【ととモノ。】剣と魔法と学園モノ。2【エロパロ】

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363桐漱:2008/11/27(木) 23:38:59 ID:jSkx87U7
 それを聞いて突然バカ笑いをするバーナードさん。当然、私は放っておけるはずがない。いきなり馬鹿にされればいかに温厚な私とて怒る。
「わ、笑うな!」
「はっはっはっはっ‥‥いやはや、コイツが自分をミスターX何て呼ぶなんてな。それで納得する嬢ちゃんも最高だ」
「うっ‥‥別に納得なんかしてない‥‥」
「まぁいい。で、何から教えて欲しい?」
 そう言われて私は少し考えて呟く。
「名前‥‥」
 自然と私はそれを口に出していた。でも今考えれば当然。私だけ自己紹介してこれじゃあ不公平だ。
「名前を知りたい。アイツの本名は‥‥?」
「‥‥嬢ちゃん。それだけはダメだ」
 バーナードさんは真剣な顔をしながら顔を横に振る。
「え‥‥? 何で?」
「人には知られたくないモノがある。過去、出生、親族‥‥。そういった内に入るんだよ。アイツの名前は」
「そんな‥‥」
――あんないつもヘラヘラしているアイツが‥‥。
 私は驚きを隠せなかった。
「その代わりにと言っちゃあ何だが、アイツの学校生活を教えてやろう」
「え?」
「こう見えてもつい一年程前までバルタスクに居たんでな。アイツの恥ずかしい話の一つや二つ知っているとも」
「‥‥へぇ」
 私は少し広角をつり上げ笑う。その顔はさながらお代官か越後屋の笑いのようだろう。
「じゃあおじさん、教えて」
「いいぜ。だが!」
「?」
「俺は『おじさん』じゃなく『おじさま』、だ」
「人の心を盗んだことは?」
「俺の妻の心なら」
「じゃあ手から旗は?」
「子供にやってあげた」
「渋い刑事に追われたことは?」
「それは‥‥ない」
「そ、じゃあおじさん。教えて」
 
「俺の肉っ!」
「おはようさん。ミスター」
 時間にして一時間ぐらいしてアイツは起きた。
「あれっ? 肉は?」
「ないよ。寝ぼけてんなら顔を洗ってきな」
「おはよう」
 アイツとバーナードさんのやり取りを見ながら遅れて私は挨拶する。
「よぉユーリ。おはよう」
「うん、良い目覚めみたいだね」
 私はニコニコしながらアイツに近付いく。その笑みに何か危険を感じたのかアイツはゆっくりと後ずさる。ふふふ、本当に分かりやすい奴だ。
「ん〜? どうしたのかな〜?」
「い、いやぁ〜何かいやーな予感がしてねぇ‥‥」
 そう言うアイツの顔は笑顔こそすれひきつっており、対して私の笑顔はどこか黒い影がちらちらと見えただろうに。
364桐漱:2008/11/27(木) 23:40:42 ID:jSkx87U7
「別に何もしないわよ。それは置いといて、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「何かな?」
「アナタを襲ったバハムーンは今も元気?」
「ふんもぉ!?」
 聞いて体を凄まじい勢いで硬直するアイツはなかなか滑稽だった。その顔には嫌な汗がびっしりと浮かんでいて、私は笑いをこらえるので精一杯だった。
「ばばばばばばばバーナードぉ!」
「ははは、いやー良かったな。あの時たまたま誰か来て」
「黙れっ! 俺はあの日以来トイレはトラウマでいつもビクビクしてんだぞ!?」
「ふふふ、面白いそうねぇ」
「だから笑うなぁ!」
 本当、面白い。いつ以来だろうか。こうして笑ったの‥‥。そういう点ではコイツに感謝しなきゃ‥‥。癪だけど。
「えっと‥‥ミスターX?」
 私はなるべく自然に言う。
「俺の嫌いなのはホモと男の――え? 何か言った?」
 アイツは呼ぶ声に応じた。
「いい? 一回しか言わないからよーく聞いてなさい」
「お、おう」
 うぅ‥‥ありがとうって言うだけで何でこんなに緊張するんだろ。よし、何か変なこと言ったら一発殴らせてもらおう。「あの、あ――」
「お、ユーリじゃねぇか」
 絶好の悪いタイミングで割り込んできたのは、私の人生で出会った人物中、最悪の奴だった。
   続く。
365桐漱:2008/11/27(木) 23:47:27 ID:jSkx87U7
 はい、短いけどこれで今日の分は終わり。続きは結構先になるのかな。まぁ、我慢してください。
 ところで、シリアスシーンにパロディネタやら何やら持ってくんのはこのスレ的には有りなのかな? 結構使うので駄目だったら言ってくれると嬉しい。
 ‥‥まぁ、もうナイスガイバハネタは使ってしまったけど。作者さん、後からですが使ってしまいました。大丈夫でしたら言って下さるとホッとします。
 では、またどこかで会いましょうノシ
366名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:52:39 ID:Uf/3I3jp
いや…人様のネタを使うのは大丈夫じゃないだろ…
367桐漱:2008/11/27(木) 23:54:43 ID:jSkx87U7
>337さんへ
 ぐはっ! 本当だ。いやそこは空白入れようとしたのですがすっかり忘れてました。反省してます。
 以後、気をつけますのでぬるま湯ぐらいの生暖かい眼とたまに八十℃ぐらいの熱湯をかけて下さい。多分それで私は目が覚めますので。
 
P.S:脳内訂正を頼みます。
×:三度→○:三℃
です。すいません。
368名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 15:33:03 ID:I1imxoiR
>>357
ヒント:ギラギラ
369 ◆BEO9EFkUEQ :2008/11/29(土) 20:31:10 ID:0kRoYUAL
>>365
先に結論から言っておくと、俺はそんなに気にしない。が、老婆心ながら多少の苦言を呈しておこうかと。
人によっては、自分の作品を他人に使われることに、強い嫌悪感を抱く人もいる。そうでなくても、勝手に解釈を変えられて
使われたりしようものなら、大抵の人は嫌悪感を覚えるかと。一応言っておくと、、今回のことではないです。
悪く取ることはいくらでもできる。今回のケースなら『今更ダメと言ったところで、もう使ってるじゃねえか』と言える。
あるいは『今ダメと言ったら作品自体を潰してしまうから、ダメといえない』という状況に追い込もうとしてるようにも取れる。
そういった無用のトラブルを避けるためにも、他の人のキャラ使いたい場合は先に了解取っておいた方がよろしいかと。
少しきつい事書いたんで、雰囲気悪くなったらごめんよ…。

まあ、あれだ。うちの衆道士はケツの穴が小さいことは言わないからご自由にw
370 ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:51:27 ID:UFb8QxcD
例によって、続き投下しようと思います。
ちなみに今回も本番がありません。二週連続でややエロ薄ですが、楽しんでいただければ幸いです。
371a Lost…第三章(1/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:54:25 ID:UFb8QxcD
フェアリーは焦っていた。
元々、ヒューマンという種族に対しては強い憧れを抱いていた。今回加入した仲間は、その憧れの的であるヒューマン。しかも男。
その上、彼は非常に渋く、弓を放てば狙いを外さず、剣と盾でも戦士に劣らない活躍を見せ、罠の解除や扉の開錠までもこなし、
口を開けばウィットに富んだ言葉が溢れ出す。
かなり美化された主観が入っているにしろ、フェアリーは本気でそう思っている。そう思っていれば、ただでさえ憧れ補正のかかる彼女が、
本気で彼に惚れるのも無理はない。
だが、あまりに完璧すぎる相手であるが故、軽々しく恋だの愛だのという言葉を言えなかった。フェアリーは平凡な魔術師でしかなく、
これといって特別なこともできない。そんな自分が、彼に釣り合うとはとても思えず、せいぜい自分にできる精一杯の援護をする
ことでしか、その感情を表現できなかった。
ところが、である。まず、エルフの様子がおかしくなった。ヒューマンに対して意味ありげな視線を送り、目が合うと意味ありげな
微笑みを返す。その仕草は、明らかに秘密を共有する者の態度だ。何かあったのは間違いない。
次に、セレスティアもおかしくなった。ヒューマンとあまり目を合わそうとせず、しかし彼が見ていなければずっと彼を見つめ、もしも
目が合えば慌てて目を伏せ、顔を赤く染める。そして時に、恥ずかしそうな微笑みを返す。やはり、何かあったのは間違いない。
その何か、というものも、大方の予想がついている。自分の知らないところで何かあったとなれば、それは宿屋でに違いないのだ。
しかも、宿屋に行くのはいつも夜。全員それに気付かなかったとなれば、それは全員が寝静まった真夜中。真夜中に起こる男女間の
出来事など、どう考えても一つしかない。
フェアリーは焦っていた。既に二人が抜け駆けをしているのだ。それだけでなく、彼を好きなのが自分だけではなかったのだ。
好きになってもらおうなどと、おこがましいことは思わない。しかし、何とか彼の心の中に、自分も入り込みたかった。その手段となると、
やはり体を許すことしか思いつかない。だがしかし、あのヒューマンに、そんなことで自分を覚えてもらおうなどというのは、大変失礼な
気もする。どう考えても堂々巡りになってしまい、それがまたフェアリーを焦らせるのだった。

そんなこととは露知らず、一行はラーク地下道をいつも通りに進んでいる。だが、ただでさえ実力不足の一行では、この地下道の強さは
手に余るものだった。それでも、主にヒューマンの功績で何とか進むことはでき、また手に入るアイテムもそれなりに高価な物が多く、
セレスティアは太陽の石を、フェルパーは白刀秋水を手に入れ、二人とも上機嫌である。
「さすが、白刀秋水ね。よく切れるわ。」
「わたくしも、いい物いただきました。これで、少しは戦闘に貢献できますね。」
「羨ましいな。私にも、いい物が出るといいんだが。」
「それじゃあ、今回は逞しいお嬢さんの武器が出るよう、祈っておくか。」
そう言い、銀の宝箱を調べるヒューマン。以前いたクラッズよりも手つきは慣れているが、さすがに本業ではないからか、どことなく
危なげに見える。しばらく調べてから、ヒューマンはふーっと紫煙を吐き出した。
「うん……スタンガスの可能性があるな。悪いが、みんな少し離れててくれ。」
こんなところで麻痺しては、たまったものではない。ヒューマンの言葉に、全員が一斉に距離を取る。
「気をつけてくださいね?」
「なぁに。俺が麻痺したところで、お嬢さんに回復してもらえば……うおっ!?」
「きゃあ!?」
シューッという凄まじい音と共に、宝箱から煙が巻き起こった。それを見た瞬間、全員一斉に体を伏せる。が、煙はそれ以上広がる
ことなく、やがて薄れ、消えていった。
恐る恐る顔を上げると、尻餅をついたヒューマンが恥ずかしそうに頭を掻いた。
「いやぁ、参った。悪魔の呪いだったようだな。はっはっは……ゴホッ!」
「ヒューマン、大丈夫!?」
誰よりも早く、フェアリーが一目散に駆け寄る。その速さは、戦闘での攻撃や逃走のときよりずっと速い。
「ああ、別に…。」
「ダメだよぉ!だって、あれ危ないんだよ!?僧侶魔法でも、私の魔法でも回復できないし、それにそれに……あ、セレスティア、太陽の
石持ってたよねぇ!?あれ使って…。」
「いや、お嬢さん。少し落ち着こうか?」
苦笑いを浮かべながら、ヒューマンはフェアリーの頭を優しく撫でる。
372a Lost…第三章(2/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:55:42 ID:UFb8QxcD
「悪魔の呪いなぞ、致命的なもんじゃあない。それに、あの美しいお嬢さんの武器を奪っては、俺の心が痛む。」
太陽の石を握り締め、ものすごく複雑な顔をしていたセレスティアは、申し訳なさそうに安堵の息をついた。
「それより、被害が俺だけであったことを、喜んでくれ。」
言いながら、ヒューマンは笑みを浮かべた。やはり少しは気になるのか、どことなく暗い感じのする笑みだった。
「さて、それで中身は……っと。」
ヒューマンは宝箱の中に手を突っ込む。その姿に、やはりフェアリーは感動していた。被害にあった自分のことより、パーティに被害が
なかったことを喜ぶヒューマン。そして何事もなかったかのように、こうして宝箱を漁り始めている。素晴らしい人間だと、フェアリーは
うっとりとした目でそれを眺める。
「……うん?これは素材、こっちは剣、か。」
「む、剣だと?それは聞き捨てならない。早く鑑定しろ。」
「『鑑定しろ』とは、ずいぶん偉そうな言い方ですわね。魔力を使ってまで鑑定してくださるんだから、少しは感謝の気持ちを持っては
どうなんですの?」
エルフに食って掛かられ、バハムーンは気まずそうに目を逸らした。それでも謝罪の言葉がない辺り、頑固さがよく表われている。
「まあまあ、喧嘩はしなさんな。司祭や錬金術師がいない以上、鑑定も俺の仕事さ。」
剣を手に取り、意識を集中するヒューマン。やがて目を開けると、バハムーンに同情的な視線を送った。
「……残念、タルワールだな。」
「ちっ、もっとまともな武器にしろというんだ。」
そのヒューマンを責めるような口ぶりに、フェアリーの眉がグッと吊り上がる。
「ヒューマンのせいじゃないでしょー!?ヒューマンはただ鑑定しただけなんだからー!」
「そうですわ。恨むのなら、それを持っていたモンスターを恨むべきですわ。」
「ヒューマンの方が嫌いなのはわかりますけど、今のはダメですよ。」
「そうね。今のはさすがに、ただの言いがかりよ。」
ヒューマン以外の四人から一気に責められ、バハムーンは困惑しきった顔で一行を見回す。ヒューマンは呆れたように笑うと、
バハムーンに対してさらに同情的な視線を送る。
「心中、お察しするよ。」
「う、うるさいっ!貴様なんぞに同情なんか、されたくないっ!」
こういうところも、フェアリーの目には非常に好意的に映っている。自分に対して言いがかりをつけてきた相手に対しても、
気を使うことができる人間。まさしく理想的な男性だと、フェアリーはうっとりしてしまう。
結局のところ、フェアリーはヒューマンが何をしようとうっとりしているのだが。
「ま、次はきっといい物が出るさ。」
「慰めなんか結構だっ!ふんっ、いい物なんか出なくたって、今の剣でも十分やっていけるっ!」
そう言って肩に担ぐのは、ツヴァイハンダーである。力不足なのは、一見して明らかだ。
「何なら、お嬢さん。俺の黒曜石の剣でも使うかい?」
「む……い、いや、ふざけるな!誰が、貴様のようなヒューマンが使っていた剣など!」
「そうか……だが、一瞬迷わなかったか?」
「うるさい黙れ!やかましい!」
「バハムーンさん、無理しちゃダメですよ。」
「そうよ。あなただって、もっと強くなりたいでしょう?」
「う、う〜ん……いや、いい!ヒューマンなんかのお下がりなぞ、使いたくもない!」
「はっはっは。なら、気が変わったらいつでも言ってくれ。」
楽しそうに笑うヒューマン。バハムーンは強がりつつも、たまにヒューマンが腰に下げる鞘を名残惜しそうに見ている。とはいえ、
今回は頑固さが勝ったらしく、結局バハムーンがヒューマンの剣を使うことはなかった。
その後も順調に進行を続け、ほとんどヒューマンに頼りきりではあったものの、数々の戦闘を潜り抜けるうち、他の面々も急激に力を
つけていた。それに加え、ぽつぽつと手に入る装備により、さらに戦力を増していく。
373a Lost…第三章(3/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:56:46 ID:UFb8QxcD
やがて、地下道中央を抜け、さらにいくつかのエリアを通り抜ける。強くなっていた敵がだんだんと弱くなり、そしてついに
ゲートではなく、地下道出入り口が見え始めた。
「見て、あれ!とうとう出口よ!」
「うわぁ……私達、やったんだね!」
フェルパーとフェアリーが弾んだ声を出し、エルフとセレスティアも手を取り合って喜んでいる。
「だが待て、気を抜くな。最後の一歩まで気を抜かないことが、探索の基本だろう?」
「さすがだな、逞しいお嬢さん。君はいい冒険家になる。」
一瞬、褒められて気を良くしたものの、相手がヒューマンだと知るや否や、途端に不機嫌そうな顔になった。
「うるさいな!貴様なぞに褒められても、嬉しくもない!」
「はっはっは、それはすまなかった。だがまあ、特に他意があるわけでもなし。つまらん野郎の言葉ではあるが、受け取っておいてくれ。」
「……ふん!」
「まあまあ。せっかく、憧れの空への門に行けるんだから、喧嘩しないの。ね?」
フェルパーが優しい声で言うと、バハムーンは不機嫌そうな顔をしながらも頷いた。ヒューマンは相変わらず、楽しそうに笑いながら、
それを眺めている。
地下道から出ると、辺りは真っ暗だった。朝早くに出たのだが、予想以上の苦戦のため、結局夜になってしまったらしい。が、それでも
空への門には違いない。最初に、そこの違いに気付いたのはフェアリーだった。
「うわ、何かすごく飛びにくいよー。」
いつもよりかなり多く羽ばたかないと、体を浮かせることができない。セレスティアも翼を広げ、一度羽ばたいてみる。
「……あ、本当ですね。空気薄いんでしょうか。」
「わぁ……空は満点の星空、ですわ。まさに、宝石を散りばめたよう。詩の一つでも、作りたくなりますわ。」
エルフはいかにもエルフらしく、空を見上げていた。確かに、空には雲一つなく、いくつもの星が瞬いている。月は既に沈み、そのため
普段は見えないような星すら、瞬いて見える。
「しかし、寒いな。尻尾と羽が固まってしまいそうだ。」
そう言うバハムーンは、動かしにくそうに尻尾を揺らめかせている。やはり、気温が低いと影響があるらしい。
フェルパーのみ、きょろきょろと辺りを見回している。やがて、ほうっと息をつき、静かな声を出した。
「すごいわ、ここ…。あたり一面、雲ばっかり。」
「え、蜘蛛!?」
「違う違う。雲よ、雲。空にある雲。」
そうは言われても、辺りは真っ暗なので見えるわけがない。どうやらフェルパーには見えているらしいが、他の面子ではエルフが辛うじて
それを確認できる程度である。
「確かに……雲が、足より下にありますわね。」
「えー、いいなあ二人とも。私も見たーい。」
フェアリーは地面に降り、トコトコと端の方へ歩いていく。その体が、急にひょいっと持ち上げられた。
「危ないぞ、小さなお嬢さん。」
「あ、ヒューマン…。」
当たり前のように肩に乗せられ、フェアリーは顔を真っ赤にした。まさか、こんなところでこんな嬉しい状況になるとは、予想だに
しなかった。
「お嬢さん方。とりあえず、ここの散策は明日にしないかい?ここまでたどり着けば、あとはいつでも見られる景色さ。」
「それもそうね。それじゃ、明日みんなで見ましょうか。」
「そうですね。……わたくし、明日がこんなに楽しみなの、初めてです。」
そう言って笑うセレスティア。だが、そんな彼女を笑う者はいない。それはみんな、同じ気持ちだった。唯一違う気持ちだったのは、
ヒューマンの肩で満面の笑みを浮かべる、フェアリーのみである。空への門に来られたことも、明日になればここをじっくり見られるのも、
今のフェアリーにはどうでもよかった。彼女はただ、ヒューマンの肩にいられる幸せを噛み締めていた。
同時に、フェアリーの心も少しずつ固まってきた。自分を抱き上げた、大きな手。優しい笑顔。
この際、自分が覚えてもらえるかどうかはどうでもいい。ただ、それらをひと時だけでもいいから、独り占めにしたかった。
ヒューマンの首に掴まりながら、人知れず、フェアリーの決心は固く結ばれていた。
374a Lost…第三章(4/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:57:37 ID:UFb8QxcD
初めての場所故に、宿屋を探すのには少し手間取ったものの、特に問題なく宿泊手続きを済ませる一行。さすがにここまで来ると、他の
生徒の姿もほとんどなく、一行を抜かせば、辛うじて二桁に届く人数が泊まっているだけである。
ヒューマンは例によって、一人でのんびりと寝ている。ただ、眠っているというわけではなく、単に寝転がっているだけである。
宿屋の柱時計が、一回鐘を打った。それからしばらくして、部屋のドアがノックされる。
「……二度ある事は三度ある、か。」
呆れ笑いを浮かべながら呟くと、ヒューマンは体を起こした。
「誰だい?」
「私ー。入ってもいーい?」
「ああ、どうぞ。」
鍵を開けてやると、フェアリーは微妙に視線を逸らしつつ、部屋に入ってきた。
「どうしたんだい、こんな夜中に?」
「ん〜……エルフとかセレスティアと、同じかな〜。」
「ふ〜、やっぱりね。」
バツが悪そうに頭を掻きつつ、ヒューマンはベッドに座った。フェアリーは至って自然な動作で、その隣に座る。
「だがね、お嬢さん。俺は、君が思うほどにいい男ではないし…。」
「そんな事ないよ!他のヒューマンと比べても、すっごくいい人だよ!」
「はは、それはありがとうな。だが、買い被り過ぎさ。本当にいい奴なら、好きでもない女の子を抱いたりはしない。」
「それはだって、あれじゃない。えーと、向こうが言ってきたんだし。」
「お気遣い、感謝するよ。」
言いながら軽いウィンクを送るヒューマン。それだけでも、フェアリーは躍り上がりたいほど嬉しい気分になる。
「だがねぇ……わかるだろう?俺は、君が俺を思う気持ちに応えてやれるほどに、君を好きになってはやれない。」
「それでも……いいの。私は、ヒューマンが好きなの。この際ね、ヒューマンが私をどう思ってるかなんて、どうでもいいから…。」
「はっきり言ったね、お嬢さん…。」
「だから、お願い!私のこと、抱いて!エルフとかセレスティアにしたみたいに、私のこと抱いてほしいの!」
その目は、一種思いつめたような強い思いが宿っていた。さすがにそんな目をされては、断るわけにもいかない。
「……本当に、君はそれでいいのかい?」
「いいの。片思いでも何でも、それでも私はヒューマンが好き。ヒューマンが私のこと、好きになってくれなくたって……私は、好き。」
「ある意味、君はあの美しいお嬢さんより純粋だねぇ…。」
仕方ない、というように、ヒューマンはフェアリーを抱き寄せる。一瞬驚いた顔をしたものの、フェアリーは嬉しそうに微笑んだ。
「後悔、しないね?」
「ここで帰っちゃう方が、ずっと後悔するもん。」
返答としては十分だった。ヒューマンはフェアリーの制服に手を掛ける。と同時に、フェアリーもヒューマンのズボンに手を掛けていた。
フェアリーの上着が脱がされる。フェアリーは袖から腕を抜くと、ヒューマンのベルトを外し、ズボンをグッと引き下げる。
「私、頑張るから。ヒューマンのこと、いっぱい気持ちよくしてあげるから。」
「そうか。それじゃ、俺も負けられないな。」
「負けていいのー!」
やがて、フェアリーは一糸纏わぬ姿となり、ヒューマンも下半身を露出させる。フェアリーは初めて見たそれに、驚きを隠しきれない。
「わぁ……こんな大きいんだ…。」
「いや、お嬢さんが小さいんだ。」
「ん〜、これじゃ入れられないよぉ…。」
実際、フェアリーは同種族の中でもかなり小柄である。その身長は、30センチを僅かに上回る程度だ。
「でも、頑張るね。」
「無理はしないようにな。」
375a Lost…第三章(5/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:58:30 ID:UFb8QxcD
ヒューマンの足の間に入り込むと、フェアリーは彼のモノを両手で抱きかかえるように掴む。そして全身を使い、ゆっくりと扱き始める。
「んっしょ…!ね、ねえ、気持ちいい?」
「ああ、悪くない。」
「よかったー。えへへ、頑張るね。」
嬉しそうな笑顔を浮かべ、小さな体をいっぱいに使って頑張るフェアリー。その健気な姿が、ヒューマンにはとても微笑ましく、また
魅力的に映る。
徐々に大きく、硬くなるそれに、フェアリーは目を見張った。
「すごい……熱いし、硬い…。」
うっとりした声で呟くと、フェアリーはさらに力を入れて扱き上げる。さらに、ちょうど先端が口元に来るようになったため、舌も使って
刺激し始める。亀頭全体を丁寧に舐め、時々鈴口を突付くように刺激し、裏筋をなぞる。全体的に小さいため、刺激としては些か
物足りないものがあるのだが、逆にそれが程よく欲求を刺激する。
「なかなか、いいよ。」
「ほんと!?嬉しいな、もっとしてあげたいけど…。」
フェアリーはちょっと体を離し、自分の平坦な胸を見つめた。そして、もう一度ヒューマンのモノに抱きつくと、その薄い胸を必死に
寄せ、ヒューマンのそれを挟もうとしてみる。元々のサイズが違いすぎる上、胸の大きさも絶望的に足りないため、どうあがいても
無理な話なのだが、フェアリー自身は必死である。その気持ちはよくわかるため、ヒューマンは苦笑いしつつも、声はかけなかった。
実質、今までとほとんど変わらない奉仕を再開するフェアリー。が、不意にヒューマンの手がフェアリーの股間に伸びる。
「あっ!?」
「君ばかりにさせていては悪いからね。俺からもお返しだ。」
優しく、そこを撫で始めるヒューマン。憧れの彼から愛撫を受けているという事実が、フェアリーの快感を一気に高める。
「うあっ、んっ!わ、私が気持ちよくさせてあげるのぉ…!」
「まあ、そう言いなさんな。こういうのはお互い様さ。」
もう既に、フェアリーのそこはすっかり濡れている。その足はガクガクと震え、今にも崩れ落ちそうに見えるが、それでもフェアリーは
足を踏ん張り、ヒューマンへの奉仕を続ける。そのいじらしい姿が、とても可愛らしい。
突然、フェアリーの腰が持ち上げられた。驚く間もなく、ヒューマンの舌がフェアリーの中に入り込む。
「きゃあっ!やっ、あぁ!こんな……こんな、すごいぃ…!」
今までよりはるかに強い快感に、フェアリーの体がガクガクと震える。だが、それでもフェアリーは何とか身をよじり、ヒューマンの
モノにしがみつき、再び舌を這わせる。
フェアリーの秘所が既に濡れているように、ヒューマンのモノからもじわじわと透明な液体が染み出している。自分の奉仕で気持ち良く
なってくれているのだと、はっきりわかり、フェアリーはさらに丁寧に舐め始める。が、ヒューマンから受け続ける刺激に、先に自身が
限界になってしまいそうだった。
「んうぅ……ね、ねえ、ヒューマン……ちょっと、待ってぇ…!」
「ん、どうしたお嬢さん?」
体を解放すると、フェアリーは一度深い息をつき、ぐったりと横たわった。が、すぐに体を起こし、ヒューマンの顔を潤んだ目で見つめる。
「あの……ね?お願いが、あるの。」
「何だい?」
「えっと…。」
その言葉を言う前に、フェアリーは二度、大きな深呼吸をした。そして、強い決意の宿る目で、ヒューマンの顔を正面から見据えて言った。
「私の初めて……お願い、もらって。」
376a Lost…第三章(6/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:59:17 ID:UFb8QxcD
「これはまた……ずいぶん困ったお願いが来たね。」
本気で困っているらしく、ヒューマンは満面の苦笑いを浮かべている。だが、どうせ拒否はできないのだろうと、すぐに諦めの笑顔になる。
「俺は、君を好きになってやることはできない。それでも、構わないんだね?」
「うん。だって、私が決めたんだもん。好きな人にあげられるんなら、私、後悔しないもん。」
「そうか。なら、君のその気持ち、もらうとしよう。」
ヒューマンの言葉に、フェアリーは笑顔を浮かべ、その体にしがみつく。
そっと、フェアリーの秘所に指を這わせ、指にしっかりと愛液を絡めていく。
「まともにもらってやることもできないが、それでもいいかい?」
「うん……それでも、ヒューマンにあげられることには、変わりないもん。」
「わかった。ゆっくり、リラックスしててくれ。」
指をそっと、フェアリーの秘所に押し当てる。フェアリーはピクッと羽を動かしたが、体は動かさない。むしろ、自分から足を開き、
ヒューマンが挿入するのを助けている。
指先が僅かに、フェアリーの中に入り込む。羽がビクンと動き、フェアリーの顔が歪む。
「大丈夫かい?」
「う……うん、平気。」
「あんまり痛いようなら、言ってくれ。痛い思いは、してもらいたくないからな。」
「うん。でも、大丈夫だから。」
やはり自分を気遣ってくれるヒューマンに、フェアリーは改めてうっとりする。そして、そんな相手に初めてを捧げられることに、
大きな幸せを感じていた。
さらに深く、指が入り込む。フェアリーは唇を噛み、痛みを堪えている。その様子を見て取ると、ヒューマンはもう片方の手で
フェアリーの胸を触った。
「きゃっ!?い、いきなりそんなっ!あんっ!やぁ……イッちゃうから、あんまりしちゃダメぇ…!」
「でも、まだ痛いだろう?」
「だ、大丈夫だからぁ…!う、嬉しいけど…。」
再び強い快感が押し寄せ、フェアリーの痛みが薄れる。いよいよ、ヒューマンの指が中で引っかかる。
「いいかい?」
「……うん。」
「力を抜いて……そう、俺に体を預けるように。よし、いくぞ。」
グッと、ヒューマンが力を入れた。引っかかっていた部分が強引に開かれ、指がさらに深くフェアリーの中にめり込んだ。
「いっ!!!……っく…!」
一瞬叫びそうになったものの、フェアリーは破瓜の痛みにも気丈に耐えている。つぅっと、ヒューマンの指に僅かな血が流れ出る。
「お嬢さん、大丈夫かい?」
「……ん……えへへ、思ったより、痛くなかったよ…。」
僅かに涙が滲んでいるものの、実際血はそんなに出ていないし、思っていたよりはずっと楽に入っている。
「そんなに痛くないし、それに……ヒューマンに、初めてあげられた方が、嬉しくって…。」
「そうか……いい子だ。」
そう言い、頭を撫でてやるヒューマン。フェアリーは嬉しそうに目を細める。
「ね?私も、ヒューマン気持ちよくしてあげる。」
「ん?いや、無理はしなくても…。」
「こういうのはお互い様、なんでしょ?私も、その……初めてなのに、気持ちいいから、さ…。」
恥ずかしそうに言うと、顔を伏せるフェアリー。どうやら嬉しさが苦痛をはるかに上回っているらしく、その苦痛すら、今の彼女には
快感となっているらしい。
「そうか。なら、頼むよ。」
「うんっ!」
377a Lost…第三章(7/7) ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/01(月) 23:59:53 ID:UFb8QxcD
ヒューマンに指を入れられたまま、再びモノを全身で扱き始めるフェアリー。ヒューマンもあまり苦痛を与えないよう、ゆっくりと
指を動かし始める。
「くぅっ、あっ!き、気持ち……いいよぉ…!」
「俺も、気持ちいいよ。」
自身の昂ぶりからか、徐々に強く激しくなるフェアリーの奉仕。そのフェアリーも、それまでに幾度となく刺激を受けていたため、既に
限界が近かった。
「うぅ〜…!わ、私、もうイッちゃうよぉ…!」
「そうか……実は、俺もそろそろまずい。」
少年のような笑みを浮かべるヒューマン。こんな顔することもあるんだなあと、フェアリーはやはりうっとりする。それが、止めになった。
「ご、ごめん!私、先にっ……イッちゃっ……ああぁぁっ!!!」
ヒューマンのモノにしっかりと抱きつき、体を震わせるフェアリー。その刺激が、今度はヒューマンを追い込んでしまう。
「ぐっ……すまん、もう限界だ…!」
「え……きゃっ!?」
突然、顔に熱くてヌルヌルした液体がかけられた。それが何なのかはすぐにわかり、何とか飲んであげようとするのだが、その勢いと量は
フェアリーの手に負えるものではない。そもそも、その味は到底飲めるようなものでもなかった。
「ん……んぐ…!ぶはっ!」
すぐに限界になり、フェアリーはヒューマンのモノに覆い被さるようにし、それを胸で受ける。フェアリーの胸はたちまち白く染まり、
なおも溢れる精液はその体を伝い、フェアリーの全身を汚していく。
やがて、精液が出なくなってから、フェアリーは体を離した。それと同時に、ヒューマンもフェアリーから指を引き抜く。
「んっ!……うぅ〜、今になってちょっと痛いよぉ…。」
「大丈夫かい、お嬢さん?」
心配そうに声をかけつつ、ハンカチを差し出すヒューマン。それを受け取って全身を拭い、口の中に残っていた精液を吐き出すと、
フェアリーはヒューマンの顔を見上げた。
「大丈夫だよ…。それに、痛いけど、幸せ…。」
「そうか。それならいいんだ。」
フェアリーは嬉しそうに微笑むと、制服を着ようとした。が、その体をヒューマンが押さえる。
「ん?なぁに?」
「いや、部屋に帰るつもりかい?」
「んー、だって、部屋から出るの見られたら、色々言われそうだし…。」
「そうか……いや、好きになってやることはできない。しかし、俺は君の初めてを奪ってしまったんだ。だから、せめて今晩くらい、
一緒にいようかと思ったんだが…。」
それを聞いた瞬間、フェアリーの目が今までにないほど輝いた。
「まあ、無理にとは…。」
「予定変更っ!このまま寝るねっ!」
持っていた制服を放り投げ、ヒューマンに抱きつくフェアリー。その体を、ヒューマンは優しく抱き締める。
「すまないね、こんな事しかしてやれなくて。」
「ううんっ!そんなことないよっ!だって、好きになれないのに、こんな事してくれるんだよ!?やっぱり、ヒューマンってすっごく
いい人だよ!」
「……あばたも笑窪、とは言うものの、それもここまで来れば立派なもんだ。」
呆れきった笑いを浮かべながら、ヒューマンはフェアリーを抱き締めたまま横になる。フェアリーは満面の笑みを湛え、その体に
ぎゅっとしがみつく。彼の腕の温かさが、痛みを消し去ってくれる。
疲れのせいか、いつもよりずっと早く、意識がベッドに落ちていく。だが、今日は一人ではなく、ヒューマンと一緒である。
彼の暖かさを全身に感じ、眠るフェアリー。今この時の彼女は、世界で一番、幸せだった。
378 ◆BEO9EFkUEQ :2008/12/02(火) 00:01:49 ID:UFb8QxcD
以上、今回の投下終了。
てか、よく見たら容量が限界に迫ってたんですな…。そろそろ次スレの時期ですかね。
それでは、この辺で。
379名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 03:50:09 ID:RJcPGRxC
ヒューマンの人格者ぶりがうなぎ上りな件
しかし、はなからスタミナが低そうなのにまたトラップでスタミナ減少とか大丈夫か…
今更ながらタイトルの不吉さが心配になってきた。
380名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 07:26:27 ID:xHtPOZ9F
サイコリバスが使える方はいらっしゃいませんかー
381変態プレイ:2008/12/02(火) 15:06:12 ID:iWRduK+D
「はぁ、はぁ・・・!た、たまらーーーーん!!!ふん、ふぅぅーん!!」

                   ☆

一人の男がいた。彼はバルタクスに在籍する冒険者だった
それもとんでもないの実力者の、である
ありとあらゆる魔法を操り、どんなトラップをも解除し、剣をたった一薙ぎするだけで魔物殲滅する力を持っていた
まさの俺TUEEEE!!!の体現者。Mrチートであった

そんな彼はいつも一人だった
何故そうなのかと言えば当然ながら、下手にパーティを組めば足手まといが増えるから・・・
というわけではなかった
その理由は・・・
単に彼が皆に嫌われていたからだった


彼がエロ過ぎて


彼の視線はいつも女性の胸と尻。時々男のケツ
頭の中は真ッピンク。脳内妄想で犯された女性は星の数
セクハラ件数無限大。だけどだーれも捕まえられない
だって彼は強いから☆

まあ、そんなんなので彼はパーティを組めないのである

・・・話は彼がいつも通り一人で迷宮に潜ったところから始まる
それは冒頭のむさい叫びの一時間ほど前から



「なんだよなんだよ〜!けち臭いこと言いやがってよー!」
この日彼は不機嫌だった。まるで憂さを晴らすかのごとく逃げ惑うモンスターをなぎ払う
その不機嫌の理由は・・・
「ちぇっ、余って邪魔になったこのニケ槍と君のパンティを交換しませんか?って言ったら殴りかかってきやがって、セレ子め!」
という訳だった

彼はぶつぶつと「いつか犯す」だとか「髪こきサイコー!」とか言いながらやすやすと迷宮を進んでいく

「あーあ、冒険者になればモテモテになって毎晩ヤリまくれると思っててのになー。
 今じゃ警戒されたせいか迷宮連れ込んでレイプもできそうにないし。俺好みの男
 も近寄らなくなっちまた・・・。あー!!欲求不満で死ぬー!右手は飽きたー!」
変態の叫びが迷宮内で虚しく響いていた

続く



初めてのエロパロだから緊張するなぁ・・・










382変態プレイ2:2008/12/02(火) 15:52:39 ID:iWRduK+D
続きでつ



変態がぶーぶーと文句を垂れて数十分。いつのまにか迷宮の最深部へと差し掛かっていた
「あー、なんだ?もう終わりか。つまんねーなー。あぁ、女の子がパーティにいればパンチラとか拝めるんだろーなー。
いーなー、楽しそうだ、な・・・ん?」
男が何かに気づく。それは些細な違和感だった
つい最近ここで誰かが激しい戦闘を行ったような跡。それも複数人と一人、という組み合わせでだ
男の目がさっきと打って変わって真剣になる
「これは・・・。セレ子、ノム子、バハ子、エル子、フェア子、ヒュム男、のパーティの戦闘跡か?
セレ子は上から88・56・83で照れ屋で奥手のお姉さんタイプ。ノム子は7(ry・・・ってな訳か。畜生!羨ましいぞヒュム男!」
まさに能力の無駄使い
「しかし分からん。いったい誰がこんなとこでこんなパーティと戦闘を?・・・ふむ、跡はこっちに続いて・・・!!?」
男の目が驚きに開かれる
彼の視線の先には一人の女の子が倒れていたのだ

彼は急いでその女性に駆け寄る
「大丈夫ですか!今助けてあげますからね!!(よっしゃー!ここから始まる俺の恋!)」
急いで蘇生魔法をかけようとした彼は、しかしその手を止めた
「あれ?この子・・・、人間じゃ、ない?」



それはよくできた魔法人形だった。彼の眼でも見抜けないほどほとんど人間と区別がつかないくらいの

「そういえば・・・。たしか最近地下迷宮にこんなのがでるって噂があったけ。なんだよつまんねえ
ここから始まる俺のメイクラブストーリーが台無しじゃん。いくら可愛い女の子でも動かない人形じゃ
何も出来・・・ハッ!!」

ピコーン☆!

変態、閃く

「動かない可愛い女の子の人形=何してもされるがままの女の子!!と脳内変換すれば!!
おおおぉぉぉーーーーーーーーーー!!!!111111!!!!!やばい!興奮してきた!
つまり寝てる女の子にI・TA・ZU・RA−−−−−−し放題!!!!」

変態、覚醒

彼は早速その魔法人形の体を触りいろいろと確認していく
「や、やーらかい!!ふむふむ、これが女の子の体!最高だ!妄想とかとは次元が違う!
、って当たり前か!!これは三次元!妄想は・・・何次元だ!」

変態、暴走



続く

383名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 16:00:19 ID:xHtPOZ9F
まさかリアルタイムで書いてる訳じゃないよな…?
384名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 16:31:13 ID:SSGmb7/G
たのむ。続かないでくれ。
385名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:50:15 ID:eUXBY158
妄想は11次元さ〜〜。
てか種族なんだこいつ?
エルフやノームだったらある意味新境地。
386作者:2008/12/03(水) 01:50:52 ID:jc8SnWI7
>>384
何やら不快にさせてしまいすみません。続きは自粛させてもらいます
387名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 03:40:11 ID:Fp8r3iGB
>>386
書きながらの投下はどのスレでも嫌われるよ
個人的にはこういうノリは好きなので、きっちり書き終わってから続きを投下してくれるのを楽しみにしてる
388名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 05:48:54 ID:WMiOWT9P
続きまだぁ?
389名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 10:49:45 ID:UcV3BwJU
いよいよ不吉な予感が増してきました。ヒューマンはどうなるのか…

誰かレベル低めの超術士一人連れてきて〜!
390名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 18:49:25 ID:gH8TeoIc
ふふ、癒しの果実なら4つあるぜ。
391名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 10:30:43 ID:w0zi/LKg
>>390
「……食え」って照れくさそうに顔真っ赤にしたバハ子が癒やしの果実で作った
すげー不恰好な黒ずんだ料理の皿を突き出してくるんだな
392名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 12:16:45 ID:U/yWrAyx
俺なら喜んで食える
393名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 15:14:26 ID:qKdf/WLk
俺なら喜んで料理もバハ子も食べる
394名無しさん@ピンキー:2008/12/04(木) 18:19:31 ID:EnyLpjlr
吐血しながら笑顔でおいしいというのが漢だと思う。
395名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 02:45:59 ID:qYuleye+
20歳未満のお子さまは例え書き手でも来なくて良いよ
396名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 03:25:53 ID:Gz1OaZFL
20歳になるまでに経験できないのもどうかと思う
397名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 10:34:36 ID:QW6pqf0n
↑の方で次スレの話題も出てるわけで…今モノを投下するのは見送るべきでしょうか。
容量が心配だ。
398名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 17:04:36 ID:+arVe9Nk
いま471KBか。511になると容量限界だがまだ40あるし…。
480越えたら次スレ立てるってことでよいのでは?
399名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:17:58 ID:QW6pqf0n
>>398
511kbが最大でしたか。きりよく500kbくらいだと勝手に思い込んでた俺の目から鱗のごとくSSが。
残り40ならいける筈
400名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:24:09 ID:QW6pqf0n
彼に好意を持っていたとか、そういうわけでは断じてなかった。
ただ戦術的な能率性を重視した結果というだけだ。
私は神女。
その私が自分の能力を存分に発揮するため君主の彼にべったりはりつく形になるのは、ごく自然な話の筈。
仕方がないではないか――。

だが、あの女はそうは思ってくれなかったらしい。
探索の途中で小休止するとき、
学園に帰還し食堂で皆と暖かい食事にありつくとき、
果ては、迷宮で魔物と戦闘している真っ最中――
つまりは、今まさにこの瞬間にも、背後からじっとりと不快な視線を感じるのだ。
殺気とすら思える粘着質な気配。

「気を抜くな、神女の。今日のおまえはキレが悪い」
「わかっている。君主らしく黙って壁役を果たせ」
「は、達者な口だ」

部隊のリーダーらしく幾分か小言臭くも、しっかりと自分を守ってくれる彼と軽口を叩き合いながら、
呵責ない捨て身攻撃で敵を斬り伏せていく。

もともとパルタクス出身のこの部隊にあって、ただひとりのランツレート生である私は、
バハムーンという種族柄もあって他のメンバーとは折り合いが悪かった。
だが、もうそれも過ぎた話だ。
君主の彼は勿論、ともに前線を組む侍や後衛方の面々とも、
今は互いの力量を認め合い、共に戦う仲間として結束を固めている。

――あの女以外とは。
401名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:27:13 ID:QW6pqf0n
がしり、と痛いほどの力を込めて私の肩に腕が回された。

「どうしたの? 余所見は駄目よ、神女さん」
「あ、ああ。すまない」
「いいのよ、んふふ……」

彼女はヒューマンのくノ一。私が参入するまでは、彼女が彼の隣のポジションについて戦っていたらしい。
それゆえか、初対面の時点からずっと彼女の視線がちくちくと痛い。
特注強化した代物だという、ノームと見まがうような実物大のカラクリ人形を操り、
私たち前衛の頭越しに並み居るダークレーザーや闇のしらべをくびり殺していくあの手練もあいまって、
私は彼女の目に寒気を感じずにはいられなかった。
無論、私達は皆の前では普通にしている。
寡黙というか口下手な部類に入る私とは違い、闊達な彼女はよく笑顔を振り撒き、皆にも好かれている。
その彼女が一見して皆と分け隔てなく、
寧ろ馴れ馴れしいほどのスキンシップ込みで私にも接してくれているのだから、
誰もが私達の確執に気づけずにいるのは致し方ないことだろう。
我慢するしかない。
私は謝るようなことをしていない。そのことを、いずれ彼女も分かってくれる筈。

……でも。
本当は、助けて欲しかった。

最近は、寮室で休んでいるときにまで彼女の気配を感じるようになっていた。
つい先日、ひとりでいるのが怖くて食堂で時間を潰してから部屋に戻ったとき、
自分のものでない臭いが薄らと漂っているような気がして思わず逃げ出してしまった。
さすがに彼の部屋に転がりこむわけにもいかず同性の侍のところへ適当な言い訳をして泊めて貰ったのだが、
あれは我ながら英断だったと思う。
先夜は暗くてわからなかったのだが、翌朝明るい中で見てみると机やベッドが乱されていたのだ。
違いとしてはほんの少しだけ。だがそこに住んでいる者の目には明らかに、確かな違和感が残されていた。
彼女が、ここにいたのだ。
私にはどこにも心安らぐ場所がない。
ノイローゼになりそうだ。

彼女が怖い。
助けて欲しい。
しかし、折角うまくいっているこの部隊の雰囲気を壊すのも嫌だった。
魔物の大群を見つけるたび喜び勇んで突っ込んでいくような、
絵に描いたような戦闘狂揃いの悪パーティの私達だが、こと戦いを離れた場所では皆気のいい連中だ。
腹を割って話せばきっと救いの手を差し伸べてくれる。
だが、その結果がどうなるにせよ、禍根が残るのは避けられまい。
それどころか、皆との仲が決定的に壊れてしまうかもしれない。
私には、それが何より恐ろしかった。

やがて、彼が小休止を告げた。
私はほとんど無意識に彼女から離れ、冷たい迷宮の壁に背中を預けて座りこむ。
今は大丈夫、皆が一緒にいる、と膝を抱え、
飛ぶには適さない退化した翼で身を抱いて膝に顔を埋めた途端、
日頃の寝不足が祟ったか、くらりと強烈な眠気が襲った。
あ、と思ったが目蓋が落ちるのを止められない。
それほどまでに、私は憔悴していたのだ。
重い石に包まれているような疲労感を自覚し、もうどうにでもなれと睡魔に意識を明け渡す瞬間、
私の目尻から、ぽろりと熱いものが頬を伝った。
402名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:29:01 ID:QW6pqf0n
私が何をしたというのか。彼の隣にいるのが、そんなにいけないことなのか。
仕方がないではないか。
すべては彼女の勘違いだ。
それに、あのふたりが付き合っているということもない。
横恋慕ですらない、言いがかりだ。
私に非は無い。なのに。
魔物たちの凶暴な牙からいつも私を守ってくれる彼は、これに限っては気付いてもくれない。
所詮はあの女と同じ、下等なヒューマン野郎なのだ。

だが、それでもなお、
目を閉じ耳を塞いで己の内に閉じ篭り、
恐ろしい彼女の幻影から逃れる私の心の防波堤は、彼だった。
竜の爪を食らっても平然としていられる頑強さを自慢にしているような無骨な彼の、
広く大きな背中に守られて思うさま安眠を貪る自分を幻視する。
夢なのだからと、つい調子に乗って彼の手を握り締めた。
暖かかった。
彼が振り向き、いつもの不敵な笑みを浮かべる。
じんわりと言いようのない安心感が胸に広がる。
またひとつ、頬に熱いものが伝うのを感じた。

そうして、ああそうか、と私は気付いた。
私は、どっぷりと首まで彼に依存していたらしいと。
うん、そうだ。
どう考えても間違いない。
本当に後ろ暗いところがないなら、どうして私はこうまで彼女を恐れているのか。

つまるところ――どうやら私は、彼のことが好きらしい。
己の素直な感情を自覚したが最後、
ひとたび拠り所に気付いてしまえば、私はいとも脆弱にそこによりかかってしまう。
妄想の彼に肩を抱かれ、私の体はだらしなく弛緩した。
彼ならば。
きっと私を助けてくれる。すべてをうまく収めてくれる。
そうだ、彼にみんな打ち明けてしまおう。彼は、いつもの顔のまま私の言葉を待ってくれている。
肩を抱く手を握り締め、私は息せき切って口を開いた。

……そして、そのまま凍りついた。

「寝苦しそうね、神女さん」
「――――!」

私が握り締めていた手は、あのくノ一のものだった。
現実とない交ぜになった生温い夢から覚めた私を捕まえて、あの怖い微笑で見下ろしている。
ぎらり、と彼女の手にある何かが光った。
顔の横にあるそれにぎりぎりと目を向けて、私は声を出すことも出来なくなった。
ナイフだ。
私の中で色々な何かが、まとめて吹っ飛んだ。
殺される。

「ぁ、ぁ……!」

体だけが勝手に動く。
気付いたとき、私は突き飛ばすように乱暴に彼女の手を振り払い、あらぬ方向へと駆け出していた。
403名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:31:01 ID:QW6pqf0n
「おい、くノ一の。神女の奴、いきなりどうした」
「ええ、ちょっと向こうに用があるって」
「? 飯のあとにすればいいものを。連れ戻すぞ」
「あら駄目よ。オンナノコには、そういうときもあるの。ね? 侍さん」
「んぐ? どういうとき?」
「侍の、食いながら喋るな。そもそも話を聞いていたのか」
「まあまあ。私が見てくるから大丈夫よ。だから、ちょっと待っててね」
「そうか……? なら頼んだ。あまり遠くへは行かないように言ってやれ。
あと、その食事用のナイフを返せ。俺のだぞ」
「はいはい。じゃあ行ってくるわ、君主さん。だから、ね、皆も……『絶対に、ここを動かないでね』?」
404名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:32:13 ID:QW6pqf0n
ぜいぜいと息をついてへたり込む。
ようやく我に返った時には既に遅く、どこをどう走ったのか、私はまったくわからなくなっていた。
完全にはぐれた。
茫然自失とはこのことだ。メタライトルの光すら及ばないほど目の前が真っ暗になる。
いや違った、本当にメタライトルの効果が消えている。
疲労回復に唱えようとしたヒールも発動しない。
血の気が引いた。
アンチスペルゾーンだ。

ちょっと周囲を動き回っただけではアンチスペルゾーンを抜け出せなかった。
最後の手段のバックドアルも使えない。その上私は、魔法をアテにして帰還札の類も携帯していなかった。
なんと迂闊なことをしてしまったのか。
このあたりの敵は、まだ私ひとりでは荷が重い。
こうなっては皆に見つけてもらうのを待つしかなかった。
それに下手に動いて強力な魔物に出遭うよりはと適当なコーナーに身を寄せようとした、ちょうどそのとき。

「見つけた」
「!!」

薄闇の向こうに、ふたつの人影が現れた。
聞き間違える筈もない、くノ一の声。連れているのは、愛用の巨大カラクリ人形か。
あの女、ついに私を殺しにきたのだ。

「馬鹿ね。わざわざ自分でひとりになってくれるなんて」
「く、来るな!」
「いやよ。もう分かってるわよね、わたしのことは」

がりがり、と耳障りな関節の音を伴い、どちらがどちらとも知れないくノ一と人形が一歩近づいた。

「…………!」
「物騒ね」

いざこの期に及んでは、荒事で鍛えられた私の体は思いもがけない滑らかさで動いた。
幸い、掌中には得物があった。
いつかこんな事になるのではないかと、呪われるのをいっそ自ら望んで装備していた精霊の剣。
それを握り締め、突きつける。
やるしかない。
彼女が手練であることは知っていた。
それも、こと敵を殺すことにかけては部隊の中でも頭ひとつ抜きん出た精兵だった。
だが、所詮は人間。バハムーンの膂力で一撃当てれば確実に落ちる。

「当たると思う?」

憫笑すら混じる声で揶揄される。
無理からぬ。
武器をなくそうと五体を凶器と成し得るくノ一。その驚異的身体能力を、そしてその打たれ強さを思えば。
たかが一撃、されど一撃。彼女に対して有効な一撃とは、全身全霊の捨て身以外にありえない。
それを仕損じれば即ち、自分の命運が尽き果てる。
あまりにも分が悪い、大穴博打だった。
向こうもそれをわかっている。
彼我の戦力を吟味し、せせら笑いすら漏らして、一方的な勝利を確信している。
しかし、だからこそ生まれる隙もあるのだ――。
405名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:35:55 ID:QW6pqf0n
突然、そして絶妙のタイミングで、横合いの物陰からけたたましい雄叫びを上げて闇より生まれし獣王が飛び掛った。
無論、私にではない。

「ん――?」

調子に乗って人形を騒がせ過ぎるから、魔物を呼び寄せたのだ。
彼女の意識がそちらにそれた隙に地を蹴り、大上段に剣を構えて突進する。
はなから防御は考えなかった。先に一撃した方が勝つ。
不明瞭な人影のうち、左がふわりと指を蠢かせたのと同時、右が機敏に魔物の爪を叩き落とした。
本体は、左か。

「食らえッ!」

そちらに駆け寄りざま、全力で袈裟切りにする。
だが、返ってきた手ごたえは、がぃん、という生身にはあるまじきもの。

「馬鹿ね。そこが可愛いんだけど」

私が切り込んだ人影の背後から、ひょいと彼女が顔を出した。
瞠目した。よく見れば、私が切りかかったそれは、あのカラクリ人形ではないか。

「二体目ッ?! おまえ、一体どこにそんなものを……いや、いつの間にそれほどの技を?!」
「女には秘密があるものよ」

んふふ、と彼女は私がこれまで見たこともないような不気味な笑みを浮かべた。

「わたしは、あなたの秘密をみんな知っているけどね……?」

彼女が猛々しくも卑猥に中指を突き立てるとともに、一瞬、空中に無数のはりつめた傀儡糸が光る。
直後、闇より生まれし獣王が向こうのカラクリ人形に頭部をかち割られて即死した。
無残に飛び散る脳漿。断末魔が途切れ、物言わぬ糞袋に変わる巨躯。
次は、私がそうなる番だ。

「くそ……!」
「無駄よ無駄」
「ぐッ、ぅう――」
「ほらこっちも」
「あ、がは……ッ?!」

恐怖にかられて遮二無二振るう剣が運良くかすろう筈もなく、二体のカラクリ人形によって私は袋叩きに叩きのめされた。
鳩尾に入った拳が衝撃で全身を麻痺させ、首を握り潰さんばかりに両手で掴んで声を封じる。
恥も外聞も忘れて泣き叫び皆に助けを求めようとするのさえ許されない。
負けた。何の抵抗もできず、一方的に。立ち上がれない。
怖い。
あのいやらしい笑みが。その笑みのままこんな凶行に及べる彼女が、たまらなく恐ろしかった。

「ぁッ、い、ひ……っ」
「あ、それ、もの凄い可愛い顔よ神女さん。もっと遊んであげたら良かったかしらね。んふふ、
んふふふふ!」

カラクリ人形たちに両手足を広げておさえこまれた私は、俎板の上の鯉も同然だった。
どんな惨たらしい殺され方もお望み次第。
剣は奪われ、横隔膜が震えてブレスすらも満足に吐けはしない。
そんなボロ雑巾同然の私の腹に馬乗りになって、彼女は獲物を食い漁る獣のように顔を近づけ、
埃と涙に汚れた私の頬をぞろりと舐め上げた。
そのとき、頭突きくらいはかましてやれたかもしれない。
だがこの瞬間にはもう、私はその程度のささやかな抵抗の気力すらも奪われていたのだ。
痛い。怖い。私の胸には、もうそれだけしかなかった。
406名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:40:02 ID:QW6pqf0n
「ご……ごめん、なさ……」
「なに? はっきり喋りなさいよ神女さん。ほらぁ」
「ひぃッ、痛い! ごめんなさい! ごめんなさいぃぃい!」
「あらあら。何を今頃、ね!」

最後の矜持すら折れ、涙声で哀願を始める私の襟首をがっとつかんで引き起こし、黙らせる彼女。
もはやカラクリを使うまでもないと思われたのか、傀儡糸を外した手がわきわきと掲げられる段になって、私はとうとう鼻水すら垂らして幼児のように泣きじゃくった。

「えっ、ひ、ひぐううぅ、うわあぁあん! あああああん!」

くノ一の手は凶器だ。ともすれば、カラクリ人形など及びもつかないほどの。その手が、べたべたと私の顔中を撫で回す。
頬肉を歪め、目蓋をしごくように無理やり開かせてはくぐもった笑い声を漏らす。
情け容赦は望めないとすぐにわかった。急所に刃物を押し当てられているも同然の恐怖。

「素晴らしい。新境地だわ」

甘ったるい囁きが耳元でしたかと思ったが早いか、耳朶に激痛が走った。
ふうふうと熱い呼吸音が聞こえる。ぬめるような熱い吐息が首にかかる。噛み付かれたのだ。
そして、今度は胸に激痛。声すら殺された私の両の乳房を、彼女の手が鷲掴みにしている。握り潰すように揉みしだかれる。

「筋肉かと思ったら柔らかいじゃない。ふふ、このおっきいのを、君主さんに触ってもらいたかったのね?」

彼のことを口に出されて、私ははっとした。
目の底に灯った光を悟られたのか、彼女は片方の乳房を解放し、かわりに顎をがしりと捕まえて私を見据えた。

「そうよね? 神女さん」
「あ、ぎ……っ」
「答えなさいよ」
「〜〜〜〜!」
「んふふ! そこは言えないのね! ホントどれだけ馬鹿で可愛いのかしら、このトカゲ神女さんは。
喧嘩中毒の彼にも教えてあげたいわ。魔物をドつき回すだけじゃなく、この四六時中滅茶苦茶にしてもらいたがってる色ボケ娘とも遊んでやれってね」
「やめてッ……そんなの、違う……」
「……ああそう、まだそんな口が利けたの。でも、それでこそ、よ」

手刀一閃。私の身につけた装備がばらばらと外れ、地面に転がる。見る間に下着を残すのみになる私。
冷えた外気に晒された肌が粟立つが、いまだにカラクリ人形の糸が手足を拘束しており隠すこともできない。
そして、次の瞬間には下着すらも。引き千切るように一息にむしり取られた。

「彼のことは忘れなさい。今は私と遊んでちょうだい。ね?」
「あ――やめてやめてぇ! 触らな……あああ、そこだけは嫌ァ!」
「なに、ここは駄目なの?」
「そうよ駄目ッ! 駄目駄目駄目ぇえ!」

するりと鮮やかなポジショニングで私の両腿を割って侵入する彼女の半身。
ひやりとした手が毛を撫でおろし、割れ目に触れる。というより、ぐりぐりと弄り回す。
新しいオシメを強請る赤ん坊よろしく無様に脚をバタつかせて、私は暴れた。
自分でもまともに見たことの無い部位を他人に覗かれる羞恥と、そこに乱暴を働かれるという恐怖が、
満身創痍の私をして必死の最後の抵抗へと駆り立てていた。

「ふうん。じゃあ……」

食い入るように私の急所を見つめる彼女の目に、底冷えのする光が灯った。
三日月の笑み。
ひたりと突きつけられる指。

「――『やらいでか』ね」

慣らされてもいない敏感な秘洞に、みしりと凶器が押し入った。
407名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:41:17 ID:QW6pqf0n
「は――――」

息の根を掴まれたかのように、私の全身が硬直した。
圧迫感。浅く突き立てられた冷たく硬い感覚が、体の中にはいりこんでいる。

「トカゲさんも中身はあったかいのねぇ。
……あら、何かあるわ。……なあに、もしかしてはじめて?」

声も出せず、ぶんぶんと首を振って肯定し『だから許して』と懇願する私。

「なんで? とっておきたい好きな相手でもいるの?
さっきはそんなのにいないみたいなこと言ってなかったかしら」
「う、うぅ……!」
「いるの?」

ろくに力も入っていないような掌で、いたぶるように頬を叩かれる。
痛みは無い。だが、このいかにも憎々しげな手つきで頭を左右に揺さぶられるだけでも、
私を限界に押しやるのは容易だった。

「………………います……。好きな人、いますぅ……ぅぅ……」
「まあ。それは大変。誰よ」
「……君主……」
「ああ彼ね。で、彼がなんだって? 大好きな彼にどんなことをしてもらうために助けて欲しいの?」

この瞬間の為だけに今まで見逃されていたのではないかと思うほどの的確さで、
硬く縮こまった乳首をつねり上げられる。

「あ、あああぁぁ……」
「きりきり答えなさいよ。メストカゲ」
「?! ぎいッ!」

中を引っ掻かれた。蚊に刺された場所をそうするような気安さで、ぽりぽりと。

「ひ、ひぎぃいいい!」
「うるさいわね。指が足りないのかしら」
「ち、違ぁ――ッ」
「なら答えなさいよ。ブレス吐くだけの口じゃないでしょう。舌がいらないならもらうわよ」
「あ、がっ! あぇえええッ!」

乳首が解放するなり、彼女の指は悲鳴に開いた私の口に飛び込んで舌を引っ張り出していた。
唾液に塗れた柔らかい肉を滑ることもなくがっちりととらえ、
少しでも引っ込めようとすれば指ですり潰さんばかりに完全に掌握する。
咽喉の奥の筋肉が激しく突っ張る痛みに耐え切れず、私はたまらずその手に従う他なかった。

「でも、そしたらきっと彼も悲しむわ。一気に出来ることのバリエーションが減っちゃうしねぇ」
「――ゆ、ゆるひ……」
「ふん? ならヒントをあげましょうか」
408名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:43:28 ID:QW6pqf0n
顔を近づけるのではなく、凶暴な腕力で舌を引っ張って私の上体を持ち上げ、私の耳元に口を寄せる彼女。
上気した吐息がそのまま意味をもったような卑猥なフレーズが、
よくぞそこまでという滑らかさで次々紡がれていく。
耳を塞いでしまいたくなるようなそれをひとしきり吹き込んだところで、彼女は私の舌をぱっと放した。

「――わかった?」
「あいぃぃぃ……」
「ちゃんと言うのよ? ちゃんと言ったら、もうやめにしてあげるわ」
「ほ、ほんとに……?」
「もちろんよ」
「…………」
「ほら」

あとから思えば、だが。
これを唯々諾々と聞いてしまった私もまた、どうかしていたのかもしれない。

「……わ、わらひは……」
「声が小さい」
「ひぎい――ッ?!」

乳首をもぎとるような勢いで引っ張られたのが、最後だった。

「わたッ、私はァッ!
彼に犯して頂きたいですッ、まだ誰にも触れられたことのない新品のまんこに彼の逞しいものを頂いて――彼の気持ちのいいように、好きなように使って頂いてぇッ、
ああああぁ……初物であることのほかに何もない、何も知らない未熟な私の大事なところに、彼に気に入って頂けるようなことのすべてを……、ぉ、お勉強させて欲しいんですぅぅぅ、う、ぅわぁあん! もう嫌ァアア!!」

咽喉も破れん絶叫調の猥弁が、迷宮の闇にわんわんと木霊した。
何度も何度も反響し、どこまでも響き渡っていく自分の妄言を聞きながら、
私は仰向けに倒れ込んでびいびい泣き崩れた。
言ってしまった、と思う。
でも、これで助かる。これで、もう終わりにしてもらえるのだ――――

だが。

「駄目よ」
「え……」
「わたしが教えたことの三分の一も言ってないじゃない。
続けましょうか」
「ぁ、ああ――――――」

秘所に当てられている指の数が、倍に増やされた。もはや手刀だ。
殺される――
誰か助けて――
そう言おうとした私の意識は、残念ながら肉体を律しきれてはいなかったらしい。
未だ心頭滅却ならぬ未熟な神女の私の口から飛び出したのは、ただの悲鳴だった。
409名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:49:21 ID:QW6pqf0n
ぐぶり。そういう音を、確かに聞いた。

「あっ――――、ぎゃああああああああああ!!」

不思議と、どこか聞き覚えのある声だった。
そういえば、さっき死んだ闇より生まれし獣王も、こんな声をあげて殺されたのではなかったか。
くノ一の手が、私の中に指の付け根まで埋まっていた。その光景もすぐに滲んで見えなくなる。
ただ痛みと呼ぶにはあまりに語弊のある激しい衝撃と熱が下腹部を内側から押し広げ、どんなに深々と魔物の牙を突き立てられても涙一滴零さなかった私の視野を塗り潰していた。
だが、これはこれで――自分がどんな醜態を晒しているのか自覚する労だけは避けられる。
そんな、不謹慎なほどに冷えた心の片隅と、その落ち着きにまったく整合性を示さない私の体。

「はッ、が、ぁああ! いだ、痛いぃぃ!」
「だいぶ楽な筈よ? だってほら、こんなにぐちょぐちょにしちゃってまったくこの子は」
「ひぃぃぃ――嘘、嘘ぉぉぉ……」

だが実際、この気色の悪い往復運動に彼女が特別な骨折りをしている気配は無かった。
実に楽しげに、食事中の肉食獣の唸りを思わせる喜色をたぎらせて笑っている。

「濡らしたんじゃないの? じゃあ、お漏らし?」
「違うぅ!!」
「そうよね。神女さんは才能家なのよね。苛められてるうちに準備万端だなんて、最初はなかなか出来ることじゃないわよ」
「やめて! 変なこと言わないでぇえ!」
「今更やめても遅いんじゃない? どうせなら『予習』させてあげるわよ。彼に気に入って欲しいんでしょ? このきっつい穴で」
「――ッ」

また、彼の話――!

「そう、その目よ。
でもね、ちゃんと答えろって、さっき言わなかったっけ?」
「あぐぅぅッ――――――く! な、なんでだ……ッ」
「あら何?」
「そんなに私が憎いなら! 殺したいならさっさと殺せばいい! おまえなら簡単な筈だろう! なのになんで、なんでこんなッ……酷い…うぅううう!!」
「なんでって……」

恨み節としては、我ながらなんとも情けなく、そして弱々しい。しかし言わずにはおられなかった。そのあとどうなるかは、もう知ったことではない。
どうせ飽きるまで踏みにじられ、辱められて殺されるのだ。
今の言葉が彼女の機嫌を損ね、後に待つ惨死への過程が幾つか複雑になったとしても、どうせ大した違いではない。
探索の道中力尽き、無残にも魔物や通りすがりの探索者の慰み者になった女子生徒らの話を聞くには事欠かない立場だったが、とうとうこの私にもそのお鉢が回ってきたというわけだ。
彼女の言うとおり、私は馬鹿だった。
こんなことになるなら、もっと早く自分の気持ちに気付いていればよかった。
戦線を組む仲間としての関係に甘んじ、もっと深いところにある本音に目を向けもしなかった、その結果が、これだというのだから。

「なんでって、あなた……決まってるじゃない」

彼女がその手を秘所から引き抜き、真っ赤に染まったそれで私の頬を包んだ。
恥ずかしい体液で希釈されながらなお特有の粘性を保った血液が、ゆっくりと剣呑な手つきで私の顔に塗り広げられていく。
手つきそのものは愛撫のそれだ。しかしその実、頬骨の上を往復する親指は、眼球を押し潰すタイミングを計っているのかもしれない。
いやきっとそうだ。
彼女は、私がみっともない悲鳴を堪えることのできない、意識の途切れ目を蛇のように探しているのだ。
ぐ、と奥歯を噛みしめ、目に力をこめてその時を待つ。どんな憎悪を叩き付けられるのか想像もつかない。
きっと、私は耐えられないだろう。
だが決めた。もう絶対に、ごめんなさいなどと言ってやるものか――。

なのに。

「それはね、あなたのことが好きだからよ」

        ――――は?

決意から数呼吸もしないうちに、私はいとも簡単に気を途切れさせてしまっていた。
410名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 20:57:40 ID:QW6pqf0n
「わからないの? ああ主語が抜けてたわね。私は、あなたを、好き。それが理由」
「な、何を……ッ」
「わかりなさいよ」

頭が割れるかと思うほど頭蓋を両側から鷲掴みにされ、無理やり彼女に正対させられる。
――慈悲深い笑顔だった。より美しい枝振りを目指し、盆栽の余分な枝に鋏を入れて間伐する風流人のような笑み。何か貴重なコレクションを、おまえはこうあれと黙々磨き上げるような、そんな笑みだった。

「わたしは、あなたが、大好きよ?」
「ふざけ――」
「ふざけてないわ。だってあなた、とってもきれいじゃない」

彼女は血と涙できっと酷いことになっているに違いない私の顔をべろりと舐め上げ、鼻の頭にちょんと口付けして、咽喉を鳴らして笑った。

「体が倍もある魔物に真正面から打ち込んで伐殺するあなたの後姿、すごく魅力的だわ。
剣を振るのに邪魔だからって無造作に切り揃えちゃった髪の下の後れ毛も、戦いを忘れて寮室のベッドですうすう眠る無防備で柔らかそうな頬っぺたも、迷宮の中、いつ魔物に襲われるかってがつがつ弁当をかき込むお行儀の悪さもね。
……見ててわかる。きっと、あなたはいい戦士になるんでしょうね」
「――――」
「最初、戦士学科だったのよね私。でも向いてなかった。真っ直ぐな太刀筋っていうのが出来ないの。
夜討ち朝駆け闇討ち辻斬り。わざわざ非効率に素手を鍛えて、いい得物持ってる相手を余裕綽々殺してみせたり。そんなやり方の方が、なんだか体がよく動いちゃって。…………ああ、たぶん私、あなたが羨ましいのね」

戯言だ。聞くに堪えないと最後の力を振り絞って彼女の手を振り払う。

「――でもね?」

児戯のようなビンタが飛び、いとも簡単に私を張り倒した。地を這う私を当然のように捕まえなおし、親が子供にするように両脇に手を入れて持ち上げる。

「私があなたを好きなのは本当よ。だから、あなたを手伝うの」
「何を、言ってる……」
「あなた、彼が好きよね?」
「……」
「でもあなたは、それを自分で分かってなかった。自分を知らないのは辛いわ。じゃあ助けてあげないと」
「だからって……だからって!」
「――――うるさいわね。黙って助けられなさいよ、メストカゲ」
「ッ、ひぎ……!」

長い指を生かして片手で私のこめかみを捕まえ、吊り下げて、逆の手で乳房を乱暴にこね回す彼女。

「んふふイイ声! ……ね? 気付かせてあげたでしょ? 私、あなたを助けてあげたわよね? だからぁ……ちょっとぐらいいいじゃない。ご褒美、もらっちゃっても」

ぐっと頭を地面に押し付けられ、私の横合いに体を移した彼女に秘所周りを撫で回された。
脚を閉じようにも、強靭なカラクリ人形の糸を膝に巻きつけられては彼女にいいようにされるしかなかった。

「ッ、やめ……ッ」
「やめないわ。まだお勉強の途中なのよ? 男はね、生娘の相手ってかえって気を遣うものなの。あなたはガサツだから、きっと初めては上手く出来ないわ。だったらちゃんと『予習』していかなきゃ。彼を喜ばせたいんでしょ?」
「ふざけるな! そんな、そんな事――、あ!」
「私ひとりくらい喜ばせられないようじゃ彼に気に入ってもらえないわよ? 気分出しなさいよ、ほらぁ」
「ぃ! 痛い痛いぃいい!」

陰核をつままれ、目の前に火花が散ったと思うが早いかまた中を犯されていた。
今度は指を四本もねじ込まれるようなことはないが、か弱いのは見た目だけの刃物同然の指で上といわず下といわず肉壁を擦りまわされるのはやはり苦痛以外の何ものでもない。

「しょうがないわね……」
「あッぐ……!」

ぼそりと呟いた直後、彼女は勢いよく指を引き抜き、私に見えない角度でごそごそと何かしたあと、また挿入した。
また、あの痛みがくる。そう思って身を硬くしていた私を襲ったのは、なぜか拍子抜けするような僅かな痒みだけ。
最も細い小指一本だけを差しこみ、ゆっくりと前後。
自分でもわかるほど顕著な勢いで、硬く強張っていた膣がほぐされていく。おかしい。明らかに異常な反応だった。

「お、おまえ、私に何をした……?!」
411名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:00:47 ID:QW6pqf0n
「みわくの粉」

身近すぎる名前に、一瞬何のことかわからなかった。彼女が口にしたのは、石化状態を回復する粉薬の名だ。

「馬鹿な、そんなものでどうして――」
「用法容量なんて言わないわよね? 『がちがち』になってるところには、よく効くのよ。これ」
「う……?!」
「んふふ。ほらね」

強張りがとれるに連れ、苦痛も急速に収まっていった。
さらさらと薬方から注がれる粉末が、体液まみれで前後する彼女の指にまとわりついては、私の中へと送り込まれ肉襞の間に塗りこまれていく。
最初は、ただ出し入れの感覚があるだけだった。
だが、次第にそれ以外の何かが――ぞわぞわとした名状し難い感覚が、下腹部に広がっていく。
駄目だ、と直感した。よくわからないが、絶対に駄目だ、これは。

「や、やめろ! やめてッ、お願いだから!」
「――変わったわね。声の調子が」

にたりと笑った彼女の顔が、ふいに私の足の間にもぐりこんだ。

「つまり、『もっとしてください』と」
「ち、違ッ……ぁひッ?!」

生暖かい吐息を股間に感じたと思った直後、私の背筋を電流が駆け抜けた。
陰核を舐められている。そう認識するまでに、一拍の時間が必要だった。不慣れな場所に加えられる強過ぎる刺激に、頭の中が真っ白になる。
きもちいい? と、くぐもった声で彼女が聞いた。
――わからない。私はそんなことは知らない。
412名無しさん@ピンキー
猫が皿からミルクを飲むような騒がしい水音をたてて割れ目にまで舌を伸ばし、ついには尿道口すら犯そうとする彼女。
抜き差しする指と比べれば決して激しいとはいえような、むしろ遠慮がちなほどの動きではあった。だが、それでも充分すぎる。舌先が其処彼処をつつき回すたび腰が跳ね、或いは、べろりと舌の腹で舐め上げられるたびぴんと背中が反り返る。

「あっ、あっ、あっ! そこ、強いぃぃぃ!」
「あなたが弱いのよ。だってほら、こんなちょんってするだけで」
「?! んぁあッ!」

自分が信じられない。私は、なんという声を出してしまっているのか。
手を使えず、せめて必死で口をつぐもうとする試みすらも、腹の底から湧き上がって来る奇声の勢いの前には無力だった。
怖い。自分の体が自分の意のままにならない不安感と、いずれも唐突に与えられる強烈な刺激。
外側の刺激だけでも、このザマだというのに――

「ひぅ、ひぐうう……くぅぅうん……」

知らないうちに、中に入れられた指の生み出す動きからも、同じような反応を搾り出されてしまっている。
そのうち彼女は私の胸にまで手を伸ばし、乳首をつまんで弄り回しはじめた。
女同士だというのに……否、女同士だからこそというべきか、彼女の攻めは的確極まる。
或いはあらゆる敵の急所を熟知し、知らずとも戦いの中で探し出し正確に叩くくノ一のなせる技なのか。
その彼女の手で強引に送り込まれ続けているこれら種々雑多な感覚を遅まきながら性感と認めはじめていた私にとって、この第三の干渉点の出現は決定的だった。
挿入する指を増やされたことで、痛みこそ消えたものの私をしつこく責め苛んでいた強い圧迫感が一気に薄れ
失神のそれに似た浮遊感が全身を満たす。
そうして。
かり、と私にだけ聞こえる音をたてて、これまたいきなりの暴挙。あまりのことに呼吸すら停止する。
見えずともわかった。陰核を、前歯で――――

「ひぃ、ひいいいいいいいッ! こ、れッ、これぇええええ!」
「それはね、イクって言うのよ」

行くってどこに? と問う思考は、もう残されてはいなかった。
眼球がぐるんと裏返り、白目を剥く。

「イッ、ぐッ……! イ、ィィイッ、イクぅぅうううううううんッッ!」

引き攣れを起こしたようにびくんびくんと跳ね回り、
ぐったりと崩れ落ちた私から指を抜いた彼女が、ふんと鼻を鳴らした。

「簡単な女」
「…………ぁ……、も…やめ……」

脱力し、ぜいぜいと息をつく私に軽蔑の声色で言い捨て、またも覆いかぶさってくる。
顎をつかんで無理やり開かされ、頬肉の内側を削りとるかのように荒々しく嘗め回された。
暴力的なディープキス。息ができない。
抗おうにも力が入らない。噛み付いてやる気力も、もうありはしない。
顔中がかっと熱くなり、目の奥にちかちかと火花が散るころになって、私はようやく解放された。