らき☆すたの女の子でエロパロ53

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1名無しさん@ピンキー
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、OVAも好評発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

■みゆきさんの一言メモ
・ 投稿の際に、メール欄に半角英数でsageと入力すると、スレッドを上げずに書き込めます
 『sage』(←全角)では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
・ スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます
・ SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます


マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
ttp://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1.html
☆前スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ52
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1220367994
2名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:10:11 ID:BkTnjxL5
よっしゃ2
3名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:12:14 ID:iAOMh6xx
    _  ,,     
      /     `、  
    /       ヽ 
   / ●    ● l 
   l//// し//// | 
   l    ___   | 
    ヽ__` --' ___ノ
         ̄    
お、乙なんかじゃないんだからね!!ずれてるだけなんだから!!
4名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:15:16 ID:n/mkM2j4
>>1
乙ラッキー!
5名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:48:15 ID:qakUDTFu
こなた
>>1乙ーーーー!!」
かがみ
「……ねえこなた、いつも思うんだけど、なんでみんな『>>1乙』って書くの?」
こなた
「なぜ、と問われれば……『そこに新スレがあるから』!」
かがみ
「いや、そうじゃなくて、どうして『スレ立てお疲れさま』じゃなくて『乙』なのか、って事よ」

みゆき
「それはですね……こほん。
 パソコン通信の黎明期、通信速度が遅く、回線料金も従量制だったことから、ネットワーク上では
 言葉を略する事が流行っていたそうです。
 そこに、2ちゃんねる特有の当て字や読み替えといった言葉遊びの文化が加わって、『乙』という
 表現が生まれたみたいですよ」
こなた
「さっすが、みwikiさん!」
6名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:53:14 ID:Bmpegz1j
みWiki「>>1乙です♪これからも私の名推理に期待してください♪」
7名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 20:48:17 ID:2/XWlokV
…こなたと合体した〜い……………………………………ハッ
8名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 22:14:11 ID:xHzW5A8g
>>1

>>7
あのセリフ、消さずに堂々としてればいいのになw
なんでも角川の横槍で消されたらしいけど
9名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 22:58:22 ID:W3IVQm3l
>>1乙!

そして>>5も乙! ぜんぜん知らなかったw
10名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:06:23 ID:F7yTcK1E
>>8
パチ屋に遠慮したんじゃないかと邪推する。
1123-49:2008/10/08(水) 01:12:23 ID:QA9Z8IKi
>>1
お疲れ様です


どうも
早速ですが、新スレ一番手になってしまいますが、投下させていただきたく思います
前スレ「目を覚まさない」の続き
こなかが直接対決編こなたパート、前回と前々回の遭遇編に続く激突編
被りがないようでしたら五分後ぐらいから

・こなた→かがみ
・エロ無し
・10レス使用
12理解できない 1/10:2008/10/08(水) 01:18:26 ID:QA9Z8IKi
 
 夕暮れの街を、かがみと二人、並んで歩く。
 駅へと伸びる大通り。
 人通りは、皆無ではないけど多くもなく、代わりに交通量がそこそこ多い。かといって会話に
 支障が出るほどの騒音もない。
 これなら、かがみも文句はないと思う。

 “――場所、変えない?”

 そう提案したのは私の方だった。
 かがみはあのまま教室を使いたかったみたいだけど、さっきの白石君みたいにまた人が来る
 かも知れないと、そう言うと渋々納得してくれた。
 言い訳だ。
 本当は、嫌だった。
 夕日の差し込む教室――そんな出来すぎの舞台でかがみと二人きりになるということが。
 もし本当にアレが最終ステージだとすれば、その先にはエンディングしかないことになる。
 つまり、私とかがみの間で何かが終わってしまう。
 そんな気がした。
 そんな気がして、嫌だった。怖かったんだ。
 もちろん実際にそんなことがあるわけはないし、そもそも場所を変えたところでかがみの言う
 “話したいこと”の内容が変わるわけでもない。だから、要は気分の問題だ。

「人に聞かれたくない話は外を歩きながらってのが、私の持論でね」
「……ソレはアレか? つまり私はアンタに殺されるのか?」
 できる限りの明るい声で言う私に、かがみは冷たい声で返してくる。
「へ?」
「デスノでしょ。無理やり読まされたから知ってるわよ」
「……そっか」
 無理やり、か。
 わりと喜んでくれたと思ってたんだけどな。面白いって言ってくれたし。
 でも――やっぱり――そうじゃなかったのか。
「? こなた?」
「あ……ごめん。なんでもない。――ごめん」
 気遣わしげなかがみの声に、慌てて首を振る。
「それより、話ってなんなの?」
 そして切り返す。
「あ……あぁ、うん……」
 するとかがみは、目を逸らして押し黙ってしまった。
 さっきからずっとこんな感だ。話があるって自分から言ってきたくせに、なかなか切り出そうと
 しない。教室を出たときからしきりに周りを気にしているし、よっぽど言いにくい、かつ人に
 聞かれたくない話なんだろうか。だそすればそれはなんだろう。

 ……もしかして。

 そんな思考が浮かぶ。
 二次元、というかフィクションに毒された私の脳が、とある馬鹿げた可能性を提示する。
 そんなわけないのに。
 かがみがそんなことを、言うはずがないのに。想ってるはずがないのに。
 確かに、隣を歩く顔は、その頬には、薄っすらと朱が差しているように見える。
 だけどそんなのは夕日のせいだ。そうに決まってる。
 空も、街も、人も、車も、オレンジに染まっている。だからかがみも。そして、たぶん私も。
 それだけの話だ。
13理解できない 2/10:2008/10/08(水) 01:19:22 ID:QA9Z8IKi
 ――でも。

 もし。
 仮に。
 そうだとしたら。
 私はどうするだろう。
 どんな反応をするんだろう。どんな顔をするんだろう。どんな返事をするんだろう。
 なんだか無責任な言い草だけど、自分でもさっぱりわからないんだから仕方がない。
 本当に見当もつかないんだ。
 仮にかがみにそれを言われたとしたら、私がどうなってしまうのか。
 胸に手を当ててみる。
 ――うわ。
 なに、これ。なんか凄いドキドキ言ってるよ。
 驚いて慌てて手を下ろす。
 無駄だった。
 痛いぐらいに暴れてる心臓が、まるで耳元にあるみたいに喧しい。
 どうしよう。困る。こんなの、困る。こんなにうるさかったらかがみにまで音が届いちゃう。
 ちらり、見上げた。

 目が合った。

「――っ!?」
 死ぬかと思った。
 一瞬、本当に心臓が止まるかと。
 だけどそんなのは、一瞬だけだった。次の瞬間には収まってしまった。代わりに灰色の何かが
 心に満ちる。
 かがみが、普通の顔をしていたから。
 話の切り出し方について迷っているのか、私の挙動を不審に思っているのか、少しだけ眉が
 寄っていたけど、それ以外は至って普通。ツンもデレもない、素のままの表情。
 私の考えていたようなことを言おうとしてる人間が――他の人ならいざ知らず、かがみが――
 こんな顔をしていられるわけがない。
 頭がゆっくりと冷えていくのを感じた。
 馬鹿みたいだ。
 いや、馬鹿だ。
「……ねぇ、かがみ」
 一つ、わかったよ。
「ん……?」
 私が、かがみを好きだってことが。
「話があるんだよね?」
 それが、いわゆる恋かどうかはわからないけど、少なくともかがみにも同じように想って欲しいと
 望んでるってことが。
「……うん」
 それがわかったら――なんだろうね。逆に落ち着いちゃったよ。
 冷めた、っていうのか。
 だから、もう面倒くさい。
 なんだかわからないこの状況を、早く終わらせたい。
「それってさ、私に何かを言っておきたいの? それとも何か訊きたいの?」
「あー…………うん。両方、かな」
「それは、別々のこと?」
「え? ……いや、言った上で、聞きたい……んだけど」
「そか。じゃあ――つまり、私に何か知らせることがあって、それを私がどう思うか訊きたい、とか?」
「う、うん。そうね。そういうこと」
14理解できない 3/10:2008/10/08(水) 01:20:17 ID:QA9Z8IKi
 急に饒舌になった私に戸惑っているのか、かがみの声は上滑り気味だ。
 そんな姿に、また一段と心が沈んでいく。
「勉強とか進路とか、そういう話?」
「え? あぁいや、そういうんじゃないの」
 そういえば急に静かになったけど、心臓。動いてるよね。
 胸に手を当てる……うん。動いてる。
「じゃあ、つかさやみゆきさんは関係ある?」
「え? いや、つ、つかさは――……いや、ううん。二人とも関係ない。私とあんたの問題よ」
「……」
 足が止まる。
 かがみも止まった。
「ってゆーか、ごめん。ちょっと待って」
「……何が?」
 見上げると、かがみは両手をせわしなく動かして、焦っていた。
「いや、だから、話があるって言ったのは私なのに、こんな調子で。……ただ、その、ね? やっぱ
歩きながらじゃ喋りにくいってゆーかさ」
 ぎこちない笑顔が、明らかに紅潮している。夕日のせいなんかじゃない。
 でも、そうとわかっても心臓は静かなままだった。
「……どこか入る?」
「いや、だから人目は……」
「……」
 鼻から小さく息を吐いて、視線を少しスライドさせる。
 かがみの背後、やや斜め。道路を挟んで建っている中古車屋のさらに向こう側。
「確かアッチに、公園あったよね。そこでいい?」
「う、うん」
 面倒くさいなぁ、もう。



「――はい」
「ありがと」
 差し出されたミルクティーの缶を素直に受け取る。
 奢ると言われた。いつもなら遠慮するところだけど、今日は素直にお言葉に甘えた。
 それぐらいなら、いいよね。
「……ふぅ」
 隣に座ったかがみは、自分の緑茶をさっそく開けて飲んでいる。
「こういう時ってさ」
 私はまだ開けないで、成分表示なんかを眺めてみる。
「ん?」
「マンガやドラマだったら問答無用だよね。いきなり缶を差し出しながら、『コーラと烏龍茶、どっちに
する?』とか、『ココアでよかった?』とか。普通買う前に訊くよね」
 両手で挟んでローラーみたいに転がしてみると、缶についていた水滴が黒く濁った。
 手が汚れてたみたいだ。
「……だから、買う前に訊いたじゃないの」
「そだね」
 制服のスカートで拭う。
「――話って?」
「え? ――あ、ああ。うん」
 訊くと、かがみはやっぱり辺りを見回す。
 そう広い公園じゃない。
 キャッチボールぐらいにしか使えそうにない広場と、ブランコと砂場。それと今私たちが使っている
 ベンチが一つ。全体を囲うように背の高い木が植えられているから人目にもつきにくいし、こうして
 二人きりに、あるいは一人きりになりたいときには打ってつけの場所だ。隣接するビルに遮られて
 夕日の朱が入ってこないのも、私としてはちょうどいい。
15理解できない 4/10:2008/10/08(水) 01:21:12 ID:QA9Z8IKi
「――噂を聞いたのよ」

 かがみが口を開いた。
 顔を向ける。今度は目は合わない。
 正面に戻す。
「どんな?」
「その……驚かないで聞いて欲しいんだけど……」
 驚くようなことなのか。
 私が援交してる、とかかな。
 なるほど、そりゃ言いにくいし人にも聞かれたくないよね。馬鹿ばかしいけど。
「わかった」
 うなずくと、視界の端でツインテールが小さく揺れた。
「その……ね?」
「うん」

「私とあんたが、付き合ってるんじゃないか――って」

「……」

 風の音がした。
 遠くからは車のエンジン音。姿は見えない。公園を囲う木に遮られて。
 公園。広場。砂場。ベンチ。ブランコ。またエンジン音。背の高い木。緑の葉っぱ。風にざわめく。
 灰色のビル。電柱。電線。暗く沈んだ空。手にしたミルクティーのひんやり感。
 ミルクティー。
 品名、紅茶飲料。原材料名、牛乳、砂糖、紅茶、クリーム、塩化……ナトリウム。乳化剤、香料、
 クエン酸ナトリウム、ビタミンC。内容量、280グラム。開缶前によく振ってください。開缶後はすぐ
 にお飲みください。スチール。空き缶はリサイクル。
「……」
 プルタブを起こす。飲み口の黒い穴。甘いニオイ。スチールの歯ざわり。甘い味。粘つく砂糖の
 舌ざわり。気持ち悪い。私もお茶にすればよかった。私とアンタが付き合ってるんじゃないか。
「…………え?」
 首を回す。
 かがみはしかめっ面で、少しだけ頬が赤かった。
「だ、だから――私とあんたが、そういう、関係なんじゃないか、って……」
 そういう関係。
 付き合ってる。
 ウワサ。
 なにそれ。
 なにそれ。
 なにそれ。
「誰がそんなこと言ったの?」
「だから、噂で――」
「ウワサを、誰から聞いたの?」
「いや……壁越しに話してるのを聞いただけだから、誰とかはわかんないわ。向こうも私に聞かれた
とは知らないと思う。ただ、知らない声だった。男子だったけど」
 目を逸らしながら早口で、かがみは答えた。妙に棒読みに聞こえた。台本を読んでるみたいな。
 また正面に向き直る。
 告白されるんじゃないか。
 そう思った。
 でも違った。
 かといってぜんぜん外れてるわけでもなく、地味に掠ってて、だけどまるで逆だった。
 だからこそ、たちが悪い。
 好きなマンガが下手なキャストで実写化されてしまった、みたいな。
 うん。ドラマ版金田一の明智警視は最悪だった。その後のアニメ版にどれだけ救われたことか。
16理解できない 5/10:2008/10/08(水) 01:22:08 ID:QA9Z8IKi
 手の中の缶を握り締める。
 力を込めすぎたか、中身が少しこぼれて手にかかった。舌で舐め取る。
 甘い。甘い。甘ったるい。
 か細い息が口から漏れた。
「……それで?」
「それで、って……だから、どう思う?」
 どう思う?
 って。
 そんなの……
「どう思えってのさ」
「ん……まぁ、そうね」
「そうねじゃないよ。なにそれ? なんでそんな――そんな話になるの? わけわかんないよ」
「それは――」
 言いかけて、かがみは口をつぐむ。
 だけど、目が。
 逸らされることなく私を見据えていた目が、その続きを雄弁に語っていた。

 ――あんたの、せいだ。

 錯覚かも知れない。
 被害――もしくは加害――妄想かも知れない。少なくともかがみは口に出しては言っていない。
 しかし、状況が。記憶が。
 これまで積み重ねてきた、かがみとの日常の風景が、そんな希望を否定する。
 何かとかがみをからかう私。
 何かとかがみに頼りきりな私。
 かがみに抱きつき、擦り寄る私。
 周りに人がいようがいまいがお構いなく。
 そんなつもりはなかった。
 ただ、面白かったから。楽だったから。ツンデレっぽいリアクションが萌えだったから。
 ただ、それだけだった。
 でも今にして思えば願望もあったのかも知れない。
 それに、他人がどう思うかなんてことも考えたことなかった。
 それに――それに。
 かがみも嫌がってたのに。
 やめろって、するなって、黙れって。毎回そう言っていたのに。
 それなのに私は、「ツンデレですね、わかります」なんていって、決め付けて。
 本当はそんなんじゃないのに。

 考えてみれば私は、かがみがデレるところなんてほとんど見たことがないんだ。
 憶えている範囲では今年のバレンタインにチョコをくれたことぐらいか。いくら「デレは脳内補完
 するのが作法」っていっても少なすぎるだろう。しかも私だけでなくみゆきさんにもあげてたし。
 それに、つかさ。
 つかさが作っていたからついでにやっただけだと、かがみは言った。
 いかにもツンデレらしいセリフだけど、それが強がりや照れ隠しじゃなく、真実だったとしたら?
 誤解されるのを本気で嫌がっていたためにああいう言い方になっていたんだとしたら?
 そうだとしても、かがみの言動にまったく矛盾はない。その他の、普段のかがみの行動を色々と
 思い返してみても、これといって理屈に合わない部分はない。
 強いていうなら、なんだかんだ言っても最後には結局付き合ってくれるってことぐらいかな。
 でもそれにだって説明はつけられる。
 確かに、私とかがみ、二人の間だけで考えれば少し不自然だ。
 だけどそこにもう一つ、別の要素を付け加えてみたらどうだろう。
 私とかがみの関係を語る上で、欠かせない要素。二人を繋いでいるもの。
 すなわち、つかさだ。
17理解できない 6/10:2008/10/08(水) 01:24:01 ID:QA9Z8IKi
 私の、高校に入って最初にできた親友で、かがみにとっては、きっと誰よりも大切に思っている
 掛け替えのない半身。
 そしてつかさにとって、私は、かがみを介することなく友だちになれた初めての相手。
 はっきりそうと確かめたわけじゃないけど、会話の端々から想像するに、間違いじゃないと思う。
 そんな相手を無下に扱うなんていう選択肢を、あの妹想いのかがみが自分に許すだろうか。
 いや、しない。
 きっとしないだろう。
 だからかがみはなんだかんだ言いながらも私に付き合ってくれるし、渋々ながらも宿題も見せて
 くれる。すぐに赤くなるのは……まあ、そういう体質なのだろう。いわゆる赤面症だ。
 それだけのことに過ぎない。
 全ては私の、二次元に毒された馬鹿なオタクの幻想だった。
 そして、その幻想に縋り続けてきた結果が、これだ。

「……こ、こなた?」
 横方向から心配そうな声が降ってきた。
 私はいつの間にかうつむいていた。
「あの……」
「……かがみは……」
「え?」
「かがみは、どう思ったの? そのウワサ」
 我ながら力ない声だ。ちゃんとかがみに届くんだろうか。
 いや、本当は届かせたくないのかも知れない。答えなんか聞きたくないのかも知れない。
 だけどこれは、訊いておかなきゃいけないことだ。
 言葉にして伝えるべきことを、伝えるべき相手に、手遅れになる前に。
 そういうことなんだよね、峰岸さん。
 まぁ、“夢の峰岸さん”だけど。
 声は無事に届いたらしく、かがみが答えを返してくる。

「ムカついたわ」

 あぁ。
 やっぱり。
 そうなのか。
「……だよね。――うん。私も、ちょっとイヤかな。そんなふうに思われるのは」
 やっぱり場所なんて関係なかったな。
 どこに移ろうがやっぱりこれは最終ステージで、その先にはやっぱり“終わり”しかないんだ。
「そ、そう」
 うん……? かがみの声が、なんだか変だ。焦ってるみたいに聞こえる。
 まぁ、いいや。
 面倒くさい。
「珍しいよね」
「え?」
「かがみと私の意見が合うなんて、さ」
 そう。
 私たちはいつも正反対だった。私が夢中になることにはかがみはどうでもいいと言い、かがみが
 真剣になることには私は興味をもてなかった。
「そ、そうだけど……ちょっと待ってよこなたっ」
「何を?」
「何って、だから――」
 かがみが、その声が焦ってる。
 何を待てというんだろう。もう答えは出ているのに。
18理解できない 7/10:2008/10/08(水) 01:24:56 ID:QA9Z8IKi
「とっ、とにかくこなた! こっち見なさい! 私の目を見て話しなさいっ!」
 面倒くさい、なぁ。
「……」
「っ……!」
 ノロノロと見上げたその顔は、声と同様に焦っていて、何か驚いていて、そして心配してくれていた。
 それは見慣れた色だった。
 怒っているときも、呆れているときも、いつでもかがみは、その裏にこの色を滲ませていた。
 好きだった。
 どんなにだらしなくしてても、オタクな趣味にお金と時間を浪費しても、見捨てないでくれるんだって、
 そんなふうに思えたから。そんなふうに、勘違いすることができたから。
「かがみは、優しいよね」
「な、何がよ」
 あぁ、また赤くなった。
 なのにぜんぜん嬉しくない。
「でもさ、もういいよ。そういうの」
 また勘違いしちゃうから。性懲りもなく、都合のいい解釈をしちゃうから。
「私のことなんか、もう構わなくていいよ。私ももう、なるべく甘えないようにするからさ」
「なっ――」
 なに、って。
「そしたらもう、ヘンなウワサ立てられることも、ないよね?」
「だっ――」
 だ……だ?

「――誰がそんなこと言ってるってのよっ!」

 かがみが突然立ち上がり、声を張り上げた。
 ……なんで?
「だ、だって、イヤなんでしょ?」
「そんなこと言ってないわよっ!」
「い――言ったじゃん! ムカついたって!」
 私も、座ったままで怒鳴り返す。
 え?
 なにこれ?
「言ったけどっ……でも嫌だなんて言ってない!」
「なに言ってんの? イヤだからムカついたんでしょ!?」
「それはっ――とにかく違うのよ! そんなことが言いたいんじゃなくて、私は――」
 視線が逸らされる。
 歯を食いしばって、身体の両端で、握り締められたこぶしがぶるぶると震えてる。――怒ってる。
 でも、何に?
 私の言葉に?
 どの部分に?
 私は何もおかしなことは言ってない。ヘンな噂を立てられるなら、どっちもそれが嫌だと思うなら、
 そうならないようにしようと、そう言っただけ。
 そうすれば私もかがみも……私と、かがみ?
 ――あ。
 そうか……
「――ごめん」
 うつむく。
「え?」
「そうだよね……急にそんなふうになったら、つかさとみゆきさんがヘンに思うよね」
 ホント、馬鹿だなぁ、私。
 特につかさは、かがみの何よりも大切な存在なのに。かがみのことを考えるなら、つかさのことは
 絶対に外せないって、わかってたはずなのに。
19理解できない 8/10:2008/10/08(水) 01:25:51 ID:QA9Z8IKi
「そ――そうよ。変なこと言うな」
 声のトーンが落ちた。
 一安心……だけど困ったな。だったらどうすればいいんだろう。
 もっともらしい理由でもあればいいんだけど、どんな理由ならつかさは納得してくれるだろう。
 何を言ってもダメな気がする。ああ見えてけっこう頑固なとこあるから。
 いや、ダメだ。諦めるな。
 考えろ。
 考えろ。
 何か方法があるはずだ……って。マンガなんかじゃよく言うけど。
 実際は、現実は、三次元では、そうとは限らないよね。二次元だったらご都合主義が働いて、
 上手い具合に伏線が張られてたりするけど……

“――なんの伏線もなかったじゃんっ! そんな超展開私は認めないよ!?”

 脳内に声が甦る。
 私の声だ。
 そうだね。あのときも、私の知らないところで物語が進行してて……って、そうだ。そうだよ!
 なんで忘れてたんだろう!
「かがみ」
 顔を上げる。
 見つけた。
 つかさは納得しないかも知れないけど、そんなことは関係なく、とにかく噂を消す方法。
「な、なによ」
「アレさ、もう返事、した?」
「は? な、何がよ」
「決まってるでしょ。ラブレターだよ」
 そう。
 それがあった。
 あったよ伏線。ははっ、なんだ。三次元もやればできる子だったんじゃん。
「……」
 って、あれ?
 かがみ、なんで、そんな。嫌そうな顔?
 かと思ったら額に手を当てて、ため息なんかついたりして。
「もう断ったわよ、そんなの……」
「……」
「……」
「……なんで!?」
 声が裏返る。
「いつ!? 昨日はまだって言ってたよね!?」
「だ、だからそれは……今日よ。今日の昼。そっち行かなかったでしょ」
 腕を組んでそっぽを向くかがみ。
 ああ、そっか。そーいやそーなのかなぁとは思った、けど。
「でも、なんで!? なんで断るのさ!」
「なんでって、そんなの……受ける理由がないからに決まってるでしょ。付き合いたいと思える相手
じゃなかったってゆーか……」
「なに言ってんの!? あるじゃん理由なら! 男子と付き合ったらヘンなウワサも晴れるじゃん!」
「なっ……そんな理由で付き合えるわけないでしょ! 相手にとっても失礼じゃない!」
「そんなの――」
 そんなの、気にすること……あるのか。
 かがみは優しいから。優しくて、真面目で、誠実なひとだから。
 だけど、だからこそ、そんなかがみが私なんかのために貶められるのは許せない。
20理解できない 9/10:2008/10/08(水) 01:26:45 ID:QA9Z8IKi
「……別に、いいじゃん、そんなの。始めなんかどうでも。付き合ってるうちに好きになれるかも
しんないじゃん」
「それは……」
「そうだよ。それに、かがみいつも言ってるじゃん。カレシ欲しいって」
「――って! 言ってないわよ! 人を万年発情期みたいに言うな!」
 なんで、怒るの?
 言ってないよ。そんなつもりで言ってない。
「なんで、そんな、ムキになるの? もっと普通に、付き合ったらいいだけだよね? そしたらヘンな
ウワサも消えるんだよ? そしたら、私だって自然に離れていけるし、そしたらもう宿題見せる必要
もなくなるんだよ? ゲマズにもムリしてついてこなくていいんだよ? 良いコトづくめじゃん」
「それのどこがいいことなのよ! できるわけないでしょそんなこと!」
「なんで? 大丈夫だよ。私、かがみがいなくても、大丈夫だよ」
「なっ――」
 絶句。
 なんで?
 やっぱり私、そんなに信用ない?
「……あんた、マジで言ってんの?」
「当たり前だよ。私、かがみが構ってくれなくても、つかさに冷たくしたりなんか……」
「何の話だよっ!? つかさのことなんか関係ないでしょ!」
 関係、ない?
「なんで? つかさがいるから、つかさの友だちだから、かがみは私に……」
「なんでそうなるのよっ! あんた私を馬鹿にしてるのか?!」
「……」
 なに、これ。
 なんでこんなに、ぜんぜん通じないの?
 相手はかがみなのに。
 大好きなのに。
 だから考えてるのに。
 これ以上ないってぐらい、今までしてこなかった分も合わせて、真剣に思い遣ってるのに。
 それなのに……
「……してない。してないよ。馬鹿になんてしてない。むしろかがみが馬鹿にされないようにって、
ヘンな目で見られないようにって――そう思って言ってんじゃん!」
「それが余計なお世話なのよ! ……わかってない。あんたぜんっぜんわかってないっ!」
「わかんないよ……かがみが何を言ってるのか、ぜんぜんわかんないっ! 私とレズ友だなんて
言われて、それがムカつくんでしょ!?」
「れっ……!?」
 ああ、なんて言葉だ。
 なんでこんな言葉をかがみに言わなきゃなんないんだ。
「だから私は――」
「そんな言われ方されてない!!」
 私の言葉を遮って、かがみはさらに声を張り上げる。
 肩を怒らせて、両のこぶしを握り締める。ツインテールが跳ね上がる。
「私たちが凄く仲がいいって、そういうことをちょっと言ってただけよあいつらは!」
「はぁ!?」
 だけど続けて言ってきたのは、まさに「はぁ?」だ。
 もう、本当に、何がなんだかわからない。
「なにそれ? ぜんぜん違うじゃん」
「だ、だからそれは、言い間違いってゆーか……」
「言い間違いってレベルじゃないよ! ぜんぜん違うじゃん!」
 視界の端で髪がチラチラ暴れてる。
 私が上体と両手を振り回しながら喋ってるから、その勢いで。
 いつの間にか私も立ち上がっている。
「だから、それは――わざと、でもあって……」
「なに、それ」
21理解できない 10/10:2008/10/08(水) 01:27:41 ID:QA9Z8IKi
 わかんない。ぜんぜんわかんない。
 このひとが何を言いたいのか。何を考えてるのか。
 いつもならすぐに見抜けるのに。少なくとも、そんな気になれてたのに。今は一ミリもわからない。
「た――試したかったのよ……」
 搾り出すような、声。
 視線は地面。
「試すって、何をさ」
「だから――私も最初は、付き合ってるんじゃないかって、さっき言ったみたいに言われたように
感じて、だから、つまり――」
 だから、とか。
 つまり、とか。
 さっきからそればっかりだ。しかも言うたびに中身がコロコロ変わるし。
「――でも冷静になって考えたら、そうじゃないって、わかって……そうしたらわからなくなって……
私とあんたって、なんなのかって……」
 何を言っているんだろう。
 本当に、このひとは、何が言いたいんだろう。
「……わかんない。わかんないよ。私、バカだから――私にもわかるようにちゃんと言ってよっ!」
「だからっ……!」
 怒声を磨り潰し、腰の両側でこぶしを握り締めて、全身全霊で彼女はうつむく。
 そうして“溜め”を聞かせた言葉を発しようと口を開いた――そのとき。

 風が吹いた。

 不意打ちのような突風に巻き上げられた私の髪が、そのうち一本が、目の中に。
 文字通りに物理的に、飛び込んできた。
「っ!?」
 とっさに手で押さえる。
 そんな私の様子に気付いていないのか、彼女は口を動かし続ける。
「――私はっ――」

 そして――言った。

 風はすぐに止んだ。
 だからはっきりと聞こえた。
 そのひとの、その言葉は、一音も損なわれることなく、私の耳と脳に届いた。
 閉じた目を見開く。
 無事だった片方だけを。

 そうして見た、世界は――
 そこに立っていた人間は――

 遠近感が薄れて、妙にのっぺりと感じられる背景は――
 吊り目でツインテールの、セーラー服の女の子は――

「え……?」

 まるで、二次元の、ようだった。




2223-49:2008/10/08(水) 01:28:38 ID:QA9Z8IKi
以上です
ありがとうございました


参考資料:紅茶花伝 ロイヤルミルクティー
23名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 01:35:39 ID:8Z01F5Hx
うお、前から気になってたSSがリアルタイムで投下されてたっ!
文章構成が見事です…
こなたネガティブだよ…かがみと噛み合わないよ…でもかがみはなんて言った!!?

は、早く続きが見たい…早く…
2452-426(仮):2008/10/08(水) 02:03:41 ID:Olu9hGLT
>>22
先に新作を投下しようと思ったら、こんな良作が投下されてたなんて……!
続きが気になる!GJ!!

新作が出来たので5分後に投下します。

・5レス使います
・死人あり
・暴言あり
・キャラ崩壊
・こな☆フェチ重症患者

なんか今回は以前のと比べて、キレが悪いです。
25らき☆すたの女の子でエロパロ板1/5:2008/10/08(水) 02:09:58 ID:Olu9hGLT
パティ(今日から今まで憧れていたらき☆すたの女の子でエロパロ板デビューでス!
私がどんなSSを投下するっテ?それは禁・則・事・項でス♪)
   「げへへへへへ!」
こなた「あ、ゆい姉さん?私だよ。今私の目の前で変質者がいるから、うん。すぐ来て」

パティは、ゆい姉さんの尋問から逃れたあと、エロパロ板に向かった。
パティ「ここですカ。なかなか親切そうな人が多そうな板ですネ!」
パティが安心しきっていると、突然スレの住民がパティの目の前で吹っ飛ばされ
転がってきた。
スレ住民A「ぐはっ!」
スレ住民B「やられたぁ!」
パティ「こ、これは一体なんですカ!?」
パティが目の前を見ると、偉そうに立っている三人組がいた。
背景M「SSを書けないやつが、堂々とこのスレで書くなってヴァ!」
背景A「そうよ。ここのスレはこのルーニー八坂が仕切るのよ、覚えておきなさい!」
二人の背景の間には、腕を組んで威張って立っている女子高生がいた。
八坂「私がこのエロパロスレを仕切る、ルーニー八坂よ、覚えておきなさい!」
パティ「ど、どうしてエロパロスレでSSを投下しただけで、あんなに威張っているのですカ?」
パティが群集にそう尋ねていると、一人の黒髪の少女がパティに話し掛けてきた。
ひより「なにも知らないようっすね」
パティ「あ、あなたは……?」
ひより「ここのスレは、SS力(SSを書く力)が全ての、弱肉強食の世界っす。
    ここではSS力のない者は、SS力のあるものに屈服するしかないのよ!」
パティ(いやでス!そんなエロパロスレ板ハ!)

らき☆すたの女の子でエロパロ板
ハリケーンひよりん

八坂「今日からここのスレを書き込む前に、私に貢ぎ物を持ってきなさい。
   明治チョコレートが望ましいわ!」
背景M「ルーニー八坂さまは、ミルクチョコレートが好みなんだってヴァ!
    ホワイトチョコなんてもってきたら、分かってんだろうなってヴぁ!」
パティ「Oh……これは大変そうでス……」
八坂「ん〜?パティ、あなたいま何て言ったの?」
パティ「あぁ、聞こえてましタ!」
八坂は、いきなりパティの首根っこを掴んだ。
八坂「あんた、エロパロスレ初心者の癖になめたこと言ってくれるわね。
   今日から毎日チョコレート持ってきなさい!」
パティが必死の抵抗をしている矢先に、いきなりひよりが八坂の手をはたいていた。
ひより「これくらいにしとくっすよ。先輩。見苦しいだけですよ?」
八坂「ひより、あんたも私にたてつく気なの?今謝れば、板チョコ10枚で許してあげるよ!
   ほら!謝ってみなさい!」
ひより「私は、ハリケーンひよりん。このエロパロスレのSS作家の一人っす」
八坂「ハリケーンひよりん?聞いたことないわね。あんたもたてつくなら、私のSS力でお灸を据えてやるわ」
八坂は、作者ページを開いた。
八坂「くらいなさい!私の代表作、『名探偵だぞえ!みWikiさん』!!」
八坂は、ひよりの前にページを出した。
スレ住民C「作者自重しろwwww」
スレ住民D「カオスすぎるだろwwww」
ひよりは、八坂のSS力に吹っ飛ばされた。
ひより「ぐぅぅっ!!」
しかし、ひよりは倒れることなく、立っていた。
26らき☆すたの女の子でエロパロ板2/5:2008/10/08(水) 02:12:01 ID:Olu9hGLT
ひより「さすがですね先輩。絵は書けずとも小説を書いてるだけはあるようですね……」
八坂「な、立っているなんて……!?」
ひより「こんどはこっちの番のようっすね」
パティ「あぁ、ひよりも作者ページを出しました……!」
ひより「先輩、これで勝負っすよ!『純愛〜こなたを映すかがみ〜』!」
スレ住民C「な、なんと!」
スレ住民D「彼女もまた、優れたSS作家だったのか……!」
作者ページを八坂の前に出したら、八坂は吹っ飛ばされ、後ろの壁に叩きつけられた。
八坂「ぐああぁぁぁぁ!!」
パティ「ふ、ふっとびました!でも同じようにSSを投下してるのにどうしテ……?」
ひより「パティ、読者コメント欄を見てみて」
パティ「読者コメント欄?」
パティはページをスクロールして、読者コメント欄を表示させた。
パティ「ほ、誉められてまス!!」

■こなたは普段はおちゃらけているようにも見えても、
 こういうことになるとピュアなんですね……GJ! 名無しさん--(2050-05-16 10:23:45)

■こなたに悶えた俺をどうしてくれるんだwwwww マッチョ--(2043-03-03 05:43:22)

■感動しました。次のこなたを期待してます!GJ! 名無しさん--(2028-12-31 05:57:31)

■涙が出てきました。こなたをありがとう。 名無しだよもん--(2011-02-16 04:27:31)

■こなたの想いが通じてよかったです! さぁ、名無しだよ--(2001-04-17 11:11:11)

パティ「そ、それに対してルーニー八坂の評価ハ……?」

■探偵をテーマにしているが、みゆきさんはほとんどなにもしないで、勝手にかがみが自分が犯人だ
 ってばらしているだけ。ギャグSSとして書かれているが、全くらき☆すたっぽくなく、それも
 面白くない。パクリネタが多くグダグダした展開が続き、こなたにも魅力がほとんどない。
 そもそも、こなたといえば、普段はおちゃらけているように見えても、実はこのような異常な事件
 が起こると、不安になってみゆきを頼る、というアイデアはいいと思うが、おちゃらけているこな
 たの描写が全くない。これによってこなた自身の魅力がほとんど無くなってしまい、こなたはいて
 もいなくても同じようになってしまった。こなたはすごい魅力のあるキャラクターだし、とてもか
 わいらしい、時々見せる恥ずかしがる表情などたまらない萌えポイントがたくさんあるというのに、
 この作品はほとんどこなたの要素を無視している。こなたに対する愛が全く感じられず、読んでい
 てすごいヒマになってくることを通り越し、作者のこなたに対する愛を疑ってしまう。
 ここのスレ住民にとってこなたは、様々なSS作品に置いて欠かせない絶対的な存在であり、
 またこなたはかがみとくっついてこそ本当の幸せだ。それなのにかがみが変態行為に走って
 こなたの恋愛要素が全くと言っていいほどないので、そこをなんとかしてほしい。
 せっかくここのSS作家はこなたのことをかわいらしく書いてきたというのに、このSSでは
 今まで築き上げてきたこなた像が崩れていくようにも感じた。
 一体なんのために書いたのか。SSの内容も中学生の書いたような稚拙な文章で、表現も非常に下手。
 書くのはいいが、もう少し自分の作品を見直してもらいたい。
 52-426(仮)--(1892-04-16 12:59:59)

八坂「私の負けのようね、ひよりん……強くなったね。でも安心するのはまだ早いよ。
   ここのエロパロスレは、四天王と呼ばれるSS作家がいるのよ……」
パティ(なんですかそのエロパロスレ……)
八坂「ここからが本当の……地獄よ……」
八坂は、この言葉を最後に、息を引き取った。
背景MとA「八坂さん!!」
27らき☆すたの女の子でエロパロ板3/5:2008/10/08(水) 02:13:33 ID:Olu9hGLT
パティ「なんということデショウ……私はただ、作品を投下したいだけなのに、こんなことになっているだなんて……。
    どうしましょう、ひより」
ひより「決まってるよ」
ひよりは、エロパロスレの階段を上がっていった。
ひより「行くしかないっすよ」
パティ「待ってくださイ!ひより!」

階段を上がると、四人の少女たちが、ひよりのことを睨んだ。
みゆき「あら、いきなりここまで来るなんて、息のいい一年生ですね?」
つかさ「でも、ここにくるのはちょっと早かったようだね。田村さん」
つかさが開いた作者ページには、多数のSSが保管されていた。
ひより「ま、まさかあなた、古参者っすか!?」
つかさ「そうだよ!私はバルサミコつかさだよ!!私のSS力『こなたの親子丼』!!
    3スレ目から書いているから、強力だよ!」
つかさの出してきたのは、夜中にそうじろうがこなたとかなたと一緒にアンアン感じちゃう的なSSだ。
ひより「ぐはぁぁぁぁ!!」
つかさ「あはは〜♪どうかな、田村さん。この組み合わせは!」
しかしひよりは、衝撃によって後ろに少し下がっただけで、深刻なダメージは受けていない。
ひより「さすがはエロパロスレ四天王ですね。なかなかいいSSっす……!」
つかさ「立っている!ひよりが立っている!」
ひより「今度はこっちの番っすね……」
ひよりは、1スレ目に投下された作者別保管所を出した。
つかさ「そ、それは……!そこにハリケーンひよりんなんて名前は無かったはずだよ……!
    まさか!?」
ひより「そのとおりっす!1スレ目の私のペンネームは変態ひよりん!
くらうっす!私の初投下作品『どスケベこなたん』!!」
つかさ「あううぅぅぅ!!!!」
みゆき「バルサミコつかささん!!」
パティ「やりましタ!つかさが吹っ飛びましタ!」
ゆたか「いい気になってちゃだめだよ。田村さん!バルサミコつかさは、四天王の中では
    一番SS力が弱い作家なんだからね。全裸☆みゆきさん、あなたのSS力を
    見せてあげて!」
パティ(って、ゆたかも四天王でしたカ……)
みゆき「(どうして私はこの作者の作品では全裸として扱われているのでしょうか)どうやら私の
    出番のようですね」
みゆきは、自慢のオッパイの中からSSをニ作品出した。
自慢のオッパイの中からSSをニ作品出した。
自慢のオッパイの中からSSをニ作品出した。
それほど大切なことじゃないけど三回言いました。
みゆき「喰らいなさい。私の代表作、『ふたなりこなたん』に『ねこねここなたん』!!」
ひより「させるかぁ!」
ひよりは、Wiki保管所に向かった。
そしてトップページの下のほうにこうコメントを書いた。

すみません。「ふたなりこなたん」と「ねこねここなたん」を消してほしいのですが。
ハリケーンひよりん-(測定不能)

そしてしばらく待つと

削除しました。
マッチョ管理人--(紀元前710-05-28 04:46:49)
28らき☆すたの女の子でエロパロ板4/5:2008/10/08(水) 02:15:34 ID:Olu9hGLT
パティ「消したのですカ!?」
みゆき「参りました」
ひより「私の勝ちだ!!」
パティ「勝った!?」
ゆたかは、ひよりを見てニヤニヤと余裕の表情を浮かべている。
ゆたか「まさかここまでやるとは思わなかったよ田村さん。でも、これで最後だよ!
    お願いね。わくプリかがみん!」
わくプリかがみんと呼ばれる少女は、ゆっくりとひよりに近づいていった。
かがみ「私はわくプリかがみんよ!残念ながら今は詰め物と化粧を落としてるから
    美水かがみタッチの女の子じゃないけど、優れたSS作家よ!」
ひより(なんなんすか、この今まで感じた事の無いこのオーラは……まさか!?)
ひよりは、かがみのオーラによって割れたメガネをかけなおした。
ひより「神作家と言われているの!?」
かがみ「そうよ。私は優れたSSを書きつづけて、スレ住民から神作家と呼ばれるようになったのよ。
    喰らいなさい!『笑わないエリカ』をベースにした私のSS『笑わないこなた』!!」
ひより「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
パティ「ひより!!」
パティはひよりの元に向かった。
パティ「ひより、しっかり!」
ひよりは、パティの助けを借りて起きた後、おぼつかない足取りでかがみの元に向かった。
ひより「……どうやら私も最後の切り札を出すときが来たようっすね……!」
かがみ「へぇ……なにを出すつもり?」
ひよりは、ニヤっと笑い、作者ページを開いた。
瞬間、かがみの顔色が変わった。
かがみ「そ、それはまさか!?」
ひより「その通りっす!スレ住民のロリコンどもを震撼させた伝説のSS、
    『ようじょこなたんとえっちあそび♪』!!」
かがみ「ぐぶほぉあ!は、鼻血が!!」
パティ「ひより、すごいでス!まさか神作家を倒すとは……」
ゆたか「よくここまでこれたね。田村さん、だけど――」
ひより「やーい!ちびちび〜!こなたに萌えキャラとか呼ばれてるけど実際にはほとんど人気がなく
    て、このスレでもみゆきさんと比べて壊れネタが貧相だし、全然かわいくなんてないよ、き
    みなんて!なに、あんた?らき☆すたのゴミキャラのつもり?病弱とかいう設定もほとんど
    生かしきれてないのにどうしてこんなに平然とピンピン生きてるんすか?正直小早川さん見
    てるとすごいうざいんだけどなぁ。ねぇ、早く死んでくれない?こんなところで四天王とか
    って、だっさ!!自分のやったことわかってんの?ちびは引っ込んでろよ!!」
ゆたか「ふえぇぇぇ〜〜〜ん!!」
ゆたかは、大粒の涙を流しながら、階段を下りていった。
パティ「な、泣かせましタカ……!」
ひより「やったー!私は未来のSS作家『ハリケーンひよりん』っす!!」


……それから数年後、パティはこのエロパロスレで優れたSS作家になった。
???「ファ、ファンです、頑張ってください!あとこなたんに彼女を作らないでください!」
パティ「あなたは……?」
パティが目を凝らしてみると、そこにいたのはかつての友人、田村ひよりだった。
パティ「ひよりんじゃないですカ!?」
ひより「え、覚えていてくれたんすか……?」
パティ「もちろんでス!あ、今なにしてるんですカ?」
ひより「え、えーと、それは……フリ……ニートっす……」
パティ「そ、そうですか……」
フリーターとは言わずにニートといったひよりは、目が死んでいた。
なにがあったのかは、パティはあえて聞かなかった。
29らき☆すたの女の子でエロパロ板5/5:2008/10/08(水) 02:17:27 ID:Olu9hGLT
オマケ
名探偵ですか?みWikiさん
みゆき「はーい♪」
みゆきさんはらき☆すたキャラで唯一の爆乳キャラだよ☆
近い内にこのスレで「こな☆フェチ」に対抗して「全裸☆みゆき」という新ジャンルを作るのが目標なんだって♪
みゆき「近年の研究では、傷口に消毒液等は使わないほうがいいらしいですよ。
    良い菌まで殺してしまうので、傷は深くなってしまうらしいですよ。
    一番良いのは水で洗い流して、バンドエイドを貼ればいいらしいですよ」

   みゆきさん、ストーカーと死闘を繰り広げる!
こなた「うにゃぁぁぁぁぁ」
みゆきとかがみが、廊下で全裸の魅力について議論をしていると、こなたが泣きながらみゆきに抱きついてきた。
こなた「みゆきさぁん!!」
みゆき「ど、どうしたんですか、泉さん!?↑のSSが全てこなた関連だから怖がってるのですか?」
こなた「それもあるけど……違うの……。うぅ……実はね、一昨日からね……ヒクっ、ストーカーに
    狙われてるの……」
かがみ「なんですって!?」
こなた「私は何度も……くぅっ……やめてくださいって言ってるのに……全然やめてくれないの……!」
かがみ「うわっ……!こなた震えてるじゃない!かわいそうに……こんな小さな体が震えるほど
    怖がらすなんて……許せない!!」
みゆき「まずは状況確認するべきですね。泉さん、一昨日からの行動を教えてください」
こなた「う、うん。朝はね、いつもどおりに登校するんだけど、ここでもストーカーが
    ついてきてるっぽいの。一昨日は秋葉に寄って家に帰ったんだけど、昨日はバイトをして
    帰ったんだよ」
みゆき「二日続けて、ストーカーがついてきたのですか?」
こなた「うん」
みゆき「つまり、泉さんは二日続けて秋葉原に行ったということですね?」
こなた「うん」
みゆき「とすれば、犯人は秋葉に関連した犯人という可能性が高いですね……」
かがみ「それは無いと思うけど……」
みゆき「かがみさん、何か知ってるんですか?」
かがみ「私はここのところこなたと登下校一緒にいるんだけど、秋葉からついてきてるような
    怪しい人なんて見かけてないわよ」
みゆき「そうなんですか、泉さん?
こなた「へ?私、最近はかがみと登下校したりしてないけど……?」
みゆき「優 優」

ゆい「さ、行こっか」
かがみ「……」
3052-426(仮):2008/10/08(水) 02:19:50 ID:Olu9hGLT
以上です。
タイトルに間違いがありました。正しくは
「らき☆すたの女の子でエロパロ板ハリケーンひよりん」です。
もっと田村っぽく出したかったのですが、無理でした。
というより、なんだか今回はらき☆すたっぽくなかったです。
もうそろそろギャグマンガ日和ネタもおしまいにするかな……

Wiki保存は少々お待ちください。ちょっと方法が分からないので……。
3152-426(仮):2008/10/08(水) 02:25:47 ID:Olu9hGLT
注意書き一つ忘れてました。

本作に登場するSSは、フィクションです
似たようなものがあっても気のせいです
32名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 07:01:16 ID:MMSzjr2L
>>22
凄い、凄すぎる、みのさんの答えを待つ柊家並に
息を呑みながら読んでました。しかもなんてヒキだよ

こなたの心理の流れが見事すぎ。本来原作にないような描写なのに、
本当にこなたはこんな風に自分に自信を持てなくて空回りしてしまいそうで、
もの凄いリアリティを感じます。心情が反映された情景描写とかもう……脱帽。

GJなんて言葉じゃ足りません、もう御心のままにといって十字を切りたい気分w
33名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 07:59:17 ID:Oill1uBJ
>>1
乙でした。
差し支えなければ八時過ぎに投下させていただきます。
3442-115:2008/10/08(水) 08:04:56 ID:Oill1uBJ
 では。

 「三角トレード・高良家編 みなみ争奪ゆたかvsゆかり看病合戦」
 「三角トレード エピローグ」


 ・10レス+3レス
 ・高良家編は微エロ(性行為はなし)
 ・みなみ&ゆたか&ゆかり みゆき&つかさ こなた&かがみ
 ・オリキャラあり
 ・高良家編は柊家編を読んでないと理解できない部分も
35看病合戦1/10:2008/10/08(水) 08:06:04 ID:Oill1uBJ
 期待と不安。
 よくあるカップリングであるが、それは例えば合格発表だとか、その後の4月に始まる新生活にこそふ
さわしいものであって、隣家の客室の大きすぎるベッドにて風邪で寝込みながら抱える感情としては、あ
まりふさわしいものではない。
 それでもみなみの心にあるのは、期待と不安以外の何物でもなかった。注記が必要とすればその比率に
関してであり、期待が1、不安が9といったところであったが。
 「みなみちゃん」
 名前を呼び、幼稚園児みたいなスモックを羽織り、黄色いチューリップ帽を被ったゆたかが客室に入っ
て来るに及んで、みなみの中の期待は2になる。無事に着いたのは喜ばしいことだ。その代わり不安が98
になった。何なんだこの幼稚園児ルックは。高熱で錯乱した泉先輩が、無理矢理着せて送り出したのだろ
うか? いずれにしても危険である。ゆたかの愛玩動物的可愛らしさを、あの人は放っておくだろうか? 
あるいは……
 「ゆたか、本当に来てくれたんだね……」
 「うん。みなみちゃんが心配だもん」
 屈託なく笑うゆたかにみなみの心は癒されが、不安は998くらいに膨れ上がる。来てくれたのはありが
たいが、心配になるのはむしろみなみの方である。ここまでにあっていると、自分だっていじりたくなる。
そういえば、泊まりのための荷物はどうしたのだろうか……?
 「高良先輩の部屋においてきたよ。おばさんからは、そこを使ってって言われたの。最初はみなみちゃ
んの部屋で寝るのかなって思ったんだけど、風邪が伝染るといけないからって」
 「……そうだね」
 常識的にはそうだが、期待していなかったといえば嘘になる。
 「そしたらね、小さい服がたくさん並べてあって、高良先輩が昔着ていたものなんだって。それで私に
似合うのを選び始めて……」
 着せたというわけか!! みなみは戦慄し、静かに戦闘態勢へと移行した。
 園児コスのゆたかは抱き締めてしまいたいほどに愛らしく、思わず触れてみたくなり、みなみは手を伸
ばしてしまう。
 「はーい、みなみちゃーん。お粥が出来ましたよー」
 そこへ何の前触れもなくゆかりが入ってきた。手にしたお盆にはおかゆの入った丼、それを掬う匙、コ
ップと水差しが載っている。
 「あらあら……お取り込み中だったかしら?」
 ゆかりにはみなみが、ゆたかの頬を包み込もうとしているように見えた。
 「あ……こ、これは……。帽子が曲がっていたから……」
 みなみは顔面を赤熱させ、慌てて手を引っ込める。ここはゆたかに幼稚園児の格好をさせた事を突っ込
むべきであろうに……。
 「あら? じゃあ何で直さないで手を引っ込めるの?」
 「……」
 みなみ、返す言葉なし……。
36看病合戦2/10:2008/10/08(水) 08:06:36 ID:Oill1uBJ
 「うふふ、本当に可愛いわ。お人形さんみたい」
 ゆかりはお盆をサイドテーブルに置くと大きすぎるベッドの端に腰掛け、ゆたかを抱き上げて膝の上に
座らせてしまった。まるで腹話術の人形……。
 「『こんにちは、私ゆたかちゃん。ゆかりおばさんのお人形なの』」
 裏声で「ゆたかちゃん」のセリフを口にするゆかり。取りようによっては不穏な内容に解釈できるもの
だが、ゆかりに悪意はないらしい。
 「ほら、セリフに合わせて口をパクパクさせないと」
 その証拠に、本当の腹話術人形として(?)の演技指導(?)までしている。
 「え、えと……」
 ゆかりの膝の上であたふたするゆたか。
 「……ゆたかが裏声で喋ればいいのでは」
 「その方が腹話術人形らしく見える?」
 「う、え……そ、それは……」
 出した助け船が、出港直後に轟沈。いずれにしてもゆかりのペースだ。成す術をなくして、みなみは二
人を見遣ることしかできない。
 純粋に腹話術人形としての出来を見るならば、このまま幼稚園や小学校を訪問し、交通安全の啓発だっ
て出来そうだと思えるくらい様になっていた。
 交通安全人形「ゆたかちゃん」。この手の人形がたいてい「太郎くん」である事を考えると、画期的で
ある。
 ゆたかって、膝に乗せられるくらい軽いんだ……。
 「はい、あーん」
 人知れず(幸い顔には出なかった)いずれ自分も試してみようと決心を固めるみなみの口に、お粥が運
ばれる。
 「あの……自分で……」
 食べますから、とは言えなかった。おかゆを乗せた匙を握ったゆかりが、笑顔のまま首を振る。
 笑 顔 の ま ま。
 「……」
 みなみは口を開けたまま固まるばかり。その口にお粥と匙が入って来る。
 「おばさん……あの、私が……」
 膝に座ったままのゆたかが、みなみの口に匙でおかゆを運ぶ役を志願するが、ゆかりは首を横に振る。
 「ゆたかちゃんじゃ届かないわ」
 なるほどベッドは無駄に大きく、枕が真ん中に置かれていたため、みなみもベッドの真ん中付近にいる。
したがってゆかりの膝の上からでは、みなみの口まで届きそうになかった。
 「あーん」
 なおもこれ見よがしに、みなみにおかゆを与えるゆかり。ゆたかは焦りを覚え、横断歩道で左右を確認
する際の動作を啓蒙する交通安全人形のように辺りを見回し……それを見つけた。
 「はーい、みなみちゃーん」
 ゆたかが目をつけたのは、サイドテーブルの上の水差しだった。ゆかりの膝を離れるとコップに水を注
ぎ、反対側に回ってベッドの上にひざ立ちになり、コップをみなみの口元へ持っていく。
 「ゆたか、自分で……」
 飲むから、とは言えなかった。水の入ったコップを手にしたゆたかが、笑顔のまま首を振る。
 笑 顔 の ま ま。
37看病合戦3/10:2008/10/08(水) 08:07:19 ID:Oill1uBJ
 「はい、みなみちゃん。のど渇いたでしょ」
 「……」
 みなみは促されるままコップに口をつけると、ゆたかがわずかにそれを傾ける。上唇までが冠水したた
め、みなみは吸った。飲むというよりは吸うという、何とも不自由な感覚で喉を潤す。
 「はい、みなみちゃん」
 そこへすかさずゆかりのお粥攻撃。わ ら い な が ら。
 「はい、みなみちゃん」
 それが済むとゆたかの水攻め。わ ら い な が ら。
 「はい、みなみちゃん」
 三度お粥攻撃。わ ら い な が ら。
 「はい、みなみちゃん」
 三度水攻め。わ ら い な が ら。
 「はい、みなみちゃん」
 その繰り返し。わ ら い な が ら。
 「はい、みなみちゃん」
 その反復。わ ら い な が ら。
 やがておかゆが食器を残して全滅し、ゆかりがそれを下げる為に部屋を後にすると、みなみは疲れ果て
たようにベッドに横たわった。対するゆたかは、何かこうとてつもない事をやり遂げたような顔をしてい
た。
 何はともあれ、やっと訪れた二人だけの時間。さあ、何を話そう……。
 「ゆたか、学校でのこと聞かせて」
 「うん」
 ゆたかはベッドに腹這いになり、頬杖を突いて3-Bの教室に呼ばれたこと、会談の模様、そこでの決定
事項を1-Dで話したら、ひよりが異常反応を示したことなどを伝えた。
 「田村さんが?」
 「うん。なかなかおいしいシチュなんだって」
 「おいしい……シチュー??」
 「……シチュエーションの事だと思うよ」
 「あ、ああ……そうだね」
 「みなみちゃん」
 ゆたかの顔がグイっと迫り、額と額がランデブー。
 「まだ熱下がってないみたいだね」
 ゆたかはコロコロと笑う。
 「そ、そうだね……」
 むしろ上がったように感じられる。
 ああ、でも心安らぐ瞬間。
 病は気からというが、その「気」の方は確実に癒されていくのを感じる。ゆたかが来てくれてやっぱり
良かった。みなみは心からそう思った。
 そうそう、シチューといえば……。
 「ゆたか、夕食は?」
 「食べてきちゃった。みなみちゃんの看病に専念できるように」
 「それは……ありがとう」
 みなみが赤面し、ゆたかがそれに続く。おかしなものだ、と二人は内心で思う。こういう反応は、さっ
き額をあわせたときにこそあってしかるべきものではないか? おずおずと顔を上げ、目が合ってまた伏
せる。隣に、そして一緒にいるのがあまりに自然で、変に意識して初めて甘さを帯びる二人の時間。こう
いう得がたいものは、得てして長続きしないのが世の倣い。
38看病合戦4/10:2008/10/08(水) 08:08:01 ID:Oill1uBJ
 「はーい、みなみちゃーん」
 再びゆかりが入ってきた。その手にはわずかに湯気を上げるぬるま湯を張った洗面器と、一枚のタオル。
それにパジャマの替えのつもりと思しき衣類(パジャマではなくネグリジェだったが)まで持っていた。
額に濡れタオルを乗せるのなら、ぬるま湯である必要はないはずだ。……ということは?
 「体を拭き拭きしましょー」
 サイドテーブルに持ってきたものを置き、大発明を大発表する発明家のように両手を広げてみせる。
 「……もう昼間に拭きましたよ」
 みなみはボソッと言う。
 「やったの、みなみちゃん!?」
 ゆたか、異常反応。再びみなみに大接近。
 「うん……でも、途中で電話がかかってきて」
 「そ〜なのよ。みゆきったらちょうどいいところでかけてきて」
 三角トレードの成立を告げる電話である。それに出るためにゆかりが行ってしまった為、みなみは自分
で拭き、電話が終わって戻ってくる頃には後の祭りだったというわけだ。
 「よかった……」
 ゆたかは胸を撫で下ろす。
 「で・も」
 ゆかりはというと糸目をアーチ状に和ませ、無駄に嬉しそうな顔でこう言う。
 「ゆたかちゃんが来てくれたからいいかな」
 みなみは嫌な予感がした。
 「というわけでゆたかちゃん」
 またもやひょいと抱き上げ膝の上へ。またもや交通安全人形「ゆたかちゃん」状態。
 「後でゆたかちゃんも拭き拭きしましょうね」
 「ダメ!」
 そう言ったのはみなみだった。
 「……です。ダメです……」
 同じくひょいという感じでゆたかをゆかりの膝から奪回し、体の後ろに隠すと震えるようにプルプルと
首を横に振る。
 「あら、ど〜して?」
 ゆかりは、おもちゃを買ってもらえないことを承服しかねる子供のように尋ねる。
 「ゆたかは子供扱いすると傷つくから……」
 何とも苦しい言い分。
 「あらそう……」
 ゆかりの糸目は水平になり、一応納得したようではあるが、すぐにアーチ状に戻って、
 「じゃあ、みなみちゃんを大いに拭き拭きしましょう!」
 「え、え……?」
 ゆかりに手を引っ張られ、みなみはベッドに腹這いにされる。抵抗する暇もなくグレーのちょっと男っ
ぽい感じのパジャマの上衣がめくられ、ぬるま湯に浸して搾ったタオルが降りてきた。
 「♪ふふふん ふん、ふん〜」
 何が楽しいのか鼻歌まで出てくるゆかりと、取り残されたゆたか。
 「あの、おばさん」
 「なあに?」
 「私―」
 当然「―がやりますから」とでも続くべきところなのだが―
 「拭き拭きして欲しいの!?」
 そんなこと言わせる間も与えず、ゆかりは自身の欲望を表明する。
 「いえ、あの……」
 「待ってて! みなみちゃんを拭き拭きしたら、すぐにやってあげるから」
 無論聞いてない。
39看病合戦5/10:2008/10/08(水) 08:08:44 ID:Oill1uBJ
 ゆたかは大いに焦った。このままでは、みなみがゆかりのものになってしまう……ような気がする。し
かしタオルは一枚だけ。部屋のカーテンが目に入るが、カーテンレールに手が届きそうにないし、届いた
としてもカーテンで拭くのは色々と問題がありそうである。ベッドシーツは二人が乗っているし、自分が
被ってるチューリップ帽はちょっと固そうだ。
 ええい、ままよ。自分の着ているスモックを脱ごうとした時、不意にそのポケットから一枚のハンカチ
が零れ落ちた。擬人化された(?)チューリップが満面の笑みを浮かべている何とも微妙な柄であった。
幼稚園時代のみゆきが使ってそのままだったのだろうか。約12年の封印より解き放たれ、今ぬるま湯に浸
された。
 「あらあら……」
 ベッドの反対側に上がり、そのハンカチでみなみの体を拭き始めたゆたかを、ゆかりは意外そうな面持
ちで見た。
 「そんなところにあったのね、それ」
 「はい、ポケットに」
 「よかった。お気に入りだったのよ」
 「じゃあ、高良先輩喜びますね」
 「ううん、私のお気に入り」
 「おばさんのなんですか?」
 「うん、見つかってよかったわ」
 そう言いながら、ゆかりは髪を掻き揚げる程度の軽い動作で、みなみのブラのホックを外した。
 「ゆ、ゆかりさん!?」
 みなみはうろたえるが、ゆかりはアーチ状の糸目で笑い返すだけ。
 「ん〜、邪魔だったしー。ねえ、ゆたかちゃん?」
 「ええ。みなみちゃん、きれい……」
 耳朶を舐めるようなうっとりとした声でゆたかが言うと、みなみは抵抗の意思を放棄してしまった。
 女性的というよりは中性的、それよりも贅肉も筋肉もついてない美少年的と言った方が適切かもしれな
い白い背中が、元々無遠慮だった二人に蹂躙される。
 「いいなあ、私も昔は……」
 なんて言いながら、ゆかりの空いている方の手がみなみの尻を撫で始める。
 「ゆかりさん!!」
 抵抗の意思が再燃する。本人としては猟犬のように吼えたつもりだったが、ゆかりは子犬をあやすよう
に、笑いながらこうかわす。
 「ん〜、みなみちゃん小尻でいいなあって」
 「「……」」
 絶句したのはみなみだけではなく、ゆたかもだった。水を飲ませるくらいなら笑って付き合う(張り合
う)ところだが、これにはいくらなんでも、である。女王様のように超然と微笑むゆかりに比べ、自分が
まるで小間使い程度の存在に思えてくる。このままではみなみが、ゆかりに征服されてしまうような気が
した。だからゆたかは、その上を行く行動に出た。出なければならなかった。
40看病合戦6/10:2008/10/08(水) 08:09:37 ID:Oill1uBJ
 「本当、かっこいい……」
 ゆたかの手も、みなみの尻を撫でる。それも準強制わいせつレベル……つまり、手をパジャマの中に潜
り込ませ、下着の上から。
 「ゆ、ゆ、ゆ……」
 首を巡らせそれをゆたかの行為だと確認すると、みなみは諦めたように全身を弛緩させて顔を布団に埋
める。
 「はい、じゃあ次は前ね」
 それをいい事に、ゆかりはみなみをゴロン転がして仰向けにさせる。
 「ボタン外しちゃいましょ」
 申し合わせたかのように、二人の手がパジャマのボタンを外してご開帳。ブラのホックはすでに外され
ていたため、それは腕を通して胸の上に乗っているだけの格好になっていた。
 「いや……」
 みなみは弱々しく呻いて本能的に前を隠そうとするが、その手首を二人の魔手が捉えベッドに押し付け
る。
 「脇の下が拭けないでしょ」
 「みなみちゃん」
 叱るように見下ろす二人に、みなみの抵抗は即座に頓挫する。
 そして征服される柔肌。肉付きと曲線に乏しい脇腹や鳩尾を、タオルとチューリップハンカチが撫で清
めていく。やがてそれは、外れかけて浮き上がったブラの下にも達し……。
 「あ……」
 みなみが声を上げると、すかさずゆかりが聞く。
 「みなみちゃん、気持ちいい?」
 「……くすぐったい」
 「そう? それは女の子としてとても残念なことね……」
 「……ッ」
 ベッドの上だというのに、なんだか16tくらいのおもりをくくりつけられ、海底に叩き落されたような
気持ちになる。その間に予告通り腋の下まで拭いてしまうと、
 「じゃあ次は下ね」
 ゆかりはパジャマのズボンに手をかける。ゆたかも慌ててそれに倣う。二人の親指がショーツにかかり
……。
 「イヤ!」
 みなみは脚を閉じ激しく首を振ったが、それ以上はしなかった。
 「そう遠慮しないで。着替えさせてあげる」
 笑うゆかりの顔が、闇の中で嗤う悪魔のそれに重なる。
 「お世話させて、みなみちゃん」
 お世話させてくれなければ死んでしまう、とでもいう様な顔で。
 まるで自分が加害者であるかのような錯覚に陥る。薄い胸の中で傷むのは良心なのか。この痛みに責め
さいなまれるくらいなら……。
 「……」
 みなみは力を抜いて脚を開く。ゆかりは嬉しそうに、
 「さあ、お尻か脚を上げて」
 「脱がせるよ」
 二人息を合わせて脱がせようとした―その時だった。

 ワン ワン ワン

 激しく吼える犬の声。
41看病合戦7/10:2008/10/08(水) 08:10:19 ID:Oill1uBJ
 「チェリー……?」
 「チェリーちゃん?」
 「あらあら」
 一応責任者の立場にあるゆかりが、渋々という感じで窓から外を覗く。
 「不審者さんかしら?」
 「不審者!?」
 びっくりしたゆたかも背伸びして庭を見下ろす。みなみも急いで着衣の乱れを正し、チェリーの姿を探
す。庭の見下ろせる位置で、チェリーの目が黄色く光る。

 ワン ワン ワン

 みなみの姿を認めたのか、チェリーはさらに激しく吼える。
 「そうじゃないみたいです。こっちを見て吼えてる……」
 みなみは思い当たるところがあり、ゆかりに尋ねる。
 「ゆかりさん、散歩は……?」
 「ううん」
 ゆかりは口を尖らせて首を振る。
 「おばさん、ハーネスのつけ方分かんないもん……首輪ならともかく」
 大型犬を操るには首輪よりハーネスの方がいいとイギリスの犬調教番組で言っていたので、みなみもそ
れに従ったのだ。
 「欲求不満……」
 みなみはボソッと言った。無論ゆかりのことではなく、散歩に連れてってもらえないチェリーのことで
ある。
 「そうだ」
 名案の浮かんだゆかりは、ポンと手を打つ。
 「ゆたかちゃん、行ってらっしゃいよ」
 「え……ええっ!?」
 「チェリーちゃんと仲が良いんでしょ?」
 「そうですけど……」
 「おばさん、みなみちゃんの体を拭き拭きして待ってるから」
 ゆたかの中の何かに火がつく。
 「おばさんこそ行ってください。もう暗いし、地元じゃないから迷子になったら帰れません。みなみち
ゃんの拭き拭きは私がやっておきますから」
 二人の視線がぶつかり、火花が散る。みなみが人間ではなく導火線だったら、即座に点火完了となって
いただろう。
 「迷子になっても大丈夫よ。ゆたかちゃん小さいから、チェリーちゃんが乗せてくれるわ」
 「おばさんこそ行くべきですよ。迷子になるくらいの方がいい運動になりますよ」
 なおも譲り合う(押し付けあう)二人をよそに、みなみはパジャマを脱ぎ、ネグリジェではなく外着に
せっせと着替えていく。二人が気付いた時、みなみはすっかり準備完了してて……。
 「私が……行きます」
 熱に浮かされた赤い顔で、みなみは決然と言う。
 新たなライバル出現。よもやチェリーにみなみを取られるわけにはいかず、間髪をいれずに二人は叫ん
だのだった。
 「「私も行く」」
42看病合戦8/10:2008/10/08(水) 08:17:48 ID:Oill1uBJ
 「腐っても鯛」という言葉がある。もし差し支えなければ、今日からそれを「風邪を引いてもみなみ」
と言い換えて欲しい。
 チェリーは走る。朝から散歩に連れて行ってもらえない欲求不満を発散すべく、彼女は東京の蒼い闇の
下で風になる。
 みなみはハーネスを握り締め、それに追随する。風邪が完治しておらず、体はだるく、脚の関節も痛む
だろう。しかしいざ走らせたら、こなたと同じタイムを叩き出すスプリンターである。だからみなみも風
になる。風邪を引いても風になる。
 一方、昼ドラ大好きのインドア派セレブマダム・ゆかりと、保健室のヌシ・ゆたか。
 この四者が走るとどうなるか?
 答えはこうである!
 「「みなみちゃーん、待ってぇ〜」」
 二人はすぐに離されてしまい、チェリーとともに闇に同化したみなみを見失う。
 それでも追いかけようとするのだが……。
 「きゃ」
 ゆたかはあそびにんみたいに足をもつれさせて転倒。黄色いチューリップ帽が外れて道に転がる。
 「あらあら……。大変」
 ゆかりは荒い息をつきながら、ゆたかを振り返る。
 「とっても似合ってるのに……」
 ゆかりは引き返し、外れたチューチップ帽を被せ直した。
 「おばさん……」
 顔を上げたゆたかは、目に涙を浮かべていた。敗北感に打ちひしがれていた。
 「大丈夫よ。すぐに戻ってくるわ」
 その通りだった。
 やがて足音が聞こえ、姿が見え……。
 「ゆかりさん、ゆたかを、お願いしま〜〜〜〜す」
 ドップラー効果を利かせながら、緑と白の風が二人の傍らを吹き抜けていった。
 「うふ、みなみちゃんにお願いされちゃった。じゃあ戻りましょ」
 ゆかりはゆたかを背負って立ち上がる。
 「軽いわ〜。みゆきの幼稚園時代を思い出しちゃう。あの子よく転ぶ子で、こうやっておんぶしてあげ
たわ〜」
 幼稚園児の格好をしたゆたかは、しがみつきつつ膨れ面で抗議する。
 「せめて小学校の頃を思い出してください」
 それにしたって志の低い話である。




 チェリーはすっかり満足したらしい。みなみ争奪戦からも身を引き、岩崎家から持ってきた犬小屋に素
直に引っ込んで行った。
 疲れ果てたのは人間たち。ゆたかに至ってはすでに眠りに落ちていた。
 みなみはゆかりの背中から下ろしたゆたかを抱え、みゆきのベッドに寝かせると、自分の客間へと下が
り、無駄に大きいベッドに倒れこむ。体は十分に温まった。このまま冷やさないようにすれば、熱は下が
るだろう。このまま寝てしまおう。
43看病合戦9/10:2008/10/08(水) 08:18:44 ID:Oill1uBJ
 灯りを消そうとリモコンに手を伸ばした時、突然部屋のドアが開いた。見覚えのある(!)ネグリジェ
に着替え、両腕で園児服のままのゆたかを抱えていた。
 「三人で寝られるベッドが他にないのよ」
 そんな事を言って、当たり前のようにベッドに入ってくる。なるべく離れようとするみなみを抱き寄せ、
「川」の字というよりは「木」の字を作り、そのまま寝てしまうつもりらしい。
 一体何なのか。今日のゆかりは、いつもにも増しておかしい。その事を説明できる仮説を、みなみはそ
の時までに見つけていた。
 「……ゆかりさん」
 「なあに、みなみちゃん?」
 「本当は……」
 聞くべきか、聞かざるべきか。
 「……」
 「なあに、寝言?」
 「…………はい」
 「じゃあ私は寝聞き」
 寝聞き? まあ、言わんとすることは分かるので、みなみは続けた。
 「本当は……」
 「うん」
 「みゆきさんの弟か妹が欲しかったじゃないですか?」
 迂遠な言い回しだと思う。みゆきの弟か妹といえば、ゆかり自身が産むよりないのだ。それより、これ
は聞いていいことだったのだろうか? 答えたくなければ、ゆかりはそのまま寝てしまうだろうが……。
 「そうなのよ」
 意外にもゆかりは至って気楽に答えた。
 「あの子、来年は大学生でしょ。子育ても終わりかと思うと……何か物足りなくなっちゃって」
 「物足りない??」
 みなみには理解しかねる感覚だった。
 「うん、みゆきがあまり手のかからない子だから」
 「ああ……」
 首肯しながらも、みなみには完全に納得がいったわけではない。物足りないとか張り合いがないとか、
それらはやはりゆかりに似つかわしい感じがしなかった。
 「それで私たちを代わりに……?」
 自分だけではなく、ゆたかをもターゲットにしている節があった。だから「私たち」なのである。
 「うん。おむつ交換の感覚を思い出したりしてね」
 「え゛……」
 みなみのパジャマのズボンを脱がせようとしたのは、つまりそういう事だったわけだ。
 絶句するみなみに構わず、ゆかりは暢気に提案する。
44看病合戦10/10:2008/10/08(水) 08:20:05 ID:Oill1uBJ
 「明日になったら、三人でお風呂入りましょ。今日は入れなかったし」
 「いいですけど……服は自分で脱ぎますから」
 「あら、残念……。ふふ、みなみちゃんあったかい」
 「風邪、伝染っちゃいますよ」
 「いいもーん。みなみちゃんが看病してくれるから」
 そんな事を言いながら、ゆかりはみなみを抱き寄せる。みなみもみなみで、ネグリジェの裾をぎゅっと
握ったりして……。
 やがて二人は互いのぬくもりに包まれながら、ゆたかに続いて眠りに落ちていった。


 電話が鳴っても携帯が鳴っても、誰も目を覚まさない……。




 ……




 −追記−

 みゆきの依頼で高良家の様子を見に行った警備会社社員による
 『とある一家への追憶』


 あの家に着いたのは日付の変わる前だったか、変わった後だったか……まあ、大体それくらいだったか
な。
 灯りは消えていたが、何度も呼び出したら、その内眠そうな顔をした緑髪の女の子が出てきたよ。異変
はなさそうだったが、上からは何故か家人全員の無事を確認するようにと厳命されていた。なんでも、警
察の口添えもあったとか……。
 俺はその旨を女の子に話して、寝室に案内してもらった。
 ああ、寝室だ。
 変な気を起こすはずもないが、意識しなかったといえば嘘になる。その場に男は俺だけだったからな。
 寝室じゃ奥さんと別の女の子が気持ちよさそうに寝てた。それが確認できたので、俺は挨拶(礼を言っ
てそして詫びて、だな)してその場を去った。ただそれだけだ。


 でもまあ、あれだ。
 のんびり屋の母にしっかり者の長女、甘えん坊の次女ってとこか。
 仲の良さそうな親子だったな……。


 おわり


45エピローグ1/3:2008/10/08(水) 08:21:30 ID:Oill1uBJ
 柊家の長女・いのりが出張先から帰宅したのは土曜日の朝。早朝ではないが、商店の多くはまだ店開き
をしていないという頃合である。
 自室で荷解きし、洗濯物を脱衣所に持って行ったところ、そこで見慣れたつかさの服と、見慣れぬボロ
ボロの服を見つけたのであった。
 両親の部屋へ行ってみる。影も形もなし。
 まつり……まだ帰宅せず。
 かがみ……なぜか不在。
 そしてつかさの部屋。
 つかさのベッドには、巨大な何かが寝ているようだった。布団がものすごく膨らんでいる。
 つかさ、ちょっと見ない間に突然太ったわね……。なんて思いながらめくってみると、下着姿のつかさ
が下着姿の女の子と抱き合って寝ていた。見覚えがないわけではないその子は、どうやらつかさの同じク
ラスメートのようである。
 いのりが立ち尽くしていると、その友達の方がもぞもぞと半身を起こし、「眼鏡眼鏡」と枕元を漁る。
そしていのりの姿を認めると、
 「あ、お帰りなさいませ」
と頭を下げてからハッとする。
 「あ……家族でもない私が、こんなこと言うのは変でしょうか?」
 「ううん、全然OK。それより、何があったの?」
 「ええとですね……」
 いのりは注意深く友達―みゆきの表情を観察した。
 曰く、カレーを食べた後眠い体を押して入浴したが、寝巻きを着ける前に二人とも力尽きたとのこと。
スキンケアもせずに寝てしまったのかと聞きかけて、やめた。若いって素晴らしい。
 みゆきの言う事はどうやら嘘ではないようだ、といのりの観察眼は告げていた。
 「そうなんだ。最初はてっきり喧嘩でもしたのかと思ったわ」
 「そんな事はしません。ずっと仲良しですよ」
 これはある種の誘導尋問である。
 「だよね。そもそも、つかさがそんなに強いとは思えないし」
 狼の群れを向こうに回して戦った名残と言われても納得してしまいそうなほどボロボロだった脱衣所の
服を思い出し、いのりはそう言った。
 「失礼ながら、それも違います」
 みゆきは首を傾げてきっぱりと言う。豊か過ぎる胸がぷるんと揺れる。
 「つかささんは強い方です。カレーと一緒に待っていてくれたのですから」
 「ふ〜ん」
 よく分からないが興味を惹かれる話である。朝食でも食べながら聞かせてもらうとしようと思った。
 「朝食の用意するね。パンでいい?」
 「あ、私にやらせてください。ご馳走になってばかりで―」
 ベッドを出ようとするみゆきを、つかさの腕が捕まえて押し倒した。
 「ゆきちゃ〜ん、もっとぉ」
 もちろん、「もっとカレーを食べよう」という意味であるのだが、いのりに言わせると、この時のつかさは妹ながらゾッとするほど色っぽかったという。
46エピローグ2/3:2008/10/08(水) 08:22:08 ID:Oill1uBJ
 昼が近付きただお・みき夫妻が帰宅を果たすと、みゆきとつかさは、カレーの一部を小さな鍋に移して
泉家へと向かった。
 そこでは奇妙な事にかがみが病床に臥し、こなたがその世話をしていた。
 「いやー、参ったよ。かがみにキスされそうになって」
 ちっとも困った様子もなくこなたが言う。
 「なっ、私があんたにされそうになったんでしょ!」
 かがみが剥きになって反論しようとする。
 しばらくそのやり取りを眺めていたみゆきが、やがてこうまとめる。
 「つまりどちらもキスを試みたものの、どちらも未遂だったと」
 「残念ながらそうなっちゃうね」
 「残念じゃないわよ。全く……死んだふりなんかして。私は昔の熊か」
 分かりにくいが熊に死んだふりは通用しないという認識が広まる前の、という意味である。
 「真に受けちゃうかがみん萌え」
 「う゛……」
 「―と、かがみが赤面するのはいいとして」
 こなたは赤い風船みたいになってしまったつかさとみゆきに目を向け、からかうように言う。。
 「二人には刺激が強すぎるかな?」
 「……」
 「……」
 無論そんなのではなく、未遂に留まらなかった昨晩の我と我が身を思い出しての事である。
 幸か不幸か、成実夫妻という目撃者がいた事を二人は知らない。




 帰宅の途についたみゆきが泉家を出たところで、帰宅寸前のそうじろうに出くわした。
 「お帰りなさいませ」
 いのりの時と同じ挨拶をするが、反応はまた特殊だった。
 「『ご主人様(はあと)』を付け加えて欲しいなあ……」
 それはそれで失礼に当たるのではないか、なんて懸念は彼に対しては無用である。
 「ていうか帰っちゃうの?」
 「はい、お邪魔しました」
 丁寧に頭を下げると、そうじろうは心底残念そうに言う。
 「帰っちゃうんだ……」
 「はあ、お名残惜しいですが……」
 一緒に過ごしたわけでもないのにこう言うのはおかしいでしょうかなんて思いつつ、みゆきは慰めるよ
うに付け加える。
 「でも、かがみさんとつかささんがまだいらっしゃいますよ」
 「巫女さんコスで?」
 「いえ、普段着ですけど」
 「なんだ……」
 「かがみさんが体調を崩されてしまって……」
 「お医者さんしてる、と?」
 そうじろうは目を輝かせる。
 「いえ、看病を―」
 「うぉーい、お父さんも混ぜろ〜。お父さんも『先生』だぞ〜」
 そうじろうは盛りのついたウサギみたいに飛び跳ねながら、泉家へと入って行ったしまった。
47エピローグ3/3:2008/10/08(水) 08:23:05 ID:Oill1uBJ
 高良家でも異変が起きていた。
 病床に臥していたはずのみなみが、ベッドから起き上がれないゆかりとゆたかの世話を焼いていたので
ある。風邪が伝染ったのかと思ったが、そうではない。
 「脚痛ーい。立てなーい。今日一日おねむさんで良い?」
 それは分かるとして、ゆたかをギューギューと抱き締めて離さないのは何故なのだろうか?
 「お、おばさん。私は立てますから」
 ゆたかは脱出を試みるが、そんな彼女をゆかりは殊更ギューギューするのである。
 「ゆたかちゃんと一緒がいいの」
 「やーん」
 溺れるようにもがくゆたか。止めに入ったほうがいいだろうかなんて思っていると、みなみがみゆきの
服をそっと引っ張る。
 「何でしょう?」
 「あの実は……」
 今日はまだチェリーの散歩に行ってないという。そこで……。
 「私が代わりに散歩を、ですか?」
 「……はい」
 みなみが怖いくらい真剣に肯くので、みゆきは追及しなかった。
 みなみは、見張ってなければいけないのである。




 ハーネスで繋いだチェリーとともに高良家を出て100歩ほど歩いたところで、なにやら見覚えのある高
級外車が走ってくるのが見えた。
 「みゆきちゃーん」
 岩崎夫人が顔を出し、手を振っている。
 「おかえりなさいませ」
 「ただいま〜」
 「楽しめましたか?」
 「うん♪ お土産いっぱいよ〜」
 「あ、ありがとうございます」
 「すぐに届けるわね〜」
 「一休みさせてくれよ〜」
 これは岩崎氏の抗議。
 「ダーメ。みなみがお世話になったんだから」
 今はむしろゆかりがみなみの世話になっている状態である。でも、土産と聞けばゆかりは起き出すだろ
う。
 みゆきはチェリーと並んで立って、岩崎氏の車庫入れを見守っていた。


 「おかえりなさい」


 そう呟いたみゆきに、チェリーは不審そうな顔を向ける。それを察したみゆきは、チェリーの頭を撫で
ながら言った。
 「日常が帰ってきました」
 「ワウ……」
 チェリーは不服そうに鼻を鳴らす。彼女にしてみれば岩崎邸で寝起きし、みなみに散歩に連れて行って
もらうってこそ日常である。
 「そうですね。でも、もうすぐですよ」
 見ると、たくさんの土産を抱えた岩崎夫妻が、道を渡って高良家に入って行くところだった。


 おわり


4842-115:2008/10/08(水) 08:25:44 ID:Oill1uBJ
ああ、なんたるかな。
書き上げた達成感で後書きの事を何も考えてなかったなんて。
ま、仕方ありません。
とにかく、ありがとうございました。
49名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 13:35:54 ID:SMUYiDSd
おお昨日から一気に投下が来てる

>>22
紅茶の成分表示の下りとか、
片目で鈍った遠近感が次元の話に繋がっているところとか、
さらっと書いてあるんだけどすごい。

二人の性格や思考過程の違いがモロにぶつかってますね。
気持ちが伝わらない所は読んでて可哀想でもあるんですが、
なかなか上手くいかないところにちょっと萌えてしまった。

つ…続きはまだかっ……!
50名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:51:34 ID:/8/mpG8E
>>22
お互いにあと一歩が踏み出せないやきもき感!
こなたの不器用さにシンクロしながら拝読しました。ぐっじょぶ!

>>48
ゆかりさんとゆーちゃんでこんな化学反応が起こってしまうとは……!
いつもと違う「日常」、こちらもぐっじょぶでした。
あと。そうじろうさんは自重してくださいw
51名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 00:03:40 ID:lhlgD33R
ぎゃー ! ! ! 今日は大量投下GJ の嵐 !
>>22
大好きなSSシリーズktkr ! 貴方の大ファンだー ! !
もどかしい心理戦が相変わらず激しく Gj !
最後にかがみが放った言葉が気になる
続きが楽しみだー !

>>30
あんたいい意味でアホだwww GJ !
ギャグ漫画日和のパロは相変わらず面白いなw

>>48
ああ・・・楽しみにしていたシリーズの一つが完結ですか・・・お疲れ様でした !
三角トレードという発想が斬新で、このシリーズ大好きでした
特に病気のふりしてこなたがかがみをからかう回なんてツボでしたw
惜しみないGJを ! そしてぜひ新作を !
お待ちしてます
5252-426(仮):2008/10/09(木) 23:23:20 ID:Jg7ay6S3
ちょっと愚痴らせてください。
こなた×かがみSS保管庫でSS作家集めて同人誌を作ってるみたいですね……
昔から自分の書いた作品を本にしたいなーと思っていただけに、このようなチャンスを
逃してしまうとは……。参加したかったなぁ……。
……でも、今の僕は未熟者だし、SSを書き始めたのはつい最近だし、
今だにWikiで保管とかしてないし、同人誌に参加するというのは、早すぎる話か。
またどこかにチャンスとかありそうなので、今はただひたすら自分のSSを鍛えようと思います。
急に愚痴ってすみません。でも書いたらすっきりしましたので、
5分後に新作を投下します。


・ヤンデレ要素あり
・暴力表現あり
・一部のキャラ設定を変更

ヤンデレって、書くのは楽しいですが、難しいです。
53ヤンデレナワタシ1/4:2008/10/09(木) 23:29:19 ID:Jg7ay6S3
では投下します。

――大丈夫?
彼女はそうやって、私に優しく声を掛けてくれた。
彼女はポケットからハンカチを出し、ケガしたところをそっと抑えてくれた。
暖かいな。とっても安心できるな。
私はずっとそうやっていたかった。
――うん。もう大丈夫だね。
そして彼女は、ニッコリと笑った。
彼女のこの笑顔は、私にしか見せない、私だけのもの――

  ヤンデレナワタシ

私はあの一件以来、仲良しになった。
最初は怖い人かな、大丈夫かな。
そんな不安で、一杯だった。
でも、彼女と接してみて、分かった。
彼女はただ、感情表現が苦手なだけで、他人から見ると冷たい女の子のように見られるのだ。
でも、本当はすっごく優しい人。これは私だけが知っている秘密。
思えば、彼女と出合い、毎日が楽しくなった。
私の無茶にも付き合ってくれるし、私だけの曲をピアノで弾いてくれる
――岩崎みなみちゃん。
私の頭の中は、彼女で一杯になった。
ずっと彼女のことを見ていきたい。
彼女もきっとおんなじことを考えていると思う。
私はずっとあなたを見ている。
だから、あなたもずっと私のことを見つめていて。


……でも、そんな日々も長くは続かなかった。


それは私とみなみちゃんと歩いている時だった。
「きゃっ……!」
「うわぁ!」
突然、黒い髪の女の子が走ってきて、みなみちゃんにぶつかった。
「あわわわ〜、メガネ、メガネはどこっすか〜」
黒い髪の女の子は、あたふたしながら床に転がったメガネを探している。
みなみちゃん、もういいから行こ。
私がみなみちゃんを引っ張ろうとしたら
「あの、ちょっと待ってください……。むやみに動いたら、メガネを誤って踏んでしまうかも
 しれません。探してあげますから、そこを動かないでください」
みなみちゃんは、黒い髪の女の子のメガネを探し出し、見つけたメガネを女の子に手渡した。
「はい」
「あ、どうもありがとうございます」
黒い髪の女の子は、手を振りながら、去っていった。
「さ、行こう」
……なんなんだろう。この胸のモヤモヤは。
別にみなみちゃんがいなくなるわけじゃない。けど、胸のドキドキが抑えられなかった。
思えばこの時が、私が変になった瞬間かもしれない。

それから数日がたった。
私はいつものように、みなみちゃんと遊んでいた。
その時、玄関のチャイムが鳴り、みなみちゃんが返事をしながら玄関に向かった。
誰かお客さんが来たのかな?
54ヤンデレナワタシ2/4:2008/10/09(木) 23:30:50 ID:Jg7ay6S3
私はソファーに座ると、みなみちゃんはお客さんを連れてきた。
「おじゃましまーっす」
「Oh!これは立派ナ家デスネ!」
――ドクン
私の心臓が大きくなった。
金髪に青い瞳の少女は知らないけど、黒い髪の少女は知っている。
あの時、みなみちゃんがメガネを拾ってあげた人だ。
どうしてそんな人をこの家に入れてるの?
「ほら、田村さんにパトリシアさんだよ」
みなみちゃんが私にそう紹介した。
だけど、私は気に入らなかったから、二人のことは無視して、部屋を抜け出した。
「……あれ?」
「どうしたんすか?……あぁ、やっぱり嫌われちゃったっすねぇ」
「ぬぅ……これはクーデレとイウモノですカネ……」

それから私は、しばらく一人でのんびりした。
でも、一人じゃつまらない。そこで、みなみちゃんを誘って一緒に歩こう。
もうこの時間帯だったら、二人も帰っているだろう。
そう思いながら、三人のいるところに行くと、
みなみちゃんが。
二人と。
私だけにしか見せない笑顔を。
見せていた。
――その時、私の中で何かが壊れた。
まるで小さな水晶玉が割れたように。

――許せない

私はそっぽむいて、お向かいの高良さんのところに向かった。
高良さんはシャワーを浴びていた最中らしく、私が来ると全裸の状態で私と遊んだ。



それからまた数日が経った。
またいつものようにみなみちゃんと遊んでいると、またあの二人が遊びにきた。
「こんにちはっス」
「今日ハ良イ天気デスネ!」
また……
私はこの二人が凄い邪魔のように思えた。
早く帰れ。早く帰れ。早く帰れ。早く帰れ。
心の中で何度も唱えた。
二人は少し大きなバッグを持っている。一体なにをやろうとしているんだろう?
「今日はお世話になります」
「イヤ〜こんな広イお家でお泊り会トハイイモノデスネ!」
――ドクン
お泊り会?
なに?どういうこと?
私はそんな話聞いてないよ?
なに?なんなの?みなみちゃん。
みなみちゃんは、二人を家に上がらせた。
――ねぇ、みなみちゃん?どうしてそんな二人なんかと?
――あぁ、そっか。
――操られてるんだ。
――あいつらに。
55ヤンデレナワタシ3/4:2008/10/09(木) 23:31:50 ID:Jg7ay6S3
――私しか助けられない。助ける。絶対に。だってみなみちゃんは私だけのものダカラ……

リビングで三人は楽しそうに話をしていた。
パトリシアさんがピアノを聴きたいと言い出し、みなみちゃんがピアノが置いてある部屋に招いて、
ピアノを弾いた。
……あれ?この曲は?
何度もこの曲を聴いているから分かる。
これは私に何度も聴かせてあげたあの曲。
「すごいうまいっス!」
「Very Good!最高です!」
「……いえ、それほどでも」
「これって、曲名なんなんすか?」
「これは、ビル・エヴァンスのアルバム『Alone』に収録してる『Here's That Rainy Day』という曲名」
「これって、クラシックっすか?」
「ううん。ウエストコーストジャズ」
「JAZZトハ、渋イですね」
なんであなたたちが聴いてるの?
これは私専用の曲なんだから……
………
……

――許せない。
許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない
みなみちゃんは、私だけの、もの。
――殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
――コロス

リビングで、みなみちゃんは、紅茶を用意して、ビル・エヴァンスのソノシートを用意して、再生した。
「ソノシートとハ、今の若イ人ニハ分カリマせーん……」
「っていうか、今時レコードで音楽を聴く女子高生もそうそういないと思うっすけど……」
みなみちゃんが、クスっと笑う。
みなみちゃん。あんまりニヤニヤしないで
アナタハワタシダケノモノダカラ
「あ、そうだ」
みなみちゃんが、何かを思い出したように、席を立った。
「なんすか?」
「ちょっと用事が……」
「用事デスカ、行ってラッシャイませ、ご主人サマ〜♪」
みなみちゃんはリビングの扉を開き、リビングを後にした。
サテミナミチャンモイナクナッタコトダシ
ソロソロヤルトスルカ
私は、二人にゆっくり近づいた。
「ん?どうしたんすか?」
私は、一気に田村さんに体当たりをする。
「ぐふぉ!」
「ヒヨリン!」
あはは、痛がってるよ。でもまだ、これからだよ。
「ナ、なにヲするんですカ!?」
パトリシアさんが怯えきっている。
まだ終わらないよ。私は、パトリシアさんにジリジリよって、一気に飛びついた。
56ヤンデレナワタシ4/4:2008/10/09(木) 23:32:46 ID:Jg7ay6S3
「ウヒャァ!?」
パトリシアさんが急に立ち、テーブルにあった紅茶のカップは、落下して音と共に割れた。
でも私はそんなことは気にしない。
問題はこいつだ。
田村ひより。
こいつが全ての元凶だ。
わたしのみなみちゃんを奪ったやつ。
「……ひぃっ!」
あはは、怯えてる怯えてる。
さて、ここからが本番だよ。
私は、一気に田村さんを叩く。
「うわっ!痛い、痛いッスよぉ!」
ドカッ!ドカッ!ドカッ!
まだ、まだだよ!
ドカッ!ドカッ!ドカッ!
「グホッ!グホッ!グホッ!」
この、この、この、この、この、この、……この、このこのこのこのぉぉぉぉぉ!!
私は、田村さんをボコボコに叩く。
田村さんは「ギブ、ギブ!」と言っているが、私は攻撃をやめない。
まだだよ、田村さん。あともうちょっとで、私の苦しみが――
「なにやってるの、チェリー!!」
「どうしたの、みなみちゃん?」
隣にいるあの小さいのは、
あぁ、たしか小早川さん。
もしかして小早川さんも、お泊り?
「……チェリー」
あの声は、みなみちゃんが怒る時の声。
こっちきなさいと言われたが、行きたくない。
しばらくそこに佇んでいると、みなみちゃんが自分から近づいていった。
ち、違うんだよみなみちゃん、これは……あのう、二人を……その……
怖くなった私は、みなみちゃんにお腹を見せた。
しかし、
「こんなことしちゃダメじゃない!なにやってるの!」
パシッと叩かれる。……痛い。
「み、みなみちゃん、もういいんじゃない?」
「……田村さん、大丈夫?」
「ヒヨリン、大丈夫デスカ?」
「あ、あはは、なんとか……」
田村さんがメガネを直しながら、立ち上がる。
「やっぱり私、嫌われてるっすねぇ〜」
「……ごめんなさい」
「いいよ、岩崎さん。気にしてないから」
私は、その光景をただしょぼんとしながら眺めていた。
「Oh……紅茶が……」
「うわぁ、大変なことになってる。早く拭かなきゃ」
小早川さんが、台所からふきんを持ってきて、紅茶を拭いた。
「……チェリー、お前は少し、廊下にいなさい」
みなみちゃんがそういうと、私の首輪を持ち、廊下に放り出された。
それから程なくして、リビングから四人の楽しそうな会話が聞こえてきた。
あーあ、もしかしてこれって失恋っていうのかなぁ。
ふんだ。みなみちゃんなんか嫌いだもんね!
もう今夜は廊下で寝てやるもん。
フン。
5752-426(仮):2008/10/09(木) 23:34:40 ID:Jg7ay6S3
>>53->>56以上です。
もうちょっとヤンデレの狂気の部分を出したかったのですが、
これが限界です。
狂愛シリーズの作者のセンスが羨ましい。
どんな作品でも、みゆきさんを全裸にさせるのは僕のこだわり。
58名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 23:47:57 ID:o3htHC1y
>>57
誰かと思ったらチェリーだったのか。なるほど、ひよりんに対する態度も納得だ。
1/4あたりまで読んだ段階ではゆーちゃんかな、とか思ってたのは内緒。

い、いえ?別にゆーちゃんが黒いとか言ってるわけではナイデスヨ?……あれ?
その手に持っているものは一たi
59名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 23:48:10 ID:kAbLnY/V
>>57
ひよりんがM過ぎるせいで
ネタバレ前から何故か安心感があるなw
GJでした!
60名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 00:03:20 ID:IiWBoCpg
>57
ぐっじょぶ!
自分も、最初はゆーちゃんと勘違いしてた。
やっぱり黒いという先入観があるのかな……

全裸のみゆきさんと遊んだシーンあたりからあれ? あれれ? となったかな。
ダークだけど、最後はほんわかした感じでした。


61名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 00:30:22 ID:UHIaiZs/
>>57
自分もてっきりゆーちゃんだとばかり。それでチェリーはいつもひよりんにああなのかw
62名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 03:26:24 ID:rFofotQT
>>52
>今だにWikiで保管とかしてないし

いや……自分でやらなくちゃいけないって訳じゃないから。
管理人さん達がやってくれてるので、もちっと待っててあげましょう。

あと、エロパロ板では作者自身によるカキコは嫌われる傾向にあります。
詳しくはこういうところで聞くなり、流れ見るなりで。
SS書きの控え室 85号室
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1221230613/

63名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 05:22:14 ID:zkwKPCjj
>62
「作者自身によるカキコ」というより、「作者自身の話のカキコ」は好まれないという意味かな。

他の書き手のやり方をみればある程度の流れは分かるけれど、個人的にはあんまり自分語りを
抑制してもなんだかなつまらんなーとも思う。

64名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 05:31:36 ID:h3Mft8yU
自分語りの内容にもよるんじゃないか?
萌えや作品に対してぶつけた熱い思いなら別になんとも言われて無いと思う。
誘い受け染みてたり、完全に独り言だったりするのがあまり好まれないというか、
読み手が反応しにくい上に作品に対しての評価自体も微妙になっちゃうんだと思う。
65名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 07:58:56 ID:o+YXs+XE
半年ROMれって悪い意味で使われるけど深い意味があるんだよね
初めて来た土地でヘマ犯さないためにも、その土地を観察して暗黙の了解みたいなものを知る
いわゆるそこの住人になるための準備期間みたいな

どういう書き込みは嫌われるとか、はっきりとは書いてなくても自然と解るようになるしね
66名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 10:31:11 ID:CVIkp2hP
やっぱ、ここの住人は優しいよな。
よその所なんかだと、フルボッコにされてるか総スルーだもんな。
SS職人養成所みたいだ。
67kt:2008/10/10(金) 11:57:13 ID:b6AfYu1M
どうも、お久しぶりです
最近、11/30日に発売されたこんぶが主成分な
ktです

それでは
『コワレルセカイ★1\決意』

・視点切替えあり
・オリキャラあり
・6レス
・「鼻血)ry会☆4.5〜6」と同時間軸(裏の話)です
・両氏に感謝
・☆6の中盤とリンクあり
です、5分後に投下開始します
68コワレルセカイ☆1\決意:2008/10/10(金) 12:03:51 ID:b6AfYu1M

――
地面には紅い花々が咲いている、その花々はソレを中心に広がっていた

ソレは地面に倒れている
私はソレに向かって銀色の棒を振り下ろす
「あぁ”っ!!」
その顔をするな、汚らわしい
その声を出すな、汚らわしい
その身体は何だ、汚らわしい
汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい
汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい、汚らわしい!!!!
私は一つ思う度、銀色の棒を振り下ろす
「はぁ…はぁ…」
これで、あともう少しで……私とゆたかの幸せな生活が戻るんだ…
そう思うと自然と笑みがこぼれてくる
さぁ、終わらせよう…これで、これで戻ってー
「…っぁ…ぃ…み……ちゃ……」
ソレは最後に私に話かけて来た



え?


…そんな…嘘……まさか……そんな……私は…
「あ…あ……あ…?」
私は…わたし、は………ワタシハ…
「いやぁ"あぁあ"ぁあああぁぁぁ!」

どこで間違えたのだろう
何を間違えたのだろう
どうして…どうしてこうなったんだろう、、今となってはもう―


コワレルセカイ1★\決意


―いつからだろう、あの女に恐怖するようになったのは
…ああ、ゆたかと一緒に私の家に行った時からだっけ
―いつからだろう、私がこんな風になったのは
みゆきさんに…あの女のことを聞きに行ったところからなのだろうか――

69コワレルセカイ☆1\決意:2008/10/10(金) 12:05:36 ID:b6AfYu1M
……

―――
――

「おはよ〜みなみちゃん」
「ん…おはよう……ゆたか」
私達は一緒の布団で寝ている
「昨日は…その…ねだっちゃってごめんねみなみちゃん」
「ううん、、私がイッちゃうなんて…ゆたか上手くなった?」
「そうかな〜?」

私の気分は晴れなかった

あの女は…さくらはあの後それといった行動はしてこなかった…でも
怖いんだ
2人なら大丈夫かと思ったけどやっぱり…怖い、、そして…ゆたかに対する罪悪感もある

ゆたかと暮らすようになってもう3日になる…でもずっと、ずっとだ
コノ
横デ寝テイル
ユタカハ本物ナノ?
本当ニ?
本当ニソウナノ?
ドウシテソウ言エル?
アノ時2回トモ気付カナカッタノニ?
と、、ゆたかを抱いている時にあの女が笑い出すんじゃないのか、と

「ん〜」
ゆたかが目を閉じ何かをもとめる仕草をする
「…なに?」
「も〜みなみちゃん、お目覚めのキスだよ!」
「え、あ…そうだったね」
私は軽くキスをする
「…最近のみなみちゃんなんだか変だよ?」
「……そうかな」

今日の天気はこれ以上ないというくらいの快晴らしい
でも、、私の心は曇っていた
70コワレルセカイ☆1\決意:2008/10/10(金) 12:07:29 ID:b6AfYu1M
学園に行ってもその気分は晴れる事が無く
むしろ…より重くなる
「最近二人で暮らし始めたって本当っスか!?」
「うん!そうだよ〜!!毎日が楽しいんだ〜」
ゆたかは屈託のない笑顔で答える
『…みなみさんのお母さんはどこに行ったんです?』
「う〜ん、近くの親戚さんの家に移ったみたい」
「とイウことハ毎日ガストロベリータイムといウことデスね〜!!」
『あのさ、しんぱてぃにも分かるように説明してくれない?』
「「ツまり2人は朝モ昼モ夜モずっと一心同体とイウことデス(っス!)!」」
『…ふ〜ん』
「おお、意見が一致したっスね!」
「2人のカップリングは万国共通デス!、名護さんは最高デス!」
「二人のラブラブっぷりを漫画に記録していいっスか?」
「うん…いいよね、みなみちゃん?」

「…え、あ、うん……」
「モうラブラブ過ぎテお腹イッパイデす!」
「ゴチになりますっス!」
…ゆたかが幸せそうな顔をする度、、私の心が痛みだす
ゆたかの気持ちなんてまったく考えずに…私があの女が怖いからって勝手に私が言ったことだから、だ
それにゆたかなら返事はOKだろうと…心の奥でそう思っていた
毎日あの女に怯えているんだ

『みなみさん、どうかしたんですか?なんだか最近―』
うーちゃんが尋ねる
「え、いや、何も…」
…信用出来ない、、うーちゃんもみゆきさんもしんぱてぃも、、あの女の仲間じゃないのかと思ってしまう
いや、姉妹という繋がりはあるんだっけ…
『……』
「なんでもない…なんでもないから…」
『そう…ですか』

チャイムが鳴る
昼休みだ
この前までは田村さんやパトリシアさん、ゆたかやうーちゃん、しんぱてぃ達と楽しい時間を過ごしていたのに、、今は―
「岩崎さんどうしたの?、全然食べてないじゃないスか」
「…食欲が無くて」
「フぅム、、ダイエットですカ?」
「まぁ…うん」
『ここんとこずっとじゃない?しんぱてぃ心配だよ…』

……分かってる、分かってるんだ
みんなは悪くない、悪いのはあの時あの女に気付けなかった自分だ
迷惑をかけるわけにはいかない
71コワレルセカイ☆1\決意:2008/10/10(金) 12:09:46 ID:b6AfYu1M
「…ちょっと行ってくる」
「みなみちゃん、どこに行くの〜?お姉ちゃんのとこだったら―…」
「…来ないで」
ゆたかが狐につままれたような顔をする
「…ごめん」
…これは私の問題なんだ
ゆたかを巻き込むわけにはいかない
「…すぐ戻るから」
私は3年の教室を目指す
『みなみさんここのところずっと昼休みを抜け出してますよね、、』
「あ〜、、ソうイエバ」
「なにかあったんスかねぇ?」
「あト、うーちん!」
『な、なんですか?』
「モウ少し私達の話ニノッてきてモいいジャないですか!」
『すいません…どうも話の輪に入るのが苦手で…』
「まぁそれよりも食べない理由何だと思うっスか?」
「それはモチのロンロン!愛すルユタカの為と相場ハ決まッテイるでス!ダイエットでス!」
「え〜そうかなぁ」
「絶対そうっス!だってー」


あの女が言ったコトで正しかったコトは3つある
1つはゆたかが好きなこと
1つは私とゆたかの関係を嫌っていること
そして……あの時私は感じていたことだ、、
不本意ながら…私の下着は濡れていた………これは事実だ
それは…ゆたか以外に私は汚された、、ということだ

そしてあの女が言っていた"あるやつ"、その人がみゆきさんでないという言葉を信じるならば―
みゆきさんはあの女の対処法を知っているかもしれない
―そう思ってここ数日3年生の教室に行っているんだけど
…みゆきさんは何日も休んでいる、、今まで皆勤賞だったのにどうしたんだろう…
今日は来ているのかな?と思いながら3年生の教室に向かっている途中で、、みゆきさんに出会った
「みゆきさん!」
「…みなみさん…おはよう…ござい…ます……」
みゆきさん目は充血していて、目の回りにはくまが出来ていて…なんというか…
いつもの気品あふれるオーラ?が感じられなかった、あと気のせいか若干痩せている気がする
「…みゆきさん、どうしたんですか」
「ええ…この四日間…寝てないんです…徹夜ですよ……フフフフフフ」
みゆきさんがぐらぐらと揺れだす…ああ、いつかの田村さんみたいだ
「大丈夫ですか?」
「…大丈夫じゃありませんね…あのお、、峰岸さんのせいだす…」
…何で峰岸さんが登場するんだろう
「…そもそも新型をたった一週間で造り上げるというのが無茶な話だと思いませんか?」
「はぁ…」
…みゆきさんは何を言っているんだろう
「というか一週間不眠不休で働ける人は我々スタッフの中でお母さましかいないのは
分かっているのにどうしてあんなことを安請け合いするのか理解に苦しみますそう思いませんか?」
「…はぁ」
72コワレルセカイ☆1\決意:2008/10/10(金) 12:11:45 ID:b6AfYu1M
この後もみゆきさんはたまっている鬱憤を晴らすかのごとく私の話を聞かないでずっと愚痴を言い続けた
でも…そろそろ言わないと休み時間が終わってしまう
「あの、、」
「何か?」
「え、と…さ…もえさんのことです」

「もえがどうか…したんですか?」
急にみゆきさんの顔が真剣になった
「あ、いえ、その…」
「本当にもえにはほとほと困っているんです…なんであんな性格になったのか、、…あれの
おかげで何度裁…大変な目にあったことか、、処分しようにも高良製高性能ヒューマノイドですし扱いがですね…」
みゆきさんは疲れているからか私が聞きもしないことを色々と教えてくれた
そして分かったことは―
このことを高良家―とくにみゆきさんに相談しない方がいいということだ
相談したら……間違いなく高良家にとって都合のいいように持っていかれるのだろうから
「それで…あの頃の高良家って…」
「あぁ…あの頃と言ってもほんの数ヶ月前ですね兄さ…あの人を筆頭に当時高良家は軍事兵器を搭載したヒューマノイド
を戦場に送り込んで軍事路線に介入しようとしてたんです、もえはその名残ですねまぁ簡単に言うと厨二病です」
「はぁ…」
「もえの能力は幻を見せて・聞かせて・体験させて、相手の精神を壊すことにありますね、そしてある程度は相手の行動も操れますし…」
そうか、だからあの時私は―…
「まぁ、、そこまでに持って行く過程が大変なんですけどね」
「…幻にかからないためにはどうしたら」
「んん…そうですね、、、心を強く持つこと、ですね」

「…もう…いいですか?」
「…え?、はい」
みゆきさんはそう言ったあと教室に座っていたかがみ先輩の方へ歩いていった
「拙者、乳首ビンビン丸と申す!」
「…あんたそう言うセリフ止めないか、、ってかあんた恥ずかしくないのか?」
「大丈夫、何を隠そう私は羞恥心しらずの達人だー!」
「………あ…おはよう!みゆき、久しぶり…どうしたの?」
「…寝ます」
「は?」
そう言った途端みゆきさんはかがみ先輩の体に倒れ、いびきをかきはじめた
「ちょ、なっ…みゆき…離れっ」
みゆきさんは手をかがみ先輩の背中に持っていきがっちりと掴んでいる
「わー!お姉ちゃんスゴいね〜」
「ふむぅ…かが×ゆき・ゆき×かがフラグビンビン丸とm」
「ええいやめんか!、もうどっちでもいいから早く助けてくれ!暑苦しいから!」

教室の方がやけに騒がしい…別に関係はないのだけれど
「―…心を強く…持つ」
それが幻に…あいつに立ち向かう方法
…私が守るんだ、ゆたかを
―そして私自身を

73コワレルセカイ☆1\決意:2008/10/10(金) 12:13:28 ID:b6AfYu1M

――
高良家の地下からは2人の声が聞こえる
『…みなみがみゆきお姉さまに接近したみたいだよ?、さくら』
『遅かったわね、、待ちくたびれちゃっわよ♪』
二人の声は部屋に響き渡っている
『そう言ってもたったの3日じゃん?』
『…3日もあれば金持ちの坊ちゃんに近付いて破産させるくらい簡単に出来るのよ?
…私が3日もじっとしてるなんて耐えられないわ』
『じゃあ何でじっとしてたんだ?』
『期が熟すのを待ってたってとこかな♪』
『…矛盾してるじゃん』
『ふふ♪ゲームのはじまりよ、みなみ…せいぜい私を楽しませてよね?』
そう言ってさくらは壁に貼ってあるみなみの写真をまじまじと見つめる
『…いつもの様にバックアップ頼んだわよ』
『へぇへぇ、分かりましたよ』
『っと、、その前になまった体をほぐさないとね…あ☆、そうだ、、まずは―』
74kt:2008/10/10(金) 12:15:27 ID:b6AfYu1M
ありがとうございました

「どこで間違えたのだろう〜今となってはもう―」
からあとは過去回想的な感じです
むぅん、、それにしても話の中の時間が進まない…
75名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 00:21:29 ID:7ZahJRed
>>74
ワッフルワッフル。
作中時間が進まないのは気にしちゃいけないぜ。
だって進まなければ、ずっと続くというry
76妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/10/11(土) 09:56:42 ID:52rSucQk
ほかに投下なければ行きます。特定カプなし、非エロで7レス。
77妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/10/11(土) 09:57:32 ID:52rSucQk
彼女は……泉こなたはここ最近、決まった時間に妙な視線を感じていた。

金曜日の真夜中、日付が変わって土曜日になった頃。今期イチオシのそのアニメが始まる五分前から、それは起こる。
自分を見つめる、暖かい視線。
異質で……しかし決して不快ではない、不思議な視線。

アニメが始まるとともに、その視線は感じられなくなる。
そして、エンディングテーマが流れる頃。こなたは再び、あの暖かい視線を感じる。

……やがてそれは、わずかな残滓を残して消えていくのだ……



――――――――
  有明夜話  
――――――――



お盆といえば、戦場の有明・コミックマーケット。
故人が還る時期であるお盆は、オタクにとってもっとも忙しい時期でもある。

その数日前。こなたとそうじろうは、菩提寺にあるかなたの墓前へとやってきていた。
「いつも前倒しでごめんねー、お母さん。こればっかりはオタクの性(さが)ってやつでさぁ……」
手を合わせてから、ラップでぴっちりと包んだ漫画本を引き上げる。春のお彼岸の時に供えた、あのアニメの原作本だ。
「おいおいこなた、そんなもの供えてたのか……」
後ろで、そうじろうも苦笑い。
「ん、これは普通にいい話だからさ、お母さんも楽しめるかなって」
「そういや、それ新刊出てたっけな?」
「うん、四冊買ってあるよー。観賞用、保存用、布教用、あと……これがお供え用ね」
ラップに包んだ、真新しい漫画本を一冊取り出す。昨日出たばかりの最新刊。
「なあこなた、それは家(うち)の仏壇に供えたほうがいいんじゃないか?」
「あ、そっか。お盆だっけ」


清く正しい、オタクな父娘。
そんな二人を優しく包むように、夏の風が吹き抜けた。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×―

78『有明夜話』(7/2):2008/10/11(土) 09:58:29 ID:52rSucQk
その夜。そうじろうの自室、兼・仕事部屋。
「お父さん、今ちょっといいかな?」
「おー、いいぞ。ようやく一段落ついたとこだ」
PCから目を離して、ぐーっと伸びをひとつ。

小さめだが重厚なテーブルの上には、付箋を挟んだ分厚い書籍が山のように積まれている。
手元で開いていた一冊を、ぱたんと閉じる。
『雛見沢伝来考』。タイトルから察するに、今度の連載小説は郷土ものだろうか。

「あのさ、お母さんの写真の大きいやつってある?」
「なんだ、珍しいな」
よいしょ、と座りなおし、
「ネガから引き伸ばせば作れるけど、ネガは貸金庫だしなぁ……
 プリント用の高解像データでよかったら、ホームサーバーに置いてあるぞ。"common"フォルダの直下な」
「そっか、ありがと」
くるり、と身を翻す。
「しかし、どういう風の吹き回しだ?」
「んー、なんかねー……気分っていうか」
肩越しに振り返り、そう言い残して、こなたは軽やかに階段を駆け下りていった。


「うへぇ、やっぱパンパンだよ」
高解像度の画像データをそのまま保存すると、マイクロSDカードの空き領域はもういくらも残っていない。
さすがに圧縮しようかな、と一瞬思ったが、すぐに思い直す。

――なぜか、このままの形で持っておきたいと思った。

「……はて、何なんだろうね、この気持ちは」
しばしの間、思案顔。……しかしすぐに、
「ま、いっか。かがみんの決定的瞬間をパパラッチするぐらいは残ってるしね♪」
そう言いながら、カードをケータイに挿し直した。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×―

79『有明夜話』(7/3):2008/10/11(土) 09:59:42 ID:52rSucQk
東京国際展示場・通称ビッグサイト。まだ九時過ぎだというのに、気温は三十度をとうに超えている。
炎天下の駐車場。こなたはかがみとともに、待ち行列の中にいた。

「むー……相変わらず、すっごい人だねぇ……」
目の下にはクマがくっきり。アホ毛も萎れて元気がない。
「ちょっとこなた、大丈夫なの?顔色悪いわよ?」
さすがのかがみも、心配そうな顔は隠せない。
「うー……昨日寝てないんだよネ。サークルチェック漏らしててさー……」
「何よそれ……まったく、今日が本番だってわかってたでしょうに、なんであきらめて早く寝ないのよ?」
「わかってないなぁ。戦利品を抱いて会場で倒れるならば、それはオタクとして本懐を遂げたと言えるのだよ」
「あー、そうですか」

疲れきった顔で、それでも力説するこなたと、すっかり呆れ顔のかがみ。ダメな娘とそれを叱る母親のような、その雰囲気。
まばゆい陽光の中で、何かがくすり、と笑った。

「時に、かがみんや」
「何よ?」
「なんだかんだ言って、付き合ってくれるかがみ萌えー」
いつものニマニマ笑いを浮かべて、こなたが攻め込む。
「う、うるっさいわね! こ、今回は……その……ラノベの……先生が……ね?」
「あー、あの先生、企業ブースでステージ出るとか言ってたね。……順調に染まってるかがみん萌えー」
「……っ! ああもぅ、そんなんじゃ……」

防戦一方のかがみが反撃を試みようとしたその時、後ろでどよめきが起こった。スタッフが担架を持ってすっ飛んでいく。
気勢を削がれ、むぅ、とうめいてかがみは引き下がる。
これで……確か六人目。今日はことのほか、熱中症で倒れる参加者が多い。

「ほら〜、かがみ、あんまり熱くなると……入る前に……ダレ……ちゃうよ?」
「そ、そういうあんたのほうが……こなた?」

こなたの上体が……右へ左へ、不安定に揺れている。

「ちょ、こなた!?」
麦わら帽の影になり、表情までは見えない。
覗き込んだその顔は……土気色。

「……ふぇ」
ぐらり。その上体が、大きく傾いた。
80『有明夜話』(7/4):2008/10/11(土) 10:00:29 ID:52rSucQk
「こなた……っ!!」
思わず手を伸ばしたかがみの両手が、

――スカッと、宙をかき抱いた。

「……私、結構強いですよ?」
その場でぐっと踏みとどまり、何事もなかったかのように座りなおす。……何事も、なかったかのように。
「こ……こんな状況下で、シャレにならない冗談すんなっ! ……ぁぅ」
周囲の目がいっせいに自分に向けられ、かがみは思わず身をすくめる。

その目線の高さに、ちょうどこなたの顔があった。

「えへへ、ごめんなさ……ごめーん☆」
上目遣いで、小さく舌を出す。
血色良好、嘘のように元気を取り戻した、その表情。
その瞳は、いつにもなくぱっちりと見開かれ……

「あれー、かがみ、どうして顔赤いの?」
「な、なに可愛い子ぶってんの! ほら、列動くわよっ!」


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×―

81『有明夜話』(7/5):2008/10/11(土) 10:01:31 ID:52rSucQk
午後一時半。渡り廊下の端にあるコンビニの前で、かがみはこなたを待っている。
手にしたバインダーには、お目当ての作家のサイン。思わずにやけそうになり、あわてて周囲を見渡す。

「……おまたへー、かがみん……」
「ふぁっ!? ……お、おかえりー、こな……って、テンション低っ!」
今朝の元気はどこへやら。どよーんとした表情で突っ立っている。
「いやー、なんていうかさー……」
「? 何なのよいったい。今日はえらく浮き沈み激しいわね……」

かがみの脇に、よっこらしょ、と腰を下ろしながら、
「ねえ、かがみ?」
「何?」
「……私、どうやって入場したんだっけ」
こなたは、妙な疑問を口にした。

「はぁ? 一緒に並んで、普通に入場したじゃないの」
「それがさー……気がついたら西館のホールにいたんだよねー」
「気がついたらって、おま……」
「東館の壁狙いだったはずなのにさー……おまけに、買う予定なかったサークルの本まで持ってるし……」
困ったような、しょうがないなあというような、なんとも微妙な顔を浮かべるこなただった。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×―


「ふぅ……やっと戻ってきたわね」
夏の日もようやく姿を消そうか、という時刻。UR鷹宮駅のホームに、二人の少女の姿があった。
もうクタクタ、といった様相のかがみと、対照的にホクホク顔のこなたである。

「あんたは元気だな……」
「だってだって、あんだけ出遅れたのに、欲しかったトコの本、全部買えたんだよ? これって奇跡じゃん?」
「何がすごいんだかわかんないけど……まあいいわ、あんたがそれで幸せなら」
こいつ、マジで萌えからエネルギーが吸収できるのか? と、かがみは思う。

改札を出て歩くこと十分。鷹宮神社の鳥居と、静謐な境内が見えてくる。

「……お?」
「何よ、今度はどうしたの?」
「……来る……」

毎週一度だけ現れるはずの、あの気配が高まってくるのを感じる。
神社に近づくにつれ、強く、また強く。

「だから、どうしたのよ?」
「いや、なんか気配が……」
「こなた、ほんと大丈夫? 今朝がた倒れそうになってからおかしいわよ、あんた」
そういうかがみの顔は、さすがに心配そうだ。

「へ? 倒れそうになった……って?」
まさに『きょとん』という擬音がピッタリくる、そんな顔。
「覚えてないのかよっ!」
82『有明夜話』(7/6):2008/10/11(土) 10:02:40 ID:52rSucQk
……その時。吹き抜ける温い風に混じって、

(ああ、これだけ霊力があれば……)

声が聞こえた、気がした。

「……かがみ、何か言った?」
「何も言ってな……っ・」

そう言いかけたまま、かがみが硬直した。

「……どったの? かがみだっておかしいじゃん、今日」

かがみは、二、三度口をぱくぱくさせた後……


「か、かかかかかかなたさんんん!!!?」
「おっほぅわ!?」

電線に並んだスズメたちが、蜘蛛の子を散らすように飛び立っていく。
その羽音に混じって……

『きゃっ!?』

今度は確かに。はっきりと、声が聞こえた。

「……『きゃっ』?」
ゆっくりと後ろを……声の主のほうを振り返る。


――白いブロードブリムハットと、薄い水色のサマードレス。
『えっと……ごめんなさいね、こなた……』
――青く長い髪。ふっくらとした頬を、恥ずかしげに染めて。
『その……お母さん、そのお話にハマっちゃって……』
――うつむいたまま、蚊の泣くような声で。
『どうしても、その本読んでみたかった、のよ……ね』
――両の人差し指を、胸の前でつんつんと突き合わせている。


「お、お母さん……」
「あー……こなたに洗脳されてしまわれましたか」


お盆といえば、盂蘭盆会。
オタク達が熱い戦いを繰り広げる夏コミ期間は、故人が懐かしい我が家へと還る時期でもある。


 ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×― ―×―

83『有明夜話』(7/7):2008/10/11(土) 10:03:18 ID:52rSucQk
送り火を炊き、かなたを送った翌日。こなたとそうじろうは、菩提寺にあるかなたの墓前へとやってきていた。

「でも、びっくりしたよー。まさか、お母さんまで染まっちゃってるなんてネ」
手を合わせてから、ラップでぴっちりと包んだ薄い本を供える。
あの時、こなたが……いや、かなたが買った同人誌だ。
「こなたの思いが、通じたのかもしれないなあ」
後ろで微笑みながら、そうじろう。
「ん、これは普通にいい話だからね、お母さんも気に入ってくれてよかったよー」

「そういや、新刊持ってきたか?」
「うん、三冊買ってあるよー。観賞用、保存用、布教用ね」
ラップに包んだ、真新しい漫画本を三冊取り出す。数日前に出たばかりの最新刊。
「なあこなた、なんで増えてるんだ?」
「ん? だって、お母さんもあっちで布教したいだろうしさ」


清く正しい、オタクな父娘。
そんな二人を優しく包むように、秋近い風が吹き抜けていった。




 ― Fin. ―
84妄想屋(仮名) ◆JUqojnT5.c :2008/10/11(土) 10:03:51 ID:52rSucQk
以上です。ありがとうございました。
なお、作中登場する作品には、特定のモデルはありません。

名前欄とか字下げ忘れとか、いろいろやらかしてますね……orz
85名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 18:04:34 ID:K0/aet5x
GJ!!こういうの好きだ。
かなたさんがお茶目。
86名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 21:46:40 ID:QYd3yCzW
お供えが同人誌ってすごい発想だな
故人すら布教する泉家に脱帽だ
87名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 21:48:33 ID:ef1MtrW+
「それが、いずみけ、くおりてぃー?」
「お、おかあさんっ!?」
88名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:11:56 ID:BAHA1hnn
「でもね…こなたが言うアニメとかって実は上で全部見ているのよ」
「うぉ、おかーさん死んでからオタクになっちゃったんだ」
「生前そう君が教えてくれたけどあっちに行ってから時間ばっかりあって暇だったからね…」
「おとーさん?」
「い、いや…オレはかなたにも是非アニメのよさをわかって欲しくてだな…」
「ふぅ…相変わらずなんだからそう君は」
「おかーさんも苦労してたんだね」
「じゃああっちでの退屈しのぎにこの同人誌でも…」
「おとーさん?私はともかくおかーさんに18禁は無いと思うな」
「こなたもあまりえっちなのは自重するようにね」
89名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:22:45 ID:3iApNwFt
なんという大らかな親子の会話なんだw
90名無しさん@ピンキー:2008/10/11(土) 23:58:13 ID:2JPm2KUi
ちょwwww
一家揃って染まりまくりかいwwww

(´-`).。oO(でも夫婦揃ってヲタだと子供もほぼ確実に染まっちまうんだよなー・・・・・)
(´-`).。oO(子は親のかがみ、もとい鏡とはよく言うわ・・・・・・)
91名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 00:45:21 ID:gxCTgJbC
わ・・・わたしは違う!!
違うんだからねっ!






・・・・ち、違うんだったらっ・・・orz
92名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 02:07:25 ID:i+Arb4sY
>>84
いいわぁ〜〜和むわ。
ぐっじょぶですよ。

送り火で送ったってことは、神社から帰ってから
親子3人で戦利品を読みふけっていた訳ですね。
93名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 09:08:28 ID:OJ88vBD5
>>84
朱に交わってしまわれましたか、かなたさん!w
ちょっとひねった母娘の交流、ぐっじょぶでした。
94名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 13:26:48 ID:p564er7O
野外露出モノのこなたとかがみの濃厚なエッチが見てみたい…

今、作成中なのは違うシチュになっちゃてるから変更できぬorz
9523-49:2008/10/13(月) 00:54:11 ID:EfvUVZg1
どうもです
こなかが直接対決編、やはり続きではなく裏側、前々回の接触編に続く発動編、上がりました
かがみが何を叫んだのかが明らかに(なるだけ)
被りがないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください

・かがみ&こなた
・エロ無し
・10レス使用
96上手く行かない 1/10:2008/10/13(月) 00:59:10 ID:EfvUVZg1
 
 いきなり出鼻をくじかれた。
 心の中も含めて準備は万端、あとはお互いの気持ち……認識を確かめ合うだけ、だったのに。

 “――場所、変えない?”

 また人が来るかも知れないから――そんなことを言われてしまっては、従わざるを得ない。
 というわけで、こなたと二人、駅へと続く大通りを歩いている私なのであった。
 昨日の帰りの電車を思わせるオレンジ色の街並みは人通りも少なくて、なるほど、確かにこれ
 ならそう悪い条件でもない。
 問題があるとすれば、人が少ないとはいえ皆無ではない点と――

「人に聞かれたくない話は外を歩きながらってのが、私の持論でね」
「……ソレはアレか? つまり私はアンタに殺されるのか?」
「へ?」
「デスノでしょ。無理やり読まされたから知ってるわよ」
 ふざけた台詞をのたまうこなたに、釘を差す気で返してやると、
「……」
 きょとんとして、
「……そっか」
 そして俯いてしまった。
「? こなた?」
「あ……ごめん。なんでもない。――ごめん」

 ――このように、こなたの様子がおかしいことだ。
 体調でも悪いのだろうか。だったら日を改めるべきかも知れない。
 考えてみれば、私の方は準備万端だけど、こなたにとっては寝耳に水な話だろう。だとしたら
 フェアじゃない。
 いや、ならばなおさら、ある程度は耳に入れておくべきとも言えるし……うぅむ。
「それより、話ってなんなの?」
「あ……あぁ、うん……」
 不意に向き直られて、とっさに目を逸らしてしまう。
 調子が狂う。
 いやまぁ、こなたにはいつも調子を狂わされっぱなしなわけだけれども。それにしたって、こんな
 パターンは初めてだ。こんなこなたは初めてだ。なんだか凄く――緊張、してしまう。
 ちらりと横顔を盗み見る。
 髪に隠れてよく見えない。胸に手を当てたりしている。やはり体調が悪いのか――と、
 目が合った。
「――っ」
 かと思ったら、物凄い勢いでそっぽを向かれてしまった。
 一瞬だけ見えた横顔は、赤かったのはまぁ夕陽のせいだろうけど、表情の方が。
 やっぱり見たことのないものだったような気がする。
 うぅむ。
 先にこっちの違和感を払拭しておくべきだろうか。
「……ねぇ、かがみ」
「ん……?」
「話があるんだよね?」
「……うん」
 どうしたものか。
「それってさ、私に何かを言っておきたいの? それとも何か訊きたいの?」
 うん?
 声のトーンが、なんだか変わった。抑揚が極端になくなった、というのか。
97上手く行かない 2/10:2008/10/13(月) 01:00:05 ID:EfvUVZg1
「あー…………うん。両方、かな」
「それは、別々のこと?」
「え? ……いや、言った上で、聞きたい……んだけど」
「そか。じゃあ――つまり、私に何か知らせることがあって、それを私がどう思うか訊きたい、とか?」
 そして突然饒舌になる。
「う、うん。そうね。そういうこと」
 ええと、ええと。
 なんだこれは。
「勉強とか進路とか、そういう話?」
 戸惑う私を無視するように、こなたはさらに質問を重ねてくる。
「え? あぁいや、そういうんじゃないの」
 そしてまた胸に手を当てたり。
「じゃあ、つかさやみゆきさんは関係ある?」
「え? いや、つ、つかさは――」
 関係ある……けど、それを言うとまた話がややこしくなる。気がする。最初から言う気もないし。
 それに関しては、私とつかさ――でもなく、ほぼつかさ個人の問題だから。
「――いや、うん。二人とも関係ない。私とあんたの問題よ」
 首を振る。
「ってゆーか、ごめん。ちょっと待って」
 そして足を止めた。
 こなたも立ち止まり、こちらを見上げてくる。
「何が?」
「いや、だから、話があるって言ったのは私なのに、こんな調子で。……ただ、その、ね? やっぱ
歩きながらじゃ喋りにくいってゆーかさ」
 身振り手振り、あと愛想笑いなんかも交えてまくし立てる。あぁもう顔が熱い。
 夕陽のせいだけじゃないんだろうなぁ。
「……」
 対照的に、こなたは平然としている。
 顔の半分が影に覆われていることもあいまって、機嫌が悪そうにも見える。
 その表情もまた、珍しい。こいつに影は似合わない。……いや、というかむしろ逆に似合ってる?
 ――じゃなくて。
「どこか入る?」
「いや、だから人目は……」
 提案を、即座に否定。これからする話は他の人に聞かせるわけにはいかないのだ。
 聞かれても別に不都合が生じるわけではないのだけど、なんというか、つまり、恥ずかしいから。
 あ、今鼻で……笑っては、いないか。口を開けずにため息をついただけだ。

 ……うん?

 何か、違和感が……
「確かアッチに、公園あったよね。そこでいい?」
 と、
 こなたが私――の、後ろの方を眺めながら呟くように言った。振り返ると、道路を挟んで銀行や
 レストラン、中古車屋なんかが並んでいる。公園なんかあったっけ?
 まぁ、あるというのならあるのだろう。知らないけど。
「う、うん」
 よし、仕切りなおしだ。
98上手く行かない 3/10:2008/10/13(月) 01:00:59 ID:EfvUVZg1
「――はい」
「ありがと」
 ベンチに座るこなたに、その辺の自販機で買った缶紅茶を手渡す。
 私も隣に腰を下ろし、自分の緑茶を、さっそく一口。
「……ふぅ」
 人心地。
 ちらりと見ると、こなたはまだ口をつけず、というか開封すらぜず、成分表示なんかをぼんやりと
 眺めている。
 そういうのを確認したがる人ってたまにいるけど……こなたもそうだっけ?
「こういう時ってさ」
「ん?」
「マンガやドラマだったら問答無用だよね。いきなり缶を差し出しながら、『コーラと烏龍茶、どっちに
する?』とか、『ココアでよかった?』とか。普通買う前に訊くよね」
 言いながら、今度は両手で挟んでコロコロさせて弄んだり。
「……だから、買う前に訊いたじゃないの」
「そだね」
 かと思えば、水滴でもついたのか、制服のスカートで手を拭ったり。
 挙動不審というわけではない。
 ないのだが、その姿にはやはり違和感を覚えてしまう。
 まぁ、明らかに普段より大人しいというか抑揚がないというか、それは分かるのだが。それだけじゃ
 なくて、もっと決定的な違いがあるような。
「――話って?」
「え? ――あ、ああ。うん」
 急に話題を戻すなよ。
 胸中で毒づきながら、もう一度念のため辺りを見回す。
 狭い公園だ。
 ブランコと砂場、ベンチが一台。残りを占めるグラウンドスペースは、そう呼べるほどの広さはない。
 走り回るのにも苦労しそうだ。子どもの遊び場としては不向きだろう。
 周囲は背の高い木に囲われていて見通しも悪いし、痴漢とか出そうだ。しかし被害者となる女性は
 訪れそうもない。……なんでこいつ、こんな場所知ってたのかしら。
 まぁ、どうでもいいか。
 もう一口だけお茶を飲んで、私は口を開いた。
「――噂を聞いたのよ」
 今度はすんなり声に出せた。
 予定していた台詞だ。まず噂話ということにして、例の男子三人組の会話を、多少の脚色を加えた
 上でこなたに聞かせる。インパクトというか、私と同じように感じてもらうためだ。そして私が思った
 ことを打ち明けて、どういうことなのかを二人で考える。
 そういう計画を立てた。
「どんな?」
 一秒ほどの間を置いて、こなたが言った。
 私は息を吸い、そして吐き出す。
「その……驚かないで聞いて欲しいんだけど……」
「分かった」
 って、あっさりしてやがるな。
 首を向けると、今度は目は合わなかった。無表情で正面を見つめている。
 ――また、違和感。
「その……ね?」
「うん」
 頷きを受けて、さらに一呼吸。
 最初の言葉を、発する。
99上手く行かない 4/10:2008/10/13(月) 01:01:55 ID:EfvUVZg1
「私とあんたが、付き合ってるんじゃないか――って」

 ……なんか大幅に端折ってしまった。
 いや、まぁ、インパクトという点では、このぐらいの方がいいだろう。
 うん。
 よし。
 さて――それじゃあこなたの反応は……

「……」

 って無反応かよっ!
 なんか普通に紅茶飲んでるし!
 もっとこう、驚いた顔するとか、思わずこっちを向いてしまうとか、ないのかそういうのは!
 あぁ、もう。
 言い方間違えたかな。やはりもう少し詳しく、というか正確に伝えるべきか?
 だとしたらどんなふうに――いや待て。
 こなたが動いた。
 こっちを向いた。
 そしてひとこと。
「……え?」
 というか、一音。
 こなたが返してきた反応は、たったそれだけだった。
 聞いてなかったのかと一瞬思う。
 しかし、さすがにソレはないと信じたい。眉が、ぎゅう、っと八の字になっているし。
 とっさに意味を理解し切れなかった、とかそんな感じだろう。たぶん。
「だ、だから――私とあんたが、そういう、関係なんじゃないか、って……」
「……」
 重ねて言うと、ようやく表情が動いた。
 眉から、目、鼻、口と、上から順繰りに塗り替えられるようにして、しかめっ面になった。
「誰がそんなこと言ったの?」
「だから、噂で――」
「ウワサを、誰から聞いたの?」
 語気も少しずつ強まってきている。
 これは、つまりアレか。
 ラノベなんかでもよくある、脳に浸透するまでに時間がかかった、というヤツか。
 なんかこなたみたいな言い草だけど。ってゆーか――これって、怒ってる?
「いや……壁越しに話してるのを聞いただけだから、誰とかは分かんないわ。向こうも私に聞かれた
とは知らないと思う。ただ、知らない声だった。男子だったけど」
 視線をはずし、前を向き、用意しておいた台詞を並べる。
 そういう反応も予想しないではなかったけど、可能性は低いだろうと踏んでいた。例えば「泣き出す」
 と同じぐらい、あり得ないと。
 実際は笑い飛ばすとか。茶化してくるとか、何かのアニメネタで返してくるとか、そっち方向だろうと
 当たりをつけていた。当たりをつけて、私は、その対策ばかりを練っていた。
 しかし今のこいつからは、そんなリアクションは何故だかまるで想像できない。
 始める前は考えようとするまでもなくいくらでも浮かんでいたのに。しまいには「じゃあウワサどおりに
 なっちゃおう♪」とかいって迫ってくるなんてパターンまで出てきて、その対策まで考えたというのに。
 ちなみに、もちろん鉄拳制裁だ。
「……それで?」
「それで、って……」
 こなたが訊く。私は言葉に詰まる。
 なんだか息苦しい。
 こんな空気は想定外だ。これなら、ふざけた態度に出られた方がまだやりやすい。
100上手く行かない 5/10:2008/10/13(月) 01:02:49 ID:EfvUVZg1
「……だから、どう思う?」
「どう思えってのさ」
 尋ね返すと、呆れたような口調。こちらを攻めるニュアンスも少し混じっているような。
 少し、怯む。
「ん……まぁ、そうね」
「そうねじゃないよ。なにそれ? なんでそんな――そんな話になるの? わけわかんないよ」
 そんな話。
 私とこなたが、仲が良すぎるという、あいつらの話。
 あいつらが、そんな話をした、その理由。
「それは――」
 言いかけて、口をつぐむ。
 「あんたのせいだ」。
 そんなことは言えない。
 いや、それが大きいのは確かなんだけど。こいつが人前でべたべた引っ付いてくるのが一番の
 原因ではあるんだけど、私の方にも責任はあるから。
 過剰反応なのだ、いつも。
 ちょっとしたことですぐに顔を赤くして。声を張り上げて。
 しかもそうなってしまうのがこなた相手のときだけとあれば、変なふうに勘ぐられるのも、仕方ない
 などとは断じて言わないが、あり得ないことだとも言い切れない。
 ……そういえば、そっちはどうしてだろう。
 何度も言うようだけど、私がこなたに対して抱いているのは恋愛感情でも性的欲求でもない。その
 はずだ。なのに、突付かれたり抱きつかれたりすると――総じて“接近”をされると、落ち着かなく
 なって、顔が熱くなって、パニックになってしまう。
 女同士なのに。
 それは、なぜだ?
 これが他の誰かだったら…………うん? 他の誰か?
 待て。
 そうだ。
 他の人は、こなた以外は、私にそんなことはしない。強いて言うなら日下部がごくたまにからかって
 くることぐらいか。でもそれも、失言の揚げ足取りとかダイエット関係への揶揄なんかが主で、こなた
 みたいな過剰なスキンシップはしてこない。
 一度だけ脇腹をつままれたことがあるけど、思わず引っ叩いたら二度としなくなったし。
 他に“接近”してくるのといえば……つかさ、か。
 いや、でも。それもどちらかというと私の方から構いに行ってるって感じだ。つかさの方からは、昔は
 よく私の布団に潜り込んできたりしてたけど、高校に上がったころを境になくなった。
 いのり姉さんやまつり姉さんは、そもそもそういうことをしてこなかった。
 するとやっぱり、こなただけか。

 ……うん?

 こなただけが、私にくっついてくる?
 こなただけに、私は正体不明の感情を寄せている?
 ……ちょっと待て?
 それは、つまり、どういう……――って、うお!?
「こ、こなた……?」
 心に浮かびかけた、なんだか無性に危険な予感のする何かに、思わず隣に視線を転じると。

「……」

 こなたが死にそうな顔をしていた。
 どんよりと暗いオーラが目に見えるようで、今にもそれに押しつぶされてしまいそうな、脱力体勢。
 なんだこれ?
 何が起きた?
 少し考え事をしている隙に、こいつに何が起きた?
101上手く行かない 6/10:2008/10/13(月) 01:03:44 ID:EfvUVZg1
「あの……」
 呼びかけに応じて、小さな肩がひくりと揺れた。
「……かがみは……」
 声も酷い。
 ざらざらと、乾ききった舌を無理やりに引きずっているような。
「え……?」
「かがみは……どう、思ったの? そのウワサ」
 かなり聞き取りにくかったけど、どうにか聞こえた。
 訊いてくるのではと事前に想定していた質問の一つだ。やや気を取り直し、ゆっくりと答える。
「ムカついたわ」
「……だよね」
 受けて、こなたはさらにダウン。
 ……ん?

 って! 間違えたっ!

 今のは、「へ〜え? かがみはそれを聞いてどう思ったのかなぁ〜?」とか、そんなふうに調子に
 乗ってきやがった場合にぶった切ってやるための台詞だ。使いどころがぜんぜん違う。こんなの、
 まるで追い討ちじゃないか。
「……うん……私も、ちょっとイヤかな。そんなふうに思われるのは……」
 焦っている間にも、こなた自身がさらに追い討ち。
 自嘲気味とかそんなレベルじゃない。
「そ、そう」
 相槌打ってる場合か!
 訂正だ。訂正をしないと――
「珍しいよね……」
「え?」
「……かがみと私の意見が、合うなんて、さ……」
 な、なに? 何を言ってる?
 いや、確かにまぁ、そうだけど。私が真剣になることにはこなたはまるで興味を示さず、こなたが
 夢中になるものは私にはどうでもいいとしか思えない。そんな感じに私たちが常に正反対だった
 というのは、その通りではあるけれど。
「そ、そうだけど……ちょっと待ってよこなたっ」
「……何を?」
「何って、だから――」
 なんだ――なんだっけ。
 そう。
 そうだ。訂正、そして謝罪。
 でもその前に。
「とっ、とにかくこなた! こっち見なさい! 私の目を見て話しなさいっ!」
 このまま俯かせてたら駄目だ。せめて顔だけでも上げさせないと。
「……」
 深い。
 深い、深い。地の底まで届きそうなため息を吐いて。
 こなたが、首を、もたげる。
「っ……!」
 息を呑む。

 なんだ、これ。

 真正面からはっきりと見えたその顔は――なんなんだ、これは。本当にこなたなのか。
 面影がない。情動がない。生気がない。顔色がない。人間味がない。
 なんにもない。
102上手く行かない 7/10:2008/10/13(月) 01:04:40 ID:EfvUVZg1
 それに――そうだ。
 ようやく気付いた。
 先ほどからずっと付きまとっていた違和感。その正体がようやく分かった。
 “笑顔”がなかったんだ。
 教室で見たときから、今までずっと、こなたは一度も笑ってない。

 こなたが、笑っていない。

 こんなの初めてだ。
 少なくとも私が知る限り、こいつはいつでも笑っていたのに。
 野球が延長して深夜アニメの録画に失敗したと怒っていたときだって、カラオケで英語の曲が歌え
 なくてテンパっていたときだって、正月におみくじで凶を引いて落ち込んでいたときだって、ケーキ
 バイキングで泣きながら食べ残しを処理していたときだって。
 こなたは、いつでもその顔のどこかに、あるいは仕草に、笑顔の欠片を浮かべていたのに。
 今は、それが、ない。
 どうして?
 いったい何が?
 私が見ていなかった隙に、こいつに何が起こったんだ!?

「……かがみは、優しいよね」
「な、何がよ」
 い、いきなりなんだ。何を言い出す。
「でもさ、もういいよ。そういうの」
 ちょっと待て。
 本当に何を言っている。
「私のことなんか、もう構わなくていいよ。私ももう、なるべく甘えないようにするからさ」
「なっ――」
 なに、を……

「そしたらもう、ヘンなウワサ立てられることも、ないよね?」

 ――あ。
 笑った。
 口角が少しだけ、上がった。
「だっ――」
 でも。
 そんなのは違う。
 そんなのは、アンタの笑顔じゃない。泉こなたは、そんな卑屈に笑ったりしない!
「――誰がそんなこと言ってるってのよっ!」
 立ち上がる。
 座ってなんかいられない。
「だ、だって、イヤなんでしょ?」
 戸惑った顔。
 戸惑った声。
 そんなに自分の発言に自信があったのか。
「そんなこと言ってないわよっ!」
「い――言ったじゃん! ムカついたって!」
 声量が跳ね上がる。
 それは、確かに。でも、
「言ったけどっ……でも嫌だなんて言ってない!」
「なに言ってんの? イヤだからムカついたんでしょ!?」
 なるほど。
 筋は通っている。だけど、
「それはっ――とにかく違うのよ! そんなことが言いたいんじゃなくて、私は――」
 私は、目を逸らした。
103上手く行かない 8/10:2008/10/13(月) 01:05:35 ID:EfvUVZg1
 後悔が込み上げる。
 完全に、間違えた。言い方と言う順番を、肝心なところで見極め損ねた。
 何をやってるんだ私は。
 何が、準備万端だ。

「……ごめん」

「――え?」
 目を向けなおす。
 なに?
 謝罪?
「そうだよね……急にそんなふうになったら、つかさとみゆきさんがヘンに思うよね」
 また、ぽそぽそと。疲れたように。
 そんなことを、言ってるわけじゃない……けど。
「……そうよ。変なこと言うな」
 まぁ、いい。落ちついたのなら、それで。とりあえずそういうことで、別にいい。
 私も落ちつけ。
 ケンカしにきたんじゃないんだ。あくまで話し合い――でもなくて。
 言ってしまえばこなたに助けてもらおうとして、私はこうしているんだ。にしては妙に偉そうだけど。
 とにかく、もう一度仕切りなおさないと。
 どこから訂正したものか。
 やはり最初からか?
 そうね。あいつらの話を変に端折った部分から……いや。その前に、変な気を回す必要はないと、
 そこに釘を刺しておいて……というか。そんなふうに考えたりおかしな笑い方したりする、その精神
 状態をまずどうにかしておくべきかも知れない。――と、
「――かがみ」
 こなたが顔を上げた。
 うん? なんだか、目にいくらか生気が戻った気がする。
「な、なによ」
「アレさ、もう返事、した?」
「は? な、何がよ」
「決まってるでしょ。ラブレターだよ」
「……」
 いきなり何の話だよ。
 というか、なんだ? ひょっとしてさっきまでの話は終わったとことになってるのか?
 思わず額に手を当てる。ため息。
「もう断ったわよ、そんなの……」
「……」
「……」
「……なんで!?」
 うおっ?
「いつ!? 昨日はまだって言ってたよね!?」
 なんでそんな……なんなのよ、本当に。
 ってゆーか本当に気付いてないのかよ。元はといえばあの封筒の出所はあんただってのに。
「だからそれは……今日よ。今日の昼。そっち行かなかったでしょ」
 とっさに出任せを並べつつ、腕を組んでそっぽを向く。
 うん。これは突き通すべき嘘だ。下手に本当のこと言ったらまた話がややこしくなる。
「でも、なんで!? なんで断るのさ!」
「なんでって、そんなの……受ける理由がないからに決まってるでしょ。付き合いたいと思える相手
じゃなかったってゆーか……」
 正確には顔も名前も知らないし、そもそも存在すら怪しいんだけど。
「なに言ってんの!? あるじゃん理由なら! 男子と付き合ったらヘンなウワサも晴れるじゃん!」
「なっ……!」
 何を、言い出す。
104上手く行かない 9/10:2008/10/13(月) 01:06:30 ID:EfvUVZg1
「そんな理由で付き合えるわけないでしょ! 相手にとっても失礼じゃない!」
 怒鳴る。
 こなたが目を見開く。ってか話繋がってたのかよ。
「そんなの…………別に、いいじゃん、そんなの。始めなんかどうでも。付き合ってるうちに好きに
なれるかもしんないじゃん」
「それは……」
「そうだよ。それに、かがみいつも言ってるじゃん。カレシ欲しいって」
「――って! 言ってないわよ! 人を万年発情期みたいに言うな!」
 反射的にまた怒鳴る。
 こなたは泣きそうな顔になる。
 なんでそんな顔するのよ。
 なんでショック受けてんのよ。
 こんなの、いつもと同じツッコミじゃないの。
「なんで、そんな、ムキになるの? もっと普通に、付き合ったらいいだけだよね? そしたらヘンな
ウワサも消えるんだよ? そしたら、私だって自然に離れていけるし、そしたらもう宿題見せる必要
もなくなるんだよ? ゲマズにもムリしてついてこなくていいんだよ? 良いコトづくめじゃん」
「それのどこがいいことなのよ! できるわけないでしょそんなこと!」
 なんなんだ。なんなんだそれは。
 できるわけがない。そんなの、どれ一つだって認められるわけがない。

「なんで? 大丈夫だよ。私、かがみがいなくても、大丈夫だよ」

「なっ――」
 絶句。
 待て。
 待ちなさい。
 待ちなさいよ!
「……あんた、マジで言ってんの?」
「当たり前だよ。私、かがみが構ってくれなくても、つかさに冷たくしたりなんか……」
「何の話だよっ!? つかさのことなんか関係ないでしょ!」
 いや、ちょっと待て。私も待て。関係ないってなんだ。だってこれは半分はつかさのためで。
「なんで? つかさがいるから、つかさの友だちだから、かがみは私に……」
「なんでそうなるのよっ! あんた私を馬鹿にしてるのか?!」
 なんだ、これ。
 本当にもう、なんなんだこれは。こいつはなんなんだ。
 このこなたは、なんなんだ。
「……してない。してないよ。馬鹿になんてしてない。むしろかがみが馬鹿にされないようにって、
ヘンな目で見られないようにって――そう思って言ってんじゃん!」
 立ち上がる。
 こなたも、髪を振り乱してベンチから立ち上がる。
 手にしていたミルクティーの缶が落ち、独特のたわむような金属音を響かせて転がった。
 そういや私のお茶はどこいった。
「それが余計なお世話なのよ! ……分かってない。あんたぜんっぜん分かってないっ!」
 いや、分かるわけないだろう。
 こんな言い方じゃ通じる話も通じない――
「わかんないよ……かがみが何を言ってるのか、ぜんぜんわかんないっ! 私とレズ友だなんて
言われて、それがムカつくんでしょ!?」
「れっ……!?」
 そんな――そんな酷い受け取り方してたのか。
 そんな伝え方をしてしまったのか、私は。
「だから私は――」
「そんな言われ方されてない!!」
 さらに声を張り上げる。
「私たちが凄く仲がいいって、そういうことをちょっと言ってただけよあいつらは!」
「はぁ!?」
105上手く行かない 10/10:2008/10/13(月) 01:07:25 ID:EfvUVZg1
 こなたの声も裏返る。
 呼応するように髪が波打つ。
「なにそれ? ぜんぜん違うじゃん」
「だ、だからそれは、言い間違いってゆーか……」
「言い間違いってレベルじゃないよ! ぜんぜん違うじゃん!」
「だから、それは――わざと、でもあって……」
「なに、それ」
 そして茫然。
 途方に暮れた、迷子のような顔。さっき教室の入り口で、私の手を握ってきたときと同じ表情。
 目の前のものが信じられず、だけど信じたくてたまらない――そんな、目。
 堪らなくなって顔を背ける。
「た――試したかったのよ……」
 声が震える。
「試すって、何をさ」
「だから――私も最初は、付き合ってるんじゃないかって、さっき言ったみたいに言われたように
感じて、だから、つまり――」
 舌が回らない。
「――でも冷静になって考えたら、そうじゃないって、分かって……そうしたら分からなくなって……
私とあんたって、なんなのかって……」
 もどかしい。
 イライラする。
「……わかんない。わかんないよ。私、バカだから――私にも分かるようにちゃんと言ってよっ!」
 ああ、もう。
 やめてくれ。
 そんな――あんたにそんな涙声なんか出されたら、私は、どうすればいいか分からない。
「だからっ……!」
 声が擦り切れる。力が入りすぎて両手が痛い。俯いた首が引きつりそうだ。
 イライラする。
 窒息しそうなほどに、イライラする。
「――私はっ!」
 私は、なんだ。何が言いたいんだ。
 もういい。なんでもいい。なんでもいいから――とにかく言葉を届かせろ! こなたに!



「――ただあんたに抱きしめて欲しいのよっ!!」



「……」
「……」
「……え?」
 ……え?

 ――って!

 ちょっと待て何を言ってるんだ馬鹿か私はぁああああああああああああああああああああっ!!




10623-49:2008/10/13(月) 01:08:20 ID:EfvUVZg1
以上です
ありがとうございました


前回一つ言い忘れてました
紅茶花伝ロイヤルミルクティーは普通に美味しいです
甘いことは甘いですけど、他と比べて甘すぎて気持ち悪いなんてことは別にないです
107名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 02:30:28 ID:ueAs2NwW
>>106
GJ!
いつも楽しみにしてます。
前回のこなたの裏でかがみがこんな風に考えていたとは。
108名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 02:55:27 ID:ITjdFfQ5
うお、気になってた話がもう来てた!
かがみの心情にこちらまでモジモジしてしまいます。青春ですねぇ。
相変わらず素晴らしい描写力、GJです!!
109名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 06:37:45 ID:nzjI6y/c
>>106
そう来たか! そう来てくれましたか!
ラストの叫びでこっちも一気に萌えたぎりました。ぐっじょぶ!
110名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 07:46:52 ID:bII/817U
>>106
うおお、引っ張るなぁ。
あのまま教室で「ラブレター」のネタバレしてハッピーエンドかと予想してたら
なんという斜め上な展開。
次回が待ちきれん。

ちなみに自分は紅茶もコーヒーも香料が入ってるヤツはダメです。
111名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 20:14:13 ID:ZXzEtSoV
おお、ひっぱるなあ…
続きが待ちきれない…早く続きが読みたくてしょうがない…!!

楽しみにしてます!
112名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 22:51:41 ID:Y9b8m9vr
>>106
ぎゃー私の大好きなSSの続き来てるー ! ! 4seasons並に大好きです !
こなたがドロドロした恋愛感情抱えてかがみと相対していたのとは逆に、かがみはなんだか能天気に悩んでた
という二人の対比が面白いですw
しかも、かがみの最後の絶叫 ! アホ過ぎるwww
テンパってる状況で言葉が選べなくなって、つい本音が出てしまった感じですね
次回、状況認識に差がありすぎる二人がどんなハーモニーを奏でるのか楽しみですw
113名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 09:10:27 ID:+x/ojtcC

投下のかぶりが無ければ、

五分後に投下開始させていただきやす
114三毛また:2008/10/14(火) 09:16:28 ID:+x/ojtcC
それではでは


タイトル:らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜


テーマ:らき☆すたで幽霊とか妖怪とか都市伝説とか。
エロ:無し。ただし若干の下ネタ有り。
注意事項:前後編の後編その1(中編?)
     らき☆すた以外のキャラ登場注意(お化け的な意味で)
消費レス:7レス。


前回から何週間も開いてしまったのであらすじ有りマス
115らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜1/7:2008/10/14(火) 09:17:32 ID:+x/ojtcC
三行で前回のあらすじ

1、十月のある日、珍しく電話の虫だったのでこなたに彼氏ができたとみんなでレッツ勘違い!

2、こなたいわく電話の相手は前日にした怪談話に起因してるらしいのでみんなでレッツ回想!

3、前日の放課後、授業で呪い云々の話が出たのでみんなでレッツ怪談話しましたとさ!










「ふぃ〜ちかれた」
 固いクッションの座席にお尻を着地させるとつい声が漏れた。
 しまったと思ってざっと辺りを見回してみるけど、私の小さな独り言を咎めるほど混雑してはい
ない。
 ほっと胸をなでおろす。
 私は今、一人でバスに乗っている。
 アルバイトに行った帰りのため、同じ家に住んでいるゆーちゃんも今はいない。
 遅番の日は高校生が働ける限界の21時まで残ることになるから、帰ってくるのはこんな時間に
なっちゃうんだ。家路につくおじさん達の背中もまばらになるほどにね。
 いやー、それにしても今日は疲れたよ。
 今度は口に出さずにちゃんと頭の中だけでつぶやく。
 アルバイトの後はいつも疲れてるけど、それは嫌いじゃない疲労感なんだよ。これを何倍にもし
たら、修羅場を乗り越えた時の作家心理になるのかなっていう。
 ただ、今の疲労感には心地よさがない。
 なんか、こう、ねっとりと重い。
 ん〜、やっぱりあれかな。みゆきさんの怪談が効いたのかな。
 私は窓の外を流れる暗い景色を眺めながら、昼間なのに同じように薄暗かった教室のことを思い
出していた。
 わりと…いやわりとじゃないか、完全にみゆきさん主導ですることになった今日の放課後の怪談
話。怖い話が嫌いなつかさには悪かったけど、アルバイトに行くまでに時間がけっこうあった私に
とって、暇を潰すにはちょうどよかった。
 職場が秋葉だから行っちゃえば時間なんていくらでも浪費できるんだけど、やっぱりみんなとい
るのはそれとは別の意味で楽しいからね。
 せっかくだから雰囲気をってことで教室のカーテンを閉め切ったりして、太陽が傾いてたからけ
っこう暗かったなあ。つかさなんかそれだけでガクガク震えてかがみにしがみついてたりして。あ
れじゃあ夜はトイレに一人で行けないんじゃないかなあ。
 どれくらい話を聞いたっけなー。みゆきさんが話してくれたのはどれも古めのお話で、私も名前
は聞いたことあるんだけど内容はよく知らないという物が多かった。
「テケテケ」とか単語はすごい聞いたことあったけど、ああいう話だとは知らなかったよ。
 昔、PCの中に女の人の幽霊が宿るお話がそんな感じのタイトルだって聞いたことがあるんだけ
ど、全然違う話だった。
 私は文字系の本はほとんど読まないから、学校の怪談とかはまだかがみの方が詳しかったね。
 つかさは論外だとしても。
 たしか学校の怪談ってゲームもあった気がするけど、文字を読むばっかのゲームは苦手なんだよ
なあ。
 そういえばかがみに薦められたラノベや、文字読み系のゲームまだ読んでないや。
 最近はアニメが殺人的スケジュールで放送してるから時間がなーい。
116らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜2/7:2008/10/14(火) 09:18:32 ID:+x/ojtcC
 そんなこんなで、バスの窓枠にあごを乗っけながらみんなでした怪談話を回想しながらも、つい
つい別の事柄に脱線しはじめたころ、制服のポケットに入れておいた携帯電話がブルブルと震え出
した。
 しばらくしても震え続けるので、メールじゃないことはすぐにわかった。
 マナーモードにしてあるから音は鳴らない。
 音が鳴れば、アドレスをグループ分けしてるのでどんな人からの電話なのかだいたい予想がつく。
「…お父さんかな」
 反射的にそう思った。
 帰りが遅くなるといつも電話をかけてくるからだ。
 ほら、ポケットからケータイを取り出して見れば液晶画面に「お父さん」の文字が……無かった。
 そこにはお父さんもゆーちゃんもゆい姉さんも表示されていなかった。
 というか、何の名前も無かった。
 いや、名前だけじゃなくて、番号も。

 非通知設定

 画面にあるのはその五文字だった。
 いわゆるあれだ、非通知ってやつだよ。
「おお…ついに私にも来たか」
 非通知という文字を見ながら唸った。
 PCのアドレスはしかるべきところに突っ込んでるせいか、怪しげなメールが来ることにもう慣
れちゃってるけど、ケータイにこういう事が起きるのは初めてなのだよ。あんまりケータイは活用
してなかったからねえ。
 さて、ちょっと感慨深いものはあるけど、まずはどうしよっかな。
 とりあえず、切っちゃおう。えーっと、電源ボタンを押せばいいのかな。自分から通話を取らず
に切ったことないからよくわかんないや。

 ポチっとな。

 アッ。
 長く押しすぎちゃって電源切れちゃった。
 えっと、もう一回電源ボタンを長押し長押し。
 よし、ちゃんと非通知の電話は切れたみたい。
 ふぃ〜。
 ちょっとびっくりしたねー。
 電話だとメールよりも焦るんだね。
 出ちゃってもこっちから掛け直したりしなければ変な料金請求とかは無いんだろうけど、気持ち
の良いもんじゃないしね。
 そもそもバスの中だから出られないし。
 いやー、マナーは守るよ私だって。
 マナーは大事だよ。
 だってマナーが無かったらコミケでは毎年死者が出るよ。絶対。
 おたくだからこそマナーは守らんとね。
 それにしても………
 私は手にしたままのケータイを見つめて、少し考え込んだ。
 この非通知は誰だったのかなあ?
 どこかの胡散臭い業者なのか、はたまた誰かが間違えて非通知でかけてしまったのか。
 間違えてっていうのは、ちょっと無理があるかなあ。
 つかさならやりそうな気もするけど…
 ちょっと考えてみただけだと、けっきょくその二通りしか思い浮かばなかった。
 私がケータイ事情にそこまで敏くないせいなのかな。明日学校で、かがみかみゆきさんにでも訊
いてみようか。
 特に緊急性のあることでもないと思っていたのでのんびりとそんな考えをめぐらしていたら、み
ゆきさんのことを思い浮かべた拍子にあることを思い出した。
 思い出さなきゃよかったのかもしれないけど。
 思い出しちゃったんだ。

 そういえば、みゆきさんに教えられた怪談に、電話に関する物があったなー……って。

117らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜3/7:2008/10/14(火) 09:19:19 ID:+x/ojtcC
         **********


「…では次はどのようなお話にいたしましょうか」
「ふぇ〜。ゆ、ゆきちゃんまだやるの〜?」
「貴女のその表情が私をだばだばさせます。主に鼻的な意味で」
「ほらつかさ、あんたもそんな怖がんないの。みゆきはそれを喜んでるんだから。それじゃあみゆ
 きの思うつぼよ」
「さすがですかがみさん。私の事を的確に理解してくださって光栄です。結婚しましょう」
「いやよ」
「残念です」
「それでみゆきさん、次はどうするのさ?」
「かがみさんに断られてしまいましたので泉さんに求婚しようと思いますが」
「いや、そういうことじゃなくてさ」
「泉さん、愛してます」
「あ、ありがと…ってそうじゃなくて、次はどんな話にするのってことなんだけど?」
「では『メリーさんの電話』などいかがでしょうか」
「メリーさん?名前は聞いたことあるねえ。イギリスあたりの幼女かな?」
「いやいやこなた。なんで幼女限定なのよ。メリーって名前のおばあさんだっているでしょうが」
「いやいやかがみん。語感からいってメリー=幼女だね。きっと大きくなったら世の中のメリーさ
 んは名前が変わるんだよ。出世魚みたいに」
「……その発想は無かったわぁ」
「褒めるな褒めるな!」
「褒めてねえ」
「名前が変わるかはわかりませんが、泉さんのおっしゃる通りお話に出てくるメリーさんは必ず小
 さな女の子ではあります」
「ほらみろかがみん」
「うるさいいばるな」
「お話の展開のパターンはいくつかありますが、一番有名なものはこういった感じですね。
1184らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜4/7:2008/10/14(火) 09:20:18 ID:+x/ojtcC
 まずある女の子が古くなった外国のお人形、メリーを捨ててしまいます。
 古くなっていたからお母さんに捨てなさいと言われたのか、お引越しでもする際に整理を命じら
れたのでしょう。
 小さな女の子にとってお母さんの命令は絶対です。
 その子は泣く泣くゴミ捨て場にお人形をそっと置いてきました。
 するとその夜、聞き覚えのない少女の声で電話がかかってくるのです。

 『あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの…』と。

 電話を切ってもすぐにまたかかってきてしまいます。

 『あたしメリーさん。今タバコ屋さんの角にいるの…』

 そしてついに、

 『あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの』

 という電話が。
 女の子は思い切って玄関のドアを開けてみますが、そこには誰もいません。やっぱり誰かのいた
ずらだったのですねと胸をなでおろした直後、またもや電話が…





『あたしメリーさん。今、あなたの後ろにいるの』





 ふっ」
「わひゃ――――ッ!!!」
「うわッ、いきなり何よつかさ!」
「みゆきさんがつかさの首筋に息を吹きかけたんだよ。わざわざオチのところで一技仕込むとは、
 さすがみゆきさん。容赦ないね」
「こらっみゆき!」
「すみません。ですがこれが王道の『メリーさんの電話』ですので。……ハァハァ、ツカササンイイニオイガシマス」
「あんた絶対楽しんでるでしょ」
「ゆきちゃんやめてよぉぅぅ…」
「まあ落ち着きなさいつかさ。メリーさんって言ったってやってることストーカーみたいなもんじゃ
 ない」
「それはそれで怖いよお姉ちゃん……」
「そうだつかさ。むしろストーカーというより純愛イベントだと思えばいいんだよ!」
「じゅんあいいべんと?」
「愛しのあの人に電話をかけたけど恥ずかしくて途中でやめちゃったり、いきなり会う自信がない
 からちょっと離れたところからだんだん近づいてみたり!」
「えっと…あの、こなちゃん?」
「なんのエロげーの話をしてるんだあんたは」
「しかもそれをやってるのが幼女だって言うんだからね!なんていうか、ツンデレ幼女?うはー萌
 えてきた!メリーさんは俺の嫁!」
「だめだこいつ、はやくなんとかしないと……」


         **********

119らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜5/7:2008/10/14(火) 09:21:02 ID:+x/ojtcC
 いやー、余計なことまで思い出しちゃった。
 とにかく、電話をしてくる幽霊とかお化けっていうのもいるらしいんだよ。
 もしかして、この非通知電話がメリーさんの電話だったりねーとか。
 ちらっと。
 ほんとちらっと思ったりなんかして。
 まあ、違うよね。
 だって、ケータイだし。
『次は○○○〜次は○○○〜』
 けっこう考え込んでた時間が長かったのか、いつの間にかバスはずいぶんと進んでいた。合成音
のような感情の無い女声が、耳馴染みのあるバス停の名前を読み上げる。
 あ、もうすぐ降りるバス停だ。
 ボタンをぽちっと押して、と。
『御忘れ物のないようご注意くださ……』
 ぷしゅー。
 バス停に到着すると、空気の抜けるような音と共にバスは左側に少し傾いた。降りやすいように
段差を少なくしているんだろう。こういうのもバリアフリーって言うのかな。お年寄りも増えてき
たし、そうじゃなくても背の小さい人には段差が大きいと降り辛いしね。
 ゆーちゃんとかには段差は小さい方が良いだろうし、嬉しい配慮だよ。
 ありがたやありがたや。
 私は自分の身長くらいでも簡単に飛び降りられるんだけどね。
 そりゃっ。
 私がバスの出口、階段になってるところをひとっ飛びに降りると、バスは低いうなり声をあげな
がら次の目的地に向かって走り去って行った。
 降りたのは私一人だけ。わりと田舎の方だし、時刻的にも、まあ当然の結果だった。
 ふわっと、温かい空気が私を包む。
 バスの排気ガスというわけじゃない。十月になっても残暑払いをしたくなるような気候が、夜に
なっても消えてくれていないからだった。
 さすがに夜は暑いというほどではないけど、それでも秋の涼しさはどこに行っちゃったのかって
いう気温が続いてる。異常気象のせいで、秋と冬をすっ飛ばして春になっちゃったんじゃないかと
思うくらいだよ。
 さて、バスを降りたら家まではもうすぐだ。さっさと帰ってネトゲにインしようかな。
 そろそろななこ先生にあけられてるレベル差を埋めようかなどと、両手を上げて伸びをしてると
きだった。
「ん〜…」
 自然とそんな声を漏らしていると、ポケットの中のケータイがぷるぷる震え出した。
 心臓が、一拍だけどくんと大きく跳ねる。
 ぷるぷると震え続けるケータイをポケットの中で掴むと、一瞬取り出すのを躊躇した。
 さっきの非通知の電話のことが、まだしっかりと頭に残っていた。 
 また非通知だったらどうしよう。
 どうしようも何も、また切ってしまえばいいのはわかってるんだけど、ちょっとだけ迷いがあっ
た。
 好奇心っていう名前の。
 ただ、その迷いはケータイをとり出したら一気にどっかに飛んで行った。
 ケータイの画面に、お父さん、って表示されていたのだ。
「ふぅ……なんだお父さんか」
 ちょっと拍子抜けした私は、電話に出ながらついため息をつく。
『なんだとはなんだこなたー。遅いから心配したんだぞー』
「今日は遅番だから帰るの遅くなるって言っといたでしょ」
『あ、ああそうだったかなあ』
 忘れてた忘れてた、と電波の向こうで乾いた笑い声をあげるお父さん。
 お父さんってば、帰るのが遅くなる日はたいてい一度は電話をかけてくるんだよね。
 しかもその理由が毎回、私が遅くなるってことを忘れてた、なんだ。
 まったく、作家なんだからもうちょっとバリエーションを考えてほしいもんだよ。
 ……悪い気はしないけどね。
『今どこなんだ?迎えに行こうか?』
「だいじょーぶだよ。もうバス降りて歩くだけだから」
『そうか。もう遅いんだから寄り道しないで帰ってこいよ?』
「はいはいー」
120らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜6/7:2008/10/14(火) 09:21:39 ID:+x/ojtcC
 じゃーねと言って電話を切る。
 ここのバス停から家までは二つのルートがあって、片方のルートだと途中にコンビニがあるのだ。
 言われなきゃまったく考えてなかったんだけど、雑誌漁りでもしようかな、なんてことがむくむ
くと頭の中に湧き上がってくる。
 そういえば今週のジャ○プまだ読んでないなあ。マガ○ンも。
 ん、ここはコンプって言っておくべき?
 いやいやコンプはきっちり買ってあるから良いのだよ。
 コンビニにコンプはあんまり無いしねー。
 うーん、寄りたくなってきた。
 でもコンビニルートだとちょっと遠回りになるんだよ。それに、コンビニに寄って余計な時間を
費やさずにすむ自信はまったくと言っていいほど無いし。
「んー……明日でいっか」
 私はコンビニへと続かない方の道に身体を向けた。
 家への最短ルートへと。
 そして一歩目を踏み出そうとした瞬間、また、ケータイがぷるぷると震え出した。
 お父さんが何か言い残したのかな?
 コンビニで何か買ってきて欲しい物があるとか。
 そんな風に思ってすぐにケータイを取り出す。少なくとも、お父さんからの電話だろうと思って
いた。
 でもあとから考えると、さっきのお父さんの調子からしてどこかに寄って来いと言ってくると考
えるのはおかしかった。
 じゃあお父さんが他にどんな用事でかけてくるのか?
 答えは、そんなものはない、だった。
 つまり、電話はお父さんからじゃなかった。
 
 非通知設定

 ケータイの画面には少し前に見た覚えのある五文字が並んでいた。
 おおッ。
 はじめて非通知が来たと思ったら、もう二回目かね。
 まったく、業者さんもお盛んだね。
 えーっと、電源ボタンをぽちっと、今度は電源を切っちゃわないように短く押してみよう。
 おや?
 応答保留中ってなったよ。
 これじゃまだ切れてないみたいだ。
 んー、どうすればいいんだろ。とりあえずもう一回押してみようか。
 えいっ。
 私が二度目となる電源ボタンプッシュを実行したところ、ケータイの震えはぴたりと止まった。
「ふぅ」
 どうやら二回押せば良いらしい。ケータイを持ってる歴はもう何年にもなるのに、いまさら知っ
た。
 ただ、どれか他のボタンを一回押せば済むような気がする。ケータイの説明書って分厚くて全然
読んでないから、帰ったら見てみようかな。
 私は思いのほか落ち着いていた。
 はじめての時は焦ったけど、二回目ともなるとこんなことでも慣れるものらしい。
 だから、すぐにまたケータイが震え出したのにも驚くことはなかった。
 むしろ非通知の表示を見たとき、イラッとした。
 もー、いいかげんしつこいよ。
 こうなったら出てやろーじゃないか!
 ぽちっと。
「ハイ、もしもし」
121らき☆すた妖奇譚A〜メリーさん〜7/7:2008/10/14(火) 09:22:22 ID:+x/ojtcC
 泉です、と続けそうになったのをすんでのところで飲み込む。
 イケナイ業者が相手かもしれないからね。自分から名前を教えちゃうこともない。

『ひゃっ、出た…』

 私の声から間を置かずに届いたのは、意外な反応だった。
 自分から掛けてきたくせに驚いているみたい。
 でも、私の方も、かなりびっくりしてた。私が想像していたのとあまりにも違う声だったからだ。
変な業者からの電話だと思っていたから、なんとなく男の人だと思っていた。女の人だとしても、
ずっと年上の人だと。
 なのに、聞こえてきたのはどう考えても大人ではない、女の子の声だった。
 変な業者からじゃないのかな?
 そう思った直後、口に出して尋ねたわけじゃなかったけど、電話の向こうの女の子は私の疑問に
応えるように自分が誰であるかを名乗った。

 それは、まったく予想してなかったものじゃなかった。

 ついさっき、ほんのちょっとだけ、もしかしたらそうなのかなって思った。でもまさか本当にそ
うだとは、ハルヒ二期が年内に放送する可能性ほども信じてなかったのに。

 それだけに、私の驚きは相当なレベルに達した。

 












『わたしメリーしゃん……』





>つづこう
122三毛また:2008/10/14(火) 09:23:42 ID:+x/ojtcC
終わりです。
こなたの方程式によると泉家周辺が田園風景なので、最寄駅までバス通学ということにしました。
携帯電話の非通知等に対する仕様はてきとーです。とりあえず3年くらいまえのauはあんな感じです。

続きは数日で上げさせてもらいやす。たぶん。

では
123名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 10:10:01 ID:RZF9bCq/
>>122
メリーサンできましたか。みゆきが語るとこがメインではなく、その後なんですね。最後にメリーサンの電話らしき事も来て、物語が加速しそうで楽しみです!

「メリーしゃん」
が誤字なのか…
それとも前のセリフとあっているからそういう口調なのか…
気になる。
124戸別響:2008/10/14(火) 13:00:23 ID:3EO5PeGK
こんにちは、戸別です。SSが完成したので投下したいと思います。
タイトル  Laugh and Laugh
・つかさ&みなみ
・非エロ ほのぼの
・6レス使用
3分後くらいに投下を始めたいと思います。では。
125Laugh and Laugh 1:2008/10/14(火) 13:03:39 ID:3EO5PeGK



「…………」
「…………」

ある秋の日、太宮のレストラン。私は今、とてつもない気まずさを感じながら、
ある人と向かい合っている。
その人はゆたかではない。ゆたかは今席を外している。いま、私の目の前にいるのは、
「……ええっと……」
「……なんですか?」
「あっ、えっと……な、何でもない、です……」
同じ高校の先輩、柊つかさ先輩だった。


Laugh and Laugh


……事の始まりは、私とゆたかがこのレストランに入った時の事。
少し早めのお昼を食べようと、ガラガラの店内を見渡していると、
「あれっ? ゆたかちゃん? ……と、みなみちゃん?」
横から突然、私たちの名前が呼ばれた。その方へ顔を向けると、
「えっ? あ、つかさ先輩!?」
「あ、やっぱり〜」
頭にカチューシャの様なリボンをつけて、ニコニコしている先輩がその窓際の席に
座っていた。

「どうしたの? こんな所で。二人でお買い物?」
つかさ先輩は私達の持っている紙袋を見ながら尋ねた。
「あ、はい! そうです。つかさ先輩も、ですか?」
「え、あ……う、うん、そんな所……かな?」
ゆたかが尋ねると、つかさ先輩はなぜか少し歯切れの悪い返事をして、ちらっと
窓の外を見た――気がした。
126Laugh and Laugh 2:2008/10/14(火) 13:08:10 ID:3EO5PeGK

「あ、二人とも、一緒にこの席で食べない?」
「え、いいんですか?」
「もちろん!」
「そ、それじゃあお言葉に甘えまして……」
「……よろしくお願いします……」
私達はつかさ先輩に促され、一緒の席についた。ここまではよかったのだが……

「あ、あの、お手洗い行ってきます」
料理の注文が終わった後、ゆたかが席を外してから、少し雲行きが怪しくなってきた。
「…………」
「…………」
長い沈黙が続いたのだ。さっきまでゆたかと楽しそうに会話をしていたつかさ先輩は、
私と二人だけになると、突然そわそわして、何も言わなくなってしまった。たまに私と
目が合うと、ビクッと反応してすぐ目を逸らしてしまう。どうやらつかさ先輩は、よく
人見知りをする人のようだ。そういえば、私とつかさ先輩が二人きりになったことは
ほとんどない。つかさ先輩が少しおどおどしてしまうのもわかる気がする。
私も何か話題を……と思って考えてみるけど、ほとんど初対面の先輩と共有できる話題が
見つからず、結局何も言えなかった。



そして冒頭に戻るわけなのですが……
「……ゆたかちゃん、遅いね?」
「……はい……」
「…………」
「…………」
この様なやり取りだけで数分が過ぎてしまった。
何も話題がない。でも、先輩も何かを言う気配はない。長い沈黙は息苦しい。
だから、何か言わなくちゃ……

「あ、『あの……』

そんな私の気持ちとは裏腹に、間はうまく合ってくれなかった。つかさ先輩も、私と
同時に何かを言いかけた。
「あ…み、みなみちゃん、お先にどうぞ」
つかさ先輩が私に発言権を譲った。
「……いえ、つかさ先輩から……」
でも、私は沈黙が気詰まりだったから話しかけただけで、何も言うことはない。だから
つかさ先輩に発言権を譲り返した。
「いえいえ、みなみちゃんから……」
「……いえ、先輩から……」
このような譲り合いが数回続いた後、結局私から話す事になった。
127Laugh and Laugh 3:2008/10/14(火) 13:10:20 ID:3EO5PeGK


……でも、何を話せばいいんだろう……あ、そういえば……
「……つかさ先輩」
私は今日初めて会った時のつかさ先輩について聞いてみた。
「今日、つかさ先輩と会った時、ゆたかの質問に答えにくそうにして、その後ちらりと
外を見ましたけど……あれは、どうしてですか?」
「え? あ、あの、それは…えーっと……」
つかさ先輩は私の質問に少し答えにくそうにして、「た、大した事じゃないんだけど……」
と前振りをして、窓の外を指差しながら、苦笑いを浮かべて、
「じ、実は、今日隣のデパートで洋服のセールがあって、そのためにここに来たんだけど、
早めに来たと思ったら着いた頃にはもう人だかりがすごくって……」
というところまで言って、つかさ先輩は急に少し青ざめたような顔になった。

「……? どうしましたか? 先輩」
私が心配そうに話しかけると、
「……えっ? あ、ご、ごめんね。なんでもないの。えーっと、そ、それで、開店と同時に
その人達が一斉に動き出して、私はその流れに巻き込まれちゃって、全然売り場まで
行けなくて……」
つかさ先輩は、一旦は話し始めの苦笑いに戻ったけど、続きを話す内に、少しずつ落胆
したような表情になっていった。

「……それで、服は買えたのですか?」
私が尋ねると、つかさ先輩は首を横に振り、
「結局何も買えなかったの。ただ流されるだけで、やっと止まったと思ったらもう
売り場は通り過ぎてて……私、もうそれだけでとても疲れちゃって、」
「……休憩するために、このレストランに入ったのですね……」
「う、うん……」

……あまり聞いてはいけない事だったかな……
まだ少し俯き気味のつかさ先輩を見て、私はそう思った。
128Laugh and Laugh 4:2008/10/14(火) 13:12:21 ID:3EO5PeGK


「……私も……」
「えっ?」
俯いていたつかさ先輩が顔を上げた。
「……私も、そんな経験があります……よく、セールとかには行くので……」
「えっ、そうなんだ」
つかさ先輩は少し驚いたような顔をした。

「……はい。他にも、買い物での失敗は、よく、あります。例えば……」
そう言って、私は今までの失敗談をつかさ先輩に話した。
セール品をたくさん買ってレジに行ったら、それがお一人様一品限りだった事。
30%引きだと思った商品が、30円引きだった事。
その他にも、いろいろ。
そんな話をしている内に、私自身がいつもより饒舌になっている事に気づいた。私に
とっては、これは驚くべき事だった。
いつもなら、言いたい事があっても何も言えずに黙ってしまうのに、今、つかさ先輩と
話している私は、お母さんやみゆきさん、ゆかりさん、そして、ゆたかと話をしている
ようである。

……ゆたか?
あぁ、そうか、と思って、私はつかさ先輩を見た。
私の話に、
「へぇー、そうなんだ」と驚いたり、
「うんうん、わかるよー」と、頷いて同意したり、
「私もねー」と、笑顔で自身の話をしたり。
少しおっちょこちょいな所、くるくる変わる表情、特に、本当に嬉しそうな、眩しい
くらいの笑顔。


「――ていう事もあってね……あれっ? どうしたの? みなみちゃん。何か、ボーっと
しちゃって……」
「……えっ? ……あ、いえ、何でも……」
考え事をしていた私に、つかさ先輩の言葉にふっと我に返った。
「……そういえば、つかさ先輩が、私に聞きたかった事って、何ですか?」
そして、一番初めの事を思い出して、こう言った。

すると、つかさ先輩は唇に人差し指を当てて、少し考え込むようにうーんとうなった後、
「……えっと、もういいや」
と答えた。
「……えっ、どういうこと…ですか?」
私が理由を尋ねると、つかさ先輩は、
「……実は、さっきの話に熱中しすぎちゃって、何を聞こうか忘れちゃって……」
と、頬を指で掻き、苦笑いを浮かべながら答えた。
129Laugh and Laugh 5:2008/10/14(火) 13:14:22 ID:3EO5PeGK


あぁ、やっぱり、と私は思った。
つかさ先輩は、どことなく、ゆたかに似ているんだ。明るくて、眩しいくらいの笑顔を
持っていて、少し抜けている所もあるけど、健気で、純粋で。
だからこんなにも話しやすくて。

でも……とも私は思う。同じ明るくてまぶしい笑顔でも、ゆたかとつかさ先輩とでは、
少し違う気がする。
例えるなら、ゆたかの笑顔が夏の太陽なら、つかさ先輩の笑顔は、春の太陽。
冬に積もった雪をゆっくりと融かしてくれる、暖かで、柔らかい日差し……

「……ふふっ……」
そんな事を考えたからなのか、さっきのつかさ先輩の「忘れちゃった」発言のせいなのか、
思わず笑みがこぼれてしまった。

「あ……す、すいません」
私は少し顔を俯かせて、頬を朱に染めながら謝り、ちらっとつかさ先輩の顔を見た。
つかさ先輩は少し驚いたような顔で、
「……みなみちゃんの笑顔、初めて見た」
と言った後、今まで私が見た中で、一番嬉しそうな笑顔を作って、
「――とっても可愛いね」
と言ってくれた。
私は、つかさ先輩の言葉がとても嬉しくて、
「……ありがとう、ございます」
と言って、私に今できる最高の笑顔を、先輩にプレゼントした。


130Laugh and Laugh 6:2008/10/14(火) 13:15:45 ID:3EO5PeGK


「あ、そうだ。みなみちゃん、お料理って、自分で作ってる?」
「あ、はい。たまに……」
「じゃあ今度の……」
「え、いいんですか?……」


「……やっぱりすごいなー、つかさ先輩って」
お手洗いを済ませた後、私はつかさ先輩とみなみちゃんが話をしているのを見て、
改めてつかさ先輩のすごさを確認していた。
私もつかさ先輩と話をしてると、まるで魔法にかかったみたいにとっても楽しくなって
くるんだよね。
みなみちゃんも、つかさ先輩と会話を始めてまだ5分くらいなのに、もう私もめったに
見ないような笑顔で話をしてる。本当に、楽しそう……

「……あ、ゆたか……」
「え、あ、ホントだ。おーい、ゆたかちゃーん! こっちこっちー!」
と、みなみちゃんが私に気づいて、つかさ先輩は私に向かって手を振った。
私は「はーい」と返事をして、手を振りながら駆け出した。
親友のみなみちゃんと、「笑顔の作り手」、つかさ先輩のもとへ――




131戸別響:2008/10/14(火) 13:22:27 ID:3EO5PeGK
以上です。かなりマイナーコンビだとは思いますが、いかがでしたか?
こういう、寡黙な女の子が天真爛漫な女の子と話をしているうちに心を開いていく、
といった話も大好きなので、このコンビにしてみました。
私の個人的意見として、つかさは誰とでも仲良くなれると思うんですよ。そう思いませんか?
では、感想、批評等ございましたら、よろしくお願いします。
132名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 17:08:23 ID:I2DZglBV
> つかさは誰とでも仲良くなれると思うんですよ。
この上なく同意と叫んでみる。
つかみなという新境地を開拓した勇気と英知に乾杯のGJ!
133名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 20:06:34 ID:dGwANkDz
ありそうでなかったつかさとみなみの話!
だけどここにあった!
確かに打ち解けられればなれそうですよね

しかしこの後、つかさがヤンデレゆーちゃんの
毒牙にかかってしまって……と想像してしまった自分自重…
134名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 21:23:09 ID:5ZvaKqh/
>131
すごくあたたかくて、素敵なお話だったと思います。
つかさの笑顔は、みんなの心の壁を取り払ってしまうのでしょうね。

135名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 21:31:17 ID:7vSPxPke
>>122
ちょっと怖かったGj !
メリーしゃんとかんでるところが何かの伏線なんだろうか? w

>>131
GJです
こういう温かいお話大好きです !
つかさはボケボケだけど、イヤミがなくて周りに笑顔を振りまくイメージがありますよね
いつもグループのマスコット的な位置に収まりそうw
136名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 05:26:13 ID:GtA9J/GC
>>122

自重してくださいみゆきw
こなフェチのように一人を猛愛するのはあったけど、見境ないみゆきは珍しくて好きですww

しかしメリーさん登場のシーンで焦らすなんて、あなたはドSですかww
137名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 06:02:18 ID:wRxAWfe7
>>122
ヤンデレ系はあるが、これ系の怖い話ってなかったような。(かなたさんは怖くないからw)
先が気になる。さあ続きを書く作業に戻るんだ!

読んでて二つ自分について気付かされたことがある。
大人数が入り乱れて会話するシチュが好きということ。
そしてその中でみゆきがおかしくなってても違和感を感じないということだ。

もう戻れないのか俺は・・・

>>131
ほっこりした(*´д`*)
つかさは愛すべきドジっ娘だね。
みなみ&つかさをくっつけるとこんな良い話が生まれるのか…
138名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 16:52:23 ID:TZi6XJUS
最近、上手くいえないけど4seasonsとかの高校を卒業して大人&大人な立場
になっていくこなた達のSSとか見てると何だか無性に寂しくなってくる。

18歳でも一応高校生だった時と違ってもうエロいのもパチンコも完全に解禁で堂々と出来る。(やるかやらないかは別としてw)
こなたや柊姉妹は卒業から1年ちょっとで成人して酒やタバコもやろうと思えば出来る。
そう思うと何だか無性に寂しい今日この頃。

こういう人って他にいるかな?
139名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 17:35:47 ID:A6VHiDaN
>>133
escape仕様のつかさなら逆に掌握しそうだけどな
140名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 17:44:37 ID:z+8iSuxk
>>138

自分の車で移動できて、行動の幅が広がる。
一人暮らしやルームシェア、同棲だって、高校時代より楽だ。
二足のわらじで、何かビジネスを始めることだって射程圏内だ。

考え方を変えるだけで、いいことづくめだよ。
141名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 18:29:01 ID:zz2d0CFJ
>138
寂しいという気持ちよりも、同棲する話とかいろいろ可能性がひろがって
面白いという気持ちの方が強いかな。
142名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 18:39:42 ID:EdSp37Hs
あえて言えば、全員の進学先が相変わらずはっきりしないのが難だね。
原作準拠の話が作りづらい。

脳内では、

「大学の正門前で照れ笑いしながら頭をかくこなた&驚愕顔のかがみ」

なんて絵面が浮かんでるんだが(つまり学部違い)。
143名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 18:48:39 ID:h5PABYmJ
>>138
アレだろ、近所の幼女がいつの間にかビッチなギャルになってたのを見た感じだろ
キャラを生々しく捉えすぎてるんじゃね?
144名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 19:13:46 ID:bv3I08tf
>>143
それはショックだああああああああorz
145名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 19:21:11 ID:/Cn/5eWe
転載
・つかさ&かがみ
・エロ
・冒頭に詳しい分類と粗筋あり
ttp://www.sonokawa28.net/lsssuploader/src/up0157.txt

保管庫経由で辿り着いた人の作
串規制らしいので勝手に代行
146名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 21:16:56 ID:uHAI/6Wk
さて、亀レスだけど。

>>94
野外露出と聞いて俺の脳内へんかがが覚醒しやがった。

どんなシチュがいいだろうか?

・某『甘露(き○い猫・著)』みたいな二人の露出日記?風にする
・某『いぬ☆ひよ2』みたいなガチ攻め野外調教にする
147名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 21:31:30 ID:n9J9gJg8
>>141
なんという同志
俺も俺もw

>>142
確かに進学先はっきりしないねえ・・・
やっぱりバラバラに進学して、時たま顔を合わせてる設定で美水先生はお話作ってるのかなあ
だとしたら、なんだか寂しい・・・というか、はっきり言ってイヤだな
先生を批判するつもりはないけど、美水先生って思い切りが足りないような・・・
いつも周りの評価を気にしてる感じ ?
まあ売れっ子になったから、下手なことして地位を失いたくないからかもしれないけど・・・
148名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 22:10:45 ID:3wOPlD1p
むしろ二次創作を煽ってるんじゃないか
元々、そういう趣旨のマンガだと思うが
149名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 23:37:41 ID:HYTJ/3+/
>>147
でも大学じゃどのみち、学部がちがったらそれこそ、高校時代みたいに休み時間ごとに
会う、みたいなことは難しい気もするが。空きコマもかぶるとも限らんし。
そう考えたら、別の進学先でも近場なら、一緒の大学で別の学部、というのと大して
変わらない面があるのかも。

まあそれに、ある程度遠かったとしても、月一程度、片道200キロ近い距離を会いに
行ってる、とかいう例もリアルで知らないわけではないし。
150名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 07:59:00 ID:i9kbDHA8
>>149

休み時間ごと、は無理でも、一般的な大学は単位制だから、
「長い休み時間」ができがち。
朝一の一限目と昼からの三限目取ってて、間の二限目の時間帯が
まるまる空いたりね。
タイミングさえ合えば、結構合う時間は取れたりする。
151名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 10:25:49 ID:whEmJWXZ
大学で知り合った新しい友達ほったらかしにしてまで過去の友達と会おうとする道理はないよ
モラトリアムに浸りたいのはわかるけど原作者否定してまですることじゃあないな
152名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 11:07:20 ID:ayfoUakl
かがみんが大学で新しい友達を作れる気がしない俺はぼっちスレに長くいすぎたようだ
153名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 12:35:16 ID:izWLZhDi
美水「こっち見んな」
154名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 12:49:38 ID:fLy4q1hv
>>151
現実に即せばその通りだけど、そうやって旧来のファンを突き放すようなことを言っちゃいけない。
新生活で関わる人たちを新キャラとして出しまくったとしても、うまくいくかは諸刃の剣。
つか、多分ダメになる。

まあもともと、長い日常の中のほんの数十秒を切り取っただけの4コマだから、
その外で、どんな仲間たちとどんな生活を送っていようが、「4コマ的には」関係ない。
高校時代ですら、描かれなかった部分に他の友人や仲間たちがいたっておかしくはない。

ただ、その「描かれない部分」を楽しむ俺らにとっちゃ、かなり厳しいんだけど。

顕著な例が、「こなたはかがみ達に進学先を教えていない」という点。
いくらなんでも、よそよそしすぎる。
俺らは4コマだけ見て、あの四人を「仲良しグループ」だと思ってるけど、
もしかしたらあの四人、「ちょっとした付き合い同士」でしかないのか?……って
正直不安になったよ……orz
155名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 13:30:37 ID:izWLZhDi
原作者はもともと友情とか臭いものを描くのはあまり好きじゃないような気がする
どちらかといえば家族愛とかそういう方にウェイトを置いた漫画だったし
最近は特にその傾向が強いと思う
156名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 13:40:02 ID:PLdJJQt+
友情は描かないが家族愛にもウェイトは置いてない
過度の家族愛も十分に臭い
原作者はそういったものが苦手だ
157名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 14:31:09 ID:onBsz1nt
>>155
「ウェイトを置いてる」というより「そういったものを描く方が好き」という方が的を射ているかもね
死別してもずっと仲のよい夫婦とか
仲良し姉妹とか
娘にべったりな親父とかw
158名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 14:36:22 ID:dKBj/Kfm
あと、ペットにべったりな女の子とか
159名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:00:51 ID:ezyKjaE7
>>155

むしろ最近、友情に触れる話が増えてきてないか?
自由登校でもこなたが学校に来る理由、
かがみの願い事に「いつまでも仲良くいられますように」がない理由、
メールを全削除してしまったかがみ&周囲の反応、などなど。
数は多くないが、以前はほぼゼロだったのに、最近になってそういう話がちらほら出て来た。
160名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:12:36 ID:HEjasu5m
あずまんがの影響うけた人だから、こっちもリアルタイムで2年3年に進学→卒業のつもりだったのでは
あずまんがと同じように、卒業したらその後を描かないでおしまいにすると

だけどアニメ化やらなんやらその他諸々の関係で、下級生を出したりリアルタイムとズレたり
人気も出たおかげで卒業と同時に連載終了というわけにもいかなくなって
結局「卒業はさせたけどその後は不明」な現状になっちゃって


クサいのが嫌いだとか友情とかを描くのが好きだとかじゃなく
単に大人の都合でそうせざるを得なかったんじゃないかね
161名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:20:37 ID:whEmJWXZ
原作は原作、創作は創作なんだからそれでいいじゃない
創作はもともとそういうニーズを補完するものであって原作に求めたり
あまつさえ押し付けたりして楽しむものじゃないでしょ?

何が目的なのかわからないけど創作をネタに原作批判するへんな人が最近増えすぎ

>>160
いろいろ間違ってるから美水先生の過去のインタビュー探してきて読むといいよ
162名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 15:33:18 ID:PLdJJQt+
無理やり臭い友情だな・・・
163名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 21:25:07 ID:DyepYYIh
初めにネタがあってそれに合わせて
シチュエーションを作ってる感じだと思う
ストーリー性はむしろ後付けの要素

こなたの大学を先に聞いていたら
『どうせこなただし、秋葉界隈だろう』
というネタが使えない
164名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 21:49:51 ID:c5wFvcc1
こなた・ひより・パティの3人は、レオタード姿で萌えアイテムを専門に盗む怪盗で
かがみはそれを追う弁護士兼私立探偵なんじゃなかろうか。
165名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 23:51:29 ID:lWhKoRaC
最終目的はかなたさんが描かれた絵画になるんですね。
わかります。




「あんた達ー!いい加減にしなさーい!」

「あーりゃま、柊のかがみんが追ってきたネこりゃ。
とっとと退散するヨー」
「す……すいません先輩、萌えアイテムかと思って盗ったら『団鬼六・青春の四十八手マニュアル』と、その他諸々のお助けグッズが……」
「アーバYOー!」
166名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 04:29:26 ID:r5xoWC80
なんか、4コマ板のスレと内容が被ってきたぞw
167名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 21:00:16 ID:ujkmX7ms
萌え
168名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 21:10:12 ID:ujkmX7ms
↑間違えて書き込んでしまいました。無視してください
169名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 01:44:29 ID:TKh251Cb
投下ラッシュと過疎の差が激しいなwww
170名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 03:36:52 ID:7a2lpi7z
空気を読まずに小ネタ
ねんどろいどぷちを見ていたら電波を受信した。

速報
「ねんどろいどぷち らき☆すたエロパロ」
今回試作品を初公開
・こなたうにゃああああ
・かがみわきわき
・つかさ昇天
・みゆきだばだば
・ひより自重
・シークレットは、こなたっぽいがアホ毛が無い、もしかして…あの人?
残りは次号で紹介予定

追記
この記事の数日後、かなたさんの武力介入で開発中止になりました。
171名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 07:23:51 ID:/OzRON5V
特に何の前置きも無く全裸になってるキャラがいそう
172名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 09:29:56 ID:NZMflywk
>>170
よし、ではシークレットを「たいがー☆あやのん」あたりに変更して開発を再開するんだ
173名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 12:02:29 ID:FItKe7PM
>>145
亀レスだけど、エロっ!
174名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 15:48:41 ID:Blx6PqYu
>>170
・たいがー☆あやのん(あやのの武力介入につき開発中止)
・背景みさお
・黒笑ゆたか
・奴隷みなみ
17538-608:2008/10/18(土) 18:37:03 ID:41LokQVE
ここ最近は食中毒やら風邪やらで散々だった……
っという私的な事は置いといて、久しぶりに投下しようかと思います。

■6レスほど使用
■つかさ×かがみメイン
 (かがみ×こなたもあり)
■エロあり、また拘束ネタw
1761/6:2008/10/18(土) 18:38:36 ID:41LokQVE
『狼かがみさんの更正』



「ん……ひゃうっ……こなた……こなたぁ〜……ふあぁっ!!!」
「お姉ちゃんったらまた……」

家族が思い思いに自分の部屋で時を過ごし、2階は双子だけの空間になる柊家の夜。

こなたをオカズに自慰にふけっている姉の声が毎晩の様に自分の部屋にまで響いて来ており
つかさは顔を赤らめずにはいられなかった。


最近、お姉ちゃんのこなちゃんを見る目が怪しい。 
……つかさは思った。

恋をしている目を通り越して、はたから見ても明らかに獲物を見るような目をしている。

「ちゃんとしたお付き合いなら私も祝福出来るんだけど……
このままだとお姉ちゃん、こなちゃんを一方的に食べちゃうかもしれないよ……」

そういえば今週末はこなたが我が家に泊りに来る日。
こなたのかわいい寝顔に耐え切れなくなったかがみが
こなたを一方的においしく頂いてしまうのだけは阻止しないといけない。

「何とかしてこなちゃんには安心して眠って貰わないと……
………お姉ちゃん、ちょっと嫌な事するかもしれないけどごめんね……」

そう言いながら決心を固め、インターネットである物を購入するつかさだった。
1772/6:2008/10/18(土) 18:39:45 ID:41LokQVE

………………………………………………………………………………………

そして週末

「こなた……良かったら今晩は私のベットで一緒に寝ない?」
「おんやぁ〜? かがみから誘うなんて珍しいねぇ〜」
「べ、別に何となくよ」
「しょうがないな〜 かがみんは本当に寂しがり屋さんなんだから」

こなたが泊りに来た日の夜、案の状かがみは如何わしい気持ちを抱きながらこなたをベット誘い
何も知らないこなたは何の疑いも無くそれを承諾した。

「あ、それじゃあこなちゃんの為に用意してたお布団私が使うから、私もこの部屋で一緒に寝ていい?」
「おお〜 大歓迎だよつかさ」
「さ、3人で一緒の部屋はちょっと狭くないか!?」
「別に私とかがみが一緒に寝るなら部屋の広さは変わらないよ」
「……分かったわよ」
二人っきりになる気満々だったかがみは当然のごとく異議を唱えるが
こなたの言葉に渋々了解する事となった。



『それじゃおやすみー』
電気を消して布団に入る3人。
……ほどなくしてこなたとつかさは安らかな寝息を立て出した。
「むにゃむにゃ……」
「すー すー」

「二人とも良く寝てるわね。……よし……」


二人が寝てるのを確認してこなたをそっと抱き寄せるかがみ。
するとこなたは無意識にギュっと抱きしめ返し、それがかがみをより一層興奮させた。
「こなた……」
こなたへの気持ちがあふれ出し歯止めが効かなくなってしまい
さっそく自分の手をゆっくりとこなたの胸に持って行こうとしたら……
1783/6:2008/10/18(土) 18:40:16 ID:41LokQVE
「はい、お姉ちゃんバンザーイ」
ガチャン!

つかさに突然腕を掴まれて頭の上に持っていかれると手錠を掛けられてしまった。
「つ、つかさ!? あんた寝てたんじゃないの!?」
「寝たふりしてただけだよお姉ちゃん。私に気が付かないなんてよっぽど必死だったんだね」
「くっ……いきなり何するのよっ」ガチャガチャ

思わず何とかして腕を動かそうと手錠をガチャガチャいわせながらもがくものの
かがみの両腕はバンザイの格好でしっかりとベットに繋がれてしまっており、自力で自由を取り戻すのは到底無理そうだった。
「つかさっ これ外しなさいよっ」
手錠を掛けられた瞬間は「何とかなるかも」と甘い考えでいたものの
予想以上の自由の効かない状態に今の自分状況をやっと理解し、焦った様子で声を上げるかがみ。
「ダァメ、こうでもしないとお姉ちゃん、こなちゃんを食べちゃうでしょ? 
 そういう事するならちゃんとこなちゃんに告白してOK貰ってからにしないとダメだよ」
「……っ……」

つかさは実は全てを見透かしていて、単なる悪戯では無くちゃんとした理由で自分を拘束したのを知り
かがみは強く言い返す事が出来ないでいた。


「でも……告白してももしダメだったら……」
「だからってこんな事したらその間だけはいい思いが出来ても、その後で100%こなちゃんに嫌われちゃうよ? 
 罰としてお姉ちゃんはしばらくそのまま反省してね。 それじゃおやすみー」
つかさはそう言い放つと手錠をそのままにしてそそくさと自分の布団に戻って行ってしまった。
「ちょ、つかさ!?」
こなたが寝てる手前大きい声を上げる事が出来ずに途方にくれるかがみ。

その時、無邪気な顔をしたこなたがかがみに甘える様に抱きしめる力を強めて来た。
「う〜ん、もにゃもにゃ……かがみん暖か〜い」
「こ、こなたぁ……」
無意識にとはいえ大好きなこなたがこれだけ無防備に体を重ねて来てくれてるのに
自分からは何も出来ないもどかしさがかがみを襲う。


「……ぁ……ふぁ………(スリスリ)」
こなたのいい匂いが鼻をくすぶり今度は自分のあそこが熱を帯びて来るものの、手を拘束された状態では
自分で弄る事も出来ずただひたすらに太ももを擦り合わせる事しか出来なかった。

「こなたの顔……かわいい……」
こうなったらせめてキスをしてやろうと必死にこなたの顔まで唇を持っていこうとするものの
こなたは自分の胸に顔を埋めているせいでせいぜいおでこまでしか届かない。

「ZZZ…… (ゴソゴソ)」
「……ひゃ…!?」
その時、こなたの膝がかがみのあそこに当たり、その刺激にかがみは思わず短い悲鳴を上げてしまった。
だがこなたはそれ以上の行動は起こす気配は無く、こなたに刺激されたという事実と
疼きが激しくなった自分の体に更に興奮させるものの、こちらからお返しをする事も
自身でその疼きを収める事も出来ず、今のかがみはただただ途方にくれるしかなかった。

「こ、こんなの嫌……グス……ヒック……」
こなたと自分の体……両方のもどかさが頂点に達し思わず涙を流してしまう。
1794/6:2008/10/18(土) 18:40:43 ID:41LokQVE
「お姉ちゃん、反省した?」
その時、先程布団にもぐりこんだ筈のつかさに声を掛けられる。
「つかさ……」
「ちょっと可愛そうだったけど、これはこなちゃんを襲おうとしたお姉ちゃんへの罰だったんだからね。
 今のお姉ちゃんは苦しくて辛いだろうけど、もしお姉ちゃんがこなちゃんを一方的に襲っちゃったら
 こなちゃんはもっと辛いよ」
そう言われて改めてこなたの顔を覗き見るかがみ。
こなたは自分を信頼仕切った様子で安らかな顔をして無邪気に抱きついて来ている。
そのこなたの信頼を裏切りそうになった事への罪悪感がここに来てやっとかがみの胸を打った。

「……ごめんなさい……」
つかさにだけでは無く眠っているこなたにもそう囁きかける。

「はい、よく出来ましたー。それじゃそんなお姉ちゃんにご褒美をあげるね」
つかさはそう言いながら布団に腰かけると、自分の手をそっとかがみのあそこに添えてきた。
「つ、つかさっ!?」
「お姉ちゃん、このままだと辛いんでしょ? 手が使えないお姉ちゃんの代わりに私がしてあげるから安心して」
「そ、そんな事するなら手錠を外しなさいよ」
「だぁめ、お姉ちゃんには一方的にされるのがどんな気持ちなのか教えてあげないとね」
そう言いながらつかさにパンツごとズボンを一気に下げられ顔を真っ赤にするかがみ。

「……っ」
その後濡れたあそこにつかさの手がそっと添えられ、慣れ親しんだ双子の妹にとはいえ
初めて自分以外の誰かに無抵抗な状態で性器を触られるという事実に、かがみの心の中を軽い恐怖心が駆け巡った。

だがその直後、つかさが空いてる方の手で優しくかがみの頭を撫でて来た。
つかさ「お姉ちゃん、乱暴な事は絶対にしないから安心して……」
ただ単に撫でてるだけではなくつかさの優しい気遣いが伝わって来て自然と安心感が生まれて来る。
皮肉にも大好きなこなたに抱き付かれている事も恐怖心を和らげる一因となった。

「お姉ちゃん、ちょっと辛いだろうけどこなちゃん起きちゃうから出来るだけ声は出さないでね」
「……う、うん」
「それじゃあ体の力を抜いて……全部私に任せて大丈夫だから……」

チュッチュッ……
「ふぁっ……ぁっ……」
「お姉ちゃん、少しでも痛くなったり怖くなってしまったりしたらすぐに私に言ってね」

……こうして本当に、本当に優しくつかさに弄られていくかがみだった。


1805/6:2008/10/18(土) 18:43:13 ID:41LokQVE
……………………………………………………………


「お姉ちゃん、どうだった?」
何とかこなたを起す事無く行為を済ませた後、かがみのあそこを丁寧に拭き取り新しいパンツとパジャマのズボンを
しっかりと履かせながらそう聞いてくるつかさ。
「うん……つかさが凄く優しくしてくれたおかげであんまり怖くなかった……」
「でもお姉ちゃんはこなちゃんに優しく出来たと思う? 狼さんみたいな怖い目をしてたよ?」
「う……」

「私だって本当は手錠で拘束されてもどかしそうにしてるお姉ちゃんがすっごく可愛いくて
 滅茶苦茶にしてあげたい気持ちもあったけんだど、お姉ちゃんの気持ちを考えると
 そんな事したらすっごく可哀想だから我慢したんだよ?」
「…………」


あれだけ優しくされてやっと怖い気持ちを抑えれたのに
血走った目で力任せにされたらどれだけ恐ろしいだろう。

そして自分は、つかさが妨害してくれなかったら実際にそれをこなたに実行してたのだ。

「つかさ……これは私を苦しめる道具じゃなくてこなたを守ってくれる道具だったのね……」
「……うん」
きっとこの手錠が無かったらかがみは欲望の赴くままこなたを穢して、下手すればこなたの心に二度と消えない
傷を作らせてしまったかもしれない。

カチャ
その時不意に両腕の拘束が解ける。
不思議に思い顔を上げると手錠を外して笑顔で微笑みかけて来るつかさがいた。
「今のお姉ちゃんならもうこれが無くても大丈夫だね」
「……ううん、ダメ」
だがかがみはあえてそれを否定した。

今は絶頂を迎えた直後でスッキリしてる為冷静でいられてるが
しばらくしてまたムラムラしてきたら欲望に耐えられる保障はどこにもない。

「今の私はまだつかさほど心が強くないから、頭では分かっていてもこんな無防備なこなたに抱き付かれていると
 欲望に負けてしまうかもしれない……
 悔しいけどこなたに安心して眠って貰うにはまだそれが必要よ……つかさ、お願い……」

「そっか……でも正直に言えただけでも大したものだよ。
 ……いつかちゃんとこなちゃんと寝れる様になれたらいいね」

ガチャンッ

そう言いつつ慈愛に満ちた顔で、自らバンザイしたかがみの腕に再びしっかりと手錠をかけるつかさだった。
1815/6:2008/10/18(土) 18:43:40 ID:41LokQVE
翌朝

カチャカチャッ

「う〜、むにゃ?」
「こ、こなたが起きるっ つかさ、速くっ」
「う、うん、(ガチャ) よし、取れたよ」

「ふぁ……二人ともおはよ〜」
「お、おはようこなた」
「ギ、ギリギリセーフ……」

目を覚ましたこなたが一番最初に見たものは
何やら挙動不審な様子でいる双子だった。

「二人ともどうかしたの?」
「な、何もないわよっ」
「あ、あはは、私着替えてくるね」

何やら慌てた様子で部屋を出て行くつかさの荷物から
何故かガチャガチャと音がしたが、幸いこなたは特に気に留めなかった。

「ぬぉっ! 私ってば思いっきりかがみ抱きついてるじゃん! さすがは私だね〜」
「そうね……昨晩は大変だったわよ」
「それでも振り解かないかがみ萌え〜」
「まあ、(物理的に)振り解けなかったし……ぶっちゃげこなたに抱き付かれるのは
 そんなに嫌じゃなかったしね」
そう言いながら昨晩抱き締められなかった分、優しくかつしっかりとこなたを抱き締め返すかがみ。

「へ? かがみ、それって……」

「……こなた、朝一番にこんな事言うのも変かもしれないけど真剣に聞いて。
 実は私あなたの事が……」



こうして次のお泊り会の夜、道具を使う事無くこなたと幸せそうに体を重ねたかがみとこなたの表情は
凄く満ち足りたものだったという。

「かがみ……すっごく優しくしてくれるね……正直初めてで少し不安もあったけど
 かがみのおかげで全然平気だったよ」
「ふふっ、未熟な私にある子が相手を思いやる大切さを教えてくれたおかげよ」




終わり
18238-608:2008/10/18(土) 18:47:20 ID:41LokQVE
以上です。

描写が前作の『お仕置きプレイ』と似てる所ありますが申し訳ないですw

関係ないですが、賞味期限の食べ物には注意しましょうw
183ピンク色の眼鏡狼:2008/10/18(土) 19:32:29 ID:Blx6PqYu
はっ・・・危なく私のつかささんを強引に襲ってしまうところでしただばだば
優シクシマス、誓イマス。決シテ強引ニシタリシマセンだばだば
それはそうと>>182には限りないGJを!
そして私のつかささんには限りない愛を!

だからつかささん、ハヤクワタシノココロニキヅイテクダサイ・・・
184名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 20:02:28 ID:HPrTf5EW
>>182
GJ ! オオカミかがみと無邪気こなた、そして天使なつかさ、美味しゅうございました
しかーし ! なぜこなたとかがみの初夜を書かなかったのかー!
と言うわけで、続編書いてくれw

>>183
み○きさん落ち着いて ! 出てる ! 鼻血出てるよww
185名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 22:06:50 ID:Aw63Lluj
GJ
つかさ手際がいいなw

好きな人を襲おうと思ったらいきなり拘束されて襲われるという
シチュエーションには大変萌えた(燃えた)が
こなたを目の前にしながらつかさにやられてしまうという
背徳的なシチュをもっとじっくり描写してほしかったかも
186名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 15:01:11 ID:iTD/C6q8
SSを投下させていただきます。
投下の前に少々説明を。

レズ・百合萌え板に『「あ、百合」と呟いた瞬間』というスレッドがありまして、
自分が遭遇した百合な目撃談、あるいは体験談を語るというスレで
過疎板の中にあってなかなか賑わっています。
ちなみにこのスレで「あ、百合」と呟くような出来事に遭遇することを「あゆる」と言います。
今回のSSはそのスレッドのログという形式をとらせていただきまして、
小説ではありません。ちなみに名無しさんのリアクションなどはそのスレで
実際にあったものを参考にさせてもらっていますが、このSSはフィクションです。

ずいぶんと長くなってしまいましたが、
・非エロ
・5レス
・「>>」は保管庫では使えないので「≫」で代用させていただきました
187「あ、百合」と呟いた瞬間 1/5:2008/10/19(日) 15:02:25 ID:iTD/C6q8
484 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/13(木) 20:20:15 ID:HIy0lyn/
クラスメートがあ、百合っス。

A 背が小さくて可愛い小動物系。病弱でよく保健室のお世話になってる
B 背が高くてスレンダー。無口でクール系。

AとBはいつも一緒にいる。離れてる時はないんじゃないかってくらい。
教室に来たときは大抵真っ先に互いに話かけてる。
Bは見た目怖くてとっつきにくいんだけどAには心を開いてるみたいで
Aと一緒のときだけはいい笑顔を見せてくれる

保健委員のBがAを保健室に連れていくたびに「あ、百合」って呟いてる
この二人が友達になったきっかけは入試のときにBが具合が悪くなったAを助けたことだとか。

485 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/13(木) 20:32:22 ID:gJArkCF1
クラスメートってことは高校生か
ここは21歳未満禁止だぞ

486 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/14(金) 20:52:02 ID:tD+JryyI
≫484
BがAをお姫様抱っこして颯爽と保健室に連れて行く図が頭に浮かんだw

≫485
きっと大学のクラスなんだよ

487 :484:2007/09/14(金) 21:04:36 ID:HIy0lyn/
≫485
サーセンwwww

≫486
お姫様抱っこは流石にないけどAと二人で話してた時にAが
「Bが保健委員になったのは私のためだと思う」って話してて
もちろん心の中で「あ、百合」って呟いたw

488 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/14(金) 21:11:33 ID:46vbH2NR
>「Bが保健委員になったのは私のためだと思う」
なんでAがそう思ったのかkwsk

≫486
大学に保健委員はねーよwww

489 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/14(金) 21:27:31 ID:kUGasnDr
Aもあゆってたに違いない

490 :484:2007/09/14(金) 21:41:41 ID:HIy0lyn/
≫489
委員会を決めるときにBが委員長に推薦されたんだけど、それを断って保健委員に立候補してた
そのときAの方をちらっと見たらしいっス(A談)

491 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/14(金) 21:54:40 ID:KTfsoRNR
それ「あ、ガチ」じゃね
188「あ、百合」と呟いた瞬間 2/5:2008/10/19(日) 15:03:27 ID:iTD/C6q8
532 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 18:46:13 ID:NeMzuclL
百合の宝庫といえばやっぱ祭りでしょう!
地元の夏祭りとかもそうだし、
この前後輩からお呼びがかかって母校の文化祭行ってきたら
JK百合の宝庫だったよ…若いっていいわぁ

533 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 19:23:40 ID:MB0NPZ4U
ですよねーww 素でキャラキャラと可愛いのがキャッキャウフフしてるもんね

534 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 19:51:20 ID:tAMRaHYR
夏祭りで思い出した自分は≫484

Bの家の近くで花火大会があってAを含めて友達と一緒に見に行ったんだけど
Aが体調をくずしちゃってBに膝枕されてた
あのときは私の頭の中で花火があがってたっスよwwww
花火が終わって私達が合流したとき二人とも残念そうだった気がする

535 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 20:02:06 ID:Jm6fKnrB
BはAを膝枕しながら睦み合ってたんでしょうね
二人だけの世界に入ってたんですよ、きっと

536 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 20:22:31 ID:N6TA3IHd
そこで空気に徹しきれないようではあゆらーとして未熟だな

537 :484:2007/09/24(月) 20:31:04 ID:tAMRaHYR
≫536
もっと空気化の技術を磨くことにするっス

≫535
あのときは本当に二人の世界だった
何故か蚊も近寄ってこなかったw

また思い出したけどその花火大会に行こうって話をしたときがあゆりだった。
今までAはBのことを苗字+さんで呼んでて
A「結構有名な花火大会なんだよね……○○(Bの苗字)さん」
って感じで名前で呼ぼうとしてそれができないみたいだった。
そこで花火大会の話をしてて
私「でも場所遠いし有名だから人来るでしょ?Aちゃん大丈夫なの?」
A「ううん、私のことは気にしなくていいから。いつものことだし」
ここですかさずBが
B「保健委員の私がついてるから大丈夫だよ、A」
A「そうだよね……ありがとう、Bちゃん」
あのときのAはほんと嬉しそうだったなぁ

538 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 20:50:40 ID:CqHgrW8E
≫537
B男前だな

539 :名無しさん@秘密の花園:2007/09/24(月) 21:02:31 ID:qH11gIjA
≫537
なんという空気の読める蚊ww
189「あ、百合」と呟いた瞬間 3/5:2008/10/19(日) 15:04:44 ID:iTD/C6q8
585 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/02(火) 20:35:18 ID:mINAyUta
ども、≫484っス

Aが風邪引いてお見舞いに行ってきた。
Aのお姉さんが迎えてくれたんだけど、「Bちゃんには感謝してるよ」だってさ。
「Bちゃんのことよく話題に出るし、学校が楽しくて仕方ないんじゃないかな」
ってしきりに話してた。あのときは私は見事に空気だったよorz

お見舞いの中でどんな流れだったか忘れたけど、
Bは胸がないのを気にしてて、揉めば大きくなるよって話になった。
その最中私の頭の中で
A「ほ、本当にいいの?Bちゃん」
B「こんなコトAの他に頼める人いないから――」
っていう妄想が繰り広げられてたっス
自重しろ私ー!

でも今度の同人誌ではそのネタ使わせてもらおうかな

586 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/02(火) 20:53:54 ID:sFUSvVWu
≫585
同人作家かよwwwww
サークル名と本のタイトルをkwsk

587 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/02(火) 21:25:48 ID:0Jyu86JR
≫585
そんなところで空気力を使わんでもw

588 :484:2007/10/02(火) 21:28:15 ID:mINAyUta
≫586
ここじゃ言えないっスww
同人のネタは欲しいけど友達をダシにするのはよくないっスね
でも友情と百合を天秤にかけてる私ってorz

589 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/02(火) 22:07:45 ID:IUGaInAs
そりゃそうだろうなあ
友情と百合のどっちをとるかなんて分かりきったことだもんな










百合に決まってるだろ!

590 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/02(火) 22:21:54 ID:0farIHX/
≫589
おまwwww
190「あ、百合」と呟いた瞬間 4/5:2008/10/19(日) 15:05:46 ID:iTD/C6q8
641 :484:2007/10/11(木) 17:56:49 ID:UTa/MYnA
Aに私の書いた同人誌を見られたorz
しかもよりによってAとBをモデルにしたやつorz

642 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 18:36:29 ID:RK6eklm0
≫641
ちょwwwおまwwwww

643 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 18:49:20 ID:gfZkriWG
≫641
うわ、同じ同人作家として笑えない・・・・
見られた経緯とAのリアクションはどうだった?

644 :484:2007/10/11(木) 19:17:15 ID:UTa/MYnA
≫643
Aと同居してる従姉(学校の先輩でオタク)が私の本を持ってて
やめてって言ったのにAに読ませたらしいorz
Aは「いい話だったよ」って言ってくれたけど顔が赤くなってた。
自分たちがモデルになってるって勘付いてるっぽくて死にたくなってきたっスorz

645 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 19:28:33 ID:gfZkriWG
≫644
従姉さん自重しろ・・・
Aと気まずくならないといいね

646 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 20:20:19 ID:/xKs2YUL
Aが484の百合漫画を読んで百合に目覚めてくれると期待

647 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 20:29:48 ID:JCKUd1KV
≫646
何言ってるんだ
とっくに目覚めてるだろ

648 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 23:08:23 ID:5Ljn+07f
私の友達が怪しいです。
私はオタクで彼女もオタクなのでよく一緒にいるのですが、
二人組みの女の子を見ては「あの二人怪しいよね」とよく言ってます。
私は彼女のこと好きなので告白したいと思いますが上手くいくでしょうか?

649 :484:2007/10/11(木) 23:19:09 ID:UTa/MYnA
≫645
私もしばらく自重します……

≫648
絶対いけるっス!押し倒しておk

650 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 23:35:09 ID:mN9D9Okf
≫649
おまwww自重してねえwwww

≫648
マジレスすると、好きならちゃんと気持ちを伝えるべき。押し倒すなんて論外。
百合好きの女性でも本人はノンケっていうことはよくあるから、行動に出るんなら
その辺のことちゃんと確かめてから。
本格的に相談したいんならスレ違い。
191「あ、百合」と呟いた瞬間 5/5:2008/10/19(日) 15:07:11 ID:iTD/C6q8
655 :648:2007/10/12(金) 23:34:54 ID:blF0FGmn
今日クラスメイトの家で告白して来ました。
最初は普通に遊んでてネットをやっていて彼女もこのスレの住人でした。
というより最初からわかってて釜をかけました。
私もこのスレの住人だと言って告白して
彼女が押し倒してもいいと言っていたので強引に押し倒しました。
彼女は妄想が大好きですが経験がなかったみたいで私にされるがままでした。
口では抵抗しててもちゃんと感じてて、とても可愛かったです。
その後でちゃんと話し合いをして、私達は付き合うことになりました。
今日は止まることになって彼女のパソコンから書き込んでます。

656 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/12(金) 23:37:53 ID:3OtLyXHc
おめでとう!ガチでおめでとう!
しかしなんて早い展開なんだw

657 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/12(金) 23:45:44 ID:d/8bHgZS
≫655
強引にやっちゃったのはまずいかもしれませんが結果オーライですね
これからしっかり愛を確かめ合ってくださいね

≫656
このスレ的には早い展開ですが≫648さんはずっと悩んできたのかもしれませんよ

658 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/12(金) 23:52:37 ID:3UUyssHa
あゆりカップルかよ!w
これからも街中でいちゃついたりしてあゆりを振りまくようにw

659 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/13(土) 00:07:37 ID:SSLG+e8C
おめでとう。強引にってどのくらい強引なのか気になるな。

あと重箱の隅だけど、正しくは「鎌をかける」な。
「釜をかける」は茶の湯を催すっていう意味だから。

660 :648:2007/10/13(土) 00:14:56 ID:PAtrICiA
≫659
「○○のこと好きです」って言った後有無を言わさずキスしてベッドに押し倒しました。
今彼女は体中にキスマークがついています。
これ以上はスレ違いなのでやめておきますね。

>釜をかける
すいません。私はアメリカ人の留学生で日本語は勉強中なので漢字の使い方は変換に頼ってます。
喋るのは片言しかできないので、告白したときも片言でした。
オタク文化の勉強のために日本に来たのですが彼女のために永住しようと考えてます。

住人の皆さん、私の話に付き合って頂いてありがとうございました。



1923-283:2008/10/19(日) 15:10:06 ID:iTD/C6q8
かなり変則的な形式で書かせていただきました。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。

あるゲームのスレで普通に話していた人が実はアメリカ人だったということがあって、
言われるまでまったく違和感なく、しかもその人は20行以上にわたる縦読みで
感想を書き込んでいました。
(そのゲームは自身で日本語を使えないと内容が理解できないものでした)
それが元で今回のオチを思いついたものです。
193名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 15:36:26 ID:HT3jU+Dz
>>192
なんという斜め上展開!2chで始まるドラマここにあり!GJ!


661 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/13(土) 20:40:04 ID:dATEva3s
≫537、≫585
フッ、あめーなおめぇ。
もっとあたしくらいに、背景に溶け込める位でないと空気とはいえないんだZE!
まぁそのおかげで、意中のクラスメートにすら、ほっとかれる始末だけどなーorz

662 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/13(土) 21:13:43 ID:tUndmIKO
≫660さん
おめでとう、同じ悩みを抱えている者として、心から祝福させてもらいます。
貴方のお陰で勇気が湧きました。私も明日、
告白します。
押し倒します。
有無を言わさない予定です。

663 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/13(土) 21:27:12 ID:AhOgeOta
≫662
だから、これ以上はスレ違いでしょう・・・
まあマジレスするなら、≫650の通りになるよね。
押し倒すのは論外だからね、告白して相手の同意をちゃんと確かめようね!

フゥ、何か分からないけど力説しちゃったよ・・・
さっきから感じる寒気のせいかな・・・
194名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 15:49:43 ID:dHwzWDkS
>>192
ひより自ら導火線に火をつけたwwwwww
195名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 16:09:38 ID:8HsbxfwZ
>>192
まさに意外。つーか660はあいつかwww

670 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/14(日) 19:51:31 ID:sDjtAL7e
そう言えば、≫662はどうなったんだろうか。あゆりカップルがまた生まれるのか?

671 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/14(日) 20:04:55 ID:E8ngdKmu
スレ違いの話題になるからもうやめた方がいい

672 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/14(日) 21:36:22 ID:Knt1Ju3aH
ううっ、もうお嫁にいけない……

知り合いであゆり……というか実体験なんだけど。
私の知り合いで『これぞツンデレっ!』みたいな感じの子(高校のクラスは別だったがよく遊んでた)がいて、
久しぶりに会ったら、その日は何でか知らないけど凄くしおらしくて。
『どうしたの?いつもの○○(その子の名前)らしくないじゃん』って言ったら……

突然抱きついて、『あたし、あんたのことが大好きなのっ!』と大声で告白されちゃいました。

その後にしばし固まった後に、『あー、その……友達としてよ?友達として』と顔を赤くしながら離れて言ったんです。
ここまでなら、まあ笑って過ごせる範囲なんだけど……
私が笑顔で『うん、私も○○の事、大好きだよ』と満面の笑顔で言ったのがまずかったのか。
彼女は突然『××(私の名前)〜〜〜っ!!』と叫びながらルパンダイブして……あうぅ……
有無を言わさず、襲われてしまいました……

673 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/14(日) 21:54:43 ID:kK6MayR
≫672
うわっ……
196名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 17:06:44 ID:1IBAZa7v
>>195
かがみwwwwww自重wwwww
197名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 17:49:23 ID:OuJQbAWF
>>192
その形式のssは昔別の場所で書いたことがあったが…これは素晴らしい!
ナイス「あゆり」でしたッ!


682 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 19:54:43 ID:Z93rwCKvO
初めて見に来ました。なんだか良く分からないけど、そんな雰囲気の人が学校に居ます。
私、体が弱くてよく保健室に行くのですが、そこにいつも休み時間になると生物の先生が来るんです。

保健の先生は、その生物の先生のためにお弁当を用意していたりして、傍から見ると夫婦にしか見えません。

683 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 21:03:02 ID:Ym3cQkb20
》682
禁断の関係キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
詳細kwsk!!

684 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 21:21:21 ID:sndu42rzq
まだだ、まだ慌てる様なくぁwせdrftgyふじこlp;

685 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 21:40:12 ID:dLtoQq4U0
》684
IDが仙道。@投稿時間が神
》682
オラすっげぇwkwkしてきたぞ!

686 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 21:54:59 ID:Z93rwCKvO
詳細…ですか。
うーん。明日のお昼休み初めから保健室のベットに潜り込んで一部始終聞いてきますね。

687 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 22:05:29 ID:sndu42rzq
》686
任せたぞスネーク!明日のこの時間まで全裸で待ってるからな!
198名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 18:19:49 ID:9ATygKGo
これはいいリレーSSw
199名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 18:44:11 ID:/Hk4wbOk
ちょwwww1年ズとこなたとみさきちがスレ住人かよwwwww
200名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 20:51:43 ID:8CqwaINM
>>192 GJ
というかその後の流れになおワロタw


690 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 22:48:57 ID:3wikTKRi
≫672
そういう時は逆に考えるんです。もうあなたはその彼女のお嫁さんになったのですから
改めて嫁入りする必要はないと。
≫686
では私は鼻血を垂れ流しながら待っていますね

691 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 22:48:57 ID:t5BmIkos
私のお姉ちゃんが女友達と付き合い始めちゃったんだけど、ここ見てると結構普通のこと
なのかなーって思えてくるよ。
≫686
全裸で待ってたら風邪ひいちゃうよw

692 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 22:53:22 ID:t5BmIkos
まちがった……
≫686じゃなくて≫687だったorz

693 :名無しさん@秘密の花園:2007/10/15(月) 23:10:17 ID:jArIuGVo
≫690-691
投稿時間wもう二人であゆってればいいよw
201名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 21:14:33 ID:aCsmVgfk
>>192
うお、そういうオチで来たか。
言いたい事はいっぱいあるけど、全部、他の人に レスの形でレスされてしまったw
202名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 21:31:23 ID:CKxq4y4U
>>192
これは良いスレッドログ! 思わぬ形で満願成就の「660ちゃん」ににやりとしました。
なまじ匿名の分、他にもあの面子で住人がいるんじゃないかと妄想も広がります。
GJでございました!
203名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 21:59:02 ID:Ix5zJMYV
なんか知らないけど今日は盛り上がってるなwww
204名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 00:36:35 ID:faLDD1Il
>>202
既に気がついてると思うけど、SS内のIDをよく見ると……
20552-426(仮):2008/10/20(月) 01:54:33 ID:Qq32BkzA
なんとか出来たので、投下します。
今回の名探偵みWikiさんは、オリジナルです。
まぁ、ちょっとギャグマンガ日和の後が残っていますが……

・エロ無し
・いじめ要素あり
・キャラ全壊
・7-896氏のリクエストにお応えしました
・犯罪要素あり

誰もいなければ5分後に投下します。
毎度のことですが、パソコントラブって、投下が中途半端になってしまい、
迷惑かけないかなぁと毎回ドキドキしてます。
206名探偵だぜ!みWikiさん1/6:2008/10/20(月) 02:00:41 ID:Qq32BkzA
※書き忘れました。6レス使います。

名探偵だぜ!みWikiさん

みゆき「はーい♪」
みゆきさんは陵辱学園後頭部の優等生でありながら、名探偵だよ。
52-426(仮)作品で、全裸になるのは『全裸☆みゆき』という新ジャンルを築き上げようと
しているからだよ。
みゆき「H&K MARK23とは、45ACP弾を使うハンドガンです。日本風に言うと、
    ソーコムピストルと言ったほうが有名ですね。まぁ、実際にはそうやって呼ばれず
    Mk.23 MODOと呼ばれているらしいです。装弾数12+1発、状況によって
    サイレンサーが着脱でき、悪条件下でも性能に支障を来さない耐久性(以下略)」



  プールで大事件!
こなたたちの学校で、プールの授業が導入され、B組とC組の合同体育が行われた。
今日もまた、事件が起こる……。
こなた「いやぁ〜プール気持ちよかったねぇ」
かがみ「そうね。私は昨日違う意味で気持ちよかったけどね」
こなた「ぬふふ、つかさのスク水姿は、萌えるねぇ〜♪
    水泳帽子も、萌えポイントを狙っているね」
つかさ「こ、こなちゃんやめてよぉ」
みゆき「ふふ♪そうですね、つかささん。可愛かったですよ♪」
こなた「みゆきさんは、スク水を忘れてきちゃったから全裸で泳いだんだよね。
    ほんとドジっ娘だねぇ」
みゆき「えぇ、うっかりしてしまいまして……」
こなた「う〜ん、巨乳のスク水なんて見てみたかったけど、ちょっと残念だなぁ」
かがみ「やれやれ……」
こなた「そういえばかがみも、着替え中にけっこう慌ててたね」
かがみ「まぁね。実は、水泳帽子の忘れ物をしちゃって、代わりを探すのが
    大変だったのよ」
こなた「ところでさ、プールで口一杯に水を含んで、飲み込んだことある?」
かがみ「そんなことあるわけないじゃない」
みゆき「そうですね。衛生上飲むというのは、やめたほうが体にいいと思います」
つかさ「中学の頃、なぜか一部分だけ濁っていたこともあって、ちょっと気持ち悪かったなぁ〜」
こなた「うん。そうだよね。汚いよね。うん……。ばっちいよね……
    もしかしたら、誰かがこっそりおもらしした、ということもあるしね……」
かがみ「どうしたのよ?」
こなた「うん……、これね、作者の実話……」
かがみ「……」
つかさ「……」
みゆき「……」
52-426(仮)←(思い出して吐き気がしたので、トイレに向かった)
こなた「さ、着替えよっか。次の授業に間に合わないよ」
かがみ「そうね」
つかさ「いそごっか」
207名探偵だぜ!みWikiさん2/6:2008/10/20(月) 02:01:50 ID:Qq32BkzA
みゆき「私は体を拭いて制服を着ればいいだけなので、お先に失礼します」
みゆきは、体を拭いて制服にすばやく着替え、更衣室を出ようとしたその時、
悲鳴が更衣室に響いた。
こなた「うにゃぁぁぁぁぁ」
みゆき「ど、どうしたんですか泉さん!?」
みゆきが振り返ると、涙目になったこなたがすんすん泣いている。
こなた「み、みゆきさぁん……どうしよう……」
つかさ「ゆきちゃん大変だよ!こなちゃんのパンツが無くなってしまったんだよ!
    えぇと、色は白で、赤いリボンが付いているパンツで……」
かがみ「なんですって!?こなた、ちゃんと隅々まで探したの?」
こなた「う、うん……探したけど……ぐすっ、本当に無いよぉ……」
かがみ「じゃぁ盗まれたってこと……!?ねぇこなた。替えのパンツとか持ってきてない?」
こなた「忘れてきちゃったんだよ……。どうしよう、どうしよう……うぅ……
    ジャージも持ってきてないし、もしスカートとかめくれて……ひっくっ……
    ぐすっ……誰かに見られたら……もう学校に行けないよぉ……うえぇぇぇぇん」
かがみ「ひどい……!悪質ないたずらじゃない!だれよ、こんなことをやったのは!
    って、あぁ!!」
みゆき「優 優」
かがみ(みゆきの目つきが優しくなった!!これはオーガズム、じゃない、インスピレーションが
    働いたときになる7-896氏の『優しい目をしたみゆきさん』だわ!
    っていうか、7-896氏、つたないSSを読んでいただき、ありがとうございます!
    この特徴から『名探偵だぞえ!みWikiさん』では別名『トラウマブレイカー』と
    呼ばれている……!さすがみゆきね、体育で疲れたあとだというのに、もう犯人に
    目星をつけたのね――!)
みゆきの視線の先には――
かがみ「みゆき!犯人は一体だれなの!?」
水泳帽子ではなく、白色で赤いリボンがついているパンツをかぶっているかがみだった。


ゆい「さ、行こっか」
かがみ「……」



   みゆきさん、悪質ないじめっこと戦う!
こなた「ふんふふふーん。ふんふーんふんふーんふふふふん、ふふふんふふふふん」
つかさ「こなちゃん。それってQUEENの『Killer Queen』だよね?
    確か『Shi's Killer Queen Gunpowder,Gelatine…』ってところだよね」
こなた「鼻歌だけでよく分かったね。つかさ」
つかさ「えへへ。実は私、大のQUEENファンなんだ♪
    日本でライブが行われたときは、絶対に行くんだよ。
    ポール・ロジャーズがメンバーに加わったことには賛否両論が分かれたけど、
    私的には声がいいから賛成派だな〜」
こなた「妙に詳しいね。っていうか、そんな設定初耳だよ」
つかさ「えへへ」
208名探偵だぜ!みWikiさん3/6:2008/10/20(月) 02:02:49 ID:Qq32BkzA
いつもと変わらぬ日常。しかし、こなたが世界史のノートを広げたときに、
日常は変わってしまった……
こなた「うにゃぁぁぁぁぁ」
みゆき「泉さん、どうしたんですか?」
かがみ「どうしたのよ、大声なんか出して」
こなた「み、みゆきさん……かがみん……」
こなたは机の上に世界史のノートを出した。
表紙には、『おたくうざい』『くさい』『ばか』『死ね』『はやく学校退学しろよ』といった
落書きが書かれていた。
かがみ「ちょ……!これって!!」
みゆき「ひどい……!」
かがみ「ちょっと!だれよこんな落書きなんかしたのは!!」
こなた「……か、かがみ、大丈夫だよ。うん。そうだよね。あはは……
    わたしって、女の癖に美少女ゲームとかやってたり、空気が読めなかったり、
    うん、私が悪いんだよ……
    うっ……ぐすっ……そうだ……よ……。わたしが、悪いんだよ……ひっくっ、ぐすっ……
    調子に乗ったりして……うっ……かがみ……たちに……ひくっ……迷惑かけてばかりで……
    ひっく……ぐすっ……うえぇぇぇぇん!」
こなたは、机に突っ伏して泣き始めた。
かがみ「こなた!こなたはなにも悪くないわ。悪いのはこんな落書きする人よ」
こなた「か……がみ……?迷惑じゃ、ない、の?」
かがみ「そんなことないわよ!だってあんたは、私の大切な友達だもん。いやだったら、最初から
    友達じゃないわよ。いいのよ、別に頼ったって。私は、あんたと一緒にいる時が
    楽しいんだから……!だから、そうやって自分を責めないで!」
こなた「う……かがみぃ……ありがとぉ……ぐすっ」
こなたは、かがみに抱きついてかがみの胸で泣き始めた。
まるで、お姉さんが小さな子供をあやすようにかがみはよしよしと言いながら頭を撫でた。
かがみ「犯人は、絶対みゆきが見つけてくれるわ。犯人を見つけたら、すぐに成実さんに通報して、
    速攻で逮捕よ!みゆき、お願いね!」
みゆき「分かってますよ。今のところ分かったのは、筆跡が全て同じというところです」
かがみ「それで?」
みゆき「つまり、たった一人でこのノートに落書きをしたということです。これから、内容を
    読んで調査に移ります」
みゆきは、ノートをパラパラとめくって、落書きの内容に目を通した。


このオタク娘が。うざいんだよ
便器で住んでんのか?くさいんだよ。消臭スプレーかけるぞ!
今度教室に来たら、蹴りいれてやるから覚えていろよ
毎回『うにゃぁぁぁぁぁ』ってなに?受け狙いのつもり?自分がかわいいと思ってんの?
自分の顔を鏡でみたら?ブスだってことが分かるから
早く死ねよ。葬式あげてやるからよ
死にたくなかったら、すぐに退学しろ!
二度と学校来んな。学校が汚れる。
こなたの家はここの女子トイレ!
209名探偵だぜ!みWikiさん4/6:2008/10/20(月) 02:03:58 ID:Qq32BkzA
ふざけんなよ調子にのんなよ。
消えろよ
死ね
男と抱いてるんだろ?イカ臭いんだよ
どうせバイト先なんて、エッチなことして金でも稼いでいるんだろ?
みゆきやつかさにベタベタひっつくな
なんで生きてるの?
練炭使って、部屋を閉めきれば死ねるらしいよ。
動脈切るのに必要なカミソリプレゼントしてやるぜ
もうお前は男となんか結婚すんな。臭いガキが生まれるだけだろ
隣のクラスのかがみと結婚でもしろよ
かがみはいい子だぞ
かがみはツインテールのツンデレ属性で、らき☆すたキャラでは人気者だぞ?
かがみ最高!
かがみは俺の嫁と言いたいところだが、お前が男と結婚して子供が生まれたら嫌だから、女同士で
付き合いな
かがみは将来有望だぞ。将来真っ暗のお前はかがみに付いていって、世話してやれよ。かがみは喜ぶぞ。
かがみんハァハァ(;´Д`)
かがみは普段は厳しいような女性だが、突然甘えんぼになったりするぞ
かがみをお前にあげるのは悔しいが、お前にならやる。
かがみとおまえの結婚式には呼んでくれ。
かがみはお前のことを好きらしいぜ?
早くかがみと付き合って、男と結婚するなんてことはよせ。
みゆきとつかさは俺たちの嫁だから、お前はかがみをずっと見ているんだ。
俺、お前とかがみとだったら、心から祝福してやるぜ。
かがみの胸は、意外にあるぞ。
かがみって、ラノベに詳しいから、バカなお前でも読める小説を紹介してくれると思うぞ。
かがみは、勉強に詳しいから、なんでも教えてくれるぞ。
かがみって、意外とセックスがうまいらしい。淫乱なお前でも、すっきりできるぜ。
日本では結婚は無理だから、かがみと一緒に外国にいって結婚してくれ。
二人の将来にカンパイ!
かが×こなばんざーい!
もっとこなたも、素直になってかがみに抱きついてみろ。
かがみはずっとお前のことを待っている。
エロパロスレ作品の中で、かがみとこなたのカップルはたくさんあるぞ
新婚旅行先は、かがみの大好きなハワイにでも行ったら?
こなたはかがみの嫁
かがみの魅力は、姉の風格が備わっている一方、時々甘えんぼになることである。
と、みんなが言っているので、早く私と付き合いなさいよ。こなた

みゆき「優 優」


ゆい「さ、行こっか」
かがみ「……」
210名探偵だぜ!みWikiさん5/6:2008/10/20(月) 02:05:38 ID:Qq32BkzA
   みゆきさん 『名探偵っスか!みWikiさん』の7-896氏のリクエストにお応えする!
7-896「名前出てて喜びのあまり家が爆裂した(^o^)三(^o^)
ゆいねーさんに捕まりたいっす。連行されるんば。」
みゆき「優 優」
7-896「ゆいねーさんに捕まりたいっす。連行されるんば。」
みゆき「優 優」
7-896「連行されるんば。」
みゆき「優 優」
7-896「連行されるんば。」
みゆき「優 優」
7-896「連行」
みゆき「優 優」




ユーイ「FBIのナルーミ・ユーイだ。こな☆フェチウィルスをばらまいたバイオテロの
    容疑で逮捕する。おとなしくついてこい」
7-896「……」

みゆき「ごめんなさい。間違えました」



   みゆきさん こなたを誘拐しようとした犯人と戦う!
みゆき「うぅ〜ん……やはり買うのは東京マルイのデザートイーグルか、コルトパイソン6インチでしょうか……」
みゆきは、趣味のガスガンを買おうと、街を歩いていた。
みゆき「M93Rもたまにはいいと思いますが……いや、ここはシグザウエルP226も
    捨てがたいですし……あら?これは、M1911A1コルトガバメントですか……
    よし、今日はこれにしましょう!」
こなた「うにゃぁぁぁぁぁ」
みゆきはガスガンを買おうとしたら、突然こなたの悲鳴が聞こえた。
こなた「みゆきさぁぁぁぁん!!」
みゆき「こ、これは……!?一体どうしたんですか、泉さん!?」
こなたの服装はボロボロで、服がやぶけておりピンクで可愛らしい下着が見え、それでいて鎖骨が
見えており(以下略)
こなた「うぅ……い、いきなり、誘拐されそうになって……ぐすっ」
みゆき「誘拐……!?」
こなた「それでね、覆面をかぶった大人三人と、顔は見てないけど、車の中にもう一人いてね……
    うえぇ……ひくっ……それでね、突然襲い掛かって、
    『大人しくしないと痛い目にあわせるぞ!』って言って来て……ぐすっ、
    私は必死に逃げてきて……ぐすん……すごい怖かったよぉ……!
    うえええぇぇぇぇぇぇん!!!!」
211名探偵だぜ!みWikiさん6/6:2008/10/20(月) 02:07:03 ID:Qq32BkzA
こなたは、よほど恐ろしい目にあったのか、みゆきに抱きついて泣き出した。
みゆき「ひどい事件ですね……!でももう大丈夫です。私がすぐに犯人を捜してみせますから。
    ほら、服を着てください」
みゆきは自分の服を脱ぎ、全裸になり、こなたに服を着せた。
みゆき「ほら、ここもケガしてますよ?」
みゆきは、自分の下着でこなたのケガした部分を当てた。
こなた「みゆきさぁん……ありがとう……」
みゆき「どういたしまして」
かがみ「おーっす。みゆきどうしたの?」
かがみが、車に乗りながらやってきた。
みゆき「あ、かがみさん。泉さんが誘拐されかけたらしいんです」
かがみ「なんですって……!?ひどい事件じゃない!」
みゆき「そうですね。大事にならない内に、私が事件を解決しておきますから」
かがみ「私も、協力するわ!」
みゆき「ありがとうございます。ところで、かがみさん。どこかに行くのですか?」
かがみ「うん。今晩の夕食を買いに行こうと四人で出かけているのよ」
かがみの乗っている窓が開いて、中が見えるようになった。
みき「あら、みゆきちゃん。こんにちは」
いのり「こんにちは〜」
まつり「ちわ〜」
そこにいた三人は、覆面をかぶっていた。
みゆき「優 優」


ゆい「さ、行こっか」
みき「……」
かがみ「……」
いのり「……」
まつり「……」
みゆき「あのう……何で私まで……」
ゆい「わいせつ行為でついでに」


おしまい
21252-426(仮):2008/10/20(月) 02:08:02 ID:Qq32BkzA
以上です。

書いてる途中ふと思った疑問が二つあります(陵桜学園桜藤祭のネタバレ要素あり)。

・ななこミニシナリオで、(嘘で)付き合っている男性の名前でゆいの旦那を使ったが、
 ゆいが結婚しているという事実を知ったのはいつだろう?少なくとも、原作では
 気づいた様子は無いと思うが……?

・水泳の授業があったのか、スク水に着替え中の四人。
 こなただけスク水で他はそれぞれの水着を着ているのであれば、海水浴等に行ったという
 解釈ができるのだが、1巻P65でこなたが「なんで学校の授業で水泳が無いんだろう」と
 ぼやいていたとすれば、なぜ四人はスク水に着替えていたのだろうか?
 三年生から水泳の授業が行われたのだろうか?
21352-426(仮):2008/10/20(月) 02:16:31 ID:Qq32BkzA
訂正。
誤)かがみの乗っている窓が開いて、中が見えるようになった。
       ↓
正)かがみの乗っている車の窓が開いて、中が見えるようになった。
214名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 03:09:45 ID:lRP4s3wm
GJ!自分も連行されたいであります!
215名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 04:06:26 ID:mEV+SCuZ
GJ!自分もでありますSir!
刑罰は、「みゆきさんの胸に挟まれて上から鼻血をぶっ掛けられる」で決まりでしょう。
男なら、電気死刑よりも確実に昇天できること間違いなしでありますSir!
21623-49:2008/10/20(月) 07:42:06 ID:wfA3Rx4s
どうもです
直接対決編、こなたパート後編、投下させてください
被りがないようでしたら五分後ぐらいから

・こなた→かがみ
・エロ無し
・11レス使用
217私は変わらない 1/11:2008/10/20(月) 07:46:54 ID:wfA3Rx4s
 
 ツンデレがいる。

「――勘違いしないで。そりゃ、私の言い方もマズかったけど、とにかく、誤解なのっ」
 一瞬の錯覚はやっぱり錯覚でしかなくて。
 この世界はやっぱり三次元でしかなくて。
「ただ、あいつらが……私とあんたが仲が良すぎて間に入れそうにないだとか、私らにはお互い
さえいれば恋人なんか必要ないだろうとか……」
「……」
 なのに私の目の前には。
 二次元にしか存在しないはずの、ツンデレがいる。
「べ、別に私はそんなのぜんぜん気にしてないのよっ? ただ、あんたはどう思うかな、って……
別に心配したわけじゃなくてっ、だから――」
「……」
 いや、ちょっと違うかな。
 これは、ツンデレというよりは。
「だから、つまり――ほら、あんただったらそんなの聞いたら、なに言い出すかわかったもんじゃ
ないじゃない? だから下手なリアクションをしないように釘を刺しとこうと思って……」
「……」
 そうだ。
 これは、このひとは。
「――あぁもうっ!! あんたも何か言いなさいよっ!!」
 かがみだ。
 私のよく知っている、柊かがみが、ここにいる。

「何かって……」
 まぁ、言いたいことはとりあえず一つしかないんだけど。
 言いたいというか、訊きたいというか。
「えっと……かがみ?」
「な、なによ」
「抱きしめて欲しいの?」
「そっ……!」
 あ、沸騰した。
「そんなこと言ってないわよっ!!」
「いや、言ったじゃん。思いっきり言ったじゃん」
「だっ、だからそれは――言い間違いよっ!」
 また、それ?
「だったらホントは何を言うつもりだったのさ」
「それは――だからっ! 今それを説明してんでしょうが! 黙って聞けよっ!」
「や、だって。何か言えって」
「うるさいっ!」
「……」
 なんか、もう。
 さらに支離滅裂になってる。さっきまで以上に言動が意味不明だ。
 だけど。
 わからないのに。かがみが何を言ってるのか、やっぱりさっぱりわからないのに。わからないという
 点ではさっきまでとまったく同じなのに、気持ちがぜんぜん違う。
 足元が砕け散りそうな不安も、泥が凍りついたみたいな胸のしこりも、まるで湧いてこない。
 きれいさっぱりなくなったってわけじゃなく、まだ少し引きずってはいるけど、新たに湧いてくることは
 なくなった。
「だから……つまり私は、釘を……――そう! それよ! あんたが噂を聞いたときにちゃんと対応
できるように! この件に対しての二人の認識を共通のものにしておこうと思ったのよ! そのため
にあんたがどう思うか聞きたいの!」
「はぁ……」
 いやそんな、「上手く誤魔化してやったぞ! これでどうだ!」みたいな顔で言われても。
218私は変わらない 2/11:2008/10/20(月) 07:47:49 ID:wfA3Rx4s
 って、あれ?
 なんか、わかる。
 かがみの考えてることが、言葉の裏に隠そうとしてることが、なんとなくわかる……気がする。
「……私が、どう思うか?」
 ちょっと試してみよう。
「そ、そうよ。答えて。正直に」
「さっき言ったよね? イヤだって」
「……」
 あ、落ち込んだ。
 予想通りの反応だ。
「ん〜……でも、」
 なら、こういう仕草をすれば、
「で、でも、なに?」
 やっぱり。ちょっと持ち直して、期待するような顔になった。
 その顔に向かって、ムフフと笑ってみる。
「かがみと、って部分だけは、ちょっと嬉しいかな」
「っ……!」
 おー、赤くなった赤くなった。
 となれば次に言ってくるのは、
「あ、あんたが――」
 そんなことばっか言うから変なウワサを……って、あら?
 来ない。
 震える唇をぎゅっと引き結んで、言いかけた何かを押しとどめて飲み込んで、かがみは私から
 顔を背けた。
「――すぅっ……、……はぁ……――」
 深呼吸。
 制服の胸のあたりを片手で握り締めて、上半身をフルに使って呼吸を整えてる。
 落ち着け、落ち着くんだ……と、自分に言い聞かせてる、みたいな。
 しばらくそうやってから、おもむろに顔を上げる。まだかなり赤いけど、真剣な顔。
「……それは、どういう意味?」
「どう、って……」
 戸惑う。
 また、ちょっとわからなくなった。
「真面目に、正直に答えて。それ聞いて私がどう思うとか、そんなこと考えなくていいから。ってか
また変な気を回したりしたら今度こそぶっとばす」
 強い口調。
 強い視線。
 なんとなく緩んでいた空気が、再び張り詰めたものへと戻っていく。
「え、えっと……」
「……」
「と……とりあえず、座っていい?」
 一旦逃げる。
 でもそれも「正直な気持ち」だ。かがみもさっき言ってたけど、立ったままじゃ喋りにくい。
「……そうね」
 少しだけ眉をしかめてかがみが言うのを受けて、なんとなくほっと息をついて、ベンチに座りなおす。
 さて……と、あれ?
 紅茶がない。
 慌てて首を巡らせて――すぐに見つけた。地面に落ちてる。中身がぶちまけられてる。
 いつの間に……
「ほら」
 と、目の前に緑色が突き出された。緑茶のペットボトルだ。
 顔を向けると、自分も座りなおしてたかがみが差し出してくれていた。
「あ、ありがと」
 素直に受け取って、ひとくち。
 まろやかな渋みがするりと喉に落ちていく。
 おいしい。
219私は変わらない 3/11:2008/10/20(月) 07:48:44 ID:wfA3Rx4s
 この銘柄を飲むのは初めてじゃないけど、こんなに美味しかったっけ。かがみがくれたからかな。
 って、そーいやこれ、間接キスだ。
「……」
 まぁ、どうってことないけど。
「――それで?」
「え?」
「どういう意味なの?」
「あ……あぁ、うん」
 そうだった。
 意味。
 ヘンなウワサを立てられるのはイヤだけど、それが「かがみと」って部分だけはちょっと嬉しい。
 さっき私が言った、その意味。発言の意図。
 それは……
「……面白い反応、してくれるかなって、思って……」
「……」
「い、いつものかがみみたいな……だってさっきまでのかがみ、ちょっと怖かったんだもん」
「……」
 なんで、何も言ってくれないの?
 ホントだよ? ウソなんか言ってないよ? それとも、こういう答えじゃ、だめなの?
「……はぁ……」
 ため息。
 心臓がきゅうっと締め上げられる。
「じゃあ、質問を変えるわ」
「え……?」

「あんた、私のこと、どう思ってるの?」

 喉が、詰まった。
 息ができない。
 日はすっかり落ちて、辺りはもうだいぶ暗いけど、至近に迫ったかがみの顔は、よく見えた。
 眉がきつく吊り上がっていて、口元は固く引き結ばれていて。
 だけど、ほんの少し、震えてた。
 緊張、してるんだ。かがみも。
 同じなんだ。私と。
「ぁ……」
 息が――できる。
 わかる。
 こういうとき、何を言うべきなのか。
 どんな答えが望まれているのか。
 でも、本当にそれを言っていいんだろうか。
 遠慮はいらない。気遣いもいらない。かがみはそう言ってくれたけど。
 この気持ちは、本当に言うべきことなのか。
 これを伝えるべき相手は、本当にかがみで合ってるのか。
 わからない。
 けど、たぶん。
 言えるのは、たぶん、今このときしか、ない。
「わたし、は……」
 口を開いた――――まさにその瞬間!



 ――みっ、みっ、みらくるっ、みっくるんるんっ♪



 ズコーっ!!
220私は変わらない 4/11:2008/10/20(月) 07:49:39 ID:wfA3Rx4s
 突如鳴り響いた調子っ外れな歌声に、冗談抜きでズッコけた!
「なにっ! いったいなにっ!?」
 いや私の携帯の着うたなんだけど!
 いったい誰なのこのタイミングで!
「……」
 ああああかがみも呆れてる。

 ――すーなーおぉに〜スキーとー、言ーえーなーいーキミーもー、ゆーうーきーをーだぁしーて〜♪

 うるさいよっ!!
 喧しい二つ折りのキカイをポケットから引っ張り出して、へし折らんばかりの勢いで開いてやると、
 液晶のディスプレイに表示されていたのは、
「……もしもし」
『ああ、こなた。なにやってるんだこんな時間まで。心配するじゃないか。遅くなるときは連絡入れろ
って、いつも言ってるだろう』
「……おとーさん……」
 だった。
『え? ……な、なんだ? どうした、こなた』
 私の発した、なんかドス黒い声に、スピーカーの向こうで戸惑う気配。
 息を限界まで吸い込んだ。

「――空気読んでよっ! せっかく良いムードだったのにっ!!」

 我ながら無茶を言う。
『はっ!? ちょ、ちょっと待てムードってなんだ! 誰かと一緒なのか!?』
「……。今日、遅くなるから」
『なっ……!? ま――待てこなた! 男か!? 男なのか!? お父さんそんなの認めな』
 ぶつんっ。
 終了ボタンを力の限りに押し込んで強引に通話を終わらせる。そのまま電源も切る。
 まったく。
 今度こそ誰からの着信も逃すまいと音量を最大にしといた結果がコレだよ。
「ちょ、ちょっとこなた」
「ん?」
「なに、やってんのよあんたは。おじさんなんでしょ? そんな言い方したら誤解しちゃうじゃない」
 誤解、か。
「いーんだよ。誤解させとけば」
 携帯をポケットにしまう。
 うん、誤解だ。
 だから助かった。
「いいわけないでしょ。――ああもう」
「いいんだってば」
 自分の携帯を取り出そうとするかがみを、そっと手で押さえる。
「それより、聞いて。返事するから」
「あ……」
 はっとして、かがみは素直に手を止めた。
 その顔をまっすぐに見つめながら、今度こそ正直な答えを、私は言った。
「かがみのこと、私は好きだよ」
「……!」
 吊り目が見開かれる。
 私はそれから目を逸らして、また正面を向く。顔を――反応を見ながらじゃ、この先は話しにくい。
「私さ、さっきまで様子がおかしかったでしょ」
 そうだ。今ならわかる。
 さっきまでの私はマトモじゃなかった。冷静なつもりで、でも決定的なところが狂ってた。
「……うん」
「それね、かがみと離れなきゃいけないって思ったからなんだよ。たぶん」
221私は変わらない 5/11:2008/10/20(月) 07:50:34 ID:wfA3Rx4s
 もう友だちじゃいられない。
 二度と寄りかかっちゃいけない。
 そんなことを思って、拗ねて、自棄になってた。かがみや他のみんなのことを考えているつもりで、
 だけど本当のところは何も信じられなくなって逃げ出そうとしてただけだったんだ。
 さらにはその反動なのかなんなのか、雰囲気に流されて間違ったことを口走りそうにもなったし。
「そのぐらい、かがみのことが好きなんだと思う」
 向き直る。
 かがみは息を呑んでいた。
 自然と微笑むことができた。
「でもね、安心していいよ。だからどうしろとか、そういうことは何も言わないから」
「え……?」
「好きは好きだけど、友だちとしての範囲内だから。付き合いたいとか、恋人になって欲しいとか、
そんなことは思ってない。私はかがみのこと、そんなふうには、見てないから」
 そう。
 それが本心。それが誤解。
 その証拠に、例えばこうして真正面から顔を見つめてても胸が高鳴ったりとかはしないし、唇に
 目を奪われたりってこともない。だからこそ、間接キスぐらいならどうってことなくできてしまう。
 セクハラまがいのスキンシップも、あくまで反応が面白いからやってるだけ。
 私が性的な意味で女の子に萌えるのは、やっぱり二次元限定でしかないんだ。
「……だったら、『私と』って部分が嬉しいってのは、なんなのよ」
 眉を寄せてかがみが訊く。
 それは――
「それは、正直よくわかんない。――ただ、」
「ただ?」
「うん。ただ、これが例えばつかさやみゆきさんとって話だったら、喜べなかったと思う」
 その違いはなんだろう。
 二人のことももちろん好きだけど、かがみに対するそれと、何が違うんだろう。
 方向性か、それとも度合いの問題か。
「私は、つまり……」
「うん?」
「つまりあんたから見て私は、つかさやみゆきとは別ってこと?」
「ん……そ、だね」
 やっぱりよくわかんないけど。
「かがみは、特別かな」
「……」
 かがみが顔をしかめる。難しそうに。
「そんな顔しないでよ。性的な意味でってわけじゃホントにないんだからさ」
「べ、別にそんな心配してないわよ。ただ……」
 目を逸らされた。
「ただ?」
「私も……たぶんなんだけど――その前に。お茶返して」
「あ、はい」
 そういえば借りっぱなしだった。差し出して、突き出してきた手に握らせる。
「ありがと」
「ちなみに間接キスになりますが、よろしいか?」
 試しにそんなことを言ってみる。けど、
「…………んなもん、今さら気にしないわよ」
 動揺はほとんど見られなかった。
 言葉どおり、そのままひとくち。動作が若干わざとらしいってゆーか、逆に見せ付けるように唇を
 突き出し気味にしてる感じがしないでもないけど。
「むぅ、つまんない」
「茶化すな。――ってゆーか、私も同じなのよ。たぶん」
「え?」
「だから、」
 また、ひとくち。
「私もあんたのことは、好きか嫌いかで言えば好きだけど、あんたと同じで変な意味じゃないってこと」
222私は変わらない 6/11:2008/10/20(月) 07:51:29 ID:wfA3Rx4s
「……。好きか嫌いかの二択なら、好き?」
「そうよ。悪い?」
「うん。悪い」
 思わず、といった感じで向き直ってくる。
 軽くショックを受けたような顔。
「好きか嫌いか、どーでもいーか。三択で答えて」
「んなっ……!?」
 ショックが重くなった。
 目を見開いたその顔に、ムフフと笑みを向けてやる。
「あーごめんごめん。ツンデレにはちとキビシー問題だったね」
「だから私はそんなんじゃないって!」
「じゃー答えて?」
「っ……!」
 あっさり引っ掛かった。
 うわ、なんか、やっぱ、楽しい。
「……嫌いじゃないし、どうでもよかったら今ここにいないわよ」
 苦虫を噛み潰したような顔で、背けて、ぼそぼそとかがみは答えた。
「むぅ……まぁいいでしょう」
「なんで偉そうだよ」
 腕を組んで反り返ってやると、ジト目で睨んできた。
 そしてため息。
「ってゆーかね、そんなことはわかってんのよ。問題なのはその先なの」
「先って?」
「だから――」
 吐いた分よりさらに大きく息を吸い込んで、かがみは再度、私の目を見据えてくる。
 真剣そのものの眼差し。
 だけど気圧されることは、もうなかった。
「私は……私も、あんたのことは普通に友だちだと思ってた。――つかさの、とかじゃないわよ?
最初はそうだったかも知れないけど、今は違うんだからね」
「……うん」
 うなずく。
 素直に、信じられた。
「……。でも、あいつらが噂してるのを聞いて、わかんなくなったのよ。私にとってあんたは、本当に
“ただの友だち”なのか、って」
 そういえばさっきから何度かそんなことを言ってた気がする。けどやっぱり、よくわからない。
「どういうこと?」
「例えば……他の、みゆきとか日下部とか峰岸とか相手なら、それで納得できるのよ。友だち――
ううん。親友、かな。でもあんたの場合はそうじゃなかった」
「私は、親友じゃない?」
「違くてっ。……別に、親友でもいいわよ。あんたさえ良ければ」
 ツンデレだ。
「ただ、それだけじゃない何かがある気がするの。ただし、れ、恋愛感情とかじゃないわよっ。それ
は何度も考えたし確認もしたから、間違いないわ」
 どもられると説得力ないんですが。
 ってゆーか、
「確認って、どうやって」
「……今もやってるわ。正面から顔見てもドキドキとかしないし、さっき教室で手とか握られたけど、
それも別に平気だった。恋愛感情だったらそれじゃ済まないでしょ?」
「……」
 なるほど。
 一概には言えないんじゃって気もするけど、私もそれはおんなじだしね。なんとなくわかった。
 でも、
「ええと、つまり……」
 声をこぼしつつ、思わず首を捻る。
223私は変わらない 7/11:2008/10/20(月) 07:52:29 ID:wfA3Rx4s
「それが何か、マズいの?」
「マズいってゆーか……つまり私は、私とあんたの関係を、はっきりと定義したいの」
 わかんないなぁ。
 言ってることはだいぶ理解できたけど、かがみが何にそこまでこだわってるのかが、いまいち
 ピンとこない。
「親友、じゃダメなの?」
「だから……」
 額に手を当てて、呻くようにため息。
「別にダメってわけじゃないけど、それだとみゆきとか日下部とか峰岸と一緒になっちゃうじゃない。
あんただけは、なんか違うのよ」
「そりゃ違うでしょ。私とその三人とじゃ、タイプがぜんぜん」
「それを言うなら三人ともそれぞれ違うでしょ。あんただけおかしな方向にズレてるの」
「おかしな方向って?」
「それがわからないから言ってんでしょうがっ」
 どうしろと。
「……意識しすぎなんじゃないの?」
「どういうことよ」
「だから、その――男子たち? ソレがヘンなウワサしてるの聞いたせいで、釣られてヘンに意識
しちゃってるだけなんじゃ、ってこと」
「……その可能性なら、私も考えたわよ」
「でも違った?」
「うん」
 頭を抱えたくなる。
 なんなんだ、それ。
「ってゆーか、あんたは気にならないの? あんたも似たようなもんなんでしょ?」
「ん? ……うん。かがみだけは特別だよ。でも、それで十分じゃない? 特別な親友」
「……でも、それじゃ……」
「なに?」
「…………それじゃ、困るのよ」
 わっかんないなぁ! もう!
 さっきまでとは別の意味で食い違ってる。なにかこう、根本的なところでズレがあるってゆーか。
 そーいやかがみって元もとは理系なんだよね。私たちと同じ組になりたいから文系選んだって
 だけで。その辺りが、関係してるのかな。
 なんてゆーかこー、数学的ってゆーか、方程式とか化学式みたいなものを人間関係にも適用
 しようとしてる、みたいな。冷たいってわけじゃなく、それがかがみなりの誠実さなんだろうけど。
 でも、だとしたら私じゃ力になれないよ。

「――ってかさ」
「うん?」
 私の声に、難しそうな顔がこちらに向く。
「別に今日中に答え出す必要とかないなら、続きは明日にしない? もう真っ暗だよ?」
「あっ……」
 そして慌てたように周囲に巡らせて、うなずいた。
「……そうね。ごめん」
「や、いいけど。――よっと」
 弾みをつけてベンチから立ち上がって、放ったらかしだった紅茶の缶を拾う。
 あーあ、ほとんどこぼれちゃってる。もったいない。せっかくかがみが買ってくれたのに。
 えっと……あれ? ゴミ箱がない。撤去されちゃったのかな?
 ま、いーや。どっか途中にあるだろう。
「……悪かったわね、ヘンなことに付き合わせて」
 自分も立ち上がりながら、ぽつりとこぼすようにかがみが言った。
「いいよ。必要だったんでしょ?」
「うん……」
 煮え切らない声だ。
 表情の方は、よくわからない。暗いし。
「ま、確かに解決しなかったけどさ」
 だから歩み寄った。
224私は変わらない 8/11:2008/10/20(月) 07:53:29 ID:wfA3Rx4s
「でもコレって、たぶんそんなすぐに答えが出るような問題じゃないと思うよ? だからとりあえず、
今日のところは問題の共有ができたってことで満足しとこーよ」
 そしてにっこりと笑いかけると、しかし目を逸らされてしまった。
「……そう、ね」
 むぅ。
 なんだろう。まだ何かあるのかな。そんな態度じゃまた不安になっちゃうよ。
「ねぇ、かがみ」
「ん……?」
「一つお願いがあるんだけど」
「……なに?」
 視線が戻ってきた。
 少し安心する。
 だけど、まだ足りない。
「目、閉じて?」
 言うと、かがみは一瞬きょとんとして、次にぎょっとなって、一歩下がった。
 思わず苦笑いだ。
「そんな警戒しないでよ。別にキスなんかしないからさ」
「そ、そんなこと思ってないわよ……でも、本当でしょうね」
「信じてってば」
「……分かったわよ」
 諦めたように息をついて、そして一歩下がった体勢のまま、かがみは目を閉じた。
 それを確認すると私は、まず空き缶とカバンをベンチに置きなおして、それから。

 抱きついた。

「!?」
 あったかい感触が小さく跳ねた。
「ちょっ……!」
「じっとして」
 三次元も捨てたもんじゃないね。
 こうして触れあって、温もりを感じることができるから。
「じっとしてじゃないわよっ。い、言い間違いって言ったでしょっ。私は別にこんなこと――」
「私がしたいから、だよ。――言ったでしょ? お願いだって」
「……っ」
 それほど力は込めてないから、振りほどこうと思えば簡単にできるはず。
 だけどかがみは、胸を大きく上下させながら、逆に身体の強張りを少しずつ解いていってくれた。
 嬉しい。
「ねぇ」
「……なによ」
「その、定義? はともかくとしてさ、つまり今までどおりでいいってことだよね? 私たち」
「……できれば自重して欲しいけどな、こういうことは」
「わかってる。人前じゃやらないようにするよ。……でも二人っきりのときなら、いいよね?」
「だっ――なんであんたはいちいちそういう言い方なのよっ!」
「ふひひっ、さーせん」
 ホントに、なんでだろうね。
 かがみに対する私の「好き」は、あくまで「友だちとして」の範囲内だけど、実はかなりボーダー
 ギリギリなのかも知れない。
 ちょっとした弾みで“許されざる側”に転がり落ちてしまうような、そんな危うい位置にいるのかも。

「――よっし! かがみ分補充かんりょー」
 手を下ろす。
 一歩離れて、ベンチから空き缶とカバンを拾い上げて――そうやって、両手をふさいだ。
「なんだよ私分って」
「別名ツンデレ分。現代人の必須栄養素の中でも最重要なものの一つだよ」
 そして歩き出す。
 公園の出口に向かって、ゆっくりと。
225私は変わらない 9/11:2008/10/20(月) 07:54:30 ID:wfA3Rx4s
「どうやらその『現代』とやらにはお前しか存在してないらしいな」
「オーケー、ツッコミ分も確保」
「……このやろう……」
 隣を歩きながら、額に手を当てて苛立たしげにかがみは呻く。
「てかさ、かがみ、顔赤いよ? ソノ気はないんじゃなかったの?」
「それはっ――そう、だけど……仕方ないでしょ、ああいうスキンシップとか、慣れてないんだから」
 二人で並んで公園を出る。
「そっか。ごめんね、私は慣れてるんだ。おとーさんがあんなだから」
 ――その、直前で。

「あ……」

 足が止まった。
 ほとんど自動的に、隣を見上げる。
「かがみ」
「な、なによ」
 かがみも、あと一歩ってところで、止まった。
「かがみは、私のことが普通に好きで、でも別に興奮したりとかはない、んだよね?」
「そうだけど……え? 急になに?」
 戸惑ってる。
 構うことなく私は続けた。
「私もそれはおんなじ。でも、会えなくなるとか、近くにいられなくなるとかはイヤ。できれば一生の
友だちでいたいと思ってる。――かがみは、どう?」
「それは……まぁ、否定はしないけど」
 戸惑いながらも、かがみは答えた。
 少し曖昧だけど、答えてくれた。
 だったら。
「だったら私、知ってるよ。それに近い関係を、なんて言うか」
 頬が緩む。
 かがみは目を見開いた。
「な、なに!? 教えて!」
 勢い込んでくる。
 期待に満ちたその姿に、ますます顔が緩む。気持ちが抑えられなくて、私はニンマリと笑った。
 人差し指を一本、立てた。

「夫婦」

 あ。
 なんか久しぶりかも知れない、この仕草。
「……」
「……」
「……はぁっ!?」
 あはっ、凄い顔。
 パースが狂ったみたいだ。
「つまりかがみは私のヨメってことだね!」
「いやちょっと待て。なに言ってんだ、なんでそうなる」
 引きつったようなしかめっ面で、早口で、かがみ。
 それをまぁまぁと制しつつ、私は話を続ける。
「最後まで聞いてよ。――うちってほら、お母さんいないじゃん」
「……」
 って、固まっちゃった。
 うぅん、やっぱコレ関係の話ってムダに重過ぎるよね。自分じゃ個性の一つぐらいにしか思って
 ないのに。テンション下がるなぁ。
「そんな顔しないでってば。単に、だからうちには夫婦ってものも存在しないってことだよ」
「…………じゃあなんで、そんなこと言えるのよ」
226私は変わらない 10/11:2008/10/20(月) 07:55:35 ID:wfA3Rx4s
「知らないから、考えてみたことがあるんだよ。ゆーちゃんの実家に遊びに行ったときに叔母さん
たちを観察してみたりとか。そしたらそんな結論が出たわけ。好きあってるけどがっついてなくて、
でも離れたくないと思ってる、って。かがみのトコもそんな感じじゃない?」
「それは……」
 お、揺らいだ。
 よぉしトドメだ。
「つまり私はかがみのヨメってことだね!」
「に、二回も言うな!」
 うわぁ、どうしよ。
 嬉しい。ってか楽しい。
 ニヤニヤが止まんない。
「そんなの――そんな、それは、なんか違うだろ! おかしいだろ!」
 この反応。
 これこそ、かがみだ。
「よおっし結論出たね。じゃー帰ろーっ」
 公園の外に、一歩、踏み出す。
「聞けよっ! ってか! お前やっぱりわかってないだろ!」
 そして歩き出すと。
 かがみも追いかけてきてくれる。
「そういうことばっか言うから――って! 待てっ! 待ちなさいよこなたっ!」
 名前を呼んでくれる。
「ほらかがみ、早くっ。帰り遅くなっちゃうよっ」
「だからっ! 待てって言ってんでしょうがっ!」
 私が呼ぶと、答えてくれる。
 それっぽっちのことが。
 すごく、嬉しい。

 やっぱり私は、危うい位置にいるらしい。

 ちょっとした弾みで“許されざる側”に転がり落ちてしまうような、そんな位置に。
 だけど実際に堕ちてしまうことは、きっとない。
 ボーダーギリギリの崖っぷちだけど、そこにはちゃんと柵があるから。
 たとえ全力で寄りかかっても、しっかりと受け止めて支えてくれる、優しくて誠実できれいな柵が。

「だってもうこんな真っ暗だよ? おとーさん心配してるだろーなー。誤解してるだろーし」
「あんたが自分で誤解させたんだろうが。……付き合わせたのは、悪かったけど」

 ここから堕ちるってことは、その柵を――かがみを、壊してしまうってことだ。
 そんなの、できるわけがない。
 実行した時点で全てが無意味になってしまうようなこと、どうしてやろうなんて思えるだろう。
 少なくとも私はイヤだよ。それがどんなにナイスなボートでも、絶対に乗りたくなんかない。

「でしょ? だからさ、かがみ。このままうちに来て一緒に説明してよ」
「はぁ? なんでそんなことしなくちゃいけないのよ」

 私が私であり、かがみがかがみである限り、私たちが恋人関係を結ぶことは決してない。
 だから、たぶんそう遠くない将来、かがみは私じゃない誰かと恋人になる。
 それはきっと、辛い。

「だってこんなに遅くなったの、かがみのせいじゃん。それに最近ブッソーだし、送ってってよ」
「あんたなら平気だろ。ってか私はどうすんのよ」

 でも、そうなったら、そのときは。

「大丈夫だよ」
227私は変わらない 11/11:2008/10/20(月) 07:56:25 ID:wfA3Rx4s
 私は、このままでいよう。

「おとーさんに送らせるから。車で」
「って、そんなわけにいかないでしょ。悪いわよそんなの。結局迷惑かけちゃうじゃない」

 それまでとまったく変わらずに、かがみにべたべたしてやろう。
 キミがかがみのカレシだろうが、かがみは私のヨメなんだゾって、笑って言ってやろう。
 そうやって、思いっきりヤキモチ妬かせてやろう。
 それはきっと、凄く楽しい。

「だーいじょーぶ。喜んでやってくれるって。その方が私も安心できるし。――おとーさんは嬉しい。
私は安心。かがみは安全。何か問題あるかね?」

 相手にとってはたまったもんじゃないだろうけど、最後には笑って許してくれると思う。
 かがみが選ぶような相手なら。

「……わかったわよ。そこまで言うなら、そうしてあげるわよ」
「やたっ! わ〜いっ」
「だからくっつくな! ……ったく、何がそんなに嬉しいのよ」

 そして何より、私とかがみが、女同士だから。

「だって今は少しでも一緒にいたい気分なんだもん。明日からはみさきちと共有しなきゃいけないし」
「っ……きょ、共有とか言うな。私が善意であんたらの世話してやってんでしょーが」
「はいはい、ツンデレツンデレ」
「ツンデレ言うなっ!」

 許されていないからこそ、許される。
 そんな関係を、私たちは築くことができる。

「あ、そーいやかがみは家に連絡しなくていいの?」
「ん? あぁ、つかさに言っといたから、大丈夫よ」

 その関係に名前はない。
 ただの友だちでもないし、恋人同士でもない。もちろん夫婦でも、パートナーでもバディでもない。
 親友とも、ちょっと違う。

「むー、自分ばっかり用意が良くてズルいよね」
「うるさいわね。…………あ」
「ん?」
「あ、いや。つかさで思い出したんだけど……まぁ、ぜんぜん関係ない話よ」

 そんな名前や定義なんか必要ない。

「お。いーね、ムダ話。なんか久しぶりな気がするよ」
「そうか? まぁ、そうか。――でもこれ、あんたに言ってわかるのかな?」

 私とかがみは、

「なになに?」
「えっとね――」

 “私とかがみ” だ。




22823-49:2008/10/20(月) 07:58:25 ID:wfA3Rx4s
以上です
ありがとうございました


ザ・現状維持
あんだけこんがらがった結果がそれかよ

まぁ、さておき
まだかがみのターンが残ってますけど、こなた側の答えはこれがFAということで、
ひとまずの区切りがついたということで、後書きのようなモノを書いてみました
練習用殴り書きスレに落としておきましたんで読みたい人だけ読んで下さい

ではまた来週
229名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 09:47:32 ID:wIlFkeKO
>>204

IDでのひっかけ+あのオチには完敗っすよねw
230名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 11:45:40 ID:cx/0m7Cc
>>228
GJ!
百合でも同性愛でも親友でもなくこなかが。うん、すばらしいです。
こなたとかがみの絡みは好きだけど、キャラ改変された百合物には抵抗あるっていう
人も結構いると思うんだけど、そういう人も満足できる境地なんじゃないでしょうか。

かがみ編が終わっても、また仲良したちのちょっとすれ違ったりしつつも楽しい日常を
書いてくれることを期待してます。
231名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 13:31:42 ID:NllQlN2t
>>228
ぐっじょぶ!
元のキャラ設定を守ったままここまで書けるとは

このこなたは本当に優しいですね
お互いのことを考えた上での、こなたなりの最善の選択がこれなんでしょうな
最善の選択すぎて、逆に物寂しさも感じてしまうほどですが
でもそれも含めてのこの選択ってことなんだろうなぁ
くっついたりキスしたりするわけではないけれど、良い百合でした

と、かがみがどう思ったのかはまだなのでそちらも期待
232名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 17:39:04 ID:RoLUz1FF
>>228
「こなたとかがみは夫婦」
そんなことはずっと前から分かっていたはずなのに、
何故こうもニヤニヤしてしまうのかっ…!とにかくGJでした!
233名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 18:05:15 ID:uvqPeycv
どこかの相性診断サイトで、80%で「恋仲」、100%だと「肉親」になってたのを思い出した。
恋愛感情なんてレベルを超えちゃうんだろうね。

GJ!
234名無しさん@ピンキー:2008/10/20(月) 23:10:43 ID:/fiVfZ1Y
>>212
GJ ! あいかわらずアホでテンポいいなw
もっとやってくれwww>>228
>>228
GJ ! こなた編完結おつかれです
終始ニヤニヤしっ放しでした
・・・でも、できればかがみに男の恋人が出来るのは想像したくなかった orz

来週のかがみサイドお待ちしています
235名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 00:43:00 ID:N9Tl36Yx
>>228
読んでて自然と頬が緩みました
こなかがはやっぱり最高です
236名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 09:03:52 ID:0Qi11Qy0
>>228
GJ!
読んでて某神社の声優さん2人組みが思い浮かんだw
237名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:46:49 ID:UTcxVNg7
>>228
GJなのですよ!!
こう決着するとは思わなんだ……危うい関係萌えに目覚めそうです。
本人たちは幸せなんだろうけど、なんだか切なく感じてしまいました。
しかしそれがいい!!
238名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 21:04:58 ID:ZIKvsGIi

投下のかぶりが無ければ、

五分後に投下させていただきやす
239三毛また:2008/10/21(火) 21:10:27 ID:ZIKvsGIi
それではでは


タイトル:らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜

テーマ:らき☆すたで幽霊とか妖怪とか都市伝説とか。
エロ:無し。
注意事項:続きもの三つ目。
     お化け的なもの登場注意。
消費レス:11レス。
240らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜1/11:2008/10/21(火) 21:11:21 ID:ZIKvsGIi
三行であらすじ
1、みゆきさんの放課後怪談トーク後、アルバイトを終えたこなたん家路の途中
2、非通知着信がしつこくてイラッとしたので電話に出てみると
3、あらびっくり「メリーさんの電話」ktkr









らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜






『わたしメリーしゃん……』

 帰り道の途中、バスを降りたところでかかってきた非通知電話に出てみたら、いきなり女の子が
そんなことを言ってきた。

 プチッ…ツーツー

 思わず電話を切る私。
 ……はい?……今、なんて言った?
 メリー?
 メリーさん?
 メリーサンノデンワ?
 おおお落ち着け私。
 冷静になれ泉こなた。
 KOOLになるんだ。
 素数を数えるんだ。
 1、2、3、4、…
 ふぅ…
 よし、オーケー。
 なんか違う気もするけど、KOOLにはなれたような気がする。
 ありがとうダディ。
 まずは、確認。そうだ確認しよう。
241らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜2/11:2008/10/21(火) 21:12:02 ID:ZIKvsGIi
 電話をかけてきたのは誰?
 メリーさん。なんか噛んだのかメリーしゃんとか言ってたけど、とにかくメリーと言ってたのは
間違いないよ。
 じゃあメリーという人が電話をかけてきたのかも?
 いや、私にメリーという名前の知り合いはいない。少なくともリアルでは。
 だとしたらイタズラかな?ちょうど怪談話をしたばかりの私を怖がらせようとしてるのかもしれ
ない。
 そういえば、誰かの声に似てたような気がする。
 ほとんど毎日聴いてるあの声と似てるような…
 でも、そうだとするとおかしいんだよ。
 電話の声は、私の友達の年代よりもずっとちっちゃい子の声だったんだ。
 幼稚園児とかそれくらいの子供の声。
 誰かが別人を演じてるんだとしても、一部の声優さんみたいな特殊技能でもないと決して出せそ
うにない決定的な子供声なんだよ。
 ただそうなると、友達のイタズラでもないということになっちゃう。

 じゃあ、なに?

 なんなの?

 この電話?

 ナニ?

 答えなんて出てたのに、その答えにたどり着きたくなくて頭の中で回り道をしてた。
 そんなことをしても、別の答えなんて見つからないのに。
 そんなことをしてるうちに、時間は過ぎていくのに。
 どれくらいの猶予があったのかな。また、携帯電話が震え出した。手に持ったままだったから、
非通知という表示がすぐに目に入る。
 今度は、心臓の跳ね上がりが一拍では済まなかった。ドクンドクンと、急激に暴れ始める。強く、
早く、運動もしてないのに血液を身体中に送りだす。それに呼応して、酸素をよこせと自然と息使
いも荒くなってきた。
 出たくない。
 切っちゃおう。
 もう出ないで切っちゃおう。
 そう考えた瞬間、不思議なことが起きた。
 私の指がボタンに触れる前に、ケータイが震えるのをやめたのだ。
 この場合、普通なら相手が電話を切ったということになるよね。
 でも、今回は違った。
 残念ながら違った。
 ケータイの画面の表示が、非通知から、通話中に変わっていた。
242らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜3/11:2008/10/21(火) 21:12:40 ID:ZIKvsGIi
『ちょっと』

 声が、聞こえた。
 大きな声が。
 通話する時の音量じゃない。着信メロディとか、それくらいの大きさ。
 どうやら耳に当てるところじゃなくて、着メロとかのスピーカーから声が出てるみたい。

『とちゅーできらないでよ』

 一瞬で、全身が強張った。
 これは、本物だ。
 一瞬で、脳細胞が理解した。
 普通なら私が操作しないで勝手に通話音がスピーカーから出るわけがない。いや、そもそも、私
が操作する前に通話状態になるはずがないんだよ。
 やばい…
 これやばいよ…
 本当に、メリーさんの電話だこれ。

『いま、こーえんにいるの』

 通話はそこで切れた。かかって来た時と同じように、私にケータイを操作させることなく一方的
に途切れる。
 公園という単語を耳にした瞬間、私は反射的に後ろを振り向いた。
 バス通りになっている、ここら辺ではやや広めの道路。それを挟んだ向かい側には背の低い植木
が並んでいて、その隙間から目に入るのはブランコがぶら下がっている錆びれた鉄製の骨組。
 公園だった。
 紛れもない公園がそこにはあった。
 鳥肌が、首の後ろあたりから一気に全身を駆け巡る。
 いや、どこの公園とは言ってなかった。ここの公園だとは限らないじゃないか。小さな公園なん
て探せばいくらでもある。もっと遠くの公園かもしれない。
 頭の中で、そんな言い訳じみた理屈がにじみ出る。
 でも、それもすぐにどこかに吹き飛んだ。

 キィ……

 音がした。
 かすかに、ほんの微々たる大きさだけど、金属が軋むような音がした。
 小さい頃にたくさん聞き覚えのある音。たしかにそれは、ブランコの音だった。
 風なのかな。
 そう思いたかったけど、私の肌には全くと言っていいほど空気の流れを感じない。
 気のせいかな。
 そう思いたかったけど、また耳に届くさっきと同じ空気の振動がそれを許してくれない。
243らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜4/11:2008/10/21(火) 21:13:16 ID:ZIKvsGIi
 キィ…キィ…

 今度は二回聞こえた。私の耳がおかしくないのなら、何かがブランコを揺らしてるのは確実だっ
た。
 ノラ猫が乗ってるんだったらいいのに。
 植木のおかげでブランコの座る部分が見えないからかそんな考えが浮かんだけど、我ながら望み
薄だなっていう自覚はあった。
 そして、それはすぐに期待通りになる。
 悪い意味で。

 カシャン…

 それまでのかすかな金属の軋む音と違って、けっこう大きな音が、車のまったく通らない静かな
道路の上を飛んできた。明らかに、猫がブランコに何をしても出せる程度の大きさの音じゃなかっ
た。
 じゃあ、なんだろう?
 ブランコに関しての記憶を掘り起こすと、ブランコに乗るたびに必ず聴いていた音とぴったり当
てはまった。
 ブランコに乗ると必ずすること。いや、正確には、ブランコに乗ったら最後にすることかな。
 すなわち、ブランコを降りるということ。
 その時の音が、今、公園の中からした。
 それが意味することは、誰かが、ブランコを、降りたということ。
 仮に。
 仮にだよ。
 ブランコに乗ってたのが、私に電話をかけてきたメリーさんだとするよ。
 メリーさんは、ブランコを降りたら、どうすると思う?
 みゆきさんから聞いた「メリーさんの電話」の話は、どんなだった?
 メリーさんは、電話主のもとに、近づいてくるんじゃなかったっけ?
 ………
 その時、立ち並ぶ植木の一部が、がさりと音をたてた…気がした。
 それこそ気のせいや、猫か風の所為だったのかもしれない。だけど、脳がそういう思考を始める
より先に、私の身体は180度反転して駆け出していた。
 昔見たアフリカのサバンナを題材にしたドキュメンタリー番組では、猛獣の気配を察知した草食
動物は一心不乱に走り回ってた。草食動物は、背後に肉食動物が迫っても決して振り向かなかった。
追われる方にそんな余裕はないから、牙をつきたてられるその時まで、後ろを振り向くことはなか
った。
 しなかったのか、できなかったのか。
 私も、ただ前だけを向いて、ただ走った。
244らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜5/11:2008/10/21(火) 21:13:50 ID:ZIKvsGIi
 公園に背を向けたのはブランコの音からなるべく離れたかったからだけど、そっちはちょうど家
まで繋がる道の方角でもある。
 メリーさんの電話の話はメリーさんが家にやってくる話だから、メリーさんから逃げるのに家に
向かうっていうのは良くないのかもしれない。
 でも、すでにケータイに電話がかかってきちゃったんだからそんなことは関係ないよ。家に帰れ
ばお父さんがいるし、ゆーちゃんだっている。今の状況よりずっとましなのは間違いないはず。
 ……ううん。違う。本当は、そんな冷静に考えた末の行動なんかじゃないんだ。
 正直、怖かったんだ。
 得体のしれない何かが迫ってくるところで、一人で待ち構えるなんてことはできなかったんだ。
 じっとしてなんて、いられなかった。
「はは…」
 これじゃあつかさの怖がり屋なこと、笑えないや。
 そう思うと、走り続けながら苦り切った笑い声が漏れた。
 でも、いくら私が自嘲したからといって事態が好転するわけでもない。

 また、あの声が、聞こえた。

『ザザ…今、……ハァ…○○バスてーにいるの…ザザザ…」

 今度は、ほとんど前振りが無い。
 走ってるから気付かなかったのか、握ったままのケータイが震えたのはほんの一瞬ですぐに声が
聞こえてきた。相変わらず、私が操作してもいないのに勝手に通話状態になって。
 走っているせいで通信状態が悪いのかノイズが混じってるけど、なんとかバス停の名前は聞き取
ることができた。
 ○○バス停っていうのは、私がバスを降りた停留所のこと。そしてそこにメリーさんは公園から
移動したという。
 それは、メリーさんがたしかに私に向かって来てるということで、もっと遠くの公園にいるのか
もっていう希望を粉々にすることでもあった。
 さっき公園のブランコに乗ってたのは本当にメリーさんだったのかも。
 さっき公園の植木を揺らしたのも本当にメリーさんだったのかも。
 それまでメリーさんの兆候なのかもと感じても他の可能性を探ってた事柄が、次々とメリーさん
が原因だったんだと思えてくる。こうなっちゃうともう、頭の中で勝手に恐怖心が膨らんでいくの
も止めることができなかった。
 怯える心が生み出してるのか、背中を後ろに引っ張られてる錯覚さえしてくる。
 そのおどろおどろしい力に反発するように、自然と脚の回転は早まっていった。
 バス通りを外れると、地面もよく見えないほど街頭の少ない道を走るようになる。田んぼに挟ま
れた細い道で、アスファルトで舗装されてはいるけど畦道というのが似合いそうなところ。ここを
抜ければ家まではもうすぐだ。
 ただ、畦道に踏み入って十数秒後、またもやケータイから声が溢れ出す。
 もう最初にぶるぶると震えることもなく、いきなり声が聞こえてきた。
 やっぱりよくよく聴き覚えのある声に似ていて、それなのに幼い女の子の声が。
245らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜6/11:2008/10/21(火) 21:14:26 ID:ZIKvsGIi
『…ザザザ……い…ハァハァ……いま、…ザザ…たんぼ…の…ハァハァ…うえ…』

 走る速度が上がってるせいか、さっきよりもさらにノイズがひどい。私の音が混ざっているのか、
ハァハァと息切れの音みたいなのも重なって余計聞き取りづらい。
 とにかく、メリーさんはもうすでに田んぼの上にいるらしかった。
 ……田んぼの上?
 どういうことだろう。
 確かに畦道は田んぼより少し高くなってはいるけど、そこを通ってるんだったら田んぼの上にい
るとは言わない気がする。
 私がちらっと周りに広がる田んぼを見てみると、そこは刈り取りも終わって水の抜けた地面が広
がっていた。ところどころ刈り取った稲の残骸みたいなのが円錐状に積まれていて、道端に生えて
そうな草があんまり密集しない形で等間隔に並んでるだけ。
 これなら、たしかに走ることも不可能じゃない。
 でも、普通なら田んぼの中を突っ切ってくるなんてことをするだろうか。
 しないよね。
 でも相手が普通じゃなければ話は違う。メリーさんは、どう考えても「普通」のカテゴリーには
当てはまらないだろうし。
 メリーさんが田んぼを突っ切ってくるのなら、これはまずい状況だった。
 畦道は、田んぼの間を縫うようにして通ってる。どうしても、家まで一直線で進むというわけに
はいかないんだよ。そうなると、一直線にやってきているメリーさんに追いつかれるのは、時間の
問題。それにメリーさんが田んぼの上にいるって言ってきたのは、私が畦道に入ってから十数秒後
だった。もう、本当にすぐそばに迫っていてもおかしくない……
 これは、まずい。
 数々のアニメや漫画を見てきた私の脳が、クライマックスが近づいてることを警告する。
 これからの選択肢を誤ったら危ない。
 ヤンデレ系ゲームで培ったダメ直感がそう告げる。

 どうする。
 どーするどーする。
 ドースル……
246らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜7/11:2008/10/21(火) 21:14:59 ID:ZIKvsGIi
 必死に走り続けながら頭をフル回転させたら、手の中のケータイに目がいった。
 ケータイに電話がかかってきたからこんなことになった。部屋のすみに置きっぱなしだったころ
みたいに、今日に限っては積極的に忘れてくればよかった。
 ケータイが悪いわけじゃないけど、そんなふうに考えてしまう。
 …ん?
 ……忘れてくればよかった?
 その時、頭の中の一部がピンと明るく閃いた。よくある表現で言うと、パッと電球が灯ったよう
なイメージ。
 メリーさんは「メリーさんの電話」というだけあって電話を通してしかアプローチしてきてない。
メリーさんは「メリーさんの電話」が繋がってる電話を目指して来てるのかな?
 だとしたら、この電話が私を追い込んでる元凶ということになるのかもしれない。お話の「メリ
ーさんの電話」は家電だったから人と電話が一緒にあったけど、ケータイの場合はどうなんだろう。
 このケータイを捨てちゃったら、どうなるんだろう?
 ………考え付いた瞬間、一筋の光明を見つけたような思いだった。
 起死回生の策だと本気で思った。

 でも私は、なかなか実行にうつさなかった。

 だって、あんまり活用してない方だけど、さすがにケータイを投げ捨てるのは躊躇するよ。
 当然の反応だと、これが一般的な反応だと思う。銀行強盗なんかで銃を突き付けられてケータイ
を出せって言われてるならともかく、ケータイを捨てればいいのかも?って疑問符つきの思いつき
じゃ軽々捨てる気にはなれなかった。

 でもこれって、客観的に見たらやばいのかな。
 もたもたして、ためらって、決断できずにいる状況。

 あれ。
 もしかして、フラグ立てちゃった?
 BADエンドフラグ?

 ゲームじゃないんだしフラグなんか無いからだいじょうぶ、なんて暢気ではいられない。フラグ
が立つってことは、ゲームだったらゲームオーバーになるほどの状況ってこと。つまり現実におい
てもそれほど危ない状況になってるってことなのだよ。
 さしずめ今なら、メリーさんに追いつかれるフラグってこと。
 精神的には、メリーさんに追いつかれるのが確定した気になる。
 これはまずい!
 メリーさんに追いつかれたら、終わりだ。
 今まで全力で走ってきたのも、全部無駄になる。
 メリーさんに追いつかれたら。

 メリーさんに、追いつかれちゃったら………
247らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜8/11:2008/10/21(火) 21:15:38 ID:ZIKvsGIi


         **********

 ……
「とりあえずメリーさんは萌えキャラってことでFAだよね」
「私も泉さんに同意します」
「黙ってろ変態ども」
「あはは、お姉ちゃんきついよ……ところでゆきちゃん」
「なんでしょうかつかささん」
「メリーさんって後ろにきたらさあ、その後どうするのかなあ?」
「そりゃ決まってるでしょつかさ」
「お姉ちゃんわかるの?」
「普通に考えて殺され…」
「違いますかがみさん!!」
「うわッ!ちょ、なによみゆき。いきなり大声だして」
「いえ、すみません…ですが、はっきりと決まってはいないのですよ。メリーさんの電話、のお話
 はほとんどの場合背後にやってきましたら終ってしまいますので」
「ふーん、ちょっと意外ね」
「お話によってはそのまま通り過ぎて、どんどん離れていってしまうというケースもありますよ」
「何よソレ。何もしないわけ?」
「はい。そしてやがて海外からメリーさんの電話がかかってくるとか…」
「もうそうなると怖い話じゃないわね」
「いや、待つんだかがみん。海外ということは国際電話。その電話の通話料が受け手払いだったと
 したら、どうだい……」
「……それはちょっと怖いわね。違う意味で」


         **********

248らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜9/11:2008/10/21(火) 21:16:40 ID:ZIKvsGIi
 あれ???

 どうなるんだっけ?
 メリーさんが来たら……あれ?

 みゆきさんからメリーさんの電話の話を聴いてた時の事を思い出してみたけど、いくら思い出し
てもメリーさんが何をするっていうことは言ってなかった。
 みゆきさんの話し方だと、何をされるか分からないけど、あんまり殺されたりするってことはな
さそうな感じだったね。むしろそのまま通り過ぎちゃったりもするって言ってた。わざわざみゆき
さんがその一つだけ例に出すくらいだから、お話の続きがある場合、そういうコミカルな展開にな
るのが「メリーさんの電話」の主流なのかな。
 最後をぼやかして終わらせる怖いメリーさん。
 でも最後を語っちゃうとギャグ調になっちゃうメリーさん。
 なんだろうね。これ。
 お話みたいに家を通り過ぎるならともかく、私をおいかけてるメリーさんがそのまま通り過ぎる
とは思えないけど、根本的な部分がわからなくなってきた。

 そういえば、なんで逃げてるんだっけ?

 べつになにか脅されたわけでもなし、考えてみると追いかけられたような気がしたから逃げるこ
とにした、っていうくらいしかない。
 ふむ、これじゃあ警察から逃げる犯罪者みたいじゃないか。
 まあ実際追いかけられてはいるわけだし、相手がお化けじゃ逃げるなっていう方が我ながら無茶
だとは思うけど。

 そんなこんなで、そもそもなんで逃げてるのか、と本質的にもほどがあることを考え出したら、
脚の回転が急激に落ちた。
 逃げる。ただその一心で脚を動かしていたから、それ自体があやふやになると動きがゆるくなっ
ちゃうのはあたりまえだった。
 その結果として私の移動速度は、それまでの全力疾走にくらべたら急ブレーキをかけたほどに落
ち込んだ。

 もしも似たような速度ですぐそばを追走してる何かがいるのなら、私が急に止まったかのように
見えたとしても不思議じゃないくらいに。


 それは、予想だにしない音であり声であり、衝撃だった。

249らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜10/11:2008/10/21(火) 21:17:19 ID:ZIKvsGIi
 ドゴォッ!
『むぎゃっ!』
「ンゲフゥッ!」

 突然背中に大きな衝撃が炸裂した瞬間、二つの声と音が夜の空気に響き渡って、同時に私も肺に
溜まってた空気を強制的に押し出されたような声を漏らした。
 星が、星が見える…
 視界が激しくぶれて、時間がスローモーションになるのを感じながら、目の奥に光がチカチカと
奔った。
 ああ、小さい頃のことが走馬灯のように………なんてことまではさすがになかったけど。
 一瞬お母さんが見えたような気がしたくらいで、漫画なら血を吐きそうなところなのにやっぱり
そんなこともなかった。
 気がつくと、私は尻もちをついていた。背中の衝撃は真後ろじゃなくて左斜め後ろから来たもの
らしく、その勢いで身体が勝手に左半回転をしながら。
 つまり、尻もちをついたときにはそれまで走っていた方向とは正反対を向いていることになる。
走っている間見ないようにしていた背後を、自分の意図とは別に、あっさりと振り返ってしまった
のだ。
「いたた…」
 背中の重く鈍い痛みを我慢しつつ、まずは拳を握ってみたり身体の各部に少しだけ力を入れてみ
たりして状態を確認する。
 うん、筋オッケー。骨オッケー。とりあえず折れたり切れたりはしてないみたい。
「で、何がいった……い…??」
 自分の身体の無事を確認して、くらくらと定まってなかった視界もちょうど調子を取り戻すと、
ようやくここで異変に気がついた。いや、突然背後から吹き飛ばされたのも十分におかしなことな
んだけど、一連の出来事で目に見える形で何かが現れたのは初めてだった。
 たしかになった視界の中で、尻もちをついてるせいで崩れた体操座りみたいになってる私の脚の
間に、ソレはいた。
 一メートルあるかどうかの体長を折り曲げて、両手で頭を抱えながらへたり込んでる。

『き、きゅーに…ハァ……とまんない…ハァハァ…でよ』

 頻繁に息切れを挟みながらソレは言った。
 肩で息をしてる様や唇が動いてるのは見てとれるのに、そこから息づかいや声は聞こえてこない。
代わりに、結局握りしめたまま手放さなかったケータイから音声が聞こえてくる。声が遅れて聞こ
えてくるっていうわけじゃないけど、見える姿と聞こえる声が別方向から来ると、なんだか腹話術
みたい。
 そんな不思議な音声事情とセリフの中身で、ソレが私を追いかけていたメリーさんに違いないこ
とはすぐにわかった。
 どうやら本当にすぐ後ろに近づいて来てたみたいで、そのせいで私が走るのをやめた時に止まり
きれずにぶつかったらしい。さっきの背中の衝撃はその時の物だった。
 さて、まずは何と言うべきなのかな。
 私を追いかけて来たことを問い詰めるべきか。
 それとも背中に突っ込んできたことを怒るべきか。
 うむ、我ながら強気な発想ばかり浮かんでるね。
 でも、不思議とは思わなかった。
 逃げてる時は自分でも情けないくらいびくびくしてたのに、今となってはまったく怯えるような
対象じゃなくなってたのだ。
250らき☆すた妖奇譚B〜おいかけっこ〜11/11:2008/10/21(火) 21:18:00 ID:ZIKvsGIi

 だって、今目の前にいるのは、幼稚園に行くか行かないかくらいのサイズの、ちっちゃい女の子
なんだもん。
 頭を抱えてるから顔は見えないけど、ほんとにパッと見普通の女の子。メリーさんがこんなんで
いいのかなって思うほど、禍々しさだって一ミリも感じない。
 もともと消えかけてた恐怖心は、その姿を見た瞬間にきれいさっぱり砕けて散っちゃっていた。

 だから、声をかけようとした時、何の心の準備もしてなかった。

 怖がることがないんなら、こんな小さな女の子相手に身構える必要なんて無いと思ったから。

 でも、違った。
 怖がらせること以外にも、私の心を硬直させる要素がこの子にはあったんだ。
 それは、純粋な驚きだった。

 私が気軽に呼びかけると、まだ苦しそうな息使いをしながらも顔を上げる目の前の女の子。

 自分の頭を抑えていた小さな手から、さらりと尻尾みたいな二本の束が落ちる。
 その子の髪型は、世に言うツインテールだった。

 荒い呼吸のせいか険しい表情の中、幼女な見かけの割に鋭い眼光が飛んでくる。
 その子の目は、気の強そうなややつり目がちのフォルムだった。

 この時、メリーさんの電話をとったとき、最初から誰かの声に似てるなと感じてたことを思い出
した。
 あのときは、年齢も合わないしそんなはずがないということで頭のすみっこに追いやった。
 だけど、今となってはあの感覚は正しかったんだってわかる。

「え?……か…」

 だって、今手の届くところにいる女の子は、似てるんだよ。
 どう見ても一桁の年齢にしか見えない幼女なのに。
 私よりもずっと小さな幼女なのに。
 それなのに、つい数時間前に学校で見ていた人物に、どうしようもなく似ていた。


「……かがみん?」


 柊かがみに。






>つづくの
251三毛また:2008/10/21(火) 21:19:41 ID:ZIKvsGIi
以上です。

どうもです。

お化けだってらき☆すたなららき☆すたらしく……

ではノ
252名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 21:47:55 ID:Ms69bTcw
>>251
ワオ ! GJ !
昨日今日と豊作だな !

恐怖の追っかけメリーさんから一転、その正体はかがみ !?
なぜ幼いころの姿のかがみが、こなたを追うのかっ !?
一抹の不安とこなかが的な萌え要素を期待しつつ、次回を待つ !
253名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 21:59:32 ID:3HK9AbGY
>>251
途中まで怖かった…………

なのに最後に幼女かがみんを想像したら萌えちまったじゃねーか(*´д`*)
俺の精神を揺さぶりやがってどーしてくれるw
254名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:14:59 ID:T+Mfn6sD
誰も投下する予定がないようでしたら3分後くらいに投下します。
非エロ小ネタ。
淡々とした会話ネタ。
百合と言えば百合かも。
255名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:18:34 ID:T+Mfn6sD
「ねぇかがみ。かがみはお人形さんいらないの?」
 お母さんがどこか困ったような顔でそう私に話しかける。
「別に欲しくないからいいよ」
「そう?かがみはこういうの嫌いなのかしら……」
 だって私には……
「だからつかさに何か買ってあげて?」
「かがみは優しいお姉さんね」
 だってそうすればあの子は……

           『My』


                      美水かがみ著 らき☆すた より


 最近はどんなニュースも代わり映えがしないと思うのは私が麻痺しているのか世間が麻痺しているのか。
どんなに大事が起こっても三日も経てば日常に組み込まれてしまう。
「……かがみん」
 今度は地元の小学校の行事についてレポーターが微笑ましげに話している。
それにしてもこんなことがニュースに流れているんだからなんのかんの言っても日本は平和よね。
「かがみ〜」
嗚呼あの子ったらこなたよりも大人っぽいわね。こなたの方がランドセル似合うんじゃないかしら?
って言うかこなたが子供っぽすぎるのよね?実は飛び級天才少女だったりして。
「かがみってば!」
「あ?……ごめんごめん。何?」
「チャンネル変えても良い?見たいアニメがあるんだけど」
たまにはニュースも見た方が良いわよとでも言おうと思ったけどもうスポーツ情報になるところだったので
手元にあったリモコンを軽く放り投げた。
「っは!」
「うお!?」
「決まった!こなたスペシャル!」
座ったまま右足を高く掲げ親指と一指し指で挟み受けたこなたに思わず賞賛と呆れの両方を込めた視線を送ると……
なにやら少し歪んだ可愛いらしいキャラが見えた。
「こなたがキャラものなんて珍しいわね」
「……へ?」
「…………下着見えてるわよ」
「……見せてるんだよ?」
「顔を紅くして言う科白じゃないわよ」
 バツの悪そうな顔をして姿勢を正してチャンネルを変えたこなたがこちらを見ないで
「……つかさ遅いね」
 と呟いた。……窓の外はだいぶ暗くなってきて部屋の中にいても少々寒さが身に染みてきている。
256名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:20:31 ID:T+Mfn6sD
一人で買い物に行かせたのは失敗だったかな?そんなに遠くはないスーパーだから大丈夫だとは思うけど。
「そうね。でもそろそろじゃないかしら」
「そっか」
 そう言うとこなたはテレビを眺め始めたが……
「こなた、どうしたの?」
「う〜ん。このアニメ期待してたわりには出来がちょっとねぇ」
「そこは愛でなんとかならないの?」
「……難しいね。期待してたぶん」
 そういうとこなたはキョロキョロと私の部屋を見回して
「かがみとつかさは双子なんだよね?」
 と言った。今さらすぎていまいち真意が掴めないんだけど……。
「そうだけど……なんで?」
「だいぶ部屋が違うなぁって思ってさ」
 そりゃあ、一卵性じゃないんだからとは思ったけど反論するのもなんとなく億劫なので
「そう?」
 とだけ答えて私も流れているアニメを見始めた。可愛いことは可愛いが髪形しか変わらないキャラが何人も
キャッキャウフフと戯れている。……最初から期待するなと突っ込んだ方が良いのだろうか。
「なんて言うかさ……かがみの部屋には可愛さが足りないと思うんだよ」
「可愛さ?」
 もはやテレビの方ではなく私の方を向いて語ってくるこなたの顔を横目に見ながらお茶を一口啜る。ぬるい。
「そう可愛さ。つかさの部屋はお人形とかぬいぐるみとか一杯あって女の子〜って感じがするのに」
「……ぬいぐるみならあるわよ?ほら」
 といって脇にあったぽん太君の頭を軽くポンポンとたたいてみる。少し傾いたぽん太君は絶妙なバランスでそのまま座り続けた。
「それは……女の子って言うよりオタクの産物だよかがみんや」
 その言葉にショックを受けたのかぽん太君は音も立てずに倒れてしまった。
「こなたが酷いこと言ったから倒れちゃったじゃない」
「かがみが叩いたからだと思うよ」
 至極まっとうな反論を受けたので何も言わずテレビを眺めるとCMだった。アニメの時のCMって独特よね。
「かがみってさ……昔からそうだったの?」
「そうって?」
 そう言うとこなたは少し上を向いて……たぶん言葉を選んでるのかな?
「可愛いものとかに興味なかったのかなぁって。つかさがそういうの好きだから影響とか受けなかったのかなって?」
 ……こなたの目にはそんなに可愛げのない部屋に見えるのかな。まぁ今はしょうがないんだけどね。
「そんなことないわよ。つかさと同じくらい私は今も昔も可愛いのには目が無いわ」
「……あまりそうは見えないけどね」
「見えないだけじゃないの?」
 そう言って私は立ち上がりドアへと向かう。
「トイレ?」
「違うわよ。そろそろつかさが帰る頃だから温かいココアでもって思ってね」
「かがみはつかさには特に優しいよねぇ」
 …………だってそうすればあの子は…笑っていてくれるから。
 あの子の笑顔が何よりも……。

「そりゃ可愛い妹だもの」
2573-797:2008/10/22(水) 00:21:52 ID:T+Mfn6sD
以上です。
ミスであげてしまい申し訳ないです。
ここは以前と比べてレベルがパネェことになっていて投下すること自体
ガクブルでしたが少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです
お目汚し失礼しました。


258名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:22:56 ID:BYY45r4/
GJ
最初月姫の白レン想像してたらツンデレつながりで吹いたw
259名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 00:27:28 ID:BYY45r4/
ずれたorz >>258>>251
>>257GJ
かがみの妹を想う心が現れてて癒された
兄弟姉妹っていいな 
260名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 01:12:17 ID:d4/8vl/l
>>251
保管庫にAが見当たらないためBが見れないぜ……
あるいは、自分がなんか勘違いしてるのかもしれないけど……
261名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 01:15:47 ID:ZtxRrsLo
>>251
こなたそれ素数ちゃう
自然数や!

かがみメリーさんが自分の中でヒットの予感!
もっと喋ったりしそうな次回に期待せざるを得ないっすよ!
262名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 01:24:48 ID:dkG8TjEF
>>260
>>114ー122
263名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 01:28:11 ID:ZtxRrsLo
>>260
Aは今スレの>>114だから保管庫にはまだ無いみたいっすね。

>>257
なんとほんわかする姉妹。
つかさ本人は一行も出てきてないのところでのこのシーンってゆーのが、
かがみのステキさを引き立ててますな!
264名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 14:19:39 ID:oHfZG41v
かっわいっいよっかっわいっいよっあーやのーんのーん!
乙女臭がっ乙女臭がっ汗の臭いもっあっががっががっ!
かーわいーいよーかーわいーいよーあっやのーんのーん
あーしのうらーわーきのーしたーくーびすーじもーあっががっががっ!?

あー、あーやーのーんがー締ーめーるーとぎーしーぎーしわーなーなーくくーびーのーほねー
あー、くーびーがーおーれーちゃーうよー
可愛いーよーあーやのーん可愛いよーグェ
265名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 15:01:21 ID:EUgH46MX
>>264
何があったw
266名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 16:18:16 ID:fS7TmE8e
>>264
なんというあやのんファンタジア
26738-608:2008/10/22(水) 17:27:54 ID:DVm9Gg6r
>>176-181を書いた38-608ですが

>>185さんに
>>こなたを目の前にしながらつかさにやられてしまうという
>>背徳的なシチュをもっとじっくり描写してほしかったかも

っと言われ、自分でも書いてみたくなりましたw

一度投下したものの追記な形になり申し訳ありませんが

2レスほど使って>>179>>180の間にあった秘め事を投下してみようと思います。

26838-608:2008/10/22(水) 17:28:25 ID:DVm9Gg6r
>>180の続き

改めてかがみへの愛撫を開始するつかさ。
かがみの肩に腕を回ししっかりと抱き込むと、頬っぺたから首筋にかけてチロチロと舐め回しながら
もう片方の手であそこを優しく揉み解す。

チュ……クチュ……
「あ……ふぁ……」
そのあまりの快楽に全てを委ね様とするかがみだったが
こなたの可愛い寝顔が視界に入り思わず身を硬くしてしまう。

好きな人の目の前で拘束されて妹に初めてを奪われてしまう事への背徳感と無念さ。
反面、それでも体がそれを求めてしまっている事への悔しさと情けなさ。
それらの感情全てが混ざり合い思わず顔を歪めてしまう。

「……っ……グスッ………」
「お姉ちゃん、泣いてるのっ? ……もしかして痛かった?」
「そうじゃないけど……こなたの目の当りにして他の子と初めてを経験するなんて……ヒック……」
耐えられなくなりついには涙まで流してしまうかがみ。

そんな姉を様子をしばらくジッと見つめていたつかさだったが、何を思ったか
足首まで下ろしていたかがみのパンツを手に取るとしっかりと履かせ直してしまった。

「?……つかさ?」
「大丈夫だよお姉ちゃん。表面を軽く撫でるだけでこれはノーカウントだから。
 ほら、直接弄られるのが抵抗あるならパンツ越しならいいでしょ?
 今の私は、本当は独りでスルお姉ちゃんの指の代わりみたいな物だし
 初めてはこなちゃんの為に大事に取っておこうね」
そう言いながら再びかがみの頭を優しくナデナデする。


「で、でもっ、直接じゃなくてもこなたの前で他の人に弄られるのは変わり無い気が………」
「もうっ 私がノーカウントって言ったらノーカウントなのっ。
 お姉ちゃんがどうしても嫌なら私は無理にやらなくてもいいんだけど、それはそれで体が疼いて辛いんでしょ?」
「だ、だから態々こんな事するんじゃなくてこれを外しなさいよっ」

少しスネた様子で頬っぺたをプクーっと膨らませるつかさを前に
自分の腕を拘束してる手錠をガチャガチャ言わせながら突っ込むかがみだったが
「ダァメ、さっきも言ったけど、我慢出来ない意志の弱いお姉ちゃんには
 一方的にされるのがどんな気持ちなのか教えてあげるの」
っと返せれるだけで拘束を解いてくれそうには無かった。
26938-608:2008/10/22(水) 17:33:37 ID:DVm9Gg6r
「わがまま言うお姉ちゃんへの罰として、目の前でこなちゃんの頬っぺたにキスしちゃおうかな〜?」
そう言いながら身を乗り出し、眠っているこなたの頬っぺたをツンツンするつかさ。

「ちょっ ちょっとつかさっ!」
思わず身を乗り出そうとするかがみだったが、今の状態ではつかさを止める事は出来ない。
「えへへ、冗談だよ」
だがつかさはすぐにその手を引っ込めると、何を思ったかこなたの片足を持ち上げるとかがみの上に乗せてしまった。
するとそれに呼応する様に無意識にかがみの太ももに足を絡ませて来るこなた。
同時にかがみを抱き締める力も少し強まってしまう。

「むにゃむみゃ……かがみん良い匂〜い……Zzz……」
「ヒャウッ……ちょっとこなたっ………」

「あはは、こなちゃんって本当にお姉ちゃんが大好きなんだね」

そう言いながら再び愛撫を再開するつかさだったが既にかがみのパンツはこなたへの想いでぐしょりだった。

「お姉ちゃん、私そっとしかしないから物足りなかったら言ってね……」
「ぁ……ふぁ……」
パンツ越しで直接は触られなくなり、つかさに『ノーカウント』と力説されたおかげで大分抵抗は無くなったものの
それでも好きな子の前で拘束されて弄られる背徳感が再びかがみを襲う。
だが今度はそれでけではなく、腫れ物を扱うかの様にパンツを触る様な感じで
優しくコチョコチョと弄るつかさの指が逆にもどかしかった。

「ほら、お姉ちゃん、こなちゃんを見てみて……」
「………?」

その時、つかさにそう言われて目を向けると、再び無垢な顔をして無防備に自分に抱きついて眠っているこなたが目に入り
更なる興奮が湧き上がってしまう。

「お姉ちゃんに子供みたいに抱きついてて凄く可愛いよね〜。きっとこなちゃんはお姉ちゃんの事大好きなんだよ」
「う……はぁ……こなたぁ……」
こなた本人にでは無いにしろ、自分以外の誰かに、恋愛感情的な意味はともかくとして
『こなたはかがみの事が大好き』と言われたせいでかがみの燻りは更に激しくなり、
こなたに抱きつかれてるせいもあり
あそこからは蜜が留まる事無く溢れ出してしまっていた。

「でもお姉ちゃんからは大好きなこなちゃんにはな〜にも出来ないで私にされるだけ……困っちゃったね〜」
「つ、つかさっ!」
「ほらっ あまり大きい声出すとこなちゃん起きちゃうよ?」
「くっ……」
こなたに全身を使ってしっかりと抱きつかれ、第2の拘束具をかけられたかの様に腕意外も全く動かせない中で
ここまで優しく弄られていると、大好きなこなたに弄られている様な錯覚を感じて頭の中が
真っ白になってきてしまう。

「うわっ お姉ちゃんのパンツびちょびちょで滑ってしまって上手く弄れないよぉ〜」
「ぐっ……っ………っっ………」

こなたを起さないように必死に口を閉じて喘ぎ声を堪えてるかがみだったが
二人(一人は無意識だが)のスキンシップに永遠と耐えれるハズも無く、遂には疼きが頂点に達っしてしまう。

「お姉ちゃん、そろそろ限界でしょ? イっていいよ。 私が口を塞いでおいてあげるから」ギュッ
「むふっ……むぐぅっっ……っっ……むぁぁぁっー!」

……こうして大好きなこなたに抱き付かれられながらも
つかさに本当に、本当に優しく弄られイかされるかがみだった。

>>181に続く
27038-608:2008/10/22(水) 17:52:00 ID:DVm9Gg6r
以上です。

後付追加は都合良すぎかもと思われた方、申し訳ないです;
271名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 19:09:48 ID:nhgwDiR2
>>270

いやいやぐっじょぶ。
住人のレスから広がる展開、なんかひさびさだなあ。
272名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 23:54:37 ID:bpQBPcpK
>>270
GJです !
つかさ優しいけどSっぽいよつかさ
ここまで書いたのですから、こなたとかがみの初夜編も期待していいですか?
27338-608:2008/10/23(木) 18:30:32 ID:RFwSPC6l
>>272
う〜む、一応今回はエロシーンはつかかがに絞ろうと思ってたので……
機会があればまた番外編書きたいですねw
274名無しさん@ピンキー:2008/10/23(木) 22:32:55 ID:JzCD//11
>>273
GJ ! 番外編まで描いて下さる貴方の心意気に惚れた

しかもまたまた番外編を書いてくれるかもしれないとか
もう全裸待機ですわw
275戸別響:2008/10/24(金) 11:04:28 ID:qZfARjL/
どうも、夏休み中よりも執筆スピードが上がっている戸別です。
また小説を投下したいと思います。
スケッチスケッチ!  1筆目 全員集合!
・カップリングなし かがみ視点
・非エロ
・5レス使用
1筆目と書いてある通り続き物です。
3分後くらいに投下開始したいと思います。では、どうぞ。



ガタンゴトン――ガタンゴトン――


秋も深まりかけ、だんだん風が冷たくなってきた11月の初め。受験生にとっては試験までの
ラストスパートをかけなきゃならない重要な時期だ。

「……それなのに……」
「ん? どうしたの? お姉ちゃん」
「……ううん、なんでもない」
そんな時期にもかかわらず、今私達二人は、電車に乗って、名も知らぬ駅に向かっている。
電車の中は、休日だというのにガラガラで、私達の車両を見ても、つり革を持っている人は
もちろん、座っている人さえいない。つまり乗ってるのは私達だけ。
そんなローカルな路線に乗っている私達――私、柊かがみと、妹のつかさ――は、普段
着ている私服を着て、肩にかばんを提げている。そして今座っている私たちのひざの上には、
B4サイズほどのスケッチブックがあり、その上には、絵の具や色鉛筆、弁当などが入った
手提げかばんが乗せてある。つまり……

「……なんで……」
「へっ?」
「……なんでこんな時に、スケッチ大会なんてしなきゃいけないのよー!!」
「ふえっ!?」
私は溜まったフラストレーションを、叫ぶことで発散することにした。


スケッチスケッチ!  1筆目 全員集合!


事の始まりは今週の火曜日。ちなみにテスト週間である。
「芸術の秋だねー。スケッチ大会しよー!」
というこなたの何の脈略のない一言から始まった。

何でも、最近のアニメ、漫画業界では、美術、芸術をテーマとした作品がひそかなブームを
呼んでいるらしい。
「それに今期から三大美術四コマ漫画の『スケッチブック』がアニメ化されたんだよ。
その中の話で、主人公が山にスケッチしに行く話があってね」
「何? それで、スケッチ大会がしたくなった、と」
「うむ、そのとーり! さすがかがみ、わかってるねー」

はぁ、アホらし……子供かよ。
そう思って断ろうとすると、前の方から、
「面白そうだね〜」
と、ほんわりとした声がした。
「なっ、つかさ!? あんた、何言って……」
「ええ、それに、楽しそうでもありますね」
今度は左側からの、大人びた声。
「えっ、み、みゆきまで……」
つかさはともかく、みゆきまでもがこなたの提案に乗ってしまった。

「ちょ、ちょっと! これから私達はとても重要な時期に入るのよ? そんな時に遊んで
なんか……」
「まぁまぁ、そんな堅い事言わないでさー」
「そうだよー。いっつも勉強勉強って言ってたら、疲れちゃうよー」
「そうですね。たまにはお休みがてら、遊びに行くのも言いですよね」
私は必死に止めさせようとしたが、こなた、つかさに加え、みゆきまでも賛成では、もう
止める術はなかった。

「で、かがみはどうするの?」
「えっ……!?」
「行くの? 行かないの? どっちなの?」
「お姉ちゃん、一緒に行こうよー」
「人数は多いほうが楽しいと思いますよ」
こっちの攻撃が終わったら、今度はあっちが三人合体攻撃を仕掛けてきやがった。
ちくしょう、最初から決めてた様な見事な連携だな。

「……わかったわよ。私も行くわ」
「ホント!? ありがとかがみん!」
「はいはいそんなんで抱きついてくんな!」



……とまあこんな感じでスケッチ大会の開催が決まった訳。
ちなみに今持ってるスケッチブックやらは、その日家に帰った夜、つかさが自分の部屋から
持ってきた物である。テスト勉強中に何やってんだとは思ったが、あまりにもつかさの目が
キラキラしてたもんだから、私は少し呆れた様な顔をしただけで済ましておいた。

「……それにしても、昨日いきなりこなたから行き先を聞かされた時はビックリしたわー……」
「うん、そうだね〜」
「あんまり聞いた事のない地名だったから調べてみたら、そこ、電車が1時間に1本しか
来ないって書いてあったのよねー」
「でも、本格的でいいんじゃないかな〜」
「それに、現地集合って言うのも変な話よね。4人で行くんだから、集合場所決めてみんなで
行けばいいのに……」
「う〜ん、何でだろう……」
と考え事をしているうちに、電車は目的の駅に滑り込んだ。そして、それまで疑問に思って
いた事は、電車を降りた後しばらくして解決することになった。

一つしかホームのない駅に降り立ってすぐ、
「あれっ? 柊と妹じゃん。お前らもこの電車だったのか?」
と、耳慣れた声が右から聞こえてきた。私がそのほうを向いてみると――

「えっ、日下部!?……と峰岸!?」
「あらあら、奇遇ねー、柊ちゃん」
「な、何でお前らがこんな所にいるんだ?」
「あれっ、ちびっ子から聞いてないのか? ちびっ子に誘われたから、私達もスケッチ大会に
参加する事にしたんだってヴァ!」
「わ、私達は何も……」
あまりに予想外な事で、目を丸くしてしまう私。

そして、さらにその後ろには、
「あ、かがみさんとつかささんもこの電車だったんですね」
と、最初からこの企画にノリノリだったみゆきと、

「……おはようございます……」
静かな声の、ショートカットの1年生が控えていた。

「あー、みなみちゃん!」
「…おはようございます、つかさ先輩」
「おはよう! みなみちゃんも、スケッチしに来たの?」
「…はい、みゆきさんに誘われて…」
つかさがみなみちゃんと妙に仲がいいのが気になるが、なぜみなみちゃんがいるのかが聞けた
からいいとしよう。なるほど、みゆき自身「人数が多いほうがいい」と言っていたから、
それを実行した訳か。ちなみに4人ともちゃんとスケッチ用の道具を持ってきている。

と、ここでさっき私達が不思議に思っていた事の答えを見つけた。
なるほど、こなたには誰が来るかわかってて、私達を驚かすためにそれを黙ってやがったな。

さて、と。
現在の時刻、10時10分。集合時刻、11時。
現在の集合状況、私とつかさ、みゆきにプラス、こなたに誘われた日下部と峰岸、
みゆきに誘われたみなみちゃんの6人。まだこなたは来ていない。
電車は1時間に1本しかないので、11時までに来る電車はもうない。つまり、ここで
こなたの遅刻は決定的である。まあでも遅刻といってもほんの数分だろうし、大目に
見てやろう。ちゃんとした理由があるなら。
それに今までのサプライズからして、あと来るのはこなただけじゃない、と私は予想している。
例えば、ゆたかちゃんとか。
日下部達まで誘っておいて、こなたが従姉妹のゆたかちゃんを誘わない訳がないと思うし、
みなみちゃんも参加するって言ったら、ゆたかちゃんも積極的に参加してくると思う。

私は「そっか、さっきの叫び声は柊のだったんだなっ!」という日下部の話をスルーしつつ、
そんな事を考えながら、誰もいない駅の改札口を通過した。


駅舎を出てすぐ、
「「……わぁー……」」
私とつかさは感嘆の声を出した。
そこには、普段都会では見ることのできない、素晴らしい景色が広がっていた。
目の前には田んぼが山の麓まで見渡す限りに広がっていて、建物はその田んぼの中に家や
倉庫がちらほら建っているくらい。
そしてその山肌は、赤、黄色、オレンジ、綺麗なグラデーションで染まっていた。

「わ、すっげー! めちゃくちゃ綺麗なんだってヴァ!」
「……本当ねー……」
「……ええ、そうですね」
「……はい……」
日下部が率直な意見を言い、それに答える様に他の3人も感想を述べた。
周りがうっとりしているのに自分だけがはしゃいでいるのに気がついて、日下部は少し罰が
悪そうに押し黙った。

「……こなたのやつ、いいとこ見つけてきたじゃない」
「ええ、天気もいいですし、いいスケッチ大会になりそうですね」
小春日和の日差しの下、今日はいい日になることを望みつつ、私とみゆきはそう呟いた。
ホントは今からスケッチし始めたいんだけど、こなたが昨日「全員集まるまで始めちゃ
だめだよ」と連絡してきていたので、そのこなたが来るまでは開始できない。
だったら遅刻してくんなよとツッコミたくなるのをおさえて、私はこなたが来るまでラノベを
読んで待つことにした。ちなみにみゆきと峰岸とみなみちゃんもそれぞれが持ってきた本を
読み始め、日下部は時たま飛んでくる虫達を追い掛け回し、つかさはそれについていって、
たまに転びそうになったりしていた。

そして11時過ぎ、駅に次の電車がようやく滑り込んできた。
しばらくして、予想通り、
「おー、みんなー、おはよー。ちゃんと集合してるねー」
と、遅刻してもまったく反省した様子のないこなたと、
「あ、み、みなさん、おはようございます」
と、遅刻して、少し申し訳なさそうな顔をしたゆたかちゃんが駅舎出口から現れた。
しかし、
「やーすいません。遅刻してしまいまして……」
という少し大人しめな声と、
「Oh! みなさん、おそろいデスネー!」
少し変でハイテンションな日本語が聞こえてくるのは予想外だった。

「いやー、二人にはこの路線の始発駅で会ってね?」
「まさか1時間に1本しか電車がないなんて思わなかったんで、次の電車が来るまで待ち
呆けていたんスけど……」
「そしたらコナタとユタカがキタので、一緒に行くコトになったのデス!」
こなた、ひよりちゃん、パティちゃんの順番でいきさつを話し、私の「何で遅刻したんだ」
という質問には3人揃って「夜遅くまでチャットしてた」と答えた時は、怒りを通り越して
呆れてしまった。

「ごめんなさい……何度も起こしに行っても、お姉ちゃん、全然起きなくて……」
「あ、い、いいのよ! ゆたかちゃんは気にしなくて!」
ゆたかちゃんが本当に申し訳なさそうにしていたので、私は慌ててなだめて、
「……あそこにいるオタクな姉のせいなんだから、気に病むことはないわ」
とジト目でこなたを見ながらそう囁いた。



「さて、じゃあ遅くなったけど、これから第20回陵桜学園スケッチ大会を始めるよー!」
誰のせいで遅くなったんだ、とか、第20回って何だよ、とかツッコミ所はいろいろと
あったが、ともかくようやくこなたの開会宣言でスケッチ大会が始まることになった。

「ルールはまず、2人1組になってある場所に行って、そこでその場所に合ったお題を
各自で見つけて、それをスケッチしてきてね。制限時間は移動距離が長い人もいるから、
12時から2時半までの2時間半。2時半になったらここまで戻ってきて、ある人が審査して
くれるから、それが終わったら結果発表。優秀だった人には賞品もあるから、それを目指して
頑張ってねー。何か質問のあるひとー?」
「組分けって、どうやってするの?」
とりあえず私が気になることを尋ねる。
「それは後で説明するから。はい、他にはー?」
「なぁなぁ、賞品って何だ?」
今度は日下部が目をキラキラさせて尋ねた。
「それも後で。じゃあ、組分けを始めるよー」
……何か冷たいな、今日のこなたは……
一通りのルール説明も終わり、こなたがポケットから取り出したのは……

「……爪楊枝?」
「そう! 組分けと言ったら、やっぱりこれでしょー!」
と、テンションやや高めのこなた。同じくひよりちゃんとパティちゃんも
「やはりそうきましたか!」
「Oh! 一度ヤッテみたかったんデス!」
と、結構ハイになっている。

「ささ、一人一本ずつ引いて引いて。楊枝は色分けしてあるから、同じ色の人同士でペアに
なってねー」
そういって、こなたはその爪楊枝を一本引いた。続いてみんなが順番に爪楊枝を引いていく。

「色で行く場所も分けてあるから、ペアが決まったらその場所に行ってね。地図もここに
あるから、ペアの色のやつを持っていってね。12時には地図に示した所にいて、12時に
なったら地図に描いてある範囲でスケッチを始めてねー」
私達はこなたに言われた様に同じ色の爪楊枝を持った人を探してペアを組み、その色の地図を
こなたから受け取った。


「……それではスケッチ大会、よーい、スタート!」




281戸別響:2008/10/24(金) 11:24:44 ID:qZfARjL/
以上です。感想、批評等がありましたらまたよろしくお願いします。
突然始まりましたこの中編小説。こなたが言っている通り、二人ペアで行動する訳ですが、
ペアはできるだけあまりかかわりのない人同士で組ませるつもりです。あくまでできるだけ。
登場人物は上記の話でも書いた10人+審査員の「ある人」です。
つまり5組のペアができますが、それぞれで話を書いていきます。よろしくお願いします。
282名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 15:03:19 ID:3pkrTpKp
>>281
>それに今期から三大美術四コマ漫画の『スケッチブック』がアニメ化されたんだよ。
あとの二つは芳文社で固められてるんですね、わかります
283名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 21:07:39 ID:B+4rOIuI
差し支えなければ9:10くらいに投下です。
28442-115:2008/10/24(金) 21:12:48 ID:B+4rOIuI
 ではいきます。


 「玄関で寝ちゃった」


 ・6レス
 ・エロなし
 ・ゆたかvsそうじろう(ある意味)
 ・「ゆたか」&こなた(ある意味)
285玄関で寝ちゃった1/6:2008/10/24(金) 21:14:46 ID:B+4rOIuI
 国民単位での寝不足の原因を、「深夜番組が面白すぎるから」とするユニークな意見がある。
 なるほど、深夜ドラマあり、スポーツニュースあり、映画もあればお笑いもある。そしてこなたのよう
な趣味の持ち主を夢中にさせて止まないアニメも……。
 これだけあれば、自分に合うものを何かしら見つけ出す事は難しくなかろうし、少なくともこれだけ色
々繰り出されればしばらくは飽きる事はない。寝不足になるほど熱中する気持ちも分からないではない。
 ……でも、毎晩はいいなあ。
 ゆたかはあくびをしながら、テレビの画面から目を離す。前に見た時は「1」のところで体を重ねてい
た熱愛中だった時計の針が、今は背中を向け合うようにして別居状態である。眠気覚ましにと淹れたコー
ヒー同様、長針と短針の夫婦仲はすっかり冷めてしまったらしい。二人の子供か飼い犬かは分からないが、
細い秒針だけが元気に文字盤を走り回っていた。
 今、泉家にはゆたか一人。こなたは彼女の将来やら成績やらを心配したかがみに引っ張り出され、泊り
込みの勉強会で不在である。何の教科かは分からないが、かがみは「基礎と根性を叩きなおしてやるわ」
と息巻いていたという。でも今頃は、翌日が休みであるのをいい事に、深夜アニメをリアルタイムで見る
べく臨戦体勢であろうか。
 そうじろうも不在であったが、こちらは泊り込みではなく、恩義ある先輩作家の出版記念パーティに招
かれていたためである。ゆたかは、そうじろうの帰りを待っていた。というのも……。
 「何の本なんですか?」
 慣れない正装のため、ネクタイの長さの調節に苦心するそうじろうに聞いてみた。
 「酒をテーマにしたエッセイ集だよ。作家の間じゃ『利き酒大魔王』の異名を持つほどの……まあ、言
ってしまえばマニアでね。趣味が昂じに昂じて、そんな本まで出しちゃったのさ。あーあ、俺の趣味じゃ
そうはいかないなあ……」
 ゆたかにはピーンと来るものがあった。酒に関連する本の出版記念パーティなら、即ちそれ自体が酒の
席となることは想像に難くないし、恩義ある先輩作家が主役となれば、二次会・三次会にも付き合う事に
なるだろう。
 「ゆーちゃん、先に寝てていいよ」
 そうじろうはそう言って出かけていったものの、妙な胸騒ぎがしてならない。そうじろうはちゃんと帰
ってこられるだろうか。ゆいの世話になるような事はないだろうか。確かめてから出ないと眠れそうにな
く、例え眠れても夢見が良いものにはならないだろう。そう思ったゆたかは、深夜番組を友にして起きて
いる事にしたのだった。
 テレビ欄にはタイトルの一部しか記載されていないため、内容が計り知れない番組の正体を確かめよう
とリモコンに手を乗せたとき、外の方で車が止まる音が聞こえた。ゆいのヴィヴィオではない。第一停ま
り方が丁寧だ。
286玄関で寝ちゃった2/6:2008/10/24(金) 21:15:27 ID:B+4rOIuI
 「伯父さん……?」
 タクシーで帰ったか、誰かに送ってもらったか。やがて走り去る音。
 ゆたかは立ち上がり、玄関へと向かう。ゆたかがすでに寝たものだと思っていたのか、インターフォン
は鳴らない。その代わりドア越しに、
 「鍵……鍵……」
という声が聞こえた。呂律が回らなくなってはいるが、紛れもなくそうじろうの声である。
 「伯父さん、今開けます」
 今会いに行きますくらいのノリでそう言って、ゆたかはサンダルを突つっかけ、ロックを解除。ドアを
そっと開ける。
 「お゛お゛〜、ゆ゛ーちゃん〜。待っててくれたがぁ〜」
 そんな声とともにそうじろうが中に入ってきた。視点の低いゆたかからすると、伐採された大木の如し
である。そうじろうはたたきの所で一回転すると、段差に当たって倒れる。バランスが悪かったのか、遠
くから見た雪崩のようにゆっくりズルズルとたたきの方へ落ち、そこに膝を突く形で止まった。何故か太
腿にネクタイが巻かれている。ネクタイは首に巻くからneck tieであり、「あたし●ち」の父を持ち出す
までもなく、ヨッパライなら頭に巻くのが一般的なイメージであろうか。どうやら動脈叢を撃ち抜かれた
わけでもなさそうなので、これはそうじろうなりのオリジナリティなのだろう。さすが作家さん、とゆた
かは感心した。
 が、実際はそれどころでもないのである。というのも……。
 「おかえり……なさい……伯父さん……。え、えーと……」
 実子であれば「お土産は?」とでも聞くところだろうが、姪であるゆたかは遠慮して慎重に言葉を選ん
でからこう言った。
 「……起きないんですか?」
 そうじろうは、ツタからツタへの飛び移りに失敗したターザンのような格好のまま微動だにしない。す
でに倒れて(寝て)いる以上、その答えは「然り」の模様である。
 そうじろうは、玄関で寝ちゃったのである。




 耳を澄ませば虫の声。しかし、そうじろうの寝息が混じってしまい、あまり風流ではない。
 開け放たれたままのドアの向こうには、夜の世界が広がっていた。小早川ではなく尾崎なら、盗んだバ
イクで走り出していくところだろうが、ゆたかはドアを閉ざす事にした。そして難題に直面した。
 長身のそうじろうの脚が、ドア枠の外にはみ出していたのである。これでは閉める事ができない。
 「伯父さん、あの、脚が……」
 返事はない。反応もない。
287玄関で寝ちゃった3/6:2008/10/24(金) 21:16:10 ID:B+4rOIuI
 「……」
 仕方なくゆたかは、そうじろうの足首を掴んで曲げさせた。だが手を離すと、宙空に半円を描くコンパ
スの様に元に戻ってしまう。こうなったらやむを得ない。
 「伯父さん……失礼します」
 ゆたかはドアの方に立ってそうじろうの脚をもう一度曲げさせると、お尻で押さえ込んで戻らないよう
にした。端から見れば便座の上げ下げの様に見えるかもしれないが、当人至って真剣である。
 それが功を奏して、ゆたかはドアを閉める事に成功した。
 さらば、15の夜。さらば、便座。ゆたかがどくと、そうじろうの足は再び半円を描き……。

 ガン

 ……ドアを蹴った。穴でも開いたら、全ての原因を作ったエッセイ集ででも塞ぐとしよう。
 その衝撃は弱からざるものがあったが、そうじろうは起きようとしなかった。靴を脱がせ、自分もサン
ダルを脱ぐと、床に上がりそうじろうの顔を覗き込む。
 「伯父さーん、起きてくださーい」
 肩をゆすぶってみる。反応は限りなく無に等しい。あと五分どころか五週間でも寝ていそうである。そ
うなれば、三年寝太郎の足元くらいには匹敵するだろう。観察日記をつけておけば小説のネタになるだろ
う。医学的にも貴重である。だが、玄関では困る。
 というわけで、そうじろうを起こさなければらなない。でも、どうやって?
 ……とりあえず、ゆたかはくすぐってみた。
 「こしょこしょこしょ……」
 そうじろうの脇腹を、ゆたかの指が騎兵突撃。蹂躙する。
 「ん……んふ……」
 反応あり。そうじろうは酒気交じりの息を吐いて笑う。だが、それだけだった。起きてはくれない。や
がて指が疲れてしまったので、ゆたかは攻勢を停止させた。そうじろうの脇腹と酒という組み合わせは、
ワーテルローのイギリス軍陣地並みに騎兵に対する耐性があるらしい。ウェリントン将軍もびっくりであ
る。
 「……」
 疲れた指をさすりながら、ゆたかは玄関で寝ているそうじろうを観察する。それは何かを連想させた。
岩崎家のチェリーだ。その事に気付いたゆたかは、以前チェリーに対してしたようにそうじろうの手を取
って歌い始めた。
 「♪ そうじろう伯父さん そうじろう伯父さん そうじろう伯父さんは 大きいな」
 大木のように倒れたそうじろうであったが、横たわる姿はゆたか的には大河のように思えた。沿岸で文
明が発生しそうである。何なんだろう、この理不尽な大きさは。これだけ大きいと、見えるもの全てが自
分とは違うだろう。だからゆたかは、一度聞いてみたいと思っていた。
288玄関で寝ちゃった4/6:2008/10/24(金) 21:16:56 ID:B+4rOIuI

 「夜明けは早いですか?」

と。
 気の早いクリスマスソングに乗せて、そうじろうが大きいというテーマで三番まで歌ってみたが、起き
てはくれなかった。まあチェリーも似たようなものだったから、こんなものなのかもしれない。
 「ふう……」
 結果に落胆して肩を落とすが、それでもめげずに次の一手を考える。そうだ、ショック療法はどうだろ
うか。
 そうじろうにとってショックな事というと何だろう。
 仕事関係?
 締め切りが一週間繰り上がったとか、出版社が倒産したとか……それでは悪辣すぎるだろうか。
 では……。
 「伯父さん、こなたお姉ちゃんの彼氏さんが見えましたよ」
 カタカタカタと廊下を叩き、足音の効果音……のつもり。

 こほん

 咳払い一つ。声色を変え……。
 「はじめまして。こなたさんとお付き合いさせていただいております、ゆたかです。突然ですがこなた
さんを僕にください、お父さん」
 ゆたかは、一人芝居を打った。
 こなたを溺愛し、男が出来やしないかと普段から戦々恐々のそうじろうのこと。どこぞの馬の骨がいき
なりこなたを嫁にしたいと言い出すほどのショックはないだろう。男みたいな名前も好都合だった……。
でも、彼氏の「ゆたか」を案内したものゆたかだった。即席の脚本と役者不足ゆえ、これは致し方ない。
 だが、そうじろうは起きなかった。まだ刺激が足りないらしい。
 ではこの後はどう展開させるか。ゆたかはすばやく考える。
 さっき役所で入籍を済ませ、新居も見つけた。こなたは妊娠三ヶ月で、赤ん坊の性別も分かっており名
前も決まっていて、そうじろうへの挨拶を済ませたらベビー用品を買いに行く予定……。
 そういったプロットで芝居を続けようとしたその時だった。

 「んごー」

 拍手でも歓声でもなく鼾。それが唯一の観客であるそうじろうの反応だった。これではとても演技を続
ける気なんて起きない。
 「はあ……」
 再び肩を落として溜息をつく。そこまで退屈な演技だっただろうか。それはこなたを嫁にしたい人にと
っては好都合かもしれないが、ゆたかにとっては大いに不都合だった。
 もうこうなったら正攻法しかない。
 ゆたかはそうじろうの腕を掴み、二の腕の辺りを肩の上に乗せて立ち上がろうとした。
289玄関で寝ちゃった5/6:2008/10/24(金) 21:17:47 ID:B+4rOIuI

 「よいしょ!」

 ビリッ

 「!?」
 ……何か嫌な音がした。まるで布地が破れるかのような……。
 しかしそうじろうの体がゆたかの背中にぺったりつく格好になっているため、どうにも確かめようがな
い。ともあれ立ち上がる事には成功した。そうじろうは背後霊のようにゆたかに負ぶさる格好になってい
るが、背後霊と違って脚があるため、引きずられる事になる。とはいえこのまま放置する事はできない。
どこで何が破れたか確かめるのも、運んでからだ。
 「……うんしょ」
 どうにか一歩を足を踏み出し、自分とそうじろうの体を前進させることに成功した。
 よし、この調子で一歩ずつ進んでいけば……あれ? そういえばどこに運ぼうとしてたんだっけ? てい
うか、伯父さんの部屋は二階……。

 ズベッ

 重大かつ致命的なその事実に気付いてしまい、全身の力が抜けたゆたかはそのまま床に崩れ落ちた。ゆ
たかはそうじろうに潰された上肘を打ち、そうじろうは軽く額を床にぶつけてゴンという音を立てる。
 「ご、ごめんなさい、伯父さん」
 「んごー」
 ゆたかは肘の痛みに耐えながら謝ったが、そうじろうは相変わらずだった。これでは朝まで目覚めない
だろう。
 二人の体は床に折り重なる形になっていて、そうじろうがゆたかを襲っているようにしか見えない状態
だったが、ゆたかはすぐに抜け出そうとせずそうじろうの顔を見つめていた。それは肘の痛みのせいだけ
でない。そういえば、夏場にも一緒に昼寝したっけ。
 そうじろうの頭が再び勢い良く落下しないようにそっと抜け出し、ゆたかは考える。
 このままじゃ二階はおろか、自分かこなたのベッドまで運ぶ事もままならない。運べない以上、玄関で
寝るしかないようだ。だが下が床では布団に比べて熱を奪われすぎて、体によくないだろう。それ以前に、
ゆたかを襲う睡魔と疲労感が、彼女を限界に追い詰めていた。
 「……」
 ゆたかは疲れた体を引きずるようにして自室に行くと、ベッドの上の掛け布団を引きずって来て、玄関
で寝ちゃったそうじろうの上にかけた。
 「おやすみなさい、伯父さん……」
 そう言ってゆたかもその布団の中に入る。
 「……吐かないでくださいね」
 そう付け加えながら。
290玄関で寝ちゃった6/6:2008/10/24(金) 21:19:27 ID:B+4rOIuI
 「うおおおおおおおおおお」
 翌朝。
 そうじろうの一日は、こんな叫び声で始まった。それも、ゆたかが同じ布団の中に寝ていればこそであ
る。
 つまり彼は、

 酔ってタクシーに乗ったところまでは覚えている
 ↓
 ゆーちゃんが同じ布団で寝ている
 ↓
 酔った勢いでひどいことをしてしまった
 ↓
 がーん

と考えたのである。
 「……?? あ、おはようございます、伯父さん」
 そのやかましい声にゆたかは目を覚ましたが、そうじろうは脇の下が破れたスーツのまま何故か叫びつ
つ二階に駆け上がっていってしまったので、朝の挨拶は届かなかった。寝ぼけ眼のゆたかは、何か画期的
な小説のアイデアでも思いついたのだろうくらいに思った。
 よかったですね、伯父さん……。
 人の気も知らないでゆたかが微笑んでいると、そばにあった家の電話が鳴った。
 「もしもし、泉です」
 『おはよー、ゆーちゃん。こっちも泉だよ』
 こなたからの電話だった。
 「こなたおねえちゃん、おはよう。昨日どうだった? 勉強はかどった?」
 『いやー、かがみに基礎を叩き込まれるついでに、別のモノを叩き込まれないかヒヤヒヤだったよ』
 すかさず「変な事言うな!」というかがみのツッコミが聞こえてきた。
 「そうなんだ……」
 含意までは分からないが、取り合えずゆたかは納得しておいた。
 『ゆーちゃんこそ、おとーさんに変な事されなかった?』
 実は内心、それが心配で朝一の電話を掛けたのである。
 「うーん……私の方が変なことしちゃったかも」
 『寝ているおとーさんの額に「肉」って描いちゃったり?』
 こなたが声を潜める。これくらいの冗談で済めばいいなという願望の現われだろう。
 「……もっとひどいかも」
 『ど、どんなふうに?』
 「えと……伯父さんをくすぐったり、犬みたいに扱ったり」
 『……え゛』
 「伯父さんの上に乗ったり、逆に乗られたり」
 『はわわわ……』
 「伯父さんの服を破いちゃったり」
 『……』
 「それにね、お姉ちゃん」
 『うん』
 「私……」
 『うん』
 「伯父さんと一緒に……」
 『うん……』
 「玄関で寝ちゃった」




 おわり


29142-115:2008/10/24(金) 21:20:26 ID:B+4rOIuI
 玄関で寝ちゃった旦那を非力な妻がどうにかして寝室まで運ぼうとするというテーマは他ジャンルで書いたことがあり、これはその焼き直しというか、オチは似たり寄ったりです。
 そちらには続編があり、玄関を寝室にリフォームしたから玄関で寝ちゃっても無問題というオチがつきました。
 それ以上のオチを考え付いたら、こちらでも続編を書きたいと思います。
 では、ありがとうございました。
292名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 21:36:00 ID:4NeE+S9T
>>281
GJ !
芸術の秋にちなんでスケッチ大会いいね !
ところで三大美術部4コマって、残りはひだまりとGAかな??

>>291
GJ !
これは・・・ひょっとして実体験なのかな? なんとも妙にリアルだw
酔って玄関で寝るお父さんというシチュは、現実でもありそうだしね
293日下部兄妹の危機:2008/10/24(金) 23:24:31 ID:M/VfzEVM
 気怠い午後、襲い掛かる倦怠感に頭を振りながら峰岸あやのは目を覚ました。
目の前には裸で眠る愛する人。そして、自分も同じく裸で寝ているこの状況に慣れつつある自分に少し驚きながら体を起こす。
体を起こすと目に入ってくるのは、そこかしこに散らばるピンク色のゴム製品。当然中にはまだ白いお玉杓子が詰まっている。
「…相変わらず、すごい量よね…」
苦笑いを浮かべながらベッドから静かに降りると、脱ぎ捨ててある彼の服と下着を持って静かに部屋を出た。

今日は両親も妹も居ないから、一日中ゆっくりできる。
彼の話だとそうだったのだが、ここで誤算が一つ。
「みゅ?」
彼の妹でありあやのの親友…日下部みさおが何故か、家に居た。
「スケベだってヴぁ! 一日中エッチだなんて…不潔だゼあやのぉ!」
誰もいないからと素っ裸で洗濯の為に洗面所に向かったことがあやのの最大の失敗。
そこに待ち受けていたみさおとばったり遭遇してしまった。
そこから先は質問攻めである。やれ、なんで裸なのか、やれ兄貴のパンツを何故抱えているのか…etc…
更にタイミング悪く兄が同じく素っ裸で登場、元気よくぱおーんしている股間の象に目はくぎづけ。

「み、みさちゃん、落ち着いて?」
「お膣痛ぇ!? あやのがそったらどすけべだなんて幻滅したゼ!」
思春期の性的な脳が大爆発。SIXがSEXに聞こえる不思議。
しかし何よりもみさおにしてみれば自分の大好きな兄が自分の大好きな親友とBe in the セクロスという悲劇が辛い。自分一人が弾き出されていたのが悲しいのだ。
「あーもう、みさ吉、お前うぜぇー。あやの、早くバコバコしようぜ」
「ぬはぁーん! アニキのグズ! 人間のごみ! くされちんぽこー!」
いつの間にやら兄弟喧嘩。しかも超低レベル。
あやのはため息を一つつくと、洗濯機に洗濯物を丁寧に入れて洗剤を入れる。
「あやのぉー、SEXしようぜー」
「あ゛や゛の゛ぉ゛ー! あ゛だじどあ゛ぞびに゛いごぉ゛ー!」
スケベ顔の彼と涙化粧の親友に一瞥をくれ、あやのはふぅとため息をつき
「知りません」
さっさと洗面所を出ていってしまった。
取り残された二人はしばし沈黙した後――
「あ、あやのの冷たい視線…イイ!」
「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛! あ゛や゛の゛ぉ゛ぉ゛!」
各々の反応を示しつつあやのを追い掛けた。
294日下部兄妹の危機:2008/10/24(金) 23:27:29 ID:M/VfzEVM
彼の部屋に戻ったあやのは、彼のタンスから大きいトレーナーを取り出して被る。
素っ裸だと少し寒いのだ。
続いて散らばった近藤さんを拾い、一つづつごみ箱に入れていく。
始めはちょっと触りたくないイメージがあった。が、やらざるを得なかったのも事実。
何せ彼はズボラなのだ。掃除を進んでやる男ではない。いつだったか一週間前の近藤さんが残っていて唖然とした事もあった。
それからというもの、SEXの後の掃除はあやのの仕事になっている。
次いでコロコロを使って部屋掃除。ふと、彼の枕に自分の髪の毛が付いているのを発見した。
僅かに迷った後、桃みたいに顔を染めながら髪の毛をそのままにして布団をコロコロ。
――彼女は乙女である。SEX後に快感の余韻で自分のアフターケアをしてくれない彼の乳首やら尻を愛撫という後戯をしっかりしたり、自ら股をティッシュで拭ったり、ペペを掻き交ぜたりするのが異様に上手かったりするが紛れも無く乙女である。
髪の毛一本だけでも側に居たいと思うのは悪い事なのだろうか?
否、そんな事はない!
早く兄妹が仲直りする事を祈りつつ、部屋掃除を続けていると、不意に部屋のドアが開け放たれた。
そこに立っているのは素っ裸の日下部兄妹。
思いも寄らぬ展開にあやののライフは消し飛んだ。
「あやのっ! 俺かみさおか…好きな方を選んでくれ!」
「あやのぉっ! アタシ、ちんぽこなんてないけど――あやのの事幸せにしてみせるゼ!」
武田信玄と上杉謙信もびっくり日下部亭の闘い。
兄は男と恋人の、妹は女と親友の誇りをかけて、世紀の一戦に挑む。
あやのはかぶりをふりながら、そっと、自分のバッグのなかに手を入れる。
取出したるは虎の仮面。
二人の顔が一瞬恐怖に歪んだ。

「お祈りは済ませた? えっちな本の処分は? DドライブはOK? うん、いいわね? オシオキよ――愚かな兄妹(マゲッツ)」
一歩早かったのは妹だった。廊下に飛び出すとドアを必死に抑え、彼女から逃れようとする。
「みっ、みさ吉!? てめっ、あ、あやの!? いやっ、アナルらめっ――おっほぉぉぉ! ォォーガズムゥーン!」
体が勝手に震える。怖い怖い怖い怖い怖い怖――
「さあ、オシオキの時間よ。みさちゃん」
「み、みゅ…あ、あやの…なんでここに…? さっきまで中に…」
斜に構えたあやのの顔を窺い知る事はできない。
「…乙女力は空間と時間を操る…」
ゴゴゴゴゴ…とか聞こえてきそうなあやののオーラ。
直感的にみさおは思った。やられる、と。
「…暫く私の顔を見る度に発情するくらいネチョってあげる! みさちゃん!」
「ひっ!? みゅ…みゅうーーーん!」
「バイブレーターよっ!WRYYYYYY!!」

それは壮絶なネチョだった。
みさおの全身は唾液と汗とネチョ汁(女性同士が交わると現れるネッチョリした汁)でテカテカ輝き、光のない目で天井を見つめる。
「ヴぁー…ヴぁー…」
息も絶え絶えのみさおを見下ろし、あやのがこちらを向いた。こちらを、向いた?
「…貴女…そこで見ているわね? ひよりちゃん」
しまった! 奴の能力を侮っ「ザ・ワールド! 時よ止まれ!」

「んっはぁぉぁぁぁ!」
気がつくと全身を襲う快感の波。一度に数百回いかされたような感覚が全身を駆け巡る。
「さあさあ、悪い子はしまって、WRYYYYYY!! しちゃおうね」
「た、助け…助け…!」

ギイィィィ…バタン

「おはよー峰岸ー……? あれ? 日下部どうしたの? 顔真っ赤だけど」
「おはよう柊ちゃん。みさちゃんってば欲情しちゃってるみたいで――」
「そっかー。そんな時期なんだねー」
「あやのぉぉぉぉー……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正直書き込めると思っていなかった。反省している。
295名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 23:49:35 ID:xGJ9n7Ol
>>294
自治厨見たいな発言ですみませんが、
投入前には前置きをお願いします。

ただ、作品については、いろいろな意味でバカなところがGJ!
ひよりんが覗き見していた所がツボにはまった。


296名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 00:09:57 ID:xOTlOCXl
今日はみゆきさんの誕生日だな
297名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 03:12:20 ID:HALReqmB
>>291
夜明けは早いですか? に噴いたwwwww
298名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 07:51:38 ID:gWXjQYZJ
299名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 10:36:24 ID:qPt+0cZd
>>291
ゆ、ゆーちゃん可愛えええ
文章面白いし、シチュとか展開とかオチも凄くいいですね、GJ
300名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 17:48:48 ID:x56hIL1I
>>281
どういう組み合わせができあがるのか、そして審査員が誰なのか、続きに期待

そういや、こなたって絵心なかったような……

>>291
>沿岸で文明が発達しそう で思わず吹いたw まあでも、自分より3割以上も
背が高いっていったら確かに大河か大木だわな。
それにしてもゆーちゃんかわいいなぁ。

>>294
>落ち着いて→お膣痛(ぇ) その変換はなかったわw
でもsixは結構普通にsexに聞こえたりするから不思議。
 そしてひよりんなぜそこにwww
ということは最後にヤられてるのはひよりんか?w
301名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 19:58:55 ID:GJSoUk1D
今日はみゆきさんの誕生日ということで
何かSSを投稿しようかと色々考えてたんですよ
エロパロ板なのでみゆきさんでエロ妄想してネタを練ってたんですよ

ふぅ…
302名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 20:01:45 ID:n6Lim69R
いや、そういうのはいい
30336-273:2008/10/25(土) 21:30:45 ID:MB6aZxps
お久しぶりです。
今日はみゆきさんの誕生日ということで、急遽SSを書いてみました。
誰もいらっしゃらなければ、三分後くらいに投下いたします。


・カップリングは特になし
・2、3レス程度
・エロなし
304今までも。ずっとこの先も。:2008/10/25(土) 21:33:23 ID:MB6aZxps
「せーのっ」
「お誕生日、おめでとうー!」
 こなたの掛け声にあわせ、こなた、つかさ、かがみの祝いの声が続き、更に同時にクラッカーが鳴らされた。
 今日、10月25日は、日本航空が初めて運航を開始した民間航空記念日である。しかし、今、この東京某所の高良家では、そんなこととは全く関係なく、高良みゆきという一人の人間の誕生日が祝われていた。
 当のみゆきはというと、クラッカーの紙吹雪を体中に受けながら、はにかんで、お礼の言葉を述べ始めた。
「あ、ありがとうございます……。こんな……大きなケーキも作っていただいて……そして、とんでもない祝福を受けられて……私は……世界一の幸せ者です」
 そう、みゆきが言うとおり、彼女らの目の前にはケーキが置かれていた。高良家のみゆきの部屋で、ケーキが置かれたテーブルを、みゆきたちが囲んでいる格好であった。
 そして、感謝の言葉を述べ終わったみゆきは、口は笑っていたが、瞳は若干潤みをたたえ始めていた。
 そんなみゆきを気遣うように、
「ふふ。そんなにお礼を言われるまでもないよ〜。でも、ケーキは気合入れて作ったから、たくさん食べてほしいかな……」
 つかさはそんなことを言った。
「はい、ありがとうございます、つかささん」
 みゆきは目を潤ませながらも、頭を下げて、つかさに礼を言った。
 そんな様子をにやつきながら見ていた人物がいる。そう、泉こなたである。
「むふふ〜。やっぱり、みゆきさんはかわいいね〜」
 そんな事を言うと、こなたは隣にいたみゆきの右半身にしがみついて、すりすりと身体をこすり付けはじめた。
「い、泉さん……?」
「んー、もふもふー、もふもふー」
 みゆきの言葉も意に介さず、こなたは至福の表情を浮かべる。
 その様子につかさも羨ましくなったようで、
「あー、こなちゃん、ずるいよー。私も私もー」
 みゆきの腕を取り、その腕に抱きつくと、やはり自分の顔をこすり付けはじめた。
「ゆきちゃんの身体、あったかーい。何だか眠くなっちゃいそう……」
 つかさは目をとろんとさせながら、そう言った。つかさのことだから、あながち嘘でもなさそうだ。
 そんな風に、こなたとつかさが「もふもふ分」を摂取している様子に、かがみは呆れたようにため息をつき、
「二人とも……。今日はみゆきの誕生日なんだから、迷惑かけちゃダメじゃない」
「いやいや! 今日がみゆきさんの誕生日だからこそ、だよ、かがみ!」
「そうだよ、お姉ちゃん。だって、こんなに気持ちいいんだよー?」
 かがみの苦言に対し、二人揃ってこなたとつかさは反論する。そして、言ってしまうと、再び「もふもふ分」摂取に取り掛かる。
 その様子にかがみはため息をもう一度つき、テーブル越しにみゆきに聞いた。
「いいの? みゆき」
 そんなかがみの問いに対し、みゆきは少し考えると、
「……はい。お二人に喜んでいただけるならば」
 破顔一笑させてそう言った。
「……そう。まあ、みゆきがそう言うならいいわ。あんたってやつは……本当にいい子なんだから」
 かがみはそう言うのもそこそこに立ち上がると、歩いてみゆきの目の前に立った。
「……?」
 みゆきは上目遣いにかがみを見上げた。何のことか全く分からない様子である。
 すると、かがみは少し笑い、右の手のひらをポンッと、みゆきの頭に置き、わしわしと撫で回した。
「か、かがみさん……?」
 驚きでしばらく声も出ず、しばらく経ってから、困惑した顔でみゆきが口を開いた。
 「もふもふ分」を摂取していたこなたとつかさも、口をあんぐりと開けて、その様子を見つめているしかない。
「いいの、いいの。何も言わなくて。私たちは、いつもみゆきに迷惑ばかりかけているから、これはそれに対する感謝の証よ。まあ、こんなことぐらいしか出来ないけど……ね?」
 その言葉に、みゆきはまた破顔一笑させた。
305今までも。ずっとこの先も。:2008/10/25(土) 21:34:32 ID:MB6aZxps
「ありがとうございます……。本当に嬉しい、です」
 そして、みゆきはしばし、かがみと見つめ合った。
 しかし、その様子をじっと見ていたこなたが、気に入らないような調子で、
「かがみん、ずるいよー」
 と、声をあげる。
 かがみは、顔をにやつかせ、
「んー、羨ましいのー? でも、あんたたちはそれ以上にいい思いをしてるでしょう。だから、文句は言えないはずよ」
 したり顔でそう言った。
 さすがのこなたも反論できなかったが、
「ちぇー……。でも、いいもん。私には、みゆきさんの「もふもふ」があるんだもん」
 こなたはそういい、みゆきに後頭部を預け、ふんぞり返るように姿勢を変えた。思う存分「もふもふ分」を摂取することに決めたらしい。
「全く、仕方のない奴ね……」
 かがみはまた呆れ顔になりながらも、みゆきの頭を撫で続ける。
「いえ、でも……泉さんも、つかささんも喜んでくれているようですし……皆さんの幸せが、私の幸せですから」
「……本当に聖人君子ね。そして、憎いくらいに可愛いやつだわ。でも、だからこそ、私にとってみゆきは、誇れる親友よ」
 そのかがみの言葉に、こなたは顔を明るくさせ、
「そうそう、かがみの言うとおり! さっき、みゆきさんは自分を幸せ者だって言ったけど、みゆきさんを友達に持てた私たちのほうが幸せ者だよ!」
「うん、本当にお姉ちゃんとこなちゃんの言うとおりだよ。ゆきちゃんは頭も良くて、運動も出来て、優しくって、それで、それで……え、えーと……と、ともかく! ゆきちゃんは私たちの宝物だよ! ……あ、ダジャレじゃないからね」
 つかさも顔を赤くさせながらも、そう言った。
「み、皆さん……」
 みゆきは、三人からの言葉をしばしかみ締め、そして……感極まって泣き出した。









 思えば、このお三方と出会ってからどれくらい経つのでしょう。
 正確な年月は忘れてしまいました。でも、人生の中で考えれば、まだまだ浅い付き合いであることは間違いないでしょう。
 それでも……今や、私にとって、お三方がかけがえのない存在であることもまた、間違いのない事実です。
 集団になる目的は、お互いを利用するためか、お互いを助け合うためかのどちらかだと聞いたことがあります。私たちの場合、後者でしょう。お互いを利用しようなんて考えている人は一人もいません。
 悲しいこと、苦しいこと、嬉しいこと、楽しいこと、それら全てを分かち合い、お互いを想いあう。それが親友なのでしょう。
 その定義が正しいとしたら、私たち四人は……親友同士だということなのでしょう。
 いつも場を楽しくさせてくれる泉さん。いつも厳しいようだけど、本当は友達想いで優しいかがみさん。いつも私たちに癒やしと笑いを提供してくれるつかささん。このうちの誰か一人でも欠けたとしたら、私には耐えられません。
 よくかがみさんは寂しがり屋だと、泉さんにからかわれますが、それは当然のことでしょう。親友がそばにいなくて、寂しくないことなんて普通はありません。だって、親友がそばにいると……本当に嬉しく、そして楽しいのですから。
 今日だってそうです。皆さんからいただいたプレゼントも当然嬉しかったですけど、私にとっては、私の誕生日に、皆さんがそばにいてくれたということが最高の誕生日プレゼントでした。
 本当に、本当に……泉さんとかがみさん、つかささん、このお三方と仲良くなれて、良かった。いずれ、高校で毎日会えるという日常は終わるでしょうけど、お三方と出会えたことは一生の幸せです。
 だから……今までも。ずっとこの先も。不束者な私ですが、皆さん、どうぞよろしくお願いしますね。
30636-273:2008/10/25(土) 21:39:32 ID:MB6aZxps
以上です。
本当はSSを書くつもりはなかったんですが、午後になってやっぱり書きたくなったので、書きました。
14:45頃に書き始めて、たった今書き終えた、ということで、急ピッチで書き上げた都合上、少々筆が荒れているかもしれませんが、どうぞご容赦下さい。
まあ、もっと速く書けよ、という人もいるかもしれませんね。一瀉千里に書き上げられればいいのですが、どうにも私は遅筆です。


内容は、みゆき以外は平等に書けたつもりですが、ここ最近ずっと、かがゆきなSSを書いていたので、かがゆき分が多めに見えるかもしれません。


それでは、今日はこれで。そして、みゆきさん、ついでにゴッホ、お誕生日おめでとうございます。
307名無しさん@ピンキー:2008/10/25(土) 22:43:26 ID:TEclqNBd
>>306
GJ ! なんという温かい誕生日オメSS
即興でこんなの書ける貴方の才能が憎いw
308名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 00:21:11 ID:i7m4CWv+
          rー ── } : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`丶、
          | : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.丶
          | : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : :: : \
          |/ : : : ,' : : : : : |\: : : : : : : : : : : : ヽ: : :: : : : : : : : :ヽ
.          /: : : : : : !: : /: : : |  \´:  ̄`ヽ、: : : :丶 : │ : : : : : : ',
       /: : : : : : : :..|⌒ト : : │   \: : : : : \: : : : \:|: : : : : : : |
      /: : : : : :./:/: :.:|: :∧: : : l    __.\: ヽ : : : : : : : : \:.:.: : : : :.|
.     /: : : / : : : V: : : :レ'-ヘ: : :.',    ィ灯テ外ミ: : : : : : : : : : \: : : : l
    /: :./!: : : : : |: : : :小Y心\:.ヽ   {iー'::::::jヾ: : : : : : ::\ : :ヽー :l
    |/ │: : : :/|:.: :.:.{ハ Vi::ハ \|    Vヘ::::イ:}ハ: \: : : : }\: ',: :l
         |: : : :.ハ: : : |{ ヘ ヽ:リ、__{ァ   ゝ辷ン ∧: :}ヽ /|: : ヽ} :|
        ヽ: : l  ヽ: :.l人: :', ´ ノ , \    ''' / / ∨ ∨:.l: : : : : |
            \{   \リ:.:`弋   。 ` ー一 ' / '´: : :∠,:│: : : :│
                /: : :.:/フ>  __   イ: : : : : :/..:.: 八 : : : │
           /:./^}/ / { { : : ∠: : :/  ̄ ̄\ ̄ \: :ヽ : : |
     _,, -='´_/ ´ 二)   ヽ: : /: :./       \//∧: : \|
     ´ `>: :/(7      、`)   /: : : /           ∨/∧: : : l\
      / : : ///\  xヘ \ /.: : : ; イ          V//,|: : : :\:\
       ヽ:////// >く )Yー’{/|: /V           |//,|: : : : : :\:ヽ

>>306さん、ありがとうございます。すばらしいの誕生日プレゼントでした
30923-49:2008/10/26(日) 12:33:12 ID:/P2489rF
どうもです
直接対決編、かがみパート後編、投下させてください
被りがないようでしたら五分後ぐらいから

・かがみ&こなた
・エロ無し
・11レス使用
・全六回の六回目
310私は認めない 1/11:2008/10/26(日) 12:38:20 ID:/P2489rF
 
 分かってしまった。

「――勘違いしないで。そりゃ、私の言い方もマズかったけど、とにかく、誤解なのっ」
 私にとって、こなたとはなんなのか。
 私がこいつに何を求めているのか。
「ただ、あいつらが……私とあんたが仲が良すぎて間に入れそうにないだとか、私らにはお互い
さえいれば恋人なんか必要ないだろうとか……」
 だけど、違う。そんなのは認めない。
 こんな答え、認められるわけがない。
「べ、別に私はそんなのぜんぜん気にしてないのよっ? ただ、あんたはどう思うかな、って……
別に心配したわけじゃなくてっ、だから――」
 これなら恋愛感情だったって方がまだマシだ。
 どうしてこんな、チビの、オタクで、だらしのないヤツに。
「だから、つまり――ほら、あんただったらそんなの聞いたら、なに言い出すか分かったもんじゃ
ないじゃない? だから下手なリアクションをしないように釘を刺しとこうと思って……」
 ってゆーか。
 って、ゆーかっ!
「……」
「あぁもうっ!! あんたも何か言いなさいよっ!!」
 これじゃ本当に馬鹿みたいじゃない!

「何かって……」
 ぜぇぜぇと息を荒げる私をぼけーっと眺めながら、ようやくこなたは口を開いた。
「えっと……かがみ?」
 眉を寄せて小首を傾げる。
 反応が小さすぎる気がする。今日のこいつは色々とおかしいけど、いくらなんでも私のあんな
 発言にまったくの無反応というのはさすがに考えられない。
 もしかして……聞いてなかった、なんてことは……
「な、なによ」
「抱きしめて欲しいの?」
「そっ……!」
 ありませんでしたっ!
「そんなこと言ってないわよっ!!」
「いや、言ったじゃん。思いっきり言ったじゃん」
「だっ、だからそれは――言い間違いよっ!」
「だったらホントは何を言うつもりだったのさ」
 うっ。
「それは――だからっ! 今それを説明してんでしょうが! 黙って聞けよっ!」
「や、だって。何か言えって」
「うるさいっ!」
 ああ、もう。
 まったくもって支離滅裂だ。
「だから……つまり私は、釘を……」
 釘……釘ってなんだ。えぇと、確か……こいつが噂に下手な反応をしないように、みたいなことを
 言いかけて――それだ!
「そう! それよ! あんたが噂を聞いたときにちゃんと対応できるように! この件に対しての二人
の認識を共通のものにしておこうと思ったのよ! そのためにあんたがどう思うか聞きたいの!」
 上手く誤魔化せた! これでどうだ!
「はぁ……」
 だから反応薄いってばっ!
 って、あれ?
 でも、なんだか……気配、というか空気というか。それが、普段のこなたに戻ってる?
「……私が、どう思うか?」
「そ、そうよ。答えて。正直に」
311私は認めない 2/11:2008/10/26(日) 12:39:19 ID:/P2489rF
「さっき言ったよね? イヤだって」
「……」
 確かに、言ったけど。
 だけど口調がさっきと違う……わよね?
「ん〜……でも」
 そしてまた小首を傾げる、その表情も。
 糸目で猫口の、私のよく知ってるこいつの顔に、近い。
「で、でも、なに?」
 勢い込んで促すと――笑った。
 ムフフって、悪戯好きの猫みたいな、いかにもこなたらしい笑い方……って。なんか嫌な予感が。
「かがみと、って部分だけは、ちょっと嬉しいかな」
 的中した!
 こっのやろう。すっかり元に戻りやがって。
「あ、あんたが――」
 あんたが、そんなことばっかり言うからおかしな噂を立てられる――そう、喉まで出かけた。
 だけど、止まる。押しとどめる。
 奥歯を噛みしめて、無駄な言葉と感情を全部飲み下す。視線を逸らして、息を吐く、吸う。
 深呼吸。
 胸元を鷲掴みにして、肩で息を整える。
 落ち着け。落ち着くんだ。
 やっとこいつの、こなたの、“本来のこなた”の言葉を引き出せたんだ。ここで止まってなるものか。
 最後にもう一息吸い込んで、私はゆっくりと問いかけを口にした。
「……それは、どういう意味?」
「どう、って……」
 すると、揺らぐ。
 完全に本調子に返ったわけでもないのか。
「真面目に、正直に答えて。それ聞いて私がどう思うとか、そんなこと考えなくていいから。ってか
また変な気を回したりしたら今度こそぶっとばす」
 気がはやる。
 前に出たくなる気持ちをどうにか堪えて、しかし語気が強まるのは止められない。
「え、えっと……」
 比例するようにこなたの戸惑いも強くなる。私から視線を外し、そのまま周囲に彷徨わせる。
「と……とりあえず、座っていい?」
 逃げやがった。
「……そうね」
 けど、まあいい。
 立ったままだと掴みかかってしまいそうだ。あくまで冷静でなければならない。
 安心したように息をついてベンチに戻るこなたを確認し、私も再び腰を下ろす。
 と、こなたがなにやらきょろきょろと辺りを見回して、地面の一点で目を止めた。視線の先には、
 さっきぶちまけられた紅茶の缶。
 まったく、世話が焼ける。
「ほら」
「あ、ありがと」
 こちらは無事だった緑茶を差し出してやると、戸惑った様子ながらも素直に受け取り口をつけた。
 ほっと一息、といった顔。
「それで?」
「え?」
「どういう意味なの?」
 向き直った顔に、問いを繰り返す。
「あ……あぁ、うん」
 頷いて、再度視線が外される。
 そして震える声で、こなたは答えた。
「……面白い反応、してくれるかなって、思って」
「……」
「い、いつものかがみみたいな……だってさっきまでのかがみ、ちょっと怖かったんだもん」
312私は認めない 3/11:2008/10/26(日) 12:40:10 ID:/P2489rF
 いつもの、ね。
 ため息が出る。
 そういうことを訊いてるんじゃないんだが……つまり言い換えれば、こいつが私に求めているのは
 そういう緩い関係だってことか。――いや、
 待て。
「じゃあ、質問を変えるわ」
 予断はよそう。
 変な作戦ももうやめだ。そろそろ薄暗くなってきたし、いっそストレートに訊いてしまおう。
「え……?」
 視線が戻る。忙しいやつだ。
 今度こそ逃さぬよう、私はぐっと身を乗り出した。

「あんた、私のこと、どう思ってるの?」

 意外とあっさり訊けるもんだな――そんな冷めた思考は、しかしほんの一部だけ。
 残りの大部分ではまたしても混乱と後悔が渦を巻いている。
 心臓がバクバク言い出した。ストレート過ぎるだろう。こんなのまるで告白みたいじゃないか。しかも
 自分は何も言わないで。汗が噴き出す。てか近すぎるだろう、顔。顔、顔が歪みそうになる。震える。
 こなたも震えてる。目を見開いて、息を呑んでいて、怯えたように揺らめく瞳が――
「ぁ……」
 まばたきを挟んで、定まった。
 目に意思の力が宿る。
 頬が血色を取り戻す。
 唇が、開いた。
「わたし、は……」
 そうして言葉が紡がれる――――その直前。

 ――みっ、みひっ、みらふるっ、みっきゅりゅんりゅんっ♪

「っ!?」
 突如鳴り響いた素っ頓狂なメロディーに、全身がびくりと竦み上がった。
 こなたもガクリとズッコけ、続いて全身をバタつかせる。
「なにっ! いったいなにっ!?」

 ――しゅぅなーうぉに〜すひーとー、ひぃうぇ〜なぁうぃキミーもー、ゅふうーきんおーだんすぃて〜♪

 いや、本当になに、これ?
 さっぱり聞き取れないけど……歌?
「うるさいよっ!!」
 と、こなたが怒鳴りながらスカートのポケットから何かを引っ張り出して、二つに開いた。
 射殺さんばかりの視線で睨まれてるそれは……携帯電話。そうか。そういやこれ、こなた着メロだ。
「……もしもし」
 見ている前で通話ボタンを押して耳にあて、やたらと低い声で言う。低いというかドス黒いというか。
「……、……おとーさん……」
 あ、おじさんなんだ。そういやもうだいぶ暗いもんね、心配もするか。悪いことしたな――と、

「――空気読んでよっ! せっかく良いムードだったのにっ!!」

「っ!?」
 さらなる怒鳴り声。
 いや……無茶言うなよ、電話相手に。てかムードってなんだ。
「……。今日、遅くなるから」
「え?」
『っ……!? ――て――なた! ――!? おと――か!? ――――』
 ピッ。
313私は認めない 4/11:2008/10/26(日) 12:41:08 ID:/P2489rF
 おじさんはまだ何か叫んでいるようだったが、こなたは一方的に通話を終わらせてしまった。
 一拍遅れて、携帯の発していた全ての光も消える。電源ごと切ってしまったらしい。さすがに焦る。
「ちょ、ちょっとこなた」
「ん?」
「なに、やってんのよあんたは。おじさんなんでしょ? そんな言い方したら誤解しちゃうじゃない」
「……いーんだよ。誤解させとけば」
 しかしこなたは構うことなく、少し顔をしかめて、携帯をポケットに戻してしまった。
「いいわけないでしょ。――ああもう」
 仕方なく自分のポケットに手を突っ込む。私から説明してあげないと。
「いいんだってば」
 が、その手も制される。
 もどかしい思いで振り返ると、
「それより、聞いて。返事するから」
 真剣な眼差しがそこにはあった。
「あ……」
 手が止まる。
 その一瞬の隙を突くように、こなたは言った。

「かがみのこと――私は好きだよ」

 目を見開く。
 固まる私を置き去りにするように、こなたは顔を正面に向けなおす。
「私さ、さっきまで様子がおかしかったでしょ」
「……うん」
 首が勝手に頷いた。
 でも、うん。
 あれは尋常じゃなかった。
「それね、かがみと離れなきゃいけないって思ったからなんだよ。たぶん」
 ……なんだって?
 そんなことで、あんな酷い有様になってたっていうのか?
 それはつまり――どういうことだ。
「そのぐらい、かがみのことが好きなんだと思う」
「……」
 やっぱり、私にはこいつが分からない。
 さっきまであんなにも泣き喚いていたくせに、それと同じはずの顔で、同じはずの声で、どうして
 こんなにもあっさりと、優しく言うことができるんだ。
 反則だ、そんな笑い方。
 そんなまっすぐに来られたら、私……
「でもね、安心していいよ。だからどうしろとか、そういうことは何も言わないから」
 ……え?
「好きは好きだけど、友だちとしての範囲内だから。付き合いたいとか、恋人になって欲しいとか、
そんなことは思ってない。私はかがみのこと、そんなふうには、見てないから」
「……」
 いや……待て。
 ちょっと待て。
 なんだそれ。そんなふうに見てないって。だったら私のこの、気持ちに応えてやらなくちゃみたいな
 決意っぽいものはどうすりゃいいんだってゆーか、いや、どうもしなくていいのか。……いいのよね?
 うん。丸めて捨てよう。ポイだ。
 それはさておき――そんなふうに見てないって。
 それじゃまるっきり私と同じじゃないか。
「だったら、『私と』って部分が嬉しいってのは、なんなのよ」
 私はそんなこと思わなかったぞ。
 また冗談だったとか言うなよ。そんな発想が出るって時点で既に、なんか、アレなんだから。
「……それは、正直よくわかんない」
 分かんないってなお前。
314私は認めない 5/11:2008/10/26(日) 12:42:00 ID:/P2489rF
「――ただ」
「……ただ?」
「うん。ただ、これが例えばつかさやみゆきさんとって話だったら、喜べなかったと思う」
「……」
 思わず額に手を当てる。
 どういうことだよ。
「私は、つまり……」
「うん?」
「つまりあんたから見て私は、つかさやみゆきとは別ってこと?」
「ん……」
 こなたが小さく目を伏せて、小首をかしげる。一拍置いて頷く。
「そだね。――かがみは、特別かな」
「……」
「そんな顔しないでよ。性的な意味でってわけじゃホントにないんだからさ」
「べ、別にそんな心配してないわよ。ただ……」
「ただ?」
「私も……たぶんなんだけど……」
 うう、口に出すとなると気恥ずかしい。喉が渇く。
「――その前に。お茶返して」
「あ、はい」
 言って突き出した手に、こなたは素直に握らせてくれた。そのまま口に運ぶ。
「ありがと」
「ちなみに間接キスになりますが、よろしいか?」
「……」
 不意打ちのつもりか、このやろう。
「……んなもん、今さら気にしないわよ」
 勤めて平静を装いながら口をつける。
 いや、別に装ってなんかない。回し飲みも食べかけの交換も初めてじゃないし。平気だ。
「むぅ、つまんない」
「茶化すな」
 ペットボトルを口から離す。
「ってゆーか、私も同じなのよ。たぶん」
「え?」
「だから、」
 また、ひとくち。
「私もあんたのことは、好きか嫌いかで言えば好きだけど、あんたと同じで変な意味じゃないってこと」
「……好きか嫌いかの二択なら、好き?」
「そうよ。悪い?」
「うん。悪い」
 思わず、背けていた顔を向けなおす。
 すると待っていたのは、ニヤニヤ笑い。
「好きか嫌いか、どーでもいーか。三択で答えて」
「んなっ……!?」
「あーごめんごめん。ツンデレにはちとキビシー問題だったね」
「だから私はそんなんじゃないって!」
「じゃー答えて?」
「っ……!」
 こっっっのやっろぉ……楽しんでやがる。
「……嫌いじゃないし、どうでもよかったら今ここにいないわよ」
「むぅ……まぁいいでしょう」
「なんで偉そうだよ」
 腕を組んで無い胸を反らす馬鹿を、思いっきり睨みつけてやるが、動じない。
 さてはこいつ、既にまとめに入った気でいやがるな。今度こそもう話は終わったと。
 そんなわけが、あるか。
 大きく息をついて、私は気持ちを切り替えた。
315私は認めない 6/11:2008/10/26(日) 12:42:55 ID:/P2489rF
「ってゆーかね、そんなことは分かってんのよ。問題なのはその先なの」
 重要なのはここからなんだよ。
「先って?」
「だから――」
 大きく息を吸い込む。
 力を込めた視線をこなたの瞳に叩き込む。
「私は……私も、あんたのことは普通に友だちだと思ってた。――つかさの、とかじゃないわよ?
最初はそうだったかも知れないけど、今は違うんだからね」
「……うん」
 同じだけの力が帰ってきた。
 やっと伝わったか。手間取らせやがって。
「でも、あいつらが噂してるのを聞いて、分かんなくなったのよ。私にとってあんたは、本当に“ただの
友だち”なのか、って」
 本当に、やっとだ。
 やっと本題に入れた。
「どういうこと?」
「例えば……他の、みゆきとか日下部とか峰岸とか相手なら、それで納得できるのよ。友だち――
ううん。親友、かな。でもあんたの場合はそうじゃなかった」
 説明を重ねると、こなたは気弱そうに眉を下げた。
「私は、親友じゃない?」
「違くてっ」
 ああ、もう。
 なんでそう細かいところにこだわるんだ。
「別に、親友でもいいわよ。あんたさえ良ければ。ただ、それだけじゃない何かがある気がするの。
ただし、れ、恋愛感情とかじゃないわよっ。それは何度も考えたし確認もしたから、間違いないわ」
 どもるなよ私も。
「確認って、どうやって」
「……今もやってるわ。正面から顔見てもドキドキとかしないし、さっき教室で手とか握られたけど、
それも別に平気だった。恋愛感情だったらそれじゃ済まないでしょ?」
 そう。
 それは間違いないのだ。残念なことに。
 ――いや、そうなるとさっき浮かんだ“あの答え”ぐらいでしか説明がつかなくなるというだけで、
 別にそういう方向でこなたのことが好きになりたいなんて意味ではない。断じてない。絶対ない。
「ええと、つまり……」
 と、こなたが首を捻る。
 どうにも理解しかねる、とでも言いたげに。
「それが何か、マズいの?」
「マズいってゆーか……」
 プライドが許さないというか。
「つまり私は、私とあんたの関係を、はっきりと定義したいの」
 言うと、捻った首を上向ける。
「親友、じゃダメなの?」
「だから……」
 私は額に手を当てて、ため息。
「別にダメってわけじゃないけど、それだとみゆきとか日下部とか峰岸と一緒になっちゃうじゃない。
あんただけは、なんか違うのよ」
「そりゃ違うでしょ。私とその三人とじゃ、タイプがぜんぜん」
「それを言うなら三人ともそれぞれ違うでしょ。あんただけおかしな方向にズレてるの」
「おかしな方向って?」
「それが分からないから言ってんでしょうがっ」
 分からないというかソッチには行きたくないというか。
 って、そんな困り果てた顔しないでよ。投げないで考えてくれるのは嬉しいけどさ。
「……意識しすぎなんじゃないの?」
「どういうことよ」
316私は認めない 7/11:2008/10/26(日) 12:43:49 ID:/P2489rF
「だから、その――男子たち? ソレがヘンなウワサしてるの聞いたせいで、釣られてヘンに意識
しちゃってるだけなんじゃ、ってこと」
「……その可能性なら、私も考えたわよ」
「でも違った?」
「うん」
「……」
 うわぁ、なんかもう湯気でも噴きそうだ。
 さすがに申し訳なくなってくる……が、一方で疑問にも思う。
「ってゆーか、あんたは気にならないの? あんたも似たようなもんなんでしょ?」
「ん? ……うん。かがみだけは特別だよ。でも、それで十分じゃない? 特別な親友」
 ええい、恥ずかしげもなく。
 すっかりいつものこなただな。
「……でも、それじゃ……」
「なに?」
「…………それじゃ、困るのよ」
 いや、分かってる。
 困ってるのは私の方だけだ。
 こなたもさっきから首を傾げっぱなし、眉根を寄せっぱなしだけど、それは私につきあってくれてる
 だけで、こいつ個人としてはもう結論は出ているんだ。
 親友という、ただそれだけで、こなたは満足している。
 でも、だったら私はどうすればいい。
 この気持ちにどうやってけりをつければいい。

「――ってかさ」
「うん?」
 呼びかけに、知らず俯かせていた顔を、上げる。
「別に今日中に答え出す必要とかないなら、続きは明日にしない? もう真っ暗だよ?」
「あっ……」
 そして言われて、軽く息を呑む。
 本当だ。もう星まで出ている。
「……そうね。ごめん」
「や、いいけど。――よっと」
 なんでもないようにこなたは言って、ぴょんとベンチから立ち上がると、落とした紅茶の空き缶を
 拾い上げた。私も立つ。
「……悪かったわね、ヘンなことに付き合わせて」
「いいよ。必要だったんでしょ?」
「うん……」
 私の方にだけ、ね。
 まったく余計な手間をかけさせてしまった。余計なこと言って泣かせそうにもなったし。
「ま、確かに解決しなかったけどさ、でもコレって、たぶんそんなすぐに答えが出るような問題じゃない
と思うよ? だからとりあえず、今日のところは問題の共有ができたってことで満足しとこーよ」
 なのに笑顔でそんなふうに言ってくれるということは、つまり本当に、親友だと思ってくれている、と
 いうことなのだろう。
 ならばここは笑い返すべきところだ。
「……そう、ね」
 だけど、目を逸らしてしまった。
 駄目だなぁ、私。
 信じてないわけじゃない。お義理で言ってくれてるわけじゃないと、それは分かる。分かってる。
 だからこそ、いたたまれないのだ。
 こいつはきっとこれからも考えてくれるのだろう。私の『疑問』の答えを。
 本当はもう分かっているのに。
 私はそれを、言えずにいる。
 同じだ。
 これじゃ、そもそもの始まりとまったく同じだ。“かわりばんこ”の理由を話せなかった一件と。
 また私は繰り返すのか。
 また擦れ違ってしまうのか。
317私は認めない 8/11:2008/10/26(日) 12:44:44 ID:/P2489rF
「――ねぇ、かがみ」
 立ち尽くす私を見上げながら、こなたが言った。
「ん……?」
「一つお願いがあるんだけど」
「……なに?」
 問い返すと、どこか嬉しそうな顔をする。
「目、閉じて?」
 一瞬意味が分からず、そして次の瞬間、気付いて思わず後ずさる。
「そんな警戒しないでよ。別にキスなんかしないからさ」
 こなたの苦笑い。顔が熱くなる。
「そ、そんなこと思ってないわよ……でも、本当でしょうね」
「信じてってば」
「……分かったわよ」
 まぁ、いい。
 来るにしてもせいぜいほっぺにだろう。こいつもソッチの気はないって言ってるんだし。
 息を吐いて、目を閉じる。
 少しの間を置いて――胸元から腰の辺りまでが、温かい何かにつつまれた。
「!?」
 跳ねるようにまぶたが開く。
 しかし見て確認するまでもなく。

 私はこなたに、抱きしめられていた。

「ちょっ……!」
 とっさに周囲を見渡す。
 誰もいない。
 いないけど!
「じっとして」
「じっとしてじゃないわよっ。い、言い間違いって言ったでしょっ。私は別にこんなこと――」
「私がしたいから、だよ。――言ったでしょ? お願いだって」
「……っ」
 喉に何かがつっかえた。
 腰に回された腕にはごく弱い力しか込められていない。たぶん簡単に振りほどける。
 だけど、できない。
 この、温かみ。
 慣れてないけど馴染みのある、こなただけが与えてくれるこの感覚。
 他の誰も、私にこんなことはしない。つかさも、みゆきも、日下部も、峰岸も。お母さんもお父さんも
 姉さんたちも、少なくとも今現在は。昔はあったけど、今はない。
 だからこそ、こんなにも満たされる。
 ちくしょう。
 やっぱり。
 やっぱり、そうなのか。

 こなただけが、私を抱きしめてくれる。

 それが答えなのか。
 この変に捻じ曲がった感情の正体は、そんな幼稚園児みたいな甘え心だと、そういうのか。
 認められるわけがない。
 言えるわけがない。
 こんなことなら本当に、恋をしているという方がまだましだよ、ちくしょうめ。

「――ねぇ」
「……なによ」
「その、定義? はともかくとしてさ、つまり今までどおりでいいってことだよね? 私たち」
「……できれば自重して欲しいけどな、こういうことは」
318私は認めない 9/11:2008/10/26(日) 12:45:40 ID:/P2489rF
「わかってる。人前じゃやらないようにするよ。……でも二人っきりのときなら、いいよね?」
「だっ――なんであんたはいちいちそういう言い方なのよっ!」
「ふひひっ、さーせん」
 あー……でも、別にいーかなー。
 正解を知られるよりは、そんな誤解をされた方が、まだ。

「――よっし! かがみ分補充かんりょー」
 そんな声とともに、やがて私は唐突に解放された。
 こなたは一歩離れて、ベンチから空き缶と鞄を拾い上げる。
「なんだよ私分って」
 不貞腐れたような私の声は、いったい何に対して不貞腐れているのか。
「別名ツンデレ分。現代人の必須栄養素の中でも最重要なものの一つだよ」
「どうやらその『現代』とやらにはお前しか存在してないらしいな」
「オーケー、ツッコミ分も確保」
「……このやろう……」
 出口に向かうこなたの隣に、私も並ぶ。
 距離のとり方に、少し悩む。
「てかさ、かがみ、顔赤いよ? ソノ気はないんじゃなかったの?」
「それはっ――そう、だけど……仕方ないでしょ、ああいうスキンシップとか、慣れてないんだから」
「そっか。ごめんね、私は慣れてるんだ。おとーさんがあんなだから――――あ」
 だったら私も慣れれば……うん?
 公園を出る一歩手前で、こなたが止まった。見上げてくる。
「かがみ」
 目が見開かれている。
 何に興奮しているのか、鼻の穴が膨らんでいる。
「な、なによ」
「かがみは、私のことが普通に好きで、でも別に興奮したりとかはない、んだよね?」
 声も弾んでいる。
「そうだけど……え? 急になに?」
「私もそれはおんなじ。でも、会えなくなるとか、近くにいられなくなるとかはイヤ。できれば一生の
友だちでいたいと思ってる。――かがみは、どう?」
「それは……まぁ、否定はしないけど」
「だったら私、知ってるよ。それに近い関係を、なんて言うか」
 そして私も目を見開いた。
「な、なに!? 教えて!」
 勢い身を乗り出す私に向かって。
 こなたはニンマリと笑って、なんとなく久しぶりに思える仕草――人差し指を一本、立てた。

「夫婦」

「……」
「……」
 ふうふ。
 たった三文字のその単語は、私の脳に浸透するまでに、随分とまあ長い時間をかけてくれた。
「……はぁっ!?」
 入れ替わって出力されたのは、そんな素っ頓狂な疑問符が一つだけ。
 こなたはますます笑みを深める。嬉しそうに、楽しそうに。
「つまりかがみは私のヨメってことだね!」
「いやちょっと待て。なに言ってんだ、なんでそうなる」
「まぁまぁ、最後まで聞いてよ。――うちってほら、お母さんいないじゃん」
 って、おい。
 いきなりそんな反則持ち出すとはナニゴトだ。話によっては本気で殴るぞ。
「そんな顔しないでってば。単に、だからうちには夫婦ってものも存在しないってことだよ」
319私は認めない 10/11:2008/10/26(日) 12:46:35 ID:/P2489rF
「…………じゃあなんで、そんなこと言えるのよ」
「知らないから、考えてみたことがあるんだよ。ゆーちゃんの実家に遊びに行ったときに叔母さん
たちを観察してみたりとか。そしたらそんな結論が出たわけ。好きあってるけどがっついてなくて、
でも離れたくないと思ってる、って。かがみのトコもそんな感じじゃない?」
「それは……」
 確かに、うちの両親もそんな感じではある、けど。
「つまり私はかがみのヨメってことだね!」
「に、二回も言うな! そんなの――そんな、それは、なんか違うだろ! おかしいだろ!」
 ってゆーか滅茶苦茶ニヤついてるじゃねーか!
 明らかにそのネタが言いたいだけじゃねーか!
「よおっし結論出たね。じゃー帰ろーっ」
「聞けよっ! ってか! お前やっぱり分かってないだろ!」
 再び歩き出すこなたを、慌てて追いかける。
「そういうことばっか言うから――って! 待てっ! 待ちなさいよこなたっ!」
「ほらかがみ、早くっ。帰り遅くなっちゃうよっ」
「だからっ! 待てって言ってんでしょうがっ!」
 無駄に軽快な足取りで先を行くこなたに苦労して追いつくと、両手を広げて呆れたような声を出す。
「だってもうこんな真っ暗だよ。おとーさん心配してるだろーなー。誤解してるだろーし」
「あんたが自分で誤解させたんだろうが。……付き合わせたのは、悪かったけど」
 ため息が漏れる。
「でしょ? だからさ、かがみ。このままうちに来て一緒に説明してよ」
「はぁ? なんでそんなことしなくちゃいけないのよ」
「だってこんなに遅くなったの、かがみのせいじゃん。それに最近ブッソーだし、送ってってよ」
 そんな甘えた言葉と仕草に、思う。
 やっぱり違う、と。
「あんたなら平気だろ。ってか私はどうすんのよ」
「大丈夫だよ。おとーさんに送らせるから。車で」
「って、そんなわけにいかないでしょ。悪いわよそんなの。結局迷惑かけちゃうじゃない」
「だーいじょーぶ。喜んでやってくれるって。その方が私も安心できるし。――おとーさんは嬉しい。
私は安心。かがみは安全。何か問題あるかね?」
「……分かったわよ。そこまで言うなら、そうしてあげるわよ」
 こんなふうに、無茶な要求についつい頷いてしまうのは、『抱きしめてくれるから』なんかじゃない。
 宿題を見せるのもアニメショップに付き合うのも、そんな見返りを求めてのことではない。
「やたっ! わ〜いっ」
「だからくっつくな!」
 ……。
 うん。
 結果的にはともかく、たぶん断ってもこいつは抱きついてきていた。承諾させるために。
「……ったく、何がそんなに嬉しいのよ」
「だって今は少しでも一緒にいたい気分なんだもん。明日からはみさきちと共有しなきゃいけないし」
「っ……きょ、共有とか言うな。私が善意であんたらの世話してやってんでしょーが」
 私が何もしなくてもこいつはくっついてくるし、こいつがくっついてこなくても私はどうせ世話を焼く。
 だって。
 例えばいつの日か、私のことを抱きしめてくれる人が新たに現れたとして、それで私がこいつに
 関心をなくすなんてこと、あるだろうか。
 あるわけがない。
 そんな自分なんて、想像できない。
「はいはい、ツンデレツンデレ」
「ツンデレ言うなっ!」
 ……。
 いや、でも、一応、確認してみようかな。誰か他の人で。いのり姉さんか、お母さんにでも頼んで。
 そう。そうね。もっと甘えてもいいとかたまに言われてるし。親孝行、姉孝行? も、兼ねて。うん。
 頼んでみよう。
320私は認めない 11/11:2008/10/26(日) 12:47:30 ID:/P2489rF
「――あ、そーいやかがみは家に連絡しなくていいの?」
「ん? あぁ、つかさに言っといたから、大丈夫よ」
「むー、自分ばっかり用意が良くてズルいよね」
「うるわいわね」
 つかさ、か。
 あの子の問題についてって点では、結局無駄に終わってしまったな。
 仮にアレが正解だとしても、つかさの悩みに向き合うにあたっては恐らく何の役にも立たない。
 まぁ、仕方ないか。このアプローチじゃ無理だと判明しただけでよしとしよう。
 今日のところは、言ってもらったとおり、自分のために頑張ったということで……
「あ」
 そういえば……
「ん?」
「あ、いや。つかさで思い出したんだけど……まぁ、ぜんぜん関係ない話よ」
 つかさというか、峰岸に言われた方なんだけど。
「お。いーね、ムダ話。なんか久しぶりな気がするよ」
「そうか? まぁ、そうか。――でもこれ、あんたに言って分かるのかな?」
「なになに?」
「えっとね……」
 小首を傾げて、一瞬記憶を探る。
「『ヒメシャチョウ』、だったかな」
「ヒメ、社長? アリアの?」
 お?
「何か知ってるの?」
「や、知ってるってゆーか、『アリア』って漫画にそんな名前のキャラがいるけど……でもなんで?」
 漫画、ねぇ。
「いや、峰岸にね、なんかそんな呼び方されたのよ」
 今日の別れ際に、『頑張ってね、ヒメ社長』と。
 そういえばあの子も意外と漫画とか読む方だし、言われてみりゃソレ系の響きって気もするわね。
「どんなキャラなの? ……って、どうしたのよ」
 見下ろすと、こなたはポカンとしていた。
「峰岸さんが? かがみを? ヒメ社長って?」
「え、ええ」
 なんだ?
 ポカンというか、茫然というか、愕然というか。重大な見落としに気付いてしまった、みたいな顔。
 不安になるじゃないか。どんな酷いキャラなんだそいつは。
「……あ、ごめん。えっと、どんなキャラってゆーか、要するに猫だよ」
「猫?」
「うん、猫。で、ツンデレ」
「……」
 ツンデレって……
 あの子までそんなことを言うのか……

 ああもう、まったく。
 認めないわよ。ええ認めるもんですか。そんな評価も、あんな答えも。誰がなんと言おうとも。
 私は絶対、認めない!




32123-49:2008/10/26(日) 12:49:29 ID:/P2489rF
以上です
ありがとうございました


ええと、はい
勘のいい人は前々回あたりで既にお気付きでしょうけど、「母と娘の時間」に繋がってます
みきさん推理大外れ
この結末からぶれたくなかったので先に上げておいた、というわけです

兎にも角にも、どうにか予定通り六回で終わらせることができました
まだエピローグが残ってますけど
あと、前回同様練習スレに後書きを落としておきましたんで、興味のある方はよろしくどうぞ

ではまた
322名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 14:06:09 ID:de7GlVp4
>>321
かがみサイドも無事終了ですね
二人の対決に臨む姿勢に微妙に温度差がある気がして切ないような
あたふたしつつも主導権握ってるのはかがみだから仕方ないのかもしれませんが
323名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 16:01:29 ID:i7m4CWv+
なるほど

友達でもない、恋人でもない、じゃあ一体何。

そして「(本編読め)」

この関係こそが、こなたとかがみを説明する最も適切な言葉だったんですな!

エピローグも期待しつつ、GJ!
324名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 21:20:44 ID:yUB4MzGi
>>321
綺麗な落としどころに思わず手を打ちました。
そして思わぬリンクでもう一回手を打ちました。
ナチュラルな二人に、ぐっじょぶ!
325名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 21:26:04 ID:yE//RyHW
>>321
GJです
相変わらず他の話との関連性と整合性のとれた内容に驚かされます
エピローグも楽しみに待ってます
326名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 21:51:10 ID:cmjZR0J/
>>321
「父親達の二重想」が大好きな私としてはちょっとがっかりだ。
でも、エピローグが残ってる。
あきらめないぞ。
327名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 22:08:09 ID:qcQMkj+q
>>321
み、みきさんの推理大外れですか・・・ orz
完走乙です
ここまでもつれたのなら普通にラヴでもよかった気がするのですが、今まで楽しませてくださった
作者様に私ごときが口を挟めるわけないので、これ以上は自重します。

でも、貴方の黒あやのは大好きだった。もう貴方の黒あやのに会えなくなるのは寂しい。
ぜひまた続編を作ってください。お願いします !

あ、そういえばまだエピローグがあるみたいですね? 
奇跡の逆転ホームラン、こなかがラブエンドをちょっとだけ期待してしまう諦めの悪い自分ですw
328名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 22:35:29 ID:rc+0xyPe
>>321
この感情、異性間なら恋愛感情の一言で十分済ませられそうなのに
同性だとそうもいかないってことなんですかね…
その辺は考えさせられます。いち百合オタとしてw
でも、確かにこういう関係も二人ならではってことでそれはそれで
良い関係ですね
単純にくっつかないのも新鮮で読んでて面白かったです
329名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 22:58:46 ID:neN/2yum
>>321

GJでした〜

恋愛以上の関係……なんと呼べばいいのか。
共依存……なんか印象悪いな。
agape(無償の愛)、なんて言葉もあるけど、これも違うな。

性欲とは違うレベルにある愛情。親子愛とか家族愛とか、そういうやつ。
肉親であればよくある感情だと思うんだけど、他人同士二人の関係を測るとき、
世間の評価ってなぜか「恋愛」どまりなんですよね。

ぶっちゃけ、こういう関係って現実にもあるんじゃないかなーと思ってます。
恋愛感情じゃないんだけど、ずっと離れたくない、という関係。
"ただ一緒にいたい"というだけなのに、世間の偏見(百合やレズに対する)に苦しめられたり、
自分たちはアブノーマルなんじゃないかと悩んだり。
思い切って(性的な意味で)身体を合わせてみるんだけど、なんか違うなーと思ったり。

運命のいたずらで、兄弟姉妹に生まれることができなかった兄弟姉妹、というか。


……ああ、何書いてるんだかよくわからんorz
でも、百合やレズもいいけど、こういう関係って結構ほほえましく感じる自分がいたりする。
330名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 03:44:38 ID:6nsfNd3g
>>321
完結お疲れ様でした! GJ!
かがみがメインっぽいけど、紆余曲折の後に2人の想いを優しく包み込んだこなたが果てしなく愛しいですw
エピローグも楽しみにしてますよ♪

で、こんな神品の後だけど気にせずSS1本投下しようかと。
5分ほどしたら前置きから行きますね
331LD:2008/10/27(月) 03:49:57 ID:6nsfNd3g
はっぴ−ばーすでーみゆきさん。おくれてごめんなさい。

どうも、LDです。
先日はお出掛け先から本スレに投下出来ず、避難所に投下という変則的な方法を取らせていただきました。
報告してくれた>>298の方、ありがとうございました。
で、予想外に早く続きが書き上がりましたので投下したいと思います。
……いやまぁ、みゆきさんの誕生日記念SSとしては遅れているんですが><

では注意書きの後に投下します。
・かがみ&みゆき
・3レス+後書き1レス使用予定
・TS物
・自作『ありのままの貴女と』の続き(完結)
・エロ無し
・『こんなの、みゆきさんじゃないやい!」と言う方が出るかも……

では投下作業開始します。
332夕日と月に照らされて(1):2008/10/27(月) 03:50:53 ID:6nsfNd3g
※CAUTION! このSSはTS物です。苦手な方はスルーして下さい。


 本日の天気は1日中快晴。絶好のデート日和である。
 にも拘らず私の心はどこまでも沈んでいたが、今日だけはこんな不機嫌な顔はしちゃいけないと思い直して近くにあるショーウィンドゥに映る自分のほほを叩いたり揉み解したりする。
 程なくして、待ち合わせの時間よりも早く今日の主賓の姿を見つけるとそちらへ向かう。
 向こうはきょろきょろと私を探しているのだろうが、まぁすぐに見つかる事はないのだから。
「おはよう、みゆき。ずいぶん早いじゃない」
「え? あ……かがみ、さん?」
 私の姿を見て絶句するするのも無理はない。
 なにしろ『今の私』は男の姿になっているのだから……

「ちょ、まっ! なんなのよ、これは〜〜〜〜〜?!」
 楽しい1日になるはずの今日、朝の目覚めは最悪に近いものだった……
「ど、どうしたの? おねえちゃ……おにいちゃん?」
 私の叫びに目が覚めたのか、休日の朝早い時間なのに起きてきたつかさが放った一言は、これが現実である事を証明していた。
「なんでまた男になってるのよ! もうならないはずでしょ?! つかさ、どう言う事よ?!」
 あまりにも理不尽な私の訴えに対し、つかさはいつもの陽だまりのような笑顔であっさりと告げた。
「う〜〜ん、よくわからないけど……神様の悪戯?」
「……ふ、」
「ふ?」
「ふざけんなぁぁぁ?! いるなら出て来い神様ぁぁぁぁっ! いっぺんぶん殴ってやるからさぁっ?!」
「お、落ち着いてよ、お姉ちゃん?!」
「これが落ち着いていられるか! なんでよりによって今日なんだよ?! 今日はみゆきとデートなんだぞっ!」
 そう。今日10月25日はみゆきの誕生日で、息抜きを兼ねてデートをする事になっているのだ。
 柄にもなく昨夜はあれこれと洋服を引っ張り出し、どんな服を着て行こうなんて鏡に向かってプチファッションショーをしていたのに……
 肩で息をしながら気持ちを落ち着けて周りを見渡すと、目の前には怯えて半分泣きそうなつかさ、ドアの隙間からこっちを見てニヤニヤ笑っているまつり姉さんと楽しげに微笑んでいるお母さんが目に入り……
「こっち見んなぁぁぁっ!」
 叫びと共に枕をドアに向かって投げつけた。
333夕日と月に照らされて(2):2008/10/27(月) 03:51:28 ID:6nsfNd3g
※CAUTION! このSSはTS物です。今回はTS分100%です。


 そんな今朝の騒動を思い出してうんざりしながらも、横に並んで歩くみゆきを見ると気分が和らぐのは心底この子を好きなんだな、と素直に思える。
「それにしても、本当にまた『こうして』歩けるなんて思いませんでした」
 くすりと笑うみゆきの言葉に、ふと妙な考えが浮かぶ。
「案外、今日の事は悪戯なんかじゃなくてプレゼントなのかもね。神様からの、さ」
 そのまま口から滑り出てしまった私の一言にみゆきは一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの柔らかな笑みを浮かべて、
「かがみさんがそのような事を仰るなんて珍しいですね。でも、もしそうなら素敵なプレゼントです」
 そう言って私の腕に自分の腕を絡めてくる。
 服越しにみゆきの体温と柔らかな感触が伝わってきて、心臓が一瞬跳ねるのを感じてしまう。
「こ、こら。みゆき、そんなにくっついたら歩きにくいって」
「ですが、恋人同士ならこうするのは普通の事ですよ? ほら、周りの方もそうしてますし」
 普段は見せない悪戯っぽい笑みを浮かべて周りを示すみゆきにつられて見れば、確かに同じようなカップルが数組目に入る。
 この表情は私の前でしか出さない、私しか知らないもので、そうと気づいた時にはかなり嬉しかったものだ。
 女の子の時でも見る度にドキッとさせられていたが、今の私にとっては相当に破壊力抜群で、今日1日理性が持つか心配になってくる。
「まぁ今日はあんたの誕生日祝いだからそうしたいなら止めないけどさ」
「では今日1日、エスコートお願いしますね♪」
 嬉しそうな笑顔でぎゅっと腕を抱きしめられる事に悪い気がしない自分に呆れつつ、もう現状を受け入れて楽しむ事にしようと覚悟を決めたのだった。

 あちこち買い物をしたり、食事をしたり。疲れたらベンチに腰を掛けて他愛もないお喋りをしたり。
 そろそろ日が落ちるくらいの時間まで、目一杯2人で楽しい時間を満喫した。
 そんな風に1日を過ごすうちに、今まで経験した事のない『ある事』に気づいた。
 道行く人達がチラチラとこちらを見ていたのだ。
 これが男だったらまだ理解出来る。何しろ隣にいる少女は間違いなく美少女と呼ばれる部類に入るし、その笑顔は充分人を惹きつけるものだから。
 前回の時もそうだったのを覚えている。
 だが、なんで女の子までこちらを見るんだ?
「ねぇみゆき。ずっと気になってるんだけどさ」
「はい、何でしょう?」
「何だか妙に視線を感じたんだけど……男ならあんたを見てるって分かるんだけどさ、女の子までこっち見てるんだよね」
 すると笑顔だったみゆきの表情がわずかに曇る。
「……かがみさん、自分の容姿って気にしてないんですか?」
「は? いや、そんな変な服を着てるつもりはないんだけど……」
「いえ、服装ではなく……」
「じゃあ何よ?」
 しまった、うっかり女の子の口調に戻ってしまった。
「『今の』かがみさんは、いわゆる美男子、なんですよ? ですから、女の子が振り向くのも無理ないです……」
 そう言いながら、体をくっつけてくるみゆきの顔は拗ねているようにも見えて……
「え? 嘘? ちょっとみゆき、何言ってるの……?」
「嘘なんかじゃありません。この前の時も同じだったんです。それに、実際に声を掛けようとする人もいましたし……」
 そうだったっけ? あの時は自分を抑えるのと、口調を気にしてばかりで気づかなかったけど、言われてみれば確かに何回か女の子に声を掛けられた気がする。その度にみゆきが受け答えしてたっけ。
 そこまで考えて、みゆきの表情と行動についてある考えが浮かんだ。
 いや。でも、まさか。みゆきに限ってそんな事……
「ねぇみゆき? もしかして……ヤキモチ焼いてる、とか?」
 私の言葉に僅かに肩を震わせて俯くと、ギリギリ聞こえるくらいの声で
「はい。そうですよ……」
 と肯定し、こう言葉を続けた
「かがみさんが、他の人と話すのは嫌です……それが女の人でも、男の人でも」
 それを聞いて、私の中の『何か』が弾け、
 私は考えるよりも先に、みゆきを抱きしめていた。
 みゆきは一瞬体を強張らせたが、すぐに力を抜いて私の腕の中に体を預けてくれる。
「ばか。みゆき以外の子を考える訳ないでしょ? 安心しなさいよ、私の大切な恋人さん」
 と耳元で囁くと、ぎゅっと私を抱き締めて、
「はい。絶対に、離さないで下さいね?」
 と僅かにかすれた声で答えてくれた。
334夕日と月に照らされて(3):2008/10/27(月) 03:53:22 ID:6nsfNd3g
※CAUTION! このSSはTS物です。お付き合いいただきありがとうでした。


 しばらくして幾つもの視線に気づいて体を離すと、周りには遠巻きながら人垣が出来ていて、2人して顔を真っ赤にしてしまった。
 私はみゆきの手を取ると、走ってその場を離れる事になり、少し離れたところにある公園まで来てようやく一息つく事が出来た。
「こ……ここまで、来れば……平気でしょ。はぁぁ……」
「そうですね……さっきは、変なところをお見せしてすみません」
「いいってば。あんなみゆきは滅多に見れないしね。でも思った以上に可愛いところが見れて嬉しかったけどね」
 まだ赤いほほを突付きながらからかってやると、ポカポカと私の胸を叩いてくる。
「か、かがみさん! そんな風に言わないで下さい! 本当に不安だったんですからぁ!」
 涙目になるみゆきが可愛くて、そのまま抱き寄せて抗議をする唇を自分の唇で塞ぐ。
 驚いたような表情一瞬だけ現れたがすぐに消えて、うっとりとした、どこか艶然とした笑みと共にその身を委ねてくる。
 唇を離して、抱き締めたまま頭を撫でたり髪を指で梳いていると落ち着いてきたのか、いつもの微笑を浮かべてされるがままのみゆきが口を開いた。
「今日は1日お付き合いいただいてありがとうございました」
「何言ってんの。今日はあんたの誕生日だろ? もっと我侭言ったってよかったのに」
「いえ、充分我侭に楽しみましたよ。腕を組んで歩いたり、2人で1つのジュースを飲んだり。女の子同士ではなかなか出来ない事でしたから」
 クスクスと笑うみゆきはきっとあの時の光景を思い出してるんだろう。あの時は私だけ赤面して、みゆきは楽しそうに笑ってたっけ。
 店員が気を遣ってわざわざ写真撮影まで持ち掛けた時のみゆきは本当に楽しそうだったから断れなかったけど。
「ま、まぁそりゃね。それにつかさ達や家族は割とすんなり受け入れてくれたけど、普通はなかなか理解しづらい関係だからね」
「今日の事もかがみさんが嫌と言ったら止めるつもりでしたが、ずっと受け入れてくれてましたよね」
「言ったでしょ。もう吹っ切ったって。あんたが『ありのままを受け入れる』って言ってくれなかったら無理だったけどね」
「ふふ、そう言えばそうでしたね」
 穏やかに笑うみゆきを見ながら、カバンから1つの紙袋を取り出して手渡す。
「かがみさん、これは?」
「誕生日プレゼントに決まってるでしょ。そっちが元々のプレゼントなのよ、私からの、ね」
「本当にありがとうございます、かがみさん。開けてもよろしいですか?」
「もちろん。どんな顔するか楽しみにしてるわよ?」
「そんな……あら、小箱ですね。中は……指輪?」
 そう、小箱の中身は1つの銀の指輪。
 雪の結晶をあしらい、鏡のように綺麗に磨き上げられた物だ。
 それを取ってみゆきの指にはめてあげると、驚いた表情になる。
「かがみ、さん? その……いいんですか?」
「みゆきは嫌なの?」
 私が指輪をはめたのは、みゆきの左手の薬指だ。
 みゆきはゆっくり首を振り、指輪に口付けると、
「一生の宝物にしますね」
 と微笑みながら言ってくれた。
 それを確認すると、私はもう1つの小箱をカバンから取り出して、これもみゆきに手渡す。
「お願いがあるんだけど、それ開けてくれるかな?」
 みゆきが小箱を開けると、中の物を目にして驚いたようだがすぐに私の考えに気づいてくれたようで、それを取り出して同じように私の左手の薬指にはめてくれた。
 触れ合う2人の指にはお揃いの指輪が夕日の中で輝いていた。
「ありがとう、みゆき」
 私の思いを受け止めてくれたみゆきを抱き寄せて唇を重ね合う。
 今度は触れ合うだけではなく、お互いの舌を貪るような激しい、情熱的なキス……

 夕日も姿を隠し、代わりに空には白く静かに輝く月が浮かんでいる。
 私達は無言のまま、お互いの手を握り締め、身を寄り添い合わせて歩く。
 言葉はなくても、繋がれた手から温もりと共にお互いを想う気持ちが伝わってくる。
 今の私達にはそれだけで十分だった。
 そんな静かで穏やかな時間もみゆきの家の前まで来ると終わりを告げる、はずだった……
 家の門の前で振り向くと、みゆきはいつもの微笑を浮かべてこう言った。
「今夜は誰もいないんですよ。もう遅いですし、泊まっていかれてはどうですか?」
 と。
 私の答えは……
335LD:2008/10/27(月) 03:54:09 ID:6nsfNd3g
以上です。
敢えてああいう終わり方にしました……エロシーン書くのが難しくて><
むしろ、皆様の妄想力で補って下さい(マテ。
億が一、続き(含むエロシーン)が思いつけたら書くかもしれませんが、本当に期待しないで下さいね?

次は久し振りに「こなた&ゆたか」シリーズを書いてみようかな……?
336名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 08:40:03 ID:VaYLe8DQ
かわえええ…みゆきさんかわいいよみゆきさん。照れたりヤキモチしたり…
こういう普段とは違う可愛いキャラ改変ならむしろ嬉しいものだ。
誕生日後によい収穫ですたw



SS一本完成したんだけど、18レスくらいになっちゃって、しかも全く区切りのつけられない
1本の話ができちゃったんだけど、一度に投下って大丈夫ですかね?
どなたか感想書くついでに誰か教えてorz
337名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 11:34:26 ID:c5eLiYAE
やべえ、やっぱみゆきかわええ。
普段みゆきらしからぬ態度、仕種だけど、こんなふうに甘えられたら最高だろなー、萌え死にだろなー…
そう思えてしまう描写、gjですた。








某バルス「これでこなちゃんは私のもの、私のもの…」
338名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 14:23:02 ID:Q92Cfst7
>>336
1レスあたり60行、全角2000文字(だったけ?)までは逝けるので
ちょっと見直してみれば?

もしくは、避難所のロダにあげるとか。

でも、ここでも構わないとは思うけど。
339336:2008/10/27(月) 17:32:57 ID:dLQcb676
>>338
了解しました。近いうちにこちらに投下します。


…どエロなやつで。
340名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 19:54:54 ID:NYJLh9/z
紳士諸君、wktkだ。
341名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 22:18:19 ID:bWDeXM/3
>>339
どエロか
かかって来たまえ

あ、でもグロとかあまりにも奇抜なカプとかはカンベンなw (そうじろう×ただおとかwww )
342名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 22:21:32 ID:/vtlK4lI
過去には30レス越えのSS投下した人だっていたんだ
ローカルルールさえ守っていればバッチコイ
343名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 23:36:13 ID:EMc2OVBr
>>341
奇抜なカプ・・・・












にゃもー×チェリー

ああっ!みなみさんごめんなさいそのドッジをやめて><
344名無しさん@ピンキー:2008/10/27(月) 23:56:11 ID:kk7aAQE+
こなた相手に母乳プレイとか需要ある?
345名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 00:01:55 ID:uFz/szwn
>>341
白石×だいすけ









……本の存在を思い出しアーッ
346339:2008/10/28(火) 00:09:18 ID:tnlRXqir
なんかいろいろ妙な期待されてるようだが、俺が書いたのは、

王 道 の こ な か が  だ。

というわけで明日の夜にでも投下する。詰めてみたら、14レスくらいに収まったけどw


>>344

許 可 す る 。
347名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 00:47:16 ID:z/difZ6Z
>>344
ぼ に ゅ う ?

348339:2008/10/28(火) 00:48:51 ID:tnlRXqir
>>346
あっ、なんかすごくえらそうに見えるorz

えっと、俺の文章能力はせいぜい”そこそこ”程度なんで…期待はほどほどにね。優しくしてね(殴)
349名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 04:53:07 ID:E9Q8UfLK
■陵桜十傑集

混世魔王・こなた
激動たる高良みゆき
衝撃のかがみ
眩惑のつかさ
暮れなずむみなみ
命の鐘のあやの
白昼のみさお
マスク・ザ・パトリシア
直系のひよりん
素晴らしき小早川

・・・さっきジャイアントロボ見てました。スマン
350名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 18:18:33 ID:TI9XA365
>>349
大丈夫。分かったからw

ではいきます。最近エロが少ない!というわけで、自分で書いた。駄文でも勘弁してorz

タイトル「野外えっち」
こなた×かがみ
ガ チ エ ロ 。狂乱。尻攻め多し。
14レスくらい。

もし10分続きが投下されなかったら、規制にひっかかったので「つづく」ということで。
3511:2008/10/28(火) 18:20:07 ID:TI9XA365
こなたとかがみが恋人として付き合い始めてから、1年が過ぎようとしていた。

二人は苦労しながらも同じ大学へ行けることになり、互いの両親の許しを得てアパートに同棲している。
心から愛し合う相手と同じ部屋で暮らす生活は、毎日が甘くて、幸せを噛み締める日々だった。

そんなある日、二人は遠地で行われる花火大会を見に行った。

川沿いの広い公園で浴衣を着た二人が、大勢の人混みの中を、手をつないで歩いていく。
こなたは、紫色の、かがみの髪の色を模した、小さな花柄のある浴衣。
かがみは、蒼色の、こなたの髪の色を模した、落ち着いた柄の浴衣。

あまり人気のない場所で二人きりで見たいというかがみの要望により、人のいない場所を探す。
しかし、人気の少ない場所には、どこかどこかにカップルがいるもので、なかなか見つからなかった。

しばらく散策していると、こなたが指を指して言った。
「おお、あそこならいいじゃん!」
こなたが指を指したのは、道からそれた数メートルの急斜の下の一角だった。
「あ、危ないわよ」
かがみの注意を聞かず、こなたは一人で坂の下に飛び下りてしまい、かがみもしぶしぶ降りることになる。
「ほらぁ、ここなら誰もいないよ!」
「まあ、そうね…ここならゆっくりできそう」
その場所に座る。草が整えられている地面は、座り心地が良かった。

パァン…パァン…

花火が空いっぱいに弾けるたびに赤、青、黄色、緑の光に照らされる。
互いを意識し始めた二人は、体を寄せ合って空を眺める。
かがみは、こなたの方をちらと見る。浴衣を着ていつもの猫口で空を眺める様子は、やっぱり子供っぽく見えて、可愛くて、こんなちっちゃな子が私の恋人なんだと思うと、少しおかしかった。

「かがみ」
「うん?」
こなたが、かがみの方に振り向いた。
「…ちゅーしていい?」
かがみは口元を微笑ませて答えた。
「…いいわよ」
「うん…」
こなたは背を伸ばし、かがみは少し顔を下に向ける。身長差のある二人はこうしないとうまくキスができないのだ。
こなたは、かがみの頬に手をかける。
愛しい人の顔に近づく。
唇を合わせる。

こればかりは、何度やっても胸の鼓動を抑えることはできなかった。
唇を押し付け合い、顔の角度を変えながら、幾度も唇を合わせるかがみとこなた。
唇の先で、ちゅっ、ちゅっ、とほんの小さな音が耳に聞こえる。

顔を離して、一息つき、互いに微笑んだ。
「…今度はかがみんからして〜!熱いの!」
子供がせがむように言うこなた。
「わ、分かったわよ…」

かがみは顔を近づけ、唇を重ねて…自らの舌を、こなたの口内に差しこんだ。
「「んっ…」」

ぬるっ。
かがみの舌が差しこまれ、こなたの舌と接触し、それを絡め合う。
「ん…っ、ふ………は…っ、はあ………」
3522:2008/10/28(火) 18:22:12 ID:TI9XA365
唇を絡ませる。
ちゅ、ちゅっ、ちゅっ。

舌を絡ませる。
くちゃ、ぬちゃくぷっ、ちゅるっ。

ディープキス。

毎日していることなのに、興奮してしまう。どうしても慣れることができない。
熱い吐息が相手の顔にかかる。
唇の感触。
髪のにおい。
唾液が溢れ出す。
倒れてしまいそうな程の、心地良い緊張、感覚。
この行為に心奪われている二人は、口内で、愛する人を求め続けた。

ちゅっ、くちゅっ、ちゅぷ、ちゅぷっ、ちゅぱ、ちゅぱ。

全てが興奮する要因になり、性欲が爆発しそうな程に、体が疼いてしまう。この人と激しく愛を確かめ合いたい。いくらでも。

「ぷはっ……!」
やがて顔を離すと、こなたがかがみの浴衣の帯を解いて、脱がせようとした。
「こなたっ…!こんなとこで……ダメ!!」
「いいじゃ〜ん、ばれないよ〜」
「でもっ…坂の上の道路に人が大勢…」
「暗いから、あまり声出さないようにすれば大丈夫☆」

興奮しているのは、かがみも同じことだったので、恥じらいに耐える顔をしながらも、こなたが浴衣を脱がそうとすることを止めようとはしなかった。
帯を解き、浴衣を脱がせ、上半身を露にさせる。そして、ブラのホックを手慣れたように外し、かがみの胸を露出させた。
かがみの、ぷるんと揺れる大きな胸。ピンク色の可愛い乳房。
下半身は浴衣がはだけているせいで、パンツまで見える。もうほとんど全裸に近い。

皮膚に風を直に感じる。おしりに草がちくちくと当たってくすぐったい。
夏の終わり頃の季節、浴衣でも暑いくらいだったので、外で裸になっても快適さは感じられる。
だが、これからセックスをするという緊張と恥ずかしさが、一層体に熱を持たせてしまっていた。
「浴衣でエッチっていうのはそそられるね…しかも、外で…なんかすごく興奮してきちゃったよ…」
「わ、私も…」
かがみは、既に真っ赤な顔をしていた。

暗いと言っても、間近にいるお互いの体や表情を見るには十分な明るさはあった。
「あぁ…かがみのおっぱいってほんときれいだよねえ…うっとりしちゃうよ…」
「もぉ…こなたと一緒に住むようになってから、少し大きくなっちゃったんだからねっ…」
「毎日お盛んだもんね〜、私たち」
「……うぅ」

ふにゅっ。
こなたは、そっとかがみの胸に手をくいこませた。
「あっ……」
かがみが感じる声を上げる。

かがみはもともと大きめの胸だったが、毎晩こなたとの行為に励んでいた成果なのか、バストのサイズが変わって、もう十分な巨乳と言える程の大きさになっていた。
そんな悩ましい程のかがみの肉体に、こなたは心底魅了されてしまっていた。
3533:2008/10/28(火) 18:24:04 ID:TI9XA365
むにゅ、むにゅ、むにゅ、もみもみもみ…

「かがみんのおっぱいやわらかいな〜、羨ましいよ〜ん。ほれほれ」
「ふぁ、あ、ひぃ……んぅ……んんっ………」
「いいなあ〜谷間作れるのうらやましい…」
こなたは自分の小さな手をいっぱいに使ってかがみの豊満な胸を揉む。

かがみの乳首がぷっくりと膨らんで、ぴんと勃った。
「おっ、乳首勃ってきたね」
「あはぁ……はぁあ……こなたも脱いでよぉ…」
かがみは、自分だけ恥ずかしさを受けるのは嫌だったし、こなたの可愛い裸が見たかった。
「うん、い〜よ」

そう言ったこなたは、あっという間に浴衣を脱ぎ、パンツ1枚だけの姿になってかがみの前に立った。
幼い裸の姿のこなた。白い肌できれいな体。
こなたの体は、高校の時からちっとも成長した様子は見えず、幼児体型のままだった。
しかし、かがみはこなたとのセックスの時、彼女がどうしても子供のように見えてしまい、子供とエッチするような感覚を感じて背徳的な興奮を感じてしまうのだった。

こなたはかがみの前に来て、乳首を唇ではさみ、ちゅっ、と吸った。
そして、もう一方の手でもう片方の乳首を、親指と人差し指で摘まんで、くりくりと優しくねじった。
肌を合わせて感じるこなたの体の体温と、胸の先端からの甘い刺激。既にかがみの顔は真っ赤に染まっていた。
「あぁんっ…!」

思わず声を出してしまうかがみ。数メートル上の道には、人が通っているというのに。
しかし、目にとびこむ下着一枚で自分の乳首を吸っているこなたの姿と、胸の先端から感じる刺激に声を我慢することなどできなかった。
「あぁぁ…!はっ、はっ、はっ…!!あんぅうう!!!……はあっはあっはあっ、あんっ!あんっ…!」

『おい、あそこにいる人エッチしてるんじゃないか?』
『うわ、ほんとだ…超大胆〜』
『しかも、あれレズじゃないの〜?』
『本当だ。よく見えないけど女同士でやってる…』

「こ、こなたぁ…上の人に見られちゃってるわよ…」
「だいじょ〜ぶだって、暗くて顔はばれないし、ここなら誰も寄ってこれないよ。それに、家からかなり遠くまで来たんだから、顔を見られちゃっても心配ないって」
「で、でもぉ…」
「私たちの仲の良さ、たっぷり見せ付けてやろうよ」

そう言って、こなたは乳首を口に加えたまま、かがみの下着の中に手を入れて、ワレ目の中にそっと指を挿入した。
「ひゃあぁっ!!!いや…!!いやぁっ!だめっ!いきなりそんな恥ずかしいとこだめっ!!余計、声が出ちゃうっ!!」
「いっぱいエッチな声出してね、かがみん」

ちゅくちゅくちゅくちゅく。

「あっ…指が入ってきてる…気持ちい…!気持ちいっ……!!!こなたぁっ!!!」
「ああ〜…すごい指がしめつけられてる〜、どんどん濡れてくるのが分かるよ…」
「あん!あんっ!あんっ!あんっ!」
かがみは、乳首とマンコの両方を刺激され、あまりの強い快感に長い髪を振り乱して叫んでしまう。
「かがみのイクとこ見せて…!」
「ああ〜〜〜〜っ、あっあっあっあっ!!!」
「わっ、おマンコの中すごい…すごいピクピクいってるよ…!」
「…イク………イクっ…………もう、イクぅっ!!イクぅぅぅぅぅっ!!!!!こなたぁっ、イっちゃうよぉっっ!!!!」
3544:2008/10/28(火) 18:25:37 ID:TI9XA365
かがみは、頭と上体を真後ろに反らせ、その巨乳をゆっさゆっさと上下させながら、びくん!びくん!と痙攣させた。
こなたは、愛しい人のこんな淫らな姿を見て、ついにやけてしまうと同時に、自分にも早く刺激がほしい、という思いでいっぱいになった。
かがみの女性器から、愛汁がいっぱい分泌されて、白い下着にじわあっ…と染み込んでいく。

「はあ………!はあ………!はあ………!」
かがみは、後ろに倒れこんで、苦しそうに呼吸をしていた。
「かがみ、すごい声出しちゃったね…坂の上の人にいっぱい聞かれちゃってるよ。」

かがみが、まどろむ意識の中で耳をすませると、自分の真上の方からざわざわと声が聞こえた。

『…イったみたいだな』
『やだ〜すごい声…よく外であんなことできるね…』
『あれ、人に見られてるの絶対気付いてないよな』

家から遠く離れた、見知らぬ土地に見知らぬ人。声が聞こえる。人々が見られている。
人がいるのは数メートルの急な坂の上。夜だから顔は見えない。
でも二人は、はだか。喘ぎ声が聞かれている。
顔は見えなくても、体の動きは見えてしまっているだろう。
そんなどうしようもない恥ずかしさと背徳感が余計興奮させてしまう。

「全部脱いじゃおっか。私のことも早く触ってよ」
「うん…でもちょっとだけ待って…まだアソコ、びりびりする…」

こなたは、かがみの足を上げて、びちょびちょになったパンツをするすると脱がせた。
パンツからは透明の液がとろりと滴っている。
こなたも、自ら唯一身にまとっていた下着を降ろしてしまった。
かがみはゆっくりと起き上がり、こなたと抱き合って、顔を見つめた。

外で全裸になったことなんて、二人のとって始めてのことで、すごく緊張している。
「すごいね…私たち、外で裸になって、人に見られちゃってる」
斜面の上の方では、人が集まり始めている。
「顔…見えてないよね?ほんとに大丈夫よね…?」
かがみが心配そうに聞いた。
「大丈夫だって。顔は見えてないから安心して…さっきのかがみのあえぎ声は筒抜けだけどね」
「…ばかっ!」
かがみは顔を下に向けて俯いてしまった。

「…前に、デパートのトイレでエッチしたことあったよね」
「あの時、トイレから出た瞬間に人にばったり会っちゃうんだもん、すごい恥ずかしかったわよ…」
「でも、あれはかがみの方から誘ってきたんじゃん」
「ち、違うっ!!私から誘った覚えなんて一度もないわよっ!!」
「…まあ、どうでもいいや。それより早く続きしようよ〜、私のおマンコ、すごいことになっちゃってるんだからさぁ」
「うわ……すご…!イってもないのに、こんなに濡れちゃうもんなの!!?」
「…かがみが可愛すぎるのがいけないんだよ…」
こなたは、口を尖らせながら言った。
「早く、早く触って」
「…わかったわかった」
「皆の前で、私たちのセックス見せちゃお☆かがみ」

かがみは、苦笑しながらこなたの大事な部分を指でなぞってみた。
「はあ…はあ…」
「気持ちいいとこ言って…」
「ん、もうちょっと上…」
「…ここ?」
こなたは身をすくめた。
「あ、うん、そこ…」
「ここね…」
3555:2008/10/28(火) 18:27:15 ID:TI9XA365
    
「うああぁぁん…!!」
こなたの幼いあえぎ声が夜空に響く。
坂の上の方からざわざわと声が聞こえる。

「気持ちいいの?こなた…」
「はあっ、はあっ…!!ゆび…入れてぇ…すごい気持ちいいよかがみぃ……」
「うん……わ、簡単に奥まで指が入る…」
かがみは、膣に中指を挿入していく。
「ああ…!あぁ…!」
「動かすわよ」
そのまま、手をくちゅくちゅと上下に動かした。
「ああ〜ん!あん、あん、あんあん!!!!」
幼い声で叫ぶ、普段はなかなか見せないこなた。
いつもの元気さやマイペースさはどこへやら。さすがのこなたも、生物に元来備わっている性の刺激には耐えきれず、気持ちを保つことができなくなってしまうようだ。

「おっぱい、吸わせて」
かがみは、こなたの胸につんと勃っている突起物を口に含んだ。
「ん…んん〜〜……ちゅっ、ちゅっちゅっ」
「くぁぁう……おっぱいまでぇぇ……うあぁぅんっ!!!あうぅんっ!!!」
こなたは、かがみの頭をぎゅっと抱いて空に向かってあえぎ続ける。

かがみは、こなたの喘ぐ声が好きだった。
高校の時からずっと、からかわれたり、甘えられたりするばかりなので、エッチの時はこなたが弱みを見せる数少ない瞬間なので、ついいじめたくなってしまうのだ。

こなたも、自分が喘いでいることが、らしくないと思うのか、最初はなるべく声を出すのを我慢しているのだが、かがみとこんなエッチな行為をして、我慢を続けることなど到底不可能だった。
だから、セックスでかがみが攻める時は、普段とは逆の立ち位置になってしまっていると思いつつも、大好きな人にいじめられるのも悪くないな、と思って全てを委ねてしまうのだった。

「ああ…もうイっちゃいそぉだよ、かがみぃ…」
「あつい…あついよぉ…こなたぁ」

くちゅくちゅくちゅくちゅ…

「あぁ〜ん、イクイクイクイク〜〜〜……!!」
悩ましげな声をあげるこなたに、かがみの息が荒くなってくる。
「もっと、早くしてぇ…」
「はあ、はあ…すごい…ジュクジュク言ってるよ、こなたぁ…」
「あっ、イっちゃいそう、マンコ、マンコ気持ちいい!!」
「いっぱい濡れてるわよ…すごいやらしい顔してるわね、あんた…」
「あっあっあっあっあっ!!!!」
喉の奥から高い声が出てしまう。

「ふにゃあぁぁん!!!イっ…クぅぅうぅぅっっ!!!!」
こなたは、体を縮こまらせて、ひと際大きく叫ぶと、びくっ、びくっ、と体を何度か跳ねさせ、ばたっと倒れてしまった。
3566:2008/10/28(火) 18:29:38 ID:TI9XA365
「はあ、はあ、はあ、はあ…」
こなたは自分の開いた股の部分を手で抑えたまま、ぐったりとしている。
苦しそうに呼吸をして小さな胸を上下させる。

少しして、かがみはこなたの足の付け根に顔を近づけ、そっと抑えられた手をどけて、アソコをなめ始めた。
「ぅん……んんぅ……」
「イった後も、気持ちいい?」
「うん、まだしびれてる…」
「ここは、どう?」
クリを唇でつまんでみた。
「…あはっ、気持ちいい」

「シックスナインしよっか」
かがみはそう言うと、四つん這いになってこなたの体の上に移動し、頭を反対側に向けて、お互いの秘所をなめあった。

「あん……いいね、気持ちいい」
ぺちゃ…くちゅ、ちゅぱっ、ちゅぱっ。

「うん…かがみの体温が伝わるよ」
ぺろ、ぺろ…ちゅぅぅ…ちゅぷちゅぷっ。

熱のこもる体で、すべすべしたおしりや、太ももをさすり合いながら、恋人の一番恥ずかしい場所をなめあう二人。
心地よい気持ちよさが二人を包む。
幸せ。
破裂する花火が瞬く度に照らされる二人の女の子が、裸で絡み合っている。
大勢の見物人に見られながら。


「…待って」
こなたが言った。
「何?」
「ちょっといい?」
こなたが体を起こそうとしたので、かがみはこなたの体の上から離れる。
そして、浴衣の中からビニールに入った何かを取り出すこなた。
「これこれ♪」
「なっ…!!!なんでこんな所にまで持ってきてるのよ!!!」
こなたの手には、ピンク色の太くて長くてイボイボのついた、男性器をモチーフにしたバイブ付きの性玩具だった。
「あんた…まさかエッチすること最初から…!」
「…あは☆」

その後、かがみに説教されたのだが、こなたが可愛く「おしり出して♪」なんて言われると、かがみはしぶしぶと四つん這いになってこなたの方にぷりんとした大きなおしりを向けた。
菊門はひくひくと開いたり閉じたりして、入れてほしいことを求めているようだった。
3577:2008/10/28(火) 18:31:48 ID:TI9XA365
    
こなたは、バイブにローションをたっぷり塗り付けて、かがみのおしりの穴にバイブを挿入する。

ずぷっ…むりゅりゅりゅっ。

「やっ…おしりっ!!?…いやぁっ!!…くう…………くふううっっ……!!!いたっ…!んあっ……なんかぐちゅぐちゅするぅ……」
目を細め、歯を食いしばりながら、肛門からイボのついた太いものが入れられる感覚に耐えるかがみ。
「やだぁ……入ってくるぅ」

どぷ、どぷっ。ずぷ、ずぷぷぷっ。
「だめっ、だめっ、おしりは嫌なのに…すごく気持ちいいよぅ…」
おしりの中はぬるぬるしており、容易く奥までずるずると入れられていく。
「かがみ、すっかりおしり開発されちゃったね」
「あんたのせいでしょうがっ!!あんたが…セックスの時よくおしりをいじくるから…!最近はトイレの時にまで感じちゃうんだもん…!!」
「ふ〜ん」
「…!!」
にやにやしながら言ってるであろうこなたの一言にむっとした。

今は、かがみのおしりの穴からしっぽのようにバイブが飛び出ている。
「…おしりの中がいっぱいになっちゃうよぉ……」
こなたは、アナルにバイブをぐぐっと押し込むと、バイブの大半がかがみのおしりの中に飲み込まれてしまった。
「〜〜〜っ!!!!」
かがみは嫌がって、肛門に力を込めてバイブをひり出そうとする。

「ん〜〜〜っ………んんんっっ……くふぅう………」
ぶぶっ、むりむりっ。
ゆっくりと、淡いピンク色の太いものがおしりからひり出されていく。

ずぶぶぶっ。
しかし、こなたにまた押し込まれてしまう。

「くうぅぅうぅぅう……うう〜〜んっ……うぅ〜〜んっ………」
またひり出そうとして、ゆっくりと押し出される太いもの。

こなたは、かがみのこのどうしようもなく卑猥な光景に、ぞくぞくとなった。
かがみは最初は嫌がっているのだが、何度もくり返すうちに、これがだんだんと強い快感をもたらすことになるのだ。

むりりっ、みちみちみち…
「くぅうううっ……ああぁああぁあああ」

ずぶぶぶっ。
バイブをお尻の穴の奥に戻される。何度も何度も。

めちめちめちっ…ぶりっ
「くふぅ…んんん、う〜〜ん……うぅ〜ん……」

ずぶぶぶっ。
バイブがお尻の穴の奥に戻される。何度も何度も何度も。

やがて、かがみのおしりの穴からケツ汁が漏れ始めた。
そしてまた、バイブをひり出そうとして、おしりにぐっと力を入れようとする時、かがみの動きが止まった。
おしりの穴にバイブがささったままで。
3588:2008/10/28(火) 18:33:08 ID:TI9XA365
    
「ふー……ふー……」
かがみの様子がおかしい。
何かに耐えるような引きつった顔をして、しゃがんで手をついたまま、えらく熱のこもった呼吸をし、ふとももからおしりにかけてガクガクと震えている。
「はぁー……はぁー…」
おしりの穴がバイブを加えたままヒクヒクと激しく動いている。
ただ事じゃない様子だ。
「ど、どうしたの、かがみ……?」
こなたはいい知れぬ予感を感じ、おずおずと聞いてみた。


「で………………………出そう…」
「え!?…え!!?ちょ、ちょっと、かがみ!!?」

むりりりりっ…
アナルに飲み込まれたはずのバイブが半分くらい、にゅるっ、と一気に飛び出した。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!!なんとか我慢して!トイレまでっ…!!」
「…ごめんっ…もう、やばい!もう、ダメ……!!!」
体がブルルッ、と震える。

むりむりっ…とおしりにささったバイブが急にどんどんひり出されていく。
かがみの体が震え、びくっびくっと痙攣し始める…

「かは……あ…はぁ…あ…もう、出る、出る……でるっ……!!」





…ぼとっ。





ぷしゃああああああ!

「いやあああああああああああ!!!!」

おしりのバイブが抜け落ちて、かがみの股下の尿道口から勢いよくおしっこが噴き出た。
バイブを穴からひり出すのを繰り返しているうちに、尿意をもよおしてしまったのだ。

びちゃびちゃびちゃびちゃ…

地面に飛び散り、放出されるおしっこ。
3599:2008/10/28(火) 18:35:25 ID:TI9XA365
   
「みっ、見ないでっ!!見ないでっ!!!」
こなたの方におしりを向けていたので、放尿している姿を直に見られてしまっている。
かがみは、しゃがみ込んだまま、地面に手をついて、涙をぽろぽろ流しながら放尿し続けていた。
ぞくぞくっ…という感覚が、かがみの背中に走る。

…じょろじょろじょろじょろじょろ。

「くふう……ふう……ふぅ……ぅ………あ………ぁ………」
今まで我慢していたのか、膀胱から流れ出すいっぱいのおしっこを出す気持ちよさに切ない声が出てしまう。

じょろろろろろろ…………ぱしゃぱしゃぱしゃぱしゃ…

相当たまっていたらしい。なかなか出し終えない。
よりによってこなたに、排泄する場面を見られて、どうしようもなく恥ずかしい。

ちょろろろっ…ぴゅっ……ぴゅ…

「はあーっ、はあーっ!…はあっ…はあっ…はあ………はあ……………」
ようやく出し終えた。
かがみのいる場所に、おしっこの水たまりができていた。


「ごめん……こなた…こんなとこで漏らしちゃった……」
かがみは、おしっこを出し終えたポーズのまま、こなたの方に首を向けて言った。
泣きべそをかきながら、謝っている。

「いや、まあかがみのおしっこだったら別にいいんだけど…」
「ば、ばかぁ…」
「…私はてっきり、おしりからうんち漏らしちゃうんじゃないかと思ってあせったヨ…」
「…ば、ばかああっっ!!!」
「…でも、おしっこしてるかがみ、とても気持ち良さそうだったよ。なんだか私に見られていることまで、快感に思えてきた、みたいな?」
「ち、ちがっ!!そんなこと……そんなこと…」

菊門がぴくんぴくん、と開閉されている。
かがみは、ずっとこなたの方におしりを向けたまましゃがんだポーズだった。
自分の下はおしっこまみれになってしまったので、動くに動けない状態なのだ。

「ほら、こっち来て」
こなたがかがみの体を抱きかかえると、
「ふにゃあ……」
かがみは、こなたの体に倒れこんだ。
「かがみ、さっきのでイっちゃったの?」
「………うん、イった瞬間漏らしちゃった」

ぐす、と鼻をならして、こなたのことを涙目で見つめるかがみを見て、こなたは彼女のことが可愛くて仕方がないと思った。
かがみが落ち着くまで、抱き合って、しばらくしてからこなたが言った。
「ねえ、かがみ…最後にもっかいだけがんばれる?」
「…うん、がんばる…だけど…もっかいだけ……キス、しよ?」
「……うん」
36010:2008/10/28(火) 18:37:07 ID:TI9XA365
    
かがみは、未だに目をつぶって恥ずかしがりながら、可愛らしい顔をこなたに向けている。
(本当に可愛いな…かがみ…私、かがみを選んで本当に良かったよ…)

唇が合わさり、すぐにお互いの舌がねちっこく絡む。
ちゅっ…ちゅっちゅっ。
舌を交えながらいっぱいいっぱいキスをする。かがみは、この行為が好きだった。
すぐにでも、こなたとの愛を確かめあえるこの行為が。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅぱ、ちゅぱ、くちゅ、ぬちゅ、ぬちゃ、ぬちゃ。
「ぷは…」
よだれを垂らすまでキスに没頭し、お互いの顔を見合わせて、笑った。

「それで?最後に何するの?」
「これ」
バイブをビニール袋に戻すと、さっきよりも長くて、別の太いものを取り出した。
今度は、両端がおちんちんを模して作ってある棒、双頭バイブだった。
「これ、使って最後は二人でイこ☆」
「…うん」
二人のエッチの最後は、いつもこれを使ってやることが多かった。

こなたは、片側のバイブを自分の膣の中に少しだけ入れる。
こなたの膣は小さいため、手で奥まで入れるより、する最中にそのまま押し込んでいく方が楽なためだ。

こなたは、自分の股から突き出たバイブをかがみの胸ではさんでみた。
「おお、おチンチン、ちゃんとはさめるじゃん!!」
二人の中で、このバイブは「おちんちん」と呼ばれていた。その方がエッチな『気分』が高まるとこなたが言い始めたためである。
「ばか…」
そう言いながら、かがみは“おちんちん”の先っぽをぺろっとなめた。

「はあ、はあ…いくよ…」
「はあはあはあ…うん」
そしてそのバイブ片方をかがみの膣にゆっくりと挿入し始める。

ずぶ……………ずぶぶぶぶ…

「ぅん…………!…くぅう…………あはあああああああ!!!!!」
オマンコに入れられる刺激があまりに強く、かがみは思いきり叫んでしまった。


『あの二人まだやるんだ…』
『AVの撮影じゃないの…すごい光景…』
『露出狂なんじゃない?あの二人』
『なんかこっちまで興奮してくる…』
坂の上のギャラリーたちの声はもはや二人には届かない。


バイブが、かがみの膣の奥にこつん、と当たる。
「あああああああ……………!!!!」
喉の奥から出すような切ない裏声。
さらに、こなたは力を込めると、こなたの膣の奥にもしっかりと当たった。
「あー!あー!!あぁー!!!」
腰ががくがくと震える。
36111:2008/10/28(火) 18:39:01 ID:TI9XA365
「合体……完了………」
こなたはかがみの体の上にぱたっと倒れる。
「奥まで……入った?」
「うん……」
「うふふ……私、今こなたと繋がってるんだ」
「えへへ…そうだね…」
素を見せたこなたが、照れている。

「動かすよ」

ずっ、ずっ、ずぷっ。…ぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃ。

こなたが、お尻を上下させると、かがみのおマンコにバイブがゆっくりと出し入れされる。
こなたの方はというと、キツキツにしめつけるかがみのアソコのせいで、自分の方のバイブまで少しずつ抜けていき、かがみの膣で大きく出し入れする度、こなたの膣の奥にもこつこつと当たってしまうのだ。
これにより、両者はとてつもない快感を得られるのだ。

ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!
音を立てながら、必死に腰を打ち付けるこなた。

こなたが叫ぶ。
「ひゃああああ!!!奥に、奥に当たってるよう、かがみぃ〜!!!」
かがみが叫ぶ。
「もっと深くっ!深く突いてえ〜!!」
「かがみも動いてっ!かがみもっ!!」
「うんっ!はあっ!はあっ!はあっ!!!」

ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!
二人の腰がお互いの体に向かって何度も打ち付けられる。

「おうっ!あうっ!」
互いが腰を打ち付けるたびに、かがみの巨乳が、ぷるん、ぷるんっ、と揺れる。
「んああっ!かがみぃっ!!」
「かはっ…ああ…あ、ちんちんおっきいぃ!!!!」
こなたが叫ぶ。
「割けちゃうっ!…やあっ…おなか、こわ、れるぅぅ」
しかし、構わず腰を動かし続ける。
「ひあっ!あぎっ!かはあっ!!」
喘ぎ続けるかがみ。

「うあああっ!!聞こえちゃうよっ!!私たちのえっちな声、皆に聞こえちゃうよっ!!!」
「いいのっ!!もっと叫んで!!私たちの事、皆に見せ付けてやるんでしょっ…!!!」

パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!

「はあっはあっはあっ…こなたっ!!好きよ!!好きぃっ!!愛してるっっ!!!」
「かがみっ!ああん…、かがみぃっ!!私もっ…大好き、だよぉっ…!!大好きぃっ…!!愛してるっ!!」
汗ばんだ手をぎゅうっと握りしめて、ただひたすら腰を動かす。
自分も相手も気持ちよくなってほしいから。

口からはよだれが、全身からは汗が噴き出て、女性器から愛液がどんどん分泌され、バイブを抜き差しする度にぐちゅっ、ぐちゅっという音と共に周囲に飛び散る。

ごろんと寝返りをうって、今度はかがみが上になる。かがみはこなたの片足を持ち挿入しやすくして、もう片方の手をこなたの手と恋人繋ぎさせた。
36212:2008/10/28(火) 18:41:02 ID:TI9XA365
ズリュ。
「うっ!!く…ふぅう…!!!」
ずるっ…ずぽん。ずるるっ…ずぽん。
ゆっくりと、内部に入れて、また抜く。

パン!  パン!  パン!  パン!
かがみの腰が、こなたのおしりに何度も打ち付けられる。
「うあっ!!あんっ!あんっ!あんっ!!」

「かがみの、おチンチンがぁ…かがみのおチンチンがぁ…、私のおマンコの中にぃぃぃっっ!!」
卑猥な言葉が出る。涙が出る。よだれが出る。汗が出る。

「はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!」

パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!

「あうぁ!!うぐ…あぁぁっ…つ、っはぁああっっ!!ひぃ!はぁ!ああぁ!!!」
大好きなこなたが、もっと苦しそうに喘ぐ姿を見たい。
かがみはもう、自分が人間ではない、ただ性欲を貪るだけの生き物になっているように思えた。

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!!!

「こなたっ!こなたぁっ!こなたああぁっ!!」
「うあああああああああ!!!!!!!かがみ!かがみぃぃいぃぃ!!!」

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「あああぁぁぁあぁああぁぁあぁああああこなたぁあぁぁぁああぁぁ!!!!!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
二人は、自分でも驚く程の早さで腰を打ち付け、ひたすら性交に没頭しながら、裏声で泣き叫ぶ。

もしも、理性のある自分たちが、こんな自分の姿を見たら、気を失う程激しい光景だろう。

「イクッ!イクッ!イクッ!ああっ、イクッ!!!こなたぁっ、イっちゃうっ!!いやっ!いやぁん!イっちゃうよぉっ!!!」
「ああっ!うぁああぁあん!!イクぅぅぅぅっっ!!かがみぃぃぃ…!イきそうだよぉぉ…!!!!」

狂ったように性交に没頭し、

「「イクぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!イクぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!イクぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!イクぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!」」

そして、お互いに「イク」という言葉を数回叫びまくった後、おなかの下あたりで何かが爆発して、数十秒間がくがくと痙攣しまくった末に、二人は果ててしまった。

かがみが、消えそうな意識の中、こなたの膣に入ったバイブを外すと、中からごぼっ、とどろどろの液が溢れだした。
必死の思いで、自分のバイブも抜くと、びちゃあっ…という音を立てて愛液がこぼれ落ちた。

かがみは、手に持ったバイブをぽとっ、と地面に落とすと、そのままばったりと仰向けに倒れてしまった。
  
36313:2008/10/28(火) 18:42:33 ID:TI9XA365
    


セックスが終わり、飛んで行った意識がうっすらと戻ってきた頃に、かがみの目が開いた。
花火大会が終わって、上の通路ではぞろぞろと人々が帰っていく様子が耳に聞こえる。

…空の…星がきれい………

背中に感じる草の感触や肌に直接感じる風が、自分がすっぱだかで腕を広げて仰向けのまま眠ってしまっていることを気付かせた。

…まあ、もう見ている人はいないようだから大丈夫だろう、と思った。

起き上がろうとしたが、体まで意識が飛ばず、うまく動けない。
全身に疲労を感じ、アソコが少し痛む。愛液のにおいだろうか、なんだか生臭いにおいもする。
先ほどのセックスがよほど激しかったのだろう。
今にして思えば、よくもまあ外であんなこと恥ずかしい事ができたなって思った。

外で。人に見られ、声を聞かれ、愛する人と。…おしっこまで漏らして。

すぐ横ではこなたが眠っていた。かがみの腕にしがみついたまま。
先ほどの淫らな様子は微塵も感じさせない、幼い子供のように可愛らしい寝顔で眠っていた。

かがみはなんとか横になって、こなたの小さい体をそっと抱きしめた。まだ、少し火照りがあるようだった。
裸で抱き合うと、改めて体温を感じるなと実感する。
精も根も尽き、今は性欲など全く起こる様子がなかった。でも、裸でこなたを抱きしめるのは、心地良かった。

「かがみぃ…」
そう言って、こなたが目覚めた。
「…寒くない?」
「平気だよ。かがみあったかいもん」
「……そ」
かがみは、ふっと笑った。
しかしそれとは対照的に、こなたは口をへの字に曲げて少し困った表情をしていた。
「…ごめんね、かがみ。せっかく花火、見に来たのに」
今頃になって、しゅんとしおれてしまった。
「外で、あんなエッチなこといっぱいしちゃって…」

かがみは、こなたの頭を優しくなでながら言った。
「いいのよ。……私はね…こなたが私を愛してくれる方がずっと嬉しい……それと比べたら他の事なんてどうでもいいくらいよ……」
こなたの頬に軽くキスをしてあげた。
めいっぱいの愛情を込めて。

「やっぱり、かがみはあったかいね」
「こなたも、あったかいわよ」

「えへへ…」
「うふふっ…」

裸のまま、いつまでも、幸せを感じている二人だった。

  
364名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 18:44:59 ID:TI9XA365
これで終わりです。

大丈夫と思うけど、保管の際、もし不都合があれば前後編に分けて下さるとありがたいです。
そう…区切りを付けるとしたら…バイブを取りだす編かなw

まあ俺の文章ではせいぜいこんなもんです…
365名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 18:46:54 ID:TI9XA365
おっと、途中で送信してまったorz

とにかくえっちぃことを目標に書いてみますた。
えーと、はい。そんだけ。
366名無しさん@ピンキー:2008/10/28(火) 22:04:54 ID:UdycnbaO
>>364
GJ ! あんたどんだけ野外プレイ好きなんだw
見られて興奮するとか、二人はもはや普通では満足できなくなってしまっているのか・・・
でも絶対、蚊に刺されまくってるよなw
367:2008/10/28(火) 23:33:59 ID:R6CoB5+I
今回は空気を読みますた
368名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 00:23:39 ID:4A+BT5+2
「浴衣に蚊取り線香仕込んでおいたおかげで助かったよ」
「って待て、そんな匂いしなかったぞ」
「そりゃみゆきさんに頼んで作ってもらったからねー。無臭だから着てても匂わないし脱いだらそのままおいとけば虫も寄ってこないし」
「はぁ…そこまでして外でしたかったのかよ」
「ちーがーうーよ。「かがみと」「外で」したかったの」
「………はいはい」

という妄想。つまり>>364GJ!
369名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 00:29:40 ID:ArbXMmsn
あれ、普通花火大会に行くときって防虫スプレーしないか?
何はともあれGJ!
370名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 00:44:30 ID:qvVIwx+L
>>369

こなた「ふむ、これがほんとの「防虫姦あり」、と」

かがみ「………………」
こなた「………………」




かがみ「……あんた、隅っこで何やってんのよ?」
こなた「【自主的に審議中】」
371名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 00:44:55 ID:Q6YulzJ8
スプレーしても汗で流れるから、普段蚊に刺されるはずがないところが刺されたり
372名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 06:10:52 ID:XN1CKeC7
>>364
野外でこなかが、しかもガチエロ!
おなかいっぱい堪能させていただきました。ぐっじょぶ!
373名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 22:18:25 ID:d23yZJZn
>>369
防虫スプレーてさ、あんまり効かなくね?

二人は帰宅後全身にかゆみを覚えたため、お互いの身体をなめなめ・・・
というわけで第二部に続くんですね、わかります
374名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 23:49:56 ID:Bb3mBt+T
皆、あんなえろーすなSSが来たのに、案外淡白な反応だなw
もしかして、もう「使用後」なのか?w
375名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 23:52:20 ID:SiReoKEO
ドエロースには興味なくて、ほのぼのエロース好きな俺もいる。
376名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 00:03:42 ID:KHBcKbON
擬音がくどすぎてちょっと……な俺もいる(作者様すみません)。
377名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 00:09:08 ID:7Eh0ZJ/K
ほのぼのも
おなみだも
がちえろも
どんとこいな
おれもいる

でもがつぃふぉもだけはかんべんな
37823-49:2008/10/30(木) 00:14:26 ID:vfbhbNDc
どうもです
「ちぐはぐランチ」から始まった一連のシリーズのエピローグその1、上がったような気がします
他に予定されている方がおられないようでしたら五分後ぐらいから投下させてください

内容がちょっとアレですので以下の注意事項を念入りにご確認ください

・白石みのる視点
・6レス使用
・エロ無し
・オリキャラ、TS要素あり(「圏外」のモドキ三人衆です)
379白石みのるの憂鬱 1/6:2008/10/30(木) 00:19:56 ID:vfbhbNDc
 
 今日も今日とて昼休み。
 昼休みといえば休息の時間。老いも若きも男も女も学業や生業から開放され、ほんのひとときでは
あっても限定的ではあっても、休息を満喫できる、そんな時間。受験生がひしめくこの三年B組の教室
も例外ではなく、和気藹々とした空気が漂っております。
 秋の気配が色濃くなり始めている九月の下旬。
 卒業まであと半年を切り、受験の本番までも僅か四ヶ月を残すところとなったこの時期ではあっても、
せめて昼休みぐらいはと、みなさんリラックスした様子で弁当なり菓子パンなりをぱくついております。
 もちろんこの俺こと白石みのるも例外ではありません。
 と、言いたいところなのですが。

「――でね? いざ食べようと思って冷蔵庫を開けたら、モンブランになってたんだよ。チョコケーキが」

 実際のところ、あんまりそうではありません。

「なんでだよ」
「どういうことです?」
「だから、こう……チョコケーキがね? 冷蔵庫に入れといたんだけど、食べようと思って開けてみたら、
モンブランになってたんだって」
「いや、何一つ情報が増えてないから」
「だから、確かにチョコケーキを買ったんだよ。で、冷蔵庫に入れたんだよ。でも開けてみたら、置いた
はずの同じ場所に、チョコケーキが消えて代わりにモンブランが。ぼくモンブラン嫌いなのに……」
「そんな情報を増やされても仕方がないんだが」
「誰かが入れ替えたという可能性は?」
「って、お前意味分かったのかよ今ので」
「ええ、だいたいは。――というか、ことの真相や全容ならともかく、まずなにが起こったのかということ
ぐらい、今の説明だけで十分に分かりますよ」

 俺にはさっぱりわかりません。
 何故だか俺と一緒になって昼飯を囲んでいる形になっているこの三人の男子生徒たちが何を話して
いるのか、それがビタイチ理解できません。こんな状態じゃリラックスなんかできようはずもありません。

「――で、どうなんです? 誰かが入れ替えたという可能性は」
「う〜ん……ないと思うけどなぁ。うちみんな甘いものはそんなに好きじゃないから」
「思うって、訊けばいいだろ」
「だって、朝でバタバタしてたし」
「朝っぱらからケーキ食おうとするなよ。どんだけツッコミどころ満載なんだよ」

 俺としては、お前らがそもそもなんなんだと突っ込みたいです。
 俺の友人?
 違います。少なくとも俺には名前も知らない連中を友人と呼ぶような習慣はありません。
 いえ、紹介は受けたんですけどね。忘れました。
 だって初対面のときに一回名乗られただけなんですよ? そんなもんで野郎の名前なんか覚えられ
ませんよ。しかもこいつら、そういう習慣なのかなんなのか、会話するときでもお互いの名前を呼ばな
いものだからますます分からないわけですよ。そんなわけで便宜上、右から順に、「マロン」「ワッフル」
「ショコラ」と呼んでます。心の中で。ちなみに全員A組の所属だそうです。

「家族以外では? つまり、誰かが尋ねてきたということはありませんか?」
「ううん。だーれも来なかったよ、昨日は」
「ふむ……だとすると、考えられるのは一つですね」
「なに?」
「冷蔵庫自体がチョコレートケーキを情報分解し、モンブランへと再構成した、という可能性です」
「……えっと……」
「いや、もう、黙れお前」
「だって今ある情報が全て正確だとするなら、それぐらいしか考えられないでしょう」
「それすら考えられるか。どんな冷蔵庫だよ」
380白石みのるの憂鬱 2/6:2008/10/30(木) 00:20:52 ID:vfbhbNDc
 そんな連中がどうしてこのB組にいて、なおかつ俺を囲みつつも俺を無視してランチ&談笑なんぞを
繰り広げているのかといいますと……話すと長くなります。
 聞いていただけますか?

「まぁ何にしても、帰ったらもう一度冷蔵庫を開けてみることをお勧めしますよ。もしかしたらモンブラン
が再びチョコレートケーキに戻っているかも知れません」
「それはさすがに……ないと思うな」
「つーか百パーないから。お前も諦めて大人しくモンブラン食っとけ」

 ……はい、では失礼して。
 まず一言でいいますとね、彼らは“あの”小神あきらのファンらしいんです。
 ええ。
 つまり要するに、バレてるわけです。俺がとあるラジオ番組で彼女のアシスタントをしてるってことが。
いや別にそんな積極的に隠してるというわけでもないですし、そもそも本名で出てますから、聞かれれ
ば一発なんですけどね。それにしてもこんな身近に視聴者が、ましてや彼女のファンだなどと名乗る
人間が三人もいるとは思いませんでした。スーパーアイドルという自称もあながち嘘ではないのかも
知れません。
 閑話休題。それはさておき。
 しかしながら、俺を通じてなんとかあの人とお近づきに、ということでは別にないそうです。最初の方に
一度だけサインを貰ってくれるよう頼まれましたが、直に会わせろだとか私生活の情報を寄越せだとか、
そんな要求をするつもりはないんだそうです。それはこうして俺のことを放ったらかしにしていることから
も明らかですね。そんな魂胆があるならもう少し愛想よくしてるでしょう。なくてもしろって気もしますが。
 では何が狙いなのかというと、単純な話、女子です。健全な男子高校生らしい理由ですね。
 といっても特定の誰か、というわけでもなく、この三年B組全体が目当てなんだそうです。なんでもA組
に比べてレベルが段違いなんだとか。要するにこいつらは、ランチタイムをより快適というか目に嬉しい
環境で過ごすための口実として、俺のことを利用しているわけです。俺にしてみればそれほど差がある
とは思えないんですけどね。
 そういえば、以前にそんなようなことを本人たちに言ってみたところ、なんか罵倒されました。
 なんでも俺は目が肥えてるんだとか。
 そりゃま、確かにですね、いわゆる「芸能界」で働いているわけですから。バイトのようなものとはいえ。
アイドルタレントとか呼ばれるような綺麗どころの女性たちと廊下で擦れ違う程度の経験には事欠いて
いませんよ。仕事相手というか上司というか、そんな感じなものに当たる小神あきらも、少なくとも外見
だけに限っていえば可憐な美少女と形容できないこともないわけですし。
 だからといってですね、どうして、

「王侯貴族はパンの代わりに蒟蒻ゼリーでも食べて喉に詰まらせて死んでください」

 などとまで言われなきゃならんのですか。
 確かに俺は番組内であきら様――もとい、小神あきらに散々いじめられていますけどね、それが俺の
キャラだなんて思われるのは心外もいいところです。なじられて喜ぶ趣味なんかありません。ましてや男
なんかに。
 それに、ですね。
 むしろどちらかといえば、そうやっていじめられることで、外見なんかアテにならないと学習してしまった
という方が大きい気がしますね。目が肥えたなどよいうよりは。
 どちらにしても、あのひとのおかげではあるわけですか。恩恵ではなく弊害の方の意味ですが。
 要するに俺は悪くありません。
 それに、俺にも彼らの言い分がまるで分からないわけでもないんです。全体的云々はともかくとして、
一部にハイレベルな御仁がいるのは確かなことです。その点だけは納得も賛成もしています。
381白石みのるの憂鬱 3/6:2008/10/30(木) 00:21:47 ID:vfbhbNDc
 
「――では、次の土曜ということでよろしいですか?」
「うんっ、私はおっけーだよ。お姉ちゃんもいいよね?」
「ええ。でもいいのかしら、なんか遊んでばっかりな気がするんだけど」
「まだだいじょーぶだってっ。むしろ今の内に少しでも遊んどこーよ」
「じゃーやっぱ靴だけってことにしよーぜっ。そしたら早く済むぢゃんっ」
「ふふっ。往生際が悪いわよ、みさちゃん」
「大丈夫です。決して悪いようにはしませんから、安心してください」

 賑やかな教室の中でも特に賑やかな女子のグループに、彼女の姿はありました。
 容姿端麗にして頭脳明晰にして品行方正にして文武両道、我が三年B組の誇る学級委員。
 高良みゆきさん、です。
 彼女だけは外見そのままだと信じたいです、はい。
 周りにいる他の人たちもそれなりに美人だったり可愛かったりしますけど、あくまで「どこにでもいる
普通の女子高生」の範囲内です。高良さんだけは、なんといいますか、オーラが違います。それこそ
そこらのアイドルにも引けを取らないほどに。

「……なんか、さ」
 と……ええと、ワッフル。が、口を開きます。
「なんか今日はやたらと賑やかだよな」
「ってゆーか、増えてるよね? あの二人って誰だろ?」
 ショコラが続きます。あとマロンも、三人ともいつの間にか高良さんたちの方を向いていました。
 ……言われてみれば、なんか多いですね。確か先週までは彼女たちのグループは四人ぐらいだった
はず。高良さんと泉と……柊、でしたか。それに別のクラスから来てるらしい、カガミ。その四人。
 今日はそこに、ショコラのいうとおり、見慣れない顔が二人ほど加わっています。
 元気そうなショートカットと大人しそうなロングヘア。どちらにも見覚えはありません。
「恐らくは柊姉の友人でしょうね」
 と、俺を含めた三人分の疑問に、マロンがさらりと答えます。
 柊姉?
「知ってるの?」
「C組のほうで見たような覚えがあります。会話の感じからしても間違いないでしょう」
「なるほど」
「でも可愛いよね、二人とも。明日も来るのかな」
「そう願いたいですね。賑やかなほうが覗き見もしやすいですし」
「覗きとか言うな」
 まあ確かに賑やかなグループには自然と目が行きがちになりますが。
 そんなことよりも、ですね。
「……なぁ、」
「わ、なんかお姉さんにベッタリくっついてるよ」
「ほほう……これはもしや、泉さんにライバル出現でしょうか」
「お前またそれかよ。本人に聞かれないうちにやめとけって。特に柊姉の方に知れたら怒鳴られる程度
じゃすまんぞ」
 ……。
 そういえば昨日の放課後、なんか妙な雰囲気を醸し出してましたっけ、あの二人。
 さておき、ですね。
「なあ、おい。ちょっといいか?」
「なんですか?」
 声量を上げると、ようやくマロンが反応してくれました。
「『柊姉』って誰だ?」
 が、訊きたかったことをようやく訊くと、
「……」
「……」
「……」
 なんで黙るんですか三人して。
382白石みのるの憂鬱 4/6:2008/10/30(木) 00:22:42 ID:vfbhbNDc
「何言ってんだ、お前」
「あそこにいるじゃない」
 片眉を歪めるワッフルに続いて、ショコラが視線で高良さんたちの方を示します。天然くさい野郎です
が、さすがに指を差すような真似はしないようです。
「……どれが?」
「せめて『誰が』と言いましょうね。――あのツインの人ですよ」
 ツイン……ドリルじゃなくて、テールの方ですか。
 確かにそういった髪型の人物は一人いますが。
「あれは“カガミ”だろう?」
「ええ、柊かがみさん。柊つかささんのお姉さんです」
 ……。
 えぇっと……マジですか?
「知らなかったんですか?」
「いや……え、でも、高良さんが『カガミさん』って呼んでたぞ?」
「妹の方と区別してるんだろ」
「ってゆーか、柊さんは『お姉ちゃん』って呼んでるよ」
「なんで三年生の姉が同じ学校にいるんだよ。留年でもしてるのか?」
「……あなたもあなたで大胆なことを言いますね。本人に聞かれたら殺されますよ。――双子だからに
決まってるでしょう」
 ……。
 マジっすか。
「やっばい……俺、何回か『カガミ』って呼んじゃってるよ……」
「えー、羨ましい」
「訂正されなかったのか?」
 されてません。
 そうですよ。してくださいよ。
 けど、うわぁ、どうしましょう。やはり馴れ馴れしい奴だと思われているでしょうか。
「やれやれ……本当に高良さん以外は眼中にないんですね」
 救いがたい、とでも言いたげにマロンが嘆息します。
 と同時に。

「「「――えぇええええっ!?」」」

 件のグループの方から複数の叫び声が挙がりました。驚いて目を向けると、泉と、あと新顔のショート
の方が椅子を押しのけるようにして立ち上がっていました。ロングの方とカガミ……改め柊姉も目を丸く
していて、そんな四人の視線の中心には、残りの二人、高良さんと柊――妹の姿が。二人とも真っ赤に
なって慌てています。「落ち着いて」とか「座ってください」とか言ってます。
「なんだろ?」
「さぁ?」
「……どうやらあのふんわりコンビが爆弾発言でもしたみたいな按配ですが……」
 確かにそんな感じの状況ですね。
 ところで「ふんわりコンビ」って、高良さんと柊妹のことでしょうか。無駄に分かりやすい辺りがムカつき
ます。というか、何故に俺を睨みつけてますかマロン。
「こっちに気を取られて聞いていませんでした」
 なんでそんな、何もかも俺のせい、みたいな言い方ですか。本来なら聞いていて当然、みたいな態度
ですか。
「……」
「……」
 お前らもですか。そんな目で見んな。
 俺は別に悪くないですよね? むしろこいつらの盗み聞きを阻止したってことでグッジョブですよね?
「……」
「…………」
「………………」
「……………………」
383白石みのるの憂鬱 5/6:2008/10/30(木) 00:23:37 ID:vfbhbNDc
 なんとも言いがたい沈黙の空気。
 から、逃れるために、再度高良さんたちの方に視線を転じます。すると、やはりこいつらも向こうの方
が気になるのでしょう。責めるような視線からどうにか解放されました。
 六人はなにやらひそひそと、しかし十分に聞き取れる声で話しています。

「ってゆーかなにっ? いつの間にそんなフラグ立ってたの?」
「フラグ言うな。――ってか、つかさ。アレってつまり、そういうことだったの?」
「え、えっと、それは……別にそんなつもりじゃ、あのときはなかったんだけど……」
「なんだ? ヒーラギは何か知ってたのか?」
「あ、あの、みなさん。あまり大きな声は……」
「それより、みんな、移動しない? なんだか注目されちゃってるわよ……?」

 あ。
 行ってしまいました。ロングの発言にみんなで頷き、ぞろぞろと、或いはそさくさと、六人で連れ立って
教室を出て行ってしまいました。
 いや、別に俺は構わないんですけどね。彼女らの話になど興味は、まるでないとは正直なところ言え
ませんが、少なくともこっちの三人ほどには執着していませんから。行ってしまったのも俺が原因って
わけじゃないですし。
「あーあ……行っちゃった」
 だというのに、なぜそんな恨めしそうな目をしますか。
「なんだったんだろ?」
「さーな」
「考えられるのは、高良さんと柊妹が付き合うことになった、といった線でしょうかね」
「お前な……」
「おおー、なるほど」
「お前も! なるほどじゃねえ!」
 そしてまた無視ですか。
 いいですよ、もう。好きにしてください。
「大概にしとけよ、ほんとに。こないだからそんなのばっかじゃねーか」
「君は気にならないんですか? 他はともかく、あの泉さんがあそこまで驚くような事態ですよ?」
「知らん。……そりゃ、まるで気にならんとは言わないけどな、だからってそんな悪趣味していい理由に
ならないだろ」
「まぁ、確かに悪趣味という点は否定しませんが」
「しろよ」
「あはは……」
「さておき――そうやって頭ごなしに否定してしまうのも、どうかと思いますがね」
「何が」
「君はまるで僕が彼女たちを中傷しているかのように言っていますが、同性愛嗜好というのは決して
悪徳でも異常でもありません。ただ少数派なだけです。むしろそういった拒否反応こそが実質的に
よっぽど中傷行為なのでは、ということです」
「それは……そうかも知れんが……」
「でしょう?」
「なるほど」
「――いや待て。話を摩り替えてるんじゃねーよ。だったらそういうデリケートな問題を軽々しく扱ってる
お前の方はどうなんだよ」
「チッ」
「待てこら。今舌打ち――」
「だから言ったでしょう。僕は悪趣味なんですよ」
「開き直んな!」
「もう、やめなよ二人とも」
「失敬」
「こいつはっ……!」
「しかし、ですね。なんだかんだ言っても、ここにこうして来ている以上、君も同じ穴のムジナでしょう」
「一緒にするな。俺はお前らが暴走しないように見張りに来てるだけだ」
「男のツンデレはムッツリスケベと紙一重ですよ」
「……そろそろ殴っていいか?」
384白石みのるの憂鬱 6/6:2008/10/30(木) 00:24:33 ID:vfbhbNDc
 ああ、もう。
 好きにしろとは言いましたが(思いましたが)、ケンカなら余所でやってくれませんかね。
「やめてください。暴力沙汰はさすがに彼に迷惑がかかります」
 都合のいいときだけ俺をダシにするのも。
 なんなんでしょうね、まったく。俺はただ静かに飯を食いたいだけなのに。なんでこんなわけのわからん
生温かい空間に座らせられないといけないんですか。
 俺が何かしましたか。
 ラジオに出るのはそんなにも悪いことですか。
 小神あきらのアシスタントをするのはそんなにも罪ですか。

「――ああ、そういえば白石君」
「……なんだよ」
「先日ネットのオークションで小神あきらのサインなる品が出回っているのを見ましてね」
 ……。
「……それが?」
「以前あなたから頂いたものと、筆跡から何から、色々と違ってるように思えたんですが」
「え? そうなの?」
 ……。
「……俺に頼ませたのが間違いだったな」
「どういう意味だよ」
「……『アンタの知り合いなんてどうせロクなヤツじゃないでしょ』とか言って、手抜きされた」
 ウソですけどね。
 こいつらに渡したサインは、実は俺が書いた偽物です。いや、なんかムカついたもので。
「ええ〜?」
「マジでか」
「なるほど、ありそうな話ですね……」
 ありそうですけど、あるわけないでしょう。彼女はああ見えてファンのことは比較的大事にするタイプ
なんですから。
「一応、本人直筆には変わりはないし、レア版だとでも思って大事にしてくれ。ま、人に自慢はできない
だろうけど。あと転売とかも。偽物だと思われて恥かくだろうから」
「売る気なんかないけど……」
「むぅ……まぁいいか」
「仕方ありませんね」
 ふん。
 その程度のことも分からないようなら偽物で十分です。
 せいぜい俺のサインを拝んでやがれ、です。




38523-49:2008/10/30(木) 00:25:28 ID:vfbhbNDc
以上です
ありがとうございました


なんかみゆき君(もどき)にこなた分が混入してしまいました、不思議不思議
冒頭のケーキ談義はわかる人だけわかってください

ってゆーかごめんなさい
次のその2はもうちょっとキャッキャウフフな代物を用意しますので
それでは
386名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 01:06:25 ID:5iVXT9UU
つかさの話はステージ5でやるかと思いましたが
前兆はありましたが
白石に中谷スマイルみせたら外見って……ねぇ

くらいまっくすぐーです
387名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 12:33:06 ID:9Hk+Zlz0
正直この話で何がやりたいのかよくわからなかった
388名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 21:44:10 ID:EgKjSnOH
>>385
次回はきゃっきゃっうふふなのかw
そういうの好きだから楽しみだw

389名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 00:03:10 ID:ZDbUCiOt
キャッキャウフフ期待[2]
390名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 00:10:43 ID:e5fvC+zO
同じくっ。[3]
どの程度のものだろうw

>>387
おそらく伏線でしょう。
391名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 18:52:51 ID:Io/g8kM6
>>387
そこであえて裏側から描きますか、この孔明め!w
キャッキャウフフ期待[4]を名乗りつつ、楽しみにお待ちしております。
39217-234:2008/10/31(金) 21:15:05 ID:M3cK919E
お久しぶりです、17-234です。
21:20ころから投下します。
久々の投下なので少々緊張気味ですw
393名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 21:17:55 ID:ofOHolaZ
>>392
ばっちこいやー !
39417-234:2008/10/31(金) 21:24:24 ID:M3cK919E
どうも、お久しぶり、
何スレ振りでしょう、自分でも分かりません、17-234ですw
相変わらずあきら様と白石の話です。
以下4レス使用、エロなしです。
39517-234 たやすい難問 1/4:2008/10/31(金) 21:26:28 ID:M3cK919E
「あ…あきら様?」
「うぅ…うぐっ…」
「あ、あきら様?どうしたんですか?あれ?」
「怖かったよぉぉぉ!うわぁぁぁん!」
「もう、大丈夫ですから、…ね?」

思い切り、抱き締める。
もう離したくない。
絶対に、離さない。

自然にそれが出てしまったのが、事の始まりだった。
まさか、厄介なことになろうとは…

『たやすい難問』

僕達は、とあるロケ現場に着ていた。
企画を知らされたとき、僕達は反対しようとしたが、もう既に決まっていたことだった。
「僕達」というのは、僕とあきら様のことだ。
いつの間に、僕達は2人で呼ばれることが多くなった。
何故かはわからない。

さて、そのロケ現場とは…

「…病院?」
「どこのですか?」
「××県の〇〇町ってところなんだけど…」
「××県?!遠っ!」
「まさか…泊まりですか…」
「そうだよ。学生の君たちに頼むのもアレなんだけど…」
「けど?」
「もう学校には許可取ってあるから、大丈夫だよ。」
「そういう問題なんですか?!」
「はやっ!」
「で、当日は歩くから、動きやすい格好で。あとお祓いも行くから、」
「「お…お祓い?」」
「あ、うん、そうだけど。」
「……その企画って、まさか……」
「心霊企画だけど。」

僕達はプロデューサーからの話を聞いて唖然としていた。
心霊企画のロケに駆り出されたのだ。
もちろんあきら様も僕も、怖いものは苦手。
だから企画来たのかな…後で事務所スタッフに詰め寄ろう。
そして案の定、道の途中で、あきら様はあまりの怖さに泣き出してしまった。
僕の腕に痛いくらいにしがみついて、ぼろぼろと涙を溢す。
恐らくここからテレビをつけた人は、僕があきら様を泣かせた、と思うだろうな…。

泣かせてませんよ!決して!
あきら様を泣かせるのは、布団の中だけで十分です!
妄想ですけどね!
39617-234 たやすい難問 2/4:2008/10/31(金) 21:28:01 ID:M3cK919E
-----

しばらくまた歩かされて、トンネルの中へ入った。

ここからは全く聞いた話だ。

僕がトンネルの中をダッシュしたらしい。
みんなを振り切って、突然。
あきら様は僕を追いかけてきたらしい。
一頻り走って、一人でトンネルの中で佇んでいた。
そこにあきら様と、クルーが到着した。
僕は何かを唱えながら手を拡げていたらしい。
それが唱え終わると、僕は膝から崩れ、あきら様に支えられていたらしい。

らしい、というのは、僕の意識がトンネルの前で無くなってしまったからだ。
今考えると怖いのだが、僕自身、なにをしたか、全く覚えていない。
何を唱えていたのかも、全くだ。
記憶に、ないのだ。

そこで、話は冒頭に戻る。

僕は膝が地面についた衝撃で、自分を取り戻した。
目の前にはあきら様の顔があって、息が上がっていて。
よくわからないけど、僕は彼女を抱き締めた。
強く、強く。
僕は、ここにいるんだ、とわかってもらう為に。

「白石が…白石がぁ…っ」
「あきら様、僕は大丈夫ですから…」
「大丈夫じゃなかったぁぁ…ひっく、ひっく」

髪をくしゃくしゃと撫でてあげる。
僕は、自分が何をしたのか覚えていないのに、何故か、彼女を悲しませた気がした。

「白石、もう、大丈夫なの…?」
「えぇ、大丈夫ですよ?ちょっと記憶はないですが…」
「あたしのこと、分かる?」
「あきら様ですよね?」
「よかったぁ…白石が、違う人に、なっちゃったかと……」

あきら様は、僕にまた抱きつき、涙を流し続ける。
余程怖かったんだろう、すごく心配してくれたんだろう、と思う。

「心配かけて、ごめんなさい…」
「本当だよ」
「でも、もう大丈夫ですから、」
「バカ…」
「ね?元気だして…」

そっと、彼女のおでこにキスをする。
彼女は泣きながら笑って、僕の頬に、可愛いキスをくれた。
39717-234 たやすい難問 3/4:2008/10/31(金) 21:29:14 ID:M3cK919E
-----

そこまではよかった。
僕達のすぐ後ろから、ある人が声をかけた。

「あきら様に…白石?」
「「はいっ」」
「いつまでそうしている気なんだ?」
「「えっ…?」」

あ、あれっ?
カメラ、まわって…

「あ、ああ、あああっ!」

どうしましたか、あきら様、顔、赤く…

「いや、いいものを見せてもらいました。」
「いいね、青春だね…」
「怖がる彼女を抱きしめて離さない、うぅん、絵になるねぇ…」
「これは放送して良いのかな?良いよね、良いんだよね?」

………はっ。
僕はあきら様をめごめごしながら気が付いた。
これ、撮影してるんだよね。
ね、あきら様…って、あきら様?
39817-234 たやすい難問 4/4:2008/10/31(金) 21:30:42 ID:M3cK919E
「ぎゃあああああああっ」
「うおっ?!」
「離せ、白石、この腕!」
「嫌です!」
「馬鹿、離せ!離せ!」
「よいではないか〜よいではないか〜♪」
「良くない!馬鹿!はーなーしーてー!」
「あ〜あきら様ったら可愛いなぁ…」
「デレるな気持ち悪い!」
「あきら様可愛いいいい!」

今まで恥ずかしくて出来なかった頬被りをしてみる。
あきら様は顔を真っ赤にしながら僕を叩きまくる。
もう、離したくないんだ。
だから、もうこの際、放送できないくらいのことをしt

「こぉのっ!変態がっ!」

彼女の渾身の右アッパーを喰らいながら、僕は考えていた。
彼女との関係を公表することができたのならば、
僕達はこれから、メディアの上で、どう振る舞えばいいのだろう?
開き直ってしまうべきか?
このラブラブぶりを全世界に放送すべきなのか?
いや、でも彼女を困らせるだけだろうか?

僕は、このたやすい難問を抱えながら、
あきら様を好きでいることに、決めた。

「あきら様?好きですよ!」
「分かったから!離れて!」
「ひゅーひゅー」
「あきら様は?僕のこと好きですか?」
「死んでもこんなところで言うもんかー!!!」
(ばちこーん)
「ぎゃー」

おわり
39917-234 たやすい難問 あとがき:2008/10/31(金) 21:32:49 ID:M3cK919E
超マイナーですが、
タイトルは某バンドのアルバムの2曲目からとりました。
あきら様は可愛いのです←結論
久々に書いたので支離滅裂でごめんなさい。

心霊スポットにありそうな現象と、
ラブラブ分が足りなかったので
2日かけて作ってました…

え?お前作りかけのSSがあっただろう?
な、なんのことかなー、あははははー

それではっ!
400名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 21:52:31 ID:shb2dYwP
>>399
>お前作りかけのSSがあっただろう?
待ってるんだから………
2日でこれが書けるなら、ねぇ……


それはそうと、腹黒くないあきら様やっぱいいわぁ〜
401名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:39:17 ID:xgUbVJeq
GJです!
シングル・アルバム発売以降、白あき萌えが高まっていたので
すっごいタイムリーだww
402名無しさん@ピンキー:2008/10/31(金) 23:58:20 ID:n7fZrJ3d
GJ!
この場面が放送されたのかどうかが気になる

読んでる途中、霊にとりつかれた白石があきらを……
っていう展開を妄想してしまったw
403名無しさん@ピンキー:2008/11/01(土) 22:48:10 ID:dtMlzHCR
>>399
白あきはいいものだGJ !
書きかけもがんばれー
404名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 07:13:37 ID:k5FwHnqD
>>399
おお、仕事明けに来て見たらなんというみのあき、なんというキャッキャウフフ。
あまりのいちゃいちゃっぷりに、久々に脳内京アニが発動しました。ぐっじょぶ。
405名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 21:24:48 ID:Om+IqYmU
ところで、ふとした疑問。
白石(らき☆すた本編)の身長はどれくらいなんだろうか。

アニメ7話のこなた、つかさと並ぶシーン(執事と言えばセバスチャン〜の所)を元に公式ガイドブックで推測すると、大体162くらいか?
というか、wikiに載ってる?
406名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:03:34 ID:Wh1/jK4S
いや、載ってないな。
というか、白石みのるというキャラ自体、良く分からないことだらけだ。
あきらと一緒に番組を持っているということは、芸能人なんだろうが、一体どんなことをしているのか。ということは、高校生で芸能人なのか。
まあ、アニメ版のらっきー☆ちゃんねるも、何をやってる番組なんだか全然わかんないけど……。
407名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 22:42:50 ID:iG1GwS3R
そこらへん整理がつかなくて、創作まで手が届かないorz
なかでも一番気になるのが
白石が18のとき、あきら様が14ってことでいいのか?
ってことだ
408名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 23:59:07 ID:u9a6QPeH
ブチ切れたときにもうすぐ三十だと言ってた気がするというのはさておいて、
18と14でいいんじゃないか?

らき☆すた本編とらっきー☆ちゃんねるは一種のパラドックスだから、
あんまり深く考えない方がいいと思う
409名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 00:00:47 ID:Om+IqYmU
>>406-407
あ、載ってないんだ。d。

白石のプロフィールに関しては『ラジオとアニメ版にしか出てない』と『小神あきらのアシ』という事しか公開されてないのか。
ラジオ方面でそういうのが発言されたことはないのかな?
とりあえず、白石18ならあきらは15の可能性が高い。

というか、むしろ「白石みのる」は「声優・白石稔」と同じプロフィールと考えるべきなのだろうか。(一部変更が必要だが)
それはそれで色々とアレだな……
410名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 00:20:39 ID:JeMDsdUf
>>409

描かれていない部分の補完、というのが二次創作の楽しみのひとつ、と考えれば、
自由に設定できる部分、と捉えることもできるよね。
立ち位置的に、これ以上正規設定が出て来そうなキャラでもないし。

そんな俺は、岩崎ママの名前がないのに困ってますorz
こればっかりは、正規設定が出てきた時のダメージでかいしなぁ……
411名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 00:37:41 ID:p0LRhYkO
解釈はいろいろありますが、白石は中の人をモデルにしている、という点から、
中の人のままでいいのではないかと考えた自分がいますw
ただ、アニメのらっきー☆ちゃんねるでみる身長差は、20cmくらいある気がしないでもない…
412名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 00:56:25 ID:JJ14tRMv
>>409
白石18であきら様15は、理由あるの?
年齢差は(自分にとってだが)重要な萌え要素なので、気になる

メタ的なとこもらっきー☆ちゃんねるの魅力だと思うし、色々考えるのは楽しい
なにより白あき頑張って書きたい!
413名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 01:35:43 ID:Suh/jhDo
>>412
え?い、いや……
ほら、あきら様は2月生まれだから、他の人より一個上なんじゃないかって……
すいません、つかマキで頭振ってたんでノドデイキヲスルンダァ状態に……
414名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 01:40:58 ID:LnrP0I9W
>>413
逆逆。
早生まれだから中3で14なのさ。
415名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 02:51:56 ID:Suh/jhDo
>>414
あ、そっか……orz

お詫びというか、ついさっきネタ神様が降臨なされて書いた小ネタでもどうぞ。
多分1レスで済むかも。無理だったら2レス使用します。

・あきら&白石
・『未成年が酒呑んで〜』等のツッコミは厳禁
416小ネタ『まあ、定番と言えば定番』/1:2008/11/03(月) 02:54:25 ID:Suh/jhDo
らっきーちゃんねる終了後。たまたま呑みに誘われた白石みのるは、飲み会終了後にある荷物を抱えて家路についていた。
「まあ、仕方がないといえば仕方ないけど……」
その荷物は現在、白石の背中に体重を預けて寝息を立てていた。一度立ち止まり、ずり落ちそうになった大きな荷物こと小神あきらを揺さぶって背負い直す。
「何で俺があきら様を家に持って行かなくちゃいけないんだろうか……」
ちなみに、マネージャーはさっさと帰ってしまい、さすがに呼び出すのは気が引ける。あきら本人ならば召喚も可能だったろうが本人がこの様だし、他のメンバーは全員が辞退していた。
……まあ、酒が入っていたわけだし車以外の交通機関になってしまうからだろう。それに、偶然にもあきらと白石の帰る方向は同じだという条件が重なってしまった。
「ん……しりゃいし……」
「起きましたか、あきら様?」
「…………」
白石の呼びかけに反応はない。ただの寝言か、と思った次の瞬間……

「……すき……」

「……へっ?」
な、何と言った!?白石の脳裏に電流が流れる。
「すき……やき……たべたい……」
が、それもつかの間。次にあきらの口から漏れた言葉に白石は思わずつんのめってしまいそうになった。
「……ん?もち、あんたのおごり……」
「どういう夢見てんですか、あきら様……」
どうやら、あの時のようにあきらに無茶振りをされているようだ。夢の中でも酷い扱いを受けているようで、そんな自分に涙する白石。
「いいから、あたしにおごりなさいよぉ……」
「む、無理ですよあきら様。俺の財政事情ぐらい知ってるでしょう?」
なんとなくではあるが、思わず答えを返してしまった。……まあ、どうせ裏の顔で迫ってくるんだろうな、と考えながら。……しかし、返ってきた言葉は意外なものだった。
「……しりゃいしのけち……わぁったわよ。あんたのはらえるところでいいから……」
「はあ……」
裏の顔で迫ることはせず、妥協案を持ちかけた。まあ、白石が代金を持つ事は決定付けられているようだが。
白石がため息ともつかない呟きを漏らした数秒後、夢の中の彼は肯定の返事をしたのか、あきらの嬉しげな声が返ってきた。
417小ネタ『まあ、定番と言えば定番』/2:2008/11/03(月) 02:55:01 ID:Suh/jhDo
「あんたがあたしにおごるのはとーぜんのことよ。……あたしのこいびとなんだから」

「な、何ですとぉ!?」
先ほどの発言よりも衝撃的な発言に、白石は思わず立ち止まって人目をはばからずに絶叫していた。
「うぇ……ん……あれ?ここ――」
その絶叫にってあきらは目覚め……自分の置かれた状況を見て固まった。
「あ、あ、あ、あきら、様?お、起きましたか?」
「え?し……白、石?」
あきらの爆弾発言で混乱した白石と、『白石に背負われている』という状況を把握して混乱したあきら。
あきらはしばらくの間、口の中で色々と――主に『え、あたし白石に背負われてるの?これ夢?夢じゃない?』など――呟いていたが、少し時間が経つと落ち着きを取り戻し……
「え、えっと……降ろしてくれる?」
「あ、あ、はい」
白石はあきらに言われるまま、彼女を地面に降ろした。
「え、えーっと……なんであたし、白石に背負われてたの?」
「それはですね、あきら様が酔いつぶれて寝てしまったのを俺が運ぶことになりまして……」
「あ、そっか……」
白石の説明と共に記憶を取り戻したのか、あきらは考えるしぐさを取った。
「と、ところであきら様?」
「何?」
「さ、さっきの……恋人とかの発言……アレは……」
「あ、う……ね、寝言よ寝言!まさか本気にしたのっ!?それこそ寝言は寝て言いなさいよ!」
まさに地雷を踏んでしまったかのような勢いであきらは白石に怒鳴り散らした。
「そ、そうですよね。寝言……ですよね?」
「……何複雑な顔してんのよ。それはそれでムカつくわね……」
すっかり機嫌を悪くしてしまったあきらに、『すみません』と謝る白石。
「ま、いいわ。……とりあえず、はい」
そう言って、あきらは両手を前に出したまま立ち止まる。……その意図がわからずに白石が首を傾げていると。
「あんた馬鹿じゃないの?あたしを背負えって事よ!まだ一人で帰れそうもないし、あんたしか頼める人間がいないからこうやって頼んでるのよ!?」
「あ、ああ、すみません!」
「まったく、鈍くさい亀かっての」
あきらの言葉に、白石は慌ててあきらの前でしゃがんで彼女の両腕を肩の上に乗せるようにする。両腕はそのまま白石の首に巻かれ、背負われる状態になった。
その後にあきらの両足に腕をかけて立ち上がり、再び歩き出した。
「……言いたくても言えないのはめんどくさいなぁ」
「何か、言いましたか?」
あきらの漏らした小さな呟きを耳に入れたのか、白石が聞き返す。しかし、あきらは『いいからさっさと家に連れてけ』と誤魔化しついでに命令した。
「りょ、了解しました」
命令に従い、歩くペースを速める白石。そんな彼の背中に揺られながら、少しでも長くこの背中の感触を覚えていようと抱きつく力を強めるあきらだった。
418小ネタ『まあ、定番と言えば定番』/あとがき:2008/11/03(月) 02:58:01 ID:Suh/jhDo
何が定番なのかは察してください(挨拶

とりあえず、某『セッ……』のフラッシュみたいな感じで書こうかと思ったら直球に。
夢だから何でも言える……と思ったらそれが口に出ていて、しかも相手に聞かれてしまう。
そんなあきら様は可愛いです。
41923-251:2008/11/03(月) 18:31:06 ID:60otN3Z4
お疲れ様です。

SSを投下したかったのですが、現在規制中の為、保管庫のリンク先を添付します。

「背徳の宴 後編」

(かがみ×ゆたか+こなた)

注意事項 エロあり、ダーク注意

http://www33.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2355.html

420名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 20:32:07 ID:JJ14tRMv
>>415
GJです!
ネタ神様すげぇ、即興でこんだけってどんだけ〜


>>419
乙です!
いまから見に行きます
42123-49:2008/11/03(月) 22:45:51 ID:SBybXorG
>>419
GJです
相変わらず、なんていうか・・・・壮絶ですね
読んでて寒気がしました
そしてエロい


ええと、では
エピローグその2、あるいは番外編、上がったような気がします
間が開いてなくて恐縮ですが、他に被りがなければ五分後ぐらいから投下させてください

・あやの&みさお
・エロ無し
・10レス使用
42223-49:2008/11/03(月) 22:51:36 ID:SBybXorG
すみません
ちょっとトラブル発生してしまいました
一旦投下取り下げます
本当にすみません
423名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 22:57:12 ID:EEEKNgfq
>419
『ゆーちゃん注意』は無限の可能性秘めてるなあ
こなたが好きなのにこなたに黒いゆーちゃんも新鮮です
「そんな恥ずかしいこと言うなあ!」 叫ぶかがみ萌え

ラスト近辺どう解釈するか面白いです
色々受け取れるけどまだ『代わり』なのかな、そうじゃないのかなぐっじょぶ
424名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 23:04:06 ID:Suh/jhDo
>>419
続編キタ!オレサマ、コウフン!(落ち着け

救われないわけでもない。かといって幸せでもない。そんな印象でした。
この三人に幸がある事を願います。

>>421
wktkして待ってますねー。
42523-49:2008/11/04(火) 00:19:54 ID:CYg6yOU7
ええと・・・・どうも
なんか、すみません、23-49です
ご迷惑をおかけしました
投下、やり直しさせてください
被りがないようでしたら、やはり五分後ぐらいから

注意事項は>>421です
426ソラニ、オチル 1/10:2008/11/04(火) 00:24:53 ID:CYg6yOU7
 
 空が高い。
 どこまでも深い青色の背景に、紙粘土のようなくっきりとした雲がいくつも浮かんでいる。
 まだ夏の空だ。
 でも、それももうすぐ終わる。
 日中の暑さもだいぶ和らいできた。もうしばらくすれば、紙粘土から千切った綿みたいになって、
 ウロコや羊の群を形作るようになるのだろう。
 遮るものが何もないこの屋上から見上げる空は、本当に広くて、高くて、深くて、大きい。
 『空のような人』なんて表現を本やテレビでたまに見聞きする。
 けど、そんなのは嘘っぱちだと思う。
 そんな表現をする人は、きっとこうしてじっくりと空を眺めたことがないんだと思う。
 だって、“これ”に匹敵するほどの人間なんて、いるわけがないから。

「……ん……」

 ずっと見上げていると首が痛い。
 指で筋肉を揉みほぐし、ぐるりと回すと、関節がごりごりと音を立てた。おばさんみたいだ。
 半笑いの息をつく。
 寝転んでしまおうか。
 そんなことを考える。即座に理性が否定する。
 誰かに見られたらどうする、はしたない。制服や髪も汚れてしまうじゃないか、と。
 以前の私なら素直に従っていたであろうそれらの声を、しかし今の私は無視をした。
「……ふぅ……」
 コンクリートの床面に身体を横たえ、手足を大の字に投げ出す。
 そうしてあらためて仰いだ空は……さすがに、少し眩しかった。
 日はだいぶ傾いているけど、まだ十分に明るく青い。全身に降り注ぐ光も、温かいというよりは、暑い。
 背中に当たるゴツゴツとした感触はちょっと痛くて、だけど少しだけ、気持ちがよかった。
 やはり私は、少し変わったのだろうか。

 それにしても、こんな格好、何年ぶりだろう。
 わからないけど、とっさに思い出せないぐらい遠い昔以来だ。
 それこそ男も女もなかった幼児期以来。
 特に私の場合は、そこから抜け出すのが人より早い方だったと思うから、なおさら遠い。
「……」
 目を閉じる。
 思い浮かぶ、二人の顔。
 私のお姉ちゃんと、みさちゃんのお兄さん。
 私がこんなにも“女の子”になってしまったのは、男と女、それぞれの見本のようなあの人たちが
 すぐそばにいたからだ。

 私が初めてそれに気付いたとき、二人ともまだ小学生だったと思う。
 だけど私の目には、二人とも既に立派な大人に見えた。
 そして明らかに、お互いを異性として意識しあっていた。子ども心にもそれがわかった。
 ううん、もしかしたら勘違いだったのかも知れない。でも当時の私にはそうとしか見えなかった。
 それが当時の私にとっての絶対の真実だった。
 だから、私は――私も、“女の子”にならなければならなかったんだ。
 だってあのままだったら、きっと二人はお互いの気持ちを伝えあって、結ばれていたから。
 そんなのはダメだと思ったから。許せなかったから。

 といっても、別に彼のことが好きだったわけじゃない。
 いや、もちろん好きは好きだった。いつも優しかったし、一緒に遊んでくれていたし。
 だけどその感情は恋でも憧れでもなかった。
 だってあのときの私は、彼のことを独立した個人であるとすら思っていなかったから。
427ソラニ、オチル 2/10:2008/11/04(火) 00:25:46 ID:CYg6yOU7
 『みさちゃんのお兄さん』という、大好きな親友の付属物程度にしか、私は彼のことを見ていなかった。
 そして、優しくしてくれるのも、遊んでくれるのも、『みさちゃんの』だからだと、そう思っていた。
 現に『私の』お姉ちゃんはそうではなかった。ときどき厳しくて、あまり遊んでくれなかった。
 二人の違いを、私はそんなふうに理解してしまっていたのだ。……たぶん。
 実際はもっと漠然とした印象だったはずだから、正確なところはよくわからない。
 とにかく、彼は『みさちゃんの』だった。みさちゃんという存在を構成する一部分だった。
 そして、そのときには既に、私はみさちゃんのことが大好きだった。この世の何よりも大切だった。
 この世界の全てにも等しい存在だったんだ。

 そう。
 つまりは、そういうこと。

 許せるわけがない。見過ごせるはずがない。
 この世界が、たとえその一部分に過ぎないとしても、他の誰かのものになってしまうなんてこと。
 だから、私は。
 お姉ちゃんと張り合うために――世界に崩壊の危機を招こうとしていたあの人に立ち向かうために、
 あの人と同じ“女の子”にならなければならなかったんだ。

 馬鹿ばかしい話だ。
 訳がわからない。子どもの理論だということを差し引いても乱暴すぎる。
 だけど、どんなに馬鹿げていたとしても、当時の私にはやはりそれが絶対の真実で。
 結果として、私の目論見は長い年月をかけて果たされた。
 そして今でも続いている。
 もちろんそんな理由だけで彼と付き合いを続けているわけじゃない。
 今では一人の男性として普通に好きだし、尊敬しているし、いとしいと思っている。
 初めて身体を重ねたときは身も心も彼のことだけで満たされた。
 だけどそれでも、やっぱりそれらは純粋な想いじゃない。
 あとからくっついてきたものという感じしかしない。
 その証拠に、私は未だにあの人のことを名前で呼ぶことができていない。

 結局のところ、私が大切に思うのはみさちゃんただ一人でしかなくて。
 考えや行動の中心にはいつでもみさちゃんがいて。
 他のことは基本的にどうでもいいと思ってるんだ。
 真剣になって取り組めるれるのはみさちゃんの関わりのあることだけだし、本気で怒ることができるのも
 みさちゃんの害になりうるものに対してだけ。
 そんなふうに、私は、みさちゃんを通してでしか世界を見ることができない。
 そして。
 だけど。
 その理由はというと、これがさっぱりわからないのだ。
 気が付いたときには既に私はこうなっていて、そんな自分を疑問に思うことすらほとんどなかった。

 みさちゃんだから。

 それだけで全てに納得ができた。
 きっと私はそういうふうに生まれついてしまったのだろう。
 でも、それじゃダメなんだ。そのままじゃダメなんだということは、わかってる。
 わかってはいるけど、そう理解しているのは理性の方だけで、感情の方はまだ追いついてきてくれない。

「……」
 目を開く。
 空が眩しい。
 鳥の形をした雲が、右手の方から流れてきて、真上にくる手前あたりでゆっくりと崩れて、消えた。
 どうやら上空は風が強いらしい。
 さっきまで空の半分ほどを占めていた他の雲たちも、今は一割以下にまで減ってしまっている。
 一面のアオだ。
428ソラニ、オチル 3/10:2008/11/04(火) 00:26:41 ID:CYg6yOU7
 ただ、その色は均一じゃない。
 山際や街の方の上空など、角度の浅いところは白っぽくて、真上に行くほど濃くなっていく。
 直上などは黒ずんでさえ見える。
 大気の層の相対的な厚み違いが原因なのだろう。
 斜めよりまっすぐに見上げたときの方が宇宙までの距離が近いから、そう見える。

 ああ、そうか。

 空って、丸いんだ。

 気付いた瞬間、世界がぐるりと反転した。
 とてつもなく巨大なボウル見下ろしている気分になる。
 どこまでも高く深く広がっていたはずの青色が、薄っぺらの膜に見える。
 その“下”には真っ黒な宇宙が、底なしの闇が淀んでいる。
 背中を支えるゴツゴツとした感触が、急に頼りないものに思えてきた。
 硬くて、まったいら。
 掴まれるところがどこにもない。
 首筋が粟立った。

 ――あ。


 ――――――――落ちる。



































429ソラニ、オチル 4/10:2008/11/04(火) 00:27:35 ID:CYg6yOU7
 


「――あやの?」



「……」
 声、が。
 “上”から、降ってきた。

 反転していた世界がもとに戻る。重力が正しく下を向く。背中にコンクリートからの反作用を感じる。
 屋上の地面をなでるようにして吹いた風が全身の汗をさらっていく。心臓がドキドキと脈打っている。
 目の前の、もとの通りの広さと高さと深さと大きさを取り戻した空に、丸い何かが突き出している。
 人の頭だ。
 じわり、と、身体の奥から温かいものが湧き出でて、安堵の息が口から漏れた。

「……みさちゃん……」

「なにやってんだよ、こんなトコで」
 呆れたような問いかけの声。
 私は答えず、ちらり、目線を上の方に動かした。
「みさちゃん」
「ん?」
「ぱんつ見えてる」
「え、うぇ!? ――な、っちょ!」
 言うと、みさちゃんは奇声を発しながらスカートを押さえて一歩下がった。
 赤くなったのが逆光の中でもわかった。笑みがこぼれる。
「だめよ? 寝てる人の頭の上に立つなんて。もっとお行儀よくしないと」
「こ、こんなトコで寝転んでるヤツに言われたかねーよっ!」
 降り注いでくる怒鳴り声に、私はますます笑いを深める。
 あぁ、やっぱりみさちゃんは可愛いなぁ。
「てか、だから、何やってんだって訊いてんだよ」
 顔を赤くしたままでみさちゃんが言う。
 私は、少し考えて、正直に答えることにした。
「空を見てたの」
「ソラ?」
 言葉に引っ張り上げられるように、みさちゃんの首が上を向く。
 あごから首元にかけての滑らかなライン。
 お兄さんのそれに、よく似てる。
 だけど喉の中央にでっぱりはない。似ているけど、それでも確かに女の子のラインだ。
 みさちゃんも、ちゃんと女の子になっている。
「……なんもないぞ?」
「空だもん」
「ふーん」
 興味なさそうにうなずいたみさちゃんは、さっき私がしたのと同じように、首の後ろを手で揉んだ。
 そして、早くも飽きてしまったようだ。ふたたび私を見下ろしてくる。
「立ったままだと疲れるでしょ?」
「あー。……だから、寝てんの?」
「うん」
「…………あっそ」
430ソラニ、オチル 5/10:2008/11/04(火) 00:28:31 ID:CYg6yOU7
 呆れたような吐息。
 脱力したのだろう。私の、ベッドで言えば枕元のあたりに腰を下ろして、あぐらを組んだ。
 右手で足首を掴んで、左手で頭をぼりぼりぼり。
 うん。お行儀は悪いけど、ちゃんとスカートの裾には気を払ってたから、合格。
「……ねぇ、みさちゃん」
「んー?」
「ひざまくら、してくれない?」
「はぁ?」
 あくびなんかして緩んでいた顔が、きょとんと驚いたものになる。
「ひざまくら。……さすがにちょっと、後頭部が痛くって」
「起きればいーじゃんよ……」
 そしてウンザリとした声で正論をこぼしながら、

「――ほら」

 と、足を組み替えて、いわゆるアヒル座りになってくれた。
「わーい」
 私は喜び勇んで、腕だけで身体を引きずって、みさちゃんの膝に頭を乗せる。
「うん。いいかんじ」
「そりゃどーも。……ったく、こーゆーのは兄貴にやらせろよな」
 そんなことをぼやくみさちゃんは、恥ずかしがってるみたいで、少し顔が赤い。
「じゃあ、連れてきてくれる?」
「ムチャゆーなって」
 鼻を鳴らす。
「……ったく。ホントあやのはワガママだよなー」
「うん」
「うん、じゃねーっての」
「あいたっ」
 ぺちん、おデコを叩かれた。
「……いじわる」
「うるせー」
 続いて耳を引っ張られる。
「やんっ、もう」
「ふふへへへ。私にこんなのさせたらこーなるって、わかってたはずだあー」
「やめてー」
 さらにほっぺたを、むにむにむに。
 また、鼻をつまんだり、あごの下を掻いたり。
 そんなふうに私の頭をさんざんに弄くりながらケタケタと笑って――
「……、?」
 みさちゃんは、だけど唐突に動きを止めた。
 笑いも収めて、真顔で見下ろしてくる。
「なぁ」
「ん?」

「ちびっ子となに話してたんだ?」

 “妹”の目だった。
 でも“お姉さん”の目でもあった。
 また“親友”の目でもあり、そして――みさちゃんの目だった。
 だから、私は。
 やっぱり正直に、答えることにした。
「漫画の話、かな」
「マンガ?」
「うん。最近“読んだ”お話の、結末とか、わからないところとか、そんな話」
 正直に。
 嘘はつかず。
 真実を、隠した。
431ソラニ、オチル 6/10:2008/11/04(火) 00:29:29 ID:CYg6yOU7
 
 私が今日またこの屋上に来たのは、泉ちゃんに呼び出されたからだ。
 口頭やメールではなく、ルーズリーフの手紙で。
 つまり、“そういう”用件だったわけだ。
 色々なことを訊かれた。
 私が、何をどこまで知っていたのか、とか。
 そもそも何をどうしたかったのか、とか。
 どうにも彼女は、私のことを過大評価しているらしい。
 そりゃあ、私の方にもそう見せかけようという意図も少しはあったけど、そんな、何もかもを知っていて
 全てをコントロールしていたなんてことはまったくない。
 一番最初――先週のあの日に初めて一対一で話した時点でわかっていたのは、彼女と柊ちゃん、
 そしてみさちゃんとの間で三角関係めいたものが成立しているらしいということだけだ。
 そのときに考えていたのも、単純に「泉ちゃんが少し邪魔かな」という程度だった。
 だけどそのうちに、そうじゃないことに気が付いた。
 みさちゃんに必要なのはあくまで“笑顔の”柊ちゃんで、そのためには泉ちゃんの存在は、
 逆に欠かせないものだったのだ。
 それに気付くのに時間がかかってしまったから――だから私の行動がときにちぐはぐに見えたとしたら、
 きっとそのせいだと思う。
 柊ちゃんを「ヒメ社長」と呼んだことについても、なんとなくで、別に大した意味はない。
 強いて言うなら、泉ちゃんが一番いい顔で笑うのは柊ちゃんと一緒にいるときだと、その程度だ。
 どちらにしても柊ちゃんの方がどうだということは何もない。

 私は、ただ単純に、みさちゃんと、その害に“ならない”側に立っていただけ。
 その範囲内で、みさちゃん以外の人も大切に思えるようにと、自分を試してみただけ。
 上手くいったかどうかは、微妙なところだけど。

「マンガ?」
 みさちゃんが小首を傾げる。
「うん」
「なんてマンガ?」
「『ARIA』」
 首を戻して、反対側にまた傾ける。
「……。知らねー」
「面白いよ?」
「今度な。……そんだけ?」
「うん」
 うなずいて、私は目を閉じた。
 彼女の疑問を全て晴らすことができたかどうかはわからない。
 いや、きっとできなかったのだろう。
 去り際の彼女は、笑っていたけれど、あまり晴れやかとはいえない笑顔だった。
 まぁ、そのあたりはゆっくりやっていこう。
「お互いのこともちょっとだけ話したけどね。あと、妹ちゃんと高良ちゃんのこととか」
 彼女とも、妹ちゃんとも。
 ゆっくり打ち解けていこう。
「あー……」
 困ったような呆れたような、そんな呻き声が降ってきた。
「驚いたよね?」
「あー。……ってか、よくわかんねー」
 みさちゃんは、そうかも知れないね。
 私は、なんとなくわかるし、もしかしたらそうかなとも思ってたけど、それでもやっぱり驚いた。
 二人が想いあっているのは見れば明らかだったけど、それでも踏み出すことはないと思ってた。
 妹ちゃんの方は無自覚だったみたいだし、高良ちゃんにしたって、本格的な受験シーズンを間近に
 控えたこの時期に、周囲の人間関係を不用意に揺るがしかねない真似をするとは思えなかった。
432ソラニ、オチル 7/10:2008/11/04(火) 00:30:24 ID:CYg6yOU7
 けど、泉ちゃんに言わせれば、ある種の必然だったらしい。
 自分だって驚いていたのにね。
 だけどまぁ、彼女が言うなら、きっとそうなのだろうし、心配することもないのだろう。
「まーなんでもいーけどさ」
「うん?」
「ひどいコトとか言われたわけじゃねーんだよな?」
「ないよ」
 目を開ける。
「泉ちゃんは、わざと人を傷つけるような子じゃないよ」
 空が青い。
 高くて、深くて、広くて、大きい。
 そして、そこに被さってるみさちゃんは、とても小さい。空の半分も覆えてない。
「知ってっけどよ」
 子どもみたいに唇を尖らせて、みさちゃんは言う。
「やっは私、アイツ嫌いだ」
「どうして?」
「だって……私の好きなヤツとばっか仲良くなろーとすんだもん」
「なんだ。そんなこと」
 私は、微笑んだ。
 片手を持ち上げて、小さなその頬に添える。
「大丈夫。柊ちゃんはもうわかってくれてるし、」
 こんなに小さいのに、それでも、受け止めてくれた。
 ごく自然に、無自覚に。
 反転した世界に堕ちてしまいそうだった私を、ただ現れただけで押しとどめてくれた。
「それに私の一番は、いつだってみさちゃんなんだから」
「……」
 なんだか嫌そうな目をされた。
 私は手を降ろし、もう一方の手と共に、自分のお腹に乗せた。微笑を微苦笑に変える。
「そんな意味じゃないって」
 うん。
 私はみさちゃんのことが大好きだけど、そんな意味じゃない。
 自分のものにしたいとか、自分だけを見て欲しいとか、そんなことは思わない。
 そんなことを願って、もし実現してしまったりしたら、一番肝心な“みさちゃんらしさ”が失われてしまう。
 それは私にとって一番許せないことだ。
 みさちゃんを損なうものは、たとえ私自身であろうが許さない。
 私は、私の方がみさちゃんのことを好きであり続けられれば、それでいい。
 それだけでいい。
「……んな心配してねーけどよ」
 拗ねた仕草で視線が逸らされる。
 また顔が赤い。
「恥ずかしいだろ」
「照れ屋さんだね。柊ちゃんみたい」
「……」
 ため息。
「幸せが逃げちゃうよ?」
「うるせー」
 視線が戻る。
 と同時に――がしっ、と、両手で頭をわしづかみにされた。
「きゃっ?」
「ってか、あやの」
 そうして私を固定して、みさちゃんは覆いかぶさるように顔を寄せてくる。息がかかる距離。
433ソラニ、オチル 8/10:2008/11/04(火) 00:31:16 ID:CYg6yOU7
「な、なに?」
「柊になんか言っただろ」
「え……」
 あ。
 しまった。
「やっぱか。なに言ったんだ」
「もう……内緒だって言ったのに」
「別に何も喋ってねーよ、柊は。――なに言ったんだって訊いてんだよ」
「……」
「……」
「ないしょ」
「……」
 す、と目を細めて、みさちゃんは、その表情のまま顔を遠ざけた。
 しかし手は離してくれず、
「うら」
「え? ――やっ」
 それどころか逆に、がくがくと揺さぶり始めた。
「うらうらうら」
「やーめーてー」
 上下左右に激しく振られる視界の中で、空だけがどっしりと動かない。
 雲がまた増え始めている。

「――ん?」

 と?
 再度、みさちゃんは唐突に手の動きを止めた。
 口を割るまで離してくれないと思ったのに、なんだろう。まぁ、まだ手は離してくれてないけど。
 疑問に思っていると、そのまま、くい、と首を九十度回された。
「え?」
「ふむ……」
「み、みさちゃん?」
 戸惑う。
 こめかみの辺りに息がかかるのを感じる。
 それぐらいの至近距離で、たぶん、耳の穴を覗き込まれている。それは、さすがに、恥ずかしい。
「ちょっと、みさちゃ――ひあっ!?」
 さらに、突然の冷たい感触。指を突っ込まれた?
 たぶん、小指。
 くにくにと、まさぐるようにうごめかされる。全身に震えが走った。
 とっさに手を伸ばすけど、体勢的にも、腕力的にも、止めることなんてできやしない。
「ちょっ……! 言うっ、言うからっ、やめっ……!」
「んあ、あとでな」
「ええっ!?」
 指は止まらない。
 時おり静止を挟みつつ、なぶるようにうごめき続ける。
 身をよじってでも逃げればいいのだろうけど、さすがに本能的な恐怖が先に立ってしまっているらしく、
 動けない。
 耐えるほかなかった。

 そうして――時間にすればほんの数秒だっただろうけど、随分と長く感じた。
 というか、いつ終わったのかわからない。
 気が付いたら、涙に滲んだ視界の中に自分の指先をしげしげと眺めているみさちゃんがいて、
 私は荒い息をつきながらそれを見上げていた。
434ソラニ、オチル 9/10:2008/11/04(火) 00:32:10 ID:CYg6yOU7
「ふーん。キレーなモンだな」
 言いながら、小指と親指をすり合わせて、ぴんっ、と弾いたりする。
「え……?」
「いや、ちゃんと耳そうじしてるんだなって」
「……」
 なにかと思えば……まったくもう。みさちゃんは。
「なんかさ、ひざまくらっていったら耳そうじだろ」
「指はやめてよ……」
「持ってねーし。耳かき」
「そういう問題じゃないでしょっ」
 少し怒って、睨み上げてみたけど、みさちゃんは余裕の表情で笑っている。
 このぐらいなら許せてしまうと、わかっちゃってるんだろうなぁ。
「なー、あやの」
 笑いを収めて、みさちゃんは、どこか何かを懐かしんでいるような声で言った。
「憶えてっか? ちっちゃいとき」
「……どれを?」
 みさちゃんとのことならだいたい全部憶えているから、小さいときとだけ言われても逆にわからない。
「ほら、ねーちゃんと兄貴もさ、よくこーやってひざまくらとかしてたじゃん」
 あぁ……。
「それ見るたびにあやのさー、必死んなってやめさせてたよな」
 私の、“戦い”の記録だ。
 うん。世界がなんだ、女がどうだと大そうな言葉を並べてみても、実際の姿なんてそんなものだ。
「あんときからもー、あやの兄貴にベタボレだったよな」
「そんなんじゃ……」
「『お兄ちゃんはみさちゃんのだから取っちゃダメー』とか言ってさ、ホント素直じゃないよなー。
自分のだからって言やいーのにって、私でも思ったぜ」
「だって……」
 目を逸らす。
「あのときは本当にそう思ってたんだもん……」
「んなコト言って、結局自分のにしてんじゃん」
「……」
 戻す。
「それは、違うよ」
 断言する。
 うん。それは違う。そこだけは違う。
「私のものになんかしてないよ」
 髪留めのカチューシャをそっとなでながら、私は言った。
「私が、お兄さんのものになったの」
「……」
 みさちゃんは、呆れたような、馬鹿にするような、嫌いなこんにゃくを前にしたような顔で見下ろしてくる。
「あーハイハイ、そーですか、そりゃよかったですねー、ゴチソーサマ」
「ふふっ、お粗末さま」
「じゃ、ねーって。ったく、こっちが恥ずかしいっての」
 ぼやくように言うみさちゃんは、言葉どおり、また少し赤くなっていた。

「ってかさー、もーいーだろー? さっさと帰ろーぜー?」
「うーん……」
 また目を閉じて、少し迷う。
 でも……もうちょっとこうしていたいけど、確かにそろそろ帰らないとね。
「うん」
 身を起こす。
 特に合図も確認もしなかったけど、おでこ同士をぶつけたりはしなかった。心得たものだ。
435ソラニ、オチル 10/10:2008/11/04(火) 00:33:06 ID:CYg6yOU7
 そのまま立ち上がって、軽く背伸びをして、服に付いたほこりを払う。
 見るとみさちゃんも立っていて、同じようにスカートのお尻をはたいていた。
「じゃ、行こーぜ」
「うん」
 両手を腰の後ろで結んで、最後にもう一度、空を見上げた。
 高い高い、空の青。
 まだ夏の色だ。
 だけどそれも、もうすぐ終わる。
 今ぐらいの、日暮れ間際の時間ともなれば、なんとなく秋の気配も漂い始めている。
 グラデーションのかかった青。
 そこに散らばる、雲の白。
 西の方はやや黄色い。

 そうか。

 空の色って、一つじゃないんだ。

「でさ」
「ん?」
 前に向き直る。
「なに言ったんだ、柊に?」
「……」
 歩き出す。
「ないしょ」
 みさちゃんを追い抜いて、屋上の出口の扉をくぐる。
「ずりー。言うっていったじゃんかよ」
 みさちゃんの声を振り切って、私は薄暗い階段を降りていく。
「気が変わったの」

 その多彩な色だけに喩えれば――なるほど。『空のような人』というのも、ありかも知れない。
 私も、そんなふうになれるかも知れない。

「ずりーずりーずりー」
「他のことに気を取られてるからだよ。――なんだったら、柊ちゃんに訊いてみたら?」

 自惚れが過ぎるだろうか。
 確かに私のみさちゃん以外に対する感情は、この空のようにいくつもの要素が入り混じっているけれど、
 この空のように綺麗だとはとても言えない。
 でも、それを目標とすることならできるかも知れない。
 複雑でも、濁っていても、綺麗になんかなれなくても。
 私自身が、この感情を好きになることができれば、それでいいのかも知れない。

「んな地雷踏めるわけねーだろっ」
「そうかな? そんなに危険でもないと思うけど」
 階段を下りていく。
「だったら言えよっ。今ここでっ」
 追いすがってくる声を後ろに置いて、空への憧れを胸に、私は降りていく。
「だ〜めっ」

 うん。
 まずはそこから、始めてみよう。




43623-49:2008/11/04(火) 00:34:00 ID:CYg6yOU7
以上です
まずはあらためて、ご迷惑をおかけしたこと、お詫びします


これにて、こな・あや・かがの物語、今度こそ間違いなく、完結です
ここまで来られたのは、社交辞令でもなんでもなく、素の意味で、このスレとその周辺の皆さんのおかげです
感想レスは言うに及ばず、他の様々な作品や小ネタからも多くの刺激をいただきました
それら無しにはとてもここまで辿り着けませんでした
キーボードを叩いてたのはこの二本の腕ですが、自分ひとりで書き上げたなどとは思っていません
本当に、ありがとうございました

あと、誕生日おめでとう、あやの


さて
そろそろエロいの書かなきゃなーっと
437名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 00:56:35 ID:IdLRzIOO
>>436
お疲れ様でした!そして、これからも頑張ってください!

って、そういえば今日はあやのの誕生日だったじゃん!
俺の誕生日と近いから覚えていたはずなのに……一生の不覚!
438名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 01:39:49 ID:0UuU8VRV
>>436
な、なにこれ…なんかもう凄すぎる。なにこの風格は…。
言葉もない、完敗です(別に誰も勝ち負けとか競ってないけど)。
いやもー、本当にありがとうございました。

あと誕生日おめでとうあやの。
439名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 11:01:37 ID:p2cOZ47P
あやの誕生日おめ
>>436
成程、これはこなた(とかがみ)の物語でありながら、あやのの物語でもあったんですねぇ。
ちなみにあやのとこなたの掛合いが好きでした。
気が向いたらまたこれベースの短編でも書いてください。完結乙です。
440名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 21:52:36 ID:IVhZaZdA
>>436
策士と思っていたら、まごうことなき乙女であったか!
最後の最後、すとんと腑に落ちました。
誕生日も祝いつつ、ぐっじょぶ!
441名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 22:36:43 ID:QtZxR2Ui
>436
ごちそうさまでした。
透き通るような、清涼感のあるお話ですね。
あやのの細かく揺れる感情が、鈴の鳴る音のように心地よく響いてきました。
また、あやのとみさおの、何かを探り合うようなやり取りも、微妙な距離感が醸し出されていて、
興味を惹かれるものでした。

えろいお話も楽しみにしております。

442名無しさん@ピンキー:2008/11/04(火) 23:44:51 ID:ogwOCFGA
>>436
おおお・・・黒あやのシリーズ完ですか・・・ GJ !

なにやら引退はされずに別のシリーズ始めるそうで、一安心です
これからも応援しています
443名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:06:57 ID:phZXAHQD
0:10くらいに投下したく。
44442-115:2008/11/05(水) 00:13:13 ID:phZXAHQD
 いざ。

 「壁抜け女志願」


 ・5レス
 ・エロなし
 ・こな☆フェチども
445壁抜け女志願1/5:2008/11/05(水) 00:14:44 ID:phZXAHQD
 旧約聖書の詩編第十九によると、


 (主の裁きは)
 蜜よりも 蜂の巣の滴りよりも甘い(新共同訳)


のだそうだが、こなたがミュージカル俳優を真似てある短い一節を歌った時の教室の反応は、その甘さに
酔う子羊の様でもあり、女王蜂を崇める働き蜂の様でもあった。
 「え……っと、こんな感じだったんだけど……」
 いつの間にか皆がひれ伏して聞き入っているのに戸惑いながら歌い終えると、特等席の三人が激発した。
 「こなたぁぁぁぁぁ〜〜〜!!」
 その急先鋒は、いうまでもなくかがみである。泣きながら叫びながらこなたに抱きつき、
 「私はあんたの匂いを嗅ぐだけでごはん3俵はイケるのよ!」
 「食べすぎだよ、かがみ」
 「あんたの声を思い出しながら、こっそり採取したあんたの髪をしゃぶりつつ、こっそり採取したあん
たの吐いた空気をスーハースーハーしながら、あんたにキスされてる事を妄想するだけで、ごはん1ヘク
タールはイケるのよ!」
 「……それは生米を食べるってことカナ?」
 「その上で何!? ミュージカル俳優の真似っていう予想外の萌え要素を付け加えて、私をさらに太らせ
ようというのね!? 糟日部中のごはんを私のお腹に収めようっていうのね? そうやって太らせた挙句、
『ダイエットの為に性的な意味でいい汗かこうよ』とか言ってベッドに誘う気なんでしょ!?」
 「いや、そんなつもりは決して―」
 「望むところよ!!」
 「ええ〜!」
 「善は急げって言うわね。待ってなさい、今ベッドを作るから」
 『それのどこが善なの?』と思うこなたを逃がさないように小脇に抱えると、かがみは空いている方の
手で近くの机をつなげて小粋にベッドを作り始めた。
 こなたは助けを求めてつかさの方を見たが、彼女は感動のあまり泣きながら、舌遣いも妖しくバルサミ
コ酢の一気飲みに挑んでいた。
 「みゆきさ……」
 ならばみゆきは、と思い視線を転じたがすぐに絶句した。彼女は今日に限って鼻の調子が良いのか……
あるいは悪いのか、お祈りポーズのように手を組んで血混じり涙を流していた。
 「濡れてしまいました……色々と」
 これがこなたの歌唱に対するみゆきの感想であるようだった。血混じりの涙で頬が濡れる以外にどこが
濡れてしまったのかは、言わぬが華、知らぬが仏、触らぬ神にナントヤラである。
 孤立無援であることを悟ったこなたは、自分で解決する事にした。かがみの耳に息を吹きかけてみる。
すると、明らかに死者を出さずには済まされないくらいの凄まじい爆発音がして、かがみが動かなくなっ
た。頭からは噴煙が上がり、目は鳴門海峡か気象衛星が捉えた台風の俯瞰写真のようである。このままで
は本当に死んでしまいかねないので、こなたはかがみの手を掴んで死なないでと懇願してみた。すると、
かがみはニヤけた。活動を再開するのは少し先のようであるが、死ぬ事はないだろう。
 三本目のバルサミコ酢にかかっていたつかさと、
 「どんどん濡れまーす……どんどん濡れまーす」
なみゆきもしばらく戻って来そうになかったので、こなたはこうなってしまった経緯を少し思い出してみ
ることにした。
446壁抜け女志願2/5:2008/11/05(水) 00:16:12 ID:phZXAHQD
 時は昼時、ランチタイム。
 うららかな日差しを浴びて、午後は優雅に思いっきり弁当でも食べたいところであるが、その日は元々
小食なこなただけでなく、他の三人も何故か主食のご飯しか持参してきてなかった。曰く、こなたの存在
次第がオカズになるのだという。
 そんなわけで早めに主食を食べ終えた三人は、チョココロネを食べるこなたを眺めていた。
 「んーと、ごちそうさま……」
 食べ終えたこなたが躊躇いがちに言うと、
 「「「ごちそうさま!」」」
三人が続いた。
 文字通りの意味だったらしい。何だろう、この新しいエネルギー伝達法……。ジアースもびっくりだ。
 「時間が余っちゃったわね」
 かがみが時計を一瞥して言う。一瞥しかしないのは、一瞬でも長くこなたを見つめていたいからだとい
う。そのために、一瞬でも地盤を読み取る猛訓練を重ねたのだそうな。こなたは、腹時計を参照した方が
正確なんじゃないの? と思っているのだが。
 「どうしよう? こなたの視姦でもして時間潰そうか?」
 「それも悪くありませんが……」
 みゆきは制服の中に手を突っ込むと、胸の間に挟んでいた天体望遠鏡を取り出す。
 「天体観測をしませんか?」
 「昼間に星なんか見てどうすんのよ」
 珍しくこなたに関係しなさそうな提案に、かがみが訝る。こなたはホッと胸を撫で下ろす。が、それも
つかの間……。
 「宇宙が泉さんを中心に回っているという事を証明するんですよ」
 「それよりさ……」
 つかさは料理本を取り出す。今度こそこなたとは関係がなさそうだ。今だけはつかさにすがってもいい
……と思ったのも束の間。
 「こなちゃんで女体盛りするのにぴったりな料理を、みんなで考えようよ」
 「いいわね、それ」
 「魅力的な提案ですね。泉さんご本人には及びませんが」
 「ちょ、ちょっと待って」
 慌ててこなたが止めに入る。このままでは、恥ずかしい自分の姿をダシに恥ずかしいことを考える三人
につき合わされそうだった。下手すればこの場で実践なんて事もありえる。何せ、相手はフェチだ。
 何とか話題をそらさなければならない。
 でも、どの方向へ?
 手っ取り早いのは昨日放送があったアニメの話題だが、最近のフェチどもときたらこなたがアニメ好き
なのを受けて、自分たちでも可能な限り視聴し、情報を集め、話を合わせてくるようになったのである。
 焦れば焦るほどにこなたの頭は、昨日のローカル局でやっていた再放送の、前半と後半の合間で流れた
ミュージカルの公演告知CMに釘付けになってしまう。
447壁抜け女志願3/5:2008/11/05(水) 00:17:29 ID:phZXAHQD
 「ところでこの曲を聴いてくれ。こいつをどう思う?」
 進退窮まったこなたは、CMでミュージカル俳優が歌っていた曲を、すごく大きい声で歌ってしまったの
である。
 もう色んな意味でヤケだった。




 「それは『壁抜け男』ですね……」
 しばらくして我に返った(正気を取り戻したわけではない。そもそも取り戻せるわけない)みゆきが、
ぐしょぐしょになったハンカチを絞りながら言った。
 マルセル・エイメというフランスの作家の小説を原作とする、珍しいフランス発のミュージカルだとい
う。
 「平凡な郵便局員が、ある日自由に壁を抜けられる能力を身につけたことから、大騒動を巻き起こすお
話です」
 「……なんだか、ラノベとかアニメにも普通にいそうな異能者ぶりだね」
 そんな感想を漏らすこなたを、かがみが嬉しそうに抱き寄せて頬擦りをする。ラノベ好きの彼女は、最
近ではこなたが「ラノベ」という言葉を口にするだけで狂喜し、時には絶頂するようにまでなってしまい、
こんなカラダにした責任を取れとうるさいのである。
 みゆきはといえば、
 「泉さんの斬新な解釈に、また濡れてしまいました」
と絞ったばかりのハンカチをまた濡らし始めた。
 つかさはバルサミコ酢の大瓶に取りかかっている。
 話を逸らす事を企図したこなたとしては、この展開はわりと好感触である。そこでしつこく頬擦りを続
けるかがみを引き剥がし、話題の方も引き離しにかかる事にした。
 「みんなは壁抜けの異能力者だったら、どんな事したい?」
 三人は一様に真剣な顔になって考える。フェチたる者、こなたの振る話題には真剣に臨まなければなら
ないのである。
 さて、どれだけ時間を稼げるかな……こなたが皮算用していると、早くもみゆきが手を上げる。名案が
浮かんだらしい。どれだけ名案かによって、こなたの明暗も分かれる事になるかもしれない。
 「私は、お風呂で使いたいですね」
 「お風呂で壁抜け?」
 ……いやな予感がした。
 「どうやって使うのカナ?」
 「それはもちろん、入浴中の泉さんの元にお邪魔するためですよ」
 本当に邪魔だろうなあ、とこなたは思った。
448壁抜け女志願4/5:2008/11/05(水) 00:18:27 ID:phZXAHQD
 「ウチの浴室二階なんだけど……」
 「問題ありません、愛さえあれば乗り越えられない障害などないのです」
 「いや、大問題だよ……」
 「はいはーい」
 つかさがイ●ラちゃんみたいに手を上げる。
 「はい、つかさ」
 「私は、おトイレに入るために使うよ」
 こんな変わり果ててしまってもつかさは友達だから、これを出来るだけ好意的に解釈してあげたいとこ
なたは思った。
 「ああ、漏れそうでドアを開けてる暇も惜しい時とか?」
 「ううん。こなちゃんが入ってるおトイレに入る為だよ」
 つかさはさも当たり前の事のように答えた。
 「そんなことしても楽しくないと思うよ?」
 「そんな事ないよ。拭いてあげられるし。あ、拭いてもらうのもいいな」
 「……」
 「……」
 「……そうだね」
 「うん♪」
 こなたはかがみの方を見た。
 「……かがみは一パス、と」
 「な、なんでよ!?」
 かがみは答えなければ死んでしまうとばかりに叫んだ。
 「私にも答えさせてよ」
 「武士の情け……聞かないでおいてあげるよ」
 こなたはそう斬って捨てたのだが……。
 「是非伺いたいですね」
 みゆきがニコニコしながら促した。
 「お姉ちゃん、教えて」
 つかさも知りたがる。
 「寝室に入るために使うのよ」
 その答えに、みゆきとつかさはおおっと声を上げた。
 「さすがお姉ちゃん」
 「正統派ですね」
 社会的には異端だけどね、とこなたは思った。
 誰の寝室に入るのかは言うまでもない。
 「それで、こなちゃんの寝室で何をしたいの?」
 「そうね……まずは部屋を物色して、『使えそうなモノ』を二、三収集しておくわ。それから写真を撮
って、携帯とパソコンの中身とゴミ箱をチェックして、私の匂いをつけたら……」
 「「つけたら」」
 期待に満ち溢れた目で、二人が続きを促す。
 「こなたと……」
 ここにきて、かがみが急に口ごもる。
 「こなたと……ひ……一つ…に……」
 真っ赤になったかがみは、きゃーきゃーひーひー言いながら自分で作ったベッド(机)をバンバン叩く。
弁護士になれなかったら、机解体業者になるべきである。
449壁抜け女志願5/5:2008/11/05(水) 00:19:11 ID:phZXAHQD
 「言えるわけないじゃない! はづかし〜」
 急に乙女(←異論の余地あり)になって体をくねくねさせるかがみを、つかさとみゆきは微笑ましげに
見ていた。
 「さすがにそれ以上は恥ずかしいよね〜」
 「愛があっても、面と向かって言うのは憚られますよね〜」
 人として憚られるような事を散々言ってきたのに、何を今さら? とこなたは思った。
 「それはそうと、泉さんはいかがなのですか?」
 かがみの放置を決定したみゆきが、話を振ってくる。
 「壁抜けはなさりたいですか?」
 「う〜〜ん」
 こなたは、机の叩き過ぎで手が腫れてしまいこなたに舐めて欲しそうにしているかがみ、口の周りにつ
いたバルサミコ酢を舐め取っている様で実はこなたが食べたくてしょうがなさそうなつかさ、存在自体が
わいせつなみゆきを順繰りに見て考える。彼女らに囲まれている以上、答えは一つである。
 「うん、私も壁抜けのアビリティ欲しいな」
 そう言った途端爆発音がして、三人がヘッドショットされた狙撃目標のように崩れ落ちる。
 「!?」
 こなたは慌てて、窓の外にね広がる青い空を見上げて、狙撃手の姿を探したが、閉めたままの窓ガラス
が無傷なのに気付いて室内に目を戻す。ゴルゴ13やシモ・ヘイヘみたいな人が、自分を憐れんだのかもし
れないという可能性を一瞬でも考えてしまった事を恥じた。
 つまり、三人は狙撃されたのではない。では、何があったのか? 屈みこんで倒れたままのみゆきの顔
を覗き込む。
 「……泉さんは壁抜けの能力を使い、入浴中の私の元においでになるつもりなのですね?」
 つかさ。
 「……こなちゃんが壁を抜けて拭きに来てくれる」
 かがみ。
 「……一つになるために、こなたが壁を抜けて私の寝室に来てくれる……」


 「「「望むところ(です/だよ/よ)!!」」」


 そう言い遺して、三人は2のカリフォルニア州知事のように親指を立てて力尽きた。
 死んだかにも見えるが、実は冬眠のようなものであり、起きたらさらに性質が悪くなっているだろう。
壁抜けが出来るようになっているかもしれない。
 こなたとしては、壁抜けが出来ればこの人達から逃げる際に役立つだろうと思っただけなのであるが……。


 おわり


45042-115:2008/11/05(水) 00:20:33 ID:phZXAHQD
 はい、ありがとうございました。
 また戯曲が書きたいのお、と悶々とした日々を送っていたら、ミュージカルと結びついてしまいましてこの有様です。
 ここだけの話、「壁抜け男」は見た事はありません。原作は読んだけど、ほとんど忘れちゃったし。壁抜けというよりは間抜け?
 その上、ローカル局で「劇団●季」のCM見たって点だけ実話だとなれば、ははは、話にならねえな。


 ところで今、『テレイジアスの乳房』ってオペラ(作曲はプーランクで脚本はアポリネール)がモロにTSだという事に気づいてしまいました。
 次に書くものがそっちの方に転がっていたら笑ってやってください。
451名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:23:35 ID:bk0Lm2b1
490KB越えたので次スレ立て行ってきます
(●でのスレ立ができなくなっているので、
 tatesugiに引っかかった場合、誰か別の方たのみます)
452名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:25:39 ID:bk0Lm2b1
あ、無事に立ちました
次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ54
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225812280/
453名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:46:18 ID:V11AKGPG
>>436
え、まだ、かがみが完了してないんじゃ
454名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 20:44:07 ID:q4MoIrnr
まだ490KBいってない希ガス
455名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 20:45:30 ID:QodyKQYM
どうでもいい埋めネタ
―――


夕暮れどき、陵桜学園の屋上でのこと。


「すみません、遅れました……」
 みゆきは階段を駆けて屋上に着くのもそこそこに、息を切らしながら待たせていた相手に謝った。
 しかし、その相手はみゆきの姿が目に入るや否や、
「みゆきさ〜ん!」
 みゆきに飛び込んだ。
「キャッ」
 こなたの自分への飛び込みに、小さい悲鳴を上げるみゆき。だが、すぐに胸の中に飛び込んできたこなたを優しく撫でた。
「やっぱり、みゆきさんは優しいね……。あー、もうこの感触、たまんないね」
 こなたはそう言って、みゆきの胸にしきりに顔を摺り寄せる。
「そ、そうですか? こなたさんに喜んでいただけるのは嬉しいのですが……少し恥ずかしいです……」 
 みゆきの頬がわずかに赤らむ。そのいじらしさにこなたは更に気を良くし、
「むふふ、良いではないか、良いではないかー」
 と、更に摺り寄せ続けた。
 みゆきはそれを、頬を赤らめながらもじっと眺めていたが、やがて何かを思い立ったように、
「……ところで、こなたさんはどうして私を好きになってくれたんですか?」
 と聞いた。
 すると、こなたは摺り寄せるのをやめ、考え込む仕草を見せると、
「うーん……。雰囲気というか、何というか……あれだね、みゆきさんは愛があるんだよね……。母性本能があふれ出てるんだよ。私、お母さんがいないからさ……」
「あ……」
 みゆきはすぐに後悔したような顔をしたが、こなたはあっけらかんとした顔になり、
「ああ、いいよ、いいよ。お母さんのことは、仕方ないことだよ。それに、お母さんは今でも心の中に生きてるからさ」
 と、破顔一笑した。
「……こなたさんは強い人ですね」
 みゆきもこなたに釣られるように、笑いを見せながらそんなことを言った。
「まあ、それに……私にはみゆきさんがいるしね。まあ、でも、こうして、お母さんに甘えてみたかったな、って思うこともあるけどね」
「やはりそうですか?」
「まあ、お母さんがいたとしても、あのまな板に頭を当てるんじゃ



 この後、心霊現象が発生したらしいが、それはまた、別のお話。

456名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 21:14:20 ID:jnnalKPc
>>450
フェチどもの爽快な壊れっぷりに、仕事の疲れも吹き飛びました。
ていうか入るだの拭くだの一つになるだの、わいせつすぎですこの子らw ぐっじょぶ。
457名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 21:18:37 ID:R+AxGh5r
化けて出てくるなよかなたさんw
45823-251 ◆5xcwYYpqtk :2008/11/05(水) 22:04:33 ID:EAA6aVlb
埋めネタです。2レスほど。
459こなたの一日 1/2:2008/11/05(水) 22:06:14 ID:EAA6aVlb
「おはよう。こなた。愛してるわ」
「おはよう。こなちゃん。今からエッチしない? 」
 朝一番からこれか。挨拶を返す気もなくなってしまうよ。
「あのねえ。かがみ、つかさ、双子揃って悪いものでも食べた? 」
「ふふ。私が食べたいものは目の前にあるわ」
「こなちゃん、甘そうでおいしそうだもん…… ってどこにいっちゃうの? 」
 電波な事をしゃべっている間に逃げようとしたけれど。あっさりと捕まってしまった。
「あのさ。私、もう逃げないから両脇に抱えなくてもいいよ、つかさおしり触るな、かがみブラ脱がすな! 」
「おはようございます。泉さん。」
 ピンチな私に天使の助けが来たよ。
「助けて、みゆきさん! 」
「おはようございます、皆さんで泉さんを召し上がるのですね? 」
 前言撤回。お母さんごめんなさい。私、もう汚されてしまいます。

 きんこーん、かんこーん
 ふう。ようやく解放されたよ。今日は、みんなベニテングダケでも食べたのかな?
「泉、今夜はネトゲでチャHするで」
 黒井せんせ。ちょっと悲しすぎる。2週間に1度くらいなら付き合ってもいいですよ。

 さて、お昼だ。今日もチョココロネを食べるかな。
「おーい。ちびっこ。一緒にいやらしいことしようぜ」
「わあっ、みさきち。何、キスしようとしてんのさ! 」
「いいじゃんよ。ちびっこは、陵辱だっけ。ゲームで無理矢理されるのがすきなんだろ? 」
「違うー ちょ、リアルはシャレにならないって。スカートの中に手えいれるなあ! 」
「ダメよ。みさちゃん。泉さんが怖がっているじゃない」
 助かった。峰岸さんだ。とち狂ったみさきちに天誅を!
「女の子はね。敏感なんだから優しくしなくちゃダメよ」
「わ、ちょ、やめっ…… アッ―――― 」
460こなたの一日 2/2:2008/11/05(水) 22:07:13 ID:EAA6aVlb
 ふう。酷い目にあった。峰岸さんにイかされるとは一生の不覚。
 ようやく授業も終わったし、帰って新作アニメのチェックでもしよう。
「Oh、こなた。ひさしぶりネ! 」
 ぱふっ
「く、苦しい、ぱてぃ、ぎぶ、ぎぶっ、息ができないって」
「こなた。ぱふぱふネ。どらくえのぱふぱふデス」
「まじ、勘弁、息できないよ〜 」
 パティがこんなに胸があるとは不覚だった。みゆきさんの影にかくれてチェックが漏れてたよ。
「泉先輩、お願いがあるんですけれど」
「なんだい。ひよりん。筆なんか持って」
「くすぐりの感度を確かめたいんです」
「パティ、後ろから押さえるなあ! 」
「こなた。身体を楽にさせるのデス」
「先輩。痛くない。痛くなーい」
「ちょ、ひよりん、だめ、脇は、ダメ、あはは、くすぐったい、あはっ、あははははは! 」

 ふう。もうふらふらだ。帰ったら寝る。絶対、寝るんだあ。
「泉先輩…… 」
「み、みなみちゃん」
 みなみちゃんはゆーちゃん一筋だから襲われる先輩はないって、なんで抱きしめるの。相変わらず胸はないね。
「ゆたかの匂いがする…… 」
「うわっ、危ない、何、鉈? キャラも作品も違うって、おちつこう、お願いだから! 」
「先輩、辞世の句をどうぞ…… 」

 ふう。疲れた。みなみちゃん足速いなあ。間一髪で本当にあの世に逝くところだったよ」
「ただいまー 」
「おかえり。こなたお姉ちゃん」
 ゆーちゃんが愛らしい笑顔で迎えてくれる。やっぱり萌える従姉妹は癒しだねえ。
「今日はみんなに襲われて大変だったよ」
 がちゃ、がちゃっ
「な、何、この手錠は何? どうしてベッドにくくりつけるの? 」
「それは、こなたお姉ちゃんが可愛すぎるからだよ」
「どうして、私の服を脱がしちゃうの? 」
「それは、こなたお姉ちゃんの幼児体型がエッチだからだよ」
「どうして、ゆーちゃんまではだかになるの? 」
「それは、こなたお姉ちゃんを食べちゃうからだよ」

(おしまい)
461名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:26:36 ID:cMz34GUU
みなみ自重www
462名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:36:20 ID:yaCV2onn
なんだってこんなに襲われて陵辱されるのが似合うんだろうなこなたw
463名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 07:35:23 ID:t6AREO5F
「この、ステルス迷彩ならッ……ぬおおぉぉああ、服が透けない!? 背に腹は代えられないか……」

「「「!」」」

「!?」
464名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 08:01:24 ID:BdskjpJr
ソフト凌辱に限るけどな、個人的には
465名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 19:31:07 ID:muJ0HvW4
>>463
「このステルス迷彩はバカには見えないんだよ」
「「「「見えない見えない!なんにも見えないわっ!!!」」」」
466名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 19:45:04 ID:yGZ8cDQ0
>>465

×「「「「見えない見えない!なんにも見えないわっ!!!」」」」

○「「「「私たち、たった今からバカになりましたっ!!!」」」」


#こなたのためなら、バカになるぐらい厭わぬ一同。
467名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 19:56:42 ID:66IdESOH
>>460
おまえが幼児体系萌えって言うなw ってつっこみたくなるけど
ゆたかが勝利かw
468埋めネタ:2008/11/06(木) 21:02:05 ID:2L3gdy4g
みゆき「泉総督。偵察機からの報告によりますと、セクター27に敵艦が出現。真っ直ぐ、我が宇宙ステーション、ラッキー・スターに近づいてきています」
こなた「ふむう……。みゆき参謀長。相手はどう出ると思う?」
みゆき「相手は、日下部さん……いえ、日下部提督ですからね。遮二無二ぶつかってくると思いますよ。そう考えますと、超弩級戦艦を前面に押し出した魚隣陣形で消耗戦を狙い、その間に敵の退路と補給を経つ。という風に防御に徹するのが得策かと」
こなた「さすがはみゆき参謀長! そうと決まれば、その作戦に決まりだね! じゃ、つかさ提督に連絡して、その作戦を実行するように。あ、それとー……スーパー・レーザーの配備をよろしくー」
みゆき「かしこまりました、閣下」
こなた「ふっふっふ。我が帝国軍がかどわかした、かがみ姫をみすみす渡すわけにはいかないよ、みさきち提督……。最後に笑うのはこの私なのだー!」



兵士A「提督! 戦闘機突入してきます! ご指示を!」
兵士B「提督! セクター32に新しい敵艦が出現いたしました。攻撃目標は我々です!」
兵士C「提督! 側面から攻撃を受けていますが、敵艦が捕捉できません! クローキング装置を使用していると思われます!」
兵士D「提督! 通信が妨害されています! 司令部と連絡できません!」
つかさ「ああ、うぅ……。そんなに言われても分からないよー……。こなちゃん、ゆきちゃん、助けてー……」


みさお「柊は私のものだあ! ちびっこ率いる帝国軍なんて、コテンパンにしてやるぜー!」
あやの「みさちゃん、つっこんでいったら自滅するだけよ……」


かがみ「……何、このむちゃくちゃなストーリーは。……やれやれ、ね」


らっきー☆スターウォーズ、近日後悔!
469名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 23:55:25 ID:yQv17dGu
アニメも好評のうちに終了し原作も大好評連載中、OVAも好評発売中の「らき☆すた」でエロいの行ってみよ。

☆カップリングは自由
☆基本的に百合マンセー
☆801は禁止(と言っても男キャラあんまいねぇ)
☆投下した作品の保管を希望しない場合、前もってその旨を知らせること

※マナー等※
※割込みを防止するため、書き込みや投下の前等にリロードを。
※荒らしや煽り、気に入らない人・作品等はスルーで。
※グロやSM、鬱モノなどの過激な内容は断りを入れてから投稿する
※読者=主人公の作品(いわゆる俺キャラもの)についてはNGワード指定や断り文を確実に。
※480KBまたは950レスのどちらかに近づいたら、次スレの準備を。

■みゆきさんの一言メモ
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 『sage』(←全角)では有効になりませんので、全角・半角を確認してください
・ スレッドの閲覧・書き込みは、絶対ではありませんが専用ブラウザの使用を推奨します
 これにより『人大杉』のエラーが回避できます
・ SS投下は、一度メモ帳やワードパッドなどで書き上げてからまとめて投下してください
 投下間隔があくと、他の方がレスできなくなってしまいます


マターリはぁはぁしましょうか。

☆まとめサイト(管理人と職人に感謝!)(避難所の行方はここ参照)
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☆次スレ
らき☆すたの女の子でエロパロ54
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470名無しさん@ピンキー
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