『臨時ニュースをお伝えします。皆様、落ち着いてお聞きください。あと、1週間ほどで、確実にこの地球に隕石が衝突します』
「……は?」
朝、朝食を食べ切り、テレビを点けた途端、聞こえてきたニュースは、朝、微妙に回転の鈍い頭……。
いや、どんなときだろうと素直に受け入れられるはずがない、とても素っ頓狂なものだった。
『〜の見解によりますと、このサイズの隕石が地球にぶつかった場合、地球上の生物に生き残るすべはなく……』
思わず日付を確認する。残念ながら……エイプリルフールでは無かったようだ。
「いやいやいやいや」
いきなり1週間後に死ぬよ!的なことを言われてもそう素直に頭に入るか。
『残念ながら、これは嘘や、性質の悪いドッキリでもありません。正真正銘の……』
ここで俺はテレビを切った。いやだってさ、こんなこと言われてるんだ。一度学校に行き友人たちとちょーっと話し合うべきだろう?
思えば即行動、ささと通学カバンを手に取り、玄関に行き靴を履いて扉を開けた瞬間……開けた扉の向こうから突撃してきた何かに、俺は家の中に押し戻された。
もちろん、咄嗟のことで受け身など取れるはずもなく、鈍い音をたてて、俺の後頭部と床がご挨拶をした。
無言でぶつけた個所を抑えて悶える。一通り悶えた後、静かに半身起こした俺は、突撃してきたものを確認する。
「……何してる」
ぶつかってきたのは、お隣に住む幼馴染という名の腐れ縁である、少女であった。
彼女は涙眼でこちらを見上げて、首を横に振った後に強く俺にしがみ付いてくる。
「要件は……って、あれか」
どうせあのニュースでパニクって、というのが妥当なとこだろう。ともかく、宥めるように彼女の頭をやさしく撫でる。
このままでは遅刻する、ああ、台風だろうとインフルエンザ大流行だろうと無遅刻無欠席だった俺の記録をここで絶やすわけには……!
ふと、気付けば彼女がこちらをまた見上げていた。その瞳は何か尋ねるような色を含んでいる。
「ん……まぁ、怖くはないな、というか実感が沸かないだけだ」
俺の言葉に、きょとんとした表情になった彼女は、おかしそうに笑み浮かべて小さく笑い声を零す、
「はいはい、鈍くて悪かったな。というかお前が危機感を感じすぎなだけだろう」
今度は頬を膨らまして抗議してくる、とりあえず、答えるのが億劫なので黙らせるために自分から抱きしめる。
少しの間もがく様に体を動かしていた彼女は、直ぐに大人しくなった。
そのまま、ただ時間が過ぎていく。彼女から香るどこか甘い匂いに、朝っぱらからどうにかなりそうなのをこらえて一度彼女を離し、
「ほら、そろそろ学校行くぞ」
思いっきり首を横に振られた。嫌か、そんなに学校行くのが嫌か。
ものすごい勢いで頷かれた。勝手に人の心を読むんじゃない。
「じゃぁ、どうしろと」
訪ねた、すると彼女は一度立ち上がると、玄関の鍵を閉めると、こちらにもたれかかって
「……ずっと、世界が終わるまで、一緒に保守してくれる?」
だれー?この電波送ってきたのだれー?