18禁版シスタープリンセス妄想スレッド25

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563元545(1/15)

「申し訳ございませんっ!!」
僕の前に、春歌がひれ伏して叫ぶ。
「ほんの・・・ほんの出来心だったのです!あのような輩に一瞬でも気を許すなど、この春歌、一生の不覚でございます!」
駅からの電話で、僕が何もかも知っていることを悟ったらしい。
玄関の扉を開けるや否や、春歌は僕の前に土下座してみせた。
「兄君さまという方がいるにも関わらず、他の男に体を差し出すなど・・・!
 本当に、魔が差したとしか申しようがございません・・・ひっ、ひぐっ・・・」
春歌がぽろぽろとこぼす涙が、床に敷かれた真っ赤なカーペットに染み込んでいく。濡れたその部分がじんわりと、深い色に沈む。
その様子を、僕はじっと見つめていた。
「もう・・・えぐっ、わっ、ワタクシはどうなっても構いません。どうぞ、兄君さまのお気の済むようになさって下さいませ!」
顔を伏したまま、春歌の嗚咽と贖罪の言葉はいつまでも続いた。
春歌の、心の底からの悔恨の想い。それをしっかりと心に刻み、僕は口を開いた。
「・・・もういいよ」
泣きじゃくる春歌を遮るようにそう言ってやる。春歌の体が、びくっと震えた。
「顔を上げて、春歌」
優しく促したつもりだったが、春歌はまだ怯えているのか、床につけた額を離そうとしない。
僕は春歌の前に屈みこみ、ぽん、とその肩に手を置いた。
「春歌は何も悪くない。悪くないんだ。だから、そんな顔しないでいいんだよ」
おそるおそる、という様子で、春歌がゆっくりと顔を上げた。
564元545(2/15):2010/01/06(水) 22:02:03 ID:+e+k+I+o

涙の跡が、赤くくっきりと付いてしまった顔で、春歌が僕を見つめる。
「あ、兄君さま・・・」
そうだ。僕が見たかったのは、春歌の泣き顔なんかじゃない。
ひくっ、ひくっとまだしゃくり上げている春歌の頬に、僕はすっ、と手を添える。
そして、震えている唇を、優しく包み込むようにキスをした。
「ん・・・」
春歌は一瞬、驚いたように身を強張らせたが、やがて僕の背中に手を回してきた。
か細く繊細なその腕が、縋りつくように僕の身体をぎゅっとつかむ。
それに応えるように、僕も春歌の体をしっかりと、支えるように抱き寄せる。
そうして、昂った春歌の感情が収まるまで待ち、僕はそっと唇を離した。
春歌は、さっきまであれほど取り乱していたのが嘘のように、唇を小さく開いたままで呆けている。
よかった。
春歌がようやく泣き止んでくれた。僕の、大事な妹が。
「ありがとうございます・・・兄君さま」
やがて春歌は目をしばたたかせ、残った涙をふき取ると、僕に向き直りにっこりと微笑んだ。
泣き腫らした目、乱れた髪。
それでも春歌の笑顔は、いつもと変わりなく輝いて見えた。
その顔を、僕はじっと見つめる。瞳の輝きを。小さく覗く白い歯を。
そして、ぽつりと呟いた。
「・・・違うよ、春歌」
「え?」
そう、違う。僕が見たかったのは――

こんな笑顔じゃない。
565元545(3/15):2010/01/06(水) 22:03:14 ID:+e+k+I+o

僕は春歌の肩に添えた手に、ぐっと力を込める。
「きゃっ!?」
戸惑う春歌に構わず、僕はもう一度春歌に口付けをした。荒々しく、強引に。
そして手の力を緩めないまま、春歌を床に押し倒した。
「痛っ・・・!」
春歌の顔が一瞬、苦痛に歪む。その顔を間近に見ながら、僕はひたすら春歌の唇を吸い続けた。
さらにその中に舌を挿入し、ぬちゃぬちゃと舐め回す。春歌の口内の唾液を全て絡めとるように。
唇への愛撫を続けたまま、さらに僕は春歌の下腹部へと手を伸ばした。
「んむっ・・・!んっ、ぷぁっ、あっ、兄君さま、何を――きゃぁっ!」
僕は春歌のスカートを思い切り剥ぎ取った。無残に破れたその下から現れた下着が、
じっとりと濡れているのが分かる。たぶん、先ほどからの興奮で、たっぷりと汗をかいたせいだろう。
それを承知の上で、僕は春歌に笑ってみせ、言い放った。
「しっかり準備は出来てるみたいだね、春歌」
僕の口から発せられた言葉が、理解できないという様子で春歌が大きく目を見開いて、僕を見つめ返してきた。
その瞳に、僕の顔が映り込んでいる。
何より大事な物を、壊されてしまった人間の顔が。
首をふるふると横に振り、弱々しげに春歌が答えた。
「ちっ、違います、兄君さま!春歌はそんな、はしたない事は考えて・・・ひあっ!?」
春歌の言葉には耳を貸さず、僕は下着の中に手を突っ込んだ。しっとりした陰毛がまとわりつく感触が気持ちいい。
柔らかい陰唇を手のひらで包み込むようにして、僕は割れ目をまさぐる。一際熱いその秘裂を、僕は乱暴に弄んだ。
「はっ、んんっ!やああっ!あっ、兄君さまっ、そんなっ、激しくなさらないで下さいましっ!」
ぐちゅぐちゅと指を出し入れしてやるたび、春歌の体がびくんと震える。
特に敏感な奥の方を擦ってやると一層刺激が強まるのか、その目から一筋、涙がこぼれ落ちた。
歯を食いしばり、眉根を寄せて必死に痛みに耐える春歌。
その顔が、僕の中の闇を一層濃く塗りつぶした。

(――まだ、なのか)
春歌はまだ、悦んではくれないのか。僕は焦燥に駆られる思いで春歌を見下ろす。
僕が見たいのは、あのビデオの中の春歌の笑顔。
奴らに犯され、弄ばれ、玩具のように扱われていた時の、心の底からの歓喜の表情だった。
僕が、僕が、誰よりも春歌の事を想っている。世界で誰より春歌を愛している。
だから、春歌があんな表情を見せていいのは、僕の前でだけなんだ。そうに決まっている。
それを証明してやる為に、手段を選ぶだけの理性は、もう僕の中には残っていなかった。
566元545(4/15):2010/01/06(水) 22:04:41 ID:+e+k+I+o

「・・・やっぱり、こんな事してても埒が明かないみたいだね」
つぷん、と僕は春歌の股間から指を抜き出す。「ひぅっ」と春歌が切なげな吐息を漏らした。
僕はゆっくりと上半身を起こすと、ズボンを下ろし、股間の性器を露出させた。
さっきからの行為で高められていたそれは、ガチガチに固く隆起していた。
春歌が口を押さえ、世にも恐ろしい物を見るかのような視線を送ってくる。
「あ、兄君さま・・・」
「コレだよ。僕の、全部で春歌を愛してあげなくちゃいけないんだ」
その言葉を、僕は威圧的に言ったつもりも、脅すような口調で告げたわけでもない。
それでも、いや、僕の様子があくまで平静に見えるのが、かえって不安を煽るのだろうか。
春歌が、がたがたと震え出した。
「そっ、それだけはお許しください、兄君さま!」
「どうしてさ?」
真っ赤に充血したその肉棒を、春歌に見せ付けるように扱きながら、僕は言った。
「僕は春歌の事が好きなんだ。他の誰が何を言ったって、この気持ちが変わる事はない。それとも」
ぐっ、と春歌のすぐ目の前に顔を近付け、がっちりと春歌の顔を両手で抱き、訊いた。
「春歌は、僕の事が嫌い?」
体を震わせ続け、春歌は今や、か弱い子猫のようになってしまっている。
それでも、回らない口を必死で動かし、言葉を紡ぎ、僕に訴えかけてきた。
「きょっ、兄妹で愛し合うなど、許されないことです・・・!
 ワタクシに罰をお与えになりたいのなら、どっ、どのような責め苦でもお受けいたしますから・・・。
 ですから、ひぐっ、どうかそれだけは・・・!」
僕の影が落ちた春歌の唇はわなわなと震え、目頭に添えた指先に、ひんやりとした涙の感触が伝わってきた。
ああ、春歌はまたないている。
これ以上我慢できない。
早く、春歌に笑顔を取り戻してやらなきゃならない。
「ひっ!?あ、兄君さまっ、兄君さまっ!」
もう春歌の言葉は僕に届かない。僕は春歌の股間に自分のペニスをあてがった。ちゅぷっ、と僕の先端にオマンコの肉が食いついてくる。春歌の。
やっぱり春歌は僕の事が大好きなんだな。僕も春歌を全力で愛してあげなきゃいけない。
子宮の奥まで犯してあげよう。
「いくよ、春歌」
「兄君さまぁっ!!」


「――その辺で十分だろ?」


突然、頭上から、第三者の声がした。
気付くと、視界の端、押し倒した春歌の頭のすぐそばに、誰かの足先が見える。
その誰かの方に頭を振り向けるのと同時に、がっ、と頭頂部に鈍い痛みが走り、僕は意識を失った。
567元545(5/15):2010/01/06(水) 22:05:45 ID:+e+k+I+o

目が覚めたのか。それとも、まだ悪夢の中なのか。
「う・・・」
気が付いて、初めに見えた物も、やはり爪先だった。ただし、今度は自分の。
靄のかかった意識のまま、僕は足先に力を込める。すると、それに応じて爪先も動く。殺されてしまった訳ではないらしい。
どうやら僕は、椅子に座らされているようだった。下半身と背中に、支えられているような感覚があった。
それからふい、と顔を上げる。本当に、目覚めたばかりのうつろな意識で、何気なく正面を向いたのだ。
そして、最も目にしたくない、最悪の場面に遭遇した。

「んひっ、あふぅっ、おチンポっ、気持ちいいですぅ・・・」
「ははっ、相変わらず春歌ちゃんのマンコは最高の締まりだな」
「ほら、下の口だけじゃなくてコッチもしっかりご奉仕してくれよ」
春歌が、ソファに身を横たえ、大きく開いた股間で男のモノをぐちゅぐちゅと咥えている。
その両手には別の男たちのペニスをしっかりと握り、さらにその一つをぺちゃぺちゃと舐め回していた。
「なっ・・・」
あまりの事に、声が出ない。
春歌に問うべき事も、その、見知らぬ男たちを怒鳴りつける言葉も、何も思い浮かばなかった。
唖然として見ている内、春歌はうっとりとした表情で、一人の男のペニスを喉の奥まで頬張った。
下半身からがくがくと伝わってくる振動にも怯まず、必死に肉棒をぶじゅっ、ぶじゅっとしゃぶり続ける。
寝そべったまま、首を前後に動かし、口内全てを使って男の精子を吸いだそうとしていた。
「んぶっ、じゅぶっ、はっ、にちゅぅぅっ・・・」
「ううっ、やっべ、春歌ちゃん、出るよっ!」
口淫を受けていた金髪の男が唸り声をあげ、春歌の頭をしっかりと掴み、自分の股間へぐいぐいと押し付ける。
「んうっ、うぶぅっ!」
きゅうぅっ、と春歌が喉を締まらせ、唇を精巣のすぐ上にまで寄せて全力で男のペニスを吸い上げる。
ほどなく、男が下半身をガクガクと震わせ射精した。
喉の奥で発射された精液を、春歌はさほど苦にすることもなくぐびっ、ぐびっと嚥下していく。
全て飲み干すと、べっとりと粘液の膜に覆われた口をぽっかりと開け、春歌は男に微笑んでみせた。
汗にまみれた顔で、満足そうに息をついた男が春歌を見下ろし、その頭を撫で回していた。

僕は、春歌が見知らぬ男に嬉々としてフェラチオをし、精飲するまでの様子をまざまざと見せ付けられた。
568元545(6/15):2010/01/06(水) 22:07:38 ID:+e+k+I+o

「気が付いたか」
目の前の光景に呆然としていた僕は、不意に声をかけられて我に返った。
気を失う直前、あの瞬間に聞こえた誰かの声だった。
僕はすぐ隣に立っていた、その男の顔を見上げた。その瞬間、一気に記憶の波が寄せ返してくる。
「お前・・・」
あの、ビデオの中に映っていた、メガネをかけた男だった。
「あの琴爪は、悪くない着け心地だった。あんたはいいセンスしてるよ」
僕は椅子を蹴立ててそいつに飛びかかる。襟首をつかみ壁に叩きつけ、そのまま腕に力を込め、ぎりぎりとその首を圧迫する。
一瞬、そんな光景が脳裏に浮かんだ。しかし、それを実行に移すことは出来なかった。
「!・・・くそっ!」
僕の手足は、縄で椅子に縛り付けられていた。頑丈そうな太い縄で、ちょっとやそっとでは解けそうにない。
男は手にしていた煙草を咥え、一口ふかした。紫煙が部屋の中に薄く漂う。
その部屋は間違いなく春歌の部屋だった。あの、思い出したくもない春歌の痴態が晒されたのと同じ。
同じ部屋で、今また春歌が誰かと身体を重ねている。よく見れば、春歌と交じり合っている男たちの中には、
映像に登場していた他の連中も混ざっていた。
あの時と、全く同じ状況だった。一つだけ違うのは、僕がモニターの向こう側でなく、最前列で見せられている事だけ。
「そろそろ来るだろうと思ってな。奥の部屋で待たせてもらってた」
春歌が男たちと交わる姿を眺めながら、男が言った。
待たせてもらってた、だって?
「俺達としては、あんたが来たらすぐにでもこういう状況に持っていきたかったんだが、
 春歌ちゃんにどうしてもってせがまれてな。それで、あんたと二人きりで話させてやったんだ」
「そんな・・・」
春歌。今はまた、自分の太腿を大きく抱え込み、完全に自分の恥部をさらけ出して、断続的に嬌声を上げている春歌。
春歌は最初から、全部知ってたのか?その上で、僕を騙していたっていうのか?
だとしたらあの、僕に捧げられた涙混じりの言葉も・・・
「そんな顔するなよ。さっきの春歌ちゃんの言葉は、口から出任せのウソなんかじゃない」
僕は男の方に振り向いた。騙された僕をあざ笑うでもなく、淡々と男は続けた。
「春歌ちゃんはあんたを試したんだよ」
試す?春歌が僕の何を試すって言うんだ?
「もしあんたがあの場で、春歌ちゃんと無事に仲直りしてくれれば、めでたしめでたし。
 何とかあんたを外に連れ出してもらって、俺達もこっそり出て行くつもりだったんだ。だけどさ」
そこで男は言葉を切り、もう一度煙草を吸い込む。
煙を吐き出し、手近にあったペットボトルに吸殻を放り込んだ。ジュッ、という短い音が上がる。
そして、僕の座らされている椅子の正面に回りこみ、僕の目をじっと見据えて、言った。

「目の前で春歌ちゃんがレイプされそうになったら、助けないわけにはいかないだろ?」
569元545(7/15):2010/01/06(水) 22:09:21 ID:+e+k+I+o

僕の目の前が真っ暗になる。
「ああ、ウソがあるとすれば一つだけ」
男が言葉を続けた。
「あの、『はしたない事なんか考えてない』ってのはウソになるか。何しろあんたが来る直前まで、自分の指で弄らせてたからな」
「春歌っ!」
訳の分からない激情に突き動かされ、僕は自由の利かない身体で、それでも思い切り前のめりになった。
その反動で、椅子がガタン!と大きな音を立てて倒れ、僕は受身も取れないままフローリングの床に激突する。
メガネの男はさっと身をかわし、僕を止めるでもなく、ただ腕組みをして佇んでいるだけだ。
「春歌っ・・・違うんだ!僕は・・・」
衝撃で、ずきずきとぶり返してきた頭の痛みにも構わず、倒れたまま、僕は必死に体を動かし、春歌の元へと這いずっていった。
「僕は・・・春歌の事が大切で・・・だから、こんな奴らなんかに春歌を奪われたくなくて・・・!それで・・・」
自分でも何を喋っているか分からない。それでも、この気持ちを訴えたくて、僕の口は留まる所を知らずに喋り続けた。
どうして僕じゃない。どうしてそこにいるのが僕じゃないんだ。
春歌を幸せにしてやるのは僕の役目だ。なのにどうして、こんな連中に・・・
「お願いだ、聞いてくれ、春歌っ!」
不器用に身体を捻り、床に這いつくばったまま春歌を見上げる。
すぐ目の前のソファで、耳にじゃらじゃらとピアスをぶら下げた男に馬乗りになり、腰を上下させている春歌の淫蕩な顔がそこにある。
手を伸ばせば、届きそうな距離に。
なのに、その顔は、僕には到底届かない、遥か遠くにあるように感じられた。
「あっ、ひっ、おチンポいいですぅっ・・・あんっ!」
ゆさゆさと乳房を揺らしながら、春歌が喘ぐ。僕は何とか春歌にこちらを向かせようと、必死で呼びかけ続ける。
だが、その顔に視線を集中するうち、僕は突然、言葉を発する事ができなくなった。
ほぼ真下から見る春歌の顔は、下に寝そべっている男に向けられている。頬を紅潮させ、口元を弛ませながら腰を振り続けている。
しかし、その視線だけが、僕に冷たく突き刺さっていた。二つの瞳をこちらに向けて、天と地ほどの距離を隔てて。
蔑むような視線だった。
570元545(8/15):2010/01/06(水) 22:10:33 ID:+e+k+I+o

「ったく、クソ兄貴のせいで春歌ちゃんのテンションが下がっちまったじゃねえか」
金髪の男が、春歌の背後にべったりと張りつき、その乳房を両手で弄びながら毒づいた。
その様子を見ていたもう一人が、自分達が準備してきたらしいカバンから、何かをごそごそと探りながらニヤリと笑った。
「そういう時は、やっぱこれだよな?春歌ちゃん。ほらよっ」
そう言って、カバンから取り出した何かを金髪の男ヘ向かって放り投げる。
アレは・・・何だ?白い、長方形をしたもの。何かを収めているケースのように見える。
金髪の男がその蓋を開き、中身を確かめるように眼前にかざす。それを見た瞬間、僕は目を見開いた。
注射器と、小さなアンプル。
僕の鼓動が跳ね上がる。こいつら・・・春歌に何をするつもりなんだ?
たまりかねて、僕は声を荒げて叫んだ。
「何だよ、それ・・・!春歌をどうするつもりだ!」
「うっせぇな。ガタガタ言わねえで黙って見てろよ。ほら、腕出せよ春歌ちゃん」
「はぁっ、んっ、はっ、はいぃっ」
男の言葉に、春歌は素直に反応する。ぴたりと動きを止めると、男に向かってすっ、と右腕を差し出した。
金髪の男は慣れた手つきでその手首を押さえ、ぷすりと注射器の針を差し込み、ゆっくりと薬を注入していく。
止めろ。止めてくれ。僕の春歌をこれ以上、傷つけないでくれ。
そんな僕の思いとは裏腹に、春歌は半ば恍惚とした表情で、右手首の辺りに見惚れている。
それはまるで、恋人と会うのを待ち焦がれているような、これから起こる事への期待が抑えられないという表情だった。
「・・・よしっと、こんなもんだろ」
男が注射針を引き抜く。春歌の顔が一瞬、痛みに引きつった。
「さて、そんじゃ本気出していかねえとな」
ピアスの男が身を起こす。同時に金髪の男も、春歌の身体を抱えなおした。
やがて二人の男の胸板の間で、徐々に、徐々に春歌の様子がおかしくなっていく。
はっ、はっ、と息が荒く不規則になり、瞳は一点に留まらず、絶えずそこここをさまよわせている。
へへっ、とカバンを探っていた男が下卑た声で笑い、春歌の耳元にささやきかけた。
「バッチリ効いてきたみたいだなぁ。ほら、春歌ちゃん、いつものおねだり忘れんなよ?」
まるでその言葉がスイッチであったかのように、春歌がばっ、と顔を上げ、目の前の男に向かって懇願した。
「はっ、春歌のオマンコとお尻の穴、いっぺんにおチンチンでほじって下さいっ!」
571元545(9/15):2010/01/06(水) 22:11:54 ID:+e+k+I+o


春歌が、壊されていく。もう、僕の好きだった、綺麗で、凛々しくて、それでも守ってあげたくなるような妹の面影はどこにもない。
「あはぁぁんっ!春歌の中に立派なおチンポが二本も入っちゃってますぅぅっ!」
ずぶっ、ぐぶっ、という淫らな音を立てながら、膣と肛門に男達の肉棒を咥え込んで悦ぶ春歌の姿は、娼婦そのものだった。
壊されてしまった。春歌が。奪われてしまった。こいつらに。
「ったく、春歌ちゃんはホントドスケベだよなぁ。マンコとケツ穴両方突っ込んでやんないと満足できないんだから」
春歌の後ろから責めを続けている金髪の男が、目の前の柔らかな肉を、ぱしん!という音を立ててひっ叩いた。
それに呼応して、春歌の身体がびくん、と大きく跳ねる。
「っはへぇぇっ!そうですっ!春歌もう前も後ろもチンポ咥えてないと安心できなくなっちゃったんですっ!
 チンポ二穴ハメしてもらわないと切なくておかしくなっちゃうんですぅっ!」
「ははっ、よく言うぜ。ハメてやってる時だって十分おかしくなってるクセによ。おらっ!」
「ふぁぁぁんっ!ダメぇっ!お腹の中でおチンポ同士ゴリゴリされたら気持ち良すぎておかしくなっちゃいますぅっ!」
前後から同時に激しい突き上げを受け、だらしなく開いたままの口から、犬のように舌が垂れ下がっている。
ピアスの男が自らの舌でそれを絡め取る。さらに春歌の口内にまで陵辱は及び、にちゃにちゃと、下品な音を立てた。
「んふっ、むっ、あひぃっ!はるかもうらめっ!はるかもうおチンポの事ひか考えられなくなっちゃいましゅぅぅぅっ!」

「春歌!」僕は折れそうになる心を必死で支え、大声で呼びかけた。春歌の正気を繋ぎとめるために。
「春歌!しっかりしてくれ、春歌っ!」
「ムダだよ」
背後から、メガネの男の声がした。
そして、僕の縛り付けられている椅子に、ぐいっと力が込められ、元の場所まで引き戻される。
「今の春歌ちゃんには、あんたの声なんて聞こえてないからさ」
そのまま乱暴に僕を起き上がらせると、男は悠々と新しいタバコを取り出し、火を点けた。
「まあ、そう焦るなって。あんたの出番はまだ先だ」
煙と共に吐き出された言葉に、僕の心がまたざわつく。
「・・・どういう意味だ」
「見てりゃわかるさ」
そして、今はこれ以上僕に言うべきことはない、とでもいうように、再び春歌が犯される様子を注視しはじめた。
しかし僕は、これ以上春歌を見ていられない。できるだけ首を背け、視線が向かないように努めた。
572元545(10/15):2010/01/06(水) 22:13:42 ID:+e+k+I+o

「あんっ、あぅんっ!もっ、もうダメぇっ!」
耐えかねたように春歌が叫ぶ。
「春歌イキそうですっ!イカせてくださいっ!」
恥じらいも見せずに懇願する春歌に、男達が意地の悪い笑いを投げかける。
そして、休みなく動かしていた下半身の動きを徐々に緩めていった。
寸前まで激しく擦り付けられていたそこを、焦らされるようにずるっ、ぬるっと撫でられ、
絶頂をおあずけされた春歌は、泣き出しそうな顔で前後の男達に哀願した。
「ふぁぁぁん・・・イジワルしないで下さいませぇっ・・・」
潤んだ瞳と鼻にかかったような甘え声が嗜虐心をそそるのか、男達は上機嫌で笑い続けている。
「ははっ、意地悪?何がぁ?」
「おチンポですぅっ!」
「チンコが?何?」
「おチンポでぐちゅぐちゅして下さいっ!」
「どこを?」
「お尻マンコですっ!」
「そこだけじゃないだろ?」
「春歌のモノ欲しそうにひくひくしちゃってるいやらしい淫乱オマンコですぅぅっ!」
「はーい、よく出来まし・・・たっと!」
前後の男が同時に、ずぶぅぅっ、とその剛直を根元まで、春歌の中に突き刺した。
その瞬間、春歌の身体が弓なりに反る。
「・・・はっ・・・あ・・」
声にならない言葉を発し、口をぱくぱくとさせている。
上を向いた春歌の首筋を、後ろの男がからかうように指でくすぐる。
「あー春歌ちゃんのケツ穴マジ最高だわ。ほら、もっと締めてくれよ」
そう言いながら、自分のペニスをずるるっと一気に引き抜き、また挿入する。
前の男も同様に、春歌の膣内を埋め尽くすように抽送を繰り返していた。
「あっ、ああうっ、ひっ」
肺の奥から息を搾り出すような声を漏らす春歌の足先で、指がぴんと張っている。
「ほら出すよっ!膣内に出すからしっかり受精しろよっ!」
「後ろも出すぞっ!」
二人の男が前後からがっしりと春歌の身体を抱きすくめ、ずぶぶぶぶっとさらに腰を落とさせる。
それぞれの一番深い所で、男達が射精した。
「でっ、出てますぅっ!春歌のお腹の中に二人分のおチンポザーメン注がれてますぅぅっ!」
身動きの取れないまま、春歌は身体の中に熱が放射される感覚を、十二分に受け止めていた。
心なしか、大量の精液を射精された下腹部が膨らんで見える。
やがて男達の射精が止まり、ペニスを引き抜いた後からは、体内に収まりきらなかった精液が泡を成してどろりと漏れ、
春歌の倒れこんだソファを白く汚した。
573元545(11/15):2010/01/06(水) 22:16:46 ID:+e+k+I+o

「・・・待たせたな」
隣の男がぼそっと呟いたその言葉が、僕に向けられた物だと理解するのに数秒かかった。
その間に、男はタバコを始末して、春歌へと近づく。
その挙動の一つ一つを目で追う僕の不安は、一秒ごとに倍加していく。
何だ。春歌を陵辱し、妙な薬まで与えて、それを僕に全て見せ付けて、一体これ以上、何をしようっていうんだ。
「ほら、春歌ちゃん。はーるーかーちゃん」
男がぐったりとしている春歌に呼びかけて、その頬を2、3回ぱしぱしとはたく。
「あぁぁぁ・・・・ふぇぇ?」
「お兄ちゃんに挨拶するんだろ?早くしないと、またこないだみたいにブッ倒れちゃうよ?」
男の言葉に、春歌がゆるゆると首を動かしてこちらを見る。
僕の顔を見つけて、やっと思い出したというように春歌は答えた。
「あぁ・・・しまふぅ、春歌、兄君さまに、さよならのご挨拶いたひまふぅぅ・・・」
僕は耳を疑った。舌の回っていない、春歌の言葉を聞き違えたのだろう、と。
(・・・さよなら、だって?)
その言葉の意味を理解するよりも先に、春歌はのろのろと起き上がり、ソファーから降りた。
そして、ひょこ、ひょこと、おぼつかない足取りでこちらへやってくる。
「あはぁぁ、あにぎみさまぁぁ・・・」
にまぁ、と春歌が笑う。愛情も、愉悦も、何の感情もこもっていない虚ろな笑顔で。
その笑顔を僕に近づけ、薬のせいなのか、震える唇でキスをしてきた。
「ん・・えっと・・・春歌はぁ、もうご主人さまたちの奴隷になっちゃいまひたぁ・・ん・・・ちゅうっ・・・。
 だからぁ、兄君さまとはもう、んむっ、お会いできないんれすぅぅ・・・。ごめんなひゃいぃ・・・。
 でも、それじゃかわいそうだからって、一回だけ、兄君さまとぉ・・・ん・・ぷはっ、ハメハメしていいって、いってくだひゃったんですよぉ?」
僕の顔に間断なく唇を押し付けながら、春歌が僕に別れの言葉を投げつけてくる。
その唇から漂う男たちの精液の臭いが、つんと鼻を刺した。
「ご主人様、やさしいれすよねぇ?だから春歌、兄君さまのおちんぽ、おまんこでいぃっぱい気持ちよくしてさひあげまひゅぅ・・・」
春歌の漏らす、一言一言が、僕の心を削ぎ取っていく。少しずつ、少しずつ、僕の大事な部分が蝕まれていく。
調子の外れた声でぶつぶつと呟きながら、春歌は、椅子に縛り付けられたままの僕の体にまたがった。
「あっはぁ、兄君さまのおちんぽ、ぐりぐりしててきもち〜♪服の上からでもおちんちんの形わかっちゃいますぅ・・・」
そして、ぶるぶると震える手で、ジッパーを下ろし、むき出しになった僕の性器の上に腰を持ち上げる。
「兄君さまもぉ、ちゃぁんと、春歌のオマンコできもちよくなって、春歌の事、いっぱい感じてくだひゃいねぇ。だって・・・」
その一瞬、元の春歌の声が聞こえたのは、僕の幻聴だったのだろうか?

「――これで、最後ですから」
574元545(12/15):2010/01/06(水) 22:20:39 ID:+e+k+I+o

次の瞬間、春歌が一気に腰を落とした。
「あっひぁぁぁぁっ!」
僕を思い切り抱きすくめ、耳元で、春歌が金切り声を上げる。その声が鼓膜を揺さぶり、僕の脳に突き刺さる。
これは春歌の声じゃない。
これがあの、僕と一緒に幸せな時間を過ごし、これからもずっとそうあるはずだった、春歌の声であるわけがない。
春歌がさらに下半身を上下させ、その膣肉で僕の肉棒を扱き立てる。
「ああっ、チンポっ、チンポっ、兄君さまのチンポでっ!春歌のオマンコズコズコされてまひゅぅっ!」
「春歌」
メガネの男が顔を寄せる。間髪入れず春歌は男にディープキスをした。
「んむぅっ、じゅぶぅっ、ひゃへ、ひもひっ、ひもひぃれふぅぅっ!」
じゅるじゅると唾液を絡ませあいながら、下半身はじゅぶっ、じゅぶっ、とペニスをむさぼり続ける。
すっ、と男の指が動いた。その指が素早く春歌の腰に忍び寄り、つぷりとアナルに差し込まれる。
「ふひゃぁぁんっ!ダメぇぇっ!ダメれしゅぅっ!兄君さまのおチンポハメしてるのにお尻までほじられたらぁっ!」
目の前の春歌の顔が、見る見るうちに歪んでいく。
僕は懸命に、春歌の顔から目を逸らした。出来る事なら今すぐ目をえぐり、耳を切り落としてしまいたかった。
それでも、男としての本能は僕を逃がさない。ずちゅ、ずちゅっと肉穴で締め付けられるペニスはさらに硬さを増し、精液が尿道に満ちてくる。
「んあああっ、はひゃっ、ごひゅじんさまっ、春歌もうイキそうれしゅぅっ!イっていい?イっていいれしゅかぁっ?」
下半身は僕とつながったまま、今はもう上半身を男に完全にしなだれかからせながら、春歌がだらしのない声で懇願する。
「ダメだろ?自分ばっかり気持ちよくなってちゃ。ちゃんと大好きなお兄ちゃんがザーメン出すまで我慢しろ」
男の言葉に、春歌がこちらを向いた。下半身の動きのせいで、がくがくと首が揺れ、目の焦点が合っていない。
そのまま僕に思い切り抱きつき、大きく開いた足に力を込めた。
「あはっ、はっ、はるかっ、はやくイキたいんれしゅっ、だからっ、兄君さまっ・・・」
ぎゅぅぅぅぅっ、と春歌の膣が僕の性器を全力で締め上げてきた。まるで、僕の首に手をかけ、息の根を止めようとしているかのように。
「はやくその汚い包茎チンポからチンカス混ざったザーメンドピュドピュしてぇぇっ!」
575元545(13/15):2010/01/06(水) 22:21:46 ID:+e+k+I+o

春歌が、その下半身を、恐ろしいほどの速さで打ち付けてきた。
がくがくがくがくと吸い上げられては吐き出されるその感覚に、もう僕の思考は追いつかない。
僕の口から出るのは、嘆きとも怒りとも快楽ともつかない絶叫だけだった。
「はひぃぃぃぃんっ!ああああっ、あああああああっ!!」
僕の叫びを打ち消すように、春歌が喉も裂けんばかりに喘いでいる。下半身の動きがさらに速くなる。
ずこずこずこずこっ、と挿入を繰り返す僕の肉棒が徐々に熱くなってくる。絶頂が近い。
ダメだ。違う。出しちゃいけない。出したらもう戻れない。
僕が望んでいたのはこんな結末じゃない。僕が望んでいたのは―――
「おっほぉぉぉっ!!イキますっ!はるかイキますっ!
 あにぎみさまの近親相姦チンポではるかだらしないアヘ顔さらしちゃいますぁあイクぅっ!
 ごひゅじんさまの前でアクメきめちゃいましゅから見ててくらしゃいぃぃっ!
 はるかのグチョグチョオマンコびくんびくんして潮吹いちゃう所みてぇぇぇぇぇっ!」
僕は射精した。
ぶびゅぅっ、と噴出した精液が春歌の膣肉に跳ね返り、僕の亀頭を熱っぽく包む。
同時に春歌も絶頂を迎えた。僕の背中にぎりぎりと爪を立て、股間から止めどなく愛液を吹き出して。
ぶるるるっ、と春歌の下半身が一際大きく震え、それが徐々に全身を駆け巡ってゆく。
それが春歌の頭頂にまで達した時、僕は確かに、ぱちん、という、何かが弾ける音を聞いた。
「・・・ぁ・・」
快感を余すことなく貪った春歌が、目を剥いて、ゆっくりと後ろに倒れていく。
僕の背中に回した手が、ずるり、と解けた。
「おっと」
メガネの男が素早く手を伸ばし、春歌の身体をしっかりと支えた。
「全く、春歌ちゃんは頑張り屋さんだな。失神するまで絶頂我慢するなんて」
そう言って、乱れた春歌の髪を手で解きほぐしていく。丁寧に、優しく。
その光景を、絶頂の余韻にかすれる目で捉えながら、僕の頭はぐるぐると回り始めた。

(僕は・・・僕が・・・春歌を・・・幸せに・・・春歌の事を・・・誰よりも想って・・・)

僕の意識が混濁する。
576元545(14/15):2010/01/06(水) 22:23:10 ID:+e+k+I+o

「あーヤったヤった。この後どうするよ?」
「カラオケでも行こーぜ。春歌ちゃん連れて」
「ははっ、何だよお前、あんだけ出しといてまだヤリ足んねーのかよ」
ゲラゲラと笑っている男達の輪の中心で、春歌は佇んでいる。
自分一人で立つこともおぼつかないまま、男の一人に身体を預け、。うつむいたその表情を窺う事は、もはや僕にはかなわなかった。
「それじゃあな。多分、もう会う事もないだろう」
メガネの男がそう言って、カバンを拾い上げた。それを僕は、椅子に座ったまま、ただ目で追っている。
僕を縛り付けていた縄は解かれ、四肢はすでに自由になっている。
やろうと思えば、男達に殴りかかり、春歌を連れて二人で逃げ出す事だってできた。
しかし、もう僕の中に、そんな力は微塵も湧き上がってこない。
なぜなら、すでに春歌の心に、僕への未練が一片もない事を知ってしまったから。
心までは、取り戻せないから。
「・・・ああ、そうだ」
思い出したように呟き、男がカバンから何かを取り出す。テーブルの上に置かれたそれを、僕は見た。
あの、薬の入ったプラスチックケース。
「こいつはあんたに譲ってやるよ。あんたもコレ使って、早く春歌ちゃんの事なんか忘れちまうんだな」
そう言って、男は春歌の肩を抱き、親しげな態度で部屋を出る。
行ってしまう。
春歌が、行ってしまう。もう、二度と僕の手の届かないところへと。
僕は、黙ってそれを見送る事しか出来ない。
男達の姿の合間に、一瞬、春歌の長い髪がさらりとなびくのが垣間見えて。
ぎい、ばたん、とドアの閉じた音がした。

取り残された僕は、しばらく動けずにいた。誰もいなくなった春歌の部屋でただ一人、呆けたようにそこにいた。
そして、徐々に混乱の引いていく頭の片隅に、取りとめもない思考が膨らみ出す。
(・・・やり方が間違っていたんだ)
そう、妹を愛するための手段を、僕は最初から誤っていた。
相手の想いなんて二の次だ。僕の気持ちを、最初から全力でぶつけなきゃいけない。
四六時中、ずっと。どこにも逃げられないようにして。
最初からそうしていれば、春歌だってあんな男達に奪われずに済んだんだ。
僕はもう一度、テーブルの上のケースを見た。
明かりの無い薄闇の中で、その白い表面が、怪しげな表情を浮かべている。
僕はようやく、のろのろと立ち上がると、薬のケースをポケットにねじ込んで、春歌の部屋を出た。
577元545(15/15):2010/01/06(水) 22:25:16 ID:+e+k+I+o

誰がいいだろう?

駅への道をふらふらと歩きながら、僕は考える。
辺りはすっかり暗くなっていて、歩いているのは僕一人。ただ、虫の鳴き声が静かに響いているだけだ。
一歩一歩、地面に体重を預けるたびに、僕は自分の身体が軽くなってしまったような感覚を覚える。
まるで、自分の中心から、何か大事な物が抜け落ちたような。
振り返り、今出てきたばかりの春歌の家の方を見やる。今はもう、闇に溶けたように、夜と同化してしまっていた。
僕はもう、一秒だって春歌を失った痛みに耐えられそうにない。
一刻も早く、代わりになる誰かを手に入れる必要がある。
僕はもう今までの僕とは違う。大事な人を愛する事に何のためらいもない。
それに今度は、この薬だってある。僕は薬の入っている、ズボンのポケットをちらりと見た。
これを使えば、誰かの心を手中に収める事なんて造作もないはずだ。奴らのしたように。
手段も、行動理由も、今や完璧に整っている。だけど――
(――けど、誰がいいだろう?)
すぐ脇の線路を、ぷあああん、と警笛を鳴らしながら電車が駆け抜けてゆく。
それを横目で見送りながら、僕は頭の中で考えをまとめる。過ぎ去る電車の窓から漏れる光に、様々な顔が浮かんでは消える。
数秒して、電車が僕を置き去りにしていった時には、僕はもう決断していた。

(・・・よし)

僕は駅への道を急ぐ。そしてきっと、家とは違う方角へ向かう電車に飛び乗るだろう。
夜の闇のその向こう側、僕の、最愛の妹の所へと。


―――次のデートは、少し長いものになりそうだ。