GJ!
全レス返事はしなくていいけど、SS内容で返事してくれるとありがたいぉ
ありがとうございます!
バレンタインそのに、夏タキ甘甘?キスのみ、9レスです
エロなしで長くて本当にごめんなさいorz
『強くつよく』
―その壱―
「どっちにしよう…」
夕暮時の喧騒の中、スーパーで手にしたメモを睨む。
目の前はピンクと茶色で飾られた期間限定特設コーナー。甘い空気を身に纏った女の子達がはしゃいでいる。
「……難問だわ」
「あら、多軌さん。こんにちは」
隣に立ったのは塔子さんだ。
「あ、こんにちは。お久しぶりです」
「クリスマスはありがとう、とっても楽しかったわ。あんなに賑やかなの、何年ぶりかだったのよ」
「私も楽しかったです」
夏目君の少し照れた表情や藤原夫妻と楽しげに話す姿を見られたし、塔子さんお手製のご馳走はとても美味しかった。
それに、と帰り道の『こと』を思い出して頬が熱くなる──私ったらまたこんなこと考えて!塔子さんに変に思われちゃうじゃない!
一人妄想で赤くなっていると、塔子さんが感慨深げに口を開く。
「貴志君も嬉しそうだったし」
もっと嬉しそうに笑う塔子さんは、本当に夏目君が大切でならないのだろう──私も同じです、塔子さん。
「またいらしてね」
「はい、ぜひ」
話ながら並んで歩く塔子さんのエコバックに葱と大根がのぞいている。今夜は鍋かなあ。
「(きっとニャンコ先生も一緒に鍋を食べるのね、ふふ)」
皆で食卓を囲んでいる姿を想像してちょっと和む。
「貴志君とはお出かけしたりしないの?」
塔子さんの突然の問いに私は一瞬固まった。
「え、あの…それはまだ…」
実は何度か誘おうとしているけれど、出かけた先で妖に遭ってしまったら夏目君が気にするだろうな、と未だ踏み切れずにいた。
「バレンタインデーは?あ、ごめんなさい。失礼よね」
「いえ、そんなこと。バレンタインは…チョコ、あげようと思っていて」
そう口にすると照れるのは、好きな男の子の『お母さん』に話している気分になるからだろうか。
「そうだわ!」
突然ぱん、と手を打った塔子さんは目を輝かせている。
「日曜日はお暇?」
「今週、ですか?はい」
「じゃあね、お願いがあるの」
お願い?何だろう。
座ってお話しましょうと腕をとられながら、夏目君はどんなチョコが好きなのかな、と思った。
―その弐―
夕食の後片付けをしていた塔子さんが振り向いて言った。
「そうそう、貴志君。多軌さんにお願いしちゃったの。日曜日に一緒にお洋服買いに行って来てね♪」
「……塔子さん、今何て言ったんですか」
「貴志君もおとしごろだし、もう少しおしゃれしなくちゃ」
「あの、塔子さんが買ってくれたのがたくさんありますから」
平日は制服だし、休日ぶんも足りている。ここに来る前を思えば贅沢な程だ。
──いや待て、そうじゃないぞ。
「…一緒にって言いましたか?」
「もちろん、多軌さんと一緒によ♪」
「え、あの、と、塔子さんっ?!」
多軌と──二人で買い物?!どうしてそんな話になっているんだ?!。
塔子さんは満面の笑みを浮かべて、こっそりついてっちゃおうかしら、などと危険な発言をしている。
「ち、ちょっと待って下さい!日曜日って……明後日?!」
「良かったな貴志。デートじゃないか」
今日は一緒に帰宅した滋さんも、新聞から顔をあげる。
「デ…デートって滋さんっ!」
──何だこの展開っ!
「本当は貴志が誘うものだぞ」
「そうねえ、余計なことしちゃったかしら。じゃあ次は貴志君の番ね」
──せめて、おれの意思を確認してください。
「あの……決定ですか?」
「ええ、決定よ♪」
滋さん塔子さんもすごく楽しげで──無理だ、おれには断れない。
タキに逢えるのは嬉しい。けれど、緊張してぎこちなくなるのは確実だ。前にもあったよな、こんなこと。
大丈夫かなおれ、と食卓に突っ伏した。
―その参―
日曜の午後。やわらかな日射しがもう近い春を教えてくれる。
「貴志君ー多軌さん来たわよー♪」
「はい」
弾んだ塔子さんの声に、静かな返事と階段を降りる足音がして夏目君が現れた。
「…こんにちは」
「……やあ」
お互いに気恥ずかしさでろくに挨拶も出来ずにいると、塔子さんに玄関前に並ばせられた。外にはにこやかな滋さん。
「お似合いの二人ね♪」
これから記念写真でも撮りそうな勢いで、塔子さん達は結婚式に招待された親戚みたいな感想だ。
「でも、何か足りないわ」
「手を繋いでないからじゃないか?」
『え?』
夏目君がピシッと凍りつく。私は反対に火が出そうです、滋さんっ!
「まあそうだわ♪さすが滋さん」
「(…ちょっと待ってっ)」
焦る私を余所に塔子さんによって私と夏目君の手が繋ぎ合わされた。
「(き、きゃああーっ!)」
これでよし、と背中を押されて門へ向かう。
「いってらっしゃい、気をつけてね♪」
満面の笑みで送り出された。
「いい見物だな、夏目」
いつからそこにいたのか、ニャンコ先生が塀の上でニヤニヤしながら夏目君を見下ろしていた。
「(か、可愛い…っ!でも落っこちないでね)」
一瞬恥ずかしさを忘れてハラハラしてしまう。
「さあ恥をさらしてこい」
先生が短い手をほれほれ、と振る。
「…そういう先生は何やってんだよ。また腰打つぞ」
「阿呆が。モヤシと違って学習するのだ、私は」
「くっ……殴ってやりたいのに手が届かない」
──ああ、殴るなんて駄目よ。こんなに可愛いのに!
「せっ、先生にもチョコがあるの!」
「…何?よし寄越せ」
『すた』とはいかず『どす』と『どさ』の中間くらいの音でニャンコ先生が飛び降りる。
「ブランデー入りよ」
「中々良いセレクトだ。夏目も見習え」
「イカ焼きのことを根に持つような酔いどれ中年ニャンコに、気遣いはいらないぞ、タキ」
「…ほう、勝負するか」
「…また豆投げるぞ」
じり、と睨み合う二人を止めに入る。
「チョコ溶けちゃうから、先生」
「……まあいい。タキに免じて許してやろう」
先生はふん、と鼻で笑って家の方へ戻っていく。背中に妙に馴染んでいるチョコの箱を載せて。
―その四―
「…緊張は少し解れたけれど」
先生のせいで、そう困った様に笑う夏目君の頬が斜め後ろから見ても赤い。
「(ちょっと、照れてくれてるのかな)」
それなら嬉しい。
「えーと、タキは手…このままで良いのか?」
そういえば……ずっと繋いだままだった!──でも、こんなチャンスを逃してたまるものですか!
「ええ、このままで良いの」
顔はずっと熱いし、緊張してるのなんてばればれだと思うけれど、平常心を装って微笑む。
まだ少し冷たい風が微かに花の香りを含んで、髪を揺らしていく。夏目君が眩しそうな顔をした。
「…どこかで、桃が咲いてるのね」
繋いだ手をしっかりと握り直す。
「さあ、行きましょう」
私は、訪れる春に負けない気持ちで笑った。
「(…そうは言ったけれど)」
やっぱり照れくさくて並んで歩くのが精一杯。
「(全然話せない…)」
しかもバレンタイン当日で休日、周りはカップルだらけとくればそれは倍増する。
でも、目的は果たさなくちゃ。
「ええと、夏目君はどんな服がいいの?」
「あまり知らないんだ…適当に案内してくれるか?」
「じゃあ…この辺から」
何度か見た私服から推測してお店を選んだ。
「えーと、これとかかな」
夏目君がシャツを手に取ろうとして止まる。
「どうしたの?」
「いや……この場合、手はどうするものなんだ?」
夏目君の左手と私の右手は繋がれたままだ。
「…とりあえず、離していいんじゃないかしら」
「ああ…」
す、と手を離しお互い僅かに外側に移動する。
店内に手を繋いだまま入ってしまった、その事実がまた面映ゆい。でも。
「(…ちょっと残念)」
夏目君がここだけで決めようとするので、何軒か連れ回す事にする。
「(手…私から繋いでみようかな)」
お店を出る夏目君は半歩だけ私より早い。小さく二歩踏み出して隣に並び、手のひらを合わせてそっと握る。「(うわ……やっぱり恥ずかしいっ!)」
でも、繋いでいたい。そう思って目をあげると。
驚いた夏目君の顔が、かああああっという効果音が聞こえそうなくらい一気に朱に染まった。
「え、タキ、あの」
口籠もって目を逸らす。
「(あ…夏目君、可愛い)」
私の中の恥ずかしさがくすぐったい様な嬉しい様な気分に変わった。
「せっかくだもの、ね」
にっこりと笑う私は、今すごく余裕に見えているかもしれない。
―その伍―
「(夏目君が見る服……やっぱり何だかチンピラっぽいわ)」
どの店に入っても、手に取る服がちょっと派手なのだ。総柄のシャツだったり、龍とか花とか存在感のある和柄だったり。
普段控え目な夏目君にしては意外な一面が微笑ましい。
「あ…」
隅には縮緬細工があった。「(この髪飾り、和風で素敵)」
だけど、今日は夏目君の買い物を塔子さんに頼まれたんだもの。選ぶお手伝いをしなくちゃ。
試しに広げて見たTシャツは渦巻きに蛸。隣は……招き猫。
「(もしかして流行ってるのかしら)」
「タキ……悪いがそれは着ないぞ」
じっくりと眺めていたのを気に入ったと勘違いされたかな。
「あ、ううん。…これとかどうかしら」
グレーに藍染の縦ラインが袖に入ったジップアップパーカは夏目君に似合いそうだ。
「袖の長さがよく分からないな…」
胸にあてて袖口を持つとずり落ちてしまうからだろう、夏目君が困った表情を浮かべる。
──今こそ、手伝うべきよね。
「あの、合わせようか?」「…じゃあ」
パーカを受け取って胸に合わせる為にほんの少し背伸びをすると手が肩に触れる。
目の前には夏目君の顔。長い睫毛に縁取られた色素の薄い瞳も、さらさらと柔らかな髪も。──何度もキスした唇も。
「(うわ…これ、恥ずかしい)」
手を繋ぐのもやっと慣れて来たのに、また頬が熱くなる。
夏目君が両袖を掴んで前に出すと、まるで抱きしめられるみたいな体勢になってしまった。
とくん。心臓が跳ねる。
「どう…かな」
とくん。正面の夏目君が軽く目を逸らしてくれていて良かった、見つめられたら息が止まりそう。
「似合うと、思うわ」
とくん。俯かないと喋れない。
「…タキがそう思うなら、これがいいな」
とくん。夏目君の声も微かに震えている。
──このまま、抱きしめて欲しい──そう思った。
「サイズいかがですかー?」
店員の声に我に返ってさっと離れる。
「…これください」
「かしこまりましたーお会計こちらですー」
ふう、とお互いにため息をついて。
「…ふふ」
何故だか、顔を見合せて笑った。
結局、私がすすめたパーカと、夏目君が選んだ左肩から裾に向かって桜の花が散ったシャツを買った。
「(…今度どこかに誘ったら、着てきてくれるかなあ)」
想像したら嬉しくなって顔がほころぶ。
お店に入る度に離していた手も、いつの間にか繋いだままになった。
当たり前過ぎるくらい当たり前なのかもしれないけれど、嬉しい。
「(夏目君も、そうだといいなあ)」
―その禄―
「あれ?」
夏目君が突然立ち止まった。
「どうかした?」
隣に並ぶと僅かに目線を上げる程度の身長差で、その目が少し先に固定されていた。
「いや、知り合いに似てるなと……やっぱり緒方だ」
そこには、緩くふわふわと揺れる長い髪の──女の子だ。その子の唇が『やあ』と動いて軽く手を上げる。
「中学の時、藤原さんの所に来る…何軒前かな、同じクラスだった」
「用があるみたいよ」
「え…でも」
「行ってきて。私そこに座って待ってるね」
たったそれだけの言葉なのに胸がどきどきする。
くるりと回れ右をして少し離れたベンチに座った。
女の子に向かって歩いていく夏目君の背中と、たった今まで繋いでいた手を見送る。
「(このまま、どこかに行ってしまう訳じゃないのに)」
何だろうこの気持ち。胸の奥がそわそわしてざわざわして落ち着かない。
女の子がこっちを見た。軽く会釈する。
手のひらが汗ばみ、いつの間にか俯いていたことに気づく。
これ以上、夏目君が他の女の子と話しているのを見たくない。
「(私…やきもち妬いてるんだ)」
その感情は嫉妬と言える程濃くは無く、独占欲と言うには曖昧だけれど。
私。
ほんの少し思わぬ方に離れただけで息が詰まる程に切ない。
戻ってきて、ここに。
「…ごめん」
小走りで戻って来た夏目君が謝った。でも、何だか嬉しそうでまた少し胸が痛くなる。
駄目、笑わなくちゃ。
この気持ちは知られたくないもの。
「ううん。お話、できた?」
「ああ」
「買い物もしたし、そろそろ帰りましょう。きっと塔子さん待ってるわ」
笑顔を作る──お願い、気づかないで。
「そうだな」
夏目君が微笑んだ。
―その七―
夕暮れの街を少し外れて藤原家へ向かう道を辿る。
手は繋いだまま、それが少し、苦しい。
さわさわと木の葉ずれが聞こえる。道端の大きな木は今も葉を残し、その足元に影を作っていた。通り過ぎるとすう、と周囲が陰る。
はっとした。
──このままなんて帰れない。
「(自分で…決着をつけなくちゃ)」
足を止めて深呼吸する。
「どうした?タキ」
「夏目君。これ、貰ってくれる?」
答えを待たずに、バッグから取り出した箱の包装を破き、パッケージを開けてチョコを二つ摘み出す。残りは箱ごとコートのポケットに突っ込んだ。
一つは夏目君の口に、もう一つは私の口に。
そしてそのまま。
夏目君の腰に腕を回し、僅かに背伸びをして。
キスをした。
それは私から私への宣戦布告。
唇を隙間から舌でこじ開ける様にして、口の中で溶け、唾液と混ざってとろりと滑らかになったチョコを押し込む。
息をする時を与えずに夏目君の口の中からもう一つを探り出し、舌で自分の口へ戻す。
息苦しくて頭がくらくらする。夏目君の匂いとチョコの匂いで私の中はいっぱいになる。胸がどくどくと早鐘を打つ。
「ん…っ」
夏目君が声にならない声をあげるけれど、駄目よ。まだ離さないの。
その行為を何度も繰り返し、二つのチョコが完全に溶けて無くなって。
お互いの舌がゆっくりと絡んだ。
「…ふ」
やっと唇を離す。
「…はっ」
口の端に残ったチョコもゆっくりと舐めとると、夏目君が息をついた。
―その八―
腕をそっと外してそのままタキの手を握る。
向かい合って両手を繋いだ状態になると、長い睫毛が瞳に淡い陰を落としていた。
「もしかして…緒方?」
タキが僅かに俯く。
「不安にさせた?」
繋いだ両手の指を絡め、そっと頬を耳たぶに寄せて囁く。
「…やきもち、なの」
小さな呟きにそうか、と答えて続ける。
「さっき、緒方に言われたんだけど」
握ったタキの手にほんの少し力が入る。
「おれをちゃんと見てくれるひとが見つかったかって。……いるよって答えたんだ」
お互いの睫毛が重なる程の距離に顔を近づける。
「タキ、君だよ」
「…知ってる」
何かを決意したようにタキの瞳は煌めく。
「夏目君の気持ちは全部知ってるわ。大丈夫」
続く小さな呟きは負けないから、と聞こえた。
タキの頬を髪を、蜜柑色の夕日が綺麗に染める。
黒い艶やかな瞳も今は黄金色を宿す。
その美しい君に。
もう一度、そっとキスをした。
二人並んで夕焼けに向かって歩く。キスで火照った頬を冷えた風が心地よく撫でていった。
さわさわと野原を渡るのも、葉が落ちて近づく芽吹きの時を待つ梢を揺らすのも同じ風。
「(…綺麗、だな…)」
隣でタキが眩しそうに目を細めている。手のひらにはあたたかいタキの手。
ただ、それだけのことが幸せな時間。
数時間前まであんなに照れていたのに、もう今は手を離したくない。
「…塔子さんに料理教えて貰おうかしら」
タキが空いている手を口元にあてる、その仕草が少し幼く見えて愛らしい。
「どうして?」
「…本当はね、チョコを手作りする筈だったの。でもお店で悩んでいる時に塔子さんに会って」
ふう、とため息。
「緊張してそれどころじゃなくなってしまって、気づいたら今日なんだもの」
あーあ、そう拗ねる顔が大人びていてどきり、とする。
「塔子さんなら、夏目君の好きな食べ物とかを全部知っていて、きっと夏目君の好きな味はみんな塔子さんの手料理なんだわ」
「ライバルがたくさんで大変なのかもしれない、私。……塔子さんと勝負する気なんてないけれど」
そのわざとに見える表情に、思わず笑いたくなった。
「…さっき、家を出る時」
きょとんとした顔でタキがこちらを向く。
「タキが先生にチョコあげただろう?」
「…ええ」
「あの時……ずるいって思ったんだ。おれが先に貰いたかったって。…やきもち、だよなあ」
タキが元々大きな目を更に大きくした。
「タキの一番も最初も初めても全部も最後もおれにしたいんだ。……知らなかっただろう?」
既に桜色になっていたタキの頬がより一層濃く染まった。
──抱きしめて離したくなくなるじゃないか。
そんなに可愛いなんて卑怯だぞ、透。
―その仇―
「…春になったら」
「え?」
言おうとした言葉を飲み込む。おれだって負けないからな。
「いや……やっぱり何でもない」
「ただいま」
手を繋いだまま夏目君は言った。
「おかえりなさい」
塔子さんが笑顔で出迎えてくれる。
ちょっと首をかしげたあと、あらあらと子どもに話すみたいな声になった。
「貴志君、口の回りに何かついてますよ。ふふ、子どもみたいね」
私も夏目君も同時にはっ、と顔が紅潮する。
『(さっきの……キスだっ!)』
「いえ、これは…」
夏目君が焦って口元を袖でごしごし擦る。
「(ごめんね、夏目君っ!)」
ちゃんと舐めなくて、なんて今は絶対に謝れないわ!私もそっと唇を指先で拭う。
「さあさあ多軌さん、上がって上がって♪」
うふふ、と背中を押す塔子さんも、家の中で仕様がないなあ、と笑っている滋さんも。
「(全部見透かされてたり…して)」
もしそうだったらどうしよう、と思った。
食卓にはお茶の準備がしてある。湯呑みが四つ。ニャンコ先生はいないらしい。
「どうだった?楽しかったでしょう♪滋さんと二人でね、色々お話してたのよ」
また笑う塔子さんの姿が可愛らしい。
「多軌さんがね、いつかこの家に来てくれたらなあって」
「塔子、それはいくらなんでも早過ぎるぞ」
「滋さんだって、いいなって言ったじゃない!」
恋人同士みたいに言い合う二人が幸せそうで見惚れてしまう。
いいなあ、こんな風になりたい。
そう思ってお茶を一口飲むと、隣から夏目君の声が聞こえた。
「タキ、これ受け取ってくれるかい?」
差し出されたのは、縮緬細工の桜の花の髪飾り。
「え…これ」
もしかして、さっきのお店!
「春になったら、二人で海を見に行こう」
「えっ」
「……手を繋いで。ちゃんとおれから誘うから」
私は驚きの余り声が出ない。鼓動が遠くて自分のものじゃないみたい。
夏目君の瞳が微かに揺れて、はにかむ様な微笑みになった。
塔子さんがまあ、と笑う。
「素敵ね。いってらっしゃい」
最後の最後で、夏目君に負けちゃったみたい。
悔しかったから、とびっきりの笑顔で言った。
「夏目君、大好きよ」
強くつよく刻むわ。
貴方と私に。
終わりです
SSの内容で返事を、というレスを頂いたので。
次作、名取×柊+ちょっと夏目、エロあり制作中です。
良かったらお待ちくださいノシ
すみませんひとつだけ
>>835 緒方ユリコさんはコミックス9巻のみの登場でした。ごめんなさい〜m(__)m
夏タキキテタ!!━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━タキ !!
期待を上回る出来で引き込まれちゃいますね。
エロ無くてもラブラブなのでよし!w
あと海に行こうって話で思い出したけど続最終回で言ったみたいに二人でカイに会いに行く話も見てみたいなとしみじみw
確かあの終わり方は原作にはなかった気がするし…
ラブラブなのは楽しいね
原作じゃストィック?杉てるもんなぁ。 夢が少しかなった気分ですぉ
>>849 こ、これはリク頂いたのでしょうか…?
カイ編、原作とDVD確認して頑張りますね!
>>850 原作の彼らは性欲ないかとww
夏タキラブラブエロありとJKニャンコ夏目書いてますので気長に待ってみてください
アニメ三期はないのだろうか…
SSで叶えるという手があるぞ
>>851 タキに「いつか一緒に会いに行こう」と話すのはアニメだけなので注意ですよ〜w
原作読んでて気づいたが、レイコさんとJKニャンコって同じ顔じゃないのか?
中の人は同じだが
教えてエロい人w
書き分け出来てないだけって意見もあるけど
先生の中でレイコは無意識に似せてしまうくらいの存在だったってことだと思うよ
まったく似てない設定なら黒ニャンコの回では顔を隠さなくてもいいんだし
>>851 原作は性欲が無いというより作者がソフトに言っていたように
盥回し中や妖怪と色々あって無意識に女嫌いになったんだと思う
笹田投げ飛ばしたり蛍に押し倒されての台詞から何されんのか分かってるというか慣れてるというかw
>>856 >似てしまう
きっとそうなんだろうな
1巻から読み返してて、なるほどと思ったよ
ヒノエみたいにはっきりと「レイコが好きだった」「レイコの為に泣く」って描写はないけど、レイコの話題の時は先生の表情のコマが結構あるんだな
>特別な存在
「遺品を〜」のくだりもそう思って読むと切ない
板違いの話題なのにサンクス
>>857 >板違いの話題
そうでも無いと思うよ
確かにSS投下後の2,3日は雑談して欲しくないが
特にSS投下が無いときは夏目SSネタ話をしてくれてるのが嬉しいし、スレに活気が有ると思うんで
>(ニャンコ)先生の中でレイコは無意識に似せてしまうくらいの存在
自分の書きたいSSでは、ちょっと違うぅぅ
と、ネタ会話から私に電波が来たんで、近日公開しますぉ
>>858 おお書き手さんでしたか!楽しみに待ってます!
そういう自分にも電波が来ましたw
今書いてるのが2〜3本あるので、
>>858さんの投下後様子を見て書かせて貰ってもいいでしょうか?
>>859 まだまだ構想の電波だけですので、お先に投下をヨロシコ
>>856 妖怪が飛びついてくる故の「ただの」条件反射だと思っていた自分はまだまだ未熟者でした
ニャンコ先生にすら「それはそれは美しい」と評されるレイコと同じ顔なら悪いこと考える奴が人でも妖でもいたことでしょう
想像以上に辛い幼少期だ夏目orz
>>858>>859 職人さんがいらしてた!
楽しみにしてますね
DVDを栄養にしたらバレンタインのおまけができました
投下していきます
夏タキ キスのみです
『空に見るもの』
―その壱―
昨夜の雨は明け方に雪に変わったらしく、通学途中の森も田畑も日の光を反射して目に眩しい。
冷えた朝の空気に息が白く浮かぶ。
「なーつめぇーおーはよー」
「おはよう」
がし、と首と背中に衝撃があり、肩を組むと言うよりも技をかける勢いで飛びついて来たのは西村と北本だ。
「おはよう…って重いぞ」
じろりと睨んで抗議するが、まあこの二人に夏目の眼光が効く筈もない。
「昨日、多軌さんにチョコ貰ったんだろー?いいなーいいなー。何でお前だけなんだ!もちろんおれ達の分持って来たよな?な?」
「西村、落ち着け」
「ああ……無いよ」
「一人で全部食べたのか?ずるいぞ夏目!なんて友達甲斐のない奴なんだー!」
「落ち着けって」
「そう言われても…ひとつだけだったし」
「お前なー、当然だろ。何で一人に何個もくれるんだよ」
「そうか?一人ひとつなのか、知らなかった」
「ん?ひとつって、一個だろ?」
「いや、一粒だ」
「…はあ?」
夏目の予想外の返答に西村と北本は呆気にとられる。
「一粒くれて残りはタキが持って帰った…と思う」
「何で。普通箱ごと全部くれるだろ」
なあ、と西村は北本にふる。
「普通はな。他に何か貰ったとかか?」
「他に…」
ばっと脳裏に蘇ったのは、甘い甘いキス。思わず夏目は口元を押さえる。
「あっ!北本!夏目のやつ顔赤くしてるぞ!」
「何ぃ!お前何貰ったんだ?!」
「い、いや…」
追及を避ける為に逸らした視線の先に。
「お、噂をすれば。おはよー多軌さーん♪」
西村がちぎれんばかりに手を振るのに気づきタキも軽く手を上げる。
「おはよう、夏目君。西村君と北本君も」
「なあなあ多軌さん、夏目にあげたチョコ一粒だったって本当?」
あ、とタキは口元に手をやる。
「(あの時、ポケットに入れて…)」
一粒あげてキスをして、すっかり渡すのを忘れていた。あんなことするからだ、と指摘されたら否定出来ない。
「…そうだ、ごめんなさい。持って帰っちゃったんだ」
「それ…貰ってもいいか?西村がくれってうるさいんだ」
夏目がずっとあらぬ方を向いている理由に気づいてタキは赤面する。
「(…やっぱり夏目君も思い出したよね)」
同じように横を向いたら、西村と目があってしまった。
「あれ?多軌さんも顔赤い?……二人で何か隠してないか?」
「そ、そんなことないわ!明日持ってくるね!」
日直だから先に行くね、そう言ってタキは駆け出した。
―その弐―
「はい、夏目君。こっちは西村君と北本君の分」
「おお!多軌さんからチョコ貰えるなんてっ有り難う神様!」
「大げさだよお前は。でもやっぱり嬉しいな、有り難う」
「有り難う。すごいな、皆の分作ったのか」
夏目が少し驚いた顔をする。
「うん、せっかくだから」
本当は違う。コートに入れっ放しだったチョコは溶けていて、昨夜2時までかかって作ったのだ。
「(…夏目君に食べて欲しかったから)」
恥ずかしくてそんな事を言えるはずもなく、結果「皆の分」と相成った。
「美味しいといいんだけれど」
「来年は当日がいいなー」
「…おい」
さり気なく要求する西村に誰の彼女だ、と夏目はつっこみたかったが、からかわれるのがオチなのでぐっとこらえるしかない。
「みんなで集まって何の話?夏目くん」
「…笹田」
ねえ、と袖を引かれ口に添えた手の陰で、
「妖怪の話?」
と聞かれる。夏目はさっと振りほどいてにっこりと笑った。
「いや、バレンタインデーの話だよ」
「ふうん」
「あ、そろそろ教室移動の時間じゃないか?タキ、有り難う。じゃあまたな」
「うん、またね」
「またねー多軌さーん」
「ちょっと夏目くん」
しつこく手を振り続ける西村と、まだ話したそうな笹田を背に夏目は教室に入る。
笹田は、時雨様以外の妖の何をそんなに知りたいのだろうか、と思いながら。
「え…おれに?」
「うん、二日遅れだけど」
タキからチョコを受け取った田沼が夏目を窺う様に見る。
「貰っていいのか?夏目」
「ああ、手作りだってさ。……ん?なんでおれに聞くんだ?」
「なんでって…付き合ってるだろ、夏目と多軌」
『どうして知って…っ』
思わぬ田沼の答えに、否定するのも忘れ二人は大声を出しそうになった。
「日曜、父の客を迎えに出た時見かけたんだ。手を繋いでたし、声かけて邪魔しちゃ悪いかと思ってさ」
田沼が頭を掻く。
二人は田沼の話そっちのけで焦る。田沼の家は夏目の家の先を通るのだ。まさかまさか、あの場面を。
『(見られてたら…どうしよう?!)』
「前から思ってたけど、お似合いだよ二人は。仲良くしろよ」
爽やかに笑う田沼が何故か眩しくて、敢えて聞くまいと二人は決心した。
「黙っててごめん」
「いいって。多軌、夏目、これ有り難く頂くよ」
「ええ。じゃあ私行くね」
「おれも戻るか」
じゃあな夏目、そう言って去りぎわ田沼が耳元に呟いた。
「渡したくないなら、離すなよ」
「え?」
「夏目くーん」
またもや飛びついてきた笹田を軽くぺいっと剥がし、振り返る。田沼は教室に入る所で、追いかけてまで話すような事ではないかと、微かに感じた違和感に封をして夏目は席に戻った。
―その参―
「…ふう、まいたかな」
屋上のフェンス際に座って夏目はやっと息をつく。
今日の笹田はいつもにもまして追及が激しかった。
お陰で休み時間の度に校内を逃げ回る羽目になり、放課後やっとここで落ち着けた次第だ。
──笹田が諦めて帰るまで時間を潰すか。
制服のポケットに入れておいた、タキのチョコを取り出して一つ口に放り込む。
「(あ…美味い)」
綺麗に丸く形作られたそれは小さな箱に行儀良く並んでいる。
「一生懸命作ったんだろうな…」
自分を想って作ってくれたのかと思うと嬉しくて、ちょっとにやけてしまう。
「夏目君」
「わあっ」
突然声をかけられ振り向くとタキがいた。夏目は胸を撫で下ろす。
「…笹田かと思った」
タキは自然に隣に腰を下ろす。ふわ、と甘い匂いがしたのは手作りしたチョコの残り香か。
「追いかけられてたね」
「さすがに参った」
「教えてあげないの?」
「…笹田には悪いけれど」
彼女なりの訳があって知りたいのだとわかっていても、軽々しく話す気にはまだなれない。
「笹田さんも、見てみたいのかなあ」
「笹田も?」
「私も、見たかったもの。…あの時」
あの時──夏目とタキが出会った河原も、こんな夕暮れ。
タキは抱えた膝に顎をのせて反対側のフェンス越しに空を見る。
ゆったりと近づく日暮れに空の下がほんのりと朱に変わりつつあった。
「…今は?」
「今は…やっぱり、見てみたいかな。ごめんなさい、夏目君にこんなこと言って」
望まずとも見える妖の為に辛い思いをしてきた夏目に簡単に言っていいことではない。
こうしてタキがただ眺めているだけの空にも、夏目は何かの姿を見ているかもしれないのだ。
「いや、気にしなくていい。どうして…見たいんだ?」
「夏目君と、同じものが見たいからかな。怖いだけじゃないってわかったらから」
「そうか……有り難う」
思ってもみない言葉にタキは目をぱちぱちさせる。
「妖もおれの友人だから、タキがそう言ってくれると嬉しいよ」
向こうの空みたいに頬を染めて照れたように夏目が微笑う。
「いつか、笹田にも聞けるかな」
「そうね」
二人で水色と朱色が段々と混じっていくのを眺めながら、あんな風にゆっくりとでいいから、人とわかりあえたらいいなと夏目は思う。
―その四―
「あ、チョコ食べてくれたんだ」
夏目が膝に乗せていた箱をタキが見つける。
「ああ、美味しいよ」
「良かった。夏目君にいちばん食べて貰いたくて頑張ったから」
「…そうなのか」
花のようなタキの笑顔とその照れた様子に夏目は驚き、そして顔を背ける。
西村達に少し嫉妬しそうだった自分が恥ずかしい。
それに気づいたタキが夏目を覗き込む。肩からさらさらと髪が流れる微かな音が聞こえて、艶やかな髪の幾すじかが光る絹糸に見える。
「夏目君?」
「…実は、独り占めしたかったと思ってた」
前髪の間から見える少し不満げな顔。
「ふふ。夏目君、子どもみたいで可愛い」
笑うタキに夏目は拗ねたみたいな表情になる。
「…可愛いって男に言うことか?」
「夏目君らしくなくて、嬉しいかも」
ふふ、と笑ってタキは箱からチョコを一粒摘み出した。手の震えを押さえるのがやっとなくらい見せかけの余裕。
──私、いつの間にこんなこと出来るようになったんだろう。
「はい、あーん」
「なっ…タキ…おれで遊ぶな」
「あーんして?」
首をかしげて見つめるタキの可愛らしさに夏目は勝てず、口を開けた。
「あーん」
さっきより美味しい。
「もう一つ食べる?」
夏目はこくりと頷く。
「(ふふ、本当に子どもみたい。こんな夏目君、私しか見たことないかな)」
ちょっと口を開いたまま待っている夏目は、鳥の雛の様に無防備だ。
「あーん」
夏目はいきなりぱく、っとタキの指まで口に含む。反射で引こうとした手首を掴み、指先を舐めあげる。
「(や…これ…っ)な、夏目君のエッチ!」
「いいよ、別に」
一瞬口を離し、そう答えて夏目はまた続きに戻る。
爪の周り、皮膚との境目、間接。舌をまとわりつかせ、丁寧に舐める。
「はっ…夏目、君……やめて」
「(あ…気持ち、いい…)」
タキの頬は上気し、息が弾み始める。夏目が掴んだ手もふるふると震えていた。
一気に引き寄せ唇を奪う。
「んっ」
軽く開いていたそれをこじ開け舌を差し入れる。歯の裏側、隙間まで舌を這わせてゆっくりとキスをした。
片腕で抱いているタキの体が熱い。華奢な手首、手を回した細い腰、柔らかな胸。
「…今日は、チョコなし」
唇だけを離し囁く。
―その伍―
「夏目君……ずるい。心臓破裂するかと思ったよ」
タキの上目遣いの額にさらさらと栗色の髪が流れて、今度はシャンプーだろうか──漂う微かな匂いが色っぽい。
桜色に紅潮した肌と微かに震える睫毛の下の瞳が淡い夕日に彩られるさまに、夏目は目を奪われる。
「じゃあ…続き、ここでする?」
掴んだままの手首をフェンスに押し付けぴったりと体を寄せた。
曇り空でもう日は落ち始めているのに、その弱い陽光すらもはじいて夏目の瞳は煌めく。
先ほどまでの拗ねた表情とは違って、うっすらと口元に微笑みをたたえて。
「(……そんな目で見られたら)」
覗き込んだタキの大きな目が潤んでいる。
「……寒いから、また今度にしようか」
夏目もタキも無意識に止めていた息を吸った。
「(どきどきしてる……もう少し押されたら頷いてた)」
「夏目君が、こんなにエッチだと思わなかった」
「おれも思わなかった。…タキにだけだよ」
タキをしっかりと抱きしめ、肩に顔を預けた夏目がぽつりと漏らす。
「タキが…あんまり可愛いから。もし、離れたらと思うのが……少し怖い」
「そうね…私も同じ」
信じて。夏目に言ったタキでさえそうなのだから、自分から離れていく人達をずっと見てきた夏目ならば尚更だろう。
見えているものすら、存在しないと否定されてきたその不安は計り知れない。
「…幸せだからかな」
「きっとそうね」
いつか、二人とも不安でなくなる時が来るといい。お互いの手を離さずにいれば、それも遠くないような気がした。
「手を繋いでもいいか?」
「うん」
夏目はタキの手をぎゅっと握り、握り返されるその手の暖かさをかみしめる。
―その禄―
「…タキ」
手を繋いで階段を降りていた足を止め、夏目が意を決したように口を開く。
「なあに?」
「その…来年もあげるのか?西村達に」
「…夏目君がいやならあげないわ」
「いやじゃないんだ。西村達が喜ぶのはおれも嬉しいから」
でも。それは遠慮がちに紡がれる言葉。
「…一番に欲しい」
「…夏目君は、そう言うような気がしてた」
繋いでいた手をタキがそっと解き、右手の小指が差し出される。
白く細く、夏目にとっては何よりあたたかなその指。
「来年の約束」
「…約束」
「ええ、その次も」
小指どうしを絡め、指切りをする。
小さな約束、でもそれは何よりも確かな約束。
見えるものが違ったとしても
同じ未来を見て、
隣を歩いていこう。
来年も、その先もと。
終わりです。甘くないな…
委員長出してみましたが誰とフラグを立てればいいかわかりませんでした、ごめんなさい
ではまたノシ
>>869 GJ!
それにしてもらっぶらぶな二人だw
GJ!
委員長かぁ・・・
夏目との3角関係が妥当なんだが、周りが許すかどうかですぉ
あまあま
. ─── 、
, r ´ ヽ
/ \
/ 丶
{ `ヽ
ヽ ヽ
_ - '^ ̄ ゙ ‐ 、 l
,ィ'´ ` 、 l
 ̄ ̄l ̄i `メ、 ヽ _ ノ
l : :l/\ ` ‐- 、 _ __≧==-、_/
lハ: l \ ヽ 、_, -<|: : : : : : : ̄`: ‐‐{
, ヘ:ゞ─ゝ ∠二 l : :/: : : : : : : : : l
l`ヽ __ _ ィ l ハ/ ハN/ ノ:/イ:/! : : : : : : : :l
l Y: : ::::::::::::/ 、 _ _, | ̄\::/ l:l : !: : : : : ::l
l l: : : :::::::;イl \ l l l  ̄l: :イ : : : : : : ト、
〉 ` ┴‐1!l i ' , \ヽ.__ノ / l/ / : :ハ : : l 丶
/<`ヽ ,イ⌒> ' u 〈>┬,イ‐‐ 、 /イ / l :ハ:ハ
: ヽj レ'iT!|i u li/ ヽ. l/ l/ リ、
l ニ 、. ニ二 _ノ \ ヽ
(6゚ヽ‐l (__人__ノ _∠二二ニ ── __ ヽ
\ >、 _ - ‐'´ ヽ ヽ
\ `' -tュ=/ l ヽ
〉-f二ソ<__ / ヽ
/ /  ̄ ̄  ̄ ヘ
庭に桜を植えると家人に色狂いが出ると言うらしい
続・夏目友人帳DVD5巻、藤原家の庭に桜が…!
誰が色狂いに該当するのか真面目に考えてしまったw
意表をついて夏目レイコ
乗り遅れたけど
委員長は転校先で時雨様と再会して逆レイプってなのが読みたいです
久しぶりに来たらこんなに栄えてるw
夏タキハイイネ
専ブラの調子が悪くて新着が表示されなかったので
いつのまにか新作どっさり増えてて嬉しい
職人さん乙です
ニャンコ(レイコ)とあとヒノエのせつなさに萌えた
gj
ご馳走様でした
読んでいただいて感謝です!
まだ他の職人さんはいらしていないようなので
斑×レイコ エロあり投下します
『遠い約束』
―その壱―
──お願いね、斑───
「また泣いているのか、夏目」
閉じた瞳は密な睫毛に隠され、涙はその隙間にぽつりと現れる。それは見る間につうと頬に流れては次々に零れ落ちていく。
「夏目。…おい、夏目」
短い手で肩を揺すると、目覚めた夏目がぼんやりと先生を見つめる。
「(レイコと同じ顔なのにこいつはどうしてこうも…)」
───ねえ、そこの妖さん、勝負しましょう。ふふ、決まってるじゃない、暇潰し───
どうしてこうも弱く儚げに見えるのかといつも思う。
「ああ、先生…」
「また泣きおって。冷たいだろうが」
「夢を見て……ごめん」
髪で顔を隠す様に俯く。
先生はふう、と息をはいた。
ふわ、と花の香りが深夜の部屋を満たす。
「まったくお前は世話のやける奴だな」
「…先生?」
「依代の姿ではお前に届かんからな、特別だ」
後で礼をしろよ、そう言って先生は人を模した腕で夏目を抱きしめてやる。
「…何でレイコさんなんだ?」
「そうか、中年が良かったか」
「いや、そうじゃなくて…以前もレイコさんだったから」
夏目の無垢な疑問に先生が答えてやる気になったのはどうしてだろうか。
「少し、昔話に付き合え夏目」
「話?」
「レイコの話さ」
―その弐―
春だったな。森の奥に蓮華草が一面に咲く野原があって──ちょうど川沿いの道によく似た場所だ──私はそこでいつも昼寝をしておった。
「ねえ、斑にお願いがあるんだけれど」
鈴のような声に似合わず、ぶっきらぼうな調子で話しかけてきたのはレイコ。
その頃はすでに挑まれた勝負を断っていたから、まあお互いに気が向けば暇潰しに付き合ってやる様な間柄だった。
「勝負ならせんぞ」
「つれないわねえ、あなたは」
面白そうに笑うレイコは蓮華など霞む程美しかった。妖は美しいものを好むから、恐れられつつも慕われていたのさ。まあ、それだけが理由ではないだろうが。
「人の相手は面倒なんだ」
「へえ、じゃあこのお願いも面倒かしら。私を抱いて?」
見ればレイコは普段通りの薄笑いを浮かべて、その余りにもさっぱりとした物言いに私は呆れたよ。
「…何の冗談だ」
「大真面目よ」
「もっと質が悪い」
「いいの?駄目なの?今決めて頂戴」
「お前な…人が妖に抱いてくれと頼むのは喰ってくれと言うと同じだぞ」
「構わないわ。私は斑が良いの。嫌いな人より好きな妖の方がずっといいじゃない」
人も妖も嫌うレイコが理由もなく口にする事とも思えなくてな、私は試しに聞いてみた。
「……何があった」
「何も。いつもと同じよ。お腹が空いたら食べてもいいわ」
「本気か」
「もちろん」
にこにこと屈託なくレイコは笑って、後ろ手に隠していた物をばっと放り上げた。
ちぎられた蓮華の花がレイコと私にはらはらと散りかかって夢のようだったよ。
「ふふ、お礼よ。あなた花が似合うわ、斑」
「くだらん。何の得にもならんな」
私はそう言って昼寝を続けようとしたが、レイコは諦めない。
「そうね、なら抱いてくれたら約束してあげる」
「約束だと?」
「ええ、何を約束するかは斑が決めていいわ。どう?悪くない取引でしょう?」
レイコが私の鼻先を撫でると、ちぎった花の香とレイコの匂いが何とも言えぬ甘さになって白い指先から漂ってきた。
「…友人帳でも、構わないわよ」
今にして思えばくだらんことかもしれん。ただな、あの時のレイコは、本当のレイコを深く沈めていつも通りの「ふり」をしている様に見えて──そこから掬い上げてやりたくなったのさ。私の独りよがりと言えばそれまでだがな。
「友人帳はいらん。……約束とやらに興味が湧いた」
「じゃあ、お願い聞いてくれるのね」
―その参―
「…どんな男がいい」
私の問いにレイコはああそうか、と合点のいった顔をする。
「斑のままじゃ駄目なのか。…なんでもいいわよ」
「お前は本当に…」
ため息が出たよ。娘にとっての初めての男だぞ、それをあいつは「なんでもいい」だ。
見た目が良いのに越したことはないだろうと、結果、顔はレイコで体は昔に見たどこだかの跡取り息子を模して化けた。
思えば──お前そっくりなのが出来たな。
「なあに、それ。私と同じ顔じゃない」
興味深げにレイコは私の顔を覗き込む姿が珍しく隙だらけだった。だからそのまま抱きすくめたら、レイコの白い頬は見たこともないくらい朱に染まってな。
「可愛いところもあるじゃないか」
「なによ、斑のくせに」
強がっても体は微かに震えていて、それが何故か──そうだな、わかっていたよ。私はレイコがいとおしかったんだ。
「ここからは艶っぽい話になるが、聞くか?」
「ああ。…レイコさんの話だから」
真摯に答える夏目をちらりと見やり先生はまた過去を語る。
服を脱がしてやりたかったが生憎どこをどうするかわからなくてな、手間取っていたら立ち上がったレイコは自分で脱ぎ始めた。
これがまたらしくて、何の躊躇いもなく一気に全裸さ。
草の緑と蓮華の紅とレイコの透き通った白い裸体と、その凄まじい様な情景は今でもはっきりと浮かぶよ。
「少しは恥じらえ」
苦笑する私にレイコはさらりと返す。
「どうせ脱ぐのに勿体ぶってても仕方ないわ」
「情緒のない奴だ」
「あら、斑は人を食べる時にいちいち情緒とやらを気にするの?」
「…一糸纏わぬ姿で憎まれ口とは気の強い」
小憎らしいレイコを私は草の上に押し倒し、唇をふさいでやった。
そのあたたかさと甘美な匂い──強い妖力のせいかもしれんが──に頭の芯が麻痺する思いだった。
―その四―
舌を絡めてやると物怖じすることなく返してくるのがまたレイコらしくてな。
とろりとしたその唾液は美味で、私は貪るように吸ったよ。
息苦しさで離れるとレイコも息を弾ませていた。ほんのりと薄紅色に上気した肌が美しかった。
「気持ち、いいのね」
「そうか」
次は白く滑らかな乳房を吸った。
「あんっ」
軽く舌先でつつくだけでもレイコは声をあげてな、人の娘とは随分感度が良いものだと思った。
お前もそう思うだろう?──どうした、顔が赤いぞ。
左の指先で右の乳房の先端を摘み、円を描く様に撫でる。口に含んだもう片方は唇と舌で挟んでゆっくりと転がすと、すべての動きに反応してレイコの体が震えた。
「あ…あっ…」
普段の勝ち気な声からは想像がつかない切なげな喘ぎと、目をつぶり陶器に似た頤を逸らして快感に悶える姿はなんとも艶めかしかった。
あれを妖艶と言うんだろうな。
左手はそのまま愛撫を続けて、右手でつるつると滑らかな手触りのレイコの片足を持ち上げ、爪先からゆっくりと舌で舐めていった。
きめ細かな肌に陽の光が反射するのがやけに蠱惑的でな。
「な…にするの…斑」
「いくらお前でも準備が必要だろう」
両足を押し広げ、『人』も触れたことのないであろう秘所を露にすると、レイコが軽く首を振りいやいやをした。さらさらとした髪が草と蓮華の上に乱れ散る。
「嫌なら止めるか?」
「……いいえ、続けて」
腕は頭の横に投げ出し、顔は私から背けたままでレイコは答えた。
柔らかい茂みに舌を沿わせ、襞の間にそっと差し入れる。
「ひあっ」
レイコが悲鳴を上げた。
しっとりと濡れ始めていたそこは柔らかく、レイコの百合の花の様な甘い匂いが一層強く満ちていた。
舌をゆっくり上下に動かしとろりと濃い蜜を舐めとると、またじわりと溢れ出してくる。
たっぷりと濡れた襞の隙間まで丁寧に舌を這わせ、小さな突起を唇の先で含んで突くように転がした。
「は…っあ……」
悲鳴は徐々に喘ぎに変わって、私の舌の動きに合わせてレイコの体もそこもひくひくと震える。
「あっ…はあっ…んっ…」
舌を奥まで差し込むとちゅぷ、と音を立てて更に粘度を増した液体が流れ、レイコの喘ぎは絶え間なく続いた。
―その伍―
「そろそろ、良いな」
濡れた唇を舐め私が言うと、レイコは一瞬体を硬くする。しっかりと抱いてやると薄らと汗ばんだ肌と肌が合わさり、柔らかな乳房は吸いつくようだった。
「恐いか」
抱いたまま、乱れてなお艶やかな髪を撫でてやる。
「…斑だから平気」
「随分と嬉しいことを言ってくれる」
快感に肩で息をしつつも気丈なさまが可愛らしくてな、軽く口づけた。
既に固くなっていた自身を支え、ゆっくりとレイコの中に挿入る。時間をかけて解しておいたせいか、思ったより抵抗はないが、レイコは痛みをこらえ美麗な顔を歪ませる。
「辛いな、少しの辛抱だ」
声も出せずに微かに頷くのが今にも消えてしまいそうに儚げで、知らず知らず抱く腕に力がこもったよ。
ゆっくりと、少しずつ動くとレイコの中も馴染み始め、苦しげな表情が緩んできた。鮮やかな紅唇からは吐息が漏れる。
「は…っ……あっ」
「可愛いな、レイコ。人にしておくのは勿体ない」
お前は本当に美しい、そう囁く私を潤んだ瞳で見つめてくる。長い睫毛を雨露の様な涙が飾って、淡い色の瞳が空の蒼を映してな、それはそれは綺麗だった。
動きを早めるとレイコの吐息は甘やかな喘ぎに変わった。
「あんっ…んっ…」
抜けるように白い肌が内側から桜色に染まっていくのをずっと眺めていたかったが、初めての娘にそれも酷だろう。
「レイコ、終いだ」
「は……斑っ…斑…」
くずおれそうになる華奢な体を支え、私はレイコの中で果てた。
そのまま眠ったレイコは日暮れの頃に目を覚まして、妖の姿に戻っていた私の鼻先を撫でた。
「女の子を裸のままにしておいて、先に戻るなんてずるいわ」
「喰われなかったのを感謝しろ」
寒いだろうと包んでやっていた優しい私に向かってその言い草だ、本当にあいつはひどい娘だろう。
頬を染めてくすくすと満足そうに笑って服を着終えると、レイコは私の顔に両手を添えて囁いた。
「約束、忘れないでね」
夕陽をたたえて煌めく瞳で私をじっと見つめ、花開くように微笑むと身を翻し手を振って走っていった。
「じゃあ、またね斑」
「…本当に勝手な奴だ」
私は後ろ姿を見送りながら思ったよ。
レイコがぱたりと来なくなるまで、それから何度逢っただろうな。
レイコがあんな様子だったのは後にも先にも一度きりだった。何があったのかは今でもわからんよ。