにいつも立ち寄るベーグル屋さんがあるんです。もし、時間があるんでしたら、
ぜひ!」

竜児も亜美も、今日は山下公園でソフトクリームを食べたっきりであることを思い出し、
空腹であることをいやが上にも意識させられる。
「行くか?」「そうね」と、言葉少なに了解し、竜児と亜美は彼女らの先導で、そのベーグル屋を目指す。
その店は、元町側とは反対の本牧側に下る坂道の中腹にあった。
元々は一般の民家だったものを店舗に改築したのだろう。スレート葺きの屋根と、白くペイントされた木の壁は、
洋館めいた風情があったが、店内は狭く、カウンターに竜児たち5人が座れば、もう満席だった。
カウンターの奥では、ごま塩の口ひげを生やした店主とおぼしき中年男性が、水に晒していたレタスを笊に入れて
水切りをし、玉ねぎを輪切りにしてオニオンスライスを作っていた。
その一連の所作から、竜児は、この店のベーグルの美味さを直感した。

「おすすめは何かしら?」

亜美の問いに、彼女たちは、「何でもおいしいですよ。でも、私たちは、いつも同じ物を注文していますから」

亜美は竜児と頷き合って、「じゃ、あたしたちも、あなた方と同じ物をいただくわ」と、告げた。

注文した物が来るまで、彼女たちは亜美に、服のこと、化粧品のこと、それにモデルをやっていた時の思い出話など
を矢継ぎ早に訊いてくる。亜美もイヤな顔ひとつせずに、彼女らの質問に笑顔で答えていた。

そうこうするうちに、注文したものがカウンターに並べられた。
一人前は、ベーグル二つに、一杯のコーヒー。
だがベーグルは、一つにはクリームチーズとスモークサーモンとトマトとオニオンスライスが、もう一つにはパストラミ
のスライスとクリームチーズとトマトとオニオンスライスが、ぎっしりと詰め込まれている。
そして、コーヒーは、500ミリリットルは入りそうなカフェオレカップに並々と注がれていた。

「すごい量ねぇ…」

「メニューにはない、ここのお店の特盛りです。部活やってる私たち限定なんです。川嶋さんたちは大丈夫ですか? 食べきれますか?」

「大丈夫、あたしたちは、お昼抜きだったから、好都合だわ。ありがとう」

亜美は、ちょっと驚いたような相好を、淡い笑みに変えて言った。
465横浜紀行 後編 22/38 :2009/01/23(金) 00:21:20 ID:BObJ80FD
「豚肉じゃなくて牛肉だ。本物のパストラミだな…。オニオンスライスも変なえぐみが全くない。クリームチーズもいいも
のを使っている…。おいしいよ」

ベーグルを口にした竜児が、いつものクセで、料理に対するコメントを述べると、彼女たちは、意外なものを発見した
かのように竜児に注目した。

「彼氏さんって、グルメなんですか? 男の人で、お料理をこんなに的確に言い当てる人なんて、初めて見ました!」

ボブカットの子のコメントに、他の二人も頷いている。

「女子高だからサンプルが少ないってのはあるけれど、家族にも学校の先生にも、彼氏さんみたいな人はいないです」

「いや、お、俺は、別に…。思っただけのことを、何となく口にしただけで…」

好奇心が込められた六つの瞳が照準され、竜児は、ちょっと動揺する。そういえば、未だサングラスをかけたままだ。
亜美は、そんな竜児を例の性悪笑顔で眺めている。

「この人はね、お料理がとっても上手なの。それに、お掃除にお裁縫もプロ並。それに頭もよくて、何でもできちゃうすごい人…」

「お、おい、川嶋…」

「川嶋さん、それ本当なんですか!?」

という彼女らの問いかけに、亜美はにっこり笑って頷いた。

「いいなぁ〜、うちのパパやバカ兄貴に彼氏さんの爪の垢でも煎じて飲ませたい…。
本当に、あの二人ときたら、生活能力ゼロ。ゆで卵すらできないんだから…」

亜美と同じ髪型の子が、ため息混じりに呟いた。それに他の二人も「そうだよね、うちもそう…」と、相槌を打つ。
その亜美と同じように髪を三つ編みにした子が、じっと竜児の顔を見ている。
亜美と似たようなスレンダーな体型であるせいか、どことなく雰囲気も近い。

「そういえば、彼氏さんは、どうしてサングラスをかけたままなんですか? もう、薄暗いから必要ないですよね?」

「あ、いや、これは…」

助け船を求めるつもりで竜児は亜美を見た。しかし、亜美は意外にも、

「そうね、高須くん。暗いから眼鏡は外しましょうよ。もう、目を守る必要ないし…」

白く繊細な指先を竜児の前に突き出して、サングラスを奪い取ろうとする。

「お、おい、ちょっと待ってくれ!」

竜児はのけぞって、眼前に迫る亜美の指先を避けた。

「大丈夫、彼女たちなら。もう、あんたが家事万能で、やさしいお兄さんだって分かってるし、それに…」

「それに、何だ?」
466横浜紀行 後編 23/38 :2009/01/23(金) 00:22:26 ID:BObJ80FD

「外してみれば、分かるかもしれないわね…」

竜児は不承不承ながらも、半ば観念してサングラスを外した。前髪越しに眼光鋭い三白眼が覗く。
それには、六つの瞳が向けられている。そして、しばしの沈黙。

「何ていうか、目つきは鋭そうだけれど、本当はすごくやさしい人なんだなっていうのが、分かります。
全体の雰囲気が、すごく柔和な感じで、素敵です」

三つ編みの子のコメントに、ボブカットの子も、ポニーテールの子も、「うん、うん」と頷いて賛意を表明している。

「頼り甲斐のある、お兄さんって感じですよね…、私らから見れば」

ポニーテールの子が言えば、

「そうそう、そんな感じ。でも、素敵なお姉さんである川嶋さんの彼氏さんなんだから、私たちから見れば、
当然に素敵なお兄さんか…」

と、ボブカットの子が「うふふ」と笑い、他の二人も「そりゃ、そうか…」と一緒になって笑った。

一方の竜児は、予想外の事態に混乱していた。

「なぁ、川嶋、これはどうなってるんだよ?」

その亜美は、目をつぶったまま微笑して、

「あたしが変わったんだとしたら、あんたも当然に変わっていたんだわ。望ましい方向、よい方向にね…。変な言い方
だけど、この子たちの学校って、名門校でしょ? この子たちも賢いのね。だから、皮相なものに騙されない。
そういうことじゃないかしら」

そうした竜児と亜美のやりとりを、三人は見咎め、物言いたげにじっと見ていた。

「あ、あら、どうしたの? みんな、お話もせず、かといってお食事もしないで、どうしてあたしたちをじっと見ているの?」

彼女らの、『皮相なものに騙されない』視線を受けて、亜美もちょっと狼狽気味だ。

「あの〜、さっきから川嶋さんと彼氏さんを見ていると、何だか、普通の恋人っぽくないなぁ、って思っちゃって…」

と、ポニーテールの子が口火を切ると、
三つ編みの子は、亜美の「ええっ? どうして?」という抗議にも似た応答を遮るように、

「そうそう、単純に惚れた腫れたとかだけじゃない感じですよね。変にデレデレしてないっていうか、お互いを尊重しあっ
ているというか…」

と、付け加え、
そして、ボブカットの子は、

「何ていうか、すいません、怒らないでくださいね。もう、お互いに遠慮がないご夫婦みたいな感じなんですけど…。
あ、す、すいません!!」
467横浜紀行 後編 24/38 :2009/01/23(金) 00:23:28 ID:BObJ80FD

安直に結論付けたことを、さも後悔するかのように、耳まで赤く染め、さっと素早くお辞儀をした。
その子に代わって、今度は三つ編みの子が、好き放題に言われて頬を赤らめて困惑している亜美と竜児を
じっと見つめている。

「でも、川嶋さん。川嶋さんはその人のことを、すっごく信頼しているし、彼氏さんも、川嶋さんのことを大事に思って
いることが、私たちにも伝わってきます。失礼を承知で、お伺いしますけど、結婚されるんですよね?」

彼女らの大胆な問いかけに、竜児はもちろん亜美も絶句したが、亜美は、落ち着くためにナプキンで口元を拭ってから、
彼女らの方に向き直った。
そして、「お、おい、川嶋…」と、言いかけている竜児の足を思いっきり踏んづけて牽制し、

「そう、大学を卒業したら、あたしたちは結婚するつもり…」

と、表情を崩さずに、凛とした声で言い放った。
「ああ、やっぱり」「すごくお似合いです」「おめでとうございます、ってちょっと気が早いですね」と、三人は歓声を上げる。
しかし、亜美は、引き締めていた表情を、目を細め口元を少し歪めた、竜児にとってお馴染みの性悪笑顔に豹変させると、
こう言ってのけたのだ…。

「嘘だけどぉ…」


***
「騙されたと思って、ついてきてくださいよぅ」

具がみっちり詰まったベーグル二つを、たっぷりのコーヒーと一緒に平らげた竜児と亜美は、部活帰りの女子高生
三人に先導されて港の見える丘公園に戻ってきた。
竜児も亜美も、夕刻に訪れたときは、灰色の建築物ばかりが目立って、興を削がれた旨を告げ、消極的だったのだが、
『この時間なら保証します。ですから是非!』という自信たっぷりな態度に負けて、彼女らに引っ張られるようにして、
この公園の展望台を再訪したのだ。

「見てください。どうですか? 明るいうちとは全然印象が違っていませんか?」

三人のうちのリーダー格らしいボブカットの子が、展望台から眼下に広がる光景を指さした。
そこには、光の海が広がっていた。
夕日に照らされて、煤けた姿を晒していた倉庫群は夜の帳に沈み、代わって色とりどりの照明が闇を彩っていた。
視界を寸断するかのように伸びていた首都高速道路も、まばゆい光の帯となって、輝くようにライトアップされている
横浜ベイブリッジにつながっている。

「きれいねぇ…」

「明るいうちとは、全然印象が違うな…」

「でしょう? この公園は、昼間はダメなんです。昔は昼間も眺めがよかったらしいですが、首都高速道路が開通して
からは、夜景を見るためのスポットになっちゃいました。
でも、その首都高速道路が、夜景ではけっこう綺麗なアクセントになっているんですよ」

ボブカットの子が、ガイドよろしく解説してくれた。
468横浜紀行 後編 25/38 :2009/01/23(金) 00:24:16 ID:BObJ80FD
「いつもなら、アベックでごった返しているんですが、やっぱり夕方までの嵐で、みんな退散しちゃったんでしょうね。
この時間帯に人が居ないなんて、ものすごくラッキーですよ」

と、ポニーテールの子が、小手をかざすようにして、辺りを見渡した。

「本当にありがとう。こんな素敵な夜景があることを教えてくれて。それに、さっきのベーグルもおいしかったし…。
あたしたちにとって、本当にいい思い出になるわ」

亜美は、その三人の女子高生の手を一人ずつ両手で握りながら礼を述べた。三人は、頬を赤らめながらも、
亜美の視線を真正面からにこやかに受け止め、お辞儀をした。さすがは名門校だけのことはあるのか、
躾がしっかりしているな、と竜児は思う。

「じゃあ、私たちは、これで帰ります。川嶋さんに彼氏さん、失礼致します」

そう言って、三人揃ってお辞儀をすると、薄暗い街路灯に照らされた石畳の道を戻っていった。
風に乗って微かに聞こえてくる、元町や山下公園方面の喧騒、首都高速道路を行き交う自動車の騒音を別にすれば、
他には人為的な音が聞こえて来ない静かな夜だった。

「立っていても何だから、座るとするか…」

二人は、1時間ほど前に座っていたベンチに再び腰かけた。
その位置からは、光の帯となった首都高速道路と横浜ベイブリッジがよく見えた。その光の帯は、横浜ベイブリッジに
向かう車の赤いテールランプと、逆に横浜ベイブリッジからやって来る車の白いヘッドライトとが、コントラストをなして
いた。

「二面性、とでも言うべきなのかしら…」

竜児は、亜美が出し抜けに言った内容がとっさには理解できず、「何だ、どういう意味だ?」と、亜美に訊き返した。

「別段、深い意味はないのよ。ただ、夕方見た状態が、ここの景色の全てではなかったということ…。
明るいうちの景色が一方の面だとしたら、もう一方の面は、今のような綺麗な夜景ということになるわね」

「ちょっと見ただけで、ダメ出しはよくないってことか…」

「そうね…、一面ではなくて、他のところもちゃんと見なくちゃいけないわね。
今日は、いろいろとそれについて思い知らされたような気がするわ…」

そう言って、背を丸め、膝の上で組んだ両手の上に顎を乗せた。
竜児は、街灯の青白い光に照らされた亜美のうなじに目をやった。

「なぁ、川嶋…」

「なぁに?」

亜美のうなじが微かに揺れる。

「今は無理かも知れねぇけど、いつかきっと、モデルやっててよかったと思えるような時が来るんじゃねぇかな…。
いろいろ辛いことはあったし、今もそれは続いているのかも知れねぇけど、だからといって、全部なかったことにする
のは、正直、もったいねぇ、と思うんだ…」
469横浜紀行 後編 26/38 :2009/01/23(金) 00:25:16 ID:BObJ80FD

亜美は、「う〜ん、そうねぇ…」と、興が乗らないのか、鼻声っぽい物憂げな返答をして、しばらく押し黙った。
竜児も、モデルについてあまり話したくなさそうな亜美の空気を読んで、それ以上の突っ込みはやめる。
風に乗って汽笛が聞こえてきた。会話が途切れると、街や道路からの微かな騒音も、ざわざわと聞こえてくる。

「でもねぇ、さっき、あの三人と話して、モデルだったという過去を完全に捨て去るのは間違いかもしれないって
思えたのも事実…」

亜美の大きくはないが、よく通る声で、微かに聞こえていた騒音が打ち破られる。

「そっか…」

「まだ、あたしを覚えてくれている人が居るんだもの…。それなのに、あたしの方から一方的にモデルであったことを
無視することはできないわね…」

「そうだな…」

「それに…」

亜美は、丸めていた背筋を伸ばし、膝の上で組んでいた腕を解くと、姿勢を正すようにしてベンチに座り直した。

「あたしってさぁ…、結局、モデルとかの過去を単に重たいレッテルだって思っていたんだよね。でも、それはレッテル
にそぐわない自分の中身のなさに怯えていたのかもしれない」

「どういうことだよ」

「モデルってさぁ、一生続けられる仕事じゃないからねぇ。若くて綺麗なうちだけしかできない。
何せ、見た目だけが評価される仕事だから…」

亜美は、おもむろに立ち上がり、腕を腰にやったり、胸を張ったりしてポーズをとった。
モデルを廃業したといっても、一つ一つのポーズは的確で、指先にまで神経が行き届いていることが竜児も分かる。

「川嶋は、見た目だけとか言うけど、今、俺が見せてもらっている限りでも、川嶋はモデルとして高い技量を持って
いるってのが分かる。それに、中身がないってのは、何なんだよ…」

亜美は、ひとしきりポーズをとると、再び竜児の傍らに腰掛けた。

「モデルってのは、美が全てなんだよね。でも、その美ってのは皮相なもので構わない。ウソのツラで十分なんだよ。
でも、加齢ってのは残酷で、そのウソがつけなくなる。そうなったときの、あたしって、本当に何もない、単に昔モデル
だったっていうだけの、おばさんになっちゃうんだろうね…」

亜美は、ストレッチングのつもりなのか、ベンチに座ったまま、左右の指を組み合わせ、その状態で両腕をまっすぐに
突き出した。同時に、両の脚も、つま先までピンと伸ばす。

「そのためにママはあたしも女優にしようとしたんだろうね。モデルに比べたら、女優には桁違いに大きな演技力が
求められけど、それができれば、ママのような歳になっても活躍できる可能性が出てくる…」

竜児の「ああ…」という相槌に、亜美は口元をちょっと歪めるように引きつらせて、自嘲気味な笑みを浮かべた。
470横浜紀行 後編 27/38 :2009/01/23(金) 00:26:00 ID:BObJ80FD
「でも、高須くんにも言ったように、モデルとしてちょっとポーズをとる程度じゃ、演劇ではド素人もいいところ…。
モデルだっていうだけで、役者としての中身がない自分を認めるのが怖かったのかもしれない。
それで、逆に、モデルだったっていうレッテルが邪魔な物に感じられてきたんだろうね…」

「でもよ、さっきの子たちとのファッションや化粧品やブランド品に関する会話、あれは普通の奴にはできないレベル
だよな。彼女らも、単にあこがれていた人と話ができたっていうもんじゃなくて、本当に川嶋の知識やセンスに感銘を
受けていたみたいだし。まぁ、男の俺には、正直よくわかんねぇけどよ…。
そういった、知識やセンスを何かに生かせるんじゃねぇのか?」

亜美は、うふふ、と淡い笑みを竜児に向けた。その笑みは「我が意を得たり」と言いたげだ。

「そうね、だから弁理士試験なんだわ…。ママの思惑通りにはならないための弁理士試験だったけど、今日、
彼女たちとお話しして、高須くんともお話しして、そう思うようになったの。あたしにできるかどうか分からないけれど、
もし弁理士になれたら、デザイン、つまりは意匠とか、ブランド、つまり商標とかの関係の業務で、
その感覚が生かせるかもしれないっていう気がしてきた…」

そうして、「経験を飯のタネにする…、言うなれば実利主義丸出しで、ちょっと恥ずかしいけどね…」と、笑った。
竜児も、「別にいいんじゃねぇか? 実利主義丸出しでさ」と、笑みを返す。

「どのみち、川嶋がモデルだったということは、第三者に意味なく吹聴したってしかたないわけで、それよりも、
飯のタネにでもして有意義に活用した方がはるかにいいさ…」

不意に竜児は、亜美の顔から目をそらし、顎を上げて夜空を見上げた。別に、夜空を見上げたかったわけじゃない。
ただ、夢を語る亜美の表情がまばゆいばかりに美しく、その瞳で凝視されると息苦しさすら覚えたからなのだ。
テラスの骨組みの隙間からは、星がいくつか、地上の明るさに負けまいと健気にも瞬いているのが辛うじて確認できた。

「在学中に弁理士試験に最終合格して、卒業したら、どっかの事務所で修行して、何年かしたら、そこから独立して、
高須くんと、あたしとで事務所を共同経営する。それが、今のところのあたしの夢であり、目標ね…」

「鬼が笑い死にしそうなほど遠大な計画だな…。だが、俺も、そうなったらいいとは思う」

竜児は、夜空を見上げるようなふりをしたまま、亜美に応じた。顎を上げたため、無防備に伸び上がっている首筋に
亜美の熱っぽい視線を感じる。今、その瞳と対峙したら、亜美のなすがままになってしまいそうだ。

「理系の高須くんが所長で特許・実用新案の担当、文系のあたしが副所長で意匠・商標の担当、こんな感じかな…。
これって最強タッグかもね。ねぇ、高須くん、聞いてる?」

「お、おう…」

亜美の視線を受け付けようとしない竜児に、苛立ちを覚え始めたのか、亜美の語気が、ほんの少しだけ険しくなる。

「ねぇ、亜美ちゃんの夢って、聞いててつまんない? なんだか、高須くん、上ばっか見ていて、文字通り『上の空』で
亜美ちゃんの話を聞き流しているみたいだし…」

竜児は、「いやぁ、そんなことはねぇよ…」と言って、観念して亜美の視線を受け止めた。先ほどの竜児の態度の
悪さからか、ちょっと不機嫌そうに頬を膨らませ、目をちょっと細めている見慣れた亜美の姿があった。
きらきらと輝くように美しい亜美もいいが、こっちのちょっとブスッとした顔か、どこか性悪そうな顔の方が
何だか落ち着く。もっとも、正直にこのことを本人に告げたら、竜児がどんな目に遭うのか微妙だが…。
471横浜紀行 後編 28/38 :2009/01/23(金) 00:26:42 ID:BObJ80FD
「それでぇ~、事務所の名称は『高須特許商標事務所』、語感も悪くないし、いい感じじゃない?」

「おいおい、もう事務所の名前まで決めてるのかよ…。気が早すぎるぜ」

「長期的かつ全体的展望に立った戦略的な計画と言って欲しいわね」

「お前の言う『戦略』は、なんか一般常識とは違うような気がするんだが…」

「そうかしら?」

亜美は、それほど高くはないけれど整った鼻先を、つん、と上に向けて、目を閉じた。

「第一、特許事務所の名称ってのは、経営者である弁理士の名前を全部入れるのが筋なんだろ? 
だったら『高須・川嶋特許商標事務所』だよな? 普通…」

亜美の頬が、ぴくん、と痙攣するように震えた。
-何かまずいことを言ったかな? 竜児はちょっと不安になる。
無言で頬をひくつかせた亜美との気まずい沈黙の中、竜児はしばし黙考する。
おそらくは、事務所の名前で、自分の名字が先頭に来ないことを不満に思っているのだろう、ということで、
事務所の名前を言い直した。

「そっか、『川嶋・高須特許商標事務所』か、これなら名前が五十音順だしな…」

亜美は、竜児のその言葉で、目をつり上げ、こめかみには青筋を立てんばかりの、般若顔で竜児を睨んだ。
しかし、それもほんの一瞬で、すぐに穏やかな淡い笑みをたたえた柔和な表情を浮かべた。

「…、高須くぅ〜ん、そういう気遣い、亜美ちゃん、うれしいな。さっすが、『気遣いの高須』」

亜美は、「お、おい、川嶋…」と言う竜児を尻目に立ち上がり、ベンチの後側から竜児の背後に回って、その後頭部に
もたれかかった。

「お!」

竜児の後頭部が、弾力に富んだ2つの物体の狭間に置かれ、亜美の体温が伝わってくる。

「うふふ、気遣い上手の高須くんに、これは、あたしからのご褒美」

亜美は、竜児の後頭部に胸を擦り付ける。それも、両の乳房を両手で支えて、時にはそれを押しつけ、時には乳首
がある先端でなぞるように竜児の後頭部を翻弄するのだ。

「か、川嶋、な、何か当たってる…」

「うふふ、何って、なぁ~に? ほぅら、高須くんが教えてくれないと、亜美ちゃん、わかんな~い」

谷間から乳首の辺りまでが、まんべんなく竜児の後頭部に擦り付けられてくる。特に、ブラ越しでも感じられる亜美の
乳首が、首筋辺りに触れてくると、ぞくぞくするような不思議な感覚に襲われ、竜児の意に反し、その分身が、むくむく
と鎌首をもたげる。
その様は、竜児の背後に居る亜美にも丸見えで…、
472横浜紀行 後編 29/38 :2009/01/23(金) 00:27:28 ID:BObJ80FD
「ねぇ〜ん、高須くんも気持ちいいでしょ〜? もっと、気持ちいいことしたくなぁ〜い?」

「い、いや、俺は…」

「そうぉ? 亜美ちゃん、高須くんに、おっぱいくっつけていると、なんだか気持ちよくなってきちゃったんだけどぉ~。
高須くんは、気持ちよくないのぉ~? だってぇ、高須くんの股間の辺りが、何だかとっても元気良さそうなんだもぉ~ん」

「あ、こ、これは…」

竜児は、反射的に、太ももの筋肉を引き締めて内股になり、股間の怒張をごまかそうとする。

「うふふ、無理しちゃってぇ。やせ我慢は、体に悪いわよぉ。ねぇ、高須くん、もっと気持ちいいことしようよぅ」

亜美は、両の乳房を竜児の背中に擦り付けるようしながら、竜児の肩越しに囁きかける。
亜美の体から立ち上る甘い匂いと、耳朶に吹き込まれる亜美の吐息が目眩を誘う。

「ねぇ、気持ちいいこと、し・よ・う・よ…」

とどめのつもりか、亜美は、竜児の耳朶からうなじにかけて、つぅー、とピンク色の小さな舌を這わせてきた。
もう、だめだ…、とばかりに、竜児は、あいまいに「お、おう」と返答した。
その直後、亜美の乳房の柔らかな感触も、甘い匂いも、かすかな吐息も、亜美の舌が耳朶から首筋に這う感覚も、
それらの全てが、両こめかみに電撃のように走った激痛で無慈悲にも遮断された。

「う、うわぁあああああ! い、いてぇ、いてぇよ!」

竜児の両こめかみには亜美の拳が、ぐりぐり、とねじ込まれていた。それも、渾身の力を込めて。

「川嶋ぁ、やめろぉ! やめてくれぇ!!」

「やめないよ! あたし本気でむかついたんだからね。もう、この鈍感!!」

亜美は、それこそ鬼か般若の形相で、なおも竜児のこめかみに両の拳を力一杯ねじ込んでいく。

「な、なぁ、川嶋。な、何で、お前は、そんなにもむかついているんだよ…」

息も絶え絶えに言う竜児に哀れを催したのか、亜美は拳のねじ込みを止めた。

「全然、心当たりがないの?」

竜児が、「全然ねぇ…」と、か細く言うと、亜美は般若の形相をいっそう険しくして、再び、竜児のこめかみへドリルの
ように両の拳をねじ込んでいく。竜児の絶叫が展望台にこだまする。

「か、川嶋ぁ、わけが分からねぇ! なんで、お前がそんなにも怒るのか、た、たのむよ、気ぃ悪くしたんなら、
あ、謝るから、お前がむかついている理由を、お、教えてくれぇ…」

「あんた、さっき自分が何を言ったのか憶えてないの? あんたは事務所の名前をなんつったの?」

そう言いながらも、亜美は両の拳に込めた力を緩めない。
473横浜紀行 後編 30/38 :2009/01/23(金) 00:28:13 ID:BObJ80FD
「『高須・川嶋特許商標事務所』、いや、『川嶋・高須特許商標事務所』だぁ!」

二番目の事務所名を言った瞬間、亜美はよりいっそうの力を込めて、拳を竜児のこめかみにめり込ませた。

「あんたは、女心の機微ってもんを、もうちょっと学習しなさい! 『川嶋・高須特許商標事務所』? ばっかじゃね〜の」

「うわぁ、いてぇ、いてぇよう。川嶋ぁ、勘弁してくれぇ! それに女心の機微って何なんだよぉー」

「うるさい!! 鈍感なあんたはこの程度じゃ死にゃしないから、ぎゃあぎゃあ喚くな! 
で、あたしが言った事務所名は?」

「わ、分かった、こ、答えるから、ちょっと、この拷問みてぇな責め苦を何とかしてくれぇ!!」

亜美は、ひとまず竜児のこめかみから両の拳を引き離した。しかし、事と次第によっては、いつでも再開できるように、
竜児のこめかみの両側から3センチほど離したところで拳骨を握ったまま待機しているのだが…。

「『高須特許商標事務所』だ…。たしか、お前は、そう言った」

「そうね…、何で、あたしがそう言ったのか、理解できている? あたしも弁理士になって、事務所を一緒にその名前
でやっていくっていうことが何を意味するのか…」

亜美は、ベンチにへたり込んでいる竜児を憮然として見下ろしている。その仏頂面には、竜児がまたぞろ空気の読め
ない事を言い出すであろうという苛立ちが表れていた。

「え、と、いや、しかし、そうなのか? でも、お前さっき、あの子たちの前で、嘘とか何とか…」

歯切れの悪い竜児の言動にキレそうになるのを堪えながら、亜美は押し殺した声で、答えにも等しいヒントをくれてやる。

「あんたねぇ…、あたしがいつまでも川嶋姓でいるとでも思ってんの? こんだけ言えば分かるでしょ」

「か、川嶋、つまりは俺たちは結婚してるってことなのか? でも、お前は、さっき、あの子たちの結婚するかっていう
質問には嘘だって言ってたじゃねぇか…」

亜美は、目を細めて、唇の右端を引きつらせ、頬を痙攣させて竜児を見た。
どうして、こいつは、想定問答集の悪い回答例みたいなことばかり言うのだろう、と思いながら。
-これは、お仕置きが足りなかったようね。
再び、亜美の拳骨が、無慈悲にも竜児のこめかみにめり込んでくる。

「うぎゃ~っ!! ちゃ、ちゃんと答えたじゃねぇか」

「質問に質問の形式で回答しない。自分の意見は確信を持って言い切ること! これは口頭試問の鉄則でしょ? 
それに、何であたしが、会ったばっかのあの子たちに、あんたとの将来を正直に言わなきゃならないのよ! 
それぐらい察しなさい!!」

最後に、ぐぃっ! とばかりに出せる限りの力を込めて両の拳を竜児のこめかみにねじ込んだ。
激痛から解放された竜児は、三白眼から涙を流して、ぼろ雑巾のようにベンチにもたれかかっている。
亜美はそんな竜児の傍らに腰掛け、その涙をハンカチで拭ってやった。

「あたしがさっき言ってた『二面性』というものを、あんたは理解できていなかったようね。
474横浜紀行 後編 31/38 :2009/01/23(金) 00:28:55 ID:BObJ80FD
あんたから結婚について何も言ってこないうちに、今日会ったばかりの第三者に、あたしが簡単に本心を言うわけが
ないでしょ? あんただったら、あたしの日頃の態度や、『高須特許商標事務所』と言ったことで、その辺の機微
は分かっていると思っていたのに…」

ハンカチをバッグに仕舞うと、「まぁ、バカ正直なあんたらしいって言えなくもないけどさ…」と、嘆息した。

「あんたの回答は赤点もいいところなんだけど、まぁ、あたしも鬼じゃないから…。追試で勘弁してあげよう」

亜美は、「つ、追試って何だ」と、うわごとのように呟く竜児の顎をつかみ、未だ痛みから朦朧としているような
その双眸を覗き込んだ。

「簡単よ。あたしの言うことを、一言一句違えずに復唱すること。いい? 
ひとーつ、高須竜児と川嶋亜美は、今後、勉学に精励し、大学在学中に弁理士試験に合格することを誓います」

竜児も、不承不承ながら、亜美の言葉をなぞるように言った。

「う~ん、もうちょっと大きな声で! 
ふたーつ、高須竜児と川嶋亜美は、将来事務所を共同経営し、当該事務所の名称は高須特許商標事務所と致します」

「ふたーつ、高須竜児と川嶋亜美は、将来事務所を共同経営し、当該事務所の名称は高須特許商標事務所と致します!」

また、例の責め苦を受けるのは勘弁なので、竜児は半ばやけくそ気味に声を張り上げた。

「みーっつ、高須竜児は、川嶋亜美との永遠の愛を誓い、彼女に求婚することを宣言いたします。以上」

言い終えた亜美は、ちょっと頬を紅潮させて竜児の宣誓を待った。
しかし、竜児は、しばらく考え事をするかのように黙り込み、亜美の「何やってんの、早く復唱!」
と、詰られてから切り出した。

「なぁ、川嶋。俺は、こう言いたいんだが、いいか?」

さらには、亜美の、「ちょっと、ちょっと、一言一句違えずに復唱っていう約束でしょ?」という咎めを遮って、竜児は言った。

「川嶋、おれが弁理士になる本当の理由を、お前は薄々感づいているんだよな?」

亜美が、「え、ええ…」と、ちょっと曖昧そうに頷くと、竜児も、「よし、なら、回りくどいことはやめにする」と頷いた。

「俺は川嶋を幸せにしてやりたい。そのために弁理士として、それなりの社会的なステータスを得る。社会的にも川嶋
にふさわしい男になって、お前と結婚するんだ。そして、永遠の愛を誓う! これでどうだ?」

亜美は、一瞬ぽかんとしていたが、すぐに「うふふ…」という淡い笑みを浮かべた。その笑みは次第に増幅され、
やがて「あははは!!」という大笑いになり、亜美は涙を浮かべながらも腹を抱えて笑い転げた。

「お、おい、川嶋…」

亜美はひとしきり笑い転げると、笑いすぎて乱れた呼吸を整えながら、ハンカチで目頭を拭った。

「お前、泣いていたのかよ…」
475横浜紀行 後編 32/38 :2009/01/23(金) 00:29:39 ID:BObJ80FD
亜美は、それには答えず、涙をハンカチで拭い終えると、幾分腫れぼったくなったまぶたを開いて、竜児を見た。

「模範的な回答じゃなかったけれど、及第点…。バカ正直でまっすぐなあんたらしい答えよね。あたしは、高須くんの
社会的な地位がどうであろうと関係ないのに、それに拘っているのがかわいいっていうか、古くさいっていうか…」

そうして、また、「うふふ」と、まんざらでもなさそうに微笑するのだった。

「川嶋には笑われると思っていたよ…。でも、言っちゃあなんだが、父親が居なくて、社会の底辺にいるような泰子が
唯一の肉親である俺と、セレブな両親が健在で、本人にもモデルだったというステータスがある川嶋とが一緒になる
には、何らかの仕掛けが必要なのさ」

「だからぁ、あたしは、そんなの全然構わないってのぉ! 
ただ、高須くんが、亜美ちゃんと結婚する意思があるってだけで十分なんだから」

「俺たちの間では、それでもいいだろうな。だが、俺たちがよくても、周囲、特に川嶋の家の方が黙っていないだろう。
弁理士になっても、正直、川嶋との結婚を祝福してくれるかどうかは疑わしい。
しかし、非力な俺でも川嶋と結婚するために、できる限りのことをする。その一環としての弁理士試験合格なんだ…」

「あんたって、本当に古風で、変なところが頑固だねぇ…」

亜美は、そんな竜児に呆れたように言いながらも、うふふ、という微かな含み笑いを浮かべた。

「そうか? そういう頑固者と結婚しようとしている川嶋も相当に変な女だぞ」

亜美は、「ほほう、相当に変な女ときたか…」と、呟くと、目を細めた性悪笑顔で竜児を見つめた。

「どうした? 川嶋…」

「う~ん、ちょっとねぇ…」

無意味に色っぽい鼻声で囁くと、亜美は白く繊細な指先を、竜児の股間に這わせていく。

「か、川嶋、な、何を!」

「亜美ちゃん、最愛の高須くんに『相当に変な女』なんて言われて傷ついちゃったのぉ~。だから、高須くんに慰めて
ほしくてぇ~。それにぃ~、高須くんだって、さっき、気持ちいいことしたいって、言ってたじゃなぁい? 
だからぁ、これはぁ、その続きよ、つ・づ・き…」

亜美は、竜児の股間の膨らみを、掌と白く繊細な指で包み込むようになで回した。
拷問まがいの責めの前に怒張した余韻もあってか、亜美のちょっと不器用そうな愛撫でも、
すぐにむくむくと鎌首をもたげ始めた。

「おま、ちょっと待て、ここは、公園だぞ。キスならまだしも、これはまずいって…」

「見たとこ、誰も居ないんじゃなぁ~い? ここで、雰囲気出して、そのままホテルでも行きゃいいんだしぃ~。
それにぃ、あたしたちはぁ、いずれ結婚するんでしょぉ? 今時、婚前交渉なんて、普通よ、ふ・つ・う…」

目を潤ませて迫ってくる亜美の吐息が荒い。女がマジで発情すると、こんな感じになるのか、と竜児は思った。
今までに亜美は何度となく竜児に迫ってきて、いずれもそれなりにエロかったが、
476横浜紀行 後編 33/38 :2009/01/23(金) 00:30:28 ID:BObJ80FD
今度のは、これまでとは比較にならないくらいエロい。

「結局、何だよ、俺が言った『相当に変な女』で難癖つけて、エッチしたいだけじゃないか。
いや、もう理由なんかどうでもいいんだろ?」

亜美は、「そうね、どうでもいいかしら、そんな理由…」と興味なさげに言い放ち、狼狽する竜児に構わず、
その上に馬乗りになった。そして、自らの股間を、竜児の怒張したそれに押し付ける。

「第一、高須くんのこれって、こんなに元気…。で、亜美ちゃんのあそこも、もう疼いちゃてぇ。パンティライナー敷いて
なかったらぁ、今頃は大変なことになってんだからぁ~。
ね、だからぁ、高須くんが責任とって、亜美ちゃんの疼きを鎮めてちょうだぁい」

竜児は、「知るか!」と、一喝したが、亜美が股間を押し付けたまま腰を妖しく動かすと、「おっ!」と、吐息を漏らし、
その快感に身もだえる。このままでは、下手したら射精してしまいそうだ。

「それにぃ…」と、亜美はじらすように前置きして、

「今日は安全日だからぁ、中出しおっけい! だからぁ、この勢いで、あたしたちは、一つになろぉう…」

紅潮した頬、潤んで熱っぽい瞳、甘い吐息とともに、密着している亜美の華奢な体からは、どくどく、という早鐘のような
鼓動まで伝わってくる。そして、同様に激しく脈打っている竜児の鼓動も亜美には伝わっているに違いない。
竜児は、逃れられない何かを感じ、ぎゅっと亜美を抱きしめた。
二人は、互いに見つめ合ったまま、唇を重ね…。

「あ~っ、バカ、押さないでよぅ!」

「しっ、クライマックスなんだから、静かにしなさいよ」

「あ、あ、あ、もうだめぇ!」

エロスに満ちた甘いムードは、少女のものと思しき甲高い声で中断された。
ベンチの横に生えていたツツジの植え込みからは、三つの影が転がり出てくる。白い夏服に短めのスカート、
それにラケットとスポーツバッグ。

「誰? 誰なの?」

亜美は馬乗りになっていた竜児から、飛び跳ねるようにして離れ、誰何した。
とは言え、亜美はもちろん竜児にも、その三つの影が何者であるか察しはついていたのだが…。

「あ、あなた達、何でここに?」

覗いていたのは、例のお嬢様学校の三人。

「あ、ああ、す、すいません!!」

尻餅をついていたボブカットの長身の子が、飛び上がるように立ち上がって、バネ仕掛けのように、ぴょこん、と頭を
下げた。
残る二人も、口々に、「川嶋さんに彼氏さん、本当にすいません」と、亜美と竜児に謝罪した。基本的に躾は良くても、
好奇心には勝てなかったらしい。この点では、思春期の少女らしい、が…。
477横浜紀行 後編 34/38 :2009/01/23(金) 00:31:32 ID:BObJ80FD
公園には誰も居ないだろうと思い込んでいた竜児と亜美は、突然のことに、まず驚愕し、覗き見られていたことに
気付いて羞恥し、狼狽した。
覗きは、軽犯罪法か迷惑防止条例に違反する可能性がある。しかし、ここは屋外の不特定多数の者が集う公園であ
り、むしろ猥褻な行為に及んでいたのは、亜美と竜児に他ならない。

「ま、まぁ、ここは公園だし、誰かが、い、居ても不思議じゃなかったわよねぇ…」

平静を装ったが、一部始終を見られていたかも知れないことで、亜美の語尾は微かに震えていた。

「すいません、悪気はなかったんです。ただ、大人の川嶋さんと彼氏さんが、どんな恋愛をするのか確かめたくて、
将来、私たちが恋愛する時のお手本にしようかと思いまして…」

三つ編みの子が、申し訳なさそうに消え入るような声で釈明した。

-見られていた? 一部始終を?
竜児とのきわどい行為で火照っていた亜美の頬の血の気が引いていく。

「お手本? あの、まさか、あたしたち二人がここでやっていたことの一部始終を見ていたの?」

「「「はい…」」」

「あたしが、高須くんの背後から、胸を擦り付けていたのも?

「「「はい…」」」

「あたしが拳骨で高須くんを懲らしめているのも?」

「「「はい…」」」

「あたしと、高須くんのプロポーズも?」

「「「はい…」」」

「あ、あたしが、高須くんに馬乗りになって迫ったのも?」

「「「はい…」」」

「そ、そのときの会話は、聞こえてないよね? ね、ね?…」

亜美は、今にも泣きそうな顔で、念押しするように三人の顔を見比べた。
ボブカットの子と、三つ編みの子は、そうした亜美への情けなのか、正直に言うことをためらっているのか、
沈黙している。
しかし、空気の読めない奴は、どこにでも居る。

「え~と、たしか、『安全日』とか、『中出し』とか、『この勢いで、あたしたちは、一つになろう』とか、
聞こえちゃったんですけど…」

ポニーテールの子が、首を傾げながら、何の邪気もない表情で、呟いた。他の二人が、「あ、バカ、空気読めよ!」と、
言ったが既に遅し…。
478横浜紀行 後編 35/38 :2009/01/23(金) 00:32:13 ID:BObJ80FD

「ああああっ~、あ~っ!!」

亜美は絶叫し、頭を抱えて、ベンチにうずくまる。そして、

「も、もう、お嫁に行けないよう…」

と、消え入るように呟いて、泣き出した。竜児は、やれやれとばかりに、亜美の肩を抱いて、そっと耳元で囁いてやる。

「な、なぁ、川嶋、大丈夫だって、冷静になれ。お前は、誰のところに嫁入りするんだよ?」

「う、うう、た、高須くんのところ…」

「だったら、何の心配もねぇ。俺も覗かれていた当人なんだから…。だから気にするな、な?」

「う、うん…」

亜美は、幼子のようにむずかっている。竜児は、このまま、そっとしておくことにした。
何よりも、これに懲りて、場所を選ばず劣情をむき出しにする亜美の悪い癖が、多少はマシになるかも知れない。

「さてと…」

竜児は、ベンチから立ち上がって、三人の少女たちに向き直った。
三人は、覗きと、竜児との睦言を盗み聞きされたショックとで、亜美が泣いてしまったことを深く反省しているのか、
うつむいたままで竜児に視線を合わせてこない。

「まぁ、俺は法学部じゃないから詳しいことは分からないけどよ…。お前らがやったことは、明らかに誉められたことじゃない」

竜児の言葉に、三人は、「はい、すみません」と、一段と深く頭を下げて謝罪した。

「川嶋も、あの通りだ。大人っぽく見えるけど、あいつは、結構、子供みたいなところもあってな…。
今回みたいに、泣き出すことも、そうは多くないけど、実はあるんだ」

「すいません、あたしが余計なことを言ったばっかりに…」

空気を読めなかったポニーテールの子が、申し訳なさそうに深々とお辞儀をした。

「いや、いいんだ。川嶋は、それでいて結構タフだから。凹んでいても、ちょっとしたことで立ち直るから、
そのことは気にしなくていい…。ただし、これだけは約束してくれ。ここで、見聞きした俺と川嶋のことは、
誰にも言わねぇでもらいたい。それだけだ、約束してくれるかな?」

「「「はい」」」

「いい返事だ。じゃあ、もう帰った方がいい。いくら三人とはいえ、女子だけで暗い夜道は危険だ。
俺たちのことは気にせずに早く帰ってくれ」

「「「はい」」」

しかし、先ほどのポニーテールの子が、おずおずと竜児の前に歩み出てきた。
479横浜紀行 後編 36/38 :2009/01/23(金) 00:33:04 ID:BObJ80FD

「何だ?」

「あのぉ~、川嶋さんの件は本当にすみませんでした。でも、これだけは言わせて下さい。
お二人のやり取りを見ていて、単純に好きっていうだけじゃなくて、互いに何でも言い合えて、遠慮がない関係って、
すばらしいと思いました。それに、こんなことをしでかした、あたしたちにも寛容な彼氏さんは、やっぱりすごくいい人
だって分かりました。あたしも、将来、彼氏さんのような人と巡り合えたらいいなって、思います」

それだけ言うと、竜児にさっと一礼し、他の二人のところへ戻っていった。
そして、三人そろって、「本当にすみませんでした」と、一礼し、回れ右をするようにきびすを返して、公園の出口に向
かって歩いていった。

「あんたが、いらんこと言うから、川嶋さん泣いちゃったじゃん…」「でも、でも、川嶋さん、すっげぇ〜。彼氏さんにのし
かかって、圧倒していたよ」「ああ、私も好きな男の子に川嶋さんみたいに迫ってみたいよう〜」「あんたじゃ無理で
しょ、ルックス的に。てか、それ以前に女子高でどうやって男作って、そいつに迫るのさ…」

という、彼女らの会話が風に乗って微かに聞こえてくる。竜児は、「やれやれ…」と嘆息した。
守秘義務は、どうやら反故にされてしまいそうだ。

-そういえば、川嶋は?
泣き疲れたのか、亜美は、腫れぼったいまぶたのまま、膝を抱えて、ベンチにうずくまっていた。
半ば放心状態なのか、瞳には輝きがなく、頬は血色が乏しい。

「よう、川嶋。あの子たちなら、大丈夫だ。今日、ここで見聞きしたことは他言無用だと念押ししておいた。基本的に、
正直ないい子たちだから、心配はいらねぇよ」

本当のところは怪しかったが…。
亜美は、「そう…」と、無気力で事務的に呟いた。

「なぁ、川嶋。今日のところは、俺たちも退散しよう。立てるか?」

「う、うん…」

亜美は、バッグを持ってよろよろと立ち上がり掛けたが、はっとしたように股間を押さえて頬を赤らめ、
再びベンチにしゃがみ込んだ。

「どうした?」

亜美は、真っ赤な顔をして、「何でもない、何でもない…」と、首を左右に振っている。それでいて、股間を押さえて、
脚は内股にすぼめていたのだから、男の竜児にも事態が飲み込めてしまう。
尾籠な話だが、先ほどの劣情で催したものが、パンティライナーの吸収量をオーバーしたのだろう。
あそこが、ぬるぬるのべたべたで、それが冷えてきているとしたら相当に気持ち悪いに違いない。
さりとて、竜児に、それを正直に告げることができないとは、淫乱なのか純情なのか、どうにもよく分からない女ではある。
しかし、ここは、竜児が騎士道精神を発揮しなければなるまい。

「あ、そうだ、川嶋。ちょっと、喉が渇いていねぇか? 俺は、ちょっと、飲み物を買ってくるよ。
たしか、あっちの方に自販機があったような気がするな…」

そう言って、洗面所がある方角とは反対の方を指さした。
480横浜紀行 後編 37/38 :2009/01/23(金) 00:33:45 ID:BObJ80FD

「川嶋は、ミルクティーで良かったんだよな? 他に希望がなければ、それにするが…」

亜美は、「う、ううん。それでいい…」と言い、自販機を探しに行こうとする竜児に、「ありがとう…」と、
消え入るような声で付け加えた。

十五分ほどして竜児が戻ってみると、亜美は、泣き崩れて腫れぼったくなっていた面相を自然な状態に戻し、
落ち着いた風情でベンチに腰掛けて待っていた。
きっと、大慌てで、トイレでパンティーライナーを交換し、メイクを整えていたのだろう。
竜児は、その亜美に、缶入りのミルクティーを手渡した。

「おっそっ~いっ!! 
こんな暗いところに亜美ちゃん一人を置いてきぼりにして、高須くんは、女の子の扱いがなってない!!
こんなんじゃ、寛容な亜美ちゃんぐらいしか、高須くんは相手にしてもらえないよぉ。
だから、亜美ちゃんだけがぁ、高須くんのことを一生、相手にしてあげるんだからぁ~、感謝なさぁ~い」

亜美は、茶色い瞳を輝かせながらも、頬を不満げに膨らませる。
竜児は、苦笑しながら、缶コーヒーに口を付けた。そうとも、川嶋に凹んでいる姿は似合わない、と心の中で呟きながら。

「一生も何も、俺たちは永遠の愛を誓ったんだろ? もう、それだけで十分じゃねぇか…」

亜美も、缶入りのミルクティーを一口飲んで、

「そうね、でも、心の結び付きも不確かだし、体の結び付きはキス止まりよね、だから…」

「結局、そこかよ…」

亜美は、口元の両端を軽く引き締めるようにして淡い笑みを形成し、「ふふふっ…」と、脱力したように笑った。

「ううん、今日は、もうなしね。またの機会…。彼女らに覗かれて、完全に興ざめしちゃった」

竜児は、さらに一口コーヒーを飲み、「そうだな…」と、同意した。

「何だかねぇ、あたしたちの逢瀬って、こんなのばっか…。初めてのキスのときは、いいところで泰子さんに目撃され
ちゃうし、この前のピクニックでは、あたしが長いこと高須くんに膝枕をしてあげていて、脚が痺れて立てなくなったし、
今日は、これからってところで、彼女らに覗かれているのが分かっちゃったし…。何だか、相当格好悪いよね…」

笑ってはいるが、内心は相当に堪えているのかも知れない。
亜美の頬は、血色は戻ったものの、未だ小刻みに痙攣している。

「そうだなぁ…。でも、現実ってのはこんな格好悪いことの繰り返しと積み重ねなんじゃねぇかな」

「にしても、格好悪すぎ。亜美ちゃん、なんか釈然としない…」

「理想の相手と、一世一代の大恋愛をして結ばれるってのもありだが、言っちゃあなんだが、俺たちみたいに間抜け
な出来事に彩られた恋愛ってのも結構おつなものかもしれねぇ。
ほら、彼女たちが、俺たちのことを、『普通の恋人っぽくない』とか、『お互いに遠慮がない夫婦みたい』って、
言っていたよな? ああいう風に見られているってのは、それだけ俺たちの絆が、他人から見たら、
しっかりした物だってことなんだろうな」
481横浜紀行 後編 38/38 :2009/01/23(金) 00:34:23 ID:BObJ80FD

「言ってる意味が分かんないわ…」

亜美は、缶の中身を飲み干すと、怪訝そうに竜児を見た。

「なんつーか、うまく言えないけどよ…。理想ってのは、何か、問題があったらそれだけで理想じゃなくなるけど、
現実ってのは、問題点があることが折り込み済みで、その問題点を克服していくもんだよな。だから、最初は問題点
が沢山でも、それを少しずつ解決してきた方が、なまじの理想よりも価値があるんじゃねぇか?」

「雨降って地固まる、って言いたいの?」

未だ釈然としないのか、亜美は、疑わしげに目を眇めている。

「月並みだけど、そうなるか…。トラブルがない現実なんてのは存在しない。なぁに、トラブルなんてのは、
現実のスパイスだと思えばいいのさ。そう割切っちまおう」

「あんたは、料理に例えるのが好きだねぇ」

「おう、お前のエロネタよりは健全だぜ」

亜美は、笑いながら、「高須くんも、言うようになったじゃん」と言い、二人は、目と目を合わせて、忍び笑いとも苦笑と
もつかない笑みを浮かべた。

「でも、トラブルというスパイスがまぶされた現実か…。そうね、現実って、そんなものなのかもしれない…」

「そうさ、現実ってのは、苦くて、しょっぱくて、辛くて、それでいて、ほんの少し甘い。塩と胡椒をまぶした
ビターチョコレートみたいなものかもしれないな」

「何それ、想像もできない代物ね…。それにしても、中華鍋は買えなかったし、いろいろあって大変な初デート…」

亜美は、竜児の言う『塩と胡椒をまぶしたビターチョコレート』に呆れたのか、いろいろなことがあっての疲労感から
なのか、ふぅーっ、と大きく嘆息する。

「だがよ、一生の思い出になることは請け合いだな」

「そうね、間違いなく一生の思い出だわ…。本当に…一生の…」

そう囁き、寝顔のように穏やかな表情で、そっと竜児に寄り添った。

いつしか、地上の星と輝きを競うかのように、上弦の月が雲間から現れ、竜児と亜美だけが佇む公園に青白い月光
を投射していた。

(終わり)
482SL66:2009/01/23(金) 00:35:52 ID:BObJ80FD
以上です。
続編は、亜美 vs 実乃梨の予定です。
483名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 00:57:41 ID:1+m284/R
GJ
こりゃ読み応えがある
484名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:28:34 ID:0WKaelyN
これはまたすごい力作だ(*´Д`*)/ヽァ/ヽァ
面白かったよ
485名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:44:17 ID:JnoKG+O+
>>482
おお、横浜後編!!
情景も細かく、ストーリーも芯がしっかりしていて驚嘆しました
等身大の恋愛で、現実と被るとこがあり共感したよ…
この二人はもうとらドラを飛び越えて完全にここで生きてますな
続編嬉しいっすね!!!次回も期待!!!

ほんとGJでした!!!
486名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:48:28 ID:vYEu4O2p
>>482
凄いなぁ、ほんと力作だ。仕事から帰って来たばっかで疲れてたけど、一気に読んじゃったよ。
細かい描写とかが感心させられて、下手なプロ作家よりすげえと思う。無料で読めるのがありがたいと思うくらいだ。
ほんと乙です。
487名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:48:54 ID:vbQq6MQs
続編予告に俺歓喜

ななドラの続きこないかなぁ〜;w;
488名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:56:43 ID:ieU20JCC
超超超超超超超超超超GoooodJッ!!!

毎スレ楽しみにしてますよ。なんて言うか情景の描き方が上手いですね

今回の話読んでて思ったのが、8巻終盤から、もしくは9巻途中辺りで原作から別ルートinしたストーリーかな?ってことで
次回予定の VSみのりん がどう絡んでくるのか想像できません

高須の態度からジャイアントさらばしてなさそうだし
489名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:56:52 ID:g7qD24yl
これはSGJせざるおえない…

しかも、今度はみのりんが来るのか…


会長と北村も出したげてw
490名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 02:09:13 ID:zW4xIy8b
GJ!
細やかな描写に思わず引き込まれた
続編も期待!
491名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 02:51:31 ID:/+H1FZbV
>>482
今回も乙です。読み応えありました!
二人の関係がゆっくりながら着実に進んでるのが感じられて素晴らしい。
思わぬ人物の登場とか、展開も巧みで読んでて続きが楽しみになります。
んで、親とはまた強大な敵が出てきたなあ〜と思ったら次はみのりんですか…
越えるハードルは多そうですが、次回も楽しみにしてます。

ところで…
>男子は、かつてのストーカーを彷彿とさせるようなキモイ奴ばっかだし…
似たような境遇の俺涙目www
492名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 02:54:21 ID:gU8jKLj0
作者は結構歳いってると見た。
GJすぎる……あんだけエロい描写あるんだから、最後までヤッちゃってくれー(´;ω;`)
俺ずっとちんこ触りながら読んでたのに…JCめ…
493名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 03:59:40 ID:fYLDwhtZ
>>482
キス止まりじゃねえかー

いやまあ、いい。
続編ではこのままじっくりコトコト弱火で煮込んでいくようなエロスを書いてくれるに違いないからな!
494名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 10:25:18 ID:BQ7mXE6H
GJ!
やっぱあ〜みんはエロくなくては!
495名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 13:52:56 ID:n3NGZM8G
>>482
GJ!
地元民としては嬉しいかぎりの題材!

>>491
同志。これは俺もズサッと心をえぐられました。残酷orz
496名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 13:56:44 ID:8L+L2Atn
>>482
GJ。すごく力作で感動しました。
表現力が半端無いです。


それでは、自分も投下いきます。
497本年サミットRーさくらエンドー:2009/01/23(金) 13:57:49 ID:8L+L2Atn
−事は、サミット数日前に遡る。−

TELLLL…ガチャ
「はい。もしもし富家です。」
「おう。私だ。
今日の報告を聞かせてくれ……って、
あれ?その声は…お前、さくらか!?
おかしいな…番号、間違えたか?」
「お、お姉ちゃん!?
私の方が、びっくりだよ!!
これは、幸太君の携帯で合ってるよ。
幸太君は、今、シャワー…違う。
コホンッ。幸太君は今、外してるから私が出たの。
と、いうか何やってんの?家にも滅多に電話なんかしないクセに…
さっき、今日の報告…とか言わなかった?
まさか、毎日、幸太君に電話してる。とか、言わないよね?
…どうなの?黙ってないで、どうゆう事なのか説明してよ。」
「待て待て待て。な、とにかく、落ち着いて。
毎日、電話してるって…そんな、お前が思ってる様なアレじゃないんだ。
定例報告みたいなモンで。ホント、生徒会の様子とか聞くだけの事だから。
全然、気にしなくて良いから。」
「…してるんだ?毎日、してるんだ?。
信じられない……」
「だから、話、聞けって。
全然、そういうんじゃないから。」
「定例報告とか…生徒会の様子とか…
そんなの、私に聞けば良い事だよねッ!?
何で、幸太君なの?
しかも、毎日。毎日?毎日!?
私だって、ウザイ女。って思われるのイヤだから、週に一度は電話しないのに…我慢するのに…
何で、何で、何で、何で、何でッ!?
許せない…許せない…許せない…許せない…絶対…許せない。」
「スッキリしてきたよ〜
あっ。さくらちゃん電話?誰から?」
「うわ…最悪だ…あの野郎。
最悪のタイミングで出て来やがった…
流石、不幸体質は伊達じゃねぇな…」
「お姉ちゃん…電話切るね。
私、幸太君とお話があるから。」
「えっ!?お、おい。ちょっと、待ちやがれ。」
ピッ!ツーツーツー…−
「切りやがった…まあ、良いか。
あいつらなら、なるようになんだろ。」

「どうしたの?さくらちゃん、何か、様子が変だよ?」
「今の、お姉ちゃんからの電話だった…」
「いぃッ!?」
「毎日…してるんだって?
ハハ…仲良いんだ?知らなかったな、私。」
「さ、さくらちゃん。ちょっと、落ち着いて。
義姐さんの電話は、仲良いとか、そんなんじゃなくて。
ホント、ただの定例報告っていうか、ほとんどパシリみたいなモンで。」
498本年サミットRーさくらエンドー:2009/01/23(金) 13:58:34 ID:8L+L2Atn
「2人して、同じ事言うんだ…仲良し義姉弟だね。
ねぇ…良かったら、携帯の履歴みせてよ。」
「ど、どうぞ。」
「………私より、お姉ちゃんの着信の方が多いね…
私って、幸太君の何なんだろ?」
「さくらちゃん…
ち、違うんだ…」
TELLLLL…
「電話…出ないの?」
TELLLLL…ピッ
「もしもし?」
「おう。そろそろ、仲直りしたか?」
「…まだです。」
「−修羅場です。か?
さくらは結構、強情で被害妄想が強いからな…
よしッ。さくらに代われ。
ここは、お姉ちゃんに任せろ。」
「さくらちゃん…義姐さんが、代われ。って。」
「…出たくない。」
「ツベコベ言わず、さっさと代わりやがれッ!!この、バカ!!
勝手に、スネてんじゃねぇ!!」
「何よ…何よ、何よ、何よッ!!
お姉ちゃんが、悪いんじゃない…
これじゃ、お姉ちゃんの方が、彼女みたいじゃんかぁ〜ッ!!」
「この…大馬鹿野郎!!
幸太はな、何より、お前が好きなんだ。
お前の写真欲しさに、私に良いようにされてんだぞ!?
それを、私の方が彼女みたいだ?
ふざけてんのか?テメー
もちっと、幸太の事を信じやがれ。」
「うそ…」
「うそじゃねぇ…
私が、幸太に電話してるのは、ちゃんと理由がある。
お前じゃダメなんだよ。
じゃあ、切るからな。ったく世話、焼かせんな…
ちゃんと仲直りしとけよ?返事はッ!?
……それで良いんだ。じゃな。」
ガチャッ!!ツーツーツー
「ふぁぁぁん…幸太君…私、私…」
「さくらちゃん…さくらちゃぁぁん」
「「あふんあふん」」
「ゴメン。ゴメェェン。
私、1人で勘違いして…」
「良いんだ。僕は、さくらちゃんが、大好きだ。
本当に…それだけだ。」
「ふぁぁぁぁん」
「あふぅぅぅん」

「…ところで、お姉ちゃんが、私の写真が…とか言ってたんだけど…
それって、何の事?」
「あ、いや。それはその…」
「………」
「−ッ。言う。言うよ。
義姐さんの我が儘を聞くかわりに、さくらちゃんの写真を貰ってたんだ…」
「どんな写真?」
「…こんな。」
「…普通…だね?もっと、言えない様な写真だと思ったのに…
私が、そばに居るのに何で?別に怒ってる訳じゃないけど…むしろ、嬉しいけど…
言ってくれたら、どんな写真だって撮らせてあげるよ?」
499本音サミットRーさくらエンドー:2009/01/23(金) 14:01:15 ID:8L+L2Atn
「…俺は、さくらちゃんの全部を独り占めしたかったんだ…
現在も、未来も、さくらちゃんは、俺だけのさくらちゃんだけど。
過去はどうにもならない。
だから、過去のさくらちゃんの写真が欲しかった…
でも、独占欲が強い男。って思われたらイヤだから、言えなかった…」
「そんな…良いよ。言ってよッ。
すごく、すごく、嬉しいよ…」
「さくらちゃん…」
「幸太君…あ、すっかり、湯冷めしちゃったよね?
よしッ。私が暖めるよ。風邪ひいちゃいけないし…」
「あ…んん」
「あふん」
「でも、私じゃいけない理由って何なんだろう?」
「あ、それは…義姐さんのプライバシーに関わる…
ま、良いか。散々、振り回されてるんだし。
義姐さん、北村会長が、ちゃんと会長してるか心配なんだってさ。
気になるんなら、本人に電話すりゃ良いのに、恥ずかしいんだって。
姉として妹には知られたく無かったんだろうね。
だから、俺って訳。」
「−ップ…なにそれ?
お姉ちゃん…そうなんだ…」
「ホント、素直じゃ無い人だよね。」
「幸太君…あぁん…」
「あふんあふん」
TELLLLL…ピッ
「もしもし…」
「あ、さっき勢いで切っちまったけど、
まだ、今日の報告を聞いてなかったなぁ、と思ってさ。」
「…創聖モードで幸せの絶頂でしたよ…
電話が、かかってくるまでは。」
「…お前達の事なんて聞いちゃいないんだよッ!!
それに、セクハラだぞ?お前…」
「はいはい。今日も会長は立派に務めを果たしていましたよ。
特に変化無しです。」
「そ、そうか。」
「お姉ちゃん、北村会長が好きなんだって?
ププッ…頑張ってね。」
「−なッ。ななななな、幸太ッ!!
テメー。さくらにバラしたな!?」
「はい。不可抗力です。」
「可愛いね。お姉ちゃんは。」
「う、うっせぇ!!
もう、お前らなんか嫌いだ…
チクショー。覚えてやがれ。
ライスシャワーに事故米ブレンドしてやるからなッ!!」
ガチャッ!!ツーツーツー…
「「………」」
500本音サミットRーさくらエンドー:2009/01/23(金) 14:01:39 ID:8L+L2Atn
−数日後−

放課後、主不在の生徒会室。
初のアシスタントを交えた、失恋レストランの放送。
今後について、話し合う名目で、大明神はアシスタント2人に拉致。もとい、誘い出された。
会長不在という事で、書記と庶務も帰宅。
生徒会は今、副会長と、その彼女を擁するのみである。
「今日の放送、会長タジタジだったね。
お姉ちゃんにライバル出現!?って感じ。
ね?幸太君…」
「………」
口を塞がれていては、返事は出来ない。
眼前には、巨大な白桃が広がり、ただただ、圧倒されるばかり。
生徒会室は今、桃色桃源郷。
「幸太君、敷かれるの好きだもんね…
ほらほら、我慢しなくて良いんだよ?」
「………」
グイグイと、強く押し付ければ、無言を貫く無礼な主人に相変わり、
kOUTAKUNが、ご挨拶。Hello。こんにちは。
「こんにちは。kOUTAKUNは今日も元気だね。
今日も、いっぱい良いことしようね?」
「………」
羞恥。それは、kOUTAKUNにとっての栄養剤である。
「−ひゃあんッ…舌、舌入れちゃうのぉ〜〜ッ!?
だったら、私、だって。」
SAkURATYANにとっての栄養剤は、愛。であり。
愛は、潤いを与えるのだ。
ペロペロペロペロレロレロレロレロ…
「お姉ちゃんに、今日の子の事話たら、きっと、動揺しちゃうね。
慌てるお姉ちゃんって…なんだか、可愛いな。
それより、約束覚えてる?」
−スッと腰を浮かせ、幸太に言論の自由を与える。
「うん。義姐さんと一回、電話したら、さくらちゃんに、二回、電話する。だよね?」
「良く出来ました。偉いね。
そんな、幸太君に私からのご褒美です。」
「あぁ…」
横移動…次いで落下。
SAkURATYANがkOUTAKUNにライドオン!!
「ふわぁ…」
「あふん…」
2人の創聖。あなたと合体したい。


「まだまだ、合体は爆発だよ…
これで、元気にしたげるね?」
「あふぅ…」
マシュマロヒルズA棟B棟にkOUTAKUNが9・11。
kOUTAKUNの弾頭は、桃色リップに包みまれて…暴発。
さくらの頭に手を添えて、また、暴発。
結局、その日のスコアは12−3。
これで、ゲーム差は25.5となった。
「幸太君…明日はデートだね。
一緒に映画観て、美味しいもの食べて、またシようね?」
501本音サミットRーさくらエンドー:2009/01/23(金) 14:03:33 ID:8L+L2Atn
−翌日−

「映画、良かったね?
私も、幸太君にだったら…襲われても良いな…
深夜の集合墓地だって、2人だけ桃色だったら素敵じゃない?
それとも、廃屋で!?
やぁん。周りの踊ってる人達に見られちゃうよぉ〜
そんなのも良いなぁ〜。ね?今度、シよっか!?」
「………」
「あぁん…幸太君…
今日は前だけじゃなくて…後ろも…
あ…イイッ。」
「………」

TELLLLTELLLLTELLLL…
TELLLL…ガチャッ
「はいはい。…もう、何ですか?今、良いトコなのに…

ー完ー
502名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 14:03:48 ID:2Mp+rc5o
501
503名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 14:04:29 ID:8L+L2Atn
終了です。また、本年サミットになってる…
別エンド第一弾は、さくらと幸太でした。
この2人は普通に書いてもエロイのが難点です。
エロ以外考えられない。
すみれを義姐さんと呼んでいますが、既婚という訳ではありません。
あくまで、すみれがそう呼ばせているという妄想設定です。
最初は、すみれを絡ませる予定は無かったのですが、完全にアニメに影響されました。

では、次回も、どうぞ宜しく。
504名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 15:10:07 ID:YbHoZH89
横浜GJ
ただ会話が若干チグハグな印象受けるね。
505名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 15:41:05 ID:g7qD24yl
GJ

最近会長が増殖中いいこっちゃいいこっちゃ
506名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 15:57:47 ID:Kzrs+n9h
さくらさんとこうたくんの私服も書いてくれると嬉しかったりして。
私服とか、ちょっと気になる。
スピンオフでの描写から考えると、好きな服装が、圧倒的な弾力が有る感じの体を包み、魅せ付ける服を選びそうで。



え?それ以外の不満?・・・・・もう少し詳しく書いてくれると・・・あ、いえ、なんでもないです。無いですよ。はい。



・・・・・シャワー?何処で?・・・・・

えーと、主不在の性徒界室?
主はさくらさんでしょ?
結界でも張ったの?
誰も入ってこないって?電話も。

映画のあとって、どこで逢い引き?
まさか。屋外?廃墟とか墓地とか言ってるし。



あ。ええ、ですから 何でもありません。気になさらないで下さい。
507名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 16:07:28 ID:mp6tU4gS
生徒会室の主は会長だろ普通に考えて
さくらはヤンデレが似合いそう
508名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 16:14:10 ID:BQ7mXE6H
>>496-503
GJ!
男女の溝をひたすらに会話で埋めてゆく熟年夫婦のような横浜に比べ、
ケータイ小説のようにパケットを惜しむかのような簡潔な描写が対比的。
そろそろパソコンで…
509名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 16:57:29 ID:1VKbxa3c
>>503
GJ。今回はアクエリオンか。ほんと、エロい。

>>506

シャワー浴びてるのは、自宅かホテルだろう多分。
そこに、会長から電話きて修羅場。→仲直り。

墓地と廃屋は、映画の内容(恐らくスリラー)で、ここも、自宅かホテルだと思うよ。
それで、さくらの「今度、屋外でやろうね」って事だと思う。

今回のだけだと、解りにくいけど、今までのを読み返してみると、スッキリするよ。ちゃんと繋がってるから。
510名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 17:19:19 ID:U4CaKy+s
>>482
待ってました!本当にいつもただただとらドラ!愛を感じるばかりです
みのりん派の僕ですがこのシリーズは本当にとらドラ!の完璧なあーみんパラレルといった感じで大好きです
なので次回VSみのりんとのことですがみのりんがちょい悪役?という不安よりも期待が大きいです
大作乙!GJ!!

>>503
本当にペースが早いですね
マルチエンドが出来るようにしてる分キャラ×〇〇エンド通りが見れて本当に飽きません!一度〇〇エンドやったキャラも他のエンドを期待してます
いつ寝てんだ?w GJ!!
511名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:21:33 ID:BQ7mXE6H
これより連投します。タイトルは「虎の居ぬ間に」
注:鬱展開
512名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:22:00 ID:BQ7mXE6H

大河が生徒会長と双方得物ありの大乱闘をやらかして二週間の停学を喰らった後、高須竜児は久し振りに独り者の自由を味わっていた。
しばらくは朝つくる弁当も一人前、朝食を食べるのも一人、学校に行くのも一人、帰り道に買い物をするのも一人… のハズだった。

朝、2年C組の教室に入ると、多感な青少年にとって性的刺激の多弾頭兵器に匹敵する非三次元人的なナイスバディの川嶋亜美が
話しかけてきた。
「おっはよ〜高須クン、どう? 逢坂さんがいなくて寂しい?」
「おう、川嶋、お前(みたいな面白いやつ)がいるから全然寂しくないぜ」
「やだぁ〜もう 高須クンてば、それってあたしが何人目のオンナになるの?」
「いやー、俺、彼女なんていねェけど」
「な〜にとぼけてんのよ(うわ〜 マジむかつくわこいつ)」

だがその後、なぜか休み時間ごとに
「ね〜ね〜 高須クン」
その川嶋亜美が竜児の傍にやってきては始業ベルまでダべり、
ちょっくら自販機コーナーまで行こうとすると
「あたしにもジュース奢ってくれない?」
遠慮のないことを言いつつ、いそいそと付いてくる。
昼の時間もちゃっかり隣に座って
「これおいしそ〜 いっただきっ ふんがっ」
弁当のおかずを勝手に拝借する。
…ってカロリー制限は大丈夫か。

下校時も途中まで一緒に付いてくる。
スーパーかのうで食材を吟味している間も、竜児の後ろにぴったり寄り添って、
「ほらぁ、青いのが足りないぞ、もっと栄養のバランス考えないと」
などと、肩越しに覗き込みながら耳元でささやいてくる。
「お前に言われたかねェ」
「あ〜らこれでも専属の栄養士さんのアドバイス受けてるんです〜」
竜児が会計を済ませるまでスーパーの前で甲斐甲斐しく待っていて、
「じゃあまた、明日学校で」と別れる。


生徒会長選挙で北村が全校生の面前で大告白してからというもの、そのあまりにも漢らしい散りっぷりに感化されたのか、
校内では堰を切ったように告白ラッシュだ。
2年C組にも連日来るわ来るわ、男子たちが川嶋亜美の元に大挙して押しかけて来てはダメ元で、
「転校してくる前から好きでした!」
「掲載された雑誌ぜ〜んぶスクラップしています!」
「一緒にプリクラ写真撮らせてください!」
などと突撃しては、見事な営業スマイルを浮かべた亜美にあっさりお断りされ全員玉砕していった。

「お前って、ほんとにモテるよな」
「いやいや〜 (アンタに言われたくないな、それ)」


大河の自宅謹慎が解ける前日。下校時、亜美が切り出した。
「ねぇ、今日はちょっと寄り道していかない?」
「いや、でもタイムセールがあるんだ」
「だって明日からは高須クンの隣には逢坂さんがいるんだもん。今日だけは亜美ちゃんの言うとおりにして」
513名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:22:53 ID:BQ7mXE6H

夕飯の買い物をすっぽかして向かったのは駅向こうの歓楽街。いわゆるラブホテル街だ。
泰子が勤めるスナック「毘沙門天」も近くにある。
あたりには発情した大人の男女たちが放つ、浮ついた空気がむんむんしている。
否応なしに性的興奮が高まり、落ち着かなくなる竜児。

亜美はさっきからそわそわしている。なにかを切り出そうとして、でも断られたらどうしようとためらっている様子。
このところ校内で告白する生徒たちが幾度となくみせていた逡巡の表情。
如何に鈍感な竜児でもこればっかりははっきりとわかった。

竜児は彼女の腰に手をまわし、スカートごしに小さな尻をなでた。
「なぁ、川嶋、ちょっと休憩していくか」
「えっ、あっ、その」
「そう緊張すんなよ、…酒買ってくか、中だと高いから」
「たっ高須クン、ちょっと」
「少し、腹になにか入れてからの方がいいかな」
彼女の手首をがっちり掴んでコンビニに立ち寄り、おにぎりとアルコール飲料を購入。
「これも買っとくぞ」
レジ横の避妊具も追加。
「これも必要になるかもしれねェ(ゴクリ)」
亜美の股のあたりを凝視しつつ、二枚刃の安全かみそりも追加した。
「あっあの高須クン、あたしその」
「ただの休憩だよ。いいから俺に任せとけって」
震える肩を抱きかかえて、そのまま強引にホテルに引きずり込む。

ホテルの部屋で、バッグを胸に抱きかかえながら亜美は言った。
「あっあたしはその、別に思い出が欲しいとかじゃなくって」
「わかってる」
するりとスカートを脱がす。
「逢坂さんにあてつけて、とかじゃなくて本気で高須クンのことを」
「わかってる」
彼女のバッグをもぎ取ってベッドに放り投げ、ブレザーを脱がす。
「嘘ッ!なんにもわかってないくせに… わかろうともしなかったくせに」
「わかってる、ちゃんとわかってる」
タイをほどき、シャツを脱がしにかかる。
「こんなのってないよ!高須クンのばか! 変態! 鈍感! 無神経!」
「別になにもしないから、見るだけだから」
「高須クンなんか嫌い、大嫌い! あたしもう帰る…」
「ほんとだって、きれいな裸見せてもらうだけだって」
なだめながら彼女のブラをはずす。
「もう知らない、高須クンなんか顔も見たくない」泣き出す亜美。
「ちょっと触るだけだから、挿れたりなんかしないから」
そう言いながらショーツをずり下げる。
「だめ、いや」
「優しくするから、痛くしないから」
514名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:23:17 ID:BQ7mXE6H

情事のあと、亜美が言った。
「あたしもいろいろあって… 今度仕事で枕営業することになっちゃって。バージンのうちに高須クンに抱かれたかったの」
「川嶋…」
「こんな女、軽蔑するよね、売春婦みたいだよね… でも、芸能界じゃこんなの当たり前なんだ」
「いや、そんなことはない」
竜児の母はオミズだ。女手ひとつで自分をここまで育ててきてくれた。
幼少の頃、自分の母は世界で一番きれいな女性だと思っていた。いつもお洒落をしてきれいな格好をしている母が大好きだった。
ときおり髪型や服装が大きく変わることがあったが、それはお客、パトロンの好みに合わせているのだということを理解したのは、
竜児が物心付いてからのことだった。
若く美しい母が見ず知らずの男たちに抱かれていて、そのことを子供の自分はどうすることもできないという、
年少時からずっと抱いてきたお馴染みの無力感が竜児を押し潰した。
(なんでこいつまで…)
「俺はお前を軽蔑しない。…尊敬する」
「ありがとう、嘘でも嬉しいよ」
俺たち二人は月同士なんだ。

                                           おわり
515名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:26:06 ID:gU8jKLj0
竜児がっつきすぎワロタ
516名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:50:27 ID:BOQ/IDa4
竜児wwwww
517名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 19:01:26 ID:nbQjhf2k
亜美は親コネ芸能界入りな上に役者志望ってわけでもないから
枕を使ってまで芸能界にしがみつくとは思えないなあ
原作を読んだ限り、モデルの仕事も今だけのものと割り切ってて
それ以外の道を真剣に模索してるっぽいし
518巴里男子:2009/01/23(金) 19:02:32 ID:IEWMTetp
>>481 最高!!の一言しかねーべ
519名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 19:12:18 ID:ejB2J44V
>>517
二次創作にマジレスカッコワルイ
520名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 21:15:19 ID:Seu1COrT
まぁまぁ、そういう意見もあるってことで楽しもうぜ
作者さんGJ

あーみんってやっぱコネなのかな
521名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:15:51 ID:DiMQPQQo
初投下です。

こういう文自体書くの自体初めてなんで至らないとこは指摘していただければと思います。


タイトル:大河、危篤
522511-514:2009/01/23(金) 22:16:56 ID:IZZ2xhIN
ご免手抜いた
523名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:17:01 ID:DiMQPQQo
5日前、手乗りタイガーこと逢坂大河が倒れた。
どうやら舞妓…だかなんだかの肺炎をこじらせたらしい。
そしてそのまま入院。






ケータイがなる。
「高須…くん?」

とりあえず出てみる。
「大河が…大河が…」とかなり慌ててる。


「ちびトラがどうしたの?亜美ちゃん今忙しいんだけどぉ?」
正直忙しくはない。
「大河が…危ないらしい…大河が川嶋に会いたがってるんだ…」
「え…」
一瞬自分の耳を疑う。
あのタイガーが?
まさか…


とにかく急いで大通りに出てタクシーを捕まえる。



そして病院に着くや否や大河の病室に駆け込んだ。
あたしの目に入ってきたのは、力なくベッドに横たわる逢坂大河と、心配なのだろうか…それを射殺さんばかりの眼差しを送る高須竜児の姿だった。

524名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:18:42 ID:DiMQPQQo
「ばかちー…」
力なく、弱々しい声で、いつもの呼び方であたしを呼ぶ。
「話って…?」
あたしも答える。

「その前に…竜児は出てって」
「いや…だって…」
「駄犬…いいから早く…ご主人様の言うことがわからないの?」

その一言で「じゃぁ川嶋、大河を頼んだ」と言葉を残し高須くんは部屋をあとにした。



「ちょと待って」
そう言い大河は苦しそうに上体を起こした。
この間までの威勢のよさは微塵もなくただ苦しそうに、辛そうにしてる。
しばしの沈黙。

そしてゆっくり弱々しくも優しげに大河は話しだした。
「なんかね…私…今ヤバいらしいの」
「うん…」
「それで…ばかちーに頼みごとがあって」
「頼み…ごと?」
この期に及んであたしに頼みごと?てか名前で呼べよ…
様子からすると殴らせろ…とかじゃなさそうだ。
「うん…ばかちーにしか頼めないから」
だから名前で…今更どうでもいいか…
そして大河が続ける。
「あの馬鹿犬の…竜児のこと」
「アイツとみのりんとの仲…取り持ってあげて…」
「え?」
「あのね、知ってるかもしれないけど私たち、お互いの好きな人との仲取り持つって約束してたんだ」
「私…いなくなったらアイツ…みのりんと仲良くなんて出来ない…」
「それはいやなの…竜児には幸せになってもらいたいの…」
「大河…」
「私ね、気付いたんだ…ずっと一緒にいたからかな…竜児のこと、好きになってたみたい…」
突然の告白…
いつになく優しい顔で更に大河は続ける。
「北村くんは憧れなんだって。あたしが好きなのは竜児なんだって。…今ならちゃんと言える…」
「でももう遅いよね…私こんなだし…」
「遅くなんて…」
思わず声を荒げてしまった…
「遅くなんてないわよ…今からでも伝えればいいじゃない!」
「だめよ…」
と大河。
「そんなことしたらアイツが…竜児がかわいそう…」

自然に涙が流れる。
もしかすると誰かのために流す涙ははじめてかもしれない…

いろんな後悔が頭をよぎる。
でももう遅い…この涙も…何の役にも立たない…
苦しいであろう大河は淡々と続ける。
「私はね、竜児は幸せになる権利があるって思うんだ」
「だから私なんかの事早く忘れてみのりんと仲良くなって欲しいの…」

声も出せず頷く。
嗚咽が漏れる。
堪え切れない…
マジヤバい…声上げて泣きそう……
525名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:19:19 ID:DiMQPQQo
「だからね……ぷくくっ」
「ふぇ?」
一瞬何が起きたかわからなかった。
おかげで素っ頓狂な声が出てしまった。
今まで弱々しい声で独白を続けていた大河はいきなり笑い出した。

「たい…が?」
「アンタってホーントばかちーね」
笑いながら大河が言う。
「なんで私が肺炎ごときで死ぬの?ばっかじゃない?」
「涙なんか流しちゃって…ホンット傑作だわ!!」
ゲラゲラ笑いながら散々侮辱してきやがるちびトラ…

そう言われるまで気付かなかった…
この病室にはあるべきものがなさ過ぎる…
面会謝絶の紙も張ってなければ人工呼吸器も、心電図計もなにもかも…


事態が飲み込めない…けど無性に腹が立つ!!!
「っんの!!」
思いっきりちびトラの頬をつねる。
「いぎぎ…なにしゅんのよ!!ばかちー!!!!」
「この…涙泥棒!この亜美様の涙はそんな安くないのよ!!」
「ハイハイハイ!」
パンパンパンと手を叩きながら祐作が入ってくる。
続いて高須くん、櫛枝さん…麻耶と奈々子まで!?
のん気に「誕生日おめでとー」とか聞こえるし…
しかもみんなニヤついてる…?

何が起きてるかわからない…
高須くんにタイガーが危ない言われて病院来て、タイガーに泣かされて、笑われて馬鹿にされて、それでみんな出てきて…誕生日…あ!あたし今日誕生日じゃん!!

「悪いな亜美」
祐作がニヤニヤしながら背中をバンバン叩く。
「へ?…何が起きてんの…あたし全くわかんない」
「それはだねワトソン君…」と櫛枝さんが続ける。
「みんなであーみんを騙してたのだよ!」
ピースサインを突き出しながら「直接騙してたのは高須くんと大河だけどね」と付け加える。
「わりーな、川嶋。悪く思わないでくれよな。…それと大河?」
と凶悪な目つきを更に歪めて高須くん。
「さっき言ってたことって…」
「あ、それ私も気になる〜」
と櫛枝さん、それに祐作、麻耶と奈々子も続く。
「北島くんも…みのりんまで……嘘にきまっとろうがボケ!」
と高須くんをぶちのめすタイガー…本当にもうなんともないんだと実感する。



どうやらみんなの話をまとめるとこうらしい。
今日があたしの誕生日で、ちびトラが今日で退院で、一緒に祝おうってなって、それじゃぁドッキリをしようって話になって、あたしがまんまと騙されて……

「フ…フフフおもしれぇ…この亜美様をよくもまんまと騙してくれたな…」
「このお礼はたーっぷりしてもらわないと……フフフ」



その後このメンツにスドバで散々おごらせたのは言うまでもない。
「フフフ…この亜美ちゃんを騙すのがいけないんだ…」
そう呟きながらメニューを全制覇するあたしであった。
526名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:20:43 ID:DiMQPQQo
以上です。


面白いとかそれ以前な気もしますがよろしくです。
527名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:43:34 ID:gU8jKLj0
とらドラへの愛が伝わってきた
528名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:58:22 ID:nkAllnNI
北島くんて誰だ
529名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:01:07 ID:g835KuGf
>>そう呟きながらメニューを全制覇するあたしであった。
またお肉蓄えることになるぞ!?ダイエット戦士も見逃していいのかw
530名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:01:56 ID:bRB3nzze
俺もおもた
北島ってさぶろうかよ(
楽しめたぜGJ
531名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:14:47 ID:IZZ2xhIN
>>521, 523-526
GJ!
割り込みすまんw
532名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:14:58 ID:DiMQPQQo
Σ(゚д゚lll)


うぉぉ…

北村k…
533arl:2009/01/23(金) 23:41:12 ID:DaInH7cI
みなさんお久しぶり、arlです。
みなさんのご指摘をうけ、途中のままだった小説がようやく出来ました。
それで明日にでも投稿したいなと思うんですが、作品の途中から投稿したほうがいいすか?
それともコピって最初から投稿したほうがいいすか?
534名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:42:39 ID:OheQfAxw
速く更新しろよ馬鹿管理人
535名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:45:39 ID:Ao+HLh7Z
以下>>534については一切触れるなよ
536名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 23:50:23 ID:g835KuGf
>>533
個人意見としては一括で投稿するなら全部まとめてくれると読みやすい。
以前投稿した文量より少なければ途中からのほうが望ましいかなぁ。


537名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 00:19:58 ID:0L1k9G7k
>>523-526
こういうライトな感じの短編もいいね
キャラの雰囲気も話の前半の大河は雰囲気出てた
ただ、友達の誕生日どっきりの為に
あっさり病院を利用できるこいつらは一体どんなコネが!と少し笑った
538名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 01:50:10 ID:CFPj7tAu
>>533
最初からの方が良いかな 俺は
539名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 01:57:39 ID:4nRm6vhD
>>533
一から投稿しなおすってことで
最初からがいいんではないでしょうか
きっと作品に対する評価も以前とは異なるものになると思います
540名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 07:00:45 ID:gfbn9sqZ
投下いきます。
朝からエロです。注意。
541本音サミットR−実乃梨ギャグエロエンド−:2009/01/24(土) 07:01:54 ID:gfbn9sqZ
「来たね。高須君。」
背を向け、腕を組み、制服の上、肩に羽織ったジャージを風に翻すのは、いつか見た姿。
「高須く〜〜〜〜んッ。」
キラッ。ピョンッ。と来て、タン!。
いつかと同じ、目の輝き、ジャンプ、ステップ。で距離を詰め、
「宜しくッ。お願いしまっス!!」
ギュッ!ムチュウ〜……
愛のベアハッグから、熱いミノリン口づけコンボ。
十秒間、舌と舌が睦み合う。心底、不快ならば、噛めば…良い。
だが、出来なかった。しなかった。
「−−−ッぷは。
−色々、考えたんだけど…やっぱり、私ってば、傲慢でズルイんだ。
だから、一番、私らしい方法で高須君を…」
暴走する実乃梨。
このまま、実乃梨を好き勝手に暴走させておく方が、実のところ、竜児にはオイシイのだ。
ただし、実乃梨は死ぬ。心が。深い傷によって。
竜児には、それが耐えられない。
「良いよ。櫛枝の好きにして。
俺は、お前が好きなんだから。」
狼狽。そして−
「う…うぅ…本気だぜ?
そんな事言っても、あたしは、なんだってするぜ?」
「好きだ。」
グズッ…ふぇぇ〜ん…わぁ〜ん…
泣きだしてしまった。
「た、高須君が悪いんだぁ〜ッ。グズッ…
いつも、いっつも、優しくてさ。グスン。
こんな女…嫌ってくれれば良いんだ…
呆れて…見捨てて、見下げ果ててくれれば……」
ぽんッ。と、実乃梨の頭に手を置いてやる。
ゴシゴシ。と撫でてやる。
−格好良い。ここまでは、格好良すぎる竜児。上出来である。
一年前、実乃梨の前に立つだけで、挙動不審になっていた。
あの頃と比すれば…雲泥。比較にならない。
この一年、竜児は流されるままであったが、経験値。らしきものは得た。
しかし、この男、生粋のヘタレである。
気を付けろ、ヘタレは急に、治らない。
ヘタレLV1は、ヘタレLV99に、なるだけである。
得たものは…予測。先の展開を読む力。
せいぜい、そんな所である。
要するに、竜児は、実乃梨に屋上に呼び出しを受けた段階で、恐らくこうなる。
と、予測を立てた。
五限を目一杯かけて、熟考。他の事は完全無視。明日、考える。
今は、実乃梨だけ、を。ただ、考える。想う。
−そして、現状に至る。
1の愛と、他の全ての犠牲により、実乃梨を救う事が出来た。
それでも、竜児は、満足である。ただ、実乃梨が、好きだから。
542本音サミットR−実乃梨ギャグエロエンド−:2009/01/24(土) 07:02:35 ID:gfbn9sqZ
しかし、ここまで…
次の手は、用意していない。
ドキドキドキ…高鳴る動悸は、竜児の胸。
もう、限界。既に、満身創痍。
例え、次の手が、あろうとなかろうと…
どの道、手詰まり。なのだ。
涙でクシャクシャ。そんな実乃梨の方が逞しい。とも言える。
「ありがとう。ありがとう…
やっぱり、あたし高須君が好きだ。
正攻法で…正攻法で、君を手に入れる。」
竜児を押し倒し…再びキス。又又、ディープ
正攻法…とは言っても、先程とヤル事は同じ。気分が異なるだけであった。罪悪感は消えた。
「−ッ!!」
明らかに、動揺を隠せない。そんな様子の竜児。対して…
「−♪♪」
悦びを禁じ得ない様子の実乃梨。
−すかさず、マウントポジション。
「櫛…枝?な、何を…ッ!?」
「フフフン♪覚悟したまえ高須君。
君は、あたしを本気で惚れさせた。
それが、どういう事なのか…君は、その身体を以て思い知るだろう。
…今夜は帰さないぜ?」
「ちょッ−」
「それッ。愛の前に服なぞ不要。
大丈夫。こんな時間のこんな場所…誰も来やしないさ。
例え、高須君が泣き叫んだって…ね。」
一枚〜♪二枚〜♪
互いの服が剥ぎ取られて行く。まさに狩猟。
「お前…何する気で…」
「何って…ヤダなぁ…
女の子に言わせないでよぅ…
ハードな事。だよ。みのりんは大変なハードを強要していきました。」
ニッコリ。太陽の様な笑みは、ただただ妖艶につきて…
「さぁて…初めまして、TAkASUkUN。
TAkASUkUNは童貞かな?
いけないなぁ。童貞が許されるのは、小学生まで。だぜ?
まぁ、MINORINも処女だけどさ。
では、特別に、あたし自ら剥いてあげよう。
光栄に思うが良い。あたしの手で逝ける事をッ。」
完全に悪役のノリでTAkASUkUNを剥ぐ。
「おや?てっきり汚れてるものかと思ったのに…
やっぱり綺麗好きなんだね?高須君は。
ちぇ〜舐め取ってあげるつもりだったのになぁ。」
「残念だったな。
これでも、毎晩1人でしてるんだ。お前を想ってな。
そりゃあ、綺麗にするさ。」
カウンターパンチ。必死の抵抗だが…単なる自爆
それでも、実乃梨には効果抜群だった様で…
「###」
実は純情。純情ゆえのネタ。照れ隠しであった。
「き、綺麗にしておいて、してやったりッてトコだろうが…そうはいかんぞッ。」
543本音サミットR−実乃梨ギャグエロエンド−:2009/01/24(土) 07:04:51 ID:gfbn9sqZ
シュッシュッシュ♪
「弾けて混ざれ〜」
モミモミモミモミ♪
「うぅ…」
「元気玉〜♪スパーキン♪」
ぴゅう〜
「どう?高須君…気持ち良かった?
ヘへ…聞くまでも無いや。
良い表情…もっと、もっと、良くしてあげるからね?」
クリクリクリクリ♪
「男の子だって乳首は気持ち良いよね?
ほら、吸ったげよう…」
チュウチュウチュウチュウ♪
「あはは。勃ってきたね。
じゃあ、次は、ココなんかどうだろう?」
ずにゅう〜
「ほら、前立腺だ。
前に立つ線だって。上手い事言うよね?
ほらほら、どんな感じかな?」
「アッーーー」
「良い感じだ…では…
じゃ〜ん!!これ、な〜んだッ?」
スッ…と。取り出したものは
「ヘ、ヘアピン!?」
「そ、ヘアピン。ただし、自前。
さて問題、ヘアピンは何に使うでしょう?」
「…何でしょう?」
あまり、良い予感はしない。
「それはね…フフ。突き刺すのだ。TAkASUkUNに…
どう?興奮しない?」
やっぱり…
「するかッ。そんな事したら痛いに決まってるッ!!」
「ホッホッホ。それはどうでしょう?
あたしは、高須君の言葉より、TAkASUkUNを信じる。
ビクビクと期待に打ち震える君を…
案外、気持ち良くって狂っちゃうかも…」
「あぁ、もうお婿にいけない…」
「大丈夫さ。あたしが貰うんだから。」
ズボッ!!
「アッ−−−。イィ…」
「だろう?多少、痛いかも…だけど、痛みだって快感に…
ありゃ?何か抵抗があるぞ?
フフフ…ココは何かな?そりゃそりゃそりゃ♪」
「………」
「もう、声もでない位良いんだね…
高須君をもっと、もっと、愛してあげよう。」
−実乃梨の暴走は果てしなく…
544本音サミットR−実乃梨ギャグエロエンド−:2009/01/24(土) 07:05:16 ID:gfbn9sqZ
「…おや?目が覚めたかい?
全裸で昼寝なんかしたら風邪ひいちゃうぜ?
今日は、高級実乃梨布団があったから大丈夫だけど…」
身体は、ほんのり暖かで…
「お前、ずっと添い寝してくれてたのか?」
「うん。幸せな時間でしたよ。」
じ〜ん…ちょっと感動…
改めて見てみれば、実乃梨の裸体は、健康的で魅力的だった。
しっかりとボリュームのある胸。真ん中に自己を主張する赤みを帯びた突起…
日焼けした肌と白い肌の対比は美しく。
懸念の腹周りだって、豊穣を司る女神の様。
特筆すべきは、ヒップ…
重量感。圧倒的、重量感。もし、あのヒップに顔をうずめたらどうか…
うずめたい…埋もれたい…揉みしだきたい…
MINORINは、茂みに覆われ、良く見えないが…何やら肉厚の予感…
「ありゃりゃ?また元気になってきたね?
ははん。そっか。こいつが噂のASADATI…
宜しい。あたしが鎮めて差し上げましょう。」


そこから、どうなったのか…良く思い出せない。
MINORINとヒップを、えらく堪能した様に思えるのだが…
まぁ、良いか…何だか眠い。
高級実乃梨布団で…今日は、もう…

ー完ー
545名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 07:09:07 ID:gfbn9sqZ
終了です。

実乃梨は、勝手に喋りだすので、書いてて楽です。
エロは完全に趣味丸出しですね。
大河もさくらも実乃梨も皆、ヤル事は同じという…
次は、なんとか変えたいところ。
では、次回も、どうぞ宜しく。
546名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 07:09:53 ID:BCrJdIHZ
朝から御苦労さまです!
547名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 08:01:24 ID:zHnZgDBU
>>540-545
GJ!
しかしいまの文体のままでエロはむつかしい、というか抜きづらい。
548名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 08:25:34 ID:0FIcNeVf
GJ と言いたいのだが、
せめて一人称なのか三人称なのか程度は統一してくれ。
キャラクターの口調に頼った会話形式がその芸風らしいが、
そのために、人称というものの重要性や機能が理解できていないようだ。
549名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 12:17:35 ID:fhWvuaXf
人称なんて別段重要じゃないだろ。
意味は通じてるんだから。
キミも日本語を楽しむ心を理解した方がいいよ。
550名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 12:23:12 ID:0FIcNeVf
意味が通じりゃ何でもいいのか?
少なくとも人様に読ませる文章だったら、最低限度の要件というものがある。
その要件を欠いているのであれば、指摘されて当然のこと。
書き手も、不備は反省して、矯正するのが、公共での当然のマナーだ。
551名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 12:43:51 ID:4VqCW4yM
>>548
この書き手は素直に人の意見を聞く奴だから、伝わってると思うよ。

文法正しい云々と、面白いかどうかはまた別ですが。
横浜読んでると、二人の会話がなんか禅問答っぽいというか、概念をいちいち定義しながら
話している感じがしてテンポがいまいち。もうちょっとはしょっても読者はついてくると思う。
本音クンははしょり過ぎ。
552名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 13:04:06 ID:iSTAjHS4
まーたスレを荒らす気かチミたち
553arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:54:33 ID:Gho0eaES
どうも!arlです。今から半端だった作品を最初から投稿します。

【こんな年初め】

 遠くから除夜の鐘がなっている。
 内容の濃かった去年から、新たな年を迎えたのだ。
 来年はどんなことが起こるのだろう、とたった今迎えた今年に思いを馳せていたのは少し前で。
「さぁバカ犬。とっとと吐いてもらおうか、色々と」

 どんなことが起こるんだろう。

 皆から恐れられているヤンキーフェイスを悪化させながらも、その思いを馳せていた新年。
「イヤモウオレモサッパリ」
 そんな高須竜児のニューイヤーは、眼前で仁王立ちする虎たちを何とかすることから始まった。

 新年になる数分前。
 当初の予定では、俺は皆の年越しそばを準備して、新年いつでもカモンなはずであった。
 そのはずだったのだが、俺はその時、そばどころではない状態(状況)に陥っていたのだ。
 ――その状況とは。
「さっさと説明しなさい。なんでアンタがばかちーとキ…キキキキスをしていたのかを!」

 ばぁん!と虎がテーブルを叩いて叫ぶ。
 櫛枝が作ってくれたのか、テーブルに置かれた年越しそばが驚いたかのように小さな音をたてた。
 …正直、そのそばに俺自身を重ねてみたり。
 突然のことに驚いたのは俺であるからだ。
 理由は今虎――大河が言った。
 まぁそれが、俺がそばを作れないほどの大変な…の答えにあたるのだけれど。
 そう。今年をあと数分に控えた、言うならギリギリ去年に、高須竜児は大人への階段を一段抜かしで駆け上った。
 クラスメート、しかも(どうやら)大橋高校のアイドルであり(おそらく)人気モデルの川嶋亜美とキスをしたのだ。
 なんでヤンキー顔がそんな美人とキスしてんだよ!てかお前が襲ったんだろ!?と、どこかの眼鏡とarlが叫びそうだが断じて違う。
 寧ろ襲われたのは俺だ。
「あ?いきなりキスされて、それで何がなんだかさっぱり?」
 読者へ説明するため経緯を振り返って、ようやく落ち着いてきた俺が必死に説明すると、
「なんだそれはぁ!」
554arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:55:10 ID:Gho0eaES
「バリバリ同意じゃないかーー!高須きゅんもあーみんも最後の最後にデッケーの打ってくれたもんだ!」
「いやぁ亜美の相手が高須とは…。良かったな、亜美!」
 大河のほかに、大河の傍らで暢気にそばを啜っていた櫛枝と北村も声を上げた。

「いきなりスイッチ入るな!?べ、別に俺と川嶋は――」
「いつから!?いつから高須きゅんの純情はあーみんの毒牙にかかっていたんだぁ!?おお高須よ、死んでしまうとは情けない!!」
「いやー前々から疑問に思っていたんだ!逢坂が想い人じゃないとすれば亜美なんじゃないか…と。そうかぁ、やはり亜美だったのかぁ!」

 新年早々ハイなテンションの二人に、俺は当惑する。

「いや、だから…」
「くそう!ザオ○ルがきかねぇ!畜生!あーみんとのアバンチュールはここまで!?戻って来い、戻ってくるんだ高須!!」
「まさか新年間近にやってくれるとは…!恐れいった!はっはっは!!」

 …何故だか、二人の脳内では俺が川嶋の恋人という話になっている。
 新年を迎えたからか、妙なテンションで話を勝手に進めていく。
 …と言うか、

「櫛枝、勝手に殺すな!北村、お前は満面の笑みで俺を見るな!大河はそんなに睨まない!ってか川嶋!お前は何暢気にそばを食っている!?」

 俺の話を聞く気はないのか!?このソフト馬鹿コンビは!!
 どうやら本当に話を聞く気がないらしい二人にげんなりしていると、

「おう!?」

 襟元を恐ろしい力で引っ張られた。
 誰だ、と確認する必要もない。俺にこんな事をする奴は、一人しかいない。

「何すんだよ、大河!」
「ちょっとこっちに来い」
555arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:56:09 ID:Gho0eaES
 馬鹿力の主――大河は相変わらず俺を睨みつけながら、そのまま玄関の方へと歩いていく。

「ぐえ…!た、大河!首絞まってる!!」
「いーから黙ってついて来い、駄犬」

 襟元を掴まれたまま引きづられた俺は、玄関までのほんの数歩の距離が、とてつもなく長く感じられた。

『あーみん…恐ろしい子っ…!』
『しかし高須はいい奴だからなぁ!亜美は幸せ者だ!はっはっは!!』


 まだやってたか。


 …


「さて、正直に吐いてもらうわ」

 玄関を出て、階段を下りて。
 ようやく俺を解放した大河は、咳き込む俺に構わずそう言った。

「ごほっ…。な、何をだよ?」
「アンタの気持ちよ」

 大河の言葉に、体が強張る。

「アンタは、まだばかちーの事をどう思っているか言ってない」
「な、何を…」

 俺は、三人にありのまま、『何があったのか』を伝えた。
 でも大河の言う通り、川嶋に対する俺の気持ちは言ってない。
 そういえば、何故川嶋は…。北村たちが騒いでる中、一言も話さなかったのだろう。
 ふとそんな疑問が頭に浮かぶ。

「確かにアンタは、ばかちーに『仕返し』のつもりであんなこと言ったかもしれない。キスされたかもしれない」

 大河は静かに、だけど強い口調で言葉を続けた。
556arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:56:39 ID:Gho0eaES
「でも私は、ばかちーは『遊び』でキスするような、そんな安い女じゃないと思ってる」
「――!それは……」
 俺だってそう思うさ、と続くはずの言葉は、大河に遮られた。
「じゃあ何でアンタはキスしたのよ」
「!!」
「アンタはばかちーが安い女じゃないって言った。だったら、その安くない女はなんでアンタに唇を重ねたの?」
 大河の言葉に、心臓がドクンドクンと高鳴る。
「どうしてアンタはそれを受け入れたの?」
 身体からは汗が噴出し、冬場の深夜にも拘らず、全身が熱くなっていく。
「それは……」
 川嶋はそんな軽い女なんかじゃないのは、わかっている。
 腹黒くても、それでも優しくて、寂しがりやで、一番大人のようで子供だということもともに過ごしてきて知っている。
 そんな彼女が、何故俺に『好き』と言ったのか。
 唇を重ねてきたのか。
 俺は思った。川嶋に今年(昨年だが)最後の反撃をしようと。
 でも、俺は本当に、『反撃』のためだけに川嶋に好きといったのか…?
「反撃のつもりで好きって言った?ばかちーをからかう為だけに、好きなんて言葉を言ったの?だったらアンタには失望を通り越して殺してやるわ」

「そんな事あるかっ!俺は、そんなことで――」
「でもアンタの説明聞く限りではそうだったわよ」
「―――――」
 言葉が詰まる俺に、「でも、」と大河は続ける。
「アンタみたいなへたれは、そんなことで好きなんて、絶対に言えないわよね。アンタ馬鹿だし、不器用だし、優しいから、上辺だけの好意なんて伝えられない」
 大河に言われて、ハッとする。そうだ、確かにあの時、俺は川嶋に反撃をしようと思った。
 でも、反撃をするにしても、もっと他の方法があったのではないか?
 寄り添っていた身体を離すだけでも良かったのじゃないか?
 「からかうんじゃねえ」とかでも言っておけば、良かったんじゃないか?
「……俺は……」
 でも俺はそれをしなかった。
 川嶋の傍を離れず、一緒にいて、『好きだ』と言って…。
「ねぇ竜児」
557arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:57:08 ID:Gho0eaES
 と、大河の優しい声が耳に入る。
「―――アンタの心にいる奴は、誰?」
「心に……」
「今の竜児の心の中にいるのは誰?私?みのりん?」
 大河に言われて、目を閉じ考える。
 そこには―――。
「ねえ?誰がいた?誰を想った?」
 俺の頭に真っ先に浮かんできたのは、ずっと片思いだった彼女でもなく、いつも一緒にいた少女でもなく。
 いつも偉そうで、我侭で、大人っぽくて、でも子供で、寂しそうで、辛そうで……、
「………川嶋………」
 唇を重ねた少女だった。
 ―――そうか、そうだったんだな……。
 俺の呟きを聞いた大河はふっと笑って、問う。
「ねえ竜児?アンタの好きな人って、今でもみのりん?」
 俺は首を横に振った。気づいたんだ。今更になって、俺は。
「俺は……」
確かに、高須竜児という少年は、櫛枝実乃梨に憧れていた。
 皆に避けられる俺を怖がりもせず、笑って接してくれた太陽のような少女に、俺は『憧れた』。
 憧れの少女といたかった。ただ、それだけ。
 それが『恋』だと思った。だから必死になった。我武者羅に、彼女に振り向いてもらうためだけに。
 でも恋じゃなかった。憧れだったんだ。
「俺が好きなのは……」
 櫛枝は友人として、俺たちと一緒にいてくれる。
 それだけで今の俺は十分だったのだ。
 そして、憧れの少女に変わって俺の心に入り込んできた彼女こそ、俺の―――

「高須竜児が好きなのは、川嶋亜美だ」

 静かな町に、俺の声だけが、はっきりと響いた。
「………そう」
 俺の言葉を聞いた大河はそう呟いて微笑むと、

「―――だ、そうだけど?ばかちー」
558arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:57:33 ID:Gho0eaES

 俺の後ろにそう言葉をかけた。
「!?」
 ばっと後ろを振り返る。
 そこには、
「………」
「……川嶋っ…!?いつから……」
 件の川嶋が、俯きながら立っていた。
「いつからって、ずーっといたけど?」
 戸惑う俺に、大河が愉快そうに話す。
 つまり、初めからいた、ということだった。
「さぁて、私は退散するかしら?後は発情犬同士、ハァハァやってな」
「あ、おい大河!」
 ニヤリと笑いながら、虎は家に入っていった。
 そこには呆然と立ち尽くす人相が悪い男と、俯いたまま無言な美少女が取り残された。
 気まずい空気。
「あ……えっと、川嶋…?」
「………」
 取り敢えず話しかけてみるが、返事はない。
 ますます気まずくなって、意味もなく鼻頭を掻いた。
 でも、このままではいけない。
『アンタの気持ちを聞いてない』
 ふと、大河の言葉が浮かんでくる。
 川嶋に対する俺の気持ちを答えろ、というあの言葉が。
「――――」
 そうだ、俺は伝えなければならない。川嶋に、俺の気持ちを。
 あんな言い訳じみた告白なんかじゃなく、ちゃんと告白しよう。
「川嶋」
 そう思った俺は口を開き、

「お前が好きだ」

 想いを伝えた。

「………」

559arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:58:11 ID:Gho0eaES
 川嶋からは返事がなく、相変わらず俯いたまま。
 闇夜に言葉が発せられてから、そんな状態が続くこと数分。
「―――おわっ!?」
 俯いたまま、川嶋が胸に飛び込んできた。
 慌てて抱きとめてみると、川嶋は小さく震えていた。
「川嶋……?」
 初めてみた川嶋だった。
 幼子のように小さく震えて、俺の服をぎゅっと握ってきて。
「……高須君……」
 そんな川嶋は、消えるような言葉で、言うのだ。
「亜美ちゃんはさ…大人大人言ってるけど…実はまだまだ甘ったれのガキなんだよ…。だから人の気持ちとか評価とか超気になるし、悪口言われたら気になるし、……好きな人にも素直な気持ちを言えない…」
「………」
「気持ちが伝えられなくて、私の気持ちに気づいてくれなくて、望み薄くて、寂しくて寂しくて寂しくて……」
 川嶋の震えは止まらない。服を握る手はさらに力が入り、
「……ごめん」
 そんな川嶋を愛しく思って、俺は抱きしめる。
「気づかなくて、ごめん」
 俺がそういうと、胸の中で川嶋は頭を横に振った。
「寂しくて、それで、今年の最後くらい素直に気持ち伝えようとしたけど、あまり上手く出来なくて…、私だめだなって、からかう振りしながらずっと悔やんでて…」
 ここで言葉を切って、ようやく川嶋は顔を上げてくれた。
「だから高須君が好きって言ってくれたときは、嬉しすぎてキスしちゃった」
 泣いていたんだ。大きな目は赤く腫れていて、顔もモデルの顔台無しなくらい、鼻水と涙で濡れていたけれど、
「……俺も、川嶋に好きって言われて、キスされて、動揺はしたけど嬉しかった」
「………うん」
 その安心しきった泣き顔は、世界中のどんな美少女よりも、美しく、可愛いと思った。


 …


「ねえ高須君」
560arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 13:58:42 ID:Gho0eaES
 どのくらいこうやって抱き合っていたかわからないが、幾分落ち着いた川嶋が、口を開いた。
「ん?」
「キスしよっか」
 そして、返事を返す間もなく、唇を重ねてきた。
 一瞬だったファーストキスに比べ、セカンドキスはまるで味わうかのようにじっくりと長く、唇に感じる温かさから、まるで川嶋の気持ちが伝わってくるようで、それはそれはとても気持ちの良いものだった。
「ん……」
「……っ」
 互い、名残惜しそうに唇を離すと、可笑しそうに笑った。
「高須君、可愛い亜美ちゃんだけど、これからもよろしく」
「………お前って本当に…。まぁ、お前らしくていいけどな。こっちこそ強面の彼氏だけどよろしく」


 遠くで除夜の鐘が鳴る。
 静かな町に、鐘の音が響いている。
 煩悩を消すための鐘の音の中で、俺と川嶋は三度目のキスをした。

 ―――こんな年初めもいいかもしれない。

 そんなことを一瞬思って、俺は川嶋とのキスを楽しむことにしたのだった。


End
561名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:00:38 ID:pGMMhJNU
スピンオフで、
追試勉強のとき、動物園で、その他、その他 の情景を
>>497-501 を読んでから読み直すと、なんか凄い妄想が。
エロゲ脳だからトンでもない展開が、妄想が。。。。でも日本語書けないし。
ってか、話べただし、おおおおおおおおおおおおおおおおぽおおおおお。
(脳が暴発しました)
562arl ◆GjySNanGL2 :2009/01/24(土) 14:00:49 ID:Gho0eaES
終わりです。
いろいろ迷惑かけたりなんなり、やってしまってすいませんでした。
ようやく完成して、俺自身ほっとしてます。
また小説を投稿したいと思いますので、そのときはまたよろしくお願いしますm(__
)m
563名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:37:08 ID:8LO7eIPm
作品が投下される度に荒れるとか、ここは血の気が多いインターネッツですね
564名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:38:25 ID:BULT6C6a
>>550 >>551
自演乙。
565名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 14:51:01 ID:074SVjTw
>>562 あ〜みんが幸せになってくれて良かった・・・・GJ!
566名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 15:00:43 ID:CFPj7tAu
>>545
GJ!みのりん待ってました!
いやぁ色々なエンドが楽しめて良いですねぇ どこまでもパラレルが広がっていって嬉しいです

>>562
待ってましたよ! 遂に完成ですねよかったよかった
次回も期待してますよ GJ!
次はみのりんを……いや何でも
567名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 15:09:06 ID:zHnZgDBU
>>553-562
GJ!
あーみんサイコー!
568名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 15:12:33 ID:88TzE+jM
>>562
やっぱりあみどらはいいな
あーみんかわいい
竜児もかわいーぜコンチキショー
569名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 16:20:09 ID:J6gnbHQG
>>545
俺はドМでケツフェチ、顔騎と騎乗位が大好き。まで読んだ。GJ。

人称の件だけど、スピンオフなんか見るとゆゆぽ先生も三人称と孝太の一人称をちゃんぽんしてるし、
そこまで神経質にならなくても良いと思う。ゆゆぽ先生は一応、・・・と―で切り替えてるけど。

>>562
GJ。いつも思う事だけど、亜美は大河さえいなけりゃ本当にヒロイン出来る娘だよな。
本編では空気にされてても、亜美は良い。
570名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 17:35:52 ID:gqU6M7wM
テレビ視ていて、

卓に脚を伸ばして座り七曜表見ている時は、薄橙色の靴下、ストッキング、タイツ、または、素足
立ち上がった時は白い靴下か、ストッキング、または、タイツ。
いつ穿いた、または、履き替えた?

追い掛けて外に出た時のマフラー、自分自身のではないと思うけど、自分の持って来て無いのかな。


って、先日は、異性二人の前で熟睡するし、危機感無いのか?手を出さないと信じているのかな?それとも、どちらか、または、二人に組み伏される覚悟、出来ているのかな?


あの無防備さ、顔が潰れ饅頭になるくらいだから、すごく信用していると思うけど。


え? 日本誤でOK?
571名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 17:51:20 ID:J6gnbHQG
>>570

大河「あの二人にそんな甲斐性があれば苦労しないわよ。バカ・・・」
572名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 18:00:10 ID:zHnZgDBU
本音の文体はもうラップだからな。
573名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 19:05:21 ID:xx/gi69x
>>562 あみドラきたぁーw
GJです!
574174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:42:00 ID:FGVTGUEy
投下します。
一月ぶりの投下・・・時間かかりすぎて2スレぶりっていう。
流れ早くて焦った。
575174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:42:50 ID:FGVTGUEy

「うふ・・・・・・うふふふふふっふふふふふふ・・・・・・・・・・」

今朝見てみると、インコちゃんが卵を産んでた。
ここ最近やたらお腹が大きかったから不思議に思ってたけど、まさか産卵するとは考えても見なかった。初めてのことだし。
普通は複数個を一日おきに産卵するそうだから、明日になったらまた産むかもしれない。
1羽飼いだから当然無精卵だけど、篭の中でずっと「うふふふふ・・・」って鳴きながら
孵らない卵を温めているインコちゃんを見てると、なんだか可哀想になってくる。

「うふふ・・・こ、こここれっはりゅ・・・っりゅりゅうちゃんんと、い〜いん・・・い、いんっぽちゃんの・・・」

学校から帰ってきてもずっとこの調子だ。
・・・いつかは離さないといけないけど・・・もうしばらくは抱卵させてあげるか。
インコちゃんをそっとしておこうと決めて、いつもより早めに仕事に出かけた泰子の分を除いた晩飯の支度をしていると
玄関が吹っ飛ばされるような勢いで開けられた。
驚いて目を向けると、大河が肩で息をしながら靴を脱いでいる。走ってきたのか? ・・・なんで?

「お、おい、大河? どうしたんだ? 飯なら今作ってるとこだから、そんなに慌てなくても」

「・・・・・・・・・」

声をかける俺を無視して、大河はズカズカと家の中に入ってくる。
居間に入ると、何故か大河はインコちゃんの篭の前で動きを止めた。
無言でガチャガチャ篭の中に手を突っ込んでいた大河が、中からインコちゃんの卵を取って窓を開けて・・・

「そぉいっ!」

クシャ・・・

ぶん投げられたインコちゃんの卵は、大河のマンションの壁に当たって割れた・・・


「×××ドラ!」


「・・・? ・・・・・・──────っ! ───! ────────!!」

・・・卵が無くなった事に気付いて、周りを見渡して探していたインコちゃんがついさっきまで卵だった物を見つけたらしい。
正直鳥の目であれがちゃんと見えてるのか? とか、壁にぶちまけられてる物が何なのか理解できてるのか?
と思わないでもないが、実際インコちゃんは窓の外・・・無残にも大河に投げられて割れてしまった卵の辺りの壁を見ながら
今まで聞いたことも無いような鳴き声を上げて篭の中で暴れてる・・・あぁ、また羽が抜け落ちて・・・
大河の方を見ると、「ふーっ・・・」とか言いながら汗を拭ってやがる・・・

「・・・大河、お前なんて事を・・・あれはインコちゃんが初めて産んだ、記念の卵だったんだぞ・・・」

「ちょっと興奮してたのよ・・・そんなどうでもいいことよりも・・・」

「ひひひどぃい・・・んこ、んこ・・・うんこちゃんとりゅうっちゃんの・・・・・・」

ひでぇ・・・あんまりな大河の物言いに、インコちゃんなんてあの大きなおめめと同じ幅した涙を滝のように流してる。

「りゅ、竜児・・・・・・これ・・・」

「・・・なんだこれ? 体温計か?」
576174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:43:54 ID:FGVTGUEy

インコちゃんの卵を投げたのとは反対の腕、ずっと握りっぱなしだった手から大河が何かを渡してくる。
白い棒状の物で、真ん中辺りに小窓が付いてる。パッと見だと体温計にしか見えない。

「・・・体温計じゃないわよ・・・真ん中に数字じゃなくて線が1本入ってるでしょ?」

「あ、本当だ・・・なんだこれ?」

大河の言う通り、体温計だと思った物には確かに真ん中の小窓に黒い線がクッキリ映ってる。
それに先端が・・・紙でできてるのか、これは。
体温計とは別物だってことは分かったけど、それでこれが何なのか・・・
あれ? けどこの形やら浮き上がってる線やら・・・どっかで・・・

「も、もう・・・ホントに分かんないの・・・? ・・・それね・・・それ・・・」

テレビなんかでたまに見るような気が・・・けど女の子しか使わないような・・・


「・・・・・・妊娠検査薬なの・・・・・・」


あ、そうだ妊娠検査薬だ。どっかで見たと思ったらドラマやニュースなんかで見たことあったっけ。
大河が聞き取りづらいくらい小さな声で教えてくれてようやくこれが何なのか分かった。
・・・妊娠検査薬か・・・こんなにマジマジと見たのは初めてだな・・・ちょっと気恥ずかしいけど感慨深いものがあるな、男の俺からすると。

「へ〜・・・どうしたんだ? これ・・・妊娠検査薬なんて・・・・・・妊娠検査薬ぅ!?」

改めて手の中の物体を凝視する。
妊娠検査薬って・・・妊娠!? 大河が!? ・・・妊娠!? 大河がか!? なんで!? 今日だって普通に授業受けてただろ!
疑問が解けた事によって、なんでこんな物を大河が持ってきたのかという新たな疑問に混乱しまくる俺。

「あ、あの・・・こないだね、電車で5〜6っこ離れた町の薬局で・・・だって、この辺だと誰かに買うとこ見られるかもしれないし・・・」

大河は俺の言ったことを意味を勘違いして取ってしまい、購入した場所の事を聞かれたと思ったらしい。
そりゃあ近所で買ってクラスの誰かにでも見られたらお終いだろう。
主に大河を発見したクラスの誰かが。
顔を赤くした大河が「恥ずかしかったんだから・・・」って呟きながら涙目になっている・・・相当恥ずかしかったんだな・・・
きっと現場を押さえられていたら恥ずかしさで泣きながら大暴れして、見つけた奴をボッコボコにしていた事だろう。
容易に想像がつく。
おまけに何故か頭の中では春田がその役に納まっている・・・こっちを見るな、俺のせいじゃ・・・
妙に生々しい想像に思わず汗が出たことで、ようやく我に返った。

「・・・そ、そうじゃなくってだな、なんでこんな・・・妊娠してるかどうかを調べて・・・」

「・・・一月半も来ないのよ・・・? ・・・前は不規則だったけど、竜児と会ってからは毎月ちゃんと来てたのに・・・・・・」

なんで頬を染める・・・そこはもうちょっと別の反応をするんじゃないのか、普通。

「竜児が私のために作ってくれたご飯お腹いっぱい食べて、掃除してくれた部屋でグッスリ寝るようになってから
 不思議と今までマチマチだったのが決まった日に来るようになって・・・」

「大河・・・」
577174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:44:41 ID:FGVTGUEy

それはただ単に、それまでの生活習慣が酷すぎたからだろう。
あんな埃とゴミだらけの部屋で、栄養の偏りそうな出来合いの物ばっかり食って、十分に睡眠もとれなかったら
絶対に体調崩すに決まってんだろ。
バランスの良い食事を摂って、清潔な部屋でしっかり寝てさえすれば改善できただけのことであって、
なんら不思議なことなんてない。
現に俺が大河と知り合った頃、いっつもクシャミしてたからあの時点でもかなり危なかったはずだ。
だけど、今ではそんな面影なんて全然残っていない。

・・・俺と大河が別々のクラスだったり、大河が俺のカバンに間違えて北村へのラブレターを入れなければ、
いくら家が隣同士だったとしてもここまでの関係を築くことができたかどうか分からない。
もし同じ高校の同級生程度の関係だったら、今だに大河はそんな生活を続けて・・・

「・・・竜児のおかげよ・・・竜児の、あ・・・愛の力っていうか・・・」

「そんなこと気にすん・・・今なんて言った」

考え事をしている俺に向かって大河が放った一言は、暗くなりかけていた俺の思考を吹き飛ばすには十分な威力を持っていた。
・・・言うに事欠いて愛の力ってお前・・・
大河は顔を隠すように俯いて・・・髪の間から見える部分をみるみる赤くしながら・・・蚊の鳴くような声でボソボソ喋っている。

「も、もう・・・恥ずかしいんだから何度も言わせるんじゃないわよ・・・今度はちゃんと聞いてなさいよ?」

ちゃんと聞いてたつもりだから確かめてんだよ、聞き間違いじゃないかどうかを・・・って

「・・・りゅ、竜児のね、あ・・・あ、愛の力でね・・・私の、その、あの・・・」

「た、大河!! 言いたい事は分かった! もういいから!」

「そう? ・・・竜児、今度はちゃんと聞こえたでしょ?」

「あ、あぁ・・・そんな間近で言わなくても、ちゃんと聞こえてるって・・・だから離れろよ」

こいつ、いきなり飛びついてきと思ったら耳元で何てこと言ってきやがんだ!?
顔に触れてる大河の髪の毛と、俺の耳にくっ付いてるだろう鼻、当たる吐息・・・そんな格好で愛だの囁いてくる大河・・・
首と腰に手足をガッチリ回されているから、俺には振りほどけない。

「ん・・・それで、竜児・・・それ」

が、思いの他素直に俺から離れた大河は、今度は俺の手を指差してくる。

「今度はなんだよ・・・あ・・・」

俺の手には、さっき大河から手渡された妊娠検査薬が・・・握りっぱなしだったのか・・・

「だから・・・ちゃんと来てたのがいつまで経っても来なくって・・・それ買って調べたのよ。
 そしたらね・・・それ、線が出てるでしょ・・・? その検査薬だと、陽性ってことらしくって・・・」

陽性って、それ・・・いや、待ってくれ。まだ心の準備ができてないんだ。
頼むから少し時間を・・・

「た、大河? ちょっとま・・・」
578174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:45:45 ID:FGVTGUEy



「・・・赤ちゃん・・・できちゃったみたい・・・」



「・・・・・・・・・」

空気が固まった。
夕飯時で、窓まで開けてるってのに外の喧騒が全く聞こえてこない。
・・・ひょっとしたらこれは夢で、今にも目覚ましが鳴り出すんじゃ・・・

「どうしたの竜児? 急に黙って」

・・・夢な訳ねぇよな・・・
大河が声をかけてくると、途端に周り中の音がよく聞こえる。
固まっていたのは俺だけらしい・・・いや、よく見るとインコちゃんも固まってる・・・微動だにしないのに涙だけが凄い勢いで流れてる。
インコちゃんのどこにあれだけの水分が・・・あれ、脱水症状とかそんなもんじゃなくて、このままだと干からびるんじゃないのか?
あ、とうとう篭から水が溢れ

「・・・ねぇ・・・なんか言いなさいよ・・・なんでなにも言ってくれないのよ・・・」

「・・・・・・・・・」

俺が何も言わずに固まっているだけなのが不安にさせてしまったのか、大河が俺の腕を取ってかき抱く。
・・・夢とか現実逃避とか、何をしてるんだ俺は・・・目の前にいる大河は泣きそうになってるじゃないか。

「・・・悪い、ちょっと・・・っていうか、俺には何て言ったらいいか分かんねぇよ・・・
 これ、間違いとかってないのか? ひょっとしたら・・・」

「他ので何度もやってみたけど、全部一緒だった・・・」

「・・・・・・・・・」

言ってみたはいいけど、薄々そんな予感がしてた。
こんなこと・・・妊娠したなんて俺に言うくらいだから、大河もかなりの回数試してみたんだろう。
・・・これが夢でも間違いでもないんなら・・・俺がやらなきゃ、ダメなんだよな・・・

「・・・大河、聞いてもいいか・・・?」

意を決しろよ、俺。
ここで聞いとかないでいつ聞くんだ。

「・・・なによ・・・」

「言いたくなかったら言わなくていいんだ。お前が嫌がることを、俺は無理やりしたくない」

「う、うん・・・」

大河が抱き込んだままだった俺の腕に、更に力を入れてくる・・・震えてるのは大河も一緒みたいだ。
普段だったら絶対に尻込みしそうな空気を肌に感じる・・・こんな事を当事者でもない俺が聞くのは、きっと最低な事だって分かってるけど、
それでも・・・このまま何も聞かないで、放っておいて済まされる問題じゃないから。

「・・・父親は誰だ・・・」
579174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:46:36 ID:FGVTGUEy

・・・言っちまった・・・
こういうのは普通大河の親が聞くべきことなのは頭では理解してるけど・・・
けど、俺が聞かなきゃいけないんだと思う。
大河はきっとあの親父さんには絶対に言わないだろうし、同性とはいえ母親の方なんて論外だ。
大河の性格も今までの事も考えると、自惚れかもしれないけど俺が大河に聞くのが一番良い。
親に恵まれるとか恵まれなかったとか、そんな事を気にしたくないけど、俺も大河も・・・特に大河は・・・
もしかしたら泰子には打ち明けるかもしれない・・・だけど、大河は俺に打ち明けてくれたから。
だから、言ってくれないかもしれないけど俺がお腹の子の父親を聞いて、もし教えてくれるのならそいつも交えて話し合わないといけない。

痛いことも辛いことも、悲しい思いは全て大河だけが引っ被るなんてことはさせたくない。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・えっと・・・」

一分なのか一時間なのか・・・どれくらい時間が経ったのか分からないくらい緊張していると、
息が詰まりそうなほどの重々しい空気の中・・・沈黙を破って大河が口を開いた。

「竜児・・・なに言ってるの・・・?」

「・・・・・・・・・」

なにって・・・
心底訳が分からないとでも言いたげな顔をした大河が俺を見上げている。
それになんだ・・・期待外れ? みたいな・・・肩透かしをくらったような・・・なんなんだ。
ただ、俺の質問に答える気は無いみたいだな・・・それだけ分かれば十分か。

「・・・スマン、言いたくないことを聞いちまったりして・・・今のは忘れてくれ、大河・・・」

「え・・・ちょ、ちょっと待って・・・父親って・・・なんであのクソ親父のことなんか今聞いたりすんのよ」

・・・何を言ってるんだこいつ・・・
今の大河を一人にはしておけないけど、ほんの少しでいいから一人になって考えたくて離れようとする俺の腕を、
大河が反対側に引っ張るようにしながら引き戻す。
辛いのは俺なんかよりも、大河の方だってことぐらい考えなくても分かる・・・分かるけど、俺にも少しだけ時間をくれよ。

「大河、もういいんだ・・・話したくなったら言ってくれれば・・・さっき言っただろ、お前が嫌なことは俺は絶対にしないから・・・」

「だ、だから待ってよ・・・父親ってなんのこ・・・と・・・・・・え? うそ・・・」

不意に大河が抱きしめていた俺の腕を離した。
予期せぬタイミングだったことでよろめき、それでも居間から出て行こうとする俺の背に向かって大河が確認でも取るような
声色で話しかけてくる。

「竜児・・・? 竜児が聞いてる父親ってまさか・・・赤ちゃんの父親のことを言ってるの・・・?」

「・・・当たり前だろ・・・それ以外にどの父親のこと・・・とにかく、もういいんだ大河・・・無理すん・・・お、おい大河?」
580174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:47:33 ID:FGVTGUEy

本当に分かってなかったのかよ・・・
が、振り返りざまに放った俺のセリフを聞いた大河はさっきの赤かった顔を一転させ、真っ青にしていく。
それに目が潤みだして、信じられないと言うように首を振り出した。

「・・・うそでしょ・・・竜児、その冗談全然面白くないわよ・・・」

「・・・冗談なんか言ってどうすんだ・・・
 俺は野次馬根性とか好奇心なんかで言ってるんじゃなくて、大河のことが心配なんだよ・・・
 ただ、お前が言いたくないものを俺は・・・だからこれ以上はもう止そうぜ・・・」

「いい加減にして! なんなのよ・・・竜児、さっきからなに言ってるの!?
 ・・・怒ったりしないから、そんなこと言うのやめてよ・・・ね?」

「・・・俺はお前と、その子供と・・・なんでもいいから助けになってやりたいんだ・・・
 そのためには、聞くだけでも一応相手のことも聞いとかなきゃ何もできねぇだろ・・・」

「やめてって言ってんでしょ!! なんでそんなこと言うの!? なんで喜んでくれないの!?
 竜児は! ・・・竜児なら、赤ちゃんできたこと絶対喜んでくれるって思ってたのに!!
 なんで意味分かんないことばっかり言うのよ・・・なんで・・・・・・」

そこで区切った大河。だけどすぐさま口を開いて・・・

「・・・あんたと私の赤ちゃんなのに・・・喜んでよぉ・・・どうして他の男の子供なんて思うのよぉ・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今・・・大河・・・・・・え? いやいや、落ち着け、よく思い出せ・・・えぇ? 今『あんたと私の赤ちゃん』って・・・

「『おめでとう』って言ってほしかったのに・・・『嬉しい』って言ってくれると思ったのにぃ・・・
 それを・・・『父親は誰だ』って・・・! 竜児以外に、誰が赤ちゃんの父親だって言うのよ! どうしてそう思ったの!?
 他の男とか・・・そんな奴に心当たりがあるなら連れてきなさいよ! そいつぶっ殺してやるから!
 そしたら、いくらあんたが駄犬でも分かるでしょ!? 分かってよ! 分かって!! ・・・どうしたら信じてくれるのよぉ・・・」

青かった顔を、今度は怒りで真っ赤にした大河が俺に詰め寄る。
玉みたいになった涙をボロボロこぼしながら、俺の襟を掴んで力ずくで首を曲げさせると、目線を合わせて絶叫する。
激昂した大河なんて何度も見てきたはずなのに、真直ぐに俺を見据える大河の目は見た事がないような色をしていて・・・
その向こうで、大河がいつも以上に小さく見えた。
そんな気がする。

「・・・・・・竜児・・・手、出して・・・」

不意に、大河が俺の襟から手を離した。
あまりにも大河との距離が近すぎるために、一度体勢を戻した俺に向かって
身長差に加え下を向いているために表情が読めない大河が手を出すように言ってくる。

「・・・大河・・・俺は」

「うるさい・・・手よ、手! 早く!」

何を言ったらいいのかも分からないけど、何も言わずにいることもできずに口を開く俺を制して大河が急かす。
一体どうするんだ、手なんて・・・
581174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:48:23 ID:FGVTGUEy

「・・・・・・・・・」

「・・・お、おい・・・」

俺の手を取った大河は、無言で自分の方へと引いていく。
軽く握っていた手を開かせて、そのまま掌を腹部へ・・・多分、まだほんの小さなものなんだろうけど・・・
赤ん坊がいるのだろう位置に持ってきて押し当てた。

「・・・ねぇ、竜児・・・ここにね、赤ちゃんがいるの・・・」

「・・・ここに・・・」

「・・・あんたの・・・竜児と私の赤ちゃんなの・・・」

「・・・・・・俺と・・・大河の・・・・・・」

「うん・・・大切な・・・竜児と私の赤ちゃん・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・あ・・・竜児?」

「・・・・・・・・・」

服越しに伝わってくる大河の体温は温かくて、柔らかい感触がして・・・この少し先には今この瞬間も少しずつ大きくなっていく赤ん坊が・・・
そう思うと、自然と大河のお腹を撫でていた。
見た目にも、今こうして触っている感触でも、ここに赤ん坊がいるなんて俺には分からない。
けど、大河が持ってきた検査薬と・・・この子の父親が俺だって必死に叫んで泣いていた大河を見ると、嘘を言っているなんて思えない。
だからきっと・・・大河のお腹には、本当に俺の・・・

「ん・・・ねぇ、赤ちゃん・・・ママね、こんなひどいパパのことなんて捨てちゃおうと思うんだけど・・・どうしようかしら?」

無言で撫で続けていると、急に大河が柔らかい口調になった。
手首を掴んでいた力を弛めて、そのまま大河のお腹を撫でていたままの俺の手に自分の手を重ねながら
ゆっくりと赤ん坊に問いかける。
たまに話し込むようなふりをして、「え〜・・・」とか「もう、しょうがないわね」って・・・そう語りかけている大河。
その声はさっきまでの悲鳴みたいな声とは全く別物で・・・まるで、本当に母親みたいだ。

「大河・・・」

「・・・うん・・・竜児? 赤ちゃんがね、そんなのダメって・・・私はどっちだってよかったけど、赤ちゃんが泣いちゃうんだもん・・・
 だから・・・さっきの事は、ホントに頭に来たけど・・・今回だけは大目に見てあげるわ・・・本当に今回だけよ。
 よかったわね、私に似て優しい良い子で・・・感謝しなさいよ? ・・・あんたの赤ちゃんのおかげなんだから・・・」

「・・・悪かった、大河・・・こんな・・・お前を泣かせるつもりで言ったんじゃなかったんだ、俺は・・・」

「・・・それから、もう二度とあんなこと言わないで・・・お願いだから・・・
 あんなひどいこと・・・今度言ったりしたら、赤ちゃんが庇ったって許さないんだから・・・」

「・・・おぅ・・・」

重なったままの手はそのままに、空いてる方の腕で大河を抱き寄せた。
いつもは外見からは想像もできないほどの力で暴れている大河だけど、こうやっていると見た目よりもずっと華奢に感じる。
こんな小さな身体して、こいつは・・・それなのに俺は・・・
分かったつもりになって、結局何一つ分かってなくて・・・大河を一番傷つけていたのは俺じゃねぇか・・・
腕の中で声を押し殺して泣く大河を抱きしめながら、自分の身勝手さや不甲斐無さに押し潰されそうになる。
582174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:49:11 ID:FGVTGUEy

「なぁ、大河」

今俺がするべきなのは自己嫌悪や後悔じゃないだろ。
そんなことよりも、もっと大切なことをしなけりゃ・・・それこそ自己嫌悪でいっぱいになって、この先ずっと後悔するハメになる。

「その、あれだ・・・おめでとう」

「・・・ばか・・・ばかばかばか・・・竜児のばか・・・初めっからそう言いなさいよ・・・・・・ばか・・・・・・」

ギュッと。
大河も空いてる方の腕を回して抱きついてくる。
重ねていただけの手も、いつの間にかしっかりと握られていて・・・顔を上げた大河と俺の距離がどんどん縮まっていき・・・
そして・・・

ぐうぅぅぅ〜・・・

・・・大河の腹の虫が鳴った。
目の前数センチのところまで来て、お互いがピタリと動きを止める。
時刻はとっくにいつもの夕食の時間を回っているし、張り詰めていた緊張が少しだけ緩んだんだろう。
場の雰囲気が和らいでくれるのは、俺としては全然問題ない。むしろありがたいとすら思う。
ただ・・・いくらなんでもこの空気の中、このタイミングで腹なんて鳴らすか・・・いや、べつに大河らしいって言えばらしいんだけど。

さっきから薄目を開けて様子を窺っていた大河が、なんのフォローも入れないで自分をジッと見ている俺に
耐え切れなくなったのかプルプル震えだして・・・

ぐぎゅるるるるぅ〜・・・ぐぅ・・・

「・・・・・・・・・」

「・・・大河、腹が減ったのは分かったから・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・とりあえず飯にしようぜ・・・すぐできるから、ちょっと待ってろ・・・」

「・・・・・・・・・」

ぐぅ・・・

俺の胸に顔を埋めて離れない大河だったが、しばらくすると空腹に負けたのか、一度思いっきり握っていた手に力を込めてから
ようやく離れた。
理不尽だとは思うけど、照れ隠しとしては軽い方なので俺も何も言わずに作りかけだった夕食に再びとりかかる。

ただ、今度は調理している間中背中に張り付かれ、できあがった料理を運び終わるまで離れてくれなかったけど。


               ・
               ・
               ・

583174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:50:04 ID:FGVTGUEy

「ごちそうさま・・・ちょっと食べ過ぎちゃったかしら」

「ちょっともなにも・・・飯だけで10合も食ったんだぞ。いくらなんでも、大丈夫なのかよ?」

「ふ、二人分だもん・・・たくさん食べなきゃいけないんだもん、仕方ないんだもん」

何でちょっと嬉しそうなんだ。言ってみたかったのか、それ。
テーブルに両肘をつきながら、まるで待ってましたとでも言わんばかりに緩みきった顔をした大河がゴニョゴニョ言っている。
そんな大河を、思わず可愛いとさえ思ってしまう・・・が。

「・・・・・・・・・」

それにしても・・・本当によく食ったな、こんなに・・・
腹ペコだろうと思って多目に作ったつもりのおかずなんて、キレイに片付けられているのは言うまでもない。
それどころか俺の分のおかずまで掻っ攫っていった上に、飯まで炊きなおしたんだぞ。
それを『ちょっと食べ過ぎた』って・・・
大河がよく食うのは分かりきってるけど・・・二人分とか言って、それでもまだ妊娠したてでこんなに食いまくって・・・
もっとお腹が大きくなったら、いったいどれだけ食うようになるんだ?
いや、その後ひょっとして・・・生まれた子供も大河並みに食欲旺盛だったら、家のエンゲル係数はどのくらいに・・・?
ふと、頭の片隅が勝手に想像し始める。

・・・・・・・・・・・・

(働いても働いても食費に消える・・・いや、追いつかない!?)

・・・だ、だめだ・・・あまりにも現実的過ぎて心臓に悪い・・・実際に生まれる前からそんな辛いことを考えるのは止そう、全然楽しくない。
考えるんだったら別の・・・良い意味でもっと現実的なことを・・・
・・・例えばお腹の子の性別だったり、生まれた後の家族の団欒だったり、二人目ができるとか・・・二人目・・・
何か引っかかった。俺は何か重要な部分を忘れてないか?
・・・そういえば、お腹の子の父親が俺って言われた時、どうしてあそこまで以外だったんだ・・・?
それ以前に、俺はなんで大河が妊娠したって言った時に俺じゃなくて、ハナから別の相手が父親って決め付けて・・・

「おいしかったわね〜。パパの一番使えるところはおいしいご飯が作れるところよね。そう思うでしょ?」

考えに没頭していた俺の耳に、緩みきった顔のままだろう大河の、メチャクチャご機嫌な声が届く。
今まで集中して考えていた内容が消えていく代わりに、頭の中が羞恥心でいっぱいになっていくのが分かる。
勝手に下を向いていた頭を上げると、予想通り緩みきった顔した大河が自分のお腹を擦りながら赤ん坊に話しかけていた。

「やっぱりそうよね。ママの子だけあって、パパのご飯が大好きなんだから・・・
 竜児、よかったね。赤ちゃんね、パパの作ったご飯おいしいって・・・どうしたのよ、顔赤いわよ?」

「・・・お、お前なぁ! ・・・そういうのやめろよ、ハズいだろ・・・さっきだって・・・」

「? やめろって・・・なにを?」

「だ、だから・・・パ、パパだのママだのって言うのをだな・・・」

「知らないの、竜児? 赤ちゃんってね、お腹の中に居ても外の音とか声とか聞いてて、ちゃんと分かるんだって。
 だから話しかけてあげたり、音楽とか聞かせてあげたりすると赤ちゃんに良いらしいの」

胎教って言うんだっけ? 確かにそんなことを聞いた覚えはあるけど・・・まだ早すぎるんじゃないか?
それに・・・パ、パパって・・・目の前でされる度に顔が真っ赤になりそうだ。

「だからね・・・さっき、ケンカしてたのも聞かせちゃったじゃない・・・あれって、絶対赤ちゃんに良くないわよ・・・
 パパとママはもう仲直りしたんだから、安心しなさいって・・・早く教えてあげなきゃ、この子また泣いちゃうもの・・・」

「・・・大河・・・」
584174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:50:51 ID:FGVTGUEy

そんなことまで考えてたのか・・・
お前が責任を感じることなんか、何一つねぇだろ・・・悪いのは全部俺で・・・
それなのに大河は、自分だって傷ついてるのに赤ん坊のことを一番に考えて・・・

「・・・悪い、大河・・・お前がそこまで気にしてたのに、俺・・・自分の事しか・・・」

「ほら、すっかりいつものパパとママだからもう大丈夫でしょ?
 ・・・それにパパはママにベタ惚れで、結局最後は泣きついて謝ってきて・・・そんなに心配しなくていいんだからね?
 パパったら、ママがいなきゃなんにもできないのよ? ホントにもう、ベッタリなんだから」

「は・・・? お、おい・・・大河、ちょっと」

「そのくせママの気を引こうとあっちこっちに尻尾振ったりして・・・困ったパパよね・・・そんなことする必要ないのに。
 ・・・困っちゃうのは、振られた尻尾に本気になっちゃうおバカなチワワと・・・ママの・・・
 けどね、やっぱり最後はママのこと一番大切にしてくれるのよ。今までだって・・・それにこれからも・・・」

「た、大河・・・なぁ、なんの事を・・・」

「・・・あ、そうよね。これからはママと、赤ちゃんのこともだもんね・・・ね、竜児?」

「・・・・・・・・・」

一瞬沈んだのはいったい何だったんだ・・・しかもベタ惚れとか泣きつくとか・・・
謝る俺を他所に、大河は両手をお腹に添えながらある事ない事っていうか、
ほとんど俺にばっかり身に覚えが無い事を赤ん坊に吹き込んでいく。
しかも同意を求めるために『うっとりとしながら』っていうのがピッタリくる表情で見つめながら、大河が聞いてきた。
その様は可愛いってよりも、なんていうか・・・いや、幸せそうだからべつにいいんだけど・・・
そんな事を考えて、どう言えばいいものか答えあぐねているとその内大河が表情を曇らせて・・・しまった、何か言わないとまた・・・

「竜児、私そろそろ帰るわ。すっかり遅くなっちゃった・・・」

「お、おぅ・・・あぁ、もうこんな時間か」

点けっぱなしにしていたテレビが、日付が変わった事を知らせている。
俺が黙っていたせいじゃなくて、テレビに目が行ったからか? あんな顔したのは。
・・・大河の言う通り、随分遅い時間になっちまったな・・・晩飯作るのも食い終わるのもけっこうかかったし・・・

「泊まってったらどうだ、大河?」

深く考える前に口から出てた。
まぁ今までも大河が家で夜を明かしたことはあるし、なにより「帰る」って言った時の大河の顔が
さっきまでの幸せそうな顔から、一気に寂しそうな顔になったからだと思う。
負い目からって訳じゃないけど、やっぱ泣かせちまったし・・・だから、できるだけ優しくしてやりたいっていうか。

「ホント? ・・・あ、でも・・・うぅん、今日はいいわ。明日学校行くとき忙しくなっちゃうし」

誰に言うんだか分からない後付っぽい理由を考えている間に大河が返事を返した。
学校か・・・頭から抜けていた。
確かに着替えだの何だのもあるし、いきなり泊まってけっていうのも無理な話だったな。
今から制服や代えの服なんかを取りに行くぐらいだったらそのまま帰って寝るだろう。

「そうか・・・じゃ、送ってくくらいはさせてくれよ。そのくらいは」

「いいわよ、すぐそこなんだから・・・もう、そんなに心配しなくても大丈夫よ。
 ・・・ぁ、け、けど・・・竜児がどうしてもって言うんなら、その・・・面倒じゃないんだったら・・・」
585174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:51:53 ID:FGVTGUEy

「面倒なんて思ってないし、隣っていっても心配なんだよ。ほら、行こうぜ、大河」

「・・・ありがと・・・」

玄関を出て、階段を下りて、大河のマンションに入って、今度はエレベーターで上がって・・・
たったそれだけの短い距離を、大河と並んで歩く。
時間にしたらあっという間だけど、なんだか新鮮に感じる。
普段だったら、遅くなっても送っていくことなんてないしな。
隣だし、万が一変質者や何かが出ても大河だったら問題無いだろう・・・けど、やっぱりこんな事があった日だからか
少々過保護になっているのが自覚できる。
手も繋いでるから、川嶋に見られたら「相っ変わらず高須くんはタイガーに鬼甘だよね。手なんか繋いで、お父さんかよ」
って茶化されそうだ。
・・・お父さん、か・・・今だって全然実感が湧いてこないな・・・
不意に、大河が繋いでいた手を離す。

「・・・じゃ、また明日ね、竜児・・・おやすみ」

「おぅ・・・何かあったら呼べよ? すぐ来るから・・・おやすみ、大河」

考えながら歩いていると、もう大河の家に着いた。
ドアを開けた大河と軽く挨拶すると、もうすることも無いし・・・俺も帰ろう。

大河がドアに鍵をかけるのを音で確認すると、踵を返して歩き始める。
・・・本当に今日は疲れた・・・とっとと風呂入って寝よう・・・・あ、インコちゃんのご飯忘れてた。・・・まぁいいか、帰ってからで。
エレベーターが来るまで、そんな取りとめのない事を考える。
もっと考えなくちゃいけない事・・・
子供の事に大河の事も・・・それに学校とか、いろいろ考え出したらキリが無いけど・・・
俺一人で考えて、決めちまった事じゃなんにもならない。

情けないけど、やっぱり父親よりも母親の方が子供のことを考えてるって・・・今日の大河を思い出すと、そう思う。
・・・いや、もしかしたら俺が子供のことを考えてないだけかもしれない・・・
大河があれだけ泣き叫ぶまで、勝手に大河と誰かの子供だって決め付けて・・・今だって、現実味が感じられないでいる。
・・・もしかしたら、俺も親父みたいに大河と子供を置いて出ていくんじゃ・・・

「・・・何でそうなるんだよ・・・」

本気で気が滅入る・・・疲れてるからこんな暗いことしか頭に浮かばないんだ、早く帰って寝ろ。
ようやく降りてきたエレベーターに乗って、大河を送ってきた時よりも何倍も重くなったように感じる体を引きずって
目的の階で降りる。
マンションを後にすると、後はアパートの階段を上るだけ。
それだけなのに、アパートの前まで来たところで『それ』に目が行った。

「・・・ったく、今日は古紙回収じゃねぇのに・・・」

ゴミ置き場にビニール紐で括られた雑誌の束を見つけた。
多分誰かが回収日を勘違いして置いてったか、回収日そのものを守らない奴がいるんだろう。
持って帰る訳にもいかないけど、そのままの状態で放置しておけないから、
せめて次のゴミ回収の邪魔にならないように少しだけ場所を移しとこうと近づくと・・・

「・・・・・・・・・」

エロ本かよ・・・しかも何で表紙を上にして出すんだ、春田じゃあるまいし。
・・・見なかった事にしよう。そもそも俺が捨てた物じゃないし、俺が捨てたと思われたら嫌だ・・・
そう思ってこの場から去ろうとする。
だが、どういう訳かピタリと足が止まる。
何か気になる・・・捨ててあった雑誌じゃなくて、何か・・・
586174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:52:54 ID:FGVTGUEy

「・・・・・・・・・」

振り返って、もう一度ゴミ置き場を観察してみる・・・捨ててある雑誌以外におかしなところは見当たらない。
雑誌にしても、いろいろドギツイ言葉で煽られてる表紙が見えるだけで・・・
いい加減止めよう、これじゃ俺が捨ててある雑誌を持って帰るかどうか迷ってるみたいに見られそうだ。
もし・・・もしも大河にでも見られようものなら・・・

・・・・・・・・・・・・

『ねぇ赤ちゃん? パパったらね、ママがいるってのに他の女で・・・他の・・・ふざけんなバカ犬ぅぅぅっ!』

俺の話なんて聞かないで、そうしたもんだと思い込むだろう。
そしてさっきみたいに赤ん坊に語りかけていると思ったら、いきなりキレて暴れる・・・あの調子じゃ絶対にそうする・・・
もしくは・・・

・・・・・・・・・・・・

『・・・あんた、私よりもそんなんが良いっての? 赤ちゃんまで作っといて・・・ふざけんなバカ犬ぅぅぅっ!』

それどっちもキレてんじゃねぇか・・・しかも大して変わってねぇ・・・
・・・つまらない事なんて考えてないでもう帰ろう・・・どうかしてるな、俺は。
その気になれば大河と・・・まぁ、こんなことだってできるんだから、捨てられてる本なんてどうだっていいだろ。
こんなもん拾って喜ぶのも春田くらいだろうし。
そうやって踏ん切りをつけてゴミ置き場に背を向け、我が家に向かって歩き出そうとする・・・が。

「・・・あれ・・・?」

また足が止まった。
それよりも・・・その気になれば大河とって・・・

・・・・・・大河と・・・・・・

「・・・そういえば俺・・・いつ、大河と・・・」

大河は一月半もアレが来なかったって言ってたから、それ以前にしてなきゃ計算が・・・
いや、計算とかそんなもんじゃなくって・・・けど・・・えぇっと・・・

「・・・・・・・・・」

し・・・した覚えがない・・・大河と子供を作るようなこと、俺はいつしたんだっけ・・・?
・・・お、思い出せない!? ちょ、ちょっと待て、そんなことある訳が・・・・・・・・・いつだ!? いつしたんだ!?
ありえねぇだろ、そんな大事なこと忘れちまうなんて。
・・・だ、だからあんなに以外だったのか!? 俺が父親って言われたとき・・・
俺には身に覚えがないから、だから俺以外の相手が父親って無意識に決め付けて・・・
ま、まさか・・・

「・・・嘘・・・だったのか・・・? ひょっとして、大河のやつ俺を・・・」

『竜児以外に、誰が赤ちゃんの父親だって言うのよ! どうしてそう思ったの!?
 他の男とか・・・そんな奴に心当たりがあるなら連れてきなさいよ! そいつぶっ殺してやるから!
 そしたら、いくらあんたが駄犬でも分かるでしょ!? 分かってよ! 分かって!! ・・・どうしたら信じてくれるのよぉ・・・』

「・・・・・・・・・」

大河が嘘を吐いてるってことは絶対に無い・・・と思う。
確証なんて検査薬くらいで、それだと俺が父親っていうのは証明できないんだけど、
そんな物よりもよっぽどあの時の大河の方が信じられる。
嘘でも冗談でも間違いでもなくて、大河は妊娠していて・・・その父親は俺のはずで・・・
587174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:53:57 ID:FGVTGUEy

「だ、だったら何で俺は何も覚えてないんだ・・・」

・・・・・・・・・たいがぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああぁぁああああ!

家はもう目の前だけど、今来たばかりの道を今度は全速力で駆け戻る。
途中、大河のマンションから出てきた人とすれ違ったら悲鳴を上げられた。
普段だったらそれなりにへこむとこだけど、今は心底どうでもいいから無視してエレベーターに向かう。

「乗ります! 乗りますからちょっと待っ・・・クソッ!」

そのまま行けばすんなり乗れたはずなのに、俺が近づいたらエレベーターの中にいたカップルが
いきなり扉を閉めやがった・・・女の方なんて泣いてたよな、あれ・・・
さっきは人なんて全然いなかったのに、何で今度は一々・・・
今までで一番もどかしく感じるエレベーターに乗って大河の家がある階に出ると、また走って・・・

ドンドンドンドンッ!

「大河! 俺だ、開けてくれ! 聞きたいことがあるんだ! 大河ぁ!!」

インターホンではなくドアそのものを叩いて大河を呼び出す・・・近所迷惑なんて今は気にしてる場合じゃない。
もし大河がもう寝ていたら、インターホンの音なんかじゃ起きないかもしれないだろ。
俺は一刻も早く真相を・・・

「うるっさいわね! こんな時間になんの用よ! イタズラなんかだったらただじゃ・・・あれ? 竜児?」

おもいっきりドアを開けた大河・・・物凄く不機嫌そうだったが、ドアに吹っ飛ばされて床に転がってるのが俺だと分かると
鬼みたいだった形相を引っ込めてこっちに寄ってくる。

「やだ・・・どうしたの、竜児!? こんなにボロボロになって・・・さっきノックしてった奴ね!? そいつにやられたんでしょ!?
 あのボケェ・・・私を呼び捨てにしてただけでもムカつくのに、私の竜児になんてことを・・・!
 ・・・待ってなさい、すぐにとっ掴まえて今のあんたの万倍ボロクソにしてやるんだから・・・」

何言ってやがんだ・・・俺をボロクソにしたのは誰でもない、お前だろう・・・
大河が俺を抱き起こしながら的外れなことを言っている。
どこをどう見たら俺以外に大河ん家のドアを叩いた挙句、俺を襲って逃げる奴がいるんだ・・・自慢じゃないがさっきすれ違った連中は
皆が皆俺に襲われそうになったって思ってるぞ、絶対。

「ごめんね、赤ちゃん。眠たいでしょうけど、ママと一緒にパパを虐めたバカをボコボコにしてやろうね」

ま、まだろくに体もできていないだろう胎児になんてことを強要させやがんだ・・・
寝てる場合じゃない、早いとこ大河を止めないと居もしない相手をホントに探しに行きかねない。

「た、大河・・・ドアを叩いてたのは俺だ。急ぎの用があって・・・こんな時間にすまなかった」

「ふぇ・・・そうなの? ・・・だけど竜児、なんでこんなにボロボロに・・・」

「・・・大河ん家のドアがダンプみたいな勢いで俺をブッ飛ばしたんだよ」

「・・・そそそそれで、どうしたのよ? こんな時間に・・・」

大河、こっちを見ろ。横を向きながら話題を逸らすなんて露骨なことすんなよ。
言わんとしてることが伝わったのか、俺が皮肉を言うと途端に焦りだす大河。
べつにいいけど、吹けないんなら口笛なんて吹こうとするなよ。見ているこっちの方が恥ずかしい。

「あ、ひょっとして・・・」
588174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:55:06 ID:FGVTGUEy

と、俺から顔を逸らしていた大河が、何か思い当たる節でもあったのかこっちに向き直る。
・・・野性の勘でも働いたのか? いくらなんでも、さすがに俺が戻ってきた理由なんか分かるわけ・・・

「えへへ・・・はい」

「・・・・・・?」

なんだ? 震えている膝に鞭打って立ち上がった俺の目の前で、大河はバンザイでもするように両手を広げて何かを待っている。

「・・・・・・・・・」

「・・・おやすみのギュッっじゃないの? さっきしなかったし」

「いや・・・」

「あ、じゃあチュウ? ・・・ん・・・」

「ち、違うって・・・こんなとこで話してるのもなんだから、とりあえず上がらせてもらっていいか? 大事な話なんだ」

「・・・いいけど・・・大事な話って一体な・・・・・・っ!」

「・・・大河、どうかしたのか?」

「う、うぅん・・・さ、早くしましょ」

「お、おぅ」

マンションの通路で抱き合ったりだのキスだのをせがむ大河をかわしながら、なんとか大河の家に入る。
こんなところでそんなベタベタなカップルみたいなこと、恥ずかしくてできる訳ねぇだろ・・・
一瞬「妊娠までさせといて今更・・・」とも過ぎったが、そもそも俺はその過程を大河に聞きに来た訳で・・・

「大河? どこ行くんだよ」

「どこって・・・私の部屋よ。竜児も早く来なさいよ」

「ここでいいじゃねぇか、俺も長居する気はないし・・・」

「・・・こっち来て・・・」

「だから・・・話ならここで・・・」

「・・・・・・来て・・・」

リビングでよかったのだが、何でか大河は自分の部屋に来いの一点張りで譲らない。
仕方なく俺が折れて大河の部屋に入る。
真っ暗な部屋に入った大河は、何故か明かりを点けることなくそのまま進んでいき、
ベッドに腰かけると俺も座るよう促してくる。
特に何も考えずに少しだけ距離を空けて大河の隣に座ると、即座に大河はその距離を埋めた。
面食らっている俺の腕を両手で抱きこむと、大河は肩に頭を乗せて寄りかかってくる。

「竜児・・・用ってなぁに? さっき言ってたけど・・・大事な話なのよね・・・?」

「・・・あぁ、まぁ・・・それに、大河以外にこんなこと聞けないんだ」

「そぅ・・・なんだ。そうよね、私以外になんて・・・だって、赤ちゃんだってできたんだし・・・」
589174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:56:03 ID:FGVTGUEy

「あ、あぁ・・・それで、大河・・・笑わないで聞いてくれ。俺は大河と・・・」

「笑う訳ないじゃない・・・いいの、竜児・・・なにも言わなくっても、ちゃんと分かってるから」

こいつは本当に野生の勘でも発揮して、俺が言いたい事がなんだか分かるのか?
尋ねる前にそう思ってしまうくらいに、大河は何かを納得しているようでしきりに頷いている。
『俺は大河と、いつ子作りしたんだ?』なんて聞きづらいが、まさか本当に言う前に大河が全部理解しているとも信じきれないので
恥ずかしいのを堪えて再度問いかけようとする・・・が、どうした訳か大河が泣き始めてしまった。

「・・・いいよ、竜児・・・・・・ぐす・・・」

「お、おい、大河? お前なんで泣いてんだよ?」

「だって・・・嬉しくって・・・赤ちゃんができて、なのに最初竜児・・・けど、もうそんなこといいの、ホントにいいの。
 ・・・これからは、竜児と私と赤ちゃんと・・・ずっと一緒なんだもん・・・それが嬉しくって・・・
 浮気なんかしたら承知しないわよ? 私・・・もう竜児だけなんだから・・・竜児じゃなきゃいやなんだから」

・・・大河の野性の勘は・・・

「た、大河、ちょっと待て・・・お前は何を言ってるんだ? ずっと一緒とか浮気とか」

「なにって・・・プププ、プロポーズしに来たんでしょ? 竜児・・・
 大事な話で、私以外にできなくって・・・それって、プロポーズしかないじゃない。
 ・・・私はね? 二ヶ月も前に・・・きっと、赤ちゃんができた時の夜に竜児が「好きだ」って言ってくれた時からずっと・・・
 だから今更聞かなくったって、私の答えは決まってるの・・・いいよ・・・うぅん、こんなんじゃダメよね? ・・・はい・・・」

図らずも俺が聞きたかった事は大河が狙ったわけでも無いのに言ってくれたから、俺が大河の家にいる理由は無くなってしまった・・・
が、このまま帰る訳にもいかなくなった。

二ヶ月前なんて、俺には大河と一緒に学校に行って、普通に授業受けて過ごしていた記憶ぐらいしかない。
大河とシた覚えが無いのに、大河が俺の子を妊娠したって言って・・・それが嘘にも思えないから、せめていつシたのか具体的に分かれば
ひょっとしたら本気で俺が忘れていただけなんていう、自分の頭は心配になるが一先ずは安心できそうな展開を望んでいたのが
いつの間にか、俺が大河にプロポーズしに来てるなんていう・・・
あれ、ちょっと待てよ? だんだん俺も何しに来たか分からなく・・・

ボフ・・・

これまでの経緯を整理しようとして余計にこんがらがっていると、横から引っ張られてベッドの上に倒れた。
引っ張っているのは当然大河。
足だけベッドの外に投げ出して寝ている格好の俺をズリズリと枕元まで引きずっていき、
それが済むといそいそと隣で寝そべる大河を呆然と見ながら思う。

なんだこれ

「んしょ・・・もう大分遅いし、今日は泊まっていきなさいよ。
 赤ちゃんも喜ぶし・・・それに私だって、一人で寝るの寂しかったんだから・・・ね? いいでしょ?」

「・・・・・・・・・」

断られるなんて全く考えていないのか、返事も聞かずに毛布をかけてくる大河に、まさか「悪い、今日は帰る」なんて言えるはずもなく

「・・・やったぁ・・・おやすみ・・・」

無言で頷くと、瞬く間に大河が寝息を立て始めた。

「・・・二ヶ月前・・・お、俺が忘れてるだけだよな・・・? ・・・大河もあんなに言ってたんだし、明日起きれば多分思い出すって・・・もう寝よ・・・」

気になって気になって、眠気なんてこれっぽっちも無かったのは言うまでもない。
590174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:57:02 ID:FGVTGUEy


               ・
               ・
               ・


「・・・ふぁ・・・」

ろくに眠れなかった・・・全然疲れが抜けてねぇ・・・そして思い出せてねぇ・・・
朝方に眠っちまったもんだから、弁当どころか朝飯の用意もなにもできなかった・・・大河なんて俺が起こすまで寝てやがって・・・
おかげで制服に着替えてすぐ出なきゃならなかったし・・・泰子のやつ、飯がないことに機嫌悪くさせてなきゃいいんだけど・・・

「・・・ねみぃ・・・」

あの後・・・


「・・・すー・・・すー・・・・・・」

すぐ横で寝息を立てている大河を意識しちまってたのと、疲れきってんのに頭は例の事でいっぱいになってて全然眠れず
仕方ないから徹夜しようと明るくなるまで踏ん張ってはみたものの、気が付いたら俺も寝てしまっていた。
大慌てで大河を起こし、学校に行くから支度するよう言い聞かせて大河のマンションから飛び出し、
家に戻って制服に着替えると、昨日からこの状態でいたのか? 羽毛が抜け落ちて干物みたいにシワシワになっていたインコちゃんに
ご飯と水を大量に与えておいた・・・一瞬もしやとも思ったけど、近づくと

「たす、たたすたすたすけてぇ・・・りゅりゅう、ちゃん・・・」

って言ってたし、水なんて皿に頭から突っ込んで飲んでいたからきっと大丈夫だと信じたい。
泰子も顔は見てないけど、玄関に靴もあったし脱ぎ散らかした服が点々としていたから帰ってきてはいるようだ。
・・・説明すると長くなるから、朝帰りしたことは黙っておこう・・・ひょっとしたら俺が家に居なかった事にも気付いてないかもしれないし。
『飯の用意ができてなくて悪い、適当に済ましておいてくれ』と書いた書置きをテーブルに置いてすぐに大河のマンションに戻ると

「・・・すー・・・すー・・・りゅうじぃ・・・ばかぁ、あかちゃんがのむぶんなくなっちゃう・・・」

叩き起こして制服を投げ渡した。なんて夢見てやがる。

「えっとね・・・竜児がね? わ、私の」

言わなくていい、聞いた訳じゃ・・・チラチラこっち見てないで早く着替えろよ、遅刻するぞ。

「え、うん・・・竜児がそう言うなら・・・」

目の前で寝巻きを脱ぎ出した大河を見た瞬間に部屋を飛び出した。


「・・・ふぁ・・・ねむ・・・」

いつも以上に慌しかった朝の事を思い出すと、よくまともな時間に出ることができたよな・・・

「ねぇ、あんたちゃんと寝てないの? さっきから欠伸ばっかりじゃない」

「・・・おぅ・・・ちょっと寝不足なだけだ、気にすんな」

「ふ〜ん・・・私なんてここ最近で一番グッスリ眠れたのよ? いい夢も見れたし」

・・・男の俺には分からないが、毎月来るモノが来ないっていうのはやはり相当不安になるんだろうな・・・大河もやっぱり・・・
まぁ夢云々は聞かなかったことにしておこう・・・どうせ夢だ、俺が何かした訳じゃない。
591174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:57:58 ID:FGVTGUEy

「よかったな・・・それよりもそろそろ・・・腕、離さないか?」

「いやよ・・・転んだりしたらどうすんのよ? こうやってれば安心でしょ」

「逆に不安だ・・・歩きにくくって俺が転びそうなんだよ。そうなったら大河ごと倒れちまうだろ?」

「そうなの? ・・・そうだ、こうやって・・・もっとギュっってしとけば大丈夫よ。これでいいわよね?」

・・・普段だってこんなとこでコケたりしないくせに・・・大河が組んでいた腕をキツ目に絞めながら更に密着してくる。
それに全然解決できてねぇってのに「これでいいわよね?」って・・・
出掛けに「竜児・・・怖いから手ぇ繋いでいい? もし転んだりしたら赤ちゃんが・・・」なんて言われてしまい、
「そのくらいなら」と、昨日送っていく時同様に大河と手を繋いで・・・繋いでいたのはホンの少しで、今度は「これじゃあ不安だから・・・」
と、直後にさっきの要領で腕を組んでほしいと頼まれ・・・今、俺と大河は通学路をベッタリ寄り添いながら歩いている。
・・・昨晩から赤ん坊をダシにされている気がしてならないが、それを指摘してもはぐらかされるか泣かれるか怒るかの
三択しか予想できないので、俺も何も言わずに大河と腕を組んで歩いている。
まだ学校まで距離があるが、それでもチラホラとうちの生徒が俺達を・・・
特に、「あの」手乗りタイガーが男と腕を組んで歩いているのを見て、信じられないという顔をしながら通り過ぎていく。
その度にいい加減腕を離さないか? と持ちかけてみても、大河は「だって、赤ちゃんが・・・」の一点張りで・・・
周りからの視線と大河の涙目で板挟みだ・・・女の子と腕を組んで歩くのが、精神的にここまでしんどいだなんて誰も教えてくれなかったぞ。

「あ、みのりんだ。みのりーん!」

「おぅ!? く、櫛枝!?」

恥ずかしくって頭を下げて歩いていたから気付かなかったけど、曲がり角を曲がった先を櫛枝が一人で歩いている。
大河が大声で呼ぶと、櫛枝にしては珍しくビクッと立ち止まり・・・そういえば俺みたいに俯きながら歩いてたな・・・
やけに遅い動きでこっちを振り返ると、一瞬また俯いて、次の瞬間には猛ダッシュでこちらに走ってくきた。

「た、大河、さすがにもう腕離そうぜ? 変に勘ぐられたりしたら面倒だろ?」

「べつにいいじゃない、どの道みのりんにもばかちーにも言うつもりだったんだもん・・・赤ちゃんができたって・・・」

こんなところで言うんじゃねぇ! 周りの連中が一斉に振り返ってきたじゃねぇか!
そりゃあ妊娠したなんてこと、いつまでも隠し通せることができないことくらい分かってる。
分かってるけど、俺にはまだ心の準備とか諸々ができてないんだよ・・・せめてもうちょっと時間をおいてほしいってのに大河は・・・
妥当な理由が出せずに、それでもあれこれ言ってまずは組んでいる腕を離そうとする俺を無視して大河は櫛枝に手を振っている。

「みのりん、おはよ・・・キャアッ!」

「たた、たたたたた、高須くーん!!」

「ゲフゥッ!」

だが、声をかけていた大河を無視して、櫛枝は止まることなくこっちに走ってくる勢いそのままに突っ込んできた。
咄嗟に組んでいた腕を力ずくで抜くことができたから、俺につられて大河も道路に倒れることは回避できたようだ。
頭から突っ込んできた櫛枝はさすが体育会系とでも言うべきか、男とはいえ鍛えてもいない俺を紙みたいに弾き飛ばしてやっと止まり、
ついでに何故だか道路に仰向けになって寝ているところへ馬乗りしてくる。
・・・昨日といい今日といい・・・いや、日付的には二回とも今日か・・・何で俺は硬い床に転がるハメになるんだ・・・

「ハッ!? や、やっちまったー!? 高須くん、しっかり!」

「りゅ、竜児!? イヤァッ、しっかりして! みのりん、なんでこんな酷いこと・・・ここ道路だよ!?
 それなのに竜児、あんな風に頭から倒れて・・・っ竜児が死んじゃったらどうすんのよぉ!!」

「ち、ちがうんやー! 私もどうすればいいか分かんなくって・・・
 昨日からずっと高須くんに会ったらどうすればいいか考えてて、けどホントに会っちゃったら頭の中真っ白になっちゃって・・・」
592174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 19:59:00 ID:FGVTGUEy

俺に馬乗りになった状態で肩を掴み、上半身だけ起こしておもいきり揺すりながら櫛枝がよく分からない事を言っている。
昨日から俺に何か用があったのか? そんな事を言ってるみたいだけど、だったらどうして顔を合わせた途端にいきなりこんな・・・
とにかくまずは揺するのを止めてもらおう。
これじゃまともに話もできない。

「く・・・櫛枝・・・俺は大丈夫だから、そんなに揺らさないでくれ・・・」

「!? た、高須くん! ごめん、本当にごめんなさい! 私・・・高須くんにケガとかさせるつもりなんてなくって・・・」

「うおぉ!? 櫛枝? わ、分かった。櫛枝に悪気がないってのは分かったって」

「高須くん・・・」

話しかけるといきなり抱きつかれた。
通勤途中の会社員や通学中の小学生・・・もちろんうちの生徒まで、往来の真ん中で座り込んで抱き合う俺と櫛枝を指差して見てる。
大河と腕組んで歩いてた時よりも更に恥ずかしい。
そして勿論・・・

「なにしてんの、みのりん」

大河もこっちを見ている。
櫛枝からは背になって見えてないだろうが、血走った目で自分を見下ろしている大河を見ないで済んでむしろ良かったのかもしれない。
目が合ったら襲いかかってきそうだ。

「ヒィッ!? ・・・た、大河・・・? なにって・・・」

「・・・竜児! どっか痛いとこない!? 大丈夫?」

「あ、あぁ・・・」

自分から声をかけておいて無視すんなよ・・・それにそんなドスのきいた声出すな、櫛枝が怯えてるだろ。

「よかったぁ・・・竜児、『みのりんに』ぶっ飛ばされて頭から道路に倒れて・・・心配したんだからぁ・・・」

「・・・ぐっ・・・」

一部分を強調すんなよ・・・いつもはあんなに明るい櫛枝が、気にして暗くなってるじゃねぇか。

「だ、大丈夫だって・・・ケガもしてないだろ? もう心配いらないから、さっさと学校行こうぜ。櫛枝も・・・」

「・・・あっ! ・・・ごめん、高須くん・・・ずっと乗っかっちゃってて・・・」

いつまでもこうしていても、目立ちまくって堪ったもんじゃない。
俺としては早くこの場から離れて、ちょっと険悪になっている大河と櫛枝の仲を元通りにしないと気が気じゃない。
だけど、ベタベタ俺の顔や頭を触っていた大河が、立ち上がろうとしていた俺を突然止める。

「ダメよ竜児・・・頭にタンコブできちゃってる・・・」

「・・・痛っ・・・本当だ・・・」

「ちょっと待ってて、その辺のコンビニで冷やす物買ってくるね」

「いや、いいって。ほっときゃ治るだろこんなもん・・・って、おい大河・・・」

止める間も無く大河は走っていってしまった。
確かに鈍く痛みがあるけど、たかがコブ程度でわざわざ・・・まぁ、心配してくれてんだしこれ以上言ってても仕方ないか。
それよりも・・・立ち上がって、また俯いてしまっている櫛枝に近づく。
593174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 20:00:20 ID:FGVTGUEy

「あ・・・高須くん・・・大丈夫? ごめんね・・・こんなことする気じゃなかったのに・・・」

「おぅ、俺はもう平気だけど・・・どうしたんだよ? 今日の櫛枝、なんか変じゃないか?
 それに・・・何か、俺に用があるみたいなこと言ってたよな」

「・・・・・・うん・・・大河もいないし、丁度いいのかな・・・ねぇ、高須くん。
 いつかさ、『私もいつか恋愛して、結婚して、幸せになるって信じてる』って話ししたこと・・・まだ覚えてる?」

「・・・あぁ・・・」

「あれさ・・・あの時の私には、ホントに遠い先の話だと思ってたんだ・・・
 遠すぎて遠すぎて・・・きっと目の前に来ても、通り過ぎても気付かないで、ずっと先の話だって・・・
 ・・・私には関係ないって・・・そう思ってた・・・」

「そんな事・・・」

「だって『あの時の私』は『今の私』とは全然違ってて・・・こんなに早く誰かとそんな感じになるなんて思ってもみなくって・・・
 だから、こないだ・・・高須くんが私のこと抱きしめてくれたときは、ホントにビックリして・・・嬉しかった・・・」

「・・・・・・・・・」

「あれから・・・どうしたらいいか、ずっと考えてたんだ・・・大河は高須くんがいなきゃ・・・あーみんも・・・
 この一月ちょっと、本気で悩んでたんだけど・・・私、決めたよ。
 ・・・これ、なんだか分かる? 昨日使ってみたら・・・そしたらさ・・・なんて言えばいいのかな・・・
 恥ずかしいんだけど、高須くんにはちゃんと言わなきゃだめだよね・・・」

「・・・・・・・・・」

話の要点が今一掴めずに様子を見ていると、櫛枝がカバンを漁り始めた。
ゆっくりとカバンから引き抜かれていく櫛枝の手には、どこかで見たような白い棒状の物体が・・・
・・・俺はそれを昨日見たから、それがどんな用途で使われるかも知ってるし、
真ん中の小窓に入っている線がどういう意味を持っているかも知っている。
それにこの数十秒後の展開だって、薄ぼんやりながらなんとなく分かる。
分からないのは、何で櫛枝がそれを持っているのかとそれを俺に渡してくる理由くらいで・・・

「・・・私ね、見たいものが変わったんだ・・・
 もちろん幽霊だってまだ見てないから見たいし、UFOだってツチノコだって・・・見たことないものはなんだって見てみたい・・・
 けど、それよりももっと見てみたいものができちゃったの」

「・・・な、なにを見たいんだ・・・」

絶対聞いとかなきゃいけないような気がするのと、聞かなかった方が良いような気がするのは何でだ。



「・・・・・・ここに居る子と、私と・・・高須くんが一緒にいるところを、私は見てみたいの・・・・・・
 ・・・・・・私、妊娠したよ・・・高須くんの赤ちゃん・・・・・・」



コンビニから大河が帰ってくるまで、昨日の大河みたいにお腹に手を添えながら見つめてくる櫛枝に
俺は何も言えずに固まっていた。
594174 ◆TNwhNl8TZY :2009/01/24(土) 20:01:22 ID:FGVTGUEy
続きます。
続きは・・・できれば2月中にはできればいいなぁ・・・
つわりなんかは・・・まぁまだ出てない子に任せよう、言っちゃアレだけど重そうなイメージあるし。
あとこれ少なくとも欝エンドにしようとしてる訳じゃないから、次からは明るくなるはず。
このまま進んだんじゃ竜児がヤバイ。
595名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 20:04:20 ID:zHnZgDBU
>>574-594

だめだwww笑い死ぬwwwww
竜時の「父親は誰だ」で腹筋決壊wwwww
596名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 20:10:07 ID:qqgMjmxb
なんだこれはwwww これが第一話目だよね?
竜児を陥れる罠かw え、竜児は清い身体だと自認してたはずなのに三児の父になってるwww
いったいどういうことだwww

思わず草だらけになってしまった。GJ
597名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 20:16:48 ID:Uayw++fz
>>594
GJ!
とらドラssではじめての謎解き系?すげぇ答えが気になるwww

598名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 21:15:43 ID:TbQ867lH
想像妊娠か
599名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:27:01 ID:rWUlqEKm
正解率1%だなこれは
俺が竜児の立場だったら大河の告白の時点で憤死してる
600名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:30:39 ID:CFPj7tAu
GJ!としか言えない
多分この後あーみんひょっとしたら木原香椎…独神
どういうことだ?わからん…集団想像妊娠だとしてもチェッカーは陽性だし…
竜児を取り合う作戦が偶然重なった訳でもなさそうだし…期待!
601名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:31:51 ID:CFPj7tAu
>>599
連続ごめん
ひぐらしみたくフィクションは使えないだろうし…ヤバい
602名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:36:54 ID:l9SI5uQG
やばい続きが気になる
603名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:49:41 ID:4mofK1/q
>>594
な、なんだこれ?!
ヤってないのに、オーラだけでヒロインズをまとめて妊娠させたか?
しかも、インコちゃんまでw
604名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:54:43 ID:4nRm6vhD
>>594
大河の「プロポーズに来たんでしょ」でフイタwwwww
オチくるかと思ったらみのりんもかwww
こりゃ続きが気になる
GJだぜ!!
605名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 22:58:53 ID:8QwYKtAT
>>603
また長門有希が出てきて情報統合思念体がなんたらかんたらの夢オチだったら俺泣いちゃう。
606名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:02:21 ID:8LO7eIPm
>>605
ハルヒ厨氏ね
607名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:07:59 ID:8QwYKtAT
>>606
夢オチ好きなんだね・・・(´・ω・`)ショボーン
608名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:32:45 ID:FqUm6lry
三行でたのむ
609名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:44:08 ID:vgXrmWFa
>>608
大河
みのり
妊娠
610名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:49:24 ID:0L1k9G7k
>>608
ライバル三人
寝てる間に既成事実
三人妊娠
611名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:52:41 ID:Q804Jq5E
>>608
酔って乱交
一発懐妊
記憶無し
612名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 23:57:53 ID:p6DA6cPU


613名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 00:50:26 ID:Ui89ERue
>>574-594
作者これオチとか考えてないだろ
とにかく一語一句が読み手を笑わせることだけを考えて書いてる感じ
冒頭のインコちゃんの奇行におやっと思う間もなく大河が卵をブン投げるとこから
もう笑いが止まらねぇ
その後も連続して炸裂し続ける笑いの小爆弾
これだけ笑わせてくれたらもうオチなんかどうだっていい
614名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:52:20 ID:RHOgOb6v
投下いきます

・竜虎
・のほほん
・なぜか亜美はでてこない、なぜ
615名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:52:58 ID:RHOgOb6v

『虎と野球と、なんだかよく分かってない竜』


ジャイアントさらばーズ 1ー0 手乗りタイガース

9回裏の手乗りタイガースの攻撃、ツーアウト、ランナー1塁。
さよなら逆転のチャンス。

ピッチャー、櫛枝実乃梨。

打順は四番……逢坂大河。

「さあ永遠のライバル大河、決着をつけようじゃないか…。
 私は、勝って高須きゅんにハグしてもらうんだっ!!」

「みのりん…悪いけど、…負けるわけにはいかないよ。
 竜児は誰にも渡さない!! いざ、しょおーぶ!」

勝利特典…高須竜児からの、ハグ。
「おうっ…体育のはずが、…なんで、こんなことになってんだ……」


***


大河と櫛枝のあいだに流れる緊張感。さながら西部劇のガンマンの打ち合いのシーンのような。
唯一緊張感のない、櫛枝チームの春田が「俺、高っちゃんと抱き合いたくないよ〜」とか言ってるが周りのメンバーは超本気。
声援も、喉が潰れるんじゃないかと思うほどの大声だし…。
一年間付き合ってきて、2-Cの連中がイベント好きなのは知っていたがここまでとは。
616名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:53:44 ID:RHOgOb6v

満を持して、櫛枝が一球目を…投げた。
ズバンッ。
「ストラ〜イクッ!」
「……っ!」
さすがソフト部の部長をしているだけあって、櫛枝の球威はとんでもない。
ここまでずっと投げっぱなしのはずなのにその勢いは一回の時とさして変わらず、大河もさすがに驚いて振り損ねたようだ。

「逢坂がんばれ! 勝って俺を高須と抱き合わせてくれ!」
…おい、北村。
その発言はちょっとどうかと思うぞ。

「任せて北村くん! よっしゃあばっちこーい!!」
……。
しかし、まあ。
大河が自分のために頑張ってくれてると思うと、竜児も悪い気はしなかったのだった。

「味わえ大河…みのリリイリィィィィグボォォォーールッッ!」
櫛枝が二球目を、投げる。
いやもちろんただのストレートだ。

「見えるっ!私にも見えるわっ!」
ガギンッ。
バットの芯で打てなかったのか、鈍い音を立ててボールはあらぬ方向へ飛んでいく。
…飛距離だけは場外級なんだよなあ、すげえよ大河。

「ファ〜ルッ!」
これでツーストライク、とうとう大河は追い詰められたわけか。
櫛枝のことだから、初心者の大河にボールや変化球は投げず直球勝負、なら次で決まるか…と竜児はひとりごちる。

「これでジ・エンドだぜ大河ぁぁぁぁあ!」
櫛枝の放った三球目が、これまで投げたどの球よりも早いスピードで大河に迫る。
「くっ!」
ガギンッ。
……決まると思った三級目は、見事な弧を描いて大河の後ろに飛んでいった。

「ファ〜ルッ!」

617名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:54:27 ID:RHOgOb6v
―――それから、信じられないことが起こった。
20球以上連続でファールが続いたのだ。
単調なストレートだけとはいえ、櫛枝の球はそうとうな速さのはず。
それを捕らえられる動体視力と、振り遅れない反射神経を持っているのは、さすが大河と言うべきか。

「はあ、はあっ……おぬし、しぶといな…。
 さすがおいどんのライバルたいっ!」
まさかここまで粘られると思っていなかったのだろう、常に全力投球だった櫛枝は多少肩が弾んでいた。

「でもこれで最後だぜい…食らえっ!108式みのりんボールっ!!」
櫛枝がもう何球目かも分からないボールを、投げた……と思った瞬間、

「おああ!?」
…見事にすっぽ抜け。
力のこもってない球は緩やかに大河の方に飛んでいく。

「みのりん、敗れたりっ!」
カッキーン。
これまでのファール音とは違う、きれいな反響音。
芯を捕らえて打たれたボールは右中間へとグングン飛距離を伸ばし……校舎の向こうに消えていった。
呆気にとられる櫛枝。
大河は悠々とバックホームを踏む。

「ごめんねみのりん、みのりんに勝つには正攻法じゃだめだと思ったからさ。
 疲れるのを待ってたんだ」
「た、大河……。これがっ、若さゆえの過ちと言うものか…」
ガクッとうなだれる櫛枝。

「やったな逢坂、これで遠慮なく高須と抱き合えるぞ!
 俺も楽しみだったんだ!」

北村……お前って奴は。病院に言った方がいいんじゃないのか…?

「さあ高須!存分に抱いてくれ!」
「……北村。……分かったよ…」
北村を軽く、本当に軽く抱きしめた一瞬のち、なんだか変な気分になって頬を染めてしまった。
北村の汗のにおいや髪のシャンプーのいいにおいが……。

って、俺はそういう趣味は断じてないぞ!
ただ、大河に同じようにハグをするのかと思うと、ちょっと嬉し恥ずかし…要は照れただけだ。

その大河は、仁王立ちでこちらを蔑んだ目で見ていた。

「あんた…そういう趣味あったんだ。
 こっち近寄らないでよね、変なのがうつるでしょ。…あーキショい」
誤解を含んで。
618名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:55:10 ID:RHOgOb6v
「ち、違う!これは友情の確認だ!」

「そうだぞ逢坂、男同士の抱擁は友情を深めるんだ。
 それに、次は逢坂の番だぞ。存分に愛情を深めるといい!」

眼鏡をクイッとしながら…北村は本当にそんな動作が似合うやつだ。

「な、なな何言ってんの北村くん!
 私とこのクソ犬の間に愛情なんかないわっ、主従関係だけっ!
 別にそんなこと期待してないしっっ!」

そういって、大河はこちらに背を向けてしまう。

その背からは、何も伝わってこない。
……今、大河はどんな顔をしてるんだろうか。どんなことを考えているんだろうか。

「ほほう、いいのかたいがぁ〜。
 それなら遠慮なくこの櫛枝めが高須くんに抱きつくぜえ〜、みっのみのにしてやんぜえ〜?」
「……」

いつの間にか復活した櫛枝の言葉にも動じない。
…さすが学校自慢の手乗りタイガー。筋金入りの頑固者だ。
櫛枝も北村も大河を説得するのは諦めたのか、顔を見合って肩をすくめていた。
そうして、
「高須、今日一番頑張ったのは誰だろうな」
「やっぱ頑張ったら、誰だってご褒美欲しいよねえー」
「……おう」

…作戦変更。
大河が動かないなら竜児を動かせ作戦、らしい。

もちろん竜児だって、どうすればいいか分かっている。
みんなが見ているから理性が働いているだけで。
本当はどうしたいか。
大河はどうしてほしいか。
きっと、この体は分かっている。その血が、肉が、細胞が。
大河とずっと一緒に居た、この体は分かっている。
正しい方へ導いてくれる。
619名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:55:47 ID:RHOgOb6v

竜児は大河へ向かって歩き出す。
いじっぱりな奴の背中へ向かって。

そして、
「……っ」
後ろからゆっくりと、大河を抱きしめる。
これからもずっと離さないように。

「大河。頑張ってくれて、ありがとう」

「……別に。あんたのためじゃ、ない」


―――大河は今、どんな顔をしているのだろうか。どんなことを考えているんだろうか。
……まだまだ大河のことは分かりきれないけれど。
誰かと誰かが分かり合えるなんて、永遠に無いかもしれないけど。

今だけはなんとなく、

しかめっつらで。
でも、この暖かい気持ちは共有できているような。

そんな気がした。





end
620名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:56:54 ID:RHOgOb6v
以上です
621名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:59:56 ID:QmTN9lGz
・なぜか亜美はでてこない、なぜ

なぜだっ!!!!
622名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 02:00:00 ID:nmwvPnJt
うむ、GJだ
なんだかほんわかしててとても良かったぞよ
623名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 03:28:42 ID:VUW26Npe
短いの投下行きます。
624本音サミットRー亜美ブログエンドー:2009/01/25(日) 03:29:44 ID:VUW26Npe
♪世界で一番お姫様〜♪
♪そ〜ゆう扱い心得て…よね♪
あ、電話だ…あたしに、ぴったりだと思ってダウンロードしてみた着歌。
震えてるのは、プライベート用の携帯。誰からだろう…摩耶?奈々子?
「はい。もしもしぃ?」
「おう。俺だ。こんな時間に悪いな。」
電話なんて珍しいな…嬉しいけど。
「え?高須君!?どうしたの?」

−遡る事、数週間。あたし達は、色々あって、彼氏彼女の関係になった。

色々って何かって?まぁ、色々。よ。
あたしにとっては、一生、忘れられない大切な思い出。なんだけど…
それから、お互い、微妙に距離を詰められなくて…
未だに、名前で呼び合えなかったり…
あぁ…キスまでは、行ったんだけどなぁ…
今だって20時過ぎ…彼女に遠慮する時間かな?
気遣いの高須。なんて言ってたけど、何か間違えてない?何か違くね?
「今週の土曜日…てか明日なんだけど、何か予定あるか?」
んん!?これは…
「ち、ちょっと待ってて!!すぐ確認してくるから。」
うぉぉおお〜手帳、手帳、手帳、手帳ぉ〜ッ!
これか?それか?あれか!?お、あった。
どれどれ…土曜。土曜。土曜は。と…
空欄。白紙。完璧フリー。いよっしゃッ!!暇モデルで良かった。
というか、翌日のスケジュール把握してないって…あたし、プロとしてどうなんだろう?
まあ、良いか。考えたら負けだ。
「もしもし。お待たせぇ。
明日は予定なし。一日、高須君のために使えるよぉ?」
甘えてみる。ちょっと上から過ぎたか?不安になる。
「お、おう。その、映画を観に行かないか?
今日、北村にペアチケット貰ってさ、だから…」
照れてる…良かった…
でも、祐作にチケット貰ったとか、そんな言い訳しなくて良いのに…
あたし達、付き合ってるんだから…ホント、気が弱い…
けど、あたしも、人の事言えないか…
というか、祐作…自分で使えよ…
いつまでも狩野先輩の事、引きずってねぇで、手頃な娘で手ぇ打ちゃ良いのに…
摩耶なんかオススメだよ?アンタにゃMOTTAINAI位、良い娘だわ。
「行く行く。超、行くよ。
楽しみだね?待ち合わせは、駅前で良いかな?」
「おう。じゃあ、10時に駅前で待ってる。
それじゃあ…お、おやすみ…」
「うん。おやすみなさい」
デートか…これは、寝てる場合じゃないな。
625本音サミットRー亜美ブログエンドー:2009/01/25(日) 03:30:09 ID:VUW26Npe
この機に高須君との距離を一気に縮めてやるわッ!!
さしあたって、明日、何着て行こう?…う〜ん…
困った…高須君の好みが、わっかんない…
職業柄、大衆受けする服のレパートリーは数あるけれど、
たった1人の男のため。と、なると…コレが結構、難しい。
ヒラヒラフワフワ系かッ!?
ダメだ…ガラじゃない…亜美ちゃん可愛いから何着ても似合うとは思うけど…
タイガー意識してるの丸出しだし…そんな、あざといのダメ。
じゃあ、健康スポーツ系?
ダメ。デートなんだよ?映画だよ?ジム行くんじゃないんだから…
いっそ、制服で行ってやろうか…
ダメダメ。仮にも、プロのモデルが、そんな…
あぁ〜〜ッ!!ウジウジ悩んだって仕方ないっつの!!
わかんないもんは、わかんない。
だったらッ!!亜美ちゃんの魅力を最大限、引き出す、お気に入りセットで…

♪気がついたら〜同じ面ばかりプレイ♪
♪そしていつも同じ場所で落ちる♪

気がついたら朝だった…
何て、着歌だろう…アラーム設定なんて、いつしたんだろう?全く記憶に無い。
そして枕元に丁寧に畳まれた服が一式。これも記憶にない。
ノースリーブTシャツ(紺)ローライズジーンズ(ダメージ)ベルト(白)紐パン…
何コレ?昨夜のあたしは、今日のあたしにコレでデートに行かすつもりだったの?
ほとんど、紐じゃないコレ…布地なんてほとんど、ねぇよ…
マジ?ホントにコレ穿くの?いくら、亜美ちゃんでも大胆過ぎない?
いや。でも、高須君をその気にさせるには…この位じゃないと、ダメな気も…
けど、ノースリは、流石にやり過ぎだよね…上着にコレ羽織って…
出来たッ。うん。亜美ちゃんは今日もやっぱり可愛い。
これなら、高須君だって、きっと…
……妄想に1時間も使ってしまった…ヤバイ…火照っちゃった…
たまに、自分の発情チワワっぷりがイヤになる…朝風呂…してこよっと。
626本音サミットRー亜美ブログエンドー:2009/01/25(日) 03:31:53 ID:VUW26Npe
あぁ、亜美ちゃんの身体、ホント綺麗じゃね?
細い腕…長い脚…ミルク色の肌に…彫刻の様なくびれ…
現実離れした、この美貌を拝む事を特別に許可してやるわッ愚民共!!
……バカやってないで、さっさと洗ってしまおう…
こんな事やってて、万一、待ち合わせに遅刻でもしたらシャレにならないし…
高須君の事だから10分前には絶対、来てるし。
…亜美ちゃんはさ、遅刻したって可愛いから許されると思うんだよね…
けど、そんな事で喧嘩になるのツマラナイし…
やっぱ5分前には行くべきだよね?
あ〜あ…あたし、高須君にベタ惚れだなぁ…
……一応、ムダ毛の処理はしとこうかな…
うん。一応しとくべきだよね。紐パンだし…

風呂上がりは、蜂蜜ミルクに限る。あたしの思い出の味。
目を閉じれば浮かぶあの情景…あたしのオカズ…
ってダメダメッ!!これじゃ片思い時代と一緒じゃん!?
これから、マジ、デートなんだって。
げっ…あと30分ッ!?ヤバイ。ホントヤバイ。

結論から言うと、5分遅れた…最悪…
「ごめん。高須君。待った?」
「おう。気にするな。
解ってる。うちの泰子もそうだから。」
泰子?あぁ、お母さんね…びっくりした…一瞬、勘違いしそうになった。
実母を泰子と呼んで、彼女を川嶋呼ばわりなのは、ホントどうなんだろう?
でも、遅れたのに全然、怒らないんだ…
やっぱり、あたし、大事に想われてるのかな…だとしたら、嬉しいな。
「あれ?そういえば、川嶋、帽子とサングラスは?」
「へ?あぁ…忘れた…」
完ッ全に忘れてた。自分が現役人気モデルだって事忘れてた…
「おいおい。大丈夫か?取りに帰るか?」
「ううん。変なの来たら、高須君に守って貰うから…
ちゃんと、あたしを守ってね?」
「お、おう。任せろ。」
あれ?この流れ…恋人じゃね?良い感じじゃね?
帽子とサングラス。忘れて来て良かったかも…
今日、何かイケそうな気がする〜

ー後編に続くー
627名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 03:33:52 ID:VUW26Npe
終了です。

何か亜美っぽいような、亜美っぽく無い様な、微妙な感じになりました。
後編は、次スレの立つ頃に。
628名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 04:11:02 ID:hXifvqMZ
最後の行で不覚にも吹いたwww
あみドラGJ!
629名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 05:04:04 ID:ihlOiwl/
亜美も吟じてしまったか・・・
630名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 08:02:50 ID:DZncNfCh
亜美ちゃんはすごくいい子
631名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 09:30:43 ID:LxiNXII+
>>594
これはギャグか?
糞ワロタよw
632名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 10:39:29 ID:5PB+KeWg
 亜美ちゃん、摩耶なんて友達いねぇし…、
こんな分裂症じみたことしねぇし…。
633名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 10:48:30 ID:vu87aqc4
キニスンナ
634名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 11:16:47 ID:Ui89ERue
>>624-627

動画ネタからませてくるあたりナイスだ
ノースリーブとかローライズとかググッてしまった俺はおっさん
635名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 11:59:44 ID:aAe2hfNC
ローライズ...?
636名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 12:03:09 ID:sY0X/L4I
ノースリーブ
  俗に言う袖なし。袖が筒型なので「スリーブ」と言い換えている。
「ノースリーブTシャツ」の表現って変です、
だってTシャツって、袖が付いていてTの字型になってるからで。
ワンピースと同じで日本語だから良いのか?
ズロースや南瓜(カボチャ)パンツっていうし、ドロワースの事を。


ローライズジーンズ
 ローライズ は 分衣沖「また上が短い」って事、お尻やオナカが出てる事が多い。
背丈155cmから160cmくらいの女の子はウエストのクビレから股まで大体25cmから30cm位 だけど、下手すると10cm位のも有る。
 ダメージ  って色柄の事で、漂白したような感じ。????
 

ベルト
 男の子の使いかたと違って、ベルト通しを使わない。
飾りに近い感じで、ポケットの辺りを一周させる。
 

紐パン
 全くヒモだけで出来たもの。 SMが好きな人の「荒縄ぱんつ」と言うものかな? なぜか股下のヒモに玉が数個通してあるのも有る。
 生地が有ったとしても、前から見える所だけで、両脇、股下、後ろ、はヒモで出来ている。

脇ヒモというと、前から、股下、後ろ、にかけて布地があって、両脇がヒモだが。
637名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 12:06:54 ID:sY0X/L4I
あう なんか変

ローライズジーンズ
 ローライズ は 日本語で「また上が短い」って事、お尻やオナカが出てる事が多い。
背丈155cmから160cmくらいの女の子はウエストのクビレから股まで大体25cmから30cm位 だけど、ローライズの服などでは下手すると股から10cm位のも有る。
見方を変えると「お尻で穿いている」感じ。
638名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 12:59:01 ID:HiRDKW7B
>>624
GJ
亜美ちゃんニコニコ大好きでワラタw
639名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 13:13:41 ID:raxeg05p
最近はボーカロイドの曲まで着歌があるのか!
640名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 13:20:14 ID:5wpGxrR5
そういえば、紐パンでローライズパンツって組み合わせるのかな?
だったら下着を着ないでGパンで良いでしょ。

また上浅めのローライズ・ショーツやまた上浅めのスキャンティ
(両方とも、エロゲーム、エロ小説で ローレグ っていうもの)
との組み合わせでは、ないのかな?

紐の跡がジーンズに出ちゃうと思う。
それに、ほとんど股下開いてるからね、スラックスやスパッツ、Gパンなどの股部分が直接肌に触れるから、穿いても穿いてなくても同じなんだよね。
http://www.wishroom.net/catalog2/060313/21900.html
http://www.wishroom.net/catalog2/081016/80278.html
個人的には、フレア(ふあふあ広がる)スカートかプリーツ(ヒダ)スカートで、組み合わせたいな。
出来れば、股下5cm(太腿が出る)くらいの。
椅子に座ったときなどは、お尻が直接、家具に触れるけど、
屋外で彼に抱かれる時には、結合部分を広げたスカートで隠せるし。
しかし長いスカートだと、邪魔だし。
だけど、歩いてるときとかは、姿勢、風、階段、などで注意しないと。

スラックスやGパンなどでの勝負ならコッチでしょ
ssp://www.wishroom.net/catalog2/071108/80213.html
http://www.wishroom.net/catalog2/061113/80105.html
こういうのなら、パンツラインが表に出ないし。
コッチだったら、タイトスカートだとか、ドレス(日本語では「ワンピース」)で組み合わせるのも良いと思う。


あああ。、あれ。
上半身、下着着てないよね?この書き方。
キャミソール(?)タンクトップ(?)ランニングシャツ(?){袖なしTシャツ}だけ?
インナーカップとかカップ・インと書いてないし、ブラジャーも書かれていないから、胸のふくらみが服に直接、当たるよね?
うあわ、 ダ・イ・タ・ン 。
641名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 13:51:23 ID:B6gQ/eQd
>>640
正直、そこまでこだわる必要なんかないよね。かえって気持ち悪いし。
642名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 13:58:56 ID:5jItMv2R
>>627
いいね、亜美のテンパリ具合が
後編期待してますよ
643名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 14:11:51 ID:pu+F03uE
次スレも意外と近いな。
前スレのことを考えればいい傾向だな。
644名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 14:29:45 ID:ccuWx+Ox
>>615
GJ!
みっのみのにされてぇ!!!

>>638
ニコニコのネタを教えてくれない?
645名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 14:51:26 ID:xEqCVtmc
>>644
好きなら自分で探したら?
18歳以上なのにいつ返答が来るかわからないところでずっと返事を待つことに疑問はないの?
646名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 14:51:34 ID:c71/TL0E
>>624
手頃な娘=麻耶にフイタwwww
GJ!巧い!
>>644
まだランキングにあるかも。。なかったら検索で。
647名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 15:05:54 ID:Ui89ERue
>>640
なんてリンク張りやがんだ、ありがとう
648名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 15:47:16 ID:wzC4dmcl
ニコ厨ウゼェ
649名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 15:58:35 ID:xE2BmLga
>>640
キムタクが、
「ローライズ履くなら、Tバックぐらい履けよ。」
とか言ってたし、紐パンもありじゃない?
650名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:12:12 ID:LxiNXII+
紐パンって別に紐みたいな細いパンツじゃなく、サイドが紐で縛ってあるやつじゃねえの?
651名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:15:09 ID:zTZsWFvH
>>647
ココの男の子って女のパンツ知らないでしょ?多分。色々有るんだよ。
日常こういうのを利用してる娘もいるんだよ。


>>649
Tバック は股下に布地が有るの。だから、Gパンやスラックスの股部分と性器の間で、保護としての布になるの。

紐パンは、股下に、有って紐、何も無い形が多く有るの。だから、Gパンやスラックスの股部分は直接性器に擦れるの。
652名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:19:43 ID:0UtQhdhi
オタにファッション擁護は御法度なんだぜ
小学生にマシン語講座を開くようなもんだ
653名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:28:22 ID:zTZsWFvH
>>650
両脇がヒモやリボンで、前から、股下、お尻、まで布地で出来てるのは
「ヒモパン」とは言わないの。「脇ヒモ」ぱんつ、なの。

紐パンや荒縄ぱんつ、は、本来全体がヒモやリボン、縄、などで作ってあるパンツ(下着)を言うの。
654名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:35:06 ID:R84FY78F
ふつう日本では>650の言ってるようなものを紐パンとよびます
655名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:46:23 ID:Z8K+ZJpt
おぱんちゅは見てよし、嗅いでよし、被ってよしの欠かせないアイテムだが
重要なのはおぱんちゅその物じゃない

穿いてるか穿いてないか、脱がすか脱がさないか、誰が穿いてるのかが大切なんだ
656名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 16:50:12 ID:LxiNXII+
>>651
>>653
パンツのことはわかったがその読みにくい文章なんとかしろ
657名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 17:06:52 ID:Ui89ERue
>>640のリンク先にあるトルソが欲しい
658名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 17:10:41 ID:KvkmH/v7
原作では、女の子たちややっちゃんの、下着の色や形が詳しく書いてある。
テレビでは、放送局の趣味なのか、描かれてない。

残念。

多分、独立系(アナログUHF系列)なら、描いたのだろう。
659名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 17:51:27 ID:xE2BmLga
>>651
文章から何となく思ってたが、本当に紐だけの下着の事を言ってたのかw
紐が付いてれば、何でも紐パンだと思ってたよ。

今度から、俺の思ってる紐パンは「脇ヒモ」と書く事にするよ!
ありがとうw
660名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 18:04:26 ID:raxeg05p
ひもパンをわざわざウィキペディアで調べたら脇ひもが出てきたぞ?
あいかわらずネタなのか真面目に言ってるのかわからんレスがあるな
661名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 18:22:01 ID:usxzrFKE
あれこれあってメンドクサイみたいだから、とらドラ!に出てくる女の子は
みんなパンツ穿いてないってことでひとつ(*´Д`)
662名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 18:51:02 ID:QHMgkdHl
>>661
昨夜亜美ちゃんと愛し合ったけど、ちゃんとパンツ穿いてたよ
663名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 19:03:14 ID:Ui89ERue
亜美ちゃんが第05話でローライズGパンを穿いて登場したとき、
ノーパンであった可能性について
664名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 19:05:13 ID:coVZpEkd
前貼りでいい
665名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 19:07:44 ID:B6gQ/eQd
ニコ厨ウゼエなんて、エロパロ住人に言われたくねえわ

と、ニコ厨のみなさんがおっしゃっています
666名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 19:23:55 ID:+NQ20pKc
>>655
パンティー友田かよ
667名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 19:26:20 ID:raxeg05p
>>665
あぼんした
668名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 19:34:34 ID:pu+F03uE
俺はおっぱい派だ
669名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 20:05:05 ID:3CA1OBLY
いつの間にか480KB超えてるな。
670名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:13:11 ID:ccuWx+Ox
>>646
応えてくれたのにゴメン
ドコがニコニコなのか解らないんだ汗
671名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:22:31 ID:wzC4dmcl
>>670
ググレカス
672名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:32:22 ID:B3OUUMwU
いつからニコニコスレになったの?
673名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:44:31 ID:GBFNwgR6
どっちかというとニコニコよりもズボンスレだと思ったな、俺は
674名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:51:28 ID:XDgmgFXe
今北パンツ
675名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:53:26 ID:xE2BmLga
>>673
おパンティースレじゃね?
676名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:57:11 ID:Ui89ERue
677名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 21:57:20 ID:GBFNwgR6
なんだかジーンズって単語=ズボンしか思い浮かばなかったんだ
ごめんね、ズボンじゃなくてどちらかというとおパンティースレっぽい
大河のパンツは虎も模様かね? それとも虎さんの顔がプリントされてる奴かね?
678名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:05:59 ID:k7/Z7qkQ
まったく>>626は大変なネタを置いて行きました。
サミットはホントちょくちょくネタをはさんでくるから困る。

>>677
シルクの手洗いしか出来ない高級パンツだと予想。みのりんはふんどし。
679名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:16:44 ID:QHMgkdHl
ホントニコ厨と東方厨は自重という言葉を知らないよね、どこにでも沸いてくるしマジでうぜぇ
680名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:31:05 ID:YDaDfm9w
○○厨うぜぇ君もちったあ反応控えろよ
ちょっと話題出た位で騒ぎすぎ
681名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 23:41:37 ID:PzRP9FTo
(´□`)−3 やれやれ…
682名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 23:53:31 ID:ccuWx+Ox
>>676
ありがとう
僕が原因で荒れたみたいですみませんホント
683名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 00:10:51 ID:C26SeE7U
独身の肌みたいにすぐ荒れるスレだな
684名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 00:56:09 ID:T/vQAiI7
つか既に483kbで480超えてるが、新スレどうするよ?立ててくるか?
685名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 01:28:45 ID:9gmY0SMc
早めに立てといた方がええんやない?
686名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 01:41:42 ID:T/vQAiI7
立ててきたー


【田村くん】竹宮ゆゆこ 9皿目【とらドラ!】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232901605/
687名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 02:16:40 ID:QNT5TidH
>>686
乙ドラ!
688名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 02:26:59 ID:95esZOLF
>>660
ウィキペディア は「必ず正しく、決して間違いが無い」のですか?
いい加減な事だって書けますよ。

689名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 03:07:24 ID:PI7nX9AY
ググってもたいてい脇パンが紐パンだな
てか、普通とか一般っていう自分が言った根拠をを書いとけば
いちいち反応される理由もないだろうに
690名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 09:40:51 ID:MTzL1tPt
ただのバカだな。
それならwikipediaを自分の言ったように編集してみればいい。
どんな結果になるかは明らか。
691名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 10:21:31 ID:wVBDUYa0
おいおい、みんなかわいそうなこと言うなよ。
そいつは紐パンにトラウマがあるんだよきっと。
夫に紐パン穿いてって言われて紐パン穿いたら、
それは脇紐だろ!離婚だ!ってなったんだよ。
692名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 10:38:18 ID:j0H2/54y
下着やさんに行って、紐パンありますかって聞いて
そんなレオタードのときに穿くようなの出されることはまずないと思う
693名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 11:01:39 ID:ZCOwgXx9
亀レスだけど
>>619の逢坂と櫛枝にニュータイプの兆候が現れていることに誰か突っ込もうぜ
是非フラナガン機関に送って欲しい GJ
694名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 17:30:36 ID:58y+lcpm
最近じゃ24時間以上レス無いのは珍しいな。この時期は俺みたいな高3くらいしか暇じゃないのか。
695名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 17:33:27 ID:DxA6hJ0A
年中暇な大学生はこの時期試験だしね。
レポートだけで済んだけど
696名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 17:35:24 ID:AxymgD6Y
新スレの方に行ってんだろ? ちなみに俺みたいな大学生も割と暇だ
697名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 17:39:05 ID:58y+lcpm
新スレの存在に気付かず、投下を永遠と待ち続けてた俺って・・・・・・。
698名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 17:41:00 ID:DxA6hJ0A
今後の本編の展開がイリヤだったりTH2のささら√の失敗版しか想像できない
699名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 17:57:53 ID:7gdlv+8Y
>投下を永遠と待ち続けてた俺って・・・・・・。

高三だったら「延々と」って語彙くらい知っとけ
700名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 18:15:48 ID:y5+UGDlW
>>697
お前裏口入学だろ
701名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 18:33:28 ID:PKLCqcjr
まさかのarlか
702名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 19:03:06 ID:AxymgD6Y
てことは、高2じゃないか
703名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 19:05:18 ID:DxA6hJ0A
春田じゃね?
704名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 19:48:32 ID:s02/Oivf
この流れなら言える。

俺高専生。
705名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 22:14:14 ID:D+Ax4F1S
去年トイレがウォシュレットにグレードアップしたり
教室のTVが液晶になったりした?
706名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 22:22:37 ID:OpTT0MG1
埋めネタ。竜児が最低っぽいのと埋めネタってことであまり推敲してない。すまんね。
もしかしたら最後まで投下する前に容量いっぱいになるかもだが、大したオチじゃないので。


高須竜児、高校一年の夏休みも中盤を過ぎ、結構楽しみにしいてる亜美の別荘への
旅行も近づいてきたある夏の夜。
「やべぇ、寝ちまった……」
高須家の狭い居間で、蒸し暑さに目を覚ました竜児は、仰向けのまま、
目を眇めて首を回し、テレビの上の時計に視線を向けた。午前一時。
つけっぱなしのテレビには、何か外国のドラマのような映像が流れている。

大河の奴、テレビつけっ放しで帰りやがったのか。なんて奴だ。
電気代がもったいないじゃないか。

そう思いつつ、身体に纏わりつくような熱と息苦しさに、全身の力を抜いて、
どんよりと目を閉じる。蒸し暑くて身体を起こす気力もない。

しかし、この暑苦しさはなんだ? いくら夏とはいえ、もう夜中だぞ?
少しは気温が下がっても罰は当たらんだろうに。

そう口の中で呟き、手の甲で汗ばんだ額を拭おうとして、その異常に気づいた。
何か柔らかいものが竜児の口元から首筋を覆っていたのだ。

なんだ? と、寝ぼけ眼を開いて、その柔らかいものを指先で摘む。
髪の毛? ふわふわと柔らかな髪の毛が、竜児の顔の下半分を覆って揺れていた。
なんで髪の毛が? そう思いながら、首だけを起こして周囲を見回し、その原因を知る。
大河が竜児の胸元に顔を埋めるようにして寝息を立てていた。
「なんだ、大河か……帰ってなかったのかよ」
そう呟いて、首から力を抜いて枕にしていた座布団に頭を乗せ、
顔にかかっている大河の細く柔らかい髪をそっと纏めて、大河の頭の後ろに回してやる。
口元や首筋を覆っていた髪がなくなると、先程まで感じていた暑苦しさが和らぎ、
竜児は、ほっと息を吐く。
「髪の毛って、熱いんだな」
呟いて、いやそうじゃない、断熱効果があるというか保温効果があるというか、
まあ、髪の毛といえど、毛だからな、当たり前か。と頭の中で続け、
いやいや、それよりもだ、と、状況の不自然さにようやくと気がつく。

なんで大河がここで寝てるんだ? つか、いつのまにこんな格好になってんだ?

徐々に覚醒する意識の中で、竜児は、なんとなくあまり人には見せられない状況に
自分たちはなっているのではなかろうか、と思い当たる。

深夜、午前一時。泰子は仕事でインコちゃんは寝ていて、居間には竜児と大河の二人だけ。
竜児はTシャツと短パンで、大河はノースリーブの胸元にフリルの付いたワンピース姿で、
二人ともかなりの薄着で、畳の上で大の字に寝ている竜児に大河が覆い被さっている。
そして、はしたなくも大河の両足は、その両太腿で、竜児の右腿を挟み込むように
絡んでいて、それによって際どいところまで捲くれ上がった大河のワンピースの裾から、
その白くて張りのある太腿が、足の付けの辺りまで露になっているのだ。

その大河は、右手で竜児のTシャツを左肩の辺りで握りしめ、横顔を竜児の胸に置いて、
すうすうと寝息を立てている。
つまり、大河は、竜児の右腿に跨るようにして竜児にしがみついていて、
それはつまり、大河の右腿の付け根辺りが竜児の、竜児の右腿の付け根辺りが大河の、
それぞれの身体の中心を圧迫するような格好になっているのである。
707名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 22:23:21 ID:OpTT0MG1
はっきりと竜児の意識が覚醒する。これはちょっと恥ずかしい格好なのではないだろうか。
そう思った瞬間、右足に感じる大河の素足の感触が、妙に熱く、生々しく思えてくる。
そして太腿の付け根に感じる熱。これって、まさか……いやいやそんなはずはねえ。
大河のワンピースで熱がこもっているんだ、たぶん。

と、大河が、掴んでいる竜児のTシャツを引っ張るようにして、身体を揺すり、
竜児の胸に顎を当てるようにして顔を上げた。思わず息を止め、全身を硬直させる竜児。
「うーん……暑ぅ……」
そう寝言のような呟きを漏らし、また、すうすうと寝息を立てる。

暑いんだったら、引っ付いてないで離れろよっ! そう言おうとして、竜児は
胸の上で寝息を立てている大河の肩に手を伸ばしかけ、ふとその動きを止めた。

この状態で大河を起こしたら、なにかとんでもないことになりそうな気がした。
いや、別に変なことをしているわけじゃないし、そうしようとしていたわけでもない。
というか、竜児が、大河に抱きついているわけではないのだ。
大河が勝手に竜児に抱きついているのだ。よって、どう考えても竜児は無罪である。
しかし、そのようなロジックが大河に通用しないことも、竜児はよく知っていた。

竜児は、胃の奥にどんよりと重い淀みを感じながら、回避策を検討し始めた。

いっそ大河が起きるまで寝ているか? 寝たふりでもいい。
大河に起こされるまで俺が寝ていれば、それはそれで丸く収まるような気がする。
そう、大河が俺に抱きついてきたことなど、俺が知らなければ問題はない……。
問題解決の一つの方法は、問題をなかったことにすることだからな。

そこまで考えたとき、大河が竜児の上で身動ぎをした。ぎくっと硬直する竜児。
大河は、身体の収まりが悪いのか、左右に軽く腰を振ると、
いきなり左手でワンピースの裾を掴み、ぐいっと前に引っ張り上げた。
おう! 驚愕に目を見開く竜児。大河のワンピースの前部分が、ずるっと二人の間を滑って、
大河のお腹の辺りで纏まって皺くちゃになる。

なってこった、高そうなワンピなのに皺が……。
って、それを心配する前にもっと心配することがあるじゃないか、
などと独り焦る竜児の太腿を、大河の滑らかな太腿が挟み込む。

大河のすべすべとした太腿の感触に、反射的に腰に力を入れてしまう竜児。
その頭の中に、ひたすらに考えまいとしていたある考えが浮かび上がってくる。

まさか、な。まさか、大河が俺を誘っている、なんてことは……。
いや、大河は北村が好きなんだし、俺のことは飯炊き係くらいにしか思ってねえはずだし、
だから、ただ寝ぼけてるだけで、決して、俺に身体を擦り付けて、
俺を挑発しようとしてるわけでも、変なことをしようとしてるわけでも……って
変なことってなんだよ。ああ、なんつーことを考えてるんだ? 俺は、俺はよう。

そんな竜児の考えを蹴散らすように、ゆっくりと揺れる大河の腰。
太腿の付け根に布が擦れる感触と、じっとりとした熱を感じて、竜児は息を呑む。

大河が額を擦りつけるようして、湿った息を吐く。
Tシャツ越しに、大河の湿った吐息を感じる。
708名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 22:24:52 ID:OpTT0MG1
おそるおそる首を少しだけ上げて、細めた目で大河の様子を窺う竜児。
大河の瞳は閉じられたままで、少しだけ開いた唇が濡れたように光っている。

密着している身体。大河の体温を胸から腹部そして太腿で感じる。
竜児の右足に絡みついている大河の足、その太腿のすべすべとした肌が、
しかし内腿は僅かに汗ばんでいて、吸い付くように竜児の太腿に密着している。
そして控えめな胸の膨らみが、竜児の胸の上で柔らかくつぶれていることにも
今更ながらに気づかされる。
大河の乱れている髪から、シャンプーのほのかな香りが漂い、竜児の鼻腔をくすぐる。

やべ、と思ったときには、むくっと充填が始まっていた。
男の性とでも言うべきか。竜児も健康的な男子高校生なのである。
とはいえ、竜児にとってそれは禁忌に近いものがあった。

焦りながら竜児は、相手は大河だぞ、あの凶暴で傍若無人な大河じゃないか。
そんな大河に抱きつかれて興奮するだなんて、俺はどうかしている!

必死でそう思うのだが、身体は正直なのだ。むくむくと臨戦態勢を整えるモノ。
大河の太腿に圧迫されて、むずむずと大きくなっていく。

このままじゃやばい、そう思った竜児は、下腹部から湧き上がってくる衝動を
何とか抑えるべく、伸ばしていた両足の膝を曲げ、少しだけ膝を立てるようにした。
すると、右腿が、それに跨るように乗っていた大河の股間を押し上げる形になり、
「っんぁ」
大河が呻くような息を漏らして、腰を押し付けてきた。
そして、少し身体を伸ばすようして、顔を上げる。
眉を顰め、伏せられている睫毛が震えている。

いやいやいやいや、違う、違うんだー。と独り、パニック寸前になる竜児。
「ううーん……んっ」
もぞもぞと股間を擦り付けるようにしてから、両手で竜児の首に抱きつくようにして、
顔を近づけてくる大河。細く開いている瞳が、竜児を見つめる。
心なしか薄らと頬が紅潮しているような。よもや欲情しているわけではないだろうが。

なんてこった、まさか、今、この状況で目を覚ますのか?
引きつった顔で苦笑いを浮かべる竜児。モノはもうビンビンに固くなっている。
「りゅうじ……」
そう呟いた大河が、密着したまま身体を揺らす。
大河の温かくて張りのある太腿が、竜児の怒張したものを圧迫しつつ刺激してくる。
先端をパンツで擦られ、三白眼を見開いたまま、ぱくぱくと口を動かす竜児。
709名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 22:25:33 ID:OpTT0MG1
動くな、抱きつくな、やべえんだよ、つか、こんなことになっていると知られたら、
マジで殺される!

「う〜、なに? 何か当たってる……」
なにかじゃねー、頼む、これ以上、刺激しないでくれ!
「ん? なにこれ?」
大河の小さい手が、ワンピースを捲り上げて、自分の太腿に当たっているものに伸びる。
そして、それを掴んだ。むんずと。
「ひっ」
ヤバさと恐怖と驚きと、じんわりと感じる快感で、思わず悲鳴のような息を漏らす竜児。
頭の中が白くなる。
「がりがりくん? うまい棒?」
あほかー、パンツの中にガリガリ君とかうまい棒を仕込んでいる男なんていねー。
「ふん? ん? ん?」
大河の手が竜児を掴んだまま、ぐりぐりと動く。

おう、おおう、やめろ。だめだ、やめろって。
後悔するぞ。それ以上やったら、おまえは絶対後悔するぞ!

大河の小さな手が、短パンの上から、竜児の形を確かめるようにしごくように動き、
こみ上げてくる気持ちよさと衝動、大河に触られているという背徳感の狭間で、
竜児の意識が崩れ落ちそうになる。

そ、そうだ、こういうときには素敵を数えるんだ、いや違う、素数だ素数!
素数を数えるんだ。ええと、1、3、5、7、9、11、ってそりゃ奇数だろ!
独り突っ込みも虚しく、竜児の下腹部の衝動は増していく。
2、3、5、7……9、いや9は3で割り切れる……11、13、17、19、23……
うわあ、全然だめだ。もう我慢できねえ、限界だ。

目を瞑り、もはや抵抗は無意味だ、もうこのままなるようになるしかない。
そう覚悟を決めたとき、ふっと大河の手が離れた。
ほっと息を吐くとともに、どうしようもない衝動だけが、股間に残る。
しかし、今ならまだ希望はある。とりあえず、大河を何とか寝かしつけて身体を離し、
急いでトイレに駆け込んで処理してしまえば……。

そんな竜児をあざ笑うかのように、大河が竜児の首に両手を回してきた。
そして、左足を上げ、身体をずらして、竜児の両足の間に割り込んでくる。
「アイス……食べ……たい」
そう呟いて、前後に身体を揺すり始めた。
竜児の股間に割り込んだ大河の柔らかな下腹部が、パンツの上から竜児のものを擦り、
控えめな胸の膨らみが、竜児の上でつぶれ、ふにふにと揺れる。

わ、ばか、なにやってんだ!? そんなことしたら、そんなことしたら出る、
出ちまうって!

できるだけ股間に力を入れないようにしながら、竜児は唇を噛みしめる。

やべぇんだよ、その擦れ具合が。微妙な圧迫感と熱が!
つーか、大河、まさかお前、わざとやってるんじゃねえだろうなあ!

「あふっ、ん? うーん……んっ、んっ……あっ……」
竜児の身体にしがみついたまま、小さな胸を擦りつけ、竜児のものに下腹部を
摩りつけている大河の唇から、微妙な声が漏れる。

ま、まさか、こいつ、興奮してんのか? 女も擦ると気持ちよくなったりするのか?
いやいや、そんなことを考えている場合じゃねー!
710名無しさん@ピンキー
朦朧とする意識の中で、竜児は、湧き上がる衝動と必死に戦っていた。
が、無意識に両手が大河の背中に回っていることを自覚して敗北を悟る。

もうだめだ。なんつーか、もう正直たまらん。大河、すまねえ。
でも、お前が悪いんだぞ、目が覚めても怒るなよ。

衝動に負け、大河の背中を抱きしめる竜児。大河の腰を押さえつけるようにして、
自分のものを大河の股間にこすり付けてしまう。
「あっ、はぁ……っ」
大河が、顔を顰め、竜児の首筋に温かく湿った息を吐きかけた。
その瞬間、竜児の顔が歪み、呻き声が漏れる。
「むっ、くっ!」
自分のモノの脈動を感じながら、大河を抱きしめる竜児。
生温かい粘液で竜児のパンツが汚れていく。

自分で処理する時に感じる以上の快感を感じつつも、竜児は、罪悪感に打ちのめされていた。
初めて自慰を知ったときも罪悪感を感じたが、それ以上の罪悪感に打ちひしがれそうになる。

最悪だ……。

がっくりと脱力する。その竜児に抱きついたまま、すうすうと寝息を立てる大河。
無意識にその大河の頭を撫でながら、放心する竜児。
ただ、しかしなんというか、不幸中の幸いというか、大河は目覚めなかったことだけが、
唯一の救いだった。大河を抱きしめたとき、そこで大河が目覚めていれば、
今頃、竜児は三途の川を渡っていたかも知れない。

濡れて汚れたパンツ。かなり出たから、短パンにまで染みが広がっているに違いない。
早く脱いで洗濯機に入れとかないと。
と、そこまで考えて、竜児の背中に冷や汗が滲み出す。

ってことは、大河のパンツにまで滲み込んでたりとか……ははっ、まさかな。
いや、あり得る! あんだけ出たんだし短パンまで汚れてたら、大河のパンツだって。

さっと全身から血の気が引く。やばい、とにかくヤバイ、早くなんとかしないと。
慌てる気持ちを抑えて、一度、深呼吸をする。大河の様子を伺い、寝ていることを
確かめると、そっと大河を抱きかかえるようにしたまま、息を止め、
ゆっくりと身体を転がすように回転させる。
そして、ぐったりとしている大河の身体を、畳の上に仰向けに寝せて、
ゆっくりと大河から身体を離す竜児。

くそっ、最初からこうすりゃよかったんじゃねえか! 何やってんだ俺は!

後悔先に立たず。しかし今は、悔やんでいる場合ではないのだ。
立ち上がり、自分の股間を見る。短パンの表面にまで染み出しているのがわかる。
やっぱりか、そう思いながら、そそくさと自室に戻り、慌ててパンツを穿きかえる。

べったりと汚れているパンツを見つめ、はあっと情けない溜息を吐く。
これは他の洗物とは別に洗わないと。汚れたパンツと短パンを分別してから、
そっと大河の元に戻る。ワンピースの裾を大きく捲り上げたまま、
両手を左右に伸ばして、大の字で寝ている大河の姿に、また反応しそうになる。
乱れているスカートの裾から僅かに覗いている大河のショーツを見つめ、
しばらく硬直した後、頭を振って煩悩を振り払い、静かに大河の側に正座する。

これは、確かめるだけだ。別に、変なことをしようとしているわけじゃない。
そう、少しだけワンピを捲って、大河のパンツが汚れていないことを確認するだけなんだ。