スクールデイズの分岐ルートを考えるスレ part7

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216世界再び
随分お久しぶりです。

久々のいたるSSを投下します。
今回はいたると子犬の続編です。
217世界再び:2009/01/25(日) 23:07:51 ID:MtjWiNty
桂家にて。

「(もしもしいたる?実はちょっと頼みがあってさあ。)」
「何?」
「(また世界預かって欲しくてさあ。庭先に繋いどいたからよろしくね。)」
「こ・こら!そんなとこ繋がれても困る!私は今そこに住んでないんだから!」
「(そうだっけっ!?表札同じだから置いてきちゃったよ。
 じゃあ今から回収に行く。)」
いたるはちらっと時計を見た。
そろそろ例のやつが帰ってくる時間だった。
「ちょっと待って!私が行くから!」
いたるは友人の身にもしもの事があるとまずいので慌てて止めた。
「今回は私が回収するから次からは先に言ってよ。」
「(ごめんね。今回は一日だけで良いから。)」
218世界再び:2009/01/25(日) 23:08:50 ID:MtjWiNty
沢越家付近の路上にて。


「いたるちゃん、家の前に行っても良いんだよ?」
運転席で心が言った。
「それは絶対やめて!」
犬が繋がれている家から200メートル位離れた場所でいたるは車を降りて
かつて自分が住んでいた家に向かった。
そして家に辿り着くと庭先に2周りほど大きくなった世界が繋がれていた。
いたるは周りを見回して危険人物の不在を確かめると
さっさと世界を連れてその場を後にした。


桂家にて。


「やっぱり可愛いね。」
心が世界の頭を撫でながらそういった。
世界も嬉しそうに心を見上げている。
「うん。この子人懐っこいから余計そう感じるよね。」
「うちでも犬飼いたいけど毎日の世話って大変そうだもんなあ。」
心は心底残念そうだった。

「所で今週はお兄ちゃんとお姉さんがここに来る予定は無いんだよね?」
「うん。」
「前はこの子の名前が原因でお姉さんに随分悲しい思いさせちゃったからなあ。」
「お姉ちゃん達の反応も不思議だったけど
 世界って珍しい名前だよね?誰がつけたんだろ・・」
「そうだね。明日飼い主に聞いてみるね。」
219世界再び:2009/01/25(日) 23:09:41 ID:MtjWiNty
翌日夕方飼い主宅の庭先で。


桂家で一日過ごした後、世界は飼い主に無事返された。
やはり飼い主が一番なのだろう、
世界は尻尾を千切れんばかりに振って甘えていた。
そこでいたるは気になった事を聞いてみた。
「所でさあ。」
「何?」
「その子の名前なんだけど何で世界ってつけたの?」
「お母さんの知り合いの人の娘さんの名前なんだって。
 覚えやすいからそのままつけちゃった。」
「その娘さん今も元気なの?」
「これはこの子に名前をつけた後で知ったんだけどね。
 私たちと同じ位の年のクリスマスに行方不明になっちゃったんだって。」
「え!?」
「同じクラスの男の子を巡って他の娘と争いになってたらしくてね。
 それが原因じゃないかって・・・」
「その娘さんって今は・・・・」
「私もそれ以上は知らないんだ。」
「そう・・でもそんな由来の名前をよく今もつけてるね。」
「この子がもう他の名前に反応しないからね。」

帰り道にて。

桂家に帰りながらいたるは思った。
『他の娘ってお姉さんで男の子はお兄ちゃんだよね。
 それにしても行方不明なんて・・・・・
 この事は心お姉ちゃんには言えないな。』
220世界再び:2009/01/25(日) 23:10:31 ID:MtjWiNty
いたるの帰宅直後再び飼い主宅にて。

飼い主が世界の頭を撫でていると
「どうも。また世界ちゃん撫でてもいいかな?」
と若い女性がいたると入れ替わるようなタイミングで庭先に来ていた。
「ええどうぞ。」
世界はその女性とは顔見知りらしく両前足を上げて歓迎していた。
その女性は20代半ばくらいの美人だった。
「さっきの娘ってお友達?」
「ええ。昨日この子を預かってもらってたんです。」
「・・・誠・・・・」
女性はポツリと言った。
「え?なんですか?」
「ううん。何でもないの。」
そういった後女性は薄笑いを浮かべて世界を撫でていた。

End