女の子が露出する小説 その3

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50ぷーるとぱんつ4/10 ◆DppZDahiPc
 その時に理由をつけて、机の下に潜り込んで確認すればいいだけだ。
(……よ、よしやるぞ)
 そうと決めていたのに、なかなか行動に移せなかった。
 裕太は給食を食べながら、こそこそと芳乃のほうを盗み見ていた。
 パンツはいていないであろう芳乃は、裕太からすれば涼しい顔で給食を食べている。
 ちゃんと身体を拭かなかったのか、Tシャツが身体に張り付いていて、胸の形があらわに
なっていたが。誰もそのことについて言っていない。
(でも、芳乃さんのパンツでよかったな)
 裕太は芳乃の整った顔立ちを見ながら、そう思った。
 芳乃の母方の祖母はロシア人らしく、芳乃はその血を継いだのか、とても肌が白く、瞳の
色が青みがかっている。
 裕太が思わず見とれていると、芳乃と目があった。
「ん? どうしたの古里くん。わたしの顔、なんかついてる?」
「へっ、ああ、いやっ、なんでもない」
 裕太は驚いてスプーンを取り落としてしまった。
「ちょっと大丈夫?」
 心配そうな芳乃の声へ、裕太はおざなりに答え、ようやくチャンスが来たというように、
スプーンを取るために机の下に潜り込んだ。
 芳乃に勘付かれる前にと、直ぐに真正面にある芳乃の下半身へ目をやると。
「!」
 裕太は予想していながらも、実際見れるとは思っていなかったせいで驚いてしまった。
 無防備に開かれた脚の合間にわずかに見えるスカートの中身。
 だが、どうなっているのかはよく分からなかった。
 直ぐに芳乃が脚を閉じてしまったからだ。
 裕太は「あったあった」と言いながら身体を机の下から出した。
 芳乃の顔がわずかに赤らんでいて、何かいいたげに裕太のほうを見ていたが、裕太は別な
クラスメイトに向って話しかけた。
 
 話しかけながらも頭の中では、どうやって事態を収拾しようかという考えばかりだった。
 
 
***
 
 
 ――見られた。
 芳乃は給食を食べ終えると、女子トイレに篭って、一人頭を抱えていた。
(最悪だ)
 なんで今日に限ってパンツを忘れてしまったんだろう。
 なんで今日に限って古里くんスプーン落としたんだろう。
 なんで、なんで、なんで――
 繰り返される思考の中、芳乃は不意に思い立ったことを実行に移してみることにした。
 手鏡を使って、開いた脚の間からどれくらい見えるのだろう?
 という実験を。
 その結果、見える部分は極僅かだと分かったが。
「……でも、ぱんつはいてないってこと知られちゃったよね」
 芳乃は叫びたくなる衝動をこらえて頭を抱えた。
 相手が悪かった。
 これが女子ならよかった、まだ言い訳とかできるから。
 他の男子だったら単純に嫌だ。
 だが古里雄太という少年に見られてしまったのが、芳乃的には問題だった。
 少年でありながら、どことなく柔らかい少女のような容姿。引っ込み思案っぽくておとな
しそうな性格。やさしい声。
 芳乃の中にある古里裕太少年像は、芳乃がパンツをはいていないことを知っても、それを
誰かに話すことはないだろう。ただ、自分のうちに秘めておくだけで。
 ――それが問題だった。
 芳乃の中で裕太は特別だった。他のクラスメイトたちからは一線を画していた。その感情
のことを芳乃は正確に把握し切れていないが、これが恋なのかもしれないと思っていた。
 その相手との間に、こんな妙な事柄が挟まれるなんて。
 パンツを忘れた自分の間抜けさに腹がたってしょうがなかった。
 芳乃は昼休みが終わることを告げるチャイムが鳴るまでトイレに篭っていた。