死神っ娘萌え

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204death/anima:2010/03/29(月) 14:34:30 ID:DpPGQ+TN

放課後 学校の屋上


もう嫌だ。
こんな風に考えたのは1度だけじゃない。
僕はこの世に生を受けてまだ15年しか経っていない。
だから大人は皆勝手なことばかり言う。
「たったの十数年しか生きていないくせに生意気言うな!」「まだこれからじゃない これからだってもっと苦しいことがあるのよ」

貴様らに何がわかる? 貴様らの経験論など聞き飽きたわ。
深く考えもせず「自分はこうだった」などと抜かしやがって。
「未来」のことなぞ知ったことか。 時が過ぎれば苦しみが癒えるとでもいうのか?
僕は「今」が苦しいんだ。 そんなこともわからないのか。 下衆どもが。

所詮「人間」なんて・・・自分のことしか考えられないんだ・・・
僕は・・・「人間」なのに・・・こいつらとは違う。
「人間」だったら・・・「他人」の苦しみなんてわかるはずもない。
なぜ僕だけが? どうして・・・


・・・・・もう、嫌だ・・・・・

?  「・・・苦しいのですね」
蒼人 「!?のわっ!?」
?  「?」
 いつの間に!?さっきまで誰もいなかったのに・・・ってか浮いてるぅ!?

蒼人 「ななな誰だよっ!?あんたっ!!」
?  「私、ですか?私は死神アリスです。お見知りおきを」
蒼人 「しっ死神!? ・・・・・てことは・・・はは、そうか、そうだな」
アリス「?」
蒼人 「僕を殺しにきたんだろ?いいよ 覚悟はできてるから。さあ、殺せよ!」
アリス「ふぇ? ちょっとお待ちください。まだ貴方の寿命は先のことですよ?」
蒼人 「じゃ、なんで今僕の前にいるのさ?」
アリス「いえ、私は最初から貴方の傍に・・・ということは、貴方には私が"視えて"いるのですか?」
蒼人 「視えるもなにも、話してるだろ今」
アリス「ということは・・・今"死"が近づいているということ・・・?でも 啓示には無いのに・・・」
蒼人 「?どういうことだよ?僕は死ぬのか?死なないのか?どっちなんだよ!」
アリス「・・・そうか・・・貴方は・・・」
蒼人 「は?」
アリス「ええ、まだ死にません。"今"は」
蒼人 「そう・・・ま、いずれにせよ死ぬんだろ?今殺してくれたって構わないけど?」
アリス「それはできません」
蒼人 「なら何で僕の前にいるんだよ」
アリス「・・・説明しても構いませんが、誰かに話すことはくれぐれもしないように」
蒼人 「・・・僕に話し相手なんていないよ・・・」
アリス「知ってます。念の為、です。」
蒼人 「?」
205death/anima:2010/03/29(月) 14:35:50 ID:DpPGQ+TN

死神・・・「アリス」・・・
てか死神なのに髑髏じゃないんだな・・・
黒髪で長めのツインテール、代名詞ともいえる大鎌(なんか目玉が埋め込まれてるけど・・・)に
黒衣のローブとぱっと見死神だけど、彼女(?)の「瞳」だけは蒼く透き通っていて見ていると吸い込まれそうだった。

アリス「・・・聞いてませんね・・・」
蒼人 「えっ!?いや 聞いてたよ!?」
アリス「いーえ、聞いてませんでした。というか、よく死神に対してそんな態度で・・・」
蒼人 「なっ、なんでわかんの!?」
アリス「・・・今さっき説明したなかに含まれているのですが・・・」
蒼人 「うっ・・・そ、その・・・」
アリス「ふぇっ・・・」
蒼人 「!?いいいやあのの・・・わ、悪かったよ、だからな、泣かないで・・・?」
アリス「死神が感情を持つ説明も、さっき・・・ぅえっ」
蒼人 「あ〜っ だからごめんって!もう一度お願いします!」
アリス「・・・今度こそちゃんと、へぅっ きいてくださいよぉ・・・? すんっすんっ」
蒼人 「はいっ! 耳ん穴かっぽじって聞いてますっ!」

 な、何なんだ?死神ってもっと冷酷なイメージなんだが・・・
 それはさておき、彼女曰く、「死神」は誰もが思うような存在ではなく、
 皆一人(一応神様だけど)ずつついていて、本来なら死ぬ直前にしか視えないらしい。
 男なら女、女なら男の死神で、その姿はアニマ(男性の心の中の女性的心理)とアニムス(女性の心の中の男性的心理)
 から形作られる。つまりアリスは、僕の女性的心理ってことになるらしいけど・・・
 
アリス「・・・ということ すんっ なんです・・・」
蒼人 「(まだ泣いてた!?)」
アリス「あぅっ 蒼人さんがっ いけないんですよぉ・・・ふぇぐっ」
蒼人 「ご・ごめんて・・・な、ほら・・・よしよし」
   なでなで
アリス「すんっ・・・」

 このとおり、僕の心が読めるそうです・・・

 ・・・?・・・心が・・・読める?・・・

アリス「うぅ、しばらくなでなでしていてくださいっ!」
蒼人 「わわかったって!」
 
 なんでいきなり甘えん坊になるんだ?これも僕の深層心理が思っていることなのか?
 ただ、一番の問題点である「視える」ということに関しては、何一つ教えてはくれなかった。
 アリス曰く、「視える」ことで触れたり話したりすることが可能になるらしい。

アリス「むぅ・・・」
蒼人 「?今度はどうした?」
アリス「今日から・・・無視しないでくださいね・・・もう・・・貴方は私が"視える"のですから」
蒼人 「ああ・・・わかったよ」
アリス「ボソ(ずっと・・・りだったんですから・・・)」
蒼人 「ん?何か言ったか?」
アリス「そろそろ家にかえりましょう・・・?」
蒼人 「そうだな・・・ってまさか」
アリス「もちろん。あ、因みに私の姿は他の人に視えませんからね?」
蒼人 「・・・・・」


 そんなわけで、僕と死神「アリス」との交流が始まった。
206death/anima:2010/03/29(月) 14:40:12 ID:DpPGQ+TN
アリスと出逢ってから三ヶ月、気づけば僕は普段アリスとずっと一緒だった。
学校では話さないようにして、放課後には他人に気づかれないよう、二人だけになれる場所を探して
何気ない話をして過ごしていた。

アリスはやはり僕自身であるからだろうか、意見がかみ合わないことなど一切無かった。
家に親がいない時には、たまに僕の為に料理を振舞ってくれたりもした。
僕もアリスの為に料理を作ったときがあるのだが、食べ物は摂取しなくても存在を維持できるとのこと。
維持するのに必要なのは「僕」自身の存在であると言っていた。
それでも食べてみてと勧め、料理を口にした時のあの笑顔は、今も忘れられない。

自分でもわかっていた。「彼女」に惹かれていることを。
しかし彼女は僕の心が読めるはずなのに、この感情に気づいている様子は一つも無かった。
自分の中で、「許されない」ことのように思っていた。
でも、彼女は確かにここに 目の前に「存在している」。
それだけは確かなのに、二つの感情がぶつかっていた。
僕は・・・彼女と・・・どうあるべきなんだ・・・?

アリス「蒼人さん?」
蒼人 「!なっなんでもないなんでもない!」
アリス「・・・・・」
蒼人 「てってーか、僕の心、わかるんだよね・・・」
アリス「はい・・・全てでは、ないですけど、」
蒼人 「へ?いまなんて・・・?」
アリス「私はあくまで貴方から生まれた存在です。おおよその考えはわかりますが・・・」
蒼人 「?」
アリス「いえ、"感じ取れる"・・・もしくは"察する"ことが出来る、という感じですね」
蒼人 「あ、そ、そうなんだ・・・(ホッ)」
アリス「でも他の人よりは貴方のこと、知っていますよ」
蒼人 「のわっ!?」

 アリスは顔を近づけて僕の顔をじっと見つめてきた。

アリス「・・・・・」
蒼人 「・・・・・ゴクリ」

 にこっと笑って一言

アリス「ベッドの下の」
蒼人 「ノオオォォーーー!」

 な・・・何言い出すかと思いきや・・・でっでもアリスと会ってからは触れてないし、多分適当言っただけで

アリス「ああいうのがお好みなんですね。でも私も負けてませんよ。多分蒼人さんのアニマに比例して私は」
蒼人 「だーーーーーー!!もういい!もういいからっ!女の子はそんなこと言っちゃいけません!」
アリス「はいっ」
蒼人 「(確かに・・・確かにアリスは・・・僕の理想ぴったりだけどさっ・・・変な目で見たことなんて一度もっ)」
アリス「(ぎゅっ)」
蒼人 「ぉわぁっ!」

 後ろから不意に抱きつかれる始末。こっこれ以上は・・・

蒼人 「ややややめっ」
アリス「たまにはこういうのも♪」
蒼人 「ふっふふ風呂っいってくるっ」
 とっさにアリスから解放され、急いで風呂場へ駆け込んだ。
アリス「あっ・・・・・ふふっ♪」
 彼女は「死神」という存在なのに、それを忘れさせるくらい「人間」らしかった。
 基本はこんな感じで平凡だった・・・「大体は」。
 しかし現実は僕を絶望へと誘い続けた・・・
207名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 14:46:46 ID:DpPGQ+TN
以上です。
お目汚ししつれいしました。
評価いただいたあと、なるべく早めに続きを投下します。
それでは何卒。
208名無しさん@ピンキー:2010/03/30(火) 00:07:28 ID:Tot5/qWH
読んでないけどタイトルから予想してみた

1.主人公の持つ心の中の女性像が独立して死神を騙った
2.死神が主人公の女性像から主人公の好みにどんぴしゃな姿をとってあらわれた
209名無しさん@ピンキー:2010/03/30(火) 00:52:01 ID:gkK2DLUE
アリスかわいい。巨乳なのかな?
続きが楽しみ

あとセリフの前に名前つけなくてもわかるのと
「・・・(中黒)」を「……(三点リーダ×2)」にすると字面が綺麗に見えるよー
210名無しさん@ピンキー:2010/03/30(火) 04:17:28 ID:xbxgFOUZ
ベッドの下w
エロさの縛りが絶妙です、展開が楽しみ

A「──」
B「……」
A「〜〜」
ちょっと気になったのが上のような表現のリフレーンで、やり過ぎると文章が台本のようになります
SSスレだからそれで構わないのだけど、描写をもっと取り入れてもらえると良いなと
211名無しさん@ピンキー:2010/03/30(火) 05:48:29 ID:pvMhVd5a
>>208
そうですね…どちらかというと 1の方が近いと思います。
ややネタバレかもしれませんが、なぜ「アニマ」と「死神」なのか…といったところがキーですね。
時間が許されれば読んでいただけると幸いです。><(ペコリ
>>209
ご期待に副えるかわかりませんが、頑張ります!^^
アリスは自分でも言っているように「負けていない」ようです。蒼人の趣味も気になるところですね…w
アドバイスありがとうございます!早速取り入れてみます。
>>210
エロシーンの描写が上手くいくかわかりませんが…自分なりに頑張ります!
アドバイスありがとうございます!なるべく描写表現を取り入れてみますね^^

今までのレスも参考にして、なるべく早いうちに投下するよう心がけます。遅くなってしまったら申し訳ないです><
212名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 02:56:52 ID:8AaPFueT
death/anima 仕上がりました。レス数多いので、時間おきながら投稿します。
  注意点・エロ有りですが、人によって最後抜いたことを後悔する恐れ有り(もっとも抜けるかはわかりませんが…)
     ・表現が上手くいっていない可能性有り(初なもので…)
     ・エロ主体のつもりが純情モノに…(抜く前に最後まで読むことをおすすめします。)
     ・最後のレスに「了」となっていなかったら、まだ全て投稿しきれていません。(大体8レス程)

説明しきれてない点や疑問等あると思うので、迷惑でなければ感想を交えて雑談したいと思います。(時間の都合つかない時もあると思います。)
それでは、5〜10分程の後、投稿します。
213death/anima:2010/04/01(木) 02:59:51 ID:8AaPFueT
「……!……!!」

  なんで……?

「…からお前は……なんだ!」

  どうして…怒られるの…?

「…ハハハッ お前ってほんとに…だな?あっはっはっ」

  違う…僕は…僕なりに…

「オマエナンカヒツヨウナイ」


「うわあああぁぁあぁあぁぁっ!!!」
「蒼人さんっ!?」
「はぁっ、はあっ、僕は、違う、僕はぁ、う、うぅっぅううぅぅっ」
  ぎゅうっ

「はっ、はぁ、はあ、はあっ」
「大丈夫です……私が、いつも傍に居ます。」
「はあ、はあ、うぅ、ご、ごめん…アリス…」
  ほぼ毎朝、僕はうなされて目が覚める。
  今日のは特別ひどいようで、現実に戻ってもしばらく恐怖が消えなかった。
  そんな僕をアリスは、優しく包んでくれた。普通なら、「どうしたの!?」とか言って驚くことが当たり前だが、
  彼女は違った。 何も聞かず、ただ何も心配ないと抱きしめてくれる。全て解っているように。

「もう…大丈夫だから……ありがとう、アリス。」
「はい……おはようございます。蒼人さん」
「おはよう…アリス」

  そして、一日が始まる。


「…そういえば気になったんだけど」
  午後の昼下がり、屋上で過ごしていた時のこと。朝のことでアリスに聞きたいことがあった。
「なんでしょう?」
「僕がまだ君のことが"視えてなかった"ときも、抱きしめてくれたの?」
  途端にアリスは顔を赤くした。
「あ、えと、その…えへへ…」
「そっか…ありがとな」
「あっいえ…私はそんな…」
  更に顔を赤くして、とうとう俯いてしまった。
  今まで実感していなかったが、改めて考えてみると、こっちまで恥ずかしくなった。

  キーンコーンカーーンコーーン

「あっ、そろそろ教室に戻りましょう?」
「ああ、そうだな。」
  そして僕らは屋上を後にした。
214death/anima:2010/04/01(木) 03:02:33 ID:8AaPFueT
  教室に入ると、皆が僕を白い目で見てきた。いつものことだが。
「ヒソヒソ…(おい…屑がきたぞ…)(ほんとだ まだ生きてたんだなw)
      (最近アイツ屋上行ってるらしいぜ…)(まじで? そのうち自殺しちゃったりしてw)」
  これもいつものこと。僕は何故かこそこそ話している声が聞こえてしまい、聞き流せず苦しんでいたが、
  少し前に聞き流せるようになっていた。慣れは怖いな。

「(え〜っと 次の授業はっと)」
  次の授業の準備をしようとして、何気なくアリスを見た瞬間、衝撃を受けた。
  アリスは僕の噂をしている生徒をおぞましい形相で睨みつけていた。
「……この下衆共が……」
  更に僕は驚いた。手にしている大鎌からもどす黒いオーラが滲み出ていた。
  普段いつも優しい彼女が、そんな風になるのを初めて知った。
  今まで学校などで噂をしている人を見る度にその顔をしていたと考えると、背筋が凍った。

  このとき、僕は改めてアリスが「死神」であると実感した。
「……あっ……」
  アリスは僕が少し怯えていることに気づき、僕を見てにこっと微笑んだ。
  僕も笑みを返すと、彼女は申し訳なさそうな顔をした。
  それが僕に気を使っているように感じて、後で話をしようと決めた。

  放課後 屋上で最初に口を開いたのはアリスだった。
「あ、あの…先ほど怖がらせてしまったようで…」
「ああ、いや、確かに少しびっくりしたけど、」
「わっ、私のこと、嫌わないでください!」
  彼女は今にも涙が溢れそうな目で僕を見つめた。
「もう、蒼人さんの前で、あっあんな顔、しませんからっ…」
  声が震えている。彼女は僕に嫌って欲しくないことが十二分に伝わってきた。
「すんっ…ごっごめんなさい…ふぇっうぅぅっ」
  ぎゅうっ…
「嫌わない…嫌うもんか…だって、僕のことを思ってあいつらを憎んだんだから…」
「ふっうぅぅっ、ふぇっぇぇえんっ」
「絶対に、嫌わないから…」
「わああぁぁあぁぁんっ!!」

  僕は"解った"。彼女は、間違いなく僕だ。僕の本当の気持ちを、彼女は体現しているのだ。
  泣きじゃくるアリスを、僕は落ち着くまで抱きしめ続けた。
  帰り道も彼女が不安にならないように、ずっと手をつないだ。

「それじゃ、おやすみ アリス。」
「おやすみなさい。」
  それから数分後
「スゥー…zzz…」
「蒼人さん……ありがとう……えと、ほんとは起きてるときにしようと思ったんですけど…
 まだ少し恥ずかしいので、今させていただきますね…」
  アリスはそう言うと、唇を重ねた。
「ん…………えへへ、
 ちょっと、ドキドキしちゃいました。今度は…起きてる、ときに……すぅ…すぅ」


  翌朝
「あ、あれ夢だったのかな?ぼ僕とアリスが…いや、忘れよう…」
215death/anima:2010/04/01(木) 03:05:26 ID:8AaPFueT
  職員室
「…お前、屋上に行ってるんだって?」
「はい…それが、何か?」
  担任に呼ばれて僕は放課後職員室に来た。誰かが屋上に行ってることを告げ口したらしい。
  別に屋上に行くくらい良いだろうと思ったとき、予想もしないことを言われた。

「お前まさか、隠れてタバコ吸ってんじゃねえだろうな?」
「へ?」
  驚きを通り越して呆れてしまった。こいつ馬鹿か?
「屋上に行ってると教えてくれた奴がそんなことを言っていたんだがな…どうなんだ?」
「吸ってるわけないじゃないですか。それに吸っていたら口臭ですぐわかるでしょう。」
「…じゃあ、屋上で何してたんだ。」
「何って…昼は飯食ったり、本読んだり、空見てたりしてるだけですよ」
  まだ疑ってる。なんで告げ口した奴のことを信じて、僕の言うことは信じないんだよ?

「ふん。そういえば最近、お前成績が下がってるぞ。空なんて見てる暇あったら勉強したらどうだ?」
「僕が何しようと勝手じゃないですか。普段見て見ぬふりしてる人に関係ないですよ。」
「なんだ、その態度は!それが教師に対する礼儀か!?」
「先に人のこと疑ってきた癖に何言ってんですか!」
  教師はすぐこれだ。自分に気に入らないことがあると話をそらす。卑怯者が。
「…ふん。まあいい。あとで親御さんに電話しておくからな。」
「!?だから吸ってないってさっきから」
「それとこれとは関係ない!」
  このクソ教師…って!?アリス!?
「さっきから黙っていれば……」
  大鎌が低い呻きを上げている。ここは退くしかないか…
「…分かりました。それじゃもう今日は帰ります。さようなら。」
  そう言い捨て、職員室を出た。
「蒼人さんっ!?…このクソ教師ッ!!」
  アリスも急いで後を追った。

  帰り道はずっと無言だった。
  家に帰ると両親に座れと言われ、椅子に座った。
「お前…タバコ吸ってたのか?」
「吸ってないよ…吸ってたら臭いで分かるでしょ?」
  その途端父親に胸ぐらを掴まれた。
「本当に吸ってないんだろうな?もうこれ以上問題を起こすなよ?」
「問題って…周りが勝手にほざいてるだけなのに何で僕が」
「近所からも嫌味を言われて困ってるのよ。何であんたみたいな子を生んじまったのかねえ」
「まったくだ。こんな親不孝者聞いたこともない。もういい。ただしこれからどうするかじっくり考えて行動しろよ?」
「それじゃ、あたし達はしばらく旅行に行って来るから。こんなことのないようにね」

  バタンッ

「…………」
「蒼人さん……」
216death/anima:2010/04/01(木) 03:07:47 ID:8AaPFueT
「僕…は……」
  もう……死にた…っ!?

「んっ……」
「んんっ……って、ア、アリス!?」
  いきなりすぎてなんだか混乱してしまったが、アリスに、キ、キスされてしまった…?
「死にたいなんて、思わないでください……」
「あっ…」
「私は、貴方に死んで欲しくありません。」
  !?死神なのに……どうして…?
「私にもっと甘えてください!私がせっかく"視える"のに、こうして触れることもできるのに、私のことを忘れて置いて逝かないでください!」
「アリス…」
「たとえ貴方が世界から見捨てられようと、私だけは貴方の傍に居ます!ずっと、永遠に!」
  僕は思った。なぜもっと早く彼女に会えなかったのだろうと。もっと早くに会えたら、もっと幸せだったろうと。
  でも、今だからこそ、そんな風に考えられるのだと思った。だからこそ、伝えよう。この"想い"を。

「アリス……」
「すん…すんっ…」
「傍に、いてくれ…」
「蒼人さん……んっ」
  さっきまでの絶望が失われていく。いや、絶望しきったから、「希望」を手に入れられたんだと思う。
「ん………!?んんっ!?」
  ア、アリス!?そそれはっ!!
「んんぅ……ちゅぱっ……んっ…」
  アリスの舌が、深く、濃厚に絡んでくる。
「ん…はぁ…蒼人、さん…」
  まさか、アリスにそこまで想われていたとは…自分でもびっくりだった。

「その、えと…蒼人さんがよろしければ……し、しませんか?」
  へ?




  い、今なんと・・・?
「私の、全てを貴方に…捧げさせてください……」
  どっかーん。
  つつまり、その、あれだ、もしかして、
「貴方と、一つになりたいんです…」
  ア イ タ ク チ ガ フ サ ガ ラ ナ イ
「だめ、でしょうか……?」
「ほっ、本当に…?」
「あ、あまり何度も言わせないでくださいよぅ…」
  その澄んだ瞳があまりにも美しすぎて、僕はどうかしそうだった。
  しかし、僕も男だ。ここで出来なきゃいつやるって話だ。アリスもかなり勇気を振り絞ったに違いないのだから。
「も、もちろん…アリスが、望むなら…」

  そして僕らは、部屋のベッドへと移動した。
217death/anima:2010/04/01(木) 03:10:26 ID:8AaPFueT
  生涯、僕は独身で、経験せずにくたばるものだとばかり思っていた。しかし、まさかこんな形で経験できるとは…
「あ、あの」
「ふぁっ、ひゃいっ!?」
「その…多少激しくしても、構いませんので……お、お手柔らかに…」
「あ、ああ…(ゴクリ」
  アリスはそのままベッドに横になり、月光に照らされたその姿は、まるで"月下美人"のごとき美しさだった。

  そのまま僕は、羽織っている黒衣のローブをまくったのだが、そこで重大なことに気がついた。
「な、何も…着てなかったの!?」
「は、はい…あ、でも私寒いのは慣れてるので心配しなくても」
「そっそういう問題なの…?」
  今まで気にしていなかったが、まあローブも大分ぶかぶかのだし…っと、いかんいかん、
「…今度服買ってやるから…」
「あ、ありがとうございます…」

  気を取り直して。
  そのままローブを脱がして、唇をそっと重ねた。
「んっ…ちゅるっ…んふ…」
  お互いの舌が求め合うように絡みつき、部屋には"水"の滴る音が響いた。
「ぴちゃっ…んぅ…ちゅぱっ……ぅん…」
  そして両手を二つの"果実"へと伸ばし、ゆっくりとその柔らかさを確かめていった…
「んん…はぁっ……あ…ぁ…」
  舌をそのまま首筋へと這わせ、果実の"柱頭"に口を運ぶ。
 ぴちゃ……ぴちゃっ……
  少しずつ柱頭から"果汁"が滲みだす。その甘い香りが、手と舌に豊満な果実をむさぼらせた。
「あぅ……あっ…んんぅっ…ぁん……はあ、ぁっ…ああっあっ…」
  アリスは身をよじらせ、蒼人の頭を抱きしめる。
 じゅるっぴちゅぴちゅ…じゅるる…じゅるっ
「はぅっ、やっ、い、イっちゃいそぅ…ですぅ…ゃん…」
  手で揉みしだき、舌でその汁を吸えば更に溢れ出す。蒼人はそのとろける香りと味に理性を奪われていた。
「やっ、イクぅ…ぁっそんな…すすられたらぁ……あぁ…」
 じゅぱぁ…じゅるるっ…
「あっ、ぁあぁぁあんっ!!!」
  アリスは体を震わせ、二、三度ケイレンを起こした。
「はぁっ、はぁっ……蒼人さん…すごく、イイですっ……」
「アリスって意外と淫らなんだね」
「あっ蒼人さんの前でだけ…ですよぅ…」
  くちゅっ
「っ!いっいきなり不意打ちはひどいですよぉっ」
「そろそろ下の方も欲しがってたかなと思って」
 くちゅくちゅ
「…!蒼人さんの方がっ……よっぽど卑猥ですっ」
「僕が卑猥ならアリスもだよ」
 くちゅくちゅくちゅくちゅっ
「ぁあっ…そっそれはぁそうですけどっ…ゃあっ」
「アリスがこんなに積極的だったなんて……おしおきが必要だな」
「…蒼人さん性格変わってますよ…?」
「アリスのおかげで目覚めちゃった」
  手でアリスの"雌しべ"の中を弄りまわしながら、溢れ出た"蜜"をゆっくりと堪能し始める。
「あっ…そんな…じらさないでぇ……ぁあ…感じちゃうぅ…」
 ちゅるちゅる…くちゅくちゅ……
218death/anima:2010/04/01(木) 03:14:01 ID:8AaPFueT
「もぅ…っひとおもいに…イかせてください…あぁっ」
「らめだよアリス。ほういうのはゆっふりじあじあほやらないほ」
(だめだよアリス。こういうのはゆっくりじわじわとやらないと)
「ゃっ!だめぇ!そんなふうに舐められたらっ私っあっぁぁっ」
  ちゅぷちゅぷ…ちゅるるる…
「ゃあっ!イク!イクうぅぅっ!」
  しゃ―――――。
「ビクン あぅっ ごめんなさい……(ビクビクッ」
  気持ちよくなりすぎたアリスは失禁してしまい、またケイレンを起こしていた。
「…かわいいなぁアリス。すごく感じやすいんだ?」
「い、イジワルしないでください……って、あぅっ!」
  じゅぷ…じゅぷ……
「そろそろ…僕にもイかせておくれよ…」
  ずぷずぷ…じゅぷぅ…
「あっぁあぁああっ……は、入ってくるっ…すごくっおおきいぃ……」
  ぐちゅぐちゅ……ぬぷぅっ…
 蒼人はそのまま"雄しべ"をアリスの秘奥へと入れては抜いてと繰り返す。
「ゃっ…ぁあぅっ……頭の中がっ…まっ白になっちゃうぅ…」
  ぐちゅぅぬぷっぐちゅっぐちゅっ
「ぁっあっぁん、あっあっ……あぅっあっふぁっ…ふぇっえっ」
  そのとき、蒼人は血が滴っていることに気づいた。
「大丈夫?処女膜破れて痛いんじゃ…」
「はぁっ、だ、大丈夫です…こんな痛み、蒼人さんの苦しみに比べたらっ」
「無理しなくていいよ?とりあえず血拭いとくけど…」
「はい…でも、大丈夫です。続けて、ください…」
「わかった。辛いときは遠慮せずいってね?」
「はいっ」
  血を拭き終わった後、再開した。
 ぐちゅっぐちゅっじゅぷっじゅぷっ
「ふぁんっぁんっあっ、ぁのっ、蒼人さんっ、あっ」
「どうしたの?」
「中に、出して構いませんから。死神は、妊娠することが無いので」
「そうなの?…じゃあ、遠慮なく」
  それを聞いて安心したのか、一気にペースを速める。
「っはぁっあっは、激しいですぅっあっぁっあぁっ」
  じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷ
「だめぇ、またっイっちゃいますぅぅっああんあんっ」
「アリスっ、出るよっ」
「だっ出してぇ、わたしにったくさんんっ」
「っ」

  どぴゅうっどぷどぷっ
「あぁあぁああぁぁんっ!!」


「はあ、はあ、はぁはあ」
「アリス…好きだ…大好きだっ…」
「蒼人さん…私もっ、貴方のことが、大好きです…」
  二人は深い口づけを交わし、眠りについた。
219death/anima:2010/04/01(木) 03:17:59 ID:8AaPFueT
  翌朝
 僕は予想もしない出来事を目の当たりにして愕然とするだけであった。

 アリスの体が半透明になっていたのである。
 アリスは最初説明することをためらっていたが、やがて重たい口を開き、僕は全てを知った。

 アリスの正体は蒼人の深層心理体それと兼ねての死神。その一部としてアニマであり、「タナトス」(死の本能、自己破壊衝動)でもあった。
 「タナトス」…ギリシャ神話の「死」の概念から生まれた「死神」。
 心理学者フロイトによれば、タナトスが大きくなりすぎると、タナトスを中和する「エロス」(生の本能)が働き、タナトスを打ち消そうとする。
 つまり、それらの一部をもつ深層心理体として存在するアリスと交われば、アリスは消えることになる。
 それをアリスは知っていながら何故昨夜の行為に至ったのか。そのとき僕は悟った。

…僕が「死にたい」と願ったからだ。僕の寿命はまだ先のことであり、自殺をすれば「啓示」に無い死とみなされ、魂が「消失」する。
  魂が消失するということは、アニマ・アニムスの存在も消失する。
  しかしアリスは決して自分の存在が消失することを恐れたのではなく、僕自身の消失を恐れたのだ。

  昨日僕が「死にたい」と願うことで僕の中で「タナトス」が生まれた。
  そのまま何もしなければ、あの時間違いなく死んでいたという。
  今までも死にたいと願ったことはあったが、昨日の場合、積み重なったものが溢れてピークに達し、一番危険な状態であった。
  危機感を感じたアリスは、同時にアリスの中で「エロス」が生まれ、僕の中の「タナトス」と結合・中和しようとし、結果こうなった。
  
  因みに、アリスはこれまで蒼人の「タナトス」を体現していたが、それはあくまで他者に対する「死を望む本能」であり、
  また蒼人自身が意識的に「エロス」を抑えていたため、中和しようとしなかった。
  この場合アリスの中でタナトスが大きくなってしまい、やがて死のうと考えてしまうのだが、
  アリスは蒼人の存在によって「存在」しているので、自殺することは出来ない。
  また、同じく蒼人の存在自体がアリスにとっては「エロス」であり、アリスの中で消化できるからである。
  更に、蒼人が意識的に抑えたため、深層心理に「エロス」が生じて中和したとも考えられる。
  
  しかし蒼人はあの時自分の中で消化できなかった。故にアリスがそれを補おうと「エロス」を体現した。
  そして蒼人の中の「タナトス」と交わることで中和されるのだが、先ほど述べたようにアリスは深層心理体であるためにその存在自体が消えてしまうのである。
 
  そこで疑問が残る。蒼人が存在する限り、アリスはまた生まれるのではないか?と。
  しかし、アリスはこう告げた。
「その可能性も考えられますが、また同じ「私」が生まれるかは不確定要素なのです。そして「生まれる」のが…いつになるのかも…」
「分からない…?」
「…………」

「僕の…せいだ。僕の存在自体が、アリスを苦しめてしまったんだ。」
「それは…違います。確かに、もう逢えないと思うと悲しいですけど、それでも、私は幸せでした。蒼人さんと過ごせた日々、昨日、一つになれたこと…」
「………」
「今一番苦しいのは、蒼人さんですよ?…それを思うと、私も苦しいですけど…」
  ほら、結局、僕のせいじゃないか。
「私が苦しいのは私が「あなた」だからです。同時に、あなたも「私」なんです。だから、お互い辛い…。」
  ……そうか。
「でも、私はもう消えてしまう。だから残された貴方が一番辛いんです。」
  ア、リス…
「ごめんなさい…」
「嫌だ…消えるなよ…」
「…蒼人さん」
「頼むよ!お願いだ!どんな酷い仕打ちを受けてもいい!だか、ら、…」
  ぎゅうぅ
「消えないで、くれよぉ…」
「蒼人、さんっ…」
「うあぁあぁああっ…」
220death/anima:2010/04/01(木) 03:20:09 ID:8AaPFueT
「蒼人さん…これを。」
  そう言うと、アリスは髪を結んでいるリボンをはずし、蒼人に渡した。
「あっ…」
  蒼人の手にリボンが触れると、半透明から実体化した。
「何も無いより、ずっと、いいですよね…?」
「ああ……」
  そして段々と、しかしゆっくりと、アリスは透明になっていく…
「アリス、嫌だ、消えないで…」
「蒼人さん、駄目ですよ、私、最後くらい泣かないって決めてるんですからっ」
  そうはいうものの、アリスの声は震えていた。
「蒼人さん…」
  そして、最後のキスを、交わした。
「…私は、貴方の傍に、ずっとっいますからっ…」
「うぅっくっ」
「また、逢えますから…いつか、きっと。」
  そして、とうとう…







  

  

  アリスは、視えなくなった。










「アァリスゥゥーーーーーッ!!!」


  蒼人の手には、アリスのリボンだけが残っていた。


221名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 03:24:05 ID:8AaPFueT
以上で終わりです。長々となってしまい申し訳ないです。
読んでくれた方々に楽しんでいただけられたら幸いです。
ややくどい表現とかもあったかもしれないです。
それではよろしければ感想等どうぞ。
222名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 03:50:44 ID:hLCkqaWu
乙です!

こういう締め方は予想してなかったー
ラストがちょっと寂しすぎるのと、未消化っぽい複線が気になります……
アリスは蒼人の意識に同化しすぎたという事でしょうか?
後日談(xx years afterとか?)があればそれも読みたいです
223名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 04:23:48 ID:8AaPFueT
>>222
ありがとうございます!

自分でも不思議なんですが、なんでこんなになったのだろうと…OTL
こういうバッドエンドものは好きじゃないんですけどね……
見直ししてるとき泣きそうになった;;

未消化部分というと、蒼人がなぜアリスを視ることができたのか?っていうところでしょうか?
この部分は後日談で(個人的にハッピーに向かうように)使おうと思ってます。
アリスの消えた原因としては、タナトスとエロスの中和作用によるものです。
ただ、ある程度独立しているので別の存在に思われがちですが、元々蒼人から生まれた存在なので、
同化しすぎて、というのはないですね。

終盤の説明、やっぱりわかりにくかったか…(f^^;)
224名無しさん@ピンキー:2010/04/02(金) 21:02:24 ID:MS4R7WTK
GJ!
おもしろい設定だった
ただ>>222にもあるように何かしらの救いがあっても
いいんじゃないかなーと思ったので後日談に期待して待ちます
225名無しさん@ピンキー:2010/04/04(日) 07:11:15 ID:ps/Bc+qt
どうやら大規模な規制に巻き込まれてしばらく書き込めません…
後日談は必ずや書き込んでおきますので、規制解除まで保守お願いしますです。
226名無しさん@ピンキー:2010/04/06(火) 03:27:45 ID:w9IGlcA+
まってるよー
227名無しさん@ピンキー:2010/04/17(土) 03:31:27 ID:eHac6wTl
保守は任せろ
228名無しさん@ピンキー:2010/04/17(土) 19:19:49 ID:fb+Hzip6
俺も保守DAZE
229名無したん(;´Д`)ハァハァ:2010/04/19(月) 03:18:33 ID:1lSc7rh2
後日談大変おまたせしましたぁ! といいたいところですが、残念ながらまだ全部仕上がっておりません…OTL
しかしこのまま出す出す詐欺と思われるのが嫌なので、途中までですが前編として投稿しますです。
 注意点・生殺しの危険性有          ←必読
    ・エロかわかりませんが、淫語有
    ・冒頭から説明多し
    ・矛盾点があるやも…そのときは申し訳ないです。
純粋に物語を楽しんでいただければ幸いです。では投稿します。
230death/anima 〜sequel〜:2010/04/19(月) 03:22:43 ID:1lSc7rh2
――あれから、幾つもの夜を過ごしたように感じる。

 「あの日」のことを考えると、今でも胸が苦しい。
  でも、苦しいだけじゃない。また彼女に―「アリス」に逢えると、希望を持ちながらここまで生きてきた。
  アリスに貰ったリボンを辛くても忘れないように左腕に巻きつけていた。
 「あの日」――、アリスは消えてしまった。けれど、このリボンだけは未だに、確かに僕の腕にしっかりと結ばれてい。

  だからこの二年間、長く感じられたけど信じ続けることができた。
  また彼女に―「アリス」に、逢うことができるはずだ、と。

  そして、運命は廻り始めた。

「…あ…とさ……」
  声が聴こえた。どこかで聴いたことのある声。
「まさか…」
  不安と期待が入り交じりながら、確信するために彼女の名を呼ぶ。
「…アリス?君なのか?アリス!!」
  そして、目の前に「それ」は現れた。

「あ…あぁ…」
  黒髪で長めのツインテール、黒衣のローブに大鎌、その姿は紛れも無く「彼女」であった。
  ……「瞳」以外は。
「…アリ、ス?」
  目の前に現れた死神の瞳は、「緋色」をしていた。そして僕の問いの答えに、こう告げた。
「いいえ、私はアリスではございません。」
  僕は、ただ愕然とするばかりであった。

「…貴方が、蒼人ですね?」
  …!何で、僕の名を…?
「どうして…それに、君は一体…?」
「間違いないようですね。……ボソ(本当に、あの方に似ておられる…)」
「あの方…?」
「…いえ、こちらの話です。私の名はイヴ。死神であり、原初の"アニマ"です。」
  原初の…アニマ…?
「それって…どういう…」
「貴方に人の運命を決める審判が下されました。その結果によっては、貴方が今逢いたい方と逢うことができるでしょう。」
「!!それって…彼女に…アリスに逢えるってことなのか!?」
「ええ。しかし、また結果によっては、人類の滅亡もありえます。」
  僕は言葉を失った。

  そしてこの瞬間、全ての命の運命は僕の手に委ねられた。
  僕はこの先に待ち受けるものが、とてつもなく恐ろしく思えた。 
231death/anima 〜sequel〜:2010/04/19(月) 03:24:34 ID:1lSc7rh2
  その後、イヴはどうして僕がその「審判」に選ばれたのか話してくれた。

  そして僕が、原初の「アニムス」の元である「アダム」の生まれ変わりであることを知った。
  それ故、僕はアリスやイヴを視ることができるのだという。
  イヴが現れた理由は、アリスが消えたことでその代替として、アダムのアニマがイヴだからということが重なり、
  僕の前に現れることができたのだという。

  そして、なぜ深層心理体が死神となったのか、その原因となる話を聞いた。

――まだ楽園という場所に人間が住んでいたころ、原初の人間であるアダムとイヴは深く愛し合っていた。
  しかし、あるとき神から口にしてはならないと言われていた禁断の果実を二人で食したがために楽園から追放された。
  ある「罰」とともに。
  その罰とは、お互いの姿が見えなくなるという罰、そして死の直前に愛する人に殺されるという罰。
  つまり自分のアニマ・アニムスに殺されるということ。これがアニマ・アニムスが「死神」となる所以である。
  愛する人に殺される――これほど辛い罰は二人には無いだろう。
  更には、深層心理体として存在するアダムとイヴは消滅せずに、愛する人を殺してしまったという悲しみを背負ったまま、
  永遠に存在し続けるという残酷なものだった。また、アニマとアニムスは相反するものであり、お互いを認識することが出来ないため、
  二人は永遠に孤独で居続けることになる。

  僕はこの話を聞いていたとき、涙が止まらなかった。
  それが僕がアダムの生まれ変わりだからだとか、変な同情心からくるものではない。
  あくまで僕自身のことのように感じ、また僕自身が悲しいからだった。
  また、その二人が僕とアリスのように感じられて、更に悲しみが深まった。
  そして、イヴはこう言った。
「だからこそ、貴方には為さねばならないことなのです。これは私たち人間に課せられた試練なのだから。」
  試練。 僕とアリスが離れ離れになったことも、全て運命だったのか?
  だけど、そんなことは関係ない。僕は人類のためだとか、そんな大それたことも考えない。
  ただ、アリスを、そして永遠の呪縛に繋がれたアダムとイヴを救いたい、それだけだった。

「では、貴方を"神"のところへ連れて行き、そこで試練を受けてもらいます。」
「"神"…?」
「貴方がたの世界ではヤハウェ、などというのでしょうね…」
「もしかして、その"神"がイヴたちを…?」
「…では目を瞑っていてください。」
  僕は確信した。その"神"とやらが楽園から追放した張本人だ。
  そして言われるまま、僕は目を瞑り、不思議な感覚に包まれた。

  間もなく、僕は"神"のいるところに着いた。
  そこで見たものは、想像をはるかに超越していた。
232death/anima 〜sequel〜:2010/04/19(月) 03:26:41 ID:1lSc7rh2
  これが、"神"――。
  この姿を、どう言えばいいのかわからない。僕の表現力が足りないとか、そういう次元じゃない。
  この世界で、表現できる言語が無い。それくらい超越した存在。
  それが"神"。見た者にしかわからないとは、まさしくこのようなことなのだろうと、僕は思った。
  そして"神"は語った。いや、語ったというか、こう"言われた"気がした。
「汝、人ノ子ヨ。我ガ試練ヲ超エシ時、汝ノ願イ果タサレン。超エラレヌ時、人皆滅ス。汝、人ノ子ヨ。覚悟セヨ。」
「…その試練とやらは何だ?」
「試練。汝ガ愛スル者ヲ闇カラ救ウコト也。」
  つまり、アリスを連れ戻すってことか?
「それだけなのか?それが試練なんだな?」
「闇、即チ地獄。絶望ト苦痛ト悲哀ト憎悪ガ渦巻ク場所。其ノ道ナリ酷ク険シイモノ也。長ク遠ク悠久ノモノ也。」
「どんなに困難な道でも、絶対に連れ戻してやる!絶対にだ!」
「ソシテ条件ガ有ル。」
「何だ。」
「決シテ誘惑ニ負ケテハナラヌ。其ニ負ケタ時、全テヲ失イ、人ハ滅スル。」
「…解った。」
  そして目の前に黒い穴が出現した。
「行ケ、人ノ子ヨ。汝ガ宿命ヲ、罪ヲ償エ。」
  黒い穴からとてつもなく禍々しいものが溢れてくる。それでも、僕は恐れることは無かった。
  この中で、アリスは一人でいる。だから僕は恐れるわけにはいかない。
  この先に底の無い絶望があっても、僕は真の絶望を知っている。

  そして、僕は暗闇の中へ入っていった。
「どうか…ご無事で。」
  イヴはただ、蒼人の背中を"彼"と照らし合わせて祈るだけだった。






  暗い。
   どこまでも、どこを見渡しても、闇が広がっている。
  歩っても歩っても、先が見えない。
    そして心を蝕む孤独感。
      それでも僕は、歩くことを止めなかった。
「アリスも、同じ気持ちで、本当は怖がっているんだ……僕は、誰よりも寂しがり屋な彼女を、抱きしめてやるんだッ!!」
  そう心の中で唱え、左腕に結んだアリスのリボンを見て励ましながら歩っていった。









そして、辿り着いた。
233death/anima 〜sequel〜:2010/04/19(月) 03:28:33 ID:1lSc7rh2
  闇の中に佇む黒い巨塔。近くまで来ないと判別しにくいが、存在感はあった。
  その塔の中から鈍い呻き声のようなものが聞こえて、ますます恐怖が増していく。
  しかし、恐れてはいるものの、それが「恐怖」なのか、僕にはわからなかった。
  そして、塔の中に入っていった。


dじぇうvkんさrんlを異ゑんq餌wくぃ無
wfんh背VQV炎f挫wんvkヴァmw氏血く
  
  意味不明な呻きが聞こえてくる。
  そして、通路から広間に出ると、「彼女」がいた。
  初めて会ったときはツインテールだったが、別れ際にリボンを渡して消え、髪をおろしたままでいたが、すぐにわかった。
「……アリス…?」
「…!!…そんな……まさか…」
「アリスッ!!」
  彼女を抱きしめようとしたときだった。
  僕の手は触れることができず、そのまま体ごとすり抜けてしまった。
「ごめんなさい…ここでは、私の体は幽体状態なので、触れることができないんです。」
「そうなのか…でも、本当に、アリスなんだよな!?」
「はい。私も、またこうして蒼人さんに逢えて、嬉しいですっ!」
  二年ぶりの再会。いや、離れている間の時間というのはとてつもなく長い。
  ましてや、アリスはこの闇の中にいたのだから、時間の感覚などわかるはずもない。
  少なくとも、二人にとってこの空白の時間は永遠にも等しかったのだ。
「あ…そのリボン…」
「ああ、アリスがいなくなったときから、ずっとこうしてたんだ。」
「…蒼人…さんっ」
  その澄んだ目に涙をためながら微笑む。安心させたいが、触れることもできないので、蒼人はやるせない気持ちでいた。
「……アリス、ここから出よう。そして幸せになるんだ。僕たちなら…」
「ちょっと待ってくれ。」
  僕が話しているときに、誰かが口を挟んだ。誰だ?
「あ、この方はアダムさんです。」
  この人が…アダム!?まるで僕に瓜二つじゃないか!?
「…初めまして、かな。ほんと、俺にそっくりだな。」
  闇の中から出てきた男―アダム。
  アリスとイヴが瓜二つであるのと同じように、僕とアダムもまた、瓜二つだった。
  そして、アリスもまた全ての事情を把握していた。
「何かの因果なんでしょうか…それとも、最初から、こうなるように…」
「関係ないよ。たとえ運命でも、それは"神"が決めることじゃない。人が決めることだよ。」
「フフッそうか。…なぁ、最後に聞かせてくれないか。…イヴは、どんな様子だった?」
「…貴方のことを話しているとき、とても幸せそうで、想い続けていましたよ。貴方のことを。」
「そうか。……それを聞けただけで幸せだ。俺の方からも言っておいてくれ。お前だけを、愛していると。」
「もちろんです。……じゃあ、行こうか、アリス。」
「あ、待て、お礼といってはなんだが、お前に忠告しておく。"絶対に後ろを振り向くな。"何があっても、前だけを見続けろ。」
「はい!」
「後ろを向いたとき、全てを失うことになる。帰り道は気をつけろよ。じゃ、お幸せにな。お二人さん。」
「…ありがとうございます!」
234death/anima 〜sequel〜:2010/04/19(月) 03:30:33 ID:1lSc7rh2
  そして、僕とアリスは広間を後にした。
「……人が決めること、か。選ばれただけはあるなぁ……なあイヴ、お前は俺を許してくれるか?お前を殺した…俺を。」

  塔の入り口前―
「あの…蒼人さん、一つだけ、私からも忠告が…」
「何?」
「私は、この塔から出たら、闇で見えなくなります。ですから、そうなってしまっても、振り向かないでください。」
「わかった。何があっても、絶対に振り向かない。アダムにも言われたことだしね。」
「私、蒼人さんのこと、信じてます。だから、頑張って…」
    ギィ……
  そして、塔から出た。

  塔を出てからというもの、闇は寒気がするほど静かだった。
  アリスの気配も感じられない。けど、それは闇のせいで消えているだけだと、自分に言い聞かせた。
  そして、リボンを見ながら、ただ前へ前へと歩く。
  ただ前へ、ひたすら足を前進させる。
  行きより長く感じるが、それでも、一歩一歩進んでいく。
  そのときだった。
  光だ。光が見えてきた。
  僕は安堵しつつ、それでも警戒を怠らずに確実に進んでいく。
「もう少し…もう少しで、アリスと…」
  そのときだった。
「嫌です。外に出たくありません。」
  それは紛れも無くアリスの声だった。聞き間違えるはずが無い。
  そして僕は思わず返事をしてしまった。
「嫌って…どうしてさ?」
  後ろを向くことを必死に堪えたが、そのせいで足が止まってしまった。
「どうして?それはこちらの台詞です。貴方のほうこそどうして闇から出ようなんて思うのですか?」
「それは…君と、幸せになる為に…」
「幸せ?……ぷっ、あはははは!そんなの貴方の勝手でしょう?本音は、自分の幸せの為にそんなことを言ってるんでしょう?」
「違う…僕は、君が寂しいと思って…」
「はあ?何をわかったことを言ってるんですか?誰もそんなこと言ってませんよ?そんなこと言って、どうせ私の体目当てなんですよねぇ?」
「…君がしたくないんだったら、しなくていい。ただ傍にいてくれるだけで、僕は幸せだ。」
「反吐が出ます。誰が貴方みたいな下衆の傍にいるものですか。」
「…そう。」
  そして、目の前にアリスが現れた。
「私の幸せを本当に願っているのでしたら、私を今すぐ塔へ連れて行きなさい。」
「それが、君の幸せ…?」
「ええ、そうですとも。私、早くアダム様のところに行きたいの。だからさっさとしなさい。」
「どうして……?」
「これだけ言ってもわからないんですかぁ?私は早くアダム様に 抱 か れ た い の。あんたみたいな早漏、タイプじゃないのよ。」
「アダム様は、私を激しく愛してくれるの。そして何回もイかされちゃたなぁ……やだ、想像したら濡れてきちゃったぁ…」
「…あんた、もしかして今の私の話聞いて興奮してるの?これだから早漏は困っちゃうのよねぇ…」
「ねぇ、いい加減私をアダム様のところに連れて行きなさい。聞いてるの?」
「…は……ない…」
「は?何言ってるんですか?もっとはっきり言いなさいよ童貞。あんたの初体験なんて所詮妄想でオナニーしただけなんだから。」
「君はアリスじゃない、と言ったんだ。」
「ぷっ、あんた頭おかしいんじゃない?私はアリスよ。あんたに否定されるいわれなんてないわ。」
「じゃあ、そのツインテールはなんだ?」
「ツインテールがなによ。これは私が好きでしてるんですけど。はぁ、いいからさっさと…」
「アリスのリボンは今腕に巻いている。だから今髪を結んでいるお前は偽者だ!失せろ!!」
「よくわかったわね。そうよ。私は偽者よ。だけどいいのかなぁ〜そんなこと言って。」
「どういう意味だよ。」
「それ、本物に言ってるのと同じよ。」
235名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 03:37:39 ID:1lSc7rh2
以上前編でしたm(_ _)m
注意書きの名前がピンキーじゃないのは無視してください。特に意図はありません。
最後文字だらけですみません;
見にくいと思われますがご容赦の程を><

後編はエロ有+…な展開が!!早めに投稿致します。現在鋭意製作中!
236名無しさん@ピンキー:2010/04/19(月) 20:25:02 ID:bY0unK4C
GJ!
設定も興味深いが初体験がオナニーだったというのが気になりまくるw
アリスが現れたときは実体じゃなかったっけ。読み直すか
後編も楽しみにしてるよ
237名無しさん@ピンキー:2010/05/05(水) 01:38:22 ID:U/TH1hoU
238名無しさん@ピンキー:2010/05/19(水) 19:08:34 ID:SMJhyIxz
後編に期待
239名無しさん@ピンキー:2010/05/24(月) 14:45:10 ID:G+uLMv9V
保守
240名無しさん@ピンキー:2010/06/09(水) 12:46:47 ID:LbQg3ciC
241名無しさん@ピンキー:2010/06/28(月) 15:37:41 ID:Q1JJ5XWj
保守
242名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 23:18:50 ID:EnGNkgTZ
保守
243名無しさん@ピンキー:2010/07/18(日) 02:19:12 ID:Pme5nRy7
保守。俺もなんかやってみっかな…
244名無しさん@ピンキー:2010/07/18(日) 21:46:14 ID:9oSVPlN8
楽しみだな!
245名無しさん@ピンキー:2010/08/01(日) 03:25:49 ID:1J173zXX
ほす
246名無しさん@ピンキー:2010/08/20(金) 21:14:55 ID:0UnjIPNq

                 ___           ,.へ
           __    i´   ヽ      //:::`、
          〈 o>''" ''o ., ` ‐、/,.へ、 :::::ヽ
           .〉´     、 ヽ ヽー 、! '   ヽ  :::::',
          7  ハ、 ハハ i   ',ィ´      ',  ::::i
.           !ハ、 l.  ―l/ :i !.         i :::::!
             i 人 r 、"/,.ィ ハハ.        ! ::::,'  保守しますわ
           ,..,_ ィ>'i'`゙iヽ/  `ゝ、       /.:::/
          /´ Y 」, `i V  /"  Y      〈 :::〈
        /,`7λ_,>'、,_ ,. -ゝ.,  _'ゝ_    ).::ノ
        /, イ '´ ∠'"ゝrュ二 ,.レヽ ` 、ヽ、 〈r"
.      //  !_,.ィ´/    ´ `"ー'゙  \ \ ヽ-、
    //   ,. '"  '  / /.       \ ヽ'  `ヽ、
. //   <      /   .i          ヽ ヽ  /
<,/     rノ     /`ー´`l          ハ、__l i
      /'ヽ___,,..,,_」     .!     .i⌒ヽ、,/     ',
    ./              l,.- 、_,. ┘          〉
    ヽ,                        /
.     `ヽ、,. -、                __/
          ヽ.,               /´
247名無しさん@ピンキー:2010/08/22(日) 20:11:57 ID:WsffPang
可憐だ
248名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 18:03:45 ID:V2pGSyZ8
>>743
何で聴ける?
249名無しさん@ピンキー:2010/09/14(火) 18:04:41 ID:V2pGSyZ8
>>248
誤爆した
250名無しさん@ピンキー:2010/09/22(水) 01:47:12 ID:e83UGKnK
ふつくしい…
251名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 22:55:35 ID:zpm7TQMG
            Ψ
            | ハ_ハ 
         /l`('(゚∀゚∩/l\ 
         ⌒⌒|ヽ  〈 ⌒⌒
            | ヽヽ_)→
252桂木 桂馬ψ ◆FLAGMDXuX2 :2010/10/10(日) 05:56:35 ID:96IjUIXr BE:4098341489-2BP(1092)
@Reply:>>246
素晴らしい出来ですね。
死に神など、落とし神モードで落としてみせる。
デスノートなんかクソゲーだ!
253ほしゅ

       /ゝ
    /⌒/" 、⌒ヽ
   | ::::::::○::;;;::○::;| /ー- 、
   ヽ ,,:::、WWW;//==ヽ i
   /,~'''-::(,,゚Д゚)./.   |/
  / :::   ..::::つO
  "''-;,,i    ::::,,/ ヽ
     "''---''''/"''~