戦隊シリーズ総合カップルスレ 8

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
こちらは戦隊シリーズの総合カップルスレです。
現在放映中の『炎神戦隊ゴーオンジャー』、前年度放映の『獣拳戦隊ゲキレンジャー』等々、

戦隊作品のカップルについて マターリと語って行きましょう。
煽り・荒らしはスルー推奨。他カプ批判もNG。みんなで幸せハイウェイまっしぐらに行きましょう。

【ネタバレについて】
特撮板本スレに準じ、放映日当日・映画公開終了までのネタバレは控えてください。
もしスレ住人からの要望により、映画等のネタバレを投下する場合、
投下前にネタバレであることを明記し、NGワード用タイトルをつけること。
バレを見たくない人はあぼん推奨。
2名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 22:25:23 ID:mKQzN6xD
前スレ
戦隊シリーズ総合カップルスレ 7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207095178/

過去スレ
戦隊シリーズ総合カップルスレ 6 (dat落ち)
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1187689343/
戦隊シリーズ総合カップルスレ 5 (dat落ち)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176541347/
戦隊シリーズ総合カップルスレ 4(dat落ち)
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161010229/
戦隊シリーズ総合カップルスレ 3(dat落ち)
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142719752/
戦隊シリーズ総合カップルスレ 2 (dat落ち)
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114938210/
戦隊シリーズ総合カップルスレ (dat落ち)
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105953664/
【S.P.D】デカレンジャー総合カップルスレ【S.E.X】(dat落ち)
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1080011602/

戦隊シリーズ総合カップルスレ保管庫

戦隊シリーズ総合保管庫
ttp://sentaieroparo.blog100.fc2.com/

地球署の図書館
ttp://tfb.fc2web.com/index.html
保管庫の避難所
PC版 ttp://spdlib2.h.fc2.com/index.htm
携帯版 ttp://spdlib2.h.fc2.com/i/index.htm
3名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 22:43:30 ID:ftQeb/r7
>>1
乙!!

>>前スレ661
できればでいいんだが初めから投下してもらえないだろうか
4前スレ661:2008/10/08(水) 01:47:29 ID:1+oavPHl
>>1 乙です。
>>3 スレをまたぐとわかりづらいですよね。うっかりしましたすみません。
お言葉に甘えて、もう一度最初から投下させていただきます。

相変わらずの金黄です。
お暇つぶしによろしくお願いします。
55-1:2008/10/08(水) 01:48:49 ID:1+oavPHl

ガイアーク反応ではなかったのかもしれない。
事実、ボンパーはなんの反応も示さずだったからだ。

 日課のロードワーク中、邪悪な者の存在を感じ取り、大翔は振り返った。
過去にガイアークの愚かな蛮機獣に後をつけられたことがあり、もしやまたかと思ったのだ。
「ただのバカならほうっておくが」
しつこいバカは始末が悪い。
このまま見逃したとして、標的が美羽になることを想定し、大翔は眉をひそめた。
足を止め、背後に迫る邪悪な気配に語りかけた。
「何の用だ」
 現れた姿は黒いコートを身につけた女だった。
彼女はフードをとると、妖艶に口元をつりあげた。
ゾクリと寒いものが大翔の背をはしる。
纏う衣こそ違えど、顔立ちその姿はケガレシアであったからだ。
しかし、ケガレシアではないと直感で悟った。
それではこの女は?
「わたしをどうして捨てたの?」
冷たい水が話しているようだった。
そして、蛮機獣ではありえない花のような香りが漂ってきた。
女は大翔のほうに手を伸ばした。
大翔は拳を固め腰を落として身構える。
変身するべくウィングトリガーを握る手から力が抜けたのはその時だ。
「わたしが何をしたの」
その言葉はいくつもの女の声が重なって大翔の耳に届いた。
「わたしたちが何をしたというの」
間合いを取り女に鋭い視線を送るしかできない。
息苦しさとは違う、甘い痺れに絡めとられるように大翔の自由は奪われていく。
女は大翔に歩み寄ってくる。
美しい人の形をしているが、白すぎる肌は柔らかみも温かみもない。
「あんなにかわいがってくれたのに」
「わたしたちはすてられた」
「わたしたちはみむきもされなくなった」
「いつもいっしょだったのに」
「どうして」
大翔は耳を押さえようとした。
押さえたところで意味がないのはわかっていたが、そうしないではいられなかった。
敏感すぎる大翔の意識の中に、いくつもの「声」が入ってくる。
これに拳では対抗できなかった。
腕が上がらず耳もふさげず、声が絶えず響く。
頭が割れるように痛んだ。
とうとう大翔はアスファルトに膝をついた。
唇をかみしめ、息を止めて言葉の洪水と全身を貫く甘い痺れに耐えた。
女はそんな大翔を見下ろしながら妖艶にゆったりと微笑む。
65-2:2008/10/08(水) 01:49:38 ID:1+oavPHl
「 trick or treat?」
「な…に…?」
大翔の前に女も膝をついた。
腕を伸ばし、大翔の首にまわした。
身動きの取れない大翔に女は不思議そうな顔をして尋ねた。
「お菓子をくれないの?」
「それならいたずらをしなければ」
「そうね、いたずらをしなければ」
女は大翔に口づけた。
触れられた唇の冷たさ。
同時に流れ込んだのは、たくさんの声、耳障りな笑い声、むせかえるほどの花の香り。
眩暈に襲われながら、大翔は女から離れようと渾身の力を拳に込めた。
しかし女は口づけながら抱きしめ、大翔の体をわが身を包む黒いコートに包んでいった。
「いたずらをしたわ」
「だって」
「お菓子をくれないのだもの」
「気に入ったわ」
「連れて行きましょう」
「もっといたずらをしなければ」



「アテンション!」
花の香りに酔わされ朦朧としていた大翔の意識が呼び戻された。
「アニから離れなさい!!」
この邪悪な者の気配を感じた美羽が駆け付け、ゴーオンシルバーの姿で銃の狙いを定めていた。
「ゴーオン!」
銀色の光は女の眉間を砕いた。
まるで陶器のように砕けていく女の顔。
頭の中から声が消えた。
砕けた破片とはらりと落ちた黒いマント。
その上に大翔は崩れ落ちるように倒れた。
「アニ!」
美羽の悲鳴のような声が聞こえる。
姿は消えても濃厚な花の香りが大翔を苛む。
駆け寄ってきた美羽に抱き起こされた時、大翔は完全に意識をなくしていた。
75-3:2008/10/08(水) 01:50:17 ID:1+oavPHl

 走輔に担がれ、ギンジロー号のベッドに寝かせられた大翔はまるで呼吸をしていないかのようだった。
お人形みたいだと早輝は思った。
大翔のジャケットなどから採取したわずかなガスから、連は沈静と催淫の作用があることを導き出した。
「このガスを大量に吸入した場合、身動きが取れなくなる上に、気分が高揚して身に迫る恐怖すら感じなくなってしまう」
「その隙に命を奪われるわけ?いくらきれいな人でも怖すぎるよ」
ぶるっと範人が身を震わせた。
「命を奪われたことすら本人には自覚できないかもしれないっすね」
「ある意味も幸せな死に方だ。苦しくもなく、あるのは快楽、いつの間にか死んでいるなんて」
軍平が眉をひそめている。
しかし、その大きな手のひらは先刻から黙りこくったままの早輝の頭にのせられ、不器用になぜていた。
「心配するな、寸でのところで美羽の機転で危機を逃れたんだ。こんなふてぶてしい奴が、簡単にやられるわけがない」
パソコン上のデーターを見つめながら、顎に手を当て連がつぶやいた。
「蚊が人を刺す過程と酷似しているっすね」
「蚊?」
「そうっす。蚊はもともとは樹液なんかを餌にしているもんなんすけど、メスだけが産卵期にタンパク質を必要とするために血を吸うわけっす」
「メスしか刺さないっていうのは聞いたことあるよ。それがかゆくなるモトなんだよね」
「吸血する際に唾液を注入するんすよ。メカニズムはややこしいから省くっすけど、血が固まらなくなるから吸いやすくなるわけっす
まず、唾液を麻酔のように刺して注入、吸血とともに蚊の体内に戻る。さらにその唾液の成分には感覚を鈍らせるものがあって、
刺されていることを生物に悟らせない作用があるっす。」
「ねぇ、蚊の中に戻ってしまうってことはさ、痒くなるモトは残ってないってことじゃないの?」
「忘れたころに痒みがくるのは、唾液が残っているからっす。中途半端に血を吸い切れなかった場合、唾液が体内に残るっす。
それが痒みになってあとからくるっすよ」
へーえ、と感心したように頷いた範人。
その二人の会話を黙って聞いていた軍平が難しい顔で腕を組み、連に言った。
「蚊の唾液と大翔が浴びたガスの作用は似ている、と」
連はうなずいた。
軍平は続ける。
「途中で助かった大翔の体内には・・・」
「毒ガスが大量に残っているということになるっす。あくまでも仮説っすけどね」
「蚊の痒いのもいつの間にかなくなってるでしょ?大翔の場合もこのまま休んでいれば大丈夫じゃないの?」
連は範人に微笑んだ。
「そうだといいっすけど。俺もそれを期待しているっす」
85-4:2008/10/08(水) 01:51:14 ID:1+oavPHl
「どうしてついてくるの?」
大翔が倒れてからの美羽は情緒不安で、すぐに声を荒げる。
そんな彼女のあとを追いながら、走輔は言った。
「お前、あん時の大翔に似てるからだよ。ハンマーバンキにお前がやられた時の大翔に!」
美羽は足を止めた。
拳を固め、強い声で言い放つ。
「許せないの!蛮機獣を倒しても、アニの意識は戻らない。アニにもしものことがあったら」
「喧嘩相手を探して、あてもなく街ん中を歩いているってわけか」
「違う!私には邪悪なものを感じる力がある!」
走輔は痛々しいと美羽に対して思った。
こんな時、気の利いた人間なら男なら、優しい言葉の一つでもかけてやれるだろうが、あいにく走輔はそんな言葉を持ち合わせていなかった。
「ちょっと、なにするの!」
突然手首を強い力でつかまれ、美羽は抗った。
「うるせーな、一人で突っ走ってんじゃねーぞ。
お前がそんなことじゃ、お前の相棒だって気が気じゃねぇはずだ。ジェットラスの声に耳を貸してねーだろ!」
怒鳴られて美羽は唇を引き締めた。
夜の街を彷徨い歩いたところで、何もならないことは美羽自身よくわかっている。
だが、居ても立っても居られない。
悔しそうに美羽は顔をうつ向かせた。そして、涙をひとつ、足元にまで落とした。
「暴走してばっかりの、走輔にそんなこと言われるなんて」
気丈な美羽が走輔の胸に寄り掛かった。
普段なら飛び上るほど驚く走輔だが、今は黙って受け止めることができた。
美羽の肩に腕を回し、言い聞かせるように何度も繰り返した。
「お前は一人じゃねぇぜ。俺たちで大翔を助けるんだ」
95-5:2008/10/08(水) 01:52:09 ID:1+oavPHl

 連は解毒剤ができないかと考えていた。
「自発的に抗体でもできればいいっすけど」
メカ相手なら百戦錬磨の連でも、生身の人間相手では勝手が違う。
さらに言えば、未知の生命体の発した新種の毒性など、現代医学でどうにかなるものだろうか。
ベッドの傍では早輝が無言まま椅子に座っている。
「スマイルが消えてしまってるっすよ」
自分のことを言われたと気がついた早輝は、弱々しい笑みを見せた。
「連、休んで。ずっとデーターと睨めっこしてたでしょ。大翔さんのことはあたしが見てる。
何かあったらみんなに知らせるよ」
「大丈夫っす。これくらい」
「休めるときに休んで。何があるかわからないし」
連は深く息を吐き、仕方なく頷いた。
「そうさせてもらうっす」
 連がいなくなり、部屋に静けさが増した。
大翔の寝息でも聞こえれば安堵できるのに、その呼吸はひどく浅い。
「大翔さん、目を覚ましてよ」
伏せられたままの瞼に金色の髪が束で落ちている。
そっと指で払い、早輝は切なそうに見つめた。
「毒りんごでも食べちゃったの?」
薄く眼を閉じながら大翔の閉じられた唇に自分のそれを寄せていく。
「起きて、お願い」
大翔の頬に早輝の黒髪がこぼれるように落ちる。
触れた唇は生きているのかと思うほどに冷たく、それが早輝を一層悲しませた。
「童話みたいにキスくらいで目を覚ますわけないよね」
大翔から離れようとした瞬間、痛みを伴うほどの強い力で両肩を掴まれ体が反転させられた。
何事かと顔をあげた早輝の身はベッドに転がされており、再び肩の痛みのために早輝はうめいた。
大翔が上にいた。
別人かと思うほど暗く鋭い目で、早輝を見下ろしていた。
瞳が青い。
肩に指が食い込むかというほどの強さで押さえつけられ、早輝は茫然と大翔を見つめた。
「意識が戻ったの?」
大翔が低い唸り声をあげた。
襟元に手をかけられ力任せにジャケットを剥がれた。同時に布で擦った首筋に鋭い痛みが走る。
叫ぼうとした唇をふさがれ、声は言葉にならなかった。
早輝は彼を振り払おうともがき抗った。
そんな抵抗をものともせず、早輝の脚の間に大翔の片足が割り込んでくる。
容赦なく差し入れられた舌が早輝の声を呼吸を奪う。
大翔さん、嫌、やめて!
逞しい肩を押し返しながら、言葉にできないながらに叫んだ。
必死だった。
突然、大翔の動きが止まった。
全身の力という力を弛緩させたように、どさりと早輝の上に倒れこんだ。
105-6:2008/10/08(水) 01:56:33 ID:1+oavPHl


 気がつけばギンジロー号のベッドに上に寝かされており、美羽と軍平から見下ろされている状態であった。
美羽はともかく眼前に軍平もいるこの状況に再び意識をどこかに飛ばしたくなったが、目を覚ましてしまったからには仕方がない。
「やられぱなしとはお前らしくもない」
さっそく軍平に肩を押された。
額にあてられたタオルを持っていたのが美羽だと気がつき、大翔は軍平を無視して美羽に笑いかけた。
「ありがとう美羽。もう大丈夫だ」
美羽の大きな瞳が大翔を見つめ、抱きついてきた。
「よかった、アニ。丸一日目以上を覚まさなかったのよ」
「一日?」
それほどのダメージを受けていたのかと大翔は驚く。
ケガレシアと同じ顔をした美しい蛮機獣。
「あれからあの蛮機獣が現れたか?」
「いいえ、アニ。でもね、軍平が調べてくれたところによると」
「左京さんからの情報なんだが、ここ数日の間、若い男性の行方不明が多発してたらしい。
自ら消えたのか誘拐されたのかは不明だが、
あえて被害者とさせてもらう。さらに捜査した結果、その共通している特徴は実に大翔、お前にだったんだ。
年齢はもちろん、体格が似ている者、武術に長けている者・・・ボクサーもいた。
偶然かもしれないが、偶然として見過ごせない」
「蛮機獣のターゲットは大翔だったってことっすか? でも、その事件とガイアークを結び付けるのは短絡的すぎるっす。
ガイアーク反応もなかったっすから」
いつの間にか、美羽と軍平の背後に土鍋を持った連が立っていた。
「アニが倒れた時もボンパーはガイアーク反応を示さなかったわ。わかったのはアニと私だけよ」
「誘拐事件が起った時はどうだったすか?」
美羽は口を閉ざし、しばし考え、きっぱりと首を横に振った。
「頻繁に起きていたようだけど、感じなかったわ。アニは?」
「俺も感じなかったが、ガイアークとは無関係とは言えない」
「なぜっすか?」
「顔がケガレシアだった。ケガレシアではなかったが、器がそっくりだった」
軍平が顎に手を当てながら、
「俺の元刑事の・・・いや、警官の勘からすれば。ターゲットが大翔だったなら以前の被害者たちは
実験的に利用されたような気がしているんだ」
「蛮機獣に個別攻撃を受けたことがある。ヨゴシュタインやヒラメキメデスの件もある。
俺がターゲットになったとしても不思議はないが」
「ガイアークにとってもゴーオンゴールドは驚異だということっすね。大翔、起き上がれるっすか?」
実は、ヨゴシュタインより連の持っている土鍋がどうしても気になる。もちろん嫌な予感ということで。
大翔は尋ねた。
「連、それはもしや俺のために?」
連はニッコリと笑った。そして、蓋をあける。
「そうっす。特製ニンニク粥っす。これを食べて早く元気になるっす」
ゴロゴロといくつもニンニクの欠片が入ったおかゆをみて、大翔はうめいた。
「食欲がまだ・・・ないんだ」
「そんなことを言っていると、元気になれないっす」
「いや、無理に食べてもよくないはず・・・」
「オカンの言うことが聞けないっすか〜?!」
115-7:2008/10/08(水) 01:58:27 ID:1+oavPHl

 無理やり食わされた連のニンニク粥は、意外なことに美味だった。
なぜか敗北感を覚えつつ、大翔はベッドから降りた。
「走輔と範人と早輝は?」
「病人がいるのに走輔がいてはやかましいことこの上ないから、調査に行ってもらった」
調査、と呟き大翔はジャケットを羽織った。
「世話になった。美羽、戻ろう」
「もう、戻るっすか?無理はしないほうがいいっす。というか、一人にならないほうがいいっす」
連の言葉に軍平も同調した。
「己を過信するなよ。休息をとり回復するのも大切なことだ」
「アニ、私もそう思う」
美羽にしては珍しいことを言う。帰りたくないということかと大翔は了承し、短い息をついた。
「自分のベッドで休みたいんだ、美羽」
「夕べ早輝がずっとアニのそばにいてくれたのに、お礼もせずに帰るつもり?」
早輝には会いたくなかった。
ダメージを受けた無様をさらした後では。
なぜか早輝のほうも姿を見せていない。
「とにかく俺は帰る。ボエール教官と今回の件を話し合いたい。
美羽は俺の代わりに早輝に礼をしておいてくれないか」
まったく、と美羽が唇を尖らせつつ、了承した。

 自宅に着くと同時に、まだふらつく身体を目覚めさせるように、大翔はシャワーを浴びた。
足まだ心許無く、歯がゆい。
ガウンをまといタオルで髪を拭きながら、大翔は倒れこむようにソファーに横になった。
この奇妙さはなんだろうか。
頭痛?
焦燥感?
落ち着かない、我が身が我が身ではないかのように。
意識が沈んでいくように瞼が重くなっていく。
大翔はそのまま目を閉じた。
125-8:2008/10/08(水) 02:01:07 ID:1+oavPHl
「死にぞこないのゴーオンゴールド、起きるでおじゃる」
意識はその声をとらえたが、瞼はどうしても開けられなかった。
この妙な語りの語尾、ガイアーク3大臣ケガレシアか。
「まぁよいでごじゃる。その無様な姿を見られただけでもわらわがここまで出向いた甲斐があったというもの」
無抵抗のままでは倒されるのは必至。
意識の中で焦る大翔。
しかし、ケガレシアは自ら手を下すつもりはないと言った。
「よいことを教えてやるでおじゃる。今、お前を襲っている不調は毒のせいでおじゃる。時がたつにつれ強さを増してお前を蝕んでゆく」
「あれはお前が作った蛮機獣か?」
ケガレシアの姿をした黒いフードをまとった、まるで魔女のような姿。
「蛮機獣とは違うでおじゃる。あやつの本体は捨てられた人形。人間共が自ら作り出した怨念に姿を与えてやったまで。甘い餌で虜にし魂を蝕み食らいつくす。
ヒューマンワールドの自然界とやらにも数多くそのような手段をとる賢い生き物が多数おるであろう?」
高らかにケガレシアは嗤う。
大翔は目を開いた。
意識が覚醒し始めた。
「俺は食われてなどいない」
「同じことよ」
ケガレシアは覚醒した大翔に顔を近づけ、その瞳を覗き込んだ。
「魂を食らうと同時に酔わせるでおじゃる。花の香に酔ったであろう? 魂を食らわれなくともお前の中にはその毒がたーんまりと残っているでおじゃる。食われなくとも毒にやられていれば早い死か遅い死か。
そなたが人形のようになるか獣のようになるか楽しみでならぬ」
忌々しい、女だ。
毒の華と呼ぶにふさわしい。
大翔は身動きが取れずにいるわが身を呪った。
「ひとつだけ、助かる方法を教えてやるでおじゃる」
鋭く睨む大翔に向かい、ケガレシアは愉快そうに赤い唇を釣り上げ、高らかに笑う。
「毒を吐きだせばよい。快楽におぼれお前は獣のように女でも男でも襲い精を吐けばよい。
そうじゃ、試しに大切な妹でも犯してみたらどうじゃ?」
「黙れ!」
自由にならない体でケガレシアに向かった大翔を、ケガレシアは扇の一振りでなぎ倒した。
床に転がる大翔をさも愉快そうに眺め、
「苦しむがいい、ゴーオンゴールド。われらが望む汚く住みやすい世界に目障りでおじゃる」
 ケガレシアの・・・邪悪な者の気配が立ち消えた途端、体から不自由さが消えた。
奪える命を奪ってゆかなかったことを、悔やませてやる。
床に転がったまま、大翔は天井を見ていた。
 人でなくなるというのか。
理性を失い、己を抑制できなくなる。
それも死に値するものかもしれない。

その時は己を消すまで。
135-9:2008/10/08(水) 02:03:39 ID:1+oavPHl
「アニが地下に閉じこもって出てこないの」
ギンジロー号に青ざめた表情の美羽が飛び込んできたのは二日後の朝だった。
その言葉にいち早く反応したのは早輝だった。
ジャケットの破れを不器用そうに縫っていた手を止め早輝は、白いシャツのまま立ちあがった。
早輝の首には黄色のスカーフが巻いてある。
「大翔さん、また変わってしまったの?」
美羽は厳しい表情で早輝に歩み寄り、肩に手を置き、強い口調で言った。
「アニは目覚めてからダメージはあったけれど、異変という異変はなかった。
早輝は何の話をしているの?何を見たの?」
一方の早輝は肩の痛みに顔をしかめていた。
「早輝・・・?」
美羽は肩から手を外し、うつむく早輝の頬に手をあてた。
「肩が痛むの?」
肩を見せてと美羽に言われ、早輝は後ずさった。
「なんでもない、なんでもないよ」
「早輝!」
咄嗟に早輝の手をつかみ、美羽はあたりを見渡すと、
「男子は外へ!」


Tシャツを脱いだ早輝の肩を見て、美羽は息を飲んだ。
指の形にあざが残っている。
スカーフを外すと、擦り傷が首筋に走っていた。
「まさか、これをアニが?」
黙ったまま、早輝は脱いだTシャツに袖を通し、首にスカーフを結びなおした。
「大翔さんじゃないよ」
ぽつりとつぶやいた。
「あれは大翔さんじゃない」
語尾の掠れた早輝を美羽は抱きしめた。
「・・・ごめんね、ごめんなさい」
美羽の肩に頭をのせて、早輝はあれ以来初めて声をあげて泣いた。


しばらく早輝の自室から出てこなかった美羽と早輝を食事だと呼びに行った範人は、
美羽が早輝のジャケットに針を刺しているのを見て不思議そうに尋ねた。
「どうしたの? 二人とも暗いよ」
美羽は答えず、手際よく縫い進めている。
その空気を窺いながら、範人はさらに言った。
「大翔のことはどうなっちゃったの?」
突然、早輝がベッドから立ち上がった。
「スマイル満開っ、充電完了っ!」
縫い終わったらしい美羽が怪訝そうな顔でぷちんと糸を切り、早輝に言った。
「早輝、無理しないで。アニのことは私が」
大丈夫よ、と言う美羽に早輝は笑顔を向け手を伸ばした。
「ジャケットありがとう」
美羽から手渡されたジャケットを羽織ると、肩の痛みに片目を閉じながら勢いよく袖を通した。
「範人、メニューはなに?」
「早輝が急に元気になって、この展開についていけないボク・・・」
早輝に腕を掴まれ、部屋から引きずりだされた範人はしきりに首をかしげていたが、思い出したように、
「早輝、美羽、オムライスだよ!」
範人が逃げるように皆のもとに行ってしまった後、早輝は美羽にそっと耳打ちした。
聞いて美羽は複雑そうに口を押さえ、嘘よ!と言いかけた。
が、思い直したらしく、しっかりと頷いたのであった。
「妹が許すわ、思いっきりひっぱたいてよし!」
145-10:2008/10/08(水) 02:06:25 ID:1+oavPHl
 兄の風上にも置けぬと美羽は怒り心頭。
まあまあ、もともとはガイアークが悪いんだから、となだめる早輝。
自分のことなのにどうしてそんなに呑気なのと叱られる始末。
美羽の手にはジェットラスとトリプターの炎神キャストと炎神ソウルがある。
その両方のホログラムを呼び出し、美羽は語りかけた。
「アニはトリプターも置いて行ってしまったのね」
大翔を慕っているトリプターは元気がなく、
「トサカにくるぜ・・・アニキのヤツ」
そんなトリプターに美羽はいたわる様な眼をむけたものの、一転して厳しく言い放った。
「仮にも相棒なら、アニを連れ出して。地下室くらいぶっ壊しても構わないわ」
エエエエー?!と全身でのけぞる(?)トリプター、美羽の相棒のジェットラスがあわてたように仲裁に入った。
「待つんだ、バディ。君も十分承知のはずだ、我々の姿はこのヒューマンワールドでは・・・」
ジェットラスの言葉をさえぎるように美羽は言った。
「10分しか持たない。それがなにか? アニを連れ出すのに10分もいらないはずよ」
トリプターは意を決したようにバタバタバターッ!と、飛び立っていった。
ジェットラスも追うように飛び立とうしたが、
第六勘でガイアークの気配を察知した美羽に呼び止められる。
「敵のお出ましみたい。今度はどんな蛮機獣かしらね」


 肩の怪我を美羽に気がつかれる以前に、連には気付かれていたらしい。
「大翔と関係があるっすね?」
違うと云いかけた。
しかし、連の聡明な眼差しはそれを許さなかった。
「あの時、早輝を一人にするんじゃなかったっす」
連が不意に触れたのは、黄色のスカーフの下にある傷。
無意識に体をこわばらせてしまった。
その反応に驚いた連だったが、何かを悟ったように手を引いた。
そうしていつものように薬箱を出してきて、簡単に手当てをしてくれた。
「とにかく今回の出動はお預け。わかったっすか?」
「お留守番?! やだ、私も行く!」
「肩の故障あるのについてこられたら足手まといっす」
「故障っていう程度のことじゃないよ・・・肩とかは」
連に生真面目に言われ、早輝はつい自分の胸に手をあててしまった。
実は肩よりもこっちのほうが痛い。
くっきりあざが付いている。しかも指の跡だ大翔のばかやろー!
あの時はどさくさで分からなかったが。
気分的に大暴れしたいところだった早輝は、連においてゆかれてしまった後、
ポンパー相手にプンスカ怒りまくっていた。
早輝がいなくとも相棒のベアールVまで出動している。
早輝の分まで頑張ってくるでぇ! と陽気に出かけて行った。
「誰がベアールの運転するのよ!」
「早輝、何をそんなに怒っているんだボンボン」
「ボンちゃんはわからなくていいのっ!」
そこにトリプターからギンジロー号に通信が入った。
美羽と話せば叱られると思ったらしい。
「どうしたの?大翔さん出てきた?」
「来るな来るな一点張り。アニィどうしちゃったんだ」
早輝とボンパーは顔を見合わせた。
そもそもトリプターがギンジロー号にアクセスしてくること自体珍しいことだったりするのだ。
「天照大野神みたいだボンボン」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
早輝が黙りこくっていた。
普段がスマイル満開なだけに・・・ボンパーは機械なのに震え上がった。
「トリプター私を大翔さんの所に連れて行って」
「操縦桿はアニィだけの・・・」
「連れて行ってってば。トリガーここにあるじゃんっ」
155-11:2008/10/08(水) 02:09:23 ID:1+oavPHl

トリプターはリミットの10分を過ぎてキャストとソウルに分かれてしまった。
早輝はその二つを拾い、いい子いい子となぜてバッテリーにつないでやった。
海沿いの別荘のような美しい建物の地下に、ゴローダーGTの実験OKな施設があるとは。
地下室の鉄の扉の前で腕組みをして早輝は仁王立ち。
この扉の頑丈さではこちらからの声など遮断されるに違いない。
が、そんなこと構っていられるものか。
早輝にしては勇ましく髪をかきあげ、大きく息を吸った。
「大翔さんのどすけべ! お嫁入り前なんだからねっ、責任とってよねっ 潔く出てきてよっ」
ドアは開かなかったが、しばらくして大翔の声がインターフォンから聞こえてきた。
「俺がなにかしたのか」
「しらばくれるなら、見てみればいいよ」
「なにを」
早輝は腕を組みなおした。心持顎を上げて言い放つ。
「胸。大翔さんに掴まれて痣になってます。そんなにおっきくないけど痛いんだからねっ」
インターフォンから聞こえてきたのは、ドツテンガラガラガシャンのような、何かを落とす派手な音。
クールな大翔らしくもない。
「それは・・・本当に?」
「本当だよ」
それからしばらくドアの前で待っていると、大翔が出てきた。
その姿をみて早輝の目がしらが熱くなったが、歯をくいしばって耐えた。
怒っている姿勢を崩さないように、早輝は大翔をにらみつけた。
大翔は憔悴した表情で、壁に寄り掛かる。
「意識がない間にやらかしたらしいな。すまない」
「やらかしたじゃすまないよ」
早輝が一歩詰め寄ると、大翔は一歩横に逃げた。
それをされて早輝はまたムッとして、さらに近づく、大翔は同じだけ遠ざかる。
それを何度かやって、早輝は大翔を怒鳴りつけた。
「大翔さんなにやってるの?!」
苦しげに顔をゆがめながら、大翔は言った。
「近寄るな。どうなっても責任取れない事態になるかもしれ・・・」
「とっくになってるんだってば!」
早輝は大きく一歩踏み出し、大翔に飛びついた。
大翔の腰に腕をまわしてしがみつく。
腕を掴まれ、外されそうになったものの、一生懸命にしがみついたら大翔のほうがあきらめたらしい。
「・・・首、どうしたんだ」
「大翔さんにやられたのっ。肩も痛いし、首だって傷だけじゃないよ筋を違えたし、
腕だって足だってあざだらけだし」
そうか、と大翔がつぶやいた。
恐る恐る早輝の背に腕を回そうとして、思いとどまる。
「今度は、早輝を殺してしまうかもしれない」
意味とは裏腹にやさしい声だった。
抱きついたまま見上げると、柔和に微笑む大翔がいた。
「だから、離れてくれ」
早輝は首を横に振った。強情を貫くなら今だと言わんばかりに。
165-12:2008/10/08(水) 02:11:09 ID:1+oavPHl
 頭上でため息が聞こえる。
「意識を見失わないようにしていることだけで精一杯なんだ。お前にここにいられると、俺は俺自身を失う。
その痣も傷もそうしてつけてしまったんだろう・・・すまなかった」
早輝は首を横に振った。
離れない、絶対に離れない。
そんな早輝に言い聞かせるように大翔は続けた。
「早輝を犠牲にして俺が楽になるらしい。そんなことになるくらいなら自らを消す。だから、今は離れていてくれないか」
「いつもそうやって一人で解決しようとする・・・」
大翔の表情に切なさがよぎる。
力を込め、早輝の腕をつかみ、我が身から外した。
早輝の手をつかんだまま、大翔は涙をいっぱいに溜めた瞳を覗き込んだ。
「どうして私が犠牲になるの?大翔さんが楽になるなら、どんなことだってするのに そんなの犠牲なんて言わないよ」
大翔は早輝の首のスカーフを指した。
「俺はこの傷をつけた記憶がまるでない。自分がどんな事をするのか、どんな風になるのか、わからない。
今もギリギリのところで正気を保っている」
「大翔さんの言っていることがわからないよ。連は大翔さんが花の香りの毒に苦しんでるって言ってた。
楽になるっていうのはその毒が消えてしまうってことなの?それなら私にできることはなんでもする、だから」
早輝の手首が痛むほど強く大翔は力を込めた。
「犯されて殺されてもいいのか、俺に?」
早輝が目を見開いた。
「その毒のお陰で。抑制が利かない、コントロールが利かない、
今の俺はブレーキもハンドルもないアクセルだけで自爆寸前の状態なんだよ」
見上げてくる早輝の目から顔をそらした大翔は、彼女の手を放し背を向けた。
今ならまだ、扉の向こうへ行けるだけの気力がある。
「はっきり言って。私バカだからわからないんだ。私が大翔さんにおっ、おかされたらいいの?!」
「そういう言い方はするな」
こんなタイミングでの早輝の小ボケに大翔は首を垂れつつ、ドアの向こうに行こうとする。
「いいよ。大翔さんならいいよ!」
慌てて大翔の背にしがみついた。
「早輝!」
たまらずに大翔が声を荒げる。
「よくないから言ってる!!」
強張ったままの大翔の背に額を押し当て、早輝は言った。
「あの時も大翔さんはやめてって心で願ったら、やめてくれたよ」
「・・・」
「大翔さんは負けないよ。信じてる」
さらに早輝は続けた。
「大翔さんがいい。大翔さんじゃなきゃ嫌。・・・あと何んて言ったらわかってもらえるの?」
大翔が首だけ振り返る。
早輝は腰にまわしていた腕を解いた。
ドアに寄りかかり向かいあった大翔は、早輝の体を抱きしめた。
なんて甘美な拷問だろうと、やるせなく思いながら。
175-13:2008/10/08(水) 02:16:48 ID:1+oavPHl
 寝室のドアを閉めた後も、大翔はそこに寄りかかったままだった。
踏み出すのを躊躇するように、そこにいた。
早輝はそんな大翔から離れ、大きなベッドの前に立つ。
首に巻いていた黄色のスカーフをほどいた。
ジャケットの襟元に手をかけながら、自分の指先がうまく動かないことに気がついた。
それでも、動揺していることは悟られたくなくて、
ぎこちないながらもファスナーをおろし、ジャケットを脱いだ。
置く場所なんて考える余裕もなく、
床に身につけていたものを落としてゆきながら、あえて大翔から背を向けた。
夕暮れで部屋の中が薄暗くなっていることが、ありがたかった。
「・・・もういい」
大翔の声を聞いて、早輝は目を伏せた。
聞こえないふりをして服を脱いでいく手は止めなかった。
すべて脱ぎ終えてからどうしたらいいのかわからず、早輝は自分の体に腕を回すしかなかった。
大翔が歩み寄ってきた。
羞恥だけではない恐怖が早輝の体を無意識にすくませた。
青い眼をした大翔に乱暴された記憶が無意識にそうさせるのだ。
肩に大翔の着ていたジャケットをかけられた。
「無理しなくていい。十分だ。ありがとう」
早輝はうつむいて、大翔のつま先に訊ねた。
「私じゃダメ?」
大翔は頭を横に振った。
「そうじゃない、そうじゃ・・・」
早輝は腕をのばしてつま先で立ち、大翔の唇にキスをした。
肩から大翔のジャケットが滑り足元に落ちる。
早輝は耳元で大翔が息をのむ音を聞いた。
箍が外れたように強く抱きしめられ、身をすくませる。
大好きな人からの抱擁なのに体が恐怖を覚えていることが悲しい。
大翔が早輝の肩や左の乳房を見て瞳を揺らす。
細い体に残された痣の痛々しさが、それらの記憶のない大翔を責める。
大翔の唇が早輝の痣をたどっていく。肩に胸に華奢な首筋へ。
いとおしむように大翔のてのひらが早輝の背を廻る。
掠れた声なのか吐息なのか、早輝の唇から洩れた。
それに自分自身で驚く早輝に大翔は笑いかけた。
185-14:2008/10/08(水) 02:17:18 ID:1+oavPHl
大翔はベッドに膝をつきシャツを脱ぎ捨てる。
横たわる早輝の両肩を挟むように手をつき、戸惑い残る唇に口づけた。
やがて、彼の温かく滑らかな肌が重なり早輝は静かに息を吐いた。
誰かの体温をこんなに身近に感じたことはなかったから、その心地よさに目を閉じる。
金色の髪が早輝の耳を擽る、唇が首筋に口づけを重ねていく。
大翔は時折早輝の名前を呼んだ。
堪えるような吐息とともに、早輝と呼ぶのだ。
「制御・・・できなくなりそうだ、すまない」
だが、その呟きのあと大翔の力が強くなり、名前を呼ばれなくなった。
性急に早輝の体に触れ始め、時には痛むほどに加減のない力で押さえつけてくる。
大翔の瞳が青みを帯びていた。
早輝は両掌で彼の頬を包み、キスをねだった。
行かないで、戻ってきて。
大翔は苦しげな息をついて、きつく眼を閉じ、早輝の肩の上あたりのシーツを強く固く握りしめた。
そんな大翔に早輝は自ら唇を合わせた。
今この時だけでもいい。
私のすべてがあなたのものだったらどんなに素敵だろう。
あなたが口づけてくれた胸も瞼も唇も、触れていった体中の至る所すべてが。
あなたのものになれたら。
「ん・・・」
脚の間に大翔の体が滑り込んだ。
唇を合わせながら、早輝はきゅっと目を堅くつぶった。
自分の体がまだ彼を迎え入れる準備ができていないような気がした。
初めてだからよくわからないけれど。
固いものに貫かれたとき、それは確信となった。
息が止まるほど、痛かった。
だけど痛いなんて絶対に言わない。早輝は大翔の肩に唇を押しつけ、声が漏れるのを抑えた。
おそらく彼の瞳は一層青くなっているだろう。
強張る早輝を押さえつけるように抱いた大翔が動き出した。
「あ・・・」
唇を噛んだり浅く浅く息を吐いたりしながら、早輝は引き裂かれるような痛みをこらえた。
気がつかないうちに涙がこぼれていた。
「大翔・・・さん、大翔さん」
うわごとのようにか細く名前を繰り返していたら、不意に応えるように耳元で名前を呼ばれた。
「さ・・・き、大丈夫か」
ああ、大翔さんが戻ってきた。
そのあと、すまないとかもう少し我慢しろとか勝手なことを言われたような気がしたが、
今までで一番の痛みに襲われそれどころではなかった早輝の思考回路は停止状態。
195-15:2008/10/08(水) 02:20:54 ID:1+oavPHl
 おわった・・・のかな?
呼吸の荒い大翔が体の上でぐったりとしている。
まだ彼が体に入っている違和感があるものの、終わったならよかったと心から思った。
でも、本当にこんなことで大翔さんを苦しめている毒が出ていくの?
大翔が顔をあげた。
目があって早輝はほっとして微笑んだ。
瞳が青い色をしていない。
「気分は、ど?」
今の今まで心配そうに早輝を見下ろしていた大翔はくすりと笑い、悪くないねと答えた。
よかったぁ・・・と、本格的に全身の力が抜けた瞬間、早輝は眉をひそめて間近にある大翔の顔を見た。
「なんで?」
早輝に覆いかぶさりながら、大翔はとぼけてみせた。
「まだ、残ってるかもな、なんせ強力な毒薬だったらしいから」
「えっちしたらなくなるんじゃないの?!私の勘違いだったわけ?」
「所詮、ケガレシアの言うことだ、すべて信じるのも無理がある」
とかなんとか言いながら大翔は早輝の柔らかい胸に口づける。
早輝あわてて大翔から逃れようと足をバタバタさせてみた。
まだ大翔自身が早輝の中にあって、固くなってきたような気がしてならないのださっきから。
「だめ、もうだめ」
痛いの、やだ。
実際は先刻の痛みのほうがましだったかもしれない。
大翔に口づけられた場所から甘い痺れがおこり、自分の声ではないような甘ったるい嬌声が漏れてしまうたび、あわてて口を押さえた。
そうすると、先刻噛み切ってしまった唇が痛んで・・・。
大翔の手が早輝の前髪を撫ぜて、唇に触れた。
切なそうな眼。
「噛み切るほど苦しかったんだ」
「・・・」
「罪滅ぼしをしなきゃならないな、俺としたことが」
大翔の声の調子がクールではなく、からかうみたいだったので、絶対にもう一度するつもりだと悟り、早輝は大翔の肩を叩いた。
この変り様は何?!余裕たっぷりでございますみたいな態度は何?!
「そんなのお気になさらずっ」
「いやいや、遠慮なさらず」
205-16:2008/10/08(水) 02:22:07 ID:1+oavPHl

 結局大翔にされるがまま、あーだこーだ、なすがままきゅうりがぱぱの結果、
体力の限界もありで動けなくなった早輝はシーツにくるまり顔を引っ込めたまま。
死ぬほど痛かった最初のあれは半分大翔が別人だったので仕方ないとはいえ、その次からがよくない。
ぜんっぜん痛くなんてなかったけど。
思い出しただけでも恥ずかしくて死にそう。
大翔に囁かれた言葉や、彼の唇や指先から与えられた快感に悶えさせられて言わされた言葉や、
どう抑えようとしてもでてしまった嬌声や、喘いだ自分の声とか姿とか。
「もうお嫁にいけない・・・ムリ」
「さーき」
シーツ越しに指で突かれ、早輝はいよいよ身を固くした。
「大翔さんのバカ、えっち」
「そんなことを言われたのは生まれて初めてだ」
大翔はシーツごと早輝を抱え、歩き出した。
「どこに行くの」
ついたところはバスルームだった。
広い浴槽に乳白色のお湯が張ってあった。
大翔は、早輝の頭であろう部分あたりのシーツを引っ張り、顔を出させた。
「戦闘で傷を負った時、このお湯で癒すと治りが早いんだ」
「戦闘してないもん」
「でも、痛いところばかりだろ」
早輝は頬を朱に染め、上目使いに大翔を睨んだ。
「誰のせいだと思ってるんだろう・・・」
するとあろうことか、クールで世界一キラキラなアニのはずの男が舌を出したのだ。
「早く入らないと、一緒に入ると言うぞ」


 結局湯船につかった早輝は、服を着たままの大翔を突き飛ばし浴室の床に尻もちをつかせ、何度もお湯をかけて彼の服を台無しにしてしまった。
「大翔さんどうして堂々とここにいるの、お風呂なのに!大翔さんはこんなところでキスなんかするから退場だよっ」
濡れ髪をかきあげ、大翔は笑った。
そんなに言うなら拗ねて背中を向けた早輝の首にキスしてやろうか。
白い透き通るような細い肩にも背中にも。
だが、それをしたらますます拗ねてしまうだろうから、大理石の浴槽に腰を掛け、片手ですくったお湯を早輝の肩かけていた。
「trick or treat?・・・か」
215-17:2008/10/08(水) 02:24:34 ID:1+oavPHl

「早輝はどこに行ったんだ?!」
ギンジロー号の外では走輔が眉を吊り上げて仁王立ちしていた。
かと思うと、突如猛ダッシュ開始。
その様子を頬杖をつきながら眺めていた美羽は、まったくもう、と微笑みながらの溜息をつく。
「中に入ったらどうっすか?そろそろ冷えてきたっす」
ドアから連が美羽に声をかけた。
確かにベンチセットに座ること1時間、お尻も冷えてきた。
「連は気にならないの?」
「早輝の居場所なら見当がついてるっす。走輔が暴走するから黙っているだけっす」
美羽は指を鳴らして、
「さすが連」
「例のガスの人体に及ぼした実例データーを大翔にまとめてもらえるように、美羽から頼んでもらいたいっす」
「オーケー」
「大翔は回復できたんすか? 美羽、なんか余裕っぽいっすけど」
「たぶん、大丈夫よ。いつものアニに戻ってる」
1時間ほど前にもう大丈夫だと大翔の意思が伝わってきた。
テレパスを飛ばせるほど回復しているなら、大丈夫だろう。
「早輝を迎えにいかないの?」
連は伏し目がちになり笑みを作った。
「オカンもいろいろ複雑なんす」
連にしてはよくわからないことを言う。
美羽は言葉の意味より、連の表情に相槌をうった。
「今回はその・・・いろいろあったみたいだけど、アニは基本は絶対的紳士だから心配することないわ」
「・・・そうっすね」


連の言う通り、早輝は大翔といるはず。
でも、走輔には教えてあげない。
もう少しだけ、あなたの姿を独り占めしていたい。
そう言ったらあなた驚くでしょうね。

甘い甘いお菓子をくれたら、このいたずらをやめてあげてもいいけれど。
225:2008/10/08(水) 02:28:02 ID:1+oavPHl

見苦しい点も多く、さらに長々とスレを使ってしまい申し訳ありませんでした。

それでは失礼いたします。
23名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 08:56:51 ID:l10Z30ih
GJ!
あー金黄もえ……

なすがままきゅうりがぱぱとかw言葉を選ぶセンスがリズミカルで読みやすくて好きです
24名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 09:20:27 ID:Qn4kk4t5
あなたが神か。

大翔が、凄く早輝に甘くて優しいところがイイ!

神様ありがとう!!
25名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 11:00:31 ID:q0ViAaji
1乙 4GJ!
26名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 13:59:04 ID:nfuwvkbe
金黄あんまり好きじゃないから、最近多すぎてげんなり。
しかもスルーしたいのに、スレタイが数字だからNGにしにくいし。
タイトルに入れてくれたらNGワードに入れてみなくてすむのに
27名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 15:32:50 ID:obRAkCEE
GJ
今回も萌えました。
最近番組見ても黄金要素を探してしまう。
ちなみにほのかに香る黄金青の三角関係に身悶えてました。
28名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 16:27:15 ID:pnPPpUQ1
>>26
>>1
たとえ金黄が好きでなくても、あからさまな他カプ批判はどうかと思う。
職人さんにも金黄好きの人にも失礼なのでは。

ただ金黄職人さんも、タイトルにそのカプが好きでない人への注意のために
カプ名を入れた方が良かったかもしれない。
SSのタイトルが数字だけと言うのも味気ないので、本編風のタイトルも付いて
いたらもっと良いとも思うが。
29名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 17:04:07 ID:aolgB6+7
金黄職人さんは金黄なんて眼中になくても、萌えに引っ張ってしまうほど上手い書き手だと思っていた。
もっと作品を読みたいので、スレタイの工夫して欲しい。
30名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 17:17:21 ID:aolgB6+7
スレタイじゃなく
>>28に同意です
ssのタイトルのこと
スマソ
31名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:35:24 ID:l9esbTBT
GJ!!
今まで意識した事のなかった金黄にすっかりメロメロになってしまったw
赤銀、青黄要素もあって、緑もかわいくて、もうお腹いっぱい、食べられない、大満足!って感じです。
うますぎる。GJ!
32名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:36:13 ID:l9esbTBT
>>26
あなたが青黄を好きなように、金黄が好きな人もいるんだよ……
33名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:35:29 ID:nfuwvkbe
書き方が悪かったかもな。

職人及び、他の皆さんにも不快な思いをさせてすみません
34名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 22:48:39 ID:U+zdSk6z
ここはエロパロ板だぜ?
大人しくマターリ萌えてこうや
35名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 23:02:33 ID:q0ViAaji
だがタイトルが欲しいと言うのは同意。
保管庫では一律「無題」になるから、味気ないってのと紛らわしいってのとで、
日頃からSS(今回の金黄に限らず)にはタイトルがあるとよりいいなあと
思ってたよ。
365:2008/10/08(水) 23:28:44 ID:1+oavPHl

折角、新しいスレッドになったばかりだというのに、
私の配慮足りず、混乱の原因になってしまって申し訳ありません。

実はタイトルをつけるのが苦手で、NOで済ませてしまっていました。
短いお話ならともかく、長いというのに配慮不足でした。
これからは作品カプがNGの方にもスルーしていただけるように心がけますので、
またなにか書けた際には、お邪魔させてください。

皆さん、本当にありがとうございました。
37名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 00:20:30 ID:5D9pKD/0
>>36
次回作楽しみにしてます。
萌えをありがとうw
38名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 00:50:05 ID:azlhg52v
>>36
今回もGJ!です
というより今回は特に特にwww
あなたのSSで金黄が好きになりました
赤銀も金黄青も楽しみです
次回作待っていますから!
39名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 05:37:01 ID:x2aF93pz
>>36
ケガ様が悪役なのが残念だったが、
銀黄友情に萌えた!GJ!


しかしG3Pとか見てると、ケガ・黄・銀で普通に恋バナとかしてそうに感じてしまうw
40名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 17:09:38 ID:iWkWbVI3
どっかのスレで、ケガ様はガイアークの美的基準ではブスだから
「顔は…だが、実力で大臣になった女」だという話を見て以降
キタ×ケガに萌えてきてしょうがない
41名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 00:21:32 ID:9YMwF/v2
ガイアークの3大臣がヤッターマンの悪役3人と被って楽しすぎる
やっておしまいでおじゃる なんてケガさまに言ってほしい
42名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 20:01:07 ID:BeHy/yux
金黄青GJ
黄はどんな組み合わせでもおいしいよ!

今週の放送は黄姉→黒話と見せかけて
最終的に黒→黄みたいにならないか期待している黒黄者が通りますよ
まぁ黒&黄メインなだけでwktkなんだが

かと思いきや、G3P写真集でデッカイ緑黄燃料投下
おまいらリアル高校生カップルかと!

とりあえずなんでも美味しくいただける自分は勝ち組
43名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 03:29:22 ID:FElj2Env

今日の話ひどかったな。
黄色姉、マジで悪魔だった。
44名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:04:58 ID:AtE841W8
青が黄色姉に触りもしなかったのは、
やっぱり妹の方が(以下ry
45名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:22:35 ID:GIqMERBm
触らなかったのは青の性格でしょw
46名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:48:45 ID:AtE841W8
>触らなかったのは青の性格
いや、他のメンバーには触りまくりじゃないですか。赤とか緑とかw

それは置いといて、本スレの評判は悪いみたいだけど
黒に姉を追い返すように説得するシーンが
黄色がせまっているように見えたw

47名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 22:02:20 ID:ZoUhn7vD
>>46
あれは不意打ちだっただけに悶えた
袖掴んで上目遣いは反則
48名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 01:51:33 ID:JwyElDxU
轟音青黄です。
エロなしで青がヘタレですが、よかったら読んでもらえるとうれしいです。
49轟音青黄「小悪魔ナムスメ」1:2008/10/15(水) 01:52:52 ID:JwyElDxU
最近になって、寝る時間が一時間遅くなった。
しかし、ベッドに入るのはいつもと同じ時刻。
今晩も、すぐには眠らずに、寝っころがって本を読む。
お気に入りの作家だが、活字を目で追うだけ。
けだるい中、時間だけが刻々と進んでいく。
「今夜は、もう来ないか。」
ベッド脇のランプを消そうとしたとき、遠慮がちにノックが鳴った。
「どうぞ。」
薄く扉が開いて、華奢な身体をすべりこませるように入ってきたのは、時間を潰しながら待ち続けた人物。
黄色いパジャマに、黄色い枕を手にした黒髪の女の子は、思いつめた顔で見つめる。
「連……。やっぱり眠れないの。……いい?」
「いいっすよ、早輝。こっちにおいで」
もう、慣れた。
左側に身体をずらして、早輝が入るスペースを作ってあげると、うれしそうにベッドに入ってきた。
改めて、ランプを消そうと身体を起こす。
「ん?」
下を向くと、早輝がぴたっと身体をくっつけるように抱きついてくる。
姉の早苗が来てからというもの、昔を思い出したのか甘え癖がひどくなったようだ。
「ちょっと、待つっす。」
明かりを消すと、暗闇の中、ゆっくりと仰向けに横たわった。
早輝は待ち構えたかのように、青いパジャマの胸元に、顔を擦り付けるように動かしてきた。
そんな彼女の動きを見つめながら、呼吸をおだやかに整える。
お目当てのものを探り当てたのか。
ぴたっと止まる早輝の動き。
耳を胸元に当てている彼女の黒髪を、梳くように撫でていった。

誰も知らない彼女と二人だけの秘密。

「やっぱり、落ち着くの。連の心臓の音聞いていると」
「そうっすか。」
「ありがとう、連。おやすみなさい…」
「おやすみ…。」
他に言葉はいらない。
黙ったまま、早輝の頭を撫で続ける。
あとは、早輝が寝静まったら、彼女の部屋まで運ぶ。
ただ、それだけだ。
毎日ではなかったが、早輝は眠れないと、こうして心臓を聞きにくるようになった。
初めて、ベッドに入ってきたのは、半月ほど前か。
あの時は、黄色い枕の他に、お気に入りの熊のぬいぐるみを持ってきていたな。
50轟音青黄「小悪魔ナムスメ」2:2008/10/15(水) 01:56:23 ID:JwyElDxU
「さ、早輝、一体どうしたっすか?」
「連、どうしても眠れないの。一緒に寝てもいい?」
連の返事も聞かずに、さっさと枕と熊のぬいぐるみをベッドに置いた。
「や、…やばいっすよ。いくらなんでも。」
今にも毛布をめくって入りそうな早輝に、あわてて両手でダメダメと防御する。
「だって、走輔はいびきがうるさいし、範人は寝相が悪いし、軍平は歯軋りがうるさいんだもん。」
「お、俺だって、寝言言うかもしれないっすよ…。」
彼らとも寝たのかどうか気になったが、とりあえず今は早輝を追い出すのに精一杯だった。
「寝言なら、いいもん。いいでしょ?」
さらに身を乗り出してきて、洗い立てのシャンプーの香りが連をくすぐる。
思わず頭がクラクラして、距離をあけるために、ベッドの端に移動した。
「あっ、そうだ!ズバリ、温かいミルクでも飲むといいっす!」
「ありがと♪連!」
てっきりミルクでも飲んでくれるのかと思ったが、早輝はあっさりと連のベッドに入り込んでしまった。
自分の馬鹿さ加減に頭を抱えこむ。
早輝と距離を保つために、ベッドの端に移動したことで、逆に陣地を早輝に与えることになったのだ。
えへへ、と嬉しそうな彼女に、連はため息をつくと、ベッドの3分の1くらいのスペースに背筋も腕も足もピンと伸ばして横になった。
いつもそうだ。
早輝に限らず、メンバーに強くお願いされると、結局最後は諦めて折れてしまう。
そんな連の性格を、早輝も十分すぎるくらい分かっている。
熟睡して早輝に抱きついたらどうしよう、と悶々としていると、いきなり早輝が連の胸板に頭を乗せてきた。
「うわっ!」
さらに反対側に逃げようとしたが、いく手を阻むように壁がある。
「お願い、じっとして。」
早輝の声が、いつになく真剣だったので、言われるままに仰向けに身体を戻した。
「何しているんすか?」
「心臓の音を探しているの。」
「へ?」
一体この娘は何を言っているんだと思ったが、優しい連は口に出さない。
「赤ちゃんはね、お母さんの心臓の音を聞きながら、お腹の中で育ったんだよ。」
「それはそうっすが…。」
実をいうと、別の所がすでに反応していた。
落ち着きを取り戻そうと、そばのぬいぐるみを見たりする。
51轟音青黄「小悪魔ナムスメ」3:2008/10/15(水) 01:58:00 ID:JwyElDxU
「だからお母さんの心臓の音を聞くと、落ち着くの」
「はぁ……」
「あれ、おかしいな。心臓ないの?」
「なかったら大変っす」
うふふと笑うと、また真剣な顔で探し始めた。
本気でそんなことを信じるとは…。
オカン違いな気もするが、なぜここまで強引に自分のベッドに入り込んだのか、ようやく連は分かった気がした。
3分の1から半分に陣地をひろげると、身体をリラックスさせて、深く深呼吸。
静かな時間が流れる。
「あ、聞こえた。」
「早輝……」
「思ったとおりだ。すごく安心する…。連の…心臓の…音……」
しばらくすると、すーっと早輝の安らかな寝息が聞こえてきた。
「早輝?」
返事はない。
もう一度声をかけたが、すっかり熟睡している。
「まさか…」
自分でも信じられなかったが、狸寝入りではないようだ。
早輝を起こさないように、そっと身体をずらす。
なんとか、早輝の頭から解放されて起き上がると、連はベッドから出た。
「やっぱり、マズいっすよね。」
黄色い枕と熊のぬいぐるみを持って、部屋のドアを開ける。

深夜の廊下には当然のことながら人はいなかった。
普通なら、しん…と静まりかえっているはずだが、廊下でも聞こえる鼾と歯軋りの音。
大丈夫、これなら目を覚まさないだろう。
念のため、範人の部屋も覗いた。
「むにゃむにゃ…。冷奈さん…」
ベッドを見ると、思い切り掛け布団をはぐらかして、すやすやと寝ていた。
「範人、風邪ひくっすよ」
掛け布団を直してやって、早輝の部屋へ。
主がいないベッドに、枕とぬいぐるみを置くと、ドアを半分開けたまま、今度は自分の部屋へ。
「お姫様、お引越しっすよ」
すっかり熟睡している早輝の身体を抱き上げた。
壁にぶつけないように注意を払いながら到達すると、熊のぬいぐるみの横に早輝を寝かせて毛布をかける。
早輝のやすらかな寝顔に、優しく髪の毛をなでながら連は微笑んだ。
「おやすみ」
これが、毎回続いた。

52轟音青黄「小悪魔ナムスメ」4:2008/10/15(水) 01:59:40 ID:JwyElDxU

どうやら、そのままウトウトと眠ってしまったらしい。
ハッと目を覚ましたが、胸に感じる重みで、まだ早輝を部屋に運んでいないことに気づいた。
いつものように身体をずらして起き上がろうと、早輝の両肩に手をかけるが、パジャマの胸元の部分が強く掴まれているのに気づく。
「早輝…。起きてるんっすか?」
囁くように言ったが返事はない。
結局、起き上がるのはやめた。
肩に置いた手を戻し、またまっすぐ身体を伸ばす。
「早輝…。起きているなら、聞いてほしいっす。」
聞いてくれるか分からないけど、話すなら今しかない。
「眠れないのは心配だけど、いつまでもこんなこと続けるのは良くないっす。ちゃんと、一人で眠れるようにならないと…。早輝だって、そのくらい分かっているっすよね?」
「……何でダメなの?」
やっぱり起きていたのか…。
さらに、パジャマを強く掴まれたが、痛いとは言わないでおく。
「何でって…。やっぱり、嫁入り前の娘が、男のベッドにもぐりこんで添い寝するのは、よくないことだと思うっす。」
「だって……、連はオカンじゃない。」
「そうっすよ。俺は、みんなのオカンでありたいと思うっす。でも、それとこれとは別で…。世間はそんな風には見てくれないっすよ」
「……やっぱり、迷惑なんだ」
「そうとは、言ってないっす。こういうのは教育上、良くないって――」
早輝のすすり泣く声が聞こえてきた。
「さ…早輝?」
「迷惑なら迷惑って、そういえばいいじゃん。世間とか教育とか言って、あたしが来るのが嫌なんだ〜!」
顔に両手を当てて、胸元で泣きじゃくる。
軍平とは違って、女の子の涙に免疫がない連は、オロオロするしかなかった。
「早輝、迷惑なんかじゃないっすよ。ただ、早輝に毎回来られると、今度は俺の方が眠れなくなっちゃうんす」
「やっぱり、迷惑だったんじゃない。」
「そうじゃないっす!早輝のことが好きだから、このままだと我慢できなくなるんすよ!」
思わず言ってしまった本音。
その本音に顔をあげた早輝の目には、どう見ても涙がこぼれていなかった。
「それ、ホントなの?連。」
「っていうか早輝、泣いてたんじゃ…。」
早輝は悪びれずにえへへと笑顔を見せる。
さすが、あの悪魔なお姉さんの妹だけあるっすね。
…とはさすがに言えなかった。
「ねぇ、連、あたしのこと好きなの?」
「好きっすよ。」
「オカンが娘を好きってことじゃなくて?」
「それもあるけど…、でも違うっす」
「それって、異性として好きってこと?」
「そうっすよ」
「じゃぁ、あたしと、したい?」
あまりにものストレートな言い方に、もし飲み物を飲んでいたら、きっとむせていたに違いない。
それでも連は、まっすぐ早輝を見て答えた。
「したいっすよ。ずっと前から…」
下から真面目な表情で見つめられて、早輝の顔がちょっと赤くなった。
「ありがと。」
「早輝…。」
「でも、今は心の準備できてない……。」
「分かってるっすよ。そのくらい、ちゃんと待てるっす。」
「ありがと、連。うれしい…」
また胸元に顔が飛び込んできた。
腕を背中に回して、ポンポンと優しく背中を叩く。
目を閉じて軽く眠る体勢に入る早輝を見つめていたが…。
「あ」
全く解決していないことに気づいた。
53轟音青黄「小悪魔ナムスメ」5:2008/10/15(水) 02:05:01 ID:JwyElDxU
「だから、早輝。やっぱり、こうして添い寝をするのは良くないっすよ」
「むぅぅぅぅ。どうしてぇ?だって、お互い好きならいいじゃん」
「そうじゃなくて、このままだと、俺、本当に眠れなくて…」
実を言うと、かなり限界にきていた。
毎回早輝を部屋に運んだ後、ベッドに入ると、まるでぽっかりと穴があいたような、今まであった抱き枕が取られたようなそんな虚無感に襲われる。
自分で自分を慰めても、虚しさだけが残り、結局悶々として満足に眠れない日が続いた。
だからといって、部屋に運ばなかったら、今度は蛇の生殺し状態、である。
いくら早輝が「その気」になるまで、待つつもりではいるとしても、ここまで身体が触れ合いすぎるとつらい。
そんな連の気持ちも知らずに、早輝は能天気に言った。
「やっぱり、あたし連の心臓の音聞きたいもん。だから、そうだよ、連も別にあたしのこと運ばなくいいから、眠たかったら先に寝ればいいじゃない。」
「そうっすね…って、それじゃぁ添い寝になっちゃうじゃないっすか。……もしかして、早輝、俺のことからかってるっすか?」
「うん♪」
にっこりうなづく天使の笑顔。
連は起き上がると、早輝の頭に毛布をかぶせた。
きゃぁと毛布の中でじたばたする早輝を無理やり捕まえて押さえつける。
「オカンをからかうなんて、そんな娘に育てた覚えはないっす!おしおきっす!お尻ペンペンっす!」
毛布ごしに、お尻と思われる部分を、ペシペシと叩いた。
「キャーッ、連のエッチ。」
手足をバタバタさせながら抵抗する娘だが、嫌がるどころかきゃっきゃと喜んでいる。
「オカンに向かってエッチとは何っすか!ごめんなさいは!」
「ごめんなさーい。」
一応降参してきたので、毛布をあげると、早輝が上目遣いで顔を出した。
「ちゃんと、自分の部屋に戻って、眠れるっすね?」
「はーい。」
ほっと、ため息。
ちゃんと分かってくれたのか不安になるが…。
ふと、早輝の方を見ると、口をとがらせておねだりしてきた。
「おやすみのチューゥ」
正座して、肩を左右に振って甘えてくる。
「わ、わかったっすよ…」
コホンと咳払いをして、早輝の両肩に手を置く。
なんていうか、もうちょっとムードというか…、こう改まるとなんとなくやりにくい。
子供っぽいなぁとは思うけど、愛らしいところはもちろん、いじらしい所もかわいい。
ギャラリーはいないのに、つい回りを見たりして、緊張してしまう。
く、口にしていいんすよね?と思いながら、顔を近づけていくと、早輝がぱっちりと目を開いて見つめていた。
「……目閉じてほしいっす」
「どんな顔するのか見たいもん。」
「……また、からかっているっすか?」
「うん♪」
今度は直にお尻ペンペンしてやる、と思う前に口をふさがれた。
いきなりだったので、今度は連の方が目を見開いたまま固まっている。
「好きだよ、連」
いたづら好きな天使は、唇を離すと満面の笑みで囁いた。
そして、固まったままの連に改めて唇を重ねてくる。
柔らかくて甘い感触に、ようやく固まっていた連の瞳がゆっくり閉じていった。
――これからも、こんな感じで振り回されるんすかね?
それも悪くない。
たどたどしく侵入してきた舌を、連は味わうように迎え入れた。
54轟音青黄「小悪魔ナムスメ」6:2008/10/15(水) 02:08:19 ID:JwyElDxU
カーテンから洩れる朝の光に、ハッと目を覚ますと、当然のことながら胸に重みは感じなかった。
「夢…だったっすか?」
いつものように、心臓の音を聞きに来た早輝を、寝付くまで待って、そして部屋に運んだ、のか?
それにしては、夢中で言った告白とか、柔らかい唇の感触とか鮮明に覚えているのだが…。
深くため息をつくと、なにやら毛布の中に違和感を感じた。
毛布をめくりあげてみると、そこに転がっていたのは熊のぬいぐるみだった。
「早輝……。」
ベージュの熊のぬいぐるみは、早輝のお気に入りのもう一つの相棒。
「でも、なんでここに…?」
初めて心臓の音を聞きに来た時は、枕の他にぬいぐるみも持っていたが、それ以降、早輝は枕だけしか持って来ていない。
それは、昨晩も同じだった。
連は、ぬいぐるみを持ち上げた。
寝ている間にずれてしまったが、きっと連の心臓の上に置いてあったに違いない。
もちろん、自分の代わりに。
昨晩だけは、連は早輝を部屋に運ばなかった。……自分で戻った早輝は、連が寝付いたあとに、わざわざぬいぐるみを置きに連の部屋へ戻ったのだ。
「夢じゃなかったんすね」
連は、ぬいぐるみをしっかりと抱き締めた。

当分、眠れない日々が続くと思うけど、それも悪くない。
<終わり>
55名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 03:06:23 ID:CvrhYJ3N
おおお〜GJです。
56名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 10:14:12 ID:oD4LFowq
なんという甘々。GJ!
57名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 13:24:52 ID:yLyK5KO/
可愛いなぁ…良いなぁ。青黄GJ!
ほわ〜んとしました!
58名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 01:57:33 ID:3hCzGmjB
青黄かわいくて凄くいいいです。
又次回楽しみにしてますね
59名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 07:26:13 ID:jkuunt8t
保管庫の更新、お疲れ様です。
名無し様も管理人様も、いつも本当にありがとうございます!
60名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 10:00:33 ID:YFV6t2Zr
レッドが…
61名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 16:30:19 ID:ZNK68YZw
今週は炎神中心だったが来週は人間中心ぽいな
62名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 07:52:35 ID:jg/MO+jN
あんまし盛り上がってないね…走輔がチョコみたいになったのに
63名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 09:43:18 ID:22feNQeX
不謹慎と思いつつも、来週の銀の涙にドキワクな自分がいるw
64名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 15:35:06 ID:vBRSp8aq
>>63
同意せざるを得ない。
65名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 18:11:02 ID:53G4twim
管理人さん、保管庫の更新乙でした。
66名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 22:54:28 ID:K3aCe22A
最後のシーンは、気づいたのが金だったから良かった。
だから、残りのメンバーのはしゃぎっぷりがいい対比になったし。
銀は言うまでもなく、今回のシーンは金銀がいてこそ成り立ったなぁと思ったよ。
来週次第で、赤銀また書けそうだね。
67名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 23:30:57 ID:eCDHGqhf
>>63
今週ラストでの銀のリアクションがあまりに期待通り過ぎてニヤけてしまった俺はもう駄目だと思う
68名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 23:50:41 ID:3wAfnnkj
まあな〜、死ぬわけないってわかりきってるからこそ、のニヤニヤなんだがな。
でも、赤銀だけじゃなくて、他のメンバーも活躍しそうだし、楽しみだよ
69名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 13:45:58 ID:ncvFaf3V
現在、赤銀にドキワクしている。>>36です。

こちらのスレでは轟音キャラと、放送している物語には出ていないキャラクターの話はOkですか?
轟音緑とケガレシアに姿がそっくりな蛮機獣の話です。
OKならば投下させていただきたいのですが。
相変わらず長いし、ハッピーエンドでもありません。
70名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 15:26:00 ID:dKBZhLXj
さあ投下作業に入るんだ
71名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 16:29:47 ID:jaNAjCA7
>>69
誘い受けお窺いウザイ。投下したいんだったら叩かれるの覚悟で無言で
続き物ならともかくいちいち身分を明かす必要もない
72名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 16:42:33 ID:ncvFaf3V
69です。
>>5の続きものになってしまったので、身分を明かしました。
誘い受けのつもりではなく、今回こそはご迷惑をおかけしたくので
前もっておたずねしたつもりでした。
申し訳ありませんでした。
投下は見合わせます。
73名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 17:17:18 ID:SRa5QnwW
まぁまぁ、マターリいきまそー
74名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 17:38:57 ID:78P+Caro
キャラの問題ならおkです。
緑の話読みたいので投下してください。
大人のスレだから職人さんに対して叩き覚悟なんてないです
75名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 19:23:18 ID:LEVBq1mZ
私も読みたいですし、良かったら気にせず投下してください。
76名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:31:55 ID:qalwdT6n
なんか物言いのきつい人がいるねー。
職人さんは大事大事よー。

自分は楽しみにしてます。
気が向いた時にでも投下していただけたら嬉しいです。
77名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 21:59:37 ID:yCFTPMbL
誘い受けは確かにウザイけど
これは誘い受けではなくてスレ違いかどうかの確認でしょ

まあスルー可能なようにNGワードらしきものを設定した上で
問答無用で投下すればいいだろうし、
この程度で見合わせるくらいなら最初から投下を考えんなと
78名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 22:04:07 ID:9l21/Yta
投下は大歓迎だよ。
ただ今後も、陵辱とかスカとかオリキャラとか出るんだったら、
注意書きを入れて、タイトルかIDでNGワードを入れるようにしておけばいいんじゃないかな。
どちらかというと、タイトルがあったほうがうれしい。
自分も保管庫作ったことあるけど、タイトルがないのは、管理がやりづらかった。


79名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 22:21:10 ID:78P+Caro
作品投下するのって勇気がいるのに
ウザイなんてレスされたら投下できないよ
>>78のように親切なレスはありがたいね
テンプレに追加したくらいです
80名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 22:35:19 ID:dKBZhLXj
前回のタイトルの時も今回も、荒れたうちに入んないよ。
次どうすればいいか試行錯誤してけばいいだけ、投下しちゃいなよ。無問題。
81名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 23:19:32 ID:f8SreqZD
誘い受けって言葉聞いたことないんだけど何だ?
職人さんどんどん投下しちゃいなー
82名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 23:25:52 ID:ncvFaf3V
投下します。

カプは轟音緑×汚に似ている蛮機獣(オリキャラ)
ハッピーエンドではありません
タイトルは Under the Same Sky 

>>5のssと繋がっています。

タイトルNGワードでお願いします。
83轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:29:07 ID:ncvFaf3V
「はい!おまたせ。やけどしないでね!」
 焼きたてのクレープをくるくると器用に紙に包み、チョコレート色の小型バスの屋台から女の子の二人連れに手渡した。
笑顔で立ち去る客に手を振った城範人は、頭に巻いたタオルですら通過してこめかみから垂れてくる汗を手の甲でぬぐった。
「この屋台サウナだよ・・・」
以前よりも白が濃くなった青空を見上げ、範人はつぶやいた。
「僕の季節が終わっちゃうなぁ」
公園通りを行き交う人たちの服装も統一感がない。
「半そで、カーディガン、長T、パーカーうわ、ノースリーブにボアつけてるよ」
パタパタと左手のひらを仰ぎ、ささやかな風を自分の顔に送っていた範人の目が大きく見開かれた。
「なにあれ」
屋台の数メートル先。
黒いフードを頭から被って歩く姿はまるで魔女。
客もいないことだしと暇にまかせて凝視していたら、不意に魔女が足を止めこちらを見た。
フードからわずかにのぞいた顔を見た瞬間、無意識に範人は屋台の手すりに手をかけ、飛び越えていた。
「おねえさ・・・じゃない、冷奈さんっ!」



「ガイアーク反応のないガイアーク?」
須塔大翔の言葉を香坂連は複雑な表情で繰り返し、そして人さし指を口もとにあてた。
コツコツ踵を鳴らして歩き始め思考を巡らせる連に、大翔は低い声で続けた。
「ボンパーには反応しない、俺と美羽だけが感じとることができる邪悪な気配」
連が小さく唸り目を閉じた。
彼の歩みは止まらない、ゆっくりとギンジロー号の中に踵の音を響かせる。
「蛮機獣ではないってことっすか。それともガイアーク以外にもなにかが存在するってことっすか」
連の問いは大翔に向けられたものではない。自身への問いかけである。
それをわかっていながらも大翔は答えた。
「ガイアークであることは確かだ。それくらいは俺たちにもわかる」
大翔はガイアークの気配と表現した。
ガイアークの気配を持つ者っすかと連が足を止めた時、不意に大翔が思いついたかのように顔をあげた。
「範人に女装させた老婦人と気配が似ている。魔女博士オーセンといったか」
「あれは範人が自分からスカートをはいたっす」
「そんなことはどうでもいい」
重々しい息をつき、大翔はテーブルに両肘をついた。
指を組み合わせ、大翔は目を閉じた。
「それが近くにいる。歩いている・・・街を群衆に紛れて歩いている」
「感じるっすか?」
大翔は目を開いた。
「近いな」
連は大翔に向けて指を鳴らした。
「ジャンクワールドの関係者かもしれないっすね。歩いているだけっすか」
大翔はうなずいた。
攻撃を仕掛ける風でもないらしく、それが大翔の戸惑いの元凶でもあった。
「美羽の意見はどうなんすか」
「美羽は女だと言っていた」
「女・・・っすか」
女だからなんなのだと、大翔と連はそれぞれ無言で顔に書く。
しかし、女の勘は第六勘以上に鋭い時もあることを、二人はそれぞれの経験上理解しているつもりだ。
だから、無視もできない。
ふっと連が笑みを漏らした。
上目遣いの目線で見とがめた大翔に、連は言い訳するように言った。
「こうして俺に謎かけをしてくれるってことは、大翔なりに俺の思考能力を評価してくれているのかなって、思ったっす」
言われて大翔は不機嫌そうに眉を寄せた。
「悪いか」
言葉は悪いが肯定だ。
連は目を細め、まんざらでもなさそうな表情で大翔から背を向けた。
84轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:30:27 ID:ncvFaf3V

範人が全力で走っている間、魔女はただそこに立っていた。
範人が満面の笑顔で彼女の前に立った時も動かなかった。
「冷奈さん、冷奈さんだよね?!」
ゆっくりとしたしぐさで黒のフードを外し、不思議そうに首をかしげた。
そうしてすべて現れた魔女の顔が、汚石冷奈その人であったことを範人はその場で飛び上がって喜んだ。
「やっぱり、冷奈さんだ!」
上気する範人の頬に対して、彼女のそれは体温など持っていないかのように涼しげだった。
瞬きをひとつして、範人を凝視する。
それほど見つめられて思わず息をのんだ範人は、クレープの屋台を放ってきてしまったことを思い出し、頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。
「やばーい!」
範人の大声にわずかに目を見開いている彼女の手首をつかみ、範人は立ち上がった。
「僕、今はバイト中なんだ。クレープ屋なんだ。食べていってよ、僕のクレープおいしいんだよ! ね、冷奈さん!」
範人に突然走りだされ、黒のフードをなびかせて引きずられるように足を動かす。
嫌がるわけでもなく、まるで人形のように彼女は範人についていく。


クレープ屋の前では数人の列ができていた。
範人は愛想笑いを浮かべながら、ペコペコ頭を下げて屋台に乗り込んだ。
そこで手首をつかんだままの魔女を思い出し、一旦外に出ると椅子をひとつ出してニッコリ笑いかけた。
「ごめんね、座って待ってて」
椅子と範人を見比べたあと、彼女は静かに腰をおろした。
「範人くんあの人なに?」
お客さんに問われて範人は何と答えればいいのかわからず、笑ってごまかした。
「もうすぐハロウィンだから? 人形?」
言われてみればハロウィンにぴったりの魔女のよう。
「まぁ、そんなとこ」
それから範人は待たせていた客のために、フル回転でクレープを焼き始めた。

一通り客がはけると夕暮れになろうとしていた。
「冷奈さんごめんね、はいこれ」
焼きたてのクレープをさしだすと、無言で範人を見る。
「たべて?」
おずおずというように手を伸ばし、クレープを手にした魔女は先ほどまで見ていた客たちがやっていたようにパクリと一口。
「おいしい?」
範人の問いに無言でコクリと頷いた。
「よかった」
ニコニコとしてそれを見ている範人は、どう考えても舞い上がっていて勢いだけで行動していたから、この魔女のような女性が本当に汚石冷奈なのか疑いもしなかった。
ただ、すごい偶然は運命だくらいに考えていたのである。
85轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:33:21 ID:ncvFaf3V

 店じまいをしたころ、エコバッグを手にした早輝がやってきた。
「範人、一緒に帰ろ。バイト終わりの時間でしょ。お買い物してきたよー!」
「うん」
頭からタオルを取った範人の背後でクレープをもくもくと食べている
黒いコートの女性を見た早輝は、はて、と首をかしげた。
どこかで見たことがあるような人なんだけど。
「範人、お客さん?」
「ううん、好きな人」
早輝は再び、はて、と首をかしげた。
今度は反対側にしてみた。
「範人、そんな人いたっけ」
「それが偶然出会ったの」
「偶然」
「それも凄い偶然、僕が見逃していたらすれ違ったまま通りすぎちゃったぞ、みたいな、
すごい偶然でさ。これはもう運命、運命だよね」
範人の盛り上がりに早輝はついてゆけず、範人のシフトチェンジャーにパルカのソウルを入れてみた。
「なにがどうしちゃったの、パルカ」
「範人のラブがアルデンテじゃすまなくなってるってことだよ、セニョリータ〜」
やはりわけがわからない。
クレープを食べていたはずの女性が不意に立ち上がった。
早輝と範人は何事かと顔をそちらに向けた。
食べかけのクレープをテーブルに置き、魔女は歩き出した。
無言で前を見つめて。
その視線の先にはこの頃では見慣れてしまった異様な蛮機兵ウガッツたちがわらわらと向かってきていた。
「なんでこんなところで?!」
「とにかく変身だよ、早輝!」
「そ、そうだね、範人!」
ゴーフォンとシフトチェンジャーを掲げた二人の前で、バサッと黒のマントを手で跳ね上げ、初めて彼女が口をきいた。
「邪魔よ」


 夕暮れも過ぎ、人もまばらになった公園通り降り立ったゴーオンウイングスはウガッツたちに囲まれたゴーオンイエローとグリーンを発見。
そして、ウガッツに片手のみで応戦する黒いマントの女。
「アニ、どういうこと?」
「ガイアーク反応のないガイアーク・・・あの女だったか」
大翔がつぶやき、いつものように、
「美羽、お前の勘は正しかったらしい。行くぞ」
「オーケー!」
軽やかにウガッツたちを倒していた黒いマントの女が、振り返りざまにコンクリートに転がり、ウィングスの攻撃を避けた。
ウガッツと戦っていた範人はそれを見て、大翔に叫んだ。
「なんで?! 冷奈さんを攻撃するんだよ!」
「ガイアークだからだ」
「なに言っちゃってんの?!」
範人は彼女をかばうように大翔との間に立った。
「どいて、範人、それは蛮機獣なのよ!」
ウガッツに蹴りを入れて美羽が叫ぶ。
大翔が地を蹴りロケットブースターを構えている。
86轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:35:12 ID:ncvFaf3V
「消えろ!」
女はフードをかぶり、大きく両手を広げるとマントの中に黒い空間が発生した。
自らを覆うようにその腕をかかげた瞬間、眩い光線が大翔により彼女に向って放たれた。
「冷奈さん!」
叫びとともに飛び出したゴーオングリーンが彼女の盾になった。
「範人!」
早輝が駆け出して叫んだ。
地に倒れた範人を驚きの眼差しで見つめたのち、彼女は次の攻撃を察知するとその場に膝をつき、
倒れたままの範人とともにマントに身を隠した。
「範人、連れて行かれるぞ! 範人!」
大翔が手を伸ばし、マントを取り去ろうとしたその時、
「やめて!大翔さん!」
駆け出していた早輝が、大翔に向かって腕を広げ、腕にしがみついた。
「なにをしているの、早輝!」
ウガッツの相手を一人でしていた美羽の声。
「どくんだ、早輝!」
「どかない!」
「早輝!」
大翔が早輝を振り払った時には、範人の姿は消えていた。
もちろん、黒いフードの女も。
87轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:35:44 ID:ncvFaf3V
ギンジロー号ではスマイルを失くした早輝が美羽に責められていた。
「ありえない。あの時、なぜ、アニの邪魔をしたの?!おかげで範人は蛮機獣に連れられて行方不明よ。命だってあるかどうか!」
「ごめんなさい」
「謝っても済むことじゃないよ、早輝!」
「走輔と軍平が現場に戻って手掛かりを探しに行っているっす。美羽も落ち着いてもう一度俺に状況を説明して欲しいっす」
連が腕を組み、大翔と美羽と早輝を見渡した。
「結論から言うと、範人をさらった女は、俺に例の毒を吹き込んだ蛮機獣だ」
「美羽が倒したはずじゃなかったっすか」
「復活したのかまたあらわれたらしい。俺たちが感じていた気配はあいつだったということだ」
「大翔も美羽も一度遭遇しているのになぜ、わからなかったんだろう」
「以前とは違う気配だったからよ。何かが違っているはず」
美羽の強い口調に連は口をつぐみ、口もとに指をあてその場を歩きだした。
「以前と違う気配、何かが変わった、何が」
連の呟きが続く中、ぽつりと早輝が、
「ウガッツに追われていたの、あの人」
「追われていた?」
三人が早輝に注目する。
早輝はうつむいたまま頷いた。
再び、連が歩きだした。
「人形から作られた、蛮機獣・・・ガイアークにも追われている。オーセン・・・」
連の呟きに大翔が頭を振る。
「まさか。ジャンクワールドへ飛んだなんて言わないだろうな?」
「確証が持てないのがつらいっすけど、それしかない」
連は静かにテーブルに手をついた。
「軍平と走輔がなにか手がかりをつかんでくれるといいっすけどね」
「もし、範人がアニと同じようにあの蛮機獣の毒に侵されてしまっていたら、どうなるの?」
美羽の真摯な問いかけに、連と大翔は答えられずに口を閉ざしたまま。
しばらくして早輝が言った。
「もし、範人がそんなことになっていたらあたしがなんとかする」
今まで早輝を見ようともしなかった大翔が睨む。
「なんとかって、何をする気だ」
「あたしが、範人におかっ・・・!!」
勢いよく立ちあがった大翔の手で口をふさがれ早輝は言葉を継げなかった。
その代りに大翔が、
「させられるわけがないだろう!?」
キョトンとした美羽とため息をつく連。
「そういや解毒方法をまだ聞いてなかったっすね。それが分かれば今回の範人の万が一に対応できるんすけど」
冷ややかな目を大翔に向け、連は目をそらした。
咳払いをして大翔は早輝の口から手を放し、椅子に腰をおろした。
早輝は完全にそっぽをむいている。
胡散臭そうにそんな二人の男を美羽は斜めから見て呟いた。
「アニと連、キツネとタヌキみたいだよ」
88轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:36:20 ID:ncvFaf3V
 目を覚ましたのはガラクタの中だった。
最近こんなのばっかじゃん、と範人はうんざりとした顔で起き上がった。
夜なのかあたりは暗く、膨大なゴミの山の天辺で大の字でひっくり返っていた範人は一人だった。
シフトチェンジャーが手首にあることに安堵しつつ、範人はパルカに呼びかけた。
「ねえ、ここがどこだかわかる?」
パルカの姿は現れず、反応もない。
いつもは元気よく飛び出してくれるのに。
嫌な予感がした。
範人はもう一度体を捻りぐるりと360度を見渡した。
見る限り続く、廃材と荒廃の大地。
暗闇の向こうには草木の絶えた干からびた砂漠があるに違いない。
「ジャンクワールドにまた来ちゃったわけ?」
以前は早輝と一緒だったが、今回は一人で飛ばされてしまったらしい。
「冷奈さんはいないし、どこに行ったんだろう」
独り言が続き、自分でむなしくなってきた。
大翔の攻撃を彼女の代わりにまともに受けたので、肩から胸にかけて怪我をしているようだ。左肩を押さえてみるが痛みは治まらない。
それでもこうしていられるのだから、大翔は繰り出した攻撃をあの極限状態にもかかわらず逸らしてくれたのだろう。
「足は無事だから歩いてみちゃおうかな」
スクラップの山から降りてみれば、なにかいいことがあるかもしれない。
いいこと。
いいことといえば。
あ、と範人は膝を叩いた。
「ジャンクワールドにはお仙さんがいるじゃん♪」


 魔女博士オーセンは確かにジャンクワールドの住人だ。
しかし、ジャンクワールドは広いはずで、早々簡単に会えるはずもないのに範人はスクラップの山を降り終えると、適当に歩き出した。
「お仙さーん、いませんかー?!」
「ヒューマンワールドの孫娘よ、あいかわらずじゃのう」
返事なんて期待していなかったというのに、背後から懐かしい声が聞こえて範人は子犬のように勢いよく振り返った。
箒にまたがった眼鏡をかけた老婆が眉間にしわをよせながらも、微笑んでいた。
範人は傷の痛みもそっちのけで走り寄った。
「お仙さんっ」
空から範人を見下ろしていたオーセンは静かに着地をし、範人に箒の後ろに乗るように促した。
「もともとは一人乗りだ。絶対に無駄な動きはするでないぞ」
「うんっ」
ジャンクワールドとはいえ、空を飛ぶのは快感だった。
「ねぇ、お仙さん、どうしてあそこにいたの?」
「お前さんを探していたからだ。頼まれてな」
「頼まれた?」
「そうだ、それに・・・」
「なに?」
「孫娘に会えるとなれば、こうして箒を飛ばしてとんでくるのさ」
はははははと笑うオーセンに範人は嬉しさのあまり抱きついた。
「お仙さ・・・ううん、おばあちゃーんっ」
「コラッ、暴れるな落ちたらどうする!」
89轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:37:32 ID:ncvFaf3V
「相変わらずなんだね、お仙さんちって」
ヒューマンワールドで女装をしたあの廃屋のようなオーセンの館。
しかし、鉄扉が家の奥にあり、その先の部屋で発明をしたり研究をしたりしているのだそうだ。
「掃除は終わったかい?」
家に入るなりオーセンが声をかけると、黒いマントの背中が振り返った。
舞踏会に行く前のシンデレラのように箒をもっていた。
「冷奈さん!」
範人が驚きの声をあげると、バツが悪そうに首をすくめ、
「わ、わたしはそのような名前ではないでおじゃる」
「おじゃる?」
「おじゃるはよしなさい」
女はオーセンがたしなめたので、慌てて頭を下げる。
近づいてくる範人におびえるように後ずさりながら、
「もともと名前なんか、ないの、だから」
助けを請うように、範人の後ろで腕を組むオーセンに視線を送る。
オーセンは笑いながら、
「そやつはもともとはヒューマンワールドで捨てられ、ジャンクワールドにやってきた何体かの人形だったのだ。だから、名はない」
それを聞いて範人は切なくなった。
しかし、持ち前のいい加減さと能天気はどうにも変るわけがなく、
「名前がないならレナさんでいいよね」
「いいよねと言われても」
「名前がないと不便だから、レナさんでいいじゃん」
範人は満面の笑みで頷いた。
自らの名をレナと決めつけられ、またもオーセンに助けを求めるように視線を送った。
「いいのでしょうか、博士」
「いいのではないかのう」
「そうですか」
「うむ」
それより、とオーセンは範人の左肩に目をやった。
「手当をしてやりなさい。傷を負っているようだ」


 範人の肩に傷薬を塗り、レナは彼の背中に訊ねた。
「これはあの時の」
「うん。大翔がうまくやってくれたみたいでかすり傷みたいなもんだよね」
「なぜ、庇ったりしたの」
白いシャツに袖を通しながら範人は淡々と答えた。
「好きな人を守りたかったからだよ」
「私は冷奈という人間ではないのに」
ぱふん、と襟首から頭を出して範人はレナを見た。
見られたレナの表情は暗い。
「あの時、僕はあなたを守りたかったの。大翔のシャイニングタガーなんて普段はおっかなくて近寄れないけどさ」
「ヒロトとはゴーオンゴールドのことね」
「うん」
レナは悲しげに眼を伏せ、ゆっくりと開いた。
「生きていたのね、彼」
範人はその表情と言葉の意味が分からず首を傾げた。
「ジャンクワールドに来てすべてを思い出したわ。私はゴーオンゴールドを抹殺するためにケガレシア様に姿を与えられ、
キタネイダス様に命を与えられた。
けれど、ゴーオンシルバーにここを撃ち抜かれて命まで奪えず、毒を吹き込んだだけて抹殺に失敗した」
ここ、と自らの眉間を指さして、レナは続けた。
「私はさまよっていたわ。自分が何者かもわからず。蛮機兵達がなぜ私を追うのかすらわからなかった。
そうしていたらあなたが」
ヒューマンワールドに帰りなさいと、レナは言った。
魔法博士には頼んであるから、と。
90轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:38:05 ID:ncvFaf3V
ヒューマンワールドに戻りたければ、オーセンに頼めば事は簡単だ。
それなのに範人はガラクタを片づけて歩くレナの手伝いをしてついて回っている。
丸一日をそうして過ごしたレナは夕方にとうとうキレた。
「ヒューマンワールドに戻りなさいといったでしょう?! ここはジャンクワールド、私たちのようなガラクタが住む世界なのよ」
「よっこらしょ」
範人はレナの言葉を無視してガラクタを持ち上げては、荷車に積んでいる。
「聞きなさい、範人!」
「やだ。僕はレナさんといたいの」
「なにをバカなことを。ヒューマンワールドを守るヒーローなんじゃないの?

「そうだけど、レナさんといるとドキドキするんだから仕方ないでしょ」
話にならんとレナは頭を抱えた。
「こんないい加減な人間相手にあの方々は苦戦を強いられておられるなんて」
「なんでレナさんはお仙さんにこき使われてるの? どうせ僕のことを探してほしいって頼んだり、ヒューマンワールドに送ってほしいって頼んだりしたからこき使われてるんじゃないの?」
「それは・・・そうだけれど、それだけではないのよ」
「ふーん。じゃなんで?」
「博士を尊敬しているから。ガラクタの一つにすぎなかった頃から博士のことは存じ上げていたわ。命と姿をもらえることを望んだのも、博士のようになりたかったからなの。お手伝いをさせていただけるなら本望よ」
「もうひとつ聞いていい?」
範人はレナに近づき、真顔で尋ねた。
「大翔に毒を吹き込んだって、どうやったの」
いい加減うっとおしくなっていたレナはこめかみをひくつかせながら、
「それをなぜ今?」
「知りたいから。大翔は簡単にやられたりしないからね」
「私の吐く息にはキタネイダス様から頂いた毒素が含まれている。それを口と口を介して吹き込んだ。あの時ほとんどの毒素を使ってしまったから今は・・・」
突然肩を範人に掴まれ、レナは眉間を寄せた。
今度はなんだというのだ、この人間は。
今までに見たこともないほど真剣な顔をしているし。
「それって・・・それってさ、レナさん」
「なに?」
「大翔とキスしたってこと?!」
「キス?」
「はー?!わかんないなんてありえないでしょ、キスってチューだよ、チュー!」
「顔が、顔が近い、範人、顔がちかい」
「ずるいよ、なんで大翔に」
それで大翔が死にかけたことはどうでもいいのか。
範人はずるいずるいとレナにダダをこねた。
「なにがずるいのかよくわからない。抹殺されたいとでも?」
「違うよ、キスだよっ」
意味のわからない言葉でダダをこねられても、レナとしてはどうしようもない。
そもそも、自分はガイアークの手下で、少年の立場は敵である。
好きだのなんだのとわめく相手ではないはずだ。
「範人、あなたは自覚が足りないみたいね。私はあなたの仲間を抹殺するために作られた・・・」
続きは言えなかった。
肩を掴まれたままであり、とても顔が近い状態で説教を始めたレナの唇に自分のそれを押しつけた範人。
何が起こったのか、5秒ほどして理解した聡い人形は、即座に範人の怪我をしている肩を押し怯んだ隙にその腕から抜け出した。
「人の話を聞きなさい! 自殺してどうするの!」
いたたたた、と肩を押さえたまま顔をしかめていた範人は、
「自殺なんてしてないよ。なんで僕がそんなのするの。キスしたんだよ、わかんないみたいだから」
「あれがキスというなら、私に対してするのは自殺行為!」
ナンデ?と無邪気に尋ねる範人にいよいよどう対応すればよいのかわからなくなったレナは、そのまま身を翻しオーセンの元に走った。
「あの無法者を今すぐヒューマンワールドに送りつけてください!」
「ゴールドの坊やに使ってしまってお前の毒はほとんど薄れているとはいえ、そうして動いている以上、残っている。それを範人のバカは自分から吸い込んでしまったというわけか」
「はい」
不貞腐れたようにレナはうなずいた。
「そうなると、簡単にヒューマンワールドに帰せんぞ。毒を抜いてやらねば」
レナは首を垂れた。
「なんなんでしょうか、あの人間は・・・」
オーセンはほほほと笑い、レナの肩を叩いた。
「しばらくは大変なことになるかと思うが、私の孫娘を頼んだよ」
91轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:38:57 ID:ncvFaf3V
「範人、あなたの寝る部屋はここではないでしょう」
布団に横になり、天井を睨みながら生真面目に告げるレナに対し、範人はレナの隣にもぐりこんで子犬のようにコロンコロン寝返りを打っている。
「離れたくないんだ、レナさんと」
キス以来範人は、今までに増して付きまとってくるわ、好きだの愛しているだのと連呼、抱きついてくる上に隙あらば唇を合わせようとしてくる始末。
すべて自らが吐き出した毒素のせいだとレナはうんざりと思い、範人を見た。
「私は一緒にいたいと言われれば構わないけれど、もともとはそのあたりにいるガラクタと同じよ」
範人はニッコリ笑った。
「レナさんはレナさんでしょ。人形でもなんでもいいよ、大好きだから。そばにいるとドキドキするんだ」
範人が腕を伸ばしてくる。
本来ならば避けなければならないのに、それをできないレナがいる。
頭を抱え込まれ抱きしめられて、レナは聞いたことのない音を聞いた。
それは範人の胸の奥から聞こえてくる。
「範人・・・この音はなに?」
「音?」
「範人のここから聞こえてくる、定期的に鳴っている」
すると、範人の腕の力が強くなった。
「ドキドキってその音のことだよ。レナさんのことを考えたりこうしていたりすると大きくなって強くなる」
耳を範人の胸にあてた状態で、レナは目を閉じた。
うらやましい。
人形である自分には存在しない音だ。
気がつくと範人の頬が甘えるようにすり寄っていた。
唇が触れた。
羽が触れるようなキスを範人はレナの唇に何度も繰り返し、大好きだと言う。
そのうち、目を閉じた範人が深く唇を重ねてきた。
それは、レナに不思議な感覚を呼び起こした。
体が思考を拒否するなんてありえないことを。
範人につられるように目を閉じてされるままに吐息を絡ませた。
いけない。
このままではますます、範人は毒素を取り込んでいく。
レナは範人の体を押した。
「範人。離れて」
ぼんやりとした顔の範人がレナを見る。
その唇に範人がしてくれたようにキスを落としてみたい。
しかし、それが禁忌なのだ。
レナは優しくその唇に指をあて、説いて聞かせるように言った。
「あなたの体に入った毒素を抜き出さなければ、明日にもあなたは自己意識をなくしてしまう」
「・・・」
「自分がゴーオングリーンだということも忘れてしまう、やがて衰弱して死に至る・・・私の体にあるものはそういうものなの。キスすればあなたは何度でも吸い込んで、
毒素をため込んでしまうの・・・生殖行為をしたことはある?」
レナの言葉に範人は笑った。
「内緒」
「いまからして。そうすれば毒素は抜ける。私でも人間体をしているから可能なはず」
範人にしては珍しく考え込むような顔をしていたと思えば、
「キタネイダスってムッツリスケベだね」
「は?」
「えっちすれば毒が抜けるって、超えっちだなー。すっごくしたいなあとは思ってたけどさ、そのせいだったんだ。我慢するの大変だったよ」
「わけのわからないこと言ってないで、早く」
「いいの?遠慮しないよ僕」
レナはうなずいた。
でも。
キスは絶対にしないで。
92轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:39:59 ID:ncvFaf3V
 実際、自分が自分ではないような倦怠感に付きまとわれていた。
気を許すと、眠ってしまっていたかのように記憶を失くしてしまう。
大翔に吹き込まれた毒の残りですらこの効果。
大量に吸収させられたあの時の大翔のダメージは相当だったことだろう。
そんなことを考えながらも範人は素早くシャツを脱いだ。
相手の気が変わらないうちにことに及ぶに限ると踏んだからだ。
「僕のことなんて見てないでレナさんも脱いでよ」
「わたしも?」
「脱がなくてもいいよ。その方が何倍もえっちだし。大歓迎」
軽口をたたきながら、半身を起こしたレナの服に手をかけた。レナは範人にされるがまま服を脱がされた。寝間着は一枚しか身に着けていなかったようで、すらりとした裸身が現れた。
「きれいだ」
心からのつぶやきを範人は漏らした。


「レナさん、寒いの? 体、冷たいよ」
「体温なんてないもの」
事実、重なっている範人の重みや温かさすらわからないのだ。
範人はレナを抱きしめたり胸に頬を埋めたりしながら、想いを口にする。
そんな範人の柔らかい髪をなぜながら、レナはずっと考えていた。
私は何をすればいいのだろう。
「範人、大丈夫? なにか手伝うことはない?」
「そうやって髪の毛を撫ぜてもらうの気持ちいいよ」
「気持ちいい?」
気持ちいいとはどんな事なんだろう。
「ねぇ、レナさん。僕はレナさんに触ったりしていると気持ちいいんだけど、レナさんは気持ちいい?」
レナは首をかしげた。
範人が両脇に手をついて、見下ろしていた。
心なしか怒っているようだ。
「僕だけ気持ちいいのは嫌だ」
感触はなくても、範人と肌を合わせていることはずっとこうしていてもいいと思えるが。
「私は人間とは違うから・・・」
「こんなにきれいで柔らかくて、人と何が違うのさ」
「触られていることはわかるけど、範人の言う気持ちいいというのは違う気がする」
「気持ちいいのもわからないのに、僕とセックスしてるの?僕を助けたいって気持ちは嬉しいけど・・・レナさんにとってこれは義務だけなの?」
「範人」
範人が傷ついているそのわけすら察することができない自分にレナは冷静ではいられず、どうにかして範人に笑ってほしいと思った。
でも、なにをどう言えば、どうすればいいのだろうか。
「範人、私は・・・人間と違うからあなたが望むように「気持ちいい」ようにはなれないし、わからない。でも、
範人のドキドキを聞きたい、範人にドキドキして欲しい・・・の」
不意に困ったような顔になり、どうしよう、と範人がつぶやいた。
「レナさんにむちゃくちゃキスしたい」
「それはだめ」
細身の少年の体はしなやかにレナに重なり、強く強く抱きしめられた。
その息苦しさにレナは頬笑みを浮かべた。


 あどけない表情で眠る範人の素の胸に、レナはそっと耳をあてた。
先刻聞いたよりゆっくりな音がする。
すると眠っているはずなのに、範人は腕をのばして、レナの肩を引き寄せた。
このままジャンクワールドで命の終わりを穏やかに待とうと思っていた。
以前のように人形に戻るだけのことだ。
キタネイダスに再び毒素を与えてもらいながら、人のような物として存在するのは最早望むところではない。
それに人形に戻っても、以前のような寂しいガラクタではないだろう。
範人が沢山くれた好きだという言葉や抱擁は、人に捨てられてしまった寂しさ悲しみなど霞のように掻き消してくれた。
゛レナさんにむちゃくちゃキスしたい゛
範人の言葉がよみがえる。
範人の緩やかな鼓動を聞きながら、レナは思う。

私も範人にキスをしたい。
93轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:40:51 ID:ncvFaf3V
「ヒューマンワールドへ行きたいだと?」
オーセンは渋い顔で頭を振った。
「ジャンクワールドの空気がお前の体から毒が出ていくのを遅らせているのに。それがどういうことがわかっていないわけはないだろう?」
レナは薄く微笑んだ。
「この体に未練はありません。範人をヒューマンワールドへ帰さなければなりませんし・・・ヒューマンワールドならこの薄れて弱まった毒など、
浄化してしまうそんな場所があるのではありませんか」
オーセンはしばらく口を閉ざしていたが、
「ヒューマンワールドには森があることを知っているか」
「モリ、ですか」
「木がいくつも生えるそんな場所があるのだ。水は澄み、空気の穢れを浄化してゆく作用がある」
そんな場所、想像もしたくはないがとオーセンは言い、慈愛に満ちた眼差しをレナに向けた。
「行ってみるがいい、森へ。範人と共に」



「ヒューマンワールドで捨てられた私を拾いジャンクワールドへ連れてくださったのは、博士だったわ。人形だったわたしに知恵を授けてくださった」
レナは被っている黒いフードを指して、
「これは博士がお若かりし頃にお召しになっていたものを下さったもの。
キタネイダス様がヒューマンワールドの人間がジャンクワールドを侵略すると仰ったので、私はヘルガイユ宮殿へ行き、
博士はヒューマンワールドへ向かったのよ。故郷を守るためにね」
ふーん、と範人は砂の上に腰をおろして、レナの話にうなずく。
そして、ニッコリと笑ったかと思うと途端に不貞腐れた。
「僕は帰らないよ。さっきから回りくどい話してさ。帰れって言うんでしょ」
「仲間のことが気になっているくせに」
「それは・・・」
レナは範人の隣に座った。
「ヒューマンワールドには森というものがあると博士から教えていただいた。どんな穢れも消してしまう力がある場所だと。そこに私を連れて行ってほしい」
範人は砂をつかんで、手のひらから細く落としはじめた。
「森に行ったらレナさんはどうなるの」
一瞬言葉を失くしたものの、ややあってレナは微笑むことができた。
「毒が消えたら、人に近くなれるような気がするわ」
「レナさんはレナさんでいいのに」
「範人と森に行きたい。連れて行って」
しょうがないなぁーっ、と範人は手を広げ、握っていた砂を一気にこぼした。
手をパンパンとたたき砂を落としてから、自分の掌とレナを交互に見た。
「レナさん、手つないでいい?」
くすりと笑い、レナはうなずいた。
レナの白い手を握り、範人は言った。
「一緒に森に行こう。森は緑色でね、僕の色で一杯なんだよ」
あ、そうだ、と範人は楽しそうに笑い、
「僕、いいこと考えついたんだよ」
「どんな」
「こんなの」
範人はレナの頬にチュッと音をたててキスをした。
「これなら大丈夫でしょ?あのね、世の中で一番素敵な音はキスの音なんだって」
キスをされた頬に手のひらあてて、レナはしばらく範人を見つめていた。
「どしたの、レナさん」
「ありがとう、範人。とても素敵な思いつきだわ」
94轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:42:31 ID:ncvFaf3V
「お仙さん、ありがとう、またね!」
レナはしばらく立ちすくんでいたものの、思い切ったようにオーセンに抱きついた。
その背中をあやすように叩きながら、オーセンは言った。
「安心してお行き。ガイアークの愚か者どもにもうお前を渡しはせん。必ずここに連れ帰ろう」
涙というものがあるならきっと、こぼれていたに違いない。
レナはオーセンから離れ、深く頷いた。
「さらば、わが、孫娘たちよ!」
95轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:44:13 ID:ncvFaf3V
オーセンがヒューマンワールドへと時空をつなげてくれたおかげで、
あっけないほどにヒューマンワールドに立ち戻ってしまった。
山奥へと突然落とされた範人は茂る葉の上に尻もちをつき、
レナは悠々と足もとから降り立ち、物珍しそうにあたりを見回していた。
「バルバルーカッ!心配したよ、アミーゴ!」
シフトチェンジャーに飛び込んだパルカがホログラムになって表れた。
「ごめんごめん、いろいろあってさ」
「それが炎神?」
パルカはレナの顔を見て文字通り飛び上がった。
「ハントッ、このセリョリータ、ケガレシアそっくりバルバルッ。アリエナくってアルデンテッ!」
「レナさんだよ。ケガレシアに似てると言えば似てるけど」
レナはパルカに申し訳なさそうに、
「これはケガレシア様にいただいた姿だからごめんなさい」
「この人は僕の大切な人なの。だから大切にしてよね、パルカ」
バルカは炎神のくせに肩をすくめた。
「オーケー、わかった、アミーゴ」
バルカが納得していないのは、声のトーンでわかる。
しかし、そこは能天気な炎神バルカ。
「なんとかなるよね、バルバル〜カ♪」
「そ、なんとかなるなる、なせばなる♪」
楽天的すぎる二人にレナの方がは心配になって、首を垂れてしまう。
「このようないい加減な相手に苦戦されている、ガイアークの大臣って一体・・・?」


「苦しそうだね、セニョリータ」
森の奥へ奥へと歩みを進めていると、突然パルカがレナに話しかけてきた。
レナにとって森の清々しすぎる空気は、命の基である毒素を浄化してしまうらしく大変つらいものだった。
錘を体中につけて歩いているような。
範人は休もうかとレナを気遣うが、レナには休んでいる時間がなかった。
この場所で息絶えても構わないはずなのにレナは前に進むことを望んだ。
森の奥深くに行けば、きっと・・・ガイアークの手は及ばないはず。
彼らは美しい環境を忌み嫌う。
オーセンはレナをガイアークに渡さないと言ってくれた。
毒素が抜けきって、動けなくなり抜け殻と化したあと、ガイアークの手に落ちれば再び毒素を吹き込まれる。
そのために、蛮機兵ウガッツたちはレナを追いかけていたのだ。
もう一度、蛮機獣として再生するために。
「範人、あなたの仲間と連絡は取った?」
「向こうから通信が入ったよ。無事だと伝えておいた。休もうレナさん」
範人が前方を指さした。
「あそこにきれいな川がある。きっと飲める水だろうから休もうよ。僕も辛くなってきた」
96轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:45:09 ID:ncvFaf3V

 範人が抱きかかえてくれなければ座ることもままならない。
レナは範人の胸に寄り掛かり、肩に頭をのせた。
「範人、私から花の香はする?」
くんくんと鼻をきかせて範人は首を横に振った。
「しないよ。僕あの香り好きだったのに」
「いいの、しなくて・・・いいの」
目を開き、見上げると深い緑だった。
レナはその碧さに感謝した。
この森という場所を教えてくれたオーセンに感謝した。
「範人のようにすべてを受け入れてくれる・・・」
「なんか言った?」
声を出すことも精一杯だ。
「範人、ドキドキを聞かせて」
「え?」
「胸の音・・・範人のドキドキの音」
範人はレナを抱きかえて、耳が胸に当たるようにしてくれた。
強く引き寄せてレナの髪にキスをする。
幸せという言葉。
意味がわからなかった愛しいという言葉。
範人の鼓動はレナにとってそれらそのものだった。
「眠いわ・・・寝てもいい?」
「いいよ。僕が守ってあげるから安心して」
レナは手を伸ばした。
指先で範人の頬に触れた。
顔を寄せてくれた範人の頬に唇を触れさせ微笑んだ。
「私が眠ったら、唇にキスして範人」
「いいよ、何度でも」
範人がうなずく。
それを見て、レナは目を閉じた。
範人の頬から指が滑り落ちた。


「アミーゴ」
レナを抱いて小川を見続けている範人に、ホログラムのパルカが現れ声をかけた。
「レナさんが寝てるから静かにしてね、バルカ」
バルカはそんな範人を悲しそうに見つめ、らしくもなく黙ったまま姿を消した。
パルカが姿を消した後、範人はレナの唇に自分のそれを重ねた。
97轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:46:06 ID:ncvFaf3V
 範人たちがいる山のふもとでは走輔たちが、範人を探していた。
ボンパーと美羽がガイアーク反応を感じ取ったこともあり、彼らは急いていた。
上空からウィングスが探索をしている。
「早輝」
前を歩く早輝の背を連が呼びとめた。
しかし、早輝は返事をせずに歩いて行く。
連は藪を進む足を早め、早輝の肩に手を置いた。
力をこめて振り返らせると、早輝の眼は涙でいっぱいだった。
「どうしたっすか」
早輝は無言で頭を横に振った。
「範人が生きてて安心した?」
頷き、早輝は涙を手の甲で拭う。
連は早輝の頭に手を置き、笑いかけようとした。
しかし、早輝の涙はそれだけではなさそうだと気がつき、それを訊ねてしまうか迷って笑うことができなかった。
かわりに、早輝の頭を抱え込み、胸に引き寄せる。
努めてオカンのようにそうしたつもりだ。
「どうしたっすかー?そんなに泣いてたら目がなくなってしまうっすよ」
早輝が連のジャケットをつかむ。
「連・・・ごめん、泣いてる場合じゃないのに、ごめんね」
「いいっすよ」
連のゴーフォンに走輔から通信が入った。
「ウガッツが山ほどいやがる!軍平が範人のいる方向に向かってるって言う、
俺たちはこいつらをやっつけるから、連たちは早く範人を見つけてくんねぇか」
「ウイングスはどうしているっすか」
「わかんねえ。ボンバーに聞いてもパルカが応答しないらしい」
早輝が顔を上げた。
涙を拭き、先刻までとは違う、意を決した表情で連から離れた。
「わかったよ、走輔!」
走輔の声が途絶えた後で早輝は言った。
「大翔さんより早く範人を見つけなきゃ」
連は先を進もうとする早輝の手をつかんだ。
「早輝は何を知っているっすか、なにがあったっすか」
「連に言ってもわからないよ、だって」
「だって?」
「女のカンだもん!」
そうっすか、と連は手を放した。
理不尽で理屈の通じない話は苦手だが、理解できないこともなかったからだ。
「連がお地蔵様を守ろうとしたとき、軍平カッコよかった。
連のこと信じてすごくカッコよかった。あたしもあんな風になにがあっても範人のこと信じたいの」
早輝の真摯な言葉が連の胸をついた。
「俺も範人を信じるっす」
「こちらウイングス。範人を発見したわ。今からポイントを指示するからね!
それから・・・範人の傍で大きな邪悪な気配を感じてる」
美羽の声だった。
98轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:46:42 ID:ncvFaf3V
「その蛮機獣をこちらに渡すぞよ、ゴーオングリーン」
腕の中にいるレナは目覚める気配がない。
「嫌だ」
範人はレナを抱いたまま立ち上がる。
声の主が並みの相手ではないことを把握しながらも、範人は怯む様子を見せなかった。ゆっくりと振り返る。
「大臣なのにわざわざ出できたんだ。ガイアークって暇なんだね」
「ひまっ?!なわけないぞよ、その蛮機獣は私の最高傑作であるからして、わざわざ出向いたまでだぞよ!」
「範人、その最高傑作、こちらに渡すんだ」
キタネイダスとは逆の方向から大翔の声がした。
「渡したら、レナさんをどうするの大翔」
範人は両者からレナを守るように強く抱き、数歩下がった。
ゴーオンゴールド姿の大翔は、ロケットブースターの刃先をキタネイダスに向けると、
「そいつらの手に渡る前に破壊する」
「絶対にさせないよ、大翔」
「感傷に酔うのも大概にするんだ。時間をやるからその間に心を決めろ範人」
時間は、と大翔はつぶやいた。
「こいつらを片づけている間だけだ」
範人はレナの体を下し、シフトチェンジャーに触れた。
「僕は守りたいものを守るために戦う! チェンジソウル・セット! レッツ・ゴーオン!」
ギアを入れると緑炎のソウルに範人の体が包まれた。
「身勝手な奴だ」
大翔はつぶやき、縦横無尽に蛮機兵たちをなぎ倒していき、キタネイダスに迫らんとする。
「アミーゴ、セニョリータはもう!」
「わかってるよ!」
パルカの声に範人は怒鳴り声で答えた。
「わかってるよ、わかってるんだ!それでも渡さない!」
地に横たわるレナは相変わらず眠るようにそこにいる。
「はやくよこすぞよ!」
キタネイダスが棍棒を振り下ろしながら迫ってくる。
「渡さないって言ってんだろっ!」
ブリッジアックスを構え、迎え撃つ。
自らの攻撃が跳ね返されたことに驚きを隠せずも、キタネイダスは無限の形に振り回し、さらに挑んでくる。
「空気が澄みすぎて調子が出ないぞよ」
アテンションと声がした。
大翔の狙いがレナに向いたことを悟った範人はレナの体覆いかぶさる。
背にキタネイダスからの一撃を受け、激痛に身をのけぞらせた。
99轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:48:16 ID:ncvFaf3V
上空にいたジェットラスに吊ってもらい、駆け付けた早輝と連は飛び降りながら変身、
地に降り立つとダメージのために変身が解除されてしまった範人の元に駆けつけた。
「大丈夫、範人?!」
「ダイジョーブ・・・。来てくれたの」
「当たり前っす、一人で頑張らせてすまなかったっす」
範人を守るように立ちはだかる連と早輝に大翔が言った。
「またお前たちは!」
「大翔さんだって範人がかばったから撃てなかったくせに!」
早輝が大翔に訴えた。
「範人の気持ち、わかってよ!」
「感情論優先で戦えるか!」
「戦えるよ!」
早輝は胸を押さえた。
「範人が命を賭けて守るなら私だって守る!大翔さんみたいに強くないけど想いがあればなにより強くなれるんだから!」
大翔は舌を打ち、早輝を無視してロケットブースターを構えた。
「なんてことをするぞよ!」
悲鳴にも似たキタネイダスの声、大翔の放った冷気がレナの体を包んだ。
範人はみるみる凍りついてゆくレナの体にすがりついた。
「レナさん!」
冷気を浴びても破壊されない体を範人は茫然と見つめ、そして大翔を見た。
「せいぜい仮死状態だ。それなら悪さはできないだろう。
渡さないというなら、ヘタレていないでキタネイダスを倒せ」
戦闘の中、早輝は黄色い声をあげて、大翔に飛びついた。
「大翔さん!ありがとう、やっぱり大好き!」
首に抱きつかれ、大翔は焦ったように早輝の体を振り払う。
「わかったから、みんなとにかくまじめにやれ!」
そこにどこかで聞いたような高笑いが響いた。
一斉に上空を見上げると、箒に乗った眼鏡の老女が現れた。
「キタネイダス、久しぶりだのう」
「ま、魔法博士、オーセン・・・!」
地に降り立ったオーセンは杖をキタネイダスに向け、
「また花盛りにされたくなかったら、消えるのだ。この娘は私の孫娘だ。お前なんぞに二度渡しはしない」
「たかが魔女の分際で!」
キタネイダスはそういうものの、腰が引けている。
ほどなくキタネイダスは撤退した。
花盛りにされたことが相当のトラウマらしい。
100轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:49:04 ID:ncvFaf3V

あっけなく静かになった森の中で、氷の姿になったレナを抱きしめる範人。
「ごめん、レナさんごめんね」
どけ、と大翔が言いロケットブースターを向けるのを杖で制したオーセンは、杖の先をレナの体に向けた。
氷がみるみる解けていく。
それでも、レナの瞳は開くことがない。
レナの体を抱いたままの範人の背後に立ち、オーセンは言った。
「範人、レナの最後の望みをかなえさせておくれ」
「最後の望みって?」
「ジャンクワールドに戻り、静かに眠ることだ。私は約束したのだ。ガイアークの道具に戻らぬように元の姿にもどすと」
「お仙さんならレナさんを生き返らせるんでしょ? ここから連れて行って知恵を授けたのはお仙さんだって」
範人の声が濡れている。
オーセンは静かに首を横に振った。
「私が授けたのは知恵だけだ。それ以上は不幸になると思うたからのう。しかし、その知恵が人になりたいと望ませてしまった」
「・・・」
「キタネイダスの作った毒が抜けてしまえば、命を失うことと同じなのははじめからわかっていたのだ。
最期の時をお前と共にしたいと願ったこの娘の気持ちをわかってやってくれ、範人」
範人の涙がレナの頬に落ちる。
眠いと言って目を閉じてから、レナの命が尽きたことをわかっていた。
悲しみを悟られないように、気が付いていないふりを必死でした。
本当のことを何一つ話さずに、範人といたいと言ってくれた愛しい人のために。
「気持ちを・・・心を与えたのは、お前だ範人」
それを聞いて範人は地を拳で叩いた。
堰を切るように叫び声が涙と共にあふれた。


 目を閉じたままのレナの美しい顔を見て、範人は微笑んだ。
゛私が眠ったら、唇にキスして範人゛
゛いいよ、何度でも゛
あなたが望んでくれた。
それは僕への最高の贈り物。
閉じられたままの冷たい唇にキスをする。
「大好きだよ、レナさん」
 オーセンはレナの体を黒いマントで覆い、杖を向けた先にできた暗い空間へと浮かび上がらせた。
「さらば、範人」
「またね、お仙さん」
泣きはらした赤い目で笑みを浮かべる範人に、オーセンは深くうなずいた。
101轟音緑×オリキャラ「Under the Same Sky」:2008/10/21(火) 23:49:50 ID:ncvFaf3V
「みんな、勝手なことをしてごめんね」
ギンジロー号に戻ってから、範人は皆に頭を下げた。
走輔は銀貨を指ではじいて手の甲で受け止めて、にやりとした。
「表だ。範人、これからゼッタイいいことあっかんな、俺のコインが保証してるぜっ」
「範人、奮発してお肉っすよ、味わって食べるっす」
連がキッチンから何枚も皿をもって現れた。
そのあとに続くのは早輝のケーキの皿。
かと思えば、軍平に両肩をがっしりと掴まれ、
「範人、一緒にランニングしないか?」
顔をひきつらせた範人の肩を軍平から取り返し、美羽が大きな瞳を一層大きくして、
「範人はキラキラな男の子だよ。それに失恋は男を磨くんだから」
「ああ・・・ありがと」
テーブルに皿を並べながら、連が言った。
「このお肉たちは大翔が範人にって、置いていったっす」
それを聞いて、範人は泣き笑いのような顔をして頷いた。
「ありがと。みんな、ありがとう」


「バルカもありがとね」
皆が寝静まったあと、ギンジロー号の屋根の上で寝そべった範人は、星空を見上げながら、
隣にちょこんといる相棒のホログラムに語りかけた。
「いいんだよ、アミーゴ」
範人は目を閉じた。
本当はまだ涙が出てきそうになるけれど。
あなたを想うとき、泣いているよりも笑っていたい。
だって、僕は気ままで自由なvagabond。
僕は僕らしく、あなたを想うんだ。


<終わり>
102名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:39:24 ID:rr3sv/D6
GJ!

これ実写でやって欲しい
103名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:54:29 ID:frgzDncv
せ、せつない……
GJでした。
104名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 15:54:56 ID:iQl6pfD/
良いものを読ませていただきました
ありがとう
105名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 17:07:41 ID:auQm//zw
良かったです。また楽しみにしています。
106名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 00:29:00 ID:qRnCUFZB
GJ!以外に緑よかった
オリキャラじゃないのがいいけど
次は赤銀書いて!
107名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 07:36:45 ID:XpvVNTt8
原作の雰囲気が暗い時ですが、轟音赤銀投下します。
苦手な方はスルーでお願いします。
108轟音赤銀「導カレル手」:2008/10/23(木) 07:40:25 ID:XpvVNTt8
 土砂降りの雨だというのに、須塔家の別荘にやってきた走輔を見て、美羽は目を丸くした。
「ちょっと、一体どうしたの!? こんな天気なのに」
「大翔に用があってな。いるか? 大翔」
 走輔の言葉に、またしても美羽は驚いた。何故なら先程、大翔はギンジロー号に向かうと言って出て行ったばかりだったからだ。
「ええっ? アニ、ギンジロー号にいなかったの?」
「はあ? どういうことだよ?」
「さっき、あなたたちのところに行くって出て行ったばかりなのよ」
「マジかよ……」
 美羽がそう言うと、走輔はあからさまにがっかりした顔をした。それはそうだろう、こんな土砂降りの中走ってきたというのに、相手とすれ違いになっただなんて。
 口を開けたままその場に立ち尽くしている走輔を見て、美羽は言った。
「とにかく、服、着替えたら? 風邪引くわよ」
「お、おう。でも俺、着替えなんて持ってきてねえぞ?」
「じゃあお風呂に入ってきなさいよ。その間、乾かしておいてあげる」
 美羽がそう言うと、分かった、と走輔は頷いた。
 走輔を風呂場まで案内し、一通り使い方について説明すると、美羽は脱衣所の扉を閉めた。走輔が服を全て脱いだのを確認して、その服を回収するつもりだった。
 扉越しに、衣服の擦れる音が聞こえる。美羽は何故だか、それを聞いているだけでどきどきした。心臓の鼓動が激しくなっていって、美羽はますます動揺した。
 自分の体の中にあるはずなのに、心臓だけ、自分のものでないような気がした。
「おい、美羽! 後はよろしくな!」
 脱衣所の中から走輔の声が響いて、美羽ははっと我に返った。
「え、ええ!」
 美羽が慌てて答えたすぐ後に、ガラッと音がして、走輔が風呂場に入ったようだった。
 美羽はそうっと脱衣所の扉を開けた。当然ながら走輔はそこにはおらず、美羽はなんとなく安心した。
 籠の中に無造作に投げいれられた走輔の衣服を抱え、脱衣所を出た。


 走輔の衣服を室内に干し終えた後、美羽ははっと気付いた。
 そういえば、脱衣所にバスローブを用意していない。昨日干した後、たたんでタンスに入れたきりだった。
 バスローブの入っているタンスを開けてそれを取り出すと、美羽はそのまま風呂場に向かった。
 まだ走輔は風呂に入っているだろう。まさかもう出てきたということはあるまい。美羽の足は自然と速くなっていた。
 歩いてきた速さのまま、美羽は脱衣所の扉を開けた。


 だがその時、あってほしくないと願っていた光景が、目に飛び込んできた。
 なんとそこに、湯気をまとった走輔が立っていたのである。当然ながら、走輔は何も着ていない状態で――
「み、美羽!?」
「きっ――」
 美羽の唇が震えた。
「きゃあああ!!」
 美羽は思わず、バスローブを走輔に向かって投げつけていた。
「ぐわっ!?」
 走輔の呻き声が聞こえたが、構う余裕は全くなく、美羽はそのまま慌てて脱衣所を出、音が出るくらいきつく扉を閉めた。
「ちょっ、おい、美羽! 美羽!?」
「そ、それ、着て! いいから!」
 美羽は必死にそれだけ言うと、自分の部屋に走り去ってしまった。
109轟音赤銀「導カレル手」:2008/10/23(木) 07:41:38 ID:XpvVNTt8
 自分の部屋に入って、扉を閉めた後も、美羽の動悸は治まらなかった。それどころか、ますます激しくなる一方だ。
 ベッドに深く尻を沈めて、美羽はああ、とため息をつく。
 同時に、見るつもりのなかった、見たくなかった光景が、鮮明によみがえってくる。
 走輔のがっしりとした肩。胸板。筋肉質な腕。そして、下半身の――
「いや……」
 美羽は口を手で覆った。頭がくらくらした。心音が、耳にまで響いてきた。
 成人男性の裸を見たことのない美羽にとって、あの光景は刺激が強すぎるものだった。
 ましてや、相手は走輔だ。認めたくはないと思っていても、美羽は自分が走輔をどう思っているのかくらい、知っている。
 そんな相手の裸体を見て、何も思わないほうがおかしい。
 好きな人を想って、胸のどきどきが治まらない時、美羽はいつもあることをして自分を鎮めていた。
 このときも、美羽の手は、自然と下半身へと向かっていた。
「んんっ……」
 そっと指を動かしただけで、ぴりぴりとした快感が伝わってくる。もう一度同じようになぞると、奥から何かが溢れだしてきそうな感覚に陥った。
 今まで無意識のうちに隠し、守ってきたその場所に触れることは、とんでもなく重い罪のように感じられた。
 その行為に快感を覚えた後で、後戻りできない罪悪感に苛まれる。
 それでも、何故かやめられなかった。
 走輔が風呂からあがってきて、美羽を探し始めたらどうしようということなど、その時は考えもしなかった。ただ、この激しく脈打つ心臓を抑えるのに精一杯だった。
 もっと奥をなぞる。下から、上へ。ぞくぞくと、背中が震える。
「あ、ぁ……そう、すけ……」
 知らず知らずのうちに、美羽はその名前を口にしていた。
 止まらない。もっと、と、体が要求している。
「あん……あ、だめ……っ」
 絶頂を迎えそうになる。美羽の往復する指の速さが、だんだんと増していく――


 その時、非情にもその扉は開かれた。
「美羽! ここか!?」
 走輔の声によって、達しそうになっていた美羽は、急激に現実へと引き戻された。
 我に返った美羽が見たのは、またも信じたくない光景だった。走輔が部屋の中に入ってきて、美羽を見つめていたのだ。
 予想もしない出来事に、美羽は固まったままだ。
 当然、美羽の手は、その禁断の場所に置かれている。
 走輔の目は、驚きに見開かれていた。
「美羽、お前、何して――」
「や……いや……」
 美羽は絶頂を迎えかかっていたことと、突然の出来事が起きたせいで放心状態になっていた。
 ただ、首を振ることしかできない。それだけでは何も伝わっていないと知りながら。
「何、してんだよ……」
「ちが、ちが、うの……」
 美羽は首を振り続ける。
 いくら鈍感な走輔とて、先程までの美羽の行為が何を意味するのか、分からないわけがない。
 走輔は静かに、美羽に近寄ってきた。
「一人で……してたのか?」
 美羽は答えられない。首を振るのをやめて、ぎゅっと唇を噛む。
 それを肯定と受け取ったのか、走輔は気まずそうに目を逸らした。
「悪かった。いきなり、入ってきたりして」
 そう言うと、走輔はそのまま、部屋を出て行こうとした。だが、それを引き止める者があった。
 美羽はいつの間にか、走輔の手を掴んでいたのだ。
 美羽の思いがけない行動に目を丸くしている走輔を、潤んだ目で見つめた。
「行かないで……お願い」
「み、美羽……」
 走輔に見られてしまった事実を、消すことはできない。
 もう、どうでもよかった。走輔にどう思われてもよかった。
 美羽は走輔の手を、そのまま、自分の秘所に導いた。
「お願い……」
 ぎゅっと、握る手に力を込める。
「続き、して……」
 走輔が息をのむのが、美羽にも分かった。
110轟音赤銀「導カレル手」:2008/10/23(木) 07:42:43 ID:XpvVNTt8
「あぁ、ん、走輔……」
「美羽……」
 走輔は美羽の背に回ると、美羽に握られたままの手を動かした。
 走輔の指でその場所に触れられた美羽は、きゅっと身を固くした。
 いつも自分でしてきたこと。一人で、走輔を思ってしてきたこと。それが今、走輔の手で行われている。
 衣服ごしで、直接触れているわけではない。もどかしい思いが、ないではなかった。
 それでも美羽は、その場所に触れられているということ、そして触れているのが走輔だということに、この上ない興奮を覚えていた。
 走輔の指が秘密の場所を撫でるたび、美羽の口から息が洩れる。
「はぁん……」
 走輔の指が、往復する。
「……ぁぁっ……」
 声にならない快感が、空気の中へと放出されていく。
「美羽……気持ち、いいのか?」
「んっ……」
 耳元で囁かれる走輔の声にさえ、美羽の体は敏感に反応してしまう。
 同時に走輔の手が止まり、美羽の体がかあっと熱くなる。
 美羽は無意識に、体を少しずらしていた。ホットパンツごしに、花弁の中を滑っていく指の感触が、たまらなく心地よかった。
「そ、すけ……」
「何だ?」
「もっと、して……」
 美羽は熱っぽい息を吐きながら、哀願するように走輔の方を振り向く。
 走輔は驚いたような顔をしていたが、すぐに愛撫を再開した。
 体に、電流が走る。それは下半身から脳へ回って、興奮物質を体内に放出する。
「あぁぁっ……!」
 怒涛のごとく振り撒かれるその物質に耐えきれず、頭が真っ白になった。
 次の瞬間、美羽は体をぺたりと折って、すっかりと力の抜けたその体を走輔に支えてもらっていた。

 ふわふわと浮いたような感覚。
 快い痺れに襲われたまま、美羽の心に罪悪感が湧き出す。
 走輔をこんな罪深いことに付き合わせてしまった。
 走輔が、自分のことを恋愛対象として見ているかどうかもわからないのに。
「ごめ……ん……」
 謝罪の言葉が、口をついて出る。
「私、こんなこと、走輔に――」
 途切れ途切れの言葉の最中に、後ろから走輔に抱きしめられた。思わず体が震える。
「誰のこと思って、こんなことしてたんだよ」
「それ、は……」
「連か? 範人か? 軍平か? それとも――」
「ちが、う……」
 美羽はふるふると首を振る。その相手は、紛れもなく、今自分を抱きしめている男。
「走輔……」
 自分の胸の下に回した走輔の腕に、そっと触れる。
「好きなの……走輔のこと」
 ずっと、言いたかったこと。言いたかったのに、言えなかったこと。
 ふいに、涙がこぼれそうになる。走輔の次の言葉を聞くのが怖くなった。
 あの走輔のことだ、美羽に恋愛感情など抱いているわけがない。突然の告白に戸惑って、何と返せばいいのか分からなくなっているのだろう。
 だが痛いほどの沈黙の後、走輔が発したのは、思いがけない言葉だった。
「俺も、同じこと思ってた……」
「えっ……」
 うそ、と呟くように言うと、嘘じゃねえ、と返ってきた。
「いつからだったかなんて、覚えてねえけど、でも、俺は――」
 次の言葉が来る。美羽は無意識に体を固くしていた。
「お前が好きだ、美羽」
「走輔……」
 涙声になっていた。頬に温かいものが伝って落ちる。嬉しくてたまらなかった。
「私も好き……ずっと好きだったの、走輔」
「ああ……」
 走輔が美羽を抱きしめる腕が、いっそう強くなる。
 何かに導かれるように、美羽は首を横にやった。同じように、走輔も体をずらし、美羽の正面に顔を持ってくる。
 そうして、無意識のうちに、二人は口付けを交わしていた。
111轟音赤銀「導カレル手」:2008/10/23(木) 07:43:28 ID:XpvVNTt8
以上です。
短いですが、読んでくださった方、ありがとうございました。
それでは、失礼しました。
112名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 08:29:43 ID:Q8ba+21b
緑GJ
赤銀GJ

金黄職人は一部に妬まれているみたいで気の毒。作品投下は控えたほうが無難なのでは……?
作品は上手いし読めたら萌えもあるので好きなんだが………スマソ。
113名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 10:34:13 ID:lnbfg6Ml
>>111
GJ!です。良かった。

>>112
一部の人の妬みの為に、職人さんに投下を控えろというのも何か違うような…

正直、職人さんの話をもっと読みたいんだ。
114名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 13:23:40 ID:Wm8hriUI
素敵な赤銀でした〜。
GJです。
115名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 14:13:41 ID:1wqWofpY
>>112
なんでそう締め出すようなこと書くかな?
投下前に一言断るとか、タイトルつけて苦手な人はスルーとか方法はあるじゃないか。

>>111
赤銀ステキでした!
走輔の戸惑い萌え。
116名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 16:10:38 ID:HOVDJTgw
>>82みたいな調子で投下してけば、文句も自然に消えてくさ。
117名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 19:09:19 ID:Wm8hriUI
今回の凄くよかったと思う。

自分は楽しめた口だが、少し苦手の人への配慮も凄く良かったしさ
ちゃんと注意書きもしてたし、NGワードも描いているんだから、これ以上なにか言うならいちゃもんじゃね?
118名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 09:14:34 ID:QkILzu1d
>>82
ずばり泣きました。(エロパロで泣く自分って)
緑がかわいくて健気で切なかった。
範人が以前より好きになっちゃいました。
GJ!!です。
119名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 16:17:38 ID:LmxAcazi
今回のラストシーンは赤銀的にご褒美でした。
120名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 18:33:02 ID:CNCsZv0l
そうだよねえ、なんか赤銀の再会とかどうなるんだろうと
思ってたけど、好きな自分的には、凄くよかったし、
出来ればそこだけUP(2人)にしてくれたらもっと良かったんだけど
なんて贅沢なこと思ってしまった。
121名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 22:36:16 ID:gDemwTQX
今日の銀の
「生き返ったなら(「この戦いが終わったらお前に言いたいことがあるんだ」って言ってたことを)早く言いなさいよ」
という風に聞こえて
あれ、そんな死亡フラグ立ってたっけ?
とリアルに一瞬勘違いしたのは自分だけでいい
122名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 22:50:30 ID:jc9pn4cE
>>121
あ、俺も。
123名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:34:04 ID:JlYRjjti
その発想はなかったけど、見返したらそうとしか思えなくなってきたぜ!
>言いなさいよ
124名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:46:37 ID:Eeauw0Yh
早輝の「正義の味方だもん」ってセリフが走輔に届いたシーン
やっぱり美羽にやってほしかったな。まぁ、早輝でもいいんだけど。

あと、連が走輔のハンドルブラスターを持ち出して、
早輝がソウルをセットするシーンが共同作業みたいで萌えた。
125名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 00:51:20 ID:CUaZE7dr
吹き飛ばされて倒れた6人が起き上がるシーンで、
2回とも大翔が美羽に手を貸してたのがすごく萌えた。

そして>>121を読んだらラストの赤銀がそうとしか見えなくなったw
126名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 23:37:14 ID:zxzJuwNb
>>124
>早輝でもいいんだけど
なら言うなよ
ここにいるのは赤銀派だけじゃないんだからさ
127名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 00:36:23 ID:1JV/0JgJ
誰か初々しい初体験同士の緑黄かいてくれないでしょうか・・??
128名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 01:16:10 ID:mETst/n7
なんか緑は非で黒は童貞のような気がする。
129名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 10:43:23 ID:X9rvmb/i
黒は童貞だったら嫌だなぁ。
金が童貞だったらもっと嫌だけど・・・w
130名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 15:22:17 ID:5hN6HAKb
金はどう考えてもないだろ。
黒は・・・・・・微妙な気がする。
131名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 19:18:36 ID:5uLwXsMI
>>127
前スレにあったじゃん
132名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 19:30:41 ID:5hN6HAKb
>>127

保管庫に入っているから見てきたらどうかな?
133名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:25:15 ID:cwaViE4K
保管庫にまだ入ってなかったんじゃないかな?
134名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:09:37 ID:IR/dqxSW
>>127

ごめん。前のと間違えた。
まだ保管庫入ってなかった。
135名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 01:11:23 ID:IR/dqxSW
連投すまん

前スレの >>52 〜お目当ての初々しい緑黄あるよ
136名無し:2008/11/01(土) 06:29:37 ID:shN649lA
本当にごめんなさい、職人さんに申し訳ない。

ここ2回の保管作業は、私がSS部分を抽出してメールで管理人さんに送付→収録、という手順で行ってます。
少しでも管理人さんの負担を減らせればと、私が勝手にしてることですが、話題の緑黄が収録されてないのは、私のミスです。

誰か前スレログアップすしていただけないでしょうか?

あと、保管庫に収録し終えている分以前でない作品等、他にもあったら教えて下さい。

重ねてお詫び申し上げます。
137名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 09:37:18 ID:3n+WklOW
>>136
http://www.geocities.jp/mirrorhenkan/
変換後のリンク先はどれかしら生きてるので根気よく探すといいよ
138名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 09:53:08 ID:cp/ZA08w
前スレ52の「オトナノ階段」なら保管庫入ってるっすよ。
ttp://sentaieroparo.blog100.fc2.com/blog-entry-211.html
139名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 10:35:19 ID:+zauZQwH
127です。
保管庫の緑黄の「オトナノ階段」読めました!!
緑相手にお姉さんぶる黄が可愛い・・・。
かなり萌えた!!ありがとう!!!!
140名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 10:59:42 ID:tTGo+JXa
流れ豚切り失礼します。
懲りずに過去作で恐縮ですが、忍者赤白SS投下させて下さい。

前作から続いている流れですが、続きものではありません。
無駄に長い上、エロ要素少なめです。
また、SS内で年齢を重ねているため、オリキャラ化している感が強いかも知れません。

11レス消費予定。
苦手な方は、「月明かりに照らされて」でNGワードご登録下さい。
141忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:00:50 ID:tTGo+JXa
一日を終え、横たわったベッドの上で、突然やって来た衝動。
鶴姫は驚き、閉じかけていた瞼を大きく見開いた。

会えない時が続くと、狙いすましたかのようにきっちり嵐が襲って来るのは一体何故なんだろう。
何かの冗談みたいに疼く身体が、心よりも強く「彼」を求めているのが分かる。
最早眠りは吹き飛び、後ろめたさに片足を入れている感覚。去年までの自分なら、そんなもの知らずにいられたのに。
後から罪悪感に苛まれるのを覚悟で、ゆっくりと自らの身体に触れようとした直前。
明らかに風とは違う何物かによって、ガラスが叩かれた。

「寝てたか?」
バルコニーに腰掛け、的外れに問いかける恋人。
ドキドキしながら窓を開けた鶴姫にとって、言葉を失うには充分過ぎる状況だった。
連絡もなく深夜、しかも窓からやって来るなんて非常識も極まれり。だが、忍者が忍者を相手にして、今更な文句だ。
「前行った街から、来てくれないかって依頼があってさ。秋だからイベント多いし、ついでに他も回って稼いで来る。道混むから夜のうちに出んだけど、その前にちらっと顔見てくかと…」
つまり、しばらく会えないということだろう。
サスケは今でもネコマルでクレープを売りながら行脚しているから、不在なんて珍しくも何ともない。

それでも、いつにない早口が妙に淋しく感じた。
焦らねばならないほど遅い時間でもないのに。
鶴姫は裸足のままでバルコニーに進み出て、月明かりに照らされた横顔を見つめる。


ひんやりとした秋の夜風。サスケは座ったまま鶴姫を見返した。
その首に輝くチョーカーは自分が作ったもの。結婚を申し込んだ夜に、指輪の代わりに渡したものだった。
「どした?来いよ」
距離を保ったまま止まる鶴姫に促すが、見えない壁の向こうにいるかのように首を振り、彼女は動こうとしない。
せめて別れのキスぐらいはして行きたい。そう思ったサスケは立ち上がり、細い身体を引き寄せようと腕を伸ばす。
「…だめっ!」
突然低く叫んで、鶴姫はその手を弾き飛ばした。

サスケは呆然とし、同時に混乱。
怒っている。こんな夜中に、自分の都合でいきなりやって来たせいか。起こしてしまったから不機嫌なのか。
それとも、いなくなることを淋しがって逆ギレ…というのは、希望的観測に過ぎると言うものか。

鶴姫は今までただの一度も淋しいと言わないし、行くなとも言わない。楽でいいと思う反面、自分がいなくても平気なのかと思うとそれはそれで辛い。
「何だよ。ちょっとくらい…」
思わず口にした台詞は、負け犬100%の響き。俺は何が言いたいのかと憤りながら、サスケは目を反らす。気まずい沈黙。
142忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:01:35 ID:tTGo+JXa
鶴姫は、身体の奥から洪水のように湧き出る欲望の泉を抑え込むことに必死だった。
サスケが傍にいない時に思うことは、「会いたい」、それが一番であって、それしかないと思っていた。
けれど、初めて二人で過ごした夜以来、それとは違う感情が折に触れてやって来るようになったことに、少しずつ気づき始めて。
募る想いは形を変えてエスカレートし、終いには肌の熱さを求める。
会いたい。近くに行きたい。
そして、抱いて欲しい。して欲しい。――したい。

今夜もそんな夜だと諦めを抱いていた矢先に、何故この男は飄々と現れるのだろう。
しかも、しばらく留守にするなどと事も無げに言う。その間に募り、焦がれて狂いそうになる自分の気持ちなんて知りもしないで。

今もあくまで余裕を崩さずに、これから訪れる空の下に旅立ってしまったかのような表情。
ここにいる自分より、大事なものがあると言うのか。
それならそれでいい。楽になるべきだ…お互いに。


自棄ばちに全てに蓋をして、鶴姫は窓を閉めようとする。サスケは慌て、阻んだ勢いで躓いた。
「ぅわっ!?」
鶴姫を巻き込みながら、部屋の床に投げ出されんとする身体。
彼女の頭を抱えて逆の肩をせり出すと、サスケはそこから着地した。手に走った衝撃は鶴姫にも伝わっただろうが、痛みは幾らか緩和された筈だ。
放出した焦りと呼吸が治まると、これまで以上の静寂がやって来る。

のしかかったままの上半身をすぐに離すべきだと思っているのに、どういう訳か動かない。動けない。
回した腕で鶴姫を抱きしめる。甘い髪の匂い。僅かに覗く耳は三日月のように白くて、衝動を抑えられなかった。
「……!」
瞬間、抗議するかのような吐息。
唇を肩で押さえ込み、サスケは頬やこめかみ、耳に舌を這わせ始める。
撫でつけるようにそっと息を吹き、歯で軽く挟むと、零れる黒髪のカーテンに絡め取られた。
143忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:02:33 ID:tTGo+JXa
男の重さを全身で感じ取りながら、鶴姫は自分の中から潤いが溢れ出すのをはっきりと感じていた。
お腹の下のあたりがむず痒い。胸の先端が疼き、痛みすら感じる。
「苦しいから、どいて」
言葉だけの拒絶。本気で逃げようと思えば、いつでも腕一つで止められるのに。
抱き返すことこそしないものの、鶴姫はしっかりとサスケのシャツを掴む。動きようのない状態で、無理を言って追い詰めている。

「離れてよ」
分かる?今、私は嘘を言っているの。
「やだ。逃げんだろ」
そうだよ、だから離さないで。

どちらからともなく、互いのせいにするかのように強引を装って、唇を重ねた。
軽く、痛い程に何度も触れると、やがて痺れを切らしたらしいサスケが交わりの門を開き、角度を変えて啄んで来る。


そんなつもりはないのに、鶴姫が拒否する度に煽られて行くこの加虐感は何なのだろう。
基本、サスケは強引な気質ではあるが、嫌がられれば引くくらいの余裕は持っているつもりだ。なのに、今夜はそのセンサーが働かない。
それどころか犯せと言われている気すらするのは、最早犯罪級の勘違いだろうか。

「んん…!」
唇で噛みつき、同時に捩じ込む舌。溺れるような仕種で苦しむ鶴姫だったが、じきに同じ行為を返し始めて、粘膜が絡み合う度に水音が増す。
「ふ、…ぅんっ…」
開いたままの窓から月が降る。
まだ外に残ったままの足を納めるべく膝をついて鶴姫を覗き込み、再び体重をかけて首筋に顔を埋めた。
「声出すなよ」
これだけの邸宅になれば聞こえはしないだろうが、一応釘を刺しておく。
「お父さまたち、今日いないもの…」
サスケにとっては、最大級のグッドタイミング。そんな都合のいいことを暴露してしまっていいのだろうか。

と、いつになく呼吸を荒げ、心音を乱れさせた鶴姫に気づく。
軽く開いたままの唇は艶めいていて、瞼はいつも以上に扇情的に伏せられている。
「ベッド行くか?」
先を探るように訊いてみると、無言のままサスケのシャツのボタンを外し、彼女は直接肌に触れて来た。
144忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:03:20 ID:tTGo+JXa
早くして。早く抱きしめて、痛いくらいに。
逸る気持ちを抑えられずに腰を浮かせ、鶴姫はサスケの手を導かんとする。
彼の問いは、このまま進んでもいいのかという確認だったはずだ。
そこで茶化せば、「らしく」終わらせられたかも知れない軽い戯れ。
けれど、自分はサスケの肌を求めた。めちゃくちゃだが、どう思われているかなんてこの際気にするまい。
いざとなったら言い訳だって出来る、ただ同じ温度になりたかっただけだと。

「足」
短いサスケの要求に、身体が先に反応する。言われるままに力を抜くと、すぐに膝が開かれた。
ベビードールほど大胆ではないが、ネグリジェほど長くはない夜着の裾をたくし上げる。太腿の内側を撫でる掌から、彼の期待を移されてしまいそうだ。
「んんっ」
前開きではないために、直接は触れない胸を布の上から揉みしだいて、サスケは鶴姫の足の付け根を探る。

「ん?」
小さな疑惑の呟き。下着の上から触れただけで、いつも以上に支度の整った様に気づいたのだろう。
鶴姫は、顔を反らしながら目を閉じる。が、追及は避けられなかった。


「どうかした?」
堂々と苛められる相手を見つけたかのように、サスケは嗤う。
艶めかしい水音を、脱がせもしないうちに聞いてしまったのだ。問わずにはいられない。
敏感な部分を囲むようにゆっくり撫で回すと、うっすらとした湿り気が広がり、甘い音色を聞かせる。
「っ、…、あ…」
下着越しのそこが、まるで呼吸でもしているかのように蠢いているのが分かった。
冷えた指が、鶴姫の熱で溶け出す。貪欲さで痛むほどに。

こんな風に夜のひと時を過ごすようになって、もうすぐ一年になる。
一向に慣れない鶴姫の初々しさが、これほどまでに支配欲をくすぐるとは意外だった。
全てを教えねばならない。大きなことを言えば、好きに仕立て上げられる女だとすら思っていたのに、ふと我を忘れそうなこんな瞬間に、溺れているのは自分の方だと気づかされてしまう。
「まだ、全然触ってねぇのに」
「きゃ…あ、ぁん!」
下着の脇から指を忍ばせ、濡れたそこを直接転がした。奥を探ると、面白いほどに蜜が溢れる。
「まさかとは思うけど、…したかった?」
全身で求められている、その自信が何故かあった。
愛しくて堪らず、かさつく感触と節を知らしめるように指を動かし続けた。
前後だけでなく、くるりと回して内側を暴かんとすると、鶴姫は腰を震わせる。
「あ、…や、だめ、サスケ…!」
「こんなに濡らして、ダメも何も。ほら、聞いてみな」
キスで唇を塞ぎ、乱す本数を増やした。
「ふっ、ん、うん…っ」
ちゅっ、くちゅ、ちゅぷん。
濡れて柔らかなそこは、激しい刺激に抗議するかのようにぬかるむ。
いやらしいとしか言えないその音色に、鶴姫の吐息が絡みつき、更なる情感を煽られた。
145忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:03:58 ID:tTGo+JXa
サスケの手が好きだった。大きくて乾いた感触は、いつも心地好く鶴姫を包み込むから。
けれど、指先は時に意地悪く、怒りすら抱いているのではと思わせるほど激しい動きをすることがある。
まさに今、そんな風にされているのに、ようやく得た快感を貪る自分が憎いと鶴姫は思った。
「ふぅっ、…あ、あぁっ」
聞き飽きるほどに、溢れ続ける蜜の音。
恥ずかしいと思う間もなく、興奮を知らしめるように荒くなるサスケの呼吸を耳に、唇に感じて、素直な歓びが走る。
一人の男の快楽、その行く末を手にしているかのような感覚。
どんなに触れて乱しても、女の中に入ってしまえば到達して精を吐き出すまで、その呪縛から脱け出せないではないか。

自分との間で猛り狂っている、サスケの分身。
優位に立てたような気がした瞬間に、鶴姫は手を伸ばした。
いつベルトとファスナーを緩めたのだろう、気づかなかった悔しさが、躊躇いすら吹き飛ばす。
「!?」
固く膨張した塊は、獰猛な生き物のように鶴姫を弾き返そうとした。負けじと指を這わせ、あやすように2〜3回撫でると、やがて嘘のように従順に手の中に収まる。
「どうしたら…いいの?」
嫌でも期待感を煽られる問いに、サスケは目を細めた。太陽を眩しがるような、若干の苦悶。
と、何かに抵抗するかのように、その指が速度を増して鶴姫の中を掻き回す。
「あんっ!んっ、あ…!」
声を上げながらも、少しだけ力を込めて動かすと、サスケは一瞬ぴくんと背中を強張らせた。
このくらいの刺激がいいのかも知れないと、鶴姫は快感の片隅で感じ取る。


知られるのを怖がるかのように腰を引きかける彼にあるのは、恥か、それとも気遣いか。
妙な優しさを見たような気がして、鶴姫は忍び笑いを洩らしながら熱いそこを握り締めた。
勝手が分からないまま、自分の中での動きを思い起こす。同じになるように、添えた手を前後に動かしてみた。
「んっ…」
苦しげなサスケの吐息。
笠のように張った部分を巻き込むようにすると、間断ない呼吸を引き起こす。
爪を引っ掛けないように気をつけながら揺らすと、先端に滲み出た液体が、細い指先に絡みついた。
これは何だろう。達した瞬間の白いものとは別の何か?
息を乱し、きつく目を閉じるサスケ。良さを与えられていることが嬉しくて、もっと悦ばせたくなった。
「気持ちいい?」
「ん、」
短く答えるサスケの耳元で、鶴姫は静かに囁く。
「口でしたら、もっとイイんでしょ?」

心底驚いた顔で、サスケが顔を見る。
染まっているから恥ずかしいことも口に出来たのに、理性を引き戻されては敵わないと鶴姫は身を起こす。
「私だって知ってるわよ、それくらい」
早口で強がって、身体を払う。軽く尻餅をつくサスケのジーンズに鼻先を埋めて、屹立したものに相対した。
大きい、それが第一印象。
先端の形は真っ直ぐな棒状ではなく、珍妙で生々しかった。張ったその部分が自らの内を暴き立てるのだと思うと、何故か喉が鳴る。
動物も人も、きっと同じ。原始的な感覚が、鶴姫から恐怖と躊躇いを消し去った。

少し唇を開き、舐めてみる。強い苦みに怯みながらも、お湯をかけるように舌を被せると、唾液とサスケの粘液で滑りを増したそこは、抵抗なく口内に収まった。
喉の奥の苦しさは誤魔化せなかったが、手でしたのと同じように、必死に唇を動かしてみる。
「く…、っ…!」
これまでで一番深いサスケの吐息を感じながら、彼がどうして自分に触れたがるのかを理解した。
感じさせられること、それはこんなにも幸せだからだ。
146忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:04:41 ID:tTGo+JXa
それは、あまりに危うい快感だった。
歯を立てられそうになることへの恐れと、柔らかく滑る舌の感触への渇望。
今まで要求したことすらない行為故、ぎこちなさは当然のこと。だが、拙さにこそ鶴姫の愛情の深さを感じて、それだけでどうにかなってしまいそうになる。
「…!!」
鼓動が速まる。血液がドクドクと全身を巡って、サスケはエアーの切れたダイバーのようにもがいた。
呼吸が荒くなる。苦しくて熱い。なのに、恐ろしく気持ちがいい。

鶴姫の舌は必死でサスケを探り、先端の窪みをなぞると、小刻みに這い回った。
恐々ながらも飲み込むように愛撫され、喉の奥に吸い込まれては現れる分身を、信じられない気持ちで見る。
躊躇いがちな彼女の上目遣い。覚悟を決めて尚、屈辱に耐えるような気の強さを込めて潤む瞳が堪らなかった。

「鶴姫、待て!…ッ…!」
突然の高波。砕ける直前にかき集める、最後の理性。
口内から自身を引き抜くと同時に、熱いものが迸る。
「は…っ…」
違う世界のもののようにそれを見つめながら、サスケは満ちて乱れた呼吸を繰り返した。

「そのまま…良かったのに」
鶴姫は自分の指を汚した粘液を、怯むどころか何処か嬉しげに、不思議そうに弄りながら、サラリと罪深いことを口にする。
「出来るかよ。いくら俺だって、そんな…」
「気持ち良かったなら、嬉しいの」
優しい眼差しで遮られ、サスケは何も返せなくなった。
今夜は本当に妙だ。不慣れなはずの鶴姫にペースを奪われているような気がする。
柳に風を装いながら、その実頑固なプライドを抱くサスケ。女に許され、おだてられて乗せられて、それでよしとすることなど断じて出来ない気質。
「――どうして俺なんだ?」
だから、訊かずにはいられなかった。
147忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:05:19 ID:tTGo+JXa
今更無責任と知りつつも、ふとした瞬間によぎる身分や年齢の違い。
釣り合わない。もっと条件のいい相手だって、沢山いるはず。
なのに、何故鶴姫は惜しげもなく愛を捧げ、嫌悪感すら見せず自分ごときに汚されて平気でいられるのか、真剣に分からなくなった。

「あんたこそ、どうして私を選んだの?」
顔が近づく。触れようとすると、鶴姫はギリギリで巧みにかわして逃げる。
唇を撫で、互いを繋ぎ合う吐息はキスよりも甘く煽情的で、サスケは密かに歯噛みした。
「させないよ、ちゃんと答えてくれるまで」
目の前の女が、一瞬のうちに死ぬほど愛しくて憎らしい存在になる。
して欲しいから駄々を捏ねる、そうであるといいという願望さえ抱く。

「選ぶも選ばないもない。気がついたら、そこにお前がいたんだ」
「誰でも良かったってこと?」
冷静な鶴姫の返しに、サスケは首を振った。キスの代わりに額を寄せ、鼻を擦り合わせて軽く睨む。
「言わなきゃ分かんねぇのかよ」
「分かんない。そのために言葉があるんじゃない」
その通り。だが、それは何かが違うとも思う。

言葉に踊らされ、気持ちを全て分かったつもりになるのは嫌だった。
嫌でも過剰になる自信の上に、胡坐をかきたくはなかったから。
どうすればいい?そう問う代わりに、サスケは鶴姫を見つめる。
俺はお前を大事にしたい。一生かけて守りたいし、離すつもりもないのに。

マメな性格ではないし、常に甘ったるいムードが作れる訳でもない。半端に言葉にしたところで、いつでも言ってやることなど出来はしないだろう。
結局今は良くても、いつかまたきっと不安にさせる。不満を抱かせる。
だから行動で、所作で常に想いを伝えたいと願っているのに、たったひとつの愛の言葉の方を信じられてしまうのでは愚の骨頂ではないか。
考え方の違いと言ってしまえばそれまで。けれど安売りなんてしたくない、本気だからこそ余計に。
148忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:06:06 ID:tTGo+JXa
不毛過ぎる平行線。
でも、きちんと聞きたかった。これから会えなくなるのだから尚のこと、信じられる言葉を耳の奥に潜ませておきたかった。
それに、こうして問答を続けている間は、サスケはここにいてくれる。
鶴姫自身、本音を今やっと理解した。「行かないで」と言う代わりに、自分は彼に告白させようとしているのだと。
そうなると、素直じゃないのはサスケではなく、むしろ…。
「――ホントは分かってる、ちゃんと。あんたは嘘なんてつかないけど、都合のいいことはもっと言えないって」
軽く額をぶつけ返して、鶴姫は不穏さにピリオドを打った。
サスケは反射的に一瞬目を閉じ、次に大きく見開く。急転する状況について来られず、鳩が豆鉄砲を喰らったかのような表情で。

「何か、波が引いちゃった感じね。そろそろ行く?時間ないんでしょ?」
いつしか欲望の嵐は過ぎ去っていて、残るのは穏やかな気持ち。晴れた朝を迎える手前の、研ぎ澄まされた空気のような感覚。
乱れたサスケの髪を整えてから身体を離し、鶴姫は笑いかける。
顔を上げると、月が見下ろしていた。
ひどく明るい。まるで暗夜に射すスポットライトのように。
「……。」
諦めか納得か、サスケがゆっくりと身支度を始める気配。
耽る間もなく終わりを告げた行為に抱く一抹の淋しさは、二人共通の想いかも知れない。

「気をつけて、ね」
なるべく感情を出さないように、あっさり見送ることにした。どうせまたすぐに会える、その程度の感覚で。
けれど道中のこと、行った先でのこと。鶴姫にとって、気掛かりは数え切れないほど沢山ある。これでも、世界で一番サスケのことを心配している身。
心はいつも一緒だなんて嘘だ。だって離れていては、すぐに助けてやれないではないか。こんな無力で虚しいことはない。
それを言ったら、サスケは困るだろう。だから必死で飲み込むしかない。

立ち上がり、二つの影が重なる部分を瞳に焼きつけようとした、次の瞬間。
「許さなくてもいいから、勘弁してくれよ」
矛盾した台詞そのままの表情で、サスケが鶴姫の肩を強く引き寄せた。
149忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:06:55 ID:tTGo+JXa
果たして鶴姫は聞き訳がいいのか、単に自由なのか。いずれにしても余裕はより多く持っていそうで、サスケはどうしたらいいのか迷うばかり。
もしかしたら、ひどい勘違いをしているのではないか。
深く想ってさえいれば、全て許されると開き直ってはいたのではないか。
たかだか19歳の鶴姫の欲しがるものを、何故僅かながら長く生きている自分が与えられない?
そこまでして保つプライドが、一体どれほどのものだと言うのか。
ちゃんと答えてくれるまで、と鶴姫は言った。
そうだ。きちんと答えなければ、キスする権利すら奪われたままになってしまう。

「忍法スケスケ望遠鏡、だった?」
「は?」
突然、懐かしい単語を発する鶴姫。
それはずっと以前、巨大化して食欲を抑えられなくなってしまったセイカイの体内を覗くために、サスケが用いた術の名前だった。
その直前、興味を引かれるままに鶴姫の胸を透かし見て、思いっきりどつかれた。今となっては、全くもって悪趣味なことをしたものだと後悔。
「あれであんたの心を覗いたら、何が見えるのかと思って、ね」
悪戯っぽく笑う顔に、サスケは実感する。
あの頃からは信じられないくらいに縮まり、近づき、寄り添ってしまった幸せな運命を。

「サスケ」
腕に閉じ込めたまま壁に押し付けると、鶴姫はふっと表情を緩ませた。
少女と大人の境目。今しか見られない変化の鮮やかさに吸い込まれそうになっていたら、彼女は更に続けた。
「帰って来て、絶対に。上手く言えないけど…私、大人しくしてるから。待ってる…から」
泣いているのかと思い、慌てて顔を覗き込んだ。だがそこに涙はなく、安らかな信頼があるだけ。

サスケの掌を頬に添わせ、鶴姫は大切なものを扱うように目を閉じる。
少しひんやりとした柔らかさといじらしさを移されて、胸が痛いほど高鳴った。
「…決めた」
細い腰を抱え込む勢いで引き寄せて、宣言する。
「――ついて来い!」
「え、…えっ?」
戸惑いにも構わず鶴姫を肩に担ぐと、サスケはバルコニーを蹴り、夜の世界へと飛び出して行った。

150忍者赤白「月明かりに照らされて」:2008/11/01(土) 11:09:40 ID:tTGo+JXa
先祖、猿飛佐助。だがそれは苗字ではなく、猿のように身軽であるが故に付いた仇名だと言う。
今、何世紀後かの子孫であるサスケも、それに違わず軽々と木から木へと飛び移り、風を切って行く。
誰よりも大切な、一生分の命と共に。

ネコマルが見えた。足を止め、勢いづいたまま地面へ飛び降りる。
「ちょっと、戻りなさいよ!誰にも言わずに出て行けないし、こんな恰好のままでどうするのよ!?」
「後で連絡すればいい。服も靴も、何だって買ってやる」
騒ぐ鶴姫を横向きに抱き直し、サスケはじっとその顔を見つめた。
夜具の裾が揺れて、裸足が覗く。その白い残像が、何故か人魚姫の童話を思い起こさせた。

自分自身の恋心と王子の命を引き換えにすることが出来ず、たった一人で泡になって消えて行った哀しい少女。
この姫様にそんな想いをさせたら、自分はどれだけの罪を背負うんだろう。
想像するだけで怖くて、腹立たしくて許せない。じわじわ湧き上がる、物哀しい怒り。
もし人魚の想いの深さを知っていたら、王子は心を動かしただろうか。その時、一体何を言ってやっただろう。
そんな疑問に自ら答えるように、サスケは口を開いた。

「好きだ」

「!?」
鶴姫は息を呑み、吸い寄せられたようにサスケを窺う。
抱き上げた腕に力を込めて、いくつか浅い呼吸を繰り返し、覚悟を決めて。
「勝手な望みに過ぎねぇけど。俺はお前の、最初で最後の男でいたい…と、思ってる」
ゆっくりと、言葉にならない感情を昇華させるように、強く腕が回された。
受け止めるサスケの襟足にかかる、緩やかな吐息。
肩の後ろで組まれた指先に力が篭り、鶴姫の囁きが響いた。

「…さっきの続き、しない?」
思いがけない提案に驚かされつつも、撫で上げる声の甘さが駄目押しになる。
「中途半端だったし…何か今、凄く…抱いて欲しいの」
唇の柔らかさが耳に咲き、じんわりと広がる快感。燻っていたサスケの欲望が、留まることを知らずに燃え上がる。
「喜んで、お姫様」
断る理由なんかあるはずもない。抱き足りなかったのは、自分も同じなのだから。

車に乗り込み、台に薄着の鶴姫を座らせると、シャツを脱いで羽織らせた。
夜中のうちに旅立つことが出来なくなった上、明日の寝不足も決定。なのに何よりも強靭な力が湧いて来て、現金なものだと苦笑した。
「しっかり掴まってろ」

アクセルを踏み込む。
覚醒を促されたネコマルは、ここではない何処か、遥か彼方の未来を目指すべく、一本道を走り出した。


<終>
151名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 14:54:51 ID:9ncsigA5
GJ!
カクレンは黄白派だったけど、赤白すごくイイヨイイヨー!
ああ切ない・・・・・
152名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 02:01:16 ID:HSu1CvZa
GJ
やっぱり忍者はいいな。次はもそっとエロ多目でよろしくです、と呟いてみる……
153名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 09:42:55 ID:HMHFMOW1
>>140
超GJ!!しかし連作となると制約も見えてくるので、シリーズを変えてみればどうか。

前スレでBFJの仏×初代米萌えって人いなかったっけ?
昨日東映CHで再放送見たら、ショッピングとディスコと、あともう一か所
行ってそうな大人のこっそり感があって、いい感じに萌えたw
ってことで、今更同意させて頂く。

職人さん、もしいたらヨロ・・・
154保管庫の人:2008/11/03(月) 00:19:58 ID:SxUYHZB4
何か保管できてるかが問題になっているようですが、
一応、管理人として名無しさんからいただいているのとは、
別にスレのチェックを行っているので更新分までは保管が出来ていると思ってました・・・。

もし、保管忘れがあるようでしたら、お手数ですがご連絡いただkればと思います。
155名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 07:02:22 ID:kt7JwmbL
名無しです。
すみません、ちゃんとあったそうです。

よく確認せずに大騒ぎしてすみません。ああ恥ずかしい…
156名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 10:30:16 ID:sR4/caOG
>>140
GJ!
カクレン見てないんだが、レンタルしてくんないかなあとつくづく思った。
157名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 12:48:29 ID:6If3onAP
>>156
今年の1月からDVDのリリースが始まるから、もしかしたらレンタルも始まるかもね。

もしレンタルしてないなら、買うんだ!
158名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 23:30:09 ID:hwoRNgHJ
ここの影響か今回の話のラスト、金黄に見えて仕方なかった。
なに言われたんだ黄w
159名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 12:20:05 ID:GscBHpeL
同じく!
何か、もう二人が近寄るだけで禿萌える!
160名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 13:17:25 ID:AaqPDVAR
ここのスレのお陰で金黄に萌えだした自分が通りますよ。


赤銀SS投稿お待ちしております。。。
161名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 13:24:33 ID:PpJc5TeD
大変恐縮ですが、轟音青黄です。
雰囲気はガラリと変わりますが、>>49の続きになりますので
合わせて読んでいただけるとうれしいです。

今回は、13くらいレスを消費するので
スルーの方はNGワード「ケセナイ嫉妬」でお願いします。
162轟音青黄「ケセナイ嫉妬」1:2008/11/06(木) 13:26:44 ID:PpJc5TeD
「連、今日のオムレツもすんごくおいしいよ」
早輝は味覚音痴のはずだが、好きな食べ物に関しては違いが分かるらしい。
「なにしろ、早輝の大好きなシュクレのハイパークリームプリンと同じ烏骨鶏の卵を使ったっすからね」
「えぇ? ホント!?」
「高いから、早輝の分しか買ってないっす。みんなには内緒っすよ」

いつものように、ギンジロー号の外でお食事タイム。
しかし、今回は特別な材料のため、高級オムレツは先着一名様のみ。
走輔たちが外出していたのをいいことに、早輝のために特別に用意したものだ。

「ありがと、連」
早輝は嬉しそうに箸で一口サイズに切ると、パクリと口に運んだ。
よほど美味しかったのか、満足そうに体をくねらしている。
そんな早輝の姿を、連は目を細めて見つめていた。
やっぱり自分の作った料理をここまで喜んでくれると嬉しい。
「早輝、顔にケチャップが付いているっす」
夢中で食べていた早輝は、ケチャップに気づいてないようだった。
「ほらほら」
こういうときの連は、全くといっていいほど、メンバーのオカンである。
拭いてあげようとティッシュに手を伸ばすが……。
「……」
連は顔を近づけると、口元についたケチャップを舐めとった。
普段だったら考えられない連の大胆な行動に、早輝は目をパチパチさせていたが、すぐ笑顔になる。
「うふふ。くすぐったいよ」
「まだ、ついているっす」
今度は舌でなく唇で拭くように顔を近づけた。
「駄目だよう。こんな所、誰かに見られたら」
言葉ではそう言いながらも、キャッキャと喜んでいる。

誰も入り込めない二人の世界。
そんな連と早輝を、物陰から目玉をひんむいて見ていた男が約二名。
163轟音青黄「ケセナイ嫉妬」2:2008/11/06(木) 13:29:19 ID:PpJc5TeD
「なんだってぇぇぇぇ」
子供が見たら泣き出してしまうんじゃないか、というくらいの驚愕の顔。
「ぐ……軍平、見たか? 今の?」
「あぁ、バッチリとな……、走輔」
お互いゆっくりと顔を横に向けて見つめ合う。
しばらく見つめ合ったが、いきなり走輔は軍平の頭を掴むと前に突き出した。
「軍平! お前読心術できるんだろ! あいつら、何を話しているんだ!」
「よせ! これ以上、犯罪者の真似をするのはこりごりだ!」
勝手に早輝の結婚と早とちりした前科を思い出して、悔しそうに歯軋りする走輔だったが、何を決意したのかいきなり飛び出そうとした。
「おい! 何をする」
「直接あいつらのとこ行って、話を聞き出してやるんだ!」
「落ち着け、走輔!」
暴れる走輔を必死に羽交い締めする。
「離せ! マッハで連の野郎を殴りつけないと気が済まねえ!」
「そんなことして何になる! そもそも俺たちには、あいつを殴る権利はねぇだろ!」
「なんだと!」
軍平に噛みつかんばかりの走輔。
そんな真っ赤な髪の毛を掴んだ軍平は、
「よく見ろ」
と、連と早輝がいる方に頭をつきつけた。
「読心術が出来なくても分かるだろ? 早輝の嬉しそうな顔」

いつもの光景。
見ていてほのぼのするような二人の笑顔。
満足げにオムレツを頬張る早輝。
傍から見たら、オカンと娘のはずなのだが…。
なんだか立ち入るのを躊躇ってしまいような空間。

「……あぁ」
神妙な顔つきになった走輔を見て、軍平が無言で走輔の肩をポンと叩く。
そんな辛気くさい二人を平気でぶち破るかように、脳天気な声が乱入した。
「ただいまっ、あれ? 走輔も軍平も、こんなとこで何してんの?」
バイトから帰ってきた範人は、どんよりとしている二人に小首を傾げている。
そしてギンジロー号に視線を向けた。
「あっ! 早輝ズルい! 一人でオムレツ食べてる」
「走輔!」
「おう!」
その時、ガイアークと闘う以上に息のあった連携プレーが働いた。
軍平が範人の後ろに回って口を押さえると、走輔が両足を小脇に抱えて持ち上げる。
「レッツ! ゴーオン!」
まるで荷物のように範人を軽々と抱えて立ち去る走輔と軍平。
「(うわぁぁぁ、人さらいだよぉぉぉぉぉぉ)」
いきなり拉致されて、目を白黒させる範人であった…。
164轟音青黄「ケセナイ嫉妬」3:2008/11/06(木) 13:32:09 ID:PpJc5TeD
「全くなんなんだ。ウチは避難所でも寄合所でもないぞ」
サンドバックを叩く大翔は、フカフカのソファではしゃぐ三人に呆れたように言い放つ。
「そんなこと言ったってなぁ! ゴーオンジャー分裂の危機なんだ。相談に乗ってくれたっていいだろ!」
立ち上がって、大翔の方を指差して抗議する走輔に、何も知らない範人が、
「分裂!?」
と、驚いて立ち上がる。
「いいからお前は黙っていろ!」
隣に座っていた軍平も立ち上がって、強引に範人を座らせた。
「まぁ、アニ。いいじゃない。それにしても、なんだか穏やかじゃないわね。一体どうしたのよ」
お茶とお菓子を運びに来た美羽は、大翔と違って、持ち前の好奇心を隠しきれないようだった。

「俺が話す」
一部始終を走輔が説明すると、範人は驚き、美羽は呆れ、大翔はサンドバックを打ち込む手を休めなかった。
「確かに見たんだ! アイツらは、絶対にデキてる!!」
興奮した走輔が、机をバシンと叩く。
「デキてるって…、小学生じゃあるまいし。単なる見間違いなんじゃないの?」
「いや、俺も見た。遠くだったけど、確かにキスしているように見えた」
同調する軍平に気をよくしたのか、走輔は美羽に向かって得意気な顔をする。
そんな走輔の態度が鼻についたのか、美羽は引き下がらなかった。
「じゃぁ、百歩譲ってそうだとして、なんでそれが分裂の危機になるの? オカンと娘だからって、所詮赤の他人でしょ? 付き合っちゃいけないって決まりはないわ」
「な、何だって! 俺たちは仲間なんだっぜ! 社内恋愛されたら、チームワークが狂うだろ! それに、そんなの戦闘の邪魔だ!」
「何が社内恋愛よ! 馬鹿馬鹿しい。私は連と早輝が付き合っているとは思ってないけど、もし付き合っているなら、別に戦闘の邪魔にならないと思うわ。だって早輝は言ってたもの。『好きな人を思えば、パワーが出る出る』って。……あっ」
「なんだと? 美羽、今言ったこと本当か?」
「イヤーッ! やめて! もう思い出したくなーい!」
走輔を言い負かすために、早輝の言葉を用いたが、結局墓穴を掘ったことに美羽は気づいた。
ピンチに陥った走輔を助けるために、信じられないパワーを発揮してウガッツたちを蹴散らしたのは…。
「もう! バカバカ! なんで、今頃になって、あんなこと思い出すのよぉ!」
走輔は走輔で、そんなことは全く知らずに美羽の言葉にショックを受けている。
「早輝のヤツ、連のことを思えばパワーが出る出るとか言いやがったのか? ウォォォォーッ!」
勝手に暴走する走輔と、頭を抱えて一人で恥ずかしがる美羽に、ぽかーんとして見つめている軍平と範人。
「いい加減にしろ」
グローブをはめた手で、大翔が走輔の頭をはたいた。
165轟音青黄「ケセナイ嫉妬」4:2008/11/06(木) 13:34:41 ID:PpJc5TeD
ひとまず二人が落ち着きを取り戻すと、いつになく真面目な声で軍平が口を開く。
「付き合ってようが、付き合ってなかろうが、オカンと娘だろうが、やっぱり直接聞いてはっきりさせるべきだ。いくら当人同士がパワーが出る出るでも、こういう疑惑が起こると、気になってチームワークに支障が出ちまう」
「いよっ! さすが軍ちゃん!」
軍平を味方につけた走輔は、黒いジャケットの肩に手を回して、美羽にあっかんべーをする。
「走輔!」
「なんだかよくわかんないけど、連は本当にみんなのオカンだと思うよ」
美羽の言葉を遮るように、今までロクに発言させてもらえなかった範人がしゃべった。
「僕、寝相が悪くて、いつも布団を剥がして寝るんだけど、この間かな? 連が布団掛けてくれたんだ。寝ぼけていたけど、あれは確かに連…だった…よ?」
みんなの視線が明らかに『それがどうした』というのを感じて、徐々に小さくなる範人。

――これこそ、連が早輝の部屋に行く前に、いつも習慣的に行っていたことだが、誰も分かる訳がなかった。

「だったら、結論は出たんでしょ? 直接確かめればいいじゃない」
先ほど墓穴を掘ったのをまだ引きずっているのか、美羽は半ば投げやり気味だった。
「オッケー! 連には俺たちが聞くから、早輝のことはよろしく頼む。美羽」
「ちょっと待ってよ、走輔。なんで私が聞かなきゃならないのよ」
「だって、女同士の方が、早輝も心を開くだろ?」
「勝手に分裂とか騒いでいるのは、走輔たちじゃない。私を巻き込まないで」
「言いだろ? 協力くらいしてくれたって!」
またもや、走輔と美羽の言い争いが始まる。
「大翔〜」
範人が大翔に助けを求めるが、大翔は首をすくめるだけ。
「軍平〜」
「あぁ、こうなったら、退散するか」
範人がうなづくと、二人は並んで出口まで歩いていった。
「イテッ!」
いきなりドアが開いて、おでこを直撃された軍平は、あまりの痛さにうずくまる。
「あ、ごめん。軍平、大丈夫っすか?」
走輔も美羽も、軍平も範人も大翔も、一斉にドアの向こうを見た。
「何なんすか? みんな」
全員に注目が集まって、連はきょとんとしている……。
166轟音青黄「ケセナイ嫉妬」5:2008/11/06(木) 13:36:54 ID:PpJc5TeD
「連、早輝は一緒じゃないの?」
範人の問いかけにも、連はのんびりと首を振った。
「早輝は、いつものようにショッピングっすよ。みんな中々帰ってこないから、ここかなぁと思ったんだけどビンゴだったみたいっすね」
まとわりついてきた範人の頭を撫でる連は、たった今まで自分のことで議論していたとは、微塵にも思ってないようだ。
「おい、連」
「走輔、どうしたっすか? 急に改まって」
向かい合うように立つ走輔を、連は疑いもなく見つめる。
「単刀直入に言う。お前、早輝と付き合っているのか?」
「はぁ?」
「ちょっと走輔!」
いきなり切り出した走輔に、あわてて軍平や範人が走輔の下に駆け寄った。
でも、そんなことはお構いなしに走輔は暴露する。
「俺と軍平は見たんだ! お前が早輝にキスしているところを、な!」
「えっ?」
「あぁ、確かに俺も見た。間違いない」
連は、驚きを隠せないようだったが、口元に指を当てて、何かを考え込んでいた。
「連……」
今まで会話に加わらずに、サンドバックを打ち込んでいた大翔が、初めて動きを止めて連を見つめる。
「ちょっと待って……。あ、分かった! ズバリあれっすよ。見間違いっす」
いつもと同じ、さわやかな笑顔があった。
「早輝の口にケチャップがついていたから…。だから、ナプキンで拭いてあげたんっすよ。近づいたから、その……誤解されるように見間違えちゃったんじゃないっすか?」
「え?」
あっさりと返した連に、走輔と軍平は顔を見合わした。
「で……でも……、お前ら、本当に仲良すぎるじゃないか! 『連、カッコイイ♪』とか、早輝は料理するとき、お前のエプロン使うし……」
「俺に限ったことじゃないっすよ。早輝は、範人とだってジャレてるし、走輔や軍平とだってスキンシップとかあるじゃないっすか。それにエプロンだって、娘がオカンのエプロンを借りるのは、よくあることだと思うっす」
「それは、そうだが……」
同意する軍平だったが、まだ納得しきれない部分があるらしい。
連は、ちょっと悲しそうな目をして続けた。
「なんか誤解しているみたいだけど、俺、母さんを早くに亡くしたから、みんなのこと本当の家族のように大切に思っているっす。……別にやましいことなんかしてないっす」
しばらく沈黙が流れた。
167轟音青黄「ケセナイ嫉妬」6:2008/11/06(木) 13:38:38 ID:PpJc5TeD
「僕、信じるよ、連のこと。だって、焼肉のことだって、連だけは信じてくれたもん」
「範人……」
範人の言葉によって、一つの結論が出たようだった。
「すまなかった、連。誤解して」
「軍平……」
そして、連は走輔に視線を向ける。
「走輔、俺のこと信じて……」
「皆まで言うな! 連、ごめん! 誤解していた。悪いけど、早輝には内緒だからな!」
「あぁ」
連の表情に、笑顔が戻った。
「飛んだ騒ぎだったわね。何が分裂の危機よ」
走輔に冷たい視線を送る美羽だったが、すぐに笑顔で仕切る。
「ま、誤解も解けたことだし、今晩は私がごちそうするわ!」
わーい、肉だ肉だと大喜びする走輔と範人と軍平。
「だーかーら、走輔は買い物の荷物持ちね」
「ゲッ!」
「アニと範人と軍平は片付け。連は悪いけど、お米を研いでもらえないかしら? 場所は分かるでしょ?」
「了解っす」
「じゃ、行きましょ。走輔」
走輔の腕をぎゅっと掴むと、引っ張るように美羽は部屋を後にし、軍平や範人も続くように出て行く。
連は、ほっと息をつくと、美羽に言われた通り台所に向かおうとした。
その時だった。
「このまま嘘を突き通すつもりなのか?」
大翔が、腕を組んだまま静かに口を開く。
差すような鋭い視線が、背中越しでも連には伝わった。
168轟音青黄「ケセナイ嫉妬」7:2008/11/06(木) 13:41:45 ID:PpJc5TeD
その夜――。
「今日の晩御飯、美羽のおかげで、すごい豪勢だったね」
「そうっすね」
部屋の明かりを消した中、アロマキャンドルが、ベッドにいる二人を優しく照らす。
いつものように、早輝は青いパジャマの胸板に耳を当てながら、トロンとした目をしていた。
「烏骨鶏のオムレツもおいしかったよ」
早輝は、胸板に置いた手を軽く弄びながら、囁くようにつぶやいた。
「ありがとうっす……」
長い黒髪を、左手で優しく梳いていく。

結局、この奇妙な添い寝は、ズルズルと続いていた。
変わった事といったら、今までは早輝が連のベッドに忍び込んでいたが、それが逆になったことだ。
『いちいち運ぶの大変でしょ? それに、あたしの部屋の方が走輔たちが来る心配ないし』
早輝の提案により、最近は範人の部屋の布団を直した後に、早輝の部屋に行っていた。
そして、心臓の音を聞かせて、早輝が眠りについたのを確認したら自分の部屋に戻る。
いつの間にか、それが日課になっていた。

――みんなのこと、本当の家族のように大切に思っているっす

走輔たちに、言った言葉を思い出す。
あれだけは、本心から言った。
確かに、ケチャップの件は嘘だ。
告白もした。時折キスもしている。
だけど、それ以上のことはしていない。

――別にやましいことなんかしてないっす

そう、これは単なる添い寝じゃない。母親が眠れない娘を寝かしつけてあげている、ただ、それだけのこと。

「あぁ……」
早輝に聞こえないように、小さくため息をつく。

こじつけなのは分かっている。
何度もやめようと思った。
自分が悶々として眠れないのは、まだいい。
でも、今回走輔につめよられたことで、改めて大きな罪悪感にとらわれた。
今なら、まだ引き返すことができるはず。
『やっぱり、仲間を裏切ることになるからやめようっす』
そう説得すれば、早輝でも納得してくれるのではないか?
でも、そう言えない自分がいた。

オカンな自分と、男の自分が、心の中で錯綜する……。
169轟音青黄「ケセナイ嫉妬」8:2008/11/06(木) 13:43:32 ID:PpJc5TeD
「早輝……」
「どうしたの?」
心臓の音を聞いていた早輝が、顔をあげて覗き込むように見おろした。
「俺のこと、好きっすか?」
「好きだよ」
「オカンとして大好きってことじゃないっすよね?」
「それもあるけど…、でも違うよ」
「それって、異性として好きってことっすか?」
「そうだよ」
「じゃぁ…」
逃げられないように、とっさに下から両肩を強く掴むと、搾り出すように低い声を出す。
「俺と…したいっすか?」
見上げる瞳に漂っているのは、不安と必死。
みんなの前では、あんな奇麗事を言ったのに、大翔のたった一言が、自分をこんな黒い気持ちにさせる。

嘘つきと思われてもいい。
裏切り者と罵られても構わない。
これ以上我慢できない、やっぱり君がほしいんだ……。

しばらく無言で見つめ合っていたが、表情が変わったのは早輝の方だった。
「したいっすよ」
「え?」
降り注がれる満面な笑顔。
白くて細い指が、喉元にのびていく。
「あっ、あぁ…」
掴んでいた両肩を離すと、パジャマのボタンが一つずつ外された。
鍛え上げられた胸板が外気に晒されると、早輝の手によって、パジャマの上を脱がされる。
「あっ……」
早輝は、そばで正座すると、鎖骨のラインをなぞるように指をすべらせた。
右手は脇から腰にかけてゆっくりと下降し、ズボンの中に到達すると、トランクス越しに大事な部分をまさぐっていた。
「すごい、もうおっきくなってる」
「んっ…」
形を浮き出すように上下に優しく撫でられると、それだけでせつなそうな声をあげてしまう。
170轟音青黄「ケセナイ嫉妬」9:2008/11/06(木) 13:47:55 ID:PpJc5TeD
「はい、お尻をあげましょうね」
情けないと思いつつも素直に腰をあげる。
あっけなくパジャマのズボンを脱がされたら、
「いい子でちゅね〜」
と、にこやかに笑われた。
今度は、トランクスの中に侵入して直接触れていく。
いつの間にか、早輝にペースを取られてしまった。
普段はオカンと娘なのに。
それも悪くない…のか? 
立場が逆転して、早輝がオカンになったのかと思ったが、やっぱりまだまだ子供だった。
「こんなに固くなるんだ、面白い〜」
「おもちゃじゃないっす。……うっ……!」
いきなり乳首を甘噛みされて、たまらずのけぞった。
上目遣いでチラチラと見ながら、口に含み舌で転がしている。
かなりくすぐったかったが、あまりされたことがなかったので、気持ちが高まっていく。
さらに、白くて細い指先が握ったものが、いつのまにかトランクスから顔を出して、優しく上下にさすられていた。
「はぁっ…」
 今まで散々我慢していたのもあって、連は息を荒く吐いた。

……まずい、このままだと出ちゃいそうだ。

あわてて、彼女の白い手を掴んで外させると、連は上半身を起こして向かい合った。
「連……」
黒目がちの瞳は、あくまでも無邪気で、連の本心など全く気づいていない。
伸ばした手が頬に触れても、全く警戒せずに連を見つめている。
ゆっくりと顔を近づけた。
もう、ケチャップはついていないのに、昼間と同じ箇所に唇を当てて舐めとる。
唇を離して顔を覗き込むと、早輝はうふふとまた笑って「ん」と目をつぶって唇をとがらせた。

……本当に食べちゃいたいくらい、男を惑わせるっすね。

再び顔を近づける。
少し口をすぼめて、軽く合わせた。
顔の向きを変えたりして、何度が繰り返すと、早輝の方から首筋に手を絡めてきた。
段々、重ねる時より、離れる時の方が短くなっていって……。
柔らかくて甘い感触に、頭が痺れるような感覚に陥りながら、黄色いパジャマのボタンに手をかけた。
171轟音青黄「ケセナイ嫉妬」10:2008/11/06(木) 13:51:52 ID:PpJc5TeD
黄色いパジャマの中は、何もつけていなかった。
ベッドに寝かせると、唇に体のラインを記憶するように這っていく。
かわいい二つの山のふくらみには、ふもとから頂上の周りを刻みつけ、鼻先で先端を転がしたりしながら、ズボンの方に手を伸ばそうとした。
「連……」
自分を見つめる潤んだ目が、普段おこづかいをおねだりするときと似ている。
じらそうと思ったが、それは今回の目的ではない。
先端を口に含み、中で舌を転がすと、もう片方は指で突起を摘んで軽く引っ張ったりした。
「あっ、あぁ……」
一際高い声をもっともっと聞きたくて、丹念に刻みこむ。
ふと、思い出したように、左胸の方に耳を当ててみた。
「聞こえるよ、早輝の心臓の音」
「なんか……、逆にされると変な気持ち」
「そんなことない、すごく落ち着くよ……」
このまま眠りにつけたら、どんなに至福かと思うが、身体の方はいう事を聞いてくれなかった。
そのまま臍から腰へと刻み付けていって、あらためてパジャマのズボンに手をかける。
膝までズボンを脱がすと、白くて細い両足がロウソクの明かりでもはっきり分かった。
戦闘でできた痣には特に念入りに唇を当てながら、足首まで下ろしたズボンを取り外す。
「やだ…っ」
足の指の1本1本まで丁寧に口に含む。恥じらいの声をあげようが、そんなことで止めたりしない。
太股からお尻にかけて、両手でまんべんなく愛撫していきながら、最後の砦に手をかけた。
ためらいはなかった。
下着を脱がすと、まずは濡れぼそった箇所に口をつける。
「だっダメダメ。ヤダ、連のエッチ!」
いきなり来るとは思わなかったのだろう。あわてて連の頭を押さえつけようとしたが、それくらいのことではびくともしなかった。
両足を閉じようにも、すでに連の体が間に入って邪魔をしている。
「やだ、恥ずかしいよぉ……」
「さっき、赤ん坊扱いしたから、おしおきっす」
「ひゃっ!」
息を吹きかけると、ビクンと身体が反応する。
改めて顔を近づけると、泉の湧き出る箇所をすすっていった。
「あぁ……ん……あっ……」
頭を押さえつける手が、段々弱くなっていき、シーツの上にだらんと落ちた。
両足に手をかけると、あっけなく持ち上がる。
ロウソクの灯のおかげで、連には、恥ずかしい部分が見えないと思ったのか……。
秘裂の部分が一際あらわになったが、早輝は抵抗することなく素直にされるがままになっていた。

……本当はばっちり見えているっすけどね。

巨大化したヨゴシュタインからチェンジソウルを見つけるくらい、常人離れした視力をもっていることを、早輝はすっかり忘れてしまっいるようだ。
でも、都合がいいので早輝には言わないでおく。

膝の下を通すように腕を入れて、彼女の腰を両手で固定すると、そのまま顔をうずめて、丁寧に舐めとる。
舌で、より深い所に侵入させると、彼女は身体をくねらせながら、甘い声をもらしていた。
悶える早輝の表情に、今までの子供っぽさや無邪気さは影もない。
そっと、指を敏感な箇所に触れてみると、一際高い声が漏れた。
「ここも、印をつけとかなきゃ…」
改めて、指で触れた所に口をつけた。
172轟音青黄「ケセナイ嫉妬」11:2008/11/06(木) 14:08:53 ID:PpJc5TeD
もう、無我夢中だった。
早輝の全身に、自分の印を刻みこませようと、ただそればかりを考えて。
うつぶせにさせると、背中もすみずみまで唇をつけていった。
お尻の部分は、さすがにかわいそうだったので、ちょっと触れるだけにしておく。

そうしないと心の中の不安を沈めることができなかった。
もちろん、これは単なる自己満足。
ここも…ここも…と、誰も踏み入れてない所ほど、足跡をつけることで、後から彼女に触れようとする男に優越感を持ちたいだけ。
「……最低だ、俺」
「え?」
低く、聞こえないようにつぶやいたので、早輝には何の事かわからなかったらしい。
彼女の両足を抱えると、すでに固くなったものを入り口に押し当てた。
掴まれた両肩が、少し痛かったが、顔に出さずに体重をかけていく。
「あぁ…っ」
思ったよりもキツい締め付けに、連は強く目を閉じた。
閉じたまま、さらに奥まで挿入すると、荒い呼吸を繰り返す。

思えば、長い道のりだった。
添い寝をするようになった時点で、欲望を抑えるのが大変で不眠症になりかけたが、それでも早輝が『心の準備ができる』まで、待つつもりでいた。

でも、結局は待てなかった。

ロウソクの灯が視線に入る。
「あっあっ…あっ」
切なげな声に見下ろしてみると、目を深く閉じ、濡れた唇を半開きにしながら彼女は喘いでいた。
小刻みに動かしていたのをやめて、ゆっくり深く突くように変えてみる。
ベッドの上で乱れる彼女は、いつになく妖しくてキレイで……。
でも、まるで違う女性を抱いている気がして、なんだか早輝を抱いている実感が得られない。

これは罰だ。

自分を信じてくれた走輔たちに対して。
オカンと娘の関係を破った自分に対して。
嫉妬と独占欲で彼女を抱いたことに対して。

単純に好きだから、という理由で、彼女を抱けばよかったのに。
あのロウソクのように、嫉妬の炎を吹き消すことができたらどんなに楽か。

すべては、大翔の一言だった。

こんなに好きなのに……。
体は、こうして繋がっているのに……。
どうして、彼女を遠くに感じてしまうんだろう?
173轟音青黄「ケセナイ嫉妬」12:2008/11/06(木) 14:12:56 ID:PpJc5TeD
「このまま嘘を突き通すつもりか?」
「何のことっすか?」
相手を射抜くような鋭い視線。
心を読まれないように、動揺を悟られないように、知らず知らずのうちに無表情になる。
大翔は軽く溜め息をついた。
「アイツらは、お前たちがキスする光景を見たとは言った。でも、時間や場所は一言も言ってない」
大翔は連の方まで歩み寄ると、振り向きざまに静かに言い放った。
「走輔はああいう奴だ。場の空気とか考えず、単刀直入に切り出す。でも本当に何もなかったら、笑い飛ばすか、変な言いがかりに怒る方が自然じゃないか?」
大翔の低い声が鋭い矢となって胸をチクチクさせる。

落ち着け。
反論の余地はいくらでもある

「自然とか自然じゃないとか、そんなの正解があるわけないじゃないっすか」
「そうかもしれない。でも、お前は、いきなり走輔に言われても、少し動揺を見せただけで、家族であることを強調して、みんなを納得させようとした」
「……」
「お前は最初から、走輔たちに見られたのを気づいていた。だから誤解を解くためにここへ来た、俺はそう思っている」
「そうっすよ」
余裕を取り戻した連は大翔と向かい合う。
「大翔の言うとおりっす。本当にケチャップを拭いてあげただけなのに、走輔たちが誤解するから……」
「フン、それなら俺が早輝を抱いてもいいってことだな?」
「えっ?」
何も言えなかった。

別にいいっすよ、と余裕をかますことも。
オカンとしてそれは許せないっす、とジョークで笑い飛ばすことも。

ただ、目を見開いたまま大翔を睨みつけることしかできなかったのは、相手の鋭い目に本気を感じたから。
時間が止まったかのような長い沈黙。
鋭く連を見ていた大翔の目が、急に緩んだ。
「冗談だ」
言われるまで、笑みを浮かべているとは気づかなかった。
「走輔が『早輝と付き合っているか? 』と言った時に、なぜお前は否定しなかったのか、それが疑問だったんだ」
その笑みも、また先ほどの鋭い目に変わる。
「それでも、最後まで嘘を突き通すつもりなのか?」
大翔が出て行ったあとも、ぼんやりと連はたたずんでいた。

――俺が早輝を抱いてもいいってことだな?

あの言葉は、本当に冗談だったんだろうか。
カマをかけただけだ、と言い聞かせたが、とてもそうは思えなかった。
大翔にだけ、唯一『さん』をつける早輝。
そんな二人に対して、一度湧き上がった不安は、消し去ることができなくて…
そして自分に自信が持てなくて…
どうしても大翔の前に、早輝の体に自分の印を刻み付けたくて…

それで、あの晩、初めて早輝を抱いた。

174轟音青黄「ケセナイ嫉妬」13:2008/11/06(木) 14:17:15 ID:PpJc5TeD
もうすぐ夜が明けようとしている。
早く部屋に戻らないと…と頭では分かっているのだが、体が鉛のように重くて動いてくれない。
「さすがに、もう言い逃れはできないっすよね…」
素肌をぴったりとくっつけるように、自分の胸の上で目を閉じている彼女。
快楽よりも苦痛を与えてしまったかもしれないが、それでも最後の方は、普段高い彼女の声に甘い喘ぎが加わっていた。
じらすつもりはなかったが、眉間に寄せた皺が気になって、「やめる?」と聞いた時、首を横に振ったのも彼女だった。
だから……後悔はしない。
抱き締める腕に力がこもってしまい、その痛さで早輝が目を覚ましてしまった。
「うっ……」
「ごめん、早輝、大丈夫っすか?」
早輝は顔をあげると、連の顔と向かい合うように見下ろした。
「連……、泣いているの?」
「えっ? 別に泣いてなんかないっすよ」
「昨日、なんかあったの?」
「何もないっすよ」
「ウソ、泣いてる」
「泣いてないっす」
「泣いてる!」
「泣いてないっすよ!」
しばらく、泣いた泣いてないの問答が続いたが、早輝はむーっと拗ねた。
「スマイル!」
片手で連の頬をつねる。
「……」
「……連?」
頬をつねられたまま、目を潤ませて連は言った。
「泣いてなんかないっす……」
早輝の体を引き寄せると、体制を変えて彼女の上に重ねていく。
「やだっ。連ったら。もう無理だよぅ」
胸を揉まれて、体をじたばたさせて抵抗するが、突然連の動きが止まった。
「……うっ…うぅ…」
肩に顔を押し付けるようにして、あふれる涙をぬぐっている。
「連……」
早輝は、これ以上何も言わなかった。
腕を回してぎゅっと抱き締めると、茶化すこともせずに頭を撫でていく。

早輝、ゴメン……。
起きたら、いつものように、みんなのオカンに戻るから、
今だけは泣いてもいいっすよね?
<終わり>
175名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 14:19:24 ID:PpJc5TeD
以上です。このスレの金黄の影響をかなり受けておりますが、
三角関係の予定は今のところないです(っていうか無理w)。
176名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 15:00:53 ID:Ek1eZv37
GJすぎて何も言えない

ありがとう
177名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 13:01:51 ID:nrMtWhSe
GJ。
青×黄、いいのう。
178名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 13:37:51 ID:PxGtrcJU
青可愛いよ、青。
179名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 12:54:26 ID:O2QoclMl
失礼します。
轟音赤銀投下させていただきます。
金黄も少しあります。
エロはありません。
タイトルは
Caress of Venus
タイトルNGワードでお願いします。
180轟音赤銀Caress of Venus :2008/11/09(日) 12:55:37 ID:O2QoclMl
 うるせえなんて言われたのは生まれて初めてだった。
なんて非礼な男だと怒りよりも驚きの方が先だった。
ひどい言葉を投げつけておきながら、忘れたかのように懐こく近寄ってくる無遠慮さ。
何を考えているのか、手に取るように分かる単細胞。
それでいながら時にこちらの正確な予測を狂わせ、その手で不可能を可能にする。

 好奇心が刺激されないわけがない。


「買い物の荷物持ちがなんで俺様なんだよッ」
大声で文句を言いながら江角走輔はいくつもの紙袋とおしゃれな箱を抱えて須塔美羽の後ろを歩いている。
手を後ろで組み、ポニーテールを軽やかに揺らしながら、美羽はくるりと振り返り足を止めた。
文句を言うだけで無防備だった走輔は驚いたようにぴたりと足を止める。
「アニは黙って付き合ってくれるのに」
美羽お得意のアニとの比較。
走輔は口元をひきつらせ、自分を見上げている愛らしい大きな瞳に言った。
「俺はアニじゃねぇ。走輔、江角走輔だ」
大げさにため息をついて美羽は唇を尖らせた。
「どうしてこんなにアニと違うんだろう」
アホか、と走輔はそっぽをむいた。
「違って当たり前なのがどうしてわかんねーのか、そっちの方が不思議だぜ」
天下の往来で二人は睨み合った。
「その無駄な金の使い方、連に叱られたんだってな」
「叱られてなんかいないわよ、ただ、カードの使い方を見直したらどうかってシュミレーションされただけよ」
「それを叱られたって言うんだよ、温室育ちのお嬢ちゃん」
「私は温室育ちなんかじゃないよ!」
「俺からすれば甘ったれのワガママ女だなんだよ。そんなにアニアニ言ってんなら、一生このまま大翔に甘やかしてもらってればいいじゃねぇかよ。それで万事丸く収まる、万々歳ってこった」
言い終わってから走輔ははっとした。
来るはずの美羽の口撃が来ないからだ。
美羽は大きな瞳を揺らして無言で走輔を睨んでいた。
言いすぎたかと後悔した瞬間、後悔なんかしなくて良かったことを痛感した。
買い物袋で両手がふさがっている男の鳩尾に一発、華麗なキックをお見舞いしてくれたのだ。
「走輔はなんにもわかってない!」
その場にうずくまりながら、走輔は思う。
わかるわけねえだろが。
181轟音赤銀Caress of Venus :2008/11/09(日) 12:56:22 ID:O2QoclMl

「そんなに嫌なのにどうして走輔は美羽の買い物という口実に乗るんすかねぇ」
ギンジロー号では香坂連が、走輔の話を聞いて大笑いして腹を抱えている。
連の大笑いにますます気分を害した走輔は、たまたま隣にいた城範人の頭を張り倒し、いたいなーっ!と文句を言うその頭をぐりぐりなぜまわした。
「やつあたりはやめてよね、走輔だって我儘でガキじゃん。お似合いだよ美羽と」
「ナマイキ言ってんじゃねーぜ、このっこのっこのっ」
連と笑い転げていた軍平だったが、読んでいたハードカバーを閉じツンツンの赤い頭をパコンと叩いた。
「いい加減にしろ。荷物持ちごときでいちいちグダグダと。嫌なら断ればいいだろうが」
早輝は笑い転げている連の隣で、小首をかしげていた。
「買い物って口実なの?」
連は頷いた。声のトーンを落として早輝だけにわかるように言った。
「本来荷物持ちなんて必要ないっす。ショップから自宅に届けてもらうくらい、美羽たちセレブなら当然のことっす」
「それをわざわざ、走輔を連れ出すってことは」
「そして、走輔も断らないってことは」
早輝の目がキラキラとして走輔を見る。
連もそれに応えて意味ありげな視線を走輔にむける。
そして、早輝と連は顔を見合わせニッコリと笑いあったのだった。
「付き合っちゃえばいいのにねぇ、あの二人」
「それはそれで騒々しいっすけどねー」
182轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 12:58:42 ID:O2QoclMl

「単細胞の単純男!」
須塔邸では美羽がサンドバッグを殴っていた。
大翔が練習していのだが、帰宅後の妹の剣幕に押され、見物人とならざるを得なかったのである。
「温室育ちで悪かったわね!」
大翔は頭に手を置き、目を半分にして息をついた。
走輔と買い物と称して出かけ帰ってくると荒れているくせに、懲りもせずに何度も連れ出すとはこれはいかに。
殴る音が止み、突然美羽が大翔を見た。
身構えた大翔に美羽は、
「アニもアニよ。走輔は走輔のままでいいなんて言うから!」
なにを言い出すのかと目を見開いた後で、大翔は目を和ませた。
「走輔は走輔であることで不可能を可能にする。理論予測理屈をすべて覆すのが走輔の強さだ」
「で、でも、アニのように優しかったりしてくれてもバチは当たらない」
笑いだしそうなのをごまかすために大翔は口元に拳をあて、咳払いをした。
「そうだな、あいつはレディの扱いを知らなさすぎる」
「アニもそう思う?!」
「思う思う」
大翔の知る限り、美羽は恋をしたことがない。
上流階級育ちの洗練された青年たちにちやほやされた過去はあっても、自分から恋焦がれた経験などないのだ。
まして相手は、あの走輔と来ている。
類まれな強運を持つというのに、どこまでも鈍感な走輔。
兄としてはこのまま傍観するしかない。何かをすればただの野暮だ。
が、最愛の妹をここまで振り回す走輔がやや腹だたしくもある。
「どうしたら、走輔はアニみたいにキラキラになるんだろう!」
誰かを自分の思うように変えようとすること。
そこからまず美羽はボタンを掛け違えている。
それを教えてやらないのは、兄としてのささやかな報復なのかもしれない。
183轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:01:18 ID:O2QoclMl

「おはよう連」
ベンチに膝をつき、テーブルの上の皿を片づけている連の背中に美羽は声をかけた。
「早いっすね何かあったっすか?」
「何かなかったら来ちゃいけないの?」
「そんなことないっすよ」
両手に空いた皿を抱えた連がにこりと笑う。
「れーんー、お皿洗いやるから休んでていいよ!お洗濯は軍平がやってくれてるから!」
ギンジロー号の中から早輝の声がした。
「サンキュっす」
美羽は何となく微笑み、連を見た。
「いい娘さんですこと」
「オカンは甘えてコーヒーブレイクさせてもらうっす。美羽もコーヒー飲まないっすか?」
「ありがとう」

 美羽の向かいで静かにコーヒーカップを傾けている連は、同じゴーオンジャーなのに走輔とは全く違う。
コーヒーを飲んでいるだけなのに品がある。
「なんすか?」
観察をしすぎたらしい、連が苦笑いを浮かべていた。
「連はどうしてゴーオンジャーになったの?」
「それは・・・」
「連はアニよりも開発やメカニックとして優れているし、私よりも料理が上手。
今まで連みたいに多種多様な才能に恵まれた人材に会ったことがないわ。もちろんトータルで完璧なのはアニだけどね」
「過分に褒められている気がするっすね。得意分野ってものは誰にでもあるもんすよ」
ところで、と連はコーヒーカップをテーブルに置き、
「そろそろランニングから走輔帰ってくる頃っすよ」
「べつに走輔に用があるわけじゃないわ。あ、連に言われてからカードの使い方を私なりに考えているところよ」
「考えることは興味を向けること。いい傾向っすね」
「わたしにはアニくらいしか戒めてくれる相手がいないのに、アニは私にとても寛大なのよ。
連のように思慮深い人から忠告されるのは私にとって良いことだと思うの。
これからも気がついたら教えてほしいな」
「それは俺も大翔や美羽から教えてもらうことは多いっす。もちろんゴーオンジャーのみんなからも。
世の中、視点を変えると学ぶことばかりで楽しいっすね」
「連って・・・おもしろいね」
「そうっすか?」
「アニとは違うタイプの頭脳明晰さ。感心する。連は知ることを楽しんでいるのね」
美羽は連との会話を楽しんでいた。
連はスマートに美羽の疑問に答えてくれる。
走輔では絶対にこうはいかない。
あの単細胞とこんな会話ができたなら、物事はもっと簡単に済ませられるはずなのに。
184轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:02:37 ID:O2QoclMl
「走輔」
連と美羽から離れたところで、タオルを首にかけた走輔がギンジロー号に寄り掛かっていた。
「おかえり。いつからそこにいたっすか?」
「お前達が話し込んでるから邪魔しちゃ悪りぃかと思ってさ」
美羽は走輔がいたことに気がつかなかった自分に驚いた。
そんなに連と熱心に話し込んでいたのだろうか。
「ね、走輔、これから一緒に・・・」
走輔がタオルで口元を押さえながらこちらにやってきた。
ギンジロー号のドアに手をかけて、美羽に言った。
「買い物なら連と行けよ。たまには俺にも用事があるんだ」
「買い物じゃないわよ、走輔?走輔ってば!」
言うだけ言って走輔はドアの向こうへ行ってしまった。
残された美羽は瞬きを何度かして、ドアを見つめるしかできなかった。
連が立ち上がり、空になった自分のカップと美羽のカップを手にして言った。
「中に入ってもう一杯どうっすか? 今度は紅茶を早輝に淹れてもらって」
「ありがとう・・・でも」
帰る、と言いかけた時、連が美羽の目を見てそれを止めた。
「早輝の紅茶はう ま い っ す」


 軍平が外に出て洗濯物を干し始めたのを走輔が珍しく手伝い始めた。
干し方が雑でなっていないと軍平に小言を言われて、不貞腐れてつつも手を動かす走輔。
その様を窓から眺めながら、美羽は先刻の走輔のそっけなさが気になって仕方なかった。
連はお茶に誘っておきながら、ボンパーと新しい武器の開発に勤しんでいるし。
「美羽に教えてもらった薔薇のジャム入りの紅茶だよ。美味しくなったかな」
早輝がカップを置いてくれた。
「ありがと」
早輝は素直でいい子だ。
だから走輔に可愛がられて特別扱いされて、心配されて・・・。
「うらやましい」
「ん?」
美羽のつぶやきに早輝が首を傾げる。
美羽自身はその呟きが信じられず、困惑してしまう。
浮かない顔の美羽を早輝は見つめ、不意ににこっと笑った。
「美羽、スマイルしよっ。美羽のスマイルは最高なんだから、ねっ?」
早輝の言葉につられ、小さく笑った。
そして、冷めないうちに早輝の紅茶を楽しむことにする。
「いい香り」
「うん」
そうしてしばらく他愛もない会話をしていたのだが、突然早輝がもじもじとし始め、言い難そうに美羽にお願いがあるの、と。
「なに?」
「あのね、あのね・・・ちょっと待ってて」
早輝は美羽を残して自分の部屋に行って、テディベアを持ってきた。
そして、真っ赤な顔をして美羽にそれを突き付けると小声で、
「あのね・・・耳かして」
早輝の内緒話に美羽はくすりと笑った。
テディベアを受け取り、本物のスマイルで早輝の頭をやさしく撫ぜた。
「わかったわ。ミッション成功するように頑張るね」
早輝は真っ赤っ赤になったまま、こくりこくりと頷き、ありがとう、と言う。
こんな素直さやいじらしさが自分には足りないのかもしれない。
だから、いつもうまくいかないんだ。
185轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:03:54 ID:O2QoclMl
「アニ」
帰宅して、美羽は大翔を呼んだ。
大翔はトレーニングの後だったようで、バスルームにいた。
彼が出てくるまで待つことにした。
テディベアを抱きかかえながら、自分が朝生けた赤いバラを見つめた。
花はその命をもって私に大切なことを教えてくれる。
けれど、走輔については教えてくれないのね。
私がどうしてこんなに走輔を気にしてしまうのか。
走輔のことになると無意識に体が動いたり、口が動いたりしてしまうのか。
そのくせ、走輔には負けたくなくて。
「美羽、おかえり」
上半身裸で頭にタオルをのせた大翔が現れた。
「ただいま、アニ」
「めずらしい物を持ってるな」
「これ?」
大翔の視線は早輝のテディベアに注がれている。
この大翔を早輝は一途に想っている様子。
大翔の方はと言えば、皆の前では必要以上に早輝に接触せず、相変わらずの距離を保つクールさ。
早輝がまだこどもだとわかっていて本気にさせたのだから、大人である大翔はそれなりに気遣ってやるべきだ。
女の子を寂しがらせたり不安にさせるなんて、キラキラじゃない。
美羽は大翔の顔にテディベア押しつけた。
大翔はぬいぐるみとキスしている格好になり、眉をひそめた。
「何の真似だ・・・?」
「一晩、一緒に寝てあげて。早輝からのお願いよ」
「・・・意味がわからんが」
美羽は改めて大翔の胸にテディベアを預けた。
「寂しいのよ。早輝は」
大翔はテディベアと美羽を見比べて、わかったと優しく答えた。
186轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:05:03 ID:O2QoclMl

「用事、何だったの走輔」
上目づかいの早輝が走輔を責めるような口調で言った。
右手を掴まれているので逃げることも誤魔化すこともできず、走輔は天井を仰いだ。
「えーっとだね、早輝ちゃん、大人には色々と・・・」
「軍平とケンカして、スピードルと掛け合い漫才して、トレーニング。いつもと同じことしてただけじゃない」
「・・・」
その通りです、ぐうの音も出ません。
「美羽元気なかったよ」
「なんであいつが元気なくなるんだ。荷物持ちが別に俺じゃなくてもいいじゃねーか。荷物持ちなんか贅沢だぜっての」
そんなやり取りをさえぎるように連がキッチンから声をかけてきた。
「俺が走輔にギンジロー号の屋根の点検を頼んでたっす。何もなかったから早くすんだだけで・・・な、走輔」
「そ、そうなんですよ、早輝ちゃん」
ほんとにぃ?
早輝は走輔に疑い眼差しを目いっぱい向けて、不満そうながらも手を放した。
「知らないよ。美羽が彼氏作っちゃったりしても」
ぷいっ、と顔をそむけて早輝は離れていった。
残された走輔は顔を歪め、キッチンにいる連を見た。
「早輝は何を勘違いしてるんだろうな」
「勘違い」
連はオウム返しに言い、澄まし顔で続けた。
「早輝の言うとおりっすよ。今でこそウィングスとしての使命があるから恋愛なんて頭にないかもしれないものの、あの容姿に頭のよさ、男が放っておくわけないっすよ」
ほほぅ、と走輔は大きな動きで腕を組んだ。
「連君はその男の一人かもしれないと」
「悪くない提案かもしれないっすね。頭のいい女の子は嫌いじゃないっすから」
「ブラコンでワガママで贅沢三昧の凶暴女でもかよ」
「俺にはそんな姿見せないっす・・・ブラコンは別として」
ムッと走輔は口元を引き結んだ。
「走ってくる」
「これからっすか? 夜遅いのに」
「うるせー、走りたくなったんだよ」
「はい、はい、いってらっしゃい」


「おめー、こんな時間に何の用だよ」
不機嫌を隠さず走輔はテディベアを小脇に抱えた大翔に言い放つ。
ギンジロー号から少しだけ離れた場所でばったり会うなんて、偶然にしては最悪である。
大翔は大翔でバツが悪そうに口元を歪め、腕を組む。
「おまえこそ、こんな時間になにしてるんだ」
「トッ、トレーニングに決まってんだろ。ヒーローたるもの日々鍛練鍛練」
「時間を選べ、バカ」
「うるせーな、夜中に熊のぬいぐるみ抱えて立ってる方がどうかと思うぜ」
「・・・早く行け。トレーニングするんだろう?」
「あ、てめぇ、それ早輝のじゃねーか!」
「夜中に騒ぐな、やかましい奴だな」
「早輝には会わせねぇぞ」
大翔は肩をすくめた。
「これを渡すだけだ。寝不足になるらしいからな」
「ホントか〜???!」
「ああ。美羽に頼まれた」
俺が渡しておいてやる、と言いかけて走輔は口を閉じた。
「み、美羽は・・・なにしてんだ」
「さあな」
大翔は走輔の傍らをすり抜け、ギンジロー号に向かって歩いて行く。
「海岸を散歩してるかもしれん。夜の女の一人歩きはやめろと言っているのに聞きやしない」
187轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:06:23 ID:O2QoclMl

 うるさい女なんだ実際。
だけど、無視することもできねぇ。
プライベートビーチの真ん中で膝を抱えて、月を見上げている美羽はいつもより儚げに見えた。
「いつもああしてだまってりゃいいのに」
走輔は小声でつぶやいた。
足が進むべきかこのまま留まっているべきか迷っている。
足元の砂を蹴り、走輔はなんでここに来てしまったのか考えた。
来たいと思ったから来た、ただそれだけだ。
なぜ来たいと思ったのかは、いくら鈍感な自分でも認めたくなくてもわかっていた。
美羽が気になったからだ。
意を決して、走輔は足を踏み出した。
「ぼーっとしてっと風邪ひくぞ、バカ」
美羽がこちらを向いた。
走輔を見て、驚いた様子で立ち上がる。
言葉を失ったまま大きな目を見開いている。
「なんでここにいんのかは聞くな。お前がいるって聞いたから来ただけだから」
ぶっきらぼうに言う走輔に美羽ははにかむように笑い、歩み寄ってきた。
黒いTシャツ一枚にホットパンツでは寒かろうと走輔が思った矢先、くしゃみをした。
「ほれみろ」
しょーがねーなと言いながら、走輔は自分のジャケットを脱ぎ、美羽に放り投げた。
受け取った美羽は、美羽で、
「走輔が寒いじゃない、いいよ」
「うるせえな、着てろったら着てろよ」
ホットパンツについた砂を払ったあと、美羽は走輔のジャケットに袖を通した。
だぶだぶで袖が余っている。
それを見て、華奢なんだなと走輔は思った。
それでも、男勝りで絶対に泣き言を口にしない、強い戦士である。
優しすぎて情に流されやすいのが彼女の弱点だが。
「髪の毛がツンツンしてないから、いつもと感じが違うね」
「ああ、風呂に入った後だから」
なんとなく、並んで歩き出した。
照れくさいが心地よかった。
「走輔がアニにじゃなくて私に会いにここに来てくれたのって初めてだね」
「そーかー?」
うん、そう美羽は頷いて見上げてくる。
「なにしてたんだよ」
「月が綺麗だったから見てたよ」
走輔は夜空を見上げた。
確かに真ん円に近い、柔らかい光を放つ美しさだ。
それを見ていたら、考えもなしに言葉がついて出た。
「美羽みたいだな」
「え?」
走輔は口を押さえた。
暗くて良かった、顔全体で赤面しているに違いない。
「考えてもわからないの。どうしてこんなに走輔のことが気になるのか」
「へっ?」
口を押さえたまま走輔は足を止めた。
「教えて、走輔。どうしてだと思う?」
「教えてったって・・・」
「頭にくることばかりだし、ガサツだし、暴走してばっかりで、全然スマートじゃないのに・・・走輔がカッコいいって思ったりするんだよ。もうわかんないの」
見つめられて走輔は言葉を失くした。
この眼差しは反則だろう。
教えてほしいのはこっちの方だ。
胸ン中、かき乱すような眼でどうして俺を見るんだと。
「れ・・・連みたいにさ、頭が切れるヤツの方がいいんだろ」
188轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:07:56 ID:O2QoclMl
うん。
美羽はあっさりうなずいた。
カクンと膝からこけそうになった走輔だが、なんとか持ちこたえる。
「だけど、走輔ばかり気になる」
「今までそんなこと一言も言ったことなかったじゃ・・・」
「言えるわけないでしょ」
「あのな、男としては勘違いするんだよ、気になる気になる言われるとさ」
「どんな勘違いするの」
走輔は言い淀む。
「俺・・・に気があるんじゃないか、とかさ。だから、簡単に言うなよ勘違いすっから」
すると美羽はなぜか安心したように笑った。
「走輔が好きってことなんだね。この気持ちは」
「いやいやいやいやいや、俺が思っただけで、そうとは限らねぇ・・・」
走輔の言葉が途切れたのは、美羽が胸に寄りかかってきたからだ。
それをされて鼓動がひとつ痛いほど強く打った。
「ムカつくことばっかだけど、お前が気になる・・・ってことは俺も同じってことか」
つぶやきと同時に自分のジャケットごと、美羽を抱きしめた。
「お前、バカだ」
「どうしてよ」
「俺に気がつかせるようなことしやがって」
「走輔?」
「俺は大翔や連みたいに優しくできてねえ。甘やかすことも、真綿で包むみたいに大事大事にすることもできねえ・・・欲しけりゃ欲しいって性分だ」
美羽の肩がおびえたのを悟った走輔は腕の力を強くした。
「今さら、怖くなりましたってのは無しだぜ。覚悟しとけ」
腕の中の美羽が顔をあげた。
強い意志の伝わる様な瞳が走輔を見据える。
上等だ、とそれを見て走輔は思う。
覚悟しろと言いながらも堪えるように強く握っていた拳を開放して、美羽の体を抱き直した。驚いた美羽が小さな悲鳴を上げるほど強引に。
小さな頭を抱え込んでわずかに開いた唇を唇で塞げば、手のひらで押し返して抵抗された。
そんな抵抗は手首を掴んで押さえつける、抵抗なんてさせやしない。
「そう・・・すけ・・・」
音にならない声で美羽が喘ぐように呼んだ。
返事の代わりは、より深いキス。
これはおまえへの宣戦布告だ、覚えとけ。
189轟音赤銀 Caress of Venus :2008/11/09(日) 13:09:40 ID:O2QoclMl
散々キスして途中からは目まで閉じていた癖に、解放してやった途端、いきなり何をするのだ無礼者、と言わんばかりに美羽は走輔の頬をひっぱたいた。
「物事には順序ってもんがあるでしょうよ!」
「だから、そういうのを俺に期待すんな」
美羽は唇を噛み、鋭く睨んできた。
「走輔の思い通りになんかならないわよ。言っておくけど簡単に落ちる易い女じゃないからね!」
「ビビってんのかよ」
「ちがーう!」
勘違いするなと、美羽は言った。
「好きよ、あんたのことは。だけど、私が欲しいならそれ相応の強さを見せて。アニよりもキラキラじゃなきゃ!って・・・それは、無理か。・・・たとえばガイアークの大臣を片づけるとかね!」
「ああ、そんなんでいいなら、いつでもお安い御用だぜ」
「簡単じゃないわよ」
言いながら、美羽は走輔の両頬を挟むように手のひらをあてた。
「これは契約したってことの証だからね」
「契約?」
「強さを見せてくれたらあんたのものになってあげるってことよ、わかった?」
そうしてつま先をのばし、走輔にキスをした。
「了解」



「良く会うな」
「会いたくはねぇんだけどな」
「お互い様だ」
走輔が美羽を須塔邸まで送り届けると、門の前で大翔に遭遇した。
「てめえ今帰りか、今までなにしてやがった」
「それはこっちのセリフだと思わないか」
走輔の隣にいた美羽は素早く大翔の隣に移動した。
「アニ、一晩一緒に寝てあげるはずだったのに、テディベアどうしたの」
「早輝に返してきた」
走輔はフンと肩で息をつき、二人に背を向けた。
「美羽、返してこなくていいのか?」
「え?」
あ、と美羽は慌てて走輔の後を追った。
走輔のジャケットを羽織ったままだった。
大翔は門に寄り掛かり腕組みをして美羽が戻ってくるのを待っている。
走輔にジャケットを返して戻ってくると、今度は大翔がジャケットをかけてくれた。
門からまだ少し歩くからだろう。
「ありがと、アニ」
まだ、このバランスの中にいたいと美羽は思った。
「アニはずーっと私のアニだよね?」
明るい月明かりの下、大翔は優しく眼を和ませ、美羽の頭に大きな手を置く。
そのまま自分の方に引き寄せ、
「前にも言ったろう。何があっても美羽には俺がいるって」
「うん・・・うん」


あと少しだけでいいから、走輔と大翔の間に居ることを許して。


<終わり>
190名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 13:11:41 ID:O2QoclMl
失礼します。
ありがとうございました。
191名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 14:22:29 ID:r4Pesxm9
銀がツンデレならぬデレツンでGJ!ですた。
続き待ってます。
192名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 15:59:46 ID:YW2/QyTS
ぐわーーー!!
イイ!!イイよ!!
GJでした!!

美味しい赤銀ごちそうさまでした。
193名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 16:26:11 ID:e6+Pl+zv
銀可愛いよ。
GJ!!!
194名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 22:20:35 ID:nntm0Xj3
赤銀も黄金も大好きだ
GJ!
195名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 00:42:52 ID:iMzLvAPs
鈍感→強引の走輔に萌え
連の策士っぷりにニラニラ
超GJ!
196名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 00:55:29 ID:iIwWJDPt
赤銀もいいけど、連と大翔が何気なく……粋だね。
GJでした!
197名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 16:51:54 ID:zQa2b9Ab
久しぶりに赤黄に萌えた。ビンのやり取りがかわいい。
で、力のありそうな黒や青じゃなく、わざわざ緑に頼むのがいい。
198名無しさん@ピンキー:2008/11/12(水) 22:33:04 ID:XfA8/phh
わざわざ緑に頼む黄。
固まったときも緑の名前連呼するし。。。
くっつちゃえばいいのに!
199名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 00:32:40 ID:uoSKQUaL
こないだの放送見て黄銀に飢えてます
200名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 22:28:53 ID:pTnddrTJ
金黄職人様
金×黄はもう投下なしなのでしょうか
赤銀、金青黄、緑黄SS待ってます
201名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 23:54:10 ID:4CX9Hhf8
俺はキタケガが読みたい・・・。
202名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 15:14:10 ID:NemW9TYA
赤銀SS良かったです!
青と金も存在感があっていいね。
203197:2008/11/14(金) 18:37:23 ID:R2DWShX9
今度から現行作品を投下する時は放送日はなるべく避けてほしいかなと思った。
放送のことを書きたかったけど、現行作品だから、スルーして書くのも悪いし、一応1日待ってから書いたんだ。
204名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 19:06:16 ID:qjckNJBO
>>203
作品投下の時期まで指定するの?

>スルーして書くのも悪いし、一応1日待ってから書いたんだ。

これを気にするなら放送日に放送のことを書けばいいんじゃない?
後になってこんな意見を出すほうが読んでいて不快だ。
本スレもあるのに気にしすぎじゃないかな。。。
205名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:38:23 ID:BrwoJ5OG
>>204
同意。

注文が多いんじゃね?
前に投稿されたssのかぶせにならないように注意して間隔みて投稿するように気を使って、今度は投稿日かよ!
職人はいつ投稿すればいいんだ?
年がら年中スレに張り付いてるわけにもいかないんだが。
206名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:52:44 ID:Y31hgpqG
話したい気持ちはわかるけどさ。
だからといって職人さんにあれこれ言うのはなんか違うと思う。
207名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 00:31:43 ID:6tlGsK/S
>>179
赤銀ありがとう
ガイアークの大臣を倒した後の二人がどうなるのか!
本編ではヨゴさま倒してるしw
アニのピンクドレスと赤銀にGJ!
208名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 01:45:36 ID:S1dEEGbx
>>203
これはコピペになる…いやコピペか
209名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 00:44:23 ID:VUEXYTUE
亀ですが>>180赤銀
萌えすぎて禿げた
中の役者さんたちの声で聞こえたよ
超GJ

喧嘩ばかりの男女が恋に落ちるという古典パターンがダイコウブツなんで
赤銀は直撃
本編はもう絡みないかなー
210名無しさん@ピンキー:2008/11/17(月) 11:22:53 ID:FyoI0Pi/
>>209
禿同。
自分も萌えすぎて禿げたw

冒険みたいにラストに美味しい爆弾があるといいんだけどね>赤銀
きっと絡みがあると信じてますよ!
朝日公式の銀の中の人インタビューにもチラリと恋話に触れてたし。
211名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 15:22:18 ID:t1WRjs2H
アニの人のブログで「黄とのシーンの撮影がある」というのを見て、
やたらと妄想を膨らませてしまった。
212名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 16:45:35 ID:7a/tGIad
>>211
あるあるある

ほんのりでいいから金黄っぽいシーンだったら嬉しい
213名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 00:50:47 ID:nlME3vh4
轟音青黄投下させていただきます。
エロはありません。
エロのないものばかり投下してすみません。
タイトルは
Angel's Share
タイトルNGワードでお願いします。

お暇つぶしになれば幸いです。
214轟音青黄 Angel's Share :2008/11/20(木) 00:53:01 ID:nlME3vh4

「珍しいな、一人酒か」
通りすがった軍平に声をかけられた。
皆と揃いのマグカップでウィスキーを飲んでいた連は苦笑で答える。
「早輝がお菓子作りに使ってる安酒っすよ」
なにを思ったか、軍平は椅子を引き連の向かいに腰かけた。
「軍平もやる?」
「いや。走輔がいないからな。連もダメとなれば俺しかドライバーがいない」
連はそうだったと頭に手を置いた。
「今、ガイアークが攻めてきたら、たぶん、俺、変身できないっすね」
「そんなに飲んだのか」
「まぁ、俺にしては」
いつもよりゆっくりな話し方で、連はマグカップに口をつける。
「早輝は帰ってきたのか」
「さっき、帰ってきたっすよ」
「なにが可笑しい」
連がくすくす笑い出したので、つられて笑みを浮かべながら軍平は尋ねた。
「笑い上戸なんす。付き合ってると疲れるっすよ?」
「お前の酔っぱらい具合を明日、皆に面白おかしく聞かせてやるだけだ」
「面白おかしい程ではないはずなんすけど」
「笑い続けてるだけでも十分だ」
先刻から口にしているマグを目の高さまで上げて、連は言った。
「全然、うまくないっす」
今でこそ貧乏一家のオカンのようなことをしているが、連はもともとお育ちのいい人間だ。安酒が口に合わないとしても不思議はない、と軍平は思った。
「飲むなら何がいい」
「純米吟醸」
「は?」
「山田錦100% 精米歩合55% 無濾過生原酒・・・ってとこっすね」
「どんな味になるんだか、数字つけられても想像ができん」
「香りも味も強いってことっす」
連の声がかすれている。
そこに風呂上りの早輝がパジャマ姿で現れた。
髪がまだ濡れているようで、タオルをのせて手のひらで挟むように丁寧に水気をタオルに移している。
「軍平、連どうしちゃったの? ウィスキーなんか飲んで」
「早輝のウィスキー拝借してるっす。料理酒やみりんはさすがにご勘弁だったから」
「みりんは駄目だよ」
早輝と軍平が笑うと連はニコニコとしてマグに口をつけた。
「飲みすぎだよ連。ビンの1/3なくなっちゃってるよ」
早輝がウィスキーの瓶を手にして言った。
その拍子に肩にかかっていたタオルが外れ、鎖骨に赤い痕がいくつが散らされているのを連と軍平は見る。
なんとなく気まずくなり軍平が目をそらすと、連はトロンとした眼で早輝の鎖骨を見続けている。
「連、軍平、どっちでもいいからちょっと助けて!」
外から範人の声がした。
何事かと同時に腰を上げかけた二人だが、酔っぱらいの連の肩を軍平が軽く押して、連はまた椅子に戻った。
「俺が行ってくる」
「いつもすまないっす」
「それは言わない約束だろう、おっかさん」
青年二人はクスクス笑いあい、そして軍平が出て行った。
215轟音青黄 Angel's Share :2008/11/20(木) 00:55:14 ID:nlME3vh4
二人きりになって、連は早輝を指さした。
「早輝、肩がさむそうっすよ。首まで隠れるの着た方がいいっす」
「・・・そう?」
「女の子は冷えたらダメっす」
マグの中身が空になったところで、連は立ち上がった。
が、思いのほか足に来ていたらしく、よろけてテーブルに手をついた。
「連!」
早輝があわてて連の腕をつかみ、体をささえた。
「大丈夫?連」
早輝は自分の肩に頭をのせたまま動かない連に声をかけた。
連は早輝の耳の傍でそっと息をついた。
「しばらくこのままでいていいっすか」
「いいけど、気持ち悪いの?」
「できれば動きたくないっす」
早輝は腕をまわして自分よりはるかに背の高い連の背を撫ぜた。
小さな手、なんて愛しいんだろう。
「飲みすぎたんだね。連もこんなことあるんだね」
連は目を閉じた。
腕をまわして抱きしめてしまいたいけれど、してはいけない。
ねぇ、早輝。
 君が大翔を意識する前に俺が、建前や仲間意識なんて捨てていたら。
彼のための君の不在を、切なく苦しむこともなかったのかな。
大翔より先に想いを伝えていたら、大翔と会わせたりなんてしなかったら。
「・・・れん?」
戸惑いを含んだ小さな早輝の声。
彼女の白い首筋に唇を寄せたからだ。
目を閉じて唇に意識を集めて、連は早輝の背に腕をまわした。
形跡は残さないから、このままもう少し。
「くすぐったいよ、連。酔っ払いなんだから」
しばらくの後、早輝が笑いだした。
だから、酔っぱらいを演じる。
「早輝、すっげえ可愛いっす」
「こらー、連っ、セクハラだ!」
わははははっと早輝は笑って、連の背中を優しく叩く。
酔っぱらいをあやすみたいに先刻までと同じように。
だから抱きしめる腕に力を込めた。
「ガイアークと決着がついたら、俺の奥さんになるっす」
「私以外の女の子だったら、本気にしちゃうぞ。簡単にそんなこと言っちゃ駄目なんだから」
「早輝がいい。早輝にしか言わない」
もう一度首筋に口づけた。色の薄い花びらのような痕が残る様に。
笑っていた早輝がふっと静かになり、背中にまわしてくれていた腕を解いた。
そっと連の胸を押して、神妙な顔で言った。
「連もそんな風にふざけるんだね」
216轟音青黄 Angel's Share :2008/11/20(木) 00:57:42 ID:nlME3vh4
胸を押されるままま連は腕の力を抜き、笑って見せた。
「ごめん、早輝。ふざけすぎたっすね」
連の砕けた様子に早輝がほっとしたように表情を和らげた。
「だいたい飲みすぎなのっ。このウィスキーの減り具合!」
1/3ほど空いたウィスキーの瓶を指さして、早輝が言う。
連は降参、とばかりに両手を肩の高さに上げた。
「それは俺のせいじゃないっす」
「なにそれっ」
「天使のわけまえっすよ。天使が飲んじゃった」
「もーっ!」
頬を膨らませる早輝の頭をポンポンと撫ぜて、連は優しく笑う。
天使のわけまえの酔いは醒めた。
いつもの香坂連に戻ろう。
連は早輝のパジャマの襟に手かけた。
小さな女の子にしてあげるように、襟を合せ外れていた一番上のボタンを閉じる。
「風邪ひかないように。おやすみ」
うん、と頷いた早輝は薄く眼を閉じ、連の頬に可愛いキスをした。
「おやすみ、連」
パタパタと軽い足音を立てて早輝が行ってしまったあと、連はキスされた頬を押さえた。
「相変わらず小悪魔っすね」

参ったと。
苦く笑うしかなかった。


<終わり>
217名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 00:58:52 ID:nlME3vh4
お付き合いありがとうございました。
失礼します。
218名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 11:28:46 ID:L0voysJu
普段冷静な青が酔っぱらいなのがいいよ。
ちょい切ない感じで。
GJでした。
219名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 12:33:35 ID:NJTfsb9s
酔わなければ言えない告白とか…連、切ねー!GJでした!
220名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 15:43:25 ID:fVwK3O3c
赤銀も良いけど
青銀も見てみたいなぁ・・。
221名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 21:23:38 ID:kusnK5He
青黄GJ!
どさくさにまぎれてプロポーズしているのを見たら
幼な妻な黄色と、結局変わらないオカンなダンナを想像して、一人で勝手に禿萌えた。
222名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 23:07:33 ID:4JGXvSlJ
どうでもいいかもしれないけど、友が緑黄の中の人を見たらしい。
撮影だったらしいけど、2人で楽しそうに談笑してたそうだ。
友いわく本当にどこにでもいる高校生カップルみたいだとw
223名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 23:24:41 ID:N/BdyBh1
>>222
羨ましい!!いいなー見たいなぁ!
緑黄は並んでると本当に似合ってるし
可愛いカップルに見えるもんねー
あーもう、付き合っちゃえばいいのに!
224名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 02:08:39 ID:YOB6q/o9
>>214
GJ!
酔っぱらいの青がよかった
黒も粋だね

緑黄は確かにかわいいw
225名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 21:59:36 ID:i62BLX+h
もし轟音金黄と赤銀がそれぞれ上手く行ってしまって、いずれケコンと
いうことにでもなれば
赤と黄は義兄弟になるわけか@VKカンパニー
しかも黄が義姉とか
226名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 23:50:18 ID:SA29EgP0
>>225
黒が悪魔姉とケコーンしたら、金が義弟にw

そういえば、前スレで赤銀、青黄で結婚後の小説を考えているとか書いていた人がいたような
227名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 00:28:30 ID:72sZvRxO
>>226
設定アイデアだけさらすのは危険だよ。
パクられたらどうするんだろうって心配になったよ。
228名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 16:42:46 ID:lO+KSiAc
ま、本人がそれはそれでおkと思えればいいんだろうけどね。
そうでないなら227の言うことももっともだよね。

てか、前々スレ辺りでゲキレン最終回でジャンなつ妄想したって人が
詳しい設定アイディア書いてたけど、そのSSを未だ待ち続けて
いるわし。
まーつーわ♪
229名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 12:09:26 ID:BDGtgHbR
朝から縛られるケガキタに萌えた。
230名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 15:13:05 ID:+IobzuqF
>>229さぁ早くその萌えをSSにするんだ!
231名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 21:28:28 ID:k7aa790Z
ケガさまはともかくキタさまとどのようにエチされるのだろうか。
ケガさまが汚石冷奈になれるようにキタさまも北根出素朗とかになれるんだろうか。
それともあのままいろいろなテクをお持ちなのだろうか。

縛られちゃって大変だよね。
こんな時にヨゴさまがいてくれたらって思ってるよねお二人とも。
232名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 08:18:27 ID:sveYC39M
ゴーオンゼミナールの金黄黒は何やってんだw
233名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 21:00:39 ID:1TmNgdyL
次年度戦隊に半田君絡んできたりして
などと妄想してしまった。
234名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 22:33:08 ID:RbBSytpJ
>>231
ヨゴ様はガタイと体力と持続力にモノ言わせたピストン運動がスゴそうで、
キタ様は雰囲気重視の催淫剤やコスや大人グッズを多用した
イメージプレイにこだわりそうだなと思ったことはある。

で、ケガ様は最初「わらわは機械生命体の乙女でおじゃる〜」と羞じらうも、
いざ一戦交えることになったら「自分、思い上がってましたナリィ!」
「も、もう許してくださいゾヨ(泣)」とヨゴキタがガクブルでひれ伏す底なしぶりを…

…なんとか頑張って、ちょっとガイアーク構想まとめる努力してみる。
235名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 03:49:13 ID:7pS703a4
>ガイアーク構想まとめる努力してみる。

wktk wktk

236名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 13:32:15 ID:JPAB8bUr
来週面白そうだよな…しかし、何で兄なんだろう…其処は美羽と走輔がだな(Ry
237名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 13:46:57 ID:SpmhC5y3
>>236

おぉ!イイ設定(*´д`*)ハァハァ
238名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 16:38:04 ID:7FEzZirG
それなら、自分は青黄で考えてみよう

……あれ?オカンがこども二人抱えて苦労する話になっちゃった
239名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 18:09:15 ID:sRt3wXfa
>>234
wktkwktk!

最初、キタヨゴの攻め具合にはぁはぁしてるケガ様だけど、二人が
一息付いて「ちょっと休憩ゾヨナリ」ってなった所で「何を休んで
おじゃる!」と、まだまだヤる気満々なケガ様を妄想した。
240名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 20:30:16 ID:+CKWgKel
>>238
黄「連〜、ワメイクルが、くまちゃん盗った〜」
青「早輝!泣いてばかりいないで、ワメイクルの面倒見るっす!」

こうですか?わかりません><

>>234
ケガ様なら、二人まとめて愛してやれそうだw
241名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 01:31:28 ID:pTbDOTxe
今思えばボウケン赤と銀の桃太郎の回は神だった
モモがキビダンゴだったもんなw
242名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 08:32:13 ID:t4Ljr8MU
子供になったレツジャンをランが見る話も良かった
243名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 19:13:37 ID:oU3l8Y+s
>>241
ゴーオンでやったら
えらいことになるな…萌え的な意味で

>>242
ガイアークも子供を祭好きにするより
ゴーオンジャーを子供にしたほうがよっぽど汚し放題だろうに…
244名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 22:32:37 ID:oQkAcsde
>>243

>ゴーオンでやったら
それはゴーオン銀が爺さんでゴーオン赤が婆さんということか?w
男女逆転役割って意外に戦隊ではないなあ
なんでもありなのが戦隊なのに
245名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 21:55:00 ID:afx2xQZd
轟音赤銀投下します
タイトルは
Hard Luck Hero
タイトルNGワードでお願いします。
246轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 21:55:57 ID:afx2xQZd

 一人で鍛えたいので2.3日籠れる場所を貸してくれと大翔に頼んでみたら小さな山荘を貸してくれるという。
キャンプで十分だと考えていた走輔は、喜々として礼を言い、ギンジロー号に戻って皆に山籠りすることになった旨を伝えたのだった。
ゴーオンジャーメンバーは唐突の宣言にポカーンとしながらも、あ、そうですかと了承。
俄然張り切って山籠りの支度を始めた走輔に相棒のスピードルはやや複雑そうに、
「なぁあいぼー、俺も一緒に行っちゃだめなのか」
ちっちゃなスピードルのけなげな言葉に、走輔はぐっと眉根を寄せ、涙をこらえるかのように目をしぱしぱさせた。そして、スピードルを手のひらにのせ、
「帰ってきたときにはもっと強くてカッコイイ相棒になってくるからよ。マッハ全開で修業してくるから待っててくれよなっ」
山籠りというからにはスピードルのバッテリーをチャージすることもままならないから仕方ない。
そんな二人に背後から連が声をかけた。
「走輔、梅干し持っていくっすか?」
「ワリイな」
キッチンでは連があれやこれやと山籠りの最中に必要であろう食料の用意をしていくれていた。
「カップラーメンは他の皆には内緒っすよ。我々には贅沢品なんすから」
「お、おう」
「生水はなるべく避けること。山荘の水道がダメな場合、湧き水とか飲んでよさそうな水を確保するっす。走輔は見かけによらず腹こわしたりするから気をつけるっす」
「う、うん」
早輝と範人からお菓子詰め合わせを選別にもらい、軍平からはトレーニングメニューのメモをもらった。
「念のためゴロちゃんを持っていくっす。ほい、トーコンソウル」
「ありがとよ」
 そんなこんなで盛り上がって走輔が旅立った朝は、青空がどこまでも続く快晴であった。
247轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 21:56:34 ID:afx2xQZd

「走輔があの山荘に一人で?」
優雅に朝食をとっていた須塔兄妹。
コーヒーカップを口に付けながら新聞を読む大翔に、美羽が身を乗り出して問うた。
「一人でトレーニングするの?」
「いい場所はないかと聞かれたので、山荘を貸してやった。本人はテントでも貸してくれれば十分だと言っていたが、あの山荘にはテントもある」
突然黙ってしまった美羽に不吉なものを感じ、大翔は新聞をたたんだ。
美羽はまじめな顔つきでミルクティの入ったカップをにらんでいた。
「走輔・・・ご飯どうするのかしら。山の中にはコンビニなんてないのよ」
「それなりに非常食を用意しているだろう。籠るというからには奴なりに・・・おい」
大翔の言葉の途中で美羽は立ち上がった。
「アニ。私も行ってくる」
「へ?」
「だって走輔なんかに貸したら山荘を壊されちゃうかもしれないじゃない?」
「山小屋程度のものだから別に壊されても直せばいい。あのな、ヤツは2.3日で帰ってくるんだ、わざわざ美羽が出向かなくても」
「なにかあったら連絡するわ。支度しなきゃ」
「人の話を聞いてないだろっ、おい、美羽!」
美羽は食事の途中だというのにテーブルを離れ、部屋から出ていった。
かと、思いきや、閉まったはずのドアがわずかに開き、美羽の大きな目が二つ覗いていた。
「私がいなくなったらさみしい?アニ? 」
大翔はテーブルに肘をつき、頬杖をついた姿勢で答えた。
「とても寂しいよ、美羽」
それを聞いて、満足そうに美羽はニッコリとした。
「2.3日で帰ってくるから、寂しがらないで待っててね、アニ♪」
「ジェットラスはどうするんだ」
「もちろん連れて行くわよ、バディだもの」
「バッテリーチャージできないぞ」
「緊急事態になったら、ジェットラスを連れてきてアニ」


 走輔が大翔の所有している山荘に着いたのは昼過ぎだった。
山小屋程度だと聞いていたが、どう見ても別荘である。
避暑地の山奥に構えられた三角屋根の建築物を、走輔はリュックサック姿で呆然と見上げ、
「これのどこが山小屋なんだか庶民にはわかんねぇ・・・」
白樺の林に囲まれたその三角屋根の別荘の入り口にはウッドデッキ。
山籠りとは言えない気がしないでもないが、せっかく大翔が貸してくれたのだ、トレーニングをせねばなるまい。
建物は予想外だったが、環境は空気も澄んでいてランニングや山登りもできそうだ。
「さてと、やるか」
気を取り直した走輔がウッドデッキに上り、ドアに手をかけた瞬間、自動でもないのにドアが勝手に開き、走輔の顔面を強打した。
「だっ!!!!!」
「遅いよ、走輔!」
尻もちをつき、顔面を押さえながら見上げる走輔に、美羽が大きな声で言ったのだ。
「おひるごはんできてるよ」
ポニーテールが首を傾げた方向に揺れて、確かに美羽は愛らしい。
しかし、顔面強打に見舞われたあげく、いるはずのない、一番いて欲しくない相手がそこにいる事実。
「なんでお前ここに」
「顔ぶつけたんだねごめん、痛かった?」
「痛かったじゃねぇよ!そーじゃなくて・・・なんでいるんだよ!」
「だって、アニに聞いたんだもん」
美羽は尻もちをついたままの走輔の傍らに膝をつき、にっこりと微笑む。
「走輔一人じゃお湯も沸かせないじゃない? だから、来てあげたのよ」
「き て あ げ た」
走輔は美羽の言葉を低い声で繰り返し、顔をひきつらせた。
「大翔!!てめー、 覚えてやがれ!」
248轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 21:57:59 ID:afx2xQZd
 そんな走輔の雄たけびが直接聞こえるわけがないが、自宅でトレーニング中の大翔の方も、美羽に走輔の山籠りの話などするのではなかったと、後悔していた。
「アニィ、元気だしなよ」
トリプターのホログラムが大翔に語りかけ、ジェットラスも頷いているかのような動きをしている。
「気になるなら見に行けばいいじゃん」
「簡単に言うな。走輔がいつも以上に真剣だったから協力したんだ。故意ではないとはいえ邪魔してしまったことを申し訳ないと感じているのにこれ以上・・・」
「美羽と走輔を二人きりにして平気なのかい、大翔」
くすりと大翔は笑った・
「兄貴としてはとても複雑だ。が、走輔にだって意地があるだろう」
「意地ってどんな意地だよ、アニィ」
大翔は軽く唸って、腕を組んだ。
「男のプライドってヤツだよ、トリプター」
わけわかんないよアニィとトリプターは全身をひねって首をかしげるようにして、ジェットラスと顔をみあわせたのだった。


「しらかばーあおぞぉら〜♪」
「変な歌歌わないでよっ」
軍平の作ってくれたトレーニングメニューを美羽と消化しながら、走輔は彼女の2倍は動くことを心がけていた。
とにかく疲れたかったからだ。
それでも元来の能天気体質が鼻歌などを歌わせてしまうわけだが、それが美羽的には面白くなかった。
美羽にとって軍平のトレーニング内容は少々ハードワークだったのだ。
それなのに走輔が自分の倍トレーニングをこなしている。
そこにきて、調子っぱずれの鼻歌である。
まだまだ余裕アリに見えて悔しかった。
「美羽、俺、あと少し走ってあの崖登ってくっから、飯の支度しといてくんねえか」
あの崖。
山荘の裏手にロッククライミング用に手を加えられた崖がある。
大翔もここに来ると利用するが、なかなかにハードな崖になっている。
初心者の走輔に一人で登らせるのは心配といえば心配だ。
しかし。
走輔に飯の支度と言われると、ヲトメ心がドッキリしてしまって、つい頷いてしまった。
「わかったわ。気をつけてね、走輔」
「おう」
走輔はさっさとランニングを始めてしまい、美羽から遠ざかっている。
その後ろ姿を見送り、美羽は足取りも軽く山荘に戻ることにした。


 やっと一人になれたと走輔はため息をついた。
美羽に強くならなければお前のものになってやらないと宣言されたから、己を鍛えようとした。
己を鍛えるには煩悩などは邪魔邪魔邪魔。
範人のように煩悩がスーパーパワーに化けてくる特異な人間もいるが、走輔はそのあたりは凡人であった。
煩悩の元、原材料と言っても過言ではない美羽に一日そばにいられては、山籠りの意味がないではないか。

夕食まで、日が沈むまでの貴重な時間を無駄にはできないと、走輔は山道で猛ダッシュを開始した。


「山小屋に温泉引いてんのか」
「うん。それに総ヒノキのお風呂だから気持ちいいよ」
美羽さん、そのヒラヒラエプロンよく似合いますね。
頼むからそんなカッコで俺の前をうろちょろすんな。
お風呂にする?ご飯にする?とかそんなカッコで訊くな。
ロッククライミングをやっとの思いでやり終えてきた走輔にとって、美羽のエプロン姿など目に猛毒でしかない。
お玉を片手に美羽は走輔の前に立ち、汗で額に張り付いた前髪に指先を伸ばした。
一方の走輔は飛び跳ねる勢いで美羽から離れ、
「さ、触んなよ!」
言われた美羽は一瞬寂しそうな顔をしたが、そこはさすがの気の強さで、
「すっごい汗。やっぱりお風呂直行するべし!」
と、お玉で浴室方向を示したのであった。
249轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 21:59:28 ID:afx2xQZd
 
 僧侶の修行のようなストイックなものを想定していたはずが、総ヒノキ風呂の温泉につかって、美羽の手料理を堪能。
おまけに寝るのはいつもよりも数倍上等なセミダブルベッドだ。
美羽にあてがわれた部屋にリュックサックひとつの荷物を置き、走輔はベッドに仰向けに倒れこんだ。
もう美羽に会うこともなかろうと、Tシャツにトランクス姿で。
早輝の前でならパンツ一丁で平気で歩いているが、なぜか美羽の前ではためらわれる。
早輝もやめてよねーとかなりの猛抗議をしていたものだか、最近では慣れたのか諦めたのか何も言わなくなった。
仲間同士とはいえ、共同生活している早輝と美羽はやはり「慣れ」が違うらしい。
 大の字でひっくり返っていたらまぶたが重くなってきた。
明日の朝も早い。
軍平メニューは明日も過酷だ、早く寝よう。
 走輔はベッドサイドのランプの灯りを消し、ふかふかの羽毛布団にもぐりこんだ。
そして、連が過去に検証したところの80デジヘルを誇る鼾が始まったのは言うまでもない。


 熟睡しきっていた走輔は、数度に渡る枕攻撃にも屈することなくガーガーガー。
「いい加減にしなさいよっ、ウールーサーイーッ!!」
頬に容赦ない平手打ちをくらい、いってーなーとぼんやり考えていたら、次なる衝撃によりベッドから転げ落ちた。
「いでー・・・」
顔と頭と腰を交互に押さえながら床の上で薄眼を開くと、まるでワールドカップで決勝ゴールを決めたかのような片足を上げたスタイルの美羽に、ベッドの上から見下ろされていた。
ちなみにポニーテールではない。
「別の部屋にいるのに何事かと思ったわよ、外はひどい豪雨だっていうのにそれでも聞こえてくるなんて、なんなのそのいびきは?!」
まだ寝ぼけている走輔は、床に寝ころんだまま美羽を見上げていった。
「センすりゃーいいじゃねーかよ」
「耳栓なんか都合よくあるわけないでしょ」
「馬鹿だなー、ハナに詰めんだろ鼻だよ鼻」
ここで走輔がまだ寝ぼけていることに気がついた美羽は、怒りを込めてベッドから飛び降りた。
もちろん、走輔の腹の上に。
悶絶する走輔の上から下りて、美羽は仁王立ち。
「いびきがうるさいって言ってんのに、鼻栓勧めるバカはあんたぐらいよ」
250轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 22:00:33 ID:afx2xQZd

「疲れてたからいびきもひどかったのね」
改めて布団寝なおした走輔に美羽がため息交じりに言った。
美羽の言う通り激しい雨音が聞こえてくる。時折雷も聞こえるから、怖いのだろうかと一瞬考えたが、このお嬢様はパイロットである。雷なんぞに怯えるわけがない。
走輔はベッドサイドに立つ美羽を追い払うように手を振った。
「あー、もう行けよ、俺、寝るからよ」
「あんたはグースカ寝られるだろうけど、私は寝られないわよ、騒音並みのいびき立てられたら」
ここにきて走輔は、美羽が髪をおろしていることに気がついた。
見慣れない美羽にドキマギしてしまい、まともに顔が見られない。
ポニーテールもよく似合ってて可愛いが、ダウンスタイルもいつもと違って可愛いじゃねーかちくしょーってなもんである。
パジャマ姿&そんなもん見せられてはまたも目に猛毒である。
 それに体が疲れていると、下半身が。
体の疲れに比例して静かにしてくれればいいものを、反比例して元気になりすぎるから厄介なのだ。
まぁ、体は布団に入っているから、トランクスくんがテント状態になっていても、美羽さんには見えませんからいいですけれども。
いいですけれどもー・・・って、走輔が枕に顔を埋めた時、はらりと羽毛布団がめくられた。
びくううぅうと、全身飛び上る勢いで驚いてあわてて横を向いた走輔の反応を不思議そうに眺めた後、美羽が言った。
「隣で寝てあげるから。いびきが始まったら鼻をつまんであげるわよ」
美羽に背を向けて背を丸めていた走輔は、あわてて拒絶した。
「いい、いい。いびきは俺自身の問題だ、お前の手を煩わせるわけにはっ」
「寝ちゃったら何にもわかんないくせに」
「何ちゃっかり隣に寝てんだよ、出てけよ!」」
「私に床で寝ろっていうの?」
「自分の部屋で寝ろ」
「一緒に寝てあげるって言ってるんだから、黙って寝なさいよ」
ばふん、と勢いよく美羽は枕に頭をのせた。
走輔はいよいよ背中を丸めてげんなりと空を睨んだ。
この状態で平和に寝られるか。
「ねぇ、走輔」
「あ?」
美羽が走輔の丸くなった背中に話しかける。
「どうしてそっち向いてるの」
しおらしい声で突然そんなことをおっしゃられましても、下半身が特に股間がどうしようもない状態でして、迂闊に仰向けになれない状態なんでございますとは・・・言えねーわ。
暗がりに目が慣れてきた走輔は、眉間にしわを寄せてぎゅっと目を閉じる。
しかし、背中に美羽がぴったり張り付いてきた。
「ここにきてからずっと走輔、おかしいよ。私のこと、まともに見てくれない。目をそらしてばかりいるんだもん」
美羽の手のひらとおでこが走輔の背中に押し付けられる。
キュン、と胸が痛んだ瞬間、走輔は悲鳴をあげそうになった。
二つの柔らかいもんまで押し付けないでください!!
寝るときはノーブラなのか美羽は。
その先は・・・考えるな走輔、やめとけ俺。
「走輔、鼻息荒いけどどこか苦しい?」
「苦しいなんてもんじゃねー」
弱弱しくつぶやく走輔の本意や苦心など知る由もない美羽は、走輔の首に腕を回して力を込めてくる。
「こっちを向いて」
「それは無理だ」
「なんでよ」
「なんでって、なんでもねーよ。首締めんじゃねーよ」
ぴったりくっついている胸も離れてください。
なんかもう、すべてがギリギリです。
251轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 22:01:30 ID:afx2xQZd

 突然美羽が離れてくれた。
残念な気持ちもありつつ、盛大に安堵の息をついていると、美羽はベッドの周りを一周してきて、反対側にやってきた。
そこで見えたのは泣きそうになっている大きな瞳だった。
「そうすけ」
美羽はベッドに肘をつき、硬直している走輔の顔に鼻先を近づけてきて、そっと唇にキスをした。
風が触れていったような、一瞬のキスのあと、美羽がぽつりと言った。
「そんなに露骨に避けなくてもいいじゃない。走輔私のこと好きだって言ってくれたじゃない」
「・・・ちげーんだ、避けてるとかそういうことじゃなくて俺も頑張ってるんだよ」
頑張っているどころではなく、どえらく必死で煩悩と闘っている。
「好きでしょーがねーから、頑張ってんだよ」
もごもごと護摩かすように言うと、美羽がそっと隣に滑り込むように布団に入ってきた。
あわてて体の向きを変えたが、首にしがみつかれ、仰向け状態になってしまった。
美羽は走輔を抱き枕にするみたいにくっついてくる。
流れというか、つい習慣的に美羽の頭を腕にのせて腕枕なんてしてしまった。
走輔の胸に頬をあてて、美羽が甘え声で囁いた。
「走輔の心臓の音、すっごく大きい。私と同じだ。こうしてるとドキドキするねっ」
ほらね、と走輔の手をとって自分の胸に導く美羽。
柔らかくて心臓の音なんてどうでもいいです・・・いや、コラ、やめんかい! と唸りながら走輔はまたまたぎょっとする。
「なんで、足のせてんだ、俺に」
「寝やすいから」
「やめてくれ、やめっ、やめ!!!」
抱き枕のようなつもりなのか美羽は走輔の体に足をからめ頬にキスなんてしてくれるのだが、美羽の太腿がちょうどいい位置に当たるからたまったもんではない。
走輔の下半身のテントに美羽の太腿が直撃。
痛いというわけではないが、気持ちがいい・・・んじゃなくて!!! これは別の意味でまずい、ブレイク限界、エマージェンシー誰か助けて。
「足動かすな!!」
「走輔」
「あ゛―?」
「大事なところ蹴っちゃってごめん」
「けっ・・・」
絶句する走輔の耳元で美羽が言った。
「よかった・・・女として自信なくしちゃうところだった」
するってぇと、何か?
美羽お嬢様は、くっついたりはっついたり脚をのせてみたり、「わざわざ」はしたないことをされていたというわけでございますか。
コノヤロー、と走輔は歯ぎしりした。
「きゃっ」
走輔は勢いよく体を反転させ、美羽に覆いかぶさった。彼女の両肩を強くつかみ、据わった目付きで見下ろした。
「ど、どうしたの走輔」
「契約遂行で絶対に俺のもんにしてやるかんな・・・だけどよ」
キスだけはさせやがれ。
いささか乱暴に唇を合わせた。美羽がもがくように唸っていたが、先刻まで受けていた仕打ちを思えば仏のような俺様だと走輔は舌をさし入れ、彼女の歯をなぞり舌を絡めた。
美羽はそんな走輔を意外にもすんなり受け入れて、不慣れそうながらも舌を追ってくる。
走輔のキスが頬に移ると幸せそうに笑い、走輔の赤い髪にキスを落とした。
「走輔、早くエッチしたいね」
「・・・小難しい条件付けたの美羽じゃねーかよ」
「だって・・・」
簡単に落ちる易い女ではありません、てか。
「わかってるよ、んなことは」
キスなんていくら情熱的にしてみたところで、体の熱が冷めるわけがなく、ますます上がる一方だ。
それでも、触れねーぞ。
このまま力づくで奪うようにセックスすることは可能だろうが、それではその程度の男だと証明したことになる。
それは嫌だ、やせ我慢と言われようと、絶対に最後まで手を出すものか。
「唇が痛いよ、走輔」
ふん、そのくらいで勘弁してやるぜってんだ。
252轟音赤銀 Hard Luck Hero:2008/11/27(木) 22:02:12 ID:afx2xQZd
 あれだけ大変な思いをしたわりに、あっけなく寝てしまったらしい。
雨の音でうっすら目が覚めた。体を動かすと、走輔の胸に頭をのせた美羽が、寝ぼけ声で言った。
「走輔・・・ゆうべのまだ続いてる?」
「ゆうべ・・・?」
寝ぼけた頭で走輔は考えた。
美羽の脚は相変わらず走輔の腰の下にある。
「あさだちだろ・・・」
「そっか・・・朝だからそう言うのね。初めて聞いた」
「ふーん・・・よかったなーひとつかしこくなって」
「あんまりひどいとトレーニングは無理ね」
「んなこたねーよ」
「無理しないで・・・もうすこし寝てようよ」
「そうも言ってられねー」


 早朝から激しい雨の中のトレッキングを敢行した走輔は美羽に絶対についてくるなとは言い放った。
「走輔、土砂崩れとかあるかもしれないよ!」
「そのときはゴーオンシルバーに救助してもらう」
「もー!」


 そのまた翌日、そんなこんなで走輔の山籠りが終了して、二人はそれぞれ帰路に就いた。
美羽が一緒だったことを知らないギンジロー号の自分のベッドにたどりつくなり爆睡してしまった走輔に、ゴーオンジャーの面々はさぞハードなトレーニングをしてきたのだろうと口々に言い合い、軍平はあっぱれよくやったと満足気に頷くのであった。
「走輔、ご飯食べなかったっすか?」
用意した食材が手つかずでリュックに入っていたことに、オカンは首をかしげ、あ、と声を漏らした。
そのひらめきはオカンの胸にしまっておくことにして、贅沢品であるカップラーメンをそっと食料庫に戻したのだった。


 須塔さんちにも、いろいろ静かに思い悩んでいた大翔のもとに、やたらと機嫌のよい最愛の妹が帰ってきた。
ミルクティーを淹れてやるとうれしそうに、アニアニとまとわりついてきて、大翔を苦笑させた。
美羽のついでに自分の分もミルクティーをカップに注ぎ、大翔は言った。
「あの豪雨ではほとんど何もできなかっただろう」
「走輔はトレッキングに行ったよ」
「朝からか」
「無事に帰ってきたからよかったけど、走輔ってば無鉄砲なんだもん。土砂崩れに遭いやしないかと心配したよ。夜中からずっと雨が降ってたし」
「あいつもゴーオンレッドなわけだから大丈夫だとは思うが。あいつのことになると心配性だな美羽は」
大翔のからかう声に美羽はカッと頬を染め、そっぽをむいた。
「ひどい朝だちだったから、地盤が気になっただけよ」

世界一クールで思慮深くキラキラの大翔お兄様が、ミルクティーを盛大に吹いたのは言うまでもございません。


<終わり>
253名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 22:04:42 ID:afx2xQZd
アホですみません。
失礼しました。
254名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:16:03 ID:VgrhuGk5
赤銀GJ!!!!!
可愛くてキュン死。
二人の初Hが待ち遠しいです!!
255名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 14:07:11 ID:ChrCFBRa
焦る走輔にワロタw
GJ!!
銀の朝だちには金はさぞ驚いただろうww
256名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 16:42:05 ID:x23DAlMO
美羽!それ違うw
走輔じゃないけど、胸がキュンキュンしました。
GJです!
257名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 21:06:48 ID:Jmapzsn2
なんだこれ

か わ い す ぎ る だ ろ

赤銀にキュン死二号です。
めちゃめちゃ誘ってる銀もブレイク限界の赤も超可愛い
堪能しますた
258名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 00:45:39 ID:ueFNp6QV
ネ申!!

赤の我慢具合が萌えるw
自分だったら即、銀を襲ってるわww

この二人の初Hが楽しみで仕方ない
259名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 12:17:40 ID:E+duXrbq
なんか、作者さんのキャラへの愛情が感じられるとこがいい>赤にも銀にもキュンキュン
一番好きな男キャラが走輔で、一番好きな女キャラが美羽なんで
本編の赤銀展開がすごい嬉しいんだ
本スレじゃカプ厨扱いされるけど…
260名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 18:08:33 ID:iFYIKxzF
>>259
しゃーない。特撮板は作品内容を語る所だから。昔からカプ話には厳しい
場所だよ。カプ話がしたくなったらココへくれば良い。
261名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 18:58:15 ID:I4iJn13a
>>246
ありがとうおもしろかったよ
萌え燃えな赤銀堪能しますた
走輔ガンガレw

オチの美羽の勘違いに自分もコーヒー吹きますたw
美羽、違うWWWWW

銀がゴー音メンバーにも朝だち発言して男どもをポカーンとさせているなか
黄だけ真っ赤な顔でいるのを妄想
変態だな……自分
262今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:14:32 ID:sSSlWI69
234でございます。
ポク・ポク・ピーンと努力してみた結果、なんとかSS完成いたしました。

カップリング:キタケガ様
注1.今回は本番まで辿り着けませんでした(次回あたり行けるはず)
注2.構想(妄想)的に、三大臣様が重なった夜の大連立スペシャルな方向はちょっと厳しい
ので、この辺ご希望だった方にはごめんねゾヨでございます。

時系列は、本編「毎日ドキドキ」後のお話。
タイトルはあったほうがよいらしいので、とりあえず『今宵、害悪を杯にして』と付けましてございます。
263今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:16:06 ID:sSSlWI69
「二人とも! 今日はとことん、わらわに付きあうでおじゃる!」
ケガレシアのヘルガイユ宮殿に戻るなりの宣言で、有無を言わさず即座に飲み会が始まった。
何があったのやら、ケガレシアが機嫌悪い。
超最高に悪い。
てっきり、自分の造った蛮機獣を私とヨゴシュタインにさんざん馬鹿にされ、結局そいつが
ゴーオンジャーに負けたせいかと思ったが、どうもそんなありがちな事ではないらしい。
一向にくつろげず、会話も弾まない雰囲気の中、ケガレシアは手酌でがんがんオイルを飲み、
私達のグラスが空けば、ほとんどこぼす勢いでおかわりを注いでくる。
「いや、もう充分ナリ…」「深オイルは体によくないゾヨ」
 ギラッ!!
「スイマセンデシタ、ナリ…」「イタダキマス、ゾヨ…」
そんな繰り返しで時間が過ぎてゆく。
そして、何十杯目だか判らないオイルを口にした瞬間、私の意識は唐突に途切れた。

…どれだけ経ったのやら、耳元でごうごう鳴り響く音で、やっと気が付いた。
隣に、同じく酔いつぶれたらしいヨゴシュタインが、いびきをかいて床に大の字になっている。
私の歯軋りの音量だってかなりのものだが、いつもこのいびきには負ける。少し悔しいゾヨ。
頭がぐらぐらする。憂鬱な気分で体を起こすと、バーカウンターに座って、オイルで満ちたグラスを
手にしているケガレシアの後姿が目に入った。
264今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:18:15 ID:sSSlWI69
…まだ呑んでたのか。
あちこちに空のグラスとボトルが散乱し、強いオイル臭で空気が澱んでいる。
いくら蛮機族でも、嫁入り前の娘がこの有様ってどうだろうか。
「ケガレシア、いくらなんでも飲みすぎゾヨ」
反応は無い。聞こえなかったのか。
「さっきから何怒ってるゾヨ。とにかく、今日はもうそのくらいにして…」
「…うるさい! 飲むのがイヤなら、さっさと出て行けばいいでおじゃる!!」
振り向きもせずの暴言で、さすがにカチンと来た。
ふらつく足で何とか立ち上がり、ケガレシアの肩に手をかけてこっちを向かせる。
「こっちは心配して言ってるゾヨ! なのにその態度はどういうつもり…!」
あ。
「ゾヨ…」
唇をかみ締めたケガレシアの両目から、静かに涙がこぼれている。
ただ事ではない。今しがたの怒りなど、一瞬でどこかに消えた。
「ど、どうしたゾヨ? どっか、痛いゾヨか?」
泣き顔を隠すようにうつむき、ケガレシアがかぶりを振る。辺りにまた、涙が散った。
「えっとー…私とヨゴシュタインが、カマバンキ笑ったの怒ってるゾヨか?
とにかく、我らのせいなら謝るゾヨ」
「…二人は、関係ないでおじゃる」
265今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:19:51 ID:sSSlWI69
私の手を払おうと、ケガレシアがいやいやと身をよじる。
「わらわなんかどうでもいいから、もうあっち行くでおじゃるー!」
手を離し、膝をついて、私はケガレシアを覗き込む形で見詰めた。
彼女は私を見ようとしない。構わずにグラスを取り上げ、代わりにその手を握った。
「悩みでも愚痴でも、何でも聞いてやるから、こんなつまらん酔い方やめるゾヨ」
ケガレシアは黙っている。そのまま続けた。
「一人で悩むのは良くないゾヨ。我らはマシンワールドからヒューマンワールドまで、
苦楽を共にしてきた仲間ではないか。何かあったのなら、遠慮せず頼ってほしいゾヨ」
ケガレシアが、やっと私に視線を向けた。涙が量を増し、彼女の手を握る私の手に零れ落ちる。
こらえるのをやめたケガレシアが、まるで苛められた幼子のように、震えた声で語りだす。
「ご…ゴーオン…ゴーオン、グリーンが…」
「うん?」
「わっ…わらわっ、わらわのこと…美しい、って…」
「!!!!」
「わらわを! 美しいって! 清らかだって! ゴーオングリーンの奴が言ったでおじゃるー!!」
そう叫ぶと、ケガレシアは苦しいほどの力で私に抱きつき、そのままわあわあと泣き出した。
かける言葉が見つからない。取りあえず、彼女の背に腕を廻し、黙って抱擁に応えるしかなかった。
…まったく。
なんちゅう地雷踏んでくれたゾヨ、ゴーオングリーン…
266今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:22:39 ID:sSSlWI69
ひたすら泣き続けるケガレシアを抱きしめ、時折、子供にするように肩や背、頭を撫でてやる。
やがて嗚咽が弱まり、せわしない呼吸が徐々に収まってきて、ようやくケガレシアが私を見上げた。
「…落ちついたゾヨか?」
こっくり頷くと、ケガレシアはさっきまで顔をうずめていた私の胸に、おずおずと指を這わせた。
「…わらわの、せいで…ぐしゃぐしゃで、おじゃるな…」
「お前の涙で汚れるとは、光栄ゾヨ」
私の軽口に、ようやくケガレシアが笑う。手を取って立ち上がらせ、並んで椅子に掛けなおした。
さすがにもうオイルはやめにして、新しく出した「××原発のおいしい冷却水」をグラスに注いで差し出す。
ケガレシアは素直に受け取り、一気に飲み干した。大きく深呼吸を一回して、再び憤りを口にする。
「ほんっとに、腹立つでおじゃる! グリーンの無礼者め、よくもわらわを侮辱して〜!」
「まあ、ほら、ヒューマンワールドの連中は―その神経がわからないが―美しいものを好む
タチだからして、奴はお前を褒めたのだゾヨ。それなら、少しは腹立ちも収まるゾヨ」
「なに敵のフォローしてるでおじゃる! 誰が言おうと、そんな言葉で喜ぶ蛮機族などおらぬわ!」
「いや、ものは考えようと言おうと…分かった、悪かったゾヨ。ならば-、お前の手でグリーンを倒すがよい。
我らも、そのための協力は惜しまぬゾヨ」
「当然でおじゃる! わらわを侮辱しておいて、ただですむなど…!」

ふと、ケガレシアが口をつぐんだ。泣きはらした目はその瞬間、どこか遠くを見ていた。
「…美しいだの…清らかだの…そんな言葉はもう、たくさんでおじゃる…」
267今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:24:27 ID:sSSlWI69
「…ケガレシア?」
いきなり立ち上がると、ケガレシアは大きく伸びをしてこちらを振り返った。もう、いつもの彼女だった。
「さんざん泣いたし…愚痴ったし! おかげでちょっとは、気が晴れたでおじゃる」
無理がにじみながらも、晴れ晴れとした調子で言うと、ケガレシアは自室へと歩き出した…ところで、盛大にこけた。
いびきが既にBGMと化し、存在を忘れられていた床のヨゴシュタインに見事に躓いたのだ。
結構騒いだのに、その上躓かれたのに、それでも起きないヨゴシュタインは大物ゾヨ。
「いったぁ〜…なんで、ヨゴシュタインがこんなところで寝てるでおじゃるか!」
「お前が酔い潰したからゾヨ」
いびき以外、しばし沈黙。
「そ、そうでおじゃったな」
ばつが悪そうに立ち上がったケガレシアは、ヨゴシュタインを見、また私の側に戻ってカウンターにもたれた。
「…何も関係ない二人に八つ当たりして、ごめんでおじゃる」
「そういうときもあるゾヨ。気にしてなどおらぬから、今日はもう休め。ヨゴシュタインなら、私が面倒見るから大丈夫ゾヨ」
困ったような笑いで頷き、ケガレシアはグラスに水を注いだ。
「キタさん」
「ん?」
268今宵、害悪を杯にして:2008/11/29(土) 21:26:51 ID:sSSlWI69
私の頬にケガレシアの手が添えられ、正面を向かされる。
ケガレシアが、注いだばかりの水を口にした次の瞬間、その紅唇が私を覆った。
やわらかく、あたたかな舌と唇が優しくうごめくのを、私の硬く冷たい唇がはっきりと感じた。
ケガレシアの含んだ水が私の口腔を満たし、ついぞ知らぬ甘さを湛えたその一口を、思わず私は貪り飲む。
私の喉がごくりと鳴ったのを聞き届けると、ケガレシアは唇を離し、酔いを隠さぬ妖艶な微笑を浮かべた。
「慰めてくれて、嬉しかったでおじゃる」
私にグラスを握らせ、軽い足取りでケガレシアは去った。

…しばらく経って、グラスの残りを口にしてみた。
いつもどおり、ただの水の味がするばかりで、なんだか、自分がとんだマヌケになった気がする。
「害水大臣の唇を杯にせねば、あの味は出せぬ…ということか」

今宵、我ら三人したたかに酔った。
ヨゴシュタインはそこで熟睡している。
ケガレシアも今頃は、傷つき泣いた疲れで、眠りに付いた頃だろう。
だが私は、もう少し起きていよう。
何よりも私を酔わせた一口の余韻に、今しばらく浸るために――
(終)
269名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 08:46:58 ID:Zl1+owQN
うぉぉぉ〜ん!
キタケガ、最高GJです!キタ様優しいよ!オラも慰めて貰いてー!
270名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 08:53:26 ID:D5y/w69Z
おとん…。
銀のセー○ー服でケガの女○師…。

朝から何の陰謀なんだ。w
271名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 08:58:17 ID:zifqpvT4
ケガキタGJ!
難しいジャンルを有難う!

ゼミナールでお姫様抱っこされて、黒には容赦なく叩いたのに緑には優しく叩く黄に萌えたw
272名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 09:05:24 ID:fz59xF6J
>>271
自分も黒にはベシッと思いきり叩いてたのに、
緑にはペシッって感じで優しく叩いてたのに萌えたw
お姫様抱っこも良かったー。
273名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 10:51:21 ID:885Z5R/O
ケガキタいいよケガキタGJ

もちろん続きできたら書いてくれるよね?答えは聞いてない!乙・乙ピーン。続編お待ちしてましてございます。
274名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 17:12:55 ID:ePZMESvP
自分、現行戦隊を見なくなって久しいですが、ここの作品を凄く楽しませて頂いてます。
職人様方、本当に有難う御座います!!

過去戦隊萌えポイント、呟かして貰ってもいいでしょうか。
久々に銀河見てたら、ゴウキと先生の初エチーを妄想してしまったです。
総集編で、初めての戦いに関して「無我夢中でどうだったか覚えてない」
みたいなゴウキの台詞があるんですが、初夜の感想としか思えない位、
いきなりヤラレちまいましたw
一番熱心に見ていたのがあの辺りだったので、メガとかゴーゴー(兄妹って難しい?)とか読んでみたいです。

自分も書けたらチャレンジしてみたいと思います。
ですが、とてもここの職人さん程のクオリティーは望めないですけど・・・。
では、長々失礼しました。
275名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 17:19:57 ID:5/ZTcAJc
冒険物とか久々に読みたいな
276名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 21:35:26 ID:pFF7fKlk
今日のゼミナールでラストの黄と緑のやりとりが可愛かった
黒にはビンタかましてたのに…w
277名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 22:18:17 ID:ncsGnQrV
リオメレ読みたいな
278名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 22:54:35 ID:yOdw+3aM
むしろ黒に優しくない黄に萌えたw
黒も台詞が妙に鼻息荒いのがwww
興奮しすぎだお前ww
279名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 13:31:26 ID:gqDk1gEb
>>278、276
黄緑のやりとり可愛かったね。
自分も黒に優しくないところに萌えたw
黒にはエロさを感じ取ったのかな?w

黄と緑は並んでると可愛くて癒される・・・。
来週はまたレナさん出てくるから緑はどうなるんだろ??

それより来週は銀だ。
眼鏡とキスシーンっぽいのがあったけど。。。
赤がヤキモチ焼いてくれたら萌えしぬが
きっと金がそういった役目だろうね。

ちょっと楽しみ!
280名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 22:20:06 ID:MSFBStbH
お子ちゃま赤のヤキモチは最初から期待してないがw
思いを寄せられてまんざらでも無さそうに見える銀のが心配
ちょ、お前アニと赤は!??と思った

まあブラコンなのは基本設定だけど、赤への仄かな想いは脚本家によりって感じだからなあ
最近出たひみつ百科ではちゃっかり「赤のことが好きらしい」と書かれてたけど
281名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:06:01 ID:z6o2Q7TC
>>262
キタケガ好きだからすげー嬉しいぜ!GJ!!
続きも期待してるぜ!
282名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 10:43:54 ID:dvyBCvrz
来週の脚本は武上だから銀→赤はなかったことにされてるんじゃない?
毎年思うけど、キャラクターの心情のそういう細かいことは脚本家間で調整とか
しないんだね。
井上もジェットマンで、自分が想定してなかったイエローの昔の思い人とか出されたのが不満
だったらしいけど(だからといって反故にはしていない)
283名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 19:47:13 ID:9QYqSHRc
>>278、279
自分もあそこは黒黄に萌えたクチだww
ヤタイバンキのパンチも黒黄だし
カンカンマンタンガンのラストの金→黄の「しーっ」よりも、
その後の黒の黄と金への対応が最後までかっこよすぎる
284名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 21:56:31 ID:9OBPYzhP
キタケガ様話書きました、ガイアークスキデスな者でございます。
拙文読んでくださったスレ住人様方には、感謝感激でございます。
頂いたお言葉を励みに、次の話も早く仕上げられるよう、力を尽くす所存です。

一方、このままだとヨゴ様が割を食っちゃうので、ヨゴ様でも一本書きたい、
と考えるも、どうしても大臣と副大臣の害地な「さぶミッション」とか、
ヒラメのアレな兄を姉と思い込んで紹介するナリと無理難題を言う勘違い
ラブコメとか、まともな男女エロが浮かばず困っておりましたが、改めてネタ探しに
公式を色々読んだところ、やっと打開策がピーン!と浮かびました。
こちらも何とか形にして、いつかこのスレに捧げたく存じます。

以上、妄想たかまるばかりの、私の中間報告でございました。
285名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 22:01:32 ID:aGBA3E15
>>282
でも、最初に銀→赤を振ったのは武上なんだけどね。
どちらかというと、赤金のやきもちよりも、
せっかく冷奈さんが出るのに範人との方がなかったことにされそうなのが気になる。
286名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 01:56:25 ID:PevvK2nE
轟音38話見返してて、気弱になった銀で禿萌えた
元々は活発で暑苦しかった出来すぎのアニ・内気でおとなしい妹で
金がクールになって守る余裕ができてから銀も段々外向的になった みたいな
攻撃も金が火で銀が氷だし 幼少設定ねつ造したい
287名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 13:33:37 ID:/B3sLOVa
>>286
是非とも頑張って下さい!全裸で正座して待ってます!
288名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 13:35:07 ID:O8ePZw5u
>>282
振ったっていうか、銀がゴーオンメンバーに対して軟化するきっかけが赤からって
感じで恋までは行ってなかったと思う>武上脚本

赤銀好きなんだが、実は美羽が走輔のどの辺に惚れたのか未だに分からないww
289名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 22:23:26 ID:RdtcLn19
>>288
バカだけどキラキラなところじゃないか?

とりあえず美羽が走輔を気にし出したのは、ニゴールの話からかな?
290名無しさん@ピンキー:2008/12/06(土) 22:26:14 ID:iEbR7z7s
まああれだ、銀はダメ男に嵌るタイプとw
291名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:16:54 ID:xvdhN4+W
公式(しかもメイン本屋)でだめんずヲーカー
認定来ちゃったか…
赤銀的にも金銀的にも甚だ微妙
292名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:35:23 ID:yC7fmk9e
>>290はある意味預言者だったなw
293名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:01:15 ID:XPLlA/N8
轟音金黄投下します
タイトルは
「Angel's Share U」
タイトルNGワードでお願いします。
294轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:02:52 ID:XPLlA/N8
 最愛の妹のように可愛がりたいだけでは済まされない、加虐的な気分にさせる。
泣かせてやりたいなんて、幼稚な欲求に過ぎないから惨めだ。


「どうして、こうなるの・・・かな?」
笑ってごまかすみたいに小首を傾げたりなんかして、壁に背をついている。
そんな彼女の顔の横に片手をついて大翔は斜めから見据えている。
「なにを怒っているのかな・・・大翔さんは・・・」
大翔は顔を近づけ、大げさに覗き込むように早輝を見た。
「怒ってる?俺が?」
早輝の愛想笑いを兼ねた引きつり笑いが消えていく。
大翔が手を付いていない方に顔を向け、壁を滑りながらゆっくりと移動してなんとか逃れようと試みたものの、大翔のもう片方の手が勢いのよい音を立てて壁に叩きつけられ阻止された。
ひええええ、と早輝は首をすくめて両脇に手をついた大翔の眼をそっと窺った。
笑っていない、どっちかと言うと怖いくらい。
「動けないし・・・怖いです・・・大翔さん」
「だから?」
「えっとあの、なんで怒ってるのかな?」
大翔はニッコリと笑った。
「怒ってなんかいないと何度言ったらわかるんだ?」
だけど、眼が笑ってません!めっちゃ、怖いです!
須塔さん家に招待されて、久しぶりに会えると浮かれてやってきたのが10分前。
ドアを開けてみれば、美羽はお留守で、大翔はとてもにこやかだった。
が、その5分後には優しい言葉で責められて、挙句こうして壁際に追い詰められている。
こうなってみると、最初からこうするつもりで呼びつけられたのは明白で、トラップに易々と引っかかったウサギのような気分である。
怒っていないと言いながら、絶対に怒っているのは早輝でもわかる。
だけどなんで怒っているのか、わかんないんだよ〜!
両脇は大翔の腕に囲われ、逃げ場なんてないからして、そうなると残るは上下。上は不可能、ってことは下だっ。
早輝はストン、と膝を折り背を壁に滑らせしゃがみこんだ。
が、目の前に大翔の足があることに変わりはなく、見上げれば、大翔が壁に腕をついて見下ろしている状態になっただけ。
295轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:04:13 ID:XPLlA/N8
「俺の方こそ訊きたい。どうして早輝は俺から逃げようとする?」
怖いからに決まってるじゃないですか!!
ひええええん、と早輝はその場で頭を抱え込んだ。
大翔が身をかがめ、早輝の前に膝をつく。
恐る恐る眼の前の大翔をのぞき見れば、彼は冷たく言い放った。
「範人に何かあったら私がなんとかする」
「へっ?」
突然なにをおっしゃいますか。
早輝が顔をあげると、大翔は続けた。
「範人が例の蛮機獣の毒ガスに侵されていたら、早輝は俺にしてくれたように体を張ってやるんだと俺は理解したが?」
「・・・そっそれは、あの」
あの時は本気でそのつもりでしたと白状したら、どんな目に遭っちゃうんだろう、私。
実際には範人と体の関係なんてないわけだし、あり得ないし。
ただ、あの時は非常事態で緊急事態だったわけだから、この身を犠牲にしても範人を救い出そうとそれはそれは悲壮な決意で口にした言葉だったのは認める。
範人はたぶんお断りしただろうけど。
それに、大翔が早輝の口を押さえて最後まで言わせてくれなかったのだ。
させられるわけないだろう、と怒鳴られて。
「俺のために犠牲を払ってくれて感謝する。あの時は助かったよありがとう」
微笑まれても目が笑っていないから怖いだけです。
「それで・・・怒ってるの?」
「怒るわけがない。範人に対しても未遂で済んだとはいえ、早輝の仲間想いの尊さには感心を越えて感動すらしてるところだ。あの場合、走輔でも軍平でも連でも同じことをしようとしただろう?」
否定できない自分に早輝は激しく混乱する。
だって、みんなが死んじゃうってことになって、助かる方法があれなら、仕方ないもの。
だいたい、エッチしなきゃ解毒できないなんて変なもん作ったガイアークが悪いんじゃないか。
「俺のことも仲間として数に入れてくれていたことも、嬉しいよ」
言って、大翔は早輝の髪をひと房つかんだ。
ここまできてようやく大翔の言わんことを悟った早輝は涙目で大翔を睨んだ。
「あの時は非常事態で」
「仕方なかった」
早輝のセリフを大翔がさらって、続けた。
「俺の時も、非常事態で仕方なかった」
296轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:05:18 ID:XPLlA/N8
壁に背を付けて座り込んだままの早輝の眼から涙がこぼれた。
早輝のジャケットの胸のロゴに目を走らせ、大翔は皮肉めいた笑いうかべた。
「天使・・・か。早輝に相応しいな」
座り込んだままの早輝へ手を伸ばし、さらりとした髪を耳にかけてやる。
「触らないで!」
早輝は大翔の手を払い、膝に顔を埋めてしまった。
大翔は弾かれた手を見る。
そこには持て余し続けた嫉妬への答えが痛みとして存在していた。
「あたしが・・・美羽が、みんながどんな思いでいたか、知りもしないで」
あたしが、美羽が。
そして、皆が。
わかっていないわけではない。
うつむいたままの早輝の髪に大翔は口づけた。
頭を引きよせ、唇をあてたまま悪かったつぶやいた。
そして、顎に手をかけて上向かせようとしたが、早輝は頑として顔を上げようとしない。
「早輝?」
「あっち行って」
「どうした?」
膝を抱え込んで亀のように首を引っ込めて抵抗する始末。
「どうした?」
「・・・ティッシュ」
「ん?」
「ティッシュちょうだい」
顔を上げずに手だけを伸ばす早輝。
大翔は拍子抜けしつつ、一番近くにあったボックスを手渡した。
それを手にした早輝はお尻をついたまま大翔から背を向けて、ちーん、と鼻をかんで、くすんと何度も鼻を鳴らした。
「ひろとのばか、いじわる、さいてい、だいきらい」
先刻までの憤りがバカバカしく思えて、大翔は肩で息をついた。
正確にはあの瞬間からずっと続いていた憤りだった。
小娘の正義感からついて出た言葉一つに、自制を保つことが困難になるとは大翔自身も呆れるが、どうにもこの早輝という女の子は泣かせてやりたくなるのだ。
腕を掴んでこちらを向かせると見事な赤い眼と赤い鼻先。
頬を傾け、唇を寄せるとティッシュのボックスとキスさせられた。
「鼻がつまちゃってるからだめ」
そこでまたくすん、と。
297轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:06:35 ID:XPLlA/N8
「大翔さんが家においでいって言ってくれたから、嬉しかったのに。意地悪ばっかり言うし、怖いし、美羽はいないし」
大翔は無言でティッシュを引き出し、早輝に手渡した。
受け取った早輝はまた鼻をかんで、くすんくすん。
「男の家に呼ばれてのこのこ来たらだめだろう」
「美羽もいると思ったの。大翔さん一人だって思わなかったの。そっそれに」
「なんだ」
「大翔さんに会えるの嬉しいもの。なにか問題あるの?」
大翔は額を押さえた。
そういえば、早輝は男どもと日々生活を共にしていられる女の子だった。
「鼻、終わったか」
「うん。なんとか」
涙とともに鼻水も消えたようだ。
「あのな、これは、一般論でもあるから」
早輝がきょとんとするのを大翔は苦い思いを噛む。
「俺は覚えていないが、早輝に襲いかかったんだろう? 怖かったはずだ」
なんでそんなことを言い出すのと、早輝はますますきょとんとする始末。
「多かれ少なかれ、年頃の女の子ならそんな危険と隣り合わせだってことだ」
「わかってるよ。みんなにもよく注意されるから夜は一人で出かけたりしないよ。それに私はゴーオンジャーだもん、平気平気っ」
絶対に伝わっていない、大翔の真意。
平気じゃないだろ、実際に意識のすっ飛んだ俺にヤラれかけただろうが。
これは実地でわからせるしかないか。
大翔は早輝の腕をつかみ、立ち上がらせた。
298轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:07:09 ID:XPLlA/N8
大翔にひかれるままに立ち上がり、連れられるままに足を進めた。
「どこに行くの?」
「さぁな」
とぼけた大翔は自らの寝室のドアノブに手をかけた。
なにを察したのか早輝は顔を赤らめて大翔を見上げた。
大翔は無言でドアを開く。
早輝を半ば強引に引き入れ、さっさと閉めてドアを背にする。
「早輝はゴーオンジャーなんだよな?」
「うん」
この状況でも強く頷く早輝。
頷きながらも大翔が歩み寄れば足は小さくあとずさり。
「ゴーオンイエロー」
大翔は軽く足払いをかけた。
「きゃ!?」
バランスを崩して背中から床に倒れそうになる早輝の手首をつかんで引き寄せ、方向転換、ベッドの上に押し倒した。
床に押し倒してもよかったが、大翔は良くても早輝の後頭部は無事では済むまい。
押し倒された早輝は茫然と大翔を見ている。
「・・・」
「逃げ出せるか、やってみろ」
手加減していることをわからせるために手首から手を放してやった。
早輝からすれば体の上に乗られているだけなのに、下半身の自由が全くきかず、足をバタバタさせることもできない。
「・・・!」
身動きが取れないことが悔しかったのか早輝は大翔をひと睨みして、なんとか体をひねって逃げ出そうとベッドに手をついてみたり。
そんな早輝の手を口もとに引きよせ口づけてみせた。
「それで終わりか?」
「こちょこちょして逃げるっ!」
「・・・そんなもん効くか」
「蹴っちゃうもん、軍平が教えてくれたもんっ、急所って!蹴っちゃうもんっ」
「この状況じゃ無理だ」
わかったか、と大翔は真面目腐って告げた。
「この状態で上半身まで抑えつけられていたら、どうだ?」
「大翔さんは強いから、こんなことできるんだよ」
「違う。一般人の優男でも女性を押さえつけることくらいは簡単にできる」
早輝は戸惑いの表情をみせた。
「護身しろ。それは女性としての嗜みだ」
言って、大翔は早輝の上から横に転がり降りた。
寝そべったままの姿勢で、腕に頭をのせ早輝を見下ろす。
ベッドに倒れたまま早輝はぼんやりと大翔を見た。
「大翔さんはこういうことを教えてくれるために私を呼んだの?」
「そうじゃない」
教えるためではなく、最初から押し倒してやるつもりだった。
「気をつけるね」
大翔の真意などそっちらけで早輝は満開の天使のスマイルだ。
大翔は首を垂れた。
まだ子どもだからと片づけるには、早輝は察しが悪すぎないか?
「家族同然のゴーオンジャーの連中にも抱かれるなら話は別だが」
大翔の言葉に早輝は飛び上がる。勢いで半身を起した。
「そんなわけあるわけないじゃない!」
「それなら、家族としてではなく、女性として気を許すのは」
「・・・ん?」
「俺にだけだ」
早輝は瞬きをひとつして、大翔を見つめた。
そして、うん、と頷いたのだった。
299轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:09:51 ID:XPLlA/N8
 半身を起した早輝の腕を引き、胸に抱きこんだ。
倒れこんだ形で早輝は大翔の胸に掌をつく。
あどけなさの残る唇にキスをして、額を合わせた。
「キスするのも、髪に触るのも、耳を噛むのも」
早輝は可愛らしく微笑んで大翔の唇に指をのせた。
「大翔さんだけ」
その手を掴んで指先に口づける。
 無邪気さとは違う、早輝のなにかに酔わされている気がする。
微笑で惑わす天使など存在してはならないというのに。
早輝のジャケットのファスナーに手をかけ、静かに引き下ろせば途端に頬を染めて、顔を隠すように抱きついてくる。
その背を撫ぜながら、早輝の耳たぶに歯を立てた。
「やん」
くすぐったそうに耳に触れる様子に大翔は猫みたいだと思った。
ジャケットを取り去る時も抵抗せず、早輝は黙って大翔にされるまま。
白いポロシャツの下に手を滑り込ませ、細い紐を肩から滑り落とし膨らみを指先でたどれば、大翔の耳元で愛らしいため息がこぼれた。
「大翔さんだけ」
早輝が言いながら唇を寄せてくる。
「わかってる」
口づけたまま起き上がり、早輝をシーツの上に組み敷きながらシャツを取り去った。
「ひろとさん・・・脱がせるの上手」
感心したように言われ、大翔は脱力しそうになり短く息をつく。
早輝は大翔の体の下で足をパタパタとさせ、ブーツをぽんぽんと脱ぎ、小さく舌を出す。
「お行儀悪い?」
改めて顔をあげて早輝の眼を見れば、悪戯っぽく微笑んでいた。
そうかと思えば無邪気そうに大翔に手を伸ばしてくる。
「天使の分け前って知ってるか?」
出来上がる前に天使がこっそり飲んでしまうという樽の中の蒸留酒。
誰にも叱られない天使のいたずら。
この天使は樽にもいたずらをしたのか、極上の微笑と無邪気さで大翔を誘い苛む。
だから尋ねた。
「・・・ううん」
天使の代わりに酔わされているのは俺か。
ならば口づけるたびに、それをお前に移してやろう。
そうして酔って、意識をなくせばいい。
300轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:10:47 ID:XPLlA/N8
「あ・・・っ」
眉根を寄せた早輝の甘い声が時折、耳につく。
ささやかな喘ぎなのに大翔の背筋が震える程、魅惑的だ。
たまらず唇を重ねて舌を差し入れると、恐々といったように応え、秘部に指先で与えた愛撫にたまりかねたように小さな悲鳴を上げる。
優しくしてやりたいのに責めてもやりたい、矛盾した揺らぎを苛まれながら大翔は肌に触れている。
そっと脚を開かせ、己を沈めた大翔は早輝の肩口に顔を埋めた。
「あ・・・」
「苦しい?」
耳元で尋ねると早輝は首を横に振る。
「力を抜いたほうがいい」
「・・・やだ、できない」
早輝の指先がシーツを掴んで握りしめる。
その手を包むように握ると、自然と指が絡む。
強く握られて、大翔はもう片方の早輝の腕を掴み自分の背に回させた。
このまま動かずにいるのはこちらが辛い。
早輝の眼に涙が浮かんでいることに気がつき、それを舌ですくってから大翔はゆっくりと動いた。
「ん・・・あんっ」
背中に爪を立てられた。
繋いでいる手にも力がこもる。
こういうときに唇をかむのは早輝の癖らしい。
以前のように傷になるほど強く噛むことはないだろうにしても、口づけてそれをやめさせた。
甘い吐息と愛らしい喘ぎ。
それが苦痛だけじゃないことを教えてくれる。
「声・・・出したくないのに」
「何故?」
「わかんなくなる・・・の、やなの」
「それでいいのに」
「よく、ない・・・あっ」
身をよじるように頭をのけぞらせ露わになった早輝の首筋に唇を這わせた。
「いや、大翔さん、いや・・・あ・・・」
早輝が一層強くしがみついて、彼女の中も熱く絡みついてくる。
この俺が嫉妬なんてものに縛られた。
だから天使の分け前に無様に酔わされる。
耳元で悪魔のような戯言を聞かせてやりたくなるよ。
天使であるはずのお前もこのまま俺に酔って、快楽に堕ちてしまえばいいと。
301轟音金黄 「Angel's Share U」 :2008/12/12(金) 23:11:17 ID:XPLlA/N8
 

指を絡ませ額をあわせたまま、抱きあって眠る。
無防備であることを望むなら、お互いにそうでなければ。
最愛と呼べるものなど、二つありはしないと思っていた。
最愛とは絶対的存在で護る者だったというのに。
二つ目は矛盾に満ちている。
傷つけたくもあり、この命に代えても護りたくもある。
しかし、それも最愛なのだと大翔は理解した。
腕の中に最愛の天使がいる。
ようやく捕まえた。
この腕から奪い去ろうとするなら、どこまでも非情になることだろう。



<終わり>
302名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 23:12:42 ID:XPLlA/N8
お付き合いありがとうございました。
失礼します。
303名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 03:16:02 ID:E9pPh/Wo

金黄GJ!
金黄やっぱりいい
デカの青桃好きにはゴーオン金×黄はたまらん
304名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 23:34:16 ID:EiTh7tnn
GJ!
萌え死ぬかと思ったw
305名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 01:43:40 ID:0i7AJ6uD
金黄超GJ!
本編での絡み話が待ち遠しい!
306名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 09:46:30 ID:5t7pjET1
>>305
来週それっぽいよ?
307名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 12:45:11 ID:Qe7ccdGe
金黄GJ!!!
大好きだ
308名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 14:14:34 ID:tBmK4GPb
次回予告見てまっさきにここを思い出したw>金黄
309名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 00:26:09 ID:AJuCoFfV
金黄復活うれしいです!
金のヤキモチと黄の可愛さにやられました。
寝る前に来てよかった><
来週の本篇が楽しみだ……。
310名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 23:09:54 ID:TvJJEVj+
流れ豚切り、大変失礼します。
東映チャンネルでバトルフィーバーJが放送されていますが、見ているうちに
フランス×初代アメリカに萌えたので、SS書いてみました。

まるっきりエロなしな上、意味もオチもありませんが、
もし続きが書けたらチャレンジしたいと思っています。

4レス消費予定。タイトルは「Dance,Dance,Dance」です。
苦手な方は、NGワードご指定願います。
311BFJ仏米「Dance,Dance,Dance」:2008/12/17(水) 23:11:39 ID:TvJJEVj+
軟派さを鉄山将軍に叱られようと、ディスコ通いはやめられない。
狂わんばかりに降り注ぐ光のシャワーの中、京介は物慣れた足取りで華麗なステップを披露していた。
美容師という職業柄、口を開けば軽さを勘繰られるほど女性の扱いに長けた彼ではあるが、こうして淀みなく舞う姿は孤高そのもの。
それがまた人目を引き、関心を寄せつけるのだが、何故か今はそれに関わろうという気持ちは生まれなかった。
今、彼が交流を持ちたいと願う女性は、ただ一人だけだから。

今夜は何故現れない?
何か事件があったのなら、すぐに呼び出しが入る筈なのに。
待っていてもいいのか。
彼女の負担にならないように期待し続けるには、一体どうしたらいいのか。

「フランス?」
騒音の中に、一筋の声が響いた。
一も二もなく振り返ると、その瞬間、異国の風が吹く。
目の前が輝いた。待ち焦がれていた彼女が、夢のように立っていたから。

「ダイアン」
はにかみつつ、思わず手を伸ばした時、照明が暗転した。
ムード満点の低音で始まった、チークタイムの音楽。
「ねぇ、踊りましょ」
フロアの中心。寄り添われるままに受け止めると、漂う芳香に目眩がした。
足を出すとかわし、流麗に揺れるしなやかな肢体。
薄闇の中、彼女の視線の位置は知れない。
触れそうで触れない身体がもどかしく、京介は香りだけでその近さを知る。
312BFJ仏米「Dance,Dance,Dance」:2008/12/17(水) 23:12:44 ID:TvJJEVj+
募りそうな緊張を解すべく、音楽に合わせて鼻歌を口ずさむと、そこにダイアンの声が重なった。
それは妙に厳かに跳ね返り、背中を撫でるように静かな興奮を創り出して行く。
ほんの少し、勇気を出してみた。
ステップを踏む拍子に、彼女の肩をそっと引き寄せる。頭に頬を寄せて、髪を梳いて。

重なる歌声と僅かな吐息が、まるで絶え間ない愛の言葉のように思えた。
どうかこのまま、音楽を止めないで欲しい。
ずっと二人で踊っていたいんだと、詮もないことを願う瞬間。

かっちりした白のパンツスーツは、ダイアンのスタイルの良さを引き立てていた。
京介は、唯一素肌の白さが窺える耳元に視線を落としながら、ステップは乱れさせないよう必死に保つ。
ゆっくりと彼女の腰を辿り、ヒップラインを軽く撫でた。
さすがに驚き、離れかける身体を強く引き寄せ、髪に鼻を埋める。
艶めく唇が京介の首筋を掠めてぬくもりを残し、波のように高まる欲を益々消せなくなった。

見も知らぬ他人に囲まれた、静かな攻防。
それは彼女との、或いは自分自身との。

形のいい鼻の上に、キスを落とした。
「フランス…?」
ギリギリで踏み止まらせるかのように、か細い指先が胸を突く。
だが裏腹に、京介の全身を貫く痺れ。
もう何も考えられなくなって、耳たぶを甘噛みした。
313BFJ仏米「Dance,Dance,Dance」:2008/12/17(水) 23:13:41 ID:TvJJEVj+
それぞれに舞う人々の中で、見えているのはダイアンだけ。
特別に寄せた関心を免罪符にして、指先で胸に触れる。
息を呑む気配に気づかぬふりをしつつ、スーツの胸元から熱い指先を潜り込ませた。
「ダメ、よ」
自分の声が大きく響いてしまったような気がしたのか、ダイアンは慌てて口を押さえる。
「ノン。やめるつもりはないよ」

息を吹き込むと、素直に震える身体。
更に耳の内部に舌を忍ばせ、アーチをなぞるように這わせる。
「あぁっ…」
まるで砂浜に打ち上げられた魚のように彼女の肩が跳ね上がり、京介の服を握りしめた。
一体何をされてしまうんだろう。
そんな恐れを浮かべた眼差しに酔わされ、乱れた好奇心は京介を火照らせる。

とてつもなく間抜けで、迂闊だ。
思春期の少年じゃあるまいし、こんなところで何をがっついてるのかと思うに違いない。スクリーンの向こう側の、映画の一シーンなら。
だが、そんな信じられない行為に耽っているのは、紛れもなく自分とダイアンで。
314BFJ仏米「Dance,Dance,Dance」:2008/12/17(水) 23:14:25 ID:TvJJEVj+
互いの表情は知れず、熱く滑り落ちる吐息だけが、唯一存在を知らしめるものだった。
好きだと言えないもどかしさと、もたらされる欲望。
その軋みを埋められるのは、きっとキスだけ。
けれど、これだけのことをしていて尚勇気が出ないのは、哀しい大人のサガかも知れない。

「ん、ん…」
こめかみに彼女の吐息が触れて、舌で唇を舐める気配。
決して拒絶ではない甘い声に、京介の期待は嫌でも募る。

いつも軽く、クールであろうとする自分の中に息づく、ウェットであさましい本気にうんざりしながら、ダイアンの胸を探る指先に力を込めた。
先端部分を目測で刺激すると、悩ましげにその腰が揺れる。

「――抜け出そうか」

もし呼び出されたら、何と言い訳をしたものかな。
ふとそんな考えが頭に浮かんで、こっそりと笑った。

罪への第一歩。
ダイアンの肩を抱き、京介は人の波をかき分ける。
他人行儀でありながら、お節介を内包した夜の街。
二つの影は、待ち受ける罠に嵌るふりをしたまま、ゆるやかに溶けて沈んで行った。


<終>
315名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 00:06:02 ID:EUtW2A5M
GJです。まさかBFが読めるとは!
316名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 08:25:00 ID:keh2VP0U
>>310
あんた最高ですよ!!
317名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 16:05:22 ID:onMuI8kO
超!G!J!

勿論続きを期待しとります。
318名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 23:40:53 ID:ebh6S1+q
最高でした!
公式でラブラブな二人がたまらん。基本的に二人で行動しているのがいい! 

BFだと初代コサック×ケイコも好きだな。初期は結構いい感じだったし。 

319名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 01:19:59 ID:pRAtTmi7
ケニア×マリアがいいな。
320名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 08:58:39 ID:lImxZZD9
今日の轟音 黄の金呼び捨てに焦る青に萌えました
321名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 09:39:30 ID:6Ngkj8AZ
おちゃめなキタ様萌え
322名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 09:55:02 ID:PKyonH12
>>320
青黄好きなのに、今まで放送見ても青→黄とは思えなかったんだけど、
あの一言でなるほどねと萌えた。
323名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 10:32:38 ID:hNRCsUam
金を「付いちょっと!?」と叱りつけ、お姉さんならいいよと余裕を見せる黄。夫婦漫才的やり取りが、どんどん板に付いてくキタケガ様。

いやあ、楽しかった。
324名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 22:02:03 ID:1IcXSGiG
銀緑もありだと思いました!
325名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 23:03:08 ID:qQKaqEz0
金黄で小ネタ
金が若干変な人です
早輝は脚立に上って押入れをガサガサしてるところです


「う、わぁっ!!」
「おい、落っこちるなよ」
「そんなにドジじゃないもん・・・あ」
「見つかったか?」
「あった〜♪すごーいおっきいツリーだ」
「去年美羽にせがまれて買ったんだ。持てるか?」
「よいしょ。はい!」

「!・・・大翔さん、大翔さん」
「?まだ何かあったか?」
「ううん。あのね・・・」

ちゅっ

「・・・えへへ。見上げられるのも、なんかいいね。背伸びしなくていいし」
「・・・・・・」
「・・・あれ、怒っちゃっ・・・・・きゃあ!!」

* * *

「・・・今度は動画・・・・・・」
「?どうしたー美羽」
「え?ええちょっとね」
「?」

「(アニ・・・早輝が可愛いのは分かるけど、いちいちテレパシーで送るのはどうかと思うわ・・・
・・・早輝のためにも、帰ったら説教ね・・・!!)」


今日の金黄はおいしかったです。
では逃げます
326名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 00:58:31 ID:ppJHjGWj
>>325
アニw やりそうだから困るwww


>>320
なんかすでに青黄はできあがってて、
妻の浮気を心配する夫みたいにも見えたw
327名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 12:53:25 ID:iyd+JQpF
金黄いいよ金黄
328名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 16:53:30 ID:sLTziL08
>>320
娘の心配するオカンにも見えなくは無かったけどw
329名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 21:23:32 ID:x8rgvART
>>326
おぬし
なかなかのカップルフィルターをお持ちでござるなww
330名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 22:50:17 ID:Esc2I1t6
>>326
ぜひそれを文章にw
331名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 12:01:31 ID:64OMGQff
黄は赤青緑黒金、誰とも相性いいね。
俺は緑×黄派、学園ドラマみたいな雰囲気に見えるから
332Lily ◆GX3tBwWeXw :2008/12/23(火) 21:20:30 ID:tX/nYwLz
空気読まずに小ネタ。
本スレ読んでたら思いついたんでつい。



「いや、お願い、走輔やめて」
「いいじゃねえか、減るもんでもなし」
早輝のおびえきった声を無視するように走輔はいやらしい笑みを貼り付け、早輝に迫ってくる。

「いや、だってそんなこと!
……ね、お願い!考え直して!」
「まだやったことねえんだ、やってみたいんだよ、な、いいだろ?」
「いや、やめて」
涙を浮かべ、懇願する早輝を意に介することもなく、走輔は自分の欲求を満たそうと
強引に迫ってくる。

「ちょっと入れてみるだけだからさ、な」
「いや、やめて!そんなもの入れないで!」
その言葉を聴いた走輔の顔色が変わった。

「なんだと!そんなものとはなんだ!いくら早輝でも許さねえぞ!」
そしてその走輔の剣幕にひるんだ隙をつかれて、
早輝は走輔に組み敷かれてしまった。

「あっ!痛い!いや、それだけはやめて!お願い!入れないでー!!」
だが走輔はそんな早輝の悲痛な叫びを嘲るように言った。

「スピードルソウルセット!」


『ちょっとスピードル!乙女の体に勝手に入らんといて。
はよう返してえな』
『ドルドルー、ベアールの中、あったかいぜ、ドルドル〜』
『ドアホ!誤解されるようなこと言うな!』
333名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 23:24:38 ID:SarcCkX6
>>331
俺はまんべんなくいける質だが一回黒黄を読んでみたい

自分で想像すると黒が洗濯してて黄の下着を発見、ムラムラしてるところに
黄が走って来て平手打ちまでしか想像出来ないんだ…エロまでいかねえw
334名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 23:42:13 ID:U9BiZRTd
黒と言えばワメイクル回のゼミナールの
「早輝何人分だ!?」という堂々セクハラが忘れられない

禁欲を旨としてるらしいし
ムッツリスケベとしか思えん
335名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 00:56:29 ID:5zniyxfd
女装緑に恋?いやそんなことないと悶々とする黒が、
緑と黄色のキスシーンを目撃(本当は黄色が緑に化粧しているだけ)
やっぱり悶々とする黒は間接キスといわんばかりに黄色の唇を奪う。
我に返ってごめんごめんと謝る黒と、本当は黒のことが好きで「…馬鹿」と涙ぐむ黄。

…出直してきますw
336名無しさん@ピンキー:2008/12/24(水) 20:20:50 ID:+JCOcS6G
>>333
俺も黒黄は大本命だと言ってる!
337名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 07:02:03 ID:buVXWhWe
>>335
黒はどんだけ変態だよwww
338名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 01:23:45 ID:kWkBDBUM
緑と黄色は、見た目が同じくらいの身長に思っちゃうけど、
並んでみると結構身長差があるのが萌える
339名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 15:29:51 ID:TLC7+Mic
終わりに近づいてきてるのがさびしい季節だわ。
340名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 00:45:54 ID:c5KsXGb6
轟音赤銀投下します
タイトルはEternal Flame 
タイトルNGワードでお願いします
341轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 00:47:29 ID:c5KsXGb6

走輔が元気に笑っていても、走っていても、バカやっていても。
夕暮れ迫るあの時に、緑の芝の上に倒れていった姿を忘れることができない。
ヨゴシュタインの放ったゼンマイネジが心臓を止めてしまったために、硬化してしまったあの姿を忘れられない。
 走輔が死んでしまった。
皆で嘆き悲しんだあの時から、心のどこかが凍りついてしまった自分がいる。

走輔が帰ってきてから心の氷は溶けたはずなのに、小さな塊がどこかに残っている。
悲しみは溶けてしまったはずなのに。

「サンドバッグ新しくしたんだな」
真新しいサンドバックに軽くこぶしをあてながら、走輔は背後で腕組みをして立っている大翔を振り返った。
大翔は口元をゆがめ、視線をそらした。
3人分のティーカップをのせたトレイをテーブルに置き、美羽が言った。
「走輔が固まっちゃった時、アニが殴って破っちゃったのよ」
走輔が目を見開いた。
大翔は走輔の傍から逃れるように窓の外へ。
「どこに行くのアニ!紅茶淹れたのに!」
「散歩してくる」
「アニってば!」
窓に手をかけて美羽が呼びかけても、大翔は振り返らず緑の芝を横切り海岸方面に歩いて行ってしまった。
「もう」
不服そうに唇を尖らせる美羽の腕を走輔がつかんだ。
ドキリとして走輔を見上げると、走輔は真摯な顔で美羽を見下ろしていた。
「俺、すげー腹減ってんだよ。お茶にしようぜ」
この・・・単純バカッ。
こめかみのあたりをひきつらせて美羽は走輔に言った。
「他に言うことはないの?」
走輔はキョトン、とする。
睨みつけていると、走輔の口元がきゅっとつり上がり、掴んでいた美羽の腕さらに強く引いた。強い力で壁に背を押しつけられた美羽は、戸惑いを見せまいと目の前に立つ走輔から視線をそらす。
美羽の頭の上あたりの壁に腕をついた走輔は軽く身をかがめる。
そして、美羽の耳元に顔を寄せると低い声で囁いた。
「一人、倒したぜ」
いつもとは違う声の響きに背筋が震えた。
 硬化していたはずの走輔が消えたとボンパーから聞き、皆で駆けつけた時、我が目を疑った。
生身の走輔がヨゴシュタインと対峙していた。
お前にこれからはないと言い放った。
補助に入ろうとする皆を大翔の腕が止めたために、ゴーオンレッドに変身した走輔は一対一でヨゴシュタインを倒したのだ。
「あれで俺の強さってヤツを証明できたか?」
美羽は頷いた。
「認める・・・走輔は強いよ」
そうか、と走輔が笑う。
口付けが降りてくる。それを受け止めて美羽は目を閉じた。
 そんなキスが交わされたというのに、単細胞走輔は一転してはらへったと美羽から離れ、
「茶が冷めるからよ、大翔呼んでくるぜ」
「お茶ならとっくに冷めてるよ」
走輔が笑う。
見慣れた屈託のない笑い方だ。
「どうせ、今日もアニに用事があって来たんでしょ?」
庭を歩き始めた走輔の背に美羽は言った。
走輔は首だけ振り返り、
「ま、そんなとこだ。冷めたまんまでいいから待ってろ」
342轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 00:53:57 ID:c5KsXGb6

「なに黄昏てんだよ」
声をかけるまでもなく、大翔は走輔の気配に気が付いていたらしい。
海を見つめたまま静かに答えた。
「何しに来た」
走輔は砂の上をゆっくりと歩き、大翔の隣に並ぶと潮風で乱れた前髪を邪魔そうに指ではねた。
「早輝のことなんだけどよ」
大翔は眉を寄せ、首をひねり走輔を凝視した。
てっきり美羽の話かと思っていたので、肩すかしをくらった格好だ。
「おまえさぁ、早輝のことどう思ってんだよ」
「それなら、俺のほうが山ほどお前に訊きたいことがあるんだが」
「わかってるぜっての。だけど、早輝が先だ。
俺たちはあいつのことを親御さんから預かった保護者のつもりでいるんだ。
だから、立場は美羽とお前に近いと思う。
確かにお前はすげえ奴だし、相手になるなら申し分ない男だ。
けど・・・あいつまだガキだし・・・お前が本気で相手してるとは思えねえ」
大翔は視線を落とした。
腕を組み、足元の砂を蹴る仕草。
「・・・最愛ってわかるか走輔」
走輔は視線に鋭さを含ませ、黙って大翔の横顔を見た。
「理由も意味もなく見返りもいらず存在するだけで愛しい。無償で愛せる。それが俺にとっての最愛だった」
「美羽のことか」
ストレートに問う走輔。
大翔は答えずうつむいたまま、
「見返りが欲しくてたまらない。時に自分でも呆れるほどみっともない人間になり下がる。今までこんなことを他人に感じたことはなかった。
もしかしたら、こんな不条理な感情も最愛なのかと決めかねているところだ。
こんな曖昧なことしか答えられず早輝を妹のように大切に思っているお前には申し訳なく思うが」
「マジならいいんだ。遊びでチョツカイ出してるわけじゃねぇなら」
マジ、と呟き返し大翔は小さく笑った。
走輔は唇を噛んだまましばらく言葉を探していたようで、視線をさまよわせている。
そんな走輔の言葉を大翔は内心愉快に思いながら待つ。
この男は頭をひねってどんな言葉を聞かせてくれるのか。
「お前が美羽のことを命より大事にしているのはわかってる。
俺はお前に勝てるもんなんか何一つないかもしれねえ。
けど・・・あいつに惚れちまったんだ。ワリィ」
「何に対してワリィなのか、説明してくれ」
大翔の目がからかいの色を浮かべていることに走輔は気付かず、顔をしかめ、くしゃくしゃと自分の髪を乱した。
そして、突然、大翔の胸を拳で軽く叩いた。
「あいつを貰う。ワリィ」
343轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 00:55:04 ID:c5KsXGb6

「走輔となんの話をしたの、アニ」
走輔が帰った後、美羽は大翔に何度も尋ねたが、大翔はそのたびにはぐらかして答えなかった。
美羽には言うべきではないと考えたからだ。
「アニ。私、アニがいなかったら生きていけないよ」
唐突な美羽の言葉に大翔は俺もだと優しく答えた。
「美羽がいなかったら俺も生きていけない」
「早輝がいなかったら、アニはどうなるの?私は走輔がいなくなった時、生きていられたけど、必死で戦って走輔が生きた証を無駄にするまいとしていたよ。
だけどね、あの戦いが済んだあとにも走輔が戻ってこなかったらどうしていたか、
考えるのが怖くてたまらないの」
美羽の瞳から涙からこぼれる。
慰めるように大翔は美羽の肩を抱き寄せた。
「他人のことなんて今まで深く考えたことがなかったから、俺がどうなるかなんてさっぱりわからないんだ美羽」
ただ、大翔には美羽の困惑は手に取るようにわかる。
それは他人に踏み込み踏み込まれる怖さ。
大翔は美羽の額に自分のそれをコツンとあてた。片手を彼女の頭にのせ優しく撫ぜる。
「俺がいる。その事実は何があっても揺らがない。だから美羽は何も恐れることはないんだ。そして走輔は現実に生きている」
走輔。
偉そうな口を叩いておきながら、泣かせやがって馬鹿野郎が。
大翔は拳で自分の胸を数回軽く叩いた。
走輔の拳がノックした、その感覚を思い出すように。
そうだ。
あいつは確かに今、生きている。


 強さを見せてくれたらあんたのものになってあげる。
ガイアークの大臣を倒したから強さを証明したわけではない。
走輔が死んだと思った時、それまでの走輔のすべてを思い出したからわかった、走輔の本当の強さ。
美羽は両手で顔を覆った。
大翔と離れ、自室で一人になってから涙がますます止まらなくなっていた。
悲しいけれど、うれしくて、なんて切ない。
こんな曖昧模糊とした感情をどうすればいいの。
「走輔・・・好き」
だけど、いろいろなことが怖いよ、こんな弱い私は私じゃない。
344轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 00:56:51 ID:c5KsXGb6
それは真夜中に近い頃だった。
古い文献をいくつかめくり、調べ物をしていた大翔は、美しく活けられていたバラの花びらが一枚はらりと落ちたのを見て胸騒ぎを覚えた。
テーブルの上で本を閉じた。
外から雨の音がする。
「美羽?」
部屋を出た大翔は、まさに玄関を出ようとしていた美羽の後ろ姿を見つけ、改めて声をかけた。
振り返った美羽は泣きはらした目で、大翔を見た。
「出かけてくるね、アニ」
「こんな時間に? 外は雨だ」
「私はもう大人だよ、アニ」
ぎこちなく微笑む様子に大翔は言葉を無くしてしまった。
「走輔に会いに行くの。走輔に会って教えてもらう」
美羽は胸を押さえた。
「私がこんなに弱くなってしまった訳を」
大翔はため息をついた。
こんな情緒不安定な美羽を一人で歩かせるわけにはいかない。
「俺が送ってやるから、待て」
美羽は首を横に振った。
「私が会いに行きたいのよ、アニ」
「だめだ」
強い口調で大翔は言い放った。
それに対して美羽は叫ぶように訴えた。
「わからないのは嫌なの!」
そのまま片手をドアについたまま滑らせ、膝を床についた。
とっさに駆け寄った大翔は、自身も床に膝をつき美羽を抱きしめた。
「落ち着け、美羽」


 雨の中を走輔が1時間もかからず訪ねてきた。
文字通り急いだのだろう、傘もささずに髪から雨のしずくを滴らせていた。
迎えた大翔の顔を見るなり、美羽は?と真摯な顔で尋ねた。
「部屋にいる」
大翔は玄関に立ったままの走輔のためにバスルームからタオルを持ってきてパスした。
受けとった走輔は頭からタオルをかぶり、ようやく家の中に足を踏み入れた。
「夜中に呼びつけて悪かったな」
「そんなことはかまわねぇ。会えるか」
「Go ahead」
大翔は背を向けた。
走輔は無言で美羽の部屋へ向かった。


「なにしてんだよ」
「花を生けてるの。落ち着きたくて」
「フ・・・ン」
軽く頷きながら走輔はタオルで濡れた髪をゴシゴシとやり、全身ずぶぬれなので美羽に勧められた椅子に座ることもできず立ったまま、アレンジメントを見つめた。
「アニも気が利かないね。待っててバスロープ持ってくるから」
大翔から聞いた様子とは違い、美羽は落ち着いていた。
ただ、どう見ても泣きはらした後の目をしているけれど。
「ごめんね、走輔。」
「なにが」
わざとぶっきら棒に答えた。
白いバスロープを持って戻ってきた美羽は、自分の部屋のシャワールームを指差した。
「使って。シャワーしかないけど」
345轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 00:57:38 ID:c5KsXGb6
「どうしてベッドで寝てるのか、教えてくれる?」
シャワーを浴び終えバスロープに着替えた走輔は美羽のベッドにごろりと横になり、腕に頭をのせて枕にしている状態。
「フカフカしすぎて落ちつかねぇぜ、まったくよー」
まぁいいけど、と美羽はため息をつき走輔の傍らに腰を下ろした。
走輔はそんな美羽の手を取り、指を絡めたり手のひらを包むようにつないだり。
「いろいろ心配かけたみてーで・・・悪かったな」
美羽は首を横に振った。
「違うよ。走輔のせいじゃない」
でも、俺に会いに来てくれようとしたんだろう、雨の中を。
「何がわからないのかもわからなくて、アニがいなかったらどうなっていたか」
美羽はポニーテールをほどいた。
頭を数回振って髪を自由にすると、小さく笑った。
「走輔の隣で寝ちゃったら、アニに叱られるかな」
アハハと走輔も笑い、にやりとした。
「美羽と一緒に寝るのはお兄様に申し訳ないから、一緒に寝ようぜって大翔に言ったら、あいつマッハで拒否るだろうなぁ」
聞いて美羽は噴き出した。
大翔の不機嫌そうな表情が目に浮かんだからだ。
「なんでそんなこと思ったの」
「俺が大翔に言われたらマッハで拒否るからだよ」
美羽が笑い続けているのを見て、走輔はほっとする。
走輔は美羽の頬に指で優しく触れた。
「安心しろ、何にもしねぇから。大翔にぶっ殺されるしよ」
美羽は走輔の隣に寝そべった。
走輔はそんな彼女を抱きしめた。
「この間みてーなのは勘弁だぜ。いい子でねんねしてくださいよ」
「キスくらいはして、走輔」
甘えてくる美羽が可愛くて、走輔はその額にキスをした。


 美羽が眠ってしまった後、走輔は大翔の部屋を訪ねた。
大翔は分厚い横文字の本を何冊かテーブルに積み上げて、めくっている最中だったらしい。
ノックと同時に顔をのぞかせた走輔に入れと短く答え、栞を挟んで本を閉じた。
「すまなかったな。美羽はどうしてる?」
「寝た。リビングかどっかのソファ貸してくれ」
「ゲストルームが空いているから使え」
頷いた走輔はしばらく口を閉ざし迷った後、思い切ったように顔をあげた。
「また、あの山荘貸してくれねぇか」
「ああ」
あっさりと大翔は承諾した。
「美羽を連れていきたい。ダメか」
大翔は腕を組み、天井を仰いだ。
「ダメと言ったところで、連れていくんだろう?」
「お前がダメだって言ったらやめる」
大翔は肩をすくめた。
「俺はかまわんが」
「マジだな。後で半殺しにしたりすんなよ」
「何考えてんだ、バカ」
それから、大翔がゲストルームのベッドメイクをしてくれている間、走輔は壁に寄りかかり、せっせと働くけなげなお兄様に暴言を吐き続けた。
「ねえねえ大翔くん」
「なんだ」
「美羽がいないからって、早輝連れ込んだりしないよね」
「・・・・・・」
「なんで黙ってんだよ。さてはお前、下心満タンだな!!だいたいお前みたいにクールぶって女に興味ありませんみたい顔してる奴はムッツリスケベと相場が決まってんだっ!!」
こめかみに怒りマークを浮かべながら、大翔は無視し続けた。
最後に羽根布団を放り投げいささか乱雑にベッドを整え終えたあと、大翔は枕を力任せに走輔めがけて投げつけた。
「なぜ美羽がお前のような傍若無人の唐変木に惚れているのか理解に苦しんでならん!!」
346轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 00:59:13 ID:c5KsXGb6

 ギンジロー号では「真夜中の大翔からの電話事件」と称して、軍平がホワイトボードにあれやこれやと事実を書き連ねていた。
そこに、範人が走輔と美羽の似顔絵の落書きをはじめ、早輝が軍平の文字に赤いペンで注釈を付けていく。
それをテーブルに座った状態でふむふむと見ていた連は、軍平の文字にいくつかの質問をしていた。
そこにきて、走輔からの連絡である。
「また、2.3日山籠りすっからよ、帰らねえけど心配無用だぜ」
軍平は勢いよくホワイトボードに書き足した。
<走輔山荘で山籠り>
そこに早輝がすかさず、
<美羽も絶対に一緒>
と書いた。
連は改めてホワイトボードを眺めて、軍平の肩に手を置いた。
「面白くなってきたっすね」
「ああ。にしても俺たちずいぶん不毛だな」
「不毛だし、アホっぽいっすね。だけど面白いっす」
「捜査の基本は情報収集だ」
走輔と美羽の似顔絵を描き終えた範人が満足そうにふりかえり、
「ねえねえ、大翔の顔どこに入れようか。それともスピードルとジェットラスがいいかな」
「うわぁ、範人上手〜♪ スピードルとジェットラスにして、範人」
ニコニコスマイルでぴょんぴょん跳ねながら早輝が言った。
「あいつなんかと並べて俺を描くなよっドルドルッ」
「みんななにやってるんだボンボン」


 朝食を3人でとりながら、走輔は山荘に行くことを美羽に告げた。
お前も行かないかと言うと、美羽は大翔に視線を向けた。
大翔は優しく目を和ませ、
「美羽が行きたいなら行っておいで」
戸惑いの表情を浮かべ、美羽はオレンジジュースのグラスを手に取った。
「行ってもいいけど」
 朝食の後、須塔家の四駆車で山荘に向かった。
走輔が運転する助手席は初めてだったが、さすがレーサーを生業にしていただけある。
スムーズな運転に眠りそうになりながら美羽は走輔の横顔を見ていた。
大翔と自分は同質だから共感できるものが多い。
しかし、この走輔という男は異質すぎてわからないことばかりだ。
そのわからないことがなんなのかさえ見えず。
「トレーニングするの? また?」
「歩こうぜ山ん中」
「歩くだけ?」
「この間雨ん中歩いたりのぼったりしてみて、天気が良かったら美羽と歩きてぇなと走輔さんは思った訳だ。眠かったら寝ていいぞ」
「運転させてるのに寝たら悪いよ」
「悪くねぇよ。何言ってんだ」
走輔が笑いながら言うから、美羽は目を閉じた。
他人に甘える必要がなかったのよ、アニがいたから。
アニよりも完璧な人は現れなかったし、アニよりも優しい人も現れなかった。
だからアニがいれば世界は完璧だったの。
でも気がついてみればアニの他に安心して身も心も頼ることができる人がいなかった。
そこに突然現れたのが、途方もなくバカだけど、この上なくキラキラなあんただったのよ・・・走輔。
347轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:01:15 ID:c5KsXGb6
山荘に着くと簡単に掃除をして、滞在する準備を整えた。
走輔は軽装でいいというから、いつものゴーオンジャケット姿で二人は山道を歩き始めた。
見上げれば緑の枝に覆われ、木漏れ日がキラキラしていた。
目を細めて美羽はその向こうにあるだろう青空を思った。
そんな美羽の横顔を見て、走輔は普段以上に優しい表情になる。
美羽の歩調に合わせて歩く走輔に気がつき、美羽は走輔が気遣ってくれていることを改めて感じた。
「今日は優しいんだね走輔」
「今日は、は余計だ」
長身の走輔が手を伸ばせば小枝に届く。
走輔が小枝に指をかけ離すと、小枝がばねのように揺れて葉擦れの心地よい音がした。
並んで歩きながらも微妙な距離をとっていたが、不意に走輔が足を止め、美羽に向かって手を伸ばした。
「掴まれ」
「え」
戸惑うばかりの美羽の手を強引に掴み、走輔は歩きだした。
「走輔の手、暖かい。ほんとに生きてるんだね」
「足もちゃんとあるぜ、ほら」
長い脚を片方プラプラさせて、走輔がおどけるから美羽はかすかに微笑んだ。
「今までもアニがいなくなったら生きていけないって漠然と思ってたけど・・・人間は一人では生きられないんだって実感しちゃった」
走輔は口元をゆがめた。
「いや、生きてくのは一人だろ」
言ってから走輔は、改めて頷いた。
「生まれてから死ぬまで自分だけ、一人だぜ」
走輔はサムズアップして、自分の心臓を指した。
「ああ・・・だけど、美羽の言うことの意味はわかる。レーサーだった頃、自分だけの力で奇跡を起こしたと思ってたけどよ。
俺が奇跡だと思ってたことは誰かに支えられて助けられて起こっていた奇跡でも何でもないもんだったんだ。一人なんでもできると思ってた頃は怖いもんなんか何もなかったけどな」
今は怖いもんばっかりだ、と走輔は真顔で言った。
走輔の言葉が美羽の胸で錘のようなものに変わっていく。
俯きそうになる美羽の頭をポンと叩き、走輔は抱え込むように抱き寄せた。
「ほら、心臓の音。ちゃんと動いてっだろ?」
走輔の抱擁は安心をくれるのに、沈んだままの表情はどうにもできない。
この不安はなぜ消えてくれないの。
走輔は確かにここにいて私を抱きしめてくれているというのに。
「走輔」
消えそうな声で美羽は呼んだ。
低く返事をした走輔から顔を俯かせたまま「キスして」と言うと、走輔は抱擁を解き美羽の頬を両手で挟むようにして上向かせ、触れるだけのそれをくれた。
額をコツンと合わせて、走輔は優しく目を和ませた。
「寒くなってきたから、戻ろうぜ」
348轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:02:20 ID:c5KsXGb6

 走輔が気遣ってくれていると美羽は感じていた。
いつも喧嘩ばかりしているのに、穏やかに会話しているから。
現実は走輔が気遣っているだけではなく、美羽にいつもの勢いがなかったのだ。
「暖炉つけようか走輔」
「暖炉って薪がいるんじゃねぇの?」
「裏を見てきたら使えそうな薪があったから大丈夫。アニが薪割り上手なのよ。火をおこすのもすっごく上手だった」
「へぇ」
「と言っても今はマッチひとつでOKなんだけどね」
それじゃ俺がやるぜと走輔が腰を上げる。
「薪割り難しいし大変だよ」
「いいトレーニングになるってもんだ」
走輔が外に行ってしまうと、どうにもならないほどの寂しさに襲われた。
行かないでと背中にすがりつきたくなる。
そんな自分に改めて戸惑いながら、美羽はキッチンに立つ。
走輔はお腹をすかせているはずだから、たくさん作らなきゃ。


 暖炉の中で揺れる炎をぼんやりと見つめながら、走輔の膝の上に頭をのせて美羽はソファーで身体を丸めていた。
背もたれに寄りかかり眠そうな目をした走輔は、自分の膝を枕にしている美羽の肩から落ちた毛布をかけなおして大きな欠伸をした。
パチパチと薪の燃える音だけが聞こえていた中で、走輔の欠伸が妙におかしかった。
普段ならなんで笑ってんだとか、笑ってんじゃねぇよと不貞腐れるはずの走輔なのに、今は美羽が笑うとほっとしたように表情を和ませる。
「走輔・・・いいよ」
「あ?」
「私はいいよ。ここでも」
「何が」
美羽はため息をついた。
察しろ馬鹿者が。
いつもならばここでそう怒鳴りつけているはずだが、そうする元気もなく、美羽は目を閉じた。
「契約遂行してもいいよってこと」
ようやく走輔にもわかったらしい。
走輔の横顔は暖炉の炎で赤く照らされているので、照れもなにも見て取れなかった。
走輔はバーカ、と呟き、美羽の頭を優しく撫ぜた。
その手は大翔の手と似ていた。
「無理すんな」
「してないよ」
美羽は頭をあげ、体を起こした。
走輔の隣に膝をつき、その肩に手を置いた。
「嫌なの?」
「んなわけねぇだろ」
「だったら・・・すればいいじゃない」
走輔は額に手のひらをあて、唸るように言った。
「今のお前はお前じゃないからだめだ」
「・・・何言って」
「もういいって」
走輔からのさらうような一瞬の口づけ。
美羽は指先を唇にあてて、虚ろな目で空を見た。
抱き寄せられ、目を閉じた。
いつもの私じゃないって・・・どういうこと?
349轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:04:20 ID:c5KsXGb6
翌朝、目を覚ますと隣で寝ていたはずの走輔がいなかった。
時計を見るとまだ早朝と言ってもいい時間で、美羽は寒さに自分の肩を抱きながらベッドから足を下ろした。
「走輔?」
ベッドの上にあったショールを肩にかけ、パジャマのまま美羽は寝室を出た。
山荘のどこにも走輔の気配がない。
「走輔、走輔?」
言いようもない不安に襲われ、美羽は薄着のまま外に出た。
靄のかかる木々の向こうに走輔の気配をかすかに感じ、美羽は足を向けた。
ランニングでもしているのだろうか、でもこの方向は崖だ。
ロッククライミング用に整えられた大翔が愛用している、崖。
「走輔!」
崖を登っている走輔の姿を見つけ、美羽は思わず声を張り上げていた。
美羽の声が届いたのか、走輔が崖の途中で動きを止めた。
「なんだー?」
崖にぶら下がったまま、走輔が呑気な返事をしたので、ほっとして美羽は肩で息をついた。
「朝から何やってんのよ!」
「リベンジに決まってっだろ。大翔のタイムに追いつけ追い越せって・・・おわっ!?

走輔が手を滑らせた。
落ちる!!と息をのみ、美羽はその場に立ち尽くした。
全身が凍りつくような思い。
当の走輔は命綱ともいうべきトップロープにぶら下がって揺れているだけでダメージなど一つも受けていないというのに。
「美羽!」


 目を覚ますと走輔の心配そうな目があった。
何があったのかわからず、美羽は抱きかかえてくれている走輔に尋ねた。
「走輔・・・落ちたんじゃなかったの?」
「俺は大丈夫だ。ロープで吊ってたから。悪かったな、驚かせて」
美羽は無言で首を横に振った。
「私はどうしたってわけ?」
「倒れた」
走輔が落ちたと感じたというのに、助けに行くこともできず身体を恐怖にすくませた挙句気を失ったとは。
「有り得ない」
美羽は自分自身が信じられず、呟いた。
「私は・・・ゴーオンシルバーなのに」
いつものお前と違うと走輔が言った意味がこれか。
美羽の唇が震え、固く目を閉じた。
走輔がいなければ意味のなさない悲鳴をあげてしまうところだ。
そんな美羽を走輔は強く抱きしめた。
「大丈夫だ。俺はこんなことくらいじゃやられたりしない。消えたりしねえから」
落ち葉の上に膝をついた走輔は真摯な目で美羽に訴える。
「俺は、大丈夫だ」


 こんな弱い私は私じゃない。
美羽は沈んだままの気持ちで椅子に座っていた。
一人にしてほしいと走輔に頼んで。
どうしてこんな弱くなってしまったんだろう。
走輔が一度死んだから?
走輔が再び消えてしまったら私はどうなる。
「アニ・・・怖いよ」
口元に手をあてて美羽は涙をこぼした。
「助けて、アニ」

 一人にしてほしいと言われたものの、目を離すことができず、隣の部屋にいた走輔は、アニ、と美羽が呟くのをやるせない想いで聞いていた。
苦痛に表情をゆがめ自分の額に拳をあてて、大翔のもとに返すべきか考えた。
大翔のもとに返せば美羽は落ち着くだろう。
しかし、それでは何の解決にもならない。
美羽が怯えているのは・・・。
350轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:07:25 ID:c5KsXGb6

「走輔、お腹すいたでしょ」
昼前に美羽が走輔のところにやってきて、明るい顔つきで言った。
空いていないと言えば嘘になるが、明るくふるまおうとする美羽が痛々しくて走輔は眉を寄せてしまう。
「走輔、手伝って」
「ああ」
 簡単な食事を済ませてから二人はまた散歩に行くことにした。
崖を避けて無難な道を歩く。
「チェンジソウル、どした」
走輔の唐突な問いに美羽は俯いた。
「今の私が持つのはいけない気がして」
「ウィングトリガーも持ってないのか」
「・・・」
走輔は空を仰いだ。
美羽の相棒のトラも心配してんだろうな。
「山荘にはあるよ」
「そっか」
トレーニングもせず走輔は美羽の傍にいる。
気遣ってくれて優しくて・・・日頃彼に対して望んでいたことだというのに、奇妙な感じがする。
「走輔、戻ろう」
「ん?」
美羽は走輔の手を引いて歩いてきた道を戻りだした。
走輔は怪訝そうな顔をしながらもされるままついていく。

山荘に着くなり美羽はジャケットを脱いだ。
床に落としたジャケットを目で追い、走輔は厳しい眼差しを美羽に向けた。
そんな走輔を無視して美羽はTシャツに手をかける。
「なにしてんだよ、お前」
美羽の手を掴み、走輔は脱ごうとするのを止めたが、美羽は走輔から目をそらしたまま、
「言ったでしょ、あんたのものになるって」
走輔は小さく息をのみ、視線を落としながら短く息をつく。
美羽の手首から手を離し、ジャケットを拾った。
「それとも、こんな弱いあたしじゃだめだってこと?以前と違うあたしはだめなの?」
走輔は無言で美羽を見た。
その眼差しに美羽は一歩、後ずさる。
「同情しないでよ。憐れんでいるような目で見ないでよ!」
走輔は目を閉じた。ゆっくりと息を吸い、拳を固く握る。
「美羽は同情や憐れみで済む相手じゃねぇんだよ」
それなら、と美羽は走輔に近づき、彼の腕をつかんだ。
「今すぐ、走輔のものにして。怖いの、何が怖いのかわからないくらい不安でどうしようもないのよ、走輔!」
何かをこらえているような走輔の表情に美羽は唇を引き締めた。
走輔はやるせなさそうに項垂れ、持っていたジャケットを美羽の肩にかける。
「どんな美羽でも美羽は美羽だろ」

結局、走輔は美羽に触れなかった。
今の私はもう走輔の好きだと言ってくれた私ですらないのか。
締めた窓から雨の音が聞こえてきた。
そして走輔が傘もささずに歩いていく姿が見えた。
美羽は時計を見た。
あと30分もすれば夕暮れになり、夜が来る。
どこに行くのだろう。
 予測した通り、30分も過ぎると日が落ち、闇に近づいてきた。
山の夜の雨は危険だと美羽は思う。
出かけて行った走輔が気になった。
また、あの崖に行ったのかもしれない。
無鉄砲な走輔のことだ、あながち有り得ない話でもない。
そう思い始めると居ても立ってもいられず、美羽は部屋をでた。
「走輔!」
351轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:08:49 ID:c5KsXGb6
 走輔は雨に濡れながら、腕を組み自分が落ちた崖を見ていた。
その横顔を見つけたものの、傘を握ったまま美羽はどうしていいかわからず、離れた所から見ているしかできない。
 そうしているうちに、走輔が何かに気がついたように首をひねり、こちらを見た。
美羽の姿を見ると、歩み寄ってきた。
「どうした?」
「走輔が・・・いないから」
「チェンジソウルとウィングトリガーは?」
美羽は首を横に振った。
だろうな、と走輔は呟き自らのジャケットのファスナーを下ろした。
そして、濡れないようにしていたのか大事そうにその二つをとりだした。
「手、出せ」
ためらう美羽の手をつかみ、走輔はトリガーとソウルをのせる。
そして、自らのチェンジソウルを手にすると、ゴーフォンにセットした。
走輔がゴーオンレッドに変身した。
何をするつもりなのかいぶかしく思う美羽にレッドが言った。
「今からあの上に行ってくる。そしたら、変身解いてチェンジソウルをお前に転送する」
「え?」
「生身であの崖から落ちたら、強運の俺でも助かるかわからねえよな」
助かるかわからないどころではない、絶対に助からない。
「走輔、何を考えているの」
「俺を助けられるのはお前だけだ。ビビってる暇なんてねえぜ」
「まさか、わざと落ちるつもり? 何を考えているの走輔」
顔色を変えた美羽を置いて、レッドは雨でぬれた地面を蹴る。
「走輔!!」
難なく崖の上にたどりついたレッドは言ったとおりに変身を解いた。
崖の上から走輔が振り返るように美羽を見た。
美羽に見せるようにチェンジソウルを掲げ、ゴーフォンにセット。
「あの馬鹿」
次の瞬間、走輔のチェンジソウルが美羽のトリガーに飛び込んできた。
転送し返してしてやる、と傘を捨てソウルを取りだしたところで、美羽は目を見開いた。
崖の上から走輔が手を振っている。
その表情はいつものバカ全開で、足元がわずかでも狂えば落ちる場所にいるというのに。
「パンジージャンブやってるのと違うのよ、走輔、やめなさい!!」
鼓動が恐怖で早まる美羽をよそに、走輔がヤッホーィとでも言うように軽く飛んだ。
「走輔!!」
反射的に美羽はウィングトリガーにチェンジソウルをセットし、地面を蹴った。
無我夢中とはこういうことをいうのだろうと、あとで思ったが。
シルバーに変身した美羽は、落ちてくる走輔を空中で受け止めた。
そして、崖を蹴り、走輔を抱えたまま地面に降り立った。
崖の上ではバカ全開で笑っていた走輔だが、足が地に着くと肩で息をつき、その場に座り込んだ。
メットオフしながら美羽はそんな走輔を怒鳴りつけた。
「なにを考えているのよ、バカじゃないの?!」
「あー、久々にスリルだった」
「そーうーすーけぇええ?!」
怒りで震える美羽を走輔が実に憎めない笑顔で見上げ、
「お帰り、ゴーオンシルバー」
それを聞いて、二の次が出なくなった美羽は変身を解き、走輔と同じようにその場にへたり込んだ。
352轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:09:34 ID:c5KsXGb6

「あんたって・・・本当に・・・」
そう呟く美羽の脳裏に、走輔が戻って来た時に交わしたやり取りが蘇る。
走輔がヨゴシュタインを倒した後、感情の昂ぶるまま大翔にメットを落しつけて走輔に言った言葉を。

「ちょっと走輔! 生き返ったんなら早く言いなさいよ!」
「へっ、悪かったなぁ」
走輔はそう言って美羽の額を戯けて指で押したのだった。

 あの時押された額に触れて、美羽はまいったなぁと泣き笑いしてしまう。
「私が変身できなかったら死んでたのよ、走輔」
「信じてっからさ、それに俺、すげぇ強運なんだぜ」
「バカ・・・走輔がまたいなくなったらどうすればいいの」
浴びているのは冷たい雨のはずなのに、走輔は顔を天に向け心地よさそうに目を閉じている。
「お前は大丈夫だ。仲間とか大事なもんが死んだり消えたりすることに慣れてなかっただけで、弱くなってなんてねぇ。全然」
「慣れとかそんなことじゃなくて」
「何があっても、だ。生きてるからには生きなきゃならねぇ。一人で何でもできると思ってた怖いもの知らずの時より、怖さを知ってからの方が俺は強くなった。きっと美羽はこれからもっと強くなる」
「無茶ばかりしてるのに、今だって怖いもの知らずにしか見えないよ」
「かもしれねぇな。そういうわけで、美羽さん。俺は簡単に死なないから安心するように。もし俺が危ない目に遭ったりしたら、マッハで助けに来い」
美羽は呆れたようにかぶりを振った。
「殺しても死なないタイプだってこと、忘れてた」
「実際、殺されても死ななかったぜ、俺」
もうここまで来ると笑うしかなかった。
走輔はもちろん美羽もずぶぬれだというのに、美羽はくすくすと笑い始め、次第に笑いが大きくなり止まらなくなった。
「おい、何笑ってんだよ」
「なんでもないよ、走輔」
笑い転げる美羽を目を細めて眺めていた走輔は、思い出したように眼差しから笑みを消した。
「そーだ、忘れてたぜ」
「えー?なにを」
「戻るぞ、立てよ」
「ああ、かえろっか。風邪ひいちゃう」
走輔に腕をつかまれながら美羽は立ち上がった。
「あのな、笑いすぎだぜって」
「だって、止まらない・・・!!」
走輔に半ば引きずられるように山荘に戻りながら、美羽は傘を忘れてきたことを思い出した。
「走輔、傘置いてきちゃったよ」
「明日明日」
走輔のチェンジソウルは美羽のジャケットのポケットに入っている。
傘くらい、いいか、と美羽は走輔の腕に任せて足を止めなかった。
 どうしても笑いが止まらなくて、走輔に頭をぺしんと叩かれたけど。
353轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:10:35 ID:c5KsXGb6

 山荘にたどりつき、ドアを閉めると暖炉の火が付いたままだった。
ほの明るい中、タオルを取りに行こうとした美羽の腕を走輔が改めて捕まえる。
「なに、走輔」
何気なく見上げ、走輔の表情を見て美羽は口を閉ざした。
走輔の目がまっすぐに美羽を見ていたことに驚き、そして、それがとても魅する色をしていたので。
走輔が薄く眼を閉じ唇を重ねてきた。
濡れた走輔の唇はとても冷たい。
唇を合わせたまま乱暴としてもいいほどの強さで抱きしめられた。抗うこともできないまま走輔が床に膝をつき、美羽の体を床の上に横たえる。
美羽は走輔の肩を必死に叩いた。
「そ、そうすけ、待って」
「散々、待った」
「ここ、ここでなの?!せめてシャワーくらい浴びた・・・い」
「さっきまで散々浴びてた」
それは雨だ!
叫びかけた美羽の唇を奪い、走輔は彼女の濡れたジャケットをはぎ取りTシャツを引き上げ、冷えた素肌に触れてきた。
走輔のキスに舌の感覚に身体が震える。
手が脚に触れ唇が胸にキスをする。
全身が強く脈打つようにすべてが高揚する、走輔の体にしがみついてしまいたい。
だけど、走輔、あなたひとつあとひとつ忘れてる。
欠片ほどに残っていた理性で美羽は走輔に囁いた。
「言って・・・好きだって言って」
走輔が頭をあげた。
美羽の目を見下ろして緩く笑い、
「美羽さん、愛してるぜぃ」
そうしてきつく美羽に抱きついて、子犬みたいに頬を擦り寄せた。
「ふざけないでよ。もー!」
そんなことを言いながらも美羽は、いつの間にか自分のジャケットを脱いでいた走輔の白いシャツに腕を回し、赤い濡れた髪に指を滑り込ませた。
すると、ホットパンツのベルトのバックルを外そうとする音がした。それが意外にもあっさりとなされて、下着もろとも取り去られた時にはさすがに慌てた。慌てたところで今更なのに、思わず走輔の手を阻止していた。
「触らないで、お願い」
キスとわずかな愛撫だけで十分に潤っているのを知られるのが恥ずかしかった。
ささやかな阻止を無視して、美羽の中を確かめるように走輔は指を滑り込ませる。
恥ずかしさで思わず目に腕をのせると、顔を隠すなと言わんばかりに腕を掴まれた。
触れられているとどうしても呼吸が浅くなる。
声を出さないようにするのが精いっぱいだった。
「邪魔だぜこれ」
突然走輔が自らシャツを脱ぎ荒っぽく床に投げ捨てた。
改めて重なって来た彼の体は冷たいけれどとてもしなやかだ。
だが、いつぞや散々蹴ってしまった固いものが脚のあたりに当たるから、美羽はくすりと笑った。
走輔が愛おしかった。
手際はけっして悪くないのに、どこか余裕のなさを感じさせる走輔が。
雨で濡れて膝や脚に張り付いたパンツを脱ぐつもりは毛頭ないらしく、短いキスを美羽に与えた後、中に入ってきた。
わずかな痛みと圧迫感の後、苦痛とは違う心もとなさに襲われて、走輔にしがみついた。
走輔の熱い息が耳元にかかる。
もうだめ・・・わけがわからない。
理性や朦朧とし始めた意識を放り投げ、走輔のやりたいまま彼の自由に任せるしかない。
「走輔・・・愛してる」
354轟音赤銀「eternal flame」:2008/12/31(水) 01:11:09 ID:c5KsXGb6

「強姦したみたいだな、俺」
床から身体を起こした走輔が最初に言った言葉がそれだった。
すべてはお前のせいだと美羽は走輔を一睨みして、中途半端に脱がされたわが身を隠そうとあたりをうかがった。
しかし、散らばった衣類と言えば雨にぬれたものばかり。
走輔が傍にあったソファーからハーフケットを掴んで引き寄せると、美羽にかけてくれた。
「お風呂に入りたい」
なんとなく走輔と手をつなぎ指を絡ませながら、疲労困憊の美羽が呟くと、走輔も頷いた。
「俺はシャワーでいい」


 バスロープ姿で暖炉に薪をくべる走輔の背に、おんぶするように抱きつくと頭を撫ぜられた。
「そんなに接近するとまた襲いたくなるんですが、美羽さん」
美羽はパジャマ姿で髪も乾かして完璧な状態だというのに、走輔は濡れ髪のまま。
「風邪ひくよ」
赤い髪に触りながら言うと、うーんと唸りながら走輔の腕が腰にまわされ、ぐっと引き寄せられた。
「風邪をひかないようにあっためてくれ」
「どうやって」
「わかってるくせに」
走輔の言わんとしていることはわかったが、美羽はとぼけることにした。
「お腹空かないの走輔」
「美羽の方がいい」
「珍しいね」
「なんだよ、なんか悪いことしたか俺」
「してないとでも?」
上目づかいに睨んでみたが、そう長くは持たなかった。
困り顔の走輔が可愛くて、美羽は背伸びして走輔の首に腕を絡ませた。
頬にキスをしてぎゅっと抱きついて、美羽は囁いた。
「いろんな事があったから疲れた。早く寝ちゃおうよ」
わずかの間無言だった走輔だが、美羽の目を見てその意図を理解したらしい。
身をかがめたかと思うと、美羽の足元をすくうように抱きあげた。
「走らないでってば!」
美羽が慌てて首にしがみつきなおすと、走輔は愉快そうに笑った。

「マッハ全開で飛ばすぜ!!」
355名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 01:14:47 ID:c5KsXGb6
チェンジソウルの転送方法などの記述が適当な部分がありますが、大目に見てください。
長々とスレを使ってしまい申し訳ありません。
読んでくださった方お付き合いありがとうございました。

みなさん、よいお年を。
356名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 01:26:31 ID:eysUdB/n
乙!超乙!!!
年末にこんな萌えが控えていたとは


萌えすぎて言葉が見つからん。
とりあえず、走輔美羽ご両人成就おめ!
この走輔なら美羽を安心して嫁に出せるわ。かっこよすぎる

キャラの口調とか再現上手すぎるんですが、ひょっとして二次活動してる方?
357過負荷害悪:2008/12/31(水) 02:14:34 ID:HujjgT0g
キタケガ様続き。

時系列は『恋愛カンケイ!?』後。
思えばこの話で、ニゴール王子に押しのけられてよろけるケガ様を、慌てて
駆け寄って受け止めていたキタ様の様子が、お二方萌えの目覚めでありました。

なお、害気目の生態に勝手な設定を付け足してしまいましたことを、
あらかじめお詫びいたします。
358過負荷害悪:2008/12/31(水) 02:16:50 ID:HujjgT0g
…女って、怖いゾヨ。
モニタを切って、しみじみため息ついてから、蛮機獣製造機の方を振り返る。
相変わらずヒラメキメデスの喪で、あの中に閉じ篭ったきりのヨゴシュタインが出てくる気配は無い。
このヘルガイユ宮殿で、私は今、孤立無援だった。
ケガレシアはいつぞや同様、最悪の気分で帰ってくるだろう。
その「最悪」のきっかけを作ったのは私。しかも、戦闘をケガレシア任せにして撤退した、非常にマズイ流れ。
きっと怒ってる。絶対怒ってる。確実に怒ってる。
モニタに映し出された光景を思い出すと、胃がキリキリ音を立てて痛んだ。
ケガレシアが、アレルンブラの王子を見殺しにした、その一部始終を。

帰還したケガレシアは、私を見てにっこり微笑んだ。「ついて来い」と、無言の圧力が伝わる。
心でドナドナを歌いながら黙って従うと、別室にウガッツ達が酒席を設けたところだった。
「あっちだと、隅っこにヨゴシュタインが閉じこもってて、落ち着いて飲めないでおじゃる」
急ごしらえの卓に並んで座ると、早速ケガレシアが二つのグラスを満たした。
「キタネイダス、そういえば今回、いつの間にか一人で帰ってたでおじゃるなあ」
いきなり、来たーーーー!!!!
「『アレルンブラ家の者を見つけるゾヨ!』とか言ってたのは、そもそも誰だったでおじゃるかなー?」
冷えたグラスを持っているのに、何故、手が急速に汗ばむゾヨ。
「キタさんのおかげでぇ、わらわはぁ、二度と会いたくなかった奴に遭っちゃったでおじゃるよぉ?」
「いっ、いやっ! それはそのっ、まさか、お前とあの王子がそんな関係だったとは知らなくて―」
ケガレシアが鼻先を突き合わせてきた。まだ飲んでないのに、もう目が据わっている。
「そんな関係って、どーんな関係?」
「ど、どんな…って…」
359過負荷害悪:2008/12/31(水) 02:18:00 ID:HujjgT0g
『そりゃー、お前の昔の男ゾヨ? しっかし、あんな悪趣味な変態に好かれて、お前も災難ゾヨねー』
言えない。
言えば殺される。
おまけに今死ねば、ヒラメの隣に私の遺影が並べられて、ヨゴシュタインが弔ってくれる、ナイス手間要らず状態ゾヨ。
脂汗を浮かべて押し黙る私を、ケガレシアは穴が空くほど凝視し―そして、声を上げて笑った。
「では、敵前逃亡の害気大臣に罰じゃ。今宵は、わらわの許しが出るまで、相手を務めるでおじゃる」

罰、とは言われたものの、飲みを強制されることはなく、ケガレシアもこの前のような無茶はしない。
怒っていないわけではないが、今はそれより、話し相手を欲しているようだった。
相槌を打ちながら、自分のペースを守って酌み交わすうち、珍しくケガレシアが先に酔った
やがて「重いでおじゃる〜」と、メットと装甲を外し、体も口も軽くなったケガレシアが例の王子のことを語りだす。
蛮機族・害水目名門、アレルンブラ家の王子ニゴール。美と清潔を愛好する、信じられない変態。
マシンワールド時代、ケガレシアは王子に「あなたは美しく、清らかだ」と熱烈な求愛を受けた。
有り得ない侮辱の羅列に、当然こっぴどくふってやったという。
傷心の王子はマシンワールドを去り、ここヒューマンワールドに流れ着いた。そして、彼の愛好する
「美しい」自然に体を蝕まれて石化。今回我々が見つけるまで身動きできずにいたのが、これまでの経緯だ。
そんな馬鹿を戦力のアテにしていた私まで、なんだか情けなくなってきた。
「…ただ馬鹿なだけなら、あそこまでする気はなかったでおじゃる…」
復活した王子は、今度はよりによって、我らが宿敵・炎神ベアールVに心奪われ、結婚宣言する始末。
いくら終わったとはいえ、合体攻撃なんてことができる仲だった男が、再会したそばから本人が気にしている
「相変わらず美しい!」を連発。その直後に別の女に心変わりしたら、そりゃムカつくし傷つくだろう。
自業自得で敗北した王子の目の前で、最後の延命手段ビックリウムを踏み潰してやったケガレシアの女心、
怖いけど、解からなくはない。
体を支えるのも億劫になったのか、私にもたれてケガレシアが呟く。
「どーせわらわは、あの黄色い鏡餅に目と耳とタイヤ付けた炎神と、同レベルの女でおじゃる…」
360過負荷害悪:2008/12/31(水) 02:20:02 ID:HujjgT0g
ケガレシアのひどく沈んだ声に、すごい罪悪感が湧いた。
…あんなアホ王子、いっそこの世の終わりまで石にしといてやればよかったゾヨ!
「その…なあ、ケガレシア」
「ん?」
「私が余計な事思いついたせいで、悪かったゾヨ…」
私から身を離して、ケガレシアは卓に突っ伏し、腕で顔を隠した。
「…謝る事無いでおじゃる。それに、二人だって気を遣ってるだけで、本音はニゴールと一緒でおじゃろう」
私は無言で、しばらくケガレシアを見詰めた。
素の状態のケガレシアは、人間の女とほとんど見分けがつかない。
外見に大きく個体差を生ずる我らだが、ケガレシアほど「人間」に近い容姿の者は、他に知らない。
醜悪を至上とするに蛮機族にとって、ケガレシアのたおやかな姿態、整った容貌を形容できる言葉は一つしかなかった。
≪美しい≫、と。

「あんな奴と一緒にするな」
ケガレシアの髪のひと房を指で掬う。その滑らかさ、柔らかさを確かめながら、私は続けた。
「私もヨゴシュタインも知っているゾヨ。お前以上の蛮機族の女など、どこにもいないと」
返事は無い。代わりに規則正しい呼吸音が聞こえ、なだらかな背と華奢な肩が上下している。
飲んで、喋って、気が済んだらしい。今夜はこれでお開きかと、自室まで運ぶために抱き上げた。
紅いボディスーツだけの彼女は、驚くほど軽く、柔らかだった。内蔵機械の駆動音さえなければ、本当に人間だ。
こんな風に生まれつく蛮機族もいるのかと改めて感じ入り、寝顔に見入る。
長い睫毛に縁取られた瞼の端に、まだ乾いていない涙が滲んでいた。
不意に、以前味わった杯の記憶が、脳と舌に鮮明に蘇る。
今頃、酔いが廻ったか―湧き起こる衝動に突き動かされ、唇で瞼に触れた。
湿るだけで、味わうにはとても足りない。だが、欲望を煽り立てられるには充分すぎた。
361過負荷害悪:2008/12/31(水) 02:21:47 ID:HujjgT0g
「…ケガレシア?」
呼びかけに、ケガレシアがだるそうに目を開ける。焦点のあやしい視線が私を捉え、名を呼ぼうとしてか唇が動いた。
それを、唇でふさぐ。金属同然の私の歯が、相手の柔らかな膚を傷つけぬよう、それだけは気をつけて。
そのまま、ケガレシアの体を卓の上に押し倒す。
何が起きているのか分かっていない無防備をいいことに、舌を挿し入れて絡ませる。
じかに伝わる甘さと温かさと蠢き。体の芯から痺れて、ただひたすら貪るのにしばらく夢中でいた―

ようやく、肩を押し返されているのに気付いて体を起こす。
眉をしかめ、目に涙を溜めたケガレシアが顔を背ける。手の甲で唇を拭い、怒りを込めた呟きが聞こえた。
「…みじめで可哀想だから、憐れんでやるとでも? わらわは、そんなもので喜ぶ女ではないわ」
その物言いに―我ながら自分勝手だが―少し、苛立つ。
「私とて、くだらん思い上がりで女に触れるような男ではないゾヨ」
指先でケガレシアの体の線を辿りながら、彼女の足に跪き、その爪先に額を当てる。
「今は、私がお前の憐れみを欲している方ゾヨ」
ケガレシアが身を起こす。卓に腰掛け、驚きと不安の混じった目で私を見下ろしている。
玉座の君に、剣でも捧げているようだ―そんな気分になった。
「嫌なら、この足で私を蹴れば良い。それを、答と受け止める」
しばしの、沈黙。
足は、動かない。
「…嘘や、憐れみではない…? だって、わらわは…」
「今の望みは、お前だけゾヨ」
先ほどの接吻で、体内電流のボルテージと循環オイルの熱が上昇して、既に私の形状の一部が変化している。
本当は答など無視して、今すぐ欲望を捩じ込みたい。しかしそれをやったら、あのアホ王子以上に彼女を傷つける。
それだけは駄目だと、最後の理性が押しとどめる。
362過負荷害悪:2008/12/31(水) 02:22:55 ID:HujjgT0g
ケガレシアが足を引き、視線をそらした。表情には怯えと恥じらい。怒りは、無かった。
「…明るいままは、イヤでおじゃる…」
自分をはっきり見られたくない、その葛藤が伝わる。
言われたとおり照明を消すついでに、私も胸から背と、それに左腕と両足の装甲を外した。
卓に座ったまま、所在なげにしているケガレシアの影に近づき、軽く抱きしめる。
一瞬こわばるも、やがて細い腕が首に回り、片方の手は背中を滑って、太腿をやさしく撫でた。
それでもう、こっちは有頂天だ。
剥き出しの肩を軽く噛む。彼女の胸が大きく上下するのと、吐息が漏れるのを感じる。
一気に引き裂きたいのを懸命に堪え、もどかしさに一杯になりながらボディスーツを脱がせた。
暗闇に溶けていた紅が剥がされ、白い裸身が視界を占領する。
灯りといえば、ON状態の機器スイッチの点滅や点灯というかすかな代物。
それでも、ケガレシアの驚くべき人間との相似がはっきり見て取れた。
しかし今は、その≪美しさ≫にひるむより、むしろ激しく興奮を覚える。
そういえば害水目との性交は初めてだ。その上、これほど人間そっくりな蛮機族とは。
片方の乳房の頂から腹部まで、丹念に舌で舐める。空いたほうの乳房は手で愛撫する。
先端が硬くなったが、普通の蛮機族の肌とは比べ物にならない、健気で脆い弾力のそれを
爪の尖った指で嬲るのは難しかったが、楽器の弦をはじくのと同じと思い至ると、コツが分かった。
「んっ…あっ…! ああっ…」
舌と指の刺激にケガレシアが喘ぎ、その体が様々に揺れて躍る。
水から引き出されて跳ねる魚に似ていて、その反応に私も昂ぶる。
ケガレシアの脚を広げて、女を女たらしめる部位に顔をうずめた。彼女が、大きく仰け反る。
「いやっ! ダ、ダメッ…」
反射的に逃げようとした腰を、両腕で抱きしめて捕らえる。肉質と金属質の部分から滲み出る体液で濡れた入り口に、
舌を挿して内部を蹂躙し、時折、敏感な箇所にごく軽く歯を当てて滑らせる。
泣き声に近い喘ぎが何度も上がるたびに、彼女の奥から快楽の波が溢れて、舌で受け止め切れなかったそれは
顎を伝い、卓や床に滴り落ちて小さな水溜りをあちこちに作った。
363名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 03:05:38 ID:ikdoovIo
test
364過負荷害悪:2008/12/31(水) 10:06:43 ID:ikdoovIo
いつの間にか身を引こうとするのをやめ、逆にねだるように彼女の動きが変化していた。潮時だ。
舌を引き抜き、すかさず完全に膨張しきった器官をケガレシアに突き立て、勢いまかせに闇雲に動く。
「んっ! あぁっ! ふ、うっ…!」
突如変化した感触と刺激に反応して、ケガレシアが激しく悶える。
肩が、腕が、乳房が、腰が、太腿が、目まぐるしく形を変える。
汗を浮かべた顔に黒髪が幾筋か絡むのが、微かな灯りの中で見えた。
今、こうして思う存分自由にしているのは、私の知っているケガレシアとはまるで別人だった。
蛮機族の本能に刻まれた《美しさ》を蹂躙する悦びと、《美しさ》が隠していたグロテスクを
目の当たりにした相互作用か、ひどく倒錯的な気分になり、また欲情する。
こういう気分は、悪くない。
こういう感覚を味わえるなら…美しさも、時には良きものかもしれない。

ケガレシアの脚が私を捕らえて、接続しあった箇所が一層熱と潤いを増し、吸い付き、締め付けてきた。
365過負荷害悪:2008/12/31(水) 10:09:50 ID:ikdoovIo
互いの快感の昂まりは、そろそろ限界に近い。
視線を交える。ケガレシアの目は恍惚の涙で濡れ、朱唇は飢えているかのように、荒い呼吸を繰り返す。
「んっ…も、もう…あっ! わらわは、あぁっ!!」
大きく跳ね上がるケガレシアの体を強く抱き、唇を重ねて最後に全力で突き上げる。
私の放出にケガレシアが激しく震える。重ねた口で、声と吐息を逃さず肺に迎えた。
脱力したケガレシアが、そのまま私に全身を預ける。唇を離して、私も大きく呼吸した。満足だった。

「…い、まの、なん、だった、で…おじゃる…か?」
ややあって、ケガレシアがやたらたどたどしい口調で問いかけてきた。
なにって…何が?
「その…害水、目、とは…なんか、違っ、て…」
あ…あー、あー、あー!
「それ、多分…放電、ゾヨ」
「…放電!?」
「害気目は、アレの時に体液と一緒に電流を放つ性質が…って、知らなかったゾヨか?」
「し…知るワケないでおじゃる!」
366過負荷害悪:2008/12/31(水) 10:13:33 ID:ikdoovIo
口調が戻ったケガレシアが、私に食って掛かってきた。
「そういう大事なことは早く言うでおじゃる! 下手したら、わらわは壊れるとこだったでおじゃるよ!?」
「だっ、だってっ、同属以外とは初めてだったし! マシンワールドからこっち、久々で頭一杯だったし!
使用上の注意や取り扱い説明なんて、してる余裕なかったゾヨ!」
焦った私の口答えに、ケガレシアは更に言い募ろうとして…急に、そっぽを向いた。
「…が、害気以外とは、わらわが、初めてでおじゃるか」
見栄を張りたかったがもう遅い。すでに口を滑らせている。
仕方なく頷くと、ケガレシアが横目で私を見て呟いた。
「わらわも…同属以外とは、初めて…でおじゃった」
気まずいような、むず痒いような。なんとも言えない沈黙が、我々の間に横たわる。

それを破ったのは、ケガレシアだった。
自分から私に口づけ、それから、私の顔の歯車を優しく撫でる。
「これ、接吻には、ちょっと邪魔でおじゃるなあ」
「も、申し訳ない、ゾヨ…」
367過負荷害悪:2008/12/31(水) 10:17:52 ID:ikdoovIo
気後れする私に、ケガレシアが悪戯っぽく微笑みかけ、歯車部分にも口づける。
「でも、蛮機族らしくて、素敵でおじゃる」
また、体の奥に疼きを感じた。
「はじめに言ったこと、覚えてるでおじゃるか?」
「?」
「今宵は、わらわが許すまで相手を務めよ、と」
自分の喉が、ゴクリと鳴るのを聞いた。その前に、一つ確認ゾヨ。
「放電は、大丈夫ゾヨか」「あの程度なら平気…と言うより、クセになるかも…でおじゃる」
さっき怒ったくせに。

女って…ホントに、気まぐれで怖いゾヨ。

とはいえ、拒む理由は何も無い。マシンワールド以来なワケだし、今なら朝まで産業革命OKゾヨ!
…多分。
ケガレシアの腕が私に絡み、ゆっくり引き寄せる。
そしてまた、陶酔のひとときが始まる。

さて、こんな調子で私とケガレシアがうつつを抜かしているうちに、気が付くと
ヨゴシュタインが置き手紙一つ残して、ヘルガイユ宮殿から消えていた。
ヨゴシュタインの自分探しの旅先で、一体何があったのか…
それはまた、別の話ゾヨ。
(終)
368名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 10:21:48 ID:ikdoovIo
以上でございます。
ここに来てまさかの炎神トラブル…じゃないPCトラブルに、
天は我を見放したかと思いましたが、なんとか携帯にて仕上げました。
焦ったーorz

それでは皆様、良いお年を。
369名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 17:41:38 ID:QO6wYPFH
赤銀が萌えすぎて胸が痛い…
SS神様ありがとう!!
走輔がかっちょ良くて、美羽が可愛くてたまらんかった!
うまく言葉にならないくらい萌えました。
素晴らしい年末になりました(泣)


…赤銀初Hおめ!
370名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 00:18:28 ID:3UjHBL4f
あけましておめでとうございます。
赤銀GJ!です。
新年早々いいものを読ませていただきました。走輔が男前なのにちゃんと馬鹿なところもあってよかった。 美羽ちゃんよかったね。

金黄職人さんですよね。 レスが止まった時などに作品を投下してくださってましたよね。感謝です。
今年も宜しくお願いします。
371名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 00:53:10 ID:Nb2/z4HQ
明けましておめでとっす。
遅ればせながら、赤銀もキタケガもGJでした!!
今年も沢山の素敵作品に出会えますように。現行作品はもちろんだけど、思いがけないチョイスな過去作品もすっげ楽しみです。
萌エロ話くらいでしか支援できませんが、ネ申の皆様、今年もどうかよろしくお願いします。
372名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 14:05:54 ID:DOKe8q5E
キタケガ美味しすぎるぅぅぅぅぅ!
新年から良いお年玉を有難う御座いました!
炎神トラブルに負けず頑張って下さい!
373名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 19:13:27 ID:UQFKZZ6J
>>341
とにかく萌えた。
良作を有難う。
赤銀を贔屓にしているわけではないが、二人が良かった。
過去作品から読み直すよ。
374名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 20:07:28 ID:c97VUGw7
赤銀に萌えすぎてヤバイ…
役者さんの声が聞こえてきそうな神SSですね!


映像化してくれ…
375 【大吉】 :2009/01/01(木) 22:27:52 ID:Ha+Feu1Q
ケガキタ、赤銀、共にGJ!
新年早々、大量投下ありがとうございました。
今年一年も現行作品、旧作品含めて、このスレがにぎわいますように。
376名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 03:25:47 ID:Dj1H3iMG
>340 乙です GJです
キャラの個性を掴んでいらっしゃる
特にセリフ回しが巧いですね
本当に役者さんの声が聞こえてきそう
GO-ONが好きだと再認識しました
久しぶりに戦隊SSを書きたくなってしまった……

>>374
声だけでもOK
377名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 04:20:26 ID:+xovMN5P
キタケガGJ!
良い初夢が見れそうだ!
今年も色々良い作品に出会えます様に(-人-)
378名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 08:02:17 ID:arucTCFr
キタケガ続きキターー!
新年早々イイもの読ませていただきました!
GJ!
379名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 01:10:38 ID:T30irS4b
元々赤黄だったけど
このスレのお陰ですっかり赤銀、金黄(または緑黄)ですわ。

萌え死ぬかと思った赤銀SSありがとうございました!!
新年のお年玉と思うくらい幸せになりました!

赤、かっこいいよ赤・・・!!
380名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 10:21:25 ID:DyN/oQ+/
明けましておめでとうございます。
正月早々恐縮ですが、
この間の黄の金呼び捨てに動揺する青に萌え転がったので轟音青黄を投下します。
NGワードはタイトル「指きりゲンマン」でお願いします。
381轟音青黄「指きりゲンマン」1:2009/01/03(土) 10:23:28 ID:DyN/oQ+/
草木も眠る丑三つ時――。
廊下でも聞こえる鼾と歯軋りに連は苦笑いすると、自分の部屋へ戻った。
真っ暗な部屋にスイッチを入れる。
「ふぅ…」
連日の作業で、身体が疲れきっていた。
だからといって、オカンが寝坊したら、子供たちに示しがつかない。
「早く寝ないと」
ハンガーに青いジャケットをかけて、上半身裸になるとパジャマに手を伸ばす。
「ん?」
不自然に盛り上がったベッドに、ようやく気がついた。
「やっぱり来ていたんすね」
ベッドに向かって、小さくつぶやく。
無言で毛布を剥ぎに行くと……思った通り。
元々眠っていなかったのだろう。
ベッドの中に隠れていた女の子は、部屋の明るさに眩しそうに目を細めていた。
しかし、すぐに恨みがましい目つきに変わって連を見上げる。
「早輝、ここは俺のベッドっすよ。」
「むぅ〜っ」
まるで叱られた子供が拗ねるようなふくれっ面。
「ちゃんと言ったはずっす。スピードルたちのメンテナンスや新しい武器の開発で、しばらく部屋には行けないって」
早輝のじと〜っとした視線を背後に感じながら、パジャマに腕を通す。
レディの前で少しだけためらったが、ズボンを脱いでトランクス姿になると、同じく青いパジャマのズボンに履き替えた。
「だってぇ、夜しか二人きりになれないのに……」
「早輝」
着替え終わって再びベッドに近づくと、ぶつぶつ言っている彼女の頭にポンと手を乗せる。
「いつまでも心臓の音を聞かせる訳にはいかないっす。ちゃんと一人で眠れるようにならないと」
「一人で眠れるもんっ!」
「だったら、こんな時間だし自分の部屋に戻るっす。今日は運ばないっすからね」
「やだっ!」
追い出そうとしたが、毛布を掴んで意地でも離さない。
他のメンバーの前では、割とお姉さんぽくて、しっかり者なのだが…。
二人きりだと、恋人同士というよりは、やっぱりオカンと娘だった。
わがままを押し通せば、連の方が折れるはず、それを知っている早輝は、意地でも離れない。
しかし連は、今回ばかりは早輝の思い通りにならなかった。
382轟音青黄「指きりゲンマン」2:2009/01/03(土) 10:25:57 ID:DyN/oQ+/
「分かったっす。じゃあ俺は台所のソファーで寝るっす」
ため息をついて、背を向ける。
このままだと風邪を引きそうなので、ジャケットを取ろうとしたところ、ベッドから出てきた腕にパジャマの裾を掴まれた。
「連、どうしたの?何怒っているの?」
「言うことを聞かない娘に怒るのは当たり前っす」
振り向くと、わがままな娘に、ため息をもう一つ。
「違うよ。その前から、連、怒ってるもん」
「別に、その前は怒ってなんかないっすよ」
「嘘!イブの時から、なんか怒ってる。」
「クリスマス……」
とりあえず、心の中でビンゴと言っておいた。
「連、最近おかしいよ。絶対何か隠してるでしょ?この間連が泣いた時だって、何も言ってくれないし、それに……」
恥ずかしそうに毛布で鼻から下を隠して、目だけを出す。
「あの日から……してくれないし」
「……」
視線に耐えきれず、下を向く。

お願いだから、そんな潤んだ目で俺を見つめないで。
せっかくここまで我慢していたのに、押し倒したくなるじゃないっすか。

早輝の言うとおり、初めて結ばれた日の後も、早輝の部屋で添い寝はしていたが、それ以上のことはしなかった。
そして『クリスマス』以降は、炎神のメンテナンスを理由に、彼女の部屋にも行かなくなる。
仲間には秘密にしている以上、二人きりで会えるのは深夜だけ。
その唯一の時間を潰されたら、早輝が拗ねるのも無理はない。
かわいい彼女におねだりされて、連の我慢はあらゆる意味で限界に達していた。
それでも、かろうじて持ちこたえていたが……。

「もう、いいよ。知らない」
煮え切らない連に嫌気がさしたのか、早輝はふてくされた表情でベッドから出た。
「おやすみっ!」
噛みつくような表情で挨拶し、連の横を通り過ぎる。
「早輝はどうなんすか?」
低く震える連の声に、早輝は立ち止まると振り返った。
「俺に隠し事していないって言い切れるんすか?」
ようやく顔をあげた連は、彼女の両肩を掴んで、まっすぐ前を見つめる。
突然つめよられてキョトンとしている早輝だったが、はっと我に返ると睨み返した。
「連と違って、そんなのないもん。べーっだ!」
手を振り払うと、あっかんべーで反撃。
そのかわいいとも思える仕草に、とうとう連は壊れた。
383轟音青黄「指きりゲンマン」3:2009/01/03(土) 10:31:19 ID:DyN/oQ+/
「……嘘をつく娘には、おしおきっす」
「えっ?」
低く屈むと、華奢な身体を二つに折り曲げるように左肩にかつぎあげる。
短く聞こえる早輝の悲鳴。
背中をポカポカと叩かれながら、ベッドまで運ぶとぶつけないように下ろす。
「やだっ、なんでおしおきなの?」
ベッドから出ようとする両肩を押さえて、強引にうつぶせにさせると、彼女の背中にぴったり重なるように体重をかけていった。
上から指を絡めるように左手を重ねて、さらに逃げられないようにする。
「このっ!このっ!この娘は!」
暴れる彼女の両足を、自分の足で押さえつけて、右手でお尻をペシペシ叩く。
「やだ、連のエッチ。隠し事なんかしてないよ!」
「こらっ!白状するっす!ムゲンゴミ箱で大翔と一体何があったっすか!」
「えっ?」
「とぼけるんじゃないっす!今まで『大翔さん』って呼んでいたくせに、なんでいきなり呼び捨てになったんすか!」
「なによ、呼び捨てしちゃいけないの!」
「いけないっす!よりによってクリスマスイブに呼び捨てなんかして、何もなかったとは言わせないっす!許せないっす!悪い娘にはおしおきっす!」

自分のことを棚にあげているのは分かっている。
でも、もう抑え切れなくなって、夢中で彼女のお尻をペンペンしていた。
ムゲンゴミ箱でみんなバラバラになった時、一緒に駆けつけてきたベアールVとトリプター。
それだけだったら、傷は浅くてすんだのに……。
なんで……。
なんであのゴミ箱は、大翔と早輝を二人きりにさせたんすか?

384轟音青黄「指きりゲンマン」4:2009/01/03(土) 10:33:14 ID:DyN/oQ+/
「ねぇ、もしかして、連って、それで怒っていたの?」
最初は暴れていた早輝だったが、怒りの内容を聞いて大人しくなっていた。
意味深な笑いを浮かべながら、首を後ろに向ける。
「え?そ、そうっすよ。早輝が隠し事するからいけないっす!」
「そうなんだ。えへへ」
「何がおかしいんすか?」
ニヤける彼女に、思わず右手が、叩くのを止めてしまう。
「なんだ、連ったら、大翔にやきもち焼いていたんだね」
「や、焼きもちって!オカンをからかうなんて、まだおしおきが足りないっすか?」
「ふーん、ふふふ。だったら、言わないもんね〜」
「早輝……」
おしおきをしていたはずが、いつの間にか早輝にペースを取られている。
結局、尻を叩いただけで、まだ何も聞き出していないことに、今更ながら気がついた。
こうなったら、何が何でも聞き出してやる。
「お願いっす。大翔と一体何があったっすか?」
「えへへ、どうしようかな〜」
のらりくらりとかわしながらも、連の真剣な表情に、早輝は少しだけ戸惑いを見せ始めた。
「もう一度言うっす」
重ねていた左手を外した。
その手で長い黒髪を横に払うと、首から肩のラインに顔を埋めるように沈めていく。
「教えて欲しい。大翔と何があったっすか?」
「あっ……」
耳元に顔を近づけて、わざと熱い息を吹きつけた。
すぐ近くにある連の顔。
落ち着きを装っているが、耳元にかかる荒い呼吸が、連が必死であることを物語っている。
「分かるっすか?俺の心臓。気になって気になって、このままだと張り裂けそうっす」
逃げられないように体重をかけていた身体は、いまは包み込むように後ろから抱き締めていた。
身体を少し浮かすと、彼女の心臓と同じ位置になるように、上から心臓を合わせていく。
「あぁ…っ」
思わず、早輝の口から喘ぎ声がこぼれた。
シーツを握る手に力がこもる。
すぐ後ろから感じる息遣い。
重なりあう二つのソウル。
連の熱い鼓動が、心臓を通して全身に伝わっていく。
まだ何もされてないのに、身体が火照って、胸がつまって息苦しい。
早輝はゆっくり瞳を閉じると、浅く息を吐きながら、とうとう話し始めた。
385轟音青黄「指きりゲンマン」5:2009/01/03(土) 10:35:14 ID:DyN/oQ+/
「大翔とね、お化けが出る所に……、飛ばされたの。」
「そこでも、大翔はパーフェクトだったんすか?」
ちょっと意地悪く、それでも優しく耳に吹き込む。
「ひどいんだよ。大翔……と二人なら、安心だと思ったら……あぁっ」
右手が先ほどまで叩いていた箇所を、円を描くように撫でまわしていた。
「お化けが出てきて、あたしを置いて……、逃げるんだもん」
「あの大翔がね。それで?」
また耳元で囁く。
頬にかかった髪の毛を、耳にかけた。
あらわになった耳朶を舌で転がすと、口に含んで軽く噛む。
「パーフェクトな、兄妹だけど……、お化けだけは、大の苦手なんだって。みんな、どうしてお化けなんか、怖いのかなぁ。」
「早輝はお化けは怖くないんすか?」
わき腹を、腰を、太股を、掌全体で感触を確かめるかのように這わしていく。
「あぁ…うっ…、お化けなんかより、お、お姉ちゃんの方が……よっぽど、怖いよ。だからね、大翔にね、『ちゃんと、ついちょっとね!』って、叱ったの」
「えっ?『そばについている』って言ったっすか!」
愕然として、思わず全身が固まった。
「違うよ。……今も……当たっている所」
言いにくそうに訂正する恥じらいの声。
「え?『当たっている』って…、あ!」
思わず自分の下腹部を覗き込んだ。
「うふふ。」
また笑顔が戻った天使に、思わず小さく咳払い。
「だからね、『早輝みたいな妹もいいかもしれない』って……大翔が言うから、『お姉さんになら、なってあげてもいいかな』って言ったの」
「オトンになったり、弟になったり、大翔も大変っすね」
「これで、全部話したよ?隠し事じゃなかったでしょ?」
その他諸々を白状させると、潤んだ瞳が何かを乞うように見つめている。
「ねぇ、これでも、あたし悪い娘なの?」
「そうっす」
「えっ?」
顔を彼女の首筋にうずめた。
「ガイアークを倒すまでは我慢しようと思ったのに、それを邪魔するなんて、悪い娘っす」
表情を見られたくなくて、顔をぴたっとくっつけたまま頬擦りをする。
「えぇ〜?」
「人の気持ちも知らないで、この娘は……」
彼女の身体を強引にひっくり返して、上から見つめる。
「悪い子で、すぐわがまま言ってオカンを困らせて……」
「えへっ」
「早輝」
乱れて顔にかかった黒髪を、綺麗に直す。
改めて、指と指を絡めあうように右手で握ると、マニュケアを塗った五本の指先が握り返してきた。
「我慢もできないダメなオカンだけど、それでも――君がほしいっす。」
早輝の瞳がゆっくりと閉じられる。
連は、軽く口を開けると、肉感的な彼女の唇をゆっくりと挟み込むように重ねていった。

386名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 10:37:42 ID:DyN/oQ+/
結局一睡もできなかった。
部屋に入ったときは、結構疲れていたはずなのに、全く眠くならない。
ベッドの横には散乱している青と黄色のパジャマ。
久しぶりに感じる胸の重み。
そして、柔らかな素肌から伝わるぬくもり。
手を伸ばすと、いつものように長い黒髪を梳くように撫でていく。
「連……。ごめんね。あたし、連がそんなに悩んでいたって知らなくって……」
連は、瞳を閉じたまま、ゆっくりと首を横に振った。
「元はといえば、俺がいけないっす。あの時、走輔たちにきちんと本当のことを言わなかった。自業自得っす」

彼女にすべてを話した。
早輝の顔についたケチャップを舐めて拭き取った現場を、走輔と軍平に見られたこと。
あの兄妹の別荘で、走輔につめよられたとき、見間違いだと嘘をついてしまったこと。
そして、大翔に嘘を見破られて……。
――フン、それなら俺が早輝を抱いてもいいってことだな?
宣戦布告とも思えた大翔のたった一言で、不安を感じて、早輝と関係を持ってしまったこと。

仲間に嘘をつき、大翔に取られたくない一心で抱いてしまった、その二重の罪に耐え切れず、一度あふれ出したら止まらなかった涙。
そんな連がしたことは、せめてガイアークを倒すまでは、早輝に触れるのを我慢することだった。
ガイアークを倒していない。
自分の夢も実現できていない。
仲間には本当のことを話していない。
こんな中途半端な状態で、欲望だけ満たしてしまう自分が許せなかった。
昼でもできる作業を、わざわざ深夜にやったのは、彼女の部屋に行ったが最後、あの愛らしい誘惑から逃れることが限界になってきたから。

大翔の一言は、必死に忘れようとした。
もしかしたら、本当にカマをかけただけかもしれないと言い聞かせて。
まずはガイアークを倒すことで、メンバーに対してけじめをつけるべきだと勝手に結論つけた。
ムゲンゴミ箱に飛ばされて、早輝が大翔を呼び捨てにしたのは、そんな矢先のことだった。

――大翔、ゴメン。すべては自分の意思でやったことなのに、一方的に嫉妬して、勝手に大翔のせいにしてた。

今になって、ようやくわかった。
ムゲンゴミ箱に早輝と一緒に飛ばされたときは、お化けでそれどころじゃなかったかもしれない。
しかし彼が本気を出せば、連が我慢している間、いくらでも早輝に近づく機会はあったはずだった。
でも、大翔はそうしなかった。
考えてみたら嘘がバレたのに、走輔たちの自分に対する態度は、以前と全く変わっていない。
何かを隠している様子も見られない。

――俺がついた嘘を、自分一人の胸に収めてくれたんすね。最愛の妹にも言わずに。……ありがとう。

それが分かった時、連の中の大翔に対する醜い嫉妬が、ようやく浄化できたのだった。

387轟音青黄「指きりゲンマン」7:2009/01/03(土) 10:40:17 ID:DyN/oQ+/
「俺、この間キレイズキーとの戦いで、つくづく思ったっす」
子供に絵本を読み聞かせる母親のように、優しく問いかける。
「早輝は、今まで出てきた炎神合体と炎神武装、全て言える?」
「え?えーっと、エンジンオーでしょ?ガンバルオーにセイクウオー、キョウレツオーに炎神大将軍、エンジンオーG6、エンジンオーG9、エンジンオーG12……」
いきなりの質問に、指で数え始める姿が愛しくて、よしよしと頭を撫でる。
「それは炎神合体っすね。炎神武装は、エンジンオーバルカにエンジンオーガンパード、エンジンオージェットリプター。ガンバルオートリプターに、ガンバルオージェットラス、セイクウオーバルカにセイクウオーガンパード……」
「すごい!そんなにあるんだ」
「他にも俺たちの知らない合体があるかもしれないっすね。でもね、バスオンとベアールVは炎神武装できないから、俺と君は合体ロボを離れて操縦したことは今まで一度もないっすよ」
「あっ、ホントだ!」
「俺たちはいつも一緒っす!離さないっす〜」
ギュッと抱き締めながら、ベッドの上でごろごろ転がる。
「最初に走輔と軍平と三人で残された時、軍平は俺しかいなかったから炎神合体が出来なかったっす。もし、幼稚園の所にいたのが俺じゃなくて、範人や大翔や美羽だったら、初めから2体で戦えたのに」
スピードル、バスオン、ベアールVどれか一つ欠けても合体出来ないエンジンオー。
「走輔にはキョウレツオーという第二の相棒がいる。だから、この間二人でエンジンオーを操縦した時、俺にとって君は必要不可欠な存在なんだなってつくづく思ったっす」
「うん♪」
スマイル満開な彼女に、ちょっとせつなそうな目で言った。
「だから、また我慢する」
「連……」
とたんに泣きそうになる彼女に、ごろんと体の向きを変えて上になると、両手で頬を挟んだ。
「まだガイアークを倒してない」
「……」
「夢だって実現できていない」
「……」」
「自分勝手なのは分かってる。でも、こんな中途半端な気持ちで、早輝と付き合うのはやっぱりできないっす」
「連……」
「俺は早輝のことが好きっす」
真摯なまなざし。でも、口調はあくまでも穏やかだった。
「だからこそ、まずはガイアークを倒してから、正々堂々と付き合いたいっす。そして、俺はレーシングのメカニック、君はケーキ屋さん、お互いの夢に向かって諦めずに一緒にがんばっていきたい。そして、それが実現できたら…」
その先は、彼女の耳元で囁く。
「約束する。俺はオカンとしても、男としても、ずっとそばにいて早輝のことを守る。だから、ガイアークを倒すまで待っていてくれないっすか?」

――スマイルスマイル、このジュースを飲めば夢が叶うかもよ。

サーキット場で初めて会った時、かわいい売り子さんが言った言葉。
ウガッツたちのせいで、そのジュースは飲めずに終わっちゃったけど、だからこそガイアークを倒して夢を叶えたいんだ。

「連、あたしも頑張る。今まではこうなるといいなと思った事は、大体うまくいかないと思ってた。でも、連と一緒なら頑張れる。だって、夢は諦めたら終わりだもんね」
頬から手を放すと、ゆっくりと彼女の前に小指を差し出した。
「うん」
耳まで顔を真っ赤にさせながら、早輝も小指を出すと連のそれと絡める。
ようやく、お互い笑顔で見つめ合えるようになった。
「絶対実現してみせるっす。だって、俺たちは離れられない運命だから」
連は爽やかな微笑を見せると、小指を絡めたまま、そっと誓いのキスをした。
<終わり>
388名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 10:44:04 ID:DyN/oQ+/
以上です。
今回ので>>49>>162の青黄の完結編になります。
さすがにもう新しいロボは出ないと思いますが、数を間違えていたらすみませんm(_ _)m
あとタイトルをNGワードにしたくせに、>>386にタイトルを入れ忘れて申し訳ありませんでした。
389名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 12:01:37 ID:me44w4z6
>>388
ぐっじょぶです!

完結して少し寂しいですが、次回作も期待しています
ありがとう
390名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 14:02:05 ID:avcY3rWp
>>388
新年早々ええもん拝見した!GJ!!!
391名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 15:32:49 ID:cyZ9HUzO
来週は青黄なのかな・・?
392名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 21:02:31 ID:pawBaJrc
>>388
GJ!いつも可愛い青黄ありがとう!!
また気が向いたら青黄や他カプ投下して下さいな
393名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 23:08:12 ID:RX/uKmJu
>>388
いつも、ええ青黄をごちそうさまです。
こっそり、次回作も期待しております。


来週の予告見ると、
もしかして、もしかして、とうとう来るのか青黄〜!!
ボンちゃん回だと思って、油断してたので、ビビッた・・・。




でも、あまり期待せずに待っていたほうがいいのかも・・・
落胆したくないので
394名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 23:51:00 ID:KNARGUC6
この時期だし、公式になったら最高だけど、
ならなくても、二人の特集回があって本当によかった。
次回が楽しみ!!!!!
395名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 00:37:22 ID:Ar5d63nM
今日のG5プリンスで
美羽の思わず言った「かっこいい〜vvv」は
走輔に対してだと妄想しております・・・・w


しかし緑だけズボンが少し短いのがワロタw
可愛かったけどなー
396名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 00:42:49 ID:nLJLHyac
銀は非日常的な赤が好きなんだろう
喋りさえしなければルックスは好みドンピシャみたいなw
397名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 13:55:58 ID:NR3uYgD9
俺たちには曲がない
曲、あるよ
アニがHeroのバーのマスターに見えた
>>396
なんか納得w
398名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 20:22:29 ID:6HtAQD5I
>>393
「君とギュッと」の歌詞が青黄の歌にしか聞こえない俺重症っス
並んで座っているのを予告でやるなよっと思ったけど、
臨終トークの二人に比べたら、まだまだだなぁと思ったりw
399名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 23:43:45 ID:L57Jjw1K
臨終トークは破壊力大だったからな!!
自分もあれ見たさにDVD借りたし。
轟音は単体だから残念。みんなで楽しくトークのほうがいいのにな〜
400名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 15:26:08 ID:An3aXhWr
臨終トーク・・・そんなにおいしいのか・・!
ゲキでは黒緑だったから
レンタルしに行かねば。
まさかここのスレで思わぬ情報をありがとうw
401名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 17:25:00 ID:EpwCvMmw
リオメレは良かったよな〜

映画楽しみ
402名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 17:41:35 ID:0zKKVmq1
>>400
前スレでも話題に上がったが、あれはすごい

ロンも加わってからももっとすごくて
3P妄想までしてしまった当時
403名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 19:31:34 ID:DBsb+etg
そういう意味で、ゲキの黒緑は凄いなと思う。
本編のDVDもそうだし、ボウケンVSゲキでもインタビューもそう。
空劇(本人)でもちゃんと見せてたし、プロだなと思ったよ
404名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 22:38:00 ID:F7utexvk
このスレではダイナマンってまだやってないよね?
劇中では青と桃がよく一緒に行動していた印象あるからこの2人のSS見たい
405名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 23:16:09 ID:RDR+8q4h
正月休みで実家に帰って、リアルタイム時の戦隊ビデオを整理がてら見返してた。

…いつかブーバ×シーマとか、ビリオン×ソーラとか、グレイ×マリアとか
書けたらいいなあと思った、悪役スキーな冬。
406名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 23:33:59 ID:bojiQ489
>>403
ボウケンVSゲキの黒緑は萌えるよね〜
黒の前髪をかきあげる緑に。。。
そこばっか何回も見ちゃった
407名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 08:32:08 ID:YhsrWnYq
最後のホテルから出たシーンで、
黄色が荷物手放して座敷わらしの前に出た時に
緑がちゃんと持ってあげてたのが和んだ(´∀`)
408名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 10:35:09 ID:HpwenIss
>>407
MJDK!
もう一度ちゃんと見てみよう!
自分は緑黄が一番好物なんだ。
409名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 00:41:59 ID:/NIZSxSH
明日は待望の青黄メイン回だな
これまでありそうでなかったからwktkすぎる!
ここの神作品や本編で隣に並んでるだけで萌えまくってた自分は
明日の放送耐えられないかもしれんw
410名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 13:41:25 ID:8EXDufr0
黄の前髪が長すぎる。
せっかく可愛いんだから…。
青黄期待しすぎていたせいか思っていたよりツボが少なかった。
青黄大好物なので、盛り上がりすぎた自分が悪いんだけどさ。
しかし、並んでいて絵になる二人だと再確認したぞ。
411名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 15:58:15 ID:qQKkUOuq
青が黄色に触らないのがね>ツボの少なさ
男にはベタベタ触るのにw
だから、ノコギリバンキの回で脱出するとき黄色の肩をがっしり掴んでいたのが意外だった
412名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 17:48:25 ID:uVkxsYMa
今日はあの出会いのときのやりとりをやってくれただけで禿萌えたんだけどw
お互いにしっかり覚えてるとか何あのむず痒いカップル!



フィルターかかってるだけですかそうですかorz
413名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 22:02:35 ID:61rZ1ypE
>>412
そんなことないッス!
公式サイトの別角度からジュース渡している写真が禿萌えッス
414名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 22:10:06 ID:s4dBTcR0
やっぱり黒は女装緑に惚れてるのか?
予告でニヤニヤが止まらないのはもう何回目だろ
415名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 22:23:49 ID:Ib8GpS30
今回の青黄なごんだわ〜
オカンと娘といわれようが、自分の中では嬉しいエピソードだった。
ありがとう、スタッフ〜!!
416名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 22:40:43 ID:1nk2vda8
番組中や本スレで幾ら青がオカンといわれようが、自分的にはただの兄さんにしか見えないので
(ボウケンブラックもそうだったけど、子育てしたこともない10-20代の男がオカン臭出すのは
相当演技力ないと無理。ましてや演技経験浅い新人をや推して知るべし。
デネブの味はキャリア何十年のベテラン声優あったればこそ)
普通にカップルでOK>青黄
417名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 00:07:12 ID:xqSisfoH
ここの青黄率はとんでもないなw
雑食の自分からすると小さな材料でも盛り上がれるのは裏山だよ
418名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 00:09:05 ID:wqFvCwoq
青の(腐含め。男女カプいける腐は意外に多い)オタが多いからだと思う
419名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 07:10:29 ID:FhBDW76s
「早輝こそ飲んだ方がいいんじゃない?スマイル固いっすよ」
「…バレてた?」

ここのやり取りが良かった
420名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 12:18:52 ID:Yfr95vXH
>>419
あのやり取りいいよね。一方的に励まされるんじゃなくて。あと、
「あれから、あたしたち、つらい時でもいつも支え合ってきた」
なんてセリフをさらっと言っちゃう黄色にドキドキした。

>>414
さなちゅに落ちたくらいだから、ノーマルだと思いたいが…。
軍平って、結構周りをよく見てるから、銀も黄も売約済みだから女装緑、と思いたいが…。
どう見ても、かわいい女の子が二人もいるのに、女装緑が好きって風にしか見えないよねw
421名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 00:16:47 ID:tYxaDOqM
普通に黒→女装緑の話題が続けられているのにワロタ
何板かと思った

男女CP好きな腐女子は確かに多いようだな?>>418
過疎ってるから仕方ないのかもしれないが…
ネタだとしても男同士のカップリングの話題にはあんまり乗る気になれない
422名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 00:38:56 ID:vooMaWOV
そういえば黒は女子とのからみが少ないよな。
黄とはさなちゅの回であったけど
あまり仲良しっぽくないし・・(抱っこして思い切りビンタくらい?)
銀ともうちょっと絡んで欲しかったなぁー
423名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 11:38:02 ID:ua4hsjpE
腐じゃないとは言わないけど青ヲタじゃなくて黄ヲタなんだけどな
女性多いジャンルなんだし「腐」っていう書き込みに傷つく人もいると思います

「男・男カプはスレ違いじゃないの」って事実を指摘だけにとどめといて欲しい
424名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 21:38:22 ID:tYxaDOqM
キツイこと言うようだけど、腐って言われたくないなら腐っぽいレスしなきゃいいんじゃないの。

その人が実際に腐女子であるかどうかが問題なんじゃなくて(実際がどうとか分かるわけ無いし)
スレや板違いの発言につい突っ込んでしまうだけだ。
(あくまでも自分は。418の意図が奈辺にあるかは知りません)
傷つくとか意味が分からないんだけど。
425名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 23:11:44 ID:U+MdR/5o
>>422
初期はともかく、一緒に海で水かけっこしたり、バタバタ鳥の真似してまっせ>黒と黄
黒と銀の絡みは、もうちょっとほしかったのには同意。

っていうか、ネタでもここではNG?>黒と女装緑。あとは、百獣の青と黒とか。
さすがにカップルとしてSS投下するのはどうかと思うけど。
426名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 00:30:34 ID:lft+l+Vv
>>424
今は腐女子っていうのはいわゆるキモヲタみたく偏見じみたレッテルになってるでしょ。
腐っぽいレスを控えてる人でも、「腐女子」って字面を見るだけでギクッとしたりもするわけ。
2ちゃんだろうが何だろうが、
できるだけ読む人すべてに配慮するのは二十歳以上の常識だと思うけど。
427名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 07:30:59 ID:suNo/v2s
きりがないから腐女子の話題は終了。これからはそれぞれ気をつけよう。


お化け屋敷のところ何度も観てるけどやっぱり金黄萌える
428名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 10:23:38 ID:x5MfJFd7
クリスマスの話は変わった組み合わせでよかったよね。
金黄、可愛かった・・・。
銀緑は萌えはないけど可愛い姉弟でしたな。
429名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 22:30:24 ID:FjJa36mJ
ぶったぎりだが
今更06冒険者の黒黄が懐かしくなってDVD見た。
ちょうど二年前の今ごろは黒がグレて失踪して、黄がショボンとなってた時期だった
残されたアクセルラーとユニフォームを握り締める黄がカワイソス

黄が心を無くして武器化したときに引き戻したのは黒、
黒が自分を見失ってグレてた時に引き戻したのは黄なんだよな。
まあその前に黄を拾って育てたのは黒だし
敵に騙された黄を我に返したのも黒の「お前が可愛かったからだー!」攻撃だし
最終回前に戻った黒が一番最初にしたのも黄を助けることだし、お前どれだけ黄を愛してるのかと。
さっさとくっついてしまえばいいと思うが、仮にくっつかなかったとしたら
こいつら他に結婚相手って見つからなさそう。
黒にとって黄より大事な女はできそうにないし、黄は「真墨を一人にできない」と変にお姉さんぶりそうだし
430名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 23:47:35 ID:TIbOp6rK

個人的なイメージだと冒険の黒黄がくっつかなかったら
(銀or青or一般人の男性)と黄が恋人になる→黒、娘をとられ荒れる→2年後くらいに黒も恋人できる
って感じかな。黒は確かに黄の保護者ぶってる間は他の女性に恋したりできなさそう。
431名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 00:25:38 ID:T0Sojnbf
冒険黒の中の人は「最終回で指に(結婚)指輪があってもいいかもw」と言ってたのに
黄の中の子が「恋愛とかないですから!」と全否定したんだよな。あれはちょっと惜しかった
見るほうの想像に任せますくらいにコメントしてくれれば良かったのに
432名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 03:35:18 ID:fgS4xdJV
そうだ、赤桃より先に黒黄がくっつけば
ある意味真墨は念願の明石越えが叶うと思うんだ

ちょっと妄想してくる
433名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 05:35:20 ID:GHgSEzvE
そういえば「冒険の銀×黄書いてみる」って人いたけど投下されてないよね。書きあがらなかったのかな?
無理にとは言わないが読んでみたかった
434名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 08:05:49 ID:pMgNvRCU
自分の中で冒険は
赤桃銀のアダルト三角関係と
黒黄青のヤング三角関係のイメージw
まぁ、青にはシズカちゃんがいるけどね。
435名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 08:06:48 ID:T0Sojnbf
>>432
チーフより先に童貞喪失というわけですね、わかりま

436名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 11:01:56 ID:H7UphDEk
>>434
冒険青には猫ちゃんも
437名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 15:33:06 ID:TeobI8n2
435

冒険赤も黒も童貞だったのか・・・w

激赤は童貞だろうけど他の面子の女性遍歴が知りたいww
438名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 16:49:56 ID:OM3hndpM
激赤はすでに獣姦でry
439名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 18:03:05 ID:9O32u+bm
激黄は激青が初めての男だろうな。wktkwktk!
440名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 20:11:41 ID:VgGr3wSe
ふと考えてみたが、女性キャラって殆どが処女なイメージだな。戦隊だからだろうか。
聞きたいんだが、これは処女じゃなさそうってイメージのキャラいる?
441名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 20:35:56 ID:H7UphDEk
>>440
魔法モモ芳香ちゃん
442名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 20:45:52 ID:9WqXITyy
自分もほとんど処女のイメージだな……。
逆に敵キャラの女性は全員非処女だろうな。


魔法の桃といえば、敵の綿飴みたいな奴と仲良くなってたから期待したのになぁ…
敵と味方の恋とかあんまり戦隊ものでみたことないんだが、今までになんかあったっけ?

話題豚切りスマソ
443名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 20:55:26 ID:ECok/JKf
敵と味方………カーレンでなかったっけ?
444名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 23:09:38 ID:qSw0wc5i
>>442
マスクのイガム王子は確実に処女。
家名のために王子として育てられた姉と、ごく普通に心優しい姫として育てられた妹。
あまりに違いすぎる双子の姉妹が、同じ男を愛してしまう。
そんな妄想をしていた時期が、自分にもありました。

>>443
マスクで、タケルと美緒=イアル姫(心情はともかく所属は敵組織)
ジェットで、竜とマリア=リエ
カーレンで、レッドレーサー=恭介とゾンネット
アバレでアスカとジャンヌ=マホロ

本編に影響及ぼすレベルの敵味方恋愛は、知る限りじゃこんなとこ。
445名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 00:36:52 ID:5pf2QEXN
まあマホロは処女じゃなかったが。

らんるは昔つまらん男に引っ掛かってそう。あとはやっぱ芳香ちゃんかなあ。
446名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:03:07 ID:NWRLFyWh
>>444
敵味方に分かれるとどうしても悲恋になる中、
カーレンは斜め上に成就してうれしかったw

同じノリでちょっとでもいいから
轟音緑と礼奈さん=ケガを期待できないかな…
447名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 01:33:59 ID:UsWgah02
轟音緑とレナさん好きだったのになー

年上好きのC調男と微妙に天然の巨乳美女
最高じゃないか
(特板の本スレに一人?強烈な緑×ケガアンチがいるのが時々ウザイな…
恋愛展開アンチというよりは緑ケガ固定で嫌ってるみたい)
448名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 09:11:15 ID:nHYRQ8I6
自分は緑ケガ苦手・・・。
でも本スレには書き込んだことないよw

話は変わるがジャスミン・梅子は処女かなぁ・・?
ジャスミンは色気がありすぎるし、
ウメコは悪い男にだまされやすそう(プロポーズパニックのように)
449名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 10:29:20 ID:JH7t9Vwz
意外とウメコよりもジャスミンの方が生娘かもしれん。
手袋はめたままだと、男痛がりそうだし。

ケガ様は、どちらかというと緑よりも黒と絡んでほしかった。
4話で腕撃たれた時も、あっさり回復しないで、そのまま傷として残して因縁とかあったらなぁと。

そんな黒は、素人童貞だと思ってるw。他の4人は非で。
450名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 14:09:44 ID:UsWgah02
轟音は青と金はガチで非だと思うけど赤は怪しいなw
銀は非処女だと思ってる
451名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 18:24:07 ID:1LdeesOJ
>>450
銀はいろんな意味で兄貴を乗り越えなきゃいけないからなあ。
452名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 19:20:34 ID:dBzrN4d+
>>450を見て近親相姦が浮かんだのは俺だけですか?
453名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 15:59:38 ID:HqHRfRxD
>>452
よう、俺
454名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:21:55 ID:T7wqqlrr
>>450 ノシ
金銀結構好きなんだけどここではあまり見かけなくて寂しいな
やっぱり兄妹ってのがネックなのかな
そこが燃えるんだけどな
455名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:46:30 ID:/vXPYbeU
予告の金銀にちょっとときめいたのは、俺だけ?
456名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 17:50:39 ID:UsQrZCpd
>455
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ 来週はwktkして眠れなさそうだ
457名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 18:12:30 ID:jia2ifWx
>>455
同じくw
予告の抱擁だけで
今はお腹いっぱい満足です、先生

なんかリオメレを思い出した
458名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:35:24 ID:iC2hFRw9
金銀の抱擁はヤバイ・・・w
うっかり萌えそう。
近親相姦は嫌いなんだが・・・。

金銀が兄妹じゃなければたまらんCPになってたなー。
459名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:54:16 ID:NmPyB3rX
金銀はエロなしでも全然いけるw
460名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:04:48 ID:dPXAtGYe
裸の青に傷の手当てをしてあげている黄に禿萌えた。
欲を言えば、もっとアップで映してほしかった。

>>458
軍平が刑事じゃなかったのだって左京さんの回で判明したくらいだから、
次回の放送でいきなり「実は血がつながってませんでした」
とかあってもいいと思うんだ(願望)。
461名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:52:49 ID:k8eXwh2T
金銀は直接的なエロがない方がエロいと思います先生

>>460
スレチどころかイタチだが、あの時期にアレは正直ないわwwwと思った>軍平は刑事じゃない
後付にも程がある
462名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 12:47:12 ID:Y50hf5n+
金銀、実はいとこ同士でした!とかも面白い。金(or銀)は、親の兄弟の
子供で、その人が病気か何かで亡くなってしまって、子供の頃に引き
取りました、みたいな。いや、実兄妹でも、全開萌えられるけどね!
463名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 14:13:18 ID:CF4V52nU
でも今更実兄妹じゃありませんでした、だったからかえって嫌だな…
「結局それかよ…」みたいに思えそう。

実兄妹だからこその絆な感じがすごい好き。
464名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 16:41:47 ID:E+Wd5VPq
空気を読まずに申し訳ございませんが本編でどうこうなってしまう前にゴーオン青銀投下いたします。
時間的には『学園ノヒミツ』当日です。
タイトルは『全てを捧げる術』駄目な方はNGワード設定でお願い致します。
465全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:43:58 ID:E+Wd5VPq
前スレの続き物となっております。

マホウビンバンキとの戦闘も終わり、美羽は湯島の後を追いかける。
その様子を微笑ましく見守りつつ大翔は連に近づいた。
今日の合体解除は不可解な事が多すぎる。
どこからか向けられた攻撃の正体も判明していない。
お互いのデータを付きあわせて調査する必要があるだろう、と言う。
「そうっすね、その方がいいっす。」
ひとりならわからない事もふたりなら、と連は了承。
湯島にパソコンを渡して戻ってきた美羽を含め一度全員ギンジロー号へ向かうと
そのまま須塔家別荘へ直行した。
美羽が手料理を振る舞う、と告げ早輝、軍平、範人、走輔が万歳する中、
連は大翔の実験研究室に案内される。
ギンジロー号よりも充実した設備に溜息をつきながらも連は大翔と共に作業を始めた。
ああでもない、こうでもない、と話を付きあわせて。
「・・・やっぱり今の時点ではどこにも異常は見られないっす。」
一通り炎神たちの細かいチェックを完了させて連は呟く。
「こっちもだな。やっぱりあれは一時的なものか。」
正体不明の攻撃について思慮や可能性を呟く大翔の表情も険しい。
何もわからない、という事は今度同じ攻撃が来ても対処しようがない、という事。
「油断できないな。」
もう一度大翔は呟いた。
「そうっすね。」
連も相づちをうつ。

466全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:45:36 ID:E+Wd5VPq
互いに小さく唸りやはり向こうの出方を待つしかないか、という結論が出たところで美羽から機械越しに夕食の支度が出来た、と告げる声が届いた。
連がその言葉に返事をしつつほっと一息つくと、大翔が苦笑いを浮かべる。
「??どうしたんっすか、大翔。」
その笑い方があまりにも人の悪い様子でしかも自分に向けられたものすぎて連は疑問符を表情と言葉に表した。
「いや別に。ただ・・・。」
「ん?」
「どこまで進んでいるんだ、美羽と。
俺の髪の毛が数本、最近逆立って仕方ないんだが。」
大翔の発言に連はもう少しで手に持っていたバスオンを床に落とす所だった。
そうならなかったのはバスオンへの友愛だろうか。
とにかく心の動揺を連は押さえ込みややぎこちない笑みを取り繕った。
その様子があまりにも滑稽なのか、大翔は肩を揺すりながら言葉を紡ぐ。
「関係を隠したいならそれでもかまわんさ。美羽がそうしたいって言ってるんだろうし、
他の4人も知ったら驚くし放っておくわけもなくうるさく騒ぎ立てるのが関の山だしな。」
「いやあの大翔、髪の毛が逆立っているのはきっと冬の静電気の所為で俺は・・・。」
美羽の誰にも内緒、という気持ちを胸に、俺は、のあと繋ごうとした言葉を連は飲み込んだ。
笑ってはいるが、大翔の目は真剣そのもの。
「知らないふりはしていてやる。それが美羽の望みなら。
だけど泣かせたらどうなるか、わかっているだろうな?」
こちらを逃がさない瞳。
「アイツはお前が思っているよりも子供なんだ。ずっとずっとな。」
普段大翔に合わせてクールに振る舞い、ひとりでなんでもできる顔してみんなの世話をやきたがるけど、
本当はちゃんと一緒にいてやらなくてはならない存在。
「・・・わかってるっすよ。」
今の時点で言える言葉はそれが精一杯。
「わかっていればそれでいい。行くぞ。折角の料理が冷める。」
大翔は連の肩を叩くと地下室のドアを開けるのだった。
467全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:47:01 ID:E+Wd5VPq
その日の夕食はありあわせ、と美羽が言うのが納得できないほど豪勢で皿はあっという間に空っぽ。
「もー俺動けねー。」
「俺もだ。」
「僕もー。」
胃袋の満足感で幸せそうに床に転がる走輔、軍平、範人。
「もう、お行儀悪いよー。」
ゴーオンジャーの娘、こと早輝はぷんぷんしながら下膳を手伝い、大翔はあきれ果て、美羽と連は笑いながら皿洗い。
「ホント、あの3人牛になったらどうするつもりかしら?」
「その時は頑張って闘牛なみにガイアークに突っ込んでもらうっす。」
「やだ、それじゃぁ今と変わらないじゃない。」
「それもそうっすね。」
何気ない会話、隣り合う時間、ささやかな幸せ。
全てを片づけ終えた時はもうだいぶん遅い時刻を時計は指していた。
「ねぇ今日は泊まっていったら?兄もいいって言うと思うから。」
美羽は少し、ドキドキしながら提案した。
もっと一緒にいたい。
その言葉は飲み込んで。
連は自分の顎に指を添えると少し考えこんだ末、口を開く。
「それじゃ4人をお願いしていいっすか?」
「4人?5人じゃなくて?」
「そう、まずあの3人、きっとあのまま寝てしまうっすから。」
確かに須塔家は床暖房が効いていて暖かい。
実際3人とももう、幸せそうに目を閉じている。
毛布の一枚でも被せれば完璧だろう。
「それに早輝にも、大きいお風呂に入らせてあげたいし。」
いつもギンジロー号の狭いバスルームで我慢している彼女に一時の幸せを。
「俺はギンジロー号に戻るっす。もう少し、今日の出来事を解析したいんっすよ。
こっちのシステムもいいんっすけど使い慣れた方がやりやすいんで。」
それは表向きの言い訳。
本音は連なりのけじめと配慮。
大翔に申し訳ない気持ち。
彼の大切な妹であり処女である美羽に自分のアレを飲ませたなんて出来事は、あの時なりに仕方がなかったとしても連の中では罪の意識に他ならない。
あの出来事がきっかけで美羽に思いを告げ、また彼女の思いを知る事が出来たのだけれど、順番が違ってしまった事実は打ち消せない。
お泊まりは駄目だろうの気持ちは間違っていないはず。
「・・・連がそうしたいなら。」
美羽は一度俯くも顔を上げ微笑み早輝に声をかけるため連に背中を見せた。
その背中が淋しそうに見えたのは錯覚だと連は思いこむ事にする。
468全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:47:41 ID:E+Wd5VPq
とにかく自分はギンジロー号に戻り大翔と付きあわせた結果をもう一度自分なりにまとめた。
出てくる結末は二人で考えた時のものとは変わらない。
思わず大きな溜息をついた。いつもならここでボンパーが何か口を挟んでくるけど
今は出来る限りの機能を停止させ、充電に勤しんでいる。
ガイアーク反応がない限りウェイクアップしないだろう。
それでは自分もシャワーを浴びて眠るとしようか。
そう思い器具を片づけ始めた所で訪問者が現れた。
「連、もう終わったの?」
何やら片手に小さなバスケットを持っている美羽。
「うん、丁度今終わって風呂に入ろうと思ったところっす。それよりどうしたんっすか?」
「えー・・・・と、差入れ持ってきたんだけど、ちょっと遅かったかな?」
ずれてしまったタイミングに決まり悪そうな顔。
「いや、小腹もすいたところだったっす。」
そう言ってバスケットを受け取れば暖かいスコーンがほっこり顔を覗かせた。
「もしかして今焼いてきてくれたんっすか?」
その言葉はぱっと薄紅に染まった頬と無言の頷きで肯定される。
「ありがとうっす。今お茶入れるから美羽もどうっすか?」
「うん・・・。」
嬉しそうに、だけど恥ずかしそうにもじもじしながら美羽は頷いた。
ふたりだけの小さなお茶会。
何だか照れくさくてうまく会話も出てこない。
話したい事、たくさんあるはずなのに、ただバスケットとティカップが空になるだけ。
そういえばこうやって二人きりになったのは互いの気持ちを告げて以来。
あれからこっそりとメールのやりとりをしたりとか、ふと視線を絡め微笑みあうとか
そんな事は何度か繰り返してきて少しずつ暖めてきた関係。
まるで違うクラスの同級生と恋してる中学生みたいだ、と思いもするけれど
学校に通った事がない、という美羽には新鮮なのだろうと連は思う。

『アイツはお前が思っているよりも子供なんだ。ずっとずっとな。』

(わかってるっすよ、大翔。)

心の中で呟く。
469全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:48:36 ID:E+Wd5VPq
「さ、そろそろ帰るっすよ。」
日付変更線を越えそうな時計の針を気にして連は美羽を促した。
彼女の家の敷地の中とはいえ、戻るべき場所があるなら戻さなくてはならない。
「うん、でもほら連、お風呂入ってきたら?片づけは私がやっておくから。」
あぁ、こちらの為に何かしたいのか、と連は解釈する。
本当に世話好きで何でも放っておけないのだと今更ながら認識して、
それでいて彼女のそういう気持ちを満たしたくて。
「わかったっす。それじゃぁ頼んだっすよ。でも洗い物が終わったら帰るんっすよ。おやすみ。」
一応念押ししてからバスルームに。
それでも何だか落ち着かなくて早々にマシンルームへ戻る。
しんと静まりかえっている部屋。
リビングにもいない、キッチンも綺麗に片付いている。

帰ったのか。

ほっとしつつもどこか淋しい気持ちを抱えながら連はギンジロー号の鍵を閉めた。
改めてギンジロー号の中を見回す。
さっきまで彼女がいた気配はどこにもない。
せめて抱き締めてキスぐらいはすれば良かったと後悔しつつ連は自分の部屋に足を踏み入れて。

固まった。

油断した。

連は思わず唾を飲み込む。

ベッドの上で膝を抱え、こっちを見つめるきらきらの瞳。

「美羽。」
呆けそうな自分を慌てて叱咤し、連は美羽に歩み寄る。
「駄目じゃないっすか、ちゃんと自分の部屋に戻るっす。」
彼女の前に跪き暖かさと厳しさを織り交ぜながら言い諭す。
「言い忘れた事あったから。」
彼女は連をまっすぐ見つめて微笑む。
「何を?」
連は彼女の隣に座り直すと尋ねた。
「あのね、お弁当、凄く嬉しかった。」
「あぁ、あれっすか。」
潜入捜査の為学園に行く時作ったお弁当。
「あのお弁当があったから私、魔法にかからなかったんだよ、きっと。」
連の愛情込めたお弁当が私の体の中に染みこんでいて、湯島の魔法なんて吹き飛ばした。
「魔法って、そう言えばどんな魔法だったんっすか?」
意外な展開になった巨大戦の事で頭がいっぱいになったのと、
取りあえずはマジックワールドからの落とし物については解決していたのとで
今日何があったのか詳しい話を聞いていなかった。
「あのね、自分を好きにさせる魔法。」
「は?」
「あいつ、私の事彼女にしようと思ったみたい。僕にキスするんだ、だって。」
美羽の言葉に今度こそ連は本気で呆けてしまった。
470全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:49:19 ID:E+Wd5VPq
何だそれは?

「ホント、女の子を馬鹿にしてるよね。」

馬鹿にしてるの範疇を越えてるってやつだ。

「ま、でもマホウビンバンキ倒すのも手伝ってくれたし、心の底から悪い奴じゃないんだけどね。」

十分悪い奴だ!!

「あの後一緒に戦おうって言ったし、なんていうか放っておけないよね。」

頼むから放っておくんだ!

「美羽。」
「なぁに?」
美羽の真っ直ぐな瞳に曇りはない。
今更ながらに連は大翔の言葉を噛みしめる。
ホントに、ほんっっっとうに美羽はこっちが思っているより子供だ。
というよりか、こっちの面々よりお人好しすぎる。
大翔が手放さないわけだ、と思わずにはいられない。
「えっとっすねぇ・・・。」
なんと言い聞かせればいいのだろう。
「男はみんな狼なんっすよ。」
ありきたりな言葉しか思い浮かばない。
美羽は思わず吹きだした。
「何それ?」
くすくすと肩を揺する姿は愛らしいけど。
「だから。」
連は真剣な表情で美羽の顔をのぞき込んだ。
置いた一呼吸で美羽も笑うのをやめる。
「だから、こうしている今も、美羽は俺に襲われるかもしれないっすよ。」
淡々と、できるだけこちらの気持ちを消して。
「俺の頭の中で自分がどうなってるかわかってるんっすか?」
それは脅しに似た警告。
「この間の、その・・・あれじゃぁ済まない事に、なるかもしれないっすよ。
きっと湯島ってあの子も、そんな事考えてたかもしれないっす。」
そういう事を。
「ちゃんとわからなくちゃ駄目っす。」
おかんの顔でそう言えば美羽は真っ直ぐだった顔を少し俯かせた。
「美羽?」
言い過ぎただろうか?
でも・・・。
471全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:49:57 ID:E+Wd5VPq
連は次の言葉を探そうとして、顔を上げた美羽の視線の所為でそれを放棄した。
「ねぇ、私連が思っているよりずっと大人よ。」
切ない目が訴えかけてくる。
「子供扱いや娘扱いしないで。そんな事されたくて一緒にいたいわけじゃない。
おかんしてる連は嫌いじゃないけどそれだけじゃ嫌なの。」
細い腕が連の首に絡まり抱きついてくる。
「みんなに内緒の分、ふたりの時はもっとこうしていたいの。
それとも、こうやってるのは子供の我が儘だって勘違いしてる?」
どこか苦しげな吐息。
「・・・ちゃんと女の子扱いしてるから帰って欲しいって言ってるんっす。」
そういう対象だから駄目だと思うのに。
「もっと連の特別でいたいの。連の物になりたいの。」
湯島の事を口にしたのも。
「ヤキモチ妬いてほしいからに決まってるでしょ?」
そうでなくちゃ、あんな事思い出したくもない。
「私の事どうにかしていいのは連だけなの。」
本当はね。
普段の距離があまりにも遠くて淋しいなんてきっと連は気がついていない。
「凄く片思いの気がしてる。」
最後の声は震えていた。

しんと静まりかえる部屋。

美羽が最後に発言してからどれぐらいの時間が経ったのか、ふたりはわからない。
ただ、連は美羽に無言で口づけた。
最初は今にも泣きそうな彼女を慰めるように。
だけど少しずつ触れる時間も舌を伸ばす距離も長くなっていく。
ジャケットのファスナーが下げられる音、部屋に響いて。

「俺の愛情は、もの凄く重いっすよ。潰されるかもしれないっすよ。」
連は呟く。
「・・・それでもいいよ。」
不安で押し潰されるよりもそっちの方が幸せ。

だから。

「好きにして。」

その言葉に連は目を伏せる。

大翔。

悪いっす。
472全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:51:26 ID:E+Wd5VPq
連の胸の中で顔を埋め動こうとしない美羽。
部屋が明るいのが嫌なのだろうと気がつき連はメインの照明を消す。
改めて脱がそうとしてもいやいやと首を横に振られる。
あぁ、なんだかんだ言いながらもやっぱり怖いのか。
そう思ってやっぱり今夜は抱き締めるだけに、と髪を撫でれば少し恨みがましい瞳が連を見上げた。
「私、子供じゃないって言ってるでしょ?」
そう言ってまた連の胸の中に顔を伏せる。
いろいろ考えを張り巡らせた結果、連の視線は間接照明に止まった。
「もしかして本当に真っ暗じゃないと嫌なんっすか?」

こくん。

小さな頷き。

あぁ、それじゃぁ美羽の美しい全てをじっくり鑑賞できないな、
と思いつつも連は笑いながら部屋を真闇の状態に作り替える。
ぎこちなく固まっていた美羽の体が少しだけ脱力したのが感じられた。
「俺のを口に入れるのは大丈夫だったのにおもしろいっすね。」
思わず笑ってしまう。
「ひ、人に、連にするのはいいのっ!されるのは凄く恥ずかしいんだからっ!」
そう言うと美羽は拗ねたように連に背中を向けた。
「悪かったっす。」
連はそんな美羽にうしろからぴったりと張り付く。
そっとジャケットをかき分け服の裾をめくり上げる。
素肌を撫で上げながらこちらを向かせて下着のワイヤーに沿って唇を這わせた。
美羽から泣きそうな声が挙がる。
恥じらえば恥じらうほど愛しさが募った。
淡く形が定まらない声に燃え上がる。
服の隙間から覗く臍に口づければぴくんっと体が跳ねるのがわかる。
それと同時に止め金を外して上半身から纏う物を全部脱がせる。
揺れた胸は暗闇の中でもくっきりと浮かび上がった。
その柔らかさを手のひらで包み先端の小粒を指で転がす。
美羽の琴線に触れたのかシーツの海が大きく波打った。
ぎゅっと閉じている太股を撫でて緩めさせ、柔らかで繊細に整えられた鳥の巣を探れば
本当に小さな卵が幾重にも重なりしっとりとした桃色の羽根の下から現れる。
濡れてつるつるしたそれを指先で軽く転がせば
切ないさえずりが彼女の口から零れた。
「連、どうしよぅ・・・。」
473全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:52:02 ID:E+Wd5VPq
今にも泣きそうな顔。
「どうしたっすか?」
動きを止めて連は美羽を労る。
「変、なの・・・。」
「変?」
「何か出てきそうな・・・。頭の中がくちゃぐちゃして、全部溶けて体から流れていくみたい・・・。」
体から流れる、という表現に思い当たる節を導き連は心配の表情を穏やかなものに変えた。
「大丈夫っすよ。美羽が俺の事感じてるって証拠っす。」
そう言うと連はそっともう一度美羽の鳥の巣に指を滑らせた。
ぎゅっと閉じていた太股もいくらか和らいでいたため
今度はすんなりと下着と肌の隙間をくぐり壊れそうな卵に到達する。
さっきよりずっと愛蜜で周辺が濡れて。
「これが美羽の中から溢れてきたんっすよ。」
空いてる手で美羽の髪を撫でながら
肌と肌の間で愛蜜を弾けさせ存在を教える為音を立てる。
くちゅ。
美羽の耳に届く妖しげな響き。
「これがいっぱいあると、俺が凄く気持ちよくなるんっすよ。」
できるかぎり優しく言い聞かせながら連は自分と美羽の衣類を全部ベッドの下に落とした。
もう、かなり限界まで来ている。
今すぐにも彼女を貫きたい衝動。
それでもあらん限りの理性を振り絞り、そんな脳内と真逆に猛々しくなった己の欲情を美羽に握らせた。
美羽が快楽とは違う意味で震えたのを素肌と素肌の密着で知る。
「怖いっすよね。怖いのは当たり前っすよ。この間言ったっすよね。これは弱点だって。
でもそれと同じくらい、凶器にもなるんっすよ。」
不安そうな瞳に告げる現実。
しかし美羽は首を横に振った。
「連が怖いんじゃないの。
そうじゃなくて・・・。
もしも連が気持ちよくなかったらどうしようって・・・。」

優しすぎる言葉。

「美羽。」
連はぎゅっと美羽の手を握りしめた。
「もっと自分を大事にしなくちゃだめっす。」
そう言いながらも。
「俺は美羽を大事にできないんっすから。」

美羽は連の言葉に小さく笑う。

「大事にしてくれるのは、兄だけで十分よ。
それにちゃんと判ってるの。こんな事しなくても大丈夫って。」

だけどね。

もう一度言うわ。

「今だけは特別扱いして。」
474全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:52:37 ID:E+Wd5VPq
連の魂と同じくらい、熱く硬い物が美羽の中に突き刺さっていく。
「ぁ・・・ぁ・・・。」
呼吸もままならない。
少し進んでは退き、また少し進むの繰り返し。
拒絶したくないのに、体が言うことをきかない。
抱き締められる強さと囁かれる愛の言葉だけが頼みの綱。
思うようにすんなりと彼を受け入れられない苛立ち。
「大丈夫、凄くいいっすよ。」
彼の声が苦しそうなのが切ない。
「連、無・・・理、してない・・・ぃ?」
「大丈夫っす・・・。美羽こそ・・・。」

本音を言えば大丈夫なんてものじゃ片付かない。
濡れた内壁は挿入を拒絶してくるくせに一度入れば抜け出せないほどこちらを締め付けてくる。
一度本能に引きずられたら最後、彼女を滅茶苦茶にしてしまうのは火を見るよりも明らかだった。
ただ彼女の痛みを堪える様子だけがかすかに残った理性を励ます。
ゆっくり、焦るな。
今日で全てにたどり着かなくても引き返すことができる気持ちを持って。
心の中でそれを繰り返し最奥までたどり着いた時には額に汗が滲んでいた。
「連・・・。」
彼女のか細い声がこちらを揺さぶる。
「言った、でしょ・・・?好きにしていいって・・・。」
「美羽・・・。」
「好きよ、連・・・。」

暗闇に慣れてきた目に、彼女は微笑んでいるように見えた。


真っ暗な部屋で美羽は連の腕の中にうずくまっている。
あの後、美羽は自分の知らない彼に出会った。
走輔を失った時とは違う熱さの彼。
間接照明ぐらいはつけておいて良かったかも知れないと今更思う。
彼が自分を求めてくる顔をもっと見たかった。
とはいうものの、連から言わせたら美羽はずっと目を閉じていてそれどころではなくて
連が愛の種をまいた時にはぐったりとなっていたのだが。
「お弁当、恋の魔法入りでまた作って。私の為だけに。」
美羽は呟く。
「もちろんっすよ。」
連が髪を撫で頷くと幸せそうに彼女は目を閉じる。
やがて小さな寝息が響いて彼女は動かなくなった。
暖かな居場所で。
連も彼女が目を覚まさないよう、それでもしっかりと抱き締めなおすと目を閉じるのだった。
475全てを捧げる術(ゴーオン青銀):2009/01/19(月) 16:53:31 ID:E+Wd5VPq
以上です。お目汚し失礼致しました。
476名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 18:41:27 ID:pS2fphQO
青銀GJ!
477名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 23:05:36 ID:BHPo7r5s
青銀も新鮮で良いな!GJ!!!!
478名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 12:04:24 ID:bylyib/K
脈絡無く轟音赤黄萌えと呟いてみる。
座敷童子回で、G3プリンセスのライブが終わった後
赤が「いいぞー早輝ちゃん!」って一人だけ名指ししてるんだよね。
妹みたいなのかもしれないが、赤が黄をすごく可愛がってるのはガチだと思う
479名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 15:50:05 ID:9KtOcp4t
青銀GJ
続きが読みたかったので嬉しかったです。
処女設定だけどアダルトカプだなぁ
480名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:13:17 ID:xNGxEju9
>>478
つ東A英雄ネットの轟音年初めイベレポート元旦分

自分も轟音赤黄は萌える。
赤は黄の兄貴分を自負して黄をすごく可愛がっているようで、もう少し進めば
恋愛にも行きそうで、でもその手前で兄妹的に仲が良いというのもまたいい。
481名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 00:33:38 ID:pAE246JM
>でもその手前で兄妹的に仲が良いというのもまたいい

わかるw
頼まれもしないのに勝手に保護者を自負してる赤が妙に微笑ましくていいんだよな
そんで黄の方が兄ちゃんじゃなくて男としてある程度意識してたらもっといい
女の子の方が成長早いってことで
482名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 04:42:30 ID:WWcbbmQ9
>>442
メガレンのシボレナは?
父親以外の異性に興味を持つとは思えないから処女だろ
483名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 09:57:47 ID:QT9Li98b
風のシズカも処女っぽい。
484名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 11:04:07 ID:CBkI1owE
>>483
激しく同意。
で、冒険青に開発されるんですね。
485名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 13:04:15 ID:4MwDNrAs
シズカちゃんはヤイバあたりに変なことされていないことを祈りつつ
冒険青にお任せしたい。
486名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 19:54:11 ID:5YRWAW8W
自分は普通に刃×シズカ好きだから、シズカの初めての男は刃希望!
あの声で囁かれたら腰くだけるな。もしくは、ゲッコウ様が人間体に
戻って、二人穏やかに盗みをやる生活とか楽しそう!
487名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 20:25:34 ID:YDSElnw2
くのいちだから、掟として開通→だったら相手はヤイバがいい

こういうの希望
488名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:20:22 ID:pAE246JM
だよなあ
くノ一が処女はありえん
489名無しさん@ピンキー:2009/01/21(水) 23:33:14 ID:1jNy+8C8
忍法筒枯らしや忍法羅生門くらい、デフォルトでたしなんでおくのが
くの一だろjkですね、わかります。

山田風太郎的な方向で、シンケンの敵に期待。
490名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 08:56:46 ID:OUEbkSYF
くの一として経験は一応してるけど、それ以来誰ともしてなくて欲求不満気味なとこを青に開発されるってのがいいなぁw

保管庫の青シズカ萌えるわー
491名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:11:44 ID:AO/nA4fv
ガイアークとの戦いが終わった後、
走輔がレーサーに復帰しマネージャーとして美羽が行動を共にする。
あるいは範人と早輝がくっついてケーキとクレープの移動販売をする。

こんな妄想してしまう
492名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 22:35:58 ID:pczTX/CO
>>491
で、範斗と早輝は妖怪退治をするんですね、わかります。

いや、昨日カクレンジャーのDVD届いたもんだから………つい浮かんじまった。
493名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 00:08:47 ID:HCBaGoey
>>491
いいなwそれ。


そして軍平はさなちゅの元へ駆けつけるが・・(ry
494名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:45:06 ID:cJ36N5i2
中の人が中の人だけにケガ様は非処女派ばかりだと解ってるんだけど、
意表をついて処女だったらすっごい萌える。
初夢回見返して「乙女」発言に心底そう思った。
495名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 01:54:23 ID:OYnR7Bln
たしかにあの「乙女でおじゃるー!(半泣き」はなんか萌えた
いいなケガ様処女説
496名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 08:02:10 ID:MAhFLSCA
ケガ様、もし非処女でも経験は片手で数えるくらいって感じだ。
なんせガイアーク的にはアレな、美しく清らかな御方だし。
ニゴールにプロポーズされて、嬉しさに捧げたはいいが、事後に変態王子が
(全く悪気なく)本音ぶちまけて怒髪天。
以来「男なんてー!」とキャリア思考に転化。ついに害水大臣になったり。

先日の回。官房撃破されてヨゴ父が凄んでる後ろで、こっそり手を繋いで
逃げてるキタケガ様にちょっと萌えた。
497名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 09:07:12 ID:qnOOWApE
非の緑×処のケガ様とか萌える。
498名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 10:30:54 ID:OYnR7Bln
>>497

誰か書いてくれないかな…
超萌える設定だ
499名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 14:23:10 ID:Up0n7rqQ
実際はケガはガバガバ。
緑は童貞なんだろうな・・・。
500名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 15:07:27 ID:mITWJ76B
最近、初期戦隊見てるけどいい感じのカップルが多くて萌える。

秘密は緑桃、
ジャッカーは赤桃、
BFJは青桃(初代)と黒桃(二代)、
電子は赤桃、
太陽は黄×美佐と赤(二代)×美佐が好き。 

太陽は最終回で三人が美佐ちゃんにプロポーズしていたのが萌えた。
501名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 20:17:35 ID:LLDS588z
>500
自分以外にも電子の赤桃好きの人が!
電子のDVDを見直していると、やはり赤桃がいい感じで萌える。何気に2人で
いる場面も多いし。

本編を見ると赤は桃の事を特別に思っているように思えるが、青に「あいつが
女にモテる訳がない」とまで言われているような硬派(全くの堅物ではないが)
なので、赤桃には非常に萌えるけれど、その萌えをここの職人さんの数々の神
作品のような恋愛話に発展させるのが難しい…。

あと電子では緑×婦警、黄×八百屋の娘も、前者の青春ラブコメっぽい感じも
後者の初々しさも萌える。
擬似兄妹的な青×妹分や、青×女マジシャン(中の人は現在の姫テンコー)も。
502名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 11:02:20 ID:U2K5VdNM
抱擁シーンは予告で見せないほうがよかったかもしれんな。
そのほうが燃料のインパクトが大きかったかも>金銀

大丈夫?ってかけよった銀を突き飛ばす赤がDVぽかったけど、
ちゃんと合体好きなのも銀から聞いているところがニヤけた。
503名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 11:27:31 ID:el14NJCt
でもやっぱ萌えた>金銀
あの二人で一つが当たり前、消える時も一緒にってのがいいんだよな〜
それだけに切なかったけど…
504名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 11:50:00 ID:sMVfpVAU
銀はいつのまにかナチュラルに赤の彼女ポジに納まっているな。
505名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 14:53:28 ID:7UxOBW7S
「世界一キラキラなアニ」と、たぶん銀にとって最高の誉め言葉を照れる青に萌えた。
506名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:17:05 ID:xXgNN3Oq
合体好きを「美羽から聞いた」とポツっと言う赤ww
一体どういうシチュでの会話だ?僅か一言で妄想が膨らみますた
507名無しさん@ピンキー:2009/01/25(日) 22:35:18 ID:+X6qloiL
>>489
> 山田風太郎的な方向で、シンケンの敵に期待。

和モノ萌えだから、シンケンは敵も味方も期待してるよ。
508さき:2009/01/26(月) 00:15:52 ID:XXfc4Mlg
轟音赤銀派だったけど
今日の役者さんの太秦トークショー見て
青銀もいいな・・・、と思った。
それくらいやり取りが可愛かった。

でも兄妹じゃなければ間違いなく金銀が一番萌える!
いちゃいちゃ(?)と超仲良かった。

はぁ。。。あと2話で恋愛あるんだろうか・・・・
509名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 00:46:49 ID:cDc6JLYI
予告の時は青いらない子?と思っていたので
いらない子どころか、黄色とセットだったのがうれしかった。
でも最後までビビリ杉w
別に黄色の肩に手を置けとか贅沢言わないから、腰は抜かさないでほしかった。
銀に励まされるときも、銀→黄色と違って、微妙に距離感あったし。
510名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 00:59:38 ID:CTfQrStT
スレチどころかイタチだが、銀→黄で萌えちまったよサーセン
青は男を下げたな…まあ来週以降に期待だ
511名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 01:01:53 ID:6RiWu9gc
青と黄大好きなんだね。
今回は良かったね、二人がセットで。
512名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 01:54:26 ID:cDc6JLYI
>>511
本当は緑黄の方が好きで、轟音見るきっかけも緑黄が同い年だったというw
もちろん青黄も好きっすけど、カップルとかオカンと娘というよりは、本当にセットって感じ。
どちらかというとキタケガに通じるものがあるので、来週のキタVS青、ケガVS黄、
ヨゴパパVS赤はうれしかったりする。

513名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 00:08:28 ID:RLgdLhWw
>轟音見るきっかけも緑黄が同い年だったというw

ここは18歳以下は禁止だよwww
514名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 01:25:31 ID:vGoXPMBj
>>512
「緑黄が同い年」って書いてあるよ。「緑黄と同い年」なら大変だけどw
515名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 10:54:18 ID:EbKz/zqn
緑と黄と自分が
同い年ってことじゃないの?
別に同い年カプがツボって書いてあるわけじゃないから
516名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 20:17:01 ID:+PQZrE/W
>>512
自分語りはいらん
今度からノートやチラシに書き殴ってくれ
517名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 11:59:49 ID:s6DG5FKw
>>516

まぁまぁ、いいじゃん。
新しいSSが投下されるまでマターリいこうや
518名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 16:43:35 ID:7KRBfTLU
VS見てきたんだが、ゴーオン黒黄の組み合わせがツボに入った。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、個人的にはゼミナールでの
堂々セクハラ(「何人分だ!?」)並だった。
519名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 20:25:38 ID:REausosj
>>518
同じくVSでゴーオン黒黄がきたよ。
激組もおいしいし、組み合わせるとさらにおいしいし。
もういっぺん見に行こうかと思ってるくらいだよ。
520名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 20:28:08 ID:GPj1zUxK
自分は黒黄でも
轟音黒と激黄がきたw
521名無しさん@ピンキー:2009/01/28(水) 21:46:56 ID:Ew2mZlFH
>520
今日VSを見てきたばかりの自分も轟音黒と激黄がきたよw
あと別のカプで萌えた所はあるが、ネタバレになるので感想は差し控えておく。
522名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 13:58:22 ID:MNXGtK5L
黒黄カワユスな(´Д`)
523名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 22:32:05 ID:leRihqEB
凡ちゃん写真館の金銀、美しすぎる…。
524名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 08:09:58 ID:9erXZrJW
本編のキタケガ様で、あんな典型的「敵カップルの死亡シーン」
やるとは思わなかった…ヨゴ様のこともちゃんと想ってたし

いや、まだもう一回あるんだから、死んだふりだよね(泣)
525名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 10:42:39 ID:RwuHdWBH
こっそり投下。
一応金黄が出来あがってる前提の、黄一人ものです。
タイトルは『オトメノ妄想』です。
苦手な方は、NGワードでスルーしてください。
526オトメノ妄想1:2009/02/04(水) 10:43:29 ID:RwuHdWBH
ギンジロー号のシャワーを浴びた早輝は、つややかな黒髪を乾かすと、
ベッドに腰掛けて息を吐いた。
枕元のテディベアを抱きしめ、ごろんと横になる。
視線の先には、ゴーフォンと最近つけたばかりのストラップ。
黄色い銀杏の葉をモチーフにしたそれは、大翔がくれたものだった。
どんな顔をして、どこで買ってきたのかは、教えてくれなかったが。
「大翔さん、何してるかなぁ……」
思わず口から出た言葉。
早輝は、ここ数日会っていない大翔を思い浮かべた。
前会ったのは確か一週間前。蛮機獣を倒した後、須塔家にお泊りしたときだ。
『頑張って蛮機獣を倒した日くらい、ギンジロー号のシャワーじゃなくて
湯舟でゆっくり汗を流してもいいんじゃない?』
という美羽の提案により、早輝は、戦いの後須塔家にお泊りするのが恒例になっていた。
戦闘での疲労を須塔家の広い風呂で洗い流し、大翔の腕に抱かれて共に過ごす時間が、
早輝の至福の時であった。
別荘に来てはいけないと言われているわけではないし、
むしろいつでも来いと大翔は言ってくれるのだが、奥手の早輝にとっては
『ただ会いに行く』こともなんだか気恥ずかしいことなのだった。
「やっぱり会いたいな……」
でも今日はもう遅いし、せめて声だけでも。早輝はゴーフォンを手に取った。
『早輝……』
耳元で低くささやく大翔の声を思い出す。
それだけで、早輝の背筋をぞくりと何かが走り抜けた。
「あっ……」
何……これ……
その感覚に一瞬戸惑ったものの、それが快感だということは嫌でもわかる。
一度気付いてしまえば、甘美な想像は止められなかった。
大翔の声。
大翔の手。
大翔の肌。
ゴーフォンが手からぽろりと落ちる。
自分の手が、まるで彼の手のように肌の上をすべり始めた。
大翔がいつもするように優しく頬を撫で、指先が唇をなぞる。
「大翔…さん…」
甘えた声に自分で驚く。
イケナイことをしているのはわかっていたが、
走り始めた欲望を止めることは、早輝にはもうできなかった。
527オトメノ妄想2:2009/02/04(水) 10:44:48 ID:RwuHdWBH
布団に潜り込み、声が漏れないように枕に顔をうずめる。
皆が自室に戻っている時間とはいえ、いつ誰が室外に出てくるかはわからない。
大翔にさえまだ聞かれることの恥ずかしい声を聞かれたら……明日以降部屋から出られない。
パジャマの裾から手を差し入れて、恐る恐る胸のふくらみを撫でると、
既に桜色の頂点が固くなりはじめているのが感じられた。
小さくて恥ずかしいから嫌だと言うのに、大翔はいつもそこを執拗に責めてくる。
俺が大きくしてやるなんて、勝手なことを言われたこともあった。
ぎこちない指の動きは、早輝の妄想の中で大翔の愛撫に変換されて快楽を生み出していく。
大翔に抱かれるまで、早輝はまったくこうした行為に興味を持ったことはなかった。
奔放な姉の影響か、むしろ嫌悪感を抱いていたフシもある。
それなのに、こんなことをしてしまうなんて。
初めて自分の手でそれを行う背徳感は、予想を超える速度で早輝を追い詰めていった。
パジャマのズボンの中に手を滑り込ませると、すべすべした大腿を何度も撫でる。
それもまた、大翔の好む愛撫だった。
何度も往復する手が、時折下着をかすめる。
既に湿り気を帯び始めたその部分の冷たさが、
ますます早輝の羞恥と快感を煽った。
『もう、こんなに濡らしてるのか?』
もちろん気のせいなのだが、耳元で大翔の声が聞こえる。
こんなときの彼の声は少しかすれていて、
快感に溺れているのが自分だけではないのだと、早輝に教えてくれるのだ。
528オトメノ妄想3:2009/02/04(水) 10:45:50 ID:RwuHdWBH
大翔の―実際は早輝のだが―指が下着の横から潜り込んでくる。
敏感な芯を優しく撫で、浅瀬を掻き回す。
それだけの刺激だったが、限界は、思ったよりも早く訪れた。
早輝の妄想の中では、既に大翔に組み敷かれて
めちゃくちゃに突き上げられている。
「やっ…もう…!」
大翔の顔がまぶたの裏にちらつく。
大翔に教え込まれた快感が、早輝の全身を駆け抜けた。
もう少しで達してしまう。その瞬間。
プルル…プルル…
突然の、ゴーフォンの呼び出し音。
「…ダメッ…!」
快感と驚愕が、早輝を予想外の絶頂に引きずり込む。
その瞬間、内部に入り込んだ自分の指が締め付けられるのを、確かに感じた。
身体はまだ快楽に震えながら、鳴り続ける呼び出し音が早輝を現実に引き戻す。
こんな時間にゴーフォンを鳴らす相手は、大翔以外にありえない。
早く出なければ切れてしまう。
「……もしもし」
「大翔だ。早輝…寝ていたのか?」
出るのに時間がかかったのを、勘違いしているようだ。
一人でエッチなことをしてました、とはさすがに言えない。
「ちょっと…うたた寝しちゃって……」
「風邪を引くぞ。気をつけろ」
「うん」
いつもと同じ優しい声が、早輝の心に響く。
その声に安心すると同時に、今の今までしていたことを思い出し、急に罪悪感が沸いて来るのを感じた。
だって、大翔と話している今も心臓はバクバクしてるし、下着は冷たいままだ。
自分でしていたことを大翔に知られたら、どう思われるんだろう。
「ところで早輝」
「はっ、はい!?」
いろんなことを考えていたら、声が裏返ってしまった。
次の声まで、ほんの少しの沈黙。
妄想ではない本物の大翔の声が早輝をドキドキさせ、同時に安心もくれる。
「今外にいるんだが、出て来られるか?」
「…え?」
今?外にいる?誰が?
早輝は起き上がり、そっとカーテンをずらして明かり取りの小窓から外を見た。
少し離れた木の下に、確かに大翔の姿が見える。
会いたい。
でも、このまま会ったら、一人でエッチなことをしていたのがバレてしまうんじゃないだろうか。
だからといって、シャワーを浴びる時間はもちろんない。
「無理か?」
早輝の思考を遮る大翔の声に、明らかに残念そうな、甘えるような響きがこもる。
あの大翔がこんな声を出すなんて。
その声を聞いた瞬間、早輝は反射的に返事をしていた。
「大丈夫!すぐ行くよ!」
後は、考えるより先に身体が動いていた。
いつもの服に着替えて、鏡をチェックする。
まだちょっと頬が赤い気もするが、外は暗いからわからないだろう。
今は何より、大翔の元へ急ごう。
恋する乙女は無敵なんだから!

数分後には大翔の好きなようにされてしまい、無敵状態は長くは続かないのだが、
そのことを今の早輝は知るよしもなかった。

529525:2009/02/04(水) 10:47:23 ID:RwuHdWBH
短いですが、以上です。
一応、続く……予定。たぶん。

では、他の素敵職人さんの投下を待ちつつ逃げます。
530名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 13:07:50 ID:spznDhqh
金黄GJ!

早輝の一人えっち萌える!大翔には絶対ばれてるなw
531名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 14:32:18 ID:E9ZmqgrW
VS見てきた

轟音黒・激黄、チョッパー・轟音黄、さらには激青・轟音銀に萌えました。
なんでもありだなぁ自分…
532名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 14:34:44 ID:iO9UpArw
金黄GJ!なんだかもう、素敵すぎてどうしようかと!
早輝があまりにも可愛すぎる!っていうか大翔の教育は素晴らしい!
是非続き期待してます。
533名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 00:33:43 ID:ldt1ve68
黄可愛いよ、黄!GJでした!

>>531
おぉ!!何でもCP変換脳!
私とよい友達になれそうだw
534名無しさん@ピンキー:2009/02/06(金) 16:07:28 ID:ZSRKJ+pj
ゴーオンキャラ本の相関図・・・。

色んなところが残念だ。
腐的には美味しいかも知らんが
ノーマルCP好きには残念だ。
特に赤銀。。。。
やはり最終回はスルーされて終わりそうな予感。
535名無しさん@ピンキー:2009/02/06(金) 16:21:17 ID:8e4WnosX
たしかにな・・・・、
NLっていっていいのか(兄妹だから)喜んだのは金銀だけだもんな、
536名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 16:37:36 ID:zUtcP8Ps
ノシ   orz

まさか完全スルーされるとは思わなんだ…>赤銀
黄姉には皆ハート出てたのにw


発売前の宣伝で「兄弟?姉妹?親子?対談」みたいなあおりだったから
色々期待したが蓋を開けて見ると物凄く意外性ゼロの組み合わせの対談だった
緑黄も赤黄も夢と消えたよラララ
537名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 17:06:25 ID:bplHi+gf
あれって腐女子か男性役者萌えとか向けの本じゃないの?
電王のキャラクターブックとかキャスプリみたいな感じかと思ってたんだけど
538名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 18:38:09 ID:WGsazne/
しょせんヒロビだからね。女子向け。
539名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 20:24:27 ID:nPdQmL5j
金銀や緑黒や赤青は何回か対談あるし、カップリング対談って書いてあったから、赤銀や青黄とか見たかったんだけど…。
あの表紙と赤金、青金を入れた時点で、やっぱり女性向けかって感じだったね。
540名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 21:03:52 ID:N+0UJbPu
まあ、激の時もなんかいまいちだったし。
冒険はそんなに悪くなかったけど……
541名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 23:12:06 ID:zUtcP8Ps
冒険は扉で吹いたよw>どう見ても腐向け
内容はスタッフインタビュー系がゴーオンよりも遥かに充実してたけど
542名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 15:18:09 ID:4Nys6/Jh
最終回、赤は「軍平たち」って言ってるのに「範人たち」って緑の名前を呼ぶ黄に萌えたw
後日談でのギンジロー号で緑の手錠を外そうとしてるのも緑黄が好きな俺にはたまらなかった。
543名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 15:51:17 ID:/xuaq9Jn
緑黄良かったよね。二人並んでるだけで可愛い。


…しかし赤銀は完全スルーですか。そうですか。
フラグ立てておいて無視とは思って無かったよ
544名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 16:22:09 ID:DEh6zra0
>>534
でも、ヘタに公式出版物で確定されたら該当カプ好きにはいいけど
そうじゃない人にとっては完全にトドメだからなあ

別の戦隊で、それ喰らって当時けっこう凹んだ。
ネタスレでも、しょうがないこととは言え別カプ前提なわけで
分かっていてもやっぱりちょっと寂しい
545名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 20:49:29 ID:JI6KRKD0
>フラグ立てておいて無視とは思って無かったよ

基本、戦隊にはよくあることじゃなかろうか
回収したマジ金青あたりは珍しい方かと
(ボウケン赤桃やゲキ黒緑はフラグレベルよりもかなり丁寧に伏線張った描写だったので除外)
546名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 21:09:01 ID:E7GHFS+4
>>543
おまいはそれでも軍人か!
ちゃんと銀は「お礼はあとでゆっくり・・・ね。」と言ったではないかw
俺は0コンマ何秒の裸の青に手当てする黄色のシーンでも萌えるぞw
547名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 00:42:20 ID:RyNHGAhX
>>546
それでも軍平か!と読んでしまった…
スマンいってくる
548名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 12:03:04 ID:RNMB4EnU
>>542
黄、最終回前の回で緑のブリッジアックス使ってたのも個人的に萌えたw
549名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 14:41:06 ID:gnx39czU
リオメレみたいに最初からそういう設定ならともかく、確かに公式でやられると、他のカプ好きが凹むというのは分かる。
冒険青黄が好きだったからなぁ。シズカちゃんのおかげでそんなにダメージはなかったけど。
本編のちょっとした言葉とかスキンシップとかで妄想を膨らませて、作品が生まれるんだなと思う。なので赤銀期待して待ってます
>>542>>548
緑黄が大好きなのは分かったからsageようね
550名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 21:43:27 ID:h/f+3cyd
そういやデカの時緑桃回の後閉鎖した青桃系サイトを何件か見たような…
551名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 21:58:13 ID:P1w3Gpz/
ボウケン最終回後閉鎖した銀桃サイトも多かったな…
552名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 22:59:40 ID:w3LAOaCA
銀桃は完全に鉄槌食らったからなあ
最終回よりもっと前に赤桃ありえない!と鼻息荒いサイトいくつか見て
かなり微妙な気持になったけど。銀好きさんは元気だったよね…
まあ黒桃と青黄が好きでしたが本編はそれはそれ。と割り切った
553名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 00:55:16 ID:XnIpU4Fc
冒険青黄いまだに好きだし、まだ妄想できる(`・ω・´)シャキーン
なんだかんだで蒼太はいちばん菜月を一人の女性として扱ってると思うんだぜ
554名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 12:22:12 ID:YIJ02kox
そうか…冒険は赤桃で皆が納得したと思い込んでたよ。
サイト閉めとか相当ショックだったんだね

真剣は赤が良さそうなので桃か黄と…と楽しみにしてる!
555名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:25:19 ID:L2bvXAUj
冒険…
赤桃青桃銀桃全部書いてたサイトもあったけど閉鎖しちゃったよね。
自分は公式赤桃で満足してたし最終回当時お祭り気分だったけど
他カプが好きだった人はかなり辛かったんだろうなと思った…

真剣赤の立場がたまらないw
カクレンとかハリケンとか、和戦隊好きなのでwktk!
556名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 23:32:22 ID:+fTFgvP1
っていうかまず
番組が終わった時点で閉鎖や更新停止するサイトが多いってことも
考えに入れておかないと公平じゃないと思うんだけど。
557名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 00:32:00 ID:4VWmtoM9
この流れで、久々に冒険読みたくなって来た。
萌えメインは赤桃、サブが青黄だったが、当時は毎週本当に幸せだった。

>>555
自分も和戦隊大好きなので、真剣には本気でwktkが止まらない。
便乗して隠連や忍風も盛り上がってくれないかなーと期待していたりもするw
日曜日が楽しみだな!
558名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 01:32:02 ID:W5Woozwf
>>556
もちろんそれはあるけれど、ボウケンのそれは明らかにブッツリ、という感じで異質だった。
「ショックで書けなくなりました、続きが思いつきません。楽しみにしていた皆さんごめんなさい」
みたいな感じで連載途中で閉鎖してしまったサイトさんもあったし。
559名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 05:07:53 ID:MjBAu195
でもぶっちゃけ本編しっかりと見てたら伏線ひいてるから読めるよ。冒険赤桃は。魔法金青は読めなかった。あと刑事緑桃も。ま、読める読めない言ったら妄想CP成り立たないがな…
560名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 09:14:43 ID:WfujOqfg
魔法金青は読めたけど冒険赤桃はあそこまでするとは読めなかった人が多いと思う
561名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 11:54:27 ID:D5vvr3rg
でも爆竜黒黄ではそういう話は聞いたことないな。>サイト閉鎖
最初から黒マホロで鉄板だったので元から存在しなかったとも考えられるが。
562名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 12:04:50 ID:Z3C0FIxQ
むしろ爆竜は、青黄の人が最終回での青と笑みポンとの関わりがあって、作品が
書けなくなった、という人がいた感じだった。
563名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 12:51:32 ID:d9Dhe9/g
>>560
魔法の金青は、出会いから
「恋愛ネタがあるならこの2人と赤・山崎さんかな」
と漠然と思ってたが、まさか本編中に結婚まで行くとは
思わなかった…

恋愛とは違うのかも知れんが、魔法桃とアフロ君のやり取り
好きだったな
564名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 19:25:17 ID:zUcpVHpL
>>559
冒険赤桃は逆に忠誠や信頼の描写がしっかりしてたのが裏目に出たと言うか
恋愛以上の関係を想像・期待してしまった層が多かった印象がある。
ラストの展開に「え?そっちに行っちゃうの?」みたいな。
565名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 20:06:44 ID:kTXfSS6x
今日スカイシアター見てきた

挨拶の後、各人が客席に手を振ったりサービスしてる中
アニと早輝が並んで「スマイル満開、ゴーオンイエロー!」
ポーズを笑いながらふざけ半分でやっていた
このスレの金黄SSが脳内駆け巡って禿萌

そして踊りに入る前(だったかな)
一人、同上のポーズで左右にプリプリ腰振る走輔にもフイタw
566名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 22:17:59 ID:IAEyf4m/
>>565
オオォォ…なんと美味しいレポをありがとう!目の前でされる衝撃ったら
半端無く凄いだろうな!
567名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 00:38:33 ID:JN15R1aT
日曜のスカシアで
ダンスの前に一生懸命「キラキラ世界!」のポーズを練習してる走輔(と範人)にも
萌えたことを報告しておきます
G5プリンス回でもやってたし、余程銀の決めポーズがお気に入りなんだろう
568名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 22:32:10 ID:maYZTXj9
1日早いけど、金黄のバレンタイン小ネタ投下します。
キス止まりでエロはありません。
一応タイトルは「アマイ衝撃」です。
苦手な方はマッハでスルーしてください。
569アマイ衝撃1:2009/02/13(金) 22:34:45 ID:maYZTXj9
須塔家のキッチンで、美羽と早輝が何やら楽しげに作成中。
何やら、ではなくバレンタインチョコなのはバレバレであるが。
素知らぬふりをしてリビングで哲学書を読みながら、
大翔は耳ダンボになっていた。
なんだかんだで、早輝と付き合いはじめて最初のバレンタインデーである。
期待するなという方が無理だろう。
そうこうしている間に、美羽が鼻歌を歌いながらキッチンから出て来た。
片手に紙袋を持って、2階へと上がっていく。
美羽が誰に作ったかも気になるが、あえて野暮は言わずにおくことにした。
今はとりあえず早輝だ。
大翔は、柱の影からそっとキッチンを覗き込んだ。
美羽同様、フンフンと鼻歌モード全開の早輝。
後ろ姿しか見えないが、どうやらラッピング中のようだ。
できたっ、とばかりにガッツポーズをしている早輝の前、
テーブルの上を見て、大翔は愕然とした。
570アマイ衝撃2:2009/02/13(金) 22:36:10 ID:maYZTXj9
そこにある箱は赤、青、緑に黒。
どう角度を変えて見ても、4つしかない。
カラーリングからしても、4つが誰宛てなのかは一目瞭然だ。
……じゃあ俺の分は?
大翔は、柱を抱いたまま上目使いで、早輝の背中に無言の問いかけをした。
が、早輝はどこ吹く風で、相変わらず鼻歌を歌いながら、
出来上がったチョコレートを紙袋に詰めている。
もうブレイク限界だ。
「さ〜き〜」
「きゃあっ!」
お化けも逃げ出しそうなおどろおどろしい雰囲気をまとって現れた大翔に、
早輝は文字通り飛び上がった。
ビックリさせないでと振り向いた早輝の頬に、一筋融けたチョコが付いている。
「大翔さん、どうしたの?」
「早輝、どうして箱が4つしかないんだ?」
俺の分は?とストレートに聞きたいのをグッと堪えて、大翔は尋ねた。
が、早輝にはやはり通じなかったようで、表情にクエスチョンマークが浮かんでいる。
こうなったら仕方がない。
「そこには、俺の分はないのか?」
「うん。ないよ!」
スマイル満開で即答。
あまりのショックに、一瞬目眩がした。
「そうか…ないのか……」
ガックリとうなだれる大翔の顔を、早輝が覗き込む。
こうなったらヤケだ。
早輝からのチョコがいただけないなら、この場で早輝を美味しくいただいてしまえばいい。
大翔は、ゆっくりと顔を近付けると、早輝の頬に付いたチョコをペロリと舐め取った。
ビクッと早輝が身をすくませるが、構わず深く口づける。
早輝の声が艶を帯びてくるまで、じっくりと甘い唇を味わった。
見上げる早輝の瞳が潤んでいる。
もう一度口づけようとしたとき。
「もうダメッ!」
渾身の力で押し退けられ、大翔は思わずよろめいた。
「こんなところでそんなことしちゃダメだし、今日はダメなの!」
そのままぐいぐいと背中を押され、大翔はキッチンから追い出されてしまった。
……早輝に拒絶された。
はっきり言って、人生最大のショックだ。
足が勝手に動いて、大翔はヨロヨロとキッチンから出て行く。
放心状態で自室へ戻っていく大翔を、
2階から降りてきた美羽が、不思議そうな表情で見送っていた。
「早輝、アニに何か言ったの?」
「大翔さんのチョコ、ここにはないよって」
勘のいい美羽はすぐにピンときた。
みんなにあげるものとは別に、早輝はちゃんと大翔用に
チョコレートケーキを用意しているのだが、早輝はそれを言わなかったのだ。
もちろん悪気はまったくない。
「アニ…同情するわ」
でも、明日になればちゃんと早輝の手作りケーキがもらえるんだから、
今日は黙っておこう。
それよりも、明日自分がどんな顔をしてチョコを渡すか。
それを考えることにしよう。

翌日、立ち直れないでいた大翔の元に
チョコレートケーキを持った早輝が現れて、無事誤解は解ける。
その後、ケーキより前に、大喜びの大翔により、
早輝は結局美味しくいただかれてしまうのだった。

<終わり>
571568:2009/02/13(金) 22:38:05 ID:maYZTXj9
以上です。お目汚し失礼しました。
ではマッハで逃げます。
572名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 23:09:41 ID:bfA1+ytH
うぉぉGJ!!萌えました!!

落ち込んだり喜んだりしてるアニを想像してニヤニヤしてしまいました
兄妹のやり取りもいいですね。

可愛いバカップル金黄ありがとうございます!!
573名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 00:17:34 ID:a7kSs8Lb
カワユス!!GJ!!!!

次は銀のチョコの行方を期待してますw
(自分は赤でも青でも、何だったら黒でもいける口です)
574名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 16:48:46 ID:oKGVuBH3
今日のスカシアのアドリブ。うろ覚えでゴメン
「美羽、今日はチョコあげるのか?」
と聞くアニに、美羽が肯定したから、アニ動揺して変身ポーズ忘れるw
最後の挨拶も、
銀「アニはチョコ何個もらったの?」
金「俺はアドリブは苦手なんだ」
銀「アニ嫌い(笑)」
妹の言葉にG3プリンセス回同様いじいじするアニでした。
あとセリフかアドリブかわからないけどオカンが「早輝ちゃん、一緒にチョコレート作ろうっす」
と黄色をちゃん付けしていたのが意外だった。
575名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 22:52:35 ID:iJugOCsm
ッスの使い方かなり間違ってるよね、オカンはw
トドロキに弟子入りして来い
576名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 02:03:11 ID:JcAqf1xz
ギリギリ間に合ってませんが、冒険の黒黄でバレンタインネタです。
エロ無しなのに、ムダに長くてなってしまいました。すみません…。
タイトルは「BEAT SWEET」です。苦手な方はスルーでよろしくお願いします。
577BEAT SWEET 1:2009/02/15(日) 02:06:12 ID:JcAqf1xz
これは夢か、幻か―?

忙しい一日を終えて部屋に戻った真墨はうろたえていた。
薄暗い自室のベッドに腰掛ける下着姿の菜月。
何度瞬きをしても、目をこすっても消えることはない。

チョコみたいに自分を食べて欲しいなんて言う
あられもない菜月の姿を妄想したことがない・・・わけじゃない。
しかし、それはあくまで妄想であって、現実に起こりうることなんてないはずなのに。

改めて菜月の方に目を移す。

ベビードールって言うんだっけこういうの。
トレジャーハンター時代に菜月に付き合わされたランジェリーショップでの記憶が蘇る。
今にも外れそうな細い肩紐。
大きめのフリルがあしらわれた白い布地には、マシマロみたいに柔らかそうな胸が包まれている。
そして、胸元から太ももにかけてふわりと広がる布は、
薄く透ける素材で出来ていて、菜月の滑らかな肌を妖しく魅せている。
いつものツインテールには赤いリボンが結ばれていて、
菜月自身がラッピングされた甘いお菓子のような錯覚さえ抱く。


呆然としている真墨を菜月がまっすぐ見つめ返す。
そして、菜月はベッドから立ち上がって真墨の元に駆け寄ると、
思いきり抱きついて上目づかいで囁いた。

「ねえ・・・菜月のこと食べて。」
578BEAT SWEET 2:2009/02/15(日) 02:09:14 ID:JcAqf1xz
「なッ・・・何の冗談だよこれ!?」
「冗談なんかじゃないもん。」

吹っ飛びそうな理性をギリギリのところで繋ぎ止めながら、
真墨は菜月に必死に問いかける。
しかし、菜月はそれに答える代わりに、
ただ抱きしめる腕に力をこめるばかりで、真墨をますます困らせる。
柔らかな体の感触がまるで拷問のように感じられた。

「別にバレンタインだからって、こんな無理しなくてもな・・・」
「無理なんかしてない。」
「でも、何かお前らしくないっていうか・・・」
「じゃあ、どうしたらいいの?菜月、真墨にあげるものないんだよぉ。」

そう言うと、菜月は胸元に顔をぐりぐりと押しつけながら、
泣き出してしまった。
ちょっとズレた、でも、菜月なりの真剣な想い。
それを受け止めてやれなかったことに胸がチクリと痛む。
菜月の笑顔と涙には本当に、弱い。

「菜月、どうした?菜月・・・。」

名前を呼びながら、なだめるように頭を何度も優しく撫でると、
幾分か落ち着いたのか菜月がやっと顔をあげた。
泣き腫らした目元に残る涙を指でそっとすくってやる。

「ちょっとここで待ってろ。」

それだけ告げると、真墨は自分の来ていたジャケットを菜月にかけて、
勢いよく部屋の外へと飛び出して行った。
579BEAT SWEET 3:2009/02/15(日) 02:14:34 ID:JcAqf1xz
「ほら、これ。」

温かく、甘い香りが立ち昇るココアを真墨は菜月に差し出した。
受け取った菜月は一口飲むとほっとしたように息を吐き出した。
湯気がゆらゆらと揺れる。

「少しは落ち着いたか?」

菜月はわずかに微笑みながら無言でうなずいた。
それを見て真墨もほっとしたように息を吐き出しながら、笑みをこぼした。

「あのさ・・・さっき、何であんなことしたんだ?」
「うんと・・・真墨にあげるチョコ本当にないから。」
「え!?マジかよ・・・」
「でもね、真墨に特別なの作ってあげたかったんだよ。
だから、何回も作り直して味見してたらチョコなくなっちゃった・・・ゴメン。」

結局、自分で食べたってことかよ。
何とも菜月らしい理由に思わず脱力して、ため息がこぼれた。

「それで、蒼太さんに相談したら、これ着て“菜月のこと食べて”って言えば、
真墨は喜ぶから大丈夫だよって言ったの。
でも、真墨全然喜ばなかったよね。明日、蒼太さんに文句言わなきゃ!」

大きなため息がまたこぼれてしまった。
とりあえず明日、蒼太を小一時間くらい問い詰める必要があると思った。
でも、特別なものを作ろうとしてくれた菜月の想いは純粋に嬉しい。
580BEAT SWEET 4:2009/02/15(日) 02:25:34 ID:JcAqf1xz
「なあ、菜月・・・別に俺は特別なものじゃなくてもいいんだよ。」

正面から菜月と向き合う。
大きな目をぱちりとさせて、菜月が真墨を見つめる。

「お前がくれるなら、何でも嬉しいんだよ。
ていうかさ、その・・・
こうやって隣にいてくれるだけで・・・充分・・俺は幸せだから。」

伝わってるか正直自信がない。それほどに歯切れの悪い告白。
だけど、少し遅れて「うん、菜月も。」と笑顔で答えてくれたことが嬉しかった。
それだけで最高のバレンタインの贈り物だと思う。

「でも、結局、真墨にもらってばっかりだね。
・・・あ、これ半分飲む?真墨が自分で淹れたのだけど。」

申し訳なさそうに笑う菜月がいじらしくて、可愛くて、
真墨の中にちょっとした悪戯心が沸き上がった。

「じゃあ、もらうか。」

そう言うと、真墨は菜月の唇に口づけた。
あっけにとられた菜月の口内に舌を差し入れ、
ぴちゃぴちゃと音を立てながらココアの味を、菜月自身を味わう。
舌の先から口全体に甘い味がほんのり広がって、
だんだんと体の芯が熱くなっていく。

「んむ・・・はぁっ・・真墨ぃ・・・・」

ココアに溶けたチョコレートよりもずっとずっと甘い声で名前を呼ばれて、
我慢できずに菜月を力任せに抱きしめると、真墨は消え入りそうな声で囁いた。

「やっぱ、菜月のこと食べたい・・・かも。」
「残しちゃやだからね。」

笑いながら今度は菜月が真墨の頬にキスを落とす。
お菓子を開けるときのような胸の高鳴りを感じながら、
真墨は柔らかなシーツの海に二人の体を沈めていった。
581名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 02:35:55 ID:JcAqf1xz
以上です。

勢いで書いてしまったうえに携帯からの投下だったので、
色々とお見苦しい点があったかと思います。申し訳ありません。
読んで少しでも楽しんでくだされば幸いです。

それでは、今日からのシンケンに期待しつつ寝たいと思います。
長々と失礼いたしました!
582名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 04:54:07 ID:Q7vpQiVb
いやいやゲロ甘ラブラブ話スキーの自分にはもう十分おなかイパーイですよ。
やっぱ冒険黒黄はいちゃいちゃ話が似合っていていいですなあ。

でもこれ、本当に携帯からなんですか?
文章は書き終えた後推敲必須の身には驚愕。
583名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 13:42:24 ID:YRhe6kic
冒険黒黄GJ
やっぱこの2人は可愛いな
しかし蒼太さんは何教えてんだよww


シンケンはとりあえず黄色の赤に対する殿様呼びが可愛かった
584名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 17:23:18 ID:wjEZUPl9
シンケンの赤黄と緑桃はありげな雰囲気でしたね
585名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 17:29:12 ID:15KwwNs5
シンケン緑桃良いな。
年上のお姉さんと現代っ子萌。

所で今年から女子のスーツの縫製変わった?
去年まで気にならなかったのに、今年は前面のダーツ?の端が乳首立ってるみたいに見えるw
586名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 17:44:49 ID:z7i9AZHN
なんとなく、シンケンの赤は女と付き合ってセクースまでいくにしても、
貞操云々について色々言いそうな感じがする
587名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 18:26:51 ID:pQAPQtx/
シンケン緑桃はお姉さんと現代っ子だけど、役者さんが同学年だから余計に萌える。
でも今年は青桃、赤桃、赤黄、青黄、緑黄どれもおいしく頂けそうだ。
588名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 20:04:37 ID:hUO4WNhJ
シンケン緑桃はクラスの不良と委員長みたいで和む
赤←黄←青とかもよさそうだww
589名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 23:24:27 ID:YRhe6kic
>>588
腐的な意味じゃなく赤←青←黄(桃)もアリかと
青は忠誠心深そうな描写もあったから、女性陣がそれにやきもきすればいいw
590名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 23:48:54 ID:olISXWqs
てか赤は殿だからおにゃのことセクース→お世継ぎの心配があるから
滅多な女性と滅多なことはできないんじゃなかろうか
591名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 00:01:31 ID:nwUPzQYQ
>>590
思春期を迎えた辺りから、じいに言い聞かされてそうだな
もちろんコンドームの存在なんて知らないw
592名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 00:10:52 ID:K0n2WjXg
わかった、殿たるもの心得として素股p(ry

自重します
593名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 00:16:28 ID:Xrp5z6dJ
でもさ、桃だけなんで輿でいどうだったんだろう?
思わず、臣下のはずがどこぞの姫?とか思ったよ

まあ、深読みしずぎの"殿″と間違わせる為だけの演出だとは思うんだけどさ
594名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 00:27:40 ID:8vi69ihd
>>593
あ〜、自分も思った。
わざわざ黒子が駕籠でお迎えって、実はどこかの姫なのか、それとも
臣下でも身分が高いのかとか色々と深読みしちゃったよ。
595名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 00:32:52 ID:dr6njobw
真剣、普通に面白かった。久々に現行作品にハマりそうで、この流れに萌えまくりだw
自分としては今の時点では赤桃が来そうだが、赤黄もかなり良さげだ。
作品のうpを待ちつつ、もう少ししたら何か書きたいなー。
早く個々のキャラ詳細&関わりが見たいものだ。
596名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 09:48:50 ID:k5gC0tk0
>>592
なんとなく言おうとしていることが分かる“(ry”の使い方だなw


特撮板の某スレで、書道フォンで“馬”と書けば馬並になるんじゃ…
と書かれていて「それどんな筆プレイww」と思ってしまった
それと同時に黄の無邪気攻めという電波をも受信しました
597名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:57:24 ID:1UDP0v4h
>>596
同じスレの住民だなw

筆プレイ・・・(;´Д`)ハァハァ 
598名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 22:45:46 ID:mWoRdmW2
実は桃は身分が高い姫さまで赤の婚約者
桃はインパクトある出会い方した青に惚れるも
忠義のみで生きてる青は赤桃を心から応援
失意の桃を緑がツンデレ気味に慰める


ここまで妄想した
599名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 23:22:14 ID:/dgmUQrg
ゴーオン同様、シンケンも緑黄に萌えそう
ボウケン黒黄と同じ雰囲気がするし
600名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 23:35:55 ID:tb8w1Am1
青桃支援だが緑桃も…なかなか
黄→赤は初回から匂ってた。
601名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 23:41:25 ID:kJoi/pgU
>>599とはいい酒が飲めそう。
ボウケン黒黄と同じ匂いがするシンケン緑黄に自分も萌えそう。
ゴーオンの緑黄も可愛くて好きだった。
602名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 00:25:02 ID:YzCf1ZYe
ボウケン黒黄と同じ匂い分かる。

でもシンケン一話の時点では忠誠組青黄と
微妙組緑桃と別れていたからどうなるか分からん。
ボウケン黒桃も好きだったので緑桃でも美味しく頂ける
603名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 01:21:58 ID:LL6EoY3m
黄も桃も凄い可愛いし美人だしで楽しい!

とりあえず、殿すごい!ってきゃっきゃする黄と、
緑に突っ込みつつ絡みたがる桃に凄い萌えた…

あと、黒子の中身が実はおにゃのこという展開マダー
604名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 03:31:31 ID:hqrfWX2x
1話でまったく絡みの無い赤桃に今後進展ありそうと予想したんだが…外道と一人で戦ってたこととか幼少時の親父の死とかをじいから他メンが聞いて。
605名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 07:56:19 ID:XhVFLUZv
>>593
青は舞台の楽屋口、黄の山、緑の自宅とそれぞれ迎えに行ったけど、皆すれ違ってるんだよきっと。w
606名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 08:35:27 ID:ZHob+s65
緑黄に限らず、シンケンはボウケンにかなり似ている気がする
607名無しさん@ピンキー:2009/02/17(火) 14:19:45 ID:nKh/LERY
(火)と(土)の身長差に萌え。(水)もでかいからそっちでもいいかもw
608名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 19:44:17 ID:NaiJaH0w
身長差で激しく萌えたのはデカだったなぁ。
青の桃アタマぽんぽんに悶えたぜ。
609名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 21:42:31 ID:NYCVB7sk
最近ゲキ見てるんだけど、理央メレに萌え
なんですかあの臨獣トークでの距離の近さはww

身長差といえばジャンなつもだな
最終回のレツなつにも萌えたが
610名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 23:06:34 ID:wSTb5FZm
身長差ではデカ緑桃かな。
放送当時はまさかくっつくとは思ってなかったが・・w


激の臨獣トークは異常だよねw
あのトーク見たさに全巻借りたよ。
611名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 13:02:19 ID:g8cWon6e
空気読めなくてすみません。

エロなしですが 電磁赤×桃 を投下させてください
初めて書いたので、技術的に未熟です。お許しください。
612再会1(電磁 赤×桃):2009/02/19(木) 13:04:17 ID:g8cWon6e
「健太に葉書が来てたわよ」
ある日、店の配達から帰ってくると おふくろが一枚の葉書を渡してくれた。

結婚しました 川崎省吾・恵(旧姓:高野)

ふたりの笑顔の写真と簡単な報告だけの葉書。
「うわ〜、とうとう結婚したのか。」
省吾の幸せを自分の事のように喜ぶと同時に、恵との苦い思い出が甦る
(うぅ・・・恵ちゃん・・・)
俺のこと、「かっこいい」とか「最高!」とか言ってたくせに、俺じゃなくてバトルライザーのハナシだったんだよなぁ・・・うぅ・・・
「こうしちゃいらんねぇ。みんなに集合かけなきゃ。」
「お店が終わってからにしなさいよ。」

高校を卒業後、浪人したものの、現役で大学に合格した耕一郎と千里に勉強を教えてもらったおかげで、翌年には俺も大学生になった。
そして俺たちは今24歳になっていた。
一番先に社会人になったのは、短大に進学した みく。小さな会社でOLをしている。
千里は新聞記者。
瞬はIT関係の仕事をしている。家を出て都心のマンションで一人暮らしをしている。一度遊びに行ったことがあるけど、家賃いくらなんだ?
一番驚いたのは耕一郎。
弁護士になりたいと言っていたくせに、なんと、高校の先生になっちゃった。
堅物だからなぁ。生徒達も息苦しいだろうなぁ。大岩っちが担任でよかったよ。耕一郎のクラスになんかなりたくねぇや。
そして、俺は八百勝で働いている。
最初に連絡の取れたみくと手分けして、省吾たちの都合と、みんなの都合をあわせて2週間後の土曜日の夜にお祝いパーティーを開くことにした。
613再会2(電磁 赤×桃):2009/02/19(木) 13:05:19 ID:g8cWon6e
5人が揃うのは成人式以来だ。
スーツにドレス・・・ったく、みんなキメちゃって。ま、俺もだけどさ。
でも1人だけいつもの格好の人がいて。
「あれ?裕作さんも来たんですか?」と瞬。
ニヤッと笑って裕作さんが俺の顔を見る。
「俺のこと『お兄さんって呼んでもいいですか〜?』なんて言っていたのはどこの誰だっけ〜?な〜んで、お兄さんのこと呼んでくれなかったのかな〜?」
「え?あ、だって、裕作さんはI・N・E・Tで省吾と一緒だから、もう、お祝いは済んだかな〜って思って・・・・」
「省吾には会っているが、お前たちに会うのは6年ぶりだ!」
・・・確かに。
「裕作さん。今日は省吾と恵さんのお祝いです。せめてスーツで来るくらいの気は使ってください。」
・・・コレだもんな。耕一郎・・・ でもだからって白ネクタイはヤリすぎだろ、オマエ・・・

みんな社会人になったら、忙しいんだな。
瞬は、あちこちから仕事の以来が来るんだってさ。で、家に帰る暇がないから会社の近くで一人暮らしを始めたんだって。瞬はセンスいいからな。
千里は、事件があれば、すぐにカメラ片手に現場に行かなくてはならないので、休みはあってないようなものだって。
耕一郎は、社会の先生だって。サッカー部の顧問になって毎日熱血指導。休みは盆と正月だけなんて、耕一郎らしいといえば耕一郎らしい。

楽しい時間というものは過ぎていくのが早い。お開きの時間になった。
「2次会行こうぜー」
「わーい」
反応したのは、みくだけ。
「ごめん。・・・今夜はメグの実家に泊まることになっててさ・・・向こうの両親の手前、あんまり遅くなるわけにいかないんだ。」
「ごめんなさいね、健太さん。みんな、今日は私達のために集まってくれてありがとう。とっても楽しかった。」
「またな。」
俺たちは5人でふたりを見送った。
・・・ん?5人?
「あ〜あ、裕作さん寝ちゃってるよ・・・ 裕作さんはウチに泊めるか。んじゃ、俺、帰るから。」
「ええっ?瞬、帰っちゃうのぉ?」
「だって裕作さんを放っておくわけにいかないだろ?俺はみんなと違って一人暮らしだから、裕作さんも気を使わないだろうしさ。」
「俺も・・・明日、部活の練習があるから・・・帰る・・・な。」
「ごめーん。ここんところ仕事続きであんまり寝てないの。この次はゆっくりね。」

614再会3(電磁 赤×桃):2009/02/19(木) 13:05:59 ID:g8cWon6e
耕一郎と千里、瞬と裕作さんがそれぞれタクシーに乗って帰っていった。
俺とみくだけが残った。
みくの顔を見る。
「行こ。ふたりで二次会。」
この笑顔。えへへ。変わんないな昔と。

さすが、みく。
オシャレなバーに案内してくれた。
さっきのパーティーの場所を見つけてきたのだって、みく。
「すっげー。オトナって感じの店だなぁ。」
「キョロキョロしないでよぉ。会社の先輩が教えてくれたんだ。」
「よく来るのか?こういう店。」
「ん〜・・・ たまにね。」
大学時代に合コンした居酒屋しか知らない俺には、オトナの世界だ。
なんか、急にみくがオトナに見えてきた。
注文したピンク色のカクテルがみくによく似合う。
髪をいつも ふたつに結っていたみく。
今は 結わずにおろしている。
パーティーのために巻かれたのであろう毛先が妙に色気を感じさせた。
改めてよく見ると、上品なラベンダー色のドレスと、ドレスとおそろいのストール。そして、ストールからのぞく白い肌は、お酒のせいか、ほんのり赤く色づいている。
「何よぉ。じろじろ見て・・・」
「いや・・・みくも大人になったんだなあって。」
「あたりまえじゃない。変わんないのは健太だけだよ。」
「そ・・・そうか?」
一応、俺も男になったぞ。大学生の時に・・・もう別れてるけど・・・
みくは・・・?女になってるのか?相手は瞬か?
・・・聞けねぇよなぁ。瞬も何も言ってないし。
な・・・なんでこんなこと考えるかなぁ。

「千里にね・・・」急に淋しげな表情になるみく。グラスに目線を落としてる。
「耕一郎とはどうなの?って聞いたの。」
「・・・そしたら、あんまり会えなくなったって。」
「・・・まぁ、ふたりとも忙しいみたいだからな・・・」
「・・・大人になるって、淋しいね・・・」
・・・こんなみく、見たことあったかなぁ。
やべ。なんだよ、この気持ち。
やべ。みくがみくに見えない。
みくがオンナに見えてる・・・
やべ。ほんっとに やべぇ。
615名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 13:08:01 ID:g8cWon6e
以上です。

ギンガVSシリーズで健太が浪人、千里が大学生ということはわかったのですが、
他の3人については よくわからなかったので、勝手に設定してしまいました。
その他、メガの5人の消息等ご存知の方がいたら 教えていただければと思います。
616名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 22:21:25 ID:Pc3Q5zXv
せめてもうちょっと大人になってから来てくれ。
617名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 03:42:05 ID:KNIlcW9a
>>611
キャラの描き方は悪くないと思うが、一瞬コピペミスかと思った位、さあこれからって時に豚切られた感。
起承転結で言うなら、承あたりまでしか読まずに終わった感じ。
エロ無しならエロ無しで、もう少し膨らませて対話を軸にしないと、赤桃SSだかオールキャラSSだか解らない。
618>611-615:2009/02/20(金) 08:22:05 ID:22QzNkB5
>>616さん、617さん

ご指摘ありがとうございます
勉強させてもらいます。
619名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 08:09:49 ID:RrGSbAAa
真剣は黄色を中心に妄想していこうと心に決めた今日の回
かわゆすぐる
620名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 08:15:04 ID:5i9TYFgt
ズレたらごめんなさい

  青
  ↓
桃⇔黄→赤
  ↑
  緑

こんな電波を受信した
621名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 08:19:21 ID:RrGSbAAa
>>620
奇遇だな、同じ電波を受信したようだ。
622名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 10:39:53 ID:Dg/Sy7+5
>>619
ナカーマ
623名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 11:42:16 ID:z+nabTFT
>>619
桃→黄への無言ハグで萌え、緑と青の黄への好意的な反応に萌え(考え方は真逆だがw)、
ラストの赤「帰る」黄「はい!」の主従的関係にも萌えた

黄色可愛いよ黄色
残りの4人でよってたかって黄色を幸せにしてやって欲しいw
624名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 11:42:26 ID:5i9TYFgt
殿微笑み→黄の頭ぽんぽんだったら多分萌え死んでた。

黄は素で
「茉子ちゃんも流ノ介も千明も好きやけど、やっぱり殿様が1番好きや」
とか言いそうなイマゲ。
いや、言ってほしい。
そして書いてて気付いたが、黄のSS書くとき京都弁で書かなきゃなんですね。
625名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 13:46:36 ID:2957iJ0Y
やばい、殿様の許嫁登場話に今からwktkしている自分がいる……。
パニくるのは黄でも桃でもいいよー、どっちで想像しても楽しい。
626名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 15:34:55 ID:Z5MjyaMU
もし桃と黄が同時に殿に恋したら、桃の方が勝てないタイプだろうなと思った。
黄、かなり可愛いな!あの純粋さ、妄想の余地ありまくりで堪らん。
久々に強気女性キャラ&秘密持ってそうな桃も気になる。更に非処女っぽい所がかなり(*´Д`)ハァハァ
627真剣(殿黄)エロなし1:2009/02/22(日) 22:21:34 ID:1lTAhLx9
ちょっと序盤なのでエロなししかかけなくてすみません。
投下いきます。


シンケンジャーとして殿様に仕えて一ヶ月が経った。

あいかわらず自分は他の3人の家臣に比べて満足に働けていないような。
そんな気がして、空いた時間は1人っきりで必死に稽古していた。

あの二回目の戦いの時、
殿様にランドスライサーが当たりそうになり迷惑をかけてしまった。
ふとしたとき思い出しては泣きそうになってしまう。
「うちは、ほんとに殿様のお役にたてるんやろか...」
とにかく、今は稽古を重ねて他の3人の家臣たちと同じくらいの力を
もつしかないんだ。そう思い直して一心に稽古した。
628真剣(殿黄)エロなし2:2009/02/22(日) 22:23:40 ID:1lTAhLx9
「雨が降りそうや。」
竹刀を振り下ろす手を止めて、空を見上げる。
見上げた視線の先に、まさに今思い浮かべていた人の顔があった。
「何をしている。」
「と、殿様っ?」
傘をもって立っている長身の青年。殿様と呼ばれ、ばつがわるそうに
「大声で...殿様はやめろ」と言った。
「す....すみません。びっくりして...。」
深々と頭を下げ、顔を見上げると殿様の髪が濡れていることに気付いた。
「あの...どこかへ行かれるんですか?雨、振ってきそうですから、
お供させてください。」
必死で自分を見上げながらそう訴えることはにつっけんどんに言葉を返す。
「雨はもう降っている。だから....お前を迎えにきた。」
「えっ?」
「心配するから、急にいなくなるな。」
(これは、私を家臣として認めてくれたということなのやろか。)
そう思うと嬉しくなってついにやけてしまう。

629真剣(殿黄)エロなし3:2009/02/22(日) 22:25:04 ID:1lTAhLx9
「何を笑っている。」
「いえ、あの....嬉しいんです。うち、殿様に心配されるなんて思ってもみなかったし。だから、あの、え〜と、これからも一生懸命がんばります!」
素直な言葉をなげかけてくることはは、丈瑠にとっては戦いの日々の中でも
救いであった。
「....まずは俺に心配をかけないようになってくれ。」
「はい、すみません。殿様!」
ことはは先に歩き出した丈瑠のあとを弾むようについていく。
ことはを置いていかないように、少し速度を緩めながら歩く丈瑠。
雨はやんで、日が射して来た。
(相合い傘、したかったなあ。)
ことははそう思ってしまった自分に赤面して頭をふるふると振った。
(あかん、うちは家臣なんやから....)
そう思いつつも前を歩く殿様の背中に少しでも近づきたいことはなのだった。


以上、最初手元狂ってageちまってもうしわけございやせん。
630名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 22:36:56 ID:2CRnJYMK
殿黄GJです!
ことはの純真さは頑なな殿の心も溶かすと思うんだ・・・
相合傘もいつかできるようになったら良いな!
631名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 23:37:24 ID:JNT8yqKA
なんかキュンキュンした!ありがとう!!
632名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 00:40:25 ID:lk1IGemd
OP見直してみて
刀越しに殿と他メンが向き合うシーン
ちょうど黄のところで刀がなくなってちゃんと視線が合うんだよなー
今日の放送で赤黄いいかもと思ったところだったから意味深に見える
633名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 04:03:46 ID:8t5zrqiF
殿黄GJマジでGJ
すごく可愛いよ2人とも

>>632
それ思ったw
振り向いてからの時間が他のメンバーより長い気がする(完全に振り返るのって黄だけだよね)
今年は脚本家が脚本家だけにただでは終わらないと思うんだ
634名無しさん@ピンキー:2009/02/23(月) 11:58:05 ID:tcfZ7hjC
ま、メンバーで黄が最後だから長かっただけだろ。もし桃が最後なら桃が長かったかもしれないし。ただ赤と青緑黄は絡みあるが桃だけがほぼ無い。
635名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 00:32:24 ID:7EaE/nmh
桃回に期待。
個人的には今回、赤黄と緑桃な感じがした。
「どっちの味方なんだよ!」と言った時、
味方になって欲しいのか?wと思ったw
636名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 00:46:37 ID:8olR1+ep
殿桃はまだあまり絡んでないけど、だからこそ逆に後々
ドーンとでかいのが来る…かもしれないとちょっと期待している
637名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 12:38:34 ID:5wptZ2Rb
>636
男女カプは1年通して作品を見ないとわからない所があるので、赤桃も今後何か
しらの絡みがあると思っているが。
まして『タイム』で終盤赤桃が盛り上がった先例もあるだけに、今は赤の器量を
見極め中の桃が、どう話が進むにつれて赤への思いを変化させていくか期待して
いる。
当面は赤←黄と緑黄に萌えているが。
638名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 15:55:54 ID:Tk5xvGqr
しかし面白いほど青はカプ話の話題に上らないなw
キャラがキャラだけに仕方がないか
639名無しさん@ピンキー:2009/02/24(火) 16:15:11 ID:gx42XJoT
殿様大好きコンビ青黄に萌えてるのは自分だけでいい
640名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 00:31:24 ID:K01mp4qt
青桃に萌えそうな自分は、今年も茨道まっしぐらなのか…
641名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 01:07:18 ID:xoxmk+W7
>>640
青桃は、個人的に変身前よりも変身後に期待している。
642名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 02:31:32 ID:Pwkrp9DD
てかまだ二話で茨も何もないよ。
桃メインの話が来たら、また変わるでしょ。
内部か外部かは解らないけど、(設定や年齢を考えると)恋愛話が来るなら黄より桃だろうしね
643名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 02:42:32 ID:RPce1Ii1
青は伝統芸能の家柄だけに、むしろ殿より許嫁ネタがくると踏んでいるのだが…
644名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 11:34:36 ID:tv1CkJk7
いや、志葉一族はもう殿しかいないのだから、
子孫を残す為にも結婚しなければいけないのは殿だろう。
645名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 12:32:26 ID:X0LFX6HH
まぁハリケンの一鍬と七海やデカの緑桃みたいな、後半きっかけが生まれるタイプもあるしね
本編共々楽しみにするまでさ
646名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 13:39:23 ID:I2SeX68W
真剣
中の人のブログを見てると
8話に何か爆弾ありそう・・・。
赤桃?赤黄?なのかは8話以降で決めるw

話は変わるけど
年末ゴーオン赤銀神SS投下してくれた人は
もう降臨してくれないんだろうか・・。
最終回が気に入らなかったせいか
赤銀萌え不足で再登場を期待している自分。
647名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 14:54:32 ID:xK+GkwCr
あのゴーオン赤銀は神だったなー
話の転がし方もだけど、キャラクターの口調の再現率が半端なかった
その道の人がこっそり投下したのかと思ったくらいだ
648名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 18:02:41 ID:HRkql5GE
>>646
あれが本当にアレだったら…大激震だなw
649名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 20:23:52 ID:vneq0+2a
色々情報を集めてみると、これからの真剣は赤相手以外にも桃関連の爆弾がありそうだ。
えー、とりあえず青桃も赤桃も緑桃もおいしくいただけそうでなにより。
そして黄色は愛されキャラ。
650名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 21:07:13 ID:9p1/cU2g
>>649
青と一緒に訓練に励んだり
それを見てた緑からおでんもらったり
桃に「まったくあんな奴のどこが…」とか言われながら頭なでられたり
でもやっぱり殿様に呼ばれるとついてっちゃう


これだけ考えてるととてつもないほのぼの戦隊
651名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 23:57:49 ID:HRkql5GE
>>649
やあ、爆弾すぎて目玉飛び出たね。
桃受け派としてはもうたまらんね。

赤桃青桃緑桃黄桃、なんでもこい!w
652名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 05:04:21 ID:s/fmTsJA
つーか、桃は抱き癖あるくさいw
653名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 22:34:27 ID:CiJzxEth
>>652
桃はいつか爺に抱きついて
爺桃などに発展して欲しいw
654名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 09:34:30 ID:PIPaqbS+
今日は緑黄萌えだった!
655名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 09:38:23 ID:lG4lx7H+
ちょ、来週青桃が…!非常に楽しみです!
緑黄可愛かったね^^
656名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 10:13:11 ID:1FYO9Q4t
ほんにどの組み合わせでも
美味しくいただけるな

これぞまさに
愛の食いしん坊戦隊や〜〜
657名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 10:30:09 ID:VQdJlFrx
>>654
同じくノシ
黄に褒められて腕組まれて、緑ちょっと照れてたよねw可愛かった!
あと、黄が緑を追いかけて行った時、どんなやり取りがあったのか妄想が膨らむ。
658名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 19:40:34 ID:GUsRpgBe
来週の青桃に期待!なんかあの2人だと夫婦漫才みたいになりそうw
あと今日の話見て緑黄メインも早くやってほしいって思った。
659名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 21:12:15 ID:PtTgVkou
緑黄と青桃
( 火)<俺が余るだろ!


いや、赤が浮き気味になるのは戦隊の定番だとはわかってはいるんだけどさ。
シンケンのメイン脚本さんならなんかしでかしてくれるかなあとこっそり期待
660名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 22:13:02 ID:1XLaI6yr
>>659
おでん合体w
カプ組み合わせ的にメガはその典型だったから気の毒だったな

そこで昨年同様追加メンバーとか(今回はそこまで増えないか)
最有力は許嫁ネタだが…これも1話限りの予感
661名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 23:20:11 ID:yEZjY1kZ
1話限りだが救急の赤と見合い相手で萌えた者としては、真剣でも赤と許婚の
話がある事も期待。
許婚ネタは1話完結の話か劇場版で出そうな気もするが、実際はどうなるか…。
662極光の臥所:2009/03/02(月) 00:31:33 ID:+Nu3yIJy
小ネタ投下です。
それはカップルじゃなくてストーカーと被害者だろう、と言われそうですが
ファイブのバルガイヤー×メドーで。
663極光の臥所:2009/03/02(月) 00:32:08 ID:+Nu3yIJy
彼以外、誰も知らず誰も入れないその聖域。
幻にかしずく道化たちに次の託宣を与える以外の時間は、
次なる標的へと正確な航路を取れるだけの知覚を残して、
彼の心ははただいつも彼女の傍を離れることはせず、
また、できるはずもなかった。

彼自身の、文字通り身と心の奥深くに隠された彼女は、変わることない安らかな顔で永遠の眠りの中にいる。
命は無くとも、彼女は美しい。だけど、命があった時はこの比ではなかった。
水晶の柩に眠る彼女を今日も花で飾る。
今日滅ぼした星に咲いていた花。
彼女のために滅ぼした星の花は、彼女にとてもよく似合うと、彼は表情も無く微笑んだ。

部屋のどこからか、彼の一部である触手が這いだして、眠る彼女にそっと触れる。
決して傷つけないようにと、細心の注意を払いながら、何本もの彼の腕が彼女を絡めて抱く。
命のないその体も、彼女のために彼が作ったこの部屋の中では、生きていたころそのままの
柔らかさを保っていたが、体温だけはどうにもできなかった。それが、たまらなく悲しかった。
柔らかく冷たい体を抱き、開かぬ目と物言わぬ唇を飽くことなく見詰め、彼の先端でなぞる。

≪メドー≫

愛しいその名前、何度呼んだかわからないその言葉を想い呟くたび、彼の心は甘く疼き、そして痛んだ。

≪私のメドー≫

彼の姿を、その愛を恐れて死んだ少女の亡骸を抱きながら、彼はいつも応えのない問いを繰り返す。
664極光の臥所:2009/03/02(月) 00:33:13 ID:+Nu3yIJy
何故、死んだ? これほどお前を愛する私がいるのに、何故お前は死んでしまった?
泣くことができれば、彼は彼女を見るたび涙をこぼしていただろう。
誰よりも彼女の死を嘆きながら、何が彼女を殺したのかだけはわからずに。

透き通るような白い肌。緩やかに曲線を描く白金の髪。顔も肢体も全てが奇跡のように美しい。
何故異種族の女にこんなにも焦がれたのかと思うこともあったが、すぐに無意味だと悟った。
彼女は私のために生まれ、私は彼女のために生まれた。彼はすでにその考えに満足していた。

やがて、彼はいつもの答えに辿り着く。
銀河の星々を滅ぼし、やがて神になる。そしてその力で、彼女を蘇らせる。
ただそれだけのために彼は宇宙を駆け、血に飢え野心に猛る者どもを集め、数多の星を滅ぼしてきた。
その旅路には、ただの一瞬のためらいも悔いも無かった。
彼女以外の全てが彼にとっては無意味だった。
1000の星を滅ぼしてなお彼女を蘇らせられぬ時は、また1000の星をささげよう。
それでもまだ駄目なら、更に1000、1000、1000、1000…

≪銀河の全ての命を、お前のためにささげよう≫

彼女が蘇るなら。美しいまなざし、優しい頬笑み、あたたかなその体が、私のものになるのなら。
銀河ごとき、何度でも滅びればいい。

今度は失敗しない。
誰よりも彼女を愛している自分が、彼女を蘇らせるためにやってきたことを語れば、必ず彼女は私を愛してくれる。
今度こそ、私の愛を理解して私を受け入れてくれる。今度こそ、私達は永遠に愛し合える。
665極光の臥所:2009/03/02(月) 00:33:58 ID:+Nu3yIJy
それが彼の唯一無二の信仰であり、心のよすがであり、全ての銀河の命にとっての不幸だった。

銀河を思うさま蹂躙するこの巨大な生命体の目的が、ただ一人の少女を蘇らせることだとは誰も知らない。
白銀の伊達男も、黒き鎧の指揮官も、強敵を求める剣士も、頭脳を誇る科学者も、強欲な商人も。
誰もが彼のかぶる偽りの仮面に躍らされ、これからもこれまでも宇宙を駆けるのだ。
彼女と彼のために、その果てを知らずに星々の屍を積み上げて。

外部からもたらされるかすかな刺激が、彼女を抱きしめる彼の感覚を急速に醒めさせていく。
次の目標が迫ってきたのだ。しばし戻らねばならない。操舵に従って動く木偶の坊の機械に。
名残惜しさにもう一度彼女の頬を撫で、ほんの少し、閉じた唇の中に自らを入り込ませる。
冷たさが哀しかったが、それも彼女が蘇ったあかつきには、今度は永遠に失われるものだ。
そう思うと、冷えた感触さえかけがえのないものに思えた。

≪メドー…私の、私だけのメドー…≫

最後にそう呟いて、彼は彼女の体を柩に戻し、再びその空間を封印した。
そして、空に描く。
ただ一人愛した女の顔を。今もなお、彼の心と体の中に眠り続ける、ただ一人の永遠の恋人の似姿を。
まばゆい極光とともに、美しい女の顔が浮かぶ。
顔立ちそのものは彼女であったが、彼の心を映してか、美しさに酷薄と非情を交える氷の女帝と化した顔が。
彼の正体を知らずにその身を預けている者たちが、虚空に浮かぶ極光の悪魔にひざまずいた。

「銀河皇帝メドー様…!」

(終)
666名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 00:32:53 ID:Bf5u4Yv8
保守
667名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 12:15:45 ID:9PnfQfkY
真剣殿がうなされてるのを、黄の笛が癒す。
なんてエピソードがあったらいいのに。
668名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 13:48:43 ID:Dak/LKzL
せっかく中の人に練習してもらってるんだから、
是非笛は活用してほしいよな。

今週は緑黄もよかったけど、
殿が技を見切った時に「さすがです!」と言って、ハシャいでる黄もよかった。
669名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 13:57:52 ID:HyffjtoA
ああいう時にフォローに入るのは姉御肌の桃かと思ってたから、
黄色が追ってったのが意外でどきっとした。
670名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 19:12:34 ID:JKyWqdPM
>>639
EDの予告入る前、二人のポーズに
思わず巻き戻しを繰り返してしまった自分も仲間だ
671名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 19:58:51 ID:EGud4riO
今のところ緑→黄→赤で妄想…
来週青桃が来ると予想してるが

本編で何が来ても大丈夫なように柔軟に対応して行くつもりだけど
青桃緑黄でくっついて
赤だけ「俺余ってるだろ」だけは嫌だな
672名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 21:35:39 ID:+6ktu+tf
>>671
赤だけが「俺余ってるだろ」戦隊はあんまり好きじゃないなあ
本来の視聴者(お子様)は気にしないだろうけど…

そういえば過去の戦隊で女性メンバーから片思いされまくりハーレム状態の赤がいるってやつもいないなあと今思い出した。赤に限らないけどね。
673名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 22:11:36 ID:DXQQSck9
チームの和が大事な戦隊ものなのに一人だけ余って仲間外れ
みたいになるようなことは製作側も避けると思うけどなあ
今後殿に婚約者が現れたり、メンバーの誰かが一般人に
恋しちゃったりするかもしれないし
674名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 23:47:04 ID:HyffjtoA
いやでも、今はあの赤の余ってるっぷりが美味しい気がする。
675名無しさん@ピンキー:2009/03/03(火) 23:49:49 ID:lmzjh960
古いが激走だと戦隊内での恋愛要素は薄かったが、敵方の女幹部といろいろあったな。
真剣殿と太夫で一回考えて、話次第ではアリかもしれないと思ってしまった。
676名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 00:35:56 ID:qCOCmTL8
しかし真剣の今後のバレを見ると緑黄に期待せざるを得ない

「可哀想萌え」は桃→青だけでなく、緑→黄でも発動しそう。
緑は分かりやすいツンデレ男で冒険黒を思い出すわ
677名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 01:18:23 ID:3jh/786o
バレ見る限り、赤が「俺、余ってるだろ」を地で行ってるんだがw
大丈夫なのかー!w
678名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 01:29:35 ID:daCndfuK
>>675
太夫巡ってドウコクとのラスボス戦まで妄想した(ドウコクラスボスじゃないかもしれんけど)
私怨にもほどがあるww
679名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 08:07:36 ID:eseTM/Hq
東A公式の写真見ただけでも、すでに「俺、余っている」状態だなw>殿
でも、立ち位置は黄と桃は逆なんだよね。

680名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 12:55:50 ID:7F3Zyjpy
緑→黄→赤に、すごく萌える。赤が恋愛沙汰に鈍感だと面白い。でも最終的には殿黄がいいねえ。
681名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 11:05:29 ID:GFYLMsMd
(今は赤の方に分があるが)侍としてだけでなく、黄を巡ってのライバルでもあるのか>緑
萌えるなあw
682名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 18:54:44 ID:6ARzzjxk
年末ゴーオン赤銀神職人がシンケンSS書いてくれないかと期待。
あの職人さんの書くゴーオン金黄も好きだったから
シンケンの黄や桃ををどんな風に料理するのか読んでみたい…。
683名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 19:20:34 ID:4Fa6RPHv
真剣黄が、殿と家臣という身分違いに思い悩んで、自分の恋心を必死に押し殺そうとしたりしたら目茶苦茶萌える。
そんな黄に気がついて、身分なんて関係ない!と心ならずも応援してしまう緑とか、ちょっと切ない感じでコレまた萌え。
684名無しさん@ピンキー:2009/03/06(金) 21:36:11 ID:N1rfVlwC
もし婚約者キャラなんかが出てきた暁にゃ
「良かったね。殿様」
って赤に向かって最上級の笑顔で祝福しながらも
(…あの人は殿様やもん。うちなんがが好きになったらあかん人なんや、殿様が幸せならうちはそれで幸せなんや…)

とか思いながら草場の陰でぐっと我慢の子の黄色を妄想しちまったW


デカ以来ここにきてみたがシンケンの赤黄はデカのボスとジャスミンの関係に似てるなあってなんか萌えちまった。
685名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 03:51:59 ID:92HXTMfi
明日の青桃、楽しみで眠れんw
686名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 12:20:10 ID:fbx2VHt2
>>683
流「ことは!だったら殿の夜伽だ!」
こ「よとぎ?」
茉「なに教えるのよ!」
千「いいかことは夜伽ってのはな(ゴニョゴニョ」
こ「!?(カァー」


こ「・・・うち頑張る!」
687名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 15:00:10 ID:VfUnPqla
青桃楽しみだw
688名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 15:36:29 ID:dfmFAAKx
>>686
GJw
ちょっとした一コマだけでも萌えるわ殿黄w
689名無しさん@ピンキー:2009/03/07(土) 17:59:33 ID:fLyx3ogQ
>>683
おでんやるよ つ=◎□◇△
その考えいいな。
非常に萌える!
切ない片思いは好物だw
690名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 00:50:33 ID:E84NRV9z
殿朝起きる

全裸のことはが隣で寝てる

起こして説教(ちゃんとことはに自分の寝巻きを羽織らせる殿)

その後他三人も説教

殿「ちゃんと寝巻きを着させろ!」
千「そこかーい」
691名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 08:14:05 ID:5VIT39ju
>>652が預言者だった件についてw
692名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 10:34:00 ID:uMzFReyx
青桃最高だったな
毛布がハートの型になってるように見えて萌えた
693名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 11:04:13 ID:DXngxa6k
青桃いいなw
694名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 13:26:27 ID:UeyoK+CD
思った以上に青桃が良かった。
まぁまだ殿と桃の絡みが無いからCPに関しては
様子見かな

あと、黄がマコちゃん、流さんと呼ぶのに対して
緑だけチアキと呼び捨てなのも良かった。
今の所、殿黄が一番好きなんだけどね
695名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 14:29:47 ID:nFFqFXuA
桃が想像以上に天然魔性でまいったぜ。
弱ってる時にあんなに優しくされたら、その気にならない方がおかしい!w

ことはも料理できなさそうだったが、
ことはがポイズンクッキングしたら殿と緑はどう対応してくれるんだろうかw
696名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 19:53:10 ID:binN1FZA
そういえば、素振りする少年見て涙ぐむところでさりげなく青が自分のことを「俺」って言ってたな。
そりゃあの年頃で素で一人称「私」はないよな……
忠義馬鹿の中にちらっと見える普通の若者っぽさがツボに入ったw
697名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 22:42:53 ID:F9gS51Ic
轟音銀に続き真剣桃もだめんず好きでワラタw
早くも青桃でまとまるのかと思いきやオチがあったとは
698名無しさん@ピンキー:2009/03/08(日) 23:28:31 ID:7Ku0RpUd
桃に抱きしめられる青が普通に羨ましかったw
699名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 00:00:23 ID:NG5NCv7X

青桃も良いが緑桃も萌えるvv
700名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 00:09:35 ID:ae8zKaPT
録画見て桃が可愛すぎたので飛んできた
701名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 00:10:00 ID:1wMzMmAF
“流さん”って呼び方もいいよな〜
ってことで自分は青黄に一票
まだ絡みらしい絡みなんてないけどね
702名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 00:12:04 ID:k2ND/QzL
>>699
「姐さん」呼びに萌えた
緑と絡む回が早く見たいよ
703名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 00:27:26 ID:TOT+JZpG

青と桃が寄り添って寝てるのが恋人にしか見えなかった
つか桃が青抱きしめてるとき青の頭に桃の胸当たってたよな?
704名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 00:39:11 ID:A+Yzw8Nz
>>703
当たってるよなぁどう見ても
青もだけど青の中の人はどんな気持ちだったんだろw
寄り添って寝てるところで、先に起きた青が桃にデレてる小芝居あったけどかなり萌えた
705名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 01:29:10 ID:0lC92rNy
706名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 01:36:00 ID:1wMzMmAF
特撮板の黒子スレ見てたら黒黄なんていうトンデモ電波を受信してしまったorz

話さないながらも仲良くなった黄と黒子A
黄…1回でいいから顔はみれんくても声は聞いてみたいなぁ
黒…黄さんは毎日話しかけてくれるのに返事が出来ないなんてもどかしい!!
その後頭巾がめくりあがるイベントとかあればいいよ

今かなり萌えてるのにそれが他の人に伝わらなさそうで悔しい
707名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 11:28:17 ID:yC4yimPw
俺は殿桃が来るのを信じてるよ
708名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 11:55:03 ID:gDGfUa5b
>>707
中の人ブログとか公式ブログの写真見ると
8話に期待できそうですぜ
709名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 15:24:32 ID:31b/CIbS
>>707
おぉ同士よ!自分も諦めず殿桃に期待しまくってる。
SS読みたい&書きたいよ。ヘタレだが。
710名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 15:52:20 ID:TOT+JZpG

>>709

遠慮せずに書けば良いよ! 期待してる!
711名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 15:54:14 ID:TOT+JZpG

>>709
遠慮せずに書けば良いよ!
712名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 16:10:19 ID:xv2O8nPG
>>709
遠慮せずに(ry
713名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 09:45:04 ID:TxvjJl6S
シンケンvsゴーオンスレにて

>vsでは弱った走輔を茉子が思わず抱きしめて、美羽と流ノ介が嫉妬するという展開を希望する。
思わず妄想してしまったw俺もvsこの展開キボン
714名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 15:49:42 ID:hB3ageSg
殿早く桃を襲ってくれないかな?
715名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 17:10:01 ID:rMX8gR/L

いやいや緑か青でも良いと思うぞ
716名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 19:50:10 ID:lyyxfjpC
>>713
いいな。その妄想w
又は弱る流之介にマコとミウのダブルハグに
殿か緑と走輔がヤキモキでもよいんだが…
717名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 06:24:57 ID:Fzhyqcmr
弱った流ノ介に茉子がハグ
それをみた走輔と美羽が顔を見合わせてドキッもありだと思います師匠
718名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 21:18:52 ID:koPwqWDi
5話でも少し殿と桃の絡みがあるっぽいぞ。
殿と桃以外考えらんね〜〜〜〜〜

誰かSSまだかい?
719名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 23:25:32 ID:CGo1tGKd
桃はこの調子で全男メンとフラグ立てる気かもしれん
ボウケン黄みたいに
720ガイアークジョーク艶笑蛮1/3:2009/03/11(水) 23:38:14 ID:B8Mpy8Vt
シンケンネタじゃなくて面目ない。作ったはいいものの、年齢を選ぶ内容なんでここに置かせてほしい。
一から文章考えたわけじゃないただの改変なんで、ほんまもんの職人さんがくるまでの前座になれれば幸い。
ガイアークで艶笑小噺。

「さて、もうじきケガちゃんの誕生日ナリ。そして、毎度おなじみ、ふところ火の車ナリ。
 あまり予算がかからず、それでいてケガちゃんが大喜びするようなプレゼントは無いナリか」
「よし。匿名のラブレターを書いて送るゾヨ」

泥酔した三大臣が、調子に乗って猥談を始めた。
「セックスにはいろいろな体位があるナリ」
「奥が深いものゾヨ。よーし、順番に体位を挙げてくゾヨ」
「面白そうでおじゃるー!」
「まずは、正常位ナリ。次に…」
「ちょっと待ったでおじゃる。正常位とは…どういうものでおじゃるか?」
ヨゴキタ「!?」

ヨゴシュタインとキタネイダスが、害地目と害気目のどちらが男として強くたくましいかで言い争いになった。
「オイル一升瓶一気に空けて、蛮機獣と格闘し、女が嫌がっても力づくでヤるのが害地目の男ナリ」
頭にきたキタネイダスは、その場でオイル一升瓶を一息に空け、蛮機獣を探しに出て行ってしまった。
翌日、全身傷だらけになったキタネイダスが、ヘルガイユに戻ってきてこう叫んだ。
「さあ! 私と格闘する女ってのはどこにいるゾヨ!?」
721ガイアークジョーク艶笑蛮2/3:2009/03/11(水) 23:42:31 ID:B8Mpy8Vt
ある日、キタネイダスが害気目の蛮機獣たちに講義をしていた。
「体には、ビックリウム抜きでも興奮すると6倍の大きさになる部分がある。どこか分かるゾヨか?」
質問されたダウジングバンキ(注・害気目唯一の女性蛮機獣)は赤面し、そして泣きだした。
キタネイダスがその隣のレンズバンキを指すと、「瞳孔ですラッチ」と正解が出た。
キタネイダスは、ダウジングバンキにこう言った。
「お前には、みっつの忠告を与えておく。
 ひとつ、人の話は真面目にきくゾヨ。ふたつ、耳年増もほどほどにするゾヨ。
 みっつ、お前はそのうち、必ず深く失望するはずゾヨ」

次元破壊の旅に出た総裏大臣ヨゴシマクリタイン。さっそく部下達の様子を見て回ることにした。
兵舎の裏にあやしげなラクダが一頭つながれているのを見て、不審に思った総裏はキレイズキーに尋ねた。
「はっ! ムラムラして我慢できなくなったら、このラクダを使うであります!」
総裏はちょっと困惑したが、それで士気が保たれるならと見逃すことにした。
半月もすると総裏も我慢がならなくなり、キレイズキーにラクダを連れてくるよう命じ、
心ゆくまではげんで満足した。
その後、ラクダを連れ戻しにきたキレイズキーに、総裏は尋ねた。
「お前もこのラクダを使っているナリナ?」
「はっ、閣下! みな、女が欲しくなったらこれに乗って、街まで出向いているであります!」

次元破壊の旅に出た総裏大臣ヨゴシマクリタイン。さっそく部下達の様子を見て回ることにした。
「ここは、男の気晴らしにかけては最高であります!」
キレイズキーの言葉に、総裏は首をかしげた。
「しかし、ここには女の一人も見当たらないナリナ…」
「じきにお分かりになるであります」
その日の午後、100頭のラクダが囲いに集められると、興奮もあらわに50体のウガッツたちが我先に飛びかかっていった。
総裏は、大急ぎでその騒ぎに加わろうとしていたキレイズキーを捕まえて問いただした。
「事情はよくわかった! しかしなぜ、全員以上の数のラクダがいるのにお前たちは慌ててるナリナ!?」
「お言葉ですが、閣下! ぐずぐずしてたら好みのタイプを横取りされるであります!!」
722ガイアークジョーク艶笑蛮3/3:2009/03/11(水) 23:45:33 ID:B8Mpy8Vt
ある夜、酔ったケガレシアがヨゴシュタインの元を訪れ、豊かな裸身を惜しげもなくさらして迫った。
「わらわが女であることを、思い出させてほしいでおじゃる」
ヨゴシュタインはうなずき、猛々しいしぐさで自分のマントを取り去ると、床の上に投げ捨てた。
「それ、アイロンかけてたたんどいてナリ」

マシンワールドを叩き出された三大臣。
ヒューマンワールドの孤島に漂着した三人は、しばらくはこの状況を楽しんだものの、
数日もするとヨゴシュタインとキタネイダスはすっかりやつれはて、
ケガレシアの相手をすることに重荷を感じるようになってきた。
ある日、二人は沖合いで溺れている蛮機族を見つけて、これを助けた。
「これでケガちゃんを満足させる労力が、一人分浮くナリ!」「ゾヨ!」
助けられた蛮機族はピンクメッシュの髪を撫でつけ、二人をねちっこい目で見つめた。
「助けていただいて嬉しいわ。アタシは、ココロオトメデス」
そして、ヨゴシュタインとキタネイダスの労力は二倍になった。

マシンワールドを叩き出された三大臣。
まず、ヨゴシュタインとキタネイダスが、ヒューマンワールドの孤島に漂着した。
数時間で踏破できる小さな島には、ひとまずの食料があり、それに羊がいた。
何日かすると、男として耐えがたくなったヨゴシュタインは羊に襲いかかろうとし、
それをキタネイダスが必死になって止めた。
我に返ったヨゴシュタインは、バカな真似をしなくて済んだことを、友に深く感謝した。
それからも何度か血迷うことがあったが、そのたびにキタネイダスが彼を止めてくれた。
やがて数日後、二人に遅れてケガレシアもここに漂着した。
衰弱していたケガレシアを二人が介抱し、ようやく彼女は元気になった。
その夜、ケガレシアはつきそっていたヨゴシュタインに感謝を口にした。
「二人は命の恩人でおじゃる。お礼に、わらわでよければなんでもするでおじゃるよ」
「…本当に、なんでもしてくれるナリか?」
激しい期待を込めてヨゴシュタインがたずねると、ケガレシアは頬を染めてうなずいた。
「よし! では我が羊を襲うのを邪魔しないよう、キタさんを取り押さえてて欲しいナリ!!」
723名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 23:57:34 ID:Io6mbBcg
職人さんリアルタイム遭遇!
ココロオトメデスの使い方が絶妙で声出してワロタwww
アホエロ話とガイアークは親和性がありすぎるwww
超GJ!
724名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 00:00:20 ID:CGo1tGKd
違和感ゼロすぐるwww
職人のセンスにプロージット
725名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 02:52:29 ID:twRekAM8
違和感なさすぎるw
敵幹部物でジャカンジャ暗黒七本槍の物希望
726名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 03:48:09 ID:DZPfMhjW

夜中にこっそりと投下してみる
初SSだし、携帯からなんで改行等おかしかったらすまん


真剣 殿黄 エロなしです
727(真剣 殿黄)月夜秘慕情 1:2009/03/12(木) 03:50:33 ID:DZPfMhjW
静かな満月の夜。
部屋付きの黒子を下がらせ、独り丈瑠は床についた。
部屋の明かりを落とし、明日の鍛錬について考えながら目を閉じる。
が、廊下に人の気配を感じて丈瑠は警戒しつつ声を出す。

「…誰だ」

カタリ、と音がして襖越しに声がする。

「殿様…夜更けにすみません…うちです。ことはです」

意外な人物だったことに少し動揺する丈瑠だったが、そんなことは表に出さない。

「何だ?」

「うち…殿様に聞きたいことが…失礼してもええですか?」
728(真剣 殿黄)月夜秘慕情 2:2009/03/12(木) 03:51:54 ID:DZPfMhjW

襖越しに聞こえることはの声は、思いつめている様に聞こえた。
丈瑠はことはに入室を促す。
スッと静かに襖が開き、薄暗い部屋に月明かりが入る。
月明かりに照らされ、丈瑠の目に飛び込んできたのは長襦袢姿のことはだった。
丈瑠はその姿に言葉を失う。

「…失礼します…」

ことはは深々と礼をした後、面をあげてじっと丈瑠を見つめる。
暫くの沈黙。
それを破ったのは、我に返った丈瑠だった。

「お前、なんて格好しているんだ」

長襦袢は着物の形はとっていても、下着と同じような物。それ一枚で出歩くものではない。
下着姿の女が夜更けに自室に入ってきたら誰だって動揺する。
729(真剣 殿黄)月夜秘慕情 3:2009/03/12(木) 03:52:56 ID:DZPfMhjW

「うち…覚悟はできています。父から聞いてきましたから」

真剣な眼差しでことはが言った言葉は丈瑠が投げかけた質問の答えではなかった。
丈瑠の頭の中に疑問符が浮かぶ。

「…一体、何の話だ」

「うちみたいな…貧相な身体じゃあかんかも知れませんが、うちがんばりますから」

ことはは立ち上がり、丈瑠のそばに座り直す。
丈瑠の鼻孔を、風呂上がりの甘い香りが刺激する。
その香りにくらりと軽いめまいに似たモノを感じる丈瑠。
薄明かりの中、上気したことはの顔が近づいてくる。

「…殿様…」
730(真剣 殿黄)月夜秘慕情 4:2009/03/12(木) 03:58:03 ID:DZPfMhjW

「待て!」

丈瑠は、ことはの肩に両手を置いて距離を取る。頭を数回振って、めまいを振り払う。

「これは何の真似だ」

夜更けには声が高い気もしたが、丈瑠は続ける。

「…お前、何のつもりだと聞いているんだ」

ことはは驚いた顔の後、悲しそうな顔をして下を向く。
何事が起こっているのか、丈瑠は理解できていかなった。
暫くの沈黙の後、ぽつりぽつりとことはが話し出した。
父や母から聞いていたシンケンジャーの話。
志葉家に馳せ参じた後のこと。
代々、女が継ぐ場合は殿様の夜伽のお相手にもなること。
お声が掛かるのを待ったが、何もないので自分ではいけないのかと思ったこと。
語りながらだんだん涙声になっていくことは。
丈瑠は話を聞きながら頭を抱えていた。
731(真剣 殿黄)月夜秘慕情 5:2009/03/12(木) 04:00:21 ID:DZPfMhjW

「…なんて時代錯誤な、俺がそんなことを望んでいると思っていたのか」

ため息混じりに吐き出した丈瑠の言葉に、ことははびくりと反応する。
顔を上げたことはの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「泣くな…。そういうことはしなくていい」

躊躇いがちに丈瑠の指がことはの涙を拭う。

「お前だから嫌だという訳じゃない。そういうこと自体、しなくていいんだ」

ゆっくりとことはに言い聞かせるように、丈瑠は言葉を選びながら言う。

「忠義や主従などいいと言っただろう。俺はお前たちにそんなこと望んでいない」

まるで子どものようにこくりと頷くことは。
その表情は少し明るくなっていた。
丈瑠はこっそりと安堵の息を吐いた。
が、薄明かりに目が慣れて改めて見ることはの姿に丈瑠の心臓が跳ね上がる。
少しはだけた長襦袢、そこから覗く白い脚。
上気した頬、潤んだ瞳で丈瑠を見ている。
丈瑠は慌てて羽織りをことはの肩に掛けた。
732(真剣 殿黄)月夜秘慕情 6:2009/03/12(木) 04:02:32 ID:DZPfMhjW

「夜更けにそんな姿で男の部屋に来るものじゃない。好いた男にしてやれ」

早口でまくし立てる丈瑠を不思議そうに見上げることは。
丈瑠は振り切れそうになる理性をなんとか保ちながら立ち上がって襖を開ける。

「明日も早い。早く部屋に戻れ」

その言葉にことはは慌てて立ち上がる。
おやすみなさい、と挨拶することはを丈瑠は廊下へ追い出す。
丈瑠の態度にことはは怒らせたのかと不安になるが、
これ以上なにかしても失敗しそうな気がして襖ごしに謝罪すると自室へ歩き出した。
遠ざかる足音を聞きながら丈瑠はため息をはく。
まだ速く打ち続ける鼓動を落ち着かせようとするがうまくいかない。
明日の為に寝なくては、と床に入るがことはの残り香が鼻孔をくすぐる。
先程までの光景が頭の中で何度も繰り返して再生される。
月明かりの長襦袢。
ことはの涙。
白い脚。
ことはの息づかい。
あんなことなんだというんだ、大したことはない…、そう繰り返し思いながらも
頭の中のモヤモヤは晴れない。
その夜、丈瑠が眠りにつけることはなかった。


733名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 04:05:42 ID:DZPfMhjW

終わりです


前で出ていた夜伽話でつい妄想が膨らんでしまいました

お目汚しですみませんでした
734名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 05:19:29 ID:0f51A3OQ
>>733
こ、これは…!!
今まさに追い求めてた殿黄…!!
ありがとう、朝からGJ過ぎて言葉失いました
ことは純心で愛らしく、殿やさしくてニンマリです
つか殿の理性にもSGJw
出来れば、つづきを…!
ふたりがどんな気持ちの変化を辿るのか見てみたいですよ

長々と(そして自分も携帯から)失礼しました
735名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 14:57:35 ID:XrGFZBS7
>>721
亀レスだけど。
ボウセキバンキ……
736名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 17:53:42 ID:up3w3ed2
>>735
かっこ内に、「害気目唯一の女性蛮機獣」ってあるよ。ボウセキは、害地目。
あと、害水目のシャワーバンキのことも、たまに思い出してあげてください。
737名無しさん@ピンキー:2009/03/12(木) 21:52:34 ID:SyfQKU0u
>>733
GJ!
『思』のモヂカラを使われたような
まさに好みな殿黄でした!
ぜひぜひ続きも読ませて頂きたい。
738709:2009/03/12(木) 23:53:41 ID:00gL/ZWb
>>709です。
調子に乗って殿桃を書いてみたので投下させて下さい。
エロ無しヘタレですみません。
739真剣殿桃「漆黒の瞳」:2009/03/12(木) 23:54:40 ID:00gL/ZWb
分かっていた。戦わねばならないと。
だから苦しくなんてないし、悩んだりもしない。
けれど一つだけ、引っ掛かることがある。
「……。」
それは、払っても払っても頭に浮かんで来る幻。
消そうと努めればその分、意志とは正反対にくっきりとした輪郭で浮かび上がる、憎たらしい男の影。
「何だって言うのよ!」

彼は確かに強い。
誰よりも冷静に状況を察知して、乾いた声で事を命じる。
ショドウフォンが描く軌跡にすら、迷いはない。
冷酷なまでに真っ直ぐな眼差しで、ただひたすら敵に立ち向かい、勝利するのみ。
740真剣殿桃「漆黒の瞳」:2009/03/12(木) 23:56:28 ID:00gL/ZWb
殿。丈瑠。殿様。
仲間たちはそんな風に、それぞれに彼を呼ぶ。
けれどあたしはまだ、その名を口にする勇気すら持てないままだ。

顔を上げて見つける三日月は、闇の中のひとしずく。
そんな儚い光で照らさないで。そう願う。
こんなにも情けないあたしを、労るような優しさで包み込まないで――。

「何をしている」
「!!」
その時、突然背後からもたらされた声で、心臓が止まるかと思った。

振り返らなくても分かる。
ついこの間までは見も知らぬ他人だったのに、今は嫌でも分かってしまう。それが悔しい。
「なに、も」
自分の中に静けさを呼び戻す為の低音は、ひどくざらついて言葉にならなかった。
741真剣殿桃「漆黒の瞳」:2009/03/12(木) 23:58:57 ID:00gL/ZWb
どんな望みもありはしないのに、いつも無意識に探し続けている人。
捨てて来た夢のかけらに惹かれるより強く、求める答え。

流ノ介みたいに。千明みたいに。ことはみたいに。
あたしも自然に、彼と関わり合えればいいのに。

「…ッ!」
「何故泣く」
息を呑みながら発された声に、愕然とした。

知られてしまった。
抱えた想いに困惑しながら、堕ちて行く勇気を持てない臆病なあたしを、見つけられてしまった。

どんなに隠そうとしても、もう無理。
頬を伝う涙は熱くて、コントロールの利かなくなった自分自身を呪う。
「な、泣く訳ないでしょ!ウザいのよ、放っておいてよ!」
支離滅裂な言葉を吐き、自らの肩を抱きしめた。
742真剣殿桃「漆黒の瞳」:2009/03/13(金) 00:02:19 ID:L8zfwmE0
守らなきゃ。
これ以上進まないように。心が漏れ出してしまわないように。
この人を…困らせないように。

「お前、」
願望に反し、易々と正面に回り込んで来た彼は、指先で空中を探った。緩やかに自由に、恐ろしく慎重に。
やがて、ひと房掬い上げたあたしの髪に、唇を押し当てる所作のあまりの自然さに、目を見張る。
「ちょ、…!」
「怖いのか?」

伏せられた瞼。育ちの良さが窺える、綺麗な手。
引き締めた唇が触れている先は、あたしの一部。
勘違いしてしまう。
そんなことをする表情が、あまりにも愛しげに見えるから。

「…泣くな」
長い前髪の隙間から、いつも通り愛想のない眼光。
耳ではなく心で、恐ろしく速い自分の鼓動を聞いた途端、上手く息が出来なくなった。
「あ、の…」
呟きは闇に消え、僅かに伏せられた睫毛に漂う魔性。
743真剣殿桃「漆黒の瞳」:2009/03/13(金) 00:03:24 ID:L8zfwmE0
漆黒。そんな濃さを湛える彼の瞳の中に、あたしが映っている。
今、この瞬間。あたしだけを、映してくれている――。

「気が済んだら、戻って来い」
そう言い渡すなり、彼は振り切るように背を向け、歩き出した。
突如解けた緊張感に、再びぼんやりと月明かりを受けながら立ち尽くす。

「何だって、言うのよ…」

彼が口づけた髪に、そっと触れてみる。
その途端、指先がじんと熱く痛んだような気がして、あたしは強く目を閉じた。


<終>
744名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 00:12:22 ID:mrjlkuWt
リアタイ遭遇ktkr!
超GJでした!
745名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 00:14:36 ID:QOFpwRIy
ぐっじょぶー
どきどきしたぜ
746名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 00:27:33 ID:242eKExO
殿黄も殿桃も乙!
747名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 01:21:30 ID:eo3MOkeZ
失礼します
真剣青桃投下します

エロありなので苦手な方はタイトルNGでお願いします
タイトルは「隠せない思い」です
748真剣青桃「隠せない思い」:2009/03/13(金) 01:22:57 ID:eo3MOkeZ
戦いと稽古の一日が終わり、床につこうと部屋に戻ったら隣の布団には湯上がりと思われる茉子が寝間着姿で濡れた髪を拭いていた。


「………?」


おかしい。
私と同室なのは千明のはずだ。
もしや私はおかしくなって、いよいよ茉子の幻でも見ているのか。


ホームシックの一件以来、茉子に特別な感情を抱いていたのは否定出来ない。
だか茉子は単に『困ってる』私を助けただけ。それに外道衆を倒すまで侍として生きると心に決めたのだ。


もしかしたら、千明が茉子に見えているのかもしれない。…などと思って声をかけてみる。


「千明」
「………」
「おい、千明」
「………流之介、あたしが千明に見えるって言うの?」


ほ、本物の茉子…だったか。


「ま、茉子?」
「なによ」
「何故私の部屋に?」


しかも寝間着で。隣の布団で。
これはいけない。物凄くいけない気がするぞ。


「千明がどうしても夜通しことはに相談したい事があるって言うから、今夜だけ部屋変わったの」
それがどうかした?と言わんばかりに茉子は私を見つめる。


「だ、だめだ!絶対!!」
「何が?ことははずっと山に篭りっぱなしだったし千明は今友達とは会えないから、ちょっと心配だったんだよね。だから二人が仲良くなってよかったじゃない」
「しかし、だからと言って若い男女が夜を共にするなど…、破廉恥だ!」
「破廉恥って。ことはも千明もまだ子供だよ?」
「違う、千明達の事ではない。私達だ!」
「えぇ?」
私の言葉に、茉子はからかうように笑った。


茉子、お前はそのつもりはないかもしれない。
でも私は違う。ずっと押し殺してきた気持ちがある。


以前茉子と二人きりで、夜を明かした事はあった。だが今とあの時では何かが違うんだ。
しかし茉子はそんな私の気も知らず、悪戯そうに微笑んだ。
749真剣青桃「隠せない思い」:2009/03/13(金) 01:25:24 ID:eo3MOkeZ
「へ〜…」
ニヤニヤと私を見つめながら、茉子がゆっくり近付いてきた。
「な、なんだ…?」
「流之介ってちょっと堅物かなって思ってたけど、そう言う事も考えてるんだぁ」

布団に膝をついたまま、私の側に手をついた茉子が耳元で囁く。
「意外かも」
「ま、茉子…」
耳にかかる吐息に、鼓動がいっきに跳ね上がる。
だめだ
だめだ
だめだ
頭の片隅で警報がなっている気がした。


「りゅうのすけ」
まるで私を嘲るように囁く茉子。
その手が私の肩にそっと触れた瞬間、はりつめていた何かが切れた。




「きゃっ…」
肩に置かれた手を取って、そのまま茉子を押し倒す。
茉子は驚いたように一瞬瞳を見開いたが、すぐに先程のように微笑んだ。

ああ、こんな表情を妖艶というのだろうか。
「茉子…!」
たまらずその唇に自分のそれを押し付ける。息を荒げる私とは反対に茉子は静かに目を閉じた。茉子の腕が私の首に絡められる。
こんな時、どのように振る舞えばいいのだろう。
今は侍として。そしてその前は歌舞伎の道をただひたすら進んできた私には、次はどうすればいいのか分からない。

「流之介…」
重ねるだけの口付けが終わった後、茉子がうっとりと呟いた。
至近距離で目と目が合い、動けずにいる私に今度は茉子から口付けをしてきた。

先程とは違い、茉子の舌が私の舌を絡めとる。
「んっ…?むっ…」
最初こそ驚いたが、私はその感覚に次第に酔っていった。慣れないながらも、懸命に茉子の舌を追う。
後はもうその感覚に身を任せるだけだった。
無我夢中で茉子の唇をむさぼりながら寝間着をはだけさせる。
湯上がりで薄く紅に染まった肌。甘い髪の香り。息継ぎの合間に漏れる溜め息のような声。

全てが初めてだったのに、まるで知っていたかのように私は自然と茉子の胸へと手をのばす。
「あっ…」
「…茉子」
心臓がうるさいくらいに脈打っていた。まるで初めて舞台に立った時のような緊張感と、押し寄せるような興奮。
「流之介…、これ以上はまずいって…」
茉子が吐息まじりにそう言った。
「すまない…でも、どうやって自分を押さえればいいのかが分からないんだ」
熱く、甘く、ひどく苦しい。この気持ちを恋と呼ぶのなら、恋とはなんと切ないものなんだ。
「助けてくれ、茉子…!」
私が叫ぶと、茉子は回した腕に力をこめて私の顔を自らの胸へとうずめさせる。
「もう…。だからあたし、そういうの弱いんだってば」
茉子は優しく私の髪を撫でながら、いいよ、助けてあげる。と囁いた。
「きて、流之介…」
言いながら、茉子が私の着ているものを脱がせていく。
750真剣青桃「隠せない思い」:2009/03/13(金) 01:26:55 ID:eo3MOkeZ
それに習って、私も茉子の寝間着を脱がせていく。
お互い生まれたままの姿になると、茉子は頬を染めて己の腕で胸を隠した。

「ねぇ、灯り…消して?」
ねだるような声。
言われるままに、私は部屋の灯りを消した。
再び茉子に向き直ると、茉子は私の手を取り自分の胸へと導く。

「流之介、いいよ。好きなようにして」
「すまない…茉子。ありがとう」
私は茉子に口付けを落とすと、そのまま胸を愛撫した。
全体を揉み、固くなった突起を指で摘み、とにかく思うままに茉子の体に触れた。
そのたびに耐えるような喘ぎ声が茉子の口から漏れる。

「茉子…もっと声を聴かせてくれ」
「やだ、恥ずかし…っあぅ…」
胸の突起を口に含むと、茉子の体が跳ねる。
ここが弱いのだろうか。
茉子の反応を試すように優しく、強く、軽く歯を立てたりしながら舐める。
「あぁ…っ、もう…バカ、そこ…ばっかりぃ…」
涙を溜めた瞳が、私を睨む。
「茉子っ…もう、限界だ…!」
「流之介…」
訴えると、茉子は私の欲望にそっと手を添えた。
「ぅあ…っ」
たまらず声をあげる。
触れられただけで達してしまいそうなほど、私のそれははりつめていた。
「流之介…、可哀想。こんなに我慢して…」
言いながら、茉子の繊細な指が私の欲望を優しく擦る。
「くぅ…、あぁっ」
「ねぇ、もう挿れて?」
「だ、駄目だ。女性は…慣らさないとっ…痛むんじゃないのか…?」
経験がないとは言え、一応の知識はあった。
茉子の言葉に私はなけなしの理性で反対する。

だが茉子は、暗闇の中で首を横に振った。
「いいの、大丈夫」
「しかし…っ」
「こんな辛そうな流之介見てられないよ、お願い…ね?」
「茉子…」
もう限界だった私は、言われるまま茉子の秘部に欲望を押し付ける。
そこは予想より潤っていた。胸への愛撫だけでここまで感じたのか。
熱に浮かれた頭の片隅で、意外に敏感なのだと思った。

ゆっくりと私自身が茉子の中に入っていく。
ろくに慣らしていないそこは、まるで私の侵入を拒むかのようにかたくなだ。
「あ…っ、やぁあ…」
「茉子…辛いなら…」
「ダメっ…やめないで…」
ポロポロと涙を溢しながら懇願されると、自分を抑えようがない。
一思いに腰を進めると、茉子が悲鳴にも近い声をあげた。
751真剣青桃「隠せない思い」:2009/03/13(金) 01:28:31 ID:eo3MOkeZ
「ああぁっ…」
「茉子、大丈夫か…?」
はぁはぁと荒い息を吐きながら、見つめあう。
「全部…入ったぞ」
「ほんと?」
「あぁ…動いて、いいか?」
「ん…どうぞ」

許可を得ると、私はゆっくり腰を動かし始めた。
「ふぁ…っ、あぁんっ」
動く度それに合わせて、茉子からあられもない声があがる。
ひとつになれたのだ。
それが実感出来た。

「あぁっ…流之介っ…流之介ぇ…」
不思議な気持ちだ。
心の中で荒ぶる何かが暴れ出しそうな程もどかしく、苦しい。もっともっとと、茉子を求めてやまない。
なのに結ばれた事に感動を覚え、目頭が熱くなる。

「ふふっ…なに、泣いてるっ…のよ」
喘ぎながら茉子が笑う。
「大丈夫っ…泣かないで、流之介…っ」
「違う、嬉しいんだ…」
「あんっ…、流之介…あたしっ、もぅ…ダメっ」
茉子の体がビクビクと震える。限界が近いのか。
「ああ、私もだ…っ」
頷いて動きを激しくすると、茉子はいやいやと首を振りながら快楽に溺れた。
「やあっ…ああぁっ、ふぁあああっ」
「うあっ…」
茉子が達した瞬間、私は何とか堪えて自身を茉子の中から抜いた。
私の放った白い飛沫が、茉子の腹や太股を汚す。

のろのろと茉子が起き上がり、優しく私の頬に触れた。
「流之介、大丈夫?」
己が汚した茉子の体を見つめ、今更罪悪感がこみあげる。
茉子の手を優しく払い、私は土下座した。
「茉子…!すまない、謝ってすむ問題ではないが…本当に申し訳ない」
「流之介、顔あげて」
「だが」
「いいよ、あたしも…今夜ちょっと期待してたから」
「えっ?」
茉子の言葉に顔をあげると、決まりが悪そうに視線を反らされた。
「だから…あたしも、わざと流之介を煽ったっていうか…」
「そ、それは、もしかして…」
私が震える声で尋ねると、茉子はああもうっ!とこちらを睨んだ。

「とにかくっ!また流之介が困ってたら、あたしがこうやって助けてあげるってこと!」
「い、いいのか?また?本当に?」
何度も確かめる私に、茉子はうんうんと頷く。
「茉子、大好きだ!愛してる!」
ぎゅっと抱き締めると、茉子が私の胸を押し返す。
「んっ?」
疑問に思い茉子の顔を覗くと、冷たい瞳で一言。
「愛してるとか、そういうのウザイ」
「そ、そんな…!」
やっぱり結局ウザがられるのか…!!



〈終〉
752名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 01:30:52 ID:eo3MOkeZ
以上です
初めてのSSなのでお見苦しい点があるかもしれません
ご容赦下さいませ

お目汚し失礼しました
753名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 01:43:42 ID:NfTI6fj9
も、萌え死ぬかと… !
なんという神々の連続投下、しかも全部違うカップルとは盆と正月とクリスマスが一気に来た気分だw

>>733
据え膳食わぬ殿カッコイイな
貧相気にしてることはハァハァ!

>>739
うおー殿桃待ってたから凄い嬉しい!!
ツン弱な桃→殿と不器用な殿の優しさが良かった!

>>747
シンケン初エロにリアルタイム遭遇できるなんて…GJGJGJGJ!
大人の女桃とヘタレ青の性格が凄く伝わってきたし本編に似てて、
初めてってのを疑ってしまう程よかた!
しかし緑は黄と何かあったんだろうか…
殿、余って(ry
754名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 01:53:21 ID:cdegb5Fs
おおお、青桃来たぁ!しかもエロ!GJです

しかし夜通し相談とは…
緑黄編もよろしくお願いしたいっす
755733:2009/03/13(金) 02:00:31 ID:iIzP4gin

稚拙なSS読んで下さってありがとうございます
神の連続投下に涙目
真剣はどの組み合わせもおいしいな

>>738
殿桃GJです
萌えしぬかとおもた
殿様の不器用な優しさがイイ

>>752
青桃GJすぎる
キュンキュンしました
茉子が妖艶でハアハアした
是非に緑黄編も読んでみたい
756名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 19:14:22 ID:sSZ7OH/S
>>747
GJ!結局ウザがられる流ノ介に泣けました。
作品は最高ですが、注意書きに一つ気になる所がありましたので、以下に。

> エロありなので苦手な方はタイトルNGでお願いします

ここは「エロパロ板」なので、この一文は無くても良かったと思います。
むしろ、エロなしのときにこそ必要かと。
(すみません。少し引っかかったもので。)
757名無しさん@ピンキー:2009/03/13(金) 19:36:02 ID:hRLV072h
なあ。一昨日〜今日にかけて何があったんだ…?


神降臨ktkr!!マジでGJです!
7581:2009/03/14(土) 23:59:58 ID:xi09RmoG
そろそろ、次スレのことも考えた方がいいかも。
番組も変わったから、テンプレも変えたほうがいいよね?
759名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 00:47:21 ID:7lMuBcWW

あー確かに…
760名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 08:00:18 ID:cfeC72ea
今回は殿桃っぽいとこが有ったな
次回は緑黄か
761名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 08:42:44 ID:zFW6yee7
桃だけが殿を理解しつつある
これはやっぱりフラグだよな。強がりな殿は桃の母性本能くすぐりまくりかな
762名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 08:44:12 ID:jvy08kbS
ほんのり殿桃だったね。桃、やっぱり名前呼び派だったかー
来週の予告で妙にときめいた自分がいた。緑黄イイ!
そして赤←黄←緑な妄想してみたら、これがまた切なくてかなり萌えなんだぜ…
763名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 09:11:16 ID:BPOhgoBV
今週は殿桃も殿黄もあったな!
殿が修行かも、と感覚的に殿のことを理解してる黄色と、
観察眼?で殿を良く見てる桃、どっちも良かった。
しかしことはのリクエストを良い笑顔で聞く青に青黄も想像してしまった…w

でも次回は緑黄!
764シンケン緑黄 小ネタ:2009/03/15(日) 17:05:33 ID:FBmzztK2
「ふあっ…んむッ…千明、熱い…。」
「ほら、ちゃんと味わって全部飲み込めよ。」
「んっ…んんっ……!」








「ぷはあ、おでん熱いけどやっぱりおいしいなあ。」
「コンビニのおでんそんなにうまい?」
「うん!前住んでたとこ田舎で、こういうの食べれへんかったから。」
「そっか…じゃあ、また買ってくるかな。」
「ほんま!?千明ありがとう!」
「お、おう。(ヤバい、かわいい…。)」



次回予告にwktkし過ぎてやった。
つまらない小ネタで正直スマンかった。
来週の二人の絡み次第だけど、何か書けたらいいな。
765名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 17:18:28 ID:3WAd+sBM
桃は都合のいい女
766真剣 赤←黄←緑:2009/03/15(日) 18:46:05 ID:uBZOSoWk
「……うちって魅力無いんかな」
「は?」
隣に座っていたことはがいきなり小さな声で呟いた

*矢印は振り向かない*
思わずことはの方を向いたら練習してた文字がめちゃくちゃ曲がったけど、それどころじゃない
「お前いきなり何言ってんだ?」
「殿様は茉子ちゃんみたいな大人の女の人のがえぇんちゃうかな…」
俺の存在を忘れてるかのようにことはは喋る。
その目線の先には丈瑠と姉さんがいて、
まぁ…
お似合いと言えばお似合いに見えないでもないけど

「…丈瑠が好きなのか?」
「…そんなん、ちゃう」
じゃあなんだよさっきの切なそうな顔。
「殿様は殿様や。…うちなんか好きになったらあかんの」
そう言って丈瑠達から目を離して俺と目を合わせる。
いきなり合わさった瞳に慌てて俺は目を逸らして呟く
「…結局好きなんじゃんアイツが」
つまりそういう事だろ。
心なしか声が低くなる。
なんか、イライラする。
「………千明意地悪さんや」
ことはが頬を膨らまして俺の肩を叩く。
痛くない。
当たり前だけど痛くない。
「…事実やろ。事実」
イライラしてたくせに
ことはが俺の名前を呼んだらなんか嬉しくなって思わずことはの真似をした。そしたらことはがプッと笑った
「全然似とらんー!」
「うっせー!」
やっと笑ったことはの髪をぐしゃっと撫でるとことはは笑ってくれた
コイツが笑うと嬉しくなる。
もっと笑顔が見たいと思う。
「笑った顔が可愛い」なんてそういうのも魅力の一つだとしたら、
ことははどの女より魅力的だと思う。
だから、
「笑っとけよ」
「え?」
「お前の笑った顔好きだもん俺」
「本当?」
「お前の魅力その1。笑顔!」
「……っうん!」
はにかんだ笑顔を今は独り占め出来るなんて
幸せじゃないか
だから、
心の奥にある小さな気持ちに気付かないふりをしていよう
(好き、なんて言えるはずないじゃないか)
END
赤←黄←緑
緑黄をチラッと殿様が見てたら萌。
携帯からなんで上手く行かなかったらすみません!
767名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 20:21:58 ID:zFW6yee7
まあ殿様なんだから
奥方様以外に側室が何人いようと許されるよな
768名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 21:11:22 ID:CXBb+m8o
今日のシンケン今見た。
かるく殿茉子の空気あったなw
つーか、茉子は殿の素をなんとなく理解してそう。
あの後屋敷で寝込んでる殿を一人見舞に部屋にいってそうと妄想してしまったw寝顔だけひたすら見てる。
769名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 21:32:29 ID:lVLjmsAr
おっ、緑黄が来てる。しかも2作もw
職人さん、お二方ともGJです
770名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 21:45:28 ID:BPOhgoBV
緑黄GJ!
おでんエロいw
緑→黄→赤イイヨイイヨー!

本スレで言われているように、茉子には弱気センサーがあって、
殿の弱気に反応したに違いないw
そのうち殿もあの胸に捕獲されるの期待w
771名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 22:51:33 ID:vg28cpT9
緑黄見てると、ボウケンの黒黄は被るのは俺だけじゃないはずだ。
772名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 23:03:32 ID:h4OtM2PN
>>771
ノシ

ほややんとした黄に対して保護者気取りになればいいと思う>緑
ほっとけないっていう
773名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 23:08:40 ID:9ljGK6Pk
緑黄GJ!


>>762
自分も切ない萌え人間なので、赤←黄←緑が堪らんですわ。
今日の放送を見ていたら、桃→赤←黄←緑…!とか思ってしまった。



更に青と黄は、兄と妹みたいな関係がいいなぁと。
超世話焼きで超シスコンな青兄w
来週の予告を見て、ことはの姉が実は殿の許嫁、ってのもアリかもしれんと思った。
どんだけ片思い&切ないシチュ好きなんだ自分www
774名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 23:54:32 ID:BPOhgoBV
>>773
そこで
青→桃→赤←黄←緑ですよ!
これで誰も余らないから完璧だな!
775名無しさん@ピンキー:2009/03/15(日) 23:59:29 ID:cUToX9qZ
……となると

緑→黄→赤←桃←青

か?
どこより爛れた戦隊に……
776名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 00:23:31 ID:+q1N/Y/U
スレの残り少ない時に申し訳ありません、真剣殿桃投下させてください。
今日のほのかなフラグが燃料になりました。
いきなりエロでストーリー性皆無ですが、お暇潰しになれば幸いです。

苦手な方は、真剣殿桃「光差す道へ」でNGお願いします。
777真剣殿桃「光差す道へ」:2009/03/16(月) 00:26:16 ID:+q1N/Y/U
月のない夜。暗い寝所に響き渡る、熱い呼吸と衣擦れの音。
「……ッ!」
繋がり合った下肢からもたらされる甘い刺激に、茉子は洩れそうになる声を必死で堪えていた。
男の腿の上に腰を下ろし、屹立を真上から包み込む。
溺れた者のように首を伸ばし、唇をきつく噛むと、瞳の端にうっすらと滲む涙。
律動は止むことなく、快感と苦しさの狭間で今にも意識が薄れそうだった。
「…ぁ、っ」
茉子の両腕は、首だけを抜き取った状態で裏返ったシャツによって、背中で固定されていた。
目の前の男に抱きつきたいのに、出来ないもどかしさ。
表情すら窺い知れないほどの暗闇の中で、唯一その存在を知らしめるのは、彼がくれる甘苦しい痺れだけ。
それが茉子を焦がし、より深い繋がりを求めさせた。

男は何も言わない。いつものことだ。
普段から自分のことを語らない彼は、こうして交わる時はより寡黙さを増す。
黙々と行為に耽る。が、時折何かに憑かれたように激しく茉子を求め、乱す動きの淫らさに、茉子は歓びを感じてしまう。
冷徹なまでに物静かな男が、恐らく唯一コントロール出来ない衝動。
それを余すことなくぶつけられることで、彼の人間としてのひとかけらを知るような錯覚を抱くのだ。

「はん…っ!」
僅かながら、高い嬌声が洩れた。
ふっくらと揺れる茉子の乳房の頂点を、男の舌が捕えたからだ。
桃色の乳輪のあたりにまで歯を立て、ざらついた裏側で転がしながら吸う。
ひんやりとした室温に晒されたそこに、口内のぬくもりは溶けそうなほど心地好かった。

すかさず下から抉るように突き上げられて、舌を噛みそうになってしまう。
「だ、だめ…」
腕が使えない為に、身体を引き剥がすこともままならない。嬲られるままに濡れる胸と秘部が、行き場のない水音を響かせた。
778真剣殿桃「光差す道へ」:2009/03/16(月) 00:28:23 ID:+q1N/Y/U
男の腕が、強く茉子の白い背中を引き寄せた。
一見華奢なのに、程良い筋肉をつけた厚い胸に頬を寄せる。
首筋に顔を埋めると、襟足から香るシャンプーの匂いに、この男も髪を洗ったりするのだと何故か可笑しくなって、茉子は忍び笑いを洩らした。
「ん、」
何故笑う。短いながらも怪訝な問いに、少し驚いた。聞こえていたなんて、と。
「何でもないわよ…」

茉子は自らの笑いを鎮めるように、男の耳朶を含んだ。
一瞬、ぴくんと彼の背が伸びる。その反応が可愛くて、縁を舐めながら奥へと舌を進める。
ぴちゅ、とわざと音を響かせて歯を立てると、男は逃れたそうに首を振った。
「や、めろ…」
「気持ちいい?」
あぁ、愛しい。このまま食べてしまいたくなる。

後方で腕を拘束され、せり出した状態の胸を、男の掌がめちゃくちゃに揉みしだく。
「も…、負けず嫌い!」
「お前に言われたくない」
男が胡坐を崩すと、途端に茉子の背が傾く。
布団に倒れ込むなり、ぎりぎりまで腰を引いて素早く腿を割り開き、ぐっと最奥まで腰を進めた。
もう痛みはない筈なのに、入口が疼くような感覚があった。
身体の下に敷いた腕が、布団に擦れて痛む。
「あ、んぁ!」
揺さぶられ、与えられる快感が、男と繋がっているという事実を知らしめる。茉子の心が波打ち、それは身体にフィードバックされる。
779真剣殿桃「光差す道へ」:2009/03/16(月) 00:32:02 ID:+q1N/Y/U
高さを増す蜜の音。挿されたままの男の芯が、硬さを増して行くのが分かった。
茉子は左肩を上げ、無理な体勢を承知で鼻先を擦りつける。自らの肌に舌を這わせ、軽く歯を立てるようにしながら、襲い来る快楽に耐えた。
「こ、声、出ちゃ…」
「人払いはしてある」
決して直接的な言葉は使わない、彼らしい許しに、茉子は何故か泣きそうになる。
「ふ…っ」
それを悟ったように、男の唇が瞼に落ちて来た。
こめかみに、目尻に、眉間に移動し、鼻の頭を挟んで止まる。まるで狙いすましたかのように。

「あっ、あぁ…」
片足を折り畳まれ、横向きにされた。入口が狭まって圧迫感が増したところに、一方的に腰を叩きつけられるのだからたまらない。
「ん、あっ、はぁぁんっ!」
自分のものとは信じられないほどに妖艶な声を、もう止めることなど出来なかった。
半身を捻って上向かされると、男が再び胸の先端を含む。
首筋に、顎に、頬に。決定的な場所を避けた口づけに、茉子は触れたい衝動を抑えられなくなった。
「…。」
呼んでもいいのだろうか、その名を。
熱に浮かされ、やっと忘れられていた彼の現実を、引き戻してしまったりはしないだろうか。

「た、」
静かに口にしかけると、刹那、男の呼吸が跳ね上がった。限界が近いのかも知れない。

抱きしめたい、出来ない。でも、それで良かったかも知れない。二度と離れないよう、溶けてしまいたいと望んでしまうから。
彼は自分のものにはならない。その事実を、今は知らないままでいたい。
茉子。たとえ名前を呼ばれることは叶わなくても、この人に快感を与えられている。
僅か一瞬の、幻に消えてしまうような時間でも。

あたしは今、物凄く…幸せ。
780真剣殿桃「光差す道へ」:2009/03/16(月) 00:34:05 ID:+q1N/Y/U
「――丈瑠」

吐息で名前を呼んで、暗闇に目を凝らし、揺れる影を見上げた。
と、覆い被さって来る身体の重み。
閉じ込められた肌に熱が篭り、丈瑠の汗が零れ落ちた。
「ん…!」
唇を塞がれる。初めは触れる程度だった重なりは、すぐにこれまでの物足りなさを埋めるような深い口づけに変わった。

――すき。
好き。好きよ、丈瑠。

言えない言葉を心の中で必死に叫ぶと、彼は茉子の手を握り締める。
無防備な舌先を絡め取られ、呼吸ごと奪われた。反射的に強張る身体が、抽挿を締めつけながら受け入れる。
「ッ!…も、う…!」
切ない声を上げる丈瑠。
壊れそうなほどに動きを速め、やがて茉子の奥へと欲望を放出した。

夜着に身を包んだ丈瑠は、しっとりした寝息を立て始めた。
茉子は起き上がり、昼間のままの服を整える。
早く自室に戻ろう。今夜は暇を出された黒子たちだって、この寝所を守るためにいつかは戻って来るに違いない。
一番の不審者が、既に入り込んでいると言うのに。自嘲すると、丈瑠が僅かに身動ぎした。
「……、」
別れの挨拶を囁きかけ、やめる。
代わりに彼の肩に毛布を掛け直して、茉子は静かに襖を開けた。
781真剣殿桃「光差す道へ」:2009/03/16(月) 00:35:28 ID:+q1N/Y/U
人の気配が消えたのを確かめて、丈瑠はゆるりと目を開けた。
重たい闇は飽くことなく室内を塗りつぶし、圧倒的な威圧感を以て彼に襲いかかる。
寝具の片側が、少しだけ広めに空いていた。
そこに寝ていた女のことを思い、胸が締めつけられるような苦しさを抱く。
手の甲で瞼を覆った。
置いて行かれた子供のように、孤独と不安に苛まれながら。

本当の気持ちを告げられない。
好きだと言われすらしないまま身体を重ね続ける現実に、自分の価値を問われるような気分。
何故俺は、こんなことをしているんだ。殊更に冷静さを取り戻すこんな瞬間を、丈瑠は厭う。

身体に残った気怠さだけが、濃密な時間の証。
誰かの代わりならば、それでもいい。
何も言わずに知らぬふりでいれば、ただひとときのまやかしでも、彼女を自分のものに出来る。
「――茉子」

傍らで、埋めきれずにいる空間に手を触れた。
彼女の優しい匂いも、甘い汗も、罪深い肢体も、そのぬくもりも。
「茉子…」
今は消え去り、もうここには何もない。

丈瑠は深呼吸をし、夜着の襟元を正した。
忘れなければ。
夜が明ければ、またいつも通りの自分にならなければいけないのだから。

「大丈夫、だ」
半ば無理やりに、痛む心を鎮めて、そして。
丈瑠はたった一人で、眠りという名の切ない闇に身を鎮めて行った。


<終>
782真剣殿桃「光差す道へ」:2009/03/16(月) 00:37:33 ID:+q1N/Y/U
以上です。
PCが規制に遭い、携帯から書き込んでいる為、改行等に不具合があったらすみません。
お目汚し失礼しました。
783名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 00:41:47 ID:g8uA3Az/

ちょ…わ…!!

神が来て下さったよ
殿桃萌えるー!!
784名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 00:50:21 ID:MmsJyY4T
>>782
GJ!GJ!
なんという切な萌え…!

この殿桃がいつか心まで結ばれる展開を
願わずにはいられない。
785名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 02:21:53 ID:u/UbTfjf
GJ!!
ええのぉ〜
俺は、どちらかといえば黄赤派だが、今回の桃を見るとヤッパリ桃赤も妄想してしまうよな
本編の今後でどんなカプになってくか、非常に楽しみだ
786名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 06:24:06 ID:yg6RpO9o
保管庫って更新されてないのね…
787名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 07:26:51 ID:ZcCl392v
出勤前で時間がないため自分で立てられないので警告だけ

490kb越えてるから新スレ立つまで書き込みは控えてくれ
788名無しさん@ピンキー:2009/03/16(月) 18:27:05 ID:RDf6Iqy6
新スレ

戦隊シリーズ総合カップルスレ9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237195392/

「幸せハイウェイまっしぐら」のまま立ててしまった、スマソ。
789名無しさん@ピンキー:2009/03/17(火) 22:06:39 ID:0s5O6J8R
序盤でここまで萌え萌えできるのって久しぶりだ埋め
790名無しさん@ピンキー:2009/03/17(火) 22:31:39 ID:66NVOvRV
母性本能攻撃する青とか
尽くしっぷりにほろっとくる緑とかいいなあ。
でもって、殿の笑顔にやられる桃黄なんかもいいなあ梅
791名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 00:40:19 ID:WAomNxoT
投下します
エロもなにもありません、すみません
ただ埋めるだけのものとして大目に見てください。
タイトルNGワードでお願いします
792真剣 「泰然狼狽」:2009/03/18(水) 00:42:08 ID:WAomNxoT
 境内にて竹刀を振りおろす凛とした背中を見つけ、ことはは口元をほころばせた。
「さすが、殿さまや」
丈留が姿を消しているときは、稽古をしているに違いないと思った。
事実、丈留はそうしていた。
丈留の姿を見つけたことと、丈留が自分の予想通り稽古に励んでいたことがうれしくて、ことはは彼に駆け寄った。
そうしているうちに、丈留の腕が止まり、振り返る。
それですら、さすがやなぁと感心してしまうことはだ。
振り返ったのは、ことはの気配を察したに違いない。
「殿さまと一緒に遊園地に行きたいです!」
流之介に言われたままの言葉を、ことはは息を切らしながら一気に言った。
丈留の目が大きく見開かれたのち、眉が顰められていく。
「俺はいい。行きたければまた皆で行け」
「うちは殿さまとみんなと一緒に行きたいんです」
我知らずに知らずに哀願するような目で見つめていた。
丈留は口元を引き締め、振り切るようにことはから背を向けた。
「いきなりそんなことを言われても無理だ」
「殿さま・・・」
予想していた返事だったとはいえ、しょんぼりしてしまうことは。
ややあってから、そんなことはに丈留の背がぎこちなく答えた。
「あ・・・すなら、少しだけ時間を作ってやってもいいと、流之介に伝えておけ」
ことはの表情が明るくなり、ぺこりとおじぎをした。
「ありがとうございます、殿さま」


「私の申し入れではなびいて下さらないことが残念ではならないけれども、だ。頭脳プレー成功としよう、ことは、よくやった!」
満面の笑みの竜之介と手を握り合い、ことはは笑顔で答えた。
「よくわからんけど、流さんに褒められてうれしい」
そんな盛り上がりを冷めた目で千秋と茉子が眺めていた。
「また遊園地かよ〜。洋服買いにいきてえ」
「ま、ことはが喜ぶならつきあってあげてもいいかなって感じ?」
茉子の目が優しくことはを見る。
「何考えてるかわからないアイツも、ことはには勝てないってことね」
結構、いいとこあるじゃない。
茉子はそう呟いて、読みかけていた雑誌に再び目を通しはじめた。
793真剣 「泰然狼狽」:2009/03/18(水) 00:45:15 ID:WAomNxoT
「なんのつもりだ、その腕は」
丈留が横にいる千秋を冷たく睨む。
千明が丈留の方に腕を回しているのだ。
「まずはご挨拶代わりに、アレだ。行こうぜ、殿」
くらりとめまいを感じた。
見上げるほどの高さから垂直に下りてくるアレにこれからのらなければならないのか。
乗りたくない。
絶叫マシンなどまともな人間の乗るものではない。
しかし、ここで乗らぬと断れば志葉家当主の・・・否、志葉丈留の沽券に関わる。
「殿、いざ参りましょう!」
流之介がニコニコと心から嬉しそうに声を張り上げる。
「いやぁ、絶叫マシンに殿とご一緒できるとはなんたる幸せ。
本日一日自由に遊べるというフリーパスをご用意しております、こちらが殿のパスにございますっ」
流之介の張り切り具合にますます丈留の口は閉ざされる。
浮かない顔をしているのが自分でもわかるが、仏頂面は日々常々しているはずだ、そうそう変わりあるまい・・・しかし、乗りたくない。
「うわぁ高いなぁ、怖そうやなぁ。はやく乗りたいですねぇ殿さま」
へ?
丈留は思わず耳を疑った。
このはは無邪気にはしゃいでフリーフォールを見上げている。
「乗りたいのか、お前」
「はい。高いところは大好きです」
心底嫌だが丈留は腹を決めた。
一度だけでも一緒に乗ってやればこいつらの気もすむことだろう。
「茉子?茉子は行かないのか?」
流之介が振り返ると、茉子は両手をかざしてやめておくと答えた。
「気分じゃないのよ」
「殿もご一緒してくださるのだから、ここはひとつ皆で同じ乗り物に乗ってだな、親睦というか一体感を・・・」
「う・ざ・い」
とっとと行けと茉子は手を振る。
「丈留、さっきから無口だな」
千明がいよいよがっしりと丈留の腕をつかむ。
「だからどうした」
「怖いのかな〜なんて思ったりして」
こいつは、わざと挑発しているだけに過ぎない。軽口の延長だ。
本気で怖いと悟っているわけではないはずだ。
丈留は静かに答えた。
「そんなわけないだろう」
「だよな♪殿様がこんなの怖がってたら洒落にならねーもんな」
このバカタレの頭をシンケンマルで一刀両断にしてやりたいところを、丈留は無言でやり過ごす。
千明の反対側の腕をなぜか流之介に掴まれ、まるで連行されるような格好で歩き始める羽目になってしまった。
「腕を放せ、うっとおしい」
流之介はパッと手を離し、うれしさのあまり調子に乗ってしまいましたとその場で土下座の勢い。
なんだかなにもかもが面倒になってきたところで、視線を感じて丈留は茉子を見た。
茉子がこちらを見ていた。
「丈留、大丈夫なの?」
「何がだ」
「・・・まぁ、べつにいいけど」
794真剣 「泰然狼狽」:2009/03/18(水) 00:46:22 ID:WAomNxoT
し、死ぬかと思った。
地面に足をつけた丈留は無様によろけたりしないように細心の注意を払いながら、白い策に寄りかかった。
千明などあの状況で両手をあげ、バンザイしてヒャッポーィとやっていた。
煙となんちゃらは高いところを好むというが、真実だと丈留は思った。
まだ外道衆やあやかしの相手をしていた方が数倍マシだ。
「面白かったなぁ、千明」
「おー、またあとでもう一回行こうぜ!」
盛り上がる黄緑コンビを尻目に丈留は、ため息をつき額に手の甲をあてた。
この冷や汗を何とかしなければ。
「殿、どちらへ?」
「トイレだ」
「お一人では危険にございます、では私もご一緒に・・・」
ついてこようとする流之介のシャツの襟を突然、茉子が掴んだ。
「茉子、なにをするのだ」
「ほんっとーにあんたってうざいわね。トイレくらい一人で行かせてあげなさいよ。女子高生じゃあるまいし!!」
「女子・・・」
絶句する流之介をおいて、丈留はトイレに行くことにした。
とりあえず一人になりたかった。


「はい、どうぞ」
トイレの洗面台で顔を洗っていると、背後に茉子の気配を感じ丈留は慌てて振り返る。
抜けた顔のまま呆然と、こちらに水のペットボトルを差し出している茉子を見つめた。
「お前、ここは」
「男子トイレでしょ。わかってるわよ。気分悪いんでしょ。冷たい水でも飲んで落ち着きなさいよ」
ハンカチまで差し出される始末。
男子トイレで堂々としている茉子に、小言の一つでも言ってやろうと口を開いたものの、口を開くと悪心がやってくる。
おとなしくハンカチを受け取り顔を拭いた。
ペットボトルの蓋をあけてくれながら、茉子が優しい声で言った。
「絶叫マシンがダメならダメだって、最初に言ってくれたらよかったのに」
「誰がダメだと言った」
「言っていなくても全身でダメですオーラ出してるわよ。はい、お水」
ペットボトルを受け取ると、茉子は困ったように笑い、丈留の頭に手を伸ばした。
優しく撫ぜてくれる。
「今日は、私がなんとか誤魔化してあげるから」
「・・・あ・・・・」
ここまで見抜かれてしまうと虚勢を張ることの方がみっともないように思え、丈留は呟いた。
「すまん・・・助かる」
そうして水を飲もうとペットボトルを口に近付けた時、なぜかなぜか茉子に抱きしめられた。
頭を胸に抱え込まれるように。
水はこぼれるわ、女子の胸に頭を抱え込まれているというこの状況、さらにここは男子トイレ。
さまざまな混乱が丈留の頭をよぎり、衝撃度が強すぎて呆然としてしまった。
「もう・・・。情けないんだから。助けてあげたくなっちゃうじゃない」
795真剣 「泰然狼狽」
 それから茉子は言葉の通り、うまく丈留から絶叫マシンを遠ざけてくれた。
その行動の真意は全くわからないが、とにかく助かった。
メリーゴーランドに乗って、このはが楽しそうに千明とはしゃいでいる様を、目を細めて眺めながら丈留は思う。
この者たちと共に戦うと同時に、守らなければと。
すると隣で同じようにこのはと千明を眺めていた茉子が言った。
「今は頼りないかもしれないけど・・・私達、いつか丈留に背中を預けてもらえるようになれたらいいなって思ってるよ」
「・・・」
「帰ったらおいしいご飯作ってあげるね」
おいしいご飯。
それを聞いて丈留の脳裏にシンケンマルでカボチャをスパスパ叩き切っていた茉子の姿が思い浮かんだ。
「い、いい。それには及ばん」
「なんでよ」
「・・・」
真に窮することが多い一日だ。
この顛末をジイに話したら、きっと大笑いするだろう。
これ以上弱みを握られても困るので、彦馬には絶対に話さないが・・・丈留はまんざらでもない気分で空を見上げた。


<終わり>