兄貴を利用してカップル限定グッズを買い集めるのが大好きな妹
>>791 弟を利用して(略)な姉ならいるんだがなぁ、ウチに
うちは兄だよ。
ボクが童顔(?)なのを利用して、偽装。
つうか兄は妹がほしいから、両親が兄にあきらめたから、ボクは男の娘。
食い物か飲み物に薬を入れてるとしか思えないほど二次性徴が遅れてる。
例えば、背丈155cm、体重45kg、上半身は胴回り65cmで成人男子Sでも余るとか、その割に尻が87cmだから、男性サイズは合わないとか。
いい加減ボクで遊ぶの止めて欲しい、22歳の春。
就職の面接で、履歴書の不正記入、性別偽証、の疑いがかけられて戸籍謄本提出したよ。
因みに、
いもうと大好きなおねえちゃま、おにいちゃまの、被害者ないもうとの気持ちがわかる気がする。
犬っぽい性格なら、ジッポぱたぱたして、服でも、アクセサリーでも、貰えば良いのだろう。
でも、鬱陶しいと思う。ボクは。
>>794 何かをねだる時に、ライターを振り回すキモウトを幻視
ジッボーのライターと言うと、風の中でも火が消え難いのが特長。
火を付けて、振り回し、迫る。
追い詰め、ねだる。
聞き入れないと、毛などに火を点ける。
なかなか良く躾られたいもうとだな。
毎日、火傷が増える。
いもうとの躰に。
こいつ、やべーでござるwwwwwwwwwww
保守
799 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/27(火) 19:36:30 ID:+hpCsNPn
保守上げ
ほ、ほしゅっ!
去年の3月に47歳の親父が再婚した。
相手は23歳(因みに俺は26歳)
そして先週親父から電話があった
「妹が出来たぞ!可愛いぞ!」
妊娠したのすら知らなんだのに…
>>801 ええと…とりあえずおめでとう。
年下の義母が出来ただけでも混乱してるでしょうが、
あと3年ほどしたら妹から「おじちゃん」と呼ばれる可能性が大です。
嫌なら早い段階から積極的に調教することをお勧めします。
(´;ω;`)ブワッ
これが現実か……
一次創作、非エロ、3レス程度、タイトルは『ふたり』。
『高校生にもなって一人で下着を買ったことがないなんてありえない』と言われたからといって、連れが実の
兄であるのはありえないとは思わないらしい。
昨夜、妹の麻実に買い物に付き合ってくれと言われたとき、「土曜は野球の練習があるから無理だ」と断って
いたが、その時麻実から「じゃあ練習がなかったら付き合えるってこと?」と訊かれた。俺は胸を張って「中止
になるならいいぜ」と太鼓判を押した後、豪快にTVのチャンネルを回していたら天気予報が今日の大雨情報を報
じていたのを観て血の気が引いた。すぐさまマネージャーの携帯に電話したら土曜は部活中止だと知らされがっ
くりうなだれた俺の横で、色気もクソもない麻実は目を輝かせて勝利宣言した。
ちなみに麻実は今まで自分ではブラジャーを買ってなくて、お母さんに頼んでいたようだ。胸はどんどん大き
くなるし出費もそこには使いたくないからと親を頼って、母親のチョイスしたブラジャーをつけていたという。
それをクラスメートに言ったら手酷く馬鹿にされたという。
麻実は大雨だろうと台風が来ようとお店がやってるなら行くのだと意気込んで、それでいて一人で行くのは恥
ずかしいから俺に付き合ってほしいと言ってきた。「一人で行けよ」と何回言っても「駄目。無理。お兄ちゃん
がいないと、私お店入れないっ」と必死な顔で言われてしまい、仕方なく妹の頼みを受け入れた。
そして今朝、窓の外に降り注ぐ予想以上の大雨がアスファルトを叩きつけている横で、コラールピンクのトレ
ーナーとアイボリーのティアードスカートを着た黒髪ショート少女がきゃいのきゃいの言ってご飯を食べては喋
り、牛乳を飲んでは笑い、テレビで放映される朝の天気予報に「知ってます!」と返事しては笑いつつ、朝食に
舌鼓を打っていた。それは降り注ぐ大雨に勝るとも劣らないテンションだった。
「麻実、明日にしようぜ」
コップの牛乳を飲んだせいで上唇についたミルクを左手で拭きながら俺は言った。明日になれば間違いなく晴
れるのだから、わざわざ今日行く必要はない。
麻実は首を僅かに左右に振って微笑んだ。「だめ」
「もう台風みたいに降ってんだから、お前の…可愛い髪形が崩れちゃうぜ」
「さんきゅーまいぶらざー。ばっとどんとうぉーりー。雨も滴る良い女」
誰がうまいことを言えと。
「午後には止むって話だから、午後にしようぜ」
俺は食べ終わった食器を両手に持って台所に向かいながら言った。誰が好き好んで大雨の中、歩きにくい路面
をお散歩するというのだ。ありえない。
途端に妹のブーイングが鳴り出した。「えー。ちょっと大雨なだけじゃなーい。バス停まで行けばあとは濡れ
るとこないんだから」
「そのバス停までが10分かかるだろう?」
「頑張って、早歩きする!」
目を輝かせて麻実は返事する。
「7分か…小雨だったらいいんだけどな」
「小雨になる瞬間、きっとあるよ! じゃあ小雨になったらすぐ行こう」
「お、おう」
俺はどもってしまった。別に麻実に言い負かされたからじゃない。ただ麻実の円らな瞳が眩しかっただけだ。
それから俺たちはいつ止むとも知れない雨音に耳をすませつつ、お昼のお握りを用意した。昼過ぎに出るなら
作る必要もないのだが、午前11時くらいに出ると家で食べられなくなるから、簡単に早く作れるものを持って行
こうという話になったのだ。
麻実は真剣におにぎりを作っている。喋らなければ麻実は可愛いと思う。顔は美形でスタイルも良くて、胸も
大きいものだから男なら簡単に惚れてしまってもおかしくない。喋らなければ、だ。口を開けば延髄チョップし
てきそうなほどのマシンガントーク、そのテンションに度肝を抜かれるだろう。我は強いし妹の癖に偉そうだし、
テストの点数で俺に対抗してくるほど負けん気が強い。そもそも学年が違うんだからテスト範囲も違う。俺が95
点で麻実が98点で「勝った」事にはならない。それでも麻実は勝つことに拘り、時にそのせいで相手を泣かせた
り苛立たせたり怒らせたりしつつ、徐々に自分の気質は保ちつつも相手に暴言を吐かないようになっていった。
そんな麻実がクラスメートの女子に子供扱いされたというのが許せなかったらしい。
別に麻実に女らしくなってほしいとは思わないが、相変わらず何に対しても本気で怒ったり悔しがったりする
麻実を見ているとつい何か言ってしまいたくなる。
おにぎりを作り終えた時点で午前10時を過ぎた。雨は未だ降っているが、今朝方よりは雨足は弱まっていた。
早ければ11時には止むかもしれない。「麻実」と声をかけようとして麻実の顔を振り向くと麻実はごはんのつい
た手を口にもっていって、一粒一粒舐めて、食べていた。その仕草がナニをナニしてる年頃の女の子を想像させ、
妹にそんな想像してしまう自分に生理的な気持ち悪さを感じて思わず目を閉じた。だが目を閉じてもありありと
妹がごはんをその可愛らしい唇と舌で舐め取っている様が浮かび上がり、虚空に向かって手をバタバタさせてそ
の映像を消そうとした。
「何やってるの? お兄ちゃん」
麻実がぽかんと口を開いて俺に聞いてきた。この円らな瞳の妹の口が、さっきまで美味しそうにご飯つぶを食
べていたのだとは考えてはいけない。「なんでもない。雨、止まないな」こんなことでごまかし切れるとは思わ
ないが話題を強引に逸らすしか方法はない。
「うん。でも、これくらいの雨だったら、私行ってもいいよ」
そういって麻実はジト、と俺を見上げてくる。麻実は狙ってこういうことが出来るタイプではないから自分の
魅力に気付いてないのだろうが、こういう潤んだ目をされると、言葉に詰まる。
「俺は、もう少し…小雨になってからのほうがいいな」
麻実は必死に俺を上目遣いで見続ける。ヤバい。こっちも胸がどきどきしてくる。「お兄ちゃん…いこ?」
声だけで十分に可愛い。でも可愛いって思ったら負けるからそういうこと思うのもやめよう。
「それにね、雨がやんでから行ったらそのお店、混んじゃうから。すいてる内に行きたいんだ。今ならそんなに
濡れないでしょ?」
満面の笑みを浮かべて微笑む麻実。だからいちいち可愛い顔すんな。ホントに。
俺はふと閃いて玄関に向かった。家族揃って傘を何本も無くしたり置き忘れてきたのだ。今も一本もない
かもしれない。一本もなければこの雨の中、外に出られるわけがない。
玄関の傘入れに、傘は一本しかなかった。粉砕して投げ捨ててやろうかとも思ったが、後から麻実が駆け寄っ
てきて「これなら大丈夫だねっ!」と俺に抱きついてきたので、俺の左腕は麻実の豊満な胸にむにょ〜と押しつ
ぶされてしまった。柔らかすぎる感触が、俺の理性を飛ばす。
「何が、大丈夫なんだ」
全然大丈夫じゃない口調で俺が言う。
「この傘大きいから、二人入れるよ──あ」
そこでハタと気付いて俺を見上げる。「お兄ちゃんとひとつの傘で歩いたら、やっぱり駄目だよね。あ、さ、
サングラスすれば兄妹ってばれない!」
二人してサングラスをつけたまま傘さして歩く姿を想像して吹き出してしまう。
「わかった。わかったよ。行こうぜ」
そういった瞬間、麻実は目を輝かせて微笑んだ。「うんっ!」
俺はすぐに視線を逸らしてすべき事を麻実に告げる。
「お金忘れんなよ。俺はおにぎりと水筒用意しとく。あと、10分後に出かけるぜ」
麻実は頷いて二階へ通じる階段を駆け上がる。急に離れた胸の感触を憂えてはいけない、じゃなくて。
俺はおにぎりに全て具を入れたか記憶になかった。多分入れたかもしれないが、入ってないのもあるかもしれ
ない。麻実ももしかしたら忘れたのもあるかもしれない。念には念を入れて、具を別のタッパに入れた上で、我
が家の紅一点を待ち受けた。
「お兄ちゃんも念のためお財布持ってきてー。高いの買っちゃうかもしれないから」
階上から声が届く。その悪びれない口調に、俺は失笑した。
以上です。
お久しぶり。
なにが言いたい?
同一人物?
どっちが先か確かめるのも
無断転載疑惑どうのこうのと揉める可能性も
どっちもめんどくさい
すごくいいなと思ったのに
どっかからの転載ってこと?
>811、812 某板の閑古鳥が鳴いている某スレに投稿したものを、少し修正してこちらに
載せました。なので同一人物ということになります。
以後、作品投稿時には、既に別サイトに投稿していたらその旨も付記します。
高2の時に中3の妹にビンタされて「キモっ…」って
まるで蛙の死骸を見るような目で言われた時に
凄い興奮して勃起したんだが俺は変態ですか?
そもそもなんでビンタされたん?
>>814 ホントに何したんだよアンタは。
まあ、その一件で心を入れ替えていいお兄ちゃんになって、無事仲直りできたなら普通。
味をしめて、わざと妹に忌み嫌われて、軽蔑の目で見られたがるのならばド変態かと。
だいぶ昔に中途半端に書いてた者です
大幅に書き直して妹視点の一人称で投下します
長い・暗い・エロくないの三重苦に耐えられそうな人はよろしくお願いします。
そうでない人はスルーでお願いします
「はあっ…!…はぁ、はぁ」
あまりの息苦しさと恐怖で私は飛び起きていた。
それと同時に呼吸を素早く繰り返す。
嫌な夢を見た。
どんなに洗っても染みになって取れない汚れのような、しつこい悪夢だった。
内容は、思い出せそうでも、すんでのところで思い出せない。
かなりの不快感だ。
「はあ…はあ…」
気管支が落ち着いてきてもなお、必要以上に酸素を体に取り込む。
新しい空気をゆっくりと取り入れることで今見ていた夢が薄まっていくように、そう願いながら深呼吸を繰り返した。
ふと気付けば、寝室の中はほの暗い。
まだ夜が明けていないのだ。
この嫌な余韻を体に残したまま学校へ向かうのは億劫だったので、気持ちを落ち着ける時間があるのはありがたいことだった。
『…ん…ふ…』
ようやく心身ともに人心地がついた時になって、どこからか不快な雑音が聞こえてきた。
最悪なタイミングだった。
それとも、あまりに取り乱していたせいで雑音に気付かなかっただけか。
どちらにしろ、それは私にとって不都合極まりない事実であることに違いはない。
そうしてその雑音の原因もすぐさま突き止めてしまえることすら、忌々しい事実以外の何物でもなかった。
『あ…や…た、かま』
聞こえてくる雑音はいやに甲高く、この家に住む私の家族、母、父、兄、そのどの声とも違っている。
「下品……最低……いなくなればいいのに」
口汚く罵りの言葉を吐き出しながら、私は両手で耳を塞いだ。
おそらく二つ隣の部屋から漏れてきているのであろう雑音は、紛れもなく最中の女の声であり、その原因は二つ上の兄、秋良高馬であることは疑いようもなかった。
せっかく悪夢から目を覚ましたというのに、その悪夢に逃げ込みたくなるほど悲惨な現実が待ち受けていようとは、思いもしなかった。
私は、このふしだらで遠慮のない兄のことが、嫌いで嫌いで、仕方がない。
* * *
「みどりー、もう帰んの?」
「うん、ちょっと家の手伝い押しつけられちゃって」
「偉いねー、日本の大和撫子ここにありって感じだねー。信じらんない」
「あはは、大和撫子ってただの雑用係のこと?」
「…ごめん、言いなおすわ。大変だねー」
高校で友達になった菊池百合子の軽口に付き合いながら、私はさっさと鞄の中に参考書などを詰め込んでいた。
さっさと家に帰ってやることをやらなければ、「あいつ」が帰ってくるからだ。
私の忙しそうな仕草で何かを察したのか、トレードマークの短いお下げをくるくると指でいじりながら、百合子は幾分か声を和らげて言った。
「でもさでもさ、たまにはカラオケとか付き合ってよ〜。あんた歌うまいし、みんなも気にしてんだよ、けっこう」
「ホント!?なにそれ、お世辞とか気持ち悪いよ百合子」
「へー、そういうこと言っちゃう?んじゃあせっかくいいこと教えてあげようと思ってたのに、やっぱり言うのやめちゃおっかなー」
意味ありげに大きな瞳を細めて、百合子はニヤニヤとやたらいやらしい顔をしてみせる。
そんな風に言われれば是が非でも聞き出したくなるのが人のさがと言うもので、私は瞬時に頭を下げていた。
「百合子様のほめ言葉、ありがたく頂戴します!だからそのいいことって何か教えて〜」
「よしよし、素直でよろしい」
私の大仰なパフォーマンスに溜飲を下げたのか、百合子がヒソヒソ声で耳打ちしてきた。
「いま3組の女子のあいだで言われてんだけどさ、1組の佐野くん、あんたのこと好きらしいよ」
驚きのあまり、え?と聞き返すこともできなかった。
1組の佐野くんと言えば、私たちの学年はおろか、校内中の女子が気にしているのではというほどカッコイイことで有名な人だった。
何かの間違いだろうとしか思えない。
「それただの噂でしょ?だれかと間違えてるんじゃないの」
寝不足ということもあり、私は面倒くさそうな噂話にすぐ興味を失った。
とりあえず、私にとってはひとつもいいこととは思えない類の情報だ。
「ったく、みどりはこれだから…。ちょっとは嬉しそうな顔したら?普通ははしゃぐよ?色気づくよ?あんた男に興味ないんじゃないの?」
話して損したとでもいうように、百合子はジト目で腕組みをして睨んできた。
何を言われても興味がないものは興味がないのだからしょうがない。
「そうかもね。でも信じられないし、本人ともあんまり面識ないし、それで喜ぶ方がバカじゃない?私みたいなの、わざわざ選ぶと思えないし」
一通り宿題に関係ありそうな教科書を詰め込んで、あとは帰るだけとなった。
隣で、うらめしそうな顔をした百合子が、特徴的などんぐり目をくりくり動かして私の様子をうかがっている。
こうして見ると、百合子は小動物のように可愛くて、守ってあげたくなる雰囲気がある。
中身はといえばそうでもなくてむしろ頼りがいがある姉御肌な性格だけど、男女とも友達が多くて付き合いやすいし、私のような地味な人間よりはよっぽどモテそうだった。
そんなふうな評価を下していると、百合子が何かを諦めたように「はー」と大きくため息をついて肩を落とした。
「……わかった。そうよね、あんなかっこいい人が身内にいるんじゃ、理想が高くなるのも仕方ないしね」
「え、なんのこと?」
「兄弟よ、お兄ちゃんよ、あんたのお兄ちゃんの高馬さん!あんだけかっこいい人と毎日顔突き合わせてたら、そりゃ佐野くんあたりが好きだって言ってもどこ吹く風だわ」
「はあ!?そっ…」
反論しようとした矢先に「百合子、今日行く?」と別の子から話しかけられ、百合子はそっちの方へ話を変えていた。
非常にもやもやとした思いを拭えなかったが、腕時計のデジタル表示はすでにタイムリミットを過ぎている。
名残惜しさを感じながらも、私は早足で教室を出て昇降口へと駆け出した。
靴をローファーに履き替えながら何気なく玄関口の向こう側に目をやった。
私の通っている高校はグラウンドを通らなければ校門へ行きつかない構造になっており、自然と目につくのは外の部活動をする生徒たちだった。
陸上部の何人かが流しでトラックを走るその向こうで、白と黒のボールを蹴り合っている群衆に視線が移る。
あの中の一人にたくさんの女の子が黄色い声援を送っていた光景が、ふっと頭をよぎった。
とりだしたくもない記憶だった。
「あんたのお兄さん、残酷なやつよ」
「え?」
突然かけられた声にひどく驚きながら振り向くと、髪をやや明るく染めている女の人が、暗い表情でこちらを見ていた。
ネクタイの色を見ると、どうやら三年生のようだ。
個人的な好みの範疇で述べると、大変美人な先輩だ。
けれどこんな美人な人と面識はないし、何を言われているのかさっぱり分からない。
私は、一応周りを確認してみた。
…他には誰もいない。
やはり自分に向けられた言葉で間違いないらしいと観念するしかなかった。
「あの、なんのことですか?私…」
関係ないと思うんですけど、という非常に弱弱しい意見に聞く耳も持てないのか、ギャル風の色っぽい先輩はすっと腕を出して、私に受け取れというように顎をしゃくった。
「これ、あんたの兄貴に渡しといて」
「は…?」
「あと、さっきあたしが言ったことも伝えといて。…じゃ」
「あ、あの…」
言いたいことだけ言ってさっさと行ってしまった先輩の後ろ姿を見届けながら、私は茫然とその場に立ち尽くしていた。
手の中には四つ折りのノートの切れ端があって、なんだか不幸の手紙のように恐ろしく感じられた。
何故なら、あの先輩は、兄に伝えろと言っておきながら、その視線の中では明らかに私に対する嫌悪をにじませていたのだ。
ひょっとして私の悪口を手の中の紙切れにびっしり書き込んでいるのではないかとすら思えるほどだった。
「にしたって…なんで私が…?」
何にしろ、非常に面倒な事態に陥ったことは明白だ。
この紙切れを兄に届けなければならないということは、少なくとも、一度は兄と対面しなければいけないということになる。
せっかく早く帰ってさっさと家のこと終わらせて寝ようと思っていたのに、とんだ厄介事が舞い込んできたものだ。
重くなる胃に手をあてながら、仕方なしに渡された紙切れを制服のポケットに押し込んだ、そのとき。
―――あんたのお兄さん、残酷なやつよ。
伝えろと言われたセリフが、ふっと胸に浮かんだ。
残酷、という直截な表現まで持ち出すほどの、どんなひどいことを兄はやったのか。
考えたくもないのに、あの兄のことだ、どんなことを強いていようとおかしくはないと容易に想像がついた。
(きょうだいというだけで、私には何も責任なんてないはずなのに…こんな不安まで抱かなくちゃいけないなんて、納得いかない。理不尽すぎるよ)
帰る足取りは当然のこと重くなった。
私の兄は、秋良高馬という。
年は二つ上の18歳。
そして私の名前は七倉みどり。
名字が違うが、私たちはべつに義理でもなければ他人でもなく、完璧に血の繋がっている兄妹だ。
では何故名字が違うのか?
私は今、母の再婚相手である義父の姓を名乗っている。
だが兄は、母が実の父と離婚したときに私だけを連れて出て行ったため、必然的に実父の姓のままだった。
そして、私たちと暮らすことになった今も、実父の姓を取らないでいる。
戸籍上は他人なのだ。
その他にも、兄は何につけても父の影響が強い。
いまだに独特の関西弁で話すのもそうだし、家庭環境、価値観、生活習慣、文化、何から何まで私たち家族と一つもかぶらない。
そう、実の兄妹でありながら、私たちにはまったく共通点がなかった。
それに、転校を繰り返していたからか、それとも飲んだくれだった(らしい)父を一人で支えてきたからか、同年代の人より世慣れているし、妙に落ち着いているしで…。
とにかく、私と血を分けていることなど一つとして感じさせない男が、私の実の兄、秋良高馬だった。
当然だろうが、私は、兄を兄とは思っていない。
兄の方でも、私を妹とは思っていないだろう。
なにしろ私が兄と「家族ごっこ」をしなくちゃならなくなったのはつい最近のことだ。
一緒に居た時間よりも離れて暮らしていた時間の方がずっと長い、そんな家族を家族とは呼べない。
それでも、最初の頃はまだ「らしく」しようと頑張っていたように思う。
けれどその努力も、瞬く間に泡と消えた。
最初に放棄したのは兄の方だった。
…いや、あの人は放棄どころか、鼻っから何もするつもりがなかったんだろう。
実らない成果をアテにしていい子ぶれるほど、私は真面目でも大人でもなかった。
私たちが互いに「家族」として引き合わされたのは、ほんの3年前のことだった。
それも、アルコール中毒で早々にこの世を去った実の父の葬式の席で、だ。
実の父と兄がいることは聞かされていたものの、実父がアル中で死期が近いなどは教えられていなかった。
まさに寝耳に水状態の私に実父の死を悼んでいられるような余裕はなく、むしろ何故教えてくれなかったのかという憤りや不満の方が大きかったように思う。
喪に服す母や義父があれこれと生前の父のことで話しているのを横目で見ながら、私は実の兄であるという、一度も会ったことのなかった兄の様子を目の端で気にしていた。
私の目には、格別悲しんでいるようにも悄然としているようにも見えなかった兄は、当時は今の私と同じ16歳だったにも関わらず、とても頼もしく映った。
今後どんな形になったとしても、彼のような兄が持てたことを誇らしく思うだろう、とまで確信させるほど堂々としていた。
最初は一人暮らしを決意していたらしい兄を、母が必死に説得し、同居にまで至らせた際には、私は喜んですらいたかもしれない。
だが第一印象と、実際会ってからの印象とでは、がらりとその評価が変わっていった。
「みどり、あんたのお兄ちゃんよ。今日から一緒に住むって話してたでしょ?」
「うん…」
「ほら、あいさつは?」
実の兄にあいさつを強制する実の親というのも変な感じだ。
そう思いながらも、私は申し訳程度にぺこりと頭を下げた。
どういうわけか恥ずかしくて兄の顔が見れず、言うべき言葉も思いつかなかったので、とりあえずそうした。
「何恥ずかしがってんのかしら、この子。覚えてないかもしれないけど、3歳までは一緒にいたのよ?」
そんな太古の昔のことを持ちだされても、覚えている方がおかしいことに気付いてほしい。
母のおしつけがましい感動の再会シーンにうんざりとしていたとき、それまでだまって成り行きを見守っていた兄が口を開いた。
「かまへん。そんなん、覚えてもへんやろ、その子。俺かて、おふくろと住んどった頃の記憶なんぞとっくにのうなっとるわ」
緩い緊張感で満たされていたその場が、瞬時に凍りついた。
遠慮のない言い方、少し剣呑とした感じにも聞こえる関西弁、そして何より、私のことを「その子」と、なんの気もなしに口にした事実。
この人は、私たち…いや、私と家族になることなど、考えてもいないのか。
そう思い知った時、私はようやく顔をあげて、初めてまともに兄を見ていた。
背が高かった。
そして細身のわりには筋肉質で、見上げた先のその顔は……
自分とまったく似ていない。
タレ気味でぎょろっとした目と、精悍で無駄な肉のそぎ落とされた、どこもかしこも鋭い顔立ち。
高い鼻に薄い唇、堅そうな黒い髪…。
これが、こんな人が、本当に私の実の兄なのだろうか?
本当に?
懐かしさや慕わしさなんて、微塵とも湧いてこない人だというのに。
「これからよろしゅうな、みどりちゃん?」
人を食ったような笑いを浮かべながら兄がそう言ったところで、私たち家族の感動の再会シーンは幕を閉じた。
絆とか縁とか、そんなもの信じるつもりもないけど、血の繋がった兄妹なのだから少しは何か感じるものがあるのではないかと思っていた。
けれど本当に、「他人だ」ということ以外、彼に対してまったく感じられるものはなかったのだ。
けれどその時は、それに関して否定的な感情は湧かなかった。
10年も離れて暮らしていて、それも一緒に居た時の記憶がないのならば、いくら血縁とはいえ案外と素っ気ないものなのだろうと自分なりに解釈していたからだ。
けれど、その素っ気なさの本当の原因は実はすべて兄によるのだと、同居を始めて1週間と経たずに知れることとなった。
第一に彼は、「お兄ちゃん」と呼んでも絶対に返事をしなかった。
体中から勇気を振り絞って口にした「お兄ちゃん」が完璧な無視をくらってから、私は極力兄を呼ばないようにしている。
どうしてもそうしなきゃならないときは、他人行儀に「兄さん」と呼ぶ。
兄も、「兄さん」と呼んだ時ならば、明瞭ではないものの何らかの反応を示すようだった。
第二に、質問には全て上っ面な答えを返すのが兄のやり方だった。
本当なんだか嘘なんだか分からないような話でごまかすのがうまいのだ。
核心に触れるような質問などは、虚実織り交ぜたようなエセくさい話を誠実という塗料で上塗りして返す。
兄の、本当に誠実な話なんか、少なくとも私は一度も聞いたことがない。
そして最後に、昔の私たちの話など振るのも振られるのも嫌というように、家族だんらんは確実にボイコットだ。
兄は高校三年になるので進学だ就職だなんだと忙しそうだが、かといって家族と話せないほど多忙かといえば、実はそうでもないのだ。
時間のやりくりがうまい人だったので、生活のサイクルには常に余裕がある感じだった。
私たちに分からせない程度に、用事を無理やり作っているような気がした。
とまあ、万事こんな調子だったので、兄が、遺伝子上でしか私たちを家族と認めていないことはすぐに知れた。
両親の言いつけには表面上従っている様子を見せるが、その実バレない範囲で何をしているのやらわかったものではない。
10年近く放っておかれていまさら家族ごっこなどできないというのは、正直分かる話ではある。
けれど、兄ほどに自立心も生活力もある人が、じゃあどうして母の説得に応じてこの家で暮らすことを決断したのか。
一緒に住んでいるから譲歩している、という程度でしか、兄は母にも義父にも敬意を払っていない。
まして私などには、話しかけることすらないのだ。
そんな不安定な家族は、当然のこと不協和音を奏で始めた。
両親は腫れものに触るように兄に接し、私は私で、最初の三日間を過ぎた頃には彼に関わろうという気持ちなどすっかり失せてしまっていた。
ただ一人、兄だけが常と変らない様子でマイペースに暮らしている。
淡々と、その内面はまったく見せることなく、ただ淡々と。
とりあえずここまで。
またエロなしのゴミか・・・
エロなしでサーセン
兄妹はプラトニックな変態が萌える特殊な趣味なもんで
まーでも最後はエロ入るかも
チラウラ程度
* * * *
「…今日に限っているし」
友達の誘いを振り切って帰ってみれば、玄関にあるアディダスの黒いランニングシューズを確認し、肩がますます下がってしまった。
兄のロードワーク用の靴だった。
イコール、いつものランニングには行ってない、イコール、この家の中にいる…―――。
…まったく気が滅入る話だった。
私たちの両親は互いに仕事を持っており、割合家にいない時間が多い。
そうなると、必然的に家の仕事は居る者で補わなければならなくなる。
しかし、全国大会に出場するほど実力のあるサッカー部に在籍している兄は、大半の家の雑事をこなす時間がない。
そのためお役はほとんど私にまわってきて、炊事洗濯掃除、学校から帰ってからはおさんどんもかくやというほどの主婦ぶりを発揮しなければならなかった。
外での素行など知れたものではない兄はサッカーに関してだけは真剣で、その腕前たるや高校サッカー専門の雑誌記者から何度か取材を受けるほどというから驚きだ。
ゆくゆくはプロへ行くのではと周りがささやくのも頷けるほど、とかく兄のサッカーへ対する傾倒ぶりは尋常ではない。
両親もそれだけは手放しで兄を受け入れており、私には彼の手助けをするようにと口が酸っぱくなるほど言い聞かせている。
そのため、自然と家の雑用は私が請け負うことになってしまった。
もちろん不平不満はいっぱいある。
けれどどういうわけか、私はまるで習慣のように、決められた予定を実行するように毎日、早々に帰宅してはそれらの雑事をこなしていた。
もともと帰宅部で、これといった趣味もなかったから、時間だけはたくさんあった。
ときどき、さっきみたいに友達から誘いを受けることもあったが、百合子のように人脈が広いというわけではないので本当に時々だ。
だから、もっぱら、高校生活に入ってからの私は家事に奮闘しまくっていた。
とりあえずは夕食の支度と風呂掃除を優先しなければならない。
兄がいることに多少の不安を感じるものの、彼が私へ興味を向けることは万に一つもないに等しい。
夕飯ができていれば「作ったんだな」とか、お風呂が綺麗になってれば「洗ったんだな」とかその程度の認識だ。
気にしている方が馬鹿らしいと考えて、制服を着替えるために二階の自室を目指して階段に足をかけた。
そのときだった。
『……』
かすかだが、何かが耳に届いた。
おそらく兄だろう。
けれど、兄はいつも何をしているかなど物音でも分からせないというのに、今日はやけにうるさい。
私が帰ってきていることに気づいていない可能性が高かった。
なにやってんだろ?
興味本位で、まったくの面白半分で、私は足音を忍ばせて階段を上がることにした。
『………』
ボソボソとして聞き取りづらかったが、誰かと会話しているような感じだ。
しかし玄関には他人の靴など見当たらなかった。
ということは、電話でもしているのだろう。
兄の部屋は階段を上がって手前にある私の部屋の隣の隣、つまり奥の方にある。
階段をあがりきったところで、壁に張り付いて奥の部屋の様子を伺うと、音が聞こえた原因が分かった。
兄の部屋の扉が数センチほど開いていたのだ。
音を立てないように慎重に足を運びながら、私は息を潜めて耳を澄ませていた。
『しゃーから、あいつのことなん、なんも知らん言うとるやん』
少しかすれ気味でハスキーな男の声。
いつまでたっても耳慣れしない独特の関西弁。
紛れもない兄の声が、今度は正確な言語になって耳に入ってきた。
途端に、私は思い出していた。
学校の下駄箱で渡された、元カノらしき人からの手紙と伝言のことを。
あれを兄に伝えることなんてできるのだろうか?
(―――あんたのお兄さん、残酷なやつよ)
あんな身も蓋もない言葉を、いくら実の兄とはいえ…。
思わず制服のポケットに手を突っ込み、受け取ってきた紙切れを握る。
紙切れは私の握力に耐えられず、くしゃっと悲鳴を上げた。
「お前の告白なんぞ聞きたないっちゅうねん。…はあ?なんや俺んことか。あほう、正真正銘の兄妹じゃボケ」
瞬間、どきりと胸がなった。
会話の内容に私に関係ありそうな言葉がでてきたからだ。
きょうだい。
あにいもうと。
あの人の妹という位置は、今のところ私しかあてはまらない。
「……お前、ほんましょーっもないな。ほんまのアホやな。実の妹つかまえて欲情もクソもあるかい」
私は思わず耳を疑った。
「そらな、確かにな。まあ顔は俺に似て可愛い部類っちゃそうか知らんが。…アホ、言わせ。そや、体もけっこういいセンいっとんで。あれは着やせするタイプっちゅうやつや。
真面目そうな顔しとるけど中々やらしいで。……くくっ、しゃーからなんべんも言わすなや。そういうんとはちゃうねん。あくまで、客観的意見の範囲やろうが」
なに?
なに言ってんの?
なんなの、これ。
本当に、「あの」兄がしゃべっているのか。
私のことを?
「あー…そこまでは知らんな。そんなん自分で聞きぃや。…は?その役立たずの兄貴に妹のスリーサイズ聞いとんのはどこのどいつやねん」
その言葉が耳に入った瞬間、私は全身が燃えるように熱くなったのを感じていた。
信じられなかった。
兄は、いつもの兄は、私のことなんて少しも興味を向けていないはずなのに。
それも、これはまったく嬉しくない類の興味だ。
怒りと羞恥、そして計り知れないほどの軽蔑が生まれる。
気持ち悪い。
妹としてでなく、女という視点から私に干渉してくるなんて許しがたいことだった。
「お、アカン。そろそろ時間や。ほんなら、明日な」
通話の終わりを予感させる言葉が耳に入ってきても、私は廊下の壁に張り付いたまま動くことができずにいた。
それほどの衝撃が、私の全身に雷のように打ちつけられていたのだった。
扉の隙間を凝視したままでいると、部屋の中で衣類が擦り合わさった時の、独特の音が響いてきた。着替え始めたらしい。
立ち去ることも自室に隠れることもできないまま、私は足が床に縫いつけられたかのように、そのままの体勢でじっとしていた。
着替え終わった兄が部屋から出てきても、それでも、動くことはできなかった。
「…なんや、帰っとったんか」
廊下で立ち尽くす私に気付いた兄が、1メートルほど手前で足を止めた。
私が、おそらくは立ち聞きしていたであろうことを、この兄は分かって言っている。
まるで何事もなかったかのように飄々とした態度に恐怖といら立ちを感じた。
「……今日、お父さんも、お母さんも、いないから」
「そらそやったな」
兄は、本当に何も感じていないように、普通に接している。
何なの、その余裕?
曲がりなりにも実の妹を侮辱しといて何の弁解もなし?
なんで黙って通り過ぎていけるの?
信じられない。
人としてどうかしてる。
「…ち悪い」
我慢できずに、正直な感想がこぼれ落ちた。
それはまったくの無意識だったものの、兄へ向けずにはいられない感情のかけらだった。
「あ?なんか言うたか?」
「気持ち悪いよ、サイテー!人のことなにしゃべってんの!?変な目で見ないでよ!」
私はその時、完全に取り乱していた。
後になってみれば、もしくはもう少し冷静さを取り戻していたら、私が言っていることがどれだけおかしいか、気づけたかもしれない。
けれどこの時の私は、兄の常にない生々しい人間臭い部分に振れたことで動揺しまくっていた。
兄が、私をそんな風に見ることが、どうしてだか許すことができなかったのだ。
「はあ?何を言うてんねん。盗み聞きかて、立派にサイテーな行為やぜ。なにのぞいてんの?」
兄が厭味ったらしく似てない口真似をしたので、私はさらにかっとなって言った。
「話すりかえないでよ!そっちが…、そっちの方が最悪でしょ!兄のくせに、なんでそんな気持ち悪い目で見れんのよ!今まで私のことずっとそんな風に見てたの!?
サイテーサイテーサイテー!!もう出てってよ!!この家から出てって!!あんたなんか私の家族じゃない!!兄さんなんかじゃない!!」
はぁ、はぁ、と肩で息をしながら、私は溜まっていた思いをとうとう言いきった。
何かが爆発してしまったのだった。
けれど、何の深い考えもなしに口にしてしまった言葉たちは全てが希薄で、相手に届く前に弾けて気泡になるだろう類の、らちもない中傷に過ぎなかった。
聡い兄は、すぐにこれに気付いた。
そして容赦なく攻め立ててきた。
「話すりかえる?誰が?最初っからおんなじ話やろ。お前、言うてること全部自分に返っとんで。ほな、盗み聞きしとったお前はなんやねん。
人の電話の内容コソコソ聞きよって。気ぃわるい。気持ち悪い思うんなら関わらんかったらええ話やろ。こっちかて気持ち悪いわ。
家族やないとか、何いまさらなこと言うてんねん」
無表情に、冷静に言い放った兄は、私の話などに付き合っていられないというように、通り過ぎようとしている。
いつものロードワークへいく格好の、黒いジャージの上下を身にまとって、上着のジッパーを閉じようとしていた。
もう、これで喧嘩は終わった。
兄は、私を視界から外し、そして世界からも除外する。
彼は瞬時に脳みそのモードをサッカーへ切り換えるのだ。
「ちょっと待ってよ」
ナイロン素材の上着の袖をギュッと掴んで、そうはさせるかと制止させた。
「関わるなとか言うなら、私や家族に迷惑かけないでくれる?なによ、これ」
ぎゅっと握ってくしゃくしゃの紙くずになった例の手紙を突き出して、兄の胸、心臓の部分に強く押しあてた。
兄は怪訝な顔でわずかに眉根を寄せながら、拳の中のものを受け取った。
「さっき、学校の昇降口で、元カノっぽい女から渡されたんだよ。だれかさんと類友みたいで、自己中で人の話聞かないから、私が渡すしかなくなったんだよ。
関わるなとか偉そうに言うなら、まず自分がちゃんとしてよ。私が知らないと思ってんの?お母さんとお義父さんがいないとき、夜中、誰と何してんのか」
「…………」