【お焚き上げ】投げSS供養スレ【墓場】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
スレでの投げ宣言は憚られる職人様は是非ご利用ください
また書き上げられない、完結させる気の無くなったSSの投下もお待ちしております
このスレで投げ捨ててすっきり忘れましょう

※このスレはあくまで投げるためのスレです
 少しでも続きを書く気があるのならそのSSは投下しないであげてください
※職人さんへの投げるな、続き希望というレスは極力控えましょう
 読み手さんの続きを待ちたい気持ちも投げ捨ててください
2名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 17:30:56 ID:/AiixZ6n
3名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 21:00:46 ID:nreq02k1
【宇宙から】電波系な女の子【受信中】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199703509/
このスレに投下しようと思ってたけどいつの間にか落ちちゃっていたようなので
こっちでお炊きあげさせてください

では投げます
4名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 21:03:26 ID:nreq02k1
「ここでわたしは重大な情報を提供しましょう『猫は人類の敵』!! 膝の上
から地球侵略を狙っているのです」
「はいはい、分かったから目ぇ開けたまま寝てないで教科書とノート出そうな」
 男一人と女一人の十畳間。この部屋はこの家で最も小さいと言うのだから金
持ちの考えることはよく分からない。
 そこの主である彼女は足は正座の形で上半身を後ろに倒す形で布団につけて
いつも通り夢物語を真顔で語る。
 つーか部屋に客が入ってきてるのに布団しきっぱか、どんなしつけされてん
だお前。
「重大情報を知った人間らしくもっと慌てたらどうなんですか、地球の危機が
回避されるかそうでないかの分かれ目なのですよ」
「分かったから教科書出せ、お前留年かかってんだぞわかってんのか」
 二進も三進もいかない状況だが彼女が頼るべき家庭教師は居ない。
 もうすでに現実とおとぎ話の区別が付いていて当然の年齢でありながら彼女
は未だに変態行動を行うためにまともな家庭教師は続かないのだ。
 彼女があまりに真顔で妄想を垂れ流すためそれに毒されて精神を病んだ家庭
教師もいるという。
「ああまさかここまで事態が把握できていないなんて。オメガプラニティ界よ
り使わされた使者の言葉を信じられない貴方には天罰が下ることでしょう。…
…はっここで天啓が! 貴方の愚鈍さを責め立てるのは間違っている! これ
は実に強固な洗脳なのでしょう。真実を真実と思わせない猫の力なのですね、
恐るべしねーこー!」
 何故か彼女は両手を広げ天井を仰ぐ。その視線は明らかに天井を見ている。
 掃除が行き届いているらしく天井には蜘蛛の巣どころかホコリ一つ見あたら
ない。当然蛍光灯の傘にもそれらは見あたらなかった。
 ハウスキーパー雇ってんだっけな。これだから金持ちは。
 明らかに掃除などするはずもない部屋の主を半眼でにらみつければ彼女はゆ
らゆらと上半身を起こしたり倒したりねじったりしている最中だった。
「この社会不適合者が。お前のことはどうでもいいがこっちはお前のご両親か
ら泣き付かれてんだ」
 本人はマジでどうでもいいが、こいつのご両親は金持ちで俺の両親とは若い
頃からの友人らしい。
 その縁で俺はこいつのご両親からちょっとばかり援助を受けている。そのた
めこいつのご両親の頼み事は断れないというわけだ。
 例えその頼み事がこのバカ女に留年を免れさせるという途方もないものであ
ったとしても、だ。
「おいバカ。最後通牒だ、教科書とノートを出せ」
「バカなんてこの部屋には居ないのです。いるのは真実を理解できない洗脳さ
れた貴方です!」
 上半身を起こし両手を握りしめてなお彼女は言いつのった。
5名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 21:04:01 ID:nreq02k1
 思わずその頭を思いっきり揺さぶってから床にたたきつけてやりたい衝動に
駆られるがそれを数字を一から十まで数えることでやり過ごす。
 これ以上いらいらしないために黙って立ち上がり部屋の隅に置かれたままの
学習机からノートと教科書を取り出した。
 マジで傷一つ無い新品同様の教科書の姿に思わずめまいがする。
 所謂一貫性のエスカレーター式の学校だからこそどうしようもないバカが時
折生み出されるが、彼女はそういうやっかいさに加えて性格がダメだった。
 ぶっちゃけ早いうちに金を積んで今の学校に入れたと彼女のご両親は言って
いたがそれは正解だ。
 高い金を払う私立だからこそ彼女は引っかかっているのであって、予算も人
間の余裕もない公立校ではまずこういう彼女から切られていくであろう事は想
像に難くない。
 そのエスカレーター式校に居てさえ彼女はどうしようもないレベルで引っか
かって留年の憂き目に遭いつつあるのだが。
「……おい、この教科書名前も書いてないぞ。お前これに今の今まで触ったこ
とあるのか!」
「ロックボトムにおけるスーサイダルカンパニーであるわたしは無意義に地球
の物質に触れることを禁じられているのです」
「いいから黙ってここにちゃんと名前を書いてみろ」
 また机から真新しいサインペンを取り出し彼女に握らせる。
 そしてその目の前にそっと教科書を差し出した。
 彼女は軽く首をかしげ考え込んだ後素直に名前欄にサインペンを走らせる。
「……」
 数秒の間の後、俺は黙って教科書の名前欄に訂正線を引いた。
「ああっ!」
「ふざけんな!『緋藍姫羽炎愛』ってなんだ!!! 読めるかー!!」
 ぶっちゃけ彼女はこんな何かを勘違いしたような名前ではない。
「ネガティブクリープな存在のわたしは母星からのからの要求により抽象輪廻
のため常に変名を求められているのです!」
「偽名って分かってやってんのかよ!」
「偽名ではありません、無上の存在からによる秘文を用いた絶対的な名であり
今世界に置いてのわたしの存在を秘密裏に示すのに最もふさわしいと思われる
文字の並びなのです」
 何故か彼女は胸を張っていた。張られた胸に肉は少ない。
 金持ちだから良い物を食べているだろうにどうして必要な場所に肉が付かな
いのだろうか。
「まず名前をまともに書かせるところからやるってなんなんだよ畜生!」
 悲鳴に近い気持ちを叫ぶと彼女は明後日の方向を向いていた。
「ああ、こうしている間にも猫は鯨と手を組みフラッシュバックエクソダスを
引き起こそうとしているというのに!」
 そして部屋から出て行こうとしたので思いっきり足を引っかけてやるとたや
すくその場にすっころんだ。
6名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 21:05:35 ID:nreq02k1
投げ終了です、失礼しました
7名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 13:05:06 ID:QNceJRUE
>>6
乙。元スレで読みたかったな
8名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 22:00:01 ID:rGtPwpXu
なかなか面白かった。乙
9名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 23:39:03 ID:JiFRzZOg
ここって読み手が停止したSSを待つのを諦めるときにも使っていいのかな?
10名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 23:39:58 ID:JiFRzZOg
ごめん、上げてしまった
11名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 00:22:50 ID:Vm2/QrSX
>>9
〇〇スレの××っていう作品を待つのは諦めましたとか言うのか?
もし作者がまだ書いてたらいい気分はしないだろうし、
なんだか荒れそうだからやめといたほうがいいんじゅない?
12名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 01:15:02 ID:5HfK7Ghg
そもそも未完のSSを投下する行為自体が読み手を舐めてる。連載作家様かよ。
自分でここに来ない奴は読者が晒すのもアリかと。
13名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 01:41:57 ID:3TriC1Jz
読者様降臨。

14名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 02:46:32 ID:Vm2/QrSX
>>12みたいな荒らしではないにせよ火種を持ってくるやつが大量に流入してきそう
まあ、スレの目的からして他のスレも巻き込んで荒れそうだけどな
15名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 18:46:27 ID:PsJw12FN
9です
ちょっと荒れる話題だったようで申し訳ない
スレや職人さんの具体名を出すんじゃなくて、ただ諦める宣言をここで出来たら
すっきり出来るかなと思ったんだが確かに荒れる元だったな、すまん
16名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 21:48:13 ID:9kMOcRs9
むしろ職人さんにはどんどん投げ宣言して貰いたい
待たれることが職人さんにとって負担ならこっちでそう言って貰えれば
職人さんの負担になりたくないし、諦められると思うんだ
17名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 05:34:51 ID:y1qcjdpU
投げSS待ちage
18sage:2008/09/18(木) 20:01:15 ID:q1QQl2Zb
人間♀×人外♂スレ落ちてるし女の子責めむずい投げ
-----------------------------

「おとなしくしな! こんな森の奥に助けなんか来やしないんだよ!」
 うっそうと茂る森の奥深くに、まだ若い娘と言って差し支えない声でそれは不似合いな脅し文句が響き渡る。
「俺が何したっていうんだよぉー」
 それに応えて悲痛な悲鳴を上げるのはふさふさの毛に全身を覆われた茶色の狼人。
 ロープでぐるぐる巻きに縛り上げられて地面に転がされている。
 それを赤頭巾の娘は見下すように見下ろしながらも油断無く猟銃を構えていた。
「黙れ、犯人はみんなそう言うんだ」
「だから俺じゃないってぇ」
 既に狼人の瞳には涙さえ浮かんでる。
 元々森で赤頭巾の娘が一人で歩いていたものだから、狼人が心配のあまりちょっと声をかけて森の外まで案内してやろうとしたのが運の尽き。
 最近森では盗人が現れるという噂も立っていたから放っておけずに狼人が声をかければそれは見事な悪人笑いでにやりと微笑まれ、その瞬間赤頭巾の持っていたバスケットからは猟銃が飛び出し面食らう狼はあっさりとぐるぐる巻きにされてしまったというわけだ。
 それはもう見事な手際でまさにプロの犯行だったと半ば現実逃避のように狼人は思い返す。
「誤解なんだってば、俺は君が一人で歩いてたから心配になって声をかけただけでなんらやましい気持ちは」
「狼人がなんの目的もなく人間の、それも見ず知らずの娘に声をかけるわけ無いだろ。この盗人め」
「そりゃ普通はそうかもしれないけど」
「自分だけは違うとでも? 犯罪者に限ってそういう事を言う」
「ううううぅ」
 頭から盗人と決めてかかられてはどうしようもない。
 それよりも善意を悪意に取られてしまったことが狼人は悲しい。
「さぁ盗んだ物の隠し場所をきりきり吐きな!……言わなきゃその毛皮剥ぐ」
「やめてぇぇぇぇぇ!」
 毛皮を剥ぐという台詞にとうとう狼人がびくぶるふるえ出す。
 赤頭巾はそれに気をよくしたのかにこりと笑ってバスケットからそれはよく切れそうな銀色の小振りなナイフを取り出した。
「女の力じゃナイフがあってもたいしたことは出来ないが、まぁ剥ぐぐらいならやれるだろ」
「だめぇぇぇぇ! 目が本気に見えるぅぅぅぅ」
「冗談だとしたらそんなブラックな冗談を言う人間とは付き合いを考えた方がいいな。むろんアタシは本気だからなんら問題はない」
「なお嫌ぁぁぁぁぁ!」
「さぁーて、耳からそぎ落とそうか、それとも指を一本ずつ切り落とそうか。ふふ、耳は二つしかないが指なら両手で十回、足も含めたら二十回いけるな」
 既に毛皮から逸脱した言動をしながら右手にナイフ、左手に猟銃を携えた赤頭巾がじりじりとその距離を詰める。
 狼人はその姿におそれをなして後ずさろうとするが全身ぐるぐる巻きにされた状態では芋虫以下のスピードだ。
 ずるずると全身を使ってはいずる狼人を赤頭巾は何故か嬉しそうに、ことさらゆっくりと追いかける。
 だが初めから結果の見えていた追いかけっこは狼人の背中が木に当たったところで終わりを告げた。
「う、ぁ……ちょ、待って待って待ってまってぇぇぇ!」
「つーかまえた。あと、待たない」
 この上ない笑顔で赤頭巾が狼ににじり寄りその耳をひっつかむ。
 そしてひたりと銀色のそれが押しつけられているのを直に感じて狼人はぎゅっと目をつむり震え上がった。
 けれど一向に想像していた痛みは襲ってこない。
 おそるおそる狼人が目を開くとうっすらとにじんだ視界の真っ正面に赤頭巾が居た。
「さぁ、吐く気になった?」
 どうやら赤頭巾は脅して狼人から自白を引き出そうとしていただけらしい。
 乱暴に掴まれたままの耳は痛いが決して切られたわけではないという事に安堵する。
 そして今しか反論の機会はないということを悟る。
「だから違うんだ! 誤解だよ! 俺は盗人じゃないし、その証拠に盗品だって一つも持ってない、ちゃんと調べて!」
 ぐるぐる巻きのままもぞもぞと体を動かす。
 確かに狼人は毛深いから分かりづらいが、その体にまとっているのはすすけたズボンぐらいなもので盗品をかくしているようには見えないだろう。
「そこまでいうなら確かめてあげる。けど少しでも変な動きをしたら……分かってるな?」
 そう言うと赤頭巾は狼人の耳からナイフを動かした。
 つっと銀色の冷たいナイフが耳から目の横を通り首筋と通ってゆく。
 人と違って厚い毛皮に覆われた肌だからこそ傷付かずにいられたが、普通の人間だったら切り傷が付いていてもおかしくない動きだった。
19名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 10:10:28 ID:1AgXXE3V
それsageやない、sageはメール欄に書くんや!


……ゼイゼイ
狼男が月の光を浴びるとなぜかイケメンになる設定なら、
そこらの小屋に連れ込んで「ばっちゃのお股に角生えてるのはなぜかしら?」
なレディコミ話が誰でも書けそうなものだが
20名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 10:48:06 ID:WBMe8rnV
「んが、ぐっぐっぐ」「んも〜そんなに暴れないでよ〜
縛ってても膝とか危ないんだよ〜?」
ナース服の弓子はいつの間にか俺の手をパイプベッドに縛り付け
足は曲げた状態で片足ずつ足首とモモが開かないようビニールテープで縛られていた
「もうちょっとで気持ちよくなるんだから〜
私のメガネにたっぷりかけるんだよ」
無理な話だった。精液より血が出そうだ
丸顔ショートにメガネの彼女は
「ごめんね胸でするのはちょっと無理かな
それ以外は全部叶えてあげる」
と胸はBにギリギリ足らない細身の体を俺は膝で挟み耐えていた
彼女の口は俺をほおばり舌で先を撫でるだけでストロークはしてくれない
予定だとこのあと薬を飲まされ逆にむちゃくちゃにしてやるはずだ
やめてくれ死にそうだ口で鬼頭を責め続けられ俺の口に入れられた彼女の下着を
歯から血が出るくらいに噛み締めて耐えた腹上死で殺されそうだ
俺が悪かった。彼女の小ぶりの胸を愛しすぎたのだろう
彼女の舌はその感覚を覚えて俺をいじめている
机の中のあれにはそこまで書いてなかったはずだあれが悪い俺が悪い
21名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 10:59:59 ID:WBMe8rnV
「えっと次は…
はい。お薬出しますね。私をめちゃくちゃにしてね」
彼女は俺にマムシドリンクを渡し微笑んだ
今度は俺がせめる話を書いて机に入れよう
書きかけの小説でかまわないなら…
22名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 18:41:05 ID:Wl4CMh3A
>>19
ばかばか!なんで追い打ちかけるようなこと言うんだよ!
指摘されなかったらみんな気付かないかもしれないじゃんか
ちょっと間違えたの!だから無し!ノーカウント!
23名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 20:12:10 ID:PQges7V4
>>20-21
ナイス投げ
24名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 23:36:24 ID:quON6W51
意外と投下はあっても宣言がないな
つまり自分が待ってるあれとかこれとかの作者さんは
連載続ける気も完結させる気も満々ってことなんだな!
25名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 22:51:03 ID:EV2ooxLA
>>24
つ すでにエロパロ板を見ていない可能性
26名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 23:13:01 ID:wyQD//gj
投げー
27名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 21:10:35 ID:0E7SWE2K
>>25
ここに鬼が居るw

でもまぁ一回書き始めちゃったら愛着?みたいなのが沸いて
投げるところまで行かない人もいるんじゃない
思いついたら続きを書こうってふとした瞬間に思い出す感じ
28名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 00:38:03 ID:4CIrAddx
途中で筆が止まっちゃったSSもおkなのか
いつかお世話になるかもしれない
地味に続いてくれると嬉しいな
29名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:21:55 ID:MsBh54SX


知らない女の人の名前を呼んで、師はアルを乱暴に攻めた。
幼少に声を失ったアルに否定する術はない。
――あっ あっ ししょっ……ひ んっ くぅんっ
体験したことのない激しい行為にアルは為す術もなく、あえ
ぐしかなかった。何度も師を受け入れた体は、例え乱暴にさ
れても痛みはなく、激しい快感だけをアルに伝えた。
師はアルの腕をシーツに縫いつけ、容赦なく腰を打ち付ける。
聞いたことのない、ぐちゃり、ぐちゃりという音、肉と肉が
ぶつかり合う音。
――ゃあぁぁあっ! ぁんっ ししょ ししょう!
怖い。感じたことのない快感に自分が流されてしまいそうだ
った。何度達したかわからない。
わけがわからないくらい乱れても、頭の隅で愛人さんたちは
師匠とこんな激しくしているのかと考える。アルは師匠とこ
んなに激しくしたことは無かった。虚弱な体に負担がかかる
からと言って、ゆっくりとした動きだった。とろかされるよ
うな。
師匠の気質からして、セックスが優しいはずはないと常々思
っていた。師はアルの体だけでは満足はしていない。師が達
しないまま終わることもよくある。人を好き勝手抱く師匠だ
ったが、なんとなく申し訳なく思っていた。

30名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:22:50 ID:MsBh54SX


今まで、そんな風にアルのことを考えて抱く人はいなかった。
あの頃はまだ心臓にまでそれほど負担がなかったので、激し
い行為にも耐えられた。今はどうかわからない。心臓がばく
ばくと打ち、正直苦しい。それとも、激しいとこうなのだろ
うか。
師の動きが一段と激しくなり、奥にがつがつと当たり、アル
は潰されてしまいそうだった。
師が苦しそうな顔でアルの顔を見ている。
見ないでほしい。ひどい顔をしているだろうから。
――きゃんっ あんっ あんっ ししょ 師匠っ
中に師の熱が吐き出された。どうも師匠のは熱く、量が多く
て勢いがあるためか、中に出されたことがよくわかる。
白濁を奥に押し込まんとでもいうのか、師が数回大きく挿入
を繰り返す。
とりあえずはフィニッシュを迎えたらしい。意識を保った自
分に乾杯。
出しきったらしい師はモノを抜く。信じられない、まだ立っ
ている。アルは荒い息をしながら、半ば呆然と見た。絶倫だ。
師はぐたぐたのアルを軽々抱き上げ、膝の上に乗せる。
「アル」
師は案外はっきりとした目をしていた。やっとアンジェリカ
とかいう人じゃなくて、自分の弟子だと気がつきましたか。

31名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:25:59 ID:MsBh54SX

アルはうんざりして、目を反らした。やっと酔いが治まった
らしい。
一発してから気がつくとか、最低だ。ましてや、アルを自分
の愛人の勘違いして抱くなど。これは強姦に等しいのでない
のか。……これで気持ち良くなかったら殺している。
むすっと顔を背けていると、顎を捕まれてキスされる。無理
矢理口内に割って入る舌が上顎をなぞり――思わず師のシャ
ツを握った――服着てやがるこいつ。ムカつく。舌を噛んで
やろうかと思ったが、口内を侵す舌に翻弄され、そんなこと
はとてもできなかった。
キスを受け止めるのに精一杯で、師のモノがアルの、師の
白濁がこぼれ落ちる秘所に当てられたことへの反応が遅れ
る。しまった、と思ったときにはもう、侵入が始まってし
まい、アルの体が刺激に跳ねる。師の腕はしっかりと身を
よじろうとするアルを押さえつけ、アルの中へ身を沈めて
行く。師によってこの上ないほどどろどろに溶かされ、ま
だ行為をして幾ばくも経たないそこは、簡単に受け入れて
しまう。アルはもうあえぐしかない。

32名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:31:18 ID:MsBh54SX

まだ口内を舐め回されているアルは、息継ぎままならなくなりながら、
必死に刺激に耐える――が師のものが収まったときにはもう、
一度達してしまっていた。
「敏感すぎだろう」
 は、は、と荒く呼吸を繰り返すアルを師は鼻で笑う。
じゃあテメェもされてみろと思うが、うらみがましい視線を
送る余力はなかった。
というか師匠が同じ立場だったとしても、二度目で入れられただけでは
イかないだろう。師匠は女でも絶倫なはずだ。
「もう一度耐えろ、アル」
アルの腰を掴んで揺さぶり始めた師は、にやにやと笑いながら
悪魔のような宣告をした。
「一応手加減はしてやる。発作起こして死ぬなよ。
師匠が弟子を腹上死させたなんて、笑い話にもならん」
変態のレッテルを貼られるだろう。
年端もいかぬ体の弱い弟子に手を出して、殺したと。
ああもう、いっそそうなりゃいいのに。
激しくなっていく揺れのなか、快感に支配される思考のなかで思うが、
すぐ何も考えられなくなる。

体を貫く師の感触と、そのから生まれる快感だけが全てだ。




33名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:36:06 ID:MsBh54SX



目を覚ますと、師匠にしっかりと抱き込まれていた。
「……」
しかも、モノが中に入ったまま。
どうせよと。
二度目の行為についてはよく覚えていない。
途中で意識がなくなってしまったらしかった。ただ、気が狂いそうなくらい
気持ち良かったのは覚えている。ぐしゃぐしゃに乱暴に犯されて、あえいで、何度も達して。
思い出したらうっかり師を締め付けてしまい、慌てて身を離す――
と、師が抜け出るとどろりと何かが溢れた。
うっ、とアルは固まる。
いったいどれだけ出されたんだろう。あと一回と言ったが、
本当に一回だったのだろうか。かなり怪しい限りである。
うらみがましく師を見ると、思いがけず眠そうな目とかち合う。
「よう」
ようじゃありません。
つか、なんであんたは服を着たままなのか。
こっちは全裸な
のに……いや、靴下は履いている。まぬけ過ぎる。
しかし例え布団に隠れていようとも、師匠はスボンを半分下ろして、
下着からぼろんとナニを出して状態である。師匠よりはマシだ。マシに違いない。
無性にむかむかして、ベッドから這うように降りる。
ああ、足が生まれたての小鹿ちゃんのよう。
34名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:40:01 ID:MsBh54SX
すっく、と立ち上がろうとして、目の前が真っ暗になった。
平行感覚を失って、思わず床に膝を着く。ぐわんぐわんと頭の中が
揺れるような感覚に、頭を抑えた。
「おい。足腰が立たないか?」
にやにやと笑いながら言っているのが容易に想像できる。
それにまた苛々したが、それどころではない。アルは首を振った。
めまいがする。心臓が妙に早鐘を打つ。行為の後だからだろうか。
呼吸が浅く、早くなる。胸が、きりきりと痛む。
「おい」
珍しく焦った声を出す師匠がおかしい。
すくい上げられて、また師の腕の中に逆戻りをした。
咳き込むアルの背中を師の手が撫で、なだめようとする。
アルは師の肩に頭を押し付けて治まるの待った。
アルの脈を計り、首筋に手を当て、眉を寄せた師は
「寝て待っていろ」と言って、錠剤と水を持って戻ってきた。
……股間ポロリは直っている。当たり前か。

薬を飲み、着替え、少し横になる。
一応悪いと思っているのか、師が横に添い寝をして、横向きになった
アルの頭やら肩やらをなだめるように撫でる。
「……お前が悪いんだぞ」
怪訝そうに師を見ると、不機嫌そうに言われる。
「あんな顔するから」
どんな顔だ。

35名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:47:08 ID:MsBh54SX

大体誰が誰だかわからなくなるほど飲んでくる師匠が悪い。
師匠が乱暴しなければおそらく倒れずにすんだのだ。
師匠にはわからないだろう。どこもかしこもガタが来て、
虚弱なアルの不安など。
発作が出るたびにもう時間がないのではないのかとひやひやする。
アルはすねてベッドの隅まで転がって、師に背中を向けた。
「冗談だ。嫌われたか?」
苦笑が混じる、後悔の混じった声に、アルはしばらく背を向けたままでいた。
そして眠ったふりをして師の方へ寝返りをうつ。髪を撫でる
手を感じながら、とろとろと眠りについた。



おわり。




どうしようもない師匠と声のでない虚弱体質な弟子。
弟子のセリフがないおかげで男に見えるっていうorz


突発ネタお炊き揚げ
壮絶に読みにくい気がする。
それもまた、ゴミなんだーということで

以上でした


36名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 15:53:16 ID:JuRz8EpR
>>29-35
GJ!おもしろかった
37名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 00:52:27 ID:6lghoTKp
グッジョーブ!
師弟関係はおいしい
38名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 08:04:11 ID:qKS3rMcT
面白かったぜ!
39名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:15:23 ID:QDLua4Al
>>35
確かに最初の方弟子が男に思えるな
40名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 18:32:40 ID:0b4qiNl/
おお!面白かったです!
よかった、弟子が女の子で…
弟子と男子って字が似てるよね
41名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 18:56:25 ID:eymgYtpa
>>28
おkおk
42名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 02:47:05 ID:swSWLxFQ
面白かった。途中♂×♂?って思っちゃったけどでも面白かった。

>40
でも妹子だとおっさんになっちゃう不思議
43名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 18:58:47 ID:CgGhdAZs
いもこと読むから駄目なんだ。
まいこと読めば何の問題も無い。
44名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 23:06:35 ID:xf8f7b/W
此処は、一般的に良く言う、ごく普通の一軒家…。
此処に、ごく普通の家庭を営む、一つの家族が居た。
苗字を山岸と言う。
この山岸家…両親ともに、共働きで父親はサラリーマン、母親はパート…といった、
居たって現代的で普通な、暮らしをしている。

余りにも普通過ぎて、事件らしい事件も無く、最近の目新しい出来事と言えば、
父の買ったサマージャンボ宝くじで、5等の一万円が当たった位だ。
何も起こらないと思っていたこの山岸家に、今、ちょっとした(?)出来事が起ころうとしていた…。

此処の息子・隆之は、深夜の下らないTV番組を、誰も居ない居間で大音量のまま、笑いながら見ている。
その気になれば、友人から借りたAVも、正々堂々この音量の侭で視聴出来てしまうだろう。
腹が減れば、冷蔵庫や貯蔵庫を漁って、菓子やカップラーメン等の食料を探し、空腹を満たす。
普段なら自分の部屋で一人、宿題もせず漫画を読み、動画サイトでお目当ての動画を漁っているか、
ヘッドフォンをして、ゲームをプレイしている様な時間帯だ。
何故、彼がこんなに悠々自適な暮らしを送っているのかと言えば、
丁度両親が、この家に揃いもそろって居ない事に起因している。
居ない理由…それは、至極簡潔で父方の親戚の息子…即ち彼にとっては、
従兄弟の結婚式に出席するため、此処二、三日程泊まりで海外へと出かけているからだ。
因みに隆之も、その結婚式に参加の予定だったのだが、欠席を決めた。
確かに祝いたい気持ちもあったし、海外旅行は魅力的だったが、
余り勝手の分からない自分が出席しても、相手の負担になるだけだと思ったからだ。

――― これは勿論、建前の話。
本当の理由はまあ、皆様ご察しの通り、旅行に行くのが急に面倒になり、まったりゴロゴロと、
両親の居ないこの家で、思う存分羽根を広げ、自堕落に過ごしたい…。
勿論、これが彼の本音である。

こんな山岸家だが、もう一人、家族が居る。
そのもう一人の家族とは、彼の4つ上の姉、夕菜(ゆうな)の事である。
夕菜は、仕事の都合上、どうしても従兄弟の結婚式に出ることが出来なかった。
即ち、この家には今の所事実上、二人しか居ない事になる。

――― こうして、何かが起こりそうな予感を残して、二人だけの三日間が始まった。
45名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 23:14:49 ID:xf8f7b/W
「あー…友達と呑んでから帰るって言ってたけど…姉貴遅いなぁ…」
TVに映る時計を見ながら、隆之は一人呟いた。
本当は姉を待たずに、電気を消し、もう寝ても良かったのだが、

『家の鍵を忘れたから、起きてて待っている事!』

と明記されたメールが、突然隆之の携帯に届いた為、隆之はその言葉に従って、
姉が帰宅するまでの間、だらだらと、起きなくてはならなくなってしまったのだ。
「ふあああぁぁぁ…全くいい迷惑だよな…こっちはもう眠いんだって…」
大きな欠伸をしながら、そう姉への愚痴をもう一言付け加える。
ついに、体力の限界で耐え切れなくなったのか、ソファーでうつらうつらと、居眠りをしている間に、玄関から、
ドアノブを、勢い良くガチャガチャと回す音が聞こえて来た…。
程なくして、ドアが開き、今までそのノブを弄っていた人物が姿を現す。
その人物の正体は、言わずもがな、件の彼の姉、夕菜だった。
「た〜かゆきぃ〜たっらいまぁ〜!」
既に出来上がって、上機嫌な夕菜の帰宅第一声が聞こえてくる。
その声に、目が覚めたのか、眠そうな瞳を擦ると、隆之は、欠伸交じりの溜息を吐きつつ、一度伸びをした。
「あ〜あ…たく…今何時だと思ってんだよ…姉貴…」
そして、鍵をかけるためと、酔った姉の様子を伺うため、そう言いつつ不機嫌な表情のまま、
ドスドスと大股で歩くと、玄関迄姉を出迎えに行く。

何がかんだ言っても、この兄弟…昔から仲が良く、その仲の良さは、
時折、二人で遊びに行く出掛け先にて、恋人に間違われる程…だった。
間違われた瞬間、姉も姉で、本気なのかふざけていたのか分からないが、隆之の腕に自らの腕を回して絡め、
「えへへ…そう見えますー?」
なんて間違えた人に、笑顔でおどけて見せたこともあり、どちらかと言えば、姉の方が、弟の事を良く構っていた。
弟の方も、恋人が出来たとしても、最終的には、何処かその相手を姉と比べてしまい、結果的に長続きせず、
結局別れてしまう事が、多かったようだ。

「こっちは、眠いの我慢して待っててやったんだからな…」
膨れっ面の隆之が、大きな欠伸と共に、帰ってきたばかりの姉へと向かってクドクド説教を零す。
やはり眠さで、少し苛ついている様子だ。
「あはは〜ごめん、ごめんってばー」
泥酔までとは言わないが、ほろ酔い気分の夕菜は、余程機嫌がよろしいらしく、
何処吹く風的な態度で、お気に入りのパンプスを適当に脱ぎ始めた。
「…んー…よいしょっと…これで脱げ…きゃっ…!」
フラフラ状態の酔いの所為で靴が中々脱げず、バランスを崩し、転びそうになった、
夕菜の華奢な肩を、隆之は、慌てて抱き止める様に、身体ごと支える。
「…っと…セーフ…」
姉が怪我をしなかった事と、そのままの勢いで自分も転ばなかった安堵感で、
ふう…と小さな溜息を台詞事吐き捨てる。



姉×弟モノですがここまで書いたものの途中で
書く気力が無くなってしまいました…

この度はお焚き上げさせて下さって有り難う御座いました!
46名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 16:13:19 ID:NpKn7dGR
>>45
これから!ってところで止まってしまったんだな(´・ω・)ザンネン
グッジョブです
47名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:57:45 ID:WtBzq4dh
「本日はお日柄も良く、聡明な貴方様におきましてはどのようにお過ごしでしょうか?
 それはそれとしまして本日不肖わたくしが貴方にお聞かせたい事があると存じ上げます。
 さりとて灰色脳細胞を酷使するわけでもないし、永遠に永久にお聞かせいたしましても
 よろしいのですが。時間というものは加速度的に流れ過ぎ終わり過去と化しました。
 さて私の人間的論理展開から出される主義主張としまして脳髄は物を考えるところに非ず。
 わかりますか? 世界に無数に広がる頭を開く事が答えへの最短経路になります。
 ああ、このように学問を説き道徳を問う事はこの場において似つかわしくない。
 ならばどういたしますか?さりとてわたくし恥の概念を捨て去り申し上げますと
 心躍る話も体踊る話も得意とはしておりません。自分の頭の中を語り聞かせる事の難しさ。
 けれどもそれは信憑性がありません。私の頭を知るのは私であり他の誰でもない私。
 気づいておられるのでしょうか。あなたはあなた、私は私。
 人と人との分かり合い触れ合いその全てにおいてもたらされる事。
 屁理屈ですね。例えばただ思うがままに話せば人は幸せになれるでしょう。
 幸福、あなたにとっての幸福とは何でしょう? 私にとっての幸福とは何でしょう?
 あなたの瞳を見つめその中に入る事が私の幸せならばそれ不幸となるのでしょうか。
 人の世で生きるという事は幸福と不幸の連続。私はあなたの中に入る事と出る事を
 繰り返す事により人の世の流れを感じ生きているのです。
 諸行無常の世の中にありながらそれだけは全て絶対」

 俺は男である。男ならば女性に好意を寄せられるのは嬉しい。
 ならば今嬉しさを感じない俺は男ではないのだろうか。
 いや、そもそもこれは本当に好意なのだろうか。彼女も言うように彼女の考えは彼女にしかわからないのだ。
「告白って事でいいのかな?」
「はい……」
 嬉しい事か残念な事かはわからないが、どうやら事実であるようだ。
 どうしようか? なかなかに素敵過ぎる告白に正直迷ってしまう。
 断ろうかとも思ったのだが、そう判断するには、彼女は魅力的過ぎた。
 整った顔立ち、腰にまで届く黒髪、きっちりと着こなした制服。
 艶やかな唇に切れ長で鋭い瞳。
 全体的に冷徹な印象を受けるが、頬を赤く染め、恐々と答えを待っている姿がそれを打ち消していた。

 一体俺のどこが好きになったというのだろう。
 疑問に思うが恋愛は理屈ではないのだ。だからそれは些細な事だ。
 彼女の不安げな様子を見て男なら断れるはずがない。
 じゃあ俺は男じゃなくていいや。
「ごめんなさい」
「えっ……」
「誠に申し訳ありませんがお断りさせて頂きます」
 人は負い目のある時に何故か敬語になるというが今の俺が正にそれだった。
 それ程までに俺の言葉で涙目になった彼女は、俺に罪悪感を与えた。
「……なんで、ですか? 私が可愛くないからですか? 私が暗い性格だからですか?」
「いえ、可愛いと思いますよ。性格に関しては知らないので何とも言えないですけど」
「そ、そうですよね。知らないからですよね。
 私の事をもっと知ってくれればきっともっと分かり合えると思うんですよ。
 私としては、子供は二人で一姫二太郎が理想でして
 あ、でもでももちろんあなたが望むなら私は多くても少なくてもいいですよ。
 世の中には子供がいらないっていう人もいますし、そういうのもおっけーおーるおっけーです。
 子供がいないならいないで夫婦の時間が増えるというのも魅力的ですよね。
 もちろん子供が出来てもあなたが私に注いでくれる愛が減るとかそういう事を言ってルンじゃないですよ。
 ただですね、分かっていても言葉にして欲しいというのが女なんですよ」
 長々と続く説明を聞きながら、まず名を名乗れと思うのは俺だけではないはずだ。
 というかこの子は、あれだちょっと頭の可愛そうな子だ。
 もうね、いきなり女の子に二人きりで呼び出しされた俺の胸のトキメキ☆を返してください。
 このまま走って逃げようとも思ったが家まで追跡されそうなのがこの女の恐ろしい所だ。
 だから言葉をもってして止める。人類が人類たる所以は言葉があるからのはずだ。
48名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:58:21 ID:WtBzq4dh
「あーちょっといいかな?」
「花嫁衣裳はもちろん純白です。純白の意味は勿論あなた色に染まりますという私の心の表れ。
 あなたも無垢な者を犯し穢していくという背徳的な行為にその身も心も震わせて欲望に身を任すはずです。
 新居は、レンガ造りで煙突のある家がいいですよね」
「ちょっとでいいから止まって!一時停止でいいから止まって!」
「はい、なんですか?」
 正直この女に対して色々思うところはあるが、もういい。もう関わりたくない。
 家に帰って二次元の世界に帰ろう。うん、そうだそうしよう。
 二次元の世界の住人の俺には三次元の空気は重たいのだ。
「すいません。どうあがいてもナニが何でもあなたと付き合うと言う事はできません」
「えっ……」
 俺の言葉に彼女が止まった。先程の言葉とは違い今度の言葉には俺の本気を感じたのだろう。
 このまま止まったままでいてくれたらきっと世界は平和になる。 
 しかし俺のそんな儚くとも大きな望みは崩れ去った。
 彼女の時が動き出したのだ。
「やだ!やだ!離れたくなんかない!ずっと傍にいてよ!あたし、何でもするから!いかないで!」
 キチガイを刺激したらこのようになりますという例のように取り乱す彼女。
 そんなに取り乱したらせっかくの美貌が台無しですよ。
 ああ一番台無しにしてるのはその頭でしたね。
「……何でもしてくれるんだね?」
「うん!する!あたし何でもする!だから!」
「それじゃあ……俺を諦めて」
「私は、あなたの為なら何でもできます。
 お洗濯もお掃除もします。ご飯だって今は作れないけど作れるようになります。
 エッチだっていくらでもさせてあげます。
 私、処女なんですよ。初めてはあなたって決めてるんです。
 もちろん口と尻は経験済みだけど前は処女ですなんて事もないです。
 というかですねそんな女は屠殺ものです。
 処女っていうのは、キスさえもした事がなくて初めて言えるもの。
 初体験の時には膣内射精。
 子宮に入りきらず溢れる精液と破瓜の血が混じったものを見せて、私を女にしたモノに口の初めてを捧げる。
 そういった初体験の時にだけ出来る事は当然の如くしますし、SM、スカトロ、なんでもありです。
 あ、でもでも他の男の人に見せたり、奉仕させたりとか無しにしてください。
 あなたの欲望は全部叶えたいのですけど
私はあなたに全てを捧げたのであって他の男には触られたくもないのです」
 すいません。もう勘弁してください。
 好意を寄せられるのは嬉しいですが、理由の分からない好意は無理です。
 しかもその好意が異常に重くて桃色方向に突っ走ってるのなら尚更だ。
「まあ待て落ちつ……えっ」
 言葉を最後まで言い切る事はできなかった。
 薄れゆく意識の中、最後に見えたのはスタンガンを握り締めている彼女の姿だった。
49名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 00:58:35 ID:WtBzq4dh
 目が覚めたら例の頭の中が茹ってる彼女がいた。
 しかも体が大の字に広げられた状態で縛りつけられていた。
 いったい何が起きたというのだろうか。
 まだ働いてない脳では現状の把握に苦労する。
 そもそも脳とうのは目覚めてから2時間はたたないと完全に働かない。
 だからこの状況でまともに思考するのは不可能であり……
「起きましたね」
 このままずっと気づいてくれなかったら嬉しい彼女は誠に遺憾ながら気づいてしまった。
 うん。まずは挨拶からだな。言葉というのは人類の考えた最高の宝なのだ。
「えーと、こんにちわ」
「や、優しくしてください!!」
 こんにちわ→優しくしてください。
 会話として成立していないと思うのは俺だけじゃない。
「あーあーあー」
 言葉にならない言葉が漏れる。
 あれだ、何て言ったらいいかわからない。
 そんな俺の態度をどう捉えたのか知らないが眼前の少女は怯えている。
「大丈夫だよ」
 何が大丈夫なのかまったくわからないが、とりあえず優しい言葉をかける。
 怯えた少女をそのままにしとくのは男として問題があるからだ。
 まあそんな事を言った所で彼女の頭が大丈夫じゃないという事実は変わらないわけだが。
「ところでなんで俺ってこんな状況なの?」
「愛し合う二人は一緒にいなければいけないんです!!」
 それは確かにそうだろう。よくある悲恋ものの話を認めずハッピーエンドしか認めない俺としては同感だ。
 だがしかし俺と彼女は別に愛し合ってないからそれは関係ない。
 勿論それを口に出す事はしない。俺は空気を読める男だからだ。
「一緒にいるのはいいんだけどそれは、縛られる理由にはなっていないんじゃない?」
「あなたが悪いんです。だからこれは仕方のない事なんです」
 それはあれですか?俺が告白を断った事を言ってるんですか?
「とりあえずこんなだと何にもできないしさ」
 異常な状況下に関わらず俺は、意外と冷静だった。
 それはきっと俺が追い詰められた時こそ真価を発揮する人間というわけではなく
 おそらく現実を受け入れられていないだけなのだろう。
 もうどうにでもなーれ。
「貴方が何もできないなら私がすればいいじゃないですか」
 そう言いながら彼女は俺のズボンへと手を伸ばしてきた。
 マリー・アントワネットだ。こいつは性のマリー・アントワネットだ。
(^p^)焚き上げ
50名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 10:48:07 ID:gmoD+SbE
>>49
すごく面白かったぞ!?
51名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 23:12:30 ID:9gjfA4Y+
>>49
グッジョブ。面白かった。
52名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 19:18:39 ID:VR+xrU2J
>>47-49
GJ!
53名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 20:22:03 ID:Bcjr1Zxw
またぐっじょぶなお焚きあげはないべさか
54名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 20:59:01 ID:V6jlX2q2
中断してるSSはいくつかあるけど、お焚き上げした後、気が変わって続きを書きたくなるかもしれんからなぁ。

55名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 21:01:15 ID:mEN50NRg
それはあるな
お焚き上げしたけどたまに続き書きたくなるし
56名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 19:47:13 ID:2MusJbf7
供養
57名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:23:17 ID:xlt2+13y
水子。改行テスト。
母子ものにつきスルー推奨
58名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:24:08 ID:xlt2+13y
「いい?綾小路くんのお母さんにご迷惑かけちゃ駄目よ?」
「うむっ、まかせておけ」
「好き嫌いしない。それと寝る前にちゃんと歯は磨くこと。いいわね」
「当然だっ。では母よ!行ってくるぞっ!!」
一々噛んで含めるように言い聞かせる母親と、早く出掛けたくてうずうずする子供。
夕方、新太が学校から戻ると我が家の門前ではそんな光景が繰り広げられていた。
だぶだぶのリュックを背負った弟は母親にビッと敬礼したかと思うと一目散に駆け出していく。
「なんだありゃ」
間の抜けた声で新太が呟くと、母親が振り向いた。
「あら、おかえり」
「ただいまー。あのバカ、こんな時間に何処行くんだ?」
「綾小路さんの所にお泊まりですって」
「ふーん」
興味なさげにさっさと家に入る新太。鞄を畳に放り投げ、よっこらせと言わんばかりに腰を下ろした。
テレビのスイッチを入れ、ごろりと横になる。…うるさい弟の居ないせいか、家の中が随分静かだ。
縁側から真っ赤な夕陽が差し込み、畳も障子も赤く染め抜いている。秋、深し。
「今日の晩飯は何でしょーか。」
メランコリィな気持を吹き飛ばすように、間伸びした声を台所に投げ掛ける。返事は直ぐ戻って来た。
59名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:24:59 ID:xlt2+13y
「焼き魚とおひたしよ。なぁに?手伝ってくれるの?」
「いやいや、滅相もない」
軽く舌を出して寝返りを打った。静かな台所に包丁のリズミカルな音が響いてくる。
テレビに視線を戻すが、何を見ても面白くなくてスイッチを切った。彼の意識は別な所に向かっている。
鞄に忍ばせた一本の映像テープ。年頃の男子の事だ、言うまでもなくいかがわしい内容のテープである。
過激過ぎて市場には出回らない作品だと、持ち主の級友は声を潜めて洩らしていた。
無気力に見える顔つきの裏に動悸と期待を潜ませながら、新太は独りほくそ笑んだ。
─おとんは出張、うるさい弟もいない。後はおかんが寝静まるのを待てばゆっくり楽しめるな。
夜に備えて少し寝ておくか──
腕を枕に目を閉じる新太。規則正しく俎板を叩く音を聞きながら、程なく眠りに落ちていく。
恐らくは、若い女性のあられもない姿を夢に見ながら。

「新太──、ご飯できたわよ?」
いくら呼んでも返事が無いので覗いてみると、新太は畳の上で静かに寝息を立てていた。
「ったく……たまに静かだとこれなんだから」
浮島の夜は冷える。母親は溜め息をつきながらも、穏やかな寝顔を浮かべる新太に毛布を掛けた。
60名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:26:46 ID:xlt2+13y
「おっと、そうは問屋が卸さないわよ」
楽しそうな笑み。有無を言わせず没収する程頭の堅い母親でない事は解ってる。
しかしこんな状況で堂々と居直れる程、新太は摺れては居なかった。
「…ツイてねえ。わかった、今夜は諦めるからよ。それ明日にゃ返さないといけないんだよな」
しおれた様子で訴える新太。母親とて悪戯以上の思惑でテープを抜き去った訳では無い。
案外神妙な態度の息子に、彼女は負い目を感じた。ぶっきらぼうに見えても相手は繊細な年頃なのだ。
パジャマ姿のまま部屋に踏み込むと息子の傍らに座り、慰めるような声音で言った。
「…ほら、そんなに気を落とさないの。遠慮せずに見たらいいじゃない、男のコなんだから。……ただし」
そこで言葉を切ると彼女はテレビのスイッチを入れ、問題のテープを再生デッキに攻撃的に挿入した。
「我が子に見せていい物かどうか、ちゃんとこの目で改めさせて貰いますっ。
……という訳で、お母さんと一緒に見ましょ?」
「…………マジっすか……」
嬉々として振り向く母親に、新太は軽く眩暈のする頭を抱え込む。
──自分も興味津々って、顔に書いてあんぞ…
テープの内容よりも、直ぐこの場から逃げ出したい。新太は切実に思った。
61名無しさん@ピンキー:2008/10/21(火) 20:32:07 ID:xlt2+13y
…間違えて途中消してしまったので中断。
この調子で何コマ使う気かと思い挫折。
字数制限と投稿の面倒な携帯なんて大っ嫌いだ。
62名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 18:26:02 ID:Zvy2zRBq
>>57-61
遅くなったがGJ
63名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 00:24:09 ID:tZaLgUkG
ここは二次もおk?
64名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 21:20:37 ID:XzgiPDbO
なんでもいんじゃね? 焚いてやれ
65名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:05:44 ID:3b4nsSdS
はっきり言いましょう
レイプNTR要素ありのこの展開を覆すだけの和姦が書けねぇ
そーゆー訳でお焚き上げ



冷たい雨のそぼ降る街をあたしは傘もささずに歩いていた。
何故なら、あたしには居場所がないから。
昨日まで、あたしはそう思い込んでいただけだった。
でも、今日、本当に居場所を失った。
産みの親の言葉で。
『私の実継を誘惑しないで、この泥棒猫!』
あれは本心からの言葉だ。
実継を今でも待ち続けている女から奪い取ったのは他ならぬ母さんなのだから。



あれは今から一年に十日ばかり引いた、あたしが高校にあがる直前の事だ。
もう10時を回っているのに、母さんがお客さんを連れて来た。
飄々として、いやに馴れ馴れしい、狐顔。
珍しくあたしも同席するよう言われて、変に思った。
お客さんが来ると酒を酌み交わすから、お酒の飲めない未成年は部屋にあがりなさい、
って言うのがうちの家訓なのに。
そうして終電で帰って来た父さんに、母さんは一枚の紙を渡した。
母さん?
……それ、離婚届けだよ……?
父さんは何も言わずにサインした。
父さん?
なんで何も言わないの?
書斎で荷造りする父さんを罵った。
父さんはぽつりと独り言のように答えた。
「本当に相手を想うなら、身を退くのも一つの選択なんだよ」
父さん、それが世間に顔向け出来ないような恥知らずな真似でも退くのが正しいの?

父さんは答えなかった。
翌日、実継の彼女と名乗る人が家を訪ねて来て、実継を返してほしい、と土下座まで
していった。
実継はそんな元カノに帰れとウィスキーを浴びせ、実継が帰ってくるのを待っている、
と言い残して立ち去る彼女に、母さんは二度と来るなと塩を撒いていた。
当然、母さんがセフレ連れ込んで父さんと離婚したことはあっという間に知れ渡り、
あたしの高校生活は、一人裏庭で購買のパンをかじる毎日から始まった。
母さんはすっかり変わった。
髪や服、お洒落に気を遣うようになって、シャンプーやボディソープなんかを奢るよ
うになった半面、掃除は雑になり、食事も度々手を抜くようになった。
洗濯物も一日置きにしていたのが、二日三日と溜め込むようになった。
66名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:11:20 ID:3b4nsSdS
それでもあたしの前ではなるべく実継に甘えたりはしないよう気をつけているみたいだった。
だから、あたしは自分の身の回りくらいは自分で片付けるようにしたし、何も言わなかった。
週末にはおかずをつくって、三駅離れた町のアパートにいる父さんにお弁当を届けた。
そんな生活が続いて半年後、父さんは飲酒運転のドライバーに跳ねられて死んだ。
母さんは「もう関係ない人だから」と葬式にも顔を出さなかった。
葬儀の次の朝、母さんは起きてこなかった。
起こしに行くと扉の向こうから猫が喉を鳴らすときみたいな変な声がした。
あたしは台所で一人、夕べの残りのサラダをつついて泣いた。
学校帰り、路地裏に隠れてビールを飲んだ。
美味しいとは思わなかった。でも、今の母さんがつくるご飯よりはずっとマシだ。
そんな時、奴が声をかけて来たのだ。
「こら、女子高生。飲酒はいかんでしゅ」
飲酒といかんをかけた駄洒落をのたまう三十歳くらいの人の良さそうな背広姿のおっさん。
「変だな、この位の歳の娘って箸が転がっても笑うんじゃなかった?」
「笑う訳無いじゃん」
その時のあたしは多分自暴自棄になっていたんだと思う。
お酒入ってたし。
埃を払って立ち上がると、ベンチ替わりに腰掛けていた、自販機の横っちょに転がって
いたブロックの廃材に足を乗せ、制服のスカートの裾を、パンツが見えるぎりぎりまで
弾くようにめくった。右手を突き出しちょっと腰をくねらせ、おっさんを誘うような
ポーズを決める。
「くだらない駄洒落なんかより一緒に踊ろうじゃないか」
蓮っ葉な声でおっさんを挑発した。
あたしは、母さんみたいに一生添い遂げると約束した人以外の男をくわえ込んで喜ぶ
ふしだらにはならない。
ささやかな幸せすら守る力もない法律も糞くらえだ。
法の平等の元に守られ、ぬくぬくと日々を過ごすおっさんが、小娘に色目を使われ、
へどもどとうろたえる様を見て嗤ってやる、そんなつもりだった。
おっさんの両肩に手をかけて、腰を落とし、胸を突き出し、映画に出て来るキャバレー
嬢がするみたいに、背広の腹から胸の辺りにこすりつけた。
自慢じゃないけどあたしのバストはD65。
ウエストは61、ヒップ89。
それなりにめりはりのあるサイズだと思ってる。
「どうだ?女子高生のおっぱいは。キモチよかろ」
こんな事もしてやるぞ、と脚を腿で挟み込んだ。
67名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:15:46 ID:3b4nsSdS
「全く最近の女子高生は、けしからんな」
おっさんがため息をついてネクタイを緩めた。
片手でシャツのボタンを外す。
ちらりと覗いた胸板。
ドキリとした。
それまで優位に立っていたのが嘘のように脚がすくんだ。主導権を握っていた筈の自
分が、それだけの事で、立場が入れ代わった気がした。
薮をつついて遊んでいたら虎が出て来た、そんな心地だった。
おっさんの手がスカートをまくり、下着を下ろした。
腰が押し付けられて、脚の間に何かがするりと入り込んできた。
なにをどうされたのかわからない位、自然な、無駄の無い動き。
あ、と思う間もなく、熱い塊が、あたしの中で蠢いていた。
「やだ、嘘っ」
おっさんを押し退けようと胸板を叩いた。
おっさんの腕は力強くて、どうあがいてもあたしは身動きが出来なかった。
「嘘じゃねぇよ、男をこんなにしといて未成年ですから、は無しだぜ、お嬢さん」
おっさんがあたしのベストとブラウスをたくしあげ、乳房を剥いた。
大の男が赤ちゃんみたいに乳首に吸いつく。
「やぁっやめてっ」
嫌、お腹の中がムズムズする。
あそこを意識しちゃう。
んん、おっさんがくぐもった呻き声をあげた。
それまでがっちり食い込んで内側から圧迫していたのが、どんどん萎んでいく。
おっさんが腰を引くと、あたしの脚の間からちゅぷ、と音を立てて、黒いしわしわの
鰻みたいのがでてきた。
何故かおっさんは胸ポケットに入れてあったあたしの生徒手帳を抜き取っていて、返
してほしかったら明日またここで待ってな、そう言い残して立ち去っていった。

あたしは、自分の身体を抱え込むような恰好で、その場にへたりこんだ。
脚の間から何かが溢れてる。乳首を吸われた感触が、生々しく残っている。
気持ち悪い。
あたし、セックスしちゃった。
もしかしたら妊娠したかも。
こんなの、クラスメイトの誰もしてない(と思う。話なんかした事ないし)。
誰にも相談なんか出来ないよ。
どうしよう。
どうしよう。

怖いのにどうすることも出来ず、それからあたしは何度もおっさんに抱かれ続けた。
学校でも、家でも出来ないこと……他愛のないお喋りがおっさんとなら出来たから。
おっさんはあたしを抱くときだけは酷く怖い顔をしたけど、それ以外の、喫茶店で待
ち合わせの時や、その後の食事の時にはよく喋り、よく笑った。
地理と生物にはやたら詳しかった。
いつしか学校より家よりおっさんと逢うのが楽しみになっていた。

力ずくで犯された相手なのに。
あたしはどれだけ人に飢えていたんだろう。



そうして半年が過ぎ、あの日が来た。

その日はおっさんは出張だとかで、あたしは久しぶりに早く家に帰ることが出来た。
68名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:19:18 ID:3b4nsSdS
実継は夜にならないと帰ってこないから、今日はほんの少しだけ、あの頃の時間に戻れる。
筈だった。
居間に実継がいた。
「よーう、麻衣ちゃん」
ソファーに寝転んで週刊誌を読んでいたニットセーターを着た狐顔が起き上がる。
いつ聞いても軽薄な声音に、楽しい気分が一瞬で冷たいピリピリしたものに変わる。
仏頂面と嫌悪をミックスさせた表情を隠す事なく問うた。
「母さんは」
「珍しく買い物だよ、今日は久々に腕奮ってオムライスだとさ、お前の好物なんだっ
て?」
あたしは返事をしないで居間を出ようとした。
母さんが帰ってくるまで駅前か近くの本屋に逃げるつもりだった。
自分の生まれ育った家から逃げるのも変な話だけど、仕方ない。もうここはあたし達
家族の場所じゃなくて、母さんと実継の住み処で、あたしはその一角を間借りさせて
もらっているだけなんだから。
実継があたしの左の二の腕を掴んだ。
掴まれた部分が苛々とした熱を帯びる。
触るな。穢らわしい。
「離せ」
離せと言ったのに実継は更に身体を密着させて来た。
「麻衣ちゃん、最近すげぇ色っぽいのな」
変な熱を帯びた目。緩んだ口元。
「日本語が理解できないか?」
「最近佳津子ばっかりだから飽きちまってんだよ、やらせろよ、麻衣ちゃん」
体中が総毛だった。
こいつ、あたしに欲情してる。
「母さんに言い付けるぞ」
母さん、早く帰って来て。
あたしに手を出してるとこを見たらきっと母さんも目が醒める。
実継が馬鹿にしたような声音で笑った。
「はっはぁママに言い付ける、麻衣ちゃんは子供だねぇ」
いきなり身体が支えを失ったように勢いよく廊下に倒れ込んだ。
実継が腕を掴んでいた手を離したのだ。
突然の事に受け身も取れず、したたかに倒れたあたしの上に実継が跨がる。
上体を重ねて、耳元に囁く。
体中が嫌悪感にビリビリする。
「どうせあちこちでハメまくってんだろ?オレで何人目よ?」
「お前と一緒にするな」
へ、実継が鼻で笑ってあたしの乳房をわしづかみにした。
「伊達に何人もこましてるわけじゃねぇよ、御望みなら乳首だけで逝かせてやるぜ?」
その言葉に嘘はなかった。
実継の指が乳首に触れただけで、おっさんに抱かれ、ほんの少しだけ綻んだ雌の部分
が激しく反応する。
69名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:49:37 ID:3b4nsSdS
あたしは理解した。
あたしが実継を嫌いなのは、到底深みのない薄っぺらい人間性と、撒き散らす牡の本
能が同居した存在だからだ。
そして父さんは牡として実継に負けた。
だから、身を引かざるを得なかったんだ。
人の姿をした獣。
嫌だ、こんなのに触られたくない。
あたしは抵抗した。
実継を罵り、脚をばたつかせ、頭を振り乱て暴れた。
「うっさいなぁ」
実継が顔を近づけて来た。
つ、と唇が塞がれて、生臭い、蛞蝓みたいなのが口内に押し込まれた。
歯茎を、上あごの、凹んだ部分を撫でられ、それだけで、身体にあの痺れが走った。
イクまい、とそれだけに必死になっていて、下着を降ろされてるのにも気付かなかった。
キスしたままの状態で、実継が一気に押し入ってきた。
それだけであたしは軽く達した。
思わず漏らした苦しげな呻きに満足したのか、実継が唇を離す。
混じり合った唾液が、か細い糸をひいていた。
唇は離れたけど、まだ接吻は続いているように思えた。
「突っ込んだだけでイッたのか?大洪水じゃねーか」
実継が腰を使い始めた。
おっさんのより僅かに細い。
なんだ、アンタの自慢の逸品、粗品じゃん。
それだけが、乳房を揉まれ、口も内も凌辱されたあたしを支えていた。
「実継、アンタ、あたしの、知ってる、人の、より、小さい、よ」
「ぁあ?」
実継の指が乳首を捩りあげた。
快楽を通り越した鋭い痛みに悲鳴をあげる。
「その小さいナニをハメられてあへあへ言ってるテメェはなんだ?この売女」
俯せにされて、犬の姿勢で貫かれた。
ゆっくり引き抜いて、わざと滴る音を聞かせる。
ボタ、パタタ、と粘っこい液体がフローリングの床に垂れる。
余りに恥ずかしい音に、気がとおくなりそうだった。
「佳津子だってここまで濡らしたりしねぇよ、麻衣はとんだ助平だな」
「違うっ違う……っ」
「違わねぇよ、このエロマンコ」
実継が結合部を撫で、指を目の前に差し出す。
人差し指と親指には濁った粘液の橋がかかっていて、それが何を意味するのか火を見
るより明らかだった。
まだ実継は中に出してない。
つまり、あたしは実継に犯され、本気汁を溢れさせているのだ。
実継はさっきの報復だと言わんばかりにあたしを淫売だ雌犬だと、罵倒し、その度に
あたしは心を傷付けられる痛みに現実に引き戻された。
70名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:53:56 ID:3b4nsSdS
もう死にたい。そう願う半面、おっさんに逢いたくてあたしは泣いた。
おっさん。おっさん。死ぬ前に一目逢いたい。逢ってから死にたい。
あたしをこんな身体にしたのはおっさんなのに、何故かおっさんには怒りも憎しみも
沸かなかった。
目茶苦茶に泣きじゃくるあたしを実継のぼっくいが追い詰める。
「いけよ、淫乱娘」
それまで放置されていた小さな肉の芽を摘みあげられた。
あたしは言葉にならない悲鳴をあげて、実継をしっかり締め付けた。
実継にイカされた……。
放心し、ぐったりと倒れ伏すあたしの腰を実継が抱え込んだ。
「一人でヨガって満足してんじゃねぇよ」
さっきまでのはまだ本気じゃなかった、と言わんばかりに激しく打ちつけてくる。
「やっ、あっ、イクッ、イクッ」
あたしは着崩した制服姿で髪を振り乱し、何度も果てた。
汗と涙は勿論、よだれまで床に垂らした。
いっそ行為に没頭して気を失ってしまったほうがまだ楽だったかも知れない。
そうすれば、あんな言葉を聞かずに済んだかも知れないんだから。
ふ、と家の中の空気が動いた。
カツ、とパンプスの響きが、続いてドサ、グシャリ、そんな音が聞こえた。
涙で滲んだ視界に、母さんがいた。
母さんは般若のような形相だった。
実継に腰を掴まれたままあたしは母さんに手を差し延べた。
母さんが迫ってくる。
母さん、助けて、母さん。
こいつを追い払って。
次の瞬間、目の前に星が瞬き、鼻がつんときな臭くなった。
続いて身体をしたたかに床に打ち付けた。
顔をあげると、勃起したイチモツを晒した実継が膝立ちのままポカンとした顔をして
いて、その脇に、母さんが仁王立ちで肩で息をしていた。
身を盾にして、実継を守るように。
何が起こったのか判らなかった。
頬が熱い。
口の中に錆臭い味が滲みている。
あたし、母さんに張り飛ばされた……?
なんで?
あたし何もしてない。ううん、されたのはあたしだよ?
「母さ」
「私の実継を誘惑しないで、この泥棒猫!」
それだけ言い放って母さんは実継の方に向き直った。
「嫌よ、やめて……小娘なんかに振り向いたりしないで、私だけを見てよ、実継」
実継を口に含み、それから顔を背けて何かを吐き捨てた。
再び実継を頬張る。
母さんは実継についていたあたしの愛液を舐めとって、吐いたのだ。
物理的に、とか衛生的にとかじゃなくて、何か違うところが、母さんを汚らしい、
厭わしい。そう認識した。
もう、母さんは母さんじゃない。
母さんの姿をした、色情だ。
71名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 10:56:31 ID:3b4nsSdS
実継が女の髪を弄び、囁く。
「馬鹿だなぁ、佳津子が最高に決まってるじゃないか」
しゃぶりついたまま、女が甘えた声をあげる。
「んん、実継ぅ」
卑猥な水音が廊下に響く中、あたしは身繕いをして、自分の鞄から財布を取り出すと、
足音を立てないように靴を履き、玄関のドアを開けた。
ドアの脇には女が買ってきた卵や挽き肉や何からが一杯入ったビニール袋が落ちてい
ていて、その脇に、紙で出来た小さな箱が転がっていた。
駅前のケーキ屋さんのロゴが捺された箱だった。
箱から小さなロウソクの入った袋と、生クリームが零れていた。
それが何か悟って、胸が詰まった。
鳴咽を堪え、冷たい雨のそぼ降る中に飛び出した。
今日はあたしの誕生日だったんだ。
あたしだって忘れていたのに……母さん、母さん……!



もうどれだけ歩いたのかわからない。
頭のてっぺんから靴の中まで、すっかり雨で濡れている。
駅前の繁華街で、かわいい私服に着替えてはしゃぐクラスメイトを何度か見かけた。
彼女達はあたしと目があうと、困ったような、迷惑げな顔で視線や顔を背けたり、
わざとこっちを指差してゲラゲラ笑った。
実継が羨ましかった。
あいつが死ねばどんなにいいだろう。
でも母さんが哀しむ。
そして実継を待っている元カノも泣くだろう。
あいつにはそれでも泣いてくれる人がいるのだ。
あたしには哀しんでくれる人すらいないのに。
いっそ消えてしまいたい。
どうやったら死体も残さず、誰にも迷惑かけずに綺麗さっぱり消えてしまえるだろう。
ここなら死んでも見付からないかな。
繁華街から少し離れた新興住宅地の外れの、鬱蒼と繁った雑木林の前でぼんやり立ち
尽くしていたその時だった。
「お前、何やってるんだ?」
背後から声をかけられた。
辺りを見回した。近くには誰もいない。
それでその声があたしに向けられた事にようやく気付き、振り返る。

訝しい顔をしたおっさんがいた。

どうしてだろう、あたしは馬鹿みたいにおいおい泣いておっさんに縋り付いた。
なにやってるんだろう。
あたしは誰にも必要とされていないのに。
だから、死のうとしていたのに。
なのに、おっさんの姿を見たら、そういうのが全部どこかに吹っ飛んでいってしまった。
おっさんはあたしを抱きしめてくれた。
いつもなら恐いだけのおっさんの腕が、この時だけは冷たい世間から守ってくれる力
強いものに感じられた。
72名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 11:15:55 ID:3b4nsSdS
おっさんの家は雑木林の向こう側、隣町に立っている3LDKマンションの一室だった。
バブルの頃に建った物らしくて、無駄に贅沢なつくりだった。
壁一面に、紅葉した山野、雪化粧の町並み、緑滴る渓流、朝焼けの海、夕暮れの薄野
原、アップで撮られた昆虫や小動物のパネルが飾ってあった。
写真が仕事なのかと聞くと
「それは趣味が高じたもんだ、休みにはよく野山を歩き回っている」
と返って来た。
だから、地理と生物に詳しいんだ。
ほんの少し、おっさんを知った気がして嬉しかった。
おっさんはまずはシャワーを浴びて着替えてこい、話はそれからだと言って男物のパ
ジャマを寄越した。
いつもみたいにくだらない駄洒落を口にしなかった。
おっさんは怒ってるみたいだった。
風呂場を出ると、おっさんは温かいミルクを用意して待っていた。
「何があった」
ぽつりぽつりと語り、思い出しては泣き、泣いてはおっさんが宥め、全部話し終わる
まで、長い時間がかかった。
話を聞き終えたおっさんは、深いため息をついた。
そうして、とにかく今日は泊まっていけ、そう言っておっさんは和室に布団を敷き始めた。
それから、水の入ったコップと、風邪薬の乗った盆を枕元に置いた。
「寝る前にちゃんと飲んどけ」
布団に横たわっても、ずっと神経が昂ぶっていた。
おっさんは今日もあたしを抱くんだろうか。おっさんに、実継と同じ事をされるのが
怖い。
そんな中、おっさんがぼそぼそと何かを呟いているのが襖越しに聞こえた。
誰かと電話で話しているみたいだった。
結局一睡も出来ないまま、朝を迎えた。
おっさんは更にふさぎ込んだ顔をしてダイニングでカメラをいじっていた。
テーブルには飲みさしのコーヒーと、灰皿の上で山盛りになった吸い殻。
おっさんも眠っていないみたいだった。
「なぁ、お前さん料理は出来るか?」
なんでそんな事を聞かれるのかわからないまま「一通りなら」と答えた。
おっさんは大きなため息をついて、重い口を開いた。
「夕べ、お前さんが寝た後、お前さんの親御さんと話をした」
「…………」
73名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 11:16:50 ID:3b4nsSdS
「正直、帰らないほうがいい」
(中略、麻衣はの暴行の最中、親ではなくおっさんの事を想っていたことに思い当たる)
「俺はな、あの時お前さんは欲しい服を買ってもらえないだの、勉強したくないだの
つまんねぇ我が儘こねて悲劇のヒロインぶってるだけだと思ったからお前さんを犯し
たんだ、でもお前さんは、もっと辛い境遇にいたんだな」
(ここからあたし穢されたから綺麗にしてよ和姦→一緒に住もうエンドに至る)

以上

パズルの完成が見えているのにピースが無いって、せつねぇ……
74名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 13:25:55 ID:oC5pIJX6
GJ!未完ながら読み応えがあった・・・!
グッドエンドになるはずだったんだなぁ。せつな〜
75名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 12:07:23 ID:hD4TQ5LA
GJ!
良いお炊きあげでした
76名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 18:11:23 ID:BjWlITYK
保守ー
77名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 16:16:08 ID:fOxPkJfI
保守
78名無しさん@ピンキー:2008/12/12(金) 16:27:20 ID:BXE8t5sv
保守
79名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 01:33:47 ID:EQe04Ubm
原作の進展で満足してしまった二次物供養
アタマとケツのみ

 一時間ほど前から始まった「異変」によって、聖ベドラム病院は未曾有の混乱に包まれていた。
 室内にいる者の目を焼くほどの光が辺りを包んだかと思うと、数呼吸の後に凄まじい衝撃と轟音が
襲った。大地震か、それとも、核爆弾が投下されでもしたのか。混乱の中、辛うじて我を取り戻した
何人かは、窓から病院の外を覗き、そして、再び絶句した。一面の砂嵐。その中に、舞い上がる樹木、
家々、鉄筋、アスファルトの塊。不可思議な結界によってなぜか院内は無事であるものの、外界との
連絡は途絶。医師も、看護師も、患者達も、皆が何をすればよいか見当もつかないまま、ただただ
東京が滅びてゆく様を傍観しているしかなかったのである。

 狂乱した人々の悲鳴。それを宥める者たちの声も絶叫に近い。今なせることなど何一つないという
のに、駆けずり回る無数の足音は止まず、無意味な作業によるものか、それとも混乱の果ての破壊行為に
よるものか判別のつかない騒音が鳴り響く。院内はどこもそんな有様だった。

 ただ一箇所、この病院の全責任を預かるものの私室だけは、不気味な静寂に包まれていた。
 聖ベドラム病院院長の肩書きを持つその初老の男は、取り乱すでもなく、指で押し広げたブラインドの
隙間から、外界が破壊されていく様をただ無言で見つめていた。
 院長室の扉がノックされる。
 しかし、男は外の光景に魅入られた様子で、応えを返さなかった。一寸の間を置いて、「失礼します」
という若い女の声とともに扉が開く。入ってきたのは、場違いなセーラー服に身を包んだ女であった。
長身で、奇妙に老成した雰囲気を漂わせている。服装からすればまだ十代のはずなのに、数枚の書類を
綴じたパネルを小脇に抱え、きびきびと立ち居振る舞う様はまるで熟練のナースのようにも見えた。

「壊劫(えごう)が始まったな……」
 女を振り返りもせず、男は独り言のように呟いた。
「ええ」
 深い感慨を込めた男の呟きを、しかし女は素っ気ない様子で返す。手慣れた手つきで書類をめくり、
淡々と報告を始めた。
「産婦人科からの報告では、インパクトの瞬間から十三名の新生児を確認したそうです」
 病院の他の職員が聞いたら目を回したことだろう。正体不明の大惨事の最中でさえ、一向に取り乱す
様子のないこの二人の人物にとって、最大の関心事とは病院が確認した新生児の人数であるらしい。
 その報告に男はようやく窓際から離れ、女へと向き直る。
 目を閉じて、報告の内容をしばらく反芻している風であったが、やがて何かを諳んじるようにして
口を開いた。
「慈変泰は人為にて革を成し天子を生み出す」
「……果たして何人がアートマンとして覚醒するかしら?」
 あたかも神の託宣を告げる預言者のような厳粛さをもった男の言葉に、女はどこか面白がる様子で
問うた。男はその特徴的な口ひげを指でしごきながら、沈思するように答える。
「再び黄金の卵へと還る者は少なく、梵天(ブラフマン)に至る者は更に少ない……」
「それでも異能さえあれば使い道はありますわ」
 女はそう付け加え、小さく嗤った。理知的な容貌ともあいまって、それはひどく酷薄な笑みだった。
手元のリストを眺める女の唇がなまめかしく蠢く。男には聞こえないほどの小さな声でそっと呟いた。
「可哀そうね。この子たち。とても可哀そう」
 そして、再び、小さく嗤った。
80名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 01:34:51 ID:EQe04Ubm
 トタン葺きのアパートの前に一台の自転車が停まった。
 黒のヘルメット、そして、黒地に赤いラインを引いたライダースーツ。光沢を放つ革の生地が
しなやかで優美なラインを描き、その人物が女性であることを強調していた。
 女は自転車から降りると、無造作にヘルメットを脱ぐ。
 解放された濡羽色のショートボブが宙を舞った。
 あたりは無人であったが、もし観察者がいたなら、ここで思わず感嘆の吐息を漏らしていただろう。
それくらい、ヘルメットを脱いだ女の素顔は美しかった。くっきりと弧を描く眉、涼しげな目元、
鼻筋の通った、一種東洋的な造形美を湛えた顔立ち。切れ長の瞳には三白眼気味の鋭い眼光が宿る。
それはどちらかというと見る者を畏怖させる類の非人間的な美であったかもしれない。

 女はアパートを見上げる。
 その引き結ばれた唇には、いかなる表情も浮かんでいなかった。
 そして、無言のまま、アパートの、玄関扉が開け放たれたままの一室へと歩を進める。

 塗装が剥げ、所々に亀裂の入った木製の扉が、錆付いた蝶番によって辛うじて支えられている。
その開け放たれた入り口は、しかし黄色のテープによって何重にも封印されていた。事件現場などで
よく目にする類のテープに見えたが、黒字でプリントされた「立入禁止」の文字の合間に見慣れぬ
渦巻き文様が並ぶ。呪法に精通した者が見れば、それが霊的に施された強固な封印であることが
わかったであろう。
 女はライダースーツのファスナーを引き下ろす。豊かな双丘がこぼれそうになる際どい寸前で
手は止まり、懐中より赤く染め上げられた数珠を取り出した。
 数珠をかけた右手に左手が合わされ、合掌を形作る。
「おん……あぼきゃ……べいろしゃのう……」
 女の艶やかな唇から、その出で立ちに不似合いの真言が紡がれる。
「吽(うん)」
 最後の一音とともに、合掌が解かれ数珠を握る右手が軽く打ち下ろされた。
 同時に、何かが弾ける音が鳴り響き、玄関を封鎖していたテープが次々とひとりでに千切れてゆく。
 遮るもののなくなった玄関に、女はブーツのまま踏み込んでいった。

 ステンレス張りのシンクの脇を抜けると、直ぐに、息が詰まりそうなほど狭い室内の全貌が見渡せる。
型の古いテレビとビデオ一式を除けば、家具と呼べるものは何一つない殺風景な部屋。フローリングと
呼ぶのが憚られるような剥き出しの板床には、白いビニールテープで仰臥した人間の形が模られていた。
 テープの中の、ちょうど人型の頭部にあたる部分にはどす黒い血痕がこびり付いている。
 床の染みと見分けがつかぬほど変色しているわけではないが、乾ききったそれに流れ出た直後の
生々しさはない。おそらくは二、三日ほどは以前のものであろう。生活感のない部屋の様子から
見ても、すべては、後処理も含めて終わってしまった後であることが伺われた。この部屋の住人であった
はずの兄妹も、もはやどこか遠くへと移されてしまっているのだろう。

「そう……間に合わなかったのね」
 呟きが漏れた。
 前回は早過ぎた。そして、今回は遅過ぎたのである。
 能面のような無表情であった女の顔に、初めて、悔恨のような、あるいは憐憫のような痛ましい表情が
浮かんだ。

以上
81名無しさん@ピンキー:2008/12/14(日) 19:49:17 ID:GRz14u6K
すげぇ、もしかしてソワカちゃん?
82名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 02:14:25 ID:i9HhXmS8

元ネタ分からない
しかしGood ジョブ
83名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 23:14:39 ID:CD9A91nr
>>81 
正解
マイナーな二次を供養させてもらえてこのスレに感謝
84名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 10:01:06 ID:GBEZlboG
被ったうわああああああorz
雑談リクのカプにインスパイアされていそいそと書いてるうちに同じカプが投下されましたw
遅筆な自分を呪います

というわけで、激しく未完のゴミ二次をお焚き上げ供養
エロ途中まで書いてもうイヤン
85名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 10:01:41 ID:GBEZlboG

「ひゃっ」
「ごめん、冷たかった?」
 素肌に触れるひんやりして骨ばった指。
 気遣うような眼差しでわたしを覗き込むギア。
 少し乱れた黒髪が頬にかかり、そこはかとなく色っぽい。
「だ、大丈夫だよ」
「すまない」
「あのな、こいつが冷血動物なのは先刻承知だろうが。そんなことでいちいち悲鳴をあげるな」
 ずずいと割り込む上から目線な物言い。
 悔しいけど立場上言い返せないわたし。
 せめてもの抗議に、ぷーっと膨れて唇を噛む。
 と、その唇が上から柔らかいものに塞がれた。
 手と同じように冷たいギアの唇。
 はむ、とやさしくわたしの唇を包むようにキスしながら、低い声が呟く。
「ごめんよ。邪魔なのがいて」
「ん……」
 ぬめりを帯びた舌が唇の上から歯茎をそっとなぞり、吸い上げながら舐めまわす。
 間接から力が抜けてしまうようなキスがふと離れる。
 少しとろんとしてしまった目を上げると、全く遠慮というものが感じられないぎょろ目が至近距離からわたしを覗き込んでいた。
「おい、お前ら。ふたりの世界を作るんじゃない」
 当然のようにギアを押しのける大きな体。
 こんがり日に焼けてがっちりと大柄。鎧みたいな分厚い筋肉の肉体は、ギアの細いけれど弾力ある鋼みたいな体とはいいコントラストになっている。
 だってギアは白くてダンシングシミターは浅黒くて。
 身長はあまり変わらないのかな?
 こうして裸体で並ばれると、ついつい見比べてしまう自分がちょっとやだなあ……
「おいおい、こいつと比較しないでくれるかい? この筋肉バ……いや」
「ギア! 貴様いま馬鹿と、筋肉馬鹿と言おうとしたろうが!!」
「言ってない言ってない」
 含み笑いをしているギアに、真っ赤になって怒っているダンシングシミター。
「全く、貴様の毒舌と女の転がし方にだけは勝てん気がするぜ」
 しれっと受け流されて、怒りのやり場に困っているようにブツブツ言いながら、わたしの上にのしかかってきた。
86名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 10:02:18 ID:GBEZlboG
 んもう、こんなことなら、こっそり抜け出したりするんじゃなかった。
 シルバーリーブに来ていたギア逢いたさに、夜中にみすず旅館を抜け出したわたし。
 ギアの泊まっていた旅館の部屋で久々の再会を喜び合い、ついそういう流れになったところで……
 前触れなく開いたドア。
 立っていたのはギアとパーティを組んでいる辮髪の男、ダンシングシミターだった。
 彼はベッドの中のわたしたちを見て無表情なまま一瞬眉を上げると、
「ほほぉ、そういうことか。邪魔したな。飲み直してくる」
 と言うとドアを閉めようとした。
 その時真っ青になって、つい叫んで呼び止めてしまったのはわたしの失敗だった……のかな、やっぱり。
「ちょ、ちょっとちょっと待ってーーーっ!!」
 閉めかけたドアがまたギイッと開く。
「なんだ」
「いやあの、その、えっと」
 わたしを抱きしめたままだったギアが体を起こし、苦笑した。
「パステルが何か言いたいらしい。とりあえず入ってドアを閉めてくれ」
 フォローありがとう、さすがギア。って違う! 言いたいことってえっと、えっと……
「飲み直すって、ど、どこで?」
「この町にそんなに何軒も飲み屋があるのか」
「……猪鹿亭だけだよね」
 猪鹿亭には今、クレイとトラップがいるはず。
 彼らが出かけるのを確認して抜け出してきたんだもの。
「あの……うちのパーティのメンバーがいると思う……んだけど」
「そうか。言っておけばいいんだな」
「違うってばーー!!」
 そんなこと言われてしまったら、あのクレイが、あのトラップが果たしてなんて言うか、考えただけで眩暈がする。
 ただでさえふたりともギアを嫌ってるっていうのに、いやいつかは言わなきゃいけないんだけど……
 いやいや、とにかく今言われるのはまだ時期尚早よ!
 とりあえず恐る恐る口止めをお願いする。
 でも、そのずるそうな表情を見るに、なんだか嫌な予感はしてたんだよね。
 案の定、口止めの交換条件を提示してきたダンシングシミター。
「げっ。わたしそんなお金持ってないよ」
「誰も金なんぞと言っとらんだろうが」
「じゃあ何よ?」
「……俺もまぜろ」
「はあ!?」
 まぜろって、まぜろって、ちょっとどういうことよ!?
 すぐ傍らのギアをすごい勢いで振り向くも、彼は片手でおでこのあたりを押さえてはぁ……とため息をつきたげな表情をしていた。
87名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 10:02:51 ID:GBEZlboG
「ダンシングシミター。言っていいことと悪いことがある」
「そうか? ごくまっとうな取引だと思うが」
 その表情には、あくまでも悪びれる様子がない。
 ギアはいつものポーカーフェースも崩れ、おそろしく困り果てた表情でわたしに向き直った。
 ダンシングシミターは全てにおいて果てしなくビジネスライクな人間であること。
 彼が「取引」と言い出したらそういった意味では手が付けられないこと。
 ……なんかどこかで、すごく似たような人の話を聞いたことがあるような気がするなぁ。
 虚しい既視感を感じていると、ベッドから降り立ったギアがおもむろにソードを取り出した。え、いやまさか。
「パステルがどうしても嫌なら、剣に訴えるしかないな。負けるつもりはないが勝つ保障もない」
「ふふ、そこまでするかい、ギアよ」
 望むところと言わんばかりの嬉しそうな表情で、背中に背負った剣に手を伸ばそうとするダンシングシミター。
 それはもう、一緒即発寄らば切るぞ状態の張り詰めきった雰囲気。
「パステル。怪我するから下がって」
「人の心配とは随分悠長だな」
 余裕の表情のダンシングシミターと、緊張の表情で少し青ざめてすらいるギア。
 こんなことで、こんなことでこの二人に斬り合われたりしたら、ギアが怪我でもしたらっ!
「やめて、ふたりともやめてっ! わたしはいいからっ!!」
 一瞬固まった男達。
 と思うと、辮髪の毛先を揺らして、坊主頭が天を仰いで爆笑した。
 がっくりと頭を垂れたのはギア。
「はーっはっはっはっ。そう来ると思ったぜ。この賭けは俺の勝ちだな」


……そしてわたしはこうしている。
 全裸の男二人とベッドの上。
 幸いにしてというべきか、ギアの泊まっていた宿屋は一応シルバーリーブで一番お高いところだったから、部屋も広いしベッドも大きい。
 とはいえこの図体のでかい男二人プラスわたしじゃ、どうやったって狭苦しいのは否めないんだけどね。
「まあ俺のことはあまり気にするな。オプションと思え」
「つけてくれって、頼んだ覚えはない、わよ……っ、ぁんっ」
 どうにか言い返すも、体の上を滑るギアの愛撫に文句にも迫力が出なくて。
 服なんてとっくに剥ぎ取られ、4つの目が全身を舐めるようにじろじろと這い回り、火が出そうなほど恥ずかしい。
 開かされた両脚の間にはギア。
 細い指に茂みをいとおしげにさわさわとまあるく撫ぜられ、背筋をぞくっと何かが這い上がる。


これで明日からまた頑張れる……
お焚き上げさせて頂いてありがとうございました
88B.B.H.(00)1/11:2008/12/26(金) 22:48:04 ID:FHSOnfzJ
本編の展開上他諸々で本スレ投下は没の二次物。
年の差体格差上司と部下。もうそれなりにヤッてる前提10レス分+オマケ。

------------

カティが自分の為に選んでくれたバスジェルを試してみて以来、
香りの良い泡をたっぷりと蓄えた、あたたかいバブルバスが
ピーリスは大好きになった。

ドードーと音を立ててバスタブに落ちるお湯の勢いで、
シトラスローズの香りの泡が、モコモコとわいて来る。
適温のお湯と白い泡をたっぷりと浴槽にためて、
裸身にまとったバスタオルを外し、傍らのハンガーにかけると
ピーリスは海綿スポンジを手に、ゆっくりとバスタブの中に体を沈めた。
長い銀髪は、タオルで包んであげてある。
大佐の体のサイズに合わせた、細長くて大きな猫足のバスタブに、
半ば横たわるように背を預け、足を伸ばす。

泡のお湯にとぷんとつかると、その心地よさに思わず、
ふうっとため息がでてしまう。

スポンジを湯の底に沈めたまま、ピーリスは泡を両手ですくっては、
その香りと感触を楽しんだ。
手に盛った泡をふうっと吹くと、小さなシャボン玉がきらきら、
ふわふわと舞い上がる。

「超兵」である自分が、こんな振る舞いをするなんて。
他人から見れば、おぞましく腹立たしく、
滑稽に映る光景だろうなと、ふと思う。

明日は大佐も自分も、久しぶりに揃っての休日だ。
だから。
この香りで、自分の体を彩りたかった。
大佐もいい香りだと、言ってくれたから。

不意に背後のドアが開く音がした。
湯気の立ちこめる明るいバスルームに、
自分以外の人の気配が入って来る。

「一緒にいいかな、中尉?」

声に驚き、一瞬だけドアの方を見上げて、ピーリスは動揺した。
「えっ!あ、たっ、大佐?!」

腰にバスタオルを捲いただけの、セルゲイの姿がそこにあった。
89B.B.H.(00)2/11:2008/12/26(金) 22:48:40 ID:FHSOnfzJ
浴室の明るい光の中でまじまじと男の体を観察出来る程、
そして自分の裸を見せられる程、ピーリスはまだ「慣れて」はいない。
突然の事に、あわてて顔と体を背ける。
思わず両肩を抱く様にしてバスタブの中で背を丸め、
泡の中で見えないはずの体を隠してしまう。

セルゲイがバスタオルを外し、ハンガーに掛ける様子が、
見ていなくても音でわかった。

動揺するピーリスに全くおかまいなしに、
当然の様に男が湯の中に入ろうとしているのが、
肩越しの気配でわかる。

ピーリスは伸ばしていた足を縮め、
背を向けたまま逃げる様にバスタブの半分を空けた。

「ああ、すまんな」
言いながら大柄な男はそのまま、湯の中に体を沈めてしまう。

どうしよう…。
その言葉しか、浮かばない。
恥ずかしくて顔を伏せれば、湯気があたって頬が
かあっと火照って来る。

「中尉はもう、体は洗ったのかね?」
いつもと代わらぬ口調で声をかけられても、
今のピーリスには振り向く勇気がない。
「いえ、まだ、これからです」
彼女の目の端に、泡をたくわえたスポンジと、
男の大きな手がちらっと映った。

「そうか…」
問われれば律儀に返事をし、決して出て行けとは言わない彼女の
丸まった小さな背中を、セルゲイは自分の体に引き寄せた。

「あ!」
湯の中でピーリスの体が浮き、仰向けにコロンと傾く。
そのままセルゲイの胸に背を預けるようにして、
小柄な彼女の白い体が、男の腕の間にすっぽりと収まった。

真っ赤になって身を固くしているピーリスの背後から手を回し、
セルゲイはスポンジを片手に握って、クシュクシュと泡を立てる。

「では、一緒に洗ってしまおうか」

赤く染まった彼女の小さな耳に唇を寄せて、
セルゲイは囁いた。

「そんな!いえ、あの、自分でっ」
「いいから」
スポンジを奪おうとするピーリスの手をかわし、
セルゲイはそっと、彼女の首筋にそれをあてがった。
「……っ!」
細い肩がぴくんと震え、ピーリスが首をすくませる。
90B.B.H.(00)3/11:2008/12/26(金) 22:50:29 ID:FHSOnfzJ
くるくると小さな円を描く様に首から肩、そして背中がこすられる。
まるで子供にする様に腕をとり、肘から指の先、そして脇へと
スポンジが動く。同じ調子で泡に隠れた慎ましやかな二つの胸や
腹まで、丁寧に優しく洗われる。
恥ずかしいのは確かだが、本当に「洗う」だけに徹した動きに
意味の分からない安心感を得て、少しだけ、ピーリスは体の力を抜いた。

セルゲイの片腕が、ピーリスの太腿の下に差し込まれる。
背に男の胸がのしかかり、ピーリスは前屈みになる。
「あ…」
そのまま腿の下で、男の腕が持ち上る。
再び男に背を預ける格好でピーリスの膝が曲がり、足が浮いた。
泡の外にでた膝頭も同様にスポンジで洗われるのだろう。
そう思って油断した彼女の隙をつく様に、
セルゲイは丸い膝を、指先でぞわりとくすぐった。
「やっ…ん…!」
ちゃぷんと水音を響かせて、ピーリスが身をよじる。
男は無言で、そのまま膝から太腿へと指を遡らせる。
「えっ?!あ、あのっ、大佐、あのっ…あ…」
どう考えても、すでに体を洗う行為ではない。
そのまま腰骨の辺りまで指が這い、
今度は小振りな尻に向かって下って来る。
「あ、あ、やっ、大佐、あ…あのっあ、んっ」
ぞくぞくする様な快感が、白い皮膚の下を這いずり回る。
ピーリスの細い腕に、ざあっと鳥肌が立つ。

「寒いのかね?中尉」
両足の間の核心には触れず、セルゲイの指が尻の丸みを辿る。
「鳥肌が立っているが…」
しらじらしくそう言いながら、意地の悪い男は
耳や首筋に唇を寄せて吐息をかける。

「やっ!…ん、ち、違います…これは、ぁ…ちが、んぅっ」
耳を甘噛みしながら、セルゲイは無骨な指先を
太腿から腹、そして胸へと滑る様に移動させる。
下からすくいあげる様にして彼女の胸を手の中に包み、
親指を使って押し捏ねるようにその先端を揉みしだく。
「あっいや…っ!あ、ぁ、あっ!」
弱い所ばかりを攻められて、ピーリスの体が震えた。

顔が熱い。
頭がぼうっとする。
こんなところで。
こんな風にされるなんて。
これ以上されたら…。

「…ま、待って、下さい…あっ、あの、大佐っ」

「んん?」
唇を離し、彼女の体からそっと手を引きながら、
セルゲイは、気のない風を装った返事をする。
愛撫の手から解放され、肩ではあはあと息をしながら、
ピーリスは小声でつぶやいた。
「の…のぼせて、しまいます、から…私、そろそろ」
「もう、あがるのかね?」
背を向けたまま、ピーリスはこくん、と頷いた。

「…バスタオルを、取っていただけませんか」
背を向けたまま告げるピーリスに、
セルゲイが意地悪な追い打ちをかけた。
91B.B.H.(00)4/11:2008/12/26(金) 22:51:04 ID:FHSOnfzJ
「泡を流してから、だな」
「…あ、はい」

素直なピーリスはバスタブの泡をできるだけ体に纏わせながら、
おずおずと立ち上がった。
これから泡を流そうというのに、男の視線が気になって、
隠すために矛盾した行動をとってしまう。

シャワーヘッドに手を伸ばし、そこでふと、微かに首を巡らせて
背後のセルゲイを気にする。

「あの…大佐。そのままでは、顔にお湯がかかってしまいますが」

だから背を向けるなり何なりして、こっちを見ないでいてほしいと
暗に匂わせたつもりだったのだが。

「それもそうだな」

セルゲイは何の躊躇もなく、ザアっと湯の中から立ち上がった。
はっと息を詰め、ピーリスは咄嗟に顔を背ける。

セルゲイの腕が彼女を引き寄せ、後ろから抱きすくめた。
片手に握っていたシャワーヘッドが、背後の男に奪われる。
「た、大佐っ!」
悲鳴に近い声が、バスルームの中で大きく響く。
自分の声に驚いて、ピーリスはあわてて口を塞いだ。
「じっとしていなさい」
ヘッドの止水スイッチを押して、セルゲイはピーリスの体に
温かい湯の雨を振らせた。
「……っ!」
シャワーへッドが上下に動かされ、
全身に纏った泡がみるみる流され消えてゆく。
「あっ…や…」
自分の体を抱く様にして、ピーリスは
露になる肌を隠そうと無駄な抵抗を試みる。
その手をどけろとは言わないセルゲイだが、
湯にやわらかくなったピーリスの肌を、
シャワーを持たぬ方の手でいい様に弄ぶ。
背筋を指先でつうっとなぞってやると、
ピーリスの体がしなやかに反りかえった。

下へと降りて来たセルゲイの指が、
後ろから女の体の底をぬるり、とすくいあげる。

「やあっ!んっ!」
ビクンと跳ねる彼女から指を離し、セルゲイは
絡んだ粘液をわざわざピーリスの目の前にかざして、
ゆっくりと開いて見せる。

「君のだ…中尉」

気泡を蓄えた透明なゼリー状のそれは、
ピーリス目の前で、
開いた男の指の間に橋をかけるように粘り、伸びた。
92B.B.H.(00)5/11:2008/12/26(金) 22:51:35 ID:FHSOnfzJ
「いっ!…いや…ぁっ」
初めて見せつけられる自分の淫らな歓びの証に、
ピーリスはうろたえた。
 そんな…では、大佐はいつも、これを、口に?
 舌で、舐めて、音をたてて…。

「う、うそですっ…そんなっ」
股間を隠していたピーリスの手が、
後ろからセルゲイに掴まれ、強引に脇にのけられた。

「うそ呼ばわりとは、心外だな」
「え、あ!大佐…っ」
代わって勢いよく湯をふきだしているシャワーヘッドが、
彼女のそこにあてがわれる。
「やっ、あぅっ!」
ピーリスの鋭い悲鳴があがった。
足の間の狭い空間に注がれて水音がくぐもり、
じゅわじゅわと卑猥な音色に変化する。

「大佐ッ!あっとめて、とめてください、大佐!あ、あんっ!」

バスタブのフチに掴まり、水圧を避ける様に腰を引き、
体を折って、白い体が悶える。
幾つもの湯の筋が、ピーリスの敏感な所を容赦なく叩く。

「だめ…大佐…だめ、ですっ!!や、あっ!いやぁあ!」

セルゲイが少しだけヘッドを離してやると、
湯は叩くのではなく、局部一帯をざわざわと奏で始める。

「ん、あっ…は、っん…ん…っ!あ、あっ、ああっ!」

再び強く押しあてられて、強い刺激に肉芽が晒される。
セルゲイの操るシャワーに嬲られ、なす術もなくただ啼き、喘ぐ。
初めて経験する刺激と快感に、開いた小さな唇から
悲鳴にも似た鋭い吐息が上がりつづける。
眉根を寄せ、目をきつく閉じ、悩ましげに腰をくねらせる。

 いかされる…。
 このまま、
 お湯でいかされちゃう…。

ぼんやりとそう思った瞬間。シャワーの湯が、ぴたりと止まった。

あてがわれていたシャワーヘッドが離れ、
同時に背後のセルゲイの気配もまた、離れるのを感じる。

「はっ、はあッ…は…、は…ぁ、あ…」

ガクリと頭を垂れ、バスタブのフチに手をついて
ピーリスは力の入らない体を支えていた。
助かったという思いと、漠然とした不安が、彼女の心を支配する。

後ろで再び、シャワーの音がした。
体を離したセルゲイが、自分の泡を流しているのがわかる。

「あがるのではなかったのかね、中尉?」
水音に混じる突き放す様なセルゲイの言葉に、
ピーリスは絶句する。
93B.B.H.(00)6/11:2008/12/26(金) 22:53:01 ID:FHSOnfzJ
バスタブを掴む手が、震える。
解放されなかった快感が、恨みがましく体の中で暴れ、騒ぎ、
ピーリスの体をぞわぞわと蝕む。
あれほどシャワーで流されたはずなのに
新たな蜜がじわりと湧いて、奥からとろとろと溢れて来る。

水音が止まる。
シャワーヘッドを元あった場所にカタンと戻す音がした。

今のピーリスにはもう、裸の体を隠す余裕さえなかった。
ねだる様に尻を後ろに突き出して、目を伏せ、
冷めてくれない体の疼きに、切なげに喘いでいる。

震えるピーリスの背後から、セルゲイが肩を抱いた。
昂った男の熱いものが、彼女の腰に当たる。
「あ…」
ピーリスの唇が、戦慄いた。

羞恥と官能の狭間で震えている彼女の首筋を、
指先でそっとくすぐりながら、男が低く甘い声で、囁く。

「…言ってごらん、ピーリス」

ピーリスがビクッと首をかしぐ。
彼女の耳元に唇を寄せ、ふうっと吐息をかけながら、
セルゲイは更に促した。

「どうしてほしい…?」

彼女の潤んだ瞳が、薄く開いた。

「ほし…い……。たいさ…」
セルゲイの言葉尻にすがる様に
ピーリスの唇から、吐息まじりの渇望が漏れる。

「たいさ、が…ほし、い…」
消え入りそうな語尾で、たどたどしく、はしたない欲求を口にする。

「おねが…い、です…いつもみたいに……。おねがい…っ」
自分の言葉に昂りながら、小さな声を震わせて、ピーリスは正直に訴えた。

唇を首筋に滑らせながら、セルゲイが問う。
「…ここで?」
整えられた薄い口ひげにゾクリと肌を奏でられ、
ピーリスは声も出せずに、ただ頷いた。
「今、すぐ…?」
さっきよりもなお強く、ピーリスは頷く。
熱を持った彼女の耳元で、セルゲイが微笑む気配がした。
「キスは…どうする?」
「…キス……キス、も」
男に誘導されるまま、首を巡らせピーリスがねだる。
うつろな表情で、セルゲイを見つめ、誘う。

セルゲイは彼女を向き合わせると、無言でそっと、唇を重ねた。
94B.B.H.(00)7/11:2008/12/26(金) 22:54:48 ID:FHSOnfzJ
求めに応じても、セルゲイは決して深くは、しない。
わざと軽く触れるだけの、もどかしいキスをする。
ついばむ様にせわしなく、幾度も幾度も触れては離れて、
彼女を煽り、炙って、追いつめてゆく。
罠にかかったピーリスが、セルゲイを追って
少しずつ唇を開き顔をつきだせば、
意地悪く顎を引いてその求めをかわしてしまう。
「たいさ、もっと…深く…んっ…」
半開きの口の中で、焦れた彼女の小さな舌が
セルゲイを求めて淫らに動くのが見える。

普段の勇ましい彼女からは想像もつかない、
淫らで熱っぽい女の表情だ。

セルゲイは舌を伸ばし、彼女の口腔に侵入する。
ピーリスの舌先に、自分のそれを触れさせて、
からかう様に舐めてくすぐってから、唇を深く噛み合わせた。
ようやく与えられた深い口づけを逃すまいと、
ピーリスの腕がセルゲイの背に回ってしがみつく。

「っ…ん、ぅん、ふ、…ぁふ…んっ…」

キスの合間の息づかいに、彼女の昂った声が、混じる。
その声が、セルゲイの欲望を煽った。
彼女の体を引き寄せ、掌で体の形を確かめる様に
ゆっくりと撫でまわす。
下に指を伸ばして、茂みの奥に滑り込ませると、
彼女のゼリーは、すでにとろけたジュースに変っていた。
そのままくちゅくちゅと、ひとしきり弄ぶ。
男の手の動きに合わせて、腕の中の女が太腿をすりあわせ、身悶えた。

湯気でソフトフォーカスのかかった空間の中。
二人はしばらくの間、ひたすら互いの唇を貪りあった。
舌を絡ませ、吸い上げ、激しく、深く。
いやらしい音を立てて。

そっと彼女の潤みから指を引き離す。

濃厚なキスを交わしながら、セルゲイはピーリスを抱きあげて、
緩やかな曲線を描いて反り上がるバスタブのフチに座らせた。

唇を離し、見つめ合う。

男の大きな手が、ピーリスの滑らかな太腿を掴み、
ゆっくりと左右に押し開く。

「あ……」

挿入の期待感にピーリスが瞼を閉じ、喉を反らす。
乱れた息を隠そうともせず、男の来るのを待ちわびている。

そんなピーリスの姿をじっくりと目で楽しみながら、
セルゲイは自分の熱い昂りに手を添えた。
先ずは自身を誇示する様に、先端をそっと、彼女の潤みにあてがう。
「あ、ああっ…ん」
ただ触れただけなのに、ピーリスの体がピクリと跳ねる。

残酷な衝動が、セルゲイの胸に湧きおこった。

もう少し、焦らして乱したい。…狂わせたい。
95B.B.H.(00)8/11:2008/12/26(金) 22:55:54 ID:FHSOnfzJ
セルゲイは彼女の谷間を遡る。
わざと入り口に向かわずに、シャワーの湯にさんざん嬲られ、
充血して固くなったピーリスの粒に、自身の先端を押しつけた。

「あ!やあああっ!大佐っだめぇ!」

押し込むと、彼女がぬるりと滑って逃げまわる。
セルゲイはそれを、自身の切先で執拗に追った。
捕らえて押し突き、くにくにと捏ねまわす。
ピーリスが激しく乱れ出す。

「たいさっ!あっ!そこっもう、だめっ!あっ!ああおねがいっ!」
鋭い刺激に耐えられず、彼女の腰が、くねり逃げる。

「いれてっ…ください、おねがいっ!中っ、塞いでっ!埋めてっ!」
泣きそうな声と表情で、ピーリスは初めて、男の楔を身の内にねだった。
激しく哀願する姿に、セルゲイの背筋にもゾクリと妖しい戦慄が走る。

さらにもう一声を欲して、セルゲイはしつこく女をなぞる。
互いの零すぬめりを使って。
「ああ許して!もうおねがいっ!たいさっ!いじわるしないでぇっ!」

初心な彼女にここまで必死にねだられれば、本望だ。

「すまんな…今、いく」
すがる彼女のこめかみや目元にそっとキスをしながら、
セルゲイがささやいた。

年甲斐もなく逸る気持ちを抑えながら、
セルゲイはできるだけゆっくりと、彼女の中に自身を沈めた。

「ピーリス…」

細い腰を掴んで拘束し、逃がさない様にじわじわと、深く、貫く。

「あ…あ、あ!…ああっ!」

待ちわびていた愛しい男の侵入に、子猫の様な声があがる。

セルゲイの形に添って押し開かれた、狭くて浅めな彼女の中は、
いつも以上にぬめり、温かかった。
セルゲイは獣じみた愉悦の息をつく。
ゆっくりと根元まで埋め込むと、そのまま
早いテンポで小刻みに腰を振リ始める。
貫き納めたままの姿勢でピーリスを揺らし、
振動で内から彼女を犯す。

「んっ、あっ、あっ、あっ…は…ぁっ…ん」
恥毛を擦りつける様にして揺らされるピーリスもまた、
拙いながらも腰を使ってセルゲイを迎える。
小さな体で懸命に、男の激しい欲望を受けとめようとする。
浮いた足を男の足にきつく絡ませ、求める。

男の刻む早いリズムに合わせて、あっ、あっ、という
甘い声があがる。
うわごとの様に、たいさ、たいさ、とセルゲイを呼ぶ。
首にかじりつく彼女の背を、頭を抱える様にして
セルゲイはさらにきつく抱きしめた。
96B.B.H.(00)9/11:2008/12/26(金) 22:56:29 ID:FHSOnfzJ
体を密着させて、互いの肌の匂いと温もりとを確かめ合う。
それぞれの耳元で、求める相手の荒くて熱い息づかいが響く。
痺れる様な快感が、繋がった場所から甘いさざ波となって
二人に押し寄せて来る。

高く、細くなるピーリスの悲鳴に合わせて、
彼女の中が別の生き物の様に淫微に蠢めきだす。
埋め込まれた欲望に、粘液で満たされた温みがまとわりつく。
官能的な女の内部に包まれて、徐々に自分の猛々しさが溶かされ、
呑み込まれてゆくのをセルゲイは感じた。
誘いの手を振りほどくかの様に、セルゲイは一旦、軽く腰を引いた。

「いや…抜か、ないで…っ!!」
置き去りにされると恐れたピーリスが、絶望的な声を上げる。
…抜くものか。
セルゲイは、最奥に向けて深く強く、打ち付けた。
ぐっと奥を押してから、再び小刻みに腰を振る。

「い…っやぁぁあああああっ!!」
ピーリスが、啼いた。
男に揺すられる度に注がれる細かい振動が、彼女を絶頂の淵へと追いつめてゆく。

「あ、あっ!たいさ、それだめっ!もう…もうっ!」

いやいやと激しく頭を振って、きつく、きつく、セルゲイにしがみつく。

「やああっああだめ!おねがい!も、動かさないでぇっ!」
迫り来る絶頂感に、いや、いや、だめ、と繰り返し叫び、
心の内でまだ来ないでと、自分の体に懇願する。

達する寸前の、ピーリスの癖だ。

「イっていいぞ…ピーリス」
彼女の変化を見て取って、セルゲイが最後のタガを外してやる。
掠れた声で、彼女の耳元で、囁く。
ピーリスの最後の理性が、崩れ落ちた。

首が、背が仰け反り「あ、あっ、ああ…」
足が、膝が、上がって「たいさっ…たいさぁっ…」
閉じようとする女の部分が、じいんと痺れて
「あぁっ!たいさああぁああ…っ!」
大きな快 感 の 波 に、呑 ま れ る… 。

「ーーーーーーっ!」

声にもできない悲鳴を上げて、ピーリスは達した。
男をくわえこんだ場所で、激しい肉の収斂がはじまる。

ビクッビクッとくり返される生々しい収縮に晒されて、
セルゲイが、唸った。
彼女の奥が、いつも以上に激しくセルゲイを攻めたてる。
さんざん焦らして悪戯をした仕返しだとでも言わんばかりに、
男を貪欲に吸い上げ、吸い尽くそうと淫らに蠢く。
セルゲイは腰を止めた。
彼女の施す襞の愛撫に身を任せ、背を反らす。
尻の筋肉が、固く引き締まる。
自分の腰をさらに押し付け、ピーリスの腰を強く、強く、引き寄せる。

欲望がひと際、大きく膨らむ。
引き絞り、内の白濁を一気に、潤みの中に放った。
97B.B.H.(00)10/11:2008/12/26(金) 22:57:40 ID:FHSOnfzJ
「はあっ…はあっ…はっ…はっ…あ…」

戻って来た聴覚が最初に捕らえたのは、
互いの荒い、息づかいだった。

「初めて、だな…」
繋がったままピーリスを抱きしめ、セルゲイが囁く。
「…?」
男の体に頭を預けたピーリスが、微かに顔を巡らせる。
とろけた後のうっとりとした表情でセルゲイを見上げる。

微笑みながら、男が呟いた。

「君の方から、あんなに…求めて、くれたのは」

うれしかったと告げるセルゲイに、
ピーリスの頬が、みるみる真っ赤に染まった。

「…今日の大佐は、いじわるです」
ふいっと顔を伏せながら、小声で控えめな抗議をする。

「嫌だったかね?」
「……やっぱり、今日はいじわるです」
言葉に詰まったピーリスが拗ねた様に言い返す。
「すまんな。そんな時もある」
笑いながら、男は再びピーリスの頭を自分の胸に抱き寄せた。

互いの肌が、汗と湯気とでしっとりと濡れているのを感じ合う。

「……離れたくないな」
セルゲイが呟いた。
「…私もです、大佐…」
今度は素直にそう答えると、
ピーリスはセルゲイの裸の胸に頬を擦り寄せた。

セルゲイの匂いに混じって、シトラスローズの香りがする。
幸せな匂いだと、ピーリスは思った。

----(終)-----



…そしてそのままポリネシアン・セックス。
無駄に長くてサーセン
98B.B.H.(00)11/11【おまけ(一ヶ月後)】:2008/12/26(金) 22:59:33 ID:FHSOnfzJ

「先月の水道料金が、いつもの倍近いんだが」

リビングで紅茶を嗜みながら、何気なくセルゲイがそう言うと、
向かいの席のピーリスがあからさまに動揺し、真っ赤になって俯いた。

「……その…シャワーは、ほどほどにな、中尉」

コホンと咳払いをしてそれだけ言うと、セルゲイは再び紅茶を啜った。


---(終)---


以上。お粗末。
99名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 03:31:33 ID:MW8ji/oG
エロかった!GJ!!
おまけもいいね。
100名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 18:39:31 ID:+v+Romaq
保守
101名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 22:36:28 ID:Jdea9Wip
>>99
供養つき合ってくれてTHX
よいお年を
102名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 01:18:27 ID:XYuIMPDo

「ごめん。」

とける白い息に、混じらせて体育館の倉庫で先輩は俯いた。
小窓から見える冬空は水色に澄んでいて、手をかけたポールは冷えていた。



「さる。いつまで落ち込んでんだよ」

角のスーパーへお使いに行くとジャージ姿の友人がいた。
隣の家に住む幼馴染だ。
「……うるさいな。誰がサルよ」
"卵1パック/牛乳2本(低脂肪の)"と書かれたメモを握り締めて、がっくりする。
人が落ち込んでるのにやめてほしい。
「勝利には関係ないでしょ。あたしが落ち込んでようと暗かろうと」
「んー。愛が寝てると朝が静かだよな」
「うるっさいなあ」
眠ろうとしても買ったばかりの携帯を無駄に見つめてしまって眠れないんです。
今までの時間に起きられなくて遅刻しそうになるのもしょうがないでしょうが。
賞味期限をチェックしつつ奥に手を伸ばして新鮮なのを引き寄せる。
よ、とパックの両脇に指を入れて籠に移した。
スーパー特有のBGMに特売タイムサービスのアナウンスがカットインした。
勝利が反応してパン売り場に去っていった。
忘れることにして、さっさとレジに並ぶことにする。
ひとつ向こうの台ではクラスメートのお母さんがレジを打っていた。

冬の外は寒い。
夕方ならなおさらそうで、黒い電線がやけにくっきり空に写っている。
マフラーに顔を埋めるようにして歩いた。
高めの位置で二つ結びにした髪が、頬にかかってちょっと邪魔だった。
ポケットには安全のためにとお母さんが持たせた携帯電話。
荻野部長とつきあうときに新しく買ってもらったのに無駄になってしまった。

――もちろん、振られたことはショックだったのだけれど。
(暫く跳び箱の影で、マットに伏せって泣いた。)

荻野部長が悩んでいたことを全く気づかなかったことに
もうどうしようもないくらいのショックを受けて立ち直れなくなった。
結局、あたしは子どもなのだ。
こんなに、自分のことで精一杯だっただなんて。

---------------

年明け早々ですが。
幼馴染のふたりで時々埋めネタに投下していたもの、
もう続きが思いつかないのでお炊きあげします。
103名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 11:16:32 ID:Uo1Xc/BM
保守
104名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 21:16:53 ID:hxVSQD9f
>>102
幼なじみ萌えたよー
105名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 23:09:27 ID:iZG0u4BO
ホッシュホッシュ
106名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 19:20:28 ID:GIRGX/wJ
保守
107名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 23:36:30 ID:PwMDszzs
「ね、アルノルト先生、なんだかごつごつしているでしょう」
「はい、いや、ええと……」
この状況でどう答えたものか。アルノルトは眉を歪ませて「なんとなくですが」と曖昧な返事をした。
視界は彼の使える主人の背中で遮られていた。彼女と同じ名前のバラ色、薄いピンク一色である。
柔らかく寄った皺まで美しい絹の生地がさらりと動いた。セシリアが振り向いたのである。
「なんとなくですか?」
ゆっくり、はっきり、おっとりした発音でセシリアが尋ねた。
小さな頭を傾げたときに長い金の髪が背中に流れ、セシリアを抱えるアルノルトの腕を擽った。
唇を引きつらせ、ますます硬直したアルノルトをじっと見おろすのは目尻の柔和に下がった小鳥のような目。樅の幹の色をしている。
アルノルトは彼女の眼差しを常々温かい素敵なものだと思っていたが、この至近距離だと話は違う。
彼はセシリアの顔から目を逸らし、自分の太腿に乗る小さなお尻を見、また慌てて目を閉じた。
「先生?」
「あ、申し訳ございません。ええ……いえ、痛くなんてありません。決して」
「そうですか。ありがとう。下ろしてください」
「はい」
心底ほっとして、アルノルトは少女の腰を抱いた。
猫を持つように(主人に対して失礼な例えだが)セシリアを床に下ろし、自分も大急ぎで椅子から立ち上がる。
彼女の座っていた太腿から、さっと熱が逃げてゆく。
体の前面にわずかに残ったぬくもりと重みの余韻、それから髪の甘い匂い。勘弁してくれ、とアルノルドは胸のうちに呟いた。
大体今の時間は詩文学の時間だったはずだ。
さあ今日はお嬢様は何分でお眠りになるだろうかと思いながら扉を開けたのが五分前のこと、彼女はアルノルトに仕事をさせてくれなかった。
開口一番こう言ったのだ。
『アルノルト先生、私のお尻ごつごつしているらしいの』
お母さまが昨晩仰ったのです。ええと、昨晩というのもお食事のときで、ええ、あらかた食べ終わったところなんですけれども。
そうそう、デザートのバニラアイスにかかったラズベリーソースが、(中略)、
それで、あなたは小さい頃お尻が薄かった、膝に乗せるとお尻の骨が当たって痛かったのよ、と仰られて。
『……なのです。先生、お膝の上に座らせていただいてもよろしいかしら?』
『よろしくありません』
いつもの要領を得ない長話を聞き流し、アルノルトは結論にだけ当然の即答をした。
セシリアは心の底から驚いた顔で、「まあ」と一言だけ発した。
これはあれだ。断られることを想定していなかった顔だ。
このあとはきっと不思議そうな顔になり、悲しそうな顔になり、泣きそうな顔になり――最後には花も恥じらう笑顔で、絶対にこう言うのだ。
『ありがとう、アルノルト先生。はい、どうぞ。私の椅子に腰かけてくださいね』
折れたアルノルトは胸中を見せない無表情で、瀟洒な花柄の椅子に腰かけた。
傍から見るとさぞや面白い絵であっただろう。無骨な青年が小さな椅子に座り、その上に華奢な美少女が腰掛ける、という。
ちなみに、教師たるもの教え子に嘘は教えない。
セシリアのお尻は丸くて小さいという事実は、アルノルトのよく覚える頭に鮮烈な体感として刻まれたのである。
108名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 23:37:11 ID:PwMDszzs
クロフォード家の次女であるセシリアは御年十七歳。
それぞれ二つずつ年の離れた姉と妹がいるが、明晰揃いの姉妹の中で彼女だけは(いい意味でもその倍ぐらいの悪い意味でも)毛色が違っていた。
良く言えばおっとりと慎み深く清楚で大人しい。悪い意味では一言、ぼけている。
深窓の令嬢の世間知らずが行き過ぎたというレベルではないこともしばしばで、七歳の頃から彼女を知る家庭教師のアルノルトは、
諦め半分苛立ち半分、はみ出たところにどうとも表し難い妙な愛情を持ってセシリアに接してきた。
「ねえアルノルト先生、どうしてここは十二分七だなんて中途半端な答えになるのかしら?」
「正解です。良くできました」
「できました先生。答えは七です。私、七って好きです。アルノルト先生のお誕生日は七月七日ですし、私が初めてあなたにお会い……」
「間違いです。やり直して下さい」
「はい……」
 数学の時間ならばこう。
「それより、先生の国の言葉で、愛してるってどういう発音だったかしら?」
「イッヒ・リーベ・ディッヒ」
「まあ嬉しい!」
「知りませんよ」
外国語の時間ではない。政治学の時間である。とにかく万事がこんな風で堪らないのだ。
アルノルトはスーツのズボンを引っ張った。
皺など寄っていないと分かってはいたが、まだ柔らかい感触の消えない太腿がどうにも収まり悪かったのだ。
詩を朗読するセシリアの肩越しに、ちょこんとした耳越しに、ふっくらとした頬を見る。
アルノルトは溜め息をついた。
セシリア本人に直接その容姿を褒めたことはないが――何と言えばいいのか分からない――心底思う。
こんなに可愛らしいのだから、中身がもう少ししっかりしていれば申し分なかった。
家庭教師として自分が不甲斐ない。嫁に出すのにも先々不安である。いやそもそも貰い手があるだろうか。
春を讃える言葉がアルノルドの耳に流れ込む。
仕事中のこと、口先だけはしっかりとセシリアのラテン語の発音を訂正するのを忘れずに、アルノルドはぼんやりと窓の外を見つめた。
色とりどりのバラと昨夜の雨に艶めく芝生、季節の花のアーチと噴水は小さくともおしゃれで凝っている。
この授業が終わったらテラスでお茶にしましょう、とセシリアが言っていた。
クッキーをつまみながら脈絡も取り留めもない長話をテンポ悪く自分に語りかけるセシリアを想像し、アルノルトは苦笑した。
『そう思いませんか? アルノルト先生』、柔和な頬笑みを浮かべ、小首を傾げて尋ねるセシリア。
今日も庭を散歩する時に手を繋ぎませんかとせがむだろうか。家庭教師離れをさせるために断り続けてもう三か月も経つのだが。
「アルノルト先生、どうかされましたか?」
は、と顔を上げ、アルノルトは自分の意識がここにあらずだったことに気がついた。
「申し訳ございません」
109名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 23:37:39 ID:PwMDszzs
セシリアが小鳥のような目を瞬きさせ、失敗したアルノルトを物珍しそうに見つめた。
「庭に何か、面白いものがおありかしら?」
「いいえ」
きまり悪く姿勢を正し、アルノルトは腕を伸ばしてセシリアの持つ本のページをくった。
セシリア様、三行目からお願いします。言うと、彼女は首を振った。
「休憩にしませんか? 私、お腹が空いちゃいました」
普段ならば時計を見て一蹴するところであるが――アルノルトは眉を寄せた。
セシリアが膝の上に座ってから調子が悪い。そうですね、と低い声で答える。
「あの……何か気に障ることが?」
セシリアが白い指を伸ばしてアルノルトの服の裾を摘まんだ。
不機嫌さを隠しきれずにひと回りも年の違う主人に気を使わせたことが情けなかったが、セシリアの無垢な行動がまた微妙にアルノルトの眉間の皺を濃くした。
「いいえ」
「本当ですか?」
「はい」
優しげな眼差しでアルノルトをしばらく見つめていたセシリアは、だったら、と唇を動かした。
「お茶が済んだら、お馬に乗せてください」
散歩ではなく相乗りと来たか。
「お言葉ですが、セシリア様」
今度こそ、アルノルトはきつくたしなめることを堪えなかった。
「セシリア様は大きくおなりです。例え慣れ親しんだ私のような家庭教師でも、男の膝の上に座ったり、相乗りをしたりすることは控えるべきかと思われます」
「まあ。私ったら……」
「はい、どうか慎み深く思慮深く――」
「太ったのかしら? そんなに重かった? ごめんなさい、私気付かなくて……お馬さんが可哀想でしょうか」
溜め息を吐く。
「そういうことではありません」
ではどういうことなのでしょう?
セシリアがそう尋ねたがっているのが分かった。
茶色の瞳が怒られるのを待つ時のふるふる震える視線をアルノルトに注いでいる。
「いつか、いえ、もうきっと近いうちに、セシリア様はご結婚されます」
結婚、と口にした途端、妙な胸騒ぎが胸に飛来したのに気付かないふりをして、打たれたような表情のセシリアにさらに告げる。
「そんなときに、ほいほいと夫以外の男に慣れ慣れしくしてはクロフォード家の名に傷が付きます。そうでなくても、あなたが夫以外の膝の上で抱かれ――いや失礼、とにかく……なりません」
アルノルトの言葉を理解するため、しばし沈黙した後、セシリアは一言ひとこと、穏やかに吐き出した。 
「男性の方と親しくなんてしたことはありません。私には……よく、分かりませんが。
結婚するのだとしても、アルノルト先生に優しくしてもらうことは、私はとても嬉しいのです。
嬉しくては、ダメなのでしょうか。アルノルト先生となら、アレックス様も問題ないとおっしゃるはずです」
「アレックス様?」


ここまで
110名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 23:38:22 ID:PwMDszzs
アレックス様は彼女のフィアンセ
アレックス様の存在にショック受ける家庭教師
→ぼけぼけと「結婚したらどうしたらいいのか不安です」というお嬢様

「キスってどんなのですか?」
「こんなのです」
「セックスはどうすれば……」
「こうします」

→なんだかんだで思いを告げられずにいる家庭教師とようやく家庭教師が好きだった(性的な意味で)んだと気付くセシリア

(おしまい↓)

「私、思うのですが、アルノルト先生は私を攫えば良いのではないかしら」
「良くないです」
「では私がアルノルト先生に攫われますわ」
「それも一緒です、良くないです」
「ではどうすれば……私、あなたに汚されてしまいましたもの。もうお嫁には行けないみたい」
分かっていてしたことだが本人の口から汚されただの嫁には行けないだの聞かされるとやはり胸に来る。
とんでもないことをしでかすのだという自覚は最初からあったし、首も追放も覚悟の上だったが、
途方にくれたような、かつすっきりと泣きはらした目でわけのわからない提案を繰り広げるセシリアを前にすると後悔はとめどなかった。
はっきりと分かっていることは、セシリアが嫁に行くことをこのような卑劣な手段で遮るほど疎ましく思い、つまりよっぽど、自分はこのお嬢様のことが好きなのだということだ。
不幸せにはしたくなかった。どの口が言うのだと、自分でも思うけれども。
「ええと……ええと……」
駆け落ちしましょう。私の国に来なさい。
言いかけた言葉を噛み殺し、アルノルトの服の裾を摘む指を見た。少し蒸気した手は、逃がされることを恐れるようにアルノルトの視線からも逃げようとはしなかった。
「お父様に、言います」
目の前の真っ暗になるような感覚に耐えながら、アルノルトは静かに返事をした。
「……そうしましょう。嘘を吐くのは、絶対にいけませんから」

→「私この人と結婚する」って言うセシリア
→びっくりしたり呆れたり嬉しかったりなアルノルト
→父と婚約者涙目
→二人はいつまでも幸せにぼけぼけと暮らしましたとさ

めでたしめでたし
111名無しさん@ピンキー:2009/02/03(火) 23:39:27 ID:PwMDszzs
主従スレの家庭教師×おっとりお嬢様というレスに萌えたので書き始めたけど
壊滅的に時間がないのとネット離れするのとで続きが書けそうにない
なくなく供養チーン
112名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 05:36:36 ID:QFrjatIo
GJ!
ありがとう萌えた
113名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 08:52:16 ID:JIiNFbqL
>二人はいつまでも幸せにぼけぼけと暮らしましたとさ
GJ!!
114名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 12:52:14 ID:YH50fzgL
             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【ドラえもん】 ガチャ子の祟り 【ガチャ子】
     ,__     | ガチャ子、迷わず成仏してくれ http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1233718002/
    /  ./\    \______________
  /  ./( ・ ).\       o〇..      ヾ!;;l;::lilii|//"
/_____/ (´ー`) ,\    ∧∧         |;;l;;::|liii|/゙
 ̄|| || || ||. |っ¢..|| ̄   (,,  ) ナモナモ    |;;l;;::||iii|
  || || || ||./,,, |ゝ iii~    ⊂  ヾ..        |;;|;l;::i|ii|
  | ̄ ̄ ̄|~~凸( ̄)凸 .(゙  ,,,)〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr

摩訶般若波羅密多心経

観自在菩薩。行深般若波羅密多。時照見五。
蘊皆空度。一切苦厄。舎利子色。
不異空空不異色色。即是空空。即是色。
受想行識。亦復如是。舎利子是。諸法空想。
不生不滅。不垢不浄。不増不減。是故空中。
無色無受想行識。無眼耳鼻舌身意。
無色声香味触法。無眼界乃至無意識界。
無無明亦。無無明盡。乃至無老。
死亦無老死盡。無苦集滅道。無智亦無得。
以無所得故。菩提薩タ依般若波羅密多。
故心無ケ礙。無ケ礙故。無有恐怖。遠離一切。
顛倒夢想。空竟涅槃。三世諸仏依般若波羅密多。
故得阿耨多羅三藐三菩提。
故知般若波羅密多。是大神呪。是大明呪。是無。
上呪。是無等等呪。能除一切苦真実不虚。
故説般若波羅密多。呪即説呪日。
羯諦羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提娑婆訶。
般若心経
115名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 03:47:37 ID:XGWlWmgz
ちょw
116息子×母【00】:2009/02/06(金) 21:47:31 ID:alc7XlmF
やってる部分の描写だけだがお焚き上げ。
本スレ投下分の続きで没ネタ。近親相姦もの。
子熊ファンは読まない方が良い。
息子16歳位久しぶりに寄宿舎から帰ってきた設定。
その後に母親死亡、と考えてたので設定的にもNG。
---------------

「あ、ああ…あなた……んっ…ああ」
リビングから悩ましい声がする。
母さんだ。
父さんのシャツを胸に抱いて。
あの夜みたいに下着の絡んだ片足を
テーブルの上に載せて。
足を開いて。
自分の指で。

僕の中で、何かが弾けた。

リビングの扉を乱暴に開け放つ。
バタン!という音に驚いた母さんが
はっと目を見開いて僕を見る。

あわてて足を閉じ、スカートをおろしても、
もう遅いよ、母さん。

僕はベルトを外しながら、
ソファの上の母さんにのしかかった。

「あ、アンドレイ?!」
驚いた母さんがもがく。
僕は乱暴に母さんのエプロンをはぎ取り、
セーターの裾から中に手をつっこむと
胸の上まで下着ごと引き上げた。
柔らかそうな白い二つの丸い胸が
誘う様に目の前で揺れてこぼれ出る。
その片方に、僕は夢中でむしゃぶりついた。

「アンドレイ!!」

ヒステリックな叱責にも似た声。
だけど、それだけじゃない。
母さんの中の、女の怯えを感じて、僕は昂る。
なんとか体制を入れ替えて逃れようと
もがく母さんの太腿を片手で抱える様にして持ち上げる。
足の間に自分の身を割り入れて、僕は母さんをさらに
自分の体の下に引きずり込む。
「やめっ、やめなさいっ!アンドレイッ!!」
僕はズボンをおろして露にした自分の股間を、
母さんの大事な所にこすりつける様に押し当てる。
「!!」
わかるよね、母さん。
もうこんなに固くなってる、僕のモノ。
117息子×母【00】:2009/02/06(金) 21:48:00 ID:alc7XlmF
母さんのあそこに触れて
僕のはさらにムクムクと大きくなる。
片方の胸をジュルジュルと音を立てて吸い、
片手でもう一方のこりこりしている胸のてっぺんを
軽く捻るようにいじくると、母さんの体がビクッと震える。
唇をすぼめてもう片方の先端も吸い上げ、舌でコロコロと
弄ぶ。

「んあっ!…う…や、やめなさいっ!」

まだ抵抗するの?母さん。
母さんのアソコ、どんどん濡れて熱くなって、
押し付けた僕のをヌラヌラにしてるのに。

僕は固くなった自分のモノで母さんのアソコを探る。
入り口の辺りに僕のがひっかかって、ほら、
もうヌルヌルすぎて、このまま僕のが入っちゃう。

「あ、ああ!だめ!だめよ、アンドレイ!挿入れちゃだめっ!」

できないね。
僕はゆっくりと、母さんの中に自分のモノを突き立てる。

「あ、あ、あああだめ、だめ!」

ぬぷっという音がしたの、聞こえた?母さん。
「やめて、お願いだから!アンドレイ!やめてぇ!」
何言ってるの。
母さんの体、僕を受け入れてくれてるじゃない。
あったかくて、ぐちょぐちょで、優しく僕に吸い付いてくる。
僕の、もう根元まで…きっちりと…ねえ。
「…欲しかったんでしょ?ここに」
思わず声に出して語りかると、母さんが息を呑む気配がした。
僕は勢いづいて言葉を続ける。
118息子×母【00】:2009/02/06(金) 21:48:25 ID:alc7XlmF
「父さんが…任務任務で構ってくれないから…自分でしてたんでしょ?」
「あ、アンドレイ、それは!」
「ならいいじゃない、僕が父さんの代わりに」

言いかけた所で、パアンという音と共に頬に衝撃が走った。

叩いた手をかざしたまま、燃える様な目で僕を睨んで、
母が激昂する。

「あんたなんかに父さんの代わりができる訳ないでしょう!!」

僕の中で、
それまでの甘い熱気の様な物が、
すーっと引いていった。

冷えてゆく頭で、
僕はかつてこのリビングで見た光景を思い出す。
あの時の父さんの、腰使いを。

僕は無言で、記憶の中のその動きを
自分の体を使って再現しはじめた。

あのリズムで。
抜きと深さで。
打ち付けて。
離れて。

母さんの中が、怯えた様にひくんっと震える。
僕の下で、母さんがあからさまに動揺しはじめたのがわかる。
そうさ。
母さんはあの時
この動きで狂わされてたんだ。
ならば同じ動きで…僕だって…。

「あ、あ、いや…!だめ!や、やめなさ…あ、アンドレ…ああ」
やめないよ母さん。
あの時見たいに狂って。
僕でイクまで、やめない。

僕はあの時に見た父の動きを思い出す。
ときどきリズムを変えて
ゆっくり深く突いて
とどまって
そして今度は
早く
浅く
腰を振って
また深く深く突き上げて
そのまま奥をえぐる様に
腰をグラインドさせて
それからまた
早く
浅く…

忘れようとしても、
脳裏に灼きついて離れずに、
今までさんざん瞼のウラに浮かんでは
夜中に僕を悩ませ続けた、あの光景を再現する。
正確に。この目で見た、父の動きそのままに。
119息子×母【00】:2009/02/06(金) 21:48:45 ID:alc7XlmF
「やあっあ、あっ!ああいや!あ、ああぅっ…ふ、うっ、くうぅんん!」

感じまいとしてるんだね。
声を一所懸命堪えて。
真っ赤な顔して。

「はっ…ああっ!んっ…くはっ!あっ…ぁんん!うぅ…ん、んやっぁ…!」

かわいいよ母さん。
悔しいの?
父さんじゃないのに父さんと同じ動きの
僕で感じちゃうのが、悔しいんだね?
でも…目を閉じちゃったらますいんじゃないかな。

「はうっ!!あはぁあああっだめ!やっ!
 やああああんっ!あぅう!っんああああ!」

ほら。
視覚が消えたら
記憶の中の父さんそっくりな僕の動きで、
ますます感じちゃうだけなのに。

「あああっ!だめぇぁああ!もっやあああん!ふぁんっ!はあんっ!」

母さんの中がどんどんグチュグチュ、
ドロドロになってく。
ああいい、気持ちイイよ、母さん。
僕が動くたびに、キュウキュウ締め付けて
ヒダ襞が蠢きながらぴたぴたと吸い付いて
撫でて、奏でて、擦り上げて…。

気持ちイイ。

父さんは、これを独り占めしてたんだ。
こんなに気持ちイイ母さんのここを。
独り占めしながら、寂しい想いをさせてたんだ。
父さんは酷い奴だ。
母さん、ね、そうだろう母さん。

僕は夢中で腰の動きを加速させる。

「はあうう!やあっ!ああっ!ああんっ!ああいいいっ!い、いあああ!」
限界なんだね、母さん。
気持ち良くなって。もっと。感じて、イって!
120息子×母【00】:2009/02/06(金) 21:51:35 ID:alc7XlmF
「イって…!母さんっ…!僕、でっ!イって!母さんっ!」
「あ、あ、あああ赦して!あああああっ………ッ!!!!!」
母さんの体が、僕の下で強ばる。
きゅううんと僕を締め付けてから
ビクンビクンと母さんのアソコが
リズミカルに収斂する。
「あ、ああ!母さんっ!僕もっ…イク…ッうううッ!!!」
母さんにぐりぐりと腰を押し付けながら
柔らかな肉の海の中に射精する。
ビュクン、ビュクンと繰り返し、幾度も。



-----------------------------------
で、このあと母は
「無かった事にするけれど今は一緒にいたくない、
 お願いだから、今日はもう寄宿舎に帰って」という。
息子はすごすごと立ち去る。
息子はさすがに後悔、だがこんなことになったのは
母にさんざん寂しい想いをさせた父がなにもかも全部悪いんだと
思い込もうとする。
そのすぐ後で赴任先で母は死亡。
見殺しにして帰ってきた父に、息子は自分の罪悪感を
隠す様に激しく叱責、父に初めて殴られる。
そして本スレ投下分の最後のシーンへ。

貶めるつもりはなかったのだが…結果的にひでえ奴になったしまったのと
本編見てたらファンがあまりにも気の毒でその意味でも没。

失礼しました。
121名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 19:55:19 ID:X2fYZpGM
ナイス投げ
元ネタ知らないけどエロかった
122名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 16:21:26 ID:DPYRvqIR
ひたすらエロい
GJ
123ペアリング:2009/02/14(土) 18:25:04 ID:06eHNwpT
いつか必ずこんな日が来るとわかっていた。
だけど見ない振りをしていた。知らない振りをしていた。
逃げようともせず、避けようともせず、立ち向かおうともせずに。
だからこれは必然。
いつものようにバイトを終え、自宅でつまらない笑いを流しているテレビ番組を茫洋と眺めながら、漫然と過ごしていた夜。
来訪者を告げるチャイムの音に促され、けだるい体を動かしながら、開いた扉の先に――
「……久しぶり」
彼女の姿があった。
好きだった女性。
胸を張って、好きだと言えた女性。
好きだと言って、隣にいてくれた女性。
もう俺の隣に並ぶことはない、一年前に別れた最愛の人。
俺は驚きに目を見開いて、彼女の姿を映す。突然の出来事に頭が追いつかない。
そんな俺に対して、彼女は柔らかな表情を崩さない。まるで昔みたいに。
少し冷たい風が吹き、彼女が一瞬身を震わせる。
俺はようやく落ち着いた頭で、これからどんな顔でどんな言葉を掛けるべきか模索するが、思い浮かべた全てが的はずれなような気がした。
結局俺は無表情で、選択を保留した。
「取りあえず入れよ」
今までのように。


彼女――新山なつきと出会ったのは、5年前の春。
「ね、シャーペンの芯持ってない?」
講義で偶然隣の席に座った彼女にそう尋ねられたのが、始まりだったと思う。
それから何度か話すようになり、友人になり、恋に落ちた。
お互い初めての恋人で、何をするのも手探りで、一歩ずつ、でも確実に進んでいった。
俺は彼女のくるくる変わる表情が好きで、彼女は俺の感情がわかりやすい顔が好きだと言った。
「チヒロってさ、考えてることがす〜ぐ顔に出るよね。隠し事とか出来ないタイプ」
「そうか? 『お前は無愛想だ』ってよく言われるんだけど」
「初めはね。慣れちゃえばもう手に取るようにわかるよ。チヒロくらい素直な人も珍しいよね。かわいいかわいい」
「こら、ペット扱いすんな」
春のひだまりの中で、彼女の身体を腕に抱きながら、他愛ない話を睦み合う。
それは確かに幸せな時間だった。
いつまでも続くと思っていた。根拠もなく思っていた。

124ペアリング:2009/02/14(土) 18:26:26 ID:06eHNwpT
「ありがと」
俺が用意したクッションの上に行儀良く正座して、彼女は差し出された紅茶を受け取った。
カップを両手で包み込むようにしながら、ゆっくり口に運ぶ。
二、三度喉を動かしてから、彼女はかすかに顔をほころばせた。
「私の好み、まだ覚えてたんだ」
砂糖はいらない、ミルクは多め。それが彼女の紅茶を飲むときのスタイルだった。
「他にそんな飲み方をする奴は知らないからな」
答えて、自分のカップを傾ける。もう桜の咲く季節だというのに、今日はやけに冷える。
風が強いのか、時折窓が音を鳴らした。
彼女は一年前とほとんど変わっていなかった。いまだどこかあどけなさを残した顔も、カップの縁を撫でる仕草も、人懐っこい笑顔も。
ただあの頃と比べて、背中まである髪がもう少し伸びていた。
「それにしても、相変わらず雑誌だけは片づけないのねー」
「別にいいだろ。他はちゃんとしてるんだし」
俺の反論に、彼女はむっと眉をひそめる。
「部屋が汚く見えるよ」
「退廃的な雰囲気が出て良いと思わないか?」
「全然」
ばっさりと切り捨てられる。相変わらずの物言いに、ほっとしたような安堵の息が漏れた。
「でも」
彼女がいつの間にか、俺と同じような表情を浮かべていた。
「元気そうで、安心した」
猫みたいに目を細めて、微笑む。俺は急に気恥ずかしくなって、その瞳から視線を逸らした。
彼女には俺の感情の変化などお見通しだけど、それでも誤魔化すように言葉を紡ぐ。
「まぁ、な。お前の方はどうなんだ?」
「2回くらい風邪を引いたけど、それくらいかな。寝込んだりもしなかったし……あ!」
突然何かを見つけたような声を上げて、彼女はあらぬ方向を見た。
目線を追うと、部屋の隅に鎮座してあるオーブントースターに辿り着く。
白い色で、少し小さめのトースター。
「まだ使ってるんだ、これ」
懐かしさを滲ませた声音で、彼女が呟く。
それは初めて二人でお金を出し合って買った物だ。
全体的に薄汚れて、ところどころ塗装が剥げたり焦げたりしているけど、それでも二人が一緒にいたことの証だった。
「どっちかと言えばオブジェとして活躍してるけどな」
「それ全然使ってないってことじゃないっ。朝はパン派なんだから、ちゃんと焼きなさいよ」
「いやほら、面倒だし」
「もー、変なところでずぼらなんだから。おねーさん心配」
「同級生だろうが。二ヶ月生まれが早いだけで年上ぶんな」
そんな他愛ない話をしていると、今の俺達の関係が嘘のような気がしてくる。
別れたなんて事実はなくて、一年間の溝なんて存在しなくて、そんなのは全部俺の思いこみで。
今も変わらず彼女は俺の元に用もなくやってきて、二人で食事したり、テレビを見たり、くだらない冗談を言い合ったり。
たまにどこかへ出かけて、遊んで、デートを楽しんで、いい雰囲気になって、キスをして、愛し合って。
記念日にはプレゼントを贈り合って、来年も一緒だねと、身を寄せ合う。
だけど。
125ペアリング:2009/02/14(土) 18:27:14 ID:06eHNwpT
「そういやさ、最近どう?」
「どうって……普通」
「そんなんじゃわかんないわよ。もっと具体的な話を求めてるの」
「具体的って何を喋ればいいんだ」
「……例えば…………彼女が出来た…………とか、仕事が忙しいとか」
俺達は、別れたんだ。
「彼女なんて出来る気配もないよ。仕事は……」
一瞬言い淀んだが、知られても構わないだろうと、続ける。
「辞めた」
「……そっか」
彼女は怒りもせず理由も聞かず、ただ静かな声で目を伏せた。その何も触れない、気を遣ったような態度が胸に痛みを与える。
しかし我慢できないほどの苦痛ではない
なごやかな雰囲気が重いものに変わると、先送りにしていた疑問が急速に浮上してくる。
彼女がここに来た理由。何故このタイミングなのか。そして
彼女に新しい恋人はいるのか。
考えた瞬間、叫びだしそうなほど胸が荒れ狂う。つまらない、どうしようもない嫉妬。
俺はそれをどうにか押さえ込み、何でもないを装って彼女に同じ問いを返す。
「そっちはどうなんだ?」
彼女はしばし悩むかのような素振りを見せてから、穏やかな笑みを浮かべた。
「色々大変だけど、大体うまくいってるかな?」
気が狂うかと思った。世界がぐらぐら揺れ、胃と肺が鷲掴みにされる。
しかしそれも数秒で収まり、虚脱感と落胆と、泣き出したくなる気持ちだけが残った。
「そうか……」
彼氏、いるのか。まぁ彼女、器量はいいし性格だって明るいし、当然だよな。周りの男が放っておくはずがない。
別れる前、職場の同僚からしょっちゅう誘われて困ると言っていたし。
いや、そもそも俺は何を期待していたのだろう。俺は彼女にとって、昔の恋人。それだけでしかないのに。
「えっと」
祝福しようと口を開く。だけど意味のある単語にならない。
『よかったな』も『幸せに』も、とてもじゃないが言えそうになかった。
結局沈黙してしまい、静寂が部屋を支配する。
喉はからからに渇いているのに、飲み物に手を付ける気にはならなかった。
もう既に空になったカップの縁を手でなぞっていた彼女が、ぽつりと漏らした。
「引っ越し、しようと思うんだ」
顔を上げ、俺の目をしっかりと見据えて、今度ははっきりと告げた。
「この街を出ようと思うの」


どうして別れてしまったのか。
切っ掛けは些細なケンカだった。
お互い仕事が忙しくて、会える時間も学生時代とは格段に減って、気持ちのすれ違いが起きた。
意固地になって、謝ることもせず、ただ時間だけを無為に過ごした。
切っ掛けはケンカだけど、多分それは全ての元凶じゃない。
学生時代だってケンカはした。些細なことで意地を張ったときもあったし、口を利かないときだってあった。
5年近く付き合って、うち2年は半同棲状態。これだけ長く一緒にいれば、ケンカだってする。
でも学生時代は会える時間が多かった。口を利かなくても顔を合わせていれば、いつの間にかわだかまりは解消していた。
それに絶対に譲れない、受け入れられないという理由で衝突したことは一度もなかった。
俺達はきっと、甘えていたのだろう。
そうやって二人で一緒にいて、いつしか何も言わなくても相手の望むことがわかるようになって、
わかったつもりになっていて、わかってくれていると信じ込んで。
必要な言葉を口に出すことさえ忘れてしまった。
俺達はきっと、まだ大人になれていなかったんだ。

126ペアリング:2009/02/14(土) 18:29:04 ID:06eHNwpT
「これはどうする?」
「うーん、捨ててもらっていいよ」
「買ってきたCDは? 三枚くらいあるけど」
「それもいい。たまには聞くでしょ?」
なし崩し的に置いてあった彼女の私物を、二人でひとつひとつ処遇を決めていく。
まるで遺品整理のようだった。
遺品整理、か。
その言葉もあながち間違いではないだろう。ここにあるのは恋の残骸だ。
こんな詩的で格好付けた表現は気恥ずかしいけど、まさしくそのものなのだから。
「オーブントースターは?」
少しだけ彼女の動きが止まった。窺うようにこちらを見上げ、恐る恐ると言った口調で尋ねる。
「いらないって言ったら、捨てる?」
「多分な」
置いておくには、辛すぎるから。
「……じゃ、もらっとく」
逡巡のあと、彼女はそう答えた。
「わかった」
付けっぱはなしのコンセントを引き抜いて、輪ゴムでまとめる。
持ち上げたら塗装の剥げた部分がザラリとした手触りを返してきて、年月を感じさせる。
押入から引っ張り出したスポーツバックに入れ、彼女のハンドバックの隣に置いた。
「郵送してくれないの?」
「セルフサービス。小さいし軽いから、持って帰れるだろ」
「けち」
彼女は子供のように頬を膨らませた。以前はそれが楽しくて、わざと意地悪をしたりした。
でもそんな思い出も、恋の残骸のひとつなんだろう。
「このバックも、向こうにある俺の物も、そっちの勝手にしてもらって構わないから」
「うん」
彼女が頷く。
これで終わりだった。
これで全てだった。
彼女の物も思い出も部屋中に溢れていて、どれだけ捨ててもきりがないと思っていたのに。
たった小一時間程度で、全てが終わった。
俺も彼女もじっと立ちつくしたまま、指先ひとつ動かさない。
彼女は何を考えているのだろうか。
以前は手に取るようにわかったそれが、今は目隠しでもされたように少しも見えない。
まだ知りたいと、望んでいるのに――
127ペアリング:2009/02/14(土) 18:29:59 ID:06eHNwpT
「――――っ」
どちらが漏らした吐息だったのか。突然の彼女の行為に俺は反応出来ず、思考すらも止められた。
俺の身体に、彼女の両手が回されていた。懐かしくて愛おしい感触。
ふわりと揺れた彼女の髪の香りが鼻腔をくすぐって、忘れていた感覚を叩き起こす。
「キス、して」
途切れ途切れの囁きが耳を打つ。その声には甘えも妖艶も無く、懇願しているような必死さだけがあった。
「ね、キス、しよう」
彼女の望みに応えたかった。抱きしめて、唇を奪って。自分の願いを叶えたかった。
でもそれだけじゃ俺はきっと止まらない。最後まで彼女を求めるだろう。
だから。
「やめよう。そういうのは」
受け入れなかった。
俺の好きだった彼女は、優しくて、意地悪で、意地っ張りで、時々甘えたがりになって。好きな相手には、正面から向き合う人だから。
彼女の隣には、今は違う人がいるから。
抱きしめるのは、もう俺の役目じゃない。
「……そっか」
背中に回された手がすっと離れ、暖かな体温が消えた。彼女は一歩下がって、微笑む。その顔は、泣き出す寸前に見えた。
「あと、これ返しておくね」
差し出された手のひらの上には、銀色の指輪が乗せられている。
それは俺が彼女に贈ったペアリング。
「持っておくのも捨てるのも、出来そうにないから」
幾度かの躊躇いの末、腕をゆっくり伸ばして受け取る。硬質な感触が震える指先から伝わってきた。
「じゃあ」
「うん」
小さなハンドバックと不似合いなスポーツバッグを持って、彼女は長い髪を翻す。一歩一歩、遠ざかっていく。
俺は石のように固まったまま、何も出来ずに見送るだけだった。
扉が閉まり、彼女の香りが部屋から消える。
手のひらに冷たい銀色だけを残して。

128ペアリング:2009/02/14(土) 18:30:57 ID:06eHNwpT
この指輪をプレゼントしたのは、付き合って2年目のこと。彼女が頻繁に俺の家に泊まるようになった頃だった。
彼女の誕生日プレゼントを考えていたときに、ふと思いついたのだ。
もし指輪を贈ったら、彼女はどんな顔をするだろう。
きっと驚きに目を開いて、それから最高の微笑みを見せてくれるに違いない。想像するだけで、自然ににやけてくる。
次の日から俺は必死でアルバイトをした。
彼女ならどんな金額の物でも喜んでくれるだろうが、高価であるほど俺の想いの深さを表せるという単純な思考からだった。
それに、彼女に贈る物は自分の稼いだ金で買いたかった。
順調に仕事はこなせていった。
しかし普段と違う様子を見せれば必ず目に留まる。というか俺は彼女に隠し事は出来ないのだ。
不自然な行動に疑念を持った彼女に問いつめられ、事はあっさり露見した。
同時にロマンティックな演出も企画倒れが決定した。
「だったらさ、こうしようよ」
こっそりと進めてきた計画が水の泡となり再び苦悩を始めた俺の手を取り、彼女が提案してきた。
「せっかくだから、ペアリングにしよ。二人で同じのを買って、お互いに贈り合うの」
それじゃあ誕生日プレゼントにならないと反論した俺に、
「私が買う方はチヒロの誕生日プレゼントだよ。
それで、ふたりの誕生日のちょうど間の日に交換しよう。何の日だったか覚えてるよね?」
忘れるわけがなかった。それは俺達が恋人同士になった日。幸せの第一歩を踏み出した日だった。
「ね、いいでしょ?」
反対する理由など無かった。俺の考えより遙かに良質のアイデアだったのだから。
そして当日。
近所の公園で、俺達は向かい合っていた。本当はもうちょっとロマンティックな舞台を用意したかったのだが、
『気取った場所よりも、普段行くような所にしない? そっちの方が、そこを通るたびに思い出せるから』
という彼女の意見により、自宅から徒歩10分のここに決定。
せめて夜ならば噴水の効果で少しは幻想的になったかもしれないのに。
まぁこれだけ天気がいいのに俺達以外に誰もいないので、良しとするか。
咳払いをひとつしてから、改めて彼女を視界に収める。彼女は両の手を後ろで組んで、俺をまっすぐに見つめてくれている。
ポケットの中から指輪を取り出し、手渡そうとしたところで動きが止まった。
……どういう風に渡そう。
プレゼント包装をしているから、そのまま渡せばいいのか? それとも直接指輪だけを渡す? 
こういう場面ってドラマとかでは見たことはあるけど、あれは大体がプロポーズシーンだったような。
プロポーズってちょっと待て結婚はまだ早くないか? いや違うだろ俺。
他のみんなはどうしてるんだ? ああ詳しく話を聞いておけばよかった。
焦れば焦るほど、思考が八方塞がりになっていく。
時間だけが無為に過ぎていき、いい加減彼女も呆れてるんじゃないかと思いつつ目を向けて――その姿に胸を突かれた。
ずっと彼女は待ってくれていた。
今の俺の心中などお見通しだろうに、それでも俺を信じて、瞳に俺だけを映して、変わらない優しい笑みを浮かべて待っていてくれた。
気持ちがスッと楽になる。憑き物が落ちたように体が軽くなった。
そうだな。他人がどうであろうと、俺達は俺達なんだから。
格好悪くても、想いを伝えられればいい。
129ペアリング:2009/02/14(土) 18:32:08 ID:06eHNwpT
俺は直接指輪を手に乗せ、
「誕生日、おめでとう」
差し出す。彼女の表情がゆっくりと微笑みに
「う〜ん、ちょっと物足りないかな」
「は?」
変化せずに、代わりに紡がれたのはそんな言葉だった。
物足りないって何が? 指輪? というかこれ選んだの彼女だったよな?
疑問がぐるぐる頭を渦巻く。混乱状態の俺を見かねてか、彼女が助け船を出してくれる。
「おめでとうとかじゃなくて、恋人ならではの言葉が欲しいな。心がキュンってなるようなやつ。
あと回りくどいのじゃなくて、直接的なのを希望します」
えらく注文が多い。というか何を言わせたいのか読めてきた。
涼しい風がふわりと吹いて、木々の葉を揺らす。あぁ、もうこんな季節なんだな。
「……………………言わなきゃ駄目か?」
「だめ」
清々しささえ感じられるほどの即答だった。追いつめられた俺は、黙り込んで目を逸らす。
彼女の望む台詞を持っていないなんて事はありえない。それどころか、いつもいつも思っている。
しかし実際に口に出すのは気恥ずかしさが残るのだ。付き合って2年も経つのに未だに恥じらう俺は、やはり情けない男なのだろうか。
「言ってくれなきゃ伝わらないこともあるし、伝わっててもやっぱり言葉にして欲しいときだってあるよ」
俺は顔を上げ、語り始めた彼女に再び視線を合わせた。
「多分こうだろうなーとか、そうに違いないって思ってても、もしかしたら全部私の想像でしかなくて、
全然違ってるんじゃないかって、怖くなったりする。
だから、言って欲しいんだ。抱きしめてくれても伝わるけど、言葉にしてくれたらもっともっと伝わるから。
いろんな方法で、いっぱい伝えて欲しいから」
彼女はそこで、まっすぐ俺を見上げた。
「チヒロの口から、聞きたいな」
あぁ、薄々は気付いていたが、俺はとんだ馬鹿野郎だ。
彼女の想いをまったく察せられず、自分の変な見栄のことしか考えていなかった。本当、情けない。
でもそんな情けない奴の言葉を、彼女は待っていてくれているのだから。
俺は一度きゅっと指輪を握り、大きく深呼吸して、彼女にまっすぐ向かい合って、
「好きだっ」
告げた。
心の奥底まで占めている、大切な大切な気持ちを自分の口から伝える。ただそれだけで。
「うーん、もう一声っ」
「も、もう一声っ?」
「ほら、私って欲張りだから」
「……………………愛してるっ!」
「うんっ。私もチヒロのこと、愛してる」
彼女が最高の微笑みを見せてくれた。


-----------------------------------
このあと
ヒロインを追いかけて「やっぱり好きだ」と告白、
ヒロインも同じ気持ちだと返す。
新しい恋人云々は主人公の勘違いで、ヒロインはずっと主人公を忘れられなかった。
ペアリングはまたお互いの指へ。

こんな感じになる予定だったが、詰まった。
2年以上止まっているので焚き上げ。
130名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 19:27:58 ID:bxG4SGzd
GJ!これは良い投げ
おもしろかった
131名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 00:54:19 ID:ANul1bej
GJ
描写がいいね。ひきこまれた
ハッピーエンドらしいので安心したよ
132名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 17:39:18 ID:eukXZ1zX
GJ,俺には書けないタイプの話なんで純粋にうらやましい。

というわけで、俺もお焚き上げ。
二度目のクリスマス遅刻の上、中で使うネタをほかの話に転用してしまったりで、
いよいよお蔵入りだと判断。




なんというか。



火が消える瞬間というのは、命が潰える瞬間のように見えてしまう。






なんてな。
ガラにもなく、おセンチなこと考えちまったよ。


やっぱ人間、死ぬ間際ともなると、感傷的になるのかねぇ。







青年・青柳崇(あおやぎ たかし)は、火の消えた暖炉を眺めながら、そんなことを考えていた。

ここは、吹雪荒れ荒ぶ雪山の、孤立したロッジの中。
しばらく前まで部屋を暖めていた暖炉の炎も、燃やすものを燃やし尽くし、つい今し方その小さな火を潰えさせた。
その後の崇(たかし)の体温を保つものは、着ている服と、このロッジに残されていた毛布のみだ。
それ以外のめぼしい布は、暖炉の火を保つためにくべてしまった。
そとの吹雪はもはや嵐とも呼べる勢いで、ほんの数メートルの前進すら許さぬ勢いで荒れ狂っている。
いくら山の天気は変わりやすいとはいえ、これがあっさりと止むような気配は微塵もない。


さてでは本当に、完全に孤立した場所なのだろうか、ここは。


残念ながら、そうであるといわざるを得ない。
このロッジは、とある金持ちの持っていた別荘の一つ。部屋数もそこそこ、ヒーターなどの暖房設備も充実していたし、
通信機器も漏らさず揃えられていた。
緊急時の移動手段として、数台のスノーモービルも保持していた。
しかしそれらは、もういずれもなく、または機能を失っていた。

崇の他に人間は? と問われれば、彼一人であると答えるしかない。
死んだ人間は死体であり、崇の周りに散乱する多数の死体は、人数には数えることが出来ないからだ。

つまり彼は、吹雪荒れ荒ぶ雪山の、孤立したロッジの中、たった一人で命をつなげているのだ。


いったいいかなる事情があって、今がどういう状況なのか、もったいぶるようなものでもないので、簡潔に説明する。




青柳崇は、ヤクザである。
背が高く、喧嘩慣れしたそれなりの肉体の持ち主であり、無口ではあるが冷たい表情で相手を威嚇できるクールタイプのヤクザだった。
少し前に二十歳を過ぎた年齢である彼、組の中での立場はといえば、10代の悪ガキ達をまとめる役割が与えられてはいるものの、
組織としてはまだまだ下っ端である。

そんな彼が、この数日、とある金持ちのボディガードとして駆り出され、こうして雪山のロッジへの遊興に付き合わされていた。
そこに、金持ちに敵対するグループからの襲撃。
崇をはじめボディーガード達は懸命に応戦したが、残念ながら敵の数が多すぎた。
激しい銃撃戦の後、崇達は全滅した。
もちろん崇は生きて・・・この時点では、の話であるが、生きている訳なので、全滅という言葉はふさわしくないのだが。

彼は、・・・要領よく、死んだ振りをしていた。
崇はヤクザではあるが、これといって下衆な性格をしているわけでもなく、所属する組に対する忠誠心が高いわけでもない。
なぜ彼がヤクザになったのかといえば、強いていうならば行き場もなくふらふらとしていたらいつの間にかヤクザになっていた、というだけなのだ。

血生臭い争いの時間は過ぎ、雪山のロッジに静寂が訪れた。

死んだフリを続けていた崇は、撤収する集団に混ざり損ねた。なもので、連中がロッジのヒーターと通信設備を破壊し、
残されたスノーモービルからすべての燃料を抜いていくなどといった、そつのない手際を感心しながら眺めているしかなかった。
仕方なく、歩いて脱出しようと出てみたものの、次第に天気が荒れ、ものすごい嵐となった。
なんとかロッジに戻った崇は、そこにしつらえられていた暖炉に火をともし、燃やせるものをかき集め少しずつそれをくべながら嵐が収まるのを待った。
しかし、一向に天候が回復する兆しを見せないまま、火を保つのも限界に近づき、そしてとうとう、火が消えたのだ。


暖炉の火が無くなってしまうと、一気に部屋の気温が下がっていく。

通信も出来ない以上、何らかの助けが向こうから来てくれることを他力本願的に待つしかないわけだ。
後は、この嵐が早々に収まって、自力で脱出するか。
寒さに体力を奪われ、動く力も余り残っていない。

徐々に冷えていく部屋の温度に、崇は、覚悟を決めてしまった。

死の覚悟をした彼は、ぼんやりと薄れ行く意識の中で、さて生まれてから今までの走馬燈を開始しようとして、3歳児あたりのところで止めてしまった。
今更思い返しても楽しい人生ではなかった。



(だったら、最後ぐらいは、楽しいことを考えながら死んでいこう。
 なんだかマッチ売りの少女や、フランダースの犬の最終回みたいだ。

 そう考えると、凍え死ぬのも悪くない。なんか儚げで、眠っている間にあの世に行けそうだ。
 燃えさかる火に包まれて焼け死ぬよりはマシ。あれはなんか、怨敵に呪詛を吐きながら死ぬような感じだし。
 イメージとしてはあれだな、本能寺の変で焼け死んでいった第六天魔王信長か、ジュリー演じるところの天草四郎@映画版魔界転生みたいな。)




いざ、逃れられない死を前にして崇は、ずいぶんと呑気な物思いに耽る。




(とりあえず、俺の魂を迎えにくるのは誰だろうか。
 ネロのように心が清くないので、天使が迎えにくる、ってのは無いだろう。ルーベンスの絵もないし。
 悪魔、死神、鬼、妖怪、そのあたりが関の山か。)


そんなふうに自嘲するものの、思い浮かべるその物の怪達は皆、なぜか女の子。


(悪魔娘、死神少女、虎縞ビキニの鬼娘に、ネコ耳の生えた少女妖怪。それぞれが陸上トラックの第一コースから第4コースまでスタンバイ。
 さぁ、可愛い女の子達が一斉に走り出した! 商品はもちろん、俺の『魂』!)


ああ、言い忘れていましたが、青年・青柳崇は、可愛い女の子が大好きです。主に、十代前半の少女が大好物。


(おおっ、第一コースの悪魔っ娘、トップに躍り出たっ! それを追うのは、ネコ耳娘! 少し離れてセーラー服を着た死神、そして鬼娘が続く!!)


適当に、運動会でよく流れる徒競走の音楽をバックに鳴らしてあげてください。


(トラック1週目、3位の死神がどんどんペースアップ、2位のネコ耳娘をかわして、悪魔っ娘に追いすがる!!
 おおっ、すごいぞ死神少女、巨大な鎌を背負いながら、少しずつ悪魔っ娘との差を詰めていく!
 そして運命の3週目第2コース、接戦を繰り広げ、死神少女が悪魔っ娘を追い越したーーーーっっ!!
 あとは残り一周、ただ突っ走るのみ!!!)


空想の女子800メートル走も、いよいよクライマックス。
忘れている読者諸賢に念を押して置くが、この妄想主、青柳崇はヤクザで、死を待つ身の男である。


(やはり俺の魂を迎えに来るのは死神少女か。
 ・・・ん?彼女のすぐ後ろを、誰かがぐんぐん追いすがってくるぞ?
 ああっ、死神だっ! 水木しげる先生が書くところの、死神だっ!!)


いつの間にか、第5コースにエントリーしていた模様。


(ちょっ、だめだっ、あーーーーっ、追いつかれる!!
 頑張れ、死神少女、後もう少しでゴールだっ!!)


死神同士のデッドヒート。
水木しげる版の死神、見かけによらずずいぶんと速い。死神少女も、可愛い顔を懸命にしかめて、ラストスパート。
そして、両者ほぼ同時にゴールした。


(ゴール!! ど、どっちが勝ったんだ?!)


審判達の協議。
全力で走ったランナー達の元に、一位のフラグを持った審判が駆け寄り、そして・・・
死神少女にそれを差し出した。


(よ、よかったーーーーっ、女の子だよ、俺の魂を持っていってくれるの、女の子だーーー。
 ふう、一時はどうなるかと思ったぜ。)


もう、説明するまでもないだろうが、この男、青柳崇はアホである。
普段、ヤクザとしての彼は寡黙で、淡々と仕事をこなすクールな男であったが、その中身はまぁ、こんなものだ。
その説明のためとはいえ、読者諸賢をくだらない妄想に付き合わせてしまったことについては謝罪しよう、申し訳ない。

とりあえずこれで、主人公のひととなり、及び状況の説明が終了した。いよいよお話を先に進めるとしよう。それでは、巻いていきます。




さて、そんなことを考えていた崇の耳に、なにやら物音が。
がさごそ、という壁に何かが派手に擦れるような音。
彼の頭の中では次の競技に移り、ろくろっ首チームと蛇女チーム対抗のパン喰い競争が始まろうとしていたとことで、現実に引き戻された。
もしや、自分の他に生き残りがいるのでは、とも考えたが、おそらくそれはない、とやはり否定した。
自分の仲間達や金持ち一行はすべて息がないことを確認したし、襲撃者側の死亡確認は、諍いの勝利者である彼ら自身が行っていったので、
彼らの仲間の死体もきちんと持ち帰っているはずだ。
そうなると心当たりは、近辺に生息する小動物あたりだろうか。周囲を見渡し音のするあたりを窺ってみると、どうやら暖炉の奥、
屋根に抜ける煙突の中から聞こえてくるようだった。さしずめ、野鳥が穴に潜り込んで留まっているのだろう。
暖炉の火が消えて煙が無くなった煙突は、風雪をしのぐにはちょうどいいのかもしれない。

これから死に行く身としては、特に支障もあろうはずがない。そして崇は再び、いまわの際の慰みに没頭しようとしたのだが。

「・・・・・・・・・・・・・・・えい、ん〜〜、ぬ、ぬけない〜〜っ」

(に、人間の、声?)

崇は、確かに日本語に聞こえる声を聞きながらも、素直にそれが人間のものとも思えなかった。
先ほどまでの抗争の生存者、自分の所属する組織からの救出者、偶然ここを訪れた訪問者。
そのどれにも当てはまりそうもない。だいたい、それらの人間が、なんの理由があって煙突から進入しようと言うのか。
それではまるで、サンタクロースではないか。

(まぁ、クリスマスはしばらく前に終わってるから、それはねーか)

それにその声は、サンタクロースのご老体とは思えない、幼い少女のような声。仔猫にその鳴き声のまま言葉を喋らせたかのような、甘ったるい声。

僅かの間、崇が現状の折り合いを脳内で戦わせていると、その仔猫の喋り声とともに聞こえている、ずり、ずり、と壁を擦る音が、微妙にトーンをあげていく。
なんとなく、崇にも分かる。
落ちる音だ。
137名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 17:48:03 ID:eukXZ1zX

(あー、えー、とー?)

崇が、確実に起こりうる何かの落下を想定しながらも、いったい何をどうすればいいのか分からないままにぼんやりと考えていると、
それは起こるべくしてその想定通りの事態となった。

「きゃーー!」
どしゃーーーーーん!!

煙突の、どの辺りの高さからかは不明だが、それは落下した。
そして、火の消えた暖炉の上に落ちたそれは、ぼわん、と暖炉の灰を盛大に舞い上げて、崇の視界を派手に奪った。

「いっ、いたーーいっ、」

落ちたそれは、少女の声で痛みを訴えた。未だ舞う灰のために視界が奪われ、その声の主は相変わらず見えることはない。
誰とも知らない相手ではあるが、さすがに落下による怪我が心配になった崇は、もうもうと舞い上がる灰の中暖炉に近寄っていった。

「おーい、大丈夫か?」

いまだ視界霞む中、得体の知れない相手とは言え、高所から落ちて痛いと嘆く相手であれば、崇とて気の毒に思ってしまう。
そして、暖炉の下のうっすらと見える人影に、しゃがんで手を差しだそうとしたとき。

にゅっ、

と、青年・青柳崇の喉元に、出刃の包丁が突きつけられた。

「わ、悪い子はいねーがー!?」

ようやく視界も晴れた暖炉の中では、崇が助けようとした人物が、崇に包丁を突きつけていた。
どことなく東北地方を思わせる訛りでそのセリフをのたまったのは、まだ年端もいかない少女。
しかもその少女、透けるように肌の白い、金髪の持ち主。
どこからどう見ても異国人の少女が、何とも流暢な日本語で訛りを再現し、そしてまるで押し込み強盗のような姿勢で怪しげなセリフ。

対して崇は、職業柄刃物を突きつけられるのは慣れていたので、最初の驚き以降は割と平静を保つことが出来た。
反射的に懐のヤッパを抜くであろう状況ながら、結果そうしなかったのは、視界がはっきりとして、
相手が十代前半くらいの可愛らしい女の子であることを認識できたからだ。
重ねて言うが、崇は可愛い女の子が大好きなのだ。

「悪い子は、いねーがー?!」

繰り返し、少女は言った。刃物を突きつけての言葉はまるで恫喝のようでもあるが、この少女の言葉はどうやら問いかけのようらしい。
その問いに、ふむ、と一つ唸ってから。

「俺は悪い子じゃない。良い子だよ?」

とりあえず周りの死体のことは忘れて、ヤクザが答えた。
すると、その金髪少女は暖炉の下から、よいしょっ、と小さな掛け声と共に抜け出して、立ち上がった。

「そう、だったら、よい子にはプレゼントをあげなきゃね」

そう言った少女を、崇はしゃがんだまま小さく見上げた。


赤い服を着た少女だった。
だが、ただ、服、とだけ断じてしまうには少し抵抗がある。赤い服、ではあるが、服に覆われていない肌色の部分が多すぎる。
足は脛を覆うブーツを履いてはいるものの、膝から腿はまるで素肌のまま。そして、ずいぶんと際どいハイレグカットの水着、というべきかレオタード。
しかも、極薄素材の赤いレオタードは肌にぴったりと密着しており、まるで、素肌に直接絵の具を塗ったボディペイントのような風情。
おかげで、十代前半の少女らしい肌のラインが少しも損なわれることなく露わになっている。
そして肘までの長い手袋、これも赤。そして当然、赤い三角帽子。
金髪の上に被ったその帽子の先は大きく折られて、先端についた白いボンボンを揺らせている。

全体的に真っ赤な衣装、そしてその布の縁を、白いラインが辿る。



そう、この配色の衣装を、我々は知っている。



「はい、お待たせ、サンタさんの到着だよーーーーーっ!」

少女は、自分がサンタクロースだと名乗った。
薄い胸を自慢げに張り、腰に手を当て、長い金髪をさらりと流して。

確かに言われてみればその服は、サンタの配色だ。
最初に発した言葉をそのままに解釈すれば、悪い子供に汚物を投げて懲らしめる「黒サンタ」というカテゴリに入りそうなものだが、
今の彼女の姿は間違いなく、赤と、白と、肌色と金色だった。いかな魔力かテクノロジーか、暖炉の灰は少しも彼女の肌を曇らせていない。

「サンタ?」
「そうよ、この格好がサンタクロースでなくて、いったいなんだというの?」

風俗嬢、と言いかけて、崇は口をつぐんだ。
目の前の少女、幼い顔立ちながらも気の強さを感じさせる。おそらく、気にくわない答えを返したりすれば、
その細い眉根を寄せてぷりぷりと怒り出すだろう。

(・・・それも、可愛らしそうだな)

そうとも思うのだが、いま目の前の少女をからかって楽しんでも仕方がない。

しかし、それでもこんな薄手のハイレグレオタードで大丈夫なのか? 崇は、少女の身体がくっきりと眺めることができるその服装にドキドキと
悦びながらも、サンタクロースの歴史的威厳や、お腹を冷やして大丈夫なのか、などと言った奇妙な心配をしてしまった。
世間的に恥ずかしいサンタコスプレといえばビキニとかミニスカなのだが、そんな物は超越している羞恥プレイだ。
もしこれをグリーンランドの国際サンタ協会が強制しているならば、GJと言わざるを得ない・・・、もとい、セクハラ以外の何物でもない。

と、そんな風に崇が彼女の身体をつらつらと眺めて感慨に耽っている間も、当の彼女は自分に与えられた仕事を果たそうとしていた。
くるりと反転し、暖炉に向き直ると、再びその下に四つん這いで潜り込み、上を見上げる。
そして、自分が落ちてきた穴、つまり煙突の中に手を伸ばしてみると、うーん、と唸った。どうやら煙突の中に何かが詰まっているらしく、
彼女はそれを取ろうと手を伸ばしているようだ。何か棒みたいなの、無い? と彼女が崇に尋ねるもので、
崇はその辺の死体が抱えていた猟銃を取り、彼女に手渡してやった。

「ありがと、長さ、ちょうどよさそう!」

猟銃の長さが彼女の求めていたものだったようで、にやりと笑ってそれを煙突の下からつっこんだ。

「・・・んしょ、んしょ、えい、っと!」

崇は、懸命に何かをつついている金髪少女を眺め、その一生懸命になっている姿を好ましく思いながらも、
次に起こるであろう出来事を簡単に考察してみた。

(煙突につっかえているものは何か、だいたい見当つくけどさ、そんな風につついてたら、・・・・落ちてくるんじゃない?)

落ちてくる、つまり、崇が想像するところの、サンタさん定番の荷物が。

「ん! ここか、やっ!! よし!」
「ちょ! やべ!」

とっさに崇は暖炉に手を伸ばし、中に潜り込んでいた少女を掴むとすかさず引っ張り出した。
同時に、どさっ、と重い音がして、荷物が落ちてきた。先ほど少女と同じように、その勢いで再び灰を撒き上げる。

「・・・・・・あー、危なかった」

と、少女が言った。
少し呑気なその口調に、崇の力も抜けた。
少女を抱きかかえるように引っ張った崇がそうやって肩の力を抜くと、少女は少し、視線だけで崇を見上げて、ありがと、と小さく口にした。


そして少しの間、舞い上がっていた灰が落ち着いた頃にようやく暖炉の中の落下物を確認できた。想像に違(たが)いなく、
サンタクロースのプレゼント袋だ。
少女も、崇に引っ張られた姿勢から立ち上がり、袋の元へ駆け寄った。

「さぁ、良い子にしてたあなたは、どんなプレゼントかなぁ?」

ずりずりと暖炉の中から大きな袋を引っ張り出し、その口をほどいた。
ちょうど少女の半身くらいの大きさにふくらんだ袋の中になにが入っているのか、普通に想像すれば子供達へのプレゼントのはず。
しかし、崇はこれでも、それなりの良識は持っているのだ、ヤクザながらにも。だから、本当にプレゼントが、自分に用意されているとも思えない。
さっきはつい、しれっと『俺は悪い子じゃない、良い子だよ』とは言ったものの、本気なわけがない。
むしろ、サンタクロースにウソを吐く、悪い子だ。

プレゼントなんて、あるはずがない。

「はい! あった!!」

崇が心の中で自嘲を込めて否定したとたん、自称サンタクロースが仔猫の声で肯定した。

「はい、これ!!」

そう言って手渡されたのは、赤い紙で包まれた、円筒状のもの。ちょうど、缶コーヒーくらいの大きさか。
自分へのプレゼント、ということが信じられなかったが、確かにその包みには『あおやぎ たかしくんへ』と、自分の名前が書いてある。
それでも、同じ名前の人違いではないか、という疑念も拭えない。
中身は何か、包みをほどいて確かめて良いものなのか、崇は罪悪感もあって戸惑った。
そうして躊躇していると、目の前の少女がにこりと微笑んだ。


「サンタのプレゼントはね、絶対、何かの意味があるんだよ?」


少女は、両掌をお尻の後ろで組んで、崇の顔を覗き込むように窺った。
そして、そこにいたって崇は、少女に問いかけた。


「君は本当に、サンタなのか?」



今更、というべき質問だが、これをはっきりさせねば始まらない。
少女は、唇をつん、と突き出して崇をひとにらみ。

「あったりまえじゃない。クリスマスイブの夜に、煙突から入ってくる赤い服の女の子といえば、サンタクロースで決まりでしょ」

それについて、崇はいくつかの反論材料を持っていた。


「『悪い子はいないか』って、サンタはそんなセリフ言わない」
「友達が、日本じゃ『メリークリスマス!』のかわりにそう言うんだ、って」
「騙されてるぞ、それは。日本では『なまはげ』といって、大晦日の行事だ」
「そんなの知らないってば!」

「それにサンタはジイサンだと思っていたが?」
「えらいさんはそうみたいだけど、下っ端にはいろんなのがいるのよ」
「もっと暖かそうな服を着ていたはずだが?」
「別に寒くないもん。それにこれは、今年から採用された新しいデザインだよ?」

「だいいち、今日は12月31日だ。イブは24日だろ?」
「え?」

最後の質問に、少女の顔が引きつった。

「えええっ!!! 今日はイブじゃないの?!」
「今年のイブは終わった。今日は31日だ」

崇はもう一度、溜め息を堪えて、今日の日付を伝えた。
懐からとりだした携帯電話は当然圏外で、電話としての機能は発揮できなかったが、カレンダーや時計としては申し分ない。
口で告げた日付を裏付けるように、そのカレンダーを少女に見せてやった。

がーん、とショックを受けた少女は、ふらり、と意識を飛ばし、へにゃり、と身体を弛緩させて、ぺたり、と床に尻餅を付いた。




「つまり、ドイツからの転属に伴い、移動途中で休眠を取っていたところ、寝過ごした、と」

うん、と少女は頷いた。眉根を寄せて、困っている。

「つまり、遅刻したわけだ」

うん、と少女は頷いた。涙目である。

「おまけに、転属先の事務所がある場所が分からなくて、迷っていた、と」

うん、と少女が頷いた。すん、と小さく鼻をすする。

崇は、少女から事情を聞いた。
それらをホラ話として信じないと決め込むことは簡単だったが、それにしてもそれなら、なぜこの少女はこんなところにいるのか。
この吹雪の中、ロッジまでやってきて、死にかけのヤクザを騙す意味などあるのだろうか?

「せっかく、新しい国で、がんばろうって決めたのにっ!!」

そう言って少女は、涙を拭った。そして、うーっ、と悔しそうに地団駄を踏んだ。
大声で泣きわめかないだけマシかもしれないが、その姿はどう見ても、子供にプレゼントをあげるサンタと言うよりはむしろ
サンタにプレゼントを貰う側の子供のようだ。

だが崇は、その健気な意気を持つ少女に、いたく感心してしまった。
実際、クリスマスに遅刻するサンタという、致命的なミスを犯してしまったわけだが、それでもこれほど幼い少女が任された大役と思えば、
かなり頑張っているのだろう。
なにより、ヤクザである自分と比べると、子供達に夢を与える仕事に子供ながら従事していると言うだけで、感心せざるを得ない。
だから崇は、ついつい、その少女のことを誉める言葉を発した。
このときは、その言葉がこれからの流れを大きく変えてしまうとは、微塵も思い至ることはなかった。


「頑張ってるんだなぁ、こんな小さな子供なのに」


だん、だん、と踏んでいた地団駄を、少女はぴたりと停止させた。
そして。



「エリーゼこどもじゃないもん!!」

と少女は言った。



ここで新たな事実判明。
少女の名前は、エリーゼというらしい。

そして、少女・エリーゼが青年・青柳崇に詰め寄り、まくし立てた。
崇もエリーゼの剣幕に、押されることなく応じていた。

「いや、どう見たって子供だろう」
「ちがうったら!」
「ちなみに、歳はいくつ?」
「じ、じゅうにさいっ!! もう十分大人なんだからっ」
「2億12歳とか言わないだけマシだけど、十二歳は十分子供だろう」
「大人だってば!! 背も伸びたんだよっ!!」
「それでも俺の、胸の下くらいまでしかないけどな」
「お、おっぱいも大きくなってきたし!!」
「いや、それは『膨らみ始め』といって、なにより子供である証だ」



「こないだ『生理』も始まったんだからっ!!!」



そこで、両者の言葉が途切れた。

子供といわれたことで頭に血が上り、ついつい恥ずかしい告白までしてしまったエリーゼは、そこで我に返り、赤面した。
調子に乗って少女をからかうように応答していた崇だったが、とうとう生々しい告白が飛び出してきて、男である彼も赤面してしまった。

「そ、そりゃあ立派な、オトナだな・・・」
「う、・・・うん」

微妙な空気が流れる。
実はこの青柳崇、十代前半の美少女が好きではあるが、実際にそれらの少女と交際したことがない。ヤクザである彼の元に近づいてくる女は、
誰も彼もが荒んだスベタか商売女ばかりであった。男性としての肉体的な性欲は満足できても、彼の嗜好が満たされたことはない。
なんというか、いまの崇は、かつて満たされなかったそのあたりをくすぐられるという初めての事態に直面していた。

(これは、サンタさんが俺にくれた、プレゼントか?)

死ぬ間際の男を哀れんでの情けなのか。
もしそれが真実ならば、今すぐ改宗しても良い、と崇は思った。和歌山にある菩提寺には適当に羊羹でも包んでおこう。
それとも、死ぬ間際に彼自身の脳が見せている幻影なのか。先ほどまでの脳内妄想がブーストされ、
現実と妄想の境界線を消滅させてしまったのか。
もしそうであればなおさら、プレゼントを拒む理由など無いはずだ。

「そうかぁ、エリーゼはもう、オトナなんだな」
「・・・う、うん、まぁね・・・・・・」

微妙な雰囲気継続中。
エリーゼは、何とも気まずそうにしていた。自分が子供ではないと訴えていたのは確かだが、それはあくまでも精神的年齢であったはずだ。
それがいつの間にか、女の子としての身体の発育の話になり、女の子自身の話になってしまった。
彼女は、その気まずさを紛らわせる為に、話題を切り替えようと必死に気持ちを整えた。

「あ、そうだ、さっきあげたプレゼント、なんだった?」

彼女の話題切り替えに、崇も気を引かれてしまった。そう言えば、先ほど貰った筒状のものを手に持ったまま、
中を確認しないまま放置していたのだ。

「ん? あげた方のサンタさんは、何をあげたのか知らないのか?」

崇のその反応に、上手く空気を変えられたとばかりにエリーゼは嬉々として答えた。

「そう、そうなのよ! このサンタ袋は、相手にとって必要とされてるものが自動的にチョイスされて出てくるの!!
 だから、エリーゼ達も、いったい何をあげたのかまでは分からないのよ」

そういって、ぽんぽんと大きな袋を叩いた。なるほどそのあたりはファンタジーな感じがする。

「だからさ、あけてみてよ!!」

急かされるまま、武史はプレゼントの赤い包みを解いていった。
すると出てきたのはなにやら半透明の容器で、中にはとろりとした液体が入っている。
それが何かは分からないまま、容器に貼ってあるラベルを崇が読み上げた。


「えーと、・・・『ロリータ用ローション』」

「え・・・?」

「『幼い少女の性感を呼び起こし、挿入の痛みを押さえる成分が含まれています』」

「・・・・・・・・・ちょ、ま、・・・・・・ええ!?」

「『これをたっぷりと塗り込めば、初めてのロリータも快感の虜に』」


しばし、二人とも沈黙の間があって。



「なるほど。今の俺達に必要なものだな」
「ええーーーーーーーーーーーーーっっっ?!」



ばっ、とエリーゼは後退(あとじさ)った。

「ま、まさか・・・・・・」

「君も大人ならば、大人同士のつきあいってヤツをしようじゃないか」

崇はもう、喰う気マンマンである。

「え、エリーゼまだ子供だよ!?」

先ほどは自身で大人だと主張していたのだが。

「だったらちょうど良い機会だ。今から大人になろう」

そのあたりはヤクザ、一度決めたら少々のことで怯んだりはしない。
もちろん、力ずくで犯すようなことをするつもりはないから、ゆっくりと、優しく近づいていった。

しかしまぁ、身の危険を感じているエリーゼからすれば、そのゆっくりと近づく男の動きはじりじりと間を詰める狩人の動きにも感じてしまう。
そしてエリーゼは両肩を縮めるように抱きしめ、自分の身を守るようにガードの姿勢をとった。

「うーっ、この、ロリコン!!」
「ロリコン上等だぜ」

とうとうエリーゼは退路を壁に断たれて、悔しさにまかせて崇を詰った。
だが崇はヤクザなので、自身が他人から詰られるのは慣れている。だからエリーゼによるロリコンのそしりにも、たいして動じることもない。

「オレはオレの特殊性癖を貫くだけだ」

崇は奇妙なポーズをつけて、彼女からの抗議をあっさりとかわした。
そして彼は、自分のゆっくりとした動作がかえって彼女を不安にしているのだと察したようで、素早く事を運ぶように決めた。
壁に背を押しつけて数ミリでも逃げようと身を固くするエリーゼに、するりと近づいて覆い被さる。

「でも、本当に無理矢理する気はないよ、たとえ神様がくれたプレゼントでも」

「え・・・? ほ、ほんとう?」

壁に背を預けるエリーゼの、怯えの色が浮かんだその顔に自分の顔を近づけて、そう耳元に囁いた。
ヤクザであり、普段は視線で相手を威嚇する男であるが、その瞳は濁っていない。崇の場合、なまじ離れるよりも、
近寄った方が女に受ける顔の造りをしている。
そして男慣れしていないエリーゼなどは、そういう雰囲気にころりと乗せられてしまう。
むしろ、大人の世界、大人の行為に対しては、それなり以上の興味があったようだ。

「じ、じゃあ、やめて、っていったら、やめてくれる?」

つい、と崇の瞳から視線を下げて、エリーゼがもごもごと呟く。

「どうしても怖くなったり、痛くなったりしたら、やめてくれる?」
「うーん、残念だけど、了解しとこうか」

消えるような呟きは不安の声だけれど、それをわざわざ口に出しているのは好奇心。
サンタクロースの少女が持つメンタリティと、普通の人間の少女が持つそれと、いったいどういう開きがあるのかなどと、崇に分かろうはずもない。
だからあえて崇は目の前の、性の興味と不安に戸惑う少女を、大切に扱うべきだろうと考えた。
まぁ、それよりも彼女を諭して、何も手を出さない方が正解なのかもしれないが、そこはそれ、崇は小狡い大人だ。
自分が彼女を抱きたい、という欲求を我慢するつもりもなかった。

男の譲歩に、少女の逡巡が均衡を崩し、傾いた。

「ぜ、ぜったいだからね?」
「約束するよ、絶対な」
「ほんとにほんとにぜったいだからね?!」

何度も何度も念を押す。そのあたりが少女の迷いの深さだろうか。
そんなところがまた、可愛らしく感じてしまう。幼い少女を優しく導いてやれるのも、男の悦びの一つなんだなぁと崇は実感した。


それから崇は、さすがに初体験を周りに死体が散乱した場所で行うのもなんだろうと配慮。
とりあえず寝室にでも移ろうとして、壁際に押さえ込んだ姿勢から彼女を対面の形で太股を抱えてやると、がぶり、と首を噛まれた。
いてぇ、なにすんだ、と崇がヤクザにしてはずいぶんと抑えめの抗議をするとエリーゼは。

「ばか、こういうときは、『お姫様だっこ』でしょ?!」

などと、注文を付けてきた。
へぇへぇ、と了承し、エリーゼを抱き直す。身長も140そこそこ、全体的に痩せぎすな感のある少女だから、体重もずいぶんと軽い。
羽のように軽いとは、比喩でもなんでもないくらいに軽い。たぶん崇になら、エリーゼを片手で持ち上げることもできるだろう、軽々と。

注文通りにお姫様だっこで、昨夜まで自分が休んでいた部屋に移動する。比較的きれいな簡易なベッドがあるのだ。
雇い主が使っていた部屋は確かに豪奢なベッドがあるのだが、部屋中に血やら脳漿やら臓物が散乱しているので、
やめておいた方がいいだろうと判断。
一階の暖炉のある広間から、屋根裏のような三階まで移動の間も、このサンタクロースのお姫様は、サンタクロース、その任務の重要性を語った。
どうやら彼女も、自分でリクエストしたお姫様だっこの恥ずかしさとこれから行う行為への不安から、かなり緊張しているようで。
それを繕い誤魔化すためには、黙ったままというのはまずいらしい。

そして、人間性育成の見地からの考察を話し出したエリーゼがいよいよ調子に乗り出し高説をのたまうに至った頃、部屋に到着した。
部屋のベッドは、安い造りだがそこそこ清潔であったので、その上にエリーゼを寝かせたときにも彼女からの不満が漏れるようなことはなかった。

「・・・ど、どうするの?」

ベッドに横たわりながらサンタ少女が男を見上げて言った。
崇はその少女に、まかせてくださいな、と気安さを込めて答え、そして彼女に覆い被さるようにベッドにあがる。
少女をベッドに寝かせたときはきしりとも軋まなかったベッドのバネが、ぎしり、と大きく音を立てた。






%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%


このあと、
崇はエリーゼとセクス。エリーゼ、ローションのおかげか初めてのくせに感じまくる。

オチ:
ロリな女の子とエッチできて大満足の崇。

「あー、これで俺も本望だ、いつ死んでも後悔しないぜ」
「なにいってるの、もうあなた、死んでるよ?」
「・・・え?」

サンタが見えたのもそれに触れるのも、すでに崇が死んで幽霊になってこの世の理から離れたおかげ。
さてこれからどうしようか、と途方に暮れている崇をエリーゼがスカウト、トナカイ(ソリ型メカのドライバー)として彼女と一緒に飛び立っていくのであった。

「で、新しい事務所はどっち?」
「わかんない」

「・・・こりゃ正月どころか、節分に間に合うかどうかだな」
「うるさいわね! おにはーそと、ふくはーうち!!」
「・・・もうサンタの尊厳もねえのか・・・」



とあるスレに投下しようとこんな話を書きかけて放置中に、軽い気持ちで別の短編を同じスレで書いてしまったら、
かなりこのお話の基本骨格と類似していたので、もうこちらはお役ご免かなぁと。



それでは、南無南無。
146名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:42:59 ID:ye3msPM/
こんにちは。涼風でヒロイン強姦ものです。
暴力・レイプ描写等、苦手な方はご注意下さい。
147名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:44:42 ID:ye3msPM/
『よう、元気か? 朝比奈。
 しばらくは戻れないんだが、大事な話がある。
 みんなに心配かけたくねえんだ。誰にも言わずに来てくんねえかな。
 悪いな。急ぎの用事なんだ。場所は・・・・・・』

書き連ねられた地図を見れば、学校からそう遠くはない。

「急ぎの用事…? だったら授業中に教室に来ればよかったじゃない」
ブツブツと文句を言いながらも、涼風の足は地図の方面へと向かっていた。

『お前にしか頼めないんだ。本当に悪いな』

末文に目を止めて、涼風は溜め息をつく。
「あたしにしか頼めないって……何なのよ」
口から漏れるのは不平不満の言葉だが、その表情は嬉しそうに微笑んでいた。
「秋月くん! 来てあげたわよ、どこにいるのー!?」
響いた声は工場内に反響し、返る声はなかった。

「……何なのよ。まさか悪戯じゃないわよね……」
しげしげと手紙を眺める。やはり大和の下っ手くそな文字だ。
高校生にもなって、恥ずかしくないのだろうか?

『お前にしか頼めないんだ』

その言葉が目に止まり、涼風の胸に妙な擽ったさが走る。
元々お人好しな涼風だが、素直ではない秋月が見せた
弱気な言葉には敵うはずもない。
まして自分だけに助けを求めているとなれば、放り出すこともできなかった。
すると、工場内からカツンと物音が響く。

「? 大和くん、そこにいるのー?」

しんと静まり返った通路を越えて、物音のした二階へと上がる。
割れた窓ガラスが床に広がり、靴の底でパキパキと音がした。

「大和くん…? いるんでしょ。返事くらいしなさいよっ」

階段を昇り切ると、いくつも並んだドアの内、一つが半開きになっていた。
自然とそのドアに近づき、押し広げた瞬間───
148名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:45:19 ID:ye3msPM/
「───んっ!?」

ドアの反対側の壁から伸びた手が涼風の口を覆う。
唇には湿った布の感触。鼻腔をくすぐる奇妙な薬の匂いを感じると、
涼風は振り返る間もなく、その瞳を伏せて全身を脱力させた。

「……涼風さん……」

倒れこんだ涼風を支えきれず、釣られて自分も床に座りこんだ。
抱きとめた重み、腕の中の柔らかな肢体に腕を絡ませて、頭を垂れた髪に顔を埋める。
至近距離0cm。
漸く朝比奈涼風を手に入れた。


高鳴る鼓動を抑え、かつては休憩所だったのだろう、ソファの上に涼風を引き釣り上げる。
眠り薬を目一杯吸い込んだ涼風は、穏やかな寝顔を見せていた。
まるで眠り姫のようだと自分は思う。
口づけをしたら今にも目覚めてしまいそうで、何度も頬を叩いて眠りの深さを確かめた。
……反応はない。
よほど眠りが深いのだろう、薬の作用で力が抜けているせいか、
いつもは酷い寝相でも、今は自分が抱え上げたまま、真っ直ぐに足を伸ばして眠り込んでいる。

「涼風さん…」

抱き上げる時に翻ったスカートの裾に気付き、ひざから手を伸ばす。
しっとりとした白い肌。柔らかな感触。
今まで思い描いていたよりもずっと柔らかく、てのひらに吸い付くような肌だった。

「!」

不意に吹き込んだ風がくもり窓を鳴らし、驚いて飛び上がる。
跳ね上がった鼓動を抑えながら、大きく息をついた。
149名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:45:55 ID:ye3msPM/
この数ヶ月。毎日、毎日、決行場所を確かめてきたのだ。
この一室をこうして奇麗に掃除しにくる間も、一度として誰にも会ったことはなかった。

「…大丈夫だ…誰も、来ないんだ」
自分自身に暗示をかけて、額に滲んだ汗を拭い取った。
「……君も暑いかい……? 今日は本当に蒸すよね…」

胸元のリボンを解き、上からブラウスのボタンを外していく。指先は微かに震えていた。
スカートのホックを外し、脇のファスナーを下ろす。
一枚一枚、開かれていく制服の中から、涼風の下着姿が露になった。
幾重ものレースで縁取られた白いブラジャーに押さえつけられ、
盛り上がった胸の狭間に目が釘付けになる。
去年の夏、スクール水着をつけた時よりもずっと「隠された部分」という気がする。

「……全然小っちゃくなんかないよ……」

秋月に罵られるたび、悔しそうに睨みつけていた光景を思い出し、答えるように呟いた。
なだらかな曲線は聖域のようにすら思え、わし掴むこともできない。
怯えではなく、憧れゆえに。
何度もこの決行を頭の中でシミュレーションしていたが、
その肢体を前にして、まだ心の準備が出来ていなかった。
スカートを擦り下ろし、ブラジャーと揃いのレースで飾られたパンティーに目が止まる。
小さなパンティーは最小限、大事な部分を覆う程度で、薄い生地からは若草の茂みがうっすらと透けていた。
下着姿で横たわる涼風を前に、ズボンは既にテントを張っている。
興奮に息を荒げれば、吸い込んだ瞬間に涼風の香りが流れ込んできた。

「す…す、涼風さーんっ!」

耐え切れず涼風の身を抱き寄せると、頬に胸に涼風の温もりが伝わる。
瞬間、頭に血が昇ったように目眩がした。
穏やかな寝顔のままの頬から首筋にむしゃぶりつき、たどたどしい指先でブラジャーと肌の際に指を入れる。
探るように辿った指が背中に回り、窮屈な隙間に手間取りながらホックを解いた。
150名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:46:36 ID:ye3msPM/
「……ん……」
「!」

締め付けを失い、無意識に漏れた吐息に飛び上がる。
しかし涼風は起きる様子はなかった。

「…大丈夫…。薬はまだ…効いてるんだ…」
涼風の体重から割り出した適量のクロロフォルム。タイムリミットはまだ先だ。
ずれたブラジャーは張りのある胸に押し上げられ、胸に被せられている程度の状態だった。

「涼風さん…」

ごくりと固唾を飲み下し、複雑な形の布切れと化したブラジャーを剥いだ。
現れたのは更に白い胸元、そして薄紅に突起した乳首だった。
よくよく見れば、鎖骨の辺りにうっすらと残った水着の跡を狭間に、陽の当たることのない
透くような肌に移っている。
太陽ですら見たことのない場所。誰も見たことのない、触れたこともないだろう聖域。
添える程度に置いた掌に、じわりとその温もりと張りを感じる。
見た目よりもずっと柔らかく、握れば潰れてしまいそうに儚いのに、
ついぞ夢中になって揉み上げてしまえば、いくら形を変えても元の形に戻る。
未知の感触に夢中になっていた。
涼風の上に伸し掛かり、二人分の重さを支えたソファが軋むほど、
両手で確かめるように揉み上げいくと、その先端に変化が現れてきた。

「うん…? あれ…す、涼風さん…感じているのかい」

指間に挟まった乳首は充血したように赤みを増し、突端の薄い肌は突起した。
眠っていても感覚は起きているのだろうか……。
堪らない柔らかみに吸い寄せられるように、その胸に顔を埋めた。
既に舌で転がせるほど突起した乳首に吸いつき、なだらかな尾根に舌を走らせる。

覆い被さって舌で舐め上げるうちに、自然と前後に擦り寄せていた下半身が、
布越しに甘い痺れを知らせてきた。
ちゅくちゅくと唾液を滴らせ、涼風の胸を味わいながら、無意識にズボンのファスナーを下ろす。
ズボンごとパンツを擦り下ろすと、そそり立った肉茎が押さえを失って飛び出した。

「……あっ」

飛び出した途端、涼風に触れる。
丁度、まだ触れていない涼風のパンティーに先端が当たる。
言い様もない興奮に身を焦がし、そのまま腰を前後した。
先端から溢れた先走りの液が涼風のパンティーに沁み込み、
激しい摩擦の中、湿った布地と涼風の体温を感じる。
いつしか喰らいつくようにむしゃぶりついた胸を根元から押さえ上げながら、
パンティー越しの涼風の秘肉へと己の強張りをなすり続けていた。
「すっ、す…涼風さーーーんっ!」
電気が走ったように背筋から下半身へと痺れが走り、
駆け抜ける快楽のままに己の猛りを吐き出した。
白濁の精液が宙を舞い、涼風の腹部から胸元にまで降り掛かる。
自分の唾液にぬれそぼった胸元に己の欲望がぶちまけられた。

「…くっ…は、……はぁ…はぁっ…」
151名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:48:28 ID:ye3msPM/
弾んだ息に途切れ、荒い息が涼風の頬にかかる。
弛緩して薄く開いたままの唇に目がいく。その唇を味わいたい。

 口紅も引いていないというのに、薄紅に色づいたしっとりとした唇。
目が合えばいつも元気に「おはよう」と微笑みかけるその唇。
波打つように涼風の身を揺らしながら、頬から唇へと口を近づけた。
しかし、不意にかくりと首が傾き、寸前で逃げられてしまった。
下半身を寄せ合えば不安定に揺れ、涼風の顔はこっちを向かない。

息を整える間、自分の頭には今までの全てが走馬灯のように蘇えっていた。
どんな時にでも自分にまで、優しく笑いかけてくれる朝比奈涼風。
つり合わないことは分かっている。手に入らないことも知っていた。

できることならいつまでも見守っていたかったけれど。
見守るまでもなく、涼風は自分よりもずっと強かった。
けれど涼風のことなら自分が一番よく知っている。
遠くから、影から、いつも見つめ続けていたから、もしかすると涼風自身よりもずっと
涼風の事をよく知っているかもしれない。

(君が…あんな、いいかげんなダメ野郎に惹かれてるってことも…知っているんだ)

秋月のことを思い出すと、顔色が変わった。
隈の出た顔色の悪さは相変わらずだが、その目つきが凍りつく。

その胸には叶うことのない初恋の人への幼い恋心を抱え、
健気に見守りながら、時折胸を痛める……そう、自分と同じ気持ちを抱えていた。
しかし、次第に秋月大和の存在がその胸に土足で上がり込んでいった。

(それを…君は……受け入れてしまったんだ…っ)

自分にとっては裏切りにも等しい行為だった。
自分たちは、同じように片想いの痛みを抱えあう「同志」だと思っていたからだ。
しかし涼風は、自分を置き去りにした。
ひたむきな愛情が憎悪にも似た感情に変わるのは一瞬だった。
妙なことに怨恨は、密かに抑え続けてきた性欲を刺激した。
今までは自慰にだって、涼風を思い浮かべることはなかった。
そんなことに使ってはいけない、清らかな存在だったからだ。
152名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:49:15 ID:ye3msPM/
深く息をつき、心を落ち着ける。
予定外の興奮に二度も吐き出してしまい、元々少ない自分の体力は限界寸前だった。

「時間は…たっぷりあるんだ…」

涼風の顔から吐き出した精液を拭い取る瞬間、何故か泣きたいような気分に駆られたが、
首を振って深呼吸する。
制御できぬ興奮に冷静さを欠いているだけだと言い聞かせる。

「さて…。僕ばかりじゃ…いけないよね」

再び膝立ちで後ずさる。
先に吐き出した白濁が乾き、張り付いたパンティーに指をかけた。

「ごめんね…。今度は、涼風さん…君の番だよね…」

乾いた唇を開き、薄笑いを浮かべながら指先が茂みに伸びた
パンティーの淵から指を忍ばせる。
手探りで秘裂をなぞり、せり上がった恥丘を分け入って進む指先が
複雑な形状の肉襞に触れた。

どんな形をしているのか、雑誌やビデオで大体の知識はあったものの、実物を見たことはない。
くちゅりと濡れた粘液に辿り着いた瞬間、驚いて指を引っ込めた。

(濡れて…た……?)

激しい動悸が治まらない。心臓が張り裂けそうに早鐘を打ち続ける。
爪を立てないよう気をつけながら、パンティーの淵からくるくると巻き返すように
腰の骨盤から太ももへ。ヒザからふくらはぎ、足首を通してパンティーをはぎ取った。
ぐいっと片足をソファの背凭れに掛け、広げた足の間に視線を走らせる。
薄暗い一室の中。目を凝らすようにじっと見つめ続けていた。
自然と息が上がる。
縦に走った亀裂に割られるように、幾重もの包皮に包まれた肉壁。
くぼんだ下腹から張り出したように肉のついた恥丘からは淫猥な恥毛が生え揃い、
人形ではない、生身の肢体に五寸釘の欲情は焚きつけられた。

(これが、本物の涼風さんの…涼風さんの……)

尻に手を入れて、押し上げるようにして顔を近づける。
ずっしりとした重み、尻肉に指がくい込む柔らかさも堪らないが、
目の前に広がる赤く色づいた秘肉の形に魅入る。

よくよく見れば、複雑に折り重なった肉襞の隙間に白い恥垢が見えた。
小指の直径ほどのぽっかりと開いた穴には、先に指先で触れた粘液がしみ出している。
またひとつ、涼風自身も知らないだろう、涼風の部分を知った。

しっかりと目に焼き付けているうちに、支えていた腕が痺れて震えだし、
おそるおそる舌を伸ばして、より近くへと顔を近づけていった。
ピチャ…くちょ…くちゅ…
鼻先を恥丘に擦りつけて、細く伸ばした舌で無我夢中で涼風の秘部をなめずる。
153名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 19:52:22 ID:ye3msPM/
途中ですけど、これで投下終了です。続きはまた気が向いたら書きます。
154名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 21:08:57 ID:9/JjyvgW
>>153
主旨違ってないか。うpろだスレか追い出されスレが妥当。
155名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 21:37:05 ID:ZSPEWMoW
>>153
このスレは、執筆を断念したSSを流して供養するスレなんだ。
だから、

>続きはまた気が向いたら書きます。

この一文を書いた段階でスレ違い。




>>145
変な話で面白そうだったが残念。
なむなむ。
156名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 20:53:49 ID:+jh4YYdZ
保守しとこう
157名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 23:00:58 ID:P5cqiybi
「年の差」ってほどではないし、「先生とHな授業を」とも違う上に
エロで力尽きたのでお焚き上げ。


ボロアパートの鍵を開けドアを引っ張ると、がっ、と抵抗があった。
鍵、開けたのに閉まった。
これはあれだな。
再び鍵を開け、ドアを開ける。
狭いアパートを占領しているコタツの端から黒タイツに包まれた足先が出ていた。
「また勝手に上がり込みやがって」
せっかくコタツに入っているくせになぜ足を出すのだろう。そこから冷えたりしないのだろうか。
「あ、やっと帰ってきた。おかえりなさい〜」
へろへろと力の入ってない声が出迎える。ごそごそとコタツからはい出てきたのはセーラー服。
いやセーラー服姿のオレの生徒だ。
といってもオレの身分は大学生。バイトで塾の講師をやっている。
「せんせー。鍵の置き場所変えた方がいいよ」
「取られて困るようなものは置いてない」
塾のバイト料はいいのだが、大半は生活費で消えていく。不況の折、親からの仕送りは事実上無いに等しい。
学費を払ってくれ、現物支給と称して食べ物や着る物を送ってきてくれるだけでも充分だ。
「おまえ、塾は? 最後の追い込みだろう?」
公立高校の入試目前で、遊んでいる暇など無いはずだ。
こいつの成績は中の上。高望みをしなければ公立合格は間違いないはずだし、親御さんの意向は
『一人娘なので私立の女子高でも』ということだった。
つまり。
「んー。息抜き、息抜き」
暇なのだ。
ショルダーバッグを放り投げ、ブルゾンを脱いだオレにおんぶおばけのように乗っかってくる。
「せんせぇー」
甘えてくる身体はさすが中学生。軽い。
「うるせえ。生徒だったらもっと生徒らしくけじめを付けろ。泥棒じゃあるまいし、家主の不在中に勝手に上がり込むな」
「えー。だって鍵の置き場所教えてくれたの先生だし。じゃー、勉強しましょ」
そう言って背中から降りると、セーラー服の上に着ていたカーディガンを脱いだ。
コタツの前にぺたんと座る。プリーツのたくさん入ったセーラーのスカートがふわりと広がる。
「うふふ」
鼻にかかった「う」から始まる妙な笑い声を立てて、にやん、と化け猫のように笑う。
妖怪じみてるな、おまえ。
真っ黒でまっすぐな髪はぷっつり切りそろえられていて、白い肌によく似合っている。紺色のセーラー服も清楚だと
思えなくもない。
でも「うふふ」だ。これはいかん。
「勉強って」
しゅる、と音を立ててセーラー服のスカーフを抜いた。白い手が摘むえんじ色のスカーフがひらりと宙を踊り、幻惑的だ。
「理科」
スカートの裾を蹴り上げるようにして、黒タイツの足が出てくる。
尻の方から手を入れてスカートをまくり上げ、一瞬尻を浮かす。足首あたりのタイツに余裕ができたと思ったら、
白い足が剥き出しになった。投げ出されたタイツは黒い一反木綿のようにコタツ布団の端に情けない姿をさらす。
「理科、って」
「高校だと生物って言いますよね。生殖とかー、遺伝とかー」
すすす、とスカートを少しずつずり上げていく。
ほっそりとした白い足があらわになっていく。
「ね。せんせ」
幼い顔が見上げてくる。手も入れてないくせに整っている眉の下、黒い大きな目にオレが映ってる。
「教えてください」
158名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 23:01:48 ID:P5cqiybi
「せんせ。なんでエアコン無いの?」
電気代が払えないから。
「どうしてコタツなの?」
日本人だから。
「どうしてベッドにいかないの?」
オレのベッドは二人分の体重を乗せて運動できるほどの耐久力がないから。
セーラー服の構造は簡単なようだが、脱がせるとなると話は別だ。
特徴的なあの襟のついた上っ張りは胸元の余裕と、脇についている微妙な長さのファスナーを利用して脱ぎ着をするしかない。
本人の協力無しに脱がせられるシロモノとは思えない。
上っ張りを脱がしたら、ジャンバースカートだ。肩が左肩だけ外れるようにスナップがついている。
脇も、左側の身ごろにスナップ。そしてまた微妙な長さのファスナー。
どうせなら下まで一気に広げられるようになっていれば脱がせやすいのに。
ずるずると脱がせると、むくりと起きあがった。
「シワになる」
だったら最初から自分で脱げ。
シワにならないように畳むのも面倒な制服を、適当にそのへんに引っかけると、器用にブラを抜き、
ふと気が付いたようにキャミソールとショーツだけの格好でひょいとかがんだ。
おお、尻が。胸が。
「コタツ、消しときます」
「ん」
エコでよろしく。
「でも寒い」
ベッドから掛け布団だけ引きずり下ろしてくるまった。
「やっぱり寒い」
「そのうちなんとなく温かくなる」
「そのうちって?」
「あと三、四ヶ月もすれば」
「それまでこの格好で待つの?」
「世の中にはいろんなものを全裸で待つ人々がいる」
特殊な例だ。
眉を寄せ、変な表情になったその唇にキスをする。
「ん、ん」
「なんか……リンゴの味」
「給食。リンゴ出た」
給食。なんて懐かしい響きだろう。
「オレらの頃は芯ついたままだった」
「芯なんか食べられないのに?」
「そこを残してうまく喰え、ってことだよ」
おおらかな時代だったからな。大雑把とも言うか。
キャミソールの裾から手を入れる。
ほう、と息をついた。
「せんせいの手、あったかい」
小振りな胸は掌にすっぽり収まる。きゅ、きゅ、とリズミカルに手を開いたり閉じたりするとゴム毬を揉んでいるような気分になった。
「あ、あ……」
眉根を寄せ、目を閉じて、半開きの口から女のような声を出す。
「ひどい。ちゃんと女だよ」
「おまえはまだ女の子」
「子供も産めるのに」
それは生理が来るようになった、ってだけだろ。
「どこから子種をもらう気だ。単体生殖する気か」
「せんせ……ちょうだい」
うっとりとした目で言われると、女の子、とバカにしていてもゾクゾクする。
何をだ。子種か。子種発射装置のほうか。
159名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 23:02:29 ID:P5cqiybi
「今日、大丈夫だから」
「おまえ、まだ生理、周期的に来てないってこないだ言ったばっかりだろうが! あれは生理周期が安定してこそ使える理論だ!」
このバカ生徒。
どこかで聞きかじってきたようなことばっかり言ってこっちを惑わせる。
胸を揉みながら、もう片方の手で太ももを撫で上げた。
子供の肌だ、と思う。薄くてすべすべしていて、温かくて健康的だ。
「ん、ふ」
やたら色っぽい声を出すようになってきた。いいかげん理性が保たないかもしれない。
パンツの中に手を突っ込む。
臍のうんと下、足のつけねの近くにだけ、きついカールを持った毛が生えている。頭髪と同じで真っ黒なのだろうが、
まだ目にしたことはない。
そのまま指を股の間に伸ばしていく。
「んっ、あ、ああん」
くっ、と白い喉をのけぞらせる。丸い肩が震える。
中指と薬指で秘唇をもみほぐす。
擦れるように押し合いへし合いしていたオレの指と肉唇は、その奥から流れ出てきた蜜でようやくゆるりと滑らかに動き始める。
「っ、はあ……」
熱い吐息を漏らして、背中も反らしていく。つんと尖った乳首が薄いキャミソールを持ち上げている。
寒い寒い、と被っていた布団はもう要らない。
キャミソールを胸の上までまくり上げる。
白い肌に薄い桜色のアクセントが乗っている。雪の上に桜の花びらが落ちているようだ。
中心の尖りがやや濃い紅色に見える。オレの目に何かフィルターがかかっているのかもしれない。
舌を伸ばして、舌先だけでつつくように舐めた。
「んっ、あ!」
びくんと腕の中の身体が跳ねた。
余韻のようにふるふると震える。胸のふくらみもぷるぷると揺れる。
ぱくりと咥える。
「んー! ん、んっ! あ、は…っ、あああ、んっ」
唇で、硬さの残る乳房を食み、口の中で舌を使って乳首を転がす。
面白いように身体をびくびくと跳ねさせる。ゆっくりと股も広げていく。
やらしい身体だ。
動かしやすくなった指で秘唇を開き、中のこりこりとした蜜口を指先でなぞる。
「んっ! んっ、ん、あ……そこぉ」
なにが「そこぉ」だ。
まだ入り口しか弄ったことはない。
「も、っと奥にぃ」
あー、わざとらしい。煽ってるな。
指の場所を変えて、愛液に濡れた指でクリトリスを擦った。
「んひふあぁぁ…っ」
本気なのはわかるが、この素っ頓狂な嬌声はなんとかならんのだろうか。
これがあるから理性が保っているようなものだが、それはそれで萎える。
もう少し大人になったら、こっちの我慢ができなくなるような声を出してくれるのかねえ。
ぷくりとふくれた小さな肉芽を、ぬるぬると滑る指でさすりながら包皮を剥く。
まだ全部は剥けない。硬い皮に守られている。
「尻、浮いてんぞ」
足を突っ張らせ、浮かした尻がゆらゆらと揺れている。
ああ、断言する。あと三年もしたらもう絶対堪えきれない。
「んひゃ、あ! ゃあ、あ、ぅん!」
後頭部を擦りつけるように首を振る。まっすぐな髪がばらばらに乱れていく。
「やあ、だめ、それ……そこ、だめ」
「もっと、って言ったのは誰だよ」
やべぇ。オレの声、ねちっこい。
160名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 23:02:52 ID:P5cqiybi
「んん、ん、だってぇ… そこじゃないもん…っ」
クリトリスを指で挟む。
「ひぃあ…!」
挟んだまま左右に揺らす。
「う、あ! あああ! あ、あ」
呆けたように口を開けたまま、他に何も言えなくなってしまって、ただ、ああ、ああ、と浮かされたように声を上げ続ける。
「ほら。イけ」
「や…だあ! 今日、こ、そ…っ て、あ んあ」
強情だな。
あいた手で乳首を摘む。
「ひっ!」
こね回す。乳首はもうカチカチだ。もみほぐしてやろうとこりこり弄ると、余計に硬くなる。
ぎゅっと力一杯摘み上げると悲鳴を上げた。
「ひ! ひ、ぐ…っ、き、あ」
ぱっと離してすかさず口に咥える。
力を入れないようにねろりと舌で舐め上げる。
「う! は、あああ!」
全身をわななかせのけぞる。秘所はどろりと溢れ出た蜜でべとべとになっている。
クリトリスを中指の腹だけで、これでもかと高速で擦り上げた。
「う、ひあああ! あ、あー!!」
全身を突っ張らせてガクガクと揺れながら絶頂の声を上げるのを聞いた。

はふん、と溜息をもらして布団に潜り込むのを捉まえて抱きしめると、抵抗された。
「なんでだよ」
「せんせーはケチだからいや」
口を尖らせるが、頬を膨らませるのはやめたようだ。それだけでもぐっとお姉さん度が上がるぞ。
「せんせ、いっつもここまでしかしてくれないもん。胸触ったり舐めたり、パンツの中に手を入れてくれたりはするけど」
女の子がそんなことをはっきり言うもんじゃない。
「指どまり。しかも浅いし」
べち、と頭を叩いた。
「いたい! あっ、公式が! 定理が! 抜けていく」
「そのていどで抜けるなら覚えていた内には入らん! 覚え直せ!」
中途半端な気のひきかたをするな。
「せんせぇ」
首筋にするりと滑らかな肌がまとわりつく。腕を回され、ぐっと引き寄せられる。
「いつになったら最後までしてくれるの? 私、頑張ったよ? 学校の成績も上げたし、私立も受かった。
先生の授業受けたかったから、テストの点数も上げすぎないように気を付けた」
「バカか!? そこは上げろ!」
「そしたら先生と会えないじゃない」
うふん、と笑う。
「週に二回の、それも一回二時間の貴重な逢瀬よ」
他に二十三人の目があるのは忘れているのか。それとも無視か。
っていうかそれ以外にもおまえ、こうやってうちに勝手に来るじゃないか。
「先生が家庭教師だったら良かったのに」
家庭教師。それはエロスな響きでいいな。
って女の子を担当に持てるかどうかわからんぞ、それ。
「最後までして。そしたら」
その唇に人差し指を当てて黙らせた。
「合格のご褒美に取っておけ」
見開いた目がきらんと光る。
「ほんと? ほんとに?」
「オレは嘘は言わん」
ごまかしはいろいろやるが。
「わかった! 私頑張る!」
「おお、頑張れ」
頭を撫でてやった。
ちゃんと待っててやるからな、三年後の大学受験合格発表まで。
161名無しさん@ピンキー:2009/02/21(土) 23:03:02 ID:P5cqiybi
投下終了。
162名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 06:11:46 ID:PrcvZMbH
GJ!
エロくて生徒可愛いな
163名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 21:20:09 ID:NRgx4wLv
保守しておこう
164名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 12:25:04 ID:lSkLuLWJ
保守
165名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 06:12:37 ID:jwrxC2+5
ほっしゅっしゅ
166名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 22:02:31 ID:6Nw/SiQ9
保守
167名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 23:49:36 ID:0AlSswMz

師弟もの
弟子虚弱で声が出ない。
なんだかんだ師匠は弟子大事?

特集設定
弟子両性具有。
ふたなり注意。



弟子うっかり痴漢にあって、師匠にたすけられました、その後。



「まったく、なに他の奴に触られてやがる」
 不機嫌そうに呟いた師は噛みつくような、深いキスをしてきた。
片手がアルの白い体を這う。申し訳程度の膨らみを乱暴に揉まれ、
アルは身をよじった。突起をこねくり回されると腰が揺れてしまう。
「弱いな、お前は。だから狙われるのだよ」
 くりくりと苛められ、アルは必死にアスタロトにしがみついた。
熱い吐息がもれる。べつにだれでも良いわけじゃないのに。アルは
唇を噛んだ。というかここでヤるんですか。寒いのですが。
 何度もキスをされ、大きな手が熱くなり始めた体をいやらしく這
う。そのうち服をたくしあげられ、口づけが首筋、鎖骨、胸元と降
りてくる。ぷくりと膨れて固くなった突起を舌と指で転がされると、
アルは立っていられなくなってしまう。普段性欲に乏しく、男性器
も女性器も未完成なくせに、アルは快感に弱かった。それもこれも、
アルの胸元に顔を埋める師のせいであるのだが。
師はへたりこんでしまったアルを鼻で笑い、地べたに座った師はア
ルの腰を支えて膝だちにさせ、また突起に吸い付く。アルは師の頭
を抱え込み、喘ぐしかなかった。
168名無しさん@ピンキー:2009/03/18(水) 23:55:58 ID:0AlSswMz
 ズボンの上から中心を押される。男根は立ち上がり、その奥の泉は
もう溢れてしまっている。
 師はズボンを下ろし、やわやわと勃起しても子ども程度しかない
アルの自身をしごいた。膝だちもしていられずに、今度こそ尻をつい
てしまう。師はアルを抱上げ、快感に震えるアルが先走りをあふれ
出すと、今度は泉を浅く擦り上げた。豆をつまみ上げられると快感
が迸る。一本指が中に入り、擦りあげられ、アルは必死に快感に耐
える。蜜がさらに溢れ出すと、指が二本、それがなれると三本とく
わえこまされてしまった。音を立てて苛められ、蜜を掻き出され、
アルはあえぐ。地面に蜜が滴った。出し入れに耐えきれずびくんと
体を震わせ、指を締め付け達すると、アルの自身もとぷりと白濁を
吐き出してしまった。ほんの少量だが、アルにとってこれが最大で
ある。
 指が抜き取られ、壁に押し付けられると、片足をあげさせられ、
 熱く太いものがあてがわれた。

「入れるぞ」

 達したばかりの体が容赦なく押し開かれる。出し入れをしながら
押し込まれ、アルはいやいやと首をふる。

「気持ちいいだろうが…」

奥をぐりぐりと擦られ腰をよじった。
169名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 00:00:07 ID:0AlSswMz
「お前は本当に奥が好きだな、え?」

弱い所ばかり苛められ、しかし達するほどの快感でもなく、野外で、
しかも恥ずかしい言葉にさらに羞恥を煽られ、アルは耐えきれず、色
素の薄い瞳からぽろぽろと涙をこぼした。
 師はそれを見て笑い、やはり腰を揺らして奥をもどかしく刺激する。
 懇願するようにアルは師の服を引っ張った。

「なんだ?」

わかっているくせに師は意地悪く笑い、アルを柔く攻める。
 アルは快感に震えながら、わななく口を開いた。虚弱なおかげで幼少
の大病により声を失ったアルは、必死に伝えようとぱくぱくと唇を動か
した。それも羞恥と頭が狂いそうな快感でなかなか伝わらない。その間
にも師はゆるゆると腰を動かした。
 もっと。師の笑みが深くなる。もっとしてください。
 ずるり、と師が腰を引き、アルの中が逃がすまいと収縮したところを、
また師が押し開き、最奥を突き刺す。大きな挿入を師は何度も繰り返し
た。

「俺以外に触らすんじゃねえぞ。わかったか、え?」

 こくこくと頷くと「いい子だ」と笑った師はアルを抱え、下から突き
上げた。アルは師の首にかじりつくように腕回し、快感に身を任せる。
170名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 00:05:27 ID:0AlSswMz
 夕暮れの街に卑猥な音が響く。乞食らしい子どもがぎょっとして逃
げていく。

「このほっせぇ体も白い肌も、目も髪も口も、処女みてえなここも、
全部俺のもんだ。まあ、ついでちっちぇそれも俺のもんにしとくか?なあ?」

何度も達してしまい、もう訳もわからず喘ぐアルの師はささやく。

「いい子にはご褒美をやるからな、アル。お前なら孕んでも特別に
責任とってやってもいい。他の女は下ろさせるがな……」

 そう言った師はアルを一際強く貫き、たっぷりと白い欲望をそそぎ込んだ。
 欲望を引き抜いた師はアルを抱えるようにして立ち上がらせると、近くの木箱にアルを掴まらせた。腰を持ち、再度自身で貫いた。

「ご褒美だ」

 そしてまた律動を開始する。







「おい、土産だ」
 ここ二、三日、師はよく土産を買ってくる。お菓子とか、服とか。
 アルはその包みをうろんげに眺めた。
しかしアルの好みをあまり認識していないらしい師は、微妙にアルが
好きなものとは30度ほど斜めにずれたものを買ってくる。天上天下唯
我独尊、自己中でナルシストの塊、何年も共に暮らしても、人のこと
など見も考えもしないことはよく知っているので、消費するのに困っ
たなあと首を捻る程度だ。今更怒らない。
171名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 00:12:53 ID:HYhwiJzI
 体調崩しているからべたべたに甘いケーキなどはあんまり気が進まな
いし、秋と冬の代わり目だというのにあんな夏用みたいなピンクピンク
した花柄すけすけミニミニワンピースなんて着られないし、着たくもな
い。値札を見たらとんでもなく高かった。基本ヒキコモリのアルにどこ
に着ていけと。
 お菓子はともかく、服の趣味は丸っきり師の願望だ。師はアルに女の
子女の子した格好させたいらしい。似合わないから嫌だというのに。

 お菓子は溜まり、着ない服が増え、師はそれを見て苛々……悪循環だ。
 それでも、普段怒るくせに、怒らないのは……

「おい、何が欲しい」

 気持ち悪いし、食欲ないからなにもいりません、と紙に書いて押しやる。
それを見た師が眉をはねあげた。

「……酸っぱいものとか欲しくないか」

 アルは顔をひきつらせて、師に背を向け、暖炉の前で丸くなる。二日や三
日でつわりなんざ来るわけがない。

「なんでも買ってやるぞ」

 ご機嫌取りなんてしないで素直に謝ればいいのに…、と無音の呟きを
漏らしつつ、脇に挟んだ体温計を見ると38度5分。これでも昨日よりは
良くなった。
 寝転がったアルは昼寝用の毛布にくるまり、ごほごほとひどい咳をする。
 ああ、喉が痛い。





おわり。
大変失礼しましたー。

弟子が男臭くなってないか心配。

172名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 07:14:10 ID:AsQbK4q2
GJ!弟子かわいいよ弟子
173名無しさん@ピンキー:2009/03/26(木) 08:55:43 ID:j+UaEbDd
前にも書き込みしてた人?
師弟グッジョブ
174名無しさん@ピンキー:2009/03/28(土) 09:12:01 ID:9ZbygIO9
良作じゃないか
175名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 03:15:13 ID:jCHDEldT
主従か軍人か年の差かどれかに投下しようと思ったけど、エロシーンと作戦シーンで行き詰ったのでお焚き上げお願いします。
 エルネスト・ベルナー曹長が、アリーセ・マイツェン暫定少尉の指示の元、特別潜入捜査に従事せよ、と内密に指令が下ったのは、すみれの花のにおいたつ穏やかな午後のことであった。

「結婚? あなたと俺が?」
「ええ。もちろん偽装の戸籍による虚偽の婚姻ですが」
 目の前の人形のようなアリーセ・マイツェンは事務的に告げる。
 仮にも夫になる人間に対する愛情や温かみや、親愛の類の一切を欠落させて彼女はエルネストに対峙する。

 アリーセ・マイツェンは組織の有名人だ。
 諜報部の生え抜き秘蔵っ子として、幼少のころより内密に育て上げられたアンドロイドのようなアリーセ。
 かくいうエルネストもその美貌を一目確認しようと、不必要に徘徊した記憶は新しい。
 だがアリーセという女は、その整った顔立ちにも関わらず人の記憶に残らない。せっかく拝んだ顔を、エルネストはたった三日で思い出せなくなってしまった。
 印象的だったのは、流れるようなはちみつ色の長い髪、ただそれだけだ。
 何故か、と思い返してみれば、アリーセには華がない。
 大人の女性としての色気も、少女としてのあどけなさも、一人の人間としての個性も持ち合わせていない。
 ――まるでお人形。
 それが、エルネストの彼女に対するイメージだった。
 上層部が作り出したかったのは、役にたつお人形、それだったのだと知る。

 命令なら何でもやりますよ。
 そう軽口を叩いて承諾をした。事実、逆らう術もメリットもない。
 早いところ作戦を終了させて、面倒な任務から解放をされてしまおう。それが得策だ。


「あの、ベルナー曹長。一つお願いが」
 アリーセがそう切り出したのは、任地へと向かう列車の中だった。
「なんです?」
「敬語を、止めていただけますか。通常の夫が妻に話すようにお願いします」
「……ではマイツェン少尉どのも、その仰々しい喋りかたを止めていただけますか」
「いけません。この任務の遂行のために少尉の位を暫定的に与えられてはいますが、実際の階級はベルナー曹長がはるかに上ですし、経験も深い。それに、」
「それに?」
「夫に敬語を使う妻は存在しますが、その逆はひどく不自然です」
 生真面目なその様子に、エルネストは苦笑をもらす。
 こいつはとんだ頑固者だ、と予感した。
「判った、普通に喋ろう。その代わり、あんたも出来るだけでいいから敬語をやめてくれ」
「……ですが」
「設定は新婚夫婦なんだろう? 愛し合って結ばれた二人がいつまでも敬語交じりでは、奥様方の噂の的になっちまうぞ」
 アリーセはそのアイスブルーの瞳を見開いてしばし硬直を見せた後、ふ、と息を吐いてその表情を崩した。
「判りました、努力いたします」
 この女、こんな顔もできるのか。
 柔らかい表情と相変わらずの堅苦しい喋りのギャップに、エルネストはまた苦笑を浮かべた。

176名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 03:15:45 ID:jCHDEldT
 
 夫婦とは名目上のことでベッドまでも、共にする必要はない。
 それなのにエリーセがエルネストの寝室のドアをノックしたのは、作戦二日目の二十三時のことだった。

「曹長、まだ起きていらっしゃいますか?」
「…………ああ」
「あの、少々お時間いただいてよろしいでしょうか」
「どうぞ。あいてるよ」
 控えめな音を立ててドアが開いて、やはり控えめにアリーセが隙間から滑り込んでくる。
 グレーの薄闇に、雪のように白い彼女の身体がぼんやり浮き上がる。
 そこだけまるで輝いているかのように白いので、エルネストは一瞬言葉を失った。
 アリーセは相変わらずの無表情で音もなく枕元に経つと、所在なげに両手を組んでじっとエルネストを見下ろした。
「…………曹長……お願いが、あります」
「ん、なんだ?」
「私と、……その、性交渉をしていただきたいのです」
 エルネストは再び言葉を失った。
 ばかが付くぐらい真面目だとは思っていたが、ここまでだったとは。
 新婚夫婦は真似事でいいはずだ。
 誰も見ていない部屋の中でまでリアリティを保つ必要がどこにある。

「あいにく、間に合ってるよ」
「違うんです……こんな非常識な依頼があるかと判っていますが、その、どうしてもぎこちなさが抜けないのは、肉体的スキンシップが不足しているからではないかと」
「その読みは否定しないが、引き受けらんねぇな」
「なぜ?」
「なんでって、そりゃあ、……「性交渉」はほんとうに愛し合ってるモン同士がするべきなんだよ」
 言いながら胸のうちで乾いた笑いを浮かべた。
 きれいごとだ。
 それはただの理想論で、そうじゃない場合も現実にはままある。
 アリーセもそのぐらいは承知しているだろう。

「では、言葉を変えます。少尉として、軍曹に任務遂行のために性交渉を命じます」
 命じられた。
 ぎょっとしてアリーセを見上げた。
 アリーセは表情を変えずに、すばやく膝をベッドについてそっとくちびるを重ねる。
 ただ触れるだけのそれは、エルネストの熱を呼びはしないが胸の奥がちりりと焼けた。

 しばらくのち、そっと顔を離したアリーセは、一瞬だけきゅっと眉根を寄せるとほう、と息を落とし、無言でエルネストの衣服を脱がしにかかる。
 その細い両の手首をぐいと掴んで引き離した。
「軍曹」
「少尉、性交渉のご経験は?」
「いいえ、ありません。ですが簡単な知識は持ち合わせております。あなたのペニスを私の膣に挿入したのち、内部で射精をするのでしょう?」
「……………………」
 確かに正しい。だがそう表現するととたんに味気なくなるのはなぜだろう。
「処女ならなおさら、相手にできませんね」
「処女喪失は麗しくあるべきだとの理想をお持ちなのですね」
「そのとおり。大事なひとが出来るまで取っといてくださいよ」

177名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 03:16:46 ID:jCHDEldT
 ぽん、と小さい子供にするようにアリーセの頭のてっぺんを撫でた。
 アリーセはその形のいいくちびるを小刻みに震わせながら、ゆっくりと首を左右に振る。
「いいえ。今回あなたが断ったとしても、私は次回組んだパートナー、もしくは次回のターゲットに同じ依頼をするでしょう。私は諜報部の人間です。幸せな性交渉など望むべくもない。
 だったら私は、ベルナー軍曹、あなたがいい」
 アイスブルーの瞳がつめたい炎を宿して、まっすぐにエルネストを射抜いた。
 アリーセは凛とした、だけど抑揚のない声音で続ける。
「感情を殺すのは得意です。訓練を受けましたから。でも私に感情がないわけではないのです。
 殺したはずの感情が、いつまでもくすぶるのです。軍曹、どうかお願いです」
 
 握った手が震えている。
 細い肩も。まるで小動物のように。


「あの、重ね重ね恐縮なのですが、私はどうすればいいのかご教授いただけますか」
「……あー、じゃあ、まず」
「はい」
「名前を呼べ」
「……………………なぜ?」
「こういうことには雰囲気が大事なんだよ、アリーセ」
 ぴく、とアリーセの眉が動いた。
 もぞもぞと恥ずかしげに肩をすくめた後、小さな声で、エルネスト、と呼ぶ。
「エルでいい」
「……エル」
「ん、上出来。あとは、我慢するな」
「何を?」
「全部。嫌だったらそう言え。やめて欲しかったらやめる。飲み込まれちまいそうでもとりあえず俺に身を任せろ」
「…………はい」
「いい子だ、アリーセ」
 照れたように顔を俯けてしまったアリーセの細い顎を掴んで、強引にキスをする。

*

ここまで。ありがとうございました。
178名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 07:06:23 ID:2KlQIBpC
おつかれさま
179名無しさん@ピンキー:2009/03/29(日) 12:06:41 ID:/hVspqCH

上品なエロだな
180名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 08:32:18 ID:q8L1bABT
181名無しさん@ピンキー:2009/04/02(木) 00:34:08 ID:Y3czPm0b
やべ、凄く萌えました
182名無しさん@ピンキー:2009/04/05(日) 11:09:41 ID:fDWRByRC
良SSを発掘するの楽しい
183名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 01:26:23 ID:e/YAK1AR
保守
184名無しさん@ピンキー:2009/04/09(木) 08:53:34 ID:2JQlCCAO
ほほっしゅ
185名無しさん@ピンキー:2009/04/10(金) 10:20:32 ID:R2NNdNN/
上手くイメージと繋げられなくなったので、二次のお焚き上げ





最近、自分はおかしい。
千鶴はぼんやりと幼馴染みを眺めながら、溜息をついた。
穏やかな昼休み。
窓の外では、表情に乏しい幼馴染みと、貞子とあだ名されている友人が
盛り上がりなど片鱗も感じさせない会話をしている。
一見、地蔵と幽霊の会話である。
夜中に見れば、さぞかし恐怖を煽る組み合わせであろう。
見知らぬ人間が見ればホラーとしか思えないだが、二人をよく知る人間が見れば
むしろ微笑ましい光景と言える。
事実、数ヶ月前まで千鶴は二人の談話をほのぼのと見ていた。
爽子が自分から、翔太以外の男子に声をかける場面を見守る。
気分は爽子の母親か祖母、といったところだった。

数ヶ月前、幼馴染みに「好きな人」がいると知る前までは。



偶然知ってしまったその事に、千鶴はモヤモヤとした感情を抱いていた。
理由もわからない。
その感情の名前も知らない。
千鶴は自分の感情を持て余していた。
こんな事は、産まれて初めてかも知れない。
だって、龍の事で知らないことなんてない筈だった。
嫌いな食べ物、好きな事、何だって知ってると思っていた。
龍が人差し指を口元で立てる、「ヒミツ」を示す仕草。
あれは、千鶴だけのものである筈だった。
決して声が大きいとは言えない二人の会話から、偶然漏れ聞こえた
「好きな人」と言う単語とヒミツの仕草。
最初はあまり気になっていなかった筈なのに、日が経つにつれて
心の中をじわじわと浸蝕してゆく。
徹にフラれた時と似た感覚だ。

龍がいつか、誰かのものになる?
自分から離れてしまう?

想像できなかった。
龍がいない日常なんて、考えられなかった。
いろいろな事が頭をよぎる。
「好きな人がいる」と言うことを確認するのすら怖かった。
今までの自分なら「好きな奴がいるなら教えなよ〜」などと
気軽にきけた筈なのに、何故躊躇っているのだろう。

千鶴は窓から視線をそらし、龍の椅子を睨みつけた。
時間が経てば、もっと聞きづらくなるだろう。
第一、こんなのは自分らしくない。
決めた。
今日の帰りは龍の家に寄ろう。
放課後までの時間を逆算しながら、千鶴は無意識に拳を握り締めていた。
186名無しさん@ピンキー:2009/04/11(土) 07:12:05 ID:tg9/HE6O
187名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 20:48:10 ID:8Qm/dB3z
ナイス投げ
188名無しさん@ピンキー:2009/04/15(水) 16:43:25 ID:a1luLOSm
保守
189名無しさん@ピンキー:2009/04/16(木) 10:08:43 ID:8RsR4Ler
>>185
乙!
190名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 10:49:41 ID:PX4q0mey

父親×娘注意



もう柔く苛められ、何度白濁を受け止め、達したかわからない。
揺すられるたびに背中で緩く結んだワンピースのリボン揺れる。
スカートで隠れて見えないが、確かに佳奈は父親に貫かれ、熱い
吐息を漏らしていた。体が暑くて、とろけてしまいそうだった。
接合部はもうこの上ないほどぐずぐずにとろかされ、苦しいほど
大きな父親を安々と受け止めていた。佳奈の蜜と受け止め切れな
かった父親の欲望が滴り、シーツを汚していることだろう。
キスをねだればねだった分だけ与えられる。
弱い奥ばかりつつかれ、卑猥な音が響き、聴覚まで犯される。父
親の首に回した腕に力が入らず、崩れそうな佳奈の体を父親の逞
しい腕が支えていた。
お父さん、お父さんと佳奈は父を呼んだ。もう佳奈には目の前で
余裕のない笑みを浮かべる父親と、支えてくれる腕と頭が狂いそ
うな快感を与えてくれる杭だけが現実だった。
びくりと佳奈の体がはね、父親を締め付ける。行き来する杭をさ
らに感じてしまい、爪を立てた。しかしそれも力が入らず、痛く
も痒くもないだろう。中に注ぎ込まれた多量の白濁を佳奈はうっ
とりと感じていた。
「もっとか?」
こくりと頷くと満足そうに笑った父親が「いい子だ」と背を撫で
る。それさえにも感じてしまい、体をよじった。
再び始まる律動に佳奈は乱れに乱れ、最後には意識を飛ばしてしまった。

母への罪悪感など、とうの昔から消えている。




191名無しさん@ピンキー:2009/04/17(金) 10:51:31 ID:PX4q0mey
おわりー
嫌いな人は要注意
192名無しさん@ピンキー:2009/04/18(土) 13:42:31 ID:OG7m/nY3
193名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 21:13:22 ID:5m9L5aBs
 
194名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 20:03:10 ID:7SqDJ1cj
保守
195名無しさん@ピンキー:2009/05/04(月) 21:19:32 ID:WKuiJB2C
保守
196名無しさん@ピンキー:2009/05/10(日) 17:31:07 ID:sxX+4FUs
197名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 09:52:09 ID:68cPX+Gd
保守
198『オナホ姉』 ◆uC4PiS7dQ6 :2009/05/15(金) 14:53:53 ID:oB/Ig8Ax
1
「ねぇねぇ、おふとんで寝ないと風邪ひいちゃうよ?」
 可愛らしい声が耳に届き、可愛らしい顔が瞳に映る。
 私はリビングの中央、コタツに入りながらテーブルに突っ伏して、ゆさゆさと身体を揺らされていた。
 ピカキュウ着ぐるみパジャマ姿の弟が、心配そうに私を覗き込んでる。
「んっ、ありがとリクオ。ねぇねぇはシャワー浴びて来るから、先にオヤスミしてなさい」
 その頭をフードの上から優しく撫で、寝室へと微笑んで帰す。
「うんっ、オヤスミねぇねぇ」
 手を振りながら階段を上る弟を見送り、一つ溜め息を吐いて、再びテーブルに突っ伏す。
 自己嫌悪。ああ、私は、何て夢を見ていたのだろう。
 夢の中、私は、リクオを、弟を、犯してた。大切な弟を。大事なリクオを。この手で……汚してた。
 リクオの自由を奪って、喋れなくして、見えなくして、聞こえなくしてっ!! オナホールで精通させて、無理矢理に逆レイプ。
 はっ、ばーかばーか♪ 私のバーカぁっ♪♪ なに考えてるのよ一体? 私は、弟を、幸せにするの!! しなくちゃイケないのっ!!
 だから、弟をレイプするなんて、絶対にやっちゃダメ。間違いなくトラウマになる。そんなの解り切ってるでしょ!?
 私達は、普通の姉弟になるっ!! 夢と同じ事は、何が有っても起こさない!!
「ふぅっ……馬鹿ね私って」
 そう決意を固め、もう一度深く溜め息を吐いて、ゆっくりと腰を上げた。
 壁掛け時計を見れば、日付変更5分前。明日も学校あるし、さっさとシャワー浴びないと。
「ん〜〜っ! よしっ、がんばれ私!!」
 軽く伸びをして、テレビの電源と電気カーペットのスイッチを切る。

 幸せに、するからねリクオ。


2

 さっさとシャワー浴びて、
 さっさと眠ろう。
 だから、その前にさっさと……



「ピカキュウGETだぜっ♪♪」
 パジャマの上からロープで両手足首を縛り、大の字にしてそれぞれベッドの脚と結わい付ける。
 ピカキュウはガムテープで口を塞がれ、涙を流しながら声にならない声で小さく鳴き出すだけ。
 どうして怖がるのりっきゅ……ピカキュウ? ポケモンはトレーナーに調教されるものなの。
 それに痛い事なんかしないよ? 私が考えた尿道ディルドでね、オチンチンの中を気持ち良くしてあげるだけなんだよ?
 貴方はピカキュウなんだから、弟じゃないんだから、私にレイプされて当然なのっ!!

199名無しさん@ピンキー:2009/05/15(金) 14:55:24 ID:oB/Ig8Ax
終わり。
毎回同じような展開ばっかに嫌気が差して、途中で書くの止めた。
200名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 00:41:24 ID:+9qxWaos
ナイス投棄
201名無しさん@ピンキー:2009/05/21(木) 00:18:54 ID:Pp0Ca84P
GJ
202名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 02:42:45 ID:iT1fGP6C
保守
203名無しさん@ピンキー:2009/05/28(木) 16:50:27 ID:ReFADA4e
その日、御扇春香は彼氏にフラれた。
理由は至って単純。
春香がセックスさせてくれないから。
「お前さぁ、男女交際を慈善事業なかんかと勘違いしてんの?」
待ち合わせ場所のファーストフード店で顔を見るなり彼氏はそういった。
「させる気ねぇんなら粉かけてくんじゃねぇよガキ」
そう吐き捨てて彼氏は立ち去った。
飲み干したコーヒーカップを残して。

待ってよ……わけわかんないよ……だってあたし達まだ高校一年生だよ?
入学式で初めて知り合って、付き合い始めてまだ一ヶ月だよ?
手を繋いで登下校したり、一緒にゲームしたり、ショッピングなんて、
まだ片手で数えるくらいしかないんだよ?
させるとかさせないとか……そんなの……早過ぎるよ……。

春香は放心していた。とにかく、店を出て、一人で考え、泣ける場所がほしかった。
何も考えずに、映画館に入り、一番最後列の席に腰を降ろした。

今日のワンピース、頑張ったのに。
お姉ちゃんの香水、こっそり付けてみたのに。
このバレッタ、一緒にいった雑貨屋で買ったやつなんだよ?





……貞淑過ぎてフラれてしまっただけの、ホントは
すごくかわいい女の子をどう書いたらわからなくなった
これじゃただのウザ娘だ(涙)
204名無しさん@ピンキー:2009/05/29(金) 00:07:14 ID:F6sDceUd
個人的には初々しくて可愛いと思ったよ
でも、〜〜だよ? を多用するのが
ちょっとウザく感じなくもないとかなんとか
205名無しさん@ピンキー:2009/06/06(土) 20:38:59 ID:6429Phin
保守
206吉野屋1:2009/06/11(木) 00:16:39 ID:fxnBNp5f
「有名コピペでエロパロ」のスレに投下しようと思って書いていたのだが、書き終わる前にスレが落ちてしまった。
落とす場所もわからないのでお焚き上げ。
元ネタ:吉野家コピペ




 これは昨日の話だ。俺は大学を自主休講し、地元の吉野屋に向かうことにした。吉野屋
に行くことはここ最近の日課である。
 だがしかし、たどり着いた吉野屋はいつもと違っていた。わかりやすく言うとめちゃく
ちゃ混んでいたのである。外から中を覗きこむと、人がめちゃくちゃいっぱいいる。それ
どころか、順番待ちで並んでいるやつまでいる。
 この吉野屋、路地からかなり入ったところにあるという立地的にはかなり条件の悪いと
ころに立っているため、地元民でも知っている奴は少ない。基本空いている。だから嬉々
として常連になっていたというのに、これは一体どうしたことなのだろう。
 その答えは比較的早く見つかった。店先には見慣れない垂れ幕が下げてあり、目立つ文
字でこう書いてある。
 ――150円引き。
 よく見ると、俺の前に並んでいる男達はちらしを手にしている。きっとそこにも垂れ幕
と同じ文言が並んでいるのだろう。俺は消費者心理というものを考え、呆れて溜息をつい
た。
 お前らみんなひょっとしてバカなのか。150円だぞ150円。150円とかペットボ
トル一本分しかないわけ。それ如きで普段来てない、そもそも存在すら知らなかったはず
の吉野屋に来るなんて、お前らみんな頭めでたすぎるだろ。ホントにバカかと。
 もし俺に勇気があったなら、そこでそう叫んでいたことだろう。
 客の回転はそこそこ早いらしく、俺が苛々している間にもどんどん列は進んでいった。
中は若干暗くなっているが、近づけば、一番入り口側の様子くらいは察することができる。
それに、声だって聞こえてくる。


「いらっしゃいませ、なにになさいますかーっ」
 店員の女の子の声。暗くてはっきりはわからないが、顔も明るくて可愛い感じだ。
「えー、どうする?」
「どうしよっか」
「150円引きだし、特盛りでも…」
「特盛りとかハードル高くね」
「そこをなんとかしなきゃ男じゃねえっしょ」
 ぐだぐだうるさいのはリア厨っぽい四人組。順番を待っているこっちから見ると、もう
どうでもいいから早く決めるか店を出ろと言いたい。吉野屋に四人で来るとかほんとマジ
馬鹿の極み。何がしたいのかわからない。お前らは連れションしてる女子高生か。
 ここでも俺は思うだけで、もちろん口に出したりはしない。
「お客様?」
「「「「と、特盛りで!」」」」
 ハモってやがる。
「かしこまりましたー!」
 女の子はとびきりの営業スマイルでにっこり笑うと、おもむろに胸元のボタンを外し始
めた。下着は着けていないらしい。暗がりに白い肌がいやにはっきり見える。童貞四人組
(決めつけ)はごくりと生唾を飲んだようだった。
 女の子はするすると服を脱ぎわざわざ全裸になった上で、自分で胸を寄せて谷間を四人
組に見せつけた。
 ぱっと見で、Fカップ以上はある。
「お客様、こちらの特盛りでよろしかったですか?」
 童貞四人はひたすら頷く。
「それでは、失礼します♪」
 お手本のように爽やかにほほえんで、女の子は立っている童貞Aの足の間でしゃがみこ
んだ。しゃがみこんだというか膝立ちだ。ちょうど顔のあたりが股間にぴったりである。
本人はぎこちなく固まって、周りの三人からの羨望のまなざしを受けている。
「えへへ、お邪魔しますー」
207吉野屋2:2009/06/11(木) 00:18:21 ID:fxnBNp5f
 女の子はAのベルトを外した後、桃色の唇でジーパンのジッパーを銜え、上目遣いでAを
見つめながらそれを下ろしていく。デニムの締め付けから解放されたAの性器はもうはっ
きりわかりすぎるほど勃起していた。
「うふふ…お客さんの、元気なんですねえ」
「は、はい、スイマセン!」
「やだあ、謝ることじゃありませんよー」
 女の子はにこりと笑って、パンツの上からほおずりをするみたいにした。
「熱ーい…うふ、ちょっと濡れてますね。先走っちゃってるんですね、あらゆる意味で。うふふっ」
「す、す、スイマセン!」
 女の子が今下ネタギャグをとばしたようにもみえたが、童貞Aにはそんなことに突っ込
む余裕すらないのだろう。体育会系みたいな返事しかできていない。
 布越しにじゅうぶん焦らしたあと、彼女は慣れた手つきでAのズボンを下着ごと引き下
ろした。包茎のお手本のような性器が露わになる。
「やだぁ、かわいい」
 うふ、と女の子が笑った。Aは羞恥で真っ赤になっている。周りの三人も真っ赤になっ
ているところを見るに、奴らも同様に童貞で包茎なのだろう。どこまで仲良しだったら気
が済むのか。
「ニオイもキツくて…あん、ぞくぞくしちゃいます。お風呂入ったのはいつですか?」
「た…たくさんキレイにしてもらおうと思って、その…一昨日から風呂入ってないです」
「じゃあいっぱいカスをナメナメしてキレイにしちゃいますね?」
「おおお、お願いします!」
 彼女はあくまでも麗しい笑みを崩さずに、露出した性器をれろんと舐めた。
「ひぃ」
 Aはもの凄く気の抜けた声を上げる。
「あはっ……すごぉい。口の中で、どんどん大きくなってます」
「ああ、はい、す、すいませんっ」
「あんっ、びくって跳ねたぁ……」
 彼女は口の中に性器を含んだままもごもごとAに話しかける。その度に当たるところが
変わってまた違う刺激が送られるのだろう、口がもごもごする度に、Aは「ひっ」とか「うあっ」とか
断続的に声を上げているのだが、しまいには刺激が強すぎるのだろう、歯をかみしめて耐えるよ
うな表情をし始めた。
「んー、声、いっぱいあげてくれなきゃつまんないですぅ」
「………っ」
「気持ちよくないですか?」
 ぶるぶると首を振っている。
 おそらく、気を引き締めていないとすぐにでもイってしまうのだろう。同じ料金を払う
のならギリギリまで我慢しないと勿体ない、そう思ってのことだろうが、女の子の方とて
商売である。少し垂れ目気味の瞳が、一瞬だけ剣呑な色を帯びた。
「……我慢されると、私がつまんないんですよー」
 じゅぽじゅぽっ、ぐちゅっ、ぬるんっ!
 端から見ていてもわかるほど女の子の口がぎゅっと窄まり、激しく前後に動かした。
「ひィッ………うあ」
 もちろんDT氏がその刺激に耐えられるわけがない。
「あ、あ、あ、で、出るッ!」
「はいっ、いっぱい! いっぱい出してくださぁいっ!」
 そう言いながら、彼女は既に射精の始まったペニスを口から離す。
 解放されたそれはびくびくと波打ちながら、生臭い液体を彼女の顔に、胸元にぶちまけ
ていく。
 肩で息をするAを尻目に、女の子は自分の顔に付着した白濁色の液体を指で拭い、その
まま口に含んだ。
「あぁん…やだぁ。苦くて臭くて…すっごくおいしい…っ♪」
 とろけそうな声で彼女は囁く。そしてまだ液体の溜まっている胸の谷間を、残り三人に
見せつけるようにして微笑んだ。
「お次のお客様、ご注文は何になさいますか?」
 残り三人はごくりと生唾を飲んだようだ。しばしの沈黙の後、童貞Bがずずいっと前に
出る。
「あ…あの、胸で…胸で、してもらえませんか!」
 特盛りにかけるだけでは物足りないらしい。
「はいっ、パイズリですねー。かしこまりました♪」
 女の子はこれまた飛び切りの営業スマイルで微笑んで、Bのズボンに手をかけた。
208吉野屋3:2009/06/11(木) 00:20:29 ID:fxnBNp5f


「――……ますよ」
「え?」
「前、進んでますよ。詰めてください」
「あ……あ、はい、すみません」
 四人衆プラス女の子の様子に思いの外集中してしまっていたらしい。後ろから若干苛々
した声をかけられて、俺は急いで前に詰めた。かなり進んだ。既に俺の前の奴が先頭だ。
さすが吉野屋と言ったところ、回転がえらく早い。
 遠くから見ていたときとは違い、店の奥の様子もよく見える。声もよく聞こえる。手前
の方は奉仕中心の軽い客なのか、女の子の明るい声と男のうめく声が響いているが、奥の
方では逆に女の子の甲高いあえぎ声が響いている。今日の値引き祭りで吉野屋に来ようと
決めたにわかーズは、手前の安い値段コースを利用しているらしい。手前ばかりが回転が
速い。
 俺の前の奴は手前のコースを選んだようだ。エプロンしか身につけていない受付のお
ねーちゃんが輝くばかりの笑顔で俺に問うてくる。
「お客様のご予定はどちらですか?」
「奥で」
「はいっ、それではこちらにどうぞっ」
 案内されて、奥の方で順番を待つことになった。


 俺の相手をしてくれる女の子が来るまでの間、俺は椅子に座ってぼんやり隣の様子を見ていた。
「お客様、ご注文はなにになさいますか……」
 黒髪ロングのお嬢様みたいな風体の女の子である。胸はさっきの子よりはない、という
より、一般的に見て小さい方だ。従業員制服のスカートに隠されて見えないが、足は細い
感じがする。清楚な顔立ちに、垂れ目と泣き黒子が妙にいやらしい。その子の『お客様』
は脂ぎったおじさんである。俺は一瞬だけ資本主義を呪った。しかしその数秒後、男の一
言でテンションは更に下がることになる。
「『つゆだく』で」
「つ、『つゆだく』ですか……っ!」
 女の子は涙目だ。男はにやにやしながら、
「お客の注文をちゃんと聞けないのかね」
 とやたら偉そうに言った。こういう態度はよくないね。お客様は神様です、という言葉
は店側から出るモノであって、客側から言い出すものではない。しかし女の子はそんな風
に言い返すこともできるはずもなく、泣きそうな顔のまま男に頭を下げた。
「申し訳ありませんでした……つ、つゆだく……喜んでっ!」
 どこぞの居酒屋のような言葉を、似つかわしくないくらい悲痛な声でもってあげる。男
は鷹揚に頷いた。
 女の子は震える手で従業員の制服を脱いでいく。下から現れたのは絹のような肌――で
はない。しかしそれよりも下手したら価値のあるものだった。紺色の布。すなわちスク水
である。
 俺は感動した。
 女の子はスク水にニーソを着用していたのである。
 絶対領域と露出はアンビバレンツではなく両立し得るということを初めて知った。すら
りと伸びた足はふとももから膝上までしろく輝き、しかして膝からつま先まで覆う黒い布
によってその輝きはフルに発揮されることがない。
 けしからん、文化の無駄遣いだ。これに感動しなくてなにに感動すればいい。
 俺がそこまで感動したくらいなのだから、男はもっと感動したらしい。わなわなにやに
やして、女の子を後ろから抱きしめた。小柄な女の子は脂ぎった男にすっぽり収まってし
まう。




このあとスマタを見学→主人公が学園のアイドルと本番の予定でした。
209名無しさん@ピンキー:2009/06/11(木) 02:31:29 ID:yi46V/ee
ナイス投げ
素股しているお嬢の反応は読んでみたかったな
210名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 03:48:16 ID:BQK/zOiD
GJ
211名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:35:40 ID:sCwTzTM/
なんでこんな事になってんのだ。

むなしい。むなしくてしょうがない。
「ふぅ…っ ん……あ…っ」
思わず出てしまった声に、我に返る。家には母がいるというのに。
貴重な休みに遊ぶでもなし休むでもなしに、ひとり遊びというのはどうなんだろう。生理前ではな
いから、欲求不満なんだと思う。そうだった。私はなかば自棄になっていたんだ。
告白するまでもなく、私は失恋してしまった。
それは結構前の事であるけれど、今でも少しだけじくじくと心が痛む。そんなに好きだったんだろ
うか。大学の授業がよく一緒になる人。席が近い事が多かった。一目惚れだったんだと思う。で
も、話すようになってまもなく彼女がいる事を知った。…中身なんてほとんど知らなかったはず
で、傷つくも何もないと思っていたのに。
「はぁ…っ」
濡れているそこを擦りながら、乳首をいじる。
健一さんは胸好きだったよなあ…とかなんとか思い出す。つい3ヶ月前くらい前に別れた、という
か彼が留学してしまった為にほぼ自然消滅してしまった私の彼氏。優しくて、上手くて、天然ボケ
で可愛いのに年上だった。
多分私はさみしいんだ。そういう別れ方はあまりしたくなかった彼氏と別れて。その彼氏を忘れよ
うとしたら、逆に傷ついて。話を聞いてもらう友達もいるし、慰めてもらったりもしたけれど、なんだ
かむなしい。こんな事をしている自分もむなしい。
それでも指は止まらない。
212名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:36:00 ID:sCwTzTM/
限界がそろそろ近づいてきた。このまま全部忘れちゃえと思う。
なのに、突然ドアが開いた。
「カンナ!」
「久しぶ…」
時間が止まった、とはこういうのを言うんだと思う。お互い固まったまま、何も言わずにふたつの
声の主はドアを閉めた。思考回路が停止して、それからサッと血の気がひく感じがする。次に
思ったのは、まずいという事だ。まずい。かなりまずい。見られてしまった。ドアの位置からして、
アレなところは見られてないはずだけど、何をしていたかはわかっただろう。半泣きになりなが
ら、即行で服を着る。着ているとだんだん、ノックもなしにドアを開けたあいつらに対して怒りがこ
みあげてくる。思い切りぶちまけてやろうと、ドアを勢いよく開けた。

あのバカ双子!

高山陽輔と祐樹は、近くに住むふるい幼馴染だ。割合仲もよくて、よくつるんでいた。大学に入っ
てからは、皆学校が違う事もあってほとんど会わなくなった。それでも道で会ったら挨拶して軽く
話すし、3年になった今では本当にごくたまにだけど三人で遊ぶ。
昔は性格が全然違うのに外見だけよく似ていて、それがおかしかったけど、高校ぐらいにもなれ
ば趣味も違うから外見も全然似ないようになってた。背格好も全然違う。それでも妙に似てるか
らおかしい。
213名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:36:24 ID:sCwTzTM/
「…高山ァ…」
普段は名前呼びだけど、私は高山兄弟をあえて苗字で呼ぶ。
「…ごめんなさい」
土下座しているのが陽輔。
「無礼にも程があるよな、ごめん」
まっすぐ目を合わせて言うのが祐樹。
「ごめんですまない…っ もう本当にバカ!つうか死ね!帰れ!」
高校の頃は、バカエロ話も結構した。お互いの歴代彼女・彼氏も、報告もしないのに何故か知っ
ている。さらに言えば、奴らは口には出さないけど絶対私の初体験年齢も知っている。
でも、だからと言って自分の一人でヤッてる姿を見られるのが恥ずかしくないわけがない。
「…彼氏にも見せた事がないというのに」
「意外」
「帰れ祐樹」
もう何だか悲しいやら情けないやらで涙が出てくる。なんでこんな事になってんのだ。
久しぶりに会った幼馴染。何も最悪なかたちで会わなくたっていいじゃないか。
すると、大きな手が私の頭をなでた。陽輔の手だ。昔から、落ち込んだ時や失恋した時に慰めて
くれていた陽輔の手。大好きだ。
「今度何かおごってやるから」
祐樹が言う。いつもこうやって物で釣るけど、そのついでにデートもしてくれる(というより遊びにい
く、なんだろうか)ので結構気分がいい。高校に入ってから、二人はぐんと格好良くなった…と思う。
昔から見てきた身としては、いい感じに育ってくれて嬉しかったりする。母親視点で思う。
これで一度も恋愛関係になった事がないのが不思議だと友人は言う。実際私もそう思う。一応男
と女だって事はわかっているから、気をつけてはいるけれど。
214名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:38:43 ID:sCwTzTM/
「で、なんであんたたちが家にいんの?何か用だったの?」
二人は顔を見合わせて、言いにくそうにしている。なんなんだ。
変な沈黙の後、祐樹が話しだした。
「フェアにやろうと思って」
「何それ」
誰が誰と何をどうフェアにやるんだ。祐樹が深くため息をついて、今度は陽輔がしゃべった。
「俺ら、カンナの事が好きなんだけど」
彼らは何語を話しているのか。
言葉の意味がわからない。思考力が低下している。誰が…誰を好きだって?
冗談、と言いかけて陽輔の顔が赤い事に気がついた。陽輔はあんまり嘘がつけない。双子の性
格をそれぞれ端的に言うと、陽介が犬で祐樹が猫だ。
祐樹が説明しだす。
「あのね、俺たちね、小学校くらいの時お前の事が好きで、協定結んでたんだよ。ぬけがけ禁
止って。可愛いでしょ。その後、別に好きな子が出来たんでうやむやになったけど」
「それから、今に至るまでカンナ以外の子の事好きになってふられたり、付き合ったりしてきた。
まあ色々あった。でもさあ…こないだ、つっても結構前だけど、カンナんち前で会った時から妙に
気になりだしてさ」
「…原点回帰ってわけじゃないけど、お前の事かわいくて仕方ないし」
何、この展開。
私をおいて、勝手にすすめていないか。
*
「そういうわけで、高山陽輔は倉本カンナが好きです」
「高山祐樹も同じく倉本カンナが好きです」
「ちょ、ちょっと待って!」
その宣言はなんだ、というツッコミも入れたかったけど、とりあえず言っても仕方ない事を言う。
「冗談だよねえ!」
「こういう冗談は言った事ないの、知ってるだろ」
少し怒ったふうに、祐樹が言った。本気なのか。
…悪い気は、しない。バカやったり派手に喧嘩もしたりするけど、基本的に陽輔と祐樹の事は
好きだからだ。
だけど、天と地がひっくり返ったような感覚だ。
だって、そんな事を言われて簡単にのみこめるわけがない。なんだか眩暈がしてきた。
それに、と祐樹が続けた。
「神代健一と別れたって聞いたから、今ならアリかと思って今に至るわけだ」
「な…んで、私が健一さんと別れたの知ってんの…」
「カンナの友達が言ってた」
「大学におけるカンナ情報は大体そこから」
呆れてものが言えないとは、まさにこの事だ。こいつらはそれなりに計算してきているようだ。
「高校ん時のお前の彼氏に比べたら、納得できる人間だしな」
「いっそあいつならしょうがないって思ってたけど、別れたしな」
「というわけだから、そのつもりで」
「「よろしく」」
215名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:40:15 ID:sCwTzTM/
頭が痛い。
なんで、こんな事になった訳?
考えさせて、お願いだから。
ぐるぐる考えてたら、ハッとした。ちょっとだけ身の危険を感じた。
まさか、とは思うが万が一に備えて聞いておきたい事があった。
「そういや、うちのお母さんは?」
「呼び鈴押したら、ちょうど出かけるところだった。うちの母さんとどっか行くんだってよ」
「ゆっくりしてってね、だって」
やばい。陽輔は泣かれるのに弱いから、なんとかなるだろう。問題は祐樹だ。口では勝てない
し、弱点ついても私の弱点をついて道連れにするような奴だ。
「嫌だからね」
「何が」
「付き合ってもないのに、やるなんて絶対嫌だから」
「そんな事考えてたの、カンナ」
あ、私の馬鹿!祐樹にからかわれるような事言ってどうすんの!
「相変わらず、やらしいね」
「う、るさい!仕方ないじゃん!さっきまで、その、してたんだから…」
そうですよ。気持ちいい事好きですよ。
とろとろになって、イっちゃう瞬間の訳わかんない感じが好きですよ。それのどこが悪いっての!
「もう帰ってよう…最低、傷心な上に見られるとか、本当今日は最低…」
「傷心って?何かあった?」
心配そうに陽輔が見つめてくる。やめて。今、さみしいんだからすがっちゃう。代わりにするだけだ。
おまけに今は、体が疼いたまんまだ。双子の事は好きだ。好きだから、こういうのはやだ。
「たいした事じゃないよ。それより、たまってるので続きしたいし、帰って」
こんなあからさまに性欲ありますよ宣言してどうするんだろう。いいや、ドン引きしてくれ。
いくらエロ話してた仲でも、こういった事は言った事ない。せいぜい幻滅してください。
そう考えてたら、ぽつりと祐樹が言った。
「…してやろうか?」

何を。
何 を す る と 言 う ん だ !
「い、言ったじゃん!付き合ってもないのにするのはやだ!」
焦る。冗談でしょう。
「バカだなー。いくらなんでも、彼女になんないうちはしねえよ」
陽輔が笑いながら言うけど、絶対…
「…ごめん、そのつもりだった」
ああ、やっぱり。祐樹は目が本気だった。
最初からそのつもりだった訳じゃないけど、と前置きして祐樹が言う。
「お前が一人でしてるところ見て、うまくいけば三人で出来るかなとか考えてた」
ちょっと気が遠くなった。
216名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:44:22 ID:sCwTzTM/
三人って、何。
私は、多分他の女の子と比べたらそういう事好きなんだろうけど、んでもって健一さんとも色々
したけど!内容は至ってノーマルだと思う。外でとか縛ってとか他の男ととかした事がない。
ていうかしたくない。
何なの、三人って何なの。私と祐樹と陽輔で?
いわゆる3Pって奴ですか?AVで見た事あるけど、たとえば祐樹の咥えながら陽輔に後ろから
されちゃう訳?
ないないない!
私、そこまでじゃない!好きな人としかしたくないし!
何それ、祐樹はそういう女だと思ってんの?怒ってもいい?
「…簡単に股開く女だと思ってんの」
「思ってない。好きな女は気持ちよくしてやりたいだけ。俺の性欲はどうでもいい」
「なんだよ、それ!違反だろうが!」
噛み付くように、陽輔が声を出した。
「カンナを傷つける事はしない!過ちを犯さない!泣かさない!お前がこれ考えたんだろ!」
本当にバカ双子。
そんな事まで決めていたのか…。このぶんだと、紙にも書いているだろう。
「半分はお前だし」
「守れよ!」
そして二人は私の目の前で喧嘩し始めた。

(中略)

「いいよ」
何、言ってんだ私は
「ただし、痛いのはやだ。挿入もやだ。私が舐めるのもやだ。唇にキスされんのもやだ」
217名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 14:46:51 ID:sCwTzTM/
*****

3Pがどうにもこうにも書けなかったのと、挿れるか挿れないかで悩んで中断。
4年も放っておいたので、いい加減供養させて頂きました。
218名無しさん@ピンキー:2009/06/15(月) 16:58:43 ID:AD6lNRvK
ナイス投げ
女の子の心境がすごくリアルに感じられた
219名無しさん@ピンキー:2009/06/16(火) 12:15:12 ID:zdGl+BNP

エロSSというよりも
エロを巡る小劇場系演劇の一幕のようだと思った
220名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 03:34:32 ID:K2p4/G87
GJ
221名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 04:29:38 ID:2pAJuu60
222名無しさん@ピンキー:2009/06/22(月) 21:56:13 ID:rwGGU+6t
GJ
223名無しさん@ピンキー:2009/06/28(日) 16:29:53 ID:Zu0LCY3R
保守
224名無しさん@ピンキー:2009/07/02(木) 22:12:13 ID:XWTiCcPY
このスレ便利だな
225名無しさん@ピンキー:2009/07/16(木) 17:50:22 ID:SOkcn49n
此処で供養しようかなぁ
226名無しさん@ピンキー:2009/07/21(火) 19:53:22 ID:m+hHy2Nt
なむなむ
227名無しさん@ピンキー:2009/07/28(火) 21:18:01 ID:cNT83m+v
保守
228名無しさん@ピンキー:2009/07/31(金) 17:58:43 ID:BCQ0Du/f
深夜零時。私はお気に入りのパジャマに身を包んで、ベッドに潜り込む。
欠伸を一つ零して、目を閉じ、あとはただ睡魔に身を任せるだけ―――。
いつもは、それだけなのに。
今夜は、それだけで一日を終わらせる事が出来なかった……。

いつまでたっても眠れない。厚くて寝苦しいのは確かにそうだけど、それだけじゃない。
起き上がって、水でも飲もうかと思った、その時。
「あっ、あれっ?」
躰が、動かない。
瞳だけを動かして、周りを見る。
すると、気がつく。
腹の上に、何か……いる。
それは、何か動物の形をした、白銀の何か。
「ひぃっ……やっ、何っ、なに、何なのよぉ……っ」
“それ”は私のパジャマを剥いで、着実に私を生まれたままの姿に戻していく。
ひやり、冷気が私の肌を嬲った。
やめて、やめてっ
それは鼻先で私の恥部に触れて、柔らかな恥毛に触れる。
「ひっ」
べろり、大きな舌でピンクの肉に触れる。


無謀な挑戦スレに落とそうと思ったけど、よく考えたらお稲荷様って悪霊じゃねーなーと思ってやめた。
別に文章は短いし惜しくないけど、一応書くにあたってお参りにも行ったし、ssも供養しようと思って此処に落としていく。
229名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 18:18:39 ID:xqEwSX0u
230名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 19:01:27 ID:bRaukH6q
231名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 21:25:00 ID:SsEmBhnY
>>228
ナイス投げ
232名無しさん@ピンキー:2009/08/03(月) 15:54:50 ID:ECCSC+91
>>228
233名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 02:22:44 ID:3tfr0vkY
 唐突に思いついた小ネタを台本形式で走り書き。
 触手ネタ苦手な人はスルーよろ。



若旦那「おとっつぁん、今日はおとっつぁんに会わせたい人がいるんだ」
娘「あ、あの、はじめまして、旦那様」
若旦那「いやぁ、一目惚れって奴はあるんだねぇ。一目見た瞬間
『この子しか無い!』って思っちまって……」
旦那「何を考えてるんだいお前は。こう言う事はもっと考えて、だね」
娘「あ、あの、私は大それた事は考えておりません。ただ、若旦那の
お側においていただければ、それだけで……」
旦那「お前さんの事情は聞いちゃいないよ。これは我が家の将来の
問題なんだ」
若旦那「おとっつぁん、あたしを信じておくれよ。この子はきっと
我が家の為になるよ」
旦那「……それじゃあ、一つ、試してみようじゃないか」
若旦那「と言うと?」
旦那「この種を畑に蒔いて、一日も欠かさず世話をするんだ。これを上手く
育てる事が出来たら、お前の好きにしなさい」
若旦那「ありがとう、おとっつぁん!」

 それから半年後。

旦那「ほう、これは見事に育ったもんだ」
若旦那「ほら、あたしの見立ては間違っちゃいなかったでしょ?」
旦那「うん、これならうちに置いておいてもいいだろう」
若旦那「良かったねぇお前、おとっつぁんに認めて貰えて」
娘「えっ、認めて、って、どう言う……」
若旦那「この蔦草はとっても高価な薬草でね、滋養強壮に効果覿面なのは
良いけど、普通の土で育てると育ち切らないうちに枯れちまうんだ。
でも、人に根付かせると株分けで増やせて、一年中取る事が出来るんだよ」
旦那「初めて見た時はこんなおぼこい娘にお守りが出来るかと心配だった
けど、お前さんは思った以上に良い『畑』だよ。近頃はあちこちから注文が
増えて難儀していたが、この分なら応える事が出来そうだ」
娘「そ、そんな、それじゃ、初めから……」
若旦那「あたしの為なら何でもしてくれるんだろ? これからもどんどん
株を増やして、我が家に富と福をもたらしておくれ」

 蛇のようにうねる無数の蔦草に体を被い尽くされ、刷毛のような白く
長い根に体内を侵され、恐怖と快楽に震える若い娘。
 若い男は嬉しそうに笑い掛けると、何か訴えようとした娘の口に、
茎と根を切り取られて激しくのたうつ『株』を押し込んだ。



 意思疎通可能な人外との異文化コミュニケーションもそれはそれで
好きだが、たまには知性の無い、又は全く思考の異なる異形のいる
風景を見てみたい。
 ……のだが、最近の異種系スレは何処も紳士淑女が多いようで
何だか話しにくい。
 と言う訳で台本状態のままお焚き上げ。
234名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 03:22:10 ID:m3Mqyf6T
>>最近の異種系スレは何処も紳士淑女が多い…

禿同。
触スレなんか、いかに紳士かって感じになってるのが悲しいっす。
235名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 07:07:55 ID:SIquI2vJ
逃げてんじゃねえよ
236名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 10:24:50 ID:CyIPm5kP
なんだなんだ?
237名無しさん@ピンキー:2009/08/07(金) 18:53:49 ID:PMO4FsjV
>>233
ナイス投げ
238名無しさん@ピンキー:2009/08/17(月) 07:41:58 ID:yXWSMUVk
保守
239名無しさん@ピンキー:2009/08/24(月) 20:33:10 ID:8xFR/i+d
良スレage
240名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 14:15:37 ID:/L63FC3P
保守age
241名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 17:03:52 ID:uA2EK8nf
>>233
GJ
242名無しさん@ピンキー:2009/09/01(火) 19:03:34 ID:NW6ZeH9J
こんな所にキモいエロ落してんじゃねえよアレソマ厨が
243名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 12:46:34 ID:jZv9DOXo
 お焚き上げSSが少ないのって良い事のようなそうでもないような。

 俺はこう言うのが読みたいなーと言うぼやきを頑張って形にしようと
したらありきたりな話になってしまったので道半ばでお焚き上げ。
 男言葉の女とか強姦ものとか苦手な人は向こう3レススルーよろ。
244守護者と復讐者:2009/09/04(金) 12:52:17 ID:jZv9DOXo
 古めかしい木箱や陶器が雑然と積み上げられ、外から差し込む月明かりに照らされた
土蔵の中。
 その片隅に、一人の人間が横たわっている。
 年の頃は十七、八。黒い詰襟を着ているが、後ろ手に縄で縛られ、シャツを引き
千切られて剥き出しになった胸には男には在り得ない膨らみがあり、何も覆う物の無い
下半身には男に在るべき物が無かった。
「……今日は、満月かな」
 少女は壁を支えに傷だらけの体を起こし、開け放たれた明かり取りの窓を見やるが、
その小さな窓から見えるのは薄雲がたなびく夜空ばかり。
「……約束、破っちまったなァ」
 からからに嗄れた声で呟き、彼女は壁に凭れて目を閉じた。

 『お誕生日には絶対に来てね。約束よ? お兄ちゃん』
 鈴を転がすような声。綿菓子のような柔らかい髪。砂糖のように甘い笑顔。
 生まれてすぐ家の事情で引き離された妹は、『兄』の突然の来訪を無邪気に喜び、
これまでの年月を取り戻そうとするかのように甘えて来た。
 平凡だが優しい養父母に育てられ、沢山の友達に囲まれ、傍らには少々内気だが
気立ての良い少年が寄り添っている。
 平凡だが満ち足りた彼女の人生は、どんな宝石よりも輝かしく見えた。
 最初は、遠くから眺めるだけで良いと思っていた。
 眺めているうち、一言だけ言葉を交わしたいと思うようになった。
 気が付けば、日の光に姿を晒してしまっていた。
 彼女は悔やんだ。
 自身が復讐者の手に落ち、尊厳を踏みにじられた事にではない。
 祖父の言い付けを破り、光の世界に惹かれ、その身から先祖伝来の武具を外した。
 その心の弱さと軽率な行動で、大切な宝物を失いそうになった事にだ。

 「……凛」
 妹の名を呟くと、胸の奥に温もりが生じ、涙がじわりと溢れる。
(お前に詫びたい。約束を破った事。嘘をついた事。俺のつまらない感傷でお前の未来を
閉ざしてしまいかねなかった事……)
 声を殺して涙を零していると、土蔵の扉が開き、一人の少年が中へ入って来た。
 白い詰襟の学生服を着た長身の少年は、少女の顔を見ると切れ長の目を更に細め、
指先で銀縁眼鏡をついと持ち上げる。
「やれやれ、随分大人しくしていると思えば、いささか拍子抜けだな、保坂守也」
「……」
 唇を噛んで睨み付けると、少年は目の前にひざまずき、顎を掴んで持ち上げる。
「そんな目で私を見るな。貴様の目は私の心を騒がせる」
「そんなに嫌なら、さっさと俺を殺せ。俺が死ねば保坂の血は絶え、手前は馬鹿げた
茶番劇から降りられる」
245守護者と復讐者:2009/09/04(金) 12:57:35 ID:jZv9DOXo
 苦しい胸の内を押し殺し、低い声で言うと、少年は冷徹な眼差しで見返す。
「言ったはずだ。そんな事は許さない」
 少年は少女の肩を掴むとぐいと引き寄せ、唇に噛み付いた。
「ぐぅ……!」
 唇が切れ、痛みに呻くのも構わず、少年は舌をこじ入れ、乾いた口内を蹂躙する。
「んっ、ふぁっ! 止めろ、清左……あぅっ!」
 どうにか口を外して少女が叫ぼうとすると、床に押し倒され、首に噛み付かれる。
 肉を食い千切らんばかりに歯を立てて吸い上げたかと思うと、ねっとりと噛み跡を
ねぶり上げ、また別の場所にかぶりつく。
「ぐっ! てめ、止めろって、言っ、が、あぁぁっ!?」
 突然、少女は目を剥き、びくんと跳ねた。
 少年の左手が下腹部の薄い茂みを覆い、細く硬い指が奥をまさぐる。
「うぁぁっ! やめっ! やめろぉっ!」
 胸の尖端を吸い上げ、足に足を絡め、指先で敏感な部分を容赦無く擦り上げる。
 その苦痛を和らげようと奥から愛液が滲み出し、その為に指が一層密着して、
にちゃにちゃと音を立ててなめらかに蠢く。
「やぅ、ぐ、あっ! ふぅっ! ふぅぅっ!」
 少女の声に明らかに違う色が混じり始め、唇を引き結ぼうとするが、硬く膨れて
ずきずきと疼く肉芽を執拗にいじられ、湧き上がる快感に声が漏れ出してしまう。

 その危険さゆえに秘匿された武術の継承者として。
 また、この世の闇に蠢く存在を退けて来た守護者の血を継ぐ者として。
 その役目の為に幼い頃から男として育てられ、戦士として修行を積んで来た守也は、
戦いの恐怖や苦痛には慣れていたが、女の性に抗する術は持ち合わせていなかった。
 そして、先祖代々の宿敵として幾度と無く命の遣り取りをして来た少年・北井清左が、
なぜこのような事に及ぶのか理解出来なかった。
 自分と同じ年頃で、互いに一族の力と業を受け継ぐ継承者で、同じ領域に生きて来た者
として、敵意の中にもある種の共感を感じていた。
 だから、勝負に敗れた時、薄れ行く意識の中で覚悟を決め、潔く死ぬつもりでいた。
 だが、清左は守也を殺すどころかこの蔵に閉じ込め、夜と無く昼と無くやって来ては
彼女を犯している。
 時に無言のまま激情を叩き付け、時に言葉と技巧を尽くして追い詰め、守也が力尽きて
気を失うまで、幾度も幾度も。
 その才子然とした容姿のどこに、それほどの獣性がひそんでいたのか。
 もう幾日にもなるのに、彼の欲望は一向に枯れる気配を見せなかった。

 「あぅっ! ぐっ! ふぅっ! んんんっ!」
 守也は唇を噛み切りそうなほど強く噛み、必死に声を押し殺す。
 うつ伏せで膝を大きく広げ、尻を高く上げた屈辱的な姿勢でひたすら秘所をいじられ、
達しそうになると止み、緊張が緩むと撫で上げられる。
246守護者と復讐者:2009/09/04(金) 13:03:49 ID:jZv9DOXo
 行くに行けず、降りる事も出来ず、肩に噛み付かれて逃げる事も叶わない。
「無駄な抵抗は止めろ、保坂守也」
 清左は左手をゆるゆると動かしながら、耳元へ唇を寄せた。
「耐えるくらいなら泣き叫んで助けを求めろ。心の底から叫べば、誰かに届くかも
しれんぞ? 例えば、お前が執着するあの娘……神河凛とか言ったか」
「っ!? てめぇ……あっ! あぁぁぁぁっ!?」
 思わず口を開いた途端、耳朶を噛まれ、秘芯を強くくじられ、頭が真っ白になる。
「やっ! やぁっ! うぁぁ! あぁぁぁぁっ!」
 一度緩んでしまった口は閉じられず、焦らされ続けた体は押さえが利かなくなって
がくがく震え、送り込まれる強烈な快感が意識を占領する。
「ふぁっ! あっ! あ……あぁぁぁぁあぁぁっ!」
 その瞬間、守也は体を強張らせて絶叫し、そして、くしゃりと床に潰れた。
 すっかり力が萎えたさまを見て、清左は身を起こし、守也の手首の戒めを解く。
「ぁ……」
 彼女は縄が解けても逃げる気配は無く、呆然として言葉にならない声を漏らしている。
 清左は守也の体を仰向けると、己のズボンを緩め、一物を解放した。
 既に硬くそそり立ったそれは、端正な顔に似合わず、大きく、醜悪な代物だった。
「……」
 彼は守也の脚の下に膝を進め、彼女の上体を抱え込んだ。
「くぁっ……!」
 ぐずぐずに蕩けた秘肉を押し開く硬い感触に守也は怯え、反射的に清左を押し退けて
腰を引こうとするが、彼はそれを許さず、更に押し進める。
 ほんの数日前まで何物にも侵入された事が無かったそこは、その凶器に幾度も穿たれ、
今また丹念に解された事で、最奥まで易々と飲み込んでしまった。
「観念しろ、守也」
 清左は守也を抱いたまま更に膝を進め、体重を掛けた。
「ひぅっ!」
 股関節が軋み、体の奥をずんと突かれ、彼女は息を呑む。
「私は貴様を逃がしはしない。命ある限り私の子を孕み、貴様の先祖が刈り取った命を、
一つでも多くあがなうのだ」
 言い放ち、清左は腰を動かし始めた。
「あぅっ! ふっ! うぅぅぅぅっ!」
 体を折り畳まれるような苦痛と、体の奥を突き上げる快感に耐えようにも、両足に力が
入らず、両腕で懸命に清左にしがみ付いて歯を食い縛る。
 その様子に、清左は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、囁いた。
「貴様は私の物だ。貴様の血も力も、その心も、全て私の力に変えてやる」



 ……夜は、未だ明けそうに無い。
247名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 13:15:10 ID:jZv9DOXo
 投下終了ー。
 喋りから気性から「漢!」って感じの女が何ぞ大変な事に……ってのが
萌えなんだが、自分が書くと普通の男になってもーてあかんわいな。
248名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 20:11:45 ID:2XP9GXyk
ナイス投げ!
249名無しさん@ピンキー:2009/09/05(土) 05:40:49 ID:XoR8ozUe
GJ
こういうの大好きだ
250名無しさん@ピンキー:2009/09/10(木) 12:47:47 ID:J+3eQ0Mz
保守
251名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 01:37:45 ID:DNdE4wTm
何となく良スレ
252名無しさん@ピンキー:2009/09/15(火) 10:33:58 ID:C340fP7A
ほんとに「何となく良スレ」だよな
253名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 10:32:44 ID:qtZwUImE
SSを「この子」と呼んでいる人を初めて見た
254名無しさん@ピンキー:2009/09/22(火) 00:31:12 ID:4Ixi/Do9
保守する
255名無しさん@ピンキー:2009/09/23(水) 23:24:47 ID:ZN4JBakW
取調官と向かい合って座った尚子は、しばらく眼鏡の奥の瞳を泳がせていたが、ついに口を開いた。
「えと、あの……、私小さい時に『誕生日には18金の指輪がほしい』って父に頼んだんです……。
でも、父が買ってきたのは18禁のエロビでした。指輪とエロビ、『ビ』が被ってるだけじゃん!
なんて……まぁでも、大好きな父が買ってきたものなんで、大切に見ました。
繰り返し食い入るように見た結果、目を悪くしました……。それ以来眼鏡です。
そして私はある時素晴らしい発見をしました。眼鏡を外すと、周りがまるでエロビのボカシを一面に
かけたかのような世界になることを! それはひどく想像力をかきたてる、神秘的な光景でした……。
……そう、私は眼鏡を外すとどうしてもエロビが頭に浮かんでしまう体質なんです! ですから!
さっきは眼鏡をうっかり落としてしまい、身体がうずいてしょうがなくなって……!」
「だからといって街中でいきなりマスターベーションを始めないで下さいね……」
取調官はうんざりした顔つきで溜息を漏らした。
「……テヘッ」
尚子は頭をコツンと叩いてぺろりと小さく舌を出した。


新規開拓スレ「眼鏡を外すと淫乱になる娘」。保守小ネタにしようとしてたら圧縮で落ちてしまった…
256名無しさん@ピンキー:2009/09/24(木) 12:10:01 ID:zoCUYqOb
ナイス投げ
あのスレ落ちたのかー、もったいねぇw
257名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 13:26:15 ID:iGyVOlX7
あったのかそんなスレww
258名無しさん@ピンキー:2009/09/26(土) 16:39:50 ID:NK96u3HI
落ちたのか、あのスレw
書き手も読み手も選ぶスレだったけど残念だなー
259名無しさん@ピンキー:2009/09/26(土) 20:00:24 ID:Bpn0b+1g
ナイス投げ
そんなスレあったのか
見てみたかったな
260名無しさん@ピンキー:2009/09/30(水) 00:04:18 ID:xKDy7+2b
ナイス投げ
261名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 17:16:15 ID:lqZvLFBC
相棒inモンスターハンターをやってみたかったんだが
色々まずそうなのでこちらにお焚きあげ

・親子丼
・モンス一切関係なし

朝、ギルドでも名の通った一流ハンターが死んだ。
死因は爆死。
樽爆弾の調合に失敗し、木っ端みじんに吹き飛んだのだ。
ギルドから調査員が派遣され、早々に下手人は捕まった。
犯人はハンターズギルドショップの売り子だった。



わたしの父はあいつと一緒に組んでいた中堅ハンターでした。
わたしの生まれた村にやってきたクシャルダオラを
討伐したのが父とあいつでした。
あいつは宴席で村一番の美人と謳われた母にやたら
付き纏ったそうです。
それを庇ったのがわたしの父で、程なく父と母は
恋に落ち、わたしが生まれました。
父はハンターとしてあまりよいとは申せない腕前でしたが、
よく魚を釣っては台所で捌いてくれました。
今でもハリマグロの刺身とハジケイワシのつみれ汁を囲んだ
温かい、笑い声の絶えない食卓を、思い出すことが出来ます。
わたしが6才の時、父が死にました。
狩猟中、ババコンガに側頭部を殴られたのだそうです。
あいつは、母の元にやってきて、父の形見の
護りのピアスを渡すと、母に迫りました。
『彼が死んだのは私の責任だ、君の面倒を見させてほしい』
最初、母は断っていました。
でも、
『君一人ならいいだろう、しかしあの娘はどうする?君一人で育てていけるのかい?』
そう言われ、首をたてに振りました。
答えを聞くや否や、あいつは直ぐさま母を組み敷きました。
母は泣きながらわたしにキッチンに下がっているよう言い付けました。
あいつにのしかかられ、肩をはだけた母の姿が
今でも目の裏に焼き付いています。
女のわたしが言うのもなんですが、母は本当に美しい女性でした。
容姿は勿論、仕草のひとつひとつがたおやかと申しますか、清楚と申しますか、
村の他の女性達とはなにかが根本的に違う、そんな人でした。
あの毛むくじゃらは、そんな可憐な人を押し倒して、組み敷いていたのです。
何をしているのかわからないながら、異常な事態が
始まる事だけは分かりました。
わたしはただ流しの隅で目を閉じ耳を塞ぎ、
母がやってきて抱きしめてくれるのを待ちました。
262名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 17:17:41 ID:lqZvLFBC
しばらくしてやってきたのはあいつでした。
猫撫で声で『今日からお父さんと呼びなさい』そう言いました。
あいつの向こう、開け放たれた居間の床に横たわる母は裸でした。
美しい母から生気が抜け、まるで人形のような抜け殻になって
一年で母は父の後を追うように亡くなりました。
葬儀が終わると同時にわたしはあいつの元を飛び出しました。
あいつの世話になるなんて死んでも嫌でしたから。
近くの畑の農作物を盗んで食べたり、放牧された
ポポの乳を飲んで飢えを凌ぎました。
ギルドに捕まった時にはあいつが父親面して
迎えにくるんじゃないかと生きた心地がしませんでした。
幸いにもあいつは来ませんでした。
それからはあなた方の調べた通り、わたしは施設で
読み書きを習わせてもらい、長じてギルドショップの売り子になりました。

父が死んだ理由が、本当にババコンガにやられたのか知りたかったのです。
父が死ぬ訳無いのです。父は必ず家に帰れるよう護りのピアスを付けていたのですから。
程なく親しくなった女性ガンナーから、うっかり
散弾で仲間を撃ってしまった、キリンはこれだから
やりづらいと愚痴を聞かされた時、全てが繋がったのです。
あいつはガンナーだった。
あいつがババコンガと父が射程に入るよう散弾を撃ち、
動けない父はそのままババコンガの爪に引き裂かれて死んだのです。
わたしは一計を案じました。
ええ、そうです。あの服はあなた方のおっしゃる通り、
ドンドルマで誂えた物です。
給金で購える代物ではない?
わたしには貯金がありましたから。お洒落も
彼氏も必要ありませんでしたし。
胸も背中も丸出しの踊り子が着るような衣装を纏い、
あいつの元を訪いました。
あいつはなんの疑問も持たず、わたしを家にあげました。
わたしの生まれ育った、思い出の場所。
「お父さん、今まで音信不通にしてごめんなさい」
そう詫びてしな垂れかかると、あいつは下卑た顔で笑いました。
『どこでこんなのを覚えてきたんだ?この放蕩娘』
酒臭い息を吐く唇で頬を、首筋を、肩を吸われました。
裾を托しあげられて指でくじられました。
中々濡れないわたしの秘処をあいつは何度も舐め、啜りました。
263名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 17:30:30 ID:lqZvLFBC
逃げ出したい気持ちと吐き気を堪えて、感じているふりをしました。
どうせ朝には五体飛び散って死ぬ運命なののですから。
僅かに綻んだそこにあいつは自身を突き立て、激しく腰をふりました。
形だけとはいえ、父と娘の交合。あるまじき行為です。
わたしは請われてお父さん、お父さん、と泣き叫びました。
ええ、請われたんです。
あいつはそういう性癖だったのです。
わたしが果て、くず折れても、あいつは色々な
体位を試し凌辱しつづけました。
朝方、あいつがぐっすり眠っているのを確かめて、
わたしは樽にハジケイワシを仕込みました。
父は魚を捌くのが上手かったんですよ。
わたしにも、弾けない捌き方のコツを教えてくれましたし。
擬装?そんな気はありませんでした。
父も母もいない、そんな世界で生きていたって……。
早くわたしを処刑してください。



彼女の告白を最後まで聞いた後、二人のうち、年配の男が口を開いた。
「なるほどわかりました、ところで貴女はお聞きに
なられたでしょうか、三日前テオテスカトルがある村に現れ、
村は壊滅しました。村にはハンターはおらず、
ギルドにハンターを寄越してもらうよう要請していたそうです」
「……それがなにか」
「何かってアンタ」
売り子につかみ掛かる体格のよい若輩を年配が
まあまあ、と軽く宥める。
「要請を受けたのは被害者だったそうですよ。受けた
依頼は必ずやり遂げる、ギルドからの信頼は厚かったそうですね」
「存じ上げませんでした……わたしはただの売り子ですから」
「おかしいですね、貴女はギルドに所属していらっしゃる。
噂が聞こえてこない筈がない。貴女はそう言った被害者の
一流ハンターとしての一面を敢えて見てみぬふりを
し続けていたのではありませんか?」
「………………」
「そして被害者は事あるごとにこう言っていたそうです、
自分はつまらない嫉妬と些細なミスで素晴らしい
相棒を失った、遺族は自分を恨んでいる、
自分は許されるつもりはない、……もしかしたら、
貴女に復讐される覚悟がおありだったのかも知れませんね」
「そんな……身勝手すぎる……身勝手すぎます……」
売り子は黙って泣き崩れた。




264名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 19:34:17 ID:oNP4wkRX
ナイス投げ!
相棒もMHも好きなので、かなりツボりましたっす。
265名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 20:23:54 ID:eO/2UASC
いい投げだった。
非常に面白く読ませて頂きました。
266名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 20:50:51 ID:Cv530/Qb
ナイス投げ。いい話だなぁ
相棒って見たことなかったけどこういう話なのか
267『チューペット』:2009/10/13(火) 00:12:31 ID:fgVD5Y5y
 なんつうか、キスしたいなぁと思う。

 恋したいとかやりたいとか、そうじゃない。誰と、という訳じゃなくキスがしたいという
気持ちの方が先だ。もう一年くらいはしていない。もしかしたら人恋しいのかもしれな
いが、彼女が欲しいと強く思ってる訳じゃない。
 キスがしたい。
 キスという行為自体が好きなんだと思う。だって気持ちいい。唇の感触とか、上気
した女の子の頬の感じとか、舌の動きとか、唾液の味とか。俺が上手いのか下手
なのかは、さておいて。そりゃあ男だからやるのだって好きだけど、キスさえいっぱい
出来るのなら、結構というかかなり満足してしまう。だって気持ちいいし。ちょっと酸欠
になる、頭がくらっとする感じ。
……久しく味わってねえなぁ……。

欲求不満なせいか、最近どうにも、唇に目がいってしまう奴がいる。

「ほら、木崎くんもかんぱーい」

 サークルの定期飲み会。いい具合にまったりしてきたところで、離れた席にいたはず
の奴が俺達のテーブルにやってきた。
 同じ経済学部の橘未央。
 派手で目立つ訳じゃないが、パーツひとつひとつが整っている。和風美人ってものだ
ろうか。同級生と比べると落ち着いた格好で、洗練されていると感じていた。他の女の子
とはちょっと違う雰囲気を持っていた。
 そこそこ話はするが、特別仲がいい訳じゃない。二人でどこかに遊びに行くなんてあり
えないくらいには、遠い。

「今日は久々の飲み会参加だし、皆といっぱい話したくて」
「ああ、確かに未央ちゃん久しぶりかもなぁ」
「だって未央、ここんとこバイト入れすぎじゃん」
「夏休みの留学資金貯めるのに必死だったんだもんー」

そう言って、橘はグラスを傾けた。酒で少し唇が濡れて光る。……やばい。

「木崎くんとは、よく会ったんだけど。ね?」
「……まぁ」

 俺がお前を見て何考えてるか、わかってないんだろうなぁと思いながら。

「基本的に学校いるしさ、俺。橘と違って、真面目に授業出てる訳じゃねえけど」
「そこは出ようよー」
268『チューペット』:2009/10/13(火) 00:25:47 ID:fgVD5Y5y

 あはは、と橘が笑う。笑い方も綺麗なんだよなぁ。
 それでも、目が行くのはやっぱり唇だった。
 口は小さめで、でも下唇がぷくっとしてて可愛い。上唇とのバランスもいい。きちんと化粧
しているけど、どうやら元々唇が赤いみたいだ。
 多分、柔らかいんだろうな。甘噛みしたら……
 やばい、今はだめだ。
 とりあえず、橘の唇をしっかり覚えておくことにして、意識をそらした。

 俺が橘とのキスを想像してるなんて、あいつは知る訳がない。



『ん……』

 唇を重ねると、橘の緊張が伝わった。でも、それもすぐにほどけて、俺の胸に手を添えた。

 離れようとすると、舌に吸い付いたまま橘が囁いた。

『ゃ、もっと……』

目は潤んで、頬は上気して、ねだる声が可愛かった。
甘えるように俺の首に手を回す。頬に触れてやると、ますます表情がとろけた。 

『もっと、何?』
『……キス、して……』



 不毛だ。
 こういう妄想は、もう何度目だ。
 別に、橘とやりたい訳じゃない。と思う。
 実際、あいつとやってる妄想はしたことがない。キスだけだ。まぁ、その妄想の後どうにも
こうにも収まらず、抜かなきゃならん状況は多々あったが、それでもあいつをおかずにした
ことはない。いや、結果的になってるのか?
だけど、それ以上、キス以上の何かをしたい訳じゃない。橘とどうにかなりたい訳じゃない。
そりゃ可愛いよ。嫌いじゃないよ。いい奴だよ。
ただ、そういう対象じゃないっていうだけだ。

これだけ、あいつとのキスの妄想してるくせになあ!

言い訳がましいと思いつつも、やめられないのが本当に。本当に男って駄目だ。
ていうか、俺が駄目だ。
相当、頭が参ってる。

なのに、今日もまた橘に会ってしまった。
269名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 00:27:08 ID:fgVD5Y5y
チューペットって単語やらしいです><と思って書き始めたが、
どこのスレに投下していいのか悩んでるうちに行き詰ったのでお焚き上げ〜
270名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 01:30:14 ID:qg2BA8y/
>>267-268
ナイス投げ
読んでてこっちまで悶々としてきたw
271名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 01:48:36 ID:/OlHtTlu
ナイス投げ
やるだけじゃないのも味ってもんだ
そうそう、キスフェチのスレかなんかあったぜ、たしか
272名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 13:41:22 ID:ne8ELodD
キスフェチスレで待ってるぜ
273名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 15:44:40 ID:zBw4IlSC
お焚き上げさせてください。
とあるドラマ二次で書いてたやつです。

スレの住人さんの嗜好に合わない、4P書くのがなかなか面倒、
ドラマ終了から数年が経ち、書く気が失せてしまった、
ということで、今に至ります。

設定は、4人兄弟と、長男のところに嫁いできたヒロインとの
明るい4P生活w というものです。
けれど、長男への想いを秘め、戸惑いながらの新婚生活を送る、
という内容です。長男は鬼畜設定でした。


 
274名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 15:45:07 ID:zBw4IlSC
           
「かよっぺ、どう? 縛り加減は最高だとおもうけど…このくい込み方、すばらしく俺好み」

今日は修と、の日。
1週間に1日ずつそれぞれ修、智に抱かれる。ただ、智が来ない週もあるのだが。
3人一緒の日もあれば、4人の日もある――航も加わるのだ。
航とだけは好きな時に好きな場所で好きなように求められ、夏世もまたそれに応じ、求める。
そんな日々を送っていた。

夏世は片岡航と結婚し、片岡の嫁となった――いや、片岡4兄弟の嫁になったのだ。

夏世は、彼の弟2人との行為に自分の体が悦ぶのを心の奥では許すことができないでいた。
だが、3人や4人での行為はいいのだ。その中に航が混じっていれば。

夏世は弟たちとの行為の最中に航に見られるのも好きではない。
自分が航以外の男と1対1で行為に耽っているのを見られるのは、どこか後ろめたさを伴い、
航に対して背信行為をしているような気になってしまう。

もちろん普段は、航と二人仲睦まじく暮らしている。
全ては夫の航――だけでなく片岡兄弟と夏世との合意の上であるのに。

「……で、こんな変態プレイでも、ちゃんと感じちゃうんです。でも後ろめたいっていうか……」
「あーだから、それは夏世っぺがダンナさまを特別にとても愛してるっていう証拠なんだからさ」
「や!キツ…イタ…いっ、あん…修さん、もう少しゆるくして……」
「だめ。このおっぱいが飛び出るみたいに縛られてるのが…イイ!のでその要求は却下」
「えぇ〜ッ、修さぁん! あ、なに? どうす…る…の?」

縄で拘束され動けない夏世を、修は、たたんである掛け布団に上半身を預けさせ、
少し起こした状態にさせると、修は待ってましたとばかりに、夏世の歪んだ乳房にむしゃぶりついた。
空いたほうの乳首を親指と人差し指で摘んだり、ひねったりしながら弄ぶ。
夏世の喘ぎがたちまち艶を帯びて、時折体がビクンと揺れる。

「あ、ああん…ああ…は…あ!」
「かよっぺ…すごくいやらしくて、可愛い! もっと声出してよ…この口からさ…」

そういうと修は、夏世の額に汗で張り付きはじめた髪をそっとなで上げ、喘ぎが漏れる唇を覆うように口づけ、口内を蹂躙していった。

ふと目をあけると、帰宅した航がコートのまま傍に立って見下ろしていた。

「ん! んん〜っ、むっふ! やっ……おさっ……」
「むは……かよっぺ、なに? あ、兄ちゃん……」

修も気がついて、振り向くと、航がすっとしゃがみこんだ。
穏やかな微笑を浮かべて、修に声を掛ける。

「続けて、修。夏世のイクところ、見届けてあげるよ、いいね、修?」
「いいよー。この娘さ、お兄さまに後ろめたい、っていうんだよぉ。俺とのソフト緊縛プレイに感じちゃってるくせに」
「や、あの……航さん、できれば………見ないで……」

消え入りそうな声で、夏世は顔を背けた。

「修、少し…いいか?」
「いいよ、兄ちゃん。かよっぺをいつもみたいにしちゃってよ」
275名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 15:45:48 ID:zBw4IlSC
                      
夏世をじっと見つめながら、縛られて開脚させられたその内股を、付け根のほうへと指を滑らせていく。
航が、ぬらぬらと愛液に光る襞へ指を滑らせると、震えていた夏世の体が、ビクリと跳ねた。
二本の指を泥濘の奥へ押し込んでいくと、夏世が身を捩って悶えはじめた。

「は……っ…あっくあ! んあああ」

後ろでに縛られて、畳んだ布団に預けられた体を捩らせる。
喉を反らせて、快感に顔を歪ませる。
航は微笑みながら、肩膝をついたままの姿勢で指を抜き差ししはじめた。
ぬちゃっぬちゃっ……卑猥な音がやがてじゅぶっじゅぶっ……というたっぷりの水音に変わっていく。
夏世は唇をかみしめ、なるべく声を堪えていた。
大きく開かされた体に抜き差しされる航の人差し指と中指。
時折それは、探るように夏世の中をかき混ぜる。

「なに、ガマンしてんの。かよっぺの可愛い声を俺とダンナ様に聞かせてよ。ほら、力抜いてさ……」

修の手が夏世の乳房を包み込み、やわやわと揉みしだいていく。

「あ……お、おさ……むさ……修さ……は…う」




―――ここまでです。
     ここが無い時は、練習スレに投げてました。
     ありがとうございました。 なむなむ……
276名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 17:16:08 ID:8RH/9sVe
ナイス投げ
277名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 09:47:05 ID:DosmbuS0
保守
278名無しさん@ピンキー:2009/11/05(木) 10:57:51 ID:1isAxPNx
ちょ、ふらふらしてたらあのスレの投げ作品が!
4Pとか素晴らしい。投下してほしかった
乙!
279名無しさん@ピンキー:2009/11/06(金) 11:24:24 ID:gqruwoDg
ナイス投げ
280名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 17:54:31 ID:oWHaBddA
良かった
281名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 21:18:12 ID:OedZiWc3
保守
282名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 17:15:13 ID:60NNKNXO
ここには大変世話になった
保守しておこう。
283名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 22:32:02 ID:PwCpZ6QN
二次ものです。
完成しないうちに本編が進んでしまったので焚き上げさせてください。
クールな女性監督とショタ。



「吹雪くん、ちょっといい?」
瞳子の呼びかけに吹雪はびくりと肩を震わせた。
彼女に促されるままにグランドから遠ざかり、車へと向かう。
しんとした車内で向き合って座ると、吹雪は顔を伏せたまま呟くように問いかけた。
「……監督、ぼくはやっぱりキャラバンを……」
「降りたいの?」
彼女の鋭い声に吹雪は身を縮ませた。
「いえ、ぼくは……」
「そうね。私もあなたに降りてほしいとは思わないわ」
さらっと言ってのける彼女にハッと吹雪が顔を上げる。
「でも……」
「わかっているわ。――キャラバンに残る理由が必要なら私があげるわ」
その言葉の意味を問う前に彼の唇を彼女のやわらかい唇がふさいだ。
口を閉じたキスから口を開いたキスへと変わり、彼女の舌が彼の歯茎を舐め、驚きで開いた歯の間に
侵入していく。
舌を撫でるザラザラした感触に吹雪の下腹部に熱が起こる。
「――んっ」
瞳子の口から洩れた熱い息が吹雪の口内を満たす。
滑らかな手が彼の手を取り、彼女の胸元に導いた。
服と下着越しにもわかる膨らみに吹雪が顔を赤らめた。
瞳子は着痩せするタイプのようだ。
彼は手に余る乳房の重みとやわらかさを持てあました。
乳房に手を押しつけたまま固まる吹雪に瞳子がフフッと笑みを漏らす。
「こうやって触るのよ。下から掬い上げるように」
「こう…?」
「そうよ。潰しちゃ駄目。……うまいわね」
尖った乳首がカットソーとブラを突き上げる。
彼女の息に熱が混じりだし、吹雪の息も上がる。
瞳子の手が彼の股間に伸びた。
ジャージ越しに形を確かめるように撫でると、形の良い指の先をすっと根元から先端へ滑らせた。



以上です。
後はフェラから対面座位の予定でした。
284名無しさん@ピンキー:2009/11/19(木) 23:34:55 ID:60NNKNXO
おお、ナイス投げ!
285名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 01:19:37 ID:hmhBYEu0
ナイス投げ
286名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 16:35:09 ID:0ygThtrK
いいスレだ
287名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 19:56:07 ID:NgLusr5t
最後尾か
288名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 23:36:50 ID:Ue24+Z9C
ごめん、あげておく
もったいないから
 主人が働かないんです。

 主人?今どこに居るのか全然知りません。いや別に行方不明とかじゃないんです。
 今は拳法の修行と称して、どこかへ出かけています。行き先までは教えてくれません。
 ……まさか。あの人に限って、浮気とか絶対ありえません。ええ、ありえませんとも。
 主人と私とは、前世からの強い絆で結ばれていますから――

 そうですね。まずは家族構成から話した方がいいかも知れません。
 私と主人、娘が一人の三人家族です。それとペットが一匹。ちょっと聞いて下さいよ。
 あの子――ペットの事なんですけど、主人がどうしても飼いたいと言うから家に置いているのに、
ご飯をあげるのはいつも私なんです。あの子はあの子で主人にばっかり懐いて、私の事なんか
『ゴハンくれる人』程度の認識しかないみたいなんです。これってほとんど下僕じゃないですか!
 ……そうでしょう?ペットのご飯は、飼主が責任を持ってあげるのが普通ですよね?
 なのにうちの主人と来たら、あの子の世話を私に任せっきりにして他所をほっつき歩いているんですよ。
帰ってきたら帰ってきたで、都合のいい時だけあの子を可愛がって、それであの子がご飯を欲しがると
「チュチュのエサ頼む」とか言って、自分はさっさとアトリエに引き篭もってしまうんです。
 あ、説明が遅れました。チュチュというのがペットの愛称です。
『ドデスカチュチュポリン』というのが本当の名前なんですけど、長すぎるので略して呼んでいます。
 まあ、可愛いんですけどね。ご飯の時は私にも懐いてくれるし。

 え、ペットは関係ありませんか?それよりも娘がいるんじゃないかって?
 わかりました、お話します。娘は14歳です。
 ……そうですよね。娘も難しい年頃になったというのに、あの人はいつまでもフラフラ遊び歩いて――
 私たちですか?
 私と主人が18歳になります。もうすぐ19歳――
 すみません、驚かせてしまって。確かに18歳の親に14歳の娘なんて変な話ですよね。
 そうです。実の娘ではありません。4000年前に、私たちの前世がもうけた子です。
 私と主人は一万年の間に五度ほど生まれ変わっている訳ですが、五回とも強い縁で互いに結ばれていました。
その中でも一番の蜜月時代が4000年前です。
 あの時の私たちも今と同じように、いやもっと仲睦まじい関係でした。娘が生まれたのもその時です。
 ますます話が解らなくなってきた?4000年前に生まれた娘が、なぜ14歳なのかって?
 分かりました。じゃあもう少し話しますので、ちゃんと聞いて下さい。
 4000年前のゼボイムにいた頃は、主人もちゃんと働いていたんです。
 当時の主人は医学と分子工学を修めた天才科学者でした。16歳でゼボイム大学の医学部に入学して、
それから医学と分子工学を勉強して――
 でも分子工学の分野では、主人の評価は芳しくありませんでした。別に内容が悪かった訳ではありません。
むしろその逆です。彼の研究内容は当時の分子工学のあり方を、いや生命の考え方そのものを一新するほど
画期的なものでした。
 だからこそ生命に対する――ひいては神に対する冒涜であると周りから見なされたのでしょうね。
 分子工学の学会を追放された主人は、止むを得ずゼボイム大学の附属病院で外科医の職に就きました。
そこでナースとして勤務していた私は、主人と三度目の出会いを果たしたのです。
 彼の素早くて正確無比なメス捌きに見惚れてしまった事を、今でもはっきりと覚えています。
 ええそうです。あの人の手先が器用な事だけは、何度生まれ変わってもちっとも変わりません。

 ほどなく主人と愛し合うようになって解ったのですが、彼は本当に孤独な人でした。
 当時のゼボイムでは、人の平均寿命は三十代。おそらく遺伝的な欠陥が蔓延っていたからでしょうか、
子供の生まれない夫婦も数多くありました。社会不安も最高潮に達していて、このままでは全人類が
滅びてしまうのは誰の目にも明らかでした。
 だからその危機的な状況を何とかしよう、遺伝的な欠陥を治療して皆が明るく暮らせる世の中を取り戻そうと、
医学に加えて分子工学も必死で学んで研究を積み重ねたのに、その結果を誰も評価してくれない。挙句の果てに
彼に何の責任もない停電事故のせいで手術に失敗し、幼い命を奪ってしまった――
 世の中どころか人ひとりの命も救えない、街を見下ろして彼はそう嘆きました。
 私はそんな主人に対して、もっと絶望的な話を打ち明けるべきかどうか迷っていました。

 彼と出会って数年が経とうとしているのに、私には妊娠の兆候が一向に訪れませんでした。
 他の誰でもない、愛する人の血を引いた子供を産みたい。
 その望みがなかなか叶わない事に焦った末、もしやと思って主人には内緒で検査を受けました。
 思い過ごしだったら、どれだけ安心した事でしょう。けれども現実は残酷です。
 淡々とした口調で担当医から結果を告げられた時、目の前が真っ暗になりました。
 私には赤ちゃんを産む事ができない――
 ほんの些細かな私の願いは、永遠に打ち砕かれてしまいました。

 結局その晩私は主人に、絶望的な話を伝えました。
 隠していた方が、主人にとっては優しい妻でいられたかもしれません。
 だけど私には、二人が永久の別れを告げるまで主人を騙すことなんてできませんでした。
 あの人が子供好きなのは、それまで何度か転生を遂げる間にわかってましたから。
 ちゃんと主人の子供を生んであげられる彼女さんを見つけて、それで私は身を引いてもいい。
 全ての事情を打ち明けたうえで、主人に未来を選ばせてあげないと。
 たとえどんなに残酷な未来が待っていたとしても、嘘偽りなく伝えるのが妻の役目だと信じてましたから。

 主人は泣きました。
 お酒の勢いも手伝ったのかもしれません。
 泣きながら私を抱き締め、狂ったように私を求めました。
 身に付けていたドレスを破り、裸にした私をベッドに押し倒して、乱暴な手付きで私の胸をわし掴みにしました。
 無駄な努力だと知りつつも、それでも主人は諦めきれずに私の中へと何度も何度も押し入り、
 決して身を結ばない種子を注ぎ続けるのです。
 辛くて悲しくて、ただ彼の思いを受け止めるだけで精一杯でした。

 ……ってもしもし?聞いてるの?聞いてますかみ○さん?!おかしいわね、返事がないわ。
 誰もでんわ、って奴かな?いつの間にか番組終わっちゃってるし。
 お〜いもしもし、もしもし?!

 冗談じゃないわよ!何で電話切っちゃうのよ!
 これからが面白いのに!なんで18歳の夫婦に14歳の娘がいるのか、その答えを今から説明しようと思ってたのに!
 というか。
 どうしたらフェイが働いてくれるのか、私まだ全然聞いてないじゃない!
291名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 23:17:31 ID:57cSsNE8
元ネタ:ゼノギアス
改変アイデア:かってに改蔵

以上!ういーっし!
292名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 00:41:55 ID:xgBoiXOM
乙。このSDえりぃ人形をあげよう
293名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 19:48:06 ID:dRXyyv3T
ワロタw乙!
294名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 00:17:08 ID:+W20iZWp
良レス
295名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 12:29:09 ID:GvWPGv3e
超GJ!エロ切ないのに、最初と最後笑えたw
しかし何故焚き上げスレへ…ゼノスレに投下したら喜ばれたと思うんだが…
296名無しさん@ピンキー:2009/12/20(日) 16:44:05 ID:6oYeP5cm
保守
297名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 05:09:42 ID:5eEmBTbg
めっきり寒くなりましたなぁ
298名無しさん@ピンキー:2010/01/02(土) 20:04:23 ID:KJzy6REz
保守
299ウィンターウォーズ:2010/01/06(水) 23:08:00 ID:e596juei
・エロ無し
・非常に厨二
勢いに任せて書いてみたけど、スレで求められてるモノじゃないようなのでお焚き上げ

三学期初日、久しぶりに友達とPSPを持ち寄って、モンスターハンターをやったんだ。
外は風吹きすさぶ寒さだけど教室は日だまりの暖かさ。
集まって過ごすには最高の場所なんだもの。
本当に久しぶり……てか半年以上ほったらかし、だったから、
一番難易度の低いP2にしようって事になってドスランポスや
イヤンクックでリハビリして、コツやらなにやらを思い出した辺りで
ランク1リオレウス討伐を受注したんだ。
ガンナーのマキはエリア9で狙撃、レイとユキと僕の近接部隊はエリア4で
待とう、って話になって、僕のティガ蒼レウス混合装備の自マキアイコンが
エリア5を離れたのを見計らって、エリア4に突入した。
その時だった。
アイコンがふい、と消えた。
「故障かよ!?」
マジ?
マキにペイント弾持ってきてないか聞こうと
画面から目を離した次の瞬間、窓の外、雲一つない空が光った。
光源がないのにパァッと一点から光が放たれる様は
しょっぱいCGでつくった超常現象映像のように見えた。
「超新星?」
ちょっぴり天文オタクのレイがわくわくと眼鏡をかけ直し、
大のオカルト嫌いのユキがやだやだなにあれと騒ぎ立てる。
そんな中、忘れようとも忘れられない、飛竜種のあの咆哮が響いた。
PSPのスピーカーからじゃなくて、遥か天空から。
そして、やや褐色のかった赤い甲殻の飛竜が、光の中から現れた。
「わ、リオレウス」
嬉しそうなレイ。
「やだ何、何でリオレウスがいんのよ……」
ヒステリー寸前のユキ。
言葉も出ない僕とマキ。
赤い飛竜は風を切るように、空の彼方に飛び去っていった。



その日のテレビは一様に突如首都圏に現れた謎の飛行物体
(勿論リオレウスの事だ)関連の報道一色だった。
300ウィンターウォーズ:2010/01/06(水) 23:08:40 ID:e596juei
当然、首都圏の交通網は全部マヒ。
空港も全面閉鎖。
父さんは安全のため会社に缶詰になって三連休の家族旅行もパァになった。
でも僕はそれどころじゃなかった。液晶テレビの向こうで血の気の多い某知事が
「県民を安心させるためにさっさと撃ち殺せ」とわめき立て、他所の特番では超常現象
関係の面々が、あれはプテラノドンが進化した貴重なUMAだいやいや宇宙から飛来した
何やらだとはしゃぐ中、僕は部屋に篭ってPSPを放り出してガタガタ震えていた。
恐る恐る覗いたYOUTUBEにもリオレウスの映像がテンコ盛り。
偶然だと思いたいよ。
でもあの場にいて、出現する直前に不思議な現象を見てるんだもの。
きっとよくある特撮物のように今にも家に政府の高官とかがやってきて……。
途端、ピリリと携帯が鳴って僕はホントに悲鳴をあげた。
着信はマキからだった。
「おい、テレビ見てるか?凄いことになってる」
古典SFとネイチャー雑誌をこよなく愛する筋金入りの変人ガンナーは
僕の返事も待たずにリオレウスの動向をまくし立て始めた。
「あいつは動物園のシマウマを食った後、23区上空を周回、今は風にのって房総半島に」
「おれが知るかよ!」
僕は怒鳴った。
僕のように怯える事もなく余裕ぶっこいて情報を語るマキの気持ちが理解できなかったんだ。
「おれはハンターじゃねぇよおれのせいじゃねぇよ!」
そんなに冷静になれるんなら自衛隊にでも教えてやれよ、あいつには毒がよく効くってさ!
「落ち着けよ、誰もお前にどうにかしろなんて言ってない、逆だ」
マキの声はしっかりしていた。
「お前は小心者だから今頃パニクってるんだろうと思って電話したら案の定だ」
意外だった。
マキはあんまり他人に関心を示さない本の虫だと思っていたから。
実際僕は、学校から逃げ帰る時、片思いのユキに現実逃避目的で
家に来てくれとお願いしようかと思ってたんだ。
「ゲームキャラが実体化した時点でガキの手に負える範囲なんか
とうに越えてるよ、だから気に病むな」
「……ありがとうな、マキ」
僕は泣いていた。
301ウィンターウォーズ:2010/01/06(水) 23:09:42 ID:e596juei
そうして、お腹が空いていたのに気が付いてリビングに出て来たら、
カプコンの開発部の責任者がテレビに写ってた。
やっぱりというか、何と言うか、動物園の監視カメラの映像や、YOUTUBEの動画から
関与を疑われたらしいのに、マイクを向けられた開発部の人は嬉しそうな顔をしていた。
モンスターハンターの世間的浸透度を喜んで、鋭意製作中のスピンオフ新作、猫の里を
アピールして事態を茶化したついでにリオレウスの存在自体を完全否定していた。
そこで画面が慌ただしくなって、サーチライトに照らされる夜の森が映し出された。
房総半島上空を飛んでいたヘリコプターがリオレウスを見つけたとかで、
実況中継に切り替わったらしい。
わらわら集まる光源を嫌がって、リオレウスが首を尻尾を振って雄叫びをあげる。
その様子に興奮した女子アナがわめき立てた。
『ご覧下さい、怪物がこちらを威嚇しています、あっ、自衛隊です、
自衛隊のF戦闘機がミサイルを放ちました!』
白いハレーションと轟音の嵐の中、リオレウスの悲鳴が聞こえた。
『あっ、怪物が飛びますきゃあこっちにひいいぃいいい』
唐突に画面がスタジオに戻って、生物学者や流体学?とかの学者さん達が、
腹部には空気を溜める器官があって、それで飛翔が可能と思われる、とか
意外とぐんにゃりした動きから甲殻を持った無脊椎動物の可能性もある、
とか、色々この世界の物理法則でリオレウスを分析して語っていた。
その間にもあちこちのカメラがリアルタイムで捉えたリオレウスの様子を
流しまくり、時折ミサイルが撃ち込まれる。
なんだかリオレウスが可哀相になってきた。
そりゃカプコンもなんとかしろ、って言われても困るだろうけどさ、あれがナナテオや
クシャルだったら、どんな顔をしてインタビューを受けるんだろう、爆撃に晒されて
追いかけまわされて苦しむ姿を見たらどう感じるんだろうって思ったら……。
やる瀬ない気持ちでマキに電話した。
302ウィンターウォーズ:2010/01/06(水) 23:10:55 ID:e596juei
「見てた今の?」
「さっきまでレイが憤慨していた。あいつ大のリオレウス好きだから」
「マキ、リオレウスを帰す方法ってなんかない?」
「そいつは難題だね」
「そこをなんとか、スペースファンタジーだとなんかあったりするだろ」
「そうだね、神様が筒井康隆のような意地悪でなきゃ、条件が揃えば帰せる
可能性はある。それからSFはサイエンスフィクション、空想科学小説だ」



戒厳令が敷かれた静かな夜明けの街を、僕らは誰にも
見つからないよう学校に向かってひた走った。
一世一代の大博打。
見つかったらおしまいだ。
教室に入って、席に座るなりPSPの電源を入れる。
きっかけは夜中の3時に届いたマキのメールだった。
「ニュースを見てて気が付いた、学校がエリア5、気の毒なシマウマのいた動物園は
エリア9の水呑場、都心はエリア6、房総半島はエリア2に合致するんだ。
(エリア2は正確には東京湾になるんだけど、陸地じゃないから足を伸ばしたんだね)
あちらの時間経過とリオレウスの疲労度から推察すると、午前6時に学校に来る」
祈るような気持ちだった。
リオレウスが戦車やミサイル爆撃で死ぬと思えないけど、
世界中の人達の嫌悪と好奇に晒されるのは嫌だから。
神様、どうかお願いです、ユキにフラれても泣かないから、
リオレウスを帰してあげて下さい。
ドスランポスを、イヤンクックをクリア、ランク1リオレウスを受注。
装備もあの時と全く同じに、アイコンを確認する。
飛竜のマークはない。
これは……確変!?
思わず空を見る。
朝焼けの空に白く輝く基点が現れ、みるみる輝きを増していく中、窓がビリビリ鳴り始めた。
きた……!
傷だらけのリオレウスが咆哮し、光の渦に飛び込む。
水の王冠のような軌跡を描いて光も消えていった。
「マキ、あんたクールだわ」
ユキの声がした。
振り返ると、ユキがマキのほっぺたに何回もキスをしていた。
嘘……っ、ユキがマキにっ……。
「あたし、あんたに惚れたかも」
ちょっと困った顔で視線を逸らしてこめかみをポリポリ掻いてるマキの頬は真っ赤だし。
そりゃフラれても泣かないって願掛けしたけど、
ホントにフラれるなんて、あんまりだぁぁぁ。
へたりこむ僕の頭上で、(顔は知らないけど)筒井康隆に似た顔の
神様があかんべぇをした気がした。



303名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 00:46:01 ID:VrP1CAh/
ナイス投げ
304普通?のカップル:2010/01/11(月) 21:57:45 ID:ZqggBXX6

ピン、と中途半端なピンポンの音。
ボタンが壊れていて後半の音が出ないのだ。
時計を確かめると、約束の時間ぎりぎりだった。
俺はインターフォンを確かめもせずにドアを開けた。

「おじゃましまーす。間に合った?」

と奈緒が入ってきた。
顔半分がマフラーに埋もれているくせに、鼻と頬が赤い。

「ちょうど。外そんなに寒かった?」

「うん、わりとね」

勝手知ったる他人の家、奈緒は手持ちの鞄を定位置の本棚の前に置いた。
今日は久しぶりの連休でうちに泊まり込みに来たのだ。
このところ仕事が忙しくて暇がなく、数週間会ってない。
しばらく耐え忍んだせいか今日は一段とかわいく見えるような……気のせいか。

とりあえず、今日は荷物を置いた後で買い物に出かける予定だ。
奈緒が何やら買いたいものがあるらしい。
さぶさぶ、とこたつにもぐりこむ奈緒。
出かけるんじゃないのか、と思ったがまあ一服入れるのもいいだろう。
コーヒーを淹れてやるとありがと、とこたつの中から手を出した。

「おいし」

マグカップを手に自分もこたつに入った。
一口コーヒーをすすった後で、奈緒の顔がまだほんのりと赤いのに気付く。

「風邪引いてるんじゃないよな?」

「え、何で?」

「顔赤い」

額に手を当てるが、冷え症で寒がりの奈緒の額はまだひやりと冷たかった。
確かに熱もないし、声もかすれていないし鼻声でもない。

「ちょっと寒かっただけだよ」

だがそう言って顔を伏せた奈緒の、目が少し潤んでいたのを俺は見逃さなかった。
一気にコーヒーを飲み干して、

「ごめん、ちょっとトイレ借りるね!」

と立ち上がった時の不自然な立ち方。なんでスカートを押さえてるんだ。
妙な予感がする。
俺は怒られるのを覚悟で、後ろを向いた奈緒のスカートをめくりあげた。

「なっ……!」

ぱんつはいてない。
305普通?のカップル:2010/01/11(月) 22:05:22 ID:ZqggBXX6
「ちょっ、馬鹿何してんの!」

奈緒は俺の手をひっぱたいて慌ててスカートを直したが、そりゃこっちのセリフだ。
黒のタイツは色が濃くて透けにくいが、そのほんのりと透けた肌色のエロスといったら、まあ。

「なんではいてねーの!?しかもその上からタイツとか、えっろ……」

奈緒はそういう、色っぽいことを積極的にするような性格じゃない。
なので、これは。

「うううう、うっさい!いいじゃんなんだって」
「いやいやいや、あの、おもらしじゃない……よな?」
「な、ち、違うに決まってるでしょ!」
「じゃあ何」
「それは……」
「本当は用足したかったんじゃないよな」
「……うん」
「さっきからそわそわしてたのはそのせいだよな?」
「……うん。なんでバレたんだろ」
「そりゃあ、お前、愛の力っていう」
「馬鹿」
「いーじゃん、俺たちの仲じゃん、教えよーぜ。なんで?」
「やだ。だって絶対馬鹿にするもん」
「わかったわかった、絶対馬鹿にしないから。おせーて」
「……絶対?」

俺はぶんぶん首を縦に振った。
あんまり勢いよく振ったので、奈緒もちょっと苦笑した。

「だってさ。総一、時間に遅れるの嫌いじゃん。予定が狂うって」
「んー。まあ、ほどほどにしてくれると、ありがたいかな」
「今日も時間に遅れちゃいけないと思って急いで支度したんだけど、
 やっぱりギリギリになっちゃって。
 でも何とか電車には間に合ってさ、乗ったところで気付いたの」
「……はいてないことに?」
「さすがにそれはない!あのね、気付いたのは、その、下着の上下が違うってこと」
「はあ」
「いやホラ、今までは一応、ちゃんと上下同じの着てきてたんだよ!
 今回はついうっかり違うの付けてきちゃって。
 で、駅のトイレで着替えようかと思ったんだけど乗り換えの電車が来るから。
 で、しょうがないからタイツだけは履いたの」
「……はあ」
「そういうのも総一はだらしないと思うかな、って気になっちゃって。
 とにかく着いてから履けばいいか、って考えたの」
「いや……それは、別にそこまで気にしないけど……」
「そ、そう?ならいいんだ」

ほっとした表情で俺を見る奈緒の顔がやけにかわいく見える。
あれ、これって。もしかして。

「奈緒。お前、……感じてる?」
306普通?のカップル:2010/01/11(月) 22:07:41 ID:ZqggBXX6
「奈緒。お前、……感じてる?」

奈緒の顔がかっと赤くなる。

「何いってんの。そんなわけ」

「ノーパンで電車乗ってきて感じてるとかエロすぎるだろ。……奈緒?」

後ずさりする奈緒の肩を左腕でがっちり捕まえて、右手をスカートの中に差し入れる。

「や、やだっ、総一、待って」

暴れる奈緒の隙を突いて、スカートの中をまさぐる。
タイツのちょうど股の部分は実際の足の付け根からは少し空間があるが、タイツはうっすらと湿り気を帯びている。

「濡れてんじゃん」
「やだ……」
「そんな状態で電車乗って、痴漢に襲われでもしたらどうするんだよ。
 俺は別に下着のことは気にしないから」
「うん、そうだよね。なんか焦っちゃって。今は何やってんだろって思う」
「……で。何かエロいこと考えてたんじゃないよな?」
「へ?」
「やらしーこと想像してたんじゃないよな、って言ってんの。」

スカートの中に手を入れたまま、ゆっくりと太ももを撫でる。
肝心の股の部分は微妙に距離があって届かない。タイツめ、なんてにくい構造をしているんだ。

「あのね」
「うん」
「……総一のこと、考えてた」

その一言で理性は吹き飛んだ。狭いワンルームのこと、すぐ傍にベッドはある。
俺は抱えた奈緒ごとベッドの上に倒れこんだ。
むしゃぶるようにキスを重ねる。
奈緒もいつになく積極的で、舌を入れても抵抗せずむしろ自分から絡めてくる。
セーターの上から、夢中で奈緒の胸を揉む。
奈緒の呼吸が荒れてきてキスの合間に吐息が漏れた。

「あ、あっ、……はあっ、そ、……ーいち……」
「ん」
「だめ……こんな、明るいっ、うち、から……」
そうは言っても、身体は正直だ。
感じやすくなっているのか、キスと胸だけでこんなによがってるのに。

「やだ。俺もう我慢できねえもん」
307普通?のカップル:2010/01/11(月) 22:24:24 ID:ZqggBXX6
俺の息子もとっくに硬くなっていた。
数週間のお預けの上、この据え膳で我慢できる男がいるものか。
既に奈緒に突っ込みたくて大暴れしている。
でもいつにない奈緒の痴態を味わいたくて、わずかな理性でとどまっている。
「奈緒こそこんなに濡らしてるのに、出かけられないじゃん」
「……うん……」
奈緒のセーターを胸の上まで捲り、さらにブラも外さずずり上げる。
巨乳というほどでもないが、柔らかくって触り心地のいい奈緒の胸が現れる。
「久しぶりー、俺のおっぱい」
胸の間に顔をうずめると、奈緒が顔を上げた。
「なんで総一のなのよ」
「だって俺のだろ」
「……ん」
恥じらいつつ頷く奈緒。
やばい、エロかわいいっていうのはこういうことか。違うか。
じかに胸に触れると、ん、と奈緒が眉根を寄せる。
すべすべして気持ちいい。
奈緒の肌は全体に気持ちいいけど、中でもここが格別だ。
乳首はガンガンに立って硬くなっていて、ちょっとつつくだけで奈緒の身体がぴくんと跳ねた。
しばらく舌で優しく転がした後、きゅっとつまむ。
「ひゃ、あぁんっ!」
いつもは恥ずかしいからって、声を堪えてるのに。
今日の奈緒はやばい。
「奈緒、悪い。俺もう、限界なんだけど、いい?」
「うん……、いいよ」
そう言って服を脱ごうとする奈緒に、俺は待ったをかけた。
「え?」
「せっかく奈緒がやらしい格好してるんだし、そのままで」
「着たまま、するの?」
奈緒はちょっと意外そうな顔をしている。
そういえば着衣エロはしたことなかったか。
まあ、奈緒のエロ知識は俺が育てたようなものだからな。
といっても今日のようなケースになるとは思いもよらなかったけど。
「そのほうが興奮するって。いーだろ、たまには」
「……総一のどすけべ。変態」
「褒め言葉として受け取っておこうか」
言いながら奈緒のスカートをめくる。
黒いタイツの中に、うっすらと透ける肌と陰毛。
エロい。エロすぎる。
ああ、息子が痛いほど張ってきた。
名残惜しいがタイツを膝下あたりまで引き下げる。
「え、タイツも履いたままなの?まさか」
その状態で奈緒の身体をころんとうつ伏せにする。

「そのまさか。奈緒、四つん這いになって」
308普通?のカップル:2010/01/11(月) 22:26:45 ID:ZqggBXX6
「……恥ずかしいよ」
「何をいまさら」
何回俺が見たり突っ込んだり舐めたりしたと思ってるんだ。
「明るいし」
カーテンを引いているとはいえ、隙間から真昼の日差しが差し込んでいる。
今日はいい天気だ。
いつもは暗いところなのでまだしも、明るいところで見られるのが嫌らしい。
うつ伏せたままもじもじしている奈緒の、割れ目を指先で撫でてやった。
「ふあぁあんっ!」
不意打ちでびっくりしたのか、驚くほど大きな声が出た。
奈緒は顔を真っ赤にして首だけ振りかえった。
「ば、馬鹿!」
「すっげー濡れてるんだもん」
「だって……あっ……」
再び指でなぞると、それだけでぬちゃ、といやらしい音がする。
形のいい尻が震えてきゅっと力が入る。
「奈緒も、……欲しいだろ」
「ん。……も、今日だけ、だからね」
すっと腰を上げてくれた。
割れ目とそのすぐ上の穴が露わになって、良く見える。
てらてらに光って、きれいなピンクのはずがやけに怪しい色に見える。
「あんまり見ないで……」
めくりあげられたスカートに、中途半端に下ろしたタイツ。
誘うように、締まった尻が俺に向かって突き出される。
本当はもっと舐めたりいじくったりしたかったが、我慢も限界だった。
焦る手でベルトをはずして、下着をおろす。
ベッドの下に隠してあったコンドームを付けると、奈緒の腰に身体をあてがった。
「いくよ」
ずぶ、と音が立ちそうなぐらい引きこまれた。
奈緒の中はぬるりとぬめって、少しずつ入れようと思っていたのに一気に入ってしまった。

309普通?のカップル:2010/01/11(月) 22:29:45 ID:ZqggBXX6
「あ……やばい、奈緒。すげー気持ちいい……」
正直すぐイキそうなぐらいやばい。
動くよ、と言いながら既に腰が動いてしまっていた。
「ん、っ、ああ……っん!」
奈緒がたまらず嬌声を上げる。
いつにない奈緒の甘い声に、自然こちらの動きも激しくなる。
奈緒の張りのある尻をひっ掴んで、がつんと打ち付ける。
奥まで深く突くたびに、奈緒の尻が痺れたようにぷるぷる震える。
それがいやらしくて、もっと見たくなって、何度も何度も突きいれる。
「ふぁ、あっ、そう、いち……」
どこからかテレビの音が聞こえる。
そうだよな、休日の真昼間だもんな。
ってことは、こっちの声も聞こえてるかもしれないな。
そう思ったら、嫌だと思う半面もの凄く興奮してきた。
「奈緒っ……」
押し進めるごとにまといつくような感触。
「あん、そー、いち……すごっ……んん!」
引き戻すたび襞に引き絞られる感覚。
「やぁんっ!そーいち、やだ、あたしっ」
奈緒が悲鳴を上げる。
あ、と思った瞬間には熱い液が迸っていた。
それこそどばっ、ていう擬音がつきそうなぐらい大量に。

「……っはぁ……」
しばし放心状態。
数回、勢いに任せて動いた後ゆっくり引きぬくと、ご無沙汰だっただけに
どろりと濃いのが溜まっていた。
「うわ、すげ……あれ、奈緒?」
身体を離した途端、奈緒の腰がかくんと落ちた。
慌てて奈緒を横たえると、寝起きみたいなぼんやりした表情をしている。
「ん……」
「もしかして、奈緒、イった?」
「そう、なのかな……。なんとなく、こんな感じになったことはあるんだけど、
今日はなんか、凄かった」
そう言って目だけで俺を見上げる。
そんな顔で凄かったとか言われると、嬉しいんですけど。
やばいんですけど。
すると奈緒の手が伸びてきて、ベッドの上に引き倒された。
「ね、総一。もうちょっとゆっくりしよ……?」
それは望むところだけど。
「買い物は、いいの?」
「うん。だって、明日もあるし」
「いいならいいけど」
「久しぶりに会ったんだもん。今日は、ぎゅっとしてたい、かなって」
「……そんなこと言うとまた襲うよ?」
早くも息子が復活しつつあるのを感じながら、奈緒の頬に軽くキスした。
たまには予定が狂うのもありかな、と思いながら。
310普通?のカップル:2010/01/11(月) 22:31:51 ID:ZqggBXX6
以上投げ。

普通すぎて面白くないとか、タイツのネタとかがもっと活かせそうなのに
思いつかないとかいろいろ。
311名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 17:00:32 ID:DBepjGoJ
ナイス投げ!
これは良いエロ
312名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 19:49:42 ID:VA/RZwT7
メインとして考えていたSS
ところがサイド用SSを早漏投下してしまい、つじつまが合わなくなる
続きが書けなくなったのでお焚き上げ 

*

「おまえだけはなんとしても助けてみせる。愛しい子、愛しいわが娘」

 ザナハリ軍に王都を幾重にも囲まれ、もはや猫の仔さえ逃げ出すこともかなわないと認
めたとき、タウフェジット聖王妃は降伏を宣言した。
 主力の聖騎士団は王とともに戦場で散った、地方領主は動けまい。いまの戦力では早晩
崩れ落ちるだろう。すこしでも余力を残した状態で危機をしのぎ、再起に備える。それが
上層部の判断であった。
 降伏調印ののち、聖王妃はすべての権限を剥奪され、王城の一角に幽閉される。 
「おまえのためならば、タウフェジットを差し出すことも厭わぬ」
 狂気の相を浮かべた母に強く抱きしめられ、聖王女はそっと瞳を伏せた。
 母からすればタウフェジットを思っての降伏ではない。じわじわと握りつぶされる恐怖
に心蝕まれた人々が暴徒と化して城に押し寄せ、聖王女をなぶり殺しにする、その未来を
避けるための行動。
 娘を守るためだけに。
「ただ一人の聖王女。おまえだけだ。おまえだけ。宝石の姫よ。世界はおまえにひざまづく」
「尊い御心、ありがとうございます、お母様」
「この艶やかな銀の髪、渦なす白銀の輝き。瞳はどうだ、なんという緑。美しきわが娘。
おまえは誰よりも美しい……そう……あの女より……」
「お疲れになりましたか。お水はこちらに。さあ、ゆっくりなさってくださいませ」
「どこへ行くの……だめよ……」
「私はどこへも参りませんよ。いつでもお母様のお側に。こうしてずっと手を握っていま
すから」


 聖王女はザナハリ軍が支配する王城で、精神の均衡を失った母親を見舞うため、わずか
ばかりの自由を許されていた。
 部屋から部屋へ。
 前後を黒衣の兵士に挟まれ、女官も伴わず歩む姿は、しかし凛として美しい。
 敗者の屈辱に苛まれていた者も、ひそやかに伝わる聖王女の誇り高さに涙せずにはいら
れなかった。
313名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 19:51:31 ID:VA/RZwT7
 つまらないこと。
 聖王女は失望していた。
 吟遊詩人がこぞって歌いあげた麗しさ、貴公子は熱情をこめて恋を囁き、行き交う人々
の羨望のため息は途切れることがなかったというのに。ザナハリの蛮族どもときたら、折
に触れてちらちら目をやるだけの卑しい所作が苛立たしい。
 東方、身体に墨を入れる習俗を残す未開の小国にタウフェジットが負けるとは、想像だ
にしなかった。軍旗は黒、軍装も黒、洗練とはほど遠い姿に眩暈がする。
 このような者どもが蠢く地に嫁がれたのか、姉上様は。
 

「待て」
 礼儀を知らぬ声につ、と視線だけを流す。
 黒髪ばかりのザナハリ兵では初めての、赤を宿した男がいた。
「こちらへ」
 かなりの地位にあるのか、見張りの兵士たちが無言で従う。
 背が高い。聖王女の頭頂がようやく胸元に届くだろう。わずかに顔を傾ければ、たく
ましい戦士の体躯と荒削りな容貌が窺える。
「気が済まれたか?」
 不躾な視線を揶揄されて、聖王女は頬を染め俯いた。好奇を見透かされた怒りを隠す
ために。
「大公妃様はこのことをご存じでいらっしゃるの」
「立場を弁えろ」
「大公妃様に謁見の申し込みを。私は王族にふさわしい扱いを望みます」

*

ここまで
ザナハリ大公妃は聖王女の異母姉
幼い頃に母親が権力争いに負け、王族としての存在を抹消されました
侵略軍の先陣を率いる恐ろしい女性
このあと聖王女は玉座のない謁見の広間へ行きまして、商人と引き合わされます
314名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 19:53:08 ID:VA/RZwT7
 何度か見たことのある顔だ。
「素晴らしい」
 たしか……プラーマの商人。
「まさに聖王女と見まがう気品、色香ではありませんか」
「痴れ者が。この私を誰と心得る。タウフェジットの聖王女ぞ」
「いや、演技も堂に入ったもの。王侯のごとく血肉にまでとは望みませんが、ある程度の
不遜さは必要でありますからな」


みたいな感じで偽物認定くらったあげく


「おお、聖王女様は母君のご乱心により落命なされたとか。タウフェジットの方々にはお
悔やみ申し上げまする。比する者なき花と謳われた姫君はかくてザナハリの魔手より逃れ、
清らな身のまま人々の心に刻まれるわけですな、いやはや」


弔鐘が鳴り響き、聖王女は死んだということに
そしてプライドが高く認識の甘いお姫様は奴隷商の手に落ちてしまいます
<聖王女そっくりの娼奴>という触れこみで金持ち達からエロいことをされまくり、タウフェ
ジットという国はザナハリが吸収、地図から消えましたとさ


令嬢、女官、王女の三部作となる予定でしたが断念
なーむー
315名無しさん@ピンキー:2010/01/15(金) 22:56:20 ID:7TZt4uxs
ナイス投げ
316名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 15:24:10 ID:XGmlkEjx
あれ三部作だったのか、残念
投げ乙
317名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 16:23:27 ID:EvubSR2S
保守
318名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 01:52:47 ID:SCJu8SXt
書いてる途中で漫画本編が進んでしまったので投下



千鶴は大いに悩んでいた。
放課後に風早をつかまえて口を割らせてからずっと、家に帰るまではおろか
家に帰ってからも、床をごろごろと転げ回りながら悩んでいる。
既に風呂も食事も済ませ、そろそろ寝る時間だというのに、一向に眠気が訪れない。
先程の爽子の件、ではない。
大きく関係しているのは事実だが、今の千鶴にはそれ所ではなかった。

「男は好きな女に触りたいと思うもの」

風早に言われた台詞が、頭でぐるぐると廻っている。
自分は龍に触れられた事はない。
頭を撫でられたり、慰める為に抱きしめられたことはあっても
男女として触れ合う事など皆無だった。
部屋に二人きりでいる時でも、ゲームや漫画、お喋りをするだけ。
あいつは、本当に自分のことを好きなんだろうか。
友達の延長、幼なじみの延長という事はないんだろうか。
風呂の中で見下ろした自分の身体を思い出して、思わずため息が出てしまう。
女らしい柔らかさのない身体。
「美しい」「可愛い」といった修飾語を付けようのない顔には
目つきが悪いと評するに遜色ない雰囲気が纏わり付いている。
これで女を感じろ、と言う方が無理なのかもしれない。
「やっぱ、触り甲斐がないよな」
自分の肩や足に手をやり、硬い感触に眉をしかめる。
大体、龍が悪いのだ。
自分に好きだと言っておきながら、何をする訳でもない。
部屋に行けば以前と同じ、口を開けば相変わらず。
これで安心しろと言う方がおかしい。
今日ずっと悩んでいたのは龍のせいだ。
ぜんぶ龍のせいだ。
決めた、龍が悪い。
折しも明後日からはゴールデンウイーク。
時間はたっぷりある。
対決して、白黒はっきりさせてやろう。
そもそも何を悩んでいたのか、主旨がずれている事にも気付ない。
千鶴は鼻息も荒く布団に潜り込み、苛立ちに任せて荒々しく寝返りを打った。
319名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 01:54:17 ID:SCJu8SXt
しかも投下中にメモ帳とぶとかorz
320名無しさん@ピンキー:2010/01/29(金) 00:57:11 ID:O75CVXJa
>>319ヾ (゚Д゚ )…イ`
321名無しさん@ピンキー:2010/01/29(金) 19:19:03 ID:qhMK9xvT
>>318
ナイス投げ
322名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 20:12:19 ID:ynLjQ/Fg
>>318
323名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:30:29 ID:to1EOBLN
ヤンデレスレに投下しようと書いた長編のプロローグ的な話
完結させる暇がないのと、ヒロインの吃音症を上手く表現できず、投げてしまいました

 夕焼け。
 開け放った窓から、生ぬるいそよ風と共に聞きなれた掛け声が聞こえる。
 頬杖をついて、見下ろすグラウンドには、青春に汗を流す同年代の少年少女。
 その中のある場所に、俺の視線は固定されている。
 グラウンドに敷かれたダイアモンド。
 その中心、小高い丘に立つ一人の少年。
 彼は腕を大きく振りかぶって、手の中の小さなボールを投げる。
 直ぐに、カーンと小気味よい音が響く。
 高く上がった白球は勢いよく、空へ吸い込まれていく。
 このグラウンドに柵はなくホームランは存在しないが、普通の球場なら間違いなくホームランだろう。
 俺が通うこの、県内いや、全国でも十指に入るとされる強豪校の神明学園野球部で一番の強打者相手に、馬鹿正直に速くもない速球で勝負すればこうなることなんて明らかだろうに。
 ――俺が投げるなら、あんな惨めな醜態さらさないのに。
 そんな愚にもつかない考えが浮かんだところで、はん、と自分を鼻で笑う。
 何を今更。
 こんなところで、未練がましくかつて俺がいた場所を眺めている自分のほうがよほど惨めじゃないか。
 ズクンと左肩に鈍い痛みが走り、ち、と舌打ちして窓から視線を外す。
 放課からしばらくたち既に人気のないはずの教室に、一人、俺以外の少女がいた。
 同じクラスの少女で、名前は雛森小夜。
 見かけるたびにいつも一人で、誰かと話しているところなんて見たことなかった。
 なんでも、何ぞやの楽器がうまく多くの大会で賞をもらっているというような話を聞いたことがあったような気もするが、どうだっただろうか。
 つまり、俺にとっての彼女は容姿はいいが、今の今まで特に印象を抱くことのなかった少女だ。
 彼女は、机の上に置いてある教科書を、じっと見つめて微動だにしない。
 窓の外から少しでも意識をそらしたくて、俺は彼女にそっと近づいた。
 そして、彼女の視線の先にあるものを見て、
「成程」
 思わず声を漏らした俺に、びくりと肩を震わせ、少女は顔をあげた。
 どうやら、彼女も自分以外に誰かがいることに気づいてなかったのだろう。
 驚いたように見開いていた黒目がちな瞳が、やがて怯えの色を濃くしていく。
 俺はと言えば、彼女から視線を外し、再び彼女の机の上の教科書を未だ眺めていた。
 当然ながら俺が持っているモノと何ら変わりのないただの教科書。
 けれど、その教科書には汚い文字で悪辣な言葉がいっぱいに踊っていた。
「今時、こんなことする奴いるんだなあ」
 漫画やテレビの中でしか見たことのなかった、いじめの王道ともいってもよい代物に感心した声がもれた。
「あ……」
 少女が震えるような声で鳴く。
 かなり小さな声だが、透き通るような声。
 同じクラスになって、3ヶ月近くたつのに、初めて声を聞いた気がする。
 彼女はと言えば、ようやく俺の視線に気づいたように教科書をあわてて机の中に引っ込めた。
「なあ、お前ってエンコーなんてやってるの?」
 教科書にあった悪辣な言葉の一つの真偽を尋ねてみる。
 かなりデリカシーのない行為だが、今の俺はとにかくムシャクシャしていた。
 つまり、ムシャクシャしてやった、相手ならだれでもよかったっていうやつだ。
 ……あれ、なんか違うか?
 まぁ、半ばというか100%八つ当たりの俺の言葉に彼女は今にも泣きそうな顔をして、
「や、やって、ない……です」
「え、そうなの?でも教科書に書いてあったけど」
「あ、あそこに、か、書いてあるの……嘘、ばかり……です」
「ふうん」
 確かに目の前の少女は印象からしてそんな事をするようには見えなかった。
 触ると冷たそうだと思わせるほどの白い肌、黒目がちで大きな瞳は大粒の涙をたたえ、
 両側の一部を兎の耳のように黄色いリボンでまとめた肩よりも長い柔らかそうな黒髪。
 絶世の美人というほどでもないが、学年の女子の中でも上位に入るんじゃないかと思うその容姿からはどことなく、育ちの良さが感じられた。
 まぁ、だからといって、そういうことをやっていないとも限らないんだが。
324名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:32:19 ID:to1EOBLN
「他にも何かされてんの?」
「……え?」
「いや、それって所謂いじめだろ。だったらこれだけじゃないのかな、と」
「……」
 彼女は俺の無神経な質問に答えず、俯く。
 それが、雄弁に答えを語っていることに彼女は気づいているのか。
 数秒の後、コクリとうなずいた。
 それから、興味本位な俺の質問に、彼女はやはりオドオドしながらも何故か答えてくれた。
 俺がもしも彼女だったら絶対に、一発殴るなり引っ叩くなりして罵倒して、逃げるだろうけど彼女はそうはしなかった。
 彼女の性格がそうさせているのかもしたら、それよりも彼女は話したかったんじゃないだろうか。
 誰でも、どんなことでもいいから、彼女は同年代の人と話したかったんじゃないだろうか。
 未だ濃い怯えの色の中にほんの少し、嬉しそうな色が混ざっているのを見つけ、何となくだがそう思った。
 

 彼女の説明によるといじめは、去年、つまり高校1年の春過ぎから続いていて、いじめの原因はある同級生の告白を断ったことが発端となったという。
 告白を断っただけで、いじめなんてどこの漫画の中の話ですか、と言いなくもなったが真実らしかった。
「こ、こ、告白だけなら、今まで何度か、け、経験があるの」
 話しているうちに敬語は治っていたがうざったい吃音は相変わらずだった。
「……自慢か!告白なんて日常茶飯事ですよってことか!」
 何となく、場を盛り上げようとそんな風におどけてみる。
 すると彼女は、びくりと体を震わせて、
「そ、そ、そんなんじゃ、ない、もん」
 と、泣きそうな顔をした。
「泣くなよ、ただの冗談だろ」
「う、うん。わかって、る、けど……」
「で、告白され慣れた雛森は他の女子の嫉妬を買いましたってことか?」
「だ、だか、ら、別に慣れてる、わけ、じゃない……。それに、い、いじめられてる、原、因はそうじゃなくって……」
 そこで彼女は言葉を切って考え込むようなそぶりを見せた。
 窺うように俺の瞳を覗き込んでくる。
 その上目遣いに少しだけ、心臓が跳ねたが、気付かないふりをする。
「なんだ、相手のことを気遣ってんの?別に誰にも広めたりしないって」
 そんなことよりも、こんな中途半端で話を止められたら気になって今夜眠れなくなってしまいそうだ。
 しかし彼女は、ふるふると首を振る。
 どうでもいいが、さっきから雛森の行動はやけに小動物チックだ、と兎の耳のように跳ねる髪を見て思った。
 ……狙ってやってるんじゃないだろうな?
「そうじゃ、なくて、う、う、宇佐美、くんは、知らない、の?」
「は、何を?」
「え、と、わたしが……い、い、いじめられてる、原、因」
「なに、そんなに有名なのかその原因って」
「わかんない、けど、多分……」
「ふむ、まあ俺はそういうのに頓着しなかったからな」
 正確にはそれどころではなかった、というところだろうか。
 1年前はそれより夢中になることで忙しかったし、最近は、周囲のことに気を配る余裕もなかった。
 だから、その有名な原因とやらを知らなくても不思議ではない。
「い、飯尾くんって、知って、る?」
「……飯尾、ね。このクラスの委員長で野球部のエースだろ」
「うん、去年その人に、こ、告白されたの」
「へぇ……あいつがねえ」
 クラス委員長である飯尾一樹の姿を、思い浮かべてみる。
 中学から一緒だった背が高く、切れ長の目をした彼は、性格も誰とも分け隔てなく接し、優しく温和で女子、男子ともに信頼が篤く、人気もそこそこあるほうだろう。
 学力、運動神経ともに並み以上の才能を持っていることも人気の一因と言える。
 しかし、俺に対しては以前から必要以上に突っかかってくるので正直辟易としていた。
 それは、俺が野球をやめた今となっても変わらず、たびたび俺に対し勝ち誇ったような、小馬鹿にしたような表情を見るたびに殴りたくなる衝動抑えるのに苦労していた。
 表では愛想良く、人当たり良い人間を演じているが、気に食わない人間などには才能を鼻にかけた傲慢さで見下した態度をとるような男であった。
「んで、その飯尾が断られたのを逆恨みしていじめを主導してるってわけ?」
 少し剣呑になった俺の声色に雛森は、びくつきながらも小さく首を振るような、頷くような曖昧な仕草をした。
325名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:35:47 ID:to1EOBLN
「正確にはそうじゃ、なくて。何故、か、わたしから飯尾、君を誘惑して、告白した飯尾君を、こっぴどく、ふった、ことになってて。
 みんな、その話を信じて、気が付いたら、誰も、わたしと、はなしてくれなくな、ってて……。も、ものを、かくされたり、らくがきされたり、してっ……。好きだった、ぶかつもやめなきゃ、いけなくなって」
 途中から雛森の声に嗚咽がまじる。
 また泣くのかよ、と心中で舌打ち交じりのため息をつく。
 好きだった部活、のくだりでまた痛みが走った左肩をさすりながら雛森を初めて可哀そうだと思った。
 暫く――雛森が落ち着くまで待って、
「んで、いじめの原因となる噂を流したのが飯尾ってわけか」
「うん……」
「証拠は?」
「告白の、次の日、い、飯尾君、が、話してるの、みた、から」
「はあ?それならその時、違うとでも否定すれば良かったんじゃないのか?」
「ひ、否定、したけど、誰も……」
「信じてくれなかったってわけか」
 小さく、頷く。
 そういえば、と思い出す節があった。
 友達との会話の中でそういう噂を聞いた気がする。
 その時は、俺の精神状態は最悪で話半分に聞いていたし、特に俺を馬鹿にするようになった飯尾の話題は当時の俺にとってタブーに近く、友達もそのことを重々していたのか、その話は直ぐに終わり、以来話題に上らなかった。
「にしても、誰かを振ったってことでいじめにつながるとはな」
「飯尾君、人気者、で、い、い、良い人、だから」
「ふん、良い人、ねぇ」
 まあ、大多数の評価がそのまま、その人物の姿を的確に表すとは限らない、ということだろう。
 それに、雛森がいじめられる原因は、もちろんその噂とやらが最大であろうが、彼女の容姿なんかも関わっているのかもしれない。
 なんというか、なんともベタな話である。
 使い古されて、カビでも生えてるんじゃなかろうか、というくらいには。
 そんなことをぼんやりと考えていると、チャイムがなった。
 時計を見ると、どうやら下校のチャイムらしい。
 あと幾分もすれば、教室のカギが自動的に閉められ、教員の見回りが始まる。
 見つかったからと言って別に何ということでもないが、女子と二人遅くまで教室に残っていると変な誤解を買いそうだし、いろいろと面倒そうだ。
 それに、あと数十分後には駅前のスーパーで夕方のセールが始まる。
 わけあって一人暮らし中の俺にとって、食費というのは決して馬鹿に出来ないものである。
「じゃあ、俺もう帰るわ」
 そう言って席を立った俺を、雛森が見上げてきた。
 何故かその顔が、残念そうに見えるのは気のせいだろうか。
「あ……は、はい」
 わたしも、帰り、ます、と雛森は呟き、鞄の中に件の教科書や筆箱を入れ始めた。
 何となく気付いていたが、彼女の動作は何と言うか無駄が多く、鈍い。
 簡単に言うと、トロ臭い。
 その様子を何とはなしに眺めていると、準備を終えた雛森が、俺の様子をうかがってくる。
「え、えと……」
 雛森を眺めて動かない俺に、戸惑ったように、きょろきょろと周囲を見わたしたり、自らの髪の毛をなでつけたりと忙しない。
 ふと、俺の手が吸い込まれるように、彼女の頭に乗った。
「ふ、ふぇ?」
 戸惑う雛森をよそに、ふわふわと柔らかい髪の感触をたのしむ。
 そして、わしゃわしゃと髪の毛をないかき回しながら、
「一緒に帰ろう」
 雛森は、え?と目を白黒させて。
 俺は笑みをこらえながら彼女の返事を待たずに、くるりと踵を返した。
 我ながら俺らしくない行動だとは思うが、
「え、え、え?」
 何が起こったのか理解できないというような声を背中に聞きながら、教室を出る。
 すると、ぱたぱたと慌てたような足音が聞こえてきた。
 足音は俺の数歩後ろで、ゆっくりとなる。
 背中に、彼女の窺うような視線を感じながら、
「なあ、雛森の家ってどこだ?」
「え……」
「ちなみに、俺の家は新市街あたりなんだけど」
「あ、わ、わたしも……」
「あ、そうなん?んじゃあ、同じ電車に今まで乗ってたんだな。朝何時発?」
「えと、7時5分」
326名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:36:31 ID:to1EOBLN
「えと、7時5分」
「早すぎだろ、いくらなんでも。そんな早く来て何してんの?」
「本、読んだり、授業の、予習とか」
「……」
 暗っ!という言葉を飲み込み、下駄箱から靴を出し、上履きと履きかえる。
 まぁ、皆からシカトされてるならそれ以外にやることはないか。
 横を見ると、のろのろと雛森が靴を履き替えている。
 生来のものであろうドン臭さに、俺を待たせてる意識があるのか、妙に慌てていて、わをかけて遅い。
 はあ、とため息一つ。
 しかし、そのため息が少し、弾んでいることには気のせいだと信じたい。
「置いて行ったりしないから、そんなに慌てんな」
「あ……うん」
 うなずき、ようやく靴を履き終えて、黒目がちな目でじっと見上げてくる。
「よし、行くか」
「う、うん!」
 喜色に声を弾ませて、雛森はうなずいた。
 初めて見た彼女の笑顔に、心臓が小さく一つ跳ねた。
 気付かないふりをして、少し速足で歩きだす。
 彼女が告白に慣れている理由も、まあ、頷ける。
 雛森は、再び俺の後をついてくるが、今度は俺の半歩から一歩後ろ、ほぼ俺の隣を歩いていて彼女の表情がうかがえた。
 雛森は目を細め、柳眉をさらに下げて口角を小さく上げている。
 その表情を横目で見ながら、俺は自分の行動の原因を考えていた。
 正直、俺は今まで生きてきて自分のことを優しいと思った事なぞ一度もないし、他人からそう称されたこともない、と思う。
 かといって、冷血人間ではないと信じたいが、真っ向から否定できるかと言われると痛い。
 この至って俺らしくない行動の原因は、やはり雛森が言った好きだった部活云々が関係しているのだろう。
「なあ、雛森って何か楽器がうまいって聞いたけど本当か?」
「え……う、うん、ヴァイオリン、なら……」
 俺の質問に雛森は予想外にも、頷いて見せた。
 お、と思って彼女を見つめると、彼女は照れくさそうな顔をして。
「わ、わたし、小さいときからいっぱい努力したから。その分の自信はある、から」
 彼女にしては妙に滑舌よくしゃべるその姿には、自信の色が見て取れた。
 でも、とすぐに雛森は声を落とす。
「でも、オケ部でも、部員皆に、む、無視、されて。わたし、悪くない、のに、やめなくちゃいけなく、なって……」
「何で?好きならずっと続ければよかったんじゃないのか」
「ううん。お、オーケストラは、まとまってなきゃ、だから。一人でも、な、仲間はずれが、いたら、その人がどんなに上手でも、足手まといにしか、ならない、から」
 今度は自慢か!と茶化すことはしなかった。
 また、ぼろぼろと涙を流す彼女にかける言葉を探したが見つからなかった。
 どうすればいいのか迷っていると、彼女はすぐに泣きやみ、
「ひ、弾くのは好きだけど、一人でやっても、つまんないし。やっぱりコンクールとかで、たくさんの人の前で弾くの、楽しいし」
「へぇ、緊張してコンクール苦手な印象があるけどな」
「うん。緊張はするけど、ね、でもやっぱり、皆に聞いてもらいたいって気持ちが、強いから」
「やっぱり、プロを目指してたりするのか?」
「うん!ソリストは、難しいけど、国内のオーケストラに所属できたらな、って思うの」
「じゃあ、留学とかするのか?」
「ううん、今は留学しなくても、国内の学校でもレベル高いところが、一杯あるから」
「へえ……」
 彼女の眼に涙はすでになく、キラキラと別の輝きをもっている。
 その様子を見て、彼女を応援したいと強く思った。
 ――俺は、とうに夢に破れてしまったから。
 破れてしまった俺の夢を、彼女に託したいと、身勝手な想いが湧いてくる。
327名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:38:36 ID:to1EOBLN
「……なあ」
「はい?」
「友達になってくれないか?」
「……ふぇ?」
「雛森が弾く、ヴァイオリン聴きたいし。お前のこと、もっと知りたいって思ったし。だから、俺と、友達になってほしい」
「……」
 突然の俺の言葉に雛森は目をぱちくりとさせる。
 彼女は心の中で何を思っているのだろう。
 分かるはずもないが、あまりいい印象は抱かれてないだろうな、と思う。
 彼女とまともに話したのは今日が初めてだし、今思っても無神経な事をズケズケと聞いていた気がする。
 ……態度も悪かったしな。
 少しだけ、一時間くらい前の自分に戻りたいと思った。
「まぁ、俺も雛森に好かれてるとは思ってないし、寧ろ、嫌われてる自信があるしな。……だから、その……普通に断ってくれて、いいから」
「あ……」
「わ、悪かったな。変なこと言って。忘れてくれていいから」
 じゃあ、と軽く手を挙げて走り出そうとする。
 グイと、かすかな抵抗。
 振り向くと、雛森がシャツの裾を握っていた。
 じ、と彼女の眼が俺を見据える。
 何だか、俺の醜い心の中が見透かされているようで、目をそらしたくなる。
 なのに、彼女の眼に引きつけられて、そらせない。
「な、なりたい……」
 蚊の鳴くような少女の声。
「わ、わたし、もう、友達いないし。それどころか、皆に、嫌われてるし、1日に家族以外の誰とも喋らない日が、良くあるし、
そういう日は、夜になると、寂しくて、泣いちゃうし……。ヴァイオリンも聴いてくれる人も、少なくなったし……。それに、それに、えと、えと……」
「お、落ち着け。何ていうかつらい思いをしてきたんだな」
 今になって周囲を見渡す。
 幸い人通りは多くないが、それでも0ではない。
 いぶかしげな視線を送ってくる人もいる。
 無理もない、俺だって第三者なら怪しむと思うし。
 あー、通報されない、と信じよう。
「う、うん、つらかった。つらかった、よ。だから、わたし、宇佐美君となりたい、友達に、なりたい」
「いいのか?本当に気にせず、断ってくれていいんだぞ」
「ううん!断ったりなんか、しないよ!宇佐美君には、今日、デリカシーのないこと一杯聞かれたし、今から、やっぱり嘘だって、言ってもゆるさないもん。
だから、わたしと、宇佐美君は、もう友達、なの……」
「そ、そうか。良かった。誰かに友達になってくれ何て言ったことないし、何ていうかかなり緊張した」
 多分、これから先もその言葉をいう機会はないだろう。
 普通は友達というものは自然となるものだと思うし。
 でも、こういうのも悪くないとも思うのだ。
「じゃあ、改めて。俺は宇佐美、悠。宇佐美とか悠とか何とでも呼んでくれていいから。よろしくな」
 す、と手を差し出す。
 雛森は数秒首をわずかに傾げ、考えるしぐさを見せた。
 そして、二三度俺の手と顔を見比べて、
「え、えと、雛森、天音。よろしくね、宇佐美、君」
 そっと、俺の手をとって。
 えへへ、と嬉しそうに彼女は笑う。
 その笑顔を見た瞬間、かあ、と顔が一気に火照った。
 ていうか、さっきから俺は何をやってるんだ。
 友達になってくれなんて言葉を告げるのもそうだが、握手なんて。
 自分の行動のあまりの青臭さに、無性に恥ずかしさがこみ上げて思わず顔をそむけた。
 顔をそむけた俺を不思議そうに、見上げてくる少女をよそに、手を振りほどくように離して、速足で歩く。
「あ、待ってよ」
 声とともに、慌てたような足音が追ってくる。
 もう、なんて妙に大人びた、呆れたような声が聞こえて、恥ずかしさを倍にする。
 ――気付かないふり、気付かないふり。
 すでに、どっぷりと陽が落ちた道に長い影が二つ、伸びていた。
328名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:41:32 ID:to1EOBLN
投下終了
改めて読み返すと、支離滅裂だなあとかエロまで何話かかるんだとか、
ヒロインのヤンデレ状態まで何話かかるんだとか、突っ込みどころ盛り沢山
これですっきりしました。
なむ、なむ。
329名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 01:43:43 ID:H47O/v/F
ペッコリ45℃
330名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 15:25:52 ID:K9m1OOkL
ナイス投げ

どもりは最初の一文字から先がなかなか言えない感じかな
「あ、ああああああ、あのね、こっ、ここ、ここここ、今度、いっしょに買いもの行ってくれる?」
みたいにちょっと過呼吸っぽいしゃべり方
ぜんぶ途切れとぎれだと単純に弱気っぽく見えてしまうかも
331名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 18:52:35 ID:K4FChput
緊張すると吃る自分の感じだと舌が固くなって縺れる
例えば「ありがとう」と返す時
あ、の次の「り」を出したいのに下顎の筋肉が強張って舌が空回りする
ずっと同じ「あ」「あ」を出し続けるわけよ
しかも自分もそれが恥ずかしいと感じるからさっさとありがとうを吐き出してしまいたい
で「ああありゃとう」になってしまうという
これは喉咽から顎の筋肉が緩いせいもあるらしい
時々、呼気吸気を同時にやってしまって唾液が気管に入る事しばしば
332名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 19:07:16 ID:Som63UgV
ナイス投げ。
何話掛かっても完結してほしいな何て思ってしまった。
333名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 23:47:36 ID:8wF3tNW+
二度ほどスレ立ってた間に書き上げられず寝かせておいたものの、
気力体力尽き果てたので投げて楽になります。
今秋映画公開なのにorz
334Secret Profile:2010/02/10(水) 23:49:29 ID:8wF3tNW+
尾形が戻った時、床に女の肢体が無造作に転がっていた。

「…笹本!」

片頬は腫れ、口から血が滲んでいる。ブラウスと下着は無惨に引きちぎられ、
白い乳房が露出していた。スーツのパンツも前が開いている。

尾形は駆け寄って注意深く上体を起こした。
「大丈夫か、笹本」
「つ……。…大丈夫…です……」
話ができる事にとりあえず安堵し、尾形はコートを脱いで笹本の体を包んだ。
「すまん、お前独り残すべきじゃなかった。俺の判断ミスだ」
「…いえ、ミスったのはあたしで…。……拳銃に気付かれなくて、幸いでした…」
「すぐ病院へ行くぞ」

病院へ行けばなにがしかの書類が増える、尾形に何らかの影響がないとは言えない、
そんな考えが笹本の頭をよぎった。
「いや、こんなの大したこと……」
そう言って手で頬を拭うとぬるついた感触がある。
指についたのは血ではなく、異臭のする白い液体だった。
おぼろげな記憶が甦る。

眉間に皺を寄せたままの尾形が尋ねた。
「他に怪我は」
「…何ともありません」
「――本当か?」
そこでようやく笹本は察した。尾形は男には生じない類いの怪我を案じているのだ。
335Secret Profile:2010/02/10(水) 23:50:25 ID:8wF3tNW+
笹本は口を歪め、吐き捨てるように言った。
「……幸か不幸か、ヤツら変態で。生身の女には触らない主義だそうですよ」
スタンガンで笹本の動きを止めた男達は、散々彼女を小突き回した挙句に、
卑猥な言葉を浴びせながら彼女の顔から胸のあたりへ射精して去ったのだった。
畜生、と大声で叫びたいのを抑え唇を噛む。

「そうか」
尾形は短くそう言うと、笹本の肩を支えて立たせた。
「歩けるか?」
「は…い、多分」
汚された顔を上司に向けるのがためらわれて、笹本は目をそらし答える。
尾形は笹本の頭からすっぽりとコートをかけると、ぐっと抱き寄せた。
「…係長、コートが汚れます」
「いいから」
尾形に支えられ外に出て車に乗るまで、マルタイはこんな気持ちなんだろうかと
笹本は考えていた。

乗った車は間もなく停まり、下りたところで建物に入る。
「待っていろ」
尾形が離れた。
襟の隙間から窺うと、どうやらビジネスホテルのエントランスらしい。
戻ってきた尾形に伴われるまま笹本は歩いた。

そこはこじんまりした清潔な部屋だった。それ以上でもそれ以下でもない。
部屋の中にぽつんと立ったきりの笹本に、バスルームから尾形が声をかけた。
「まず、風呂に入って傷を洗え」
勢いよく落ちる湯の音がする。
体を洗ったところで、この憂鬱な気分はしばらく消えないな、と笹本は思った。
汚れた部分を切り取って焼き捨てたい気分だった。
336Secret Profile:2010/02/10(水) 23:51:07 ID:8wF3tNW+
「一度戻ってお前の服を取ってくる。後処理で軽傷を負い、病院ヘ行って直帰すると
 みんなには説明しておく。いいな」
「はい」
「少し休んでいろ。すぐ戻る」
尾形が消えると、笹本は深く溜め息をついた。
自分が女でさえなければ、尾形はこんな気の遣い方はしなかっただろう。男なら、
そもそもあんな目には遭わないはずだった。
普段は忘れているつもりでも、時々手ひどく思い知らされる。
「畜生」
小さくつぶやいて、笹本はバスルームに入った。

熱い湯が傷口にしみたが、構わず頭と体を3回ずつ洗って、ようやく我慢ならない
不快さが消える。
バスタオルで全身を拭いてからよく見ると、手足にいくつも痣ができていた。
鏡の中の顔の、頬の腫れも引いていない。
しばらく自分を睨みつけていた笹本は、ちっと舌打ちして髪を乾かし始めた。

尾形が帰ってきた時、笹本はバスタオル一枚巻いた姿でベッドの縁に腰掛けていた。
立とうとするのを尾形の手が制する。
「…怪我はどうだ」
「派手なだけで、大したことはありません」
「念のため消毒しておけ」
紙袋から出した消毒薬の小さな容器を笹本に手渡す。
「はい」
笹本は小さく一礼して洗面台へ向かった。
337Secret Profile:2010/02/10(水) 23:51:46 ID:8wF3tNW+
「つ…っ」
鏡の前で消毒した頬を軽く押さえているところへ、コーヒーの香りが漂ってくる。
戻ると、備え付けのカップがテーブルの上に置いてあった。
「コートと鞄、それに着替えだ。俺のシャツで悪いが我慢してくれ」
「係長…」
笹本は唇を噛んで頭を下げた。
「ご迷惑をおかけして、本当に…申し訳ありません」
語尾が震える。

悔しそうな表情の笹本に尾形は言った。
「謝るな。お前が悪いんじゃない」
「でも、もし私が、………」
笹本はその後を言わずに拳を握りしめた。飲み込んだ言葉は尾形にも予想がつく。
「女性であることをマイナスだと考えるな。それはお前の個性に過ぎない」

笹本の眉根が寄った。個性にも有用なものとそうでないものがある。
「……井上の勘も…、個性ですか」
皮肉や嫉妬に聞こえるかも知れないと思ったが、つい口に出た。
「そうだ。――山本の大食らいもな」
尾形は悪戯っぽい目をして笑う。

笹本は首を振って苦笑した。
「…ふ……」
「そういう事さ。……飲んで少し休め、ほら」
「あ…。すみません、いただきます」
窓辺に歩む尾形の背を見ながら、笹本は受け取ったカップに口を付ける。
コーヒーは冷め始めていたが、濃い苦味はむしろ清々しく感じられた。
338Secret Profile:2010/02/10(水) 23:52:40 ID:8wF3tNW+
尾形は険しい表情でカーテン越しに外を見る。
笑いに紛らしたものの、井上にしろ笹本にしろ、獲得した個性のために払う代償は
余りに不当で理不尽だと思わずにはいられなかった。

と、黙考する尾形の目の端に飛んでくる肘が映った。

小さくかわしたその先へ、さらに拳が飛ぶ。
「何の真似だ、笹本」
手のひらで受けた拳がくるりと翻り手刀に変わる。他方の手が突きを繰り出す。
笹本の動きは実戦とは行かないまでも、訓練並みに激しかった。
次々に飛んでくる拳を受けるが埒が開かない。
防戦一方の尾形が、ようやっと笹本の両手首を掴んで動きを封じた。
「やめろ、痣が増えたらどうす――」

ふいにバスタオルが生き物のように笹本の体を滑り落ちる。
ずっと笹本の顔から視線を外さないよう努めていた尾形だが、反射的に目が追った。
その目の前で、笹本の白い裸身が露になる。
「………!」
尾形は咄嗟に顔を横に向け、目を閉じた。遅れて笹本の手首を離し、手を下ろす。
「…すまん、…早く……」

黙って尾形の横顔を見ていた笹本は、ひた、と尾形に体を寄り添わせた。
尾形は驚いて目を開け、しかし穏やかな声でゆっくり尋ねる。
「……どうした…」
笹本は何も答えず、動こうともしなかった。
「……………」
だらりと手を下げたまま、尾形は窓を見て目を細める。
339Secret Profile:2010/02/10(水) 23:53:39 ID:8wF3tNW+
泣くのかと思ったが、そうでもないらしかった。
尾形の脳裏に先程の笹本の姿が浮かぶ。
暴力が肉体を痛めつけるのに等しく、性的な侮辱は精神を痛めつける。
受けた苦痛をやり過ごすには時間が要るだろう。
普段は意識せずにいた甘い匂いが尾形の鼻孔をくすぐった。

笹本がそっと顔を上げ、尾形は動きに反応して顔を下げる。
その唇に、笹本は無造作に口付けた。
「………」
尾形は眉をひそめ瞬きをしたが、目を伏せると、柔らかな感触を確かめるように
笹本の唇を押し戻す。さらに笹本が唇を押し当てる。少し開いた唇から舌を出し、
尾形のそれを誘う。尾形の舌を探し当て、性急に絡める。
白い指がシャツの胸元を握り、大きな手がくびれたウエストに回る。
立ったまま、尾形と笹本は唇を貪り合った。

笹本の細い指先が尾形のシャツのボタンをまさぐり、外し始める。
ベルトにまで指がかかった時、その手を尾形が押さえた。
「――自分でやる」
そう言って、笹本をベッドに寝かせる。
笹本は放心した様子で尾形を見つめていたが、すぐに壁に顔を向けた。

尾形はネクタイを緩めながら横たわる裸身を眺める。
痣さえなければ人形かと思うほど、均整の取れた美しい体だった。
この容姿であの聡明さなら、職業の選択肢は数多くあったに違いない。そこから
敢えて警察を志した笹本の選択を、尾形は保証してやりたい気がした。
340名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 23:58:50 ID:8wF3tNW+
以上

お楽しみはこれからだなんだけど
脳内映像が分岐するしいろいろ疲れました

映画コケないといいなあ
ありがとうございました 合掌
341名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 00:19:16 ID:s1R9bMQm
ナイス投げ!!!
とても残念だけど、お疲れ様

間が空きすぎて、忘れてたが、
おかげで思い出したよ。
342名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 03:23:15 ID:VZ/aRV+b
343名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 18:26:29 ID:41sWJOgn
保守
344名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 18:06:57 ID:JiMUeYRi
保守
345名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 16:03:20 ID:Ab5OQiH6
念のため保守
346名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:09:47 ID:bPmlKnWg
347名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 23:55:26 ID:ODI6xuTP
そろそろかな
348名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:15:00 ID:10lYqtrm
スレのみんなに嫌われたのでここに捨てていきます
そしてきっぱり忘れます、永遠に
3491996年、パタヤ:2010/03/07(日) 00:15:19 ID:10lYqtrm
"……で、その金庫は無事手に入ったの?"

ベッドの上、初めて会った頃からは想像もつかないような妖艶な顔で、男物のアロハシャツの間から布の面積が少ないいかにも『それ』用の下着を覗かせたジェーンが言う。
本当に、女は魔物だ。

"ああ……鮫ってやつは自分より体長が大きな相手には警戒してなかなか近寄らないからな、その習性を利用したってわけだ。"

"あなたも潜ったの、その吹き抜けの水槽に?"

"いや、俺は例のごとくパソコンの前でモニタと睨めっこさ。
ジェームス・ボンドは性に合わないのは君も知ってるだろ、チョコパイ?"

"いや、だって最初のビジネスだって言うし、ボロボロのバンでマフィアと白昼ケチャップを演じたんでしょ?"

"クルマとか機械は得意だが生き物は苦手でね、特に人間が一番苦手さ。
海洋生物学で博士号取った人間の言うことじゃないかもだが。"

ジェーンの砂糖菓子のようにフワフワなカールの髪を、俺は優しく撫でた。
裸の上半身に髪が当たってこそばゆい。

"あら、ドクター・ベーグル、もしかしたら私のことも苦手かしら?"

"そうは言ってないぜ……ん。"

"……ん。"
3501996年、パタヤ:2010/03/07(日) 00:15:49 ID:10lYqtrm
俺たちは、そっと口づけを交わす。
ジェーンの、さすがパンジャブ系らしい特徴的な体臭と香水……多分バーバリーのブリットだろう……の匂いが混ざったかぐわしい香りが、狂おしい。

鼻腔を、快楽中枢を、ジェーンの存在が次第に犯していく。
その豊満なカラダを、いまはオトコを刺激することを意識して、わざとそう見せているが、以前のカラダの線を隠すようなダサい恰好でもそれとわかるほどだったそのカラダを、俺は自由にしたい衝動と戦う。
ちゃんと俺の生き方を知って欲しい、今までの俺を、そしてこれからの俺を、知って欲しい。
理性ある人間として、生物の本能である肉欲より先に、俺にはそうしなければいけない義務があった。
それは、また危ないビジネスにこのチョコパイを引きずりこんだ責任でもあった。
中共の連中を出し抜くなどという綱渡りの前に、二人が本当の意味での恋人になったと、人生のパートナーとなったという、証明でもあった。
そしてゆくゆくは、俺の片腕としてジェーンにも商会の一員になって欲しかった。
福利厚生の厚さなどこの稼業には望めないが、俺はオトコとして、ひとつの生き物のオスとして、どうしてもそうしたかった。
3511996年、パタヤ:2010/03/07(日) 00:16:11 ID:10lYqtrm
だがしかし、俺の理性は本能にはどうしても勝てなかった。
気がついたら俺はジェーンの細い褐色の首筋に舌を這わせながら、その大きなやわらかい双球を下着越しに、俺のコレクションの一部であるシグ・ゼーンのアロハ越しに、まさぐり始めていた。

甘いジェーンの声を、、みずみずしい肉体を、俺は楽しんでいた。
スパイシーな匂いに交ざるメスの匂いに、俺はくらくら惑わされていた。

しとどに濡れたそこを、その部分を隠すには小さすぎる布をずらして、俺は自らの怒張で一気に貫いた。
ジェーンが、艶っぽい声で鳴いた。

俺の腰の動きは次第にヒートアップし、そのプルプルしたジェーンのそこを、既に低いところまで降りてきたコリコリとした子宮口を、肉の芽の裏側のざらざらした部分を、次々と俺は責め立てた。
半分白目を剥きながらジェーンは、声にならない声で俺の名を呼び続けた。
俺も、ジェーンをずっと呼び続けた。
それは、二人がカラダだけでなく心までも一緒になっている証拠かもしれなかった。

パタヤの夜、あのフロリダの夕日から四年後の夜は、こうして更けていった。
南十字星が、カーテンの隙間から覗いていた。

〈完〉
352名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:16:31 ID:10lYqtrm
以上でした
南無阿弥陀佛
353名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 03:27:47 ID:GT8Dr8WF
姉妹スレ
スレに投下し辛い/迷うSS【元・追い出され3】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242308022/
専用スレに投下できないSS
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242226863/
【うpろだ】専用スレのないSS その2【代わり】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1240477403/
354名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 14:00:06 ID:+wiZOrhV
話の舵きりを間違えてしまったので、投げます
355名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 14:00:55 ID:+wiZOrhV
 森を抜けると、ちょうど無人駅に列車が到着していた。
 臼井は俺を見ると肩だけ竦めて、何も言わずに車両に乗り込んだ。
 俺も後に続き、座席へと座る前に、彼を先に通す。
 景色が動き出す。
「…何故譲った」
「深い意味はありませんね」
「……」
 こういう時、果たしてどんな顔されるのかと思っていたが。
 分かっている。俺は自分が嫌になって、不貞腐れている――そうだろ?
「…若いとは、己を見失うことだな」

 目を覚ますと、隣に臼井はいなかった。
 外は夜。夜行列車は近代的な装飾のはずが、何故か薄暗い灯火に木の匂い。
 膝掛を退け、俺は席を立つ。車両は全体的に空いている。
 ふらふらと歩いてみる。と、誰かの肘が、俺の太腿に当たった。
「あら、失礼」
 そう言って、見慣れぬ貴婦人はその面を見せた。
「…貴方、チョコ・レートはお持ちなさって?」
「いいえ、持っていませんが」
「そう。お互い、良い旅を」
 何だか、ドレスが妙に時代がかっているのだが、仮装パーティでもあるのか?

 臼井を探したが、どの車両に行っても見つからない。
 それどころか、こんな列車に乗った覚えがない。一体、どうなっている?
「探し物かしら、お兄さん」
 考え事をしていると、目の前が留守になっていた。
 通路の道を塞いでいることに気づく時は、とても恥ずかしい。
「すいません」
「あ、退いてほしくて言った訳じゃないよ。どうせ空席だらけだし」
 そう言う彼女はブランデーを二本、ぶら下げている。
 ほんのり赤い顔に、漂うアルコール臭ね。映画のワンシーンなら次はきっと、
「一緒に飲まない?」

「キミの名前を当ててみせようか」
 隣に座った彼女が、そう言って絡んできた。
「その前に、あなたの名前を聞いていませんが」
「はい」
 スーツの胸ポケットから、手慣れたように名刺を差し出す。
「バジリスク通信の番記者、ボニー・アイカワよ。よろしく、ジョー」
「俺の名前はサトル・イシドウです。誰です? ジョーというのは」
 へ? といった顔をされても、こっちが困る訳ですが。
「妙じゃない? この列車にそんな人、乗ってないはずなんだけど」
 そんなこと言われてもなぁ…。

 持ち物を探ると、確かにあった。
 乗車券と、そこに名前が”ジョー・ハミルトン”とはっきりと。
「イシドーってのは、偽名ね? 確かにキミ、東洋人って顔してるけど」
「……」
 非現実的にも程がある。これは、明らかに違う世界だ。
 夢、か? それとも”エルオーネ現象”か?
 あれ、そもそもエルオーネ現象って何だっけ? 科学誌にそんな論文が載っていたと思うのだが。
「ブランデー、飲まないんだ?」
 いや、俺未成年だから。それにアルコール類は好きじゃない。
 しかし…もし夢なら覚めてほしいものだ。ここはリアル過ぎて、居心地が悪い。
356名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 14:01:49 ID:+wiZOrhV
「あなたは一体、この列車で何を?」
「教えない。ヒントだけなら良いけどね。プライベートじゃないってこと」
 番記者が仕事をしている――それって、誰かのスクープでも狙っているということか。
 俺? の訳はないだろうが、この列車内にいるのかもしれない。
「じゃ、同じ質問をキミにも良いかな?」
「…ガーデンに帰る」
 しかし、ピンとこないようだ。
「キミは庭師さん? 私の知ってるジョーは、神出鬼没の名探偵よ」
「はぁ」
 夜行列車に名探偵か…昔やったゲームのようだ。ウンザリしてきた。
 
 事勿れ主義と言われるかもしれないが、いくらSeeD目指しているとはいえ、得意苦手はある。
 こんな疲れている時に、見る夢か? それとも俺の体力不足なのか?
「何故俺をご存知で?」
「よく新聞に載るわ。…実際に見たのは初めてだけど、結構好みよ」
 肩と頭が、触れてくる。酔っ払って、これで本当に仕事になるのだろうか。
「夜も更けて、間も無く日付が変わる。…逢魔の刻が訪れる」
 独り言か? 逢魔の刻なんて古びた言い回しだが、随分含みを感じる。
「……アイカワさん?」
「…だから、駅に着くまで二人で行動しない? 名探偵さんと一緒なら、多分安全な気がするもの」
 つまり俺といないと、安全は保障されないということ?

 果たして彼女を、信用して良いものかどうか。
 と言っても、この列車内で俺の味方になってくれそうな人物は、彼女くらいか。
 そうでなくても、とりあえず現状を把握する為には、その力を借りるべきかもしれない。
「キミは自分を見せない。それでいて、人を油断させる……んー、魅力的だなぁ」
 半目で緩んだ表情は、明らかに酔いが回っている。
 彼女は正面から俺の目を見つめ、その手で太腿を撫でる。
 意味深なことを呟くのは厄介だが、それ以上に今、俺の身の安全の方が、どうも怪しい。
「あの?」
 いつの間にか彼女の蝶ネクタイは緩み、シャツのボタンは上から二つ三つ、外れている。
 しかし、ジャケットの色合いと言い、これではどちらが探偵か分からない。

「止めましょう。こんな所で」
 思わず流されかけたが、口づけされそうな前に、彼女を制す。
「…釣れないのね。もうちょっとキミのこと、調べたかったのに」
 洒落た冗談ですが、
「自分の席に戻ります」
 よく考えたら、俺がここで”ジョー・ハミルトン”を演じる義務は、別に無い。
 夢だろうと何かの現象だろうと、いずれ元通りになるはず。
 だったら、当たり障り無くやり過ごそう。イチャイチャしても疲れるだけだ。
「じゃあ、後でそっちに行っても、構わない?」
 真面目に仕事しろよ番記者さん。

 俺は素直に後列車まで戻って来た。端に車両番号が書かれている。
 ”五”からここ”七”までは一般車両。他、一〜四が個室付きの専用車両、八以降が貨物車両。
 さて、閉鎖されたこの列車内で、一体何が起きると言うのか。或いは、何も起きないのか。
「?」
 一定のタイミングで聞こえるのは、何だ? 汽笛?
 俺はポケットに、懐中時計を所持していた。見ると、針は出鱈目な位置で止まっており、動かない。
「零時三十八分二十四秒、か」
 そういえば、摩り替わったかのようにストップウォッチが無い。
 暗示的ではあるが、何、結局これは夢だということなんだろう。
 俺は懐中時計を窓際に置くと、狭い座席に上半身だけ、横になった。
357名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 14:07:03 ID:+wiZOrhV
 自然とそのまま、俺は眠りについた。
 夢の中で寝るとか大した皮肉だと思うが、割と心地良い。
「――?」
 ふと意識が戻る。念の為、周囲を確認する。
「…はぁ」
 まだ、夢の中だった。そしてこつこつと、聞こえてくる足音。
 こんな真夜中に、誰だ? そう思いながら再び目を閉じていると、足音はすぐ近くで止まった。
 例の番記者さんだろうか? 俺はもう寝る。
「おい」
 起こさないで下さい。お休み中です。

「眠った振りしてんじゃねぇぞ。チョコ・レートを何処へやった」
 は? もしかして、俺に訊いているのか?
 極めて小声ではあるが、かなり柄の悪い兄ちゃんのようだ。
「何だよ煩いな」
「答えろ。あれがないと、ヤバいんだよ…!」
 チョコレートの一つや二つ、無くて困るなら常備しとけよ。
「何してるんですか?」
「! …っ!」
 彼は俺に絡むのを止めて、足早に去って行った。
 面倒事に巻き込まれるのはもう嫌だってのに、これはいよいよどうしようもなくなってきたか。

「大丈夫ですか、お兄さん」
 視線だけ向けると、眼鏡をかけた女性が立っている。
「はい。助けられたようで、ありがとうございます」
 寝たままでは流石に失礼なので、体を起こす。
「一般客に因縁付けるなんて、キーラも堕ちたものです」
「知り合い、ですか?」
「知り合いなものですか。悪名高いマフィアですよ」
 マフィアが列車内うろついているのか。まともじゃないな。
「じゃあ、あなたは?」
「パメラです。パメラ・ケルビン」

 改めて見ると、やや幼い容姿だった。
 髪は二又の三つ編み、格好は継ぎ接ぎの目立つ質素なドレス。
 何故か分からないが、初見で親近感を持ってしまった。番記者には、そこまでは思わなかったのだが。
「サトル・イシドウです」
 この世界では俺の顔、一般に触れているようだが、一応そう言った。
「イシドー?」
「そうです。あなたは一人でこの列車に?」
 一目見てマフィアだなんて、分かるものだとしたらこの子も只者じゃない。
「あ、立たせたままで…良かったら隣にでも」
 とりあえず、彼女を座らせる。


みかん
複雑な話書く技量と意欲がないのに、よくもまぁ
358名無しさん@ピンキー:2010/03/21(日) 08:58:49 ID:+QyNgfR6
だれになりすまし?
359名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 11:01:16 ID:W294DXz/
 やや古風な西洋風の大豪邸に美和子が閉じ込められてもう三日になる。最初の
一日は混乱と恐怖で男の言いなりになっていた美和子だったが、二日目になって
漸く状況を受け入れ、恐怖が怒りに火をつけた。そうして激情の赴くままに、此
処に監禁した男に逆らった。そしてその罰として、昨夜から水の一滴も与えられ
ていない。
 空腹を抱えた美和子が目をつけたのは、長い廊下の途中の大きな窓の傍に置い
てあった、ピンクの新鮮なチューリップだった。一度気になってしまうと、口内
に溢れてくる唾液を止められない。もう、我慢など出来なかった。
 美和子は一輪のチューリップを取り上げる。瑞々しいチューリップだった。そ
の花弁を一枚、千切ってみる。
 白い細い指で摘まんだ薄紅色の花弁を、薔薇色の口唇の奥に隠されていた米粒
のような歯と、濃いピンクの舌が出迎える。
 ビロードのように肉厚の花弁を、陶器の如き歯が噛み締める。
―――ぷつり、つぷん―――
 噛み千切られた花弁は、口内で無残に咀嚼され、嚥下された。
「……レタスみたい」
 それが美和子の、初めて口にしたチューリップという植物に対する過不足のな
い感想だった。
 美和子は今度は茎を持って、二三枚の花弁を一度に口に含む。そして次の瞬間
、ガクの付け根、茎の部分へと一気に歯を立てた。
 ぷつん、
 くちゅ、
 あっさり口内に転がり込んできたチューリップが、磨り潰され唾液と共に撹拌
され、ごくり、細い咽喉を通じて食道へと落ちていく。
 それから美和子は、餓鬼のようにチューリップを貪った。青臭い茎を頬張り、
肉厚の葉の葉脈を引きちぎり、十数本あった花を全て、胃に収めていたのだ。
 こふ、と小さなゲップを溢した美和子が次に目をつけたのは、白磁の花瓶その
もの。美和子は一瞬の躊躇もなく、花瓶を手に取った。縁には金の飾りが施され
、表面には青い小鳥の飛ぶ見事な花瓶。
 美和子は意外に重量のある花瓶を両手に持ち、ゆっくりと持ち上げる。たぷん
、内部で水が揺れた。
 花瓶の縁が美和子の口唇に触れる。柔らかな唇を硬質な花瓶が押し潰す。ゆぅ
っくり、美和子は花瓶を傾けた。
 つつぅ……っ、清純な水が頬から顎、細い首筋と華奢な鎖骨を通って胸元へと
滑り落ちていく。小さな咽喉が、何度か上下する。
 こくん、こくん
 陶器の中身が空になるまで、その行為は続いた。


 中身を飲み終えた花瓶から、美和子は無造作に手を放した。
 ガシャン、硬質な音と共に、高価な花瓶は砕け散った。
 美和子はその欠片を無造作に踏みつけて、窓辺にそっと寄り添う。真っ白な陶
器に、生々しい深紅の血が付着する。鮮烈な対比を、窓から差し込む夕陽の日射
しが中和する。
 美和子は窓の外に広がる赤く染まった森を見て、ぼんやりと溜め息を吐く。コ
ンクリートの森しか見たことのない美和子には、こんな森を見るのは初体験に近
い。
 涙すら、出てこない。美和子は割れた陶器の欠片を手に取った。


女性っぽい文体に挑戦したらおもいっきりこけた上に
スレ自体流れたのでお炊き上げ
360名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 20:36:23 ID:EnU2upUl
テスト。
361名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 10:53:04 ID:JrUh5Hg+
投げ乙
362シンケンジャー 薄雪と新佐:2010/03/28(日) 23:11:09 ID:42566JdU
開け放した窓から遠くの座敷の宴の音が流れ込んでくる。
芸妓の小唄。拍子を取って皿を箸で叩く音。幇間が何か下卑た冗談でも
言ったのか、酔客の哄笑や女達の嬌声が遠く響く。
さまざまな音に耳を傾けながら窓辺に座る新佐。その横で三味線を爪弾く薄雪。
二人は部屋の灯りを落とし、ただ静かに時を過ごしている。
窓から差し込む月灯りが、その月を見上げる新佐の額と頬を照らしている。
薄雪は惚れ惚れとその愛しい男の顔を眺める。
初めて本気で愛した男。そして自分を本気で愛してくれている男。

その男の横顔をこうして眺めるだけで薄雪の心は沸き立つ。
三味線を脇に置き、薄雪は徳利を手にし新佐が手にした杯へと酌をする。そして
新佐の足の間に割り込むように座り、その胸に寄りかかる。
新佐は、はだけた薄雪の胸元に片手を差込みそのやわらかな手触りを楽しみつつ
無言のまま杯をぐい、と呷る。

「おまえも飲むか?」
問いかける新佐に薄雪は艶のある笑みを浮かべ、顎をつん、と上げて答える。
「飲ませておくれ」
応じた新佐は徳利から直接酒を口に含むと、薄雪の首筋に手を添え上を向かせる。
新佐を見上げながらうっすらと微笑む薄雪。その半開きの唇に、新佐は自分の
唇を押し当てる。そして口に含んだ酒を薄雪の口へと流し込む。
ごくり、とその甘い口当たりとなった酒を飲み込み、薄雪はさらに求めるように
新佐の口に舌を伸ばす。
新佐の歯や舌に残る酒の味を舐め取りながら、「もっと」とせがむ薄雪にさらに
応じた新佐は繰り返し、口に含んだ酒を薄雪に飲ませる。二度、三度と。

心地よく唇や口の中をくすぐっていく、ちろちろとした薄雪の舌の動き。
新佐の体は反応する。硬くなったものが、薄雪の尻に当たる。

「ふふ」
嬉しげに微笑んだ薄雪は体の向きを変え、新佐の裾から股間へと手を伸ばす。
隆々と固くなっているその部分。薄雪の指がそれを上下に撫でる。
素知らぬ顔でまた月を見上げる新佐。だが薄雪の指の動きにつられ、うぬ、と
耐えるような表情を浮かべ始める。
薄雪は裾を開き褌の紐を緩め、その物を露わにする。
新佐の足の間に座り嬉しげに股間に顔を寄せてきた薄雪に、新佐はそっと呟く。
「見られているぞ」
「誰に?」
「月に」
見上げた夜空。満月にやや欠けるその月が二人の顔を照らす。
ふん、と鼻を鳴らした薄雪。
「わちきはかまわない。月め。好きなだけ見ればいい」
挑発するようにそう言うと、再び新佐のそれをそっと握り、口に含む。
363シンケンジャー 薄雪と新佐:2010/03/28(日) 23:11:35 ID:42566JdU
薄雪の鼻を新佐の強い匂いがくすぐる。汗と、漢の匂い。
それだけで薄雪は何やらうっとりとした気分になる。他の客であればすぐに
湯を浴びて来いと部屋から叩き出すところだが、新佐の匂いは愛しい。
目を閉じゆっくりとそれを頬張りながら、薄雪はその舌触りと形を楽しむ。
これが愛しくて愛しくて仕方がない。その思いは我ながら驚くほど強い。
いっそ食いちぎりたいとすら思う。食いちぎったそれを咀嚼し飲み込み、己の血肉と
できたらどんなに幸せだろうか。
だがそれは無理な話だ。代わりに薄雪は唇と舌を使い、それを味わうことだけで
我慢する。舌を這わせ絡め、強く吸えるだけでも幸せだ。
新佐のものなら。愛しい男のものならば。

先端の丸みを口に含み舌先で清めるように舐める。親指と人差し指で作った円で
根元の部分をきゅっと強く握る。
指をゆっくりと上下させながら、その先端の複雑な筋や段に丹念に舌を這わせていく。
新佐は薄雪の襦袢をゆっくりと剥ぎ取る。露わにされた白い肌。
その背中と尻をまた月が照らす。月灯りを浴びたその肌はそれ自体がぼんやりと
輝いているように見える。

「薄雪、こちらに」
新佐は横たわると薄雪の身体の向きを入れ替えさせ、自分の顔の上に跨らせる。
大きく開かれたその脚の間にあるものが期待に息づく。
「まだ見ているの?」
「…月か?あぁ」
新佐は夜空を見上げる。煌々と輝く月が、まるで二人を叱りつけるかのように
まばゆく照らしている。
「見ているぞ。おまえの、ここを」
新佐は指先でその部分をゆるやかにこねる。雫が月灯りにきらりと光る。
「おお、いやらしい…月、め…」
呟く薄雪の白い背中が喘ぎと共に震える。その身をくねらせながら、薄雪はまた
新佐の物に唇を寄せると喉の奥まで飲み込み、顔を上下に動かし始める。

新佐も薄雪のそこに唇をつけ、舌を這わせる。重なり合った襞を舌先で掻き分け
開く。そして滴ってきたものをすくい上げながら舐め取る。
新佐の舌先が一番触れて欲しい突起を見つける。その周囲をぐるりと舐め上げ、
そして触れたか触れないか、程度にそっとつつく。
「んぅ…っ!」
声を出せない薄雪はもっと強くとせがむように腰を振る。新佐はそれに応えて
舌先をそこに押しつけ、ほじくり始める。
同時に指先で雫を滴らせる場所を撫でつつく。かりかりとくすぐり、引っかく。
指先だけをそこに沈め、ゆっくりと出し入れを繰り返す。
薄雪は快感に堪えきれず激しく身を捩らせる。その白い肌が薄桃色に染まる。
新佐の舌がそこを穿るたびに薄雪の体はびくんと震える。襲いかかる快楽の
波に囚われてしまいたいが、そうなれば新佐を愛撫する指と舌が止まってしまう。
どうすれば良いか判らず薄雪はそれを咥えたまま首をふり、さらに激しく顔を
上下させる。
364シンケンジャー 薄雪と新佐:2010/03/28(日) 23:13:56 ID:42566JdU
「薄…ゆ、き」
新佐の息が荒くなる。その切なげな声を聞き薄雪の心はさらに昂ぶる。その口が
塞がっていなかったとしたら、薄雪は先程新佐から酒を飲むかと尋ねられた時と
同じ答えを口にしただろう。その言葉を心の中で強く願い繰り返し叫ぶ。
薄雪の心の叫びは聴こえないが新佐はそうする。薄雪の尻の肉を鷲掴みにすると
背を反らせつつ「おぅ!」と声を上げる。

「…くっ」
喉を鳴らした薄雪の口の中でそれがびくんと震える。そしてあのねっとりとした
味が口いっぱいに広がる。これは新佐が自分の愛撫に悦びと満足を得た証。
─おお、新佐!
その喜びと興奮に鼻を啜りながらいまだ放出している最中のそれを強く吸う。
先端から放たれたものが薄雪の喉に流れ込んでくる。薄雪は何度もその迸りを
味わい飲み込んでいく。

付け根や腹にこぼれたもの、己の唇の端に残るもの。全てを一滴も残さず
舐め取り飲み込んだ薄雪は、満足と共にふぅ、とひとつ小さな溜息をつく。
目を閉じ荒く息を吐きながら、新佐は薄雪の体を荒々しく抱き寄せる。
「おまえは私を狂わせる」

新佐が投げつけるように発したその言葉。薄雪にとってはただの愛の言葉
以上に喜びをその胸に与える。わちきはもう狂っている。新佐、おまえに。
新佐の耳たぶを甘く噛み歯を立てながら薄雪は囁く。
「…ならば狂えばいい。二人で。どこまでも」
新佐が薄雪の体を押し倒しのしかかってくる。薄雪は見上げた窓からまた月が
覗き込んでいるのを見て笑う。
「まだ見られている」
「障子を閉めるか?」
言いながら新佐は薄雪の中に突き入れてくる。強く。深く。
「あぁっ…、新佐!」

もういい。もうどうでもいい。薄雪は新佐の体にしがみつき爪を立てる。
激しく突かれながら薄雪は啜り泣く。愛しさで心が壊れてしまいそうだ。
どうして新佐と自分は違う人間なのだろう。違う体なのだろう。
このまま二人の体が溶けてしまえばいいと、溶けて重なり合い一つの体に
なれればいいと、そんなことすら思う。

薄目を開けてまた月を見る。先程よりもさらに大きくなったように見える月が
何も言わず薄雪を見つめる。その月を取り囲むように薄雪の視界が白い光で
溢れ、ついに全てが白一色に満ちる。

もう何も考えられなくなり、愛しい男の名をただ繰り返し叫ぶだけとなった薄雪。
その姿を哀れみ目を覆うように、空の月に黒い雲がかかった。

─終わり─

*これを元にもっとねっとりした内容にしたかったが書くテンションが下がったこと、
 どう考えても誰得な話なのでやる気が失せたので投げ
365名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 01:12:59 ID:Y+sPkdOx
ナイス投げ!!
というかGJじゃないか。

もったいないが……お疲れ様!
366名無しさん@ピンキー:2010/04/17(土) 18:59:30 ID:3YCamEx5
保守
367名無しさん@ピンキー:2010/04/29(木) 05:45:15 ID:9vYqkWQw
保守
368名無しさん@ピンキー:2010/05/04(火) 19:05:09 ID:kOUawpqZ
369名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:48:38 ID:pcZkcvZ/
書こうと思ってたスレが落ち、とち狂って半角二次に最初だけ投下するという
色んな人に迷惑かけまくった迷走作品ですが、ここに投げて供養できれば…いいな
以下8レスくらい使います。



ガバスから大氷穴、あやかしの洞窟を抜けたピエトロ一行は
交易都市トンクウにて一泊の宿をとることにした。
依然行方不明のパウロの消息を追う、あてどない旅である。
疲労は溜まり、大十字路では休息を取る・取らないで一悶着もあった。

傭兵二人に礼儀正しく「おやすみなさい」と言ってベッドにもぐるピエトロ。
それを合図に傭兵たちもそれぞれ就寝…のはずであった。
しかし時計の長針が一周りした頃、ゴソゴソと動き出す人影がいたことに
熟睡中のピエトロと、今回の中心人物であるダイソンは気付かなかったのだ。
370名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:49:21 ID:pcZkcvZ/
下腹に違和感がある。
むず痒く、筋肉が引きつるような感覚。
絶え間ない柔らかな刺激が与えられている気がする。気のせいか?
ずいぶん昔の、青春真っ盛りな時代を彷彿とさせるそれは
言ってしまえば、射精感−−。

「…?」
ダイソンは、浅い眠りに漂っていた意識を浮上させた。
無意識に元来の細目を擦ろうとして

ギシッ 「!?」

腕が頭上に固定されていることに気付く。眠気が一気に覚めた。
これはいったい何事だ、まさか強盗でも忍び込んでいるのか!?
困惑したダイソンは、腕の自由がないまま飛び起きようとして
「ああ、もう目が覚めたのかい?」
と楽しそうに呟く人影を見た。
彼の一物に優しく口付けを落とす、傭兵仲間のラウラの姿を。
371名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:50:02 ID:pcZkcvZ/
「これはどういう−−!」
「シッ!」
ダイソンが思わず大声を出そうとした矢先、鋭く遮られる。
ラウラはダイソンの腹に跨るようにして身を乗り出した。
顔が近づく。
鼻先が触れるか触れないか、という位置まで近づく。
「そこに寝ている坊やが…王子様が起きちまうよ?」
ラウラの唇の動きがやけにゆっくりして見えた。
一音発するたびに、彼女の吐息がダイソンの唇を湿らす。
「12歳の王子様には、目の毒だと思わないかい?」
やけに楽しそうな調子で呟く。
ラウラの顔は更に近づき、もう焦点が合わせられない。

「昼間はあたいに気を遣ってくれただろう。
 でもね、このラウラ姉さんは『借りは作らない主義』なんだよ」
もう唇が触れ合いそうな距離でラウラは呟く。
ほんの少し、顔を上げるだけで本当に口付けできるほどの距離。
しかし彼女は体ごと離れ、最初にいた位置、つまりダイソンの足の間に座り込んだ。
ダイソンの一物を指先でやわやわと触れながら
「金目のもので礼をする、っていう訳にもいかない。
 親切には親切で返すのが筋ってもんだ」
と言い、ついでのようにそそり立つ陰茎の裏筋を素早くしごいた。
予想外の刺激にダイソンは思わず唸り声を上げてしまう。
「っ!…私は、別に、礼を求める気など、ないのだが」
「じゃあ、あたいが欲求不満だからヤるってことでいいよ」

まるで昼間の会話の裏返しだ。
ラウラの巧みな指使いに声が出そうになるのを抑えながら、
ダイソンはそんなことを考えていた。

「傭兵所は人目が多いから出すモンも出せずに溜まってるだろう?
 それにしても…体格に劣らず、立派なシロモノじゃないか」
うっとりとした口調で、ダイソンの直立をしごく。
尿道口をぐりぐりと刺激し、指の先で弾く。
もう一方の掌で玉袋を柔らかく揉みつつ、襞の一つ一つを確かめるように辿る。
声を出さないように歯を食いしばっているダイソンの表情をちらりと盗み見したラウラは
にやりと笑って、先走りの溢れる先端に口付け、そしてそのまま僅かに吸い上げた。

「…う、…っ」
「気持ちイイかい?」
一度唇を離すと、今度は深く銜える。舌を縦横に走らせ、時には吸い上げつつ
ダイソンの昂ぶりを丹念に舐めあげる。
喉の奥に先端が当たるほど、頭全体を前後に動かしてダイソンを追い込む。
「うっ」
「そりゃ良かった」
ダイソンの唸りと荒い息遣いに満足したように応える。
「それにしてもあんたの我慢する顔…そそるねぇ」
指の腹でやや強く擦り上げながら、ラウラはニヤニヤと笑いダイソンを追い詰める。
陰茎の周囲を、螺旋を描くように舌が這う。
そのまま深く深く銜えこみ、
「っっ!!」
一気に吸い上げた。
372名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:50:35 ID:pcZkcvZ/

ごくり、とやけに大きな音が聞こえた。
それはダイソンの生唾を飲む音だったのかもしれないし、
ラウラが彼の精液を飲み込む音だったのかもしれない。
信じられないといった顔をして、ダイソンはラウラを見つめる。
そんな様子を知ってか知らずか、ラウラは唇に残る白い跡を指で拭っていた。
彼女はその指先を見つめると小さく微笑み、べろりと舌先で舐め取る。そしてダイソンに視線をやる。
「ずいぶん溜まってたんだ」
「も、もういいだろう。いい加減はずし」
てくれ、と言い切る前にダイソンは言葉を失った。
彼の足の間でラウラは膝立ちになり、スカートのスリットに手を差し込み始めたのだ。
「あたいが欲求不満なんだよ、もう少し付き合うのが男ってモンじゃないかい?」
ラウラはダイソンの凝視する視線を感じながら楽しげに告げた。
そのまま下着の紐をスッと解き、わざとゆるやかな動作で下着を下ろした。

月明かりに照らされて、下着と秘所の間に伝うものが光る。
淫靡な姿だとは分かっているが、目が離せない。
「ダイソンの舐めてたら、気分がノってきちゃった」
ラウラは自分の下着がもはや用を成してないほど濡れていることに対して、それだけ言った。
照れも恥じらいもなく、あるのはただの熱っぽい息遣いのみ。
そのまま上着にも手をかけ、これも簡単に脱ぎとった。
着衣の上からより目立つ二つの膨らみと、その頂点で硬くなっている蕾が彼女の興奮を示している。

ダイソンはその姿を見て、彼女を抱きしめたいという強い衝動に襲われた。
何故と問われても応える言葉が見つからないほど、突然の衝撃だった。
373名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:51:06 ID:pcZkcvZ/
しかしそんなダイソンの心中などラウラに分かるはずもない。
おもむろに自分の乳房に指先を這わせ、ゆっくりと形を変えていく。
「…あぁ、はぁ…んっ」
乳首を指先で捏ねくり、つまむたびにラウラの眉がきゅっと寄る。
切なそうな息遣いと、潤んだ視線が中空を彷徨う。
ダイソンはそれを食い入るように見つめるしかなかった。
腕の拘束が解ければ、そのままラウラを押し倒し、豊満な乳房を押しつぶすように揉んだだろう。
乳首を吸い、噛み、彼女が体を震わせ果てるまで何度も貫くだろう。そう思った。
そこまで考えて、自分が彼女の体を激しく求めていることに気付いた。
そしてその事実を認めるしかなかった。

ラウラは自分の指で乳房を弄っても、達することは難しいと分かっていた。
この行為はただのデモンストレーションだ。自らの痴態をダイソンに見せ付けるための。
果たしてそれは効果があったのか。
ダイソンの股間にそそり立つ一物を見る限り、その答えは明らかだった。
「んっ…ダイソンっ」
わざと彼の名前を切なげに呼ぶ。視線を送る。
彼の脳内で、自分はどのように犯されているのだろう。それが知りたいと思った。
桟橋で自分に向けられた気遣い。対等な仲間として扱われたことに戸惑いもした。
嬉しかった。それに応じたいと思った。――その一方で、女として求められたいとも思った。

自慰に耽る彼女の目前で、むくむくと活力を取り戻した陰茎を見て、ラウラは満足そうに微笑んだ。
指先が胸元を離れ、スカートの裾をつまむ。
足はダイソンの腰を跨る状態で、膝立ちになっている。
「ああ、もう…。我慢できない…」
夢見心地のように呟くと、スカートの裾を少しずつ上げる。
月光を反射するように、濡れた内腿が白い肌を際立たせつつ輝いた。
髪の色と同じ黄金色に染まる陰毛と、その奥でもの欲しそうに震える秘所がわずかに見える。
ラウラはダイソンの一物に左手の細い指を当て、その硬度に満足そうに笑うと
自分の秘所がダイソンに良く見えるように開脚し、右手の指先で花びらを開いた。
「ほーら」
愛液を垂らしながら、その隙間を埋めるものを欲して淫らに動く花びらを大胆に見せる。
堅物そうなダイソンの前でこんなに淫靡に振舞うことへの背徳感が背筋を震わす。
「ここに、あんたの…いただくよ」
374名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:51:37 ID:pcZkcvZ/
ラウラは片手を陰茎に沿え、もう片手で自らの秘所を開くとそっと腰を下ろした。
ダイソンの先端に潤んだ熱が微かに当たる。
もう恥も外聞もなく、ダイソンは出来る限り腰を突き上げた。
「ああっ!」
ラウラが驚いたように喘ぐ。彼の先端の一番大きな箇所がぐい、と肉を押し分けたのだ。
ダイソンが自ら動いたことによりもたらされた快感と歓喜が体内から溢れる。
ラウラ自身が自分の体を中途半端に煽ったため、足りなかった熱と圧迫を感じるや否や
体がそれを追い求めるように蠢いた。彼の直立に一息に貫かれる。
「ん!あ!あぁ!」
粘着質な音を掻き消すほど、ラウラは喘いだ。ダイソンの腹筋に両手を当てて
自らの性感帯にダイソン自身が擦れるように腰を振る。
ダイソンもベッドのスプリングと同調するようにして弾みをつけ、彼女の膣を深くえぐる。
「うぁ、ん!や!ダイソン!」
「…っ、ラウラ!」
ダイソンとしては腕の拘束から一刻も早く逃れたかった。
そうすれば自分の腰の上で淫らに踊り狂うラウラを、気の済むまで抱けるからだ。
しかしラウラによって封じられた腕は一向に解ける気配もなく、
ダイソンは自分の欲に従って腰を突き上げるほかなかった。
「ダイソン、いいっ!あぁっ!」
ラウラは自分の発した言葉の意味すら意識せず、ただただ快感をむさぼっていた。
浅い位置で腰を振っては、深い場所へ突き立てる。
ダイソンが不規則に与えてくる衝動に、意識を飛ばしかける。
そのうち子宮から込み上げるような切なさを感じた。
一番深いところに、熱が欲しい。

ラウラの動きが急に早くなり、膣内が追い立てるようにきつく締め付けてきた。
こんなに締められては、もう達してしまう。
ダイソンは下腹に気合を込めて激しく腰をゆすった。
切なく、甘美に攻め立てるラウラと共に果てたいと無意識のうちに思っていた。
そんなダイソンの突き上げに、ラウラの体が震えた。
もうだめだ、足も、手も、頭も、全部が飽和しそう。
「…ぁ、あ、あああああ!!!」
ラウラが叫ぶように達すると同時にダイソンの陰茎を強く締め付けた。その熱さに
「うっ!」
ダイソンも白濁した精液を、一滴残らず彼女の中に放っていった。
375名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:52:25 ID:pcZkcvZ/
ダイソンの腹の上で、ラウラが猫のように丸まってクスクス笑っている。
「あんなに打ち付けて…痛いじゃないさー」
「わ、悪かった」
律儀に謝るダイソンに、ラウラは冗談だよ、と笑って応じる。
「気持ちよかっただろう?これで貸し借りは帳消しだからね」
「別にそのようなつもりではなかったのだが…」
昼間の小さな気遣いに対してお返しがこれでは、何だか倍返しされた気分すらする。
「でも、さ」
「?」
ラウラがダイソンの耳元に顔を寄せ、そっと打ち明け話をするような体勢になり
「もしまだまだヤりたいっていうなら…探索のときとかでも、ね」
「…!」
言葉の意味を理解し、一拍遅れて赤面するダイソンを尻目に
「次の探索一緒に行けるように、坊やにそれとなく言ってみるよ」
とニヤニヤしながら呟いた。
その言葉でようやくピエトロの存在を思い出したダイソンが慌てたが
「まぁ坊やは朝まで起きないだろうよ」
とラウラは何事もないように答えた。



そしてある日のピエトロ。
「ラウラさん、なんでビースリープ覚えてるんだろう?
 それになんでLv.3なんだろう??」
376名無しさん@ピンキー:2010/05/09(日) 22:55:03 ID:pcZkcvZ/
以上です。投げれてスッキリしました。
スレ汚し失礼しました。
377名無しさん@ピンキー:2010/05/10(月) 06:35:07 ID:QjJDM+cT
ナイス投げ
378名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 09:46:52 ID:taGKRr53
ナイス投げ!
379名無しさん@ピンキー:2010/05/20(木) 13:32:18 ID:lp41M3iZ
ナイス投げ!ラウラがエロいわ
380名無しさん@ピンキー:2010/05/26(水) 09:45:09 ID:FbTqPiNL
保守
381名無しさん@ピンキー:2010/06/04(金) 01:23:02 ID:ThCnJxZG
保守あげ
382名無しさん@ピンキー:2010/06/15(火) 15:52:54 ID:LffzA6u4
保守
383名無しさん@ピンキー:2010/06/28(月) 15:59:08 ID:cneCFb1u
保守
384名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 10:17:52 ID:uG8LBxFG
保守
385名無しさん@ピンキー:2010/08/18(水) 00:37:44 ID:VOfDMH6y
人外系スレ向けのプロットを固めがてら裏話的なギャグSSを
書いていたらそれだけで力尽きた上に誰得にも程がある代物に
なってしまったので保守代わりにお焚き上げ。
以下の属性を受け付けない人はタイトル
「あま〜いおうちと生化学災害」をNG指定。

「非エロ」「下ネタ」「剣と魔法な世界」「触手」「くそみそ」
386化あま〜いおうちと生学災害:2010/08/18(水) 00:40:30 ID:VOfDMH6y
*コドスより仲間達へ
 落とし穴に落ちてからすぐにこれを書いている。
 兄と一緒だ。
 これより北へ向かう。
 何か見付けたら壁に印を付けて置くから、気を付けてくれ。

*チアーナより皆様へ
 コドスのメモを見付けたので、私もメモを残していきます。
 私は一人です。
 ここへ来るまでに怪物と何度か戦いましたが、スライムや蛇のような体の柔らかい物
ばかりで、メイスでは思うように倒せません。
 どなたかと早く合流出来る事を願っています。
 皆に神のご加護のあらん事を。

*ピアーより皆へ
 さっきまでカマグと一緒だったんだけど、仕掛け扉に引っ掛かってはぐれた。
 しばらくこの辺りを調べる事にする。
 ここに置いた二つの瓶は、カマグの見立てだと赤いのは心を鎮めて魔力を回復する
飲み薬で、黄色いのは切り傷を塞ぐ塗り薬らしい。必要なら使って。

*チアーナより皆様へ
 赤の薬をいただきます。
 ここより一つ下の回廊でファキアの死体を発見しました。
 彼女はあの蔦のような怪物に囚われており、手の施しようがありませんでした。
 この小部屋で少し休憩した後、直ぐ側の階段を上ります。
 皆に神のご加護のあらん事を。

*コドンより
 コドスが死んだ
 うね**にやられた
 黄色の薬使った
 ****会いたい
 **は*ってる
 **は嫌だ
 ****痛い
(*部分は血で汚れていて判別不能)

*カマグより皆へ
 先程、この迷宮の主の部屋を発見した。
 そこで、恐ろしい秘密を知ってしまった。
387化あま〜いおうちと生学災害:2010/08/18(水) 00:43:10 ID:VOfDMH6y
 主の部屋はこの回廊の突き当たりにあるが、魔法の罠が幾つも仕掛けられているから、
コドス以外は手を出さない方が良いだろう。
 証拠として日記と魔法の品を幾つか持ち出して来たが、日記の内容と来たら何とも
読むに耐えない。出来れば捨ててしまいたい気分だ。
 もしもの時の為に、魔法の品の使い方を書き残しておく。
(以下、魔法の品物の目録と使い方)

*ピアーよりチアーナへ
 どうやら、生き残っているのは私とあんただけらしい。
 さっき、カマグの荷物を見付けた。
 武器も魔法書も放り出して行くとは思えないから、多分、そう言う事だと思う。
 カマグは迷宮の主人の部屋を見付けたみたいで、荷物袋に色々残ってた。
 解読の魔法が掛かった指輪を使って日記を読んだけど、全くふざけた話だ。いっそ
あの怪物ごと燃やしてしまいたいくらいだ。
 ところで、回復の魔法はまだ使える?
 例の怪物にやられて、傷が疼くんだ。

*ピアーよりチアーナへ
 あの蔦怪物は毒を持っていたらしい。
 さっきから目が回るし、手足に力が入らない。
 そのせいか、同じ所をぐるぐる歩いてるような気がして、不安で仕方ない。
 手持ちの解毒剤を飲んだけど、効くかどうか。
 目覚める事が出来たら、上へ向かう。

*ピアーよりチアーナへ
 あんた今どうしてるんだ?
 人は好いけど他の誰より慎重なあんただ、まさか変な欲をかいてドジ踏んでるなんて
事はないだろうけど、心配だよ。
 こっちは薬も魔法も使い切った。
 早くあんたの顔が見たいよ。

*ピアー・シリングより誰かへ
 これが誰かの目に触れるなら、私はもう怪物の餌食になってるだろう。
 後からやって来る者の為に、知っている限りの事を書いておく。
 この迷宮は百年ほど前に一人の魔術師が作ったもので、一月ほど前にここに住み着いた
小鬼どもが下層の扉を開けたせいで中にいた使い魔が解き放たれたらしい。
 魔術師の日記を読めば全て解るが、迷宮と使い魔の存在理由は余りにも馬鹿馬鹿しい。
こんな物の為に仲間を失い、死んでいくのかと思うと無念でならない。
 この手紙の入った袋が無事なら、幾らかの金貨や宝石と一緒に、魔術師の日記と解読の
魔法の指輪が入っているはずだ。
388あま〜いおうちと生化学災害:2010/08/18(水) 00:45:37 ID:VOfDMH6y
 それらの品物が有っても無くても、これを読んだらすぐに迷宮を出て近くの町の冒険者
ギルドに行き、ただちに中の生物を焼き払い、犠牲者を弔うように頼んで欲しい。
 日記以外の品物は、使いの報酬として取って貰って構わない。



 「……と言う事で、これがその日記」
 そう言って、鉄の半鎧を着た大男は一冊の褐変した本をカウンターに置き、その
向こう側に座るローブの男の前に押し進めた。
「後ろのページを何枚か破ってメモにしてたらしいが、内容は無事だと思うぜ」
 ローブの男は本を開くと解読の呪文を唱え、びっしりと書き込まれた文字を読んだ。



*魔術師ニョドスの日記
●月●日
 今日は何と喜ばしい日だろう!
 世俗を離れ、知識の深淵を求めてはや五十年。最早人並の幸せなど縁の無い物と思って
いたが、斯様に若く美しい女を妻に迎える事が出来るとは。
 これで幻術を相手に一人芝居をする事も、手下の怪物どもが昼夜構わず子作りするのを
腹立たしく思う事も無くなった。
 改めて言おう。今日は何と喜ばしい日だろう!
●月●日
 女と言う物は実に面白い。
 隅から隅まで調べ尽くしたと思っても、次の日には新たな発見がある。
 変化の無い日々に摩滅していた探究心が蘇って来るのを感じる。

(以下数ページ、口に出すのがはばかられるような「考察」が続く)

●月●日
 近頃、妻の顔色が冴えない。
 あれは慎ましいから口にしないが、明らかに私との時間を物足りなく思っている。
 無理も無い。あれは若く健康で、私とは孫ほども年が違う。
 何とかしてあれを満たしてやりたいのだが、どうしたものだろう。
●月●日
 妻の顔に笑みが戻った。
 私が丹精込めて作ったおもちゃを気に入ってくれたようだ。
 もっと喜ぶ顔が見たい。
●月●日
 ゆうべはひどい失敗をした。
389あま〜いおうちと生化学災害:2010/08/18(水) 00:47:30 ID:VOfDMH6y
 新たな合成生物を試そうとしたら、妻ではなく私にじゃれ付いて来た。
 何とか対処したが、まだ尻が痛い。
 ただ、方向性は間違っていない。どうにかして改良出来ない物か。
●月●日
 合成生物が逃げ出した。
 間抜けな手下に運ばせたのが間違いだった。
 余計な事を覚える前に捕まえなくては。
●月●日
 逃げ出したものと狩ったものの数が合わない。
 種が出来ないように改良したつもりだったが、消し切れていなかったようだ。
 合成生物は手下達の尻に種を植え付け、着実に数を増やしている。
 何か対策を考えなければ。
●月●日
 後始末に追われているせいか、体の具合が良くない。
 妙に体がだるいし、腹が張っているように思う。
 妻は私を気遣ってか、閨に来なくても良いと言った。
●月●日
 体の具合がおかしい。
 ぐるぐるいっているのに、何も出ない。
 今日は休もう。
 月●日
 腹がくるしい
 ぐるぐるが腰までひびく
 あれをよんだのに返事がない とびらも開かない
 どうなっているんだ
● ●
 はらのなか ぱんぱんだ
 うず から  あな ほじっ
 すごく    いです
  ●
 かゆ うほ



 最初の方はざっと流し読みしていたが、次第にページをめくる手が遅くなり、やがて、
ローブの男は深い溜め息をついて本を閉じた。
「……確かに、これは余りにも馬鹿馬鹿しい」
「だろ? 俺もそれを見た時は壁で頭をかち割りたくなったよ。……ま、そう言う訳
だから、そのピアーとか言う奴とお仲間を弔ってやってくれ。こいつは葬式代だ」
 大男は苦笑混じりに言って、宝石が詰まった小さな革袋をカウンターに置いた。
390名無しさん@ピンキー:2010/08/18(水) 00:49:43 ID:VOfDMH6y
投下終了。
メモ帳からコピペ失敗してタイトルがおかしな事になってもたorz
391名無しさん@ピンキー:2010/08/19(木) 11:13:51 ID:7Ce2wk00
「うほ」じゃねーかwwwmwmw
392名無しさん@ピンキー:2010/08/30(月) 19:51:05 ID:HOwAPA30
 お借りします。
 「【風俗】娼婦でエロ小説【遊郭】」に投下するつもりで書き始めましたが、途中で「陰間はスレ違いじゃないか?」と思い、そのまま投げてしまいました。
 こちらに投下して未練を断ち切ることにします。
393水揚げ:2010/08/30(月) 19:52:56 ID:HOwAPA30
 いずれの将軍の治世であったか、とにかく江戸の片隅にある某岡場所。禿の
小梅は鼻歌交じりに路地を歩いていた。手に提げた大きな紙袋にはお座敷に置
いておく金平糖が入っている。
 女将に命じられ隣町まで買いに遣わされた帰り道、昼を過ぎたばかりの空は
すぐにでも雪が降ってきそうな雲行きだったが、彼女は上機嫌であった。懐の
紙には店の旦那がちよっとオマケしてくれた金平糖が数粒入っている。
「んふふ〜」
 小梅は先月過ぎた正月でようやく数えの十三歳になったばかりだった。月の
物もまだ来ていない少女にとって甘い金平糖は何よりのご馳走である。あとで
こっそり食べようかな。それとも誰かと一緒に食べようか。
 そう、たとえば隣の陰間茶屋「京屋」にいる竹松ちゃんとか……。
「……あれ?」
 細い辻を曲がりかけたところで彼女は歩を止めた。左へ行けば自分の住んで
いる女郎屋「松屋」がある。右の路地は川に突き当たって行き止まりとなり、
細い柳が揺れる風情はまるで幽霊でも出そうな場所だった。
 そんな柳の幹によりかかって誰かが白い襦袢姿で泣いている。幽霊かと小梅
は一瞬息を呑んだが、よくみるとその後姿には見覚えがあった。自分よりやや
小さな背丈、そして腰まで伸びる漆黒の髪。まちがいない。
「どうしたんだい、竹松」
 数歩そちらに歩み寄り小梅は声をかけた。びく、と体を震わせ、竹松は顔を
あげる。泣きはらした真っ赤な目に彼女は首を傾げた。
「ど、どうしたんだい。楼主に叱られでもしたのかい?」
「小梅ちゃ……うわぁーん!」
 途端、彼は小梅の懐に飛び込み、さらに大きな声で泣き出した。彼女はどう
していいかわからず、しばらく視線を彷徨わせたあとそっと彼の頭に手をかけ
る。
「こら、大の男が昼間っからびぃびぃ泣くんじゃないよ。……ほら、金平糖あ
げるから泣きやみな」
「うん……ぐすっ」
 頭を撫でられ、竹松はようやく涙を止めた。鼻を啜り、小梅から貰った一粒
の金平糖を口に入れる。ほのかな甘みが口に広がった。もう一度鼻をすすり上
げ頬をぬぐう。小梅は自身もお菓子を舌の上で転がしながらもう一度尋ねてみ
た。
「で、どうしたってんだい」
「……」
「黙ってちゃわかんないだろ。ほら、言ってみなよ」
 黙りこんだ竹松にやや強い口調で命じる。彼女よりひとつ年下の竹松は、昔
から泣き虫で心配性な子供だった。いっぽうの小梅は正反対に快活で姉御肌の
少女で、二人は不思議と気があって幼い頃からいつも一緒に遊んでいた。
 ぐすっと大きく鼻を啜った竹松は、上目遣いに彼女を見た。掻き消えそうな
声で呟く。
「僕の水揚げが決まったんだ」
「……! へえ」
 小梅は一瞬息を呑んだ。だが何でもないふうを装い相槌を打つ。その声が微
かに掠れていたのが自分でもわかった。取り繕うように咳払いをし、さらに尋
ねる。
「で、いつなんだい」
「今夜」
「こっ……え、えらく急な話だねえ」
 こくりと頷き、竹松は顛末を話し始めた。
394水揚げ:2010/08/30(月) 19:53:33 ID:HOwAPA30
 数日前、陰間茶屋「京屋」に二人の男がやってきた。一人は武家の者で、連れの男に「細川様」と呼ばれていた。もう一人の男は「伊勢屋」という大店の旦那だった。
 伊勢屋の旦那は普段は女郎屋である「松屋」のほうに出入りしているが、今回はじめて陰間茶屋に足を踏み入れてきた。おそらくは細川という武士の性癖のせいだろう。
 細川は一人の若衆を指名し、一晩中その少年の体を貪り続けた。そして翌朝はやく帰宅する際、玄関に見送りに出てきた竹松を一目で気に入り、次回の相手を命じたのだという。
「で、それが今夜なのかい」
 柳の脇にある石に腰掛けながら竹松が首肯した。はあ、と溜息をつき、小梅が彼の背中を叩く。
「何だい。いつかこんな時が来ることはわかってたことじゃないか」
「……」
「おめでとさん、ようやく自分で稼げるようになったんだ。あーあ、アタイも早く水揚げして、おっかさんに楽させてやりたいよ」
 彼女はなるべく明るく告げたつもりだった。だが竹松は俯き、再び涙をこぼし始める。
「な、なんだいなんだい。そういう湿っぽいの、アタイは苦手なんだよ」
「……小梅ちゃんは、怖くないの?」
「へっ?」
 竹松が顔を上げ、じっと幼馴染の少女の顔をみつめた。
「僕だっていつかは……って覚悟してた。でもやっぱり怖いんだ」
 彼はこの岡場所で生まれた。松屋にいた女郎が産み落とした子で父親が誰かは知れない。物心つく前から男女の――そして男同士の営みをみて育った。だから自分が今夜、どんな行為をするのかは充分知っている。
 しかし……いや、だからこそというべきか、彼はぶるっと全身を震わせた。自分自身を抱きしめるように両肩に手を回す。
「……」
 小梅にはかける言葉がなかった。威勢のいい言葉を口にしながらも、彼女もまた内心では初夜に対する漠然とした不安と恐怖を抱えていた。
 普通の町娘たちが持つような幻想など持っていない。おそらくは店に出入りする馴染みの旦那衆の誰かが自分の初めての相手となるのだろう。相手を選べないのは女郎の宿命だ。それを悲しいと思うのは、自分で自分が悲しすぎる。
 そしてその日はそう遠くなく訪れる筈だ。
 少女の体が大きく震えた。空から一片の雪が音もなく鼻先に降りてくる。
「ほ、ほら。雪が降ってきたよ。早く帰らないと風邪ひいちまう」
 竹松の手を強くひき、小梅がつとめて明るい口調で言う。そうしないと自分も彼につられて泣き始めてしまいそうだった。
 だが彼は立ち上がらない。彼女から顔を背けたままふるふると黙って首を横に振る。その背中がどうしようもなく細く儚くみえ、思わず小梅はそっと彼の背中に手を回した。
「……え?」
 驚いて竹松が顔を上げようとする。だがその前に小梅は彼の長い髪の毛に顔を埋めた。すう、と音を立てて匂いをかぐ。
 それは幼い頃からの小梅の癖だった。彼女は何か辛いことや悲しいことがあると、決まって竹松に抱きつき彼の髪の匂いをかぐのだった。
 竹松には首筋に流れてくる吐息で、小梅も心の奥では怖がっていることを察した。口では一言もそんなことは言わないし涙もみせないが、彼女もやはり不安なのだ。
 何度か思い切り匂いを吸い込んだあと、小梅は顔を上げた。竹松は涙を拭い振り向く。ぎこちない笑顔をみせる彼に、小梅は僅かに頬を赤らめた。
「な、なんだい」
「ありがと……小梅ちゃん」
 小梅は慌てて何か言い返そうとした。だがその前に竹松が立ち上がり、裾を整えて改まって頭を下げてきたので、彼女は言葉を飲み込んだ。
 空から振る雪はその量を少しずつ増していった。
395水揚げ:2010/08/30(月) 19:55:01 ID:HOwAPA30
 雪はすぐやんだ。重くたちこめる雲の隙間から赤い夕陽が差し込んでくる。
 竹松は自分の部屋の中で全身を固くして正座していた。
 軽い食事を摂ったあと体を清め、髪を梳かし服を着替えてあとは客が来るのを待つばかり。どこか遠くから三味線の音や陽気な笑い声が聞こえるたびに、彼はびくっと体を震わせる。
「おい」
 部屋の障子が突然開けられ、野太い男の声がした。ひい、と息を呑み、慌てて彼はその場に指をつく。
「ほ、本日はお越しいただき誠にありがとうございます……」
「落ち着け。俺だ俺」
 裏返った声で口上を述べる彼に苦笑しながら男が声をかける。聞き覚えのある声に顔を上げると、そこに立っていたのは「京屋」の楼主、為蔵だった。
「あ……?」
「そんな緊張するな。それと口上はもっとゆっくり、落ち着いて言え」
「あ、ごめんなさい……」
「まあいい。ちょっと場所が変わった。ついてこい」
 為蔵は竹松を立ち上がらせると彼を先導して細い廊下を進んだ。狭い階段を登り、さらにその奥にある座敷へと向かう。そこは上客専門の部屋で、二間続きの手前の部屋で酒肴を愉しんだあと奥の部屋で褥をともにすることができた。
 座敷の前の廊下に為蔵が座る。その少し後ろに竹松も座った。改まった声で為蔵は障子越しに座敷へと声をかけた。
「失礼します。竹松を連れてめぇりやした」
「おお、苦しゅうない。入れ」
 部屋の中から鷹揚な返事が聞こえる。数日前に聞いた細川様のお声に間違いない、竹松の体が一瞬大きく震えた。為蔵が静かに障子を開く。竹松は慌てて廊下に額をつけた。
「た、竹松にございます……」
「おう。そう固くならんでもよい。ささ、近う近う」
「は、はい」
 恐る恐る竹松は顔を上げ、座敷の中に座りなおしてもう一度礼をした。為蔵もその横に入り同じように頭を下げる。
 部屋の中には二人の中年男性がいた。上座にいるのは細川で、その横に座る商人ふうの男は伊勢屋の旦那だった。
 二人が顔を上げると、細川は酒を口に運びながら横の男性に尋ねた。
「ところで伊勢屋。今宵は何か趣向を凝らしておる、とか言ったな」
 訝しがる少年を尻目に、伊勢屋は軽く頷いて手を叩いた。と、奥の間とを隔てる障子が静かに開き、その向こうに座る二人の女性が深々と頭を下げる。
「松屋の女将、小雪にこざいます。本日は小梅の水揚げをお引き受けくださり、誠にありがとうございます」
「小梅にございます。ふつつかものながら精一杯、務めさせていただきます」
396水揚げ:2010/08/30(月) 19:55:29 ID:HOwAPA30
 竹松は思わず叫びだしそうになり、慌てて口をつぐんだ。喉に絡まった言葉を必死に飲み込み、傍らの楼主を見る。だがそれを無視して、小梅は竹松の手を引いて立ち上がらせた。そのまま奥の間へ行き、布団の前で指図する。
「ほら、あんたは下を持って」
「え、あの、小梅ちゃん?」
「布団をあっちの部屋に運ぶんだよ。ほらぐすぐすしないで、さっさとやる!」
「は、はい」
 有無を言わせぬ雰囲気に竹松は渋々従う。小梅は途中でくるりと回り、細川たちの膳の前に布団を上下逆に敷きなおした。枕が下座を、足が上座を向くその様子を竹松は不審に思ったが、その間に小梅は自分でするすると赤い襦袢を脱ぎ始めた。
 状況が飲み込めず慌てて竹松が尋ねる。
「ね、ねえ一体どういうこと?」
「おい竹。おめえは果報者だぞ。伊勢屋さんのご配慮でな、小梅ちゃんの水揚げの相手をお前がつとめることになったんだ」
「え……ええっ?」
「ほら、わかったらあんたも早く裸になりなさいよ」
 既に襦袢を脱ぎ捨て、足袋以外には何も身にまとっていなくなった小梅が腰を手を置いて竹松を睨む。まったく隠されていない秘部に思わず目が行ってしまい、彼は自分の下半身に血がたぎるのを感じた。
 彼女の肢体はまだ芽を吹き始めたばかりのようだった。乳房はようやく膨らみ始めたばかりのようで、少年の手でもその全てを覆い隠してしまえそうだった。それ以外の肉もまだほとんどついておらず、乳房の下には肋骨が透けて見える。
 足も尻もまだほっそりとしていた。全体としてみれば少年の裸体と大差ないように思える。ただしその股間には、彼女が確かに女である証拠の割れ目がそっと深く刻まれていた
 その丘にはようやく生えかけたばかりの陰毛が、自らが少女でないことを主張するように揺れている。
「脱がないなら脱がせちゃうよ」
「え……? や、ちょっと!」
 じっと自らの肢体を見詰め続ける彼に業を煮やしたのか、あるいは恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、彼女は竹松の帯に手をかけた。彼の抵抗も空しくあっという間に裸にされてしまう。
 彼の体もまた未発達だった。まだ骨格も筋肉も成長を始めておらず、まるで女のようななでやかな肢体をしている。だが彼もまた、股間についた逸物が自らの性を過剰に主張していた。
「ほほっ、若いのぅ」
 少年少女の幼い裸体を間近に見て、細川が厭らしく笑った。楼主と松屋の女将が黙って退出する。ごくり、と竹松は唾を飲み込んだ。恥ずかしそうに小梅が布団の上に仰向けに寝て竹松を誘う。
「ほ、ほら。好きにしていいんだよ」
「す、好きに……って。でもどうしたら」
 伸びた髪の毛が布団の上に広がり何ともいえない官能美を感じさせる。いきりたった自らの股間を隠しながら竹松はうろたえた。
397水揚げ:2010/08/30(月) 19:58:49 ID:HOwAPA30
 以上です。スレ汚し失礼しました。
398名無しさん@ピンキー:2010/08/30(月) 22:08:14 ID:6V/EnUm7
ナイス投げ!
エロいなぁ、良いところで切れるのがまた想像をかき立てられていい
399名無しさん@ピンキー:2010/09/07(火) 18:07:04 ID:MsQl5vJj
保守
400名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 02:10:07 ID:4RlQbflR
単発で投下してレスを貰ったもんで、調子こいて続き書こうとしたらやっぱり
挫折したんだぜ。落とし所が分からなくなった……。



あれから三年が経ちました。
外の世界を知るために、坊ちゃまは寄宿学校に入られていました。
とは言え、領主としての勤めを果たすべく、月に一度戻って来られます。

わたしは引き続き、坊ちゃまの六歳違いの妹、ミス・パティの教師として屋敷に残りました。

坊ちゃまが戻って来られると、必ずわたしを求めました。
会う度に大人びていく坊ちゃまに、わたしは思いがけずときめき、またそんな自分にうろたえます。
まさか、そこまで本気になってしまうとは自分でも思っていなかったのです。

身体の成長と共に、坊ちゃまは巧みになっていきました。
甘い睦言、指の動き、腰使い、事後の蕩ける口づけ……。


思い出すだけでかっと身体が熱くなります。
蜜がトロリと熔けだし、花芯に溜まりを作ります。襞の間に指を埋めると、全身に甘い痺れが響き渡ります。
もっと刺激が欲しくなり、わたしはとても人前に晒せない姿で自慰に耽ります。
寝椅子の背に片足を掛け、もう片方は床へ。
ゆったりとくつろいだ状態で、最も過敏な部分をあらわにします。
冷えた外気に晒されて、身震いがします。縮み上がる感覚の、その――なんと快いこと!


「んっ……」
坊ちゃまはよく、おいたをなさいます。
特に、この花芽を好んで弄ぶのです。
「あ……、あっ、いけません、坊ちゃま」
――貴女は昔から嘘つきだ、ミス・テイラー。
「嘘なんて……」
――こうされるのが大好きでしょう?
「大好きだなんて、そんな……あ、ぅんっ!」
――素直になったらどうですか?いやらしいミス・テイラー……。
「は、あっ……や、は、はぁっ」
401名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 02:10:51 ID:4RlQbflR
――僕みたいな子供にいじくられて、よがりまくるなんて、それでよく教師が勤まりましたね。
「だって……それは、坊ちゃまが……あ、あ!や、ぁんっ!」
――淫乱なんですね、ミス・テイラー。
「っ……ち、違います、そんな、……つもりは……っ」
――それとも、変態なんですか?色狂い?何がいいでしょうね?
「あ……っ、坊ちゃま、そんなこと、おっしゃらないで……」
――淫乱呼ばわりされて興奮するなんてやっぱり変態ですね、ミス・テイラー。
ほら、ご自分の目で確かめるといい。蜜を垂れ流して独り遊びに耽る教師の姿を。
「いつの間に……こんなに……わたしは……」
――貴女は学も才もある、そのくせこの上ない淫らな、最低の家庭教師だ。
「は、あっ、ゆ、許して……お許し下さい……坊ちゃま、お願いっ、あっ、し…ます、わたし、もうっ、堪え、きれないっ……!」
――何を?
「焦らさないで、お願い」
――僕が誰だかご存知ですか?貴女の主人ですよ。
「も、申し訳ございません、サー……旦那様。ですが……っぁああっ!は、あっ、やっ」
――ものを頼む態度ではありませんね。
「……だ、めぇっ、はっ、も、もう、いかせてぇっ……!」

その時。
「……ミス・テイラー……?」
ノックの音には気付きませんでした。
いらえも待たずにわたしの私室に入ってきたのは。
「……坊ちゃま」

「相変わらずですね、ミス」
わたしは何事もなかったように身支度いたしました。
しかし顔は火照り、目は潤み、膝はがくがくと震えて今にも座り込んでしまいそうでした。
「お帰りでしたんですね」
今すぐにも抱かれたい衝動を覆い隠し、わたしは平淡に喋りました。
「ええ、一時間ほど前に」
「使用人はお出迎えに上がらなければなりませんのに。失礼をいたしました」
「今日は急に戻りましたのでね。ですが、すぐ学校に帰ります」
きっとその時、わたしの表情が変わったのだと思います。
自分では気付きませんでしたが、坊ちゃまの反応で分かりました。
「どうしました、ミス・テイラー」
「……いえ。
座を暖める間もないとは、ミス・パティもがっかりされるでしょう」
ごまかすために妹君の名を引き合いに出すと、ぱっと顔が綻びました。
坊ちゃまは妹君をたいそう大事にされているのです。
「パティか。彼女は元気ですか?」
「ええ、勉強も真面目になさいますし、日に日にお綺麗になられて」
「成程、先生のおかげですね。パティをよろしく頼みます」
「もちろんでございます、坊ちゃま」
坊ちゃまは苦笑なさいました。その笑顔の裏で、何を考えていらっしゃるのか。
「気が変わりました。先生」
「はい、何でしょう」
「女中のアニーをここへ」
「……アニーを、でございますか」
「ええ、先生なら色々、教えて下さるでしょう」
「何……を」
「今なさっていたようなこと、ですよ。お得意でしょう」
その言葉は、少なからずわたしを傷付けました。
いくらわたしが自慰に耽ったからといって、共犯者である坊ちゃまにそれを言われるとは思いませんでした。
「どうしました。早く」
「……畏まりました、サー」
わたしは深く頭を垂れると、逃げるように部屋を飛び出しました。
402名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 02:11:18 ID:4RlQbflR
以上です。
403名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 22:50:06 ID:uHChXEpG
ナイス投げ!
404淫魔の代償:2010/09/29(水) 22:21:57 ID:/zn+SqEE
オカ学11話美風に篭絡される阿部先生にインスパイアされて勢い任せで書いちゃったけどさ
もうね、オカ学どころか処女も悪魔も淫乱も絶対違うし
そういう訳で炊き上げさせて

淫魔の代償

わたし、好きな人が出来たんです。
担任の長野先生が産休でお休みの間、日本史を担当する事になった阿部先生。
ちょっと気弱で、頼りなさげて、でも教鞭をとる先生の熱心な表情に、ドキッとして……。
だけど、わたし、見た目は地味だし、勉強の成績は下から数えた方が早いし、運動音痴だし。
どうしたら阿部先生にいい印象で覚えてもらえるかな。
そんな風に悩んでいる時に、学校の友達が言っていたんです。
「淫魔の力でチャームアップしたら彼氏とラブラブになった」
って。
早速、そういう関係の本を探してきて、部屋に魔法陣を書いて淫魔さんにお願いしました。
「どうか阿部先生と……」
『その願い、叶えよう』
突然耳元で、甘い、けだるい不思議な声がして、わたしの身体に変化があらわれました。
それまでAカップしかなかったおっぱいが、ぐんと大きくなったんです。
「はわわわわわ!?」
ウエストも、制服のスカートががばがばになるくらいキュンと締まって、お尻も、かっこよくなって。
三面鏡に映るわたし、まるで別人みたい。唇もふっくら色っぽい。
男の人に、どう映るかな。
なんとなく、制服のボタンを開けて、鏡におっぱいを押し付けました。
あ……。
乳首、硬い……冷たい鏡のつるんとした感触、キモチイイ。
こんなの初めて……。
鏡のなかのわたしも、うっとりと泣きそうな顔。
これも淫魔の力?
それとも女の子って、皆こんな顔をするの……?
唇半開きのまま、三面鏡に縋り付いて、鏡のなかのわたしに沢山、おっぱいを擦り付けました。
405淫魔の代償:2010/09/29(水) 22:22:38 ID:/zn+SqEE
阿部先生は歴史資料室で、調べ物をしていました。
資料室に入ってきたわたしに気が付くと、「どうした、茅原」と手を止めて笑いかけてきました。
屈託のない笑顔。
ああ……、好き。
阿部先生、好きです。
わたしを、抱いて。
椅子に座ってデスクに向かう阿部先生の膝に跨がっていました。
え……?
「先生ぇ……大好きです」
阿部先生の頬を両手で挟んで、舌を絡ませ、唾液を啜って、そんな激しいキスをしていました。
「茅原っ?」
わたしを突き飛ばして、袖口で唇を拭う、明らかに警戒した表情の阿部先生。
悲しい。
そんな貌しないで、阿部先生。
わたし、嫌な事するつもりじゃ。
その瞬間、わたしは馬鹿な事をしたんだ、そう感じました。
阿部先生、別にわたしの事嫌いじゃなかったんだ。
赴任したてで、まだ顔と名前が一致しない生徒が沢山いる、そう言ってた。
茅原、そう呼んでくれた。
先生にとってはただの一生徒だけど、それでもわたしの事ちゃんと見てくれていたんだ。
だけど、わたしがその垣根を踏み越えたんだ。
ごめんなさい、そう言おうとしたんです。
「阿部先生『ごめんね』」
唇から零れた言葉は違うニュアンスでした。
脚の間にひざまづいて、阿部先生の股間に顔を近づけていました、
わたしは笑っていました。
歯と舌で器用にジッパーを下ろしていました。
まだキスもしたことないのに、阿部先生を口に含みました。
「『先生のチンポ、おいしい』」
舌先で下から舐めあげて、先端をちろちろ舐め回しました。
「『先生、初めてでしょう?』」
それから、両手で優しく包み込んで、扱きました。
「『わたし、チンポの味で童貞かどうかわかるんですよ?』」
なんで?
何を言ってるのわたし。
嫌、わたし阿部先生に嫌われたくない。
やめて。
お願い止まって。
406淫魔の代償:2010/09/29(水) 22:23:28 ID:/zn+SqEE
うろたえるわたしの耳元にあの甘いけだるい声がしました。
『お前の望んだ事だろう』
違う。わたしが望んだのは、阿部先生に望まれて、阿部先生のリードで。
『男はまんざらでもないようだぞ?』
わたしの意思ではない何かが顔をあげました。
阿部先生の、熱に浮されたようなとろんとした目。
「『気持ちいいですか?阿部先生』」
いやらしく媚びたわたしの声。
「茅原……もっとしてくれ」
阿部先生の手がわたしの頭を押さえ付けました。
『「んぷ……」』
いや、こんな……阿部先生はこんな事する人じゃない。
『「先生の……こんなに大きくなって』」
『もっと悦ばせてやろうではないか』
わたしの指が大事な場所に潜り込みました。
クチッ、ヌチュ、恥ずかしくなるような音。
いやっ!こんな音立てないで!
阿部先生に聞かせないで!
なのに、濡れた指を抜き取って、阿部先生の目の前に差し出すもう一人のわたし。
「『ほら、わたしもこんなに』」
遠い目をした阿部先生が、差し出されたわたしの指にしゃぶりつきました。
「『嬉しい……』」
わたしの身体が椅子に座ったままの阿部先生に向かい合わせになって跨がりました。
『阿部先生、ここも吸ってください』
阿部先生は、しな垂れかかるわたしの背に腕をまわすと、乳房にむしゃぶりついて、乳首を吸い始めました。
阿部先生が、男の人が、違う、わたしの身体、怖い。
「『いっぱいいっぱい……気持ち良くして』」
乳首吸われて感じてるわたしの身体……気持ち悪い。お腹ジンジンしてる。
「『先生、イク、イクぅ……っ』」
嬌声をあげるわたし。
阿部先生に更におっぱいを押し付けて、腰を擦り付けてる。
「茅原、オレもイキそうだっ……」
「『一緒に……一緒にイキたいいっ』」
わたしの手が阿部先生を扱いてる。
阿部先生が苦しそうなうめき声をあげてる。
掌……ヌルヌルして温かい……。
わたしの中で何かが弾けて、頭が痺れる……わたしの中の淫魔、声にならない悲鳴をあげて悦んでる……。
……もうやめてぇ……。
407淫魔の代償:2010/09/29(水) 22:25:16 ID:/zn+SqEE
「茅原……」
阿部先生の後悔した顔。
泣きたいんです。
泣いて謝りたいんです。
なのにわたしは笑ってるんです。
「『先生ぇ、一つになろう』」
わたしがそう囁いて、まだ荒い息を吐く阿部先生を再び咥えました。
頬の内側全体で包んで、下から上に吸い上げるだけで先生が張り詰めました。
「茅原、もうやめるんだ……っオレは先生でお前は」
「『わたし達、先生と生徒である前に男と女ですよ?』」
ガタン、わたしから逃れようと椅子から崩れ落ちる阿部先生。
そんな阿部先生に跨がって、パンツを横にずらして、先端に宛がうわたし。
「『受け取って下さい、わたしの初めて』」
チュク。
密着する大事な場所。
ああ、阿部先生が当たってる……。
夢にまで見た、阿部先生との……でもこんなの違う。やめて。
この先わたし阿部先生とどんな顔して接すればいいの……。
「やめるんだ茅原……!」
阿部先生も、わたしも拒絶してるのに、身体が勝手にゆっくり腰を沈めて。
入ってくる。
わたしの初めてが、失われていく。
わかってください、阿部先生。わたし、こんないやらしい子じゃないんです。
ただ、少しだけ、先生と距離を縮めたかっただけなんです。
声を上げて泣きたいのに、わたし、悦んでる。
先っぽ咥えて悦んでる。
「『うう、阿部先生……っ、わたしのアソコ、気持ちいいですかぁ……?』」
少しだけ挿った阿部先生がビクビク震えてる。
固く目を閉じてうめき声をあげてる。
「『ああ、阿部先生のピクピクしてる……これだけで感じちゃう』」
阿部先生の掌がわたしの腰を掴みました。
「もうダメだ」
気弱な、それでも否定する意志の篭った声。
うん、こんなのダメだもの。お願い、わたしを解放してください。
ようやく終わる、そう安堵した瞬間。
グッ、と圧力が加わり、わたしは奥まで力強く引き裂かれました。
「『はうぅっ……ん』」
グン、グンと何度も小突かれるわたしの中の大事な場所。
白い光が何度も弾けて、何も考えられないっ……!
「『あっはぁ……阿部先生……っイク……っ』」
「すまない、茅原許してくれ!」
わたしを何度も高みに押し上げる阿部先生は、泣いていました。



それからわたし達は、汗だくになった身体を舐めあい、互いの淫汁まみれの性器を味わい、
とてもさっき初めてを捧げあった者とは思えない卑猥な交接を繰り返しました。
淫魔に憑かれた者と交わった者は、同じ様に性の虜になるのだそうです。
わたしはこの先阿部先生に捨てられないよう更に過激なセックスに応えなければなりません。
わたしは阿部先生をこんなにしてしまった責任を一生懸けて償うのです。
淫魔に憑かれたままのこの身体で。

ごめんなさい、阿部先生。



408名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 16:39:19 ID:AZe8alC1
ナイス投げ!
409コック×航海士:2010/10/19(火) 07:48:44 ID:Y6kdQvFo
「ん、」

 何度も何度も角度を変えて口付けながら、ナミさんの体を抱きかかえてテーブルの上に座らせる。
唇を離して、少しだけおれを見下ろす高さになったナミさんを見つめると、呼吸を乱しておれを睨みつけた。

「…いいの?」
「何が?」
「テーブル。いつもはルフィ達にテーブルの上に乗るなって怒るのに」
「いいんだ、人が座るってならマナーに反するけど、今テーブルの上に乗ってるものはおれが今から食べるものだから」
「食べるものって…」

言いかけてナミさんが口を噤む。
今テーブルの上に乗ってるのはナミさんだけだからだ。

「キスだけって言うのはウソだったのね」
「心外だなァナミさん。どっかの長っ鼻じゃねェんだし、おれがウソ付くと思う?」
「……思う」

ナミさんが、おれの表情を伺いながら答える。
その頬がほんのり赤く染まっているのがすげェ可愛い。

「へへ、期待に添えようか?」
「ばか」
410コック×航海士:2010/10/19(火) 07:49:51 ID:Y6kdQvFo
悪態をつくナミさんの髪を耳に掛けると、ナミさんの表情が緊張する。
何度夜を重ねても、こういう一挙一動に素直な反応を示してくれる。

「キスしていい?」
「聞かないでよ…」

暫くじっと見つめ合う。
ナミさんの頬に手を添えて顔を寄せると、ナミさんがゆっくりと目を瞑った。
頬を染めて、ちょっと唇を突き出しながら、緊張した表情で。
ナミさんは気付かねェんだろうなァ、その表情がそそるんだって。

唇を寄せて、歯列をなぞる。
隙間から舌をねじ込ませて、驚いて戸惑うナミさんの舌を絡めとって吸い上げた。

「ン…ッ」

静かなキッチンに唾液の絡み合う音が響く。

ナミさんの背中に手をまわして、胸元の覗く黒いニットの中に手を滑り込ませる。

「!」

慌てるナミさんを余所に、おれは手早く下着のホックを外した。

「サンジ君!キスだけって…」
「ナミさんがあまりにおれとのキスに夢中で、息苦しそうだから」
「っ…手、冷たい…」
「さっきまで水仕事してたからね」

口だけはおれを非難するけど、体は素直だ。
背中を撫でながら手を抜くと、ナミさんがしがみつくようにおれの肩に手を置いた。
411コック×航海士:2010/10/19(火) 07:51:14 ID:Y6kdQvFo

下着ごとニットを託しあげれば、ぷるんと揺れてナミさんの胸が露わになる。
ツンと主張する先端を指先で押し潰し、ナミさんの表情を伺う。

「…ナミさん、どうしたのココ。寒いからたっちゃった?」
「ぁ、や…やめて」

おれの肩に乗せた手に力が入るのが分かる。

「そうか、ごめん。キスだけだったよね」

指を離すと、ナミさんがホッと体の力を抜く。
それを見計らって今度は胸の先端に唇を寄せた。
ナミさんの体が再び緊張する。

「ちょ…ッと!」

ナミさんの視線を受けながら、見せつけるように舌を出してペロッと舐め上げる。

舌先でなぞるように周りを舐めまわし、ちゅっと吸いつく。

「んん…!」

ぎゅっと目を瞑って刺激に耐えるナミさんの表情がすげェ煽情的で、本当は冗談で始めたつもりの行為なのに、夢中になっちまう。
412コック×航海士:2010/10/19(火) 07:52:30 ID:Y6kdQvFo

「っ…サンジ君!言ってる事と違…」
「キスしかしてないもん」

言い訳がましくそう言いながら、さっきからスカートが際どい所まで捲れちまってるナミさんの脚に手を置く。

「あっ…!」

ナミさんの手が慌てておれの腕を掴むけど、時すでに遅し。

「…へへ、上下水色かァ」
「見ないでよっ…!」
「もう見ちゃった。可愛いね」

ニッコリ笑ってみせるけど、ナミさんは頬を赤くさせてプィと顔を背けた。

膝を更に押し広げ、今度は白くて柔らかいナミさんの太ももに唇を落とす。

「ツッ…!」

強めに吸い上げて真っ赤な痕を残した。

「やだっ…そんな所に、」

白い肌に映える赤色に満足して、下着の上から隆起を舌でなぞる。
敏感な突起を探り当てると、舌を尖らせてグリグリと押し潰した。

「ンァ…!」

ナミさんが身を捩り、下着は決しておれの唾液だけで無いものでじっとりと染みが生まれ出す。
413コック×航海士:2010/10/19(火) 07:55:17 ID:Y6kdQvFo


「…ナミさん、何か染みが出来ちゃったよ」
「待っ…ぁ、あ…」
「脱いじゃうおうか。気持ち悪いでしょ」
「脱がない…っ」
「ウソだろ?こんなになってるのに」

今やぺったりと張り付いちまってる下着のクロッチを横にずらす。

「あ…っ!」

急に外の冷たい空気に晒されてか、それとも羞恥に煽られてか、ナミさんの体が震えた。

「ほらね、ナミさん。こんなビショビショだぜ?」
「はァ…見ないで」
「…素直じゃねェなァ」

潤いを得ていやらしく艶めく秘部に息を吹きかける。

「…ぁ…ッ」
「…こっちのお口の方が素直かもね」
「な、に…言って…」
「だって…」

ナミさんの震える内腿を更に左右へ広げながら、ナミさんを見上げる。
ソコと同じくらいウルウルしてるナミさんの瞳と出合うと、ナミさんの視線を引きずりながら視線を戻した。

「…触って欲しいって言ってる」
「―――ッ!」

慌てて閉じようとする脚を阻止して、素直な下のお口に向けて話し掛ける。

「どうして欲しいの?ナミさん」
「…ぁ…」
「グチョグチョに掻き回して欲しい?」
「ん、く…ばかァ…」
「あーでもおれ、聞いた所でキスしか許されて無ェんだった」
「…サンジ、君…?」

賢いナミさんには分かったんだろう、おれの考える事が。
肩に置かれたナミさんの手がおれの体を引き離そうとする。
でも、ここは強引に。

「んぁ…ッ!」

ナミさんの潤う秘部に吸い付いた。
逃げようとする腰を押さえて、グチュ…クチュと、音を響かせて舌を伸ばす。

「ふ、ぁ…あ…」

ナミさんが俺の髪を掴んで脚を閉じる。
太腿に挟まれて耳が塞がり、ナミさんの甘い声がどこか遠くに感じる。

舌で拭っても拭っても溢れてくるナミさんの愛液を、その上の小さな突起に塗りつける。
堪えられずナミさんの脚が暴れるのを押さえ込みながら舌を絡ませる。



――――――――――――――(´人`)ナムナム
414名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 05:08:32 ID:Pb24D7UN
ナイス投げ!
415名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 02:10:21 ID:PUGYSAx2
ナイス投げです
416名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 18:43:46 ID:nJgoKGoS
ここって続きが書けなくなった書きかけのSS投下のみ?
連載作品の放棄宣言だけって受け付けてくれる?
417名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 19:08:32 ID:cSFdDI5O
それ当該スレでやったほうが親切じゃ…
418名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 22:41:28 ID:SCfylMgZ
該当スレでやらなければ無意味な気がする
419名無しさん@ピンキー:2010/11/15(月) 21:45:38 ID:nUAum0ve
>>416
>>1
>スレでの投げ宣言は憚られる職人様は是非ご利用ください

つまりそういうことだ、投げ宣言もいける
420名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 17:39:03 ID:ZOmB3mVT
時期的に書いていたけど収拾がつかなくなったので投げ。
エロ会話




それぞれのXデー

「はぁ〜何なのよォ…マジでクリスマス・イヴとかに女3人でとかありえないぜ〜」
ぐで〜と炬燵で寝転ぶカナ。
「意外です、香奈がイヴの日に一人でいるなど…何年ぶりですかね?」
みかんを食べながら武ちゃんが言った。
「人聞き悪いわね、私が男と遊びまくってる尻軽女みたいぢゃない!!」
「あー…え〜っと、そういうワケじゃないけど…カナの場合、そんな感じがするんだよね」
とこれは私の発言。
「タツ、それフォローになってないから」
炬燵からむくりと起きあがってカナは蜜柑を取ってまた寝転んだ。
「あはは、ごめんごめん。」
「もういいわよ…あぐあぐ…あーあ、『神谷、付き合ってくれ』って言ってくる男は多いけど、
はぐはぐ……ん…」
蜜柑を寝転びながら口に放り込み、問いかけてくるカナ。
だから…そういう態度が、彼氏を幻滅させるんだって。
せっかく、家事全般はそつなくこなし、身だしなみも綺麗なのに……食べ終わった後、
テレビみながら親父ギャグを飛ばし、爪楊枝でシーハーシーハーされたら……
「何故か7日と保たないのよね〜……私は普通に振る舞ってるのに。
何でだろ?だから未だに処女だしー、ねぇタツもお武もそうでしょ?」
「う…うん」
ごめんなさい、カナ、私は違います。非処女です。
「ええ、そうですが。そもそもその発言に原因がある事を私は追及したいですね」
「だって、猫被って付き合ってるとかマジだるいし。自然体で振る舞わないと
意味ないじゃん。全てをさらけ出して好きっていってくれないと」
その言い方が生々しいんだって、カナ。
「それはそうですが……カナは私生活の乱れもありませんし、やはり原因は発言でしょう。
バイトしているカナと普段のカナは180度違いますからね」
実際、そうだ。カナはマ○クでバイトしているのだが、その姿はまさに
コマーシャルのイメージガールそのもの。
容姿も手伝ってカナのシフトの間だけ男性客が2倍になるらしい。
「まぁまぁ…そういえばカナと私は家から離れて大学通ってるけど
武ちゃんはいいの?イヴの夜、家族揃って…とか」
そう武ちゃんだけは家から大学に通っているのだ。
「はい。我が家はキリストの教えを受けていませんので、サンタクロースの存在は
幼い頃から否定されていますから、問題ありません。弟や妹達も今頃は実家で
祖父様や祖母様と一緒に太平洋戦線の戦略ゲームをして過ごしているはずです」
「…は、はあ…さいですか…」
さすが武ちゃん一家…実家が職業軍人の家系だけある。
おじさんはのほほんとして、プロ級の料理上手なのに対して、おばさんはキリリとした
格好いい女性だもんなぁ……いや、料理もおいしいいけど

以上です
421名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 05:16:12 ID:GxW2ghuL
プロローグだけ書いたけど、どこのスレに落としたかったか忘れたので投げ。


「お願い、優ちゃん!セックスして欲しいの!せーえき待ってたんだからね!せーえき!」

ただいま、と玄関を開けた俺を出迎えたのは、お帰りなさいという言葉ではなく、矢継ぎ早にまくし立てられる淫語だった。
「今日はお昼からずっとオナニーしてたの。ほら、見て。太ももまでぬるぬるでしょ。
今日は優ちゃんが喜ぶかなと思って、ずっと前の穴にバイブ入れっぱなしで、お尻の穴の訓練してたから両方ともいつでもファック出来るんだから。だからせーえき頂戴なのぉ!セックスぅ!」
すり寄られる胸元に火照った柔らかい乳肉の感触がある。
軽く羽織っただけの薄っぺらいロングコートの下に白くほっそりとした肢体。
その二本の足の間には、ピンク色のバイブレーターを固定するベルトがくぐもったモーター音を響かせている。
スイッチが最強に振り切られているのか、ずいぶんと音がうるさい。
「おい、楓、ここは玄関先だっての。バカ。ご近所に聞かれたらどうするんだ」
「ん?なんのこと?」
「モーター音!お出迎えの時はバイブの強さは控えめに。約束だっただろ」
「あっ」
「あっ、じゃないっての。バカ。約束を破った子にはおしおきだからな」
おしおきと聞いて、楓は嬉しそうに体を震わせた。きっとエロい想像をしたのだろう。
「おしおきー」とニヤニヤしながら居間へ向かう楓を尻目に、俺はこうなるつもりじゃなかったんだがなぁとひとりごちる。
楓にエロいことを教えこんだのはたしかに俺なのだけど、なぜこんなエロ廃人になったのだか……。

俺は目を閉じると、楓と出会った頃の思い出に思いを馳せた。
そう、俺と楓が初めて会ったのは3年前の夏だった―
422名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 01:14:51 ID:sZOBXg0T
納得いかないけど消せずにフォルダに残ってたので焚き上げ


柔らかな陽の光が差し込む午後の城内の書庫。
細く美しい指がページを捲り、ライトブラウンの瞳は羅列された文字を追う。
本の中に散りばめられた知識を余すことなく吸収するため、ベルは椅子に座り、読書に没頭していた。
書庫の扉が開き、靴音が聞こえても、彼女は分厚い本に夢中で目線以外は微動だにしない。
書棚に並ぶ無数の本たちに囲まれ、独りで黙々と書物を読みふける姿に、
王子は後ろからそっとその肩に手を乗せ、優しく話しかけた。
「そんなに本ばかり読んでいては、疲れてしまう」
「大丈夫よ。興味深い本ならいくら読んでも疲れないわ」
振り向きもせず、素っ気無い返事に、かつては野獣の姿にされていた王子は皮肉をこぼす。
「今度はベルが魔法にかけられてしまったのかい? 本から離れられない魔法を」
「あら、いやだわ。まさか本に妬いてるの?」
やっと本を閉じて膝の上に落とし、椅子の背もたれに身体を預けたまま視線を王子に向けたベルは、愛しさとユーモアを込めて返した。
「妬きたくもなるよ、ベル。俺には目もくれないでこんなに本にばかり夢中になっていれば……
 今すぐにでも君を俺のものにしたいのに、俺はどうしたらいい?」
包み隠さずその心の内を明かすと、王子は手を伸ばし、白く露わになった肌の滑らかな感触を確かめるようにベルを抱きしめた。
肩を大きく開けたライトイエローのドレス。かつて野獣であった王子がベルにプレゼントしたものだ。
ベルの甘い香りに誘われ、王子はそのこめかみに軽くキスをして、細長い首元にも唇を押し当てる。
「あ……まだ……明るいのに…」
「構わない……ベル、愛してる……もう何日も君を本に奪われて、どうにかなってしまいそうだ……」
甘い囁き。熱く、深くなってゆく王子の息遣いに身体を求められていることを悟ると、ベルはフッと力を抜き、男に身を委ねた。
ゆっくりとジッパーの下がる音だけが、書庫に響く。
優雅なドレスは乱れ、ずり下げられると、ストラップの無いブラの上に置かれた手が円を描くように動き出した。
同時に耳をやんわりと噛まれ、ベルは思わず声を漏らした。
「ん…っ、あ……、あ…っ!」
甘い声は男の欲望に更に火をつけ、理性を奪う。次々と耳元と首筋にキスを降らせ、その昂りを伝えると、
ベルもまた、官能に心を奪われ身体をしならせて応える。
背後から男の熱を感じたまま、我慢できないと言わんばかりに自ら背中のホックを外して――
423名無しさん@ピンキー:2010/12/15(水) 01:15:47 ID:sZOBXg0T
開放された双丘が重そうに揺れると、野獣の掌はそれを受け止め、淡色の小さな実は指に摘まれる。
「……あっ…!」
途端に先端が硬くなり、可憐な声は高くなってゆく。静かなはずの書庫に似つかわない光景がそこにあった。
装飾された椅子に腰掛けていた知的なる美女は、今やドレスを乱れさせ、腰まで白い肌を露わにして王子との官能に耽っている。
後ろからその乳房を揉みしだく男は、そのままベルをそっと立たせると自分の方に振り向かせ、今度はベルの両肩に手を置き、本棚に押し当てる。
無数の背表紙の立ち並ぶ棚から、紙とインクの香りがした。
「ベル……愛してる…愛してる……」
パニエが下げられるガサガサという音と、愛を囁く声が混じる。
ベルの足元で原型を失ったドレスはその四肢を隠す役割をすでに失い、美しい曲線は野獣の理性を完全に奪い取った。
女の臀部に押し付けられる男のそれは、ベルとひとつに繋がるのを待ち焦がれるかのようにそそり立ち、硬度を増してゆく。
「あなた……もう、こんなに……」
細くしなやかな手で頬を優しく撫でられ、王子は目を細めて愛する者を見つめると、その可憐な唇に自らの唇を押し当てた。
女の唇が僅かに開かれる。幾度となく唇を重ね、軽く吸い合いってはまた押し当て舌を舌で探る。
「ん……ん……っ! んぁ……っ! くぅ……ふぅ……ん…」
塞がれた唇から、快楽に甘んじて声が漏れてくるのは、野獣がその手をベルの乳房に伸ばしたからだ。
優しく、ゆっくりと揉みしだき、手のひらで乳肉を持ち上げると、指先は弱くその先端の赤い実を捏ねり、
きゅっと抓るように愛撫すると白く細い肩はピクン、ピクンと小さく跳ね上がる。
王子の手はショーツの中にまで伸び、柔らかな茂みをかき分けると真っ先に淫芯へと向かう。
締まった腰から下の、秘部を覆う上質な布の中で絶えず指先を動かされてると、
それに反応してベルはビクッと身体を弾ませ、腰が逃げるように蠢く。
王子はすかさず膝をベルの足の間に挟みこんで逃げ場を奪い、更に指を動かした。
「いやっ……あぁ……はぁ、はぁ…ん」
ショーツの中は既にしっとりとしており、蜜壷に指を沈ませればたっぷりと濃い蜜が指に絡みつく。
それを掬い上げ、ぷっくりと赤く腫れた核に塗り込めば、ベルはビクビクと身体を震わせ、腰がさらに蠢く。
「気持ちいいんだね……?ここが。ほら、こんなに溢れさせて……」
低い王子の声が耳元で囁かれ、それはまるで媚薬のようにベルの快楽を引き出し、蜜壷をさらに疼かせる。
羞恥に震えながらもベルは頷き、言葉の通り、充血した肉襞はひくひくと蠢きながら蜜を次々に押し出してゆく。
「綺麗だよ、ベル。ベル身体の事は俺が全部知ってる……もっと感じて……愛してる…」
書棚に押し付けられた美しい裸体は甘い囁きを一身に受けながら、今度はテーブルの上へと寝かされ、
王子の手によって引き下げられたショーツのクロッチ部分からは蜜壷との間に長く光る糸を伸ばし、雌の臭いを開放させた。
膝から下はテーブルから下げられ、野獣は愛する者の秘部をじっくりと眺めようと腰を落とす。
ピンクに色づく肉襞、愛液に濡れ光る膣口、小さくぷっくりとふくらんだ淫芯。
全てにねぶるような視線と熱い息を感じ、太腿を焦らすように撫でられると、女は羞恥と快楽にゾクゾクとうち震える。
「触ってもいないのにここをひくひくさせて…

くちゅくちゅと淫らな音を立てて淫芯を集中的に撫でてゆく。
切なく眉をひそませ、ベルの視線は並ぶ背表紙を見つめるも、快楽に身を蝕まれ文字を読み取る事さえままならなくなっていた。
「はあっ…はあっ…んっ……ああ……っ、あなた…あなた、もう……」
絶頂に追い立てられそうになったその時、野獣はそれを悟ってか、腰を掴むと既にいきり立つペニスの先端を秘部に押し当てた。
「何が欲しい?」
愛を囁く甘い口調とは異なる残酷な声でベルに尋ねる。
ぬめった愛液と先走りの液が混ざり合う。焦らすように腰を動かし、秘裂にあてがったペニスを強めに押し当てては引き、
ベルから愛欲を示すの言葉を待つ。
「あ……あっ…、あなたの……」
「俺の?」
恥じらいと快楽を待ち望む欲が葛藤する刹那、ベルは恐る恐る、後ろ手に野獣の怒張に触れた。
「これが……」
「どうして欲しい?」
淫らな言葉を避けても畳み込むように野獣が尋ねる。
「……どうして欲しい?」



ここまで
424名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 14:45:20 ID:H8dhWYqr

「痛てっ!」

蛇口をひねろうとして思わず叫んでしまい、舌打ちする。
見れば、右の二の腕には拳大の痣ができていた。
俺は仕方なく左手で蛇口をひねった。

……やりにくい。


なんとか仕事をやりくりして取った休暇。
彼女と温泉に行ったはいいが、結局疲労にやられたらしい。
立ちくらみで倒れかけた彼女を支えようとして、岩場にしこたま腕をぶつけた。
しかし手を出さなければ、奈緒の頭は今頃血だらけだっただろう。
だから悔いはないが、かなり痛い。
今日の風呂は面倒だ。
緩慢な動きでタオルを手に取ったとき、浴室がノックされた。
そして返事を待たずに戸が開いた。
「あ、やっぱりっ!」
先に風呂を使った奈緒が、浴衣姿でずかずか入り込んできた。
「こら、勝手に入るな!ていうか返事する前に開けるな!」
人の抗議を無視して、奈緒は俺の右側に屈み込んだ。
「……痛そう」
「大したことない」
「嘘。さっき悲鳴あげてたくせに」
聞こえてたのか。
「……ごめんね……」
「いーんだよ」
ごまかそうとタオルを持ち上げるが、動きのぎこちなさは明らかだった。
「そうだ。私、洗ってあげるよ」
425名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 14:46:08 ID:H8dhWYqr
「……え!?」
言うが早いか、袖を捲りはじめた。
「ちょ、ちょっと待ったっ」
「何で?」
奈緒は裾をパレオのようにたくし上げて結び、浴槽に入り込んできた。
ていうか。
太もも派としてはこの、絶妙な見え具合が、その。
「いやいやいや、待て待て待て」
「先に頭洗うねー」
太ももに目を奪われている間に、奈緒は自前のシャンプーを取り出して泡立てはじめた。
実際助かるのは確かだし、俺は結局奈緒のするに任せた。
「気持ちいい……」
「でしょ?人に頭洗ってもらうと気持ちいいんだよね」
と、ツボまで押されて完全にリラックス状態だったのが、洗い流してもらったところで大変な事態になった。
「あ、やだ。濡れちゃった」
奈緒の浴衣の前が濡れて、胸やら脚やらに張り付いてしまっている。
え、なにこれ。
やばくね?
「まあちょっとぐらいいっか。じゃ、身体洗うよ」

タオルにボディソープを泡立てると、前から屈み込んで肩から背中にかけて洗いはじめた。
それは軽く抱き着くような体勢な訳で、しかもあの浴衣が張り付いた胸が目の前をちらついている訳で。
奈緒が腕を動かす度に衿元がぱたぱた開くし。
「やっぱり下までは届かないや。ちょっと待ってね」風呂上がりの奈緒はブラジャーを付けていない。
柔らかそうな曲線が見え隠れする。
触りたい。
むしゃぶりつきたいのを懸命に堪える。
「あんま強くするなよ、俺繊細だから」
「あ、そうだね」
軽口を叩いてみるが、実はもう、その、……やばい。
奈緒が気付くのも時間の問題だ。
「あ」
気付いた。ですよねー。
「……」
「いや、その、奈緒が」
「……ばか」


投下しようと思ってたスレが書いてる途中で消滅してしまったのでお焚き上げー
426名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 08:56:21 ID:1lkm1P0T
書いてたけど御本尊様が暴走して話が全く違う流れになった+続き書けなくなったので短いけど投げ



踏み締められた大地は固く、岩盤のようだった。
元から荒涼とした地が続く平原だったが、兵と、馬と、こぼされたそれらの血によって、土は一層命を育む力を失っているように見えた。

──まるでノイグラードの悪政を象徴しているようだ…。

黒くくすんだ荒野を眺めながらノクスはそう思った。
視線の先、小高い丘の上には幾千もの甲冑を纏った兵士達の姿が見える。
掲げられた旗には聖国ノイグラードの紋章が入り、乾いた風にはためいていた。
微動だにせず、まるで人形のようにこちらを睥睨している集団は、神話に聞く冥界から気まぐれに呼び出された死者のようだった。
ただ主が命じるままに動く。
それは今のノイグラードと同じではないか。

──何が希望の女王だ。

貧困や差別から目を背け、自分の存在さえ無き事にしようとした。
その存在にどう希望を見出だせばよいのだろう。
今この時も飢えで苦しむ民がいる。
なのに、同時に満ち足りた環境でのうのうと暮らしている奴もいる。
そいつらはこの女王を崇拝し、犠牲となって虐げられている者がいようとは思ってすらいないのだ。
自らの目がトリスアギオニドに塞がれているとも知らずに。


「君は…ルーキス!?」

「……ノクス…」

あぁ、と溜息のような声が唇から零れた。
427名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 01:50:43 ID:/MqZQjkg
>>353
専用スレに投下できないSS 2
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1275079758/
スレが移行したよ。
428名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 23:39:39 ID:2zt7MOde
「よう、花梨」
俺は出来るだけ何でもないかのように声をかけ、ドアをノックした。
「……!武や……武志くん!」
花梨の驚く声が上がり、意外にもすぐにドアの鍵がガチャリと開いた。
部屋から出てきた幼なじみは、しばらく見ない間になかなかの美人になっていたが、
同時に暗い影を背負っていた。
長い前髪に半分隠れた顔は、一瞬だけ笑みを見せたが、すぐ元の無表情に戻った。
「うちの、お母さんが頼んだ、のよね……。いいよ、武志くん、勉強あるんだし……」
そう言って、花梨はうつむいて引っ込もうとする。
「いや俺が来たかったから来たんだよ! 勉強なんかしてねーし」
「だ、ダメよ……せっかく、緑高なんだから……ね?」
花梨は首を小さく振った。随分気を遣って喋ってるみたいだな。俺はふう、と息を吐いた。
「お前と一緒に行けない緑高なんかつまんねーよ! 俺も落ちれば良かったし!」
「そ、そんなこと言うな……、言っちゃ、ダメだよ…………でも」
花梨は言葉を詰まらせた。そして、
「で、でも……武やんとおんなじとこ、行ってたらさ! きっと、楽しかっただろ……な……っ。ぐすっ……」
ひくひくと肩を震わせて泣き出した。
「ああもう変わってねーな!」
俺はパジャマ姿の背をさすりながら一緒に部屋へ入っていった。

緑高に落ちてしまった花梨は、滑り止めとして受けていた梅高へ通うことになり……不登校になった。
家族に不登校の理由も話さず部屋に篭り切ってしまったので、幼なじみの俺が話し相手として呼ばれたわけである。
「ひぐ……っ、ごめ、武……くん」
花梨は俺の用意したティッシュで思いっきり鼻をかんだ。
「あの、わた、わたひ、実は……ね……えっと……。……」
「うん」
「ちょっと、その……ね……」
「言葉遣い戻せよ、その方が喋りやすいだろ」
「!いいの……?」
「ああ。女言葉のお前は気持ち悪い」
「な……!ひでーよ武やん!」
ぽかっと頭を殴られた。
「痛くねーな」
「うう……」
がくっと肩を落とす花梨。
「で、話してみ」
促すと、花梨は小さくうなずいてぼそぼそ喋りだした。
「ん……。オレ、さ……なんか、イジメられちゃってん、だよねー……」
へへっと笑い、おどけて見せたがその姿は弱々しかった。
「なぁ武やん……どーして女が『オレ』っつったらいけねーのかな……」
「……まさかお前それが原因でイジメに?」
男みたいな女ならともかく、おとなしい花梨が男言葉を使うのは奇妙に思われたのかもしれない。
「最初は、そうだったかな……隠してたのに、つい、ポロッとな」
「……すまん」
「え?」
「元々その喋り、俺のが移ったんだよな」
「いや! 武やんは悪くない、オレが真似したんだから!」
429名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 23:40:24 ID:2zt7MOde
幼い頃の花梨は、どこへ行くにも俺にくっついて来た。そしてなんでも俺の真似をし、男らしい遊びを好んだ。
俺はそれが弟分のように思えて、俺の真似を止めたり、女の子と遊ぶように勧めたりすることはしなかった。
だが、そのせいで……。

「本当に武やんのせいじゃないって! 多分、オレが鈍臭いせいで……」
俺の顔を覗き込むように見つめてくる。吸い込まれそうな大きな瞳だ。
美人ってのは嫉妬でイジメに遭うこともあるそうだな。
思わず目をそらすと、花梨の大きく開いたパジャマの胸元が映った。白い肌が谷間の深さを強調している。
「あ、あのさ武やん!」
花梨の言葉にはっとして視線を戻す。
「一つ、頼みがあるんだ……」
花梨の表情は真剣そのものだった。
「なんだ? 俺に出来ることならなんでも……」
「武やん、オレを抱いてくれ!」
「……っ!お前……。どういうつもりだ……」
さすがに驚いて聞き返す。
「一回だけでいい! 忘れていいから……!」
花梨は俺の手を取ってすがりつく。肘が、柔らかいものに触れた。
「武やんといると、オレ、安心するんだ……! ホントはずっと傍に、いたいけど、……
それは、無理だから、せめて……さ」
「……」
「おっぱいだってでかくなったし、ほら、据え膳食わぬは男の恥って言うだろ!」
声がだんだん震えてきている。
「ダメ、かな……出来るだけ、女っぽく、するからさ……」
「しなくていい」
俺は花梨の背中に腕を回し、開いた口に強引に舌を突っ込んだ。
「んんっ……!?ふ……んむ……」
花梨は戸惑っていたようだが、すぐに夢中で舌を絡め返してきた。
「んくっ……んん……」
唇を離すと、名残惜しげに細い糸がひかれた。
「あ、ありがと……して、くれるのか?」
「ああ、だが条件がある」
「……学校行けって、言うのか?……」
「違う。俺と付き合え」
花梨は大きく目を見開いてゆっくりと頷くのだった。



以上。放置してるうちにボクっ娘オレっ娘スレがなくなってたので
430名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 13:42:46 ID:qAwyerlG
エロまで書いてボーイッシュにでも投げればよかったのに
431名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 22:23:46 ID:KmaHzmCj
初めて全編一人称で書いてうまくいかなかったのと、投下予定の二次スレには
ニーズが無さそうなので焚く(全6レス)


元々、彼のことは好きでも嫌いでもなかった。
ちょっと面倒くさい男だなーって、思ってた。それだけ。
彼は会長とか自分の仕事とかにあれこれ不満とかがあったみたいだけど。でも別に
そんなのあたしに関係ないし。どうでもいいし。
あたしの仕事に面倒を持ち込まない限りは知ったことじゃない。
だから今日も彼に、あたしがまた休暇を取る間に会長のお世話をするようにって、
会長からの指示を伝えたら、さっさと帰るつもりだった。
こんなの本当なら、彼の携帯に電話一本すれば済む話なのに。会長が「本人に直接
伝えろ」とかわけわかんないこと言うから。
もー、面倒くさーいって。思いながら。わざわざ彼がいるこんな山の中にまで来た。
そしたらこの始末。もー。本当にいい加減にしてほしい。

いま、彼はあたしの体を車のボンネットに押し倒しながら。
すっごい鼻息荒くして。こっち睨んでる。

わざわざ追っかけてきてこんなことして。バカじゃないの。あー、ほんと鬱陶しい。
ま、あれよね。これは要するに。八つ当たりってやつよね。
彼には彼なりに世の中に対する不満とかがあって。会長とか仕事のこととかいつまで
たっても世界を守る、とかいうお子ちゃまじみた夢が叶わないことに対する鬱憤とか。
あたしに会長の面倒を見ろって言われたことで、ついにそれが爆発しちゃったのよね。
そしてその爆発をたまたま近くにいたあたしのからだにぶつけようとしてる。
あのね、そういうの。すっごく迷惑なんだけど。

「こんなこと会長が知ったら黙ってませんよ。私が報告します」
私は彼に両方の手首を掴まれて身動きできないまま、でもあえて事務的にクールに、
そう言ってやった。
こういうタイプの男にはジタバタ抵抗するより、冷めた視線を送ってあげるのがコツ。
自分がやってることがいかにみっともないか、その頭に叩き込んであげるのがコツ。
変にプライドばっか高い男ってそういうのが有効、のはず。
でも彼はあたしの体を離さない。あれ?おかしいな。
うわぁ。彼、すごい顔。これ、あれだわ。何だっけ。「自暴自棄」の顔だわ。やけくそ。
やだ。ヤバい。のんきなこと言ってる場合じゃないわ。
このままじゃあたし。本当に彼にやられちゃうじゃない!
って思ったら何かすっごく腹が立ってきた。
彼の不満とかあたしに何の関係もないし。そういうどうでもいいことで八つ当たりなんて
される筋合いないし。あたしこれから休暇だし。どう考えてもこれって超過勤務だし。
あたしの身体がどうしても欲しい、どうしても抱きたいって言うんならまぁちょっとくらい
考えてあげなくもないけど、あんた別にそうじゃないでしょ。ただの八つ当たりでしょ。
だからムっときて、あたしは彼に冷たく言ってやった。
「あなたには世界を守るなんて、無理」

言っちゃいけない一言ってあるのよね。
あたしだってこうして無理矢理からだを奪われようとしてるんだから、そりゃ好きなことの
一つや二つ言わせていただく権利はあると思うんだけど。
でも言葉って難しい。使いどころとタイミングを間違うと大変なことになる。
で、要するに今、その大変なことになった。彼、キレた。キレて空に向かって吠えた。
そんでまたすっごい力であたしの服を破るみたいに毟り取り始めた。
あの一言が命取り。
あーあ、失敗したなぁ。
あたし、やられちゃうんだわ。
432名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 22:24:26 ID:KmaHzmCj
「俺は……俺は……!!」
あー、何か言ってるわ。ちょっとやめてよ。耳元で喚かないでよ。息が熱いってば。
彼はあたしの身体を押さえながら服を捲り上げてブラを引きちぎるみたいに毟り取った。
なんてことしてくれんのよもう!それ高かったのに!
どんなにあたしがジタバタ暴れても彼はどこか器用な感じで下もパンツもするするって
脱がした。やだもう。そのパンツだって最近買ったばっかで結構お気に入りなのに。
ぜいぜいと荒く息を吐きながら彼はあたしを睨んでる。そんな顔したって彼の顔は元々
ちょっとかわいいからあんまり迫力ない。でも目は血走ってる。あぁもうやだ。
あたしは彼の胸を両手で思いっきり押し返そうとした。彼は唸りながらあたしの身体を
もう一度ボンネットに押しつけようとして。
ふと、あたしの胸を見た。
そして何だか急に、すごくびっくりしたような顔、した。
彼は見てる。あたしの、ぷるぷる震えてる胸、見てる。
ふざけないでよ。あたしのおっぱい、あんたが剥いたんじゃない。何よその顔は。

しばらくあたしの胸と顔を交互に見比べて。彼は口をぱくぱくさせた。
やれやれ。ようやく我に返った?自分が何をしようとしてたか気付いた?まったく。
判ったんならもうやめなさいよ。今ならまだ間に合うから。
あーあ、って思いながらあたしは体を起こそうとした。そしたら彼が呟いた。
「俺は……」
あれ?なに。なにその顔。なんで急にそんな。
なんでそんな「切ない」みたいな顔してのよ。何よいまさら。やめてよ。
彼は体を離した。ちょっとうつむいて、また顔を上げた。そしたらびっくり。
彼の目から、涙がすーって感じで。流れ落ちた。
あたしは驚いた。驚いて固まった。びっくり。彼が泣くなんて。
うーん。そういう泣き方はちょっと。わんわん泣かれたら気持ち悪いけど、そういう、
何となく切ない泣き方はちょっと。あぁん、もう。
あ、だめ。だめだめだめ。やめてやめて。あたし別に同情なんかしないんだからね。
「俺は……」
泣きながら彼はあたしの頬にそっと手を添えた。あぁ、ねぇ、ちょっと、ねぇ。
あ。やだ。あれ?ねぇ。うわ。もしかして。ちょっとちょっとちょっと。あ。あ、あ!何で?
彼。
キス、してきた。

意外だったことが3つ。
彼のキスは無理矢理な感じじゃなくて、甘くて優しかったこと。
だからあたし、何故か抵抗しなかった。固まっちゃってた、ってのもあるけど。
2つめは彼、キス。けっこう上手だった。へー、って感じ。融通の利かない堅物男だって
思ってたけど、意外と遊んでた?やることはやってんのね。
そして3つめ。あたしは彼のキスでなんて言うか。うーん。
何か溶けちゃった。とろけた。体がふわんってなった。
なんだか判らないけどキスされながら「ん……」みたいな。甘い声だしちゃった。

でもやっぱり。あたしは別に彼のことは好きでも嫌いでもない。
彼が欲しいとも思わないし、触られるのもイヤってほど嫌いでもない。
だからあたしは空を見てた。青くて高い空。ぷかぷか浮かんでる雲。
彼に首筋にキスをされたり、胸を揉まれたり、彼の指が遠慮がちに乳首をそっと優しく
撫でたりし始めるのを感じながら。
そう言えばあたし、こんな明るい時間からお外でこんなことされるの、初めてだなー。
なんて思いながら。ずっと空を見てた。
433名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 22:25:02 ID:KmaHzmCj
何で自分が抵抗しないのか、自分でもよく判んないけど。
なんか今さらジタバタするのもそれはそれで面倒くさいって感じだし。どうせこういう男って
何をしたって止めらんないんだし。
こうなったのは会長の責任だし。あたしに彼のところに行けって言ったのは会長なんだから
これはあくまでも業務中の出来事です。お仕事です。そうは見えなくてもお仕事。
だから彼にやられちゃう時間の分はきっちり申請して超過勤務時間手当は貰うし。
それに何より。彼、触り方とか優しかったし。痛いこととかしなかったし。
うんまぁ、ちょっと。気持ち、良かったし。

彼があたしの胸に唇と舌でいろんなことしはじめた時、ちょっとだけ彼を見た。
うーん。これは。うーん。何だかんだ言っても、やっぱり。
自分のおっぱいに男の子が吸いついてる姿って。やっぱりこう何か、「来る」わよね。
ちゅうちゅうちゅぱちゅぱ、右と左を慌しく行ったり来たりとか、何か必死な感じで。
まぁ、かわいいって。言ってあげてもいい。
でも好きな人とだったらもっと良かったのになー。
なんて思いながら。ずっと、空を見てた。
でもさすがに彼があたしの脚を「がっ」って開いた時は。やっぱり恥ずかしくなった。
だってこんな。青空の下で。あたしのあそこをお日様の光が照らしてる、なんて
そう滅多にあることじゃない。
あぁ。こんな明るいとこじゃ。あそこ。はっきりくっきり見えちゃってるんだろうな。
うわぁ。彼、見てる。あたしのそこ見てる。すっごい目で見てる。うわぁ。
なんかこういうシチュエーションって。うわぁ。来るなぁ。来る。来るってばもう。
ちょっとやめてよ。さっき胸、いっぱいいろんなことされちゃったからもう。すっごいことに
なっちゃってるんだから。
ねぇ、もしかして濡れてるから、そこ、お日様の光できらきらしてたりする?
って思ったら。うわぁ。もうなんかもうなんか。あぁ。

「やだぁ」
って、あたし言った。そしたら彼はまたあたしの顔とあそこを交互に見て。
なんか決心したように、そこに顔を近づけてきた。
うわぁ。彼、舐めるんだ。舐めたいんだ。わぁ。わぁわぁ。わぁ。

「ねぇ、はっきりさせときたいんですけど!!」
あたしは、顔を近づけてきてそこに何かあまり誉められたことじゃない事をしようとしてる
彼に向かって、慌てて声をかけた。
「私は世の中じゃありませんから!」
彼はあたしの開いた脚の間に跪いて、何か「わけがわからない」みたいな顔してる。
「そういう不満とか八つ当たりとかされるの迷惑だし。私に関係ないし。それにさっきも
言ったけど私は休暇なんだから、本当はこんなことに付き合う必要なん……あっ!!」
彼、触った。あたしのあそこにいきなり、触った。
「やぁっ!!」
あたしは触られてびくんってなって。思わず後ろにガクってなって。
フロントガラスに頭がゴツンってなった。痛いわよもう。
もう!まだ話の途中なのに、もう!
そして彼。あたしが体を起こそうとする前に、彼。
舐め始めた。
あたしはまた、ガラスに頭、ゴンってなった。
434名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 22:25:47 ID:KmaHzmCj
コン、コンゴンコン、ゴン、ゴンッ!!
「や。やぁだ。ねぇ、もう。ねぇ、ってば……あぁんっ!!」
あたしが舐められて体をよじるたび、頭ゴンゴンってなる。
彼は舐めてる。見えないけど舐めてる。それはもうすっごい勢いで舐めてる。
でも乱暴じゃない。優しい、すっごく。うわぁ。すごい。うわぁ。
どうよこれ。どうなのよ実際。こんないいお天気のお外で。車のボンネットの上に寝かされて
思いっきり脚を開かれてあそこペロペロされて、そんであんあんとか言わされちゃってる
女ってどうなのよもう。考えらんない。信じらんない。
でも。あぁでも。気持ちいい。
これ、来る。こういうの知らなかったけどすっごい来る。
それに彼、上手だし。何か優しくて「真摯」って感じで。あれ?紳士?真摯?どっちだっけ。
あぁもうわかんない。とにかくすごい。こんなのすごい。だってほら彼、あそこだけじゃなく
脚とか、膝の裏とか。そんなとこまで撫でたり舐めたり。
あぁ、脚。あたしの脚。ちょっと自信あんのよ。だからそこ、そんなふうに触られると。もう。

彼の舌が戻ってきた。脚からあそこに。うわぁ。始めた。集中攻撃はじめた。あそこ。あれ。
あぁもうやだってば。そんなふうにちゅうちゅう吸わないでって。下から上にれろれろん、なんて
舐めるのもだめだってば。そういうの弱いし。そこ弱いし。一番いいとこ。気持ちいいとこ。
もう何なのその舌。何でそんなに器用でやらしいの。あぁもう。もう、気持ちよすぎるってば。
やだ。来る。けっこう来てる。あれ?あぁ。どうしよ。ねぇ、ちょっと。あぁ。ヤバいかも。
あたしったらいくかも。こんなお外でこんなことされていくかも。
「ね。ねぇ。ねぇ……っ!そんなの、もう。い、や……です。ねぇっ!やだってば!」
とか言いながら。あたしもうほんと気持ちよくて。車の上でからだ、ジタバタ。
体、震える。彼の舌にうりうりされるたんびに、ぴくんぴくんがびくんびくんになる。
来た。あぁ来た来たきたきた。すごいの、来た。来てる。あぁ、来る。来る。
あぁ、あたしいくんだ。彼にこんな。お外でこんなことされていくんだ。うわぁ。うわぁ。
「ひゃっ、ねぇっ!ねぇってば、ねぇっ!あぁもう、もう!やだ、だめあたし、あっ。あぁっ!」
その時、彼があたしの胸に両手を伸ばしてきて、何か、何かのスイッチみたいに。
両方の乳首を、「きゅっ!」て同時につまんだ。
それがとどめ。だめ押し。なんかほんとにスイッチ入った。来た。もうほんとすごいの来た。
あたしお日様の下で思いっきり脚を開かれながら。すごい勢いで舐められながら。
いかされた。
「んぁっ!!」
って叫んで。また「ゴンッ!」って大きな音して頭がガラスにぶつかったけど。
あたしそん時はもうそれどころじゃなかった。気持ちよくって。ぜんぜん痛くなかった。
いっちゃったから。
あぁ。もう。いかされちゃった。彼に。あぁもう……あぁ……ふわぁ。

あたしがお空を見ながら、まだぼーっとしてるうちに。
何かカチャカチャって音が聞こえてきた。たぶん彼、脱いでる。ズボン脱いでる。わぁ。
やっぱりするんだ。そうよね。そりゃするわよね。うん、でも。でもでも。
「ねぇ、ねぇ、あの、ねぇ、ちょっと!」
あたしは体を起こした。そして彼を見て。見て。そんで。
うわぁって、なった。
だって彼のそこ。アレ。もうほんともう。すっごいことになってる。
「あぁ……あ、あの」
あたしゴクって唾のんじゃったけど、でも言わなきゃね。ちゃんと言いたいこと言わなきゃ。
「さっきの話の続きですけど、わたしぃ、ほんと、こういうの嫌ですから。あの、あのちょっと、
待ってよ、ねぇ。だからこういう八つ当たりみたいのは!って、ちょっとぉ!待ってって!
そんな脚、広げないでって!痛いやだちょっと痛いってば。あ、あっあっそんな!ねぇ!」
435名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 22:26:34 ID:KmaHzmCj
ずん、って来た。
もう、いきなり。待ってって言ってるのに!いきなり。
ずんって来てぐいって来てまたずーん!って来た。
さっきさんざん舐められていかされてとろっとろにされてたとこに、そんな。おっきくて固いの。
もう。あぁもう!もう!
「あぁんっ!!」
って叫んだあたしの声が山の中に響いて。あぁこんな大きな声で、あたし。なんてこと。
そしたら始まった。彼、動き始めた。
ずん。
ずん、ずんずん。ずんずんずんずんずずずずガガガガガッ!って感じで。
ちょっと……待って。いきなり激しすぎ!ちょっと、ちょっと!
早い。早い早い。彼の腰の動き早い。すごく早い。で、彼、すっごい目でつながってるとこ
まるで親の仇みたいに睨みつけながら、鼻息荒くしてる。
そんな目で出たり入ったりしてるとこ見てるくせに、でも彼はあたしの足首を掴んで
脚をガバッて思いっきり開いたり、閉じたり、角度を変えたりしてる。いい感じのとこ探してる。
ねぇ、ちょっとぉ。
あんた楽しんでんでしょ、ほんとは。ちょっとは楽しんでんでしょ?
もう、あたしのからだおもちゃみたいにしてぇ。もう!

彼にけっこう長い間ずんずんどこどこされてるうちに、正直、あたしも楽しんでた。
だって気持ちいいし。彼が奥までずんってするのもいいし、中を引っ掻きまわすみたいに
ぐりぐりされるのも、良かった。すごく。「ひぁっ、ひぁぅっ!」とか、叫んじゃうくらい。
それに彼、あたしが気持ちよくって悶えて車の上から落ちそうになってもちゃんと掴まえて
くれてたし。意外とそういうとこきちんとしてるし。だから安心して楽しんじゃった。
「あ、ふぁっ。ん……んっ、んっ、んんっ!!やっ、やぁっ!ああんっ!!」
なんて思いっきり声、出しちゃってた。ずっと。

そしたら彼があたしの両脚をがって抱きかかえるみたいにして、もっと早く動き始めた。
ぐいぐい来る。あ、これ。ラストスパートだ。あぁ。彼、いくんだ。いく気だ。これは判る。
だめ。だめだめだめ。それはだめ。いくら何でもだめ。言わなきゃ、あぁ言わなきゃ。
「ねぇ……っ!!」
あたしは何とか声を出せた。彼、動き止めない。うわぁ気持ちいい。でも言わなきゃ。
「な、中は……なかはだめ、ですっ!!」
そう言ったら彼はあたしのふくらはぎの隙間から顔を覗かせて、コクンって。小さく頷いた。
伝わったのかな。ちゃんと確認したいけど。彼、どこに出す気なんだろう。
服は汚さないでよ。車もね。それから中はだめって言ったけど口ならいいとか、そういう
ことじゃないんだからね。飲んであげるほどの仲じゃないしあたしたち。
って思ってる間にも。うわぁ。また早くなる。彼どんどん早くなる。すごすぎ。これすごすぎ。
やばいかも。あたしまたいくかも。って言うかいく。これはいく。いっちゃう。
彼は知らないはずだけど、あたし。こうやって足をつま先までピンって伸ばされてると、
割といきやすい。だから今、足の先っぽがお空に向いてるこの状態だと。かなり。かなり。
あぁ。すごい。すごすぎるってば。それにそこ、すごくいやらしい音してるってば。
彼のあそこの付け根があたしのお尻にパンパンっとか当たる音して。何か水っぽい音が
混ざってて。あたしのあそこがそんな音、こんなお空の下で。彼にやられて。そんな。
あぁ、あぁ。もう。
もうだめだ。もうだめだ気持ちよくてだめだ。青いお空が真っ白に見えてきてもうだめだ。
来てる来てる来てるさっきのよりもっとすごいのが来てる来る来る気持ちいいの来る。
ねぇ。ねぇねぇねぇ。あたし。ねぇ。ねぇ、ねぇ!あたし、いく。いくの?いく。ねぇっ!!
「んんっ……はっ!!……んはぁっ!!も、だめ……。い……くっ!!」
436名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 22:27:29 ID:KmaHzmCj
ゴンッ!!
どっか遠くの方ですっごい音がした。何の音か判る気がするけど今はそれどころじゃない。
「………んっ、あぁぁぁっ!!」
ってまた叫び声が聞こえたけどそれもたぶんあたし。
ズキューンッ!ってもうあそこから頭のてっぺんまで何かが凄い勢いで通り過ぎていった。
ガクガク震えながらもうわけわかんなくなってた時、なんかお腹の上に熱いのが来た。
あ、いったんだ。彼も。出したんだ。
彼。そこに出したんだ……おなかの上。良かった。中じゃなくて……。
って、ぼんやり思って目を開けたら。あたしの足のつま先が見えた。
青い空に向かって、ぴんって伸びたあたしのつま先の上に。
白い雲がのんびりぷかぷか、浮かんで流れていった。

あたしがまたぼーっとしながらボンネットの上で横になってる間に。
彼は自分だけさっさと服を着て、どっかから出してきたウェットティッシュで。あたしのあそこと
お腹の上に彼がこぼしたの、きれいに、丹念に拭いた。
ねぇ。終わったんなら。ちょっとくらい頭をなでなでしたりとか優しくキスとか、ないの?
って思ったけど、別にあたし達、恋人同士とかじゃないし。
そういうの、余計かもね。
だからあたしも体を起こしてゆっくり服を着た。終わっちゃうと、こんなのどかな景色の中で
おっぱいとか出してる姿って、ほんとバカみたい。
身支度を整えながら彼を睨んだら、彼はもうすっかりあたしのことはどうでもいい、みたいな
顔して、バイクにもたれながらまた暗ーい表情で空を見上げてた。
失礼しちゃうわよほんと。あたしのからだ、たっぷり楽しんだくせに。
あぁ、もう。でもいい。もうどうでもいい。もうこんなつまんないことでモメたくないし。

「とにかく!用件はきちんと伝えましたから!」
車に乗る前にあたしは彼に言った。でも彼は全然こっちを見もしない。
あー、もういいや。もう知らない。終わり終わり。さぁ休暇休暇。
って、でもまぁ。
お仕事の終わりって考えたらさっきの彼のとは確かに余計だったけど。
休暇の始まりって考えたら、けっこう幸先のいいスタートかもね。
だってさっきの。彼との。割と。
うんまぁ。気持ち、良かったし。

あたしは振り返りもせずに車を走らせた。彼もあたしを見てないって判ってるから、おあいこ。
さて、楽しまなきゃ。せっかくの休暇なんだから。さっきのよりも、もっとね。
でもとりあえずお腹すいちゃったから。
なんか食べに行こうっと。


以上終わり なむなむ
437名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 15:43:24 ID:b5FC6+Qa
面白かったよー
438名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 22:48:18 ID:hi+/tdqb
ナイス投げ
違ってたらゴメソ
5103×里中君?
439名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 00:22:32 ID:KWm9+Fgu
そうです
440名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:47:43 ID:u2b5RUOo
人外二次、薬漬けで他者の夫を寝取ろうとする話にしたかったはずだのに迷走したのでお焚き上げ
---

快晴の陽が疎らに射す、鬱蒼と茂った森林地帯。妻の好きな野草と木の実を咥え、木々の隙間を縫って、棲み処である湖へと帰路を辿っていく。
普段は空を飛ぶのだが、今日は天高くに乱暴な空気が身を裂こうと渦巻いており、俺はそれを避けるように低空を滑っていた。
木々の枝や葉っぱは、ばさ、ばさりと風に煽られ、大きな声で騒いでいる。この風が止むのは何時になるであろうか。

日が落ちて昇った頃には、何処ぞの誰かが暴れる空気の原因を報告してくれることだろう。
そんなことを思う俺自身、護り神だとか他称される割には他力本願な気もして、あまりいい気にはなれないのだが、俺よりも詳細に空気の声を聞き取れる方はなかなか多いという実情。
それに加えて、耳周りから生える俺の小さな翼は意外と強風に弱く、痛めてしまうと治るまで活動範囲が随分と狭まるため、そういった事は任せてしまいたいと思う。
せめて胴体から翼を生やす鳥さん方のようであれば、乱暴な風を聞きながらも、力任せにねじ伏せられるのだが、俺の翼ではそれができないのだし。
妻も同様なので種族的な問題なのだと言い聞かせているが、他の方々から空気の声を聞くしかない点は未だに後ろめたい心持ちがある。こんな俺が護り神だとか言われてて、果たしてそれでいいのだろうか、と。

そんな陰鬱とした思考を振り払いたく思い、ふと周囲の、茂みや木陰などに居る方々に意識を向ける。
この森に住む方々の、その視線は皆揃って俺の細長い身体を突いている。普段の俺は上空を飛ぶばかりなので、森の中を滑空する俺の姿が珍しいのかもしれない。
良くない前兆であると思われているのだろうか。中には俺の姿を見留めるなり、辺りに注意を払い始める方だって少なくはない。
俺自身、特に理由もなければそうすることも無いとはいえ、行動理念としては深く考えずただ安全な場所を通っているだけなのだし、そうやって森に棲む方々を不安にさせるのは、なんだか申し訳がない。
どうか気にしないで欲しいと思い、通り道のすぐそばに佇んでいる方々には、口から野草と木の実を咥え下げたそのままで笑顔を振り撒いてみせるものの。皆が笑い返してくれる訳ではないのが、また心苦しい。
湖でおとなしくしておけばよかった、と、吐きようのない溜め息が身体から零れていくのを感じる。
この野草と木の実は齧ってると落ち着くから、と妻が絶賛していたし俺も結構なお気に入りなのだが、態々こんな空模様に、独りで抓みに来るべきではなかっただろうか。
最も、空腹耐えかねて捕食を狙う、体じゅうの鱗が逆立つかのような冷たい視線までは差し向けられていないし、何事も起こりはしないだろう、と、そう自分に言い聞かせて。
木漏れ日の隙間をくぐりながら進み続けていると、ふと正面上方、木々の枝から一方の姿が顔を出してきた。
「ハクリューさん、ハクリューさん! こんにちは!」
草に擬態できそうな緑色の胴体と、首周りからは二本の蔦のようなものを伸ばした、手足なく細長い身体の方。
俺と姿が似ていなくもないが、俺よりは幾分か身体が太く、獲物を絞めることに長けた身体であることは一目で分かる。
彼女は地を這い木々を伝う全く別の種族であり、それと同時に、元来この森には棲んでいなかった、たった一匹の種族であり、多くの方々が避けて周りにあった視線も立ち消えとなるぐらいの強力な捕食者。
しかし俺達を狙うことはないし、俺の棲み処である湖の近くでは他の方とも争ったりしない、と約束しており、俺にとっては特に警戒するような方でもない。
「今日は御機嫌麗しく御座いますか? それともどうかなさいましたか? ジャローダさん」
俺は移動する身体を止め、長い尻尾を前に出すと、咥えていた野草と木の実をくるりと掴んで口を開けて、そうしてから言葉を放つ。
続け様には上方、木々の枝から伸びる彼女に向けて、やや上目に視線を返すと、彼女は快活そうな声とは裏腹に、顎を上げて俺を威圧しようと下目遣いに視線をくれていた。
いつものことか。
心なしか鋭く悪意を映したかのようにも見えるが、その口周りなどは緩まっているし本当に威圧しているわけでは、ないのだろう。
顎を上げて相手を下目に見留めるのは彼女の癖なのだというし、もしかすると彼女の種族は皆こうなのかもしれない。他に見たことがないので判断しようがないが。
「ええと、ハクリューさんこそ、どうなさったのですか? こんな所にいるなんて」
441名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:48:12 ID:u2b5RUOo
彼女はその本質に似合わず、不安がっているのだろうか。そんな彼女をただ安堵させたい思いで、変わらず笑顔を見せた。
彼女は、がさりがさりと、上方、木の枝をへし折りながら、背の低い草が生えるばかりの地面に降りてくると、改めて俺のほうに、顎をあげてから視線を向ける。首に付いている透き通った球が、その勢いにつられて二三、揺れた。
「はは、今日の空は、私の身では飛べないんですよ」
空に空気の棘がうねっていることは、言わずとも彼女だって理解していることだろう。俺が苦々しくも笑ってみせると、彼女の白く綺麗な喉元も、くつくつと小刻みに震える。
「それは残念ですね」
「はい、いつもの帰路が辿れないのは、とても残念ですね」
地に胴体を這わせる彼女と、宙に浮かぶ俺とで、苦々しい思いを含み笑いとして共有する。
ばさりと、上空に舞い木々を揺らす強い風さえなければ、穏やかな一場面なのだろうかな。
「奥さん……奥さんも飛べそうにない空でしょうか?」
「そうですねえ、私達の翼は鳥さん方ほど立派じゃありませんし、無理に飛んだとしても難行と言えそうです」
翼を傷めることも厭わないのなら、あるいは気合で飛べるかもしれないが、ボロボロになる後のことを考えるとやはり空を飛んでいくことはできない。
彼女と何気なく話しながらも、そのことを俺自身の中でも再確認すると、音もない溜め息を心の中に吐いてしまいたくなる。
いつもと違う光景を眺められる、と前向きに考えるしかないだろうか、はぁあ。リューちゃんまでの帰路が遠い。
――強い風に裂かれ、慌ただしく波打つ水面を後目に、喉元の水晶に祈り、やがてその顔を持て上ぐと、黒くも透き通った折角の瞳を、降らせた冷雨に濁らせ始める。
いや、リューちゃんはそこまで心弱くない、と、身動ぎせず振り払うものの、頭の中に浮かんだその姿を見てしまうと気が気ではなくなる。

「"それ"は奥さんに?」
一間開くと目前の彼女が俺の胴体へ、尻尾の先へと視線をずらしていき、続け様にはそう言葉を向けてきた。
その視線の先には、さっき俺が口から離し尻尾に持ち替えた、瑞々しい木の実と野草がある。
「はい、妻が小さな頃から好きな物なんですよ。私も好きですけどね」
どちらも味が薄く、身体によく馴染んで食べやすい物だが、ジャローダさんの口には物足りなく感じるかな、など考えながら。言葉の後には尻尾ごとそれを後方に下げる。
「まあ! 今日は大切な事でもありまして? それとも、ついにお腹にお子さんが? ああ、御芽出度う御座います!」
「いやいや、ただの私の気まぐれですよ。まだ子宝には恵まれておりません」
子宝は、欲しいね、と少し前から妻、リューちゃんと話し始めていたけど、何時になるだろう。前回まぐわった時はいい感じではなかったかな、と思ったものの、果たして授かることはできたものか。
「あら、そうなのですか? 日がいくつか落ちる前に、湖で絡み合ってるところをお見かけ致しましたのに……あれも駄目だったのですね」
そんな思考を読み取られたのだろうか、彼女は覗き込むかのように、俺の顔にその顔を寄せながら、その嫌らしい言葉を一つ一つ仕向けてくれる。
誰かしらに見られていた、ということ自体は別にいいのだが、その様子を声にされると途端に気恥ずかしくなり、目前の彼女から視線を逸らしたくなる。
顔が熱篭る感覚。下目に見つめ続ける彼女の眼光が、にやりと笑った気がして、更にそれを煽っていく。
「まだ判断するには早いですけど……それより、お恥ずかしい所を見られていたのでしょうかね」
日二つ前か、もしくは更に日二つ前のことだろうかな。それなりに楽しんでいたが、日四つ前のほうは執拗に追い回しすぎて軽く機嫌を損ねたりもしたか。
嗚呼、その事まで見られていたのだろうか、と。そう思うと項垂れるしかなかった。
「あらあら……ハクリューさん、そんなことで恥ずかしがってたら駄目ですよ? 貴方がもっと奥さんをいじめてあげなきゃ!」
「うーん、いじめたくはありませんが……有難う御座います、一考してみましょう」
今は見せる顔もなく、笑みを繕いながらも退去したい思いが溢れてくるばかり。いつまで経っても慣れやしない。
「では私は、そろそろ戻りますね。妻も心配しているかも知れませんので……」
「あ、はい、ごめんなさい、呼び止めてしまって……」
目を強く瞑り、一旦表情を潰してからそう言うと、彼女は承知の意を返してくれた。
なんだかんだ言っても彼女も不安だったのだろう。少しぐらい気が楽になってくれていることを、聞きはせずただ願うばかり。
彼女のすぐ横をすうっと通り、また木々や木漏れ日をすり抜ける帰路に挑もうと気構える。
「……もう少し、待って頂けませんか?」
442名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:48:52 ID:u2b5RUOo
その瞬間、彼女から再び声がかけられる。同時に、ばさり、ばさりと木々を叩く風が、ぴたりと止まった気がした。
「はい?」
何か大事なことを言い損ねたり。取り分け、忘れていたことを思い出そうとでもしているのだろうか。俺はそのまま、彼女の言葉に身を止められた。
視界に映る緑に妻の姿を見ながらも、次の言葉を聞き取ろうと後方に向けて首ごと顔を振り返らせると、そこにいるはずだったジャローダさんは、その身体を投げて飛びかかってきていた。
目前にあり、触り悪く、押し退かせられる。
「んえ?」

刹那、止まっていた風が、ばああ、と、何も無かったように吹き荒れ木々を揺らし、森の中まで突き抜けた。
視界ががくりと揺れ、低空を浮かんでいた俺の身体が、土の地面に落としつけられる。俺の身体より二周りかそれ以上に太い彼女の身体は、俺を押さえるには十分すぎるだけの重量があった。
随分と乱暴だな、と不服に思いながらも、いや十分加減してくれたほうなのかも知れない、と、直ぐに別の考えに至る。
「何でしょうか、重いですよ」
捕食者として生きているのが彼女の常なのだし、絞める素振りもなければ、きっとそうなのだろう、と。良心的な解釈だと自分自身で分かっていながら、他に考えられることもない。
「やっぱりもう少し……どうかわたくしのお相手をして下さりませんか?」
空のほうを向くように倒れた俺の、その目前に、陽を背負った彼女の顔が暗い影に浮かぶ。鋭い眼差しは俺を突き刺し続けるものの、いつもとは違い顎を引いて、上目に見つめられているように映る。
腑に落ちない所もありながら、無下にぶつかることもない。日常にはあまり無い雰囲気を身に纏って、一体何のつもりであろうか。

「大丈夫ですよ、私なんかで宜しければ。しかしどうなさ……」
了承の後に続けようとした尋ね言葉は、口が塞がれると共にかき消された。ただ驚き、尻尾の先で掴んでいた木の実と野草を取り落とす。
「う、んう」
本当は跳ね除けてしまいたいのだが、彼女の身体は重く力強く。首をずらし、彼女の顔を頬に当たる形にして、塞がれた口を開けられるようにするので精一杯だった。
「やめて下さい、そんな、困ります……」
俺の口を塞いだそれは、他でも無く彼女の口だった。
ほんの僅かな間だったのに、大胆にも唾液と、それ以外にも何か別のものを一緒に流し込んできていたらしく、言葉を放つたびに慣れない甘み、辛みが口じゅうに広がり始めていく。
「少しぐらい、いいじゃないですか、減るものでもないですし。それに」
そんな彼女は悪びれる様子など微塵もなく、ただ細く濡れた舌で俺の頬を舐め始める。
「貴方の奥さん、不倫しているのですよ?」

空に漂っている暴風が、より一層強く吹き、ざざあ、と、大きな音と共に木々の頭を切り裂いていく。
俺はどう返事を返せばいいのか分からず、一時の間、戸惑うしかなかった。彼女はこんな俺を見て、不敵な笑みでも浮かべているのだろうか。
噂に聞いたことはあったし、そうなのだろうかな、と。心外ながら確証に近づき複雑な気分。
だが少しばかり冷静になれば、リューちゃんが不倫していたからといって俺やリューちゃん自信が取り分けて変わるという訳でもない、と、すぐに気付く。
「そうらしいですね、少し前に、風の噂で耳に入っております」
「あら……少しは驚いてくれると思いましたのに」
俺より魅力のある方はいくらでもいるし、最近だって、あるお方に憧れただとか言っていたのだから、お近づきになった延長線、程度でそう珍しいことでもないのかもしれない。
妻を持っていかれたからと言って――いや、妻を返してくれないのなら流石に腹立たしく、気が滅入るが。その友好関係は大事にしてやりたいものだ、と結論付ける。
「ご期待に沿えず申し訳ありません。そして、それがどうなさったのですか?」
ジャローダさんの身体が圧し掛かっている現状だと、減らず口だと思われても仕方ないかもしれないが。純粋に、不倫だのと口にして、何が言いたいのか察しが付かず。改まって尋ねるしかなかった。
「嫌じゃないですか? 他の雄に現抜かされてて」
「嫌だなんて……少しぐらいはありますけど、それこそ私の妻ですしね」
浮気性、と言うとやや聞こえが悪くなるが、様々な方に魅力を見出せる、それこそ森の護り神のような奴で。寧ろ、そんなリューちゃんの夫だということは誇ってもいいぐらいだ。
「妻にとって私は、ただ気兼ねなく会話の出来る相手なだけ、でありたい。あまり束縛したくはないのです」
しかし、かっこつけた言葉を放ってみても、こう押さえ込まれていてはまるで形無し。くく、と声を殺しながらも苦笑いするしかないか。
443名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:49:27 ID:u2b5RUOo
「一途なのですね、ハクリューさんは……」
「そんな、私なんかに勿体無いお言葉です」
一間開き、俺の苦笑いを聞いてから彼女は、褒め言葉を俺に短くよこし。やがてその顔を俺の目前まで上げて、真っ直ぐに視線を合わせると、くふふ、と静かに微笑む。
暗い影の中に、悪魔が乗り移ったかのような、妖艶な笑み。
「でも奥さんがそれなら、貴方がわたくしと不倫しても、別に咎められやしませんね?」
「はい……?」
俺の体じゅうに生える鱗が、まるで逆立っていくかのような感覚が駆けていく。しかしそれが何なのかを理解する前、一抹の不安が奥底より沸くよりも前に、彼女が動き始め、地面についている俺の胴体を浮かせて彼女自身の胴体を巻き始めていた。
ぎりり、と鱗同士が擦れ、軋むほどに力強く締め付けてくる。

「大丈夫ですよ、わたくし達の間に子は成りませんから……ねえ?」
まさか、力ずくにでも関係を持ってやろうだとか、そんなつもりなのだろうか。この場はすぐにでも逃げたほうがいいかもしれない、と、焦燥感が出てくるなり、俺の肌を、鱗を貫く。
例えどんなに頑張ったとしても、俺、というかハクリューとジャローダさんとでは子は生まれないだろう。本能がそう告げているし、まぐわう理由なんてない。
仮にできたとしても、リューちゃん以外の方を愛でるかのようなことは、するつもりもない。しかしこの、目前に迫る彼女は、それら全てを承知の上で俺を押さえている。
「どうにか私を解放しては頂けないのでしょうか……?」
「少し付き合ってくださるだけでいいのですよ? んふ」
顔の強張る感覚が実に久しい。誰であっても傷付けたくはないのだが、身に危険を覚える以上は、好き勝手にさせるわけにもいかないし、と。
そう思っている間にも、彼女は巻き付けている太い胴体を持ち上げ、それごと俺をすぐ傍の木に叩きつけて。続け様にはするり、するりと地面から草を延ばさせ、俺の身体をその木に結びつける。
「全く、痛いですよ……」
このままだと身体が持たない。そう思うが早いか、俺は息を大きく吸い、身体じゅうに力を込めて結ぶ草を千切ると、口下に冷気を構える。
すぐ目の先にある彼女の、その瞳が一瞬曇る。
殺めまではしない、冷気を強い息吹に乗せて、彼女の身体を凍えさせればいいのだ、と。そう思っていたはずなのに。

「んん……んん……!!」
「ん、んぅ……」
次の瞬間には、構えていた冷気が、傷つけるはずだった彼女と、俺の口の間で溶かされていた。離れようと考えたのが遅すぎたのかもしれない、気づいた時には、すっかり彼女の為すがままになってしまっていた。
再び飛び込み、視界の下方へと消えた彼女は、ちゅう、と、力任せに俺の口元を紡ぐと、舌で俺の口内を繕い、弄び始める。
細い舌で俺の口の中をかき回し、漂う唾液をすり替えて。離れようと首を仰け反らせても、今度ばかりはその口も執拗に追ってきて離れることがない。
その舌を噛み千切ってやろうとすれば、まだ逃れられるのかもしれないが、加減を間違えれば殺めてしまいかねないことを実行する勇気は、俺にはない。
俺自身の、他の方に対する甘さを身に染みて認識させられる。
ただ無難に突き放そうと、懸命に身をうねらせても、絡み締め付けてくる彼女の隙間から、ぱた、ぱたりと土の地面を軽く叩くばかり。
言葉にならない声、視界がぐりぐりと回る、天が落ち地が昇り、鼻先では呼吸を整える。
風の木々を叩く音ばかりは変わることなく辺りを漂うものの、この周りに棲まう方達は皆、俺を押さえるこの方に恐れをなし、気配を消している。
俺とジャローダさん以外には誰もいない。
暗く深い水底に沈んだ心持ち。諦めがついたのかと理解すると、段々と平静を取り戻していく。

「身体を委ねて下さるだけの、準備ができたんですね?」
抵抗をやめ、身体から力を抜いておとなしくすると、彼女はようやく口元を離してくれる。
「恐らくはそうでしょう……不服ですけどね」
間近より黒く、企むかのように微笑む視線が、俺をより疲弊させる。声とする気さえ殺がれ、思考に巡る言葉も空虚に裂かれて消えていくばかり。
「じきに、その気になって頂けますよ」
口内に残った言葉の残骸を、静かな吐息とするが早いか、彼女はそう言葉を続け。胴体絡んだそのまま、首を上方に擡げ、天を仰ぎ、白い喉を真っ直ぐに伸ばした。
まさか、と、俺は見上げるようにその口元へと視線を移し、既に目前へと迫っていた"それ"を確認するが早いか、咄嗟に瞼を強く瞑った。
「う……」
444名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:50:14 ID:u2b5RUOo
頭から、静かに身を垂れ落ちていく、温くも熱い、ぴりぴりと強い痺れを伴う液。恐らくは身体の奥底からひねり出したであろう消化液。
細かな鱗が、その液と共に爛れてしまいそうなぐらいに熱篭り、酸味の強いそれを嫌う。鱗の隙間から奥にまで滲みて、瞬く間に身体じゅうを刺し始めていた。
「外から膜を覆わせるだけでも、全然体調悪くなっていただけますよね? 貴方の身体は取り分け代謝がよいですし……」
「実に加虐的ですね」
機嫌のままに、嫌味ったらしく悪態をついた俺は、護り神とはさぞかけ離れた姿であろう。言葉を紡ぎながらも、そんな点が気に障り、思考が一つに纏まらない。
「あら、そんな丁重に……お褒めに授かり光栄ですわ」
彼女は、強引に押し込んできた事については白を切るつもりか、くく、と一層怪しく微笑み、言葉を続ける。
褒め言葉なんて微塵もかけていないのに、と、俺は呆れを通り越し、言葉なく彼女を見上げ続けることしかできない。
「貴方に差し上げましたのは催淫草でしてよ? 雌雄両性に効く物です。ふふ」
「催淫草ですか」
どんなに甚振られても、支配されるつもりまでは無い。適当に相手をしてあげればじきに開放してくれるさ。
そう信じながら、言葉短く、ごくりと喉を鳴らして従順なそぶりを見せてみる。
「あ、でも貴方に効くかどうかは、分かりませんね!」
笑みを絶やすことなく見つめるその瞳は、心なし棘を失い、柔らかく解れたようにも思える。寂しさを紛らわしたかったのだろうか。
彼女は草を口に含む素振りなんて全く見せていなかったのに、その口から草を移されたことは即ち、俺と出会う前から頬張っていたことになる。
何故そのような物を口にしていたのか、想像するに易い。
――森の中にただ一匹、味方もなく獲物を捕らえ続ける中、群れの営みなど、孤独感を助長する光景も多く見てきて。
今日、ただ項垂れながら静かに森を進む中、空虚でもいいから同士を夢見たくなって、草をばくりと平らげ。
『ハクリューさん! ハクリューさん! こんにちは!』
偶然通りかかった、細長い身体の護り神を、慰み者にしようと考えて、嬉々としながら声をかけた。
――だなんて妄想はさすがに、正否より先に、考えるそのこと自体が気の引ける話だ、と。俺は止め処なく連なる思考を振り払う。
「はあ……」
いくら疎ましく思っても、彼女がその身を離してくれるわけでなし。それならせめて、悪い気にはさせないよう務めるべきだろうか、と、何だか心苦しくも、そう思考を転換させる。

全身を爛れさせようとする酸味の強い液体には心一つも向けることなく、喉奥から湧く、咽上がるかのような熱気を懸命に飲み込み続けた。
俺の身体は、彼女の望むがままにねじ曲がり、押さえつけられ。抵抗の変わりとして、俺からも微かに身を押し付ける。
地上に生きる者特有の身体は、俺にとって温かく。びりりと痺れて感覚薄い今でさえ、その熱を感じられて心地良い。
「ね、あんな奥さんよりわたくしの方がいいと……思いません?」
「どう……でしょうね」
しかし、ただそれだけならいいのに、このジャローダさんが求めるのはもっと異質な物。
「残念ですよね、わたくし達が仮に愛し合っても子を授かれないなんて……」
気を抜けばそのまま捕らえ、永遠に食らってしまいそうな、ヤドリギのような視線が、閉じるでもなく開いた薄目から、俺をぐるりぐるりと取り巻く。
「残念だ、と、本当にそう思いますか?」
「ええ、とっても……」
目前には固定された、逆光の影さえ退けるほどに血色よい、緑と白の顔。
天には雲薄く、強風に紛れ、いつの間にか振り落ちて来始めた霧雨が、彼女の頬に露を浮かばせ煌めく。綺麗。
「そうですか」
相槌ばかりは変わらずも、一瞬そう思った後には、喉奥からの鼓動がどくどくと強く流れ、身を跳ねさせる。
流し込まれた草が、もう俺に浸食し始めているのだろうか。
ジャローダさんは慈しむ対象として収まってくれるかどうか――この感情を、共有できたらさぞ楽しいことだろう。
――恋……浮気? 不倫?

「ど……した……? だいじょ……、はく……ちゃん?」
ふと、ぼんやりと輪郭を持たない声が聞こえた、気がした。遠くか、近くかは分からなかった。
何かがおかしい。
辺りに強く風が吹き、さらさらと細やかな飛沫が、俺と、俺の目前に塞がる生き物に降り掛かってきている。
身体が爛れるように熱いのは、吐きつけられた酸が鱗表面を擦るだけでなく、煽られた感情そのまま、内側からも襲い掛かってくるからだ。
つんざくような感覚は何だ。心身渇くような心持ちは何だ。
身体のどこかが裂けている? そう思考した瞬間に心臓の鼓動を意識してみると、存外何も聞き取れやしない。
445名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:50:59 ID:u2b5RUOo
――どういうことだ?
気が付いた時には、身体がこれでもかというぐらいに熱気を帯びていた。
目前に覆い被さり続ける生き物の左右から、降り掛かってくるその霧雨は、強風を支援として、さながら針のように突き刺さってくる。
刺された場所から、ボロボロと鱗が剥がれ落ち、肉が溶け滴って、骨をガンガンと叩く。崩壊し始めた身体には、余りあるほどの激痛。
「ジャローダさん……」
無意識に放てる声も、身体のどこから出ているのかさえ分からない。背に控えている冷たく濡れた土の地面が、やがて身に馴染み始める。
土に返るとはこういうことか。身体の何処で物事を考えているのかも分からず、ただ底知れぬ不安。
――俺の生きた証は、どこかにあるのか? 子はいない。子が欲しい。目前にて俺を押さえ付けているのは可憐な雌。彼女が欲しい。
「怯えないで下さい、わたくしは貴方の傍にいます」
変わらず遠くに聞こえる、ただ俺を助けようとするかのような声。俺が大切に思っていた生き物の声なのだろうか。
「あ、あ……あ……」
そうではなかった気がする、子は成らないなんてこと、再三に亘って確認したはずだ。
――そうだよ、俺が大切にしていた生き物とは、最初から子なんて成らなかった。
それは誰だ? ジャローダさん? 俺の大切にしていた生き物はジャローダさんだっただろうか? 分からない。
直前に口にしていたその名前以外、何もかもが爛れ落ちたかのように思い出せない。ただ、その名前の主が、幸いにも目と鼻の先にいる、そのことだけは理解できた。
愛おしく、慈しむべき相手? きっとそうだ。
目前にあるその生き物を骨身で押すと、その身体は力に沿って温かく、柔らかく窪む。そのまま力を込めると、さああ、と骨の擦れ合う音が頭に響く。
ホシイ。
ツチニカエルマエニ。

霧雨含む空気が、がたがたと戦慄の鼓動を作る。からから、と連なる骨格の擦れ合う音と共に、俺の軽い身体が宙に浮く。
俺を押さえていたはずの、重たいはずの生き物の、その長い胴にぐるりと巻きついて持ち上げると、くるりと身を翻して、俺の鱗と肉に塗れているであろう地面に叩きつける。
いたい。
そんな声が聞こえた気がした。
肉付いた顔で作り笑いしながら、透き通りながらも虚ろな瞳で俺を捉えて。それはさながら、俺を心配するかのようでもあった。

それまで冷ややかな霧雨に触れず、辛うじて残っていた背中も、その針に刺されると、鱗も肉も一緒くたになって、ぼろりぼろり落とされていく。
残るのはただ、何処から感じ取っているのかさえ分からぬ、ふわりと浮かれた触感と、焼ける程度では済まない熱さ。
傍目には化け物として映っているのだろうか。目前にいるこの彼女にも、そう映っているのだろうか。
そんなのは嫌だな、と思いに留めながら、俺はただ、軽い身を彼女の胴体に、ぴたりとくっつけた。

悲鳴のような、感覚短い震えが、漂う霧雨を通じて骨身に滲みる。目前に倒した彼女の、雌としての嬌声だろうか。
心持ちが整っているのかは露知らず、俺はただその鼓動に誘われるがままに、胴体を擦り付け始めた。
既に崩れ落ち、燃え盛るように熱い身体が、もう一度崩れてしまいそうなぐらいの斬撃。彼女の細やかな鱗が、まるで鋭利に俺の身を刻む。彼女に敵意はなくとも、身体ばかりは嫌がるものだろうか。
軽くなった俺の身は、地面より出でる蔦に支えられ、辛うじて形を留めている。俺はまだ生きている。この熱を忘れたくない。
「や、やだ、ハクリューさん、急ですね……ハクリューさぁん」
空気伝いに、彼女の声が鼓動と成りて俺の身を震わせる。
「やっと、その気になっていただ」
続けられる彼女の鼓動を、俺は穴の開いた口で塞ぎ、虚の舌をその中にただ押し込む。
身体じゅうが火として燃えているかのように熱いのに、それでも尚温かく感じる彼女の体温。ひとときの安堵。
しかしそうしている間にも身が崩れ続け、ごおお、と強い風が吹き当たると、隙間だらけの身体から、透き通った球や、心臓までが転げ落ちる。
土に返る――もう一刻さえ猶予していられない。その前に今一度彼女を俺の物にする――。
446名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 21:51:40 ID:u2b5RUOo
彼女はどんな表情をしているか。両目を懸命に瞑っているようにも見て取れるが、ぼんやりと霞んで詳細には伺い知れない。
血肉の殆ど残らない俺の身体に擦られるだけでも、さぞ痛いことであろうが、俺にはそんなことに構うだけの余裕さえない。
俺はどうなってもいい、ただその前に、慈しんでいたであろう彼女の温もりがもっと欲しい。そんな思いで、ぐい、ぐい、と棘のある身をよじり、その身体との距離を詰めていく。
そうして、ぐっと、めり込むような優しい感覚の後には、つん、と何か、腹のあった場所より下に、心地のいい触感を覚えた。とうに落ちて無き物となっていたはずの、性器の感覚が、都合良く残留しているのだろうか。
さああ、と重量感無くも冷ややかな雨風に少しずつ熱を引き剥がされていく空の御機嫌。折角の温もりが、消えていく。もっと温かくしたい。
なんて、複雑に考えるまでもなく、勢いのままに性器の感覚を彼女の下腹部へと突き刺して、再び軽い身をよじらせる。
「ん……ん……」
彼女は身をうねらせ微弱に抵抗するものの、体格差で簡単に退けられるであろう俺を弾こうとはせず、ただ体温を共有してくれる。
心地が良い、何も無くなったはずの身体から湧き出てくる安堵感。快楽。
「はく……ちゃん、やめ……」
遠く、風に裂かれて霞む声。近く、風に憑依し身に纏わる声。何もかもがうつしよに轟く渇望。後生聞き取れない、生き物の言葉達。
最後に思い残すこと無きよう、空っぽの身体に感情一つ一つを刻み付けていく。
シアワセ?
ワカラナイ。
目前に迫っているそれは、存外、深い感慨もなく受け入れられた気がする。

「んふ、やぁだ……有難う」
どちらともなく塞がれていた口を離すと、彼女は視線を顔ごと、俺の後方、曇り始めているであろう天へと逸らしたように見えた。
柄にもなく照れ、それを滅しよう視線を泳がせる仕草は可愛げのあるもの。できた事なら、もっと前のうちに見たかったものだ。
「でも、折角いい気分なのに、お客さんが……」

霧雨を吹き飛ばさんと、冷ややかな風が降り掛かってきた。それはひゅうう、と優しく、それでいて体温を奪うには十分すぎるほどに、骨身へと刺してくる。
お客様?
下方より伸びるジャローダさんの視線を追い、首を持て上げても、曇り始めた空にぼんやりと影が映る程度。
何者かは解せずも、化け物となったこの身を土に返しに来たのだろうか、と。感覚ない頭に、そうとだけ思考が巡るのだった――


---
以上お焚き上げとなりました。ご冥福をお祈りします
447名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 01:35:37 ID:x6i5dpW2
今手元にある作品が仕上げるのに時間が掛かりそうなので、
これを投げてすっきりしておきます。
乙一のGOTHからです。もう何年も前の作品ですが、
ネタバレしてるので、嫌な方はスルーでお願いします。
448名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 01:38:47 ID:x6i5dpW2
「森野、僕が」
「他の人にあんな顔しないで!」
 悪かった、と続ける前に森野の声が滑り込む。彼女ははっと息を呑むと、羞恥に顔を赤くした。
僕に言うつもりではなかったのだろうその言葉に、ちりちりと体の中から灼けつくような熱を感じた。
ぐっと唇を噛み締めたまま俯いている森野の頬に手をかけて、僕は彼女のくちびるをさらった。
「――さんのことかい」
僕が言うと、悔しげな表情のままこくりと頭を縦に振る。
 否応なしに、ため息をひとつ。
「そんなことか」
「ええ、そうよ、あなたにとってはそんなことでしょうね」
 いつになく鋭い眼差しでこちらを睨みつける森野が、しかし、僕は不快ではなかった。
「どうだって良いことだ。知っているだろう、森野夕。本当の僕を知っているのは君だけだ」
 ――そして、本当の君を知るのも僕だけだ。胸中で付け加えた。
 今にも泣きそうな顔をして、森野は僕をじっと見つめた。
「……ええ、そうね、ごめんなさい。私どうかしていたみたい」
 不意に、俯く森野を見て、彼女のその整った顔を歪ませてやりたい、得体の知れない欲求がじわりと忍び込んでくる。
僕は頭を殴りつけられたような衝撃を受けた。僕の中の最も冷静な部分は、そうして動揺している僕を嘲っている。
何を、良い子ぶっているんだと、それがお前の本質じゃないか。

幼い頃よくした遊びを思い出す。
捕まえてきた蝶を壁にピンで磔にして、一枚いちまい羽をもぐ。それでも蝶はパタパタと羽ばたこうとしていた。
僕はそれをいつも真剣に見ていた。
蝶がやがて力を失い、もはや存在しない羽を動かすことを止めるまで。
ぱたりと動きを止めた蝶。
命はどこへ消えるんだろうか。何匹の蝶を殺しても僕には結局分からなかった。今でも、たぶん、分かっていないんだろう。

首にあてがった手に力を込める。五指のすべてに力を込めれば、ぽきりと手折れそうなほど、森野の首は白く細い。
太陽を拒絶したように白い肌は、酸素の欠乏からだんだんと朱に染まっていく。
このまま、この手を離さずにいたらどうなるだろうか。
僕はうっとりとそう考える。
物音ひとつ立たない行為はどこか儀式めいていた。か細く漏れる声は森野の窮乏を僕に訴え、色素のない真白い指が僕の指に弱々しく重ねられている。
それなのに、その瞳だけは薄く開かれ、慈愛に満ちたといっていい様相を僕に示している。

森野の首にかけた手の力をゆっくりと抜き、彼女の体をきつく抱いた。僕は分からなくなっていた。なぜ彼女はこんなにも満ち足りた瞳で僕を見るのか。
森野の死を僕は待ち望んでいるか、それとも恐れているかさえ。彼女の最期を見たかった、それだけは確かだった筈だ。

449名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 01:41:27 ID:x6i5dpW2
「神山くん」
 祈りを捧げているみたいだ。森野の瞳はそれくらい深い色を湛えていた。
彼女の色づいた唇が僕の名をもう一度形作る。吸い寄せられるように僕は森野に、舌を絡めてキスをした。

「ん、ふ、あ」

 艶めいた彼女の吐息さえ、飲み込んでしまいたかった。
 すべて飲み込んでしまえば、この底の知れない飢餓、そして不安から僕は解放されるだろうから。

 傷跡の残る君の手首だけが僕の望みだったのに、欲望ばかり膨らんでしまった。君の髪、瞳、声、頭の先から足の先まですべてが欲しいと僕は思う。
 おかしくなったのは君のせいだ。口の端を上げてそんな自分を嘲笑う。
「森野、森野」
 彼女を呼ぶ僕の声に応えるように、彼女も僕の名を呼んだ。
 華奢な肩を掴んで、森野を見下ろす。そのまま顔を近づけて、舌を口内に潜り込ませれば、蛇のように森野の舌は蠢いた。
「ん、ん、んー!」
 かぶりを振って、逃れる森野に構わず僕はさらに奥へと舌を伸ばしていった。隠された秘密を暴くように、彼女がただ僕だけを見つめるように、呪いめいた思いを込めて。
ようやく唇を離した頃には、彼女の顔は赤く染まっている。透明な糸は森野の鎖骨にぱたりと落ちた。
「……い、やだって、言ったのに」
「……僕にはそう見えなかったから」
 森野は困ったように眉根を寄せて、僕を見上げた。
「もう、いいわ」
 きて、とやっと聞きとれる位の声で言うと、森野はすぐに視線を背ける。
 うん、と応えた僕は自身の先端を秘所に埋め込んで、入口で軽く擦り合わせた。
 先から滲み出た液体と森野の中から溢れ出る蜜を融け合わせるように、ゆっくりと体を動かす。
ほんの少し触れた途端に森野の腰も僅かに揺れた。白い手が同じく白いシーツを掴む。行為の後に、森野の手にはいつも爪痕が残っている。
「森野、僕の首に腕を回して」
 笑いながら言ったけれども、僕には森野の怯えが手に取るように良く解った。
 森野は、快楽を恐れているのだ。あさましい自分を、僕に見られることを恐れている。
「君のの全部を僕に見せて」
理性も全部手放して、僕だけを見る君が見たい。与えられる快感に、言葉に酔って、おかしくなってしまえばいい。僕はもう、とっくに壊れている、そうしたのは君だ、森野夕。
 伸ばされた腕は躊躇うように僕へと向かう。頬に細い指が触れる。触れられた場所から、甘い痺れが走り、僕の脳を揺らした。
 白い指に促されたように一息で奥に突き入れる。森野の中はきつく僕を締めつけた。
「や、や、だめ、だめ!」
ひと際高く放たれる悲鳴。断続的に震える体。森野は救いを求めるように僕の頭を胸に抱えた。続く彼女の体の震えは更に近くで伝わった。
「ねえ、森野。入れただけでいったのかい?」
 追い縋る腕を離して、僕は努めて冷静な声を発し、森野の顔を覗き込む。おそらく、口元には酷薄な笑みが浮かんでいることだろう。いっそ笑い出したいくらいだ。
森野は小さく首を縦に振る。今は平素の人形の様な面差しはなく、瞳は潤み、頬は赤く染まり、緩く体を揺すぶられる快感に必死で耐えている。
「あ、あ、あぁぁぁ!」
 高く響く嬌声を抑えようと、彼女は口に手をやった。彼女の望みが叶う前に、僕はその手をベッドに縫い止める。深く口づけを交わし、耳元に顔を近付けて囁いた。
「君の声が聞きたいんだ。僕にきちんと聞かせてくれ」
 言うと同時に森野の体の最奥を目指して、突き上げを速めていった。白い肢体を見下ろして僕は何度も森野と彼女を呼んだ。
 名前を呼ぶ度に彼女は僕を締め付ける。足を腰に絡められて僕らは更に密着した。繋げられた場所から生まれる水音、器から零れ落ちる体液。
もはや意味のある言葉は彼女の開いた唇から出ていない。嬌声は甘美な刺激となり、脳に快感を直接叩きつけられたかのようだ。蠕動する内部に煽られて、奥へと自身を捩じ込んだ。
それは隠されていた獣性が露わになる瞬間だ。僕らが知能を有する生き物だという事実さえ忘れさせる、本能のままの叫び声。放たれたのは人形のようなこの女から。
脳を真っ白に灼き尽す快感に呻き声が自然と漏れた。森野の体の最奥で僕は長く吐精を続けた。

 交じり合った体液は、もうどちらのものか分からない程どろどろに融け合っている。漏れ出る吐息が顔に掛かった。
射精した直後だというのに、いまだ森野の内部に留まる僕のものは硬さを保ったままだった。彼女という存在そのものに劣情していた。再び奥を突き上げる。欲望は果てる気がしなかった。

「もう、駄目! も、もうやめて、神山君。おかしくなっちゃう」
「狂えよ」
堕ちて来い、僕と同じ場所に来い。
450怪盗×夏蜜柑1:2011/02/18(金) 21:50:34 ID:+597GoQx
ジャンルスレでこのカプ読みたい的な米あったんで、意気揚々と
バレンタインネタを書いたのはいいけど、時期は過ぎまくってるし
キャラ壊し酷杉。よくよく考えたら需要無いな・・・と思ったので
こちらに投げ。



2月14日。その日は誰もが色めき立つバレンタインデー。
もちろん、写真館の中も例外ではなく、夏海が懸命にチョコを作っていた。
パットに並べられた、綺麗に彩られたチョコレート。
甘いチョコに込めるのは、愛情とほんの少しの………


『SpicyChocorate & Sweet Sweet SEX』


その日、夏海は朝から落ち着きがなかった。時計を見て、窓から外を覗き込み、玄関から外の様子を眺める。士とユウスケがそんな夏海の

様子を見て、士は呆れユウスケはなんとか落ち着かせようとしていた。
それは、自室にいてもそうで、何度も窓を開けて外を見ていた。
海東の姿を確認するために。

大樹さん、最近顔を出しませんけど、今日は来ますよね……?
チョコレート、凄く上手く出来たから、早く渡したいんです。

夏海はまた、時計とドアを交互に見た。
「そんなにそわそわして、誰を待っているのかな?」
「大樹さん!」
昼を過ぎた頃だろうか、夏海が一番声が聞こえ、部屋のドアが開いた。
「やあ、夏海」
笑顔で言う海東に、笑顔で返し歩み寄る夏海。
「お帰りなさい、大樹さん」
この家の人間じゃないのに夏海はいつも『お帰り』と迎えてくれる。
「ただいま、夏海」
それが凄く嬉しい。海東は、細い肩を抱いて軽くキスをした。
451怪盗×夏蜜柑2:2011/02/18(金) 21:56:21 ID:+597GoQx
「え?チョコレート?」
「はい。バレンタインデーですから」
ソファーに座り、夏海が入れてくれた珈琲を飲んでいた時、彼の隣に座り、そう言って少し恥ずかしげにリボンのついた箱を差し出す夏海

。海東はそれを受け取り、極上の笑顔を見せた。
「有難う、夏海。嬉しいな……開けても良い……?」
「はい、どうぞ」
「なんか……開けるの勿体ないな……」
なんて言いながら綺麗に包装されたそれを丁寧に開ける。
色んな形のチョコレートが、綺麗にトッピングされて並んでいた。
「これ、手作りかい?」
「はい」
「凄いね、美味しそう」
いただきます。と、一粒摘んで食べたのは、甘くて蕩けそうな生チョコ。
「どうですか……?」
「うん、美味しい。もしかして、色んな種類の作った?」
「はい」
「本当に凄いね」
また違うチョコを口に運ぶ。そのチョコはさっきのとは違い、ビターで少しスパイシー。
「これは、ブラックペッパー入り?」
「はい」
海東の問いに笑顔を見せる。
「へぇ……凄く美味しいよ」
「よかった。大樹さんがだーい好きだった士くんから貰ってた胡椒入り、ですよ」
「なつみ………」
笑顔のままなのに、棘のある言葉に海東は苦笑した。
「あのさ……士のことはもう……」
「大樹さん、士くんから胡椒貰ってた時、すっ……………ごく!嬉しそうでした」
「いや……それは……士に」
「騙された……なんて、嘘。士くんから貰ったのが嬉しかったんですよね、あれ」
「参ったな……ホントに、勘弁してくれないかな……」
ひょんなことから、以前、士に対して人には言えない想いを抱いていたことを知られてしまった。それからと言うもの、今だにこんな風に

嫌がらせ(?)を受けている。
「大樹さんはぁー、去年まではチョコあげる立場だったんですよねー……」
にっこりと、満面の笑顔を見せる夏海。
「違うから……」
「えっ?士くんから欲しかったんですか?」
「いや……そうじゃないんだけど……」
そんな言葉に頭を抱え込む。

あぁ〜〜〜……なんでこんな話ししなきゃなんないんだぁ!
……いや、でも!!

452怪盗×夏蜜柑4:2011/02/18(金) 22:00:38 ID:+597GoQx
「……でもさ、いつも『気色悪い、死ね』って、突っ返されてたんだよ、僕」
「そうですか。やっぱり、士くんにあげてたんですね。いーつーも」
そんな答えに夏海は余計に口を尖らせた。
しまった、薮蛇だった。と、頭を掻いてもすでに手遅れ。

だけど、そんな可愛いヤキモチが、本当は嬉しかったりする。
ちゃんと、想われてるんだ……って実感できる。
とは言え、機嫌が悪いのはどうにかしないと………

「ね……もう士の事はいいだろ?夏海だけが好きだよ。僕のお宝なんだから」
毛先だけ巻いてある長い髪を撫でて、顔の輪郭を撫でる。しかし。
「そう言えば、私の機嫌がなおると思ったら大間違いです!」
「痛てっ!!」
ぷう、と、頬を膨らました夏海におもいっきり手を抓られてしまった。少し赤くなった手の甲を撫で摩る。
「夏海、僕の事、嫌いになったのかい……?」
海東の言葉にツーンとそっぽを向く夏海。
「本当に好きだよ?なーつーみー!」
ヤキモチだとわかっていても、帰ってきて早々こんなに邪険にされるとちょっと悲しくなる。
そんな不安げな表情をする海東をチラリと見て、夏海はくすくす笑った。
「……嫌いなら、チョコなんかあげません。義理チョコだって、誰にもあげてないんですから……」
「夏海………?」
「ごめんなさい。意地悪しちゃいました」
呆気に取られている海東に、ぺろっと舌を出して悪戯っぽく笑う夏海。安堵して微笑んだ海東は、細い身体を引き寄せて、背中から強く抱
きしめた。
「ああ、もう。びっくりしたよ……」
「でも、少し妬けちゃったのは本当です」
「ん……」
抱きしめたまま苦笑する。
「それに大樹さん、なかなか帰ってきてくれないから……意地悪したくなります」
「ごめんね、夏海。寂しかった?」
こくんと頷き海東の腕をぎゅっと握り締める夏海。そんな姿が可愛いと思った反面、いつも待たせている夏海に申し訳なくなった。
「本当にごめんね。それと、チョコ有難う。凄く嬉しかったよ」
「はい……」
「ね。チョコ、僕にしかあげてないって、本当?」
「本当ですよ」
「本当、凄く嬉しいよ………」
夏海の髪に頬を寄せるとほのかに甘い香りが鼻を擽る。
夏海から発せられる匂い、それが海東の情を大きく揺さ振った。

帰ってきていきなりだなんて、エッチな男だと思われるかもしれないけど。いいよね、久しぶりに逢ったんだから。
453怪盗×夏蜜柑4:2011/02/18(金) 22:05:36 ID:+597GoQx
「あのさ……チョコ、凄く美味しかったけど……こっちの方がもっと美味しそうなんだよね……」
つぅー……っと、豊かな胸のラインを指でなぞる。
「ぁあんっ……!!」
そして耳元にキスをすると、ぴくん、と身体が震え唇から漏れる甘い声。
海東に幾度となく愛される悦びを教えられた身体は、彼に触れられただけで、いとも簡単に火が着いてしまう。
「凄く美味しそう……食べても……良い……?」
情に濡れた熱い声で囁かれると、より一層身体が熱くなる。
恋人から抱かれるのを断る理由なんか何一つない。

それに、意地悪しすぎちゃったから……

夏海は、コクンと頷いた。



「あっ……んっ……はぁ……ん………」
真っ白なシーツの上。一糸纏わずに横たわる夏海の白くしなやかな肌の上を、男の細い指と唇が滑る。甘い香りを放つ肌に唇を落とし強く
吸い付くと、赤い花が咲いた。
「夏海の身体、凄く甘いね……」
「あっ……んっ……!」
柔らかい胸を大きな手でやんわりと揉み、乳首を口に含む。それに吸い付き舌で転がすと、次第にピンと硬くなっていくのがわかる。
濡れた音を立てて唇を離すと、ぷるぷると揺れるピンク色の小さな果実。それは唾液で濡れて、とてつもなく淫靡に映った。
「甘いし……凄く熟れてる……本当に『夏メロン』だね……」
「その……呼び方……や……です」
「じゃ……『夏みかん』……?」
「それも………やです………」
「うん、僕も………」
コツン……と額を重ね、苦笑する。よりによって、士と同じ呼び方なんて。
絶っ……対に嫌だ!
「ちゃんと、名前………呼んで……?」
「ああ……」
夏海。と、呼ぶと嬉しそうに微笑むのが物凄く可愛い。
綺麗な髪を撫でて啄むようなキスを繰り返し、ふとサイドテーブルに視線を運んだ。そこには、夏海がくれたチョコレートの箱が置いてあ
る。何かを思った海東は、その箱を手に取った。
「ね、夏海。知ってるかい……?」
「………えっ………?」
「チョコってさ……媚薬なんだよ……?」
目を細めて微笑んで、チョコを一粒つまみ、「食べたら駄目だよ?」と、夏海にくわえさせた。
「だから……これで、夏海を蕩けさせてあげる」
チョコごと唇を吸い、溶かして甘い唇を舐めあげる。
すると、夏海の唇からくぐもった吐息が漏れた。
「んっ……ふっ……」
海東の温もりで、チョコが溶けて夏海の口の中に広がると、次第に頭がぽぉっとしてくる。それなのに、溶けたチョコを押し込まれて、そ
してまた、舌に絡み付いたチョコを舐め取られて……
まるで、自分も一緒に食べられているような感覚に陥ってしまい、いつも以上に感じているのが自分でもわかった。
「どう……ドキドキしてきた……?」
唇を離す時に、つたう糸まで琥珀色。
夏海は、はぁ……と、熱い息を吐き、コクンと頷いた。
454怪盗×夏蜜柑5:2011/02/18(金) 22:08:08 ID:+597GoQx
唇を離す時に、つたう糸まで琥珀色。
夏海は、はぁ……と、熱い息を吐き、コクンと頷いた。
初めて味わう、チョコレート味の甘いキス。甘い香りに包まれて、なんだか脳まで蕩けてしまいそう。
「だい……き……さ………もう……わたし………」
潤んだ瞳で切なく訴える夏海。
海東は下半身までその指を滑らせて、重なった花びらを指で開く。まだ、直接的な刺激を与えていないのに、夏海のそこはもうすでに蜜が
溢れ、しとどに濡れていた。
「凄いね……もう、濡れてる……」
ぐっしょり濡れたそこに指を滑らせた後、ゆっくりとナカに挿れるとビクンと揺れる細い身体。変わらず狭いそこは、海東の指を離すまい
と強く吸い付いてきた。
「僕の指、離さないよ……欲しい……?夏海」
その指を蠢かせてナカを刺激する。
「あぁんっ……ほしい……の……指じゃ…やなの……だいきさん……」
それじゃ足らないと、海東を求める夏海。
初めて肌を重ねた頃は、まだ全然慣れなくて、恥じらい、何も言えずにされるがままだったのに。
まるで男を知らなかった夏海を自分がここまでさせたのだ。
綺麗な、真っさらな夏海を自分の色に染めさせる。かなり古臭い表現だが、これ以上の悦びはない。

夏海は、僕だけの大事なお宝。
だから、なんでも君の望み通りにしてあげたい。

でも。

今日は、まだ駄目だよ夏海。

海東はその指を抜いて、纏わり付いた蜜を舐めあげた。
「まだ、だーめ」
「やらぁ……いじわるしないで………」
涙目でふるふると首を振り、愛願する様子すら愛らしく感じる。海東は、乱れた髪を撫でて、甘さの残る唇にキスをした。
「いじわるじゃないよ。今日はもっと夏海を悦くさせたいから……代わりに、コレ……挿れてあげる」
かりっ……と半分にして、口移しで食べさせながら、後半分は夏海の中心に添える。
それは、黒胡椒入りのとはまた違う、トリュフチョコレート。
「あっ……やっ……そんなの……だめ……きゃんっ……!」
指をクッ……と押し込めば、うねったそこは、抵抗なくチョコを受け入れてしまう。
「だ……いきさ……」
それとは対照的に、首を振る夏海。
「大丈夫だよ……夏海のナカ、凄く熱いから……全部溶けて来るよ……」
「やっ……そんなぁっ………」
自分のナカにチョコを入れられるなんて凄く恥ずかしい。だけど、それが余計に夏海の情を駆り立てていた。ますます身体が淫らに熱くな
ってきている。
「ほら、溶けてきた……」
とろり……と溢れでてくる琥珀色の蜜。海東はそれを指で掬い、夏海の唇に塗り付ける。
そして、舐め上げ、吸い付き、唇と蜜を充分味わった。
「どう?夏海味のチョコレート……美味しい?」
「わかん……な……い………」
「そう……?僕はすごく甘くて美味しいよ」
夏海の足を自分の肩にかけて、濡れた花びらに口付け甘い蜜を啜りたてる。厭らしい音を立てて舐め回し、ナカにも舌を指し入れた。
455怪盗×夏蜜柑6:2011/02/18(金) 22:13:05 ID:+597GoQx
「やっぱり……凄く甘い」
その上にある、一番敏感な小さい肉粒にも吸い付くと、細い身体は大きく背を反らす。
「きゃあっ!!あっ!!やん!!そこっ!!らめぇ!!」
より高くなる夏海の声を聞きながら、粒を舌で刺激する。そんな強い刺激に反応し、新たに溢れ出てくる蜜も舐め上げる。顔を上げると彼
の唇は蜜塗れになっていた。
「ヤバい……僕も……酔いそ……」
自分の唇についた蜜を舐め取り、綺麗な細い足の間に身体を割り入れる。そして、透明の汁で濡れた自分のそれを夏海にヒタリと添えた。
「挿れるよ……?」
言うなり、ぐちゅりと音を立てて硬いそれを挿入する。途端、夏海は悲鳴のような声を上げてくたりとした。
海東を包む肉壁は、奥へ奥へと誘うように強くうねっている。
「もしかして……イっちゃった……?」
尋ねると、耳まで真っ赤にして頷く夏海。
「らってぇ……だいきさんが……あんなこと……するからぁ……」
「可愛い……凄く、可愛いよ……夏海」
快楽の涙で潤んだ瞳で批難してくる夏海が物凄く愛しい。両手で頬を包みキスをして、ゆっくりと腰を動かした。
「あんっ……!!」
果てたばかりで敏感になっているナカを刺激されて、大きく背中がしなる。
「きゃ……ひぁっ……はぁん!!」
あまりに刺激が強すぎて、小さな悲鳴が上がる。
でも、止めたくない。止めて欲しくない。
「だぃ……き……さぁん……」
蕩けそうな表情で、自分の名前を呼ぶ夏海を愛おしく感じながら腰を押し付ける。
奥を突かれるたび夏海は、離れたくないとばかりにぎゅうぎゅうに締め付けた。
「あ、すごっ………も……イきそ………」
「わ……わたし……も……」
海東と一緒に、夏海も再び達しそうになっていた。海東は、とどめとばかりに更に激しく突き立てる。
「なっ……つ……み……っ!」
「あ、あんっ……!!あああっ!!」
高い嬌声が聞こえると同時に、奥まで突き立てるとそのまま動きを止めた。

どくっ……どくんっ……

夏海のナカで精を全部吐き出して、はあぁ……と、熱い息を吐く。
だけど、まだ全然足りない。もっと夏海が欲しい。
証拠に、夏海のナカで果てたのに、海東のそれはいまだ硬度を保ったままだった。
「まだ………いい……?」
「はい……」
このまま続けても良いのだけれど、海東は腰を引いてズルリと抜いた。一緒に溢れ出す白い欲。
「あんっ!!やあん……やめないで……もっとぉ……」
「違うよ、やめないから」
切ない声を出し、いやいやする夏海に宥めるようにキスをして、その身体を起こす。
今度は自分が寝そべり、夏海を腰の辺りで跨がせた。
「ほら……今度は夏海が挿れてごらん」
「はぃ…………」
いつもなら自分からなんて恥ずかしいと戸惑うのに、気持ちが高ぶっているからか、海東の言葉に素直に従う夏海。
逞しいそれを手に取り、自分の入口に添えてゆっくりと腰を落とした。
「あっ……んぁあっ……」
太いそれが夏海のナカを支配していく。白濁と愛液が潤滑油になり、難無く根本まで受け入れる事ができた。
はぁ……と、悩ましい吐息を漏らし海東を見つめる夏海。
「だいきさぁん…………これで………いぃ……ですか……?」
「うん。よく出来たね」
と、海東が優しく頭を撫でると、嬉しそうに微笑んだ。
「良いコには、御褒美」
そう言うと海東は、細い腰に手を添えて、下からズンズン突き上げた。
「きゃ……!ふぁっ……あっ……あんっ……」
突き上げと同じリズムで細い身体が跳ねて淫らに喘ぐ。その甘い声を聞きながら、夏海の痴態と膣内を堪能した。
「凄っ……いい眺め……」
上から眺めるのと下から見上げるのでは、また全然趣が違う。
456怪盗×夏蜜柑7:2011/02/18(金) 22:14:53 ID:+597GoQx
夏海を犯しているそれが、興奮でますます硬度が増していく。腰を振りながら、揺れる胸から腰までのラインを撫でると、「あんっ」と、

また愛らしい声が漏れた。
すると、また新しい欲も生まれてくる。
もっと、可愛い夏海が見たい。
「ね、夏海……夏海も、自分で……気持ちよくなるように動いてみてよ」
海東の言葉にこくんと頷き、ゆっくりと動きはじめる。拙い腰の動きだが、それでも海東を駆り立てるのには充分だった。
「ぁん……ふぁ……んぅうっ……」
自分のナカにある海東を感じながら、くぐもった吐息を漏らす夏海。腰を揺らすにつれて、次第に気持ち悦さが強くなってくる。もっと快

楽を得たくて、腰の動きは次第に大胆になっていった。
「んっ……そ……じょうず……」
その動きに合わせて海東が腰を突き上げてくる。すると、奥のほうまで貫かれて背中を反らした。その反動で、ぷるんと揺れる白い胸。
「きゃあぁんっ!だぃ……き……だいきさぁん!!あっ……あんっ!すごいのっ!もっと……もっとぉ!」
そんな夏海を熱い息を吐きながら眺める海東。彼もいつも以上に高ぶっていた。
あの夏海が自分の上で、甘い声を上げ淫らに腰を揺らしているのだ。もっと欲しいと愛願しながら。
これが興奮しない訳がない。
「夏海……なつみっ……!!」
目の前で、大きく揺れる豊かな胸を揉みしだき、乳首を親指で弄りながら、下から激しく突きまくる。
「ひぁあんっ!!だいきさんっ!!あ、あぁん!」
あっ、あっ、と、突き上げるタイミングと同じく上がる甲高い声。
もっと……もっと甘い声を聞きたい。夏海をもっと乱したい。
「きゃあっ!!」
海東はいきなり繋がったまま夏海の腰に腕を回して抱え上げる。対面座位になり、夏海の奥の方まで侵入した。
「ひぁっ……あっ……あんっ……やんっ……おくにあたるぅっ!!」
海東の首に細い腕を絡め、海東の膝の上で腰をくねらせる夏海。いつもの可憐な姿からは想像できないような、快楽を追い掛けることしか

頭にないと思わせるような卑猥で浅ましい姿。それがまた、海東を夢中にさせた。
「いやらしいね、……可愛いよ、夏海。もっと、いやらしくなって」
そう言い、そばにあるチョコに手を伸ばし、また一つ摘む。そして、それをくわえて夏海の口元に運んだ。
「なつみ……あーん」
夏海は、海東の言うままに口からチョコを受け取る。そのまま噛もうとすると、海東がそれを止めた。
「あ、噛まないで……それ、僕にも食べさせて………」
「はい………」
言われた通りに海東にチョコを口移す夏海。それを受け取り、そしてまた夏海に口移す。
トロリと溶け厭らしく舌に絡まりながら、何度も互いの口を行き来する、甘いチョコレート。
その時、唇から漏れた琥珀色がポタポタと、揺れる乳房に落ちた。
「チョココーティングされた夏メロン、美味しそう」
溶けきったチョコを飲み込み、突き上げながらチョコが付いた胸を撫で回す。そして、胸を持ち上げ、背中を屈めて舐め上げしゃぶりつい

た。
「ふぁあっ……あっ……やぁん……むね……やらぁ……!」
「やっぱり美味しぃ……」
夏海の快感に媚びた甘い声。唾液とチョコが混ざったそれで、ベタベタになった胸。充満する甘くて淫靡な香り。そして、最高に淫猥な夏

海。

ヤバい、これ、堪らない!!
457怪盗×夏蜜柑8:2011/02/18(金) 22:16:21 ID:+597GoQx
「ぁ……あっ……んっ……だい……き……さん……らめ……らめっ……!また……イくっ……イっちゃうのっ!!」
チョコに塗れた胸を海東に擦り付けながら、限界を訴える夏海。
「だい……き、さんの……ほしいの……!!はやく……あついのっ……あ、あんっ……」
「ああ、一緒にイこう!!」
強く夏海を抱きしめて、絶頂に向かい夏海を貫く。
「きゃっ!」
激しくガクガク揺さ振られて、夏海は小さく悲鳴を上げて、縋るようにしがみついた。
「あっ!あぁん!らめ!!らめぇ!!ひぁっ………きゃぁぁあっ!!」
夏海は悲鳴を上げて絶頂を迎える。そのきつい締め付けに、海東も再び夏海のナカで熱い欲を吐き出した。
「だい……き……さ……」
ドクドクと波打ち、注がれる白濁を受け止めながら、快楽のあまり繋がったまま意識を失った夏海。海東は力をなくした身体を優しく抱き

留めた。





そろそろ薄暗くなった頃、夏海の部屋のベッドの中、上半身を起こした海東の傍で夏海が眠っている。
チョコレートのおかげで夏海と甘いけど激しい一時を過ごすことができた。だけど、あれだけじゃまだ足らなくて、意識を取り戻した夏海

を幾度となく求めてしまった。
「流石に、やり過ぎたな……」
快楽と疲労に襲われて、深い眠りについてしまった夏海。激しい行為に乱れてしまった髪を手で梳いて掬い上げる。
すると、さらさらと海東の手から落ちていく黒い絹糸。
「可愛いな……本当に……」
何度も髪を弄びながら呟いて、ベッドの隅に置いていた箱を取り、まだ残っていた最後の一粒を口に運ぶ。
「ん……美味し……」
残っていたのは黒胡椒のアクセントが効いた、ビターチョコレート。色んな種類のチョコがあったが、これが一番美味しかった。
「本当に有難う、夏海」
そっと、額に口付ける。
その肌にいまだに残るチョコの甘い香り。それが鼻について、先までの行為を思い出した。
今日味わった夏海はいつもよりずっと甘くて美味しかった。まるで、口に入れると溶けてしまいそうな生チョコみたいに。

そうだな……チョコと違って夏海は、甘いほうが良い。

ほろ苦くてスパイシーなチョコレートと、蕩けそうなほど甘い夏海。そして、甘くて激しいセックス。
それはまるで本当の媚薬のようで、一度嵌まったら逃げられそうにない。
だけど、「それもいいかな……」なんて、海東は一人呟いた。
458怪盗×夏蜜柑(おまけ):2011/02/18(金) 22:17:37 ID:+597GoQx
最初のセックスが終わった頃の、夏海の部屋の外では。


「あいつ……やったら甘ったらしいセックスしてんのな」
「夏海ちゃん……スゲー色っぽいのな………」
半ば呆れている士と、半ばにやけているユウスケ。
「でもさ、×××にチョコとか…………」
「マニアックだな」
「な!」
「あーいう、セックスに興味なさ気な顔してる奴ほどマニアックだったりするんだよな。だいたいわかる」
「そんなもんか?ま、士は間違いなくドSだよな?絶対」
「俺の話しはどうでも良いんだよ!」
ユウスケと士がそんな話しをしている時に、いきなりドアが開いた。
「なーにーを、話しているのかな?君達は」
「か…かかかっ……海東!!」
「よぉ」
当の海東が現れ慌てふためくユウスケと、ヌケヌケと手を挙げてみせる士。さっきから正反対で可笑しい。
「覗き見なんて、かなり悪趣味だね?寂しいねえ……チョコも貰えない奴は」
冷ややかな目で二人を見る海東。
「夏みかんのすっげー声が聞こえてきたから、ナニやってんのか気になっただけだ」
「ふーん………」
「てか、夏みかんの×××にチョコ挿れるとかマニアックだなお前」
「余計なお世話だよ」
「美味かったみたいだな、夏みかん味チョコレート」
にやにやしながらそう言う士。
「それは勿論。すっごく美味しかったよ。チョコも夏海もね」
海東はにっこりと、満面の笑みで答えると、チッ……と、士が舌打ちした。

その程度の冷やかしで、慌てたりなんかしないよ。僕は。

「あぁ、君達。僕達のセックスをおかずにするくらいなら許してあげるけど」
笑顔が消えて、二人を冷たく見据える。
「夏海に手をだしたら命はないからね」
低い声でそう言うと、バタンとドアを閉じた。
「怖っ……」
「馬鹿か、男付きの女なんか興味ねぇんだよ」
小さく呟くユウスケと、ふんっ……と、鼻で笑い言う士。やはり正反対。
そういえば……と、ユウスケが手を叩いた。
「海東って、あれだよな。前は士に纏わり付いてたよな……?」
「あぁ……ったく、鬱陶しかった」
「あ!もしかして士、海東から構ってもらえなくて寂しいんじゃないのか?」
「んなワケあるか!!気持ち悪い事言ってんじゃねーよ!!」
げしっ!!とユウスケの尻をおもいっきり蹴った。
「痛てっ!!痛ぇって!!」
何故かムキになって何度もユウスケを蹴る士。

一体何にムキになっているのやら……?
459怪盗×夏蜜柑:2011/02/18(金) 22:22:02 ID:+597GoQx
これでお終い。カウント間違えてすみません。
しかし、チョコレート渡してえちーするだけの話がどうしてこんなに長くなったのやら・・・
よし、おまいら成仏しろよ!なむなむ
460名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 21:37:52.30 ID:aqmAp7KL
ナイス投げ!
461名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 15:06:06.96 ID:hcdrkRDD
投げ乙
462名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 01:15:31 ID:rGrv5xF3
投げ乙
463名無しさん@ピンキー:2011/02/25(金) 12:05:36 ID:S7me5eKO
ナイス投げ!エロかった!
464DCD DED×ネガ夏:2011/02/26(土) 23:46:39.23 ID:3B4FsWfM
これは、士達がいくつもの世界を渡り戦いを終わらせてから、一年が経った頃の話。

あの戦いが終わってからしばらくして、士と夏海は結婚した。
違う世界で生きていた二人は入籍こそ出来なかったが、そんなことは関係なかった。戦いが終わり、生活が落ち着いた頃、小さな教会で結婚式を挙げた。綺麗なドレスも何もない、祝福してくれる人も、たった三人だけの結婚式。
しかし、それでも二人は幸せだった。神様の前で永遠の愛を誓い、涙を流した夏海をその場にいる誰もが美しいと思った。
今は、光写真館で祖父とともに夫婦仲睦まじく暮らしている。
そして、これは最近わかったのだが、夏海の胎内に新しい命が芽生えたらしい。

ユウスケは、士と夏海が結婚する前に自分の世界に戻った。きっと、二人に気を使ったのだろう。
久しぶりに戻った自分の世界を見たユウスケは心の中で強く願った。
今までいろんな世界を見て、いろんなものを守ってきた。今度は、いや、今度こそは、この世界を守るのだ、と。
今は世界の平和を守るべく、密かに町を守る日々を過ごしている。
465DED×ネガ夏2:2011/02/26(土) 23:49:41.98 ID:3B4FsWfM
そして、八代の月命日には欠かさず彼女の墓前に立っている。良いのか悪いのか、いまだ忘れられないと言うことなのだろう。
そんな生活をしながらも、たまに思い出したように手土産を持って、三人が暮らしている写真館に遊びに行っている。
結婚して、幸せそうな二人の姿を見ていると嬉しくなり自然と笑みが零れる。やはり、皆が集まるその場所が、一番安らぐ場所なのだろう。

栄次郎は………まぁ、相変わらずだ。

そして、海東は―――

「懐かしいな……あまり変わってないみたいだけど……」
高層ビルの屋上に佇み、眼下に広がる町並みを眺めている。そこは、いつも眺めている町と変わらないはずなのに、どこか、寂しげに映る。
ここは、一年前はダークライダーが支配していた世界。
そう、ネガの世界だ。
「さぁて……ここにはどんなお宝が……?」
そんな、見覚えがある町並みを眺めて呟いた。



彼は、相変わらずトレジャーハントを続けていた。
かと言って、士達と別れてまた一人で旅をしている訳ではなく、何故か事あるごとに写真館に顔を出していた。
思えば当たり前かもしれない。そこに行けば美味しいコーヒーが飲めて、食べるものにも困らない。その上、寝泊まりまで出来る。海東にとってあの家は、便利この上ないだろう。
466DED×ネガ夏3:2011/02/26(土) 23:55:20.85 ID:3B4FsWfM
しかし、それだけではなかった。
写真館に行けば、単独でハントをする時とは比べものにならないくらい穏やかに過ごせる。そんな中で、たまにはわざと夏海にちょっかいを出し、嫉妬剥き出しにしてくる士をからかいユウスケと一緒にその様子を見て笑う。
そんな生活が実は気に入っていたようで、以前は我が家のように写真館に入り浸っていた。
だが、彼も次第に写真館に顔を出す回数が減っていった。
士と夏海の仲を知らない訳ではなかったから(特に夜は、迷惑をかけられたと言っても良いほどだ)、ユウスケと同じく彼なりに気を使ったのだろう。
そんな海東もやはりユウスケと同じで、突然ふらりと写真館に現れる。
不思議と彼が顔を出す時は必ずと言って良いほどユウスケが訪れて、「二人で示し合わせているんじゃないか?」と、皆で笑っていた。


467DED×ネガ夏4:2011/02/26(土) 23:58:39.00 ID:3B4FsWfM
落ち葉が舞い落ちる並木道。カサカサと、寂しげな音を立てて歩きながら、海東は町の様子を伺っていた。
それにしても、寂し過ぎる町だ。あれから一年経ったのに、町に活気もないし、それどころかまるで人の気配がしない。
いまだ町が復旧できていないのか、もしくはまだダークライダーが……?
まぁ、もし、そうだとしても自分には関係ない。
世界を生まれ変わらせるのは、この世界に生きる人間がするべきだ。

だけど……

と、海東は足を止める。
どうして、この世界なのだろう?
以前この世界に訪れた時は、この世界のお宝、ケータッチは士の物となり、結局は何も手に入れる事は出来なかった。
だから、もうここには何もないはずだ。

しかし。

トレジャーハンターの勘が働くのか、ここには自分の人生を左右する、そんなお宝が密かに眠っている。
そういう、予感がしていた。



「待てー!!!」
「そっちだ!!捕まえろ!!」
そんな時、遠巻きに男の声が聞こえてきた。
「………?」
何事かと、声のするほうへ駆け寄ってみる。すると、女が一人、数人の男に追い掛けられていた。
468DED×ネガ夏5:2011/02/27(日) 00:02:05.99 ID:3B4FsWfM
女はボロボロの布きれで隠すように全身を包み、必死になって逃げている。それを追い掛けている男達は、明らかに目の色が違う。見るからに異常な状況だ。
「待てっ!!」
男の一人がそのボロ布を掴む。その時、女の姿を包み隠していた布が振り払われて、その顔が見えた。ショートカットの女だったが、その顔は良く見知った顔だった。
「……夏メロン……?」
眉を潜めていつも呼ぶ名を口にする。そう、確かに夏海だった。
いや、正確に言うと、この世界の夏海……ナツミだった。
ナツミは足をもつらせ、よろけながらも必死に逃げる。しかし、その前方の脇道から別の男が出てきて道をふさいだ。立ち止まるナツミ。
「あっ……!」
後ろからは数人の男達。そして、眼前には手を広げ待ち構ている男がニヤニヤ笑って立っている。そして、他に逃げられるような脇道はない。
「残念だったなぁ」
まさに八方塞がりになり、立ち止まるナツミを男達は囲み込んだ。
男の一人が背後からナツミの両腕を掴む。
「ほーら、捕まえた!」
「嫌だ!!離せっ!!やめろっ!!」
ナツミは必死にその手を離そうとするが、男の力が強くて離せない。
469DED×ネガ夏6:2011/02/27(日) 00:03:24.58 ID:A/OHT4V2
「ったく、手こずらせやがって……」
前方に立ち塞がっていた男がジリジリとにじり寄り、ナツミを上から下まで舐めるように見つめる。その粘着質な視線に嫌悪感をあらわにするナツミ。そんな彼女に構わずに、男は二つの膨らみをがっしりと掴んだ。ゾワリと背中に悪寒が走る。
「いやぁっ!!」
「へぇ……見た目よりあるんだな。こいつは中々……」
豊満な胸を乱暴に揉みしだきながら、男は好色じみた目でナツミを見て舌なめずりをする。
「おい!!お前だけ触ってないで、はやくこいつ寝かせろ!!」
「そんな急かすなよ」
呆れたように男はそう言い、ナツミを足払いしてバランスを崩させる。そのまま倒れたナツミの腕を、背後にいた男が掴んだ。ナツミは身体をよじらせ必死に足をバタつかせて抵抗した。
「大人しくしろ!!」
「いやっ!!やめろ!!いやぁあっ!!!」
男達は、嫌がり暴れる身体を押さえ付け、一人の男が馬乗りになり服を脱がし……いや、ビリビリと引き千切っている。豊満な胸が晒され大きく揺れた。
470DED×ネガ夏7:2011/02/27(日) 00:04:48.06 ID:A/OHT4V2
「嫌ぁっ!!いやっ!!やめてぇ!!!!」
「そんなに叫んでも誰も助けねぇよ!!決まりなんだからよ!」
「そうだ!少しでも人間を増やすためだ」
「わかってんだろ!諦めろ」
必死に叫ぶナツミを押さえ付け、理解しがたいことを言いながらレイプしようとしている男達。こんな明るい街中で、あんなに女性が悲鳴をあげているのに、誰も助けに来ないなんておかしすぎる。
「どうなってるんだ……この世界は……」
そうは思うが、この世界の人間を助けても、自分には何の得にもならない。しかし、知り合いにそっくりな女が襲われているのを見過ごしたとなれば流石に後味が悪い。
「……ったく、仕方ないなぁ……」
海東は頭を掻いて、男の側に当たるように、狙いを定めてディエンドライバーの引き金を引いた。

ズキュー…ン!!

銃声が響き、男の足元に弾丸が当たる。
「誰だ!!」
男達は海東の方を一斉に見た。
「その娘から離れろ!!」
ディエンドライバーを構えたまま「次は撃つ」と言うと、その男達は敵わないと思ったのか、チッ……と舌打ちをして走り去っていく。それを見送って、クルクルっといつものようにディエンドライバーを回した後、海東はナツミの側まで歩み寄った。
471DED×ネガ夏8:2011/02/27(日) 00:06:33.03 ID:A/OHT4V2
「…………!」
ナツミは遠目で見たよりも酷い状態だった。身体のあちこちは傷だらけ。身につけている服はもうボロボロの布きれに成り果てていて、ほとんど裸に近い状態だった。
「だいじょ………」
海東がそう言い終わる前に、ナツミは側で割れた硝子瓶の破片を握りしめ、無茶苦茶に振り回した。
「……っと!!」
海東は咄嗟に後退り、身をかわす。
まさか、助けた女から攻撃されるなど思ってもいなかった。
「こっちに来るなっ!!」
「ちょっ…!待ちたまえ!僕は助けてあげたんだよ」
「うるさい!!男なんか皆同じだ!!お前も助けたフリしてどうせ!!」
「……っ!!」
その言葉を聞いて、海東は険しく眉を寄せた。

何があったのか知らないけど、助けたのにそんなふうに言われるなんて屈辱だ!!

今まで避けていたナツミの腕を、強く掴んで動きを塞ぐ。
「……!!」
そして、反対の手で破片を強く握り締めた。
「なに……を……!!離せっ!!」
ナツミが手を引こうとしてもビクともしないどころか、ますます力は強くなっていく。硝子を握り締めたその手からは、血が流れていた。鮮血がポタポタと自分の手を伝い落ちていくのを見て、ナツミはうろたえた。
472DED×ネガ夏9:2011/02/27(日) 00:08:01.11 ID:3B4FsWfM
「僕を見くびらないでくれ!そんな真似は絶対にしない!!」
語気を強めて叫ぶ海東。
それに夏海は、ビクン……!と身体を震わせて、怯えた顔を見せた。
「僕を信じられないなら、このままここに突き刺せばいい」
夏海の腕を掴んだまま、ほら!と、鋭い破片を自分の心臓に突き立てる。
「…………」
自分を真っ直ぐに見る海東をしばらく見つめた後、身体の力を抜いたナツミ。ようやく落ち着き大人しくなったナツミに、海東は小さくため息をついて、自分のシャツを破き傷口をきつく縛ると、血で汚さないようにジャケットを脱いだ。
「……っ!!」
ナツミはそれを見て危険を感じたのか表情を強張らせ、腰を抜かしたようにペタンと座り込んでしまった。そして、必死に後退りカタカタと震え出して首を振る。さっきの男達から逃れられて安心したせいもあるだろうが、もう立ち向かう気力も逃げる体力も残っていないのだ。
当の海東は、そんな痛々しい姿を見てナツミになにかしようだなんて、そんな気持ちは到底起こらなかった。
「そんなに警戒しなくても良い。そんな恰好じゃ歩けないだろう?これでも着ると良い」
と、海東は脱いだジャケットを差し出す。
完全には信じられていない事に少し落胆した海東だが、今のナツミの状態を見れば仕方ないとも思った。
本来なら美しかったであろうその白い肌には、最近ついたものではない痣や、古い傷も残っている。今まで余程酷い目に合ってきたのだ。
「あ………あの………その………ありが…と………」
ナツミはそれを受け取り、呟くように礼を言った。
「いいから、早くそれを着たまえ。目のやり場に困る」
ナツミから視線を反らし、そう言う海東。
ナツミは小さく頷いて、海東のジャケットを羽織った。
473名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 00:13:03.06 ID:A/OHT4V2
かなりマイナーなカプで需要なさそうなのと、かなりの長編になりそうでエロがいつ入るのか謎になったんで投げました。
まだ続きがあるけど、携帯からの投げってかなりめんどいんだな………

では、成仏しておくれ。
474名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 01:20:03.50 ID:GbgVUSU4
ナイス投げ!!
475名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 21:49:04.67 ID:CYMT10SF
ナイス投げ!
476名無しさん@ピンキー:2011/03/03(木) 18:44:48.73 ID:0VwF1rEY
ナイス投げ!
477名無しさん@ピンキー:2011/03/06(日) 04:11:34.91 ID:a1I6hM+w
本スレから追って来たかいがあったw
ナイス投げ!
478473:2011/03/07(月) 12:22:25.21 ID:Ld6+J5VE
残り、投げてもおkかな?

なんか、連載みたいな感じになるから躊躇ってる
479名無しさん@ピンキー:2011/03/08(火) 07:18:19.06 ID:Yz/J2K8O
廃棄にするつもりなら投げればいい
480DED×ネガ夏10 :2011/03/09(水) 20:40:39.68 ID:9h/x6QZB
>>472のつづき
有り得ないトンデモ設定が出てくるが、スルーでよろ



ナツミが落ち着いたあと海東は、自分がこの世界の人間ではない事とライダーである事。そして、この世界に来た目的を告げ、彼女からこの世界の事を聞いていた。
どうしてこんなふうになってしまったのか。
「…………それで、君はそんな目にあっていた………と?」
「……………」
「そう……か……」
海東の問いに、ナツミはジャケットをぎゅうっと握り締めて頷く。彼は壁に背もたれ、複雑な表情をしたままディエンドライバーを弄っていた。





一年前、この世界に来た赤い悪魔がダークライダーを倒したおかげで、奴らは残り数少なくなっていた。
その後は、生き残っている人間達が立ち上がり、策を練ってダークライダーをやっとの思いで倒した。
これでやっと、この世界も平和になる。そう思った矢先だった。
今まで支配されていた恐怖が強すぎたのか、平和を手に入れた途端、男達がおかしくなっていった。権力を翳し、暴力を振るい好き勝手するようになる。よくある話しだ。
揚句の果てに男達は、あるきまりを作った。
481DED×ネガ夏11 :2011/03/09(水) 20:41:59.67 ID:9h/x6QZB
「子孫繁栄のため、どんな女とも性交してもよい。女も、それに従うべき」と。

つまり、女を見たらレイプをしても構わない。そして、女は拒否してはいけない。と、そう言うことだ。
真っ当な人間なら考えることはない、目茶苦茶で狂った掟。普通なら受け入れられるはずがない。

しかし。

支配欲に酔った男達は、ダークライダーのせいで極端に減った人口を、増やすための最善の案だ。と、これに異を唱える者はいなかった。
それから、女性にとって地獄のような日々が始まった。
声を上げて泣き、許しを請う女を有無を言わさずレイプしていく男達。中には気に入った女を何度も犯す男もいた。
そして、魅力的な肢体を持つナツミも、もう何度も男達の餌食になっていた。彼女は何も言わなかったが、時には助けるふりをして油断させ、逃げ場を無くしてから犯すような、そんな卑劣な男もいたのだろう。先にナツミが発した言葉がそれを物語っている。
やはり、体中の痣や傷はその時に残されたものだった。
「そのせいで……私達は……」
ダークライダーが支配していた時のように、今度は女だけでひっそりと暮らすようになった。
しかし、その中でも男達から受けたショックが強いあまりに、食べる事を拒否するようになった女、誰とも口を聞かなくなった女、最悪、自ら命を絶つ女もいた。
そうなっては子孫繁栄も何もない。それでも男達は、その愚か過ぎる行為を止めることはなかった。
482DED×ネガ夏12:2011/03/09(水) 20:44:06.53 ID:9h/x6QZB
「子孫を残すためだ……なんて……ただの口実……あいつらは……ただ……女を……自分達よ……り……弱い女を………!」
震えた声が詰まり、その瞳からは涙がポロポロとこぼれ落ちる。


女を犯したいだけ………か……随分酷い話だ……


クルクル……カシャン!!クルクル……カシャン!!
いつものようにディエンドライバーを回し、睫毛を伏せる。
正直、自分が良い人間だとは思わない。だが、それでも、反吐が出る思いだった。
「もういい、わかった。辛いことを聞いて悪かったね」
何気なく頭にポンと触れようと、海東が手を差し出すが、やはりビクッと震える身体。
海東を信じられないのではない。ナツミの感情に関わらず、身体が男を拒否しているのだ。
「………………」
その手を引いて、握り締める。言いようのないやるせなさ、切なさが込み上げた。顔見知った女だから尚更だ。

夏海はあんなに幸せそうに暮らしているのに………

「……とにかく、君をその隠れ家まで送ろう」
「えっ……?」
「乗りかかった船だ。君を無事に帰さないと落ち着かない」
ナツミを一人、こんなところに残して行ったら男達の格好の餌食だ。それでは、助けた意味がない。
「安心したまえ。君を送り届けたら、僕は消えるから」
これからは捕まらないように気をつけたまえ?
いつもの、指鉄砲で狙いを定める仕種を見せる。
「…………」
ナツミはそう言う海東の、怪我を負った方の手を見た。シャツの切れ端は真っ赤に染まり、まだ血が流れている。
「て……あて……」
「…………?」
「ケガ……手当しないと………」
「怪我……?」
あぁ……と海東は自分の手を見つめる。
「このくらい、どうってことないよ」
「駄目っ!!」
海東の言葉に声を上げるナツミ。その勢いに目を見開いた海東だったが、ナツミ自身も驚いたようだった。
483DED×ネガ夏13
「あ………え……と………あの……助けてもらったのに……それに、泊まるとこだって……ない……でしょ……?」
「そこまで君が気にすることではないよ」
「でも…………」
ナツミは、放っておけないのか、納得いかないふうに俯いた。
「僕は大丈夫だから」
そう言うが、彼女はフルフルと首を振る。
「じゃあ……せめて……手当だけでも……させて……?」
どうしてもそう言うナツミ。
「……………………」
しかし、海東にそんな気はないが、また騙されているとしたら、どうするつもりなのだろうか。反対に心配になる。
まあ、自分から怪我をしてみせて啖呵をきった手前、そう思うのもおかしいのだが。
それに、違う世界から来た見知らぬ男が勝手にやったことだから放っておけばいいのに。
「いいから」
「駄目っ!!」

なんて頑固な娘だ。
やはり夏海なだけはある。

海東は諦めたように、小さく溜息をついた。
「わかった。じゃあ……手当だけ、頼もうかな……?」
ナツミが顔を上げて僅かに微笑む。初めて海東に見せた笑顔だった。
そしてナツミは、少しよろけながら立ち上がる。
「じゃあ、ついて来て……?あ……えと………」
戸惑いの表情を浮かべ言葉を詰まらせる。海東の名をまだ聞いてないから何と呼んで良いのかわからないのだ。
「あぁ、まだ自己紹介してなかったね。僕は海東大樹」
「かいとう……だいき……?」
「そう。よろしく」
「私……は……」
「光夏海……だろ?一年前に逢ってる」
「え……?」
海東の言葉に不思議そうな顔を見せるナツミ。
「覚えていないかい……?一年前、もう一人の君と逢ったことは覚えてる?その時、僕もいたんだ」
「……あ……!あの時の……!!」
「思いだした?じゃ……取り敢えず、ナツミ……で良い?」
こくんと頷く。
「じゃあ、行こうか。ナツミの隠れ家、教えてくれるかい?」
「ん……」
頷いて、ナツミはゆっくり歩きだす。一定の距離を取り、海東も歩きだした。