ああ神様〜 またもや素人童貞イアルを堪能させていただきました。 ありがたや〜
追伸 ロランとエリンも深みがあってよかったです
ロラエリもイアエリもGJです! そういや江戸時代の俳句に春画の体位を真似ようとして怪我した夫婦を詠ったものがあったそうな まあイアルさんならそんなヘマしないだろうな!
エリンのヤキモチが可愛いwGJです いろんな意味でこの2人の夫婦生活は豊かだなあ
GJ。良い作品が沢山読めて嬉しい。 お疲れ様です。
>>589 自分的理想のロラン×エリンです。ご馳走様でしたw
キスの後のエリンのかわし方、その後のロランのフォローが
良いです。タイトな長さなのに十二分に引き込まれました。
神待ちなどと仰らず、またご自身で再降臨して下さい
「夜目がきく」ネタ作者様、有り難すぎて自分涙目ですw
これほどのSSが読めて本当に幸せです。
原作テイストに根差したエロ、存分に堪能させていただきました!
うわぁぁぁネタまるかぶりした…うpしていいものか… 凄いいいエロイアエリでした!
>>610 キニスンナーw
お蔵入りさせると勿体ないオバケが出るぞw
613 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/07(水) 22:09:21 ID:PBFm6LAk
エクと獣姦させるなら何歳のエリンがいい?
>>594 凄いGJです!
イアエリももちろん良過ぎるんですが、カイル×遊女で・・・とリクしようと
思っていたら、いきなり叶ってて幸せすぎて悶絶した
ちょっとこのカイルさん可愛すぎるw
このあとイアルに見つかったらどんな目に・・・と考えるとニヨニヨが止まらない
>>595 一通り試してできたわけですね
カイルGJというべきかw
>>610 です
ネタダダ被りの駄文です。まさかフェryまでかぶるとは…
今回トムラ先輩を出したかったんでアニメ設定になっています(イアル=竪琴職人)でも同棲時ですので探求編未読の方はNGはIDでお願いします
自分の文体がエリンの世界観に合わないのを痛感しました…以外6レス
617 :
No.1 :2009/10/08(木) 00:13:54 ID:6xEeBuj1
離れているせいか、彼女の事をよく思い出す。 トムラはリラン達に、柵の外から肉の塊を投げ入れるようにして、餌をあげていた。 この一年、彼女はカザルムを離れ、ラザルの王獣保護場に行っている。 報告の為にたまに帰って来るが、すぐにラザルに戻ってしまう。 (ラザルでも王獣一直線なんだろうな…) そう思い、トムラは微笑んだ。 タハイ・アゼの出来事があってから、彼女とあまり王獣の話はしていなかった。何と言葉をかければ良いか、トムラには分からなかった。するとエリンとは王獣の話以外これといった話題もなく、必然的に会話が少なくなってしまった。 (…限界だ…) 会話がないのが辛い。 そしてなにより…離れているのが。 こんな風に自分が思うのは、きっと芽生えた特別な想いの所為だ。 あの綺麗な碧の瞳で見つめられると、心臓が跳ねる。 俺は彼女に…惚れている。 もう何年も前から。 (次にカザルムに戻ってきたら…) 素直に想いを伝えよう。もう悠長に待っていられない。 「トムラ先輩〜!」 本当に駄目だ、もう末期だ。幻聴まで聞こえる。 そんな風に明るく名前を呼ばないでくれ、抑えられない。 「トムラ先輩」 「……っ!」 幻聴じゃ…無かった。 「えっ…ぇ…エリン!いつっ!戻って来たんだ!?」 声が裏返った。恥ずかしい…。 「さっき着いたばかりです。トムラ先輩が見えたんで先にこっちに」 久々のエリンに、トムラは頬を染めた。 そうだ、いつかいつかと告白を延ばしてしまったのは、自分の思い切りが悪いからだ。 状況は王獣舎で余り良くないが、エリンはまたラザルにすぐに行ってしまうかもしれない。 想いを伝えるなら…今だ。 「エリ…」 「トムラ先輩。今日はちょっとご報告があって来ました」 被せる様に先に言葉を言われてしまい、トムラは内心がっくりとした。 それなりに勇気を振り絞って名前を呼んだ…のに。 「…報告?」 仕方ない。先にエリンの話を進めよう。 トムラそう思い、言葉を発する。 するとエリンの頬が朱く染まり、はにかんだ可愛いらしい笑顔を浮かべた。 今の盲目的なトムラには、それは犯罪的に可愛く見えた。 正直、抱きしめそうになって、腕を上げていた。 しかし。 「あなた、こっちに来て」 ………あなた…? 今まで気付かなかったが、王獣舎の外に一人男が立っていた。
618 :
No.2 :2009/10/08(木) 00:18:09 ID:6xEeBuj1
「貴方はセ・ザンの…!」 薄い記憶の中思い出し、トムラは驚いた。 こんな場所で出会う人物じゃない。 彼はエリンの横に並ぶと、頭を下げた。 「……エリン……?」 「トムラ先輩。私、彼と結婚します!」 ――青天の霹靂。…とはこのことだろうか…。 思考が…追いつかない。 「イアルです。…妻がお世話になっています」 トムラは、イアルの声を遠くで聞いているような錯覚に陥っていた。 …今エリンの事を妻と…。 その言葉に頭が割れそうだった。 …無愛想にしか見えないこの男の何処が良いんだ…顔か…? お前は顔で人を選ぶようなヤツじゃ無かったはずだ! 俺が守るっていったじゃないか…! リランに必死なお前の世話も…俺は甲斐甲斐しくしたつもりだ!勉強だって…! サンドイッチおいしいって…。 トムラ先輩たよりになります!って…いったじゃないか! ――勝手な妄想を盛り込み、トムラの思考内は壊れそうだった。 俺は何年もエリンと共に居たのに…。 今、目の前の男が憎かった。簡単に自分の想い人を奪った、イアルという男が。 そしてトムラはあることを思い出す。 「あ!セ・ザンは妻帯禁止じゃ…!」 「…俺はもうセ・ザンではありません。今は竪琴職人として暮らしています」 微かに見えた希望も、当たり前のように打ち消される。 トムラは胃に穴が開きそうだった。 こんな…こんな仕打ちはあんまりだ…。 「じゃあ…ラザルにいたのは…」 「はい。彼と一緒に暮らしてました」 エリンは本当に素直だ。 直に言い過ぎる。 そして傷付くだけなのに、何故自分はそんな事を聞いたのだろう…。 自分がわからない。 俺の意志表示ってなんだったんだ!? 「そ…うか…お幸せ…にな」 「ありがとうございます!住居もカザルムに二人で家を買ったので、またよろしくお願いします」 エリンは本当に幸せそうに、トムラにとって鬼畜的な事を言う。 彼女の様子からして…こちらの想いなど、露と知らないのだろう。 俺の事は本当に…良い先輩としか…。 「あと私、赤ちゃんが出来たんです!」 エリンはまた満面の笑みを浮かべた。 もう止めてくれ…。 これ以上俺を苦しめないでくれ…。 トムラは見せられない分、全力で心で泣いた。
619 :
No.3 :2009/10/08(木) 00:21:09 ID:6xEeBuj1
「エリン、ここは冷える。早くエサル師の所に行こう。もう一人の身体じゃないんだ」 イアルはそういってエリンの肩を抱いた。 「あっ…ごめんなさい。じゃあトムラ先輩また」 エリンは軽く会釈をして行ってしまった。 すると、堰を切ったように涙が頬を流れた。 …今夜は…やけ酒だ…。 *** 「…!」 ぶるりとエリンは震えた。日が落ちて、大分寒くなってきていた。 エサルと話が長くなってしまって、予想よりかなり遅くなってしまった。 「エリン」 名を呼ばれてイアルを見ると、彼は手を差し出していた。 その手をとり、歩幅をエリンに合わせ、二人はゆっくりと家路への道を並んで歩いた。 こういう何気ない優しさが、とても彼らしいと思う。 言葉は少なくとも、伝わる温もりは確かなものだったから、エリンはそっと笑みを浮かべた。だがすぐに不安に顔を曇らせた。 「遅くなったから、夕餉は外で食べよう。家はまだ片付いていないしな」 「…ええ」 元々二人の荷物は少ない。 片付けるというほど物は無いのだが、エリンは先にエサルに子供が出来た事を伝えたかった。 彼女は自分にとってもはや母のような存在だった。動物の種付けや御産は立ち会ってはいる。が、自分の事となるとやはり女性の理解者が近くに居てくれた方が、安心できる。 イアルも自分の不安を察してくれて、カザルムに引越すと、自ら申し出てくれたのだ。 共に暮らして一年と少し。 押しかけるように彼の家に居着いたあの時の自分は、今でも凄い行動力だったと赤面するくらいだ。 そして今、心配事が一つ出来た。 勿論、胎児の成長も不安の一つなのだがエサルに言われた一言が、エリンの中に妙な痼りとなっている。 ――今の時期が一番男の心が離れるから、気をつけなさい―― エサルは冗談の様に笑って言った。実際冗談だったと思うのだが、エリンは心臓を握られたような苦しさを覚えた。 彼を疑っているわけではない。 ただ自分も、異性の何たるかを語るにはあまりにも経験がなかった。 学童時代、回りは男子ばかりだったが自分はリランに一直線だったから、ユーヤンのカシュガンへの想いを聞く度、自分にもいつかこんな風に恋心が芽生える日がくるのかと不思議に思っていた。 (どうしよう…)
620 :
No.4 :2009/10/08(木) 00:23:41 ID:6xEeBuj1
いつかダミヤに言われたことを思い出した。 ―男の欲を発散させなければ…― イアル…彼は…どうなのだろう。 『嬌態の裏に殺伐とした哀しみを押し隠している…』 王獣舎で、あの時は気にならなかったが…イアルはきっと経験があるのだろう。 彼以外知らない自分とは違うのだ。それがまた、エリンの不安を呼んだ。 馬鹿みたいだった。 夫婦になってこんな風に思うことが、そもそもおかしいのに。 黒々とした焦燥がエリンを満たしていった。 *** 夜の静寂が室内を満たしていた。 (…どうしたんだ?) 二人はある程度荷物を片付け、お茶を飲んでいた。 静かなのはいつもの事なのだが、イアルはエリンの行動が気になっていた。 行動と言うか、表情が。 耳朶まで染まる程赤面したかと思えば、途端に真っ青になり、考え込むような暗い表情をし、また目を見開いて赤面していた。 一人百面相だ。 どうしたんだと問いたいのだが、声を掛けづらい雰囲気だった。 (大丈夫…か?) 子供が出来て悩みが増え、情緒が不安定なのかもしれない。 不安は取り除いてやりたいのだが、男の自分にはわかる範疇を越えている。 そしてそれ以前に、自分自身があまりにも異性に対しての知識が乏しかった。 (何をしてやればいい…) ──駄目だなと思う── 自分が彼女の支えにならなければいけない筈だ。 イアルは自分の不甲斐なさに目をきつく瞑る。 歯痒ささえ感じた。 「あなた…」 気付くとエリンが目の前に立っていた。 声を震わせ、酷く不安げな表情でこちらを見下ろしている。 「…どうした?」 イアルはエリンに座るように促し、彼女は従った。 膝をつくとエリンはイアルを見つめ、一瞬瞳を伏せ腕を彼に伸ばした。 イアルは彼女を受け止め、膝に乗せる様にして抱き込んだ。 エリンは彼の肩口に顔を埋め、両腕でしがみついた。 イアルは片腕で彼女の身体を支え、空いた手でエリンの髪を梳く。 その重みと熱が、今腕の中に有る。 彼女の腹部を撫でると、見た目では分からないが、確かに新しい命が宿っていた。 この温もりを感じる度に、自分には不釣り合いなモノと言う気持ちが起きる。それと同時に、それを得られる今の自分を無くしたくないと必願している。
621 :
No.5 :2009/10/08(木) 00:25:51 ID:6xEeBuj1
自分達はしがらみに捕われた、幸せを得てはいけない存在かもしれない。 それでも、互いに互いの傍で生きたいと望んだ。 ──もう自分の生に後悔はしたくなかった。 そう思えるのは彼女の言葉があったから。 きっと殺した者の亡霊は、この先も見続けるだろう。 それでも。 彼女と共に生きることが出来る。その幸福を今感じていた。 「ねぇ…イアル」 エリンの声で思考の海から引き戻される。 彼女は肩口から顔を上げ、美しい翡翠の瞳で彼を見つめていた。こちらが目線を合わせるとゆっくりと瞼を閉じる。 それを合図にイアルは彼女の柔らかい唇を、自分のもので塞いだ。 啄む様に触れるだけの接吻を、彼は続けた。 エリンは深くする気がない事に気が付くと、唇を離し、不安な顔をした。 しかしあまり煽られるとこちらも困るのだ。 それは分かっている筈だ。 彼女を抱きしめ直すと、エリンは挑むような目でイアルを見つめた。 「…エリン?」 「イアル…口でして…あげるわ」 「…は?」 今、何と言った…。 * 彼は目を見開いて、間の抜けた顔をした。かなり予想外だったのだろう。 …彼にこんな顔をさせたのは、自分が初めてな気がした。 途端自分が言った事の意味を察して、エリンは耳まで染まる程赤面した。 あの時も…初めて肌を合わせた時も、自ら迫ったのだが、自身が出来たのは口付け止まりで、結局彼が主導権を待った。 かなり勇気をだして自分からすると申し出たのだが、居た堪れなくてエリンは涙目になる。 こんなに恥ずかしい事だとは思わなかった。 彼に触れたい事には変わりはない筈なのに。 こんなに彼が好きなのに。 離れられるのが、怖い。 溜まった涙が、目を瞑ると一筋流れ出た。 その涙を拭う様に、イアルの唇がエリンの頬を掠める。 「イアル…」 その触れ方が優しくて、エリンは彼の名を呼んだ。 「言ってる意味を…分かっているのか?」 彼は問う。 分からなかったらこんな気持ちになっていないと、エリンは拗ねた様に言った。 イアルはその言葉を聞いてふっと微笑んだ。 それから惹かれ合うように視線を絡ませ、自然に唇を合わせた。 抑えていたモノを忘れるように、深く舌を絡ませあった。 「…ん…っ…」 耳を塞ぎたくなるような卑猥な水音が、吐息と共に静かな室内を満たした。
622 :
No.6 :2009/10/08(木) 00:27:08 ID:6xEeBuj1
「…本当にしてくれるのか?」 濡れた唇を離し、乱れた吐息のまま耳元で囁くと、エリンは少し震えて、小さく頷く。 彼女はしがみついていた腕を離し、屈む様にして彼の腰辺りに顔を近付けた。 そしてゆっくりとした動作で腰帯を解いて行く。 「…っ」 エリンは布越しに形を確認するように彼のモノを手で撫でた。 そう言えばそこに触れるのも初めてだ。 感じる熱にエリンの鼓動は早くなる。 意を決して覆っている短袴をずらし、熱を目の前に曝した。そして直接指で触れてみる。 彼は優しく髪を撫でてくれた。その手に勇気を貰いゆっくり口に含んだ。 「…無理するなよ」 「…ん…」 舌を使いそそり立つ熱の先端を慰める。 咥内に薄く広がる苦みにエリンは咽せそうになりながら、懸命に奉仕した。 手順など分からない。 エリンはただ必死だった。 全てを含む事は出来なくて、根元の方から使える右手で上下に扱く。左手は満足に動かせないので彼の足を掴んで、扱いやすい調度いい高さを作る。 エリンは苦さにもなれて、余裕が少しできて遊び心が芽生えた。 彼は今、どんな表情をしているのだろう…? 気になって顔を上げると、熱の篭った黒い双眸に出会う。 思わず、状況を忘れて魅入ってしまった。 「…見るなよ…」 二人して暫く固まっていたら、居た堪れなくなったイアルが声を発する。 その声にエリンはきょとんとする。 好きな女に自身を銜えられたまま見つめられたら、どう反応しろと言うのか。行為も煽られたまま止められていて、微妙に拷問だった。エリンの頭を掴んで自分で動きそうになる。 こちらの焦燥を感じてか、エリンは一度そそり立つ熱から口を外して先端の窪みに舌を這わす。 「…っ…」 「これ…いい?」 「…聞くな」 その熱の篭った答えを聞いて、エリンは内心喜んでいた。 再びゆっくりとその熱を口に含む。 拙い動きでも、時間をかければ快感を得る事が出来る。 ちゅくちゅくと卑猥な水音と漏れる吐息、頬を染め顎を濡らしながら奉仕する彼女。 それらは感覚を刺激しイアルの下肢は射精感を訴えてきた。
623 :
No.7 :2009/10/08(木) 00:28:38 ID:6xEeBuj1
「…っもういい、離れてくれ」 「…う…ぅ…」 その言葉にエリンは嫌々と首を振った。 そして高まり、はち切れんばかりの彼の雄を、深々と咥内に納めた。 「…っ…どうなっても…」 知らないぞと、乱れた息のまま言い、エリンの頭を掴み尚引き寄せ、咥内の奥に熱を解放した。 「────っ…ぁ…」 放ち終わると口の中の質量が直ぐに去った。だが咥内に残る白濁の滾る迸りを感じ、エリンは咽せそうになる。口を手で抑えそれを堪え、広がる苦い残滓をごくんと喉を鳴らして嚥下した。 その光景を目の当たりし、イアルは飲みかけの冷めたお茶の入った湯呑みを取り、呷る。 そして荒い息を漏らすエリンを抱き寄せ、残滓で濡れた唇を塞ぎ、含んだお茶を彼女の口に流し込む。 「ん…」 それを素直に受け止め、残る苦みを飲み込む。 「やり過ぎだ…」 唇を離すと、自分の舌も、生臭い苦みを感じ彼は嘆息する。 「だって…最近…していないもの」 「…」 当たり前だと言おうとして、イアルは口篭る。 その台詞はかなり今更な気がしたからだ。 「他は…どんな事して欲しい?言って…」 イアルはその言葉に顔を顰める。 「本当にどうしたんだ…」 今日の彼女は本当に変だった。 「……」 彼の渋い顔を見てエリンは少し躊躇ったが、エサルに言われた事を素直に話した。 話し終わると、彼は無表情だった。 エリンは不安に顔を曇らす。 「それで百面相か…」 「え?」 独白の様にイアルは呟いて、エリンを抱きしめた。そして彼女の双眸を捕らえ、目笑した。 言葉に上手く出来ない気がしたから、腕に捕らえて熱を伝えた。 胸に満たされる幸福感は確かなものだった。 「ねぇ、本当にして欲しいことないの?」 「………」 おわし 数え間違いしましたすません
ネタ被りでも雰囲気が全然ちがって面白かったwGJ どのエリンも一途で健気でかわええなあw一部小悪魔なときがあるが ここのイアエリはどれも神作品で好きだw
>>616 GJ!
ネタかぶりはまったく気にならないな
トムラ先輩も可愛いし
>>616 こういう文体もいい!
ネタ被りといっても、まったくシュチュエーションが違うし
気にならないよ。
ご奉仕エリンもなかなかツボだね。
しかし、 トムラ哀れな…
>>498 と
>>616 ですコメントありがとうございました!
日常的な感じが良いと言ってもらえたので一応目指して見ました!
トムラ先輩の辺りが本文で残りはオマケつもりだったのに…イアエリの魔力恐ろしす
630 :
名無しさん@ピンキー :2009/10/08(木) 14:18:26 ID:I4m6NPff
トムラをリクした者だけどGj!
こっちは確かにアニメエリンだGJ! それにしても戸村先輩超涙目カワイソすぐるwww
イアル×エリン 新婚編、思いっきりベタです。 しかも、神々の降臨の後なのでネタ被り多数。 長いだけ長いが、エロは少なめ。 原作未読の方はご注意下さい。 もう、自分が好きなのは素人童貞イアルです。 それが、書きたくて…書いてます。
634 :
no1 :2009/10/08(木) 22:31:17 ID:FCgg3cQn
扉を開く重い音が聞こえ、イアルは顔を上げた。 「おかえり」 膝の上に置いて丁寧に紙ヤスリをかけていた木片を床に下ろし、足にまとわりついていた砂のように細かな木屑を両手でほろいながらイアルは立ち上がる。 エリンの仕草は戸の隙間から入りこむ夕陽の温かな光に包まれて上手く見る事はできなかったが、いつものように穏やかにほっとした風体でそこに佇んでいる姿をイアルは思い描いた。 「仕事は上手くいったのか?」 「ん……」 いつになく重い口ぶりだった。そして、サッとイアルに背を向けた。 その様子から、今日は面倒な事になりそうだと、出かけに鬱陶しそうに呟いていた仏頂面をイアルは思い出した。余計な詳細を語らなかったことからも、例の王獣に関する調査が最終局面を迎えているということは想像出来る。 (疲れているんだな) イアルは竃に火を入れようと土間に降り立った。 そして、 「ファコはあるから、汁物でも作るか…」 と、戸の閂をかけているエリンの細い背中に向けて労りの声をかける。 「今晩は、おれが作るよ。」 薄く微笑みながら、イアルは言った。 戸の横にある小さな格子戸から、子供達のはしゃぎ声と夕餉の支度をする母親のやりとりが聞こえて来た。 (そういえば、任せっきりだったな…) イアルは少々申し訳無さそうに、息を漏らしながら俯く。 堅き楯として王宮にいた頃には下女達が日常の世話を何くれと無くしてくれていた。しかし、辞してここに住むようになってからは、当たり前の事として自分でこなすしかなかった。 汚れ物が貯まれば洗濯をし、埃っぽいような気がすればたまに箒くらいは使った。食は、三食きちんと食べていた訳でもなかった。外食をするのも億劫だった。人の中に無駄に入って行くことも躊躇われた。食するというよりも、詰め込むという感覚で適当にやり過ごして来た。 そんな、いかにも空気の澱んだ男の住処に、山リンゴは突如として現れた。 窓を開け、風を通す。 彼女の一つ一つの動きが徐々に生気の溢れる満ち足りた空間を作り上げていった。
635 :
no2 :2009/10/08(木) 22:33:07 ID:FCgg3cQn
その居心地の良さに、すっかりとその気になってしまってはいたが、エリンは仕事をもっている。 そこの路地で夫の帰宅を待ちわびながら子供の世話をし食事の支度をする女性とは立ち位置が違うのに、 無意識に同じようなことを要求している自分にイアルは男の傲慢さと、単純な甘えを感じた。 「大丈夫だ。美味いとは言えないかもしれないが、不味いものも作らない。」 エリンに向かって少々バツが悪そうに、目を細め軽く笑いかけた。 しかし、エリンは無反応だった。 「??エリン、大丈夫か??」 イアルはエリンの様子を探ろうと足を踏み出す。イアルの歩幅ならば、3歩程でエリンに触れることのできる距離だ。 しかし、エリンは目を一瞬大きく見開き、サッと顔を臥せた。 そして、素早くイアルのすぐ脇をサラサラの髪から初々しい香りを漂わせながらすり抜ける。 慌てて靴を脱ぎ捨て板の間に上がり、茜色に浮き上がる窓枠の脇に勢い良く座った。 持っていた鞄の中からあたふたと書物を取り出す。壁に背を預け、両膝を立てそこに肘を当てて顔を隠すように書物を持ち上げた。 (???) イアルは暖色の空気がキラキラ満ちた空間で訝しげに首をかしげるしかなかった。 「一体なんだ?」 声にならない声をイアルは出した。 どこからともなく良い香りが漂って来た。嗅覚と腹の動く音が連動する。 子供のはしゃぐ声と共に、慈愛に満ちた男達の低い声も混じり始まってきた。もうじき、日が落ちる。 エリンの事は気になるが、腹の中も気になる。 イアルはエリンに背を向け、竃に向かった。 そして、その隣の調理台の前で包丁を握りながら、エリンのよくわからない行動の原因を探し出そうと頭の中の引き出しに手をかける。 しかし、結果、自分には思い当たる節はないと思う。 なにしろ、朝はいつものエリンだったのだ。笑って、そこの扉から出かけて行った。それを自分は先ほどまで作業していた場所で仕事をしながら見送った。「気をつけて」と… (何なのだろうか?) イアルはトンと包丁を強めにまな板当てた。軽い苛立ちを紛らわせようと無意識に力が入った。 瞬間、ふと人を斬った感触を掌に感じた。包丁の柄が何故か刀の柄に重なる。 (またか…) こうした、日常生活の端々に過去の行為を感じ取る自分を、イアルは鬱陶しく思った。 初めて人を殺めた時に見た、動かぬ体の下の血溜まり。 その不気味に浮かびあがった、どす黒い赤の深みが脳裏に甦る。 吸い寄せられるような先のない暗黒がイアルを追う。 少しでも気を抜くと目眩が起こりそうな気がして、イアルは両足に力を込めた。そして、包丁を静かにまな板の上に置いて大きく息を吸い、眉間に手をやる。 すると、なべが突如として大きく噴いた。 イアルはハッと現実に引き戻ると、慌ててなべの蓋に手を向けた。
636 :
no3 :2009/10/08(木) 22:34:32 ID:FCgg3cQn
** ** ** ** ** そもそも、怒るような事でもない。閨の中でサラッと笑い話にすれば済むことだったのに… エリンはイアルの自分を気遣う態度を思い出しながら、胸の奥に小さなガラスの破片が突き刺さる痛みを感じた。 しかし、家の前の路地につながる、大きな銀杏の木のある角を曲がるまでは、確かにそうしようと思っていはず…その程度に納めようと思っていたはず… それが、イアルの顔を目にしたとたんに変わってしまったのだ。 きっと、ユーアンに話したら、『エリンちゃん、そんなん気にしてたら夫婦なんて続かんよ。』と、あの福々しい顔で大きく笑い飛ばされることだろう。カシュガンも横で頷きながら微笑むだろう。 本を顔の前に掲げながら、もちろん文字など追わず悶々と頭の中を空回りさせ、視線をチラチラと動かしながらイアルの広い背中をエリンは眺めていた。 すると、トンと一際響きの良い音が聞こえた。包丁の刃がまな板に垂直に当たったのだろうか。エリンはピクッと背中を揺らし、慌てて再び本で顔を隠す。 その後、しばらく空気の緊張があったが、なべの吹きこぼれる音と共にそれは無くなった。 格子窓から差し込む光に群青が増えてくる。 その中でぎこちない動きをするイアルを、エリンは複雑な面持ちで瞳の上端に留めていた。 しばらくすると、空のお腹を安堵させる香りが部屋の中に満ちて来た。 『ぐうっ』 エリンは制御出来ることの無い自らの音に驚き、本をバタンと落とす。 恥ずかしさと焦りで顔を真っ赤にさせたエリンに、イアルは振り向きもせずに、常の口調で告げた。 「もうじき出来るぞ。膳を出してくれ。」 その落ち着き払った態度から声をかけるタイミングを見計らっていたのだろうと、エリンは思った。 腹の虫が切っ掛けになってしまったのは若干不本意ではあったが、エリンも重い腰を上げざる得ない。 いつまでも、このままの態度でいられないことは自分でも当然わかっている。 不意に記憶に残る一番若い頃の母の姿が瞼の上に現れた。 母は父と…このような息の詰まるような空間を作った事があったのだろうか? 脳裏に浮ぶ母は、そんなエリンの疑問に答えるように涼しげな目尻をわずかに落とし、クスリと笑っていた。
637 :
no4 :2009/10/08(木) 22:35:51 ID:FCgg3cQn
エリンは慣れた手つきで膳を整えた。 イアルはファコを皿に盛り、板の間のエリンに手渡す。互いに話しかける事もなく、目線を合わせる事もない。 イアルは踵を返し鍋を取りに行く。 その自然に振る舞いながらも何か言いたげな後ろ姿を、エリンは首筋を右手で押さえながら恨めし気味に目に納めた。 食事中、二人はひと言も話さずに黙々と腹を満たした。 イアルは先に食べ終わると、すくっと立ち上がり器を土間にある水の張った桶に浸した。そして、俯きながら食すエリンには目もくれず、道具箱の前に胡座をかいた。 人々の行き交う音は消え、代わりに窓の隙間から少々冷たい夜風がキンモクセイの甘い香りと共に部屋の中に現れる。 イアルは再び木片に紙ヤスリをかけはじめた。片手で持てる程の大きさの木。箪笥の材料にしては小振りだ。 もう一週間にもなるであろうか…あんな小さなものに、何故そんなに時間をかけているのだろうか?高級な玩具でもたのまれたのだろうか? と、エリンは椀を口にあてながら、上目使いでその手元を眺めた。 細かくヤスリを数回あてた後、そこに自分の手を滑らせ木の感触を確かめるという作業を何度も繰り返している。箪笥作りの過程でも似たような作業を見ることができたが、ここまで丁寧にしつこく撫で付けているのも珍しい。 その骨張った手のしなやかな動き、長い指の繊細な流れ、そして薄らと口元を柔らかくする仕草。 エリンはぼんやりと思い出した。 昨晩は自分に充てられていたその手の動きと淫らさの感触を… そして、その口から流れる吐息と言葉。 生暖かい質感がエリンの頭の中に甦る。 (やだ…わたし…) 止めようとしても、流れるように体の周りに甘い空気が浸潤して来た。振り払おうと、エリンは目をぎゅっと閉じる。椀を持つ腕を、静かに太ももに落とす。 汁がわずかに残る椀の中を覗き込みながら、イアルに悟られない程度に呼吸を思考を整えようとした。 しかし、次第に体の芯がじんわりと火照って来る。 早くなる鼓動に恥ずかしさを覚えながらも、胸の先がツンと立ち上がる勢いをエリンは感じはじめた。
638 :
no3 :2009/10/08(木) 22:38:07 ID:FCgg3cQn
昨夜、窓布の隙間から月の光が落ちる中で二人は繋がっていた。 近頃,イアルはエリンを後ろから責めることが多い。 四つん這いになり腰を天に向けて反らすエリンに立ち膝で挑む。 ペチンペチンと肌をぶつけ合わせ、両手でエリンの腰を引きあげながら、自分とエリンが最も感覚良くぶつかり合う場所を探す。 そして、そこにハマると、ゆっくりと押し上げるように腰を回す。 「うぁ…んっ…」 エリンが、より淫らな声をあげた。その挑発的な声に呼応して、イアルはハアハアと上がった息エリンの耳朶にあて、そこに沿って舌を這わせる。 食むように唾液を絡めながら焦らすように口元を動かす。 それは、エリンの秘所に更なる緊張を与えた。 「……締まってるよ。」 イアルの甘く低い声がエリンの耳元で響く。 「凄いな…」 耳の後ろ側にある、柔らかな皮膚にイアルは歯を立てた。 同時に、右手の人差し指で、二人の繋がっている壷の少々前をまさぐった。 隆起している粒をこりこりといたぶる。 「…はぁ…ん…だっ…めぇ〜」 言葉とは裏腹に、更に腰をぐいっとエリンは突き上げた。 イアルは強弱をつけながら、うっ血したそこを優しく擦る。その度にうずうずとした熱波が彼女の中に発生した。 触れるか触れないくらいの加減で人差し指の腹をそこにふんわりとあててやると、エリンがよく感じる事は知っていた。 指先だけでいかせる時も、それは効果覿面だった。 指であからさまに摘んでしまうと、腰を引いてしまう。どうも微妙なタッチの変化で攻められるのが好みなのだろう。 イアルは攻め手を右手から左手に変えた。 利き手ではない左手のぎこちない動きが、一層エリンを刺激する。 すると、彼女の中で無意識の収縮がけいれんのように起こりはじめた。 イアルは自分が彼女の中で締めつけられていることに興奮し、更にその先端を硬くした。 エリンは締めつけることにより、一層自身の体の中にあるイアルの一部の大きさに深い喜びを得る。 そして愛おしさを募らす。 一つになっている喜びを子宮で感じる。 「腰を下ろして…」 こね回すような腰の動きを止めたイアルにそう言われ、エリンは大きく熱を帯びた息を吐いてから、腕をまげ、肘で体を支えた。 そして、ゆっくりと腰を足の裏に下ろす。 「ああっ!!」 今度は壷の後壁に脈打つ竿があたる。 ゴリゴリと擦り上げられる一瞬の感触に、エリンは歓喜した。 無意識に自ら腰を上下し始める。 「…気持ち…いいのか?」 当たり前の事を、わざとイアルは問いただした。 「いじわるっ!」 ぐりっと壁にあたる瞬間は、毛の逆立つような快感だった。 ゆっくり、噛み締めるように腰をエリンは振る。 イアルは両手でエリンの胸を後ろから鷲掴みにした。 激しく、揉み上げる。 すると、また強固に二人の繋がりが締まった。 しばらくすると,イアルの声にならない声が漏れて来た。 「もう…」 ハアハアという息の中から、言葉を繋ぐ 「い…いか?」 エリンの言葉を待たずにイアルは素早くエリンから一旦抜いた。 そして、彼女を仰向けに寝かせ、両足を自分の肩にかけ一気に突き上げた。 先ほどまで刺激されていた方とは反対側の壁に唸るような煽動が生まれる。 今度はイアルは激しく突き攻めた。 「あ…なた…はぁっ…もっ…と…」 その声に応え、イアルはエリンの子宮を持ち上げんばかりに腰を動かす。 繋がっている一点の擦り合いのもたらす快楽を得る為のみに二人は神経を集中させる。 月の放つ繊細でまろやかな光は、一体になった引き締まった肢体を淫媚に包みあげた。
639 :
no3 :2009/10/08(木) 22:40:23 ID:FCgg3cQn
(いやだ…) イアルの手に欲情した自分をエリンは酷く禍々しく思った。 しかし体は正直だ。 すでに生温かいものが下着に向けて流れ落ちる感触がする。乳首も衣の外からもわかるくらいに隆起しているかもしれない。 衣に乳頭が当たり、ヒリヒリとした異物感を感じた。 (もうっ!) エリンは思わず立ち上がった。 「あっ…」 「どうした?」 その勢いで、手の中にあった椀から汁がエリンの膝上に飛び散る。 イアルは手元からエリンに視線を移した。 瞬間、二人の目が合ったが、エリンの方がシドロモドロに瞳を動かした。 そして、妙に上気している頬をイアルに悟られまいと、彼に背をむける。 「ええ…大丈夫よ。」 そそくさと土間に降り立ち、エリンは調理台の手前角にかけてあった布巾を手にした。 ** ** ** ** ** さて、どうしたものだろうか?とイアルは手を再び細かく動かしながら考えた。 彼女の不可解な行動に対して少々の苛立ちを初めは感じたが、今となっては完全に失せている。 (あんな事をされてはな…) 声こそ漏らさないが、可笑しそうに頬を緩める。 本人は見つからないようにしていたのだろうが、あれだけ何か言いたげに、何かを求めるように一挙手一投足にチラチラと視線を注がれて、気がつかない人間などいないだろう。 それに気がつかない振りをするのも、なかなか骨が折れる。 どうも、何らかの原因が自分にあるという事は間違いないとは思う。 しかし、それは、非という類いのものではないのかもしれない。 だからこそ、エリン自身もその対処に苦慮しているのだろう。 もっとも、このまま明日の朝にでもなってしまえば、エリンはいつも通り「おはよう」と竃の前から振り向いて、布団の中にいる自分に声をかけているような気はする。 そう…そんな気はするのだが… 自分が明らかに関わっている事に対し無関心を装うというのは、かなり相手に気を使う。まあ、そのくらいの気使いで、エリンの心が晴れるのであればそれも良いかもしれない。 しかし、どうもそういう状況であるようにも思えない。 逆に何かを引きずるような、後味の悪さを残してしまうかもしれない。 そんな鋭く苦い直感がイアルの重い口を開かせた。 「そろそろ、話したらどうだ?」 エリンの丸くなった背が僅かに揺れる。 「そんなに、おれが気になるという事は、おれに何か言いたい事でもあるのだろう?」 イアルは、手にしていた作り物を脇に静かにおいた。 そして、胡座をかいたままゆっくりと両腕を腰の後ろに立て、上半身を支えながら軽く胸と首を反らす。 エリンはイアルの諭すような声に誘われ、ゆっくりと振り返りながら、同時にその鷹揚とした夫の動きを目で追った。 再び、元の姿勢に戻り背筋をピンと伸ばしたイアルはエリンと対峙した。 緑の瞳を全開にし、軽く噛み締めた口元から、後悔とも怒りとも焦りともとれるような、彼女の心の歪みを読み取る事が出来たが、 イアルはそれに触れる事無く、膝上や自分の周りの木粉をササッと手で払う。 「まあ、ここに座ったらどうだ。」 口調は優しく、されど目は笑わずに、イアルは自身の前にその手を差し出した。
640 :
no7 :2009/10/08(木) 22:44:50 ID:FCgg3cQn
** ** ** ** ** 優秀な武人は、最後の一手にまで気をぬくことなどはありえない。 こういった駆け引きに関しては、様々なタイプの人間の中で必要以上に揉まれて生きて来たイアルの方に軍配があがるのは当然だ。 そもそも、聞かなかった事にして、いつも通りに振る舞ってさえいれば、別にどうという事でもなかったのだ。 しかし、それが出来る程寛容にもなれず、更に、こういう状態を作っておきながらも、イアルを動かせる程の強かさはそもそも自分にはない。 負け戦を無遠慮に彼に仕掛けた責任は取らねば…ならない。 「ーー今日は…仕事が早めに終わったから…」 観念したエリンは頭をだらりと下ろし、イアルの前で小さく正座をしてボツボツと言の葉を繋ぎ出した。 「…お風呂に入って来たの…」 対するイアルは膝に片肘をあて、体をわずかに傾けながら頬杖をついた。 「珍しいな…」 イアルは叱られた子供のように縮こまるエリンの緊張を解こうとしたのか、声に柔らかみを幾分含ませる。 ラザルには、そこで働く者達専用の湯場がしつらえてあった。 仕事が終わると多くの者は一日の汗を流してから帰宅する。 しかし、エリンは余程の事が無い限りそこを利用する事はなかった。 ラザルの人達のエリンに対する視線は、年寄りであろうが若人であろうが、男であろうが女であろうが、かなり手厳しいものだった。 表向きは温和に取り繕いつつも、その下に頑固に根付いている不信と拒絶。そんな四面楚歌の中でエリンは黙々と相手を余計に刺激しないように細心の注意を払って与えられた調査を日々こなしていた。 そんな極度の緊張が解けた直後に再び裸になって、その延長のしがらみに交わる意味など到底見出せない。 殆ど毎日、汗まみれだろうが疲れていようが、さっさとそのまま帰宅して、イアルと共に暗くなってから湯屋へ向かった。その二人で歩く、暗い道のりがエリンは大好きだった。
641 :
no8 :2009/10/08(木) 22:45:52 ID:FCgg3cQn
「今日は結果報告書をラザルの責任者にも見てもらう日だったから、朝から緊張していて…夕方には本当に疲れてしまって…、お風呂にでも入れば気が紛れるかと思って…本当は早く帰って来て…あなたと一緒にと思ったのだけど、体が重くて…」 大きなため息と消え入りそうな声でエリンは続ける。 「そこで、賄いのおばさん達に声をかけられたの。」 身じろぎせずエリンの言葉に耳を傾けていたイアルは『ん?』と瞳のみを揺らした。 エリンの口の動きがとまった。 チロリンチロリンという虫の音がやけに鮮明に部屋の中まで響く。 一匹が鳴くと、もう一匹も鳴き始める。 そんな松虫の長い輪唱が終わった頃に、 「…で?」 と、すすまない流れに、イアルは間の手を差し出した。 しかし、エリンは何も言わない。 「おばさんと喧嘩でもしたのか?」 挑発するような、茶目っ気を色濃く感じさせるイアルの言葉に、エリンは顔をスクッと持ち上げた。 頬が真っ赤に染まっている。 「違うわよ、そんな事する分けないじゃない!」 寸前までとは豹変し、口から唾でも飛び出しそうなエリンの勢いにイアルは思わずたじろいた。 「言われたのよ!こんな風に!!」 目を変に細め、手をしならせ口元に寄せ、 「あら〜新婚さんっていいわねえ〜って」 とエリンはおばさん口調を真似る。 恥ずかしさを隠す為に仰々しくやっている仕草が滑稽と言えば滑稽だったが、本人の目は真剣そのものだった。 対する、イアルは、目を瞬かせ、わずかに口をあけた。そしてエリンの言葉の意味を探す。しかし、わかるはずも無く、惚けた状態で首を捻る。 そのもどかしい姿にしびれを切らしたエリンは、更に勢いを増して続けた。 「だから、ここ!」 エリンは自分の首筋に向けて人差し指を立てた。豊かな髪の中に指先が隠れる。 「???」 「もう!!」 左手で、首の後ろから髪の毛をすくい寄せ、右の首筋をイアルの前にあわらにする。 そこには、赤黒い染みのようなものが見えた。 親指大くらいだろうか。 「あ…」 ポカンと思い出したように言うイアルにエリンはキッと視線をぶつけた。 「あ…じゃない!」 「すっ…すまない。」 昨晩自身の付けたモノを目の前に出され、ようやくエリンの怒りを察したイアルは体を僅かに後退させた。 「その後も、もう色々と根掘り葉掘り聞かれるし、かといってそこから飛び出す事も出来やしないし、私、もう恥ずかしくって、恥ずかしくって…」 形勢が逆転し、エリンが徐々に力強く語りはじめた。 先ほどまでの砂の人形のような儚さは全くない。 女性特有のまどろっこしい言い回しの中で嫌みったらしく突っつかれた鬱憤を晴らすべく、エリンは息も継がずに一気に女達に言われた事をイアルの前に並べる。 稼ぎの良い女房のヒモだの、頭の良い女なんかと結婚する男はろくでもないだの、どんな暇を見つけて男を漁っていたのかだの…と、憎しみと嫌みを混在させた陰湿な内容。 エリンは大きく一呼吸した。 そして、イアルを見据えて唇をギュッと結んだ。
642 :
no9 :2009/10/08(木) 22:46:38 ID:FCgg3cQn
** ** ** ** ** とりあえず、ひと段落したらしいエリンからイアルは目を離した。 そして、道具箱の引き出しの一つをあけ、薄い板のようなものを取り出す。 エリンは、突然無く動き出したイアル の手を訝しげに眺めた。 その手は、その板を端においていた木片に器用にはめ込んだ。 「丁度良かったかもしれないな。」 「えっ?」 「これは、役にたつ。」 イアルはそれをエリンの前に差し出す。 「…鏡…」 両手でエリンはうやうやしく包み込むようにその小さな手鏡を受け取った。 「持ってないだろう?」 掌程度の大きさの鏡面をエリンは覗き込んだ。柄の部分は柔らかな手触りがする。 「この前、ヤントクに分けてもらった木だ。珍しい種類の貴重な木で、使えば使う程飴色になって味が出て来る。丈夫な木だから、細工するよりも丁寧に細かく削り整えるのが一番だ。時間はかかるけどな。持ってないだろう?」 ーー先月エリンが出かけ際に指先で髪の毛を撫でていた。髪が跳ねていないか確認していたのだろう。 そんないつもの何気ないエリンの行為が、イアルの目に留まった。 その姿が、まだ父が生きていてた頃の母を思い出させたからかもしれない。小さく質素な鏡台の前に座って髪を軽く撫でていた母の姿。体も弱く、貧しさの中で苦労ばかりしていた母ではあったが、鏡の前ではなんとなく生き生きとした仕草をしていた。 ハルミヤやセィミヤの私部屋にも、豪華な金の細工で縁取られた大きな鏡があった。その前に立つ彼女達もまた公とは違う独特の優雅な風情を醸し出した。 なんとなく、女というものは鏡の前で変わるものなのだと思っていた。 それが、また彼女達の命に色を添えているようにも感じた。 しかし、エリンが鏡を眺めている姿を見た事は無かった。持っていないという事は、彼女の今までの生活の中で必要とするものなのではなかった物なのかもしれない。それこそ、湯屋にでもある姿見でたまに見ればそれで事足りていたのかもしれない。 「それで、毎朝確認して行けばいいだろう。」 からかい笑いを含んでエリンに言う。 もちろん、夜の余韻を確認させる為に作った訳ではなかったが、贈る理由としてはそれでも良いと思った。 エリンが幸せそうに鏡と向かう姿…それがただ見てみたかった。 イアルはエリンの腕をやさしく掴んで、自分の膝の中にすっぽりとエリンを導いた。 導かれるままに子供のようにイアルの懐に納まり、エリンは手鏡を動かしながら色々な角度で自分や背後のイアルを映す。 イアルからは鏡に映る妻の満ち足りた表情が見えた。
643 :
no10 :2009/10/08(木) 22:49:21 ID:FCgg3cQn
** ** ** ** ** 「ところで…」 しばらくして、イアルはすっかり怒りの解けた様子のエリンの耳元で囁いた。 「話しはそれだけか?」 「えっ?」 「肝心の所が抜けていないか?」 「はあ?」 エリンは顔を引き攣らせる。背に悪寒が走り抜けた。 「どっ…どうして?」 「怒りの原因はわかったが、疑いの原因はわからない。」 淡々とイアルは言った。 「あんなに人を伺って見るということは、怒るというよりも何か気になる事があるということだろう?」 エリンの妙に強ばった顔がその言葉の答えになっていた。 「おばさん達に何か吹き込まれたのか?」 イアルはエリンを背中から強く抱きかかえる。 そして、耳朶に軽く息をあてた。 「何と…言われましても…」 体に力を入れて立ち上がろうとするエリンをイアルの腕は完全に押さえ込んだ。そして、エリンの上着の合わせに右手を差し込み、柔らかな乳房を掌中に収める。 「あぅ…」 甘い衝撃を得たエリンが腰を捻ると、むくむくと硬くなるイアルの一部が臀部に当たった。 「ちょっ…ちょっと…」 エリンは逃れようと体を前に倒す。 「ダメだ。白状するまで離さない」 イアルは左手を使って器用に帯を解く。 そして露になった二つの乳房を後ろから両手で乱暴に揉み上げる。 耳朶を軽く食み、耳穴に舌先を当てる。 「…うっ〜っうん〜」 イアルは親指と人差し指で痛い程に乳首を締め上げた。 「っつ!!」 思わず声を上げながら、エリンはそっと手鏡の柄を放した。 イアルから離れようとする理性よりも、一つになりたいと思う本能の方が勝っている事は自分でも良くわかっていた。 あの指がまた自分を弄る。 そう思うだけで、体の芯に熱が帯びて来る。 既に溢れていた蜜が、更なる粘りを出す。 次に訪れる快楽を想像するだけで、子宮は疼いた。
644 :
no11 :2009/10/08(木) 22:50:57 ID:FCgg3cQn
しかし、イアルは指で乳首の先を転がしたり、首筋に舌を這わせるだけだった。 焦らされている… 「…どうして…」 吐息と共に、不満が漏れる。 耳元に温い息をかけながら、イアルは挑発するように言った。 「白状したら?」 「うっ〜うん…」 エリンは腰を捩らせ、ギュッと股に力を込める。 イアルは服の上から、そこに手を突っ込んだ。 「…もう、こんなに湿ってる…服の上だぞ…」 「いじ…わ…る…」 拗ねるように嫌々をしながらエリンは抗議した。 「どっちが、いじわるなんだかな…」 服の上から、蕾の部分をイアルは人差し指で探し当てる。既に大きさを増したそこを探し当てるのは彼には容易な事だった。 エリンは膝を開く。 早く、早くという欲望が、エリンの体を開放的に無防備にさせていく。 「ダメだ。」 熟れた突起を五本の指でイアルは撫でる。 それはそれでエリンの波を引き起したが、大きく打ち寄せる程の快楽を得させてはくれない。 我慢の限界を感じた。 エリンは投げるように虚ろに言った。 「…扱いが上手いって…」 とろけるような目を天上に向けた。 「こんな所に印を付けるような男は相当遊んでいたんだろうって…」 イアルは指の動きを止める。 「おれが?」 エリンは悶えそうになる声を抑えた。 「…そう…」 確か、ダミヤは言っていた。 『遊ぶ事さえせぬそうだ。』 しかし、それはダミヤの得ていた情報の範囲内の事実であって、本当の所はわからない。 自分にとってイアルは初めての男ではあったが、イアルにとって自分がそうではない事は朧げには感じていた。しかし、あえて追求する事でもないしそういう事は流すのが不文律だと思っていた。 しかし、改めて他人に問われると、そのあえて見ないようにしていた隙間が妙に深く思われてきた。 商売女に貢ごうとも、宮に多くいた美しい女官に手をつけていようとも…すで過ぎ去った事など知った所でどうしようもないというのに… エリンはどうしようもない疼きを下半身と頭に感じながら、イアルの次の言葉を待った。
645 :
no12 :2009/10/08(木) 22:51:37 ID:FCgg3cQn
「知りたいか?」 イアルは腕の力を抜いた。 エリンはイアルの膝の間から降りた。 そして、真っ正面に座る。 知りたい、知りたい。 いつでも、そうだった。 何でも、知りたいと思って生きてきた。 今は目の前の男… その全てを知りたいと思っている。 「…知りたい…」 エリンは顔を臥せた。 そんなどん欲な自分に嫌気がさして、両手を床に落とした。 そのとき、傍らにおいてた手鏡に指がわずかに擦った。 温かい。 エリンはふと思いだした。 これを作っていた時のイアルの仕草。 楽しそうに、嬉しそうに、そして幸せそうに。 −−どうして…イアルはあんな顔をしていたのだろうか? 「でも、知りたくない!」 今度は泣きそうで強情な顔つきをイアルに見せた。 イアルは、愛おしそうに両手でその顔を包み込む。 唇を重ね合わせ、その胸に抱きしめる。 規則正しい、心の音が心地良く響く。 飛び跳ねるように早い鼓動。 今、イアルの中にいるのは自分だけだとエリンは思う。 涙が止めどなく溢れて来た。 一頻り泣いたあと、エリンは涙で濡らしたイアルの服に顔を埋めたまま くぐもった声をだした。 「…抱いて…」 イアルはエリンをゆっくりと押し倒した。 fin
646 :
633 :2009/10/08(木) 23:10:17 ID:FCgg3cQn
すみません。ユーヤンがユーアンになっていました。 またno間違えています。お詫び致します。すみません。 しかも、改行が…次回からは気をつけます。
>>646 ごふっ!げふげふ・・・(吐血)
女として初めての下世話な話に戸惑ったりマニアックなプレイに挑戦してる
倦怠期なんて一生来なそうな激しくも可愛い二人を乙です(*´Д`)ハァハァ
>>646 スレの容量限界に近付いてこんな良いものが読めるとは…GJ!
エロ少ないって、充分濃いですw
>>629 同じ作者さんとは気づかなかった。
焼きもちエリン3連発でも、それぞれ雰囲気が全然違うw
出来たら作者さんごとで過去レス読み直したいものだw
>>648 >スレの容量限界
マジでぇぇぇぇぇ!!
そんなもんあるのか。あるだろうな。じゃあ貼ってる途中で限界来たり、落ちたり
するのかな? レス数と違って警告ないの? ブラウザによる?
とりあえず光速でこのスレ全体保存した!
じゃあ次スレ立てるのはどう判断するんだろう? エロパロはここがはじめてなんで、
誰か知ってる人教えて下さい
でも本文5レス程度だからまだ大丈夫かな。
※続編ネタバレを含みます。未読の方は、回避して下さい。
オリ×ロランの投下です。
期待されたレベルかどうかは分からないけど、とりあえず自分が読みたかったところを
全力で書いた。
探求編の始めのほう、オリがタウロカ王子と遠乗りして、トゥラ国の人たちが帰ったあたり。
探求編後半の厩のシーン前後でやりたかったけど、ラーザが入ってきたりして物々しく
なってるし、王宮の厩からすぐにアマスルに発って、イミィルに行くって言ってるし・・・。
ところでロランはモテそうですね。
エリンに「この青年に誘われると、たいていの娘はうなずいてしまうのではないかと思った。
別に恋しているわけでなくとも、喜ぶ顔が見たいと思わせるような素朴な魅力が、この青年
にはあった。」とまで言わせてます。
始めは老若男女から好かれる好青年だとしか思ってませんでしたが、よく考えると↑コレは
天然系タラシの真髄ではないかと。
「無害そうな顔して・・・」ってやつですね。多分、「母性本能をくすぐるタイプ」とか言われてるんじゃないでしょうか。
>>533 −
>>535 を読んで、相手がガチガチの処女なら、最後までやらないほうがむしろモテ男
っぽいか?と思い、寸止めネタにしてみた。最後までやるのは、以下次号!!って感じ?
寸止め×処女な感じのエロさを追求してみたが・・・なんか割と短くなった。
あたりが宵の闇に包まれた頃、鈴の音が彼女の来訪を告げた。 扉を開けると、儀礼用ではない、質素な、それでいて品のある普段着に身を包んだ 小柄な娘が立っていた。 「――オリ」 「今晩は、ロラン。・・・聞いた? わたし、トゥラ王国に国賓として招かれたわ。」 彼女はロランの身体の脇をすいと抜けて部屋の中へ滑り込んだ。 「あなたと約束したとくらいには、うまくやれたと思うわ。御褒美に、何か歌を聞かせて もらってもいいと思わない?」 薦められてもいないのに、部屋の中にある座椅子にすとんと腰を落とす。 「さすがは、大公城きってのお転婆姫、見事なお手並み。・・・といいたいところだけど、 男の居室を訪ねるには、少し、時間が遅くないかな?」 「姫はやめてって言ったでしょ。・・・楽師の部屋を訪れる時間としては、遅くないわ。 むしろ早いくらいじゃないかしら。」 彼は少し目を細めて肩をすくめると、この勝気な幼馴染に抵抗するのを諦めた。 窓の傍に立てかけてあるラッカルを手に取ると、弦の具合を見て、それから窓枠に 腰掛けて歌い始めた。 恋人が遠い異国に行ってしまったことを哀しむ女の歌だった。恋人への愛しい気持ちを 切なく甘く唄う。 タウロカ王子とのことに重ね合わせているのだろうか。 いつもそうなのだ。この男は。わたしが想っているのは、目の前の人なのに。多分分かって いるはずなのに、こうやってはぐらかす。 それでもその甘い調べは、高く低く、彼女の心を揺らした。 その後彼は、彼女のお気に入りの曲をいくつか奏でた。 ――この歌声を聴いて、心を蕩けさせない女がいるだろうか、と彼女はうっすらと考えた。 ロランは若いうちから、女にはよくもてていた。老若男女を惹きつける力があるのだから、 女とばかりもいえないのだが、人懐こい性質と、それに反して内側に見え隠れする奥深い 闇が、女心をくすぐるのだろう、子供のうちでさえ女官達にやたらと可愛がられていた ものだ。 アシェ人である彼の容貌も、彼に興味を持つものにとっては忌避するものでなく、何か 興味をそそる対象になっているようだった。 彼があちこちの女と浮名を流すようになると、オリは随分やきもきしたものだが、どの女 ともそう長くは続いていない、というのが彼女にとっての救いだった。 彼女がかつて父と兄と義母をいちどきに亡くし、大公の重責を担わねばならなくなった長兄 にも頼れず、暗黒の中に突然放り込まれたようになったとき、傍に居てくれたのは ロランだった。 あのとき彼女は8歳だったが、ロランもまた9歳だったときに戦で家族のすべてを失っていた。 彼の孤独が、ぎりぎりのところにいた彼女の闇と虚ろを埋めた。彼のほうもそういう部分が あればいいのに・・・とオリは思っているが、実際のところはどうか分からない。 だが、噂を聞く限りでは、あのときのわたし達ほどの強い結びつきを持った女は居ない―― そう彼女は密かに思っていた。
651 :
其の二 :
2009/10/09(金) 21:25:47 ID:rHHf5L/G 「・・・このくらいで、いいかい?」 言われてオリははっとした。曲を弾き終えたロランがじっとこちらを見つめている。かれは 楽器をそっと元の場所に戻しながら、言った。 「――部屋に、帰りなさい。」 やわらかく、しみ透る様な声だった。 「嫌です。」 つとめて平静を保ちながら、彼女も言い返した。 「明日にはアマスルへ戻るのでしょう? その後はどこへ? またふらりとどこかへ行ってしまう くせに。もう少し名残を惜しんでくださってもいいわ。」 ロランの瞳がわずかに揺れた。ああ――またどこか遠い国へ行く気なのだ、とオリは思った。つと立って、彼が座る窓の傍に寄り、腰をかがめてその唇に自分の唇を押し付ける。 「子ども扱い、しないで・・・」 彼女の瞳には、うっすら涙が滲んでいた。彼のほうが8つも年上だからなのか、気持ちを伝えようとしても、いつも軽くいなされてしまう。 「――オムリ。」 彼はそっとオリの袖を引いて、低くしゃがませた。二人きりのときだけ、と約した愛称に、 彼女の心臓が跳ねる。 「窓の傍では、外から見えてしまうよ。」 「かまわないわ。楽師との恋はよくあることよ。この歳では、傷にもならないわ。」 オリはあくまで強気でうそぶいた。 「君は・・・」 ロランの手が彼女の頬に触れた。とたんにその部分に感覚が集中して、部屋の壁がぐいと遠ざかったように感じる。 「まだ、子供だね。・・・帰りなさいというのが、大人扱いだと分からないくらいに。 大公の妹君を、傷物にするわけにはいかないだろう?」 「・・・わたしは、傷などおそれないわ。」 この鳶色の瞳に見つめられるのは、こんなにも世界を揺らすのだろうか。どのみち自分には 退く気などさらさらない。 「この勇敢な姫君は、御自分がどんな危険の中にいるかお分かりでない・・・」 それから彼は、彼女を見つめたまま、そっといたずらっぽく笑った。 「・・・ああでも、傷をつけない程度なら、いいかな?」 オリは動けずにいた。心臓が早鐘のように鳴っている。空気の粘度が急に増して、息が 出来ない。ロランの話す声も、どこか遠くで響いているようだった。 頬に触れる手がついと滑って顎を捉える。 「口付けは」 彼の瞳がすぐ近くで微笑んだ。 「そんなに力んでするものじゃないよ。――力を抜いて」 やわらかい唇が彼女の唇を捕らえた。そのまま幾度も触れ合う。 「大人の口付けの仕方は、知っている? 口を少し開いて」 親指の先が唇をなぞる。唇の中央に来ると、その爪先が彼女の唇を割り開いた。 「・・・委ねて・・・」 そのまま再度唇が重なる。彼女は、はじめて侵入される感覚に慄いた。 口腔の中で、入ってきた舌が動くたびに、頭の芯が痺れる。うねり、誘い、掻き回される。 身体の力はじきに入らなくなって、背中が床の敷物に触れた。 「声は聞きたいけど、抑えて。誰かに聞かれたら、後で面倒だ。秘め事は、そっと・・・ね。」 ロランは窓を静かに閉めながら囁いた。声とはなんだろう? 彼の手が横たわる自分の帯に触れた。慣れた手つきでするりと解き、合わせ襟を開く。 「――あぁ・・・っ・・・」 声の意味はすぐに知れた。