らき☆すたの女の子でエロパロ54

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、OVAも好評発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

■みゆきさんの一言メモ
・ 投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』(←全角)では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
・ スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます
・ SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます


マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ53
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1223370476/
2名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:54:42 ID:cDg3iJt7
1乙ってるやないかーい
3ST205海苔 ◆ST205qYjsE :2008/11/05(水) 02:11:08 ID:ds5BP/ai
さあ>>1乙ざますよ

・・・・・仕事忙しくてなかなか続き書く暇がねえ・・・・・・orz

ウツダシノウ・・・・
4某幼妻:2008/11/05(水) 04:04:59 ID:bl0v4xGd
>>3
だめですよ、志半ばで自分から逝くような方は追い返しますよ^^

それはさておき

あーいまーい>>1乙っ!

はぁ・・・一度いってみたかった・・・
5名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 07:59:20 ID:bk0Lm2b1
落ち着いて見返してみるとタイポしてら……
490じゃなくて480KBね

それにしても、500レス行かずに容量オーバーって37スレ目以来?
6某小説家:2008/11/05(水) 20:56:43 ID:jnnalKPc
>>4
そりゃ妻ってことかい? ぽっ♪
7某病弱(だった)従妹:2008/11/05(水) 21:12:14 ID:q4MoIrnr
>>5
がんばっちゃ!やっちゃっちゃ!
そんとっきゃーっちゃ>>1乙 >>4っ!!(心霊現象に吃驚的な意味で
852-426(仮):2008/11/05(水) 23:36:27 ID:Dr/rGbln
>>1乙だってヴぁ。
一番乗りというわけで、小ネタですが5分後に投下させていただきます。

・2レス使います
・エロなし
・キャラ設定に変更あり。
9ツンデレみゆきさん1/2:2008/11/05(水) 23:41:58 ID:Dr/rGbln
では投下させていただきます。

「みゆきさ〜ん」
昼食を食べ終えた昼休み、こなたがノートを持って、みゆきのところに向かった。
「なんですか、泉さん?」
「みゆきさん、悪いんだけど、宿題見せてくれない?実は昨日、ネトゲで盛り上がっちゃってさ、
 全然宿題してなかったんだよ」
みゆきはハァと溜息をついた。
「あのう、泉さん、いつかは言おうと思っていたので、言わせてもらいますが、
 泉さんは最近、だらけすぎではないですか?」
みゆきの言うとおり、最近のこなたはだらけすぎではないかと思う。
もうすぐ受験だというのに、いつまでもアニメやネトゲばっかりしている。
「いつまでもこの調子でなんていられないんですよ?これからのことを決める大切なこの時期に、
 いつまでも私たちを頼りにしていては、いざというときには困りますよ」
「むぅ、確かにそうだけど……、分かったよ。自分でやってみ――」
「……はい。これが宿題です。勝手に移してください」
みゆきは、こなたが言い終わる前に、自分の宿題を机の上に出した。
「え?えーっと、ありがとう、みゆきさん」
こなたは、有無を言わさずノートを出すみゆきに疑問を感じつつ、
宿題を写し始める。
ノートを開いて、宿題の部分には、大きな文字で『泉さん、ここが出ます!』とか
『泉さん、ここは重要ですよ!』と大きい文字で書かれている。
「みゆきさん……」
「な、なんですか?」
みゆきの顔が若干赤い。
「やっぱ、みゆきさんもツンデレだねぇ〜♪ほら、ノートに私の名前を使っているだなんて。
 みゆきさんは厳しいこというけどやっぱり私のことを気遣ってくれてるんだねぇ〜♪」
こなたにおちょくられたことによって、みゆきはだんだんと顔が赤くなっていく。
「な、そ、それは別に、ただ単に、泉さんの名前を使ったのは……、
 そ、そう、たまには変わったノートの使い方をしたかっただけですから、
 なんとなくですからね!勘違いしないでください!」
みゆきの顔がさらに赤くなっていく。
「だ、大体、泉さんは毎回こうやってノートを借りていくじゃないですか。
 いちいち泉さんが見やすいように書くのも、大変ですから、少しは努力してください。
 こ、こっちだって迷惑していますから!」
「うん。みゆきさん、いつもありがとう」
「と、当然のことですよ……」
みゆきはプイと顔を背けた。
こなたはせっせと宿題を書き終えた後、隣のクラスのかがみに会いにいった。
去り行くこなたの後ろ姿を見て、みゆきはハァと溜息をついた。
(どうして私はこんなにきつく当たってしまうのでしょう……。泉さんとはもう少しじっくりと
 お話できれば、泉さんだって、勉強をがんばってくれると思うのに……)
どうして私は泉さんのことばかり考えているのでしょうか……
泉さんのことが好き――?
そう思いかけてみゆきはブンブンと首を振った。
(泉さんは女性ですよ……好きになるなんておかしいじゃないですか……。
 それに、きっと泉さんも迷惑だと思いますし……)
しかし、みゆきの想いはだんだんと膨らんでいった。
10ツンデレみゆきさん2/2:2008/11/05(水) 23:43:23 ID:Dr/rGbln
みゆきは一つ溜息をついた。
(私はどうして素直になれないのでしょうか……。
 小さい頃から素直になれずに友達もできずに……。
 でも、泉さんは違う。かがみさんやつかささんも、そして私も、
 変わらず接してくださる……)
みゆきの頭の中には、さきほど自分をおちょくったこなたの顔が浮かんでは消えていく。
(やっぱり私は、泉さんのことが――)
「みゆきさん?」
「ひゃぁ!?」
いきなり声をかけられて、みゆきは驚いた。
「い、泉さん?さきほどかがみさんのところに行ったのでは?」
「ん?なんか突然みゆきさんに会いたくなっちゃってね〜(=ω=.)」
「わ、私に……?」
みゆきは先ほどこなたのことを考えていたため、どんどん顔が赤くなっていく。
「お!みゆきさんがデレた!」
「で、デレてませんよ!失礼な……」
みゆきはコホンと咳をして、あわててこなたから視線を外した。
「み〜ゆきさん♪」
「うひゃぁ!?」
こなたは、いきなりみゆきに抱きついた。
「やっぱりみゆきさんはツンデレだー!」
「だ、だからツンデレじゃないですよ!やめてください……!」
みゆきは、こなたの顔をチラッ覗きこんだ。
こなたは、本当に楽しそうな笑顔をしており、みゆきもつられて笑い出した。
「みゆきさん?」
「もう……」
――だからあなたのことが好きなんですよ?

この風景を見ていた田村ひよりが、鼻血をダバダバ流しながらスケッチしていた。
11ツンデレみゆきさん2/2:2008/11/05(水) 23:44:30 ID:Dr/rGbln
以上です。
もうちょっと捻ればよかったかな……。
ツンデレになったみゆきさんを書くのは結構楽しかったので、
機会があれば今度は長く書いてみたいです。
1252-426(仮):2008/11/05(水) 23:45:36 ID:Dr/rGbln
すみません。↑の名前間違えました。
13名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 00:46:52 ID:Fg/v/dK+
>>1


>>11
そして早速投下乙です
デレるみゆきさんもまた良いですなぁ
1452-426(仮):2008/11/06(木) 14:40:19 ID:CTFhuxcO
誤字を発見しました。
×みゆきは、こなたの顔をチラッ覗きこんだ。
○みゆきは、こなたの顔をチラッと覗きこんだ。
15名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 18:25:57 ID:1tEYSZb0
次回、二大ツンデレがついに激突!
そしてつかさにも異変が……?
16名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 22:11:24 ID:k0WSfzBc
カリフォルニア州の住民投票が……
17名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 22:20:47 ID:W5OCc0q4
>>15
それ俺も見てみたいww
18自重できないデコメガネ:2008/11/06(木) 23:28:00 ID:IDj0jPM2
うおおおおおおおおおっ!
カリフォルニア投票空気嫁ッス!!!!
負けるな禁断の乙女&兄貴たち!!!
ブラピGJ!!!!!
19戸別響:2008/11/07(金) 11:10:21 ID:iQ8mB0tL
どうも、こんなスレの早い時期に来たことがないので少し戸惑っている戸別です。
第一話でこなたが言ってた「三大美術四コマ」、何人かの人が反応してくれて少し嬉しかったです。
さてさて、今回はその続きを書きたいと思います。
スケッチスケッチ!  2筆目 猪突猛進な先輩
・M&H H視点
・非エロ
・6レス使用
まあすぐにどの二人かはわかりますが、一応イニシャルのみにしておきます。
3分後に投下を始めます。では、どうぞ。



タッタッタッタッ……


「おーい、早くはやくー!」
「ハッ……ハッ……ちょ、先輩……待っ……」
「早くしないと置いてくぞー!」
「ハッ……ハッ……はぁ……」
せ、先輩、いくらなんでも、ゼェ、元陸上部と、インドア腐女子とでは、ハァ、
基礎体力が、違い、ゼェ、過ぎます! ……ハァ、ハァ……


スケッチスケッチ!  2筆目 猪突猛進な先輩


あ、どーも、田村ひよりです。
えっと、このたび泉先輩に誘われまして、スケッチ大会に参加することになりました。
なんでも総勢10人での大会ということで、先輩と一緒に遅刻したときはホントに
申し訳ないと思ったッス。
それで、ペアになってスケッチをするということで、爪楊枝でのくじ引きの結果、
3年生の日下部先輩と組むことになったッス。
日下部先輩とは文化祭のときに一緒にチアをしたくらいしか面識がなかったんですけど、
ペアになったとき、
「おぅ、お互い頑張ろうな!」
と気さくに声をかけてくれて、結構気が楽になったッス。
でも……


「……ハァ、ハァ……」
「んだよだらしないなー、もうへばったのか?」

日下部先輩は泉先輩の合図と同時に「よっしゃー!」と叫びながらロケットスタートを決め、
その姿に私が呆気にとられていたら、
「何やってんだよー、早く来いよー!」
と日下部先輩が叫んで、私は慌ててその後を追いかけたッス。
……駆け始める直前に柊先輩の「お気の毒に……」という呟きが聞こえてきまして……
まさにその通りの状態になってます、自分……

「ハァ、ハァ……く、日下部先輩、な、何をそんなに急いでるんですか?」
ちなみに私達の向かう場所は、駅から少し離れた小高い山。泉先輩が指定した5ヶ所の中で
一番遠い場所にあるんですけど、これがまた泉先輩が開始時間に指定した12時までには
歩いても充分間に合う距離なんです。なのに日下部先輩は何で……

「ん? 別に急いでるつもりはないぞー」
舌っ足らずな声で日下部先輩はこう答えました。
「そ、そうなんですか?」
見ると、私はかなり息を切らしているのに対し、日下部先輩は私よりも猛スピードで
走っていたはずなのに、少しも呼吸の乱れを見せていません。
うぅ、これが運動部と文化部の違いッスかね……

「な、なら、歩いていきませんか? わ、私、このままだと、大会が始まるまでに、絵を描く
体力がなくなっちゃいそうで……」
と私が提案すると、
「んぁ、そうなのか? んじゃ、しょうがないなー」
日下部先輩は渋々ながらも私に合わせて歩調を緩めてくれたっス。


と、その時、
「ところでよー」
駅と山との間ぐらいの、左手に黄金色の稲が干してある田んぼ、右手に私たちが向かう山とは
違う山肌が見える砂利道の上、
「お前、名前何て言うんだっけ?」
「ふおっ!?」
日下部先輩は今になって、まさに今更な質問を私にぶつけたッス。

「せ、先輩……今まで誰だかわからずに私と行動してたんですか?」
「いや、文化祭の時にいたよなー程度しかわからなくてさー。名前も聞かずに出発
しちまったし」
先輩がお互い自己紹介もせずに走ってっちゃったんですけど……というツッコミは心の中に
しまって、
「そうですか……私は田村ひよりといいます。さっきいた泉先輩の従姉妹の小早川さんや
高良先輩の隣にいた岩崎さん、私と一緒に来たパティとは同じクラスの友達ッス」
「そっか、田村か。私は日下部みさお。改めてよろしくな!」
そう言うと、日下部先輩は左手をずいっと私の方に向けました。
「あ、はい、よろしくお願いします」
私も、自分の左手を差し出して、日下部先輩の手を握りました。



しばらく歩いていますと、川を越えた先に木でできた看板が立っていて、そこには、
← ○○山 山頂
と、目的地への案内が書いてありました。その先には、紅葉で綺麗な色に染まった小高い山が
あったッス。

「ここから登るみたいですね」
「そーみてーだなっ。じゃ、さっさと頂上まで行くぞ!」
「あ、は、はいッス!」
日下部先輩の号令で、私達は山のほうへ向かいました。
ちらっと腕時計を見てみると、針は11時40分を指していました。

「……ハァ、ハァ……」
「お、思ったより急だな……」
「そ、そうッスね……」
しばらくして、私と日下部先輩は山の中腹辺りを登っていました。
日下部先輩の言うとおり、この山の登山道は思ったよりも急で、しかも何も舗装されていない、
人一人が通れるくらいの細い砂利道だったッス。私だけでなく、日下部先輩も少し息を切らす
ほどの坂道ッス。
前を歩く日下部先輩の後ろを歩いていると、
「……ハァ、ハァ……」

ズルッ

「うおっ!?」
私は砂利道に足をとられ、思いっきり右足を滑らせてしまったッス!
徐々に前方に倒れていく私の体。あ、マズイ! このままだと左腕から地面に
落ちてしまうッス! な、何とか命の次に大事な利き手を守らねば……
私はとっさに体を捻り、何とか地面に背を向けることができたッス。でも、背中から落ちると
今度は呼吸が苦しくなるんスよね……と、その苦しみを思い出しながら、私は地面に――


「………あれっ?」


――落ちるはずが、一向に背中に痛みを感じない。足は地面についてるから、空を飛んでる、
なんてこともないッス。むしろ、何かに支えられて――

「……おい、大丈夫か?」
その声に反応して後ろを向くと、私の前を歩いていた日下部先輩が、私の両肩をつかんで
支えていたッス。日下部先輩はそのまま私を持ち上げ、立たせてくれたッス。


「いやびっくりしたぜー。様子を見ようして後ろを振り返ったら、田村がちょうど足を
滑らせたところでさー」
「あ…ありがとうございます……」
「いやいや……ところでさー、何で田村、コケそうになった時回転して背中から落ちようと
したんだ? まあ確かに手から落ちたら突き指とかするかもしんねーけど、そこまでして
怪我したくなかったのか?」
「えっ!? あ、いや、その……」
日下部先輩の質問に、私は言葉を濁してしまったッス。日下部先輩に「漫画を描くために
利き腕は命の次に大切ッスから」とか言ってもあまり理解されないし、下手したら変な目で
見られるかもしれないッス。

何とかせねば……
「えっと、そのですね……そう、そうッス! これから絵を描かなきゃいけないのに、手を
挫いて描けなくなるのがいやだったんですよ」
「あー、なるほどー。確かにそんなんで楽しみがなくなっちまったらつまんねーもんな」
「そう、そういう事ッス!」
よ、よかったッス。日下部先輩、納得してくれたみたいッス!
「んじゃ頂上までもう少しだし、ちゃっちゃと登っちまおーぜー」
「は、はいッス!」



「……わぁ……」
「うわっ、すっげー!」

数分後、私達は無事、山を登りきって、山頂に到着したッス。
山腹と違って、山頂付近は草むらが広がっていて、そこからの景色も綺麗だったのですが、
「おっ、なんか展望台みてーのがあるんだってヴァ! 田村、登ってみようぜ!」
との日下部先輩の提案で、その高台に登ってみたッス。
すると、展望台に登る前は見えなかった、山の下の景色がそこには広がっていたッス。
さっき日下部先輩に名前を聞かれた、駅から登山口まで続く田んぼ沿いの道。
山の右側から蛇行して下っていく川。
そして、私達が降り立った、小さな駅。
その、まるでジオラマを見ているかのような景色に、私はしばし圧倒されてしまったッス。


と、

「……ヤッホ―――!!」
「うひゃっ!?」
突然、左隣にいた日下部先輩が前方に向かって大声で叫んだッス。
何事ッスか!? と私がきょどっていると、また前方から、

……ヤッホー……

と、小さな声が返ってきたッス。

「おーすげー! マジで返ってきたんだってヴァ!」
「……日下部先輩、そういうことは先に私に一言言ってからやってください」
つまり、日下部先輩はただ「やまびこ」を試してみたくて叫んだわけで……

「あ、わりぃわりぃ。こーゆーとこ来ると、ついついやってみたくなるんだってヴァ!」
「そ、そうッスか……」
私が少しキーンとなっている耳を押さえて、少し呆れ口調で日下部先輩の弁解(?)を
聞いていた、その時。


――キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン――


「えっ?」
「お、なんだなんだ?」
突然、どこからか学校のチャイム音が鳴って、

――ただいまの時刻は、午前、12時です――

遅れて、まるで時報の様なアナウンスがかかったッス。

「あ、もうそんな時間スか」
そう、今の時刻はさっきのアナウンスの言うとおり、午前12時。つまり、スケッチ大会の
始まりを告げるアナウンスでもあるッス。

「じゃあ早速描き始めますか」
「おぅ。よーし、すっげえやつ描いてやるぜー!」
私が始まりを告げると、日下部先輩は気合を入れて、とても楽しそうに展望台の階段を
三段抜かしで駆け下りていったッス。私も、先輩の様にとはいきませんが、できるだけ
駆け足で、階段を下っていきました。



その後私達は、しばらくは一緒に絵のモチーフを探して、何を描くか決めてから一緒に
お昼ごはんを食べたッス。昼食中は、日下部先輩と今日のこれまでの事を思い出したり、
学校でのそれぞれの学年での話をしたりしたッス。その中で、日下部先輩が、
「柊のやつ、私にはすっげー冷たいんだぜー!」
と何度も言っていた事がなぜか印象に残ってるッス。

で、その後は私と日下部先輩、分かれてそれぞれの絵を描き始めたッス。ちなみに私は
山頂付近にあったもみじを、日下部先輩は――なんと、展望台から見下ろした風景を、
それぞれ描く事にしたッス。


絵を描いている間、私はもう一度今日のことを振り返ってみました。そしてそのほとんどは、
日下部先輩の事だったッス。
私は展望台で一人お絵かきに没頭する日下部先輩を見上げてみました。
始まっていきなり駆け出した先輩、山に行く途中で私の名前を聞いてきた先輩、山頂の展望台で、突然叫ぶ先輩。
確かに泉先輩から聞いたとおり、日下部先輩はバカキャラかもしれません。
でも、疲れた私の意見を聞いて走るのを止めてくれたり、山道でこけそうになった私を
支えてくれたり。そして何より、初対面の私と、気さくに話をしてくれたり。
本当は優しくて、気が利いて、フレンドリーな人なんじゃないかな、と私は思うんです。


良い意味でも悪い意味でも、一直線な先輩。
……何か、萌えるッス。
そんなことを考えてデッサンをしていたらいつの間にか、もみじの下で幹の側に立っている
日下部先輩を描いていたッス。





26戸別響:2008/11/07(金) 11:33:17 ID:iQ8mB0tL
以上ッス(うつった)。
……はい、スケッチ大会1組目は、みさおとひよりというかなりの異色コンビです。
というか自分自身この二人をあまり書いたことなかったんですけど、何故か一番最初に決まった
コンビなんですよね、ほかの四組がなかなか決まらなかった中で。
みさおはつかさとは違った意味で誰とでも仲良くなれると思うんですよね。
みさお自身から話し掛けてくれるし。
感想、批評等がございましたら、よろしくお願いします。
次は2組目と3組目が同時に出ますが、話は2組目が中心になります。
ではまた次回もよろしくお願いします。
27名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 18:24:42 ID:359/5q17
>>26
GJっス
感想書くの苦手なんでそれしか言えないけど、続きも待ってます
28名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 00:01:27 ID:g8Sz6GEQ
>>26
『らき☆すた』っぽいってのが印象強かった気がする。
まったりした雰囲気が感じられて、全体的な雰囲気としてはGJ。

けど、話し手がひよりだからといって「ッス」の使いすぎはいささか頂けなかった気もする。
あくまで俺の意見だけど、ひよりがゆたかか誰かに話を聞かせてるっていうシチュでやってみれば、
もうちょっと見やすくなると思う。

けど個人的にはGJッス。
29名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 18:18:20 ID:r0PZIUCD
こうの胸の谷間に血走った目をむけるやまと

こうの部屋にて、短めのスカートであるにもかかわらず、三角すわりでベッドによっかかり
本を読んでいるこう、当然パンティがチラっと見えてしまっている。
やまと「う・・・ご、ごくっ」
こう「?どしたの?」

やまと「(・・・こう、今日パンティ白なんだ・・・)」
視線を少し上に上げると薄い生地のTシャツから、大き目の胸を覆うブラジャーの跡がくっきり映っていた。
やまと「う、はあはあ・・・」
こう「ちょっと、どうしたの?体調悪い?」
やまと「もうダメ・・・!こう!!」
こう「わっ!?」

こうのスカートの中に突進したやまとは有無も言わさず、こうのパンティを剥ぎ取ろうとした。
こう「や、やめて!」
状況に気付いたこうが抵抗し、ずり下ろそうとするやまとと、それを阻止しようとするこうが、ぐいぐいパンティを引っ張り合う形になった。
しかし、こうは割と大柄ではあるが、意外にも力は無く、腕力ではやまとにかなわない。
やまと「くっ・・・」
やまとがこうの手を振り切り、パンティを『ずるるっ』と音がしそうなくらい勢い良く膝下までずり下ろした。
こう「やー!!」
30名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 19:38:46 ID:tfyPDAkZ
ひより「♪じ、じ、じ、自重しろ・・・ぬわっ!!!!
     …(gkr)…
     じゃ…邪魔したっす…ごゆっくりっ!!!!」
31名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 20:15:29 ID:XjcYiDgk
>>26
ぐっじょぶ。
みさおとひよりの組み合わせは珍しいですが、ほのぼのとした感じがしました。
みさおは、誰に対しても壁をつくることはなさそうですね。

どなたも準備される方がおられなければ、投下いたします。
3223-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/08(土) 20:20:20 ID:XjcYiDgk
「テスト 前編」

みなみ×ゆたか+こなた (名無しのモブあり)

・注意事項
エロあり、ダーク、SM要素あり 10レス程度使用
33テスト 1/10:2008/11/08(土) 20:21:19 ID:XjcYiDgk
「こなたお姉ちゃん。大好きです」
 11月のある日、私はこなたお姉ちゃんの部屋に行って、告白した。
 こなたお姉ちゃんは最初驚いたようだけれど、すぐに普段の余裕のある顔つきに戻る。
「うーん。気持は嬉しいのだけれど。ゆーちゃんはちょっと無理かなあ」
「どうして? 私のことが嫌いなの? 」
 拒絶の言葉に動揺して、声の震えを抑えることができない。
 こなたお姉ちゃんに嫌われたら、もう生きていくことなんかできない。

「ふふ。ゆーちゃんを嫌うことなんてないよ」
 胡坐座りをしている、こなたお姉ちゃんは微笑を浮かべながら、私を見つめている。
「じゃあ。どうして? どうして無理なの? 」
 震える身体を自分で抱きしめながら問い詰める。
「教えて! 私、何も知らないまま振られたくなんかないよ」
 真実を知るのはとても怖い。でも、後悔だけはしたくないから、全ての勇気を振り絞って問い詰めた。

 しばらく、お姉ちゃんは興味深そうに私を見つめていたけれど、やがて、苦笑しながら両肩をすくめて言った。
「分かったよ。ゆーちゃん。付き合えない理由を教えてあげるね」
 お姉ちゃんは立ち上げると、書棚まで歩いて数冊の薄い本を取り出した。
 ゆっくりと私の目の前まで歩いてきて、そのうちの一冊を私に本を渡す。

「ゆーちゃん。これは同人誌っていうのだけれどね。読んでくれるかな」
「う、うん」
 ページを開いて読み始めて、私は息をのんだ。
 読んだのは18歳以上は禁止という、エッチな本なのだけれど、ページが進むにつれて、
イヤラシイ形をしたおもちゃを膣に入れられたり、荒縄で縛られたり、肌にロウソクを垂らされたり、
三角木馬に跨がされたりと、どんどん過激になっていた。
34テスト 2/10:2008/11/08(土) 20:22:34 ID:XjcYiDgk
「驚いた? 」
「う、うん」
 私は真っ赤になりながらも、エッチな本から目を離すことができない。
「私は、普通の女の子とちょっと趣向が違うみたいでね。アニメやゲームにいる女の子のエロを見るのが大好きなのだよ。
だから陵辱系のアンソロ同人誌なんて買っちゃう訳だけどさ」

 こなたお姉ちゃんは、少しだけ遠いところを眺めるような表情をつくったけれど、すぐに、
普段の穏やかな顔つきに戻った。

「だから、純粋なゆーちゃんの想いに応えることができない。もし付きあったりしたら、
危ない欲情を抑えることができなくなるからね」
 お姉ちゃんは、私の手から同人誌を奪って、本棚に戻してしまう。
「ごめんね…… そういうことだから」
 この話は終わりといわんばかりのお姉ちゃんだが、簡単に納得なんかできる訳がない。

「そんなことでお姉ちゃんをあきらめられないよ」
「ゆーちゃん!? 」
「私、こなたお姉ちゃんとのエッチなら喜んでする。お姉ちゃんのためならどんな恥ずかしいことだって、
普通じゃないことだってするよ。だから。お願い、私を捨てないで! 」
 涙をこぼしながら、必死でこなたお姉ちゃんにしがみつく。

「うーん」
 お姉ちゃんは考え込んだ後、ようやく声を出した。
「わかったよ。ゆーちゃんがそれ程までいうのなら、明日、一日テストをしてみようか?」
「テスト? 」
 私は首を傾げる。
「そう。いわゆるお試し期間っていうのかな。ゆーちゃんが私の趣向についてきてくれるかを試したい」

「う…… うん。分かったよ 」
「詳しい話は、明日の朝に話すから。今日はもうおやすみ」
 私は、こなたお姉ちゃんに促されて部屋を出た。
 告白したという達成感と、テストを控える不安感を交互に味わいながら、私はゆっくりと眠りに落ちていった。
35テスト 3/10:2008/11/08(土) 20:23:18 ID:XjcYiDgk
「おはよう。こなたお姉ちゃん」
 翌朝、言われた通りに部屋に行くと、お姉ちゃんは既に制服に着替え終わっていた。
「ゆーちゃん。昨日、私が言ったこと覚えている? 」
「う、うん…… 」
 私は、もじもじと両手を前で合わせながら答える。エッチなことに免疫がないから、どうしても緊張してしまう。
「もし駄目でも、ゆーちゃんは妹みたいに大切な存在には変わりないから安心してね」
「うん…… 」
 私が頷いたのを確認してから、こなたお姉ちゃんは机の上に置かれていたものを取り出した。

「では、これを貼りつけて」
「えっ? 」
 目の前に差し出されたものを見て、私は戸惑った。
 ピンク色をしたうずら卵のような形をしており、端に細い紐が付いている。
「こ、これは? 」
 呆然としている私に、こなたお姉ちゃんが説明してくれる。
「ローターだよ。いわゆる。大人のおもちゃって奴」
「え…… っと」
 戸惑っている私に苦笑しながら、こなたお姉ちゃんは言った。

「ふふ。まあ、つけてみれば分かるよ」
 足元にしゃがみ込んでから、お姉ちゃんは見上げた。
「ゆーちゃん。パジャマ脱いで」
「う、うん…… 」
 私はためらいながら、パジャマの下の部分を脱いだ。ひんやりとした冷気が下半身に忍びより、
思わずふとももをギュッと閉じる。

「ショーツも脱いでね」
「え……でも」
 恥ずかしくって尻ごみするけれど、こなたお姉ちゃんの手が伸びて下着がずり下ろされた。

「は、恥ずかしいよお」
「ゆーちゃんはアソコ、まだ生えていないねえ」
「わ、そんなこと言わないで…… 」
 耳たぶまで真っ赤になりながら、パジャマの裾を伸ばしてなんとか隠す。
「ダメだよ。隠しちゃ」
 こなたお姉ちゃんの手が伸びて、大事な部分は再び、容赦ない視線に晒される。
「ゆーちゃん。じっとしていてね」
 ピンクのローターを持った、こなたお姉ちゃんが私のアソコの割れ目に手を伸ばして、
ローターをひっつける。
「クリちゃんはここかな」
「ひゃ、や、お、おねえちゃん」
 もぞもぞとした感触にもだえながら、悲鳴をあげてしまう。
「落ちないようにするからね」
 お姉ちゃんは、持参したテープでローターを固定させてから、私の下着をもう一回はかせた。

「はい。これでおしまい」
「えっ、これで終わり? 」
「そだよ。ゆーちゃんは今日一日、ローターをつけておくこと。外れた時は予備のテープを貼ってね? 」
 テープを私に渡しながら、お姉ちゃんは言った。私は、上目づかいで尋ねる。
「もし、今日一日これをつけて平気だったら、お姉ちゃんの恋人になれるの? 」
「そだよ。がんばってね」
 私は、愉しげな表情を浮かべて手を振るお姉ちゃんと別れて部屋に戻った。
36テスト 4/10:2008/11/08(土) 20:25:00 ID:XjcYiDgk
「いってきまーす」
 家を出た時、既にお姉ちゃんは学校へ向かった後だった。
「お姉ちゃんと一緒に登校したかったな」
 ひとりごちながら駅まで歩いて、電車に乗ると、相変わらず超満員である。
「ふう」
 背の小さい私にとって、通勤電車は人より辛いものだ。
 顔の位置が他の通勤客の背中になってしまうので、電車が揺れるたびに押しつぶされそうになってしまうからだ。
 それでもひたすら我慢を続けて、2駅ほど通り過ぎた時――

「あくぅ」
 アソコに備え付けられたローターが、突如動いた。
「ん…… んくっ」
 微かな振動音とともに、今まで沈黙を守っていた卵型のローターが震えている。
「や、やだ。どうして? 」
 焦りながら、スカートに手を持っていくけれど、こなたお姉ちゃんの言葉が脳裏に蘇る。

(これをはずしちゃ…… ダメなんだ)
 もし、お姉ちゃんの指示に背いたら、恋人になれなくなると思うと、ローターを止めることも、外すこともできない。
「ん…… ん…… 」
 外に漏れないように口で手を塞いで、ひたすら声を押し殺すしかない。

 今まで経験したことのない、むず痒いような、それでいて気持ちがいいような刺激が
私の下腹部に襲いかかり、身悶えしてしまう。
「んくっ…… だめ…… 」
 満員電車が揺れるたびに、刺激されるポイントが微妙にずれて、その度に、びくびくと震えるが、
脂汗を流しながら我慢するしかない。

 ローターの愛撫に耐えながら揺られていると、やがて電車はゆっくりと速度を落として駅に着く。
 同時にドアが開いて、大勢の乗客がなだれ込んでくる。私は、人の波に押し流されて反対側のドア付近に押し込まれた。
 無理矢理押し込められた通勤客と通学客を乗せて、電車が再び動き出す。
 窓に頬をくっつけて深いため息をついた時、誰かが私のおしりを触ってきた。
37テスト 5/10:2008/11/08(土) 20:25:49 ID:XjcYiDgk
 最初は、偶然かもしれないと思ったけれど、その手は執拗にスカート越しにおしりを撫でるのをやめない。
 本当のチカンだ。
(どうしよう。どうしよう)
 動揺している私をあざ笑うように、尻をなでる手つきがより大胆なものになっていく。
 とても気持ち悪いけれど、ここで叫んだら、ローターをつけている私が変態少女になっていることが分かってしまう。
(言えない。がまんしなくちゃ)
 現実から逃れるように目を瞑って、痴漢から目を背けて、手すりに捕まる。
「ん…… んあっ、ひゃう」
 抵抗がないと知った痴漢は図に乗ったようで、お尻の割れ目を執拗に弄ってくる。
 同時に、アソコの中に貼りつけられたローターの刺激が、理性を確実に削り取っていく。

「んあ…… だめっ、んんっ」
 小さな悲鳴をあげるだけで、抵抗はないことを知った、卑劣な痴漢の手がスカートの中に潜り込んでくる。
「や、やめてください」
 蚊の鳴くような声で抗議するけれど、当然ながら無視される。
「いや、やだ、やだっ」
 悲鳴混じりのうめき声を漏らしながら必死に耐える。痴漢の指先が、お尻の割れ目を執拗に責め立てる。
「お願い。やだ。やめて…… 」
 ふとももをギュッと閉じるが、ローターを仕込んだことがばれたらと思うと生きた心地がしない。
「んあ、やだ、あっ、んああっ」
 悲鳴をあげる口を必死に手でおさえながら、ひたすら痴漢とローターによる容赦の無い愛撫に耐える。
「だめ…… お願い、もう、や、いやあっ」
 とても苦しくて、辛くて、頭がおかしくなっていまいそうだ。

「んあああっ、んあああああ、もう…… ダメ」
 ついに耐えきれなくなって、大きな声をあげてしまった時――
 唐突に扉が開いて、私は、無数の人の圧力によって電車の外に押し出された。
38テスト 6/10:2008/11/08(土) 20:26:28 ID:XjcYiDgk
「はぁ、はぁ」
 駅のトイレの洗面所で顔を洗って、何度もうがいをする。
 痴漢に執拗に撫でられた感触がはっきりと残っていて、ひどく気持が悪いが、学校を休む訳にはいかない。
 ただでさえ、病欠が多い私がずる休みをすれば、出席日数不足で留年しかねない。
 気力を振り絞って学校へ向かうしかない。
 幸いなことに、電車に乗っている間中、いやらしい震動を続けていたローターは、嘘のように動きを止めていた。

「ゆたか、調子わるいの? 」
 学校で、みなみちゃんは、私の顔を見た途端に心配そうに声をかけてきた。やっぱり鋭い。
「ううん。大丈夫。なんでもないから」
 私は疲れた顔に無理やり笑顔を浮かべる。
 それに、病気で体調が悪いのではなくて、エッチなおもちゃと痴漢のせいで、体力と精神力を使っただけだ。
「でも、無理はしないで」
「ありがとう。みなみちゃん」
 みなみちゃんが自席に戻ったことを確認してから、私は鞄から教科書を取り出した。

 あれから何事もなく3時間目までが終わった。
 アソコに入れられたローターは、不気味な程、沈黙を保っている。
 4時間目は黒井先生で世界史の授業である。
「今日は、えっとオスマン=トルコの盛衰やな。ほな、いくで」
 黒井先生はひとつだけ咳払いをしてから、講義を始めた。

「オスマン=トルコは、小アジアのアナトリア地方から勃興してきたトルコ系の国家で、当時衰退していた
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の領土を奪いながら勢力を拡大させたんや。もっとも、1402年のアンカラの戦いで
ティムールに敗れて一旦は衰退したものの、1453年にメフメト2世が、東ローマ帝国の首都である
コンスタンティノープルを陥落させて帝国の首都にしたんや。その後、オスマン帝国は急拡大して世界的な帝国となったんや。
アジアとヨーロッパを結ぶこの街も、イスタンブールと名前を変えて発展を続けることになるんやで…… 」

 黒井先生の講義はよどみなく続くが、私は授業どころではなかった。
 今までなりを潜めていたローターが、再び動き始めていた。

「く、くうん」
 下腹部がとろけるように熱い。快楽の波が再び押し寄せ、非力な私を翻弄する。
「は…… はあ」
 よがり声をあげながら、アソコを思いっきり擦ってイッてしまいたいが、今は授業中だ。
 スカートを鷲掴みにして、両方の太腿をぎゅっとすり合わせて、歯をくいしばってひたすら耐えるしかない。

 しかし、太腿を抑えつけたことによって、結果としてローターはアソコを強く抑えつける形になって、
どうしても我慢ができなくなってしまう。

(声をあげちゃダメ、みんなに、先生にバレちゃう)
 荒い息を必死に耐えるが、黒井先生の言葉はほとんど耳に入らない。
(先生…… ごめんなさい。でも)
「ん…… くぅん」
 性的な昂りに歩調を合わせるように、ローターの震動も激しくなっている。
「や、やだ」
 愛液と呼ばれる粘性の液体がアソコからあふれて、下着を通過して、太腿の付け根にたれてしまっていた。
39テスト 7/10:2008/11/08(土) 20:27:21 ID:XjcYiDgk
「この問題やけど…… 小早川」
「ん、んあ、ダメ」
「小早川? 」
「…… 」
「おい! こばやかわ! 」
「は、はいっ」
 大声で呼ばれた私は、慌ててたちあがった。

「なんや? めぇ、あけたまま、ねとったんか? 」
「い、いえ。すみません」
「しっかりせーや」
 黒井先生のあきれた声と、クラスメイトの笑いが突き刺さり、酷く痛い。
「小早川。1571年に、ローマ教皇、スペイン、ヴェネツィアの連合艦隊が、オスマン=トルコ海軍を
破った戦いをなんというんや? 」
「あ、レパントの海戦です」
「正解や。座ってええで」
「は、はい」
 私は、拍子抜けしたように席に着いた。

 しかし、椅子に腰を下ろした直後に、ローターが激しく動きだす。
「んあっ…… だめっ、だめえ」
 懸命に我慢をしようとするけれど、耐えられるというレベルを遥かに超えている。
 おなかの下あたりを押さえて苦しげに呻いていると、黒井先生が再び近づき、心配そうに顔を覗きこんできた。
「小早川。気分が悪かったら早よ、いわんかい」

「す、すみません」
 私は息絶え絶えになりながらも擦れた声で謝る。
「保健委員。悪いけれど頼むで」
「はい」
 みなみちゃんが、すっと立ち上がって傍に近づき、腕をとる。
「ゆたか…… いこう」
「う、うん。みなみちゃん」
 私は、みなみちゃんに支えられながら、教室を後にした。
40テスト 8/10:2008/11/08(土) 20:28:09 ID:XjcYiDgk
 爆発しそうになる快楽を懸命に耐えながら、みなみちゃんと長い廊下を歩いて保健室に入る。
 幸か不幸か、養護教諭の天原先生は不在だった。

「あ、ありがとう。みなみちゃん 」
 気力を振り絞って礼を言ってから、うずく下腹部を抑えて、背中を向ける。
「ゆたか…… 」
「な、なに? 」
 再び、暴れ出したローターと格闘しながら、かろうじて声を返す。
「ゆたか。何を隠しているの? 」
「え…… 」

 みなみちゃんがベッドに座り、ゆっくりと顔を近づけてくる。
「隠してなんかいないよ」
 否定するけれど、みなみちゃんの追及はやまない。
「ゆたかの様子、朝からおかしかった。体調が悪いのかと思ったけれど、様子が変だし…… 」
「な、なんでもないよ。ちょっと体調がよくないだけ」
「嘘! 」
 みなみちゃんが声を荒げた。怒った顔はとても怖い。

「ん…… くうんっ、だいじょうぶ…… だから 」
「ゆたか…… 」
「だめ、みなみちゃん。お願いだから! 」
 ダメだ。これ以上、あえぎ声を抑えることができない。
「ゆたか。私のコト嫌いになったの? 」
「ち、ちがうの。んはっ、きゃうっ、わ、わたし、もう、だめ、だめなの」
「どうして? 何か気に障ることした? 」
「そんなこと…… あん、はうっ、みなみちゃんは、ひゃう、あん、んああ」
「ゆたか、本当におかしいよ。何があったの? 」
「ごめんなさい。ん…… わたし、わたしもう」

 依然として、ローターは激しく震え続けている。
 私のアソコはぐっしょりと濡れており、下着は既に用をなしていない。

 みなみちゃんは怖い顔をしたまま、私をみつめていたが、とうとう堪え切れなくなったのか、
大きく息を吸ってから呻いた。
「ゆたか…… 私、ゆたかのこと我漫できない…… 」

 次の瞬間、私は両肩を掴まれ、ベッドに押しつけられていた。
41テスト 9/10:2008/11/08(土) 20:28:53 ID:XjcYiDgk
「みなみちゃん。嫌! 」
 私は悲鳴をあげながら、豹変した親友を見上げる。
 普段はとても綺麗なみなみちゃんの瞳は、どこか淀んでしまっている。
「ゆたか」
 みなみちゃんが、強く抱きついてくる。
「いや、こないで」
「うそ。本当は嬉しいくせに」
「んああっ、やだ、んぐっ」
 覆いかぶさったみなみちゃんに、あっさりと唇を塞がれる。

(そんな…… はじめては、こなたお姉ちゃんにあげるつもりだったのに)
「んぐ…… んん…… 」
 無理矢理こじあけられた口に舌を入れられ、たくさんの唾液が中に入ってくる。
「んぐっ……んぐううう! 」
 じたばたともがいて逃れようとするけれど、体力には雲泥の差がある。
 必死の抵抗もむなしく、みなみちゃんの舌によって口腔内は散々に蹂躙されてしまう。

「ゆたか。大好き」
 みなみちゃんの手が伸びて、私のタイをほどいていく。
「ん…… んんっ、だめ」
「ゆたか…… 綺麗」
 みなみちゃんは、うっとりとした表情を見せながら囁くと、飾り気のない白いブラをはぎとってしまう。
「や、みないで」
「ゆたかの方が胸…… あるんだ」
 みなみちゃんはとても悲しそうに呟いてから、形の良い唇を近づけ、乳首を吸い始める。

「や、やあああ」
 二つの突起を交互に刺激される。熱い疼きが脳髄に伝わり、私は何度も悲鳴をあげる。
「ゆたか…… ゆたか…… 」
 みなみちゃんはうわ言のように呟きながら、胸、首筋、脇、お腹と上半身をくまなく唾液の跡を刻みつけていく。
「おねがい。みなみちゃん。やだよう。ゆるしてよ」
 私は、なんどもお願いしたけれど、みなみちゃんは決して許してくれない。
「ゆたかは…… 私のモノ」
 熱に浮かされたような顔をしたみなみちゃんは、ローターが震えてくるアソコに手をのばした。

「駄目! そこはダメ! 」
 大声をあげて拒絶するが、みなみちゃんは聞いてくれない。
「お願い…… やめて! 」
 しかし、私の必死の願いも空しく、みなみちゃんは、細い指先に違和感を覚えて、私のスカートの中を覗き込んで、
ショーツもはぎ取ってしまう。
 みなみちゃんの視線の先には、こなたお姉ちゃんに仕込まれたローターがイヤらしく震えていた。
42テスト 10/10:2008/11/08(土) 20:29:27 ID:XjcYiDgk
(ばれちゃった…… )
 みなみちゃんは、震動を続けるピンク色の卵をじっくり眺めた後、妙に楽しそうな表情を浮かべて、絶望している私に尋ねた。
「ゆたか。ずっとこれで遊んでいたの? 」
「ち、違うよ! 」
 私は慌てて否定したけれど、みなみちゃんは笑みを浮かべながら、クリの真上に備え付けていた
ローターの近くを揉み始める。

「んああ、やああああああっ」
 クリと膣口を同時に刺激されて、ひときわ大きな悲鳴をあげる。
「ゆたかはとてもえっちだ」
「お、おねがい。お願いだから、誰にもいわないで! 」
 しかし、みなみちゃんは涙を流して哀願する私を横目にしながら、愛撫を続けるだけだ。
 膣壁を指で刺激しながら、ふくらみかけの乳房を丹念になめていく。

「あん。いやあ、やだ、んああっ、んくうう」
 私は、腰をいやらしくよがらせながら、絶頂が迫っていることに気づかされる。
「ゆたか、ゆたか」
 みなみちゃんの秀麗な顔が、興奮で紅く染まっている。
 私は全身汗まみれになりながら、ローターとみなみちゃんの激しい愛撫で頂きに登り続けていく。
「んはあっ、私、もう、ダメっ、いく、いっちゃうの! 」
「ゆたか、大好き…… 」
「あん、やだああ、はああ、はううっ、んあああああっ」

 全身が海老のように跳ねる。リボンがほどけて髪が千々に乱れる。
「はあっ、はあああっ、んはあああっ、んあああああ」
 ふいに尿意が生まれて、急激に高まってくる。
「だめ、もれちゃう、やだ、おねがい、もらしちゃうよ」
 身体の異変に恐怖を覚えて絶叫するけれど、もう、自分の身体を制御することができない。
「ゆたか…… ここでして」
 みなみちゃんは平然と残酷な事をいう。
「やだ、いやだよ。ゆるして、みなみちゃん、おトイレいかせて! 」
 必死になってみなみちゃんから逃れようと、身体をねじるけれど、撫をやめてくれない。

「ゆたかのシーシーしているとこ。みせて」
「嫌! そんなこと言わないで。お願い。本当にもれちゃう、もれちゃうよう」
 ベッドの上で頭をなんども振って必死に尿意を紛らわそうとするけれど、限界はとうに超えてしまっている。
「だめ、だめ…… 私、だめ、いっちゃう、もれちゃうよ」
「ゆたか。イッて! 」
「あああっ、んあああああ、もれちゃう、おしっこでちゃう、やああああああああ! 」
 となりの教室まで聞こえそうなほどに大きな喘ぎ声をあげる。
 我慢に我慢をさせられた末に、ついに私は頂上に達した。
 同時に、大量の液体が溢れ出して、保健室のベッドを汚していく。

「やだ、止まらない、止まらないよ」
 間欠泉のように、断続的に噴き出す潮に悲鳴をあげる。
「いや、いやあ…… やだあ、やだよ…… 」
 生温かい液体にお尻を浸しながら、私の視界はゆっくりと暗くなっていった。  

(続く)
4323-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/08(土) 20:31:43 ID:XjcYiDgk
続きます。

読んでくれた方、ありがとうございました。
ひさしぶりという訳ではないけれど、がっつりとしたエロが書きたかったので投下しました。
今回はみなみちゃんが攻めということで、ヤンデレ分を出そうとしましたが結構難しかったです。
では。
44名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 20:37:03 ID:BHrpyaPL
45名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 20:46:09 ID:xv0r+Du3
>>43
お久しぶり+GJ!
みなみはどこまでSなんだろうか、ワクワクして待ってます。
46名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 21:01:34 ID:l+ERuq1g
>>43
なぜだろう
今までゆたか攻め、みなみ受けばかり見てきた気がするせいか、ゆたか受けは新鮮に感じたw

とりあえずGJ !
47名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 21:30:06 ID:flPlLFIk
>>43
そういえばみなみ攻めってあんまりなかった!
カップリング表示を見ると色々と期待が膨らみます。ぐっじょぶ。
48名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 21:56:42 ID:24FWxB/w
>>15>>17
みゆきさん中心に書いていこうと思ってましたが、
リクエストにお応えして現在かがみ、つかさも混ぜた作品を執筆中です。
つかさは……まぁ、リクエストにお応えできるほどのものかどうか……

>>43
うぁー。僕もみなみ攻めのヤンデレもの書いてる最中だが、
レベルが全然違いすぎる……
GJ!後編どこまでヤンデレるのか楽しみです。


ところで、「こなた強制自慰」という作品を読んだのですが、
「崩れ落ちる日々」、「絶望の方角」と並んで評判悪いですね
(まぁ、一部好きという人もいたが)
確か作品中のかがみ達はこなたのことを毛嫌いしてましたね。
そこでこな☆フェチ患者の例の三人に出撃させてもらって、
強制自慰の三人を変態パワーでやっつける話ってのはどうでしょうか?
出来しだい投下したいのですが。
49名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 22:26:00 ID:r6mJWEuA
>>48
わざわざ他人の作品名を挙げて「評判悪いですね」と遠慮無く書き込んだり、
他作者の作風や設定を持ち込もうとするあたり、叩かれるのがオチだから止めとけ



…なんて上から目線のコメントされてやる気が出るか?
50名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:21:07 ID:tEZ6idWY
>>48
例え評判が悪かろうと、他人の作品を貶めたり、否定するような作品を書いたりしていい理由にはならんだろ。
51名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:22:00 ID:l3Z9W7CD
こなたマンセーはキャラスレでやればいいんじゃね
52名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:27:57 ID:xv0r+Du3
真面目な話、『他人の作品を悪意を持ってパロディした物』は自分を破滅に追い込むだけだからやめておけ。
その作品のファン(いない時もあるが)や他の書き手から徹底的に叩かれる。
53名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:33:32 ID:EOqxPT1j
普通、そういうものは他人に訊かずとも自分で良いか悪いかの判断がつくはずだけどねえ
本当にこの板を覗けるような年齢の方(実年齢も精神的年齢も)であれば
54名無しさん@ピンキー:2008/11/08(土) 23:53:13 ID:24FWxB/w
>>49-53

すみません。>>48の作品は破棄しました。投下もしません。
55変えてくれっ…この淀んだ空気を:2008/11/09(日) 00:14:27 ID:KYzUHouZ
ゆたか「私が受けに回るから流れがおかしくなるんだね……」
みなみ「ゆたか……目つきおかしい……」
ゆたか「この間違った流れを正さなければ!みなみちゃん協力してくれるよね?」
みなみ「ゆたか……やめ……や…うますぎ……アッー……」



かがみ「浮気&責めにまわるからこういうことになるのよ…
     やはりこなたは受けに回ってこそ華…
     というわけで…こなた、出てきなさい…」

こなた(ダンボール)「2人とも理屈おかしいよ……
     というわけで>>43はGJ。ゆーちゃん受けは久しぶりだ。
     加えて、私が責めというのも久しぶりだよ。
     この先も、是非期待させてもらうよ。
     はっ!やばっ、かがみが近い……カサカサ……」
56名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 00:33:23 ID:cPKzjBqL
>>55
最後の「カサカサ」で、かぶり物をした可愛いごきぶりこなたんが脳内ハイビジョンに浮かんだ。
脳内VHSの標準で録画した。
57名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 00:34:12 ID:cPKzjBqL
上げちゃったゴメン(´・ω・`)
58名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 01:19:30 ID:dXP9SzzE
>>56
某スレのこな虫思い出すから、ゴキブリコスはやめれ。
でも、ヒロインズがそろってゴキブリに変身する魔法少女ものがあったな、と思い出したり。
5955だが:2008/11/09(日) 04:00:25 ID:KYzUHouZ
すまぬ・・・カサカサではなくサササにすべきだったなあ・・・

俺の毒にも薬にもならないネタレスのために、
今度はこなた→Gの流れになるのは
こなた主義の俺としては非常に心苦しい('A`)
某場所で、こんな流れになってしまったため、
見るに堪えない状況になってるのもあったし。

できれば、皆にはあまりこんな流れにはなってほしくない所だ・・・
60名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 05:32:12 ID:3EBOyi+Q
ではまたまた流れを変えてみる。
ウィザードリィというゲームにらきすたメンバーが参加したら…(ちなみに職業が豊富な外伝バージョン、職業かぶり無し)

こなた:ロード
かがみ:侍
つかさ:サイオニック
みゆき:ビショップ
みさお:ヴぁルキリー
あやの:忍者
ゆたか:メイジ
みなみ:レンジャー
パティ:モンク
ひより:アルケミスト
白石:戦士
あきら:バード
黒井先生:僧侶


分からない人はスルーで、サーセンw
61名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 06:10:12 ID:QNIhNm9h
じゃあ同じく流れを変えて
アラド戦記というネトゲにらきすたメンバーが(ry

こなた:ストライカー
かがみ:バーサーカー
つかさ:バーサーカー
みゆき:バーサーカー

…アレ?
62名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 07:20:48 ID:kuwTVYcX
>>58
PQエンジェルズだっけ、題名失念した

こなた「人間になるためには、異性にちゅーをしなければならないのだよ」
つかさ「どんだけ…」
63名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 10:00:07 ID:PU4a48ZX
>>60
これまたえらい懐かしいものを。
ってか、「みさお:ヴぁルキリー」っておいw

>>61
みゆきさんはむしろ阿修…
64名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 10:40:39 ID:4cq7+jjP
じゃあ誰かSS書いた気がするけどFateネタで。
こなた:セイバー
かがみ:アーチャー
つかさ:ランサー(犬的な意味で)
みゆき:キャスター
みさお:ヴァーサーカー
あやの:アサシン
みなみ:ライダー
ひより:真アサシン(気配遮断的な意味で)

突っ込みはいくらでもカモーンってか真っ先にみゆきさん=キャス子が浮かんでしまった…
6529:2008/11/09(日) 12:44:53 ID:zWCIWjyn
やまとはこうの股間に吸い付きたい衝動を押さえつつ、
すぐさまこうのTシャツとブラジャーに手をかけ、力任せに捲り上げた。
胸がぶるん、とはずみ、露わになる。
やまと「はあ・・・!はあ・・・!」
やまとはこうの両足を持ち上げ、でんぐり返しの要領でこうの体を押し曲げる。
こう「や・・・やだ!///」
この体制からだと、こうは性器だけでなく後ろの方も、やまとからは丸見えになる、
あまりの恥ずかしさにこうは顔を真っ赤に染める。
しかし構わず、やまとはこうの性器に激しい勢いで吸い付いた。
やまと「ちゅううううう!!ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ!!」
こう「あ、ああああ・・・!!」
やまと「ぴちゃ、ぴちゃぴちゃ、ぴちゃ・・・!!」
6629:2008/11/09(日) 13:18:52 ID:zWCIWjyn
やまと「はっ・・・はっ・・・!
こう「やまと、やめて・・・」
欲望のあまり、爛々と見開かれた目、半開きの口、獣のような荒い息、
やまとは劣情のまま、こうの豊満な胸を、乳首を、ひたすら揉み、吸い、つまみ、転がし、しゃぶる。
やまと「ああっこう、こう・・・!」
やまとは、ずらしていたこうのブラジャーをはずし、はずしたブラジャーを右手で持ち、舐めあげた。
やまと「はあはあ、ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ・・・。こうのブラジャー・・・ああ・・・」
67名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 13:25:46 ID:L7VqTiHI
>>29
あ、1レス妄想じゃなくてSSだったんだ?
だったらちゃんとそう言って、全部書き終えてからまとめて投下するがいいよ
68名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 18:22:17 ID:7CC3SDQg
18過ぎてもニコ厨だとこれだよ!って流れだな
69名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 21:48:55 ID:lqnvOE3o
>>58
ピーリカピリララな東映魔法少女ですねwww
70名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 22:23:26 ID:gE6FqoA7
>>60
サイオニックてのがわからない
でも後は全部分かるw

黒井先生が僧侶は意外な気がするけれど、モーニングスターで敵をぶっ叩くイメージからかなw

こなたは格闘技経験者だからモンクとか忍者でも良かったかも
71名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 23:40:08 ID:jXSCn/mH
前に「こなたが万引きをしたら」というシチュネタがあったな。

あっという間にこな☆フェチに移行してしまったがなw
72名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 00:02:16 ID:WSb7qAlH
どの職業にしても、みさおはヴァからは逃れられない運命にあるようだな・・・w
73名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 01:33:20 ID:rz2Vm1u2
職業ネタがはびこる中で、もう勢いで書いたどうでもいいSSを一本投下。

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0158.txt

カッとなってやった。反省はしていない。でも後悔はしている。
74名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 01:47:43 ID:Zu66STG7
TS要素あり、ね
ちゃんと書こうよ、面白かったけど
75名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 01:50:43 ID:WSb7qAlH
とりあえず一言

お 前 い い 度 胸 し て る な

俺はこういうのは好きだが、
いや、正直続きがほしいくらいなんだがw
この手のは注意書入れなあかんやろwwwww










いらしたわね・・・この場所にはア○○イトとゲ○○ーズ、2つの
(中略)
伝説の・・・シフトですわ(おほほほほ)
76名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 02:13:03 ID:rz2Vm1u2
>>74
すみませんでした。うっかり忘れてしまいました。

>>73はTS成分が含まれていますので、気をつけてください。
77名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 03:06:10 ID:ZSCoTND4
>>73
これは続きを期待せざるを得ない
78名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 04:10:15 ID:4lkaGLaI
ずっとROMってきましたが初めて投下します。
(と言っても短いです……)
ので、投下前に注意書をば。

・2レスほど使用します。
・SSってよりは粗筋に近いです。
・と言っても続きを書くか未定。
(本当にいきなり来た電波を受信しただけなので)
・カプはかがみ&つかさ。
(続きを書くとしてもこの二人が核になると思います)
・その他特殊属性はありません。
(エロもありません、ごめんなさい)
・携帯からの投稿です。
(読みにくければご指摘よろしくお願いします)

なげぇな注意書き…それでは、
他なければ5分後に投下します。
79あなたのかがみ 第0話 1/2:2008/11/10(月) 04:17:08 ID:4lkaGLaI
柊家には代々、由緒正しき儀式かあった。
「かがみ、あなたの名前はね----」
 7歳の、最後の七五三の夜にお母さんが----
「人の心を、映す"鏡"になる力があるから、"かがみ"なのよ」
 生まれ落ちたその瞬間に、得た----持っていた"力"を教えてくれる
そんなおまじないみたいな"儀式"。

 嘘みたいな、本当の話。

 朝。
 目覚めて最初にする事は、妹----つかさが寝坊してないかどうかの心配。
 こんな日曜日の朝にまで神経が及んでるんだから、私は相当毒されている。
 双子の妹----柊つかさに。

「お姉ちゃん、起きてるー?」
 そうして"まったく、習慣てのは恐ろしいもんだわ"と、
苦笑いを浮かべた時、ドアの向こうからそんな声が聞こえた。
 日曜日。
 そう、今日は日曜日なんだよ、つかさ。
 サンデイ。
 そうなのよ。名探偵でも金色でもなく、無常を知るサンデイなのよ。
 あぁ、だからなのか。
 だけど、とうとう幻聴がしたのだ。こんなに空気が澄んだ11月の朝に----
 ……早起きすりゃそりゃあ気分は良いわよ。だけどつかさに限っては違う!
 雨の日も風の日も、日曜日となれば惰眠を貪って、目が覚めたら夕方でした。
 なんて日曜日の神様に
「お前もうのび太だよ、のび太」
なんて、なんとなく遠回しで切れ味の良い皮肉を言われるくらいに
"休日を無駄にする天才"のような妹なのよ!
 Sheep,Sheep……OH!my Sheepよ! カーステレオで寝息を録音した
テープでも流してまた眠ってしまえば良い!
 夢の中なら無限ループも怖くないわよ。
80あなたのかがみ 第0話 2/2:2008/11/10(月) 04:20:45 ID:4lkaGLaI
……だけどだけど、そんな惰眠伝説が……それが、
今、打ち破られようとしている。
 ……夜明け前の街は確かに動き始めていたのね!
 そうなのね、つよし! いや、つかさ!

「お姉ちゃーん、まだ寝てるのー?」
 長い独り言だった。
 そんな私の静かな感動はドアノブの向こうまで届くはずもなく----
案外、人の想いってこんなもんよね。内容云々じゃなくて。
「お姉ちゃーん、私はのび太じゃないよー?」
 ----届いてんじゃん。めっちゃ届いてんじゃん。
日曜日の神様の仕業か? そうなのか!?
 って言うかそこじゃないだろう否定するのは。

 あぁ、でも私もそのつもりだった。
 目覚めれば最初にあなたを迎えに行くつもりだった。
 日曜日だからっていつまでも寝てちゃダメよ----
なんてもっともらしい言い訳が必要なくなっただけ、今日は良い日だ。
 さぁ、いい加減に今日を始めよう。
 世にも奇妙な程、珍しい日曜の朝の原因は後にして。

 「はーい、起きてるわよ、どうしたの?」
 そんな私は鏡、柊かがみ。いつも誰かを反射して、反芻して、
映し出して、その気になって、独りよがりなただの姉。
 たった一人しかいないあなたのかがみ。

「んーとね、なんか目が覚めちゃって。えへへ。
お姉ちゃんは起きてるかなぁと思ったの」

 そう言ってドアを開けたのは司、柊つかさ。こんな私を支配して、
抱擁して、解き放って、癒してくれる、女神のような只の妹。
 たった一人しかいないわたしのつかさ。

 私たちの物語は----こんな日曜日の朝みたいな青天の霹靂に始まり、
 7歳のあの夜----そんな青天の霹靂で終わる。

 ともあれ、今日が素敵な日曜日になるだろう----そう思えたのは、
 小さい頃はドラミちゃんに憧れてたなぁ----
 なんて無邪気に笑う、あなたの笑顔を映したからかしら?

 私は鏡、柊かがみ。
 たった一人しかいないあなたのかがみ。
8154-78:2008/11/10(月) 04:27:41 ID:4lkaGLaI
以上です。ほんとに短くてごめんなさい。
ただ、続きが書けたら書きたいです。

かがみ×つかさが好きで好きで…初めての挑戦でした。

また続き書けたら来ますね。
それでは、ありがとうございました。
82名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 07:49:54 ID:jg+4VGod
>>81
ぐっじょぶでした。
携帯で長文を打つのはすごいなと思ったり。
どちらかというと「詩」みたいな文章で、とても不思議な感触を受けました。
かがみはつかさに対して、自分にはない癒しのような部分に対して、憧れを持っているのでしょうか?
よろしければ続きをお願いします。楽しみに待っております。
83名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 11:04:56 ID:cJsGARNn
>>81
GJです。
てかもしかして長渕剛ファンですか?
8411-685:2008/11/10(月) 22:15:37 ID:APR+ah8o
GJです↑↑
先程昔書いた自分の作品を聞いて久々に書いてみるかと書き上げました。
ただ、久々なだけあって稚拙ですがよろしければお読みくださいm(__)m
5分後ぐらいから投下します。
 
元気印の涙
 
みさお×かがみ
6レス使用予定
エロ無し
85名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 22:44:49 ID:L/3TtzAE
>>73
面白かったw
また書いてくれww
86元気印の涙1/6:2008/11/10(月) 22:58:31 ID:APR+ah8o
 
いつもと同じ
 
何事もない日になるはずだった今日
 
夕暮れの差し込む教室で
 
私は
 
たった今
 
………みさおに告白された
 
 
 
 
「よーひぃらぎぃ、今日暇か?」
 
帰り支度をしていると日下部が声をかけてきた。
 
「んー?残念だけど、これから委員会があるのよ」
「それって遅いのか?」
「結構掛かるかもね、なに?まさか待ってるなんて言わないわよね」
 
冗談で言ってみたけどあろうことか日下部は待ってると言い出した。
 
「終わったら教室来てくれよなっ、ひーらぎ!」
「はぁ、わかった。ちゃんと行くから待ってなさいよ」
 
日下部は「おうっ!」と元気な声で返事をして委員会へ向かう私を見送った。
 
 ― ― ― ― ―
 
委員会が終わったのはあれから1時間後が過ぎていた。
そろそろ外が暗くなり始めて、もしかしたら帰ってしまったかもしれないと考えながら教室へ向かった。
教室の前まで来た時、中から人の動く気配が無い事に気付いた。やっぱり帰ってしまったかと思いつつ確認のために声をかけた。
 
「くさかべー?」
 
扉の隙間から覗くと、
 
――いた
 
机をベットにして横になっていた。
その姿があまりにも無防備だっため、ふと悪戯をしてやろうと考えた。
出来るだけ足音を立てないように日下部の近くまで近寄り、顔を覗き込んだ。
少しの間、日下部の寝顔を堪能した後、どんな悪戯をしてやろうかと思考を働かす。
 
定番といえば顔にらくがきだけど、学校でそんなことをするのは流石に可哀相だ。
となると、どこかをこしょぐってやろう。やっぱりわき腹だな。前に私のわき腹をつままれた恨みを込めて。
 
そうと決まったら後の行動は早く自分の腕を日下部のわき腹に持って行き指を……
 
ぷにっ
 
87名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 23:37:59 ID:T+uTseFD
おや?
規制?
なんかトラブルなようですね……
88元気印の涙2/6:2008/11/10(月) 23:50:09 ID:APR+ah8o
「ひゃわっ!」バン!
「うひゃ!」ガタンッ!
「いてっ」

わき腹をつまんだ瞬間、まず日下部が奇声と共に机を叩き出した。それにビックリした私は後に仰け反り、椅子ごと床に倒れた。

「な、なんだ、なんだっ!?……なんだぁひいらぎじゃねーか」
「ッ……今のは私も悪かったけどアンタもなんでこんな所で寝てるかなぁ」

体勢を直しつつ日下部に聞いた。

「いやー思ってより遅くて暇で暇でつい寝ちまった。て言うかひいらぎは私に何したんだ?」
「わきこちょしてやったのよ。そしたらアンタ変な声出すもんだからビックリして私が後ろに倒れちゃったのよ」
「うわーだっせーのー」
「うっさい、大体アンタだって無防備過ぎるのよ、少しは気をつけなさいよ」

日下部はさっきまで寝ていた机に座り、私は倒した椅子に座って本題に入ろうとした。

「…で、何の用なの?こんな遅くまで待つなんてよっぽど重大そうだけど?」
「あ、あぁ、別にそんなじゃねーよ。ひいらぎに聞きたいことがあったからさ」
「ふーん。で?何聞きたいの?」
「………」
「?……」
「………」

もじもじしたまま何も喋らなくなった。しかも時間が経つごとに明らかに日下部の頬が赤くなってきているのがわかる。よっぽど恥ずかしいことなのだろうか。

「どうしたのよアンタらしくない。言いたいことがあるなら言っちゃいなさい」
「…おう」

日下部の目が据わってる。ちょっと怖い…

「あのな、ひいらぎ、は…好きな奴とか…いる、のか?」

―は?

「どうしたのよ、アンタからこんな話し出すなんて」
「どうなんだひいらぎ!」

まさか日下部がこんな話をするとは思わなかったからビックリしていたが、本人は真剣らしい。

「まぁ、いないわよ……ん?誰かに頼まれたの?」
「いや……うん、そうなんだ」
「どっちだよ!全く、アンタに頼むなんてその子も馬鹿よね」
「だ、だよな!あはは…」

何か変だ。多分他にもあるんだろうな。

「……他にもあるんでしょ?」
「……え?」
「峰岸ほどじゃないけどアンタとは中・高と一緒だったんだからそれ位わかるわよ」
「そっか……うん……あのな、いきなりこんなこと言ってビックリするかもしんねーけどな、アタシ…」

「ひいらぎが……好きだ」
89名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 23:51:36 ID:rmtZsEps
>>86
1行目を空白にしてませんか?
書きこみが消えてしまうことがありますよ。
9011-685:2008/11/10(月) 23:55:05 ID:APR+ah8o
え〜っとこの作品は私の友人がパソコンから投下するはずだったのですが、今カキコミが出来ないらしいので代わりに携帯から投下しています。
なので投下が遅くなってしまいました(>_<)
続きは明日書かせていただきます。
91名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 00:07:44 ID:uXEckd7m
なんという焦らしwww
まぁ楽しみに待ってるよ
92名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 00:11:58 ID:inLvnx9B
>>90
見当違いなこといってすみません。
続きを楽しみにさせて頂きますよ。
93名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 00:16:45 ID:8QuU5U13
代理投稿とか無茶なことはせずに、避難所に投稿か、専用アップローダにtxtでうpしたほうがベターかと
(避難所とアップローダは>>1のwikiから行ける)

無理にこのスレに投稿しなくても、上記の方法なら保管庫にちゃんと保管されるから
9454-78:2008/11/11(火) 00:21:10 ID:QsbTE60Y
昨日唐突に投下した54-78です。
続き(1話だけですが)が出来たので投下しに来ました。

>>82
ちゃんと書けてるか不安ですが、
その辺りの事情を1話で書いてますので
よろしければ読んでみて下さい。
>>83
ファンって程でも無いですが、"昭和"と"Jeep"
が大好きなんですw>>90
楽しみにしてます!みさお大好きなので。

それでは、他になければ5分後に投下します。
9511-685:2008/11/11(火) 00:30:25 ID:BIlaJhC2
>>93
アドバイスどもです(^^)
明日友人に言ってみます。
9654-78:2008/11/11(火) 00:32:19 ID:QsbTE60Y
ほい、それでは投下前の注意書きをば。
・8レスほど使用します。
・かがみ×つかさ(エロ分はそんなに濃くありません)
・多少、オリジナル設定もあります。
・携帯からの投稿です。
(読みにくければご指摘よろしくお願いします)
・昨日投下した0話から読んでもらえると
より楽しめるかもしれません。
・ちょっと一人語りが多いので苦手な方はスルーして下さい。

それでは、
あなたのかがみ 第1話 「つかさ、早起きの理由」
どうぞ!
97"つかさ、早起きの理由" 1/8 :2008/11/11(火) 00:34:30 ID:QsbTE60Y
子供の喧嘩----を、この前、学校からの帰り道で偶然目撃した。
 内容はそれこそ無いようなものだった。
 単なるすれ違い。
 だけどその子達はそう自分にさえ言い聞かせる事も出来ないまま、
互いの気持ちを荒々しく声に出し、蹴りを入れ、叩き合っていた。

 思わず声をかけてしまいそうになった。
 名前も知らない子達の喧嘩を止めそうになった。
 ----止めなさい、と。
 それが実際に声にならなかったのは勇気がなかったからなのか、
それともそんな善人ぶった真似をしようとする自分が嫌だったのが、
それは今になってはもう分からない。
 ただ、何度も何度も振り返った。
 すれ違い様に、遠くなっていく小さな背中を----
 見えなくなるまで何度も何度も……振り返った。

 "子供の喧嘩"と言う言葉は、おおよそにして大抵、大人同士の醜い
争いに向けて言われるものだと、私は思っている。
 お互いが、そして誰もが人の話を聞かず、そして真実を言わず、
 都合の良い罵り合いをしている様を"子供の喧嘩"と言ってしまったら
"子供に失礼だ"とも、思うけれど。

 だから。
 だから、私は弁護士になろうとしている。
 都合の良い言葉を並べて正直な人を罵る、そんな奴を真っ二つに
してやりたいと、思っている。
 誰もが浮かべるうすら寒い笑顔の下の本性を、映すようになった、
映してしまうようになってしまった7歳のあの日から、ずっと。
 あの時も、振り返りながら、そんな事を思っていた。

 矛盾。しながら。
98"つかさ、早起きの理由" 2/8:2008/11/11(火) 00:37:22 ID:QsbTE60Y
7歳の、最後の七五三の夜に目覚めたこの力は、次の日の朝から
もう早速、私を支配するようになっていた。
 朝。
 食卓に並んだ家族の顔を眺めると、とても、とても愛しくて堪らなくなった。
「おはよう」
 と、笑う父さんと母さん。
「おはよー」
 と、ご飯を食べているいのり姉さんとまつり姉さん。
「うみゅう」
 と、まだ半分夢の中を旅しているつかさ。
 そのどれもが愛しい。いや、愛されている事を、私が映していたのだ。

 素晴らしい力だと思った。
 こんな力があれば、どれだけ毎日楽しいだろう、そう信じた。

 だけど、それは私の思い違いだった。

 小学1年生。
 そんな頃に他人の好き嫌いはあるものか、とそう思いたいけど
実際はそうじゃなかった。
 むしろ、小学1年生だからこそもっと感覚で----生理的な部分のみで
自分以外の誰かを判断するそんな残酷さがあった。

 その日から仲の良かった隣の席の女の子と話さなくなった。
 ----あの子が私と話したくない、という気持ちを、
私は映してしまったから。
 その日から私は担任の先生も嫌いになった。
 ----先生が私を嫌う気持ちを、私は映してしまったから。

 そんな風にして、閉ざして、素直さを失った私が学校で
全く話さなくなるには10日もかからなかった。
99"つかさ、早起きの理由" 3/8:2008/11/11(火) 00:39:39 ID:QsbTE60Y
でも、つかさは。
 つかさだけはそうじゃなかった。
 いつも私に引っ付いて、甘えて、泣き虫で、ドジで----
 だけど私を愛してくれていた。
 どんな時も、四六時中私を愛してくれていた。
 その想いも、私の心は映した。
 わたしもつかさを今まで以上に愛してしまっていた。

 それがただの"家族愛"ではない事に気付くまで、9年もかかったけれど。
 その時からつかさは、私にとって一番特別な存在になった。


 本題。
 つかさが珍しく早起きした11月のある日曜日の朝。
「いや、もう、ほんとにたまたまで」
 と、頬をかいていたつかさと私は、朝ごはんの為に食卓に降りた。

「おはよう、かがみ……つかさ?」
「おはよう。そうよね、そりゃお母さんもそんな顔になるよね」
 漫画みたいに頭から"?"が出ている。当然のリアクションだ。
 いつもなら私一人だもの。
「つかさはちょっと早起きするだけで珍しいもんね、
のび太がとる65点みたいに。」
「む〜。ひどいよお姉ちゃん。それになんで私、さっきからのび太君なの?」
「それは……」
 ----日曜日の神様が言うからよ。とは、言わなかったが。
 案外的を得た表現だと思う。"のび太がとる65点"ってのは。
100"つかさ、早起きの理由" 4/8:2008/11/11(火) 00:42:20 ID:QsbTE60Y
「あっ、そう言えばお姉ちゃん。今日はお昼からこなちゃんが来るんだよ」
「あぁ、昨日言ってたわね。ま、あいつの事だから昼って言っても
夕方に近い時間になりそうだけど」
「あは、また朝までネトゲがー! って?」
「そうそう、野球中継がーアニメがーって今日も来たら言うわよ、あいつ。
昨日遅くまでやってたもんねー、日本シリーズ」
「お姉ちゃん……私たち……」
「ん? どしたの?」
 そんなに見つめて……何か良いことでもあったの?
「……ずいぶん染まっちゃったね」
 おかずの塩鮭をほぐす手が止まった。
 ----誰に? とは聞けなかった。


 朝食が済んで部屋に戻ると、早速、参考書を開ける。
 受験前の11月。
 センター試験までいよいよ2ヶ月を切ろうとしている今の時期に、
 本当はこなたと遊んでる暇なんて無いのかもしれない。
 もっともっとやらなければ、叶わないのかもしれない。

 だけど、人の心をそっくりそのまま映す"鏡"を持ってしまった
私にとって、純粋に好きだと言えるこなたやみゆき、そしてつかさの存在は
 何事にも代えがたい大切な人たちなのも、本当なのだ。
 みんなのお陰で、落ち着いて勉強できるのよ----
 なんて、言い訳もしたくなるほどに。
 それに"遊びたい"と想われたら、私も"遊びたい"と想ってしまう。
 "好きだ"と想われたら、好きになってしまう----
 そんな私の"鏡"が、理性を押し退けて
厄介な事態を引き起こしたこともあったけれど----
 それはまた別のお話。
 それにまたもうすぐ厄介な----いや、違うな。厄介だなんて思ってない。
 むしろ嬉しい。
 そんな出来事がもうすぐドアの向こうで……
101"つかさ、早起きの理由" 5/8:2008/11/11(火) 00:44:42 ID:QsbTE60Y
「お姉ちゃーん?」
 ほらね。
 声色の、雰囲気の、違い。
 それはドアの向こうからした声だったけど、私にも分かっていた"違い"。
「入るよぉ?」
 確信していた。その恐る恐る、ドアノブが回る感じ。
 あなたが、何を望んで、ここに来たのか。
「ねぇ……"かがみ"おねぇちゃん……」
 日曜の朝に早起きした理由----それは土曜日の夜に"何も"無かったから。
 早起きしたんじゃなくて、眠れなかっただけなのね。

「おいで……つかさ」
 最初から、全部知ってたよ。
「意地悪だった? 気付かないふりなんて」
「ううん……平気、だったよ」
 ベッドにもたれ掛かった私を、右手の指を絡めて押し倒す。
 優しく。
 左手は私の頭の後ろを抑えながら。
「どうして嘘つくの?」
「だって、いやらしい子だって……思われたくないもん」

 力を。
 私の力を知っていてつかさが嘘をついたのは、きっと本当に
そう思ってくれているからだろう。
 私の身体が全部、ベッドに横たわると力一杯に抱きしめられた。
 左耳に息がかかる。
 吐息。
 甘くて、このまま心臓まで一つになってしまうような感覚。
 ----あぁ、ごめんね。我慢させちゃって。
 私は伸ばしていた右足を曲げ、つかさの足の付け根の方へ擦り合わせた。
102"つかさ、早起きの理由" 6/8:2008/11/11(火) 00:46:37 ID:QsbTE60Y
「ふぅっ……ん……」
 熱い。
 どんどん広がるように熱が伝わってくる。つかさの体温と、吐息になって。
「お姉ちゃ……んっ。キス……キスしよう?」
「良いよ……キスして? つかさ……」
「……んふぅっ、お姉ちゃん……だめぇ。足止めてぇ……っ!
キスできないからぁ……あぅんっ……」
「……止めて、いいの?」
「んんっ……お姉ちゃんのいじわるぅ……はぁっ!」
 白いワンピースの奥の熱をまさぐるように足を擦り合わせて、
耳元でわざと息がかかるように言う。
 耳が弱いと知っているから。
 もっとしてほしいと映しているから。
「はぅ……っん! ダメだよぉ……いっちゃうよぉ……あぁっ!」
「いって……いって良いよ、つかさ」
 血が燃える。
 頭の奥まで熱に侵されていく……
 もっと。
 もっと震えて、もっと気持ち良くなっていいんだよ。つかさ……
 熱をちょうだい。もっと奥まで、深くまで、私が届くように。
 擦り合わせるスピードを上げていく。
「だめぇっ……! いく、いっちゃうよぉ……!」
 ほら、いっちゃえっ!
「あぁっ! ふあぁぁぁっ……!」
103"つかさ、早起きの理由" 7/8:2008/11/11(火) 00:48:42 ID:QsbTE60Y
午前10時30分。
 つかさはまだ私の上で余韻に浸っている。
 日曜日の朝っぱらからこうして私は勉強をほっぽりだして
つかさともつれ合った。
 受験生失格? なのかもしれない。

「そう言えばお母さんたちは?」
「うぅ……うんとね……お母さんとお父さんは神社で……
いのりお姉ちゃんとまつりお姉ちゃんは出掛けたみたい……」
「あぁ、そうなんだ」
 色っぽい声で報告どうもありがとう。
「ねぇ……お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「いつから分かってたの?」
 いつからって……そりゃ、
「つかさが朝、この部屋に来た時からよ」
「やっぱりなぁ……今日は気付いてないかもって、ちょっと思ったのに」
「それは無いわね」
「え〜! ひどいよぉ……」
「だって……」
 ----7歳の七五三の夜から、ずっと。
「だって?」
 ----高校1年の冬も、高校2年の夏も。
「つかさがもし来なくても……」
 ----そして今も。
「……私から行ってたもの」
 ----あなたの想いを、私は映してきた。
「ふにゃ? どうゆうこと?」
 好きよ、つかさ。
「そういうことよっ!」
「えぇ〜。わかんないよぉ……」
104"つかさ、早起きの理由" 8/8:2008/11/11(火) 00:51:44 ID:QsbTE60Y
ベッドに向かい合って座り、"わかんない"と"そういうこと"を
それぞれ8回ずつ繰り返した----午前10時40分。
「ねぇ、つかさ」
「ん? どうしたの、お姉ちゃん?」
「こなたが来るまでまだ時間あるわね」
「えっ……と、うん……そうだね」
「キス、しよっか」
「……キスだけ?」
「……ぜんぶ、したい」
「……うん。しよう? "かがみ"おねぇちゃん……」

 今度は私から、畳み掛けるようにつかさを押し倒す----
 頭の中で、お昼までに何回出来るかしら……
 なんて計算しながら。
 そして外国のドラマのように勢い良く倒れ込むと、
 机の上の参考書が白旗を挙げるように、ぱたぱた揺れている----

 "青春"と言う言葉が頭をかすめた。
10554-78:2008/11/11(火) 00:55:40 ID:QsbTE60Y
あなたのかがみ 第1話 "つかさ、早起きの理由"
以上です。
時間がかかってごめんなさい。

とりあえず1話書けてよかったですが、難しい…
何分携帯からなので読みづらかったり
他何かあればご指摘よろしくお願いします。
とにかく続き書けるよう頑張ります。

それでは、ありがとうございました。
106名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 01:15:56 ID:5WfIX/b8
>>64
こんだけ合体すればもうちびっこじゃない
107名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 02:30:01 ID:19EultsV
みなさんGJ〜
ここで、SS執筆に役立つ?本誌最新情報。

・こなたはみさきちと同じ大学、同じ学部(あまりレベルは高くない学校らしい)
・あやのも比較的近いロケーションにある大学
・その際のかがみの反応から、こなたとかがみの大学は(残念ながら)違う模様orz。ロケーション等は不明
108名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 02:43:17 ID:32UncUkx
らきすたの時間経過で、ももいろシスターズ思い出す俺は異端ですか?
109名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 03:20:47 ID:bfC7dSwo
「まあ、私の勉強ペースを考えたら、みさきちと一緒ってのが一番順当だよねー(≡ω≡.)」
「うぐぅ・・・その発言、なんとなく屈辱的に聞こえるのはなんでだZE・・・」
「うおっ!これはぁ!マイナーとよばれたカプの1つ、
 こな×みさの実現ッスかあ!クウウウウウウウ!!!!
 …って、なんかものすごく冷たいオーラが後ろから・・・
 こ、これはこれはかがみ先輩・・・ど、ドシタノデスカそんなにお怒りになられて・・・
 まあまあ落ち着いて話し合アッーーーーーーーーー!!」
110名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 04:13:48 ID:inLvnx9B
>>105
ぐっじょぶ!
かがみとつかさが溶け合うように絡んでいますね。
思ったよりシリアスで、ぴんと張り詰めたような空気を感じました。
文章も丁寧に作りこまれていて、個人的にはかなり好きですよ。
続きをとても楽しみにしております。
111名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 06:54:01 ID:Tc7Wjbb0
>>105
GJ!
双子が体を重ねる描写が丁寧で、シリアス風な本題のSSなのに
萌えてしまいました。
続き期待です

>>107
つかさは専門学校か大学かはまだ不明のままかな?
112名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 09:50:23 ID:CcUX56Yg
>>111
確かコミック何巻か忘れたけど、
料理を学ぶために専門学校に行くとか書いてた気がします
113名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 09:55:00 ID:ZQOdvYep
こなたとみさきちの大学、今月号のコンプを見る限り
モデル校公開フラグへし折っちゃってるなぁ
114名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 09:59:31 ID:mMIqvBIU
>>105
GJ!素晴らしい!
惜しみ無い賞賛をあなたに送りたい

ちょっとシリアスな雰囲気と二人の密な関係がすごく上手に表現できてるね
過去描写も丁寧だし、今までつかさとどんな経緯があったのかつい想像してしまったよ

それにエロ濃くないって言うが露骨なのよりよほどエロいぞ
眠れないほど恒常化してるなんて…かがみ頑張りすぎだww
11511-685:2008/11/11(火) 10:22:15 ID:BIlaJhC2
昨日の続きを書かせていただきます。
116元気印の涙3/6:2008/11/11(火) 12:35:48 ID:BIlaJhC2

私は頭を抱えた。
今なんて言った?

「ゴメン日下部、もう一回お願い」
「な、何度も言わせんなよぉ......だから...ひぃらぎが......好き、だっ!」

顔赤らめて少し上目使いで告白してきた。
やばっ、私が男ならイチコロだったかもしれない。

「だって私たち女同士だし、」
「分かってるけどアタシッ」
「それに普段アンタの事ほったらかしなのに......なんで?」
「……」

私と日下部の間に気まずい空気が流れた気がした。

「...アタシだって知らないよ」

まるで開き直るかのように

「でもな!」

気持ちをぶつけるように

「アタシはいつの間にかひいらぎが!」

でも、言葉に出来なかった感情が

「好きなんだよっ!」

涙になってしまったのかもしれない

「ううぅ〜、ひいらぎなんて嫌いだ」
「どっちだよ、おい」

日下部が私にもたれ掛かって来た。女の力で支えるには少し重い位だった。

「あーもーしょうがないなー」

泣き出した日下部を抱きしめて背中をさする私。
日下部も私に抱きついてきた。

と、思った次の瞬間

「んっ…」
「……んんっ!?」バンッ
「ぎゃっ!」

ビックリして思わず日下部を突き飛ばしてしまった。

「な、な、なななな何すんのよ!」
「何ってチューしたんだよ」
「じゃなくって、なんでキ…キスとかするわけ?」
「…ひいらぎが好きだから」

―実に直球かつ簡素な答えをどうもありがとう。

117元気印の涙4/6:2008/11/11(火) 15:03:34 ID:BIlaJhC2

ヤバイ、声に艶がある。下手したら襲われる。
逃げようと右足を一歩踏み出した時にはもう

「つーかまーえたー」

捕まってしまった。

「ちょっと、しっかりしなさいよ。ねぇってばっ!」

引き離そうとするも、とんでもない力で締め付けてやがる。

「んん〜〜」

またキスしようとしてきたので思わず、叩いてしまった。

パンッ!

「……」

左手がヒリヒリする。

「…ゴメン、でも落ち着いた?」
「……あぁ、そうだな。落ち着いたよ」

酷く落ち込み、日下部の右頬は私の叩いた後で赤くなっているだけだった。

「…アタシって最低だよな、いくら好きだからって無理矢理したら嫌われるに決まってのにな」

日下部も目には今にも溢れ出しそうなほど涙がたまっていて、いつもの元気を一片も感じられなかった。

「あ……」
「じゃ、じゃあなひいらぎ!また明日な」

逃げるように帰ろうとする日下部を止める術はないかと頭を動かした。

「待ちなさいよ!」
「なんだよっ」
「アンタ、私にあんなコトしときながらただ謝っただけで許してもらおうと思ってるわけ?」
「ッ!……」
「……行動で示して欲しいわね」
「……なに、すればいいんだ?」

今のは日下部はとても普段のアイツからは想像も付かないほどしおらしかった。

そして、可愛かった。

こうも可愛いと冗談で言ったこの言葉も本気でしてもらおうという加虐心が芽生えてしまった。

「そうね……その机でねているだけでいいわ」
「え?それだけでいいのか?」
「えぇ、アンタはそれだけやればいいから」
「わかったよ……」

日下部は私の言葉に従って縦に二つ並んだ机に横になった。従ったはいいが何をされるか気が気ではない日下部の顔は不安でいっぱいだった。

「な、なにする気だ?」
「怖かったら目つぶってていいわよ」
「怖いから遠慮する」
118元気印の涙5/6:2008/11/11(火) 15:17:21 ID:BIlaJhC2

じと目で遠慮した日下部。で、私はというと自分の両手を日下部のわき腹に持ってきた。

「さっきは出来なかったからね、もう一度やらせてもらうわよ」
「な、何のことだよ」
「えいっ!」
「ちょ!おまぁ、なに、あっはははっ、やめろっ、あははっ」
「止めろと言われて止める馬鹿じゃないわよ私は」

2分ぐらいわきこちょをしていたら、日下部が笑い死しかけていた。

「はっ…はっ…はっ……あー…」
「…大丈夫?」

流石にやりすぎたか?

「…はっ、このくらい……いくら、でも、平気だっ!」
「強がるじゃないの、ほら」

日下部の乱れた服をポンポンと払い、直しに掛かる。暴れ回ったせいでシワシワになっていまった。

「…へへっ、なんだかんだ言って、やっぱひいらぎは優しいな…」「ちょっ、へ、変なこと言わないでよ…」

さっきは好きと言われたのに、たったこれだけで照れるなんて、どうしたのかしら私。

「ほ、ほらもういいでしょ」

回復しかけた日下部に手を差し出す。その手を取ると立ち上がる日下部。

「……」

パッ、パッ、

「……」

自分で乱れている服を直している間、私達は何も口を開かず、無言だった。

「…帰ろうか」
「…そだな」

私達は自分のカバンを持ち、教室を後にした。
119元気印の涙6/6:2008/11/11(火) 15:29:10 ID:BIlaJhC2

誰もいない、長い学校の廊下を私と日下部と二人で歩いている。

「……」
「……」

そんな時も私達は無言だった。いつもうるさい日下部も流石に堪えているらしい。
でもこの空気に、私は耐えられなかった。
だから無理矢理話を切り出した。

「…アンタはさ」
「ん?」
「バカっぽくて、うるさくて、同じ女を好きになってるヤツだけど」
「みゅう…」
「でも……でも!私は…アンタのこと好きだよ」
「えっ…」
「あっー!待って、友達としてだからね、いい?」
「あ、あぁ…」
「でも、たまになら峰岸だけじゃなく、私に甘えてもいいんだからね」

日下部の目と口は大きく開いて、いかにも嬉しそうな顔をしていた。

と、いよいよ校門前。つまり、ここでお別れになってしまう。

「じゃあね」
「あぁ…」

また落ち込んでる。

―そうだ、最後にビックリさせてやろう。

「また明日ね……みさおっ!」

出来るだけ最後の笑顔でみさおにさよならをした。

「…お、おう、じゃーなかがみっ!」

大きく手を振り、満面の笑みでみさおも私にさよならをした。


――――終わり――――
12011-685:2008/11/11(火) 15:34:03 ID:BIlaJhC2

お読み頂いてありがとうございました。
最初エロ有でいくつもりだったのにみさおを叩いたところから軌道がズレてこんな風になりました。
無事に着陸出来るか心配でしたが、でもこれでよかったかな?と、思っています。

だそうです(^^)
代理投稿も楽ではないですね〜(苦笑)
というか、微妙にミスってしまった…OTL
12154-78:2008/11/11(火) 16:20:35 ID:QsbTE60Y
>>120
GJ!みさおの純情っぷりが良いですね。
前後不覚に陥った恋って感じがしてとても好きです。

それにしても、いやはや…拙作「あなたのかがみ」
に温かい感想を頂けてとても嬉しいです。
柊姉妹の愛って激情よりも、それこそ家族愛の深化系
のようなものだと思っていて…それが巧く表現
出来ていたら幸いなのですが。
本当に皆さん、ありがとうございます。
と、言うわけで早くも第2話が完成しました。
差し支えなければ、5分後より投下し始めます。
12254-78:2008/11/11(火) 16:30:57 ID:QsbTE60Y
それでは投下前に注意書きをば。
・6レスほど使用します。
・かがみ&つかさを核に構成しています。
(今回エロはありません)
・コメディ&パロディ満載です。
(前回のシリアスが嘘のようです)
・多少、オリジナル設定もあります。
・コメディが行き過ぎてキャラが壊れてるかも…
なので苦手な方はスルーして下さい。

それでは、
あなたのかがみ 第2話 "深読み狂詩曲"
投下します!
123"深読み狂詩曲" 1/6:2008/11/11(火) 16:33:39 ID:QsbTE60Y
昔、それも小学生の頃にたまたま聴いたラジオ----確か声優さんの。
 そのラジオで"おっぱいがいっぱい"と言うなんともまぁ
親が聞いたら血の涙を流しそうな歌が流れていた。
 その頃はその"おっぱいがいっぱい"と歌う女性の声に
つかさと二人して
 "二つしかないよねぇ?"
なんて首をかしげていただけだったが、
 そんな私たちにも月日が流れ、知識と羞恥が比例して積み重なるうちに、
花も恥じらう高校3年生になって、
 "なんて恥ずかしい歌なんだ!"
 と、私はほぼ10年越しの驚愕を手に入れていた。

 だけどたぶん10歳くらいだったであろう当時の、それこそなんでもない
こんなエピソードを、どうして18歳にもなった今、思い出したのか。
 ----要らん知識と羞恥まで持ってしまったから今、だからである。

 百合。
 きれいな白い花だった。
 だけどある日、耳年増でヲタクで猫口でロリで、やっぱりロリな
友達----うん。友達に教えられてからはもう白い花ではなくなってしまった。
 "女性同士の性愛"
 そんな意味を持つと知った高校2年生の夏。
 私とつかさはそろって咳込んで、顔を赤らめていた。
 まさにストロベリー・パニック。
 恥ずかしいだけじゃなく、私とつかさの頭の中には
正しく一面百合畑で、ストロベリー・パニックな思い出が山ほどあったのだ。
 親に知られたら、おそらく泣かれるであろう程の。

「お母さん、あたしね、新曲を出すの」
「へぇ、良かったじゃない。なんて歌なの?」
「----おっぱいがいっぱい」
 よりも、親を泣かせる----血の涙を流させる自信が私たちには、あった。
 だからそれ以来、"百合"と聞くとなんだか後ろめたいから、
とっさに白くて綺麗な菊の花を思い浮かべることにしている。
 ----ん? 菊って……
 ……。
 ……"雛"菊を思い浮かべることにしている。
124"深読み狂詩曲" 2/6:2008/11/11(火) 16:37:46 ID:QsbTE60Y
「おい、喧嘩売ってんのか」
 そんな直球でいけない私----柊かがみのツッコミ、
いやもう指摘だな----から今日のお話は始まる。

 さて、そんな私に喧嘩を売った、とされ、
今もちゃぶ台はさんで向かい側に小さな身体でちょこんと座り、
いつもの猫口でニマニマしている泉こなたはヲタクである。

 それこそ、さっきの"おっぱいがいっぱい"が
〇ヴァでア〇カをやってた人が歌っていた事を教えてくれたのも彼女だし、
その上、嬉しそうに小学6年の冬、大阪の山のてっぺんにある遊園地まで
その人が出てるカウントダウンイベントを見に行った、とまで
付け足すほどのヲタク、と言うか勇者なのである。

 普通行かないよ? コミケ終わりで大阪、しかも電車とケーブルカーを
乗り継がなきゃいけないような遊園地なんて。

 そんなわけで勇者、ヲタク、ロリと、アキバ系総合商社の名を
欲しいままにしている彼女----こなたにどうして私がキレているのか。

「だって、最近流行ってるんだよ、百合」
「だからって、お尻に百合がプリントされたパンツを渡す奴がどこにいるのよ」
「……菊の方が良かった?」
「よくないわよ、って言うか何その踏み絵。
これで恥ずかしくなったらあなたは変態! ってか?」
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」
「恥ずかしいわ。パンツじゃなくても恥ずかしいわ。
って言うかあんまり時間軸が混乱するネタを入れるな。
それが流行る頃にはもう私達大学生になってんだから。2007年秋、ね、今は」
「変なメタネタは嫌われるよ、かがみん」
「……! あんたのせいでしょうがぁぁぁー!」

 ……さて。珍しくつかさが早起きして、いや正しくは違うのだけど----
 結局あれから昼過ぎまでいちゃいちゃ、しちゃったしね……。
 ともかく。
 日曜日の午後3時30分。
 11月の温い太陽が差し込む私の部屋にこなたは遊びに来ていた。
 ちなみに部屋に来てから"ネトゲがー"を4回、
"日本シリーズ延長によるアニメの時間変更への恨み節"を、たっぷり1時間、
 "西武日本一おめでとう"をおざなりに一回。
 おい、だからって声優の中村悠〇を"おかわり君"って呼ぶのは辞めろ。
 ちょっと巧いし。
 それになんかいろいろ……ハマりすぎてるから。
 と、見事に予想通りな行動をとってくれたこなたさん。
125"深読み狂詩曲" 3/6:2008/11/11(火) 16:41:36 ID:QsbTE60Y
そんなこなたさんは、
「ちょっと渡したいものがあるんだ〜。むふふ」
 などと、わざわざ家を出る前に電話まで、
(しかも情事の余韻真っ只中だった私たちを叱るような見事なタイミング)
で、かけてきて言うもんだから。
 私は----これは何かあるんじゃないか。
 なんてやっぱりちょっと期待していたのだ。
 誕生日でも無いのに、何をくれるんだろう----と。
 ……今思えば、ちょっとでも期待していた私がバカだった。

 よりにもよって、渡されたものは百合がプリントされたパンツ……
 しかも2枚、つかさの分まで。
 ……もうなんかいろいろ通り越したわ。こんなもんを渡す為に
わざわざ家まで来たこなたにありがとうと言いたくなるくらいに。

「もうね……負けたわ、こなた。あんたのその発想には負けた」
「むふふ。1日かかったんだよー? それが一番伝わりやすいかな、って」
「確かにね、あんたのそのバイタリティは良く伝わったわ」
「そうかなー? いやぁ、なんかオラ照れるぞ」
「そのモノマネは止めぃ! マジでシャレにならんから!」
「おのーれ」
 つかさどうした。
 ……モノマネか!? モノマネで勝負したかったのか!?
「……ところで、ひららぎさん?」
「……私は春休みに吸血鬼に襲われた覚えは無いけど?」
「……じゃあ、藤林さん?」
「何その人生。双子で髪の色が一緒でちょっと
キャラかぶってるくらいしか共通点無いじゃない」
「それだけあれば充分だよかがみん……」
「あーもう! さっきから要領得ないわね! どうしたのよ、一体」
「私も百合だよ、かがみん」
「はい?」

 疑問符。
 納得。
 相反する二つが私の中を巡った。
 ----あぁ、だからあんた今日スカートだったのね。
 巡らせた頭に新しい情報。
 刺激。に、近いもの。
 急に立ち上がって背を向けたこなたが、私に、
そしてとっくに話についていけなくなって、
スタンバイモードに移行していたつかさに向かって、
背を向けたまま、短めのスカートをひらり、仰いで見せた。
126"深読み狂詩曲" 4/6:2008/11/11(火) 16:45:54 ID:QsbTE60Y
「かがみとつかさ、二人と……私も同じになりたい」

 そう言ってスカートの隙間に見えた百合の花----あぁ、きれいな白い花。

「二人が大好きだよ、かがみ、つかさ。」
 そんな事を言う為に。
 目の前の少女は私たちに晒して見せた。軽やかな指でつむじ風を起こして。

 "私たちと、同じになりたい"と、言った。

 あなたは此方、泉こなた。
 爽やかで、可憐で、いつもそばにいる、そばにいてくれる小さな花びら。

 "私たちだけの、花になりたい"と、言った。

 あぁ、これは読めなかった。
 私の力は、こなたが私を"女としてみている"気持ちしか
映していなかった。
 まさか、つかさまでまとめて手に入れたいと思っていたなんて……
 そうなると私の力が完全には及ばないのも説明つくわね。
 私の力は、"私にだけ向けられた"想いしか映せない。
 こなたは、"私たち二人"を一つの愛で、愛していた----
"一つ一つの愛"ではなく、"一つの愛"で。

 一見、屁理屈のような事をして、壁をひょいといとも容易く
乗り越えてきた少女、それがこなた。
 常に斜め上。
 私が。
 "鏡"を持ってしまった私が、好きだ、と言える数少ない友人のひとり。
 そんな彼女が私たちを好……
「だからね、かがみとつかさもこれを履けば私と百合姉妹だよ!」
「……はい?」
 人の心の声を邪魔してまで何言ってやがるんですか、この人は。
「だーかーら、二人もこの百合パンツを履けば、私と百合姉妹だよ!って事」
「いや、大好きだよって、同じになりたいーって……」
「そりゃ二人は友達だから大好きだよ? だからこうして百合パンツを……」
「いやっ! その、そうじゃなくて……さっきのは告白……だったんじゃ……」
「こ、告白!? そんなまさか。かがみとつかさの事情知ってる
私がなんで二人に告白するの? ……あっ、もしやかがみん……」
 その時、直感が告げる。
 この展開はまずい。と。
127"深読み狂詩曲" 5/6:2008/11/11(火) 16:49:03 ID:QsbTE60Y
「私が百合パンツ見せて大好きだよって言ったから、勘違いしてたんじゃ……」
 読まれてる、読まれてる。
 なんだその読心術。って言うか止めろその猫口!
「むふふ……そうかそうかぁ〜。ごめんねかがみ〜ん。
だけどそんな展開、いくらなんでもラノベ読みすぎだよぉ?
深読みしちゃったんだねぇ。思春期なんだねぇ。
いやぁ、かわいそかわいそ、なのですよ〜。にぱー☆」
 馬鹿にされている。
 頭を撫でられてる。
 短い手を一生懸命伸ばしている。
 優しいタッチだなぁ、おい。
「あんたねぇ……!」
「ん〜? 何かなぁ? ついつい深読みしちゃう思春期真っ只中のかがみん?」
「……こんの……」
「18歳にもなって思春期真っ只中のかがみん萌え」
「……こんの……こんの……バカあぁぁぁー!」

 ----今日分かったこと。
 私が10年以上振り回されてきたこの力は、実は、そんなに
すごい力ではないんじゃないか、という事。
 そして、泉こなたはヲタクであると同時に"バカ!"であるという事。
 そして最後に、知識と羞恥は、本当に比例するのだという事----

 夜が近づいて、こなたが帰ると部屋には私とつかさ、
そして菊と百合がそれぞれ2枚ずつ、
プリントされた4枚のパンツだけが取り残された。
「楽しかったね、お姉ちゃん」
「ん……まぁ、そうね」
 楽しかった。とは死んでも言ってやらないけれど。
「こなちゃんは本当にすごい子だね」
「ちょっと、うるさいけどねー」
 そうだね。なんて絶対に言わないけれど。
「まぁでも、あんた達が居れば絶対に退屈はしないわね」
 これが精一杯。
「ふふっ、お姉ちゃんらしいね」
「……どー言う意味よ」
「んーそのままだよ? 深読みしないで良いよ、お姉ちゃん?」
「あっ、あんたまで……!」
128"深読み狂詩曲" 6/6:2008/11/11(火) 16:52:23 ID:QsbTE60Y
18歳。
 知識と羞恥を積み重ねて、ちょっと背伸びして、
ようやく今を、よちよち歩き出来るくらい。
 素直になれないから、ずっと追いかけてあげる。
 あなたが私を愛してくれる限り。
「待ちなさい! つかさぁ!」
 大人。
 それはきっと、この菊と百合のパンツを----何もかも知った上で
「可愛い」
 と、言えるような人なのかもしれないわね。つかさ……。

「ねぇ、お母さん。見て見てー。今日こなちゃんがくれたんだよー」
「あら白いパンツ……でもなんでま……きゃっ! そんな……菊なんて……
お尻に菊なんて……二人はまだ見ちゃいけません!」

 ----今日、分かったこと。

「ねぇ、お姉ちゃん」
「ん? どうしたの?」
「大人になるのって、難しいんだね……」
「……永遠の17歳、だもんね……」

 うちのお母さんは、花も恥じらう変態だったって事。

 おいおい……。
12954-78:2008/11/11(火) 17:00:12 ID:QsbTE60Y
あなたのかがみ 第2話 "深読み狂詩曲"
以上です。
相変わらず投下に時間がかかってしまい
申し訳ありません。

前回が割とシリアスだったので今回は最大限
コメディに徹して書きましたが、いかがだったでしょうか?
それとパロディも多かったのですが、文体で一部で、
このスレのコメディ職人、7-896氏のオマージュも
入っていたりします。7-896氏、ありがとうございました。

それでは、続きが書けるように頑張ります。
ありがとうございました。
130名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 21:56:42 ID:mMIqvBIU
>>120GJ
みさおってはっちゃけた明るさがあるから恋愛ぽく書くのは結構ムズいね
でも締め方はいかにもみさおとかがみって感じだった
実に綺麗に落ち着いててGJ

>>129もGJ
続き早いなwでも前回のなんとなくシリアスな雰囲気がどっかへぶっとんで行ってしまった
せめてこなたはまともな人で居て欲しかったかも・・・
これではかがみが節操無しに見えてしまうw
131名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 22:52:28 ID:cWuXjpEG
>>120
代理投下おつでした。
投下を頼めるくらい仲の良い友達を持った作者さんがちょっと羨ましいかも。

そして、作者氏ぐっじょぶ!
みさきちの物凄いあまえんぼのところが見れて良かったです。
かがみに強引なことをして、自己嫌悪に陥ったりする描写にぐっと来ましたよ。
次回作がありましたら、楽しみに待っています。


>>129
ぐっじょぶ!
第1話目とは異なってコメディタッチですね。
百合ぱんつw に慌てまくるかがみんがとても可愛らしかったです。
次はどんな展開になるのでしょうか。興味津々で待機しております。
132名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 23:37:15 ID:vawXAn/T
>>107
こ、こなかがは、もうお終いなのか・・・ ? orz
133名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 00:28:07 ID:ZP0y1rGd
>>132
その為に2次というものがry
134名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 00:39:19 ID:IhN+GuDi
世の中には単行本派という人がいましてね……

こういうところを覗いている以上、ネタバレは回避不能だと薄々わかっていたつもりだったけど
自分の認識が甘かったようだ
7巻出るまでこのスレを覗くのは控えるよ
135名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 04:07:49 ID:opuebTzT
全員進学先がバラバラで、かがみかつかさのどちらかが一人暮らしでもしていようものなら
ほぼ全カップリングが壊滅じゃないか・・・
こなみさとみなゆたしか期待できないらきすたになってしまったらどうしよう
いっその事原作は黒歴史にしてしまうべきか・・・
136名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 06:03:54 ID:smw7LxmW
まったりほのぼの漫画なんだから、独り暮らしでぼっちとか彼氏できて
中古だとか、そういう変な心配する必要なんてどこにも無いの

みんなもっと普通に楽しもう
137名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 07:21:20 ID:oVHg2XSf
>>135

どうして「いつもいっしょ」じゃないとダメだと考えるのか理解できん
138名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 08:06:10 ID:LAGucaUE
間もなくかがみは、こなたがいないとダメだと気づくさ
139名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 12:47:14 ID:lvy8btUx
現実じゃ進学先の違う友人は疎遠になりがちだけど、
多少ご都合主義でも関係は維持されると思う。
そこは、先生を信じていいと思う。
実際、一生懸命予防線張ってたし(初詣の願い事の話とか)
140名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 13:22:31 ID:w7V/RthD
萌える
141名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:11:05 ID:EZY0wO03
>>138
その展開いいな
もうそれに賭けるしかないよなあ・・・

毎月コンプとコンプエース読むのに緊張しそうだ
バラバラでこなたとかがみの間に疎遠感が漂い始めたら、辛くて原作読めなくなってしまう・・・
142名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:26:46 ID:XWLIRrQR
原作の展開に対する愚痴はしかるべきスレでやってほしいと思う。
143名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 21:32:58 ID:7o5WWF0S
かぶりがなければ

空気を読まずに3分後に投下させていただきやす
144三毛また:2008/11/12(水) 21:36:30 ID:7o5WWF0S
それではでは


前スレの3-283氏の「あ、百合」を読んでてぃんときて、前スレの埋めネタに掲示板形式のを書こう
としてたら長くなった上に埋めに間に合わなかったというgdgd

長すぎたので3編構成。
中編は明日、
後編は明後日までに仕上げて投下したいとか思います


タイトル:実はゆたかの趣味のインターネットがかなりディープだったら:前編

エロ:無し(ただし次からだんだんエロくなるので注意)
注意事項:ゆたみなorみなゆた
     掲示板形式と通常文章の混合
     既出ネタだったらごめんなさいorz

消費レス:9レス
     掲示板形式の部分がかさばってるので、中身はあんまり長くないです。
145〜ディープだったら:前編9/1:2008/11/12(水) 21:38:49 ID:7o5WWF0S
 陵桜学園、ある階の端から四番目に位置している一年D組は今日も賑やかでした。
「OH!ミナミのパパさんママさんはイマいないのデスか」
「…うん、二人だけで旅行に行ってる」
「広いホームに美少女が一人…気をつけナイとダメダメですよミナミ。襲ってクレって言ってるよ
 ーなシチュです!」
「だいじょうぶ。チェリーもいるし」
「あんなアホ犬なんかじゃワタシの情熱はcan't stopネ!」
「チェリーはあほじゃないよ…」
 パティが金髪をふりふりしながら遠慮の無い大きさの声と胸を披露すると、遠慮がちな大きさの
声と胸でみなみが応えます。
「っていうかパティが襲うんかい。だめだよパティ。今日は私と小早川さんが泊まるんだから」
「な、ナンダッテ――――(AA略」
 二人の様子を見ていたひよりが口を開くと、パティは不自然に険しい顔になって棒読みのセリフ
を叫びました。
「ホントですかユタカ!」
「そうだよ。パティちゃんも一緒に行く?」
「ジーザス!参加したいのはヤマヤマなのですが、こーゆー日にかぎってアルバイトがぎっしりつ
 まってるトハ………ムネンのキワミ!!」
 ゆたかの誘いに乗れない自分を呪いつつ、パティは自分の分も楽しんでくることを伝えます。彼
女なりの表現によって。
「ワタシもキャッキャッウフフよいデハないかよいデハないか上のマウスではそうイッてても下のマウスは
 ドーかなフヒヒとかしたいデス!」
「ちょっ、パティそんなことしないから」
「チガうんですかヒヨリ?コナタに借りたゲームではお泊まりと言えばイベント必至デスよ」
「実際はそんなことしないから!……たぶん」
「ヒヨリの同人誌にもあるノニ」
「フィクションッ!!」
「ザンネンです……じゃあ、もしナニかあったらショーサイに教えてください」
 残念がりながらも言いたい事を終えたパティが落ち着くと、詰め寄られていたひよりはほっと小
さな胸を撫で下ろします。
「まったく。パティは欲望に忠実すぎ」
「でも、ちょっと羨ましいなぁ」
 ゆたかは、まだ悔しそうにしているパティを見ながら少し寂しそうに笑っていました。
「自分に正直なのってすごいよ。私はパティちゃんみたいにはできないもん」
「パティみたいなのもどうかと思うけど……小早川さんは引っ込み思案なところあるからね」
「うん……直せたら良いんだけどな…」
 寂しげな笑顔は、発する声にも影を落とします。
 その曇りを敏感に感じ取ったのは、やはり彼女でした。
「…たまに、行動にルールを課したらどう、かな」
 みなみが口を開くと、俯き気味だったゆたかの顔がスッと上がります。
「ルール?」
「そう。それも自分でじゃなくて他人が決めたのだったら、ゆたかの性格からして破れないと思う」
「そっか。ルールか〜」
 ゆたかはなるほどと頷くと、何か思いついたのかそれからしばらく考え込んでしまいました。
 そしてその様子をみなみは静かな表情で、しかし一瞬たりとも逸らさずに眺めていました。


146〜ディープだったら:前編2/9:2008/11/12(水) 21:39:44 ID:7o5WWF0S


【貧乳】女友達からのお泊まりのお誘い【絶壁】

1:1:2008/11/7(金) 14:30:15.23 ID:eIEnroRi

なんか友達のナイチチ女の家族が旅行いっちゃって、
一人だとアレだから俺ともう一人の女友達が泊まりに行くことになったんだけど。

これってフラグ立ってる?
イベントまでのルート、安価で教えれ


注意)
『安価』(アンカ)とは指定した数字のレスに書かれていたことを実行するという遊びです。



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:31:15.18 ID:koT8tfB9
リア充乙


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:31:36.51 ID:HGY5gy7L
それなんてエロ毛?


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:32:58.51 ID:GTFnu688
よかったな>>1
ただその女はお前以外にも同じセリフを言ってるけどな。
モニターの中から。


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:34:48.58 ID:4582Oka3
マジレスするとその女との関係しだいだろ。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:35:08.45 ID:jieomapp
つか別の女もいるってことは何フラグだよ。
3P?
ねーよwwwwww


7:1:2008/11/7(金) 14:36:09.23 ID:eIEnroRi
高校入ってからの仲だからまだ一年経ってないけど、
休み時間にトイレ行く時は一緒に行く程度の仲ではある。

147〜ディープだったら:前編3/9:2008/11/12(水) 21:40:35 ID:7o5WWF0S
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:36:39.46 ID:oi4892wF
ちょwwwwww>>1女かよwwwww
wwwwwww乙wwwwwww


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:37:19.12 ID:1KJanw53
フラグって百合フラグwwwwwww


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:38:58.12 ID:yAMayUri
百合と聞いてマリみてスレから俺がやってきましたよ


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:39:25.55 ID:OKknud87
いや待て慌てるな。
一緒にトイレに行ってるからって1が女とは限らないぞ


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:39:55.59 ID:87KNbuee
>>17
男女だったら友達どころじゃねーだろwwwww


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:40:30.37 ID:WVret8hu
1も含めた人物像を要求する


23:1:2008/11/7(金) 14:43:58.23 ID:eIEnroRi
一応スペック
俺、高校一年
140センチくらい
ただのちび。
小乳

泊まりにいくもう一人の女友達、同い年で同じクラス
150センチくらい
メガネ標準装備
小乳

ナイチチ女、同い年で同じクラス
160センチくらい
スレンダー。背高い。なんでもできる万能。
ただ胸だけが無い。
一言で言うと、背の高い長門。
声なんか長門そのもの。

なんかみんなおっぱい小さくて鬱になってきたorz

148〜ディープだったら:前編4/9:2008/11/12(水) 21:41:12 ID:7o5WWF0S
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:44:08.47 ID:ho442wlM
長門ktkr


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:44:28.35 ID:AhOgeOta
貧乳はステータスだ!
希少価値だ!


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:44:39.46 ID:oi4892wF
長門www
俺の嫁なんでいんのwwwwwwww


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:45:51.12 ID:MkBTR54D
いやいや俺の嫁だから


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:47:09.51 ID:GTFnu688
残念だがそれは長門似の店員だ。

長門は俺の嫁。


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:48:37.11 ID:36978GTm
お前ら長門長門うるせぇwwwwwwwwwwwwwww

俺の隣で寝てる長門が起きちまうだろうが


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:48:59.44 ID:BT2atE35
1ってキョンなんじゃね?


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:49:28.58 ID:4582Oka3
>>56
女だからハルヒかミクルじゃね?


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:49:38.12 ID:ho442wlM
むしろキョン子


149〜ディープだったら:前編5/9:2008/11/12(水) 21:42:09 ID:7o5WWF0S


 むね♪
 むね♪
 むね♪
 ぺぺぺったん♪

 学校の授業が終わってから、みなみの家に行く前に一度泉家に帰ってきていたゆたかの携帯電話
が短いフレーズを一度だけ奏でました。
「あ、みなみちゃんだ…」
 パソコンに向けていた目線を電話に落して開くと、そう呟くゆたか。みなみからのメールが届い
た音でした。
 その内容はいつにも増して簡潔に纏められていて、余計な雑談の含まれていない用件だけを記し
たシンプルなものです。
 しかし、ほんの数秒で読み終えるはずのそれにゆたかは一分余りを費やすと、再びパソコンに向
かい直ってキーボードの上に指を走らせました。





70:1:2008/11/7(金) 14:51:51.47 ID:eIEnroRi
長門にくいつきすぎw
その長門(大)(胸的な意味ではなく身長的な意味で)からメール北

「●●さん(メガネのほうの友達の名前)が用事で夜ころにならないと来れなくなったみたい。
 △△(俺の名前)はどうする?」

なんて返信しようか。
安価>>80

150〜ディープだったら:前編6/9:2008/11/12(水) 21:42:54 ID:7o5WWF0S
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:52:08.12 ID:87N?lko2
アンカktkr


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:52:47.11 ID:ok/wwep3
1と長門(大)の百合フラグが着々と進行してるようにしか見えないw


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:53:58.45 ID:jieomapp
やっと二人きりになれるね


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:54:00.45 ID:South/AA
今すぐ行くね……早く、会いたいから……


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:54:15.07 ID:KoLMH24D
ホイホイ招いちまっていいのかい?
俺はノンケだって(ry


91:1:2008/11/7(金) 14:55:15.47 ID:eIEnroRi
百合セリフしかないのは気のせいかwww
俺べつにガチュリーじゃないんだけどorz

>>80
送った


93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:54:28.58 ID:4582Oka3
gjwww


99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:54:59.44 ID:BT2atE35
81じゃなくてよかったなw
80も百合臭するけど。
むしろガチっぽいwwww


104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:56:35.24 ID:36kelo1a
1よ今さら何を言ってるんだ。
イベントまでのルート教えてほしいんだろ?
百合イベントしかねーよw

151〜ディープだったら:前編7/9:2008/11/12(水) 21:43:44 ID:7o5WWF0S
115:1:2008/11/7(金) 14:58:45.27 ID:eIEnroRi
メール返ってきた。

長門(大)「夕ご飯カレーにしようと思うんだけど、△△が入れたいのあったら持ってきていいよ」

スルーされたww


118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:55:15.07 ID:KoLMH24D
長門(大)冷静だなw


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:55:59.46 ID:oi4892wF
さすが俺の嫁


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:56:19.51 ID:GTFnu688
つか長門(大)の呼び方が定着してる件wwwww


130:1:2008/11/7(金) 14:57:55.07 ID:eIEnroRi
カレーの具に何持っていこうか。

アンカ>>140
複数回答おk


135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:58:49.51 ID:bytUJ1OK
コーヒーとか隠し味に入れるよな


139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 14:59:59.01 ID:PLES2A22
醤油
ソース


140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:00:05.15 ID:South/AA
ベジーテ
バナナ
目薬

152〜ディープだったら:前編8/9:2008/11/12(水) 21:44:26 ID:7o5WWF0S
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:01:59.01 ID:VGTDY?mm
>>140
ちょッw
目薬ww


145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:02:09.44 ID:BT2atE35
>>1に何食わせる気だよw


147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:03:42.12 ID:87N?lko2
つか
80=140
ID:South/AA
テラスナイパーww


164:1:2008/11/7(金) 15:07:55.07 ID:eIEnroRi
目薬イミワカンネww

ベジーテ、ググってみたらお酒か〜。
目薬は持ってるからいいけど、酒は買えないかもorz


168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:08:48.58 ID:4582Oka3
ベジーテは野菜ジュースっぽい酒だな。
アルコール入ってるけどほとんど感じない。ビール並みに度数あるが。

決して戦闘民族の王子なんかじゃないぞ。


172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:09:52.28 ID:4Okkan24
スーパーとかじゃなくて個人商店ならたぶん高校生でも買える。
親のおつかいとか言っとけ。


188:1:2008/11/7(金) 15:12:45.47 ID:eIEnroRi
>>172サンクス

今から買い物行って長門(大)の家行ってくる。
ケータイになるからあんま書けなくなるかも


195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:13:15.01 ID:PLES2A22
おk


198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 15:13:48.35 ID:AhOgeOta
1がんがれ
ちょーがんがれ(性的な意味で)


153〜ディープだったら:前編9/9:2008/11/12(水) 21:45:10 ID:7o5WWF0S


 ゆたかはパソコンの電源を落とすと、がっくりと肩を落としました。
「早まっちゃったのかな〜………みなみちゃんに変に思われてないかな……」
 苦虫を噛み潰したような表情が顔に浮かびます。
 見知らぬ隣人達のすすめで少し前に送ったメールについて、二十分ほど経ってから強い後悔に襲
われていました。
 どうせ実際にやらなくてもばれはしない。
 それっぽく進行しておけば問題ない。
 接続していた掲示板は、それらを承知の上で楽しむ人々が集まっている場所なのだから。
 もちろんそんなことは分かっていますが、それでもゆたかは親友のみなみに、遠距離恋愛中の恋
人のようなメールを送ってしまいました。
 それは元々ゆたかが純粋で嘘をつきにくい子であるということ。
 そして目に見えないからこそ、不思議な連帯感と高揚感を生む掲示板の魔力のせいです。
 普段なら絶対に躊躇ってしまうことも、高揚している十分二十分の間は勢いに任せて出来てしま
うものなのです。
「フラグとかは冗談だったのに……まさかそっち方向に話が進んじゃうなんて」
 あ〜ぁ、と洩らしながら両の眼を瞑って天井を見上げるように首をもたげると、誰にともなく呟
きます。
「イベントって、友情を深める友情イベントっていうのもあるんじゃなかったっけ………お姉ちゃ 

 んがゲームしてるのを覗いてただけだからそんなに知らないけど…」
 天井を見上げたまま、座っている車輪付きのイスをカラコロと動かすゆたか。
 従姉のこなたが、女の子同士で恋人になるゲームをプレイしていた時のことを思い出していまし
た。
 ゆたかは、泉家に居候しているだけあって百合というものがどういうものかは理解しています。
インターネットから得られる知識もあって、標準的なレベルよりはむしろ深いと言ってもいいかも
しれません。
 それでも自分自身が同性に性的な好意を持つかどうかなど真剣に考えたことは無かったので、そ
れゆえに同性愛への確固たる信念はありませんでした。
 一番の親友への好意が友情以外のものである可能性を、考えたことすらなかったのです。
「ぅぅん〜………しょうがないっか」
 ひとしきりぼやき終えると、よしっと決意の声をあげていそいそとお出かけの準備を整えました。
 普段のカバンに比べると大きめのバッグを肩に掛けて出発しようとすると、ちょうど出かけると
ころだったこなたと一緒になりました。
「お、ゆーちゃん大荷物…そっか、みなみちゃん家に泊まるんだっけ」
「うん、おねーちゃんはアルバイト?」
「そだよ〜。今日の私は勤労少女なのだよ」
 こなたはふぃ〜っと息を吐いて額の汗を拭うジェスチャーをすると、一転してゆたかを探るよう
に目を細めます。
「ところでゆーちゃん。今夜はご飯どーするんだい?」
「みなみちゃん家でカレー作るんだ」
「にゃるほどにゃるほど…ふむふむ」
 ゆたかの答えを聞くと、によによとにやけるこなた。
「な、なぁに、おねえちゃん?」
「うんにゃ、なんでもないよー。友達が集まって作るカレーっていいよねーって思っただけだよ」
「お姉ちゃんも行く?」
「いやいや、お邪魔虫は大人しくパティと一緒にバイトに勤しむことにするよ。じゃね〜」
 こなたはぷらぷらと手を振ると、意地の悪そうな笑みを浮かべたまま颯爽と去って行きました。








>中編へつづく
154三毛また:2008/11/12(水) 21:46:22 ID:7o5WWF0S
以上です

名前欄に文字数制限あるの初めて知りましたorz
IDがあるのは仕様です。
埋めネタのつもりだったのでわりと勢い重視です

ではノ
155名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 22:09:58 ID:kvy683Oc
>>154
うわ、何このバカ会話wwwwwマジGJwwwwww

長門発言直後の祭りっぷりにコーラ吹いたwwwというか従姉、さり気に名言混ぜんなww応援すんなwww
それと、何気に一人だけ的確に安価取ってるのは気のせいか?
15654-78:2008/11/12(水) 22:11:13 ID:efdYHjsZ
>>154
すげぇGJです!
それにしてもゆたかちゃんディープ過ぎませんかw
あんな笑顔の下で安価遊びだなんて…ゆたか、恐ろしい子!
ともかく乙です〜中、後編も期待してます。

さ、俺も頑張ろう。
157名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 22:17:34 ID:u/iv1LK3
>>154
流れを変える一発GJ!!

安価とってるのはあいつかなとかIDで一人思つくけど自重して言わないでおくw
明日にも期待する!
158名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 22:54:14 ID:f+yxrua/
>>154
ゆたかー!書いたの絶対みなみだから!

理由:
South/AAから、
South=南の英語での綴り
AA=胸のサイズ(多分ナイチチの表現)
159名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 23:23:52 ID:kvy683Oc
>>158
>>157みたく自重しろよ。
16052-426(仮):2008/11/13(木) 00:12:12 ID:T3GB0wN3
どうも。
かぶらなければ、投下させていただきます。

・エロ無し
・動物もの
・桜藤祭のネタバレ要素あり(岩崎みなみミニシナリオ)
・オリキャラ有り
・7レス使います

5分後に投下します。
では、投下させていただきます。

※チェリー視点、つまり、今回のSSは動物の視点です。
 人間との会話を区別するために、人間の会話は「」、動物の会話は『』で区別しています。
 尚、今回のSSはPS2専用ソフト『らき☆すた 陵桜学園桜藤祭』の
 岩崎みなみミニシナリオをベースに作成しています。
 そのため、ネタバレ要素が含まれているので、できればプレイ後に読むことを
 オススメします。

家に帰ってきたみなみちゃんは、いつもの私服に着替えず、
音楽をかけながら、コーヒーを飲んでいた。
目が虚ろで、何かに後悔しているように見える。
わたしは、シッポを振りながらみなみちゃんと遊ぼうとしたけど、
ただ、黙っていつものオヤツを差し出して、トボトボとリビングに入っていった。
チェリー『なにかあったのかな……?』
わたしは、もらったオヤツを半分食べていつもの場所に埋めにいこうとした。
大好きなオヤツを誰にも食べられないところに大切にしまう。
それがわたしの楽しみだった。
けれど、みなみちゃんの元気のない表情を見ると、いつものオヤツ埋めも、あまり
楽しくない。
チェリー『本当に……、どうしたんだろう……』
わたしは、寂しさのあまりに大声で鳴いてしまおうかと思ったその時、
いつのまにか庭に、友達のペルシャ猫――フレデリックさん――が遊びに来ていた。
フレディ『よっ、また来たぜ。今日もお前のご主人さまは、いい音楽を聴いてるな。
     QUEENのNews Of The Worldに収録しているAll Deadか』
チェリー『あ、フレデリックさん。こんにちは』
フレディ『おいおい、何回も言ってるだろ?フレディでいいって。
     それよりどうしたんだ?しけたツラしやがって』
チェリー『実は……』
わたしは、帰ってきたみなみちゃんのことをフレディさんに話した。
フレディ『……なるほど、帰ってきたら、ご主人さまの元気が無いってか』
チェリー『みなみちゃんって、中学のころ友達がいなかったから、
     いつも寂しそうだったんだ。それで、高校生になってからは、小早川さんという
     友達が出来て、ご主人さまも明るくなったんだけど……。
     あんなに落ち込んでるご主人様、初めて見るよ。
     中学生の頃でも、あんなに寂しそうにしてるのなんて見た事ないのに……
それに、聞いてる音楽もちょっと暗い音楽っぽいし……』
フレディ『ふむ……、もしかしたら、その小早川というヤツとケンカしちまったんじゃねぇのか?』
チェリー『分かるの?』
フレディ『俺は百万回生きた猫だからな……。何回も死んで、何回も生まれ変わったんだ。
     んで、今まで色んなご主人さまの元で暮らしてきて、
     色々な人間を見てきた。なんとなく分かるんだよ。それに、暗い音楽を聴くのは
     悪いことじゃない。今の心境に反映している音楽を聴くことによって、心が安らぐんだ。
     今のお前のご主人さまにピッタリの音楽だ。ただし、暗い音楽を聴いてばかりでは
     だめだ。徐々に明るい音楽を聴いていくことにより、心を安定にさせる。
     これを、音楽療法と言うんだ』
チェリー『へぇー、フレディさんって凄いなぁ。物知りで』
フレディ『いやなに。ただゴロゴロして適当に生きてきただけさ……
     しかしまぁ、ケンカできるってことは、いいことだな』
チェリー『えぇ?そうなの?みなみちゃん、あんなに落ち込んでるのに?』
フレディ『どうでもいい相手だったら、あんなに落ち込まねぇだろ?
     真剣に考えるほどの相手を持てたのであれば、お前のご主人さまは幸せモンだ。
     俺なんざ、そこらじゅうをただブラブラうろついているだけだから、
     本当の友達っつぅのはいねぇんだ。俺が死んでも、本気で泣いてくれるやつなんか
     いやしないさ。「自分が死ぬとき、本気で泣いてくれる人が身近にいるヤツは、幸せ者だ」。
     どっかで聞いた、言葉だ。俺は、そんなのいねぇから、不幸せな猫だぜ』
チェリー『わたしだったら……大声で泣く、かな……。フレディさん、いい猫なんだもん……』
フレディ『……ありがとう。俺は幸せな猫だ』
フレディさんは、照れくさそうに顔を洗った。
チェリー『でも、本当にみなみちゃん、どうしよう……』
フレディ『ほっとけよ。人間のケンカに俺たちが入るべきじゃない。
     さっきも言ったろう?真剣に考えるほどの相手だったら、互いが仲直りするために、
     何らかの行動を起こして自然に解決するさ。それに、ケンカはしたほうがいいんだぜ?
互いの本音をぶつけあい対極してしまうが、本当の友人だったら、いつかは
仲直りし、その際互いの心を深く知り合い、友情が深まるってんだ』
チェリー『う〜ん、でも、不安だよぉ……
     なんだか、みなみちゃんがずっとあのままになるんじゃないかって……』
フレディ『ふむ……確かに、お前のご主人さまは、消極的だからな……
     だが、さすがにAll Dead(全て終わってしまった)ということにはならんだろう』
チェリー『でもぉ……』
その時、わたしはよく知っている匂いに気がついた。
フレディ『どうした?』
チェリー『この匂いは……小早川さん!?』
わたしは、玄関のところにこっそり行きました。
フレディさんも一緒に付いて来ました。
ゆたか「………………」
フレディ『ほう、あの子が小早川さんか。ふくよかな優しさが漂っている、魅力的な女性だ』
チェリー『小早川さ……!』
フレディ『おい待て待て!呼ぶんじゃない!』
チェリー『どうして?小早川さん、家に来てくれたんだよ?』
フレディ『さっきも言っただろ?大抵は人間が解決する問題だって。それに俺の経験上、
     お前がここで呼んだりしたら、逆に小早川は、逃げると思うぜ。見ろよ。あの表情。
     悩んでる顔してるだろ?今この状態で呼びかけてみろ。
     きっと彼女はびっくりして逃げ帰ってしまうぜ』
わたしは、フレディさんの言うとおり黙って見てることにしました。
小早川さんは、全く動こうともせず、チャイムを押そうかどうか迷っている。
押そうとして決心したように顔を上げるけど、なかなか押そうとしません。
チェリー『大丈夫かな……』
フレディ『やれやれ、これじゃぁ、キリがねぇな……
     だが今は、様子を見るほうが得策だな』
チェリー『小早川さん……』
小早川さんは、散々悩んだ末に落ち込んで、トボトボと帰路につきました。
チェリー『あぁ……!』
フレディ『帰っちまったな……やれやれ』
わたしは再度、みなみちゃんの様子を見に行きました。
フレディ『どうだい?』
チェリー『様子は変わってないよ。ただコーヒー飲んでるだけ』
フレディ『あとは音楽がAll DeadからGet Down,Make Loveに変わってるぐらいか……
     お、なんか立ち上がったぞ』
みなみちゃんは立ち上がると、ここからは見えなくなりました。
すると、玄関のドアが開いて、相変わらず制服姿のままで、ウンチ袋と、サンポひもを持った
みなみちゃんが出てきた。
みなみ「チェリー、散歩いこ……」
チェリー『あ、散歩だ。フレディさん、どうする?』
フレディ『暇だから、俺も付き合うぜ。乗りかかった船ということもあるしな』
こうして、私とみなみちゃんは散歩することにしました。


みなみ「………………」
みなみちゃんは、家から出てもまだボォっとしてる。
みなみ「どうしよう……」
チェリー『みなみちゃん!前見ないと危ないよ!』
みなみ「あ……ごめん……散歩中だったね」
それから、またみなみちゃんはフラフラ歩きました。
みなみ「………………」
チェリー『ほらみなみちゃん!気をつけないと、石につまずいて転んじゃうよ!』
みなみ「……ごめん」
少しは注意力が働いたのか、みなみちゃんは今度は真っ直ぐ前を見て歩いている。
みなみ「そうか……今のように謝れれば……」
やっぱり、みなみちゃんは小早川さんとケンカしたことをひきずっている。
また、みなみちゃんはボケっとしだした。
フレディ『ダメだこりゃ……。完全に放心状態だな』
チェリー『そうだね』
フレディ『お前さん、これからどうするんだ?』
チェリー『……やっぱり、わたしはみなみちゃんと小早川さんを仲直りにさせるきっかけに
     なりたいよ』
フレディ『ふむ、それじゃぁ、どうするんだ?』
みなみ「どうして、あんな風になってしまったんだろう……」
チェリー『小早川さんを、みなみちゃんのところに連れていく』
みなみ「一人で帰るの……久しぶりだったな……」
フレディ『シンプルな作戦だ。だが、成功する自信はあるのか?』
みなみ「………………」
チェリー『分からないけど……でも、みなみちゃんと小早川さんは、本当に仲がいいから、
     きっと分かりあえるし、それに……』
みなみ「仲直り……ちゃんとしないと……」
チェリー『これ以上、苦しむみなみちゃんを見たくないよ!』
みなみ「ああ……ごめん」
フレディ『……分かったよ。お前の思い通りにやりな。
     ただし、後悔はすんなよ?』
みなみ「………………」
フレディ『だが、問題は、お前さんが小早川を見つけ、ご主人さまのところに連れていけるかだが、
     今の調子だったら、多分無理だな。逃げ出そうとしたら、ひっぱられるのがオチだ』
みなみ「私が悪かった……のかな……?」
チェリー『うん。そうだよね……。どうやって、逃げ出そうかな……』
みなみ「考え方の……違い?」
それからは互いに黙りあい、しばらく歩きつづけた。
すると突然、フレディさんが足を止めた。
チェリー『どうしたの?』
フレディ『いいニュースだ。向こうから車がやってくる』
チェリー『えぇ!?だとしたら、みなみちゃんに気をつけるように言わないと……』
フレディ『待った!利用してやるんだ。ご主人さまは驚いてリードを緩めるかもしれない。
     お前はそこを狙って、一気に逃げるんだ』
チェリー『な、なるほど……。でも、危なくない?』
フレディ『なに、運が悪けりゃ、死ぬだけさ』
チェリー『………………』
フレディさんのことをちょっと疑いながらも、わたしは車が来てることを黙っておくことにしました。
みなみ「やっぱり……ちゃんと謝ろう。……でも、そのきっかけが……」
フレディ『ご主人さまよ。今からあんたの愛犬がきっかけになってくれるぜ』
車が突然飛び出してきて、思わずみなみちゃんは驚いてしまいました。
みなみ「………………!」
フレディ『よし!今だ!』
わたしは、緩くなったみなみちゃんの手を振りほどき、一気に小早川さんの匂いのする方向に
走った。
みなみ「あ、チェリー……待って……!」
フレディ『待てと言われて待つヤツなんていないぜ。ご主人さまよ。待っててな。
     もう少しでケリがつくぜ』

わたしは、何も考えずに走った。ただ、小早川さんの匂いのする方向へと走った。
途中から匂いの途切れた部分もあり、捜すのが大変だったが、
何十分も走り回っているうちに、やっと小早川さんを見つけた。
ゆたか「あれ?もしかして、チェリーちゃん?」
チェリー『や、やっと見つけた……小早川さん……』
わたしは、小早川さんがヒモを持ってくれるように、その場に座りました。
ゆたか「どうしたのこんなところで一人で。みなみちゃんが心配しちゃうよ?」
小早川さんは、わたしの散歩ヒモを持ちました。
チェリー『さ、早くみなみちゃんのところに行こう!』
ゆたか「わわわ、ちょっと待ってよぉ!」
わたしは、全力でひっぱりながら、みなみちゃんのところに戻りました。

みなみ「……いない……。私は……何をしているんだろう。ゆたかとケンカをして、
チェリーにも……あんなに仲良くしていたのに……」
フレディ『おいおいまだかよ……。このままじゃ、ご主人さま帰っちまうぞ……』
みなみ「……とにかく、家に帰ってチェリーのことを伝えないと……」
チェリー『いた!みなみちゃーん!!』
ゆたか「あわわっ、チェリーちゃん!ひっぱらないでーっ!」
みなみ「ゆたか!?……どうして、ここに?」
ゆたか「あ……えっと、その……この子が一人だけで迷ってたから」
みなみ「……連れてきてくれたの?」
フレディ『むしろあいつが連れてきたようなもんだがな……』
ゆたか「うん。はい、リード。離しちゃダメだよ?」
みなみ「………………」
ゆたか「それじゃあ……ね」
みなみ「あ……」
フレディ『おいおい、そのまま帰るのか……?』
みなみ「……待って!」
突然、みなみちゃんが小早川さんの手をつかんだ。
ゆたか「わっ、な、何?」
みなみ「あの……ゆたか……」
ゆたか「う……うん……」
みなみ「………………」
チェリー『みなみちゃん、がんばって』
わたしは、二人の顔を交互に見つめた。
みなみ「あ……ゆたか、顔、赤いけど……大丈夫?」
ゆたか「……あ、ほんとだ。少し、熱が出ちゃったみたい」
みなみ「え……ど、どうしたの……?」
ゆたか「チェリーちゃんみたいな大きな犬を引っ張ったのは初めてだったから、
    たくさん振り回されちゃって……それで、ちょっと疲れちゃったのかも」
フレディ『おまえなぁ……もうちょっと加減というものを知らんのか……?』
チェリー『だ、だって……みなみちゃんが早く帰っちゃったらいけないかなと思って……』
みなみ「……ごめん」
ゆたか「大丈夫。気にしないで」
みなみ「でも、熱が……そうだ、うちで休んでいって」
ゆたか「……いいよ、迷惑になっちゃうし」
みなみ「そんな事ない……友達、だから」
ゆたか「……え?」
フレディ『ふぅ、やっと言えたか。あとちょっとだぜ』
みなみ「友達、だから……迷惑なんかじゃない」
ゆたか「……本当……に?」
みなみ「うん……休むぐらいいつでも――」
ゆたか「そうじゃなくて……まだ友達って、言ってくれるの?」
みなみ「え……?」
ゆたか「あんな風にケンカしちゃって……私、嫌われたんじゃないかって……
    それで、謝ろうと思ってここまで来たんだけど、チャイムを
    押す勇気が出なくって……」
みなみ「ゆたか……」
ゆたか「それで仕方なく帰ろうとしたら、チェリーちゃんが来て、それで……それで……」
チェリー『小早川さん……』
小早川さんの体が、震えている……。
やっぱり、小早川さんも、後悔していたんだな……。
みなみ「嫌うはずなんてない」
ゆたか「え……」
みなみ「私こそ……どうやって謝ろうか
    ずっと考えていて……でも……嫌われたんじゃないかと思うと
    ……切り出す勇気が出なかった……」
ゆたか「私がみなみちゃんを嫌うなんてそんな事、絶対に無いよっ!」
みなみ「それでも……怖かった。そんな事で……謝るのを先延ばしにして……」
ゆたか「みなみちゃん……」
みなみ「……学校ではごめん」
ゆたか「私も……ごめんね……」
みなみ「……まだ、友達でいてくれる?」
ゆたか「私こそ、お願いしたいぐらいだよ」
みなみ「……じゃあ、仲直り」
ゆたか「……うんっ!」
フレディ『やれやれ、やっと一件落着ってか』
チェリー『よかったね、みなみちゃん、小早川さん――』
みなみ「明日からも……よろしく」
ゆたか「……私、みなみちゃんが親友で良かった」
みなみ「私こそ、ゆたかと親友になれて……できれば、ずっと親友でいて欲しい」
ゆたか「……うんっ。私たち、ずっと親友だよっ!」
チェリー『わたしもわたしも!』
ゆたか「あはは、もちろんチェリーちゃんも親友だよっ」
みなみ「……うん。チェリーも親友」
みなみちゃんを見ると、目から一筋の涙が流れてるのが見えた。
ゆたか「みなみちゃん、どうしたの?目、痛いの?」
みなみ「……夕日がまぶしかっただけ。それより……早く家に入ろう?」
ゆたか「うん、ありがとう。それじゃあおじゃましまーす」

チェリー『よかったよ〜。ちゃんと仲直りできて』
わたしは、みなみちゃんの家に無事帰り、庭でフレディさんとくつろいだ。
フレディ『ま、本当に仲が良かったからな。あの二人は。案外ほっといても解決したんじゃないか?
別にいいけどさ』
チェリー『あ、そうだ。たしかみなみちゃんからもらったオヤツを埋めるの忘れてた。
     ……ここらへんに埋めちゃおー』
フレディ『おまえなぁ……前々から言おうとしたんだが、そうやって食いモン埋める癖、
     やめねぇか?』
チェリー『えぇ、面白いよ?誰にも盗られることなんてないし』
フレディ『逆に言えば、お前も取れねぇじゃねぇか。過去の経験上、昔埋めたエサとか
     覚えてるのか?』
チェリー『う……別にいいじゃん!』
わたしは、穴を掘ってそこにオヤツを隠した。
フレディ『やれやれ……』
チェリー『あ、そうだ』
フレディ『なんだ?』
チェリー『フレディさんも、親友だよ♪』
フレディ『………………』
フレディさんは、顔を洗った。
その後、わたしの額にパンチを放った。
フレディ『……ばーか』
チェリー『ふえぇ!?』
フレディさんは、堀の上に登った。
フレディ『さて、そろそろ俺は帰るわ。腹も減ったしな』
チェリー『うん。バイバイ』
フレディ『また暇になったら、遊びにくるぜ。あとご主人さまには
     次はクリムゾン・キングの宮殿に収録してある21世紀のスキッツォイド・マンを
     かけてくれって、伝えておいてくれ』
チェリー『うん。分かったよ』
フレディ『よろしくな。またな』
そう言って、フレディさんは、堀の下に下りていった。
16852-426(仮):2008/11/13(木) 00:24:55 ID:T3GB0wN3
以上です。
フレディさんの名前の由来は、QUEENのヴォーカルの
フレディ・マーキュリーからです。そういやもうすぐ命日だな。

次回は、ハードボイルド(ひよりの妄想だが)ならき☆すたを書こうと思います。
まだまだ未熟で、皆さんに多々のご迷惑をおかけしておりますが、よろしくお願いします。
169名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 06:32:11 ID:vKW/VH9y
なんというクーデレ・・・フレディさん可愛いよフレディさん
17054-78:2008/11/13(木) 14:36:56 ID:8RH1l5Ox
>>168
GJです!フレディだけなんか洋画に出てきそうな
イメージですねw小山力也さんで脳内再生してましたw
非常に乙です。

さて…私も3話が出来ました!
差し支えなければ5分後より、投下致します。
17154-78:2008/11/13(木) 14:44:55 ID:8RH1l5Ox
ほい、それでは投下前の注意書きをば。
・7レスほど使用します。
・かがみ×つかさです。
・携帯からの投下なので読みにくいかもしれません。
(もし何かあればご指摘よろしくお願いします)
・ちょっとだけシリアスです。
・相変わらず一人語りも多いです。
・以上を踏まえて、苦手な方はスルーよろしくです。

それでは、
あなたのかがみ 第3話 "ハッピーマンデーの祝福"
投下致します!
172"ハッピーマンデーの祝福" 1/7:2008/11/13(木) 14:47:22 ID:8RH1l5Ox
サザエさんが始まると、日曜日の終わりを感じる。
 ちびまる子ちゃん、でも可。

 そんなイメージ操作は古今東西、日常のそこかしこに溢れてるんだな、と
私----柊かがみは晩ごはん前に部屋でポッキーをかじりながら考えていた。
 だからって"ツインテール=ツンデレ"はどうかと思うわよ、こなた。

「お姉ちゃーん、ご飯出来たよー」
 だって私ツンデレなんかじゃないし。
「お姉ちゃーん?」
 鏡に映したまんま、応えてあげるのなんて恥ずかしいだけだもん……
「んーどったの、つかさ」
「あっ、まつりお姉ちゃん。あのね、かがみお姉ちゃんに
ご飯出来たよーって呼んでるんだけどなかなか返事がなくて」
 ツインテールだって、好きでやってるだけだし……
「どうせまた考え事でもしてんでしょ。おーいツンデレー、飯だぞー」
 あぁもうそんな時間か。ほんと日曜は夕方過ぎると早いわねー。
 って。
「だっ、誰がツンデレなのよ!」
「……ほらね?」
 ほらね、って……やっぱり髪型……変えようかな……

「そう言えばお姉ちゃん、こなちゃんにもらったあれ、どうしたの?」
「どーしたもこーしたも、明後日まとめて返すわよっ。あんなの
履いてたら、それこそお嫁にいけなくなるわ」
「……お嫁に?」
「そーよっ」
 いつも通りの晩御飯を食べ、夜も少しずつ深まればそれこそ、
今日突如としてこなたが巻き起こした"百合パンツ騒動"など
無かったかのように残りの日曜日は過ぎようとしていた。
 私とつかさは、食後の団欒もそこそこに、来るべき期末テスト、
そして大学受験に向けての勉強を部屋でしている真っ最中だった。
 まったく……こなたの奴も勉強大丈夫なのかしら?
 受験まで一夜漬け----なんて言わないでよ……と思いつつも、もうひとつの
心配の種----つかさの方を見やると、案の定、その手は止まっていた。

「つかさー、手が止まってるわよー。って、聞いてるの? つか……」
 ----思わず息を飲んだ。
「お姉ちゃん」
 真っ直ぐ、そして少し潤んだ瞳で、つかさは、私をじっと見ていた。
「な、何よ、急に。どうかした?」
「お姉ちゃんは……いつか、結婚したい。って思ってる?」
 ただの----聞き流して良いような会話のひとつでは無いと、すぐに判った。
 つかさの目は真っ直ぐ私を見ていたし、何より----鏡が映した
つかさの心は今すぐに零れ落ちそうなほど私への愛で一杯だったからだ。
173"ハッピーマンデーの祝福" 2/7:2008/11/13(木) 14:51:50 ID:8RH1l5Ox
「そ、そんなの……判らないわよ。今はそんな事考えられないし、
未来だってどうなるかなんて解らないじゃない。
つかさにだって良い人がさ、ほら……いつか現れるかもしれないし」
 違う。
 こんな事、言いたいんじゃない。
「それにさ、つかさ"お嫁さんになりたい"って言ってたじゃない。
その夢だっていつか叶う日が来るかもしれないのよー、なんて」
 だから、違う!
 こんな事、つかさは言ってほしいんじゃない。
「お姉ちゃんの……お嫁さんに……?」
「そ、それは無理よ! 私も女だし、姉妹だし……結婚なんて……
出来るわけが……無いじゃない……」
 なんで、こんな事言ってるの……? でも、出来ないのは本当だし……
「そんな……そんなの関係無いよ……」
 関係なく無いわよ……それは決まりだもの……
「仕方ないわよ……私たちは姉妹で、女同士なんだから……だってこれは法律で……」
 そうよ……仕方な……い。
「そんなの関係無いよ! 法律がどうとか、そんなんじゃないよ!」
 「ちょっ! ちょっとつかさ!」
 自分のちぐはぐさに呆然としながら----やってしまった。と、思ったその時には、
もう既にドアが勢い良く閉まったその余韻だけがこの部屋を支配していた。

「つかさ……」
 つかさはきっと、私と結婚出来るか出来ないか、そんな事を
私に聞きたがってたわけじゃない。
 私は最初から気付いていた。
 最初から、だ。
 "何を"言えば良かったのか。
 何を言えば……つかさは喜んでくれたのか。
 だけどさっき実際に口から出たのは、やれ"法律"だの、
"姉妹だから"だの----体裁を取り繕ったような言葉ばかり。
 たった二人。
 つかさと私のたった二人しかいなかった部屋で私は----
世間体なんかを気にしていたんだ……

 "鏡"は映していたのに。
 つかさの想いを。
 私も----そう思っていたのに。
 "そんなの関係ないよ"
 そう言えば、つかさは喜んでくれたのに。
 大好きなつかさを、喜ばせてあげることが出来たのに。

 常識から外れて、誰かに非難されて傷つくのを恐れて、
そして今……代わりにつかさを傷つけた。
 つかさの精一杯の勇気を、私は踏み潰したんだ……
 こんなんじゃ……こんな私じゃ、どんな力があったって意味無いじゃない!
174"ハッピーマンデーの祝福" 3/7:2008/11/13(木) 14:54:24 ID:8RH1l5Ox
「何やってんのよ……私……」
 ベッドにもたれ掛かるようにして項垂れると、部屋中がとても静かだった。
 その静かすぎる空気の中で、涙も音も無く零れていく。
 行き場の無い涙。
 同じような涙を----いや、もっと苦しい涙を、つかさもきっと流している。

 ……。

 いつまで……。
 いつまで独りよがりやってんのよ! 柊かがみ!
 私は服のすそでごしごし顔をふいた。
 乾きそうな涙も、ずり落ちてきそうな鼻水も、全部ふいた。
 きっと、きっとひどい顔になってるだろうな。

 でも……そんなの関係無い。
 行かなきゃ、今すぐに。

「つかさ……いる? 入るわよ?」
 はやる気持ちで、ノックもしないでドアを開けた。
 部屋の中は真っ暗で、ただ窓から月明かりだけがゆらゆら、差し込んでいた。
 その月明かりも届かないベッドの上で----つかさは、
毛布にくるまりながら、うずくまるように、丸くなっていた。
 一歩。
 一歩。
 近づくほどに声にならない声を出しながら----
熱をまとった涙が落ちる音が聞こえてきた。

「つかさ」
 壁の方を向いて----月明かりから背を向けていたつかさの肩に
私は左手を差し伸べた。
 月明かりに照らされた左手が段々と
暗闇に飲み込まれていくように、恐る、恐る----!

「……お姉ちゃん……っ」
 暗闇に差し込まれていく左手が、後少しでつかさを捕まえようと
していた時に、その声は響いた。
 一瞬驚いて、静止してしまった左手は行き場を失い、指が宙を泳いだ。
「……つかさ……?」
「お姉ちゃん……!」
 つかさはくるまった毛布から飛び出して振り返り、私に飛び込んできた。
 ここまで来てまだ躊躇った根性無しの左手ごと、私は----
つかさに抱きしめられた。
175"ハッピーマンデーの祝福" 4/7:2008/11/13(木) 14:56:08 ID:8RH1l5Ox
「つっ……つかさぁ……」
「お姉ちゃん……っ! 私ね、すごく怖かった……部屋を飛び出してから、
お姉ちゃんが私のそばからいなくなっちゃったらどうしよう……って
考えたら怖くて……怖くて仕方なかったよぉ……!」
「つかさぁ……っ! ごめんね……っ、ごめんね……私……
自分が傷つきたくなくて……代わりに……代わりにつかさを傷つけた……!
お母さんやお父さんになんて言えば良いんだろう……とか、
誰かに私達の事聞かれた時なんて答えれば良いんだろう……!
とか……っ! 知ってたのに……私はつかさが言ってほしかった事
知ってたのにぃ! 自分の事しか考えてなかった……!
ごめん……っ! ごめん! つかさぁ……!」
「お姉ちゃん……私も……ごめんなさい……
お姉ちゃんを……かがみお姉ちゃんを困らせてごめんなさい……!
ごめんなさい……!」
「つかさ……すき……だいすき……わたしっ……! つかさがいれば……
つかさがいればもう他になにもいらないから……っ
ずっと……ずっと一緒にいて……つかさぁ……っ!」
「私も……私もお姉ちゃんがいれば……それでいい……
お嫁さんになんかなれなくても良い……誰に何を言われても良い……!
お姉ちゃんがだいすきでいられるのが……一番……しあわせだから」

 行き場の無かった----根性無しだった左手も、
いつの間にかつかさを抱きしめていた。
 両手で抱きしめても全然足りないくらいにつかさが愛しかったから。
 私たちはそれから----お互いの涙が止まっても。
 月明かりと影が重なりあうように、
小さなベッドの上で何も言わず抱きしめあっていた……。

「ねぇ……つかさ」
「ん……ずっ……どうしたの、お姉ちゃん」
「キス……しても良い?」
「うん……でも今日は……私からするね? "かがみ"お姉ちゃん……」
「えっ? ふぅ……っん」
 つかさの。
 少し汗をかいた手のひらが私の頬を包む。
 ----無理矢理拭いた、涙の痕を撫でるように両手で。
176"ハッピーマンデーの祝福" 5/7:2008/11/13(木) 14:57:55 ID:8RH1l5Ox
「んむ……ちゅっ……ねぇっ……つかさぁ……」
「んちゅっ……あむ……なぁに? お姉ちゃん」
「……しよう? もう我慢できないよぉ……んむぅ……」
「……あした……学校だよ……?」
「今日は……あさ……朝まで……ずっと……したい……」
「お姉ちゃん……ふふ。良いよっ。朝までずーっとしよう。
ふふっ、素直なお姉ちゃん、可愛いねっ……ちゅっ」
「ひゃぁっ……! 耳はダメ……っ! だって……だって……つかさの事が……
好きで、好きで……もうどうしたらいいか分からないんだもん……」
 そう、顔から湯気が出そうになりながらも言うと、つかさは
頬と頬をスリスリさせていたその動きを止め、またじっと私の目を見つめる。
 ----今度は笑顔が半分の優しい瞳で。

「お姉ちゃん……私も……お姉ちゃんがだいすき。
だから……きて?」
 にこりと笑って、耳元で----わざと吐息混じりの声で
そんな事言われたら……もう、止まりようがなかった。

「……? お姉ちゃ……あんっ! やぁ……っ」
「ねぇ……つかさ。今日は……寝かせないんだからねっ!」
 ベッドの上で向き合っていた姿勢から、強引に----両手で
つかさを抱えながら押し倒し、"ぼふっ"と音を立てて跳ねた隙に
右手でブラのホックを外して、左手でつかさの右頬を撫でながら口付けた。
「ほら、つかさ。ばんざーい」
「えっ、うん。ばんざー……いっ!? お姉ちゃん、早いよぉ……」
「良いじゃない。裸の方が温かいもの」
 もう待ってなんかいられない私は、
つかさのワンピースを無理矢理下からたくし上げる。
 するとそこには"ぷはっ"と息を吐くつかさが、ホックが外れて
少し浮き上がったブラを恥ずかしそうに押さえている。
 ……可愛い。
「ん〜っ……お姉ちゃぁん……私一人ははずかしいよぉ……」
「大丈夫」
 ----私もすぐに、一緒になってあげるから。
 急いで服を脱ぐ----良かった。Tシャツにジーンズで。
 そうしてバタバタが落ち着き、再び静寂に包まれる頃には
ベッドの上で、生まれたままの姿になったわたしとつかさだけが在った。

「いくよ。つかさ」
「うん……きて。お姉ちゃん……」
177"ハッピーマンデーの祝福" 6/7:2008/11/13(木) 14:59:00 ID:8RH1l5Ox
「んっ……んむぅ……ふあぁ……」
「ふうっ……ん……つかさ……」
 深くキスをしながら両手で胸の先をねぶるようにつまむ。
「もっと……いたく、して?」
「……こうっ?」
「ああっ! ひゃあぁぁっ!」
 言う通りに先をつねると、つかさは身体を震わせて達した。
絡み合った足の付け根からもぴちゃぴちゃ、水音が上がる。
「何、もういっちゃったの? 乳首つねられていっちゃうなんて……
つかさ、ほんと変態ね」
「ふあぁ……おねぇちゃん……もっとぉ……もっといじめてぇ……
ほらぁ……こっちもぉ……」
 吐息混じりの声に、背骨に何か駆け上がるような感覚が走る。
 つかさはずるい。
 そんな声を聞いて、応えないわけにいかないじゃない。
 ----そしてつかさは両手で少しぷっくりした秘所を
"ぐにっ"と音がしそうなくらいに拡げ、
「ここぉ……じゅぼじゅぼしてぇ……」
 と、更に私をぞくぞくさせてくる。
「もう……どうなっても知らないわよっ!」
 午後11時30分。
 朝は遥か、遠い。

「はぁっ! はぁっ! つかさぁ……ふぁうっ……!」
 覆い被さった毛布の中。
「んあっ! おねぇちゃん! いく……んっ!」
 息苦しい闇、熱に侵された身体。
「ああっ……私……私もぉ……いくぅ……っ!」
 擦れ合う熱に、汗まみれで抱き合う身体に、吐き出す息に----
 心が溶けていく。力も、何も届かない二人だけの心になっていく……
「おねぇちゃぁん……おねぇちゃぁん……! だめぇ……ふあぁっ……!」
 ずっと……こうしていたい。
「つかさぁ……っ……つかさぁ……っ! はあぁぁっ……!」
 もっと………つながっていたい。
「ふあぁぁっ……!」
178"ハッピーマンデーの祝福" 7/7:2008/11/13(木) 15:01:05 ID:8RH1l5Ox
気を失ってたのか、そうじゃないのか。
 とにかく私は、今目の前にある確かなものにすがり付くように
つかさを抱きしめていた。
 夢うつつで、ぼんやり、つかさの、私と同じ色の髪を撫でている。
 部屋に落ちる影が、少しずつ薄く白んでいくのを感じながら。
「窓の向こうで、鳥が鳴いてるわね……つかさ」
「うん……そうだね……」
「ほんとに……ほんとに朝までしちゃったね」
「うん……そう……だね……」
「ねぇ……つかさ……」
「ん……?」
「だいすきだよ」
「……うん……だいすき……お姉ちゃんが……だいすき」
 そこまで言って、つかさは事切れたように眠りに落ちた。
 私は小さくありがとうを言って、おでこにひとつキスをする。

 ねぇ……つかさ。
 最後に良いこと教えてあげる。
 今日は、祝日なんだよ。
 だから……だから、今日はこのままでゆっくりおやすみ。
 ずっと、ここにいるからね……。

 そして私は、勤労感謝の日に、感謝しながら----
汗まみれの毛布を引き下ろして、羽毛布団に、抱き合ったまま、包まれた。
 足の先が、少し冷たいけれど。
 なんとなくどうでもよくなって----夢うつつに、まぶたを落とした。

 夢の中でも、つかさに逢えるような、そんな気がして……。
17954-78:2008/11/13(木) 15:06:27 ID:8RH1l5Ox
あなたのかがみ 第3話 "ハッピーマンデーの祝福"
以上です。

甘々な二人を書きたくて試行錯誤しましたが、
エロ&泣きを3点リーダ多用で表現するしか出来ない
自分の底の浅さに泣きそうですorz
なので、今回はいつも以上に読みにくいかもしれません…
本当に、書くのって難しいですね…
また何かあれば、ご指摘、ご助言頂ければ幸いです。

それでは、続きも頑張ります。
ありがとうございました。
180フレディさん:2008/11/13(木) 15:07:53 ID:axKyc6dm
>>179
リアルタイムで読んできた。
お疲れさまと言っておこうか。
新作早いな。その仕事ぶりには尊敬するぜ。
それにしても、文章能力のレベルが高いな……
俺のご主人さまもこれくらいはやってほしいもんだぜ……。
これからもがんばってくれ。応援してるぜ。
181名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 19:03:17 ID:/uiVSAS2
>>179乙そしてGJ
なんか久々に直球どエロで爛れた展開におっきおっきしたw

しかし・・・愛が深ければ深いほどシリアスになるタイプだなこの二人は・・・
他のカップルとかだと同じガチでもあんまり深刻なイメージにならないんだけどねぇ

実際には二人とも付かず離れずでいつまでも仲良くずっと一緒にいるだけで満足してそうだけど
もし片方がガチに目覚めてしまったらこのお話よりもさらに深い泥沼になりそうだ
182名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 21:27:32 ID:idO315MT
かぶりがなければ
3分後に投下させていただきやす
183三毛また:2008/11/13(木) 21:31:32 ID:idO315MT
それではでは


タイトル:実はゆたかの趣味のインターネットがかなりディープだったら:中編


三編構成の中編
前編>>144-155
後編は明日までに仕上げて投下したいとか思います


エロ:微エロ(ただし次はもっとエロくなるので注意)
注意事項:ゆたみなorみなゆた
     掲示板形式と通常文章の混合
     
消費レス:8レス
     掲示板形式の部分がかさばってるので、実際の中身はあんまり長くないです。


テーマ:だってここはエロパロスレだもの
184〜ディープだったら中編1/8:2008/11/13(木) 21:32:41 ID:idO315MT
 アルバイトに向かうこなたと別れたゆたかは、八百屋や酒屋などによって買い物をすませながら
岩崎家へと足を進めました。
 結局いくつもの個人商店を巡ってしまいゆたかが都内にあるみなみの家に着いたのは、みなみに
すぐ行くとメールをしてから一時間以上が経ってからです。通常かかる時間を差し引いても、三十
分はロスしていました。
 空に輝く太陽はほんのりと赤らみ始め、世界を橙に染めていきます。
 インターホンを押していたって普通の呼び出し音を送ると、ほどなくして抑揚の薄い声が返って
くるのでした。
「いらっしゃい、ゆたか……少し遅かったね」
「おじゃましま〜す」
 みなみが開いた扉をくぐりながら、ゆたかは肩からぶら下げたバッグの中に手を差し込んでまさ
ぐります。
「ごめんねみなみちゃん。もっと早く来たかったんだけど、お買い物してたら時間かかっちゃって」
 ゆたかが購入してきたのは、バナナ一房とベジーテという野菜ジュースから出来たお酒を三缶で
す。
 この二つには、それぞれゆたかの時間を余計に浪費させる理由がありました。
 世間では最近バナナダイエットというものが流行しているらしく、そのせいでいくつもの店舗で
バナナが品切れになっていて、ダイエットに使うわけでもないゆたかまでバナナ発見に手間取って
しまったのです。
 そしてベジーテは、お酒でありながら缶の装丁が野菜の画ばかりでまるでお酒らしくなく、ただ
でさえ買い慣れていない少女がスムーズに探し出すのは困難な作業でした。
「バナナをすって入れたら良い甘味が増えると思って…」
 彼女はバッグの中からバナナを取り出して見せようとしますが、へたが引っ掛かっているのかな
かなか出てきてくれません。
 そうこうしているうちに、通路の奥からみなみの愛犬チェリーがのそのそとやってきました。
 犬の気配に気付かずに、やっと取り出せたバナナをエヘヘと笑顔を浮かべながら抱えて見せるゆ
たか。
 そこにチェリーは、来客の匂いを確かめるように鼻をひくつかせながら近づいてきます。
 そして、そのまま突っ込みました。
 それは、突起とくぼみの融合。
 凸と凹があったからはめ込んだだけとでもいわんばかりに、流れるように淀みなく。
 丸みを帯びた三角の鼻が、ゆたかの脚の付け根と下腹部に囲まれた三角地帯にすぽっと収まりま
した。さながらパズルのピースをはめ込むように。
 チェリーは減速することなく突撃すると、あまつさえぐいぐいとスカートの上から押しつけまし
た。
185〜ディープだったら中編2/8:2008/11/13(木) 21:33:20 ID:idO315MT
「ほらこのバナナすっごく大き……ひゃぅッ!!」
 びくっと体を震わせて、バッグごと荷物を落としてしまうゆたか。
 するとその拍子にいくつか中身が飛び出てしまいました。
 みなみがチェリーをたしなめつつ、こぼれた品々を拾い上げていきます。
「ありがとうみなみちゃ……」
 みなみがその中の一つを手に取った瞬間、ゆたかは声を詰まらせました。
 それは野菜の画が特徴的な缶。
 ベジーテです。
「あ、っと…それは、えっと」
 お酒を持ってきたことについて何と言えば良いのか。ゆたかの頭の中が最大最速で回転して答え
を求めます。
 お酒で煮るとお肉が柔らかくなるから。
 お酒を入れるとカレーにコクがでるから。
 そんなどこかで聞いたことがあるような無いような、嘘か真かわからない、けれどなんとなくソ
レっぽい理由候補がいくつか思い浮かびます。
 ただ、ゆたかがそれらを口にする必要はありませんでした。
「野菜ジュース……栄養豊富なカレーになりそう」
「そ、そう、野菜カレー!ビタミンいっぱいなカレーにしようね!」
 ベジーテは野菜の画ばかりの缶。
 パッと見では野菜ジュースだと思ってしまっても、何らおかしくはありません。堂々と「お酒」
と書いてはあるのですが、缶を手に取った角度によってはそれが見えないこともあり得ます。その
場合、わざわざアルコール飲料であることを言わなければ、野菜ジュースだと認識されるのはむし
ろ自然だったのです。
 カレーに野菜を入れるのは普通なのだから、野菜ジュースなら何の問題もありません。
 おそらくみなみも勘違いしたのだろうと、ゆたかは小さな胸をなで下ろしました。
 一方みなみの方は、ベジーテにはあまり注意を向けてませんでしたが、いっしょに落ちていた目
薬には少し目を取られていました。
 成分表の一覧辺りに視線を泳がせると、そっと微かに頷きます。
 その様子はほんの少しゆたかの目に奇異に映ったものの、みなみに部屋へと向かうことを促され
るとすぐに記憶から消え去ってしまいました。


186〜ディープだったら中編3/8:2008/11/13(木) 21:34:00 ID:idO315MT


541:1:2008/11/7(金) 16:53:19.11 ID:wAlk/mOE
長門(大)邸に潜入成功。

ダンボールが無いのでトイレにて通信中。


543:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:53:29.01 ID:VGTDY?mm
スネークwww


549:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:53:45.07 ID:KoLMH24D
招かれといて潜入もくそもねーよw


552:1:2008/11/7(金) 16:54:05.31 ID:wAlk/mOE
今カレー作ってるとこでちょっと抜けてきた。
ベジーテはカレーに入れればいいのかな?
目薬もどーすればいいのかわかんないからアンカでよろ

>>570


561:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:09.01 ID:PLES2A22
便所でカレーの話とかよくできるな…

目薬は目に挿す以外にどうすんだ?


567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:38.45 ID:jieomapp
ベジーテは酒だろ?
酒は呑め。
むしろ呑ませろ。




569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:45.15 ID:miNorIcV
目薬をベジーテに入れて飲ませる


570:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:47.35 ID:Cv//a-yA
↑+↓


571:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:48.55 ID:uSA168jk
口移しで飲まセロ

187〜ディープだったら中編4/8:2008/11/13(木) 21:34:38 ID:idO315MT


575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:59.44 ID:BT2atE35
ちょww


578:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:12.28 ID:4Okkan24
おにちくwwwwwwww


598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:42.12 ID:87N?lko2
目薬をベジーテに入れて、
それを1が口に含んで、
長門(大)に口移しで飲ませる。

こういうことか。
そういや酒に目薬混ぜると化学反応して速効で酔いつぶれるとか聞いたことあるな。
>>570がgjすぎる


607:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:58.37 ID:lkwep6aw
>>569−571
GJ!!!
すげええええええ


612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:56:07.12 ID:rzebdo36
>>569−571
神ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


623:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:56:25.24 ID:36kelo1a
>>569−571
てめーら感動したじゃねえか!ww


>>1よ、わかってるだろうな?
188〜ディープだったら中編5/8:2008/11/13(木) 21:35:12 ID:idO315MT


650:1:2008/11/7(金) 16:57:05.31 ID:wAlk/mOE
これは569と571を合わせてってことか…
予想GUYすぎる……

ちょっと気持ちの整理がつくまで待って……


659:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:19.44 ID:BT2atE35
冷静になればなるほどできなくなるだろ!

今いきなさいww


662:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:29.01 ID:PLES2A22
それでも1なら…
1ならきっとやってくれる…


670:1:2008/11/7(金) 16:57:45.49 ID:wAlk/mOE
うー
ぇー
おl−

あーもー行ってくる!!!


687:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:49.45 ID:VGTDY?mm
行ったー!!!!


189〜ディープだったら中編6/8:2008/11/13(木) 21:35:48 ID:idO315MT


「ゆたか……田村さんが、原稿が終わってこっちに来れるの7時ころになりそうだって」
 夕食のカレーを作りはじめていた最中に、いったんトイレにいっていたゆたかがキッチンに戻る
と、携帯電話を見つめながらみなみが話しかけてきました。
「………」
「………?ゆたか?」
「…え?な、なにみなみちゃん」
「田村さんはあと二時間くらいかかるみたいって」
「あ、うん。急に他のサークルの人からイラストの依頼が来たんだっけ。すごいよね〜」
 ゆたかの頭には、みなみの言葉はほとんど入っていませんでした。
 音として耳には届くものの、脳には重要なこととして認識されず、反射的に適当な言葉が絞り出
されている状態。
 彼女の頭の中は今、一つのことでいっぱいになっていて他の事を考える余裕など無かったのです。
「み、みなみちゃん。コップ借りてもいい?」
「…いいけど、喉渇いた?」
「えっと、あ、あの野菜ジュース味見しておこうと思って」
 会話をしているだけで、意図せずに上昇していくゆたかの顔面温度。みなみの顔をまともに見る
こともできず、ゆたかはうつむいた状態でコップを受け取りました。
 そのままくるりと反転すると、みなみに背を向けて見えない位置でベジーテの缶を一つ開けます。
 パキッ。
 こぽこぽこぽ。
 数日なのか数か月なのか。封をされて眠っていたそのアルコール飲料は、解放された喜びを表現
するようにほのかな甘い香りを振りまきました。
 ちょうど現在の陽の光のような、濁った橙色をしたその液体は、お酒であることを知っているゆ
たかの目にもジュースのようにしか見えません。
 実姉がビールや日本酒など大酒飲みが好む類の物ばかりを嗜んでいたので、ゆたかにとってお酒
と言えばアルコール臭がきつく苦い物という認識でした。そのため、目の前のベジーテは少女の軽
い固定概念を砕く効果のある一品だったのですが、残念ながらゆたかの意識は別のことに向いてい
ます。
 目薬を持った手が、ベジーテを注いだコップの上でぷるぷると震えていました。

 ぴちょん。
 ぴっぴっ。
 ぴしゅー。

 最初の数滴は慎重に垂らしていたのに力の加減を間違えたのか、本来の用途通りに目に挿してい
たら目から溢れてひどくもったいないことになりそうな量が、橙の中に溶けていきます。
190〜ディープだったら中編7/8:2008/11/13(木) 21:36:21 ID:idO315MT
「み、みなみちゃんは……のど渇いたりとか、して、ない?」
 なみなみと注がれたコップを両手で大事に持ちながら、ゆたかは詰まりがちに尋ねました。
 内容は、喉が渇いてるかどうかという実に一般的に交わされるもの。
 それでも、少女の頬は今や手にした液体よりも濃い緋色に変わりつつありました。
「そういえばちょっと渇いてる、かも」
「そそそそれじゃあ…!!」
 ゆたかは心を決めるように急に大きな声を出すと、コップから入れられる限りの液体を口に含み、
そして振り返りました。
「………?」
 そこにいるのは、静かな表情でまっすぐに見つめてくるみなみ。
 いつのまにか間後ろに来ていたのか、まさに目と鼻の先に彼女がいたのです。
 さきほどまでまともに顔も見れなかったのに、突然至近距離で、しっかりと視線が交錯します。
 ……ゴクン。
 息をのむゆたか。
 一瞬動きを止めて、つばを飲み込もうとします。
 しかし、今ゆたかの口の中につばは無く、変わりに違う液体が幅を利かせています。
 悩む暇さえなく、ほぼ反射的にその液体を喉の奥に流し込みました。

 そう。
 橙色に濁った、目薬入りのお酒を。

「あっ……!!!」
 しまったと思ったのは、数泊の時が経過してからでした。
「ゆたか……?」
「あぇう……えと、みないちゃんぅ」
 今までの声が詰まるのとは別の具合にゆたかの口調が乱れ出し、メルトダウンしたかのように橙
を越えて赤く染まっていく顔色。頬は発熱してるかのごとく、ゆたかには外気がやけに冷たく感じら

れました。
 それらが引き続き見つめあっているみなみの視線のせいなのか、それとも思いがけず体内に取り
込んでしまった目薬ドーピングアルコールのせいなのかはわかりません。ただ、その影響で熱を持
ってしまったのは顔だけでなく、頭の方にも及んでいたのです。
191〜ディープだったら中編8/8:2008/11/13(木) 21:37:05 ID:idO315MT
「みあみしゃん!」
 急速に、熱の曇りがゆたかの脳をぼかしていきます。
 普段なら二の足を踏む一線も、今は、今だけは見えなくなっていました。
 再びコップに口をつけると、目一杯に目薬酒を含んでコップは脇に置き、今度は躊躇う様子すら
見せずにみなみの首に手をまわしました。
「ゆた……」
 多少の驚きの色を顔に浮かべながらも、飛び込んできたゆたかを落してしまわないようにしっか
りと抱きかかえるみなみ。
 もともと表情の変化の少ない彼女のことなので、本当は存分に驚いているのか、見た目通りあま
り驚いていないのかは彼女自身にしかわかりません。
 なので、ゆたかが唇を重ねたときも、やはり大きなリアクションはとりませんでした。

 こく、こくん。

 ゆたかの口から、少しずつ目薬とアルコールの混合物が流れていきます。
 本来自然のままなら、圧倒的に身長の低いゆたかの口から圧倒的に身長の高いみなみの口へと液
体が流れることはありません。みなみが拒めば、いくらゆたかが注ぎ込んでもこぼれおちるだけの
はずです。
 しかし、みなみの食道にはとくとくと液体が染み入っていきました。
「ん……」

 ちゅるッ…

 不意にお互いの舌が触れあうと、どちらの物かわからない声が漏れます。かといって驚く様子も
なく、どちらともなく目を閉じ、初めて出会った舌の感触を再び求めて相手の口腔にゆっくりと侵
入していくのでした。
 少しばかりの滴が唇の端から滴り、しだいに二人の服に橙色の染みを作ります。その染みが広が
る速度に合わせて、みなみの顔も徐々に緋色に染まってきていました。
 それがゆたかのように真っ赤な顔色とはなっていないのは、単に時間の問題ではないようでした。
アルコールに対する体質の問題か、それとも彼女にとっては目薬とアルコールの化学反応などより
も、ゆたかの唾液が含まれていることによる心理効果の方が大きいのか。それもまた、彼女自身に
しか分かりません。

「…んはぁ」
 やがて口の中の液体を唾液以外全てみなみに譲渡し終えたゆたかは、ゆっくりと口を離しました。

 くちゅ……
 最後まで名残惜しそうに触れあっていた舌が剥がれると、若干の橙色を残した糸が薄く延びます。
 もはやどちらの唾液から生成された物なのかわからないそれを、二人は分け合って喉の奥に収め
ました。
「えへへ……」
 くらくらとゆれる視界の中で、ゆたかはみなみの腕の中から脱して後ろを振り向くと、ぺたんと
座り込んでしまいます。そして携帯電話を取り出して、操作を始めました。

 すぐ後ろにみなみがいるというのに、もうそんなことに配れる気を余分に持ち合わせてはいませ
んでした。





>後編に続く
192三毛また:2008/11/13(木) 21:37:39 ID:idO315MT
以上です。
こなたがバイトの前に学校から家に帰って来てるのはおかしい
とか、
レスの日付は11/7だけどバナナダイエットが現実に流行ってたのは数か月前なんじゃね
とかは忘れてくださいorz

IDに関しては後編のあとがきでちょろっと書きます。

ではノ
193名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:01:13 ID:PGzOVNY7
>>192
微エロ?
微?
キスだけなのに、なんでこんなにエロくできるんだw

さらにエロくなるなんて、次が恐ろしい…
もちろん良い意味でw
194名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:17:39 ID:/uiVSAS2
>>192GJ
はげわろたww
いろんな意味でゆたかが壊れすぎてるwww
195名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:26:28 ID:7XB1uTxM
>>192
GJ!
今回はIDネタでわかったのは1つだけだ…
196名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:27:07 ID:iwAzfU58
>>192
いい仕事してらっしゃる!(作中でも作者さまも)
背中を押されるどころかロケットブースターでピンク色な方向へ突進していく
ゆーちゃんにwktkしつつ、後編もお待ちしてます。
197名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:42:53 ID:x+1htiyV
>>192

ていうか、安価神3名、なんというコンビネーションwwwwwwwwwww
今回の泊まり会そのものが、実は・・・と思わせる神っぷりwwww
今はもうアレコレ言わず、ていうか言ったら確実にネタバレだしwwww
後編を全裸待機wktkwwwwwwww
198名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:45:19 ID:7XB1uTxM
>>197
安価神3名でようやくピンと来てしまった!なんてこった!そういうことか!
199名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 23:48:29 ID:Uzb0jlSO
>>192
神三人のうち、二人はわかったけど一人はまだ確定しない。
俺の予想が正しければ、その最後の一人は前回スナイプしまくった人だろうけど……
IDも微妙に凝ってておもしろす。というか、キスだけでエロイのに『微』エロと申すか。
つまり三毛また氏のエロはもっと……期待してますぜ旦那。
200名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 00:07:52 ID:PfqP77Y8
>>197
俺は何故かドムを思い出した。
201名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 01:40:12 ID:2I/vM+KX
>>200
黒いアレかwww
でも今回はあえて言おう、「青い」であると!
202名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 01:45:54 ID:lzI1Johj
>>201
そうか、現れてくれたか・・・
自分が乙女座であったことをこれほど嬉しく思ったことはない
203名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 02:29:32 ID:rbuBgv9B
やばい、おもしろいぞこのSSw
キスだけでもやっぱエロくてイイ!!
次回のみなゆたのエロに期待大!
204まだry:2008/11/14(金) 11:18:55 ID:mjO8a78a
誰も投下する人がいないようでしたら、投下いたします。
そうじろうとこなた。
エロ無しです。
205七五三:2008/11/14(金) 11:23:43 ID:mjO8a78a
「ははは、どうだ大きいだろう?ここらでは一番大きな神社だぞ?」
「ほぉぉぉぉわぁぁぁ〜〜」
巨大な鳥居に目を奪われる。
自転車を駐輪場に止め、ハンドルに取付けられている子供用椅子から降ろす。
近所の小さな神社なら、即、野生児と化してそこらへとダッシュしていくのだが、
その大きさと漂っている空気に圧倒されたのか、感嘆の声をあげつつ辺りを見回している。

しかし……案外、人が多い。
別にそこまで有名何処では無いはずなのだが、関東最古という肩書きは伊達ではないよう。
はぐれないようしっかりと手を握り、てくてくと歩いて行く。
「よし、ここらでいいか。こなた、ちょっとここで写真を撮ろう。ここで立ってくれな」
鳥居の足下に立たせると首から下げたカメラを手に後ろに下がって行く。
こなたも毎度のこととばかりに、おとなしくモデルを務める。
撮影が一通り終わり、再びこなたと歩き出す。

「おとうさんおとうさん」
父を見上げ問いかける。
「ん?なんだ、こなた?だっこか?肩車か?」
よしきた!とばかりに抱き上げようとするが…
「おしっこ」
肩すかしを喰らう。
「げっ!ちょ、ちょっとがまんしろよ」
「うん」
子供は容赦ないからな…と思いつつ、急いでトイレを探す。
せっかくの晴れ着をおしっこまみれにされてはたまらない。
「ん〜〜トイレはどこだ……お、あったあった」

用を済ませ、こなたの手を洗い、次に自分の手を洗っている隙に
こなたが野生児化して奇声をあげ走り出す。
「あ!こら、こなた!!何処へ行く!!」
手を拭く間もなく追いかける。
こんな人ごみで見失えば迷子確定なのは目に見えている。

誰に似たのか、小さな身体ですばしっこく人ごみの間を器用に縫って走って行く。
「ぬぅぅ、要らんとこまで似おってからに」
周りから頭一つ抜けた大柄な体格ながらも、負けじと器用にすり抜けて走って行く。
人ごみを抜け、何をするかと思いきや、御神木と思しき木によじ上ろうとし出す。
すんでのところで追いつき、げんこつがこなたの頭に飛来する。
「アホちんが!!」
「ふがっ!!」
さっきまで笑顔だったものが一転、
「うぐっ…うぐっ……うあぁぁぁあぁぁぁぁん、ごめんなさい、ごめんなさい」
大声をだして泣き出す。
そこに畳み掛けるように説教が続く。
「そんな所に登っちゃだめだろう!!それに、一人で勝手にどっか行くなって
いつもお父さん言ってうだろう?迷子になったらどうするんだ!!
変な人に誘拐でもされたら大変だろ!!」
厳しい顔でキツくしかる。
「あぐぁぁぁぁぁぁぁぁ〜ごめんなさい〜うわぁぁぁぁぁぁぁん」
206七五三:2008/11/14(金) 11:24:08 ID:mjO8a78a
泣き叫ぶ我が娘を見て、ふぅ〜とため息を付く。
何度見ても気分がいいものではない。
今すぐ抱きしめてやりたいぐらいだ。
だがしかし、何度でも叱っとかなければと思う。
いつもの公園や神社ならともかく、こんな人ごみのなかでやられてはシャレにならない。
やってはいけないことはきっちりと教え込んでいかないと。
こなたにもしもの事があれば……
考えただけでぞっとする。
かなたを失い、こなたまで失ったならば、生きて行ける自信はない。

こなた目線までしゃがみ、優しく、しかし厳しく諭す。
「いいか〜こなた。今日みたいに人がいっぱい居るところで
お父さんから離れちゃうと、迷子になっておうちに帰れなくなっちゃうんだぞ?
お父さんと逢えなくなっちゃうんだぞ?」
「ひっく、ひっく…」
しゃくりあげてはいるが、泣き止んだこなたがそうじろうの話を聞いて、
「ひっく…そんなの…やだ……」
どうにか、しかし力強く答える。
「だろ?だったら、お父さんと約束だ。
おそとで勝手にお父さんから離れたりしちゃダメだ」
こなたの目線までしゃがんだまま、肩に手を置く。
何も言わず、コクリと頭を上下させるこなた。
「よし!!いいこだ!!」
頭をわしゃっ、とひとなでして
涙と鼻水でわちゃくちゃになった顔をハンカチとティッシュで拭き拭きする。
一通り拭き終わり、立ち上がるついでに抱き上げ左腕に載せるように抱っこをする。
すかさず、こなたが首周りに腕を回しきゅっとしがみつく。
「さて、お参りに行こう」
本殿を目指し歩いて行く。

お参りも無事済ませ、駐輪場へと戻るふたり。
そんな時、小説のネタが浮かび上がり、ふと立ち止まりメモを取り出すそうじろう。
「こなた、少しばかり手を離すから、ちょいとお父さんの服の裾を握っててな」
「はぁーい」
と言う返事と、裾を握らせ引っ張られてる感覚を感じて、目を離しメモを取り出す。
さらに首から下げたカメラにて、周りの風景やら建物をいくつか撮影する。
人の流れに逆らって立ち止まっているせいか、
人ごみに少し揉まれ気味になってしまう。
こなたの様子が心配になるが、裾を引っ張る力は無くなっていない。

207七五三:2008/11/14(金) 11:24:32 ID:mjO8a78a
「さて、いこうか」
裾まで手を下ろし、裾を引っ張る小さな手を握って再び歩き始める。
「そうだ、こなた、千歳飴でも買って行くか!」
こなたの方に振り返る。
「おや?」
そうじろうの裾を握っていたのがいつの間にか知らない女の子になっていた。
その子は不安気に、今にも泣き出しそうな顔でそうじろうを見上げている。
年の頃合いはこなたと同じくらいの3歳児クラスだろう。
「あ、れ?お嬢さんは、どちらのお子さんかな〜〜?って………
こなた?!おーーーーい!!こなたーーーーーーー!!どこだーーーー!!」
血の気が引いて行く。
そしてちゃんと目視で確認しなかった己の甘さを後悔する。
「なんてこった。肝心の俺が目を離しちまったじゃないか……」
あたふたきょろきょろする、そんなそうじろうを見て、
見ず知らずの女の子が、とうとう泣き出した。
「おかあさん、おとうさん、おにいちゃーん」
(いや…泣きたいのはこっちだよ…とほほ)
泣いている女の子の隣りにしゃがみ、女の子の頭に手をのせて軽くなでてあげる。
「よし!…おじさんの娘も迷子になっちゃったみたいだから、一緒にさがそう!
ところで、お嬢ちゃんの名前は?」
一緒にさがそうと言われ、泣きやみそうじろうを見つめる。
「さがすの、ほんとう?」
そう言うその目はまだまだ不安でいっぱいの涙を浮かべたままだ。
「ああ、本当だとも。だから…まずはお名前を教えてもらえないかな?」
再度、名前を問いかける。
迷子の問い合わせをするにも先ず名前が判らなければ始まらない。
「ヒック、ヒック……みさお……くさかべみさお」
「みさおちゃんかぁ〜、おかあさんやおとうさんはどんな感じの人かなぁ」
じーっとそうじろうのことを見てから
「おかあさんもおとうさんも、わたしより大きくておじさんよりちいさい
おかあさんはお兄ちゃんよりおっきくておとうさんよりちいさい」
「あはははは……で、おかあさんとかの名前は判るかなぁ?」
「えっとね、おにいちゃん5さいでわたし3さいでいっしょに
しちごさんにきたんだよ〜そんでね〜〜……」
味方だと理解したのか、不安気な表情が消え笑顔で兄の事を語る。
肝心の質問には答えてはいないのだが。
「あははははは、そうかそうか(いや〜これは手強いな)
…素直に社務所に行くかな、こりゃ……」
泣き止んでくれただけでもよしとして自力で探すのをほぼ諦め、社務所へと足を進めて行く。

208七五三:2008/11/14(金) 11:25:09 ID:mjO8a78a
「…ひっく…おとうさん……」
父親とはぐれてしまったこなたが、涙目できょろきょろ辺りを伺いつつしゃがみ込んでいる。
そんな時、御神木の前で一人で泣いている女の子がいると連絡があり
巫女を務めていたみきが確認しにやってきた。
「あらあら…迷子さんね…お母さんかお父さんとはぐれちゃったのかなぁ〜?」
みきを見上げたこなたが、大きくコクッと頷く。
「ひっく…おされて…ころんで……おとうさんいなくなっちゃった…」
「この人ごみで流されてしまったのね…お母さんは?一緒には来てないのかな?」
特になにも考えず、いつも通りに母親のことも尋ねる。
「おかあさんはしんだっていってた…………」
「………!!」
まさかの答えに衝撃を受ける。
「しんでいないけど、いつかおかあさんかえってくるよ」
見上げて答えるその目は真剣だ。
まるでサンタクロースを信じて疑わない子供の目と同じように。
その言葉とまなざしに、反射的にこなたを抱き上げ抱っこしてしまった。
「ええ…そうね、帰ってくるのをいい子で待ってましょうね」
「うん!!」
それ以上は何も言葉を言えなくなってしまった。
なにかを言えば、きっと涙が出てしまう。
(まだ死ぬという事がよく理解できていないのかしら)
こなたを抱き上げ社務所へと歩きながら、考え込んでしまうみき。
きっとこの子の父親も幾度となく説明は試みているだろう。
だが、いかんせん3歳。もしくはまだ3歳に届いてないのかもしれない。
まだまだ、理解出来ていないのだろうと察しがつく。
(うちの下の子達もそこら辺は怪しいものね…)
しかし、神様も酷いことをするものだと思う。
こんなに小さな子供から母親を取り上げてしまうなんて。
話しかけてあげる代わりにきゅうーっと抱きしめてあげる。
「えへへ、あたたかくてやわらかーーい」
抱き上げられたこなたがきゃっきゃっと騒ぐ。
「あらあら、鳴いたカラスがもう笑うってね…くすくす…
そういえば、まだお名前聞いてなかったわね。お名前はなんていうのかしら?」
楽しげにしているこなたに聞いてみる。
「なまえ?こなた。えーとね…いずみこなた」
「こなたちゃんね〜、それで、お父さんのお名前はわかるかなぁ〜?」
父親の名前も聞いてみる。
「おとうさんはねぇ〜〜………????あれ?…おとうさんだよ。
おかあさんはしってる、かなたっていうんだよ。いつもおとうさんがいってる」
「え?そ、そうなんだ……」
(親の名前を知らないってのは、まぁありがちだけど…
亡くなっている母親の名前は知っている…というか父親がいつも言っている?
亡くなったってことを、一生懸命話しているのかしら?)
若干混乱気味のみき。
「ぶつだんってところにあるしゃしんにむかっていつも、はなしかけてるんだよ」
「へぇ〜」
一応答えるが、涙腺が崩壊しないように堪えるのが精一杯になってきた。
これ以上の会話を避けたかったみきが足早に社務所へと向かう。
(とにかく、この子を一旦降ろして落ち着かないと)
今にも泣きそうなみきとは対照的に
こなたは迷子になった不安はどこかにいってしまったようにきゃっきゃと笑っている。

209七五三:2008/11/14(金) 11:25:34 ID:mjO8a78a
社務所へと、てくてくやってくるそうじろうとみさお。
みさおの家族がすでにそこへ娘を探しにやってきていた。
「あっ!!おかあさん、おとうさん、おにいちゃん!!」
家族をみつけ、ダッシュしていく。
「ああーもうーーどこへいっていたの?みさお!
だから、あれほど、一人で勝手に歩いちゃダメって言ったでしょう?」
ゴスッ!
母親からげんこつが落とされる。
「うわぁぁぁあぁん!!」
母親のお説教と娘の泣き声の二重奏がはじまった。
「娘がお世話になりまして……わざわざ、こちらまでありがとうございます、
おてんばなものでして……助かりました」
父親からはお礼の言葉が述べられた。
「いや〜〜、そんな大したことは……私も、その、お恥ずかしながら、
娘とはぐれてしまいまして……って、あ〜〜っこなた!!おまえここに居たか!!
いや〜〜よかった。ここにも居なかったらどうしようかと思ったぞ?」
騒ぎを聞いたのか、奥の方からヒョコッと顔を出してきたこなたを発見する。
「おとうさん!!」
こなたがダーッと走りよってくる。
そんなこなたを両手でひょいと持ち上げ抱きしめる。
「ごめんなぁ〜お父さんが目を離したばっかりに……
大丈夫だったか?寂しくなかったか?」
「うん…でもちょっとさみしかった…あれ?おとうさん、なんでないてるの?」
「なんでって、こなた、おまえまで居なくなっちまったら、お父さん、もう生きていけないぞ?」
こなたをぎゅーと抱きしめる。
「……よくわかんないけど…ごめんなさい」
良くわからないけど、きっと自分が原因…
お父さんに悲しい思いをさせてしまった。
そんなことにちょっと引け目を感じてしまったこなたがあやまる。
そうだ、お父さんとはぐれて一人になった時、すごく寂しかった。
もう逢えないんじゃないか?と思った時、ものすごく悲しくなった。
そうか、お父さんもきっとそれで……
もう、お父さんから勝手に離れてどっかに行くのは止めようと思うこなたであった。
「おとうさん…」
きゅーと肩周りにしがみつく。

みさおの父親が声をかけてくる。
「お互い子供が無事で何よりです。それでは、私たちはこのへんで失礼いたします」
「あ、いえいえ、そんな大したことでも……お?!ばいばい、みさおちゃん」
ばいばいと手を振っているみさおに気づき、そうじろうがばいばいと返す。
そして日下部家の両親が深くお辞儀をして帰っていく。
(親子揃って…か…)
親子4人揃って帰って行く後ろ姿を見つめるまなざしに
羨望と憧れと諦めと悲しみの色が混ざって、なんとも言えない切なさが漂う。

210七五三:2008/11/14(金) 11:25:57 ID:mjO8a78a
先程からじっと見守っていたみきが
声をかけるタイミングを掴めないでいた。
妻を亡くしたのが何時なのかは判らないが、
少なくともここ3年以内であることは子供を見れば察しがつく。
かといってこちらから聞き出す事柄でもない。
とりあえずはその手の話題に触れないように気をつけるしかない。
「あの…こなたちゃんのお父さんで?」
みきがそうじろうに話しかける。
「え?あっ、はい。そうです。泉そうじろうと申します。
娘がお世話になりまして……なんてお礼を言っていいやら…」
抱っこしているこなたを降ろして、ぺこりとお辞儀をする。
「いえいえ、お礼なんて…毎年、迷子はどうしても出てしまいますから。
こなたちゃんも、一人で泣いている女の子がいるという連絡がありまして
それでここまで…この社務所が迷子保護所も兼ねてるんですよ。
あ、あと、あまり叱らないでやってくださいね。
お父さんの後を付いてて人ごみに揉まれて転んでしまってはぐれたようですので」
さりげに、こなたのフォローを入れて上げる。
「それはもちろん…目を離してしまった自分の責任なんで…」
そうじろうが申し訳無さげに答える。
みきがこなたの目線までしゃがみ込み、頭をなでながら
「よかったわね〜お父さんにあえて」
「うん!!」
満面の笑みで答える。
「そいじゃ、失礼します」
「はい、ではお気をつけて」
こなたの手を引きその場を離れようとしたときに、こなたが社務所の奥の方に向かって
「ばいばい〜かがみ〜つかさ〜」
大声でさよならの挨拶をする。
「「ばいばーーい」」
奥から、ひょっこり、丁度こなたくらいの二人の女の子が顔を出す。
「お?なんだ、迷子仲間か?」
そうじろうがこなたにたずねる。
そんなそうじろうに意外な方から答えが返ってくる。
「あっいえ……うちの娘たちです…双子なんですよ。
今年七五三なんでこなたちゃんとは同い年ですね」
こなたを保護してくれたお巫女さん……みきが答える。
「おぉぉ、双子とはこれまた……お巫女さんの娘さんたちでしたか
しかし、子供はすぐに馴染んで友達になっちまいますなぁ〜」
「そうですね、ふふ」
「おっと、長居してもいけないな。それでは、お世話になりました」
「いえいえ、お気をつけて」
二人がてくてくと駐輪場の方へと歩いて行くのを見送る。
結局、母親の事を話題にすることはなかった。
それで良かったのだろうと思う。

211七五三:2008/11/14(金) 11:26:18 ID:mjO8a78a
「お母さん?どうしたの?」
かがみが、どこか悲しげな母親の表情を見て少し心配気味に聞く。
「え?うんん、なんでもないわよ。
お母さん、まだ仕事があるからお姉ちゃん達が来るまでここで待っててね。
それじゃ、お巫女さん達の言うこと聞いていい子でね」
「「はーい」」
そう告げ二人の返事を聞くと、再び本殿の方へと出かけて行った。

駐輪場へ戻る途中にて
「さて、千歳飴でも買って帰るか」
「あめ?あまいヤツ?」
「ああ、そうだ。あの甘いヤツだ。ちょっと面白い仕掛けもあるんだぞ?」
「おもしろいの?」
「ま、帰ってからのおたのしみだ」
「へぇ〜おたのしみおたのしみ〜♪」
千歳飴も無事購入し、自転車が見えてきた辺りでこなたを引く手が、ガクンッと引っ張られる。
「ん?なんだ?転んだか?」
ふいっとこなたの方を見れば、
うつらうつらと眠りかけで、どうにか立っているという状態になっていた。
「おーおーおー、いろいろあったし、今日はまだお昼寝もしてないしな。よっこらしょっと」
落ちる寸前のこなたを、ひょいっと持ち上げ抱っこする。
抱き上げられたこなたが、そうじろうの首周りにしがみつくようにして抱きつく。
「おと……さ……ん…」
こなたの電池が切れ、そのまま眠りにつく。

夕飯、お風呂と済まし、こなたが寝付いたその夜の仏間にて
ラップトップのワープロを打つのを止め、仏壇のかなたの写真に目を向ける。
「かなた〜今日な、こなたの七五三だったんだが、こなた迷子になっちまってな〜
大変だったんだよ〜誘拐でもされてたらどうしようかと思ったぜ」
仏壇の写真に向けて嬉しそうに話す。
仏壇には千歳飴と早くも現像された今日の七五三の写真が供えられていた。

「おとうさんおしっこ」
寝ぼけたこなたが顔をだす。
「おおっと、はいはい」
トイレを後にして寝室へと戻る途中に
「おとうさんどこにもいかない?」
ふと、こなたがたずねる。
「へ?なんでまた?」
「おひるひとりでさみしかった。ひとりだとやだ」
泣きそうな顔で訴える。
「あ〜〜ふむふむ、そゆことね。はは、大丈夫。
お父さんはこなたを置いて何処にもいかないさ。
さ、お父さん、まだやることが少しあるから、また先に寝といでな」
そのまま寝室に連れて行こうとするが
「や〜〜!」
首を横にふり拒否する。
「おとうさんとこにいる!」
「おいおい〜(昼間の迷子が相当効いてるなぁこりゃ、ま、続きは明日早く起きてやるか)
ん〜〜しょうがないな、そいじゃ〜お父さんも、もう寝るとしますか」
どこか嬉しそうなそうじろう。
212七五三:2008/11/14(金) 11:26:44 ID:mjO8a78a
「だっこ〜」
珍しく、積極的に甘えてくる。
「よしきた!」
嬉しそうにひょいっと抱き上げる。
こなたがご機嫌で首まわりに抱きつく。
(いつ頃までこうして寄り付いてくれることやら。でもま、そんなのは
もっとずっと先の事だし、今からそんなの考えてもしょうがないしな、ははは)
「こなた…お父さんはどこにも行かないから、大丈夫さ。
おまえは俺の大切な宝物だからな。なにがあってもおまえだけは守るからな」
「んじゃーおとうさんはわたしがまもる!」
「ん〜?それはそれは。そいじゃ、もしものときはよろしくな?」
「だいじょーぶ、まーかせて!!」
「はははは、頼もしい限りだな」
寝室に着き、そのまま布団へと直行する。
布団の中で眠りに付くまでの間、今日の出来事を中心に雑談タイムとなる。
次第にこなたのろれつがまわらなくなり、パタリと落ちる。
(いやー電池切れの限界ぎりぎりまで稼働できるなんて、こなた位の小さな子は
ほんと不思議だよな〜……しかし、可愛いよなぁ〜親バカなんだろうけどさ、
この寝顔はホントに可愛い。すまんな、かなた。この寝顔を独占しちまって。
できることならおまえにも見せてやりたいよ…写真にでも納めて仏壇にでも供えるか
…ただ今日は、ちょっとカメラ取りに行けなさそうなんでまた今度な)
こなたががっちりと腕に抱きついて寝ているので
そのまま、一緒に寝てしまう以外に選択肢が無い。
無理に振りほどけば、いくらでも自由にはなれるのだが
さすがに可哀想でそれは出来ない。
「おとうさん……にひひひ……」
なんの夢か気になる寝言だが、嬉しそうな表情を見るにいい夢なのは間違いない。
「ふぁぁぁぁ……それじゃ、お父さんも寝るとしますか、おやすみこなた」

翌朝、こなたの声で起こされる。
「おとうさん、おとうさん。おきておきて」
「…お……おん?なーん、こなた〜?」
「きょうも、しちごさんいこ!!」
「……あははは……いや〜〜あれは1回キリなんだよ、だから今日はもう行かないんだよ」
「え〜〜」
こなたが悲しげにぶーたれる。
そうじろうにとってそんなこなたの表情は、心にズサズサと刺さってくる。
「ん〜〜そうだ、ゆきの所に行くか。ゆいちゃんやゆーちゃんとも最近あってないしな」
何気に代替え案を言ってみる。
「おお!おねーちゃんとゆーちゃんちにいく」
こなたの目がパァーッと輝く。
その顔をみて、よし!、と心で呟く。
「そうと決まれば、さっさと準備するぞーー」
「おうーーー」
やり残した仕事があるが、ええいままよ、と鞄にラップトップワープロを突っ込み、
向こうでやればいいさ、ゆきの家の方が自由になれる確率が高いしなと自分に言い聞かせる。

一通り準備を済ませ、
「いってきまーーーす」
こなたが元気な声を響かせて出て行く。
「いってくるな……ちょっくら留守をよろしくな、かなた」
そうじろうも無人の玄関に向かって声をかける。

「さて行くか。こなた、あーーーーこら走るんじゃ……転けたか…まったく世話の焼ける…」
そして今日もバタバタな一日が始まる。


213まだry:2008/11/14(金) 11:27:21 ID:mjO8a78a
以上でございます。
失礼いたしました。
214名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 11:32:38 ID:MsUni2dK
(´;ω;`)ウッ…
215名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 13:00:46 ID:nIQGT2CW
>>213
心の洗濯をさせてもらたよ( ´Д⊂ヽ
ほっこりした。

らき☆すたは、大人陣も良い味出してるのが魅力の一つですのう。
216名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 16:09:15 ID:3h0qBh2o
>>213

きちんとゲンコツ落として叱れるそう君に感心した。
そのあとの同じ目線でのフォローといい、これが正しい教育姿勢ってもんだと思う。
217某希少価値:2008/11/14(金) 19:56:01 ID:2I/vM+KX
おとーさんは、ただのロリコンヲタクではないのです。
娘を、ヲタクとはいえ・・・w、ぐれさせることなくしっかり育て上げた、
こうみえても、立派な父親なんです(≡ω≡.)b

そうじろう「言葉の端々が色々引っかかるが・・・フォローあり・・・」
218名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 20:12:20 ID:mNhPIN9D
こなたがななこ先生の鉄拳制裁に肯定的なのはそうじろうの影響かw
21954-78:2008/11/14(金) 21:36:07 ID:HKeQUzTP
三毛また氏、まだry氏、乙でございます!
どちらも話は全然違うのに"らき☆すたらしさ"が
すごく溢れていて…本当に良いお話でした。
三毛また氏へ。
今日の後編も楽しみにしております。

さて、そんな花金の夜の祭の点火剤になれれば…
と思い、差し支えなければ5分後にこの前の
続きを投下したいと思います。
220名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 21:37:09 ID:9yTSxm6A
>>213
ちびこなた! ちびみさお! みきお母さん!
台詞の端々から今の彼女達が透けて見えて、頬が緩みました。
ぐっじょぶでございました!
22154-78:2008/11/14(金) 21:44:30 ID:HKeQUzTP
ほい、では投下前の注意書きをば。
・6レス使用します。
・かがみ&つかさです。(今回エロはありません)
・一人語りがとにかく多いです。
・相変わらずの携帯での投稿です。
(なので読みにくいかもしれません)
・初の前後編です。
(後編は後日、折りを見て投下します)

以上を踏まえて、苦手な方はスルーよろしくです。

それでは、
あなたのかがみ 第4話 "コハルビヨリ(前編)"
投下します!
222"コハルビヨリ(前編)" 1/6:2008/11/14(金) 21:47:24 ID:HKeQUzTP
それはまるで、さっきまで見ていた夢のように。
 11月の正午に吹く、風のように。
 今、指を絡ませながら繋いでいる右手のように。
 朧気で----だけれど確かに残る記憶。
 家族よりも近くて、友達より遠い"妹"が、私の"恋人"になった日。

「つかさぁ、起きてるー?」
 それは高校1年の12月----良く晴れた日で、神様が季節を間違えたような
温もりが窓の外から漂う、空がとても遠く澄んでいた
小春日和の朝だった。
 春には皆が同じ匂いだった制服も、そろそろそれぞれの家の匂いに
馴染んで----無意識に袖を通すいつも通りの朝。
 つかさはまだ、夢の中だった。

「おーい、つかさぁ! ほんとに遅刻しちゃうぞー」
 ----確かに布団から出たくないわよね。とは言わないけれど。
 "ふぅ"と口を開けずにため息をつきながらつかさの部屋の
ドアを叩き続ける。女子高生の朝は、慌ただしいのよ、なんて姉ぶったように。

「ふにゅう……おはよぉ〜おねぇちゃん……」
「はい、おはよ。急がないとほんとにヤバイわよ」
「う〜ん……そうするぅ……」
 こうしてほぼ毎日のように交わされる----いまいち噛み合わない朝の一コマ。
 何処にでもあるような、姉妹の会話。だけど、もう何年も----もう何年も
私は"意識して"こんな会話が、私たちが続くように心がけていた。

 7歳の七五三の夜に目覚めた力----誰かの心を映す"鏡"は、
私に人間不信と孤独と、そして実の妹が----私へと向ける
愛を教えてくれていた。
 "知らなければ良かった"、"知りたくなかった"と思う事が多過ぎて
心底疲れていた私にとってその真っ直ぐで、
どうしようもない愛情は私にとっての"救い"だった。
 いつもくっついて来て、甘えん坊で、ドジだけど、
私のために、私のためだけに見せてくれたその笑顔が、何より嬉しかった。

 だけど、中学に入学した頃に芽生えた"疑問"。
 今まで当たり前に映していた、つかさがくれる私への"愛情"がもしかすると、
もしかすると家族に向けるべき愛では無いんじゃないか、と、いうこと。

 それが思春期の始まり。
223"コハルビヨリ(前編)" 2/6:2008/11/14(金) 21:50:56 ID:HKeQUzTP
私は怖かった。
 つかさが。では無くて、つかさと私が違ってしまうのが。
 だから手を繋いでも指を絡ませなくなった。
 ----つかさの胸が高鳴るから。確信なんてしたくなかったから。
 常に誰かを、つかさ以外の人の心を映して、
応えられたらと、思うようになった。
 ----つかさとの今が壊れないように。壊してしまわないように。
私が気付いてしまったら、YesかNoを告げなければならなくなるから。
 つかさを傷つけてしまうかもしれないのは、本当に----本当に嫌だったから。

 そんな思いで、私の、私たちの中学生活は過ぎていった。
 いつもどこかで辛くて、つかさの笑顔が眩しすぎて。優しさが暖かすぎて。
 気付かないふりしている自分が、とても辛くて。
 誰にも聞こえないように、誰にも知られないように、夜、泣いた。
 その度、"矛盾している"と声を殺した。
 違う部屋で良かったと心底思った。
 つかさが夜中隣に潜り込んでも、気付かないふりを、寝たふりをした。
触れる手に、擦れ合う衣音に、つかさの想いが伝わってとても痛かった。
 何故、痛いのか解らない痛みがとても怖かった。

 "あぁ私は、暗闇の中踊り続けているのです----"
 そんなフレーズに涙が零れた受験勉強中のAMラジオ。
 理由の解らない痛み。
 応えられないから?
 眩しすぎるから?
 つかさとは違うから?
 私とは違うから?
 ----違う。違う! 違う!

 だからそれらしい言葉を、
痛みの"理由"を知る為に小説を読んだ。勉強をした。
 ----だけど分からなかった。
 いろんな人と話した。峰岸や日下部と友達になった。たくさん笑った。
 ----だけど分からなかった。
 だけどそれは----皮肉にも私に"鏡"のうまい使い方を教え、
バカ騒ぎ出来るクラスメイトを、年齢相応の知識と羞恥を、
進学校に----陵桜学園に入学出来るほどの学力を私に与えることとなった。

 ----それでも、痛みは消えなかった。
224"コハルビヨリ(前編)" 3/6:2008/11/14(金) 21:54:39 ID:HKeQUzTP
結局、一番大切な事だけが解らないまま私の中学生活は終わった。
 その後、私はストレートに、つかさ周囲の反対を押し切って
陵桜学園へと入学すると、光は、割と、すぐ近くに在ったと
気付かされる事になる----
 新緑が揺れる、高校生になって初めての何気ない5月の放課後に。

「あなたが……泉こなたさん?」
「そうだよー。あなたがつかさの双子のお姉さんの……かがみさん?」
「かがみでいいよ。泉さん」
「私も、こなたって呼んでよ。かがみん♪」
「かっ……かがみん!?」
「あれ? いけなかった? かがみだから、かがみん」
「いっ、いや、そう言うわけじゃ……」
「それにしても、見事だよねぇー。つかさがおっとりしてる分
"しっかりしたお姉さん"!って感じで。それにツインテールで
ツンデレ分までカバーしてるなんてすごいよ。
いや〜世の中何があるか分かんないねぇ!
こんな近くにこんな萌え要素に恵まれた姉妹が、しかも双子で!
そんな人に出会えるなんて……私、陵桜に来てよかったよぉ」

 まるで春に訪れた嵐だった----泉こなた、彼女との出会いは。

「ちょっ、ちょっとつかさ! 何よこれ! どうすりゃ良いのよ!」

 戸惑う私、微笑むつかさ。思えばもう最初から、出来上がっていた"方程式"。

「あのね、こなちゃんはアニメとか漫画がすごく好きなんだってー。
それで、私がお姉ちゃんの話したら是非会いたい! って。
"そんな絵に書いたようなツンデレが本当にいるの?"って……」

 こなたは最後の"="だった。

「だっ……誰がツンデレなのよ! つっ、つかさ! あんたいったい
この子に何話したのよっ!」
「えーっと、それは……」

 神出鬼没。天真爛漫。それで居てどこか心地よい柔らかな----
 "痛み"を知った優しい少女だった。
225"コハルビヨリ(前編)" 4/6:2008/11/14(金) 21:57:42 ID:HKeQUzTP
「それはね……むふ。かがみん。
中学に入った頃、部屋が別々になって泣いてるつかさに
"仕方ないでしょ! あんたの為でも……あるんだから"って言った事とか、
高校の受験勉強の時もつかさに"もう、仕方ないわね"って言いながら
優しく勉強教えてあげてた事とか……その他いろいろ」
「何よ、その他いろいろって。それに! 別に変な事言ってないじゃない。
つかさは甘えん坊だから、それに気を付けなきゃいけないのは
姉として当たり前の事でしょ?
それに頑張ってる妹に出来る事があればしてあげるのも、
姉として当然じゃない。それの何がおかしいのよ」

 "当たり前"が、決して"当たり前ではない"と知っている少女。

「んーでもさ、それをちゃんとしてあげるのは、
姉妹であろうとなかろうと、かがみんがつかさの事、大好きだからでしょ?」

 だから気付かされた。

 "最初から"それが"私のすべて"だった、と。

「そっ、それは……」
「それにさ、つかさはいつも私にかがみんの話をした後
"お姉ちゃんが大好き"って言ってるよ、ねっ、つかさ」
「えっ……」
「こっ、こなちゃん……はずかしいよぉ……」
「相思相愛、って事だよかがみん。
まぁでもそれが家族愛なのかそうじゃないのか、までは解らないけどねー
いやむしろ……そうじゃない方が私としては……って、かがみん!?」
「お、お姉ちゃん!?」
226"コハルビヨリ(前編)" 5/6:2008/11/14(金) 22:00:09 ID:HKeQUzTP
私は走り出した。
 リノリウムの床を蹴って、何処までも。どこまでも。
 なんだ。
 答えはこんなに簡単だったんだ。
 なのに3年も解らないなんて----いや、解らないふりをしていたなんて。
 知れば、必ず傷つくから----
 "つかさが"傷つくのが怖いんじゃなくて、"私が"傷つくのが怖いから。
 勇気が無いだけだ。
 知ろうとしなかっただけだ。
 目を背けて、本当の事から逃げていたんだ。
 勉強をして、バカ騒ぎをして、本を読んで。
 だけどどれも満たされなかった。満たされはしなかった。
 だって最初から知っていたんだ----"どうすれば"満たされるかなんて。
 どこに答えがあるかなんて。
 私の"鏡"は、いつもつかさが、いつも私を愛している。と、映していた。
 7歳の頃から、もしかすると、もしかすると生まれる前から。

 変わってしまったのは----姉妹として見れなくなったのは……私。

 そうか、そうだったんだ。

 私がつかさを----愛してしまっていたんだ。

 それから----私は宛てもなく走り、学校を軽く一周してから
1年教室棟に戻ると、つかさとこなたに"いったいどうしたの?"
と、聞かれたけれど、私は答えられず誤魔化して教室に戻った。
 3年間探していた答えを見つけても、そこは、まだ、変われなかった。
 あまりに二人が真っ直ぐで、眩しすぎたから。
227"コハルビヨリ(前編)" 6/6 :2008/11/14(金) 22:06:04 ID:HKeQUzTP
----その後からの私は、答えを見つけた"喜び"と、
気付いてしまった"恐怖"が、ない交ぜになりながら夏と、秋を過ごした。
 血の繋がった"姉妹"に"片想い"している自分を認めるのは、
乗り越えるにしてはあまりに大きな壁だったから。

 だから何度も深呼吸をしながら片想いをしていた。
 気付かれないように、気付かれないように。

 そしてその日も私は深呼吸をして、いつも通りのおはようを言って。
 やっと。
 やっと大きな一歩を踏み出せたのは、
本当の----本当の答えを見つけたのは、
新緑だった葉が散って、吐く息が白くなり、凛とした寒さの中。
ぽっかりと一日だけ神様が季節を間違えたような日差しが窓の外に漂う、
 12月の----小春日和のあの日だった。
22854-78:2008/11/14(金) 22:11:22 ID:HKeQUzTP
あなたのかがみ 第4話 "コハルビヨリ(前編)"
以上です。

今回は回想、前回はエロ、その前はコメディと
行ったり来たりな展開ですみません。
ろくにプロットも立てないで妄想のみに
今の私は突き動かされています。
ほんと読みにくかったらごめんなさい。

さて、後編ですが明後日を予定しています。

それでは、続きも頑張ります。
ありがとうございました。
229名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:40:19 ID:sjEfCfBA
良作がゾクゾクときてる!
まとめてで申し訳ないけど、みなさんGJ!
230名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:58:51 ID:nIQGT2CW
>>228
詩向き、まさに詩的な表現ですなあ。
「むしろ家族愛じゃない方が…」のところでこなたの度量を感じたw
実に甲斐性のあるこなたw

よくケータイでここまでの長文書けるなあと素直に感心。
ケータイで書きこまないタチとしては、想像するだけで疲れるorz




本当は一時間くらいは間を開けたかったんですが、諸事情で今投下しないと今夜できなくなるので、
失礼ながら3分後に投下させていただきやす
231三毛また:2008/11/14(金) 23:01:51 ID:nIQGT2CW
それではでは


タイトル:実はゆたかの趣味のインターネットがかなりディープだったら:後編


三編構成の後編。完結
前編>>144-155
中編>>183-192


エロ:エロ有り(ガチ百合注意)
注意事項:ゆたみなorみなゆた(伏線の解釈しだいで攻受変化)
     掲示板形式と通常文章の混合

消費レス:13レス
     掲示板形式の部分がかさばってるので、実際の中身は数字よりは長くないです。

テーマ:ほとばしれエロス
裏テーマ:プラシーボ効果
232〜ディープだったら:後編1/13:2008/11/14(金) 23:02:52 ID:nIQGT2CW
 岩崎家のキッチン。
 そこには二人の少女が座り込んでいました。
 一人は家人の岩崎みなみ。
 そしてもう一人は小早川ゆたか。
 二人ともアルコール飲料のベジーテに目薬を含んだものを飲み込んで、あるいは他の理由から、
もしくは複合的な原因で頬も脳も熱く火照っています。
 特にゆたかの方は脳みそが溶けてしまったかのように蕩けて、もはや普段の彼女と同じような判
断能力は全く期待できない状態です。
 今の彼女なら、何をしろと言われてもするでしょう。
 嫌なことならともかく、通常は理性で抑えられているような行為に関しては、まったく抵抗を覚
えることはありません。
 そんなゆたかが今へたり込んでやっているのは、インターネットの掲示板。
 今や彼女の行動指針は、彼女自身にはなく、電子の海に委ねられていました。





722:1:2008/11/7(金) 17:12:11.41 ID:wAlk/mOE
やった
次どうすればいい?

あんな
>>730


727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:12:25.37 ID:lkwep6aw
やばいぞ。
>>1が「安価」も打てなくて「あんな」になってやがるwww


730:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:12:39.46 ID:oi4892wF
1キター!!!!


738:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:12:50.28 ID:4Okkan24
>>730
お前にはガッカリだ…


742:730:2008/11/7(金) 17:13:05.46 ID:oi4892wF
自分にガッカリだ…
吊ってくるorz


748:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:12.45 ID:jieomapp
流れ速ぇ。
とりあえず>>1落ち着いて現状報告たのむ
233〜ディープだったら:後編2/13:2008/11/14(金) 23:03:51 ID:nIQGT2CW


765:1:2008/11/7(金) 17:13:50.41 ID:wAlk/mOE
目薬入れたベジータを口移しで飲ませることに性交。でも一回間違えて自分でののんだ
あたなが回らない。ふらふらする。
たぶんもう書きこめそうない。
最後の安価

>780


770:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:29.01 ID:VGTDY?mm
何自分で飲んじゃってんだwww
ベジータじゃねーしwwベジーテww

しかし>>1の勇者っぷりは異常


771:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:30.51 ID:bytUJ1OK
ガチ百合wwww
まさに性交ww誤字であって誤字でないww
>>1の有言実行に感服www


773:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:13:35.07 ID:KoLMH24D
さあ最後の安価だ。
>>1のはなむけに一発いいの頼むぜ。




779:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:01.23 ID:uSA168jk
そこまでイッたら愛の告白シロ

780:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:02.46 ID:Cv//a-yA
再び↑+↓

781:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:04.04 ID:miNorIcV
バナナで合体



234〜ディープだったら:後編3/13:2008/11/14(金) 23:04:35 ID:nIQGT2CW
788:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:22.28 ID:4Okkan24
>>780おまwwwww
またwwwwww


789:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:25.37 ID:lkwep6aw
テラゴルゴwwwwww


790:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:30.34 ID:mine4dg7
バナナこのために持ってきたのかよwwwwww


794:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:37.12 ID:rzebdo36
>>779−781
神ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


799:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:54.12 ID:yAMayUri
百合だからむしろ女神じゃね。
きっとマリア様だ!!
マリア様が見てるぅぅ


800:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:55.12 ID:87N?lko2
恐ろしい事実に気づいた…
>>569−571と>>779−781
が同じ三人だ……


802:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:14:59.46 ID:sd2fs0sd
愛の告白して、
バナナをち●ぽに見立てて百合セッ●ス
というわけですねわかります

イってこい>>1!!!


805:1:2008/11/7(金) 17:15:10.41 ID:wAlk/mOE
おk
把握

やる

ここまであるがとう。

折れがガンダム…もとい

俺がVIPPERだッ!!!


827:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 17:15:49.01 ID:mowsz2s1
>>1
VIPPERの鑑だなwww


235〜ディープだったら:後編4/13:2008/11/14(金) 23:05:18 ID:nIQGT2CW


 数分の間携帯電話になけなしの意識を傾けていたゆたかは、座ったまま這うように動いてバナナ
を房ごと手に取るとのそりと振り返ります。
 みなみも何をしていたのか携帯電話を手にしていましたが、ゆたかは特に気にせずに近づきます。
 ぽすっ…
 まるでチェリーがゆたかにしたように、ゆたかは全く減速せずにそっとみなみに身体を預けまし
た。チェリーの場合と違ってみなみの胸のあたりにゆたかの顔が当たり、そのまま重なってゆたか
はうつ伏せに、みなみは仰向けに倒れます。
「ねえみにゃみちゃん」
「…うん」
「すき」
 躊躇は、ありませんでした。
 その言葉を今口にするのは当然のこと。普段通りのおはようの挨拶と同じようなもの。
 まるでそんな作業の一つかのように、ゆたかは自然に言いました。
 顔は赤いものの、いつもの笑顔で。
 あまりにも、自然すぎました。
「……うん」
 反対にみなみは、少しだけ、瞬き一つ分ほどの間だけ沈黙を長くして返事をします。
 ゆたかは、みなみのことが好きです。
 大好きです。
 それは疑う余地のない確実な事柄でした。
 ですが、普段のそれは頭に「友達として」という言葉がつくものです。
 同じ「好き」でも恋人に向ける「好き」とは性質の違うものです。
 今のゆたかは頭にもやがかかったせいでその境が曖昧になって、友達としての好きの度合が、そ
のまま恋人へ向けるような好意と勘違いしてしまっているだけなのです。
 ゆたかはバナナを身体のすぐそばに置いて両手を自由にすると、するりとみなみの服の中にすべ
り込ませました。
「んんっ……」
 すべすべのみなみの柔肌を、スケートリンクを滑るようになめらかに撫でまわすゆたか。
 やがてたどり着いた先は、一般的な平均値よりも布面積の小さな胸当て、ブラジャーでした。
 かなり小さめのはずのブラなのに、みなみの肌との間には隙間ができています。そのため這い上
ってきたゆたかの手は、容易にその中に滑りこんでしまいました。
 さわさわと揉み…いや、その有るような無いような膨らみをさすります。
「はぁっぁ……」
 やがて指先に、二つの突起が触れました。
 ゆたかはすでにつんと尖っているその頂きを、両の手の指でつんつんと突っついてみます。
「んっ、んっ」
 その度に、みなみは切なげな声を洩らしました。
 ゆたかが胸を弄るごとに、みなみの表情に悦楽と悲哀が複雑に入り混じります。
「ゆた…か」
「あに?みなみちゃぅ?」
 喉の奥から振り絞るような声でゆたかを呼ぶと、みなみは目を細めてすっと微笑みました。
 糸のようになった目の端から、数滴のしずくを落として。

「胸、小さくて……ごめんなさい」
236〜ディープだったら:後編5/13:2008/11/14(金) 23:06:04 ID:nIQGT2CW
 ぼやけているゆたかの脳に、衝撃が走ります。
 立ち込めた霧の中に、突然大きな槍が豪速で突き抜けたかのようでした。 
「胸無いから…触ってもあんまり面白く、ない…よね」
 微弱に震えるみなみの声が、ゆたかの心をきゅっと締め付けます。
 掲示板のことを思い出して、ゆたかの胸の中で、後悔の嵐が吹き荒れました。
 みなみが胸のことを気にしているのは、よく知っていました。それなのに、自分は掲示板にあん
なことを書いてしまった。
 スレッドのタイトルに、貧乳、絶壁。
 みなみの人物像に、ナイチチ女。
 名前を書いたわけではないし、みなみが目にするとはゆたかは思っていない。けれど、それでも
みなみのコンプレックス部分を軽く扱ってしまったという罪悪感は、ゆたかの心を直撃しました。
「そんなころないよみなみちゃん!そんなことあい!」
「……嘘」
「嘘ひゃないよ!らって…みなみちゃんのなら、どこだって好きりゃもん!」


 くちゅ、ちっ、ちゅっ、ぷちゅ…
 淫らな水音が、コトコトと弱火で煮られているカレー鍋の音に混じって響きます。
 ゆたかは床に膝立ちになると、寝転がったままのみなみの服を脱がせて、その秘部を念入りにほ
ぐしていました。
 すでにいやらしい匂いの粘液は充分に滴っていたけれど、まずは舌で粘膜同士の交流から始めま
した。
 初めてじっくりと見る他人の膣内。お互い使い込まれてない代物ではあるものの、やはり個人差
という物は厳然と存在し、自分で見るのとは違う角度で目にするそれはけっこうな感慨をゆたかに
もたらします。舌でぴちゃりと裂け目を広げるさい、むわっと湿った空気が下腹部を中心に漂って
いるのを初めて知りました。
 やがて、ゆたかは舌から指を使った行為へとエスカレートしていきます。
 最初は人差し指1本でいっぱいだったみなみの入り口には、今や人差し指と中指が入っています。
 ぬぷり……
 2本の指で丹念に、中の壁の感触を確かめてみました。
「く、ぁぅ……」
 次に引っ掻くように指を曲げ、
「っはぁ、ふぅぅっ!」
 次に入り口を拡げるように指を開き、
「ッ……!!!」
 そしてそのまま、ゆっくりと手首を180度回しました。
「ひぅっっ!?……ぃ、ぃあ―――っ!」
 聴いたことの無いようなみなみの大きな声が、岩崎家の中にこだまします。
237〜ディープだったら:後編6/13:2008/11/14(金) 23:06:51 ID:nIQGT2CW
「ゆ、ゆたか……もう、いい。もうだいじょうぶだか、ら」
 荒い息をしながら、みなみが蕩けた目でゆたかに懇願しました。
 その言葉だけだと、もう終わりにしようと言っているのか、さらに次のステップに行こうと言っ
ているのかわかりません。どちらともとれる内容です。
 ですが、今のゆたかには、後者の意味しか考えつきませんでした。
 自分の服も脱ぐと、そばに置いておいたバナナの房に手を伸ばし、そのうちの一本をもぎ取りま
す。
 そしてそれを自分の膣口に押し当てると、ぐいっと押しこみました。
 ずぷ……
「ひぎぃッ…!!」
 予想以上の痛みがゆたかを襲います。まだほんの先っぽが侵入しただけだというのに、ぼやけた
頭でも我慢できず、思わずバナナを落としてしまうほどの激痛でした。
 それもそのはず。さっきから丹念にほぐしていたのはみなみの身体で、ゆたかの方は直接触った
りは全くしていなかったのです。
 しかも初めての行為からいきなり異物を挿入するなど、あまりにもハードルが高すぎました。
 さらに仮に痛みに我慢できたとしても、青い固いバナナならともなく黄色い食べごろのバナナで
は柔らかくて使い物になりません。少しだけ入ったバナナの先端は無残にも中身が潰れ、甘くてド
ロドロした白い果汁が垂れ出ていました。
「バナナ…あるぇ。潰れちゃ…あぇ、入らな…んっ」
 先が潰れたバナナを拾い、再び股間に押しつけるゆたか。
 でも、もはやそのバナナでは一ミリたりとも中に挿れることはできず、どんどん潰れていくばか
りです。
「ゆたか……無理、しないで」
 何かに取り憑かれているかのような様子でバナナを潰し続けるゆたかを、みなみは身体を起こし
てそっと抱き締めました。
「えも、わたし…ばららでみなみちゃんと、がっらいしなきゃ」
 ゆたかは今にも眠りそうに半分閉じかけている目を虚ろに泳がせて、うわ言のように呟きます。
 ゆたかの思考能力は、目薬を入れたアルコールによって正常な機能を一時的に失っていました。
 刷り込みの要領で、まだ行動決定を選択出来ていたころの記憶に従って、まるで赤子のごとくた
だ緩慢に四肢を動かすのみです。
「ほらゆたか…こうすれば、合体できる」
 みなみはゆたかのうわ言を正確に理解したようで、ゆたかが手にしていた崩れたバナナを手放さ
せます。
 それから新たにバナナを一本もぎ取ると、ゆたかの大事なところを隠すように触れさせました。
「…う、ん…」
 ほとんど無毛でつるつるのゆたかの股間において、唯一ある突起にバナナの皮がむにっと当たり、
ぴくりと下半身を震えさせます。
 今度はバナナを体内に差し込むのではなく、ただ縦に添えているだけでした。
 これなら痛みを伴うことはありません。
 そして、脚を交差させてバナナを反対側からみなみが挟みこめば完成です。
238〜ディープだったら:後編7/13:2008/11/14(金) 23:07:41 ID:nIQGT2CW
「く、ぁ……」
 二人の股間に挟まれたバナナは、一本目のバナナのぬめぬめとした白い残骸が潤滑油となって絶
えずわずかに動きます。その微かな動きが、接している二人の敏感な突起を存分に刺激してくれる
のでした。
 さらに、自ら動いてしまえば、摩擦力に比例して快感は増加するのは当然。
「ふ、ぁ……っ」
 意識してなのか無意識のうちになのか、ゆたかがもぞもぞと動いて自分から擦りつけ始めました。
 バナナの皮に、小さなお豆を。
 みなみの太ももに、ねっとりと上気した柔脚を。
 みなみのすらりと無駄な肉の無い腹部に、桜色の二つの蕾を。
 みなみの艶めかしく浮き出た鎖骨から首筋に、ぬらぬらと光る舌と唇を。
「ゆたか…ん、私も動く…よ」
 みなみもやがて我慢できなくなり、脚が、腕が、口が、心がゆたかを欲してじっとしてはいられ
なくなりました。
 すると二本目のバナナもぐちゃぐちゃになり、三本目のバナナを挟みこみます。
 このままではバナナを何本消費してしまうかわかったものではありませんが、下腹部から燃え上
がった熱はバナナがもったいないという精神で鎮火するにはあまりにも大きくなりすぎていました。
「ん…あ。止まらな……!」
「あ、み、みなみちゃ…す、き。しゅ、きぃ……」
 立ち込める甘い香りの中、白濁の半固形物にまみれて身体中を可能な限り密着させて擦りつけ合
う二人。
 みなみが少し身をかがめてゆたかの口が届くところに顔を寄せると、蜜に誘われる蝶のようにゆ
たかの唇はみなみの唇にむしゃぶりつきます。
 息をするのも億劫なほどに舌と舌が別の生き物かのように絡み合い、湿った音を発していました。
 バナナだった物が触れあう肌の間で立てる音。
 そして二人の上下の粘膜が奏でる音も加わり、二人の耳にはそれはそれは素敵な三重奏に聴こえ
ていました。
「あぁっ……気持ちい、ゆたか……っ!」
「あ、あ、やふ…」
 ちゅぷちゅぷちゅぷ…
 じゅぷ、じゅぷ、じゅぷっ…
 くちゅくちゅくちゅ……
「あ、だめ…も、だぇぇ……っ!」
「んっ……いい、よ。ゆた、か……我慢しないで……ぇっ!!」
「あ、はっあああぁぁ、ああああああああっーーーー……!!!!」
 
 ぞくぞくっ、という悪寒とも違う波が身体のつま先から頭頂まで駆け巡った瞬間、ゆたかの意識
は今度こそ塗りつぶされて景色も感覚もなにもかもが消えうせました。




239〜ディープだったら:後編8/13:2008/11/14(金) 23:08:23 ID:nIQGT2CW
 ゆたかが気がついたのは、午後七時をまわってすっかり陽も落ちてしまってからでした。
「ぇ……いたッ」
 急にがばっと起きあがると、頭の奥でトライアングルを鳴らされたようなキーンという痛みが走
ります。
 その不快な頭痛に耐えながら周囲を見回すと、そこはみなみの部屋でした。ゆたかは、みなみの
ベッドに寝かされていたのです。
 なぜ自分がここで眠っていたのか。ゆたかはその経緯を思い出そうとして、意識を失う直前のこ
とをよく覚えていないことに気づきました。
 痛む頭を堪えて、順序立てて思い返してみます。
 ベジーテという野菜ジュースに似たお酒とバナナを買って、岩崎家に到着。それからカレーをみ
なみと作り始めて………
 その後の記憶は、ゆたかの脳内にほとんど残っていませんでした。
 もやのかかった、ところどころ断片的なシーンが、大量のノイズの中でぼんやりと見えるだけ。
ですが、その限界まで擦り切れたビデオテープのような脳内映像でも、ゆたかを赤面させるだけの
破壊力は備えていました。
 それは、みなみと唇を合わせているところ。
 それは、二人とも生まれたままの姿で肌を合わせているところ。

 ボンッ。

 頭の上から煙が噴き出ます。
 もちろん本当に煙が出てはいないけれど、ゆたかの頭の中で爆発的に恥ずかしさが噴き出してい
ました。
 そこに、ゆたかが目覚めたことに気がついたみなみが部屋に入ってきます。
「……ゆたか起きた?」
「みみみ、みなな、みなみちゃん!!」
 頭から布団を被って恥ずかしさを紛らわせたい気持ちを、鼻まで布団を上げる程度に抑えました。
 みなみに事の次第を尋ねてみるべきなのかも。そんな考えが浮かんできますが、わずかに頭に浮
かんだシーンに映っていたみなみを思い出すと、どうしても恥ずかしくて質問を口に出来ません。
 しかしみなみの方は、特に恥ずかしそうな様子もなく、さらりとゆたかが眠ってしまった原因ら
しいことを口にしました。
240〜ディープだったら:後編9/13:2008/11/14(金) 23:09:13 ID:nIQGT2CW
「急にお酒なんて飲んじゃうからだよゆたか……」
「…ふぇ?」
「覚えてない?ゆたかが野菜ジュースって言って持ってきたのを味見したら、酔って寝ちゃったの
 ………あれ、後でよく見たらお酒って書いてあった」
 みなみの説明によると、お酒だと知らなかったゆたかがベジーテの味見で酔ってしまったという
ことになっていました。
 ゆたかも必死であやふやな記憶を掘り返すと、確かにベジーテを飲んでしまったような気がしま
す。
 でも、みなみの言葉とは違ってベジーテがお酒であることは知ってたのに、なんで自分が飲んで
しまったのだろう。ゆたかにはそこのところの細かい記憶までは再生できなかったので、不思議に
思いました。
 それに、その時に眠ってしまったのなら、なんでみなみと口づけをしてる記憶なんかがあるのか
わかりません。
 意を決して、直接尋ねてみます。
「ねえ、みなみちゃん…あの、私ってなんか変なこと、しなかった?」
「特には無いけど……そういえば、携帯電話で何かしてた。ふらふらなのに」
「ケータイ……ぁあ!」
 インターネットの掲示板。ゆたかはすぐにピンときました。
 自分で立てたスレッドのことを思い出し、そこに自分の行動も書き込んでいたのも思い出します。
 試しにそのスレッドを開いてみると、いつの間にか1000レス間近になっていました。
 その中から自分が書いたと思しきものを探して読んでいくと、あるところから急におかしくなっ
ています。
 主に漢字の誤変換や、平仮名自体の打ち込みミス。そういった初歩的なミスが、間違えてお酒を
飲んでしまったあとから頻発しているのです。
 それを目にすると、ゆたかはなんとなく合点がいきました。

 夢……のようなもの。

 ゆたかは、そう結論づけました。
 みなみとの艶々しい行為の記憶はきっと夢なのだと。きっと掲示板でそういうことを書いていた
ので、酔っ払い状態の脳がまだやってないことをすでに行ったことと勘違いしたんだと。おそらく
掲示板への自分の書き込みは、ベジーテを間違えて自分で飲んでしまったというところまでが事実
で、それ以降はアルコール脳が作りだした妄想だったのだと。
 そう考えないと、みなみのセリフと適合しませんでした。
 もし二人が行為に及んでいたのなら、みなみがいつも通りと変わらないなんてありえない。
 いくら沈着冷静なみなみでも、それまで普通に友達だった少女と心の準備もなしに不意に性的な
関係になったら、激しく動揺するはず。
 ゆたかはそう考え、全ては夢だったのだという結論に、たどり着いたのです。
241〜ディープだったら:後編10/13:2008/11/14(金) 23:09:57 ID:nIQGT2CW

「ゆたか……変なことって?」
 ゆたかの思考を読むことができるのか、ちょうど考え事にけりがついたところでみなみが、少し
躊躇いがちに話しかけました。
「ん〜…ちょっと変な夢を見てたみたい」
「そう…なら、いいけど」
 この瞬間、みなみがほっと息を吐きましたようにゆたかには見えました。
 みなみの表情の変化を見抜く術は世界でも五指に入るはずのゆたかです。そのゆたかにも、表情
の変化を感じ取ったわけではなかったので、気のせいだったのかもしれません。
 当のみなみは少々携帯電話をいじると、いつもの調子で口を開きました。
「そうだ。もうすぐ田村さん来るけど、動ける?」
 どうやら突発的に入ったイラスト描きの依頼を無事に終えて、ひよりがやっと到着するようです。
現時刻は七時二十分。七時ごろという予告より若干遅いけれど、ゆたかがちょうど目覚めたことを
鑑みるとベストタイミングと言えます。
「うん、だいじょうぶだよ!………あ、結局カレー作るのみなみちゃんに任せちゃってごめんね」
「ううん……………………………私のせいみたいなものだし」
「え??」
「……なんでもない。田村さんが来る前にごはんの準備しちゃおう」
 みなみに促されてベッドから出ると、ゆたかは着ている服が家を出た時と変わっていることに気
が付きました。お泊まりのために持ってきていた着替えのパジャマとも違います。というか、明ら
かにぶかぶかでした。
 みなみいわく、ゆたかが酔っぱらったときに派手にベジーテを身体にこぼしてしまったので、眠
ってる間に服を替えていたのです。目立つところは拭いたのだけれど、残り汁がついてもいいよう
にお風呂に入るまではみなみの替えを着させておこうということでした。
 確かに、布団の中にいるときはわからなかったけれど、鼻を近づけると身体中に甘い匂いが染み
ついています。
 こぼしただけで身体中についちゃったりするかな?とも思いましたが、ゆたかは深くは考えませ
んでした。
 ベジーテよりも、もっと生の果物の甘ったるい匂いだったのですが、それ以上は考えませんでし
た。


242〜ディープだったら:後編11/13:2008/11/14(金) 23:10:46 ID:nIQGT2CW
 みなみとゆたかがてきぱきと食事の準備を整え、ひよりが到着すると、さっそく夕食の時間です。
「それじゃあ……いただきます」
「いただきまーす」
「いただきますよー。お、うま!このカレーなんか甘めだね。砂糖っていうより、自然な甘さって
 いうか」
 ゆたかが寝ている間に完成していたカレーを口に運ぶと、ひよりは感嘆の声をあげました。
「バナナ一房分使うことになって……いっぱい入ってるから。田村さん、甘いの嫌い?」
「そんなことないよ!すごい美味しいよ!こういう甘み大好き」
 みなみがバナナという単語を口にしたとき、ゆたかは頭の中に何かひっかかる感覚がしました。
 ただの夢。
 アルコールの見せた妄想だと決めたみなみとの肌のふれあい。
 それが、なぜかバナナの一語で蘇りました。
 なんでだろうと思いみなみに目を向けると、ちょうどこちらを見ていた彼女とゆたかの視線が交
錯します。
 その瞬間、正体不明の高揚感が身体の奥底から湧きあがってきました。
 みなみの顔を見ていると、なぜかどきどきと胸が高鳴ります。
 この感覚に似ている物を、彼女は知識として知っていました。
 ただ、それを自分の中に自覚したのは初めてでした。

 百合。

 それは俗世でそう呼ばれる感情でした。
 草津の湯でも治らない病のうち、女の子だけがかかる類の病です。
 ゆたかは普段みなみに対して、親友だとは思っていても恋人という視点で見てはいませんでした。
 百合とは二次元の世界での話。三次元であっても、それは遠くで伝え聞く物で自身に降りかかる
ものではないと思っていました。
 でも、たった今、百合に似た感情を持っている自分がいる。
 なぜいつもそばにいたみなみに対して、今突然意識するようになったのかはゆたかにはわかりま
せん。何がきっかけになったのか、ゆたかの今持ちうるしっかりとした記憶の中には探し出せませ
ん。それでも彼女は自分の中に、みなみへの友情とは別種の好意が存在するかもしれないという可
能性を見つけました。

 それは最終的に勘違いなのか、
 それとも本物なのか、
 どういう結論に達するのかは誰にも、
 ゆたか自身にもまだわかりません。
 ただ、そのことについて、いつか考えてみよう。
 ゆたかが頭の隅にそっと留め置くのは、小さな前進でした。

 どんな結果になるとしても。
243〜ディープだったら:後編12/13:2008/11/14(金) 23:11:46 ID:nIQGT2CW
「そういえば、小早川さんだいじょーぶ?」
 カレーを盛ったスプーンを口に運びながら、ひよりが声をかけました。ひよりは自分が来る前に
ゆたかが倒れたと聞いていたので、ゆたかの身体を気遣ってこのことです。
 お酒を飲んで酔っ払っただけとはいえ、基本的に身体の弱いゆたかですから心配にもなります。
「うん、もうすっかりだいじょぶだよ」
 ゆたかは笑顔で応えました。
 わりとだいじょうぶじゃない時でもだいじょうぶと言ってしまう彼女ですが、今回は本当にだい
じょうぶなようでした。
 笑顔も、無理をして作っているものではありません。
 実際、飲み込んだお酒の量は少ないので、身体から抜けるのも早いのでしょう。
 むしろ大酒飲みの実姉をもちながら、目薬を混ぜた物とはいえ少しのアルコールで泥酔してしま
ったことが、ゆたかにとって残念なことでした。
 徹底的に頑健な身体を持った姉と病弱な妹。身体のサイズも正反対。その全く似ることのなかっ
た体質は、こんなところでも覆すことができなかったのだと思うと、少し寂しくもありました。
「無理しちゃ駄目だよー?小早川さんに何かあったら泉先輩にこっなこなにされちゃうよ」
 ひよりはそう言うと、頭頂部の髪の毛を一束持ってぴょんぴょんと頭の上に立たせます。
 こなたのアホ毛の真似でした。
「レバ剣げと〜」
 続けて声も真似ます。
「………ぷっ」
「あはは。似てる似てる〜。お姉ちゃんよく夜中にそういうこと言ってるよ」
「さすが先輩。夜行性は我々の業界では基本なんだよ」
 三人は、それぞれのスタイルで会話を楽しみました。
 ゆたかも、みなみも、ひよりも、誰ひとりとして似たタイプではない三人。
 それでも角がぶつかり合うということはなく、パズルのピースがはまり込むように自然と居心地
の良い空間を生み出しています。

 さあ、楽しい楽しい岩崎邸お泊まり会はこれからです。

 みなみ所蔵のチェリーばかりの画像集や、
 ひよりの18歳未満の閲覧をお断りしているブログの話が、
 きっとこの後にあったことでしょう。









244〜ディープだったら:後編13/13:2008/11/14(金) 23:12:29 ID:nIQGT2CW


975:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:12:37.12 ID:rzebdo36
>>1も去ったみたいだし、ここも1000まで埋めて終わるか
無事百合カップルが誕生してればいいが


978:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:14:47.12 ID:mosk42e0
今北産業


980:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:14:59.45 ID:jieomapp
>>978
遅えよwww


984:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:15:54.12 ID:yAMayUri
>>978
百合フラグびんびんなので
それをマリア様がみてたら
結果この国の少子化がまた一歩進んだのでしためでたしめでたし


987:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:16:40.51 ID:bytUJ1OK
>>984
だいたいあってる


990:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:17:19.01 ID:VGTDY?mm
マリア様って安価の神スナイパーのことかwww
いや百合女神スナイパーかww
このスレ異常にいたからなw

もうすぐ1000だがなんか来るか?


995:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:17:52.28 ID:4Okkan24
そういや、
今の目薬って酒に入れても大丈夫って聞いたんだが、
どうなんだ?


999:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:19:17.35 ID:Cv//a-yA
999だったら
>>1が無事幸せになる


1000:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 19:19:19.24 ID:miNorIcV
計画通り







245三毛また:2008/11/14(金) 23:14:32 ID:nIQGT2CW
以上です。
色々気付かないとわからない不親切設計なので、伏線等一部のネタばらしを。

ゆたかID eIEnroRi + wAlk/mOE
こなたID AhOgeOta + Cv//a-yA(AhOgeOtaは前スレでレス番193氏が使ってた物と同じです)
みなみID South/AA + miNorIcV
パティID uSA168jk
IDが二つあるのはPC時とケータイ時の違いです。自分はPCがあるからケータイを定額にしないでネ

ットに繋がない派ですが、ゆーちゃん達にはケータイでがんがん掲示板に書き込んでもらいました。そう

しないと話にならないので。

昔の目薬はアルコールに反応して睡眠薬のような効果を出す成分が入ってたので、それを悪用するや

からがいました。今の目薬には使われてないそうです。でも、そもそも食べる物じゃないので良い子

は真似しちゃいけません。

ゆーちゃんがお酒に弱いのは公式じゃないです注意。

岩崎邸お泊まり会の本番は原作6巻P61〜63です。
でも時期が違うかもしれませんすいません。

長くなりましたがこれにて
246名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 23:18:52 ID:Yi7Nn8Rx
一瞬、数年前にAA系の板で蔓延してたシリア語ブラクラを思い出したがGJ
変なところで改行してあるのは何かの立て読み?
247名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 23:33:08 ID:2I/vM+KX
まさにwwwwこの神ID’swwww蒼い三連☆wwww
ジェットストリームアタック見事性交wwww
見事な連係プレイが、ゆたかをもてあそぶwwwww
次回、「百合場ラルの脅威!」wwwwwww
うはwwwwwwwwwwおkkkwwwwwwwwwwwww

VIPPERゆたかに乾杯しつつ、>>245に惜しみないGJを!
248名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 23:35:21 ID:9Imn22v3
>>245
み、見える。見えるぞ……!一人隠れて携帯を操作し、1000レス目のカキコを済ませた後に携帯を閉じながら楽しげで冷ややかな笑みを浮かべるみなみの姿が……!!
そして家に帰ったら帰ったで従姉に『どうだったのカナ?カナ?』と聞かれるゆたかの図が……!!
249名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 23:59:06 ID:5pO7N/4e
>>245
エロパロスレのエロ真骨頂あざーすww

前編から読み返すと伏線バリバリですごいっすね!
パティがバイトで来れないとか、こなたもバイトで一緒にいるとか。
最後に原作に戻るのも気持ち良い!
250名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 00:41:00 ID:BL2r7JZm
>>245
ゆーちゃんvipperだったのかwww 
エロパロの新機軸を目の当たりにしているのかも。
特にバナナシーンは反則的にエロかったです。GJ!
251名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 01:24:46 ID:SsEawSma
>>245
VIP行ったことないけど彼女らの神っぷりが目に浮かぶようだ…!
ひよりの書き込みがないのはどうしてだ!なんて言わないからひたすら全力でGJを贈らせてもらおう!!

…神は>>245の中にいる…
252名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 01:45:57 ID:ojl700y+
>>245
凄くえろいのに、最終的にゆたかの百合観の変化を繊細に描いてることに驚きました。
まさかゆたかが自分の百合関係に無頓着だったのが伏線になってるとは・・・
三毛またさんの作品は伏線が尋常じゃない!
構成が緻密で深くて、本気でGJです!

>>248
みなみが1000取ったのって、ゆたかがえろ展開を夢と思い込んだのを確認した直後なのでは。たぶん。
253名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 04:12:37 ID:dWEg+rQT
すっかり騙されたよ、三人の中にひよりもいると思ってた(まさか自作自演とは)
ひよりらしいへたれさというか…
日和見というか…
よく言えば癒しポジションだね
254名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 06:57:46 ID:WSGe0CFz
特に準備している方がいなければ、投稿します。
・8レス、非エロ。
・かがみ視点
255you are on there!(1/8):2008/11/15(土) 07:00:56 ID:WSGe0CFz
 結果ではない。そこにいたるまでの過程が大切なのだ。
 そういったことはよく聞く。確かにそういうことって多いと私も思う。努力することが大切なのであって、結
果は二の次。それも大切なことだ。
 でも私はそれに反対。
 残るのは結果だけだ。どれほど努力したとしても、評価は結果のみで決まる。
 勝てば官軍負ければ賊軍といった大仰なものではないにしろ、私は世の中結果が全てだと思う。

――2月19日、午後6時30分。
 目覚ましのなる数分前には目が覚めて、寝ぼけ眼のまま立ち上がり部屋の電気を付けた。目覚ましのなる前と
いうことは、遅刻をしていないということだし、もしそんな状況であればお母さんが起こしてくれると思うから、
そういったことには気にしていない。
 つかさやこなたが言う「『目覚まし鳴ったの?』って思うことない?」というのは、まあ経験がないとは言わ
ないけれど、めったにないことだ。
 45分にセットしておいた目覚ましを、その役割を果たす前に停止ボタンを押す。
 私服に着替えて一階のリビングに向かうと、ほのかにコーヒーの香りがした。お母さんは私を見かけると「あ
ら、早いのね」と言った後挨拶をするので、私もそれに続く。
 食パンでいい? という質問に肯定で答えて私は椅子に座り込み、ぼんやりとしていた。まだ頭が覚醒してい
ないらしい。みっともない大きなあくびをして、テレビを付けているうちに、苺ジャムの缶とこんがりと黄金色
に焼けたパンが置かれていた。
「何時に家にでるの?」
「7時30分」
「そう。頑張ってね」
「うん」
 お母さんは私に微笑みかける。私は曖昧な笑いを返しながら、気を紛らわすかのようにコーヒーを口に運んだ。
 扉がきぃと申し訳なさそうに開く音がするので、私とお母さんが音がした方向に顔を向けると、お父さんが顔
をぽりぽりと掻きながら立っていた。
「あらあなた。おはよう」
 私もそれに続く。
 お父さんは寝具のままだった、
「うん。おはよう」
「パンでいいですか? ご飯、たいていなくて」
「うん、お願い」
 そういいながらお父さんは私の対面の椅子に座る。私はお父さんが腰掛けるまでの所作を無意識に見ていたが、
はっと我に返り、食事に戻った。
「……」
 お父さんは、何も言わない。数分後お父さんの前にお皿がおかれて、お母さんもその隣に座る。
 なんだかぎこちない感じだが、つかさがいないことを除けば平時と大して変わらない光景だった。普段はもう
少し会話が弾むものだが、それも頭数が一人足りないことを考えれば妥当なところだと思う。
 つかさは、多分まだ寝ていると思う。自由登校に入っており、学校に行く必要はない。それでも惰性というか、
どうしてだかわからないけど、特に何もないときはつかさ含めて学校にいっていた私だけど、それも二人して登
校できるだけだ。
 お姉ちゃん、明日何時に起きるの? と私に聞いていたから、もしかしたら私の出発に合わせて起きてくれる
のかと思ったけど、どうも体が言うことを聞かなかったらしい。それも仕方ないと思う。やめておけばいいのに
昨日まで3日連続で入試があり、やっと安心して眠れる一日なのだ。
 一月にセンター試験を受けた後、2月から多くの私立大学の入試が始まる。よく言われることであり、また私
の経験からしても3日連続で受けると本当に疲弊感がある。だから、今日はゆっくりと休んでいてね、と私は思うのだ。
256you are on there!(2/8):2008/11/15(土) 07:01:55 ID:WSGe0CFz

「何時に終わるの?」
 お父さんが主語を省いて聞いてくる。私は「3時半くらいかな」と答えると、そうかと一言言った後、おもむ
ろに立ち上がり、薬箱の上からホッカイロを取り出した。
「冷えるといけないから」
 とはにかみながら言うので、私は素直に受け取る。テレビから流れるアナウンサーの音声が雑音となって響いている。
 何を言っているのかよくわからなかったけれど、「今日は午後から雪になるでしょう」といっているようだっ
た。関東一帯に雪のマークが出ている。
「あら、今日は雪が降るのね」
「そうみたいだね。今年初めてじゃないかな」
「ええ、そうね」
――雪。雪か。折りたたみ傘を鞄に入れたほうがいいかもしれない。
 前日に準備していたものを思い出す。受験票、筆記用具――鉛筆、消しゴム――、財布、定期券。それに世界
史のノート。うん、全部入っていると思う。折りたたみ傘を追加するときに確認しよう。
「受験票は持った?」
「つかさじゃないんだから、大丈夫よ」
 なんて言ってみる。お父さんは苦笑気味に、
「あの時はかがみのおかげで助かったよ。かがみが一緒に駅までいってくれなかったら、と思うとぞっとする
ね」
「別に、たいしたことじゃないけど」
 そんなことを言っていると、室温とともに空気までもが暖かくなった気がした。緊張が解れたのもそうだし、
非日常めいた私にとっての2月19日という日付を日常のものに変わっていく、そんな感覚があった。

 あの時とのことというのは、つかさの入試初日のことだ。おそらく家族なら全員心配したことを、期待通りに
つかさはした。つまり、受験票を忘れた。
 朝食のときにも言って、大丈夫だよと屈託のない笑顔を見せていたので、お父さんもお母さんも安心しきって
いたが、私はやっぱり心配だった。この子もドジっ子は筋金入りだったし、こういったことは用心してもしすぎ
ることはない。私が監督していたこともあり、この時間にでれば30分前くらいには着くだろうという時間に家を出、鷹宮駅に着いた。
 そこで念のためもう一度問いただし、鞄の中を捜せさせると案の定、というわけだ。
 走って家に戻ろうとするつかさを、ゆっくり歩いても間に合うからと制し、二人して家に踵を返す。こういっ
たところで無駄に体力を消費するべきではないと思ったからだ。
257you are on there!(3/8):2008/11/15(土) 07:02:44 ID:WSGe0CFz

「じゃあそろそろ行かないと」
「ん……そうか」
「頑張ってらっしゃい」
 励ましの言葉に力ない笑顔で答えた後、玄関近くにある我が家の特有の黒電話に一瞥をやる。
「まあ、見てなさい。あんたにも絶対仕事をしてもらうんだからね」
 特に意味のない行動だ。

 扉を開けると、北風が吹き付けてきてとても寒い。晒された太ももに容赦なく吹き付ける。
 ブルブルと携帯が震えるので、歩きながら携帯を開くと、

date:2/19.7.30
message from こなた
 re:がんばってくれたまへー
「やふーかがみ。今日だっけ? かがみんのことだから寝坊なんてしていないとは思うけど、頑張ってね。私の
ほうは受験も終わったし、今年の冬には某ギャルゲーからの格闘ゲームが出ているじゃん? 相手がいなくて
ねー。かがみはいくら誘っても『あんたは……』と呆れるだけで取り合ってくれないし。
 まあ昨日からスーパー徹夜タイムだったからさ、寝るね。お休み。夢の中ででも、合格を祈ってあげるよ♪」

「こいつは……」
 メールの台詞のように苦笑気味にため息をつく。変わらないというか、こなたらしい。
 そういえばこなたの結果はまだ聞いていない気がする。結果がでたのかもわからないけど(私自身、日々に忙
殺されていたから、そこまで頭を働かせる余裕はなかった)この調子なら手ごたえはあるのだろう。
 商店街を通り、駅へ向かい、列車が通常通りに運行していることに一安心する。
 改札を抜けて駅へのプラットフォームに降りたところで私は携帯を取り出し電源を切った。
 大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。
 電車の到着を告げるアナウンスが流れ、見慣れた電車が停止し、ドアが開く。それに乗り込んだとき、私は
「よし」と小さく呟いた。
258you are on there!(4/8):2008/11/15(土) 07:03:26 ID:WSGe0CFz


「それでまあ、どうなのよ」
「そりゃまたざっくらばんだな」
 ……この日、教室に向かい鞄を置いて、そのままA組にくとこなたは、さっそく私に問いかける。
 私の代わりにつかさが、
「今日発表がでるんだよー、私ドキドキしちゃって……」
「別につかさのじゃないじゃん」
「でもこなちゃん、お姉ちゃんのだよ? やっぱり気になるよ」
「そりゃあ私だって? 嫁の一大事とあれば!」
「誰が嫁か!」

 2月29日。いわずと知れた、あれである。こんな日に合格発表日を設定しなくてもいいのにと思うが、とも
かく今日が私の第一志望の発表日なのである。
 つかさの発表は一足早く3日前にあった。結果は、その日の夕食が今年最大の豪華なことを告げておけば十分だろう。その主賓であるつかさが、主な食事当番だったというのはちょっとおかしな話だけど。
 こなたは思ったとおり合格していたらしく、久しぶりに(といっても1週間とかそこいらだけど)あったときも
しれっとしていた。こなたの家でもパーティーが行われたらしい。娘を溺愛している父親に元気な警察官の従兄
弟――想像に難くない。
 結局私はゆたかちゃんの「無病息災」の意味を伝えることはしなかったけど、ゆたかちゃんの思いが叶ったよ
うで嬉しい限りだ。
 本当、感謝しておきなさいよ。
259you are on there!(4/8):2008/11/15(土) 07:05:14 ID:WSGe0CFz

「大丈夫ですよ、きっと。かがみさんならきっと受かっていると思います」
「あー、うん、ありがと。でもみゆきもまだなんでしょ? どうなの?」
「私のほうはちょっと心配かもしれませんね……」
「なに謙遜しているのよ。みゆきが落ちるなんてこなたがオタクをやめるくらいありえないことだわ。鯨が魚で
ないのとを同じくらい」
 ちらりとこなたをあほ毛にに視線を落としながら言う。
「ちょっ、それ例え悪すぎ!」
 すぐさまこなたの抗議が入る。
 つかさは後半の例えがよくわからなかったのか、はてなマークを浮かべていた。
「いつだっけ?」
 私がそんな二人にかまわず聞くと、3月ですと返ってきた。
「そっか。終わったら皆で遊びにいこっか」
「あーいいねーそれ。じゃああきばで――」
「ディ○ニーなんてどう? ちょっと定番だけど、私たち皆でいったことはなかったわよね?」
「あれー私の提案は華麗にスルーですかー?」
 それもいいけどまた今度でいいじゃない、と一蹴する。しぶしぶながらこなたも従い、私たちは各々知ってい
る知識を総動員して乗る乗り物についての侃々諤々、口角泡を飛ばす議論に更けた。
 最後にみゆきがパンフレットを持ってきますねといい、私もクラスに戻る。
 卒業式まではまだ数日あり、自由登校期間中に学校に来る酔狂な輩はそう多くない。一年二年の活気と比べる
と、本当に静かなものだった。
 よくわからないが私の周りにはそういう酔狂な奴ばかりだ。嬉しそうに合格を語ってぺたぺたひっついてくる
奴とか、その保護者役の奴とか。
 まったく。
260you are on there!(6/8):2008/11/15(土) 07:06:11 ID:WSGe0CFz
 午後になり、数学の先生に記述の解答の添削を受けているみゆきにエールを送り、私たちは下校する。
 その帰り道、
「しかしかがみからメールこなかったら落ちてるってことだよね? なんという焦らし……」
「不吉なことを言うな」
「大丈夫だよこなちゃん。こなちゃんの祈りはきっと伝わっているよ」
「祈り?」
 耳慣れない言葉に聞き返す。
「うん、入試日……だったかな? こなちゃん、8時くらいに家に来てね、初詣――というのカナ?――にきた
んだよ。それで何しにきたの聞いてみると、『いやまあ、困ったときの神頼みというか、まあ私ぃも、こんなこ
とぐらいからしかできないからさ』っていいながら、『かがみが実力を発揮できますように……まあかがみだか
らまじめにやれば受かるだろうし常識的に考えて』って」
「ばっつかさ! 言わないでっていったのに」
 はあ……やっぱりつかさはつかさか、と肩を落とす。
 うっかり漏らしたつかさが「はぅ……ごめん」と胸の前で合掌した。
「あんた……私のために?」
「まあかがみが落ちると後味悪いしね。大して意味のない行為だと思うけど、やらないよりかはさ」
「そっか……あ、ありがとね」
「まあつかさほど熱心じゃないじゃないけど。ぶっちゃけつかさがあれだけやってれば私、無意味ですか?って
感じだったし」
 といいながらあの日のことを再現する。今度はつかさが呆然と「はう、それも秘密」という番だった。
 ふと気づく。
 てゆーか、つかさ、起きていたんだ。
 ……無理しちゃって。
261you are on there!(7/8):2008/11/15(土) 07:07:30 ID:WSGe0CFz

 今時の私立大学は電話で合否を知ることができる。東京大学の合格発表日はテレビなどでもよく取り沙汰にな
っている。その発表方法である伝統的な掲示板による掲示も多いが、現地に赴かなくても特定電話番号をダイア
ルし、受験番号と生年月日を入力することでその場でわかるのだ。
 大学によってはインターネットで知ることも可能である。
 味気ないといえば味気ない。
 1時から開始。家に帰ったときは、もう2時を回る時間帯だった。
 だから、私はいつでもその結果を知ることができた。
 高まる心臓の音を抑えて、じれったい黒電話をのダイアルを何度もまわすことによって。
 逃げることもできる。明日、明後日までに入学手続きについての説明などが入った書類が送られてこなければ
――。
 やめよう。ネガティブになるのは。しばらく玄関で立ち尽くした後、受話器を取る。
 すぐにガチャリと置いた。
 まずは着替えよう。話はそれから――。

 ブルブルブルブル。
 携帯の着信音。予想だにしなかったことで、びくっと私は震えた。すぐに状況を理解し、「まったく、驚かさ
ないでよ」と軽口を叩きながら携帯を開くと、メールがきていた。

message from こなた
re:お米!
「電話で調べたんだけど、かがみおめー!」

「え?」
 信じられず、もう一度ディスプレイを覗き込んでみる。どういう意味だろう? ”おめでとう”? ……それ
は、どういう意味だ? 合格という言葉があるわけではない。
 冷静に考えろ。この場でこの意味といったら、ひとつしかないはずだ。
 踵を返す。再び鞄から受験票を取り出す。受験番号は暗唱できると思う。心の中で想起した数字と、受験票に
書かれている数字が正しいことを確認する。
 じれったい。今日ほど家の電話がどこの過程にもあるようなものであったらな、と思ったことはない。携帯電
話という選択肢を考えるほど心に余裕はなかった。
「こちらは受験案内です。合格番号の参照を希望される方は1を――」

――確かに、その機械は告げていた。
 私は階段を一段飛ばしで駆け上がり、つかさの部屋に赴いた。ノックをして、つかさの「どうぞ」という声を
聞くのも待ち遠しい。入るなり私は第一声を発する。
「つかさ、受かったよ! 私、受かった!」
262you are on there!(8/8):2008/11/15(土) 07:09:37 ID:WSGe0CFz
 その日のことは、あまり覚えていない。
 3日前と同じくらいの豪勢な食事に、「体重、死なないで」と日本語として怪しい言葉を吐きつつもせっせと
口に運ぶ。お父さんはシャンパンを何本も用意していたらしく、私やつかさにまでそれを注ぐ。
「今日だけだよ」
 と笑いながら。ただし、私たちは一杯飲んだだけで、後はほとんど姉さんやお母さん達のお腹に納まったから、
ほとんど酔うということはなかった。
 賑やかに談笑する家族に、感涙のせいか咽び泣くつかさ。
 ちなみに、その後だ。気づいたことがあった。ごく少量のアルコールが、夢見たいな現実において私を冷静に
させる安定剤代わりになったらしい。
 ……私は、こなたに受験番号なんて教えていない。

 夕飯を食べ終え、自宅に放置した携帯を開くとまたメールが来ていた。誰からかは予想するまでもない。メー
ルは2件。みゆきとこなたから。
 みゆきの丁寧な祝福メールに「ありがとう」という趣旨のメールを返信し、こなたのを見た。

messege from こなた
re:(=ω=.)
「いや〜よかったよかった。あれで落ちてたら私どうなるかとさ。あーかがみ、実はさ、私見ていないんだ。て
ゆーか受験番号聞いていないからわからかったよ。てへ☆
 まあかがみのことだから理由を知りたいだろうから、こうしてメールを送ったのだよ。某漫画だと『落ちた』
というネタだったから私は『受かった』というネタにしようと。ただそれだけです。
 ごめんなさい><」

 ……。
 ひとつ言える事は。と前置きをし、苦笑する。
「遊園地にいったときは、覚えていなさいよ?」
26342-519:2008/11/15(土) 07:12:53 ID:WSGe0CFz
以上です。書きかけのほうがありますので終わらせればいいなと思いながら。
多少原作と食い違っているかもしれないです。
264名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 08:10:54 ID:e9Ijquqx
>>245

みゆき
「『今の目薬には睡眠薬のような効果は期待できねえよwwww釣られ乙wwww』……っと」

[このスレッドには書き込めません。]

みゆき
「は、はうっ!? レス完走してます……祭に乗り遅れてしまいましたorz」

------
ぐっじょ〜〜☆
265名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 11:17:44 ID:Xv7ZtgxM
>>263
ちょっとした緊張を交えつつ、
4人の正統なる友情を描いた日常作。
そして、こなたの友達想いな面も垣間見た。色々と和んだ。
久しぶりの、らきすたらしいらきすたSS。GJです。
266名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 11:34:11 ID:fdcgdC/j
>>213
ぐっしょっぶ!
なんとなく、よつばと!テイストだが、それが良い。
267名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 11:35:52 ID:fdcgdC/j
>>263
こちらもぐっじょぶ。
でも、ダイアル式の電話だと、その手のサービス受けられないぜ。
(プッシュ音を発信できないから)
268名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 19:25:20 ID:WSGe0CFz
あら、知りませんでした。後で辻褄が合うようにしようと思います。
269名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 20:59:47 ID:wZ/NMpdF
こちらにも一応告知

あと1時間ほど後の11月15日 22時から翌16日 07時まで、
まとめサイトのatwikiは全鯖サーバーメンテナンスのため接続が困難になります
保管作業・サイトの閲覧を行う方などは注意してください

http://www1.atwiki.jp/guide/pages/1594.html
270名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 22:04:38 ID:/6chxGmX
>>269
なんと !
告知乙
271名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 08:20:22 ID:XUqOjTG+
>>245
やっぱりこいつらでしたか! なんてトリプル孔明。
ゆーちゃんが記憶を胸にしまいこむくだりから、なんとも言えず余韻を感じました。
ゆーちゃん、お幸せに。ぐっじょぶ。

>>263
多少食い違っても気にしない!
最終レスでのかがみの乙女心ににやりとしつつ、ぐっじょぶ。
272名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 15:23:35 ID:uBg3Cofl
お、過去ログ倉庫が更新されてるね
乙です

今夜あたり生存報告だけでも頼もうかと思ってたんでちょっとびびったw
273名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 20:30:14 ID:Y2RY534w
>>272さんが書かれたとおり、先日dat保管庫を前スレ分までアップロードしておきました。
今週容量が増強されるとのアナウンスがありましたので、まだまだ十分アップして行けそうです。

というわけで、とりあえず生きてますw
274名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 20:33:17 ID:dPgV291z
>>263
GJ!
実はこなたの方がツンデレではないかと思ったりしました。

>>273
激しく乙です。
過去ログを読み返して、スレの歴史に思いをはせていましたw
275名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 01:00:42 ID:14S4j3+l
ところで、あやのって進路お嫁さんじゃなかったんじゃ?
こなたやみさ基地の近くの大学だっけ
あと茶道部じゃなくなったからプロレスじゃなくなるのか?
276名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 01:08:36 ID:8BpaIW0h
ヒンタポ語でおk
277名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 01:17:51 ID:eFShi4Tj
あやのは、俺の記憶で間違えなければ専業主婦のはづ
んで、みさきちは、俺の記憶に間違えなければ家業継ぎ、だったはづ(ラジオではそういってた)



そうじろう「できれば、こなたにも家業を継いで欲しかったなあ、この際ラノベでもいいからさあorz」
278名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 02:18:19 ID:XU8LVx+7
>>277
安定するまでキツイ仕事を娘に進めないでください。
まあ、一部のSS(主にこなた達の未来を書いている作品)ではそういう道を選んでるのが多いけど。
279名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 05:19:13 ID:eFShi4Tj
活字がだめで小説家は無理、絵がまるでダメなのでイラストもだめ。でも、こなたは実際、
ヲタコラムくらいならかけるほどの情報量と知識量は持ってると思うんだ。
自分のコスプレを交え実践しつつ情報提供、という形でいけば、
親父のコネもプラスしつつ雑誌関係に食い込むことも可能では・・・





そうじろう「いや・・・わかってんだよ、夢にすぎないってことくらいはさorz」
280名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 07:55:06 ID:ZQTARM6g
活字がダメなら小説家は無理、とは限らないわけで。

それに、ラノベを読みたがらない、というだけで、描かれていない部分では
なにやってるかわかんないぞ。
「活字はもうおなかいっぱい」てことかもしれんし。
281名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 09:19:00 ID:2mSyPTcn
とある掲示板では、こなたとかがみは結婚してたり、子供ができてたり、ゾンビになってまでもイチャイチャしてるw
282名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 09:25:47 ID:0NQQoSDA
>>281
そこのおかげでゾンビと言う単語を見るだけで噴いてしまう
283名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 11:02:21 ID:XU8LVx+7
>>281-282
物凄く気になるじゃないか。
アドとかを聞くのはまずいけど、せめて検索ワードを教えてくれ。
284名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 13:41:25 ID:xj0amNL3
>>283
2chのスレが荒れたんで避難所に半ば移行しつつある、
とあるカップリングのスレの保管庫を探せばわかる。
285名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 15:59:02 ID:RhTkKboI
将来とか考えるとかがみが稼いでこなたが専業がしっくりくるよ

料理はできるわけだし
286名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 17:59:26 ID:lmsSZt41
こなかがBBSでググればいいと思うけど、アドレスのっけてもいいと思うけどな。
おkなら出すけど。
287名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 18:04:38 ID:cW6mm0yi
>>286
それは止めとけ。荒らされる原因になる
288名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 18:05:23 ID:8BpaIW0h
URL晒すのは極力避けた方がいい
晒すのはネットウォッチ板のみで
289名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 18:33:58 ID:q2ktq8Cb
うっとおしい
290名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 18:44:01 ID:Qsr+vkk5
すみません、空気も読まない初心者が
ひとつお目汚しを投下させていただきます。
291かなたさんチェックの時間(1/1):2008/11/17(月) 18:45:14 ID:Qsr+vkk5
お盆・・・
死者が郷里に還るといわれるこの時期・・・

例によって霊のごとく、つーかもともと霊なんですが
このヒトはまた帰ってきました。


『うふふ♪さぁ、そう君もこなたもちゃんとしてるかしら?

 おかあさんがちゃんとチェックいれちゃうぞ♪』


ビシィ!と人差し指を立てて、
誰にとも無く厳重チェック宣言をする。
その仕草は、不思議とこなたにそっくりな癖。

それにしてもこのかなたさん、ノリノリである。


==============かなたさんチェックの時間================
292かなたさんチェックの時間(2/5):2008/11/17(月) 18:48:23 ID:Qsr+vkk5
『あ、ふたりともこなたの部屋にいるのね・・・
 また二人してゲームやって遊んでるのかしら。』

音も無く、階段を上り、こなたの自室のドアを通り抜ける。


『ほーらやっぱり♪思ったとおりゲームしtぶほぅーーーーーーー!!』


そこで画面に目をやった瞬間エクトプラズム噴いた。


こなた自室の大画面TVに映し出される
あはんうふんいやんてレベルじゃねーCG。
どうみてもそれ何てエロゲです。本当にあ(ry

『な・・・・な・・・・いったい・・・ふたりとも・・・?』

「いやぁこのつる○△●が萌え萌えだにゃぁ〜」

「こなたはぜんぜん分かってないなぁ。こうゆう
縞●○※■は ずらして
×◎◎□だからこそ萌えなんだよ。」

「はいはい陵辱陵辱」


こなたもそうじろうも、背後の空間に、二度目の
白いもやが立ちのぼったのに気づかなかった。

あまりにひどい会話の内容に、
かなたさんもう一回盛大に
エクトプラズム噴いた。


『ちょwwwww俺のエクトプラズム返せwwwwwwwww』
なんてことはかなたさんは言わない。嘘ですごめんなさい。


『ななな、あなたたち、なに、ナニを、何のゲームをしてるんですかッ!!』


白いエクトプラズムが、ちょっぴりかなたさんの
顔にかかってそれはまるで(ry
なんてこともありませんごめんなさい。
293かなたさんチェックの時間(3/5):2008/11/17(月) 18:50:50 ID:Qsr+vkk5
二人は難攻略の陵辱エロゲを協力の末ようやくまとめ、
達成感と充実感に満たされながら残CG回収の作業に当たっていた。


「おや、こなた、エアコン効かせたのか?」

「いんやぁ?窓開けて切ったと思うけど・・・なんだろね」

     一陣の涼しい風が抜けた。

『ちょ、と、そ、そう君・・・こなたにそんな
 えっちぃゲームやらせて・・・っていうか
 このケースに18歳未満だめって書いてあるでしょ!

 いーかげんにしなさい!
 おかあさんもうおこりましたよ!ぷりぷり!』


口に出してぷりぷりとかフツー言うものでもないが、
そもそも二人には聞こえないし、

ていうか 可 愛 い か ら O K 。


「・・・なんだ?このプレッシャーは」

「どーした、こなた?」

「・・・なんでもない。なんかプレッシャーみたいなものを感じただけ」

「プレッシャー?急におかしなことをいうなぁ」

「・・ていうか、かがみんの殺気に似たものが・・・」

「ウチには誰もいないよ?ゆーちゃんも留守のはずだし」


つかつかと(足音もなく)ゲーム機の本体に歩み寄って手を添える。

冷気がこなたのノースリーブの肩をかすめた。


「あら、なんかさぶいよっ・・・。」

『もー、こーゆー教育上よくないものはこーしてあげます!』

「アレ?操作できないぞ」

「あやややや?バグッたの?」

画面が乱れる。なんだか人影のようなものが一瞬写り、

「ちょっ、画面がなんかおかs

  ゲームデータがありません
  セーブデータがありません

「「ちょwwwwwwwwwwwww」」

そのまま、二人ともOrzの姿勢のまましばらく動けなかった。
294かなたさんチェックの時間(4/5):2008/11/17(月) 18:51:56 ID:Qsr+vkk5
『まったく・・・そう君はともかく、まだ高校生のこなたまで
 一緒になってそんなえっちぃゲームするなんていけませんっ!
 ふたりとも反省しなさい。』

そういえば・・・こなたのお友達にもこんなヒトがいましたね。
何かといってこなたにお説教してるつり目の女の子・・・。

でも本当はこなたのことが大好きで・・・お勉強とか
いろいろ世話を焼いて、可愛がっているんですね。

くすっ・・・なんだかその子がこなたの
母親代わりみたいな・・・。

   ----------母親代わり-------------?

そこまで思い至ったところで、かなたさんはほんの少し、
いつものような、いつも通りの沈思にふける。


こなたがはじめて言葉を話す前に、
彼岸の彼方へ去ってしまった自分。

母のぬくもりというものを束の間にしか
与えてやれなかった、ほんの短い時間。

母のぬくもりというものを知らないまま過ごした
こなたの18年という、長い歳月。


ちいさいなりにすくすくと大きくなっていく
こなたを、この手に抱いて実感したかった、
それは我が侭な願いというものだろうか。


母親に可愛がられる、身の回りの子供たち。
彼ら母子の姿を横目で見るこなたは
ほんとうにさみしさも疑問も感じなかったのか。


そして、若くして二人の前から立ち去った自分を責める。

数え切れないほど繰り返した、かなたさんの沈思。


また涙が溢れそうになったとき、もうひとつの思い出が
かなたさんの胸に去来する。
295かなたさんチェックの時間(5/5):2008/11/17(月) 18:53:07 ID:Qsr+vkk5
そう、思い出しました。去年のことでしたね・・・・・・

そう君がこなたに「さびしくはないか」
そう聞いたとき・・・

「べつにさびしくないよ」

わたしのことを覚えていないこなたは、
きっとほんとうにそうなのでしょう。

こなたが悲しむことはないであれば、
それはむしろ救いなのでしょうね。


そして・・・そう君は・・・堂々と、
「俺がかなたを世界で一番愛していた」だなんて・・・もうっ・・・


そう君がわたしを愛して・・・
こなたはそう君に愛されて・・・


こなたは不良になることもなく、
ちょっと趣味に問題あるけれども、
良いともだちにもたくさん囲まれて、
いい子に育ってくれて。

そう君は・・・ちょっとベタベタしすぎで
ちょっと遊び方に問題あるけれども
好きな小説で仕事ができて、
こなたをいっぱい愛していて。

わたしの思い出もずっと大事にしていてくれて。


わたしがいない限りのこの世界で、
そう君もこなたもいっぱい、いっぱい幸せじゃないの。


だから・・・・・・それなら。


それなら、わたしも、

笑顔でいられます。


「とおさーん!!に、にに2ヶ月費やしたセーブデータがぁあああああ!!」

「回収CGも全て消えてもぉたぁあああああああああ!!夜の楽しみがぁあああああ!!」

でもそーゆーのは幸せとかには含めないですからね♪
296名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 18:55:47 ID:Qsr+vkk5
以上、終了です。

いきなり一本目から(1/5)が(1/1)になって
瞬間的に完結してしまったり
不作な物を投下して申し訳ナシです。

1000年ROMって精進することにします・・・
297名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 19:36:43 ID:xj0amNL3
>>296
いやいやいやいやGJですよ!

ほんとにもう、かなたさんったら可愛いんだから。
お亡くなりになってもしっかり母親していると子もいいですなあ。
ま、こなたとそうじろうについては自業自得ということでw

また投下してもらえるとうれしいですよ。
298名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 19:52:23 ID:XU8LVx+7
>>296
かなたさんマジ小悪魔……哀れおっさんコンビ。
299290:2008/11/17(月) 20:00:40 ID:Qsr+vkk5
>>297さん

正直どういう評価になるのかビクビクもんでしたが
暖かいお言葉有難うございます。
まとめサイトもちっと読んで勉強してきますです。

>>298さん

もしかなたさんが存命で、こいつらが同じような
ことをこっそりやっててもこんな破壊行動するかも。
お話の都合上、若干キャラ変わってるかもしれません。
(敬語になってたり)
つか、エクトプラズム噴かせてみたかっただけとかw

300某希少価値:2008/11/17(月) 20:12:21 ID:eFShi4Tj
>>298
お・・・おっさん・・・orz    まあ、しかたないかー(≡ω≡.)

かなた「不良に育つのとオッサンに育つ、はたしてどちらがよかったのかしら・・・」
そうじろう「不良ダメ!!ゼッタイ!!」

すなわち>>296はGJ。またの投下をお待ちしております。
301名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 21:22:30 ID:DLQgrg2d
>>296
オチの一行がベリーキュート!
ああ、なんて可愛いのでしょうかこの霊(ひと)。

このスレへようこそ、ぐっじょぶでした。
302名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 22:28:27 ID:JVKMuyJs
PCが不調につき携帯から

>>300さん
ありがとうございます、おっ・・・いやなんでもw
アノ親父で不良娘の組み合わせは
想像するだに・・・
「ダメ!ゼッタイ!俺がやられる」


>>301さん
ありがとうございます!
「きっちり〆上げてやりました」宣言ですw
303名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 22:57:51 ID:NvZsjQlc
全レス気持ち悪いです
304名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 23:13:11 ID:/ABlXy5D
>>303
ふっ……初めての投下だと嬉しくて、ついやっちまうものなのさ。
生暖かく見守ってやろうぜ。
新しい職人の誕生に乾杯。


305名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 23:16:50 ID:XU8LVx+7
>>300
まあ、こなたはおっさんじゃなきゃこなたじゃない、という事で。

あと、(便宜名)54-290氏へ。
感想レスをもらえた事が嬉しいのはわかるけど、全員に返す必要はないよ。
そういうのが不快に感じる人もいるからね。
306名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 23:58:18 ID:tcAa6/XE
おいおいもう賢者タイムかよ
307名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 00:14:54 ID:x2GqvNX6
>>296
ぐっじょぶ。
ギャグだけど、途中ほろっとさせられて、いい味が出ていますね。
かなたさんは可愛いし、こなたとそうじろうは相変わらず煩悩まるだしだし、
とても楽しく読むことができました。
もしよければ、次回作もここでお願いしますね。とても楽しみに待っていますよ。
308名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 00:18:19 ID:j1eKDeyF
>>296
GJ!可愛いかなたさんに出会えたのは久しぶりだwww
僕もつい最近ここにSSを投下し始めたばかりなので、お互いがんばりましょう。
309 ◆MoiSlbQnQw :2008/11/18(火) 00:51:37 ID:Hjs80orR
どうも、お久しぶりです。

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0159.txt
今回投下させてもらうのは、自作『ヴァンパイアハンター・かがみ』の感想欄に気になる物があったのでそれに関するネタです。
言い訳がましいとはお思いでしょうが、お許しください。
310名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 01:02:11 ID:MZAfR+KZ
>>309
アンタ、まさかノボルじゃないだろうな……?
311 ◆MoiSlbQnQw :2008/11/18(火) 02:06:30 ID:Hjs80orR
そして今更ながら誤字発見。『郷』ではなく『卿』でしたorz
312名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 02:17:40 ID:JHz8IkcZ
こなた「そだね、郷だとジャックになっちゃうからね〜」
そうじろう「ジャックではない!あれは帰りマンだ!!」
313名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:24:44 ID:wSwUzcDH
串規制の人のため宣伝を代行。
http://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0160.txt
つか×ゆた
微エロ
314名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 20:52:21 ID:wSwUzcDH
よろしければ感想など書いてやってくださいm(_ _)m
31521-260(代理):2008/11/18(火) 22:50:00 ID:IwNn2uUe
お久しぶりです、
最近はずっと別の原稿でごたごたしていたり、
それ以前に謎の規制で2chに書き込めない状態がずっと続いていたりでしたが、
今回代理の方を通じて『黙っと〜』の続きをひっそり投下させて頂きます。

ですが、

・みなみ&ゆたか←ひより、エロ無しです
・ぶーわ氏のSS『人として袖が触れている』をもとにした三次創作です
・舞台設定が平安時代なので、人物の呼称など、様々な点で現代と異なっています
・ひよりんが悪役っぽいかも知れませんので、ファンの方は注意して下さい

等、かなり偏った内容になっていますので、苦手な方は気をつけて下さい。
↓では、これより3レスほど使用します。
316黙っと白拍子 第3話 1/3:2008/11/18(火) 22:51:46 ID:IwNn2uUe
 嵯峨小早川邸。
 長年都を荒らした野盗・玄道組(げんどうぐみ)を、弱冠十五で成敗した検非違使(けびいし)・
 きよたかが、その愛妻・ゆい姫と、ゆたかの誕生を祝って建てた邸だ。
 ゆたかのために様々な書物や絵が集められた東の対屋(たいのや)からの眺望は、
 当時無名だった庭師・典兆(てんちょう)率いる阿仁明党(あにめいとう)が、その名を轟かせる
 契機となった大傑作。
 都の家々や、山裾に開いた棚田を絶妙に借景した庭園はまさに一幅の絵画。
 邸の名前の由来にもなっている小川は、山からの水をそのまま引き込んだもので、
 蛍や紅葉など、季節に応じて様々な風物を運んでくるという。

 明るい時に、一緒に歩けたらな――
 ゆたかが自分で描いた絵を見せながら、何度も話してくれた景色。
 でも、秋には帝や大臣達も訪れる、由緒ある庭園の片隅から、小倉山の縁を伸びる街道に
 抜け出せることを、知る人は殆どいない。


        第三話 ―― 恋すてふ、ひより ――


 ひよりに別れを告げて、暫く家の方へ向かった後。
 二、三町(一町は約百二十米)ほど住処へ戻るふりをしてから、私は来た道を引き返して、
 御堂まで戻ってきていた。
 邸裏手の竹林を抜け、街道に出た先にあるこの御堂は、まだ賊や獣が多かった頃、愛宕詣の
 無事を祈って建てられたものらしい。
 今はもう廃れているが、私にとっては、ゆたかと初めて出逢った雪の日から、水無月の頃まで
 毎日逢瀬を重ねてきた大切な場所。そして文月が近付く頃、今のように邸に通うように
 なってからは、手引きをしてくれる女房・ひよりとの別れの場所だ。

「…………」
 大丈夫、誰もいない――
 周囲の気配を探ってから、御堂脇から伸びる山道に入る。
 木々に遮られ、星明り一つ届かない墨染の世界。それなのに、道の所だけ積もった竹の葉が
 仄白く浮き上がって、不気味なほどに歩きやすい。
 それどころか、山肌を覆う木々の枝や藪草までが、道際の所だけ悉く背を向けている。
 まるで、客人の衣を傷めないように、草木が意志を持って道案内をしてくれているようだ。
 小早川の者はおろか、夜盗達すら近付かない、秘められた場所へ続く妖の道。
 そこを私は昨日までと同じように、惑うことなく進んでいき……。

「――っ!」

 どうして……どうやって此処に来たのだろう。
 目的地のすぐ近く。
 久しぶりに夜空が見える、森の中の小さな畑。彼女はそこに、月明かりを背にして佇んでいた。
 暗闇を抜けたばかりの目には眩しい光の中、その表情はよく見えない。
 けれど、別れた時のままの姿に、冷たい風に靡く栗色の髪は、見間違いようはなかった。

「やっぱり、こっちに用があったんスね」
 来客が私だと確認してから、ひよりはこちらに歩み寄ってきた。
 ようやく光に慣れてきた目を、真っ直ぐな視線が縛る。夜風の中、ずっと私を待っていたようだ。
「どうして、此処に?」
「ああ、パティと貴方のことで語ろうかな、って」
 声だけは気さくを装おうとしている。
 でも、その瞳は見間違いようもなく真剣で、ゆたかの前では決して見せない感情を宿している。

「けど、いい感じに予定変更っスね。前から聞きたかったんスよ。みなみが邸の外で……
 その書道具をどうしてるのかな、って」
 何もかもを見通し切った視線を、顔から右手で手にしたものへ、そしてもう一度顔へと戻してから
 ――ひよりは、躊躇うことなくそう聞いてきた。
317黙っと白拍子 第3話 2/3:2008/11/18(火) 22:52:38 ID:IwNn2uUe
「ずっと不思議だったんスよね。その筆も硯も、多分ゆーちゃんの前でしか使ってない。
 それなのに、上達が変に早いし、暗がりでも分かるくらい筆だこができてるし。
 でも、まさか家で恋文の練習なんてしないだろうし、そうなると……ね」
 思わず俯く私とは逆に、これでも物書きの端くれっスからね、と胸を張る。
 けれど、その自慢げな笑顔の裏側から零れる感情が、酷く心に響く。

「パティの所って、便利っスよね。人も来ないし、夜でも明るいから一日中原稿書けるし。
 『誰か』と違って、ちゃんとゆーちゃんに見せてるけど」
「それは、私の舞と同じ。恋文とは違う」
「見苦しい言い訳っスね。まあ、私も……っスけど……」
「……」

 秋の最後に吹く風が、傍の長月草と、どこか似たもの同士の袖二つを揺らしていく。
 ざぁ……っと頭上を抜け、都の向こうへ遠のいていく木々の声は、まるで何かの合図のようだ。
 時間にすればどれほどだったろう、
 風の音が完全に消えたのを見計らって、私が口を開きかけた、その時。

「ゆーちゃんの文っスけど……」
 私より一瞬早く、ひよりが話を振ってきた。
 さっきまでとは違う、静かで落ち着いた――今までに聞いたことのなかった口調で。
「写してみて、どんな感じっスか?」
「よくわからない。練習するのは幸せだけど、辛いというか……」
 ずっとひよりを見つめ続ける勇気がなくて、思索にかこつけて目を伏せる。
 同じ人に焦がれる恋敵の問いかけに、自分はどうして、こんなに悩んでいるのだろう。
 それなのに、気がついたら考えていた。答えないといけない、そんな気がして。

「ゆたかの書は、本当に綺麗。洗練されているのに堅苦しくなくて、柔らかくて、優しい感じがして。
 でも、私が書くとどうしてもぎこちなくて、ゆたかの感じにならなくて……」
「なるほど、それでずっと練習してたんスか。あんな書が書けるようになるまで、私達に隠れて」
 視線を逸らしたまま、小さく頷く。
「ゆたかに渡しても、恥ずかしくない文にしたかったから。だけど、最近は練習すればするほど、
 ゆたかから離れていくような感じで……」
「うわー、それ激しく分かるっスけど、正直私達には無理っスね。アレは本当に神業っス。
 あの領域に辿り着ける人なんて、それこそ十年に一人いるかどうかっスよ」

 相変わらず、私はうまく気持ちを言葉にできない。ひよりの前でも、ゆたかの前でも。
 けれどゆたかと同じように、ひよりも私の僅かな言葉と仕草から、伝えたいことを汲み取って
 くれる。ただ……二人の間には、絶対的な違いがある。
 それは――
「でも……きつい言い方っスけど、今のみなみのは、『練習』にもなってないっス。
 変にかっこつけて、練習のフリして『先延ばし』してるだけっスよ」
「それは、そんな……私は、ゆたかに少しでも上手な」
「いつまで逃げるのっ!?」

 ゆたかの手前、ずっと抑え続けてきた感情がわっと溢れて、私を抉った。
 あの春の夜、ゆたかに嘘をつき続けていた私に叫んだ時の、風や空も押し黙るような感情が。

「確かにみなみの『字』はまだまだッスよ、でも、字がヘタクソなだけで、もうちゃんと読み書き
 できるじゃないっスか!後は歌の知識だけど……そこも問題ないっスよね!?」
「そんなこと」
「そんなことない!」
 きっ、と声を荒げて、逃げようとする私に楔を打つ。
「みなみは自分が思ってるよりずっと頭いい、漢詩はヘタな貴族より詳しいし、舞なんて間違いなく
 超一流っスよ?そんな貴方が歌を知らないわけない、万葉古今に多分後撰辺りも暗記してて、
 たまには即興歌で舞ったりもしてる筈、違う!?」

 私の肩を荒々しく揺さぶりながら、隠し事を剥き出しにする。ひよりより私の方が背が高い
 筈なのに、青褪めた顔で俯く自分は、先生の前で項垂れる子供のようだった。
318黙っと白拍子 第3話 3/3:2008/11/18(火) 22:53:19 ID:IwNn2uUe
 ――そう、私は今日まで、小早川邸で、一度も『和歌』を朗じたことはなかった。
 文字を知らなかった頃は、折角ゆたかがくれた文を、読むこともできない自分が悔しくて。
 文字を覚えた後には、歌を口にした瞬間、約束の文のことを思い出してしまうのが怖くて。
 だからずっと、漢詩だけを声に出して舞ってきた。
 白居易、王維、菅原道真、源順。
 でも、白拍子とは本来、唐渡りの詩よりも、むしろ神楽や戯れ歌、古今の和歌を歌い舞うもの。
 ひよりも、ゆたかも、最初から分かっていて……そしてずっと待っていたんだ。
 ゆたかが待ち焦がれている約束を、きっと私が果たしてくれると信じて。

「ごめん、つい」
 時を巻き戻したように、ざざぁ……っと愛宕からの風が吹き、凍りついた世界に音が戻ってくる。
 それを合図にしたように、肩を捕えていた手が力なく滑り落ちる。
「でも……みなみは、こんな逢瀬がずっと続くなんて、思ってないっスよね」
「それは……」
 けれど、不穏な瞳は変わらない。
 激情とは違うけれど、苛立ちと、痛みと、達観めいたやり切れなさを綯い交ぜにした。

「少し前から、『ゆーちゃんに恋人ができた』って噂が広まってるっス。
 それで今日、女房(にょうぼう:小間使い)のみんなに、ゆい様の前に引き出されて……」

 ばれたら多分、もう会えない――それは、何処で聞いた言葉だったろう。
 いや、もしかしたら、自分の心の声だろうか。
 でも、もしもゆたかと逢えなくなったら。もしも自分が幸せに舞える場所を失くしたら……
 言葉を失う私の中を、ゆたかの居なくなった未来が、死ぬ間際の走馬灯のように心を貫く。

「その場は誤魔化しといたけど、念のため警備を強化することになったっス。
 姫が身分も知れない男といつの間にか結ばれてたなんて、家の浮沈にも関わるっスからね。
 もうすぐ紅葉の宴で都中の貴族が集まるのに、そんな醜聞が漏れたら……」

 ゆたかと過ごす夜。
 睦月の雪の出逢いから、ずっと続いてきた逢瀬。
 それは余りにも幸せだったから、私はその危うさを考えようとしなかった。
 だから、逃げられた。練習しながら考えればいいと、詠めない歌を引きずってきた。
 でも、もう意識してしまった。
 星が季節を巡るように、幸せが露見する日は必ずやってきて……
 その瞬間、天の川に別たれた織女と牽牛のように、『身分』という絶対の掟に引き裂かれる。

「だからその前に、さっさと『約束の筆』で文を書くっス。そりゃ、道ならぬ恋だし、振られるかも
 知れないけど、このままだと絶対後悔するっスから。貴方も、ゆーちゃんも……私も」
「っ、それ!」
 ひよりが懐から取り出したものに、思わず叫びが漏れる。
 私の髪の毛を結わえた、練習用の『筆』――。
「自分でも酷いと思うっス。けど、これがあるとまた、手習いに逃げちゃいそうだから」
 一度見せた筆を懐紙で丁寧にくるんで、ひよりは再び懐にしまった。
 筆を奪われた私よりも痛々しい悪役顔で、恋敵である筈の私に縋るようにして。

 とても筆とは言えない筆なのに、それがどんなに大切にされていたかを心から分かっていて……
 それゆえに私から奪った、ひより。
 そこまでされたら、もう。

「分かった、明日、ちゃんとゆたかに伝える」
「そっか……悪いっスね、こんな阿漕な真似して」
 文を渡してくれたら、必ず返すっスから――と、小さく頭を下げながら、切なげな笑顔を零す。
 そんなひよりに私も、自分に言い聞かせるように再度頷き返すしかなくて。
「じゃあ、これ以上遅くなると叱られるし、これでもう戻るっス。でも、」

 山を下ろうと、私の横を通り過ぎた所で、不意に振り返る。
 蒼い月明かりに、栗色の髪を煌かせながら、祈るように口にした。

「最後に一つだけ、みなみの……みなみに、舞を教えたのは誰?」
31921-260(代理):2008/11/18(火) 22:54:17 ID:IwNn2uUe
みなゆた好きなのですが、ひよりんも好きなので、
何とか活躍させようと思っていたらこのようなことに……汗汗
いつかきっとかっこいいひよりんのターンを作る予定なのでかんべんですっ
次回にはついにあの金髪ヲタク外人の活躍が……!?
いいいじょうしししつれいいたしましたーーーー(笑)

そして改めて、
読んで下さった皆様と、この文章を代理投下して下さったK氏に、
ありがとうございましたっ






        _   
      .'´   `ヽ、  
        i レノ{`´}ノハ      
        | !l;;(. )_( )'        
     _ノ !!' つ乙φ_         
    /旦/三/./|         
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |         
   |たゆ☆なみ.|/  
320名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 02:14:20 ID:MRxSyluj
GJ
321名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 12:21:31 ID:6yJKpKaO
みなゆた小説少ないからこういうのすごくうれしい。続き待ってますね。
322某無乳TFEI:2008/11/19(水) 18:52:21 ID:9aj+sTez
>>321
orz
323名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 22:36:09 ID:Mtr8oRHX
>>309
ああ、この前作が投下されたの読んだ記憶があるw
GJ !

懐かしいな。何だか続きそうだから続き期待してもいいかい ?
324名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 23:30:32 ID:N/cGW46x
投下された方々、GJです。

>>313
小悪魔的なつかさが、可愛らしいですね。


誰も準備している方がおられなければ、投下させていただきます。
32523-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/19(水) 23:39:43 ID:N/cGW46x
「恋の後押し」

つかさ×ゆたか 非エロ

・一話完結もの
・Elope関連
・3レス程使用
326恋の後押し 1/3:2008/11/19(水) 23:40:35 ID:N/cGW46x
 秋が深まりゆく、ある日の夕方。
 田村さんから借りた同人誌を返しに1年D組の教室に入ると、小早川ゆたかちゃんが、
とても寂しそうに席に座っていた。
「こんにちは。ゆたかちゃん」
「つかさ先輩…… 」
 ゆたかちゃんは一瞬だけ、微かに笑顔をみせたけれども、すぐに物憂げな表情になってしまう。
「ひよりちゃんはもう帰った? 」
「え、あ、そうみたいです…… 」
 ゆたかちゃんは答えてくれたが、心ここにあらずという感じだ。
「そっか。ごめんね」
「いえ。お役にたてず、すみません」
 俯き加減で答えた彼女の声は、蚊の鳴くように小さい。
「どうしたの、ゆたかちゃん。体の具合が悪いの? 」
 私は心配になって尋ねた。ゆたかちゃんは体調を崩すことが多い。
「いえ。違います。ちょっと…… 」
 ゆたかちゃんは、助けを求めるように話し始めて、すぐに口ごもる。
「な、なんでもありません。なんでも」
 一旦は、口にしながら止められると、気になって仕方がない。

「あのね。ゆたかちゃん」
 私は、少し迷ったけれど、思い切って尋ねてみることにした。
「悩みがあるのだったら相談にのるよ」
「で、でも、ご迷惑ですし」
 ゆたかちゃんは人に遠慮をしすぎると思う。
「そんなに私って頼りない? そりゃ、こなちゃんや、お姉ちゃんと比べるとそうかもしれないけれど、
一応は三年生だよ」
 先輩面をしたい訳ではないけれど、可愛い後輩が悩んでいるのだから、力になりたい。
「確かに、悩みを解決できるとは約束できないけど…… 話すだけで気持ちが楽になると思う。
もし、ゆたかちゃんさえ良ければ、話してくれないかな」
 うつむき加減のゆたかちゃんの大きな瞳を見据えて、説得を試みる。

「そ、そうですね…… 」
 しばらく逡巡した後ではあるけれど、ゆたかちゃんは頷いてくれた。
「お願いですから、他の人には内緒にしてくださいね」
「うん。もちろんだよ」
 私の返事を聞いてから、ゆたかちゃんはゆっくりと口を開いた。
「実は、好きな人がいるんです」
 ゆたかちゃんの悩みは、誰もが経験するものではあるけれど、自分だけの答えを
見つけなくてはいけないものでもあった。
327恋の後押し 2/3:2008/11/19(水) 23:41:22 ID:N/cGW46x
「そっかあ。ゆたかちゃんは恋をしたんだね」
 片想いは辛いけれど、恋をしている人は輝いて見える。
「ええ。話をするだけでどきどきして…… 胸が締め付けられるように痛くなるんです」
 ゆたかちゃんはとても辛そうな表情をみせながら、声を絞り出した。
「告白はしないの? 確かに怖いことかもしれないけれど…… 」
 私の言葉に、ゆたかちゃんは私の言葉を遮るようにして叫ぶ。
「普通の場合だったらできるんです! でも! 」

「ゆ、ゆたかちゃん」
 珍しく感情を露わにする、ゆたかちゃんに驚きながらも、疑問に思ったことをそのまま口に出す。
「ゆたかちゃん、『普通の場合』ってどういうこと? 」
「あっ…… 」
 彼女は口に手をあてて黙り込んだけれど、結局は打ち明けてくれた。
「私が好きになったひとは、女性です」
 泣きそうな顔をしているゆたかちゃんが、とても可哀想で愛しい。
 もし、自分が同じ性別の人が好きになっちゃったら、狼狽するのも無理はない。

 誰が相手なのかが凄く気になるが、流石に今のゆたかちゃんから聞き出すことは憚られる。
 しかし、おそらくは彼女のナイトである岩崎みなみちゃんなのだろう。
 傍から見ていれば、ゆたかちゃんとみなみちゃんは両想いとしか思えなかったから、
ここは後押しをしてあげた方が良いと思う。
328恋の後押し 3/3:2008/11/19(水) 23:42:13 ID:N/cGW46x
「ねえ。ゆたかちゃん」
「は、はい」
 私は、後輩の小さな手を包み込むように覆ってから話し始めた。
「あのね。告白した相手が女の子であっても、ゆたかちゃんのことを嫌ったりしないと思うよ」
「で、でも、同性ですし…… 」
 彼女の不安を鎮めるように、笑顔を向けて言葉を続ける。
「だって、ゆたかちゃんって、凄く可愛らしくて魅力的だもん。もっと、自分に自信をもった方がいいよ」
「そうでしょうか? 」
 ゆたかちゃんは、自信なさげに問い返す。

「うん。ゆたかちゃんに想いを打ち明けられたら、男の子じゃなくても嬉しいと思うよ。それにね。
とても優しいゆたかちゃんが好きになった子が、相手を傷つけるようなことをするはずがないよ。
だから、例え結果が上手くいかなくなったとしても、気まずくなったりはしないはずだよ」
 一気に話し終えて、返事を待つことにする。
 
 無言の時間がずいぶんと過ぎて、下校を促すベルが鳴った頃。
「ありがとうございます…… 」
 お礼をいってくれたゆたかちゃんが、ようやく、本来の魅力あふれる笑顔をみせてくれる。
「私、すごく臆病でした。嫌われたらどうしようって、ずっと後ろ向きに考えていました。
だけど、逃げてばかりじゃ駄目なんですね」
 ゆたかちゃんは、大きく息を吸ってから言い切った。
「私、告白します」
 きっぱりと宣言したゆたかちゃんは、先程よりも、うんと大人びてみえる。
「うん。がんばって」
「はい。ありがとうございます。つかさ先輩」
 私は、満面の笑顔をみせてくれた彼女の手を、ぎゅっと握りしめた。

 すっかりと元気になったゆたかちゃんと別れてから、駅に向かってゆっくりと歩く。
 秋の短い太陽は、既に地平線の下に隠れており、あたりは黄昏から夜の領域に踏み出している。
 私は、瞬き始めた星の間を縫うように落ちていく大きな流れ星に願った。

 ゆたかちゃんの恋がうまくいきますように、と。

(おしまい)
32923-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/19(水) 23:44:36 ID:N/cGW46x
以上です。
読んで頂いた方、ありがとうございます。
つかさとゆたかの組み合わせは、相性が良いと言うか、ぴったりとはまる様な感じがします。
では。
330名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 03:13:21 ID:UCv3S5xc
うむ、ほんわかしてても緊迫してても貴方のつかゆたは大好きだっ

微笑ましい一場面のはずなのに
>・Elope関連
の一行が切ないですな。正に後押しになったのか、どのみち辿る道だったのか。
最後のつかさの願いは叶ったといえるかどうか。
色々考えてしまいますねぐっじょぶ
331名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 18:42:26 ID:OdVcGUZQ
前作のゆたかがつかさを恐れる?理由が甘いと思っていましたけど、このエピソードで補完され納得できました。
332名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 18:49:06 ID:yYFY8uLa
普通にほのぼのと見せかけて、「この後」を思い起こすとせつなさ3倍増でした。ぐっじょぶ。
333戸別響:2008/11/21(金) 11:27:18 ID:9qIRthqM
どうも、戸別です。シリーズの続きが書けたので投稿します。
スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色
・K&A K視点
・非エロ
・7レス使用
3分後に投下を始めます。では、どうぞ。



うーん、空気がきれいだー。天気も良いし、絶好のスケッチ日和だねー。みさきちが突然
走り出すのもなんとなくわかる気がするね。


「もう、みさちゃんったら……後で注意しておかないと」
「みさきちと一緒に行動してると、とても疲れそうだよねー」
「でも、元気が良いのはとても良い事だと思いますよ」
「そうデスヨー。人間、energeticなのが一番デース!」
「そ、そうだけど……元気すぎるのもね……」


スケッチスケッチ!  3筆目 青色栗色紅葉色


どーも、私、泉こなた。このスケッチ大会の主催者みたいな者です。
今私達は駅前から山の中に向かって伸びる砂利道の上を歩いています。

って、私ってばこんな風に丁寧語で話すようなキャラじゃないよね。修正修正っと。

んまぁそんな訳で、私と一緒に歩いている人は、合わせて3人。
あれっ? 確かこのスケッチ大会ってペアで行動するんだよね? って疑問に思った人、
実は私のいるペアともう一つのペアは途中まで同じ道を歩いていかなくてはならないのだ。
ちなみにみさきち・ひよりんペアもホントは私達と同じ道を歩いてくんだけど、先述の様に
みさきちがスタートと同時に走り出してしまい、こちらからは二人はもう点のようにしか
見えなくなってるんだー。

と、
「あ、私達がスケッチをする場所は、ここから入るみたいですよ?」
「Oh! ホントデスカー? じゃあココでコナタ達とはお別れデスネー!」
ピンク髪の委員長がある草むらの前で立ち止まり、それにつられて金髪の留学生もそこで足を
止めた。やたらハイテンションで。

「あ、そっか。んじゃ頑張ってねー」
「はい、頑張ります」
「Yes! expectしてくださいネー!」
そう言って、二人は草むらを貫いている、獣道のような小道の中に入っていった。


さて、と。
一緒にいた3人のうち2人と別れ、今、私の隣にいるのはただ一人。
「……じゃあ、私達も神社まで行きましょうか」
「うん、そうだね」
峰岸あやの。かがみやさっき出てきたみさきちとは中学生のころからの友人で、クラスメイト。
そして今日のスケッチ大会における、私のペア。
くじ引き後、私の開始の合図の直後に走り出したみさきちを見て、かがみが呆れた様に
ひよりんに呟いたのに対し、この峰岸さんは少し困ったように微笑んでいた。さすがつかさ、
みゆきさんと並ぶいい人さんだー。

「ひよりんも大変だよねー。よりによってみさきちとなんてさ」
「……否定できなくてごめんね? みさちゃん……」
「うおっ、み、峰岸さん。今の発言、ちょっと黒くなかった?」
「えっ、そうだった?」
「うん、なんか……あ、ここ右だね」
「あ、ホントね。……わぁ……」
右折をして、神社――私達の指定場所――までのまっすぐな道に入ると、私達の目の前に、
会話している間には気づかなかった、とてもきれいな景色が広がっていた。
目の前の山肌は一面紅葉色に染まって、それが小春日和の快晴の空と相成って、とてもよく
綺麗に映えていた。

「……すごいねー……」
「……えぇ、そうね……」
私達はしばらくその景色に見惚れていて、でも私がまだ指定場所に到着してないことに
気づいて、峰岸さんを促して、その神社までの一本道を歩き始めた。



「……高いね……」
「……そう、だね……」
さて問題です。私たちは何を見ているのでしょーか?


正解、やたら長い石段。
……うん、地図を見て神社の前に階段があることはわかってたけど、ここまで長いとは
思わなかったなー。上を見上げても――木が邪魔で、っていうのもあるけど――その急で長い
石段の終わりを見つけることができないし……

「「…………」」
その長さにしばらく圧倒される私と峰岸さん。でも、目的地の神社にたどり着くにはこの
石段を登りきらなければならない。

「……とりあえず、登ろっか?」
「あ、うん、そうだね……」
私は峰岸さんに促され、一緒に一段ずつその石段を登り始めた。



「……ハァ、ハァ……よ、ようやく頂上が見えたわ……」
「み、峰岸さん、ハァ、だ、大丈夫?」
「い、泉ちゃんこそ……」
約4分後、私達の目の前にようやく神社の鳥居が見えて、この地獄の階段登りが終わりを
告げた事がわかった。その頃には私も峰岸さんもバテバテで、鳥居が見えたことでようやく
ホッとというか、安堵することができた。
それにしてもこの石段、長すぎだよ……3分間登りっぱなしでようやく頂上が見えてくる
なんて……おかげで石段の周りの紅葉を見てる余裕なんてなかったし……
えっと、2段に1秒かけたとして、4分だから……

480段。

……さすがに後半はバテてたからもう少し段数は少ないはずだけど、こんな田舎に400段
以上の石段を登る神社があるって……
というか、何で私はこんなどうでもいい事を計算してるんだろうね。

まあ段数の話は置いといて、私達は息を切らしながら最後の数段を登りきり、息も絶え絶えに
鳥居を通り抜けた。そして苦しくて閉じていた目を開けて、前を見てみると――


「「……わぁ……」」


そこには今日何回目の感嘆だろうか、なんて野暮なことを考えるのももったいないくらい、
綺麗な景色が広がっていた。


吹き抜ける風がサラサラと、色を染めたカエデやイチョウの木々を揺らす、その中に、
少しこじんまりした、それでも威厳のある、立派な神社がそこには建っていた。大きさは、
私の家と同じくらいかな? それよりも少し小さいかも。でも、それほどの大きさでも、私や
峰岸さんを圧倒させる、厳かな雰囲気が漂っていた。

「……何というか……凄いね」
「……ええ、そうね……」
凄いとしか言えない、って言う感想を旅行系のテレビ番組でよく聞くけど、今ならなんとなく
その気持ちがわかる気がするね。あまりにも素晴らしい景色とかに出会うと、ホントに
それしか言えなくなるね、今の私達みたいに。


そんな風に私と峰岸さんがその凄さに見惚れていると、

―――ッホー―――
「んっ?」
「へっ?」
どこからともなく人の声が私達の耳に届いた。しかも、どことなく間の抜けた声が。

「……何? 今の声……」
「……後ろから聞こえたような気がするけど……」
と、峰岸さんは後ろを振り返った。私もつられて後ろを見てみる。
後ろには誰もいなかった。あるのは神社の鳥居と紅葉色の木々、そしてその隙間から見える、
小さな山だけで……山?

いやいや、いくらなんでもここまで声が届く訳が……
「もう、みさちゃんったら……」
……って、やっぱりそうなの!?

「ていうか、よくみさきちだってわかったね」
「……あれもみさちゃんの子供っぽいところでね。みさちゃんったら、山とか高いところに
登ると、いつもああやってやまびこみたいな事をするの。しかも突然……」
やや呆れ気味に峰岸さんは呟いた。

「……まあ確かにみさきちの声ならここまで届きそうな気がするね」
と私がフォロー(?)をしたところで、


――キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン――


「あら? このチャイムは……」
突然のチャイムに、峰岸さんは少し戸惑いを見せた。

「あ、このチャイムはね――」

――ただいまの時刻は、午前、12時です――

「――ってわけ」
「あぁ、時報の代わりなのね」
峰岸さんは納得した様にこう言った。

「そういう事。さあ、スケッチ大会の始まりだー!」
私はそう言って、何を書くか決めるために神社の周りを歩き始めた。



「……泉ちゃんって、あんなに絵が下手だったんだ……」
「……そんなストレートに言わないでよ……」
20分後、私と峰岸さんは一旦スケッチをやめ、お昼ご飯の用意をしていた。ある意味で
お楽しみだったランチタイムだったけど、今の私の心はブルーで、峰岸さんはそんな私の
フォローに回っていた。
事の始まりは私がモチーフを見つけてその対象のスケッチを始めたとき、峰岸さんが私の
後ろに来て、描いてた絵を覗き見したことが発端。

「だ、だって、私がぱっと見たとき、最初は何が描いてあったかわからなかったんだもん」
「だからってさー、驚いた様に「えっ? これ、何?」って私の耳元で言わなくてもいいじゃん!」
いくら私が絵を描くのが苦手だからって、そこまでびっくりされるとさすがの私でも
傷つくよ……

と、
「……そういえば、どうして泉ちゃんはこのスケッチ大会をしよう、って思ったの?」
峰岸さんがお昼用の敷物を広げながら私に尋ねた。そういえば、みさきちや峰岸さん達には
言ってなかったっけ。
私はかがみ達に言った様に、その理由を答えた。最近美術系の漫画がアニメ化されて、それに
感化されてこの大会を開いた、と。でも峰岸さんはあまり納得した様子は見せないで、
「でも泉ちゃん、絵が、その、えっと……あ、あまり上手くないじゃない? なのに、どうして?」
と、少し遠慮がちに尋ねた。

「……ありゃー、気づかれちゃったか」
私はしまったー、といった感じのポーズをとった。
「と、いうことは、他にも何か理由があるの?」
「うん、まあね」
そこで一呼吸を置いて、本当の理由を答えた。

「――ただ、みんなで集まって遊びたかったからだよ」


「……どういう事?」
峰岸さんは私から答えを聞いても、わからない、といった顔をしていた。まあ確かに色々と
端折り過ぎたところもあったかな。まあ峰岸さんにならぶっちゃけてもいっか。

「えっとね、私達、受験生じゃん? かがみには自覚がないって言われてるけど、これでも結構
気にしてるんだよ? 私。だからさ、私もそろそろ真剣に勉強頑張ろうかなー、とは思ってる
のよ。でもさ、真剣に頑張るんだったら、そろそろ遊ぶ事も止めたほうがいいかなって思い
始めてね。だったら始める前にもう一度みんなと遊ぶ機会がほしいなって。で、ちょうど
さっき言ったアニメがやってたから、それに感化された事を口実にみんなで遊ぼっかなー、
って思ってさ、この大会を開いたわけ。ゆーちゃん達やみさきち達との交流も兼ねて、ね」
私は一気にこの大会の動機を述べた。

「…………」
私の答えからしばらく、峰岸さんは敷物を持ったまま手を止めて、ポカンとした表情で私を
見つめた。
「…………」
「……ど、どうしたの? 峰岸さん」
それがあまりにも長いもんだから、私は心配になって峰岸さんに話しかけた。
「……え、な、何? 泉ちゃん」
「いや、何ボーっとしてるのかなって」
私に質問に峰岸さんは少し躊躇った様に沈黙して、
「……意外だなぁ、って思って」
「えっ、な、何が?」
峰岸さんの答えこそ私にとって意外なんだけど。
「えっと……私ずっと、泉ちゃんって、目先の楽しいことだけを考えてるのかな、って
思ってたけど、ちゃんと将来の事も考えてるんだな、って思って」
「ちょ、ひどっ! 私そこまで悪い性格してないよ! ちゃんと先を見つめてるよ!?
絶望した! 峰岸さんの私へのイメージの悪さに絶望した!」
ネタを交えて峰岸さんに反論。いや、確かに私オタクだからあんまりいいイメージは持たれて
ないよね、とは思ってたけど、少しひどくない!?


峰岸さんは私のまくしたてが面白かったのか、少し笑いを堪えた様な表情で、
「ご、ごめんなさい。でも、今の泉ちゃんを見たら、」
そして、まるでお母さんの様な、柔らかで優しい笑顔になって、

「――泉ちゃんって、寂しがり屋で優しくて、友達思いの人なんだな、って思えるの」

「…………ほえっ?」
「だって、そうじゃない。受験勉強を始めて、みんなとあまり遊べなくなるから、この大会を
開いたんでしょう? だから、そうなんじゃないかなって」

…………
今私、他人が見たらかなり変な顔をしてるんだろうな。それと、間違いなく顔は真っ赤だと
思う、メチャクチャほっぺの辺りが火照ってるから。
何? その恥ずかしすぎるセリフ、思わず「禁止!」って言いたくなるところだったよ!?
そうやって心の中でツッコミながら、私はしばらくさっきの峰岸さんの様にボーっとして、
その柔らかな顔を見続けた。



その後、峰岸さんの声でわれに帰った私は、峰岸さんと一緒にお弁当を食べ、その中で料理の
話で盛り上がり、今は二人で並んでスケッチを再開している。
でもさっきも言った様に、私にとって絵は二の次。問題は、自分のペアと楽しく過ごして
友好を深めることができるか。それもさっきのお昼の時の会話や、今のスケッチの中でも
お互いの意見を出し合いながら、笑顔で会話ができている事で、ちゃんと達成できてると思う。


――これが高校生で、みんなと遊べる最後のチャンスかもしれない――


我ながら女々しいと思うけど、そんな思いから始まったこのスケッチ大会、私の中では
ひとまず成功かな?

やや冷たい風の中でたなびく、私の青髪、峰岸さんの栗色の髪、そしてサラサラと音を立てる
きれいな紅葉を見ながら、私はそう思い、秋空の空を見上げていた。





341戸別響:2008/11/21(金) 11:58:02 ID:9qIRthqM
以上です。ある意味このシリーズの核心的な話です。
こなたにとって珍しいペアって誰かなー、と思って出てきたのが、あやのんです。
さて次回はこの話で出てきた残り二人の話になると思います。留学生の口調、これであってますかね……
感想、批評、ありがとうございます。この話でもよろしくお願いします。


後一つ、提案というか質問があります。
今年の五月から六月にかけて、私の作品がスレを介さずにまとめwikiに保存されていたことが問題に
なりましたよね。それで、そのとき問題になった5作品のうちいくつかを、私が再度編集、修正して
スレに投下したいのです。その上でその修正したものを再度まとめwikiに保存したいのですが……
もちろんだめなら止めますが、許可が出ればこのシリーズが終わったら投下をしたいと思います。
いかがでしょうか?
342名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 22:09:29 ID:Iu04Azuj
>>341
実はこの組み合わせ、一度だけ既出なのですが、
それでもまだまだ珍しいこのペア作品GJ!
こなたを本来のキャラ性格とキャラ位置づけにした上で
ここまで受け受けしいこなたにまた萌えたし、
言葉の端々、態度の端々に黒さがにじみ出たりしたけど
最後は優しくまとめたあやのも再評価。

この、基本優しいんだけど時々黒い、
略して「時黒」、何気に広まらぬものかねえ・・・w
343名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 23:05:48 ID:AMO56lvn
>>341
Gj !
いいなあ和むなあスケッチ大会w
寂しがりこなたな一面が見れて、なかなか萌えたよ !
344名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 00:57:57 ID:KPL/m5xA
>>341
保管庫の自作品を編集して改稿を更新報告所に報告するのが筋じゃないかな
スレに改稿を保管した事を報告するなら、簡潔に作品名と保管ページのアドレス貼る程度にされたほうが無難でしょう
再投下は新たな問題が生じる可能性もあり、するならば避難所などで話し合いをしてからの方がよいと思います
345名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 01:07:01 ID:TcY/dUoR
その件に関してはもう方が付いたし、ガイドライン改訂前の事を今更なじるような人は居ないだろうけど、
もし、本人がどうしても納得行かないという事であれば、避難所SS投稿スレを使わせてもらうという手も……
346名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 11:21:37 ID:I1J3x/q6
>>341
わざわざこちらに投下せずとも、『修正しましたよ』という一言と保管庫のページを載せるだけで大丈夫ではないでしょうか。
347 ◆MoiSlbQnQw :2008/11/23(日) 17:27:16 ID:6zivKFsq
お久しぶりです。

かがみ:私は、帰ってきた!
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0161.txt

言い訳SSで予告した、こなたがハンター、かがみが吸血鬼のかが×こなSSです。
エロシーンに行くのを何度脳内こなたが止めた事か……。おかげで寸止め状態になってます。
348名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:01:18 ID:P3/9cFee
>>347
おかえりなさい、そしてGJ!

結局かがみさんはへんたいから逃れられない運命なのですね。
そしてこなたさんはそんなかがみさんから(ry

できることなら、もちょっと吸血鬼設定をもちょっと・・・

かがみ「たとえば首筋とか首筋とか首筋とか」
こなた「かがみうるさい(≡ω≡.)」
かがみ「 T(´・ω・`T アレ?ツッコミハワタシノヤクメジャ?」
349名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 20:23:06 ID:Gr91pPS+
>>347
ぐっじょぶです。
相変わらず、ぶっとんだお話ですね。弄ばれるこなたんが可愛くて仕方ありません。
とても、たのしませて頂きました。

準備される方がいなければ、投下させていただきます。
35023-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/23(日) 20:28:09 ID:Gr91pPS+
「Affair 第1話」

つかさ×ゆたか

注意事項
・非エロ
・Elope関連、Escapeの続き
・6レス程度使用

351Affair 1/6:2008/11/23(日) 20:29:24 ID:Gr91pPS+
 午後5時になり、バイトの時間が終わった。
「お先に失礼します」
「お疲れ、ゆーちゃん」
「お疲れ様、ゆたかちゃん」
 まだ勤務中のこなたお姉ちゃんや、バイト仲間に挨拶をしてから私服に着替えて店を出る。
 紺から黒へと移りゆく晩秋の空を見上げながら、私は買い物客で賑わうアーケードを過ぎ、赤門をくぐり抜けて、
上前津駅に向かう。
 普段なら、鶴舞線に乗ったままなのだけれど、今日は2つ先の伏見駅で、交差する東山線に乗り換えて、
隣の名古屋駅で降りる。
 地上に戻ると、ひんやりした空気が衣服の隙間から身体に流れ込む。
 立冬が過ぎてからは、雨が降るごとに冷え込みが厳しくなっており、先週からコートを纏うようになった。
 タクシー乗り場の横を通り過ぎ、桜通口からJR名古屋駅に入り、金色の大きな時計がある場所で立ちどまる。

 ここは、ナナちゃん人形程ではないが、地元ではそれなりに有名な場所で、多くの人が待ち合わせの場所として利用している。
 ほとんどの人はとても楽しそうな顔をみせているが、私だけは不安に包まれてひどく落ち着かない。
 足を止めて待つことができずに、時計の周りをぐるぐると回ってしまう。
「…… 本当に、会っていいの? 」
 心の声が何度も危険信号を送ってくるが、今さら、約束を破るわけにはいかない。
「しっかりしなくちゃ」
 無意識な領域からわき上がる不安を無理矢理抑え込んで、ひたすら待ち続ける。

 5時55分。意味もなく歩きまわることに疲れて立ち止った時に、待ち合わせの相手が姿をみせる。
「お久しぶり。ゆたかちゃん」
 柊つかさ先輩は、とても楽しそうに微笑む。
 前と同じように、いや、前より増して綺麗で可愛らしくみえた。
352Affair 2/6:2008/11/23(日) 20:30:09 ID:Gr91pPS+
「こんばんは…… つかさ先輩」
 私は、緊張による細かい身体の震えを抑えながら、挨拶を返す。
「うん。こんばんは。ゆたかちゃんは、いつみても可愛いね」
「きゃっ」
 いきなり抱き締められて、思わず声をあげてしまう。
「や、やめてください! 」
 衆人環視の中での過激なスキンシップに、顔を真っ赤にしながら、腕を伸ばして先輩を振りほどこうと試みるが、
力が強くて離すことができない。
 私に密着したつかさ先輩は、調子に乗ってくんかくんかと鼻を鳴らしながらセクハラまがいの質問をしてくる。
「ゆたかちゃんは良い匂いがするねえ。どんなシャンプー、つかっているの? 」
「においを嗅がないでください! 」
 抗いながらイヤイヤと身体を捩じるけれど、先輩の身体はとても柔らかくて、温かくて、油断すると受け入れてしまいそうになる。
「お願いですから、やめてください! 」
 それでも本気で抗うと、唐突に体を離して言った。
「食事にいこうよ。ゆたかちゃん」
 つかさ先輩は、唖然としている私の手を掴むと、すたすたと歩き出してしまう。
「ま、待ってください! 」
 引きずられそうになって慌てて声を出すが、結局、右手を握られたまま、マイペースすぎる先輩の後を追う羽目になった。

「つかさ先輩…… 」
 私は、精一杯怖い目つきをつくって、先輩をにらみつける。
「ふふ。ゆたかちゃんがラブな視線を送ってくれて、とっても嬉しいなあ」
「違います! 何、とぼけたことを言っているのですか」
 私はため息をつきながら、言葉を続ける。
「どんどん先に行ってしまうから、てっきり、お店を知っていると思っていましたよ」
「あはは」
「笑ってごまかさないでください! 」
 私はあきれながらも、突っ込みを入れざるを得ない。

 なにしろ、つかさ先輩は、意気揚々として5分程歩いた後、人気のないガード下まで歩いたかと思うと、急に立ち止まって、
「ゆたかちゃん、ここどこだっけ?」
と、あっけらかんと聞いてきたのだ。こなたお姉ちゃんが、つかさ先輩のことを天然と言うのも分かる気がする。

「場所も、知らずに歩いていたのですか? 」
 先輩はちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめながら答えた。
「ううっ、ごめんね。だって名古屋のお店なんて、全く知らないだもん」
 両手をあわせながら、しゅんとうなだれるつかさ先輩は、年上なのにとても可愛らしい。
「仕方ないですね…… 私の知っているお店にしますが、良いですね」
 柄ではないけれど、お姉さんぶった言い方になってしまう。
「うん。ありがとう。ゆたかちゃん」
 向日葵のような笑顔を浮かべながら子犬のようにじゃれついてきて、本当に2つも年上なのだろうか、と疑問に思ってしまった。
353Affair 3/6:2008/11/23(日) 20:30:49 ID:Gr91pPS+
 私が、不?戴天の敵ともいうべき、柊つかさ先輩と会う約束をしたのには、いくつか理由がある。
 表向きの理由としては、初夏の騒動の時に結んだ、先輩達が名古屋に来た時は会うように努めるという協定があるためだ。
 もっとも、それだけならば多忙を理由に断っていたが、つかさ先輩は誘いをかける時に、
抜かりなくそれなりの「お小遣い」をくれると持ちかけてきた。

 第三者が聞いたら幻滅するかもしれないが、現実は結構非情だ。
 安くない家賃を払い続けながら、未成年の女の子二人が独立して暮らすのにはまとまって金額が必要で、
親元からの援助と、バイト代を合わせても余裕があるとはいえない。
 それでも、ただ単に食べていくというだけの話ならば、当面は何とかなるけれど、本格的に社会に出る準備として、
進学という道を捨てる訳にはいかなかった。
 少なくとも私にとっては、つかさ先輩の誘いはとても魅力的なものだった。
 
「はい。ゆたかちゃん」
 お店に入り、席につくなり差し出された封筒を受け取る。
「中を確認してね」
「あの…… 多いです」
 事前に教えられていた額よりもかなり多い。
「いいから、いいから」
 先輩は鷹揚にうなずいたが、一介の学生が出せる金額とは思えない。
 ただでさえ、新幹線での往復という余計な費用を使っているのに、大丈夫なのだろうか?

「ゆたかちゃんは心配性だねえ」
 つかさ先輩がカラカラと笑った。
 先輩が言うには、神社のイベントの時は、巫女となって、神主である先輩のお父さんのお手伝いをしているけれど、
昨年から参拝客が倍以上に膨らみ、予想以上の収益があがっているとのことだ。
 それ加えて、お父さんが末娘に激甘という事情もあるらしい。
「だから、ゆたかちゃんが気にすることはないよ。お金は、必要な人が必要に応じて使ってくれればいいの」
 私は思わず、つかさ先輩の顔をまじまじと見つめた。
 悪意に満ちた陰謀だけではなくて、ごく真面目なことも考えているのか。
354Affair 4/6:2008/11/23(日) 20:31:22 ID:Gr91pPS+
「ゆ・た・か・ちゃん」
「な、なんですかっ」
 いきなり、どあっぷで迫られて思わず後ずさる。
「今、とっても、失礼なことを考えていたよね? 」
 ぷーっと頬を、焼いた餅みたいにふくらませる。
「そ、そんなこと…… 」
 しかし、嘘をつくこともできず、私は顔を真っ赤にしたまま、両手の人差し指を合わせることしかできない。
「考えていたよね」
「ご、ごめんなさい」
 慌てて謝った途端、先輩の表情に笑みが戻る。

「ふふ。ゆたかちゃんって素直で、可愛いね」
 今日何度目の『可愛い』なんだろう? 
 しかし、先輩の無邪気そうな笑顔には必ず裏がある。騙されてはいけないと気を引き締める。
「私はそんなに可愛くなんかありません。それはつかさ先輩もご存じのはずでしょう? 」
 今までの行動を振り返ってみても、お世辞にも可愛らしい行動をとったとはいえない。

「ううん。ゆたかちゃんは、どんなことをしても純粋で素敵な女の子だとおもっているよ」
「はあ…… 」
 つかさ先輩の言葉は、魔法のように、私の敵愾心をどんどん溶かしてしまう。
 このままでは非常にまずい。何とかしなくては。
「この際だからはっきりと言いますけれど」
「何かな? ゆたかちゃん」
 つかさ先輩は、愛らしい笑顔を浮かべたまま、小さく首を傾けた。

「つかさ先輩。私のことが嫌いじゃないのですか? 」
「え? 」
「つかさ先輩は、こなたお姉ちゃんのことが好きなのでしょう。こなたお姉ちゃんをひとり占めしている、
私がとても憎いはずです。今度は、一体何をたくらんでいるのですか? 」
 私は、先輩から決して目を逸らさずに、厳しい口調で言いきった。
 わざわざつかさ先輩の誘いに乗った理由は、お金の為だけなんかじゃない。
 企みを暴いて、私とこなたお姉ちゃんの関係を護らなければならなかった。
355Affair 5/6:2008/11/23(日) 20:32:16 ID:Gr91pPS+
「ふうん」
 しかし、つかさ先輩の表情は変わらない。デフォルトとなっている笑顔のままだ。
「ゆたかちゃんは本当に頭が良いんだね」
 うっとりと、私を見つめてくる。
「何が…… 言いたいのですか? 」
「私はね。自分がそうじゃないから、できる人に憧れるの。もちろん、こなちゃんは大好きだよ。
でも、ゆたかちゃんも同じくらい好き」
「あ、あの…… 」
 つかさ先輩は、何を言いたいのだろう?
 訝しみながら先輩の顔を見つめていると、店員が料理とお酒を運んできた。
 若い女性の店員が手際よくコルクを抜いて、グラスに赤のワインが満たされる。

「ゆたかちゃん。乾杯しよっか」
「はあ…… 」
 私は言われるままに、グラスを合わせると、鈴の鳴るような乾いた音が響く。
「乾杯! 」
 グラスを傾けて、赤い液体を喉に流し込むと頭がぼうっとなってきた。
「ふふ。美味しい? 」
 つかさ先輩の声がやけに遠くから聞こえる。
「は、はい…… 」
 
 一旦はグラスを置いたけれど、すぐに喉が渇いてくる。
「遠慮しないでね」
 再び注がれたグラスに口をつける。ほんのりと甘くて、さっぱりとしていて、喉越しも良い。
「とても、美味しいです」
「ええ。そうね」
 つかさ先輩が、相槌を打った後に尋ねてきた。
「こなちゃん、元気にしている? 」

「こなたお姉ちゃんですか? 」
 お酒で身体が熱くなっているのを感じながら答えた。
「元気ですけど…… お店のチーフになったから最近はとても忙しいです」
「そうなの? 」
「最近は残業も多くて、遊びにいくこともままなりませんから」
「ふうん。今日もバイトなのかしら? 」
「ええ。私と違って最後までです」
 チーフに昇進したこなたお姉ちゃんの業務は、閉店時間までとはいかない。
 食材の発注や、バイトメンバーのシフトの調整など、煩雑な管理業務のせいで、帰りはとても遅くなる。
 お姉ちゃんのことを考えていると、何故か喉がとても渇いてきて、私はグラスをまた空ける。
 すぐにつかさ先輩が継ぎ足してくれる。
「ありがとうございます…… 」
「じゃあ、あまり遊びにいかないの? 」
「はい。仕事の時間が合わないことが多いですし、余裕もありませんから」
356Affair 6/6:2008/11/23(日) 20:33:34 ID:Gr91pPS+
 仕事に明け暮れるお姉ちゃんを見ていると、少し悲しくなってくる。
 もっと、いろんなところに遊びに行きたいのに、思い出をたくさん作りたいのに。
 寂しさを紛らわそうと、あおるようにしてワインを飲む。
「ゆたかちゃんは、とても寂しいんだね」
「そうなんです。私、とっても寂しいです。バイトの人は優しくしてくれるけれど……
他に知り合いは…… いませんから…… 」
 急に呂律が回らなくなってくる。そう、私はとっても寂しいのですよ。つかさ先輩。
 だから、もっと、お酒をくださいね…… 

「ゆたかちゃん? 」
 ほとんど飲んだこともないお酒を、注がれるままに飲み続けた為に、急に眠たくなって机にうつぶせになる。
「つかさせんぱい…… とっても眠いですよう」
「駄目だよ、ゆたかちゃん。ここで寝ちゃあ」
 つかさ先輩が困った顔でたしなめるけれど、力が全くはいらずに、起き上がることができない。
「だめです。私、もう立てないです」
 ぼんやりとした状態のまま顔だけを先輩に向ける。つかさ先輩の顔がひどくぼやけて見える。
「ゆたかちゃん…… そろそろお家に帰ろうか? 」
「イヤ…… です。わたし、もう、歩けない」

 身体中がふわふわして宙に浮いているみたいで、到底、家まで辿り着く自信がない。
「だったら、ホテルに泊まっていく? 」
 つかさ先輩が近寄り、私の耳元で囁く。
「そこで…… 寝て…… いいんですか? 」
「うん。大歓迎だよ。ゆたかちゃん」
「ありがとう…… ございます」
「ふふ。ゆたかちゃんはとっても良い子だね」
 先輩が私の頭を優しくなでてくれる。
「ふぁい…… つかさせんぱい…… おやすみなさい」
 視界はだんだんと暗くなっていく。
 意識が闇に堕ちる寸前まで、つかさ先輩は穏やかな笑みを浮かべていた。

(続く)
35723-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/23(日) 20:39:10 ID:Gr91pPS+
読んで頂いた方、ありがとうございます。

寂しさを募らせるゆたかの隙間に、するりと忍び込んでいくつかさを表現できていれば良いのですが……
よろしければ、お付き合い願えればと思います。
では。
358名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 21:17:59 ID:P3/9cFee
>>357
GJ!
こなかが派だけど、この作品だけは注目し続けている俺。
つかさくるか!またしても黒でもない白でもない、
純粋にして凶悪な意図によって構成された、柘植つかさくるか!!
今度はどんな「だから!遅すぎたと言ってるんだッ!!」がくるか!?

島みやえい子をBGMにしつつ、続きを所望いたします。
359名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:00:51 ID:QFx3bC82
>>347
わははっ GJ !
なんちゅーか、このシリーズ好きだわw
ラノベ風の読みやすい感じもいいねw

続きはもうないのでしょーか ?
360名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 03:20:48 ID:8kU8T+Jo
>357
何と圧倒的なつかさ
忍び込むというか、『もう完全に射程圏内。でもまだ食べないよ、面白くないし』みたいな

何だか意味深なタイトルにドキドキしつつ、
ワクテカでお待ちしております
361名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 10:59:58 ID:OHha6M3z
>>357
まずはタイトル理解。
満を持して動き出したつかさに、はらはらが止まりません。
ていうか逃げてゆーちゃん、ゆーちゃん逃げて。

手に汗握りつつ、続きをお待ちしております。ぐっじょぶ。
362名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 12:55:56 ID:8nc3iHJb
>>360
ゆたかちゃーん ゆたかちゃーん
むいてむいてむいて また着せる
ゆたかちゃーん ゆたかちゃーん
むいてむいてむいて、見てるだけ
たべないよー たべないよー(性的な意味で)
(楽しみが)なくならないよーにー
たべないよー たべないよー(まだまだ)
むいて見てるだけー

ということですね、わかります。
363名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 21:18:17 ID:TKs0FRE+
>>347

どうも、「オかツ乱」ですw遅くなりましたがGJ!

やべぇなぁ面白いなぁ。おいらのような初心者は、こーゆーラノベっつーかラSS(何やねん)大好きです。続いて欲しいなぁ・・・
364名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 07:13:07 ID:emHUy0GV
保全ついでの小ネタ

もしも登場人物が大富豪だったら
「こなた、アニメイトを三店舗も買ってどうするのよ。」
「かがみんや、観賞用、保存用、布教用はオタクの常識だよ。」
「もうちょっと有意義にお金を使いなさいよ」
「そう言うかがみもお菓子工場を衝動買いしたって、つかさから聞いたよ」
「…あれは資金繰りに…困っていた工場を助けて…。」
「また太っちゃうよー」
「うっさい。」

チラシの裏
一月ぐらい書き込み規制に巻き込また、
GJが言えないのがここまで苦しいとは思わなかった。
365名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 12:16:17 ID:Mt13/bdq
>>364
つ●
366名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 18:15:45 ID:nyaNhmaF
p2の方が安いよ
367名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 08:34:42 ID:H2dragFx
>>364
ワロタw
368名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 12:49:16 ID:2SavmNp1
>>364
「うにょ〜ん、何故私は話題に上らないのかな…」
「つかさはもう答えが決まってるからね〜」
「そうね…あれしかないわよね」
「「せ〜の…





バルサミコ酢工場!」」
「なんじゃそりゃ〜!!」
369名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 18:16:42 ID:OlUCayvF
「そう言えばみゆきさんが無駄遣いするイメージって沸かないなぁ」

「みゆきの場合今のままで十分お金持ちだからね」

「そういう人って急にお金が入っても無駄遣いするイメージじゃないんだよねぇ」

「そりゃそうよ、私達よりは何に使うか具体的なプランも立てられるでしょうし、アニメイトや工場買うなんて言い出さないわよ」

「なるほど、私達みたいな庶民はお金持ちになったら?って聞かれても庶民の発想でしか考えられないわけだね」

「そういう事、結局は実際になってみるまでわからないって事ね」

「工場まではないにしてもかがみは軍隊とか買いそうだよね、凶暴だし」

「そっちの方が非現実的だろ……なるほど、こなたは私と戦争したいんだ」

「ちょ、ちょっとかがみん?冗談だよ?」





「あの、私は歯医者さんに行かなくてもいいお薬を……ってもう聞いてませんよね……」

「ゆきちゃん……私は聞いてるから……大丈夫だよ」
370名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 22:28:22 ID:Ganmv2JM
 やまと誕生日小ネタ

 こう 「ハッピーバースデー、やまと!」
 やまと「一日遅れだけどありがと、こう」
 こう 「はい、プレゼント」
 やまと「……この形、この重さ、こうの趣味。宇宙戦艦的なDVDボックスといったとこ?」
 こう 「げ、原子力潜水艦の方がよかった?」
 やまと「……まあいいわ。高く売れそうだし」
 こう 「そんなあ。一緒にテーマ曲歌った仲じゃないか」
 やまと「誰かさんに無理矢理歌わされたの」
 こう 「カラオケ好きのやまとにぴったりな曲をチョイスしてあげたのだ」
 やまと「ありがと。死ぬほど嬉しかったわ(超棒読み)」
 こう 「それにしても、なんで『やまと』って名前付けられたの?」
 やまと「予定日が12月16日だったの。大和が完成した」
 こう 「反抗して早く出てきちゃったんだ」
 やまと「……まあ、そんなとこ」
 こう 「男の子だったら『むさし』だったとか?」
 やまと「……よく分かったわね」
 こう 「イヤ、マサカアタルトハ……」
 やまと「埼玉だしちょうどいいって」
 こう 「東京23区と神奈川の一部でも無問題ダネ♪」
 やまと「長野に住んでたら、永森しなのになってたかもね」
 こう 「……そうなると、建造中止になった四番艦が激しく気になるね」
 やまと「『111号艦』って言うらしいわよ」
 こう 「ギャンブラーの血が騒ぐ番号だね」
 やまと「こう……」
 こう 「な、何、改まって?」
 やまと「もし私が『永森111号艦』だったとしても、友達になってくれた?」
 こう 「もちろん! 何なら嫁入りして『八坂111号艦』になるかい?」
 やまと「遠慮しとく。そもそも、『やまと』でもなくなってるし」
 こう 「いや、でも、私はやまとって名前好きだよ」
 やまと「こう……」
 こう 「帝国海軍とか宇宙人で、長門に通じるものがあって羨ましい」
 やまと「そこがツボなんだ……」
 こう 「見た目はキョ●子に通じるものがあるけど」
 やまと「知らないわよ」
 こう 「やまとは自分の名前嫌いなの?」
 やまと「爆弾と魚雷でタコ殴りの上撃沈されたフネってどうなのよ」

 こう、やまとを押し倒す

 こう 「ごめん、私欲情しちゃった」
 やまと「今の会話のどこにそんな要素があったの?」
 こう 「魚雷で激チン。いやー、たまらん」
 やまと「ツッコミどころが多すぎて抵抗する気にもならないけど、一つだけお願い」
 こう 「わかった、優しくする」
 やまと「そうじゃなくて、子供が出来ても『111号艦』ってつけないでね」
371名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:21:53 ID:eVMyklOf
>>370 あなたの妄想力に負けましたw

「でもやまとは、ひらがなだから超大型ごえいかn…ぐはっ」

372名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:57:47 ID:Ll1LYMHN
>>370
とりあえずキョ○子吹いた。

とりあえず、黒のぬこ耳と黒尻尾の付いた微妙にきわどい衣装を着て『今日はあなたがこ主人様にゃん』と言ってくれ。
……いや、スマン。最近某ハルケギニア物語を読んでるせいでやまとを黒猫ヤマトと考えてこんな事に……

ちなみに、その某ルイズ・フランソワーズと平民の使い魔つながりであきら様にルイズのコスをしてもらいたい俺がいる。
373名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 01:04:21 ID:+HR1I2yc
>>370は俺を笑い殺す気に違いない!GJだ
374某緑無乳:2008/11/28(金) 01:12:48 ID:ff0gdZka
>>370
長門と…聞いて…飛んで…来ました…
375名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 08:02:18 ID:9QlEUjZq
>>371

こなた「えっ、原潜にして独立国家じゃないのっ?」
かがみ「あのラストは、なんとも釈然としなかったわ……海江田艦長が不憫すぎて」
376名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 18:34:01 ID:pmpOMrMq
ナイフじゃなくて、キスマークで体に「やまと」と刻むんですね、分かります。
377名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 19:47:04 ID:Xo5diTOM
>>370
ガチで百合カプだから困るwww
378名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 01:31:28 ID:SZ8xdH1j
>>爆弾と魚雷でタコ殴りの上撃沈
つまりやまと総受けですね。わかります。
379名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 02:14:40 ID:0GT47U79
大勢のアメ公に色々とブチ込まれたやまとが
なでなでしこしこした末に轟沈するわけですね
380一年生のアメ公:2008/11/29(土) 13:10:41 ID:sXcJo07J
>>379
ワタシがヤマトをセメルのですネ。
381名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 19:34:57 ID:Q7wkxdJ2
間をとって、アメ公と腐女子のコンビで。
実際そういうSSいくつかあるしw
382 ◆MoiSlbQnQw :2008/11/29(土) 19:49:44 ID:Ij1MgFCQ
皆がバージルの剣に夢中になってるときにあきらと白石を投下する俺KY。
べ、別にPS2のゲーム持ってないから話に入りにくいとかそんなんじゃないんだから!

ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0162.txt

投下してからふと思う。『あれ、あきらのマネージャーって伊藤さんで合ってたっけ?』と。
383名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 21:32:58 ID:jC8DFvUl
確か、「すえし」って名字じゃなかったっけ
384名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 23:19:22 ID:jSBSW9c/
確かアニメ版では「伊藤」という名前は出ていた。
(みのるにファンレターが来たのに、あきら様のところにはDMが来た時の発言より)
だが、それがマネかどうかはわからない。
385名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 00:01:56 ID:+ZSY1AVu
>>383
確認した所、『すえし』(アニメ8話のらきちゃん)は中の人(今野さん)のマネージャーの名前らしい。
386名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 00:16:07 ID:Sf9+dFY4
>>382
ぐっじょぶです。
ツンデレあきらがいいですね。楽しませてもらいました。

準備をされる方がおられなければ、投下いたします。
387名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 00:20:56 ID:ww8J8eb+
伊藤敦さんはプロデューサーだね
角川の人らしい
38823-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/30(日) 00:30:48 ID:Sf9+dFY4
「テスト (後編)」

・こなた×ゆたか (+名無しの登場人物あり)

※注意事項
 ・エロあり
 ・SMあり
 ・ダーク
 ・こなたん注意
 ・8レス程度使用
389テスト 1/8:2008/11/30(日) 00:31:36 ID:Sf9+dFY4
「ただいま…… こなたお姉ちゃん」
「おかえり。ゆーちゃん」
 夕方、私はふらふらとよろめきながらも、こなたお姉ちゃんの家に戻ることができた。
 保健室でみなみちゃんと性行為をした後も、アソコに貼りつけたままのローターは、動いたり止まったりを繰り返している。
 しかし、大事なところを、執拗に刺激されたにも関わらず、それ以来は達することができていない。
 センサーか何か、特別な仕掛けでもあるのか、頂きに到達する寸前になると決まってローターは止まってしまい、
昂った気持ちが落ち着いてくると再び、思いだしたように動き出す。
 ほとんど生き地獄のようなイヤらしい責め苦よって、家に着く頃には本当に気が狂いそうになっていた。

「お姉ちゃん。お願い、イカせて! 」
 扉を開けてくれたお姉ちゃんに、縋りつきながら叫ぶ。
 おじさんが聞いているかもしれないけれど、到底、我慢ができない。
「まだ、だめだよ。ゆーちゃん」
 しかし、こなたお姉ちゃんは、突き放しながら冷然と首を振った。
「ど、どうすればいいの?」
 私は、こなたお姉ちゃんの瞳を、物欲しそうに見つめながら尋ねた。

「そうだね。ゆーちゃん、買い物にいこうか」
 こなたお姉ちゃんは、両手をぽんと叩きながら言った。
「お買い物? 」
 戸惑う私をよそに、こなたお姉ちゃんは笑みを浮かべたまま近寄り、制服のスカートの裾を持ち上げる。

「お、お姉ちゃん? 」
「ゆーちゃん。ちょっと丈が長いね」
「え、え? 」
 こなたお姉ちゃんが、戸惑う私を横目に、スカートの端を折りたたんで短くしてしまう。
「これくらいかな? 」

「ちょ、ちょっと、お姉ちゃん!? 」
 元々、膝上までだったスカートの丈が、股下わずか5センチくらいのところまで引きあげられる。
 太腿はほとんど露出してしまい、少し動いただけで白い下着が露出する。
「恥ずかしいよ。皆に見えちゃうよ」
 私は、極端に短くなったスカートの前を抑えながら、情けない声をあげた。
「これで終わりじゃないよ」

「や、やだっ」
 こなたお姉ちゃんの手が、私の下着に伸びる。
「だ、駄目だよ。そんなの…… はずかしいよう」
 しかし、お姉ちゃんは許してくれない。
「さ、寒いよ」
 下着をはぎ取られると、冷えた空気が下腹部に滑り込んできて身体が勝手に震える。
「そろそろ、出かけよっか」
「えっ!? 」
 こなたお姉ちゃんが玄関の扉を開けると、風が流れ込んできて、スカートがふわりとめくりあがった。
「きゃあ」
 悲鳴をあげながらスカートを抑える私を、こなたお姉ちゃんは満足そうに眺めていた。
390テスト 2/8:2008/11/30(日) 00:32:24 ID:Sf9+dFY4
「もう少し歩かないと、いつまでたっても着かないよ」
「で、でも」
 こなたお姉ちゃんに縋りつきながら、黄色く染まった銀杏並木の下を歩く。
 ほんの少しの風が吹いただけでも、マイクロミニと化したスカートがめくりあがって、お尻もアソコも丸見えになってしまうので、
一瞬たりとも油断ができない。
 少しでも早く風のない店の中に入りたいのに、通行人の視線を気にしながら内股でよちよち歩くものだから、遅々として進まない。
「お姉ちゃん。みんなに見られてるよう」
 行き交う人間全ての視線が、私の下半身に集中しているように思えてしまう。
 現に、先程すれ違った中年のおじさんは、私の太腿のあたりを舐め回すように凝視していたし、
20メートル程、後ろを歩いている高校生の二人組はずっと前かがみだ。

「そりゃあ、『パンツ穿いてない』だもんね。無理もないよ」
「そ、そんなあ」
「もう少し速く歩かないと、羞恥プレイはいつまでたっても終わらないよ」
「ううっ」
 私は、泣きそうになりながら無理やり歩幅をひろげた。

(下着を付けないだけで、こんなにも心細くて恥ずかしいんだ…… )
 追いうちを掛けるように、途中からはアソコに貼られたローターがイヤらしい振動を再開して、愛液がとろとろとわき出してくる。
 ショーツを穿いていないので、溢れ出す水液を押しとどめるものは何もなく、粘性の液体は太腿に伝わったり、
ダイレクトにアスファルトの地面に落ちたりするしかない。

「きゃっ」
 突如、下から巻き上げるような風が吹いて、スカートが思いっきりめくりあがる。
慌てて手で抑えつけようとするけれど、到底、間に合わない。
「うおっ」
 ちょうど脇を通り過ぎようとした、車に乗っている男性がハンドル操作を誤り、けたたましいブレーキ音を立てながら壁に激突した。

「お、おねえちゃん! 」
 あまりにも恥ずかしすぎて、申し訳なくて、お姉ちゃんの腕に縋りつく。
「うーん。破壊力が凄いねえ」
 こなたお姉ちゃんは、どこか呆れたような口調で言って、両肩を竦めた。
391テスト 3/8:2008/11/30(日) 00:33:05 ID:Sf9+dFY4
 いつも使っている、食料品や生活雑貨も売っているドラッグストアの前まで、普段の3倍の時間をかけて到着すると、
こなたお姉ちゃんが一枚の紙を渡した。
「ゆーちゃん。コレを買ってきてくれるかな」
「う、うん。お姉ちゃんは? 」
 メモ用紙を受け取りながら、お姉ちゃんに尋ねる。
「ちょっと、18歳未満禁止のお店だからね。ゆーちゃんは禁止なのだよ」
 こなたお姉ちゃんは、ドラッグストアの向かい側にある、大きな注射器を持って微笑んでいるナース姿の女の子の看板が目立つ、
美少女ゲームの販売店に行ってしまった。

「いらっしゃいませ」
 自動扉をくぐり抜けると、クリスマス・ソングが耳朶に飛び込んでくる。
「えっと、精力増強ドリンクと、随喜エキス、にんにく、コンドーム…… 」
 メモを開いて読んだだけで顔が赤くなる。どれもイヤらしいことに関係のあるものばかりだ。
「でも、お姉ちゃんの期待に応えないと」
 最初は戸惑ったけれど、次々に紙にかかれた商品を買い物かごに入れていく。残るはコンドームだけだ。

(あっ、あった)
 目立たない場所に、鎮座しているコンドームの群れの一つを手に取ろうとした時に、ローターの振動が急激に強くなった。

「きゃっ! 」
 大声で叫びかけて、慌てて手で口を押さえる。
(やだ、やだあ)
 今までとは比べ物にならない強烈な振動に襲われ、とても立っていられない。
(だめっ、お願いっ、お願いだから、とまってよ! )
 しゃがみこみながら、強制的な愛撫に耐えていると、小学校低学年くらいの男の子が近づいてきた。

「お姉ちゃん、どうしたの? 」
 どうやら、しゃがみこんで辛そうに顔をゆがめている私が、心配になったようだ。
「う、ううん…… んあっ、なんでも、なんでもないの」
 私は、無理やり笑顔をつくって立ち上がる。
「あの、お姉ちゃん」
 しかし、男の子はなかなか傍を離れてくれない。
「な、なに? 」
 おなかを押さえながら、なんとか声を振り絞る。
 ローターが私の中を淫らに蠢き回って、身体の震えがとまらない。
 苦悶の表情を隠せないでいる私に、男の子は無邪気な様子で尋ねてきた。
「お姉ちゃん、どうしてパンツ、はいてないの? 」
392テスト 4/8:2008/11/30(日) 00:34:31 ID:Sf9+dFY4
「きゃっ」
 私は、小さく悲鳴をあげた。
 足元を見ると、しゃがんだ時にずれたのか、極端に短くなったスカートがめくりあがって、お尻が丸見えになっている。
「や、やだあっ」
 動揺しながら、スカートを抑えたとき。
「こんなもの、みてはいけません! 」
 とても怖い顔をした母親の手にひっぱられて、男の子はどこかに行ってしまった。

「あ…… 」
(そうだ、レジに行かなくっちゃ)
 男の子の母親の冷たい視線が気になるけれど、精算を済まさなければいけないので、立ち上がって歩きだす。
 突き上げるような衝撃に襲われる度に、立ち止まって太腿をぎゅっと抑えながらこらえる。
(もう駄目、耐えられないよう)
 折れそうになる心を懸命に励ましながら、一歩、一歩、レジに近づく。

「いらっしゃいませ」
 私の苦境に気づくはずはなく、若い男の人が営業用の笑顔をみせる。
「これ、お願いします」
 私は、唸り続けるローターにうち震えながら、カゴを台の上に置いた。
 大人の為の商品で埋まったかごを見た途端、店員の表情が引きつった。

「398円…… 2200円…… 」
 それでも、店員は何もいわずに業務に専念し、バーコードを読み取る電子音がひどく無表情に響く。
「4725円です」
 私も言われるままに、お財布から5千円札を取り出して店員に渡した。
「おつりは275円になります」
 店員からお釣りを受け取ろうとした時、ローターの振動がMAXに切り替わった。
393テスト 5/8:2008/11/30(日) 00:35:22 ID:Sf9+dFY4
「いやああああああっ! 」
 強烈な振動によってクリが滅茶苦茶に掻き回されて、私はお釣りを床にぶちまけながらしゃがみ込んだ。
「だめええええっ! 」
 人目をはばらずに絶叫する少女を店員は呆然と眺めている。
「だめ、わたし、だめなの、お願い、許して! 」
 悲鳴をあげながらも、撒き散らしたお釣りを取るために、這いつくばって床に手を伸ばす。
「お願い、いく、いっちゃうの、お願い、とめて!  」
 周囲の客がざわめき始めるが、周りの視線を気にする余裕はどこにもない。

 プルプルと震えるローターに刺激されたアソコからは、粘着力のある水液がどんどんあふれだす。
 下着を穿いていないから、卑猥な液体は膣口からそのまま垂れ流しとなり、床にはしたない水たまりを拡げていく。

「うわっ、この子、パンツはいてねーよ」
 後ろに並んでいた若い男性客が、指をさしながら露骨に顔を歪めて言った。
「あの子、やだ、何をつけているの? 」
 男性客の隣に立っていた恋人とおぼしき女性が、振動音に気づいて、ひきつった声を張り上げる。
「嫌っ、聞かないで! 」
 私は悲鳴をあげながらぎゅっと脚を閉じるけれど、ローターの音は小さくなってくれない。
「何、ローター? 最低ね」
 長い髪を伸ばした女性は、蔑んだ目で見降ろしてくる。
「いやあああ、お願い、やだあ、聞かないでください! 」
 私は絶叫しながら、それでも、あちこちと転がったお釣りをかき集める。

「まさかドラッグストアで恥女をみることができるとはな」
 文句を言いながらも、私の痴態を愉しそうに眺めている男性に怒りながら、若い女性が吐き捨てる。
「ホント社会の迷惑よね、この変態! 」
 汚物をみるような目つきで睨まれ、私の心をぐちゃぐちゃにする。
 何しろ、制服を着た女子高生が、パンツを穿かず、クリにローターを貼りつけて、イヤらしく悶えているのだ。
 痴女と蔑まれようが、変態と罵られようが反論はできない。

「はう、んあっ、わ、わたし、かえらなくちゃ」
 羞恥と疲労でくたくたになりながらも、最後の硬貨を財布にしまい、立ち上がって商品を受け取る。
「ありがとうございました…… 」
 私は、完全に傍観者になりきった店員の乾いた声と、客の蔑んだ視線を浴びながら、ほとんど逃げるようにして店を出た。
394テスト 6/8:2008/11/30(日) 00:36:00 ID:Sf9+dFY4
 こなたお姉ちゃんが入った店の入口に向かおうとした時、携帯が震える。
 ディスプレイを覗くと、こなたお姉ちゃんからのメールがあり、
『私は帰ったから、ゆーちゃんも家に戻ってね』
と、液晶に表示されていた。

 帰り道になっても淫らな試練は終わらない。
「もう、だめ、ふあっ、んくぅ」
 路面を歩くたびに、身体に突き抜けるような衝撃が走って身体が震える。
 壁に手をつきながら足をぎゅっと閉じていると、快感が更に高まってイキそうになる。
「いく、いっちゃう…… 」
 しかし、もうひと押しというところで、無情にもローターの振動は弱まる。
「んあっ、お家に、帰らないと…… 」
 気力を振り絞って再び歩き始めると、また振動が激しくなる。
「はあっ、はあっ」
 絶頂の手前を行ったり来たりしながら、よろめくように進む。
「私、もう駄目、んああ、あるけ、ない…… んああっ 」
 背後を振り返ると、まるでおしっこを漏らしたみたいに、アスファルトに染みが点々と続いていた。

「んんっ、お願い、もう、許してっ」
 快楽の階段の上下が果てしなく繰り返される。
 よろよろと歩きながら、溢れた愛液で太腿をはしたなく擦り合わせても、頂上のすぐ手前で計ったように
ローターはとまってしまい、どうしても達することができない。

「イきたい、イきたいよう」
 道路に転がりながらアソコの割れ目をおもっきり掻き毟りたくなるという衝動を、必死で抑えてひたすら耐え忍ぶ。
 永遠とも思われる快楽地獄をのたうち回った後、私は、ようやくこなたお姉ちゃんの家にたどり着いた。
395テスト 7/8:2008/11/30(日) 00:36:43 ID:Sf9+dFY4
「おかえり、ゆーちゃん」
「お姉ちゃん、私、わたし! 」
 扉を閉めることもせずに、お姉ちゃんにむしゃぶりつく。
「こなたお姉ちゃん、お願いだからイかせて! もう限界、もう駄目なの! 」
 こなたお姉ちゃんは、今度はとても優しく抱きしめてくれた。

「ふふ。ゆーちゃん、合格だよ」
 こなたお姉ちゃんは、ついに私の想いに応えてくれた。
 同時に、アソコに激しい刺激を与え続けて、私を散々に苦しませたローターは、ぴたりと動きを止めている。
「本当に、私、本当にお姉ちゃんの恋人になっていいの? 」
 とても嬉しいけれど、すぐには信じられなくて、念を押すようにして尋ねる。
「うん。ゆーちゃんはとても淫乱な女の子になったからね。もう、私の趣向についてこれるはずだよ」
「ありがとう。本当にありがとう」
 幸せを噛み締めながら、私は、こなたお姉ちゃんの懐で泣きじゃくった。

「じゃあ、そろそろ用意しようか」
「えっ、何を? 」
 泣きやむのを待ってから、おもむろにこなたお姉ちゃんが耳打ちをしてくる。
「…… をお願いしていいかな? 」
「うん。こなたお姉ちゃん」
 私は力強く頷いた。こなたお姉ちゃんが望むことは、何でもやり遂げるつもりだった。
396テスト 8/8:2008/11/30(日) 00:37:35 ID:Sf9+dFY4
「おっす、こなた」
「こんばんは。こなちゃん」
「こんばんは。泉さん」
「やふー、いらっしゃい」
 私が帰宅してから暫く経ってから、柊先輩達と高良先輩が家にやって来る。今日はお泊り会とのことだ。
 三人はこなたお姉ちゃんの親友で、とても綺麗な人ばかりだ。
 
 私は、こなたお姉ちゃんの言われたように準備を整えた後、紅茶とケーキを用意して部屋の扉を開ける。
「こんばんは。柊先輩、高良先輩」
「こんばんは、ゆたかちゃ…… 」

 挨拶を返そうとしたかがみ先輩たちは、濃紺のスクール水着を身に纏い、
更に、首回り、乳房、腰、股間を荒縄で縛りあげられていた私を見て、一様に硬直した。

 SMという単語を知らなかったとしても、スクール水着と荒縄という姿は尋常ではない。
 青ざめる先輩達に向かって、私は、妖艶な微笑みを浮かべてみせる。
「私は、こなたお姉ちゃんのモノになることができました」
「こなた、アンタ…… 」
 お姉ちゃんは、ひどくうろたえているかがみ先輩の顔を、愉しそうに眺めながら宣言した。
「かがみん。ゆーちゃんは私の恋人になったのだよ」

「そ…… んな」
 かがみ先輩が放心したように呟いた時、荒縄に抑えつけられた、ローターが再び蠢き始めた。
 振動はみるみる強まり、静まり返った部屋に淫靡なモーター音だけが響き渡る。
 私は、何度もよろめきながらも、ケーキと紅茶を載せたお盆をテーブルに置くと、こなたお姉ちゃんの懐に飛び込んだ。
 お姉ちゃんは、ローターで悶えている私を優しく受け止めてくれる。

「ゆ、ゆたかちゃん!? 」
 つかさ先輩だけが辛うじて声をあげた。
 頭の上でリボンを結んだ、可愛らしい顔をしたつかさ先輩は、真っ赤になった顔を両手で覆うが、
指の隙間から、よがりつづける淫乱な後輩の痴態を食い入るように見つめている。
 おしとやかで美人と誰もが言う高良先輩は、とても怖い顔をしたまま、取りだしたハンカチを折り畳んだりひろげたりしている。
 そして、活動的で皆を惹き付ける魅力に溢れているかがみ先輩は、何か大切なものを失ったような
虚ろな表情を見せたまま、全く動かない。

「ほら、ゆーちゃん。みんなにお願いしないといけないよ」
「うん。こなたお姉ちゃん」
 私は、蕩けきった身体を引き起こして正座をする。
 あまりの出来事に絶句する先輩達に向けて、床に頭をこすりつける程、深く頭を下げてから顔をあげる。

「先輩方、こ、これからも、よろしく、んあっ、お願い…… します。ふあっ、よろしければ、今日は、くうんっ、
この淫らな私を使って、心ゆくまで、んっ、愉しんでください…… ね」

(おしまい)
39723-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/30(日) 00:41:54 ID:Sf9+dFY4
以上です。
読んでくれた方、ありがとうございました。
個人的には、ダークなエロに拘ったつもりですが、最終的には(一応にしても)、ハッピーエンドとあいなりました。
ジャンル的には、ゆーちゃん調教ものということになりそうですね。
では。
398名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 16:03:38 ID:3dF5l/w+
夢オチにでもするのかと思ったら全部現実かっ
39923-49:2008/12/01(月) 19:13:19 ID:sV0Cnohw
どうも、お久しぶりです

以前に宣言した「エロいの」、頑張ってみました
というか、26スレ目に名無しで投下した「温もりの冬」の完成版です
(もう一年も前になるのだなぁ)

それでは、被りがないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください


・こなた×かがみ
・15レス使用
400最後の日 1/15:2008/12/01(月) 19:18:24 ID:sV0Cnohw
 
 三月も半ばを過ぎ、春を間近に迎えながらもまだまだ寒さの続く冬のある日。
 かがみは泉家を訪れた。
「おーっす。寒いねー」
「いらしゃーい。さ、上がって上がってー」
 セーターの上に半纏を重ねたこなたにうなずいて返し、彼女の部屋へと進みかけるが、
「あ、和室行っててよ。コタツつけてるから」
「え? ……ああ、うん」
 台所に向かうこなたに制され、思い出した。
 今日は彼女以外に誰もいないのだった。
 勝手知ったる人の家。迷うことなく廊下を歩き、目的の部屋のふすまを開けて中へと入る。
「――ふぅ」
 ほっと一息。
 エアコンでほどよく暖められた空気が、冷えた身体を包み込む。
 上着を脱いで、ハンガー等はないので適当に丸めて荷物とともに床に置く。
 コタツに入って足を伸ばし、座り心地を確かめるように軽く身じろぎ。正座の姿勢で落ち着いた。
「うー、あったか……」
 ぺたり、天板に頬を預けてつぶやく。
 しばらくそのままぼんやりしていたが、聞こえてきた足音に反応して身を起こす。
「ふあー、台所は寒っむいねぇー」
 開け放しておいたふすまを抜けてこなたが姿を現した。
 両手に抱えたおぼんには、みかんの入ったかごと二人分の湯呑み。
「悪いわね」
「いやいや」
 おぼんをコタツの上に載せ、ふすまを閉じるとこなたもいそいそと潜り込む。
 かがみの向かいではなく左隣。
 部屋の角に置かれたテレビを二人で眺める形だ。スイッチは入っていないが。
「生き返るねぇー」
 先ほどのかがみと同じように、天板に顔を押し付けるこなた。
 見事に平らに潰れたほっぺたが柔らかさを主張している。
 緩んだ顔といい、丸められた背中といい、本当に猫のようだ。
 ぴこぴこと揺れるアホ毛は、さながら尻尾か。
「……、もらうわね」
 なんとなく生まれた気恥ずかしさをごまかすように、湯呑みに手を伸ばし取り寄せる。
 緑茶。残念ながら茶柱は立っていない。
 湯気を立てるそれに息を吹きかけ、一口。
「ほっ……」
 まろやかな渋みとほのかな甘みが喉を通り抜け、じんわりとした熱が胃の奥を中心に広がる。
 かがみは思わず頬を緩めた。
 それを見て、こなたはかすかに目を細める。
「かがみはさ、」
「ん?」
「冬は好き?」
 唐突かつ脈絡のない質問にも、もう慣れた。
 ん、と湯飲みを置き、少し考えて口を開く。
「そうねえ……寒いのは苦手かな」
「夏生まれだから?」
「ああ、そうかも」
 ふーん、と、姿勢をそのままみかんに手を伸ばすこなたに、かがみは逆に問いかける。
「あんたは? 冬と夏」
「冬」
 即答したこなたは、みかんの皮を剥くでもなく、手の中でもてあそんでいる。
「……ちょっと、意外ね」
「いや〜、クーラーが人類の至宝だっていうのに異論はないんだけど、やっぱコタツの魔力には
敵わないっしょ」
 ようやくにして頭を起こし、こなたは無駄に力説する。どこからクーラーが出てきたのか。ため息。
「また何かのアニメネタか?」
「コタツ形式の冷房ってできないのかな」
「暑苦しいだけだろ」
401最後の日 2/15:2008/12/01(月) 19:19:19 ID:sV0Cnohw
 やれやれ、とお茶をもう一口。
 湯呑みを置いて、吐息で笑う。
「……ま、私もコタツは好きだけどね」
「でしょー」
 くふくふと笑い、こなたはみかんを剥き始めた。
 かがみもかごに手を伸ばしかけたが、なんとなくやめて、代わりにコタツの中へと引っ込める。
「そうね。コタツにストーブ。鍋料理とか、焚き火に焼き芋とか、あとお風呂もかな。
暖かいものが楽しめるって考えると、冬もいいかなって思うわ」
「人肌もね」
 皮を剥き終えたみかんをそのままに、こなたがつぶやく。
「え……」
 いつの間にかコタツの中に滑り込んでいたその手が、かがみの手を取った。
 果物を触っていたためか、少しひんやりとしている。
「あったかいよ」
 こなたからは、そうであろう。かがみの方は熱い湯呑みに触れていたのだし。
「ちょっと……」
「な〜に?」
 笑いを含んだ疑問符とともに、もう一方の手も伸びてきて、やわやわと揉んでくる。
 かがみの背筋に何かが走った。
「冬は、好き?」
「……まぁ」
「コタツは?」
「……好き、だけど」
「あったかいもんね」
「……うん」
 いつしか冷たい感覚は消えうせ、むずがゆい暖かさに指先が包まれている。
 むずがゆいが、不快ではない。
「あったかいの、好き?」
「…………ん」
「……私の手、あったかい?」
 暖かい。
 だがコタツの外で空気に触れている頬の方が、今は熱い。顔を背ける。
「こっち見てよ」
「っ……!」
 妥協案として、目線だけを戻す。
 こなたはいつものニヤニヤ笑いではない、優しい微笑を浮かべていた。
 かがみの頬が熱を増す。
「みかん……」
「ん?」
「……食べないの?」
 耐え切れなくなりそうで、話題を変える。が、
「みかんと緑茶ってっさ、あんまり相性よくないよね。あったかくないし」
「あんた、自分で出しといて――」
「だからさ、」
 かがみの言葉を遮って、こなたは顔を近づける。
「今はまだ、だいじょうぶ」
「なに、が……」
 わかってはいる。なら聞くなというのは、かがみには無理な注文だ。
 少しだけ視線を下げると、はい正解、とばかりに猫口から赤い舌先がちろりと顔を覗かせ、
 引っ込んだ。
「あったかいと思うよ?」
「……」
「あったかいの……好き?」
 もはや顔全体が熱い。耳にまで及んでいる。
 だから熱はもう十分――そうは、思わなかった。思えなかった。
「…………す、き」
「んふっ?」
 蕩けたように微笑むこなたの顔がさらに近づき、目を閉じた。かがみも閉じる。
 そして温もりが訪れた。
402最後の日 3/15:2008/12/01(月) 19:20:14 ID:sV0Cnohw
「ん……」
 こなたの舌先が、かがみの唇の割れ目をなぞる。
 少しだけ開いて迎え入れると、器用に前歯をノックされる。
 小さな小さな水音が、脳の奥まで伝わった。
 もう一段階、進入を許す。
「ふ……」
 まず、吐息。続いて舌先同士が触れ合う。
 無味無臭。そのはずなのに、痺れるように甘い。腹筋がぴくりと浮き上がる。
 嬉しそうに笑うこなたの気配が粘膜越しに伝わってくる。かがみの体温がさらに上昇。
 コタツの中の手を握り返した。
 悔し紛れに、なってない。
「――んっ」
 手首を親指でなでられた。思わず唇に力が入る。
「んむっ」
 挟み込まれたこなたの舌が小さく暴れる。優しく噛んで動きを止める。
 先端を軽く吸ってみた。
「……っ」
 ふるふるとこなたの震える気配。同時に舌が引っ込む。
 ちぷっ。
 小さな音を立てて、熱と柔らかさが離れていった。
 目を開けると、上気したこなたの顔。唇に手を添えている。
 目が合った。
 ほんのわずかに戸惑っていた表情が、一瞬でニヤリと笑う。
「……積極的じゃん」
「なっ……!」
 かがみの顔が沸騰した。
 こなたがますますニヤニヤ笑う。
「舌吸われちゃったよ」
「しょっ――しょうがないでしょ!」
「しょーがない、ね……そかそか♪ そんなに吸いたかったんだ、私の舌」
「――――っ!!」
 頭のてっぺんから湯気が噴出する。
 少なくともかがみはそう感じたし、こなたにもそう見えた。
「…………」
「んふふふふ〜」
 真っ赤になって睨みつけるかがみの視線を意にも介さず、こなたは上機嫌にみかんを割る。
 一房を摘み取り、ぱくり。
 あむあむと動く猫口が恨めしい。
 恨めしくて、目が離せない。
 こなたはたっぷり時間をかけて飲み込むと、もう一房。
 かがみの方へと差し出した。
「はい」
「……」
 無言で手を伸ばす。引っ込められた。指が空を切る。
「……何よ」
 低い声で、赤い顔で腐るかがみに、こなたはにっこりと笑顔を返す。
「あーん」
「なっ――」
 驚いて口を開きかけて、慌てて閉じて、顔ごと逸らす。
「かがみ、あ〜〜ん?」
 小さな手が追いかけてくる。
「……ぃ、ぃぃゎょ……」
 なるべく口を開けないようにして、ごにょごにょとつぶやく。
 こんな態度を取っても逆に喜ばせるだけだと、やはりわかってはいてもどうにもできない。
403最後の日 4/15:2008/12/01(月) 19:21:10 ID:sV0Cnohw
「もぉ〜、しょうがないなぁかがみは」
 案の定、わざとらしいぼやき声。
 が、それ以上の追求はなく、意外にも大人しく手が引っ込んだ。
 え、とかがみは顔を戻す。こなたはみかんの白いスジを取り除き始めていた。
 一つ目は普通に食べていたのに。
 思いつつ見ていると、続いて薄皮まで剥き始める。
 他の柑橘類に比べて剥きにくいはずの、ノーマルな温州みかんのそれを、小さな細い指が
 器用にはいでいく。
 やがて鮮やかなオレンジ色の、缶詰から取り出したような一房が完成した。
「……なにやってんの?」
「んー? ……皮がノドに詰まらないように、ってね」
 はい? と疑問を深めるかがみをよそに、こなたは「あむっ」とみかんを口の中に放り込む。
 と、そのまま何の前触れも見せずにかがみの頭を両手でがっしりとホールド。
「え」
 次の瞬間、口をふさがれた。
「――んむ!?」
 唇が強引にめくられる。歯に、舌ではない何かが押し付けられ、当たる端からプチプチと潰れていく。
 あっという間に酸味のある液体が口の入り口付近にあふれ、こぼれそうになり、たまらず歯を開いた。
 甘酸っぱい味と香りが口腔に押し寄せる。
 反射的に嚥下する。
 休む間もなく、今度はやや薄味の、代わりに粘り気を帯びたものが流し込まれた。
 こなたの唾液だ。
 意識したとたん、全身が反り返るような震えが走った。
 腹の底から何かが競り上がってくるような、あるいは逆に全てが沈み込んでいくような、快感。
 くちゅくちゅと卑猥な水音が、それをさらに加速させる。
 夢中になって飲み込んだ。
 喉が痺れる。
 脳が痺れる。

「――っぷは」

「ぁ……」
 唇が離れる。
 快感が途切れ、一拍遅れて口の周りが冷気に襲われる。
 目を開けると、思いのほか近くにこなたの顔があった。
 息がかかる距離。
 真っ赤に上気している。
 潤んだ瞳が、かがみの目をまっすぐに覗き込んでいた。底の見えない深い色。
 吸い込まれそうになり、思わず息を呑む。
 つややかに濡れ光る唇が、にんまりと笑みを描いた。
「……ものたりない?」
「んなっ!?」
 図星だった。
 首の周りがカアッと熱くなる。
 理性が必死で否定を叫ぶ。が、
「……」
 気が付けば、かがみは口元を手で押さえながら首をコクリと縦に振っていた。
 上目遣いに覗き見ると、こなたは少し驚いたような顔。
「あれぇ……? どしたのかがみ? なんか素直じゃん」
「悪かったわね。ツンデレじゃなくて」
「いやいや、そのセリフは十分ツンデレだって」
「うるさい」
 視線を横に逃がし、蚊の鳴くような声を絞り出す。
「だって……最後なんでしょ、今日で」
「……あ」
 こなたの発する気配が変わった。
404最後の日 5/15:2008/12/01(月) 19:22:06 ID:sV0Cnohw
 そう。
 こうして二人きりの時間を過ごせるのは、この日が最後なのだ。
 明日からはそうではなくなる。完全にできなくなるわけではないが、機会はぐっと減るだろう。
「ん〜……、半分、口実みたいなもんなんだけどねぇ」
 ぽりぽりと、頬を掻くこなた。
 眉が下がり、目が細くなっている。
「ま、だいじょぶだよ。なんとか時間作ってみるから」
「……場所は?」
「……たぶん、だいじょうぶ」
 不安が少し、大きくなった。
 かがみと、そしてこなたも。
「ごめん」
「なんでかがみが謝るのさ」
「……良いこと、なのよね。わかってるのよ私も。でも……」
 かがみはまだいい。だがこなたは複雑だろう。
 自分はただ単純に恨めしく思うだけだが、彼女にとっては喜ばしいことでもあるはずなのだ。
 今のこの関係を自分が望みさえしなければ、こなたも単純に喜ぶだけでいられたかも知れない。
 それを思うと、胸が苦しい。
「もぉ〜〜、ほんとしょーがないなぁかがみは」
「きゃっ」
 いつの間にかコタツを抜け出していたこなたが、かがみの背後から抱きついてきた。
 肩があごに乗せられ、頬が触れ合う。甘い匂い。落ち込みかけた気分と体温が再び跳ね上がる。
「考えたってどーにもならないよ。……そんなことより、ね?」
「そ、そんなことって」
「ってゆーか、だからこそ時間を無駄にしたくないじゃん?」
 ごく至近距離からの流し目。息を呑む。
 まるっきり子どもみたいな外見のくせして、どうしてこんなに蟲惑的な気配を出せるのか。
 とてもじゃないが、逆らえない。そんな気になれない。
「……うん」
 うなずくと、こなたはますます目を細めた。
「ホント、素直になっちゃって」
 指先が首筋をなでてくる。
「んっ!」
 あごから耳までのラインを往復。
 同時に、熱したハチミツのような声がダイレクトに流し込まれる。
「ツンデレなかがみんも萌えだけど、素直なかがみも、かわいいよ?」
「ばかっ……」
 声に力が入らない。全身が粟立っている。
「ばかだもん」
 こなたは抱擁を解くと、かがみの隣にぺたんと座り込み、再び両手で両手を包み込んできた。
 目は相変わらず妖しく輝いているが、その笑みはどこか無邪気に映る。
「ねぇ」
 見た目に相応の甘えた声。
「……なに?」
「今度は、かがみからちょーだい?」

 ピシリ。

 そんな音がした。
「なっ……!?」
 すっかり身を任せる気でいたかがみを、再び動揺が襲う。体温がさらにさらに上昇。
 計ったら凄いことになりそうだ。――そんな現実逃避。
 そうこうしている間にも、こなたは目を閉じ、やや上向きになって準備万端。
 赤ちゃんみたいなほっぺたがほんのりと薄桃色に染まっている。
 ほんのり薄桃だとこの野郎、こっちはリンゴみたいに真っ赤っかだってのに。――そんな現実逃避。
405最後の日 6/15:2008/12/01(月) 19:23:04 ID:sV0Cnohw
「こっ、こな、た……」
 声が震える。
 こなたは動かない。
 どうやら完全に待ちを決め込んでしまったようだ。
 ごくり、つばを飲み込む。
 かがみは意を決すると、目を閉じ、身を乗り出して顔を前に進ませた。数センチ。
 薄く目を開ける。
 まだあと数センチ。
 目測を定め、また目を閉じる。
 さらに意を決して、じりじりと顔を寄せていく。
「……」
 じりじり、じりじり。
「……」
 じりじり、じり……
「……?」
 疑問が湧く。
 こんなに遠かっただろうか。見当をつけた距離は既に通過したはずなのに、唇が温もりに届かない。
 眉をひそめて目を開ける。
「……」
 赤く染まったこなたの顔があった。
 しかしそれは、期待にでも羞恥にでもなく、喜悦に。
 繋いだかがみの手に違和感を与えない限界まで、上半身が後退していた。
「……ぷっ……」
 膨れた頬から笑いが漏れた。
「なっ……!」
 からかわれた。
 キスしようとしている顔を、至近距離、真正面から観察された。こんなに恥ずかしいことはない。
 頭の中が真っ白になり、白熱し、爆発した。

「――ばかぁっ!!」

 絶叫。
 耳から首元まで真っ赤に染めて、涙を飛ばして、かがみは叫ぶ。
 こなたが目を丸くしてのけぞった。
「ご、ごめん……」
「ごめんじゃないわよ! なんでこんなことするのよっ!」
「やっ、だって、その……かがみが可愛かったから、つい……」
「ばっ――あ、アンタはそんなことばっかりっ!」
 怒鳴り、そっぽを向くかがみ。
 あからさまな照れ隠しだったが、こなたは指摘してはこなかった。
 代わりに繋ぎっぱなしだった手をきゅっと握ってくる。
「あの……」
「……」
「ごめんね、かがみ。……うん、ホントごめん」
「……」
「ついいつものノリでやっちゃった。そんなに傷つけちゃうとは思わなかったから……」
 珍しく真摯に、心からこなたは詫びる。少なくともかがみにはそう聞こえる。
 しかし真横を向いたまま動かない。
「……」
 いや、視線だけが時おりちらちらとこなたの方に向いてしまっている。
 単純なものだ、と、外に出さぬよう自嘲する。
 既にかがみは九割方許す気になりかけていた。こんな、たった一言二言謝られただけで。
 しかし、やはり、悔しい。
 せめて何か一つ、余裕を持って「許す」と言えるだけの理由がなければ収まらない。収めたくない。
406最後の日 7/15:2008/12/01(月) 19:23:57 ID:sV0Cnohw
「……ねぇ、どうしたら許してくれる?」
 猫なで声でこなたが囁く。
 気付いているのだろう。かがみのそんな感覚に。
「お願い、かがみ。なんでもするからさ。言えた義理じゃないけど、このままなんてイヤだよ」
「……」
 形だけなら懇願だが、意図するところはつまり譲歩だ。
 謝ってやるから機嫌を直せと、そう言っている。
 ――だったら、乗ってやろうじゃないか。
「……なんでも?」
「うん」
「そう……」
 ぼそり、つぶやき、かがみはこなたに向き直る。まず目線だけで。一拍置いて、顔と身体も正面に。
 向き合う体勢に戻った。
「じゃあ……手」
「手?」
「離して」
 冷たく突き放すように言うと、軽く裏切られたような顔をしながらも、こなたは素直に手を離す。
 その様子を見てやや溜飲を下げつつ、かがみは自由になった両の手で、先程されたのと同じように、
 こなたの頭を鷲掴みにした。
「え」
「動かないで」
 そして一言。
 ほぼ同時に掴んだ顔を引き寄せ、自分も押し出し、唇に唇を押し当てた。
「!?」
 こなたが目を剥く。
 本能的にか、身をよじって逃れようとする。もちろん思い通りにはさせない。
 勢いに任せて舌を突き入れ、上下の唇の裏側をぐるりと一周。手の中で小さな身体がびくりと跳ねた。
 そんな反応にかがみは心の中でガッツポーズを決める。
 成功だ。
 たった今、言われるがままにやったおかげで酷い屈辱を味わう羽目となったそのことを、
 さらに自分から繰り返してくるとはまさか思うまい。そのように考えての行動だ。
 あとはこなたが気を取り直して反撃に転じる前に口を離せば――
「あ……」
「……♪」
「!」
 見た。
 切なそうな物欲しそうな顔。と、見られたことに気付いて焦る顔。
 一瞬だけだったが、確かに見た。
「おっけ。許してあげる」
「うぐぅ……」
 どこかで聞いたような呻きを上げて上目遣いに睨んでくるこなたの視線を、
 かがみは満足感を持って受け止める。
「何よ。私からして欲しいって言ったのはあんたでしょ」
「ウヌゥ……」
「その上でさっきのも許してあげるって言ってるんだから、感謝しなさいよね」
 満足感。
 達成感。
 優越感。
 それらに浮かされ――かがみは油断した。

「だったら……もういいよね」

「え?」
 こなたが何かをつぶやいた。
 それが聞こえたと思ったときには、かがみの視界は縦に九十度回転していた。
407最後の日 8/15:2008/12/01(月) 19:24:50 ID:sV0Cnohw
「……え?」
 押し倒されていた。
「もうチャラってことで、始めちゃってもいいよね?」
 目が据わっている。
 いつもの余裕の笑みが消えている。
「ちょ」
「待たない。てか今ので火ぃついちゃった」
 言うが早いか、目の前の顔がさらに急接近。何を思う間もなく、ふさがれた。
「んんっ!?」
 間髪をおかず熱いカタマリ――こなたの舌が、かがみの唇の裏側をぞろりと一周。
 肩が抜けそうになるほど縮み上がった。
 舌は続いて歯の内側まで再度侵入し、上あご、下あご、頬の裏、歯茎、舌の裏、そして舌。
 口腔内のありとあらゆる箇所を舐め、くすぐり、ねぶり、這いまわっていく。
「〜〜〜〜――っっ!!」
 呻き声すら舐めとられるよう。
 首が限界まで反り返る。折れそうだ。腰が引きつって、右足が跳ね上がり、空を切る。
 半ば無意識に伸ばした腕が、何故かコタツの足を掴んだ。
 違う。これじゃない。
 まるで言うことを聞かない指を苦労して引き剥がし、再度中空をさまよわせる。
「……っ、……!」
 触れた。柔らかい布地。
 こなたの半纏だ。
 縋りつき、引き寄せる。
 素直に身体を預けてくるこなた。
 軽い。
 下唇を甘噛みされた。
 さらに舌先でちろちろとくすぐられ、次いで再び口腔内を蹂躙される。
 背骨の末端にひりつくような痺れが生じ、瞬く間に全身に伝播した。
 真っ白な衝撃が脳髄を突き抜ける。
 意識が一瞬、どこかに跳んだ。
 そして、

「…………――っぷは」

 唇が離される。
「ぁ……」
 数秒だったのか、数分に渡っていたのか。
 それすらも判別がつかなくなるほどに溶かされたかがみの頭が、とりあえず酸欠から
 開放されたことだけを理解する。
「はぁ……はぁ、は――ぁ…………」
 呼吸もままならない。
 軽く達してしまったらしい。
「――かがみ」
 声が降ってきた。
 けっこうな努力をして焦点をあわせると、真正面。つまり真上に、こなたの顔。
 思っていたよりも若干距離があった。上体を起こし、髪をかき上げている。
「にゅふふ、いーいカンジに蕩けてきてるね」
 自分の指を舐めながらそんなことを言って、そしてまた、ずい、と顔を寄せてくる。
 が、今度は唇を素通りし、脇へと逸れた。
「んっ」
 熱い吐息が耳をなでる。
408最後の日 9/15:2008/12/01(月) 19:25:45 ID:sV0Cnohw
「可愛い声、いっぱい聞かせて?」
「そ……――ひっ!?」
 言葉と同時、音もなくかがみのスカートの中に滑り込んでいたこなたの指が、
 最も敏感な部分にいきなり触れた。
「わっ♪ こっちもとろとろ」
「そっ、んな、こと――んんん、んっ!」
 下着の上から、中指が割れ目をなぞり、親指が突起を的確にこね回す。
「ふ、ううっ、や……あ、ああっ!」
 声が抑えようもなくこぼれ落ち、腰が勝手にびくびくと跳ねる。
「てか、濡れすぎじゃない? アナルの方まで染みてきてるよ?」
「あなっ!?」
 とぼけたような日常口調の中に唐突に混じりこんだ卑猥な単語に、脳が沸騰する。
「そ、そういう――ぅうっ、こと、言う、なぁ!」
「いつまでも初々しいねぇかがみは」
 あざけるような声。
 けれど決定的なところで優しさを残した声。
 かがみの背筋を震わせる。
「こんだけ濡れてれば、もうだいじょぶかな?」
 囁いて、こなたはかがみの下着をずらし、入り口に直に触れた。
「んっ……」
 思わずのけぞり、腰を引いてしまうが、こなたはぴったりとついてくる。
 しかし――それだけだ。ついてくるだけ。
 指は先ほどまでのように入り口付近を浅くなぞるだけで、奥にまで入ってこようとはしない。
「こな、た?」
 閉じていたまぶたを片方だけ開けると、愉しそうに笑っているこなたと目が合った。
「どっち?」
「え……?」
 意味がわからない。
 何が「どっち」だというのだ。
 両目とも開き、視線で問いかけると、こなたはますます笑みを深めた。
 かがみのよく知っている、こなたの笑い方。
 いたずらを仕掛けてくるときの顔だった。
「ど・う・す・る・?」
「あっ、や、うっ」
 声のリズムに合わせてクリトリスをタッピング。
 もだえながら、理解した。

 こいつっ、言わせる気だ。

「ほらほらかがみ? もう行っちゃう? それともも少しほぐす?」
「う、うう……」
 やはり。
 かがみに“おねだり”させる気だ。
「こなっ……たあ……っ!」
「うん、私はここにいるよ? どうして欲しい?」
「ど、どうって……んあっ、うっ!」
「ね、ちゃんと言って?」
「だ、だか、らぁ……っ」
 囁く間も、こなたは指の動きを止めようとはしない。
 強すぎず、弱すぎず、一定の調子で入り口だけをゆるゆるとなぞり続ける。
 もどかしい刺激に思考力が削られる。
409最後の日 10/15:2008/12/01(月) 19:26:40 ID:sV0Cnohw
「お――」
「お?」
「……おねがいっ、こなた……!」
 だというのに、羞恥心だけが最後まで残り続けるのは何故なのだろう。
「う〜ん……ダメだよかがみ。ちゃんと言わないとわかんないよ?」
「ばか……っ!」
 胸元にしがみついて怒鳴るが、そんなことで怯む相手ではない。
 怒鳴ったといえるほどの声も出せていない。
「ほぉら、かがみ」
「うっ……」
「このままでいいの?」
「やっ、あ、っくぅ……」
「さっきみたいに素直になってよ。ね?」
 こなたの声も少しずつ熱を帯び始めている。口調も懇願のそれに近い。
 が、かがみは気付かない。
 そこまでの余裕は既にない。
 そして、ついに。
「う、ううぅ……こなたっ」
「なに、かがみ?」
「……おねがいっ。入れて……っ!」
 ついに、言った。
 言ってしまった。
 ただでさえ熱かった頭と身体がさらに発熱する。血液の代わりにマグマが流れているかのよう。
「入れるだけで、いいの?」
 しかし、こなたはなおも言う。
「――っっ!!」
 ガリっ。
 食いしばった奥歯が嫌な音を立てた。欠けてしまったかも知れない。
 どうでもいい。
 そんなことは、どうでもいい。
 もう限界だ。

「か――掻き混ぜてっ! 気持ちよくさせてっ!」

 叫ぶ。
 声が裏返る。
「……」
 こなたが一瞬だけ、心から幸せそうに笑ったが、その肩に顔をうずめているかがみにはわからない。
「……よくできました」
 ただ、囁き声に秘められた喜びと、頬への口付けに込められた優しさは、理解できた。

「じゃ……ごほうび、あげるね?」
「あっ……」
 つぷり。
 こなたの指が、入り口を割って潜り込んでくる。
「うっ、あっ」
 激しい異物感。
 これが本当に、こなたのあの細い指なのかと思う。
 そしてそんな思考も、すぐに快感に押し流される。
「相変わらず、キツキツだね。まだ二本が限界かぁ」
「んっ――あ! あぅっ!」
 ゆっくりと、丹念に。
 まるで何かを探すように、指は襞のひとつひとつをなぞり上げていく。
410最後の日 11/15:2008/12/01(月) 19:28:41 ID:sV0Cnohw
「ひっ、き、あ、うあっ!」
 奥に手前に小さなピストンを繰り返し。
 また右に左に捻りを加えながら。
「っ! ――はぁっ……ふあ、あ、あ、ああ、あっ」
 じわりじわりと、確実に、かがみの中心へと迫っていく。
 そうして奥まで来くると、今度は襞を引っかきながら戻っていく。
「っくぅぅぅ……っ!」
「足閉じちゃだめだよ、かがみ」
「だっ……だ、って……!」
 そんなことを言われても、閉じたくて閉じているわけではない。
 腹筋が縮み上がったまま戻らない。
「――あっ! う……あ! そこっ!」
 と。
 ひときわ強烈な電気が、腰から脳髄までを一気に駆け抜けた。
「ん? ここ?」
「だっ! やっ! だ、めっ……!」
 散々に焦らされたせいもあるのだろう。快感が増大し、身体がまるでいうことをきかない。
 突かれるたびに全身がでたらめに跳ね回る。
 首がのけぞり、後頭部が畳に擦れる。
「前と場所違わない?」
「知ら――や、はあっ! ……しら、ない……わよっ! くっ、ああぁあっ!」
「むふふ、まいーや。ココね」
「まっ、ちょ――――ひぁあっ!?」
 まぶたの裏に火花が散った。
 指の動きが変わった。
 往復、回転、ともに大きくなり、奥に来たときにはたった今見つけられたポイントを的確に押していく。
 くちゅ、くちゅと、攪拌の音も粘り気を増し、なけなしの理性を切り刻む。
 思考が掻き乱され、磨り潰される。
 頭の中で快感と羞恥がせめぎ合う。
「ここかー? ここがえーのんかー?」
「あ、あっ、あ、あ、あーっ、あ、だめ、っあ!」
 気持ちいい、恥ずかしい。
 恥ずかしい、気持ちいい。
 双方が双方を増幅しあい、それ以外のことがどんどん押し遣られていく。
「やあっ! あ、だめっ、だめ……そっ!」
「お、そろそろイっちゃう?」
「やっ!」
 図星だった。
 必死で顔を背けようとするが、こなたはそれを許さない。
 空いている方の手でかがみの頬を捕らえ、やんわりと、しかし有無を言わせず向きなおさせる。
「逃げちゃだーめ」
「いやっ、見ないで、ばか、あっ……!」
「だが断る。かがみの一番カワイイとこ、見・せ・て?」
「やっ! だめっ! ふあっ!」
 こなたが指のペースを上げた。
 ハァハァと熱い吐息が耳にかかる。
 そうして――手首を大きく捻りながら、親指でクリトリスを押し潰した。

「イッ……――――――――っ!!」

 弾けた。
 白い、何かが。
 強烈な浮遊感。いや、落下感。
 曖昧な白に意識が塗り潰されて、かがみは果てた。
411最後の日 12/15:2008/12/01(月) 19:29:29 ID:sV0Cnohw
 
「可愛かったよ」
 かがみの髪を梳きながら、頬に軽く口付けつつ、こなたが言う。
「……ばかぁ……」
 息も絶えだえに抗議を返すが、弱々しいその声は、こなたをさらに喜ばせる効果しか持たなかった。
 悔しい。
 愉悦に蕩けきった笑顔が恨めしい。
 そんな反応を少なからず嬉しく思ってしまう自分が、何より悔しい。
「さて」
 と、こなたが半纏を脱ぎ捨てた。
 セーターとスウェットの上下も脱ぎ去り、下着姿になると、かがみの服にも手をかける。
「それじゃ、脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
「え、ちょ」
 まだ少し力が入らないが、反射的に抵抗する。
「だから待たないってば。こんなもんで終わるわけないでしょ」
 確かに。
 まだ自分の方しか気持ちよくなっていないし、ここまでなどと思ってはいないが、
「はい、バンザ〜イ」
「じ、自分でするってば」
 いやらしく伸びてくる手を振り払い、身体を起こすと、かがみはゆるゆるとボタンを外し始める。
 しかし、
「……」
「全部脱いでね?」
 指をもたつかせていると、こなたが言った。胡座をかきながらニマニマと笑う。
「え? 全部?」
「うん」
 思わず手が止まる。
 いつも『半脱ぎの方が萌えるから』と恥ずかしい格好ばかりさせたがるのに。どうしたというのだろう。
 やはりこなたも、最後ぐらいはまともにと思っているのだろうか。
「ベッドの上以外だと全裸の方が萌えるんだよね」
「……」
 脱力する。
 そんな殊勝な相手ではなかった。
「あ、でも靴下は残してね?」
「……もぅ……ばかっ」


     ☆

412最後の日 13/15:2008/12/01(月) 19:30:24 ID:sV0Cnohw
 
「かぽーん」
 湯気の立ち込める空間に、間の抜けた声が響いて消える。
「なによ、いきなり」
「んー? お風呂場っていったらこの音でしょー」
 あのままさらに小一時間ほど肌を重ねたあと、かいた汗を流すために二人で風呂に入っている。
 二人とも浴槽に浸かり、こなたはかがみの足の間に三角座りで納まって、胸元にもたれかかる体勢。
 自然、かがみはこなたを抱き抱えるように、その肩に両腕を回している。
 互いに預け合う体温と体重が、ただ心地よい。
 二人分の長い髪の毛が、湯の中で溶け合うように複雑に絡み合っている。
「……でも、何の音なんだろ」
「知らないわよ。洗面器か何かじゃない?」
「ふーん」
 つぶやくと、こなたは湯船から身を乗り出して洗面器を手に取り、そのまま床に打ちつけた。
 コンッ。
 軽い音が浴室に響く。
「……音、違うよ?」
「知らないってば」
 ため息混じりにかがみは笑う。
 しかし、確かに言われてみれば、何の音なのだろう。
 かがみの読む漫画やラノベでも風呂場のシーンとなるとそんな擬音が使われることが多い気がするが、
 実際に聞いたことはないように思う。
「むー。かがみが冷たい」
 元の位置に収まりなおしたこなたが、不満げに唇を尖らせる。
「身体はこんなにあったかいのに」
「悪かったわね」
「中は熱いぐらいなのに」
「やめんかっ! このセクハラ親父!」
 怒鳴り声が反響する。
 酷い下ネタだったが、即座に返せてしまった。
 付き合い始めのころはもっとずっと軽いものでも真っ赤になって固まっていたのに。
 この半年ほどで、すっかり慣れてしまった。オタクな知識も随分と増えた。
 どんどんこなたに染め上げられていく。それが実感できる。
 多少は悔しさも感じるが、これは言い換えればココロの距離が近づいているということでもある。
 そう考えると、やはり嬉しい。
 かがみは思う。
 これから先、自分はどうなっていくのだろう。
 さらに半年後には。そして一年、二年、三年後には――否。
 そんな、ことよりも。
 明日、以降は。
 かがみは、そしてこなたは。
 どうなって、しまうのだろう。

「……ねぇ、こなた」
「んー?」
「その……名前、なんていうんだっけ」
「え? ――ああ、ゆーちゃんだよ。小早川ゆたかちゃん」
 コバヤカワ、ユタカ。
 それが、この泉家に居候することになる、こなたの従妹の名前。
 実際に住み始めるのは明後日からだが、明日はその準備があるらしい。だから今日が最後なのだ。
「ゆたか、ね。なんか男の子みたい」
「あ、ソレ言っちゃ駄目だよ。気にしてるみたいだから」
「そっか。ごめん」
 こなたの言葉に、とりあえず謝るかがみだったが、あまり気持ちは入っていなかった。
 仕方がないといえば仕方がない。
 彼女の出現により、こうして二人きりで過ごせる機会は確実に減ってしまうのだ。
 しかも、恋人であるかがみを差し置いて、こなたと一つ屋根の下で暮らすことになる女の子。
 良い感情を持てというほうが無理な話だ。
413最後の日 14/15:2008/12/01(月) 19:31:19 ID:sV0Cnohw
 かがみはそのまま、こなたの首に回した腕に力を込めて、縋りつくように抱きしめた。
「かがみ?」
「……信じてるんだからね?」
「や、説得力ないよ?」
 苦笑いの混じった返答。
「だって……」
「もぉ、何度も言ってるよね? ゆーちゃんはホントに妹みたいなもんなんだってば。かがみだって
つかさとどうこうなったりしないでしょ?」
「……」
 確かにその通りだ。
 かがみだってわかっている。仮にそうでなくとも、こなたは浮気などしない。
 そう見せかけたイタズラならやりかねないが、一線を越えることはきっとない。
 わかってはいるが、しかし、やはり理解と納得は別の問題だ。
「あー、もー」
 ざぱっ、と勢いよく、こなたが立ち上がった。
 反転し、かがみに向き直ってくる。そしてとっさに反応できずに固まってしまったかがみの頭を、
 先ほどのように両手で、しかし今度はそっと包む。
 またキスをされるのだろうか。
 今はそんなものが欲しいわけではないのだが、されること自体は嫌ではない。
 目を閉じる。
 が、訪れたのはコツンと軽い感触だった。唇ではなく額。目を開ける。

「大好きだよ」

「……」
「私が好きなのは、かがみだけ」
 何故だろう。
 完全な不意打ちとなるはずだったその一言は、かがみの心に無理なく浸透し、
 全身に優しく溶け込んでいった。

 ――ああ、これだ。
 ――これが欲しかったんだ。

 ようやく、埋まった。
 渇きにも似た嫉妬心が掻き消えて、代わりに歓喜と幸福感が湧き起こり、そして溢れ出す。
「……私も、」
 目の前の瞳をまっすぐに見つめ返しながら。
 すう、と一息。

「大好き」

 瞬間、こなたが目を見開いた。
 一拍遅れてその顔が真っ赤に染まり、
「っぷお!?」
 奇声を発しながらのけぞった。
「え?」
「か、かかがみ……ズルイよ。それハンソク」
 デレデレに茹だった顔と声。こんなこなたを見るのはかがみも初めてかも知れない。
「ちょ、な、なによ。どうしたのよ」
 大いに戸惑う。
 “それ”とはなんだ。何がここまでこなたを不覚にさせた。
 確かに、かがみの方からこなたへ、ここまでまっすぐに真正面から愛情を伝えることは稀ではあるが……
「…………ねぇ、こなた」
 否。
 稀ではない。皆無だ。皆無だった。
 つまり、今のが始めてだ。
414最後の日 15/15:2008/12/01(月) 19:32:14 ID:sV0Cnohw
「な、なにさぁ」
 やや回復しつつあるこなたの手を取って、かがみはぐっと身を寄せる。
「え、ちょ」
 押されるように上体を反らすこなた。湯が大きく波打って、少し溢れた。構わずかがみはさらに迫る。
「こーなたっ」
 恥ずかしさをぐっと堪えて、笑う。
「だ、だから、なにってば」
「……大好き」
「っ……!」
 一瞬でまた茹で上がる。
 かがみはニヤリと意地悪く――傍目にはだらしなく――笑った。
「どうしたのぉ? こなたぁ?」
「ど、どうって、そんなの」
 必死で目を逸らそうとするこなただったが、逃がさない。
 肩に背中に手を回し、しなだれかかる。
「もしかして……イヤだった?」
「そ、そんなわけないけどっ」
「ほんとに?」
「あ、当たり前、じゃん」
「そう? ありがと。嬉しい」
 にっこりと笑顔を作る。
 いや、作るまでもなく、顔全体が勝手に緩んでいく。
 かがみにも恥ずかしい気持ちはもちろんある。顔のみならず全身が熱を持っている。
 湯のせいだけではない。
 しかし今は、それ以上に、
「大好きよ、こなた」
「〜〜っ!」
 こなたの反応が、楽しい。
「……ああ、かがみが、かがみが壊れてしまわれた。村はもうオシマイダアー」
「何よそれ」
「だって! そんなのズルいよ! いきなりデレデレになるなんて! ――はっ! さてはキサマ、
偽者だな! おのれっ、本物のかがみをどこへやった!?」
 ぐいぐいと抱擁を引き剥がしにかかりつつ、こなたが喚く。
「ふふふっ、駄目よ? そんなネタに走ろうったって逃がさないんだからね?」
「う、うぐ……」
「知らなかったわ。あんた、こういうストレートなのに弱かったのね」
「ううぅ、一生の不覚だよ……」
 とはいえ、それも今このときだけだろう。
 次に同じことをしてもきっと上手く行かない。よほどタイミングを読んで隙を突かなければ。
 それに、あとで冷静に戻ったら、逆にこのことをネタにからかわれてしまうに違いない。
 でも。
 ――だから、
「ねぇ、こなたも言って?」
「いっ――さ、さっき言ったじゃん」
「もっと言ってよ」
「うぅ〜……」
「おねがい」
「……わかったよぉ。――その、かがみ」
「うん」
「す、好き……だよ」
「私も大好きっ」
「う、ううううぅ……ぅにゃあーっ! もおーっ!」
 今の内に、思いっきり甘えてやろうと、かがみは思うのだった。





                                                  了
41523-49:2008/12/01(月) 19:33:10 ID:sV0Cnohw
以上です
ありがとうございました
416名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 20:13:05 ID:a/6bcRHn
なるほど、こういう「うにゃああああ」もあるのですね、わかります。
ものごっつい、ドストレート、正統派こなかがGJ!
題名から、別れモノかと思ったら、そういう意味の「最後」か。こういうのもミスリードと言うのかな?
417名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 20:16:56 ID:9mDMAxiE
>>415

「最後の日」ってそういうことかーー!
心地よい敗北感に包まれつつ、ぐっじょぶっした。


ところで、「かぽーん」は風呂桶を落とした音だと思うわけです。
銭湯体制発令中に、たまに聞きます。
418名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 07:12:30 ID:choe24ol
>>415
ほのぼのとラブラブとエッチがいい具合にブレンドされてGJでした。
419名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 07:41:27 ID:Vvu2ysK3
銭湯は広くて桶も軽いからなー
420名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 12:41:32 ID:797nqJGw
……でもさ、

ここからelopeに繋がったりしたら、

破壊力(ダメージ的な意味で)半端ないよねorz
421名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 17:42:02 ID:saaolM1S
いや、ここは2人のイトナミをこっそり覗き見したゆたかが何かに目覚めてみなみにアーッ!な路線とかw
422名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 20:51:25 ID:RT9HPnbt
>>415
すばらしいこなかがをありがとおおおおお!!
堪能いたしました、GJすぎです。
423名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 22:06:16 ID:ANWWRb6H
>>415
心地よくタイトルにだまされ、ラストのこなデレで和みました。ぐっじょぶ!
424名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 16:14:58 ID:5ib7I6rE
さっき「参考資料」の所を見てきたんだが、ゆきさんいったい何歳の時にゆい姉さん産んだんだよ!!
425名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 17:31:10 ID:Jvah1ltt
>>415
GJ!スンドゥブ(クソ甘いドーナツのシロップ漬け)のよーな甘々SSでつね、そして貴殿の表現力に感嘆。
426名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 18:21:25 ID:JnK6/dj8
>>424
諸説の一つにすぎない。
決まってないからこそ、2次でいろいろ出来るというもの。
427名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 00:02:51 ID:lbj+Tq08
>>424
あえて強引な解釈を

ある小説家の証言
「俺はロリコンでもあるが、ゆきの旦那はロリコンだからな」
「お、お父ーさん、ゆい姉さんとゆーちゃんがどす黒いオーラを放ってこっちに来てるよ」
428名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 08:43:39 ID:v0hridoR
>>415
感動した ! 久々の正統こなかがに感動した !

でも本当にこの二人は、じゃれあいからキスとかエッチに発展しそうw
429戸別響:2008/12/05(金) 11:12:56 ID:i7rNT4iO
こんにちは、戸別です。シリーズの続編が完成しましたので投下したいと思います。
スケッチスケッチ!  4筆目 ストレンジ・コミュニケーション
・みゆき&パティ みゆき視点
・非エロ
・5レス使用
今回はペア隠しはなしです。
3分後に投下をはじめます。では、どうぞ。


ガサ……ガサガサ……ガッ
「……きゃ!」
「ドウしましたカ?」
「い、いえ、ただ躓いただけです」
慣れない畦道、草に隠れて見えない足元。本当に、いつも以上に集中しなければ、すぐに
転んでしまいそうです。倒れなかっただけ、まだよしとしましょう。


スケッチスケッチ!  4筆目 ストレンジ・コミュニケーション


こんにちは、高良みゆきと申します。私、今日は泉さんの企画した、スケッチ大会に参加して
います。泉さんとは同じ学校のクラスメイトでして、この大会については、中間テストの
期間中に提案なされました。私自身、ここ最近テスト勉強や受験勉強で少し疲れが溜まって
いまして、少しでも気晴らしになれば、と思いまして、この大会に参加することにしました。
その日、向かいのみなみさんも誘ってみまして、あっさりと了承なさった事には驚きましたが、
積極的になったみなみさんを見て、少しうれしくも思いました。

そして当日、泉さんが連絡してくださった場所は、素晴らしい、としか言えない所でした。
綺麗な紅葉、のどかな風景。
勉強の疲れを取るには最高の場所ではないか、と駅を出た時は思いました。

そして泉さんが提案した組分けで、私はアメリカから来た留学生、パトリシア・マーティン
さんとペアを組むことになりました。パトリシアさんとはあまり話をしたことはないのですが、
泉さんのアルバイト先に行った時や、この前の学園祭でチアダンスをした時などで、とても
明るく、快活な人だという事を知りました。今日も、ペアに決まった時、すぐに私の所に
来てくださって、「Patricia=Martinデス。ヨロシクお願いシマス!」と、笑顔で挨拶して
くださいました。

大会がスタートした後は、しばらく泉さん・峰岸さんペアと同じ道を通るという事でしたので、
4人で分かれる所まで歩いていまして、そして今、私達は泉さん達と分かれて、目的地までの
細い道を通っているのですが……


「私が前に行きまショーカ?」
「いえ、大丈夫ですから」
パトリシアさんが少し心配した様子で話しかけてくださいましたが、足元は草や木の根で
荒れていまして、先程から私は何度も躓いたり、転びかけたりしていました。

スカートやソックスを見てみますと、ヌスビトハギやセンダングサなどがくっついています。
私はそれを見つける度に剥がしていくのですが、すぐにまたくっついてきます。

と、

ガッ!

「きゃあ!?」
くっついてくる草たちに気をとられて、足元への注意が薄らいでいた私は、大きく張り出して
いた木の根に足を引っ掛け、今度は抵抗の甲斐もなく、思いきり派手に転んでしまいました。

「いたたた……」
「大丈夫ですカ……Wow……!」
「………?」
転んだ私に、パトリシアさんはすぐに声をかけてくれましたが、その後すぐに、感嘆の声を
出していました。私は不思議に思って、鼻をさすりながらパトリシアさんの方を向いてみます
と、少し驚いたような顔で、前を向いているパトリシアさんがそこに立っていました。
気になって、私も立ち上がり前の方を向いてみますと、

「……わぁ……」
「すごいデス! It’s beautiful!」
この畦道の終わり、そして私とパトリシアさんの目的地。
そこには、都会では滅多にお目にかかれない、広大な花畑が広がっていました。



「……これは、コスモス……ですね」
「Yes, cosmos!」
私とパトリシアさんはその花畑に駆け寄って、私は花の種類を調べてみました。
広大なコスモス畑。私も、植物園やフラワーパークなどでしか、このような大きなものは
見た事がありません。なぜ外来種のコスモスがここに自生しているのかは謎ですが……

「……全てオオハルシャギクのようですね」
「オオハルシャギク? cosmosデハないのですカ?」
私が言った花の名に、パトリシアさんは不思議そうな顔をして私に尋ねました。
「コスモスですよ。ただ正式名称は、日本では『オオハルシャギク』と言うんです。英語でも、
『Mexican Aster』が正式名称だそうですよ」
「Oh, ソウなんですカ!」
パトリシアさんは目を丸くしてこちらを見ています。
「ちなみにオオハルシャギクはキク科コスモス属の一年草で、原産地は英語でもあるように、
メキシコです。18世紀末にスペインのマドリードの植物園に送られて、ヨーロッパに渡来
したそうです。日本には明治20年頃に渡来したといわれています。短日植物で、秋頃に花の
見ごろを迎えます。花言葉は『乙女の真心』『乙女の愛情』、色ごとでも分けられていまして、
このようなピンク色の花ですと『少女の純潔』、赤色ですと『調和』、白では『美麗』などが
あります。さらに言いますと、コスモスはつかささんやかがみさんが住んでいらっしゃる町の
シンボルフラワーにもなっています」
一息でそこまでを説明して、ふとパトリシアさんを見てみますと、目を丸くして、ポカンと
口を開けたまま固まっていました。……あっ!

「す、すいません! 差し出がましい事を……」
そうです、パトリシアさんはそこまで詳しい事を私に尋ねたわけではありません。聞いても
いない事を言われても、呆れるしかないですよね……私の悪い癖です。
しばらくして、パトリシアさんは俯いて、肩を震わせて、そして――


「――How wonderful!!」


「……えっ?」
思い切り上げられたパトリシアさんの顔はとても輝いていて、なんとも嬉しそうに見えました。

「あ、あの……」
「すごいデス! 何でソンナ事マデ知ってるんデスカ!? Amazing! Surprising! コナタの
言った通りネ! サスガみwi……じゃなくてミユキデース!」
「…………?」
……何か、悪口が聞こえたような気がしましたが……

と、今度は少し起こった様に、しかし勢いはそのままで、
「But, cosmosの発音は『コスモス』デハなく、『コーズモス』デス! わかりましたカ?」
「……あ、イ、イエス……」
その勢いに呑まれて、つい英語で返事をしてしまいました。


「ミユキー、質問がありマス」
「はい、何でしょうか? パトリシアさん」
「Non non, パティと呼んでくだサイ」
しばらくして、私とパト…パティさんは、お花畑の前でお昼ご飯を食べています。
私達はスケッチのモチーフにcosmos――コスモスを使用することになりまして、その直後に
12時を告げるチャイムが鳴ったため、スケッチを始める前に食べましょう、というパティ
さんの提案からです。
「cosmosについてなのですガ……Englishデハ『ウチュー』の事モcosmosと言いますよネ?
何か関係があるのでショーカ?」
……何故そのような事を私に尋ねるのでしょうか……

「ええっと……どうでしょうか。私も良くは知りませんが……しかし、『宇宙』の方のcosmos
には、コスモスの花言葉である『調和』の意味もありますから、少なからず関係はあると思い
ます」
私が答えますと、パティさんは「Oh, ソウなんですカ!」と驚きました。しかし……

「……えっと、パティさん? 英語の事なら、パティさんの方が詳しいのでは?」
母国語なのですから……と私が尋ねますと、パティさんは少し難しい顔になって、
「Hmm... 確かにソウなのですガ……Americaデハあまり使わない意味の方がたくさんある
ノデ、わからナイものモ多いのデス。……ミユキ、ソノ意味はdictionaryデ調べましたカ?」
「あ、え、ええ……昔、英和辞典を見ていたら、偶然見つけたのですが……」
「ソウいうもので、ある言葉の最後の方に書かれているものハ、Americaデモあまり使われない
ものが多いのデス。日本語デモ、外国人ガdictionaryナドを見て、日本でもあまり知られて
いない事に詳しかったという事があるでショウ。ソレと同じデス」
……納得のような、納得ではないような……

「デスから、私にもナゼこの萌え文化を日本人が知らないのですカ!? と日本に来て思う事ガ
ありマス! 特にアニメでは今クールだけでもCLANNAD、ミナミケ、バンブレと、こんなニ
スバらしい萌えるアニメがあるというノニ! ナゼですカ! 理解できまセン!」
ええっと……わ、私にそのようなすごい剣幕で言われましても……

驚きつつも、私はパティさんの様子を見て、何と言いますか……まるで泉さんの様な人です、
とふと思ってしまいました。その、「萌え」とか、普通の話題からそのような話に持っていく
ところなどは、泉さんによく似ています。ただ、学園祭の時などでもそうでしたが、泉さん
よりも……その、何と言いますか……そう、少しテンションが高いような気がします。
……でも私は、パティさんの様な人、嫌いではないですね。


「……ふふっ」
何故だかわかりませんが、そこまで考えると、私は自然と笑みを浮かべていました。
「ミユキ? ドウしたのですカ」
「いえ、何でもありません。……パティさん、早くご飯を食べ終わりましょう。絵を描く
時間がなくなってしまいます」
「Oh, ソウでした!」
私が話をすりかえますと、パティさんは急いで残ったコンビニ弁当を食べ始めました。


私達はその後、それぞれモチーフにしたコスモスの前に行き、分かれてスケッチを始めました。
時々、お互いの進み具合の確認のために見せ合いをしたり、お互いがアドバイスをしたり
しましたが、やはりといいますか、パティさんの絵は、どこか漫画チックでしたが、とても
上手に描かれていまして、私があまり口を出すことを躊躇うほどでした。私の絵は、パティ
さんの絵と見比べますと、あまり上手とは言えないものでしたが、それでもパティさんは、
私の絵を見て「スバらしいデス!」と何度も褒めてくださって、アドバイスも的確になさって
いました。

残り時間が迫ってきまして、私はこのパティさんとの時間を思い出し、そして当初の目的に
ついて考えてみました。

私は束の間の休日を、有意義に過ごせたのでしょうか。

パティさんとの時間は、少し奇妙なやり取りもありましたが、とても楽しいものでした。
ならば、私は目的を果たすことができたのでしょう。

「ミユキー、絵は完成しましたカ?」
「あ、はい、おかげさまで」
「どれどれ……Wow! Great! スバらしいデス!」
「ありがとうございます。パティさんも、上手ですね」
少し傾いてきた太陽の下、私は今日という日の素晴らしさを噛みしめながら、パティさんと
一緒にコスモス畑から離れ、皆の待つ駅までの道を歩き始めました。






435戸別響:2008/12/05(金) 11:39:32 ID:i7rNT4iO
以上です。
名前が長すぎて投下できなかったので、(略)にさせていただきました。前書きにも書きましたが、タイトルは
「スケッチスケッチ!  4筆目 ストレンジ・コミュニケーション」
です。ご迷惑をおかけしました。
みゆきさんとパティ、特にパティは初めて書くので口調や性格があっているか不安です。というか、パティって
こんなに親切だっけ……
みゆきさんのコスモス語りと英語については、
辞書とネットとwikipedia
を利用しました。書いてて楽しかったです。
感想、批評、ありがとうございます。この作品でも、どうぞよろしくお願いします。

この前お話した再投下の件ですが、ご意見をいただき、ありがとうございます。それらを見まして、その作品について、
再投下はせず、修正、編集をしましたら、そのときスレに投下した作品のあとがきにて報告をしようと思います。
もちろんwikiへの更新報告はします。いいでしょうか?
436名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:44:39 ID:Hevas+DQ
何気に続きが気になってたシリーズがあがってる!GJ!
パティのアッパーテンションとみゆきの包容力&wikiを
見事融合させた一話。堪能しますた。

そうか、「みwiki」を悪口と認識していたのねみゆきさん・・・orz

それはそうと







某無乳緑「この組み合わせ・・・私に対する・・・あてつけ・・・?」
437名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 23:56:59 ID:ZHWxthwV
久々にみwiki節聞いた! GJ!
438名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 00:21:38 ID:PcwAfCgi
0:25くらいに投下したく。
43942-115:2008/12/06(土) 00:27:48 ID:PcwAfCgi
 ではいきます。

 「玄関で寝ちゃった2 親子どんぶり 姉妹どんぶり」


 ・9レス
 ・エロなし
 ・ゆたかvsゆい
440玄関で寝ちゃった2 1/9:2008/12/06(土) 00:29:58 ID:PcwAfCgi
 「ギネス」と聞いてアイルランドの黒ビールを思い浮かべる人は、おそらくひねくれ者だろう。ひねく
れ者検定の準3級くらいを自分で認定するといい。ひねくれ者でなければ、世界記録的な本を連想するは
ずなのだから。……もっとも、その本を出しているのはビールの関連会社なのだからいいではないか、と
抗弁すればおめでとう。晴れて3級合格である。
 さて、では、その世界記録的な本にも載っているであろう「1088人」。
 これが何の人数かというと、一機の航空機に搭乗した人間の最多記録である。紛争地からの脱出機だっ
たため、定員やら何やらを色々無視し、1086人を無理矢理詰め込んで離陸。それだけでもたいしたものな
のだが、乗り合わせた妊婦が飛行中に双子を出産したため、着陸時には1088人になっていたのだという。
 さて、では、「4人」。
 世界記録的な本には載っていないこれが何の数字かというと、泉家の玄関で寝てしまった人の数である。
 そうじろう、こなた、ゆたか、そしてゆいは、玄関で寝ちゃったのである。




 えーと……。
 玄関に敷かれた布団を見下ろしつつ、ゆたかは思案に暮れ、途方にも暮れる。
 そこでは向かって左からそうじろう、こなた、ゆいの三人が寝ていた。こなたとゆいの間が若干大きめ
に空いているのは、つい先ほどまでそこにゆたかがいたためである。親子と姉妹で横並び。四連装の魚雷
発射管のようになって寝ていたのだ。
 それにしてもおかしい。
 玄関で朝を迎えている時点でだいぶ日常から逸脱しているはずだが、今日に関してはいつもにも増して
違和感がある。
 ゆたかは眠くてフラフラする頭を、翻訳機の調子が悪いかのようにコツコツと叩き、昨晩の出来事を思
い出してみることにした。




 昨晩、そうじろうは泉家に不在だった。
 とある文学賞の選考委員になったとかで、その授賞式に出席するためである。
 「俺も選ぶ側に回っちゃったよ」
 なんて照れ笑いをしながら出かけていった。
 9時ごろになってそうじろうから電話が入った。曰く、久しぶりに会った作家や編集者と飲んで帰るか
ら、先に寝てていいとのこと。
 電話を終えたこなたは、笑いながら言ったものである。
 「ゆーちゃんは先に寝てていいってさ。実の娘には一言もないなんて、冷たい父親だよ」
 「お姉ちゃんは? ……あ、そっか」
 こなたは受験生であるという事実が、ゆたかをして全てを納得させた。
 「私のもう一つに一日は、深夜から始まるのだよ」
 と言って、ことさらニヨニヨするこなた。……ひょっとすると、ゆたかは何か勘違いしているかもしれ
ない。
441玄関で寝ちゃった2 2/9:2008/12/06(土) 00:30:51 ID:PcwAfCgi
 先に入浴し、そのまま床に就いたゆたかが目を覚ましたのは、こなたの「もう一つの一日」の最中だっ
た。玄関の方がなにやら騒がしい……。
 「お姉ちゃん……?」
 目を擦りながら玄関まで行くと、そこでは、ドジな考古学者かビッ●バイパーが、うっかりモアイ像に
潰されたらおよそこんな感じだろうという状態で、こなたがそうじろうの下敷きになっていた。
 「おぉ、ゆーちゃん……」
 こなたが助けを求めて手を伸ばす。
 「大変……。今助けるから」
 ゆたかはこなたの手を掴み、地引網の要領でこなたを引っ張り出した。内陸の埼玉ではめったに見られ
ない光景である。
 「ふう……。ありがと、ゆーちゃん」
 こなたは壁に背をついて一息つく。
 「伯父さん、酔っ払っちゃったの?」
 「うん……。この具合だと朝まで目を覚まさないね」
 それに答えるかのように、そうじろうは「んごー」という鼾を吐いた。鼾ではなくイオンリングだった
ら、外に放り出したところである。
 「あー、ゆーちゃん。手伝ってもらえる? 起こしちゃった上悪いけど」
 「いいよ」
 二人がかりなら何とかなるかもしれない。
 「じゃあ脚の方を持って……せーの」
 二人はそうじろうの体を持ち上げたが、いくらも行かないうちに力尽きた。181cmのヨッパライは、二
人には文字通り荷が重すぎた。
 「やっぱダメか」
 再び床にそうじろうを安置(!?)し、今度は二人で息をつく。
 「投げ飛ばすなら出来るけど、運ぶのがこんなに大変とはねー」
 そうぼやくのは格闘経験者のこなたである。
 「そうだ! 投げ飛ばすのを繰り返して運ぼう」
 「ええっ。二階まで運べる?」
 こなたとゆたかは一階に自室があるが、そうじろうのは二階である。
 「この際、生死は問わない」
 「と、問おうよ!」
 「ゆーちゃんがそこまで言うなら仕方ないなあ……」
 ゆたかがそこまで言わなかったら、本気で実行するつもりだったようである。
 「じゃあしょうがない。おとーさんにはここで寝てもらう」
 「うん……」
 ゆたかは肩を落とす。彼女にとって、この敗北感はまだ記憶に新しい。肩と一緒に、瞼も落ちそうにな
る。この睡魔と脱力感も、また新しく手強い。
442玄関で寝ちゃった2 3/9:2008/12/06(土) 00:32:17 ID:PcwAfCgi
 「ならゆーちゃん、布団を持ってきてくれるかな。私はその間に、ポケットの中身とか抜いとくから」
 「うん……」
 ここでゆたかはミスを犯した。思考の停止しかけた眠い頭である種の条件反射に従い、自分のベッドか
ら布団を持ってきてしまったのである。
 「ゆーちゃん……」
 ボールペンやら櫛やら、寝ているうちに刺さったら困るものを抜き取っていたこなたが、やけに愉快そ
うな顔でゆたかを見る。
 「それを持ってきちゃったら、ゆーちゃんはどこで寝るの?」
 「はう……」
 ゆたかは自分のベッドの布団をその場に置き、二階にそうじろうのお布団を取りに行く。みゆきさんと
組んだらすごいことにって思ったけど、ドジッ子属性が具わってきたかあ……なんて言葉が追い討ちをか
けて、はずかしいったら仕方ない。うぅ、そんなんじゃないもん。
 そうじろうの布団を持ってくると、ゆたかはそれを投げ出すように広げてそうじろうの上にかけた。そ
して、自分の体もその上に投げ出す。
 「え?」
 「ごめんね、お姉ちゃん。私……もう……ダメみたい」
 びっくりするこなたの目の前でゆたかはイモムシのように体を蠢かせ、布団の中にもぐりこんだ。もは
や自分の布団と一緒に自室に戻る気力は、残っていなかったのである。
 「ちょ、ゆーちゃん!?」
 うろたえる様なこなたの声を最後に、ゆたかの記憶はここで途絶えていた。
 ゆたかも、玄関で寝ちゃったのである。




 状況からして、こなたも玄関で一緒に寝てくれたようだ。持つべきものは、玄関で寝る従姉である。…
…こなたはそう思ってないかもしれないが。
 「……!」
 そこでゆたかはある決定的な異変に気付いた。
 「お姉ちゃん、どうしているの……?」
 ゆたかがお姉ちゃんと呼ぶ人物は二人で、その二人とも目の前にいたのだが、ゆたかの視線は血の繋が
った姉に向けられていた。
 ゆいは何故玄関で寝ているのか?
443玄関で寝ちゃった2 4/9:2008/12/06(土) 00:33:10 ID:PcwAfCgi
 玄関に四連装寝床。その内一人は部外者とは言い切れないが、その家には暮らしていない上、いつやっ
てきたか分からない。この非常識を「常識的に」解釈すれば、ゆたかが眠りに落ちた後にやって来たゆい
をこなたが招き入れて、面白がって二人とも玄関で寝ちゃったということにでもなるはずである。……常
識的なら。
 しかしこの世に生を享けてもうすぐ16年。ゆいの傍若無人さを身を以って知っているゆたかは、別の可
能性も考慮した。お姉ちゃんは勝手に入り込んだのかも知れない。
 そこでゆたかは、一番手近な出入り口……玄関を調べた。サンダルをつっかけ、ドアノブをそのまま回
してみる。
 「やっぱり……」
 玄関ドアは、解錠せずとも開いてしまった。寝ぼけ眼にはまぶしすぎる光が網膜に突き刺さり、光学的
な目薬となって目に染みる。つまり、施錠自体されてなかったということである。酔って帰ったそうじろ
うに気を取られて、こなたが鍵をかけ忘れたようだ。招き入れたのであれば、こなたかゆいのどちらかが
閉めるだろう。こなたは玄関の鍵を閉めることなく、ゆたかと同様すぐに玄関で寝てしまったようだ。そ
こへ「酔った」ゆいがやって来て、一緒に玄関で寝てしまったのであろう。鍵を閉めなかったのも、玄関
で妹と従妹と伯父と一緒に寝てしまうという奇行もそれで説明がつく。いや、それでなければ説明がつか
ない。そして酔った事それ自体と、泉家へやって来た理由はきよたかが単身赴任で不在で寂しかったから
ということで説明がつく。
 でも……。
 と、ゆたかは思う。だからといって、何もゆいは玄関から入ったとは限らないではないか。指紋を採取
できるとかならともかく、今は確かめようはない。
 「確かめなきゃ……」
 一階の、事によると二階かもしれない。さすがに壁に穴を開けるということはないだろうが、窓ガラス
が割られていたりしたらみんなが起きる前に破片を片付け、一緒に謝ろう。
 とりあえず一階からだ。ゆたかはまず自室を調べる事にした。
 ドアを開けて中を見る。窓に異常はないようだった。施錠されたまま閉まっている。しかし、部屋の真
ん中には見覚えのない紐が天井から垂れていた。
 ……なんだろう?
 天井を見上げながら中に入って行く。
 ―と、その時。
 歴史は動かなかったが、ゆたかの脚が何かに囚われた。
 「きゃあ!」
 前のめりに転倒しそうになり、その手は反射的に謎の紐を掴んでしまった。
 何か微妙に重量がある物を引っ張る感覚。
 何か落ちてくる!
 やはり反射的に上を見たゆたかの目に飛び込んできたのは、銅製のたらいの底だった……。

 ガン

 小気味の良い音と共にゆたかの視界が暗転し、瞼の中で星が舞った。
444玄関で寝ちゃった2 5/9:2008/12/06(土) 00:33:57 ID:PcwAfCgi
 「うぅ……」
 呻きながら半身を起こす。布団の様に体の上に乗ったいたのは、しかしやっぱり銅製のたらいだった。
ドアのすぐ近くの足元には、天井から垂れていたのと同じ紐が張られていた。これに脚をとられたようで
ある。たらいの方は、照明をぶら下げるフックを利用して仕掛けられていたようだ。
 「お姉ちゃん……なんでこんな事を?」
 酔っ払うという行為にもはや神秘性さえ覚えながら、ゆたかは当初の目的である自室の窓が侵入路に使
われてないかを確かめた。
 窓には異常はなかった。
 泉家の庭が異常だった。
 「!?」
 そこにはあちこちに、小枝が散乱していた。まるで嵐の後である。目が覚めたら嵐のような姉と同床で
はあったが、さすがに暴風を巻き起こすような人ではない。庭木を見上げると、冬枯れでは片付けられな
いほど寂しい枝付きになっていた。つまり、小枝の出所は庭木である。のこぎりか高枝切りバサミで切っ
たのだろう。でも、なぜ?
 ベッドにぺたんと座り込み、ゆたかはこれまでに分かった事を整理する。
 まず昨晩の深夜、ゆたかもこなたも寝静まった後、酔っ払ったゆいがやってきた。そして家に色々な仕
掛けを施した。おそらく最初に庭の枝を切ったのだろう。のこぎりか高枝切りバサミを物置で見つけ、使
った。そして底でたらいや紐なども見つけ、ゆたかの部屋の仕掛けに使ったのである。動機は不明。
 でも……。
 と、ゆたかは思う。
 現時点で調べたのは自室だけであり、従って仕掛けが他の部屋にもないとは限らない。侵入路に使われ
た可能性だってまだある。
 「確かめないと……」
 ゆたかはまだフラフラする頭で、隣のこなたの部屋へ赴くことにした。
 「お姉ちゃん、入るよ」
 まだ玄関で寝ている従姉に一応断ってからドアを開ける。
 そこにもやはり天井から紐が垂れていた。でもそれ以上に、目を引くものがあった。
 「お姉ちゃんのお人形が……」
 こなたのコレクションのフィギュアが、紐によってカーテンレールから窓辺にぶら下がっていたのであ
る。さながら干し柿か、吸血鬼避けのにんにくのように。
 壊さないようにして外さなきゃ。でも、勝手に触る方が嫌がるかな……。
 そんなことを考えながら窓に近付こうとしたゆたかは、明らかに油断していた。窓辺の紐と、天井の紐。
これらに気を取られ、自室にもあった足元の紐まで頭が回らなかったのである。
445玄関で寝ちゃった2 6/9:2008/12/06(土) 00:35:19 ID:PcwAfCgi
 「きゃあ」
 例によって足をとられ、例によって前のめりに転倒しそうになり、例によって天井の紐を掴んでしまう。
例によらなかったのはゆたかが防御姿勢をとり、顔をガードした事である。そのせいで、ゆたかは見事に
罠にかかってしまった。

 ガシャン

 金属的な音が、床に倒れたゆたかの全周で鳴った。顔を庇った手には、何やらざらざらしたものの感触
がある。恐る恐る目を開けると、自分が囚われの身になっているのを発見した。
 「網??」
 詮索は後回しにして、障害物競走の走者のように床を這い、金属的な音の正体となった重しを上げて網
から抜け出す。体の凹凸がほとんどないため、難なく抜け出せた。
 「網……」
 何度見ても、それはナイロン製の糸で編まれた漁獲器具であるところの網に相違なかった。紐を引くと
広がった状態の網が天井から落ちて来る仕掛けだったようだ。のこぎりか高枝切りバサミと一緒に、物置
で見つけたといったところだろうか。
 「……」
 こなたのフィギュアをカーテンレール吊りの刑から解放しながら、ゆたかは考える。ゆいがこのような
ことをした動機が、おぼろげながら見えてきたのだ。
 「!」
 そこでゆたかは、大変な事に気付いた。ゆたかの部屋、こなたの部屋と罠が仕掛けられたのなら、泉家
のもう一人の構成員にして当主であるそうじろうの部屋にも何か仕掛けられたと考える方が自然である。
もしそうじろうの逆鱗に触れるような事があれば、下宿先としての泉家を追い出されてしまうかもしれな
い。
 「確かめなきゃ……」
 ゆたかは震える足で階段を上り、そうじろうの部屋の前まで来た。鬼が出るか蛇が出るか。金だらい、
投網ときて、次に待ち受けるは……。
 「伯父さん、入りますよ……」
 玄関で寝ているそうじろうに一応断ってから、ドアを開ける。
 ゆたかは闇に迎えられた。カーテンは元より、雨戸まで締め切っていて真っ暗である。原稿に集中する
際、雑音をシャットアウトする為の措置である。
 「灯り……」
 呟きながら壁際のスイッチを押してみる。が、点灯しない。そして罠も発動しない。この部屋に何か仕
掛けがあるとして、それはスイッチに連動したものではなかったようだ。まだ闇に慣れぬ目で辺りを探り、
やがて一本の紐を見つけた。これを引けば電気がつくはずである。そこでゆたかは、その紐を引っ張った。
 「きゃあああああああああああ」
 ゆたかの体が足を上にして浮き上がる。
446玄関で寝ちゃった2 7/9:2008/12/06(土) 00:36:08 ID:PcwAfCgi
 それはスネア。
 太鼓の一種ではなく、小動物を捕らえるためのリング状にしたロープの罠である。それが小動物的なゆたか
の細い足首を捕らえ、彼女を吊るし上げたのである。
 「お姉ちゃ〜ん、伯父さ〜ん! 助けて〜!」
 禍なるかな。この家にいる者は、ゆたか以外皆玄関で寝ていた。やがてその声が届き、こなたに救出さ
れるまで20分。
 発見された時のゆたかは、頭に血が上った恍惚状態にも似た虚ろな表情と、逆さ吊りによって肌蹴たパ
ジャマの上衣のせいで「無性にそそった」そうである。




 こなたの腕の中で、ゆたかは息も絶え絶えである。非性的な意味で。……別に息絶えようとしているわ
けではない。
 「お姉ちゃん、私もう疲れたよ……」
 救出されたゆたかが発した言葉は某有名アニメの最終回を髣髴とさせたため、こなたは思わず出鱈目な
犬語で答えそうになってしまった。
 「ゆーちゃん、一体何が……」
 こなたとしても驚きを隠せない。何せ助けを呼ぶ声に目を覚ましたら、布団の中にはゆたかの代わりに
ゆいがいて、そうじろうの部屋でゆたかが逆さづりになっていたのだから。
 ゆたかはまず罠を除去していったくだりを簡単に話し、まだ他にも罠があるかもしれないからと注意を
促した。まさに機雷原を啓開した掃海艇の働きである。
 「ゆーちゃん……。頑張った、感動した!」
 ということは、ゆたかを抱き締めるこなたの胸に沸き起こる母性は、掃海「母」艦のそれに相違ない。
こなたは思わず敬礼しそうになった。
 「ゆい姉さんは何でこんな事を……」
 ゆたかは最後の体力を振り絞り、こなたに真相を託す事にした。
 「お姉ちゃんは……寂しかったんだと思う。それでこの家に来てみたら……玄関に鍵がかかってなくて
……」
 不用心だなと思った事はこなたの想像にも難くない。そして事実、そう思ったのだろう。だから罠を仕
掛けた。
 「酔っ払ったゆい姉さんとしては、外敵用の罠のつもりだったってわけだ」
 「うん……たぶん」
 ゆいがどうやって罠の作り方を知ったかについては、ゆたかは吊り上げる為の重しとして、そうじろう
の書棚にあった百科事典が紐にいわかれているのを見てなんとなく想像はついた。
447玄関で寝ちゃった2 8/9:2008/12/06(土) 00:37:03 ID:PcwAfCgi
 「それじゃあね、お姉ちゃん……」
 「ゆーちゃん!?」
 「ちょっと早いけどおやすみなさい……」
 「ああ……うん……」
 疲れ果てて力尽きたゆたかを自分のベッドの布団を持ってきて包んでやり、こなたは玄関へと向かった。
 ゆたかをこのような目に遭わせた大人たちは、報いを受けなければならない。そこでこなたは、何もし
なかった。目が覚めれば、自動的に報いを受けるようになっていたためだ。
 「う……ん……」
 やがてゆいが目を覚ました。眼鏡をかけるまでもなく周囲の状況がおかしいのに気付く。やがて、すぐ
隣で寝ている男性がそうじろうである事に気付いた。
 「い、いやああああああああああああああああ!!」
 エドヴァルド・ムンクが見たら「叫び」というタイトルで絵筆を古いそうな顔で、ゆいは悲鳴を上げた。

 酔って泉家に来たのは覚えている
 ↓
 よく分からないけど伯父と一緒に寝ていたらしい
 ↓
 きよたかがいない寂しさに負けて、伯父といけない仲になってしまった!?
 ↓
 がーん

と考えたためである。
 「んん……」
 あまりにやかましい悲鳴だったため、そうじろうも目を覚ますが、すぐに白目をむいて別の眠りの旅立
ってしまった。彼を遠ざけようとしたゆいの足が顎に入ったためである。
 なおも悲鳴を上げ続けるゆい。お寝坊さんなそうじろう。
 こなたは少し離れたところで、その様子を冷ややかに見ていた。
448玄関で寝ちゃった2 9/9:2008/12/06(土) 00:38:03 ID:PcwAfCgi
 「ゆい姉さんを説教する役は、ゆーちゃんに譲るよ」
 我に帰って落ち着きを取り戻したゆいに、こなたはそう言っただけだった。実のところそれが痛いとこ
ろを突く最良の方法だったため、ゆいは、
 「面目ない……」
と縮こまった。効果覿面である。それでもゆいはこう言い返した。
 「でも、鍵をかけてないのはどうかと思うよ」
 「それは……大丈夫!」
 こなたはない胸張って強気に言う。
 「玄関で三人も寝てれば、侵入者は恐れを為して退散しちゃうよ」
 「私は却って心配になったけどねえ」
 「それよりさ、姉さん……」
 より気がかりな事がこなたにはあった。
 「ゆーちゃんは他にも何か仕掛けがあるかもって言ってたけど、どうなの?」
 「えーと……クローゼットの中は見た?」
 「服に何かしたの?」
 「こなたたちの学校、セーラー服だよね」
 「制服に何かしたの!?」
 「いやー、フグの置物を添えてみた」
 「?」
 「セーラー服……セーラーフグ、って」
 「とりあえず、置物の出所は聞かないでおくよ」
 居酒屋あたりから被害届が出たら、懲戒免職を覚悟しなければならない。
 「ああいうのって高く売れるんでしょ」
 「確かにフグの置物があったら、盗むのを躊躇っちゃうよね!」
 「うん!」
 「いや、姉さん……。笑いながら肯くところじゃないから」
 「それとテレビ……」
 「テレビにも何かしたの!?」
 「ううん、アンテナの方……。鉤付きのロープでよじ登ったりするといけないから……」
 「はわわわ……」
 こなたの顔がずずーんと青ざめる。アニメの放送時間までに復旧できなければ見逃すことになってしま
うからだ。
 「こうしちゃおられん!」
 こなたは復旧にかかるべく、玄関から飛び出して行った。
 さて、どうしたものか……。
 気絶したそうじろうと共に取り残された玄関で頭を掻いていると、ゆいの携帯電話が鳴り、掛けてきた
人の名前が一瞬で時空をバラ色に変えた。
 「きよたかさ〜ん♪」
 電話に出る。
 「ボンジュール♪ マイダーリン♪ マイスウィート♪ マイハニー♪ 愛してるわ、CHU♪ ん? 今
? こなたのとこ。してないしてない。してないよ〜、絡み酒なんて。きよたかさんがいないのが寂しく
て、一人で飲んだだけ♪ 迷惑なんてかけてないから。へーきへーき。ただちょっと、そうじろう伯父さ
んと一緒に」
 黙ってればいいものを……。
 「玄関で寝ちゃったわ〜」


 おわり


44942-115:2008/12/06(土) 00:40:22 ID:PcwAfCgi
 これは三人称で書いてはいけない話だったような気がしてなりません。
 ともあれ、ありがとうございました。
450名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 00:53:11 ID:YQAmSQmq
>>449
ワロタw
何気にグラディウスだし。

次の生け贄は誰だ?
451名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 01:40:22 ID:9MvyZwL3
何だこのホームアローンはwww
452名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 10:37:11 ID:NMoFJUdl
>>449
何をやっているのですかゆい姉さんwwww

相変わらず小ネタも効いて読みながら笑わせていただきましたGJ!
非常識な空間で一人まじめにがんばるゆーちゃんが健気で可愛いです。

最後に、ゆーちゃんお疲れ様。
453名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 12:10:24 ID:dT958KVC
test
454名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 14:03:48 ID:ATx4b5a/
>>449
2行目を読む前に突っ込み入れてしまった私はひねくれ者検定の3級合格かorz
45536-273:2008/12/06(土) 21:53:25 ID:kmMp7OjC
誰もいなければ、三分後あたりに投下いたします。

「明けき秋陽」

・かがみ&みゆき
・非エロ
・みゆき視点
・続き物
・7、8レスくらい
45636-273:2008/12/06(土) 21:57:31 ID:kmMp7OjC
 季節は秋となり、列島各地からは、モミジが色づき始めてきた、という便りが聞こえてきます。
 そんな折、私は一体何をしているかというと、鷹宮の柊家、つまりはかがみさんとつかささんの家にいました。それというのも、土曜日――つまり今日のことです――から日曜日にかけて、泊まりで勉強会を四人で柊家でやる、ということになったのです。
 ただ今はこなたさんとつかささんがいらっしゃいません。夕食の材料を買いに、出かけていらっしゃるのです。よって、今は私とかがみさんだけが家に残って、居間で勉強しています。
 秋ですが、今日は穏やかで温かい日です。居間の窓も開けっ放しになっていて、時折吹くそよ風が私の顔を撫でます。この柊家に来るまでに空を見上げたときは、綺麗な鰯雲もありました。そして、太陽は暖かな光を送ってくれていました。
 私はふと手元のペンを止め、そんな外に想いを馳せ、今日までのことを思い返しました。
 思えば、以前泊まりでの遊びが、こなたさんの家で行われたというときは、私は用事があって行けませんでした。それだけに、今回は行けます、と私がお返事申し上げたときは、皆さん、心底喜んでくれました。
 それは、かがみさんとの屋上での一件から間もない日のこと。それだけに、私は嬉しくて仕方がありませんでした。本当に、自分を必要と思ってくれる人がいる。そう思うと、涙が出てきそうだったのです。
 さすがに涙を見せるわけにはいかないと思い、何とかこらえましたが、あのときの脳裏にはかがみさんの言葉がこびりついていました。すなわち、「みんな、みゆきを友達だと思っている」という言葉が。
 思えば、それまでの私はどこか卑屈であったかもしれません。それは、皆さんに迷惑をかけたくないから、皆さんの役に立ちたいものでいたい、という思いからだったのですが、逆にそれが皆さんの心情を損ねると分かって、私は鈍器で殴られたような衝撃を覚えました。
 ですが、結果的にあの言葉は私を救ってくださいました。本当にかがみさんには感謝しても感謝しきれません。いや、それだけではありません。あの時、私は深い感謝の意とともに、別の感情もわきあがっていました。
 それが何かというと、一旦は諦めかけた、かがみさんへの想いでした。
 このような気持ちになってしまったのはいつ頃からでしょう。私はそのきっかけを失念してしまいました。ですが、これは考えても仕方のないことです。人を好きになるのに理由なんてあるのでしょうか? 私にはないような気がしてやみません。
 ですが、あえてきっかけを挙げろと言われれば……彼女と最初に出会ったときから、その気持ちは静かに燃え始めていたのかも知れません。
 思い起こせば私は、生来人付き合いがうまくありませんでした。内気で、人の輪に入っていくことが苦手だったのです。それでも、徐々に人付き合いに慣れていけば良かったのですが、愚かしいことに私はその努力を怠ってしまったのです。
 きっかけは、小学生のときに学級委員長になったことでした。そのときは特に考えもせずに、先生からの「委員長になってほしい」との要請をただ受け入れただけだったのですが、委員長になって、他人に介入しても委員長だから許されるということに私は気付いたのです。
 それから、私は委員長になり続けることを決意しました。委員長であれば、人の輪に入っていくことも容易でしたし、向こうから人が近づいてくることさえありました。委員長でいる限り、私は友達が出来るという身勝手な錯覚を覚えてしまったのです。
 しかし、ふと気付いたとき、私を名前で呼ぶ人は家族以外にはいなくなってしまい、私は一人の「高良みゆき」という人間でなく、「学級委員長」という身分でしか見られていませんでした。
 よって、同級生との付き合いが長続きすることはありませんでしたし、「親友」などという存在が出来るわけはありませんでした。
457明けき秋陽:2008/12/06(土) 21:58:46 ID:kmMp7OjC
 私は、愕然としました。安易な道を選ぶあまり、私は取り返しのつかないことをしてしまったのです。
 しかし、今更人付き合いの力をつけることは不可能です。それに、もし委員長になることをやめたら、私は人との付き合いが絶たれます。
 そうなったらと思うと、恐怖が私の頭に付きまとい、そして、それが、私が委員長になることをやめさせてくれませんでした。それはまるで薬物依存症の如く。
 わかっちゃいるけどやめられねえ、とはどこかのコメディアンの言葉ですが、まさしく私はその状態でした。ダメなことだとは分かっていますが、やめてしまったら残るのは孤独だけ。それが私は怖かったのです。
 だから、私は高校生になってもこんな状態が続く気がしていました。しかし、そんな私に一抹の変化が訪れたのです。
 それは、陵桜学園で学級委員長になって最初の委員会のことです。私たち学級委員長に課せられた最初の使命は、クラスの親睦を深めるためのレクリエーション大会を企画することでした。そのとき、私は、かがみさん―――柊かがみと、出会ったのです。
「高良さん」
「えっ?」
 委員会での企画立案。それを、私はこの柊かがみさんと組むことになり、机をくっつけあって、対面し、これから企画について話し合おうというそんな矢先のことでした。
 凛とした佇まいに、ややもすれば自己主張が強そうに見えるお顔、そしてスレンダーな肢体。私は、そんなかがみさんからの思わぬ呼びかけに戸惑いました。
「……どうかした? 私、何か変なことを言ったかしら?」
 私の不審な態度をいぶかしんだのか、かがみさんは、いささか怪訝な顔をしました。
 そう、確かに変なことは言っていません。彼女は、私の名字を呼んだだけです。ただ、私にはそれすらも―――久しぶりだったのです。同級生に、名字にさん付けで呼ばれることすらも。同時に、私はそれだけ友情に飢えていたことに気付き、とても悲しくなりました。
 でも、そんなことを悟られるわけにはいきません。私の勝手な想像ですが、見たところ、何だか勘がよさそうなお人です。少し表情を変えただけでも怪しまれるかもしれません。無用なことを悟られては、手数がかかります。
 私は、悟られぬよう顔を平静に保ち、その問いに答えました。
「いえ、何でもありません。ちょっとぼうっとする癖があるものですから……。それより、企画ですよね。何をしましょうか」
 我ながら良く出来た言い訳です。
「そうね……」
 彼女はそう言って、目を辺りにめぐらせました。何か考えているようです。
 やがて、何かを思い立ったのか、ずいっと身を乗り出すと、
「ね、明日のお昼、何か予定ある?」
 その言葉に私は少し戸惑いました。明日のお昼がレクリエーションと何か関係あるのでしょうか。
「お、お昼ですか? いえ、特に何もありませんが……」
「じゃあ、一緒にお昼でも食べながら、考えましょう。その方がいいんじゃないかしら」
「えっ」
 思わず返答に窮した私でしたが、かがみさんはそんなことも知らず、
「何だか、今日中にいい案も出そうにないしね。明日までにお互い考えてきましょう。ね、高良さん」
「え、あ、はい、そうですね……」
「じゃ、決まりね。これからよろしく、高良さん」
 彼女はにこりと笑い、そして、右手をすっと差し出しました。これが何を求めているかは明白です。私は一瞬躊躇しました。
 しかし、断るわけはありません。断る理由などあるわけがありません。私はその手をしっかりと握り返しました。それは、久しぶりに感じた肌の温もりでした。温かい温もりが、身体を満たしていくような……そんな気がしました。あくまでも気のせいだったかもしれません。
 それで、その日の委員会は終わりました。しかし、私はその後もしばらく、握った右手を何だかもてあましていました。何だか、握手したのが夢のようといいましょうか、信じられなかったのです。ですが、握手したことは紛れもない事実でした。
 今思い返せば、あの時の私はさして考えもせず、流されるがままに了承していました。しかし、不思議と悪い気持ちはしませんでした。それどころか、何だか……次の日がものすごく楽しみに思えてきたのです。これは、久しぶりに感じた気持ちでした。
458明けき秋陽:2008/12/06(土) 22:00:52 ID:kmMp7OjC
 そして、その次の日、私はかがみさんとお食事をともにしました。かがみさんは優しく、そして聡明でした。こんな私にかがみさんは優しくしてくれた。ただそれだけが、私にとっては物凄く嬉しいことでした。それから、私はしばしばお話をする仲になったのです。
 学校のこと、世の中のこと、家族のこと……今まで同級生と話さなかったようなことまで会話は広がっていきました。私は、そんな毎日がとても新鮮に思えはじめ、そして毎日が楽しく思えるようになりました。
 やがて、秋になって、つかささんとこなたさんという新しい友達が出来て程なくしてから……私はあることに気付きました。それは、いつの間にか、ついついかがみさんを目で追う癖がついていたことです。一体何故なのでしょう。
 おまけに、目で追う時は、決まって妙な気分が私の心を支配していました。胸がきつく締められてしまうような、不思議な高揚感。それでいて妙に心地よい気持ちです。最初は単なる憧れの気持ちからでしょうか、とでも思いました。
 しかし、何だか単なる憧れの気持ちとは違うような気がするのです。この気持ちは何かと、私は色々な文献を読み漁りました。でも、確かな答えは見つからず、この答えを見つけることは雲を掴むようなことに私は思えました。
 それまで分からなかったことは、調べれば、確かな答えはすぐに見つかりました。図書館、あるいはインターネット、この二つの手段を使えば、何でもすぐにわかる時代です。
 調べればすぐ分かる。思えば、そのスピード感が、知識を得ることの楽しみの一つだったのかもしれません。
 しかし、この感情ばかりはどうにも答えが見つかりませんでした。いや、もしかしたら、ただ、それを認めたくなかっただけで、答えはとうの昔に見つけていたのかもしれません。
 結局、それが「恋」という感情であるとはっきり分かったのは、三年生の春頃にお母さんに相談したときでした。意を決し、この感情は一体何なのだろう、と聞いたときの事です。母は、その感情を「恋」だと断言し、そんなに気に病むことはないと、優しく言ってくれました。
 しかし、これはただの恋ではありません。この道ならぬ恋に走ってしまったこの思いをどうするか。真剣に私は悩みました。しかし、私の身勝手な邪な想いで、かがみさんに迷惑がかかったら、それこそ事です。
 ならば、これは墓場まで持っていく秘密にしなければならない……と、私はこの日に誓いました。
 お母さんにも、これ以上無用な心配をかけたくありません。お母さんは「みゆきにも春が来たのね」と心底喜んでくれたのですが、相手が女性などと知ったら、さすがに驚倒するでしょう。
 私は、母に相手が誰であるかは告げず、相談するのもこれっきりにして、私はこの想いを胸の奥底に封印しました。
 しかし、最近ではこのくすぶり続けた想いも、どうも限界が来ているようでした。有難いことにかがみさんは気付かないようですが、下心が出てしまったような言動や行動をしてしまっていることに私は最近気付きました。
 そうです、あの時だってそうでした。屋上で、かがみさんに頬を叩かれ、そしてかがみさんに抱いていただいたときのことです。かがみさんが目の前にいらっしゃる。そして、私と密着している。そう思うだけで、私の心は爆発しそうでした。それを抑えるのがやっとでした。
 事実私は、はっきりと「大好きですよ」と、あのときに言っていました。かがみさんもかがみさんで気が動転してしまって、その言葉を聞き流したからいいものの、今思うと、私はとんでもないことを言っていたのです。
 もしあの時、かがみさんがあの言葉をちゃんと受け止め、そして私の思いを……受け入れてくださったら。そんなことがあったら私は……いえ、これは勝手な想像ですね。
 ああ、やっぱり私は、気持ち悪い、のでしょうか? そうですよね、勝手に頭の中で変な想像なんかしてしまって、一人で勝手に喜んでいる。これほど気持ち悪いことはありませんよね。
 かがみさんがこんなことを知ったらどうなるでしょう。驚くでしょうね。そして、拒絶するでしょうか。でも、かがみさんなら私を受け入れてくれるような気がする、というのは私の身勝手な錯覚でしょうか……。
 柊かがみ。どうして、どうして、名前を言うだけで、名前を思い浮かべるだけで、こんなにも心が苦しくなるのでしょう。ああ、しかもその人は近くにいるのです。ちょっと手を伸ばせば届く。そんな距離にいるのです。
 手を延ばせば、いえ、せめてもう少しその距離を縮めれば……。
「みゆき?」
「ひゃうっ」
 突然のかがみさんの呼びかけに私は変な声を出してしまいました。
「な、何ですか?」
 まさか、私の考えが読まれたのでしょうか。
459明けき秋陽:2008/12/06(土) 22:02:12 ID:kmMp7OjC
「い、いや、何かさっきから手が動いていないから、どうしたのかな、と思って。大丈夫?」
「え? あ、は、はい。大丈夫です……」
 良かった。どうやら、私の下心が読まれたわけでなかったようです。そればかりか、私の事を心配してくださったなんて……。
「休憩する? ずっと勉強しててさすがに疲れたんじゃない?」
 現在時刻は午後15時6分。9時頃に柊家に着いて、昼食をはさんでずっとしていたので、確かに少し疲れているかもしれません。ちなみにこなたさんとつかささんの二人が買い物に出かけたのは、午後14時50分頃です。
 二人も勉強に疲れたご様子でした。買い物は休憩がてら、ということもあるのでしょう。
「そうですね。休憩しましょう。頭を使うときには、糖分が必要不可欠ですからね」
 と、私は言ってから、私はあることを思い出し、
「そういえば、今日は紅茶を持ってきたんです。飲みませんか?」
「紅茶? ああ、それはいいわね。じゃ、私はお菓子を用意するわ。悪いけど、紅茶の方は頼める?」
「はい、お任せ下さい」
 私はそう言い、鞄から茶葉が入った缶を取り出すと、台所へ向かいました。お湯を沸かし、ポットにお湯と茶葉を入れれば、紅茶が完成です。
 紅茶が完成すると、私は二つのティーカップに紅茶を入れてお盆に載せてから、居間に戻りました。
「お待たせしました」
「お、ありがとう。いただくわね」
 かがみさんはお盆からティーカップを取り、一口飲みました。テーブルには既に、かがみさんが持ってきたと思しきお菓子が載せられています。
 私も座って、紅茶を飲みます。しばし、二人分のお茶のすする音がこだましました。
「この紅茶、セイロン茶みたいな味だけど、何か違うわね。どこの紅茶なの?」
 ひとしきり飲んでから、かがみさんがそう聞きました。そのかがみさんの発言は、まさしく的を射たものでした。
「あ、これは伊勢紅茶という国産の紅茶でして、農林水産大臣賞を連続15回取ったこともあるんですよ」
 私はそう解説しました。
「へぇー。……高かったんじゃない?」
 かがみさんはそう言って、顔を曇らせました。どうやら、私に気を遣わせてしまったと思っているようです。
 私は安心させるように、目を細めて、
「いえ、親戚の方からいただいたものですから。ご心配には及びませんよ」
 嘘です、すみません。本当は、私が買ってきたものです。何だか、今日という日が楽しみで楽しみで仕方なくて、つい衝動買いしてしまったんです。
 でも、私が買ってきたと言ったら、かがみさんに無用な心配をおかけすることになるでしょう。私は、かがみさんのために真実は伝えないことにしました。世の中、知らない方がいいことなんてたくさんあります。ですから、無知は時には幸せなのでしょうね。
「あ、そうなの。いやね、私たちのためにお金かけさせちゃ悪いかな、と思ったんだけど」
 かがみさんは破顔一笑させて、弁明しました。
「そんなことありませんよ。私は、皆さんの喜びが自分の喜びなんです。仮に、これが私が買ってきたものだったとしても、別に惜しむことはありませんよ」
 それは、本当のことでした。私は、かがみさんの笑顔が見れればいいと思っていました。でも、そんな私を気遣ってくれるかがみさんの心はとても嬉しいです。口には出しませんけどね。
「そ、そう? でも、私たちはみゆきに何もしてあげられてないわよね……」
 またかがみさんが顔を曇らせました。困った顔も素敵ですが……でも、やはりあまり困っているご様子は見たくありません。
 私はまた安心させるように、
「そんなことありません。皆さんとともにこの日常を過ごせることこそが、皆さんからの最大の贈り物なんです。まあ、毎日学校で顔を合わせるという日常も、いつか終わってしまうと思うと……少し悲しいですけどね。卒業した後も、私たちの友情は変わりないと信じていますが」
「勿論そうよ。まあ、でも……確かに、卒業は近くなっているわよね。私たちも後がないのに、こんなにゆっくりしていていいのかしら?」
「確かにそうですが、たまには、息抜きも必要です。そうでしょう?」
 このお泊り会の話が出てきたとき、こなたさんはそんなことを言って、かがみさんを説得していました。
「まあ、そうだけど。でも……そのせいで、迷惑をかけていないわよね?」
「迷惑、ですか?」
 私はその問いの意味が分からず、問い返しました。
460明けき秋陽:2008/12/06(土) 22:03:10 ID:kmMp7OjC
「ほら、みゆきは医者志望だから、猛勉強しなきゃいけないでしょ? 私たちなんかと一緒じゃ、足を引っ張られていないかと思って……」
「いえいえ。かがみさんもこの前、言ってくださったではありませんか。私たちは親友だと。親友はお互いを高めあい、助け合う。私はそう理解していますよ。それに、足を引っ張られるどころか、精神面で非常に助けられてます。今日だってそうですよ?」
「そう?」
「ええ……私、いつか、こうして、かがみさんとゆっくり紅茶を飲んでみたかったんです」
「……えっ?」
 かがみさんの顔が驚きの色に塗られました。
「あ、すみません。私の勝手でしたね」
「べ、別にそういうわけじゃないけど……」
「そうですか? なら……良かったです」
「でも、そうね……。たまには、こうしてみゆきとゆっくりお茶を飲むのも悪くないわね」
 かがみさんはそう言って、口元を笑わせました。
「ありがとうございます。私の……ささやかな夢だったんですよ。友人と、お茶を飲んで語り合うということは。ですが、そこまで仲がいいお人がいませんでしたので……。みなみさんは、友人というより姉妹みたいなものでしたし」
「そこが分からないのよね。みゆきをないがしろにするなんて信じられないわ。いつか会う機会があったら、人生損してるって言ってやりなさい」
 その言葉に、私は思わずふふっと笑いました。何ともかがみさんらしい言葉です。
「ええ、いつかお伝えしますね」
 私はそう言ってから、ふと外の庭に目を転じてみました。庭にはコスモスやサルビアなど数々の花々が庭を賑やかせていて、私の目を楽しませてくれました。
「……お庭には、色々なお花がありますね」
 その言葉に、かがみさんも庭に目を向けると、
「そうね。お母さんもお父さんも結構、花の世話が好きなのよ」
「まあ、そうなんですか。あ、そういえば、ご家族の方は今日いらっしゃらないんですか?」
「あー、お父さんは久本の方に地鎮祭に行くって言ってたし、お母さんは近所の人たちと街に出て行ったし、いのり姉さんとまつり姉さんは泊まりで友達と遊ぶって言ってたわね」
「では、今日は私たちだけということですか?」
「んー、まあ、お母さんとお父さんは後で帰ってくるけどね」
「なるほど……。あ、ヒイラギもありますね」
 何気なく目を移した先に、それはありました。ちくちくしたトゲをいっぱい生やしたそれは、まるで他の花を守るんだといっているかのごとく、威圧感を放っていました。
「ああ、ヒイラギね。それはお母さんが買ってきたのよ。縁起かつぎの意味でもあるのかもね」
「なるほど。ヒイラギ……といえば」
「ん? 何かあるの?」
 かがみさんはそう言って、私の顔を覗き込みました。
「あ、こういうと変に思われるかもしれませんけれど」
「構わないわよ」
「では、申しますけど、ヒイラギは、かがみさんに似ているな、と思いまして」
「ヒイラギが? 私に?」
 かがみさんは心底意外そうな顔と声を見せました。
 私は言葉を続けます。
「ええ。ヒイラギは、葉の縁がトゲ状になっています。それはまるで……可憐な白い花を守るように」
 その可憐な白い花は……私でしょうか、それともつかささんでしょうか、はたまた、こなたさんでしょうか……。
 いつだって、かがみさんは、私たちを保護者のような立場で見守ってくれました。こなたさんにしても、つかささんにしても、また僭越ながら私にしても。そんなかがみさんが、私にとってはヒイラギと重なって見えたのです。
「そんな大げさよ。私が守るだなんて―――」
 私は謙遜するかがみさんの言葉を遮りました。
「いえ。そんなことはありませんよ。事実、私たちの中で一番しっかりしていたのはかがみさんです。ええ、いつだって……」
 そうです。かがみさんは、いつも私たちを正しい道へ導いてくれました。ご自身では自覚がないかもしれませんけれど。
「そう、かしらね……」
 かがみさんは薄く頬を染めて、ばつが悪そうに辺りを見回しました。その様子が何とも可愛らしくて、私は不覚にも笑みがこぼれてしまいました。
 いとしい人の仕草というのは、どうしてこうも目を奪われ、そして、いとしく思えるのでしょう。
461明けき秋陽:2008/12/06(土) 22:05:31 ID:kmMp7OjC
「まだありますよ。ヒイラギは、控えめで人の心に安らぎを与えてくれるような、優しい香りを出してくれます。鬼も嫌がる柊が、人の心を穏やかに癒やす花を咲かせるとは驚きです。本当に……かがみさんにそっくりですよ」
 あるときは鬼をも嫌がらすヒイラギとして威圧感を誇り、またあるときは優しい香りを出すように優しく、人の心を癒やしてくれる。考えれば考えるほど、ヒイラギとかがみさんの類似点に驚く私でした。
「ほ、褒めすぎよ……」
 かがみさんはあくまで謙遜しました。
「そんなことはありませんよ。もっと素直になってください。こなたさんやつかささん、それに日下部さんが、何故かがみさんに構ってもらいたがるか。考えたことがありますか?」
 かがみさんは黙って首を振りました。
「みんな、かがみさんが好きなんですよ。あれこれ文句を言っても、最終的には優しくしてくれるかがみさんが。だから、私も、時にはこなたさんたちを羨ましく思ってしまいます。楽しそうにじゃれあってていいなあ……と」
 そうです。皆さん、本当にかがみさんが好きなんでしょうね。私もそんなかがみさんが好きでした。ええ、ずっとずっと前から。この眼鏡を通して……あなたをずっと熱く見ていました。
 だから、私は、気軽にじゃれあえるこなたさんたちが羨ましかったのです。私も、かがみさんに甘えてみたかったのです。
「……みゆきも、羨ましいの?」
 不意にかけられたその問いは、思いもよらないものでした。そして、私は思わず本心をさっき言ってしまったことに気付きました。
 ですが、今更撤回することもできません。私は、意を決して、自分の心を正直に打ち明けることにしました。
「……ええ。私も、時には疲れます。そして、人肌恋しくなるときもあります。かがみさんが、そうであったように」
「……」
 しばし、静かな時が流れました。辺りは静寂そのもので、物音は時折吹くそよ風の風音とそれにそよぐ木々の音だけでした。
しかし、決して険悪な空気ではなく、どこか心地よい沈黙で、まるでここだけが時間の流れから取り残されているような、そんなゆったりした時間に私は思えました。
 それからどれくらい経ったでしょう。しばらくたってから、かがみさんがのそりと立ち上がり、そして私の隣に座りました。
「かがみさん?」
 行動の意味が分からず、私は目をしばたたかせながら聞きました。気がつけば、かがみさんの顔が目の前にあります。毎日毎日見慣れたお顔だと思っていたのに、改めてこうして目前で見ると、私の心が躍りました。
 柔らかで女性的な曲線のライン。確固たる意思を漂わせたすみれ色の瞳。柔らかで艶やかな唇。かがみさんの顔の全てのパーツが私の心を惑わせました。
 ああ、いけません。今はそんなことを考えている場合じゃないのに。
 と、そう思ったときでした。
「え……?」
 私は驚いて、思わず声をあげました。
 なぜかと言うと、かがみさんが黙って私の肩を抱いたのです。
「かがみさん……?」
 もう一度かがみさんの顔を見て、聞きました。心臓がバクバクと、かなり早く脈打ち、体中に響いていることが自分でも分かります。
 かがみさんは顔色一つ変えず、口を開きました。
「ごめん……。でも、聞いて。考えてみれば私は、みゆきに何かしてあげたことなんてほとんどなかった。こっちは何度も迷惑をかけてるのに。
 それどころか、みゆきが悩んでいたことなんて全然気付いていなかったし、あまつさえみゆきの頬をひっぱたいていた。本当に……私は親友の資格さえないと思ってた」
 それは贖罪の言葉でした。私が罪の意識を持っていたように、彼女もそれを持っていたのです。ですが、その罪の意識は誤ったものです。私の罪の意識が、誤ったものだったように。
 私はそんなかがみさんの心を救いたいという気持ちにとらわれました。以前、かがみさんが私の罪の意識を取り払い、救ってくれたように。
「いいんです、いいんですよ……。私は、皆さんとともに過ごせてきたこと、それこそが最高のプレゼントでした。ですから、気に病むことは何もありません。
 かがみさんが私の事を叩いたことだって、あれは当然の仕打ちです。私は、皆さんに失礼な態度で接していた。当然の罰ですよ」
 私は出来るだけ、ゆっくりと優しく言いました。
462明けき秋陽:2008/12/06(土) 22:07:32 ID:kmMp7OjC
「いや、違うの。違うのよ。だからね、もっと……私たちを頼っていいのよ。私がみゆきに甘えたときのように、みゆきも私に甘えていいのよ。勿論私じゃなくてもいい。つかさでも、こなたでもいい。みゆきも言ってたでしょ?
 少し甘えたところで、何の罰もないのよ。私は、親友の……みゆきの力になりたいの」
「かがみさん……。ありがとうございます」
「いいのよ。親友として当然、よ。今更と思うかもしれないけど……」
 そう言って、かがみさんはまた顔を赤くさせました。ふふ、本当に可愛い人ですね。
 私はそんなかがみさんの顔を見て、何か胸の中から滔々とこみ上げてくるものがあることを感じました。それは……母に聞いて、ようやく正体が分かった気持ちです。
 思えば思うほど、胸がきつく締め付けられ、妙に私を心地よくさせるこの気持ち。しかし、相手は同性の人。愛してはいけないはずの人です。後のことを思えば、こんな思い、捨ててしまったほうがいいに違いありません。
 事実、私は母に「この感情は恋である」と宣告されたとき、私は心の整理がつかず、思わず泣き出してしまっていました。母は、そんな私を優しく包み込んでくれましたが、私はそれでもしばらく泣き続けていました。今では何とか心の整理がつきましたが。
 かがみさん。あなたは気付いていないでしょうね。私の本当の罪は、親友に頼れなかったこともそうですが……あなたという、柊かがみという同性の存在に恋をしてしまったことだったということを。
 でも、あなたにも罪はあるのですよ? それは……私の心を奪ったこと。……いえ、これはさすがにおこがましすぎるセリフでしょうかね。
 でも、だからこそ私は、かがみさんに想い人がいると聞いて、心底驚き、その人を羨ましく、そして妬ましく思ったのです。
 ですが、これはいけない感情でした。考えれば当然のことです。女性は男性を好きになる。それが自然の摂理なんですから、かがみさんとて、それは同じこと。当たり前のことを、私は見失っていました。
 愛する人のために、周りが見えなくなる。これが恋の病とか、恋煩いといわれる所以でしょうか。
 かがみさんのその思い人になれたら、どんなに良いことでしょう。そんな身勝手な考えが、私の頭に浮かびました。ですが、そんなことは出来るわけはありませんし、その思い人の方を恨んでも仕方のないことです。
 身勝手なのは分かっています。かがみさんがその方を想うなら、私は精一杯応援します。でも……でも、せめて今だけは、おそばにいさせてください。私には、それだけで十分なのです。
 たまゆらのひと時だけでも、あなたと一緒に同じ時を過ごせるのなら……それだけで……私は……ああ。
 私は、また涙腺がゆるんでいることに気付きました。
「みゆき?」
 かがみさんが心配そうに私の顔を覗き込みました。どうやら涙を流していることが分かってしまったようです。
「大丈夫? どうしたの……?」
 ああ、かがみさん。本当に、優しいです。でも、今はその優しさが痛いのです。でも痛いのに、私はそれが嬉しく、心地よいのです。優しくされればされるほど胸が痛い。でも、優しくされなくなったら心が寂しい。
 本当に、恋というものは難儀なものです。こなたさんが言う「ツンデレ」というのも似たようなものなのでしょうか。
「いえ……。ごみが、入っただけです。ご心配には及びません」
 私は安心させるように、嘘をつきました。嘘は優しいものです。現実を直視せず、虚構に目をいかせます。だから、嘘は……意地悪、です。
「そう? なら、いいんだけどね」
 かがみさんはそう言って、庭に目を向けました。どうやら、嘘が通じたようです。ふふ。素直に嘘を受け入れるなんて、本当に純真ですね。
 ……本当は、かがみさんが他の人と結ばれるなんて嫌です。嫌に決まってます。私の方が、あなたのことを良く知っているはずなのに。それなのに。あなたは行ってしまわれるのですか?
 私はかがみさんのことを何でも知っています。そして、もっと知りたいのです。努力家で成績優秀、そして誰よりも私たち親友のことを考えてくれる友達想いのかがみさんのことが。現実的かつシビアで他人には厳しいけど、寂しがり屋で見栄っ張りなかがみさんのことが。
 私は見ているのがつらくなって、かがみさんの顔から目を背け、庭のヒイラギに目を移しました。ヒイラギをずっと見ていると、一時は急騰した想いが徐々に落ち着いていくのが分かります。ああ、本当に……恋煩い、ですね。
 私は心を落ち着かせ、もう一度良く考えてみました。
463明けき秋陽:2008/12/06(土) 22:08:14 ID:kmMp7OjC
 私は、同性に恋してしまったということに罪悪感をずっと抱いてきました。そして、ずっとこの恋慕を押し殺してきました。でも、私は今、決意しました。私はもう、自分自身を見失いはしません。そして、ゆらゆらと揺蕩うこの感情には何かしら結末を得なければいけません。
 恋々と恋い慕い続けるのは、とてもつらいことです。ですが、この思いに絶対後悔はしたくないのです。かがみさんと友達になれて、かがみさんを好きになれてよかったと、後年そう思えていたいのです。
 そのための行動はいずれ、必ず起こします。私はそう決意しました。
 勿論今でも良いのですが。ただ、今はこうしていたいのです。このかがみさんの温もりを……今だけは、感じていたかった。
「かがみさん」
 私はかがみさんを呼びました。どうしてもこれだけは告げなければ、と思って。
「ん……何?」
「いつまでも……いつまでも、温かいままのかがみさんでいてくださいね」
「当たり前じゃない。何言ってるのよ」
 そう言って笑ったかがみさんは、とても頼もしく見えて、そして、かがみさんを好きになれてよかった、と、そう思える笑顔でした。
 不意に、紅茶の香りが私の鼻腔をくすぐりました。そんな紅茶の香り、じょうじょうと吹く微風、太陽とかがみさんの温もり、その全てが私にとっては心地よいものでした。
 柔らかな秋陽に照らされた私たちは、そのまましばし、時を忘れていました。この時がいつまでも、いつまでも続くように祈りながら……。

46436-273:2008/12/06(土) 22:09:27 ID:kmMp7OjC
以上です。
前回はちょっと暗いお話だったので、今回は比較的明るいお話です。
何となく、かがみは一人で問題を抱え込みがちなような気がします。弱い自分を見せたくないという心の現われなのでしょうが、それがツンデレといわれる所以なのかもしれません。だから前回のお話の最後は暗めでした。
対してみゆきさんは何だかポジティブに生きてるような気がするので、明るめです。実際みゆきさんのキャラソンも、ややもすれば自虐的な歌詞をあんなに明るく歌えるのは凄いことだと私は思うのです。

明暗がはっきり分かれた二人がどうなるのかとか、柊姉妹は和解するのかとか、こなたが二人のフラグ立てにどうアシストするかとかは……また次回に。次回で終わると……いいなあ。

では、これで。
465名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 11:15:19 ID:cbV3EeiF
>>464
乙でした。
前回の投稿からみゆきさんスキーとして首を長くして待っておりました。
みゆきさんの内面を真面目に描写した作品は本当に希少なので
とてもありがたいです。

あまりにも真面目すぎて他人を否定する前に自分を否定してしまう描写が
決して他人を悪く言うことのないみゆきさんらしいな、と思いました。
しかしそれが恋愛においてまで発揮されるとなると…
みゆきさんの苦悩の深さが、読んでるだけで伝わってきます。

キャラソンに関してはなるほどと思いました。
たしかに自分のことを自虐的に評してはいますが
そのことを素直に認めて、それでも前向きにやっていこうというのは
むしろみゆきさんの強さであるといえるかもしれないですね。

今回も素晴らしいみゆきさんをありがとうございました。
次回の投下を楽しみにしています!


>>436
>そうか、「みwiki」を悪口と認識していたのねみゆきさん・・・orz
みゆきさんスキーとしてこちらにも反応してみますが
みゆきさんとしては

「みwiki…ですか?
あ、私の名前とWikipediaをかけているのですね。
うふふ。おほめ頂きありがとうございます。私もWikipediaはよく利用してますよ。
ええ、編集にも参加しています。
ただ、みwikiというあだ名がWikipediaから来ているとしたら、ちょっと不正確かもしれないですね。
そもそもWikipediaという名前は、ウィキペディアが使用しているMediaWikiと呼ばれる
ウィキソフトウェアの「Wiki」と、百科事典を意味する英語「encyclopedia(エンサイクロぺディア)」との合成語であり……
…………」

みたいな感じで褒め言葉として受け取ってくれそうな気もしますが
ファン心理としては「みゆき」という名前を略したりせずに
ちゃんと呼んであげたいという思いがあります。
そういう理由もあってか、アニキャラ個別のみゆきさんスレでは
「みwiki」というあだ名は使われず、こなたと同じく敬愛と親しみを込めて「みゆきさん」と呼ぶのが一般的ですね。
466名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:01:48 ID:sENrRE78
>>436
>>464
GJ!
どちらもみゆきさんがかわいかった。


それにしても、作品も感想も少なくなってきたなあ……寂しい限り。
467名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 21:07:19 ID:MP+7/CLv
読んでるといえば読んでる

ただ、この時期、ひよりみたいに一匹の蚊に情けをかけていられないくらい焦って作業中で感想まで手が……
468名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:10:11 ID:qQzcluc4
ああ、そうか。
冬のお祭り向けに修羅場ってる書き手がけっこういるのかw
マニアうよう、頑張ってくださいw
469名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 22:14:47 ID:4dNG/Qwr
>>468
素の誤変換だろうけど、こなたのPC吹いたww
470名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 01:19:50 ID:U63aRDI9
>>469
そこで『こなたのPC』と解釈するお前様の斜め上発想に萌えた。









みゆき『>>468のこなたさんのドジっぷりに萌えましただばだば』
471名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 02:07:46 ID:Lk2RgfOZ
師走ですからね、忙しいっす
でもどの作品も楽しませてもらってますぜ
472名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 21:25:32 ID:6vik7E4p
素の誤変換になってしまうあたり、>>468はこなたの家に遊びに来たかがみ
473名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 22:13:26 ID:qNu/igoJ
思いついた小ネタ

白ゆたか編
「私、田村さんに嫌われたのかな。」
「どしたの、ゆーちゃん。」
「最近挨拶しても返事してくれないし、この前なんて凄い顔でにらまれちゃった。」
「ひよりん、だいぶ修羅場だね」

黒ゆたか編
「私、田村さんに嫌われたのかな。」
「どしたの、ゆーちゃん。」
「最近挨拶しても返事してくれないから、ローターを強にしたら凄い顔でにらまれちゃった。」
「何やってんの、ゆーちゃん。」
474名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 17:16:12 ID:o/h1FAm2
>>473
なんという天然鬼畜かww
475みなみ:2008/12/09(火) 21:45:40 ID:DrbLjDQX
>>473
なぜ・・・私じゃなくて・・・田村さんなの・・・;;
こうなったら・・・わたしも・・・;;











ちょwwww結局このパターンwwww
み、みなみちゃんらめええええアッーーーー!!
47652-426(仮):2008/12/09(火) 23:45:27 ID:9AV32cJC
>>473
黒くなる寸前のゆたか編
「私、田村さんに嫌われたのかな」
「どしたの、ゆーちゃん」
「最近挨拶しても返事してくれないから、ローター入れようかどうか迷ってんだ」
「やめときなよ」

では、5分後に投下させていただきます。
・8レス使います
・ほのぼの系
・オリキャラ有り
477ある冬の休日〜チェリー視点〜1/8:2008/12/09(火) 23:50:59 ID:9AV32cJC
では投下させていただきます


※チェリー視点、つまり、今回のSSは動物の視点です。
 人間との会話を区別するために、人間の会話は「」、動物の会話は『』で区別しています。

『はう〜あったかいなぁ〜』
今日は外が寒いので、私はホットカーペットとリビングの灯油ストーブの近くで暖まっている。
「全く、チェリーったらぐうたらさんなんだから」
お母さんが困ったように呟く。でも、寒いからいいじゃん。
「………………」
みなみちゃんが、私をじーっと見つめている。すると突然
ボフッ
「あったかい……」
犬枕された。何回もやられてるので、今更気にしてはいないが、ちょっと苦しい。
「チェリーって、あったかいね……」
まぁ、みなみちゃんが幸せならそれでいっかな。
突然、リビングの大きな窓ガラスから、コンコンと音がした。
「あら?」
お母さんが、窓ガラスのほうに向かってカーテンを開けるとそこには黒く、まるで野良猫とは思えない
綺麗な毛をしており、右眼が青く左眼が金色のオッドアイのペルシャ猫、
そう、私のお友達のフレディさんがいた。
「はいはい。待っててね、すぐ開けるから」
そう言ってお母さんはリビングの窓を開けた。
「フレディちゃん、足を洗ってから――」
フレディさんは、お母さんの用意した床に置いたタオルで、自分から足を拭いた。
「あらあら、フレディちゃんは賢いわね」
フレディさんは、私の元に来た。
『よっ』
『こんにちは』
『なぁ、お前さん何してんだい?』
『犬枕』
『犬枕ねぇ……苦しくないか?』
『ちょっと。でも、みなみちゃんは軽いから気にならないし、それにみなみちゃんは
 気持ちよさそうにしてるから、このままほっとくよ』
『気持ちよさそうね。なるほど。道理で当の本人もスヤスヤ眠っているわけだ』
ここからじゃ表情は分からないが、みなみちゃんはスヤスヤと寝息をたてている。
『綺麗な寝顔だ』フレディさんは言った。
『思わずキスをして起こしたくなるな。犬枕に惹かれたお姫様を起こすのは、
 放浪の旅を続けてきた黒騎士ってところか?』
『だめだよ、起こしちゃ』
「二匹とも、仲がいいわねぇ。ほらフレディちゃん、ミルクよ」
『おう、ありがとう。一仕事終えた後のミルクは格別なんだよな』
フレディさんは、お母さんの用意したミルクをピチャピチャ飲み始めた。
『今日のお仕事って、なんだったの?フレディさん』
『なに、くだらないケンカの仲裁さ。なんでも、メス猫の取り合いをしてるヤツがいてな。
 大喧嘩に発展しそうなところを、俺に止めてほしいって言ってきてな。
 メス猫はどちらとも付き合いたくないって言ってるから、俺がケンカを大きくしないように
 しただけさ。後は、野良犬夫婦の子供がいなくなってしまったから捜してくださいって
 俺に言ってきて、寒空の中捜してきたんだ。幸い発見が早く子供はピンピンしてたよ。
 マラソン大会にだって出られるほどの体力だったぜ』
『へー。フレディさんって、大変だねぇ』
478ある冬の休日〜チェリー視点〜2/8:2008/12/09(火) 23:51:46 ID:9AV32cJC
『まぁ、ここら一帯の動物を仕切っているからな。生態バランスを配慮して、
 ある時は守り、ある時は狩るっていうのが俺の主義だ。
 それに、俺はそうやって飯を稼いでるからな。貧乏暇無しってわけだ』
『すごいなー』
『貧乏なだけだよ』
リビングから、チャイムの音が響いた。
『おい!』フレディさんは叫んだ。
『起きなお姫様!寝顔を写真に収められて、ルーブル美術館のモナ・リザの隣に飾られたいか!?』
『わわわ、フレディさん!?』
「……うぅ〜ん……」
みなみちゃんが眼を擦りながら起き上がった。
「……あれ?寝ちゃってた?」
『フレディさん、いきなり起こすのはひどいよ〜』
『俺はこいつのためにやったんだ。以前、こいつは犬枕をしている最中、お隣の
 美人な奥様に写真に撮られて恥ずかしがっていたからな。そうならないようにしただけだ』
『でもぉ……お客さんはみなみちゃんに会わないかもしれないのに?』
『ここの家に向かう途中、こいつの友達っぽいやつが家に向かっていてな。多分、こいつ目当てだろう』
『ほんとかなぁ……』
すると、玄関先から小さな声が聞こえてきた。
「ほらほら、そーっと近づいてごらん……♪みなみは多分、寝ちゃってると思うから……」
「みなみちゃんの寝顔かぁ……」
「くおぉぉぉ。それはいいっすね」
「まさに萌え要素のヒトつとイったところデスかね?」
お母さんの声に、みなみちゃんのお友達の声がする。
「……お母さん?なにヒソヒソ話してるの?」
みなみちゃんは、玄関のドアを開けた。
「あ、あら?起きちゃったの?」
「あ、みなみちゃん、こんにちは」
「うん、ゆたか。こんにちは」
みなみちゃんのお友達が、リビングに入ってきた。
「……ところで、なに話してたの?」
「いやぁ、それが」田村さんは言った。
「岩崎さんの犬枕で寝ている姿が見れるって、おばさんが言ってたから、覗き見ようと思ったら、
 岩崎さんが起きちゃったわけだよ」
「ムウウ……スコしミてみたかったです……」
フレディさんはフフンと鼻を鳴らした。
『残念だったな。お姫様は俺がキスしたら起きちまったんだ』
ゆたかちゃんが、フレディさんのところに向かった。
「あ、フレディさんこんにちは」
『こんにちは。また会えて光栄だ』
「わぁ、握手した〜!」
「私にもやらせて!」
「ワタシも!」
フレディさんがパティさんと田村さんにも握手した。
なんでそんなに握手したがるんだろう。不思議だ。
「みんな、寒いだろうから暖まってて。すぐに暖かい飲み物持ってくるから」
「うん。ありがとう」
みなみちゃんは、台所に向かって、コーヒーを作りはじめた。
『ふむ』フレディさんが呟いた。
『田村は、なかなかいい仕事をしている。手にペンだこが出来ていた』
479ある冬の休日〜チェリー視点〜3/8:2008/12/09(火) 23:52:34 ID:9AV32cJC
『分かるの?』
『握手すれば、大抵のことは分かるさ。ペンだこができるほどなにかに熱中していることは、
 なかなか面白い女性だな。田村は』
『……私はあまり気に食わないな』
『どうしてだ?』
『……みなみちゃんを最初に奪ったやつだから(※ヤンデレナワタシ参照)』
『……オーケイ、少し落ち着こうな』
私は田村さんが何かしないか、じっと睨みつけた。
「い、岩崎さん……?なんかチェリーちゃん私を睨みつけてくるんだけど〜……」
「た、田村さんが気にいってるんじゃない……?」
「こっち見て言ってくださいよぉ!はうぅ〜、やっぱり私って、動物に嫌われるタイプかなぁ」
『しょうがねぇな……』
フレディさんが、田村さんの膝に向かい、膝の上で丸まった。
「あ、あれ?なんかこの子、なついているよ?」
「うわぁ〜かわいい〜。田村さん、フレディさんがなついているね」
「そ、そうだね。……な〜んだ。てっきり私って、動物に嫌われているのかと思っていたよ」
フレディさんは、幸せそうに笑う田村さんを見て、目を細めた。
……べ、別に私は良かったとか思ってなんかないんだからね!
勘違いしないでね!


みなみちゃんが、テーブルにコタツにコーヒーを置いて、レコードをかけて友達と会話をした。
『ショパンのマズルカ第5番変ロ長調Op7NO.1、か……』フレディさんが呟いた。
『どうせだったら、QUEENをかけてくればいいのにな……』
『クラシック嫌いなの?』
『別に嫌いというわけじゃないんだが、聴き飽きたんだ。
 俺は、リアルタイムでベートーヴェンやモーツァルトやショパン等を聴いた猫だぜ。もう一つ、前の飼い主が
 クラシック好きでな。何度も聴かされた。
 前の飼い主はそりゃいやみな飼い主でな。クラシックが全て、他の音楽は邪道だ!
 ロックなんて、ベートーヴェンの足元にも及ばないって、ロックをバカにしてよ。
 別にクラシックが悪いわけじゃないのに、前の飼い主のせいで嫌いになった』
『ふーん』
『というわけで、QUEENの音楽を何でもいいから、かけてくれって伝えてくれ』
『うん。わかった』
私は、みなみちゃんのところに向かった。
「……どうしたの?」
『あのね、フレディさんがQUEENをなんでもいいから聴かせてって』
「……おやつが欲しいんだね。ちょっと待ってて」
『え、おやつ!?』
みなみちゃんが、冷蔵庫の中からチーズを出した。
『おやつ♪おやつ♪』
「チェリーちゃんって、チーズ好きなんスか?」
「うん。多分、お肉より好きかも。はい、落ち着いて食べるんだよ」
『わーい♪』
おいしそうなチーズを咥えて、フレディさんのところにおすそ分けした。
『はい。フレディさんも食べなよ』
『……お前な、当初の目的覚えてるか?』
『………………なんだっけ』
『はぁ……もういいよ。チーズを頂こうか』
『はい。召し上がれ』
480ある冬の休日〜チェリー視点〜4/8:2008/12/09(火) 23:53:44 ID:9AV32cJC
フレディさんと私は、チーズを食べた。
やっぱり、私はお肉もいいけど、チーズも大好きだ。


「それじゃぁ」ゆたかちゃんが言った。
「体もあったまったことだし、そろそろ始めようかな」
そう言って、ゆたかちゃんはカバンから大きな紙を取り出した。
「小早川さんは、何の話を書くの?」
「うん。ドジなサンタさんのお話なの。
 そのサンタさんは、ドジばかりしていて、同じサンタさんから「ドジ」って言われてるの。
 そんなドジは、一人の女の子のお願いを聞くんだ。
 『この街は、雪が降らないから、雪を降らせてほしい』っていうお願いで、
 ドジは、街に雪を降らすために神様にお願いしにいくって話し」
「……かわいいお話」
「ありがとう」
なにやら、難しい話をしているようで、私にはあまり理解できない。
『フレディさん、サンタさんって、なに?』
『12月24日に、良い子にプレゼントを配ってくれる白い髭のおっさんのことだよ』
『ふーん』
田村さんもカバンから大きな紙を取り出した。
「田村さんは、どんな話を書くの?」
「それはデスね、いたいけなショウジョをリョウジョクする――」
「待ったパティ!一般人をそっちの世界に連れて行っちゃだめっす!
 ……えーと、まぁ、普通の恋愛物、かなぁ……」
田村さんはアハハと笑った。
『りょうじょくって、なに?』
『ガキは寝とけって意味さ』
『ふーん』
田村さんは、私にはなんだか分からないような道具を出して、組み立てた。
「それじゃぁ、なにか分からないところがあったら、何でも聞いて。私ができるだけ教えてあげるから」
「うん。ありがとう」
「……それじゃぁ、私はコーヒーのおかわりでも持ってくる」
それから、四人は作業に取り掛かった。



それからは互いに無言だった。
四人とも何かに集中しているらしく、あまり会話はない。
フレディさんは、田村さんもさすがに足が痺れてきたのか、自分から勝手に膝から降りて、
今は私の上でグテーンとしている。
「う〜ん……」ゆたかちゃんが、腕を組んで悩んでいる。
「……どうしたの?」
「ちょっとね。続きが思い浮かばなくて……」
「よくあることだよ、話を書いてるときは。私も今つまってんだ〜。なかなかアイディアが思い浮かばなくて」
田村さんが、ペンをクルクル回した。
「ところで」田村さんが言った。
「どこらへんがつまってるの?」
「女の子のお願いごとを叶えに神様の元に行くっていうのは思いついたんだけど……」
「そこからどうやって神様の元に行くかがつまったわけっスね」
「うん。どうやったらドジを大変にさせたらいいのかが分からなくて……。田村さんは?」
481ある冬の休日〜チェリー視点〜5/8:2008/12/09(火) 23:54:29 ID:9AV32cJC
「私は……まぁ色々っス」
それからまた無言になった。
ゆたかちゃんもうんうん唸り、田村さんは何度も紙に書いては丸めるのを繰り返している。
『なぁチェリー』私の上でくつろいでいたフレディさんが言った。
『外行かないか?』
『えぇ〜。今日は寒いのに?』
『特に寒い天気じゃないだろうが。お前はそれでも誇り高き犬ぞりの子孫かよ』
『私、そんなこと知らないよ〜』
『つべこべ言わずさっさと行け!』
『ふぇぇ〜。は〜い』
私はしぶしぶ立ち上がり、こたつに入っているみなみちゃんをゆする。
「……どうしたの?」
『あのね、フレディさんが散歩に行こうって』
「おやつならさっきあげたじゃない。……しょうがないな。これが最後だよ」
『え、おやつ!?わーい……』
『違う!』
フレディさんから強烈なネコパンチを喰らった。痛い。
私は、みなみちゃんの袖を引っ張った。
「もしかして、散歩?」
『うん、そうだよ。フレディさんが行こうって言い出して……』
「もしかしたら、トイレも近いのかな。みんな、ちょっとチェリーの散歩に行ってくる……」
「……あ、みなみちゃん。私も行っていいかな?」
ゆたかちゃんがペンを置いた。
フレディさんのほうを見ると、一瞬ニヤっと笑ったのが見えた。
「いいけど、外、寒いよ?」
「厚着をすれば大丈夫だよ。私、ちょっと体を動かしたくなったし」
「岩崎さん。私もいいかな?ちょっと気分転換になると思うから」
「ワタシもでス!」
三人はこたつから出て、出かける準備をする。
みなみちゃんもこれ以上何も言わず、ただ三人の準備が終わるのを待っていた。



「う〜、やっぱり寒いね〜」
ゆたかちゃんが、手にハァと息を当てた。
「……無理はしないで」
「大丈夫だよみなみちゃん。厚着をしてるから」
『寒いよ〜フレディさ〜ん』
『厚い毛を持ってるんだから大丈夫だろ』
『うぅ〜』
『ったく、情けねぇな……』
フレディさんは寒くないのかなぁ……。よくみなみちゃんが「犬は喜び庭かけまわり♪猫はコタツで丸くなる♪」
っていう歌を歌っているけど、あんなのは絶対嘘だ。
犬だって、コタツで丸くなりたい。
「それにしても」田村さんがポケットの中に手を突っ込んだ。
「岩崎さんの皮ジャン、かっこいいね」
「……これ、お父さんがいらないって言ったから、もらったの」
「Hum……これはかっこいいデスね。新たな萌えの形でスね!」
「そうそう、これで銃とか持たせて、『地獄で会おう。その時は酒でも飲みながら……』とか言ったら、
絶対かっこいいよ!」
482ある冬の休日〜チェリー視点〜6/8:2008/12/09(火) 23:55:23 ID:9AV32cJC
「……なんのはなし?」
「なんでもないッス。……ところで」
田村さんが、フレディさんをチラっと見た。
「なんでフレディさんまで一緒にいるの?」
『それは俺も行きたかったからさ。美女との散歩だなんて、滅多に無いからな。
 それに、俺は寒いのが好きなんだ』
「ゲンキなネコですネェ」

それから、私たちはしばらく歩いていると、前からいつも出会うおばちゃんと、知り合いの犬である
ゴールデンレトリーバーのメアリーちゃんが散歩している。
「あら、こんにちは」
「……こんにちは」
『あーっ、チェリーちゃん』
『メアリーちゃーん』
『ちーっす』
「あらあら、チェリーにフレディさんじゃない……あら?そこの女の子は?」
「私の友達です」
「こんにちは」
「コンニチハ〜」
皆がおばさんに挨拶した。
「こんにちは。みんな揃って仲良くお散歩なの?」
「はい」
田村さんは、メアリーちゃんを見つめた。
「この子、メスっすか?」
「うん。そうよ。だからチェリーちゃんと仲がいいのかねぇ。男の子だったら、よく喧嘩とかしちゃうわよね」
「あ〜、分かるッス。私も犬の散歩中、性別の違う犬同士だったら、喧嘩になりがちッス。
 まぁ、決まって男が弱いけど」
「あははは、私もよくあるわ」
田村さんとおばちゃんが、なにやら私たちのことで話しが盛り上がっているようだ。
『ねぇメアリーちゃん』
『なぁに?』
『メアリーちゃんは寒くないの?』
『寒いけど、私は散歩が大好きだから、別に気にならないよ〜』
『私はすっごく寒いよ〜。本当は家でコタツでゴロゴロしたかったのに……フレディさんが……』
『お前のたるんだ根性を叩きなおすために外に出したんだ。それに……』
『それに?』
『気分転換すれば、なにかが解決すると思ってな』
それから、私たちはしばらく会話をして、散歩の続きに行った。



私たちが次に向かった先は、公園だった。
小さい公園で、赤い色をしたすべりだいに、二つのブランコがあるだけの質素な公園だ。
「こんなところに公園があったんスねぇ」
「……チェリーが小さい頃、よくここで散歩させてたの。今はたまにしかよらないけど」
「でもみなみちゃん、ここの看板に「犬はダメ」って書いてるけど……」
みなみちゃんはクスッと笑った。
「跡を残さなかったら大丈夫だから」
「あー、みなみちゃんズルっこー」
みんながみなみちゃんを笑った。
483ある冬の休日〜チェリー視点〜7/8:2008/12/09(火) 23:56:10 ID:9AV32cJC
それにつられてみなみちゃんも普段見れないような笑顔を見せた。
「ふ〜ん……」田村さんがみなみちゃんを見つめた。
「岩崎さんも結構、笑えるじゃん」
「え、そうかな……?」
「さっきの笑ミは、まさに萌えましたヨ〜」
「みなみちゃんすごいかわいかったよ〜」
みなみちゃんが顔を赤くしながらも、笑っていた。
「あ、小早川さんブランコ乗ってみない?」
「うん!」
ゆたかちゃんと田村さんが嬉しそうに、ブランコに乗って、漕ぎ出した。
「ブランコだなんて、久しぶりだな〜。小学生以来かな?」
ゆたかちゃんはブランコをゆっくりと漕ぎながら言った。
「私は、中学生の頃に乗ったのが最後かな〜。
 そういや、小学生の頃クツ飛ばしが流行ってね。私もよくクツを飛ばしたりしてたよ……そぉれ!」
田村さんが、クツを思い切り飛ばした。
『さぁて、チェリー。ちょっと遊ぼうぜ』
『遊ぶって?』
『こういうこと』
フレディさんは突然、みなみちゃんに抱きついた。
「ちょ、ちょっと、フレディさん?」
『いまだチェリー、みなみの手は緩んだ状態だ。……分かるか?』
『……分かった』
私は、一気にみなみちゃんの手から離れ、田村さんの飛ばしたクツを咥えた。
「あぁ!わたしのクツがぁぁぁ!」
『へへーんだ!取れるものなら取ってみろー!!』
「こらー!かえせー!」
田村さんが片足でピョンピョン飛び跳ねながらこっちにやってくる。
私は、田村さんが近づいてくると、離れては止まるを繰り返した。
その結果、田村さんは息を荒立てながら凄い形相でこっちにやってくる。
「ちょ、ちょっとチェリー!」
みなみちゃんが必死に私を追いかけてくる。
「ヒヨリン、他人がミたらあなた、ぜったいにヘンなヒトでス〜!」
「あははははっ!た、田村さんなんかおかしいよ〜」
「うぅ〜、みんな笑うな〜!」
いつのまにか公園には笑い声で満たされていた。
滅多に笑わないはずのみなみちゃんも、本当に楽しそうに笑っていた。



「私ね」小早川さんが、ブランコにゆっくり動かしながら言った。
「絵本のネタ、思いついちゃった」
「……どんなの?」
「最初は、ドジはたった一人で神様の元に向かうって、考えてたんだ。
 でも、やっぱりそれはやめた。
 私が考えたのはね、雪を降らせてほしいって神様の元に向かおうとするドジを最初は他のサンタさんは
 笑った。けど、健気にがんばる姿を見たサンタは、ドジと一緒に神様の元に向かおうって、決心するんだ。
 みんなと一緒なら、きっと神様の元に行けるって励ましあいながら……」
「……いい話だね」
「私も、散歩してたら色々思いついちゃった」田村さんが言った。
「キャラクターの設定にすんごく悩んでたんだけど、岩崎さんの革ジャン姿を見てたら、新しいキャラクターが
 やっと固まったよ」
484ある冬の休日〜チェリー視点〜8/8:2008/12/09(火) 23:56:43 ID:9AV32cJC
「……私を見て?」
「そうでス!みなみはカッコいいとこイッパイあるから、ネタがどんどんウかんできまス!」
「……そうなの?」
ゆたかちゃんは、ブランコから降りた。
「ねぇ、そろそろ帰ろうよ。寒くなってきちゃったし、思いついたことすぐに描きたいから」
「……うん、そうだね。帰ろう」
「よーし!描くっスよー!」
「ひよりんもゆたかもFIGHTです!」
こうして、私たちは帰路につくことにした。
『ねぇフレディさん』私はフレディさんに尋ねた。
『もしかして、これを狙ってたの?』
フレディさんは、ニヤリと笑みを浮かべた。
『どうだかな』
48552-426(仮):2008/12/09(火) 23:57:21 ID:9AV32cJC
以上です。
なんかひよりとパティの言葉遣いが違うような……
というか、チェリー視点でやる必要があるのかどうか分からないSSでしたねすみません。
6巻102ページの『ツンデレ?』の一コマ目のチェリーを見てたら思いつきました。
失礼しました。
486名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 12:30:11 ID:hMFAbduw
1回ものかと思っていたら、まさかの続編!
フレディはオリジナルだけど素敵キャラすぎてはまっちまいそうだぜ!
1年生達をからめてのほほえましきストーリーに思わずニヤニヤw
もうこうなったら他の主要キャラも絡めて続きを作っちまえ
ってくらい、GJ!
487名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 23:06:35 ID:QaTt1CMW
>>485
GJです。
フレディさん、めっちゃんこ渋いよw
話もほのぼのしてて好きですし、続きが読みたいかも。
488名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 00:26:32 ID:gsL9eaqR
投下された方々、お疲れ様です。
準備される方がおられなければ、投下いたします。
489名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 00:27:22 ID:keWIWnKZ
GJ!
動物たちの言葉づかいとかカワイイWW
ほのぼのとした光景が目に浮かぶようなお話でした。
49023-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/11(木) 00:31:05 ID:gsL9eaqR
「Affair 第2話」

・つかさ×こなた、かがみ

注意事項

・続きもの
・ダーク
・非エロ
・6レス程度使用
491Affair 1/6:2008/12/11(木) 00:31:45 ID:gsL9eaqR
「ふう」
 眠っているゆたかちゃんに布団をかけながら、私はため息をついた。
 小早川ゆたかちゃんは、小柄で華奢だけに体重は軽いけれど、私にもそれ程、腕力がある訳ではない。
 彼女を背負うことはできても、移動することは難しい。
 仕方なく、店員さんには電話で呼んだタクシーが停まっている場所まで、ホテルの従業員さんには、
ホテルの玄関から予約した部屋まで運んで貰うようにお願いして、何とかベッドの上まで辿り着いた訳なのだけど。

 私は、ゆたかちゃんのベッドの端っこに座りながら、ゆたかちゃんの寝顔をじっと見つめる。
(やっぱり、かわいいなあ)
 純粋で無垢で、天使のようなあどけない寝顔に、吸い込まれそうになる。

 以前から思っているけれど、小早川ゆたかちゃんは、『かわいい』という単語を具現化したような存在だ。
 閉じられている大きな瞼に、長めのまつげ、小さめの唇、ふっくらしたほっぺはもちろん、二つのリボンで結ばれた、
ふわふあの髪が、可愛らしい顔とマッチして、とても危険な魅力を放っている。
 こなちゃんや、みなみちゃんが夢中になるのも、分かるような気がする。

 ゆたかちゃんのすぐ隣に座ってから、人刺し指を伸ばして左のほっぺたをつつくと、
柔らかい感触とともに、ふにっとへこんでしまう。
 あきれるくらい無防備で、ほんの少し力を入れただけで簡単に壊れてしまいそうな程弱くて、それだからこそ
誰もが強い庇護欲に誘われる。

(さて、これからどうしようかな? )
 ゆたかちゃんを誘って食事をして、お酒に酔わせて部屋に連れていくところまでは、計画通りだったけれど、
この先は何も決まっていない。

 エッチをしようと誘っても、絶対に断られないという自信はある。
 ゆたかちゃんとは、夏に一度関係を持っているから、今さら本気で抵抗されることはないはず。
 それに、話を聞く限りでは、仕事が忙しいこなちゃんとは、とんと『ご無沙汰』らしくて、
かなり欲求不満が溜まっているみたいだから、誘えば簡単に落ちそうだ。

 でも、このまま単純に『シテ』しまっても面白みには欠ける。
 こなちゃんの表現を借りれば、選択肢が無く、エンドまで一直線の美少女ゲームほどつまらないモノはない、ということになる。
 最初は嫌がって抵抗しても、気持ちとは関係なく身体が反応してしまい、最後にはよがり狂ってしまうという
シチュエーションが好きだけど、それはそれで都合が良すぎるかもしれない。 
 
「うーん」
 あれこれ思い悩むのは得意じゃない。
 私は、堂々めぐりになりかけた思考を止めて、こなちゃんに電話をすることにした。
492Affair 2/6:2008/12/11(木) 00:32:31 ID:gsL9eaqR
「もしもし」
『もしもし…… つかさ? 』

「うん。こんばんは、こなちゃん」
 とても懐かしい声が聞こえてくる。
「こんな時間に何? 」
 既に、午後10時を回っている。高校生の時だったら眠くてベッドに入っている時間だ。
「こなちゃん。まだ仕事だったの? 」
 そういえば、残業が多いってゆたかちゃんが言っていた。
『ううん。仕事は終わって駅で電車を待っているところ』
 耳を澄ましてみると、電話の向こう側からは様々なノイズが伝わってくる。

『で、何の用? 』
 こなちゃんの声はひどくそっけない。昔には戻れないことを思い出して、胸が少しだけ痛くなる。
「あのね。今日、ゆたかちゃんと食事をしたのだけど」
『ふーん』
「ゆたかちゃん。お酒に酔って寝ちゃったの」
『…… で? 』
「だから、今日はホテルに泊めていくね。それとも迎えにくる? だったらホテルの名前と場所を教えるけれど」
 伝えるべきことを言い終え、返事を待つ。
 かなり長い沈黙が続いた後、こなちゃんはようやく口を開いた。

『構わないよ』
「えっ? 」
 ちょっと意外な返事だ。
『悪いけれど、ゆーちゃんをホテルに泊めて貰えるかな』
「それは、いいけれど? 」
 戸惑う私に、こなちゃんの声が覆いかぶさる。

『つかさのしたいようにすればいいから』

「どういう…… 意味かな? 」
 あまりにも投げやりな、こなちゃんの言葉に不審を抱いて問い返す。
『ゆーちゃんとHをしたいならすれば? 』
 こなちゃんは平然とした口調で、私を奈落の底に突き落とした。
493Affair 3/6:2008/12/11(木) 00:33:22 ID:gsL9eaqR
「私って、そんなに淫乱かなあ? 」
 動揺を必死で隠しながら、わざとおどけた口調を作った。しかし――
『知らないけれどね。つかさがどんなに頑張っても無駄だから』

 こなちゃんは、私がゆたかちゃんとえっちをしたとしても、最後には自分の元に戻ってくると信じている。
 こなちゃんは、ゆたかちゃんが裏切ることは絶対にないと信じている。

(すごく、気に入らないなあ)
 胸の奥で生まれた苛立ちが加速度的に拡がる。

『話はそれだけかな? 』
「そうだよ」
『じゃあ』
 私は、やり場のない怒りを消化することができずに、気に入っているはずの携帯を床に放り投げた。
 どす黒い何かが急成長して、心は闇に覆われる。

 気に入らない。全く気に入らない。
 こなちゃんに愛されているゆたかちゃんが気に入らない。
 こんなに愛しているのに、私を無視するこなちゃんが気に入らない。
 こなちゃんに気圧されて、言いたいことも満足に言えない自分も気に入らない。

(絶対に許さない! ) 
 今日は、ゆたかちゃんと楽しい一夜を過ごすことで満足するつもりだったけれど、
気が変わったから動くことにする。
 まずは、放り投げた携帯をひろって、最初に『お気に入り』に登録した相手にかけることにする。
494Affair 4/6:2008/12/11(木) 00:34:01 ID:gsL9eaqR
「もしもし、お姉ちゃん」
『つかさ…… あんた、何処にいるのよ 』
 お姉ちゃんも苛立っているようだ。

「えっとね。名古屋だよ」
『何故って、訊くまでもないか。つかさ、今度は何をたくらんでいるの? 』
「実の妹に対してひどい言われようだね。お姉ちゃん」
 私だけが悪人みたいなことを言われるのはとても心外だ。

『何を今さら…… 』
 お姉ちゃんは鼻先だけで笑う。

「お姉ちゃん。こなちゃんのことをもうあきらめたの? 」
『そんなことあるわけ、ないじゃない…… 』
 強気な言葉と裏腹に、声に力が入っていない。
「ふうん。こなちゃんはゆたかちゃんに『ぞっこん』だから、無理だよね」
『わかっているわよ…… 』
 お姉ちゃんが、とても辛そうな声をだした。

「でも、お姉ちゃんはこなちゃんを、あきらめきれないよね? 」
『仕方がないじゃない! 』
 急に声が大きくなる。
 私と同じく、お姉ちゃんはとても未練がましい。
『だって、好きなの。こなたが好きでしょうがないの。家に戻っても何もする意欲がわかない。
大学に行っても勉強する気にもなれない。こなたがいないと駄目なの! こなたがいないと生きていけないの! 』

 お姉ちゃんは一気に吐き出した。
 せっかく志望した大学に合格したのに、だるそうな顔で家を出て、つまらなさそうな顔で明るいうちに帰ってくる。
 夜はPCの前に座りきりで、ネットにはまって夜更かしをしている。

 お姉ちゃんは、本当にこなちゃんがいないと駄目な人なんだね。とってもかわいそうなお姉ちゃん。
 でもね――
495Affair 5/6:2008/12/11(木) 00:34:54 ID:gsL9eaqR
「お姉ちゃんは『へたれ』だから何もできないよね。お姉ちゃんは一人で夜な夜なまくらに涙の跡をつけて、
愚図愚図と唸っているのがお似合いだね」
『つかさ! 』
「お姉ちゃんは本気をいつ出すの? こなちゃんが本当に欲しいのなら、こなちゃんを奪い取る為に行動すれば良いのに。
どうして、いつも中途半端なまま、あきらめてしまうの? 」
『だって…… だって、こなたは、ゆたかちゃんのことが…… 』
 ほら、お姉ちゃんはすぐにゆたかちゃんのせいにする。自分からは何もしない癖に。

「ゆたかちゃんは、今、私のすぐ隣にいるよ」
 俗に言う『爆弾』をここで投下することにする。
『どうして? つかさ、また変な事をしたの? 』
「普通に、誘っただけだよ。もっとも今は寝ているけれどね」
 今回はクロロホルムを嗅がせた訳ではない。お酒も強制した訳ではなく、むしろゆたかちゃんが積極的に飲んでいた。

『ねえ。お姉ちゃん』
「な、何よ」
 ちょっとした困難に当たっただけで、すぐにあきらめてしまうお姉ちゃんを煽ることにする。
「私を一番憎んでいるゆたかちゃんでも、今日は、私と一緒のベッドで寝るんだよ。
どうして、お姉ちゃんは勇気を出そうとしないの? 」

『私だって、こなたを取り戻す為にいろいろやったわ。でもこなたは私のことなんて目に入らなかった! 
ずっとゆたかちゃんしか見ていなかった! 』
 お姉ちゃんは、悲痛な声を出している。でもそれは所詮、愚痴に過ぎないんだよ。

「ううん。お姉ちゃんはまだ、本当の意味で戦っていない」
『どういう…… こと? 』
 けげんそうな声が返ってくる。
「お姉ちゃん。結局、今年の夏もこなちゃんに告白しなかったよね」
『だって、あれは…… バタバタしていたし』
「告白なんてわずか3秒だよ。お姉ちゃんは3秒を工面するのが惜しくて、こなちゃんに想いを伝えなかったの? 」
 私の言葉は尖った槍となり、優柔不断で臆病なお姉ちゃんを追い詰める。
『だって、仕方がないじゃない…… 』
 結局、お姉ちゃんは、どこにも逃げることはできず、疲れきった声を出しただけだった。
496Affair 6/6:2008/12/11(木) 00:36:04 ID:gsL9eaqR
「やれやれ」
 私は、今日何度目かのため息をつきながら肩を竦める。
 抜け柄のようなお姉ちゃんでは駄目だ。多少は闘志を持ってもらわないと。
 だから、今度は優しく話しかけることにするね。

「お姉ちゃん。告白できなくても仕方ないよ」
『えっ? 』
 戸惑うお姉ちゃんに構わずに続ける。
「ゆたかちゃんはね。反則的な童顔と幼児体型と甘えた声で、ロリコン趣味のこなちゃんの気を引いたの。
だから、お姉ちゃんは悪くないんだよ」
『そ、そうね…… 』
 否定から肯定へと180度変わったので、かなり面喰っているようだ。
「ゆたかちゃんがこなちゃんに飽きてしまえば、お姉ちゃんはこなちゃんをゲットできるはずだよ」
『そ、そうかしら…… 』
 いきなり乗り気になるお姉ちゃんに、いささか辟易する。
 ここまで正直な人だとは思わなかったかな。

「私はゆたかちゃんを誘惑して、こなちゃんとの仲を裂こうとおもっているの。
だから、お姉ちゃんはこなちゃんの心を奪ってほしいんだ」
『私が…… こなたを』
 自信なさげな、お姉ちゃんの背中を、少しずつ強く押していく。

「絶対に大丈夫だよ。お姉ちゃんはこなちゃんを一番知っているし、一番愛しているから」
『愛してる? 』
 オウムの様に繰り返したお姉ちゃんに、ここぞとばかりに畳みかける。
「お姉ちゃんが本当に、全力でこなちゃんに告白すれば、絶対にこなちゃんは恋人になってくれるよ。だから、途中であきらめないで」

『諦めない…… こなたは私のモノ…… 』
 ようやく『納得』してくれたようだけど、まだまだ心許ない。
「こなちゃんが、お姉ちゃんのモノになることは、もう運命で決まっているの」
 お姉ちゃんの記憶に残るように、一字一句をしっかりと刻みこんでいく。
「こなちゃんの身体はお姉ちゃんのモノ。こなちゃんの心もお姉ちゃんのモノ」
『コナタは、私のモノ…… 』
 頃合いは良し。
 私は、携帯を肩と頬で挟んでから強く柏手を打った。

 パン!

 乾いた木がぶつかり合うような音が、部屋中に響く。


 たっぷりと1分は間を置いた後、私はおもむろに切り出した。
「そろそろ、電話切るからね」
『あっ、うん、そ、そうね』
 お姉ちゃんはどこか呆けた声を返してくる。
「それじゃあ頑張ってね、お姉ちゃん」

 電話を切って時計を見上げると、既に10時半を回っている。
「そろそろ、ゆたかちゃんを起こさなくっちゃ」
 小さく呟いてから、安らかな寝顔を浮かべたまま、静かに胸を上下させている、少女の柔らかいほっぺたを軽く叩いた。

(続く)
49723-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/11(木) 00:38:05 ID:gsL9eaqR
続きます。
読んでくれた方、ありがとうございます。
巫女さんには、何か特別な力があるような気がします。
では。
498名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 07:06:23 ID:ljOl+xkc
ついさKOEEEEE!
499名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 21:42:06 ID:19O6YvXJ
つかさは催眠術キャラとして定着するか。
500名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 21:56:51 ID:rwylSjl/
ついにつかさ様が本気を出してきた。
一体どうなるんだ・・・
501名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 21:58:31 ID:XjZafSyi
前にここに投稿された、つかさに彼氏が出来てかがみがヤンデレっぽくなるSSの題名って何だっけ?
502名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 22:03:00 ID:maJ4Snpo
あー

なんだっけ
題名浮かばないと探すのだるいな
503名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 22:07:18 ID:19O6YvXJ
検索フォームに「つかさに彼氏」と入れてみると……。
504名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 22:11:00 ID:XjZafSyi
>>503
出てきた。ありがd
505名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 22:36:30 ID:VIpP75UW
>>497
つかさ、がんばっちゃダメ〜〜〜〜><
ドキドキしながら続きを待ってます!

で、SSを1本投下しようかと。
他に宣言が無く5分ほどしたら作業開始しますね
506LD:2008/12/11(木) 22:42:00 ID:VIpP75UW
おばんでやす、寒さに負けて風邪を引きかけたLDです。
久し振りに「こなゆたシリーズ」でSSが書き上がったので投下します。

以下注意書きです。
・こなた&ゆたか+そうじろう、???
・自作SS『Happy Sweet Birthday!』の続き
・5レス&後書1レス使用予定
・エロ無し

では投下作業開始です。
507Happy dream comes true(1):2008/12/11(木) 22:43:37 ID:VIpP75UW
 お盆も明けて、そろそろ夏休みも終盤に差し掛かったお昼過ぎ。
 今日お姉ちゃんは『お祭り』の最終日と言って朝からお出掛けです。おじさんも一緒かと思っていたら、作家仲間の方達と用事があるとの事で、お昼前に出掛けていきました。
 こんな時はみなみちゃん達と遊んだり勉強会を開いたりしているのですが、今日はそれぞれ用事があったので、自分の部屋でのんびりとしています。

 2時過ぎになって玄関の開く音がしたのでそちらへ向かうと、両手一杯に荷物を抱えたお姉ちゃんが汗だくになって帰ってきていました。
「おー、ゆーちゃん。ただいま〜」
「おかえり、お姉ちゃん。すごい荷物だね」
「まぁね。夏一番のお祭りだし。これでもいつもよりは少ないんだよ」
「え? ……それで少ないの?」
「ん。だって萌えエネルギーなら家でいっぱい充電出来るしね」
 そう言って意味ありげな表情でウィンクをするお姉ちゃんの言葉を理解すると、顔が赤くなるのが分かります……
「くふふ。顔赤いけどどーしたのかな〜?」
「もぅ……からかわないでよ、お姉ちゃん!」
「まぁまぁ。それだけゆーちゃんの事が好きって事だよ」
 そんな言葉と共に、照れくさくてそっぽを向いてしまった私のほっぺにキスをくれました……

 お姉ちゃんがシャワーを浴びている間におやつの準備をします。今日はアイスティーとクッキーでいいかな?
 シャワーを浴び終わる頃を見計らって居間に持って行くと、お姉ちゃんがタオルを首に掛けて既に座っていました……スポーツブラに短パンという格好で……
「……お姉ちゃん、せめて服着ようよ?」
「いーじゃん、今はゆーちゃんしかいないし。別にお父さんがいても気にしないけどね〜」
「わ、私が気にするのっ! それにいくら家族だからっておじさんの前でもダメッ!」
 きっとさっき以上に顔を赤くしながら、思わず大きな声になってしまいました。
 すると手を口に当ててニヤニヤ笑いながら、
「おんや〜? もしかして欲情しちゃった?」
「よくっ?! そ、そんなんじゃないってば!」
「んふふふ。まぁそういう事にしておきましょうかね。んじゃちょっと服着てくるよ」
 立ち上がって部屋に戻るお姉ちゃんを見送りながら、持っていたお盆をテーブルに置いて一息つきます。
 お姉ちゃんが言ったように欲情、とまでは言わないけど、かなりドキドキしてたのは間違いなくて、あれ以上からかわれてたら……
508Happy dream comes true(2):2008/12/11(木) 22:44:25 ID:VIpP75UW
 戻ってきたお姉ちゃんは今度はちゃんとタンクトップを着ていました。
「はい、お姉ちゃん。シロップはこっちね」
 何気ない風を装ってお姉ちゃんにお茶とお菓子を出します。
「ありがと、ゆーちゃん。いや〜、生き返るねぇ」
「今日も暑かったからね。お姉ちゃんが熱中症とかにならなくてよかったよ」
「まぁ今年は今日だけしか行けなかったから、今までよりは楽だったよ」
 そう言ってストローで紅茶を啜りながら苦笑するお姉ちゃん。
 いつもなら3日間あるはずのお祭りも、他のバイト仲間の都合で今日しか休みが取れなかったみたい。
「昨日一昨日の分はひよりんとパティに頼んでおいたから平気だと思うけど、今度2人にはお礼しとかないとなー」
「ふーん、そうなんだ。えっとコミケだっけ? その前に会った時はひどく疲れてたり心配そうにしてたけど、ひよりちゃん大丈夫かなぁ?」
「んー……大丈夫じゃないかな? 昨日の帰りにパティがお店に来たんで聞いたら、大分フォローに回ってたみたいだしね」
「そっか。じゃあ明後日皆で集まるのは大丈夫そうかな?」
「それなら平気っしょ。明日は1日寝てそうだけど……そういやお父さんは?」
「ほら、夕べ言ってたでしょ? 他の作家さん達と集まるって。出掛ける時には夕方には戻るって言ってたよ」
「ふーむ。するとそれまでは2人っきりって事になるねぇ」
「えっ? あ、うん。そうだけど……」
 多分ほっぺが赤くなってしまった私を見てニヤニヤ笑いながら、私の隣ににじり寄って来ると、
「とぅっ!」
 という掛け声と共に寝転がると、正座していた私の膝に頭を乗せてしまいました。
「ひゃっ! お、お姉ちゃん!?」
「んふふふ。エッチな事されると思った?」
「そ、そんな事は……」
 口篭もる私のほっぺに手を伸ばし、優しく微笑みながら撫でてくれました。
「それでもよかったんだけどね。流石にちょっと疲れちゃったからさ。しばらくこうしてていいかな?」
 こんな風にお姉ちゃんが甘えてくるのはとても珍しく、さっきまで少しモヤモヤした気持ちがあったのに、そんなものは一瞬で消し飛んでしまいました。
 答える代わりに私はお姉ちゃんの頭を優しく撫でてあげると、お姉ちゃんは嬉しそうに微笑んだまま目を閉じ、しばらくすると穏やかな寝息が聞こえ始めました。
「お疲れ様、お姉ちゃん。大好きだよ……」
509Happy dream comes true(3):2008/12/11(木) 22:45:07 ID:VIpP75UW
 ふと微かな物音に気づくと、おじさんがカメラを構えてこちらを見ています。
「あ、お帰りなさい。おじさん……って、あれ? 寝ちゃってたんだ」
「いやぁ、いい物見せてもらったよ。ほら、こんな感じ」
 にっこりと笑いながらカメラを操作して見せてくれた液晶画面には、膝枕をしたまま眠るお姉ちゃんと私がはっきりと映っていました……
 思わず叫びそうになった私の唇におじさんは指を当てて、
「大声出すとこなたが起きちゃうぞ? 悪いけどそのままでいてやってくれないかな?」
 お姉ちゃんをからかういつもの意地悪な笑みではなく、どこまでも穏やかな『父親の顔』で私達を見るおじさんに私は叫びや抗議の言葉を飲み込んで素直に頷きました。
「ありがとう、って俺が言うんじゃないんだろうけどな。こなたの奴、最近ちょっと頑張り過ぎみたいだからさ」
「ええ、そうですね。私の……ううん、私達の為に頑張ってくれてるんですよね、お姉ちゃんは」
「まーな。でもゆーちゃんはあまり気にしなくていいんだぞ? ゆーちゃんはまず学生生活を目一杯楽しむ事。どんな進路に進むのかはわからないけど、卒業したら色々考えるんだって遅くはないんだしね」
 おじさんは一旦言葉を切ってお姉ちゃんのほっぺを突付くと、くすぐったいのか逃げるように体ごと向きを変えて私にしがみついてきました。
「それにこんな風に無防備に甘えるのもゆーちゃんだけだろうしね。ゆーちゃんには本当に感謝してるよ」
 予想外の言葉におじさんを見ると、今度は私の頭を大きな手で撫でてくれました。
「ゆーちゃんと付き合うまでは割と先の事に無関心だったからな。それが今じゃこんなに真剣に物事に取り組むようになって、親としては寂しくはあるけどようやく安心したって感じだよ」
 そう言って笑うとおじさんは立ち上がって、
「さて、今夜は俺が食事を作るよ」
「え? でも、今夜は私が当番ですよ?」
「いやいや、なんだか急にやりたくなっちゃってさ。ゆーちゃんはそのまま抱き枕になっててくれないか?」
 悪戯っぽく笑ってウィンクをするおじさんは、失礼だと思いながらもいつもよりカッコ良く見えました。
「それじゃ買い物行ってくるから、留守番とこなたをよろしくな」
 そんなおじさんを手を振って見送る事しか出来ませんでした。
 しばらくして、再びやって来た眠気に誘われて私はまた眠りの世界に旅立ちました……
510Happy dream comes true(4):2008/12/11(木) 22:45:37 ID:VIpP75UW
 ん〜……いい匂いがする
「こなた、ゆーちゃん。ご飯が出来たわよ」
 あれ、女の人の声だ……聞いた事ないけど聞いた事がある、どこか懐かしいような声
 ゆっくりと目を開けると、驚いたゆーちゃんの顔が飛び込んできた
 あぁ、膝枕してもらったまま寝ちゃったんだ
 ゆーちゃん、足痺れちゃってないかな?
「おはよーゆーちゃん。そんな顔してどしたー?」
 私の言葉に無言で正面、私の背後を指差すゆーちゃん。
 体を起こして振り向くと……そのまま固まってしまった。
 そこにはエプロン姿でお鍋を持っている『私』が立っていた。
「やっと起きたわね。本当にこなたはお寝坊さんなんだから」
 『私』がしょうがないと言った表情で苦笑する。
 いや、『私』じゃない。この人は……
「おかーさん?」
 勝手に口が言葉を紡いだ。すると、
「ええ、そうよ。久しぶりね、こなた。それに初めまして、ゆーちゃん」
 持っていたお鍋をテーブルに置くと、私とゆーちゃんを一緒に抱き締めてくれた。
「こんなに立派に育ってくれてありがとう、こなた……寂しい想いをさせてごめんね?」
「そんな事ないよ。お父さんがいたし、ゆきおばさん達やゆい姉さん、ゆーちゃんがいたから。そんなに寂しくなかったよ」
 そう言う私の目尻をお母さんはそっと拭ってくれた。
「あ、あれ? おかしいね。せっかくお母さんに会えたのに、なんで泣いてるんだろ?」
「いいのよ、こなた。泣きたい時は思いっ切り泣いて、すっきりしちゃいましょう?」
 その言葉を聞いて、私の中にあった何かが切れた……
「うわぁぁぁ、お母さん! 会いたかった! ずっとずっと会いたかったよぅ! 寂しかったんだからー!!」
 お母さんにしがみついて声をあげて泣く私を、お母さんは何も言わずただ強く抱き締めたまま優しく頭を撫でてくれていた……

 しばらくしてやっと落ち着いた私は力を抜いてお母さんから離れると、お母さんは涙やら何やらでぐしゃぐしゃになった私の顔を拭いてくれた。
 いつの間にかゆーちゃんは少し離れた所にお父さんと一緒に座っていて、ハンカチで目元を拭っていた。
「ん、もう平気。変なところ見せちゃったね」
「全然おかしくなんてないわよ。自分の気持ちに素直になるのは恥ずかしい事じゃないわ」
 ポンポンと頭に載せられる手は私と同じくらい小さいはずのに、それだけでまるで優しく抱き締められてる気がした。
「良かったね、お姉ちゃん!」
「さて、落ち着いたんならご飯にしようか。今夜は俺とかなたが腕を振るったんだぞ〜」
「え〜〜、お父さんも手伝ったの? どうせならお母さんだけの方が良かったなー」
「なっ!? 何と言う事を!」
「ほら、こなた。そんな風に言わないの。そう君が手伝ってくれないと大変だったのよ?」
「まーお母さんがそう言うなら我慢しましょうかね」
「かなたー。娘が冷たいよ〜」
 そう言ってお父さんがお母さんに抱きつく光景がどこか危険なものに見えた事は心の奥底にしまっておいてあげよう。
511Happy dream comes true(5):2008/12/11(木) 22:46:24 ID:VIpP75UW
 生まれて初めてのお母さんの手料理は本当に美味しかった。
 お父さんの料理とどこか似てるのは、きっとお父さんが一生懸命お母さんに習った証だろうね。
 何より、初めての家族一緒の食事はこれ以上ない幸せなものだった。
「そう言えばお父さん」
「んー、なんだ?」
 お父さんとの料理争奪戦を一旦休戦して気になっていた事を尋ねる。
「お母さんがこうしてここにいる事に全然驚かないね?」
「あぁ、だって知ってたからな。かなたが帰ってくるの」
『は?』
 私だけでなく、お母さんから色々料理の事を話していたゆーちゃんまで手と口を止めてお父さんを見る。
「いやだから。かなたが帰ってくるのは知っていた、って」
「ちょ! それどーゆー事さ!?」
「どういうもこういうも。前にかなたから聞いてたし。まぁ正確な日にちは分からなかったけどな」
 ポカンと口を開けたままの私達に向けて言葉を続けるお父さん。
「ほら、卒業式の前の夜。2人とも夢でかなたに会ったって言ってただろ? その時に会って話をしてたんだよ。今度はお盆くらいに来るってな。
 で、お盆には来なかったしコミケもあったし、来るなら今日の夕方か明日くらいかなって思ってたら、さっき買い物に行く時にちょうどかなたが帰ってきて、じゃあ一緒に夕飯作ろう、って。な?」
 と、お父さんがお母さんに話を振ると、お母さんは舌をペロッと出して、
「本当はすぐに会いたかったんだけどね。そう君からこなたとゆーちゃんが仲良くお昼寝してるから、ちょっと驚かせてみようかって」
「おーそうだ。ほら、よく撮れてるだろー」
 そう言って見せてきたデジカメに映っているのは、眠っているゆーちゃんを抱き枕&膝枕に寝る私という微笑ましくも恥ずかしいものだった。
 顔を真っ赤にするゆーちゃんを見ながら、テーブルに突っ伏したままお父さんに声を掛ける。
「何でお母さんに会ったって教えてくれなかったのさ……」
 キョトンとした後、胸を張って誇らしげにこう答えてくれた。
「何でって決まってるだろう。2人をビックリさせたかったから!」
「……お父さん」
「んー、なんだ?」
「今後私にペタペタ引っ付くの禁止」
「はっはっは、何を今更。お前達が付き合い始めてからそんな事はしてないだろう?」
 言われてみれば確かに去年の夏以来くっ付いて来たのは幽霊写真騒動くらいだっけ。
「それに今はかなた分を一杯充填するからな。2、3日はいられるんだろ、かなた?」
「えぇ、今回は1週間いられるわよ」
「おー、そりゃいい。だったら家族4人でどっか出掛けよう。確かこなたもバイトの休みがあったろ? ゆーちゃんも空いてる日ってあったよな?」
512Happy dream comes true(6):2008/12/11(木) 22:46:55 ID:VIpP75UW
 夕飯とお風呂を済ませて、ここはゆーちゃんの部屋。
 ベッドに腰掛ける私にもたれ掛かるゆーちゃんの下ろした髪をゆっくりと梳いてあげる。
「今日は本当にビックリしたね、お姉ちゃん」
「だね〜……しっかし、こんな事もあるんだねぇ」
「でも本当に良かったね、お姉ちゃん。かなたさんに会えて」
「ん、まぁね。奇跡は起きないから奇跡だと言うあれは何だったのやら」
「ふふっ。なぁにそれ?」
「んー、何でもないよ。そんな言葉が昔のゲームにあっただけ」
「そうなんだ。でも本当にいいの? せっかくかなたさんがいるのに、一緒に寝たりしないで……」
「あーいいのいいの。今夜くらいはお父さんに譲ってあげなきゃ。寂しかったのはお父さんだって同じなんだし……今頃は2人してニャンニャンしてるんじゃないかなー?」
 そう言ってゆーちゃんをベッドに押し倒すと、ほんのりと頬を染めたゆーちゃんが潤んだ目で見つめてくる。
「ここしばらくご無沙汰だったからねー。ゆーちゃんが大丈夫なら、このまま美味しく食べちゃおうかな?」
「いいよ、お姉ちゃん……私も、して欲しいから」
 目を閉じたゆーちゃんの唇に自分の唇を重ねると、待ち切れないとばかりに唇を割って舌を絡めてくる。
 長い夜は今始まったばかりだ。

 翌朝。
 ゆーちゃんと2人で朝食を作っていると、お父さんとお母さんが手を繋いでやって来た。
「おはよー2人とも」
「おはようございます。おじさん、かなたさん」
「おはよう。こなたにゆーちゃん」
「おはようさん。悪いな、朝ご飯作ってもらっちゃって」
 そんな風に朝の挨拶を交わすと、ふと出来心で爆弾を投下してみたくなった。
 思い立ったが吉日と言う言葉に従って、実行に移す事にする。
「2人とも。昨夜はお楽しみでしたね?」
 するとお母さんは顔をリンゴのように真っ赤にし、お父さんは照れ臭そうにそっぽを向いて鼻の頭を掻き始めた。
 ……BINGO?
513LD:2008/12/11(木) 22:47:56 ID:VIpP75UW
以上です……1レスオーバーToT
ちょっと細かく区切り過ぎたかな?
かなたさんの出番が少なかった……ごめんよ、かなたさんorz

そろそろゆーちゃんの誕生日にクリスマス、大晦日に元旦ですね。
SSラッシュに乗り遅れないように頑張れるだろうか?
514名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:16:10 ID:ArBHiFiN
>>513
GJ!まだまだ続きそうで期待してます
515名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:35:23 ID:F7TMjotF
480KBを超えましたので、次スレ立てチャレンジしてきます
516名無しさん@ピンキー:2008/12/11(木) 23:37:50 ID:F7TMjotF
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ55
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229006213/
517名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 22:55:57 ID:VMhcAUg4
さっさと埋めなさいよね〜〜
518名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:16:52 ID:tfF7IZlW
                 _
               / /
             ,  -― (  /
.         /: : : :-=千</ ̄>
         /.:.:.:.: /.:.:.:.:.:/.:∧`ー<      ここまでのスレッドは、
.        ,'::::/::::/::/⌒イ::/ |:l_:::::::ヽ    書き手・読み手の皆さん、
       /::::,':::: W|/ j:/  j∧`::: ハ   らき☆すたの愉快な仲間たち
        レl(|::::: | ○      j::/:/::::|
.        l/|::::: |      ○ん|/:∧|    で、お送りいたしました。
.         lヘ:: ト、  ◇   /::::: /
.          _ム:|-f`_r―ァ≠!:::::/
        /=、\[[`}ヽ// j/            糸冬
         (   \{: リ ∧           ----------------
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次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ55
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229006213/
519名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:41:55 ID:0gSlFxmh
「これで埋まったらかがみ受け、埋まらなかったらこなた攻め」
「突っ込まないわよ」
520名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:57:15 ID:aqvH1gVw
只今487KBなり
521名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:37:21 ID:c+FTHVIx
>>516
おつ☆かれ
522名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 00:54:30 ID:W14mSzuy
>>519
こなた責め確定〜♪
523名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 01:54:46 ID:6WBHiRH9
>>497
>>513
誰も死なないけど誰も幸せにならない世界と
かなたは死んでるけど幸せな世界
同じこな×ゆたですけど
相変わらず対極ですね
524名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 07:02:27 ID:pzZ1HPtq
埋めネタ

「ひよりちゃん、漫画のネタを考えてきたよ。」
「そ、そうですか(もう勘弁してくださいッス)。」

ノートの中身

1.私とお姉ちゃんで「牡丹と薔薇」、お姉ちゃんがぼたん役で、私が小沢真珠役。

2.私とこなちゃんで「白い巨塔」、こなちゃんが田宮二郎役で、私が財前医師役。

3.私とゆきちゃんで「あぶない刑事」、ゆきちゃんがタカ役で、私がトシ役。

「あっ、ありがとうございます…(柊先輩ネタが古いッス、それにいろいろ間違っているっス)。」
525名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 23:45:29 ID:ZjQ19E/j

「で、ひよりん。原稿はマダカナー?印刷所もいつまでも待ってはくれないヨー?」
526名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 00:40:24 ID:hr1iVRcl
>>519
「突っ込まないならこっちが突っ込んであげるよ、かがみん」
「アッーーーー!!」
527名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 01:39:50 ID:rm1EiXnR
12KBは1行レスじゃ遠いな…フッ といいつつ文才がないから1行レス(泣
528名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 01:41:52 ID:3llct6dC
埋めネタ、埋めネタ……………

きぃ〜〜〜
思い浮かばない。

529名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 02:27:45 ID:JtM0gYdB
>>528
「こんなときこそ、私のノートだよ、ひよちゃん、 (┃▽┃ )ポッポポポポポ」
530名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 09:27:55 ID:C0z9mNQn
小ネタ:変


「そういえば今年の漢字が決まったらしいわね」
「えーと、たしか『変』だったかな?」
「むぅ、つかさのくせによく知ってる」
「えー、酷いよこなちゃん……」
「冗談だってー。で、なんでまた『変』なの?」
「まぁ別に異論はないけどね、でも株価の暴落とか最近の出来事だし『落』とか『金』とかに私はなると思ってたわ」
「確かに最近の出来事ですので印象も強いのかと思いますね。
『変』という漢字に決まった理由は『日本の首相交代やオバマ次期米大統領の「チェンジ」(変革)、ネパールの共和制移行(君主制廃止)など内外の政治の変化、
株価暴落や円高ドル安などの経済の変、食の安全性に対する意識の変化、世界的規模の気象異変による地球温暖化問題の深刻化、
スポーツ・科学分野での日本人の活躍に表れた時代の変化などの意味が込められ、政治・経済をはじめ、よくも悪くも変化の多かった一年を象徴する。』といった感じでしょうか」
「おー! さっすがみゆきさん!」
「みwikiと称されるだけあるわね」
「お褒め頂き光栄です。実はこれら全てwikipediaからの受け売りなんですよ(ニコッ」
「ウケウリ?(何だろう、フルーツかな?) でもゆきちゃんすごいよー!」
「今何気にすごいこと言ったな……」


うーむ、微妙なネタだ……
531名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 10:06:36 ID:rm1EiXnR
「つかさ、新文って何よ、もしかして新聞のこと?」
「えええ?だって新聞って文字を読むんだよ?なのに聞くっておかしくない?おねえちゃん」
「う、そう言われれば」
「むう、漢字を習って確かにずっと疑問に思っていた人は少なくないはず(私もそのクチだよ)」
532名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 10:11:04 ID:7tePcq/3
素直に考えて、『新』しい事を『聞』ける(見れる)から新聞じゃないかな?
……かなりの確立で外れてそうだけど。
53323-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/14(日) 11:55:04 ID:nnxBLc/q
埋めネタを投下しますね。

「mistake」
こなた×かがみ

2レス使用。非エロ
534mistake 1/2:2008/12/14(日) 11:58:29 ID:nnxBLc/q
 今年もいつもどおりに、冬がやって来た。
 12月も中旬となった週末の夕方、私はこなたと一緒に地元の商店街へ買い物に出かけている。
 行き交う人たちは、師走というだけあって忙しそうだけど、どこか楽しげである。

「ねえ。こなた」
「なに、かがみん」
 あたま一つ分だけ背が低い少女に、ちらりと顔を向けながら声をかける。

「あんた、クリスマスどうする? 」
「うーん」
 こなたは、猫みたいな口に人差し指をあてながら考え込んだ。
「イブはお父さんと、ゆーちゃんと、ゆい姉さんと一緒に家でパーティなのだよ」
「そ、そう」
 やっぱり、そうなんだ。
 私は、落胆の色を隠すことができない。
 そりゃあ、こなたが家族と一緒に過ごすのは当たり前のことだし、私だって多分、家族とケーキを囲むことになりそうだし…… 
 でも恋人と一緒に過ごしたかったな。

「でもね。クリスマスって25日なんだよね。イブばかりがもてはやされるけど」
 こなたが繋いだ手をぎゅっと握りながら、楽しそうに囁いてくる。
「あっ…… 」
「25日、かがみんのご予定は? 」
 ニマニマしながらこなたは私を見つめてくる。ひどくにくったらしくてドキドキする。
 私は、顔を赤くしながら答えた。

「あ、あいて…… いるわ」

 しかし、何故か、急にこなたはしゅんとしてしまう。
 トレードマークとなっている、頭頂部にある跳ねた髪もうなだれる。
「そっか、かがみだって予定があるもんね」
 こなたは、寂しそうに下を向きながら呟いて、とぼとぼと歩いていく。
535mistake 2/2:2008/12/14(日) 12:00:10 ID:nnxBLc/q
 何故?
 いきなり落ち込んだこなたの様子に、ひどく戸惑ってしまう。 
 もしかして…… こなたは、本当は私と会うのが迷惑なのだろうか。
 嫌な想像とともに、急に繋いでいた手からぬくもりが消え去って、冷たい風が吹き込んでくる。

「こ、こなた…… 」
 言葉の続きを聞くのが怖い。身体が震える。心が凍える。

「かがみ、25日に誰と会うの? やっぱりみさきち…… とかな? 」
「へ? 」
 こなたは、何を言っているの?
「いや、いいんだよ。言わなくても。かがみはもてるもんね」
「おい」
 何か、物凄い勘違いをしている気がする。

「あのね。こなた。違うの! 」
「な、何が違うのさ」
 こなたはムキになっている。いったいこの変な流れはなんなんだ。誰か説明してほしい。
「私、かがみと25日なら一緒にいれると思ったのに。でも、かがみはみさきとデートするんでしょ! 」

「ばかっ」
 言っても理解しそうにないので、こなたに思いっきり抱きつく。
 コートごしにも関わらず、こなたの熱い体温がつたわってくる。

「な、なにをするー 」
 胸の中でじたばた暴れるけれどかまうもんか。
「か、勘違いしないでよね。本当は違うんだから! 」
「ツンデレ? 」
「違う! 人の話をききなさい! 」
 ぜーぜーと肩で息をしながら、こなたを煌めくような双眸を見据えて言葉を紡いだ。

「いい? 私は25日に、こなた以外の誰とも会う予定はないわ! 」
「でも、予定が空いてないって言ったじゃん」
「だから、空白がないんじゃなくって、相手がいないってことよ! 」
「あっ」
 こなたの瞳から不安の色が唐突に消えた。

「だから、その日は大丈夫なの! 分かった! 」
「う、うん」
 こなたは頷いて、私の胸に顔をうずめる。
「こ、こなた、ダメよ」
 狼狽しながら顔を覗き込むと、大きな瞳から雫がこぼれだしている。
「ば、ばか、こんなとこで泣かないでよ…… 」
 通行人の視線が集中しているようで、ひどく落ち着かない。しかし――

「もうちょっとだけ、このままで…… 」
 安心しきった様子で、体重を預けてくるこなたがとてもかわいくて、愛おしくて、許してあげることにする。
「し、仕方がないわね。今だけだからね! 」
「うん。かがみんって優しいね」
「ば、ばか! 」
 ちょっとした言葉だけで赤くなってしまう私は…… やはり重症なのだろう。

(おしまい)
53623-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/14(日) 12:01:42 ID:nnxBLc/q
以上です。
少しは埋まった…… かな?
537名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 12:15:05 ID:/OMTzYGu
むりに埋めなくたっていいじゃない スレッドだもの みつを
538名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 12:41:05 ID:rm1EiXnR
>>536 こういう言葉の意味の聞き違いって気づかないこと多いんですよね
埋めネタGJです
539名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 13:08:50 ID:hE7kh28M
「じゃ"訪問"て、門を訪ねるのにどうして"訪門"じゃないの?」
「そういえば、どうしてかしら?」
「"訪問"には、訪ねた相手の調子を伺ったり、お話をしたり…といったコミュニケーション的な意味の"問い"が含まれています。
 ビジネスマンの世界では、訪ねていっただけでお客様と会えなかった、商機が得られなかった場合などに、皮肉を込めて
 "訪門"(=門を訪ねただけで帰ってきた)の字を当てられる事があるそうですよ」
「ドライだねぇ〜」
540名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 20:39:06 ID:POmU3KHT
>>536
GJ!…何だけど、話の流れ的にかがみは「あいて…いないわ」って言わないとおかしくない?何か違和感が…。
541名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 20:46:36 ID:jjeW+cmg
「つかさ、かがみんに彼氏ができたって?」
「うん真面目な奨学生だよ」
「へ、小学生?」
「うん、奨学生」
「(かがみんそりゃ犯罪だ)……」
「こなちゃんどうしたの?」

いやま、埋めネタだからね、
埋めネタなんだから
54223-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/12/14(日) 21:04:07 ID:Xs1325fS
>>540
ご指摘、ありがとうございました。
保管庫の記載を修正しました。
543名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 23:19:03 ID:v8n9IRbC
>>540
>>542

いや、そのままでいいと思うんだが…

こなたの「25日の予定は?」に対して、かがみは「空いて…いるわ」と言った
それをこなたは「相手…いるわ」と聞き間違えたんじゃないかな?
544名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 23:38:20 ID:s4DVil9/

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        |::|  |: : : :|   |:::::}      `/      j;リ     j /:/
545名無しさん@ピンキー
自分もそう思う
おかしいとしたら2レス目の真ん中あたり、誤解が解けるやりとりの方じゃないかな