らき☆すたの女の子でエロパロ55

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、OVAも好評発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

■みゆきさんの一言メモ
・ 投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』(←全角)では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
・ スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます
・ SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます


マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ54
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225812280/
2名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:58:01 ID:uG/38jJK
さあ>>1乙ざますよ
3名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 00:12:19 ID:G2KiFNdD
>>1乙でがんすだばだば
4名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 01:06:09 ID:0Qvct2uM
ふんがー(>>1乙)
5ST205海苔 ◆ST205qYjsE :2008/12/12(金) 01:25:12 ID:M9JwYsai
まともに>>1乙しなさいよ!!

(♪あーいまーい3cm♪)
6名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 01:50:58 ID:RotaCssa
乙だよかがみん♪
7 ◆MoiSlbQnQw :2008/12/12(金) 04:54:37 ID:rw4/TY3U
さて、いきなりですが新スレ初投稿をさせていただきます。

タイトル:小ネタ『吸血鬼かなたさんを出せ、と言う要望があったので』
そうじろう×かなたさんです。後、珍しくレス使用タイプです。3〜4レス使用(目測では)。

注:一部省略されていますが、そこは頑張って妄想してください。
8小ネタ『吸血鬼かなたさん(ry』 /1:2008/12/12(金) 04:56:10 ID:rw4/TY3U
「あーあ、また落選だよ……」
書店にてそう呟く男が一人。彼はしがない小説家の卵、そうじろう。いまだ『卵』であるため、なかなか安定した収入も得られず、酷い時には一日の食事を減らしてまで生活費を捻出しなければならない始末。
誌上に掲載された結果を確認した後、彼は書店を出た。……店員の嫌な顔を見るのもこれで何度目だろうか。日雇いのバイトで手に入れた金は生活費と原稿代に変わる毎日。ここ最近は趣味を楽しむ暇もない。
「……ま、そうだよな。ここしばらくは倹約続きだし」
はあ、とため息が出る。
「でも、正直癒しが欲しいよなー。……って何言ってんだろ、俺。こんな状態で癒しだなんて、高望みにも程があるだろ」
ふと空を仰ぎ、そうじろうはこんな事を呟いた。

「……どっかに可愛い女の子でも落ちてないかなー。いや、空から降ってくるのもありかもな」

……そうじろうとはこういう人物なのだ。そんな妄言や絵空事のような台詞を呟いた直後。
「あっ、あわわわっ、落ちる、落ちちゃうぅ〜っ!」
そんな言葉が聞こえ、彼の真上に本当に誰かが落ちてきた。それを見たそうじろうは慌ててその相手をキャッチしようとする。
「おわっ!?な、なんだぁ!?」
……彼の両手に抱かれたのは、これまたとびっきりの美少女だった。『すわ、これは俺の願いが通じたのか!?』と大喜びするそうじろう。
「あ、ありがとうございます……飛ぶのは久しぶりだったものですから……」
そう言って、少女は彼の腕から降り立った。……彼女の台詞に一部理解不可能な言葉があったため、そうじろうは固まってしまった。
「え?と、飛ぶ……って?」
「お願いがありますっ!……わ、私をかくまってください!」
固まってしまったそうじろうに詰め寄る少女。その瞳は切迫した心境を映し、懇願の眼差しとなってそうじろうを刺す。
「え?え?え?」
「このままだと、私……大変な事になるんです!だから、かくまってください!」

……そうじろうは少女の台詞を聞き、硬直しながら『あ……もしかして、これって定番の『美少女と一緒に厄介事が振ってきた』という事デスカ?』と脳内で呟いた。

      〜 中略 〜 

「ところで、かなたちゃん」
「何ですか、そう君?」
ふと気になった事があり、そうじろうは目の前の吸血鬼に話しかける。
「ずっと気になってたんだけど、かなたちゃんって吸血鬼なんだよね?」
「ええ。体は弱いですが、れっきとした吸血鬼です」
そう言って、かなたはそうじろうに微笑んだ。……確かに、かなたは見た目どおりのちょっと体の弱いお嬢様風だ。
「……人の血とかは飲まなくて平気なのか?吸血鬼って、普通はそういうものだろ?」
その質問に対し、かなたは顔を曇らせた。……何かひどい事を言ってしまったのだろうか?
「あ、その……ごめん。俺、何か酷い事言ったみたいだね」
「……私は、人間を傷つけたくないんです。そのせいで、よく他の皆に『お前は我々の恥だ』なんて言われているので……」
俯いたかなたの表情からは、悲しみが溢れている。……彼女は、他の吸血鬼たちよりも人を愛しているようだ。
「私達だって人と同じ心を持っているのに、皆は人間を食料か奴隷としか考えてなくて。そんな人たちと一緒なのが、私は嫌だったんです……」
「……何も食べなくて、いや、飲まなくて大丈夫なのか?」
「結局は相手の生命力を摂ればいいだけだから、生野菜をかじるだけでも何とかなるんです。……やっぱり、人の血が一番なんですけどね」
いつもかなたが浮かべる柔らかな微笑みにまで、悲しさに溢れてしまっていた。……そうじろうにとって、彼女のそんな顔は見ると心が痛む物だった。
「そっか……。あー、ところで、さ」
「どうしたの?」
9小ネタ『吸血鬼かなたさん(ry』 /2:2008/12/12(金) 04:57:03 ID:rw4/TY3U

「もしよかったら、俺の血……飲んでみないか?」

「……えっ?」
そうじろうの突然の言葉に、かなたは驚愕した。
「やっぱり、吸血鬼とはいえ食べるものは食べておかないと、ね」
いや、この場合飲むものか?などというそうじろうをかなたは呆けた顔で見つめ、少し経ってからようやく思考が元に戻った。
「っ、だ、ダメです!そんな事出来ません!私には、そう君の血を飲む事なんて……」
「いいから。俺がいいって言ってるんだからさ。さあ、俺を食え。遠慮なく食ってくれ」
「そう、君……」
かなたはそうじろうの言葉のままに、フラフラと彼の胸の中に歩いていき……彼の元に飛び込んだ。
「本当に、いいの……?」
「ああ。……まあ、その代わりといっては何だけど。俺の血をかなたちゃんにあげる代わりに、俺とずっと一緒にいてくれないか?」
と言って、いや、この言い方は変だな。とそうじろうが呟く。
「かなたちゃん……いや、かなた。俺と一生を共にしてくれ」
「……っ!!」
プロポーズの言葉を放った彼の顔はいつになく真剣で、そして……
「……はいっ……!」
とても、素敵だった。

         ***   ***

「ちょっと、怖いですね……」
「そうか?」
そうじろうの住むアパートの布団の中にて、二人は初夜を迎えていた。
「……いや、しかし。かなたの体は本当に綺麗だな……」
「そ、そう君、そんな恥ずかしい事……」
そうじろうが下にいるかなたの首筋を撫でる。生まれたままの姿になった彼女の素肌はまさに雪のように白く、シルクのように滑らかだった。
「この綺麗な柔肌が俺のものになるんだよな。もう最っ高だ。ずっと夢見てた甲斐があったもんだ」
「……夢?」
「『いつか、物凄く可愛い女の子が俺のものになりますように。ただし外見は年下限定』ってね」
そうじろうのダメ発言にかなたは少し呆れてしまった。……うすうす気付いてはいたけど、この人って物凄くダメな人じゃあ?と思いながらも、かなたは『もう、そう君のバカ』と頬を膨らませた。
「ごめんごめん。許してくれよ」
「……本当にこの人でよかったのかしら……んっ」
そうじろうの手がかなたの胸を撫でる。柔らかく、手のひらで包める位のそこを丹念に撫でた。
「ああ、まさに俺の理想だ……」
「……そう君、何か変態っぽい……」
胸を撫でながら、かなたの首筋に舌を這わせる。『ひうっ』と声を漏らし、かなたの体が跳ねた。
「かなたの首、おいしいよ」
「ば、ばかぁ……ひどいよ……」
そうじろうの舌は首筋から胸に行き、丹念にそこを愛撫していく。
「んっ、はぅ……そう君……おいしい……?」
「おいしくない訳ないだろう?……最高だよ」
そうじろうの舌はしばらく胸で留まったが、ついにもう一度動き出し、かなたの下腹部にまで進んだ。臍の辺りを何度か舐め、その後に……かなたの大事な所に到達した。
「……っ……」
「ああ……すごく綺麗だよ、かなた……」
陰毛の少ないかなたの股間は、その奥にある秘所が丸見えになっていた。そうじろうにそこを見られている羞恥で、かなたは顔を赤くしている。
「っひゃ!?ふぁ、あぁっ」
どう見ても少女のそれにそうじろうが舌を伸ばし、愛撫し始めた。その感覚が強い刺激となってかなたの背筋に走る。
「やあぁ、そうっ、君!そこ、すごいよぉ……!」
ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立ててそうじろうは青い果実を味わっている。……かなたの秘所をたっぷりと堪能した辺りで、そうじろうは一度顔を上げた。
10小ネタ『吸血鬼かなたさん(ry』 /3:2008/12/12(金) 04:57:54 ID:rw4/TY3U

      〜 中略 〜 

「そ、それじゃあ……いくぞ、かなた」
ついに、この瞬間が来た。襲ってくる恐怖に耐えながら、かなたはそうじろうの言葉にうなずいた。
かなたの入り口に当てられたそうじろうの剛直が、ゆっくりと中に押し入ってくる。力を抜けば押し戻されそうなほどの強烈な圧迫感に、そうじろうは小さく呻いた。
「……そ、そう君……?」
「凄く、キツイよ……。まるで本物の○学生を犯してるみたいだ」
突然発せられた究極のダメ発言。その言葉を聞いた瞬間、かなたはさすがに呆れてしまったが……
「もう、本当に変態さんなんだから……」
さすがにもう突っ込む気力も湧かない。むしろここで突っ込みを入れるのは野暮だと思ったので、ため息をつきながら言葉を返した。
「これじゃあ、かなたが壊れそうだな……」
「……大丈夫。一応人間よりは頑丈だから……。そう君の、入れても壊れないと思うよ?」
かなたの言葉を聞いて少し悩んだが、それでも幼い体を犯す、という誘惑には勝てなかったようで。
「かなり痛いと思うけど、我慢……してくれよ」
この言葉と共に、ついにそうじろうの杭がかなたを貫いた。多少の抵抗の後、一気に突き通ると同時にかなたの体が大きく跳ねた。
「っか……ああああぁぁぁぁぁっ!!」
まるで異物を押し出そうとするかのように、かなたの膣内は強烈な力でそうじろうの肉杭を締め付ける。その圧迫に耐えながら、痛みに耐えかねて叫ぶかなたを力強く抱きしめた。
そうじろうに抱きしめられたかなたは、自身の痛みを返そうとしたのか、それとも思わずなのか、彼の首筋に勢いよく噛み付いた。
「つぁっ!?」
「んーっ!んんーっ!!」
かなたの牙が首に刺さり、その痛みでそうじろうが呻く。噛み付きながらもひたすら声を出し続けるかなた。……首の傷から流れた血が、かなたの口内に溜まっていく。
それを嚥下すると、多少ではあるが痛みが治まった気がした。……かなたにとって初めての吸血だった。
そうじろうに抱かれた体勢のまま、彼の血を少しずつ飲むかなた。……次第に、強烈な痛みも何とか堪えられるレベルにまで治まってきた。
「……あ、ご、ごめん、なさい……」
無我夢中で気付かなかったのか、自分がそうじろうの首に噛み付いている事に気付いたかなたが、すぐに顔を離した。
「いや、いいって。痛みを堪えるのに必死だったんだろう?」
「で、でも……こんなに血が……」
「言っただろう?『俺の血を飲んでもいい』って。気にしないさ」
かなたは申し訳なさそうにまだ傷口からにじみ出る血を舐めている。そうじろうにはその舌の感触がこそばゆかったようで。
「あっ……」
自分の中に入っているそうじろうの肉杭が脈打ち、かなたが小さく声を上げた。痛みはまだ残っているが、中にあるものを意識していると痛みが気にならなくなってきた。
「……実はさ、かなたに血を吸われた時からもう我慢できなくなってて……。動いて、いいかな?」
そうじろうの問いかけに、かなたは『……うん、大丈夫だと思う』と頷いた。それを聞いて早速、ゆっくりと肉杭を引き抜く。
「あ、うあぁ……っ!」
顔をしかめ、少々悲痛な声を出すかなた。そんなかなたの頭を優しく撫でるそうじろう。
「ごめん、すぐに終わらせるから……」
「……それは、ちょっといや……」
「でも、かなたが苦しそうだし……実際の話、かなたの中がこれだけ気持ちいいとは思わなくてさ。すぐに出そうなんだ」
ぎちぎちと締め付けるかなたの膣内に、さらに吸血による快感が重なって、そうじろうは後一歩の状態になっていた。
引き抜かれた肉杭をもう一度押し込む。『ひゃあぁ!』とかなたが叫び、体を跳ねさせた。その後も、肉杭が動く度にかなたは声を上げる。
「ひあっ……あ、うぅ……んっ、きゃ……」
酷くスローペースなそうじろうの動きだったが、そのおかげで痛みが気にならなくなってきたようだ。
「あん……ふ、んんっ、んぅ……ひゃう……」
段々声の中に艶が混じっていき、ようやくかなたもそうじろうの肉杭を感じることができるようになった。そして……
「ごめん、かなた……っ!もう、出る……!」
そうじろうの搾り出すような声と共に、かなたの中に子種が放出された。……熱いものが自分の腹部に溜まるのを感じ、かなたは小さく震えた。

(ビック・ローリーに乗りながら)おらよ満足か――――!!(挨拶

タイヤでかいつーかタイヤしかねえよ!……しょっぱなから失礼しました。何か、吸血鬼かなたさんを出せとの要望がありましたので。
個人的には、そうじろう=元ハンターではなく一般人なんです。で、偶然かなたさんと知り合って……というのがマイジャスティス。
……書いた本人が言うのもなんだけど、ちょっと危険すぎるな、そうじろうさん。『○学生を〜』のくだりはまずいかなーと思いつつ自分的そうじろうイメージなので挿入。
え?○に何が入るかって?……聞いちゃいけませんそんなこと。
12名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:54:44 ID:0gSlFxmh
>>1
スレたて乙

>>11
いきなりの新作乙
そうじろうさんのダメ具合がいい味出してます。
13名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 11:33:08 ID:jn4lcH7D
>>1
スレ立てお疲れ様です。55スレかあ。思えば遠くに来たもんだ。
>>11
新作投下、お疲れ様です。そうじろうがやばいですな。

準備されている方がいなければ投下いたします。
1423-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/13(土) 11:43:59 ID:jn4lcH7D
らっきー☆ぷりんせす 〜 お姉ちゃんといっしょ♪ 〜

こなた×全般

注意事項
・シスプリとの、クロスオーバーもの
・非エロ
・一話完結もの
・6レス程度使用
「こなたお姉ちゃん、何しているの? 」
「うおう、ゆーちゃん」
 慌てて画面を手で覆い隠すけれど、幸いにも濡れ場シーンではなかったので、胸をなでおろしながら、
後ろから声をかけてきた少女に向きなおった。

「うん。ゲームだよ。シスター・プリン○スっていう」
「シスターっていうと、教会? 」
「違うよ、姉妹の方。このゲームだと妹かな」
 こなたがパタパタと手をふると、ゆーちゃんは首をかしげた。
「えっと、いもうと姫…… だよね」
「そうそう。主人公に12人の妹がいてね。みんな、主人公のこと慕っているのだよ」
「面白そうだね。お姉ちゃん、私もやっていい? 」
「ダメダメ、これは18歳以上にならないとねえ」

 首を横に振るこなたに、ゆたかは残念そうな表情をしてから尋ねた。
「こなたお姉ちゃんは、妹が12人も欲しいの? 」
「そうだねえ。一種の夢であり、ロマンだね」
 うんうんとうなずくこなたに向かって、ゆたかは微笑んだ。
「たくさんの妹がいたら、賑やかでいいよね」
「ま、現実には無理だけどね」
 こなたは笑いながら肩を竦めてみせて、ゲームを再開した。

 翌日の朝、こなたが目を覚ますと、エプロン姿のゆたかが声をかけてきた。
「こなたお姉ちゃん。おはよう。朝ごはんできているよ」
「お、おふぁよう」
 ゆたかの裸エプロンが見たいなあなんて不埒なことを考えながら、ベッドから這い出して、
彼女が作ってくれたお味噌汁を飲む。最近はかなり上達したんじゃないかな。
「いってきまーす」
 そうじろうに声をかけてから、ゆたかと一緒に学校に向かう。ここまでは至って普通だった。
 黄色く染まった銀杏並木をしばらく歩いていると、かがみとつかさと出会う。
「おはー、かがみ、つかさ」

「おはよう。こなたお姉チャマ」

「へ? 」
(今、つかさ、なんて言った? )
 一瞬、耳を疑って問い直そうとしたけれど、衝撃は立て続けに襲いかかる。
「おはよ、アネキ」
 呆然として固まってしまったこなたの様子に不審をおぼえた、かがみが顔を覗き込んでくる。
「アネキ、どうしたの?」
「いや、なんで、姉なの?」
「何いってるの? アネキはアネキだよ」
 ここまで噛み合わない会話も久しぶりだなあ、と考えた時、とっても嫌なことを思いついた。

(もしかして…… 昨日のゲームのせい? )
 つかさも、かがみもこなたのことを姉と言っている。
 そして、あのゲームは恐ろしいことに妹が12人いて、全員が『お兄ちゃん』が大好きだ。

「さ、さあて行こうかな。かがみ、つかさ」
 こなたは、首を何度も横に振って、歩き出した。
 既に、背中にたっぷりと冷や汗が流れ落ちているけれど、気にしない。気にしてはいけない。


「おはようございます。泉お姉さま」
 教室につくなり、清楚な女性が微笑んでくる。
「うああっ…… やっぱり、みゆきさんもだよ」
 つかさは、へたり込んで頭をかかえているこなたを心配そうに見ながら、首を傾げてみゆきに話しかける。
「こなたお姉チャマの様子が、今日はちょっと変なの」

(つかさ、お姉チャマは勘弁してくれ)
「どうされたのですか? 」
 掌を額にのせてくるみゆきの、ふくよかな膨らみに視線が集中する。
 あまりにも豊潤で柔らかそうで、顔を埋めたら幸せなんだろうなと危険な誘惑に駆られるが、
紙一重の差で理性が働いて辛うじて顔を逸らした。

「な、なんでもないよ。みゆきさん」
「もしかして、少し熱があるかもしれません。あまり無理をなさらないでくださいね。お姉さま」
「う、うん、分かったから。心配しなくていいよ。むしろ私が心配したい」
 無理矢理笑顔をつくってごまかしたけれど、疲れは隠しようがなかった。
(こりゃあ、先が思いやられるよ)

 1時間目は体育だ。隣のクラスと合同の授業となり、ドッジボールをすることになっている。
「こなたあにぃ! 勝負だあ! 」
 ライン際に立ったみさおが、ボールを振り上げながら叫んだ。
(ふうっ、みさきちもかよ。となると当然…… )
 外野を見ると、おでこがよく光っている少女が、穏やかに微笑んでいる。
「泉…… 姉君様。今日は敵同士ですわね。でも手加減いたしませんわよ」
(峰岸さん…… もか)
 深いため息をついていたら、顔面にボールが勢いよく飛んできた。
 さてと、お昼だね。いろいろあったけれど、やっぱりお腹はすく。
 チョココロネを購買に買いに行く途中の廊下で、ゆたかが声をかけてくる。
「こなたお姉ちゃん。一緒にお昼しようよ」
「いいけど? 」
(ゆーちゃんだけは変わらない。まあ、もともと妹みたいなものだしね)

 購買でチョココロネをゲットして、食堂の座席を探すと、既に一年生組の残り3人が集まっていた。
「…… 」
 ゆたかの隣に座ることになった、背の高い少女がこなたを睨んでいる。
「こなた姉くん…… 」
 みなみは鷹のような鋭い目つきで、こなたを威嚇する。
「姉くん。分かっているとは思うけれど、いくら姉くんでも、絶対にゆたかは渡さないよ」

(この設定だけは、ゲームより強い訳ね)
 こなたは妙なことに感心した。
「Oh、コナタアネエたま、今日はゲマズよりましょうヨ」
(舌っ足らずと、外国人の発音はちがうのだよ。パティ)
 心の中の突っ込みに気づく者は当然ながら、いない。

(それにしても…… 疲れる設定だなあ)
 正直、12人も恋人候補の妹がいたら身体がもたないような気がする。
 世の中のお兄ちゃん達は頑張っているのだねえ、なんてしんみりしながら、チョココロネに、はむっとかじりつくと、
こなたの隣に座っていたひよりが、いきなりペンを高く突き出した。

「姉チャマ、チェキッス、姉チャマの秘密は冬コミの新刊で暴露するッスよ! 」
「ひよりん…… もの凄く無理があるよ」
(ひよりんのサークルの冬コミは楽しみだけれど。頼むから私をモデルにした18禁本は勘弁してね)
 とっても疲れる、一年生の妹達との昼食を終えて、こなたは食堂を後にした。
 廊下を歩いているだけで、身体がふらふらするし、頭もズキズキと痛む。
(保健室にいって、少し休ませて貰おう)
 こなたは、ふらつきながら保健室へと向かった。

「ゆーちゃん、つかさ、かがみ、みゆきさん、みさきち、峰岸さん、みなみちゃん、ひよりんで8人か。
とすると…… あと4人だね」
 残りが誰なのか知りたくもないが、学校における親しい友人のストックは底をついているので更に不安になる。

(鬼とでるか、蛇と出るか)
 どっちも出て欲しくないなあなんて思いながら扉を開けると、養護教諭が椅子に座っている。
「天原先生。体調が悪いので、休ませてほしいのですけど? 」
「ええ。構いませんわ」
 白衣の女性が、天使のような柔らかい微笑みを浮かべたままベッドに案内する。
「こなた姉上様。少し顔色が優れませんね」
「ちょ、まってくださいっ」

 動揺する生徒に構わず、こなたの額に柔らかい掌を載せてから、懐から取りだした体温計をそっと脇に挟み込む。
(ど、どうして、天原先生が!?)
 パニックになって頭を抱えるが、ふゆきは優しげな視線をこなたに注ぎ続けている。

「37.1度ですわ。少し熱があるようですね」
「は、はあ」
「わたくし、とても心配していますわ」
(先生から心配されるのはうれしいけれど、何かが決定的に違う! )
「お薬を飲んで、少し休んでくださいね」
「わ、分かりました」
 ベッドに横になったこなたは、とりあえず現実から逃避するために、身体を横たえて瞼を閉じた。
「あにぃ…… 大丈夫? 」
 うとうととしていると、活発そうな少女が顔を覗いてくる。
 どこかで聞いたことがあるような声だけど、よく思い出せない。
「あにぃ、早く良くなってね。そしたらゲーセンで勝負しよ! 」
(そういえば、確かひよりんが、こうちゃん先輩とか言っていたなあ) 
 だいぶ投げやりになっていたこなたは、額に浮かぶ汗をハンカチで拭いてくれている少女に、乾いた笑顔をみせながら言った。
「あ、うん、まあ、すぐによくなるよ」
「早く元気になってね! 約束だよ! 」
(やれやれ…… ゲームのせいとばかり思っていたけれど、心のどこかに、ハーレム願望でもあるのかな? )
 ぼんやりと考えていると、猛烈な眠気が襲っていて、こなたはベッドで寝息を立て始めた。

 目を覚ますと、6時間目になっている。
「今日は…… もう帰ろう。これ以上フラグを立てると身体がもたないよ」
 保健室を出て、職員室に入って担任を探すと、黒井先生は担当する授業がないようで、席でお茶を飲んでいる。
「あの…… 先生。調子が悪いので早退します」
 黒井先生はゆっくりと振り向いて、とても寂しそうに言った。
「兄や、もう帰るの? 」

(うわあああああ、よりによって、黒井先生が○○○なんて)
 とても恐ろしくなって、全力で職員室から逃げ出す。
「ま、まって〜 」
 背後からドップラー効果のように先生の声が聞こえるけれど気にしない。気にしてはいけない。
「はあ、はあっ」
 一気に校門まで走りぬけて、こなたは荒い息を吐いた。
(帰る! すぐに帰る! )
 とにかく、家に帰ればゆたか以外の『妹』たちに会うこともあるまい。
 しばらく歩いていると、背後から車が近づいてくる。
 何度か警笛を鳴らされて振り返ると、パトカーに乗っている、制服姿のゆいが手を振って言った。
「こなた姉さま、家まで送ってさしあげますわ! 」
「…… 」
 こなたは全てをあきらめて、まるで逮捕された容疑者のような足取りで、埼玉県警のパトカーに乗り込んだ。

「ただいまー 」
 チャイムを押して暫くすると、時価1万円くらいのスマイルを浮かべたゆたかが出迎えてくれる。
「こなたお姉ちゃん、おかえりなさい」
「うわああん」
 普段と変わりのないゆたかを見て、緊張の糸がきれたこなたは泣きながらむしゃぶりつく。

「お姉ちゃん。ど、どうしたの? 」
「こわかった、こわかったよう…… 」
 涙を流しながら小さな胸に顔をくっつけると、背中に手を回される。
「大丈夫だよ。こなたお姉ちゃん…… 」
「ありがとう。ありがとう、ゆーちゃん。ゆーちゃんだけが変わらないよ」

 ゆたかちゃんの手が私の背中に回って、ぎゅっと抱きしめられる。というより、強く締め付けられる。
「えっ!? 」
「こなたお姉ちゃんはとても女の子にもてるから私、心配なの。お姉ちゃんに色目を使う女狐は徹底的に排除するから。
だから…… お願いだから私だけを見て。私を見捨てないで。私を永遠に愛して。私はこなたお姉ちゃんが全て。
お姉ちゃんに嫌われたら生きていけない。こなたお姉ちゃんは私のこと大好きよね。こなたお姉ちゃんは裏切らないよね。
こなたお姉ちゃんは私のものだよ…… ねえ? 」

(おしまい)
2123-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/13(土) 11:53:10 ID:jn4lcH7D
以上です。
埋めネタにしようと思っていたのですが、容量が微妙なのでこちらに投下しました。
毎週日曜日の深夜にラジオを聴いていたのは良い思い出です。
では。
22名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 17:35:04 ID:TaBtMaB9
>>21
GJ!
ゆたかやんでれルートとはなかなかいいな。
しかしななこ先生でふいたw
23名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 00:05:01 ID:hWRXSqrR
>>21
シスプリのパロディで終わるかと思いましたが、
オチで不意をつかれました。

「次は、Theガッツでやってほしいなー」
「田村さん、どんなゲームなのかな?」
「はぐぁ(聞かれてしまった)」
24名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 00:37:12 ID:hr1iVRcl
>>23
なんと!ガテン系ムキムキなこなたさんとな!?
25某ツンデレツイン:2008/12/14(日) 02:24:24 ID:JtM0gYdB
チビでムキムキガッツ(アホ毛つき)・・・



これはこれで・・・アリかも・・・(よだれ)
26さすらいのらき☆すたファン:2008/12/14(日) 16:55:24 ID:ELoyk0i+
大変遅くなってしまいましたが、投下した作品のリンクを張らせていただきます。
http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0163.txt
27名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 17:27:10 ID:BR44sF8m
ななこ先生無理しすぎだお・・・
28名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 00:01:05 ID:HGdP2tqO
前スレ535
勝手に添削

「いい? 私は25日に、こなた以外の誰とも会う予定はないわ! 」
「でも、予定が空いてないって言ったじゃん」
「だから、空白がないんじゃなくって、相手がいないってことよ! 」
「あっ」
 こなたの瞳から不安の色が唐突に消えた。

「いい? 私は25日に、こなた以外の誰とも会う予定はないわ! 」
「でも、相手居るって言ったじゃん」
「だから、相手が居るんじゃなくて、予定が空いてるってことよ! 」
「あっ」
 こなたの瞳から不安の色が唐突に消えた。
29名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 00:19:11 ID:XokOGREF
前スレで>>28と全く同じ事を書こうとしたら容量オーバーで書けなかった俺涙目orz

てなわけで前スレ埋め完了記念カキコ(*´∀`)ノ
30名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 00:20:11 ID:XokOGREF
そしてsage忘れゴメン
31名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 02:28:00 ID:oYg1KGaU
              ____
          ,,、 一 ̄. : : : : : : : . ̄ ー _
        /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : へ
      /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
      /,'.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .ヽ
    / ;' : : : : : : : : : :.i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ
.   ,'  : : : : : : : : : : : l: : : :. : : : : : :i: : : : : : : : : : : : ハ
.   il   `、 :: : : l: : : λ.: : : i: : : : : l: : l;;: : : l: : : :;; '  ,,l
   |:`: : ,  ` ; :{: : : ;l. l: : : : l: : : : : }: : :li: : : l;. '.. . l:. ::l
.  |: : : l: : : : : ...ll: : :;l_l.:: :: .l: : : _li: : :l l:: : :l:. : : ::l: : :}
  |: : : : i: : :;.-.‐´! ̄l  l: :::.l: : : : : lΤ丁tー! _: : : l:: : .|
  {: : l ::ヘ: : : : ::l !:::!   ヘ:::l: /;:. : :l l:.:l │l: : : : ::l:: : .l
  |: : l :::l:ヘ: :.___ゞl_  ヽi: /l: : :/ lソ__l/_: .: : :l::::: .l
.  |: i:|: {.|:.:ゝ ヘ. {从込下. |;/::| : /z屯从} 了: : : :!}::/:.l
   | ! l: `:| ::\: ; ゞ二ソ  i/ヘ:l:;/ ゞ二ソ. ,' : : : .l::/!::l
   | l: ::::|,; :::;\! 、.、.、   i/  .、.、.、  l: : : : ノ:;/i:i!
.     l iヘ:!: ::::::ト,,_      _ _      y./: : /:;/ i!
     l:! ヾ!:;: ::|ヾ;;゙2=s .., ___ . -‐_´.ソ: : イ:;/
      |.  ヾ;: ::!,ノ:::::::i;x:j    lxi:::::.ヾ'|:: / i/
        ,xヘ.::!::::::::::| `   ´ .l:.:.:.:.:|;/x,、
       X《:.:.:.:ヘ! ::::::::k=ー-‐一=l:::::::::i!:.:.:::》X

ゆたか・・・最近ちっとも来てくれない・・・さびしい、寂しいよ・・・。
32名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 09:28:13 ID:Ga/IpF29
ネタがわからないだろうと思って、公園でスカーフを緩めながら「やらないか?」と言った瞬間、つかさにおいしく頂かれたこなたの夢を見た
33名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 14:58:46 ID:pSQdlydC
表現規制反対派議員情報スレ
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1198749883/
34名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 20:27:26 ID:44N7F9rf
>>31
逆に考えるんだ。「きっと職人さんたちは今頃みんな、みなゆたものの構想を練っているんだ…。」そう考えるんだ。
35名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 20:59:27 ID:EDC+TfKb
>>31
そうだ、一ついいことを教えてあげよう。

『あと5日』

……意味はわかるね。
さーて、急いでSSに取り掛からないとっ!!(今の今まで忘れてた
36kt:2008/12/16(火) 07:49:06 ID:sGrwB+zT
はい、どうも
ktでございます

それでは
「コワレルセカイ★2\高良家に行こう!2//Party」
投下してもよろしいでしょうか?

・6レス
・オリキャラ注意
・時間軸は「鼻血☆5.1〜☆6」の辺りです
・複数視点
・ちょい暗め?
・みゆきさんは鼻血みゆきさん(風)仕様なので基本的に腹黒っぽくなっております
・両氏に感謝

です、5分後に投下開始します
37コワレルセカイ☆2/高良家に行こう!2//Party:2008/12/16(火) 07:55:51 ID:sGrwB+zT

――
-1年D組にて
それは私がみゆきさんにさくらのことを聞いた次の日のことだった
『…え〜…「皆さん今日は私の家でパーティです」…だそうです』
『「「「「…え?」」」」』

コワレルセカイ★2\高良家に行こう!2//Party

「なんでまた?」
『…しんぱてぃも初めて聞いたんだけど』
『……分かりません、、ただ…』
「たダ?」
『…「全員参加です、来なかった人は・・・ですよ?」ということ、、です』
うーちゃんはみゆきさんの声色を真似て喋った
「…強制参加っスか」
『…すいません』
「高良先輩のお家か〜楽しみだね〜」
「う、うん」
………みゆきさんの家、か
あの女―さくらもいるんだろうか…出来れば…行きたくない、、でも強制参加なのか
…………しかたない、、、のか?
「でも、うーちゃんのきょうだいが見れるからよしとするっス!」
「フゥム…まァ確かニ、、コナタからの話ジャ妄想仕切れナイですしネ」
「私は犬が気になるっスね!」
『いや、大兄さん口調悪いよ?』
「だがそれがいいっス!!」
「あと小神あきらさんのもいるんスよね?」
『うん、そうだよ』
「どうカしまシタ、ミナミ?、さっきカラずっと黙っテマスね」
「な…何でもないから、何でも…」


――
-3年B組にて
「〜ということなのですが皆さん来て頂けますか?」
「…いやそれ…なんか納得行かないんだけど」
かがみんがみゆきさんに食らいついた
「何がです?」
「毎回毎回集まるのがよ!」
「…毎回というと?」
「今月どれだけ集まったと思うのよ?」
「2〜3回ぐらいでしょう?」
「まぁまぁ、かがみんやよいではないかよいではないか」
私はかがみんをなだめる
「うるせー!てか何だその口調!」
…何でこんなに怒ってるんだろう
「ただ遊ぶとかだったらいいの!…でもみゆきの場合は新ロボのお披露目〜とかパ〜ティ〜とかじゃない」
「…別に来なかったら…それでもいいんですよ?」
38コワレルセカイ☆2/高良家に行こう!2//Party:2008/12/16(火) 07:57:06 ID:sGrwB+zT
というみゆきさんの眼鏡は怪しげに光って見える
毎度毎度光ってるような……怪しげに光らせる角度とかあるのかな?
「ゆきちゃんのお家また行って見たかったんだ〜!」
「ありがとうごさいます、つかささん、、大好きです!ホントに…」
「ふぇ?!、、そんなぁ…ゆきちゃん……恥ずかしいよぉ…」
「ご心配なく、私が好きなのは―…」
そう言ってみゆきさんは私の方を見る
「え?、、なに?」
なんでか、かがみんも見てるし…
「…何でみんなして私を見るのさ」


――
-3年C組にて
私は今、ついさっきのみゆきのことを日下部と峰岸に伝えようとしているところだ
「ふーん、なら行くしかねーんじゃねぇの?」
これが私の話を聞いた日下部の答え、割とどうでもいいらしい
「な、あやの!」
「う、うん…そうね…」
峰岸は何か迷っているみたいだ
「……完成予定より早くなったのかしら…」
峰岸がつぶやく
「何だ完成って?」
「べべべべべべべべべべべべべべべべべべべべべ」
「峰岸…?」
「…あやの?」
峰岸が壊れた
「ちょ…峰岸!落ち着いて!」
「べべべべべべべべべべべべべべ別つに…」
「そ、そうだって!深呼吸!深呼吸!だってヴぁ!」

一時したら峰岸は落ち着いた
本人は「別に何でもないから」
と言いたかったみたいだけど……余計に気になるぞ…
だけど日下部と話し合って理由は聞かないことにした
またあんなことになったら困るし


――
そうこうしてるうちに学校が終わり
私はゆたかと一緒に家に手を繋いで帰った
みゆきさん曰く
「一旦帰ってから来てください、皆さんの私服が見たいんです、、特に―…」
…と言うことらしい「特に―…」の部分は聞き取れなかったけど大したことじゃないんだろう
…電車とバスでくる先輩達は大変なんだろうな
「みなみちゃん、何を考えてるの?」
39コワレルセカイ☆2/高良家に行こう!2//Party:2008/12/16(火) 07:59:25 ID:sGrwB+zT
「…みんな一旦帰ってから来るのって大変なんだろうな…って」
「そうだねぇ…なんだか私悪いことしてるみたいだよ…」
ゆたかはしゅんとする、、ゆたかには悪いけどこの表情がグッとくる
「…別にいい、ゆたかは今、私と暮らしてるんだから」
「…うん、そうだね!」
私は、コロコロと変わるゆたかの表情が好きだ
ゆたかのその声も
ゆたかの顔も、その性格も
ゆたかの未熟な身体も、何もかも
誰にも…誰にも渡したくはない
―いきなり現われたあの女にも、、誰にも―

「あ、こなたお姉ちゃんだ!」
ゆたかが窓の方を指差す
見ると泉先輩達がみゆきさんの家の前に集まり始めていた
「みなみちゃん、行こっ!」
…つ、心を…強く持つ、心を強く―…
私はうなずきながらみゆきさんに言われた言葉を何度も何度も繰り返していた


「ゆーちゃん、みなみちゃん、こんちゃ〜!」
みゆきさんの家の前にはみゆきさん・うーちゃん・しんぱてぃ、そして峰岸先輩を除く7人が集まっていた
「…峰岸先輩はどこに?」
「峰岸はみゆきが電話で「来なくていい」って言ったらしいのよ」
「ったく、何であやのだけなんだろーな」
「皆さん、ようこそ高良家へ!」
私達は大広間へと通された
テーブルには料理という料理がずらっと並んでいる
「まぁ……ようこそって言っても何回も来てるんだけどな…」
柊先輩が凄い顔をして愚痴る
「皆さん思い思いの服装でよく来て下さいました、特にこなたさん!
素敵です!!スカート!!!だばだはだばだばだばだばばばばばばばばばばば」
「ゆきちゃん、すごーい滝みたいだよ〜!」
いきなりみゆきさんは鼻血を噴き出し、よろけた
…そうか、「特に―」は泉先輩のことだったのか…
『みゆきお姉さま、大丈夫ですか?』
『今、変わりの血液パック持って来ますね!』
うーちゃんと…柊先輩似の人がみゆきさんを介抱する

「ちょっ!かがみんが2人!?」
『あ、皆さま初めまして、わたしは高良家専属のヒューマノイド、〈TRMS-02 かがー=みん〉です、よろしくお願いします』
とかがー=みんさんは自己紹介した
「つ〜〜〜…だから行きたく無かったのよ」
「あー!もしかしてかがみんこのこと隠してたからあんなに怒ってたんだ〜」
泉先輩は遊び道具を見つけた子供のような顔をする
「…そうよ……悪かったわね!」
「ぐふふ〜〜」
「その笑い方やめいっ!」
「ぐへへ〜〜」
「だからやめいっつうに!」
「おぉ!二人のラヴラヴカップルの前に突如現われた恋人似の女っスか〜!これはなかなか…」
「ふム、萌え〜ト燃えデスね!」
「……いや、燃えはどうかと思うっスよ?」
40コワレルセカイ☆2/高良家に行こう!2//Party:2008/12/16(火) 08:01:42 ID:sGrwB+zT
「 もえ 」その言葉を聞いたとき私は寒気がした
大丈夫、大丈夫だ…心を強く…持つ、心を強く…
私は辺りを見回した、どうやらあの女はいな―

-っ♪-

…!?!
どこからかあの女の…?
私は辺りを見回した、しかしあの女の姿は見えない
「ゆたか?…今声が聞こえなかった?、、、笑い声みたいな…」
「笑い声?、こなたお姉ちゃんの?」
…ただの聞き間違い…なのかな?

「この料理ってみんちゃんが作ったの?すご〜い!」
『はい!メイド長兼料理長ですから』
「むぅ…かがみん似なのに料理が美味しいのはいったい何事」
「おお!これは1歩リードっスね!」
「さテサて、本妻はドウでるデスか〜!」
「…どうもしないわよ、というかあんたら少し黙れ」
「しっかしここの料理すげーうめーな!ゆうき!」
『ええ、私、みんお姉さんの料理が大好きなんです』
「こんなうめーもん毎日食ってんのか?!…このブルジョアめ!」
『ぶ…ブル?』

「みなみちゃん…どうしたの?」
私はみんなが盛り上がっているときも気が気でなかった
あの女の視線を感じているからだ
「ねぇ、みなみちゃん」
どこ?…どこなの?…どこから私を見てるの!?
「…みなみちゃん?」
四方八方から視線を感じる、、無視しろという方が無理な話だ
どこ…どこなの?…もう止めて……
「みなみちゃん!」
「…っ黙って!」
そう言ったあと、私はゆたかに暴言を吐いてしまったということに気付いた
「…ごめん」
「え、うん…」
おかしい…今日の私、どうかしてる…
深呼吸しよう、落ち着こう…落ち着くんだ……とりあえず外に出よう…

「さぁ、メインイベントですっ、今日は彼女を紹介するためと言っても過言では―」
みゆきさんの言葉を最後まで聞かずに私は庭に出ようとしたときまた、あの声が聞こえた

-"どこへ行くの?"-

…っまた―
その言葉と同時に私の足が、体が金縛りにあったかのように動かなくなる
え?、なっ…
「さぁ登場しなさい、もえ」
動け!!…動いて…私の体!…どうして?!
『皆さん、初めまして!私は<TRMS-027 さくら>って言うの、よろしくね♪』
41コワレルセカイ☆2/高良家に行こう!2//Party:2008/12/16(火) 08:03:08 ID:sGrwB+zT
「よろしく〜!」
と言っているのは泉先輩だ
ふと、私の体が動くようになっていることに気付く
私はみゆきさんの話の中に出てきた

"そしてある程度は相手の行動も操れますし…"

という言葉を思い出す
―まさか…これもあの女が…
「さくらちゃんいい子じゃん!も〜、みゆきさんの話を聞いてwktkしてたのに損したよ〜」
「…あんたその損の仕方は違うと思うぞ」
さくらはみんなに握手と自己紹介をして回っている
『今後ともよろしくね♪ひよポン!』
「あ、ハイっス……ひよポン?」
あいつはにこやかな笑顔と可愛らしい言葉を使っている
どういう…何で…私の部屋の時のあいつは何だった…の?

『さて…』
あいつはその言葉と同時に私を見て、近付いてくる
―――ぞくっ!
そんな何気ないことなのに私の身体には全身を刀で斬り刻まれた様な感覚、、強烈な寒気が襲ってきた
『よろしくね♪…みなみ?』
そう言いながらあいつは笑顔で手を伸ばしてくる
ばちんっ!!
「さ、触らないでっ!」
私はその手を払い退けてしまった
『ひっ、あっぁ…』
さくらはそのせいかよろけてその場で転ぶ
「みなみ…ちゃん?」
「…え?」
私は会場が静かになっていることに気付いた
―そう、みんなの視線が自分に向けられていることに
しばらくして泉先輩達が口を開いた

「む、むむぅ?…これは三角関係の始まりですかな?」
…違う、、そうじゃ…
「みなみちゃん、いくらなんでもやり過ぎなんじゃない?」
「私もそう思う」
…私は何もしていないのに!
「相手がなんもしてねーのにそれはねーんじゃねーの?」
違うっ…あいつが先に私に―
「おお〜!早くも嫁戦争勃発っスね!うほぉっ燃える展開っス!!」
「ふぅむ、、これハ妄想ノしがいガありマスね〜」
違うっ!…違う……そんなことじゃ…
ゆたかなら…ゆたかなら分かって―
「―みなみちゃん」
ほら!ゆたかは―
「…なんでこんなことしたの?」

42コワレルセカイ☆2/高良家に行こう!2//Party:2008/12/16(火) 08:04:30 ID:sGrwB+zT
「ち、違っ…」
ゆたかに……ゆたかにも分かって…貰えなかった
「わ、私はっ―」
その先の言葉に詰まる
「…………っ」
…どう説明すればいいのだろう
私はあいつに犯されかけた?
あいつは私とゆたかを別れさせようとしている?
あいつの声が聞こえた?
悪寒がしたから手を払いのけた?
誰がそんなコトを信じるんだろう、、どう言っても言い訳にしかならない

「まぁまぁ、そんなこともあるよぉ〜」
と言う普段どおり柔らかに話すつかさ先輩
…そ…そんなこと!?
私のここ何日かの苦しみは[そんなこと]なのッ?!
私はさくらの方を見る、、あいつは口元を手で抑えていた
…あいつは笑っているのだろう
これであいつに向かって行ったら…あいつの思うツボだ
っ…私は………私はどう…行動すればいいの?


――
「く…ぷ…くく…ふ…っっっ…」
可笑しくて笑みがこぼれてくる
…なぜかって?
あまりにも予想通りだから、かな
あぁ、、今ここで声を出して笑いたい
狂ったように、こいつらが引くくらいに盛大に
…でもいけない、まだ笑うのは先の話だ…堪えないとね
溜めて溜めて、溜めた先には極上の肉に仕上がっているだろうから…だからもう少し―
「もえ、大丈夫ですか?」
みゆきお姉さまが手を差し出してくる
…いつまで私をその名前で呼ぶ気なんだこの女

『大丈夫です♪、、もう部屋に戻ります』
「な!?、このパーティはあなたがしてと頼んだから―」
みゆきお姉さまの言葉を無視して私は部屋を出る
そもそもこんなパーティなんかどうでもいい、目的はもう果たしたのだから
さて―…

コレカラドウヤッテ追イ詰メヨウカ?
43kt:2008/12/16(火) 08:06:39 ID:sGrwB+zT
ありがとうございました
…次からはみなみちゃんが追い詰められていきます
どうにかハッピーエンドっぽく(ゆたか×みなみ的に)持って行きますのでお付き合いくださいませ

……★4.8も投下してるし、☆5.5や☆5.8にも臭わせてるし、、まぁ、最後まで
投下していきます、はい
ちなみに☆5.5〜5.8の文中であったパーティとはこのパーティのことです

では、続けて投下します
44kt:2008/12/16(火) 08:08:51 ID:sGrwB+zT
どうもです、続けて
ktです

それでは
「コワレルセカイ★3\Rainy Hawk」

・9レス
・オリキャラ注意
・みなみ×ゆたか
・みなみ視点
・時間軸は「鼻血☆5.1〜☆6」の辺りで、☆5.5の終盤とリンクしてます
・後半鬱入ってます
・妄想屋(仮)氏に感謝

です、5分後に投下開始します
45コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:15:11 ID:sGrwB+zT
暗い…ここはドコダ?
静かだ、嫌なくらいの静けさだ
…ああ、眼を閉じてたのか
根本的なことに気付いた私は眼を開けた


コワレルセカイ★3\Rainy Hawk


そこは人が一人もいなくて…無音で―
町並みには色がなかった
私は無我夢中でゆたかを探し歩く
「ゆたか…どこ?」
私は叫ぶ、必死に、ただただゆたかだけを求めて歩く
「ゆたかぁー!………う、ひっ、、く…」
ゆたかは現れず、私は泣きそうになった…でも我慢した
歩く、歩き続ける
「は、ぁ…はぁ……う、…あ……ああ!」
足が棒のようになった時、向かい側にゆたかを見つけた
「ゆたかっ」
私は呼び掛ける
「ゆたかぁっ」
何度も、何度も
でもゆたかはこっちを見て微笑むだけで私の方に歩みよらない
「…ゆたかっ!」
私は叫んだ、、それでもゆたかは私の方へ振り向かない
「ゆ…たか…?」
ゆたかは誰かと楽しげに談笑している
…誰だろう、、
―あれはっ…
あれは―…も、、さくら!?
あいつは私の方を見て笑う
そして2人は闇へと消えて行く
待ってっ!行かないでっ!
私は…!私は…っっ


「うあっ、あぁっあっ!………夢?、、だったんだ…」
そこはいつもの私の部屋、
横には毛布にくるまっている真っ裸のゆたかがいるいつもの光景
外からは小鳥の鳴き声が聞こえる、いつものさわやかな朝なんだろう……他の人にとっては
あのパーティから3〜4日、、私はこのところついさっきの様な夢を見ている
…ゆたかと離れ離れになったり・ゆたかとケンカしたり…そんな感じの夢だ
横にゆたかがいるのに、夢だと分かっているのに…私はいつも不安になる、、心が苦しくなる
46コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:16:20 ID:sGrwB+zT
「汗…か」
今の私の体は汗でびっしょりだ
こんな体じゃ…ゆたかに迷惑だよね
ゆたかをおこさないようにそっと布団をでた私はお風呂場へと向かう
「みなみ…ちゃん…?」
「ゆたか、、起きてたの?」
「うん…今さっきね……おふぁようみなみちゃん」
寝ぼけながらふにゃりと笑うゆたかの笑顔を見ると
……私の胸が、あそこが、心が疼く
「ゆたかっっ……!」
「なあに、みなみちゃん?」
ゆたかは私に答えてくれる…ゆたかはここにいる……っ!
「ゆたか…しよ?」
「え?、、でも昨日も朝から…んんっ」
ゆたかにキスをする、ゆたかの色々なモノを吸い上げるように
「んんっ、ちゅっ…ちゅぱ…んんんっ…ふぁ、あ…」
……あの夢が不安で不安でたまらなくなる
私はその不安を無くしたいんだ…ゆたかの唾液を、愛液を、体温を取り込んで私の糧にすることで―

私とゆたかの唇が離れ、口先からは唾液が糸を引いて落ちていく
「ゆたかが、欲しい、の」
ゆたかの顔は赤くなってぽーっとしているようだった
「汗くさいのは…嫌?」
「ふぇ…ぁっ…嫌じゃないよ…はぁっ…むしろ嬉しい……かも」
「…嬉しい?」
「はぁっ…うん、みなみちゃんのにおい……だから…かな」
そうだゆたかは私のことが好きなんだ、そんなゆたかが私から離れるわけがない…あるはずない、、絶対…
「私も…」
「うん?」
「み、みなみちゃんが、欲しい、、、な」
――――ッ!!!!
彼女の言葉に興奮した
…やばいっ、これ、やばいっ!
キスを再開し、ゆたかの胸にやさしく触れる
「ん、、ふ…ぁ…」
「ゆたか、、好きだよ…」
唇を離し、優しく彼女の耳元に囁く
「うんっ…」
「私も…好き、、、みなみちゃん…愛してる…」
「………うん」
47コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:17:55 ID:sGrwB+zT
「ふぇ、ぁ…っぁ、んん…」
ちゅっ…れろっ…ずずっ…
首筋や腕、脇、へそを舐めていく私
「ひゃ、ぁ…きたない、よぉっ…」
「ゆたかのだから…いい」
―むしろ摂りこみたい
ゆたかの汗も、においも、手も、感触も、髪も、声も、秘部も、体温も
ゆたかのモノを何もかも全部、摂りこみたい、糧にしたい
―不安で、不安で仕方ないから
離れている時でも、ゆたかと一緒にいたいから
離れ離れになっていてもせめて体の中では繋がっていたいって
あの女に見せ付けてやるんだ…っ
私とゆたかは、絶対離れないって、、、一心同体なんだ―って!
―ゆたかの方から離れるなんて、ありえないんだって…!
そう、見せ付けるんだっ…
「んはぁ…っぁ…ぁんんっ、んふ…っぅう、ふ…」
ゆたかの息がだいぶ荒くなってきている
いや、発作とかそういう意味じゃないのだけれど
「…ゆたか?」
「みなみちゃ、ん…んっっ」

ゆたかが何を言わんとしているのか分かっている…―でもあえて
「…どうしたの?」
体を優しく愛撫し続けながら尋ねる
「はや…く…ぅ」
「何を?」
「〜〜〜〜〜っ…もう…ばかぁ…」
「どうして…欲しい?」
う、、私もそろそろ我慢できなくなってきた…っ
「ほしい、の…ぉ、早く…つながりたいっ、の、みなみちゃんのもなめたいのっ、みなみちゃん
のお胸を揉みたいのっ…!」
「私、、揉めるほど…胸…無いよ」
「〜〜〜っ…だからぁ!、私がもんで、ぇ、おおきくする…のっ」
「…じゃあ、私はゆたかのを揉むね」
「うん…うんっ…だからっ、だからね…」
「分かった、でも―」
「う、ん?」
ちゅっ…
「キス、していい?」
「みなみちゃん、もうしてる…」
「うん、答えは聞いてなかった」
と言って私は笑う
「…じゃあ、もう1回」
「…ゆたかは早くして欲しいんじゃないの?」
「でもその前にキス………さっきの、は、ぁ、短かったから…」
「―うん、ごめん」
がばっ!
そう言って私は勢いよくゆたかに抱きついて強引に唇を奪った
48コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:19:51 ID:sGrwB+zT
「んん…ちゅ、は、ぁ…んん…ずずずずっ!」
れろ…ずずっ、ちゅぱ…
ゆたかの唾液を全部吸いだすようにキスをする私
「んはぁっ…みなみちゃ、ぁ…みなみちゃぁん…好きぃ…好きぃぃ…」
「うん…ずず…れろ……うん、私も…」
じゅぱっ…ぐじゅ…れろれろぉ…
ぼすっ!
キスは更に激しくなりゆたかをベットに落し倒す
…そうだ!
キスだけではゆたかが満足できないだろうと思い、私の乳首をゆたかの乳首にこすり合わせた
「んぁ、ん、ぷふぉっ?!、ぉ、〜〜〜〜〜!!!!」
―――!!!!
電撃が走った
驚いた私は唇を離す
「ぷはぁっ!?、、い、今の…?!?」
「みなみちゃんも?!」
「…うん凄かった」
何!?…なんだろう…この感じ…凄い、うん…凄いとしかっ
「…つ、続けようよ、ね」
「…うん、うんっ」
…あれ?
ふと疑問に思ったことをゆたかに尋ねる
「…キス、まだ続ける?」
「……あ……きす、よりも、、さっきの、乳首の…でされたい…な」

「じゃ、あ…する、ね」
「う、ん…して…」
…うん、、よしっ
私は胸を突き出し、ゆたかの身体に乳首を当て、なぞる
「どう、かな?」
「ふ、ぁ、くすぐった…ひゃ、ぁ、ん…」
…私におっぱいがあればもっと気持ちいいのかもしれないけど……
でも、この乳首の硬さがいい感じにゆたかの肌をすべり、ゆたかという人間の感触を教えてくれる
「う…ゆた、か…ゆたかぁ…う、く…」
そして直にその感触が私の肉体に伝わって気持ちいい
「は、ぁ…ひゃ、う…ぅ…みな、みちゃ…ぅ」
それはゆたかも同じらしい
…もっと、もっと―
身体をゆたかの下半身まで持って行き、乳首をゆたかの秘部へと持っていき
「?、みなみ…ちゃ―」
優しく、絹を扱うように―…すじをなぞる
「ひゃ!?、あ、ぁぁ…!」
「んしょ、んしょ…」
「み、な、ひぃ、みなみちゃっ…も、は、」
体勢的にちょっときついものがあるけど…ゆたかが喜んでくれれば―
「ちょ、み、みな、は、も、ら、らめ…ひ、ひゃあぁぁぁぁあぁぁぁあああ〜〜〜〜!!!!!」
ゆたかの身体がビクンビクンと波打つ
「ゆたか…イッちゃった?」
「は、は、はぁ、う、ん…いっちゃっ…た」
49コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:21:11 ID:sGrwB+zT
「ふ、ぅ………」
「まだ、だよ…みな、みちゃん」
「え?」
「まだ、私たち繋がってない、よ…バイブでも、ぉ…直でもいいか、ら、つながりたい、、よ」
ゆたかは真っ直ぐで、その純粋な瞳で―
ただただ、私を欲しがっていて―
「そうだね、、忘れてた、ゴメンね…ゆたか」
彼女を見ているとやはり自分に嘘はつけない
…欲しい…ゆたかが欲しい
…ゆたかが欲しい、欲しくて欲しくて堪らない
…そして堪らなくなるのと同時にこの生活を始めたきっかけを思い出して、心が苦しくなる
「ちょっと、待ってて」
そう言ってゆたかから離れ、机から双頭バイブを取出した

「んしょ、、んん…ゆたか、入っ…た?」
「んんっ、、は、ぁ、ぁぁ…もう、すこし…ぃ」
ゆたかの入れる仕草がもどかしくて更に堪らなくなる私
「ん、は、んんっ…入った、よ」
にぱぁっと笑うゆたか、頬は紅に染まっている
「じゃあ、つける、ね」
互いの下口に挿れたところで電源を入れた
「「ふぁ、、あぁっ…!」」
バイブの独特な機械音とゆたかと私の愛液が絡み合う
「は…ひ、くっ…ぅぅん」
ゆたかはもうとろとろに溢れているので奥に入りやすい
「あぁ、う、ゆた…か、ぁ」
私達の呼吸が、心臓の音がシンクロする
じゅぽ…じゅっぽ…じゅっぽ…じゅっぽっ!
更に私たちの腰の動きが激しくなる
「も、わた、私っ…とろけちゃい…そ、う」
「ゆたか…とけていいよ」
「や、ぁ、あ、嫌…いや、ぁ!」
ゆたかはその単語を激しく拒絶する
「…どうして?」
「とけた…ら、ぁ…とけたらみなみちゃんに会えなく、なっちゃ…うぅ」
「そしたら、う…私がゆたかを、元に戻して…あげる」
―あの女よりも、先に
「や、すき…好きぃ!みなみちゃん好きぃっ!好きなのぉ!だ、だいすきっ…ぁあ、ぁ、大好きっ、あ、んんっっ…」
「は、私も…ぉ、すき…好きだよ、ゆたか…好きっっ、、好きっ、だいすきぃぃぃいいい!!!!」
「みな、みちゃ、みなみちゃんっ好きっ…だい好きっっ!みなみちゃっ、あいしてるっ、あ、あいっ、んぁ愛してるのぉっっっっ!!」
びくんっ!びくんっ!!
「「ん、あ、、ら…ふぁあぁぁぁぁあああぁあぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」」
自分の体を支えきれなくなった私はゆたかの横に倒れこむ
「……………私も………同じ…だよ」
私は…その言葉を口に出来なかった、、あの女の影が脳裏を過ぎったからだった

50コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:22:58 ID:sGrwB+zT

「…朝からごめん」
「ううん、気にしなくていいよ、、こう…朝からっていうのもいいかな、って」
ゆたかは布団に包まりながらふにゃりとした柔らかな笑顔で答える
「…そう、なんだ……」
「じゃあお風呂に入ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
「…みなみちゃん……一緒に入る?」
「え、、うん」
そうだ、ゆたかが私から離れるなんてことはありえない、あるはずがない、ある訳がない
うん……大丈夫だ…大丈夫………

ゆたかと一緒にお風呂に入って洗いっこをして…
ベットの上でじゃれあいながら髪を乾かして―
そして昼過ぎ
「じゃあね、みなみちゃん!…夕方くらいに電話するね〜!」
ゆたかは力いっぱい手を振る
「うん、楽しみにしてる」
私もゆたかの姿が見えなくなるまで手を振りかえす
そう、今日ゆたかはお父さんや泉先輩の都合で家に帰ることになっている
…だからあんな夢を見ていたんだろう
そうだろう、…そうなんだろう、そう思いたい
「…行っちゃったな」
さぁ、これからどうしよう
ぐしゃぐしゃになって私たちの愛の証が染み付いている布団をみる
「……洗濯かな…」


外を見ると空が赤みがかっている
「もう夕方、かぁ」
今日の空はなんだか不気味だ同じ赤でも暗く重い…濃い感じの……見ているだけで不安感が増すような―
「…そんな感じがするだけ、、だよね」
1人でいると不安だ…
ずっと隣りにゆたかがいたから部屋が広くて仕方がない
そんな時はゆたかという存在が私の中で大きくなっているんだと思うと嬉しくもなるし…苦しくもなる
「早く電話がこないかなぁ、、寂しいよ…ゆたか…」

ブルルルル…

「ゆたかからだ!」
机に置いていた携帯が鳴り出す、パティや田村さんとかはいわゆる普通の着信メロディに設定してある
でもゆたかからの着信メロディは携帯電話に内蔵されている着信音だ、そうしてあるのはゆたかからと分かりやすく
する為でもあるし…ゆたかに余計な着信音なんて似合わないと思っているからでもある
むしろゆたかの音声自体が着信音…って何を言っているんだろう私は
51コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:25:04 ID:sGrwB+zT
ピッ!
携帯を勢いよく取り通話ボタンを押す
「もしもし!ゆたか!?」
「うん、そうだよ、みなみちゃん…どうしたの?」
「え?…何が?」
「声、すごく震えてたよ?」
「心配、だったんだから…それに寂しかった」
「もう、、みなみちゃん心配しすぎだよ〜…でも最近3〜4時間も離れてなかったからしかたないのかも
…私も、みなみちゃんと同じ気持ちだった」
「……ゆたか」

-やっぱり手元に残して置きたいんだよね?、自分の思い通りになる玩具は♪-

…え?
自分の脳裏に響いてきた声に戸惑う私
「…みなみちゃん?」
「あ、いや…」
-観てたのよ全部☆、あんたとゆたかの、え・っ・ち☆-
「なっ、どこからっ!?」
「え…家からだけど…」
「あ、いや……違うの、ゆたか」
この声…も…さくらの…
-朝からゆたかを襲うなんてねぇ…くすくす…確か昨日も一昨日もあ、そうかあのパーティの後からだっけ?-
早く電話を切らないと…ゆたかに迷惑が…
-クフフフっ♪、無駄よ、ムぅぅぅう〜〜ダ!☆-
「な…電話…切れっ…」
「どうしたの?、みなみちゃん」
電話が切れれない!?……なんで…なんで指を動かせないの!?

-あ、言い忘れてた…久し振りね、変態さん♪…ゴメンね、声だけでさァ、、すぐそこだし会いに行けれるのにね☆-
な、何で…そんな…
-「何で」?、「そんな」?、「どこから」?…決まってるじゃない♪、、高良家からよ-
音で気付いた事だけどいつの間にか外は雨が降り始めていた
-「何で」?、、面白いからよ、何度も言わせないで♪-
…五月蠅い
-そうだよね♪、あんたは私が怖いのよね〜☆…あんたは独りでいるのが怖かった・寂しかった・狂うのが嫌だった、、だからゆたかを一緒に住まわせた-
もういい…止めて、喋らないで…
-自分の不安を解消させる為だけの存在なんだよね♪…あなたにとってゆたかはさァ-
違うっ!…私は…私はっ…
-「違う」?…何が「違う」のよ?、どう観てもそうじゃない☆
自分が不安になったから朝からゆたかを喰ったんでしょ?、ゆたかの意思を考えずに!私に初めて会った時からずっとずっと!心ここに在らずで!-
五月蠅い…うるさいっうるさいっっうるさい!うるさいっ!うるさいっ!
消えて!消えろっ消えてっっ!!!聞こえるなっ!聞くなっ!!
喋るなっ!話しかけるなっっ!!黙ってっ!黙れっ!黙れっっ
52コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:27:08 ID:sGrwB+zT
-くくくくっ-
…っ何がおかしいの!?
-はぁ〜あ……ホンっっトにあんたって余裕なさすぎよねェ♪-
何を…!?
「……ごめんね」
…え?
「…………みなみちゃん…じゃあ…その、切るから…」

プツンっ

ツー…ツー…

今自分に起こったことが分からなかった
自分が何をしてしまったのかも
それを理解したのはあいつの言葉からだった
-ぷ、、く…ヒャハハハハっ♪、「ゆたかが私から離れるなんてことはありえない」みたいな事言っておいて…自分から離したら意味ないじゃない☆-
離し…た?
自分から…?
何を?…ゆたかを…
ゆたかを自分から拒絶した?
「………嘘…そんな…」
私は…さっきまでの言葉をゆたかに…喋って……?
「う、あ…あああ…」
-私はなァ〜んにもしてないわよ?、、私がしたことはただあんたを口撃しただけだし♪-
「っ…あ……あぁああああああああああああぁああぁぁぁ――!!」
私は泣き叫ぶ
―あんな言葉を言ったら体の弱いゆたかがどうなるか分かっていたはずなのに
―あいつに気をとられなかったらこうならなかったはずなのに
「うぁ…ああ…あ…」
…謝ろう、ゆたかに、今すぐ、話すんだ、あいつの事を
「で、でんわ…」
…違う…電話でじゃない、直接会って謝るんだ
「……あ…」
直後、私は携帯電話を床に落とした

―私は窓が嫌いだ、
あの透明なガラスが人と人とを離しているようで…
見ていると息苦しくなるような気がして…
すぐ目の前に愛しい人がいるのに、触れられないからだ
そして家の2階からの窓は下の人を見下ろしているようで―
…この時ほど私は窓の外を見たことを後悔したことはなかった
53コワレルセカイ☆3\Rainy Hawk:2008/12/16(火) 08:29:12 ID:sGrwB+zT
「う……あ…」
窓の外には、雨の中傘もささずに私の部屋をじっと見つめているあいつが…さくらがいた
「う…あ……ぁ」
あいつの声は外から聞こえて…っ?
ずっとずっと…あそこに、、高良家の玄関前に…いた?
あいつは雨の中、ただ笑ってこちらを見ているだけだ
そして雨はあいつを避けて降っているようにも見える
-あははははっ♪-
それだけ、ただそれだけなのに
体の震えが止まらない
空気が重く感じる
汗が止まらない
四方八方から視線を感じる
-うふふふふふ♪-
「見ないで…見ないでっ!…喋らないで…」
私はしゃがみこみ、耳を塞ぐ

…結局その日はあいつに怯えて外に出る事が出来なかった

…そしていつの間にか私は、深い深い闇の中へと落ちていった
54kt:2008/12/16(火) 08:30:56 ID:sGrwB+zT
ありがとうございました
…なんというか…こう…って展開です
さて、次回もみなみちゃんのターンです
せめて前半はラヴラヴに!ストロベリーに!いちゃいちゃに!としたのですが―

…書きすぎてえらい長くなってしまった
というかゆーちゃんの誕生月にえらいもん投下してないか自分
そういえば乳首でなぞる〜とかあるんだろうか…なんかノリで書いたんですけど…

以上、長々とすみませんでした
55:2008/12/16(火) 23:41:30 ID:0R3dyX5+
初めてなんですが投下してもよろしいですか?
56:2008/12/16(火) 23:50:28 ID:0R3dyX5+
みさおのゆめ

みさお×かがみ(ちょっとだけこなた)

・微エロ?
・3レス程度使用
57みさおのゆめ1/3:2008/12/16(火) 23:55:40 ID:0R3dyX5+
― みさお

みさお(んー?    あれ?あたし寝ちゃったのか?
    えーと・・・たしか柊と綾乃と勉強してて―)

かがみ「あっ・・・!  お、起きたの?日下部」
みさお「ひ、柊!? な、なんでいるんだ?」
かがみ「み、みんなで勉強してたら、あんた『疲れたー』って言って、ベッドに横になって寝ちゃったんじゃない。あ、峰岸は先に帰ったわよ」
みさお「は?そうなの?」
かがみ「はぁ・・・。日下部って何にも考えてないのねー」
みさお「うっ・・・。し、しかたねーじゃん!勉強嫌いなんだし!」
かがみ「・・・・それだけじゃないわよ・・・」
みさお「な、何がだよっ!」
かがみ「日下部・・・・。    私のこと・・・どう思う?」
みさお「へ?何言ってんだ?柊?」
かがみ「だってさ、日下部って、いっつも部活ばっかりだったじゃない?
    ・・・・・・私、寂しかったのよ?」
みさお「え?   ・・だ、だって柊ってちびっ子が好きなんだろ?」
かがみ「そんなわけないじゃない!日下部とは中学から一緒のクラスだったのに・・
    ・・・ずっと好きだったのに・・・全然振り向いてくんないし・・・」
みさお「あ、あ・・・そ、そんなこと全然言わなかったじゃんかよ!」
かがみ「だって日下部、部活行っちゃって話する時間少なかったし・・・。
    いつも日下部のこと見てたのに・・・・・・・鈍感・・・」
みさお「うっ・・・。ひいらぎぃ・・・。悪かったよぉ・・そんな泣くなよ・・・」
かがみ「うっさい!バカ!何で全然気づいてくんないのよぉ・・・」
みさお「ご、ごめんよ・・・。ひいらぎぃ・・・」
かがみ「・・・・日下部は・・・・私のこと・・好き?」
みさお「え?・・・い、いや、あの・・・その・・・」
かがみ「やっぱりダメなんだ・・・・・」
みさお「だ、だから泣くなってば!  あ、あたしも! ・・・ひいらぎのこと好きだよ・・」
かがみ「ホント?うそついてんじゃないでしょうねぇ?」
みさお「ホントだってば!    ・・・・・中学の時から気になってたんだよ・・・。
でも、柊は委員長で周りにも友達たくさんいたし、そんなこと言ったって柊に迷惑かなって思ってたし・・・・。それに・・・
・・・高校入ってからは、ちびっ子たちといっつも一緒だったからよぉ・・・」
かがみ「こなたたちは大切な『友達』よ。
    でも、日下部は違う・・・」
みさお「柊・・・・・」
58みさおのゆめ2/3:2008/12/16(火) 23:58:00 ID:0R3dyX5+
かがみ「日下部・・・・。いいよね・・・?」
みさお「え?な、なにが?・・・って!何でベッドに上がってくんだ?
それに顔近づけすぎだってば!」
かがみ「もう・・・。黙って・・・」
みさお「へ?あ、あの・・・  !?  んん〜〜〜!!」
かがみ「―ん。 
・・・日下部の唇って柔らかいね・・・」
みさお「ひ、ひいらぎ!?ちょ、ちょっとまっ―」
かがみ「ふふ・・。日下部・・・」
みさお「わ、わ、ひ、柊 !? く、首はやめ・・ っ!あ・・だ、だめ・・・」
かがみ「日下部って首筋弱いの〜?   もっとやっちゃお」
みさお「あっ・・・だ、だめ・・だ・・・って・・・。ひ、ひいらぎ・・・。くぅ・・ん・」
かがみ「日下部の声・・・可愛いよ・・・。もっと聞かせて・・・」
みさお「あ・・あぁ・・・。だめだって・・そ・・そんな・舐め・る・なっ・・て・。
くっ!・・・・うぅ・・・・・。そ、それ以上・・・され・・たら・・」
かがみ「されたら?」
みさお「・・だ、だから・・やば・・い・・って・・。我慢・・・できな・・い・・・・」
かがみ「・ふふふ・・・・・・私も。
    ・・ねぇ?日下部・・・一緒に気持ちよくなろ?・・・」
みさお「ひ・・・いら・・ぎ・・・」

             ・
             ・
             ・

みさお「ひいらぎぃ・・・・。むにゃむにゃ・・・。   ってヴぁ!!」
みさお「・・・・・。  あ、あれ、柊?柊は?・・・・      ゆめ?」
みさお「あ〜!なんだよぉ〜〜〜。夢なのかよぉ〜〜〜。あそこで終わりはきついよぉ〜。
    も〜〜〜、どうすんだよ〜〜〜。うわっ!まだ5時だし・・・・
・・・・ん?まだ寝られるよな? ・・・・・・。
    ぃよおし!!続きだ!続き!待ってろよ〜 ひいらぎ〜 」
               ・
               ・
               ・
59みさおのゆめ3/3:2008/12/16(火) 23:59:55 ID:0R3dyX5+
みさお(っと。ここは ―学校か?さっきまではあたしの部屋だったけど・・。お?柊だ!)

みさお「お〜い!柊〜!戻ってきたぞ〜!」
かがみ「日下部?こんなとこで何してんの?」
みさお「やだな〜。あんなに激しく求めてきたじゃねぇかよぉ。
    ほれ、さっきの続きしようぜ!」
かがみ「は?あんた何言ってんの?」
みさお「だからよぉ〜、さっきみたいにイチャイチャしようっての」
かがみ「く、日下部?だいじょうぶ?何か悪いもん喰ったんじゃないでしょうね?」
みさお「おいおい。そりゃあねぇよ。さっきあたしんこと好きだって言って
チューしてきたんじゃねぇかよ」
かがみ「は?そ、そんなことするわけないでしょ!!何言ってんのよ!」
みさお「あ?  はは〜ん。それはあれだな?ちびっこが言ってたツンなんだな?
    まったく柊は素直じゃねぇなぁ〜」
かがみ「ば、ばかじゃないの?やめなさいよ!」
みさお「どれ、じゃあ、あたしからチューしてや―」
かがみ「ふざけんな!!」
みさお「うぉ!!  いって〜・・・。マジでビンタされた・・・。ん?痛い?
    つーことは・・・夢じゃない?」
かがみ「何寝ぼけたこと言ってんのよ!!」
みさお「うぉー!!!!!  マジか?マジで夢じゃねぇのか?
    うあぁぁぁぁぁぁぁ!!何でなんだよ〜〜〜!!」
こなた「あれ?かがみ?それにみさきちじゃん?  なに?ケンカしてんの?」
かがみ「あ、こなた!さっきから日下部が意味の分からないこと言っててさ〜。
いきなり迫ってきたから思わず殴っちゃったのよ」
こなた「ありゃ〜。それはご愁傷様〜。みさきち、大丈夫?」
みさお「うぉ〜!!ちびっこぉ〜〜〜!!ひいらぎは鬼だよ!!悪魔だよぉ!!」
かがみ「な、なによ!!日下部が襲ってきたんじゃない!」
こなた「よしよし。  まぁ、みさきちの言うこともわかるけどね〜」
かがみ「ちょっ!こなたっ!!あんたもか!!」
こなた「まぁまぁ、最後まで聞きなよ、かがみん。
みさきち〜? かがみはね、確かにおっかないとこもあるけど、
でもね、優しいとこもあるんだよ?」
みさお「へ?」
こなた「だってねぇ〜。わたしのこと、ぎゅってして、優しくチューしてくれるんだもん」
みさお「は?」
かがみ「こ、こなた!な、なに言ってんのよ!」
こなた「だって本当のことじゃん?さっきもすっごく優しくしてくれたんだよ?」
みさお「う、うそだ!!」
こなた「うそじゃないよ〜。ね?かがみ?」
みさお「う、うそだよなっ?柊?」
かがみ「うっ・・・・・・。うそ・・・じゃ・・ないわ・・」
みさお「!?」
             ・
             ・
             ・
60みさおのゆめ4/3:2008/12/17(水) 00:05:16 ID:phYRbpRt
※ごめんなさい。二つほど増えます・・・。

みさお「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

みさお「ハァ・・ハァ・・ハァ・・・あ、あれ?あたしの部屋?・・・・・。
・・・ゆ、夢・か?・・・はぁ・・・・よかった・・・・」
かがみ「あれ?日下部?どうしたの?」
みさお「うぉっ!?柊?  な、なんで?」
かがみ「え?目が覚めちゃったからトイレに行ってたんだけど・・・。
どうしたの?汗まみれじゃない。
それに・・・泣いてるの?」
みさお「だ、だってよぉ〜。さっき夢の中で―」
かがみ「―。 ふーん・・・。私がこなたとラブラブで日下部にビンタしたと」
みさお「そうなんだよぉ〜。だから、てっきり夢じゃないのかって思ってよぉ・・・。
    今の柊は本物だよな?ちゃんといるんだよな?」
かがみ「・・・もし、私が夢だったら?」
みさお「!?  や、やだよっ!もう柊と離れたくないよ!だったらずっと寝てる!」
かがみ「でも・・・。いつかは さめちゃう かもしれないじゃない?」
みさお「そんなことねぇよ!柊と離れたくないから絶対覚めない!」
かがみ「日下部・・・。
・・ありがと・・」
みさお「ひ、柊?な、なんで泣いてんだよ!なんでそんなこと言うんだよ!」
かがみ「だって・・日下部も私のこと想ってくれてるってわかったから・・
・・・だから嬉しくって・・」
みさお「・・・なぁ・・・柊は・・・もうどこにも行かないよな?」
かがみ「うん・・。大丈夫。どこにも行かないわよ・・・。だから日下部も泣かないで」
みさお「う、うん。泣かない」
61みさおのゆめ5/3:2008/12/17(水) 00:07:12 ID:0R3dyX5+
みさお「ところで・・・なんで柊があたしの部屋にいるんだ?」
かがみ「うわっ!ひどっ!勉強のあとそのまま泊まったんじゃない!!
    ・・・・・じゃあ・・・昨日のことも・・忘れてるの?」
みさお「き、きのうのこと?」
かがみ「・・・もうっ・・・   こういうこと!」
みさお「ひ、ひいら―  ん・・・ 」
かがみ「―。  思い出した?」
みさお「あ・・・う、うん・・。あれって夢じゃなかったんだな・・」
かがみ「まったく、しょうがないわねぇ。日下部、途中で気失っちゃうんだもん」
みさお「えっ?・・・あ、あの、それ、覚えてないんだけど・・・」
かがみ「日下部ったらすごかったわよ〜。今日は家の人がいなくてほんと良かったわ。
    あんな絶叫聞いたらみんな起きちゃうわよ」
みさお「へ?あ、あたし・・・そんなことしたの?」
かがみ「それだけじゃないわよ。呼びかけても全然応えないし、痙攣しっぱなしだったし。
    さすがに救急車呼ぼうかとも思ったけど、私もそのまま寝ちゃったからさ」
みさお「うっ・・・。綾乃〜、  やっぱり柊は悪魔だよ〜」
かがみ「ちょっ!何よ!  た、確かにやりすぎちゃったとは思ったけど・・・・・。
    ・・・ご・・ごめん・・・。嫌いになった?」
みさお「き、嫌いになんてなるわけねぇじゃん。ただ・・・
    ・・ちょっと怖かった・・・」
かがみ「 うっ!?  ご、ごめん・・・」
みさお「あ・・・だ、大丈夫だからよ・・・」
かがみ「う、うん・・・。ほんとごめんね、日下部。
    私、自分のことばっかりで日下部のこと考えてなかった」
みさお「いいんだよ・・・。
    あっ・・でも、だったら一つお願いしてもいいか?」
かがみ「な、なに?」
みさお「あ、あのさ・・・・・柊にギューってされたい」
かがみ「へ?・・・・ぷっ・・あははははは!!
    それじゃ、夢の中のこなたと一緒じゃない」
みさお「そ、そうだよ!!あたしも柊に優しくして欲しいんだ!!」
かがみ「あ・・・・く、日下部・・・・。笑ってごめん・・・。
    ・・・こっちきて・・」
みさお「柊・・・。ありがと・・・。
    ・・・あー、すげー落ち着く・・・それに・・柊って良いニオイするんだな・・・」
かがみ「!? バ、バカッ!!・・・そんなこと言わないでよ!」
みさお「ほんとだって。  
    ・・・・あたし、柊のニオイ大好きだ」
かがみ「く、日下部のだって・・・・・私も・・好―」
みさお『―。  スー。スー」
かがみ「あれ・・・・?寝ちゃったの?」
みさお「うーん・・・かがみぃ・・・大好きだゼ・・・」
かがみ「ふふっ、もう・・。   ・・・私も大好きよ・・・
    ―みさお」
                         了
62:2008/12/17(水) 00:09:57 ID:phYRbpRt
以上です。みさおとかがみもいいのかなーって思ってまして・・・。
いろいろゴチャゴチャしちゃって分かりづらいかもしれませんがよろしくです。

ゆーちゃんの誕生日近づいてるのに みさ×かが で すみません・・・。
63名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 11:09:53 ID:jqAXGi6H
>>54
おお、今回は二本同時投下ですか。
まだ全ての作品を読み終えていないのですが、ちょこちょこ読んで楽しませてもらっています。

>>62
みさお×かがみの組み合わせはこなた×かがみとは違った面白さがありますね。
みさおのデレ要素がいいですなぁ。また投下してください。

両氏ともGJ!
64名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 19:35:43 ID:CScgfAC6
つかさSS、投下します
とてつもない短編一レスものですが、一応タイトルは『つかさw』
65名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 19:40:51 ID:CScgfAC6
体育館倉庫内
こなた「あ、ああ、イく、か、かがみ〜〜!」
かがみ「うああ、あ、あたしも・・・こなたぁぁ〜〜〜!」

跳び箱の中に潜んで、恨めしそうに見てる子、一人
声「うう、ひぃらぎ〜〜〜(涙)」

体育館倉庫裏
みゆき「ああ、このまま、このまま胸の中で出してください!!」
桜藤祭主人公「み、みゆきさん!で、射精る!!うああ!!」

影から切なげに見ている人、一人
声「うう・・・俺のほうがずっと一緒に高良さんと活動してきたのに・・・
  ポっとでの転校生に・・・(涙)」

教室内
つかさ「みんなどこ行っちゃったのかな〜><
    一人で帰るの寂しいよ〜・・・」

終わり(おんわり)
66名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 19:43:46 ID:CScgfAC6
異常です、ぢゃなかった以上です。
みさおのゆめを見てなんとなく、こなた・かがみ・みさおを書きたくなったので・・・。
こなたとかがみがイチャついててみさおが嫉妬って構図は非常に好きです。
67名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 19:44:19 ID:csbgcuiB
>>65

みさお「こーなったら・・・ひーらぎいいいいいいっ!!(ガバ)」








つかさ「え?わ、わたし??・・・うにょ〜ん(つかさ版うにゃああああ)」
68名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 19:50:43 ID:csbgcuiB
>>66
1レスネタしといてなんだが、
俺も、「こな×かが←みさ」派だったりする。
このカップリング+1、実は結構王道で
この関係が好きな人って意外といると思うのだがどうだろう。
69:2008/12/18(木) 00:26:44 ID:o4NmSmCb
>>68
僕も「こな×かが←みさ」は好きなんですけど、なんとなく いつもみさおが不憫で・・・。
たまには みさおもかがみと幸せになってほしいなーなんて思ってたんですけど、
それでも「みさおが嫉妬」っていうのは入れたくなっちゃうから不思議ですねぇ。
70名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 00:47:21 ID:RHkGLNGQ
みさきちがかがみを襲ってNTRしかけようとするんだけど、間違ってこなたを襲って
すったもんだのあげく、なぜかこな×みさカップル成立……という、変形NTRは如何かしらw
71名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 00:50:34 ID:tTdnfsyl
>>70
いや、ここは素直に、
かがみを巡って争ってるうちに友情が芽生え、
友情→愛情へと発展しこな×みさとしたほうが自然だろw


§原作にも存在する王道構図

こな×かが ← みさ(嫉妬的な意味で)
みな×ゆた ← ひよ(ネタ発掘的な意味で)


§このスレ的構図(IE推奨w)

      みゆ
       ↓
つか → こな ← かが
      ↑ ↑or↑
      ↑  みさ ← あや
      ↑
      ↑
      ゆた×みな(受け責め逆転)
        ↓
       ひよ(1年総受け)
        ↑
       パティ
72名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 01:50:58 ID:zqFkiY3p
副委員長やつかさにも触れてあげて
73名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 02:44:24 ID:FMsaN2HF
こなた総受けはおれのジャスティス
74名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 03:00:00 ID:OTEA8ru5
ていうか一つ突っ込みを。

>>65
よく考えたら、副委員長の方がポッと出(08年末にようやく登場)じゃないか?
いやごめん。
75名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 07:50:19 ID:qc1Vi7qx
ヒント:設定
76名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 08:52:28 ID:DipVBlAY
どっちかと言えばライバルとかのいないほのぼのカップルものが好きだけどな。
みなゆたに割り込んでくるキャラがいたとしたら間違いなく激怒するけどw
77名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 16:23:22 ID:6vrsmRlm
>>76
ああ、こっちもみなゆたに割り込んでくる話は苦手だ…。ここの住人達のレベルが高いだけに、最近そんな話ばかりでさびしい…。とくにみなみが不憫で…。
78名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 17:26:02 ID:B27Mo67e
こち亀のエロシーン集
レイコ、纏、小町、直子
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5578983
79名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 18:14:05 ID:zqFkiY3p
俺はこなかがは、普通に問答無用で百合カップルって感じがするけど、みなみとゆたかは
そんな感じはしないなぁ・・・。
ゲームにハマった自分としては、みなみやひよりはもう主人公とのカップリング以外考えられない。
みなみなんて完全なる妹キャラだし・・・ああ、みなみに「おにいちゃん///」と言われてぇ・・・。
80名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 19:07:43 ID:l90ChgbX
ゆたかじゃねーの?>妹キャラ
81名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 20:27:06 ID:zqFkiY3p
ゆたかのあれはまんま過ぎ。
みなみにこそ言われたい。そんな俺キメぇw
82名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 23:24:35 ID:4WSUu4KL
此処で『こなかが』と『こなゆた』両方が好きと言ってしまう俺は異端…??
それとも只の末期患者かw
83名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 00:20:13 ID:1d4cUP4W
こなかがは健全な恋愛って感じがするけど、こなゆたは背徳感みたいなものがある。
84名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 01:16:07 ID:OWHGbtwT
85名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 01:23:10 ID:IX2+qDZ4
かがこなとゆたこながジャスティスだと思う俺は少数派?
最近少なくて悲しいッス
86名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 01:27:42 ID:1d4cUP4W
>>84
なんという的確な表現w
87名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 02:44:45 ID:BlQ8qqLk
>>85
だったら、自家発電するんだ!!
さぁ、とにかく1本書いてみよう。
初めはみんな初心者さ。
88名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 09:45:30 ID:GBSsGa+q
個人的にはかがつかが一番好きなんだけど、最近少なくて悲しいな。
まあ、こなかがの方が好きな人も多いし、書きやすい(キャラを動かしやすい?)
のは分かるんだけどさ。
89戸別響:2008/12/19(金) 11:03:49 ID:/kvDwFvO
こんにちは、一番好きなカップリングはこなつか、戸別です。
シリーズ物の続きが書けましたので、投下します。
スケッチスケッチ!  5筆目 沈黙のち笑顔
・K&M M視点
・非エロ
・5レス使用
・自作「Laugh and Laugh」の設定あり
3分後に投下し始めます。では、どうぞ。




「…………」
「…………」
沈黙、沈黙。

「……あの……」
「ん、何? みなみちゃん」
「……いえ、何でもないです……」
……再び沈黙。……何をやっているのだろう、私……


スケッチスケッチ!  5筆目 沈黙のち笑顔


……こんにちは、岩崎みなみです。今日はみゆきさんに誘われて、泉先輩の主催するスケッチ
大会に参加しています。誘われた時は、一瞬だけどうしようかと迷いましたが、皆で楽しく
スケッチをするとの事で、快く承諾しました。
そして当日、総勢10人でのスケッチ大会の前に、泉先輩が提案したくじ引きでの結果、私は
つかさ先輩の双子の姉である、柊かがみ先輩とペアを組むことになりました。

「よろしくね、みなみちゃん」
「……よろしく、お願いします……」
そうして初めに挨拶をした後、泉先輩のスタートの合図で、日下部先輩がすぐに駆け出した
時はびっくりしました。周りの皆が同じ様に驚いている中で、田村さんもそれにつられて
駆け出そうとした時に、かがみ先輩は田村さんに何か囁いていた様に見えました。

「それじゃあ、改めて出発しましょう」
と、かがみ先輩が田村さんから私の元へ戻ったその勢いで駅から左の道を進み始めたので、
私はその後ろについていきました。しかしそれから暫くは何を話す事もなく、ただ漠然と
目的地まで歩いています。

私も、恐らくかがみ先輩も、会話をしたくない訳ではない、と思う。ただ、どちらも話題が
見つからないのだと思います。かがみ先輩は思案顔で私を見たり、目をつぶったりして何か
話す事はないかと探しているように見えますし、私自身も、このままでは……と思って声を
かがみ先輩に掛けはするのだが、何も話す事がなくて、冒頭の様なやり取りを何度も続けて
いる。

そのような微妙な空気が続いて10分が経った目的地手前の線路沿いの橋の上、
「……そういえばさ……」
歩き始めて、初めてかがみ先輩が振りの言葉を言った。
「……何でしょう……?」
「みなみちゃんって、駅で私とつかさに会った時、やけにつかさと仲が良かった風に見えたん
だけど、どうして?」
……そういえば……
駅に着いた時、同じ電車の違う車両に乗っていたかがみ先輩とつかさ先輩に会って、私は
つかさ先輩と一言二言話をしたけど、確かにその時かがみ先輩は私とつかさ先輩を不思議
そうに見ていた気が……というよりも……

「……つかさ先輩から、聞いていませんか?」
川の土手を下りながら、私はかがみ先輩に尋ねました。
「いや、何も。だいたい、つかさがみなみちゃんと会話するなんて、全然想像もつかないん
だけど……あの子、結構人見知りするほうだから」
……確かに、あの場所で会って、初めの内はそうだったけど……

「…実は…」
それから私は、あの日つかさ先輩と出会った時の事をかがみ先輩に話した。
ゆたかと一緒に入ったレストランに、偶然つかさ先輩がいた事。
とある事情で、しばらくつかさ先輩と二人きりで、長い沈黙が続いた事。
そして、一度話を始めたら、すぐに会話が弾むようになった事。
土手を下った先の川原で私の隣に座ったかがみ先輩に、私はあの時と同じ様に、スラスラと
説明をすることができた。

「……という事なのですが…」
「……なるほどねー……」
私が説明を終えると、かがみ先輩は腕を組み、納得した様にうんうんと頷いた。
「確かにつかさって、一度話すきっかけが見つかったら、何故かすぐに積極的になって、
誰とでも仲良くなっちゃう、って気がするわ。こなたの時もそうだったし」
「…そうなんですか?」
「そうそう。とある事でつかさが困ってた時に助けてくれたのがこなたらしくて――まぁ
困ってたっていうのは誤解かもしれないけど、それでその日つかさが帰ってきたら、「友達
ができた」って、嬉しそうに言ってたわ」
そこまで言うと、かがみ先輩は苦笑いというか、少し困ったような顔になった。

「……でも誰とでも仲良くなれるのはいいけど、見境なしに仲良くなるのはやめてほしいわ。
こなたの時もつかさは「いい人」って言ってたけど、私はあんまり信用してなかったな」
「…どうしてですか?」
「つかさって、仲良くなればどんな人でも「いい人」だって思ってるらしくて。だからあまり
当てにならないのよ、あの子の「いい人」発言は」
……何となく、納得してしまった。確かにつかさ先輩なら、良い人でも怖い人でも、話す事さえ
できれば、誰とでも仲良くできる気がする。

「…それでは、かがみ先輩にとって、泉先輩はどちらだったのですか?」
私はかがみ先輩の「つかさ先輩理論」を聞いて、気になっていたことを質問した。
「うーん、悪いやつではなかったわね、昔も今も。まあ確かに勉強は私やみゆきに頼りっきり
だし、突然変な事は言うし、オタク知識もバラまくしで呆れる事は何度もあったけど、それで
いてなかなか憎めないやつだしねー、こなたは」
かがみ先輩は少し苦笑い気味に答えた。

「…そうなんですか」
「うん。つかさの目に狂いは……多少はあったけど、それでも今、こうしてスケッチ大会を
する程仲良くなった訳だし。それにつかさはあいつとは結構気が合うみたいだしね。勉強が
苦手なところとか、だらしないところとか」
最後に悪戯めいた顔でそう締めたかがみ先輩。その時、

―――ホー―――

………?
どこからか、声が聞こえた。
ふくろう? こんなお昼時に? と思って辺りを見渡してみた。すると、
「……あのバカ……」
呆れた様な呟きが聞こえ、そちらの方を向いてみると、かがみ先輩が私の反対側、つまり
左を向いて、顔に手を当てながら、大きな溜息を吐いていた。

「…どうしたのですか?」
そう尋ねた私の声に反応したかがみ先輩は、さっきの呟きと同じ様に呆れた表情をしながら
こちらに振り向き、
「……あぁ、今、なんか声が聞こえたでしょう?」
「は、はい……」
「その声、あの山から聞こえてきたのよ」
と言ってかがみ先輩が指さしたのは、今私たちのいる川の上流、そこから少し左にある、
小さな山だった。

「…どうして、そんな事が…?」
どうしてわかるのか。私がかがみ先輩に尋ねると、先輩は呆れたままで、
「……始めは鳥かなんかだと思ったけど、聞こえた方向は左なのにそっちには近くに木とか
高い建物は何もないでしょう? で、よく見ると、その先に山があるじゃない。……問題、
今回のスケッチ大会で、あの山に向かったのは誰だったかしら?」
「えっ……?」
突然の振りに、私は少し慌ててしまった。えーっと……あ、そういえば……
「…日下部先輩…?」
「正解。まぁ、あれだけのスタートダッシュ決めながら「山だー!」って叫んでたら、
誰だってわかるわよね。だから、さっきの声の主は日下部。あいつ、昔からああいう高い所
登ると、絶対「ヤッホー!」って言って叫ぶって、峰岸から聞いた事があってね。それも突然
叫ぶらしいし。一緒にいるやつはたまったもんじゃないわよ、まったく……ひよりちゃん、
大丈夫かしら……」
と、かがみ先輩が心配そうにつぶやいた時、


――キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン――


「……えっ?」
「……学校の、チャイム?」
普段聞き慣れた、こんな所で聞くとは思わなかった音を聞き、思わずかがみ先輩と私は同時に
腕時計の針を見た。

「……今の、12時のチャイムだったみたいね」
「……そのようですね」
「じゃあ、これからスケッチ大会が始まるわけね」
「……恐らく」
「……それじゃあ、何を書くか決めなきゃ。……みなみちゃんはどうする?」
かがみ先輩は、立ち上がりながら私にそう尋ねました。
「…私も、探しに行きます」
「それなら、30分ぐらいしたらまたここに戻って、一緒にお昼を食べましょ。それでいい?」
「…はい」
「じゃあ、行きますか」
そう言って、かがみ先輩はスタスタと、川原を上流へと歩いていきました。


「…ところで、かがみ先輩」
「ん、どうしたの? みなみちゃん」
それから30分後、約束通りお昼ご飯を食べるために元の場所に戻って、私がかがみ先輩の
弁当の豪華さに驚き、それはつかさ先輩が作ったの、と先輩がばつが悪そうにつぶやいた後、
私は少し気になっていたことを先輩に尋ねた。
「…かがみ先輩は、日下部先輩とは仲が良いのですか?」
「仲が良いというか……まぁあいつとは峰岸と同じで中学生の頃から同じ学校でね。確か
5年連続で同じ組になった、ってあいつが言ってたっけ。よく話すようになったのは今年から
だけど」
「…そうなんですか……では、つかさ先輩は、そのお二人とは仲が良いのですか?」
「えっ?」
私の問いに、かがみ先輩は驚いた様な声を出した。

「うーん……」
かがみ先輩はお弁当の卵焼きを一つ咀嚼しながら、私の問いへの答えを探していた。そして
口の中の卵焼きを全て食べ終わった後、
「……どうなんだろ? 峰岸とはお菓子とか、料理関係で話をしてるのはたまに見るけど、
日下部とはそんなに仲良くしてる所は見た事ないわね。つかさも、なぜかあの二人とだと
普段の引っ込み思案が出ちゃうみたいだから。峰岸と話してても少しぎこちなく見えるし」
かがみ先輩はそこで水筒に入れてあったお茶でコクコクと飲んで一息をつき、
「……まぁ、つかさはあいつらと中学の時は同じクラスにならなかったっていうのもあったし、
日下部みたいなハイテンションにはあまりついてけない子だったからね。でもまぁ、今は
こなたとかもいることだし、徐々に仲良くなるだろ」
「…そう、ですね」
かがみ先輩の答えに、私は納得して頷いた。


「……それにしても、意外だったわ」
お昼ご飯を食べた後、私とかがみ先輩は一度分かれて、それぞれのスケッチポイントで絵を
描き始め、しばらくしたら元の場所に戻って見せ合いをする、ということを繰り返して、絵が
完成し、時間になって駅に戻る道の途中、かがみ先輩はそう呟いた。
「……? 何が、ですか?」
「いや、みなみちゃんには悪いんだけど……みなみちゃんって、思ってたより話しやすい人
なんだなぁ、って思ってね」
「……えっ……?」
……話しやすい? 私が?
「うん、確かに口数は少ないけど、みなみちゃんから話題を出してくれたり、よく質問をして
くれたり。つかさと会った話をしてる時なんて、とても楽しそうだったわよ」
「……そう、でしたか?」
私は急に恥ずかしくなって、少し俯いてしまった。心なしか、頬も少し熱くなっている気が
する。
「うん。今度機会があったら、また一緒にお話しましょ」
そう言って、かがみ先輩はニッコリと笑って、私に左手を差し伸べた。
「……はい」
私も少し顔を赤く染めて、微笑みながら左手を伸ばし、差し出された先輩の手を握った。



私の事を話しやすいと言ったかがみ先輩。でも、最初に話題を出してくれたのは、先輩の
方です。先輩が話しかけてくれたから、私はいつもよりも口数が多かったのだと思います。

かがみ先輩、今日は本当にありがとうございました。

私は心の中でお礼を言い、先輩と並んで、線路沿いの道を駅に向かって歩いていきました。





95戸別響:2008/12/19(金) 11:33:45 ID:/kvDwFvO
以上です。
何故か書きにくかったこの二人、かがみとみなみ。なのでつかさとみさおに助けてもらいました。
ありがとう、二人とも。
このシリーズも後二話です。次は、というかラストのペアは……今までの話を読めばわかるでしょう。
感想、批評ありがとうございます。この話でも、よろしくお願いします。

さて、私はおそらくこれで年内最後の投稿になると思います。しかも年明け最初の投下はシリーズ物は
いったん休憩し(後二話なのに)、ひとつ短編を挟みたいと思います。


閑話休題。
7分の6。この数字は何だと思いますか?



今年自分の作品でつかさのでてきた話数の割合です。(スレに投下したもの)
短編6作+シリーズ物で7作。
その中でつかさの出てきた回数……6回。
どんだけつかさ好きやねん俺……

あ、明日はゆーちゃんに誕生日ですね。1日早いですが祝う機会があるかわからないので……
ゆーちゃん、誕生日おめでとう!

以上、長くなってすいません。また来年も、よろしくお願いします。
96名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 18:12:40 ID:QXiMw/ge
ツンデレ×クーデレGJ!微妙な間合いが楽しめますた
97名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 23:14:24 ID:dRZqVttA
>>95
GJ !
スケッチ大会シリーズスキだなあw
いい歳してやまびこに挑戦するみさおカワユスw
98名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 03:19:20 ID:aYRG/4kL
>>95
どのペアも楽しそうでGJです!
最後まで楽しみにしてますよ〜♪

SSが1本完成したので、5分ほど他の誰とも宣言が重ならなければ投下しようかと
99LD:2008/12/20(土) 03:23:06 ID:aYRG/4kL
はっぴーばーすでー、ゆーちゃん!

こんばんわ、睡魔と仲良しなLDです。
ゆーちゃんの誕生祝SSが書き上がったので投下します。
・こなた&ゆたか
・自作SS「こなた&ゆたかシリーズ」
・6レス+後書1レス使用予定
・エロ無し

では始めます。
100貴女色に染め上げて(1):2008/12/20(土) 03:23:56 ID:aYRG/4kL
 ここはバイト先であるコスプレ喫茶の事務室。
 今この部屋には私と店長の2人しかいない……と言っても別にやましい事は何も無く、店長が電話し終わるのを待ってるだけなんだけどね。
「そうですか。分かりました。ではうちの者を行かせますのでよろしくお願いします」
 どうやら終わったらしい。こちらを見た店長は握った拳から親指を立てて、
「例の件、OKだってさ。準備しておくから明日取りに来てくれって」
「マジっすか?! やったーー! いやぁまさかとは思ったけど、頼んでみるもんですね」
「ただし条件があるって」
「条件?」
「うん、その時の写真が欲しいんだってさ」
「写真……ですか? 私はいいけど、ゆーちゃんがなぁ……」
「あぁそれは大丈夫。雑誌やネットには絶対載せずに仲間内で見るだけだって。信用出来る奴だから安心していいよ」
「ん〜〜店長がそう言うなら平気かな。分かりました。じゃあ明日ですね」
「場所は知ってるよね?」
「ええ。同業者ですし、以前チェックした所ですから」
 ふっふっふ……ゆーちゃん、覚悟してるがいい。快心の一時をお見舞いしてやろう!

 そんな事があったのが先週で、ゆーちゃんの誕生日を明日に控えた19日。
 所変わって今度は柊家にお邪魔している私の前にはケーキの材料を並べているつかさがいる。
「相変わらず料理の時は手際がいいねぇ」
「えっ? そうかな?」
「うん、普段のどじっ子振りが嘘のようだよ」
「こなちゃん、それはひどいよー」
「ごめんごめん。でもさ、本当によく動くよね。私も料理やってるから分かるけど、ほとんど無駄がないもん」
「えへへ。そう言われるとなんだか恥ずかしいな……」
「んじゃそろそろ私も手伝うよ。粉篩っておけばいいかな?」
「うん、お願いね。私はクリームの準備してるから」
 とまぁ2人でケーキ作りの真っ最中。
「でもゆたかちゃんもすごいよね。お料理は全部やるなんて」
「だよねー。いつものメンバーがゆーちゃん含めて10人にお父さんでしょ。ゆい姉さんも来るだろうから12人分?」
「それを1人でやるんでしょ? 手伝わなくていいの?」
「まぁその辺は平気だよ。何だかんだ言っても、明日は私とお父さんも手伝うからさ」
 料理はゆーちゃんがやるって言い出して聞かないから、せめてケーキくらいは、って事でこうして柊家の台所を借りて作業をする事になったんだけど。
 なんでも以前みゆきさんから『日本以外では、誰かの誕生日の時にパーティーを開くとその誕生日を迎えた人が料理などを振舞う』と聞いた事があるらしく、いつものお礼を兼ねてどうしてもと言い出したのだ。
「それじゃ目一杯おいしいケーキ作ってあげないとね」
「んふふふ、まだまだ教え子には負けない、ってところですかな? つかさ先生や?」
「そんなんじゃないってば。それにもう私が教えなくてもゆたかちゃんは自分で色々出来るよ」
「ふぅん……つかさが言うなら間違いないかな? 実際、かなり腕前も上がってきてるしね」
「やっぱり料理の一番の味付けは愛情だもんね、こなちゃん?」
 と言う突然のつかさの言葉に思わず手が止まってしまう。多分顔も赤くなってるに違いない。
「つ、つかささん? それは、ちょっと恥ずかしいって」
「でも本当でしょ?」
「ぅ……まぁ否定はしないけどさ」
「こなちゃんも素直じゃないよね。素直に『そうだよ』って言えばいいのに」
「そうなんだけどさ。正面から言われると何となく、ね」
 そんな他愛もないお喋りを交えながら、ケーキ作りを楽しむ私達だった。
101貴女色に染め上げて(2):2008/12/20(土) 03:24:29 ID:aYRG/4kL
 そしてゆーちゃんの誕生日当日。
 パーティーは夕方からだけど、朝から料理の仕上げに忙しいゆーちゃんをお父さんと一緒に手伝ってあげる。流石に1人じゃ大変なのか、素直に手伝わせてくれた。
 お昼過ぎになり、大きな荷物を抱えてパティとひよりんが到着した。
「いらっしゃい、2人とも。今日はありがとう!」
「おめでとう、ゆーちゃん。こっちこそ、招待してくれてありがとうだよ」
「Happy birthday ユタカ! 今日は楽しみにしてマスヨ」
「2人とも、いらっしゃー。荷物はこっちで預かるよ」
 そう言って2人を連れて私の部屋へ。ゆーちゃんは台所に戻って作業の続きだ。
「で、2人とも。例のブツは?」
「忘れずに持って来たッスよ!」
「コナタもなかなかやりマスネ? まさかこんな物を用意するトハ」
「ふっふっふ……我が愛しの姫君の為ならばどんな事でもするさ!」
「ああ……今から妄想が止まらないッス……」
「あーひよりんや? とりあえず準備を手伝って欲しいから、旅立つのは今しばらく待ってくれたまへ」
「そーデス。今から全力全開では体が持たないデスヨ?」
「はっ?! そ、それもそうッスね。私とした事が……」
 既にスケブに何かを描き始めたひよりんを連れて食器やら飾りやらの準備を始めると、陵桜OG5人組とみなみちゃんが揃って到着した。
「皆さん、今日はありがとうございます!」
 ゆーちゃんの出迎えに皆口々にお祝いの言葉を返す。
 私は皆を居間に案内しつつ、ホテルマンよろしく上着や荷物を預かる。
「それにしても、皆本当にありがとうね。みなみちゃん達同級生はともかく、かがみ達まで来てくれてさ」
「友達のお祝いなら、皆でやった方が楽しいです。それに、お世話になってるのは私達も一緒だから」
「そうそう。他ならぬゆたかちゃんのお祝いでしょ。水臭い事言わないの」
「そうだぞー。何だかんだ言ってもちびっ子妹にはちょくちょく会っているしな。そりゃ桜藤祭以来の付き合いだけど、友達みたいなもんだ!」
「私も。小早川ちゃんとは妹ちゃんと一緒にお菓子作りとかやってるから、もう先輩後輩って感じはあまりしないのよね」
 そう。ゆーちゃんはみさきちやみ根岸さんとも卒業式後も顔を合せている。
 みさきちにはゆーちゃんの体力作りについてあれこれ相談に乗ってもらっているのだ。その甲斐あって以前よりも大分元気になり、みさきち様々だったりする。
 で、峰岸さんとはつかさと一緒にお菓子や料理作りをやっている。割と回数は多いはずだけど、大してスタイルを気にしてないこの3人の体はどうなっているんだろう? かがみは今も色々奮闘中らしいのに……

 既にいる2人と合流してお喋りをしながら準備をしていると、テーブルには色々な料理が並び始め、段々といい匂いが漂い始める。
 いくら私とお父さんが手伝ったとはいえ、とても1人でこなしたとは思えない品々に皆の感嘆の声が上がる。
 そしてテーブルの真ん中につかさ特製(私と峰岸さんも手伝ったけど)のバースデーケーキが鎮座すると、割れんばかりの拍手が巻き起こる。
 計ったようなタイミングでゆい姉さんが到着すると、待ちに待ったパーティーの始まりだ。
102貴女色に染め上げて(3):2008/12/20(土) 03:25:37 ID:aYRG/4kL

「今日は私の誕生日に集まってくれて、皆さん本当にありがとうございます」
 そう言ってお辞儀をするゆーちゃんに皆が拍手で応える。
「いつもお世話になっている皆さんへのお礼に、こうして料理を作らせてもらいました。どうか楽しんでいって下さいね」
「では皆様、グラスをお取り下さい」
 ゆーちゃんの後を引き継いで皆に声を掛け、それぞれにグラスと飲み物が行き渡っている事を確認すると、
「それでは……ハッピーバースデー、ゆーちゃん!」
『ハッピーバースデー!!』

 パーティーが始まるとすぐに賑やかになる。
 普段なかなか会えない人もいるから当然と言えば当然だけど……しかし、学生達の中に混じってもあまり不自然さを感じさせない大人2人には驚くべきか呆れるべきか?
 みさきちはゆーちゃんと体力作りの話をしていたのが、みなみちゃんと一緒に2人を陸上部に誘い出した。みなみちゃんはともかく、ゆーちゃんは流石に無理じゃないだろうか? まぁマネージャーと言う道もあるけど。
 ゆい姉さんは峰岸さんに結婚生活のあれこれを語っている。お酒は飲んでないはずなのに妙に絡んでるのは、きー兄さんが関係してるに違いない……そういや峰岸さんはその辺大丈夫なのかな?
 かがみはひよりんと共にラノベ関連の話から始まってちょっとディープな話題にまで踏み込んでいる……何だかんだと言いつつこの2人と話が合う辺り、やはりオタクの世界に足を踏み入れていると思う。
 パティとつかさは一人暮らしでも出来るお料理講座を開いていたのが、いつの間にかつかさの出張サービスの交渉になってるし。
 意外なのは、みゆきさんとお父さんと言う組み合わせ。何やら小難しい話題で盛り上がっている。やはり物書きが生業だと博識なのだろうか? 普段の姿からは想像出来ない一面が見れた気がする。
 そんな光景を眺めながら給仕役を務め、あちこち首を突っ込んでお喋りをしていると、料理も飲み物も大分減ってきた。

「さてさて皆の衆。一旦話を切り上げてもらっていいかな?」
 皆に声を掛け、視線がこちらに集まるのを確認してから、
「それでは。これより誕生日プレゼントの贈呈の時間とさせてもらうよー」
 それぞれが持ち寄ったプレゼントの数々は、去年同様ゆーちゃんを想っての品々だった。
 かがみとみさきちはジョギング用の靴とジャージ。つかさと峰岸さんはお菓子作りの道具。ひよりんは2年生4人組のイラスト。パティは可愛いアップリケのついたお手製エプロン。
みゆきさんはみなみちゃんと一緒に作ったと言うブックカバー。お父さんとゆい姉さんからは手作りの夫婦茶碗。
 皆がそれぞれゆーちゃんと付き合いがあるから、今年は私に聞かなくてもすぐに決まったと言っていたっけ。
 さて……いよいよ私の出番だ。
103貴女色に染め上げて(4):2008/12/20(土) 03:26:16 ID:aYRG/4kL
 指を鳴らすと、事前の打ち合わせ通りにパティとひよりんがゆーちゃんの横に現れる。
「では2人とも。ゆーちゃんを連行したまえ」
『Yes, Ma'am!』
「ふぇっ? お、お姉ちゃん?!」
「まーまー、しばし大人しくしていたまへ〜」
 ヒラヒラと手を振って3人を送り出すと、何とも言えない視線が刺さる。
「あー……5分くらいしたら戻って来るからさ。ちょっと待っててね」
 そう言い残して私も居間から逃げるように出ると自室へ向かう。
 タンスを開けて、並ぶ服を掻き分けて、一番奥から紙袋を取り出す。
 中から取り出した『衣装』に着替え、手早く髪をまとめる。
 あらかじめ作っておいたメールをひよりんに送ってから居間へ戻ると、私の姿に呆然とする皆の顔があった……が、すぐに感嘆の声に変わる。
「あー……そんなに変じゃないよね?」
「うん、大丈夫だよ。ただ普段のこなちゃんと全然違って見えたから、ちょっとビックリしちゃった」
「柊ならピッタリだと思ってたけど、ちびっ子もなかなか似合うじゃん!」
「おい、日下部。それはどういう意味だ?」
「ん? 言葉通りだぜ。柊ならタキシードも似合うって。なぁみんな?」
 その言葉に頷く一同を見て、かがみがフルフルと握った拳を振るわせる。
「まぁまぁ、かがみん。落ち着いて。それよりもどうかね、私の晴れ姿は?」
 かがみを宥めながらちょっと気取ってポーズを取る。そう、今の私は純白のタキシードに身を包んでいるのだ。
「んー、まぁ悪くないんじゃないの? ただ何と言うか……」
 と、口篭もるかがみ。いやまぁ言いたい事は分かるよ。
「いやいや。相手も同じくらいだし、バランスはちゃんと取れてるって」
「あー、そういや確かにそうね。しかし、よくそんなの見つけてきたわね」
「まぁ色々と伝手はあるからね。時間は掛かるけど見つからない訳でもないって」
 そこへ私の携帯にメールが届く。どうやら向こうも準備が整ったらしい。
「んじゃちょっと迎えに行ってくるよ。もうちょっと辛抱してね」
104貴女色に染め上げて(5):2008/12/20(土) 03:27:21 ID:aYRG/4kL
 ゆーちゃんの部屋へ向かうと、こちらは淡いピンク色のドレスに包まれたゆーちゃんがオロオロしていた。
 私に気づいたひよりんとパティが、揃ってウィンクと共にサムズアップ。
 こちらも同じように返すと、2人と入れ違いに部屋へ入る。
「どーかな、ゆーちゃん? 私からのプレゼントは?」
「嬉しいけど……いいの? こんな素敵なものもらっちゃって?」
「ゆーちゃんだからこそ、もらって欲しいんだよ」
 そう言って唇を重ねると、瞳を閉じたゆーちゃんが私に体を預けてくる。
 唇を離して、ゆーちゃんをお姫様抱っこすると、腕を首に回してぎゅっと抱き付いてくれた。
 居間の前で待機していたパティ達は私達を見ると、中へ声を掛ける。
「Ladies and Gentlemen!」
「これより我らが愛すべき、小さな恋人達の登場です!」
 そんな2人の声と皆の拍手に迎えられて、ゆーちゃんを抱いたまま部屋に入る。
「わっ! 小早川ちゃん可愛いわよ!」
「本当に綺麗……おめでとう、ゆたか」
「ふぉぉぉっ! ゆたかのドレス姿が見れるなんて! お姉さんビックリだーー!」
 そんな心からのお祝いの言葉を受けて、はにかんだ笑みを浮かべるゆーちゃんをそっと下ろして椅子に座らせてあげる。
「ちょっち時間が掛かっちゃったけど、これが私からのプレゼントだよ。題して『少女の夢』なんてね」
 ほっぺに軽いキスをすると、また拍手が沸き起こる。
 そのままゆーちゃんと私は皆から恋人生活のあれこれを根掘り葉掘り聞かれると言う、半ば羞恥プレイ的な質問攻めに遭う事になった……
105貴女色に染め上げて(6):2008/12/20(土) 03:28:00 ID:aYRG/4kL
 いつもの事ながら、楽しい時間はあっという間に終わりを迎えてしまう。
 明日は休みだから泊っていけば、という私達の言葉はあっさりと却下された。
 課題やらイベントやらで皆忙しくなる……らしい。十中八九、私達に気を遣ったんだろう。
 何より、帰り際のニヤニヤ笑いが全てを物語っていた。
 いつものように皆を送るお父さんとゆい姉さんの車を見送ると、お祭り騒ぎの余韻の残る部屋でゆーちゃんと2人きりになる。
 ちなみに服は既に普段着に戻っている。あの衣装はコスプレ用なので、割と簡単に脱ぎ着出来るようになっているのだ。
「今日はお疲れ様、ゆーちゃん」
「ううん、お姉ちゃんこそお疲れ様。手伝ってくれてありがとうね」
「大した事はやってないよ。今日ちょっと手伝っただけなんだし」
 そんな風にノンビリと今日の事を振り返りながら、ゆーちゃんを抱き寄せて、ほっぺやおでこ、唇にキスの雨を降らせる。
「んん……お、お姉ちゃん。くすぐったいよぅ……」
「ね、ゆーちゃん。今夜はこのまま一緒に寝よっか?」
 抱き締めたまま片手でゆーちゃんの太股を撫で始め、キスだけでなく耳を甘噛みすると、腕の中で小さく体を跳ねさせながら、潤んだ瞳で見つめてくる。
「一緒に、寝る、んん……だけ?」
「それだけじゃ不満?」
 クスクスと笑いながら、ごく軽く弄っていると、ぎゅっと強くしがみ付いてきて、
「ん……私を、お姉ちゃん色に染め、て……くれる?」
106LD:2008/12/20(土) 03:30:43 ID:aYRG/4kL
以上、一番槍行かせてもらいました!

じゃれ付く睡魔を蹴散らしつつ、思いつくままキーを叩き続けた訳ですが。
皆様に糖分が供給出来れば幸いです。

では、明日と言うか今日もお仕事なので寝ます。
お休みなさいませ〜ノシ

P.S.1 好きなカップリングは「かがゆき」
P.S.2 みなみちゃん、ゴメンネm(_ _)m
107名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 04:18:00 ID:OC8wmCvU
>>106
おお、先に投下されてましたか……!
SS書き上げ直後に染み渡る、いいこなゆた分でした。GJ!

とりあえず、ついさっき書き上がったばっかりなので昼か夕方頃に見直して投下します。
お疲れ様でした……。そして、これから投下する人に幸あれ。
108名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 05:52:43 ID:IX27sqV4
>>106
切込隊長お見事な甘々ぶりでした。GJ!
109名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 09:15:29 ID:Dx29wNSg
>>106
GJ!
缶入りおしるこのように甘々なお話ですね。
こなた色に染められる夜のゆーちゃんもみたいですw
110名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 10:12:07 ID:6GH9yiuS
>>106
ちょw大本命が一番槍とか、憧れのLD氏とか、神の後に続けとは無茶言うよねーw
何はともあれGJ!
やはり惚れてしまうこの作品……戦う以前に完敗ですw
11159-10:2008/12/20(土) 10:24:40 ID:6GH9yiuS
う〜ん…LD氏の後に似たような内容で非常に恐縮ですがとりあえず自分も…
打った以上は祝いたいなと思いましたので…

こなゆたorゆたこな(?)
ゆたか視点
非エロ
シリアス→甘
4〜5スレ程拝借致します。
11259-10:2008/12/20(土) 10:29:58 ID:6GH9yiuS
12月20日…今日は私の誕生日です。

朝起きれば叔父さんが、
学校に行くとみなみちゃん、田村さん、パトリシアさんが、
色んな人が『おめでとう』って言ってくれました。
それと…お仕事の後でこなたお姉ちゃんが………私の大好きな人が……お祝いしてくれるので凄く期待してます。


冬休み間近、何処か慌しくもウキウキとした一日が過ぎ去ったその日の放課後……


みなみちゃんや田村さんと話してると、何時の間にか空が茜色に染まってきました。
そろそろ帰ろうかと準備をしていると、
「Helloユタカ、スコしツキアってほしいトコロがありまス。」
パトリシアさんからのお誘い…如何したんだろ??
「うーん…いいよ?」
「サンキュー、じゃぁこれでメカクしをしてくださイ。」
お姉ちゃんのお仕事はまだ終わらないからと、了解した旨を伝えると、返答ついでに渡されたのはテレビとかでよく見るアイマスク。
「えっと……パトリシアさん?」
こんなものをいきなり渡されたら…私じゃなくても不思議に思うんじゃ…
困った状態でアイマスクとパトリシアさんを交互に見てると、
「じれったいデスネ……ハイッ!」
「わわっ…」
これじゃ見えないよ…
外そうとすると両手をがっちり掴まれて、
「イきますヨ、ユタカ。」
と、強く引っ張られていきました。
11359-10:2008/12/20(土) 10:30:54 ID:6GH9yiuS
周りが見えないので、途中で階段とかに気を付けて、とか電車に乗る、などと注意されながら、それでも殆ど喋らず黙々と進んでいく私達。
…正直怖かったです………心なしか身も心も寒くもなってきて…そんな風に考えてばかり…。
すると急に私を先導していた歩みが止まって、
「…ごめんね…ゆーちゃん…怖いよね…もう少しの辛抱だから…信じて付いて来てね…」

と…身体に腕を回されて…大好きなこなたお姉ちゃんに囁かれた気がしました。
…あれ……??でも…そんな事は有り得ない訳で……こなたお姉ちゃんはまだお仕事だもん…。
でも…そんな幻聴でも…やっぱり安心してしまう私が居ます…。
その後は恐怖も無く、パトリシアさんに引っ張られるままになりました。
さっきまで寒かったはずの心も何時の間にか温かくて…今はこなたお姉ちゃん一色です…。
私はホントにこなたお姉ちゃんが大好きなんですね…。

11459-10:2008/12/20(土) 10:31:44 ID:6GH9yiuS
途中の道は殆ど記憶に残ってないというか…結局最初は緊張してたのと…後の方は…あの幻聴の所為かお姉ちゃんの事で頭が一杯だったって言うか……あう…恥ずかしい…//

最後に聞こえたのは、多分ドアの開く音…かな…そこに入って…歩みが止まりました。
「OK ユタカ、トってくださイ。」
繋がれてない方の手でアイマスクを取ると…

「「Happy Birthday ゆたかちゃんw」」

パパン、と、幾つものクラッカーの音と共に沢山の人が居ました。
凄く吃驚です…パトリシアさんを始め、田村さん、みなみちゃん、かがみ先輩、つかさ先輩、高良先輩が……皆がお祝いしてくれて…。
………あれ……?パトリシアさん?……何でそっちに居るんだろ…パトリシアさんとはまだ手を繋いで………
そう思って繋がれた手から横を見ると、
「Happy Birthday ゆーちゃん…ごめんネ…?」
其処に居たのは…こなたお姉ちゃんでした…若干申し訳なさそうに…でもさっきみたいに優しく抱き締めてくれて…そっと頭を撫でてくれて…。
……………さっきみたい…?
「お姉ちゃん……ひょっとしてさっきも…?」
「うん…流石に怖かったよね…誰だってあんな事されちゃ…」
ヤッパリあれはお姉ちゃんだったんだ…幻聴じゃなく…。
お姉ちゃんは判ってくれてる…私が恐怖で潰されそうだった事を…。
私がちょっとだけでも調子が悪い時…
それでも他の誰よりも早く私の異変を察してくれて…
そんなこなたお姉ちゃんへの想いは堪えきれず…
「お姉ちゃん、大好きっ…」
思いっきり抱き付いて、その猫口な唇に自分のソレを押し当てて…そして私はすっかり忘れてました…。
「うわ…」
「こ、これはぁ!!」
「ゆたか…大胆だよ…」
「オタノしみですネw」
…皆の前だって事を……
「んー…従姉妹としては心配だけど…恋人としては嬉しいな…有難、ゆーちゃんw」
ぁ…ぅ…皆に見られた私は多分真っ赤…身体も熱くなってきて…//
何でお姉ちゃんは平気なんだろ……悔しいな…。

その後改めて話を聞くと、此処はお姉ちゃんのバイト先で今は貸し切り状態。
皆から色々とプレゼントをもらって、パトリシアさんとお姉ちゃんは、コスプレ?って言うんだっけ、それで御奉仕とかって色々してくれて、美味しいご飯も食べれて……
皆…お姉ちゃん…有難う…とっても幸せな一日になりました。
11559-10:2008/12/20(土) 10:34:01 ID:6GH9yiuS
そんな楽しかった時間も過ぎ、いつの間にか辺りが真っ暗になったので其処で皆解散って事に。
今はお姉ちゃんと二人っきりで家まで帰る途中…。
お姉ちゃんの左手と、私の右手を繋いでるからか…少し寒さも和らいでる気がします。
「お姉ちゃん…有難…今日は楽しかったよ?」
「そう?良かった…私も頼んだ甲斐が有ったよ…そだ…まだ渡してないものがあるんだ……」
お姉ちゃんからは今日のパーティー全般と…二人お揃いのペンダント…もう充分して貰ったのにまだ何か…有るのかな?
「ゆーちゃん、左手出して?」
「う…うん…」
言われるままに残ってる左手を差し出すと…
「Happy Birthday ゆーちゃん…」
と、左手の薬指に光る指輪。
よく見ればお姉ちゃんの左手の薬指にも同じ指輪。
幾ら私でも、その意味に気付かないはずはなくて……
「お姉…ちゃん…//」
「んふふ、ずっと一緒だヨ?」
「うんっ…ずっと一緒…お姉ちゃん大好きっ」
道端とか…人目が有るとか…そんな事はもう如何でも良くて…ただ…ただ嬉しくて…

……又お姉ちゃんに口付けをしちゃいました。
「んん…ゆ…ちゃ…//」
お店の時よりももっと長く…ずっと一緒に居るんだって気持ちを込めて……

「はぁ…もう…ゆーちゃんってば…//」
流石に驚いたのか、今度はお姉ちゃんも真っ赤……勿論私もだけど…お姉ちゃん可愛いな…//
「さっきと言い、ホントに大胆になったねぇ…お姉ちゃん吃驚だヨ…//」
「…お姉ちゃんが…いけないんだからね…//」
頑張って睨んでるつもりだけど…多分お姉ちゃんには効果無いかな…
「わお…私の所為とは……可愛い顔してそんな事言うゆーちゃんには…帰ったらお仕置きかナ…w?」
お仕置き…あう…何されちゃうんだろ…//
恥ずかしいのに……何処か期待してる私が居る…バカバカ…完全にお姉ちゃんのペースに巻き込まれちゃってる…。
「ホント、ゆーちゃんは可愛いよネ…そんな所も含めて、大好きだよ、ゆーちゃんw」
「…私も…大好きだよ…お姉ちゃん…」



又握られるそれぞれの手。
二人の左手に光る指輪。
そんな私達を、神々しい程明るい満月が照らしてくれる。
私達の幸せを…願ってくれるように…


追記
結局家に帰ってから……お姉ちゃんにはプレゼントと言う名のお仕置きをされちゃいました……恥ずかしかったのに…けど……嬉しかった…かも…///




fin
11659-10:2008/12/20(土) 10:42:11 ID:6GH9yiuS
遅ればせながら初めまして…被ってなければ59-10と名乗らせてもらえれば幸いです…。

さっきまで夜勤だったんですけど…その最中…20日0時になった瞬間こなたが
「Happy Birthday ゆーちゃんw」
と、言ってた妄想を脳内でして仕事中ニヤついてました。
…脳内毒されてる…

一応シリアス入れて自分らしく作ったのですが如何せん影響が強かったのか引っ張られました…。
後でお叱りを受けなければ良いのですが…;
読んで頂けた方に感謝です。

改めて、
Happy Birthday Yutaka!
117名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 12:16:38 ID:OC8wmCvU
>>116
甘いよ。甘々だよ。もう、もの凄く癒されました。

朝、というか早朝の予告どおり投下します。

『プレゼントは……(ry 二人目』 (ゆたか×みなみ)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0164.txt

一応前の作品である『プレゼントは……(ry』を読んでいても、読んでいなくても大丈夫なはず……です。
118名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 21:41:13 ID:UK6TgtT0
>>117
こういうの待ってました!いいですねー、GJ!
それにしてもこなたはモテモテですねw
119名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 23:54:51 ID:LiLGsWeI
>>116
なかなかに甘々な話でよかったよ、GJ!

ところで、そのコテだけれど……
ここが59スレ目になったときの10レス目の人が初投下の人だった場合に、
数字コテが使えなくなる畏れがあるんで、変えてもらえればありがたい。
このスレで初めてSSを投下したときのスレ番号とレス番号は覚えている?

(例:この書き込みを最初にSSを初投下した場合の数字コテは【55-119】になる)

数字を使うのであれば、他の形式にしてもらえるとありがたい。
120名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 13:28:41 ID:DZCnyhSk
>>117
GJ。

個人的にはこなた×白石の非エロラブラブものか見てみたいです。
121名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 14:02:38 ID:Gm8sKF5+
>>120
前にそれっぽい作品なかったっけ?
まあ、白石という名の、実際の性格はキョンそのものな主人公だったが。
122名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 18:07:51 ID:ztqbFskb
そういえばゲーム主人公ってまんまキョンっぽい性格だったよねw
123名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 21:06:18 ID:Hqw+Olao
こなゆき少ないな…
みゆきさん可愛いじゃん、こなたの憧れの人なんだしもっと絡みが欲しい
124名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 21:48:57 ID:NcM2RtGQ
>>123
書いてる最中だけど、年内に終わりそうにありません
125名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 22:07:53 ID:Hqw+Olao
おっいいねー
期待して待ってますお
126名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 22:08:01 ID:W+PeJi0z
>>123
かがみん、つかさ、ゆーちゃんとの絡みはすぐに思いつくけれど、みゆきさんは頭をひねってしまう。
いわゆる高嶺の花なのかも。
127名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 22:25:44 ID:MYIzDtuy
やっぱり原作六巻のおまけは間違いじゃなかったのかもな……(空気化的な意味で

>>126
その案に同意。性的な意味で手を出しにくいんだよな。
128名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 03:19:08 ID:vkcsD8Ia
保管庫管理人&支援の方々、いつもながら乙でやんす!!
129名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 13:38:27 ID:u2eCzVY3
一足早いクリスマスプレゼントをサンタさんから貰ったぜ!



こなたを抱きしめる夢を見た。
しかも香りつき……
こなたから、「気持ちは嬉しいんだけど、私には好きな人がいるから」
って言われて、逆に萌えたのはこの板の弊害だなw
130名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 13:43:38 ID:LS7SxpiM
板……?
131名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 20:22:39 ID:zggHAQ3u
>>127
正直言うと、一巻の頃から登場率は低かった。
だけど、アニメ化など露出が増えてから、新規ファンが増えて、新規の人から「メインは三人じゃないの」だと言われることが多くなった。
真実は、多分こんなところだろう。

つかさと少しキャラがかぶっているのも問題の一つだけど、何より、みゆきは、あらゆる作者の好みの要素を詰め込んだキャラだから、変に動かしづらくなって、登場率の低さにつながったんだろう。
作者自身も「大きなアクションが起こせませんでした」と語っている。
自分も、みゆき自体は好きだけど、みゆきさん主体に文を起こすと、結構苦労する。
132名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 21:18:56 ID:AzcZFbFp
駄菓子菓子

このスレによりみゆきさんに、命が、吹き込まれたッ!!!







だばだばだばだばだば

あ、命じゃなく血が
133名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 23:04:53 ID:436pdAir
でも他のキャラのフォロー役に回らせると万能キャラになるから
みゆきさんは最優秀助演女優賞ということで
134名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 00:52:52 ID:4wdBzB7j
つまり、主役は狙えなくても最高の相方(悪く言うと脇役)になってくれる、それがみゆきさんか。

かわいそうな位置付けだな……。
135名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 09:40:35 ID:S2Jq7aR1
何言ってんの。
脇役がいるからこそ、主役が映えるんだぞ。
136名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 11:07:45 ID:CYjQWKKc
このスレでのみゆきさんメインSSとなると「たんぽぽ娘」がまず思い浮かぶな。
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1172.html

後は黒井先生視点からみゆきさんを描写した「ティル・ナ・ノーグの縁で」も好きだった。
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1262.html
137名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 17:14:59 ID:x3T+8GHn
俺は「鶴」が好きかな
風邪ひいたつかさに折鶴作る話
138名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:18:10 ID:m/s4pZw5
みゆきさん主役では「チェリーさんと私」が好きですね、
珍しくあわてる場面も出てきますし。
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2127.html
139名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:21:46 ID:sXQJWxAj
鼻血は脇役属性の延長のような気がする……。
主役が怖がる・不気味がる=映える 的な意味で。
140名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 21:28:58 ID:Wn/HjwJ1
みゆきさんは口調がとても丁寧なので、書きにくい部分があるのかもしれませんね。

準備されている方がおられなければ、投下いたします。
14123-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/23(火) 21:43:04 ID:Wn/HjwJ1
「Affair 第3話」

こなた×ゆたか(+つかさ、みゆき)

注意事項
・非エロ
・ダーク、鬱
・続きもの
・7レス程度使用
142Affair 1/7:2008/12/23(火) 21:43:47 ID:Wn/HjwJ1
「う、うーん」
 頬のあたりに微かな刺激を受けて、私は眠りの園を追い出された。
 瞼を開けると、柊つかさ先輩が穏やかな笑顔をみせている。
「ゆたかちゃん。起きた? 」
「つかさ先輩、ここは? 」
「ホテルだよ」
「えっ? 」
 戸惑いながら、首をきょろきょろとさせている後輩を楽しそうに眺めながら、先輩は教えてくれる。

「ゆたかちゃんが酔って寝ちゃったから、ここまで運んできたの」
「ご、ごめんなさい」
 つかさ先輩にずっと介抱されていたことにようやく気づいて、恥ずかしくて顔がかっと赤くなる。

「ううん。気にしないで」
「本当にごめんなさい。ご迷惑をおかけしました」

 お店からホテルまで運ぶことがどれほど大変かを考えると、深い穴を掘ってもぐりたくなってしまう。
「ゆたかちゃんにそんな顔をされると困っちゃうよ。確かにゆたかちゃんを運んでくれた店員さんや、
ホテルの方にはお礼を言わないといけないけれどね」
 デフォルトとなっている笑顔に、少しだけ困惑という感情を混ぜて先輩は言った。

「だから、気にしないでね 」
「は、はい」
 先輩の優しい言葉に頷いたものの、やっぱり反省はしないといけないと思う。
 もし、助けてくれる人がおらず、道端で酔いつぶれてしまったら取り返しのつかない事だって起きかねない。
 
「それより、ゆたかちゃん。頭とか痛くない? 」
 つかさ先輩は、起き上がった私の隣に座りながら尋ねた。
「いいえ。大丈夫ですけど? 」
 火照りはおさまっていないけれど、二日酔いのような頭痛はない。
 むしろ、身体がふわふわとしていて気持ちが良いくらいだ。

「ゆたかちゃんは、お酒に強くなるかもしれないね」
「そうでしょうか? 」
 お酒に強い自分の姿を、想像することができない。
 小さい頃から病弱と自他ともに認められてきたからかもしれない。
「うん。私みたいにお酒に弱いと、頭が痛くなるからね。アセト…… なんとかというのが上手く分解できないから」
「アセトアルデヒトですか? 」
「うん、そうだよ。流石、ゆたかちゃん」
 手放しで褒めるつかさ先輩を、私は正直、凄いと思った。
 後輩の方が物を良く知っているという時、素直に称賛するのは意外と難しいからだ。
143Affair 2/7:2008/12/23(火) 21:44:28 ID:Wn/HjwJ1
「あっ、そうだ。ゆたかちゃん」
 ひとしきり私を褒めてから、先輩は両手をぽんと叩きながら言った。
「こなちゃんに電話する? 私からはさっき、ゆたかちゃんがホテルに泊まることを伝えておいたよ」
「あっ、します…… それと、ありがとうございます」
「どういたしまして」
 お礼を言ってから、私はこなたお姉ちゃんに電話をかけた。
 既に、午後11時を過ぎていたけれど、お姉ちゃんはまだ起きている時間だ。

「もしもし。おねえちゃん」
『あっ、ゆーちゃん。つかさから話は聞いているよ』
「うん。心配かけてごめんね」
『気にしないで』
 こなたお姉ちゃんの優しい声に、ほっと胸をなでおろす。
「お姉ちゃん。明日もバイトだよね」
『10時からシフト入れているからね』
「う、うん」
 分かってはいるけれど、溜息を漏らすのを止めることはできなかった。
 明日の朝、家に戻っても、こなたお姉ちゃんとはすれ違いになってしまう。

『明日はつかさの相手をしてやってよ。せっかくはるばる名古屋に来たんだし』
「そ、そうだね」
『ゆーちゃんってさ』
「なあに。こなたお姉ちゃん」
『いや、なんでもないよ。それじゃ、体調だけには気を付けてね』
 お姉ちゃんの言葉に、何か引っかかるようなものを覚えたけれど、私は頷いた。
「おやすみなさい。お姉ちゃん」
『おやすみ。ゆーちゃん』

 電話を切ってから、つかさ先輩に声をかける。
「先輩はいつまでこちらに滞在されるのですか? 」
「うーん。とりあえずは明後日までかな。明日は、せっかくだから観光しようと思うの」
「もしよろしければ、ご一緒しませんか? 」
 私の提案に、先輩はとても嬉しそうな顔になった。
「本当にいいの? 」
「ええ。こなたお姉ちゃんは明日もバイトですから」
「ありがとう、ゆたかちゃん」
 つかさ先輩が、私に抱きついてきた。
 先輩にぎゅっと抱きしめられると、ほんわかと温かくなって、揺りかごの中にいるように居心地が良い。

「ゆたかちゃんと一緒に遊べるなんて、とっても嬉しいな」
 素直に喜びを表現できる先輩が羨ましい。
 どうしてこんなに天真爛漫に生きていくことができるのだろう?
144Affair 3/7:2008/12/23(火) 21:45:11 ID:Wn/HjwJ1
 しかし、かなり長い間抱きしめた後、ゆっくりと身体を離した時には、先輩の顔つきはとても厳しいものに変わっていた。
「どうしたのですか? 」
 急激な表情の変化に戸惑いを覚えて尋ねると、つかさ先輩はいきなり深々と頭をさげた。
「ごめんなさい。ゆたかちゃん」
「せ、せんぱい? 」
 つかさ先輩は、土下座をせんばかりの勢いで身体を折り曲げている。
「ごめんなさい。私、ゆたかちゃんにひどいことばかりして、本当にすみませんでした」
 うつむいた先輩の瞼からは、涙がとめどもなく零れ落ちて床に幾つもの染みをつくりだす。
「今年の夏。ゆたかちゃんとこなちゃんを、無理やり引き離そうとして、ゆたかちゃんにクロロホルムを嗅がせて拉致したり、
ベッドで襲ったりして、二人の生活を無茶苦茶にしてしまったことを、ずっと後悔していたの」
 嗚咽を漏らしながら、つかさ先輩は堰を切ったように懺悔をする。
「私って最低だよね。苦しんでいるゆたかちゃんを見て、とても喜んでいたの。本当に酷いよね。人間以下のごみくずだよね」
 自分自身を罵倒しまくる先輩に圧倒されてしまい、声をかけることができない。

「あのときね。私、ゆたかちゃんとこなちゃんの運命が、まるで自分の掌の上にあるように思ったりしたの。
馬鹿だよね、狂っているよね。何、考えていたのだろう。私が存在していると、みんなが迷惑するよね。
だから、だから私は生きていく価値なんてないの! 」

 機関銃のように言葉をまくしたててから、怯えるような目をして言った。
「ごめんね」
 呻くような謝罪の直後、つかさ先輩はバッグに飛びついて中身を漁る。

「私が消えてもなんの足しにもならないけれど、許してもらえるとは到底思えないけれど…… でも、こうするしかないの」
 バッグから取り出した、カッターナイフの刃を伸ばして、右手首に向ける。
「や、やめてください! 」
 刃先が照明の光を浴びて怪しく煌めいた瞬間、ようやく硬直が解けた私は叫びながらつかさ先輩に飛びかかった。
「きゃあ! 」
 悲鳴があがり、もつれるように床に倒れる。
 私は、先輩に覆いかぶさり、ナイフを持った左手首を無我夢中で掴む。

「離して! 」
 先輩は叫びながら、私を振りほどこうとする。
 己の非力は十分に承知しているが、ここで先輩に自殺させるわけにはいかない。

「ゆたかちゃん。お願い! 離して! 私は生きている価値なんてない! 人間失格なの! 」
「違います。そんな人は世界のどこにもいないです! 」
 髪を振り乱しながら暴れる先輩の、凶器を持った手首を掴んだまま、必死に説得を試みる。
「お願いです! ナイフを離してください! 」
「怖いの、私、自分が怖いの! 」
 つかさ先輩の瞳の色は、恐怖に染まっている。

 私は、先輩から視線を逸らさずにはっきりと言った。
「先輩は大丈夫です。お願いですから、私を信じて! 」
「ゆ、ゆたかちゃん…… 」
 先輩の左手がひどく痙攣して…… やがてカッターナイフは床に落ちて転がった。
145Affair 4/7:2008/12/23(火) 21:45:44 ID:Wn/HjwJ1
「はあっ、はあっ」
 つかさ先輩は床に倒れこんで荒い息をついている。
 私も荒れた呼吸を整えながら、自殺を断念した傍に歩み寄った。
「私、もう恨んだりしませんから」
「ううん」
 つかさ先輩は、弱々しい声を出してかぶりを振る。
「私は、ゆたかちゃんにとても酷いことをしたの。許される資格なんてないよ」
「先輩…… 」
 私は、涙を流している先輩にそっとハンカチをあてた。
「ゆたか…… ちゃん」

「私、先輩が前にしたことは確かに間違っていたと思います。その時は嫌だったし、先輩に会いたくないと思っていました」
「そ、そうだよね」
 つかさ先輩は寂しそうな表情をみせたまま、うなだれる。
「でも、完璧な人間なんてどこにも存在しません。もちろん私もですよ。ひとりよがりなことばかりして、周りのひとのことを考えずに、
こなたお姉ちゃんを独占しようとしました」
 もちろん私は、こなたお姉ちゃんと駆け落ちをしたことの全てを後悔している訳ではない。
 しかし、周りの全てから目を背けて、お姉ちゃんだけを愛する自分自身はとても偏狭だったことを今では分かっている。
 こなたお姉ちゃんの両手を握って、他を全て拒絶した結果、私もこなたお姉ちゃんも多くのものを失ってしまった。
 そして、こなたお姉ちゃんと親しくしていた、つかさ先輩やかがみ先輩を深く傷つけてしまったことに、ようやくにしても
気づくことができていた。
 自己中心的な態度と行動が、どれだけ周囲に迷惑をかけていたのか…… 私は、決して悲劇のヒロインではなく、わがままなお子様だった。

 しかし、「覆水盆に返らず」という有名なことわざがある。決して過去を取り消すことはできない。
 だからこそ、己の所業を悔やむつかさ先輩を責めることなどできなかった。そんな資格は、私にはないのだから。

「先輩…… 私だって、いろいろな間違いを犯しました」
 ハンカチで濡れた先輩の頬を拭いながら、ゆっくりと話す。
「私は、父や母、友達や先輩方、みんなの忠告から背を向けました。ひとりよがりな行動が、周囲にどれだけの迷惑になるのか、
全く分かっていませんでした」

「ゆたかちゃん!? 」
 つかさ先輩は、驚いた表情を浮かべて、私を見つめている。
「でも、どんなに後悔しても過去の行いを取り消すことはできません。だからこそ、間違いに気付いた事は直していきませんか? 」
 私は全てを言い終え、先輩の小刻みに震える身体をそっと抱きしめた。
「ゆたかちゃん。私、私っ」
 つかさ先輩は、私の胸に顔をうずめて、涙が枯れるまで泣いた。
146Affair 5/7:2008/12/23(火) 21:46:36 ID:Wn/HjwJ1
「落ち着きましたか? 」
 私はポットのお湯を使って、まだ少ししゃくりあげている先輩に紅茶を淹れる。
「飲んでくださいね」
「ありがとう。ゆたかちゃん」
 つかさ先輩は、ようやく小さく微笑んでカップに唇をつける。
「美味しい」
「ありがとうございます」
 先輩の感想を嬉しく思いながら、私は穏やかに言った。

「つかさ先輩…… そろそろ寝ませんか? 」
「そ、そだね。ゆたかちゃんの寝巻き、私のパジャマの替えでいいかな? 」
「少しサイズが大きいですけれど」
 私は悪戯っぽく言うと、つかさ先輩はちょっとだけ困った顔を浮かべた。
「ゆたかちゃんの意地悪」
 先輩はようやく、いつもの魅力的な笑顔を浮かべてくれた。

 シャワーを浴びて、借りたパジャマを着た直後、私の携帯が震える。
「もしもし」
『もしもし、高良です』
 思わぬ相手からの電話と言ってよい。
「こんばんは。小早川です。あの…… 」
『小早川さん。今日、つかささんが名古屋に来ていますよね』
 嫌な胸騒ぎを覚える。

「は、はい。私は、つかさ先輩が滞在しているホテルに今夜泊まります」
 ひゅっと、息を漏らす音が電話越しに聞こえた。
「どうしたのですか? 」
『小早川さん。つかささんは今、あなたの傍にいますか? 』
「先輩は今、シャワーを浴びています。折り返し電話をするように伝えましょうか? 」
「いえ、それはいいのです。あの…… 」
 高良先輩は言葉を切った。そして、しばらく躊躇った後に要件を切り出した。

『小早川さん。つかささんを信用しないでください』

「どういう事ですか? 」
 確か、高良先輩とつかさ先輩は親友同士だったはずだ。
『つかささんは、あなたと泉さんの仲を裂こうといろいろ画策しています。くれぐれも油断しないでください』
 高良先輩の忠告に、私は、わたしは!
147Affair 6/7:2008/12/23(火) 21:48:54 ID:Wn/HjwJ1
「ひどいです」
 私は、瞼から涙をこぼれ落ちるのを止めることができなかった。
「どうして、どうしてそんな酷いことがいえるのです! 」
『こ、小早川さん? 』
「つかさ先輩は自分の行ったことの非を悔いています。そして、私に誠意を持って謝ってくれました。
過去を詫びることはとても勇気が要ることです。だから、私はつかさ先輩の謝罪を受け入れます。それなのに、
どうして、つかさ先輩の親友である貴方が、信じてあげられないんですか! 」
『小早川さん。落ち着いてください! 』
「私は、落ちついています! 」
 高良先輩はひどく慌てながら、憤りを露わにする私をなだめようとする。
『小早川さん。私は、つかささんの事を良く知っています。つかささんは本来ならば、とても真面目で優しい人です。
しかし、泉さんと小早川さんと離れ離れになってから、変わってしまいました』
 高良先輩は、とても辛そうな声で続ける。

『今のつかささんは、悪だくみをしていても、1分後には同情を誘う涙を流すことができてしまいます。
だから、小早川さん。十分に注意してください』
「ひどい…… 酷過ぎます」
 私は声を震わせた。他人を信じない高良先輩がどうしようもなく腹立たしい。

「どうして、どうして親友をそんな酷い言葉で貶めることができるのですか! 
高良先輩、あなたこそ去年の暮れにいろいろ私を貶めようと企んだじゃないですか! 
あなたは、自分のしたことを悔やみもしないし、謝りもしないじゃないですか! 」
148Affair 7/7:2008/12/23(火) 21:50:56 ID:Wn/HjwJ1
『ごめんなさい…… 私、どうしても言い出せなくて、ごめんなさい…… 』
 先輩は、私の激しい言葉にあきらかに怯えている。
「いえ。私こそすみません」
 急に心が酷く冷える。体温がすっと外に抜けていく。
『小早川…… さん? 』
「他人に向かって謝罪を要求するなんて、傲慢も良いところですね。今の言葉は忘れてください」
『そ、そんな…… 』
「用件はそれだけですか。もう良いでしょう。電話きりますね。あとそれから」
 私は、ひとつだけ呼吸を置いから通告した。

『もう電話、かけてこないでくださいね』

 高良先輩の言葉を待たずに、電話を切る。
 携帯を操作して、先輩の番号を着信拒否の一覧に加える。

 携帯を鞄に仕舞うと、頭にタオルを巻いたつかさ先輩が顔をのぞかせた。
「どうしたの、ゆたかちゃん? 」
 身体からほんのりと湯気をたてている先輩は、どこか艶めいた色気を放っている。
「ううん。何でもありません。ただのイタズラ電話がかかってきただけで」
「そっかあ」
「ええ。先輩、私は先輩のこと信じています」
 高良先輩が何を言おうと、私は目の前にいるつかさ先輩の言葉を信じよう。

「ありがとう。ゆたかちゃん」
 つかさ先輩はゆっくりと近づいて、私を優しく抱きしめてくれた。
「ゆたかちゃん…… 」
「はい」
 先輩の顔がゆっくりと近づく。
「キスして、いいかな? 」
 先輩の声は鈴の音のように、とても清らかで透き通っている。
「はい…… 」
 私は、ゆっくりと瞼をとじて、心持ちくちびるを上に向けた。

(続く)
14923-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/23(火) 21:53:53 ID:Wn/HjwJ1
本スレ及びwikiにて、読んで頂いた方、感想をいただけた方、ありがとうございました。
人を信じるということは、とても大切ですが、同時に、とても難しいことなのかもしれません。
それでは。
150名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 22:06:25 ID:ikxHMxS/
暗雲が立ち込めてきた・・・
これからまた、続きの展開色々予想してヒヤヒヤする日々が続くのか・・
151名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 22:56:52 ID:kpySAuvo
穏やかな文章から怖さが伝わってくるのですよ
つかさの言葉のどれが本気でどれが嘘なんだろうと考える程によく判らなくなっていく……
正に作者様の掌の上で転がされているようだっ!

次も期待してお待ちしておりますぐっじょぶ
152名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 23:04:11 ID:5f7s9c02
153TukA/s+A:2008/12/24(水) 00:54:49 ID:v3F6D52T
うふふ、うふふふ・・・


あいつもこいつもどいつも、
そして勿論こなちゃんも・・・


みーんなわたしの掌の上・・・


ころころ、ころころ・・・
可愛いなぁ・・・


上手く転がらない子は・・・
落ちちゃえー・・・


うふふ、うふふ・・・
154名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 02:09:10 ID:9/vSEX5K
バルサミコ酢ですが最近主が変です。
155名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 09:13:02 ID:MwKVzKei
>>154
IDがSEXwww

>>149
乙です!
これからどうなるのか楽しみです。(怖さも然り)
156名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 16:38:28 ID:rrU7TIBo
>>149
表向きは普通な分、余計に怖いです……
157名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 22:40:01 ID:MRnwY3K/
GJ!
なんだかくせになる怖さですwwww
15855-157:2008/12/25(木) 10:15:18 ID:cj8c4XAG
初投稿です。
「クリスマスの朝に」

カップリング無し(そうじろうメイン)

注意事項
・非エロ
・山場無し
159クリスマスの朝に:2008/12/25(木) 10:17:14 ID:cj8c4XAG
「たった三日の徹夜で寝てしまうなんて俺も歳だな。」
クリスマスイブの夜も仕事をしていたそうじろうが目を覚ますと、
背中に毛布がかけてあった、小説を書きながら眠ってしまったのだろう。

「かなたがこうやって毛布をかけてくれたな」
昔を思い出していると姪のゆたかがやってきた。

「おじさん朝ごはんできましたよ。」
「ゆーちゃん毛布ありがとう。」
「私じゃないですよ、こなたお姉ちゃんじゃないですか?」

まともな朝食は久しぶりだなと思いながら、
食堂に行くと娘のこなたがご飯をテーブルに並べていた。

「おとーさん、おはよー。」
「こなた毛布ありがとう。」
「毛布?歳だから、自分で出したのを忘れたんじゃないの。」
「なにぃー、まだそんな歳じゃないぞ。」
「ハイハイ、ご飯が冷めるから食べるよ。」

「俺もボケが始まったかな。」
そう考えながら部屋に戻ったとき、全てを理解した。
「かなた、クリスマスプレゼントありがとう。」
亡き妻の写真に話しかけると、そうじろうは小説の続きを書き始めた。
16055-157:2008/12/25(木) 10:25:16 ID:cj8c4XAG
以上です。

すみません、レス数を記載忘れました。
ほかにも不備があるかもしれませんがご容赦を。

なお毛布をかけたのは誰かというのは決めていません、
本当にかなたさんかもしれませんし、そうでないかもしれません。
すべて皆様の想像にお任せします。

つたない作品を読んでいただきましてありがとうございました。
161名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 17:02:56 ID:eYNLd2Ci
たった1レスの文なのに、いろいろ考えさせられるなぁ。

162名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 21:07:12 ID:aoXW5nUL
投下よろしいでしょうか。
16342-115:2008/12/25(木) 21:13:56 ID:aoXW5nUL
ではまいります。

 「第一回陵桜公会議 またはクリスマスについて大いに考える」


 ・10レス
 ・エロなし
 ・反クリスマス 夢が色々壊れるかも
164第一回陵桜公会議 1/10:2008/12/25(木) 21:16:18 ID:aoXW5nUL
 今やほとんどの日本人にとって、クリスマスという奴は物心ついた頃にはもうすでにそこらじゅうにはび
こっていて、子供の時分には「プレゼントをもらえる日。ケーキが食べられる日」くらいに認識していたこ
とだろう。人によっては、そのまま今日に至っているかもしれない。そして年を経るに従って「恋人と一緒
にロマンチック(ローマ人のようにと言う意味ではない)に過ごす日」に変貌し、いわば勝ち組と負け組を
分かつ運命の日にでもなっているといったところだろうか。
 ある調査によると、日本人の結婚適齢期の独身者は、男女とも7割以上が交際相手がおらず(いる割合…
…男24% 女28%。ただし、結婚適齢期を17歳〜34歳としている点に何か問題がありそうな調査である。な
お、対象を24歳以上にした場合も、やはり6割がいない派だった)、民主主義の原則に則れば、いない派の
方が多数派であり、よって正しいという事になる……多数派たる事に負い目を感じている場合は、そう抗弁
するのもまた一興であろう。
 とはいえ、一般的には少数派に対する憧れは強く、嫉妬心はさらに強い。それは適齢期の下限たる17歳の
女子高生においても例外ではない。


 そういうわけで、陵桜高校2-Eの教室の一角にほぼ休み時間ごとに結成されるカルテット、またはシュヴ
ァルム(四機編隊)。その内輪において泉こなたが、クリスマスは帰りが遅くなるという旨を親に話したと
いう事を聞いた時の三人の反応は、驚きに満ちたものだった。真相はもちろん、コスプレ喫茶でのバイトで
聖夜の無駄遣い、というものである。
 「てっきり男でも出来たのかと思ったわよ」
 かがみは何故か無駄に大げさに胸を撫で下ろす。こなたに対して優位に立ちたいという、彼女の矜持の現
れであろうか。
 「お客さんはほとんど男の人だからね〜。特に24日は」
 「確かに、イヴの夜に、親子連れやカップルがコスプレ喫茶に殺到するとは思えないわね」
 「お……」
 こなたはかがみに顔を近づけて、満足気に言う。
 「かがみ、良いとこ突いてるね」
 「へ?」
 褒められたらしいのだが、その理由が判然とせずきょとんとする。
 「つまり、商売だよ」
 こなたは以前、ある議論を「愛だよ」で押し切った時と同じ口調で言った。
 「この場合商業って言った方がいいのかな? ……かがみん、他二名」
165第一回陵桜公会議 2/10:2008/12/25(木) 21:16:59 ID:aoXW5nUL
 「な、何?」
 誕生日を祝ったときとは逆に、自分だけ略されなかった事にどぎまぎしてしまう。
 「なあに?」
 「なんでしょう?」
 「みんなは毎年、どんなきっかけでクリスマスが近付いた事を知る?」
 「えーと……」
 「うーん……?」
 「そうですね……」
 三者三様に思案する様子を楽しそうに眺めながら、こなたは言う。
 「カレンダーに印をつけながら、もういくつ寝ると……じゃないよね?」
 「小学生の頃のつかさ、そうだったわよ」
 かがみが妹の若気の至り(?)を思い出すと、つかさは赤面した。
 「お姉ちゃん……恥ずかしいよ」
 「いや、つかさらしくて萌えるよ」
 こなたのフォローにみゆきも肯く。可愛いと思うのはいいが、萌えるのはやめてくれと思うかがみである。
 「デパートとかお店が、それっぽい装いになることによって、クリスマスが近い事を知るようになってな
いかな?」
 「「あ……」」
 つかさとみゆきは虚を突かれた様な顔になった。パン屋やケーキ屋がクリスマス・ケーキの予約受付を開
始し、敷地内にツリーを飾り、従業員が赤服と赤帽子を纏うようになってなるほど、今年もこんな時期か、
なんて感じている自分がいる……ような気がする。
 「クリスマス商戦という言葉がありますが、商業イベントに徹しすぎている嫌いはあるかもしれませんね
……」
 「それでいて2月14日に比べると、陰謀だって言われる事あまりないよね」
 「お菓子会社の陰謀だ、っていうアレ?」
 「12月24日の方が、よっぽど陰謀めいてない? 企業はもちろん、教会までもが一枚噛んでそうで」
 「教会にとってクリスマス・ミサは、神社にとっての初詣みたいなもので公式行事よ。参加だって無料の
はずだし、サンタクロースの起源がキリスト教の聖人にあるとはいえ、商業主義に加担していると見なすの
は可哀想じゃない?」
 かがみは肩をすくめる。
 「ですが……」
 みゆきがおずおずと口を挟む。
 「確かにヴァレンタインと比べると、商戦としての規模ははるかに大きいでしょうね。若いカップルやカ
ップル未満の人たちばかりでなく、プレゼントを贈る大人、贈られる子供と、幅広い年齢層を巻き込んでい
る分擁護する力が強く、それに比べて反発する人はまだまだ少数といえるかもしれませんね。……あ」
 「あ……」
 みゆきとかがみは何かに気付いたようで、思わず顔を見合わせる。
166第一回陵桜公会議 3/10:2008/12/25(木) 21:18:09 ID:aoXW5nUL
 「な、なになに??」
 つかさは気付いていないようなので、かがみが説明してやる。つまりかがみが挙げた「子供連れやカップ
ル」というのは、ことごとくクリスマス商戦のメインターゲットなのだという事を。
 「商売だよ」
 こなたはなおも言う。
 「どこまでも貪欲なそれは、一緒に過ごす相手のいない人までクリスマス商戦に巻き込んでいるんだよ」
 「結局、あんたも陰謀側の人間じゃない……」
 「そういえば……」
 みゆきはまたもおずおずと言う。。
 「結婚適齢期の日本人の6割から7割は、交際相手がいないそうです。商売と割り切るなら、多数派である
そういう人たちを相手にした方が、理に適っているといえるのかもしれませんね……。ちなみにその結婚適
齢期には、私たちも含まれる場合があるようですよ」
 「ちょ、まだ17よ。民法上いちおう出来る歳だけど……」
 法学部志望のかがみが、それに相応しい言い方で指摘する。
 「高校で出会って、卒業後すぐではないにしても、最終的に結婚に至るという例が少なくないのでしょう
ね……」
 「うんうん、そういうギャルゲーがあった」
 こなたが肯く。
 「6割から7割がいないって事は、3割から4割はいるってことよね」
 理論上、カルテットないしシュヴァルムが一つ出来れば、一人は該当者がいる数字である。理論上は。で
も実際は……。
 「全滅、よね……。私たち」

 はあ……

 溜息が出る。




 「陰謀説じゃないけど、自分はキリスト教徒じゃないからクリスマスは関係ない、って言って背を向ける
のもいるよね」
 気を取り直したかがみが思い出したように言った。
 「ああ、よく言うよね。って、かがみは違うの?」
 こなただけでなく、みゆきも不思議そうな顔をかがみに向けていた。
 「いいのよ」
 かがみはうんざりしたように答えた。適齢期下限に達するまでの人生で、繰り返し為された質問なのだろ
う。つかさも苦笑している。
 「プレゼントをもらってた頃もあるし、ケーキだって毎年楽しみにしてるもの」
 「ケーキに関しては予想通りだけどね」
 「それは宗教的な寛容のため、ですか?」
 みゆきが聞く。
 「寛容というよりは、適当って言った方が近いんだけど……。うちは娘ばっかり四人だから、少なくとも
三人は他家に嫁ぐ事になるわけでしょ」
 「相手が見つかればね」
 「そうなのよ。目下それが大問題でね……って、やかましいわっ!」
167第一回陵桜公会議 4/10:2008/12/25(木) 21:18:52 ID:aoXW5nUL
 「The ノリツッコミ」
 「出来てたの、今の? ……まあいいや。そんなわけだから、あんまり神道に染まりすぎていると、色々
不都合も出てくるか知れないでしょ」
 「The 親心」
 「それに、そういうのって日本古来の宗教観に反しているわけでもないのよ」
 かがみは仏閣を参拝した事も、教会で賛美歌を歌った事もあるという。
 「やおよろずの神を祀っているからね」
 「やお……?」
 こなたは趣味ゆえに、同人誌の世界でよく聞かれる「やおい」と「よろず」の合成語を想像してしまった。
 「『八百万』と書いてやおよろず、ですよ。厳密な数字ではないそうですが」
 最も単純かつ素朴な形で、みゆきが解説した。
 「ものすごくたくさんて意味だよ」
 つかさがつかさのくせに付け加えた。
 「だから、後から神や仏が一つ二つ増えても、大して変わらないのよ」
 「なにげに大問題発言だね」
 みゆきは、英語の「god」が一神教の神を指す言葉だという事を思い出したが、割り込めそうにないので
黙っていた。
 「そういうあんたはどうなの? おうち、仏教でしょ?」
 「ああ、うん。お母さんの位牌が仏壇に置いてあるから、一応はそうかな」
 「学校行事とか億劫がるあんただし」
 「ん〜、否定はしないよ」
 「クリスマスも面倒がって、『私は仏教徒だからクリスマスは関係ない』って言っても驚かないわよ?」
 「それだとプレゼントがもらえないじゃん」
 「詰まるところそれか! プレゼントさえもらえれば、何教でもいいでしょ?」
 だとすれば、カーゴ・カルト(積荷崇拝)に近いのではないでしょうか、とみゆきは思ったが黙っていた。
 「プレゼントの代償として、チャックモールに心臓を捧げろって言われたら考えちゃうけど」
 「すぐ断れよ!」
 「貧乳は希少価値でステータスな上、心臓を取り出すのも簡単なんだろうなあ」
 「ていうか、チャックモールって……」
 みゆきはアステカの人身御供についての知見があったのだが、心臓を取り出すのが難しそうな胸を押さえ
て苦笑しただけだった。




 「でもまあ」
 こなたは腕組みをして言った。
 「天才だよね」
 「はあ?」
 「天才でしょでしょ」
 「主語か目的語を入れてくれないか?」
 「最初に『自分は仏教徒だから(ry』って言った人だよ。初めて聞いたとき、なんて画期的な意見だって
思ったもん」
 「まあ、目新しかったかもしれないけど、天才というほどか?」
168第一回陵桜公会議 5/10:2008/12/25(木) 21:19:44 ID:aoXW5nUL
 「そういうのってさ、みんなが真似して猫も杓子も『自分は仏教徒(ry』ってなると、逆に胡散臭くなら
ない? じゃあ、キリスト教的なクリスマスって何? って」
 みんながみんなそういう疑問を抱かなかったからこそ、クリスマスは日本に定着したんだろうな、かがみ
は思った。
 「みゆきさん」
 こなたは教師のようにみゆきを指名した。だが、みゆきは教える立場である。
 「イエス・キリストは、クリスマス・ケーキを食べたことはあるのかな?」
 「どうでしょう……? ケーキは、家庭へのオーブンの普及に伴ってポピュラーな食べ物となって行きま
したが、それは19世紀以降の事ですし……」
 みゆきはその道の専門家といっても差し支えないつかさに、「そうですよね?」という視線を投げかけた
が、「え、そうなの??」という視線を返されてしまった。
 「ですが、例え食べたとしても、現代のものとは味は大きく異なるはずです」
 「どうして?」
 「まだ砂糖が伝わってませんから……」
 「つまり、イエスが食べた事のないような甘〜いケーキを食べて、キリスト教的に過ごしているつもりで
いる、と?」
 「言いがかりだし……屁理屈だし……」
 ケーキ擁護派(?)のかがみはそっぽ向いて、槍だか匙だかを投げるように呟いた。
 「イエスはクリスマスにクラッカーを鳴らした?」
 「火薬も紙も伝わってませんね……」
 「イエスは『メリー・クリスマス』って言った?」
 「当時まだ英語は存在しません」
 「イエスはサンタ・クロースにプレゼントをもらったかな?」
 サンタさんに関して早くに夢破れたみゆきであり、その点は非常に詳しい。要約するとこうである。


 サンタ・クロースの大元となった聖ニコラウスは4世紀の人であり、イエスを直接は知らない。サンタ・
クロースの原型が出来上がったのは16世紀、現在とほぼ同じになったのはようやく19世紀である。
 サンタ・クロースの故郷とされるフィンランドがキリスト教化されるのは12世紀で、イエスの時代はまだ
カレワラ(フィンランドの民族叙事詩。キリスト教の伝来によって物語の幕を閉じる)の世界……か、それ
さえも成立しておらず、当時はキリスト教との関連は希薄ないし皆無。


 「……というわけで、サンタ・クロースは……その、なんと言いますか……」
 一方的な意見にならないようみゆきが言葉を選んでいると、こなたがこう纏めてしまった。
169第一回陵桜公会議 6/10:2008/12/25(木) 21:21:31 ID:aoXW5nUL
 「1500年かけて形成された、同人的派生キャラって事でFA?」
 「どうじんてきはせいきゃら……??」
 即座に理解できずポカンとするみゆき。こうなるとかがみの出番なのだが、それは巧妙な罠であって……。
 「あんたな……」
 「だって、サンタ・クロースは聖ニコラウスその人じゃないんでしょ? あくまで元ネタってだけで」
 「だからって、もっと別の言い方もあるでしょ。キリスト教徒の多くをオタクみたいに言って」
 「おやおや?」
 こなたはずいと顔を寄せてほくそ笑む。
 「かがみは『同人的派生キャラ』の意味が分かるんだ?」
 「なっ……うぅ……」
 かがみは反駁を試みたが、点目のつかさと必死に理解に務めようとしているみゆきが目に入ってしまいす
ぐに諦めた。
 「夏の有明でそれっぽいのが目に入っちゃったのかな?」
 「う、うぅ……」
 「いやー、話が分かる仲間は貴重だよね。その上ツンデレで巫女で私の嫁で……」
 こなたは列挙しながらかがみに擦り寄っていき、セーラー服のリボンに手をかけたりする。道ならぬ恋が
生まれそうな雰囲気である。
 ……なお元ネタこと聖ニコラウスは、異端とされるアリウス派の提唱者と殴り合いの喧嘩を演じ一時破門
された事があるというが、これもこれで聞く人が聞いたら、道ならぬ恋をでっち上げてしまいかねないエピ
ソードである。
 かがみはといえば、聖ニコラウスに範をとって殴りはしなかったが、こなたのアホ毛目掛けてチョップを
振り下ろし(ノリツッコミではない)、怯んだ拍子に引き剥がす事に成功した。
 「ですが……」
 みゆきがやんわりと割って入り、道ならぬ恋の障害となろうとする(??)。
 「クリスマスにも元ネタがある、と言ったらどう思いますか?」
 「「「え?」」」
 こなたとかがみは道ならぬ恋路を中断し、つかさは可哀想になるくらいうろたながらみゆきを見る。
 「残念ながらあるのですよ……」
 みゆきは過ぎ去りし永遠の日々を懐かしむような遠い目になって、溜息をつく。
 「夢を壊してしまうかもしれませんが……?」
 続けてもよろしいですか? と、表情で問う。
 「まだ夢を見ていたいなぁ……かがみと一緒に」
 チョップ(ノリツッコミではない)のおかわりが炸裂した。
 「続けていいわよ。これは放っておいて」
 これ呼ばわりされたこなただが、頭を押さえつつ耳を塞がないのはやはり興味があるかららしい。
 「では……」
 みゆきは続ける。
170第一回陵桜公会議 7/10:2008/12/25(木) 21:22:13 ID:aoXW5nUL
 「結論から言ってしまいますと、クリスマスはキリストの誕生日ではないようです」
 「……元も子もないわね」
 「というのも、聖書にはキリストの誕生日に関する記述は一切ありません」
 「だからって、12月25日というのも故なしというわけじゃないんでしょ?」
 かがみが聞く。
 「今じゃ師走って言うけど、昔の人はきっと、作家みたいに年末に暇を持て余していたんだよ」
 年明けに出る出版物の締め切りは12月20日前後であるため、作家の年末はよほどの売れっ子でもない限り
暇ある。そんな父、年末の有明にも出現するそうじろうを見て育ったこなたならではの意見であろうか。
 「冬至が近いですよね」
 「ああ……12月22日だっけ」
 「キリスト教がヨーロッパに広がる上で、宣教師たちが対峙するとになったのは、ミトラ教という多神教
と、その世界観と言うべきものでしょうか。ミトラ教徒は冬至を、最高神で太陽神のミトラが生まれ変わり
復活する日として、盛大な冬祭りを行っていたそうです」
 「ミトラ教徒に取り入っていくために、キリストの誕生日をそのあたりにするのが都合良かったってこと
ね」
 「はい。それに『復活』という属性でも被っていますからね」
 「だってさ」
 かがみはこなたを見て感想を求める。こなたは真剣に悩むような表情を見せた。何を悩んだかと言うと……。
 「もしかしてミトラってさ、ミスラっていう別名があったりしない?」
 「よくご存知ですね」
 「やっぱりそうか……」
 「……」
 「……」
 「……」
 「って、それだけかよ!?」
 本日三杯目のチョップが炸裂するが(ノリツッコミではない)、みゆきは苦笑しながら続ける。
 「仏教はミトラを弥勒として受容していますから、もし誰かが『自分はキリスト教徒じゃないからこそク
リスマスを祝う』と主張すれば、それは『自分は仏教徒だからクリスマスは関係ない』と同じく、一定の説
得力を持つかもしれませんね」
 「そこに日本人としての独自色と出すとすれば、拝む対象がミトラじゃなくて、天照大神だったりしても
いいのね」
 かがみの手前味噌ぶりをこなたが突っ込もうとした時、突如爆発音がした。

 ボンッ

 つかさが頭の回路が話についていけずショートして、噴煙を上げ始めたのである。
 「まあ……」
 「大変!」
171第一回陵桜公会議 8/10:2008/12/25(木) 21:23:11 ID:aoXW5nUL
 とりあえずつかさを座らせ、窓を開けてかがみとみゆきは排煙に努める。つかさの頭のすぐ上を二人の手
に占位されて、こなたは身長的理由で加われなかったので、仕方なく今感じたふとした疑問をみゆきにぶつ
けてみる。いや、手で扇ぐという動作で胸が揺れて痛くないのか、とかではない。
 「聖槍ってさ」
 「キリストの血を浴びたとされる槍ですね」
 みゆきは扇ぎながら答える。
 「あれって投げ槍かな? 長槍かな?」
 「そういえば……お恥ずかしながら、考えたこともないですね」
 「いやー、私もだよ」
 「ローマのレギオン(軍団)では、ギリシアのファランクスと異なり、長槍を装備しているのは重装歩兵
の三分の一だけで、残り三分の二と軽装歩兵は投げ槍を装備していて、ローマ軍の戦法は、投げ槍によって
敵の盾を破壊して防御力を削いだ後、グラディウスという剣を抜いての白兵戦でした」
 「グラディウス……。ここにも元ネタが……!?」
 「??」
 「ローマ兵がイースター島で、グラディウスを振り回してモアイと戦ってたらどう思う?」
 「元ネタ」がどう変容したか分かってしまったかがみが、扇ぎながらげんなりとした顔になった。翌年の
修学旅行時、その時のやり取りを苦々しく思い出したとか出さないとか……。
 「それは、そのー……カ、カオス、ですね」
 「カオスだね〜」
 こなたは言い回しも含めて、みゆきの答えに満足したようである。
 「やっぱりモアイとの戦闘は、宇宙空間に限るよ」
 「それもそれでカオスだと思いますが……」
 みゆきは扇ぎながら続ける。
 「投げ槍を使い切らなかった場合、白兵戦に用いたそうですよ」
 「とすると、やっぱり聖槍は……」
 「投げ槍である可能性が高いのではないかと……」
 「なるほど。さすがみゆきさん」
 「泉さんはローマ時代に興味がおありですか?」
 「いやー、聖槍を手にした者は世界を征服できるって言うじゃん」
 「ナポレオンやヒトラーも捜し求めたと言われますね」
 「欲しいとか言うなよ」
 かがみが釘をさす。ゲームの中で何本も手に入れたからもういいよ、とでも言うかと思いきや……。
 「長槍だったら例え世界征服できても、置き場所に困りそうだなって思って」
 「5メートルほどあるそうですからね」
 「あー、つかれた」
 かがみが肩をさすりながら言った。
 「こなた、替わってよ」
 「いいよ」
 こなたはかがみと入れ替わり、みゆきと一緒につかさの噴煙を扇ぐ。
172第一回陵桜公会議 9/10:2008/12/25(木) 21:24:03 ID:aoXW5nUL
 「頑張りましょう」
 みゆきが意気込む。
 「つかささんが、ヴェスヴィオ火山のように噴火されたら大変です」
 キリストの死からおよそ半世紀後に噴火した火山である。
 「糟日部がポンペイみたいに埋まっちゃうかもね」
 そんな事を言いながら、ナポリ湾越しに見たつかさを想像してみるかがみだが、どうにもイメージし切れ
なかった。つかさはつかさである。
 クリスマスをロマンティックには過ごさないが、何やら取り巻く状況が少しだけローマ人めいているよう
なシュヴァルムであった。




 「つまり……どうしたいわけ?」
 つかさの火山活動が収束したので、改めてかがみが、こぶしを振り上げながら訊ねる。つかさを噴火させ
たかったと答えたら、それをギロチンのように振り下ろす予定である(ノリツッコミではない)事は、誰の
目にも明白だった。こなた、危うし……。
 「んー、つまりね……。『自分は仏(ry』とは反対に」
 「(ry が前過ぎて、ガウタマ・シッダールタの自己紹介みたいになってるわよ」
 「キリスト教徒じゃないけど、キリスト教徒のようにクリスマスを過ごすというのが新しいんじゃないか
な、って思うんだけど」
 キリスト教徒なので、それに相応しくイエスの誕生を祝うクリスマス。
 キリスト教徒ではないので、そっぽ向くクリスマス。
 キリスト教徒ではないが、なんとなく祝うクリスマス。
 となると残るは、キリスト教徒ではないからこそ祝うクリスマス、という事になろうか。。
 「どうしたらいいかな?」
 「またしょうもないことを……」
 かがみは呆れて肩をすくめるが、根が真面目なつかさとみゆきは「うーん」と考え始める。つかさの火山
活動再開を懸念するより早く、みゆきがある案に思い当たった。
 「宗教音楽はいかがですか?」
 「え、と。ミサ曲、って言うんだっけ?」
 「はい。クリスマス・ミサ用の作品も数多く書かれています」
 聞き流すだけでもいいのだから、存外こなた向きかもしれないのだが、当人は「うーん」と首を捻った。
 「今は音楽はちょっと、ね……」
 勤め先のコスプレ喫茶には小さなステージがあり、従業員がコスプレ姿のまま、主にアニメ・ソングを披
露するショーが行われるのだという。
173第一回陵桜公会議 10/10:2008/12/25(木) 21:24:50 ID:aoXW5nUL
 「クリスマスともなれば、やっぱクリスマス・ソングかな〜、ってわけで今色々練習しててね」
 「ラテン語やドイツ語のミサ曲が入る余地はありませんか……」
 「そんなことしたら、私の頭がヴェスヴィオ火山。秋葉腹が火砕流で埋まっちゃうよ」
 あの街は一度埋めた方がいいという意見もあるんじゃないかとかがみは思ったが、口には出さなかった。
代わりに口にしたのは、こんな提案である。
 「じゃあ、聖書でも読んだら?」
 「聖書を?」
 こなたがきょとんとするのも無理はない。クラッカーについての質問の際、髪はまだ伝わってないとみゆ
きは言っていたのだ。
 「あ、そうか。原作回帰ってわけだね!」
 「原作?」
 かがみがきょとんとする番である。

 サンタ・クロース=同人的派生キャラ
 クリスマス=キリストの誕生日という設定を後付け

とすれば……なるほど。
 「……原作ってことになるのかな」
 腑に落ちないものを感じながらも、かがみは肯く。
 「よーし、じゃあ放課後に……」
 こなたは財布を取り出して、中を確認する。とはいえ、放課後に本屋で聖書を買って帰ろうというわけで
はない。
 「あ……学生証持って来てないや」
 学生証は、学校の図書館で本を借りる際の貸し出しカードを兼ねている。
 やっちまったぜと舌を出したこなたの視線は、みゆき、つかさを経由してかがみで停まった。その期待す
るところはというと、言うまでもなく……。
 「分かったわよ。代わりに借りてあげるから」
 「おお! さすがは嫁」
 「嫁言うな! あんたが空気嫁……もとい読め」
 つかさの噴火をきっかけに、四人のクリスマス談義はクラス中の注目を浴びるに至っていたのである。
 「染まってきたね。色んな意味で」
 その注目の的から微妙に外れた場所で、つかさは身震いした。また噴火するのかと、みゆきが心配そうに
つかさを見る。
 「大丈夫ですか?」
 「う、うん、平気。きっと……」
 つかさは聞こえないくらいの小声で、「気のせい」と付け加えた。


 底知れぬ何か……。
 きっとつかさにしか検知できないそれが、かがみが何かを企んでいると告げていた……。


 つづく


17442-115:2008/12/25(木) 21:26:00 ID:aoXW5nUL
はい、どうもありがとうございました。
書き終わんないや……。
退屈な宗教問答に終始してしまい申し訳ないです。
キリスト教徒じゃないからこそキリスト教的に……というのは作者の聖夜のひねくれです。
175名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:47:12 ID:7SgV2z6V
>>174
夢壊すとかなんとか言いながら、でも
その夢壊しを行ってなお余りある
議論への吸引力!
迷いながらもwikiから的確な情報を開示していくみゆきに、
こういうかけては知性を発揮してみゆきとタメ張れるこなたに、
そしてその度毎に脱線するこなたに突っ込みを入れるかがみに、
そして、話について行けず常軌を逸するつかさに、

十分、ニヤニヤできました。

でもさあ、JK4名が、このような素敵な議論を行う、と言うこと自体、
既に「夢」なんじゃなかろうか。
夢はね!壊れちゃいないんだよ!
壊れても新たな夢はきっと生まれていくものなんだよ!

というわけで、続きとやらを更に期待しつつ、GJメリクリ!
17617-234:2008/12/25(木) 23:14:17 ID:4wjy3lw8
メリクリ!
なので急いで投下します。

3レス使用、
あきら様+白石
非エロですよ
では行きます。
177大嫌い。うそ、大好き。 1/3:2008/12/25(木) 23:15:15 ID:4wjy3lw8
「…………。」
「あの、あきら様…?」
「……の……か」
「へっ?」
「白石の…ばかあああっ!」

あたしはおもいっきり白石を殴ってから、街の中を走った。
こんなに走ったのは、きっと持久走以来だと思う。
全ては、アイツのせいだ。
この全身の疲れも、
止まらないこの涙も。

収録のとき、また白石と喧嘩した。
アイツ、あたしに刃向かうようになってから、喧嘩することが増えた。

アイツには、つまんないことかもしれない。
けど、あたしには重要なことで。
あいつは何もわかってない、
あたしのこと、わかったつもりでいる。

だから、大嫌い。

-----

「あー、クリスマスかぁ…」
「そうですね、今日なんですね。僕気づかなくって。」
「…気づかなかった?」
「だって、クリスマスのときの放送って、事前に収録しちゃいますし。」
「あー…で、今日は1月放送予定だから?」
「そうですね、鏡割りなんてしてましたしね。」
「で?」
「…で、と言いますと…」
「収録終わったね?」
「終わりました、ね…」
「…………。」
「あの、あきら様…?」


あきら様が黙った瞬間、僕は何の間違いを犯したかと考えた。
あきら様の科白の空白部分に、なんの言葉が入るのかを考えた。
そして僕は面白いくらいに殴られた衝撃でひっくりかえり、
頭の中に光る星の数を数えた。
8つだった。
そして、目が覚めた。

「あれ?あきら様?」

あきら様のコートも鞄もそのままの位置にあったのに、
あきら様だけは居なかった。
僕はようやく事の重大さに気付き、残されたコートと鞄、そして僕のコートと鞄を抱えて、
白いドアを急いで開けた。

-----
178大嫌い。うそ、大好き。 2/3:2008/12/25(木) 23:16:14 ID:4wjy3lw8
随分走った頃、僕はあきら様を公園で見つけた。
一人で、ブランコに腰掛けていた。

時計は午後8時を指している。
寒いのに、あきら様はいつもの格好で、
とても、寂しそうに。

「ねぇ。」
「…はい。」
「あんたは、あたしのこと、どう思ってるの?」
「あきら様は、僕の大事な人で、その、」
「その?」
「えっと…」
「言葉に詰まるくらいの薄い関係だっけ?あたしたち。」
「いいえ、そういうわけでは…」
「ふーん、じゃ、何?」
「何、とは…?」

あきら様は、ひとつため息をついた。
僕は、その姿が嫌いだ。
何か、すべてをあきらめている感じがして、
大嫌いだ。

あきら様は、ブランコから降り、
僕の前に立った。

僕は久しぶりに、
あきら様を正面から見たかもしれない。
まだ、こんなに小さかったのか。
顔も、耳も、手も足も、
まだ、ほんの14歳の子なんだ。

明かりに照らされて、
彼女はスポットライトを浴びているみたいで。
格好いいのに、今はそんな場合ではなくて。

僕はどうすることも考えられず、
彼女の前にひざをつき、
ただ、彼女を抱きしめた。

「ば、ばか、白石?!」

その体は冷え切っていて、
氷のように冷たいのに、
彼女の心の温かさが、
僕の全身に伝わってくる。

「なに、してんの…」

ごめんなさい、
彼女に言うことも出来ないほど、
その細い肩に僕は顔をうずめていた。
179大嫌い。うそ、大好き。 3/3:2008/12/25(木) 23:17:42 ID:4wjy3lw8
彼女が何を考えているか、
だんだん分かってきていた。
でも、それを口に出したときに、
全く違う、と言われるのが怖くって。

でも分かった。
僕は、彼女を理解しつつある。
それに、自信を持ってもいい。

「もっと、わがままでも、良いのに。」
「なに…言ってるの?」

彼女の頭をそっと、なでる。
顔が、すごく驚いてる。
めったに見ないような表情が、
僕にはとても新鮮に見えた。

「もっと…僕には正直で居てください。」
「え?」
「あきら様はどうして、そんなに我慢するんですか…」
「何を…」

自分の言いたいことを十分に言えない。
それを、僕にも同じようにする。
『僕』なのに?


『僕』は、あなたの、何なのですか。


「僕は、あきら様の隣に居るのに、どうしてそんなに我慢するんですか…」
「だって…」
「そして、何をして欲しいのか言わなければ、誰にも伝わらない。」
「……。」
「僕、あきら様が何を言いたいのか、分かりましたよ?けどね、」
「…?」
「あきら様の口から聞かないと、いやです。」
「なっ…」
「言ってください、あきら様の口から。このあと、どうしたいんですか?」

彼女は、一旦うつむいて、
また開いて、にっこり笑った。

「あたし、クリスマス、白石と一緒にすごしたいな…」
「もちろん、僕もあきら様と一緒に、今日を過ごしたい、です…」

あきら様は、いつものように笑って。
僕は、ゆっくり顔を近づける。

あきら様は驚いた顔をひとつ、
でも、ゆっくり目を閉じる。

さぁ、はじめましょう?
僕たちの、クリスマスを。




180大嫌い。うそ、大好き。後書き:2008/12/25(木) 23:21:00 ID:4wjy3lw8
はいおわり!

「あきら様にはもっと正直になって欲しい、
もっと僕に、正直にぶつけて欲しい」
ということをテーマにして書いてみました。

もうクリスマスも終わってしまうさ!
そして今年中の投下はもう無理っぽいです。
書いてはいるんですが…

なぜBADENDFLAGを立ててしまったのか!!!

では、みなさんめりくり!
181kt:2008/12/26(金) 08:35:12 ID:DlcTgnca
どうもです
ktでございます

それでは
『すこーぷかめら?』

・9レス
・こなた×デレデレかがみ
・2人視点
・いちゃラブ?
・単発作品
です、5分後から投下開始します
182すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:40:51 ID:DlcTgnca

――
どうやら外は雪が降っているようで―
うっすらと目を開けると窓の外は真っ白だ
「うー…寒っ!」
私は寒さで目が覚めた

すこーぷかめら?

「…ったく、裸で寝るもんじゃないわね……まぁあいつが喜ぶ顔が見れるんだからいいけどさ」
と愚痴りながらYシャツを羽織る
…もちろんノーブラノーパンだ
さすがに靴下をはくのは許してくれたけど…やっぱり寒い…つくづくお腹が丈夫な方でよかったと思う
もちろんこれはあいつの趣味だ…付き合う私も私だけど、、
…まぁ、あいつの体温が直に感じられて嬉しいと言うのが本音だけれども
「…さて、あいつはどこに行った?」
高ぶる気持ちを抑え切れずに勢いよく扉を開けた

「こなた〜?」
廊下を歩きながら愛しい人の名前を呼ぶ
「こなた〜〜!どこ〜?」
返事はない
「…どこなんだろ、こなた…」
私が途方に暮れていると奥の方からこなたの話し声が聞こえてきた
「―おぉ!――やっと――」
どうやら電話に出ているらしい
上手く聞き取れなかったけど…
私はそっと近付いていく
「さっすがみゆきさんだー!、まさかこんな短期間に仕上げてくれるとは思わなかったよ〜」
どうやらみゆきと話しているみたいだ
でも[仕上げる]って?
「むふ〜…かがみんのヨロコぶ顔が目に浮かぶようだよ〜」
プレゼント、かな?…でも私の誕生月って7月だし…
「昼に届けてくれるんだ!、あぁ〜早速夜使ってみるから、ほんじゃ〜」
そしてこなたは電話を切り身体を伸ばす
そろそろ…いいだろうか?
「何が昼に届けるからって?」
「あ、かがみぃ…起きてたんだ、おはよ〜」
相変わらずこなたはかわいい
まだ…まだ駄目なんだから…
そのかわいさに飲まれない様に気持ちを押し込みながら私も挨拶を返す
「お、おは…よ…」
183すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:42:00 ID:DlcTgnca
「おんやぁ〜?、もうとろとろにとろけてらっしゃいますな〜?」
とあいつはいつものニヤニヤ顔で話す
「…しょ、しょうがないじゃない……あ、あんたがかわいいんだから…」
「むふふふ〜…さっすが私の嫁だ〜ねぇ」
「……ばか」
「―で、何だって?」
あぁ、そうだった。こなたに質問してるんだった
「さっきの、みゆきでしょ?」
「うん、ちょっとしたモノを作るよう頼んでてね、それが今日届くんだ」
「ふーん…で、私が喜ぶとか言ってたけど」
「それはもうね!実にヨロコぶと思うよ!…何せ―」
「何せ?」
「夜までのお楽しみ、、かな?」
とこなたは含ませた言い方をする
「……それって…えっちな…事?」
「あ…うん、、、バレたかぁ」
こなたはこの世の終わりみたいな顔をして悔しがる
「そこまで悔しがらなくてもいいじゃない、、、でさ、、その…ね、昼からは駄目…なの?」
うっわ…今の私の顔、最高超に熱い…真赤だ…
「へ?」
「ほら…さ、その…いつもの朝のキスもしてないし……さ」
「…ごめん、頼んでたモノが届くからって浮かれてた」
「「…………」」
部屋の中に気まずい空気が流れる
「だ、だからね…」
私から口火を切った
ごくりと唾を飲む、手のひらには汗が滲む
―こなたの喜んだ顔と笑った顔しか見たくないから
―愛しい人の悲しい顔は見たくないから
こなたの笑顔を見る為ならどんなことだってするという覚悟だから―
だから、私は口を開く
「ひ、昼はいっぱい…いっ〜ぱい愛してよねっ!」


――
「そろそろ、かにゃ?」
時刻は11時57分、みゆきさんがアレを持って来てくれる時間だ
「ふー…」
お茶を飲んで一息つく私
「…〜♪」
でもすぐに気分が高揚してくる
アレを見た時、、使った時かがみんはどんな反応をするだろう?
どんな声で喘ぐのだろう?
ヨロコんで…くれるだろうか?
色んな疑問が浮かんでは浮かんでは消えていく
184すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:43:33 ID:DlcTgnca
こつこつと玄関先で音が聞こえた
来た!ついに、来たっ!
「待ってたよ〜!」
ガチャっ!
玄関にクロックアップしたかのごとく飛び込み勢いよくドアを開けた
みゆきさんは目が点になって呆然としていた
「…どしたの?」
「あ、いえ、ぴんぽ〜んのぴんの時点でドアを開けられたのでびっくりして…」
「あはははは…うん、焦りすぎだね、、私」
「そういえばかがみさんはどこに?」
みゆきさんは玄関に入り辺りを見回す
「私の部屋で待たせちゃってるんだ…ほら、焦らした方が感じやすくなるかなって思って、さ」
「はぁ…これが依頼の品です」
「おぉ〜、ありがとね!みゆきさん!!」
私は袋に包まれてるそれを受け取る、へぇ〜けっこう軽いものなんだ
「出来る限り本物に近付けたつもりですが…―凄いですよ、これは、色々な意味で」
「ほぉ〜…凄いというと?」
「この快感は具合わせやいちゃいちゃキスに匹敵、、いやそれ以上かと!…実際私自身がテストプレイして実感しましたし!!」
みゆきさんはかなり興奮して鼻息が荒くなっている
「…失礼しました」
「そっか、、ありがとね、みゆきさん!」
「ただし!使用する際には絶対に2人でしてくださいね?、、1人でも出来なくはないですが…」
「いや、まぁ最終的には2人で使うだろうけどさ…ともかくありがとね、みゆきさん!」
「ええ、どう致しまして…それではまた学校で会いましょう」
みゆきさんは聖母のようなほほえみを残し去って行った
「…さてかがみんをたっぷりと愛しますかぁ!」


――
「こなた…遅いな…」
どくんっどくんっ
やけに心臓の音が聞こえる
今にも飛び出して来そうだ
何をされるんだろう?、どうやって愛してくれるんだろう?
どうやって愛そう?、どうやって答えよう?
「う、わ…頬、緩んできたぁ…」
考えれば考えるほど顔がニヤけてくる、ニヤニヤが止まらない…そのうち涎も出てきそうだ
「遅いよこなた…ば〜か、、待たせやがって…」
それなら、と逆の事を考えた
こなたの事を愛しいと思うたび頬が緩むのならば、逆にあいつの悪口を言えば自分を保てるんじゃなかろうか、と
―だがそれは逆効果だった
「〜〜〜〜〜〜っ!」
悪口を言えば言うほど、悪態をつけばつくほど
自分の気持ちに嘘がつけなくなってくる
そうだ、あいつと悪口を言い合える関係なのはお義父さんやゆたかちゃんを除けば私だけなのだから
185すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:45:16 ID:DlcTgnca
「こなたぁ……」
[こなた]その名を口に出せば出すほど
「…こなた…」
想えば想うほど
「こなたぁ…」
堪らなくなってくる
―まるで魔法の呪文だ
「こなた…♪」
…あ、もう…我慢出来ないや
利き手を下半身へと伸ばし出す私

がちゃ!
「おまたへ〜!」
「あ、こなたぁ…」
丁度、と言うか絶妙なタイミングで彼女は入って来た
「…もしかしてオナニーしてた?」
「………する、直前だった」
「……待たせすぎちゃったね、ごめん……おわびと言ったらなんだけど―」
そう言って私の愛しい人は近寄って膝をつき―
顔がどんどん近付けてくる
ちゅっ…
あぁ、キスだぁ…キスされてる、私…
私はこなたの顔に触れ―
こなたの、体温で安らぐ
首筋を触り―
こなたの脈動を感じ取る
胸に触れ―
…こなたの鼓動、、あ、前より胸おっきくなってる…
腕を触り、手を握り会う―
…こなたの細い腕、、、無性に守ってあげたくなる…
そして片方の手は腰に触れる―
…こなたの腰細いなぁ、、、こなたの腰って摑まりやすいんだよね…
そうこうしているとこなたが舌を絡めだす
…あ、舌ぁ…唾液も飲んで…
ちゅ…ちゅぱっ…ずずっ…ずずず…れろ
「ん、は、っ…こなたぁv…」
「うをっ…すっかり力がぬけたねぇ」
すっかりキスで骨抜きになった私はこなたの懐に倒れこむ
「いつもごめん…キスの後って…力、入らなくて…」
「んにゃんにゃ、私のテクでこんなにもとろけてくれるんだから嬉しいよ」
こなたは満足げな顔で話す
「これで…許してくれる?」
「許さない…わよ、だってこれは朝の分だもん…昼はまだ、だよ?」
「ん、そう言うと思ったよ〜…と言う訳でこれの出番!」
「…?」
186すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:46:49 ID:DlcTgnca
こなたはドアに置いていた袋をこちらへ持ってくる
そして私に質問した
「かがみんさぁ…能動スコープカメラって知ってる?」
「…なにそれ?」
「私もこのあいだ知ったんだけどね、なんか災害での人命救助に使うみたいなんだよね」
「ふーん…」
「なんでもファイバースコープカメラのチューブ部分に植え付けた繊毛を振動させて
毛虫のように自力で進むとかで…瓦礫の中も何のその!って感じかな」
「…そんなものがあるのねぇ」
…こなたはさっきから何を言いたいんだろう
「でそれはまだ日本に3機しかないとかなんとか」
「だからさ、それがどうしたのよ」
「んで、それがこれなんだけど―」
と言いながらこなたは紐状の物体を取出す
「ちょっ…待て」
「ん、どうかした?」
「何でそんな物をあんたが持ってんだ?」
「あー…うん、実際にはそれに似せて造ったバイブなんだけどね〜」
「なんだ…そうなのか、、でどこでみゆきが関係してくるの?」
「これみゆきさんとこの技術部の人達が造ってくれたんだ、、駄目もとで頼んだらOK貰っちゃってさ…
テストプレイはみゆきさん自身がヤってるから大丈夫だと思うよ」

「…………」
私は呆れると同時に嬉しくなり、また頬が緩み出す
この人は私を喜ばせる為に・私が飽きないように色々と考えてくれているんだ、と
「あ…でもね安心して!?、これカメラ付いてないし、繊毛も短いし、パワーも低いやつだから!」
黙り込んでいる私を見て怒っているんだろうと思っているこなたが慌て慌て出す
「…ばか」
「あ、あれ?」
―欲しい
「…別に怒ってなんかいないわよ?」
―欲しい…
「だから、さ…その…」
ー彼女の体温が・愛液が・唾液が欲しくて、欲しくて…堪らない
「さっさとさ…その…ね?…早く、、して?」
―早く、早くあなたの手で私をイかせて…
これ以上はもう我慢出来ない…だから、だから早く―
187すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:49:46 ID:DlcTgnca

「ほんじゃ入れるね、、っとその前に…」
こなたはそのなんたらかんたらスコープを脇に挟み、私のパンツを脱がす
「かがみんもう濡れてるんだねぇ〜、ほらパンツから糸弾いてるよ〜もう濡れ濡れ♪」
「〜〜っ!」
「…待たせすぎちゃった、ね」
じゅ…ぶっ
「っ、は…ぁ…」
「あ、まだ指だからね…メインディッシュは最後最後♪」
あぁ、こなたの…ゆびから、、ぬくもりが直に伝わって―
「は、ぅ、はぅ…んっ、んふ…」
「いつもより興奮してる?、ふふ♪…どうして欲しい?」
「おねがい…かき、ん、、んんっ…こなたのゆびで、ぇ、、私のナカ…を、めちゃくちゃに、ぃっっ…か、かき回してぇえぇぇ!」
「かがみん今日はやけにエロいね…このエロかがみん」
「エロで、も…何でも、ぉ…いいからっ…ぁ、早く…し、てぇっ」
「そそることを言うね〜、かがみんは」
じゅぐっ…ぐりゅぐりゅぐりゅ!…じゅぽ!じゅっぽ!!
こなたの指のピストン運動がいっそう激しくなる
「は、ふ、ふぅう、んんっっ…ひ、ぁあ…」
ぐじゅるっ!ぐりゅりゅ!!じゅぽ!じゅぽっっ!!じゅぽっっ!!!
「ん、は、ぁっ!…ひ、ぁん、ぁああぁぁあはぁっーーー!!」
びくっ、びくびくっっ!!
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
頭が真っ白になる
他人に身を任せ、快感を得ると言うこの行為の独特の爽快感と興奮
にひたっているからと思うと…もう堪らない
「かがみん、イッちゃったんだ?」
「はっ、は、う…ん…」
「ん…それじゃ。メインディッシュとイきますか?」

「見れば見るほど…グロいわね、、それ」
「そう?、私は慣れたけど…っと、、こんな感じかな?」
「――……ンン…」
こなたがなんたらスコープを私のおま○こへと挿れていく
「ん、ぁ…」
ずぶずぶとなんたらかんたらは私のナカへと入り込んでいった


――
「ひゃぅう、ん…」
かがみんがいつもよりも色っぽい声で喘ぐ
私の為に―…私がスイッチとなって彼女は感じている
――こんなに嬉しいことはない
「なか、ひゃ、ぁ…ナカぁっ、毛ぇ…気持ちい、いっ…」
188すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:51:38 ID:DlcTgnca
むぅ、しかしこれ電源はどこにあるんだろう?
かがみんのナカに挿れたら勝手に動きだしたけど…
それにみゆきさん曰く[使用する時には絶対に2人で]とか言ってたし
「お、ぁ、おくぅ…オクをォっっ、は…奥を突いてっv、突いてるっっ、のぉおぉぉ!v」
どこまで入っていくんだろうこれ…
まぁでも、エロかがみんが見れていいけど♪
「あば…は、毛、し、刺激凄いぃぃっv、しげきスゴいのぉぉぉっv、き、もひぃ、気持ちいいぃぃよぉっv」
…本当に大丈夫なのかな、これ
ぐぉん!、ぐぉおん!!、ぐぉおぉぉん!!!
「ば、し、しきゅ、子宮突いてぇv、子宮突いてるのぉっv、ごりってぇv、突いてぇ、るぅっ!v
ごりごりってぇぇえぇぇvv!!!!、イくぅっ…いちゃ、イッちゃうぅぅうぅぅぅっっっv!!!」
かがみんの体は大きな弧を描いて震える
おま○こからはたくさんの愛液が溢れている
うわっ、、かがみん…かわいい……
っていうか…ヤバくない?、これ
そういえば[自力で進む]って…どこまで?
イッたら勝手に止まるの?
止めなかったら…どうなるの?
………なんかこれ、ヤバくない?
大事な事なので2回―じゃなくてっ!
「あ、は…は、ば、イッたの、にv…ぁ、止まらなっ…いよ、がぁ、あ、ああ…」
かがみんは泣きながら恍惚な表情で笑っている
―泣いている、か

―あぁ、そうか[2人で使う]って…
みゆきさんの意図を理解した私は急いでスカートとを脱いで自分のま○こにもう片方のスコープカメラ風バイブを挿れた
「ん…んっ…」
「こなっ、は、こなたぁ…」
かがみんは振り絞るように、泣きながら私の名前を呟く
「大丈夫、大丈夫だから…一緒にイこ?」
「い、いっしょぉ?」
「うん、一緒」
「うんっ、うんっv、一緒…いっしょぉ…」
愛しい人が笑う、とろけた柔らかな笑顔で
―まるで落とした大切なものをようやく見つけ出したような安心感
そうだ…[一緒]なんだ
みゆきさんは[これは2人で使うもの]だと言った
2人で一緒の快感を味わい、2人で一緒の痛みをわかちあい
2人で一心不乱に愛し合う
これはそれに的しているんじゃないだろうか…
…やりすぎな感じもするけども
「ん、く…ぅ」
しかし…これ、かなり…なんというか、すごい―
189すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:53:39 ID:DlcTgnca
ずりゅん!、ぐりゅん!、ぐぉおん!
結合部を見ると私とかがみんの間を行ったり来たりしている…まるで迷子の子供のように
「う…く、くぅ」
「こなたぁv、こなたぁぁv」
す、すごっ…さっきからすごいとしか言ってないけど…
ちょっとでも気をぬいたらイカされそ…っていうか確実に逝く
「ひ、ひゃぁ、んんっっ…」
「こ、こなっv…こなたぁっ〜!、ぁっ、こなたぁv、キスっ、キスぅっ〜!v」
―かわいい
今のかがみはただ私という者を欲しがる…いや愛するだけの生命体と言ってもいいんじゃなかろうか…
「も、もっ…と、わたっ、私のと、っ、とりこに、んっ、なって、ね!」
「うん、うんなるっv、な、なりゅぅっ〜!vvv」
「「ん、んんっ〜、んふぅっっ〜」」
私達はキスをする、一心不乱にお互いを激しく、求めあう
「「ぶは、ん〜…ちゅぱ、ちゅぱっ、んんっ、んふっ…」」
呼吸をするのを忘れながら…
お互い今はそのことしか頭に無かった
「――っ!?!」
体に稲妻で貫かれたかのような衝撃が走る
「こなぁ、は、こなたぁ〜v」
「そろそろ私、イ…くっ、イきそおっっ…」
「わたっ、2回目、一緒に…いっしょにぃっっっv〜!」
全身に甘美な痺れが回ってきた
頭はすでに正常な判断は出来そうにない

――キスをしながら、一緒に果てたい

ただただそれだけを考えていて―
「する、よ、キスっっ」
「はぐぅ?!」
…ただこれはキスと言うよりも愛しい人を喰らっていると言った方が正しいのかもだけども
「んふ、んんっ!、んふぁっ!こなふぁぁっv!」
スコープカメラ風バイブを手で強引に抜き取る私
「っっ?!?、んんぅっ、んんんっ〜!!」
直後、快感と絶頂が襲って来た
「「んんっ!!!、んぁ、〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」」

190すこーぷかめら?:2008/12/26(金) 08:55:51 ID:DlcTgnca

――
-数時間後
「おまたへ〜」
「こなたぁ、遅いわよ?」
「いや〜ごめんごめん!」
部屋には風呂上がりの私達だけ―
別々に入ったのはまた盛り上がりそうだったから念には念をいれて、だ
「いや〜、憧れてたんだよね〜…こうやって裸で添い寝で布団被ってピロートークってやつ♪」
とこなたは、布団に包まりながら話す
「…耳にタコが出来たわよその話」
「…話を戻すんだけどね、あれ」
とこなたは床のあのバイブに向かって指をさす
「えらい唐突だな…」
「ニュースを見てこれは!って思ってみゆきさんに依頼したんだよね…ほら、思い立ったが吉日ならその日以降はすべて凶日とか言うじゃん?」
「それ、何かのアニメネタ?」
「んーにゃ、漫画のネタ」
「……」
私は呆れた…でも呆れながらもこれが彼女のかわいさの一つだと思うと愛しく感じる
「―でどうだった?」
「恥ずかしかったわよ…でもなんというか、こう、こなたと深く繋がれたっていうか…」
「あぁ、かがみん淫語連発だったもんね♪」
「バっ…言うな〜〜〜!」
かがみんはほっぺが赤くなる
「涎もダラダラ出てたし♪」
「――〜〜〜!!、、そ、それはこなたもじゃない…」
「あ……い、いやもう、ホント後馳走様です!」

「あ、こちらこそ…」
部屋に沈黙が流れる、気まずいので見つめあう
「「………」」
見つめあう
「「……」」
……更に気まずくなった
かがみんのヨロコぶ顔が見たくなった私は、ごくりとつばを飲み口火を切る
「あー、うん、感謝してるよこれには…エッチの時だけしか名前で呼んでくれなかったのに今じゃあ、、ねぇ♪」
「〜〜―っ!」
更にかがみんのほっぺが赤くなる
「……あのかがみん可愛かったから後でDVDで復習しよっと」
「バっ、と、撮ってたの?!」
「そりゃスコープカメラだもん、撮れるさ」
「こなた〜!、カメラ機能は取り付けてない云々言ってなかったっけ?」
「…嘘だよ♪」
「嘘かよ!、損したわ!」
191kt:2008/12/26(金) 08:57:14 ID:DlcTgnca
ありがとうございました
はい…えー…先日ニュース番組を見てたら作中に登場したものを紹介してまして、で
下書き途中だったコワセ★7、エピローグ2をほっぽりだして突発的に書いた物です
…だってあまりにもウネウネしてたんだもの
あ、性能とかはフィクションですのでご注意を

かがみんが中〜後半にかけてTHE☆誰?状態ですが気にしないでください…
しかし初めてまともなみゆきさんを書いた気がする…設定はともかく
192名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 12:46:12 ID:tgHEmNrN
ああ……冬休みは力作が特に多くて(いつももだけど)しやわせだぁ……
えろかったり考えさせられたり。まとめてですまんですが、ぐっじょぶ!

#最近は絵ばかり描いてるので、こちらはROMで申し訳ないです。
193名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 04:08:50 ID:7AxasB24
>>192
たまには挿絵もよろしゅうたのんます。
194名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 12:03:45 ID:Hbv7Zpqo
BW更新来てたぁ。
相変わらず凄いな。この人。
4seasonsから続いたこのシリーズもついに完結か。
195名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 14:39:45 ID:QAanjlua
ややオリジナル多かったけど、全く違和感の無いお話…というからきすたアナザーでも通用するよな。

ただ作者さんの身の回りで何か辛い事があったみたいだね。
更新にそんな雰囲気が醸し出されていた。
196名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 14:53:42 ID:QAanjlua
>>191
デレかがみんとエロこなた最高w
そして何気にみゆきさを何やってんすかw
197名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 19:56:51 ID:QwVCOtVn
これからSSを投下させていただきます。

・非エロ
・4レス
・カップリングなし

今は冬ですが、これは思いっきり夏の話です。
198あの写真の行方:2008/12/27(土) 19:57:37 ID:QwVCOtVn
「ねーねー、幽霊って信じる?」
「は?」
 それは勉強会という名の、こなたがみゆきの分の夏休みの課題を自分のそれに写すための
集まりの最中のことだった。
 流石に丸写しは良くないと私が止めさせて、いくらか自力でやっている。
 この場合の幽霊を信じるっていうのは、存在を信じるっていう意味だろう。夏らしいと
いえば夏らしい話題ではあるが、今は真っ昼間なのでそんな雰囲気ではない。
 いや、そんなことは今はどうでもいい。
「あんたはいきなり何を言ってるのよ。そんなこと考える暇があったらそれやりなさい」
 勉強の最中に余計なことを考えるのはこなたに限らずよくあることだけど。こなたの家に
四人で集まって長時間緊張が保たれた例がない。
「つかさはどう思う?」
 うわ、無視しやがった。
「し、信じたくないな……怖いから」
「それは信じてるっていうんだヨ」
 ごもっともだ。つかさは早くもガクガクと震えている。姉の私が今更言うのもなんだけど、
どんだけ怖がりなんだか。
「かがみは信じてないよね?」
「なんで私の時は言い切るのよ」
 正直言えば、こなたの言う通り信じてない。しかし神社の娘という立場上それをはっきり
言うのも憚られる気がする。そんなこんなで、私はそういうことを聞かれても答えを濁して
きた。
「かがみんってはっきりしないものは信じないタチだよね。はっきり見れば信じるでしょ」
「まあ、それはそうかもしれないけど……」
 非科学的だから幽霊を信じないっていうわけじゃない。今まで生きてきた中で、幽霊を
信じるに足る材料がないだけだ。自分で幽霊を見たことはないし、テレビに出てくる自称
霊能力者はみんなうさんくさくて信じる気になれない。
 別に何が何でも信じないっていうほど頑固じゃない。自分自身の眼で幽霊を見れば嫌でも
信じるはずだ。そういう意味では、こなたの言い方は的を射ている。
「ふふふ……それならば本物の心霊写真をお目にかけようではないか」
「何で急に芝居がかった口調になるのよ」
 こなたは何も答えず立ち上がって、部屋を出て行ってしまった。その心霊写真とやらを
取りに行ったのだろう。こなたがいきなり幽霊の話を始めたのも、その写真がきっかけなの
かもしれない。
「……って、勉強は強制中断かい」
 いつのまにか話しに乗せられてた私も悪いんだけど。
199名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 19:58:28 ID:QwVCOtVn
「ほら、これだよ」
 こなたが持ってきたデジカメに収められた写真には、何やら不自然な人影があった。
「こ、ここ、これ、幽霊……?」
 つかさがその部分を指差して震えている。確かになんとなく不気味だった。
 だけど、それより私が気になるのは。
「なんなのよ、この写真」
 逃げようとするこなたを抱いてカメラ目線で笑顔を決めているお父さん。場所は家の中。
一体どんなシチュエーションで撮った写真なんだろう。
「この写ってるのが何なんだかよくわかんなけど、どこからどう見ても心霊写真だよね」
 私が聞きたいのはそういうことじゃないんだけど。
「なんかぼやけてるだけじゃない?」
 私にはこれを幽霊とは断言できなかった。何せ私は幽霊を見たことがないのだから。
「かがみにはロマンがないねぇ」
「ロマンとかいう話じゃないわよ。なんでこれを幽霊だって言えるのかって聞いてるの」
「写真に写ってるんだから幽霊じゃん」
「なんだその理屈は」
 もう言ってることが滅茶苦茶だ。だけど、世間一般では写真に写っている変なもの=幽霊
ということで納得するような気もする。
「これをかがみとつかさの家でお祓いできないかって思ってさ。最初はお炊き上げしようと
思ったんだけど、ちゃんと専門家に任せた方がいいんじゃないかってお父さんと話して」
「うちってお祓いやってたっけ?」
「さあ……?」
 つかさと顔を見合わせる。そういうところにはあんまり立ち入ってなかった。
「お祓いってどうやるんだろ? デジカメを置いてその前で祈祷するのかな」
 想像するに、なんだかシュールな構図だ。
「幽霊ってデジカメに憑くの?」
 つかさの言うように、デジタル機器と幽霊っていうのはなんだかミスマッチな気がする。
「確かになんとなくイメージには合いませんが、それを言うならフィルムやビデオテープも
人工物なのですし、どちらも同じようなものではないでしょうか」
 みゆきの言い分に、納得できるようなできないような。
 それを受けて、今度はこなたが口を開く。
「デジカメの場合は、幽霊はカメラに憑くのかな? 画像データの方に憑くのかな?」
「呪いのビデオテープの話では、呪いも一緒にダビングできたよね」
「その場合は呪いであって幽霊ではないのではないでしょうか?」
 よくわからない議論が始まったが、結論は出ないと思う。みんな幽霊っていうものが全く
わかってないんだから。
200あの写真の行方:2008/12/27(土) 19:59:27 ID:QwVCOtVn
「そもそも幽霊って何なんだろう?」
 だから、こんな話を真剣に続ければそこまで遡ることになるのは必然だった。
「亡くなった人の魂とか思念とか考えるのが一般的ですよね」
「じゃあ、心霊写真はそれが写ったものなの?」
「大抵の人はそんな風に考えているのではないでしょうか。もっとも、心霊写真とされる
ものの大半はトリックか意図しない事故ということで説明できるのですが」
 理屈で説明できる話となるとわかりやすいけど、こなたやつかさはそういう話には弱くて
聞き役に回る。
「よくあるのはハレーションという現象で、強い光を撮ったときにその周りがぼやけたり
四角や六角の光が映ったり……太陽を写すとそういう光が真っ直ぐ並んだりしますよね?
あれがハレーションです」
「でも、蛍光灯とかは画面内にないよね」
「ガラスに映りこんだり、詳しい理屈は存じないのですが光の屈折で画面外の近くにいる
人がわずかに映ってしまうことがあるようです」
 多分それはテレビ番組で得た知識なんだと思う。私も見たような気がする。
「このときゆーちゃんはお風呂にいたから、多分それはないと思う」
「じゃあこれは誰なんだろう?」
 これは誰? そう言われて初めて思い至った。幽霊は元は人なんだ。
「知らない間に泥棒がいたとか?」
「そっちの方が怖いよぉ」
 幽霊が人であったとするならば、ここに現れる人に、一人心当たりがある。仲睦まじい
父と娘の、本来ならすぐ傍にいるべき人。
「ただ、理屈ではどうしても説明できない心霊写真があることも確かなんです」
 ――これは、かなたさんなの?
 だったらお祓いなんかさせるべきじゃない。でも、それをどうやって伝えればいいんだろう?
 これはお母さんかもしれないからお祓いはさせるなって言うの?
 さっき幽霊を否定するようなことを言ったのに。
 それに、これがかなたさんであるという証拠はない。通りすがりの誰かかもしれない。
 私の考えが間違っていたとしたら、それをこなたに諭すなんて馬鹿だ。
 どんな理屈なら、こなたに考えを改めさせることができるだろう?
201あの写真の行方:2008/12/27(土) 20:00:33 ID:QwVCOtVn
「さっきからどうしたの、お姉ちゃん?」
「あ、えっと、ちょっと幽霊とかの話に入れなかっただけよ」
 嘘はついていない。気がついてみたら、さっきから黙りっぱなしだった。
「かがみん、幽霊が怖いんだ?」
「そ、そうじゃないわよ。ただ、みゆきって幽霊を信じてるんだなーって」
「意外でしたか?」
「博識だし医学部志望だから、ちょっとね」
 医師や科学者は非科学的なものを信じない、というのは私の勝手なイメージでしかないの
だけど。
「確かに科学は幽霊の存在を否定していますし、私自身、幽霊は見たこともなく存在すると
断言できる証拠を知りません。多くの人が幽霊の存在を否定していることも知ってます」
 みゆきの言葉には、威厳とも含蓄ともつかない何かがある。だから私達は、みゆきの言う
ことにはいつも納得してしまう。
「ですが、幽霊を信じる人が沢山いることも知っています。世の中には霊が存在するという
前提で仕事をする人や、その人を頼る人が沢山います。神も同様に存在するかどうかはわか
りませんが、存在すると信じる人達が何度も歴史を動かしてきました」
 例えば霊媒師、お坊さん、神父さま、うちのお父さんのような神主だってそうだ。
 歴史を辿れば、キリスト教に限ってもヨーロッパの十字軍遠征や日本の島原の乱など、
神を信じる人達が歴史に関わった例は数知れない。
「本当に存在するのかどうかはわかりません。しかし、そういった概念に突き動かされて
行動を起こす人は沢山います。今の私達が幽霊について話をしているのもそうです。その
存在を信じる人達がいて、この世界に影響を与えている。それは存在するのと同じことでは
ないでしょうか」
 うちの神社には、年間で何十万人という人達が参拝にやってくる。神様というのは、実在
するかしないかはおいといて、それだけの影響力を持っているのだ。
 かなたさんはもういない。だけど、そうじろうさんは今でもかなたさんを愛しているだろう
し、こなただって心のどこかでかなたさんのことを想っているはずだ。私だって、今こうして
かなたさんに思いを廻らせて、写真のことを考えている。
 かなたさんという存在は、今でもこの世界に影響を与えているのだ。
 だったら、もう迷うことはない。私が写真を消させてはいけないと思っているのだから、
それを伝えるべきだ。こなたがあれを幽霊だと信じたように、私はあれをかなたさんだと
信じる。
 理屈で納得させる自信はないから、ストレートに伝えればいい。馬鹿にされるかもしれない。
だけどそんなのどうだっていい。写真を消されたらかなたさんが悲しむかもしれないのだから、
それを止めさせるべきだ。
「ねえこなた、思ったんだけど、この写真に写ってるのってもしかして――」

−おわり−
2023-283:2008/12/27(土) 20:01:32 ID:QwVCOtVn
あの写真を、どうにかして消去させないような流れにできないか……
などと考えて作った話です。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
203名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 22:34:54 ID:mqLsgUVo
>>202
GJ!
とても心温まるお話でした。
かがみの、かなたさんを思いやる優しい気持ちが、ひしひしと伝わってきます。
また、皆が信じることによって、実在したと同じことになるというのは、正にその通りなのかもしれませんね。
204名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 01:21:03 ID:XGY5dokT
>>202
良い話やんな〜〜。
信じてるからこそここにある彼方なのだが、信じなければ居ないも同然なわけで。


あ〜〜、上手く感想が書けない自分がもどかしい。
この後のこなたの返答やらなにやらの続きが読みたいなぁ〜〜

そうだ!!
読みたいと、続きがあると信じてれば、きっと!
205名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 07:12:00 ID:f/yCa8xC
>>202
GJ!!
キャラの書き方がすごくうまい!
俺もあのデジカメのデータは消さないでほしいと思う
206名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 16:28:40 ID:CsAC1s3m
>>194
どこのこと?
207名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 20:50:44 ID:w/c0wuo0
16-187氏の個人サイト
208名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 23:31:10 ID:vKT0u0bi
4seasons 続編 でググれば4番目当たりに出る
209名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 06:53:06 ID:ZxRA/28I
一発目で出た


このスレって凌辱ものとかないの?
210名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 09:30:28 ID:fzXqjDnl
>>209
ある。保管庫を漁れば見つかるはず。
211さすらいのらき☆すたファン:2008/12/29(月) 17:05:30 ID:f1CGAbsN
いつもお世話様になっております。
新作を投下させていただきます。
http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0165.txt
カップリング:みゆき×みなみ(エロ有り)
感想お待ちしてますm(_ _)m
212名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 12:29:44 ID:5sGsFUP6
保守
213名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 13:41:32 ID:Bd7Rz7sq
保守ついでの小ねた

交渉術
「かがみコミケに行かない?」
「行かないわよ、それにアンタも一応受験生でしょ。」
「それじゃあ、私がコミケに言っている間、貞操帯を着けててくれる。」
「しょ、しょうがないわね、アンタがコミケに行っている間だけよ。」
214名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 16:01:20 ID:8T6hnOTG
>>194
4seasonsの最初からぶっ通しで読んできた。いやー、いいねこれは。
この二つを読んだ後で瑠璃色学舎を読むとかがみのデレっぷりがもうたまらん。
215名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 20:45:03 ID:KcsGJmPI
無音声ピアノソナタもいいよ。あんなにみなみのキャラが活きてる二次創作は読んだことない。4seasonsもそうだが、やっぱあの人はすごいわ・・・。
216名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 06:08:43 ID:01lGnnzX
>>215
感想も書かずに内輪でスレ占拠とか
こなかが厨はどうして自分達が嫌われるのか自覚持とうよ
217名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 07:07:37 ID:v2DMcLbi
>>216
お前みたいなこなかが厨アンチも等しくウザイから黙ってろw
218名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 09:07:32 ID:vuOxKNgp
無音声ピアノソナタはみなゆたですが

感想は強制されるものじゃないし
あんたもアンチ優先で感想書いてない
被害妄想が過ぎるんだよ気色悪い
219名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 12:50:21 ID:x/x02toz
「感想を書け。俺は書かない。」
「ゆたみな?こなかが厨だ。」

どうして自分が基地害と呼ばれるのか自覚持とうよ。
220名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 12:59:11 ID:Tng4F3RF
そんなことより『今日は一日アニソン三昧』聴こうぜ!
22136-273:2008/12/31(水) 16:17:10 ID:siSqaw3l
大晦日です。今年も早いものでもう少しで終わりですが……
短編が完成しましたので3分後あたりに投下したいと思います。

・こなた&みゆき
・非エロ
・5レス程度
22236-273:2008/12/31(水) 16:17:59 ID:siSqaw3l
 季節は冬。12月の終わり、高校二年生の冬休み中のこと。関東では、暖かい陽気に包まれた小春日和の日が続いていたが、今日は一転してめっきりと寒くなり、関東でも氷点下を下回るところがあるくらいだった。
 空も雲に覆われて灰色がかっていて、さながらモノトーンのようである。そんなわけで太陽も雲に隠れていた。
 そんな中、泉こなたは柊家の縁側にこしかけ、何するわけでもなく空を眺めていた。冬休み、今年ももう少しで終わりだということで、年忘れパーティと題していつもの仲良し四人組が柊家に集まっていた。
 だから、こなたは柊家にいるのだが、どうしたわけだか、こなたは巫女装束を身につけている。
 これは、こなたが「神社の仕事を手伝いたい」と申し出て、着させてもらったからなのだが、当然その理由は建前でしかなく、本当は自分が着てみたかったというのと、親友たちがこの装束をつけた姿で目を楽しませたかったから、である。
 しかしそういう建前の主張を掲げた以上、こなたはちゃんと親友三人とともに神社の仕事を体験していた。今は、その体験を終えて休憩しているところだったのだ。
「お茶をお持ちしました」
 軽やかな女性の声がこなたの耳に入る。その声で、こなたは我に返った。紛れもなく、親友の一人、高良みゆきの声である。
「おー、ありがとう、みゆきさーん」
 こなたは、みゆきの方を振り向きながらそういった。
 振り向くと、高良みゆきは二つの湯飲みを載せたお盆を持っていた。程なくして、みゆきはお盆を縁側に置き、こなたの左隣に腰掛けると、湯飲みをこなたに渡してくれた。
「はい、どうぞ」
「ん、ありがとう」
 こなたは渡された湯飲みをしっかりと受け取ろうとするが、なにぶん淹れてくれたばっかりなのでとても熱い。こなたはその熱さに、危うく反射で落としてしまうところだったが、何とか脳からの信号を送って踏みとどまり、ようやく受け取る。
「あ、大丈夫ですか? すみません、熱すぎてしまって……」
「いやいや、熱いほうがおいしいから。みゆきさんが気にする必要はないよ」
 申し訳なさそうに謝るみゆきだったが、こなたはそんなことも気にせず、笑ってことをすませる。それを見たみゆきも、こなたに釣られて顔を崩し、口元を笑わせた。
「じゃ、いただくね」
「あ、はい、どうぞ」
 その会話を合図に二人はお茶を飲み始め、ずずず……と、お茶をすする音が二人分、あたりに響く。
 その熱い緑茶に、こなたは身体の隅々まで熱くなる感覚に襲われた。まるでお茶が身体全体にまで行き渡るようである。同時に、五臓六腑にまで響くとは、こういうことを言うのかもしれない、ともこなたは思った。
 ひとしきり飲んでから、こなたは何の気なしに隣にいるみゆきを眺めてみた。みゆきもまた、こなたと同様に巫女装束を身につけている。胸が大きい人は着物が似合わないといわれるが、彼女の場合、決していやらしくなく、見事に着こなしている。
 みゆきは、こなたが神社の仕事を手伝おうと言い出した本当の理由を知らない。もとより人を疑うということを知らないみゆきは、ここでもこなたの建前の理由を信じて疑わなかった。
 同じ理由で、柊つかさもこなたの本意を知らず、二人は無邪気に振舞っていただけだった。特にみゆきは初めて着る服に、少し興味を抱いたようでもあった。
 ただ一人、柊かがみだけはその真の理由を見抜いていたが、無邪気な二人を前に、それを言い出すことはとうとう出来なかった。彼女もまた、人が良いのである。
 こなたは、かがみが、つかさとみゆきはいい人過ぎるから心配だ、と言っていたのを思い出した。かがみが心配するのもこなたは分かる気がした。正直者が馬鹿を見る昨今、少々こすっからく生きたほうが得なのは間違いない。
 だが、
「(まあ、そこが二人のいいところだし、ブラックつかさ、ブラックみゆきさんなんて見たくないしね)」
 こなたはそんなふうに結論付けた。こなたらしいといえばこなたらしい結論である。
 こなたは、湯飲みに口をつけ、またお茶を飲み始めようとした。そのときである。びゅうっ、と強い風が前方から吹いた。
「うっ……」
 こなたはあまりの寒さに、湯飲みを持っていないほうの右手で、思わず自分の身体を抱きしめた。
「だ、大丈夫ですか?」
 呻くこなたに、みゆきはおずおずと話しかける。
22336-273:2008/12/31(水) 16:18:53 ID:siSqaw3l
「ん……まあ、一瞬だけだったから良かったけど。やっぱり冬って寒いねえ。お茶の熱さも風の冷たさも、すぐに骨の髄まで染み渡るよ……」
 苦笑いをして、こなたはいった。
 みゆきは戸惑った顔をしながら、
「やっぱり冬ですからね。小春日和も昨日までで、今日から大晦日まで、ずっと寒くなると天気予報も言ってましたし……」
「うへー。勘弁して欲しいものだねえ……」
 そんなことを呟きながら、こなたは湯飲みを置いてからうつむいた。何とも哀愁漂うその姿に、みゆきも溜息をつく。
 そのままこなたはしばしうつむいていたが、急に何かを思いついたのか、一瞬目を見開いて、目を据わらせると、
「あ、そうだ」
 と、呟いた。
「どうされました?」
 みゆきは何事かと、こなたの顔を覗き込む。
「いや、暖まる方法を思いついてね」
 こなたはそう言って、顔を上げると、みゆきの方を向いて、にまにまと顔をにやつかせた。みゆきはわけが分からず、クエスチョンマークを頭につけたくなるかのようなしぐさで首をかしげる。
「暖まる方法……ですか? あ、もしかしてお茶のおかわりですか?」
 みゆきは、縁側に置かれた湯飲みを一瞬見やった。
 しかし、こなたはかぶりを振り、
「いやいや、そんなんじゃないよ……。まあ、やってみせたほうが早いよね」
 要領を得ないこなたの言葉に、みゆきは何か言おうと口を開いたが、その前にこなたの行動が早かった。
 こなたが、横からみゆきに抱きついたのである。
「えっ、い、泉さんっ……?」
 みゆきは、こなたの急の行動にあたふたと戸惑った。
 しかし、こなたはそんな言葉も気にせず、抱きついたばかりか、すりすりと自分の頬をみゆきの胸に摺り寄せる。
「いやー、やっぱりみゆきさんの身体はあったかいねー……」
 こなたはそんなことを言って悦に入った。
 こなたは、じんわりとみゆきの体温で身体が温かくなるような気がした。お茶とは違い、すぐに温かみが伝わるわけではないが、全身に徐々に温かみが通っていく感覚は共通している。
 そして、包容力のあるみゆきの性格を代弁するかのように、みゆきの身体はとても柔らかく、思った以上に心地よかった。
 一方のみゆきは頬を赤くさせて、
「い、いえ、私のような粗末な身体なんて……それに、その、泉さんの身体だって温かいですよ……?」
 と、謙遜した。
「いやー、でも、みゆきさんの場合……ふっかふかで……やわらかくて……あー、もう「もふもふ」ってこういうことを言うんだね」
 ややろれつが怪しい言葉を口にしながら、こなたは口元をほころばせ、本当に気持ちよさそうな表情を見せる。
 やがて胸はもう満足したのか、今度は、頭をみゆきの腿に預けて、みゆきの顔を見上げる。ちょうど膝枕の体勢である。
「もふもふ……ですか?」
 こなたが体勢を変えるのを眺めながら、みゆきはこなたの言葉の意味が分からず、問い返した。
「ふふふ、世知辛い殺伐なこの日本の世の中、今求められてるのはもふもふなのだよ、みゆきさん」
 こなたはしたり顔でそう言った。
「は、はあ。そうなんですか……」
 話をそらされ、真意を引き出すのは無理だと判断したのか、みゆきはむりやり納得することにした。というより、あんなしたり顔で言われて、みゆきにはこれ以上掘り下げる気になれなかったのだ。
 それにしても、とみゆきは思う。
「(……何だか、こうしてみると、泉さん、かわいい子供みたいですね。こんなことを申し上げたら、怒られるでしょうけど……)」
 そう思うと、自然とみゆきの口元はゆるんだ。
 無邪気に笑ってみゆきに身体を預けるこなた。そして、こなたに膝枕をしてあげて、戸惑いながらも笑っているみゆき。
 確かに、はたから見れば、まるで子供をあやす母親のようでいて、何ともほほえましい光景だった。無論当人にそんなことを言ったら、烈火のごとく怒られるだろうが。
22436-273:2008/12/31(水) 16:20:32 ID:siSqaw3l
「(私も母になれば、こうする日が来るのでしょうか……。いえ、そうでなくても……こうして泉さんといるだけで……)」
 そこまでみゆきは考えたところで、考えを払うかのように慌てて首を振った。
 何ということを考えているのか。相手は親友だというのに。みゆきはそんなことを考えていた自分に愕然とし、考えを振り払うべく、話題を転換した。
「そういえば、泉さんは……クリスマスは楽しかったですか?」
「クリスマス? ……ああ、そうだねえ。楽しかったよ。お父さん、ゆーちゃん、ゆい姉さん、それと私の四人で、深夜まで馬鹿騒ぎしてたよ。
 キリスト教信者でもないのに、キリストの誕生を祝うのはおかしい、って言う人もいるけど……まあ、楽しいからいいと思うんだよね。……みゆきさんは?」
「私ですか? 私は……母とみなみさんと、みなみさんのおばさまと祝いました。遅れて父も来ましたけど。……でも、確かにクリスマスは楽しいことに変わりはありませんね」
 記憶の糸を手繰り寄せながらみゆきはいい、そして笑った。
 しかし、みゆきの話を聞いたこなたの顔は何故か陰った。
「そうか……。でも、みゆきさんは羨ましいよ。まあ、みなみちゃんも、だけど」
 話し出したこなたの声もどこか暗い。
「え? 何故ですか?」
 何か様子がおかしいことに、みゆきは戸惑いながら聞いた。
 こなたは一瞬間をおき、空に目を転じた。まるであさっての方向を向いているかのようである。やがて、しばらくしてからこなたはゆっくりと口を開いた。
「私さ……お母さん、いないから」
「あっ」
 みゆきは小さく声をあげた。
 その声には、こなたの数少ない忌まわしい記憶を蒸し返してしまったという後悔と、また子供についての話に戻してしまったという自己嫌悪の両方が混じっていた。
「あっ、別に気を遣わなくていいよ。もう慣れちゃったからね。お母さんがいない分、お父さんが人一倍愛情を私に注いでくれたし、今はゆーちゃんもいるし……」
 こなたはそういい、小さく笑ったが、やはりどこか無理しているような笑いだった。
 みゆきはそんなこなたに、ふとした疑問が浮かんだ。しかし、それを聞いていいものか迷った。これ以上この話を蒸し返したら、こなたもさすがに嫌がるかもしれない。それが一番の懸念だった。
 しかし、みゆきはやはり聞くことにした。どうしてもさっき、こなたが「お母さん、いないから」と言ったときのこなたの目が、みゆきの脳裏にこびりついて離れなかった。
 悲しみが湛えられ、どこか遠くを見るような、そんな儚げなこなたの目が、見ているだけで心苦しかったのだ。
「……でも、やはり、お寂しいのではないですか?」
 みゆきの言葉に、こなたは、みゆきの予想に反し、拒絶も激高もしなかった。ただ、ゆっくりとモノクロームの空を見上げ、黙り込んでいるだけだった。もしかしたら亡き母に思いを馳せているのかもしれない、とみゆきは思った。
 静寂が二人を包んだ。あまりの静けさに、みゆきは何か言おうものかと、思いをめぐらせた。
 しかし、それより早く、こなたが口を開いた。
「うん……。お父さんも、ゆーちゃんも、大切な家族だよ。それと一緒に住んでいないけど、ゆい姉さんもね。でも、やっぱり……みんな、お母さん、とは違うから」
「泉さん……」
 再び重苦しい沈黙が流れた。
 みゆきは何か熱い感情がこみ上げてくるのを感じた。
「(何とかしてあげたい……でも、私なんかに出来ることはあるのでしょうか……)」
 そんなことを思いながら、みゆきはこなたの顔を見つめた。
 依然としてこなたは、空を見上げ、ぼうっとしている。
 みゆきはやりきれない思いで、今度は自分の左手を見つめた。
 この手で、何も出来ないのか。目の前のこなたの苦しみに、親友である自分は何も出来ないのだろうか。
 みゆきはこの二つの疑問を何回も反芻した。そうしてみゆきは何回も反芻し、あることを思い出した。それは、母であるゆかりから聞いた話だった。
 昔、みゆきが子供だった頃、みゆきが何か知識を披露した際に、ゆかりは良く頭を撫でて褒めていた。そんな話である。
225お天気雪:2008/12/31(水) 16:23:20 ID:siSqaw3l
「(そうです……。私では、泉さんの母親になることは出来ません。でも……その真似事だったら、出来るはずです。……やれることはやらねば)」
 みゆきはそう決心すると、右手でこなたの頭をゆっくりと撫で始めた。
「あっ……」
 こなたが声をあげたが、みゆきは気にせず、撫で続ける。撫で続けていて、みゆきは何か感じたことのない思い、感情が芽生えてくるのを感じた。それは、衝動的な何かである。
「(これを……母性本能、というのでしょうか)」
 みゆきは、その感情が何かは断定できなかったが、自分の持ちうる知識の中で当てはまると思ったのはそれ以外になかった。
 そして、一方のこなたは、抱きついてるおかげで伝わってくるみゆきの体温、そして柔らかな感触に加えて、みゆきに優しく撫でられたことで心を奪われ、完全にぼうっとしてしまっていた。
 まるでみゆきの手のひらから、温かいエネルギーが出て、こなたの心を溶かすようだった。
「(……お母さん、ってこんな感じだったのかな)」
 母のかなたは、こなたの幼き頃に逝ってしまったが、それでもこなたを胸に抱き、頭を撫でてくれたことは何度もあった。みゆきに頭を撫でられて、こなたには、その幼き頃の記憶が蘇ってくるように思えた。
 おまけに、ドク、ドク、と、早くなった自分の心臓の鼓動までを感じる。
 それだけ、みゆきに抱かれて、そしてみゆきに頭を撫でられ、こなたは気持ちよかったのだ。
「泉さん……。その……どうですか? 痛くないですか……?」
 みゆきは何も言わないこなたに不安になったのか、おずおずと聞いた。
「い、いや全然。っていうか、むしろ……その、気持ちいい」
 さすがに恥ずかしいのか、こなたは最後の部分だけ、ぼそっと呟くようにして言った。
 みゆきはそれを聞くと、
「そうですか。良かったです……」
 と、心から安堵したような表情を見せた。まるで自分のことのように安堵している。
「(……やっぱり、みゆきさんはいいお母さんになるなあ……。だから、好きだよ……)」
 こなたは口を得意のネコ口を作り、満ち足りた顔をして、そんなことを思った。
「あっ、雪です……」
 みゆきが声をあげた。こなたはその声に釣られて、空を仰ぎ見た。
 見上げると、空からは白いものが降っていたのが見えた。その声に、こなたも釣られて空を仰ぎ見る。
 見ると、確かにちらちらと雪が降り始めていた。紛う方なき雪である。気付けば、暗雲の切れ間から太陽まで出ている。お天気雪だった。
 二人は久しぶりに見る雪に、しばし目をとらわれていた。
「鷹宮の……空を飛び交う……粉雪が……こなたに降りゆき……深雪となりけり……」
 しばらくしてから、ふっとこなたがそんなことを言った。こなたが作った五七五七七の即席短歌だった。
 あまりの意外さにみゆきは驚いた表情で、こなたの顔を見る。
 すると、こなたは決まりが悪くなったのか、
「あ、あはは。やっぱり、私なんかが短歌を作っても、ダメだね……」
 そう言って、あはは、と乾いた笑いをした。
 しかし、みゆきはふっと笑い、
「……いえ。とてもお上手ですよ。少なくとも私の心には、とても染み渡りました。それも、私たち二人の名前を使うとは実に巧妙です。ちょっと遅いですが……泉さんからの、クリスマスプレゼント、ですね」
 そういい、またこなたの顔を撫で始めた。
 再び温かな感触がこなたの頭に広がる。こなたはその感触に心を奪われながらも、
「い、いやあ、そんなことないよ……」
 珍しく、本当に照れているのか、こなたは殊勝な顔つきをしてみせた。最初に抱きついたときは、こなたが主導権を握っていたはずが、今ではみゆきが主導権を握っている。
 実のところ、こなたは寂しがり屋である。それだけに、こんな風に優しくしてもらうと、参ってしまうのだろう。
 こなたは、みゆきの顔を見ているのが恥ずかしくて、空に目を転じた。恥ずかしくて、みゆきの顔を見ていられなかったのである。
226お天気雪:2008/12/31(水) 16:24:18 ID:siSqaw3l
 一方のみゆきは、あることを実行しようと決心していた。それは、今までそうすることが当たり前すぎて、変えてこなかったことだった。だが、今こそは変えなければ。みゆきはそう決心したのだ。
 みゆきはすうっと息を吸い、口を開いた。それは、本当に小さく、小さく、呟くように。
「これからも……よろしくお願いしますね。……こなたさん」
「……え? い、今、何て……?」
 うろたえるこなただったが、みゆきは人差し指をそっと自分の口に当てると、
「ふふ、秘密です」
 そういい、悪戯っぽく笑った。
「えーっ。教えてくれたっていいじゃん、みゆきさーん!」
 こなたはそう言って、みゆきの胸を両手の拳でどんどんと叩いた。ただし、あくまでも優しくである。
 それに対し、みゆきはただ笑ってごまかすだけだった。
 どんなに叩き続けても、言ってくれないみゆきに、こなたは口を尖らせ、
「も、もういいよ! みゆきさんなんて、大っ嫌い!」
 そっぽを向いて、ふん、と鼻を鳴らした。
「あらあら」
 しかし、みゆきはそう言って、慈しみに富んだ視線を送るだけだった。
 それはさながら、機嫌を損ねた子供と、それでもあくまで子供をかわいがる母親のようだった。
 みゆきはあくまで冷静だった。しかし、いたずらも過ぎたな、とみゆきは思い、もう一度呼んであげることにする。
「こなたさん」
「ん……な、何?」
 またもやみゆきに名前で呼ばれて、こなたは顔を赤くしながら聞いた。
「大好きですよ」
「……!!」
 耳まで顔を赤くしたこなたを、みゆきはさらに強い力で抱きしめた。
22736-273:2008/12/31(水) 16:25:04 ID:siSqaw3l
以上です。
途中まで、タイトルを書き忘れてました。すみません。タイトルは「お天気雪」です。

本当は、かがゆきの続編を書かなきゃいけないんですが、年が終わるまでにどうしても書きあげてしまいたくなったので、今回はこなゆきです。
蛇足なので本文中には書きませんでしたが、多分柊姉妹は、空気を読んで、どこかで息を殺して「あの二人、仲がいいね」などと話し合っているのでしょう。

それでは今年も残りわずかですが、皆さん、よいお年を。来る新年が皆さんにとってよき年になりますことを心よりお祈り申し上げます。
228名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 18:03:21 ID:U/OLjo6f
>>227
ぐっじょぶ!
大晦日に素敵なSSをありがとうございました。

今回のみゆきさんは、こなたのお母さんのような役回りでしたね。
こなたを想うみゆきさんの優しい気持ちがじんわりと伝わってきました。
それと、こなたが短歌を詠むシーンは、かなり意表を突かれました。
詩情が醸し出されており、すごく良かったと思います。
229名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 19:50:19 ID:+8zGUqit
>>227
大晦日にいいお話ありがとう。
みゆきさんの愛に途中で涙が出そうになりました。
230名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 22:18:21 ID:+47uacy/
GJ!
やっぱりみゆきさんは母性溢れる姿がよく似合う…実に良い
231名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 22:45:54 ID:0METhjmY
>>227
胸に染み入るお話ありがとうございます。
二人の会話に割り込めずに困っている柊姉妹の姿まで見えるようです。


さて、こなた×みゆきといえば、アレですね。
もはや使う人もいなくなりましたが、今年の締めにやっておきますかw



こなああああああゆきいいいいいい!

(゚Д゚)ねぇ
232名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 23:59:30 ID:yMhWZxf6
お前らよいお年を
233名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 00:07:04 ID:E5HTBXtS
明けましておめでとう!
さて、今年はSSたくさん書くぞ〜
23423-251 ◆5xcwYYpqtk :2009/01/01(木) 00:18:58 ID:99MhpRAo
あけましておめでとうございます。
今年は、皆様にとって、そしてスレにとって良き一年となりますように。
個人的には、緊張感のある話を書きたいですね。
235名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 00:43:40 ID:mlbI4uDk
今年は、三が日の間に鷲宮に行こうかなと思っていたり。でも交通費がorz
236 【大吉】 【309円】 :2009/01/01(木) 00:48:20 ID:J6+VZnss
>>235
自転車にキャンプ道具を積んでry


遅れましたが、明けましておめでとうございます。
237 【豚】 【1014円】 :2009/01/01(木) 00:58:47 ID:Xct/Cfnb
あけおめ〜。
しばらく投下してないから、今年はたくさん書きたいね〜。
よろしくお願いします。
238名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:00:55 ID:GR9U6QzH
あけましておめでとうございます。
ということで新年のお祝いにおそらく>>222の元ネタであろう絵を貼っときます。

http://luckystar.matome.org/x/?ls0873.jpg

今年もこのスレで素晴らしいSSに出会えることを期待しています。
239名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:03:39 ID:Xct/Cfnb
忘れてた。
>>227
GJでした!
240LD:2009/01/01(木) 02:18:53 ID:DQ3hS+nb
Happy new year!
今年も楽しい一年でありますように♪

それにしても……X'masSSが書き上がりません><
241 【中吉】   ◆MoiSlbQnQw :2009/01/01(木) 08:27:41 ID:mlbI4uDk
コテをつけて大丈夫そうなふいんき(ry)なので、この状態で改めて。

皆様、あけましておめでとうございます。どうか今年もよろしくお願いいたします。

>>236
いやいや、コミケにも最近行ってないのにそんな体力はないですって。
でも実際、場所的には近いんデスヨ?(俺の所在地=ななこセンセーの生まれ)
242!kuji 【1791円】 20-612 ◆xdkSnUtymI :2009/01/01(木) 09:09:12 ID:XCIeFwtN
しばらくぶりにコテをつけてみるw


みなさま、あけましておめでとうございます。

しばらく他スレに出張中(w)ではありますが、
こちらにも機会があり次第投下したいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
243名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 15:00:29 ID:Ipa8abOH
まっ!
244名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 15:01:23 ID:dLSkgskL
あけましておめでとうございます。
最近は暗いニュースばかりで気が滅入りますが、それを吹き飛ばすくらいの素晴らしいSSを期待しております。
皆様にとって本年がよいお年になりますことを祈るのみです。
24517-234:2009/01/01(木) 21:24:16 ID:NmiFEIxu
あけましておめでとうございます!
実は環境が大きく変わりまして、
投下する回数もほとんどなくなってしまうかもしれませんが、
たまに投下したときは、生暖かい目で見ててくださいw
書きかけのSS(2つ)はいつ出来るのか…w
あき白スキーもっと増えろ!(叫)
今年も宜しくお願いします!
246名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 22:32:16 ID:99MhpRAo
明けましておめでとうございます。
投下準備される方がいなければ、投下いたします。
24723-251 ◆5xcwYYpqtk :2009/01/01(木) 22:44:52 ID:99MhpRAo
「見えない牢獄」

こなた×ゆたか+ふゆき

注意事項

・エロあり
・ダーク
・10レス程度使用
・一話完結もの
248見えない牢獄 1/10:2009/01/01(木) 22:46:32 ID:99MhpRAo
 放課後、待ち合わせの場所と決めてある廊下の端で佇んでいると、教室の扉が開いた。
「お姉ちゃんごめんね。待たせちゃって」
 ゆーちゃんは私の顔を認めると、小さくはにかんだ。
 鞄を握りしめていた手を思わず離しそうになるくらい可愛くて、自然と鼓動が速まっていく。
「ううん。待ってないよ」
「ありがとう」
 ゆーちゃんは、小さな身体をぴったりと寄せて、掌をぎゅっと握ってくる。
「お姉ちゃんの掌。とても温かいね」
「そだね」
 幸せそうに微笑むゆーちゃんを、とても愛しく感じる。
 同時に、女の子同士が手を繋いでベタベタとくっついている姿を、先生に見咎められないか、
生徒達の噂にならないか等、周囲の反応が気になってしまう。

 しかし、私は、ゆーちゃんから身体を離すことはできない。
 つぶらな瞳に悲しみの色を湛えながら、再び少しずつ距離を詰めてくる時の、
猛烈な罪悪感を味わうのは二度とごめんだ。
 そして、ゆーちゃんと別れるという選択肢は存在しない。ゆーちゃんの悲しみは私の悲しみだからだ。

(ほんとうにそれで良いの? )
 心の奥から聞こえる別の声を無理やり消す。
 ゆーちゃんは私がいないと駄目だ。私しか華奢で脆い少女を守る人はいない。

(本当に私だけ? )
 疑惑が胸をよぎると同時に、鷹のような目をした女の子の姿が脳裏に浮かぶ。
 一年生の、岩崎みなみちゃんだ。
 彼女は、ゆーちゃんクラスメイトで、かつ親友で、ゆーちゃんのことを本気で狙っている。
 みなみちゃんの存在は、時折ぐらつく私の気持ちを固め直してくれる。
 ゆーちゃんを、みなみちゃんなんかに渡してはいけない。
 決して、付け入る隙を与えてはいけないのだ。
249見えない牢獄 2/10:2009/01/01(木) 22:47:12 ID:99MhpRAo
 保健室の扉を開けると、養護教諭の天原先生の姿はなかった。
「誰もいないね」
「うん」
 形だけの会話を交わす。
 今の時間帯は、職員会議が開かれているから、天原先生はいないことは二人とも既に分かっている。

 私達は、微かに薬品の匂いを嗅ぎながら奥に進んでいく。
 一番奥にあるベッドに入り、カーテンを閉める。
 私は、会ってからずっと、悲しそうな顔をしているゆーちゃんに問いかけた。

「あのさ。ゆーちゃん」
「なあに? 」
「今日、何かあったの? 」
 気まずい沈黙が長く続いた後、ゆーちゃんはぽつりと言った。

「かがみ先輩に会ったの」
「かがみに、何か言われたの? 」
「お姉ちゃんの相手にはふさわしくないから、別れろって」
 ゆーちゃんは消え入りそうな声を出した。
 内なる感情を抑えきれなくなったのか、大きな瞳から涙が次々と溢れ出してしまう。

「私、何もしていないのに、どうして、そんなひどいことを言うの? 」
 かがみの言葉は、ゆーちゃんの傷つきやすい心を切り刻んでしまった。

 ゆーちゃんは私のことが好きで、私は彼女を受け入れた。
 誰からも文句を言われる筋合いはないという、ゆーちゃんの訴えは正しい。

「でも、ふたりだけで世界が構成されている訳でもないよ」
 私は、小さくかぶりを振りながら言った。
 一方的にかがみ達が間違っているかと言われれば、実はそうとはいいきれない。
 私達は皆、家族、クラスメイト、先生、先輩、後輩、近所の人など、多くの人の輪の中で生きている。
 複雑な人の輪の中に組み込まれて、互いに協力をしながら、社会と呼ばれる周囲と調和して、
日々の生活を送らなければならない。
 私とゆーちゃんは、決して二人だけで生きることはできない。
250見えない牢獄 3/10:2009/01/01(木) 22:47:48 ID:99MhpRAo
 女の子同士の恋愛を理解してくれる人は少ない。
 近親者同士の恋愛を認めてくれる人は更に少ない。
 私とゆーちゃんの関係はアブノーマル中の、アブノーマルだ。
 調和を重んじるこの社会は、私達のような異分子を発見すると、今日のかがみのように問答無用で排除にかかるのだ。

「こなたお姉ちゃんと私は付き合わない方がいいの? 」
 つぶらな瞳に大粒の涙をためて、ゆーちゃんは必死で訴える。
「ううん。そんなことないよ」
 首を横に振ってから、私は言葉を付け加えた。
「私達の関係は、他人には歓迎されないというだけだよ」
 果たして、ゆーちゃんと手を繋ぎながら、他の皆と調和する道はあるのだろうか?

「お姉ちゃん? 」
 気が付くとゆーちゃんの顔が間近に迫っていた。
 睫毛の先が触れそうな程の距離で、ゆーちゃんの上目遣いを目の当たりにしてしまう。
 ゆーちゃんはあまりにも可愛くて、儚くて、壊れやすくて、私はすっかりと虜になっていた。
「ううん。なんでもないよ」
 私は、不安げな表情を浮かべたまま、見つめている従姉妹に向けて微笑んでみせる。
 ゆーちゃんが私のモノになるならば、どんな代償を払っても惜しくはない。
「こなたお姉ちゃん。大好きだよ」
 ゆーちゃんは瞼を閉じて、小さな唇を寄せる。同時に細い腕が首に絡みつく。
「私も、だよ」
 二人の唇が、ゆっくりと重ね合わされた。

「んっ」
 ゆーちゃんは少しだけえづいてから、舌を中に入れてくる。
「んくぅ、んんっ」
 私は喉を鳴らした。ほんの少しだけ甘い唾液が流れ込んできて、ゆっくりと混ざり、溶けあっていく。
 私も呼応するように舌端を伸ばして、ゆーちゃんの舌に絡みつく。
「ひゃうっ」
 可愛い声で喘ぎながら、ゆーちゃんは爪を立てて、背中をひっかいてくる。
 微かな痛みが、ゆーちゃんの心の軋みを表している。

「いいよね」
 私はキスをしたまま、ゆーちゃんの背中に片手をまわして、ゆっくりと押し倒す。
「うん」
 少女は頬を赤く染めて小さく呟いた。
「ゆーちゃん。脱がすからね」
 私は、とても柔らかい唇から、少しだけ離して言った。
251見えない牢獄 4/10:2009/01/01(木) 22:48:22 ID:99MhpRAo
 美少女ゲームで、萌えキャラの服を脱がすシーンは興奮するけれど、
ゆーちゃんの場合は、加えて非常に強い背徳感に襲われる。

「うん。いいよ」
 ゆーちゃんが頷くのを確認してから、スカーフをゆっくりと抜き取る。
 皺にならないように、脇のチャックをあげてから、セーラーの裾を掴む。
「ゆーちゃん。手をあげて」
「う、うん」
 セーラーを脱がすと、透きとおるような白い肌と、控えめな胸を包んだブラが視界に飛び込む。
「少し、寒いかな」
 小さく声をあげながら震える少女の素肌を、ゆっくりと撫で始める。 
「ひゃ」
 ゆーちゃんが小さくあえいだ。

 鈴の鳴るような声色が、劣情をかきたてる。
「ん、んむぅ」
 軽い口づけをかわしながら背中に手を回し、ブラのホックを外す。
「は、はずかしいよう」
「ふふ。恥じらうゆーちゃんは萌えるねえ」
 私は薄く笑いながら、飾り気の無いブラを取り払うと、ふくらみかけの乳房と、
固くなった突起が外気に晒された。

「や、やだあ」
 恥ずかしい姿を凝視されたゆーちゃんは、顔をそむけながらお願いをする。
「お姉ちゃん、あんまり見ないでよう」

「嘘」
 私はにべもなく断る。
「ど、どうして? 」
 私は、困惑するゆーちゃんに、意地悪そうな笑みを浮かべて断言した。
「本当は裸を見られたいんだよね。ゆーちゃんは他人に見られる方が興奮するんだよね」
「ち、違うよ! 」
 否定するゆーちゃんをあざ笑うように、私はスカートのホックを外した。
252見えない牢獄 5/10:2009/01/01(木) 22:49:03 ID:99MhpRAo
「お、おねえちゃん? 」
 戸惑う少女に構わず、スカートをあっさりと脱がして、太腿と下着を露出させる。
 カーテンの隙間から西に沈みつつある夕陽が差し込み、ゆーちゃんの素肌は朱に染まる。
 私は、天使が堕ちる瞬間を目撃したような感覚に襲われて、喉を大きく鳴らした。

「そろそろ触るからね」
 ショーツだけになったゆーちゃんの肢体を堪能してから、私はゆっくりと胸に手を伸ばした。
「んっ、くう」
 小さな乳房の感触を楽しみながら、円を描くように愛撫を加える。
 ゆーちゃんの肌は、とてもきめ細かくて弾力性がある。
「んあっ、んああ」
 胸を丹念になでていくと、ゆーちゃんは愛苦しい顔をゆがめながら喘ぎ出した。
「ゆーちゃん。すごく固くなっている」
 固くて大きく膨らんだ乳首を見つめながら囁く。
「やだ、いわないで」
 ゆーちゃんは恥ずかしそうに顔を紅潮させてから、首を振った。

「もう少し大きくしようね」
「えっ? 」
 戸惑う表情を愉しみながら、私は舌を伸ばして突起に触れる。
「んんっ! 」
 くぐもった悲鳴をあげて、弓なりに背中をのけぞらせる。
「お、おねえちゃん! 」
 狼狽する少女を横目に、私は舌端を伸ばして、乳首をゆっくりと転がして押しつぶす。
「や、やだあっ」
 ゆーちゃんの喘ぎ声は、ギャルゲの声優さんより遥かに萌え要素が強い。
 激しくよがらせて、犯罪的に可愛い声をもっと聞きたくなってしまう。

 私は、少女の乳首に歯をあてて、軽く噛んだ。
「ひゃあああっ」
 ゆーちゃんの甲高い悲鳴が保健室に響き渡った。
253見えない牢獄 6/10:2009/01/01(木) 22:50:30 ID:99MhpRAo
「あんまり大きな声をあげると、廊下にまで聞こえちゃうよ」
「だって、お姉ちゃんがいじわるするから」
 ゆーちゃんは、悔しそうな視線を私に向けてくる。

「ふうん。ひとのせいにするんだ」
 冷やかに言ってから、唯一残されたショーツに手を伸ばす。
「かなりぐしょぐしょに濡れているねえ」
「やだっ、そんなこと言わないでよ」
 ゆーちゃんは瞳に涙をためながら、精一杯抗議するのだけれど、今の私に対しては効果がない。
「でも、べったりと濡れているのは事実だよ」
 ゆーちゃんの目の前で、愛液で濡れた指をかざしてみせる。
「お姉ちゃんのばかっ! 」
 ゆーちゃんは顔を真っ赤にして怒りだす。
「ふふ。怒ったゆーちゃんも可愛いねえ」
 ほとんど中年のおじさんのようなノリで言い放つと、指をゆっくりと伸ばして、白地のショーツをなぞる。

「お、お姉ちゃん? 」
 ゆーちゃんは、これから起こることへの不安と期待を表に出している。
「ゆーちゃんは、えっちなことが嫌い? 」
 私は、下着に指に置いたまま、全く動かさない。

「ど、どうして? 」
 てっきり、愛撫をされるものばかりと思っていたゆーちゃんは、予想外のじらしに戸惑っている。

 私は、困惑する少女を尻目に、小さな唇を軽く吸っていく。
「ん、んくぅ」
 微かに唇を合わせる音が耳朶に届く。
「んんっ、ふあっ」
 ゆーちゃんは喘ぎながら、少しでも快感を得ようと太腿を何度も擦り合わせるけれど、
到底、満足できないはずだ。

「ん、んんっ」
 私は、身体をくねらせながら、快感を得る為に懸命に頑張っているゆーちゃんをじっくりと観察する。
 形の良い眉を寄せ、歯をぎゅっと食いしばって、けなげに耐えているけれど、もう限界だろう。

「お、おねえちゃん」
 間もなく、我慢ができなくなったゆーちゃんが、こわばった顔に笑みをつくって、甘えた声を出した。
「こなたお姉ちゃん。触って」
「どこを?」
 しかし、私はそっけない言葉を返す。

「あ、あの、私の、は、恥ずかしいところ」
 ゆーちゃんの顔はゆでたこのように赤くなっている。
「恥ずかしいって? 」
 いじわるな私が更にじらすと、ついにゆーちゃんは、卑猥な言葉を紡ぎ出した。

「あ、あの、わ、私のオ、オ○ンコをさわってください」
「ゆーちゃんは、本当にかわいいねえ」
 私は満足そうにうなずいて、ひどく濡れた下着に、置いた指を動かし始めた。
254見えない牢獄 7/10:2009/01/01(木) 22:51:12 ID:99MhpRAo
「ひゃ、ひゃん」
 愛液による染みで浮き出た割れ目に沿って、指を滑らせていく。
「あっ、んああっ、くう」
 リズミカルな喘ぎ声をあげながら、ゆーちゃんのみずみずしい身体が何度も跳ねる。
「んひゃ、あう、んあああっ」
 下着と愛液が擦れ合う、卑猥な音を奏でながら、ゆーちゃんは鳴いた。
「ふあっ、はうっ、ひゃあん」
 刺激を受ける度によがる、少女の痴態を見つめていると、私もだんだん
イヤラシイ気持ちを抑えられなくなってしまう。

「ゆーちゃん、私、もう我慢できないよ」
「お、おねえちゃん」
 私はセーラー服を脱ぎ捨て、スカートも床に落とす。ブラも外してゆーちゃんと同じ恰好になる。
「下着、脱がしてくれるかな」
「う、うん」
 ショーツを脱がしてもらい裸になると、流石に恥ずかしくなる。

「お、おねえちゃん、私もお願い」
 ゆーちゃんは腰を浮かせておねだりをする。
「うん。いいよ」
 ゆーちゃんの下着はもうぐっしょりと濡れており、クロッチのあたりは溢れた粘液が糸を引いている。
「すごくえっちだよ」
 私はすっかり興奮してしまい、ドロドロになった下着を見つめて囁く。
「や、やだっ」
 少女は悲鳴をあげるが、構うことなく愛液で濡れてしまった下着を脱がすと、
ゆーちゃんも生まれたままの姿となる。

「ゆーちゃん。足、開いて」
「こ、こうかな」
 私は自分自身のアソコを、ゆーちゃんの太腿の間に割り込ませた。
「動かすからね」
「う、うん」
 二人は向かい合ったまま、両手をベッドについて身体を支える。
「ん、くうん」
 股間を擦り合わせながら、私はちいさく呻いた。
 大切なところが擦れ合う度に、快感が加速度的に高まっていく。
255見えない牢獄 8/10:2009/01/01(木) 22:51:48 ID:99MhpRAo
 ぐちゅ、ぐちゅっ
 腰を動かす度に、卑猥な音が周囲に響き渡る。
「あっ、んああっ」
 ゆーちゃんが背中を大きくそらして、喘ぎ声をあげる。
「んんっ、んあっ」
 小さな胸を微かに揺らしながら、悩ましく腰を振って悶える姿はひどく扇情的だ。
 私もすっかり欲情してしまい、喘ぎ声を抑えることはできない。

「おねえちゃん、わたし、んあ、わたしっ」
 ゆーちゃんは、全身から汗を噴き出しながら、悩ましげに身体をくねらせる。
 あえぎ声をあげ続けている口元からは、はしたなく涎が零れてしまっている。

「んんっ、んはあっ」
 淫らによがるゆーちゃんと歩調を合わせるように、私も昂っていく。
「はっ、はっ、はあっ」
 ゆーちゃんは細かい間隔で呼吸を繰り返しながら、切なそうな声を出す。
「気持ちいい、きもちいいよお」
 シーツをギュッと握りしめながら、アソコの割れ目を私に押し付けて鳴く。
 激しい性交を繰り返していくうちに、少女のリボンが外れて髪が乱れる。

「はう、おねえちゃん、もう、いっちゃう、いっちゃうよお」
 ぐちゃぐちゃと粘り気のある愛液が擦れ合う音を奏でながら、二人は動きを速めていく。
「んふう、ゆーちゃん、こっちも、いきそう」
 幼児体型をくねらせて、淫らによがるゆーちゃんは、あまりにもエロすぎる。
「はうっ、おねえちゃん、だめ、もう、ダメだよう」
 激しくなる一方の愛撫によって、私達の限界は急速に迫ってくる。

「あああっ、ダメ、もう、いっちゃう、はあっ、はああっ、はあああああ! 」
「んくう、だめ、んはあ、ふあああ、んああああ! 」
 ゆーちゃんと私は、小刻みに身体を震わせながら絶叫し、快楽の頂きを一気に駆け上がった。

「はあっ、はあっ」
 二人は短い呼吸を何度も繰り返して、次第に収まる性感の余韻を味わっている。
「お、おねえちゃん」
 全身を汗みずくになったゆーちゃんが、私の存在を確かめるようにぎゅっと握りしめる。
「お姉ちゃん。私、私」
 ゆーちゃんは切なそうな表情を浮かべながら、私の耳元で囁いた。
「幸せだよ」
「私も、だよ」
 少なくとも今だけは、私とゆーちゃんは深く繋がっていると信じることができた。
256見えない牢獄 9/10:2009/01/01(木) 22:52:55 ID:99MhpRAo
「そろそろ帰ろうか」
「うん。こなたお姉ちゃん」
 脱いだ制服を集めて、再び身に纏ってから、ベッドを囲んでいるカーテンを開けた直後、私は硬直する。

「泉さん、小早川さん」
 白衣を着た美人教師がカーテンの向こう側に立って、悲しげに見つめている。

「先生、会議なのでは? 」
 喉がからからに乾く。
「今日は中止となりました。そんなことより」

 天原先生は、整った顔立ちに深い憂いの色を湛えながら、私達の傍まで歩み寄り、叱りつけるように言った。
「保健室でこんなことをするのはやめてください」
「あ、あの、そのですね」
 私がしどろもどろに言い訳をしようすると、隣に立っていたゆーちゃんが一歩前に出る。
「ゆ、ゆーちゃん? 」
 戸惑う私に構うことなく、ゆーちゃんは表情を変えないまま、冷たく言い放った。

「他の先生方に報告しても構いません」
「ちょっ、待って! 」
 私は、慌てて止めようとするが、ゆーちゃんは平然として言葉を紡ぎ続ける。

「天原先生と桜庭先生も、私たちと同じことをしていましたよね」
 ゆーちゃんは一旦、言葉を切ってから決定的な一言を付け加えた。
「この保健室で」
 
 私は、唖然として養護教諭の顔を見上げると、彼女は明らかに青ざめている。
「もし、私が小早川さん達の行為を他人に明かしたら、私達の関係も暴露するという訳ですね」
 天原先生は、青い顔をしたまま言った。
 しかし、ゆーちゃんは普段の何処かおどおどした感じは微塵もなく、冷やかな視線を天原先生に
浴びせることによって、無言のプレッシャーを加え続けている。
257見えない牢獄 10/10:2009/01/01(木) 22:54:39 ID:99MhpRAo
「分かりました。小早川さん」
 結局、圧力に耐えきれなかった天原先生は、ゆーちゃんに屈することになった。
「ありがとうございます。天原先生」
 天原先生とゆーちゃんの、白刃を擦り合わせるようなやり取りを、私は呆然と眺めている。

「今回は見逃してあげます。しかし」
 天原先生の声は震えている。
 人の良さそうな先生が憤怒を懸命に堪えている姿はみているだけで恐ろしい。
 しばらく、ゆーちゃんを睨みつけていた天原先生は、氷のような表情をたたえたまま、
吐き捨てるように警告する。
「私と桜庭先生以外の誰かに見られたら、あなたは終わりですからね」

「ええ。分かっています」
 ゆーちゃんは平然と言い切って、私の掌を握りしめた。
「行こう。こなたお姉ちゃん」
「う、うん」
 私は半ば引っ張られる様にして保健室を後にする。
 ゆーちゃんが大人しいだけの子というのは偽りだ。
 そして、分厚い猫の皮をかぶっていることに今まで気づかなかった私は、とんでもない愚か者だった。

「こなたお姉ちゃん」
「な、なにかな」
 平静を装ったつもりでも、声が上ずってしまう。
「こなたお姉ちゃんは、私の全てだよ」
 寄り添う身体も、握りしめられた掌もひどく熱い。
 私は急に息苦しくなって、もう一方の手で胸の上をかきむしった。

(了)
25823-251 ◆5xcwYYpqtk :2009/01/01(木) 23:02:59 ID:99MhpRAo
以上です。
読んで頂いた方、ありがとうございました。
今年も多くの方が投下されるSSを、読むことができることを楽しみにしております。
259名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 00:36:36 ID:z7ioKCkX
>>258
一番槍GJ!
260 ◆b5Wvz/nkes :2009/01/02(金) 13:33:10 ID:0z5UYuNN
はじめまして。投下します。

『可能性 〜 こなたとみのるの場合』

・エロなし
・あまあま
・4レス程度使用
・一話完結
261 ◆b5Wvz/nkes :2009/01/02(金) 13:39:54 ID:0z5UYuNN
『可能性 〜 こなたとみのるの場合』

こなたです。今、卒業式後のホームルームも終わって、ようやく自由な時間になった頃です。
私はこんな感動的な日でも、セバスチャンに思わず抱きつきたくなってしまってます。

「うぃ〜。セバスチャン、卒業おめでとう」
「泉さんも卒業おめでとうっす。ところで、これからどうされるんですか?」
「私?そうだねぇ……」

私は深く考えていると見せかけて、突然白石みのる君…じゃなくって、セバスチャンに思いっきり抱きつきました。う〜ん、この暖かさを感じると、一日中そばにして欲しいなっていう思いしか感じ取れなくなってしまう。
あ、私とセバスチャンはとりあえず彼氏・彼女っぽい感じの関係柄です。友達以上恋人未満って言う形で。あいつは抱きつかれるとちょっと嫌な顔をすることはあるけどね。

「卒業生と黒井先生が見ている中で抱きつかないでください。恐ろしいほど恥ずかしいしマナー違反だって」
「でもしっかりと腕で抱きしめてたじゃん。本当は好きで好きで仕方がない癖に」

そんな私たち二人の会話を冷めた…というか、何となく生暖かい視線で見守ってくれる卒業生たちと黒井先生。まぁ、自業自得だよね。セバスチャンの事が好きなばかりに、そして私もあいつの暖かさが欲しくて、無理矢理抱きついたわけだし…。

「泉、白石。ホームルーム後であることは差し引いても、教室で何やっとるんか!」
「は〜い、セバスチャンとデートの申し込みで〜す」
「で、ですから、こんな強引なデートの申し込み方はないですよ。皆さん、最後の最後までご迷惑をかけてすみませんでした」

「でも結構ラブラブだよね〜」
「本当は、泉は白石に告白されて欲しいんじゃないのか?」
「期待に応えてやれよ、白石!」
「白石さん、ほら、あなたにとって一生に一度あるかどうかのチャンスだと思いませんか?」

ものの見事に『白石、告白してしまえ』という雰囲気に変貌する教室内。実は私も…告白してキスして欲しいなとは思ってるけど。
実際、抱きしめてくれたことは幾たびもあるけど、キスまではやってくれない…というよりも、やってないんだよね。

「泉さん…どうします?」
「白石、どうするもこうするもないやろ?告白して泉の回答が出るまでは帰らせまへん!」
「……」
「白石、早く告白するんや!男なら人前の告白もできるやろ?」
「できるできないはともかく、泉さんが、泉さんが…」

顔を紅潮させて、言葉がばったりと出なくなるセバスチャン。ほら、早く私に告白してよ。告白しなきゃ、前に進まないでしょ。あらゆる意味で。
262 ◆b5Wvz/nkes :2009/01/02(金) 13:42:35 ID:0z5UYuNN
「セバスチャン」
「えぇと…俺は、俺は…」
「はよ泉の期待に答えな」
「泉こなたの事が、事が……好きです!」
「よく言ってくれました!私もセバスチャン…じゃなくって、みのる君の事が好きです!」

お〜、ようやく言ってくれましたねセバスチャン。ま、まぁ、人前で、しかも先生が居るところで告白されるのも…すごく恥ずかしいんだけど。でも自業自得です。私の好きな人に強引に告白されて欲しかったからね…。

「よかったやないか白石。芸能界か演劇界でも自慢できるで?」
「黒井先生、あまり馬鹿なことは言わないでくださいよ。そもそも先生が言うレベルの発言じゃないですし」
「それはすみまへん。やけど、テレビドラマや演劇では結構演技レベルの問われるシーンやで?」
「分かってます」

先生とのやりとりに少し呆れながらも真面目に答えているセバスチャン。やっぱ、こいつっていい奴だよね〜。ずっとずっと、私のそばにいてくれたら本当に嬉しいんだけど…。
あ、『ずっとそばに』というのは、家にいるときとか、デートしている場合だけど。

「セバスチャン」
「もぅ…迷惑かけるなよ」

そう言うと、セバスチャンは私を優しく机に座らせてくれました。こうもしないと、私は背が低いから、あいつとは思いっきり背伸びしないとキスできないからね〜。

「もう分かってると思うけどさ…キスしよ?私にとっても、君にとってもはじめてのキスをさ」
「そ、そ、そ、それは無理!学校という場でキスなんて俺には多分できない!絶対できない!恥ずかしい!」
「じゃあ、なんで机の上に座らせたのかな?かな?」
「そ、それは……俺もキスしたいと思っているからです」
「白石、嘘つきやんけ!正々堂々と告白したなら、正々堂々と人前でキスできるやろ?」

「早くキスしてしまえ!泉と白石!」
「こなちゃんと白石くんの優しいキスが見てみたいな」
「芸能人志望なら、人前のキスとかスキャンダルに耐性がないといけないだろ?」
「白石、ほら、言い訳考えてる暇があったらさっさとキスするの!カップル誕生を私たちは祝ってるんだから。早くしないと『オネエサンイカッチャウゾ』するわよ?」

…と、次々と白石に襲いかかってくるキスへの催促。セバスチャンもこの瞬間はいろいろと大変だろうねぇ…。私もすごくドキドキしてるんだけどさ。

「泉さん」
「『こなちゃん』って呼んでくれなきゃ、やだよ……」
「わ、分かった。こなちゃん!」
「セバスチャン!」
「こ、こう言うのも、恥ずかしいんだけどな…」
「セバスチャンもね…」
「こなちゃん、キスしようか?覚悟は決めたし、どうせ学校内の出来事だし、…それに、どうせマイナーな芸能人の恋愛ゴシップなんて、ブレイクしない限りはスルーされるのがオチだと思うし」
「そうだよ、それだよ。セバスチャンは素直になって、初めからそう言えば良かったのに!」

もう私の頭の中は、セバスチャンとのファーストキスの事で頭が一杯になってました。先生が見ているのも、卒業生達がその光景を期待しつつ見守っているのも、私にとってはどうでもよかったんです。はい。
263 ◆b5Wvz/nkes :2009/01/02(金) 13:45:11 ID:0z5UYuNN
「さぁ、いよいよカップル成立シーンのはじまりや!」
「黒井先生、いくらなんでもハメを外しすぎです。躊躇してくださいよ」
「す…すみまへん」

セバスチャン、先生をなだめてしまいました。この状況だとどっちが本当の先生なのか見当も付かないね、これは。
…で、いよいよキスすることになりました。教室内の周りのクラスの卒業生たちに、窓際から見守る他のクラスの卒業生たちのざわめきも加わって、逃げることは出来ない状況だったりします。

「こなちゃん…」
「セバスチャン…」
「ずっと…とは言わないし、物理的にもダメだけど、休日や祝日の時はそばにいるよ」
「私も…その時だけは甘えさせて欲しいな。あんまり勉強だけするのも私には無理な話だし、オタク趣味があるってことはセバスチャンも分かってることだし。…けど、そろそろそれも終わりにしないといけないかも」
「いや、こなちゃんはオタ趣味を続けた方が結構いいかも知れないぞ?」
「な、何言ってるのよセバスチャン。けど…」
「けど?」
「いずれは結婚して、何回も身体を重ね合って子供を作って、幸せな家族を作って行くのも、私とセバスチャンの使命だと思うよ?」
「ば、ばか!こんな年齢からなんで大人の話を言ってるんだよ!」
「私はできることなら子供を二人くらいは儲けたいな〜」
「…………」

と、セバスチャンが顔を真っ赤にしていたその隙に、私は少し強引にセバスチャンを引き寄せ、唇を重ね合わせました。じっくりと…じゃないけど、初めてのキスということで、ちょっとだけ唇を重ねる形で。
『キスして欲しい』と言いながら、実際の初めては私の方から仕掛けることになっちゃったのは…成り行きだからどうでもいいことにして。

「…ううぅ」
「ファーストキス、どうだった?」
「だからなぁ…、恥ずかしい話して隙を見て強引にキスするなっつーの!」
「えへへへっ。ごめんごめ〜ん」
「もう…いい加減にしろよな」

もうこの後は言わなくても分かりますよね。互いの身体を密着させて、じっくりとキスしました。
セバスチャンも、さっきはあんなに厳しいことを言ってたけど、キスした途端に私の髪を撫でてくれたりして、本当は優しいのだな…って、改めてそう思いました。
「私はこれからもずっと、セバスチャンを愛してるよ!けど他の女の子に手を出したら、容赦しないんだから気を付けなさい!」と言うこと。
大切にしたい人がいるっていうのは、私も本当に嬉しいものなのですよ、はい。
264 ◆b5Wvz/nkes :2009/01/02(金) 13:48:02 ID:0z5UYuNN
「…俺はこれからもいろいろ大変なことや、嬉しいことがあると思うけど、こなちゃんがいれば乗り越えられると思う。一流の芸能人になれるとは限らないし、もしかしたら別の道に進むかも知れないけど…」
「セバスチャン、その台詞は全然君に似合ってない!言い直し!」
「泉、白石も精一杯お前のために言ってんやから…。少しくらいは空気読みなはれ」
「こなちゃん、空気くらい読んでくれよ?」

「先ほどの泉さんと白石さんのキスはアツアツでしたわね…。柔らかい感じの抱擁もなんとなく、俳優を目指そうとする白石さんらしい感じでした」
「でも、こなたも少しは空気を読んで欲しかったわ。そういや私も…セバスチャンみたいな人に抱きしめられて欲しいなぁ」
「お姉ちゃん!」
「べ、別に…願望くらいは言ってもいいと思うけど」
「けど、お姉ちゃんにもきっといい人はできると思うよ。セバスチャンみたいな『王子様』がね」
「ひ、一言多いわよ……」

「ひゅーひゅー!このバカップルめが!」
「お、俺は別に悔しくも悲しくもないからな!幸せにしろよ白石!」
「というか君、オタク趣味があったから、泉さんの事が好きだったの?」
「そ、そんなことはねーぞ!」
「あんな事を言っている時点でバレバレだけどね」
「そんなのはどーでもいい!」
「ま、泉さんも白石君もお幸せにね!」

こうして、ちょっと邪魔をしちゃった感はあるけど、私はセバスチャンと無事に結ばれた訳です。
なんだかんだで、これから大学生活を送る私と芸能界で一生懸命に頑張ろうとしている彼との間に、見えない壁や微妙な距離感ができるんだろうけど、私はそんなのは乗り越えられると思ってます。
まぁ、『子供を二人くらいは儲けたい』と言った以上、セバスチャンと結婚して子供を産んで、幸せな家庭を築きたいのは確かなんだけど。

「セバスチャン、明日はアキバへ一緒に行こうよ」
「もちろん行くに決まってるだろ?こなちゃん!」
「その代わり、明日はずっと私の隣にいて欲しいんだけど」
「えっと…俺かこなちゃんがトイレに行ってる時も?」
「別にいいよ、私やセバスだってマナーとかモラルはちゃんと守ってるからね!」
「だよな」
「じゃ、テンプレ通りになっちゃうけど…」
「こなちゃん、大好きだ」
「私も大好き。ずっと一緒だよ、セバスチャン……」


(終)
265 ◆b5Wvz/nkes :2009/01/02(金) 13:49:24 ID:0z5UYuNN
以上です。
拙著な文章でお粗末様でした。
266名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 14:02:31 ID:MSkr/dCv
>>265
GJ!
とても甘々なお話、ありがとうございました。
こなた&白石とは、かなり珍しいカップリングだとは思いますが、
意外に?意気投合をするかもしれませんね。
よろしければ、またの投下をお願いします。
267名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 00:25:08 ID:Oe5f/9NS
>>265
このバカップルがとツッコミを入れたくなるほどの甘々のお話ですね。
先生やクラスメイトの台詞も思わず笑いそうになります。

個人的には付き合うきっかけに大変興味があります。
268名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 10:53:00 ID:F7nK/0fx
パティ×ひよりの非エロ、こなた×かがみの非エロ、二本続けて投下します。
269極めて平凡・努めて平常(1/4):2009/01/03(土) 10:54:00 ID:F7nK/0fx
「う〜むむむむ……」
 アニ研部室の椅子に座って腕を組み、ひよりは大きく胸をそらして眉間にしわを寄せている。
 放課後。原稿を控えたひよりにとっては、昼休みと並んでもはやネタ出しのためにあるような時間だ。
 ひよりは呻き声を上げながら、ネタ帳を開いたり閉じたり、天井を眺めたり地面を眺めたりと、落ち着かないこと極まりない。よっぽど悩んでいるようだ。
 そろそろ頭から煙を上げそうなひよりの肩を、誰かが軽く叩いた。
「おっすひよりん」
「あ、こうちゃん先輩。〆切伸ばしてくれなきゃ死にます」
「挨拶代わりに捨て身の攻撃してくるなよ」
 決死のバンザイアタックも軽くいなされ、ひよりは力なく机に突っ伏した。
「何をそんなに悩んでるの。部誌以外の〆切が迫ってるとか?」
「いえ、そうじゃなくて……その部誌の方が問題で」
「何で? まだ日にちに余裕あるし、ページ数もいつも通りでしょ」
「スケジュールとかではなく、内容の方っス。テーマが……」
「どう問題なの?」
 ひよりは渋い表情を浮かべた。
「……苦手なんスよ。自分自身のこと描くのって」
 今回、アニ研の部誌において、こうが執筆陣に出したテーマは「自分のことを書く(描く)」である。つまりエッセイだ。
「急にエッセイ漫画描けって言われても、今までやったことないから、ネタが思いつかないんスよ!」
 がなるひよりに、こうは指先でこめかみを抑えながらため息をついた。
「あのね……エッセイってのは自分の体験や感想で成り立つんだから、うんうん唸ってネタをひねり出すもんじゃないでしょ。ありのままのひよりんのことを描けばいいんだよ。クラスメイトとの昼休みのやり取りで四コマ漫画が二ページ分は出来るでしょうが」
「何スかその具体的な数字。日常系の四コマでいいなら、いくつかネタのストックはありますけど」
「それはダメ。創作じゃなくて、今回はあくまでひよりん自身のことを描いてくれなきゃ」
「私ほど漫画にならない人間はいませんよ」
「お前は十三階段ベムか。何言ってもテーマの変更はしないからね」
「じゃあ〆切を――」
「ダメ」
「うう……」
 恨めしげな目を向けるひよりに対し、こうは肩をすくめて涼しい笑みを浮かべている。
「頑張るんだね。苦手だから描けない、なんて言うようじゃ進歩が無いよ」
「そんなこと言って、先輩だって苦手なこととかあるでしょう?」
「私は別に無いよ」
「本当ですか? 何かあるんじゃないですか。嫌いなものとか怖いものとか」
「うーん、そうねぇ……あ」
 こうは手をポンと打つと、人差し指を立てて言った。
「ひよりんが〆切守ってくれるのが怖い」
「……饅頭のようにいきませんから、こればっかりは」
「それじゃあひよりんが怖い」
「何を求めてるんスか私に」
「じゃもうお茶でいいよ。お茶が怖い」
「はいはい……」
 小さくため息をついて、部室備え付けの電気ポット(実際はOBの残した私物)のスイッチを入れるひよりだった。
「ま、時間のある今のうちなら、色々試行錯誤してみるのもいいかもね」
 こうは温い煎茶を啜りながら、一応先輩らしく、後輩にアドバイスなど施す。
「描くことが何も思いつかないのなら、他の人の意見も聞いてみたりとか」
「エッセイなのに、人の意見スか?」
「自分が人からどう見られてるか、ってのを参考にするんだよ。つまり客観を調べるわけ。自分で普通だと思ってたことが人と違ってたりしたら、それだけでも一つネタになるでしょ」
「なるほど……」
 こうの言葉に頷き、ひよりはネタ帳を閉じた。
「でももう放課後だし、学校にはほとんど人残ってないっスね」
「だね。暇だし将棋でもやるか」
「いいスよ。ところで角と飛車はどっちが攻めだと思いますか?」
「どっちも受けっぽいけど、飛車がへたれ攻めかな」
「そのへんはまあ同意っスかね。桂馬と香車では?」
「香車が強気攻めだね」
 一般人にはわけの分からない会話をしながら、ブラスチックの将棋盤に駒を並べていく二人だった。
270極めて平凡・努めて平常(2/4):2009/01/03(土) 10:55:00 ID:F7nK/0fx
 翌日の朝。一晩かけてもネーム一枚できなかったひよりは、重い気分のまま校門をくぐった。
(ここはやはりこうちゃん先輩の言う通り、人の意見を参考にしてみるか……)
「Good morning!」
 考え事をしていたひよりに、昇降口で元気よく挨拶してきたのはクラスメイトのパティだ。
「おはようパティ」
「何だか浮かない顔ですネー。また漫画のことで悩んでますカ?」
「うん、そう」
 パティと並んで廊下を歩きながら、ひよりは昨日こうが言っていたことを実行してみようと決めた。咳払いを一つ。
(何か改めてこういう話するのって恥ずかしいけど……)
 微妙に顔を赤らめながら、ひよりは口を開く。
「あのさパティ……唐突だけど、私のこと、どう思う?」
「何イ! いつのまに告白イベント突入!? あっもしかして先週二人で買い物行ったときにフラグが立ってしまったのカ!?」
「パティさん、現実の人間にイベントスイッチはないんですよ。……ってそんなパロネタはいいから」
 よく考えれば、自分と非常に近しい部分を持つパティは、客観を調べるのに不適当な人選ではなかろうか。ひよりはそう思い、この際事情を打ち明けることにした。
「エッセイ漫画ですカ。デ、それと私への告白に何の関係ガ?」
「いやだからさっきのは告白とかじゃないからね? 客観的に自分が人からどう見られてるかってのを知りたかっただけで」
「そうでしたカ……」
 何故かしょんぼりしているパティについては深く考えず、ひよりは話を続ける。
「今までそういうの描いたこと無いし、どうも自分のことを描くっていうのに抵抗があって……」
 話すうちにまた段々と気分が重くなってした。そんなひよりに、パティは小さく笑みを浮かべる。
「ヒヨリは意外とシャイなのですネ」
「意外かな? 自分ではそれほど活発なつもりは無いんだけど」
「またまたご冗談ヲ。いつもアグレッシブに漫画のネタを求めてるじゃないですカ」
「まあ、それなりに貪欲なのは自覚してるけどさ……」
「内気で恥ずかしがりなヒヨリというのモ、それはそれでギャップがあって萌えですガ」
「ちょ……さっきからやたらとすり寄らないでよ」
「オンナノコは定期的に百合分を摂取しつづけないと干からびて死ぬ生物なのでス」
「嫌な具合にバイオ怪物ですねオンナノコ。私の国の女の子とはだいぶ違う生物のようです」
 パロネタを交えながらゆるゆる会話をしつつ、二人は教室に入っていった。
271極めて平凡・努めて平常(3/4):2009/01/03(土) 10:55:38 ID:F7nK/0fx
 特筆するような出来事もなく、お昼休みに至る。お弁当の包みを広げながら、ひよりは聞こえない程度のため息をついた。目の前ではクラスメイトのゆたか、みなみ、パティが同じように昼食の準備をしている。
(こんなにもまったりした日常……とても良いものだけど、それをただ漫然と描いたって、何の面白みもないしなぁ……)
「田村さん、どうかした?」
 先程から元気の無い様子のひよりに、ゆたかが心配そうに声をかけた。
「いや、何でも。ちょっと寝不足気味で」
 慌てて言い繕い、ひよりは箸を手に取った。気を取り直して、お弁当を食べることにする。
(ま、やれるだけのことはやってみよう。もしかしたらお昼休みに何か変わったことがあるかもしれないし…………でもなぁ、降って湧いたように面白いことなんてそうそう――)
 ふと、箸を止めた。気がつくと机を挟んで向かい合う三人とも、何やらじっとひよりのことを見つめていたのだ。
「あれ? どうかした?」
「あ、ううん……その、熱心に考え事してるなぁと思って」
 ゆたかの言葉に、みなみとパティも同意と頷く。
「ヒヨリは考えてることが顔に出やすいタイプですネー」
「え……マジで……!?」
 パティの一言に尋常でなく動揺するひより。普段の妄想――主に百合方面――が顔になど出ていたら色んな意味で危なすぎる。
「そ、そんなに読みやすい? 私の考えてること……」
 やたら狼狽したひよりに、ゆたかはちょっと戸惑いながらも答える。
「そんなに細かく分かるわけじゃないけど、漫画のネタとか考えてる時は結構分かりやすいかな」
「……そっか。その程度の話か」
 ホッと息をつくひより。だが、
(――待てよ?)
 思うところがあり、ひよりは身を再び質問する。
「具体的に、ネタ出ししてる時の私ってどんな様子かな?」
「え? んーと……そうだなぁ……腕組みして宙を睨んでたり、ペンのお尻を噛んでたり、頭抱えながらメモ帳と睨めっこしてたり……とにかく落ち着かない感じかな。あと切羽詰まってる時かな、オーラっていうか、雰囲気が違ってるよね。ちょっと声掛けづらいかも」
「そんなに、はっきり分かるぐらい雰囲気違うの?」
 ひよりの言葉に、ゆたかとみなみがコクコクと頷く。
「へー……そうなんだ」
 ひよりにとってほとんど無意識のことなので、言われてみれば何となくそんな動きをしていたような……という程度にしか覚えていない。
(これは使える気がする……自分では気がつかないところで、端から見るとちょっと奇怪なことしてるってのは、恥ずかしいけどネタとしてはなかなかいいし――)
「フフ。早速これは使えると踏みましたカ」
「う……」
 またしても考えていることが顔に出ていたらしい。
 それはさておき。ひよりは思いついたことをメモっておこうと、愛用のネタ帳をポケットから――
「あれ?」
 思わず間の抜けた声を上げる。いつもなら入っているネタ帳がそこに無い。
(家に忘れた? いや、昨日から今朝まで家でネタ帳には触れてない……最後に触ったのは……昨日、アニ研部室でだ)
 ひよりはお弁当に残ったおかずを素早くかき込むと、すぐ席を立った。
「ちょっと部室に忘れ物してたから、取りに行ってくるね」
 そう言い残して、慌ただしく廊下に出る。
 漫画のネタは水物だ。ふと頭に浮かんだそれは、時間が経てば次第に鮮度を失い、場合によっては元の形が思い出せないまでになる。だから思いついたネタは出来る限り素早く、書き留めておかなければならない。
(またいつネタが思い浮かぶかわからないし、ネタ帳は常に携帯しておかないと……)
 そんなわけでひよりは、昼休みの校舎をダッシュで駆け抜けていった。
272極めて平凡・努めて平常(4/4):2009/01/03(土) 10:56:40 ID:F7nK/0fx
「はぁ……はぁ……あった……!」
 思った通り、ネタ帳は部室の棚の上に置きっぱなしになっていた。ひよりは呼吸を整えながら、ネタ帳とペンを手に取る。
「よし、早速さっきの書いとこ」
 さらさらとメモを終え、一息ついた。
「ヒヨリー、忘れ物は見つかりましたカー?」
 パティが部室に入ってきた。歩いて追いかけてきたらしい。
「うん。ちゃんとあったよ」
「それはよかったでス。ところデ……」
 パティはさりげなくひよりの背後に歩み寄ると、その肩に手を置いた。
「人気の無い部室に二人きりというシチュはなかなか萌えますネ」
 確かに昼休みにこのあたりまで来る生徒は少ないだろう。校庭の喧噪も、ここの窓からでは遠い。
「危ない冗談はやめてよ……」
「冗談だと思いますカ?」
「思いますよ! 頼むからこんなとこで変なことしないでよ!」
「それはダチョウ倶楽部でいうところの『押すなよ! 絶対押すなよ!』と取ってよろしいですカ?」
「よろしくないよ! ……早く教室戻ろ」
 色々と不安なものを感じ、ひよりは急いで踵を返す。
「ちょっと待って下さイ」
「何? ……って、うわっ!?」
 パティは突然ひよりの首に腕を回し、痛くない程度にゆるく力を込めた。
「ちょっ、なっ、何してんの!?」
「チョークスリーパーをかけてまス」
「何でいきなりそんなのかけるの!?」
「さきほど『変なことするな』と言われましたかラ、合法的な手段としテ……」
「いきなりプロレス技かけるのは十分変なことだよ!」
「じゃあもう普通に抱きついてるでいいでス」
「よくない!」
 背中に当たるパティの胸の感触に焦りつつ、ひよりは何とか逃れようともがく。が、パティはがっちりホールドしたまま放さない。
「せっかくのシチュエーションなのニ、何もイベントが無いのはもったいないですヨ……」
「そんなイベントわざわざ起こさなくていいから……パティ、気が済んだらもう……ひゃうっ!?」
 パティがひよりのうなじに舌を這わせた。途端にひよりの力が抜ける。
「ンフフ……結構この辺も感じるみたいですネ」
 ひよりの反応を見て、パティは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ちょっとパティ……お願いだから、その、舌とかそういうのは、勘弁……」
「だが断ル」
「いやだから、マジで……もう……昼休みも、終わる、し……ちょっ……やっ……ぅ、ぁ」
 あわやひより貞操の危機。とその時。
「誰かな? 昼間からアニ研で騒がしくしてるのは――」
 唐突に部室の戸を開けたアニ研部長こと八坂こうが目にしたのは、ひよりとそれに絡むパティの図。動揺するかと思いきや、こうは平静を保ったまま、後ろ手に戸を閉めた。
(た、助かった……)
 心の底からホッとするひより。だが、
「……私は前からいかしてもらおうか」
「何を言ってるんスか何を言ってるんスかこうちゃん先輩ーっ!?」
 あやうく性的な意味で挟み撃ちになりそうなひよりだったが、もちろんこうのは冗談だった。

 そんなこんなで放課後のアニ研部室。
「いやー、お昼は助かりました先輩。パティは何というか、冗談が冗談に見えない時ありますからねー」
「ふーん……」
(あれは冗談じゃなくてガチじゃないのか)
 とこうは思ったが、口に出すのはやめておいた。
「ところで部誌の原稿は目星付いたの?」
 聞かれた途端、ひよりはばつが悪そうに視線をそらす。
「いえ、それがまだあんまり……漫画になるような出来事なんて、私には滅多にありませんから……平凡な日々ってのは幸せなことなんでしょうけどねぇ」
「……」
「? 先輩、どうしました?」
「いや、なんでもないよ……」
 自覚が無いのは幸せなことかもしれない。そう思い、こうは深々とため息をついた。


おわり
273本日のオススメ(1/3):2009/01/03(土) 10:57:48 ID:F7nK/0fx
「こなた〜」
 お昼休みの三年B組教室。お弁当も食べ終わった頃、いつものようにC組からかがみがやってきた。
 その様子がいつもと違っている。いつもはちょっときつめの目つきでツンツンした雰囲気を漂わせている(だがそれがいい)かがみが、今日は妙にご機嫌というか愛想が良いというか、ニコニコと微笑み、まるで遊び相手を見つけた子犬のようだ。
 それを見て、こなたはすぐ、かがみがどういう用件で来たのかピンときた。
「ねえねえこなた、ほらこれ」
 そう言いながらこなたの目の前に差し出されたのは、案の定、一冊の文庫本だった。
「これ今週出た、こなたの好きな人がイラスト描いてるラノベなんだけど、なかなか面白かったわよ。読んでみない?」
 口調は疑問系だが、既に嫁――じゃなくて「読め」という態度だ。オススメのラノベを片手に、ズイズイと寄ってくる。というか顔が近い。めちゃくちゃ近い。ので、
「ん」
「なっ!?」
 近寄るかがみに合わせて、こなたも顔を寄せてみた。危うく唇が触れあうか触れあわないかの所で、かがみが大慌てで身を引いた。
「何すんのよいきなり!? もうちょっとでキ、キス――」
「顔が近かったもので」
「あんたは顔が近かったら誰とでもキスすんのか!?」
「そんなわけないでしょ。誰とでもだなんて」
「そ、そう?」
「せいぜいかがみとつかさとみゆきさんとゆーちゃんぐらいのもんだよ」
「十分に誰とでもだこの馬鹿!」
「まあ冗談はさておいて」
「冗談で人の唇を奪おうとしたのかおのれは……」
 こなたはかがみのオススメしていたラノベを手に取った。そのまま読むか読むまいか、かがみは反応を窺っている。
 こなたはしばし表紙を見つめてから、かがみにそれを返した。
「せっかくだけど遠慮しとくよ」
「……あ、そう」
 努めて淡々とかがみは頷く。が、しょんぼりしているのは明らかだ。犬耳尻尾が付いていれば、さぞかし寂しげ垂れさせていただろう。
「いや、やっぱり読んでみよっかな」
「ホント?」
 途端に喜色満面になるかがみ。ここですかさず、
「ウソ」
「……さてはおちょくってるだろ」
「ばれた?」
「あんたねぇ……!」
「怒らないでよかがみ。ホントに読むから」
 こなたは言葉通りラノベを手にすると、しばらく巻頭のカラーイラストに目を通してから、本文を読み始めた。
「それにしてもかがみも飽きずに勧めに来るねぇ」
「純粋に面白いと思ったから勧めてるだけよ。それに、活字だって漫画やアニメに負けないぐらい面白いんだから。こなたが食わず嫌いしてるのはもったいな――」
「本音は身近に語り合える人が欲しいんでしょ?」
「う……」
 図星を突かれ赤面するかがみ。こなたにとってはラノベの内容より、むしろかがみの反応の方が面白可愛い。
「気持ちは分かるけどね。好きなゲームやアニメについて語り合うのは楽しいし」
「あんたはそういう友達いるの?」
「主にネットで」
「リアルで欲しいとは思わない?」
「んー、いないことはないんだけど……かがみがそうなってくれたら嬉しいなぁ」
「断る」
「ふーん。私の趣味は一切拒否するのに、自分の趣味は押しつけるんだ」
「う……べ、別に押しつけなんてしないわよ」
「でも不公平だと思わない? 私の方は最近、こうしてかがみがオススメする本を、まあ……半分くらいは読んでるわけだし」
 実際は三分の一ほどだが、そのあたりは丼勘定だ。
274本日のオススメ(2/3):2009/01/03(土) 10:58:38 ID:F7nK/0fx
「私にどうしろって言うのよ。言っとくけど、アダルトゲームの類は絶対やらないからね」
「つまり一般向けのゲームや漫画はOKと」
「まあ……ちょっと触れてみるくらいなら」
「よしっ! そうと決まれば早速かがみにオススメするラインナップの作成だ! 萌え萌えキャラたっぷりのアニメからガチで中毒性の高いゲームまで、かがみを私色に染めてやるぜー!」
「染めんでいい! 第一、そんな沢山できるわけないだろ! 勉強に支障の無い範囲で抑えてくれ」
「むー……それじゃあ、とりあえず軽くPCゲーのシヴィライゼーションから」
「軽くないだろそれ。確か恐ろしく中毒性の高いシミュレーションとかじゃなかったか……?」
「じゃあエイジ・オブ・エンパイヤ」
「だから何でやたら時間かかるのを勧めようとする!? そんならこっちだってグイン・サーガとか勧めるぞ」
「絶対巻数一ケタで挫折する自信があるよ」
「先が長すぎるとさすがにね……だから、あんたも勧めるものは軽めのにしといてよ」


 その日の夜。就寝前のかがみは、自室で本棚と睨めっこしていた。成り行きでこなたとオススメの一品を交換するようなことになったので、次に何を読ませようか考えているのだ。
「うーん……やっぱりラノベが無難かな。イラスト付きなら、一般レーベルのでもいけそうだけど……ミステリーとかは読まないだろうなぁ」
 こなたの前では何だかんだ言いつつ、楽しそうなかがみである。
(あいつ、オタクだけあってハマる時はとことんハマるし、これをきっかけに本をよく読むようになってくれるかも……)
 そうすれば今までかがみには半分以上分からなかったこなたの話題も、少しずつかがみ寄りになるかもしれない。
 そんな期待を胸に抱きつつ、かがみは本棚を物色する。
「あ、これ懐かしいな……また読もうと思ってそのままだっけ……」
(昔読んだ小説を、何年か経って読むとまた違った印象があったりするのよね……一度読んでるはずなのに、びっくりするほど新鮮に感じたり)
 そういうのも本を読む楽しみの一つである。こなたにも是非、そういうことを解ってもらいたい。そして語り合いたい。そしてもっと仲良く――
「いやそこより先は無い!」
 誰にともなく突っ込み、かがみは物色を続ける。
「よし、これにするか」
 色々と迷ったあげく、一般レーベルのファンタジー小説を選んだ。
「こなたの方が何勧めてくるか不安だけど……ま、覚悟しとくか」
 遠足前の小学生というほどではないが、期待の新刊が発売する前日くらいにワクワクしながら、かがみは寝床についた。
275本日のオススメ(3/3):2009/01/03(土) 10:59:17 ID:F7nK/0fx
 翌日。
「うん、確かに面白かったよー。擬人化萌えにも通じるところがあったし」
「それは良かったです。この作者の小説は、他のもなかなかオススメですよ。例えば――」
 お昼休みの三年B組教室。こなたとみゆきが何やら楽しそうに会話をしている。どうやら小説の話題で盛り上がっているようだ。
 教室に入ってきたばかりのかがみは、何とも言えない表情をしながらそれを横で聞いていた。
「あ、かがみ。どうしてのぼーっとして?」
「いや、別に……何の、話してるの?」
「みゆきさんに借りた小説のこと」
「ふーん……昨日、私が貸したのは、読んだ?」
「ううん、まだ途中」
「そう……ところでみゆき」
「何でしょう?」
「今までもこなたに小説とか勧めてた?」
「ええ。たまにですが。ジャンルに関わらず興味を示されるので、勧め甲斐があります」
「へ〜……そうだったんだ、みゆきには」
 会話しながら、かがみの背中から何かしら黒いオーラが立ち上る。属性でいえばツンデレのデレ分が限りなくゼロに近い、そんなオーラだ。
「こなた……あんた今まで私に散々活字嫌いみたいなこと言ってたのは……」
「アニメとか漫画に比べりゃそりゃね。別に嫌いってわけじゃないよ」
「じゃあ何で私が勧めてたのは半分以上断って……」
「みゆきさんに比べたら、勧める頻度とタイミングがねぇ」
「〜〜っ!」
 いよいよかがみが噴火しそうになる。が、
「でもちゃんと読むようになったのは、やっぱりかがみがしつこく勧めてくれたお陰かな」
「え……?」
 こなたの言葉に、かがみは目を丸くする。黒いオーラがたちまち引っ込んだ。
「で、かがみ。本日のオススメは?」
「オススメって……」
「昨日のこと忘れたの? ちなみに私のオススメはこれだ!」
 そう言ってこなたは一冊の漫画を差し出した。可愛い女の子が表紙の四コマ漫画だ。
「あ、わ、私は、その……これ」
 かがみはおずおずと、昨日選んだ本を渡す。
「うむ確かに。では昨日のも合わせて読ませて貰うよ。かがみもちゃんとそれ読んでね。絶対面白いから」
「わ、分かったわよ。あんたこそちゃんと読みなさいよ! それじゃ」
「あれ? もう行くの?」
 こなたが止める間もなく、かがみはそそくさと教室を出て行った。

 廊下を歩きながら、かがみは反省する。こなたが既に本を読むようになっていたからといって、怒る必要など無かったのだ、と。
(むしろ目指す所に思ったより近かったんだから、喜ぶべきよね……)
 目指す所というのが、具体的にどういう所なのか不明だが。
「よしっ、頑張ろう」
 こなたを真の活字好きにする日まで、かがみの戦いは続く……。



「こなちゃん。ひょっとしてお姉ちゃんがオススメする本よりも、オススメするお姉ちゃんが目当てじゃないの?」
「その通り! ……あれ、つかさいたの?」
「はぅ……最初からいたよぅ」



おわり
276名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 10:59:48 ID:F7nK/0fx
読んで下さった方、ありがとうございました。
277名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 12:30:14 ID:KELPykJh
GJ!
ナチュラルに飛車角の受け攻めとか言い出すひよりに吹いたw
278名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 12:57:13 ID:vlMJVSGp
正宗さん吹いたw
279名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 15:38:48 ID:9Dhydm0p
GJ!
相変わらずひよりとかがみは受けですねw

>極めて平凡・努めて平常
きっとこうも冗談ではなかったはず

>本日のオススメ
かがみんのツンデレっぷりがたまらない
そしてつかさは察しがいいのに空気w
280名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 20:34:13 ID:rkm5M2Eq
>>276
おお、新年早々貴方の作品を読めるとは!
将棋の駒で妄想できるアニ研コンビとか、微妙に報われないこうちゃん先輩とか、
お勧めを選ぶかがみの可愛さとか、いろいろ堪能させていただきました。ぐっじょぶ!
28142-115:2009/01/03(土) 20:53:57 ID:waPUWC1j
48時間くらい遅れてあけましておめでとうございます。
>>240 LD氏に史上最大級の共感を覚えつつ、5分ほどしたら投下したく。


「幕間 そして聖夜にて我」
「第二回陵桜公会議 または♪Next Christmas I'll Give You My Heart……?」


・2レス+5レス
・エロなし
・こなた&かがみ
282幕間 そして聖夜にて我 1/2:2009/01/03(土) 21:00:37 ID:waPUWC1j
 乗り換えた糖武日洸線が思いの外空いていて座席に座る事ができたため、こなたはようやく人心地つくこ
とができた。
 秋葉腹の聖夜は他とは決定的に違った趣があるとはいえ、街を包むこの日独特の空気に変わりはなかった。

 ジングルベル ジングルベル
 メリークリスマス メリークリスマス

 今日の佳き日を祝う呪文に満ちた街は、ややもすると息苦しい。キリスト教的ではないと喝破した(出来
たかどうかは別問題として)クリスマスだが、まるで別の宗教の祈りの言葉のようである。これを「日本教
」と呼んだ人もいたが、それもなんだかいまいちピンとこない。

 ジングルベル ジングルベル
 メリークリスマス メリークリスマス……

 ……日本を席捲したこの呪文も、さすがに電車の中にまでは進出しておらず、クリスマスを感じさせるも
のは吊広告と時折車窓から見えるデコレートされた民家くらいなものであり、そこに雪はない。
 年に三回も雪が降れば、「今年はやけに降るな」と訝る土地柄である。関東平野も北寄りとなれば、1月
から2月に南岸沿いに雪を降らせる台湾気団の影響も限定的で、三国峠が健在なおかげでシベリアの元粉雪(日本海を渡る際にぼた雪になる)もあまり降らない。
 だから思うのだ。ホワイトクリスマスとは、自分の隣が空白という意味ではなかろうか、と。
 そのホワイトクリスマスな男たちを前にしての歌のステージ。赤服で訥々と、雪を思わせる声でクリスマ
ス・ソングを奏でる長門店員のバックで、温厚なつかささえ辟易とさせたテンションが炸裂した。それでも
乱れることなく歌い終えた長門店員と共に一礼した時、客の誰かの呟きが耳に入ってきた。

 聖夜のイカれたお姫様……。

 ……この疲労感は虚脱感にも恍惚感にも似て、神と向き合うにはちょうど良いと思う。
 帰ったらそうじろうに渡すつもりのプレゼントを押し退け、鞄から辞書のような装丁の本を取り出し、膝
の上で開く。表紙、扉、目次を飛ばし、幕を開けた始まりの物語に身を投じる。原作を読んで、神と向き合
う。
283幕間 そして聖夜にて我 2/2:2009/01/03(土) 21:01:20 ID:waPUWC1j
 ……奇跡は聖夜の起きるのだろうか?
 ……それとも、聖夜が奇跡を起こすのだろうか?
 不意に、こなたの横の空白が埋まった。
 座席の隣の場所に他の乗客が座っただけなのであるが、その人の様子がおかしい。他にも空きはあるのに
わざわざこなたの横に座り、その青年は何やらしきりに、隣に座った小さな女の子を気にしているようだっ
た。
 ……あるいはそれとも?
 「ア、アノ……」
 半分期待し、半分警戒しながらページをめくろうとした時、果たせるかな。隣の青年が、たどたどしくも
声にかけてきたのだ。
 「はい……?」
 その青年は髪こそ黒いが、日本人よりも深い彫りというか、奥行きがあるというか、あるいは鼻が長いと
もいうべき顔……がそこにあった。
 「ソレ……」
 青年はこなたが膝に広げていた本を指差し、もどかしげに問う。
 「Bible……デスカ?」
 気になったのは聖書の方だったようである。
 ベタな展開である。こなたの頭に、ゴライアストリバネアゲハ(世界最大の蝶)でも止まっていれば、さ
ぞかし前代未聞だったろうに……。
 こなたは答える。
 「原作です」
 「ゲン……サク?」
 青年はなおも聞きたそうにしていたが、やがて下車駅についてしまったようで、名残惜しげに降りていっ
た。入れ替わりに、妙に既視感のある浅黒い肌の三人組が乗り込んできた。確証はないが、一日五回メッカ
の方向に祈りを捧げていたら、さぞ絵になりそうな感じの三人組である。
 既視感の正体はすぐに判明した。この三人組、「ひ●っこりひょ●たん島」のオッサン、タクサン、ケッ
サンにそっくりだったのだ。たしか金を貯めて世界旅行を夢見ていた三人組である。……その最中なのだろ
うか?
 「ぷぷ……」
 吹き出しそうになる顔を聖書で隠す。
 こなたは大して長くもない乗車時間中に聖書世界に戻る事ができたのだが、三人組もどうやらこなたを気
にしているようだった。


 聖夜。
 こなたは神の言葉と共に在った。


 ……のだが。
284第二回陵桜公会議 1/5:2009/01/03(土) 21:02:44 ID:waPUWC1j
 終業式。
 担任からのありがたくないプレゼントを受け取り、起立、礼で二学期ともさようなら。
 二学期の終わりが冬休みの始まりで、旧い年の終わりにして新しい年の始まり。移り変わりという名の不
安定さが空気をしてざわつかせ、心をして浮つかせるのも無理からぬ事だろうか。すぐに帰ろうとせず、教
室で駄弁ったり、今年最後の挨拶を交わしたりしている生徒も多い。
 放課後に返却するつもりなのだろう。こなたが聖書を机の上に出したまま帰し自宅をしているのを見て、
みゆきは尋ねる。
 「どこまで読み進められましたか?」
 「ん〜〜、それがねえ」
 こなたが白状するところによると、キリスト教徒のように振る舞えたのは糖武日洸線に乗り換えてから、
倖手に着くまでのわずかな時間だけだったという。
 「家じゃおとーさんとプレゼント交換して、そこに酔っ払ったゆい姉さんが乗り込んできて……すっかり
日本的なクリスマスだったよ」
 「あらあら」
 「その電車の中でも、人形劇史上に残る三バカにそっくりな人たちを見かけて、なんか気になっちゃって
ね〜」
 「そうですか」
 よく分からないが、まあ歴史的な存在なのだろうくらいの感じで認識したみゆきが微笑む。
 「だから最初の『創世記』だけ。もちろん途中まで」
 「『創世記』ですか……」
 みゆきは不安げな表情になり、視線を迷走させる。
 「夏目じゃないよ」
 「それは漱石ですね」
 ここでノリツッコミをかますとすると、沙英さんの事が大好きな夏目と絡めるのが常套だろうか、なんて
考えていると、つかさがやって来て、
 「ミルクセーキ飲みたいかも……」
 『創世記』から別のものを連想したらしい。
 「帰ったら作ろうかな。お姉ちゃんもどう?」
 「へ?」
 教室の出口では点目になったかがみが、すでに帰り支度を固めてやってきたところだった。
 「お姉ちゃんもミルクセーキ、どう?」
 「私は……遠慮する。ケーキを食べ過ぎて……」
 そんな会話を展開する柊姉妹の横で、こなたがふと思い出したようにみゆきに聞く。
 「禁断の果実ってのも出てきたけど、あれリンゴじゃないんだね?」
 「え、ええ……。ジョン・ミルトンが、『失楽園』でリンゴの様なと表現して以降、そのようなイメージ
が広まったらしいですよ」
285第二回陵桜公会議 2/5:2009/01/03(土) 21:03:51 ID:waPUWC1j
 上の空のままみゆきが答え、さらに付け加える。
 「白雪姫の毒リンゴも、その辺りから、来ているのかも、知れま、せん、ね……」
 みゆきの様子が目に見えておかしいので、こなたは訝しげな表情になる。
 「みゆきさん、どうしたの?」
 「え、ええと……」
 うろたえるみゆきは、ブルーハワイについて問われて以来だったかもしれない。現にみゆきは迷っていた。
真実を晒してこなたの夢(?)を壊すべきか、真実を隠蔽してでも守るべきか。みゆきは前者を選んだ。
 「たびたび夢を壊すようで申し訳ありませんが……」
 意を決して口を開くみゆきに、こなたは場違いにもこう言う。
 「みゆきさんは牛じゃなくてバクだね」
 「食べはしませんよ……。泉さんが読まれたのは旧約聖書ですよね?」
 「そうだけど……」
 新約聖書であれば、「マタイの福音書」か「マルコの福音書」から始まるはずである。
 「旧約聖書はユダヤ教の教典でもあり、といいますか、元々はユダヤ教のものです。さらに『創世記』な
ど、一部はイスラム教でも教典の扱いを受けてます」
 一方新約聖書は、実質的にキリスト教だけの教典という旨をみゆきは説明した。イエスはイスラム教でも
預言者とされているが、キリスト教徒との対立と抗争があまりに長く激しいため、イスラム教徒からの崇拝
は実質的に受けていないという。
 こなたは点目になった。
 「てことは……」
 キリスト教徒らしくクリスマスを過ごすなら、旧約聖書より新約聖書を読むべきだった、ということにで
もなろうか。
 「いえ、でも、旧約聖書はキリスト教の教典でもありますし……」
 日本人である以上、キリスト教徒以外の何かと間違われるような事はまずありえない。そうフォローしよ
うとしたみゆきが口火を切るより早く、こなたがかがみににじり寄り、肘で小突きながら言う。
 「この、この。本当にツンデレさんなんだから」
 「はあ?」
 6人家族にちょうどいい大きさのケーキがない事を愚痴っていたかがみは、道ならぬ恋仕様のこなたが、
またセーラー服のリボンを外そうとするのに困惑する。こなたは今度は何を始めたのか?
 「ちょっと、みゆき」
286第二回陵桜公会議 3/5:2009/01/03(土) 21:04:50 ID:waPUWC1j
 かがみはみゆきに、助けと説明を求めた。みゆきではなくこなたが、そのどちらでもなく質問を与えた。
リボンを外そうとする手を止めないまま。
 「旧約聖書をつかませて、どうしたかったのかな?」
 「……」
 激昂してもいいところなのに、かがみは絶句した。顔が紅潮したのはリボンがほどかれてしまったせいか、
それとも……。こなたはというと、この会話が終るまで持たせるつもりだったリボンが、意外にあっさりほ
どけてしまったため手持ち無沙汰である。
 そんな二人の利害は意外に一致して、
 「結べ」
 「あい」
 自分で解いたリボンを自分で結ぶという空しい作業をしながら、こなたは説明する。
 「新約聖書じゃないと、キリスト教徒のように振舞うとするのに挫折するよね」
 こなたは、必ずしもそうというわけではないのですが……、と言おうとするみゆきを手で制して続ける。
 「そこで私はリヴェンジを試みる、と」
 「あんたにそれだけの勤勉さをあるのなら、まあ……」
 「それを見て、クリスマスが近付いたら、かがみが言うんだ。『こなた、去年はごめんね。お詫びと言っ
ちゃなんだけど、今年は私も付き合うわ』。手にした二冊の新約聖書。片方には赤いリボンが巻いてあって
……」
 こなたは、体感温度がやけに下がってきているのに気付いた。
 「あれ〜、あれ〜?? 私そんなお寒い事言った?」
 取って置きのギャグですべってしまったコメディアンのように、こなたが聞いた。

 言った

 みゆきとつかさはさすがに遠慮したが、彼女らの会話に聞き耳を立てていた、あるいは偶然耳にしてしま
ったギャラリーたちは、心の中で嵐の様にそう叫んだ。
 「……故意ではないという可能性もありますが」
 つまり、かがみが旧約聖書がもともとユダヤ教の教典であった事を知らなければ、故意にこなたに旧約を
掴ませた事にはならない。読み物として比較した場合、旧約の方が面白いというのがもっぱら評判だから、
文芸を愛するかがみなればこそ、旧約を選んだという可能性もあるというところまでみゆきは思い至ってい
た。
 どうなのですか? という視線を受けて、しかしかがみは答えるのが面倒臭そうに頬を掻くと、こなたの
机の上にあった聖書を手にとって、三人に表紙が見えるようにした。そこには単に『聖書』とだけあった。
287第二回陵桜公会議 4/5:2009/01/03(土) 21:05:52 ID:waPUWC1j
 「これは旧約? 新約?」
 溜息をつき、それをみゆきに手渡した。みゆきは訳が分からないまま最初の方の開く。ページの上のほう
に「創世記」とあった。旧約聖書の最初の書である。内容にも素早く目を通す。蛇がイヴに禁断の果実を食
べるよう勧めている場面で、どうやら間違いなく旧約聖書の「創世記」のようである。
 「じゃあ、最後の方を開いてみて」
 言われるまま、みゆきは本の最後の方のページを開いた。
 「こ、これは……!」
 ページの上のほうには、『ヨハネの黙示録』とあった。最後の審判について予言した、新約聖書の最後の
書である。
 「どういうこと??」
 訳が分からず、つかさがみゆきとかがみの顔を不安げに見遣る。
 「キリスト教徒御用達の旧約聖書と新約聖書が、まとめて一冊になってるってだけよ。図書館にこれしか
なくて」
 かがみが聖書を探している時、こなたは漫画家の画集でもないかと美術書の一角をウロウロしていたので、
そのへんの事情は知らなかったのである。……そしてかがみも、特に説明はしなかった。
 「それで『聖書』ですか……」
 「そういうことね。でも、まあ……」
 自分の期待(?)が外れた事に肩を落とすこなたの方を見て、かがみが言う。
 「あんたがそうしたいなら、付き合ってあげても……いい……わよ」
 「へ?」
 顔を上げたこなたは見た。かがみの顔が、点火直後のロケットエンジンの下の方から出ているもののよう
に真っ赤なっているのを。一人体感温度が上昇するかがみは、乾燥した空気のせいでチクチクする額を拭い
ながら言う。
 「受験勉強がちゃんと捗っていたらよ。あんたの分も含めて」
 こう言っておく事で、表向きはこなたに受験勉強をさせるため、という大義名分が成り立つ。ギャラリー
は誰一人信じてないが。
 みゆきから聖書を返してもらい、さらに付け加える。
 「来年の今頃っていったら、それどころじゃないんだから……」
 誰にもされていない質問に答えながら、早足で教室を出て行ってしまう。自分名義で借りた聖書なので、
自分で返却するつもりのようだ。
288第二回陵桜公会議 5/5:2009/01/03(土) 21:07:17 ID:waPUWC1j
 「あ、待って」
 こなたが慌てて荷物をまとめて、かがみに続く。
 どうやら二人は、早くも来年のクリスマス・プレゼントを手に入れたようである。
 「これも、神様の思し召しでしょうか……」
 取り残された人々の内、みゆきがそう呟いた。彼女なりに皮肉を込めたつもりだったのだが、あまり成功
してないようだ。
 「……」
 一方取り残された人々の内、つかさはかがみの態度と言い分に100%納得したわけではなかった。
 つかさが腑に落ちない点はただ一つ、こなたの代わりに聖書を借りてやると言った時の、あの底知れぬ何
かだ。
 もしかして今のこの状況こそ、かがみの描いたシナリオ通りの結末なのではないか?
 残念ながらつかさ、考えるのは得意ではない。助けが必要である。だからつかさは、最も身近かつ適切な
人に助けを求めた。
 「ねえ、ゆきちゃん。帰りにうちでミルクセーキ飲んでいかない?」




 まさかこうなるとはね……。
 カウンターの中で、今年最後の図書館業務に追われる図書委員に、聖書返却の旨を告げた時、かがみはそ
う思わずにはいられなかった。
 当初の目論見は、こなたの指摘した通りだった。旧約聖書の性質を知らない振りをしてそれをこなたに掴
ませ、来年のクリスマスは新約聖書片手に、クリスマス・ミサにでも誘おうかなんて考えた。
 図書館に新旧約が一体の、まさにキリスト教徒向けとしか言いようのない聖書しかなかったのには、深く
失望した。その失望があまりに深くて、その時点で十分予想しえたこの結末に思い至らなかった。こなただ
からではないが、あの辞書にも匹敵するような旧約のパートを読破して、新約のパートまで進むわけないで
はないか。
 それでも結局……結局……。
 「かがみ、なにニヤけてんの?」
 図書館を出たところで、こなたが訝って聞いてきた。
 「ん〜」
 これを「結果オーライ」というありふれた言葉で言い表すべきではないと思った。だからかがみはこう答
えたのだった。
 「これも神様の思し召しかな、って思ってね」


 おわり


28942-115:2009/01/03(土) 21:08:50 ID:waPUWC1j
どうもありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします
290名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 21:35:20 ID:rkm5M2Eq
>>289
なんと素敵な思し召し。収まるべきところへすとんと収束していくのが心地よかったです。
あとは、3レス目の「利害が一致」するところとか、もう。ぐっじょぶでした。
291名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 23:21:25 ID:SC+3HDTo
新年から早速えろいのとかしんみりするのとかいろいろ味わえて、ほんとに
みなさんGJです。個別に書けなくて申し訳ない。

 さて、前の方からあまり間が開いてないのでなんですが、他の方とかぶって
なければ、しばらく後に投下させてもらいます。
29219-646:2009/01/03(土) 23:27:06 ID:SC+3HDTo
あー。
あー、あー。
ふー、やっとしゃべれた(書き込めた)よー。
 ただでさえ執筆が遅いのに一旦止めるとそれこそ再始動ができず、長くなりそうなので部分投下しよう
かと思っていると今度は規制でスレに書き込めず、さらに避難所にまで入れないとか、もうね。
……ということで、規制から逃れるべく帰省中の実家よりです。
 続きを待っている人はいるのか?というより存在を覚えてくれている人はいるのか?

・タイトル:みーみー戦隊 第4話(前編)
・この話はあくまで、小ネタの延長線上。(保管庫で19スレ目の小ネタを見るとわかりやすいかも)
・話の性質上(?)キャラが大きく変わっていることもありえます。そういうのを受け付けない方は
スルーするなりしてください。
・とりあえず、「戦いとかが嫌いな方」は注意
・今回はまさかのエロあり。みなみ×ゆたか
・9レスほど使います。
・規制にはかからないと信じたい……けど……

【あまりに長く間隔が開いたので、ここまでのあらすじ】
ゆたかがさらわれた!? why?なぜ!?
ゆたかを救うため、みーみー戦隊(みゆき、みなみ、みさお、みき、白石)は立ち上がった。
そして敵・「えねみーみー」との戦いもついに大詰め。どうなる、みーみー戦隊!!
                       (ナレーション:立木ふみひこ)
293みーみー戦隊 第4話(1):2009/01/03(土) 23:28:51 ID:SC+3HDTo
「はい柊です。―――あ、お母さん?」
 次の戦いを前に、みーみー戦隊一同は休息をとるべく高良家にやってきた。みきはそこで電話を借り、
今日は家に帰れそうにないことを家族に伝える。その電話に出たのはかがみだった。
「さっき、こなたからきいたわ。こなた達に勝ったのね」
「ええ。それで、ちょっと今日は帰れそうになくなっちゃったから、お父さんに伝えておいてほしいの。
お父さんは理由知ってるから、帰れそうにないってことを言ってくれるだけで大丈夫よ」
「わかった。―――そういえばお母さんたち、今どこにいるの?この時間で帰れない、って」
 柊家の黒電話に、ナンバーディスプレイなどの機能がついているはずはなかった。
「今はみゆきちゃんの家よ。でも、この後もう一回戦いに出ることになるから、それから帰ろうとして
も、終電に間に合いそうにないの」
「そう……」
 しばらくの沈黙。それを破ったのはみきだった。
「かがみ、お母さんがいないと寂しい?」
「そ、そういうのじゃなくてっ!ただ、ほら、明日の朝ごはんの事とか、あと、みゆきや日下部たちが
明日ちゃんと学校来れるのかな、っていうこともあるし―――」
 かがみの必死の弁解を聞いて、みきはくすりと笑って、それから明日の朝食の指示をする。

「みゆきちゃんに電話を代わってもいいけど、長電話も悪いからそろそろ切るわね。お父さんに言うのは
頼んだわよ。―――あと、明日の朝、つかさが寝坊しないようにちゃんと起こしてあげてね」
「うん。わかった」

 電話を終え、みきに言われたことをただおに伝えたかがみは、飲み物を買いに行くと行って外に出た。
 しかし、外に出たかがみが向かったのは、店ではなく、家が営む神社の拝殿の方だった。

 夜の神社の境内に、鈴の音が響く。続いて間を空け、二拍手の音。
今回の件に悪い方向で深く関わってしまった以上、何か罪滅ぼしをしなくては。夕方みーみー戦隊と
ここで戦ってから、かがみはそう思っていた。しかし、実際自分に出来そうなことは、あまりなかった。
(お母さんやみゆきや、みんなが危ない目に遭わず、無事に帰れますように……)
 テレパシーも、テレポートも、そんな力は持っていない。そんなかがみにできることは、ただ祈ること
のみ。たとえ、その祈りが実際には何の意味も持たなくとも。
 かがみは、かなり長い時間をかけて、皆の安全を祈った。

〜 〜 〜 〜 〜

 泉家の最寄り駅でこなたとそうじろうの二人は電車を降り、家のほうにむかって歩きだした。
「どうした?こなた。元気ないぞ?」
「うん……」
 そうじろうが、さっきからほとんど何も言葉を発しなくなったこなたを心配する。決して眠そうな顔を
しているわけではなく、ただただ静かだったのだ。

 二人は家の前にまで帰ってきた。部屋にも玄関にも、電気はついていない。
 そうじろうが玄関の鍵を開けようとしたその時、ずっと黙っていたこなたが、静かに口を開いた。
「お父さん、……私、やっぱりゆーちゃんの所に行ってくる」
「なに、今からか?もう夜遅いのに」
「うん。……でも、私のせいで、ゆーちゃんは学校にも行けてないし、みゆきさんたちはこの後『あの人』と
戦わなきゃいけない。それ考えたら、私だけが家でのんびりなんてできないよ」
「気持ちはわからんでもないが……、明日も学校だろ?それに、泊まるところのあてはあるのか?」
「みゆきさんの家に泊めてもらう。みゆきさんが毎日通ってるんだから、そこから学校だって行ける」
 いつになく真剣なこなたの目に、そうじろうはついに反対することを止めた。
「……わかった、行ってこい」
「ありがと、お父さん。―――あ、そうだ。今日体育あったから、体操服洗濯しといて」
 こなたは通学カバンから体操服を取り出し、そうじろうに預けた。
「こなた、明日使う教科書とかは―――」
「置き勉してるから大丈夫。じゃ、行ってきます」
「お、おう。気をつけてな……」
 再び駅へと向かうこなたを、そうじろうは見送った。
294みーみー戦隊 第4話(2):2009/01/03(土) 23:31:03 ID:SC+3HDTo
 地下のホームに電車が停まり、5人は電車を降りた。
車内は5人が並んで座れるほどに空いていたし、この時間にここで電車を降りた人は、5人の他には
ほとんどいない。ホームにいた人は入れ替わりで電車に乗り込んだため、発車メロディが響いて電車
が走り去った後のこの駅は驚くほどがらんとしている。
 長いエスカレーターで地上に上がり駅舎から出ると、イルミネーションの美しい大観覧車が前方に見える
―――が、これは今回の話とはほとんど関係がない。
「この地図によると……こっちですね」
5人は、すぐ側にある長い歩道橋に上がり、観覧車とは反対方向へ向かった。

「それにしても、いよいよボス戦かー。ちょっと緊張してきたぜ……」
「まだあと15分ほど歩くことになりますから、今はまだリラックスしていていいと思いますよ」
 みゆきはみさおに微笑んでそう言うと、今度は、みゆき達のはるか前方を、リラックスから最も遠い
心理状態から一人やたら早足で歩くみなみを見た。
「あの、ですから、みなみさん!……できれば、もう少し、ゆっくり歩いてくださると―――!」

4人はなんとかみなみに追いつき、レインボーブリッジの遊歩道(夜間は通行止)入口近くにたどりついた。
「あそこ……ですね。指定された場所は」
 みゆきが指差したのは、自分たちの左前方で対岸のビル群の明かりを遮っている「暗黒の部分」だ。
「まっ暗ね」
「ええ。しかも、海に突き出した海浜公園のさらに先にある部分ですから、万が一なにか緊急事態が
起こっても、助けを求めることも容易ではありません」
「心してかからないといけないということね」
「そうですね。―――では、参りましょうか。時間もありませんので」

 さっきまでと違い街灯すらほとんどない海浜公園の先端には、土手が上に乗った高さ2m程度の石垣が、
行く手を阻むかのように、ある。(そこに上る階段はあるので阻んではいないが)
 5人はここで、石垣の上で仁王立ちする人の姿に気付いた。―――暗いので顔までは見えないが。
 
「来やがったわね、みーみー戦隊!!」
「……そ、その声は!!」
「でも、どうしてここに!?」
 そこにいた人物に、みーみー戦隊としては驚きを隠せないようだった。
「なに?呼び出した人間が時間通り来ちゃいけないっていうの?」
「呼び出した……、ってことは、あなたが『ボス』だったんですか!? ―――あきら様!」
 そう。石垣の上で5人を待っていた人物、それは、スーパーアイドル・小神あきらだった。
「ま、そういうことにはなるわね」
 あきらは黒モードながらも軽く答える。反省している様子などは全くない。
あきらのこの態度は、みーみー戦隊を怒らせた。特に白石やみなみなどは、いつあきらに飛びかかっても
おかしくないほどである。

 その緊迫した状況がしばらく続いたところで、あきらは突然笑顔になった。いわゆる番組用スマイル。
そして、それまでと違う、番組用の声で指示を出した。
「山田くーん、例の娘連れてきてー♪」
しばらくすると、あきらの後ろにある土手の上から、見た目小学生くらいの背丈の一人の少女が、
一人の男(山田とはたぶんこいつのこと)に連れられ下りてきた。その少女ははじめうつむいていたが、
あきらの側に来たあたりで顔をあげた。
「…ゆたか!」
 その少女の正体にいち早く気付いたみなみが思わずその少女の名を叫ぶ。しかし叫び終わる頃には、
みなみの姿は元の場所にはなかった。

「ゆたか!」
「み、みなみちゃんっ!?」
 たった今石垣の下にいたはずの人物がいつの間にか目の前にいることに、ゆたかは驚く。
しかしそれと同時に、この3日間ずっと続いていた強い緊張と恐怖から急に解放されたことで、ゆたかは
思わずその場にへたりこんでしまった。
295みーみー戦隊 第4話(3):2009/01/03(土) 23:32:59 ID:SC+3HDTo
「…ゆたか! 大丈夫!?」
 みなみは慌ててゆたかの体を支える。しかしこの時、みなみはゆたかに気をとられすぎてしまっていた。

 ばさっ。
 突然、二人の頭上から何かが降ってきた。―――網だ。
「つーかまーえた☆」
 あきらが、大きな虫取り網のようなものを二人にかぶせたのだ。しかもいつの間にか男が二人がかりで、
二人が簡単に抜け出せないようにその網の端を地面に押さえつけていた。
「な、なに…?」
 ようやく状況を把握したみなみが、あきらに尋ねる。しかしあきらは答えず、さっきまでと違った黒み
がかった笑みを二人に見せた後、石垣の下で待機しているみーみー戦隊の残り4人に向かって言葉を発す。
「きゃーん☆ あきら、二人も人質 手に入れちゃったー☆ さーて、どうしちゃおっかなー?」
「ふ、二人をどうするつもりなんですか!」
 みゆきが言うも、あきらは聞こえていないのかそのように装っているだけなのか、返事をしない。
「二人をどうするつもりなんですか!返してください!」
「あぁん?」
 みゆきが言っても無反応だったことを今度は白石が言うと、あきらは怒鳴り返し、しかし即座に笑顔に
戻って、網をかけられたみなみとゆたかの側に立った。
「返せと言われて、はい返します、なんて素直に応じる犯人がいると思う?」
「それは……」
「分かればいいのよ、分かれば。―――とにかく、二人はしばらく預からせてもらうわ」
 みゆきたちからは確認できなかったが、今のあきらの言葉を聞いてゆたかは泣きそうになっていた。
あきらはそれに気付いて、網の中のゆたかに顔を近づける。
「今さら泣いたって、なんにもならないわよ。ほら立て」

 ゆたかとみなみは、そのまま公園の奥のほうへと連行された。そのときに一瞬みなみがあきらを睨み
つけたが、あきらには気付かれなかったようだ。

 みゆき達は、その状況を石垣の下でただ見ていることしかできなかった。
 その様子を見て、石垣の上からあきらが4人に声をかける。
「あんたらがおかしな真似をしなかったら、あの二人をひどいようにはしないわ。でも……」
 あきらはそこで一旦口を閉じる。そして次に口を開いたときにも、その続きには触れなかった。
「白石、こっちに来な」
 そう言ってあきらは石垣の上の土手を登っていった。それを見た白石は、一瞬とまどいながらも、石垣に
上がる階段へ向かった。みゆき・みさお・みきもその後について行く。
 
 土手の上で白石を待っていたあきらは、白石について来たみゆきたちの顔を見た瞬間に嫌そうな顔をした。
「ちょっと、あんた達まで呼んだ覚えはないんだけど」
「申し訳ありません」
 あきらの怒りは、みゆきの落ち着いた謝罪によって華麗に受け流された。あきらは釈然としないようだ。
「……まあいいわ。―――白石。ここから先はあんただけが来い。いいな?」
「俺……だけっすか!?」
「そうよ。1対4とか、そんな不利な条件をなんで私から認めなきゃいけないの。考えたらわかるだろ」
「で、ですよね……」
「わかったらさっさと来な」
 あきらは公園の中央部へ下りる階段を下りはじめた。白石はあきらについていく前に、着ていた学ランを脱ぎ


それをみゆきに預けた。動きやすさを重視した結果だ。
「ホワイト、……気をつけてくださいね」
「はい、ありがとうございます。―――あ、そうだ。ピンク」
「どうかしましたか?」
「この戦いが終わったら、俺、……桜藤祭の、実行委員長に立候補します」
 この話は2007年10月頃という設定で書かれています。……嘘みたいだろ?もう、1年以上経ってるんだぜ……


「そうなんですか。頑張ってくださいね」
 みゆきは笑顔で返した。それを見て白石は、あきらのいる、周囲より低い公園の中央部に下りる階段を
一歩一歩進みだした。
296みーみー戦隊 第4話(4):2009/01/03(土) 23:34:57 ID:SC+3HDTo
 白石があきらの待つ公園中央部へ向かっている頃、みなみとゆたかはみゆき達から百数十メートル、この
公園の一辺分ほど離れた、土手の上の砲台跡のところで、おとなしくしているよう命じられた。
「ここ、座っても大丈夫かなぁ?」
 石の砲台跡を見て、ゆたかが言った。少し高さが微妙だが、おそらく座れないことはない。
「私が先に座ってみる」
 もしかしたら何か変な仕掛け、もしくは罠(この際、鳥のフンなども含む)が仕組まれているかもしれない
というので、みなみが先に座ってみた。しかし別段おかしな仕掛けがある様子はなかった。
「きっと、大丈夫」
「じゃあ、えっと、……隣、座るね?」
「どうぞ」
「ありがとう、みなみちゃん」
ゆたかはみなみのすぐ側に座った。二人の座っている段はその気になれば4人くらい座れそうな幅があるが、
ゆたかはあえて、みなみと肩が触れ合うくらいに近寄った。

「ゆたか、この3日間、ひどいことされなかった?」
「……う、うん。大丈夫だったよ」
 ゆたかは少し遅れて答える。それを聞いたみなみは、ある違和感を感じ取った。
「…ゆたか、もしかして…」
 みなみはゆたかの額に手を当てた。普段よりも、少し熱い。
「……えへへ、風邪、ひいちゃったかも」
「無理はしちゃだめ。…待って」
 きまりの悪そうに笑みを浮かべるゆたかの横で、みなみは着ていた上着(深夜なので学校の制服ではまずい、
と判断して着てきたもの)を脱ぎ、それをゆたかに渡した。
 ゆたかはすぐにその上着を着た。3日前にさらわれた時ゆたかは比較的薄手のものを着ていたが、その後
昨日くらいから急に気温が下がっており、さらにこの公園は海上にあるため風が強いこともあり、もともと体が
冷えやすく、そのうえ体調を崩し熱があるゆたかにとっては、ここはかなり寒かったのだ。
「あったかい……。みなみちゃん、ありがとう」
「一人で我慢するのはよくない。…私が、ついてるから」
「うん……」
 ゆたかはそこで言葉を止め、みなみは、視線を公園中央部へと向けた。
 
    
 公園中央部の芝生広場。ここで白石とあきらは、10m程度の距離をあけて向かい合っていた。
「いったい、なんでこんなことをしたんですか。あきら様、……いいえ、小神あきら」
「あんた、アシスタントのくせにあたしを呼び捨てとは、いい度胸ね」
「これから戦う相手に対して敬称をつけるくらいなら、最初から戦ったりしません」
「……、まあいいわ。あんたが物分かりの悪い奴だってことは前から分かってたことだし。どうせあんた、
あんたのせいで私が多額の負債に追われてるだなんて、知らないんでしょ?」
「俺、……ですか?」
 白石には身に覚えが―――あった。
「忘れたとは言わせないわよ?あんたが樹海から水汲んで帰ってきたとき。あの時あんたが暴れて番組の
セットやらカメラやらを壊して回った分の弁償がねぇ、ほとんど全部私のほうに回ってきてんのよ!」
「でもあれは、あきら様が俺の努力を全否定するような事を言ったからで―――」
「はぁ!?」
 あきらは急に、対岸まで届けといわんばかりの大声で叫んだ。
「てめぇ、あれが演技だって事もわからないで私のアシスタントやってたっていうの?―――はぁ〜あ。
あんたが物分かりの悪い奴だってことは私も分かってたつもりだったけど、まさかここまでだったとはね。
半年近くやってたら、普通自分がどういうキャラとして扱われてるかくらいわかるだろ。―――それに、
もし私があんたにいきなり優しく振舞ったりしたら、私のキャラが崩れたあげく、週刊誌とかにおかしな
取り上げ方されるでしょうが。ああいうの面倒なのよ。―――しかも熱愛報道がされたとして、相手が
あんただなんて、やーってらんないわよ」

 白石は何も言い返せなくなってしまっていた。ずっとあきらのターン。
297みーみー戦隊 第4話(5):2009/01/03(土) 23:37:14 ID:SC+3HDTo
「白石。あんた、テレビカメラの値段って、どれくらいだか知ってる?」
「……わかり、ません」
「ちょっとは考えろよ」
「申し訳ありません」
「ま、実際機種によってかなり違うんだけど。あんたが壊したあれだとねー、300万以上するのよ」
「……」
「他にも、あんたが壊したセットとかーその他もろもろの額をあわせたら、もっと高くつくわけよー」
「……」
「その弁償の請求があたしのほうにきてるわけー。どうしてくれんのよ」
「……申し訳、ありませんでした」
「で?あんたが謝ったらこの弁償は消えんの?」
 そんなはずはない。
「ま、あんたに払えっこないってことはわかってるわ。けど、あんたがやったことの重大さ、ってものは
ちゃんと把握してもらわなくちゃ困るわけよ」
「……それで、小早川さんを?」
「そういうこと。あの子を使えばみーみー戦隊のあんたにも話が伝わって、全員で来る、って思ったわけよ。
これであんた以外の、あんたと関わりのある人にこのことを伝えられるし、ついでにあんたの消えるさまを
見届けてくれる人もできる、ってわけ」
「……そのため、だけに?」
「いいや。それだったらみーみー戦隊の残り4人である必要はないわ。むしろ本当の目的は別」
 あきらはニヤッとしてから続ける。
「女ってのはね、ちょっと『そういう業界』に足を踏み入れてちょっと代償を払えば、あんたらには考えられない
位稼げるものなのよ。で、みーみー戦隊はあんた以外の全員が女。これを使わない手はないわ」
「えっ……あきら様?それって……」
「そ。あわよくばみーみー戦隊の残りや小早川ゆたか達に「体で」、弁償分を稼いでもらおう、ってこと。
使えないあんたの代わりにね」
「そそそそそんな!許されるわけないでしょうが!そんなことが!」
「でも、あんた払えないんでしょ?」
「うっ……で、でも!」
「―――まぁ落ち着きなって。私もそこまで鬼じゃないわよ。あんたにはチャンスをあげるわ」
「……チャンス?」
「そう。あんたの仲間を助けるチャンス」
 あきらはそう言うと、今度は公園外枠(?)の土手の上にいる残りのみーみー戦隊にも聞こえるようにさらに
声を大きくして、言葉を続けた。
「これから白石と私で戦って、もし白石が勝ったら、私はこのことに関して白石を許す。当然人質の二人も
解放するし、弁償の請求も私が受けてあげるわ。―――ただし白石が負けたら、白石には東京湾の魚のエサに
でもなってもらって、残りのやつらや人質には「体で」白石の代わりに弁償額を払ってもらう。どう?」

 白石は、土手の上にいるみゆき達の方を見た。あきらの提案が白石一人で答を出すにはあまりにも重い
ものだったので、影響を受けることになる仲間に判断を委ねようとしたのだ。
 判断が委ねられたことに気付いたみゆき達3人は、しばらく話し合った上で、白石のほうを見て首を縦にふった。
 この危険な条件を受け入れてよい、そういう意味だ。
 
「ふん、いい度胸ね」
 みーみー戦隊の答を聞いたあきらはそう言うと、マネージャーを呼んだ。呼ばれたマネージャーは二人の
前にそれぞれ細長いモノを置き、すぐさま去っていった。

「あきら様、……なんですか?これ」
「こう使うのよ」
 あきらは、その細長いモノの端のほうにあるボタンを押した。するとそれは、手で持っている部分を除いた
大部分が青く光りだした。
「見てのとおり、武器よ。あんたのもほとんど同じ仕様だから、これなら不公平じゃないでしょ」
 ライトセーバーのノリらしい。白石も自分に与えられたそれを起動させると、こちらは緑色に光りだす。
「白石、最後になにか言い残したことはない?」
「……ありません。―――俺は、まだ終わるつもりはありませんから」
「大した自信ね。―――じゃあ、始めるわよ」

 街灯のない真っ暗な公園に浮かんだ青と緑の光が、互いに吸い寄せられるようにぶつかる。
298みーみー戦隊 第4話(6):2009/01/03(土) 23:39:38 ID:SC+3HDTo
「厄介なことになったわね」
 あきらによって衝撃のBAD ENDの内容が発表されてしまったことで、土手の上で待機していたみゆき、
みき、みさおの3人には緊張が走る。
「これって、ホワイトが負けたらあたしら……その、やばいことやらされんの?」
「それだけはなんとしても避けないといけないわね」
「ですが、この戦い、……なんだか、いやな予感がします」
「なんで?だって二人とも武器とかの条件同じだろ?」
「ええ。ですがそこが問題なんです。今回の戦いは、場所も、戦い方も、武器も、全て向こうに指定されたもの。
向こうにとってこの場所が「ホーム」かどうかはともかく、こちらにとっては完全に「アウェー」なんです。
武器も、向こうは同じものだとおっしゃっていますが、本当に同じ仕様だという保証はありません」
「マジで?……それ、ちょっとやばくね?」
「ええ。―――さらに、もう一つ、最も受け入れたくない現実がありまして……」
「まだあんのか?」
「はい。……あの二人を比較すると、明らかにホワイトのほうが戦闘力が劣っているという事実が……」
  
「私らもさ、ホワイトに加勢したほうがいいんじゃね?」
「ですが、そうするとグリーンと小早川さんに危害が加えられる危険が……」
「でも、何もせずに白旗あげて、向こうのやりたいようにされるなんてごめんだぜ?」
「……とりあえず、私達も戦う準備だけはしておいたほうがいいわね」
 みきの発言を受け、みゆき、みさおは、防寒兼制服を隠す用に着ていた上着を脱ぎ始めた。
しかしみきは、巫女服でずっと行動するわけにもいかないので、いちいち変身する方法をとっているため、
「……ところで、この辺りにトイレはなかったかしら?」
「トイレですか?確か―――」
という面倒が生じてしまうのだが、みきたちの居る場所から最も近いトイレまでは約200m。
「ちょっと遠いわね。―――仕方ないわ。……ここ、誰も見ていないわよね?」
「もしかして、ここで変身されるつもりですか?」
「一刻を争う事態になるかもしれないし、仕方ないわ。―――二人とも、向こうを向いててね」
 みさおとみゆきがみきと反対方向を向くと、みきのいる場所から強い光が発せられた。
 

 そんなことをしている間に、土手の下・公園中央部では、大方の予想通り白石が倒されていた。ちなみに、
戦闘開始からここまでわずか1分30秒。どこかで見たような結果である。
「ぐ……ぐぅ……」
「もう終わりか?白石。口ほどにもなかったな」
「まだ……まだだっ……!俺は、俺は―――!!」

 その時、白石の右手が光を発した。そして光の収まったとき、そこにはドリルが装備されていた。
 それを見てあきらは思わず後ずさりし、白石は再び立ち上がった。
「こんなところで負けたら……皆さんに合わせる顔がありません!」
 白石はドリルを起動させた。独特の音が周囲に響く。深夜なので余計に響く。
「くっ……ならば!」
 そう言うとあきらは、着ていた服を一枚脱ぎ捨て、文字通りの「黒あきら(服の色的な意味で)」となった。
さらにライトセーバーのようなものの代わりとして新たな武器を装備。こちらもドリル。しかし、両手に
装備されている。これこそが、『小神あきらスペシャル:ツインドリル』だ。
 ドリル対ドリル、ずいぶんとやかましい死闘が、幕を開けた。 

 
 およそ4分後。
 さっきからとうとう降りだした雨の中、ドリルの音をも掻き消すほどの大きな悲鳴と共に、白石が再び倒れる。
「……まったく、手こずらせやがって。でもまぁいいわ。―――今度こそ終わりだ、白石みのる」
 動けなくなった白石に、あきらは少しずつドリルを近づけていく。もうどうにもならないと感じた白石は固く
目を閉じたが、それでも白石の目からは、雨粒だといって誤魔化せないほど大粒の涙が溢れ続けた。

 と、その時。
「待ちなさい!」
 白石を救うため、そして自分自身を護るため、みーみー戦隊ついに緊急出動。
299みーみー戦隊 第4話(7):2009/01/03(土) 23:41:47 ID:SC+3HDTo
「!?」
 ある程度予想していたとはいえ、あきらは驚きの表情を見せる。
「あんたらの好きにはさせねーぜ!みーみー戦隊、みーブラウン、参上!」
「娘を持つ母親として見過ごせないわ。同じく、みーバイオレット、参上」

 なぜかセリフが続かない。あきらのドリル音だけが無駄に響く。

「……あれ?」
「ピンクがいないわね。まだ上にいるのかしら?」
「ちょっと探してくるぜ」
 みさおは今下りて来たばかりの土手を駆け上がり、みゆきを探しに行った。その間にみきは、大ダメージを
負った白石の治療を行うことに。

 みさおに見つけられたとき、みゆきは土手の外側の端でうずくまって、震えながら両手で耳を塞いでいた。
「ピンクなにやってんだよ、さっさとホワイトの所行くぞ?」
「嫌です嫌です嫌です嫌ですどうも苦手で絶対いやいや嫌です!」
「何言ってんだよピンク!そんなんじゃあたしら負けちゃうじゃねーかよぉ!」
「あゎわゎ申し訳ありません゛、ですがぁゎ、その、怖い゛んです、ドリルの音がゎ」

 お使いのブラウザは正常です、たぶん。
 みゆきは、苦手とするドリルの音を断続的に聞かされたことで、精神的大ダメージを受けてしまっていた。
当然、あきらや白石にそんな意図はなかったのだが。
 結局、みさおがいくら引っ張ってもみゆきが必死にそこに留まろうとするため、みさおはみゆきを連れて
行くことをあきらめ、みきに報告するためにみきから見えるところまできた。
「ブラウン、どうだった?」
「ピンクのやつ、ドリルが怖くて近寄れないんだってよ。どうするー?」
 みきも呆れるしかない。しかしその時、あきらはチャンスとばかりにドリルのパワーを「強」にした。

「あぁぁわぁゎあをぁぉわぁゎぁぁ!!」
 みゆきは恐怖のあまり、奇声と表現するべき悲鳴をあげながらのたうちまわる。戦闘参加は絶望的。
 それを見たみさおは、あきらめてみきの所に戻った。
 
「仕方ないわ、私たちだけでなんとかするしかなさそうね」
「だな」
 そう言ってみさお、みき、治療をしてもらい復活した白石がファイティングポーズを取ったところで、あきらが
突然待ったをかけた。
「あんたら、大事なことを忘れてんじゃないの?」
「大事なこと?―――あっ!」
「思い出したようね、最初の約束。私は『白石一人でここに来る』ように言ったわ。―――最初に言ったわよね、
『あんたらがおかしな真似をしなければ、小早川ゆたかと岩崎みなみの二人をひどいようにはしない』って。
でもあんたらは私の言ったことを無視するっていう『おかしな真似』をして、白石を助けに来た。つまり―――」
「そ、そんな!」
「今さら何を言ってももう遅いわよ」
 そういうとあきらはペンライトを取り出し、振り上げてどこかに合図をした。


「 !! ひゃぅうっ!」
 ゆたかの身体が突然、びくっと震えた。
「ゆたか!? 大丈夫!?」
 驚いてみなみが声をかけると、ゆたかは必死になにかをこらえ、目と口を固く閉じたまま無言で頷いた。
しかし、みなみにはゆたかがそんな大丈夫であるようにはとても思えなかった。かといって、ゆたかの身に
何が起こっているのか、また自分に何が出来るのかを理解するまでには至れずにいた。
300みーみー戦隊 第4話(8):2009/01/03(土) 23:43:42 ID:SC+3HDTo
「おい、グリーンたちになにしたんだよ?」
「さあね。今言わなくてもどうせそのうちわかるわよ。―――あんたらが勝ったら確かめに行けばいいんだし、
あんたらが負けたら同じ目に遭わせてあげるし」
 その言葉を聞いて、特にみさおとみきは恐怖を覚えた。
「……二人とも。あきらちゃんをさっさと倒して、グリーンとゆたかちゃんを助けに行きましょう」
「……だな」
「まあ、こっちのメンバーが欠けているとはいえ1対3ですから、なんとかなりますよ!」
「……ホワイトくん、そういう発言は危険だって、かがみから教わらなかった?」
「……すみません」
 とりあえずみーみー戦隊(といっても3人)、戦闘配備。
 といっても、作戦係として機能するはずのみゆきはまだ土手の上で泡を吹いて倒れているため、みきが
臨時で指揮を取ることに。
「そうね……。向こうのドリルはリーチを長くとるためかなりの大きさがあるし、しかもそれを二つも持ってるから、
その分すばやさをかなり犠牲にしているはず。だからここでは、ドリルの届かない遠距離からの攻撃と、
素早さを活かしてわずかな隙をつく接近型の攻撃を併せるのがいいかしら」
「よし、じゃあさっさとやっちまおーぜ!」
 

あきら VS みき、みさお、白石の戦闘が開始したその頃、土手の上では。
 
「ん―――んっ―――、んはぁ!あぁっ、ぁあんっ!」
 さっきまで必死に何かをこらえていたゆたかが、限界が訪れたのか突然全身を震わせ、あえいでいた。
「ゆたか!? どこか痛いの!?」
 みなみは再びゆたかに声をかけるが、ゆたかは自分の内股同士をすり合わせながらふるふると首を横に振る。
ゆたかのこの反応の意味を、みきあたりなら理解できたのかもしれないが、みなみにはまだわからなかった。
 しかし、そんな未知の領域で、みなみもある一つのことを感じてきていた。
(どうして…?今のゆたかの声を聞いてると、なんだか、どきどきしてきて、おかしな気分…)

 それからしばらくの間、みなみは、甲高くあえぐゆたかに見入ってしまっていた。一応、原因究明という名目で。
だがみなみは、少なくとも途中からは原因の究明も忘れ、ゆたかのあえぎ声で確実に興奮してしまっていた。
 そしてついに。
「ひぅ、ぅうん!ぁああっ!あんっ!あぁんっ!あん、ぁ―――」
 ゆたかは体を一際大きく震わせ、数度大きな声をあげた。そしてその後は少しぐったりして、小さな
あえぎ声を残しながら浅く息をした。絶頂を迎えてしまったようだ。
 興奮していたみなみはここで我に返り、結局何が起こったのかよくわからないままゆたかの無事を確認した。
 そのとき、みなみは、ゆたかの方から携帯のバイブのような音が聞こえることに気付いた。
「ゆたか?何か鳴って―――」
「ひぅっ、あぅ!あん、あぁっ!」
 みなみが何か鳴っていることをゆたかに伝えようとしたとき、絶頂のあとしばらく落ち着いていたゆたかが
再び体を震わせ、またあえぎ声をあげはじめた。
 みなみは驚いたが、しかしこれでゆたかを苦しめるものの存在が明らかになってきた。それが発する
音は、どうやらゆたかのスカートの中から聞こえてきているようだ。
 そう、 ス カ ー ト の 中 から。
 
それからしばらく、みなみの心の中では激しい葛藤が起こっていた。自分にはよくわからない辛そうな表情を
見せながらあえぐゆたかを、その苦しみから解放してあげたい。しかしそのためには、スカートの中に視線と
手を入れられるという恥ずかしい思いをゆたかに強いることになる。しかも、近くに敵の見張り役の男が
いるというこの状況下で。しかし、その時ゆたかの目から涙が流れ落ちたのを見て、みなみは心を決めた。
301みーみー戦隊 第4話(9):2009/01/03(土) 23:45:22 ID:SC+3HDTo
「ゆたか、ごめん」
 みなみはゆたかの正面で膝をつき、ゆたかの足をずらしてさらにスカートを捲り上げた。
「ふゅ!? みなみ、ちゃん!?」
「ゆたか、ちょっとだけ、我慢して?」
 みなみがゆたかを見ると、ゆたかは細かく首を縦にふった。それを見てみなみは、ゆたかの股の間に顔を近づけ
音の発信源がその先、ゆたかのぱんつの中であることを確認した。
「…恥ずかしいと思うけど、…すぐ終わらせるから」
「あ、…んあ、ぁあっ!」
 ゆたかは、ただあえいでいるだけだった。おそらくみなみの言葉は耳に入っていない。
 みなみが、ゆたかのその声を聞いて顔を真っ赤にしながら、雨でも汗でもない液体でぐっしょりと濡れた
ゆたかのぱんつに触れると、なにか硬いものに触れた感触があった。みなみがゆたかのぱんつをずらすと、
何か震えるものをくわえながらその隙間から液体を溢れさせているゆたかの秘部が、外気にさらされた。
「ゆたか、なにか入ってるよ?…それに、すごく濡れてる…」
 今のみなみの言葉に、ゆたかの恥ずかしがる様子を見たいなどといったひよりんホイホイな意図はなかった。
 もっとも、その結果、ゆたかはさらに顔を赤くしてしまうのだが。

とにかく、みなみはゆたかの中のその異物の除去作業を開始。周囲に明かりがなく暗いので、ゆたかの濡れた
部分に息がかかるほど顔を近づけ、異物を取り出しやすくするため、蜜を溢れさせるゆたかの秘裂の側にそっと
指をあて、濡れている辺りが妙に滑ることに苦労しながら、それをゆっくりと広げる。
「ひ……!ぁ、だ、めぇっ!」
ゆたかが、辛うじて言葉として聞こえるような声で拒否反応をしめし、また、みなみの手首をつかんだ。
みなみは、一旦ゆたかの秘部から指を離す。
「だめ……取っちゃ……だめ」
「…ゆたか?どうして?」
「……なん、でも……。だめ……」
 みなみはゆたかの目を見る。ゆたかの目からは、涙が流れる。
「…命令、されたの?取っちゃだめって」
しばらく経ってから、ゆたかは小さくうなずいて、そして小さな声で言った。
「……取ったら、もっとひどいもの入れるって……」

 一旦無言がその場を支配する―――と言いたいところだが、相変わらずゆたかの中で震えるものの刺激に
よって、ゆたかは愛液と声を漏らし続けていた。

 ゆたかの身の安全のために敵の命令に屈するか、それともいまの刺激からゆたかを救うために命令に背くか。
みなみはしばらくの間考え、その結果がこれだ。 
「ゆたか…、じっとしてて」
 みなみは再びゆたかの股の間に顔を近づけ、ゆたかの秘裂の側に再びそっと手を当てる。
「んぅんっ!?」
「取ったらだめ、って言われたのは、分かった。…でも、ゆたかをこのままにはしておけないから」
 ゆたかのあえぎ声によって、みなみが、本能的でありながらそれまで経験したことのない刺激を受けて
おかしくなってしまいそうだという事実もあるのだが、これについては触れないことに。
「安心して。これ以上、ゆたかを危ない目には遭わせない。…わたしが、ゆたかを護るから」
 顔を真っ赤にしながら言うセリフかどうかはあれだが、今の二人はそんな場合ではなかった。

 しばらくの間をおいて、ゆたかが小さく頷き、そして、自ら股をそれまでよりもう少し開いた。

 ゆたかの膣(なか)に挿入されていた器具を、みなみがそっと抜き取る。そのときの刺激でゆたかは、ひときわ
甲高く悩ましい声をあげて、からだを二、三度大きくびくりと震わせ、この場で二度目の絶頂を迎えた。
30219‐646:2009/01/03(土) 23:48:48 ID:SC+3HDTo
今回は以上です。
序盤などに不可解な改行があったかと思いますが、あれはワードからメモ帳に移したときに起きたミスです。

絶望した!よりによって投下最中に呼びつけてくる親に絶望したッ!!
ということでこの辺で。
303名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 23:58:54 ID:vlMJVSGp
>>302
速く続きの投下をお願いいたします……ッ!!

つーか、あきら様暗黒面に落ちすぎでしょう。……いや、もしかしてあきら様本人も体で払ってたとか……。

さて。この後誰も投下がないならSSを投下させていただきます。
304 ◆MoiSlbQnQw :2009/01/04(日) 00:11:27 ID:dUEKUCWH
もう、新年関係なくてごめんなさい。そんなSSを投下します。

※前作含め、TS要素が含まれています。

『かがみ君、どうするの?』(かがみ&みさお、かがみ&みゆき)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0166.txt

『かがみ君、だいじょうぶ?』(かがみ×みゆき)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0167.txt

『どうするの?』は『かがみ君、がんばって』の続きですので、『がんばって』を先に読んでいただければ幸いです。
『だいじょうぶ?』は、『どうするの?』で出来なかったシーンを直接使った外伝的SSです。これは上の二作品を読まなくても大丈夫です。
305名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 00:51:08 ID:O3ufyq4x
>>304
GJ!
ぶっちゃけ、みゆきさんはもっともっと愛されていいと思うんだヽ(`Д´)ノ
なぜに、みゆきさんのような人がいままでスルーされてるのか、
まるでわからん、まったく。

それはさておき
>>304は貧乳派
ならば♂かが×こな(エロ有り)を所望する、全力で(゚∀゚)9m
306名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 00:58:09 ID:fHbmeHZB
♂かがみって・・・

かがみ「い、いれるよ・・・あれ?」
かがみ「は、入らな・・・」
こなた「もうちょっと、下の方・・・」
かがみ「うあっ」
ドピュ

って感じに挿入失敗しそうで不安w
307名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 01:19:07 ID:O3ufyq4x
>>306
ばっか、
そんなへたれ責めな♂かがみをイジりたおしながら
処女を捧げるこなたに萌えるんじゃないかwwwww
308名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 16:25:04 ID:amn/erXG
こなた以外がTS化すると乙女ゲーみたいになりそうだな
童顔で自分のルートだとこなたに滅茶苦茶甘いけど、自分以外のルートに入ると鬼畜攻めになるつかさとゆたかが簡単に脳裏に浮かぶ
309名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 18:36:09 ID:egzEL9y8
>>308
すまん、主語がよくわからない
310名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 22:13:02 ID:vR4DICfM
大晦日から、毎日投下が来てるねえ。
嬉しいけど、明日が仕事始めだから読みきれない……
311名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 00:09:10 ID:KXe9DMdH
>>302
俺の大好きなみーみーキター!!!
心配してましたよ!おかえりなさい!
長編を書くのは大変でしょうが、無理せず頑張って下さい。
(短編しか書けない自分には、長編を書ける皆さんが羨ましいです…)
続きを楽しみに待っております。
312名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 19:25:59 ID:Da0HFThA
保守
313名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 19:31:51 ID:1iD8DyMU
保守は2chでは荒らし行為
314名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 19:44:14 ID:MKbTtllQ
313は2chでは自分ルール
315名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 19:54:25 ID:1iD8DyMU
保守荒らしでググレカス
31654-290:2009/01/06(火) 20:09:03 ID:v193Smik
皆様明けましておめでとうございます。
54-290です。

携帯からですがひとつ投下させていただきます。
・ほのぼの系、非エロ
・設定上の理由からひらがな多用です、読みにくかったらすみません。



ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0168.txt
317名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 20:42:59 ID:tZm3VG05
>>316
登場人物が全員暴走してて、大笑いいたしました。

この話のそうじろうさんはこの後逮捕されるような気がします。
318名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 22:50:52 ID:EUJ66b9Q
>>316

幼少のみぎりからこんなにカオスで、お父さん心配です。
ああ、そのお父さんがすでにカオス変質者だからいいのか。
とりあえず変質者は通報しますた。

要はGJ!
319名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 23:44:22 ID:MyYJbIjK
>>316
GJ!寝る前に読んだら、笑って目が冴えてしまったではないか!
>それでも株は〜がやたらツボに入ったw
320名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:13:20 ID:ayTtm0YD
>>316
おもっいきし吹いたw
めちゃんこカオスでたまりません。

つーか、そうじろう。
錯乱するにも程があるぞw

GJ!
321名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:25:13 ID:XGtUEjmA
>>316
ぐっじぉぉぉぉぉぶ!
夜中なのに腹抱えて笑た。
322名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 01:08:04 ID:X7McbNfV
>>316
めちゃめちゃおもしろかったwww皆かわええええええ
かがみ、既にこな☆フェチ発症のケがあるなwしかも、つかさバカスw
32354-290:2009/01/07(水) 01:15:21 ID:LAVBGPUr
ID変わってるかと思いますが、316または54-290です。
皆様楽しんで頂けたようで何よりの光栄です。


人物的には尖った個性の部分を同じベクトルでリミッター外して好き勝手に動いてもらった感じです。

あまりにそうじろうをダメ変態にしてしまったので、通報は正しい判断かとw


しかし、『ツボった』ポイントが、意外と高威力のつもりでもなかった場所だったりするのはなんでだろう・・・(^^;)。
324名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 01:40:26 ID:/Hmn2vf+
>>323

そうじろう「えてして、作者の発想と読者の受けというものはそんなもの。
      ある種宿命みたいなものだよ、うんうん・・・orz」
325名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 02:01:20 ID:hLioP5lt
>>316
夜中なのに実家なのに声を上げて大爆笑してしまいました。
なので謝罪と賠償としてもっとやってくださいGJ!
326名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 11:23:30 ID:b0X53dqi
>>316
いぬがみこすーとか思い付くあなたには病院が必要です。
GJGJ
32754-290:2009/01/07(水) 12:36:00 ID:LAVBGPUr
い・・・今思い出した事をありのまま話すぜ!(AA略)

『ちょっと笑えるハートウォーミング系の話しを書いていたらいつの間にかめっちゃカオスだった』


な・・・何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をやっちまったのか分からなかった・・・。
あ・・・頭がどうにかなっちまった・・・。

暴走とか設定とかそんなチャチなもんじゃねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・



ホントに何がしたかったんだ自分は・・・
328戸別響:2009/01/07(水) 14:29:57 ID:sjp2tOF+
アウグーリ・ボナンノ!(イタリア語で「明けましておめでとうございます」の意)
戸別響です。予告どおり「スケッチスケッチ!」シリーズはいったんお休みし、短編をひとつ
投下したいと思います。
Orange days
・こなた&かがみ&つかさ
・三人称 
・非エロ しんみり
・8レス使用
・他の漫画のネタあり
何事もなければ、3分後に投下を開始します。では、どうぞ。
329Orange days(1):2009/01/07(水) 14:33:20 ID:sjp2tOF+




「うぅ……ぜんぜんわからないよー……」
「……私も……」
「弱音を吐かないの。今日の目標までもう少しなんだから、頑張りなさい」
「……はーい……」


Orange days


冬休みが終わり、センター試験まで残り2週間を切った1月中旬の日曜日、こなた、かがみ、
つかさの三人は、泉家に集まって、勉強会を開いていた。本当はみゆきも一緒に参加する予定
だったが、急な用事ができたらしく、不参加ということになった。

だんだん寒さの増してきた冬空は、厚い雲に覆われていた。
「……そういえば、今日は雪が降るかも、って天気予報で言ってたっけ……かがみ達は傘とか
持ってきた?」
窓の外のどんよりとした空を眺めていたこなたは視線を移動させて、机の向かい側にいる
かがみに尋ねた。ちなみに今こなたの部屋にいるのは、こなたとかがみの二人だけ。つかさは
こなたとともに今日の勉強目標を達成した後、こなたに言われてお菓子を二階のリビングまで
取りに行っている。つまり、今は休憩中である。
「一応、折りたたみ傘は持ってきたけど。ちゃんと天気予報も見てきたし、朝から降って
来そうな空だったしね」
「そっか、じゃあ大丈夫だね」
こなたはかがみの返事を聞いて、また窓の外へと視線を戻した。


それを見たかがみは、今日何度目かの違和感を覚えていた。
(何だろう……今日のこなた、いつもと少し違う気がする……)
初めは、それは今日が勉強会だからだとかがみは思っていた。実際、かがみもこなたや
つかさが勉強以外の事をしないように監視してたから、あまり喋らなかったのかもしれない。
でも、勉強を開始してから2時間が経った頃。昼飯を食べるために休憩時間を作ったのだが、
つかさがこなたの家のキッチンを借りてご飯を作っている間、こなたはまるで堰を切った様に
喋りだしたのだ。だんまりだった勉強中とは雲泥の差で、いつもよりもハイテンションなその
喋り口は、逆にかがみが覚えた違和感を増幅させた。
330Orange days(2):2009/01/07(水) 14:34:15 ID:sjp2tOF+

それは昼飯を食べている時でも変わらずで、かがみやつかさが振った話題に「そうなんだー!」
とやたらオーバーリアクションだったり、「そう言えばさー」とどうでもいい話を、いつも
以上に大袈裟に話したりと、かがみにとっては違和感を覚えるような事ばかりだった。


(まるで、無理矢理明るく振舞ってるみたいだったな……)
そして勉強を再開するとまた黙ってしまって、今日の分が終わった今は昼飯の時とは違って、
会話はしてくるけどローテンションさは保ち続けていて、その落差がまたかがみにこなたへの
不審感を与えていた。


「おまたせー、お菓子持ってきたよー」
かがみがしばらくその事について考えていると、つかさが二階から戻ってきた。
つかさはこなたの異変に気づいていないのだろうか、とかがみは思った。つかさ自身も何度も
弱音を吐きつつも一生懸命に勉強していたから、勉強中にこなたが静かだった事には気づいて
ないかもしれないけど、つかさは昼飯の時のこなたの異常なテンションにも気づいてなかった
みたいだった。

「おー、つかさ、ありがとー……って、これまた大量だねー」
「えへへ、どれにしようか迷っちゃって、結局全部持ってきちゃった……」
視線を空からつかさに移したこなたの質問に、つかさは苦笑いで答えた。
「つかさらしいねー。じゃあ私はポテチで……かがみはポッキーでいい?」
「えっ? あ、うん、そうするわ」
さっきの違和感について考えていたかがみは、こなたの問いに少し反応が遅れてしまった。
「んん? どしたの? かがみん。あっ、もしかしてダイエット中だった?」
「なっ! そ、そういうわけじゃあ……」
「そんなに気にしなくてもいいのにー。かがみは十分に痩せてると思うけど。ねぇ? つかさ」
「ふえっ!? え、えっと……うん、そうだね?」
「……はぁ……無理にフォローしなくてもいいわよ、つかさ」
いつも通り、に見えるこのやりとり。こなたが糸目でおちゃらけ、かがみが顔を赤くして反論、
つかさは困った様に二人についていく。お菓子関係で体重の話になるのもすでにこなたの
かがみいじりの常套手段になっている。だが……

(…………)
かがみの頭には、まだ引っかかるものが残っていた。つかさが戻ってくる前と戻ってきた後、
それぞれでまたテンションが少し違うのである。会話はするけどややテンションが低い前者、
いつものテンションに戻った後者。昼飯の時と比べれば差は微妙だが、かがみのこなたへの
不審感をさらに募らせるのには十分だった。
331Orange days(3):2009/01/07(水) 14:35:09 ID:sjp2tOF+

「……ねぇ、こな……」
「あ、見て見てー、窓の外!」
そのたまりにたまった不審感に耐えられなくなり、かがみがこなたにそのことについて
聞こうとすると、つかさが突然窓の外を指さしてこう叫んだ。
「えっ?……うわー……」
「……すごっ……」
こなたとかがみはそれに従って窓の外を見て、二人ともそれぞれの言葉で感嘆した。
窓の外では、しんしんと、雪が地面に向かって降り注いでいた。

「……きれいだねー……」
どんよりとした薄暗い雲から降りてくるその雪は、吹雪とまではいかないものの、しばらく
降り続ければ確実に積もるだろうというくらいの勢いであった。それがロマンチックだった
のか、つかさは目をうっとりさせて感嘆した。
「ホントだねー……でも、帰る時大変じゃない? かがみ達、折りたたみ傘しか持ってないん
だよね?」
「え、ええ、そうだけど……」
「……でもこのくらいなら、傘は差さないで歩きたいなー」
こなたの心配はもっともだ、とかがみは思ったが、夢見る乙女モードのつかさはそんな事は
気にしてないようだった。

はぁ、まったくこの子は……と溜息をついたかがみは、なんとなく、こなたの方を向いてみた。
「…………」
こなたは窓の外の降り続ける雪を、ただボーっと見つめているようだった。
かがみはさっき聞き損ねた違和感について、今度こそ聞こうとこなたに声を掛けた。
「……ねぇ、こな……!」
そしてその時、かがみは自分の感じていた事が気のせいではないとわかる、こなたの確実な
異変を見た。

「……こなた?」
「ん? ……どうしたの? かがみん」
「……いや、どうしたの? って聞きたいのはこっちの方よ!」
どうやらこなたは自分の身に起こっている事に気づいてないらしい。かがみの声に反応した
つかさも、こなたを見て少し驚いているようだった。
不思議そうに聞き返すこなたに、かがみは今起こっている事を述べる。
「こなた……どうして、泣いてるの?」


332Orange days(4):2009/01/07(水) 14:36:13 ID:sjp2tOF+

「……えっ……?」
かがみの言葉を、こなたは最初、全く理解することができなかった。
泣いてる? 私が?
「……かがみ、何を……」
何を言ってるの? と言い切る事がこなたにはできなかった。
何気なく触れた頬に、一筋の水が流れている事に気づいたから。

「あ、あれ? おかしいな……」
こなたは慌ててその水を腕で拭った。しかし拭っても拭っても、その水――涙を止めることが
できない。
「……こなた」
「あ、あはは……ご、ごめん、ちょっと、待ってね……」
「……こなた!」
猶も止まらない涙。少し震えて、ぐずるようになってきた声。そんなこなたの様子を見て、
かがみは思わず声を上げた。

「どうしたのよ、今日のこなた、何か変よ!?」
そう言って、かがみは今日ずっと感じていたこなたの言動の不審さを述べた。
勉強中、ずっと静かだった事。
休憩中には、打って変わってハイテンションだった事。
それが空元気のように感じた事。
こなたはまだ止まらない涙をそのままにして、かがみの言葉を聞いていた。

「……やっぱり、かがみには、ぐすっ、敵わないなー……」
かがみが言いたい事をすべて言い終わった後、こなたはぐずりながらそう呟いた。
「……こなた、いったい何があったの? あんたがそこまで泣くなんて……」
「……ぐすっ……ん、実は、ね……」
かがみの質問に、こなたは一度、流れる涙を拭って答え始めた。


「私、ね、中学まで、あまり友達らしい友達が、ぐすっ、いなかったんだ。言いたくはない
けど、ほら、私、こんななりだし、そのころから、オタクだったし、ね。だから友達といえば、
いつか言った、将来魔法使いになりたい、って言ってた子しか、いなかったんだ。だから、私、
高校に入って、かがみやつかさ、みゆきさんと、友達になれて、本当に、嬉しかった。3年間、
わいわい騒いで、喋って、遊べる友達に会えて、さ」
ややつかえながら、こなたは話を続ける。拭った涙は、やはりまた流れ始めてしまう。

「……でもね、3年生になって、卒業が近づいてきたら、ぐすっ、もうすぐかがみ達とお別れ
なんだって思い始めてね。ひくっ……そしたら、なんだか急に寂しくなってきちゃって……」

333Orange days(5):2009/01/07(水) 14:37:44 ID:sjp2tOF+

「……そう、だったの……」
「今の涙は、ぐすっ、雪を見たせいで、寂しさに耐え切れなくなったから……だと思う」
そう締めたこなたの話を聞き、かがみはそれ以上言葉を発することができなかった。
つまりこなたは、初めて経験する「別れ」によって、苦しんでいるのだ。
小、中と、親しい友との別れを経験しているかがみにとっては、今回の高校での「別れ」は
それほど苦しいものではないのかもしれない。でもこなたにとっては、初めての友との「別れ」
である。その寂しさ、哀しさは、今のかがみでは、推し量ることはできないだろう。



「ううっ……ぐすっ……」
雪の降り続ける空から窓を挟んで内側、こなたの部屋の中には沈黙が流れ、聞こえる音は、
こなたの嗚咽のみだった。


そんな押し潰されそうな沈黙を破ったのは――


「……こなちゃんも、私と同じだったんだね」
「……えっ……?」


今まで黙っていた、つかさだった。


「つかさ!? あんた、何を言って……」
「……私も、辛かったんだよ? お姉ちゃんやこなちゃん達と、お別れする事」
「…………!」
突然話に入り込んできたつかさに憤りを感じたかがみだったが、つかさの言葉を聞き、その
表情――いつもの微笑みなのに、少し悲しい、寂しい感情が入っている様な――を見て、
この前の誕生日のことを思い出した。
去年の夏、誕生日会をした後につかさがかがみに吐露した、双子の姉との初めての別れの
寂しさ、苦しさ。それはこなたが経験する初めての「別れ」と同じくらいのはずだ。その事を
思い出したかがみは、思わず息を呑んでしまった。

「今日のこなちゃん、いつもと何か違うなぁ、ちょっと変だなぁ、っていうのは最初から
気づいてたよ。でもこなちゃん、その事に触れてほしくないみたいだったから、ずっと
気づいてないふりをしてたんだけど……そっか、私と同じだったんだ」
確認する様に、微笑みながら呟くつかさ。つかさもこなたの異変に気づいていた。その事実に
さらに驚いたかがみは、ただ呆けてつかさを見る事しかできなくなっていた。

334Orange days(6):2009/01/07(水) 14:39:27 ID:sjp2tOF+

と、
「………さ」
つかさと入れ替わるように黙っていたこなたが、俯きながら言葉を発した。その口調は、少し
震えているようだった。
「じゃあ何で、つかさはそんな風に笑ってられるのさ!」
「えっ……?」
次の瞬間、こなたは俯けていた顔をつかさに向かって思い切り振り上げ、怒りのこもった声を
上げた。その目には、まだ大粒の涙が溜まっていた。
いきなりの事で、つかさとかがみは驚いたような声を上げた。

「つかさには、私の気持ちがわかるんでしょ!? 私と同じなんでしょ!? だったら何で笑って
られるの!? 悲しくないの!? 苦しくないの!? ねぇ、どうして!」
こなたは自分の気持ちを吐き出す様につかさに向かって叫び続けた。
溜め込み切れなくなった感情をすべて外に出す。つかさもこなたと同じなら、いつか耐え切れ
なくなってしまうはず。
なのに今、つかさは笑っている。その理不尽さに、こなたは憤りを感じていた。

「…………」
こなたの剣幕に目を丸くしていたつかさだったが、しばらくして目をつぶり、人差し指を唇に
当てて、うーん、と唸りながら考え事を始めた。何秒か考え込んだ後、あっ、と何か思い
ついた様に目を開け、こなたに顔を向けて、そして微笑んで――


「……変わっていくから大切な物、変わらないから大切な物。どちらも同じくらい大切……
なんてね」
「……えっ……?」
つかさの答えに、今度はこなたが目を丸くする番だった。意外な答えだったという事も
あったが、そのセリフに、聞き覚えがあったからだ。
どうしてそのアニメを知っているのか、どうして今、そのセリフが出てくるのか。
こなたの頭の中にあるそのような疑問を、つかさはまるでわかっているかの様に話を続けた。

「えへへ……実は去年の私とお姉ちゃんの誕生日会の後、一度耐え切れなくなって、お姉ちゃんに
吐き出しちゃった時があったの。でもその後、こなちゃんと一緒に見たこのアニメの事を
思い出してね」
つかさは相変わらず微笑んだままで、こなたは呆気にとられた顔をしている。
335Orange days(7):2009/01/07(水) 14:41:19 ID:sjp2tOF+

「……確かに学校は離れ離れになっちゃうかもしれないけど、人はいつか別れなきゃいけない
から。それに、もう二度と会えなくなるわけじゃないでしょ? だから……」
一度言葉を切り、つかさはこなたにもう一度、今度ははっきりとした笑顔を向けて――

「……だから、もっと今を大切にしよう? いつかまたみんなで集った時に、あの頃も楽しかった
って、語り合えるくらいに」
ねっ? と言って、つかさはこなたに笑いかける。
こなたの目に、もう涙はなくなっていた。こなたの胸の中は今、喜びで満ち溢れていた。
言う言葉が見つからない。こなたは俯いて黙りこくってしまう。
「……こなちゃん?」
つかさが心配そうにこなたの顔を覗き込もうとする。

(……そっか、そうなんだ)

「……つかさ」
こなたは顔を上げて、つかさと目を合わせた。
「ありがとう。後、八つ当たりみたいなことして、ごめん」
「こなちゃん……ううん、いいよ、気にしてないから」
つかさの返事を聞くと、こなたは寂しそうな表情から、いつもの、いたずらめいた笑顔を作って、
「……でも、恥ずかしいセリフ、禁止ー!」
「え、えぇー!」
ビシッ、とこなたに指差されて、つかさはしどろもどろになってしまう。

「だいたい、つかさに慰められるなんて……ううっ、末代までの恥だね、こりゃ」
「ひ、ひどいよ、こなちゃん!」
「ハハハ……って、そういえばもうこんな時間だけど、つかさ達、帰らなくてもいいの?」
こなたに言われて、つかさは時計と窓の外を見た。時計の針はもう5時前になっていて、窓の
外は暗闇に染められようとしていた。
「あ、ホントだー。お姉ちゃん、そろそろ帰ろうか?」
それを見たつかさはかがみにそう尋ね、
「えっ、あ、う、うん、そうね。そろそろ帰りましょう」
それまでこなたとつかさの会話についていけなくなっていたかがみも、つかさの質問に答えて
立ち上がった。


336Orange days(8):2009/01/07(水) 14:43:11 ID:sjp2tOF+

「……わざわざ見送りに来なくてもよかったのに……」
「いいのいいの。私が見送りたい気分だったんだから」
泉家の玄関前、3人は雪が降り続く寒空の下、向かい合って立っていた。コンクリートの地面には、
うっすらと、白い雪か積もってきていた。

「それじゃあ、また明日、学校でね」
「うん、わかった」
「おやすみなさい、こなちゃん」
そう言って、つかさとかがみは後ろを向き、雪を踏み鳴らしながら駅の方へと歩き始める。
遠ざかる二人の姿、遠ざかる二人の足音。

(あ、そういえば……)
薄闇の中に二人が消えようとした瞬間、こなたはつかさ達の方へ駆け出していた。
数メートル走って、こなたは立ち止まる。そして、
「……つかさー! かがみー!」
「ふえっ!?」
「はあっ!?」
こなたは大声で二人の名前を呼んだ。驚いたつかさとかがみが振り返ると、こなたは満面の
笑みを浮かべて、二人に向かってぶんぶんと左手を振っていた。

「また明日ねー!」
なおも大声を上げるこなた。
「ちょっと、こなた! 声がでかすぎ……」
「え、えっと……お、大声、きんしー!」
「うなっ!?」
そのあまりの大きさにかがみが注意しようとした時、隣のつかさも、珍しく大声で、こなたに
返事をした。


「つかさー! ちゃんと返してくれてありがとー!」
「ど、どういたしましてー!?」
「……って、また漫画のネタかい! あと本当にうるさいから、二人とも静かにしろー!」


こなた、つかさ、かがみ。三人で奏でる大音量のシンフォニー。
この楽しい生活を、もっと長く続けていきたい。こなたはそう、心の中で呟いた。


そう、いつまでも、このオレンジ色の日々を――







337戸別響:2009/01/07(水) 14:50:20 ID:sjp2tOF+
以上です。
ネタにした漫画というのは、もちろん某未来形ヒーリングコミックです。
そろそろ卒業の季節になりますし、ちょうどいいかと思いまして。
感想、批評、ありがとうございます。この作品でも、よろしくお願いします。

次回は「スケッチスケッチ!」シリーズに戻ります。こちらもよろしくお願いします。
338名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 19:28:25 ID:/Hmn2vf+
しんみりをありがとう、GJ

でもできることなら、この3人・・・いや4人には
何かの形で、常に会える様になってくれるといいなあ。
たとえば大学が近所で、とか。
そう思うのは、俺のわがままでしょうか。
339名無しさん@ピンキー:2009/01/08(木) 21:48:00 ID:2AvcM7YB
>>337お疲れさまです。
こなたの寂しさ、かがみとつかさの優しさ。
それぞれのキャラがよく描写されていて良かったです。
34054-290:2009/01/09(金) 20:44:03 ID:UPY7Uv4C
しんみりGJでした!
でも大丈夫!きっと高校の縁は一生続くよ・・・。


こんばんちは。
54-290です。

携帯からですが二つほど投下させていただきます。


・コメディ系、だいたい非エロ
・SSというにはちとアレな形ですが。
・以前投下させて頂いた『かなたさんチェック』と世界観が共通のような、違うような・・・。


http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0169.txt



・クルマネタ、興味ないかたは面白くないかも
・コメディ系、非エロ
・完全に自分の趣味でクルマでネタを。
・シートベルトをしめましょう。走行シーンを公道で真似しないで(ry

http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0170.txt
341名無しさん@ピンキー:2009/01/09(金) 23:29:50 ID:nAQSW6XK
>>340
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
思いっきり笑って腹筋が痛くなってしまったじゃないか!

二つとも、とてつもない破壊力で笑わせてもらったよ。
GJ!
342名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 00:04:45 ID:o5fR8Am/
>>340
ちょ、へんたいかがみwwそして何気に強くてかなたさんが突っ込めないのに泣いた。
そして下の方は専門用語ぬえわkm/hとか)とかがよくわからんかったけど、失禁かがみに萌えたからいいや(ぉ

さて。差し支えなければ投下いたします。

『かがみ君、おつかれさま』(かがみ&こなた、TS要素あり)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0171.txt

ついにエロゲマスターことこなたの登場です。
34354-290:2009/01/10(土) 00:28:27 ID:28uplFNO
>>342ぬぁおおお!タラシめ、遂にこなたにまで手を出しやがって!てめぇ!

いいぞーいいぞーもっとやれー(・∀・)


ちなみに補足しますと、
『時速ぬえわ`』
キーボードをよく見てください、なんか数字が書いてあります。
344名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 00:40:13 ID:yCbpRHj2
>>343
「みかか」と同じタイプの隠語?だよねぇ。
でも、みかかがNTTにならずにHWWになるキーボードを使ってる私には
「ぬわえ」がいくつになるのか分からないorz
345名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 01:31:21 ID:/k0KTuMb
>>340
DC2とかEK9を選ばずにEK4を選んだあたりにセンスを感じた
VTECのエンジン音もちゃんと再現されていたしww
かがみはあえてDB8に乗せてやってくれw

みwiki「因みに、VTECとはホンダの可変バルブタイミングリフト機構の事で、
回転域によってローカムとハイカムを切り替え、吸気量を変えることで低回転域のトルクと高回転域のパワーが両立されるのだそうです。
一定の回転数からエンジン音が変わるのはハイカムに切り替わるためなんです。」

痛車と言えば、去年のD1でBee☆RのB324RもRd.3の鈴鹿で優勝してたな。

長文スマソ
346名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 11:21:00 ID:3SD1Q/Mm
>>342
うおおっ!
まさかこんなとこで『すぱすぱ』ネタを見ることになろうとはw

というか・・・かがみ、いろいろと手を出し過ぎw
nice boatされても知らないぞwww
347ST205海苔 ◆ST205qYjsE :2009/01/10(土) 11:40:58 ID:uJwQ+EbY
>>340
EKどころかEG6でもないあたりがw

にしてもBGMは何だ?
BLACK OUTか?RUNNING IN THE 90'Sか?
GRAND PRIXか?HEARTBEATか?SAVE MEか?
CRAZY FOR LOVEか?SPEEDY SPEED BOYか?
それともPAMERAか?

ともあれGJ!!

>>345
加えてメロンシティのJRC JN4クラス制覇もあったから
まさに痛車がモータースポーツ界を席巻した1年でしたな<'08年
(´-`).。oO(ところでS耐のアスラーダカラーDC5がシーズン終盤に痛車化してたようだが・・・・)
348名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 20:54:41 ID:FRI5ZzGk
>>340

GJでした。

痛車か…
JAPAN・スーパーGT300の初音ミクBMW・Z4と鏡音リン・レンMOLA・Zは外せないな。
ニコでの盛り上がり方が半端じゃなかったぜ。
34954-290:2009/01/11(日) 00:40:35 ID:uuD83b5g
54-290です。皆様暖かい声援感謝します!


しかし、EK4が思わぬ人気(?)でびっくりです。いや、個人的にVTEC好きなのと、『え?4てなんだっけ?EK9じゃないの?』くらいの不憫さがもうね・・・。


ちなみにネタでなく、さっき左のミラー軽く当たりましたorz
リアル愛車で再現せんでも・・・。攻めてたとかじゃなく、『インに寄ってみよーかな?』くらいに思ってたらカツーンと・・・。


補足/
ぬえわ→150
よわ→80か90のどっちか

です。補完してください。
350峠越し中のこなた:2009/01/11(日) 02:31:12 ID:gZf1IdvN
♪フンフンフン
ぐらびてぃ〜ぐらびてぃ〜
がちゃぴんがちゃぴんるるらーらららー
ア・ソレ!
ぐらびてぃ〜ぐらびてぃ〜
がちゃぴんがちゃぴんるるらーららららるる
おらこんなむら〜いやだ〜おらこんなむら〜いやだ〜







かがみ「イミフな口ずさみやめろ鼻歌をやめろ
     ていうかちょめちょめD走行いますぐやめろ殺す気か!!
     コノウラミハラサデオクベキカ
     車降りたら犯してやる犯しぬいて調教してやる!!」

こなた「♪がちゃぴんがちゃぴん・・・よし・・・追い越し!(溝落とし)」

かがみ「覚悟し・・・・いやあああああああああああああ!!!」
351名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 12:13:09 ID:bUGDJ5mG
>>337
ほんわかと温かくなるお話ですね。
こなたの感情に気づいているけれど、敢えて知らないふりをしているつかさの優しさがこころに染みました。
こなたは本当に良い友達に恵まれたんだなあ、と思います。
よろしければ、次回作にも期待しています。
352名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 01:02:52 ID:voUHQz/6
1:05くらいに投下したいです。
35342-115:2009/01/12(月) 01:07:53 ID:voUHQz/6
では。

 「メール騒動」


 ・10レス
 ・エロなし
 ・拙作「手紙騒動」、「新手紙騒動」との関連はなし。
354メール騒動 1/10:2009/01/12(月) 01:09:14 ID:voUHQz/6
 トンネルの暗闇のような眠りを抜けると、そこは昼……。
 「……ああ、こんな時間」
 カーテンの縁から溢れる光で、かがみは時計が示す後刻が、日付ではなく午前から午後に変わろうという
時間帯である事を知って嘆息する。
 導眠剤代わりに読み始めた本に熱中し、やっとの事で疲労感と睡魔を誘致した頃にはもう明け方だった。
以前と違うのは、その朝が休日の朝である事のをいい事に、起こさないでほしいという旨をメールでつかさ
に伝え、そのまま惰眠を貪った事である。
 惰眠の「惰」は怠惰の「惰」。とはいえ、たまには惰眠も貪るものである。空腹がひどい点を除けば、目
覚めは悪くない。むしろすこぶる付きでいいくらいだ。
 何か良い事/悪い事が起きた時、「これで運/不運を使い果たした」と言う人の事を「運命定量論者」とい
うらしいが、「惰眠定量論」の立場に立つとすると、今日の分の惰眠はかがみが貪ってなくなったというべ
きであろう。両親と姉たちは、皆公用やら私用やらなんやらで出払っている。それは珍しくもないとして、
今日はつかさもかがみよりは早く起きて、どこぞやかに出かけたらしい。そのため、外には休日の参拝客の
気配が絶え間なく流れているものの、家の中はひっそりと静まり返っている。
 今日だったのかな……。着替えを選びながらかがみは考える。
 数日前、つかさがあやのと話し込んでいるのを見かけた。後で話を聞くと、峰岸家に呼ばれて、行く事に
したのだと話していた。
 何をするのかは想像に難くはない。趣味をほぼ同じくする二人である。人間は本能的に、同好の士との接
触を図ろうとするものである。
 「同好の士……」
 この言葉で、こなたの顔がポンと浮かんできてしまった。
 「いやいやいやいや」
 壊れたワイパーのように手を振って、浮かんできたものを振り払う。
 あっちが勝手にそう思ってるだけだから! 全力で辞退してるし。
 そうじゃなくて……。
 一方的な同好の士認定を追い出して、エプロンにひょっとしたら頭巾もつけ、女らしいというよりは女の
子らしい営みに従事するつかさとあやのを思い浮かべる。
 ぐう……。
 そしたら腹の虫が鳴いた。何か食わせろと不平を述べた。つかさのクッキーの釣られて、炎天下の柊家ま
で遠征をしたこなたを笑えない。
 意識してしまえばもう最後。つかさの帰りを待つか、電話を入れて自分も峰岸家の客にさせてもらうかと
いう、割りと深刻な問題が立ちはだかる。
 ……いや、その前にとにかく朝食だ。
355メール騒動 2/10:2009/01/12(月) 01:10:23 ID:voUHQz/6
 甘い誘惑を振り払い、着替えを終えると、自分の携帯が無言で着信を告げているのに気付いた。つかさか
らのメールで、かがみからの起こさないでねメールの返信の形で、今日の予定であるところの、峰岸家での
営みについて書いていたのだが……。
 「んなっ!?」
 文面の文字を見て愕然とする。
 言葉を失い、声を失い、ショックの大きさに冷静さまで失くしてしまった。
 我に帰るまで数秒。冷静さをなくしたまま、かがみは行動に移った。
 家を飛び出すと自転車を出し、力の限り漕ぎ出す。
 目指すは同じ町内の峰岸家。
 つかさとあやのの、女らしいというよりはメスのそれと言うべき営みを阻止すべく。




 昼下がりの峰岸家のリビングには、暖かな午後の日差しが降り注ぎ、惰眠を貪るには格好の空間となって
いる。そこに漂うのが、焼き菓子の甘い匂いともなればなおさらである。
 「出来たわ」
 オーブンから取り出した鉄板皿上のガレットを見て、あやのが顔だけでなく声まで輝かせる。
 「わー」
 持参した白いエプロンを身につけたつかさも覗き込み、その出来栄えに満足する。
 数日前、土曜に自分を残して家が空くので、互いの趣味を高めないかという趣旨の誘いを受けた。つまり
は一緒に菓子でも作らないかということだった。
 つかさとしては誘い自体に異存はなかったのだが、
 「じゃあお姉ちゃんも……」
と、かがみを同伴させたがったのには首を横に振った。
 「ちょっと変わった物を作ってみようと思うの」
 その為にはつかさの協力が必要だし、そしてそれと知らせずにかがみに食べてもらおうというのだ。それ
が何かというと……。
 「ちゃんと焼けたね。加藤さんのプランター」
 「……妹ちゃん。それ違うから」
 大カトーことマルクス・ポルキウス・カトー・ケンソリウスといえば、紀元前二世紀の対カルタゴ最強硬
派の政治家で、共和政を守るために時の英雄(大スキピオことスキピオ・アフリカヌス)を弾劾し失脚させ
たほどの、共和政ローマを代表する堅物である。一方で農業書を記し、そこでローマ時代の焼き菓子のレシ
ピを後世に伝えている。二人が焼いたのはプランターではなく、プラチェンタというクレープの親戚みたい
な古代の焼き菓子である。
356メール騒動 3/10:2009/01/12(月) 01:11:49 ID:voUHQz/6
 あやのの言うちょっと変わった物とは、奇特なヨーロッパの料理研究家によって復元された、古代や中世
の洋菓子のいくつかだった。といっても古いものばかりではなく、現代の定番たちもすでにできあがってい
て、家族や友達に配るために袋詰めしたものが、所狭しとキッチンの隅の冷暗所にひしめき合っている。
 「片付けは後にして、お昼にしようよ。コーヒー淹れるね」
 「うん……」
 つかさはエプロン姿のまま、日当たりの良いテーブルにつく。テーブルの上にはよくある料理本のほかに、
つかさには初見のヨーロッパ古代・中世のレシピ本、古代から現代までのスイーツの通史の本、それにどこ
か見覚えのある男の人の横顔が表紙になった「ポンペイ」の写真集まである。その場にあまりに不似合いだ
ったため、つかさは思わず手に取ってしまった。
 「それ、学校の図書館で借りたの。テレビで見たあれが載ってるかなって思って」
 コーヒーにクロワッサン、それと自分たちですぐに食べると決めていた分のクッキーを盆に載せ、テーブ
ルの対面についたあやのが言った。
 「ポンペイって……」
 「うん?」
 「あ、いただきます」
 本を開きながら、クロワッサンに伸びかけた手を慌てて引っ込め、行司から懸賞金を受け取る相撲力士の
ように動かしたつかさが言った。
 「いただきます」
 あやのも微笑みながら手を合わせる。ちなみにつかさは、「ポンペイって落語家さん?」と言おうとした
のだが、本の中の窯に目が留まってうやむやになる。
 「これ、パンを焼いた窯?」
 「どれどれ? うん、現代のピザ焼き窯とほとんど変わらないんだって」
 「へー、そうなんだ」
 「それから、銅製のクッキーの型なんかも出土してるんだって。ほら、これ」
 「あ、本当だ」
 焼き菓子はローマ時代に高い水準に達したこと。アルプスから運ばせた万年雪を、かき氷のようにして食
べたローマ皇帝がいたこと。でもかける物が、ハチミツくらいしかなかったこと。従ってブルーハワイを味
わえなかった事。コーヒーとクロワッサンは、オスマントルコの第二次ウィーン包囲(1683年)とはどうや
ら関係がないらしい事。ヨーロッパ内陸部には、日本よりコーヒーの伝来が遅い地域があること。……そも
そも、つかさがポンペイについてよく分かっていなかったこと。
357メール騒動 4/10:2009/01/12(月) 01:12:34 ID:voUHQz/6
 話題は弾み、菓子は減る。満たされた空腹と、解けた緊張、それに暖かな日差しがつかさを惰眠の快楽へ
と誘う。惰眠定量論的に見て、峰岸家の惰眠はまだ消費されていないらしい。
 「妹ちゃん、眠い?」
 あやのが苦笑しながら聞く。自分が眠ってしまわないために、コーヒーは割と濃い目に淹れたつもりだっ
たのだ。
 「ごめん……な……さい」
 うつらうつらと舟を漕ぎ、途切れ途切れに口にする。
 「ううん、いいよ寝ちゃって。何ならソファに横になっても。毛布とかは……いらないかな」
 日差しを額で跳ね返しながら、日取り窓を見上げて目を細めたあやのが言う。だがつかさはソファに移動
するのさえ億劫なのか、そのままテーブルに突っ伏してしまう。惰眠前最後の力を振り絞って目を開けると、
ポンペイの写真集の表紙、マケドニア王・アレクサンドロス三世、またの名をアレキサンダー大王の壁画が
目に入った。つかさはしばらくの間、睡魔に抗いながら大王の顔を見ていたが、やがてすっくりと目を閉じ
て眠っていってしまった。
 きっとつかさは、あやのが古代の菓子に興味を持った事を不思議に思っているはずである。
 「憧れたのかもね……」
 あやのは、写真集を手にとってそう呟いた。大王に、ではない。そっと開いたページには、地に伏した格
好の石像たちが載っていた。
 火山灰に埋もれた死体は分解されてなくなってしまうが、死体があった部分は、地層の中に空洞となって
残る。考古学者たちはそこに石膏を流し込み、空洞の型を取り(あるいは空洞を型したと言った方がいいか
もしれない)死体の状態を復元した。そうして石膏像として蘇った古代の住民たちは、人間のみならず犬な
ども含まれていたが、その表情には一様に死の苦悶が刻まれていたという。
 その中の一体(正確には二体?)、火砕流に飲み込まれる瞬間、互いを庇って抱き合ったまま永遠の眠り
についたカップルというのがあった。TVにほんの十秒くらい映っただけのそれに、あやのは強く感情を掻き
立てられるものがあった。古代の名もなきカップルの愛は、考古学という学問が人類の中に存在する限り、
永遠に語り継がれるのではないか。
 「憧れたのかも、ね」
 そんな二人に。そんな愛に。……そんな二人が愛を語らいながら食べたかも知れない菓子に。
 憧れでは補えない部分をつかさに補ってもらった。文献を集めたのはもちろんあやのだが、つかさの仕事
ぶりを振り返るに、さすが職業にしようとしている人は違う、と思わずにはいられなかった。
358メール騒動 5/10:2009/01/12(月) 01:13:13 ID:voUHQz/6
 「……」
 この動機を、つかさに打ち明ける事は出来ないだろう。あるいは古代人のカップルに関しては、つかさは
こういうエピソードを好むかもれないが、あやのに関しては単なるノロケでしかない。
 でもまあ、古代菓子の再現は、つかさにとっても良い経験となっただろう。互いを少し知り合う事ができ
た事も。そうでなければ、こんな満足げな顔で午睡する事もない……はずだ。
 ……そう言い聞かせる事で後ろめたさを振り払うと、あやのは決断した。
 「よし、片付けちゃお」
 皿とカップをまとめてシンクに運んだら、外で練習不足&才能不足のヴァイオリンの音色のような音がし
た。誰かが自転車のブレーキを乱暴にかけたようである。ほどなくインターホンが鳴った。
 「みさちゃんかな?」
 みさおが予告なしに押しかけたのだと思って、インターホンに出ると、火山爆発が起きた……のかと思う
程の怒声をインターホンは吐き出した。
 大規模な火山爆発の地震波や衝撃波は地球を何週もし、音は数千キロ先まで届くというから、鷹宮から一
番近い火山が那須火山帯のいずれの山だとしてもありえない話ではないが、あいにくモニターに映った相手
の表情から察するに、その訪問者から発せられたのに間違いはないようだった。
 「ひ、柊ちゃん!?」
 たじろいだあやのが発した声に、つかさが「……あと五分だけ〜」と寝言を言った。色々間違っている。
 かがみの怒声は、インターホン越しになおを続く。
 「峰岸!! あんたって奴は、人の妹捕まえて何してんのよ!?」
 「ご、ごめんね。とと、とりあえず落ち着いて。今開けるから」
 あやのはプラチェンタの一つをティッシュで包んで持つと、玄関に向かった。普通に考えて、かがみの言
う「何」はこれ関連のはずだ。食べ物の恨みはナントヤラで……。
 「いらっしゃい、柊ちゃん」
 あやのがかがみを迎え入れる。
 「え……と、プラチェンタ、食べる?」
 「プランターなんていらないわよ!」
 かがみが噴火したまま答える。やっぱり二人は姉妹なんだな、とあやのは思う。
 「それより」
 かがみはあやのの肩を掴み、凄まじい形相で睨みつける。本当は襟首を掴むか、首を締めたいのだろうけ
ど、長年の付き合いが辛うじて思いとどまらせたのだろうということが、あやのにもなんとなく伝わってき
た。その掴んだ肩を揺すって、かがみが喚く。
359メール騒動 6/10:2009/01/12(月) 01:13:57 ID:voUHQz/6
 「つかさはどこ!? あの子に何かあったら責任取ってよね。心の傷とかもふくめて」
 「え? ……ええ??」
 ここにきてあやのは、ようやくおかしなことになっているのに気付く。責任だの心の傷だの、食べ物の恨
みの延長にしては大袈裟過ぎる。揺するのをやめると、かがみの手には、別の振動が伝わってきた。あのあ
やのが、泣きそうな顔で震えていた。怒ると怖いが、身に覚えのない怒りをぶつけられて、逆ギレのしよう
もない。
 「ごめん……」
 かがみは気まずそうに手を離し、目をそらす。
 「これは……つかさが望んだことなの?」
 あやのは目の前に二又の道があって、片方には地雷が埋設されていると悟ったが、地雷探知機の持ち合わ
せがなかったため、正直に話すことにした。
 「ううん、私が―」
 呼んだの、とは続けられなかった。
 「やっぱあんたか〜!!」
 「やーん」
 かがみ、再び噴火。かがみを震源とする火山性の地震があやのを襲う。
 「とにかくつかさに会わせて! どこ!?」
 「妹ちゃんはリビングで……」
 「リビングなの!? 寝室とかじゃなくて?」
 「う、うん……。(日差しが)気持ち良くて寝ちゃったみたい」
 「気持ち良くて……」
 かがみは燃え尽きたように見えた。朝・昼食抜きですっ飛んできて、火山活動にエネルギーを使ったのだ
から無理もない。
 「上がらせてもらうね……」
 かがみは諦めたように言って、靴を脱ぐための予備動作に入ったとき……。
 「あやちゃん……?」
 廊下奥のリビングから、つかさが姿を現した。包丁を手にして……。
 以前柊家で、まつりがうっかりセールスマンを玄関の中に招き入れてしまった時、かがみの献策で使った
手である。包丁を持ったつかさが台所から来て、「お姉ちゃん、お鍋の様子を見ていて欲しいの」。
 玄関の方から聞こえてくるかがみの噴火活動により、五分を経ずして目を覚ましたつかさは、あやのが玄
関で招かざる客に捕まっているのだと思い、救出するために同じ手を使おうとしたのである。だがそこにい
たのは、他ならぬかがみだった。策士、策に溺れる……(違)。
 「つかさ!」
 かがみは靴を脱ぎ飛ばし(文字通り飛んだ。ちゃんと脱いだ点を称賛すべきか、脱ぎ方にケチをつけるべ
きか、靴の飛び方を着地も含めて採点すべきかは、意見の分かれるところであろう)、つかさに駆け寄る。
つかさは包丁を振り上げる。かがみに刺さったりしないように振り上げる。
 「お姉ちゃん、危ないよ」
 抱きついてきたかがみに、溺れるような形になったつかさが言った(包丁を振り上げたまま)。
360メール騒動 7/10:2009/01/12(月) 01:15:07 ID:voUHQz/6
 「つかさ、つかさ……。ひどい事されたわね。もう大丈夫よ」
 「ひどい事なんてされてないよ。あやちゃん、良くしてくれたよ?」
 「良くして……? 良かったんだ……」
 かがみが再び意気消沈する。「パンがなければお菓子を食べればいいのに」と言ったマリー・アントワネ
ットは、囚われの牢獄で一晩にして白髪頭になってしまったというが、パンもお菓子も食べずにここまで来
たかがみも、お菓子の香り漂う峰岸家でその轍を踏もうとしているようである。だが幸い、かがみはここで
ある事に気付いた。
 「ていうか……」
 つかさを離し、二人を下から上へと視線で一舐めにし、不審そうな顔になった。 エプロン姿である事に
違和感を抱いたのだろうか? あやのが言う。
 「エプロンのままお昼にしたの。お菓子とか、気をつけないとけっこうこぼれるでしょ」
 「私はエプロンのまま寝ちゃったよ……」
 つかさも照れながら言った。
 「……」
 かがみの違和感はそれでも晴れないらしい。不審そうな顔のまま手を伸ばし……。
 「柊ちゃん!?」
 「お姉ちゃん!?」
 ……二人のエプロンをめくった。
 スカートをめくられたわけではないし、下にちゃんと着けていたのだが、それでも落ち着くものではない。
 「ちゃんと着てるわね……」
 かがみ、それとなく変態発言。
 「当たり前でしょ! 着けてなかったら、は、裸エプロンじゃない」
 その言葉自体口にするのが恥ずかしいあやのは、カァッと赤面した。しかしかがみ、それでも引き下がら
ない。
 「私はよく知らないんだけど、そういうものじゃないの?」
 「そんなの、女同士でおかしいよ」
 「……男相手なら良いんだ?」
 「あ……う……」
 やり込められた形のあやのだが、ふと起死回生の一撃を思いついた。クラゼヴィッツでいうバック・ハン
ド・ブロー。後手からの一撃。煌く報復の剣! ……単純な事である。
 「着ている筈ないって思っていたってことは、柊ちゃんの見立ては外れたってことだよね?」
 「う……」
 「柊ちゃんは、私たちが何をしていると思ってたの?」
 「それは……」
361メール騒動 8/10:2009/01/12(月) 01:15:44 ID:voUHQz/6
 ようやく何かおかしいと気付き始めたかがみは、白旗の代わりに携帯電話を取り出した。つかさからの返
信を表示した状態で、二人に見せる。副将軍とは異なり、印籠のような効果はここでは得られない。
 文面はこうなっていた。


 お姉ちゃん、おはよう。
 起こしちゃいけない事、みんなに伝えておくね。
 私は今日、峰岸さんの家で子作りするから、夕方まで帰りません。できたのはお姉ちゃんにもあげるね。


 「子作り……」
 かがみの中でつかさは、あやののところへ子作りをしに行った事になっていたらしい。




 「二人とも来て」
 あやのは二人を手招きして、電話機の前まで行った。通報するためではない。それどころか怒った様子さ
えなく、むしろ笑いを堪えているようだった。
 「妹ちゃん」
 「はい」
 「妹ちゃんは、携帯メールが苦手だったりする? 打つ方が、だけど」
 「う……ん。最近は慣れてきたけど、おねえちゃんに返信した時は、まだ眠かったかも。最初は変換の間
違いとか、文字が足らなかったり、余計だったり」
 「それに気付いたって事は、直したんだよね?」
 「うん」
 あやのは電話機横のメモ帳に、備え付けのペンで「子作り」と横書きした。かがみも肯く。
 「『子作り』以外は、特に変な所はないわね」
 だからこそ、かがみは内容を真に受けたのだ。
 「その時、元々正しかった部分を、間違って消しちゃったんじゃないかな? この二文字を……」
 あやのは「子作り」の上に、「お菓」と書き込む。


 お菓
 子作り


 「「おかしづくり」」
 柊姉妹がハモった。連絡事項がうまく伝わらなくても、やはり姉妹である。


 私は今日、峰岸さんの家でお菓子作りをする……


 「邪魔したわね」
 かがみは峰岸家を後にするつもりらしく、玄関に向かってよろよろ歩き出す。その背中があまりに小さく
見えたので、つかさとあやのは顔を見合わせる。かがみが脱ぎ飛ばした靴(何故かきれいに揃えられていた
)に達する前に、あやのが声を掛ける。
 「柊ちゃん」
 凛として響いた声に、かがみのみならずつかさもビクッとした。つかつかとかがみに追いつくと、ずっと
手にしていたものを差し出した。
362メール騒動 9/10:2009/01/12(月) 01:16:29 ID:voUHQz/6
 「プラチェンタ、食べない?」
 「そうだよ、お姉ちゃん」
 つかさもやって来て、かがみの腕を捕まえる。
 「加藤さんのプランター以外にも―」
 「大カトーのプラチェンタ」
 「―色々作ったから、一緒に食べようよ」
 「いや、私お腹空いてないし」
 そう言っているそばから、腹の虫が悲鳴を上げる。朝・昼食を抜いたかがみは、精神的要因もあり、空腹
を通り越して衰弱しかけていた。だがかがみは、何が何でも峰岸家から離れたいらしかった。
 「ダイエット中だし……」
 「ダイエット?」
 「そう、ダイエット、ダイエット」
 「ここまで自転車で来たんだから、その分は食べても平気でしょ?」
 「そ、そんな……」
 「お姉ちゃん、家でちゃんと食べてきた? 朝ごはんとか」
 「うん、食べた食べた。食べ過ぎてダイエット……」
 「本当に?」
 「本当本当」
 「嘘ね」
 「んなっ!?」
 「妹ちゃん、そっちしっかり持って」
 「うん」
 「ちょ、おま、HA☆NA☆SE」
 二人がかがみを連行しようとすると、少し前にも聞いた練習不足で才能不足なヴァイオリンの音が、今度
は和音で聞こえ、開けっ放しの玄関ドアの向こうに、こなたとみさおが走ってくるのが見えた。
 「つかさ〜、もうデキちゃった?」
 「兄貴の代わりに止めに来たってヴァ!」
 つかさの子作りを阻止すべく、かがみが呼び寄せた増援が到着した瞬間だった。
 「ごめん……」
 つかさとあやのに捕まっていたかがみは、むしろ二人に掴まるよいうにして力なく項垂れた。
 配って回る予定だった菓子のいくらかは、峰岸家を出ずして消費されそうである。




 今さらだが、「惰眠定量論」は誤りらしい。
 相変わらず惰眠に最適な峰岸家のリビングでは、こなたとつかさが、本塁で憤死した逆転サヨナラのラン
ナーのようにテーブルに突っ伏してテーブルの半分を埋め、みさおが一人でソファを占領してそれぞれに惰
眠を貪っている。もし定量論が正しければ、峰岸家の惰眠はすでに貪りつくされ、負債を抱えているはずで
ある。
 「食べも食べたり……」

 テーブルや つわものどもの 宴の跡

 などと小粋に一句詠みたくなるほど散らかったテーブルの残り半分を見て、かがみが嘆息する。配る対象
の厳選を余儀なくされるほど諸々の菓子は消費され、大カトーのプラチェンタに至っては、カンネの戦いの
ローマ軍を髣髴とさせるほど豪快に全滅していた。
363メール騒動 10/10:2009/01/12(月) 01:17:51 ID:voUHQz/6
 「うふふ……」
 あやのは、育ち盛りの我が子の成長を喜ぶ母親のように笑う。
 「一番食べてたの、柊ちゃんだったと思うよ」
 「……一番笑っていたのは日下部よね、間違いなく」
 増援に駆けつけた二人は、事に真相を聞かされてまず脱力し、続いて笑い転げた。その後に開かれたお茶
会でも、みさおに笑い続けていた。食べるか笑うかどっちかにしろとかがみは叱ったのだが、結局器用にも
両方こなしていた。実は只者ではないのかもしれない。
 「柊ちゃんも寝てていいよ」
 「いや、私も手伝うわ。片付け」
 かがみは申し訳なさそうに言う。
 「べつに、最初から怒ってなんかいないんだけどなあ」
 あやのの背後といわず前後左右に、黒いオーラが立ち上る。
 「そんな風に笑ったら余計怖いんだけど……」
 結局手伝ったかがみだが、あやのは途中で、まだ何かあるのではないかという仮説に行き着いた。かがみ
の様子にはそわそわと落ち着きがなく、外をしきりに気にしているように見える。それにリビングに漂う、
微妙な違和感。何かが、いや誰かが決定的に足りないような気がする……。
 その時だった。


 ピンポーン


 まるでクイズ番組の正解のチャイムのように、峰岸家のインターホンが鳴る。
 「あ、出るから」
 弾かれたように、かがみが玄関に向かう。当然、あやのも後を追う。
 果たして……。
 玄関を開けたら、そこには女が一人倒れていた。
 可及的速やかに駆けつけたため疲れきっており、雰囲気的には「アテネ軍はマラトンで勝ったヨ」と言い
出してもおかしくなかったが、あいにく彼女は、ペルシア軍との決戦場ではなく、東京から駆けつけた事は
明白だった。
 「みゆき……」
 「高良ちゃん……」
 「つかささんが子作りをなさると聞いて、飛んでまいりました……」
 みゆきはそう言い遺して、そのまま惰眠に入った。気を失った、とも言う。かがみは県外にまで増援を求
めていたのである。
 「ごめん……」
 かがみは、みゆきに対してともなく、あやのに対してともなく謝った。




 彼女が家族の誤解を解くべく奮闘し、奔走するのはまた別の物語。


 おわり


36442-115:2009/01/12(月) 01:19:50 ID:voUHQz/6
保管庫で読んでいた作品に「お菓子作り」という言葉が出てきて、でもそれが強制改行で


                   お菓(行末)
子作り


となっているのを見て、これだ! ……となり、キキースシンのつかさと掛け合わせて一丁上がり……。
「お菓子作り」という言葉を使った全ての先達にも感謝しつつ、読んでいただきありがとうございました。
365名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 07:46:12 ID:1lWly4wm
>>364GJ!!
話題が脱線しながらも、ストーリーを破綻しないで纏め上げる力量がすばらしいです。
あなたの歴史知識(特に戦史関係)には毎回感服しています。

後、かがみ落ち着けw
あやのさんには、つかさを種付けする器官はついてない…はず。
自信ないのでこの目で確認させt…(猛虎原爆にてKO)
366名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 07:55:01 ID:VpxsnIVU
みさお兄に頼んで
367名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 14:50:41 ID:NCkJbFLg
>>364
嗚呼、貴方の引き出しは何段あるんですか。
古代ローマの味に寄せたあやのの乙女心、そしてもちろんかがみん火山の噴火っぷりが秀逸でした。
あと、フルマラソンどころじゃない距離を駆け抜けたみゆきさんに合掌。
368名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 19:16:37 ID:9olaN01r
こなた「今日はかがみ開きなんだよ〜♪」
じりじり・・・(わきわき)
かがみ「その手でどこを開くつもりなのよ!」
369名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 20:41:37 ID:2MCACfnW
こなた「もちろん身も心も・・・」 わきわき
かがみ「一度拳で語らにゃならんようだな・・・」
370エーリッヒ・クリューガー:2009/01/14(水) 01:36:12 ID:ALkaTlJC
みさお「今日はかがみ開きなんだZE☆」
わきわき・・・
かがみ「ひゃああ、近寄るなぁ!」
ぱしぃーん!
かがみ「ご、ごめん、つい・・・」
みさお「ぐす・・・これって差別じゃね?」
371名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 22:32:03 ID:wc/blZeZ
こなた「心開けば、股開くというではないか」
(指先わきわき…)
372名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 00:15:51 ID:Vo3PnJ+t
かがみ「そうよ、心開いたから、この通り股も全開よ!
      こなたああああああああああ!!」

こなた「うえっ!へんたいかがみさん!?
     う・・・うにゃあああああああ!!!」






みさお「う〜〜;;
     へんたいでもいいから愛してほしいんだZE;;」
373マルティン・ブロホノウ:2009/01/15(木) 00:26:12 ID:VaY3Bb6s
あやの「柊ちゃん、今日はかがみ開きね」
かがみ「な!?峰岸まで!?」
あやの「なにが?」
かがみ「へ、あ・・・?」
こなた「何想像してんのさ」
かがみ「う、うるさいっ///元はといえばアンタが!」
かがみ「てか、ボールを服の中に入れて何やってんだ」

みさお「『アンタが』じゃなくて『アンタ達』なのに・・・」
374マルティン・ブロホノウ:2009/01/15(木) 00:37:51 ID:VaY3Bb6s
>>372
みさおwww
375名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 12:41:58 ID:DYd1Ir2N
なんか、「みさおが不幸になっているようです」スレの様相を呈してきた……
376名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 22:10:05 ID:NaLvziMw
よし、いまこそ誰かかが×みさをだな…
377へんたいかg:2009/01/15(木) 22:16:10 ID:Vo3PnJ+t
え?なに?私にぐっちょんぐっちょんにされたい人がいるって?え?背景?

いいですともっ!









こなた「みさきちに夢中になってる間にスタコラサッサ・・・スマニュみさきち・・・」
378↑背景のもう一人:2009/01/15(木) 22:24:24 ID:mebVucTS
『あーらこんな所に美味しそうな泉さんが』
379名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 23:00:47 ID:sJbnEhSr
水を差す様で悪いが、背景のもう一人のこなたの呼び方は「泉ちゃん」だったりする。
380名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 23:24:59 ID:ysW6U9mD
そこでみさこなですよ。
381名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 23:46:07 ID:Vo3PnJ+t
こなた「へんたいかがみさんに今日も襲われた・・・」
みさお「ひぃらぎに洗脳されたあやのに襲われる日々だぜ・・・」
こなた「みさきち・・・」
みさお「ちびっこ・・・」

「「同じにおいがする・・・」」

こうして、同じ目に会いつづける2人が傷をなめあい、やがてそれは愛へ・・・w
382名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 23:57:06 ID:6Hf2vmr0
そして二人の密愛がかがみとあやのに見つかって4人で…w
383名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 00:32:55 ID:sjXDKEUS
かがみんあやのvsこなみさのタッグバトル!
384名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 01:29:09 ID:fQ2hMcQO
だが全てはエロピンクの計算通りであった・・・
385名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 03:02:46 ID:/lR4FFvE
黒いな流石ピンク黒い
386名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 06:44:54 ID:2RknVoeD
正に鬼畜眼鏡
387名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 07:17:25 ID:LHqwoaFO
そいやつかさは?
388名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 08:57:57 ID:6djzhhzh
だれそれ
389名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 12:59:36 ID:SOMnvs3Z
歯車の人と逃亡の人の作品読んだら、こなた総受けに限りつかさとゆたかが他キャラとは比較にならないぐらい黒くなる、というイメージが頭から離れない
390名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 14:22:09 ID:CHdtkPdC
みさおは、鷲宮町の絵馬型ストラップでも、一人だけ残りまくっていたからなぁ……。
391名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 22:16:27 ID:Nq6NyLwS
>>389
そういう時はLD氏の作品を読めば一気に甘い道がw


ふと思いつき…総攻め、総受けはこなたのみの特権なのだろうか?一番ハーレム作りやすいのは事実…だが他にも誰か該当者が居るかも?
392名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 22:27:15 ID:dqjqzslv
>>391
みさおあたりがカラッといじれて面白いと思う
かがみも総受けでツンからデレへのギャップや崩壊を使えばおもしろい

ひよりんはMキャラにしやすいから受けにしやすいし
つかさ、ゆたかは受動的なキャラだし

逆に、ゆい姉さん、黒井先生みたいなS気味キャラで総受け作れたらすごいし

みきさん、あやので作れたら髪作品だと思います
393名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 22:37:13 ID:74XGliz3
>>391
wikiを「フェチ」で検索するだけで、他のキャラの総受け作品がいっぱい出てくる
394名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 03:01:37 ID:3jsb0kqb
そうじろう総受けはさすがに、ないだろうな。
395名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 04:54:05 ID:BCbrzWas
単体でもほぼないだろw
一応そうじろう受け自体は無くもないけど
396名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 14:23:05 ID:N7sz18/t
「俺の時代が来た」がやや近い >そうじろう総受け
397名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 16:31:39 ID:ivQwcyMx
>>394
やべぇw
変なデムパ受信しちゃいそうだwww
398名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 16:55:53 ID:KQUsp573
そうじろう「おじさんはかまわないから連れておいでっ!!」

というフラグが…w
399名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 19:44:27 ID:Dit+6t5y
嫉妬したかなたさんがどうでるか、だな
400名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 19:55:44 ID:PfRpIlDI
待ってくれー!!置いてかないでくれー!!
401名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 19:56:17 ID:PfRpIlDI
ごめん……誤爆……
402名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 20:25:12 ID:fNrSdcOt
直前の流れからいえば
>>400がたんなる誤爆に見えないほどの
ネタのシンクロっぷり・・・(´Д`; )

かなた「満足そうなそうくんをみて、私も成仏できそうです、いままでありがとうね(怒)」
そうじろう「>>400
403今、奇跡の誤爆をみた:2009/01/17(土) 22:50:28 ID:ivKCgHSW
『かなた、今行くよー!』

こな『愛想尽かされたからって後を追っちゃイカんざき!』
404へんたいかg:2009/01/17(土) 22:53:26 ID:fNrSdcOt
これでこなたと・・・あの家で2人暮らし・・・
ゆめのまいすうぃーとるぅむ・・・
405病弱いとこ:2009/01/17(土) 23:05:03 ID:ivKCgHSW
↑同居していますが何か?
406洗脳された無乳:2009/01/17(土) 23:54:12 ID:fNrSdcOt
ゆたかは・・・私の家に・・・住むことが・・・決定・・・
大丈夫・・・私の家も・・・大きいから・・・
407名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 00:03:53 ID:Bdpaec5t
>>402
こことは関係ないスレだがガン!ガン!ガン!ガン!な流れになってたんでな……


「ゆるしてください、こなちゃん。わたしたちは徹夜でネトゲなんて…わたしたちはまだ高校生です。」
「おまえら遊びでわれわれのグループに参加したのか? ネトゲをゲームだと思っていたのか?」
408名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 00:39:09 ID:/Qxdw8GJ
>>407
よりによって石川賢かよw
409名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 02:36:07 ID:8vAe+66p
>>407

>ネトゲをゲームだと思っていたのか?」

ちょwww

410突っ込みかがみn:2009/01/18(日) 04:01:57 ID:gcWISWYL
>>407
>ネトゲをゲームだと思っていたのか?
「ゲームじゃなかったら、ナンだって言うのよ!」
411名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 08:01:43 ID:mRwBagha
きっと神聖なスポーツか何かだよwwwwww
412アホゲ少佐:2009/01/18(日) 10:05:49 ID:Y3/zJjlc

>ネトゲをゲームだと思っていたのか?

>「ゲームじゃなかったら、ナンだって言うのよ!」

『まだわからんのか!この戦いの持つ意味をッ!』
413名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 14:02:20 ID:Jq9eDIEi
流れぶった斬るようですが1レスモノの短編SSを・・・
414専門用語で孔明の罠という:2009/01/18(日) 14:03:25 ID:Jq9eDIEi
クリスマスイブ

つかさ「今日は○○○くん(桜藤祭主人公)とおでかけ〜♪」
つかさ「あれ?お父さんとお母さんどこか出かけちゃったのかな?」

いつもこの時間は居間か部屋にいるはずなのに・・・。

つかさ「あ、書置きだ」

こなたが『家に一人で寂しい』とゴネだしたから、ちょっと暇つぶしに付き合ってあげることにしました。
10時頃には家に帰ります かがみ

つかさ「おじさんもゆたかちゃんもいないのかな?」
つかさ「ま、いっか、私もそろそろ出よ〜っと♪」

その頃、泉家
かがみ「ま、確かにこんな日に家で一人は寂しいわよね〜」
こなた「そうだよ〜」

そうじろうは出版社のパーティで出かけていき、ゆたかはみなみと(ry

こなた「・・・けどこれは狙い通りの展開なんだよかがみん・・」
かがみ「え?なんか言った?」
こなた「ううん、なにも、とりあえずなにしよっか」
かがみ「ま、いつもどおりになっちゃうけど、ゲームでもして遊ぶ?」
こなた「そうしよっか〜」

こなた「・・・まだ日は高いしね・・・」

415専門用語で孔明の罠という2:2009/01/18(日) 14:08:00 ID:Jq9eDIEi
PS

いのり「メリークリスマス・・・」
まつり「うん、メリー苦しみます・・・」
いのり「冗談になってないわよ、それ・・・」
まつり「・・・誰も帰ってこないね・・・」
416名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 14:09:40 ID:Jq9eDIEi
以上です。
スンマセン2レスになってしまいました。
417 ◆MoiSlbQnQw :2009/01/18(日) 20:58:09 ID:mwhSwkCx
お久しぶりです。ようやく新作が完成したので投下させていただきます。

『やっちゃえ!かがみ君』(かがみ×こなた、TS要素あり)
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0172.txt

>>342の『かがみ君、おつかれさま』の続きです。
418名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 22:04:37 ID:4RIRHEN1
>>417
おおおおおおすばらしや!
ゆうべはおたのしみかがみくんGJ!
どこかにいってしまいそうなフラグを見事回収。
こなたの勇気に拍手(≡ω≡.)b
ちょっとしたピロートークとそれに対する反応にも萌えますた。
419名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:26:34 ID:MOx9+A6f
>>417
SS投下、お疲れ様です。

準備中の方がおられなければ、投下いたします。
42023-251 ◆5xcwYYpqtk :2009/01/18(日) 23:33:19 ID:MOx9+A6f
「Affair 第4話」

・こなた×ゆたか
(今回は、みゆき、つかさ(みゆき視点))

注意事項
・非エロ
・ダーク
・続きもの(6レス程度使用)
421Affair 1/6:2009/01/18(日) 23:33:54 ID:MOx9+A6f
 小早川さんに電話を切られてからすぐに、私は電話をかけ直しました。
 しかし、着信を拒否されてしまったようで、再び繋がることはありませんでした。
「どうしてこんなに、私は不器用なのでしょうか? 」
 私は、やるせない気持ちになって呟きながら、携帯を机の上に置きました。

「はあ…… 」
 体中の力が抜けていくような感覚に襲われて、崩れるようにベッドに倒れこみます。
 仰向けになって天井を眺めると、蛍光灯の眩い光が飛び込んできて、視界がぼやけてきます。

 一体、どこで、何を間違えたのでしょうか?
 何が小早川さんの心を氷のように閉ざしてしまったのでしょうか?

「泉さん…… 教えていただけませんか? 」
 私は高校時代に恋心を抱いていたクラスメイトの名前を口にすると、制服に身を包んだ小柄な少女の姿が浮かんできます。
 チョココロネを美味しそうに食べたり、一緒にカラオケに行ったり、教室で雑談したり、ひとつひとつの思い出が
宝石のように大切なものになっています。

 一度失われたものは、二度と取り戻すことは叶わないのでしょうか?
 私は、お節介な事をしているのに過ぎないのでしょうか?

 今日に至る事態の主役達は、駆け落ちをした当事者である泉さんと小早川さんに加えて、かがみさん、つかささん、
みなみさんであり、私は、周辺をうろついているだけなのに、酷く滑稽です。
 しかし、お節介は承知の上で、小早川さんに警告をしなければなりませんでした。
 
 今、つかささんの傍にいることはとても危険です。
 理由は分かりませんが、彼女の口から発する言葉は何か特別な力があるようで、どうしても逆らえなくなってしまうのです。

 つかささんの命令するまま、身体を弄ばれたことは、一度や二度ではありません。
 裸にされて、体中を舐め回されたり、いろんなオモチャで大切なところを弄くり回されたり、
全身を荒縄で縛られて放置されたり、首輪をつけられて四つん這いで公園を散歩させられたりと、枚挙にいとまがない程、
恥ずかしい行為を強いられました。
422Affair 2/6:2009/01/18(日) 23:34:42 ID:MOx9+A6f
 いっそのこと全てを忘れて快楽に蕩ければ楽だったのでしょう。
 しかし、つかささんの言葉の効力は、彼女の傍から離れることによって、失われてしまうのです。
 理性が戻る度に、異常な交わりの記憶が後悔を伴って私を苛むのですが、それでも、
彼女から離れることはできませんでした。

 何故なら、私はつかささんのことが好きだからです。彼女はとても大切な親友です。
 裏表のない、誰もが救われるような天真爛漫な笑顔を取り戻したいだけなのです。
 しかし、今の彼女は、まるで別人のようになっているとしか思えません。
 もしかすると、多重人格という精神的な失調を伴っているのではないでしょうか。

 次の瞬間――
 猛烈な悪寒に襲われて、震える自分自身を抱きしめました。

 つかささんに精神的な障害があるなんて、なんて酷い事を考えてしまったのでしょう。
 そんなはずは決してないはずし、あってはなりません。
 私は、不吉な想像を振り払おうと何度も頭を振りました。
 しかしながら、彼女の今までの言動を冷静に振り返ってみると、不安は増すばかりなのです。
 このままつかささんを、好きにさせておいてはいけないのではないでしょうか?

 私は、暫くの間、寝そべっていたベッドから起き上がりました。
 押し入れから旅行鞄を取り出し、ファスナーをあけて中に着替えを入れていきます。
 心の中に巣食う不安を打ち消す為には、私自身が名古屋に行って、解決に向けた努力をするしかありません。

 鞄の中にレース付きの黒いショーツを入れた時、ポケットに入れておいた携帯が震えました。
 画面を見ることもせずに、反射的に手を伸ばして通話ボタンを押します。
「もしもし。高良ですが」
『こんばんは、ゆきちゃん』
 つかささんです。心臓が飛び跳ねそうになりました。
423Affair 3/6:2009/01/18(日) 23:35:43 ID:MOx9+A6f
「こ、こんばんは、つかささん」
 喉がカラカラに乾いて唇が上手く動いてくれません。

『ゆきちゃん。私が電話したのはね…… 』
 つかささんの声は、とても澄んでいます。
 しかし、彼女の言葉は、私の心を包む皮を容赦なく削り取って、瞬く間に裸にしてしまうのです。
『どうしてゆたかちゃんに変な事を吹き込んだの? 』
「ごめんなさい。つかささん」
 酷く混乱したまま、反射的に答えてしまいます。
『ふふ。やっぱり。それで、どういう話をしたのかな? 』
「そ、それは…… 」
 私は言いよどみます。つかささんを警戒せよなんて、本人にとても話せたものではありません。
『いいよ。ゆたかちゃんに聞くから。あっ、ゆきちゃんを問い詰めても同じことかな』

「ご、ごめんなさい。で、でも」
 つかささんに隠し事をしても無駄なのです。それでも、私は懸命に勇気を振り絞って言いました。
「最近のつかささんは、変だとしか思えません」
『どういういうことかな? かな?』
 つかささんの言葉に魂を脅かされながら、私は答えます。
「魅力的な笑顔の裏で、何か良くないことを企んでいるように思えてならないのです」
 私の言っていることは、小早川さんとの通話を経た上での推測にすぎませんが、妙な確信がありました。

『ゆきちゃんは思い違いをしているね』
「何をでしょうか? 」
『私は私だよ。人格が入れ替わっているってことなんてないよ』

 つかささんははっきりと言い切りました。
「でも、以前のつかささんは、誰かを傷つけるようなことは決して言いませんでした。何が、あなたを変えてしまったのですか? 」
『それはね…… 過去の経験かもしれないよ』
 少しだけ、つかささんは寂しそうに言いました。
「確かに、小早川さんのことは辛い事件でした。でも、だからと言って、人を貶めようとする行為は賛成できません」
 私は、懸命に勇気を奮いおこして説得を試みます。

「お願いですから、もう、小早川さんを弄ぶようなことはやめてください。そのような行為は、小早川さんのみならず、
つかささん。あなた自身を貶めることになってしまうのですよ」
424Affair 4/6:2009/01/18(日) 23:36:20 ID:MOx9+A6f
 私は話を終えて、返事を待ちます。
 暫くの間、つかささんは何も言わず、重苦しい沈黙が続きます。
『ゆきちゃん』
 ようやく発せられたつかささんの言葉を聞き逃すまいと、全神経を集中します。
『ゆきちゃんは、全く変わっていないんだね』
 つかささんは落ち着いた口調で言葉を続けます。
『でもね。私がどういう生き方をしようと、ゆきちゃんには関係ないと思う』
「そ、そんな」
 ある種の絶望感に襲われながら、私は、心のどこかで『ああやっぱり』と納得する部分もありました。
 ごく短い説得だけで、簡単に改心してくれると考えるのは、いささか虫が良すぎます。
 それでも、説得を続けざるを得ないのが、私のあきらめの悪い部分なのです。

「お願いですから、元のつかささんに戻っていただけませんか? 」
『何にも知らない人の良いだけの女の子に? 』
 自嘲めいた言葉は、私の胸を突き刺します。
「いいえ。誰に対しても温かく、優しいつかささんにです」
『はあ』
 上っ面だけの言葉と受け取ったのでしょうか。つかささんのあからさまな溜息が、覆いかぶさります。
『確かに、笑顔で誰にでも良い顔をしている方が、周囲の人にとっては都合が良いもんね』
「ち、違います! 」
『何が? 』
 つかささんの声が、急に鋭くなりました。

『何が違うのかな? 私はね。ゆたかちゃんが同性の女の子に告白しようかどうか悩んでいた時に、
勇気を出して想いを打ち明けよう、って笑顔で励ましたんだよ。私の言葉で決心したのか分からないけれど、
ゆたかちゃんは目出度く、こなちゃんとお付き合いすることができたんだけどね』
425Affair 5/6:2009/01/18(日) 23:37:40 ID:MOx9+A6f
 唐突に暴露された事実に、私は唖然としました。
 ゆたかさんと、泉さんの背中を最後に押したのは、つかささんだったのです。
『本当に滑稽だよね。大好きなこなちゃんを奪ったゆたかちゃんを助けたのは、私だったんだ。
それを知ったのはもっと後なのだけれど、どれだけ人が良いのかなと死にたくなる程に絶望したよ』
「そんな…… 」
 指が細かく震えて、携帯電話を落としそうになってしまいます。
『ゆたかちゃんも、人の恩を忘れて、こなちゃんと二人きりの世界に閉じこもって、
私達を視界から追い出しにかかるし。本当に救われないよね』

 つかささんの中に巣食う闇の本当の姿を、図らずも覗いてしまい、戦慄がはしります。
 もちろん、誰もが心の中に黄昏の領域は持っています。
 しかし、つかささん自身の助言で、泉さんが小早川さんと結ばれてしまった事に対する悔恨と、
その後の悲劇的な展開は、心の中にある怪物を、誰もが手がつけられない程に大きく育ててしまったのです。

「つかささん…… あなたは、小早川さんをどうするつもりなのですか? 」
 喉にこびりついた痰のようなものを飲み下しながら、私は声を震わせました。
『ゆたかちゃんはね。私のすぐ隣で寝ているよ』
「つ、つかささん? 」
 私は酷くうろたえます。急激に不安が膨らみ、胸が苦しくなります。
『ふふ。ゆたかちゃんはとっても安らかに眠っているね。本当に、天使のような無垢で可愛らしい寝顔だよ。
同居していたロリコン趣味のこなちゃんのお父さんは、欲望を抑えるのに必死だったろうね』

 とても嫌な予感がします。
「つかささん。あなたは、何をするつもりですか? 」

『どうしようかなあ』
 金属が擦れるような音が微かに聞こえます。
『ねえ。ゆきちゃん。実は私、カッターナイフを持ってきたんだ』
「ナ、ナイフ? 」
 どうしてそんな物騒なものを持たなくてはならないのでしょう?

『ふふ。図工の時間で使うような黄色いやつだよ』
 直後にカチカチと、刃を伸ばす耳障りな音が鳴りました。
「そ、それをどうするのですか? 」
 唾を飲み込みながら、私は尋ねることしかできません。

『小学生の時に、厚紙でお船をつくろうとしたんだけれど、間違えて指を切っちゃって』
 謡うように紡ぎ続ける言葉に、不安は爆発しそうになるくらいに、膨れ上がります。
『結構、深く切れちゃってね。お姉ちゃんがひどく取り乱して泣いていたのを今でもはっきりと覚えているよ』

「つ、つかささん」
『これをね…… 』
 猛烈に危険な香りが電話越しに伝わってきます。
『安らかな寝息をたてている、ゆたかちゃんの首筋にあててね』

「や、やめてください! 」
 私は携帯電話を耳に押し当ててまま、絶叫しました。
426Affair 6/6:2009/01/18(日) 23:39:05 ID:MOx9+A6f
『ゆきちゃん。声が大きすぎるよ』
「お願いです。そんな酷い事をしないでください! 」
 私は、なりふり構わずまくしたてました。
「小早川さんが負うべき責めは私が負います。私ならばどのようなことをされても構いません。だから、お願いです。
人を傷つけることをしないでください! 」
 取り乱して涙声になりながら、必死で説得を続けます。

 長い沈黙の後、つかささんはようやく答えてくれました。
『ゆきちゃん。泣かないで』
「で、でも」
『ゆきちゃんが泣くと、私も悲しいよ』
「だって、だって」
 私は溢れる涙を止めることができません。しゃくり上げながら、ひたすら耳を押し当てて、次の言葉を待ちます。

『単なる冗談だから、本気にしないでほしいなあ』
「ほ、本当ですか? 」
 私の問いに、つかささんは普段と変わらない穏やかな口調で言いました。

『ゆたかちゃんも大好きな女の子だから、そんな酷いことしないよ』
「つかさ…… さん 」
『それにね』
 とても愉しそうな声で、話を続けます。
『自分が犯罪者になるようなことはしないよ。激情にかられて法を犯して牢屋にはいるなんて、単なる低能がすることだよ』
 冷徹極まりない言葉に、私の心が一気に冷えていきます。
『私は、ゆたかちゃんに対して身体的な危害を加えることはないと約束するよ。ゆきちゃん。これで満足かな? 』
「つかささん、分かりました」
 精神的な危害はどうなのかという、喉元まで出かかった言葉を無理矢理飲み込んで、私は頷きました。

『ありがと。それじゃあ、眠いから電話を切るね』
「はい」
『おやすみなさい。ゆきちゃん』
「おやすみなさい。つかささん」
 つかささんとの息の詰まるような会話は終わりました。

 私は、先程とは違った意味での絶望感に襲われながら、それでも懸命に思考を巡らせます。
 つかささんは明日、ゆたかちゃんをどうするのでしょうか?
 絶対に良からぬことを企んでいるに違いありませんが、それが何なのかが分かりません。
「どうして、このような事になったのでしょう? 」
 再び自分自身に問いかけますが、答えが返ってくるはずもありません。
 しかし、今のつかささんを野放しにしておく訳にはいかないことだけは、はっきりと分かります。

 つかささんは、明らかに暴走しています。
 彼女のたくらみを何としてでも阻止して、少なくとも小早川さんだけは救わなくてはなりません。

「やはり、決着をつけなければなりませんね」
 敢えて言葉に出してみます。
 私自身の失敗から生まれた悲劇なのですから、やはり、自分で『けり』をつけるしかないのです。
「これを使わなければ良いのですが」
 私は、暗澹とした気持ちに襲われながら、押し入れの奥に隠してあった筒状のものを旅行鞄にしまい、
ベッドにもぐりこみます。

 明日は早いのです。
 寝不足でつかささんに相まみえることは、あってはなりません。
42723-251 ◆5xcwYYpqtk :2009/01/18(日) 23:46:36 ID:MOx9+A6f
続きます。
読んでくれた方、本スレ及びWikiに感想を頂けた方、ありがとうございます。
それにしても、一方の主役であるこなたが全然、出てきませんね……
それでは。

P.S.次回以降、三禁は解除されます。(結末が確定したという意味ではありません)
428名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 23:51:48 ID:M/9YDpj0
>>427
リアルタイムGJ!
みゆきさんは最初の黒っぷりが抜け白い
つかさが関わると初期のみゆきさんの黒さが小者に見える
429名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:07:16 ID:cZXVHiO2
ちょこっとてすとです
430名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:08:50 ID:cZXVHiO2
おおちゃんと投稿できた。
えっと誰もいないようでしたら5分後に投下させていただきます。
4317-896:2009/01/19(月) 02:27:49 ID:cZXVHiO2
ええ 5分どころか10分以上経っててすみませんでした。
フリーズとか滅べばいい。


どうもお久しぶりです。
車とタイマンはったりインフルとタイマンはってた7-896です。
相当久しぶりで忘れられているかもしれませんががんばって投下します。

・こなたの総受け
・壊れネタ注意
・エロなし
・4レス程度

注意書きはこんなものでしょうか。
ではいきます。
4327-896:2009/01/19(月) 02:29:47 ID:cZXVHiO2
『治療あくまでも治療』


「あ、見てください、タンポポの花が咲いてますよ」
「え? ……あ、ほんとだ!!」
 今はB組とC組合同で行われる体育の授業の真っ最中。準備運動ということで、校庭を回っていた私達。
 少し先を走っていたみゆきが校庭の隅、フェンスの辺りを指差す。
 そこにあったのは、日差しをいっぱいに浴びて元気に咲き誇る小さな黄色い花だった。
 準備運動も終盤に差し掛かっていたので、足休めの意味も含め、歩きながらそのタンポポへと近づいていった。
 こなたは腰をかがめてツンツンとその黄色に色づいた花を突いている。
「ちなみに英語のダンデライオンは、花の形状ではなくギザギザした葉の形状が
ライオンの歯と似ていることに由来するらしいですよ」
「へー、てっきり花の形がライオンの鬣に似てるからかと思ってたよ」
 惜しげもなく豆知識を披露するみゆきは少し誇らしげで、それに感心するように頷くこなたの顔はキラキラと輝いていた。
「タンポポって、なんかこなちゃんみたいだよね。元気なイメージ」
「そうかなぁ?」
「そうだよ♪ あ、髪飾りみたいに付けたりしたらかわいいかも」
 そう言ってタンポポに手を伸ばすが、摘んでしまうのがかわいそうなのか、掴んだり放したりを繰り返している。
「確かに泉さんに良く似合うかもしれませんね」
 みゆきは、足元のタンポポを撫でる様に手をかざした。


「せっかくなのでお尻の穴に挿してみませんか? 菊とタンポポの夢の共演です」
「うわぁ、みゆきさんがいつもどうりだ」
「じゃあ私が挿すからお姉ちゃんズボンとパンツ下ろしてね」
「Yes.」
 いつものように統制のとれた動きでこなたを拘束して服を脱がせる。
 こなたはいやいやと抵抗するが、その行為が更に私達を加速させた。
 だがあと一歩のところで先生から集合がかかってしまう。
 しかたない、今はこれで終わりにしておこう。邪魔者が入るのは嫌だし。
 でも服はいらないので、脱がしたやつを近くで歩いていた日下部に与えてみた。
 とてもおいしそうに食べた。

「それじゃあ今日は50mの記録を計るぞ」
 茂武(もぶ)先生はそう言うと、体育係にストップウォッチを渡して近くのベンチへと腰掛けた。
 私達はというと、パンツとブラしかつけていないこなたが恥ずかしそうなので壁になるように近くで座っているところだ。
 誰だこなたの体操服を奪うだなんてひどいことしたのは。ユルセン。チョーユルセン。
 ……そういえば気になったんだけど、なんでうちの学校ってブルマじゃないんだろう。
 私達はいいけどなんでこなたはブルマじゃないんだろう。
 私達は短パンでいいけどなんでこなただけをブルマにするという選択肢を選ばないんだろう。
 常識的に考えてここはブルマにするべきだろう。最近の学び舎は分かっていない。
 いいか、短パンとブルマでは見た目だけではない大きな違いがあるんだ。まずは食い込み。
 ゆとりをもった形状をしている短パンと比べ、ブルマは包み込み圧縮するような形状になっている。
 そうなると必然的に後ろとか前とか太ももの付け根部分とかの食い込みがジャスティスな感じになるわけだ。
 それだけじゃぁない。 短パンだと不自然に見える、シャツを中に入れるという行為。これもブルマなら正しく見える。
 そうなるとどうでしょう。お腹周りやお胸の曲線美を必然的にジャストルッキング見てるだけできるんざますよ。
 触らぬからこそ輝く美が そこにはある。
4337-896:2009/01/19(月) 02:31:10 ID:cZXVHiO2
 つかさがクラウザーさんっぽいフェイスペイントでムーンウォークしながら50mを9秒台で走るのを見つつ
 次に走るであろうこなたの番を待つ。
 つかさたちが走り終わると、いつの間にか体操服を着たこなたがクラウチングスタートの姿勢になる。
 なんて美しい臀部なんだろう。
 顔をうずめたい。あそこで窒息死したい。
 私がこなたのおしりをすごい勢いで見ている間に準備が終わったらしく、間もなくしてパァンという火薬の弾ける乾いた音が響いた。
 こなたが勢いよく地面を蹴った時だった。
 靴が磨り減っていたのか、それともあの部分だけ地面が滑りやすくなっていたのか。あるいはこなたの不注意か。
 それとも私がすごい勢いで短パンとシャツ破けろ☆とか願ったせいか。あるいはみゆきが私の隣にいたせいか。
 こなたが膝から思いっきり転んでしまった。
「っつぁ……!!」
「こなた!?」
 私はこなたとの間に存在する100mくらいの距離を瞬間的に飛び越え
 周囲の土埃を気で分散させてからこなたを抱きかかえる。
 擦り剥いたのだろう、膝小僧から赤く血が滲んでいる。
 私は痛々しいその傷を、すごい勢いで見た。

 す ご い 見 た 。

「大丈夫、こなた?」
「っあ、擦り剥いちゃった……でも大丈夫だよ、それほど痛くもないし」
「グラウンド許すまじ」
 つかさは拳でグラウンドにクレーターを作っている。
 逞しい。
「大丈夫かちびっ子!?」
「みさきち……えへへ、かっこ悪いところ見せちゃったなぁ」
「バカやろう……なんでこんな無茶したんだよ」
「え、クラウチングは別に無茶じゃないと思」
「おい!! もうしゃべるな!!」
「み、みさきち?」
「嫌だ……目を開けてくれよちびっ子っ!!」
「い、いや、開いt」
「ちびっ子ぉおぉぉおおぉぉおぉぉぉおおお!!」
「邪魔ねぇ、あんた向こう行きなさいよ」
「わかった!!」
 日下部は元気に駆けていった。

「みゆきうるさい」
「まだ何も言ってませんよ。泉さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫……あー、靴紐ほどけてたみたい」
 こなたの目線を追いかけると、だらしなく垂れ下がった靴紐が見えた。
 どうやらこの靴紐は私達に喧嘩を売ってるらしい。あとで体育館裏に来い。
「取り敢えず保健室行きましょ」
「大丈夫だよこのくらい、水で洗って唾付けとけば」
「だめよ!! こなたはいいっていうの!? もしかしたら、その傷が原因で足にバイキンが入って動かせなくなってそのせいで
登校途中に転んで車に轢かれて帰らぬ人になって私やつかさが涙を流してみゆきが鼻血を流して火葬されて粉骨になって
何かの拍子でばら撒いちゃって風に吹かれて舞い上がってお墓の前で泣かないでくださいそこに私はいません眠ってなんか
いませんで千の風になったこなたの粉骨を私達が見つけてペロペロするのよ!?」
「うわぁなんかよく分からないけどなんか嫌だからかがみの言うとおりにするよ!!」
 ちょろい!!
「私が肩をお貸ししますから、手を回してください」
「みゆきさんとじゃ身長差があるから私浮いちゃうよ」
「では私の腰に手を回してください。今日は勝負下着なので大丈夫ですから」
「なんの心配をしてるのか分からないけど、じゃあ腰借りるね」
「うっ……ふぅ……」
「え、何?」
「何でもありませんよ泉さん。それじゃあ行きましょうか」

4347-896:2009/01/19(月) 02:32:39 ID:cZXVHiO2
 膝を水道で洗って綺麗にしてから保健室に着くと、みゆきはこなたを椅子に座らせ、手際よく傷口を処理していく。
 こういうときは頼りになる。
 こ う い う と き だ け は 頼 り に な る 。
 ただ、処理している間中熱い血潮が滾りっぱなしだったけど。
 鼻から。
「これで大丈夫です。あとは裸になってベッドに横になり足を開いてください」
「みゆき、たまには欲望に抗うことも大切よ」
「嫌です」
「この変態め!!」
 今読者の辺りからお前が言うかって幻聴が聞こえた気がした。
「まぁ今のは10割方本気ですが、取り敢えず安静にしててくださいね、泉さん」
「それはつまりすごい本気ってことだよね」
「泉さんは何もせずに寝ていればいいんです」
「かがみ、みゆきさんを止めてよ」
 私はすごい勢いでこなたの鎖骨を見た。
「つかさぁ〜、助けてぇ〜」
「こなちゃんはしかたないなぁもう。はい、ケロロ軍曹だよ」
「ウワーイヤッター。いや違うよ、何言ってるのさつかさ」
 こなたが本気で嫌がってるので取り敢えずこの辺でやめておくことにしよう。

 やめろってのみゆき。

「……あれ」
「どうしたのこなた?」
「手もちょっと怪我してるみたい」
 そう言って差し出した掌は、すこし皮が剥けていた。
 恐らく転んだ時に手を突いて、その時に怪我してしまったのだろう。
 ワタシ ソウオモウ。
「じゃあそっちも処理してあげるから」
「お願いかがみ」
「お願いとか言うなよ興奮するじゃない」
 といっても怪我の治療はあまりやったことがないので
 どうしたらいいか分からない。
 この消毒液っぽいのを布に染み込ませて傷を叩けばいいのかな。
 性的な意味で。
「沁みたら言いなさいね。やめないけど」
「うん。え? ……んっ、ちょっと痛いね」
「もうちょっとだけ我慢しなさいね。喘ぎ声は出してもいいわよ」
「ん、分かった。え? ……はぅ」
「テンション上がってきました」
 みゆきが隣で残像作りながら左右に震え始めてるが、絡むと長くなりそうなので無視する。
「んっ」
「……」
「あ、かがみちょっと強い」
「……」
「やるなら……もうちょっと、やさしく」
4357-896:2009/01/19(月) 02:33:48 ID:cZXVHiO2
 気がついたら押し倒していた。
 視線を感じて顔を上げると、いつの間に戻ってきたのだろうふゆき先生が
 「食べてもいいのよ」
 的な顔で見守ってくれていた。
 ありがとう先生。
 私、残さず食べる。

 だがいいところで、みゆきが摩擦熱で燃え始め
 危うく保健室が火事になりそうな事態にまで発展してしまったため
 中断せざるを得なかった。
 だけど私は理性が強い子なので、放課後まで食べなくても平気だった。
 放課後に食べたこなたは、我慢しただけあって絶品だった。
 新しい何かに目覚めたかもしれない。
 『まて』的な何かに。
 
 そういえばさっき、日下部がこなたの家からパンツを数枚持ってきた。
 私はこれほど日下部を愛しく思ったことはなかった。
 だがそれがそうじろうさんのパンツだと分かった時に
 血が繋がってるしいいんじゃないだろうか
 なんて一瞬でも思ってしまった私を
 思いっきり殴ってやりたい。
 親父にもぶたれたことないのに。
4367-896:2009/01/19(月) 02:36:41 ID:cZXVHiO2
以上です。
久しぶりなので勝手が分かりませんでしたが
うまく投下できたでしょうか。

ではではまた

そういえば挿絵がどうのこうの言ってましたが
それどころではなくなったので断念しました。
悔しいです。
437名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 02:44:00 ID:uOGdtQwO
>427
23-251さん来てたー

うーむ、自分の予想とはつかさの目的は違うっぽいなあ
そしてみゆきさんは何を用意してどう使うつもりですか怖いよぐっじょぶ
438名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 06:24:53 ID:hrm8FlWG
>427

つかさの「私は、ゆたかちゃんに対して身体的な危害を加えることはないと約束するよ。」
の「私は」が凄く気になるなあ……
439名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 09:16:16 ID:WbNr+PKK
>>436
待ってました!
久しぶりの破壊力に腹筋が痛いw
GJ!
440名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 11:23:28 ID:UMc4vzO0
来た!こな☆フェチの総本山来た!これで勝つる!

相変わらずの破壊力というか崩壊度というか、ナイスですwww





>車とタイマンはったり

……って、ちょ、え?
441名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 21:21:15 ID:9ZsF/UhL
>>436
新作を待っておりました。
最初の数行はまったりしていたのに、いつの間にかぶっ壊れている、
想像の斜め上を行くストーリー展開には素直に降伏です。
442:2009/01/19(月) 23:15:02 ID:I7pSJflJ
>>436
素晴らしい壊れっぷりに脱帽です。
しかし、みさおの扱いが・・・。゜。゜(ノД`)゜。゜。

みさおを支援しなくてはっ!!
というわけで、(どんなわけだ!)
もし準備されている方がいなければ みさ&かが 投下させていただきます。
443:2009/01/19(月) 23:19:58 ID:I7pSJflJ
相も変わらず みさかがです。

今回 かがみ視点とみさお視点の二本立てですので、結構長いです・・・。

・エロなし
・みさお視点にちょいとあやの

それではよろしくお願いします。
444:2009/01/19(月) 23:29:34 ID:I7pSJflJ
すみません。エラーでちゃってるんで、手直ししてから投下します・・・。
ホントすんません・・・。
445Last Summer   〜かがみの場合〜:2009/01/19(月) 23:39:49 ID:I7pSJflJ
初夏。私は鳴き始めたセミの声を聴きながら、市の運動場に向かって歩いている。
 なぜ私がそこに向かっているのかと言うと・・・

みさお「ひ〜らぎ〜。 今度の日曜ヒマか?」
かがみ「え?んーと・・・。 あ、空いてるわよ・・・」
みさお「じゃあさ、その日陸上の大会があるんだけど来てくれないか?」
かがみ「は?何で?」
みさお「いやー、最後の大会だしさ、応援してもらいてーんだ」
かがみ「峰岸は?」
みさお「あやのはその日、ちょーっと用事があるみたいでさ。なっ?あやの?」
あやの「もう、みさちゃんたら」
かがみ「ははーん。幸せそうで良いですなぁ」
あやの「柊ちゃんまで」
みさお「ま、そういうわけなんだ。だから来てくれよ」
かがみ「どういうわけだ!」
みさお「ダメなのか?」
かがみ「え?あ、いや・・・。  ったく、しょうがないわねぇ」
みさお「お?来てくれるのか?」
かがみ「わかったわよ。で、何時に何処に行けばいいのよ?」
みさお「やったー!!これで優勝だー!!」
かがみ「って話を聞け!!」
みさお「弁当はミートボールな」
かがみ「作るか!!」


 ・・・と言いつつも、結局早起きして作った弁当を持って、私は会場に向かっている。

 日下部とは、中学からクラスがずっと一緒だった。その頃から、誰に対しても同じテンションで接し、自由で楽しそうにしていた日下部が私は気になっていた。
 日下部ともっと仲良くなりたかったし、日下部もたまに話しかけてくれたけれど、どうしても私は近づくことが出来なかった。
 それは、日下部の周りには、いつも同じ陸上部の友達がいたし、放課後はすぐに部活だったから、というのもあるのだけれど、それよりも日下部の横にいつも峰岸がいたことが大きかった。

 峰岸は日下部の保護者みたいな感じで何かと面倒をみていたし、たまに、休みの日に遊びに行った話をしていることもあった。
 楽しそうに二人で話している所を見ると、もしかしたら日下部は峰岸と付き合っているんじゃないかって考えて、一人で落ち込んだこともあった。
 それは私の勘違いだったみたいだけれど・・・
 でも、そんな風にいつも日下部といられる峰岸が羨ましかったし、いつかは峰岸の場所に私が立っていたいとも思っていた。
 
 高校に入ってからも相変わらず峰岸とくっついていたけれど、それでも何かと話すことも多くなってきて、今までわからなかったバカっぽくて、ガキっぽい日下部も見えてすごく嬉しかった。
 ま、呆れることの方が多いけどね・・・。
 日下部に「中学からずっと同じクラスだな」って言われたときは、本当は嬉しかったんだけど、それを認めちゃうことが何か照れくさくて、わざと気がつかないフリをして誤魔化した。
 はぁ、私って何で素直になれないのかな・・・。

 仲良くなってきたことで、日下部も私にじゃれてくることが増えてきたけれど、私はそんな日下部とどう接していいのかわからなくて、冷たくし過ぎたり、からかい過ぎちゃったりして日下部を泣かすこともあった。
 そんな時、決まって目を潤ませながら峰岸に助けを求める日下部を見ると、胸の奥を締めつけられるような苦しさを感じた。
 こんなことしていたら、いつか日下部が離れて行っちゃうんじゃないかって・・・。
 それに、やっぱり峰岸の場所には立てないんじゃないかって・・・。

 私がこなたたちとお昼を食べるようになったのは、その苦しさを感じたくなかったのもある。こなたと一緒にいると、腹立つことも多いけれど、その時間は苦しさを感じなくてすんだ。
 それに・・・ちょっとだけ・・・。本当にちょっとだけだけど、こなたと一緒にいると、どこか安心するところもあった。
 でも、教室に戻って、峰岸と日下部が仲良くしているのを見ると、何ともいえない焦燥感を感じて、やっぱり私は日下部と一緒にいたいって思った。でも、一緒にいると苦しくて・・・。
 そんなどっちつかずな気持ちのまま、毎日を過ごしていた。

 だから、日下部に大会を見に来て欲しいと言われた時はすごく驚いた。
 ホントはその日が日下部の最後の大会だっていうのは知っていたけれど、そういう時はいつも峰岸が一緒に行っていたし、私は日下部に冷たくすることが多かったから、正直声をかけてくれるとは思っていなかった。
 それに、自分でもちょっと嫌になるけど、峰岸が来ないことが・・・少しだけ嬉しかった。
446Last Summer   〜かがみの場合〜(2):2009/01/19(月) 23:43:34 ID:I7pSJflJ
運動場に着くと、応援席には他校の生徒らしき団体が様々な色の応援旗を掲げていた。陵桜の生徒も何人かいて、その辺りを見ていると、少し離れたところでアップをしている日下部を見つけた。
 日下部はいつも教室で見せるにやけた表情じゃなくて、とても真剣な顔で集中しているみたいだった。
 普段は見慣れない顔だったからか、ドキドキしながら日下部を眺めていると、日下部が途中で私に気がついたみたいで、大きく手を振りながらいつもの笑顔でこっちにきた。

みさお「おーい!ひーらぎー!  来てくれたんだな」
かがみ「ま、まあね。約束したし」
みさお「ありがと。あれ?それなんだ?」
かがみ「え?あ、その、べ、弁当よ。お昼食べるにも、近くにお店ないじゃない。
そ、それに・・・、最後の大会なんだし、せっかくだから・・・」

 あー!!やっぱり恥ずかしいっ!!
 って、あれ?日下部?何かポワーっとしてない?

かがみ「く、日下部? どうしたの?」
みさお「へ? あ、いやいやいや!! ありがと! これで負けねぇぞー!!」
かがみ「か、勘違いしないでよ! わ、私の分のついでにあんたのも作っただけなんだからね!」
みさお「ん? いいっていいって。作ってきてくれたことが嬉しいんだぜ」
かがみ「う・・・。そ、そう?」

 なーんか調子くるうのよね・・・。
 その時、出場選手を呼ぶアナウンスが流れた。

「おっ?予選が始まるみたいだな。んじゃ、ちょっと行ってくるよ」
「あ、うん。 がんばってきなさいよ」
「おう!まかせとけ!」

 私から離れ、監督らしき人の所に向かった日下部は、何か指示を受けているみたいで、真剣な顔でそれにうなずいて、他の選手が並んでいるスタート位置に向かっていった。
 全員がポジションに着き、しばしの沈黙の後、電子音が聞こえ、日下部たちは一斉に走り出した。
 日下部の走る姿を見るのはこの日が初めてだった。
 日下部は背筋を伸ばして正面を見据えたまま、前を行く選手を次々に追い抜いていった。その姿がとてもかっこよくて、私はさっきと同じように胸がドキドキしていた。

 結果日下部は1位でゴールをした。
 私は相変わらずドキドキしていたけれど、できるだけそれを悟られないように平静を装いながら、陸上部の仲間と話している日下部のところへ向かった。

かがみ「おつかれ。あんた結構やるのねー」
みさお「そりゃあ、ずっと部活やってたんだぜ。簡単には負けないよ」
かがみ「その代わり勉強は全然だけどね」
みさお「うっ・・・。それを言うなって」
かがみ「ふふふ。冗談よ。 でも、その、日下部のこと・・・ちょっと見直したわ」
みさお「にゃはは。まぁな。    それに柊が見に来て・・・」
かがみ「え?な、何て言ったの?」
みさお「な、なんでもねぇよ。 っと、次の予選か」
かがみ「へ?まだ走るの?」
みさお「んー。そうだよ。あと2回走って、残ってたら決勝だ」
かがみ「ふーん。すぐに決まるわけじゃないんだ?」
みさお「まあな。そいじゃあ、行ってくるよ」
かがみ「うん。がんばってね」
447Last Summer   〜かがみの場合〜(3):2009/01/19(月) 23:47:04 ID:I7pSJflJ
その後も日下部は順調に勝ちあがり、決勝までくることができた。
 さすがに緊張したような顔はしていたけれど、スタート前の様子は落ち着いていて、どこか頼もしく見えた。
 スタートの音と同時に選手達は走り出した。
 少し出遅れた日下部は、始め4番手辺りを走っていたけれど、最初の時と同じように前の選手を抜かしていき、そのまま1番前を走っていた選手との差を、徐々に詰めていった。
 ゴールまであと僅かという距離で日下部がその選手と並びそうになった時、思わず私は大声で叫んでいた。

かがみ「もう少し・・・。   がんばれー!!日下部ー!!」

 ゴールの瞬間、本当に僅差だったけれど、日下部の身体はわずかに届かなかった。
 走り終えた日下部は、中腰の姿勢で膝に手を置いたまま動こうとしなかった。
 すぐにでも日下部のところに行きたかったけれど、私よりも先に陸上部のメンバーが近づいて行くのが見えたから、私はその様子をただ見ていることしかできなかった。
 首にタオルをかけられ、言葉を交わしている日下部の顔には、いつもの笑顔があったけれど、どこか寂しそうにも見えた。
 話を終えた日下部は、そんな寂しそうな笑顔のまま、ゆっくりと私の方へ歩いてきた。

みさお「あーあ。負けちまった・・・」

 私はそんな日下部になんて声をかけたらいいのか、すぐには言葉が見つからず、結局、ありきたりな言葉しかかけられなかった。

かがみ「残念・・・だったわね・・・」
みさお「ああ・・・。   ま、しゃーないよ。今までは表彰台に上がれなかったんだから、これだけでも充分だよ」
かがみ「日下部・・・」
みさお「そんな顔すんなって。柊が応援してくれたからがんばれたんだ」
かがみ「う、うん・・・」
みさお「・・・。 試合終わったらなんかトイレ行きたくなっちゃった」
かがみ「おまっ、この場面でそんなこと言うか普通?」
みさお「しゃーねーじゃん。ずっと緊張しっぱなしだったんだぜ?ま、ちょっと行ってくるよ」
かがみ「ったく・・・」

 日下部はいつもと同じようにバカみたいな話をしていたけれど、でも、どこか無理をしているようにも感じた。
 それにトイレに向かっていく日下部の後姿が妙に寂しげで、私はそっと後をつけた。

かがみ「日下部は・・・。あっ、いた」

 しばらく探すと、トイレの前の水道で顔を洗っている日下部を見つけた。
 私は声をかけようとして近づいていったけれど、水道の縁に手をかけてうつむいたままの日下部を見て、すぐには声がでなかった。

みさお「うう・・・ひっ・・な・・何でだよ・・・あと少しだったのに・・・・・。
    あやのにまでお願いして・・やっと柊のこと誘えたのに・・・。こんなときくらい・・・うぅぅ・・勝たせてくれよ・・・」

 うつむいたままの日下部の目から、大きな涙の粒が次々と落ちていた。
 それを見たら、胸の奥を締めつけられる苦しさを感じて、気がついたら声をかけていた。

かがみ「日下部・・・・」
みさお「ん?   あっ!柊? わわわ! あ、あの、ちょ、ちょーっと顔洗ってたんだ。さっきの試合で汗かいちゃったからさー」

かがみ「日下部・・・」
    ―なんでごまかすの?

みさお「いやー、やっぱ優勝すんのは厳しいな。上には上がいるもんだ」

かがみ「日下部・・」
    ―なんで正直に話してくれないの?

みさお「ま、これで、あとは受験だけ―」

かがみ「日下部」
    ―なんで峰岸にするみたく私には泣きついてくれないの?

 色々言いたいことが胸の奥から飛び出しそうになっていたけれど、私はどうしても言葉にすることはできなかった。
 それがどうしようもないくらいもどかしくて、でも日下部には伝えたくて・・・。
448Last Summer   〜かがみの場合〜(4):2009/01/19(月) 23:53:58 ID:I7pSJflJ
かがみ「日下部!!」

 私は、ただ一方的に話すだけの日下部にも、そして気持ちを言えない自分にも段々腹が立ってきて、思わず大声で叫んだ。

みさお「な、なんだよ・・・」

 驚いた日下部は不安げな表情を見せるとそのままうつむいてしまい、私も頭が真っ白になって何も言えなかった。

 重苦しい沈黙の後、なぜかはわからないけれど、自分でも驚くくらい自然に日下部を抱き寄せた。

みさお「ひ、柊?」

 日下部は戸惑ったみたいで、少しだけ身体を強張らせたけれど、別に抵抗はしなかった。
 そのまま自分の胸に日下部の頭を持ってきて抱きしめると、さっきまで怒っていた気持ちがゆっくりと消えていった。

かがみ「日下部・・・・。あんた、すごくがんばったんだよね・・・。かっこよかったよ」

 色々不満とかむかつくことはあったけれど、日下部の頭を撫でているとそんな気持ちはなくなって、自然と優しい言葉が口からでてきた。

みさお「・・・う、うん・・。わ・・たし・・が・・がんばったんだ・・・。
    柊・・・の・・ために・・・すご・・く・・が・・がんば・・・った・・。
    ・・・・う・・うわああああああああああ!!ひーらぎぃー!!!」

 日下部は私の胸の中で、まるで子どもみたいに大きな声を出して泣いた。
 私はそんな日下部がたまらなく愛おしかった。今までがんばって部活に打ち込んできた日下部が・・・。

 ―そして、私のためにがんばってくれた日下部が。

 そっと口の中でつぶやいた。

かがみ「ありがとう・・・。日下部・・・」
 
 泣いている日下部からは、汗と制汗スプレーの香りがした。
 その香りを嗅ぎながら日下部の頭を撫でているとすごく幸せな気持ちになって、その時、私は自分がずっと日下部にしたかったことを今しているんだってことに気がついた。


 しばらくして落ち着いた日下部を連れて、木陰のベンチに向かった。
 調度お昼時だったからか周りには誰もいなくて、セミの鳴き声がうるさいくらいに感じた。

かがみ「少し落ち着いた?」
みさお「あ、う、うん。   泣いたりして悪かったな」
かがみ「いいのよ。中学校から陸上一本で来たんだもんね」
みさお「それもあるけどな・・・」

 日下部は何かを含んだまま黙ってしまい、気まずい沈黙が流れたけど、私の中では心臓が大きな音で脈打っていた。
 さっき日下部が言っていたことの理由が聞きたくて・・・。

かがみ「ね、ねえ・・・。どうして・・・私のために・・がんばってくれたの?」

 思い切って聞いてみると、日下部は驚いた顔で私の方を向いて、みるみるうちに赤くなっていった。
 なんかその顔を見たら、どうにも恥ずかしくなっちゃって、わざと視線を逸らしてうつむいた。

 しばらくすると、横から日下部の真剣な声が聞こえてきた。
449Last Summer   〜かがみの場合〜(5):2009/01/19(月) 23:57:15 ID:I7pSJflJ
みさお「あ、あのな、柊・・・。じ、実は、前から」

 え?え? く、日下部?ちょっ、ちょっと!待ー

みさお「柊のことが・・・す」

 ぐ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

みさお「き・・・。 へ?」

 は?お腹の音?だ、だれ? って私?!

かがみ「う、うわーっ!!!!!! い、今のなしっ!!なしだから!!」
みさお「は?腹、減ったの?」
かがみ「ちょっ!!そそそ、そんなことないって!!何でもないんだったら!!」
みさお「い、いや、今のは腹の音だろ?」
かがみ「も、もー!!何でこんな時に鳴るのよー!!!」

 確かに日下部の弁当作ってて時間なくなっちゃったから朝ごはん食べてないけどさー!!
 何でこのタイミングなのよ!!!!思いっきりフラグへし折ってんじゃん!!

みさお「あははははははは」
かがみ「ちょっと!! わ、笑うな! ね、ねぇ?さっきの続きは?」

 日下部は大笑いしてるし、私はなんとかさっきの雰囲気に戻したくてしどろもどろだし。
 もー!!!バカバカバカ!!!私のKY!!何でいざって時にこんなんなのよ!!!!!

みさお「もう良いじゃんよ〜。いい加減、腹減ったよ〜」
かがみ「さっきまでのシリアスな雰囲気はどこ行ったのよ!!」
みさお「え〜?そうだっけ〜?」
かがみ「あんたねー、久しぶりに真面目になったと思ったのにもうこれか・・・」
みさお「まぁまぁ。それも柊の腹の音で終止符が打たれたと」
かがみ「くっ・・。ホントのことだから何も言えない・・・」
みさお「なぁ、話は終わりにして一緒にご飯食べようぜ」
かがみ「うぅぅ・・・。わ、わかったわよ! でも、後でちゃんと続き聞かせなさいよ!」
みさお「よーし!じゃあ、早速弁当食べようぜ。楽しみだな〜。柊の弁当〜」
かがみ「って、人の話を聞けー!!!!!」

 はぁ・・・。自分のせいだけど、なんだか日下部のペースにもろはまっちゃった。
 日下部はいつものにやけ顔に戻っちゃったからたぶんこれ以上言ってもダメだろうし、私もお腹が空いていてこれ以上無駄なエネルギーは使いたくなかった。

 でも・・・、はっきりとは言われなかったけど・・・日下部も私と同じ気持ちなのかな?でもこれって自惚れ?
 うーん・・・。でも日下部も部活は終わるし、これからもっと一緒にいられる時間は増えるよね?今度はちゃんと聞きたいな・・・。


 その後は、一旦弁当を取りに行ってから、さっきのベンチに戻ってお昼にした。

みさお「おー!! ミートボールだー!!」
かがみ「あ、あんたがミートボール食べたいって言ってたから私も食べたくなっただけよ」
みさお「へへー。うれしいなー。ひーらぎはやっぱり優しいよなー」
かがみ「そ、そんなに喜ぶとは思わなかったわ」
みさお「ありがとな。ひーらぎ」
かがみ「う・・・。べ、べつにあんたのために作ったわけじゃないけどさ・・・」

 そうは言っても、まるでお母さんが作ったお弁当を見る幼稚園児みたいに満面の笑みを浮かべている日下部を見ると、がんばって作ってきて良かったなって思ったし、
 それに、私の作った弁当をご機嫌に食べている日下部を見ていると、なんだかとっても幸せな気分になった。

みさお「あーん・・・もぐもぐ・・・ごっくん・・・。
うん、うめぇなー。ひーらぎって料理苦手って言ってたけど
なかなかやるじゃ―  あっ!!」
450Last Summer   〜かがみの場合〜(6):2009/01/20(火) 00:02:10 ID:8uygBQIj
 日下部はいつもよりも上機嫌で食べていたけど、話に熱中しすぎたのか、ふとしたはずみに箸からミートボールが落ちてしまった。

かがみ「あちゃー、落っこっちゃったわね。   ねぇ、3秒ルールは?」ニヤニヤ
みさお「みゅぅ・・・。さすがに外は勘弁してくれよ・・・。ごめん・・・」
かがみ「まぁ、仕方ないじゃない」
みさお「・・・これさ、ひーらぎが作ってくれたんだよな・・・」
かがみ「ち、違うわよ!ミートボールはつかさが―」
みさお「形がいびつだぞ」
かがみ「いっ!? いびつで悪かったわね!!!」
みさお「・・・な?」
かがみ「うっ・・・」
みさお「だからさ・・・。ホントは全部食べたかったんだ。ごめん。柊・・・」

 日下部は目を潤ませて私を見上げながらそう言った。
 本当にすまなそうな、そして心細そうな、普段だったら絶対に見せない顔をしている日下部があまりに可愛くて、
 不覚にも私は思わず見惚れていた。

かがみ(ぐはっ!か、かわいい・・・。くそー!峰岸はいつもこんな顔見てたのか!!羨ましい・・・。)

みさお「ひ、ひーらぎ?どうした?」
かがみ「は?え?い、いや。そ、そんなに気にしなくていいわよ!どうせまた作ればいいんだし」
みさお「ホントか?また作ってくれるのか?」
かがみ「え、あ、まぁ、気が向いたらね」
みさお「よかったー。もう食べられねぇなら、拾って食べちゃおうかと思ってたんだ」
かがみ「ちょっ!それはやめとけ。腹壊すから」
みさお「だよなー」
かがみ「当たり前だろ」
みさお「で、いつ作ってくれるんだ?明日?」
かがみ「調子に乗るな!!」

 機嫌の直った日下部は、その後は妙に慎重にミートボールをつまんで口に運んでいた。
 ちょっと極端だけど、そこまで大切に食べてくれるんだったら悪い気はしないわね。近いうちにまた作ろうかな・・・。

みさお「ごちそうさまー。  はー。食ったら眠くなってきたな。・・・ちょっと膝貸して?」
かがみ「え?おいおい、ちょっと待―」

 弁当を食べ終わると日下部は大きく伸びをして、私が止めるのも聞かず太ももの上に頭を乗せた。
 いきなりだったからちょっとびっくりしたけど、でも、日下部が自然な感じで甘えてきてくれたのがすごく嬉しかった。

みさお「うーん。ひーらぎの膝って気持ちいいなー」
かがみ「ったく。今日だけだからね」
みさお「んー。 嫌だよ。またしてくれよ」
かがみ「峰岸にしてもらえばいいじゃない?」
みさお「あやのはしてくれないよ。それにあたしはひーらぎにしてもらいたいんだ」

 日下部?何か今、結構重要なこと言ってなかった?

かがみ「へ?ちょ、そ、それってどういう意味なの?」
みさお「ふふ。ひ・み・つ。 それに学校じゃこんなことしてくんねぇじゃん?」
かがみ「あ、当たり前じゃない!」
みさお「そうだよなー。ちびっ子もいるもんなー」
かがみ「え?こ、こなたは関係ないでしょ。人前でそんなことできないってことよ」
みさお「そう言って、ちびっ子にはしてるんじゃないのか?」
かがみ「そ、そんなことしたことないわよ!!」
みさお「ふーん・・・。じゃあ、何で今してくれるんだ?」
かがみ「え?  そ、それは・・・」
451Last Summer   〜かがみの場合〜(7):2009/01/20(火) 00:05:12 ID:8uygBQIj
 正直言葉に詰まった。まさか、「日下部が好きだからするのよ」なんてことは言えないし。
 あー、でも言っちゃった方がすっきりするのよね・・・。それだったら何も気にしなくていいし。
 それにこの距離ならいきなり日下部にチューしちゃうってのもアリよね・・・。  
 って何を考えてるんだ私は!!まだ明るいのに・・じゃなくて!それはいきなりすぎるだろ!!常識的に考えて!!

かがみ「そ、その・・ご・ご・・ご褒美よ!ご褒美!!  日下部ががんばったご褒美!」

 「ご褒美」という言葉が日下部には効果覿面だったらしい。思わず膝から頭をあげて、目をキラキラさせながら私の顔を覗き込んできた。  ったくガキなんだから・・・。

みさお「じゃあ、また何かでがんばったらしてくれるのか?」
かがみ「そ、そうねぇ・・・。考えてみてもいいわよ・・」
みさお「よし!!じゃあ、今度は勉強でがんばる!!」
かがみ「受験生なんだから勉強がんばるのは当たり前でしょ!!」
みさお「えー。いいじゃんいいじゃん。そういうこというなよー」
かがみ「はぁー。 ったく。なんであんたはいっつもそうなのかねぇ」
みさお「じゃあさ、今度あやのも誘って3人で勉強しようぜ。ひーらぎとあやのに教えてもらえれば勉強もはかどるし、がんばれそうじゃん?」
かがみ「ま、まぁ、そうよね。わ、私は、べ、別にいいけど・・・」

 なんでここで峰岸もってくるかなー。ったくこっちの気持ち考えろって!!
 あ、でも自分ではぐらかしちゃったんだっけ・・・。はぁ・・・。

みさお「ようし、決まりだな。じゃあ、そんときがんばったらまた膝枕してくれよな」
かがみ「バ、バカ言ってんじゃないわよ! 峰岸がいたらできるわけないでしょ!!」
みさお「んー?  じゃあ、あやのがいなかったらいいのか?」
かがみ「そ、そういう意味じゃ・・・・」

 鋭いつっこみに思わず言葉が出ない私を見て、日下部は勝ち誇ったような顔をしていた。
 く〜!!あっそう! それなら膝枕よりすごいご褒美あげようじゃないの!!日下部が泣いて叫ぶくらいのさ!!
 ・・・・って自重しろ、私・・・。

みさお「ふふふ。ま、いっか。勉強がんばればご褒美くれるってことで」
かがみ「だから、一人で納得するな!!」
みさお「いいじゃんかよー。だってひーらぎにご褒美もらいたいもんなー」
かがみ「ま、待ちなさいよ。誰も絶対あげるって言ってないじゃない」
みさお「へへー。そうはいかないぜ。約束したからよー。ひーらぎは約束したら守ってくれるもんなー。優しいもんなー」

 そういって日下部は口元に八重歯をのぞかせ、いたずらっぽい笑顔で空の弁当箱を指でつまみ、目の前でブラブラさせていた。

かがみ「くっ・・・!」

 はぁ・・・、何でこんなの好きになっちゃったんだろ・・・。
 でも、こんな日下部が私は好きなんだよなぁー・・・。バカでガキっぽくて、それでいて気持ちに真っ直ぐで。笑ったときの八重歯がかわいくて・・・。
 こんなことになるんだったら、さっさと言っちゃえば良かったのかな・・・。なんか、色々自分の中で理由をつけてたけど、
 結局は日下部のことを好きだっていうことが怖かったのかもしれないな。
 でも、日下部が勇気を出して今日の大会に私を誘ってくれたことはよくわかったし、私のためにがんばってくれたのもわかった。
 だから、次は私がそれをする番なのよね・・・。いつまでも気持ちは誤魔化していられないもんね・・・。

 そんなことをボーっと考えていると、日下部がなぜかモジモジして私の方を見ていた。
 さっき丸め込まれてむかついていたところもあったから、ちょっと意地悪をするつもりで、わざと不機嫌そうな声で返してやった。
452Last Summer   〜かがみの場合〜(8):2009/01/20(火) 00:08:21 ID:8uygBQIj
かがみ「何よ?」
みさお「えっと、その、怒った?」
かがみ「え?   ・・・べ、別に怒ってないわよ」
みさお「そっか・・・」
かがみ「な、何よ。何か言いたいことでもあるわけ?」
みさお「う、うーんと・・・。   もう少しだけ、膝枕してくれねぇ?」
かがみ「え?」
みさお「いや、頭上げちゃったからさ・・・」

 日下部はそう言うと、照れくさそうに顔を真っ赤にして視線をそらした。
 そのしぐさがなんだか微笑ましくて、それでいてなんだかとっても嬉しくて・・・。

かがみ「ぷっ・・・あはははははは!!」
みさお「なっ?なんで笑うんだよ!」
かがみ「あはははは・・・いやー、なんというか、日下部っぽいというかね」
みさお「なんだよそれ! むー・・・」

 そう言うと、日下部は口をあひるみたいにしてむくれた。
 ふふ、照れたりむくれたり忙しいやつね。ま、レアな顔も見れたし、今日は許してあげようかな、
 なんて思いつつも、そんな顔見なくたって私もしてあげたいんだけどね。

かがみ「もう。今日は特別だからね」
みさお「え?い、いいのか?」
かがみ「いいわよ」
みさお「ほんとに?」
かがみ「しつこいなぁ。いいって言ってんでしょ!」

 私は向き合っていた日下部の頭を掴むと、そのまま自分の太ももに押し付けた。
 日下部はしばらくそのまま動かなかったけれど、照れたように少しずつ向きを変えて、私の方に顔を向けた。
 下から見上げる日下部の顔はさっきよりもずっと赤くなっていて、さっきまでの不安そうな顔が嘘みたいな、とびきり嬉しそうな笑顔を私にくれた。
 その満点の笑顔がすごく可愛くて、やっぱり私は日下部が大好きなんだなって思った。

 ・・・勉強会か・・・。途中で2人っきりになれればチャンスはあるかな・・・。
 でも、今の気持ちのまま日下部に告白したら、なんか歯止め利かなくなりそうなのよねぇ・・・。
 自重・・・できるかな・・私・・・。

                                      了
453:2009/01/20(火) 00:11:04 ID:8uygBQIj
以上でかがみ視点は終わりです。
5分ほどしてから みさお視点投下します。

連荘ですみません・・・。
454Last Summer   〜みさおの場合〜(1):2009/01/20(火) 00:16:51 ID:8uygBQIj
 高校最後の夏のある日、私は大きな決心をした。  ―柊に告白をしようと。

みさお「あの・・、あやの。ちょっと相談したいことがあるんだけど・・・いいかな?」
あやの「うん。どうしたの?」
みさお「あのさ、今度の日曜日のことでさ・・・」
あやの「あ、最後の大会だよね。何時からだっけ?」
みさお「そのことなんだけど・・・」

 口ごもる私を不思議そうに見ていたあやのは、しばらくすると言いたいことを察したみたいで、小さくうなずくと私の手を引っ張ってだれもいない空き教室に連れて行った。

あやの「もしかして・・・柊ちゃんのこと?」
みさお「いっ!? いや、その、なんつーか・・・」
あやの「ふふふ。やっと気持ちが固まったみたいね?」
みさお「・・・う、うん」
あやの「みさちゃん、長く悩んでたもんね〜」

 私は中学の頃からずっと柊のことが好きだった。私と違って勉強ができて女の子らしい柊は、私にとっての憧れだった。
 あやのも女の子らしくてかわいいし、勉強もできんだけど、どっちかっつーとお姉さんって感じかな・・・。

 いつもだったら思ったことをそのまま言っちゃうんだけど、こればっかりはどうしても言えなかった。
 それに、柊のことが好きなんだって気がついた時、そんな自分はどっか変なんじゃないかとも思っていた。
 「みさお」なんて男みたいな名前だったから、本当は自分が男だって思ってんじゃないかとか、男になりたいんじゃないかとかいろいろ考えたけれど、
 別に男になりたいわけじゃなかったし、あやのに「みさちゃん」って女の子っぽい名前で呼ばれるとすごく嬉しかったから、私は自分が女として柊のことが好きなんだって思った。
 まぁ・・・どっちにしろ人に相談できるような話じゃなかったんだけどな・・・。

 あやのにだって、こんなこと相談したらヒかれるんじゃないかって思っていたから、結局だれにも話せなかったけれど、あやのが兄貴と付き合い始めて、恋愛の話をするようになったとき、勇気を出してあやのに相談してみた。
 あやのは私の話を聞いて、
『うーん・・・。みさちゃんが柊ちゃんを好きなら、それで良いんじゃないかな。同性っていうのは確かに少ないかもしれないけれど、人が人を好きになることに変わりはないんだし、と私は思うけど』
 って言ってくれた。正直あんまりよくわからなかったけど、なんか・・・自分はおかしくないんだってわかって、すごくホッとした覚えがある。
 それ以来、あやのに柊のことを話すようになったけど、あやのは無理に告白させようとか、変にアドバイスをすることもなくて、ただ私の話をうなずいて聞いてくれたのが一番嬉しかった。

 高校に入ってからもあやのと柊はずっと同じクラスだった。柊は私たちのことをちゃんとは覚えていなかったみたいだったけど、それでも同じクラスでいられたことが、すげー嬉しかった。
 でも、柊は隣のクラスに行くことが多かったし、休みの日もちびっ子と遊んでいるみたいだったから、柊はきっとちびっ子のことが好きなんだろうなって思っていた・・・。
 でも、それでも柊のことを諦めることはできなくて、学校にいる時はいつも話しかけるようにしてたし、携帯で長電話したり、それに、あやのも一緒だったけど、3人で遊びに行ったりすることもあった。
 柊と二人じゃ何話していいかわかんないからって、あやのには無理言って来てもらってたんだけどな・・・。
 
 3人でお昼を食べたり、一緒に勉強したりすることもできるようにはなったけど、それでも相変わらず柊はちびっ子の方にも顔を出していて、このまんまじゃ、いつかはちびっ子に柊をとられちゃうんじゃないかって不安も感じていた。
 さっさと告白しちゃえば良かったのかとも思うんだけど、どうしても柊に気持ちを伝えることは怖かった・・・。

 そんな自分が嫌で、今度の大会が柊に告白する最後のチャンスだって自分に言い聞かせて、「優勝したら告白する!」ってなんとか決心した。
 今まで決勝までいくことはあっても、表彰台にはどうしても上がれなかったから、結構ハードルは高いとは思う・・・だけど!!
 それぐらいの気持ちじゃないと、ヘタレな私が柊に告白することは無理なんじゃないかっ!!  ・・・と自分を弁護してんだか奮い立たせてんだかわかんない理屈をつけて・・・。
 一応、練習でも手ごたえを感じているし。ま、なんとかなるかなとは思ってんだけど。
455Last Summer   〜みさおの場合〜(2):2009/01/20(火) 00:20:38 ID:8uygBQIj
みさお「―ということなんだけど・・・どう、かな?」
あやの「うん。みさちゃんがそう決心したなら私も良いと思うよ」
みさお「そ、それでな・・・本題なんだけど・・・」
あやの「え?」
みさお「あ、あの、今までずっとあやのに頼りきってたから、今度は私1人でがんばりたいんだ・・・。こんなこと言うなんて自分勝手だと思うんだけど・・・」
あやの「・・・・・」

 あやのは珍しく考え込んでいた。
 それはそうだと思う。今まで柊のことで相談にのってもらったり、慰めてもらったりしていたし、それに、大会だっていつも応援しに来てくれていたのに今回だけは来ないでくれって言うのは、
 あまりにも自分勝手だって思うし、それであやのに嫌われても仕方ないのかなっても思う・・・。  嫌だけど・・・。
 でも、最後はあやのに甘えないで自分1人でがんばりたかった。だから、あやのにはちゃんとそのことを伝えたかったし、それでもあやのが嫌だって言うなら、別な方法にしようって思っていた。

 重苦しい沈黙に耐え切れなくなって私が床を見つめていると、頭の上からあやのの優しい声が聞こえた。

あやの「みさちゃん」
みさお「ん?」
あやの「みさちゃんは、やっぱり優しいね」
みさお「へ?」
あやの「あのね・・・。私がお兄さんと付き合うようになってから、放課後一緒に帰ることも少なくしてくれたし、休みの日に遊ぶ約束しようとしても『自主トレするから』って気を遣ってくれてたよね」
みさお「あ、い、いや・・・。ホント、練習したかっただけだよ・・・」
あやの「ふふ。  いいよ。隠さなくても。私、いつもみさちゃんには感謝してたんだよ?」
みさお「あやの・・・」
あやの「だからね、私のことは気にしなくていいから、がんばって柊ちゃんを誘って」
みさお「あ・・・、あ、あやの〜!!」

 それを聞いたら自然と涙が出て、思わずあやのに抱きついた。あやのはやっぱり優しいんだって。私が考えていたより、ずっとずっと優しいんだって。
 5年間ずっと見に来てくれていたんだし、本当はあやのだって見に来たかったと思う。でも、それを我慢して、私のことを優先してくれたのが嬉しかった・・・。

あやの「よしよし。みさちゃんだって5年間がんばってきたんじゃない。だから自分が幸せになることを優先していいんだよ」
みさお「う・・ひっく・・うん・・・。・・ひっ・・あ・・ありが・・と・・。あ・やの・・」

 そう言ってあやのは、いつもよりも優しく私の頭を撫でてくれた。頭を撫でられながら、きっとあやのがこんなにも優しかったから、私も柊のことを想い続けることが出来たんだなって思ったら、また涙が溢れてきた。


 しばらくして私が落ち着くと、あやのと一緒に柊を誘うための相談をした。あやのは兄貴とデートっていう設定だったら自然なんじゃないかってことで話がまとまって、柊にはそれで声をかけた。
 変に疑われることもなかったし、結局予定もあいていたみたいですんなりOKがもらえた。あまりにもうまくいったから思わず大声で叫んじゃったけど・・・バレてねぇよな。

 競技場は家から遠いから、朝早く起きなくちゃならなかったんだけど、前日は不安と緊張でいつまでも眠れなかった。

 ほんとに来てくれんのかな・・・。でも、いまさら連絡するのは気がひけるし・・・。調子に乗って弁当頼むとか言っちゃったし・・・。
 うわー!心配だー! 頼むよぉ。きてくれよぉ、ひいらぎぃ・・・。

 それでもなんとか明け方に寝付くことができて、睡眠時間は少なかったけれど、朝起きた時、いつもより頭がすっきりしているような気がした。

 競技場に着いてアップをしていると、グランドの端の方に柊が立っているのが見えた。柊は白いノースリーブのシャツに大き目の青いネクタイをしめてスカートをはいていた。普段の制服とは違っていつもよりも女の子っぽくて、なんだかまぶしかった。
 なんかそれを見ただけですげー嬉しくなって、大きな声で名前を呼びながら柊のところまで走った。
456Last Summer   〜みさおの場合〜(3):2009/01/20(火) 00:24:02 ID:8uygBQIj
みさお「おーい!ひーらぎー!  来てくれたんだな」
かがみ「ま、まあね。約束したし」
みさお「ありがと。あれ?それなんだ?」
かがみ「え?あ、その、べ、弁当よ。お昼食べるにも、近くにお店ないじゃない。そ、それに・・・、最後の大会なんだし、せっかくだから・・・」

 ホントに弁当作ってきてくれたんだ!これじゃ負けらんねぇよな。
 ぃよしっ!!ここはばっちり優勝して、その後は・・・

みさお『柊! 前から好きだったんだ!私と付き合ってくれ!』
かがみ『私も好きだよ・・・。日下部・・・』
みさお『うぉー!! ひーらぎー!!』ガバッ
かがみ『ちょっ、ちょっと、みんないるのに・・・ダ、ダメだってば・・。ぁ、あん・・・』

 くふふ。なんてなー。弁当と一緒に柊もたっぷりいただいて・・・

かがみ「く、日下部? どうしたの?」
みさお「へ? あ、いやいやいや!! ありがと! これで負けねぇぞー!!」
かがみ「か、勘違いしないでよ! わ、私の分のついでにあんたのも作っただけなんだからね!」

 これがちびっ子が言っていたツンデレってやつなんだな。うーん、ちびっ子の気持ちがわかる・・・気がする。

みさお「ん? いいっていいって。作ってきてくれたってことが嬉しいんだぜ」
かがみ「う・・・。そ、そう?」

 その時、出場選手を呼ぶアナウンスが流れた。ホントは照れてる柊がもっと見てたかったけど、それじゃあ本末転倒だよな。後ろ髪を引かれる思いで、なんとか気持ちを切り替えた。

みさお「おっ?予選が始まるみたいだな。んじゃ、ちょっと行ってくるよ」
かがみ「あ、うん。 がんばってきなさいよ」
みさお「おう!まかせとけ!」

 柊の声を聞いて、身体の芯が熱くなった。今日は負ける気がしないぜ。

 スタート位置に行くと、周りは今まで負けたことがないやつらばかりだったから少し安心したけれど、でもやっぱり最初は緊張する。
 どうしてもスタートが遅れるから、そこだけは気をつけねーと。
 位置についてスタートの合図を待つ。
 よし、スタートはバッチリだ。それに今日はなんだか身体が軽くて、面白いように前を走るやつらを抜かせる。
 やっぱりひいらぎが来てくれると違うのかな・・・。あ、でもあやのが来てたから負けてたってわけじゃないぜ。

 最初の予選を1位で通過して陸上部のやつらと話していると、柊がやってくるのが見えた。少し顔が赤いように見えたけど、今日は結構暑いからか?

かがみ「おつかれ。あんた結構やるのねー」
みさお「そりゃあ、ずっと部活やってたんだぜ。簡単には負けないよ」
かがみ「その代わり勉強は全然だけどね」
みさお「うっ・・・。それを言うなって」
かがみ「ふふふ。冗談よ。 でも、その、日下部のこと・・・ちょっと見直したわ」
みさお「にゃはは。まぁな。それに柊が見にきて・・・」

 うわ!口が滑った!

かがみ「え?な、何て言ったの?」
みさお「な、なんでもねぇよ。 っと、次の予選か」
かがみ「へ?まだ走るの?」
みさお「んー。そうだよ。あと2回走って、残ってたら決勝だ」
かがみ「ふーん。すぐに決まるわけじゃないんだ?」
みさお「まあな。そいじゃあ、行ってくるよ」
かがみ「うん。がんばってね」

 ふぅ・・・。呼び出しかかって助かった〜。お楽しみは最後までとっておかないとな。
457Last Summer   〜みさおの場合〜(4):2009/01/20(火) 00:27:45 ID:8uygBQIj
 んで、特にやばいこともなく、順調に予選をクリアーして、ついに決勝まできた。さすがに緊張するなぁ・・・。
 しかも周りはいつも上位に入ってくるやつらばっかりだし・・・。でも柊をおいしくいただくためにも負けらんねーぞ!

 でも、少し気合が入りすぎたのかスタートで少し出遅れた。いつもだったらそのまま前には行けないんだけど、今日は違っていた。
 自分でも驚くくらい足が前に出たし、前を走っているやつらが次々に視界から消えていって、最後に先頭を走るやつの背中も段々近づいてきた
 ・・・けど、どうしてもその距離は縮まらなかった。

 ゴールまであと少し・・・。く・・やっぱり届かないか・・・

「がんばれー!!日下部ー!!」

 その時柊の声が聞こえたような気がした。

 ダメだ!!勝って柊に気持ちを伝えるんだ!!

 ゴール寸前、思い切りトラックを蹴って前に出た。
 前のめりになってゴールして、すぐに振り向いたら、さっきのやつが両手を挙げて喜んでいるのが見えた。自分は負けたんだってわかったら、その瞬間頭が真っ白になって、顔をあげる気力もなかった。
 どれくらいそうしていたのかわかんないけど、気がついたら陸上部のやつが首にタオルをかけてくれていた。『惜しかったな』とか言っていたみたいだけど、
 それよりも柊のことが気になって見てみると、なんだか困ったような顔でこっちを見ていた。

みさお「あーあ。負けちまったよ」

 柊は相変わらず困ったような顔で私を見ていた。そんな柊の顔を見ていたら泣きそうになったけど、柊に心配かけたくなかったから、笑顔を作って近づいて、できるだけ明るい声で話しかけた。

かがみ「残念・・・だったわね・・・」
みさお「ああ・・・。   ま、しゃーないよ。今までは表彰台に上がれなかったんだから、これだけでも充分だよ」
かがみ「日下部・・・」
みさお「そんな顔すんなって。柊が応援してくれたからがんばれたんだ」
かがみ「う、うん・・・」
みさお「・・・。 試合終わったらなんかトイレ行きたくなっちゃった」
かがみ「おまっ、この場面でそんなこと言うか普通?」
みさお「しゃーねーじゃん。ずっと緊張しっぱなしだったんだぜ?ま、ちょっと行ってくるよ」
かがみ「ったく・・・」

 それ以上柊と話していたら泣いちゃいそうだったから、適当にごまかしてトイレに行った。水道の水はぬるかったけど、走った後で汗をかいていたから顔を洗ったら結構気持ちよかった。

 がんばったけど、だめだったな・・・。
 あんな顔させたくなかったのに・・・。笑顔で一緒に笑いたかったのに・・・。

 そう考えたら途端に涙が溢れてきた。

みさお「うう・・・ひっ・・な・・何でだよ・・・あと少しだったのに・・・・・。
    あやのにまでお願いして・・やっと柊のこと誘えたのに・・・。こんなときくらい・・・うぅぅ・・勝たせてくれよ・・・」

 その時、いきなり後ろから声をかけられた。最初はよくわからなかったけど、それが柊だってわかったらすげー焦って、でも必死に誤魔化そうとして口からは次々と言葉が出た。
458Last Summer   〜みさおの場合〜(5):2009/01/20(火) 00:30:11 ID:8uygBQIj
かがみ「日下部・・・・」
みさお「ん?   あっ!柊? わわわ! あ、あの、ちょ、ちょーっと顔洗ってたんだ。さっきの試合で汗かいちゃったからさー」

 ―こんなんじゃ柊に告白なんてできないよ・・・。

かがみ「日下部・・・」
みさお「いやー、やっぱ優勝すんのは厳しいな。上には上がいるもんだ」

    ―優勝できなかったんだから・・・。

かがみ「日下部・・」
みさお「ま、これで、あとは受験だけ―」

    ―ちびっ子にだってかなわない・・・。

かがみ「日下部!!」

 柊は突然大きな声で叫んで睨んだ。

みさお「な、なんだよ・・・」

 何か悪いことしたのか?それとも何か怒らせるようなことを言ったのか?
 頭の中でいろんな言葉がグルグル回っていたけど全然わからなくて、何も言えずに私はうつむいた。

 どれくらいそうしていたのかはわからないけど、しばらくして柊が近づいてくるのがわかった。そしたら頭に腕を回されて、いきなり柊に抱きしめられた。

みさお「ひ、柊?」

 な、何で?意味わかんねーよ!!さっきまで怒ってたんじゃねーの?
 驚いて何も言えないでいると、上から柊の優しい声が聞こえた。

かがみ「日下部・・・・。あんた、すごくがんばったんだよね・・・。かっこよかったよ」

 そう言われて頭を撫でられた途端、今まで我慢しようとしていた気持ちの代わりに温かい気持ちが胸に湧いてきて、抑えようと思っていた涙がどんどん溢れてきた。

みさお「・・・う、うん・・。わ・・たし・・が・・がんばったんだ・・・。
    柊・・・の・・ために・・・すご・・く・・が・・がんばっ・・・た・・。
    ・・・・う・・うわああああああああああ!!ひーらぎぃー!!!」

 あやのにだってこんなに大声で泣いたことはなかったんじゃないかってくらい、大きな声で泣いた。
 柊は泣いている私の頭をずっと撫でてくれていて、あやのとは違ったけれど、でもあやのに撫でられるよりずっと嬉しかった。
 頭を撫でられながら、柊からは良い香りがした。それを嗅いでいたらすごく落ち着いて、その時、ずっと柊にして欲しかったことを今されているんだってことに気がついた。

 一通り泣いて落ち着いた私は、柊に連れられて木陰のベンチに座った。

かがみ「日下部、少し落ち着いた?」
みさお「あ、う、うん。   泣いたりして悪かったな」
かがみ「いいのよ。中学校から陸上一本で来たんだもんね」
みさお「それもあるけどな・・・」

 ほんとは柊に告白したかったからなんだ。とは、ちょっと言えねーかなー・・・。なんて考えていると、柊が突然話しかけた。
459Last Summer   〜みさおの場合〜(6):2009/01/20(火) 00:33:23 ID:8uygBQIj
かがみ「ね、ねえ・・・。どうして・・・私のために・・がんばってくれたの?」

 驚いて柊の顔を見ると、真っ赤な顔で視線を逸らした。
 あ!さっき泣きながら言っちゃったんだ!うわっ、どうしよ・・・。むむむ。このまま誤魔化すのが良いのか、それとも告白するチャンスなのか・・・。
 うーん・・・。でも、ここまできたら言うしかねーよな!!

みさお「あ、あのな、柊・・・。じ、実は、前から」

 柊はなんだか驚いたような顔で口をパクパクさせて、顔はどんどん赤くなってきていたけど、それでもかまわず言葉を続けた。

みさお「柊のことが・・・す」

 ぐ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

みさお「き・・・。 へ?」

 な、なんだ?今の音?

かがみ「う、うわーっ!!!!!! い、今のなしっ!!なしだから!!」
みさお「は?腹、減ったの?」
かがみ「ちょっ!!そそそ、そんなことないって!!何でもないんだったら!!」
みさお「い、いや、今のは腹の音だろ?」
かがみ「も、もー!!何でこんな時に鳴るのよー!!!」
みさお「あははははははは」
かがみ「ちょっと!! わ、笑うな! ね、ねぇ?さっきの続きは?」

 焦ってる柊が妙におかしくて、思い切り笑ったらなんだか気持ちがすっきりしちゃった。
 それにそういうこと言う雰囲気じゃなくなっちゃったな。ま、いっか。腹も減ったし。

みさお「もう良いじゃんよ〜。いい加減、腹減ったよ〜」
かがみ「さっきまでのシリアスな雰囲気はどこ行ったのよ!!」
みさお「え〜?そうだっけ〜?」
かがみ「あんたねー、久しぶりに真面目になったと思ったのにもうこれか・・・」
みさお「まぁまぁ。それも柊の腹の音で終止符が打たれたと」
かがみ「くっ・・。ホントのことだから何も言えない・・・」
みさお「なぁ、話は終わりにして一緒にご飯食べようぜ」
かがみ「うぅぅ・・・。わ、わかったわよ! でも、後でちゃんと続き聞かせなさいよ!」
みさお「よーし!じゃあ、早速弁当食べようぜ。楽しみだな〜。柊の弁当〜」
かがみ「って、人の話を聞けー!!!!!」

 なんだか有耶無耶になって終わっちゃったけど、でも、あれだけでも変にすっきりしちゃったな。
 柊の気持ちはわかんなかったけど、何かまんざらでもなかったみたいだし、今はお腹が空いたからいいや。後で考えよ。
 それにこれから部活もないから、もっと柊といられる時間も増えるんだし、そのうちチャンスはあるよ。

 柊はちゃんとミートボールを作ってきてくれて、形がいびつだったから柊が作ったこともすぐにわかった。
 でもとってもおいしくて、残さず食べた。まぁ、1つ落っことしちゃったけど・・・。みゅぅ・・・

みさお「ごちそうさまー。  はー。食ったら眠くなってきたなー。・・・ちょっと膝貸して?」
かがみ「え?おいおい、ちょっと待―」

 ちょっとやりすぎかなっても思ったけど、別に嫌がらなかったからそのまま頭を乗せちゃった。柊も怒らなかったから大丈夫だよな?

みさお「うーん。ひーらぎの膝って気持ちいいなー」
かがみ「ったく。今日だけだからね」
みさお「んー。 嫌だよ。またしてくれよ」
かがみ「峰岸にしてもらえばいいじゃない?」
460Last Summer   〜みさおの場合〜(7):2009/01/20(火) 00:37:26 ID:8uygBQIj
 その時、魔が差したというか、なんか柊のことをからかいたくなった。

みさお「あやのはしてくれないよ。それにわたしはひーらぎにしてもらいたいんだ」
かがみ「へ?ちょ、そ、それってどういう意味なの?」

 くふふ。焦ってる焦ってる。

みさお「ふふ。ひ・み・つ。 それに学校じゃこんなことしてくんねぇじゃん?」
かがみ「あ、当たり前じゃない!」

 せっかくだしちびっ子のことも聞いてみちゃおうかなー。

みさお「そうだよなー。ちびっ子もいるもんなー」
かがみ「え?こ、こなたは関係ないでしょ。人前でそんなことできないってことよ」
みさお「そう言って、ちびっ子にはしてるんじゃないのか?」
かがみ「そ、そんなことしたことないわよ!!」
みさお「ふーん・・・。じゃあ、何で今してくれるんだ?」
かがみ「え?  そ、それは・・・」

 柊はあたふたして困ったような顔をしていた。んん?どうなんだい?

かがみ「そ、その・・ご・ご・・ご褒美よ!ご褒美!!  日下部ががんばったご褒美!」

 ご褒美!ああ、なんて魅力的な言葉なんだ!
 思わず頭をあげて柊の顔を覗き込む。

みさお「じゃあ、また何かでがんばったらしてくれるのか?」
かがみ「そ、そうねぇ・・・。考えてみてもいいわよ・・」
みさお「よし!!じゃあ、今度は勉強でがんばる!!」
かがみ「受験生なんだから勉強がんばるのは当たり前でしょ!!」
みさお「えー。いいじゃんいいじゃん。そういうこというなよー」
かがみ「はぁ。 ったく。なんであんたはいっつもそうなのかねぇ」
みさお「じゃあさ、今度あやのも誘って3人で勉強しようぜ。ひーらぎとあやのに教えてもらえれば勉強もはかどるし、がんばれそうじゃん?」
かがみ「ま、まぁ、そうよね。わ、私は、べ、別にいいけど・・・」

 あやのがお菓子を作って、それで勉強がんばって、その後柊から「ご褒美!」もらって。いやー、これぞ一石二鳥!!やっぱわたしって天才?

みさお「ようし、決まりだな。じゃあ、そんときがんばったらまた膝枕してくれよな」
かがみ「バ、バカ言ってんじゃないわよ! 峰岸がいたらできるわけないでしょ!!」
みさお「んー?  じゃあ、あやのがいなかったらいいのか?」
かがみ「そ、そういう意味じゃ・・・・」
みさお「ふふふ。ま、いっか。勉強がんばればご褒美くれるってことで」
かがみ「だから、一人で納得するな!!」
みさお「いいじゃんかよー。だってひーらぎにご褒美もらいたいもんなー」
かがみ「ま、待ちなさいよ。誰も絶対あげるって言ってないじゃない!」
みさお「へへー。そうはいかないぜ。約束したからよー。ひーらぎは約束したら守ってくれるもんなー。優しいもんなー」

 柊の目の前でからの弁当箱をブラブラさせてみた。な?柊は優しいんだよなー?

かがみ「くっ・・・!」

 やったー!久しぶりに柊をやりこめたぞ!!いやー、なかなか気分がいいもんだね。

 はっ!!つい頭あげちゃった。もっと柊の膝を堪能してたかったのに・・・。ここからもう1回膝枕頼むのはちょっと難しいかな・・・。
 でも次いつしてもらえるかわかんねーし・・・。うーん・・・。
 言おうか言うまいか悩んでいると、柊が不機嫌そうな声で聞いてきた。
461Last Summer   〜みさおの場合〜(8):2009/01/20(火) 00:40:06 ID:8uygBQIj
かがみ「何よ?」
みさお「えっと、その、怒った?」
かがみ「え?   ・・・べ、別に怒ってないわよ」
みさお「そっか・・・」
かがみ「な、何よ。何か言いたいことでもあるわけ?」
みさお「う、うーんと・・・。   もう少しだけ、膝枕してくれねぇ?」
かがみ「え?」
みさお「いや、頭上げちゃったからさ・・・」

 勇気をだして言ったら、柊は一瞬棒を飲み込んだみたいな顔になったけど、次の瞬間には思い切り笑っていた。

かがみ「ぷっ・・・あはははははは!!」
みさお「なっ?なんで笑うんだよ!」
かがみ「あはははは・・・いやー、なんというか、日下部っぽいというかね」
みさお「なんだよそれ! むー・・・」

 なんで涙ぐんでんだ?そんなに変なこと言ったかな?

かがみ「もう。今日は特別だからね」
みさお「え?い、いいのか?」
かがみ「いいわよ」
みさお「ほんとに?」
かがみ「しつこいなぁ。いいって言ってんでしょ!」

 柊はそういうと、私の頭を掴んでいきなり太ももに押し付けた。
 う、うおっ!!やわらけー。
 で、でも、こっから柊に顔を向けるのはちょっと恥ずかしいな・・・。どんな顔すればいいんだ・・・。
 おずおずと柊の方を見てみると、そこには赤い顔ですごく嬉しそうに笑う柊の顔があっって、そんな今日のお日様みたいな柊の笑顔を見たら、私もすごく嬉しくなって自然と笑顔になった。
 そのまま一緒に笑いあっていたら、やっぱり私は柊のことが大好きなんだなって思った。

 表彰式の時も柊は待っていてくれて、表彰台から応援席に向かって手を振ると、少し照れたように小さく振り返してくれた。
 帰りの電車ではいつもと同じように話していたけど、なんか、どっか違う感じがしてた。
 どこが違うのかって聞かれると難しいんだけど・・・。うーん・・・もっと仲良しになった?みたいな。

 家に着くと、あやのの靴があって、兄貴に会いにきてたんだなって思った。ホントにデートしてたのか。やるなぁ、あやの。

みさお「ただいまー。来てたんだ?」
あやの「あ、おかえり。どうだった?」
みさお「いやー、決勝まで行ったんだけどな。結局2位だったよ」
あやの「そっかー。惜しかったね・・・。それと・・・もう一つの方はどうなったの?」
みさお「え?  あ、あの・・・」
あやの「ん?」
みさお「あ、いや、告白はできなかったけど・・・」
あやの「けど?」

 別に恋人になったとかそういうことはなかったんだけど、なんだか自然と笑みがこぼれちゃう。あやのも何かわかったみたいで、私と同じ笑顔を返してくれた。
 何か色々ありすぎてどこから話せばいいのかわかんないけど、今日は夕飯食ってくだろうし話が長くなっても大丈夫だよな?聞いてくれよ。あやの。

みさお「それがさー。今日柊が・・・」

                                      了
462:2009/01/20(火) 00:45:27 ID:8uygBQIj
以上です。
いやー・・・長すぎましたね・・・。みさお熱がほとばしり過ぎました・・・。
次はもう少しスリム化して投下します・・・。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。
ではでは。おやすみなさい。
463名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 01:52:07 ID:5bWh1ioW
乙です。
ただ個人的には、長さよりも台本形式なのをどうにかして欲しいとか思ったり。
464名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 02:48:37 ID:FLBdVcmK
まあ、書いているうちに台詞の前に名前を書くのがめんどくさくなってくるから。
465名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 06:20:35 ID:E9JZrY36
ゆい姉さんとダンナのエッチ話って存在しないのでしょうか。
466kt:2009/01/20(火) 13:27:08 ID:sSJsZ8Cs
三が日なんかとうに過ぎていますが…明けましておめでとうございます
ktでございます

いつの間にか自分のSSが20作目を迎えました、まさかこんなにも投下するとは思ってませんでしたw
ひよりんでパティバーガーだったころと比べるとちっとは成長してる…と思いたいです
…今年もご迷惑をかけるかもですがよろしくお願いします

では『それぞれの年末年始☆1:おふろでやりたいほうだい!』

・9レス
・かがみ視点
・こなた×ちょいデレかがみ、いちゃラブ
・シリーズものですが鼻血〜とはまったく関係ありません
です、5分後に投下開始します
12/31 現在昼12時
今日は2008年最後の日だ―と言っても新年になっても生活は何の変わりもないのだろうけど
ただ人間と言うモノは何かと騒ぎ出したいものみたいで
ここ、鷲宮神社で年越し―とか考えてる人々もいる、つまり年越し祭みたいなものだ

―今日は12/31

新年は私の恋人、泉こなたと一緒に…2人きりで迎えたい
何としてでも―

それぞれの年末年始☆1:おふろでやりたいほうだい!

「いいわよ」
「え?」
母さんに今日は休みたいと駄目もとで頼んでみたらあっさりとOKをもらった
「え、と…何が?」
やけにあっさりとしてたのでもう一回聞いてみる
「今日休んでいいわよ、って」
「いい、の?」
「いのりもまつりもいるし、結構ボランティアの方々も来てくださるし
…かがみ1人いなくても大丈夫よ♪、、こなたちゃんとゆっくりしたいんでしょ?」
「あ、うん…ありがと、母さん」
よかった…これでこなたと―
「そのかわり!」
母さんが大きな声を出し私に注意を向けさせる
「1週間弱はぐったりするまで働いて貰うわよ?」
「う…はい、そういえばつかさは?」
「あの子ねぇ…今日と明日休みたいって言ってるのよ…」
母さんはため息をついた


ばたんっ!
「しゃっ〜!!」
部屋に戻った私は小さくガッツポーズを取る
今にもウヒャッホウ!と盆踊りでも踊りだしたい気分だ
「おーおー、楽しそうだねぇ」
あぁぁ…あれ?
「…何でまつり姉さんいるの?」
「んー?…何か話のネタになりそうなエッチなもの無いか探しちゅ〜」
「帰れ」
「ひどいじゃーん、私とかがみの仲じゃーん…」
まつり姉さんはふくらかした顔でブーブー文句を言う
「あぁ、もう!そんな顔しないでよ…」
「しかっしあんた…な〜んにも無いのね、つかさからは色々見つかったけド」
しらけたとかつまらないとか言いたげなまつり姉さんだ
…―そりゃあ全部こなたが用意してるもの、、とは口が裂けても絶対に言わないでおこう
「年越しは彼女と〜ってか?、よっ!熱いねっ!ひゅ〜ひゅ〜♪」
「あーもー!うっさいなっ!」
あんたは小学生か!、と突っ込みそうになったけど止めておこう、一応年上だし
「…ま、ゆっくりと過ごしてきな」
「…うん、、頑張るね」
姉さんからの優しい言葉に私は戸惑う
「頑張るですって〜!奥さん!ま〜ぁ!やらしい娘!」
「ダルいからツッコまないわよ」


「―と言うことで今日はこなたと過ごせる事になったのよ」
「そうなんだ〜…」
さっきの出来事をこなたに話した、けど…
しかし彼女は嬉しくなさそうで―
「…嬉しく、無いの?」
「んにゃんにゃ、今日は神社に出向いて外でする予定だったからさ〜…予想外の嬉しすぎる出来事ってやつ、かな?」
「なら、もっと嬉しそうな顔しなさいよ…」
とほおをふくらめ怒っているふりをする
「なら…これで許して」
「ん、ふぅ…んっ…」
こなたは私に近付いてキスを交わす

-こなたにキスをされると、どんなことでも許したくなる-

…そう思えるほどこなたに依存しているのかと思うと心の中で苦笑する
でもそんな自分が大好きなのだ、ここまで彼女に心を開けている証なのだから―
「…なんでもかんでもキスで許して貰おうとする私も私だけどね」
こなたはやっちまったと言いたげだ
「ううん、嬉しいから別にいい……っと、夜までどう過ごすの?」
「んー、ここらへんを散歩して、で私の家で年越しそばかな?」
「まぁ、私はこなたと一緒なら後はどうでもいいんだけど」
「さ、さいですか…」

-15:09
「いや〜遊んだ遊んだ♪」
「そろそろお腹減って来たわねぇ…」
「じゃ、年越しそばの材料買って帰ろうか」
「ん♪」

ぎゅっ…

どちらからでもなく自然と手を繋ぎだす私達
「〜♪」
キスもセックスもこなたと繋がれて嬉しいけれど―
この手と手を繋ぎ絡める時間が、温もりが一番嬉しい
「ごきげんだねぇ、かがみん」
「……こなたと一緒だもん、嬉しくならない訳がないじゃない」
「ん♪、私も」
と、前に顔を向けると見知った女の子が走っていた

「うー、バイトバイト」
「ひよりん、こんちゃ〜!」
「あ、泉先ぱ…」
こなたに挨拶しようとして、なぜか途中で止めるひよりちゃん
「…?」
「…ゴチになりますっ!」
「何がだ」
あ、やばっ、いつもと同じ様にツッコんでしまった……
「おお、これがかがみ先輩のツッコミ!、ようやく味わえたっス!」
…なんか喜ばれてしまった
「ひよりんってこれからバイトなんだよね?、どこにいくの?」
「あ、はい鷲宮神社ですよ、そりゃあもう巫女服が着られるってだけでたまらんっスね!!
そりゃもうっ!あと脱がしかたや着心地や拘束の仕方とかの勉強にもな―」
ひよりちゃんはテンション上がってきた!を素でやれそうな勢いで話す
「話が長くなりそうだから帰るねー」
「あ、はい、じゃー…って先輩が呼び止めたんスけど…」
それからしばらく話したあと、田村さんは弟子を待たせているからと急いで立ち去っいった

-16:07
-泉家
「さて、一息ついたところで作りますか!」
「ちょっと早すぎない?」
「先にお風呂も入りたいしね〜…まぁ色々とあるのだよ、かがみん」
と言いながらもとんとんとんと言う包丁の葱を切る軽快なリズムが聞こえてきた


-17:43
かちゃ…
「ご馳走さまでした〜」
箸を茶碗に乗せてこれ以上食べるつもりはないという意思表示をした
「どう?、泉家秘伝のつゆの味は」
「んん、美味しかった!」
「喜んで貰えて何よりだよ〜」
こなたはほっとした表情をみせた
「まぁ、あんたの腕は信頼してるからさ、、来年もよろしくね」
「早くも予約すか…じゃ来年は奮発しちゃおうかな〜」
「にしてもあっつ…食べたら汗かいてきちゃった」
額の汗を拭う私
「じゃあお風呂入ろっか、一緒にさ」
そう言ったあと、彼女はにっと笑った
-18:13
「んんっ〜…」
湯船の中で伸びをする私
「寒っ、さむ〜」
と言う声と共にシャワーを浴びていたこなたが浴槽に飛び込んだ
ばっちゃーん!と水飛沫が飛び散る
「じっちゃーん!」
「…何言ってるの?」

こなたと私は浴槽に向かい合って座っている
湯気で浴室が白く曇っていく
…なんだかわたあめが食べたくなってくるわね
「あったかいねー」
「そうねぇ…こなたと一緒だから、かな」
「それもあるんだろ〜ねー」
ふぅ〜と2人して息をはく、そして一時してこなたが口を開いた
「いつも思うんだけどね、、よくエロゲとかエロ漫画とかでお風呂でエッチするじゃん?」
「いや、知らないけどさ…」
「で、そーゆーのってよく洗い場回りでシてるんだけど…
あれって汚くないかなって思ってね、、だって平気で寝転んだりするんだよ?」
『まぁ…汚いかもねぇ」
「でしょ?、いつも綺麗にしてる訳でもないし…綺麗にしててもどうかと思うね、、
まぁそういうのをぶち破るほど快感に浸っているって事を表現してるのかもだけど」
「確かにね〜…カビとかどうかと思うし」
「でもさ、浴槽は綺麗にしてるわけじゃん?」
「まぁ毎日入るしねぇ」
「浴槽の中ではヤりたいほうだいでもいいと思うわけよ、私は」
その言葉と共にこなたが近付いて―…唇が私の唇と重なった

ちゅっ…
「ん、んっ…んふ、ぁっ…」
数分のキスのあと、こなたが唇を離す
唇の肉は名残惜しそうにゆっくりと離れていった
「……あんたさぁ…」
「うん?」
「…あんな話のあとでよくキスする気になるわね……もっと…こう…雰囲気とかさぁ…」
「ごめんごめん、やっぱり今年の終わりをかがみんとかがみんとヤって迎えたいのだーー!」
「…こなた……」
やけに誇らしげな彼女に私はうっとりとする
「それに…利点もあるのだよ、かがみん」
「…どんな?」
「汚しても直ぐに洗い流せる―…とかなんとか昔どっかの漫画で見た、あんまり覚えてないけど、確かそんな感じ」
「 ま た 漫 画 か 」
「んで、湯船に浸かりながら出来るし―」
と言いながらこなたは私の下半身に手を伸ばす
「ん、ひゃ…」
「ほら、水圧も刺激になって遊べるし♪」
お湯の中で手を動かしま○この方にお湯を当てる
「ひゃう、ぅ、んっ…」
「あと、ほら…湯気に当てられて表情が色っぽくなってる♪」
「〜〜〜――ぁぅぅ…」
色っぽいと言う言葉に当てられ赤面する私
「…そういえばなんで濡れると色っぽいんだろうね?、、5倍くらい色っぽいよ?」
「…知らないわよ……バカ」
「あと…シャワーで攻めれるしイイ事ばかりなのさ♪」
ちゅっ…
「ん、は…ぁ、はぁ、はぷぅ、、んんっ…」
そしてこなたとディープなキスをする
「はぐ…ぁ、んん、ぴちゅ、んんっ、ずずっ…んほぉっ…」
キスの知識があんまり無いから分からないけど…
唇を啄ばんだり・舌を舐めあったり・舌で歯茎を刺激したりとこなたがリードしてくれている
私もそれに答えようと必死で彼女に付いていく
「んんんっ…ん、っ、ぷは…ぁ、ふぐっ…ぅ」
お風呂場という場所のせいか吐息や水温が反響しまくって―…その音で更に興奮していく
「ふ、ぁ…そうだ、ここ、防音がしっかりしてるから音が外に漏れる心配はないよ♪…それにお父さんもゆーちゃんもいないし―」
そしてこなたは私の耳元で囁く
「だから―…どんなエロい声を響かせても大丈夫、だよv」

―――ッ!!!
「こなたぁ〜〜!!v」
「はぷっ?!?、ぅ…」
…今の一言で完全に火が付いてしまった
「こなた、ぁ…ハァ、こなたぁ、ハァ、ハァ…」
「うをっ!?」
狭い浴槽の中をギシギシ言わせながら私が上になり、より激しく求める
「こなたぁ…こなたぁっ、こなたぁっっ…」
もうこの火は収まりそうにない
「…っ、くぅ、んんっ」
…ただ浴槽と言う狭い場所と水圧で満足に股間を擦り合わせられない
「っ…くぅ〜…っあ…」
時々ま○こ同士が擦り合わせられる場所を見つけるけど、、快感に浸っているうちにまたずれてしまう
「んんんっっ、くぅ〜…」
しだいに焦ってくる
…焦ってもどうしようもないことなんて分かっているのに
こなたはそこから動かないと分かっているのに、、早く、早くっ、早くこなたとイきたいのにっ!
しだいに私の目には涙が溢れて来ていた
「ひっく…こなたぁ、、ひっく…こなたぁっ〜…動けれないよぉ…擦れないよぉ…」
「―じゃあこうすれば楽に動けるよ」
ガコンっ!…じゃ〜!
という音と共に浴槽の湯が減っていく
「…もう充分温まったしね、抜いても大丈夫でしょ」
こなたは雲の様に透明な―
干したてのタオルの様に柔らかな―
とびきりの安らぐ笑顔を私に向ける
「それにやっぱりかがみんは受けだって分かったし♪」
「〜〜――っ!」
「やっぱりさ、かがみんにはいつも笑顔でいてもらいたいモノなのだよ」
「こなた……」
…こなたの笑顔とキスは卑怯だ
彼女はそれをするだけでどんな時でも私はとろとろにとけて安らいでいく
「よっ…と」
その声と共に私が右に、こなたが左に移動する
「やっぱりこっちの方がヤりやすいと思ってね」
今の私達の態勢は腰をひねり、ふとももとふとももを交差し割り込ませ股間を擦り合わせるようにしている
「さっきは…ごめん、ちょっとどうかしてた…」
「んにゃんにゃ、自分を抑えられなくなる事なんてよくあるじゃん?…そういうかがみんも新鮮で私は好きだな」
……もう少し自分を抑えるすべを身に付けないといけないな、、私
「ほんじゃ…」
私達は同時に腰を動かし始めた
「ん、は…っぁ…んんっ…」
私、いつもより感じてる…さっきの事のせいなのかな…
「ひゃ…ん、ふ、ぅ…んっ…」
それはこなたも同じみたい
ぎし…ぎし…きゅ…くちゅ…
浴室に私達のオトが反響する、たまに態勢を整える時に浴槽と体が擦れる音も堪らない…
「こなた、ぁっ…んんっ、は、ふ、ひゃ…っ」

「かがみ…ぃ、んっ…ひゃ、ぅ…キス、しよっ、ね?」
「キス、キ…ス…っ!、こな、、たと、キスぅっ!v」
腰を動かしながらも徐々に徐々に相手に近付く私達
「「は、ふっ、ふぅ…う、ぅん…」」
そしてようやくキスが出来る距離まで態勢を整え、私達は遠距離の恋人に久し振りに会うかの様に見つめ合う
―そして求め続けていた玩具にようやく出会えたかの如く
―喉がカラっカラに渇いている時に水分を取るかの如くこなたの唇にむしゃぶりついた
「「ふ…ふぁっ…む、ふっ…」」
一心不乱に必死に唇を、体温を、彼女を求めあいながらも腰を上下に動かし続ける
「「ちゅっ…ずずず、ずっ…んひぁ…ふ、れろぉ…」」
キスをする、啄むように・舌を吸い込んだり・舌を交互に出し入れたり…色々と
まだ…まだ終わらないで…っ
―まだ終わられたくない、もっとこなたともっとかがみと抱き合いたい・触れ合いたいそれだけを思いながら…しかし
「くっ…ぅぅん」
絶頂の時は近付いていた―
「こにゃ…た、ぁ」
「な、に、、んっ…かが、みん」
「そろそ…イきそっ…」
「じゃ…ぁ、2人で、ぇ…っ!」
我慢しなくちゃ、っ…2人で一緒の扉を開ける為に…同じ世界をみる為に…っ
限界まで、限界まで…っ、限…かいま…っ
「こにゃ、も、やばっ…」
「わら…ひ、もっ…」
身体は汗まみれ
同調する呼吸と心音
そして全身に込み上がってくる熱い何か
「は、ぅ…っ」
―キた
「「は、ひ…ひゃぁあぁあぁあ!!!」」
びくんっびくんっ
痙攣する身体、私は思わず反り返った
……あ、白いや、天井

そしてそのまま後ろに倒れた
「…ハァ…ハァ………」
終わった後のこの独特の爽快感が心地いい
ふと汗まみれの自分の肌に触れてみる
―熱い
「はぁ…はぁ…ぁ…ふふ♪」
そうしている内に自然と満足感が込み上がってきた
「……かがみん、お風呂でエッチするのに欠点があったよ……定期的にお湯浴びないと肌が渇いて寒い」
「…同感だわ」

ごーん…
数分後、まだ私とこなたは浴槽の中に寝そべっていた、寒いけど裸のこなたにくっついていたかったから、だ
ごーん、ごーん…
「こーいう場所でするってのもいいもんだねぇ…」
「そうね……ごーん?…」
「今度は外でヤってみよっか?…なんーて…」
「ねぇ……今何時、、かな?…何か鐘の音が聞こえるんだけど…」
…ごーん…ごーん…ごーん…
「…あ、ホントだ、隣りの家の人が窓開けてTV見てるのかな…?」
「「…………」」
浴室は一時沈黙した、聞こえるのは蛇口からのぽちゃんぽちゃんという水滴音だけだ
「あ…明けましておめでとう、かがみん!、今年もよろしくね♪」
「こちらこそ…よろしくね、こなた」
「「………」」
そして再びの沈黙
「とりあえず―…風呂に入り直さない?」
「賛成…」
その後私達はお湯を溜めなおし、温まってお風呂から上がった
でも予想外に動いたので入る前より疲れていて―…布団を敷いて裸のまま倒れ込み寝てしまう私達だった

「んっ、んんんっ…んぁ〜〜……さむっ!」
翌日、私はあまりの寒さに起きてしまった、寝ぼけていた目もぱっちり開く
「あー…そっか…あのまま寝ちゃったのか…」
布団だけでも被っていることに感謝だわ…でも昨日の自分よ、毛布も欲しかった、、いや…抱き合って肉布団って事なのか?
「んん、んにゃぁ〜…」
「やっぱり…可愛いな……」
とこなたの寝顔を観て改めて思う
どくんっ、どくんっ…
ごくりっ…と唾を飲む私、心臓も朝から元気だ
―そうだ、いつもおはようのキスしてくれてたっけ…
「起きてない、、わよね?」
こなたの目の前で手を振ったりしてみる、けど反応はない
しかし、、どういうポジションでしたらいいんだ?
「う〜ん…」
悩みながらも横目でこなたを見る
…そろそろ起き出しそうだ

「そっ〜と…」
ゆっくりと横からこなたの顔に近付いていく
ぎぃ〜〜…
丁度こなたの息がまじかに感じられるほど近づいたその時、部屋のドアが開いた
「おはよう、お姉ちゃー……」
「「あ」」
…ゆたかちゃんだった
「お、おはよう…」
「…朝からお楽しみのところごめんなさい…それじゃ…」
とゆたかちゃんは不気味なほどの明るい笑顔で去ろうとする
「ちょ、まっ…誤解よ!」
「え、どこがですか?」
相変わらず笑顔のゆたかちゃんだ
「はぅ…それは…」
確かに部屋に2人、1枚の布団で、裸でいる―…誤解も何もないな…
「ん、ふぁあぁあ〜…おふぁよ〜かがみん……ゆーちゃん」
「おはよう、お姉ちゃん」
…なんだろう、このピリピリした空気
「これ?、いや〜昨日かがみんとお風呂でちちくり会ってたらそのまま新年迎えちゃってね、
ま、その名残だよ〜、、ゆーちゃんはどうしてたの?、つかさと出かけるとか言ってたケド」
「え、いや…その……普通、だよ」
「…ふぅん」
「き、今日も用事があるから遅くなるねっ…お父さんによろしくね!」
「はいよ〜」
そうしてゆたかちゃんは慌ただしく出ていった
「…ねぇゆたかちゃん、何か持ってなかった?、あとリュックも背負ってたし」
「そりゃあ〜人に言えない事の1つや2つぐらいあるでしょ」
「そんなものかな…」
「とりあえず…寒いから毛布戻ってこ〜い」
「私は毛布係か!」

――
「…おまたせしましたっ、つかさ先輩っ」
「ううん、私も今来たところだよぉ〜…そんなに急いで来なくてもよかったのにー」
「早く…先輩に会いたかったんです」
そう言って満面の笑みを見せる私
「笑顔ぎこちないねぇ…まだ昨日のが残ってるの?」
笑顔で質問するつかさ先輩
「え、あ、はい…」
…この人に隠し事は出来ないなぁ
「ちゃんと持って来た?、バイブ」
「先輩こそどうなんですか?」
「忘れる訳ないじゃない…ここ最近の楽しみっていったらこれくらいだもん」
こつ…こつ…
私達はしばらく無言で歩く
「こなちゃん達どうしてた?」
「いつも通りですよ、、変わらなさ過ぎて逆に吃驚しました」
と言って私は苦笑する
「ゆきちゃんは…確かみなみちゃんと実験だったかな、、胸を大きくするっていう…」
「……」
「そっちに行きたかった?、でもあの2人の邪魔にな―」
「ち、違いますっ!そんなのじゃ…」

「―確か昨日もゆたかちゃんの負けだったねぇ」
また唐突に話題を変えるなぁ、、この人は…
まぁ、この人に惹かれた理由の1つではあるけど……
「…今日こそ負けませんよ」
「じゃあ、あの信号が青になって人がこっちに歩いて来たら始めよっか」
どくんっ、どくんっ…
鼓動が激しくなってくる
ぺろっ…
私は唇を舌で舐める
これからする行為に興奮しているのだ
今日こそ…認めないと…
そんな事を考えている内に金の短髪と黒の長髪の2人組の女の人が横を通り過ぎる

「さ、ゲームを始めよっかぁ♪」
眩しいくらいの笑顔をみせ、先輩はそう言った
476kt:2009/01/20(火) 13:48:06 ID:sSJsZ8Cs
ありがとうございました
新年最初の投下が暗い展開になるコワセ★4でいいのか?
…という疑問を抱え出来たのがこれですw、これまた突発t)
やっぱ王道カップリングっていいですね

今年は投下&下書きペースを早くしていきたいです
後はエロゲをしたり小説を読んで表現や空白の取り方を勉強していきたいです、うん

コワセ★もあるのでこのシリーズの次回投下は未定ですが…
カップリングはつかさ×ゆたか、ゆたか×つかさです
477名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 17:25:46 ID:E9JZrY36
おい。
>ここ、鷲宮神社で年越し―
違うだろ。かがみの家は「鷹宮神社」だろ。
478kt:2009/01/20(火) 19:36:21 ID:sSJsZ8Cs
ぐわあああああああ?!...orz
やってしまいました…もっとちゃんと確認すればよかったです…
やっぱり下調べと本書き後の調べをしなきゃですね、お恥ずかしい…


…いのりさんの名前間違えてなくてよかった
479戸別響:2009/01/21(水) 12:21:54 ID:ZuK49hr9
こんにちは、戸別です。
シリーズの続きが完成したので、投下したいと思います。
スケッチスケッチ!  6筆目 ほのぼのステーション
・T&Y 前半Y視点 後半T視点
・非エロ
・7レス使用
3分後くらいから投下を始めます。では、どうぞ。




「……きれいだねー……」
「……そうですねー……」
とても静かな駅前。目の前には綺麗に染まった山肌と、その麓まで広がる田んぼだけ。
……でも、いいなぁ、こんなのどかな所も……
先輩と二人、ベンチで並んで座りながら、私はふと、そんなことを考えていました。


スケッチスケッチ!  6筆目 ほのぼのステーション


こんにちは、小早川ゆたかです。私は今日、穏やかなこの日に、山奥の村までスケッチ大会を
しにやってきました。……お姉ちゃんがなかなか起きてくれなくて、少し遅刻しちゃいました
けど……
それでお姉ちゃんが提案したくじ引きで、私は駅前で、つかさ先輩とスケッチをすることに
なりました。
お姉ちゃんがスタートの合図をした直後に、日下部先輩が駆け出したときはびっくりしました。
田村さん、大丈夫かな……
その後は、日下部先輩が駆け出した道を歩いていくお姉ちゃんと峰岸先輩のペア、高良先輩と
パティちゃんのペア、駅から左の方に向かうみなみちゃんとかがみ先輩のペアを見送って、
今はつかさ先輩とベンチに座って、のんびりと山の景色を満喫している所です。

「……天気もいいし、絶好のスケッチ日和だよねー……」
「……そうですねー……」
さっきから私とつかさ先輩は、こんな間延びしたお話しかしていません。それでもやはり、
つかさ先輩と一緒だとそんな話しかしなくても、とてもいい心地がします。

「…………」
「…………」
間延びした声もない、ただ沈黙が続くときもあります。でもつかさ先輩とだと、まったく
気まずくはありません。逆に気持ちがほわほわして、落ち着くというか……本当に、気持ちが
いいんです。

「――――ホー――」

その沈黙を破って、遠くの山から、声が聞こえてきました。
「……あ、鳥の声だー……」
つかさ先輩にも聞こえたみたいで、間延びした声でその声の正体を言いました。
「……ホントですね。どんな鳥が鳴いているのでしょうか……」
「……ホー、って聞こえたから、ふくろうさんじゃないかなー」
「こんなお昼からですか!?」
ふくろうさんって、夜行性じゃなかったっけ? と思いながら、つかさ先輩の答えに目をぱちくり
していると、


キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン


「「……あれ?」」
突然学校のチャイムが聞こえてきました。ふと横を見てみると、つかさ先輩は不思議そうに
首を傾げ、腕時計の針を確認していました。
「あ、ゆたかちゃん。もう12時になったみたいだよ」
「えっ、そうなんですか?」
つかさ先輩の言葉に、私は慌てて自分の腕時計に視線を移しました。
「……ホントだ。全然気づかなかった……」
「うん。ボーっとしてる間に、時間が過ぎちゃってたみたいだね」
「……そうみたいですね」
つかさ先輩が述べた理由に、私は賛成するしかなかった。
だって、本当に気持ちがよかったんだもん、つかさ先輩の隣にいることが。それはもう、時が
経つのを忘れちゃうくらいに……

「……ということは、今からスケッチ大会開始、って事だよね」
「そうですね……つかさ先輩、これからどうしますか?」
「えっ? ど、どうって……」
私の質問に、つかさ先輩は困った様に口を濁しました。
「えっとね……まずはお昼にしようか」
「あ……そ、そうですね」
そういえば、少しお腹が空いたかも。それに一度スケッチを始めたら、一気に書き終えちゃった
方がいいかもしれない。
そう思って、私はつかさ先輩の提案に賛成し、少し早いけど、お昼ご飯を食べる事にしました。

「……わぁ……つかさ先輩のお弁当、とても美味しそう……」
持ってきた手提げ鞄からお弁当――コンビニ弁当だけど――を取り出した私は、同じく
鞄の中から取り出したつかさ先輩のお弁当を見て、思わず感動してしまいました。
「そ、そうかな……」
私に褒められたつかさ先輩は、恥ずかしそうに頬を赤く染めています。
「はい。つかさ先輩って、お料理が上手なんですね」
お姉ちゃんも上手だけど、つかさ先輩の方がとても美味しそうに見える、そんな気がした。

「う、うん……」
ところが、つかさ先輩は顔を真っ赤にして、俯いて黙ってしまいました。
「あっ、ご、ごめんなさい! 迷惑、でしたか?」
「う、ううん!そうじゃないの。ただ……」
私が慌てて謝ると、つかさ先輩も慌てた様に、まだ赤い顔の前で両手をブンブンと振った。
そして今度は照れ笑いを浮かべて、
「……ただ、そんな風に褒められるの、慣れてなくて……」
えへへ、と、頬を人差し指で掻きながら、少し恥ずかしそうに笑うつかさ先輩。その姿に、私は
失礼とは思いながら、かわいい、と思ってしまいました。私よりも年上なのに、私よりも背が
高いのに、私はつかさ先輩の事を、まるで妹ができた様に感じてしまいました。

「そ、それじゃあ気を取り直して、お昼にしようか」
「あ、そ、そうですね」
と、ここでつかさ先輩が思い出した様にそう言って、私達は改めて、お昼ご飯を食べる事に
しました。



「……うーん、何にしようかなー?」
私は小さな駅舎の中で、そう独りごちました。
お昼ご飯を、ゆたかちゃんと一緒にお喋りをしながら楽しく食べた後、私達は一緒にスケッチの
モチーフを探していた。しばらくは二人で探してたんだけど、途中でゆたかちゃんが疲れちゃった
みたいで、辛そうにしてたから、駅舎の前のベンチで休ませてあげたの。だから今は、私は
独りでモチーフを探している所。
初めは駅舎を描こうかな、と思ったんだけど、それはやめておいた。その小さな駅舎は、外観は
出入り口の上の白い壁に、木で作られた駅名の看板と、学校でよく見るアナログ式の時計、
そして私たちが座っていたベンチしかなくって、簡単すぎるかなって思って。
それで駅舎の中を探してるんだけど……
「うーん……」
駅舎の中にもあまりめぼしい物がなくって、どうしよう、って困ってるの。

「……もう一度、外に出てみよう」
そう呟いて、私はまた駅舎の外へ出て行きました。
すると、
「……あれ、ゆたかちゃん?」
出てすぐの右側、長くて青いベンチで休憩していたゆたかちゃんが、俯いた姿勢で座っていた。

「……ゆたかちゃーん?」
近づいて呼びかけてみるけど、ゆたかちゃんは動かない。すると、
「……すぅ……すぅ……」
私の耳に、静かで可愛らしい息づかいが聞こえてきた。

「……なんだ、寝ちゃったんだ……」
ホッとしたというか、何と言うか……とりあえず、気分が悪くて俯いてるわけじゃないみたい。
すやすやと眠っているゆたかちゃんの顔は、穏やかで、気持ち良さそうだった。
起こすのも悪いかな? と思ってその場から少し離れながら、ふと、後ろを振り返ってみる。

「……あっ……」
その時、あるアイディアが私の頭の中に浮かんだ。
……うん、これはいいかも。あ、でも、勝手に描いて許してくれるかな……たぶん、大丈夫
だよね……
そんな事を思いながら、私はその場に座って手に持ったスケッチブックを開き、鉛筆を片手に、
一枚の絵を描き始めました。


「……よし、できた!」
最後の一筆を書き終え、私は持っていた鉛筆を地面の上に置いた。30分も掛かっちゃった
けど、納得する絵が描けてよかったー。
「……でも、全然起きないなー、ゆたかちゃん……」
私はまだ寝息を立てて眠っているゆたかちゃんを見て少し心配になった。
まだゆたかちゃんは絵を描き始めてないし、それに……

「……可哀想だけど……」
私はその場から立って、ゆたかちゃんの方に近づいていきました。そしてベンチの上の
ゆたかちゃんの隣に座って、
「……ゆたかちゃーん、起きてー」
私はあまりびっくりさせない様にゆたかちゃんの耳元で呼びかけて、俯いている顔を覗いてみた。
すると、ゆたかちゃんはゆっくりと目を開けて、俯いていた頭をまたゆっくりと持ち上げた。

「……うーん……あれ、つかさ先輩?」
初めは眠たそうに目をトロンとしていたゆたかちゃんだけど、しばらくすると意識がはっきり
してきたみたいで、
「……あ、そうか!」
と、とても慌てた様子になって、
「ご、ごめんなさい! 私、すっかり寝ちゃってたみたいで……!」
あたふたしながら、私に向かって申し訳なさそうに頭を下げた。

「わぁ、そ、そんな風に謝らなくてもいいよ! ……そ、それに、私もゆたかちゃんに謝らなきゃ
いけない事があるし……」
「えっ、どうしてですか?」
私の言葉に、不思議そうに首を傾げるゆたかちゃん。
「……え、えっとね? 寝ているのに気づいてたのに、すぐに起こさなくてごめんね?」
「別にいいですよ。寝ていた私が悪いんですから」
「それとね? ……えっとね……」
「どうしたんですか? つかさ先輩」
一つ謝った後、口ごもってしまった私に、ゆたかちゃんが不審そうに質問した。うぅ、いざ、
となると、やっぱり言い出せないよぅ。

私が何も言えないでいると、
「……そういえば、つかさ先輩は、絵は描き終わったんですか?」
「えっ? あ、うん、そうだけど……」
「本当ですか? じゃあ、見せてもらってもいいですか?」
「え、えぇー!」
ゆたかちゃんは私の膝の上にあるスケッチブックを見て、そう尋ねた。私はいきなり迷っている
事について聞かれて、思わずびっくりしちゃった。
「あ、ご、ごめんなさい。差し出がましかったですか?」
「ううん! そ、そういう訳じゃないんだけど……」
また申し訳なさそうに俯くゆたかちゃんに、私は思わずこう言ってしまった。

「えっ? じゃあ、どういう事ですか?」
「え、えーっと……」
首を傾げて不思議そうな顔をしているゆたかちゃん。
……やっぱり、言わなきゃ……

「…………」
「……つかさ先輩?」
「……ごめんね! ゆたかちゃん」
「ひゃう!?」
私は大きな声で謝って、それに驚いているゆたかちゃんに開いたスケッチブックを見せた。
そこには、駅名と時計しかない小さな駅舎と、駅舎の側にあるベンチ、そして、

そのベンチに座りながら眠っている、一人の少女が描かれていた。

「……これって、私?」
「う、うん……ゆたかちゃんが眠ってる間に、私が勝手に描いちゃったの……」
その絵を見て、ゆたかちゃんは驚いた様な顔をしていた。そうだよね、知らない内に自分の
絵が描かれてたら、誰でも驚いちゃうよね……

「…………」
……沈黙が痛い……もしかして、怒ってるのかな?
そう心配した時、ゆたかちゃんが絵を見ながら呟いた言葉は、
「……可愛らしい、ですね」
「……えっ?」
私が想像していたものとは、全然違っていた。

「……ゆたかちゃん、怒ってないの?」
「えっ、どういう事ですか?」
「だ、だって……」
私がゆたかちゃんに何も言わないで勝手に描いちゃったのに……
そう思いながら言い渋っていると、ゆたかちゃんが、
「……確かに、描く時には言ってほしかったですけど……」
と少し不満そうに言って、でもすぐに嬉しそうな表情をして、

「……でも、こんなに可愛らしい絵を見たら、どうでもよくなっちゃった。つかさ先輩って、
料理だけじゃなくて、絵も上手なんですね!」
「えっ……あぅ……」
本当に、本当に嬉しそうな笑顔で話すゆたかちゃん。私は素直な感想を言われた恥ずかしさと、
その屈託のない笑顔によって、顔がどんどん熱くなっていくのを感じていた。

「あれ、つかさ先輩。顔、真っ赤ですけど……大丈夫ですか?」
「え、あ、う、ううん! だ、大丈夫だよ!」
ゆたかちゃんにその事を指摘されて、私は慌てて首をぶんぶんと横に振った。


またさらに40分後、私は駅舎の前のベンチに、さっきとはゆたかちゃんと場所を入れ替えた
所で座っていた。

あの後、ゆたかちゃんに、
「つかさ先輩が私の事を描いたんですから、私もつかさ先輩を描かせてください」
と言われて、今度は私がベンチに座って、それをゆたかちゃんが描く、という事になったの。
そしてゆたかちゃんが書き終わった後、今度は二人、並んで座って色塗りをしたんだ。
その時ゆたかちゃんの絵を見てみたけど、その絵はこなちゃんが言ってた、絵本の挿絵の様に
可愛らしく描かれていたなぁ。
「ゆたかちゃんの方が、絵を描くの、上手だね」
私がそう言うと、ゆたかちゃんはさっきの私の様に顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに微笑んで
いた。

色塗りが終わった後、私とゆたかちゃんはしばらくお喋りをしていたんだけど、その会話が
終わった後、しばらく無言でいたら、私の肩に何かが乗っかってきた。なんだろうと思って
顔を横に向けてみると、ゆたかちゃんが、さっきの様に寝息を立てながら私の方に寄りかかっているのが
見えたの。

「……また、寝ちゃったみたいだねー」
そう、私は呟いてみる。やっぱり、疲れが溜まってたのかな。
ゆたかちゃんはその声にも全く反応しないで、すやすやと、気持ちよさそうに眠っている。


「……まるで、妹ができたみたい……」

その可愛らしい様子と、寄りかかってくれている事に、私はふと、こんな事を考えてしまった。


――ガタンゴトン ガタン、ゴトン  ガタン  ゴトン    プシュー――


駅に電車が滑り込む音が聞こえる。それ以外は、隣にいる“妹”の息遣い以外、何も聞こえてこない。

「……気持ち、いいなー……」
私は静かに目を閉じてみた。
ぽかぽかの小春日和、少し冷たいけど、心地よく吹き抜ける風。そして、私の耳元で聞こえる
小さな寝息。
これらに誘われて、私の意識は、深く深く、夢の世界へと向かっていった。




487戸別響:2009/01/21(水) 12:44:51 ID:ZuK49hr9
以上です。
今回は私の好きキャラ2トップ、つかさとゆーちゃんのコンビです。
前半と後半の視点を変えたりやたら長かったりしてますが、決して贔屓している訳じゃあ……
ないですよ?
題名どおり、ほのぼのしていただけたでしょうか? もしそうなら、喜ばしい限りです。
次回、最終筆です。がんばります
感想、批評、ありがとうございます。また今作でも、よろしくお願いします。
488名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 16:35:12 ID:Hy+fy3Ij
480KBなので次スレ立てチャレンジしてきます
489名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 16:36:09 ID:Hy+fy3Ij
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ56
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1232523333/
490名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:39:29 ID:x6f9Bh2I
>>476
ちょw風呂の中で何時間ヤッてんだw
さらにつかさ達もwそういうことはせめて正月3が日以外にしときなさいw
まったくもってけしからんので、次にかがみとこなたが野外でヤるという時には
ちょっと立ち会ってk(ry

>>487
なんという和み……!
つかさとゆたかの組み合わせは他の話の印象がどうしても強くなりがちだが、
やっぱりほのぼのはいいもんですね

>>489
新スレ乙
491名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 04:30:53 ID:VRHX80UW
>>487
おっきい妹ですかw
普段は妹の二人。
一度はお姉さんになって見たかったのかもしれませんね。

二人してちょこんとベンチに座って、お互い寄り添うようにお昼寝してるだけで絵になってしまう。
そんな素敵な絵を描かせてくれてGJですわ〜。

やっぱり、ほのぼの、ゆるーりまたーりはらきすたの基本ですかねぇ。

492まだry:2009/01/22(木) 11:51:48 ID:8XVUwNQU
お久しぶりです。
埋めネタ代わりに
続 ここにある彼方の続編でも。
5レス使います。
493続 ここにある彼方 その後:2009/01/22(木) 11:52:37 ID:8XVUwNQU
「……ふあぁ〜〜」
ぱちりと目が覚める。
「うーーーん、あれからどのくらい時間が経ったのかしら」
ささっと左右を見る。
「いきなりお家の中に出現ってとこかしら……
そしてここは…居間のようね…ほとんど前と変わってないみたいね。
…さてと、だれか居ないか移動しますか」

いつもの用に、ふわっと漂って移動しようとしたが、どうも勝手がちがう。
上空へ動けないようだ。
「あれれれれ?」
それどころか、前後に体を動かすことが出来ない。
辺りを見回す……後ろに振り返れない!!
見れる範囲で見回すと、自分の周りが何か額縁のような物で囲まれているよう。
そして、なにやら透明なもので押さえられてて出れないようなこの感じ。
そして、正面にテレビ、目の前に椅子とテーブル。
視点は居間のタンスか棚の上のような感じ。

どうも、写真立ての中の写真にいる模様……
「どうしましょ…………」
そんな時、そうじろうがノートパソコン片手に居間へとやってきた。
「あっ!!そう君!!そう君!!」
写真立てのなかの写真で手をブンブンと振りアピールするも目の前をスルーされる。
それもそうだ。
そもそも目に入っていない。
入る訳がない。
どこかの平面ガエル状態で居るなんて思いもよらないだろう。
そのまま目の前に陣取り、パソコンに向かって仕事をしだす。
「あーーーん……困ったわ…声も届いてないようだし……
なんとか、ここから抜け出せないかしら?」

「えいっ!!えいっ!!えいっ!!!!」
写真立てのなかで暴れ回ってみる。
その甲斐あってか、カタタッカタタッと微妙に写真立てが動きはじめた。
…静かな深夜の居間ならば聞こえていたであろうが、今は昼間。
しかも、そうじろうはTVを付けて、ノートパソコンを開いている状態である。
その程度のささいな音では気がつかれもしなかった。
「一応は動かせるのね。なら、頑張って動き続けるしかないわね」
一生懸命動き回るその様はまるで踊っているかのようなのだが、肝心のそうじろうは気づいていない。
カタタッカタタッカタタッ
だいぶ大きく動くようになった矢先、
パタン!!
倒れてしまった。
「はうっ!!しまった!!これじゃダメじゃない!!」
真っ暗闇になってしまい、一人きゃーきゃー言い出す。
だがしかし、パタリと倒れたことでさすがのそうじろうも気がつく。
494続 ここにある彼方 その後:2009/01/22(木) 11:53:01 ID:8XVUwNQU
「おや?なんだ?小さな地震でもあったか?集中してると気がつかないからいかんな」
などと言いつつ、写真立てを立て直す。
と、写真立ての中のかなたがウゴウゴ動いてるのを目撃してしまった。
「…………おぉ〜〜!?ヤバいなぁ〜……
かなたはこの前帰ったハズだしなぁ……やっぱ寝ないとまずいよな…」
目をごしごしと擦り再び写真と向き合う。
笑顔でブンブンと手を振るかなたがそこにいた。
「!!……ちょっっっっ!!!かなた!!!おまえ、そこにいるのか?」
コクコクと頷くかなた。
「ぬぁーーーーにぃーーーーーだって、おまえ……この前帰ったんじゃないのか?」
その言葉に、困ったような笑みをうかべる。
「あぁ〜〜なんだ、その、この前と同じで理由なんか知るかよってところか。
ははは……ま、そんなことはどうでもいいか。
ちょっとまってろ、いま、写真立てから写真外すからさ」
裏の止め具を外し、写真を取り出してテーブルの上に置く。
さて、どうしたものかな?と思った時に写真からもわわ〜と白煙が上がり
半透明なかなたがテーブルの上に出現した。
「そう君…ただいま……かな?」
そのまま、ふわふわとテーブルの上を漂ったままとりあえず帰宅?の挨拶をする。
「………あ、あああ…おかえり…か?」
「…そう君……ちゃんと見えてるの?聞こえてるの?」
今までは幽霊状態だと誰にも認識されずにいたことを思い出す。
「ああ、ばっちり。ただ、おもいっきり半透明だがな」
「そう………よかった。今までは、こんな状態だと誰も気がついてくれなくてね…」
自分の声が聞こえていることに、そして姿が見えていることに一応の安堵を得る。
「かなた…」
そうじろうがかなたの手を握ろうとスイッと手を伸ばす。
が、スカッとむなしくすり抜けてしまう。
「あははは…ふれるのは無理か……ちぇ…うれしさ半減ってとこか」
いかにも残念無念と言った顔になる。
「……やっぱり幽霊だと物理的な接触は無理なようね…私も残念だわ……はぁ〜あ…」
がっくりと肩を落とす。
「んん〜まぁ〜なんだ、こっちにこいよ」
横の空いている椅子の座面をポンポンと叩き、隣りに座るように促す。
「ふふふ、それでもそばに居れて話が出来るだけでも良しとしないといけませんね」
ニコッと微笑むとふわわ〜と漂いながらそうじろうの隣りへとやってくる。
そのまま、そうじろうの右腕に添うように寄り添い、そうじろうの頭の隣りに自分の頭を並べる。
「特に座る必要もないしね、へへへ」
顔を頬寄せ、そのままノートパソコンのディスプレイに目をやる。
「今はどんなの書いているの?」
書きかけの原稿を目で追っかけ始める。

495続 ここにある彼方 その後:2009/01/22(木) 11:53:23 ID:8XVUwNQU
そうじろうの手が止まる。
「ん?」
と思いそうじろうの方を見れば、耳まで赤くなっているではないか。
「ど、どうしたの?そう君?」
心配気にたずねるが
「あ〜〜いやいや……いくら幽霊とはいえ、かなたの顔がそんな間近にあると……
……その……照れるじゃないか……」
もじもじと恥ずかしげに答える。
「……な、なにを今更……と、と言うか、そんな事言われたら、私もなんか急に……」
かなたも半透明ながらも明らかに赤面していく。
しかし、だからといって二人とも距離を取る訳でもなく至近距離でお互い下を向いている。
「あ、あのさ……」
そうじろうがポツリと切り出す。
「なんていうかさ、確かに、今のかなたは幽霊で実体がないけどさ
なんか、温もりみたいのを感じるというか、気配というか…となりにいるな、
ってことは、やっぱ判るよ。触れらんないんだけど触れてるなーって感じかな?」
「え?本当に?」
「ああ」
「へへ…わたしだけじゃなかったんだ……幽霊状態だから、それでそう君の
なんていうのかしら…なんか、こう…息づかいというか、にじみ出てくる暖かさ
というのかしら…オーラ?見たいのを感じてたんだと思ってたけど………
そう君も感じてたんだ……」
「感じてたってつーのか……姿が目に入ってるってのも大きいのかもしれんがな。
見えてなかったら、気のせいかもな〜で終わってたと思うぞ?」
面を上げて照れ隠しに、にははと笑ってみせる。
「…まぁ〜そんなものかしらね」
つられて、微笑み返す。
そんな、にっこりと微笑んでいる姿を見て
「んん〜〜〜例え幽霊であってもかなたはかなただなぁ〜
やっぱりかわいいなぁ〜もう〜」
指先をひょいっと突き出し、つんっと頬を突く。
もちろん、空を切ってしまうのだが。
「へへへ……そんなに褒めたって何もでないわよ?」
お返しにとばかりに、そうじろうの頬をムニッと指で突っつく。
「あら?」
指先に伝わる、柔らかく暖かい感触。
通り抜けると思っていた指先がそうじろうの頬を軽く押しつける。
「おぉ?なんと!」
そうじろうが感嘆の声をあげる。
次の瞬間、すか〜〜っと、当初の予定通りに指先が空を切ってしまった。
「あれれれ?今のはなんだったのかしら……確かに、さわれたわよね?」
不思議そうな顔で、自分の指先をまじまじと見つめる。
相変わらず透き通っているままだ。
「う〜む、確かに今、さわられた感触があったよ」
お互い、手を伸ばして触ろうとするが、ことごとく空を切ってしまい
先程のように触れるようなことは起きなかった。
「な、謎だな。可能性としてはあるんだなって事ぐらいに思っとけばいいのか」
「ちょっと期待しちゃったんだけどなぁ〜残念ね〜」
「いやいや、いいさ。話が出来るだけで十分だよ」
「へへ、それもそうね。贅沢言っちゃいけないわね」
「さてと、また仕事にもどるかな?」
「へへへ、原稿読むのはほんと久しぶりよね、楽しみだわ〜」
「いやははははは、なんか照れるな……
プロットに肉付けしてる段階だから、まだまだ荒削りな文だけどな」
496続 ここにある彼方 その後:2009/01/22(木) 11:53:51 ID:8XVUwNQU
「そういえば、こなたは?」
「ん?こなたなら柊さん家に遊びに行ってるよ。
そのうちに帰ってくるんじゃないか?」
「そっか…それじゃこなたが帰ってくるまではこうしてますか」
再び、そうじろうの隣りに寄り添う。
「なんかこうしてると……安アパートに住んでた頃みたいで懐かしいな」
「ふふふ…ほんとに。先が見えないから不安だったけど、楽しかったわね」
「……当時は要らん気苦労を掛けてホントすまんかった」
「ふふ、何を今更」
「ははは、それもそうだな」
「でもよかった。そう君が作家として成功して」
「当時、すでに作家として、ある程度の芽が出てたからなんとかここまで来れたようなもんだ。
まぁ〜それもかなたのおかげなんだけどな」
「え?そうなの?」
「ああ、もちろんさ。当時はかなたと二人で書いてたようなものさ」
「私は、ただ、読んでみて感想やら引っ掛かる所やおかしな場所の指摘やら
そんなことしかしてなかったと思うんだけど…」
「自分じゃ気がつけない、第三者的な視線で見てもらえるのって大きいからな。
あの時のアドバイスって大きかったんだぜ
おまえが居なくなってからしばらくして、ある程度気持ちに整理がついて
さぁて、お仕事再開って時に思い知らされたものさ。
さてさて、久しぶりに推敲でも頼んじゃおうかな〜……
と、ちょっと待っててくれな。今、書きかけの原稿をプリントしたから取ってくるよ」
「プリント?」
「はははは、今の時代、その場にいなくともプリントアウトできるんだよ。
なかなか便利な時代になったものさ」
そう言うと、椅子から立ち上がり自室へと向かう。
一人きりになって、改めて辺りを見回す。
カレンダーが以前のままなので、ホントに前回の出現から日が経っていないのが判る。
(今日は何日なのかしら……)
確認しようにも、物理的に干渉できない身としてはどうすることもできない。
新聞紙すらめくれないのだから。
(聞いてみるしかないわよね…)
そうこうしていると、そうじろうが原稿を持って戻ってきた。
「束で置いても、原稿めくれないだろうしな…」
床の上に原稿を1枚づつ並べて行く。
「これでよしっと」
「そう言えばそう君、今日って何日?」
「んん?今日か?今日は20日だよ。あれから5日ほど経ってるよ。
やはり、経過時間は判らないのか?」
「うん、そうね…私的には、昨日の今日って感覚だから」
「そっか…あ、そうそう、ゆーちゃんが今日あたりにゆきんとこから戻ってくる
みたいなことを言ってたな。多分、ゆいちゃんとセットで来るとは思うけどな」
「ゆーちゃん……ゆいちゃんの妹よねぇ…
ゆいちゃん達、わたしに遭ったらびっくりしないかしら……」
「あははは……そら〜〜まぁ〜〜……驚くだろうなぁ〜
この前のこともひっくるめて何も教えてないしな〜
ま、なるようにしかならんだろ、大丈夫さ」
「…確かに、なるようにしかならないとは思うけど……
まぁ……いまさら気にしてもしょうがないのかしらね…」
「そうそう、細かい事は気にしなくていいと思うぜ…っと、とりあえずこいつらを頼んだぜ。
んで、そこに並んでる原稿の続きがまだここにあるから、読み終えたら教えてくれな。
また、並べなおすからさ」
497続 ここにある彼方 その後:2009/01/22(木) 11:54:15 ID:8XVUwNQU
途中、なんどか原稿を並べ直してもらい全てを読み終える。
「……ふぅ…どうも疲れるというか……ちょっと、休憩するわね」
そういうと、写真の方にふわふわ移動して行き、吸い込まれるように写真に消えて行く。
「おおおお!?」
そうじろうが写真を覗き込むと、そこには手を振るかなたがいた。
「どうも、幽霊状態で外にいると疲れるみたいね。ここにいる方が楽みたい」
「ふーーむ…かなた、ちょっと出てきてもらえるか?試してみたいことがあるんだ」
「?えぇ…じゃぁ…えいっと」
再び、もわわ〜んと登場する。
「何をするの?」
「いやぁ〜、この写真にラミネート加工をしてみようと思ってな。
写真むき出しのままだと、すぐにダメになっちゃいそうだしな」
かなたが見守る中、ラミネーターを取り出し写真をラミネートをする。
「おし、終了っと、ちょっと、この状態で入れるか試してみてくれ」
ガラスと違いすいーっと出入りができる。
「お!!行けそうだな」
なんどか出入りした後に、写真の中へと落ち着く。
「うん、問題ないみたい。会話もこの状態で出来るしね」
パウチの余ってる部分に穴をあけ、ひもを通してそのまま首からぶら下げる。
「これで、中に入ってる状態でも一緒に移動できるってもんよ、へへ」
「なんか、この状態だと、ど根性ガエルのひろしとピョン吉みたいね、ふふふ」
「あははは、まさしくそんな感じだな」
そのまま居間に戻り、
「で、原稿なんだけど、どうだった?」
「う〜んそうね……………」
まるで20年近く前に時間が戻ったかのように、再び執筆作業に戻る二人。
「なんだか、昔に戻ったみたいでなつかしいな」
そうじろうがポツリとこぼす。
「ほんとにね♪」
写真の中のかなたがクスリと笑う。
(このまま、ここに居れたらいいな……)
叶うかどうか判ったものではないが、
想いは叶うというジンクスを信じて強く願う。
(神様、お願い!!)
498まだry:2009/01/22(木) 11:55:40 ID:8XVUwNQU
以上です。
続きます。
499名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 13:18:29 ID:c8Xmd6X3
よし、ちょっと神と戦ってくる!
500名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 13:29:44 ID:Ipit72Hi
続きに期待しつつGJ!
501名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 15:46:28 ID:8zaOI2Bc
>>499
援護する!
502名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 16:36:28 ID:ua6brlIj
チェーンソーおいてくぜ
503名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 21:29:06 ID:+AQN5H5G
じゃ、じゃあわたしも……
ね、ねんがんの アイスソードを てにいれたぞ!

……で合ってる?こなちゃん
504名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:09:14 ID:C1ugA9gg
>>499
有りっ丈の兵器持って援護、神を屈服させようw

>>498
いや、寧ろ神は貴方か??ならば早く続きをwGJ!
505名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:29:49 ID:okSzYh7B
「それでは高良家秘蔵のパンジャンドラムで援護しましょう。」

「みゆき、そんなもの何処で手に入れたのよ。」
506名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:15:14 ID:sjCU3X40
>>503
・たのむ、それをゆずってくれ!
・そう、かんけいないね
・ころしてでも うばいとる

さあどどれを選ぶべきか・・・・・(=ω=.)
507名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 12:13:50 ID:aDNpKtSx
つ カクバクダン

ゆっくりでも良いんでまた長期物にしてくだちぃ
>>498
508名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 19:30:30 ID:4jci4/9+
ネタ的におっさんが多いなw
509名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 00:00:34 ID:XucIQjte
「お姉ちゃん、ねんがんのアイスソード……」

「そう、関係ないわね」

「じゃあこのポッキーは?」

「たのむ!ゆずってくれ!」

「こなちゃんのパンツ……」

「ころ☆うば」

「な、なにをする!冗談ですごめんなさいパンツなんて持ってないです」

「かがみにケンカをうるとは‥‥どこまでもたのしい いもうとだ!」

「えーっ!私どっちにしても死んじゃうのっ?!」

「待ってかがみ!私のパンツで良ければいくらでもあげるから落ち着いてっ!」

かがみはゆりゆりになった!
510名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 00:39:33 ID:SZ5kIlUZ
みさお「ふふ〜ん♪」
あやの「みさちゃん、どうしたの?」
みさお「おっけーポッキー♪」
あやの「……涅槃で待ってるわ…」


かがみ「すまないが私にもわかるように説明してくれ。」
511名無しさん@ピンキー:2009/01/24(土) 00:43:39 ID:4Cv5XPsw
かがみポッキーに反応しすぎw
512名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:17:29 ID:Veb62IOM
>「待ってかがみ!私のパンツで良ければいくらでもあげるから落ち着いてっ!」
では折角なので俺ももらっt―――

……むっ!?、な、なんだこの気配はッ
!! な、なにをするきさm
513名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 01:48:49 ID:2FD/R2X1
あと3KB……
なにか埋めなきゃ……
ネタネタ……

ダメだ、埋めネタが浮かばないっす。
このままじゃ落ちるっす。
514名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 03:50:43 ID:lz49Ky/8
「……おいおい、そりゃダメだろ」
「あ、部長。私なにか悪いことやらかしましたっスか?」
「この時期に『このままじゃ落ちる』とか『センター自己採点惨敗』とか『1点足りずに足切り』とか『滑り止めにも受からない』とか『行ける大学なくて浪人する』とかは禁句だよ」
「はう、私そこまで言ってないっス」
「そうだっけ? まあ細かい事は気にするな。とにかくそういう言葉はタブーだ」
「あ、でも『今ここで私が滑ったから本番であなたは大丈夫』なんて励まし方もあるらしいっスよ」
「へぇー。それって励ましになってるのか?」
「さぁ……? 要は気の持ちようってことじゃ?」
「そんなもんか?」
「そんなもんっス」

「そういえば、この時期になると合格祈願グッズが格段に増えますね」
「『受カール』とか『キット勝ット』とか」
「あれご利益あるんスか?」
「たぶん、こちらに来る『ご利益』よりも企業に渡る『利益』の方が多いんじゃないか?」
「そうっスね……」

「……あ! お菓子で思い出したんスけど、受カールの食べすぎで体重が増えたってネタはどうスか?」
「それ、身近にネタ元になった人がいるだろ」
「やっぱりバレました?」
「実際に体重増えた人が多すぎてあるあるネタとして使うにはもう無理だな」
「ダメっスか……」
「縁起の良いものの前に体に良いものを食べないとな」

「お菓子じゃ腹の足しになっても気休めにはならないよなぁ」
「もっとこう、本当にご利益のありそうなグッズっスか……」
「太宰府天満宮のお札とかお守りとか定番のものか」
「あ! そうだ菅原道真!」
「ん、どうした?」
「菅原道真には飛梅伝説というものがあるんです」
「太宰府まで一晩で飛んでいったというあの梅のことか?」
「そうっス! 飛梅……とびうめ……うめ……埋め! 少々強引っスがこれで埋めコネタが一つ出来上がりました!」
「いきなりひらめいたと思ったらそんなことだったのか……しょーもなー」
「その上、このコネタにはオチというものがないっス! 落ちないまま終わるので縁起もいいっス」
「これ読んだせいで脱力して受験まで脱力しなけりゃいいんだけどな」
515名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 08:50:29 ID:qHF4+dZc
「なになに?埋めなきゃいけないけど、ネタをやっても落としちゃいけない?って、何よこの無茶振り……」

「何事も経験だよかがみん、経験と言えばねぇ?」

「またあんたはすぐそういう方向に……」

「ここはエロパロスレだよっ!ささ、かがみも私とひと冬の経験しちゃおっか!」

「ちょっ、勝手に脱がすなっ!しかもそれを言うならひと夏のだって!」

「脱がされながらもツッコミは忘れないかがみん萌えー」

「ちょっと、どこ触っ……あ、あん……い、いい加減にしないとっ怒るわよっ!」

「そんな怒る事ないじゃん、かがみは私とするの嫌かな?」

「な……そんな事言ってないでしょっ!もう……するなら埋めの小ネタじゃなくてちゃんとしてよねっ!」

「かがみ、やっぱりこのネタアウトだよ……」

「え?何よいきなり」

「かがみのかわいさに私が墜ちたって事だよ」

「そ、そんな事言ってもお後がよろしいようでなんて言ってやらないわよ?落とさないからねっ!」

「じゃあ、この続きはどうするの?落としちゃいけないなら続きしなきゃだよ?」

「その内投下って事でどうかしら?」

「この名無し、投下する気あるのかねぇ」
516名無しさん@ピンキー
         _,.-‐/ヽ- /´ヽ、_
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           /γ'´}|  |i       、     ,ハ /::::::::: /  がんばりやぁ
          /::::::/:::::::ヽ ||.     ,rv‐-、_    λ::´:::::::: /
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