421 :
23-49:2008/11/03(月) 22:45:51 ID:SBybXorG
>>419 GJです
相変わらず、なんていうか・・・・壮絶ですね
読んでて寒気がしました
そしてエロい
ええと、では
エピローグその2、あるいは番外編、上がったような気がします
間が開いてなくて恐縮ですが、他に被りがなければ五分後ぐらいから投下させてください
・あやの&みさお
・エロ無し
・10レス使用
422 :
23-49:2008/11/03(月) 22:51:36 ID:SBybXorG
すみません
ちょっとトラブル発生してしまいました
一旦投下取り下げます
本当にすみません
>419
『ゆーちゃん注意』は無限の可能性秘めてるなあ
こなたが好きなのにこなたに黒いゆーちゃんも新鮮です
「そんな恥ずかしいこと言うなあ!」 叫ぶかがみ萌え
ラスト近辺どう解釈するか面白いです
色々受け取れるけどまだ『代わり』なのかな、そうじゃないのかなぐっじょぶ
>>419 続編キタ!オレサマ、コウフン!(落ち着け
救われないわけでもない。かといって幸せでもない。そんな印象でした。
この三人に幸がある事を願います。
>>421 wktkして待ってますねー。
425 :
23-49:2008/11/04(火) 00:19:54 ID:CYg6yOU7
ええと・・・・どうも
なんか、すみません、23-49です
ご迷惑をおかけしました
投下、やり直しさせてください
被りがないようでしたら、やはり五分後ぐらいから
注意事項は
>>421です
空が高い。
どこまでも深い青色の背景に、紙粘土のようなくっきりとした雲がいくつも浮かんでいる。
まだ夏の空だ。
でも、それももうすぐ終わる。
日中の暑さもだいぶ和らいできた。もうしばらくすれば、紙粘土から千切った綿みたいになって、
ウロコや羊の群を形作るようになるのだろう。
遮るものが何もないこの屋上から見上げる空は、本当に広くて、高くて、深くて、大きい。
『空のような人』なんて表現を本やテレビでたまに見聞きする。
けど、そんなのは嘘っぱちだと思う。
そんな表現をする人は、きっとこうしてじっくりと空を眺めたことがないんだと思う。
だって、“これ”に匹敵するほどの人間なんて、いるわけがないから。
「……ん……」
ずっと見上げていると首が痛い。
指で筋肉を揉みほぐし、ぐるりと回すと、関節がごりごりと音を立てた。おばさんみたいだ。
半笑いの息をつく。
寝転んでしまおうか。
そんなことを考える。即座に理性が否定する。
誰かに見られたらどうする、はしたない。制服や髪も汚れてしまうじゃないか、と。
以前の私なら素直に従っていたであろうそれらの声を、しかし今の私は無視をした。
「……ふぅ……」
コンクリートの床面に身体を横たえ、手足を大の字に投げ出す。
そうしてあらためて仰いだ空は……さすがに、少し眩しかった。
日はだいぶ傾いているけど、まだ十分に明るく青い。全身に降り注ぐ光も、温かいというよりは、暑い。
背中に当たるゴツゴツとした感触はちょっと痛くて、だけど少しだけ、気持ちがよかった。
やはり私は、少し変わったのだろうか。
それにしても、こんな格好、何年ぶりだろう。
わからないけど、とっさに思い出せないぐらい遠い昔以来だ。
それこそ男も女もなかった幼児期以来。
特に私の場合は、そこから抜け出すのが人より早い方だったと思うから、なおさら遠い。
「……」
目を閉じる。
思い浮かぶ、二人の顔。
私のお姉ちゃんと、みさちゃんのお兄さん。
私がこんなにも“女の子”になってしまったのは、男と女、それぞれの見本のようなあの人たちが
すぐそばにいたからだ。
私が初めてそれに気付いたとき、二人ともまだ小学生だったと思う。
だけど私の目には、二人とも既に立派な大人に見えた。
そして明らかに、お互いを異性として意識しあっていた。子ども心にもそれがわかった。
ううん、もしかしたら勘違いだったのかも知れない。でも当時の私にはそうとしか見えなかった。
それが当時の私にとっての絶対の真実だった。
だから、私は――私も、“女の子”にならなければならなかったんだ。
だってあのままだったら、きっと二人はお互いの気持ちを伝えあって、結ばれていたから。
そんなのはダメだと思ったから。許せなかったから。
といっても、別に彼のことが好きだったわけじゃない。
いや、もちろん好きは好きだった。いつも優しかったし、一緒に遊んでくれていたし。
だけどその感情は恋でも憧れでもなかった。
だってあのときの私は、彼のことを独立した個人であるとすら思っていなかったから。
『みさちゃんのお兄さん』という、大好きな親友の付属物程度にしか、私は彼のことを見ていなかった。
そして、優しくしてくれるのも、遊んでくれるのも、『みさちゃんの』だからだと、そう思っていた。
現に『私の』お姉ちゃんはそうではなかった。ときどき厳しくて、あまり遊んでくれなかった。
二人の違いを、私はそんなふうに理解してしまっていたのだ。……たぶん。
実際はもっと漠然とした印象だったはずだから、正確なところはよくわからない。
とにかく、彼は『みさちゃんの』だった。みさちゃんという存在を構成する一部分だった。
そして、そのときには既に、私はみさちゃんのことが大好きだった。この世の何よりも大切だった。
この世界の全てにも等しい存在だったんだ。
そう。
つまりは、そういうこと。
許せるわけがない。見過ごせるはずがない。
この世界が、たとえその一部分に過ぎないとしても、他の誰かのものになってしまうなんてこと。
だから、私は。
お姉ちゃんと張り合うために――世界に崩壊の危機を招こうとしていたあの人に立ち向かうために、
あの人と同じ“女の子”にならなければならなかったんだ。
馬鹿ばかしい話だ。
訳がわからない。子どもの理論だということを差し引いても乱暴すぎる。
だけど、どんなに馬鹿げていたとしても、当時の私にはやはりそれが絶対の真実で。
結果として、私の目論見は長い年月をかけて果たされた。
そして今でも続いている。
もちろんそんな理由だけで彼と付き合いを続けているわけじゃない。
今では一人の男性として普通に好きだし、尊敬しているし、いとしいと思っている。
初めて身体を重ねたときは身も心も彼のことだけで満たされた。
だけどそれでも、やっぱりそれらは純粋な想いじゃない。
あとからくっついてきたものという感じしかしない。
その証拠に、私は未だにあの人のことを名前で呼ぶことができていない。
結局のところ、私が大切に思うのはみさちゃんただ一人でしかなくて。
考えや行動の中心にはいつでもみさちゃんがいて。
他のことは基本的にどうでもいいと思ってるんだ。
真剣になって取り組めるれるのはみさちゃんの関わりのあることだけだし、本気で怒ることができるのも
みさちゃんの害になりうるものに対してだけ。
そんなふうに、私は、みさちゃんを通してでしか世界を見ることができない。
そして。
だけど。
その理由はというと、これがさっぱりわからないのだ。
気が付いたときには既に私はこうなっていて、そんな自分を疑問に思うことすらほとんどなかった。
みさちゃんだから。
それだけで全てに納得ができた。
きっと私はそういうふうに生まれついてしまったのだろう。
でも、それじゃダメなんだ。そのままじゃダメなんだということは、わかってる。
わかってはいるけど、そう理解しているのは理性の方だけで、感情の方はまだ追いついてきてくれない。
「……」
目を開く。
空が眩しい。
鳥の形をした雲が、右手の方から流れてきて、真上にくる手前あたりでゆっくりと崩れて、消えた。
どうやら上空は風が強いらしい。
さっきまで空の半分ほどを占めていた他の雲たちも、今は一割以下にまで減ってしまっている。
一面のアオだ。
ただ、その色は均一じゃない。
山際や街の方の上空など、角度の浅いところは白っぽくて、真上に行くほど濃くなっていく。
直上などは黒ずんでさえ見える。
大気の層の相対的な厚み違いが原因なのだろう。
斜めよりまっすぐに見上げたときの方が宇宙までの距離が近いから、そう見える。
ああ、そうか。
空って、丸いんだ。
気付いた瞬間、世界がぐるりと反転した。
とてつもなく巨大なボウル見下ろしている気分になる。
どこまでも高く深く広がっていたはずの青色が、薄っぺらの膜に見える。
その“下”には真っ黒な宇宙が、底なしの闇が淀んでいる。
背中を支えるゴツゴツとした感触が、急に頼りないものに思えてきた。
硬くて、まったいら。
掴まれるところがどこにもない。
首筋が粟立った。
――あ。
――――――――落ちる。
「――あやの?」
「……」
声、が。
“上”から、降ってきた。
反転していた世界がもとに戻る。重力が正しく下を向く。背中にコンクリートからの反作用を感じる。
屋上の地面をなでるようにして吹いた風が全身の汗をさらっていく。心臓がドキドキと脈打っている。
目の前の、もとの通りの広さと高さと深さと大きさを取り戻した空に、丸い何かが突き出している。
人の頭だ。
じわり、と、身体の奥から温かいものが湧き出でて、安堵の息が口から漏れた。
「……みさちゃん……」
「なにやってんだよ、こんなトコで」
呆れたような問いかけの声。
私は答えず、ちらり、目線を上の方に動かした。
「みさちゃん」
「ん?」
「ぱんつ見えてる」
「え、うぇ!? ――な、っちょ!」
言うと、みさちゃんは奇声を発しながらスカートを押さえて一歩下がった。
赤くなったのが逆光の中でもわかった。笑みがこぼれる。
「だめよ? 寝てる人の頭の上に立つなんて。もっとお行儀よくしないと」
「こ、こんなトコで寝転んでるヤツに言われたかねーよっ!」
降り注いでくる怒鳴り声に、私はますます笑いを深める。
あぁ、やっぱりみさちゃんは可愛いなぁ。
「てか、だから、何やってんだって訊いてんだよ」
顔を赤くしたままでみさちゃんが言う。
私は、少し考えて、正直に答えることにした。
「空を見てたの」
「ソラ?」
言葉に引っ張り上げられるように、みさちゃんの首が上を向く。
あごから首元にかけての滑らかなライン。
お兄さんのそれに、よく似てる。
だけど喉の中央にでっぱりはない。似ているけど、それでも確かに女の子のラインだ。
みさちゃんも、ちゃんと女の子になっている。
「……なんもないぞ?」
「空だもん」
「ふーん」
興味なさそうにうなずいたみさちゃんは、さっき私がしたのと同じように、首の後ろを手で揉んだ。
そして、早くも飽きてしまったようだ。ふたたび私を見下ろしてくる。
「立ったままだと疲れるでしょ?」
「あー。……だから、寝てんの?」
「うん」
「…………あっそ」
呆れたような吐息。
脱力したのだろう。私の、ベッドで言えば枕元のあたりに腰を下ろして、あぐらを組んだ。
右手で足首を掴んで、左手で頭をぼりぼりぼり。
うん。お行儀は悪いけど、ちゃんとスカートの裾には気を払ってたから、合格。
「……ねぇ、みさちゃん」
「んー?」
「ひざまくら、してくれない?」
「はぁ?」
あくびなんかして緩んでいた顔が、きょとんと驚いたものになる。
「ひざまくら。……さすがにちょっと、後頭部が痛くって」
「起きればいーじゃんよ……」
そしてウンザリとした声で正論をこぼしながら、
「――ほら」
と、足を組み替えて、いわゆるアヒル座りになってくれた。
「わーい」
私は喜び勇んで、腕だけで身体を引きずって、みさちゃんの膝に頭を乗せる。
「うん。いいかんじ」
「そりゃどーも。……ったく、こーゆーのは兄貴にやらせろよな」
そんなことをぼやくみさちゃんは、恥ずかしがってるみたいで、少し顔が赤い。
「じゃあ、連れてきてくれる?」
「ムチャゆーなって」
鼻を鳴らす。
「……ったく。ホントあやのはワガママだよなー」
「うん」
「うん、じゃねーっての」
「あいたっ」
ぺちん、おデコを叩かれた。
「……いじわる」
「うるせー」
続いて耳を引っ張られる。
「やんっ、もう」
「ふふへへへ。私にこんなのさせたらこーなるって、わかってたはずだあー」
「やめてー」
さらにほっぺたを、むにむにむに。
また、鼻をつまんだり、あごの下を掻いたり。
そんなふうに私の頭をさんざんに弄くりながらケタケタと笑って――
「……、?」
みさちゃんは、だけど唐突に動きを止めた。
笑いも収めて、真顔で見下ろしてくる。
「なぁ」
「ん?」
「ちびっ子となに話してたんだ?」
“妹”の目だった。
でも“お姉さん”の目でもあった。
また“親友”の目でもあり、そして――みさちゃんの目だった。
だから、私は。
やっぱり正直に、答えることにした。
「漫画の話、かな」
「マンガ?」
「うん。最近“読んだ”お話の、結末とか、わからないところとか、そんな話」
正直に。
嘘はつかず。
真実を、隠した。
私が今日またこの屋上に来たのは、泉ちゃんに呼び出されたからだ。
口頭やメールではなく、ルーズリーフの手紙で。
つまり、“そういう”用件だったわけだ。
色々なことを訊かれた。
私が、何をどこまで知っていたのか、とか。
そもそも何をどうしたかったのか、とか。
どうにも彼女は、私のことを過大評価しているらしい。
そりゃあ、私の方にもそう見せかけようという意図も少しはあったけど、そんな、何もかもを知っていて
全てをコントロールしていたなんてことはまったくない。
一番最初――先週のあの日に初めて一対一で話した時点でわかっていたのは、彼女と柊ちゃん、
そしてみさちゃんとの間で三角関係めいたものが成立しているらしいということだけだ。
そのときに考えていたのも、単純に「泉ちゃんが少し邪魔かな」という程度だった。
だけどそのうちに、そうじゃないことに気が付いた。
みさちゃんに必要なのはあくまで“笑顔の”柊ちゃんで、そのためには泉ちゃんの存在は、
逆に欠かせないものだったのだ。
それに気付くのに時間がかかってしまったから――だから私の行動がときにちぐはぐに見えたとしたら、
きっとそのせいだと思う。
柊ちゃんを「ヒメ社長」と呼んだことについても、なんとなくで、別に大した意味はない。
強いて言うなら、泉ちゃんが一番いい顔で笑うのは柊ちゃんと一緒にいるときだと、その程度だ。
どちらにしても柊ちゃんの方がどうだということは何もない。
私は、ただ単純に、みさちゃんと、その害に“ならない”側に立っていただけ。
その範囲内で、みさちゃん以外の人も大切に思えるようにと、自分を試してみただけ。
上手くいったかどうかは、微妙なところだけど。
「マンガ?」
みさちゃんが小首を傾げる。
「うん」
「なんてマンガ?」
「『ARIA』」
首を戻して、反対側にまた傾ける。
「……。知らねー」
「面白いよ?」
「今度な。……そんだけ?」
「うん」
うなずいて、私は目を閉じた。
彼女の疑問を全て晴らすことができたかどうかはわからない。
いや、きっとできなかったのだろう。
去り際の彼女は、笑っていたけれど、あまり晴れやかとはいえない笑顔だった。
まぁ、そのあたりはゆっくりやっていこう。
「お互いのこともちょっとだけ話したけどね。あと、妹ちゃんと高良ちゃんのこととか」
彼女とも、妹ちゃんとも。
ゆっくり打ち解けていこう。
「あー……」
困ったような呆れたような、そんな呻き声が降ってきた。
「驚いたよね?」
「あー。……ってか、よくわかんねー」
みさちゃんは、そうかも知れないね。
私は、なんとなくわかるし、もしかしたらそうかなとも思ってたけど、それでもやっぱり驚いた。
二人が想いあっているのは見れば明らかだったけど、それでも踏み出すことはないと思ってた。
妹ちゃんの方は無自覚だったみたいだし、高良ちゃんにしたって、本格的な受験シーズンを間近に
控えたこの時期に、周囲の人間関係を不用意に揺るがしかねない真似をするとは思えなかった。
けど、泉ちゃんに言わせれば、ある種の必然だったらしい。
自分だって驚いていたのにね。
だけどまぁ、彼女が言うなら、きっとそうなのだろうし、心配することもないのだろう。
「まーなんでもいーけどさ」
「うん?」
「ひどいコトとか言われたわけじゃねーんだよな?」
「ないよ」
目を開ける。
「泉ちゃんは、わざと人を傷つけるような子じゃないよ」
空が青い。
高くて、深くて、広くて、大きい。
そして、そこに被さってるみさちゃんは、とても小さい。空の半分も覆えてない。
「知ってっけどよ」
子どもみたいに唇を尖らせて、みさちゃんは言う。
「やっは私、アイツ嫌いだ」
「どうして?」
「だって……私の好きなヤツとばっか仲良くなろーとすんだもん」
「なんだ。そんなこと」
私は、微笑んだ。
片手を持ち上げて、小さなその頬に添える。
「大丈夫。柊ちゃんはもうわかってくれてるし、」
こんなに小さいのに、それでも、受け止めてくれた。
ごく自然に、無自覚に。
反転した世界に堕ちてしまいそうだった私を、ただ現れただけで押しとどめてくれた。
「それに私の一番は、いつだってみさちゃんなんだから」
「……」
なんだか嫌そうな目をされた。
私は手を降ろし、もう一方の手と共に、自分のお腹に乗せた。微笑を微苦笑に変える。
「そんな意味じゃないって」
うん。
私はみさちゃんのことが大好きだけど、そんな意味じゃない。
自分のものにしたいとか、自分だけを見て欲しいとか、そんなことは思わない。
そんなことを願って、もし実現してしまったりしたら、一番肝心な“みさちゃんらしさ”が失われてしまう。
それは私にとって一番許せないことだ。
みさちゃんを損なうものは、たとえ私自身であろうが許さない。
私は、私の方がみさちゃんのことを好きであり続けられれば、それでいい。
それだけでいい。
「……んな心配してねーけどよ」
拗ねた仕草で視線が逸らされる。
また顔が赤い。
「恥ずかしいだろ」
「照れ屋さんだね。柊ちゃんみたい」
「……」
ため息。
「幸せが逃げちゃうよ?」
「うるせー」
視線が戻る。
と同時に――がしっ、と、両手で頭をわしづかみにされた。
「きゃっ?」
「ってか、あやの」
そうして私を固定して、みさちゃんは覆いかぶさるように顔を寄せてくる。息がかかる距離。
「な、なに?」
「柊になんか言っただろ」
「え……」
あ。
しまった。
「やっぱか。なに言ったんだ」
「もう……内緒だって言ったのに」
「別に何も喋ってねーよ、柊は。――なに言ったんだって訊いてんだよ」
「……」
「……」
「ないしょ」
「……」
す、と目を細めて、みさちゃんは、その表情のまま顔を遠ざけた。
しかし手は離してくれず、
「うら」
「え? ――やっ」
それどころか逆に、がくがくと揺さぶり始めた。
「うらうらうら」
「やーめーてー」
上下左右に激しく振られる視界の中で、空だけがどっしりと動かない。
雲がまた増え始めている。
「――ん?」
と?
再度、みさちゃんは唐突に手の動きを止めた。
口を割るまで離してくれないと思ったのに、なんだろう。まぁ、まだ手は離してくれてないけど。
疑問に思っていると、そのまま、くい、と首を九十度回された。
「え?」
「ふむ……」
「み、みさちゃん?」
戸惑う。
こめかみの辺りに息がかかるのを感じる。
それぐらいの至近距離で、たぶん、耳の穴を覗き込まれている。それは、さすがに、恥ずかしい。
「ちょっと、みさちゃ――ひあっ!?」
さらに、突然の冷たい感触。指を突っ込まれた?
たぶん、小指。
くにくにと、まさぐるようにうごめかされる。全身に震えが走った。
とっさに手を伸ばすけど、体勢的にも、腕力的にも、止めることなんてできやしない。
「ちょっ……! 言うっ、言うからっ、やめっ……!」
「んあ、あとでな」
「ええっ!?」
指は止まらない。
時おり静止を挟みつつ、なぶるようにうごめき続ける。
身をよじってでも逃げればいいのだろうけど、さすがに本能的な恐怖が先に立ってしまっているらしく、
動けない。
耐えるほかなかった。
そうして――時間にすればほんの数秒だっただろうけど、随分と長く感じた。
というか、いつ終わったのかわからない。
気が付いたら、涙に滲んだ視界の中に自分の指先をしげしげと眺めているみさちゃんがいて、
私は荒い息をつきながらそれを見上げていた。
「ふーん。キレーなモンだな」
言いながら、小指と親指をすり合わせて、ぴんっ、と弾いたりする。
「え……?」
「いや、ちゃんと耳そうじしてるんだなって」
「……」
なにかと思えば……まったくもう。みさちゃんは。
「なんかさ、ひざまくらっていったら耳そうじだろ」
「指はやめてよ……」
「持ってねーし。耳かき」
「そういう問題じゃないでしょっ」
少し怒って、睨み上げてみたけど、みさちゃんは余裕の表情で笑っている。
このぐらいなら許せてしまうと、わかっちゃってるんだろうなぁ。
「なー、あやの」
笑いを収めて、みさちゃんは、どこか何かを懐かしんでいるような声で言った。
「憶えてっか? ちっちゃいとき」
「……どれを?」
みさちゃんとのことならだいたい全部憶えているから、小さいときとだけ言われても逆にわからない。
「ほら、ねーちゃんと兄貴もさ、よくこーやってひざまくらとかしてたじゃん」
あぁ……。
「それ見るたびにあやのさー、必死んなってやめさせてたよな」
私の、“戦い”の記録だ。
うん。世界がなんだ、女がどうだと大そうな言葉を並べてみても、実際の姿なんてそんなものだ。
「あんときからもー、あやの兄貴にベタボレだったよな」
「そんなんじゃ……」
「『お兄ちゃんはみさちゃんのだから取っちゃダメー』とか言ってさ、ホント素直じゃないよなー。
自分のだからって言やいーのにって、私でも思ったぜ」
「だって……」
目を逸らす。
「あのときは本当にそう思ってたんだもん……」
「んなコト言って、結局自分のにしてんじゃん」
「……」
戻す。
「それは、違うよ」
断言する。
うん。それは違う。そこだけは違う。
「私のものになんかしてないよ」
髪留めのカチューシャをそっとなでながら、私は言った。
「私が、お兄さんのものになったの」
「……」
みさちゃんは、呆れたような、馬鹿にするような、嫌いなこんにゃくを前にしたような顔で見下ろしてくる。
「あーハイハイ、そーですか、そりゃよかったですねー、ゴチソーサマ」
「ふふっ、お粗末さま」
「じゃ、ねーって。ったく、こっちが恥ずかしいっての」
ぼやくように言うみさちゃんは、言葉どおり、また少し赤くなっていた。
「ってかさー、もーいーだろー? さっさと帰ろーぜー?」
「うーん……」
また目を閉じて、少し迷う。
でも……もうちょっとこうしていたいけど、確かにそろそろ帰らないとね。
「うん」
身を起こす。
特に合図も確認もしなかったけど、おでこ同士をぶつけたりはしなかった。心得たものだ。
そのまま立ち上がって、軽く背伸びをして、服に付いたほこりを払う。
見るとみさちゃんも立っていて、同じようにスカートのお尻をはたいていた。
「じゃ、行こーぜ」
「うん」
両手を腰の後ろで結んで、最後にもう一度、空を見上げた。
高い高い、空の青。
まだ夏の色だ。
だけどそれも、もうすぐ終わる。
今ぐらいの、日暮れ間際の時間ともなれば、なんとなく秋の気配も漂い始めている。
グラデーションのかかった青。
そこに散らばる、雲の白。
西の方はやや黄色い。
そうか。
空の色って、一つじゃないんだ。
「でさ」
「ん?」
前に向き直る。
「なに言ったんだ、柊に?」
「……」
歩き出す。
「ないしょ」
みさちゃんを追い抜いて、屋上の出口の扉をくぐる。
「ずりー。言うっていったじゃんかよ」
みさちゃんの声を振り切って、私は薄暗い階段を降りていく。
「気が変わったの」
その多彩な色だけに喩えれば――なるほど。『空のような人』というのも、ありかも知れない。
私も、そんなふうになれるかも知れない。
「ずりーずりーずりー」
「他のことに気を取られてるからだよ。――なんだったら、柊ちゃんに訊いてみたら?」
自惚れが過ぎるだろうか。
確かに私のみさちゃん以外に対する感情は、この空のようにいくつもの要素が入り混じっているけれど、
この空のように綺麗だとはとても言えない。
でも、それを目標とすることならできるかも知れない。
複雑でも、濁っていても、綺麗になんかなれなくても。
私自身が、この感情を好きになることができれば、それでいいのかも知れない。
「んな地雷踏めるわけねーだろっ」
「そうかな? そんなに危険でもないと思うけど」
階段を下りていく。
「だったら言えよっ。今ここでっ」
追いすがってくる声を後ろに置いて、空への憧れを胸に、私は降りていく。
「だ〜めっ」
うん。
まずはそこから、始めてみよう。
436 :
23-49:2008/11/04(火) 00:34:00 ID:CYg6yOU7
以上です
まずはあらためて、ご迷惑をおかけしたこと、お詫びします
これにて、こな・あや・かがの物語、今度こそ間違いなく、完結です
ここまで来られたのは、社交辞令でもなんでもなく、素の意味で、このスレとその周辺の皆さんのおかげです
感想レスは言うに及ばず、他の様々な作品や小ネタからも多くの刺激をいただきました
それら無しにはとてもここまで辿り着けませんでした
キーボードを叩いてたのはこの二本の腕ですが、自分ひとりで書き上げたなどとは思っていません
本当に、ありがとうございました
あと、誕生日おめでとう、あやの
さて
そろそろエロいの書かなきゃなーっと
>>436 お疲れ様でした!そして、これからも頑張ってください!
って、そういえば今日はあやのの誕生日だったじゃん!
俺の誕生日と近いから覚えていたはずなのに……一生の不覚!
>>436 な、なにこれ…なんかもう凄すぎる。なにこの風格は…。
言葉もない、完敗です(別に誰も勝ち負けとか競ってないけど)。
いやもー、本当にありがとうございました。
あと誕生日おめでとうあやの。
あやの誕生日おめ
>>436 成程、これはこなた(とかがみ)の物語でありながら、あやのの物語でもあったんですねぇ。
ちなみにあやのとこなたの掛合いが好きでした。
気が向いたらまたこれベースの短編でも書いてください。完結乙です。
>>436 策士と思っていたら、まごうことなき乙女であったか!
最後の最後、すとんと腑に落ちました。
誕生日も祝いつつ、ぐっじょぶ!
>436
ごちそうさまでした。
透き通るような、清涼感のあるお話ですね。
あやのの細かく揺れる感情が、鈴の鳴る音のように心地よく響いてきました。
また、あやのとみさおの、何かを探り合うようなやり取りも、微妙な距離感が醸し出されていて、
興味を惹かれるものでした。
えろいお話も楽しみにしております。
>>436 おおお・・・黒あやのシリーズ完ですか・・・ GJ !
なにやら引退はされずに別のシリーズ始めるそうで、一安心です
これからも応援しています
0:10くらいに投下したく。
444 :
42-115:2008/11/05(水) 00:13:13 ID:phZXAHQD
いざ。
「壁抜け女志願」
・5レス
・エロなし
・こな☆フェチども
旧約聖書の詩編第十九によると、
(主の裁きは)
蜜よりも 蜂の巣の滴りよりも甘い(新共同訳)
のだそうだが、こなたがミュージカル俳優を真似てある短い一節を歌った時の教室の反応は、その甘さに
酔う子羊の様でもあり、女王蜂を崇める働き蜂の様でもあった。
「え……っと、こんな感じだったんだけど……」
いつの間にか皆がひれ伏して聞き入っているのに戸惑いながら歌い終えると、特等席の三人が激発した。
「こなたぁぁぁぁぁ〜〜〜!!」
その急先鋒は、いうまでもなくかがみである。泣きながら叫びながらこなたに抱きつき、
「私はあんたの匂いを嗅ぐだけでごはん3俵はイケるのよ!」
「食べすぎだよ、かがみ」
「あんたの声を思い出しながら、こっそり採取したあんたの髪をしゃぶりつつ、こっそり採取したあん
たの吐いた空気をスーハースーハーしながら、あんたにキスされてる事を妄想するだけで、ごはん1ヘク
タールはイケるのよ!」
「……それは生米を食べるってことカナ?」
「その上で何!? ミュージカル俳優の真似っていう予想外の萌え要素を付け加えて、私をさらに太らせ
ようというのね!? 糟日部中のごはんを私のお腹に収めようっていうのね? そうやって太らせた挙句、
『ダイエットの為に性的な意味でいい汗かこうよ』とか言ってベッドに誘う気なんでしょ!?」
「いや、そんなつもりは決して―」
「望むところよ!!」
「ええ〜!」
「善は急げって言うわね。待ってなさい、今ベッドを作るから」
『それのどこが善なの?』と思うこなたを逃がさないように小脇に抱えると、かがみは空いている方の
手で近くの机をつなげて小粋にベッドを作り始めた。
こなたは助けを求めてつかさの方を見たが、彼女は感動のあまり泣きながら、舌遣いも妖しくバルサミ
コ酢の一気飲みに挑んでいた。
「みゆきさ……」
ならばみゆきは、と思い視線を転じたがすぐに絶句した。彼女は今日に限って鼻の調子が良いのか……
あるいは悪いのか、お祈りポーズのように手を組んで血混じり涙を流していた。
「濡れてしまいました……色々と」
これがこなたの歌唱に対するみゆきの感想であるようだった。血混じりの涙で頬が濡れる以外にどこが
濡れてしまったのかは、言わぬが華、知らぬが仏、触らぬ神にナントヤラである。
孤立無援であることを悟ったこなたは、自分で解決する事にした。かがみの耳に息を吹きかけてみる。
すると、明らかに死者を出さずには済まされないくらいの凄まじい爆発音がして、かがみが動かなくなっ
た。頭からは噴煙が上がり、目は鳴門海峡か気象衛星が捉えた台風の俯瞰写真のようである。このままで
は本当に死んでしまいかねないので、こなたはかがみの手を掴んで死なないでと懇願してみた。すると、
かがみはニヤけた。活動を再開するのは少し先のようであるが、死ぬ事はないだろう。
三本目のバルサミコ酢にかかっていたつかさと、
「どんどん濡れまーす……どんどん濡れまーす」
なみゆきもしばらく戻って来そうになかったので、こなたはこうなってしまった経緯を少し思い出してみ
ることにした。
時は昼時、ランチタイム。
うららかな日差しを浴びて、午後は優雅に思いっきり弁当でも食べたいところであるが、その日は元々
小食なこなただけでなく、他の三人も何故か主食のご飯しか持参してきてなかった。曰く、こなたの存在
次第がオカズになるのだという。
そんなわけで早めに主食を食べ終えた三人は、チョココロネを食べるこなたを眺めていた。
「んーと、ごちそうさま……」
食べ終えたこなたが躊躇いがちに言うと、
「「「ごちそうさま!」」」
三人が続いた。
文字通りの意味だったらしい。何だろう、この新しいエネルギー伝達法……。ジアースもびっくりだ。
「時間が余っちゃったわね」
かがみが時計を一瞥して言う。一瞥しかしないのは、一瞬でも長くこなたを見つめていたいからだとい
う。そのために、一瞬でも地盤を読み取る猛訓練を重ねたのだそうな。こなたは、腹時計を参照した方が
正確なんじゃないの? と思っているのだが。
「どうしよう? こなたの視姦でもして時間潰そうか?」
「それも悪くありませんが……」
みゆきは制服の中に手を突っ込むと、胸の間に挟んでいた天体望遠鏡を取り出す。
「天体観測をしませんか?」
「昼間に星なんか見てどうすんのよ」
珍しくこなたに関係しなさそうな提案に、かがみが訝る。こなたはホッと胸を撫で下ろす。が、それも
つかの間……。
「宇宙が泉さんを中心に回っているという事を証明するんですよ」
「それよりさ……」
つかさは料理本を取り出す。今度こそこなたとは関係がなさそうだ。今だけはつかさにすがってもいい
……と思ったのも束の間。
「こなちゃんで女体盛りするのにぴったりな料理を、みんなで考えようよ」
「いいわね、それ」
「魅力的な提案ですね。泉さんご本人には及びませんが」
「ちょ、ちょっと待って」
慌ててこなたが止めに入る。このままでは、恥ずかしい自分の姿をダシに恥ずかしいことを考える三人
につき合わされそうだった。下手すればこの場で実践なんて事もありえる。何せ、相手はフェチだ。
何とか話題をそらさなければならない。
でも、どの方向へ?
手っ取り早いのは昨日放送があったアニメの話題だが、最近のフェチどもときたらこなたがアニメ好き
なのを受けて、自分たちでも可能な限り視聴し、情報を集め、話を合わせてくるようになったのである。
焦れば焦るほどにこなたの頭は、昨日のローカル局でやっていた再放送の、前半と後半の合間で流れた
ミュージカルの公演告知CMに釘付けになってしまう。
「ところでこの曲を聴いてくれ。こいつをどう思う?」
進退窮まったこなたは、CMでミュージカル俳優が歌っていた曲を、すごく大きい声で歌ってしまったの
である。
もう色んな意味でヤケだった。
「それは『壁抜け男』ですね……」
しばらくして我に返った(正気を取り戻したわけではない。そもそも取り戻せるわけない)みゆきが、
ぐしょぐしょになったハンカチを絞りながら言った。
マルセル・エイメというフランスの作家の小説を原作とする、珍しいフランス発のミュージカルだとい
う。
「平凡な郵便局員が、ある日自由に壁を抜けられる能力を身につけたことから、大騒動を巻き起こすお
話です」
「……なんだか、ラノベとかアニメにも普通にいそうな異能者ぶりだね」
そんな感想を漏らすこなたを、かがみが嬉しそうに抱き寄せて頬擦りをする。ラノベ好きの彼女は、最
近ではこなたが「ラノベ」という言葉を口にするだけで狂喜し、時には絶頂するようにまでなってしまい、
こんなカラダにした責任を取れとうるさいのである。
みゆきはといえば、
「泉さんの斬新な解釈に、また濡れてしまいました」
と絞ったばかりのハンカチをまた濡らし始めた。
つかさはバルサミコ酢の大瓶に取りかかっている。
話を逸らす事を企図したこなたとしては、この展開はわりと好感触である。そこでしつこく頬擦りを続
けるかがみを引き剥がし、話題の方も引き離しにかかる事にした。
「みんなは壁抜けの異能力者だったら、どんな事したい?」
三人は一様に真剣な顔になって考える。フェチたる者、こなたの振る話題には真剣に臨まなければなら
ないのである。
さて、どれだけ時間を稼げるかな……こなたが皮算用していると、早くもみゆきが手を上げる。名案が
浮かんだらしい。どれだけ名案かによって、こなたの明暗も分かれる事になるかもしれない。
「私は、お風呂で使いたいですね」
「お風呂で壁抜け?」
……いやな予感がした。
「どうやって使うのカナ?」
「それはもちろん、入浴中の泉さんの元にお邪魔するためですよ」
本当に邪魔だろうなあ、とこなたは思った。
「ウチの浴室二階なんだけど……」
「問題ありません、愛さえあれば乗り越えられない障害などないのです」
「いや、大問題だよ……」
「はいはーい」
つかさがイ●ラちゃんみたいに手を上げる。
「はい、つかさ」
「私は、おトイレに入るために使うよ」
こんな変わり果ててしまってもつかさは友達だから、これを出来るだけ好意的に解釈してあげたいとこ
なたは思った。
「ああ、漏れそうでドアを開けてる暇も惜しい時とか?」
「ううん。こなちゃんが入ってるおトイレに入る為だよ」
つかさはさも当たり前の事のように答えた。
「そんなことしても楽しくないと思うよ?」
「そんな事ないよ。拭いてあげられるし。あ、拭いてもらうのもいいな」
「……」
「……」
「……そうだね」
「うん♪」
こなたはかがみの方を見た。
「……かがみは一パス、と」
「な、なんでよ!?」
かがみは答えなければ死んでしまうとばかりに叫んだ。
「私にも答えさせてよ」
「武士の情け……聞かないでおいてあげるよ」
こなたはそう斬って捨てたのだが……。
「是非伺いたいですね」
みゆきがニコニコしながら促した。
「お姉ちゃん、教えて」
つかさも知りたがる。
「寝室に入るために使うのよ」
その答えに、みゆきとつかさはおおっと声を上げた。
「さすがお姉ちゃん」
「正統派ですね」
社会的には異端だけどね、とこなたは思った。
誰の寝室に入るのかは言うまでもない。
「それで、こなちゃんの寝室で何をしたいの?」
「そうね……まずは部屋を物色して、『使えそうなモノ』を二、三収集しておくわ。それから写真を撮
って、携帯とパソコンの中身とゴミ箱をチェックして、私の匂いをつけたら……」
「「つけたら」」
期待に満ち溢れた目で、二人が続きを促す。
「こなたと……」
ここにきて、かがみが急に口ごもる。
「こなたと……ひ……一つ…に……」
真っ赤になったかがみは、きゃーきゃーひーひー言いながら自分で作ったベッド(机)をバンバン叩く。
弁護士になれなかったら、机解体業者になるべきである。
「言えるわけないじゃない! はづかし〜」
急に乙女(←異論の余地あり)になって体をくねくねさせるかがみを、つかさとみゆきは微笑ましげに
見ていた。
「さすがにそれ以上は恥ずかしいよね〜」
「愛があっても、面と向かって言うのは憚られますよね〜」
人として憚られるような事を散々言ってきたのに、何を今さら? とこなたは思った。
「それはそうと、泉さんはいかがなのですか?」
かがみの放置を決定したみゆきが、話を振ってくる。
「壁抜けはなさりたいですか?」
「う〜〜ん」
こなたは、机の叩き過ぎで手が腫れてしまいこなたに舐めて欲しそうにしているかがみ、口の周りにつ
いたバルサミコ酢を舐め取っている様で実はこなたが食べたくてしょうがなさそうなつかさ、存在自体が
わいせつなみゆきを順繰りに見て考える。彼女らに囲まれている以上、答えは一つである。
「うん、私も壁抜けのアビリティ欲しいな」
そう言った途端爆発音がして、三人がヘッドショットされた狙撃目標のように崩れ落ちる。
「!?」
こなたは慌てて、窓の外にね広がる青い空を見上げて、狙撃手の姿を探したが、閉めたままの窓ガラス
が無傷なのに気付いて室内に目を戻す。ゴルゴ13やシモ・ヘイヘみたいな人が、自分を憐れんだのかもし
れないという可能性を一瞬でも考えてしまった事を恥じた。
つまり、三人は狙撃されたのではない。では、何があったのか? 屈みこんで倒れたままのみゆきの顔
を覗き込む。
「……泉さんは壁抜けの能力を使い、入浴中の私の元においでになるつもりなのですね?」
つかさ。
「……こなちゃんが壁を抜けて拭きに来てくれる」
かがみ。
「……一つになるために、こなたが壁を抜けて私の寝室に来てくれる……」
「「「望むところ(です/だよ/よ)!!」」」
そう言い遺して、三人は2のカリフォルニア州知事のように親指を立てて力尽きた。
死んだかにも見えるが、実は冬眠のようなものであり、起きたらさらに性質が悪くなっているだろう。
壁抜けが出来るようになっているかもしれない。
こなたとしては、壁抜けが出来ればこの人達から逃げる際に役立つだろうと思っただけなのであるが……。
おわり
450 :
42-115:2008/11/05(水) 00:20:33 ID:phZXAHQD
はい、ありがとうございました。
また戯曲が書きたいのお、と悶々とした日々を送っていたら、ミュージカルと結びついてしまいましてこの有様です。
ここだけの話、「壁抜け男」は見た事はありません。原作は読んだけど、ほとんど忘れちゃったし。壁抜けというよりは間抜け?
その上、ローカル局で「劇団●季」のCM見たって点だけ実話だとなれば、ははは、話にならねえな。
ところで今、『テレイジアスの乳房』ってオペラ(作曲はプーランクで脚本はアポリネール)がモロにTSだという事に気づいてしまいました。
次に書くものがそっちの方に転がっていたら笑ってやってください。
490KB越えたので次スレ立て行ってきます
(●でのスレ立ができなくなっているので、
tatesugiに引っかかった場合、誰か別の方たのみます)
まだ490KBいってない希ガス
どうでもいい埋めネタ
―――
夕暮れどき、陵桜学園の屋上でのこと。
「すみません、遅れました……」
みゆきは階段を駆けて屋上に着くのもそこそこに、息を切らしながら待たせていた相手に謝った。
しかし、その相手はみゆきの姿が目に入るや否や、
「みゆきさ〜ん!」
みゆきに飛び込んだ。
「キャッ」
こなたの自分への飛び込みに、小さい悲鳴を上げるみゆき。だが、すぐに胸の中に飛び込んできたこなたを優しく撫でた。
「やっぱり、みゆきさんは優しいね……。あー、もうこの感触、たまんないね」
こなたはそう言って、みゆきの胸にしきりに顔を摺り寄せる。
「そ、そうですか? こなたさんに喜んでいただけるのは嬉しいのですが……少し恥ずかしいです……」
みゆきの頬がわずかに赤らむ。そのいじらしさにこなたは更に気を良くし、
「むふふ、良いではないか、良いではないかー」
と、更に摺り寄せ続けた。
みゆきはそれを、頬を赤らめながらもじっと眺めていたが、やがて何かを思い立ったように、
「……ところで、こなたさんはどうして私を好きになってくれたんですか?」
と聞いた。
すると、こなたは摺り寄せるのをやめ、考え込む仕草を見せると、
「うーん……。雰囲気というか、何というか……あれだね、みゆきさんは愛があるんだよね……。母性本能があふれ出てるんだよ。私、お母さんがいないからさ……」
「あ……」
みゆきはすぐに後悔したような顔をしたが、こなたはあっけらかんとした顔になり、
「ああ、いいよ、いいよ。お母さんのことは、仕方ないことだよ。それに、お母さんは今でも心の中に生きてるからさ」
と、破顔一笑した。
「……こなたさんは強い人ですね」
みゆきもこなたに釣られるように、笑いを見せながらそんなことを言った。
「まあ、それに……私にはみゆきさんがいるしね。まあ、でも、こうして、お母さんに甘えてみたかったな、って思うこともあるけどね」
「やはりそうですか?」
「まあ、お母さんがいたとしても、あのまな板に頭を当てるんじゃ
この後、心霊現象が発生したらしいが、それはまた、別のお話。
>>450 フェチどもの爽快な壊れっぷりに、仕事の疲れも吹き飛びました。
ていうか入るだの拭くだの一つになるだの、わいせつすぎですこの子らw ぐっじょぶ。
化けて出てくるなよかなたさんw
埋めネタです。2レスほど。
「おはよう。こなた。愛してるわ」
「おはよう。こなちゃん。今からエッチしない? 」
朝一番からこれか。挨拶を返す気もなくなってしまうよ。
「あのねえ。かがみ、つかさ、双子揃って悪いものでも食べた? 」
「ふふ。私が食べたいものは目の前にあるわ」
「こなちゃん、甘そうでおいしそうだもん…… ってどこにいっちゃうの? 」
電波な事をしゃべっている間に逃げようとしたけれど。あっさりと捕まってしまった。
「あのさ。私、もう逃げないから両脇に抱えなくてもいいよ、つかさおしり触るな、かがみブラ脱がすな! 」
「おはようございます。泉さん。」
ピンチな私に天使の助けが来たよ。
「助けて、みゆきさん! 」
「おはようございます、皆さんで泉さんを召し上がるのですね? 」
前言撤回。お母さんごめんなさい。私、もう汚されてしまいます。
きんこーん、かんこーん
ふう。ようやく解放されたよ。今日は、みんなベニテングダケでも食べたのかな?
「泉、今夜はネトゲでチャHするで」
黒井せんせ。ちょっと悲しすぎる。2週間に1度くらいなら付き合ってもいいですよ。
さて、お昼だ。今日もチョココロネを食べるかな。
「おーい。ちびっこ。一緒にいやらしいことしようぜ」
「わあっ、みさきち。何、キスしようとしてんのさ! 」
「いいじゃんよ。ちびっこは、陵辱だっけ。ゲームで無理矢理されるのがすきなんだろ? 」
「違うー ちょ、リアルはシャレにならないって。スカートの中に手えいれるなあ! 」
「ダメよ。みさちゃん。泉さんが怖がっているじゃない」
助かった。峰岸さんだ。とち狂ったみさきちに天誅を!
「女の子はね。敏感なんだから優しくしなくちゃダメよ」
「わ、ちょ、やめっ…… アッ―――― 」
ふう。酷い目にあった。峰岸さんにイかされるとは一生の不覚。
ようやく授業も終わったし、帰って新作アニメのチェックでもしよう。
「Oh、こなた。ひさしぶりネ! 」
ぱふっ
「く、苦しい、ぱてぃ、ぎぶ、ぎぶっ、息ができないって」
「こなた。ぱふぱふネ。どらくえのぱふぱふデス」
「まじ、勘弁、息できないよ〜 」
パティがこんなに胸があるとは不覚だった。みゆきさんの影にかくれてチェックが漏れてたよ。
「泉先輩、お願いがあるんですけれど」
「なんだい。ひよりん。筆なんか持って」
「くすぐりの感度を確かめたいんです」
「パティ、後ろから押さえるなあ! 」
「こなた。身体を楽にさせるのデス」
「先輩。痛くない。痛くなーい」
「ちょ、ひよりん、だめ、脇は、ダメ、あはは、くすぐったい、あはっ、あははははは! 」
ふう。もうふらふらだ。帰ったら寝る。絶対、寝るんだあ。
「泉先輩…… 」
「み、みなみちゃん」
みなみちゃんはゆーちゃん一筋だから襲われる先輩はないって、なんで抱きしめるの。相変わらず胸はないね。
「ゆたかの匂いがする…… 」
「うわっ、危ない、何、鉈? キャラも作品も違うって、おちつこう、お願いだから! 」
「先輩、辞世の句をどうぞ…… 」
ふう。疲れた。みなみちゃん足速いなあ。間一髪で本当にあの世に逝くところだったよ」
「ただいまー 」
「おかえり。こなたお姉ちゃん」
ゆーちゃんが愛らしい笑顔で迎えてくれる。やっぱり萌える従姉妹は癒しだねえ。
「今日はみんなに襲われて大変だったよ」
がちゃ、がちゃっ
「な、何、この手錠は何? どうしてベッドにくくりつけるの? 」
「それは、こなたお姉ちゃんが可愛すぎるからだよ」
「どうして、私の服を脱がしちゃうの? 」
「それは、こなたお姉ちゃんの幼児体型がエッチだからだよ」
「どうして、ゆーちゃんまではだかになるの? 」
「それは、こなたお姉ちゃんを食べちゃうからだよ」
(おしまい)
461 :
名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:26:36 ID:cMz34GUU
みなみ自重www
なんだってこんなに襲われて陵辱されるのが似合うんだろうなこなたw
「この、ステルス迷彩ならッ……ぬおおぉぉああ、服が透けない!? 背に腹は代えられないか……」
「「「!」」」
「!?」
ソフト凌辱に限るけどな、個人的には
>>463 「このステルス迷彩はバカには見えないんだよ」
「「「「見えない見えない!なんにも見えないわっ!!!」」」」
>>465 ×「「「「見えない見えない!なんにも見えないわっ!!!」」」」
○「「「「私たち、たった今からバカになりましたっ!!!」」」」
#こなたのためなら、バカになるぐらい厭わぬ一同。
>>460 おまえが幼児体系萌えって言うなw ってつっこみたくなるけど
ゆたかが勝利かw
468 :
埋めネタ:2008/11/06(木) 21:02:05 ID:2L3gdy4g
みゆき「泉総督。偵察機からの報告によりますと、セクター27に敵艦が出現。真っ直ぐ、我が宇宙ステーション、ラッキー・スターに近づいてきています」
こなた「ふむう……。みゆき参謀長。相手はどう出ると思う?」
みゆき「相手は、日下部さん……いえ、日下部提督ですからね。遮二無二ぶつかってくると思いますよ。そう考えますと、超弩級戦艦を前面に押し出した魚隣陣形で消耗戦を狙い、その間に敵の退路と補給を経つ。という風に防御に徹するのが得策かと」
こなた「さすがはみゆき参謀長! そうと決まれば、その作戦に決まりだね! じゃ、つかさ提督に連絡して、その作戦を実行するように。あ、それとー……スーパー・レーザーの配備をよろしくー」
みゆき「かしこまりました、閣下」
こなた「ふっふっふ。我が帝国軍がかどわかした、かがみ姫をみすみす渡すわけにはいかないよ、みさきち提督……。最後に笑うのはこの私なのだー!」
兵士A「提督! 戦闘機突入してきます! ご指示を!」
兵士B「提督! セクター32に新しい敵艦が出現いたしました。攻撃目標は我々です!」
兵士C「提督! 側面から攻撃を受けていますが、敵艦が捕捉できません! クローキング装置を使用していると思われます!」
兵士D「提督! 通信が妨害されています! 司令部と連絡できません!」
つかさ「ああ、うぅ……。そんなに言われても分からないよー……。こなちゃん、ゆきちゃん、助けてー……」
みさお「柊は私のものだあ! ちびっこ率いる帝国軍なんて、コテンパンにしてやるぜー!」
あやの「みさちゃん、つっこんでいったら自滅するだけよ……」
かがみ「……何、このむちゃくちゃなストーリーは。……やれやれ、ね」
らっきー☆スターウォーズ、近日後悔!
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、OVAも好評発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。
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☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること
※マナー等※
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※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
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