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続きその1:
はぁはぁと荒い呼吸がバスルームに木霊している。
初めての行為、初めてのシチュエーションで達した刺激は、少女達にはあまりにも強烈だったのだ。
やがて消耗しきったマリアが途切れ途切れに声を出す。
「……はぁ……カナン……もちよかった?……はぁ」
体中どろどろで早く汗を流したかったが、指一本まともに動かせない。
「……うん……気持ちいいよ……マリア……はぁ……」
初めて好きな人にした性的な相談。
初めてのペッティング。
初めて見る好きな人の秘密。
それを見ながらする初めての自慰行為。
体験の一つ一つが、初心な少女の許容量を遥かに超えるものであった。
自分の指で気持ちいいところを弄って、強く刺激して、絶頂を迎えた。
これがマスターベーションなら、自分の欲求不満は解消されているはずである。
……はずであるが、足りない。それどころか飢餓感は爆発的に膨れ上がっていた。
今、私に密着して身を預けているマリア。
マリアを抱きしめたい。マリアに口づけしたい。柔らかな肌に食い込むほど爪を立てたい。
くびれた腰に手を回して、乳首に吸い付いて、足の間にも顔を埋めて、可愛い性器に舌で触れたい。
今、カナンの頭には確かなイメージと共に自分の欲求が駆け上がってきている。
それは少女が生まれて初めて自覚した明確な性欲だった。
「……マリア」
それを勝手に実行に移してはいけないことは、頭の片隅でなんとなくは理解している。
身体の内から疼き出してやまない熱い衝動を必死で抑えて、かろうじて言葉を搾り出す。
「オナニー……教えてくれてとても嬉しい……ありがとう……私、まだ足りないみたいだ……」
触ってもいい?と言い終わるが先か、カナンはマリアの頬に手を添えて己の顔、正面に向けた。
間近で見ると欲情に濡れたカナンの瞳が飛び込んでくる。頬に添えられた手の平もガチガチに硬い。
(あんなに激しかったのにまだ体力があるなんてすごい。さすがカナン……)と、ぼんやり思いを巡らせつつ
マリアは微笑んで見せた。
「……もう触ってるってば……それに……私だって本当はもっと触れ合いたい……だから――」
好きにして、という言葉はカナンの噛み付くようなキスに飲み込まれた。
突き刺すように流れ込んでくるマリアの色が、音が、匂いが自分の箍を外して急き立てる。
まず口の中、熱くて柔らかい。舌で歯列と彼女の舌に触れて絡ませる。蕩けるように甘い。それから、それから……
もう既に理性は追い付いていない。
五感全てが繋がるカナンの超人的な処理速度をもってしても、溢れ出る欲情に全てがショートして使い物にならない。
角度を変えて何度も舌を絡ませあうと、下腹部もまたじゅん……と甘く疼いて、愛液が零れ出す。。
「……ぷは……」
酸素を求めて口を離したら、二人の間につ、と糸が引かれた。