魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。
『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
『注意情報・臨時』(暫定)
書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。
リンクは>2
>>1乙なの
2009年も、魔王様は絶好調でSLBぶっ放しまくりなの
>>1さん乙かれ
さて、前スレが埋まりましたが、早速行って大丈夫でしょうか?
結構この辺りの時間って投下多そうだから。
五分待って何もなければ落とします。
8 :
野狗:2009/01/05(月) 22:31:15 ID:sNUonaed
じゃ、行きます。
魔法少女リリカルなのはIrregularS 第十二話です。(全十三話予定)
捏造まみれです。
あぼんはコテで。
レス数19
9 :
野狗:2009/01/05(月) 22:31:53 ID:sNUonaed
1
車椅子に乗せられたセインは呆然と三人を見上げ、そして絶句していた。
セインは、騎士カリムを驚かそうと思ったのだ。そう、単純な、彼女らしい悪戯心で。
だから、わざわざ頼んでまでウーノに車椅子を押してもらっているのだ。
よりによってナンバーズ長姉であるウーノが遊撃隊で出迎えれば、さしものカリムも驚くだろう、そう思ったのだ。
拘置所にいるはずのウーノの身柄についてはエリオが、そして今はティアナが保証してくれる。そもそも、自分が一緒にいるのだから大丈夫だ。
セインは、自分はもうカリムにはそれなりに信用されていると思っている。
「お久しぶりです。シスターシャッハ、騎士カリム」
そう言ってニヤニヤ笑いながら迎えに出た瞬間、セインは絶句した。いや、絶句したのはセインだけではない。ウーノも同じだ。
車椅子はぴたりと止まっている。
絶句した二人に、シャッハは涼しい顔で告げた。
「何を驚いているのですか? 騎士カリムの来訪はあらかじめ伝えてあったはずです。
シスターセイン、貴方は騎士カリムを出迎えに来たのでしょう?」
教会を出てしばらく経つのだが、シャッハやカリムにとっては一度でも教会に所属していたセイン、ディード、
オットーはいつまでもシスターだ、と言うことらしい。
「は、はい」
セインはようやくそれだけを答える。
「それから、はじめまして。ウーノさん。貴方もそうなのでしょう?」
「は、はい」
珍しく言葉が途絶えるウーノ。この状況では、何故自分の名前を知っているのかという疑問は愚かなものだろう。
カリムとシャッハの二人に斜に挟まれるように立っていた男が、そんな二人の反応を見て微笑む。
「ははは。なるほど、わざわざここへやってきた甲斐があったというものだな。まさか、ウーノのそんな顔が見られるなんて」
「な、なんで……」
セインの当惑した口調に、男は首を傾げる。
「娘に会いに来るのに、理由がいるのかい? セイン」
そして男は、セインの車椅子に手を伸ばす。
「さ、ウェンディたちの所に案内してもらえるかな?」
「そんな、車椅子まで!?」
「気にすることはない。私だって、たまには身体を動かしたくなることもある」
「言っておきますが、あまり調子に乗りませんように」
シャッハは、スカリエッティに冷たく釘を刺した。
魔法少女リリカルなのはIrregularS
第十二話
「エースの帰還」
10 :
野狗:2009/01/05(月) 22:32:27 ID:sNUonaed
2
スバルは叫ぶ。
「ごめん! ギン姉! ノーヴェ!」
その瞬間、赤と黒、そして白の閃光が舞い降りる。
「何やってやがる! あきらめてんじゃねぇっ!!」
え? と見上げようとしたスバルの身体を引きずりあげる力。そして、放たれる魔力。
ディバインバスターを真っ向から打ち消し、その余力で地面のコピーを吹き飛ばす砲撃。
「あ……」
目の前に、ギンガとノーヴェが浮いていた。いや、二人の身体は別の二人に抱えられている。
「ヴィータさん……はやてさん……」
そして、スバルは自分の身体を抱える姿を見た。
「遅れてごめん」
「なのはさん!」
「うん。久しぶりだけど、挨拶は後だね。行くよスバル」
「はいっ!」
エースオブエース高町なのは。スバルが最も尊敬し、追い続けている人。そして、未だに管理局最強魔道師の一人と呼ばれる魔道師でもある。
「はやてちゃん、ヴィータちゃん、三人をお願い」
「わかった、任せて。リイン、行くで!」
「ハイです!」
「任せとけ! なのは!」
ユニゾンイン
黒い翼をまとい、はやてはシールドを最大に張り巡らせる。
その後ろで、ヴィータは三人を抱えていた。
「スバル、ありゃいったい何なんだよ」
ヴィータはなのはと合流して各地のフェイクマザーコピーを潰してきた。しかし、ここまでのコピー群を見るのは初めてなのだ。
「なのはさんのコピーです」
「あんなの量産されたら、シャレなんねえぞ」
「そやけどヴィータ、コピーはどこまで行ってもコピーや。本物にはどう足掻いても勝てへん。それをきっちり教えてあげよか」
「へへっ。はやての言うとおりだ」
「でも、数が……」
「ああ? 数で押すだけで勝てるなら、あたしらはいらないだろ?」
「来るで、ヴィータ!」
「おうっ!」
ライナーズとクローラーズの襲撃に、ヴィータはグラーフアイゼンを握り直す。
「とっとと片づけて、シグナムたちと合流だっ!」
11 :
野狗:2009/01/05(月) 22:33:04 ID:sNUonaed
3
ライナーズが、不完全ディープダイバーを解除して一気に数十倍に増える。
一瞬にして空間を覆う敵機。
「剣閃烈火!」
レヴァンティンが燃え上がり、それ自体が巨大の炎の剣と化す。そして、炎の剣がさらにその炎熱を広げながら空間へと叩きつけられた。
火竜一閃
わずか一撃にて大多数を撃墜される一群。残った数機も、ヴィヴィオとフェイトによって個別に撃墜されていく。
「強くなったね、ヴィヴィオ」
「うん。ディエチさんのおかげだよ」
そのディエチは、地上でジュニアに応急処置を受けていた。
ディエチ、ジュニア、シャマル、ヴァイスは、墜落したヘリの残骸を盾とするような形で陣を作っている。
「ディエチさん、これで砲撃戦には参加できますけど、くれぐれも無理はしないでください。接近戦は厳禁ですよ」
「努力する」
「努力じゃなくて、駄目なものは駄目なんです」
「ジュニア……でも、あたし一人が休むわけには」
「僕はもう、誰もいなくなって欲しくないんだ!」
激しい叫びに、ヴァイスの怪我を見ていたシャマルが振り向く。
「ジュニア?」
「僕の力じゃ、ウェンディさんにも、オットーさんにも、トーレさんにも何もできなかった! だからもう……っ! だから、嫌なんだ!」
ディエチは、ジュニアに思い切り引き寄せた。
「……ディエチ……さん?」
「だったら戦ってください。あたしを戦わせてください。あたしはもう、死ぬためには戦わないから。
生きるために、ジュニアを護るために、勝つために戦うから」
ディエチは、引き寄せたジュニアに語りかける。
「そして、諦めないでください。ウェンディたちのこと……」
なすがまま、真っ赤になって抱かれているジュニア。
「あたしは絶対に死なないから。ジュニアが一緒にいてくれる限り、必ず生きるから」
「おい、あれ!」
12 :
野狗:2009/01/05(月) 22:33:39 ID:sNUonaed
4
ヴァイスが示した先、セッテとディードが先を争うようにクローラーズを切り捨てている。そしてその先、こちらに近づいてくる点は……
「ザフィーラ!」
セッテとディードも怪我人を背負ったその姿に気付くと、すぐさま迎えに駆けつける。
とんぼ返りでそのまま陣まで戻った二人の腕の中には、それぞれキャロとチンクが抱かれていた。
「なんて……こった」
二人の惨状に思わず呻くヴァイス。
キャロは苦痛に歪んだ表情のまま意識を失い、両足はあらぬ方向に曲がっている。チンクに至っては、四肢を失っているのだ。
「何をやってる?」
そのチンクを床に安置して静かに尋ねるセッテに、ディエチはようやく自分がジュニアを抱いたままでいることに気付いて慌てて手を離す。
「……ディエチ姉様、この非常時にいったい何をなさっているんですか……」
ディードの冷たい視線に、ディエチは思わず謝った。。
「ご、ごめん……」
ジュニアはチンクの状態を診ると、すぐにディードに向き直った。
「ディードさん、チンクさんの両手足、残った部分を斬ってください」
「なに?」
「中途半端に循環機能が生きていると、不純物が体内に取り込まれる危険があります。キリのいいところで切ってしまった方がいいんです」
「わかりました。場所を指示して」
チンクの制服を脱がせ、足の付け根と両肩に印を付けるジュニア。
「切断口はすぐに処置しますから。我慢してください、チンクさん」
ジュニアは自分のデバイスをセットアップすると、ディードの行動に備える。
一方、シャマルはキャロとルーテシアを手早く診察する。
「どうなんだ? シャマル」
ザフィーラの問いにシャマルは唇を噛みながら首を振った。
13 :
野狗:2009/01/05(月) 22:34:13 ID:sNUonaed
5
「ここでできることは何もないわ。キャロちゃんの足もすぐには無理よ。処置はされているけれど、これはただの痛み止め。
直すための処置じゃないわ。それに飲まされているのはただの薬じゃなくて、魔法効果が込められている。この薬を抜くには専門の施設が必要よ」
「ノーヴェも言っていたが、やはり、こちらの手を煩わすための罠でもあるようだな」
「ザフィーラ!」
「すまん。失言だ」
しかし、ザフィーラの言葉ももっともだった。ヘリという輸送手段を失った今では、怪我人の搬送にあてられた人員の分だけ、
戦闘員が減ることになるのだ。
実際に殺される直前で助けられたチンクを別として、少なくとも、この状況でルーテシアとキャロを生かしておいた意味など敵側にはない。
あるいは、キャロの死によって起きるかも知れないヴォルテールの暴走を恐れたのか。
「どっちにしろ、このまま消耗戦を続ければ不利になるのはこっちよ。なんとかして、大本を叩かないと」
ジュニアが、チンクの処置を終え、ルーテシアとキャロの様子を確認しながら言う。
「クアットロ、ローヴェン、ハーヴェスト。この三人を捕らえれば向こうは指導者を失います。そうなればフェイクマザーの破壊は容易です」
大まかにスバルたちの現況を伝えるザフィーラ。
「……スバルとノーヴェの話では、地下に基地があるらしい。それも、ゆりかごのような内装だという話だ」
ゆりかご。という言葉に一同が反応する。
「まさか、ゆりかごまでコピーが可能だというのですか?」
ディードの問いに、ジュニアが頭を捻る。
「理論的には可能だけど、実際問題としてその価値があるかどうか……。ゆりかごをコピーしたというよりも、
ゆりかごを参考にした新施設だと思った方がいいんじゃないかな」
「新施設? 基地の内装にゆりかごを利用するのか?」
「さあ。しかし、考え込む時間はないようですね」
ディードとセッテは再び空へ向かう構えを取る。ザフィーラも二人に従うように飛ぼうとする。
「ディエチ、ヴァイス、援護射撃を頼むぞ」
「わかってる」
「旦那。精々、お嬢ちゃんたちを助けてやってくれ」
ザフィーラは地を離れる瞬間、ヴァイスにうなずいて見せた。
その表情が微かに変わる。
「シャマル、すぐに地上から離れろ!」
14 :
野狗:2009/01/05(月) 22:34:52 ID:sNUonaed
6
……風?
エリオは、頬を撫でる冷たい風で目を覚ました。
身体を起こして辺りを見回す。
「ここは?」
見覚えのない殺風景な風景。どこまでも続いているような岩肌と、どんよりと曇った、それでいて妙に明るい空。他には何もない。
ローヴェンもいつの間にか消えている。それどころか、ここはさっきまで戦っていた場所ですらない。
何もない世界に、ただ風だけが吹いている。
「ここは、どこなんだ?」
エリオは立ち上がった。その瞬間、目眩のような違和感が全身を覆う。
体が軽い。軽すぎる。
今この瞬間にも、風に吹かれてどこかへ飛ばされそうな感覚だった。
その場で立ちつくし、じっと自分の手を見下ろす。
「なんなんだ、これは……」
またも違和感が。
エリオは自分の身体を見下ろした。
腕。足。腰。胸。
違う。これは違う。自分ではない。
いや、自分だ。しかし……
これはあの頃の……、六課にいた頃の自分ではないか。
「なんで……」
女の子の声が聞こえる。
「フェイトさん!」
忘れるわけがない、これはキャロの声。
15 :
野狗:2009/01/05(月) 22:35:24 ID:sNUonaed
7
「どうしたの、キャロ?」
「これから、どこへ行くんですか?」
いつの間にか、目の前に二人が立っていた。
エリオには気付かないように仲良く話している二人は、紛れもなくキャロとフェイト。しかも、二人ともが六課の頃の姿だ。
「これから行くのは、機動六課。新しいお仕事の場所なんだよ」
「私も行くんですか?」
「うん。新しいお家ではキャロも一緒に暮らすんだよ。私がお仕事に行っている間は、お留守番よろしくね」
しかし、二人の会話は記憶とは違う。そんな事実はなかったはずだ。キャロはたった一人で六課へ来て、そしてエリオと出会ったのだから。
フェイトと暮らしていた過去などない。
「フェイトさんと二人だけのお家なんですね」
「寂しい? でもきっと、なのはやはやてはすぐに仲良くしてくれるよ。寂しいのは最初だけだよ。それに、フリードもいるんだし」
「あの、前にお話を聞いたエリ…」
「やめて」
キャロの言葉をフェイトが押しとどめる。それは、エリオが初めて見る、あまりにも冷酷なフェイトの表情だった。
「その名前は出さないで、キャロ。思い出したくないの。そもそもあの偽者はそんな名前じゃないもの。
可哀想な亡くなった子供の名前を、アイツが盗んでいたのよ」
「え……」
「罪もない子供の命と名前を盗み、私の遺伝子を盗んで生まれた、プロジェクトFの末裔。滅ぼされても仕方のない存在……」
「フェイトさん……まさか……」
立ち止まるフェイト。
その手には、いつの間にかバルディッシュがハーケンフォームで握られている。まさに、死神の鎌が。
「うん。だからね、私が偽者を滅ぼしたんだ」
フェイトの瞳に映る自分の姿をエリオは見た。
「……フェイト……さん」
「まだいたんだ。しつこいね」
振り下ろされるバルディッシュに切り裂かれる己の肉体を、エリオは感じていた。
16 :
野狗:2009/01/05(月) 22:35:59 ID:sNUonaed
8
「騙したんだ!」
キャロが叫んでいた。
いつの間にか大人になったキャロが、切り裂かれたエリオを糾弾するかのように指さし、叫んでいた。
「貴方だけが、本当のフェイトさんの子供だった! 私を騙して、フェイトさんを騙して!」
「キャロ……」
エリオは手を伸ばす。
その手に突き立てられるナイフ。
横に立っていたルーテシアが、二本目のナイフを構えていた。
「私には、お母さんがいる。貴方とは違う。実のお母さんすら騙した貴方とは違う」
「君が、僕を殺したんだ」
エリオがいた。本物のエリオ・モンディアルが、切り裂かれ地に落ちたエリオを見下ろしていた。
「ちが……う……」
騙したかったわけじゃない。
殺したかったわけじゃない。
……違う
フェイトさん。キャロ、ルーテシア、そして……エリオ。
……違う。違うんだ、話を聞いてくれ……
エリオの訴えは言葉にならない。
言葉を届けられることもなく、再びエリオは一人になった。切り裂かれ、身動きすらできない身体は地に放られ、ただ朽ちていく。
……違う。
声にならない。
……違う。
それでもエリオは叫ぼうとする。
「つーかさ、お前さん、何がしたいんだよ」
どこかで聞いたような、しかし聞き覚えのない声が聞こえた。
17 :
野狗:2009/01/05(月) 22:36:35 ID:sNUonaed
9
アクセルシューターの誘導弾が次々とコピーをぶち抜いていく。
続けて、上空からのショートバスターの連発。
「……くっ」
しかしコピーの数は一向に減らないどころか、逆にその数を増している。
「なのはちゃん、このままやったらキリがあらへんよ。消耗戦になったら、お客さんのこっちが不利や」
「うん。だけど……」
はやてとの短い会話の中でも、次々と生まれるコピーたち。砲撃特化のためか、現れるのは全て、なのはのコピーだ。
「はやてちゃん、広域効果魔法で一気に頼める?」
「あたしも時間を稼ぎます」
スバルがはやての横に並ぶために展開させていたウィングロードを伸ばし始める。
「あたしも、もう行けるぞ」
意識を取り戻していたノーヴェが横に並んだ。
「無理したらあかん……て、言える状況や無いな」
「無理は承知です」
スバルとノーヴェは腕を合わせる。
「ノーヴェ、メビウスシュートで地表すれすれに走って、コピー連中を削る。行けるね?」
「おめえにできて、あたしにできないことがあるわけないだろ」
「そうだった」
拳を打ち付け、スバルが走り出す。そしてノーヴェも。
「行くよ、表裏一体!」
「メビウスシュート!」
螺旋の力場が二人を運び、そこへ迫り来るライナーズを撃ち落とすのはシュワルベフリーゲン。
「あたしのことを忘れてんじゃねえぞ!」
叫ぶヴィータのグラーフアイゼンがギガントフォルムに変わる。そしてそのまま地に向けて振り下ろされる鉄の伯爵。
「受けろッ!」
GIGANT HAMMER
18 :
野狗:2009/01/05(月) 22:37:18 ID:sNUonaed
10
ノーヴェとスバルが通り過ぎてから、生まれるコピー群の頭上に叩きつけられる大打撃。地を震わせる打撃に、さすがのコピー速度も鈍った。
その間隙に、はやての呪文の詠唱が終わる。周囲に発生していた四個の立方体が、それぞれの魔力を高め、
「仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ。来よ、氷結の息吹」
ATEM DES EISES
着弾とともにたちまち凍り始める地表。凍った地面ではさすがにコピーの動きも止まる。
広がる白銀。
「……やったか?」
「はやてっ!」
悲鳴のようなヴィータの叫びに、はやてとなのははその示す方向を見る。
「な……なんなの……」
「なんやて……」
氷結した地の向こう。いや、氷結よりも速いスピードで広がっていくそれは、紛れもないコピー群。
コピーによって埋められる地は、島全体に広がろうとしていた。
そして、そこに見える大きな輝き。
「はやてちゃん、ヴィータちゃん、避けて!」
見えたもの自体への警戒心よりも、なのはの緊迫した口調に二人は慌てて回避行動を取る。
その空間ごと削ぎ取るように、空気を貫いて通過する一条の魔力。
「今の……」
「スターライト……ブレイカー……」
「なのはさん!」
凍った地表で、スバルとノーヴェが何かを囲んでいる。
当面の攻撃の心配はないため、三人はギンガを連れたまま地表に降りる。
「見てください、コピーたちを」
死んだ、いや、溶けていくコピー群。
「……ジュニアから聞いた。コピーのスターライトブレイカーは、オリジナルのものとは違う。
生きている者からリンカーコア魔力やテンプレート魔力を強引に奪い、命すら奪って魔力を集束するって」
19 :
野狗:2009/01/05(月) 22:37:58 ID:sNUonaed
11
ノーヴェが言うと、スバルは何かに気付いたようにハーヴェストがいた場所を見る。
その身体は、半分溶けていた。
「……ハーヴェストまで?」
ハーヴェストは、自分を見ているスバルに気付くとにたりと笑った。
「は……は……私など、いくらでも……コピーで……きる。私の命……が、クアットロ……様のた……めになるのなら……私は……」
がくりと肩が落ち、ハーヴェストは空を見上げるように崩れ落ちる。
「……クアットロ様のた……め………………………………嫌! 死にた……くない助……けて……スバル、ノー……ヴェ姉様、
誰か……降伏する……死に……たくない」
ノーヴェは拳を固め、虚ろになりつつあるハーヴェストの目前に突きつけていた。
「ふざけるな! お前がオットーを、トーレを殺したんだろうが! チンク姉をあんな風に……」
「助け……て……死……にた……くない……苦し……いの……痛い……」
「ふざけんじゃねえよっ!」
数歩下がり、ガンナックルを構える。
「てめぇは……てめえはっ!!」
動きかけたスバルを止めるなのは。何か言いたげなスバルに首を振るはやてとヴィータ。
「どっちにしろ、あそこまでいったら、もう誰にも助けられへんよ。たとえ、ジュニアでも」
「死……ニた……ク……なイ……いタイ……」
ハーヴェストの目には紛れもない恐怖と苦痛の色。
「おネ……ガ……い、助……ケて……苦シい……ノーヴェ……ねエサマ……痛イよ……」
「う、うぁあああああああっ!!!」
地面にたった一つ残った拳を叩きつけるノーヴェ。
「畜生! 畜生!! ちくしょぉぉおおっ!!!」
やおら立ち上がり、スバルの肩を掴む。
「頼む……スバル。振動破砕で一気に、苦しまないように、やっちまってくれ」
ノーヴェは俯いた顔を上げようともしない。
「あいつも……ナンバーズ……あたしの妹なんだ……せめて、最期くらいは」
スバルはうなずいた。
20 :
野狗:2009/01/05(月) 22:38:32 ID:sNUonaed
12
シャマルは辺りの様子に気付くと咄嗟にジュニアを抱き上げた。
地上には、コピーなのはが次々と生まれてきている。ザフィーラの説明と全く同じ現象だ。ならば、次に来るのはディバインバスターの乱射だ。
「シャマルさん、僕より、チンクさんたちを!」
新たに生まれ、地表に蠢くコピー群。そして同時に、力を失い落下していくコピー戦闘機人。
それが幸か不幸か、その隙にシグナムたちも含めた全員が一旦集まることができた。
しかし、自力で飛ぶことができるのはシグナム、フェイト、ザフィーラ、シャマル、セッテ、ディード、ヴィヴィオの七人。
飛ぶことができないのは怪我人のルーテシア、キャロ、チンク、そしてジュニアとディエチ、ヴァイスの六人である。
地上に残れば助からないだろうというのが全員の一致した見解だ。シールドを最大限にすればしばらくは保つだろうが、
そんなものは時間の問題に過ぎない。
「私とルーテシア、キャロは残していけ」
意識を回復していたチンクが告げる。
「馬鹿なことを言わないで」
フェイトの言葉を無視して、チンクはセッテとディードに告げた。
「ジュニアとディエチ、ヴァイスは戦力になるが、我々は単なる足手まといだ。議論の余地はない。我々を捨てていけ。これは姉からの命令だ」
「ジェイル・スカリエッティ・ジュニアの名において、その命令は却下だ」
ジュニアがチンクの前に立つ。
「そんなことをすれば、僕たちとクアットロやローヴェンに何の違いがあります? 似たもの同士の争いですか、これは?」
「しかしジュニア、考えてください。他に手があるのなら、私だってそれを選びたい」
「駄目です」
「ヴォルケンリッターの将として、ザフィーラとシャマルの分まで言わせてもらうが……」
シグナムがジュニアの肩を叩く。
「我ら全員が飛ぶか、我ら全員が残るか。二つに一つだ」
「言い出したら聞かないんだろうな」
「あまりお前と話したことはないが、よくわかっているようだな」
「ふん、トーレにそっくりだ」
「前に、ディードにも同じ事を言われたな」
「だが、代案がなければ自己満足に過ぎないぞ」
「それはわかっている」
何かをデバイスで計算していたジュニアが、ディエチとシャマルに声をかける。
「こうなったら、切り札を使いましょう。あれならコピーを一掃、おそらくは地下にあるフェイクマザーまでダメージを通せるかも知れません」
全員がジュニアを見た。
21 :
野狗:2009/01/05(月) 22:39:07 ID:sNUonaed
13
「ヴィヴィオにも手伝ってもらえるかな?」
「いいけど……何を?」
「ヴィヴィオは、スターライトブレイカーが撃てるの?」
「え?」
ジュニアは一同を見渡した。
「シャマルさんのレアスキル旅の鏡を利用した広範囲集束による、ディエチさんの戦闘機人式スターライトブレイカー。それが僕たちの切り札です」
「それじゃあ……」
「うん。可能なら、ヴィヴィオには従来の方法でスターライトブレイカーを撃ってもらう。二段構えの砲撃だ」
「でも、砲撃シークエンスが間に合うの?」
「間に合うのか、ではない」
ザフィーラがヴィヴィオの頭を撫でた。六課の頃とは逆に。
「間に合わせるのだ。お前ならできる」
そして、騎士甲冑の籠手の位置を直した。
「ヴィヴィオとシャマルは、ディエチとジュニアを抱えて飛べ。我らは砲撃までの時間を稼ぐ」
コピーの呻きが周囲に満ちあふれる。
フェイトはディフェンサープラスを地上に残る四人の周りに張った。
「長くは保たないかも知れないけれど、チンクとルーテシア、キャロをお願い」
ヴァイスが親指を立てる。
「任せてください」
「……こうとわかっていれば、ユーノを引っ張ってくれば良かったかな」
ユーノは、クロノと一緒に管理局への働きかけを行っているはずだった。無限書庫司書長としてのユーノの政治力は、
今ではクロノ以上のものがあるのだ。
「後悔しても始まらん。持てる力で勝負するしかあるまい。行くぞ、テスタロッサ」
シグナムがレヴァンティンを抜いた。セッテとディードもそれぞれの固有武装を手に取る。
「はい」
「ちょっと待つッスよ!」
いきなりの声に、チンクの目が見開かれる。
ディードが愕然と振り向いた。
「……ウェンディ!?」
22 :
野狗:2009/01/05(月) 22:39:41 ID:sNUonaed
14
ウェンディは大きな欠伸をした。退屈だ。何もすることがない。
いや、それ以前に自分はいったいここで何をしているのか。
いや、ここはどこなのか。
ただ、白い空間がどこまでも広がっている。
「ウェンディ」
呼ばれて振り向くと、驚いたことに次女がいる。
「ドゥーエ姉?」
「あら。会ったこともないのに覚えてくれているの?」
「クア姉のところに写真があったッス。あれ? ドゥーエ姉がいるってことは……」
「私もいるぞ」
「僕もいるよ、ウェンディ」
「トーレ姉に、オットーまで」
ウェンディは複雑な顔で苦笑する。わかってしまった。
突然、記憶が戻ったのだ。ガリューとともに、コピーなのはのSLBを阻止した記憶が。
ということは、向こうの方に微かに見えているのはガリューなのだろうか。こちらが姉妹ばかりだから遠慮しているのだろうか。
「あいつら、そんなに強かったんスね」
しかし他の姉妹の姿はない。完璧な負け戦ではないのだろう。それだけでも、自分がここに来た価値はあった、とウェンディは誇らしく思う。
「お前と一緒にするな。私とオットーはコピーごときには負けん」
「う。ひどいッス、トーレ姉」
「だったら、次は上手くやるんだな」
いいながら、トーレはドゥーエの横に並んだ。
「お前とオットーには次がある。だから、うまくやれといっているんだ」
「トーレ姉は……」
「私は、もういいんだ。伝えるべきことは全てセッテに伝えた」
「でも」
「それに、ドゥーエ一人にクアットロの面倒を押しつけるのも可哀想だしな」
トーレは笑った。
「ああ、一つだけ。ウーノにはゆっくり来いと伝えてくれ。あいつがこっちに来るときは、ドクターと一緒でないと許さんとな」
薄れていく周りの景色。ウェンディはトーレに向かって手を伸ばす。その自分の手も透けていくのが見えた。
「トーレ姉! ドゥーエ姉!」
去り際に二人が振り向いた。
写真でしか見たことのない顔。訓練の厳しい表情しか見ていない顔。
二つの顔が、優しく笑っていた。
23 :
野狗:2009/01/05(月) 22:40:23 ID:sNUonaed
15
「……ウェンディ!?」
ディードたちの視線の先には、意志ある者のように宙に浮かぶ8体のドーターズ。そして、ジュニアが脇に置いたはずのライディングボード。
一体のドーターズには、送受信機とスピーカーが据え付けられている。どうやら、ドーターズだけでこの世界へ飛ばされてきたらしい。
「ただいまッス! まだ身体は不完全ッスけど、ドーターズを操るには問題ないッスよ」
「どうして……」
「キャロとルーテシアとチンク姉はボードに乗せて、後の人はドーターズを使って飛ぶッス」
元々、ドーターズは飛行不可のナンバーズが飛行できるように設計されていたものだ。いわば、これが本来の使い方になる。
「それから、ジュニアに話があるみたいッス」
「話? 誰が?」
「替わるッス
「……ウェンディの身体の再生に時間がかかるのはわかる。しかし、脳に損傷がない者の意識を呼び覚ますこともできずに、
私の後裔を名乗るかね、未熟者。オットーに至っては、フレームが無事じゃないかね。
単なる心停止をこうも容易く死に結びつけるとは、本当に私の知識を受け継いでいるのか疑わしいものだ」
ジュニアとディードはそれぞれ別の意味で絶句した。
スカリエッティの声が、すぐにティアナの声に替わる。
「エリオ、スバル、いる? スカリエッティは騎士カリムとシスターシャッハが身柄を確保しているから安心してね!
好きなことはさせないようにちゃんと見張ってるから!」
「えーと、よろしく頼むね、ティアナ」
「フェイトさん!? いたんですか!」
「ドクター! トーレは!」
セッテが送受信機にぶつかりかねない勢いで話しかける。
「セッテ……すまない」
「いえ」
セッテはうなずいた。
「トーレの意志を私は継ぎます」
セッテの肩に手を置くディード。セッテはその手を振り払うこともなく、顔を上げた。
「心配はいらない」
「セッテ、貴方がナンバーズの実戦リーダーよ。トーレの意志を継ぐのなら、そうなってもらわなければ困るわ」
「そうだな」
チンクが横からうなずく。
「経験不足は周りの者がいくらでも補える。ここの隊長を見ていればわかることだ」
シグナムが笑った。
「なるほど。エリオも反面教師にはなれるか」
24 :
野狗:2009/01/05(月) 22:40:56 ID:sNUonaed
16
「つーかさ、お前さん、何がしたいんだよ」
どこかで聞いたような、しかし聞き覚えのない声が聞こえた。
「……なんだと?」
辛うじて、声が出る。
「半端な男だな」
誰だかわからない。しかし青年らしき口調は確実にエリオの神経を逆撫でしている。
「まったく、情けねえよな。大の男が。初恋の人が母親だったって、それがどうしたっての」
「お前!」
大声が出た。そして、身体が起きあがる。
「んだよ、起きられるじゃねえか」
エリオは自分の身体を見た。いつの間にか現在の自分の姿に戻っている。
「フェイトだっけ? 母親のように思ってたんだろ? それが実際の母親だった。何がまずいんだ?」
「誰だ、お前」
「てめえの半端さ加減にど迷惑してるもんだよ」
「なんだって?」
細身の青年が傷だらけの迫力ある顔でエリオを睨みつけていた。細身と言っても、痩せているというよりも引き締まったという雰囲気だ。
「お前さんがフェイトの遺伝子的な子供だとして、誰がどう困るんだ?」
「それは……」
エリオは言葉を出せなかった。確かに、ショックな出来事だった。それは間違いない。しかし……
「その程度で落ち込んでる場合か? お前の親が誰であろうと、お前に何の関係がある?」
「俺の親は……」
「捨てられた身だろ」
身体が竦む。未だにこの言葉を聞く度に身が竦むのを覚えるのだ。
「お前のやりたいことってのは、親を捜すことなのか?」
「違う」
「フェイトって人に認められたいから、デバイス担いで戦ってるのか?」
「違う! いや、昔はそうだった。六課に入ってすぐの頃はそうだったかも知れない」
25 :
野狗:2009/01/05(月) 22:41:30 ID:sNUonaed
17
だが、違う。いつの間にか、エリオは目的を変えていた。
キャロのため、ルーテシアのため。
そして今は……
キャロのため? 違う。
ルーテシアのため? 違う。
何のため?
「言葉を恐れるな。誤解されてもいいじゃねえか。言いたいやつにいは言わせておけ。お前さん、何のために戦うんだよ」
「……護るため」
「え?」
「護るためだ」
「何を? 管理局を護るのか?」
どうでもいい。場所などどうでもいい。
護るモノがある。いや、護りたいモノがある。
「俺は護りたい。形は変わっても、言葉は替わっても、人を護りたい。護るべきモノがあるなら、それを護りたい!」
「だったら、お前のやることってなんだよ」
ローヴェンを倒す。
いや、違う。
護ること。己の道を。
貫き通すこと、己の意志を。
青年は大袈裟な、わざとらしい溜息をつく。
「気付くの、遅すぎるんじゃねえか? 苦労するぜ、まったく」
そして、エリオも気付いた。
「すまん。遅かった」
「そうだ。遅かった」
「それでも、俺についてきてくれるか?」
「んなこと聞くなよ。当たり前だろ。俺はそのために生まれたんだぜ?」
「ありがとう」
「礼より先に、やることがあるだろ」
エリオは立ち上がる。
何も持たない手を掲げ、そして叫んだ。
「来い! ストラーダ!」
青年は拳をあげて応える。
「Jawohl!」
26 :
野狗:2009/01/05(月) 22:42:11 ID:sNUonaed
18
エリオは目を開いた。
二つのデバイスを構えたローヴェンが肉薄している。
その切っ先が胸元に触れる寸前、エリオは自ら飛んできたストラーダをつかみ取る。
ストラーダがローヴェンのデバイスを弾いた。
「ローヴェン!」
「今更、足掻くなよ。みっともない」
「足掻くさ! 何度でも!」
27 :
野狗:2009/01/05(月) 22:42:48 ID:sNUonaed
19
次回予告
ジュニア「今、一つの戦いが終わろうとしている。たった一つの戦いが。
それがどんな戦いであろうと、それは最後の戦いなんかじゃない。
戦いを永遠に止めることなんて、僕たちにはできないのかも知れない。
だけど、それを止めようとする意志がある限り、僕たちは進み続ける。
次回、魔法少女リリカルなのはIrregularS 第十三話、最終回『世界の中心で』 IRREGULARS ASSEMBLE!」
28 :
野狗:2009/01/05(月) 22:43:22 ID:sNUonaed
以上、お粗末様でした。
次回最終回、できるだけ早くやりたいと思ってます。
投下乙!
前スレ埋めの人も乙でした!
>>28 GJ!これはきれいなドゥーエw
伝法なストラーダかっけえ
>>28 GJ
あー、ストラっちんか
そもそも、Asの時点で「ヴォルケン仲間ww人多ぐるww話作るのに使いこなせねぇww」と思ってた俺にとって、今まででも多彩にキャラを操ってすごいのに、一幕だけであれまだキャラ増えてなおカッコウイイってなんなの? 死ぬの? 次で終わるの? 楽しみにしてる
>>28 ジェイルktkr!!
これでかつる!!技術的にも!!
最終回裸で待ってます!!
>>28 GJ
これだけのキャラを出して、見事に動かすとは
次回最終回、楽しみにしています。
GJ!!
何故かSの心が出て、ノーヴェが姉を殺された恨みを言うのを見て、
あんたの姉は同じことを他人にやったんだぜ?って言いたくなってしまった。
クアットロとローヴェンはどうなるのかも気になります。
TVのシロッコのように相手に爪後を残せるか?w
GJ!!
エリオがかっけえっ!
ウェンディの復活も良かったが、一気に引き込まれた
愛するキャロ・ルーを護るだけでなく、含めて全てを護る漢ならこうこなくては
>>28 GJ
ストラーダがかっこよすぎる件。
前話終了時には心折られそうな上に相手と実力も段違いでエリオどう立ち直るんだろ?
キャロかルーで立ち直るのかな?と予測していただけにこう来るとは。
37 :
タピオカ:2009/01/06(火) 03:17:20 ID:LvtIsmuc
おじゃまします
注意事項
・戦闘ものでドカーン!バキーン!ガシャーン!とやりたいのです
・エロいはずがない
・本編終了して約1年ぐらいたってます
・敵組織オリジナルキャラクターで纏めちゃったので大量に厨二病が香るオリジナルのキャラクターをお届けします
・あまつさえオリジナルのロストロギアまで拵える始末なので、酷い捏造をお約束します
第七話「Red Step」
地下2階。
ギンガ、ティアナ、カウンターが潜り込んだセブン・アークス湾岸研究所の廊下は不気味なほど静かだった。
天井も高くたっぷりと幅もあるが、窓が見当たらない薄暗い廊下はどこまでも続きそうな錯覚を覚えてしまう。
ヴェロッサの言によれば地下3階にジュエルシードがあるらしく、鬱々と先が闇の通路をまだ走らねばならない。
「広い…」
「しかも長くて気が滅入るわね」
いくつかの分岐もあるが、そこは先頭を走る深緑の猟犬のおかげで最短ルートだ。
もっと違う道筋もあるが、無論、遠回りになるだろう。
ひとつ、角を曲がる。
そこで3人と1匹が足を止めた。
14部隊の十名近く倒れている。
ギンガが倒れる人員の状況を確認、ティアナがトゥーハンドを構えて周辺を警戒。
「意識がないわ。これは毒……かしら?」
ギンガが即座に立ちあがるが、一旦その進行を止めた。
猟犬が前方へ牙をむいて威嚇の体制なのだ―――誰か、いる。
こつりと闇の向こうから足音がした。
「時空管理局です、止まりなさい」
「止まらなければ?」
「撃つ」
蜜のようにとろりと甘やかな声色とともに、薄暗い照明に玲瓏たる白い面が覗く。
夢のような美女であった。
長く艶やかな黒髪、切れ長の黒い双眸がその新雪のような肌に実に映える。
ゆったりと長い四肢を纏う典雅な装いで、口元を隠してからクスリと笑った。
「まぁ、恐い」
止まった。
そこでようやく、その女の背後、付き添うようにアギトのレプリカがたたずんでいるのを認める。
「アギトのレプリカ……」
「レプリカ? 確かに、そうですけれど…ゲルヒルデ、と名づけておりますわ」
「それで、そう言うあなたは?」
「カグヤ、と申します」
「それではカグヤさん、すぐに投降して、ロストロギア及び違法物品の場所を教えなさい」
絵に描いたような大和撫子の微笑みで、カグヤがその袖を翻す。
「お断りいたします」
カグヤの片手がゲルヒルデと手をつなぎ、片手がクロスミラージュの銃口へとかざされる―――その手には、鉢。
一拍遅れてティアナがトリガー。
「ゲルヒルデ、体の管理を任せますよ」
アギト・レプリカの姿形がカグヤに溶け消えた……まるで、ユニゾンのようだが特有の外見変化がカグヤに見当たらない。
しかし分かる、威圧感が増した。
オレンジの弾丸が、見すぼらしい鉢の凹に触れ、
「仏の御石の鉢=v
厳かな発光。
瞬間、ティアナの弾丸が180度進路を変えて戻ってくる。
「うわ!?」
実に正確に再度トリガーを引けば、オレンジの弾丸が相殺、カグヤとティアナの中間で爆ぜて消えた。
「竜の首の玉=\――赤竜的呼気!」
優雅な仕草で、カグヤが首にかけた連なる五つの宝珠のひとつを指ではじく。
それが赤く、淡やかに灯れば、
「ふッ」
軽い吐息がカグヤから洩れた。
「!?」
途端、それが灼熱の業火と化して3人へと荒れ狂う。
いや、3人で済む問題ではない。倒れ伏す14部隊の隊員もまきこむ火炎だ!
「ドラゴンブレス!?」
「熱ッ!」
3人がフルパワーで防御魔法陣を重ねてその真っ赤な景色をせき止める。
通路をさんざんに踊って、目に痛む灼熱感がようやくおさまれば熱に揺らめく空気の向こう、カグヤがもうひとつ吐息をもらしていた所だ。
「竜の首の玉=\――青竜的呼気!」
ブリッツキャリバーが猛回転、主の思うさまに駆ける。
ギンガは見たのだ。
カグヤが吐息を洩らし、一寸の間は炎にならないのを。その間は、カグヤを焼かない為の間であり、自分たちが付け入る隙でもある。
「ふッ」
ドラゴンブレスが形になる、その間へとギンガが飛び込んでいく。
「ふふ、元気がよろしいのは結構ですが、毒です…………………………………………わ゛?」
カウンターが、とっさにティアナを吐息の進路からかばったが、ギンガは退かない。
体内に吸収される毒物を、機械の体が処理するのを感じながら不敵に笑った。
「私、そう言うの効かない体質なんです」
「きゃあ」
高速回転するリボルバーナックルが持ち上がれば、初めてカグヤが焦りに柳眉を逆立てる。
素人の身のこなしで後退しながら、眼をつぶって顔を両手で覆う様など、本当に打つ手ないようだ。
「リボルバー…」
「赤い靴=I」
<all right>
カグヤとギンガに割って入る赤い軌跡。
無機質な機械音声と、カートリッジがロードされる音が重なった。
「やああ!!」
逆立ちながら、その片足―――赤い義足のデバイスでギンガのリボルバーナックルを受け止める。
振り抜き切っていなかったギンガの拳に対して、赤い靴≠フ一撃は蹴りとして最高のしなりを得ていた。
勝負は、
「くぅッ!?」
ギンガが競り負ける。
押し負けた勢いを利用してやや後退。
カーレンもそれを追わなかった……いや、追えないのだ。
実はカグヤの散布した毒に、下半身こそ義足だが上半身が生身のカーレンでは飛びこめないのだ。
「カーレン…シュヴェルトラウテ…有難う」
カートリッジが吐き出され、ふくらはぎに相当する部分から魔力の残滓が排気されるのを見てカグヤが心底安堵する。
死んでいない換気の機能が作動する中で、さらに高温分解が可能な毒の一掃を踏まえて、カグヤが今一度吐息を零した。
「竜の首の玉=\――赤竜的呼気!」
業火の出現に、再び三重の防御を張りながら、ティアナが声を荒げた。
「ここ、任せる!」
ごうごうと燃え上がる炎に、カグヤとカーレンにまでその声は届かなかっただろう。
やがて、炎がおさまればティアナが倒れ伏していた。
「わー、なんてことだー! ティアナさんがー! やられてしまったー!」
(……大根)
ギンガがずっこけそうになる横で、カウンターが大仰に嘆いて見せながら、
「よくも!!」
電光纏って加速した。
カーレンの下半身に電撃を浴びせれば一発で沈黙させられる自信がある。
「ISフェイト!!」
「竜の首の玉=\――黄竜的呼気!」
跳躍と共にカウンターがその両手を広げれば、カグヤの首飾りのひとつが黄色に煌めいた。
カッと、雷電が縦横にほとばしれば、電磁ネットが逃げる間もないカグヤとカーレンを飲み込んだ……はずだった。
「あぁ、恐ろしい…」
しかしカウンターが見たのは、綺麗にカグヤとカーレンのみを避けて通路を焦がしただけに終わる自分の電撃。
電気が彼女たちを避けたようにしか見えないが―――実際に、その通りだ。
ほぼ大地と同等の絶縁状態を造り出せるカグヤのブレスは、電撃そのものを完全にカットするカーテンを作る事ができる。
信じられない物を見るように飛び出してくる赤い靴≠凝視するが、それで止まってくれるわけもない。
あっけなく吹っ飛ばされ、転がって咳き込みながら両手両足で踏ん張り、不格好な体勢のまま、
「フォトンランサー!」
ISではなく父から受け継いだ魔法を発動。
「仏の御石の鉢=v
しかし直線的すぎるその軌道をカグヤが正確に読み取り、手の中の鉢の凹に収めれば、自分自身にそっくり返ってくる。
ティアナのように相殺を狙うには速度に特化しすぎたその光子の槍を、カウンターはモロに喰らってまたさらに吹っ飛んだ。
「きゃん!」
「ほーっほっほっほっほっ、未熟ですこと!」
「クッ…分が悪いわ」
カグヤに完全に封殺されるカウンターを横目に、ギンガも苦しげに呻く。
稲妻じみた赤い蹴りが、顔面めがけて迫ってくるのだ。
姿勢を沈めてやり過ごしても、機械の義足は強引にその軌道を修正してかかと落としと化してしまう。
反則としか思えないほどの動き方だ。
このかかと落としを横っ跳びで避けても―――
「うわ!?」
間接に順逆のない赤い靴≠ヘ、気味の悪い方向に膝を折って追撃してくる。
変幻自在のその蹴りを、ギンガがどうにか受け止めた。
しかもあれだけ蹴りの方向を変えたのにもかかわらず、とてつもなく重い。
受け止められ、防壁と拮抗している瞬間にもカートリッジをロードしているのだから、さらに重みが増していく。
「ぐぅ!!」
そしてついに、赤い靴≠フ一撃にギンガの防御が破られる。
後退しつつもブリッツキャリバーの絶妙な補助のもと、どうにか転ばずに構えられた。
その横に、カウンターが並ぶ。
「軸足は刈れないんですか?」
「一回、リボルバーナックルで叩いた。へし折るつもりで……でも、すっごく硬い」
派手に空のカートリッジをまき散らしてから、赤い靴≠フ排気ダクトから圧縮された魔力の残滓が漏れ出していく。
余裕ありげなカグヤと、スタミナに難があるカーレンは呼吸を少し乱しているが、しっかりと敵を見据えたまま。
………彼女たちはまだ、先ほど一緒にいたはずの深緑の猟犬が消えているのに気づいていない。
◇
深緑の猟犬の導きのもと、ティアナが地下3階へと降り立つ。
さらに奥へ奥へと進みながら、上に残してきたフェイクシルエットがどれだけ持つか頭の中でカウント。
もちろん、敵に見破られる事もあり得るが、カグヤは戦闘経験が浅く感じられる。
新たに出てきたカーレンも、ギンガが相手をすれば、おそらく時間ぎりぎりまで騙しおおせるだろう。
「っと、ここね」
320。
地下3階の最奥だ。
すでにヴェロッサによってセキュリティが外されたその扉は、簡単に開くだろうが……ティアナが躊躇する。
深緑の猟犬が、扉の向こう側に唸りを上げてるのだ。
「……」
意を決して、クロスミラージュを掲げて部屋へ足を踏み入れる。
中は、広く、閑散としたもの。
一応、研究スペースとしての体裁は成しており、ちらほらと機材の類が転がっている。
いた。
部屋の片隅、ケースを手にする異国の僧衣を身につけた、坊主頭の浅黒い痩身痩躯。
その名はゴジョー。
「管理局です。そのケースを放して手を挙げなさい」
「おや…カグヤさんとカーレンさんは?」
ケースを実に素直に床に置いてからゴジョーが諸手を上げる。
「上で仲間が足止めしてるわ」
「では、無事ではあるんですね?」
「知らないわよ」
「……カーレンさんの足、大丈夫ですよね…?」
「知らないって言ってるでしょ!」
えらく馴れ馴れしく質問を重ねるゴジョーを、ケースから数歩退くようにジェスチャー。
壁際まで行かせれば、ティアナが部屋の隅々まで警戒しながら歩みよる。
部屋の中はさっぱりしてはいるが、いくつかの死角はあり、例えばアギトのレプリカなど隠れ潜む場所はいくらでもありそうだ。
深緑の猟犬も部屋の内部を巡回しているが、隅々までを把握するのは難しかろう。
狙点はぴくりともゴジョーから離さず、ティアナが片手でケースを開けた。
「ジュエルシード…」
それも3つ、ケースの中に鎮座している。
即座、それを閉めて立ち上がれば―――
深緑の猟犬がティアナを押し倒す。
「きゃ」
それに続いて、ティアナを焦がそうと飛来した炎が通過、何に使うかよく分からない機材にぶつかって弾ける。
しっかりとケースを握り締めながら、床に倒れるティアナは赤い妖精の姿を見た。
「流石ですよ、オルトリンデ」
「アギトのレプリカ!? いったいいくついるのよ!?」
「この研究施設にいる数でしたら、四騎になりますな」
律儀に返事するゴジョーへと、アギトのレプリカ―――オルトリンデが子供大の姿を取れば宝杖を放り投げた。
錫杖の頭に三日月の刃がついたそれが、小環のぶつかる涼やかな音色奏でてゴジョーの手に収まれば、一閃。
鋭い突きが床のティアナへと……いや、ケースへと襲いかかる。
「くっ!!」
転がりながらクロスミラージュの引き金を絞るが、アギト・レプリカの炎に阻まれた。
ケースをざっくりと裂いた宝杖が、一つ回転。
中空にジュエルシード3つをばらまく。
「暴れなさい! ジュエルシード! 疾く! 疾く!! 疾く!!!」
雑に魔力をまき散らし、無理やり起動させればでたらめなコマンドワード。
ジュエルシードに急いだ命令は禁物だ。だがそれが、意図的に暴走させるには最高の方法となる。
びしり、とそれぞれのジュエルシードに一筋ずつ亀裂が入る。
「いけない!」
だだっ広くほの暗い部屋の中。
蒼い宝石が震えながら輝いた。
眩しいその光へ、ティアナが封印を施そうとするが、
「オルトリンデ、体の管理をお願いします」
ゴジョーとオルトリンデが重なり、混ざってはその威圧感を増す。
まるでユニゾン―――のようだが、カグヤと同じくユニゾンのようでユニゾンではないのだろう。その姿形になんら変化はない。
しかし先ほどよりも明らかに精度が上がっている練達の宝杖さばきで、ティアナをジュエルシードに近づけない。
黒い影が、3つのジュエルシードからにじみ出始めていた。
憑依すべき動植物がない場合、ジュエルシードの暴走は単体で思念体≠ニ呼ばれる黒い影と化すが、これはどうした事か。
「な、なにこれ…」
3つのジュエルシードから漂う黒い影は、絡まり合い、混ざり合い、人の形を取っていく。
むくりと、立ち上がって顔面に相当する場所に、それぞれに一筋だけひびが入ったジュエルシード3つがたゆたっていた。
AH――――
澄んだ咆哮だった。
怖気が走る背に、ゴジョーの確保もジュエルシードの封印も忘れてティアナが部屋から飛び出す。
総毛立つ深緑の猟犬もまた、この黒い人影の危険度を察知してか全力で脱出している。
そして、
「な……強力過ぎる」
暴走させたゴジョーさえもおののき、逃げだしている。
AH――――
もう一度、思念体≠ェ声を上げた。
いったいどこから発声、発音を行っているのか。耳に残ってはなれない綺麗な綺麗な、喜びの歌。
瞬間、桁違いの魔力が膨れあがる。
「!?」
部屋が砕けた。
冗談のように溢れだすその波動が、上下左右を問わずに壁の強化合金を蹂躙、砕いてしまう。
「うわ?!」
「きゃあああ!!」
部屋を飛び出したティアナとゴジョーの背中も圧迫するその威力。
「な、なんだこれは!? しまった……待て、イフリート!」
崩れ落ちた部屋の、下層にあった部屋―――すなわち、420にいたシグナムがレヴァンティンで崩れ落ちてくる天井を切り裂く。
その場にいた誰かに静止の声をかけたようだが、逃げられてしまっている。
そして頭を上げて見た…そう、ひびの入ったジュエルシード3つから成る思念体≠。
シグナムの目が氷の鋭さを帯び、心臓がひとつ脈打つより速く臨戦態勢に入る。
刹那の間に、ユニゾンなしに相手出来ないと悟ったのだ。
「アギト!」
「あ…」
「アギト! 今は目の前の事に集中しろ! お前の過去の話は後だ!!」
「あ、あぁ…!」
呆然。愕然。それまで我を失っていたアギトがえらくおどおどとした様子で、シグナムへと飛んだ。
「「ユニゾン・イン!!」」
炎の翼がシグナムの背に花開く。
しかし、当のシグナムは違和感ある表情だ。
「アギト…心を乱すな!」
『わぁってる…! わかってるけど…』
「ティアナ、外まで逃げろ! これが暴れては研究所が潰れかねん!」
「りょ、了解です!」
地下4階から地下2階まで風通しの良くなってしまったその一角。
ティアナがアンカーショット。
地下2階までショートカットである。
「ほら、あんたも来なさい!」
「私ですか? そんな敵同士なんですからおかまいなさらずに…」
「うっさい!! いいから来なさい!!」
ゴジョーの襟首ひっつかめば、魔力糸を巻き戻して地下2階まで一息の昇って見せた。
空を飛べない自分では役に立つまいと歯がゆく思いながら、駆け戻る。
ずしん、と幾度か振動を感じながら少し走ればギンガとカウンター、カグヤとカーレンが対峙する場所まで戻ってきた。
その場全員、研究所の異常を察してはいたが、状況がいまいち掴めずにいている。
「あれ、え…あら?」
駆け戻ってきたカグヤが、フェイクシルエットとティアナを見比べて何か凄いきょどきょどしてる。
他のみんなは―――カーレンもティアナについては薄く感づいていた様子見せており―――現状の説明について、ティアナに無言で催促の目くばせ。
「こいつがジュエルシードを暴走させた。とんでもない化け物が暴れてるから、即・脱出!」
「カグヤさん、カーレンさん、お助けぇ」
ゴジョーがティアナに羽交い絞めにされてはこめかみにクロスミラージュ突きつけられ、情けない声出しているのをふたりは冷やかに眺めている。
「ゴジョーさん、今まで有難う御座いました」
「お達者で」
「助けてええええ!!」
ゴジョーの悲鳴が木霊する……それに呼応したというわけではないだろうが、ひと際大きな振動が起こる。
それと共に、床や壁のそこかしらに亀裂が走った。
ティアナのバランスが崩れたのを察したゴジョーが、
「きゃッ!?」
冷たい光を纏って人の姿をほどく。
瞬時に魚の正体を現してひとつ跳ねれば、カーレンたちの立ち位置へと転がり込んで人型に戻った。
「信じてましたよ、ゴジョーさん」
「ゴジョーさんならできると思ってました」
「絶対嘘ですよね、それ! この人でなし!!」
「使い魔だったのね…」
どちらにせよ、カグヤの毒にあてられた14部隊の隊員を担いでゴジョーも確保するのは無理だ。
今は、救出作業に専念する事にしよう。
「あんたたち! 今日は見逃すけど、次はこうはいかないわよ!!」
ティアナが2人、ギンガが4人、カウンターが3人と手いっぱいに隊員たちを担いで啖呵を切った。
そこに、
「ティアナ!?」
いよいよ轟音立てて、天井が崩れてきた。
4人を担いだギンガが跳躍―――それに合わせて、カーレンも跳んだ。
「「せええいい!!」」
紫の蹴りと赤い蹴りが息ぴったりに、落ちてきた天井を砕く。
落ちてくるほこりに、片目をつむりながらティアナが少し咳。
「あ…ありがと」
「……ティアナさん」
「なによ…」
カーレンから名を呼ばれて意外そうに、そして訝しそうにティアナが返事した。
「ここよりも下に、何人ほど他の隊員さんたちがいらっしゃいますか?」
「答えられるわけないでしょ!」
「いいから!!」
「……………………18人よ」
異様なカーレンの迫力に気圧され、ついティアナが零してしまう。
「地下4階までなら……地下5階から……いや、いける…」
ぶつぶつと、何かしらカーレンが一人で呟き、一人で納得。
そして、意を決して一つ頷いた。
「この場所から、直射砲で一直線に穴を開けます。急いで連絡を」
「はぁ?」
もはや地震ほどに揺れが大きくなる研究所の中。
カーレンに気圧され、それ以上に何か覚悟のようなものを感じてティアナが侵入してまだ残っている各員の状況をつい確認してしまう。
クロスミラージュの表示に、この位置の直線上には誰もいない。
その横。
カーレンが光の卵を取りだした。
「カーレン、まさか…」
「……リンカー・リンク」
「待ちなさい、カーレンさん!」
カグヤとゴジョーが、カーレンに制止の声掛ける間もあれば、光の卵を胸に押し当てた。
ずぶり、と幾何学的な紋様刻む金属質な卵がカーレンの中に沈んでいく。
「え…!?」
すぐそばにいたティアナとギンガが目を見張る。
明らかに、魔力の容量が増えている、魔力の質が高まってる、魔力の出力が上がっている。
―――強くなっている。
「リミットブレイク―――赤い靴<a[ド・レッドステップ」
<stand by ready. set up>
カーレンの義足より熱風が巻き起こった。形態変化こそないが、段違いにデバイスの出力が底上げされているのが分かる。
赤い旋風を顔に叩きつけられながら、しかしティアナは極寒にさらされている気分にしかなれない。
今蹴られて、無事で済むと思えない。
「ディバイン…」
しかし、カーレンの唇から出た言葉は場違いで……あたたかい呪文。
一瞬一瞬に亀裂が大きくなっていく通路の中、カーレンが両手でふたつの赤いスフィアを生み出す。
途方もない魔力の凝縮。ちいさな宝石のような輝き。
しかしそれは、まるで星空のスピカのように鮮明にティアナの目に映る。
カグヤとゴジョーの止める手が、あと半歩でカーレンに届く距離。
カーレンが、スフィアのひとつを蹴り上げた。
「バスターーー!!!」
薄暗い通路を、真紅の光が満たした。
轟音。
眼に痛む光が止んだ時、反射的に顔をかばった腕をおろして、星空を見る―――本当に、一直線に穴を開けた。
「も・う・ひ・と・・・…つ!!」
今度は、スフィアを蹴り下ろす!!
今ひとたび、真紅の閃光が研究施設を貫いた。
血色一色に染まった瞼の裏。
それを開ければ、地下深くまで大穴が開いていた。航空隊であれば、この直線の穴を使えば楽に脱出できるだろう。
「!? ちょっとあんた…!!」
気づけば、カーレンが倒れていた。
すでに義足でありデバイスである赤い靴≠ヘジョイントが外れて転がっており、下半身がない姿だ。
ティアナが手を差し伸べようとすれば、ゴジョーとカグヤがかっさらう。
「…ぅ……寒い…」
「!? いけない…!」
腕の中のカーレンが呻くのに、カグヤが青ざめる。
寒さを訴えるのは、フランケンシュタインの手術被験者が示す典型的な死の兆候だ。
貝型のデバイスをカーレンに握らせて、躊躇なく開いた穴の中に飛び込んで消えていく。
それを止めようとした、飛翔ができるカウンターだがゴジョーの威圧に釘付けにされ結局動けなかった。
「早く脱出を。我々は我々で、逃走経路があります故……今回の逮捕は、どうかお見逃しくだされ」
肺腑絞って出したような、苦しげな言葉と共に、ゴジョーも消えていった。
「く…」
一瞬、追おうかどうかを迷ったが、揺れが大きくなってきた。穴を開けた事で、不安定になり過ぎて一気に崩れ得る。
それならば……
「次こそは……」
カウンターが飛翔、ギンガがブリッツキャリバーを駆使して壁を登り、ティアナがアンカーガンを発射した。
こうして、3人は潰れてしまいそうな研究施設を脱出する。
47 :
タピオカ:2009/01/06(火) 03:27:01 ID:LvtIsmuc
おじゃましました
GJ!!です。
赤い靴凄いなぁw
曲がる方向の制限がないので攻撃が見切りにくいなんてシュトロハイムのようwww
超GJ!
続きが気になるぜ
なぜか足がマシンガンになってるB級映画を思い出した
フェイトちゃん9歳黒Tバック並みのGJ!!!
前スレ
>>491 遅レスですがGJ!!
ヴィータVSキャロの幻の対決
そしてエリオの既成事実を奪おうと毎晩きっと(ry
>>28 GJ!!
レイハさんとなのは並にかっこいい姿と絆を見せて貰いました
エリオも男まえだが、ストラーダも男まえすぎるぜ
次回最終回なのが本当に残念…
52 :
B・A:2009/01/06(火) 22:42:48 ID:UJoji2j1
>>28 GJ。
一瞬、オリジナルのエリオなのかと思ったらストラーダでしたか。
ここに来てまさかのスカリエッティ御大まで登場するとは、独走した娘に対してきつい皮肉でも言うのかな?
そして、これから投下しようと思ったらシチュエーションが被っているんです。
今回の話の中で○○○が○○○○○との対話で戦意を取り戻すというもので。
野狗氏ほど熱くはありませんが。
注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・一部のキャラクターはスカ側に寝返っています(その逆も然り)
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・名前のあるキャラが死にます
・主人公その1:エリオ
その2:スバル
・SSXネタも含まれます
・イクス好きな人には・・・・・辛いです
・タイトルは「UNDERDOGS」 訳:負け犬
ルーテシアにとって、何かを守るための戦いは初めてだった。防衛戦は何度か経験したことはあったが、
それは誰かに命じられたもので、自分の意思によるものではない。そして、自分がしてきたのはいつも何かを得るための戦いであった。
母の温もりを得るための戦い。
居場所を得るための戦い。
心を得るための戦い。
いつだって自分は何かを求め続けてきた。だから、心の底から何かを守りたいと思えたのは、これが初めてだ。
(私には、もう何もない。だから、この子だけは・・・・・・)
今の彼女を突き動かしているのは贖罪の思いであり、繋がりを失うことへの恐怖だった。
自らの手で母を殺め、家族にも等しい召喚蟲達を失ったルーテシアは、例え向けられている感情が憎しみであったとしても、
エリオを失うことを恐怖したのである。
それは皮肉と呼ぶにはあまりに残酷過ぎた。
彼女に心を与えたのは母の愛情ではなく仇敵の憎悪、芽生えた感情は喜びではなく罪の意識であった。
何もかも失ったルーテシアに残ったたった一本の細い繋がり。エリオに憎まれ、彼に償いたいという気持ち。
それだけが今のルーテシアを支えていた。そして、その思いを汲み取ったからこそ、フリードは彼女に力を貸しているのである。
□
正規の主を得て本来の力を発揮できるようになったフリードは、降り注ぐ直射弾の雨を小さな体を捻りながら搔い潜り、偽フェイトへと肉迫する。
接近を許してしまった偽フェイトは即座に得物を鎌へと変形させ、迫り来る白竜を迎え撃つ。
だが、ルーテシアからのブーストを施されたフリードはそれを寸でで回避し、懐に潜り込まんとする。
「フリード、右」
「・・・!」
直後、フリードの背面を雷の直射弾が通り過ぎていく。ルーテシアの指示がなければ、恐らく避けることはできなかっただろう。
その事実に空恐ろしさを覚えながら、偽フェイトの追撃をブラストフレアで牽制しつつ後退する。
チラリと横に目をやれば、新たな主となったルーテシアの周囲を無数のインゼクト達が飛び交っていた。
彼らは自分と偽フェイトの戦いを具に観察し、主にその一部始終を伝えているのである。
そうして集められた情報を吟味しつつ、ルーテシアは並列思考で魔法を行使し、召喚獣への指示も的確に下している。
認めたくないことだが、その鮮やかな戦い方はかつての主キャロ・ル・ルシエよりも上をいくものだった。
相性でいえば生粋の竜召喚師であるキャロには劣るものの、それを補って余りある経験と技量が彼女にはあった。
何より、ルーテシアの強い思いが自分の力を何倍も引き出してくれている。
「アスクレピオス、限定解除。ツインブースト、いくよ」
「・・!」
注がれた魔力に応えるように咆哮し、フリードは飛翔する。
善戦虚しく旗色は悪い。繰り出される必殺を紙一重で避けて命を繋いでいるにも等しい状況に変わりはない。
やがては追いつめられて諸ともに命を刈り取られるだろう。それでもフリードは、ルーテシアの思いを裏切るまいと、
持てる全ての力を駆使して偽フェイトへと立ち向かっていった。
「・・!」
「・・・・・」
交差した2つの視線が火花を散らす。
かたや闘志が燃え滾る紅蓮の瞳。
かたや意思を持たない深紅の瞳。
物言わぬ両者は、己が主の命に従って殺意の牙を敵へと向ける。
直後、錐揉み回転したフリードの背後から紫紺の短剣が飛び、フリードを迎え撃とうとしていた偽フェイトは回避動作に移る。
すかさずフリードは追走し、ルーテシアからの念話に従って偽フェイトの前に回り込む。
そして、相手が反応するよりも早くブラストフレアを吐き、漆黒のバリアジャケットを焼き焦がしていく。
直撃を受けた偽フェイトは炎に施されたバインド効果によって動きを制限され、神がかり的な速さにほんの少しだけではあるが隙が生じる。
その針の穴のような隙を目がけて、ルーテシアは新たに生成した短剣を投擲。偽フェイトは辛うじてデバイスで叩き落とすものの、
それに気を取られたためにブラストフレアへの防御が疎かになってしまう。
「フルブースト・・・・・・・フリード!」
「・・・・!!!」
渾身の魔力を込め、フリードはブラストフレアを放つ。
注ぎ込まれた魔力も施された補助魔法にも一分の隙はない。
ルーテシアが持てる最上の魔力を最高の術式で以て形に成し、眼前の敵を焼き尽くす。
現状ではこれ以上の攻撃は不可能であり、これが通用しなければこちらに勝ち目はない。
こちらが相手を焼き殺すのが先か、炎を突破されて切り伏せられるのが先か。
これは正に賭けであった。
「くっ・・・・・・」
背後のルーテシアが苦しげに呻く。
魔力が底を尽きつつあるのだ。病み上がりな上に相性の悪い召喚獣を使役しての戦闘。
想像以上の負担が彼女に圧し掛かっているはずだ。
それでも彼女は、エリオを守ろうと必死で魔力を自分に注いでいる。
ならば、自分にできることは彼女の思いに応えるだけだ。
かつてガリューがそうしていたように、雄々しく、どこまでも愚直なままに。
ジリジリと詰め寄ろうとする偽フェイトを、己の業火で以てフリードは屠ろうとする。
後少し。
後5秒だけ保てば、バリアを抜いてダメージを与えることができる。
後5秒だけ保てば。
「・・・・ごめんなさい」
注がれていた魔力がぷっつりと途切れ、ブラストフレアの勢いが衰えていく。
同時に、背後のルーテシアが力尽きて倒れ伏し、炎の拘束から解放された偽フェイトが
手にした鎌を一閃して炎を吹き飛ばす。更に霧散していく炎に紛れて発射されたフォトンランサーが
フリードの矮躯を穿ち、吹っ飛ばされたフリードは全身を痺れさせながら動かなくなった。
「・・・・・フリー・・・ド・・・・・・」
か細い声を上げながら、ルーテシアは立ち上がろうとする。
だが、それよりも偽フェイトがデバイスを振り下ろす方が早い。
振り上げられた金色の刃は、大気を引き裂きながら無力な少女の命を奪わんと迫る。
感電して動かぬ身を呪いながら、フリードは慟哭の悲鳴を上げた。
聞き慣れた電子音声が響いたのは、正にその時だった。
□
ルーテシアと偽フェイトの戦いから目を背け、エリオは1人物陰で震えていた。
目の前のできごとがまるで信じられなかった。
母のように慕う女性の写し身と、戦いから解放されたはずの少女がぶつかり合っている。
飛び交う雷の槍と紫紺の短剣。
フリードの炎の余波がチリチリと肌を焦がし、デバイスが空気を切る音と2人が地を蹴る音が
否が応にも聞こえてくる。
その全てから目を反らし、エリオはこんなはずではなかったと嘆き続けていた。
自分の槍は、誰かを傷つけるためのものではなかった。
決して、母の姿をした者を斬るためのものではなかった。
再び戦わせるために、ルーテシアを助け出した訳ではなかった。
正しいと信じて行ってきたことが、正義と信じて行ってきたことが、悉く自分を裏切っていく。
こんなはずではなかった。
憧れたのは彼女の強さで、過去の悲しみを打ち砕く力だった。
あの人のように強く、気高く、胸を張って生きていければ良いと。
あの人が自分を救ってくれたように、今度は自分が誰かの力になれれば良いと。
だから、魔導師ではなく騎士を目指した。
大切な何かを守り、戦うベルカの騎士の生き様を自分も貫きたいと。
なのに気づけば、身勝手なエゴのために多くの人達を傷つけていた。
思い返せばゾッとするような恐怖が込み上げてくる。
名前もわからない者を殺した手で、自分はルーテシアを抱きしめていたのだ。
これではルーテシアと何も変わらない。彼女を責める権利すら、自分にはなかったのだ。
戦うことからも、キャロの仇を憎むことからも、全てから逃げ出したかった。
「僕は・・・・・僕は・・・・・・・・」
《エリオ・・・・・・》
「僕は・・・・・・そんなつもりじゃ・・・・・」
《・・・・・・・良いのか?》
ただ静かに、ストラーダは語りかける。
戦うことを求めるでなく、逃げることを促すでなく、ただ静かに問いかけてくる。
卑怯だと思った。
そんな風に問いかけられたら、拒めなくなる。
《このままで良いのか?》
「・・・・・・・・」
良い訳がない。
このまま何もできずに死んでいくのなんてごめんだ。
けど、今の自分に何ができる? 手の震えは止まらず、戦意は恐怖に抑えつけられてしまっている。
戦いたくない。けれど、逃げる訳にはいかない。
エリオの心は雁字搦めで身動きも取れず、ただ我が身の不幸を嘆くことしかできなかった。
しかし、もっと恐ろしかったのは、このまま何もせずに目を瞑っていれば許しが得られるなどと、
安易な考えを抱きつつある自分がいることだった。
(・・・・・わかっているさ)
チラリと物陰から顔を出すと、険しい表情で戦うルーテシアの姿があった。
本当は彼女も辛いはずだ。自分と同じく多くの者を傷つけた罪の重さに苦しんでいるはずだ。
それでも、必死に前を向こうとしている。こんな罪深い男を守るために、生かすために、償うべき相手を失わないために、
彼女は戦っている。
自分が情けなかった。
迷い続けている自分が。
行動することを躊躇している自分が。
《このままでは、また失うぞ。それで良いのか?》
「・・・・・・・・嫌だ」
《ならどうする?》
「それは・・・・・・・」
わかり切ったことだった。
自分の中では答えが、とっくの昔に出ていることに。
ルーテシアをスカリエッティの呪縛から解放した時に。
いや、2人で暗闇の洞窟内を彷徨った時に。
或いは、3年ぶりに再会した戦場で。
ひょっとしたら、3年前のあの日に、キャロの亡骸を抱えた時かもしれない。
ただ1つハッキリしていることは、既に自分の心はできあがっているということだけだ。
「嫌に、決まっているだろう」
鉛のように重い体を持ち上げ、怯えを必死で堪えながら床の上に転がっているストラーダを手にする。
思考はとっくに終わっていた。
選択肢は既に選んだ後だった。
考える時間など、最初から与えられていなかった。
そんなものなど、必要ないからだ。
自分は、もう他の選択肢など選べないのだから。
「嫌なんだ・・・・・もう、何も守れないのは・・・・・・・・・・」
悲壮な声を漏らしながら、ストラーダの柄を握り直す。
3年前、自分はキャロを守れなかった。フェイトの危機に間に合わなかった。
大切なものを傷つけられ、誇りを失ったエリオに残された唯一の道は、キャロと共に誓ったルーテシアの解放を果たすことだった。
そのために今日までずっと戦い続けてきたのだ。しかし、エリオの胸中には常に抑えようのない憎悪が渦巻いていた。
ルーテシアはキャロの仇だ。彼女を守らなければという思いはあっても、彼女への憎しみが消えた訳ではない。
この先何があったとしても、絶対に許すことはできないはずだ。
相反する2つの感情に苛まれながら、エリオは何度も彼女と戦った。
その果てにエリオは、彼女を失ってはいけないと思っていた。
彼女を失えば、怒りと憎しみをぶつける相手がいなくなってしまう。
そうなれば、きっと自分はその重さに押し潰されてしまう。そして、死んだキャロの思いも踏み躙ることになってしまう。
だから、例え立ち塞がる相手が誰であったとしても、ルーテシアだけは見捨てる訳にはいかなかった。
自覚した瞬間、噛み合わなかったネジがやっと噛み合った。
「もう、守れないのは嫌だぁぁっ!!」
《Sonic Move》
一瞬で最速まで加速したエリオは、ルーテシアに振り下ろされようとしていた金色の刃をストラーダで受け止めた。
新たな敵の登場に、偽フェイトの注意がこちらに向く。
まるでお互いに申し合わせていたかのように両者は加速し、文字通り雷光の速さでぶつかり合った。
倒れているルーテシアにはその姿は見えず、ただ金属がぶつかる音と床や壁を蹴る音が聞こえるだけだ。
そして、再び2人が姿を現した時には、既に決着が付いた後だった。
「・・・ごめんなさい」
偽フェイトの胸にストラーダを突き立てたエリオが、嗚咽を漏らしながら謝罪する。
「あなたはフェイトさんじゃないけど・・・・・・・それでも、斬りたくなかった・・・・・・・
殺したく、なかった・・・・・・・あなただけは・・・・・・・けど・・・・・・・・・」
勝利できたのは奇跡にも等しかった。
偽フェイトは心を持たぬことを除けば、フェイトの戦闘技能を完璧に再現している。対してエリオは身体能力も
技量も魔力も体格も全て劣っており、まともにやりあえば数合を打ち合うだけでも手一杯だったであろう。
だが、3年前に機動六課で繰り返した模擬戦の記憶が体に染みついていたおかげで、
自然と彼女の動きに対応することができた。そして、攻撃の軌道が直線である槍と曲線を描く鎌とでは、
例えその剣速が同じでも標的までの到達時間に僅かな差が生じてしまう。事実、金色の刃の切っ先はエリオの首筋に
刺さっており、そこから赤い血が一筋の雫を垂らしている。一歩間違えば、敗北していたのはエリオだったのだ。
勝因と呼ぶにはあまりに弱いその2点があったからこそ、エリオは偶然の勝利を勝ち取ることができたのだ。
そして、それは同時にエリオが夢見てきた騎士と決別したことも意味していた。
「これが、僕の選んだ道なんです」
柄を握る手に力を込め、ストラーダを彼女の胸に押し込む。
それで全ては終わった。
心臓を破壊された偽フェイトは手足を痙攣させながら動かなくなり、傷口から噴水のように噴き出した血が
エリオの白い肌とコートを赤く染めていく。
彼女は自分の愛するフェイトではなかったが、紛れもなくフェイト・T・ハラオウンだった。
だから、この血はフェイトの血だ。
自分はこの手で、母と慕う女性を殺したのだ。
「エリオ・・・・・・・」
起き上がったルーテシアが、よろよろと近づいてくる。
彼女の眼には、自分はどんな風に映っているのだろうか。
血に塗れ、みっともなく嗚咽している自分は、いったいどんな風に見えているのだろうか。
「ルー、僕は・・・・・僕はフェイトさんを・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ルーテシアは無言でエリオを抱き寄せると、泣きじゃくる彼の背中をそっと擦った。
血で汚れた彼女の胸は温かく、まるでフェイトに抱かれているかのような錯覚をエリオは覚えた。
「ごめんなさい、君を守れなかった」
「・・・・・良いんだ、君は・・・・もう戦わなくて・・・・・・・・」
「ううん、戦わせて。あなたが背負う苦しみも悲しみも、半分は私が背負うから。
あなたと同じ痛みを、私が受けるから・・・・・・・・だから、一緒にいさせて」
「ルーテシア・・・・・・・ううぅ・・・・ああぁぅう・・・あううああぁぁっ・・・・・」
言葉を紡ぐことすらできなかった。
何に対して謝罪していたのかさえもう定かではない。
ただ救いを求めるように、エリオはルーテシアの胸に顔を埋めて泣き続けた。
『ほう・・・・・彼女を倒したのか。こちらの計算では勝率は1割以下だったのだがね。
私としたことが、計算を途中で間違えたのかもしれないな』
虚空のディスプレイの向こうで、スカリエッティは首を捻る。
言葉とは裏腹に、その表情は喜悦で歪んでいた。
まるで、遊ぶのに飽きた子どもが新しい玩具を見つけた時のような、微笑ましくも不気味な笑み。
心底嫌悪しか浮かばない笑みだった。
「スカリエッティ・・・・・・・」
『なるほど、君の悲しみと怒り、それが勝利を呼び寄せたファクターと言うことか。
理論はわかっていても、それを式に当てはめることができないというのは何とも歯がゆいものだ。
やはり、君の頭を割いて調べてみるのが一番かもしれないな』
暗闇から新たな刺客が送り込まれてくる。
その姿を見た瞬間、2人は絶望のあまり言葉を失った。
何故なら、そこに立っていたのは金色の髪を深紅の瞳を携え、漆黒のバリアジャケットを纏った女性だったからだ。
それも1人だけではない。次々と姿を現した彼女達の数は11人。ルーテシアとエリオが死力を尽くして
ようやく倒すことのできた偽フェイトが11人も立っていたのだ。
『言わなかったかい、複製技術が完成したと。再現できない技術など、完成したとは言えない。
同じものを、同じ時間をかけて、同じ材料を使って、同じ方法で大量に造り出せて初めて技術は
完成したと言えるのだ。そう、君達が倒した者も含め、彼女達12人は全員がフェイト・テスタロッサの
コピーであり、その戦闘技術を受け継いでいる。これからは彼女達が私の新たな手足となって
働いてくれるという訳だ。そうだな・・・・・・フェイト・ナンバーズとでも名付けようか』
11人の偽フェイト達がそれぞれの得物を構え、戦闘態勢に移る。
ある者は鎌を構えて前衛に立ち、ある者は雷の槍を生み出して、ある者は砲撃のチャージを開始し、
迸る金色の魔力光が視界を焦がしていく。
「下がるんだ、ルー」
「けど・・・・・」
「フリードはもう戦えない。僕が時間を稼ぐか・・・・くうっ!?」
立ち上がろうとしたエリオは、両足に激痛を覚えて膝を突いた。
痙攣している足は、まるで筋肉が引きちぎれたかのような痛みを訴えている。
ここに来て、蓄積し続けてきた負担が一気に爆発したのだ。
堪えれば立てないこともないが、このまま戦い続ければ両足は確実に駄目になる。
(それでも、やるしか・・・・・・・・・)
11の攻撃を同時に捌くことはできない。ならば、先手を打ってサンダーレイジを叩き込み、
その数を減らすしかない。だが、その一撃でいったい何人の偽フェイトを倒すことができるだろうか。
辿りつく答えを想像しただけで、エリオの背中に寒気が走った。
それでも恐怖を払いのけ、エリオはストラーダをウンヴェッターフォルムへと変形させる。
「走れ、ルーテシア!」
「エリオ!」
ルーテシアの悲鳴を背に受け、エリオは振り上げたストラーダを床の上に突き刺す。
残る魔力を全て注ぎ込み、最大出力で放出されたサンダーレイジは波のようにうねりながら突撃してくる偽フェイト達を焼き尽くしていく。
だが、彼女達の進軍は止まらなかった。彼女達は全員が、オリジナルと同じく魔力変換資質「電気」を有している。
それがあるため、電撃に対してある程度の耐性があるのだ。しかも、攻撃の余波を免れた何人かがサンダーレイジの効果範囲外から飛翔し、
こちらに向かってきている。
ここで詰みだ。
自分には、もう彼女達を止める手立てがない。
諦めかけたその時、背後から飛来した蛇腹剣が壁のように偽フェイト達の進軍を遮った。
「良く持ち堪えたな、エリオ」
「シグナム・・・・副隊長・・・・・」
炎の翼を生やしたシグナムが、エリオの隣に着地する。
ここに来るまでにどれほどの死闘を演じてきたのか、彼女の体にはあちこちに負傷の跡が見られ、
白い素肌は返り血で汚れている。
「ギャレットはこの基地の放棄を決定した。離脱後は一時的に潜伏し、合流の時を待て。
私がこいつらの足止めをする」
「足止めって・・・・・む、無理です。僕も一緒に・・・・・・」
「その体では足手まといだ。お前をむざむざ死なせては、テスタロッサに会わせる顔がないからな」
「け、けど・・・・・・」
「・・・!」
なおも反論しようとするエリオの鳩尾にシグナムは鉄拳を叩き込む。
肺の空気が一瞬でなくなり、呼吸不全を起こしたエリオはその場で膝を突いて咳き込んだ。
当たり所が悪かったのか辛うじて意識は保っていたが、滲み出た涙で視界を塞がれた上に頭にも星が回っている。
「こいつを頼む」
猫のように担がれた体が、誰かへと預けられた。
この感触は、きっとルーテシアだ。彼女はシグナムの意図を読み取ったのか、
バインドで手足を拘束してこちらの身動きを封じると、重い体を引きずりながらこの場を離れようとする。
「だめ・・・・だめだ・・・・・・ルー・・・・戻って、ルーテシア」
「ごめんなさい、それはできない」
「嫌なんだ・・・・・もう、大好きな人がいなくなるのは・・・・・傷つくのは・・・・・・・」
視力が回復し、滲んでいた視界にシグナムの背中が映る。
無茶だ。
いくら彼女が凄腕でも、相手はフェイトと同等の能力を有した11人の魔導師なのだ。
勝てぬとわかっていながら、彼女は自分達を逃がすために戦おうとしている。
その大きな背中を凝視しながら、エリオはただ叫ぶことしかできなかった。
「副隊長!!」
□
11人の偽フェイトを前にして、シグナムは怒りとも悲しみとも取れる複雑な感情を抱いていた。
目の前にいるのは自身の好敵手の写し身。その佇まいから感じ取れる魔力まで全て同じだ。
だが、その内に心と呼べる者は存在しない。それはまるで、八神はやてと出会う前の自分達のようだと、
シグナムは自嘲気味に思っていた。
「因果、と言うべきか」
(シグナム?)
「何でもない。マリアージュとかいう死体兵器どもは?」
(ガジェットや戦闘機人を優先的に攻撃しているって、バッテンが言っていた。
敵対行動さえ取らなければ、襲いかかってくることはほとんどないらしい)
「奴らのおかげで彼我戦力は五分まで持ち直せたのは、皮肉なものだな。
おかげで、撤退までの時間を稼ぐことができた」
偽フェイト達を睨みながら、シグナムは思考する。
リインからの情報では、既にほとんどの人員は撤退を完了しつつあるらしい。
そうなると、後はエリオ達が逃げる時間を稼ぐだけで良い。
もっとも、それが一番困難なことであることに変わりはなかったが。
「アギト、お前も私になど付き合う必要はないのだぞ」
(馬鹿言うなよ。あたし以外に誰があんたの面倒見るって言うんだ? それに、あたしだって嫌だぜ。
もう自分のロードに死なれるのはご免だ)
「すまないな」
レヴァンティンをシュベルトフォルムに戻し、刀身に炎を纏わせる。
主亡き今、肉体の死は完全な消滅を意味する。
後悔がないと言えば嘘になる。無念の内に死んでいった八神はやてとヴィータの仇を討ち、
彼女達が守ろうとしたこの世界の行く末を見届けたかった。
だが、どうやら自分達の死に場所はここのようだ。
不甲斐ない。
アギトのかつてのロード、ゼスト・グランガイツから託された未来も見ることもできなかった。
あの世と言うものがあるのなら、彼はそこで自分を責めるのだろうか。
「それでも、まだ死ねません。あなたのところへ逝くのは、ここにいる人形達を屠った後です」
向かってくる偽フェイトを切り伏せ、シグナムは鮮やかな身のこなしでレヴァンティンを振るっていく。
苦痛も疲労も彼女を止めることはできず、アギトからの支援を受けてシグナムは持てる全ての力を出し尽くして
偽フェイト達と切り結んでいく。
最早、死以外に彼女を止められる者はいなかった。
□
結論から述べると、カルタスは戦いに勝利した。
50を超えるガジェットや戦闘機人は全て破壊し尽くされ、そこに動く者は誰一人としていない。
そう、戦いの勝利者であるカルタス自身ですら。
瓦礫と敵の残骸に埋もれたカルタスは、全身に穴を穿たれて動けなくなっていた。
既に呼吸も停止しており、後はじわじわと死んでいくだけの運命だ。
それがどういう訳か、まだ意識を保っていた。
本人は知らないことだが、彼が呼吸を停止させてまだほんの10秒足らずの時間しか経過していないのである。
だが、時間の感覚が麻痺してしまったカルタスには、その時間がまるで1年にも等しい長さに感じているのだ。
(ここ、までか・・・・・・・・)
光の消えつつある目で天井を睨みながら、カルタスは復讐を果たせなかったことを悔やんだ。
スライドショーのように脳裏を過ぎる楽しかった記憶に涙を流し、カルタスは愛する女性の名前を呼ぼうとした。
だが、力の抜けた機械の体ではそれすらもできなかった。
(ギンガ・・・・・)
あの笑顔が懐かしい。
彼女との出会いは、6年前まで遡る。
捜査官として配属された彼女と最初にコンビを組んだのが自分だったのだ。
『初めまして、ギンガ・ナカジマ二等陸士です。まだまだ若輩者ですが、よろしくお願いします』
『ああ、こちらこそよろしく頼む・・・・・・・えぇっと・・・・・・』
『どうか、されましたか?』
『いや・・・・・・女性とコンビを組むのは、初めてでね』
どちらかというと、後輩である彼女が主導権を握ることが多かった。
彼女は優秀で、冷静な頭脳と大胆な行動力の持ち主であり、何より魔導師としての高い才能を秘めていた。
気紛れで彼女と組み手をした時は、完膚無きまでに打ちのめされたものだ。
『やっぱり、無理なのか』
『カルタス陸曹長?』
『ただの人間でもやれるんだって、そう思いたかったんだ。けど、目が覚めたよ。
やっぱり、魔力資質を持たない人間は足手まといなんだな』
『そんなことありませんよ。陸曹長には陸曹長にしかできないことがあるじゃないですか』
『例えば?』
『トンネルを掘るとか』
『茶化さないでくれ』
『すみません。けど、魔導師だって1人じゃ何もできないんですよ。事件を捜査する人がいて、
集めた証拠を鑑定する人がいて、書類を書く人がいて、戦う時にバックアップしてくれる人がいて、
私達魔導師がいて、みんなそれぞれの仕事を精一杯しているから事件を解決できるんです』
『そういうものかな?』
『はい。だから、陸曹長ももっと自信を持ってください』
『自信か・・・・・・・・・ねえ、ギンガ』
『はい?』
『これからは、ラッドって呼んでもらえないかい?』
何があってもまっすぐに目標を目指す彼女が好きだった。
辛い時は励ましてくれて、彼女がへこんだ時は何とかして笑顔を取り戻そうと苦心した。
いつの間にか、自分は彼女に夢中になっていた。
それは捜査主任に抜擢され、コンビを解消されてからも変わらず、寧ろ思いはどんどん募っていった。
そして、あの運命の公開陳述会の前夜、思い切って思いを打ち明けた。
『えっと、それって・・・・・・・』
『結婚しよう。その、僕の妻になって欲しい・・・・・・・ダメかい?』
『・・・・・お気持ちは嬉しいのですが、その・・・・・・もう少し、待ってもらって良いですか?
六課への出向が終わるまで・・・・・・それまで、考えさせてください』
『そ、そうか・・・・・・ごめん、びっくりさせちゃって』
『いいえ、嬉しかったです。俄然、仕事にやる気が湧いてきました』
『ギンガ?』
『答えを言うために、必ずあなたのところに帰ってきます。待っていて、ラッド』
そして、彼女は二度と帰って来なかった。
痛めつけられた上に体を弄られ、敵となった彼女を止めるために戦ったスバルの攻撃が、
体内に移植されたレリックの爆発を誘発したのだ。
そのことでスバルを恨むつもりはなかった。
ギンガが戦闘機人であったことにも衝撃はなかった。
ただ、愛する妹と戦わされた挙句、五体満足で戻ってこれなかったことが悔しくてしかたがなかった。
やがてスカリエッティが管理局を掌握し、禁忌とされた技術が解放されると、カルタスはギンガの父であるゲンヤと共に
クロノ提督に同調して管理局を離反し、地下活動を行うようになった。だが、強大な力を前にしてゲンヤは戦死し、
自身も生き残るために肉体を機人化することを余儀なくされた。
カルタスに残ったのは、ギンガの無念を晴らしたいという思いだけだった。
(けど、ダメだった・・・・・・)
視界の片隅を見知った顔が通り過ぎていく。
スバルだ。
無事なようだが、両手は赤い血で染まっていた。目も虚ろで、歩き方はまるで幽鬼のようである。
彼女は一瞬だけこちらに目をやったが、死んでいると思ったのかそのまま通路の向こうに去って行った。
(死ぬのか・・・・・嫌だ、まだ・・・・・・まだ死ねない・・・・・まだ、俺は・・・・・・・)
動かぬ体に必死で命じるが、指先1つ動こうとしない。
しかも、段々と意識が遠のきつつあった。どうやら、本当に終わりが来てしまったようだ。
(嫌だ、俺はまだ・・・・・死にたくない・・・・・・・あの娘を守らないと
・・・・・・ギンガの無念を・・・・・・・・・・・・)
瞳孔から光が消え、カルタスの意識は闇に堕ちていく。
気を失う寸前に彼が見たのは、バイザーを装着して不気味に佇んでいる女性の姿だった。
□
ボロボロの体を引きずりながら、スバルはここにいるはずの少女を探していた。
覚束ない足取りで瓦礫を避け、倒れている人物の顔を1つ1つ確認して回る。
そうして歩みを進めた先で、スバルはようやく苦しげに蹲っている少女を発見した。
「イクス・・・・・・」
「スバル・・・・・・良かった・・・・・・」
起き上がろうとした彼女を見て、スバルは絶句した。
イクスの左手の指は全て折れており、両腕には見るに堪えない深紅の傷が無数に走っている。
まだ無事な右手には艶やかだった彼女の髪の毛が無造作に握られていた。
額からも出血しており、流れ出た血で左目が潰れている。
「イクス、そのケガは・・・・・・・」
「自分でやりました・・・・・けど、もうダメみたいです。何をやっても痛みを感じない。
眠りに付く時が、来たようです」
「イクス? イクス、しっかりして!」
抱き止めた彼女の体は軽く、生命の鼓動も感じられない。
温もりの消え去ったその体は、周りに転がる死体と何も変わらなかった。
「ごめんなさい・・・・・・・・マリアージュは、あなたのところにも?」
「うん・・・・・・」
「戦う力を持たない私には、これしか方法はありませんでした。ごめんなさい、私は多くの人々の命より、
あなた1人の命が救いたかった。私は、王様失格です」
「そんなことない、イクスは精一杯やったんでしょう! 悪いのは全部マリアージュだ。
私が全部破壊する。だから、イクスはもう・・・・・・・」
「いいえ、お別れです。黙っていましたが、この度の目覚めは不完全な覚醒だったんです。
だから、長くは起きていられなかった・・・・・・・きっと、もう眠りから覚めることはありません」
「イクス!?」
「あなたに出会えて良かった。短い間でしたが、私は青い空と海を見ることができました。
人々の笑顔に触れて、彼らの営みをこの目で見ることができました。本当に、あなたと過ごした時間は楽しかった。
でも・・・・・・平和で穏やかな世界は、ここにはありませんでした。せめて、それだけは・・・・・・」
「きっと、きっと見れます。まだ見せていない場所がたくさんあるんです。
おいしいアイスクリームだって、まだ食べたことないんでしょう?
この世界には、もっと良いところがたくさんあります。こんな瓦礫だらけの場所じゃなくて、
イクスが見たかった本当に平和で穏やかな場所が」
「うん、見たかった・・・・・・・・あなたと一緒に・・・・・・でも、もう十分です。
あなたがいなければ、私はずっと冥王という呪いに囚われたままだったかもしれません。
あなたが私を助け出して、この広い世界を見せてくれたから、私は私になれたんです。
ありがとう、スバル。私にたくさんの思い出をくれて・・・・・・・」
弱々しく呟き、イクスはスバルの顔を見上げる。
まだ無事な右目には、強い意思の光が宿っていた。
王の眼差しだ。
彼女が何と言おうと、スバルにとってイクスは王だった。
暴君でも冥王でも、彼女は立派な王としての資質を持っている。
誰かのために泣くことができる、優しい心を。
「泣かないで、スバル」
「イクス・・・・・・でも・・・・・・」
「・・・・・えい」
パチリと、イクスはスバルの額を右手の中指で弾く。
痛みと呼ぶにはあまりに弱々しいそれは、彼女がスバルから教わった感情表現の方法の1つだった。
「人の感謝に泣いちゃう娘には、でこピンです」
「イクス・・・・・・もう、そんな変なことばかり、覚えて・・・・・・」
「教えたのはスバルです。ねえ、スバル。私のお願いを聞いてくれますか?」
「・・・・・はい」
「・・・・・・生きてください。生きて、あなたがするべきことを成して・・・・・・・・
あなたの夢、あなたの理想・・・・・・・その手の力は、決して誰かを傷つけるだけのものじゃない。
泣いている人を守り、苦しんでいる人を救い、立ち塞がる壁を壊し、どんな遠くにでも駆けつけることのできる力。
あなたの中の勇気と魔法を、絶対に裏切らないで」
か細くもハッキリとした言葉で、イクスは告げた。
その言葉は確かにスバルの心に刻み込まれ、熱い鼓動と一体となって体内を巡っていく。
「約束、してください。そして忘れないで。あなたが守った1人の王の存在を。あなたに救われた小さな女の子のことを。
私のスバル・・・・・強くて優しい、大好きな・・・・・・とも・・・だ・・・・」
そこから先は、言葉にならなかった。だが、スバルは確かに聞き届けた。
だからスバルは、嗚咽を堪えながら腕の中の小さな王に頭を垂れた。
「はい、約束です。絶対に忘れません・・・・・・・あたしの冥王陛下・・・・・・あたしの、大切な友達・・・・・大好きなイクス・・・・・」
その言葉を聞き、イクスは儚げに微笑んで虚空を見上げた。
きっと、在りし日の出来事に思いを馳せているのだろう。
まだ無事な右目には涙が浮かぶ、雫となって頬を伝う。
色んなことがあった。
短い時間だったが、言葉では語り尽くせないくらい、自分達は一緒にいた。
「おやすみなさい、スバル・・・・・あなたと・・・・・・」
言葉が途切れ、イクスの右手から力が抜けて床の上に落ちる。
『あなたと友達になれて、良かった』
「あたしも・・・・・イクスと友達になれて・・・・・・」
冷たくなっていく体を抱き締め、スバルは慟哭する。
どれほどの時間、そういていただろうか。気がつくと、周りには十数人のマリアージュ達が立ち尽くしていた。
王の眠りを察知し、駆けつけたのだろう。
《冥王は眠りにつかれた》
《案ずるな、我らの進軍は止まらない》
《イクスヴェリアの名を世に知らしめ、我らが王は永遠となる》
《さあ、お前も家臣なら我らを受け入れろ。そして冥王の覇道の礎となれ》
傍らに倒れていた死体が震え、さながら蛹が羽化するかのように新たなマリアージュが生成される。
彼女もまた傍らの死体に歩み寄り、生み出したコアを埋め込んで自分の仲間を増やしていく。
こうしてマリアージュは増えていくのだ。そこに人の生命がある限り、破壊して生み出した死を新たな兵力とする。
イクス自身が忌み嫌い、そして友達を救うために使わざるえなかった力。
彼女達は自らの主の思いすら無視し、イクスが望んでもいない戦いを起こそうとしている。
「止めろ・・・・・・これ以上、イクスの思いを踏み躙るな・・・・・・・」
そっとイクスの亡骸を横たわらせると、低く抑えた声でスバルは告げた。
その瞳は禍々しい金色の光を宿しており、足下には魔法陣ではない水色のテンプレートが輝いていた。
この一瞬だけは、イクスの眠りを喜んで受け入れることができた。
こんな姿を彼女には見せたくない。
こんな、怒りで我を忘れた自分の姿など。
《Gear Second》
マッハキャリバーもまた、相棒の怒りを感じ取って秘められた力を一段階解放する。
両者の思いは同じだった。
ここに、冥王イクスヴェリアの嘆きの全てを置いていく。
燃え落ちていく建物と共に、彼女を縛り付けていた全てを。
覚めることのない眠りについた彼女のためにできることは、もうそれだけだった。
to be continued
66 :
B・A:2009/01/06(火) 22:57:07 ID:UJoji2j1
以上です。
とりあえず、折り返し地点に辿りつきました。。
ハッピーエンド? 何それ食べられるの? な流れにどんどん乗っていっています。
実際、スカ以外は誰もハッピーになれなさそうですが。
保管庫の作品を改訂したいんだが、修正後の作品をどこかのろだに上げればいいんだろうか?
>>66 GJ この作品の趣旨は、それでしょ。
タイトルから見て、六課の落日系統の作品だと思いますので
すかっと悪の大勝利を描いていただけるとうれしいです。
全住民がマリアージュ化するミッドチルダがゆりかごの砲撃で
壊滅し、時空管理局も第56管理世界以外の管理世界との大戦
でアッシリアのような末路を迎え、屍の山の上にスカが神として
君臨するすばらしき新世界が描かれるのでしょうか?
>>68 むしろ「そして誰もいなくなった」のほうがですね
>>69 滅びの物語だな すべては負け犬どもの夢の跡
思いも願いも欲望もすべては塵となりはてん
>>66 壮絶なGJ!!!
辛い、辛すぎます…
もう主人公組も含めて全員ハッピーは決してありえない状態。
それでも主人公達には生きて生き延びて欲しいです。
今回でエリスバの二人とも大切な思いと人を失った。でも生きてさえいれば…
>>69 それよりも「残ったのは主人公だけだった」の方が(当人にとっては)きついと思うぜ
StSでどこまででも残酷なことができるシチュエーションが整ってしまったからなぁ。
そりゃ書き手も歯止めが利かなくなるか。
別に無印でもその辺りは変わらないと思う。
二次書き手の匙加減でしょ。
話は変わるけれど、今現在、それぞれの連載がそれぞれのクライマックスに
向かっているのがすごく楽しみだ
>>66 GJ。
流れ的にシグナムももう
カルタスの前に現れたのも味方とは思えない。
スバルは唯一ともいえる親友を失い、エリオは家族を殺した上に師を救えなかった。
その別れが意味するのは残酷なる強さを得る結果になるのか。もう気になりすぎる。
どうかエリルーとスバルが生き残りますように。。。
76 :
サイヒ:2009/01/07(水) 21:33:01 ID:cZ5r8BLg
新年エロ一番槍いかせてもらいます。
いつもどおりのクロフェでエロ。
エロのメインはクロフェ。あとアルフのオナニー。
当然のように尻はある。
ミッドチルダでは風邪が流行っていた。
国営放送でも報じられるぐらいで、管理局内を歩けば局員の五人に一人はマスクをしており、けほけほ
と苦しそうに咳いたり水っぱなをすすったりしている。
そんな有様を見たクロノは朝礼及び艦内放送で「各員管理局員たる自覚をもって風邪には重々気をつけ
るように」という意味の説教を十分以上に長々と引き伸ばして垂れておいて、翌日当の本人が徹夜続きに
よる体力低下により風邪を引くという、たいそう格好悪いことをやらかした。
風邪の波は機動六課隊舎にも押し寄せていた。
こういう場合、やはり免疫力の低い子供がまず餌食になる。エリオとキャロが真っ先に頬を赤くして鼻
をぐずぐずいわせだした。
それを発見したフェイトは、訓練を休ませるよう教導官にずいぶん強くかけあったり、忙しい仕事の合
間を縫って氷枕を取り替えたり、手ずからオートミールを作ってやったりと過保護っぷりを発揮し「次は
絶対あいつがやられる」というヴィータの予想通り、翌日思いっきり伝染された。
病の執務官とその使い魔
「ほら、フェイトあーんして」
「そんなことしなくても食べられるから……」
「だーめ。病人は看病する者の言うこと聞かなくちゃ。ほらあーん」
観念してフェイトは口を開け、アルフが差し出してくるお粥の匙が口に運ばれてくるのを待った。
昨日エリオやキャロにも同じことをフェイトはやったのだが、いざ自分がやられる番になるとえらく恥
ずかしい。
アルフが作ってくれたお粥は栄養が取れるようにと赤や緑の野菜が豊富に入っており、醤油と鳥の出汁
をたっぷり吸ったお米も美味しい。食欲のあまりないフェイトでも、一皿全部胃に収められた。
「それだけ食べられるなら、明日には良くなっていそうだね。リンゴも剥いてあるけどどうする?」
「これ以上はいいかな」
「そうかい。クロノの様子見たらあたしはちょっと買い物行ってくるけど、何かほしい物ある? 桃缶と
か」
「子供じゃないんだからいいよ……」
「それと、分かってると思うけど」
看病をするためには幼児姿だと少々不便なので、久しぶりに成人姿となっているアルフが、びしっとフェ
イトの鼻先に指を突きつける。
「ちょっと調子が良くなったからって、動くのは絶対に駄目だからね! あたしが帰ってきた時に家事と
かしてたら、バインドでベッドに縛りつけるから」
「や、やだな。なのはじゃなんだからそんな無茶しないよ……」
微妙に視線を逸らすフェイト。実は気分もかなりましになったし、昨晩から看病を頑張ってくれたアル
フへの恩返しとしてステーキでも焼いておいてあげようか、などと企んでいた。
「……なーんか怪しいなあ。フェイトも相当無茶する人だからね。ま、とにかく今日はベッドからなるべ
く出ないように。約束だよ」
「うん。……あ、そうだアルフ」
部屋を出て行こうとする使い魔に、伝え忘れていたことをフェイトは言った。
「クロノの分のお粥はもうちょっとだけ味付け薄くしてあげてくれないかな。クロノ薄味好きだから」
「……はいはい」
表現し難い微妙な表情をして、アルフは出て行った。
※
「ほれクロノ、お粥」
「ああ、悪いな。いただきます」
一匙口に入れてクロノは顔をしかめた。熱くて舌が痛かったのもあるが、原因はほとんど味がしなかっ
たからである。
「……作ってもらっておいてなんなんだが、塩とかちゃんと入れたのか?」
「熱で舌がやられてるんだろ。それにあんた薄味好きらしいからちょうどいいだろ」
「まあ、そうかもしれないけど」
薄味を通り越して米を水で煮ただけの食い物のように思えるのは気のせいか。薬味の葱かきざみ海苔ぐ
らいは入れてほしかった。
しかし元来レーションのような味もくそもない物ばっかり食う人生を送ってきているので、特に苦にも
思わずクロノはもそもそとお粥を完食した。
「ところで、君が大人姿でフェイトは大丈夫なのか?」
お粥だけでなくリンゴも食べながら、クロノは訊ねた。
「フェイトの体力はともかく魔力は落ちてないし、別にこの姿だからって魔力半減するわけでもないから
いいんじゃない? 精神リンク越しに不調も感じられないし」
「ならいいんだ」
「それじゃあ、あたしちょっと出かけてくる。……ベッドの中で仕事しようが管理局に出仕しようがいい
けどさ、フェイト襲うことだけはしないでおくれよ」
「病人相手にするわけないだろう! 僕をなんだと思ってるんだ!?」
「自分の胸に聞いてみなよ」
「うっ……」
冷たい視線を向けられてしまえば、返す言葉も無い。
フェイトと抱き合っている時まれに精神リンクを切り忘れるため、寝所でのクロノの所業はアルフに一
部筒抜けである。「フェイトをいじめすぎだ!!」「この後ろ好き!!」と蹴り飛ばされたこともある。
そこまでされても無体な所業を改めない自分が一番の問題だと分かっちゃいるけどやめられない。
「とにかくおとなしくしておくことだね。じゃ、あたし行くし」
「あ、ちょっと待ってくれアルフ。フェイトはリンゴ食べたのか」
「いや、まだだけど?」
「だったら切るだけじゃなくてすり下ろしにしてやってくれないか。風邪だとそっちの方が食べやすいだ
ろう」
「…………」
なんとも形容できない微妙な表情をして、無言のまま頷いたアルフは出て行った。
※
「…………喉渇いたな」
昼食後の眠りから目覚めたフェイトは、天井を見上げたまま呟いた。
声はややしわがれており、喉に少し痛みもある。寝汗をびっしょりかいたパジャマも着替えたい。
のろのろと起き上がり、熱を持った関節が痛むのに顔をしかめながらフェイトは台所へと赴いた。ミネ
ラルウォーターをコップに注いで一気に飲んだが、渇きは消えない。もう一杯と思ったが、冷たいものを
急に飲んだのが悪かったのか胸につかえを感じて飲み込みにくい。
リビングの椅子に座ってゆっくりと一口ずつ飲んでいくことにした。
アルフはまだ買い物から帰っていないらしく、人気は感じられない。
「…………こんなに、広かったっけ」
誰もいないがらんとしたリビングを見回すフェイト。今までもクロノ達の仕事の関係などで数日間家で
一人っきりだったことはあるが、広いと感じたことはなかった。
広さを埋めてくれる人が欲しいとひどく感じた。
たぶん今、自分は寂しいのだろうと、フェイトは他人事のように熱のあるぼやけた頭で考える。
「あんな夢、見たからかな……」
風邪のせいか、嫌な夢を見た。
自分とクロノが義兄妹のままの関係であり、フェイトがどれだけクロノを愛しているかを訴えてもクロ
ノは笑ってまともに取り合ってくれず、いつも同じ言葉を並べるのだ。
『僕と君は兄妹なんだぞ? 恋人同士になれるわけないじゃないか』
そして、フェイト以外の女性とどこかに消えてしまう。
本当に、嫌な夢だった。
「どうして、あんな夢、見たんだろう」
クロノは、フェイトのことを全身全霊で愛してくれている。他の女性に走ったりすることなど決して無
いだろう。
なのにこんな夢を見るということは、フェイトはまだ心のどこかで思っているのだ。
クロノと過ごしている幸せな時間が、ある日一瞬で崩れ去ってしまうのではないかと。
フェイトの身体は成長したが、心のどこかはまだなのはに助けられた十年前のまま、弱い部分が残って
いるのだ。
「…………クロノの顔、見たいな」
痛切にフェイトは思った。
飲みかけの水を置きっぱなしにして、フェイトは立ち上がる。
クロノの部屋に鍵はかかっていなかった。そっと開けて覗き込めば、クロノはぐっすりと眠っていた。
足音を忍ばせて侵入したフェイトは、ベッドの隣に立ってクロノの様子を窺う。
普段の疲労もまとめて身体の奥から出てきたのか、クロノは完全に熟睡していた。表情はぴくりとも動
かず、まるで死んでいるようだ。小さく上下する胸だけが、クロノの魂が身体にあることを示している。
そんな様子を見ているうちに、フェイトの心の中には最前までとは違った不安が湧き上がってくる。
「クロノ……このまま死んじゃったりしないよ……ね?」
風邪程度で大げさなと思うのだが、胸騒ぎは収まらない。
病気だけではない。クロノが航海任務へと旅立つのを笑顔で見送りながらも、フェイトはいつも義父の
クライドのように殉職してしまったりしていないか、不安を覚えているのだ。
もしクロノに先立たれてしまったら、悲しみのあまり自分がどうなってしまうのかフェイトには全く予
想がつかない。
高まる不安は、いつしかクロノに一秒でも長く触れていたいという強い欲求に変わって身体を突き動か
す。
フェイトの頭は少しずつ下がっていき、やがてクロノの顔との距離がゼロになる。
合わせた唇は、乾きざらついていた。潤いを与えようとフェイトはとにかく舐め回す。
「ん…………んんんぅ!?」
さすがにキスをされればクロノも目覚めた。見開かれた瞳と硬直した身体が、驚愕の大きさを現してい
る。
それでも、フェイトは全く別のことを考えていた。
本当に自分は弱い。
クロノがどれだけ愛してくれているか分かりきっているというのにほんの些細なことで心が不安定になっ
てしまい、強く証を求めてしまうのだから。
思いながらもフェイトの口づけは止まらない。それどころか平均よりだいぶ大きな乳房をクロノの胸に
強く押しつけ、唇も重ねるだけではなくクロノの首筋に吸いついたり耳を噛んだりと、スキンシップ以上
のことをする。
「ちょっと待ったフェイト。まさか……」
「クロノお願い。…………抱いて」
恋人同士でしか出来ない身体と身体の関係が、今すぐほしい。
「風邪引いてるんだぞ」
「私もクロノも風邪引いてるんだから、伝染っても問題ないよ」
「そういう問題じゃ……!?」
もう一度強くキスをし、舌でお願いだからしてほしいと伝えると、観念したようにクロノは頭を振った。
「……仕方ない。一回だけで、あんまり激しくはしないぞ。病気の身なんだから」
「うん、ありがとう」
「それと……」
フェイトをシーツの上に横たえながらクロノは続けた。
「君はまだきつそうだから、僕が主体でやらせてもらう」
パジャマの胸元が広げられ、姿を見せた乳房にクロノの顔が押し当てられる。
朝にアルフが身体を拭いてくれてはいたが、フェイトの身体はまたまたひどい汗をかいていた。
もちろん昨晩は風呂に入っていない。一日越しの酸っぱい匂いをクロノが嗅いでいるのかと思えば羞恥
心がひどく頭に血を上らせた。
「クロノ……あんまり、身体の匂い嗅がないで……汗かいてるから」
「今更だろう、そんなこと。君の汗の匂いなんかずっと前から知ってる」
「それはそうなんだけど……」
意にも介さず乳房の谷間が広げられ、奥深くまでクロノが鼻を埋めてきた。それだけでなく鼻をわざと
らしく鳴らして匂いを嗅がれたり、汗の溜まっていそうな窪みを舐められたりして、元から火照っている
フェイトの頬はいっそう熱くなった。
愛撫はかなり優しいが、態度はいつもどおり意地悪なクロノだった。
あまり触れられたことのない内側に、軽く歯が立てられる。硬く鋭い感触に、胸全体がぴくんと震えた。
「ここも感じるのか。本当に、胸が弱いな」
時に歯を立て、時に唇で吸いつきながら、クロノは胸全体に口を這わせていく。まるで汗を舐め取って
いるようだ。手は、反対側の乳房を大きくゆっくりと揉んでいる。
いつもは丹念というより執拗にフェイトの身体を愛するクロノだが、今日は本当にフェイトの性感帯を
柔らかく丁寧に扱っている。
たっぷりと唾液で濡らされた乳首を指と舌で転がされ、フェイトは熱い息を吐いた。
「あふぅ……そこ、もっと……」
乳房に血流が集まって張りが出てきたのが、自分でも分かった。
風邪で身体の感覚は弱まっているはずなのに、一つ一つの愛撫が恥ずかしいくらい感じてしまう。ひと
りでに腿が擦り合わせる動きをしていた。
クロノもそれに気づいたのか、乳房と戯れていた右手を、フェイトのパジャマのズボンに潜り込ませて
くる。
ショーツの上から長い指が撫で上げると、くちゅりと密やかな音がした。
くすぐったくてどこか寒気にも似ているが、むしろ熱さを覚える感覚が、フェイトの身体の奥に生まれ
る。
感覚をかき立てるようにクロノの指が潤った峡谷を上下して、フェイトを甘美さに蕩けさせた。自分で
もよく分かっていない微妙な場所が、曲げた指で何度も刺激される。完全にクロノに身を委ねていること
もあって、あっという間に果ててしまいそうだ。
「うあ……ふあぁん……」
「……指だけじゃいやか?」
喘ぐフェイトの耳元でクロノが言う。
恥ずかしい言葉を直接言わせようとしているのではなく、言葉どおり指だけで達するだけでは嫌かと訊
いているのだ。
「う、ん……病気で疲れてるの分かってるけど、最後まで、して」
フェイトの願いに頷いて、クロノは再度乳首を強く吸い、指を複雑に動かしてフェイトの身体の内も外
も濡らしていく。
クロノと繋がる準備の階段を一段ずつ上がっていきながら、フェイトは力の入らない腕でクロノの頭を
かき抱き、恋人の体温、舌、指の動きを全身で受け止めた。
※
「だから……やる時は精神リンク切るようにっていつも行ってるだろう……!」
よろめきながら玄関をくぐったアルフは、買い物袋をどさりと床に落とした。
「風邪ひいてる時まで大人しくできないなんて、これじゃどっちが獣だか、わかりゃしないよ……」
買い物の帰り道から、精神リンクを通じて強制的に発情してしまっている。べったりと愛液の垂れた太
ももは体重を支えることもできなくなりつつあった。
とても部屋まで戻れそうにない。アルフは一番手近な便所に転がり込んで、下半身の衣類を引っ張り下
ろした。
便座に座って気が緩んだ途端、一気に精神リンクから流れてくる情報が巨大になった。
今現在の状況だけではない。
クロノの肉棒を胸と舌で愛している記憶。二人座り合った体勢で繋がっている記憶。犬のような姿勢を
強要され尻穴を抉られながらよがり啼いている記憶。クロノの上で淫らに腰を振り精液を搾り取って喜悦
している記憶。全身余すところなく白濁液を注がれながら、なお淫心静まらず夜が明けるまで求め続けた
記憶。
過去にフェイトとクロノが交わった時の光景が怒涛のように流れ込んでくる。記憶に引っ張られて、思
わずアルフの手は秘所に伸びかける。
だがほんの数寸手前で、アルフは必死に指を止めた。
「ほんと……これがきついよ」
普段クロノの馬鹿ップルぶりに文句をつけたり殴ったりしているアルフだが、別にクロノのことが嫌い
なわけではない。
フェイトの妹分としてはフェイトを取られたようで少々面白くない気分はあるが、十年前からの長い家
族生活でクロノがいい奴であることは知悉しているし、なによりクロノと相思相愛となれたことでフェイ
トは幸せを満喫していた。フェイトの幸せは即ちアルフの幸せでもある。
しかし、まかり間違ってもクロノに抱かれるのだけはごめんだった。
アルフを抱いていいのは、八神家の蒼い狼ただ一匹だけである。
この状況下においてアルフが慰めようものなら、まるでクロノを想って自慰しているようなものだ。そ
んなことはザフィーラに申し訳ないし、アルフ自身も絶対に嫌だ。
「あぐぅ…………ザフィーラぁ……!」
終わる気配の見えない淫猥な光景の連続を、爪を指ごと噛みながら恋人の名を呼んでアルフは必死で耐
え続けた。
※
「じゃあ……挿入れるよ」
完全に裸となったフェイトは、同じく全裸のクロノの腰に跨っていた。
長めだった前戯のせいか風邪のせいか、フェイトの身体はいっそう熱を帯びており膝立ちになっている
だけでもきつくてゆらゆら頼りなく揺れてしまう。その度に金色の陰毛を伝い続けるフェイトの蜜が、屹
立したクロノの上に一滴ずつ垂れていた。
「辛いなら僕がしてもいいんだぞ」
「だって準備は全部クロノがしてくれたんだから、本番は私がしてあげる。クロノは無理しなくていいよ」
フェイトの身体をいじくっていただけでも疲労したらしく、クロノは額に数滴汗をかいており顔の赤み
も増していた。自分のわがままでこれ以上無理はさせられない。
「んっ……」
ゆっくりと慎重に腰を落としていくフェイト。
騎乗位は何度もやって慣れている。それなのに、入り口同士がひたりとくっついただけで、腰全体が震
えるぐらい感じた。風邪の菌は、フェイトの全ての感覚を狂わせている。
なんとか膨らんだ雁首まで潜り込ませたところで一度止まり深呼吸した瞬間、支えていた膝が滑った。
「ひああぁぁん!?」
ずるんと、潤滑液に満ちていた膣は一気に奥まで肉棒を咥え込んでしまう。
一瞬で腰が砕けた。フェイトはまともにクロノの上へと倒れこんだ。
「うわっ!?」
「ご、ごめんなさいクロノ! すぐにどくから…………あれ?」
一度立ち上がろうとするのだが、首から下が全く動いてくれない。衝撃に腰どころか身体全体の力が抜
けてしまっていた。
「……なんか、身体が動かない」
「僕もだ」
「…………どうしよう」
繋がりはしたので貫かれる快感はあるが、動きがなければいつまでたっても最期までいけはしない。こ
のまま腰が回復するのを待っていれば、いつになるか分かったものではない。
「しかたないな」
ため息をついて、クロノが背中に置いていた手を下へ向けて滑らせていく。
「力を抜いて……ってもう抜けているか」
クロノの指が止まったのは、尻肉の合間で息づく穴だった。
窄まりの縁が軽く摘まれ、そのまま縁を一周なぞられる。
秘所を愛する時とよく似た動きで、クロノはゆっくりと後ろの穴をほぐしていく。
「入り口だけは、前の方よりも挿入れやすくなったな」
「クロノが……ふんんっ……何度もお尻でするからだよ」
開発されきって感度を高められた菊門は指を拒むどころか、奥へ入りやすいようにと素直に入り口を緩
やかに開けていく。
腸液があふれるぐらい流れてはクロノの指に絡んで、根元までもスムーズに導いていく。あっという間
に指が一本全部挿入ってしまった。
「いつもよりかなり熱い。風邪を引いてたらこうなるんだな」
感慨深そうに呟いて、クロノは本格的に指を動かし出した。
敏感な腸壁を擦り、引っかき、さらにゆっくりと引っこ抜く。
腹の奥から伝えられる快感に腰をびくつかせながら、フェイトは甘い呻き声を漏らした。
「や……ああ……クロノも、気持ちいい?」
「ああ、お尻をいじったら前が動いて、締まって、いい具合だ……!」
言われる通り、クロノの性器の出っ張り一つに至るまで分かるぐらい、フェイトの膣壁はびっちりとま
とわりついては細かく痙攣するように動いていた。下の口でクロノを舐め回し慰めているかのようだった。
尻の指が二本に増えて、さらに複雑かつ激しく動いてフェイトを酔わせる。
気がつけば、身体全体が細かく震えていた。絶頂の前兆である。
「ク、ロノ……お願い」
頬を包み込んで、潤んだ瞳でフェイトは哀願する。
「一緒に、出して」
口づけで承諾の答えをもらえる。
多少動くようになったらしいクロノの腰が下からちょっとずつ突き上げてくる。
子供を産むための穴も、不浄の穴も、両方愛されながら、フェイトは果てた。
全く同時に、白い奔流が胎内を染め上げていく。
「あああぁぁぁぁっ、クロノっ!!」
鋭く叫んで背中を突っ張らせながら、子宮を満たされる女の悦びにフェイトは恍惚とする。
朦朧としたまま意識を失いそうになるが、僅かに戻っていた力を振り絞ってフェイトはクロノの上から
どいた。
栓の役目を果たしていた肉棒が抜けて、こぽりと精液が腿に熱く流れ出てくる。
(……あったかくて、気持ちいい)
身体の交わりよりも、強く抱かれる腕の感触と温かさで、いつのまにかフェイトの心から不安は消え去
り、安らかな眠りへとフェイトはいざなわれていった。
※
精神リンクが切れた。
同時に、延々焦らされ続けたアルフの自制心も切れた。
指を一気に三本、秘裂にねじり込み、とにかく強くかき回す。
「ああああっ!! ザフィーラ!! ザフィーラ!!」
何もしなくとも限界寸前まで焦らされきった身体は一瞬で高まる。
全く我慢もなにもせず、全身を走る雷光をアルフは抗うことなく受け入れた。
「はああん!!」
早急に果てて、アルフはがくりと首を垂らす。
「はあ……はあ……こっちの姿で、よかった」
幼女形態なら、健在な膜が傷ついてえらいことになるところだったと、変なところでアルフは安心した。
一度ぐらいでは収まりのつかない身体をなだめるようにゆっくりと秘所の指を動かし、疼いている胸も
軽くいじった。
二度目はゆっくりやろうと思っていたアルフだが、ふと思いつくことがあった。
「……フェイト、またこっちでしてたよね」
小指で自分のお尻の穴をつついてみるアルフ。
どっちが先に始めたのか知らないが、フェイトとクロノは一般的にはあり得ないぐらい頻繁に尻でも交
わっている。それもクロノが無理やりするのではなく、フェイトが自分からねだっていることも多い。
だからたぶん、とても気持ちいいのだろう。
「そんなにいいのかな?」
後孔に何かを入れたことなど、ずいぶん前に風邪で座薬を初体験して以来である。アルフの穴はひどく
きつくて、フェイトがいつもやられているように指を一本丸ごと差し込もうものなら裂けてしまいそうで
ある。
そーっと小指一本だけを進めてみる。指に肉が絡みつきながら吸い込まれていくのが、ひどく妙な気分
になる。
第一関節まで入った時だった。ぞぞっと背筋を這い上がる感覚があった。
「うひゅぅっ!?」
間抜けな悲鳴がアルフの喉から飛び出た。反射的に前に突っ込みっぱなしだった指が動いて、アルフの
身体が揺れる。
「ひぅっ! こんなのの、どこがいいってんだか……!」
口で呆れつつも、アルフの指は菊座から抜けようとはしない。
奇妙な未知の感覚ではあったが、かすかに膣とは異なる快感があったような気がする。
指をもうちょっと太い薬指に替えてみようと抜くと、今度は別の言い様がない心地よさが湧き出てきた。
時折痛みは走るものの、膣の指を動かせばすぐに痛みは引っ込む。
深さはさすがに浅いものの、いつしか動きの幅は前に劣らぬぐらい激しくなっていた。
「なんか、これ、癖に……なりそう」
まずいことに特殊性癖に目覚めつつあると自覚しつつも、アルフの指は前後両方止まらない。
止まらないまま、終点が向こうから迫ってきた。
「ああっ、ああっ、ああああーーーっ!!」
股間が潮を吹き、一拍遅れて精神が達した。
一度目とは比べ物にならない高さでの絶頂に、ぐったりと弛緩したアルフは背中を貯水タンクへもたれ
させた。
「…………お尻、けっこういいかも。今度、ザフィーラに頼んでみようか。……嫌がるかな」
夜の方でも狼だの幼女姿のアルフでも余裕で勃つだのとあらぬ噂を立てられているザフィーラだが、実
像は相当に物堅い男である。尻でやってくれなどとアルフが言えば、気でも狂ったかと仰天するだろう。
「ああ、でもそういう顔も見てみたいね。…………さて、と」
いつまでも呆けているわけにもいかず、便座に飛び散った愛液までトイレットペーパーできれいに後始
末したアルフは、ぼきぼき手を鳴らしながらトイレを出て、クロノの部屋を轟音立てて蹴り開けた。
中の二人の反応は、音に飛び起きたクロノと安らかに眠っているフェイトという対照的なものだった。
「フェイトを襲うなって言っただろうがこのエロ提督!!」
「ち、違う。これはフェイトが……」
「やかましい! とっとと制裁を受けろ!」
「話せばわかる!」
「問答無用!!」
何か言おうとしているクロノの顔面に、アルフは渾身の力で鉄拳を叩き込んだ。
結局、フェイトは風邪の悪化によりさらに二日、クロノは全身打撲により四日の有休延長を余儀なくさ
れたのだった。
終わり
87 :
サイヒ:2009/01/07(水) 21:43:26 ID:cZ5r8BLg
以上です。
年末年始と風邪にやられて予定してた正月ネタが書けず、悔しかったんで病気をネタにする。
ついでにずっとやりたかった精神リンクネタもやったんですが、ガチで考えるとアルフには色々きっつい設定ですね。
家族の出演してるエロビデオ強制的に見せられてるようなもんか。そりゃエロノ相手に姑化もしようて。
では、みなさんも風邪にはお気をつけて。
ヒャッハー!
久しぶりのエロだーー!!(世紀末風に)
しかも今回はアルフという意外なトッピング効果で良い感じw
>>87 エロォオオオオオオオい!! 新年早々GJでありますサイヒ氏。
とりあえずクロノ、ご愁傷様。まあ、嫁を手に入れた役得と思って殴られとk(ry
確かにアルフは大変ですね。この設定。感覚全部フィードバックされるわけだから。
きっとこの後、アルフは六課の寮にいるであろう蒼い狼を襲撃したんだろうなあ。
今年も貴方のSSを楽しみにしています。
GJ
しかし、
>>当然のように尻はある
これで噴いた。
新年からGJです!
しかしクロノは二穴攻めとか鬼畜すぎるわw
二穴(フェイトとアルフ)攻めw
クロノがケツと尿道攻められるんじゃないのか
こうなるとザフィーラとアルフの初アナルも読みたくなるな。
このスレにおける三大棒
クロノ 7:3ぐらいの割合でまともに扱われる場合が多い、が、このスレではアナル提督という事になっている
ユーノ 8:1:1ぐらいの比率でシリアスに描かれる、残りの2割は淫獣とかお笑いだったりする
エリオ 95%ぐらいの確率でまともな人格を与えてもらえる、が総受けだったり大怪我したり欝だったりと割と大変
>>66 GJ!
イクスの最期は本当にやばかった。
シグナムは死んだと決まった訳じゃないのでまだ希望を持っておく。
しかし今回でエリスバとも闘う心が折れてしまったとも考えられる。大丈夫なんだろうか…
病の執務官を『痔』の執務官と読んでしまって反省した俺がいる…
本文読んでその読みは間違っていなかったと開き直った俺がいるw
うおお……レジなのの人はまだなのか〜〜。
オイラはリリカルふぇいと待ち
じゃあ、俺は「歪んだ素直」待ってますね
レジなのと不殺科学を待ち続ける!
ぬるぽ氏の帰還を待っている
自分は熱き彗星の魔導士をずっと待ってます。
二、三人ならいいけどそういう流れつくんのはヤメレ
ここを見てはいるけども、もう書いていない職人さんやっぱりいるかなぁ
もう見てないし書いてない職人さんは仕方ないとして、ディスプレイの前の職人さんに再び火がつけばいいな、と思った
じゃあせっかくですし
一階の名無し氏ずっとお待ちしております。
はやゲンの姫はじめかいて欲しいです(^p^)
鬱ゆのふぇ・・・
>>66 流れをぶった切ってGJ!
スバルが…とうとう壊れてしもうた…
エリオも自己嫌悪と後悔でいっぱいだろうな
これでルー子まで死んでしまったらエリオもスバルと同じコワレタ復讐者組に仲間入りに
それはやめてええええええええええ
近頃、246氏全然出てこないなぁ…
>>109 二人とも、クレイトスみたいになるのか?w
「エリオはどんな敵でも、あんな冷たい魔法は撃たない!
あいつの魔法はもっと優しくて、包み込むようで…」
みたいな展開に……
114 :
110:2009/01/08(木) 23:09:59 ID:KJerJqqb
ごめんなさい。
ミスりました。
まさかとは思うがお主、名前欄に「名無しさん@ピンキー」と
毎回じかに書き込んでいるわけじゃなかろうな?
やるんなら
「管理局の名無しさん」
とか
「名無しさん@セットアップ」
あたりがいいなぁ
>>117 >「管理局の名無しさん」
それ何てなりきりスレwww
実際にやると「”管理”局の名無しさん」と表示されてしまうんだぜ
さてそろそろ全裸で投下待機するか
この時期、全裸で投下待機は風邪引くぜ!
紳士スタイルで待たせて貰おうか
おいおい、全裸ネクタイでもやっぱり風邪ひくってーの
ほら、靴下かたっぽやるから暖をとりな
じゃあ小生は「紅き彗星の魔道師たち」「蟻地獄」「リリカルふぇいと」を
125 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 23:06:05 ID:Wq7V3I+f
小生は「蟻地獄」「紅い彗星の魔道師たち」「魔法少女リリカルなのは++」だ
↑ よぉ、同志。特に「魔法少女リリカルなのは++」
おまいら
>>104で一度注意されてんだしそういうのは止めようぜ
待ってるとか書く時間があるなら自分で何か書いてみようじゃないか
あ、じゃあちょっと質問なんだけど、スカトロとかマ○コの拡張ってアリ?
まだプロットの段階だけど下手したら人体改造も入れるかも。
>>130 あり
全然あり
ただ注意書きは忘れちゃダメだぜ
>>130 >>1読んだら分かるはずですが、やっぱり確認とりたいものですよね。
SS本文投下前に、その旨の注意書きを入れれば問題ない。
あと、NG処理用に、SSタイトルorトリップも忘れずに。(その他よーく
>>1を読んで)
これで投下自体に苦情は言われない。(言われても無視)
SS自体の評価は別ですが。
がんばってください。
どうもエリオを主役にする作品でシリアス系は、フェイトやなのはを活躍させないためのシチュに
フェイト死亡とか、パンチドランカーになったなのはとかを使うんで、フェイトやなのは好きとしては
納得できない。
今、プロットを考えてるのは、フェイトやなのはの救援が望めない他の次元世界で、エリオが十発
ほどのカートリッジしか残されていない状況で、戦闘機人刈りのために開発された機動戦鬼という
化け物にギンガの更正プログラムの一環として異世界で、奉仕活動するナンバーズのメンバーと
共に立ち向かうって話だな。
機動戦鬼の中の人は、意外な人物を考えてる。
俺はSTSの最終決戦でオリキャラをスカ側に入れて話を再構築
戦局ががらりと変わって管理局の敗北
んでもって女性キャラが慰み者になるって話
137 :
サイヒ:2009/01/10(土) 19:16:38 ID:svYmYdnJ
スレが長いこと黒グリフィス一色になってるんで、白グリフィスで中和しに来ました。
ソープナンバーズ、セイン話の後編いきます。
前編投下したのがえっらい前なんで、記憶に無いという人は保管庫へどうぞ。
カプはグリフィス×セイン。エロ的には普通な内容。
(うう…………お尻まだ痛い。なにも爪まで出さなくてもいいのに)
姉が言うところの「個別レッスン」とやらが終わってすぐに指名を受けたセインは、痛む腰をさすりな
がらベッドの上に座っていた。客は何か手間取っているのかまだ入ってこない。
セインは服と下着の間に手を突っ込み、恐る恐ると肛門の入り口に指を入れてみた。軽く指を回して抜
くが、皮膚が赤く染まっていたりはしなかった。怪我は無いと知ってほっとする。
「もうなんだろうが二度とドゥーエ姉に相談するのはやめよ」
指をハンカチで拭きながら声に出して決心するセインだったが、客を待つ手持ち無沙汰な間に姉が言っ
たことを思い出してみると、少なくとも嘘は含まれていない気がする。
(確かに私ってトーレ姉やディードとかと比べたら胸もお尻もぺったんこだしなあ)
「ここが六番の部屋……ですよね」
(性格だっていきなり変えられるものじゃないし……だったらやっぱりこっちを上手くなるしかないのか
な)
「あの……」
(けど女同士で練習したって男相手だとあんまり役に立たないんじゃあ……)
「もしもし?」
肩を揺すぶられ思索にふけっていたセインが我に返ると、ベッドの横に眼鏡をかけた見知らぬ紫髪の青
年が立っていた。
「君がセインさんかな?」
「おっとと、ごめんなさいお客さん。ちょっとぼうっとしてました。はい、あたしがセインです」
「あ、僕はグリフィス・ロウランといいます」
「ご丁寧にどうも」
名乗り返す客ことグリフィス。そんなことされたのは初めてだったので、思わずセインはぺこりと頭を
下げてしまった。
「ずいぶん考え事してたみたいだけど、何か問題でもあるのかな」
「いえ、くだらないことなんで気にしないでください」
「いや、でも眉間に皺を寄せて凄く難しい顔してたから。あんな顔されたら、こっちも気になるんだ。長
くならないようだったら、話してもらっていいかな」
行為をする前に軽くしゃべりたがる客もいる。しかしこんな話題を振られたのは初めてだ。
どうも普段の客とは様子が違うと首を捻りつつ、姉妹がなんとも頼りにならなさそうな気配なので思わ
ずセインは問われるままに悩みをこぼしてしまった。
「実はあたし、ちょっと悩み事があって……」
そのまま、先刻あったことをセインはしゃべっていた。姉に危うく調教させられかけたことはもちろん
伏せておく。
グリフィスは黙って聞いており、やめろともなんとも言わない。
「そんなことがあったわけなんだけど…………あ!」
最後まで語ってしまってから、遅まきながらセインは気づく。
馴染みの客がいないと告白するなど、自分は人気がありませんよと公言しているようなものではないか。
少なくとも、これから相手をする客に言うことでは無かった。
(まずったなぁ……。こういうとこが駄目なんだな、あたしは)
遅まきながら反省しつつ、セインは男性に謝った。
「ごめんなさい。あたしのつまらない愚痴聞かせちゃって……。しゃべってた分、延長してもらっていい
ですよ。お金はあたしが出すから」
「いや、実は僕も自分のこと地味だな、と思ってて」
「そうなんですか?」
言われてみれば顔は美男の部類に入るが、そちらよりむしろ大人しさが目立っているような雰囲気であ
る。セインの話の間も、頷いているだけで自分から訊ねてくるようなことはなかった。控えめで目立たな
い性格なのは、顔を合わせてほんの数分で知れていた。
「僕は管理局員なんだけど、階級的には今の部隊で上から十番目ぐらいにはいるんだ」
「へえ、偉い人なんですね」
「いやまあ、まだ准尉なんだけど……。とにかく存在感薄くて周りの人に全然覚えてもらえないんだ。こ
の間も同僚のスバルっていう子に話しかけたら『どちらの部隊の方ですか?』って聞かれたりして。あの
時は本当にへこんだよ…………ははは」
しゃべっているうちに当時のショックを思い出したが、グリフィスは完全に下を向いてしまった。
これだけ打たれ弱いあたり、やや大人っぽい風貌をしているがまだ若くて人生経験は少ないのかもしれ
ない。
そのまま今度はグリフィスが、自分の部隊は女の人ばかりで肩身が狭いとか、自分の存在意義の疑問と
かについて語り始める。何か溜め込んでいるものでもあったのか、いつまで経っても終わる気配が無い。
ふんふん、と相槌打ちながらそこそこ真剣に聞くセイン。しゃべる相手が基本的に姉妹ばっかりなので、
たとえ愚痴話であろうと他人の話を聞くのは面白い。
かなり長い時間話は続き、ようやく一息ついたところで今度はグリフィスがしまったという顔をした。
「すまない。今度は僕がつまらない愚痴を聞かせてしまって」
「…………くくくっ」
謝るグリフィスから思わずセインは喉を鳴らして笑った。
「あははは……なんかおかしいね。愚痴りあう風俗嬢とお客さんなんて……」
「確かに、普通はいないだろうね」
グリフィスもつられたのか相好を崩す。顔を見合わせ、二人はひとしきり笑いあった。
場所柄にふさわしくないほのぼのとした雰囲気になるが、いつまでもそうしてはいられない。お金を払っ
てもらっている以上、ソープ嬢として成さなければならないことがある。
「じゃ、お話このへんにして、そろそろ始めよっか?」
服を脱がしてやろうとボタンに手をかけると、グリフィスは明らかに戸惑った顔をした。
「グリフィスさん、あんまりこういう所慣れてないでしょ?」
「……やっぱり分かるのかな、そういうの」
「まあ、普通は女の子と悩み相談したがるお客さんなんていないし」
「こういう店に来るのは二回目なんだ。一回目もここだったんだけど」
「ふぅん、相手は誰ですか?」
「四番のクアットロっていう人」
「あちゃー……」
あの姉なら、客が不慣れだろうが気にすることなく自分の流儀でやるに決まっている。そしてクアット
ロの流儀=サドであった。
(いきなり鞭でぶっ叩くようなことはしてないだろうけど。…………しかしこの人、また来たってことは
ひょっとしてマゾ?)
失礼なことを考えつつも、今度は客を放っておくことなくセインはてきぱきと準備を進めていった。グ
リフィスを脱がすのを手伝いながら、自分もちょっとずつ服を取り去っていく。
顔を見せたグリフィスの股間に顔を寄せると、音でも立てそうな勢いでグリフィスの身体が強張った。
まさかフェラチオも知らないのかと表情を窺えば、顔には未知への不安というより警戒心が出ていた。
(……さては噛んだなクア姉)
肉棒に怪我をした痕跡は無いが、軽いトラウマになってるのか萎縮したままである。
まずは植えつけられた恐怖心を取り除いてやらねばと、セインは舌だけ伸ばしてちょんとつついた。二
度、三度と繰り返しながら、身体の緊張が解れるのを待つ。
やがて手を置いている腿から力が抜ていくのが分かった。陰茎にも芯が入りつつある。しかしまだ完全
ではなく、あと一息といったところ。
(ここからどうしよ? まだ口に入れちゃったら緊張される気がするし……)
思案するうちにふと思い出したのは、先刻ドゥーエにされたこと。といっても、口淫について教えられ
てはいない。
セインが思い出したのは、巧みな指に昇り詰めさせられて呆然と半開きになった口に注がれた唾液。わ
ざと唇を重ねず口の上から糸となって垂らされる唾液は、蕩けた視界にひどく卑猥に移った。
一度舌を離したセインは口の中でもごもごと唾を溜め、グリフィスからよく見える角度で唇から垂らし
た。
かすかに泡立った白い糸がつつっと垂れてまぶされた途端、肉棒は大きく脈動し最大限まで屹立しきっ
た。
(へえ、けっこう大きいな)
同じ種類のものを見慣れきっているセインの判断では平均よりもかなり立派で、皮も被っていない。
喉につかえるかもと思いつつ、先端からゆっくりと口に含んでいく。
滾りきっている肉棒は、熱した鉄のように熱くて硬い。熱さを和らげるかのように、セインが幹の半ば
まで進む頃には先端から透明な液が零れ出した。
舌の上に溜まっていくそれを唾と混ぜ合わせて全体に塗り伸ばし、唇から出し入れする時にいっそう快
感を与えられるようにしておく。
くちゅくちゅと音が立つが、それ以上に荒く息を吐く音が大きい。
まだセインは本腰を入れていないのに、グリフィスはまぶたを固く閉じて快楽に必死で耐えている。額
には汗の粒すら浮かんでいた。自己申告どおり、口淫どころか女性経験そのものが数えるほども無いのだ
ろう。
この様子では愛撫も拙いものだろうから、先にセインは自分で準備しておくことにした。
(あんまり自分でするの好きじゃないんだけど……)
他人の目の前で自分の秘所をいじくるなど、ひどい淫乱のような気がしてしまう。こんな商売やってて
何をと呆れられそうだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
とはいえ、やらざるをえない時はやる。
姉妹の中では極端に薄い水色の陰毛をかき分け谷間に触れる。ひどく柔らかい肉の割れ目だが、まだ潤
いは無い。こそばすようになぞってやると、すぐに水気が奥から湧き出てきた。
ゆっくりゆっくり撫でているだけで、肌のすぐ下のあたりが気持ちよくなってくる。指が徐々に大胆に、
止まらなくなりそうになる。
口の方も忘れず、頭をゆっくり深く上下させて唇で根元からくびれまでしごいていく。唾液に濡れた肉
棒は、赤さを増しながらてらてらと光を反射した。
「ん……ぐ……ぷはぁ……あんっ」
セインが息継ぎをしたタイミングと、股間の指が淫核に当たるのがたまたま重なり、セインは鼻がかっ
た喘ぎ声をかすかに上げる。
その途端だった。
「で、出るっ!!」
「へっ!?」
いきなり目の前の竿が暴発した。
「うそっ!? って、わわわわ!?」
大きさを裏切らぬ量の白濁液が恐ろしい勢いで噴出し、セインの髪といわず胸といわずあらゆる場所に
降り注いでくる。
本気のテクニックを見せるだいぶ手前だったのでまさかこの段階で出るとは思わず、セインは呆然とし
たまま精液のシャワーを浴びた。
「…………いきなり、出してしまって……その……すまない」
ようやく射精が終わると、グリフィスはうつむいて言った。傍目にも落ち込みまくっているのが分かる。
早漏すぎたのが自分でも分かっており恥ずかしいのだろう。実際、恐ろしく早い部類に入っているのだ
が。
「いやいや、気にしなくていいから。無理やり飲ましてくるお客さんに比べたらずっとましだよ」
慌ててフォローしてやるセインだが、グリフィスの股間を眼にして思わず吹き出しかけてしまった。
本人の気持ちと裏腹に、股間は全く萎えておらず女が欲しいと言わんばかりに勃起したままだったのだ。
あれこれ言うより本番で名誉挽回させてやればいいかと、セインはベッドに横たわってそっと足の間を
開けた。
「本番、しちゃっていいよ。胸とかも触りたかったら触ればいいし」
「…………あ、ああ」
背中を押されるようにして、グリフィスが上に覆いかぶさってくる。
穴の位置を確かめているのか指が秘裂のあたりをまさぐり、やがて指先は鈴口に変わった。
ちょっとずつ、まるで焦らしているかのように性器が進み入ってくる。
(つっ…………やっぱ、大きいな)
セインの身体は濡れ始めていたとはいえ、挿入するには準備不足が否めない。
内側が擦れて痛みを覚えるセイン。こういう場合ゆっくりやられるよりも一気に奥まで挿入れられた方
が痛みがまぎれるのだが、顔には出さないようにしてグリフィスを受け入れる。
根元まで埋まると、それだけで体力を使いきってしまったようにグリフィスは大きく深呼吸をした。
息が静まった頃を見計らって、セインは優しくキスをして堅さを取ってやる。
「好きなようにしてくれていいから」
すぐにグリフィスは動き出す。
本当に出し入れしているだけの、稚拙な腰遣い。胸などに愛撫をすることなど、頭に思い浮かんですら
いないのだろう。
それでもセインの膣は、男を受け入れ続けているというだけで愛液を分泌してストロークを滑らかにし
ていく。
ちょっとだけグリフィスの速度が上がったかと思えば、終焉はあっさりと訪れた。
「セイン……さんっ!!」
名前を呼ばれるのと同時に、身体の中で陰茎が暴れまわり熱い液体を漏らす。
やはり早すぎる二度目の射精。
しかし今度はグリフィスは恥ずかしそうな顔もせず、射精が終わると何かに突き動かされるように律動
を再開させた。
二人分の粘性の汁がセインの腿を伝わっていく。
顔は真っ赤で、浅く短い息をつきながら腰を動かしている。あまり激しくない抽迭運動が時々止まるが、
射精を耐えているのではなくセインの顔を覗き込んで無理をさせていないか窺っている顔つきをしている。
(……こういうの、初めてだな)
客にも色々いるが、たいていは純粋に快楽目的のためだけにやってくる。したがって自分の好き勝手に
動きたがる客が多い。
だからグリフィスのようにひたすらセインの身体を気遣ってくれる客は、初体験だった。
(ほんと、妙なお客さんだなぁ……)
快感ではなく愛おしさがセインの胸の内に生まれる。
腕を伸ばしてグリフィスを抱き寄せると、腰の力加減を変えて膣内を蠢かせる。
「男の人って、こうしたら気持ちいいんだよね?」
答える余裕はないのか、グリフィスは頭でだけ頷いた。
「女の子もね、ちょっとぐらい激しく突かれる方が気持ちいいんだよ。だから気にしないで、グリフィス
さんの動きたいように動いてくれればいいよ」
もう一度頷いたグリフィスが、腰つきを変える。
絡みつく粘膜を振りほどくように強く突いて、一番深い場所まで押し入ってきた。
一瞬も止まることなく、すぐに腰が引かれて肉棒が抜けていく。そのせいで出来た胎内の空洞に、セイ
ンは切なさのようなものを感じた。
だがまたすぐに膣は満たされる。
「くっ、うくっ……!」
「んぅっ……んんっ……!」
苦しそうにも聞こえるグリフィスの呻き声とセインの甘い喘ぎ声が、身体と同じく交わって絡み合いな
がら、どんどん高まっていく。
スピードを緩めぬ性器がいきなり止まったかと思うと、大きく膨張した。
「また…………出るっ!!」
「あ、はあんっ!」
白く霞む頭。三度目なのに量の減らぬ精液をたっぷり注がれて、小さくセインも達した。
※
慣れぬ身体で三連続はきつかったのか事が終わってしばらく経ってもグリフィスはふらついており、服
を身に着けるのをセインは手伝ってやった。
「タクシーとか呼ぼうか?」
「いや。なんとか歩いて帰れそうだ」
軽く頬を叩いたグリフィスは確かな足取りで部屋を出て行こうとするが、ドアの手前で振り返った。
「……正直前回は色々あってあんまりだったんだけど、今回はすごく気持ちよかったし、楽しかったよ。
ありがとう」
「こ、こちらこそ……ありがとうございます。…………だったら」
一瞬口ごもったセインだが、勇気を出して言ってみた。
「次に店に来た時、また私を指名してくれると嬉しい……かな。…………な〜んて、あはは冗談冗談。い
くらなんでも図々しいよね!」
口に出せたことは出せたが、土壇場でへたれた。
しかしグリフィスは柔らかく笑って頷いてくれた。
「そうだね。そうさせてもらおうか」
「そうですよね…………ってええっ!? い、いいんですか!?」
「ああ、やっぱりこういう場所には慣れれそうにもないから、セインさんだと肩の力が抜けそうだしいい
かなって」
「うわあ……」
自分で口にしておいてなんだが、了承してくれるとは全く思っていなかった。なんでも言ってみるもの
である。
(これって馴染みのお客さんってやつだよね。どうしよ、いきなり出来るなんて思ってなかった……!)
こういう時どんな接客態度を取るかは教えてもらっていない。テンパりまくったセインだが、沸騰しそ
うな頭でもお礼を言わねばというぐらいの判断はついた。
ベッドの上で畏まったセインはぺったりと頭を下げて言った。
「こ、今後ともごひいきによろしくおねがいします!」
※
「ふふふ〜ふふふふふ〜〜ん」
ナンバーズ三人が休憩中の部屋に、えらくご機嫌なセインの鼻歌が流れる。
対照的にノーヴェとウェンディは、またこいつかと気分がどんどん落ち込んでいった。
口笛まで吹き出したセインが、さっきからちらちらとやたらこっちに眼をやってくる。
意味有りすぎな視線から顔を逸らすと、同じく横を向いたウェンディと目が合った。
(……お前が訊け)
(いやッス。この間も訊いたのあたしッスから、今度はノーヴェがやるべきッス)
(その前は二回連続であたしだっただろ)
(妹を庇うのはお姉ちゃんの役目ッス)
(都合のいい時だけ妹面すんじゃねえ!)
ウルトラ高度なアイコンタクトの果てに、折れたのはノーヴェだった。
「あー、えーと、それ、なんなんだ?」
「よくぞ訊いてくれました!」
待ってましたとばかりに、三回転ターンでも決めそうなテンションでセインが振り向く。
「実はさぁ、馴染みのお客さんから映画に行こうって誘われちゃって。グリフィスっていう人なんだけど、
知ってたっけ?」
「…………知ってる。お前から二百回は聞かされた」
「それでそのグリフィスなんだけどさ」
後半部分を完全にスルーかました六番目の姉。顔面をにっこにことだらしなく緩めているところは、正
直引く。
「もうすっごく優しい人で、デートとか全額もってくれるし、行きたいってちょっと言った場所には必ず
連れて行ってくれるんだよ。この映画もこの間のデートで……」
心底楽しそうに語るその話を、すでに二回は聞かされている。
遮断しようと思っても耳から勝手に入ってくるスゥイートトークに泣きたくなりながらそっぽを向いて
耐えていると、妹と再び眼が合った。
ウェンディの眼も、自分の眼も全く同じ事を物語っているのが嫌でも伝わる。
もうやだこの姉、と。
「それだけじゃなくて他にもさ……」
二人の様子になど全く気づかぬらしいセインの独演会は、休憩時間が終わるまで続くのだった。
※
「…………知り合って三ヶ月でもう名前呼び捨て。しかも頻繁にデートの約束までしてる」
事務所の机の上に行儀悪く腰掛けたドゥーエは呟く。
今日はドゥーエ一人ではなくパソコンの前にウーノが座っていたが、ただの独り言と判断されたのか相
槌は返ってこなかった。
「世話焼いてあげる必要、どこにも無かったわね」
本当にあれが世話を焼いたうちに入るかということについては、完全に棚に上げていた。
「あっという間に熱々になっちゃって。……姉妹の中で真っ先に結婚したりして」
だとしたら羨ましいことだとドゥーエはちょっとだけ思い、すぐに心の中の声をきれいに消してウーノ
に話しかける。
「ねえウーノ、ドクターの夜のお相手する権利、三日ぐらい貸してもらえないかしら。利子つけるから」
「利子?」
「返却の際に、私も入れて3P」
「却下ね」
「長女だったら妹におすそ分けしてあげる優しい心は大切じゃないかしら」
「経営の仕事を全部引き受けている特権よ」
「なら、半分手伝うって言ったら素直に貸してくれるの?」
「それも却下」
「ドケチ」
ウーノは肩をすくめただけで、ドゥーエの罵声を背中で跳ね返す。仕事が終わったのか、パソコンを切っ
て部屋から出て行った。
はぁ、とため息ついたドゥーエはごろりと机の上に寝転がる。天井に手を伸ばし爪の伸び具合など確か
めながら、ドゥーエは欠伸を一つした。
「……ああ、暇で暇でたまらないわ」
なべてこの世はこともなし。今日もソープナンバーズは平和極まる一日である。
気だるく欠伸をしていると、誰かが事務所に入ってきた。ウーノが忘れ物でもしたかと思ったら、入っ
てきたのは姉ではなく十一番の妹だった。
「あら、ディエチじゃない」
「少し相談事があるんだけど。……実は私、馴染みのお客さんがいなくて」
「…………へえ」
咄嗟にドゥーエは顔を伏せた。思わず漏らしてしまったほくそ笑みを見られないためである。
なかなか世界は上手く出来ている。暇が有り余っているうえ少々鬱屈しているところに、格好の遊び相
手がやってきてくれた。
顔を上げながらほくそ笑みを消したドゥーエは、今度は満面の笑顔を作ってやる。それだけで何か察し
たのか、ディエチは後退りしかけるがもう遅い。肩をがっちり掴んでドゥーエは顔を近づけた。
「いいわよ。じっくりたっぷり、あなたのどこに問題があるのか教えてあげるわ……」
終わり
以上です。
セインは地味に好きです。
ナンバーズの中ではウーノ・ドゥーエ・チンク・ディードの次ぐらいの順序で。本当に地味に。
しかしグリフィス書いてて、影で「計算どおり!」と言っているような気がしてならないあたり、
俺もこのスレにたいがい毒されすぎですね。
GJ!
黒いグリフィスは自覚のあるドSだが、この白いグリフィスは覚醒不十分なMだと思った
GJGJ!
このグリフィスはいいやつですねぇw
ふと、新年会でぐでんぐでんに酔っ払ったなのはさんが、ユーノをベッドへと引きずり込む電波を受信した
>>149 そこは逆だな。ぐでんぐでんに酔っぱらったなのはさんを淫・・・もとい巨大フェレット化したユーノが
咥えて、巣穴・・・もとい無限書庫の私室に持ち込むって電波を受信した。
GJ!!です。
セインとかグリフィスは地味に好きなので堪能しましたw
152 :
B・A:2009/01/10(土) 20:51:06 ID:w/Lg/I9N
>>147 GJです。
白いグリフィスは久しぶりだなぁ。
のろけちゃっているセインにごちそうさま。
そして、これから酷いことするのでごめんなさい。
>>130で言っていた奴ができたので投下します。
ハードに凌辱なんで、読む人選ぶと思います。
注意事項
・エロというよりはグロ
・軽めの人体改造あり
・触手、凌辱、スカトロ、出産、性器拡張
・ナンバーズ総出演(ドゥーエは除く)
・食事前後の人はあまり読まない方が良い
・タイトルは「触手達の反乱」
電流にも似た感覚が背筋を走り、ディエチは深い眠りから目を覚ました。
いや、目を覚まさせられたと言った方が正しいだろうか。ずっと眠り続けていられた方が幸せだったかもしれない。
だが、それは彼らが許してくれないだろう。どれだけ披露し、何時間気を失っていたとしても、
彼らは決して自分を解放したりはしないだろう。この命が続く限り、延々と体を弄ばれ続けるのだ。
(あれから・・・・・・・・・どれだけ経ったのかな?)
霞みのかかった思考で、記憶を手繰ろうとする。だが、疲れ切った体は眠りを欲していた。
手足は鉛のように重く、まるで重石を胸に乗せているかのように息苦しい。眠っていたはずなのに、
まるで体力が回復していなかった。
無理もない。一晩中、あいつらに嬲られ続けていたのだ。戦闘機人といえど、耐えられる限界というものがある。
それでも奴らは貪欲に動き回り、眠っている間も飽きることなく活動を続けていたようだ。
大股開きにされた股間では毒々しい緑色の肉塊がうねうねと蠢いており、その頭は濡れそぼった秘所を無理やりこじ開けている。
大人の腕ほどもあるそれがあの夜以来ずっと膣を弄り続けているのだ。容赦なく、ひっきりなしに。
(みんな、どうしているのかな?)
事の始まりは彼女の主であるスカリエッティが過去に研究していた人造生物を解き放ったことだった。
最後発組もロールアウトしたことでナンバーズ12人が勢ぞろいし、後は公開陳述会の夜に地上本部へ
奇襲をかけるだけとなった今、彼女達に残された課題は実戦を前にして可能な限り準備を進めておくことだった。
何しろ、セッテ、オットー、ディードの最後発組は完成したばかりで実戦経験は皆無だ。
データ共有によってある程度の補完はできるものの、リアルタイムで変化する実戦に対応するためには
やはり生の空気を掴んでおくことが一番だと考えたスカリエッティは、自分が過去に造り出して凍結保存しておいた
触手型生命体を持ち出したのである。様々な動物の遺伝子を掛け合わせて造り出されたこの生き物は、
切られてもすぐに再生する不死身の生命力と自立行動ができるほどの知能を有しており、訓練の相手としては持ってこいだと判断したためである。
無論、彼らには造物主であるスカリエッティに従うようプログラムが施されていたのだが、
長期間の凍結処分によってバグが生じたのか、そのプログラムは機能しなくなっていた。
そして、彼らの単純だが高い知能は自分達が不要となればまた凍結されるのだと思い込み、
解凍と同時に彼らはスカリエッティをその太い触手で撲殺し、ラボ内で暴れ始めたのである。
ナンバーズ達も必死で戦ったが、如何せん丸ごと焼却しなければ死ぬことのない生命体を倒すことは難しく、
気がつけばラボ全体を埋め尽くすほどに成長した触手によってあちこちに引き離されてしまった。
それ以来、ディエチはずっと彼らの慰み物となっている。
知能があると言っても彼らの思考そのものは単純だ。生命の最優先事項、即ち繁殖である。
そして、運の良いことにここには雌の生命体が11個体も存在した。
敗北した彼女達は触手に拘束され、衣服を全て剥ぎ取られて無防備となった秘所を無数の触手達に無残にも汚されてしまったのである。
「ううあ・・・あ・・・・・ああ、ご奉仕・・・・・ですね・・・・・・・」
両の手に這い寄って来た触手を握り、気だるい体に鞭を打ってディエチは彼らに奉仕する。
口から漏れ出た息は甘く、何とも言えない艶っぽい響きがあった。
彼女だけではない。ラボのそこかしこで、女性の悦びの声が反響している。
最初の頃は聞こえていた抵抗の声はもう聞こえない。肉塊で埋め尽くされたラボを満たしているのは気も狂わんばかりの女の嬌声だった。
『ああぁん、イククゥゥっ!!!!』
『だめぇっ、そこは違うぅぅぅっ!!!』
『ひひぃいっ、な、何でもしますぅ!! 触手、触手さまぁぁぁぁっ!!!』
いつ頃からか聞こえてきたこの不協和音を聞き続けては、ディエチといえど抵抗する意識が削がれてしまう。
だが、不幸なことに彼女は他の姉妹のように狂うことができなかった。性格的な問題なのか、
或いは心のどこかでまだ抵抗しているのか、何れにしてもディエチは狂うことも気丈でいることもできず、
ただ流されるままに触手達に奉仕する日々を送っていた。
どのみち、抵抗するだけ無駄なのだ。彼女の首には触手の1本が巻きついており、ちょっとでも抵抗の意思を見せれば
容赦なく呼吸を圧迫するようになっている。だが、母胎が死んでしまっては元も子もないので殺されることはない。
逆に死のうとすれば、彼らは全力で邪魔をしてくる。物理的な手段で、或いは快楽的な手腕で。
一度、舌を噛み切って死のうとしたら喉奥まで触手が侵入して、そのままの状態で犯されたことがあった。
呼吸困難で涙を浮かべ、胃から逆流してきた胃液と鼻水で口と触手を汚しながら悶えた記憶は今でも忘れることができない。
「うう・・ああ・・・・うぁぁ・・・・い、いえ・・・違います。ちゃんとします・・・・はぁ・・・ああ・・・・・・・」
疲労で動きが鈍ってきたのを抵抗していると思ったのか、触手達は抗議するかのように男性器に似た先端をディエチの顔面に向けてくる。
制裁の恐ろしさを身に染みて理解しているディエチは、懸命に不自由な手を動かし、伸びてきた触手にも舌を伸ばす。
だが、疲れ切った体はまるで言うことを聞いてくれず、思いに反して触手達の怒りはどんどん膨れ上がっていく。
「はぁ・・・ああ・・・ちゃんと、舐めます・・・・・・手でごしごし・・・・してます・・・・・・だから、お仕置き
・・・・・・・お仕置きは・・・・・・・やめ・・・・・ああぁぁっ!!」
肉壺を貫いていた触手が抜け、張り詰めていた下半身からドッと力が抜ける。
いったいどんな責めを受けるのか、ディエチが恐怖に震えていると、物陰から触手達が何かを引きずって来た。
「ひいぃっ!?」
恐怖で顔を引きつらせたディエチが、触手から逃れようともがく。だが、長時間の責めで腰が抜けてしまったのか、
下半身にまるで力が入らなかった。
「いやぁ・・・・やめてぇ・・・・そ、そんなもの・・・・・・どうする気・・・・・」
彼らが引きずって来たのは、彼女の携行武器であるイノーメスカノンであった。
敗北した際にディエチが取り落としたそれを、いったい何に使おうとしているのか、答えはすぐに現れた。
「ま、待って・・・・ああ、む、むりいいいぃぃぃぃっっ!!!!!」
顎にアッパーを食らったかのような衝撃に、全身がガクガクと痙攣する。
事もあろうか、触手達はイノーメスカノンの砲口をディエチの膣へと押し込んできたのである。
抵抗するしない以前に、そもそも人の体に入る代物ではない。いくら触手達に拡張されたと言っても、
その砲口は余りに太く、大き過ぎた。先端が数センチも入り切らないところで動かなくなり、
押し広げられた骨盤がみしみしと音を立てて軋んでいる。戦闘機人でなければ、間違いなくショック死していただろう。
彼らもそれに気づいたのか、それ以上強引に押し込もうとはしなかった。代わりに、数本の触手が砲の下方、
所謂引き金の部分へと伸びていき、他の触手達はディエチとイノーメスカノンが動かないようにびっちりと巻きついてきた。
「ま、まさか・・・・・や、止めて・・・・う、産むから・・・・・・みんなの赤ちゃん、
いっぱい産むから・・・・・・だから、殺さないで・・・・・こ、殺さな・・・・・・ああ、ああぁぁ・・・・」
恐怖の余り、股間に熱い飛沫が迸り、愛用の砲が汚れていく。
ディエチのISはイノーメスカノンを用いて砲撃を行うものであり、エネルギー系の弾丸が全て彼女自身のエネルギーで生成されている。
だが、イノーメスカノンは実弾にも対応されており、専用の砲弾も保管庫に保管されている。
彼らにそれを探すだけの知能があるのかどうかは知らないが、もしもそれが装填されているのだとしたら、
その引き金を引かれた瞬間に自分は木端微塵に吹き飛ぶことになる。
「いやぁ・・・・・やめて・・・・・おねがいだから・・・・・や、や・・・やめ・・・ああああぁぁぁぁぁっ!!」
とうとう堪え切れず、ディエチは悲鳴を上げて泣き叫んだ。
しかし、そんなことをしても触手達が温情の意思を見せることはなく、まるでこちらが恐怖する様を楽しむかのように
ゆっくりと撃鉄が下ろされる。そして、無慈悲にも鉄の引き金が鈍い音と共に引かれた。
瞬間、爆発音にも似た轟音が轟き、ディエチの腹部が衝撃で内部から盛り上がる。
まるで五体がバラバラになったかのような錯覚を覚えたが、幸いなことにどこも欠落した箇所はなかった。
よく見ると、イノーメスカノンの弾装部に触手達が取りつき、ポンプのように脈動しながら何かを送り込んでいる。
それは彼らが動物の雌を妊娠させるために吐き出す精液であった。
「ごほふぉっ!! ほ、ほれぇ・・・・しぇい・・えきいぃいぃっ!!!」
再び引き金が引かれ、強烈な精液の砲弾が膣道をこじ開けて子宮へと着弾する。
吸うはずだった息が吐き出され、仰け反った体が更に海老反りとなって跳ね上がった。
子宮を精液と摩擦で焼かれる未知の感覚に頭は混乱し、悦んで良いのか泣いて良いのかもわからない。
しかもイノーメスカノンは先端しか押し込まれていないため、発射の度にブレが生じて着弾点が変わってしまい、
膣内を万遍無く責め立てられる。
立て続けに発射される精液弾の嵐は間違いなく拷問であった。
まるで膣内を鷲掴みにされ、壁に擦りつけられているかのような現実ではあり得ない痛みに、
麻痺し始めていた神経が快楽のパルスを送り出している。
精液弾がぶつかる毎に脳神経が焼き切れるほどの電流が走り、タコのように手足が踊る。
「ぐぐうあぁっぁっ!! ほほおおぁおあぁっっ!! はふあうぁぁっ!!!」
とどまることなく撃ち込まれる精液弾の苦痛に苛まれながら、ディエチは闇へと堕ちていく。
しかし、それでも触手達の責めは終わらない。
口からは泡が零れ、白目を剥いて気を失っても飽くことなく人外の責めは続き、やがてはその苦痛と快楽によって覚醒させられる。
眠りですら、彼女に安らぎを与えることはなかった。
□
反骨心の強いノーヴェは、絶望的な状況であっても最後まで抵抗を止めようとしなかった。
力尽き、武装を無理やり取り外されても群がる触手達を引き千切り、噛みついて威嚇し続けた。
だが、その強気な態度が触手達の怒りに触れたのだろう。ノーヴェは両腕を縛られたままつり上げられ、
過酷な制裁を受ける羽目になっていた。
「ががああぁぁぁっぁぁぁぁあうあうあうああぁぁぁぁぁっぁぁぁっっ!!!!!」
耳障りなモーター音が通路に響き、ノーヴェの絶叫がかき消される。
ノーヴェは彼女の固有武装であるジェットエッジの上に無理やり座らせられていた。
しかも、ブレイクギアの部分が丁度、肉ビラの位置に当たるように調節されている。
本来ならば岩をも砕くブレイクギアの回転に苛まれては、戦闘機人の体といえどただでは済まない。
しかし、触手達が吐き出す粘液には生体部分の活性化を促す効果があるのか、
摩擦で燃えるような熱さや痛みを感じることはあっても傷を負うことはなかった。
それは同時に、この地獄のような責めに終わりがないことも意味している。
「ぐうああぁぁ・・・ああ・・あ・・・ま、まだ・・・・・まだ・・・・こ、こんなの・・・・屁でもねぇ
・・あ・あ・・・・・ぐああかぁぁぁぁぅあどぱじふあいあぁっ!!!!!!」
グイグイと押し付けられたブレイクギアが肉ビラをめくり、膣の中にまで刺激を送り込んでくる。
脳天まで突き抜けるような感覚にノーヴェはがくがくと四肢を震わせ、黄金水と愛液を迸らせながら絶頂に達する。
瞼の裏で桃色の光が何度もスパークし、敏感になった膣が削り取られる錯覚に下腹部がジンと熱くなった。
調教し尽くされたこの体は触手で子宮を犯されることを求めている。洪水を起こしている膣を押し広げられ、
満たされながら絶頂を味わうことを求めている。だが、ノーヴェの反骨心はそれに否と答えていた。
負けてなるものかと。
こんな奴らの好きにさせてたまるかと。
その頑なな態度が、更に触手達の責めを加速させていく。
彼らが狙いを定めたのは股間の頂点、無防備にも露出しているクリトリスだ。
女性にとって快楽を得る以外に使い道のない急所に、ブレイクギアの軋みが迫っていく。
秘所の入り口を責められただけで絶頂に達したというのに、それ以上に敏感な場所を責められたらどうなるのか、
それは想像するまでもなかった。
「や、やめ・・・やめろ・あ・あ・・・・あぐあぁ・・・あ・ああ・・・ぐうぐあじゃぁぁぁぁっぁあっぁぁぁっっ!!!!」
肉の粒が回転に巻き取られ、神経が焼けつくほどの刺激がノーヴェを襲う。
逃れようともがいても、却って股間を強く押し付けてしまって逆効果にしかならず、
断続的に意識が途切れて平衡感覚ですら定かではなくなっていく。
「ううあぁ・・・・お、覚えてろ・・・・か、かならず・・・・・・お前ら・・・・みんな・・・・・・・
こ、コマ切れ・・・に・・・あ・あ・・・ぐうあぁぁぁぁぁっぁぁっ!!!!!」
悪態も長くは続かず、更に強く押し付けられたブレイクギアが火照った体を責め立てていく。
更に、どこからかもう一足のジェットエッジを持った触手が現れ、ピンと勃起したノーヴェの乳首に狙いを定めていた。
引きつったような笑みを浮かべ、ノーヴェはそこで意識を手放す。
直後、彼女の嬌声と悲鳴が轟いたのは言うまでもない。
□
薄暗い倉庫では、セインとウェンディが出産の時を迎えていた。
湿った空気と鼻を突く淫靡な香りが思考を麻痺させ、自分がどうしてこんなことをしているのかでさえ定かではない。
ただ、周りにいる触手達が子宮内の胎児を産み落とすことを強要するので、それに従っているだけだった。
「ふううぅぅぅ・・・んぬぬぬぬうううううう・・・・で、でりゅううぅぅぅぅっっ!!!」
「触手・・・・触手の赤ちゃ・・・あ・あああ・・・・う、うまれりゅううぅぅぅぅぅぅっっ!!!」
びちゃびちゃと床にぶちまけられた羊水が跳ね、膣を押し広げて絡まった毛玉のような物体が排出されていく。
毛玉は外気に触れると粘液塗れの体をブルブルと震わせ、導かれるように自らを生み落した母胎の乳房へと触手を伸ばす。
妊娠によって少しばかり膨れた2人の乳房からは耐えることなく母乳が流れ出ており、多くの触手達に吸われた乳首は黒ずみ始めていた。
「っはあ・・・・はぁ・・・・お、おっぱい・・・・す、吸うっスね・・・・・ママのおっぱい、吸って・・・・吸っ・・・あうあぁ・・・・」
「ウェ、ウェンディ・・・・・あたし、またイク・・・・・生みながらイッてりゅぅぅぅぅっ!!」
「あたしもっス・・・・・乳首。乳首が良いっス・・・・胸とマ○コでイッて・・・ああ・・・・ひひいぃ、また生まれ・・・・・」
出産と授乳の快楽に溺れる2人の股間から新たな触手が生まれ、母乳を求めて母の体に群がっていく。
そして、満腹になると父親達と同じく彼女達を犯し始めるのだ。異形とはいえ我が子ともいえる存在に犯されながら、
新たな生命を生み落し、育むという倒錯した状況に2人は酔いしれ、みっともないアへ顔を晒しながら終わること無き絶頂へと駆け上がっていった。
□
訓練室では、トーレとセッテがそれぞれの得物を手に対峙していた。
彼女達の股間には触手達が巻きついており、さながら肉褌となって肉壺とアナルを貫いている。
彼らはその状態のまま、2人に模擬戦を行うことを強要したのだ。
ビッチリと喰い込んだ肉褌は絶えず振動しており、皺の隙間まで刺激してこの世のものとは思えぬ責め苦を与えてくる。
これから解放されるためには、この戦いに勝つしか方法はないのだ。
だが、こんな状態でまともに戦えるはずもなく、打ち合うこともままならずにどちらも動けなくなってペナルティの凌辱を受けるばかりだった。
「んぬぅ・・・・くちゅう・・あ・あ・・・た、頼む・・・・・股間のものを・・・・・と、取ってくれ・・・・ああ・あ・・・」
「ううん・・・・・んんん・・・・・・・・ううん・・・・・」
懇願するトーレを無視し、触手達は彼女の大きな胸を牛の搾乳のように絞り、手や口にまで生殖管を伸ばしていく。
対してセッテの方はあくまでも従順に、与えられた仕事をこなしている。感情の乏しい彼女は悲惨なこの状況に対して
特にこれといった思いは抱いておらず、状況を受け入れて機械的に触手達の処理を行っているのだ。
目をかけていたセッテがあまり苦しんでいないのはトーレにとって救いだったが、苦痛を分け合う者がこの場にいないため、
トーレは言いようのない寂しさと孤独感を感じていた。
「あああ・ん・・んんん・・・・ああうん・・・・」
「ぐう・・・止めろ・・・・汚い・・・・くさい・あ・あ・あ・・・・・」
夥しい量の精液をまき散らされ、嫌悪感にトーレは涙を浮かべる。
股間の肉褌は無慈悲にも振動を続け、2人がそれから解放されることは決してない。
□
別の場所では、オットーとディードが触手達の慰み物にされていた。
2人は向かい合わせのまま拘束され、両の乳首を癒着させられているのである。
その際に小さな触手がそれぞれに1匹ずつ乳首の中に埋め込まれたため、
出口を求めて触手が2人の乳首内を移動する度に膣や直腸では味わえない快楽が脳を焼いた。
もちろん、2人の子宮には出産を迎えた触手がいるのだが、膣の入口も癒着させられているので外に出ることができず、
互いの子宮を行き来する羽目になっていた。
悪魔の所業としか思えぬこの責め苦に2人は声を揃えて泣き喚き、時に嬌声を上げて快楽を貪り合う。
かけがえのない姉妹が側にいることが、彼女達を支える唯一の救いであった。
「・・ぐ・・ああうあ・・・・うあぁ・・・・オットー・・・」
「なぁに、ディード・・ああ・・・・あううあ・・・・」
今日は機嫌が悪いのか、乳首の触手もお腹の胎児も盛大に暴れ回っている。
拘束されて身動きの取れない自分達にはどうすることもできないので、彼らが与える人外の感覚に震えることしかできない。
ディードが頬を赤らめながら呼びかけてきたのは、正にその時だった。
「ご、ごめん・・・・も、もう・・・限界・・・・・・」
「・・・・良いよ、出しても・・・・・全部受け止めてあげるから」
「ご、ごめん・・あ・あ・・・も、もう・・・ううううあ・・・・・あうあぁぁぁぁ・・・・で、でりゅうううあぁぁぁっぁっ!!!!」
耳を塞ぎたくなるような音を響かせ、ディードは腸内に溜まっていた大便を排出する。
半固形の大便は菊門に差し込まれた肉の管を通り、そのままオットーの直腸へと流し込まれていく。
触手達は2人の直腸をも繋いでしまっているのだ。ディードはオットーの腸に排便することを嫌い、
今日までずっと我慢していたのである。
「あああ・・・・ディードのウ○チ・・・あああ熱い・・・あつぅ・・あ・あ・・だ、だめぇ・・・・・
ボクも・・・ボクもで・・あ・あ・・・・ご、ごめんぬぅっぅぅぅっぅうっ!!!」
腸内に流し込まれた便が混ざり合い、通って来た管を逆流してディードの腸内へと帰って行く。
開放感で気を許していたディードはそれを拒むことはできず、再び直腸は便でいっぱいになっていく。
「ぐあうあ・・・む、無理・・我慢できない・・あ・あ・あ・・」
「ああぁ、また・・・・またきたぁぁ・・・・・」
「ウ○チ・・・オットーと私の・・・・ウ○チ・・・・・」
「ウ○チでいく・・あ・あ・・あ・あ・あぁぁっっ・・・・ううあぁぁぁっっ!!!」
終わらない螺旋階段を上るように、2人は排便で悦楽を共有する。
触手達はそんな彼女達の薄く可憐な唇に、新たな狙いを定めようとしていた。
□
触手達はクアットロに対して並々ならぬ憎悪を抱いていた。
何故かというと、彼らが凍結処分を受けた理由が彼女の進言によるものだったからだ。
彼らはそれを、自分達の方が優秀だったから取って変わられることを恐れていたのだと解釈していた。
しかも、何かにつけて自分達を薄汚い、醜いと罵っていたため、彼女を取り押さえた後は特に念入りに凌辱した後、
見るもおぞましい施術を施して積年の恨みを果たそうとした。
まず目と耳を自分達の肉片で塞いで視覚と聴覚を封じ、肛門に管を差して反対側を彼女の口へと差し込んだのである。
彼女の排便は全て管を通って口に運ばれ、否が応なく体内に戻ってくる。そして、栄養素として分解された後、
また排泄物として吐き出されて口に運ばれるのだ。そして、それ以上のことを触手達は何もしなかった。
視覚も聴覚も利かず、嗅覚と味覚も排便の腐臭によって潰されてしまい、触れられることもないので触覚も意味を成さない。
そのため、クアットロには他の姉妹達がどうなったのかさえ知る術はなかった。
管は舌を押さえ込むように差し込まれているため、舌を噛み切って自殺することもできず、
五感を潰されたまま孤独な暗闇の中で生き続けるという責めを触手達は与えたのだ。
「ぐぐん・・・んうぬん・・・ん・ん・・・・」
拘束された体が震え、排出された排便が強制的に口へと流し込まれる。
気持ち悪さと嫌悪感で胃液が逆流するが、それすらも管の中で混ざって口へと戻ってくる。
飲み込む以外に選択肢はなく、これからもクアットロはずっとこれを繰り返し続けるのだ。
暗闇の孤独の中、たった1人で。
□
クアットロと違い、チンクは非常に丁寧に扱われていた。
心優しい彼女は何だかんだで触手達の世話を焼くことが多く、彼らも彼女には恩義を感じていた。
だから、チンクは他の姉妹達のように慰み物にならず、母胎として利用されることもなかった。
彼女はあくまでVIPとして、触手達の歓待を受けていたのである。そう、彼らなりの歓待を。
「むぅ・・・・・ぐむむぅ・・・・・むちゅ・・・・・・ブハァっ!!!」
不自由しつつも何とか触手の布団から頭を出し、チンクは大きく深呼吸をした。
彼女がいる部屋は、さながらイソギンチャクの口の中であった。
壁も床も天井も、シルクのように繊細で極細な触手達が埋め尽くしており、それらがクチャクチャと粘液を垂らしながら
チンクの小さな体を舐め回しているのだ。性的な刺激に対して耐性を持たなかったチンクはつい今しがたまで
彼らの丹念なペッティングに翻弄され、赤子のようにすすり泣くことしかできなかった。
「こ、こいつらは・・・・・はぁ・・あ・あ・・・やめぇ・・・・・・」
床の一面が捲れ上がり、チンクの視界を再び触手達が覆い隠す。
彼らはこうしてチンクの至る所を舐め回し、至高の快楽を与えようとしているのだ。
無論、触手達の粘液を飲まされているので餓死することはなく、排泄も彼らがきっちり面倒を見てくれている。
汚れは速やかに舐め取られ、粘膜の奥まで吸い尽くされて絶頂の内に洗浄は完了する。
しかし、触手達の思惑はチンクには伝わっておらず、彼女は全身を嬲り回すおぞましい責めに苦しむばかりであった。
特に顔面を舐められる際に視界を塞がれるのが辛い。極細の触手が蠢く様を至近距離で見せつけられるため、
気が狂いそうになる。
「う、うぅぅぅぅあぁぁあ、ひぅッ!! あぁぁぁぁあ、あぁぁぁぁぁあ・・・・・ま、ああぁぁっ!!!」
毛穴の奥底まで舐め回され、くすぐられていく。
全身が性感帯になってしまったのかのように敏感で、留まることなく絶頂の波はチンクを責め立てていく。
果たして、爪と指の間を撫でられて果てた女のこの世界に何人いるだろうか?
恍惚に頬を染めながら、チンクは触手の波に飲まれて意識を失った。
目を覚ませば、また彼らの歓待が待っている。終わることのない悦楽の宴が。
□
スカリエッティの死で、もっとも精神に打撃を受けたのはウーノだった。
触手達の解凍の場に立ち会った彼女は、目の前で愛するスカリエッティが殺される瞬間を目撃し、
死んだ彼の目の前で凌辱を受けたのである。
彼女の精神はそれに耐えられなかった。主の死、ナンバーズの敗北、尊厳を無視された凌辱、
次々と襲いかかる残酷な現実から目を背け、ウーノは己の内側に閉じこもってしまったのである。
そうなってしまうと、いくら外部から栄養を供給しようと無意味だった。心が死ねばそれに釣られるように
体も衰弱していき、反応も鈍くなる。このままでは母胎として機能しなくなってしまうだろう。
困り果てた触手達は、一計を案じてみることにした。彼らは床の上に転がっていたスカリエッティの死体の中身を抜き取ると、
代わりにその中へと潜り込んできぐるみのように皮を被ったのである。
生の気配は感じられず、動きは不気味でしかなかったが、彼らは不器用ながらもその姿でウーノを愛撫し始めた。
するとどうだろう。ウーノの目に再び光が宿り、焦点の合わない目でスカリエッティの皮を被った触手を見上げたではないか。
「・・・ドクター?」
ウーノの問いに答える者は、当然のことながら存在しなかった。だが、既に彼女の心は致命的なまでに壊れていたのだろう。
返事を聞くことなく、触手に埋もれていた腕を持ち上げて自分を抱く偽物のスカリエッティを抱き寄せて喜びの涙を浮かべていた。
「嬉しい・・・・ドクター、ドクターなのですね・・・・・私を抱いてくださるのですね・・・・・・嬉しいです、ドクター」
ウーノの変化を感じ取った触手達は、スカリエッティの男性器の部分を引き裂いて生殖器を伸ばし、
ウーノの肉壺へと押し込んだ。スカリエッティに抱かれていると思い込んでいるウーノは、
目の前の主の違和感に気づくこともなく、悦びに悶えながら自ら腰を振り始めた。
「はあん・・あ・あぁ・・・ドクター・・・・入ってます・・・・ドクターのが、大きい・・・大きいです・・・・・
もっと、もっと激しく・・・ああ・・ああんん・・・ドクター・・・・私のドクター・・・・ウーノはドクターのものです。
ドクターだけの女です」
限界を迎えた触手が射精し、熱い迸りにウーノは身悶える。
引き抜かれた触手はスカリエッティの皮の中に戻ると、選手交代だとばかり別の触手が顔を出して白い精液が零れ落ちる
膣へを押し入っていく。更に、周囲の触手達も次々に射精してウーノの体を汚していった。
ウーノは妖しく舌なめずりをしながら顔に付着した精液を舐め取ると、今しがた射精したばかりの触手に手を伸ばして
愛おしげに撫で回し、部屋中に充満した腐臭を吸い込んだ。
「ああ、ドクターがいっぱい・・・・・ドクタードクタードクター・・・・もっと愛してください、
もっと・・もっと・・・・・ドクターのおチ○チンにご奉仕させてください。ウーノにドクターの赤ちゃん孕ませてください
・・・・ドクターと私の赤ちゃん・・・・・・元気な子を育てます・・ああ・あ・あんんん!!!」
幻想の中のスカリエッティに呼びかけながら、ウーノは淫らに腰と手を振って触手達を射精に導いていく。
子宮に注がれる熱い精液のうねりに絶頂は止まらず、真っ白に染まった視界で主への愛を彼女は告白し続ける。
そして、彼女を抱く触手が被っているスカリエッティの目の辺りに付着した精液が、まるで涙のように零れ落ちた。
□
公開陳述会が何事もなく終了し、急を要する仕事のほとんどを片づけたドゥーエは、
半ば強引に休暇を取り付けて何年かぶりに我が家へと戻って来ていた。
理由は、スカリエッティを問い質すことだ。
予定では、公開陳述会の夜に派手な花火を上げて自分達の存在を世間に公表し、
そのドサクサに紛れてタイプゼロとかいうプロトタイプ戦闘機人や聖王の器とかいう幼女を拉致するずだった。
だというのに、いつまで経っても音沙汰はなく、気がつけば予定していた日を過ぎてしまったではないか。
しかも、こちらから連絡を取ろうとしても全て不通であり、最高評議会とも連絡が滞っているようだった。
これはいよいよ何かあるなと思ったドゥーエは、怪しまれない程度に身辺を片づけて真相の追究に乗り出したのである。
「みんな、お姉さまのお帰りよ」
呼びかけるが、声が反響するだけだった。
久しぶりの我が家は不気味に静まり返っており、照明も消えて薄暗い。
まるで廃墟にでもなってしまったかのようだった。
「ウーノ、クアットロ、いないの!? トーレ、チンク!?」
呼びかけ続けながら、奥へと進んでいく。すると、奥の方から何やら叫び声のようなものが聞こえてきた。
よく聞き取ることはできないが、どうやら誰か人はいるようだ。ラボを放棄したわけではないようで、ドゥーエはホッと胸をなで下ろした。
「何よ、いるんじゃない。サプライズパーティーでもする気なの?」
ボヤキながら、ドゥーエは声のする方へと歩を進めていく。
奥へ奥へと、自分が自ら惨劇に向かっているとも知らずに。
「え・・・・これって・・・・・・」
壁に張り付いた肉の塊を見て、ドゥーエは眉をしかめる。
直後、天井から腐臭を放つ粘液を滴らせた触手が彼女に襲いかかった。
おわり
161 :
B・A:2009/01/10(土) 21:01:54 ID:w/Lg/I9N
以上です。
こんな電波を送信したのは誰だ?
いや、文章化した僕も僕ですが。
好きですよ、こういう感じのお話。
寂しがり屋なクアちゃんは多分、あれが一番堪えるのではないかと。
…………なにがあったB・A氏
と思わず尋ねてしまいそうなほどにGJ!
クア姉が……クア姉がぁああああ。
さて、こっちもクア姉の顛末書くか。
>>161 GJ!!!!!
最高だっ・・・・
エロすぎる・・・
GJ
クアットロかわいそす。
私のSSで、思い切って楽しませたやりますか(w
GJ!!です。
なんか、クアットロの状態を想像して一週間もしたら、気が狂いそうだw
クアットロ嫌われ過ぎワロタwww
>>147 サイヒ氏 GJなのだが十一番はウェンディっすよ
ふと思ったが前半のセイン見てて、指に付いてるカメラ機能をオンにしたらどうなるのか
やっぱり穴の中の傷チェックも完璧かなw
>>161 GJ!クアットロはどこでも嫌われ者だなw
これからは、スカットロと呼ばせてもらおう
>>161 中々濃厚なのGJ。クアットロは因果応報な感じが拭えないがさすがにキツいな
まあ、とりあえず言えることは・・・チンクの部屋に俺も混ぜれ!!
>>169 だれうま
>>161 触手キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
エロイ!エロすぐる!!
って、B・A氏に電波送ったのだれよw
>>147 ほのぼのエロくてGJ
いや、久しぶりに白いグリフィス君とセイン観れてよかった
なんか滅茶苦茶安心しているのはなぜw
名前から来る設定って恐ろしいね!
触手にまで嫌われるクワットロに吹いたw
もうこの触手を局にばら撒けばいいやん
まずは敵の本拠地を探していたロッサが餌食ということか。頑張れ無限の猟犬たち!
>>147 白グリフィスと恋する乙女なセインにニヤニヤしまくりましたGJ!!
176 :
サイヒ:2009/01/11(日) 20:58:07 ID:g6vJs433
>>168 ご指摘どうも。ディエチは十番でしたね。
何を隠そう八番以降の順番が超うろ覚えな男です。
あとドゥーエとディードの名前がよく交じって「ドゥ……いやディーエだっけ?」とかやってます。
ディーエ。
それはライアーズマスクつけてるけど、どの顔でも無表情でしゃべる意味無し戦闘機人十四号である。
ツインブレイズ搭載してるけど身体能力低くて使い物にならないダメダメ戦闘機人でもおk。
>保管庫司書の皆様
というわけで保管の際に、
>>146の最後の方にある
「姉ではなく十一番の妹だった」
の、「十一番」を「十番」に変更お願いします。
最近誤字多くてお手数かけてすいません。
チンクは大抵いいお姉さんだな。でも末路としては他の姉妹と大して変わらんってのが…
ここで、クアットロのイチャラブとか無理臭いのが見たいと言ってみるw
さて、ちょっと長いもの投下しますね。
大丈夫ですか?
180 :
野狗:2009/01/12(月) 01:00:43 ID:YOwiYOyS
では、行きます。
魔法少女リリカルなのはIrregularS 第十三話(最終回)
捏造まみれです。
あぼんはコテで。
レス数26
181 :
野狗:2009/01/12(月) 01:01:35 ID:YOwiYOyS
1
ドゥーエは目を開いた。
「ドゥーエ姉様」
クアットロの顔が目前に見えている。
「……クアットロ?」
「はい。お姉様」
ああ。そうか。そうなのか。
記憶は残っている。レジアスを殺し、ゼストに殺された記憶。
そう。殺されたはずなのだ、自分は。
「私はどうしてここに?」
クアットロはこれまでに起こったことを、ゆっくりと説明し始める。その説明を、ドゥーエは素直に受け入れた。
ドクターとナンバーズによる決起は機動六課により失敗し、自分以外のナンバーズは全て捕らえられた。
今の自分は、クアットロによって作られたコピーなのだ。
そのためのロストロギア〜複製器〜だとクアットロは言う。
このロストロギアを利用して地下で勢力を増し、いずれドクターを迎えて再起を図るのだと。
「素晴らしいわ、クアットロ」
ドゥーエの答えに、クアットロは感激した。
「ドゥーエ姉様なら、わかってくださると信じていました」
「勿論よ、クアットロ。貴方の本心を知るのは私だけ」
目覚めて一ヶ月後、ドゥーエは新しいコピーを作り出す。
「ドゥーエ姉様、何を……」
クアットロはフェイクマザーの横に立つ自分自身の姿に、訝しげに尋ねる。
「何故、私のコピーを?」
「それはね、クアットロ」
ピアッシングネイルがクアットロを貫いた。
クアットロは避けることすら思いもつかず、棒立ちのまま切り裂かれてしまう。
182 :
野狗:2009/01/12(月) 01:02:24 ID:YOwiYOyS
2
「ドゥーエ……姉様?」
「貴方、オリジナルでしょう? コピーの気持ちなんて、わからないわよね?」
「ねえ……さ……」
「オリジナルはいらないの。ドクターも、ナンバーズも」
「……ドゥ……エ……」
コピークアットロが平然と、オリジナルの前に立つ。
「安心してくださいな、貴方の恨みも怒りもぜ〜んぶ、このクアットロがもらってあげますからぁ」
倒れるクアットロ。コピーは笑い、倒れた姿を足蹴にする。
「ああ、だけどぉ、つまらない想いは、あの世とやらに持っていってくださいね。私は、いりませんから〜♪
ドクターとか、姉妹とか……あと」
もがくクアットロの手を、コピーは踏みにじる。
「息子、とか」
やがて動かなくなった姿をそれでも足蹴にして、ようやく落ち着いたクアットロはドゥーエの元へと戻る。
「落ち着いた? クアットロ」
「はい。ドゥーエ姉様。それで、これからどうなさるおつもりですの?」
「少なくとも、姉妹やドクターの解放なんて冗談じゃないわ」
「同意ですわ」
「そうね。私たちがこのロストロギアを使えば、相当なことができるのではないかしら? 例えば、蹂躙とか」
笑うドゥーエ。
クアットロも我が意を得たりとばかりに頷き、そして笑った。
……でも、ドゥーエ姉様。女王は、クアットロ一人でいいんですよ?
その願いは、数日後に果たされることになる。
魔法少女リリカルなのはIrregularS
第十三話
「世界の中心で」
183 :
野狗:2009/01/12(月) 01:03:07 ID:YOwiYOyS
3
エリオはストラーダを正眼に構えた。
愚直に、真正面に。ローヴェンへ向けて一直線に。
そして地を蹴る。
小手先の技など今は必要ない。己のデバイスと力、そしてこれまでに培った自分を信じるだけ。
「ローヴェンっ!」
「無駄な足掻きっ!」
ローヴェンは嘲りの表情をあからさまに、苛立たしげに吐き捨てる。
エリオの突進はただの自暴自棄。そうとしか思えないではないか。
実につまらない愚かな男だ、とローヴェンは思った。
全ての技が破られたエリオによる、最も単純な刺突。それだけがエリオに残されたものだというのか。
ならば、それを嘲笑うなという方が難しいではないか。
そのような結末を選んだ相手に苛立たしさを覚えるのも仕方ない。しかし、選んだものは仕方ない。
それなら、最も簡単にあっさりと終わらせよう、とローヴェンは考える。
一つのデバイスでいなし、一つのデバイスで撃つ。それで終わる。
だが……と、ローヴェンは冷静な部分で考える。エリオにどのような隠し技があるかはわからない。
いや、仮にないとしても今叩きつぶすべきだ、と判断する。
だから、身体を引く。そして電撃をあびせる。
THUNDER RAGE
エリオは避ける素振りすら見せない。しかし、ローヴェンの放った電撃、デバイスの先端より放たれた電撃は、
ストラーダが周囲に纏う電撃に相殺されていく。
ならば、とデバイスを構え直すローヴェン。
そして、気付いた。
何故だ。何故エリオが来ない?
この距離の突撃ならば、すでにエリオと自分のデバイスは先端の届く距離のはず。何故、届いていないのか。
単純な答えだった。
ローヴェンは後退していた。エリオの突撃を目にして、無意識に後退していたのだ。
静かな、しかし激しい情念がローヴェンを瞬時に灼いた。
何故、逃げる必要がある?
何故、恐れる必要がある?
何故、僕は退いている?
ローヴェンは一歩出る。
ここで終わらせるために。ここで、決着をつけるために。
エリオは進んでいた。その槍を、ローヴェンは凝視する。
一の槍でいなし、二の槍がエリオを貫くべきなのだ。
「……終われ、偽者」
ストラーダを振り払う一の槍。
瞬間、ローヴェンの時間が止まった、ような気がした。
左右へのぶれが一寸たりともないストラーダ。それはただ、ローヴェンに向けて進むのみ。
ただ、一直線に。
ただ、愚直に。
ただ、一心に。
ただ、一意に。
ローヴェンは見た、ストラーダよりも速く、エリオの視線が、己を貫いているのを。
そしてその視線を追うように突き出されるストラーダ。
技量よりも、魔力よりも、何よりもエリオが貫いたもの。
ただ一つの想いをストラーダに込めて。
184 :
野狗:2009/01/12(月) 01:03:49 ID:YOwiYOyS
4
「エリオーっ!!」
槍を構え、狙った的を貫く。それが、エリオの想いの全て。勝利すら、この戦いの意義すら、今のエリオにはない。
純粋に槍を振るう、一直線に、一心に。
ローヴェンの一対の槍は、エリオを止める力を持たなかった。
魔力ダメージがローヴェンの胸元を貫き、リンカーコアが悲鳴を上げる。
ローヴェンは、文字通りその場から吹き飛ばされる。
もんどり打って地面に叩きつけられ、それでも残った力で両足を大地に刻む。
「……今のは……」
聞くまでもない。わかっていることだ。
今のは、ただの槍の一突き。ミッドチルダの魔法ではない。古代ベルカの技でもない。ただ、一人の男の想いを込めただけの槍。
激痛に胸を押さえ、消えていくリンカーコア魔力に歯ぎしりをしながらエリオを睨みつけるローヴェン。
「……この期に及んで……魔力ダメージだと……」
震える膝を崩すことなく、ローヴェンは立つ。
デバイスにも頼らず、己の二本の足で。
「ふざけるな……殺せ……それが勝った者の権利だ……義務だろうが……」
「お断りだ」
ストラーダを杖にして辛うじて立った姿勢のまま、凄みのある笑みを浮かべるエリオ。
確かに、ローヴェンは倒したかも知れない。しかし、それ以前に受けていたダメージが回復したわけではないのだ。
気力と体力を出し切って、立っていることすら覚束ない今のエリオでは、コピー群に勝てるかどうか。
「……っ! フェイト! クローラーズ! ライナーズ! ガンナーズ!」
呼応するようにエリオを取り囲むコピー群。
「君が殺せないのなら、僕が殺す。君を……」
コピーディエチの砲撃が始まる、その寸前。
業火が周囲を薙いだ。
BLAST RAY
雄叫びをあげるフリード。そして業火の合間を縫って駆け寄るスバルがエリオを抱き上げる。同時に、
上空へ逃れようとしたライナーズを頭上から大地へと叩きつけるノーヴェとギンガ。そ
して瞬時の攻防の後全員が空へと飛び上り戻った瞬間、入れ替わるようにしてフレースヴェルグの砲撃が放たれる。
消し飛ぶコピー戦闘機人群。
辛うじて残ったコピーフェイトの一団はエリオたちを追う。しかし、その前にヴィータとなのはが立ちはだかる。
「おらぁっ!」
185 :
野狗:2009/01/12(月) 01:04:22 ID:YOwiYOyS
5
グラーフアイゼンを振りかざすヴィータを援護するように、なのははアクセルシューターを放つ。
「フェイトちゃんのコピーは許さないの!」
スバルは、一旦フリードの背にエリオを預け、ノーヴェ、ギンガとともにはやてに並ぶ。
「エリオ、大丈夫か?」
「……はやてさん?」
「ようやったな、後はゆっくり休んどき」
「ローヴェンを……捕らえないと……」
エリオは、フレースヴェルグから辛うじて身をかわしたローヴェンに気付いている。
「わかってる。向こうも逃げるんは無理や。コピーフェイトちゃんをヴィータとなのはちゃんが倒したら、すぐやろ」
エリオは改めてなのはとヴィータの戦闘に目をやる。
親友を揶揄するような存在が許せないのか、なのははまさに鬼神のごとき強さを見せつけていた。
「あ、アレはちょっと違うと思う。フェイトちゃんも多分、コピーなのはちゃん倒すときはノリノリやと思うよ?」
「え? それって……」
「エリオはようわかるやろ。他人事やないし」
「あ、ああ……」
なんとなく、エリオはこの場から逃げ出したくなった。
「よくわからないんですけど?」
スバルが顔一杯の「?」で尋ねる。
「それはなスバル。ルー子とキャロみたいなもんや。とっても仲良しさんやけど、それとこれとは別、ってやつやな」
「……あ、もしかしてユーノさん?」
「正解」
「なのはさん……引きずってるんだ……」
複雑な笑みを浮かべるスバル。
「本人は、認めてへんけどな」
「……ノーヴェと義母さんだって似たようなもんじゃないですか……」
「ん? なんか言うたか? ギンガ」
「いえ、別に」
ノーヴェが無言でギンガを睨むと、ギンガは涼しい顔で素知らぬふり。
「ノーヴェ。そろそろだよ」
スバルが注意を引き寄せ、全員の視線が下へと向く。
ヴィータが、クローラーズの最後の一人を文字通り殴り飛ばしたところだった。
その瞬間、地面が揺れた。
186 :
野狗:2009/01/12(月) 01:04:54 ID:YOwiYOyS
6
フェイクマザーの複製限界量を試すかのように次々と生まれるコピー。
しかも、全てがなのはとディエチ、砲撃に特化したコピーだけである。
さらに、どれもが生まれた瞬間に砲撃を開始する。肉体の限界も、魔力切れも、何も考えずに全力で撃ち込まれる砲撃。
そしてそれは力尽きるたびに、コピーによるスターライトブレイカーのための新しい糧となるのだ。
フェイトとシグナムの指示のもと、全員が凄まじい乱撃に対してシールドを張っている。
さすがにザフィーラとシャマルを要するグループであり、今のところは砲撃の一切が障壁を通らない。
しかし、このままでは時間の問題であることも確かだった。
通常砲撃だけではない。このまま手をこまねいていれば、コピーによるスターライトブレイカーが来るのだ。
それも、砲撃手の命を全く考えないからこそ出せる、とんでもない出力のものが。
「このままだと、時間の問題だよ」
「エリオたちと合流して一旦撤退するか?」
ローテシアとキャロの救出という最初の目的は果たしている。
「隊長の指示待ちですけれど、僕は反対ですよ。ここで痛み分けになれば、戦力がアップするのは向こうです。
決着をつけるなら今です」
確かにジュニアの言う通りだった。決戦を伸ばして有利になるのはこちらではないのだ。
「ローヴェンは隊長が倒していると信じます。あとはクアットロを見つければ、こちらの勝ちなんですよ」
ジュニアは、クラールヴィントとグンツェグ・ローヴェンの間を赤いケーブルのようなもので結んでいた。
そしてそこに、ヴィヴィオのデュアルストライカーとディエチのイノーメスカノンを繋ぐ。
四つのデバイスが、一つに繋げられていた。
「準備はできてます。あとは砲撃位置が特定できれば……」
「ザフィーラ、スバルは地下がゆりかごに似てると言ったのね?」
スバルは数少ない、ゆりかごに直接侵入した一人だ。そのスバルが似ていると言ったのだから信憑性は高い。
しかも、敵のトップとされているのはクアットロである。スカリエッティを除けば最もゆりかごに詳しい者と言ってもいいだろう。
そして、かつての戦いでもゆりかご自体の性能は十二分に証明されているのだ。
聖王がいなければ完全起動しないのは大きな弱点だろうが、戦艦としての利用でないのならば話は別だ。
極論を言うのなら「基地を一から作る」、「ゆりかごを任意の場所にコピーする」、どちらが楽かということだろう。
「何らかの形でゆりかごを、というより以前の戦いで作ったゆりかごのコピーを使っているのではないか?」
確かに、以前の戦いで使ったものならば、内装も自分たちの使いやすいように改造されていたはずだった。
そして、それならクアットロの居場所の見当もつく。かつての戦いでクアットロのいた場所だ。
「位置が特定できれば、その切り札で撃ち抜けるか?」
ザフィーラの問いに、ジュニアは即座に答えた。
「わかりません。しかし、やってみる価値はあります」
「撃ち抜く可能性もある、と言うことか」
その瞬間、地面が揺れた。
187 :
野狗:2009/01/12(月) 01:05:27 ID:YOwiYOyS
7
笑い声が響く。嘲りと絶対の自信、それなのに、初めて聞く者には愛嬌すら感じさせる笑い。
「皆さん、お疲れ様で〜すぅ♪ そんな皆さんの努力を灰燼に帰すのは、クアットロもとっても心苦しいんですけれどぉ、
仕方ないんですよ、皆さんが頑張りすぎちゃったんですから」
地響きにタイミングを合わせたように立体映像が浮かび上がる。
エリオたちの前。ジュニアたちの前。そしてその周辺に。なんじゅうものクアットロの姿。
「……クアットロ、体制を整え……」
言いかけた瞬間、血を吐き、胸元を押さえるローヴェン。
「な……に?」
「あらぁ、まだいたんですか? 役立たずは、スターライトブレイカーの肥やしに出もなってくださいね?」
「……クアッ……トロ?」
何故? そう問いたそうなローヴェンの表情を見下ろしたクアットロの哄笑が響く。
「お馬鹿さん。ドクターのクローン胚、本当に貴方が最後だと思っていたの?
プロジェクトFの成功例のクローンが作られないとでも思っていたの?
ねえ、貴方やハーヴェストの後釜なんて、いくらでも作れるのよ?」
「僕は……?」
虚ろな目が、クアットロの映像を見上げていた。
「それじゃあ、僕は……」
「さあ?」
「え? 待って……クアットロ……クアットロ、僕は……僕は……!」
「ばいば〜い♪」
ローヴェンのデバイスが爆発し、持っていた手が一緒に弾ける。
悲鳴を上げることもなく、ローヴェンは地に崩れた。
「クアッ……ト……」
スバルがノーヴェの制止を振り切って走り出す。フリードに乗り、その後を追うエリオ。
「ローヴェン、デバイスを捨てろ!」
ローヴェンは降下してくるエリオを見た。
188 :
野狗:2009/01/12(月) 01:05:59 ID:YOwiYOyS
8
虚ろだった表情に軽く驚きがはしり、そして心底おかしそうに笑う。
「ああ、君は……心底……馬鹿だったんだな」
デバイスを自らの胸に押し当てる。
「君に救わ……れるよりは……マシだ………クアットロ!」
「は〜い♪」
「ローヴェン!」
手を伸ばすスバル。その手を避け、うずくまるローヴェン。その胸元で一つ残っていたデバイスが爆発、血と肉片が辺りに散る。
さらなる哄笑が響いた。
哄笑に反応するように、同じ声が違う場所で同時に呟く。
「シャマルさん、ディエチさん。クアットロの居場所がわかりました」
ジュニアが、そしてスカリエッティが。
「……ウェンディ? 彼らは、誰と戦っているんだい?」
「ドクター?」
訝しげなウーノの声に、スカリエッティはドーターズの一つから送られている映像をまじまじと見つめる。
「ふむ。他の者ならまだしも、ウーノ、君まであれをクアットロと誤認していたのか」
「どういう意味?」
ティアナが尋ねる。
「あれは私たちの知っているクアットロではない。そして、フェイクマザーは複製を行うロストロギア。答えは明白ではないかね?」
「影武者……」
呟いて、ティアナは首を振って自らの言葉を打ち消す。
幻影使いに、影武者など必要ない。
逆の立場なら、自分は影武者など使わないだろう。確実に信用、そして利用できる幻影があるというのに、
影武者をわざわざ仕立てる必要はない。
しかも、ナンバーズが全員騙されるレベルの影武者だ。
189 :
野狗:2009/01/12(月) 01:06:30 ID:YOwiYOyS
9
「我々が過去の行動においてフェイクマザーを無視していた理由。それがヒントだな」
「はっきり言ったらどうなの?」
「そんな義理はないよ、ランスター執務官殿。私は、娘を治療しに来ただけだからね」
「とにかく、この情報は向こうに伝えます」
苦々しげに言うティアナ。
「好きにしたまえ。しかし、それがわかったからと言って戦況に変化はないと思うがね」
「あそこにいるのがクアットロでないとわかれば、ジュニアが憂いなく戦えるわ」
通信回線を開くティアナ。
「きっと、ディエチやノーヴェたちもね。貴方が思っているより、あの子たちは優しい子よ」
スカリエッティは、ゆっくりとティアナに振り向いた。
「褒められて礼を言うべきなのかね、生みの親としては」
「貴方を褒めたわけじゃない」
「だが、礼は言わせてもらうよ」
勝手にしなさい、と言うように、ティアナは肩をすくめる。しかし頭の中では、
フェイクマザーをスカリエッティが利用しなかった理由を考えている。
「マリアージュを戦力としなかったのと同じ理由ですね」
ウーノが、ティアナに助け船を出すようにスカリエッティに尋ねた。
「マリアージュは制御することが難しすぎます。敵陣に送り込んでの殲滅には向いていますが、
戦術的行動を取ることはほぼできません」
これまでの戦いを見ていればわかる。
コピーされた戦闘機人、魔道師。どれもがまともではなかった。
大量複製だけを念頭に置いたような現在のコピーなのはコピーディエチに至っては、
発狂していると判断されても仕方がないほどのものだ。
つまり、コピークアットロも大元は同じはず。
いや、それならば余計に、コピーを作る意味などないはずではないか。
190 :
野狗:2009/01/12(月) 01:07:04 ID:YOwiYOyS
10
「それでも、あの子はコピーを作ってしまったのかもしれない」
ティアナはギョッとした目でスカリエッティを見る。何故か、スカリエッティの声が悲しんでいるように聞こえたのだ。
何故そんなことがわかるのか、と尋ねることが、ティアナにはどうしてもできなかった。
スカリエッティは、そのティアナの思いを見透かしたように続ける。
「ただの想像に過ぎない。それだけの、ことだよ」
「ただの想像かも知れませんけど」
奇しくも、同じ言葉をジュニアは発していた。
「本当に?」
「ええ。あとは、ゆりかごの内部構造さえわかれば」
再び揺れる地面。
「さっきから……」
言いかけて、シャマルは絶句した。
「これって……」
全員が同じものを見る。
盛り上がる地面。いや、盛り上がっているのは地面ではない。
肉の山が盛り上がっている。
すでに人間の体を為していないコピーが横への膨張の限界に達し、縦方向へと増え始めたのだ。
そこにあるものは、すでに人間の戯画化ですらなかった。
肉の塊。目も耳も、口すらもない。デバイスを構える腕すらない。
まるで、アイスの山にスプーンを刺しているように。
肉の山に突き立てられた簡易デバイス。それが積み上げられていくのだ。
すでに肉山の麓では自重によって潰されていくものもいる。
肉汁と体液、不完全な血液のような腐汁。全てが入り交じった汚臭が辺りに漂い始める。
コピーという言葉で表現することすらおこがましい。そうとでも言いたくなるような、肉の塊に過ぎない存在。
おぞましく狂おしく、呪われた生命が混沌を作り出していた。
なおも恐ろしいことに、それでも肉塊は呪文を唱え、デバイスは砲撃を撃ち出す。
「さっさと撃ってしまいましょう」
ディードが青ざめた顔でジュニアに言う。それほどまでに、地上の風景はおぞましく変貌しているのだ。
「ジュニア! シグナム!」
主の声に、シグナムはややホッとした表情で出迎える。
191 :
野狗:2009/01/12(月) 01:07:37 ID:YOwiYOyS
11
「ジュニア、状況は?」
ともに戻ってきたエリオに、ジュニアは手短に現況を説明する。
「それでクアットロの居場所は?」
「なのはさん! レイジングハートにゆりかご艦内のデータは残っていますよね?」
「あの時の? うん。消してないから、残っているはず」
スカリエッティとの最終決戦で、クアットロを探して艦内に放った探索球。
そのデータはそのままの形で、レイジングハートの中に残されている。
「スバルさん、ブリッツキャリバーのデータをください。さっき地下に侵入した位置を特定します」
ジュニアは自らのデバイスと二人のデバイスを繋ぎ、データを転送する。
「クアットロは、ゆりかごの中の管制区間にいます」
「何故わかるんだ?」
はやてが頷いた。
「そっか。他の場所におるなら、立体映像を出す意味がないんや」
「そうですよ。分かり切った場所にいるから、それを悟られないために立体映像を出しているんです。
隠れているのなら、僕たちにわからないところにいるのなら、映像を出す必要は全くないんです」
ディスプレイ上に、一点が示される。
「クアットロの居場所はここです。ここを、撃ち抜きます」
「間に合うの?」
なのはの視線は、クアットロのいるはずの方に向けられていた。
その場所に輝く、魔力光。
それはコピー版スターライトブレイカーの集束。
「隊長」
ジュニアの言葉に頷くエリオ。
「君の切り札の出番だ。指揮を任せる」
192 :
野狗:2009/01/12(月) 01:08:09 ID:YOwiYOyS
12
ディエチとヴィヴィオの二人が並び、それぞれのデバイスを構える。
クラールヴィントを構え、旅の鏡を発動するシャマル。
二人とシャマルの間にジュニアが入った。
コピーの砲撃が激しさを増し、ザフィーラ、シグナム、ヴィータがシールドに全力を傾ける。
「戦闘機人のテンプレート、魔道師のリンカーコア。二つに共通するものがあります」
それは意志の力、とジュニアは言う。
意志の力がテンプレートやリンカーコアから引き出す力を増幅するのだと。
それは、スカリエッティが「生命のゆらぎ」と呼んだものだということを、ジュニアは知らない。
「奴らが死をエネルギーとするのなら、僕たちはそれに反するもので対抗します。力を貸してください。
そして、力を借りてください。僕たちを知る人たちに」
手を差し出すジュニア。その手は、それぞれのデバイスを示している。
「言うまでもないよ」
フェイトがバルディッシュをエリオのストラーダに重ねる。
「ね、エリオ」
「はい」
二人は、デバイスをジュニアに差し出した。
グンツェグの赤い糸で繋がる二つのデバイス。
バルディッシュ、ストラーダの前に旅の鏡が生まれた。
「クラールヴィントのプログラムを、それぞれのデバイスでエミュレートしています」
レイジングハート、そしてシュベルトクロイツをはじめとして、デバイスが次々と並べられていく。
デバイスの数だけ、旅の扉が発生する。
ジュニアとシャマルを焦点とした楕円の演習場に配置された旅の鏡へと、そしてその向こう側へと、
グンツェグの赤い魔力糸が伸びていく。
シャマルの膝が震える。
「砲撃にジャミングが混ぜられてる! 魔力が低下するぞ!」
「大丈夫、続けて、ジュニア」
「リイン!」
リインとのユニゾンを解除するはやて。
193 :
野狗:2009/01/12(月) 01:08:45 ID:YOwiYOyS
13
「シャマルとユニゾンや!」
「ハイですぅ! 行くですよ、シャマル」
シャマルの騎士甲冑の色が変わる。そして、やや薄れ始めていた旅の鏡のイメージが、瞬時に鮮明なものへと変化する。
無数の次元へと開かれた旅の鏡。その演算がリインとシャマルに要求されていた。
はやてが、フェイトが、なのはが目を閉じる。
……お願い。力を貸して
そして、全員が同じ事を祈った。
シャマルは、それぞれのリンカーコアが開き、輝くのを感じた。そこから流れ込んでくる魔力が体を熱くする。
そして、ジュニアもまた、テンプレートから流れ込む力を感じていた。
複色のリンカーコアの輝きがシャマルの頭上に現れ、ジュニアの頭上には各自のテンプレートが発現する。
チンクのテンプレートが、ノーヴェのテンプレートが、ディード、セッテ、ディエチの。
そしてウェンディ、オットー、セインのテンプレートが。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――管理局陸士本部
「……聞こえましたか?」
「ああ、聞こえた。何かやるとは思ってたが」
ゲンヤは頭をかいた。魔法を使えない自分だが、理解はできる。
いや、理解すら必要ない。
はやてが力を貸して欲しいと言っている。それだけで、充分だ。
「……好きに使え、はやて」
ゲンヤはゆっくりと目を閉じ、目の前の空間から伸びてきた赤い糸に触れる。
「及ばずながら、俺だって」
しゃちほこばって立ち上がるカルタス。
「馬鹿、座ってろ」
「あ、はい」
194 :
野狗:2009/01/12(月) 01:09:18 ID:YOwiYOyS
14
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――管理局遊撃隊本部
「スバル、絶対勝ちなさいよ」
ティアナは赤い糸を握りしめ、自分の中のリンカーコアを意識した。
もっと強く、もっと早く、もっと激しく!
「シスターシャッハ?」
「はい、わかっています」
カリムとシャッハも、赤い糸を握りしめる。
ガリューの入っている生体ポッド、ウェンディ、オットー、そしてセイン。それぞれが赤い糸を握りしめる。
「……ジュニア、頑張るんだよ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――教会
一人のシスターが慌ててシスター長に報告をしている。
イクスの手に、いつの間にか赤い糸が巻き付いている、という報告だった。
……スバル、負けないで
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――第97管理外世界
「フェイト、わかったよ。エイミィもリンディも応援するからね」
アルフは赤い糸を握りしめる。
「フェイトちゃん、ファイトだよ」
「クロノは何をしているのかしら、こんな時に。頼りない息子ね……」
「あー、クロノ君は、もう前線じゃないから……」
同時刻、とある豪邸にて。
「なんだかわからないけど、なのはとフェイトとはやての頼みなら!」
「うんっ」
見る者全てが振り返るような美しい女性が二人。
一人は赤い糸を握りしめ、拳をふりあげている。
そしてもう一人は微笑みながら、やはり赤い糸を握りしめていた。
195 :
野狗:2009/01/12(月) 01:09:52 ID:YOwiYOyS
15
同時刻、とある喫茶店にて
「なのは……」
「大丈夫だよね、なのはなら」
「当たり前だ」
近所でも評判の仲のいい家族三人は、揃って手のひらに置かれた赤い糸を見つめている。
同時刻、独逸某所にて
「なのは、がんばれよ……」
精悍な青年の目は森へと向けられているが、その目はどこか遠くを見つめていた。
「なのはちゃん……」
その隣に立つ、美しい女性もまた、同じく。
そして二人の手には、赤い糸が。
同時刻、英国某所にて
「お父様」
「ああ、これが彼女への最後の援助になるかもしれんな」
海峡を渡る冷たい風に、二人の妙齢の女性は目を細めた。
「まだまだですわよ、お父様」
車椅子を押す二人、そして車椅子に乗せられた老人の手には、赤い糸が。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――無限書庫
ユーノは無言で祈っていた。拳に赤い糸を結びつけながら。
妻の無事を。
そして初恋の人の無事を。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
196 :
野狗:2009/01/12(月) 01:10:24 ID:YOwiYOyS
16
――ミッドチルダ各所
グリフィスは、クロノとともに出撃許可を求めて奔走していた。
シャーリィとマリエルは、ティアナの元へ向かう途中だった。
アルトとルキノは、ヴァイスが持ち出したヘリを誤魔化そうとしていた。
そのときヴェロッサが、メガーヌが、皆、同じものを見た。
そして誰もが、全ての祈りを込めて赤い糸を握りしめた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――旅の鏡は道を開く
「う……う……」
リインの身体が小刻みに震えていた。
通常のユニゾンではない。変則的な、そして大容量の魔力のパイプ役なのだ。異常なまでの負担が小さな身体にかけられている。
それでも、通常の空間ならば可能なはずだった。そうでなければ、ジュニアはこの策を取らないだろう。
しかし、不必要なまでの高濃度のジャミングがかけられているのだ。それだけ負担は大きくなっている。
だが、負けるわけにはいかない。
「リインちゃん、無理はしないで。私に負担を回してくれていいのよ」
「大丈夫……です」
シャマルは魔力の一部をシールドに回している。リインの負担が減れば減るほど、シールドも薄くなるのだ。
シールドが破壊されれば無数の砲撃の餌食になるのは見えている。それは絶対に避けなければならない。
……それが貴方の限界なの?
リインの肩に、誰かの手がかけられる。
ユニゾン中の自分の触れられる者などいない。リインは意志の力を必死に振り絞った。
「誰です?」
いや、それは無駄な質問だった。質問の寸前、リインは答えを知ったのだから。
風になびくようにリインの頬をくすぐる銀の髪。そして、燃えるような真紅の瞳。
……貴方の限界はそんなものではないでしょう?
「あ……あ……」
……力を出しなさい。貴方の……いえ、私たちのマイスターのために
「はいっ!」
祝福の風が、二人を包み込んでいた。
197 :
野狗:2009/01/12(月) 01:10:57 ID:YOwiYOyS
17
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――旅の鏡は道を開く
「アギト、まだ行けるか?」
「当たり前だ! シグナム、あたしに遠慮なんかしてんじゃない! あたしの力、好きなだけ使ってくれ!」
元々、シールドを張るのは柄ではない。進み、破壊し、焼き尽くす。それが烈火の剣精の力であり本性だ。
敵を倒し勝ち取ること、それが融合騎としてのアギトの力だ。
しかし、護るべきことをアギトは知っていた。
ルーテシアを護ったゼストとガリューの誇りは、間近で見ていたアギトが一番よく知っている。
誰かを護ること、護り抜くこと。時には己を捨ててでも何かを護ること。それが、アギトにとっての二人の教えだった。
護りたい。
ルーテシアを。この人たちを。
ガリューの分まで。ゼストの分まで。
だから、限界なんてない。
……そうだな、アギト
誇らしげな声が聞こえた。
……皆を護ってくれ
アギトは振り向こうとしなかった。
ただ、呟いた。
「任せてくれ、旦那」
アギトは決して認めない。呟きに混じっていた涙など。
198 :
野狗:2009/01/12(月) 01:11:30 ID:YOwiYOyS
18
二つの集束の輝きは、競うように膨れあがっていく。
しかし、立体映像で浮かび上がるクアットロは笑っていた。
勝利の確信に、強者の論理に浸った笑み。
そうだろう。
二つの輝きには一見してわかるほどの差があったのだ。
無限に生まれ死んでいくコピーを力とした輝きは、ますます広がりそして眩しくなっていく。
ディエチとヴィヴィオの前の輝きは、それに対抗こそできても勝利はあり得ない。その程度の輝きなのだ。
「まだだ……まだだ……」
複数のテンプレートを同時に頭上に展開させながら、ジュニアは死の輝きを睨みつけていた。
死に負けてはならない。あれは、陰の輝きだ。絶対に負けてはならない。生ある者として。生きていく者として。
「ウーノ、頼むよ」
モニターを眺めながらウーノのISに自らのデバイスを繋げたスカリエッティは、呆れたように呟く。
「……確かにユニークではあるが、洗練されているとは言い難い美しい式だな」
……解析している?
スカリエッティは、展開中のジュニアの魔法式を解析している。
さらにあろう事か次の瞬間、とある式がドーターズを経由してジュニアに示される。
「改良式だ。それを使えば、効率は上がる。今すぐ書き換えたまえ」
ジュニアは一度睨みつけると、その方程式をデバイスに取り込んだ。
その瞬間、ヴィヴィオとディエチが驚いたように声を上げる。
集束の輝きが劇的に増したのだ。そして、二人はデバイスの耐久限界を試すような駆動を必死で押さえつける。
ディエチはイノーメスカノンを抑えながら、ヴィヴィオを見る。凄まじいばかりの魔力流入はデバイスの不安定を招き、
このままでは精密な砲撃は難しい。精密な照準など必要とされない高出力砲撃ではあるのだが、
不安定な砲撃は避けたいのが砲撃手としての本能でもある。
「ヴィヴィオ、ストライカーをもっと強く保持して」
「やってるよ!」
悲鳴のような声。
……力が足りない
ヴィヴィオは歯を食いしばり、ストライカーを構え直そうとする。
199 :
野狗:2009/01/12(月) 01:12:02 ID:YOwiYOyS
19
「……お願い」
「力を……」
今にも消え失せるような小さな、しかしはっきりとした意志を込めた声。
チンクは咄嗟に、自分の両脇に寝かされている二人を見た。
「キャロ? ルーテシア?」
BOOST UP POWER
ストライカーとカノン。二つのデバイスが目に見えて安定し始める。それを握るディエチとヴィヴィオにはわかった。
背後から送られてくる、魔力のブーストが。
ケリュケイオンとアスクレピオスが起動しているのだ。
しかし首だけで振り向いた二人が見たのは、かぶりを振るチンクだった。
「二人とも気を失っている。今のが精一杯だったんだ」
ただ頷いて、二人は再び前を向いた。
「ヴィヴィオ、もう大丈夫だね」
「はい」
「キャロとルーテシアが支えてくれる。きっと、他の人たちも」
デバイスを温かいと二人は感じていた。それは物理的な熱ではない。リンカーコアではない、テンプレートでもない。
それは、二人を支える心。
「感じるよ……なのはママのパパ、ママ、お兄ちゃん、お姉ちゃん、アリサさんやすずかさん、エイミィさん」
「……応援してくれてるんだ……あたしたちを」
集束の輝きが増していく。
クアットロの哄笑はしかし、二人を嘲笑うかのように響き渡っていた。
「無駄な足掻きですよぉ。無限複製の前に、どんな抵抗ができるというのかしら?」
「できるかどうかじゃない!」
エリオは叫ぶ。
「俺たちは抵抗する!」
200 :
野狗:2009/01/12(月) 01:12:34 ID:YOwiYOyS
20
客観的な判断を、誰もがとうに捨てていた。
ここで敗れれば、後はない。
ここで倒せなければ、次はない。
敵はこれから強大になるだけなのだ。
今この瞬間だけが最初で最後の機会なのだと、誰もが理解していた。
ストライカーを握るヴィヴィオの手に自分の手を被せるなのは。
はやては、ディエチの手に自分の手を重ねた。
「ヴィヴィオ、落ち着いて。ヴィヴィオなら、上手くやれるよ」
「ディエチ、あたしがついてる。皆、どこまでも一緒やよ」
フェイトがはやてとなのはの残った手を握る。
「負けないよ。絶対に」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――旅の鏡は道を開く
「あの子は、まだ私に厄介をかけるつもりなのね」
「また、そんなことを言って。嬉しそうな顔をしてますよ」
「私が? まさか」
「お嬢様は、どうなさるのですか?」
「助けるよ」
当たり前のことを聞かないで、と幼い声が憤然とした口調で言う。
「失礼しました。では、全員一致ですね」
「私は賛成していないのだけれど?」
「言われなくても、わかりますよ」
使い魔は主人の名前を呼び、主人の娘の手を取った。
そして三人の手が、赤い糸を掴む。
201 :
野狗:2009/01/12(月) 01:13:10 ID:YOwiYOyS
21
さらなる輝きが一同を照らすように広がっていく。
確認のためにデバイスのモニターを見たジュニアは、思わず口走っていた。
「いったい、どこに繋がっているんだ……」
ノーヴェがそれを聞き咎める。
「どこって……ジュニアがわかってないのか?」
「……僕が行き先を指定する訳じゃない。僕たちの内の誰かが助けて欲しい人、
そうでなければ僕たちを助けたいと思う人、旅の鏡は自動的に取捨選択しているんだ」
「どうやって、そんなの見つけるんだよ」
「言い方を変えるよ。心が繋がっている人だ」
「それで、いったいどこに繋がっているの?」
モニターを覗き込んだセッテが尋ねる。
「虚数空間だ。それ以上は僕にもわからない。リインも、父さんの式も、僕が予想した以上の出力を叩きだしている。
そこから先は全くの未知だ」
「大丈夫なのかよ!」
ノーヴェの言葉に、それでもジュニアは微笑んだ。
「僕には、自分の式よりももっと信用できるものがある」
「なんだ、そりゃ」
「心。僕たちの心だ。式では出せない心があることを僕は知っている。僕自身がその証明だ。
僕がジェイル・スカリエッティになりきらないこと、それが心の証明だ!」
「その心の力、ぶちかましてやろうぜ」
エリオがジュニアに並ぶ。
「スペックだけじゃないってことをね」
その逆隣にはスバルが。
202 :
野狗:2009/01/12(月) 01:13:58 ID:YOwiYOyS
22
「リンカーコア集束フル出力、行くですよ!」
リインの合図に、全員が身構えた。
ジュニアがデバイスを纏った拳を握りしめる。
「テンプレート全開!」
さらに、新たな四つのテンプレートがジュニアの頭上に開いた。
力の奔流がジュニアのデバイスを経由し、ディエチの集束球へと流れ込んでいく。
セッテが、チンクが呻く。
ノーヴェが、ディードがテンプレートを凝視していた。
「ウーノ姉様」
「……トーレ!」
「……! ドゥーエ姉……」
「ドクター!」
震えるジュニアの身体。あまりにも強大な力が負担となり、ジュニアの体を震わせている。
まるで、消防車の放水をたった一人で受け持っているようなものだった。
強大な力が、ジュニアの精神を翻弄するように荒れ狂っていた。
「くっ……う……」
そして。
……貴方なら、できる……
クアットロの哄笑が止まった。
「何故っ!」
悲鳴のような声があがる。
「今更っ!!」
全員が見た。
ジュニアの頭上に輝く、最後のテンプレート。緑の輝き。
……貴方なら、制御できる……
「……クアットロ……」
ディエチが呟く。
ジュニアは、拳の上に優しく重ねられる手を感じた。
それは、初めての感触。
それは、母の感触。
203 :
野狗:2009/01/12(月) 01:14:34 ID:YOwiYOyS
23
……御免ね、何もできなかった……
「母……さん……?」
……せめて……
その瞬間、ジュニアは理解した。
目の前に立ちはだかる敵の正体を。
クアットロを名乗る者の正体を。
そして。
「ヴィヴィオっ! ディエチっ!」
二人は悟る。
今。
「スターライト!!」
「ブレイカー!!!」
全てのリンカーコアが燃え上がる。
あらゆるテンプレートが身を焦がさんばかりに輝く。
質量すら伴うような光の嵐が二つ、星さえ焼き尽くす勢いで激突した。
コピーの悲鳴があがる。無から生み出され、命を吸われ、それすらも無駄に終わった魂の悲鳴が。
怨嗟と喜悦の混じった、消滅と解放の悲鳴が。
光の嵐が別の嵐を巻き込み、気象現象と見紛うばかりの渦が大地に叩きつけられた。
地面が削られるという表現よりも、消し飛ばされるという表現がそこには相応しいだろう。
事実、一つの島の半分が消えたのだ。
奇妙な静けさが、残った島を支配していた。
「……ロストロギア、コピー、ともに反応無し」
シャマルが周囲を走査する。
「終わった……?」
呟いたノーヴェに、ジュニアは首を振る。
「まだですよ」
「でも反応が……」
ジュニアはそれに応えず、ゆっくりと下降していく。そして、他のメンバーも。
やがて地面につくと、ジュニアはコピークアットロがいたはずの場所へと歩を進める。
そこにはただ、破壊跡だけが残されていた。
204 :
野狗:2009/01/12(月) 01:15:07 ID:YOwiYOyS
24
「いないか……」
振り向いて戻ろうとした喉元に突きつけられるピアッシングネイル。
ISシルバーカーテン
コピークアットロが姿を見せた。
「……私がいれば、再起はできるんですよ。複製器はまだあるんですから」
「無理ですよ」
涼しげな顔で、ジュニアは言う。
「貴方を、ディエチさんが狙っています」
言葉通り、ディエチはイノーメスカノンを狙撃モードにして構えている。
「あらぁ、ディエチちゃん、貴方にジュニアちゃんを見殺しにできるのぉ?」
「できないよ」
ディエチもまた、平静のままに答える。
「だけど、ジュニアはクアットロの息子なんだ」
「知ってますけれどぉ?」
「ジュニアはついさっき、お母さんに贈り物をもらっているんだよ」
ISシルバーカーテン
ジュニアの姿が消え、ディエチの横にその姿が現れる。
「同じISを、発動できるようになったんだ」
「殺……」
コピーの顔が憤怒に歪む。
「姉さんの仇だよ」
カノンの銃弾が、コピーの額を貫いた。
205 :
野狗:2009/01/12(月) 01:15:41 ID:YOwiYOyS
25
それから、数週間後――
「ここからは、僕一人で行くよ」
「うん。待ってるから」
ディエチはジュニアを見送ると、待合室の椅子に腰掛けた。
あの戦いが終わっても、何も変わらなかった。
遊撃隊に対する管理局の扱いも、ほとんど変わっていない。
エリオたちはあまり気にしていないようだが、今でもほとんど「戦闘に特化した便利屋」扱いなのだ。
今回のFM事件(と呼称されることになった)は、一般の目にはほとんど触れていない。
被害そのものは決して小さくはなかったが、解決に至る道は一般人とは遠い場所で行われていたのだから。
そう考えれば、ドクターや自分たちはかなり目立っていたのだな、と今更ながらにディエチは思う。
ただ、一般局員の目はかなり変わったような気がする。
なにしろ、かつての六課の英雄たちも巻き込んで解決した事件なのだ。
エリオやスバルは事情を知る者からは一目置かれるようになったし、自分たち元ナンバーズに対する嫌がらせも、
以前に比べれば随分減っている。
それでも、大きな変化はない。
自分たちは、消耗部隊。限りなく不正規部隊〜イレギュラーズに近いのだ。
ただ、変わった面もいくつかある。
一つは、セッテが遊撃隊にいること。
ドクターとウーノは再び拘置所に戻る道を選んだが、セッテは更正する道を望んだ。FM事件での功績を買われ、
自分たちに比べれば身柄預かりの期間はかなり短くすんだようだ。身元引受人は、フェイトが名乗りを上げているらしい。
そして、後は細かい変化。
ウェンディとガリューが急接近している。二人で一緒に死にかけたことが、親しさを生んだのだろうか。
ジュニアは、ISを使えるようになったことで前線に出る機会が増えた。とは言っても、単独行動は禁止されている。
変化は間違いなくあるのだ。それが望むものであろうとなかろうと。
206 :
野狗:2009/01/12(月) 01:16:51 ID:YOwiYOyS
26
近況報告などはとうに終えていた。それが終わってしまえば、話すことなどさほどない。
ジュニアは時計を見た。どうせそろそろ、面会時間は終わる。
「では、そろそろ失礼します。お父さん」
立ち上がったところに、声がかかった。
「わかっているはずだ」
スカリエッティの言葉に、ジュニアの足が止まる。
「いずれ、君が道を踏み外すときが来るだろう」
「貴方は、道を踏み外したことを認めているんですね」
「世界の目で見るのなら。私は道を踏み外しているのだろう。しかし、私は常に私自身の世界の中心にいるつもりだ。
私から見れば、道を踏み外しているのは君たちだよ」
「僕には僕の、貴方には貴方の世界があり、中心がある。だけどそれは、他人の世界を破壊してまで固執するものじゃない」
「一人の世界ではないさ。私にはナンバーズがいた。今はウーノがいる。君には誰がいるんだ?
君には共に道を踏み外すものがいるのか? 世界の中心を同じくする者がいるのか? ディエチたちは君に従うのか」
「僕は信じています。僕が道を外れたとき、彼女たちなら僕を諫めてくれるだろうということを」
「ウーノたちは、私を諫めるべきだったのかな?」
「わかりません。僕と貴方とでは、スタートラインが違いすぎる。その意味で、僕はひどく恵まれているんです」
「しかし君は、いや私たちはこの世界では、どこまで行ってもイレギュラーな存在だ。それは生まれ落ちた瞬間からの呪いなんだよ」
「もしこの世に呪いがあるのなら」
ジュニアは再び歩き始める。
「神の恵みも同時にあるはずでしょう、お父さん」
去っていく背後に、愉快そうな笑いが聞こえた。
ジュニアは、スカリエッティの笑い声を聞きながら、面会室を後にした。
待合室に戻ると、ディエチとウェンディがいる。
「迎えに来たッスよ。非常招集ッス」
「隊長が?」
「未確認の戦闘機人プラントをセッテたちが見つけたって」
拘置所を出ながら、ジュニアは所内では禁じられているデバイス通信を起動した。
「ジュニア、ウェンディとディエチを連れて、直接向かってくれ」
通信機の向こうで、エリオは全体通信に切り替えて言う。
「全員出動!(IRREGULARS ASSEMBLE!)」
戦いは終わらない。
そして、僕たちは進んでいく。
ジュニアは、走り出していた。
207 :
野狗:2009/01/12(月) 01:17:41 ID:YOwiYOyS
以上、お粗末様でした。
長い間のおつきあい、ありがとうございました。
リリカルなのはIrregularS 終幕です。
gj!
ついに完結か…。
スカが自分の中で複雑なキャラになってきた
フェイト縛ってた時はあんなに憎んでたのに
野狗様、GJ
不正規部隊の話、楽しませていただきました。
次なるジュニアたちの戦いを期待しております。
GJです。なんというどんでん返し。まさかそう来るとは思いもしませんでした。
具体的には4関係で。
ただ欲を言えば、あれだけ酷い目にあったルーテシアとキャロに関するフォローが
あってもいいんじゃないかなと。
具体的には3Pで。
GJ。
クアットロにとってもこの結末はイレギュラーですね。
コピーに取って代わられたことも、ジュニアがどんでん返しを起こしたことも。
思えば、今回の事件だってスカと姉妹たちが何も行動を起こさなかったというクアに取ってのイレギュラーが原因。
読み返したらまた違う面が見えてくるかもしれないですね。
個人的にはジュニアとスカの絡みがもっと見たいです。
この2人、疎遠に見えていても共通の話題になると物すごく意気投合して周りを嘆息させる気が・・・・・いえ、忘れてください。
あーはいはい、お約束の大逆転
よかったよかったー
GJです!途中から読み始めたんですけど、前が気になって一気に読み返してしまいました。
でもエリキャロ夫婦設定なので、エリオとキャロの絡みがもうちょっと欲しかった気も…。
ストラーダが一番カッコよかったです!
…まさか『綺麗なクアットロ』を見る日がこようとは…(いや死んでるけど
というのが最大の感想だったw
215 :
リーフ:2009/01/12(月) 06:20:12 ID:g0+9V5P/
>>207 GJですた!
フェイト×エリオのポケモン小ネタ投下よろし?
217 :
リーフ:2009/01/12(月) 06:49:07 ID:g0+9V5P/
んだば行きます。
・エロエロです
・フェイト×エリオ
・フェイトさんがおかしいです
・鬼畜注意報
・初投稿なので色々と勘弁
・タイトルは『躾とバイブと快楽と』
218 :
リーフ:2009/01/12(月) 06:52:04 ID:g0+9V5P/
「はぁ…、う、ああ……」
ベッドの上で、エリオは荒い息をあげながらフェイトに跨られていた。両手足には鎖が縛り付けられており、自力では拳を握る程度の事しか出来ない。最早まともな思考すらままならなくなった頃、ごぽり、と音を立てながらフェイトは秘所からエリオのモノを引き抜いた。
「どお?エリオ。気持ちよかった?」
「ご…ご主人様…、お願いします、もう、こんなの…」
まともに息をする事すら辛い状況で、エリオは何とか声を絞り出す。だが、その言葉はフェイトの嗜虐心を刺激するだけだった。
「…エリオ、私に口答えするんだ」
トーンを落として、フェイトは不機嫌を装った声を出す。それを聞いた途端にこれまで反失神状態だったエリオの意識が覚醒した。
「いえっ!違います!そんな訳じゃっ!」
「まだ躾がなって無かったみたいだね。それじゃ、今日は……」
エリオの言葉など聞こえないとでも言うように、フェイトは「お仕置」の準備を始める。それを見て、エリオは更に必死になって懇願した。
「お願いしますっ!お願いしますご主人様!!何でも、何でもします!!だから、だからっ!!」
懇願するエリオを尻目に、フェイトは一つのボールを取り出す。
「それじゃあ、今日はこっちにしようか。」
そう言うと、エリオの体はボールの中に吸い込まれていった。
(嫌あああぁっ!!出してっ!!お願いっ!お願いします!!出してっ!!出してええぇぇ!!!)
ボールの中では、捕らえられたエリオが必死に何かを叫んでいる。だが、いくら叫ぼうともその声は外には届かず、ましてや脱出など考えるほうが馬鹿らしい。しかし、無駄とは分かりながらもそれでもエリオは叫ばずにはいられなかった。
「んーと、それじゃあまずは十時間で」
フェイトがボールに付いている摘みを調節すると、ボールの内壁からガシャン、とバイブが数本、それにローターが数十個飛び出してきた。同時にエリオの手足に拘束具が着けられ、決して逃れられない様にする。
(ひぃっ!?いやっ!来ないで!!いやあっ!!お願……やああああぁぁっ!!!!)
219 :
リーフ:2009/01/12(月) 06:55:46 ID:g0+9V5P/
ローターが亀頭、印茎、乳首、背中と体中のありとあらゆる性感帯に張り付き、振動が開始された。更にエリオの菊座は極太のバイブに貫かれ、否応無しに前立腺を刺激されている。
(助けてえっ!!お願…、ふむっ、ふむうううう!!!)
更に口にもバイブを突っ込まれ、口内を蹂躙される。そこから粘着質な液体を流し込まれ、飲み込めとでも言う様にエリオの頭がガクンと上向きにされた。
(んっ、んう…)
必死になって飲み下すも、口内の蹂躙が終わる訳ではない。更に直腸内にも媚薬を含んだ液体を流し込まれ、間もなくエリオは全員を襲う快感に気を失った。
「ふふふ…、可愛いよ、私のエリオ…。私の、私だけの……ふふ、ふふふふ……………」
FIN
オマケ
〜CM〜
『調教ボール』
JS通販が開発した、捕らえたモンスターをボール内部で調教、管理できる新型ボール。調教システムは調整によりマッサージコース、調教コース、拷問コースなど五段階のコースに分けられており、更に貴方だけのオリジナルコースを作成する事も出来ます。
今回は触手、バイブ、マジックハンドの三種類をご用意。このマジックハンドタイプは手動にすれば貴方の手と連動して好きなように動かす事が出来ます。そして前回ご好評頂いた食事用栄養剤、こちらも一度に一週間分の詰め込みができ、洗浄機能も常備しております。
更に今回、三種類全てご購入頂いた方には、特別にこちらのスクリーン&スピーカーもお着けします。これがあればボールの中の様子を詳しくチェックする事ができ、異常も一目瞭然です。
JS通販はご家庭の味方、今宵も格安の商品を貴方に提供いたします。
220 :
リーフ:2009/01/12(月) 06:58:50 ID:g0+9V5P/
以上です。エリオがポケモンになってヤンデレフェイトに捕まったら、という妄想を成文化してみた。最後の「モンスター」の部分を何て書くかで一時間悩んでましたw
では、お目汚し失礼しました。
>>207 GJ!!
全員の祈りの力を合わせた最終決戦。すごく良かったです。
ジュニアは自分の道を歩みだすことができた。
おそらく父親とは違った運命をたどることとなるでしょうね。もちろんいい意味で。
そして欲を言えば、最後にエリオルーテシアキャロの会話が欲しかったです。
もちろんその後は3Pで。結果自他ともに認める妻と恋人がいる夫へ…
一か所だけ訂正が
>>186の12行目、ルーテシアがローテシアになってました。
>>220 GJ!!
フェイトさんこええええええええええ
というかポケモンに必要な信頼度とか間違いなく0ですな。
その分調教して補正とか鬼すぎる。。
エリオきゅんがいたら俺がフェイトよりも先にゲットしてみせる!
でも速攻奪われそう
GJ!
GJ!!です。
フェイトさんは相手を愛しすぎて、だんだん独占欲全開というか相手の心が自分から離れないように、
征服しようとするヤンデレか何でもする、嫌なところは直すから行かないでって感じが似合うw
>>207 GJ!乙でした。
が、一つ誤植が。
× スバルさん、ブリッツキャリバー〜
〇 スバルのデバイスはマッハキャリバー
225 :
ザ・シガー:2009/01/12(月) 17:52:54 ID:iZQSr7L/
うし、投下行きます。
非エロ、レジアス×なのは、「ある中将と教導官の日々」の第八話です。
>>98 >>101 待たせてしまってすいませんのう。
ある中将と教導官の日々8
カーテンの隙間から朝日が差し込み、ベッドの上でシーツに包まっていた女性を照らす。
シーツの上からもその女性が素晴らしいプロポーションを誇る肉感的なボディラインを有することが良く分かる。
肉体だけでなく安らかに眠りにつく美貌、ストレートに解かれた栗色の髪から香る甘やかな芳香と相まって女性は一個の芸術のように美しい。
顔に降り注ぐ朝日の光に、女性はしばしのうちに悩ましい声をあげ、うんと伸びをして目を覚ます。
ゆっくりと瞳を開くその様はまるで童話の眠り姫だった。
「う、ん……もう朝……か」
眠りから覚めたばかりのトロンとした目を擦り、女性は身体を起こして周囲を見渡した。
部屋のどこに視線を向けてもそこには彼女以外に誰もいない。
昨日まで一緒にいたあの人の姿は影も形もなかった。
この事実に胸が締め付けられるような思いを感じる。
男と女が床を同じくしてするべき事をした訳ではないが、それでも一緒に朝を迎えるくらいはしたかったから。
そんな事を考えていると、ふとベッドの枕元にメモ用紙がある事に気付く。
拾い上げてみれば、それは彼からのメッセージだった。
『朝から地上本部で会議があるので先にチェックアウトをする事にした。本当にすまない、君一人を残して先に出ることを許して欲しい。
レジアス・ゲイズ』
簡潔に用件を書いてある言伝、人目見たとき彼らしいという思いからふと口元に微笑が浮かぶがそれも一瞬だった。
それはすぐに一人になった孤独感からくる悲しみにと寂しさに変わる。
誰にでもなく、彼女の唇からは独り言が漏れた。
「レジアスさんの……バカ……」
□
さて、なのはは先日のデートで遂に朝帰りという快挙を成し遂げた訳なのだが、彼女に対する尾行は諸般の事情により中断されてしまった。
つまりはなのはの乙女的なモノが喪失された有無が分からない訳である。
無論、これが気にならぬ六課の人間はいないのだが、問題は直球で話題を触れる者が皆無な事だった。
なにせ寮に帰ってからの彼女ときたら。
「……」
「おい」
「……」
「おいなのは!」
「ふえ? ああ、ヴィータちゃんか」
「ああ、じゃねえよ。シャンとしろ」
「うん……ゴメンね」
訓練場で日々のトレーニングに勤しむフォワード見つめるなのはにヴィータの叱責が飛ぶ。
これが一度で済めば大した問題ではないのだが、件のデートそしてその朝帰りからなのははずっとこんな調子だった。
いつもボンヤリとしてどこか遠くを見るような目で、デスクワークに就けばミスを連発、教導に就いても注意力が散漫として上手く指導が出来ないでいる。
とりあえず今はヴィータの補佐をして形だけでも訓練に参加しているのが現状だ。
どんな辛い時でも空元気を見せていた彼女のらしくない姿に、ヴィータは歯痒い気持ちで複雑な表情を見せる。
戦闘の事なら少しは助言できるだろうし、身体の不調なら無理矢理でも休ませるだろう、だが男との関係ではあまりに無力だ。
こういう時ほど、色恋沙汰に疎い自分たちを恨めしく思うことは無い。
自身に責があるわけでもないのだが、ヴィータは少しやりきれない気持ちになった。
(フェイトあたりが聞いてやれれば良いんだけど……アイツは無理に聞きだすってタマじゃねえしなぁ……どうしたもんか)
フォワード陣の訓練を眺めつつヴィータは頭を捻った、少しでも友の苦悩を解決する方法を探すべく。
そしてそんな時だった、今までボンヤリとしていたなのはの口が開いたのは。
「ねえ、ヴィータちゃん……」
「ん? なんだ?」
「私ってさ、魅力ないのかな……その、女の子として」
「は?」
思わず聞き返すと同時に、ヴィータはなのはに視線を向ける。
そして彼女を頭の天辺から足の先まで見る、そして考察・結論。
「お前に魅力がなかったら、世界の女のほとんどが魅力ねえよ」
小さな守護騎士は、そうはっきりと言い切った。
凄まじく巨乳という訳ではないが、実に良く実った乳房の果実。
キュッとくびれたウエストの描くラインは芸術的ですらあり、さらにそこから繋がる臀部の尻肉も女性らしく豊満。
太股から足首に至る曲線も見事の一言に尽きる美麗さを誇り。
栗色の髪は艶やかで美しく、漂う甘やかな芳香が鼻腔をくすぐる。
顔立ちはやや幼さを残しながらも麗しいモノで、恐らく町を歩けば幾人もの男を振り向かせるだろう。
そして肝心要の性格も問題なしと来る。
これで魅力がないのならヴィータの言うとおり世の女性のほとんどは女性らしい魅力を持ち得ぬだろう。
「ったく……ナニ言ってんだよお前は」
「いや、何でもないの……気にしないで」
少し哀しげな表情で返すなのはに、ヴィータは胸中で憤りを感じた。
そんな顔で気にするなと言われて気にしないヤツがあるか、それが友ならなおさらだ。
しかも、安易に口を挟めない事なので余計に腹が立つ。
(ったく……レジアス中将のヤツなのはとナニがあったんだよ……こっちは良い迷惑だよこれじゃあ)
直接会った事のない、されど顔だけは良く知っている地上本部高官にヴィータは心中で苦言を漏らす。
だが彼女は知らない。
レジアスが凄まじい苦悩の末になのはの純潔を汚さなかった事を。
彼の選択はある意味男気に満ちたモノだったが、果たしてそれは正しい事だったのか。
乙女の貞操を守った事は賞賛に値するかもしれないが、その結果としてなのはの女性的な自信を完膚なきまでに粉砕した事は重い罪だろう。
ただ何も知らぬ鉄槌の騎士は、かの中将の事を少しだけ恨めしく思った。
□
管理世界の中心地とも呼ばれる地ミッドチルダ、その首都クラナガンのさらに中心、法と秩序の塔とも呼べる巨大高層ビルディング地上本部。
最高責任者であるレジアス・ゲイズは執務室で秘書である娘のオーリスと打ち合わせの最中だった。
「それで、今回の予算案件についてですが」
「……」
「中将?」
「……」
オーリスの問い掛けに対して、返ってきたのは沈黙。
いつもの威厳と覇気に満ちた顔はどこへやら、レジアスはボンヤリと中空を見つめていた。
地上本部の重鎮にあるまじき姿。
全ては先日の、お父さんに近づきその淫らな色香で誘惑する憎き雌犬高町なのは(オーリス主観)とのデート&朝帰りからこんな感じだった。
何度か目の前で手を振ってみても反応がないので、オーリスは父が最も反応するセリフをそっと呟いた。
「お父さんのバカ、大っ嫌い」
「へ!? なんだって!?」
「やっと目が覚めましたか?」
「あ、ああ……すまん、少しボーっとしていたよ」
「少し? “あの日”からずっとこうじゃないですか……やっぱり高町一等空尉とナニかあったんじゃないですか?」
喋る口調は冷静そのもだが、オーリスはそれはもう凄まじい目でレジアスに問い掛けた。
地獄の悪鬼とてもっと優しい眼差しだろう、そう思えるほどに彼女の瞳には憎悪と憤怒に満ちている。
オーリス・ゲイズ、秘書官としては有能極まりないがファザコンに関しては最悪の部類だ。
無論、愛娘のこの質問にレジアスは狼狽しつつも否定する。
「バ、バカな事を言うな! 私はなのは君とは何も……」
「なのは!? もう呼び捨てですか!? 自分の女ですか!? 結婚を前提にお付き合いですかああああ!?」
レジアスのたった一言で、オーリスは今までの静かな様相が一変。
掴み掛からんばかりの勢いでまくし立てる。
娘のこの凄絶なる気迫に本気で怯えつつ、レジアスは勇気を振り絞って反論した。
いや、というかぶっちゃけ反論しないと殺されると思った、わりと本気で。
「い、いや! 誤解だ落ち着けマイドーター、パパは本当に何もしていない!」
「本当ですか? 嘘ついてないですよね? もしついてたら……」
「いやいやいやいやいや! 本当! 本当に本当!! 神にかけて誓う!! 嘘じゃない!! 父さんを信じてくれっっ!!!」
レジアスは力説した、いつも演説する時の数倍は言葉に魂を込めて。
亡き妻にそっくりのこの娘は、下手をすると本当に刃傷沙汰になりかねない爆発物である。
取り扱いを一歩間違えたら、戦闘機人二番の役割を彼女が奪いかねない。
「……分かりました。なら、良いんです」
レジアスの汗だく・必死の形相で以って行われた弁明にようやく誤解が解けたのか、オーリスからすうと気迫が消える。
娘から殺意やらなんやらのダークサイドの空気が消えた事に、中将は冷や汗を拭って安堵。
まったく……母親に似すぎだな。
と胸中でふと亡妻に想いを馳せる。
そして、次に脳裏を駆けたのは“彼女”の事だった。
(そうだ……私はあの子とはナニもない。ナニもないんだ……)
あの日レジアスは、誰がどう見ても断言できる程になのはに誘惑された。
いくら男女の馴れ初めに疎い彼女とて、男のベッドに無防備に潜り込む事の意味くらいは知っていよう。
乙女が純潔を差し出す意味も、それを喰らう甘美な味わいもレジアスは理解していた。
でも彼はそれを見て見ぬ振りをした、無下に断った。
あんなにも可憐で美しい少女の貞操を自分ごときが奪うなど、決して許されない行為だと思ったから。
なのはにはきっと自分より良い男がいる。
いつか彼女を愛し抱きしめるのは自分のような歳を食った中年男ではなく、そういう若者の仕事だ。
レジアスはそう思った、そうであると、それが正しいと、間違ってはいないと。
だがそれは彼の本心ではない。
彼自身が自分の本当の気持ちを隠すために用意した詭弁に過ぎない。
もはやレジアスも半分は自覚しているだろう、なのはを想う己が気持ちを。
それは紛れもない、熱く深い“恋慕”だった。
レジアスはただその気持ちから目をそらし、重い溜息を吐いた。
自分の胸に宿るこの熱が思い違いである事を祈りながら。
続く。
230 :
ザ・シガー:2009/01/12(月) 18:01:34 ID:iZQSr7L/
はい投下終了。
なんかもう、書いてる自分自身ですら「お前らさっさとくっ付け!」と言いたくなるようなヤキモキフィーリング。
存分に味わっていただければ幸いです。
さてはて、このままだと一生キスにすら進まなさそうな二人ですが、次回あたりから急変させようかと想ってます。
乞うご期待!
>>230 待ってました! そしてGJ
なんて侠気のあるレジアスなんだ。けれど二人とも、ままならないものだねえ……。
次回期待しています。
>>230 GJ
朝チュン、と思ったら本当に一緒に「寝た」だけだったとはw
つか中将も教導官もちゃんと仕事しろ
GJ
レジアスさんは本編の描写が微妙だったから愚物扱いされがちだけと、実際は信念を持つ一途な熱いいい男なんだよなぁ。
正にナイスミドルと言うか、良いキャラ、…だというのに本編の不遇っぷりが(TдT)
お前らもうくっついちゃえYO!
しかしレジアスのかっこよさは異常
>>230 GJ!
なのはさんのみならず、まさかオーリスにも萌えようとは……。
少女時代やお母さんも気になる。
超GJ!
初々しすぎて胸キュンです
>>230 続きGJ。ただの朝がえりとは健全な。だが中将・・・ナンテモッタイナイ!!
そして、オーリス可愛いなw
>>230 もうレジアスもなのはさんもお似合いすぎて仕方ないぜ
もう結婚してもおかしくない
男を見せろレジアス!
239 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 23:16:06 ID:SNYCYsFf
キモイ
>>207 GJ
すげぇ面白かったです。本当に、余さず全員使ってスターライトブレイカーはとても良い。童心くすぐられる熱がありました。
全面に出てたディエチの母性的な面と、最後だけあったクアットロの母性的な面も興味深く読ませてもらいました。お疲れ様です、そして有難う御座いました。
ただ、締めくくりかたがシンプルすぎて、個人的に残念です。
濃いスターライトブレイカーを盛り込んだから終わり方を簡素にしたのかもしれませし、ジュニアが締めくくってこその物語なのかもしれませんが、もうちょっと面子がわいわいとして終って欲しかったと思いました。
あ、今気づいたけどラグナがいない。
>>207 GJ!!
もうかなり燃えさせてもらいました
完結お疲れさまです
エリオ、ストラーダ、スターライトの一斉攻撃、どれもたまらん
これでエリキャロルーの後日談さえあれば…是非お願いします!
243 :
小ネタ:2009/01/13(火) 16:24:46 ID:zTzAVHf6
「カルディナ・アルファードさん」
笑みを浮かべた教師の呼び声に内心でうんざりしながら返事をして立ち上がる。
普段は窓際後方にあるこの席は嬉しいのだが、こういう時は面倒だ。
自分に向かういくつかの視線を感じながら机と机の間を通って教壇の前に立つ。
「今回もよく頑張りましたね」
「……有り難うございます」
意図して愛想笑いを浮かべ、教師から先日行われたテストの用紙を受け取る。
結果は見るまでもないが、一応確認する。
回答すべてに赤い丸が書き加えられ、名前の横に赤い字で百と書かれている。
「……」
やはり感慨も何もない。
普通ならもっと嬉しがるのだろうが、自分には当然の結果すぎる。
私、カルディナ・アルファードには一つの秘密がある。
数年前までは違う名前で呼ばれていたのだ。
レジアス・ゲイズと。
あまりに荒唐無稽すぎて誰も信じないだろう。
何しろ、今この瞬間にも地上本部ではレジアス・ゲイズが仕事をしているのだから。
しかし、それには一応の説明付けが出来る。
私がこの時代の人間ではなく未来の人間だからだ。
体感時間では数年前の事になるが、今でも鮮明に思い出せる。
死んだと思っていた友との再会。
語ろうとした自分の想い。
胸を突き破る凶刃。
臓腑から逆流する血液。
明滅する視界。
力を失い倒れる肢体。
自分を呼ぶ誰かの声。
そして私は死んだ筈だった。
しかし、気が付くと過去のミッドチルダにいた。
カルディナ・アルフォード。
それが周囲が呼ぶ私の名前だった。
244 :
小ネタ:2009/01/13(火) 16:25:39 ID:zTzAVHf6
「凄いよね。また百点で」
「まあ、簡単だから」
「いつもそう言うよね。ねえ、オーリスちゃん?」
「ええ。涼しい顔してよくやるわ」
昼食の時間。
私は親友であるオーリスやキャミと共に食堂で弁当を食べていた。
仲良くなったきっかけは些細な事で、入学以降、娘であるオーリスを気にかけて世話を焼いていたらと自然と親しくなり、オーリスの友人だったキャミとも接点が生まれた。
「百点を取るコツとかあるの?」
「特別な勉強法などはない。敢えて言うなら日々の積み重ねだな」
意識して女らしい口調で喋るのだが、やはり違和感はあり、時々素の口調に戻る事もある。
ただ、無意識で女の口調を使うようになるのは流石に嫌なので今の所はこれでいいと思っている。
「やっぱりカルディナちゃんは凄いなぁ〜」
「今度は負けないから」
「いつでも受けて立つわ」
実の娘とこうした会話をするのは不思議な気分だが悪くはなかった。
この頃は既に仕事に没頭していたので家族との時間はあまり取れなかったのだ。
「ねえ二人共。明日の宿題やった?」
「将来の夢についての発表よね」
「うん。カルディナちゃんはなにやるの?」
「私は、田舎で小さな店でも開こうかと思ってる。儲からなくてもいいから日がな一日のんびりしてたい」
自分の言葉にオーリスとキャミが顔を見合わせる。
「カルディナちゃん、それ……」
「前々から思ってたけど、あなたって随分老成してるのね」
「人の目標をどうこう言われる筋合いはないわね」
半世紀以上生きてるので老成していて当然だ。
245 :
小ネタ:2009/01/13(火) 16:26:51 ID:zTzAVHf6
「でもでも、勿体ないよ。カルディナちゃんって魔法の才能あるんだよ?」
キャミが机を勢いよく叩いて詰め寄ってくる。
彼女の言っている事は本当で、驚いた事に魔力値だけなら余裕でAAAクラスらしい。
しっかりと訓練を積めば教導隊も夢ではない、とも言われた。
「才能が発揮出来る仕事と自分がやりたい仕事は別だ」
しかし、残念ながら魔導師になる気はない。
魔導師一人でミッドチルダが抱える問題が解決するなら喜んで魔導師になろう。
だが現実はそう甘くない。
少数で変えられるのは局地的な流れであって、国や世界の流れを変えるには至らない。
だからこそ、自分は一定の戦力を安定して確保出来る戦闘機人に目を付けたのだ。
ミッドチルダを守れると信じて。
その末路が志半ばでの死だ。
すべてはスカリエッティを御せなかった自分の未熟さが原因だ。
それは自業自得なのだが、今まで自分を信じて付いてきてくれた人間に申し訳が立たない。
かといって後悔しても遅い。
自分の意識は消滅し、体も塵に帰り、人々の記憶からも風化していずれは完全に消滅する、筈だった。
けれども今のこの状況は何だろうか。
過去に来て、姿形は変わっているがレジアス・ゲイズとしての自我と記憶を持って生きている。
何者かの意思なのか、超常的な現象なのか。
ひょっとしたら何らかのロストロギアの影響かもしれないが自分にそれを確かめる手段はない。
なら、この状況をどう解釈すべきか。
悲しむべきではないが、喜ぶべきと言われると少し違う気もする。
その時、頭の中に男の声が響く。
『これは褒賞ではないか? 今まで人生の殆んどをミッドチルダに捧げた自分に対する褒賞』
なるほど。そういう考えもあるか。
女の体は不慣れな面もあるが許容の範囲内だし、自惚れる訳ではないが容姿も整っている。
学力に関しても一流という自負があるし、政治家や本局の将官と渡り合ってきた自分にすれば両親を説き伏せるのは容易い。
さっさとミッドチルダから離れて平和に暮らせばいい。
決断を下す日はそう遠くない。
自分の記憶が正しいなら一週間後に分岐点となる事件が発生する筈だ。
食堂内のテレビを見ると丁度ニュースの時間だった。
女性アナウンサーが一週間後に行われる政治家による講演会の話題を喋っている。
しかし、自分はこの講演会が中止される事を知っている。
246 :
小ネタ:2009/01/13(火) 16:28:06 ID:zTzAVHf6
思い出すのも辛い苦い記憶だ。
入場の三十分前、巡回中の局員が不審な荷物を発見。すぐさま報告するも直後に荷物が爆発。
巻き込まれた局員は搬送先の病院で間もなく死亡。結果、講演会は延期される。
これが一週間後に起きる事件の概要だ。
何故これが分岐点になるかというと、どうという事はない。
「やっぱり女の子の夢といったらお嫁さんかなぁ」
殉職する局員が目の前で夢見心地な顔をしているキャミの兄だからだ。
この事件の後、彼女の一家は引っ越す事になる。
自分は彼女との付き合いを心地よいと感じている。
それが失われるなら、恐らく自分の逃避の後押しになる。
彼女がミッドチルダを離れるなら、自分もミッドチルダに対する執着が薄れるだろう。
選択肢は二つ。
戦うなら事件を未然に防ぎ、それを足掛かりにして管理局に食い込む。
逃げるなら彼女の兄を見殺しにしてそれを理由に両親を説得する。
前者は考えるほど楽ではない。
オーリスの親友という事でこちらのレジアス・ゲイズとも面識があるし直接会う事も出来るだろう。
しかし、会ってどうするか。
爆発物の位置は把握しているのでそれを教えて専門の処理班を派遣してもらうのが一番の良策だ。
だが、この話には信憑性がまったくない。
自分の潔白を証明した上で爆発物の件を信じてもらうには、まず未来から来た事を信じてもらう必要があるがそっちの方が難儀だ。
レジアス・ゲイズしか知らない話をする、という手段もあるが、未来だの生まれ変わりだのより何らかのレアスキルで諜報活動を行った、という方が理屈が通る。
そう判断された場合の心証は最悪。下手をすれば逮捕される可能性ある。
或いは、爆発物の処理班を派遣する程度なら大した理由がなくてもやってくれるかもしれない。
けれどもそれは楽観論にすぎない。
この頃のレジアス・ゲイズの地位は晩年の自分ほど盤石ではない。
政敵の追及材料にされるような事態は極力さけたいだろう。
考えれば考えるほど、自分の力では無理だという気になってくる。
まるで分を弁えろと言われているようだ。
「オーリスちゃんの夢は?」
自分が思考に埋没している間に話は進んでいた。
「私は管理局に入って父さんの手伝いをしようと思う」
予想通りの答えだ。
かつてもオーリスは自分の反対を押し切って管理局に入ってしまった。
それとなく管理局以外の道に進むように言ってみたが効果はなかったようだ。
247 :
小ネタ:2009/01/13(火) 16:29:52 ID:zTzAVHf6
「ねえ、オーリス。貴女は頭がいいし、私と一緒に店でも開かない? 会計が欲しいなあ〜とか思っていたんだが」
自分の死亡後にオーリスがどういう立場に立たされたかは想像に難くない。
たった一人の娘なのだ。
防げる悲劇なら防ぎたい。
「誘ってくれるのは嬉しいけど、ごめんなさい」
「どうしても?」
「ええ」
心底すまなさそうにするオーリスを見るとこちらが悪者の気分になってくる。
「そんなに良いもの? 管理局って」
「……最近、父さんは毎日疲れて帰ってくる。それに頻繁に呼び出されてる」
オーリスがレジアス・ゲイズについて語るたびに胸が痛む。
正しいと思っての行動であっても家族を蔑ろにしていたのには変わりないのだ。
だからこそ、
「そんな大変な仕事なら目指さなくていいだろ。私の所なら楽させてあげるよ?」
「でも、仕事の話をする父さんってとっても誇らしそうなの。だから自分も、あんな顔が出来たらなって」
「うんうん。お父さんやお兄ちゃんも言ってたよ。レジアスさんは凄い人だって」
二人は口々にレジアス・ゲイズを褒め称える。
やめろ。
やめてくれ。
自分はそんな立派な人間ではない。
魔力はなく、何をするにもぎこちなく、短気で、欠点塗れの人間なのだ。
「レジアスさんなら治安の悪化を食い止めてくれるんじゃないかってお兄ちゃんが」
「父さんならやってくれるわ。私もそれを手伝いたい」
愕然とした。
そして思い知らされた。
レジアス・ゲイズという存在がどれほど大きかったのかと。
再び頭の中に声が響く。
しかし、今度は少女の声だった。
『酷い話ね。
小さい子供もミッドチルダの為に頑張ろうというのに自分だけ逃げるつもり?
彼女だけでなく、かつて貴方に付いてきた人達も戦おうとするし、戦っている。
そんな中で自分だけ背を向ける事に堪えられる?』
命が惜しくて悪いのか?
248 :
小ネタ:2009/01/13(火) 16:32:06 ID:zTzAVHf6
『尤もな話ね。
でも、それじゃ後で悔いる事になる。
今の貴方には憧れ、しかし手に入らないと諦めた魔法の力がある。これから何が起こるかも知っている。
これで逃げて、ミッドチルダが記憶の最後にあるような惨憺な状況になれば貴方は絶対にこう思う。
自分の命など幾らでも捧げるから平和な世界が欲しいと。
だって、貴方はミッドチルダを、そこに暮らす人達を愛しているんだから』
ああ、そうだ。
ついさっき、自分はこの状況を褒賞だと考えた。
とんでもない思い違いだ。
かつての自分は誰に頼まれた訳でもなく、自分の意思で自分の為に行動していた。
夢を叶えようと身勝手に。
そのくせ対価を求めるとは随分と傲慢な人間になっていたものだ。
先程の男の声が現実に打ちのめされ、今までの行動が無駄だったと諦観したレジアス・ゲイズなら、今のは未来を夢見て理想に殉じる覚悟のカルディナ・アルファードか。
どうやら子供として振る舞っている内に傷つく事を恐れぬひたむきさを取り戻したらしい。
「ねえ、オーリス。今日は貴女のお父さんは帰ってくるの?」
「ええ。急な要件さえなければ」
「ちょっと話があるから遊びに行っていい?」
「? いいけど」
自分は命すら捨てたのだ。
もはや誇りも、何もかも捨てる事を厭わない。
すまないな、こちらのレジアス・ゲイズ。
お前に恨みはないが、自分のエゴを果たす為に地獄の底まで付き合ってもらう。
上の小ネタは外部サイトからの無断転載(盗作)です。
保管庫には収録されぬようお願いします。
またか……
荒らしも本当に懲りないな
誰か削除依頼とアク禁依頼しといて。
誰も頼んでない事すんな基地害が
>>243から248
コピペするくらいなら下手でも書け。
この大馬鹿もんが!
>>207 完結乙かれさまです&GJ!!!
本当に最後の最後まで予想できない展開だった
エリオやジュニアのこれからの戦いも見てみたいと思わず思ってしまった
どうでもいいけど「思わず思ってしまった」って何か日本語おかしくね?
「思わず」の部分はいらないね。以上終了
これから先は、八神はやてが主演の「部隊長の品格」の連載がスタートします
投下?
がんばれ
お久しぶりです。
「しんじるものはだれですか?」 の第七話を投下させていただきます。
今回はクロノ視点です。
エロはなし。
言葉は必要だろうか。
信念は必要だろうか。
必要なのは望む結果であり、
それに対する対処方法であり、
それらを繋ぐ過程には対した重要性はない。
如何に壊れようとも破綻しなければいい。
如何に悲しもうとも拭い去ることが出来ればいい。
如何に苦しくとも耐え切ればいい。
夢を見る必要は感じない。
理想など抱く必要は無い。
目標だけがそこにある。
救い続けることだけが重要で。
何故救うのかなどどうでもよくて。
そのための人生がただ延びていく。
どこまでも、どこまでも、見えない場所にまで。
努力と研磨と運と計算と構築の果てがそこにあるのだから。
しんじるものはだれですか?
目が覚める。
鈍痛にも似た痛みが脳を刺激していた。
時刻を確認する。
「……三十分ほど寝ていたか」
睡眠時間を確認。
うつぶせの体勢から身体を起こして、眠っていたはずの青年――クロノ・ハラオウンは手を軽く伸ばした。
筋が固まっている、頭という重みを乗せていた腕の血流が滞り、手が痺れていた。
指を動かし、血流を早めて痺れを取る。
途端に痛みにも似た違和感が強まるが、気にせずに動かし、それと同時にクロノは軽く額に手を当ててこめかみを揉んだ。
痛みがある、それとまだ強い眠気があった。
鈍痛がする、体が軋むが、クロノは顔をしかめることもなく淡々と呼吸をするように魔法を使った。
生理機能の一部を操作し、無理やり覚醒させる。
多用すれば脳に負担が掛かる身体操作魔法。
しかし、問題は無い。高々三日の貫徹ぐらいで、壊れるほど脆い肉体じゃない。
軋みを上げながらも、痺れの取れてきた身体を動かして、クロノは艦長室の机上の書類を見た。
必要な書類類はほぼ整理を終えて、サインとチェックも終わっている。
机の仮想コンソールを呼び出し、指を走らせると、空間投影型モニターが出現する。
それを感情の無い瞳でクロノは眼を走らせて、作業用メールボックスに連絡が無いことを確認。定期報告のメールを、確認用フォルダボックスに移動させて、そのままモニターを閉じた。
コンソールに指を数回走らせて、離席状態だという通知を表示させておく。ショートメールを作成、三十分ほど訓練を行なうと副官のエイミィに連絡。
机の引き出しを開き、仕舞っておいた待機状態のデュランダルを取り出すと、ポケットに入れて、そのまま席を外した。
書類作業――終了。
確認作業――優先作業無し。
肉体疲労――ほぼピーク。
身体は軋む、足は重い、リンカーコアの稼働率も高くないことを己の感覚で理解。
故に。
「問題は無いな」
現状状態を再確認。
アースラ内には己を除いて、AAAランク魔導師四名、推定AAランク魔導師二名、Sオーバーランク魔導師一名。
過剰戦力とも言える状態。Sランクロストロギアテロでもない限り、対処可能。
自分の戦力が必要か? 否、必須ではない。
艦長である己に求められているのは指揮能力。それすらも覚醒された脳があれば冷静な判断が出来るだろう。
クロノは考える。
丁度いい機会だ。
久しぶりに耐久訓練をしてみよう。
肉体疲労ピーク、稼働率悪く、その状態で平時との性能差にどこまで格差が出るか確認する必要がある。
アースラ単独高ランク魔導師としての状態では自身の肉体状態に負担はかけられなかった。
疲労の蓄積は艦全体の任務遂行能力に影響がでかすぎる、見過ごせないファクター。休みを多く取り、自分のメンテは欠かせなかった。
肉体損傷及び魔力消費状態での再確認は行なったが、肉体疲労状態での実働は久しぶりだった。
訓練室へと向かう。
脳は覚醒状態、多量に分泌されたエンドルフィンにより調子がいいぐらいだ。
ただし、手足は重い。神経を張り巡らせて、常時の移動状態を継続する必要がある。
(戦闘状態だとタスクを一つ割り当てるのが無難か)
本能が肉体に与える指令優先権は見過ごせない。
意志力で撥ね退けるにしても意識は向けられる。万全の状態ならば処理を割り当てる必要もなく出来る行為だが、疲労状態だとマルチタスクを割り当てないと動作効率が落ちる。
魔法よりも、術式よりも、一番最優先すべきは肉体の動作だ。思考能力はあっても、肉体が動作しなければ最善の選択は実行出来ない。
魔力素変換器官であるリンカーコアに関しては管理局数百年の研究を持ってしても全てを解明出来たわけじゃない。
人体の可能性全てを解明したわけではないのと同一に魔法に関しても不明な部分がある。
形だけを取り繕い、プログラムという指向性を持たせて制御しているに過ぎない。
何十、何百、何千、何万もの試行錯誤の果てに実用に足りると判断して使用されている。
信用性があるからこその実用品。
中身の正確性と解明は学者にでも任せればいい、クロノにはさほど関係のないことだ。
そう考えながら、彼は迷うことなく訓練室に辿り付き、懐から引き抜いたS2Uを扉前のセンサーに照合させる。
認識照合――解除。
艦長であるクロノはほぼ無制限にアースラ内の立ち入りがフリーパスだった。
センサーの立ち入り記録は残るが、正当性のある行為ならば気にする必要は無い。
中に立ち入ると、大きく開かれたスペースがあった。
周りは頑強な隔壁に覆われた牢獄のようなイメージ、剥き出しの金属の壁がドーム型に広がっている。
「S2U、訓練室の機能を起動させろ」
『OK』
照明が付く。同時に唸りを上げて、防護結界が展開された。
不可視のウォールが隔壁を覆い尽くし、並大抵の魔法では決して崩壊しない頑強なる壁を形成する。
AAA+のクロノが砲撃魔法を放っても壊せない壁。
多人数の魔導師が暴れても問題がないように最先端魔導技術で設計された障壁。
だがしかし、それらを軽々と破壊する高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやての三名はなんなのだろうか?
素養が違う、出力が違う、地力が違うのだろう。
あっさりとそう判断し、クロノは己の心に抱いた疑問を打ち消した。
目を閉じると、手の中にあるデバイス内部に記録したバリアジャケットの構成プログラムを起動。漆黒の防護服を形成する。
締め付けるような間隔、硬い防護の障壁に覆われた衣服上のそれはまるで拘束服だと考える。
護り、締め付け、防ぎ、隔離するものだと。
「感傷か? 僕らしくも無い」
思考を打ち消す。
ロマンチズムは性に合わない。夢を見る必要は無い、見据えるのは理想と言う計画目標だけだ。
「S2U」
再びデバイスに呼びかけると、クロノは慣れた仕草で長年の相棒を起動状態に変えた。
黒い漆黒の杖が顕現する。
一回、二回と軽く振って握りを確かめると。
「多少握力が弱っているか。指の位置を確認しながら動かないとすっぽ抜けるな」
それだけ確認すると、クロノは無造作にS2Uを振り抜いて――魔力弾を放った。
スナイプショット。
彼の得意とする誘導型射撃魔法が舞い踊りながら、弧を描いて訓練室の中を滑空し――戻ってくる。
目にも止まらない速度でその魔力球は己が主に歯向かうようにクロノの顔面に迫り、カクッと首を曲げた彼の頬を掠めるように突き抜けた。
ジュッと大気が焦げる様な音と臭い、けれど彼の目に恐れは無い。
非殺傷設定にした魔力弾であるし、この程度のプレッシャーには慣れているからだ。
「制御が甘いか、それとも僕の動きが鈍いのか?」
考える、考えながらもマルチタスクの一つが計算し、軌道修正した弾丸がクロノ自身を穿とうと飛来する。
現在構築したマルチタスクは四番まで。
タスク一番 肉体制御に専念。
タスク二番 術式制御に専念。
タスク三番 問題点の検討と現在状況の肉体負荷の分析に専念。
タスク四番 他の思考状態を観察、外的要因も含めて監修を行なう。
クロノは躱す。軋みを上げる肉体の痛みと疲労を理解しながら、限界はまだ遠いと動かし続ける。
クロノは操る。順次、撃ち出す魔力弾の数を増やし、S2Uのデータベースに保存した制御プログラムを次々と解凍し、その軌道を入力していく。
クロノは考える。疲労状態の極み、もっと効率的に体の負担を減らす方法を、不安定に常時の速度を出せないリンカーコアの出力を誤魔化し、平時との動きの比較を行ない続ける。
クロノは自覚する。それの危険性を、その必要性の低さを自覚しながらも、それは最低限必要なことだと決定を下して、修練を続けさせる。
踊るように躱せ、とかつての師匠は告げた。
相手にプレッシャーを与えるのだと、優雅な動作はそれだけ余裕があると相手に伝える、紙一重で躱し続ける動作は無駄がないが、フォローが出来ない。いつか破綻するのだと告げていた。
嫌がられるほどに策を凝らせ、とかつての師匠は告げた。
己がやられれば悲鳴を上げるほどに悪辣に、卑怯に、叩き潰してやれと言っていた。遠慮は要らない、慈悲は助けるものにのみ捧げればいい、才無き者には敵に分け与えるほどの余裕は無い。
まさしく正しい。
どこまでも合理的で、根本に置くべき考え方。
巡る、逸らす、躱す、放つ、凌ぐ。
血流の流れを感じながら、皮膚が引っ張られるようにうねるのを悟りながら、彼は五個を超える魔力弾を視認する事無く回避し、その回避動作の無駄を逐次修正する。
もっと効率よく、どこに疲労が溜まっているのか、どれぐらい動き続けられるのか。
啜るように酸素を取り込みながらも、その意識は肺だけではなく、四肢に集中し、大気の流れを理解する。
肌で感じる魔力の流れ、負担に軋む骨と筋の唸り声を雑音として脳内削除、ダンッと地面を爪先で蹴り上げて、クロノは空を舞う。
マルチタスク五番作成――飛行魔法の機動制御に専念、一番タスクと相互連結で情報交換を選択。
「デュランダル」
『OK、BOSS』
セットアップ。
懐から引き抜いた白銀のデバイス、五年前には最先端技術とされていた技術の粋を施された高性能ストレージデバイス・デュランダル。
起動と同時に形状を変えて、自重をも変換させたそれの重みを感じながら、クロノは左手の指で引っ掛けるように握り――横薙ぎに振るった。
破裂音。
起動状態に変えるための魔力を多めに注入し、充填しておいた魔力で簡易型障壁を展開。
その軌道上にあった魔力弾を粉砕、同時に反発力で体が回転するも、五番タスクがその軌道と回転速度を調整。
回る、虚空の足場を踏み締める。
魔法による干渉、大気中の大気密度を一部だけ変換。――物質状態を気体から固体に昇華変換。蒸気圧を変えて、擬似的な固体となった足場を蹴り飛ばし、全身を穿とうとした弾丸を悉く回避する。
回る、ベクトルの変更。重力方角を下から斜め上へと変換作業。
固定足場からの跳躍による補助動作は終了、下から斜め上への重力方角のエネルギーロス問題をクリア、滑らかな速度で上へと飛び上がる。
理想的な動作移行だったが、僅かに速度が遅れていることにクロノは気付いた。
「これぐらいか」
悲鳴を上げる身体のシグナルにクロノは眉を歪めて、両手の二振りのデバイスを掲げる。
迫る魔力弾、その制御を放棄し、肉体動作を監修する一番と術式動作を監修する二番が結託して対処方法を実行する。
ラウンドシールド。
一つの障壁魔法が傘のようにS2Uから発せられて魔力弾を受け止める。
着弾、しかし僅かな魔力で編まれた障壁が複数の魔力弾の直撃で罅が入り、亀裂が走り、今にも砕けそうだった。
そして、それは――“内側から砕かれた”。
『Blaze cannon』
青く燃え盛る鬼火の如き焔。
デュランダルの杖身を伝って増幅され、先端から吐き出された砲撃魔法はその前に立ちはだかっていた障壁ごと貫き、迫っていた魔力弾を呑み込んで消し飛ばした。
ビリビリと虚空が震えるほどの音。
訓練室の隔壁に命中し、火花が散るように霧散する。
大気を輝かせるような蒼い粒子の飛び散りに、クロノは軽くため息を吐き出しながらゆっくりと床に着地する。
記録終了。
S2Uのデータベースに訓練のデータを全記録完了し、思考接続による命令を打ち込む――演算分析、これまでのクロノ自身の動作と反応速度との対比。
小型演算機構術具であるデバイスならではの処理委任を終え、マルチタスクを一番だけ残して全て解除した。
「こんなものか」
解除したマルチタスクからのフィードバック。
脳がクラクラするほどの膨大な情報量が流れ込み、眩暈がしそうなぐらいな記憶と思考情報を整理する。
心理操作と魔法による脳内計算速度の意図的上昇を持ってしても、人間の脳は複数の思考動作の情報量を整理し切る事は難しい。
痛みにも似た反動。
しかし、クロノは顔の随意筋にそれらを伝えることはない。人形じみた無表情、痩せ我慢にも似た冷徹な精神による抑圧だった。
そのまま訓練室の機能を停止させる。
待機状態に戻した二つのデバイス、デュランダルを戻し、S2Uだけを手元で裏返し、時刻を確認。
「25分経過、か。そろそろ戻るか」
額から流れる肉体冷却の汗を手の甲で拭うと、クロノは訓練室から出た。
蒸気の抜けるような音を立てて、背後で扉が閉まり、彼はそのまま艦長室に戻ろうと足を向けた。
「あ、クロノくーん」
声を掛けられた。
背後に振り返る前に、声の持ち主を理解する。
「エイミィ? なんだ」
用件なら通信で済ませれば良いだろう、と考える。
が、エイミィは困った顔を浮かべて。
「訓練中とはいえ、通話機能を遮断しておくことないでしょ。まったく、わざわざ連絡があることを伝えに来たのになぁ」
「連絡?」
急用か。
クロノは少しだけ眉を潜めて、口を開いた。
「誰からだ?」
頭の中に何名もの顔を浮かべるが、エイミィはすぐに相手を答えた。
「ユーノくんからだよ、多分資料打診の件だと思う」
「ユーノからか。分かった、通信先を艦長室に接続しておいてくれ」
「りょうかーい」
そういってヒラヒラと手を上げて、職場に戻ろうとするエイミィにクロノはこう告げた。
「エイミィ、ありがとう」
「どういたしまして」
ニコッと微笑む彼女の笑みに、クロノは何時も通りだとただ認識して――それでお終いだった。
『久しぶりだね、クロノ』
「そうだな。元気だったか?」
仕事用のデスクに戻り、仮想コンソールを操作して呼び出した空間投影型モニターに映るハニーブロンドの髪をした青年にクロノは挨拶を返した。
丸い仕事用の眼鏡をかけた女顔の青年、ユーノ・スクライア。
四年近い付き合いの友人だと言える人物。否、認識上は悪友と定義するべきだろうか。
『まあそこそこかな? 最近はどこぞの誰かさんが大量受注してくれた資料のせいで、巡るましく忙しいけれどね』
「必要だと思ったから請求した。最近は他の司書も育ってきたんだろう? 多少はスパルタに慣れさせるべきだと思うがな」
皮肉を告げてくるユーノに、クロノは淡々と言葉を返す。
精々ここ一ヶ月先までの任務で必要な資料を請求したに過ぎない。
資料とは必要になってから揃えるのでは遅すぎる、対処する前に用意し、最適な対処方法と見当を付けるのだ。
『まあそうだけどね。とりあえず、請求された資料データを送るのと、ああ、あと君に請求されたら第23世界の地質データだけど――』
その後十数分近く掛けて話をまとめた。
足りないデータに関する見通し、質疑応答による資料の必要性を無駄なく纏めながら話を続けていた。
そして、大体話が終わった時だった。
『クロノ、そういえばちょっと質問してもいいかな?』
不意に思い出したようにユーノが質問を発した。
クロノは軽く眉をひそめさせながら、答える。
「なんだ?」
『――はやてと仲が良いらしいね』
その質問にクロノは表情一つ変える事無く、普通に返答した。
「そうか? 僕はそんなに仲が良いとは思ってないが」
心は揺らがない。
顔の表情が動くこともなかった。
ただ普通に返事を返して。
『付き合ってるんだろう?』
「なんのことだ?」
続けて飛び出したユーノの言葉に、クロノは驚きすらしなかった。
動揺すらしない。
その必要性すらなかった。
『……さすがだね。確信持っていたんだけど、揺らぎそうになったよ』
「事実無根どころか、あてずっぽうだからな」
『嘘を言う必要ないよ。大体知っているからね』
ユーノは平然とした口調で告げる。
けれど、眼は笑っていなかった。否、最初からその眼光は変わっていない。
冷たく、鋭い、射抜くような目線。慣れたものだから意識すらしていなかった。
だから。
「そうか。よく分かったな、フェイトかなのはから洩れたのか?」
あっさりと認めた。
これ以上嘘を付いても意味は無い。
『いや、あの二人は気付いてすらいないよ。アルフはよくフェイトのことを話すけど、君に好いているフェイトが君とはやての関係を知っていたら必ずアルフにも伝わるはずだからね。なのはにも相談は受けていない。だから、気付いてないと思う』
「そうか。じゃあ、カンか?」
『半分当たりで半分外れ。これでも一ヶ月に三日ぐらいは休みを取れるから、たまになのはに会ってるし、ついでにはやてやフェイトとも会うこともあるよ』
明け透けに事実を告げるユーノ。
まあお互い隠すような立場でもないし、それは自慢しているわけではなく、唯の事実確認だった。
『期間を空けて会うとね、違和感を覚えるんだ。はやてが妙に色っぽいってね。思春期とはいえ、妙に仕草がそれらしいから』
「いやらしいな。さすが小学生の少女の家に寝泊りしていた元小動物だ」
『過去のことだよ。お互い子供だったからね、あまり意識もしてなかった。そんな下心なんて生まれる余地もなかったし』
クロノが皮肉るように告げると、ユーノは眉をしかめて反論した。
とはいえ、互いに気にしてすらいない。
ただの言葉によるジャブの応酬、意味のない戯言。
『それと君は気付いていないかもしれないけど、ザフィーラは君たちの関係に気付いているよ。他の三人と違って嗅覚が鋭い守護獣だからね』
「……へぇ。それは意外だったな。それならとっくに僕はヴォルケンリッターに半殺しか、問い詰められていると思ったんだが」
本当に少しだけ意外に思って呟く。
しかし、ユーノは肩をすくめて、どこか残念そうに息を吐いた。
『ザフィーラははやての意思を尊重する性格だからね。はやてが納得しているのなら文句を言う気はないみたい。他の三人は過保護だから、多分君に怒るだろうけど』
「そうか。それなら安心したな」
少しも感情は揺らがず、クロノは淡々と告げる。
正直どうでもよかった。
知られようとも、知られていなくても、ずっと今のままを続けられるわけが無い。
破綻になるか、変化するだけなのか、今でも未来でも特に意味は無い。有るとしたら事実のみだ。
そして、ユーノは最後に息を吐き出して――眼鏡の蔓を調整した。
『クロノ、一言言っておくよ』
「なんだ?」
『僕は彼女たちを大切に思っている――だから、君の本性を知っているけれど、動かなければ“止めないでおく”』
止めると告げた言葉には殺意があった。
思考とは無関係に、肉体が微妙に汗ばむ。本能的に恐れを感じた。
理解――その脅威性をクロノは正しく理解していた。
ユーノ・スクライアという“化け物”の恐ろしさをクロノは知っている。
クロノが知る限り、唯一“デバイスという高速演算処理ツールに頼らずに魔法を処理発揮できる狂った脳髄を持つものとして”。
魔力放出最大出力の低さなど問題にならないほどにおぞましい頭脳を持っているユーノは、注目こそされていないが、正しく人外の領域に位置する化け物だ。
人間という弱い生き物ならば誰だろうと殺せるだろう力量を持っているのだから。
「怖いな。正直に言えば僕は君とはやりあいたくない」
それは本音だった。
現状心理的なものを無視しても、己を殺せる可能性があるとしたら知り合いの中でもそれほど数は多くない。
クロノの母親であるリンディ・ハラオウン、恩師でもあるギル・グレアム、己の師とも言えるリーゼアリア・リーゼロッテの二人掛かり、そして最後にもっとも手ごわいと思えるのがユーノだった。
リンディはおそらく肉親の情を考えれば戸惑うだろうからもっとも容易く対処可能。
グレアム提督は“一度勝利した”ものの、再び交戦してまた勝てる要素は五分五分ぐらいだろう。
リーゼアリアとリーゼロッテは単体でならほぼ確実に打倒できる、コンビネーションさせなければ始末が可能だ。
とはいえ、この四人は現状今のところ戦いになる動機が薄く、戦闘する可能性は低い。
そして、目の前のユーノの場合――おそらく互いに息の根を止めるまで止まらないだろう。“それだけ互いの脅威を知り尽くしてしまっている”。
『よく言うよ。どうせ一切手加減もしないで殺しに来るくせに』
「君みたいな“化け物”に油断できるほど才能はないんでね」
『そういうなら、僕は君みたいな“怪物”とは出来るだけ戦いたくないね。皆を悲しませることになる』
淡々と物騒な言葉を交し合う二人。
それはどうしょうもなく本音だった。
しかし、クロノは知っている。
ユーノも知っているだろう。
必要ならば、理由があるのならば、おそらく互いを止めて、排除するのが己だろうということを。
そんな関係だった。
それだけの力と理由があった。
ユーノはクロノの歪みを唯一正しく認識した人物であり、クロノはユーノの性能と性格を知り尽くしている。
宿敵と呼ぶには憎み合っておらず。
親友と呼ぶには信用が足りない。
故の悪友と呼ぶべき関係だった。
ユーノは優しさと警戒故の牽制を放ち、クロノはそれを承知の上で微笑む。
『……それじゃあ、用件はコレぐらいかな?』
止まらないだろうクロノに、ユーノは軽くため息を吐き出しながら話の終わりを切り出した。
「ああ。助かったよ、ユーノ」
笑顔を浮かべて、クロノは正直に告げた。
しかし、それを不気味そうにユーノは見つめて。
『クロノ。僕らは一応友人だから、出来れば――君が戻れることを祈ってるよ』
正気に。
歪みから。
無駄だと分かりつつもユーノは言わずにはいられなかった。
そして、ブツンと途切れたモニターの残った場所をクロノは見つめて。
「戻れ、か。戻る道など僕には分からない」
静かに呟く。
戻るとはなんだ。
何を戻る必要があるのだろうか。
何度考えても間違ってなどいないのに。
己の良識のうちには間違いなどなかった。信じる必要もなく、当然の行為しか過去には残っていなかった。
己で決めた行為の積み重ねのみが、過去にあり、未来に続くだけだ。
だから、クロノはいつものように息を吸い込んで。
「さて、仕事でもするか」
軋みを上げる身体の悲鳴を無視して、クロノはメールを確認する。
身体の限界まであと少し持つだろう。
そしたら、休憩をするとしよう。
いつものように。
これからの日々を続けるために。
クロノは夢見る事無く時間を刻み続ける。
タイトルにコテ変更するの忘れてました ORZ(今気付いた)
しんじるものはだれですか? の七話でしたー、すみませんでした。
久しぶりの投下でやりかた忘れてたよ(汗)
今回はちょっと作風を変えて、SF風味に戦闘を描写してみました。
プログラムで制御し、デバイスというPCで制御する魔法はファンタジーというよりもSFっぽいなぁと思いまして。
ユーノが凄そうな感じになっておりますが、個人的にはなのは世界ではトップクラスの実力者だと思っております。
殺伐とした感じですが、次回から話はもう少し動き出します。
読んでくださってありがとうございました。
あれ? このSSって、確かクロノ×はやてのSSでしたよね?
一瞬マジで今までの話を忘れてしまいそうな世界観に吸い込まれました。
しかしクロノとユーノの牽制しあう会話がステキすぎる。
この感じだと、二人がいつかマジで死闘を演じるのではないかと大いに期待してしまいますよwww
次回もお待ちしております。
268 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 12:39:11 ID:nt9ojqef
野狗 ◆gaqfQ/QUaU
#knock
詞ツツリ ◆265XGj4R92
#and
( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc
#マカー
◆K17zrcUAbw
#2525
シロクジラ ◆bsNe6z3qW2
#getterro
◆xP9o.b17z6
#regius
またトリ割れか……
詞ツツリ氏GJ
ああ、これこそを求めていた
いいなぁ、悪友
詞ツツリ氏、投下乙です。
貴殿の書くクロノ君は見事に歪んでいるので大好きです。
今回の化け物と怪物という悪友同士の会話は次回をさらに期待させてくれるモノでした。
次回を楽しみにしています。
なんかユーノって本編での地味さの反動のように
やたらと理屈を付けて「実は凄いんです」ってしたがる人多いよね
実際問題、デバイス無しで高度な魔法使ってるのってユーノだけじゃないし
アルフとかザフィーラだってそうじゃん
二次創作の設定に何ムキになってんだか
人間、使い魔、プログラム生命体、と素性はそれぞれ異なるがね。
特に使い魔なんてマトリックスばりの教育法で成長させることができるわけだしさ。
別に描き手次第なんだし。そこまでアンチ意識を高めることもないだろうさ。
>>272 アルフとザフィが凄くても、「当たり前」だろ?
とりあえず、いきなりここでグチられても困るわ
>>272 二次創作内に限定するならかまわんと思う。
ただ、設定上をうるさく言うならユーノタイプの魔導師は
デバイスを持たないのが普通みたいなニュアンスで記述されてるけどな。
言わんとすることは分からんでもないけどな。
俺のユーノ像は
『少しなさけなく巻き込まれた体質だが、接するごとに味の分かるスルメのようなヤツ』
ってイメージだから。
出来るカッコイイ男ではなく、苦労人で努力肌の青年っぽく振り回されて欲しい。
俺もそう言うイメージだけど二次創作なら何でもアリだろう
本編で活躍したキャラより出番無かったキャラの方が
二次創作的に弄り甲斐がありそうだしな
二次創作ならなんでもアリなのは当たり前だが
それ踏まえたうえで、地味ながら努力家とかの描写のが好きだし、気持ちは分かるってことでしょ
結局
>>272は話自体には何も言及せずに、設定だけを槍玉に挙げて何がしたかったんだ?
最近見てなかったがただのユーノアンチだろ
釣られてるんだよ情けない
ユーノ厨は叩かれることには過敏だからね・・・
何せ本編の扱いがアレでしたからorz
285 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:46:16 ID:FxMTiy1M
んまあ、そろそろくだらん話は終わりにしてもっと有意義な話をしようや。
↓からはリンディさんレティさん、淫靡な空気の人妻たちについて。
アドバイスでも賞賛でもなくただ文句だけたれた奴に一言物申せば
何でもユーノ厨ですか? ふざけんな
>>285 10歳くらいの時にある晩リンディさんとレティさんのおもちゃにされるクロノ…
もちろん性て(ry
あれってアンチユーノ厨叩きだったのか……? 特定キャラ叩き以前の問題だから集中砲火してたのかと思ってたw
まあ、それはさておき。
リンディさんもレティさんも、未亡人あるいは人妻なのにそういう感じがしないのは妄想力が足りないからか……
どっちかというとアイナさんの方にそのテの色っぽさを感じる……
アイナさんは借金取りや旦那の弟に「いや、私には主人が・・・・」な感じがするが、
リンディさんやレティさんは「ふふっ、こんなに大きくしちゃって・・・・」と若い燕を弄ぶイメージが・・・・・・。
アイナが六課隊舎襲撃しにきたガリューをぶん殴って倒し、ルーテシアをエロ調教する。
そんな想像をたまにします。
桃子さんは士郎氏以外とはちょっと考えられないんだよなぁ……
他にいないか、人妻(相当)ポジは? エイミィさんは……そういうイメージじゃないな。
メガさんがいるじゃないか。
どちらかというと、親子丼……いや、なんでもない。
ドゥーエ「六課の家政婦(アイナさん)に変装すれば聖王の器に近付くのすげー簡単じゃね!?」
どう考えてもザッフィーにておあーされますね
いや、むしろ性的な意味でておあっている姿を敢えて見せてしまうことで、ザッフィーをフルボッコにさせてその隙にヴィヴィオを奪取
どう考えても足腰立たなくなってますね。ケダモノ相手ですから
本当にありがとうございました
メガーヌさんが娘のために一肌脱いで、エリオと恋人どおしにしようと画策したがいつの間にやら3Pになるという電波が…
メガーヌさんがエリオの虜になってまさかのnice boatもありな気が…
一時は母親を助ける為にスカリーに協力していたのに、今度は自らの手で母親をナイスボートするのか…
ハイライトの消えた瞳で「お母さんが悪いんだよ…私のエリオを盗ろうとするから…」と呟きながら(ry
ルー「……こんなことなら、助けなきゃ良かった。
とんだ二度手間だよ。ね、ガリュー」
298 :
ザ・シガー:2009/01/15(木) 00:19:55 ID:FqllSRyX
ちょっと遅レスだが……
>アルフとザフィが凄くても、「当たり前」だろ?
そうだよな!
肉体派の二人の子作りを描こうとしたら一晩で四十八手
(もちろん一手づつ中出し)をするぐらい凄そうだよなッッ!!
というのでこういうのを即興で書いてみた。
・アルフ×ザフィーラ
・エロあり!
・(未来編?)子持ちです
題名 【エロパロとは孕ませなり】
「ううッ!だ、射精すぞ!またアルフの奥に出すぞ!うっ……、おおおおッ!!」
どぶぅ、どぶううぅ、びゅうううう……ッッ!
「あ、ンアアァッ!?ま、またザフィーラの熱、熱いセーエキが、奥に注がれて……る」
茜色の髪を扇情的にシーツに広げ、その豊満な肉体にこれまでの数々の交わりで汗を流すアルフの子宮口に、やや青みがかった白髪で逞しい褐色の肌を持ったザフィーラの肉棒が突き刺さり、愛欲という名の欲望で穢れた白濁液を妻の子宮内に音が聞こえるほど注ぎ込むッ!
"生命の神秘"だ!
プログラム生命体の楔など、もはやあってなきが如く!!
新しき命の息吹を妻の肉体に宿すべく、守護獣として創造された夫は、息を荒げながら数分の休憩後、次の行動に移る。
「――ガハァッ!ハァッ、ハァッ!!……アルフ、今度は"絞り芙蓉"でいくぞ!」
「ま、まって!ザフィーラ、その前にキス頂戴!」
"絞り芙蓉"。
座位の形を取りながら、ザフィーラが背後からアルフを抱きしめるような形で挿入する形である!
当然、向き合っての姿勢ではないので挿入を行いながらの口付けは困難になる。
そのため、二人は次の姿勢に入る前に互いにさらに濃厚なキスをする。
しかしキスといっても侮ってはならない!
唇、そして舌は立派な性感帯なのだ。
数分間、二人はネットリと舌を絡めあいながらのキスを続ける。
クチュクチュと互いの舌が絡めあう音が部屋に満ちる。
「ふ……んンゥ……んん〜♪」
気持ち良さをあらわすように、アルフから漏れる喘ぎ声の音色の艶やかさが高まり、やがて……。
「――んッ!んうゥ!?ぷはッ!はあぁ、ふあああぁぁ〜〜!!」
身体を大きくビクンビクンと振るわせたと思ったら、突然仰け反りこの世のものでないような扇情的な表情でアルフは喘いだ。
追い討ちを掛けるように、ザフィーラはアルフの首筋、感じやすいスポットに舌を這わせ、絶頂の上にさらなる快感を妻に塗りたてる!
無論、彼女の身体はザフィーラの逞しい腕によって完全に固定されている。
抱き合ったまま、さらに数分の時間を掛け、アルフの容態が落ち着いたのを見計らい、四十八手の続きに移る。
褐色の肌よりもさらに黒い、恐るべき剛槍がアルフのおまんこに突き刺さった。
じゅるり、というような擬音を発し飲み込んだのは、一重にすでに二十数回にわたる射精された精液と、なおも分泌される愛液のお陰である。
蹂躙。
傍から見れば、ザフィーラが一方的にアルフを犯しているようにさえ見て取れる。
……が、それは違った!!
最早『性交』という言葉では表現できない格闘なのだ!!
アルフの茜色のロングヘアが空中を舞い、聴けばトロけるような甘い喘ぎ声で部屋を満たす!
体内へと迎え入れた膣は、絶妙にうねる!!
それは間違いなくザフィーラに対する反撃ッッ!!
急激に射精へと導くことは、すなわち、『雌』の『雄』に対する攻撃に他ならないのだッッ!!!
"江戸四十八手"中、残るは二十四手!
闘いはまだ半分に差し掛かったばかりである!!
日の出まで残るは3時間を切ったッッ!!
果たしてアルフとザフィーラ以外の家人が目覚めるまで間に合うか!?
できる!
できるのだ!!
これは尋常のセックスにあらず!
見よ!使い魔として生まれながらにして愛を育むことを知った美女の快感に震えるオンナの顔を!!
見よ!闇の書の守護獣として創られながらも愛を知り、新しき命を護るオトコの眼差しを!!
二人の愛の営みが織成す、プログラム生命体を超えた奇跡の象徴を知る者は数多し!!
――七時間後
「はい!みんな朝ごはんだから起きた起きた!」
スクランブルエッグ大盛りを8皿(うち2皿は更なる特盛)に盛り、母親の苦労を楽しんでいるアルフが朝食の準備ができたと声を掛ける。
その途端、食べ盛りの6人の我が子たちが一斉に席についた。
イタズラやんちゃを絵に描いた男児3人、女児3人。
家則「父親のザフィーラ・八神が家に居る場合は、家長が席に着くまでシッカリ待つ」など、日頃のスパルタ教育(度が過ぎると頭頂部にバリアブレイク拳骨)の賜物か、お腹の虫を鳴らしながら待つのはさすが八神家の名を引き継ぐだけある。
そのうち母親の髪と父親の肌を引き継いだ子が、アルフに訴える。
さっきまで朝食を早く食べるべく、ザフィーラを起こそうと奮戦していた子だ。
「ママー!パパ、全然起ない〜!」
「は〜、しょうがないね。じゃ起こしてくるから……その間ガマンできなくなって食べたら集団責任だからね!」
ええ〜〜!という声が6人分あがるなか、アルフは昨晩頑張りすぎちゃったかなと頬を赤らめながら夫の元へ向かうのであった。
以上です。
ショートなら勢いに任せ書き上げられることができました!!
問題は今回の手法にて【 実 用 性 】の問われる所。
さらなる鍛錬と、さっさと続編の書き上げを課題とするものであります。
・追伸
ザ・シガー氏へ、
貴殿の作品『甘党艦長と俺物語』におけるジョンさんをお借りしたいのですがよろしいでしょうか?
理由:発情大災害で リンディさんのお相手としてジョンさんを……
もちろんエロエロにする所存であります。
304 :
ザ・シガー:2009/01/15(木) 01:47:33 ID:FqllSRyX
>>244氏
ああ、良い、良いなぁ犬夫婦。
愛一杯、子沢山、濃密ファック、実に素晴らしい。
しかし微妙にシグルイっぽいところがまたなんともwww
GJっした。
>>ジョンを使った三次創作
別に構いませんよー、どうか氏の好きに使ってください。
とりあえず、『三次創作』という旨を注意書きで書いてくださればそれ以外に別段問題はありません。
>ザ・シガー氏
ありがとうございます!
ジョンさん、お借りいたします!!
>>244 濃いものをGJ。てか、四十八手全て試すのかよwww
とりあえず・・・この子供たちの狼形態を果てしなくモフモフしたい!!!
>>303 頑張りすぎだろこの人外どもw
あと言いづらいのですがコテハンをミスしてますよ。
すまん安価で誤解した忘れろ
>>307 g;y=ー( ゚д゚)・∵;; . ターン
すいません。名前間違えました。
正確には『224』です。
244氏さん、失礼しましたorz
(全然気づかなかった……)
ターンA氏が来たのかと思った……。
お待ちしております〜。
>>287 某カツ丼じゃないけど、普通に食われてそうだよねクロノ。
で、そんな毎日が続いた挙句年増相手にしか勃たなくなって・・・とかありそうな気がw
>>288-289 実はアイナさんは6課男性スタッフの”処理係”も兼ねている、なんてな。
>>312 クロノが女性の高官に体を売って出世したとか妄想してしまったwww
特にカリムとかw
314 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 01:26:10 ID:VovByDJo
>>312 そりゃあーた、修行時代のクロノとA´Sで闇の書について調べてた時またはそのすぐ後くらいのユーノは某姉妹に食われてますよきっと。
ほら言ってたじゃない「たべていい?」って。クロノも「終わったら幾らでも」と。
つまりはそういうことだ
ところで人妻云々で思い出したが、レティの旦那については生死からして不明だよな?
実は嘗てリンディと彼女はクライドを取りあっており、結局リンディに敗北したもののその子種だけはきっちりもらって…
無理か。グリフィスの年齢的に
あの姉妹の年齢っていくつなんだろう?
主の年齢からして結構いってそうだけど。素体の動物の寿命とか関係するのかなあ。
>>315 使い魔は契約完了か契約解除か魔力供給断絶か肉体の完全破壊が起きないと、
消滅しない(死なない)らしいから、使い魔歴数十年でもおかしくない。
2体も侍らせ・・・・もとい作成できたんだから、グレアムさんの魔力がもの凄く高かったか、
あんまり魔力使わない仕事してたかのどっちかなんだろうな。
>>315 ぬこと人間の人体練成
ぬこと人間の2神合体
そんな素体事情なら、ぬこの寿命で考えなくても済むかも
318 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 10:26:09 ID:ZeuWu5ij
>317
幾らなんでも首が飛ぶ。。。いや、人間のほうの不治の病を猫移植で食い止めたとかなら見逃してもらえるかも。
ぬこ姉妹、今書いてるSSの最終章にちょこっとだけ出てくるグレアム提督の姪の男の子が
新たなマスターとして引き継ぎます。
クロノが引き継ぐっててSSがあった(あれは名作でした)けど、自分的にはグレアムの血筋
が引き継ぐのが正統だと感じてますので
ぬこ姉妹は、ショタじゃないと嫌なんだよ。
ぬこ姉妹でダークエンジェル・・・
マスターが死んだら消滅するって事は、使い魔ってマスターの魔力じゃなきゃ生きていけないって事じゃないのか?
運転手(マスター)が変わったからって燃料(魔力の質)が変わったら乗り物(使い魔)は走れないんじゃないだろうか。
>>315 クライドの時の闇の書事件を"ほんの"11年前と言う感覚から考えると
それなりに長く生きてるんだろう。
つまり意外とバ(ry
にゃんがにゃんがにゃー!!
悪いことを言う
>>324はおしおきなのだ〜
グレアムが行き倒れの管理局魔導師を助けたのが、「もう50年以上前の話だよ」と語っている(A's三話)
仮に、
この時のグレアムの年齢が15歳くらいだったとすると、A'sの時点でグレアムの年齢は大体70歳くらい
A'sエピローグの時点で76歳くらいだろうか?
仮に仮に、A'sの時点でグレアムの年齢が70歳として、
15歳で行き倒れの魔導師を助けた後に彼自身が魔導師となって、
高い魔力資質からすぐに使い魔(リーゼ姉妹)持ちになったとすると、(若い頃から二人を連れていたらしい、nanohawikiより)
A's本編中で、リーゼ姉妹の年齢は55歳
stsの時点で生きていれば、65歳。ちなみにグレアムは80歳・・・三提督とほぼ同期なのだろうか?
余談ながら、グレアムは艦隊指揮艦、執務艦長を歴任し、時空管理局歴戦の勇士という通り名を付けられていたらしい
三提督は彼以上の猛者だったというのだろうか・・・?
長々と失礼しました
>>326 三提督はStS時点から75年前に活躍だからもう少し上だろう。
>>327 捕捉thx
確かに新暦元年(stsの時点では新暦75年)に管理局が設立され、その時に活躍したんだからどう考えてもグレアムよりは年長ですね
90歳近いくらいかな?
>>325 海鳴市某女子寮にお住まいの猫娘じゃないか!
そういえば第一期一話に出てきた獣医のエロパロってないなぁ……
>>328 人型とはいえ地球のホモサピエンスじゃないから元気なんでしょう。
つまりリンディさんやレティさんはStSに時点でも更年期障害とかそういうのには無縁で、
むしろますますお盛んな時期なのかもしれん!!
あれだ、サイヤ人みたいに魔導師は若い時間が長いんだよ
>>329 誰を当てればいいんだww>某獣医
やっぱりジュエルシードの暴走に巻き込まれたりするんかね?
もしくは傷だらけのフェレットを股間にイン
>323
思うに、マスターが死ぬ=魔力の供給源が無くなる から死ぬだけではないかなーと。
魔力の供給経路が、基本的にマスターとの間でしか確立されない形と推測。
適正な魔法的手続きを取ってマスター(魔力供給経路)の受け渡しをするって言うのはあっても不思議じゃないと思う。
勿論無くても仕方ない話だけど。
(大事なプログラム入ってるパソコンのIDとPass渡して本体引継ぎして、新しい担当者が自分用のID、Passに設定しなおす感じというか)
業務連絡です。
92スレ保管完了しました。
職人の方々は確認お願いします。
>>298 差し替えました。
なんか最近
>>319みたいに自分の今書いてるSSでこのキャラはどうこうっていうレスが時々あるな。
同一人物なのかどうかは知らないが、コテも名乗らずにそういうこと言われても「ふーんそれで?」としか言えん。
まずは書き上げて投下しよう。話はそれからだ。
いつも「章」とか言ってるから、だいたい誰なのか分かる
職人諸氏に朗報
この板のSamba連投規制秒数が30秒から20秒に緩和されたらしい
>>338 前にそれに近いことやって叩かれたんでコテは名乗りません。あしからず。
ただ完成直前(最後の一章のみ、まだできてません)なのは確かです。
>>339 モロバレしてますね。
>>340 長編投下には有り難いッスねぇ(何故かウェンディ)
>>338 つーか、コテは書いておいてほしいんだがな。あぼんにするために。
まあ、それはそれとして
>>329、やっぱり相手は耕ちゃ、いや、彼はゆうひが嫁か。
まあそっちもだけど、恭ちゃんと忍とか、士郎さんと桃子さんとかもないからなあ。
ある意味読んでみたいんだけど。
344 :
343:2009/01/16(金) 23:57:25 ID:eH6aNcXV
>>343 本編に2回くらいしか登場しなかったカルタスとは偉い格差だ。
男女比って恐ろしいな。
某居酒屋にて……
ギャレット「アレックスとランディの裏切り者ーー!!
なんだよ!前の方に席に座ってただけで『わかりやすい』からイイ思いしやがって……。
俺なんてそもそも髪の色すら覚えられていないんだぜ?
カルタスの奴なんか漫画版にも出番あって、更正組から「良いお兄さん」扱い……
畜生……わかりにくいってだけで何だよこの扱いの差は……。
親父さん、もう一瓶追加!もう何でもいいよ!飲まなきゃやってらんねェよッッ!!」
親父さん「ほら、これで仕舞いだ」
ゴク……ッ!?
ギャレット「これは!!」
親父さん「そうさ、当店自慢の極上のミネラルウォーターだ。
今お前に最も合う飲み物を出しただけさ……」
ギャレット「親父さん」
親父さん「いいか若いの………死んでないだけまだマシなんだ!
色恋なんざ生きてこそ出来るんだ!!そんな早死にしそうにガバガバ飲まれちゃ酒も可哀想だし、
何より、将来嫁さんができてその時、身体がボロボロだったら嫁さんが可哀想だろぉ!」
ギャレット「――ッッ!お、親父さん、俺、おれ……」
親父さん「愚痴なら幾らでも聴いてやるさ……。もっとも、元中将やってってもあんまりその手のアドバイスはできんがな」
かくして夜はふける……ああ、ギャレットに春が訪れる日はくるのであろうか?
>>346です
勢いで書いてしまいました。
B・A氏、すみません
改めて居酒屋中将ネタをお借りしましたことを謝罪します。
……いや、マジな話ギャレットの外見がサッパリわかりませんorz
As見直してもわかりません。ごめんよギャレットo........rz
>>333 使い魔を維持し続けてるグレアムやフェイトは希有な例なんだがな。
使い魔は目的のために作り出し、それが終わったら消す、ってのが、常識みたいだし。リニスなんかそのいい例だ。
基本的に他人に使い魔を譲るって発想はないと思うんだが。
それに、だな……他人の使い魔を引き継ぐメリットってないよ?
高性能な使い魔も、魔導師が力量足りないと結局パワーダウンするし。
状況によるけど、そもそも基本的には主に忠誠誓ってる使い魔にとって、主替えって首宣告みたいなもんでねぇの?
主のためなら犯罪だっていとわないリーゼやアルフ見てると、例え主が命じたってホイホイ承諾するとは思えない。
主が死ぬからってじゃあ次、って感覚じゃないだろし。そこまで生き汚いことはないだろうし。むしろ逝く時は一緒、じゃなかろうか。
結局使い魔ってのは1から自分で作った方が相性はいいわけで。能力や技能はダウンロードすれば学習なんて手間不要ですぐ習得できるわけだしさ。
まあ、前マスターとの思い出を残してやりたいっていう、効率や性能より心情的な理由を優先するなら、分からなくもないんだけど。
>>347 いえいえ、こういうの好きですよ。
それに居酒屋中将は僕だけのものって訳でもないですし、お気になさらないでください。
でもこのギャレットにはちょっと言っておこうかな。
「ごめん、僕も君の顔覚えてない。でも大丈夫、君はまだ生きている(UNDERDOGS 第14話時点)」
>>348 まあ、設定次第だろう。
主に忠誠誓ってるなら「自分の息子を頼む」って託されたら従わざるえないだろう。
もちろん息子が親父並みか以上の能力者なら現状維持かパワーアップも可能。
相性云々は、息子が幼いんで、養育を頼まれれば、使い魔の属性に新しい主を
調整可能と考えれば問題ないと思う。
こういうのはレアケースだけど可能じゃないかな?
ユーノなんか、なのはの使い魔から無限書庫専属使い魔になったしな。
あとは、経験があるってのが有利かも。
戦闘技術を教えるにしても、戦場に出たことがあるのかとかが。
理由付けがしっかりしてればありだと思うけどな、使い魔の譲渡
主人が大怪我してもう死ぬって時に「お前まで付き合う事はないよ」みたいな感じで
誰かに託すとか。任せられた方は大変だがw
まあ、以前の主のことを覚えてる分、何かにつけ比較されるかもしれないが……譲り受けた方は敵わんな、その場合。
「私のマスターになるならば、せめて前マスター程度にはなっていただかないと困ります」とか言われたら主の面目丸潰れだ……
>>354 「私のマスターになるならば、せめて前マスター程度にはなっていただかないと困ります」
なぜか性的な意味でひからびてるマスターと余裕たっぷりの使い魔を幻視した
つか使い魔とヤるのって……獣姦?w
きっと魔力供給
ステイナイト的に
獣姦って……あかん、人型でも本体がどーぶつだと思うと萎えてきた……
同人でクロノ×ねこ姉妹ってのがあったな。
その後、クロノはフェイトとヤってたが。
だが、アルフさんの健康的な肢体を見せ付けられたらそんな事どうでもよくなるぜ
ザッフィーをわすれるな
なんかアレだな、使い魔の譲渡云々の話を見ているとさっき見ていたせいか屍姫を連想してしまう…
あんな糞アニメの話をここでするな頼むから
>>363 スマン、思っただけとは言え勢いでやってしまって…ι
>>353 その思考は、主の死=使い魔の死ってのを認識してるんなら出ないと思うが。
それを承知で作ってるわけだし。つか、それだと最初から誰かに託す気満々じゃね、それ?w
使い魔も魔法少女も萌え
投下しても良いでしょうか?
カモン
投下させてください。
エリオ×ルーテシア 非エロ
ルーテシアが非処女なので、そんなルーは見たくない!という方は
どうぞ飛ばして下さい
「セックスしよう」
ルーテシアの可憐なくちびるから放たれた発言は、エリオの心に深く突き刺さった。
大声をあげたかと思うと、今度は顔を赤くしたり青くしたり。
余り知らなかったけど、エリオは面白い人間なのかも知れない。
自分の発言を深く考えず、呑気にもルーテシアは思った。
―ルーの言ったことが理解できない。
曖昧な顔をしていたかと思うと、いきなり「セックスしよう」なんて・・・!
いや、意味は分かっている。だが、このまま流されてしまうのは男として、
一家の次男坊として、母、父、兄に申し訳が立たない。
そうだ。これはルーの答えに窮しての冗談なのだろう。よし、ツッコまなくては。
「・・・えっと、ここ、外だよ?」
我ながら間抜けな答えだ、とエリオは思う。
「別にいい」
ルーテシアは表情を変えず、頷いた。
「で、も」
・・・何を迷う必要がある。好きな女の子が告白を受け入れてくれたのに。
でも、彼女は大事にしたい。そんな関係になりたいんじゃない、何があっても、守ってあげたい女の子なんだ。
・・・どうすればいいんだろう。
僕の考えていることが分かったのか。ルーは微笑んだ。
「私、大丈夫だよ。」
「ルー・・・」
僕はルーが好きで、ルーも僕と同じ気持ちなら。僕を受け入れてくれるのならば。
「その、ルー。・・・・ここでだけど、しようか」
「うん。いいよ」
二人額をくっつけあわせ、微笑みあった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ルーテシアをゆっくりと押し倒しながら、しかしエリオは思う。
・・・この後どうすればいいのだろう。
知識はあるし、勿論やり方もわかるが、どうにもイメージが沸かない。
ルーテシアという愛する少女が目の前にいるのに。
・・・ミラさんとタントさんみたいにルーと・・・フェイトさんがシテルみたいにルーと・・・・・・
・・・何故だろう。感情が知識についていかないのは。
「や、やっぱり・・僕たちには難しいよ」
「大丈夫・・・落ち着いて、エリオ」
「う、うん」
エリオは悩んだままだ。が、これではいつまでたっても進まない。
「じゃあ・・・服、脱ごう?」
「えっ」
「そこで驚くの・・・?」
胸に手を当てて、脱がないぞ、という体勢になったエリオが、草原を後退した。
「・・・・脱がせてエリオ」
「ええ?!ふ、服、別に着たままだっていいんじゃないかな」
抵抗しながら、エリオの顔は真っ赤だ。面白いぐらいに真っ赤だが、
ルーテシアとて頬を赤く染めているのだ。
「エリオがそれでいいなら別にいいけど・・・下だけ脱ぐの、えっち・・・」
「っ、ど、どうしよう!?脱いだ方が良いのかなあぁ?!!」
エリオはすでに錯乱中だ。
ルーテシアも身動きせずに目線を逸らしているが、彼女とて充分錯乱している。
「・・・エリオ・・・する気ある?」
「も、勿論」
「なら脱がして」
「は、はぁっ!?」
「それで、私もエリオを脱がす」
「うえっ!?」
「脱がしあうの」
「ええええええええええ!??」
「エリオも脱げるし私も脱げる」
「っ!!」
脱がせあいだなんで、恥ずかしすぎる事を提案をあっさりとするルーテシア。
「本当にするなら、さっさと脱いだ方がいいし・・・」
「そ、そうだけど!・・・・判った。脱がせるから少し待って」
落ち着け。こうなったらもう行くしかない、と。
錯乱中の焼け付く思考でルーテシアの提案を了解した。
一方、ルーテシアはエリオをちらりと見る。その目線は股間だ。
ベルトを外して、ボタンとチャックを下ろすだけだ。あと、下着も脱がさなければいけない。
(どうしよう…)
どうしようもないのだが、どうしようと唸る。相手は年上ばかりだったから、
同世代の服なんて勿論脱がした事はない。
経験だけはあるが、こんな繊細で初心な関係は初めてなのだ。
意識がエリオの股間に集中していたら、突然自分の背中にエリオの手がかかった。
ファスナーが、エリオによってスルスルと下ろされていく。流石にルーテシアも驚いた。
「ゃっ!いきなり何」
「・・・何って・・・・」
驚いて飛びのいたルーテシアが後ろのめりになる。
先ほどまでとは形勢逆転。ルーテシアの動揺ぶりに、今度はエリオがため息をつく。
「・・・・このままじゃ、いつまでたっても出来ないから・・・」
「っ、ご、ごめん」
ルーテシアがむくりと置き、立てひざをついて、今度はルーテシアからエリオの股間に手を伸ばす。
ベルトを外そうとして、手が震えた。
エリオもルーテシアに凭れるようにして、後ろに手を伸ばし、ベルトを引き抜き、抜けたベルトを脇へ置く。
次はズボンだ。
「・・・自分で脱ぐよ?」
「だ、大丈夫」
変なところで意固地になるルーテシア。ボタンを乱暴にひっぱる。外れた。
チャックを下げれば、ズボンの中から下着が見えた。
「・・・・・うわ・・・」
「うわって・・・ルー・・・・」
まだ下着だというのに、(エリオの目から見て)ルーテシアの目は汚いものを見るかのようなので、
少しかちん、ときた。(実際のルーテシアは感動していたのだが)
お返しだ、とばかりにルーテシアの服のジッパーを全て下ろし、強引に開いた。
ずるり、と肌色が現れる。
そうすると、ルーテシアが見につけているものは、ショーツだけで。
「きゃああっ!?」
「え、ルー?!」
一気に肌着も全て下ろされて、あわてて胸部を押さえる。後ろに飛びのこうとすれば、逃がすものか、とエリオが上に乗りあがった。
「い・・・・嫌ぁ!」
ルーテシアは組み敷かれつつも、思いっきり右ストレートをエリオに繰り出した。
エリオの手がそれを止める。その途端、頭突き。今度はモロに食らった。
「・・・っ!」
攻撃の手は休めず、額を押さえながら蹲るエリオの下から、止めとばかりに思いっ切り蹴飛ばした。途端鈍い音が聞こえ、
その勢いは衰えずにエリオは勢い良く後ろへ倒れこんだ。
「ぁ・・・」
しまった、と後悔してももはや遅し。慌ててワンピースで体を隠し、後ろへ後退する。
ゆっくりと、エリオが起き上がる。
「・・・ルーもする気ないよね。絶対」
「だ、だっていきなりの展開過ぎて・・・」
錯乱を通り越してパニックだ。
今から何をするか判っているのか。セックスだ。服1つ脱ぐのでこの騒ぎは無い。
つまるところ、エリオは元より、言いだしっぺであるルーテシア自身も、何の決意も出来ていなかったのだ。
「・・・やっぱりやめておこう」
「・・・?」
引き下ろされたチャックを上げ、ボタンを留めて、ベルトを取って腰に巻く。
「え、エリオ」
「ルーがそこまで嫌がる事なんてしちゃ駄目なんだよ。またお互いが出来るようになったら、
今度こそしよう。僕もそれまでには気持ちを落ち着けておくから。」
ルーテシアの方を見ないまま後ろを向き、それだけを言って、ベルトを嵌める。
エリオの背中にドン、とルーテシアがぶつかった。
「・・・ルー?」
「嫌だ、なんて言ってない。」
「けど、ルー・・・」
「大丈夫。本当に大丈夫だから。少し恥ずかしかっただけだから」
「・・・」
自分の取り乱しも酷かったと思うが、羞恥心であそこまで拒絶するものか、普通?
いやでも、女の子の初めては痛いって言うし。はやてさんはする前は怖かったけど意外とヘーキだった、って笑顔で言ってたな。
「だから、やろう・・・ね?」
エリオの背中に響く、ルーテシアの声。
手を回されて、ぎゅっとエリオの腹を抱きしめ引き寄せる。
「・・・・・わかった。じゃあ辞めない。ルー、判ったから手を離して」
「・・・っ」
頬を赤く染め、頼りなげに瞳が揺れている。愛しくて頬を撫でた。
「ゆっくりやろう。大丈夫なんだから」
「エリオ・・・」
ルーテシアを見下ろせば、白く細い足が見えた。股間はギリギリで隠れているが、
きわどい姿だ。触れたくなる。
「ルー、じゃあその。続きをしてもいい?」
「・・うん」
コホンと咳払いをして、エリオはルーテシアに手を伸ばした。
伸ばす先は、内股だ。
「あ、待って」
その手が触れるか触れないか、の瞬間。またルーテシアが声をかける。
「・・今度は聞かないよ?」
「そうじゃなくて、思ったんだけど」
「なんだい?」
白い足がまるで誘っているみたいだ。ルーテシアの白い足が、もじ、と動いた。思わず見とれる。
「私きちんと伝えてないの、エリオは流されたままでいいの?」
ルーテシアの発言は、またしてもエリオの胸に突き刺さった。
投下終了です
以前投下させて頂いた
『エリオに告白されたけどキャロと付き合ってると勘違いしてるルーテシア』同名SSの続編です。
エリオとルーがヤっちゃってキャロと愛憎劇を楽しみにされてた方すみません。
>>374 こっ、ここまで書いて非エロとな!!
生殺しだ!!
早めの続編キボン!!
>>374 GJ!!
あの続編ですか。生殺し状態で終わってしまったのでよく覚えてますぞ(他意はないです)
と思ったら今回も生殺しとはっ。。続編を激しく希望します!
前回で思いっきり誤解されそうな発言をして、当然のごとくそう捉えたルー
そして今回この状況。エリオはもう責任とって二人とも幸せにすべきだ!
>>一家の次男坊として、母、父、兄に申し訳が立たない。
エリオの兄って? オリジナルエリオのこと?
GJ!
二人とも経験アリにもかかわらず、初々しい所がたまらん
もうお互いくっついちゃえよ!
そしてまたしても何という止め方…
>>374 GJ!!GJだがなんという生殺し…エリオよ、ここは男を見せるんだ!!
久しぶりに紳士なエリオを見たぜ。生殺しだけどGJ!
GJ!!です。
結局二人とも錯乱していたのかw
そしてはやてはエリオに何故初体験話を言ってんのw
遅レスだが
>>346 外部のSSでギャレットが出てきたんだが、その時はSSのオリキャラかと思っちゃった
ごめん
唐突に思いついたんだが、ケーキ作りが趣味の人と甘い物が好きな人ということで
ロッサ×リンディなんていうのはいかがなものか。そういえば二人とも緑髪だったような。
ケーキをリンディさんの身体に盛り付けて頂くのか…
リンディさんは未亡人で身体を持て余してるから大変なことになりそうだな(主にロッサが)
ロッサが何十匹もの犬使って、イキすぎて理性保てなくなるまで延々と
舐めさせ続けるようなのを期待したけど意外と来ないなこういうの。
>>386 いや、もうちょいハードなのがないなあと…
「も…もうやッ…め……ッくぅぅッッ!!」
↓〇時間後
「やあああぁ!!もうイった!!イっだからぁ!!もう許し……ッッ!ぃぐうぅう!!!」
↓〇時間後
「死゛ぃぃいいぬうううう!!いぎすぎてじぬぅぅぅ!!あ……い……っっぎっっぐうううううううううううう!!」
みたいなやつ。
もうちょっとハート目なのに見えた
超いてぇよ
5分後くらいから投下します
・非エロ
・オリキャラ多数、というかメイン。
・独自解釈あり
・誠に申し訳ありませんが、再びトリップを変更したのでNGワードにしている方は変更してください
時間は僅かに遡る。
地上本部に向かおうとしていた執務官は途中にある公園で知り合いの顔を見つけた。
どうしようか迷ったが、もう二度と会えないかもしれないので後悔しないように会っておく事にした。
「二尉、ここで何を?」
車椅子に乗った二尉は背後からかけられた声に反応して向きを変えようとするが、執務官はそれより速く二尉の前に回る。
管理局とのわだかまりがあってもそれくらいの気遣いは出来る。
「悪いな」
「いえ。それで何を?」
「うん? ああ、デートの待ち合わせ」
公園内の時計に目配せしながら二尉は答える。
この状況で二尉に虚言を弄する理由はない筈だが、どうも嘘っぽい。
それとも笑う所だったのだろうか?
「なんか顔色が悪いぞ。飲むか?」
執務官の疑問をよそにドリンクのボトルを差し出す。
二尉が常日頃から持ち歩いているものだ。
「いえ。心遣いだけ貰っておきます」
「これ飲むと眠くなるから嫌いなんだよな。味も変だし」
「それ、もしかして薬ですか?」
「そうそう。室長から定期的に飲むように言われててな。他の食事にもとやかく口出しされてうんざりだぜ」
一ヶ月前の負傷は完治には程遠いらしい。
今も顔は赤くなっているし、額にはうっすらと発汗も見受けられる。
「体はどうなんです?」
「原隊復帰までは時間がかかりそうだしな。AMF対策の体系化の仕事をもらった」
「なるほど。元は教導隊なのでそういうのは適任ですね」
引退する気がまったくない辺りが彼らしいと執務官には思えた。
AFM対策に関しては本局がしきりに催促しているという話だし、レジアス中将も目に見える形で対策しているとアピールしておきたいのだろう。
おー
待ってた
「ついでにランスター妹をテスト要員という事にしておいた」
「思いっきり私情を入れてますね」
執務官の記憶では今までの訓練の中にAMF対策に繋がりそうなものはなかった。
強いて言うならヴァリアブルシュートのような多重弾殻射撃くらいか。
「そのランスターの訓練具合はどうです?」
「いい感じじゃないか? このままじっくり数年がかりで鍛えていけば化けると思うぞ」
そう言う二尉は子供のように楽しそうに笑う。
それだけランスターに対する期待が大きいのだろう。
「俺はこのざまだから接近戦の訓練は難しい。だから……」
「すみません。もう訓練には参加出来ません」
「……」
二尉の表情が一気に曇った事に心苦しいものを感じた執務官だったが、自分が言わなくてもいずれ判明する事なのだから自分の口で告げておきたかった。
短い期間だったが二尉とは良好な関係を築けていたからだ。
「技術部が新型のデバイスを回してくれるっていうし、これからだってのに」
「本当にすみません」
「いいっていいって。新しい任務でも入ったか?」
「いえ。家庭の事情です」
「あー、なら仕方ないか」
溜息混じりに肩を落とすが深い事情を尋ねようとはしない。
しかし、執務官の顔を見て眉根を寄せて皺を作る。
「なんか思い詰めた顔してるが、大丈夫か?」
「……分かります?」
「昔、仲間がそんな顔してた。それに昔の俺と雰囲気が似てる」
「実は見当ついてるんじゃないんですか? 理由に」
「まあ、何となく。本局に行って手出しが難しくなる前に後腐れがないようにか?」
「見損ないますか?」
場合によってはこの場で一戦交える事も考えた執務官だったが、そんな懸念を無視して二尉は笑みを見せる。
「俺なんてその昔、へまして故郷で超危険なロストロギアを暴走させちまった男だぜ?」
二尉は得意気に親指を突き出し、ちらりと歯を覗かせる。
「闇の書事件ですか」
「そうそう。危うく数百年の幽閉刑を喰らうとこだった。まあ、その時の話は一段落したらやるとして……」
二尉は言葉を切ってふざけた雰囲気を潜め、
「シェオルだっけか? 愛国心に溢れてて羨ましい限りだ」
「何だか嫌味っぽく聞こえます」
「俺はお前ほど故郷に対する愛着はない。ミッドチルダに馴化していると言っても過言じゃなくてな。
もう自分が地球人だって意識が希薄で。ああ、地球ってのは俺が生まれたとこな」
「自分も見習って馴化すべきなんでしょうけどね。もう一五年も経ってる事だし」
「難しいんだろうな、その辺りのメンタリティは。単純な精神構造してて良かったぜ」
「はは……」
苦笑して大小様々な星が散りばめられた夜空を見上げる。
横で二尉も同じように見上げた気配が感じられた。
「この夜空、美しいとは思うんですが、同時に眩し過ぎて落ち着かないというか。故郷にはこんなに星が多くなかったので」
「分かる分かる。俺もミッドチルダに来たばっかの頃はやたらデカい星が浮かんでて違和感があったから」
外交官と話している時も感じた事だが、管理世界と管理外世界の両方を知っている人間と話すのは楽しい。
言葉に出来ない心の機微もある程度理解してくれる。
だが、この心地よさは今は不要なものだ。
決意が鈍る前に立ち去る事にする。
「行くのか?」
「ええ」
「なら、顔にでも目立つ傷を一つ頼む」
二尉は自分の頬を指差す。
思惑を看破しておきながら素通りさせるのはばつが悪いという事だろう。
「戦意のない相手とは戦えません。それに貴方なら敵を見逃しても非難はされないでしょう」
「そうかな。俺も痛いのはやだけどさ」
「それでは」
「ああ」
「さて」
執務官が視界から消えた事を確認するとカード状態になったデバイスを取り出す。
「おーい、ランスター?」
『えっと、あの二尉ですか?』
表示された立体モニターにはオレンジ色のツインテールをした少女が映し出される。
「そうそう。そんで、お前、今どこにいる? クラナガンか?」
『そうです』
「一人か?」
『准尉と、ナカジマ陸曹、知ってますか?』
「青髪のねーちゃんだろ。知ってるよ」
『それと、あ、いえ。局員は三人だけです』
二尉の表情と声色からただ事ではないと察したのか、言葉を途中で区切る。
「すぐに呼び出しがあるかもしれないが、緊急事態だ。すぐに本部に来い。
説明は移動中にしてやるから通信はそのまま、他の奴にもそう伝えろ」
医務室は蜂の巣をつついたような大騒ぎだった。
苦痛と治療を訴える声が至る所から挙がり、医療器具を抱えた看護師が行き交う。
「気が引けるが、付近の民間病院にも応援を頼む必要があるかもな」
それらを視界の端で捉えながら医務室の主たる室長はぽつりと呟く。
彼が今診察している局員は左肩を外され、肋骨には罅が入っているが、しかし未だに戦意は衰えていなかった。
治療してもすぐに出撃して再度運び込まれるのだろうな、と何となしに己の行動に疑問を感じる。
「実は、麻酔が少なくなっていてな。今後来るかもしれん重傷者の事を考えると節約しておきたい」
「不吉な前置きっすね」
「これくらいは自分で治してほしいのだがな」
言葉を無視して室長は隣に控えていた看護師に視線で合図を送る。
意味を了解した看護師は局員の頭と右肩を押さえて動かないよう固定する。
その上で室長は局員の左肩に手をかけ、
「い、痛、いてぇ!」
局員は顔を歪ませ、両足をばたつかせて暴れるが室長に中断する気配はない。
「これくらい静かにしていろ」
「う、っくぅ……」
悲痛な叫びが上がるが、我慢してもらうしかない。
数秒で外れた肩を治したが、当人にはその何倍にも感じられたのだろうか。
「しかし、痛みを感じるというのは寧ろ正常だ。
五年程前、任務で負傷して担ぎ込まれた馬鹿がいたが、折れた骨が皮膚を突き破っているにも関わらず痛くないと抜かしてな」
「それで、どうしたんですか?」
目の端に涙を浮かべながら局員は尋ねる。
その問い掛けに室長は視線を遠くに向ける。
「どうもこうも。勝手に出歩いた挙句に通路の真ん中で倒れた。そのせいで本局から来ていた奴等に医療体制の不備を指摘された」
不機嫌そうに回顧し、肩にテーピングを施していく。
「まったく。あれで少しは大人しくなるかと思ったが、相変わらず車椅子でふらふら出歩いてからに……」
「……楽に特定出来ました」
局員は力ない笑みを浮かべて室長から視線を逸らす。
すると、
「誰かいるんすか?」
視線は並べられたベッドの一番端で止まる。
カーテンで仕切られているが盛り上がった陰影が写っていた。
室長も一旦視線を移し、神妙な表情になる。
「昼間に担ぎ込まれてな。その時は微かに意識があったのだが、今は眠っている。栄養失調による衰弱とは久し振りのケースだった」
開発室とプレートが掲げられた部屋には照明が灯り、白い作業服を着た数名の男達が簡素な台を取り囲んでいた。
台の上には上下で両断されたデバイスが置かれ、彼等は一様に興味深げに観察している。
「デバイスを突き付けていたという事は、片一方しか固定されず、またその固定も不十分だったという事か」
「現実問題、有り得るだろうか? 素手でデバイスを破壊、というか切断」
「断面が滑らかすぎる。何らかの武器を使ったか、あるいは……」
「IS、か」
「執務官は管理外世界の出身だと聞いた。なら可能性としては有り得る」
熱心に議論を交わす技術者達から少し離れた場所では、一人の男がコンピューターに向かっていくつものデータを打ち込んでいた。
「やはり問題は強度か……ミッド地上にはカートリッジを使う魔導師が少ないのが仇になったな」
ぶつぶつと呟く男の視線の先にあるモニターには細長い棒のようなシルエットが表示されていた。
「それにこの新機構に関しては完全に推測でしかない。戦闘に直結する訳でもないし、オミットするべきか、ってわあぁぁ!」
背後からいきなり肩を掴まれ、その技術者は素っ頓狂な声を上げた。
「色々と面白そうな事をやってるみたいだな」
「パーツを特注したって聞いたぞ」
「ふっふっふっ。完成したら真っ先に自慢してやるよ」
よくぞ聞いてくれました、と技術者は胸を張った。
「大層な自信だな」
「教導隊クラスの優れた魔導師が使用すれば一騎当千。AMF対策に実体の刃もあるしどんな戦場でも戦える」
本人は自信たっぷりだったが、周囲の評価は芳しくない。
「使い手を選ぶのは兵装としては欠陥品だな」
「教導隊クラスってミッド地上に何人いるよ?」
「特注のパーツって整備や修理が面倒だからマジでやめろ」
ひとしきり欠点を述べられ凹んだ技術者は再びコンピューターに向かうが、その後ろで、けど、という声が上がる。
「一騎当千はかっこいいな。響きが」
「ああ、いいよな。俺が作った数十のビットを展開するデバイスは無双出来たんだがな〜」
「……テストでは三十分持たず魔力切れした挙句に頭がパンクしてテスターが丸一日寝込んだがな」
「あれはデバイスの方のAIを強化すれば……」
「三次元機動だけでも処理する情報量が多いのに、その上魔法まで使用するのはどだい無理な話だ」
「インテリジェントデバイスはストレージデバイスより処理速度が遅いと言われるがその比ではないだろうさ。
下手すれば機能停止するな」
「それでも使いたいならデバイスを大型化すればいいが、ある一点を超えればデバイスである必要がなくなるな」
「魔導砲でいい。魔力切れの問題もなくなるし」
「一個人がやるのが良いんだろ、ロマンを解さぬ奴等め!」
酷評された男は叫び声を上げ、部屋から飛び出していった。
その目元から光るものが風に乗って宙に舞っていったが、部屋にいる人間にはどうでもいい事であった。
作業用アームを駆使してデバイスを修理していた技術者はそれを見届け後、同僚達に向かってぽつりと呟く。
「そういや、俺が提案した女性人格のAIも却下されたんだよな」
「あれも容量を食い過ぎて魔法の発動が遅い。関係ない事にリソース振り過ぎだ。何だよ、歌うAIって」
「使い手の精神状態を安定させるのは重要だろ。それに機械音声で抑揚を再現するのは苦労したんだぜ?」
「俺が本局の技術部の知り合いを通じて入手したユニゾンデバイスのノウハウと合わせれば何かこう、とにかく凄いのが生まれそうだったのにな」
数人の間から溜息と落胆の声が上がる。
刀身が半ばで折れた剣型のアームドデバイスを持った技術者は彼等を冷めた目で一瞥し、
「話は変わるが、主任は?」
「魔導砲台。何か動力炉の出力が安定しないとかで」
「俺達も行った方がいいかな?」
「状況が状況だし、ここでデバイスの修理をやっておこう。
治療が済んだ魔導師は再出動してるみたいだし、それぞれがそれぞれに出来る事を、な」
その言葉に全員が頷きで応える。
「でもどうなるんだろうな。予算がヤバいらしいし、ここいらで成果を上げないと凍結かも」
「マジで? 俺が聞いた所だと他の強化案は全部打ち切って魔導砲台一本に集中。名前もアインヘリアルを冠するって話だったが」
「つーかさ、前々から疑問だったんだけど、アインヘリアルってどういう意味だ?」
「噂じゃ中将と航空隊の二尉が決めたとさ。なんでも二尉の故郷の言葉らしい。
その二尉はアインヘリアルなんか絶対嫌だって言ったけど中将がこの名前が良いって押し切ったって」
「結局意味は謎か」
背後の会話を聞きながら、デバイスのデータを検証していた技術者はふと思った。
自分が開発するデバイスに名前はない。
使用者となる魔導師に決めてもらうつもりだ。
果たして、託された魔導師はどんな名前をつけるのだろうか。
ティアナ達が地上本部に駆けつけた時、正面ゲートには一機のヘリが低空でホバリングし、その前には車椅子に乗った二尉が待っていた。
背後の地上本部は喧騒に包まれ、唯事ではないと如実に語っていた。
「来たか」
「二尉、あの、本当なんですか?」
ティアナは息を切らしていたが、そんなものは些細な事だと言わんばかりに二尉に詰め寄る。
普段とは違う剣幕に少々たじろぐが、ティアナの視線を正面から受け止め、
「本当だ」
「そんな……」
動揺を隠し切れず沈黙するティアナに代わって准尉が前に出る。
彼の顔には緊張の色がありありと表れている。
「他の戦力は?」
「本部内にいた局員は全員やられたみたいだ。緊急で召集をかけてるみたいだが、かなり混乱していて執務官を追うには時間がかかるだろう。
逃走経路上で待機していた部隊とも連絡が取れなくなったみたいな話もある」
「現状、すぐに動けるのは俺達だけだと?」
「そうなる」
厳しすぎる状況に准尉は渋面になり、一筋の汗が頬を伝う。
無理だという思いが心の中に広がるが、同時に執務官と会って話を聞きたいという思いもある。
「用意が出来てるならさっさとヘリに乗り込め。こうしている間に別の次元に逃げられたら目も当てられねえ」
「一介の二尉の権限でヘリをどうこう出来たんですか?」
「案ずるな。既に始末書は用意している」
疑問を呈す准尉の眼前に血判付き書類をかざす。
准尉はうわぁ……と言いながら書類を手に取って後ろにいたティアナやギンガにも見えるようにする。
ティアナは無反応だったが、ギンガは准尉と同じような反応を示した。
「頑張れよ。お前等が上手くいけば俺も大目に見てもらえる」
「はいはい」
脱力、良く言えば緊張がほぐれた准尉は二尉に始末書を返し、横を通り過ぎてキャビンに乗り込もうとする。
「准尉」
呼ばれ、振り向くと同時に顔に向かって何かが飛んでくる。
反射的に掴むと一枚のカードだった。
「持ってけ。お守りだ」
「……いいんですか?」
「いいから渡したんだよ。けど後でちゃんと返せよ」
「では、一時的に貸してもらいます」
感謝を込めて准尉はお辞儀をする。
そんな准尉に対して、
「お前は死んでもいいから他は守れ」
「それって男女差別じゃ……」
「年齢順だ」
頭下げるんじゃなかった、と准尉は一人愚痴ってキャビン内の椅子に腰かける。
そんな彼等の遣り取りを微笑ましく見守っていたギンガも仕方ないと言わんばかりに一歩を踏み出す。
「陸士108部隊と合流しなくていいのか?」
「今は執務官と一緒に先般の事件の調査だったんです。だから仕事仲間にお仕置きするのは当然の責務かなって」
ギンガはおどけた調子でウインクする。
「じゃあ、ナカジマ陸曹。ミッドチルダを代表して二三発ぶん殴ってきてくれ」
軽い会釈と笑みで答えを返して、彼女もまたキャビンに乗り込む。
その後に金色の髪と異なる色の双眸を持った少女が続く。
「って、ちょっと待て」
二尉は思わず少女を呼び止める。
最初にティアナ達が本部前に来た時に尋ねようとして、彼女達があまりに自然にしていたので聞きそびれてしまったのだが、二尉は彼女の事は聞いていない。
いや、通信の際にティアナが何か口籠もっていたが。
「准尉」
呼ばれ、振り向くと同時に顔に向かって何かが飛んでくる。
反射的に掴むと一枚のカードだった。
「持ってけ。お守りだ」
「……いいんですか?」
「いいから渡したんだよ。けど後でちゃんと返せよ」
「では、一時的に貸してもらいます」
感謝を込めて准尉はお辞儀をする。
そんな准尉に対して、
「お前は死んでもいいから他は守れ」
「それって男女差別じゃ……」
「年齢順だ」
頭下げるんじゃなかった、と准尉は一人愚痴ってキャビン内の椅子に腰かける。
そんな彼等の遣り取りを微笑ましく見守っていたギンガも仕方ないと言わんばかりに一歩を踏み出す。
「陸士108部隊と合流しなくていいのか?」
「今は執務官と一緒に先般の事件の調査だったんです。だから仕事仲間にお仕置きするのは当然の責務かなって」
ギンガはおどけた調子でウインクする。
「じゃあ、ナカジマ陸曹。ミッドチルダを代表して二三発ぶん殴ってきてくれ」
軽い会釈と笑みで答えを返して、彼女もまたキャビンに乗り込む。
その後に金色の髪と異なる色の双眸を持った少女が続く。
「って、ちょっと待て」
二尉は思わず少女を呼び止める。
最初にティアナ達が本部前に来た時に尋ねようとして、彼女達があまりに自然にしていたので聞きそびれてしまったのだが、二尉は彼女の事は聞いていない。
いや、通信の際にティアナが何か口籠もっていたが。
「……お嬢ちゃんも行くのか?」
「そっちは知らないだろうが、わたしも管理局員だ」
「マジで!」
キャビンの中で二人の様子を窺っていた准尉が驚きの声を上げる。
後ろ髪を弄っていた少女は准尉に振り向き、
「ああ、ちなみに階級は……」
「……んなこたぁどうでもいい。協力するのかしないのか、それが問題だ」
「当然協力しよう。わたしにも責任の一端があるからな」
すまし顔で答え、キャビンに乗り込もうとする。
少女が横に並んだ時、二尉は周囲に聞こえないよう小声で、
「お嬢ちゃん」
「何だ?」
「まだまだ未熟な奴等だからさ、フォローしてやってくれないか。まだ、教えたい事も残ってるからさ」
「……ああ」
意外にすんなり行ったな、と内心で思いながら、ただ一人俯いて立ち竦んでいるティアナを見る。
ショックが大きかったのだろうが、長考してもらう余裕はない。
「別に行きたくなかったら行かなくても良いぞ」
返事はすぐには返ってこない。
「でも、執務官は止めないといけないんですよね?」
返ってきた言葉はか細く、彼女の現在の精神状態を端的に表していた。
「お前が無理に行く必要はない。他の局員が結構消耗させたみたいだし、回復する時間を与えずさっさと叩きたい」
暗に、すぐさま決断しろと二尉はティアナに迫る。
こんな遣り方は好かないが時間がないのは事実だ。
本当は自分が行きたいが、体の調子が不安定で戦力として数えるのには不安がある。
苦悩を滲ませるティアナは二尉の肩越しにキャビンに座っている三人に視線を飛ばす。
少女は顔をそむけるが、ギンガと准尉の視線がティアナの視線と交わる。
数秒の間を置いて、引き締まった表情を二尉に向ける。
「行きます」
「……そうか」
今度は二尉が視線を一旦下に落とし、僅かな間隔を作る。
「あんましこんな事は言いたくないが、必要だと思ったから言うぞ。
なまじ外見が似てるから認識が薄くなるが、執務官は他の世界の人間だ。その事を肝に命じておけ。
訓練の時が本気な訳ないし、最初に会った時には既に裏切るつもりだったかもしれない。執務官に対する認識は捨て去れ」
「はい!」
「じゃあ行け」
二尉は車椅子を反転させて、ティアナを見送る。
ティアナがキャビンに乗り込んだ時、他の三人が立ち上がってティアナと並ぶ。
二尉は何か言葉を送る空気だと感じつつ、何も思いつかないので、普段から心がけている事を伝える。
「負けるなよ。たとえ勝てずとも」
四人は敬礼を以て応じ、二尉も敬礼を返す。
ドアが閉まるのを満足げに確認し、車椅子を押す。
「……流されたな、ランスター妹」
残念そうに呟き、長い息を吐く。
「まあ、いつの日か自分の意思で歩いて仲間と肩を並べられる日が来るか」
前向きに考え、車椅子をヘリの前面に移動させる。
「行っていいぞ、グランセニック」
「あいよ」
若い局員は片手を上げ、直後にメインローターの回転数が増してヘリは上昇を始める。
二尉はヘリの上昇と共に顔に吹き付ける風や塵を手で防ぎ、しかし指の隙間から飛び去っていく機影をいつまでも見つめ続けていた。
以上です
途中ミスしてしまいました。
>その時の話(SS)は一段落(この作品が完結)したらやるとして
やれるといいなー
技術者ども自重しろww
しかし、チェry二尉はこのまま戦線離脱なのかな……
408 :
B・A:2009/01/19(月) 00:31:59 ID:NpADVe8L
そろそろ、投下しても大丈夫でしょうか?
>>408 お待ちしておりました。
どうぞ、お願いいたします。
410 :
B・A:2009/01/19(月) 00:41:10 ID:NpADVe8L
それでは、いきます。
前回ハブられた怨念なのか、無性にドゥーエさんを書きたくなりました。
ノーマルなエロを書くのって久し振りだ。
お相手役はグリフィスくん。今日は修正液被ってもらいました。
注意事項
・エロです
・グリフィス×ドゥーエ
・本編2ヶ月後
・実は生きていたドゥーエ
・ドゥーエはずっと帰省しなかったのでスカのクローンは埋め込まれてません(ということにしてください)
・グリフィスが黒くない
・タイトルは「貧乏なドゥーエさん」
ベッドのスプリングを軋ませて半身を起こしたドゥーエは、窓の外がすっかり暗くなっていることに気づいて小さなため息を吐いた。
ベッドに潜ったのは今朝の4時、それから3時間ほど眠ってアルバイト先に向かおうとしていたのだが、寝過ごしてしまったようだ。
時計のアラームはスイッチが入りっぱなしになっているので、半日以上も夢の世界で豪遊したまま目を覚まさなかったことになる。
2ヶ月前までの勤勉さが嘘のような堕落っぷりだ。
「またクビかな・・・・・・・・」
呟き、ドゥーエは払い除けた布団に再び潜り込んだ。
アルバイトの無断欠勤はこれで3度目、そろそろ店長も黙っていないだろう。
また新しいバイト先を探さねばならないかもしれない。仕事を変えるのはこれで何度目だろうか?
ピザ屋、コンビニ、弁当屋、ウグイス嬢、ティッシュ配り、屋内プールの監視員、スポーツクラブの受付など、
とにかくこの2ヶ月間アルバイトをとっかえひっかえしてきた。先月分のアパートの家賃と光熱費を無事に払うことができたのは、
奇跡かもしれない。最も、現在の預金残高は0なので、事態はかなり切実だったりするが。
(まあ、自業自得か)
端正な美貌を指でなぞりながら、ドゥーエは自嘲気味に笑った。
視界に映る部屋は狭く、床は洗濯物が散らばっていて足の踏み場もない。
入口の方には回収の日に出し忘れた燃えないゴミの袋が積まれており、卓の上には夕食にした惣菜の空き容器が重ねられていた。
彼女の部屋は、年頃の女性が住んでいるとは思えないくらい散らかっていた。
ここ何日かは掃除も洗濯もしていないことを思い出し、ドゥーエはまた自嘲気味に笑って頭をかく。
そう言えば、シャワーも3日は浴びていない。
どうして彼女がこんな生活を送っているのか、それには理由があった。
一見すると人間と変わりないが、実はドゥーエは稀代の天才にして狂人にして変人、ジェイル・スカリエッティによって
生み出された戦闘機人と呼ばれる人造人間である。元々は管理局最高評議会の意向で極秘裏に開発されたのだが、
2ヶ月前にスカリエッティは聖王のゆりかごと呼ばれるロストロギアを使って彼らに反旗を翻し、ドゥーエ達姉妹もそれに従った。
そして、最高評議会と地上本部の重鎮を殺害することには成功したものの、とある特殊部隊の活躍もあってあえなく御用となり、
彼とドゥーエ以外の姉妹達は全員が逮捕されてしまった。ドゥーエに至ってはその場に居合わせた強面の騎士に
本気で切り捨てられたのだが、運が良いことにその傷は死に至るほどのものではなく、そのまま死んだふりをしてやり過ごし、
事件のゴタゴタに紛れて逃走したのである。
その後、体を修理して苦心しながらもスカリエッティにコンタクトを取ることはできたものの、彼は拘置所生活を割とエンジョイしており、
気が向いたら連絡するからそれまで好きに生きていなさいと言われた。こっちがどれくらい困窮した生活を送っているのかをつらつらと説明したら、
もの凄く真面目な顔で働くことの尊さを語ってきやがった。ニートだった癖に。
とにかく、造物主の気紛れで社会に放り出されたドゥーエは働くことを余儀なくされた。
そして、ISで姿を変えて身分を偽り、アルバイトで生活費を稼ぎながら場末のアパートで暮らす日々を送っている。
だが、どうにもやる気が起きなくてバイトを転々と鞍替えし続けているのが現状だ。
その気になれば、男を手玉に取って貢がせるだけの器量とテクニックがあることは自負していたし、何人かそういう男達が寄ってきたこともあったが、
何となくそれは負けた気がするのでしたくはなかった。
「どっかに良い仕事ないかなぁ・・・・・・・・・」
そんな風に呟いていると、外から誰かが階段を昇る音が聞こえてきた。
ややして足音はドゥーエの部屋の扉の前で止まり、ガチャリと鍵が外されて
眼鏡をかけた青年が室内に入ってくる。
「ドゥーエ・・・・ドゥーエ、いるんだろ?」
「ああ、グリフィス・・・・・おはよう・・・・」
「おはようじゃない、もう夜だ。まったく、どうせ昨日の夜に飲んだくれて眠っていたんだろう?」
「せいかーい。わかってきたじゃない、グリフィス」
頬を綻ばせながら、ドゥーエはベッドから這い出した。
途端に、グリフィスは素っ頓狂な声を上げて自分の目を手で塞いだ。何故なら、布団の下のドゥーエは下着姿だったからだ。
それも扇情的な黒のレース生地で、下着としての役割を果たせないような際どいものだ。
「何を今更、別に初めてって訳じゃないでしょ」
「それとこれとは・・・・・・良いから、服を着るんだ。まったく、どうしていつもその格好なのかなぁ」
「私の部屋着だもの。それに、替えの服なんてないわよ」
全部汚れたまま放置していあるから、とドゥーエは言った。
グリフィスは口をあんぐりと開けたまま室内を見回し、その言葉が真実であることを実感すると、
片頭痛でも覚えたのか額に手を当ててため息を吐いた。
「まったく、君って人は・・・・・」
「裸でも死にはしないわよ。あ、これからシャワー浴びるから掃除と洗濯しておいてね。
後、料理とゴミ出しも」
「ま、待って、どうして僕が・・・・・・・」
「よろしくねぇ」
グリフィスの抗議を無視して、ドゥーエはバスルームに消えていく。
1人残されたグリフィスは、玩具箱をひっくり返されたかのような部屋の惨状を見回し、
ピクピクと頬を吊り上げさせている。そんな静かな怒りを何とか堪えていたグリフィスに、
ドゥーエは容赦のない追い討ちをかけていった。
「あ、それとコンビニで下着買ってきて。後、ビールも」
直後、ドゥーエの顔面に染みだらけの枕が投げつけられた。
□
温めのシャワーを浴びて残っていた眠気を洗い落とし、試供品としてタダで貰ったシャンプーを泡立てていく。
ちょっと前までは1本数千もする高級シャンプーを使っていたのだが、仕送りも何もない今の生活でそんなものを使えば
破産は必至なので、安物や試供品で済ませる日々を送っている。お隣さんから石鹸でも髪は洗えるよと教えられた時は、
何だか新しい世界を垣間見た気がしたものだ。髪が荒れるので滅多にやらないが。
「あ、やっているやっている」
ガタゴトと何かを退かす音と、部屋の中を行き交う足音を耳にして、ドゥーエは苦笑する。
きっと、グリフィスが部屋の片づけをしているのだろう。口では文句を言いつつも、ちゃんと掃除をしてくれる辺りが
彼の人の良さを表していた。しかも、何だかんだで女性に振り回されるのを楽しんでいる節すらある。
いつもは強気に出るとあっさり言うことを聞いてくれる癖に、無茶なお願いをするときちんと断ってくるので、
彼なりに女性との恋愛を楽しんでいるのかもしれない。
「うぅん、お金貸してって言ったら怒るかしら?」
そういうことには意外としつこそうな顔をしているので、止めておいた方が良いかもしれない。
だが、次の仕事が見つかるまでの生活費もない以上、彼を頼るしかないかもしれない。
そこまで考えて、ドゥーエは自分が彼を頼りにしていることに苦笑した。
グリフィスと出会ったのは、1ヶ月ほど前のことだ。バイト先でセクハラをされてムシャクシャしていたドゥーエが、
憂さを晴らそうと出向いた酒場でたまたま席が隣同士になり、意気投合したのである。
その時は特に何もなかったが、その後も何度か同じ店で顔を合わせていく内に関係は進展していき、
気がつけば彼に部屋の合鍵を預ける関係にまで発展していた。諜報員としての性分なのか、あまり人と深く付き合うのは
好まなかったが、彼の優しさはまるでぬるま湯に浸かっているようで心地よく、側にいられても不思議と悪い気はしなかった。
恋しちゃったんだな、と気づくのにそれほど時間はかからなかった。
□
ドゥーエがシャワーを終えると、部屋は見違えるほど綺麗に片付けられていた。
ゴミは全て一纏めにされ、洗濯物は全て干され、律儀に箒で床も掃かれている。
溜まっていた食器の洗い物も全て片付けられており、先程までの散らかりようがまるで嘘のようだ。
恋人の働きっぷりに改めて苦笑しつつ、ドゥーエは彼が買ってきてくれた下着を履いて、
同じく彼が買ってきた缶ビールのプルタブを起こす。袋の中には新品のTシャツも入っていたが、
お礼の意味も込めてこのままでいることにした。
「ドゥーエ・・・・・」
「なに?」
「いや・・・・・」
純粋な抗議の目に、ドゥーエは嘆息する。
自分のような美人の下着姿を拝めて役得と思えないあたり、彼の潔癖は筋金入りだ。
学校では間違いなく風紀委員とかしていたタイプだろう。
「良いじゃない、知らない仲じゃないんだし」
「管理局だからね。ケジメって大切だと思うよ」
「例えば?」
ドゥーエは缶ビールを卓の上に置くと、含みのある笑みを浮かべながらグリフィスの首に腕を巻きつけ、
挑発するように豊満な乳房を背中に押し当てた。瞬間、グリフィスはビクッと肩を震わせたが、
すぐに落ち着いて胸の前に垂らされたドゥーエの手を取り、口元に引き寄せてしなやかな指先に舌を這わせた。
「家の中で服を着るとか、きちんと部屋を片付けるとか」
「ふうん・・・・・それから?」
「安易に男を挑発したりしないとかね。でないと・・・・・・・・」
弾かれたように腕を剥がすと、グリフィスはドゥーエをベッドの上に押し倒した。
そして、自身は彼女の上に四つん這いで覆いかぶさると、鼻先まで顔を近づけて金色の双眸に熱のこもった視線を注ぎ込んだ。
「こういうことになるよ」
「みたいね・・・・・・で、これからどうなるの?」
僅かな高揚感を覚えながら、ドゥーエはグリフィスに質問する。
まるで彼を試しているかのように、挑発的な目で色の白い肌を舐め回し、制服のボタンを1つ1つを取り外していく。
「そうだね。まずキスをして、買ってきたばかりのブラとショーツを脱ぎ捨てて・・・・・・」
「それから?」
「それから、朝までずっと愛し合うんだ。朝までね・・・・・・・君を寝かせたりはしない。朝日を見ながら、
一緒にコーヒーを飲むんだ。そして、君は僕に囁く・・・・・・・・・・」
「こんな風に?」
グリフィスの髪をかき上げ、露になった耳にフッと息を吹きかけると、ドゥーエは鈴を転がしたような
甘い声で囁いた。
「グリフィス、お金貸して」
「・・・・・・・・・・」
失望の声を漏らし、グリフィスは大仰に頭を抱えながら立ち上がった。
そこは「愛しているだろ」と、彼の目は非難するようにこちらを見下ろしている。
彼はそのまま立ち去ろうとしたので、ドゥーエは慌てて飛び起きると、玄関に向かうドゥーエを引き止めた。
「ちょっと待て、今のはじょうだ・・・・・・・」
ドゥーエの言葉は途中で遮られた。
視界いっぱいに広がるグリフィスの顔と、肌に伝わる温もりに、抱き締められてキスをされたのだと気づく。
「嘘は、良くないな」
「あら、嘘は女を飾る化粧みたいなものよ」
「じゃ、その化粧を洗い落として素顔を見てみたいね。今夜は」
ドゥーエの体を持ち上げ、グリフィスは再びベッドへと移動する。
そして、そっと彼女をベッドの上に寝かすと、自身も上着を脱いでドゥーエの上に覆いかぶさった。
今度は探り合うような駆け引きはせず、最初から情熱的に舌を交わらせ、熱い吐息を吹きかける。
互いに手を取り合い、流し込まれる唾液を貪るように啜り合いながら、2人はそれぞれが身に付けている
衣類を1枚ずつ剥ぎ取っていく。
露になった乳房をグリフィスはゆっくりと持ち上げると、パンの生地を捏ねるように揉みしだき、
その谷間に自身の顔を埋めていく。吸いつく様な柔らかさと僅かに残る湿気が女性特有の芳しい香りと合間って、
まるで麻薬のようにグリフィスの理性を揺さぶった。
「あん・・あ・・・・・・グリフィス、子どもみたい。ママが恋しいのかな?」
「そういう冗談は、好きじゃないな」
「ああん!」
下腹部を走る苦痛に、ドゥーエは表情を歪ませる。だが、苦悶の表情はすぐに恍惚としたものに変わり、
ずぶずぶと侵入してくるグリフィスの指を柔らかな膣壁で締め上げ、粘着いた愛液で汚していく。
恥じらいは下着と共に脱ぎ捨てられていた。
快楽を求めて子宮がキュンと疼き、女の劣情が熱く燃え上がっていく。
全身を撫で回すグリフィスの指が、熱い吐息と口付けが、囁かれる言葉が、ドゥーエから偽りの仮面を
少しずつ剥ぎ取っていく。
「あん・・・ううぅ・・・・・んぬぅ・・・・・」
「んんうあ・・・・うう・・・・・・・もう、良いかな」
「待って、私が・・・・・・・」
体位を入れ替え、グリフィスをベッドに上に寝かせてそそり立った肉棒を秘所にあてがう。
顔に似合わず凶悪な色をした男根はまるで鉄のように固く、膣を貫ける瞬間を今か今かと待ち侘びて先走り液を分泌している。
グリフィス自身も心なしかせがむような目でこちらを見上げており、お預けを食らった犬を見ているかのような罪悪感と、
他人を見下す快感がドゥーエの中で混ざり合って奇妙なうねりを形作る。
そのまま挿入させずに肉棒を秘所に擦りつけると、ぬめぬめと輝く愛液が肉棒に絡みつき、
パンパンに膨れた睾丸が尻にぶつかる度に、これから自分の中に大量の子種が注ぎ込まれるのだなと、
興奮を掻き立てていく。
「ううぅ・・・ああ・・・・・・」
「くぅ・・あ・あ・・・・・っ!」
「ひゃぁっ!」
焦らされるのを堪え切れなくなったのか、グリフィスはドゥーエの腰を掴むと思いっきり力を込めて
引っ張った。十分に濡れた膣は抵抗なく肉棒を受け入れることができたが、
突然のことに体が順応できず、肺の空気がいっぺんに吐き出されて呼吸困難に陥る。
「うあぁ・・・あ・・・も、もう・・・・・・・・・・・」
聞き分けのない子どもを愛でるように、ドゥーエはグリフィスの胸板を指でなぞりながら腰を動かしていく。
最初はゆっくりと、グリフィスの動きに合わせるように。そして、燃え上がる劣情のままに少しずつペースを速めていき、
膣全体で肉棒の味を噛み締める。しかし、グリフィスはそれだけに飽き足らず、ドゥーエの体を貫かんとする勢いで腰を突き上げ、
子宮口を強引に抉じ開けていく。子宮の裏側を擦られる感覚にドゥーエは堪らず歓喜の声を漏らし、
グリフィスの胸の上にしな垂れかかった。
「あぁ・・あ・ああん・・あ・あ・・・いいぃ・・いいぃっ・・・・・・」
「ふん・・・・・ふん・・・・・ふぅ・・・ふうぅっ・・・・・」
「ううぅん、うあぁ・・・ああ・・・あうあぁ・・・・」
恋人の体臭を直に嗅ぎ、後頭部をハンマーで殴られたような刺激をドゥーエを襲う。
自然と顔の緊張が解け、快楽に呑まれるみっともないアヘ顔をグリフィスに晒してしまうが、ドゥーエはそんなことを意にも介さず、
貪欲に女の悦びを貪った。嘘で塗り固めた仮面を外し、1人の女でいられる時間を余すことなく味わうために。
「あぁん・・・・あぁ、ううぁ・・・・」
「ああん・・・いくの? もう、限界?」
「君の方こそ、辛そうに見えるけど?」
「まさか・・・・ああ・・・・あぁ、でも・・・・・あぁん・・・んぬう・・・・子宮が、擦られて・・・・・・・」
「このまま射精すと、一発で妊娠しそうだね」
「いやぁ、妊娠はぁ・・・・・・グリフィスの、濃いから・・・・は、孕まされ・・・・・ちゃ・・・・・」
口ではそう言いつつも、ドゥーエは腰の動きを止めようとしない。それどころか、一層激しく動かして、
子宮の奥へ奥へと肉棒を迎え入れていく。根元まで深々と咥え込まれたことで、笠の部分が臍の裏側を擦り上げ、
グリフィスはドゥーエの腹越しに自らの肉棒の存在を感じ取った。
「ふぅ・・ふううん・・・・・・ああぁ・・・・ドゥーエ・・・・もう・・・・・・・」
「んぬぅぁ・・・・・・ああん・・・だめぇ、今、射精されたら・・・・お、堕ち・・・・・・・」
妊娠を恐れて立ち上がろうとした瞬間、汗で足を滑らせてしまい、全体重が重力に引かれて肉棒の上に圧し掛かる。
瞬間、まるで背骨に熱した鉄の棒を突き刺されたかのような感覚が走り、限界を迎えたグリフィスが
子宮内で熱い奔流を炸裂させる。たった一度の射精で子宮の半分以上を満たされ、
痺れるような絶頂の余韻をドゥーエは噛み締めた。
「ああ・・・・うああ・・・・あ・・・・はぁぁ・・・・・・」
なおも脈打つ肉棒を、ドゥーエは静かに締め付けて残った精液を絞り取っていく。
ふと、自分は今どんな顔をしているのか気になった。だが、すぐにそんなことはどうでも良いと考えるのを止め、
精液塗れの子宮で肉棒を咥えたまま、再び腰を動かし始める。
どんな顔でも、彼の側にいる時点でそれが素顔なのだ。
だったら、何も考えずに快楽に耽れば良い。
自分の望むままに、彼が望むままに。
「ドゥーエ・・・・・好きだ・・・・・」
「ええ、私も・・・・・けどね」
唇を吊り上げ、後ろに回した手でグリフィスの睾丸を鷲掴みにする。
反射的に肉棒が跳ね上がり、今までと違うところを擦られてドゥーエは喘ぎ声を上げる。
「ドゥーエ、何を・・・・・」
「あれで堕ちたと思うのは、大間違いよ」
「え、って・・・・・今までのは・・・・・・」
「さあ、演技かしら、それとも・・・・・・・」
悪戯っぽく微笑み、睾丸を刺激しながら跳ねまわる肉棒を堪能する。
女性には理解できない苦しみにグリフィスは目を白黒させて暴れ回るが、
戦闘機人であるドゥーエの力に敵うことはなかった。
「大丈夫、思いっきり絞り取って、天国見せてあげるから」
天使のような微笑みは、しかし悪魔の誘惑にも似た妖しさを醸し出していた。
□
翌日。
「ううぅ・・・・・腰が・・・・・」
言うことを聞かない足腰を強引に動かし、ドゥーエはアルバイト先を後にした。
まっすぐ歩いていたつもりだったが、平衡感覚がマヒしているのか何度も通行人とぶつかりそうになった。
昨晩、調子に乗って盛り過ぎたのが原因だろう。7回目辺りから数えるのを止めてしまったが、
いったい何度交わったのだろうか? 問い質してもグリフィスは答えてくれなかったため、
真相は闇の中だ。ただ、隣で眠っていたグリフィスはミイラ化一歩手前の状態までやつれていた。
本当に天国を見たかのような恍惚とした笑みを浮かべながら。
「さすがにやり過ぎたかな・・・・・・・今度から自重しないと」
性的なことに関してブレーキが利かなくなるのは、数少ない自分の欠点だと思っている。
10年前はそれが原因で危うく聖王教会の司祭を腹上死させかけたこともあった。
幸いにも一命は取り留めてくれたが、それっきりその司祭は不能者になってしまった。
グリフィスにも同じ末路を辿られては敵わない。
「まあ、私が気をつければ良いことだし。それよりも仕事、何かないかしら」
案の定、バイト先は解雇されていたので、新しいアルバイトを探さねばならない。
できればすぐに給金が貰えるものか、食事付きのものが良い。比喩でも何でもなく、
財布の中身は空っぽなのだ。家の冷蔵庫の中にはほとんど使ったことのない調味料と
青果店から格安で譲ってもらったくず野菜、パンの耳があるので餓死することはないが、
ビールは切らしていたので晩酌はできそうにない。あれは毎晩の楽しみだったのに。
そんな切実な思いを噛み締めながら、ドゥーエは駅前で貰ってきた無料求人情報誌のページを捲った。
「えぇっと、カジノのウェイトレス・・・・・建設会社・・・・・・タクシードライバー・・・・・・
ベビーシッター・・・・・どれもパッとしないわねぇ・・・・・・・あら?」
ページの隅っこに書かれた短期バイトの記事に目がいき、しばし黙読する。
内容は寮の管理人の手伝いだ。住み込み可、三食食事付き、資格不要、経験不問。
曽於の他の条件もかなり良い。管理局の寮というのが少し気になったが、ISで顔を変えているので
自分の正体がばれることもないだろう。寧ろ、良い隠れ蓑になるかもしれない。
「何々、希望者は下記の連絡先まで・・・・・時空管理局古代遺物管理部機動六課、局員寮管理人、
アイナ・トライトン・・・・・・・電話してみようかしら?」
彼女が新たな職場でひと騒動起こすのは、また別の話である。
おわり
419 :
B・A:2009/01/19(月) 00:53:34 ID:NpADVe8L
以上です。
大人な女って書くの難しい。
でも書いていて面白かったです、このドゥーエさん。
クアットロが見たら間違いなく卒倒するような暮らしっぷりですが。
>>419 素晴らしい。白グリフィス×ドゥーエさん。
微妙に生活能力欠けていそうなところがキャラにあってるなあ。
>もの凄く真面目な顔で働くことの尊さを語ってきやがった。ニートだった癖に。
ワロタ
>>419 なんという新ジャンル!
GJですよ!!
この後の機動六課騒動編も期待してます。
>>374 GJ!
二人とも冷静になる必要などない
若さに身を任せるべきだ
そして予期せぬ妊娠。当然キャロにばれ泥沼…と期待妄想してしまったが、そうはならずとも続きが気になりすぎます!
しかしこの二人は本当にお似合いだ
>>419 GJ!
本当にクアが見たら発狂しそうだw
しかし、こういうドゥーエさんも悪くはない。
+アンダードッグの続編も気が向けば是非お願いします
>>419 未開拓の次元世界が発見されたッッ!!
そんな風に興奮しまくり!
めっさエロいしw
GJです。
中出しは……イイものだ!(クベ家マ氏風)
しかし、本当に妊娠させちゃった話も読んでみたいぜ!
戦闘機人を孕ます。
これほど充実した性生活はないだろうw
おお〜、なんという未知のカップリング。
しかも凄くしっくり来る。
ドゥーエさんがだらしない生活をしているのは、生真面目なグリフィスの気を引くためなんじゃないかとすら思ったのは俺だけか?
絶世の美女なのに、そういう他人には簡単に見せない面を見せ付ける、やっぱこの人は男を虜にする術をよく知っている。
真面目なグリフィス君には下手な色仕掛けより効果的だぜ。
ともかくGJっした!
良いグリフィス分、そしてドゥーエ分だった。
しかし、サイヒ氏のSSといい白グリフィス分が増えた、これは巻き返しなるか?
425 :
554:2009/01/19(月) 02:25:07 ID:jI5JTgux
クリニック・F最終話できました!
一応投下予告出しておきますが、誰も居ないかなあ。
2:40くらいになったら投下します。
・カップリングはジェイル(あえてこう表記)×ウーノ
・スカの性格がかなり変化してます。それについては保管庫にある話を参照して下さい。
・なのはキャラはスカとウーノ以外はフェイトくらいしか出ません。よってほぼオリジナルストーリー。
・イメージBGMは水樹奈々さんの”through the night”です。 知らなくても楽しめますが、知っているとより楽しめます。
・NGワードは「Clinic F 'through the night' X」です。
それでは原案の73-381氏に多大なGJを送りつつ、投下したいと思います。
「ん……っつぅ…………こ、ここは……?」
「っぁ……! 気が付いたのねっ!? 気が付いたのねっ!!?」
「うぐっ!?」
「あ、その……ごめんなさい……」
見慣れた白い天井をようやっと確認するかしないかの所で護の意識はその途方もないほどの激痛によって完全に覚醒した。
眠れない夜を過ごしていたが為に目尻に隈を従え、感動のあまりに泣きはらして瞳を真っ赤にした――原因はそれだけではないのかも知れないが――藤花が顔を赤くしながら護に抱きついた体を退けていく。
護は一頻り痛がった後、何がなんだか分からない現在の状況の説明を求め、藤花がそれに答える。
「そっか。とりあえず、藤花ちゃんが無事で良かった」
「……うん、ありがとう」
「いいよいいよ。そんなことより……」
「?」
護は大袈裟とも言えるほどしきりに辺りの様子をうかがい、そして悲しげな光をその瞳に浮かべる。
藤花は何のことか分からず、ただ首を傾げるだけだ。
「どうしたの?」
「おかしいんだ」
「え?」
「自分の体のことはよく分かってる。今回のケガは笑い事じゃ済まされないケガだった。それなのに、こんな大ケガなのに家に帰されるなんて……」
生死の境を彷徨うようなケガだったと言うことは分かっていた。しかし、それを一日で意識が回復するまでに治療したジェイルの技術も驚くべき事だが、護が違和感を感じたのはそこではなかった。
何故、彼は診療所のベッドを使わずに自分の家へ帰したのだろうか。
診療所とはいえ、病院ほどではないにしても何日間か入院できるだけの、ある程度の設備は整えられていたはずだと護の脳は記憶していた。
それなのに何故、生死を彷徨うようなケガなのに何故、護を家へ帰したのか。護はそれがどうにも腑に落ちなかったのだ。
護の部屋の中はコチコチという時計の音以外は一切の物音が聞こえなくなり、部屋の中には静寂が包み込む。
護と藤花は揃って渋い顔をして、顔を見合わせた。
「さあ、頼む」
そう言った瞬間に、全てが決したのだ。
ウーノは溢れる涙に視界を阻まれながら、その瞳の数歩先で佇む白衣の背中を必死に写し込もうとする。
赤くなった瞳を擦るとかろうじて彼の背中を捉えることが出来た。それは、いつも数歩後を付き従うようにして歩くのが好きだった自分の見ていた背中ではなく、悲しみに暮れる彼の心情そのものが乗り移ったのではないかと言うほどに、その背中は小さくなっていた。
数歩後を歩くのが好きな自分。仕事が終わった後にちょっとだけ小走りになって彼の片腕に抱きつくのが好きな自分。そして今も、彼の数歩後に自分という存在は確かにある。
けれども、その距離は無限の回廊のごとく自分と彼との距離は目視だけでは到底測れず、手を伸ばしても届かない。
こんなにも彼が近くに居るのに、こんなにも遠く感じる。それは涙による目の霞みによるものなのか、あるいはもう抱きつくことの出来ない彼の腕の温かさを思い出してのものなのか。
見ればそんなジェイルの腕も、心なしか震えているように見えた。昨晩に止まったはずの拳の血も、強く握りしめすぎたのかまたしても深紅に染まった血液がぽたぽたと地面に染みを作る。
何もかもを失ってでも、それこそ自分の人間としての尊厳など、自分の持ち合わせている全てのものを投げ出してでも、彼は彼女を助けたかった。いや、生きていて欲しかった。
自分の存在を身代わりにして一人残される彼女を助けたなどと、そんなことは彼自身のエゴであり、本当の意味で彼女を助けるならば、自分自身も彼女と生き続けるというこの状況では絶対に不可能な選択肢を選ばなければならない。
それでもなお、彼は彼女に生きていて欲しかった。いくら自分勝手だと罵られようとも、いくら彼女がこの先涙を流そうとも、彼は信念を曲げるつもりはなかった。
彼は彼女を愛している。彼女もまた、彼を愛している。それならばこその、涙。そして、きつく握りしめられた拳。
泣いて、項垂れて、絶望し、引き離されていく。そうなると分かってもなお、彼と彼女はお互いを愛し合うことを止めない。逃げようと思えば逃げられるのにもかかわらず、永遠とも成ろう別れをただただ悲しみ、立ちつくす。
その光景にフェイトはそっと目を瞑り、薄く微笑んだ。その姿は彼女の美麗な金色の髪と相まって、神秘的と言えるまでの神々しさをその背中に背負っていた。
やがて、不気味なまでに深紅に染まったフェイトの双眼が開かれ、両手を合わせて付きだしているジェイルに最後の審判を下すため、彼の頭を真っ直ぐ見やる。
拳から流れ出た血は地面を黒く染め上げ、瞳から流れ出た涙も地面に悲しみの潤いを与える。
全ては彼女の一言に委ねられた。ゆっくりと口を開いたフェイトは彼らに向かってゆっくりと、言葉を紡いだ。
「何のことですか? この町にはジェイル・スカリエッティなんていなかった。ここにいたのは、子供を助けた医者だけ」
そう言って、フェイトは薄く微笑んだ。
何がなんだか分からずに、ジェイルは惚けた表情のまま立ちつくしている。その後ろでとすん、という音と共に、泣きはらして瞳を真っ赤にしたウーノが膝から崩れ落ちた。
□ □ □ □ □ □
ひとまず落ち着いて話をしましょう、と言われるままに裸同然だった身なりを正して、ウーノはもう一度丘の下へ急ぐ。もう見慣れた少しやつれた黒髪と、天使のごとく美麗な金髪が揃ってベンチに座っていた。
見ると、彼と彼女の間は警戒心からか少し空いており、かといってそこに自分が嵌るのも何となく気まずい気がしたので、フェイトとは反対側の端にウーノは腰を下ろした。
すると、タイミングを見計らっていたかのようにフェイトがジェイルに笑顔を向けて話しかける。
「どうも申し訳ありませんでした。どうやらあなたのご親戚と間違えていたようでして。いやはや、”同姓同名の親戚”が居るなんて聞いてませんでしたよ」
「……そうですか。よく上司か誰かから甘い、などとは言われませんか?」
「どうして分かったんです?」
「さあて、どうしてでしょうかね」
ふふ、と口元に笑みを浮かべるジェイルとフェイト。今までの緊張感など全く嘘のようだ。その嘘のような雰囲気について行けず、ウーノはジェイルの隣でぽかんとしている。
やがて肘を自らの膝にくっつけて顔の前で手を組んだフェイトがジェイルの方を向かずに、そのままゆっくりと、それでいてはっきりとした口調で話し始めた。
「プロジェクト・Fは、”あなたの親戚”がウーノさん、いえ、フォルさんを蘇らせることを目的としたものだったのでしょう?」
「……そこまで調べていたとはね」
フェイトの問いかけにジェイルは苦笑いをしたような表情で、躊躇することなく頷いた。
フォル・フェリー。聞き慣れない名前にウーノは首を傾げた。
「フォル・フェリー。それが彼女の生前の名前ですね?」
「ああ、そうだ。六歳くらいまでだったろうか。彼女は”彼”の世話係だった。思えば初恋だったよ。今の今まで自覚してなかったがね」
訳の分からぬウーノはしばし考えを巡らせる。
自分は末の妹達とは違いクローン培養だ。当然、クローンなのだからオリジナルとなる人間が存在することになる。
そして、彼の言葉から察するにそのオリジナルが彼の幼い頃の世話係だという。そうなると自分は……。
「私の、この感情はやはり……」
「それは無いと断言しておこう。私でさえも細胞サンプルだけの状態から記憶を再現するのは不可能だ。第一、その頃の記憶があったとしても六歳ほどの子供に恋愛感情など湧くはずがないだろう」
「しかし……ッ!」
あーもう、と実に人間らしい仕草でジェイルは頭をぼりぼりと掻きむしる。
「キミは私を愛している。そうなんだろう?」
「は、はい」
「同じように、私もキミを愛している。それでいいじゃないか」
「う……」
嬉しさか恥ずかしさか、顔をリンゴのように真っ赤にしたウーノが下を向いて俯いてしまう。対するジェイルは涼しい顔のままだ。
しかし、「ごちそうさまです」というフェイトの台詞に少しだけ頬を染めていたところを横目に見て、ウーノは俯きながらふふ、と微笑んだ。
「それで、途中で行き詰まって、だから私の……母さんに丸投げした。そうなんでしょう?」
「プロジェクト・Fというのはフォルのイニシャルから取ったものだ。便宜上、”Fate”という名前でプレシアに書類を渡したのだが……。まさかその”Fate”とこうやって話をすることになるとはね」
「”フェイトお嬢様”だなんて、冗談で言ってるんだと思ってたけど、本当だったんですね」
「かなりねじ曲がった関係だが、言ってみれば”彼”とキミは父と子のような間柄だからな」
「私も最近知ったんですけどね」
「”彼”に変わって謝らせて欲しい。君には本当にすまないことをした」
ジェイルはフェイトの方を向き直り、深々と頭を下げた。それにつられてウーノも揃って頭を下げる。
ジェイルが最後に見た彼女の表情は驚きつつも綺麗な笑顔だった。自分が顔を上げてなおも、彼女は笑っていてくれるだろうか。
共に敵同士だったあのころには、こんなことは絶対に考えなかっただろう。彼は、彼は人間というものがたまらなく好きになっていたのだ。
「顔を、上げてください」
「……」
フェイトが優しく語りかける。
その声で、二人が恐る恐る顔を上げると、そこには先程までと変わらず、綺麗な笑顔を浮かべたフェイトが居た。
「あなたのお陰で、私はこの世に生を受けることが出来ました。大好きな親友がいて、優しい母さんがいて、厳しいお兄ちゃんがいて、慕ってくれる後輩もいる。こんな楽しい世界を見せてくれたあなたに、私はむしろお礼を言わなければいけない」
一呼吸置く。
「本当に、ありがとう」
それの台詞から数分、言葉が発せられることはなかった。風の音だけが聞こえる中で、三人は果てしなく続く空を見上げていた。
それは気まずかったからではない。ただ、彼らがJS事件から続く全てに決着を付けていた。ただ、それだけの時間だ。
言葉にしてしまっては重みのないものになってしまうかもしれないが、彼らにとっては一生であり、その時間というのはいくらあっても足りないものでも良いはずだ。
やがて、三人が空から視線を戻すと、何かに取り憑かれるようにジェイルが話を始めた。
「私の診療所はクリニック・Fと言ってね、最初は名前がなかったんだが、キミたちのような生い立ちの人でも変わらなく医療がしたい、してやりたいと診療をしているうちに思ってね、だからキミやフォルのFを付けたんだ」
「どうやら、信頼の厚いお医者様になられたようで」
「まだまだ、これからだよ」
「昨日怒られてしまいましたよ。ジェイル先生はそんなことをする人じゃない、とね」
買いかぶりだよ、と言って首を振るのはジェイル自身だ。
最も、それは買いかぶりなどでは到底なく、この町でジェイルに感謝をしていない人間など一人足りとていなかった。信頼という面では何一つとして欠けているものが有りはしない。
「それでだね、一つキミに相談があるんだ」
「なんでしょうか?」
「折り入って頼みがある。それはだね―――――
この後も世間話ともとれるような小さな話が広げられていった。
この町の人間で彼らを見かけた者がいたらしいが、かつての仇敵になど見えるはずもなく、久方ぶりに再会した親友のように見えたという。
□ □ □ □ □ □
「それでは、私はこの辺で」
「本当に世話になった。せめて、駅まで送らせてほしい」
「この貸しは、これからということで。今日はここで良いです」
「……そうか」
太陽が西の山裾に沈もうかという頃、あたりは既に夕陽色に染まっていた。
すがすがしい笑顔でさよならを告げるフェイトの表情にはもはや一遍の曇りもなかった。
「いいところですね」
「ああ。なにもかもが、優しいんだ。山も、町も、人も」
そう言って屈託のない笑みを浮かべるジェイルに、もはや悲壮の表情はない。
ジェイル自身、この町に何度助けられてきたのか分からないと思っている。
不器用ながらもこの町に尽くし続けてきた。あれだけ狂っていた人間が、ただ人に喜ばれたいと純粋に思わせてくれるだけの温かさ、魅力がこの町にはあったのだ。
一吹きの柔らかな風が夕陽に照らされたフェイトの綺麗な長い髪を揺らし、それを押さえながら振り返る。
「それじゃ、今度こそ」
「次に合う日を楽しみにしているよ」
「案外早く来ちゃったりしてね」
「はは、なら来ればいいさ」
そうですね。そう優しく微笑んだあと、金色の神を揺らしながらくるっと回転して歩き出す。
その背中に、ジェイルは無言で頭を下げた。その後ろで、ウーノも深く深く頭を下げていた。
これから彼らの物語が始まる。誰にも邪魔されることのない、彼らだけの人生が。
夕陽によって長く伸びた影が近づいていき、やがて一つになった。
□ □ □ □ □ □
「少々寒いな、ウーノ」
「そうですね、ドクター。上着を持ってきましょうか」
「そうだね、頼むよ」
周囲の山々は徐々に紅や黄など多彩な色合い染まり、多くの者を魅了する。
電車が一時間に一本しか来ないような小さな町の丘の上にある、これまた小さな診療所。
その入り口の前に長身で少しくたびれたような外見の男と、男に寄り添うようにして立つすらっとした体型が特徴の女。
二人はもう何度目とも知れぬ紅葉という四季の移り変わりに感嘆しつつ、これからの生活に思いを馳せるのだった。
小さな町の小さな診療所、クリニック・F。その一日が綺麗なオレンジに輝く太陽の姿とともに、今日も終わりを告げようとしていた。
―――そんな時。
「ママー! パパー!」
「ただいま、ママ、パパ」
山から降りてきた二人の子どもが勢いよくジェイルとウーノに抱きつく。女の子はジェイルの胸に、男の子はウーノの胸にそれぞれ抱かれている。
年は同じくらい。そして、似てはいるが所々が違うその出で立ちと、活発な女の子と内気な弟というまるで正反対のその性格。どうやら二卵性の双子のようだ。
「あのね、こんなにおおきなイガグリひろったんだよっ!」
「おお、これは凄いねえ。私もこんなに大きいのは見たことがない」
「あのね、きれいなはっぱをたくさんひろってきたの」
「あら、これは綺麗ね。そうだ、後でしおりにしましょうね」
そう言って二人の戦利品に一つ一つ目を通しながら、これはなんだ、あれはなんだ。そんな報告を一つ一つ聞いていき、その度に二人の顔からは微笑みが漏れる。
何でもない家族の光景。小さな双子は仲良く手を繋ぎ、更に両の手は両親へ。そんな当たり前の光景は数々の奇跡によって成り立っていることを、ジェイルとウーノの間で元気にはしゃぐ二人は知らない。
しかし、それでいいのだ。今のジェイルとウーノは診療所を営むおしどり夫婦という、日本中探せばどこにでもいるような夫婦。今の彼らにはそれだけで良かったのだ。
そんな名前が出ても、いい。過去は過去であり、この子達には未来を生きて欲しい。ジェイルとウーノの意見は相違なく同じだった。
だから、彼女たちは昔の知り合いで、時々この場所を訪れてくれて、子供達の良い遊び相手で。そんな関係でいいのだ。
「スバルお姉ちゃんとギンガお姉ちゃんにはたくさん妹が居てね、だからもっと賑やかになるかも知れないわね」
「ホント!? やったー!」
「いつくるのかなあ……」
ただ、過去のことは過去で良い。大事なのは未来であり、過去ではない。
しかし、過去は未来へと繋がっていく。意志と命は受け継がれ、そして次の世代へ。
「じゃあ、今度来るときはパーティーにしようか」
「パーティー!」
「やったーっ!」
小さな町の小さな診療所、クリニック・F。
寒空の中、夕陽に照らされて朱色に衣替えしたその館は、優しく微笑んでいるようだった。
心からの笑顔でその中へと入っていく親子と双子。パタン、という音と共にドアは閉じられ、消えていく。
明日も明後日も明々後日も、同じようにやってくる。それは楽しかったり、辛かったりするかもしれない。
けれども、その先にあるのは未来であり、辛辣な過去の記憶はもうやってこないのだ。
あるのは、この子たちと共に笑いあって、悲しんで、頑張って、そうして日々を過ごしていく。そんな希望に溢れた未来だけ。
そんなことを思いながら、隣で仲良くすっかり寝てしまった双子を見て、そしてその向こうでこちらを向いて寝息を立てているジェイルの顔を見ながら、ウーノは微睡みに身を任せる。
目を閉じて、子供たちのいる方を向いて静かに寝息を立て始めるウーノ。口元は笑みを形作り、とても気持ちよさそうだ。
彼女が浮かべるその微笑は、幸せに満ちあふれていた。
This story is an end in this . However,this story continues forever .
The next story is in your heart....
Thank you !
437 :
554:2009/01/19(月) 03:03:35 ID:jI5JTgux
まあ、最終回はお約束のフラグ回収話でしたね(挨拶)
うん。フェイトさんはいい人が似合います。 悪役なんかやらせるもんじゃないね。
あ、毎度のごとく英語は適当なので、そこのところのはご勘弁を。
これにて永い間続いたジェイルさんとウーノさんのお話も一旦終わりです。 GJをくれた皆様、そして読んでくださった全ての皆様、ありがとうございました。
いやはや、こんなに長いお話を完結させたのはこれが初めてでして、作者自身驚いております。
やっぱり、ここまで書き切れたのも応援してくれた皆様のお心添えがあってのこと。ありがたいことです。
それではアイデアを貰った73スレの諸氏。そして、原案をくれた73-381氏。そして、このお話を読んでくださった全ての皆様に多大なGJを送りつつ、投下を終わりますっ!
>B・A氏
真っ白なグリフィスGJ!
ドゥーエさん、ぶっきらぼうに見えて彼に依存してて、そんなとこが可愛いです。
>保管庫管理人様
いつもご苦労様です。
えと、
>護と藤花は揃って渋い顔をして、顔を見合わせた。
と
>「さあ、頼む」
の間に、
>
>
>
> □ □ □ □ □
>
>
>
を挿入していただけるとありがたいです。 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
さて、ここでもう一つ。 何か忘れてない? そう思った方。
そうなんです。何か忘れてるんです。実は、例の話がまだあるんです。
というわけで、もう少しだけお付き合い下さい。 例の話の前に短編を何本か投下して、最後を締めようと思います。
じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃじぇいっ!!
439 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 08:33:01 ID:DEup90CO
>>406 乙です
本編ではいまいちだった4人組での戦闘を期待してもいいんだろうか
>>419 GJ
しかしこのスレでは本当に色々なカップリングが飛び出すなw
>>437 完結おめでとうございます
>>406 GJ!
なのはシリーズにあった名前に関するエピソードをやるのか
ってかアインヘリアルって勇者の魂とかそういう意味だっけ?
>>437 お疲れさまです。
短編も楽しみにしています。
“戦死した”勇者の魂だな
本編で名前だけ出た時は人造魔導師や戦闘機人の特殊部隊かなとか想像したな
北欧神話のヴァルキリーに死んだ後、魂を回収された勇者たちだっけ?
ラグナロクに備えて回収されてるんだよなぁ。待遇はいいけど、神の私兵であり奴隷w
本編での扱いを連想させるような名前だなw
まあ、◆Po/NFU1fxk氏の作品ではそれなりに活躍しそうだから少しは救われるか
それなりどころか前回の戦いのフィニッシャーじゃん、一応w
動力がヒュードラで安定してないってのが惨劇フラグな気もするが
445 :
7の1:2009/01/19(月) 20:22:56 ID:dqZ11bUg
注意事項
・微エロ?で一部バトルを含みます
・前作:「再び鎖を手に」の続編です。
・時間軸はJS事件から1年後
・ユーノ×なのはです。
・捏造満載
・キャロ・エリオ・ルーテシアは出ません。(3人のファンの方、すみません)
・前作からのオリキャラ出ています。
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・主人公 ユーノ
・タイトルは 翼を折る日
446 :
7の1:2009/01/19(月) 20:24:45 ID:dqZ11bUg
第3章
週末の海鳴市行きを約束して、なのはを返したユーノは、目の前に展開した5つのモニターに、無限書庫で発見したリンカーコアバーストに関する資料を表示すると速読魔法で内容を確認し始めた。
死の軛”リンカーコアバーストの恐怖(リンカーコアバースト人格変異による大量殺人の記録か・・・)
プロジェクトR(リンカーコアバーストを殲滅戦専用兵器として運用するための計画、結局は失敗したのか)
リンカーコアバースト症例集(軌道ホスピス収容者への人体実験の記録か・・・おぞましいな)
白き聖光と緑陰の騎士(聖王陵の歌碑か、なのはの見た幻視、そっくりじゃないか!)
「軌道ホスピスの設立に関する議事録か・・・ミッドチルダ人にとってリンカーコアバーストは死の代名詞と言
われるのも無理はないな」
ミッドチルダ人と違って、魔力量が相対的に乏しかった古代ベルカ人では、リンカーコアバーストを発症する
者が希だった為か、文献自体が少ないうえに古代ミッドチルダvs古代ベルカ戦争の惨禍により大半が消失し、ミッドチルダ側の文書に引用文献として記載されているだけである。
あらゆる文献、資料を収蔵すると言われている無限書庫でも、消滅したものは収蔵できない。
「頼みの綱は、聖王陵の提供してくれたデータだけか・・・だが、なのはは97管理外世界人だ」
おもわず独り言をもらしたユーノにマテウスの相づちが重なる。
「そうですな。高町一尉は、確かにミッドチルダ人でも古代ベルカ人でもない」
「マテウスさん。失礼じゃないですか、ノックもなしに・・・」
<ユーノ館長、先ほどバウアー卿の入室をお知らせしたはずですが?>
館長室管理システムが、無情にもユーノの不注意を告げる。
「失礼しました。僕の不注意でした」
「いや構いませんよ。ここに座っていいですか?」
なのはが座っていたソファーの向かいに座ったマテウスは、咥えていたちびた葉巻を次元の狭間に捨てると、
新しい葉巻を取り出して火をつけた。
「ご用件は、何ですか?」
「ちょっとした情報提供が二つありましてね。ところで高町一尉が来ていたようですな」
テーブルの上に置きっぱなしのランチボックスに目をやったマテウスは、うらやましいですなと笑った。
「フィッシャーマンに聞きましたが、スライの連中は、よく働いてるようです。推薦した甲斐がありました」
ある時空犯罪者の自白から、スクライア一族が遺跡盗掘に関わっていたとの疑惑が浮上している現在、レナードたちをスライ族だと保証してくれるマテウスの配慮に、ユーノは素直に頭を下げた。
「スライ・・レナードの件、ご尽力いただいたこと感謝しています」
経緯や思惑はともかくスクライア一族を救ってくれた恩人に感謝するユーノの態度に照れたのか、マテウスは
葉巻を持ってない方の手で髪の毛を引っかき回しはじめた。
「いつまでも只飯食わせるわけにもいかなかったですからね。聖王陵のモットーは”能ある者は働くべし”
そしてスライ一族は、遺跡発掘のプロで、発掘物の搬送や保存、分類に関しては第一級の能力者です。無限書 庫が採用してくれて助かりましたよ。発掘禁止遺跡だらけの聖王陵じゃ、使い道が無い連中ですから」
<コーヒーが届きました。入室を許可しますか?>
「ああ、頼むよ。ユーノ博士は、ブラックでしたよね?」
「これじゃ、僕がお客のようですね」
本局の食堂から出前された ブラックコーヒーのカップを受け取りながら笑うユーノを気にする風もなくマテウスは切り出した。
「ところで、フィッシャーマンに人事異動の話が出てるのをご存じですかな?」
「人事異動だって!僕は聞いてないぞ」
447 :
7の1:2009/01/19(月) 20:28:10 ID:dqZ11bUg
3-2
予想外の話題に思わず立ち上がるユーノを見上げた格好のマテウスは、皮肉な口調で続けた。
「それは、そうでしょうな。無限書庫館長といっても民間協力者のあなたに人事権はない。まあ、人事部へ採用
候補の民間協力者を推薦することと人事異動への異議申し立てくらいはできますがね」
なのはのリンカーコアバーストの件だけでも手一杯のユーノにとって、第一級ロストロギア関連以外の調査依
頼を独自に編成した文献調査チームを使って処理してくれるフィッシャーマンは、右腕と言うより、もはや半身といっていい存在である。
それを自分に相談もなく一片の異動通知で動かそうとは・・・・・
「彼は無限書庫にとって必要不可欠の人材なのに・・・それをなんで、マテウスさん、一体、誰が糸を引いてい
るんです?」
「コーヒーがこぼれてますよ」
「・・すみません」
興奮するユーノの頭を一言で冷ましたマテウスは、床にこぼれたコーヒーを紙ナプキンで拭き終わると
「陸の連中と違って、海の連中の競争は熾烈ですからね。自分の功績評価に直結する情報のブランド価値に敏感
なんですよ。そう言う連中にとって第一級ロストロギア関連の情報を提供するユーノ博士名義のレポートが欲
しいってのが本音でしょう」
コーヒーを飲まれたらいかがですと勧めるマテウスを一瞬、睨みつけたユーノは、一気にコーヒーを飲み干す
とソファーに腰を叩きつけるように下ろした。
「どういうことです? 無限書庫への依頼は、各次元世界の安否に関わる重大事項であるロストロギア関連が主 です。
まともな資料を提出しなければ調査隊が危険に陥るんですよ。我々の提供する情報が」
「いい加減だと言う連中に調査隊を名乗る資格はないでしょうね。しかし、調査隊も所詮は人の集まりです」
ユーノの言葉を引き取ったマテウスは、葉巻を吸いながら続けた。
「連中に言わせれば、たかが武装隊上がりの副司書長が自分たちの依頼を処理するのに、ハラオウン系の依頼は、
無限書庫館長のユーノ・スクライアが直々に処理するってのが許せないんですよ。俺の依頼は、ハラオウンの
依頼より軽いのか?ふざけるんじゃないって憤懣がフィッシャーマンに向けられてるんですな」
「しかし情報の精度に差はありませんよ。むしろ僕が調べるより調査チームが調べた方が、精度の高いこともあ
ります。情報にブランドはないんですよ」
「ご謙遜を、ユーノ博士のレポートのブランド価値は、フィッシャーマンブランドの10倍は価値があります。管
理局の調査隊に対する評価も、それに準ずる訳です。彼らがフィッシャーマンを追っ払いたくもなるのも無理
はないと思いますよ」
2杯目のコーヒーを一気に飲み干したユーノはマテウスを振り向いた。
「やはり評議会入りするしかない訳ですか。それを勧めるために・・・」
自分の問いかけを無視したマテウスが、展開されたままのモニターに映っているリンカーコアバーストに関す
るミッドチルダの文献に見入っているのに気づきユーノは沈黙した。
「ふむ、やはり古代ミッドチルダでは、リンカーコアの研究が進んでなかったんですな。まあ、魔力量が豊富な
ミッドチルダ人にとっては、金持ち喧嘩せずでリンカーコアバーストの治療なんて面倒なことをしたくなかっ
たんでしょう。古代ベルカ人が乏しい魔力量を有効利用するために、リンカーコアバーストを研究したのとは
大違いですな」
葉巻を口にくわえたまま、モニター上のデータを見続けていたマテウスは、こりゃ駄目だとつぶやくと続けた。
448 :
7の1:2009/01/19(月) 20:32:05 ID:dqZ11bUg
3-3
「フィッシャーマン程度の件で評議会入りを勧めるはずが無いでしょう。人事異動を阻止する手段はいくらでも
ありますよ。例えばユーノ博士のように」
「民間協力者ですか?・・・・評議会の承認が必要でしょう」
「その点は、ご心配なく。それより高町一尉の件ですが、経過はどうですか?」
「情動衝動の暴発が起きました」
子供が欲しいと迫ってきたなのはの顔を思い出したのかユーノは暗い顔になった。
「まさか、抱かなかったでしょうね?」
「マテウスさん!」
「これは失礼。この間、お渡ししたディスクに、セックスのもたらす高揚感がリンカーコアバースト発症の引き
金になったという症例が載っていましたよね。」
「ええ、あれを知っていなかったら、僕もなのはも破滅していたでしょう」
濡れた目で自分を上目使いで見るなのはの顔を思い出したユーノの背中を戦慄が走り抜けた。
(もしリンカーコアバーストのことを知らなかったら、僕はなのはを・・・)
<フィッシャーマンより通信が入っています。繋ぎますか?>
「緊急通信ですな」
葉巻をもみ消し、部屋の隅に退いたマテウスを確認したユーノは、壁面にモニターを展開した。
「ジョン、何があったんです?」
「テスタロッサ執務官からの緊急依頼がありまして、第13調査班に該当文献の調査を命じたのですが、既に何者
かによって持ち出された形跡があります。無限書庫の入り口を閉鎖し、武装司書隊で調査に当たります」
緊張した面持ちで報告するフィッシャーマンが、持ち出された文献のリストをモニターに表示していく。
「ジョン、調査の必要はありません。文献を持ち出したのは僕です」
「ユーノ館長!」
「学会で発表する論文に必要なんでね。すぐに戻すつもりだったんですが・・・皆に迷惑をかけてしまったな。
申し訳ない」
「いや、文献があればいいんです。依頼内容は”リンカーコアバースト症候群に関する基礎資料”報告期限は、
48時間以内です。第25調査班と第38調査班をそちらに向かわせます。論文の提出期限は何時ですか?」
ユーノの負担を少しでも減らそうとするフィッシャーマンの配慮はありがたかったが、第56管理世界の遺失
文明の戦史と第3級殲滅型ロストロギアの関係の文献調査に苦吟している二つの調査班に迷惑はかけられない。
(それに・・・これは僕の仕事だ!)
「2ヶ月後です。依頼の方は僕が処理します。25班と38班には、現在、依頼されている仕事に専念するよう
伝えてください。どうしたんですジョン?」
「ジョン、繋いでください。無限書庫は、依頼者に扉を閉ざすことはないのがモットーです。館長が権威化した
ら無限書庫はお終いです」
「わかりました。面会依頼者は、ティアナ・ランスター執務官補、テスタロッサ執務官の部下です」
「ティアか、旧六課時代のなのはの部下だった娘だ。繋いでください」
「了解。面会時間は30分に限ってください。40分後に、ヒルデガルド提督との第41管理世界から収集した
資料の取り扱いに関する会談が入っています」
「わかりました。20・・15分で話を終えるようにします」
「それまでに提督の無限書庫搬入希望の文献リストを再度、確認しておきます。重複文献については、待機検討
書庫に入れられるか担当のレナードと話しておきます」
では、と手を挙げてフィッシャーマンは通信を打ち切った。
449 :
7の1:2009/01/19(月) 20:35:59 ID:dqZ11bUg
3-4
「ティア、久しぶり。ヴィヴィオを無限書庫に連れてきて以来だね」
「ユーノ館長、お久しぶりです。このたびは無理な依頼をして申し訳ありません」
緊張した面持ちで自分に対するティアナに違和感を感じたユーノは、ティアナが右足に包帯を巻いていること
に気がついた。
「レポートは24時間以内に提出できる。ところで何があったの?」
「べ、別に何もありません」
「右足を怪我してて? かなり酷い怪我だったんだね。フェイトは、どうしたの? 怪我人に調査依頼をさせる
なんて彼女らしくないな。ティアナ?」
ユーノの問いかけに、ティアナは一瞬口ごもると肩を震して泣き出した。
「フェイトさんは・・・重傷です。私の・・・私のせいなんです。リンカーコアバーストの犯罪者から私を守ろ
うとして、墜とされたんです」
ティアナとの通信が終わった後、呆然としていたユーノを正気に戻したのはマテウスの一言だった。
「コーヒーをどうぞ」
「ありがとうございます」
コーヒーを受け取りソファーに腰を下ろしたユーノは、ティアナの話した事実に衝撃を受けたのか押し黙った
ままだった。
「Bランクの犯罪者が、S+ランクの執務官をICU送りにするなんて、リンカーコアバーストを知らない人間
が聞いたら、悪い冗談としか思わんでしょうな」
「S+ランクのなのはが発症したら、SSそれともSSSランクになるんですか?」
リンカーコアバーストしたなのはがSSランク以上の力を発揮したら自分では止められない。ユーノの独白に
は絶望の響きが深かった。
「高町一尉ならSS+オーバーは確実ですな。狂戦士化されたならSSSに迫るかもしれませんね」
「狂戦士だって!?」
450 :
7の1:2009/01/19(月) 20:37:24 ID:dqZ11bUg
3-5
「高町一尉の家系を調べたのですが、武道の血筋で、叔母が傭兵、父親が元シークレットサービス、兄もリンカ
ーコアがないのに剣技ではシグナムと互角に戦える。それにも関わらず高町一尉は運動音痴です。おかしいと
思いませんか?」
「なのはは、桃子さんの血を引いたんでしょう。美由紀さんや京也さんと違って士郎さんの資質を遺伝しなかっ
たと考えれば、運動音痴だっておかしくない」
そう言い切って、ユーノはコーヒーを飲み干した。
「フェイト・テスタロッサとの戦闘を覚えていますよね」
「忘れるはずがないでしょう。フェイトは、僕となのはが初めて一緒に戦った魔導師ですよ」
「記録映像を見ましたが、魔法だけで、あれだけの反射性と機動性を出せるはずがない。基礎運動能力が高くな
いと不可能なはずです。ところが、個人記録を調べると運動音痴となっている。初めは、記録ミスだと思いま
したよ」
(・・・・確かに、フェイトの高速機動に対応したなのはの反応は、魔法だけでは不可能だ。運動能力が高くな
いとできない。何故だ?何故、なのはは運動音痴なんだ? まさか・・・)
「リミッターだ! なんらかのリミッターが掛かってるんだ」
「ご名答。魔法を使用する時には、リミッターが解除されるんでしょう。そしてあなたと出会った時点で」
「なのはは、運動音痴でした。9歳以前のなのはにリミッターを掛けられるのは高町家の人しかいない」
ソファーから立ち上がり、室内をぐるぐると回り始めたユーノを見ていたマテウスは、懐中時計を取り出すと
立ち上がった。
「そろそろ時間ですな。ヒルデガルド提督を待たせるのはまずいでしょう。なにせクロノ提督に次いで、無限書
庫の必要性と功績を本局で主張されている女傑ですからね」
「リミッターが解除される確率は、何%ですか」
「99%以上。リミッターが解除された高町一尉は狂戦士になるでしょう。それでは失礼します」
ユーノの返事も待たずにドアに向かったマテウスは、言い忘れたことに気づいたのか振り返ると言葉を継いだ。
「週末の海鳴市行き、幸運を祈りますよ。 それとリンカーコアコントロールについてわからないところがあっ
たらメールしてください」
「二番目の話はそれだったんですね・・・」
フィッシャーマンの異動の件やフェイトからの緊急依頼に紛れて、自分が最も必要とする情報を得る機会を逃
したことに気づいたユーノは、マテウスの出て行ったドアを呆然と見つめていた
451 :
7の1:2009/01/19(月) 20:49:23 ID:dqZ11bUg
以上 翼を折る日 第3章 終了です。
今回の作品では、無限書庫の設定が少し出てきます。
裏設定
文献探索チームは、5人編成(検索1速読1レポート作成1 予備2(検索1、速読1)です。
武装司書隊 無限書庫司書殺害事件(犯人はドゥーエ)を契機に結成される。
隊長は、ジョン・フィッシャーマン 隊員は武装隊隊員OBで本好きの連中をスカウト
実力は、それなりにある。
>>374 GJ!!
エリルーいいよエリルー
これはラブラブの純愛ルートになることを希望する!!
キャロも一緒に引き込んで必死に説得すれば、ドロドロならずに二股エンドも可能だと思うんだ…
>>451 GJ。書庫話はジワジワ来ていい感じ。フェイト重傷かぁ。
>451
派閥とかのどろどろとした要素が好きです頑張ってください
原作のあやふや過ぎるユーノと無限書庫の捏造具合がGJすぎです。
リンカーコアバーストの設定がやたらと負の方向に傾きすぎてるのが
気になりますが、なにか裏設定がある様子…期待しております。
>>406 いちいちトリップ変えんな
駄文が目に入っちまったじゃねーか
>>437 完結乙です。
いやぁ、二人の物語、実に良かったです。
こういうしんみりしたSSが好物なので堪りませんでした。
GJ!
>>455 トリバレしたんだから仕方ないだろ
前に騙りも出たし
どうせいつのもの荒らしだろうから構うなよ
作者が来なくなったら困るから俺以降この話題禁止
鳥バレ見て思ったけど、なんであんな簡単なのを使うかねぇ
そりゃね…………
二、三作だけのつもりだったからですよ。
まさかこんなに続くとは………
自サイトよりもリアクションの多い場所だからこうなるw
尊ぶべき愚者本編も楽しいのだが、個人的にはSTS後の話も読んでみたいw
スカ博士は保険を掛けているし、レジアスがいない今とかが気になる。
理想郷にそれらしき話があるんだがな
なんでここに投下しなかったんだろ?
粘着荒らしがいるからじゃね
確かにその作品は荒らしに粘着されてて息抜きがてらに嘘予告を投下したら続きを書いてほしいと言われて書いた作品です。
常々設定がリンクしているのに複数のサイトで投下するのはどうかと思っていたので、このスレで見たいという人がいるならあちらを削除してこちらで投下する事も考えておきます。
期待して待ってます
466 :
ザ・シガー:2009/01/21(水) 19:15:23 ID:J8laUN9U
さて、投下投下。
レジなの行くよー。
レジアス×なのは、非エロ、『ある中将と教導官の日々』九話ね。
ある中将と教導官の日々9
機動六課隊舎、その廊下を一人の女性が歩いている。
女性らしい起伏を有する引き締まった体を青と白の教導隊制服に身を纏い、サイドポニーに結った艶やかな栗色の髪を揺らした女性。
機動六課スターズ分隊隊長、高町なのは。エースオブエースの名高き空のエース級魔道師である。
だが今の彼女にエースとしての凛然とした姿は欠片もない。
書類を脇に抱えたまま、どこか上の空といった風にフラフラとおぼつかない足取りで歩く様はまるで夢遊病者のようだ。
ふとその姿を視線の端に捉えたスバルがなにか声をかけようとしたが、一瞬遅い。
なのははなにもない廊下で転び書類を盛大にばら撒いてしまう。
「いたた……」
「だ、大丈夫ですか!?」
「あ、スバル……うん、大丈夫だよ」
少し困ったような、そして今にも泣き出しそうな顔でなのはは笑いかけた。
そんな顔で“大丈夫”などと言っても、ちっとも信じる事なんてできない。
先日の一件以来、彼女はこんなミスの連発だった。
戦闘の教導でも狙いを外し、デスクワークでもミスの連発。まるで普段の彼女らしくない。
スバルはそんな彼女に口を開いてなにか言おうとした。
何故そんな顔をしているのか? どうしてそんなに元気がないのか? 一体なにがあったのか?
でもそれらの言葉は少女の口からなかなか出てこない。
自分がどうなのはに話しかけて良いか、まるで分からなかったから。
床の上に散乱した書類を手早く拾い上げ、なのはは足早にその場を去って行く。
スバルは彼女のそんな後姿になにか声をかけようとするが、上手い言葉が見つからない。
だから少女はただ感情の赴くままに声を張り上げた。
「あ、あの、なのはさん!!」
廊下どころか、少し離れたデスクまで響き渡るような大きな声がスバルの口から発せられる。
突然耳の奥にキーンと響いた声に、なのはは目を白黒させて顔に驚愕の二文字を張り付けた。
キョトンとこちらを見つめる上官に、スバルはしどろもどろになりながらも言葉を続けた。
「そ、その……す、少し“お話”良いデスカ?」
□
機動六課隊舎、その中庭に二人はいた。
時間は午後を少し回った頃合、他の局員は皆デスクで仕事に追われている。
その場にいるのはスバルとなのはの二人だけだった。
こんな事が知れたら上司である十年来の親友から注意を受けるだろうが、なのははそんな風に考える事すら忘れて、中庭に設けられたベンチに座りただ空を眺めながら溜息ばかりついている。
なのはの心を支配するのは、ただ想い人への恋慕が虚しく敗れた空虚さと自分を女として見れもらえなかった精神的ショック。
彼女は今、自分の胸に大きな風穴が開いたような錯覚すら感じている。
そんな憧れの上官に、艶やかなショートカットの青毛を揺らした少女が手に缶を持って駆け寄った。
「あの、コーヒーで良かったですか?」
「うん、ありがとう」
差し出された缶、表面に薄く霜が降りていかにも冷たそうなソレをなのはは受け取る。
見た目どおり冷たい缶コーヒーの感触に、掌にひんやりとした刺激が走り脳髄へと伝達。
鬱屈と虚脱していた思考を少しだけ和らげてくれた。
「それで、お話ってナニかな?」
手にした缶のプルトップに指を這わせ、小気味良い音と共に外しながらなのははスバルに尋ねる。
隣りに座った少女、スバルは手にした缶を開けて中に満ちたコーヒーで一度喉を潤すとゆっくりと言葉を紡ぎだしていった。
「あ、えっとですね……その、なのはさんが最近元気なさそうだったから……その、ナニかあったのかな? って」
スバルの言葉に、なのはは胸中に苦いモノが流れるのを感じた。
本当なら部下の、教え子の模範となるべき自分がその相手から自身の至らなさゆえに心配されている。
なんとも情けない話だ。
なのはは困ったように苦笑して、恥ずかしそうに頬を掻いた。
「はは、やっぱり分かり易かったかな? ごめんね、だらしない教官で」
「いえ! そ、そんな事ないです」
「ううん、だらしないよ……これじゃ教導官失格だね」
「なのはさん……」
哀しい顔だった。
いつも浮かべているあの優しく明るい微笑みが嘘のように、なのはの顔は悲しい顔だった。
形だけは微笑だったが、その中に満ちた悲哀がどこまでも彼女に悲しみで彩っている。
敬愛する上司のこの姿に、スバルはギュッと胸が締め付けられるような気持ちになった。
少しでも彼女を助けたい、少しでも彼女の力になりたい、少は強くそう想う。
「あの、よければ話してくれませんか? ナニか……あったんですよね?」
なのはを慕う少女の瞳が、彼女を正面から見据えた。
まっすぐな、一点の曇りもない澄んだ瞳。
その引きこまれるような美しい二つの光に、なのはの心の中のしこりが僅かに緩む。
自分の中に生まれたこの痛み、吐き出せば楽になれるかもしれない。
うら若き教導官はキュッと唇を噛み締め、この淀んだ苦悩を吐き出す意図を決意する。
「それじゃ、聞いてもらおうかな……ちょっと長くなるかもしれないけど」
□
なのはは話した、最近の自分の身に起こった事を洗いざらい。
無論、レジアスの名前は伏せてはいたが、彼のいるベッドに無防備に潜り込んだ事まで赤裸々に告白した。
乙女が初めて体験した恋の物語、それはとても甘酸っぱくてほろ苦い味。
そして聞いている方が恥ずかしく、歯痒くなるような初々しいものだった。
「……まあ、こんなところかな? 最近の私がおかしい原因は」
「そ、そんな事があったんですか……」
「うん。見事に振られちゃった。やっぱり、私じゃ魅力とかないみたいで……」
「そんな事ないですっっ!!」
なのはの言葉が全て言い切られる前に、それをスバルが大きな声で遮った。
すぐ近くで発せられたその声に、なのはは目を白黒させて驚く。
だが彼女のそんな様子など知らず、少女は勢い良く立ち上がり言葉を続けた。
「なのはさんは綺麗だし……その、凄く魅力的です!」
「で、でも……私」
「なのはさん、自分に自信を持ってください! ちゃんと想いを伝えればきっと通じる筈です!」
「想いを……伝える?」
「はい。なのはさん、その人にまだきちんと言ってないんですよね? “好き”って。なら言ったほうが良いです。
その……私もそういうことはよく分からないんですけど、やっぱり正面からなにも隠さずに気持ちを伝えなきゃダメだと思います」
まっすぐで、そしてどこまでも透き通った美しい瞳で見つめながら少女はそう断言した。
スバルに恋愛のイロハなんて分からない、それこそまだ異性にそのような感情を抱いた経験すらない。
でも、だからこそ彼女には余計なものなど一つも無い恋を語る事が出来たのだろう。
少女の持つ純粋な言葉を、なのははゆっくり噛み締めるように反芻した。
「そうかな?……やっぱり……ちゃんと言った方が良いかな?」
恐る恐る、まるで怯える童女のようになのはは呟いた。
初恋という甘酸っぱい果実の前に震える、とてもエースと呼ばれる教導官とは思えない姿。
そんな彼女に、スバルは元気よく自信をもって答える。
「はい! きっとそうですよ」
「そっか……うん、そうだよね……ありがとうスバル。凄く元気でたよ」
「いえそんな……かしこまらないでください。
私は少しでもなのはさんに元気になって欲しかっただけですから」
眼に見えて表情に凛とした明るさが戻ったなのはの様子に、スバルは心底嬉しそうに微笑み返した。
自分が憧れの人の、敬愛する教官の力になれたという喜びに自然と少女の心は喜悦で満ちる。
だがしかし、それも一瞬だった。
次の瞬間、なのはは残像すら見える程の凄まじい速度で懐に手を滑らす。
取り出したるは鮮紅の宝玉、十年来を共に数多の修羅場を乗り越えた愛機。
不屈の心の名を冠するデバイス、レイジングハート。
「そうと決まったら今すぐ告白しに行くのおおおおおっっ!!!」
雄叫び、そう呼称して差し支えない声量で天に轟くような宣言を彼女はした。
そして同時に超高速でバリアジャケットを装着、デバイスを機動、ついでにカートリッジもフルオートで全弾ロードする。
これに必要とした時間は約二秒、正に神速と呼ぶべき早業。
目の前で起こった突然の事態にスバルは目を皿にして唖然とする。
「あ、あの……なのはさん?」
「ありがとうスバル! これで勇気が湧いたの! もう迷う必要なんてないの!! 今から全力全開全身全霊全速力で地上本部に特攻してくるのっっ!!!」
「ちょ、まっ……なのはさん、いきなり無許可で飛行は流石に」
いきなりトチ狂った事を言い出す上司に、スバルは制止の言葉をかけようとしたが、それは無意味な事だった。
彼女が言い終わるより早く、なのはは超特急で飛行魔法を行使し空へと舞い上がっていたのだから。
急発進の凄まじい勢いで足元の空気が爆ぜるように風を巻き起こし、それを受けてスバルは思わずしりもちをつく。
その場でへたり込んだ少女は、ただ呆然と空を見上げた。
「い、行っちゃった……もしかして私のせい?」
誰にでもなく、スバルはそう呟いた。
続く。
471 :
ザ・シガー:2009/01/21(水) 19:26:59 ID:J8laUN9U
投下終了。
ついに乙女覚醒したなのは、もう止められない止まらない。
レジィ目掛けて一直線、全力全“壊”がんばります。
次話もなるべく早く仕上げますですー。
472 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:28:40 ID:X0ohwXxE
なのはさーーーーーーーーーん!!
おちついてーーーーーーーーー!!
GJ!!
とうとうなのはさんは自分の思いに正直になりましたか
それでこそなのはさんだ!恋する乙女は止まらない!
レジアスに告白で既成事実作って責任とらせるんだ!
全力全快になることを祈るぜ!
GJです、しかしなのはさん、おちつけwww
もしかして預言の「法の塔が崩れ落ち」る原因ってコレ(なのはさんの突貫)なんじゃないだろうかw
>>472 お前も落ち着けww sage忘れてるぞw
>>471 GJ!
>地上本部に特攻してくるのっっ!!!
バリアジャケット着て、デバイス構えたまま地上本部に特攻とな!?
テロリストと間違えられたりしてなw
477 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 20:58:04 ID:ynU70HmD
>>473 GJ ついに全力全開でいくなのはさん。
オーリスのアンリヘリアルが狙ってますが無害です。
次号、勃発するか、嫁より年取った娘との戦い!
その時、レジーの明日はどっちだぁぁぁw
>>471 GJ
あ〜あ、ついに行っちゃったよ。なのはw
>>471 続きGJ!だが、なのはさんちょいとモチツケww
さあ、クライマックスに向けて一直線ですなw
オーリスに“お義母さん”と呼ばせてえーーーーーーー!
>>471 GJ!!
あのおしとやかななのはさんが、こんなに豹変しようとはw
>>480 俺もだー、だがその前にユーノの最後の一踏ん張りが見たいー。
>>471 GJ!
さあ、果たして乙女はどこまで突き進むのか!?
>>481 ここまできてそれやっても単に惨めになるだけだし話の勢いを折るだけだと思うが……
年下をお義母さんと言うのか…
>483
秋山大治郎「それが何か?」
まあ、大治郎は「母上」な訳だが。
本当に小兵衛先生は頑張りすぎだよな。
おはるとの間に子供ってできたんだっけ? とりあえず九十まで生きるのはどうも確定っぽいけど。
ま、スレ違いはここまでにして、以降、投下待ち。
>>471 GJ。
なのはさーん、戻ってこーい。
投下直後のシリアスな空気がものの見事に・・・・・だめだ、「○○なの」が出たらこの人は止まらない。
こうなるとレジーの男っぷりに期待。どんな風に受け止めてくれるのか。
新婚生活まで見られるのか。
中将は生き残れるのか(JS事件とか夜の営みとか嫁小姑戦争とか)。
488 :
名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:44:03 ID:waqRB2Nu
なァ皆の衆……
つ最強最高最難関イベント《御両親への挨拶》
を忘れちゃいないよな?
とりあえず、会議の時に部下に軽く弄られそうだなw
陸の重鎮が鼻眼鏡とパーティ帽子をかぶり、クラッカーでパーン!ってw
>>482 だな
レジなのが完全に成立したら案外早く吹っ切れて他の誰かとくっつくかもしれんし
>>489 陸士A「中将、愉快な格好をされているところすみませんが、中将宛てにお手紙が届いています」
手紙『ご婚約おめでとう。私からもささやかながら、ご祝儀を送らせて頂いた。J.スカリエッティ』
オーリス「見てください、ご丁寧に差出の住所まで書かれています」
レジアス「ミッドチルダ東部1○5の×・・・・・・おのれ、私を舐めているな。こうなれば全面戦争だ(ついでに最高評議会も排斥して証拠消さなきゃ。マイハニーに色々とばれないように)」
>>491 おぃおぃ、スカ博士、一体何処のデストロンだよ!?ww
>>471 ちょ、カートリッジロードする必要ないっスよwww
次回特攻に期待です!!
過疎ってるな……
ネタ振りも兼ねて質問だが、いずれ書いてみたいSSのネタとかある?
妄想第四期
今温めているのは二つ。
ナカジマ家の先祖がミッドチルダに来た話。
ハラオウン家がいい子だったせいで「空気読め」と言われて、闇の書に復讐できなかった子の話。
姫はじめネタが思いのほか少なかったような気がする。
まぁ、贅沢いえる身分ではないのですが。
>>497 すまんw両方読みたいwww
ナカジマ家の先祖が、タイガーアイスタイル剣術を習っていない事を祈るw
実際、復讐とまでは行かなくても、空気読めで感情の行き場が無くなり、
どうすりゃいいんだよって苦しむ人はいそうですよね。
>>495 たくさんあるが、プラント戦でゼスト達が死ななかったif話はいつか書いてみたいな。
ゼスト、クイント、メガーヌと数人が命からがら脱出するも、戦闘機人計画を公表されると
困る最高評議会から無実の罪を被せられそのまま逃亡生活に突入。
追っ手と戦いながら徐々にスカリエッティ(と評議会)の存在に近づいていく。
途中なのは撃墜事件のアンノウンについて調べていたフェイトらと出会い、
最後はゼスト隊+アースラチーム(なのは除く)でスカ側と決戦。
後発組ナンバーズ?何それおいしいの?
はやてちゃんが機動六課設立と引き換えに上層部の男達に陵辱される欝な話
>>497 自分も闇の書関連の復讐物は考えてるな。主人公に救いがなさげな感じの。
ただ、アンチな話になりそうだという危惧がある。
それとティーダ殺害犯が出てくる話かな。職責と復讐の間で揺れるティアナとか。
二つとも冒頭とラストは出来てるんだけどな……
あとは短編でいいから海?賊が出る話も書きたいな。
>>495 アニメ1期以前のクロノ君の話とか
「もし」なのはが居なかったらどうなったかとか
クロノが執務官としてフェイトと戦ったりなんだり
で、解決したらお兄ちゃんに依存しまくりで癖毛オペレーターと火花散らしたり
>>501 すごい大作の匂い……一編書いてくださいw
真面目に、ゼスト隊が生存ってあんまりないしなァ……
個人的には、男っ気がないスバルで書いてみたいかなー
部族を虐殺され、管理局に保護された青年との心温まる触れ合い、そして深まり始めた絆、虐殺者の影
……当然ブルー小隊かサーシェスみたいなのが、ゲラゲラ笑いながら襲ってくる。
うん、今持ってる連載の内どれかに決着つけたらだけど。
508 :
497:2009/01/23(金) 21:03:05 ID:uJqP5cBv
いや。エロは入れる予定だぞ。
エロ無し連載終わらせたところだからな。
次は入れた方がいいだろうという政治的判断w
>>505だけど、当然の如くオリキャラとスバルでくんずほぐれつ。
エロがないとやってられないさー、というかスバルのエロ少ないしね。
サーシェスみたいなの普通に管理局で働いてそうなんだが
>>506 原作のキャラを殺す勇気はないな。
STSの後を想定してるし。
エリキャロルーの三人を題材に思春期の話を書いてみたい。
>>504 原作者は、なのはがユーノと出会って魔法少女になって無くても、クロノが事件解決してるでしょ、みたいなことを言ってたらしいが。
>>495 短編では、顰蹙を覚悟で一度本気の鬱話が書いてみたいです。
長編では、過去作のちょっとした続編と、一風変わったユーなのが書きたいですね。
書ける限り色々書きたいのですが、最近執筆時間が取れないのでせめて上に挙げたもの位は、このスレで形にしたいところです。
まず一番は現在の連載をきっちり簡潔させることですけど。
>>512 なんか、その三人だと
エリオ→真一郎
キャロ→小鳥
ルーテシア→唯子
な話になりそうだな。同じ原作者の作品から考えて。
スカリエッティのライバルだったが、マッドサイエンティストすぎて三脳に暗殺された
はずのプロフェッサーが生き延び、6課襲撃時に死亡したカルタスを対戦闘機人用
バイオロイドとして蘇らせ、ナンバーズを破壊解体していく話。
殺すんじゃなくて、破壊、解体というのがミソ。
ラストは、ギンガとの決戦を想定している。
ちなみにギンガとスバルは、プロフェッサーの試作品なので破壊の対象外という縛り
がある。
○○○と○○○○の男色もの。
○の中には名前か苗字が入る。
誰だよ、女装趣味の○○○なんて電波飛ばしたのw
>>515 ごめん俺原作知らないんだ…。
一応調べてみたんだけど、キャラ紹介だけじゃいまいちその三人の想像が出来なかった。
とりあえず仲がいい、というのは汲み取れたんだが。
>>495 STS時間でのクロノ×なのはとか書いてみたい。
不倫系なのに、ほのぼのオチとか無茶なネタをエロス全開で。
なにはともあれ、エロいのが書きたいです。
書いてる暇がないけど。
>>519 とりあえず、
真一郎:背がもうちょっと欲しいと悩む、特技が女装な男の娘
小鳥:家事一般が大得意な、真一郎が大好きな優しい小柄な女の子
唯子:真一郎のことが大好きだけど、小鳥と真一郎が好きあってると一人相撲しちゃってる、
家事以外は何でも割とできる背の高い女の子
と思えばいい。
書いてみたいネタは……エイミィ、カレル、リエラを殺されて、
その犯人を裏の世界から追うクロノとかかなあ。
うしとらのヒョウさんみたいな感じにするか、
闇のイージスの楯雁人みたいな感じにするか迷ってるけど。
どっちみち、家族を失ったことに向き合って足掻くクロノを書きたい。
>>515 ググってみたが、その三人の関係とぴったりっぽいラブラブな(?)話になりそうだな
そんな思春期な三人組の話、俺もみてえ!!
大量に書きこまれててwktkしてたらこういう流れか
俺は話のネタ自体よりも、話にどんなテーマ盛り込みたいか聞きたいな
人のことは言えないが。
なんで揃いも揃って欝を書きたがるんだw
じつは心の奥底に、キャラ達に対する憎悪が……
あるいは強い愛情の裏返し?
>>523 成長するサイボーグを目指したプロフェッサーがスバルやギンガを作り
スカのは商品化するための成長しないサイボーグというのが捏造設定
で、サイボーグであっても人間であるべきだという理想を否定され暗殺
されかけた教授が、歪んだ機械人であるナンバーズを解体処理する事
に使命感を持って燃えるというのがテーマかな
>>510 戦争が好きで好きで仕方ないから、合法的に戦争できる管理局にいるとw
>>521 ヴォルケンは説得に行かせられないな。
よく母さんは許せたと思う、僕なら無理だとかになりそうで。
528 :
シロクジラ:2009/01/23(金) 23:58:37 ID:Octk9OVe
うー、エロスエロス。最近、エロが不足しがちな気がしませんか?
そんなわけでエロSS投下してイイでしょうかー?
注意書き
・このSSはユーノ・スクライアが性別:女というとんでもないネタです。
・しかも鬱過去設定。詳しくはまとめの「司書長は女の子」を御覧ください。
・クロノ×ユーノ な、何を言って(ry セックスしまくります。
以上の内容に「うわー」とか思った方は、「司書長は女の子 その4」でNG推奨です。
「司書長は女の子 その4」
意中の女性の家で、向こうから誘われてシャワーを浴びる。その行為の意味は、つまるところ……。
カラスの羽のように真っ黒な髪をお湯で濡らし、クロノ・ハラオウン提督は非常に気まずいやら嬉しいやら複雑な気分になっていた。
彼女は先にシャワーを浴びたという、ただその事実だけで鼻血が出そうだ。喉を鳴らして身体を折り曲げると、身体の隅々にまで石鹸の泡を行き渡らせ、洗い抜いていく。
そしてお湯の勢いを強くして……洗い流した。ついさっき、漸く本来の性別を自分に教えてくれた少女は、ただじっと濡れた瞳で青年を見るだけ。
それがいけなかった。その視線にクロノはやられてしまい、今こうして言われるがままにシャワーを浴びている。
シャワーの激流を浴び終えると、彼はいよいよ冷静な思考になっていく。お湯で火照った身体は互いに準備万端―――
「―――って何のだ?」
声に出して、自分の不埒な思考に突っ込みを入れてみる。
いや、考えてみればすぐわかる。年頃の少女と家に二人きり、お互い好き合っていて、女の子のほうからシャワーを誘ってきたのだ。
これは、ひょっとしなくても―――そういうことなのだろうか。
「参ったな……」
クロノ・ハラオウン青年は情事に慣れてなどいない。勿論、中々に凛々しい男である彼に“そういう”誘いが無かったわけではないが、
いかんせん真面目一筋な彼はそんなことなど気にも留めずに生きてきた。であるからして、今回のユーノからの誘いにどう応じたものか思案しても、答えなどでない。
彼とて気づいてはいた。この状況では、“断る”という行為がどれだけ彼女を傷つけるのかを。それは酷い拒絶と同じだ。
だがしかし、堅物の彼には六歳年下の少女とそう言う行為を“する”などというのは、まるで想像していなかったことだった。
自分は二十一歳。本当の性別が異性だと分かったユーノ・スクライアはまだ十五歳の少女なのだ。
避妊具も持ち合わせていない自分がどうするべきなのか、クロノは判らなかった。
答えを持ち合わせないまま彼は、シャワールームを出て洗面所で身体についた水滴を拭き取る。
ふと、自分がこのまま何もせずに出て行ったら彼女は何というのだろう、と思った。
きっととても悲しそうな顔をして、それでも微笑んで見送るのだろう。
そういう娘だから。
「まあ、あんまり考えていても仕方ないか」
そう呟くと、バスタオルを腰に巻いて結び、二階へと続く階段を登る。ユーノの待つ部屋の前まで歩くと、ドアをノックするか迷って数瞬立ち止まった。
引き返すのならば今だけだ。ああ、でもきっと自分は……彼女と、結ばれたいのだ。そうこうしているうちに、ギィ、と音を立ててドアが開く。
やや開いたドアの隙間には、長い金髪を背中で纏めた――予備のリボンだ――緑眼の華奢な少女が立っていた。
「クロノ……? どうしたの?」
真っ白な肌が眩しい、ほぼ半裸の格好。下着を身につけているとはいえ、彼女の瑞々しい肢体が惜しげもなく曝されている。
健康的な色の肌は体温の上昇でほんのりと朱に染まり、何とも言えず艶やかだった。
その姿にごくり、と唾を飲み込みながらも、努めて平静を装ってクロノはぶっきらぼうに言った。
「いや、何でもない。服着ないと、風邪引――」
すっ、と彼女は近づいてきて、ふんわりと甘いような良い匂いがして。
静かにユーノは、その薄い唇でクロノの唇を塞いでいた。
つまり、軽い接吻。柔らかな唇の感触に驚いていると、ユーノは顔を離して真剣な顔で告げた。
「クロノ……僕なんかでいいのかな? クロノにはもっといい人がいるんじゃ――」
ユーノの顔に見惚れていたクロノは、崩壊しかけた理性を何とか保って言った。
「君が良いんだ」
そう言うと彼は屈み込んで、ユーノの何処か頼りない背中と膝の裏側に手を回して抱き上げた。
羽のように軽々とは行かなかったが、それでも鍛えている男のクロノからすれば随分と軽い。
下着姿で所謂“お姫様抱っこ”されている状況というのに、思いのほかユーノは慌てた。
その肌が真っ赤に染まり、心臓は鼓動を早鐘のように打ち鳴らし続ける。
「わ、ちょ、クロノ?!」
そのまま寝室に入る――カーテンで締め切られた室内は灯で照らされていて、大きめのベッドと小さなテーブル以外は簡素な部屋だった。
ぼそり、と簡潔に感想を言う。
「良い部屋だな」
「あ、うん、ありがとう……って降ろしてー! いくら何でもこれは……」
「いやか?」
「……ううん。でも、ちょっと恥ずかしいかも」
そのまま、下着姿の彼女をベッドの上に降ろすと、クロノ自身もベッドの上に腰を下ろした。
ふと、腰をベッドの端に下ろしたクロノの横顔に目を向けると、ユーノは息を呑んでいた。
思いのほか逞しい愛する人の身体に、少女の肉体が疼いた。お腹の辺りが熱くなり、心臓の高鳴りは止まらず―――
―――気づけば、そっと右手をクロノが腰に巻いたバスタオルへ伸ばしていた。彼が反応するよりも早くそれを取り去って、股間の茂みを露わにする。
そこには、硬く張り詰めた浅黒い怒張が一本、ぴんと真っ直ぐに上を向いて自己主張していた。どくどくと脈打つそれに釘付けになると、そっと右手をそれにあてがう。
クロノは突然の行為に吃驚した様子で、やけに彼にしては高い声を上げた。
「お、おい!」
ユーノは頬を上気させて、愛する人の「男」を握りしめる。
びくん、と一際大きく反応した“それ”に、自身も興奮しながら熱い息を吐く。
くちゃり、とユーノの股間から音が立ち、熱い体液が滲み出ていた。
「うわぁ……クロノ、すごく大きいね。それに……硬くて熱いや」
「そんなこと一々言うな! ……いや、その……僕は女性との経験が無くて……こういうのどうしたらいいかわからないんだが――」
にこりと彼女は微笑み、クロノの男を握る手に優しく力を込めた。
びくり、とクロノの身体が震えた。得も言われぬ感覚―――自分で握るのとはまったく違う感触だった。
それをどうとったものか。
「大丈夫、僕に任せて……まずは、手と口で“して”あげるね」
そう言うと、少女はその可憐な唇を男根へ口づけた。
柔らかな唇の感触を最も敏感な亀頭で味わうことになったクロノは、身体を強張らせて呻いた。
支援
「う……ユ、ユーノ、止めるんだ……こんなの、っ――!」
鈴口に舌先が入り込み、内側をほぐすようにたっぷりの涎が舌で塗りたくられた。むず痒い感覚にクロノは声にならない声を上げ、ベッドのシーツを握り締めた。
金髪を頭の後ろでお下げに纏めたユーノは、頬を赤く染めて青年の肉棒にむしゃぶりつく。
ちろちろと舌で裏筋を舐めると手でしごき、嬉しそうに口に含んで唾液と舌で包み込んでいった。
その度にクロノが呻くのが、何とも言えず愛しかった。やがて先走りの奇妙な味がユーノの口中に広がり、舌に舐め取られていく。
「……んふぅ……ちゅぴっ……ん……」
「くっ、うぅぅ……ユーノ、もういいから……」
「んむぅ…………クロノは、こう言うの嫌い?」
クロノを上目遣いに見上げて、少女は淫らな行為を中断してそう言った。
そして彼が答えを言う前に唇を亀頭に付け、ぢゅううううう、と音を立てて啜った。
このバキュームに瞬間、クロノの怒張は限界を迎え、白濁液が凄まじい量吐き出され、ユーノの口腔を穢した。
この三週間、溜まり溜まった精液が勢いよく噴き出し、粘液質なそれが舌の上に広がる。
「んはぁっ……んぐ、ん……んんっ」
ごきゅごきゅと少女の白い喉が鳴り、異臭を放つ精液が事も無げに飲み干された。
射精の昂ぶりに我を忘れていたクロノは、漸く己が何をさせてしまったかに気づき、気まずい思いに捕らわれる。
淫猥なことをさせているというのに、ユーノの姿は一種幻想的な美しさがあり、それが彼の鼓動を高鳴らせる。
その姿に見惚れていると、口元についた白い雫を唇に押し込んだ彼女が、上目遣いにこちらを見上げていることに気づいた。
「ん……すごい量だね。吃驚しちゃった」
妖艶とすら云える微笑みに、再び己の愚息が硬度を取り戻すのを感じながら、クロノはぎこちなく答えた。
「あ……ごめん。我慢できなかった」
「ううん、気にしないで……」
クロノがほっと息をつきかけた瞬間、淫らな匂いが部屋に広がった。その匂いに彼の男根はますます硬度を増し、反り返った凶器へ変わる。
自身のそれのあまりに正直な反応に戸惑っていると、ユーノが脱ぎ終えたブラジャーとパンツを床に脱ぎ捨て、全裸でクロノに熱い視線を送った。
彼女の日焼けしていない、真っ白な肌が眩しくて、クロノは思わずごくりと喉を鳴らした。胸の双丘の頂点、ピンク色の蕾は硬く尖り、男に触れられるのを待ちわびていた。
「ねえクロノ……」
ユーノは仰向けに寝そべると、自ら足を大きく広げ、股間の金が覆う茂みを惜しげもなく曝した。
そこは細い筋のような可愛らしい割れ目だったが、股を伝い落ちるように多量の蜜が溢れ、ひくひくと男のモノを待ち望んでいるかのように蠢いていた。
初めて見る女性器に唾を飲み込むクロノ・ハラオウン青年は、ぞっとするほど甘い声を聞く。
「……それより今度は、こっちに、ね」
両手の指で女性器を横に押し広げ、とろりと蜜が溢れるそこをクロノに見せつけた。
クロノの中の“オス”は、その扇情的なあられもない姿に酷く興奮していたが、崩壊しかけていた理性は妙にドキリとした。
言わば冷や水を浴びせられるかのような感覚。有り体に言えば、クロノ・ハラオウンは生まれて初めて行う行為に、怖じ気づいたのである。
そのまま青年は数秒間フリーズし、火照った身体を持て余したユーノが、信じられないくらい甘く囁いた。
「もう我慢できないでしょ? ほらぁ……好きにしていいからぁ……ね?」
その声に漸くのろのろと動き出したクロノは、浅黒く張り詰めた怒張を何とか入れようとした。
だが、ぬめり気のある愛液が絶えず溢れているそこに、挿入しようとはするものの滑り、危うく後ろの穴に入りそうになったりしている。
熱く張り詰めたそれが肛門に当たるのを感じ、慌てたユーノはそっと右手を秘所に伸ばし、熱い液体が溢れるその肉ひだを改めて左右に開く。
その際に何とも言えない快楽が脳に届き、思わず「ん……」と声をもらす。それから、羞恥に頬を染め、切ない声で言った。
「あっ……そこ、じゃなくて……ほら……ここだよ?」
もう、自制なんて出来なかった。クロノは熱い液体が絶えぬ少女の秘所に男根を近づけ、ユーノ自身の指によって左右に開かれた筋の中心に、
ゆっくりと自重をかけて沈み込んでいく―――くちゃり、と愛液に男根が濡れていき、ついに少女の秘所にクロノのモノは侵入した。
熱い。途轍もない熱を持った肉の中に、今やクロノの分身は埋まっていた。ゆっくりと肉の塊が熱い肉の間を貫いていく。
青年は生まれて初めて味わう、女性器のもたらす快楽に恍惚とした表情で呟く。
「くっ……凄く……熱いな、溶けてしまいそうだ……」
肉棒がみちみちと肉穴を押し広げていく。
硬い剛直によって秘所を貫かれる感覚に、少女は蕩けた表情を見せた。
「あ……んんっ…………く、くろのぉ……」
まるで何かをねだるように、ユーノは緩んだ表情で薄い唇の間から舌を出した。
生まれたままの姿でベッドに横たわり、クロノと股間で繋がっているという事実に、嬉しそうに頬を染めて。
クロノはもう迷わなかった。自分と彼女の間には今やなんの障害もないと感じることが出来た。
だから―――本当に恥ずかしそうに舌を出したユーノの唇に、優しくそっと口づけ、舌と舌を絡める情熱的な接吻を交わした。
互いに舌を絡め、相手の唾液一滴すらもったいないと言わんばかりに唾を飲ませあう、そんなディープキス。
「ん……んぐ、んふ……ちゅぱっ」
舌を絡め終えると、クロノはユーノの口腔から己のそれを引き抜く。銀の糸を引く二人の唾液の混合液を、彼女は潤んだ瞳で嬉しそうに見つめる。
何だかその視線に彼もまた嬉しくなったとき、股間の接合部――男根が少女を貫いている――の肉壁が、きゅっと締まった。
熱い肉壁に包まれていた肉棒への堪らない感覚に、クロノは呻き、反射的に腰を突き出す。
「っっ……!」
ぎゅる、と膣肉が亀頭に抉られた。
偶然性感帯を擦ったそれに、ユーノが嬌声をあげた。
「んはぁっ! ん……気持ちいい、かな?」
「ああ……なんて言うか、すごいな……お前の中、熱くて、ドロドロだ」
彼女の細いくびれた腰を両手でガッシリと掴み、引き寄せるようにして男根を膣に突き立てた。
ぐりぐりと肉が抉られるような衝撃に、ユーノの口から悲鳴みたいな声がもれ、雄々しい亀頭がもろに子宮口の周辺、性感帯に直撃した。
突き抜けるような感覚が脊髄を駆け抜け、脳に伝わり、その感覚に痺れて喘ぐ。
「んぅぅぅ、ふぁっ!」
「あ、ごめん……強すぎたか?」
「ううん……逆……その、気持ちよくって……僕……父さんに……抱かれてたから、身体がすぐ疼いちゃうんだ。
…………ごめん、いやらしいよね、こんな子」
潤んだ瞳でそう自虐する少女の唇に、クロノはそっと己の唇を重ねた。
本当に優しいキスだった。それからユーノの髪を手で梳いてやりながら、クロノは笑った。
「馬鹿、そんなの気にするな。僕はお前がいいと思ったんだ」
「……ありがとう、クロ―――はぁん!」
可愛らしい喘ぎが洩れた。クロノが何気なく動かした股間の剛直が、彼女の最も感じる場所に当たったのだ。
「うん? そこが“いい”のか?」
漸く、熱く絡みついてくる肉の感覚に慣れたクロノは真顔だったが、脳天へ響くような快感に悶えるユーノの顔を見て、悪戯心が芽生えた。
そっとお椀型の両の乳房に顔を近づけて、犬が仕留めた獲物へするようにピンと立った乳首を舐めた。
「ひゃぃっ!」
年頃の少女らしい余分な肉のない身体と自身の筋肉質なそれを重ね、乳首を口に含み、コロコロと舐め転がすと、ユーノの身体が面白いように跳ねた。
背筋は反り返り、口からはだらしなく涎がベッドのシーツに向けて垂れ流されている。交わっている少女の痴態に反応し、青年のそれは大きさを増した。
己の膣内での男の変化に、少女は戸惑いながら頬を朱色に染め、上目遣いにクロノを見た。
「お、大きくなってる……?!」
「くぅっっ!」
クロノは一度腰を引き、半ば肉ひだに飲み込まれていた男根がにちゃにちゃと音を立てて引き抜かれていく。
その過程で彼女の膣が収縮し、引き抜かれる剛直を止めようとする。その感覚にクロノは、己のペニスがユーノと一体化したのではないかと錯覚した。
甘く喘ぎ熱い息を吐いて、己の愛液塗れになった青年の愚息を目にした少女は、感極まって泣き始めた。
ポロポロと零れる涙に吃驚し、青年は問うた。
「ど、どうしたんだ?!」
「ご、ごめん……だってうれしくて……僕なんかが、クロノと一つになれるなんて……」
ふっ、とクロノは微笑むと、優しくユーノの額にキスをした。
彼女の顔が真っ赤になった。ドキドキと胸が苦しくて、でも嬉しい。
「バカだな、そんなに泣く奴があるか……」
涙でグシャグシャになった顔も綺麗だ―――そう思いながら、クロノは半ば引き抜いた怒張を、男を逃すまいとしているユーノの膣肉に叩きつけた。
腰を勢いよく突き出し、じゅぷっ、と愛液が飛沫を上げるほどの速さで肉棒を子宮口に到達させた。
雄の精子を求めてパクパクと口を開けていたそこに、クロノの亀頭は上手い具合にぶつかり、ユーノに嬌声を上げさせる。
「んあぁぁぁ! んひぃ、だめ、そこだめぇ……!」
「ここか?」
悪びれた様子もなく、クロノは男根をごりごりとユーノの性感帯へ押しつけ、抉るように肉で肉を蹂躙。
ユーノの身体が弓なりに反り返り、一際大きく跳ねて膣肉がビクビクと痙攣した。
絶頂に達したことを知らせるように、愛液がじわじわと止めどなく溢れ出していく。
「ああぁぁぁぁ!」
「……っっ!」
その刺激にクロノも呻き、己の射精感が高まっていくのを感じた。目の前にいる愛しい少女は、絶頂の快楽に蕩けきった表情で荒く息をついている。
出したい。胎内射精したい、という欲求がクロノの中で巻き起こるが、強固な彼の自制心がそれをはね除けた。
(って何を考えてるんだ僕は……いくら何でも、妊娠の可能性がある行為なんて早すぎる……)
そう思い、気を抜くと出してしまいそうな下半身に力を込めて男根を引き抜こうとした―――そのときだった。
ユーノの真っ白な細い足がクロノの腰に絡みつき、強い力で彼の腰を固定してしまったのである。
そのときに彼女の膣により深くクロノの怒張ははまり込み、熱く吸い付いてくる媚肉によって途轍もない快楽を味わった。
「う、あ……ゆ、ユーノ、足をはなしてくれ。このままじゃ……出てしまう……」
しかし、ユーノは腰に絡めた足を退かそうとはせず、それどころかクロノの頭を自分の乳房の間に抱き寄せた。
性交の興奮にうっすらと汗ばんだそこは、酷く懐かしいような匂いがして、それだけの股間の怒張が発射されそうになる。
「ぬいちゃやぁぁ……」
涙を浮かべた顔での、懇願だった。
「……こ、子供が出来るかもしれないんだぞ、いいのか?」
自分でも吃驚するくらい、上擦った声だったと思う。予期しない答えだったから。
何とか彼女の腕から逃れてそう言うと、ユーノはとても透き通った表情で、熱に浮かされたように言った。
その瞳は潤み、口からは絶えず熱い吐息が出ている。
「良いよ……産むから……クロノの赤ちゃん、産むから……クロノの精液なかに出してぇ……」
と、ユーノの髪をお下げに結んでいたリボンが解け、彼女の長い金髪がふぁさあ、と額に掛かった。
クロノの中で、何かが切れた。掴みかかるように少女の乳房を荒々しく揉みながら、腰を幾度も打ち付け、亀頭がごりごりと子宮口にめり込んでいく。
ユーノは腰で響く粘っこい愛液の泡立つ音と、自身の喘ぎ声を聞きながら何度も絶頂を迎えていた。
「んぅ、ふぁぁあ、あ、あ、あ、あ、んひゃぁ!」
「僕が忘れさせてやる! お前の過去も何もかも―――悲しいことは全部! だから―――」
瞬間、クロノの身体がぶるりと震えた。ゾクゾクとした快感が駆け上がってくる。
雄の本能―――子種を吐き出し、雌を孕ませるという行為に、脳が興奮していた。
クロノは思いの丈をぶちまけながら、勃起した男根をユーノの子宮口にねじり込んだ。
「―――僕が、お前を護るからっ!!」
パクパクと精子を求めて開ききった子宮口に擦り付けられた亀頭から、白濁した灼熱の液体が勢いよく吐き出された。
ドロリとした感触、熱く子宮壁に張り付くようなそれが、びゅるびゅるとユーノの胎内に流れ込んでいく。
胎内射精の快楽に、クロノはぶるぶると身体を震わせ、ユーノの肉壁が一滴残さず搾り取ろうとする精液を、どくどくと流し込んだ。
ユーノが焦点の合わない瞳で虚空に視線を飛ばしながら、蕩けた声で言った。
「ふぁぁぁぁあ……出てるぅ……クロノのせいしぃ……」
じんじんと熱の籠もった子宮のある辺り、下腹部を両手で撫でながら、恥ずかしそうにユーノは微笑んだ。
「……できるといいな……赤ちゃん」
むくり。何かが立ち上がる。
クロノの息子は、まだまだ元気だった。
「……ユーノ!」
「ふぁ!」
…………二人の夜は、まだまだ続くようです。
537 :
シロクジラ:2009/01/24(土) 00:12:36 ID:o9j4bJpj
投稿完了です。あれです、某所で女体司書長イラストを見て思いついたお話しでしたが、とりあえず、当初の目論みは無事クリアー。
当初の目論み:雌司書長とクロノ君で激甘カップル でしたが。なにぶん、エロは書き慣れていないのでご容赦を。
では、またの投下時にー。
孕ませるSSが増えることを祈っています。
GJ!!です。
エロいなぁwでも、なのはを考えるとすこし悲しい。
合意の上での妊娠SEXは妊娠前提だからとタガが外れて凄いものが見れそう。
>>537 オイ!www>最後
好きだけど。
GJでした。
ウホ! 良いTS!
いやぁ、初体験でまさかここまでするとは……流石提督、半端じゃないぜwww
GJです!
>>537 GJ はらませですね。では王道のインモラルビーストvsホワイトデビルあたりを狙ってみます。
次、投下していいですかね。
おk。
545 :
野狗:2009/01/24(土) 01:22:31 ID:aR1RLLJ6
お返事感謝。
では。
綺麗なクアットロはいかがですか?
タイトル「涙」
レス数8
クアットロ×ディエチ
あぼんはコテで
546 :
野狗:2009/01/24(土) 01:23:05 ID:aR1RLLJ6
1
「お疲れ〜。じゃあ、今日はここまでだよ」
「ふぃー。今日も結構ハードだったす〜」
「簡単に弱音を吐くな。私がトーレと訓練をしていた時はこんなものではなかったぞ」
「うう、勘弁ッス……」
「じゃ、行こうか」
「あ、あたしは、用があるから」
そう言うと、ディエチは訓練後の集団洗浄に向かう姉妹たちとは逆の方向へ歩き始める。
「あれ? どこ行くの、ディエチ」
「うん。クアットロと打ち合わせに」
「メガ姉なんか、後でいいのに」
「そういうわけには、いかないよ。打ち合わせは、大切だから」
「ディエチは真面目ッスねぇ」
「ウェンディが不真面目すぎるんだよ」
「それは聞き捨てならないッスよ、セイン!」
「いや、事実だろ」
「の、ノーヴェまで!?」
「そうですね」
「ディードも!?」
「僕もそう思う」
「集団洗浄には参加しないくせにいつもついてくるオットーまで!?」
がーん、と背中に効果音を貼り付かせて崩れ落ちるウェンディ。
いつも通りの騒がしさに紛れて、ディエチはその場から抜け出した。
そして、その足でクアットロの部屋へと向かう。
その途中で行き当たるのは、ウーノ。
「あら、ディエチ、どうしたの? 訓練の後は集団洗浄ではないの?」
「ウーノ姉。クアットロに呼ばれているんです。きっと、コンビネーションの打ち合わせです」
「そう。それならいいけれど。集団洗浄をサボっては駄目よ」
「はい」
やりとりに満足したのか、ウーノはそそくさと廊下の突き当たりにあるドアに向かっていた。
ディエチは知っている。その部屋が、ドクターの私室であることを。
ウーノがそこへ入っていくだろうことも。その中で行われる二人の行為も。
だから、自分はクアットロに呼ばれたのだ。
ウーノがドクターと一夜を過ごす日、自分はクアットロに呼び出される。
そして、抱かれる。
547 :
野狗:2009/01/24(土) 01:23:37 ID:aR1RLLJ6
2
這い回る舌がディエチの弱い場所を捉えては、唇が舌の這った痕を追うように吸い付く。
短い吐息に重ねたディエチの発情の眼差しを絡め取るようにクアットロは視線を合わせ、悪戯っぽく尋ねた。
「どうしたの? ディエチちゃん」
「……あたし……もう……」
「ダーメ。そう簡単に終わったら、つまらないでしょう? もっともっと、明日の訓練に差し支えるくらいイジめてあげる」
「や、そこは……」
片側の胸だけを丹念に、執拗に、妄念を抱くように愛撫するクアットロ。舌で、指で、歯で、手のひらで。
あらゆる場所を使った愛撫に、ディエチの胸が震える。けれど、それは片側だけ。もう片方には決して触れない。
「どうして? ……クアットロ」
「なにが?」
「……胸」
「うーん。ディエチちゃんが何を言ってるのか、全然わかんない」
まるで囓り取るかのように乳首を歯に挟み、ちぎれんばかりに引っ張りながら先端を舌で転がす。
「ひっ……い……駄目、駄目だよ……そんなの……あ……」
「何が? 駄目なの?」
「そこ、あ、……噛んじゃあ……駄目っ」
ジンと痺れる咬痕を優しく舌で包み、クアットロはたっぷりの唾液を舌先から乳房へとまぶす。
まるで、咬まれた傷跡に軟膏をすり込むかのように。
痺れる感覚は刹那の差で官能をくすぐり、一つの胸だけが狂おしいほどの悦楽を迎え入れる。
対して、放置された乳房は己を主張するかのように先端を尖らせ、愛撫を心待ちにしている。
「お願い……クアットロ……両方とも……」
「どうして欲しいの? 言ってくれないとわからない」
「胸……あたしの、胸」
「だから、どうして欲しいのか言ってくれないとわからないのよ?」
言葉の合間でも、クアットロはディエチの胸を責め続けている。丹念に、偏執的とも言える粘っこさで、ただ片方の胸だけを。
ディエチの頼みはやがて哀願へと姿を変え、すすり泣きにも聞こえる口調になっていった。
「お願い、クアットロ……触って欲しいの」
「触るだけでいいの?」
「……っ」
「聞こえない」
「咬んでくださいっ」
クアットロは目を細め、一語一語をはっきりと、ディエチの耳元に囁く。
「咬んで欲しいなんて、ディエチちゃん、変態?」
548 :
野狗:2009/01/24(土) 01:24:10 ID:aR1RLLJ6
3
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いつの頃から、こんな風に苛むことを覚えたのだろうか。
火をつけて、燻らせ、焦らして、哀願させ、足掻かせて、落とす。
自業自得なのだ、とクアットロは思いこもうとしていた。
これは、ディエチが望んだことなのだと。
あの日、ディエチが望んだことなのだと。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ウーノ姉様?」
夜半になって現れたウーノの姿に、ラボのメンテナンスを続けていたクアットロは首を傾げる。
ウーノはいつもの、ナンバーズスーツではない。ましてや、街に出るための普段着でもない。
強いて言うなら、パジャマ姿とでも言えばいいのだろうか。
「クアットロなの?」
ウーノも驚いていたようだった。慌てて自分の服装を隠すように、機器の陰に隠れてしまう。
逆にその行為によって、クアットロの中に生まれ始めた疑惑が固まった。
ただ、それを確認する言葉をクアットロは恐れていた。ただ一言尋ねれば、この疑惑は確信へと変わるのだろう。
しかし、確信などしたくはないのだ。例えその事実が、どれほど理にかなっていようとも。
確認しなければ、夢を見たままでいられるかも知れない。それがどれほど、突拍子もない夢であろうと。
それがどれほど、事実とかけ離れた夢であっても。
そしてクアットロは知っている。
確認しなければならない。確信しなければならない。それが自分の性格なのだと。
「はい、クアットロですわ〜♪ こんな時間に何をなさっているんです? ウーノ姉様」
「ドクターはいらっしゃらないのかしら?」
「あら。ドクターはお疲れのようなので、お仕事はクアットロが肩代わりしたんです♪ ドクターは自室でお休みですわ」
「そう。ドクターは部屋にいるのね」
ウーノはくるりと振り返り、ドクターの部屋へ向かおうとして、
「ああ、クアットロ?」と振り向かずに声をかける。
「なんですか?」
「あの、私のこの格好だけれど……」
「誰にも言いません。ウーノ姉様とクアットロの秘密ですね」
「ありがとう、借りにしておくわ」
「あら、気にしないでくださいな」
549 :
野狗:2009/01/24(土) 01:24:43 ID:aR1RLLJ6
4
そそくさと去っていくウーノの背に向かって、クアットロは無言で射抜くような視線を向けている。
気にされたところで惨めなだけだ、とは言わなかった。
自分は、惨めではないのだから。決して惨めなわけがない。考えるまでもないことではないか。
夜になると他の姉妹の目を盗んで、ウーノはドクターの元へ通う。
それがどうしたというのか。自分には関係ない。全く関係ない。
ウーノとドクターの関係など、自分には関係ない。
ウーノが誰に抱かれようが、自分には関係ない。
ドクターが誰を抱こうが、自分には関係ない。
「どうして……」
だから、呟きなど漏らすわけがなかった。
自分には関係ないのだから。
二人の関係など、知ったことではないのだから。
「どうして、ウーノ姉様なんですか……」
……せめて、市井の人間から選んでいれば。
……ナンバーズでさえなければ。
……姉妹でさえなければ。
だから、そんなことなど思うわけがなかった。
「私じゃ、駄目なんですか……」
いつの間にか、コンソールに置かれていた手が自分の身体を抱きしめていた。
しっかりと、まるで渾身の力で抱き留めなければ奈落へ落ちていくかのように。
自分の身体がそこにあることを確かめるかのように。
「ドクター……」
かたん、と小さな物音。クアットロは咄嗟に振り向いた。
しかし誰もいない。
「誰か、いるの?」
返事はなかった。
クアットロは自らの行為に怖気を震うように頭を振ると、再びコンソールに手を置いた。
ドクターの代わりに仕事をすると言ったのだ。約束は守られなければならない。特に、ドクターとの約束は。
550 :
野狗:2009/01/24(土) 01:25:15 ID:aR1RLLJ6
5
食事の時間だからといって、食堂に全員が揃うことはあまりない。
簡単に言えば、まずドゥーエがいない。
さらにオットーとディード、そしてセッテはわざと時間をずらして食べに来ることが多いのだ。
基本的には出来合いの物を温めるだけなので困りはしないのだが、チンクやノーヴェ、セインなどは皆で食べた方がいいといつも主張する。
クアットロにとっては、どうでもいいことだった。そもそも、食堂で食事をすることがほとんどない。
自分の分の食事の乗ったトレーを取ると、そのまま自室に持っていくのだ。
今日もまた、食堂で何か話しているトーレ、チンク、ウェンディ、セイン、ノーヴェを無視して、トレーを持って食堂を出る。
「クアットロ。たまには同席してはどうだ」
「お断りですわ。仕事が溜まっていますし」
「それは確かに必要だが、姉妹同士のコミュニケーションも重要だと思うぞ」
「そういうのは、チンクちゃんが得意でしょう? 適材適所ですわ、トーレ姉様」
言い捨てるようにして、クアットロは後も見ずに食堂を去っていく。セインやウェンディの不満の声が聞こえるが、気にしない。
そのまま耳を閉じて自分の部屋へ向かう途中に、妙な二人連れを見かける。
観測者と砲撃手としてパートナーを組まされたディエチと、ウーノである。どうやら、ディエチがウーノになにやら話しかけているらしい。
クアットロは、心の中で溜息をついた。
また、パートナー交代だろうか。クアットロは誰と組まされても、交代を希望されてしまうのだ。
曰く、「意地が悪い」
曰く、「癪に障る」
そう言われても、ドクターのために万全を期した戦闘を組み立てたいだけなのだ。
そのためにパートナーへの期待が大きくなるのはいけないことなのだろうか。期待が大きすぎてはならないのだろうか。
ドクターのために、自分たちは存在するのではないのか。
「どうかしたの? ディエチ」
「ウーノ姉様にお願いがあるんです」
「なに? 配置のことなら、ドクターに直接言わなければ駄目よ?」
「違います、配置に不満はありません。クアットロとのコンビに問題はないです。それよりも……」
ディエチの言葉に、クアットロは息を呑んだ。
「ドクターと姉様のことです」
「私と? ドクターのこと?」
嫌な予感がして、クアットロは足を速める。
「見せびらかすような真似は、良くないと思います」
「見せ……」
絶句するウーノ。その表情が剣呑な物に変わりつつあるところで、クアットロが二人に追いつく。
「ディエチちゃん、なに馬鹿なこと言ってるの?」
551 :
野狗:2009/01/24(土) 01:25:51 ID:aR1RLLJ6
6
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
四番目の姉と組めと言われた。
ただそれだけのこと。
「大変かも知れないが、根は悪くないんだ」
「砲撃手だからな、観測者と組むのが一番だろう」
先入観など元々なかった。
「メガ姉と組むって大変じゃない?」
「嫌みッスよねぇ」
「あー、あれは苦手だ」
そうでもない、と言えばいいのかも知れなかったが、「姉思いだねぇ」「ディエチはいい子だね」と返されてからは、
言い返すのも馬鹿らしくなって、ただ肯定した。
余計なことなど考えない。
照準に標的を収め、トリガーを引く。余計なことを考えると狙いはぶれてしまうのだ。
余計なことは考えない。それが狙撃手の心得だ。
だから、ディエチは素直にクアットロを受け入れることができた。勿論、それは作戦遂行のパートナーとしてである。
それ以上の親しい関係になろうとは思ったこともなかった。
黙々と指示に従い、時折出されるクアットロの嘲りの混じった冗談口は無視していた。
「つまんない子」
そう呼ばれても、気にはならなかった。それは事実だと自分でも思っていた。
この人とはこのまま、こんな関係で行くのだろうなと思っていた。
しかし――
綺麗な涙だ。とディエチは思った。
ウーノとドクターが語らっている姿を目にしたクアットロが一瞬見せた物を、感度試験中だったディエチのISが観測してしまったのだ。
この人は、こんな綺麗な涙を流す人なんだ。ディエチの認識はその瞬間から一変した。
言葉をかけたいと思った。かける言葉は、見つからなかった。
心を和ませたいと思った。心など、見せてくれなかった。
微笑ませたいと思った。微笑みなど、見せようとしなかった。
自分の無力さを、生まれて初めてディエチは認識していた。
だから、残された手段は一つだと思った。
単刀直入に伝えること。それが、最後の手段だと思った。最後の手段しか残っていないと思った。
「クアットロ。ドクターに気持ちを伝えるべきだよ」
返事は、平手打ちだった。
552 :
野狗:2009/01/24(土) 01:26:37 ID:aR1RLLJ6
7
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
この妹は馬鹿なのだ。大馬鹿なのだ。不良品なのだ。ジャンクなのだ。
クアットロは罵りたいのを抑え、ディエチを自室に文字通り引きずり込んだ。
抵抗一つせず、引かれるままに部屋へ入ったディエチを、壁に押しつける。
「何を考えてるの? ディエチちゃん」
「ウーノ姉様にお願いするつもりだったんだよ」
「何を」
「ドクターとの間を、クアットロに見せつけないようにって」
「馬鹿!」
思った以上の大声に、クアットロは自分の口元を抑えた。
馬鹿だ。この妹は本当に馬鹿なんだ。ウェンディやセインよりも馬鹿な妹がここにいる。
「馬鹿、本当に馬鹿。貴方に、何がわかるのよ」
「……わかるよ」
「何がわかるって言うの」
「少なくとも、クアットロが泣いてるのはわかるよ!」
「だから馬鹿なのよ!」
「止めたいと、思ったんだ……」
「そんなこと……」
できるわけがない。この涙を止められる者などいない。
いや、違う。涙など、存在しない。涙など、流してはいない。それは、クアットロではない。
「止めたいんだよ」
わからない。自分には、途方に暮れた顔で素直な疑問をぶつける妹がわからない。
きっと、妹も自分のことがわからないのだろう、とクアットロは悟った。
それなら、わからないもの同士ではないか。
正面から自分を見つめる瞳を、クアットロは愛しく思う。
いつの頃からか、自分をこうやって正面から見る者などいなくなっていた。皆、斜に構えた姿を端目に留めるだけ。
例えその理由が、自分の斜に構えた姿勢のせいだとしても。
「本当に……馬鹿」
クアットロは手を伸ばしていた。
ディエチの頭に手を乗せ、引き寄せる。一瞬の間を空け、抵抗がないことに気付くとさらに強く。そして、深く。
553 :
野狗:2009/01/24(土) 01:27:10 ID:aR1RLLJ6
8
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
クアットロに引き寄せられながら、ディエチはふと疑問に思った。
これは、姉として妹を抱きしめているのか。それとも、違う意味なのか。
違っていてもいい。それで、心が晴れるなら。誤魔化せるなら。一瞬でも忘れられるのなら。
何故、この人の涙がここまで気になってしまうのだろうか。
肌の香りに鼻腔を塞がれ、ディエチの疑問はすぐに消えた。
理由など、どうでもいい。
自分は、涙が気になってしまったのだ。
それを一目惚れと言いたい者は言えばいい。自分は、クアットロを気に懸けてしまったのだ。
理由なんて、ない。
抱きしめられるよりももっと強く、ディエチは自分の身体をクアットロに押しつけていた。
構わないと思った。怒られることも、抱きしめられることも、それ以上のことも。
いつの間にか、これほどまで相手のことを想うようになっていた自分に、ディエチは驚いていた。
そして自然に、唇を合わせていることに。
名前を呼び合っていることに。
自分の身体が、クアットロのベッドに横たわっていることに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
すすり泣くほどの執拗な愛撫に、ディエチは感極まっていた。
クアットロの身体を抱きしめ、昇りつめ、名を呼び、身を震わせる。
身体を重ねてしばらくした頃、二人の涙が混じることをクアットロは知っていた。
クアットロの涙とディエチの涙は違う。
純粋に快楽の波に翻弄されて流す涙を、ディエチは恥じていた。
激しく抱きながら別の人を思って流す涙を、クアットロは恥じていた。
いつしか二人は、互いの流す涙すら好ましく思うようになっていた。
554 :
野狗:2009/01/24(土) 01:27:52 ID:aR1RLLJ6
以上、お粗末様でした。
おお、百合エロは凄く久しぶりな気がするぜ。
どこか切ない二人の交わり、GJでした。
百合は嫌いだけど、これは読める。
GJでした!
>>556 >百合は嫌いだけど
誰もお前の趣味なんざ聞いてないんだから余計なこというんじゃねぇよ
萎えるだろうが
>>554 うーん、本編のアレっぷりが印象深いけど、こういう4番さんはとても新鮮でよかったですね。GJ!
>>557 萎えるも何も、感想もなくそんなこと言われても、百合嫌いに噛み付いてるだけにしか見えんぞ。
>>558 普通に考えていきなり何々は嫌いだけど、なんて言う人のが悪いんじゃないか
どっかでいきなり聞いてもいないのにリリカルなのはは嫌いだけどとか言われたらちょっとムッとくるっしょ
ムッと来たから言い返して、それで本当に平和になるのか!
窘めるならもう少し言い方って物があるわけで、この言い方じゃただ感情的になって煽ってるだけだよ。
喧嘩腰で窘めるのは喧嘩を売るって言うんだぜ?
まぁ、とりあえず以下普段通り感想の流れにもどそ
GJ!!です。
クアさんが恋破れた少女だなんてw
外道バージョンも好きですが、こういう実は普通の慣性の持ち主でしたってのもいいなぁ。
意外と戦闘モノとかで、こういう性格のクアさんも見てみたい。
外道な作戦を高笑いしながら指揮した後で、独り部屋に篭もって嗚咽を漏らす4番さんですか……いい、かも?
役割として必要だから演じるが、皆、本当の彼女を知らないから誰も支えてあげられないなんてのでw
「敵を欺くには……と言うだろう?」
「……ドクター……私に、姉妹すら、欺けと……?」
「君ならできる。私はそう思っているよ。可愛いクアットロ」
「はい。ドクターのためなら、私……演じきります」
「……私を軽蔑するかい? ウーノ」
「必要なことを為されたのですね……貴方の配下として、理解します。けれど……」
「けれど?」
「あの子の姉として……貴方を軽蔑します」
「それでいい。それでこそ、長女だよ、君は」
2番もびっくりの偽装能力だな。それで2番を尊敬してたんだろうか。
つまり機動拘置所に投獄されたことで、初めてクアットロは自分を取り戻せたと?
だから安心して太ったのか。
なんか理解できた。
つか、戦闘機人も体重の増減はあるんだなw
このぶんならバストアップも夢じゃないぞチンク姉w
孕めば乳が膨らむ
つまりチンク姉は孕めばいいんだよ
結構身長高いのにほとんどないセインの方が(ry
オットーはどうしたオットーは(ry
そういやオットーって一時期性別不詳だったが……
もしオットーが、本当に男の子だったのなら……
姉達にイロイロされてたのだろうか……
姉ちゃんと(ry
オットーふたなり説。
そしてそれが、騎士カリムが引き取った理由。
というのを書こうとして筆が止まったことがある。
きっとディードの呪い。
ISツインバイブが火を吹くぞw
オナディード自重www
>>510 奴は傭兵だろう、感じ的に。
ほんといまさらですまん。
579 :
B・A:2009/01/24(土) 18:51:29 ID:pIRm5V16
よし、埋まる前に間に合った。
>>517が完成したので投下します。
注意事項
・カルタス×エリオ
・エロです
・女装エリオ
・ガチホモですが、心は乙女なエリオです
・タイトルは「僕の彼女は男の娘」
「最近、何か良いことでもありました?」
可愛い後輩にそう尋ねられたのは、飢えた獣達で賑わう昼休みの食堂だった。
カルタスは口に運んだばかりのピラフを咀嚼し、水で喉を潤せると向かいの席に座るギンガに向き直り、
質問の意味を問う。
「どういう意味?」
「いえ、このところ何だか幸せそうというか、うきうきしているというか」
「別に普段通りだと思うけどね」
特に変わったことはないよと、カルタスは会話を切り上げてギンガから視線を逸らす。
だが、そんな態度を訝しんだギンガは何気なくその視線を辿り、その先にいる人物を見て納得したように頷いた。
「ああ、可愛いですものね、あの娘達」
彼の視線の先には、ギンガの妹であるスバルとその友人達の食事風景があった。
カルタスは、さっきからずっとあの4人を見つめているようだ。
「スバルは結構人気があって、ライバルも多いですよ。姉としては複雑な気分ですが。
それともティアナですか? クールっぽいところが男性には受けているみたいですが
・・・・・・・・・まさか、キャロに手を出そうなんて・・・・・・・」
「いやいや、僕を何だと思っているんだ、君は」
呆れたように肩を竦め、カルタスは皿に残っていたピラフを全て搔き込んで食後のお茶に手を伸ばす。
「そういうのじゃないよ、そういうのじゃ」
「そうなんですか?」
「見ていたのはたまたまだよ。僕にはもう、ちゃんとした恋人がいるからね」
爽やかな笑みを残し、カルタスはトレーを手にして去っていく。
その場に残されたギンガは、不思議そうに首を傾げながら付け合わせのポテトを口に放り込んだ。
□
「ということが、昼間にあったんだ」
その日の深夜、寮の自分の部屋を訪ねてきた恋人を腕に抱きながら、カルタスは昼間の出来事を話していた。
腕の中の恋人はギンガに感づかれたのではと表情を曇らせたが、カルタスは「大丈夫だよ」と囁きかけ、
柔らかな耳たぶを甘噛みしながらその子の不安な気持ちを落ち着かせていく。
「誰も気づいていないさ。僕とエリオが恋人同士だっていうことは」
優越的な笑みを浮かべながら、カルタスは腕の中のエリオの矮躯を弄っていく。
エリオは一瞬だけ抵抗しようとしたが、すぐに力で抑え込まれて彼の成すがままになっていった。
「ラッドさん・・・・・この格好の時は、その・・・・・」
「ああ、ごめんね。でも、そんな風に怯える君も可愛いな、エリスちゃん」
自分のもう1つの名を呼ばれ、エリオは顔を赤くしながら頬を擦り寄せてくる。
猫のように甘える仕草は少女のようであったが、エリオは紛れもない男性である。
カルタスが“エリス”という少女と出会ったのは、機動六課に出向する前のことだ。
夜の繁華街で不良に絡まれていた彼女を助けたのが縁でちょくちょくメールを交換するようになり、
何度かデートをする間柄になった。彼女は“エリス”と名乗り、13歳を自称していたが、
その正体がエリオ・モンディアルという10歳の少年であると知ったのは機動六課に出向してすぐのことだった。
何でも、たくさんの女性に囲まれて生活している内に、スカートを履いてみたいと思うようになったらしい。
最初はこっそりと盗み出したキャロの服を着て楽しんでいたらしいが、慣れるに従ってもっと大胆なことをしてみたいと
思うようになり、寮を抜け出して夜の街で遊ぶようになったらしいのだ。
今では女らしい振る舞いも板に付き、女装をしている時は下着も女ものを履いて心まで女として振る舞うようになっていた。
カルタスもエリオ・モンディアルという少年を知るまではエリスが男であることに気づくことはなかった。
それほどまでに、エリオの女装は堂に入っていたのである。そして、気付いた時にはカルタスは引き返せないほど
“エリス”という少女に夢中になっていた。
「ほら、こっち向いて。口の中に涎を溜めて、舌に絡ませるんだ」
「こ、こうですか?」
言われるがままに突き出された唇に、カルタスは躊躇なく口づけした。
まだ経験の浅いエリオは送り込まれてくる唾液を懸命に受け止めようとしたが、
一方的に注がれる唾液は唇の間から溢れて顎を伝い、2人の胸元を汚していく。
そして、押し込まれたカルタスの舌で口内の唾液を掻き回され、隅々まで舐め尽くされていく内に
エリオの思考は麻痺していき、酒に酔ってしまったかのように手足から力が抜けていく。
「うぅ・・・んうぅ・・・・・あぁっ」
「もうすっかりできあがっているね。エリスちゃんの乳首、こんなに勃起しているよ」
シャツの上から固い胸板を弄られ、指先がツンと勃起した乳首に当たる。
そのままビー玉を転がすように乳首を弄ばれると、エリオの火照った体が小さく震えて、
舌足らずな声が唇から洩れる。
「あんっ・・・・・ちくび・・・・ちくびだめぇ・・・・・もげちゃう・・・・・・」
「嘘は駄目だよ、こっちだってこんなにビンビンになっているのに」
スカートをたくし上げると、エリオの小さな男性器が女もののショーツを三角テントに膨らませていた。
興奮から滲み出た先走り液が薄いショーツに染みを作っており、ちょんと指先で突けば別の生き物のように震えている。
更にその下へと指を這わせていくと、普段はきつく閉じられている菊門が挿入の瞬間を待ちわびているかのように開閉を繰り返していた。
「ねえ、ここは何の穴だい?」
悪戯心から、カルタスはショーツ越しに菊門を弄りながらエリオに問いかける。
もちろん、性感帯である乳首を弄り続けることは忘れない。
「そ、そこは・・・・・ひゃっ!」
顎に零れた涎を舐められ、エリオは素っ頓狂な声を上げる。
「そこは?」
「そこは・・・・・エ、エッチな穴です・・・・・・おチ○チンを入れる・・・・・け、けつま○こです・・・・・・」
「それじゃ、そのエッチなけつま○こを俺に見せてくれるかな?」
「・・・は、はい」
愛撫から解放されたエリオは、もたつきながらもショーツを脱ぎ捨てて四つん這いになり、
カルタスに菊門が見えるように尻を突き上げる。
重力に引かれて落ちてくるスカートを捲ると、菊門を見られていることに緊張しているのか
臀部が僅かに震えていた。しかし、ブラブラと振り子のように揺れている男性器ははち切れんばかりに
膨らんでおり、人差し指を菊門に挿入すると、ネチャネチャと腸液が溢れて括約筋が指の根元を締め上げていく。
「ねえ、こっちでオナニーはしている?」
「は、はい・・・・・・」
「週に何回くらい?」
「・・・・・・・3、3回」
「本当かなぁ」
更にもう1本、指を押し込んでいく。
堪らず、エリオはベッドに顔を埋めながら叫んだ。
「5回、5回です!」
「5回もしているなんて、エリスちゃんはエッチな子だね。なら、今日はエリスちゃんのけつま○こに
ザー○ンをいっぱい注ぎ込んじゃおうか」
「そ、注ぎ込む・・・・ですか?」
「そうだよ。でも、もうちょっと解さなきゃね」
そう言って、カルタスはエリオの丸い臀部を押し広げて尻の谷間に顔を埋め、
生暖かい舌で腸液塗れの菊門を舐め回していく。
「ううん・・・くちゅぅ・・あううぅん・・・・・・・」
「っやぁぁぁ・・・・・・な、舐め・・・・舐め舐めされて・・・・あぁ、音立てちゃ・・・・恥ずかしい・・・・・」
「恥ずかしがることなんてないよ」
「け、けど・・・・んぬぅぅぅ・・・す、吸っちゃ・・だ・・・あうううぅんんんん!!!」
ジュルジュルと下品な音を立てて腸液を吸い上げられ、か細い悲鳴のようなものが漏れる。
頭では恥ずかしがっていても、体は快楽を求めてくねってしまい、唇は甘く切ない喘ぎ声を奏でていた。
際限なく滲み出る腸液はいくら吸い出しても乾くことはなく、解れた括約筋がより深い場所を愛でられたいと
舌を奥へ奥へと招き入れていく。あんまりにも執拗に舌を突き入れたために顎がコツンとエリオの睾丸にぶつかると、
勃起した肉棒がビクンと跳ね上がってエリオの悶える声が室内に響いた。
そして、十分に菊門が解れたところでカルタスは顔を話、ズボンから自身の肉棒を取り出して開きっ放しの菊門に先端を宛がった。
ここまでの愛撫でエリオは既にぐったりとしていたが、カルタスは休む暇さえ与えぬとばかりに解れた直腸へと肉棒を進軍させる。
「あっ・・・・ふぅっ・・・・・ああん・・・・・・」
奥深くまで肉棒が押し入り、エリオは酸欠を起こした魚のように口をパクパクと開閉させる。
カルタスがその口に指を伸ばすと、エリオは無言で指を咥え込み、飴玉を舐めるように舌を絡めていく。
「ちゅぱぁ・・・・あん・・・・あうん・・はあぁ・・・・・おチ○チン、お腹の中・・・・いっぱい・・・・・・・」
「これから、ここに僕の精液を注ぎ込むよ。けつま○こが締まらなくなるくらい、たっぷりとね。
ひょっとしたら、妊娠しちゃうかもしれないね」
「妊娠? うん、する・・・・・赤ちゃん産む、お尻で産むのぉ・・・・・・・」
悦楽に顔を呆けさせながら、エリオは自分から腰を動かし始めた。
自分が口にした言葉の意味もわかっていないのだろう。今のエリオの頭の中には、
一滴でも多くの精液を絞り出すことしか入っていない。
「うっ・・・・はあぁ・・・・・・エリスちゃん、激しい・・・・」
「ああん・・・・ああぁ・・・・あぁぁっ・・・い、イッた・・・・・今、イッたけど、おチ○チン射精なかったぁ」
「そうだよ、エリスちゃんは女の子だから、イッても射精しないんだ」
「僕、女の子なんだ・・・・・女の子で良かったぁ・あ・・あ・・・・も、もっと・・・・もっと抉って・・・・・・・
エリスのお尻ま○こ、グチャグチャにしちぇぇぇっ!!」
エリオの希望に応え、カルタスはまるで固い岩盤を削り取るように猛烈な勢いでラストスパートをかける。
鍛えられた括約筋は千切れることなく肉棒を締め上げ、不規則に揺れる睾丸がぶつかり合って背徳感と快感を増していく。
そして、限界は呆気なく訪れた。
「ひゃぁぁぁぁぁっ!! おチ○チン、中で暴れてる・・・・・射精しながら暴れてりゅぅぅぅっっ!!」
「エリスちゃん、こっちも・・・・・エリスちゃんも一緒に・・・・・・・・・」
エリオの腸内に白濁液を注ぎ込みながら、カルタスは今までほとんど手をつけなかった恋人の肉棒を
掴んで思いっきり扱き上げた。ずっとお預けを食らっていたエリオの肉棒は、驚くほどあっさりと精液を迸らせ、
それが菊門の締まりをいっそう強めていく。
「ぐぅっ、締まる・・・・」
「あぁぁっ・・・・・射精てる・・・僕のおチ○チン、射精してる・・・・前も後もイッてるよぉぉっ!!!」
「エリスちゃん、まだ・・・・まだ射精るよ」
「だめぇ、頭おかしくなる・・・・・変になるから、扱いちゃあああぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁっ!!!!!」
再び始まった射精が腸内を妬き、エリオもまた肉棒と肛門の両方で果てる。
エクスタシーの波に飲まれて気を失ったエリオから肉棒を引き抜くと、伸び切って締まらなくなった肛門から
精液が逆流し、エリオの肌を白く汚していく。そんな淫靡な光景は、カルタスの劣情を再度燃え上がらせた。
「それじゃ、第二ラウンドいこうか」
「・・・・・・はい」
弱々しく答えたエリオの瞳には、悦びを求める淫らな光が宿っていた。
□
ある日の昼休み、同じテーブルで食事を取っているカルタスとエリオを見つけたスバル達は、
珍しいこともあるものだと話し合っていた。
「いつの間に仲良くなったんだろうね?」
「さあ? けど、随分と馴れ馴れしいわね。さっきから肩を抱き合ったりおかずを交換したり」
「何だか兄弟みたいですね。エリオくんって1人っ子らしいですから、
お兄さんができて嬉しいのかもしれません」
「ここって男の人が少ないものね。それじゃ、邪魔にならないように女の子は女の子同士で仲良くしましょうか」
ギンガに促され、スバル達はエリオ達から離れていく。無論、彼らの会話を耳にした者は誰もいなかった。
「あの、ラッドさん。勤務中は・・・・・・・」
「良いじゃない、エリスちゃん。食べさせてくれたって」
「今の僕はエリオです。もう、人に聞かれたらどうするんですか?」
場を弁えないカルタスに呆れながら、エリオは残り少ないランチを搔き込んでいく。
憮然とした表情を浮かべている今のエリオは、とてもベッドの上であられもない姿を晒していた少女と
同一人物とは思えない。
「それじゃ、もう行きますね」
「え、もう?」
「午後からフェイトさんと外回りですから。遅れないように準備しないと」
そう言って、エリオはカルタスに背を向けてトレイの返却口へと向かう。
だが、その途中でくるりと反転すると、カルタスだけに見せるとびきりの笑顔を浮かべて言った。
「ラッドさん、今夜もお願いしますね」
にこりと微笑んだエリオに、エリスの姿が重なった。
おわり
585 :
B・A:2009/01/24(土) 18:56:42 ID:pIRm5V16
以上です。
相手役にはヴァイスやグリフィスも候補に上がってましたが、その2人なら出会った時点でバレテそうなので
カルタスの出番となりました。まあ、カルタスは“掘る”の得意だし大丈夫だろうと。
寧ろ大丈夫じゃないのは作者の頭の方で(ぉぃw
>>585 GJ!
それにしても貴方の作品はガチ百合でもガチホモでも普通に読めてしまうから凄い!
>>585 スゲーの一言に尽きる
やおいでこれだけ書ける作者の執筆センスにただただ脱帽
>>585 Gj!
エリオのエロさに思わず…
アンダードッグも楽しみにしてますぞ
>>554 なんと、クアットロとディエチの百合とは!
白クア姉最高です! こんな可愛いクアットロSSが読めるのを楽しみにしていました!
心からの感謝を! GJです!!
B・A様。凄すぎです。
ああ、このカルタスを超えるカルタスをどうやって生み出したらいいんだ。
GJです。カルタス、間違ってでもフェイトさんにはバレないようにな。殺されっぞw
592 :
ザ・シガー:2009/01/25(日) 14:07:25 ID:fPfkjkfC
B・A氏GJ〜!
あなたは毎回、書くものの幅が広すぎですwww
新しい世界に目覚めちゃうかもしれないぜ。
そして埋めもかねてレジなの投下するよー。
レジアス×なのは、「ある中将と教導官の日々」十話、非エロ。
これが理解できない子は頑張ってスルーしてね?
ある中将と教導官の日々10
レジアスは憂鬱だった。
会議の最中だというのに、やはり彼女の顔が、なのはの顔が頭から離れずに鬱々とした気分に沈み込んでいる。
目の前に提示された資料も、他の重役の会話もどこか上の空で、思慮は宙ぶらりんのまま。
そんな時だった、彼の反応を呼び起こす名前が耳に響いたのは。
「地上本部に高速で飛来する物体だと!? 本当か!?」
「識別コードは!? もしやテロかっ!?」
「いえ、この反応は管理局局員です、というか……これは、高町なのは一等空尉っ!?」
高町なのは、その単語が出た瞬間、レジアスは目を丸くして硬直した。
そして彼らの言葉を脳裏で反芻する。
こちらに向かっている。 誰が? なのはが……
「な、なんだってえええええっっ!?」
レジアスの驚愕の叫びが、会議室の中にキーンと響き渡った。
□
空、どこまでも青く澄んだ大空。
白い雲は燦然と照る太陽の光を受けて、空の蒼穹をより一層引きたて白く輝く。
正に快晴、見ているだけで心も晴れ渡るような素晴らしい空模様。
そして、その空を駆ける一筋の閃光があった。
桃色の魔力光で一直線の軌跡を残し、低温・希薄な高高度の大気を切り裂いて飛行するソレは人型。
よく見れば、白いバリアジャケットに身を包み美しい栗色の髪を二つに結んだ少女だと分かる。
少女は美しい空にも眼下の街並にも見る事無く、ただ進行方向上に存在する巨大ビルディングに全神経を傾けていた。
“時空管理局地上本部”、狂おしいばかりの恋に踊る少女が想いを馳せる人の待つ場所である。
『高町一等空尉。高町一等空尉、聞こえますか?』
そんな時だった、少女、高町なのはの脳裏に念話通信が響いたのは。
なのはは眉間に僅かなシワを刻み、普段なら決して見せないように顔を歪める。
冷静に考えれば、今の自分は飛行許可もなにもない。
無許可での飛行、例えそれが全周囲サーチ魔法を駆使し危険度を極力避けたものだとしても厳重注意の対象には違いない。
レジアスの事ばかり考えてまったく失念していた。
「はい、こちら高町なのは」
『こちら地上本部管制。貴官の飛行許可申請は確認されていません。すみやかに飛行を中止してください』
事務的な対応で相手は念話通信でなのはに指示を送る。
従うべきだ。
長年時空管理局に仕え法と正義の名の元に戦ってきたなのはには、どう考えても命令を肯定し受け入れる以外の選択肢はない。
そう、ない筈だった。
だが彼女は返答に肯定とまったくの正反対、命令の拒絶を選んだ。
「断固拒否しますっっ!!!」
裂帛の、聞いただけで思わず背筋が痺れそうな怒声がなのはの声、そして思念から響き渡る。
彼女との念話交信をしていた女性陸士隊員は、そのあまりの気迫に思わず席を転げ落ちそうになった程だ。
女性陸士隊員は気を取り直し、再度交信を試みる事にした。
そうだ、もしかしたら自分の勘違いかもしれない。
あの有名なエースオブエースが、あの高町なのはが、こんなトンチキな事を言う筈がない。
そうだこれきっと幻聴かなにかだ、と自身に言い聞かせ女性陸士はもう一度マイクを握った。
『あ、あの……高町空尉? 今なんと? 少し聞き難かったので、もう一度お願いします』
イエスと言え、心中でそう呟く。
だがしかし、嗚呼しかし、世界はいつもこんな筈じゃない事ばっかりだ。
「何度も言わせないで欲しいのっ!! 答えは“絶対にNO”なのっっ!!!」
地上本部航空管制官を務める女性陸士、セーラ・フェアレディは今度こそ、その場で盛大に椅子ごとずっこけた。
いつもは理知的かつクールな女性として凛としている彼女だが、流石にこれは効いた。
思わず現実が受け入れられず、ずっこけた不恰好な姿で床に突っ伏してしまう。
だがいつまでもそうしてはいられない。
かけたメガネの位置を直しつつ、セーラは立ち上がりもう一度椅子に腰を下ろす。
『あ、あの……なにを言っているんですか? このままだと首都航空隊に出動を要請しなければならないのですが……』
「恋する乙女は止まらないのっ! 神仏悪魔、たとえ目の前になにが立とうともっっ!!!」
もうダメだ、意思疎通不能。
セーラは密かに自慢にしているショートカットの金髪を掻き乱すように頭を抱える。
まさかあの有名なエース級魔道師が電波だったなんて。
ショックを受ける心に鞭を打ち、セーラは待機中の首都航空隊の出動要請をコンソールで打電した。
□
『こちら地上本部管制。予測ではあと約2分で目標がそちらに到達します。相手は管理局のエース級魔道師です、まずは説得を試みて武力衝突は可能な限り避けてください』
「了解、なるべく交戦は避ける」
ミッドチルダ首都クラナガン。
そこにそびえ立つ法の塔、管理局地上本部の上空で男、首都航空隊第一中隊隊長マイケル・サザーランドは念話通信で管制官の女性に返答を返した。
手にしたデバイスを握り締め、振り返って自身の後方に並んだ部下達に視線を向ける。
ずらりと並んだ彼らの顔には常の精悍さや凛々しさはない。
あるのは困惑というか、疑念というか。
未だに、高町なのはが警戒対象であるという事実が飲み込めないのだろう。
それはマイケル自身も例外ではない。
今でも何か悪い冗談の類ではないかとさえ思っている。
だが自身の常識や思慮は任務とは切り離して考えるべきだと冷静な意識は告げていた。
「おいお前ら。確かにこいつは冗談みたいな話かもしれんが、もっとしゃんとしろ。そんなんじゃミッドの平和は守れんぞ」
「は、はい。すいません隊長」
「分かったら術式構築の準備でも」
しとけ、と続けようとしたが、それは叶わなかった。
彼が言葉を発した瞬間、デバイスの索敵圏内に反応、同時に緊急アラートが伝えられ背後に視線を向ける。
そこには光があった。
眩い閃光、一瞬目がくらみそっと細められる。
太陽か? いや、太陽ならば頭上の天に照っている、では今視線の先にあるアレは一体なんなのだ?
疑問符が脳裏に幾つも浮かび、それを解決すべき推理も同時並行で浮かぶ。
正解に辿り着くのにそう時間はかからなかった。
光源の正体は桃色の魔力光だったのだから。
『総員対ショック体勢っっ!!!』
事態を理解した瞬間、マイケルは命令伝達の速度を優先して口ではなく念話で指示を送った。
自身も瞬時に防御障壁を展開し、飛行魔法行使に用いる魔力供給量を増やして姿勢維持を強める。
そして、次なる刹那にそれは来た。
瞬く間、反応する事すら出来ぬ超高速で彼らの横合いを桃色の閃光が軌跡を描いて通過する。
その姿を視認する事すら出来ず、次いで訪れた衝撃、高速で巻き起こる旋風の凄まじい威力を浴びた。
猛る空気の奔流はさながら嵐の暴風、障壁を展開していたというのに、彼らの身体を大いに揺らした。
歯を食いしばって衝撃に耐え、マイケルは自分達の速報を電光石火の速度で過ぎ去った光に視線を向ける。
そして呆然としながら呟いた。
「なんだ……ありゃ?」
『サザーランド隊長! 今対象、高町一等空尉が通過しました!』
すかさず入る地上本部管制官、澄んだ女性の声が念話通信で脳裏に響く。
その言葉に、マイケルは思わず声に驚愕を混じらせた。
「ちょ……本当か? 当初の予測接触時間より相当速いぞ?」
『高町空尉のデバイスはカートリッジシステムを組み込んでいます、恐らくはカートリッジを消費してその分を飛行速度に回したんでしょう』
「それにしたって、ありゃ半端ないぞ」
カートリッジを消費して魔力を供給したとしてもあの速度はかなりのモノだった。
だが感嘆してばかりもいられない。
自分達の任務は首都の空を守る事であり、今しがた超高速で飛行していた乙女は止めるべき脅威なのだ。
マイケルは即座にデバイスを構え、部下に命令を下す。
「B分隊とC分隊は結界構築。A分隊は俺と一緒に対象の拘束に向かうぞっ!」
彼の怒声が空に響き渡った刹那、次の瞬間には全員が冷静に忠実に迅速に指令を実行する。
十人の魔道師、二個小隊の局員が総員を上げて限定範囲内で結界を構築した。
展開された強固な魔力壁がなのはの進路を閉ざし、彼女は反射的に身体に急制動をかけて中空で停止。
そして麗しい美貌を苦々しく歪ませ、自身に追いすがって来た局員達に鋭い視線を向けた。
「……邪魔をしないで」
「高町一等空尉! 飛行許可なしでの飛行魔法の行使は違法です、速やかに解除を……」
「邪魔をしないでっっ!!」
彼の言葉を裂帛の声で遮ると共に、なのはは手にした魔法杖を振りかざす。
そして桃色の魔力光で構成された魔法陣が現れ、無数の渦となって目の前に局員達に襲い掛かる。
熟練の腕前が見せるその速度は正に神速、抵抗する間もなく武装局員の四肢に喰らい付く。
それは魔力で作られた鎖、チェーンバインドの名を持つ拘束魔法。
一瞬にして自由を奪われ、空中でさながらマリオネットの如く吊り下げられた。
「ぐおっ! た、高町空尉!? 一体ナニを」
「邪魔なの、少しそこで頭冷やしてると良いの」
「いやいや! まずあなたが頭冷やしてください!」
なのはは視線を彼から離すと、手にしたデバイスを今度は進行方向を遮る魔力の壁に向ける。
そして腰のスカート部分から予備のマガジンを取り出し、新たなカートリッジをリロード。
自身の愛機に過剰な程の魔力を供給、同時に脳内で構築した術式を構築し魔法陣を形成する。
この状況で彼女がする事はただ一つ、砲撃による結界の破壊だろう。
それは無謀だった。
いくらSランクの魔力と戦闘力を有するエースとて、リミッター下では限界がある。
それが分からぬ高町なのはではないが、今の彼女に後退の二文字はない。
「た、高町一等空尉、無茶ですよ。我々の部隊が構成した結界を今のあなたが……」
「うるさいのっ! ここで引いたら恋する乙女の名が廃るのっっ!!」
「へ? 恋する、ってナニを……」
彼の疑問符が言い切られる事はなかった。
それより早く、莫大な魔力を消費して作り出された魔力の閃光が巨大なうねりとなって吐き出される。
魔力の奔流はさながら流星の如く、空に一筋の光の架け橋を生み出す。
乙女の恋路を邪魔する壁が消滅するのに、そう時間はかからなかった。
「レジアスさ〜ん! 待っててなの〜っ!!!」
少女は一直線に、一片の迷いもなく一瞬の躊躇無く、残る全ての力を振り絞って加速した。
法の塔に、地上本部に、あの人のいる場所まで一直線に、乙女は空を駆けた。
今の彼女を止められるものなど、恐らくこの世にありはしないだろう。
□
空気の抜けるような音を立てて、会議室の自動ドアが左右に開かれた。
自然、部屋の中にいた人間の視線がそこに集中する。
そして彼らは目を見開いて驚愕した。
理由は一つ、その場に立っていた一人の少女の姿を認識して、だ。
クシャクシャに乱れたサイドポニーに結われた栗色の髪、あちこちからプスプスと煙を上げているバリアジャケットは本来の白を失い煤け。
一体どれだけの障害を乗り越えてここまで辿り着いたのか、息は荒くなっており、小さくはないその胸を上下させている。
彼女が誰か知らない者などここには一人もいない。
有名な教導官にして管理局有数の高位魔道師、高町なのは。誰しも一度くらいは聞いた事があるだろう。
だからこそ一同は驚いているのだ。
そのなのはがバリアジャケットを纏い、デバイスを手にして管理局地上本部の高官の集まった部屋に許可なく押し入る。
解釈次第では、いやむしろ疑う余地がないほどに犯罪染みている行為だ。
思わず、その場の人間は皆息を飲んだ。
レジアスとなのは以外は。
「た、高町空尉……」
つう、と汗をたらしながらレジアスの口から彼女の名が零れる。
気不味い後味の別れから初めての再開がこんな状況で、彼の脳裏には様々な感情が溢れ返り混乱を招く。
彼女とどう話せば良いか分からない、どう接すれば良いか分からない、自分が彼女の事をどう思っているか分からない。
それはレジアス・ゲイズという男の人生の中でも、恐らく十指に入るような混乱だった。
彼のそんな心情を知ってか知らずか、そっとなのはの顔が上げられる。
彼女の行動に、思わず会議室の一同は身構えた。
「た、高町一等空尉……これはいったいなんのつもりかね?」
「ここがどこか分かっているのか!?」
「下手をすれば重罪だぞっ!?」
怯えを含んだ声を荒げて高官、レジアスの副官だろう男達がなのはに警戒を告げる。
だがなのははそれをまるで意に返さず、見向きもしない。
彼女が見つめるのはレジアスただ一人。
彼の姿を、顔を、瞳を、ただそれだけを澄んだ美しい眼で捉える。
唐突になのはのバリアジャケットとレイジングハートが解除された。
瞬く間に少女は茶色の制服姿へと変わり、魔法の力を行使しえぬ一人の乙女になる。
この突然の行動にいよいよ理解も想像もできなくなり、会議室の者は一様に首を傾げた。
数秒間を沈黙、静寂の時が支配する。
そしてふと、少女がそれを破った。
「突然お邪魔してすいません、でも……どうしてもあなたに伝えたい事があったんです……」
熱を帯びた潤んだ瞳と共に、静かなそして良く透き通った美しい声で言葉が紡がれる。
言葉も瞳も心も、全てはレジアスただ一人に向けられていた。
この事実を認識し、彼の鼓動は高鳴り背筋に寒気にも似た感触が走る。
そして視線が重なった。
様々な感情を溶かし込んだなのはの眼差し、濃密とも呼べる視線がレジアスのそれと中空で絡み合う。
二人は周囲に他の人間がいる事を本気で忘れてしまいそうになるほどに、互いの瞳にそして存在に魅入られた。
レジアスは確信する、“やはり自分はこの少女に惹かれている”と。
なのはは思う、“やっぱり自分はこの人が大好き”だと。
互いに秘めたる感情は同じく、相手を愛している。
「中将、いえその……レジアスさん……あの……私……その……私……」
上手く言葉が出てこなかった。
言いたい事はたくさんあったはずなのに、伝えたいことは単純だったはずなのに、身体が震えて言う事を聞かない。
小刻みに震えの伝達した手をギュッと握り締める。
さあ、勇気を振る絞ろう、心を強く持とう。
後退なんて許されない、全力全開、自分の気持ちを伝えると心に決めたのだから。
震えていた唇を一度キュッと咬むと、一度大きく息を吸って声を吐き出した。
「私、あなたの事が好きですっ! 大好きなんですっ!! 愛してますっっ!! だ、だからその……け、け、けけけ」
顔を真っ赤に染め上げて、全身を小刻みに震わせて、身も心もその存在の一切合財を震わせて、なのはは言葉を上手く繋げられず言い淀む。
緊張のあまり舌を咬みそうになる。
もう一度脳内で言葉を反芻して、大きく深呼吸して、落ち着いて、でも胸の中に満ちた気持ちをこれでもかと募らせて。
思いのたけを吐き出した。
「結婚してくださいっっ!!!」
それは少女に出せる限りの大声。
キーンと、部屋の中で反射して木霊し耳に響く。
そして静寂。
しばしの後に彼女の発した言葉の意味が脳に伝達され、意味を理解するのにそう時間はかからなかった。
不思議とレジアスに混乱は起きなかった。
それは混乱というより、呆然と言えば良いのか。
少女のどこまでも真っ直ぐで、純粋な好意をぶつけられ、レジアスの意識から半ば常の思慮が消し飛んでいた。
そして、冷静な理性の消えた心、無心なままの状態で彼は素直に答えた。
「あ、ああ……良いとも」
これが、恐らくミッドチルダ史上で最もとんでもない婚約発表の顛末である。
続く。
600 :
ザ・シガー:2009/01/25(日) 14:19:00 ID:fPfkjkfC
GJwwww
クソッ、マジで面白いじゃないか!
なwwwwのwwwwはwwwさんwwww
GJ
この後の始末が大変そうだが……レジアスがどうにかするかな? とりあえずなのはさんは反省しなさいwwww。
>>600 GJ!!
シリアスが、男気溢れる中将が、恋でゆれる乙女ななのはさんが、
とある助言でピンク色の暴走世界にこんにちは、かw
とばっちりの中将と主犯のなのはさんは始末書と関係各所への
謝罪と親御さんへの挨拶をしなきゃならんなw
>>600 レジアスさん…どうやらあんたに逃げ道はないようだぜ
素直になのはさんを幸せにしやがれ!
Gj!
ちょwなのはさん可愛すぎます。
おとめだなぁ、素敵でした!
GJ!
管制官や首都航空隊の皆さんも哀れw
この後の知人達の反応もどうなるだろうか。
次回が本当に気になる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
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人./ノ_ら~ | ・・・と見せかけて!
从 iヽ_)// ∠ 再 開 !!!!
.(:():)ノ::// \____
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______人/ :/´Д`):: ( _ノ _ノ^ヾ_) < へヽ\
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|__|| 从人人从 ..|__L_/ .( ヽ ::|
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巛ノi
ノ ノ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ')/ノ_ら ∧_∧ | いきなり出てくんな!!
、)/:./、 ( ´Д`) | ビックリしたぞゴラァ!!!
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