【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】

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47名無しさん@ピンキー
「本日はお日柄も良く、聡明な貴方様におきましてはどのようにお過ごしでしょうか?
 それはそれとしまして本日不肖わたくしが貴方にお聞かせたい事があると存じ上げます。
 さりとて灰色脳細胞を酷使するわけでもないし、永遠に永久にお聞かせいたしましても
 よろしいのですが。時間というものは加速度的に流れ過ぎ終わり過去と化しました。
 さて私の人間的論理展開から出される主義主張としまして脳髄は物を考えるところに非ず。
 わかりますか? 世界に無数に広がる頭を開く事が答えへの最短経路になります。
 ああ、このように学問を説き道徳を問う事はこの場において似つかわしくない。
 ならばどういたしますか?さりとてわたくし恥の概念を捨て去り申し上げますと
 心躍る話も体踊る話も得意とはしておりません。自分の頭の中を語り聞かせる事の難しさ。
 けれどもそれは信憑性がありません。私の頭を知るのは私であり他の誰でもない私。
 気づいておられるのでしょうか。あなたはあなた、私は私。
 人と人との分かり合い触れ合いその全てにおいてもたらされる事。
 屁理屈ですね。例えばただ思うがままに話せば人は幸せになれるでしょう。
 幸福、あなたにとっての幸福とは何でしょう? 私にとっての幸福とは何でしょう?
 あなたの瞳を見つめその中に入る事が私の幸せならばそれ不幸となるのでしょうか。
 人の世で生きるという事は幸福と不幸の連続。私はあなたの中に入る事と出る事を
 繰り返す事により人の世の流れを感じ生きているのです。
 諸行無常の世の中にありながらそれだけは全て絶対」

 俺は男である。男ならば女性に好意を寄せられるのは嬉しい。
 ならば今嬉しさを感じない俺は男ではないのだろうか。
 いや、そもそもこれは本当に好意なのだろうか。彼女も言うように彼女の考えは彼女にしかわからないのだ。
「告白って事でいいのかな?」
「はい……」
 嬉しい事か残念な事かはわからないが、どうやら事実であるようだ。
 どうしようか? なかなかに素敵過ぎる告白に正直迷ってしまう。
 断ろうかとも思ったのだが、そう判断するには、彼女は魅力的過ぎた。
 整った顔立ち、腰にまで届く黒髪、きっちりと着こなした制服。
 艶やかな唇に切れ長で鋭い瞳。
 全体的に冷徹な印象を受けるが、頬を赤く染め、恐々と答えを待っている姿がそれを打ち消していた。

 一体俺のどこが好きになったというのだろう。
 疑問に思うが恋愛は理屈ではないのだ。だからそれは些細な事だ。
 彼女の不安げな様子を見て男なら断れるはずがない。
 じゃあ俺は男じゃなくていいや。
「ごめんなさい」
「えっ……」
「誠に申し訳ありませんがお断りさせて頂きます」
 人は負い目のある時に何故か敬語になるというが今の俺が正にそれだった。
 それ程までに俺の言葉で涙目になった彼女は、俺に罪悪感を与えた。
「……なんで、ですか? 私が可愛くないからですか? 私が暗い性格だからですか?」
「いえ、可愛いと思いますよ。性格に関しては知らないので何とも言えないですけど」
「そ、そうですよね。知らないからですよね。
 私の事をもっと知ってくれればきっともっと分かり合えると思うんですよ。
 私としては、子供は二人で一姫二太郎が理想でして
 あ、でもでももちろんあなたが望むなら私は多くても少なくてもいいですよ。
 世の中には子供がいらないっていう人もいますし、そういうのもおっけーおーるおっけーです。
 子供がいないならいないで夫婦の時間が増えるというのも魅力的ですよね。
 もちろん子供が出来てもあなたが私に注いでくれる愛が減るとかそういう事を言ってルンじゃないですよ。
 ただですね、分かっていても言葉にして欲しいというのが女なんですよ」
 長々と続く説明を聞きながら、まず名を名乗れと思うのは俺だけではないはずだ。
 というかこの子は、あれだちょっと頭の可愛そうな子だ。
 もうね、いきなり女の子に二人きりで呼び出しされた俺の胸のトキメキ☆を返してください。
 このまま走って逃げようとも思ったが家まで追跡されそうなのがこの女の恐ろしい所だ。
 だから言葉をもってして止める。人類が人類たる所以は言葉があるからのはずだ。
48名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:58:21 ID:WtBzq4dh
「あーちょっといいかな?」
「花嫁衣裳はもちろん純白です。純白の意味は勿論あなた色に染まりますという私の心の表れ。
 あなたも無垢な者を犯し穢していくという背徳的な行為にその身も心も震わせて欲望に身を任すはずです。
 新居は、レンガ造りで煙突のある家がいいですよね」
「ちょっとでいいから止まって!一時停止でいいから止まって!」
「はい、なんですか?」
 正直この女に対して色々思うところはあるが、もういい。もう関わりたくない。
 家に帰って二次元の世界に帰ろう。うん、そうだそうしよう。
 二次元の世界の住人の俺には三次元の空気は重たいのだ。
「すいません。どうあがいてもナニが何でもあなたと付き合うと言う事はできません」
「えっ……」
 俺の言葉に彼女が止まった。先程の言葉とは違い今度の言葉には俺の本気を感じたのだろう。
 このまま止まったままでいてくれたらきっと世界は平和になる。 
 しかし俺のそんな儚くとも大きな望みは崩れ去った。
 彼女の時が動き出したのだ。
「やだ!やだ!離れたくなんかない!ずっと傍にいてよ!あたし、何でもするから!いかないで!」
 キチガイを刺激したらこのようになりますという例のように取り乱す彼女。
 そんなに取り乱したらせっかくの美貌が台無しですよ。
 ああ一番台無しにしてるのはその頭でしたね。
「……何でもしてくれるんだね?」
「うん!する!あたし何でもする!だから!」
「それじゃあ……俺を諦めて」
「私は、あなたの為なら何でもできます。
 お洗濯もお掃除もします。ご飯だって今は作れないけど作れるようになります。
 エッチだっていくらでもさせてあげます。
 私、処女なんですよ。初めてはあなたって決めてるんです。
 もちろん口と尻は経験済みだけど前は処女ですなんて事もないです。
 というかですねそんな女は屠殺ものです。
 処女っていうのは、キスさえもした事がなくて初めて言えるもの。
 初体験の時には膣内射精。
 子宮に入りきらず溢れる精液と破瓜の血が混じったものを見せて、私を女にしたモノに口の初めてを捧げる。
 そういった初体験の時にだけ出来る事は当然の如くしますし、SM、スカトロ、なんでもありです。
 あ、でもでも他の男の人に見せたり、奉仕させたりとか無しにしてください。
 あなたの欲望は全部叶えたいのですけど
私はあなたに全てを捧げたのであって他の男には触られたくもないのです」
 すいません。もう勘弁してください。
 好意を寄せられるのは嬉しいですが、理由の分からない好意は無理です。
 しかもその好意が異常に重くて桃色方向に突っ走ってるのなら尚更だ。
「まあ待て落ちつ……えっ」
 言葉を最後まで言い切る事はできなかった。
 薄れゆく意識の中、最後に見えたのはスタンガンを握り締めている彼女の姿だった。
49名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:58:35 ID:WtBzq4dh
 目が覚めたら例の頭の中が茹ってる彼女がいた。
 しかも体が大の字に広げられた状態で縛りつけられていた。
 いったい何が起きたというのだろうか。
 まだ働いてない脳では現状の把握に苦労する。
 そもそも脳とうのは目覚めてから2時間はたたないと完全に働かない。
 だからこの状況でまともに思考するのは不可能であり……
「起きましたね」
 このままずっと気づいてくれなかったら嬉しい彼女は誠に遺憾ながら気づいてしまった。
 うん。まずは挨拶からだな。言葉というのは人類の考えた最高の宝なのだ。
「えーと、こんにちわ」
「や、優しくしてください!!」
 こんにちわ→優しくしてください。
 会話として成立していないと思うのは俺だけじゃない。
「あーあーあー」
 言葉にならない言葉が漏れる。
 あれだ、何て言ったらいいかわからない。
 そんな俺の態度をどう捉えたのか知らないが眼前の少女は怯えている。
「大丈夫だよ」
 何が大丈夫なのかまったくわからないが、とりあえず優しい言葉をかける。
 怯えた少女をそのままにしとくのは男として問題があるからだ。
 まあそんな事を言った所で彼女の頭が大丈夫じゃないという事実は変わらないわけだが。
「ところでなんで俺ってこんな状況なの?」
「愛し合う二人は一緒にいなければいけないんです!!」
 それは確かにそうだろう。よくある悲恋ものの話を認めずハッピーエンドしか認めない俺としては同感だ。
 だがしかし俺と彼女は別に愛し合ってないからそれは関係ない。
 勿論それを口に出す事はしない。俺は空気を読める男だからだ。
「一緒にいるのはいいんだけどそれは、縛られる理由にはなっていないんじゃない?」
「あなたが悪いんです。だからこれは仕方のない事なんです」
 それはあれですか?俺が告白を断った事を言ってるんですか?
「とりあえずこんなだと何にもできないしさ」
 異常な状況下に関わらず俺は、意外と冷静だった。
 それはきっと俺が追い詰められた時こそ真価を発揮する人間というわけではなく
 おそらく現実を受け入れられていないだけなのだろう。
 もうどうにでもなーれ。
「貴方が何もできないなら私がすればいいじゃないですか」
 そう言いながら彼女は俺のズボンへと手を伸ばしてきた。
 マリー・アントワネットだ。こいつは性のマリー・アントワネットだ。
(^p^)焚き上げ