嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 第51章

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1名無しさん@ピンキー
浅いものはツンツンしたり、みたいな可愛いラブコメチックなヤキモチから
深いものは好きな人を独占して寵愛する為に周囲の邪魔者を抹殺する、
みたいなハードな修羅場まで、
醜くも美しい嫉妬を描いた修羅場のあるSSを扱うスレです。

■まとめサイト
 2ch 「嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ」まとめサイト
 http://dorobouneko.web.fc2.com/index.html

■嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ@二人目の子
 http://www2.atchs.jp/test/read.cgi/dorobouneko/3/

■避難所
 http://www2.atchs.jp/dorobouneko/

■前スレ
 嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 講和(50)条約
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1211526951/

______________________________
■SSスレのお約束
・sage進行(メール欄にsage)
・指摘するなら誤字脱字
・展開には口出ししない
・嫌いな作品なら読まない
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書こう
・過剰なクレクレは考え物
・作品に対する評価を書きたいなら、スレ上ではなくこちらへどうぞ
ttp://yuukiremix.s33.xrea.com/chirashi/
・スレは作品を評価する場ではありません
――――――――――――――――――――――――――――――
2名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 23:34:02 ID:awvXCzCH
■関連スレ
 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレ 第25章   
 http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1209547243/

■姉妹スレ
 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレinラ板 その3
 http://love6.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1216010742/

 嫉妬・三角関係・修羅場統合スレin角煮板5th
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198646566/

■誘導用

 【百花】ハーレムな小説を書くスレ【繚乱】17P
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217516152/

 ヤンデレの小説を書こう!Part17
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1215971239/  

 ほのぼの純愛 11スレ目
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216229089/

 寝取り・寝取られ総合スレ9
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1217124837/

 キモ姉&キモウト小説を書こう!Part13 
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1214584636/
3名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 23:43:40 ID:59AmGE24
前スレ最後の単発IDだらけの急加速にワロタ。
しかし相も変わらず
「そんなこというあんたは当人の〇〇だろう!」
「どうやら図星だったかww」
みたいな自演が好きなんだねえ。
特徴的というか、ワンパターンというか。成長ない、って言うのが一番しっくりくるね。
4名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 23:51:34 ID:awvXCzCH
>>3
前スレの流れを引っ張らないでほしい


          ヽ.               iヽ  |  51 こ
語 嫉 思 さ   |   ,. -─''""´ ̄`"''-、ノ ノ  |   ス れ
.っ 妬  う あ  ノ/   ,.、            く  ゝ  レ で
て. ・  存   `ヽ. /       /`ヽ    ヽ、 i  目
く  修 分      i/  / /  /    i     ヽ、  だ
れ 羅         | /  /ーi-ト、 i  ハ  i  ,   ',ヽ、____
! 場        ノ | /rrー‐-!、ハノヽハ‐!- i   ,ゝ   )/ ̄
   を       ノ  ハ i-'ハ辷_ソr'- 、/ ̄`トヘハ |    ´
         ノ レイ | 'ゝ`ー--‐'   ヽ、_,ノ、/   ゝ
        ____>  | |  |       ゝ  イ | ハ|
______,.-'"´ 7  |   | | ハ    、,.-─,   ハ ハ|
       `レヘ  ,...! !ハ ヽ.    ̄   / |//
    _,.r-‐,!、./〉 〉、! ノ'ヽ.|>、,___,.イ´ | ハ|/
    「\ノ ノ / / ノ、 V>ヽ、______7、レヘ|´/)
 ,.'"  / / / / /、 \`>\/く//  7/ ト、
/   /  ' ' '__i ./i\\</>//    ト|/  `ヽ.
〉、_、 i /    !/ /::::::.|ヽ/く//|    ト|   _,.イ、
5名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 23:52:53 ID:kfa60nXf
>>1
スレ乙
6蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:11:30 ID:WbDje6y9
>>1
スレお疲れ様です。
今回は予想以上に長くなってしまったので前編・後編に分けて投下します。
7蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:12:50 ID:WbDje6y9
 グレイ・クリフ山を飛び立ち、街を、城壁を、川を、農園を飛び越え俺とティオーナはようやく目的の地域上空にたどり着いた。
 グレイ・クリフの北西部といっても具体的には二つの山脈の間にある地域が俺たちの捜索範囲だ。
 東側の山脈寄りにはペズルの街へと通じる街道があり、西側の山脈寄りには小さな丘や雑木林が群居する。
 晴れた日ならば人々が行き交う活発な街道とのどかな自然を両方一緒に楽しめただろう。
 しかし今は嵐半歩手前ということもあり遊覧飛行している余裕はなさそうだ。
 雨は下を向いていれば何とかなるが、風が一番の問題だ。
 突風などは予測がつかないし、飛行に支障が出る。
 さらに雲が下がっているため視界も悪く、下手すれば自分たちが迷子になる。
 幸い、地上には目印となるものがあった。
 巨人の積み石と呼ばれる巨岩である。
 巨人の積み石は西の山脈近くにあり、文字通り巨人が遊びで石を積んだような不恰好な形をした岩だ。
 ふと横に向くとティオーナと彼女の赤いワイバーンが並行して飛んでいた。
 手信号で高度を下げろといっている。本格的な捜索のはじまりだ。
 俺も了解の合図を出すと徐々に高度を下げる。
 普段は色鮮やかな世界も曇り空では何もかも淡彩でモノの判別がし難い。
 もし女の子が木の下にでもいたらよほど幸運でもない限り空からでは見つけられないだろう。
 とにかく適当に飛び回るだけでは時間の無駄だ。
 何か手がかりでもあればよかったのだが、俺は当の女の子のことは何も知らない。
 大体ピクニックで迷子になるというのはどうだろう。
 外に出てはしゃぐのは子供の常なのだから、なぜちゃんと見張っておかなかったのか。
 いや、待て。
 はしゃぐ?
 そうだ、俺が子供だったらここら辺で何をするだろうか。
 俺は手綱を引き、一旦街道側上空へとアズールを向かわせた。
 恐らくピクニックしていた場所は街道からそう離れていないはずだ。
 しばらく街道近くを旋回しているとテントを幾つか見つけた。
 恐らく伯爵の部下たちか、あるいは伯爵一家がピクニックに来た時のままなのだろう。
 風に注意しながらキャンプの上空で停止し、西側を見据える。
「やっぱりな」
 全部とはいかないまでもここからでも巨人の積石が見える。
 俺の読みが正しければ女の子は巨人の積石に向かったのだ。
8蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:13:29 ID:WbDje6y9
 あの不恰好な形、大きさからすれば子供の好奇心をくすぐるには十分だ。
 但し西側は雑木林や小さな丘が点々としており直接は巨人の積み石にいけない。恐らく周り道を探している内に迷子になったのだろう。
 俺は巨人の積み石を直線状におきながらアズールを進ませた。
 二日も経っているのだから遠くまで行ってしまったのか。あるいは何処かで救助を待っているのか。もしくは……
 木々の間、丘の窪み、谷間、あらゆる場所に目を走らせるが何もない。
 その時、風の轟音に続き何が折れる音がした。
 直後、目の前を木の枝が飛んでいく。
「ちっ!」
 当たる距離ではなかったが、他の破片を警戒して上昇するには十分な光景だった。
 まずい。
 とうとう本格的な嵐である。
 こうなるとアズールだって常に風に揉まれながら飛行しなくてはならない。結果、飛んでいられる時間はもっと短くなる。
 さっきのような飛来物にだって注意しなくてはならない。
 辺りが十分見渡せる高度までアズールを上らせるとティオーナを探した。
 合流して一旦捜索の中止を進言しなくては。
 ティオーナの駆るワイバーンは真っ赤なので見つけるのには大して苦労しなかった。
 俺が接近するとティオーナはすぐに手信号を送ってきた。
<ハッケン?>
<イイエ。カゼ、ツヨシ。チャクリク>
 手短に俺の意思を伝えたが、案の定彼女は承諾しなかった。
<イイエ。ソウサク、ゾッコウ>
 俺は続けて手信号を送った。
<カゼ、ツヨシ。キケン。キケン>
<ソウサク、ゾッコウ>
 彼女はそう伝えると話は終わったとばかりにワイバーンを反転させた。
「あの頑固女!」
 もう一度手信号で話すために並ぼうと思った時だった。
 突如横殴りの風が俺たちを直撃した。
 手綱を操る暇もなく、ワイバーンが木の葉のように飛ばされる。
 焦ってはいけない。正しい対処法は風に真っ向から抗わないことだ。
 相棒に翼を折り畳ませながら降下させ、速度をつけさせる。
 そして十分に速度を稼いだらすぐ翼を広げ、平面飛行に戻す。
「ふぅ」
9蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:14:20 ID:WbDje6y9
 今の風は何とかなったが嵐の中ではまた何度でも起こりうる事態だ。
 早急に着陸するなりしなければ俺たちが救出される側になってしまう。
 周りを見渡しティオーナを探す。
 ちょうど右斜め上を見ると赤いワイバーンが飛んでいた。
 そしてその赤いワイバーンから人影が転げ落ちるのは同時だった。
「あのバカ!」
 考えるより早く、手は手綱を片方だけ斜め下に引っ張っていた。
 アズールは真っ直ぐ降下し、落下するティオーナを追う。
 だがどう見ても落下する最中に直接抱きとめられるだけの高度がない。
 既に視界は迫り来る地面でいっぱいだ。
 こうなったら無茶で乱暴だが手は一つ。
 俺たちの方が重いということもあり、追いつくのは難しくない。
 同高度になるとアズールに翼でティオーナの体を叩かせ、俺たちの中心軸と並ばせた。最後に手綱を思いっきり引き、アズールの身体でティオーナをすくい上げる。
 所々アズールの体に打ち当たりながらティオーナは俺の方へと転がり込んでくる。
 咄嗟に両手を広げ、鈍い音共に何とか彼女を受け止めることができた。
「おい!大丈夫か?おい!」
 今の機動でもう地表すれすれである。手を伸ばせば木に当たりそうだ。
 俺は高度を取ることに集中にしながら彼女に語りかけ続けた。
 間もなくして余裕のある高度に到達すると彼女の顔をのぞいてみる。
「……」
 どうやら意識を失ってしまったようだった。
 口を切ったのか血が僅かに唇から出ている。それ以外の外傷は革鎧の上からは判定できない。
 こうなっては捜索どころではない。急いで降ろして状態を診なければ。
 もっともこの大雨の中、何処でもいいという訳にはいかない。
 できれば雨宿りできる場所がいい。
 そう考えていると偶然、盛り上がった丘の側面にパックリ空いた洞窟を見つけた。
 かなり大きな洞窟のようでワイバーンも含めて入れそうだ。
 すぐさま洞窟の前に着陸し、ティオーナを抱っこして降りる。
 ずっと雨に当たりっぱなしだったせいか、屋根がある環境に妙な違和感がある。
 洞窟の入り口にティオーナを寝かせ、俺もその隣に座った。
 すると思い出したように息が切れ、全身を脱力感が襲う。想像以上に消耗していたようだ。
 ともかく状況はかなり悪い。嵐は吹き荒れ、ティオーナは意識がない。伯爵の娘も見つからず、このままでは探しにもいけない。
10蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:15:06 ID:WbDje6y9
 唯一の救いはアズールが無事なことぐらいか。
 ティオーナのワイバーンはあの後見ていないから分からない。
 グレイ・クリフに帰ったのかもしれないし、未だ何処かを飛び回っているのかもしれない。
 息が回復してから、ゆっくりと洞窟内を見回した。
 改めて大きな洞窟だと実感する。アズールが首を伸ばしきってもまだ余裕あるだろう。
 また、奥行きが深いのか外の嵐に答えるように中からも風が流れ出してきている。
 とりあえず雨宿りができたのはいい。次はティオーナだ。
 横に寝かせた彼女は未だ意識がない。耳を近づけると正常な呼吸が聞こえるので死んではいないと分かる。
 受け止めた際、傷を負ったかどうか分からないので兜を脱がす。
「うわ……」
 兜を外すと目についたのはやっぱり額にできたたんこぶだ。少し赤くなっているが致命傷ではない。
 頭を守る兜の実用性を立証するような典型例である。
 俺が原因ではあるが、地上にそのまま激突するよりマシなはずなので許して欲しい。
 最後に革鎧を脱がそうとしたらふと思った。
 目の前にいるのは目麗しい公爵家の姫君である。普段は強気な彼女が今は時折可愛らしいうめき声を漏らしながら気絶しているのだ。
「……これは怪我をしていないか確認するだけだ」
 応急処置であり、やましい気持ちなどこれっぽっちもないのだ。
 誰かに言う訳でもなく俺は呟いた。心の中でも補足しておく。
 意を決し鎧の止め金を外した時だ。
 休んでいたアズールが飛び起きて、洞窟の奥を向いていた。
 俺もつられて手招きするような闇の中に目を凝らす。
 最初は特別なにも感じなかった。
 だが、徐々に風とは別に何かが反響して聞こえてくる。
 外の嵐と相まって正確には聞き取れないが何か洞窟の中から近づいてくるのは間違いない。
 不覚だった。
 嵐から逃れることで頭が一杯だったので考えもしなかった。
 これだけ大きな洞窟なのだ。先客がいてもおかしくない。
 近づいてくる何かが狼やゴブリン程度なら問題はない。
 こちらにはアズールがいる。そこらの動物や魔物なら昼飯代わりだろう。
 しかしアズールを恐れぬほど強い何かだったら?
 当然俺は武器なんてないし使えない。全くの戦力外だ。
11蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:16:17 ID:WbDje6y9
 脱出するにも外は嵐で、ティオーナを抱えて逃げるから二人乗りだ。アズールの残り体力を考えると不安なんてものじゃない。
 望みに反してその“何か”はどんどん近づいてくる。
 俺は迫りくる恐怖に対して我慢しきれず叫んだ。
「そこにいるのは誰だ!」
 馬鹿か俺は!
 言った後に強烈に後悔する。もしかしたら相手に襲うことを踏み切らせたかもしれない。
「え?……人?……誰?」
 一瞬身構えたが、返ってきたのはなんと子供の声だった。
 そして拍子抜けする俺の前に姿を現したのは男の子と、しがみつく様に彼の背中に隠れる女の子だった。


「それで……グスっ……雷がビシャーって……っ……ひぐ…」
 冷たい洞窟の中、俺は二人の子供を両手であやしながら話を聞いていた。
 男の子の名前はミット。
 グレイ・クリフに住む猟師の息子らしい。
 何でも幼馴染の女の子をこっそり追いかけて行ったら、彼女が迷子になった。かっこ良く助けようとしたが結局自分も迷子にな
り、丸二日間迷いに迷ったようだ。最終的には嵐になり雨をしのぐために洞窟に入った。そして外の様子を見ようと思ったらそこにいたのが俺たちだったということだ。
「オイラ怖くて……ずっと迷ったままなのかなって……」
「もう大丈夫だ。お兄さんたちは二人を捜すために来たんだ」
「え?……本当に?」
 俺は視線を女の子の方に移した。
「ああ、だから安心しな」
 女の子の方を捜しに来た、というのが正確だ。
 どういう運命のいたずらか、ミットの幼馴染の女の子というのは伯爵の娘だったのだ。名前はディアナと言うらしい。
 黒髪は乱れ、ドレスも泥だらけだが、なるほど貴族様だとすぐ分かる容姿だ。
 泣きながらも話してくれる少年とは違い、こっちは時々泣いては黙り込む、を繰り返している。
 再びミットの方を向く。
「でもこの二日間よく彼女を守ったな。偉いぞ」
「ズズッ……えへへ」
 鼻水を垂らしながらも少年の顔は誇らしかった。
 考えてみれば貴族の娘が自然の中、一人で二日間も生きていられる訳がない。猟師の息子としてサバイバル知識が豊富なミットがいたからこそ無事でいられたのだ。
12蒼天の夢 10 前編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:16:46 ID:WbDje6y9
 正直、女の子一人捜せないエリート気取りの騎士よりミットの方がよほど頼り甲斐がある。
「お兄さんもしかしてスキッダー?」
 しばらくして落ち着くとミットが聞いてきた。
「ああ、そうだよ」
「じゃああのワイバーンもお兄さんの?」
「おう、俺の相棒さ。アズールって言うんだ」
「へえ!……オイラ、スキッダーもワイバーンも身近で見るの、はじめてなんだ!」
 ミットは眼を輝かせながら喜んでいる。ついさっきまで泣いていたのに、切り替えが早いものだ。
「そっか、ならついでアズール触っていくか?」
「いいの?」
「ああ、今は休んでいるから静かにな」
「やった!ディアナも触りに行こう!」
 本当に二日間も迷子だったのかと疑うほどミットは元気である。彼はディアナを促してアズールの方に駆け寄った。
「……う、うん」
 ディアナもミットには心を開いているらしく、素直に彼についていった。
「さて、俺はティオーナの様子でも見るかな……」
 無名スキッダーなせいか、ああやって自分や相棒が人に喜ばれるのは妙に照れくさい。いつもはため息や失望の声を浴びせられているだけに余計そう感じる。
 俺は立ち上がるとティオーナが寝る方へ行こうとした。
 突然アズールが起き上がって吼えた。
 続いてミットが叫ぶ。
「お兄さん!後ろ!」
「え?」
13蒼天の夢 10 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:18:05 ID:WbDje6y9
以上が前編です。
今から後編を投下します
14蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:18:48 ID:WbDje6y9
 俺は確かティオーナの様子を見に行こうとしていたはずだ。
 なぜ水溜りの中で横たわっているのだろう。
 何もかもおぼろげだ。景色も音も感覚も。
 なぜアズールはあんな怖い顔をしているのだろう。
 翼を広げ、自分を大きく見せながら威嚇している。
 一体何を?
 俺はアズールが向いている方向が見えるよう身体をずらした。
「……ぐ!ああああああ……あぐ……あ」
 ずらした瞬間例えようのない激痛が走った。
「お、お兄さん!起きて!」
 痛みと共におぼろげだった全てが流れ込んできた。
「ぐ、あ、い、一体何が……?」
 目の前には二本の足が見えた。
 とても大きい。緑という色からして人間のものではない。
 視線をさらに上げるとそこには太い胴体があった。
 そしてその胴体の天辺には鋭い牙が突き出た口と大きな一つ目。
「サ、サイクロプス?」
 一つ目の巨人サイクロプス。魔物の一種でその怪力の前では頑固な城壁でさえ紙の如し。
 以前、エリシアさんの塔にあった『魔物の書』という文献で読んだ記憶がある。本物を見るのははじめてだ。
 ただサイクロプスは個体数が少なく、こんな人里近くにいること自体ないはず。
「お兄さん!逃げて!早く!」
 ミットの声で我に返る。
 そうだ。学者を気取っている場合ではない。
 早く逃げなければこいつの腹の中である。
「ぐうう……あ、が」
 しかし身体を少しでも動かせば先ほどの激痛が全身を駆け巡る。
 それもそのはずだ。
 浸かっている水溜りは水溜りではなかった。
 俺の血だ。
「い、いいからお前ら……逃げろ!」
「そんな!」
「ディアナを守るん、グ、ゴフォ……」
 言い終わるより先、声のかわりに血が出た。
 とにかく今頼れるのはミットしかいない。彼には悪いがティオーナとディアナを連れて逃げて貰わなければ。
15蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:20:26 ID:WbDje6y9
 睨み合いが続いているのは一重にアズールがいるからだろう。だがそれも長くは持つまい。
 アズールが自在に空を飛べる環境だったら何とかなったかもしれないがここはサイクロプスの洞窟内。外は嵐。
 飛ぶことが強さのワイバーンが地上で戦っては勝てない。
 サイクロプスもすぐそれに気づくだろう。
「……は、やく……」
 こんな時に限ってアズールと会話ができたらと思う。
 そうすればアズールに三人を乗せて逃げてくれと頼めたのに。
 再び一つ目の巨人を見上げる。
 醜く憎たらしい顔だ。
 魔物にやられて死ぬのは悔しい。
 されど同じ死ぬのでもあの三人が助かるなら少なくとも俺の死には意味ができる。命を散らせるだけの対価ができるのだ。
 血が流れ過ぎたのか、寒気がしてきた。
 温かさがどんどん失われてゆき、雪のようなものまで見え始めた。
「雪?」
 何か分からないが洞窟の天井、壁、床の表面に白銀の粉のようなものが幾つもフワフワと浮かんでいる。
 一方、サイクロプスはそんな些細なことには気づかず、一歩、アズールたちのほうに踏み出す。
 いよいよ仕留める気だ。
「ミット!俺は大丈夫だからそこのお姉さんとディアナ連れて逃げろ!」
 できる限り大声で叫んだ。
 その甲斐あって巨人はギョロリと俺に眼を向けた。
 そうだ。時間稼ぎができればいい。
 巨人が止めの一撃が振り上げる。どうやって一撃目を生き残ったか知らないがこれで最後だろう。
 俺は眼と閉じず、睨み返してやった。
 呪えるものなら呪ってやりたい。
 サイクロプスの腕の筋肉が盛り上がる。
「最後、か……」
 そして弾けた。
 いや、正確には白銀の粉から伸びてきた無数の氷柱によって“分解”されたのだ。
 何が起こっているのか分からない。
 巨人の方はもっと分からないだろう。いきなり自分の腕が無くなっているのだから。
16蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:21:16 ID:WbDje6y9
 さらに驚いたのはいつの間にかすぐ目の前に誰かが立っていた。
「静かにここで暮らしたいのは分かる」
 女性の心地良い声。
「でもジース君に触れたのは――」
 満月から滝が流れ出たような銀髪。
「許せない」
 他に誰がいよう。
「エリ、シアさん」
「待っていて。すぐ終わる」
 彼女は振り返らずそう言った。
 腕を失ったサイクロプスはエリシアさんを一番の脅威と捉え、踏み潰そうと足を上げる。
 対して彼女はスッと手を振り上げた。
 するとサイクロプスの軸足に無数の氷柱が突き刺さり腕同様分解される。
 そして崩れ落ちる巨人を床で待っていたのは、無残な死だった。
 彼女の言う通り、すぐに終わった。

* * *

「ふふふ、もう何もいないから大丈夫」
 洞窟の奥についつい視線が泳いでいってしまう俺を隣で座るエリシアさんが笑う。
「分かってるけどさ……」
 あんなことが起きた直後ではどうしても気になってしまう。
 もっともエリシアさんがいる今なら確かに安心できる。
 サイクロプスを倒した後、彼女は魔術で俺の傷を癒し、子供たちにはパンを与え、さらには合図の魔術を外で放ち、捜索隊が来てくれるようにしてくれた。
「エリシアさん、本当にありがとう」
 だから余計言葉だけの感謝が陳腐に思えてしまう。
「どう致しまして」
 いつもの微笑を浮かべ、何でもなかった様に言う彼女。
 やっぱり大人である。
「……よく俺たちがここにいるなんて分かったね」
 一番不思議に思ったのはそれだった。謎が多いのは今に始まったことではない。
 だがおとぎ話の勇者のように駆けつけてくれたのは凄いのを通り越している気がする。
「偶然。近くを散歩してた」
「この嵐の中を?」
「うん」
17蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:22:18 ID:WbDje6y9
 表情を変えずに言う。
「そ、そう」
 微妙に納得できないがいつものことだ。
 それに実際エリシアさんが“散歩”していたことで助かったのだ。
「ジース君はなぜここにいるの?」
「あそこにいる子供たちが迷子だったから捜しに来たんだ」
 俺はミットとディアナを指差した。
 どうやら巨人を倒した魔女より、身を張って守ってくれたアズールの方に懐いたらしい。アズールの首にもたれながら二人とも仲良く寝息を立てている。
「それジース君の仕事じゃない」
 エリシアさんの口元が真横に結ばれる。
「そ、そうなんだけど。今回ばかりは自分のせいだし……」
「ジース君のせいであの子達は迷子になったの?」
「い、いや、実は――」
 俺はこれまでの経緯を簡単に説明した。
 伯爵の依頼、ライアンおやじの借金、そして借金は恐らく自分の成績不振が原因であること。
 本当はこんな不祥事ベラベラと喋らない方がいいのだろう。
 しかしエリシアさんは命の恩人だし、エルフである彼女が人間のいざこざに興味を持つとも思えない。
「どうしてジース君が原因だって分かるの?」
「自分のスポンサーだから分かるよ。あのライアンおやじや商会の皆は慎重、コツコツと、がモットーだからね。他の街に進出するなんて聞いてないから、借金するような投資なんてクリフ・スキッド以外に考えられないよ」
「それは経営者が無理した結果。ジース君がそこまで気にする必要ない」
 エリシアさんはいつもと変わらぬ口調で励ましてくれた。
 考えてみれば幼い頃からずっと、彼女は俺の味方であってくれた。
「ありがとう。でも地元の商会がいたからこそ俺でもスキッダーやれるんだ。それに――」
 なぜ言おうと思ったのか分からない。
 エリシアさんだからなのか。あるいは下らぬ懺悔のつもりなのか。
 気づいていたら口から言葉が飛び出していた。
「商会のスキッダー選定の時、ワイバーンに乗れるって嘘ついて、それでスキッダーに選ばれたんだ。罪滅ぼし……じゃないけど何をやらされようが続けるよ」
「そう」
 しばらく沈黙が続く。
 エリシアさんは今のことを聞いて何とも思わないのだろうか。
18蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:22:57 ID:WbDje6y9
 自分で言っておいてなんだが、急に不安になった。
「軽蔑した?」
「なぜ?」
「いや、嘘をついた挙句、結果が残せてないし」
「途中で投げ出したらするかも」
「う……頑張るよ」
「嘘から出た誠、よ。大丈夫。ジース君は立派な人間よ」
「そうかな」
「人望ある」
「どうだろう。恋人だっていないんだよ」
「ジース君は十分魅力的」
 心臓が跳ねた。今の一言だけ耳からではなく頭に直接入ってきたような感じだ。
 ついエリシアさんの方を向いてしまう。
「か、からかわないでよ。そう思ってる女性なんていないって……」
 彼女はいつもの微笑を浮かべていた。
 今言った台詞の影響だろうか。
 濡れて彼女の頬に貼りついた銀髪がとても艶やかだ。
 さらにゆったりとしているローブも雨に濡れて密着し、身体のラインが丸見えである。
 なんとも目のやり場に困る光景だと今更気づく。
「フフ、人間って皆知ったかぶりね」
 彼女の目が細められる。
 なぜだろう。身体が固い。
「なんで――」
 言い終わる前に俺の口は塞がれていた。
 エリシアさんの唇で。
 今まで感じた何物よりも柔らかかった。
 身体中がジワジワと煮え立ち、急に蒸し暑くなる。
 そして唇は触れた時と同じように唐突に離れた。
「ほら、ね」
「え、エ、エリシアさん、俺で遊ぶのは…」
 もう頭が真っ白だ。まるで別の誰かに自分が操られているみたいだ。
「遊びじゃない」
 自分が何を言ったのか。彼女が何をしているのか。
 それらを考える前に再びキスされた。
「ッ?!」
 今度は舌が俺の中へと侵入してくる。
19蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:23:38 ID:WbDje6y9
「んんッ……はぁん……ん」
 最初は強引に押し入ったエリシアさんの舌は優しく、まるで撫でるように俺の口内を這いずり回る。
 彼女の舌が蠢く度、背筋を痺れが走り、身体がつられるように痙攣する。
 かつて味わったことのない感覚に足が勝手に後退しようとする。
 しかしいつの間にか腕を首に回され、洞窟の壁とエリシアさんの間に板ばさみになっていた。
 一方舌が出ていったかと思うと、すぐさま甘い蜜と共に再び襲ってきた。
「ッ?……んぐっ」
 予期せぬ出来事に俺はその蜜を飲み込んでしまう。
 それを確認すると彼女はようやく俺を離してくれた。
 お互いの唇が離れた後も、細い透明な糸が俺たちを繋げている。
「フフフッ」
 エリシアさんに微笑はなかった。
 かわりに未だかつて見たことのない、満開の花のような笑顔があった。
「エ、エリシアさん」
 綺麗だ。ただ純粋に綺麗だと思った。
 自惚れかもしれないが、今見た笑顔こそ本当のエリシアさんなのかもしれない。
「コホンッ!」
「うおお!」
 明らかにエリシアさんのモノではない声が聞こえ、心臓がさらに飛び上がる。
 慌てて声の主を探すと、仁王立ちしているティオーナがいた。
「じゃ、邪魔をして悪いのだが、だ、誰か事情を説明してくれないか?」
 洞窟の中でも分かるほど顔を真っ赤にし、口元は引きつっている。
「ティ、ティオーナ様、おおおお、起きて、ご機嫌うるわ――」
「いたの?」
 支離滅裂な俺に対してエリシアさんは貴族のご令嬢相手にも冷静だった。
「ああ、すすす少し寝ていたようでな。ジース、こ、答えよ」
 何時から見られていたのか分からないがともかく恥ずかしい。
 ティオーナも同じな様でこちらの顔を全然見ようとしない。
 俺は混乱した頭でできるだけ簡潔に今までのことを話した。
 話が終わる頃にはティオーナも少し落ち着いた様でお互いまともに話せるようになっていた。
「そうか……すまないな。足手まといになってしまって……」
「いえ、事故は誰にでも起こりますので……」
 相変わらず潔い。やはり並の貴族とティオーナの違いはこういった所にあるのだろう。
20蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:25:14 ID:WbDje6y9
「そ、それとなジース」
「はい?」
 ティオーナは再び言いにくそうに視線を逸らした。
「シャツが開いていては風邪引くぞ」
「え?」
 自分の胸元を見ると知らぬ間に革鎧は脱がされ、シャツのボタンが全て外されていた。
「あ」
 ボタンを閉めなおすと、再び洞窟内はアズールと子供たちの寝息だけになった。
 その気まずい静寂は伯爵の部下たちが現れ、帰路につくまで続いた。
21名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:25:46 ID:sQmlDrFh
ふと思ったんだけど、前スレ最後のウナギって蒼天氏じゃないだろうな
前回投下時には緑猫さんに酷いことされたし、仕返ししてやろうと思うのも無理はない
それにウナギには書けっこないSSの投下とかあったし
動機と能力がある人間となると極々限られてくるよね
まさかとは思うけど・・・
22蒼天の夢 10 後編 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 00:26:03 ID:WbDje6y9
以上投下終了です。
長々と失礼しました。
では之にて
23名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:28:23 ID:yewzhNAC
>>1

>>22
エリシアさんが良い
24名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:30:47 ID:hT4BPg9R
えっ?
これじゃ前編と後編を分ける意味が…
まさかブログに収納する時のことを考えて分けたのですか?
だとしたらなんて自己中なんだろう
25名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:34:32 ID:yWhlezBr
>>21
動機というのならまだ他にもあるぞ

蒼天さんは一刻も早く今回の作品を投下したかった
しかし寿命も残り少ないスレじゃ、アッと言う間に流れてしまう
早く新スレ立ててそっちに投下したい
そのためには偽ウナギになってスレを荒らしてやればいい

ってな具合か
スレ立てしたのも蒼天氏なんだろうけど
なんだかなあ
26名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:36:34 ID:F8jb/96J
>>22
GJだ
粘着は完全放置してどんどんと投下してくださいね
27名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:38:43 ID:DXNzmgKQ
>>1
乙ですよ!
>>22
GJ!これからの展開に超期待です。
なんかスレが騒々しいけど気にしないでください。
28名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:58:49 ID:e3+mwudK
つまんね
29名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:02:58 ID:O3ciVScu
七戦姫マダァー?
30名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:19:05 ID:F8jb/96J
深夜になると誰も居なくなるってのが怪しすぎなんだけどな
31名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:23:11 ID:yewzhNAC
>>30
投下も少ないし話す事も無いからしかたない
32名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:28:27 ID:CaL0aSg2
なに、このファンタジーもどき
小学生が書いた夏休みの宿題じゃないんだから、読点くらいきちんと打ってくれ
はっきり言って七戦姫投下の邪魔にしかなっていない

そのうえで、あえて言うなら即死回避、乙
33名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:52:13 ID:F8jb/96J
で、また誰かに構って欲しいかと煽るわけか
わかりやすいな

34名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:55:13 ID:BF54GVEp
脳内では「スレをかき回して翻弄する俺かっこいい」的な
35名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:55:20 ID:F8jb/96J
リアルを充実に暮らさないとこんな惨めなことをしないと誰も構ってくれないことか?
いや、違うな。そんなことをしないと誰もお前なんかを相手にされないってことだ
大抵、ネットの掲示板の荒らしというものは気が弱くて大人しい『いじめられっ子』が多いんじゃないの?
36名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:56:46 ID:BF54GVEp
気持ちはわかるが落ち着けよすげえ文になってるぞ
37名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:59:02 ID:edt53kR7
>>21
>>25

まんま>>3の通りじゃん
おまえは俺を笑かし殺す気か
38名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:59:29 ID:F8jb/96J
ようするに>>32の文体を読む限りでは
相手を貶して、自分が目立ちたい。
なぜ、目立ちたいのか?

そりゃ、誰からも相手にされないからだ

って感じに辿り着くが、あんまりアテにならないな

荒らし=SS作家がチヤホヤされるのが面白くないことを妬みにして
    荒らし行為を行っていることは確かだから
    
   仕事や学校で上手く行っていないから、ストレス解消のために
   スレを荒らしているということなのかな?
39名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:00:43 ID:Zg7qwdAC
今だから言えるけど前スレ、SS以外は全部俺の自演。
すまんかったね。
もうしないからそんな騒がずにwktkしてようぜ?
40名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:02:19 ID:F8jb/96J
>>3の通りだと、この荒らしはとんでもないアホになってしまうから
スルーするのが一番じゃないのかwwwwwwwwwwwww

スルーしないと可哀想だろ
41名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:06:24 ID:F8jb/96J
緑猫さん以外の投稿が荒らしだとすると、この自作自演はいろんな意味で面白くなる
だって、トリップバレしている作者が投稿するなんてオイオイwwwwww

ちゃんと変えた方がいいと思いますよ
42名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:08:08 ID:BF54GVEp
投下される→自演する→住民が騒ぐものの結局作者勢にスルーされる→最初に戻る
このパターンを何年続けるつもりだウナギ
1年半もの間その成長のなさ・変化のなさに俺が何度涙したことか
43名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:08:24 ID:F8jb/96J
というか、2時14分頃にトリップバレしている作者を教えてやろう
44名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:12:00 ID:zQ7zJvxm
ヴァニラ・アイスのような子に嫉妬された挙句シュラバンバされたい
45名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:13:28 ID:BF54GVEp
ガオォン
46 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/24(日) 02:14:14 ID:F8jb/96J
これで誰がトリップバレしているのはわかったでしょ?
作者さんは違うトリップに変えた方がいいよ
47名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:17:53 ID:F8jb/96J
というわけで忠告したので寝るわ
何かこんな簡単に特定できるトリップって、いろんな疑惑が生まれるよなw
48名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:32:03 ID:QV1xeY2D
花火って嫉妬深そうだよな
「そんな蛇花火とじゃなくて私と遊んだ方が楽しいのに!」とかパラシュート花火にいわれたい。
それか「どうだい私の五尺玉! たーまやーって言ってもいいんだよ?」とか言ってる打ち上げ花火に気付かず手持ち花火に夢中になって目の前に破片落とされたい。
49名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:34:28 ID:BF54GVEp
ロケット花火ほど残酷なものはないな
吹っ飛んで破裂する泥棒猫の束を見て、ほくそ笑む吹き上げ花火
50名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:40:44 ID:DXNzmgKQ
>>44
ヴァニラ・アイスは凶悪すぎだろうw腕だけ残して消されたりプッツンして蹴りまくられるんだぞ
山岸由花子なんかこのスレ向きだろう。康一君を監禁したりするしな

>>49
可愛らしい嫉妬ならねずみ花火だろう
くるくる回りながら他の花火に夢中な男の足元にじわじわ向かっていくんだぜ
でもカラ回りして明後日の方向に行っちゃうんだ。ドジな子の嫉妬も良いもんではないか
51名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 06:49:36 ID:goOEej9b
>>46
忠告乙
ここの荒らしはアホだからトリップの着け方なんて知らないだろうが
念のため変えたほうがいいな
52名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 07:50:36 ID:On0EV+Wy
>>22
GJっす!


エリシアさんエロカワイイヨ
(;´Д`)ハァハァ

ティオーナも中々の嫉妬にも期待っす
53名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 09:05:46 ID:+q8AAIGB
山岸由花子は行動とかをまとめてみるとヤンデレっぽい。
自分の理想のために男のほうに危害を与えるのもOKなのがアレだが

へび花火は自分でも地味でぱっとしないと自覚してて
「きっと誰も私を気にもかけないんだろうな」とか考えたりするネガティブな子。
でも少しだけでも気に入ってもらおうとがんばってたらその健気さに惚れられて
男と一緒に楽しく伸びてるんだけど、ほかの花火に
「花っぽさのかけらもないし火って言うか煙と燃えかすの癖に生意気!」って
目をつけられて嫌がらせされるんだけど、心配させまいと隠しても男のほうが機敏に察知。
へび花火がいじめられないようにほかの花火の相手もし始めるんだけどへび花火も女の子だから
あんまりほかの子を見て欲しくないけど
自分に花がないと自覚してるからあんまり口を出すと
「色気もないのに口ばっか出してうざいからほかの花火を選ぶぜ」っていわれちゃうとただただ我慢。
ほかの花火は調子に乗って「やっぱり地味だから飽きて私に惚れたんだ」と勘違い。
そんなこととは露知らず男のほうはへび花火を愛しつつほかの花火のガス抜きもして
万事丸く収まったしへび花火とイチャイチャうごうご暮らせて良かった良かった。と思ってるんだけど
実は名実ともに本妻のへび花火と勘違いのほかの花火との修羅場に着々と近づいていた。
はたして二人の愛の行方やいかに!?
っていう妄想を思いつくぐらいにへび花火は健気で内気で
あんまりわがまま言ったりできない子のイメージ
54名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 11:33:41 ID:IcLo76QB
今更ながら保管庫の、俺と素直クールとツンデレとを読みました。
面白くて一気に読めましたよ。またお願いします。
55名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 12:42:45 ID:WNtm2HyT
蒼天さんもやっぱり動揺は隠せないよな
人間、覆面を被っているとどんな滑稽なことでもできるもんだ

なんて言ったのは梶原一騎だっけ?
56名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 13:48:49 ID:dBdNB0Qu
>>54
うん、あれは良いよな。お前とは良いペプシが飲めそうだ
57名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 13:50:05 ID:ZoIIsnK0
>>53
あ、変態だ
58名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 14:08:14 ID:dBdNB0Qu
>>57
うん、変態だな。ところでこいつを見てくれ
IrzoorzI←これって向かい合って四つん這いになってバックで突かれてるように見えるだろ?

ちょっと変態なくらいがちょうど良いと思うんだ。つまり俺も変態なんだぜ?
59名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 15:02:28 ID:edt53kR7
変態という名のジェントルメェンですよ
60名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 15:21:30 ID:WNtm2HyT
現実逃避しようと必死なのは理解できるが
どうでもいい応酬でレスを浪費するのは止そうよ
見ていて涙を禁じ得ない
61名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 15:33:51 ID:sVLJnB6Y
嫉妬した女の子が泥棒猫を切り裂くような展開があれば最高だな
62名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 15:37:42 ID:a4zUOAf6
もうIrzoorzIを純な目で見れない
俺も今日からジェントルメェンだ

ちょっと外行って幼女と三角関係作ってくる
63名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 17:25:13 ID:tPyJLQpL
線香花火もいいと思うんだぜ
病弱で儚い感じで、放っておけないみたいな
64名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 17:41:22 ID:edt53kR7
儚すぎて嫉妬には微妙に向いてない気も駿河屋
65名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 18:22:42 ID:dBdNB0Qu
>>62
やあブラザー、幼女には気をつけろよ。無垢な瞳でいながら背中に嫉妬深さを隠しているのが幼女だ

誰しも心の奥底に変態という名の刃を持っているんですよ。だがこんな時代だからこそ
それを忘れないでほしい…。紳士なら心に蝶ネクタイを常に身につけていてくれ。それが俺の願いだ

全裸だって良いじゃない変態だもの。たまには嫉妬されても良いじゃない変態だもの

>>64
時に……線香花火は燃え尽きる前に一際大きくなるんだぜ?そして赤く大きな涙が流れ落ちるんだ
そして花火に火を点ける蝋燭も消える前に一際大きく燃えるんだ。蝋燭だって良いと思わないか?
君にも花火や蝋燭に嫉妬という名のロマンを感じてほしい
66名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 19:44:41 ID:edt53kR7
そうかじゃあさっさとSSを書きためる作業に戻るんだ変態
67名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 20:03:28 ID:Ni24Ik1E
>>22
お疲れ!台詞回しがテンポ良くていいです
今後ティオーナがどのように絡んでくるのか楽しみ
68名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 20:26:36 ID:FjOF2mrE
だめだ……ハーレム物を読むと欲求不満でいらいらする。あれなんなんだよホント、あり得ないだろ嫉妬心も独占欲もないとか……
やっぱ俺にはこのスレしかないようだな
69名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 20:49:06 ID:a9p6RQ+a
ハーレム物にも嫉妬深い女の子を中にいれちゃうやつとかあるわけで
ぶっちゃけていうとハーレム物と修羅場物の違いって最後に女が仲良くなるかならないかの違い

全く修羅場がないハーレムもあるけどな
70名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 20:50:44 ID:ZC7YTrdh
夏休みもそろそろ終わるな
キモウトたちにとって一日中兄にべったりできる日が毎日続き、キモ馴染みにとって学校より幼馴染みを独占できた夏休みが
この夏休みの間にどれだけの少女の想いが実り、拒まれてきたのだろうか
同じ空の下に今この瞬間にも監禁されている男がいるかもしれないかと思うと感極まる
71名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 21:10:47 ID:WlfZCYCY
>>70
知っているならさっさと助けに来いよ
72名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 21:14:07 ID:edt53kR7
おや何故か>>71のレスが読めないな
73名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 21:56:02 ID:a9p6RQ+a
>>72
>>71からのSOSはヤンデレさんによりうふ〜んされました
74名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 22:08:49 ID:DXNzmgKQ
[誘惑/GLAY]
時に愛は二人を試してる(すれ違いやら浮気やらいろいろ)
Because I love you
キワどい視線(他の女を見てることに気付いた彼女の視線)を振り切って WOW
嘘も真実も駆け引きさえもいらない(男は度胸)
今はオマエ(彼女の友達)が誘うままに Oh 溺れてみたい(肉体関係的な意味で)

MORNING MOON
昨夜の涙の理由も聞かず(バレてて怖いから)
遠く空回る言葉はトゲに変わる(言い訳→逆ギレ)

I don't know how to love, don't ask me why
薄情な恋と(出来心的な意味で)
Oh 指輪の跡が消えるまで(婚約指輪の跡)
闇に加速する俺を酔わす(浮気相手がエロい的な意味で)

KISSから始まる夜は熱く(性的な意味で)
Because I love you(ピロートーク的な意味で)
犯した罪さえ愛したい(浮気的な意味でも) WOW(懺悔の叫びっぽく)

名前も過去も心でさえもいらない(あなたさえ居れば良いの)
求め合う2つのカラダがある(薬の効果抜群)
Oh それだけでいい(もう離さないわ)

I don't know how to love, don't ask me why
不器用な俺を(恋愛的な意味で)
Oh 情熱でやきつくしてよ(嫉妬的な意味で)
無くすもののない明日に向かう(ジャック・ハンマー的な) So Dive(愛欲という名の海へ)

ZERO(コカコーラ)を手にしたオマエは強く(鬼のように)
Because I love you
素顔の自分をさらけだして(ヤンデレ的な意味で) WOW
キラメク(鉈)時は儚いとしてもイイサ(風前の灯的な意味で)
生きてる証をその胸に(手首の脈を測りながら) WOW(呻き声)

時に愛は二人を試してる(修羅場的な意味で)
Because I love you
キワどい(疑惑と怒りの)視線を振り切って(逃走) WOW(悲鳴)
嘘も真実も駆け引きさえもいらない(だから助けて)
今はオマエ(3人目の女)が誘うままに(家に)
Oh 溺れてみたい(血の海的な意味で)

Because I love you WOW(監禁八日後の叫び)

ムシャクシャして書いた。後悔はしてないが反省はしている
まあしかしアレだ、>>71は現在このような状況になってるんではないかと
75名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 22:19:07 ID:64C888KG
うわあ……
76名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 22:23:37 ID:/rpbICxZ
>>74
これお前が考えたの…?
まぁ、なんというか、その…なぁ…お疲れってこった。
こっそりIDあぼんしとくから気にするな。
77名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 22:27:30 ID:DXNzmgKQ
>>76
いや、久しぶりにGLAYの存在を思い出したからノリでつい……
本当にスマンかった。書き込んでからもの凄い反省している
78名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 23:40:28 ID:WNtm2HyT
とうとうぶっ壊れたか
こんな奴のために頑張ってSS書いてるとは
書き手も浮かばれまい
79名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 00:09:00 ID:NMByMwf5
いや、なんかさ。同じ男に恋してる女の子が仲良くキャッキャッしながら『一緒に頑張ろうね!』とか言ってるとイラッとくるんだよね
いや、いいんだよ。別に、そういう良い子もいると思うんだよ、うん。でも嫉妬心も独占欲も敵意も無い奴なんていないとおもうんだよ。例えそういった事を素で言ってる子がいたとしても心中苦い想いが渦巻いてると思うんだよ。
いやね、別に内心描写を事細かに書けっていってんじゃないよ? たださ、ハーレムにするんだったら女の子ひとりひとり人間らしくしてやってくれって事なんだよ。
負の感情を持たない人間なんていないと思うんだよね。言い換えれば、負の感情こそ人間の普遍的な物だと言ってもいいと思う。
むしろそういった人間の利己的で傲慢で、ある意味利他的な感情こそが最も美しいと思うんだよ。まあ、だからこそ惹かれてこんなところにいるんだけどさ。

まあ長々と書いたけど、一言で纏めれば女の嫉妬は最高に萌えるってこった
80名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 01:17:35 ID:nnjc6tFq
>>79
> いや、なんかさ。同じ男に恋してる女の子が仲良くキャッキャッしながら『一緒に頑張ろうね!』とか言ってるとイラッとくるんだよね
> いや、いいんだよ。別に、そういう良い子もいると思うんだよ、うん。でも嫉妬心も独占欲も敵意も無い奴なんていないとおもうんだよ。例えそういった事を素で言ってる子がいたとしても心中苦い想いが渦巻いてると思うんだよ。
> いやね、別に内心描写を事細かに書けっていってんじゃないよ? たださ、ハーレムにするんだったら女の子ひとりひとり人間らしくしてやってくれって事なんだよ。
> 負の感情を持たない人間なんていないと思うんだよね。言い換えれば、負の感情こそ人間の普遍的な物だと言ってもいいと思う。
> むしろそういった人間の利己的で傲慢で、ある意味利他的な感情こそが最も美しいと思うんだよ。まあ、だからこそ惹かれてこんなところにいるんだけどさ。
> まあ長々と書いたけど、一言で纏めれば女の嫉妬は最高に萌えるってこった


同意wwwwwwwwwww
81名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 06:35:21 ID:ObqaznWP
俺的には鈍い男が嫉妬深い女の正体にだんだんと気づいていき
どうしようもなく追い込まれるというのも好きだが
嫉妬深い女とその思いに気づきながらも恋に遊びに趣味にいろいろ自由にやりたい男が
主導権を争うっていうかんじの修羅場物も好きだな
82 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/25(月) 18:50:53 ID:DVE088Aq
なに、ここの住民
浅ましすぎてもう本当にバカらしくなったよ
勝手にツンデレヤンデレ言ってろや
ウナギには勝つ自信ないけど、オレは糞猫の噛ませ犬じゃねぇ
83名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 19:39:19 ID:5NSmalkT
84名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 19:51:13 ID:NMByMwf5
>>82
蒼天好きだから頑張ってください
マジで続き待ってます
85名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 19:51:43 ID:JSW8+Rfq
86名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 20:22:16 ID:XxZ1M+vz
>>82
うなぎに勝つという意味がわからない、しかも噛ませ犬じゃないし、どう考えても上でしょ。
87名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 21:23:03 ID:8dDxYciB
ここ数日必死だな
88名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 21:23:43 ID:8dDxYciB
ageてしまった、すまんね
89 ◆ozOtJW9BFA :2008/08/25(月) 21:51:43 ID:lGLl6ACC
新トリップで投下します。
90蒼天の夢 11 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/25(月) 21:53:11 ID:lGLl6ACC
 森を抜けるとそそり立つ天守が見えてきた。
 てっぺんに上れば天すら磨けそうな楼閣である。
 それがアルス国きっての名家ベイヴェルグ公のお城であった。
「どうだジース。我がベイヴェルグ家の主城の威容は」
 やや前を馬に乗って進んでいたティオーナが振り返った。
 その顔には自慢げな色が隠しようもなく滲んでいる。
 別に巨大な城郭を見せ付けることで俺を萎縮させ、精神的優位を占めようって気ではない。
 単に子供じみた自慢の表れであることは彼女の嬉々とした表情を見れば分かる。
 ここで俺はふと気付いた。俺たちはいつの間にそんな親しい間柄になったのだろう。
 ついこの間までは生意気な貴族の娘と礼儀知らずな一介のスキッダーだったはずである。
 あの驕慢な公爵令嬢が平民なんかに内面をさらけ出して平然としているのだ。
 なにか照れ臭くなって俺は鼻の頭を掻いた。
「ん? どうかしたかジース」
 ティオーナは俺の内心を知ってか知らずか不審そうに尋ねてきた。
「いや、あの摩天楼を見ていると竜場のことを思い出しました」
 グレイ・クリフの竜場も峻険な岩山の連続で、切っ先鋭い剣のような岩もそこら中に点在している。
「おまえってやつは……馬に乗ってる時くらいクリフ・スキッドのことは忘れたらどうだ」
 まったく、というようにティオーナが溜息をついた。
 だがその目は笑っている。本気で馬鹿にしているのではないことは明白だ。
「しかし『摩天楼』とは上手いことを言う。父上が聞いたらさぞ喜ぶだろうよ」
 ティオーナは快活に笑うと愛馬にムチをくれ、城に向かって駆けだした。
 そうだった。今日はお城の見学にきたのではなくティオーナの父君、ベイヴェルグ公に召喚されたのだった。
「ちょ、お待ちを」
 俺は高らかに笑いながら駆けていくティオーナを追った。

* * *

 謁見の間に入ると、待たされることもなく公爵がやってきた。
「ジース・グリン、命により出頭しました。下賎の身で公爵様のご尊顔を拝し、恐悦至極に存じます」
 俺はその場に跪き、エリシアさん仕込みの宮廷儀式に従って口上を述べた。
 そしてベイヴェルグ公から声が掛かるのをじっと待つ。
「む、大儀である。面をあげよ」
 豪奢な椅子に偉そうな髭を生やした大男が座っていた。
91蒼天の夢 11 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/25(月) 21:54:16 ID:lGLl6ACC
 これがベイヴェルグ公、エドワルド三世その人なのか。
 さすがは代々軍人の家系だけあって厳めしい面構えをしている。
 体躯も堂々としたものであり、立ちあがれば俺より頭二つぐらいでかいのではないか。
 しかし厳めしいのは顔だけであり、女にはきっと大甘なのだろう。
 それはこの国の男に共通した悪い癖であるが。
 さもないと年頃の娘をワイバーンに乗せるなどあり得ない。
 きっとティオーナにせがまれて一も二もなく許してしまったのだろう。
 今では内心きっと後悔していることであろうが。
「で、返事を聞かせてもらいたい。話はティオーナから聞いておろう」
 いきなり公が用件を切り出してきた。
 しかしこっちには何のことやらさっぱり分からない。
 説明を求めるようにティオーナに目を向けると彼女は一瞬たじろいだ。
 レースで鍛えた俺の目がそれを見逃さない。
 だがティオーナは焦りをおくびにも出さずしゃあしゃあと言ってのけた。
「やはり父上から話すのが筋かと。話を聞いた上でジースが城に来てくれるかどうかも定かではありませんもの」
 勝ち気なティオーナは自分のミスを認めるつもりなど毛頭無いようである。
「やれやれ困った娘じゃ。改めてその方から話してやってくれい」
 ベイヴェルグ公は苦笑いしながら愛娘に説明を促した。
「よろしいですわ。ジース、我がアルス国が隣国のヘーケンザイル帝国とよろしからぬ仲なのは知っていますね」
 言われるまでもない。
 ヘーケンザイルは軍事国家で、四方に領土的野心を露骨に示す侵略主義者どもの集まりだ。
 余り裕福とはいえないアルスも、彼らの欲望の進路に位置している。
 アルスを抜けば肥沃な穀倉地帯の広がるオリビエ国への進撃路が開かれることになる。
 連中にとって、アルスはオリビエを陥とすための橋頭堡として喉から手の出るほど欲しい要衝なのである。
 そこでヘーケンザイルはアルス王家に対して、執拗に脅しと懐柔を繰り返してきているらしい。
 らしい、というのは俺たちの田舎までは噂しか届いていないからだ。
 それでもミリアちゃんの店でもヘーケンザイルの話題はときたま耳にすることがある。
 グレイ・クリフでリーグ戦ニュース以外で王都が話題に上るのは珍しい。
 それだけ横暴な隣国のことがみんな気になっているのだろう。
92蒼天の夢 11 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/25(月) 21:54:56 ID:lGLl6ACC
「そこでヘーケンザイルに対する空の備えとして、王都で新たに軍を組織することになりました」
 気がつけばティオーナが先を続けていた。
 軍事国家のヘーケンザイルには圧倒的な数の竜騎兵が配備されていると聞く。
 いざ開戦となれば彼らが戦いの先鋒として攻撃を掛けてくるのは目に見えている。
 空からの攻撃にさらされれば、いかにアルスの重装槍兵が精強であろうと不利は否めない。
 制空権を奪われた騎兵など、石を投げつけられる池の鯉と同じなのだ。
 といってアルスには多くの竜騎兵を養う国力はないし、有効な防空装備もほとんどない。
 対空カタパルトや自動連射弓がどれほどの効果を発揮することか。
「そこで、我々も空の守りを固めることにしたの」
 そこから先は聞くまでもなかった。いや、聞きたくもなかったというのが事実だ。
「もう分かっているでしょうけど、私たちはワイバーンを空の兵力として戦士を集めることに決めたのです」
 嫌な予感は当たった。ティオーナはワイバーンを戦争の道具に使おうというのだ。
 ワイバーンはドラゴンに比べて体も小さく炎も吐かない。知能だって随分低い。
 総合的な戦闘力ではドラゴンに比べるべくもないのだ。
 しかし唯一ワイバーンにはドラゴンを遙かに凌ぐ能力が備わっている。
 それは空を飛ぶ能力である。
 地上では愚鈍なワイバーンも、空ではまるで別の生き物のような動きを見せる。
 ドラゴンより遙かに速く、鋭い機動もお手の物だ。
 そしてヘーケンザイルの竜騎兵がグレイ・クリフ越えをしてくる以上、戦いの口火は必ず空で切られるのである。
 ベイヴェルグ公が考えた策なのであろうか、これは確かに名案であった。
 しかし。
「戦いになれば私が先頭に立つつもりだ。ジース、お前も共に戦ってくれるな」
 ティオーナが確信に満ちた笑みを浮かべる。
 それが当然であると言わんばかりの態度であった。
「…………」
 俺が黙って俯いているとベイヴェルグ公が返答を促してきた。
「まさか臆したわけではあるまい。その方の真の腕前は娘から聞いておる。それを我らに貸してくれぬか」
 公爵は重々しい口調で言った。
 ティオーナの目も初めて俺の『スプリット』を目の当たりにした時のものになっている。
 憧れと驚異の入り混じったあの複雑な目に。
「むろんそれなりのことはさせてもらう。金と名誉だけではない。身分も……」
「いえ、そうではないのです公爵様。第一、俺……いえ、私にはグリン卿なんて似合いません」
 俺はワイバーンが好きで、クリフ・スキッドが大好きなんだ。
 それを戦争の道具に使うなど、俺にとっては狂気の沙汰としか思えないのだ。
 ここは断固として拒否しなければならない。
 俺は拒絶の意を示そうと一歩前へ出た。
 その途端ティオーナの顔に落胆と悲しみの色がはっきりと浮かんだ。
93 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/25(月) 21:55:46 ID:lGLl6ACC
取り急ぎ、今宵はここまでです。
94名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 22:03:13 ID:t3F8mUPo
相変わらずgjですっ。
毎回wktkしながら続きを待っています。
95名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 22:05:43 ID:guHBavEG
>>93
GJお疲れっす
96名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 22:18:48 ID:hIV26Qae
中弛みしたかなと思ったけど、面白くなってきた
次にも期待、gj!
97名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 22:26:26 ID:NMByMwf5
GJです!
やっぱ面白いわ
wktkしながら次回も待ってます
98名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 23:03:13 ID:xKrrnzW7
GJ
妙な荒らしがいるようですが、どうか気を悪くなさらずに
99名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 01:26:47 ID:H1+iKr9G
ティオーナ様可愛いよティオーナ様
GJ!勿論次回も待ってます
100名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 12:17:53 ID:sWXLuuzV
>>93
いいねぇ。続きが楽しみになってきた!
101名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 14:38:15 ID:6Fcj+M11
投下がきたぞ。ありがたやありがたや。
102名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 15:02:18 ID:TsjsXj9R
単発ばっか
あからさまで笑えるなw
そろそろほんとの人数が知りたくなってきた
103名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 15:32:20 ID:zlUigkw+
と、単発が言ってますが、スルーしてください
104名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 15:42:21 ID:TsjsXj9R
おや、またご新規さんが
らっしゃい、糞スレへようこそ
105名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 16:48:35 ID:/IazJhiu
       ,  '´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
       {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
.       }: : : : : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : `}
      /: : : : :, _ - ‐ -`、::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::: : : :く
      lー ´       `ー ''- ‐- '´ー 、:::::::::::::::: : : ソ
        l_ _                ヽ、 , /´: : :,'単発ばっか
       l: : : /,, ̄  ̄ ー -、- ー 、_    /: : : , 'あからさまで笑えるなw
       /,: : ´/,-‐=== = 、ゞ: : : :, '二 `ーV、: : ´そろそろほんとの人数が知りたくなってきた
      { ',ゝ::/   ,= = ヾ   ゙-- ´r - 、_/) `´
      `、i: :ヽ,  、f´ヒソ`    i  f心 ソ /,'ケ
       ヾi: : ゞ.      ´    l  `゙ ´ ./} /
        ヽ:',         ,,. |:     /ン
      ,一´、:',        、 /::    /
   , '  / l::ヽ  、             ,.' 、
 , '.    /  ,!, ,' ヽ  `ー ――――' , ' 、 \
/.    イ//  '.  ヽ    ゙゙゙゙  , 'ト  l  ' ,
     l     !   ヽ     , ' l \ l   ',
.     |.     ',    ヽ _ _, '  /    |    ',`‐
     |      l          |      l    ' , \
     |        |                 l    \. \
106名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 17:33:59 ID:PUzNjSTm
なるほど、猫氏が嫌われてる理由がわかった。こうなるのね
107名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 17:40:31 ID:h9TrvFIF
はいはい
言ってる意味は不明だが
言ってる意図は透けて見える
最も浅ましいのはお前だよ、と
108名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 19:49:57 ID:YTPALlmZ
むしろ、雑談で何回も書き込む奴キモイ
単発が多いのは、普通じゃないのか?
109名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 19:54:07 ID:rXpreD9N
正直何が面白いのかよく分からない
文章が下手くそで読みづらいし、話も流れが平坦で退屈すぎる
携帯小説でももう少し面白い
キャラの魅力だけではいつまでも引っ張れないだろう
110名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:00:49 ID:3EBJvsxb
106 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 17:33:59 ID:PUzNjSTm
なるほど、猫氏が嫌われてる理由がわかった。こうなるのね

107 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 17:40:31 ID:h9TrvFIF
はいはい
言ってる意味は不明だが
言ってる意図は透けて見える
最も浅ましいのはお前だよ、と

108 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 19:49:57 ID:YTPALlmZ
むしろ、雑談で何回も書き込む奴キモイ
単発が多いのは、普通じゃないのか?


109 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/08/26(火) 19:54:07 ID:rXpreD9N
正直何が面白いのかよく分からない
文章が下手くそで読みづらいし、話も流れが平坦で退屈すぎる
携帯小説でももう少し面白い
キャラの魅力だけではいつまでも引っ張れないだろう

↑痛い自作自演ですね(笑)
111名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:01:24 ID:3EBJvsxb
全然進歩していないよな、この荒らし
112名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:04:25 ID:J50RJQaj
荒らしが住み着くってことは作家が人気ってことだ
作家さんはチヤホヤされるけど、荒らしは自分に酔っているだけだね
113名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:08:15 ID:mFO6SNpo
>>荒らしが住み着くってことは作家が人気ってことだ

ちょっと日本語が怪しいけど、つまり作品の内容でなく作家にファンが付いていると?
SSの面白さはどうでもよく、あの人が書いているからいい、こいつだからダメって話なのかな
114名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:13:22 ID:G4le0thN
>>113
構って欲しいのか? 荒らしクンwww
115名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:22:11 ID:4/5Ax+Di
このスレの住民は
荒らしに構った奴も荒らしだと理解してない奴が多過ぎる
紳士にいこうぜ紳士に
116名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:27:40 ID:mFO6SNpo
>>114
いや、決してそうではないのだが
誰々のSSだから面白くなくても無条件にGJ付けるとか
誰々が書いた作品だから潰してやろうとかってあるのかなと思って
前いたスレでは、たとえ神作家でもあからさまに手を抜けばスルーされる風潮があったから
横から馴れ馴れしくレスしてスマンかった
117名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:51:42 ID:Z6dS7rYu
最近荒らしが可愛いくてしょうがない。どうしたんだろう俺?
118名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 21:00:23 ID:RAOM/Vb3
>>116
分かる
謝ることは無い
119名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 21:29:42 ID:kK3IWPrZ
>>117分かる分かるw
特にトリップ付けられた後からは何かもうあわ(ry
120名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 21:45:05 ID:BjmnEPrk
はいはい単発毒ウナギおつ
ミクシーで相変わらずログインしてるようだしなぁ
ムショはどうでしたか掘られませんでしたか?
121 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/26(火) 22:16:36 ID:S8xcA74s
投下します。
今回は続きというか、前回投下できなかった11話の残りということで
122蒼天の夢 11 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/26(火) 22:18:03 ID:S8xcA74s
 
 俺は謁見の間から城門へと続く長い石畳を歩いていた。
 一級品の大理石が惜しげもなく敷かれており、踵が接するたび硬く冷たい音を立てる。
 しかし俺の心は石畳なんかよりもっと硬く、そして冷えきっていた。
 それは見送りに出てくれたティオーナとて同じであったろう。
 結局、俺は国のため共に戦おうという彼女の誘いを拒絶したのだった。
 国を愛する気持ちは誰にも負けないが、戦争とは元来軍人たる貴族がするものだ。
 平民から搾取して身を肥やしているのは、こんな時のためではなかったか。
 俺は本来なら彼らに守られるべき平民なんだ。
 いや、綺麗事はよそう。
 はっきり言って俺は嫌なのだ。アズールを戦争の道具に使うことも、戦うこと自体も。
 まともにケンカもできない男にどうして戦争などできようか。
 それにアズールだって戦争に駆り出されるは嫌だろう。
 ワイバーンが飛ぶのは、ただ純粋に速さを競い合いたいためだけなのだから。
 アズールと共に誰よりも速く飛び、そしていつかは王都リーグを制する。
 それが俺が一生を掛けた男の夢なのである。
「一つだけ教えてくれませんか。ティオーナ様がグレイ・クリフに来られたのは最初からこれが目的だったのですか」
 俺の問い掛けにティオーナは否定も肯定もしなかった。
 むきになって取り繕うような真似など、彼女にはできなかったに違いない。
 嘘をつくのは高潔な公爵家令嬢として許し難い行為なのだ。
 と言って、ティオーナははっきり事実を認めもしなかった。
 それをすることで、グレイ・クリフとの縁が切れてしまうことを恐れているように。
「どうしても嫌か。私と共に戦うのがそんなに嫌なのか」
 いきなり立ち止まったティオーナが大声を張り上げた。
 今度は俺が黙り込む番だった。
 もはや語るべきは語り尽くした。
 これ以上何を言えばいいのだ。
「そ、それは私が男勝りで偉そうだからなのか。女にうるさく命令されるのが嫌だからなのか、ジース」
 言っているうちに興奮してきたのだろうか。
 ティオーナは最初会った時の苛烈さをもって俺に詰め寄ってきた。
「それは仕方がないだろう。私は公爵家の人間でお前は平民なんだから。これが世の中の仕組みなんだ」
 い、いや、公爵家の令嬢が皆ティオーナみたいに乱暴とは思えないけど。
「だがな、騎士に取り立てられれば最下層といえど貴族になれるんだぞ。お前、分かっているのか。
貴族となれば私も頭ごなしに偉そうにはせぬ。それにお前が貴族になったら……貴族になったら……その……」
 ティオーナは興奮のためか顔を真っ赤にして口籠もる。
123蒼天の夢 11 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/26(火) 22:18:45 ID:S8xcA74s
 俺が呆然として突っ立っていると、ティオーナは更に一歩詰め寄ってきた。
 右手は腰の短剣に添えられている。
 その切れ味を誰よりも良く知っている俺の喉がゴクリと鳴った。
「ややや、やっぱりお前は尖った耳がいいのか」
 待ってくれ。何を言っているのか分からない。
「えぇい、お前はエルフが好みなのかと聞いておるのだ」
 なんだ、エリシアさんのことを言っているのか。
 だが余計に分からなくなってきた。
 どうしてここでエリシアさんが出てこなきゃいけないのか。
「だがな一つ忠告しておいてやろう。同じ刻を過ごせぬ者同士が一緒になっても、待っているのは悲劇なんだぞ」
 感情が激しているせいかティオーナの目にはうっすら涙が滲んでいる。
 その時衣擦れの音がして背後に人の気配がした。
「ティオーナ、お止めなさい。何を騒いでいるのかと思えば」
 柔らかな声にティオーナが劇的な変化を見せた。
 一瞬で我に返った彼女は恭しくお辞儀をしたではないか。
 何かと思って振り返ると、そこに見たこともないような美しい貴婦人が立っていた。
 適度にふくよかな顔に、見る者を包み込むような優しい微笑みを浮かべている。
 古い絵画に描かれた聖母のような女性だ。
 エリシアさんの笑顔が満開の花なら、この微笑みは万人に慈悲をもたらす太陽だ。
 俺はただ呆然と聖母に見とれていた。
「こらっ、無礼であろう。頭が高い」
 ティオーナがいきなり叫んで俺の頭を掴む。そしてそのまま大理石の廊下へ叩き付けた。
 目から火花が散り、鼻腔に古くなったワイバーンの鞍の臭いが広がる。
 だがそんなものはティオーナの発した声の前に消え去ってしまった。
「我が母上、ベイヴェルグ公爵夫人、エラミノ様の御前である。控えおろう」
 えぇっ? このお方が。
 アルスの民でベイヴェルグ公を知らない人がいても、エラミノ様の名を知らぬ者はいない。
 国王家の直系血筋に連なる高貴な生まれで、政略のため一公爵家へと降嫁したという。
 だがエラミノ妃は単なる王家とのパイプに収まらなかった。
 辺境の領土争いにも積極的に参画し、ある時は軍師、そしてある時は先鋒部隊の将軍として陣頭に立った。
 繊細な作戦と大胆な戦闘で連戦連勝を重ね、いつしか人は妃のことをこう呼ぶようになった。
 不敗の戦乙女と。
 結果、国一番の穀倉地帯を領土に治めた公爵家は王家に次ぐ地位と名誉を手に入れることになったのである。
 これが世に言うエラミノ戦記伝である。
124蒼天の夢 11 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/26(火) 22:19:21 ID:S8xcA74s
 生きながら伝説となった戦乙女が今俺の目の前で柔和な笑みを湛えて立っている。
 あとでミリアちゃんたちに話してあげてもおそらく信じてもらえないだろう。
 けどこの笑顔を見ている限りとても伝説の戦乙女とは思えない。
 これ以上の権勢拡大は要らぬ疑いを招くだけと考えたのか。
 それとも子供ができたことにより心境の変化があったのか。
 いずれにしても今のエラミノ様は穏和な良妻賢母であるに違いなかった。
「おやめなさい、ティオーナ」
 エラミノ様は柔らかく娘をたしなめた。
「けど、母上様。この者は……」
 ティオーナは狼狽えながらも手から力を抜かない。
「何でも自分の思い通りになると思ってはなりません。あなたのそういうところが彼を頑なにさせているのですよ」
 ティオーナの手から急速に力が抜けていった。俺はようやく普通に跪くことができた。
 許しを得て立ち上がった俺にエラミノ様がお声をかけてきた。
「あなたがジース殿ですね。お噂は娘から聞いています」
 ティオーナが身を固くするのが分かった。
 チラ見すると、真っ赤になった顔が引きつっている。
 かなり怒っているのだろう。口元やこめかみがヒクヒクとなっていた。
「それに、ランソン伯からも。今度の話は伯爵からの推挙もありましたのよ」
 あの嵐の中の捜索のあと、ランソン伯爵はライアンおやじの借金を棒引きにしてくれた。
 そのうえで無利子、無担保、無催促という破格の条件で更なる投資を約束してくれたのだ。
 半ば諦めていた娘が無事に帰ったことが余程嬉しかったのだろう。
 伯爵は俺をスキッダーの中のスキッダーだと褒め讃えた。
 俺がほとんど何もしなかったことを正直に話すと、伯爵は少し鼻白んだ。
 それでもあの嵐の中、危険を顧みずに飛び出したことにこそ意味があると自説を曲げなかった。
「君こそ真の勇者だ」
 伯爵は遂にそう決め付けた。
 彼にとっては娘を助けたのがうだつの上がらぬ男だというのは我慢ならなかったのだろう。
 案外勇者って奴はこのようにして作られていくものだったりして。
「母上様。こやつは勇者などではありません。単なる腰抜けの臆病者です」
 ティオーナがいきり立つ。
「お黙りなさい。進退窮まった時に、あくまで自分の道を貫くことがどれだけ難しいか。
それが分からぬあなたではないでしょうに」
 エラミノ様の顔が険しくなっていた。
「人にはそれぞれ進むべき道というものがあるのです。夢を追いかける自由に、貴族も平民もありません」
 ティオーナは俯いて黙り込んだ。
 母上様の正しさを全面的に認めたのである。
 それでも理性と感情は別物だったのだろう。
 ティオーナは俯いたままで踵を返すと、その場を走り去っていった。
「ジース殿、娘を許してやってくださいね。我が儘に育ててしまった私の責任です」
 今度の件でグレイ・クリフに意趣返しすることは決してない、という公爵夫人の約束だけを手土産に、俺は城をあとにした。
125 ◆zJo3ElrGWA :2008/08/26(火) 22:20:23 ID:S8xcA74s
以上です。
ぶつ切り連投すみませんでした
126名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 22:24:50 ID:4/5Ax+Di
リアルタイムGJ!
やはりティオーナ様の可愛さは異常
127名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 22:42:54 ID:Ks7VyC9b
あれれ
あれだけいた住民の皆さんはどこへ行っちゃったのかなぁw
実に不思議だ
お前らマリーセレスト号ですか?
128名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 22:43:24 ID:wc80u4fZ
盛 り 上 が っ て ま い り ま し た
129名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 22:54:11 ID:p55cwud5
>>127
構って欲しいのか、扇?
130名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:01:52 ID:BjmnEPrk
なんでいつも荒らしがでてくる時間帯に毒めぐがミクシーでinしてるんだろうな・・・
131名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:02:52 ID:Ks7VyC9b
だったら日付が変わるまでに、今日付けたIDで誰かもう一度出てこいやぁw
132名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:03:44 ID:egGhQTn/
>>125
GJでした
ティオーナのテンパり方が可愛ええ
133名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:06:19 ID:g/w5dyuT
出てくるわけないだろwww
134名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:08:10 ID:4ihNPpxr
>>125
GJでした。頭のおかしい人が暴れていますが
気にせずにまったりとやっていきましょう

135名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:14:54 ID:4/5Ax+Di
下手すると1週間書き込まれない事だってある板なのに
1日数回何かしら投下されてないか覗く程度の奴がほとんどだろ・・・
何故そんなにIDに拘るのかわからん
136名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:18:53 ID:Ks7VyC9b
IDにこだわってんのは君の方だろうにw
言っとくけど新規IDでのGJなど無効だからね
137名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:24:33 ID:lWOk30GJ
>>125
GJですっ!
続きが来るのが早くて凄く嬉しいです!
138名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:25:59 ID:p5xviviC
          ____
       / \  /\  キリッ
.     / (ー)  (ー)\
    /   ⌒(__人__)⌒ \
    |      |r┬-|    |    言っとくけど新規IDでのGJなど無効だからね
     \     `ー'´   /
    ノ            \
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
139名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:30:54 ID:4ihNPpxr
いい加減にスルーしようぜ
こんな馬鹿なことを書いているんだぜ

135 名前:蒼天の夢 ◆ ozOtJW9BFA[] 投稿日:2008/08/26(火) 23:25:01 ID:iuNyQw0s
皆様こんばんは
この度はトリップばれしたことにより本スレにおいて多大な迷惑をおかけしております。
自分の配慮が足りずこのような状況になってしまい、申し訳なく思っています。
つきましてはしばらくの間、蒼天の夢の連載は休止させていただきます。

またどうやら私を騙る方がいらっしゃるようですが、24日の10話後編以来
一度も投稿はしておりませんので、できれば全くの別作品としてお楽しみいただけるようお願いします。
トリップに関しましては未だ変えておりません。
事が落ち着いて、次回投稿する機会になりましたら変更の旨お伝えいたします

↑避難所にまで本当に必死だな
 何が楽しいのかまったくわからない
140名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:33:31 ID:4ihNPpxr
個人的には嫉妬した女の子がどんどんと病んで行くのが一番いいんだけどね
141名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:34:32 ID:IHUXYI+B
ここはいつものツンデレネタのプロットでも書くか

ツンデレの嫉妬はツン可愛い!!
142名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:37:48 ID:6AvrE9tU
とりあえずこれ貼っとく
頭のおかしいヤツはスルーすべし

http://info.2ch.net/before.html
143名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:40:22 ID:DBYEKthy
しかし、ブラウザですぐにあぼーんされるのに何故か勝ち誇っている荒らしが
アホだと思うのは私だけだろうか? もう少し荒らすならコピペAAでも張ればいいのに
144名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:45:37 ID:4/5Ax+Di
>>142
これ今度からテンプレに貼った方がいいのではw
145名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:57:58 ID:Z6dS7rYu
>>125
GJ!このまま一直線に突き進んでくれ!
三つ巴の予感だが一人だけあまり出番なくて蚊帳の外気味な子が不憫でもある。
どんな修羅場になるのやら楽しみですわい。
146名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 23:59:28 ID:Ks7VyC9b
コピペAAはダメだろ
教唆するなよw
147名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 00:04:53 ID:D0kZWc5Z
>>125
GJです。荒らしはスルーです。堂々と行きましょう。
次回も期待しています。
148名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 00:14:34 ID:EnkyWRwh
>>146
荒らしのアタマはお子様レベルだからな
すぐに真似るするかもな
・・・いや、最近の子供でもここまでアホではないから
子供に失礼だな
149名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 00:43:49 ID:Xhgyszqr
GJ!
いいよティオーナいいよ
150名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 01:24:48 ID:FKk7qYsq
ちょっとジブリじみてきたな
ティオーナのピンチを前にジースは座して見ているだけなのか
きっとミリアやエリシアの制止を振り切って飛び出していくんだろうな
それでスプリットを駆使して大活躍を・・・
ぜひアニメで見てみたい展開だ
151名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 03:50:36 ID:5DASMWo4
>>125
ティオーナがいい感じに熟成してきたかなぁ
けど俺はこの主人公が一番好きだわ!
次回も待ってるシンジテル!
152名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 05:18:55 ID:yZS7WeK2
>>125
GJっす!

ティオーナも良い感じになって来ましたww
153名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 11:38:41 ID:SPyOKDkU
ティオーナは要らない子
154名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 12:54:15 ID:D0kZWc5Z
愛を限り無く注いでくれるけど、独占欲が強くて嫉妬深い女の子と付き合いたい。
そして二股をしたい。
155ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 12:59:59 ID:NJA/rKrf
投下します。
156ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:02:45 ID:NJA/rKrf
 尻に、筋張った手が張り付き、うごめいていた。
 その尻は俺の高校の女生徒用制服のスカートに包まれている。
 手は、俺の手ではない。
 そして尻の持ち主の女生徒は顔をこわばらせたまま、身じろぎ一つしない。
(ばか、振り払え!)
 声を出さずに目線で女生徒に語りかけてみたが、エスパーでもないので、俺の思いは伝わらない。
 もっとも、朝の大手私鉄の上り列車、しかも信号故障でのろのろ運転中と来れば、混雑度は殺人クラスとなる。
 尻を動かそうにも思うほどは簡単じゃないはずだ。現に俺もすぐに側にいってやれない状況だ。
 不安と不快感で揺れる涙を浮かべた女生徒の目が俺を認めて、希望の光をともす。
 ついでにた・す・け・ての四文字も金魚の様にパクパクと開閉する口から読み取れた。
 女生徒の名は、片桐沙織(かたぎり・さおり)という。俺の同学年同クラスの女だ。
 顔立ちは綺麗で繊細だが、いつも小動物のようにびくびくおどおどとしている。
 表情を引き締めればもっとその綺麗さも周囲に認識されるだろうことは俺も確信している。
 しかし彼女の性格とそこからでる仕草は、彼女の美しさを大いに減じたうえで、さらにどこか人の神経に障るものを感じさせた。
 例えば、常に上目遣いで人の顔色をうかがう大きな黒目がちの瞳が、ハの字になっていかにも困ってますというふうに寄せられた細い眉毛がなぜかいらつく。
 あるいは小ぶりで整った鼻が、細く綺麗な桜色しているのに力ない笑いしか浮かべない口が、やたらと細いイメージを与える顔と細い首の輪郭が気に入らない。
 それゆえ中学ではいじめられていたと聞くが、外見から与えるこの印象を考えればむべなるかなという感じだ。
 そのくせ、髪は思わず手に取りたくなるほどさらさらつやつやの絹のようなストレートで小柄な背中の中程まで伸びている。
 彼女の前胸部はといえば、大きく扇情的に盛り上がっていて、尻もまたスカート越しだが、魅力的に柔らかそうな曲線を描いている。
 なんというか、気が弱そうで付け入るのが容易でそのくせ顔も体も妙に陰性の色気が漂う女が、片桐沙織だ。
 その陰性の色気と弱々しさを体と顔全体で表しているが故に、痴漢を全力で引きつけている原因ともなっている。
 昨年高校に入学したときから、彼女が痴漢されているところに俺が何度となく出くわしたのは、これが一番大きい理由だ。
 彼女の乗車駅が俺と同じと言うこともあるだろうが、彼女が一度たりとも痴漢を自分で排除しなかったのもある。
 彼女は被害に遭うと、顔の表情を消して手を握りしめて、声を上げることもなく体で振り払うこともなくただただひたすらに耐えた。
 そして俺は、彼女の目にうっすらと涙が浮かび、顔をうつむかせているのをみると、たまらなく「彼女に」いらついた。
 そう、俺はいつも痴漢にではなく、理不尽に抗おうとしない片桐に、たまらなくいらつくのだ。
 彼女のそんな姿を見れば、初めは心の中で大声をだせと怒鳴りつけ、次第にいつまでも我慢してろと毒づき、やがてその我慢強さにあきれて、最後にいらつくのだ。
 結局、俺自身が我慢できなくなるという、善意とはほど遠い理由で、俺は彼女を助けにはいることになる。
157ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:05:28 ID:NJA/rKrf
「前方赤信号です。しばらく停車します」
 アナウンスとともに列車が揺れて、車内の人々が前方によろける。
 その瞬間を利用して、彼女の方に倒れかかりながら、彼女の手を乱暴に思いっきり引いた。たぶんちょっと痛いと思う。
 だけど力を入れた甲斐があって、彼女の体が痴漢の側からするりと抜け出し、俺の側に引き寄せられる。
「あ、ありがとう」
 そういうと彼女は俺の前に体を入れて、向かい合うようにたった。
 すぐに混雑した車内が俺と彼女を圧して、お互いの体を密着させる。
 それでまた俺はため息をつくことになった。
 片桐は痴漢から逃れて安心したのか俺から離れない。それは当然のことだ。
 だが問題は片桐の体だった。俺の精神衛生上にとても悪いのだ。
 ただでさえ、異性に密着されるといろいろと危ないことになるのに、片桐ときたら俺の胸を二カ所ほど狂いそうなほど柔らかい肉で押してくれるのだ。
 そんなこちらの状況も知らず、痴漢から助け出すと彼女は必ず俺にくっついた。
 決して役得なんてものではなかった。
 そもそも俺は女性に強いわけもない。それどころか俺は、胸を張って女は苦手だと公言してきたのだ。
 ゆえに彼女に密着されると逃げ出したくなる衝動と触ってしまいそうになる欲望、そして下卑た欲望に対する自己嫌悪、それを押しとどめる理性が心を吹き荒れた
 俺はいつもそういった精神的暴風とそれを知られまいとする緊張に必死に耐えることとなる。
 そう言う意味で片桐はやっかいな女だった。助ける前もやっかいで助けた後もさらにやっかいだった。
 今日もなんとか煩悩発生源から遠ざかろうと、俺は揺れにあわせてわずかに半歩後退する、
 だが片桐はそれを知ってか知らずか、さらに俺に体を押しつけ、柔らかい肉が俺の胸板にすりつけられる。
 俺のため息はさらに深くなった。いっそ煩悩がため息と共に出て行ってくれないかと盛大にため息をついた。
 だがそんなことが起こるわけもなく、もはや俺に出来ることは到着までの駅数を数えるだけだった。
158ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:09:19 ID:NJA/rKrf
「おはよう、矢代くん。さっそくで悪いんだけど、体育祭の資料、どこまでできて……ム?」
 混雑しきった地獄の通学電車を脱出したとき、時間はそんなに遅れていなかった。
 ホームに吐き出されるとこれ幸いと片桐と別れた。そして早足で学校を目指せば、時間の遅れは最小限となって、予鈴に充分な余裕をもって校門をくぐった。
 しかし教室に入った途端、俺を待っていたらしい眼鏡をかけた女生徒がずんずんと足音高く寄ってくる。
 その上、挨拶もそこそこに要件を切り出し始めたので、俺は鞄からファイルを引っ張り出し女の鼻先に突きだした。
 受け取った資料を女が開いて眺める間に、俺は解説を加える。
「備品数のチェックは先週。破損に入ってるのは修理すれば使えそうなのも入れてる。
でもどうせなら予算通して買った方がいいと思うけどな。パイプイスは一応講堂のものも入れてあるけど、それをグラウンドで使う際は先生に確認してくれ。
スターターピストルは試射してない。来賓招待用の葉書文面は最終ページ」
 驚きの表情で資料をめくる女生徒を見て、俺は朝のモヤモヤがすこし晴れるのを感じた。
 この女生徒は中塚里香(なかつかりか)。クラス代表をしている。
 ショートカットのヘア、眼鏡で覆われている大きく理知的な瞳と通った鼻筋、端正な口元は、才女の印象を周囲に与える。
 体も女性としては標準の身長に、そこそこの胸、太くはない腰、そして小ぶりの尻に細く締まった脚が続く。
 その体を規定を完全に守った端正かつ清潔感あふれる制服姿で覆っている。
 中身もそれに違わないもので、学年上位の成績と清廉実直な優等生ぶりで主に教師と生徒会から絶大な支持があった。
 反対に言えば彼女は一般生徒からみれば、かなり煙ったい女生徒でもある。
 クラスを仕切り、遠慮無い言葉をずばずばと投げつけ、学則にうるさい。
 そういう委員長的なキャラクターなので、へこませると結構面白いのだ。
 今のように驚きで口を開け、眼鏡を光らせながら資料を読んでいるような姿は、興味深いものがある。
 とはいえ、そんな顔を見たいから資料作りを頑張ったのではなく、面倒事をとっとと終わらせるために頑張ったのだ。
 ゆえにこの楽しみは余録に過ぎない。
「じゃあ、これでいいな?」
「え? ええ」
 その言葉と共に、中塚を置き去りにして自分の席につく。
 彼女と会話をすると余計な頼まれ事が増えるのだ。というか彼女は俺を使い勝手がいい助っ人だと思ってる節がある。
159ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:14:48 ID:NJA/rKrf
「よう。朝から中塚をへこますとは、相変わらずさすがだな」
 その言葉と共に寄ってきたのは、吾妻亮、親友というには俺的には微妙な奴だった。
 それでもこいつは俺が会話を交わす数少ないクラスメイトではある。
 女達の紹介が続いたので、ここで手短に俺と吾妻の紹介をしておく。
 俺は矢代雅史(やしろまさふみ)、人からはおそらく協調性のない成績だけのガリ勉だと思われているだろう。
 外見は、野暮ったく光るところのない中肉中背の男。人望は無く、女性受けも悪く、友人も少ない。
 もっとも俺はそれを気にしていない。自分の性格が一匹狼であることは小学校の時から自覚しているからだ。
 俺は正真正銘の欠陥人間で、とにかくこう団体生活に適応できないのだ。
 班を作れば、最後まで余る。フォークダンスでは手を繋ぐことを女に拒否されたので、当日さぼって担任にどやされた。
 もちろんさぼったのは四年生の頃から中三まで毎年だ。中学の頃は体育祭も文化祭も仮病でずる休みした。
 修学旅行では、最後に余った寄せ集めチームとなった。そこで集団行動する振りをして、各自勝手なところに行った。
 そんな有様なので、他人と調子をあわせるという発想に乏しい。だれかのご機嫌をとろうなどと思わないのだ。
 だから女達の間に入って気の利いた会話をしようとも思わない。女と何を話して良いのかもわからない。
 そういうふうに女生徒と会話をする意志も能力もなく、会話をしなければ親密にもならない。
 ましてや、人に興味がないので他人を好きになることもない。つまるところ俺は恋愛とか好きになる感情とかが理解できない。
 たぶん、俺の脳には恋愛機能がついていないのだろうと思う。そう言う意味でも欠陥人間だ。
 そんな俺にたいして、吾妻亮という男は実に対照的だ。万事そつなくうまくやるのが奴の特徴だ。
 奴の友人の話を聞いても、奴は昔から成績優秀な優等生でかつ、スポーツ万能でもあり、必然的に女から非常にもてた。
 この高校にはいっても、成績優秀は変わらず、スポーツもサッカー部のストライカーだ。
 その上、やせぎすの長身で、顔も甘い二枚目で、物腰は自信にあふれている。
 ゆえに奴の周りには男女問わず人が取り巻いているのだが、どういう訳か吾妻は時々俺に話しかけてくる。
 たぶん俺と吾妻はあまりに違いすぎるので、たまの会話が毒抜きになるのだろう。
「たまたまだ。時間が余ったから片付けていったら早く済んだだけさ」
「あの資料作りがたまたまで早くできるかよ。こんなことならお前をクラス代表にしとくんだったよ。
 うざい中塚より気楽にやってくれただろうにな」
「だ〜れが、うざいって?」
「さて、だれのことかな?」
 いつのまにか中塚が俺達に寄ってきて、額に小さな青筋をたてて会話を聞いていた。
 吾妻の言葉は当てつけだったらしい。吾妻は曖昧な笑いを浮かべてとぼけたが、口には人の悪い笑みが張り付いている。
160ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:18:52 ID:NJA/rKrf
「どうした、中塚? 間違っているところがあったか?」
 見直しはしたはずだが漏れがあったのかと思い、俺は中塚に尋ねる。
 その言葉で中塚は表情を真顔に戻した。
「ううん。ざっと見たけど無い。そうじゃなくて、これだけ出来るならこれからも私を手伝って欲しいのよ」
 きた。
「その資料で、体育祭においては、委員でもないヒラとしての貢献分は果たしたと思うが?」
 まずは前哨戦。彼女に押し切られた際の論理を持ち出してみる。
「ええ。でもね矢代くんはクラブも執行部もクラ代もしてないでしょ? 同好会にも入ってないし」
「それは俺の事情。中塚に関係ないよ」
 突き放す俺の言葉に、中塚の顔がこわばる。が、なんとか気を取り直したらしい。
「矢代くんのそういう態度は、問題だと思う。そういうのでは、友達もできにくいし、恋人とかなんてもっとできないよ?
 矢代くん、才能あるし、優しいところもあるのに、そうやって人と壁を作るところがよくないと思う」
 眼鏡の奥から綺麗な瞳を俺に見据えて真面目に語る中塚に、すこしだけ俺はこそばゆくなった。
 中塚のまっすぐすぎるところが、ひねた俺にはくすぐったいのだ。吾妻も同じだったらしい。
「おやおや矢代。おまえ、性格にダメだしされてるぞ。いまのままじゃ年齢=彼女いない歴=高齢童貞だとさ」
「あー、この性格は俺の顔と同じく不治の病だ。だから恋人も結婚も楽しい青春も、俺には関係ないことだ。
 そんなものになんら期待していないよ。俺はこの学校で無事に三年過ぎて、卒業証書がもらえればそれで良いんだ」
 俺の言葉に吾妻は笑う。本気で語ったつもりだが、奴は冗談だと思ったのだろう。もっともそれを訂正する義理はない。
 むしろ、本気が伝わったのは、中塚だった。
「矢代くん? それ本気? 私に言わせれば、矢代くんは何もせず勝手に壁をつくってあきらめてるだけ。不治の病? 
そんなの言い訳。臆病なだけ。……私、すこし矢代くんにむかついた。ニヒルなのが格好良いとでも思ってるわけ? ばっかじゃない?
ニヒル気取るんだったら、最初から私の頼み断ればいいじゃない。
矢代くんはね、自分で思っているより優しくてまっすぐな人なのよ。そうでなきゃこんな資料つくれない!」
 俺は肩をすくめた。中塚の声のトーンが上がり、瞳が少し潤みさえする。
 何が彼女の逆鱗に触れたのかはわからなかった。俺としては生き方の違いを訴えたつもりだったのだが……。
 そう思いながら吾妻を見ると、奴も意外に真剣な目で俺をみていたりした。
「なんだよ?」
「いや、確かにおまえは一匹狼をきどるわりには、頼み事を引き受けるって思って」
「……おまえも中塚に毒されたのか?」
 だが、吾妻はそれに答えず、俺と中塚を何度か見比べ、やがてにやにや笑い出した。
 その視線に、中塚も口を閉じて微妙な表情で吾妻をみる。
「なーるほど。……中塚、まあ、頑張れ。おまえ、男を見る目はあると思うぜ」
「は?」
「な、何を言ってるのよ! そ、そういう変な勘ぐりはっ!」
 訳がわからない俺の隣で、中塚にしては珍しく湯気が出そうなほど真っ赤になって、わめいていた。
「はいはい、わかったわかった、ツンデレ中塚。そろそろ授業が始まるぜ」
「ちょっと、待ちなさい……きゃあっ」
161ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:22:31 ID:NJA/rKrf
 自席の方に戻っていく吾妻に火を噴くような剣幕で追いかけようとした中塚の姿が突然消えた。
 代わりに立っていたのは……片桐だった。衝突して中塚が転倒したと理解するには三秒ほど必要とした。
「ごめんなさいごめんなさい。だ、だいじょうぶですか?」
 どこか抜けたような、そして何か神経にさわる謝り方で、彼女はなんども頭を下げた。綺麗な黒髪が地面に付き添うなほど何度も垂れ下がる
 だが、床に倒れた中塚に彼女が手をさしのべることはなく、ただごめんなさいを繰り返した。
 業を煮やして俺は席から体を乗り出して中塚を助け起こした。
「大丈夫か? 痛むところがあるなら保健室に連れて行くが?」
 礼を言いながら中塚が体をさすりつつ立ち上がった。
「……ん、だいじょーぶ。……ちょっと、もう、気をつけてよ!」
「そう言うな。片桐はさっきから謝っている」 
 その言葉で中塚は眼鏡を直して、片桐をみる。片桐はまたもや頭をぺこぺこと下げ始めた。
 過剰に謝る片桐の姿がなにか俺のいらつきを誘って、俺は片桐や中塚から視線をそらした
「もう、いいよ。ぶつかったの、わざとじゃないし」
 中塚の落ち着いた言葉と共に女二人はそれぞれ自席に戻っていき、俺の席に平穏が戻ってきた。
(どうして女が絡むと、物事はこうやかましく複雑になるんだろう?)
 ため息をついて、教科書を引っ張り出して広げる。
 授業になっても吾妻がにやにや笑いを浮かべながら、またもや俺と中塚を見比べている。
 中塚もなぜか俺をちらちら見ていて、あまつさえ片桐すら俺を時々みていた。
 朝、電車のポイントが動かなくなったように、俺の歯車も今日は調子が悪いらしい。
 頭を振って授業に集中する。
 女に見られているからと言って、特別なことが起きるわけでもない。
 そんな当たり前のことを思い出したのだ。
 過剰な自意識のみっともなさに心の中で苦笑いを浮かべる。
 俺は何もしていないのだから、何かが起きるわけもない。
 そう思い直してざわつく心を押さえつけた。

 もちろん俺はこのとき完璧に間違っていた。
 それを思い知るには、昼休みのイベントと放課後までの時間が必要だった。
162ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:26:47 ID:NJA/rKrf
 飯は一人で食べるのが信条だ。味に集中できて自分のペースで食える。気楽で考え事に浸っていても問題ない。
 それは小学校の給食の時からの俺のルールだ。変えることはありえない。
 ……そう思っていたのだが、あっさりとお邪魔な女によって信条は破られた。十年ばかり守ってきたのだが。
「何? 私のお弁当分けて欲しいの? その肉団子と交換ならいいけど?」
 俺の正面に座って弁当を広げ、とぼけた事を言うのは、言うまでもなく中塚だ。
「里香が肉団子食べたいだけでしょう? 矢代くん、困ってるよぉ?」
「違う違う、お弁当で矢代くんを餌付けして、里香の仕事に引き込む魂胆なんだよ」
「ついでに、愛も深めあったりして」
「な、何言ってるのよ! 矢代くんとちゃんと話す良い機会だからって話したでしょう!」
 焦ったように中塚は否定したが、友人の女二名は笑いを浮かべながらあっさりと無視して話を続けた。
「でも里香が男子と一緒にご飯を食べるなんて画期的だよね」
「うん。すごい進歩だよ。やっぱり誰にでも春は来るんだよ」
「ば、ばっか! そんなのじゃ」
「矢代くん、里香はね、突っ走り系でそのくせすぐ落ち込む子だけど、根は良い子だから」
「はぁ」
 せっかくのAランチなのにもう味がわからない。愛想笑いをして相づちをうつだけで気力を総動員しているせいだ。
 中塚は、一人で飯を堪能していた俺の対面にいきなり座ったあげく、友人どもを俺の横と斜めに座らせた。
 つまり四人掛けの机で、俺は三人の女に囲まれて飯を食うという、あり得ない状態に陥ったのだ。
 中塚一人ならば、苦情を言って席を替わることも出来た。
 しかしこの状態でそんな大人げないことをして、罪のない中塚の友人達に嫌な気分をさせるのは、ためらわれた。
 俺が一人で気兼ねなく飯を食う権利があるように、彼女たちもしゃべりながら楽しく飯を食う権利はある。
 全ては無辜の人間を巻き込む中塚が悪いのだ。
「それで中塚さん、話ってなんだい?」
 煮えくりかえる思いを笑顔で隠して、明るく優しい口調でとっとと本題に入りやがれと、中塚に催促をした。
 じぶんで中塚につけた「さん」という敬称で、鳥肌もたった。俺はこのとき紛れもなく自分をとても偽っていたと思う。
「うん、朝の話なんだけどね。やっぱり矢代くんに手伝って欲しいなって」
 彼女もやたらと明るく爽やかに振る舞っていた。中塚の友人達がにやつきながら俺達を眺めている。
「だけどなぁ」
「……確かに手伝ってもらいたいのに交換条件なんにもなしというのは悪いとおもったの。
今までもちょこちょこ助けてもらってたし」
 話の雲行きが変わり、俺は首をかしげた。
「交換条件?」
「ええ」
 中塚がびっくりするほど優しく明るい笑顔を浮かべる。そのことに俺はとまどいを覚えた。
163ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:29:30 ID:NJA/rKrf
 彼女の弁当のおかず入れから、いくつかの料理が取り出され、俺のA定食の皿に載せられた。
 そして肉団子が取り上げられ、彼女の口に放り込まれた。
 幸せそうな表情で肉団子を頬張る彼女を、生温かい視線で見守ってやった。
 やがて口から肉団子が消えた頃に、彼女は話の続きを始めた。
「お金をあげることなんてできないし、矢代くんは私より成績が良いから勉強を見てあげるとかもできないよね。
だから私にできることを考えたらね、これになったの。食べてみて? これ私が作ったの」
 そういうと彼女は、俺の皿の上の彼女の料理を食べるように勧めた。
 一つを箸でつまんで口に入れる。上品なだしで作った繊細な味が舌に広がる。
「……うまい」
「よかったぁ! 矢代くんの好みわからなかったからちょっと不安だったんだよ」
 思わず漏らした俺の賛辞に中塚は目を糸のようにして満面に笑みを浮かべた。
 こればかりは偽りなくうれしそうな顔だった。
「それでね、仕事を手伝ってくれたら、私の手作り弁当をご馳走するよ。
もちろん一回だけじゃなくて、手伝ってくれたらその度ごとにね? どう?」
 正直、魅力的な提案だった。すでに定食の味など飽きている。俺の家はといえば、もう十年も前からすでに家庭じゃない。
 最後にお袋が真面目に飯を作ったのは、八年も前の話だ。
 しかしこの魅力的な提案はあくまでも体育祭、よくて文化祭ぐらいまでで、来年彼女とクラスが別れれば消える話だ。
 なのに手作り料理で舌を馴らしてしまうと後がつらい。そういう青春は俺には不要というかむしろ有害だ。
「……申し出はありがたいけど、中塚にそこまでしてもらうことはないし……」
「えー? 断っちゃうの?」
「え?」
 反撃は思わぬところからでた。俺の横に座っていた中塚の友人Bだ。
 ……別に仮名にする必然性があるのではなくて、あんまり話したことのない女の名前など記憶していないに過ぎない。
「矢代くんは女の子の手作り弁当の意味、わかってないよね?」
 斜め前に座る友人Aが俺を軽くにらむ。
「し、しかし、俺のことでそんな手間をかける必要は……」
「お弁当なんて一人分も二人分も手間はたいして変わらないよ。そんなことで矢代くんは里香の気持ちを踏みにじるの?」
 またもや友人Bがコメントする。先ほどまでの黄色い笑い声と会話はどことやら、卓上はなにやら俺の糾弾会となりつつあった。
「ふ、踏みにじるって、そんなつもりはない」
「じゃあ、受けたらいいじゃない。それとも誰か好きな人がいるから里香のお弁当いらないの?」
 友人Aがにたりと笑う。
「そんなのいるわけないだろ。そういうことじゃなくてさ、なんというかそのだな……」
「定食のお金も浮くし、おいしいお弁当食べられるし、いったい何が不満なの?」
 友人Bが納得行かないって顔で俺をにらむ。
164ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:31:39 ID:NJA/rKrf
「……そのさ、だからさ、中塚が誤解されたらかわいそうだろ? 中塚だって好きなやつがいるだろう?
なのに俺が中塚の弁当食べて、その好きな奴に誤解されたらどうするんだ? 俺は責任とれないぞ?」
 その言葉で女三人は驚きの表情で顔を見合わせた。
 やがて友人AとBが、くすくすと笑い出し、中塚は曖昧な力の抜けた笑いを浮かべた。
「な、なんなんだ? 何がそんなにおかしいんだよ?」
「や、矢代くんっておっかしいぃ」
「ほんと、ピュアっていうかなんというか」
 そんな女達をしり目に、中塚は微笑む。
「とにかく、お弁当作ってあげるから、矢代くんは私を手伝ってくれるよね? 頑張ってくれたらボーナスもあるから」
「ボーナス?」
「うん。今は言えないけど」
 若干迷いはしたものの、答は限定されていた。くすくす笑いながらも友人AとBの視線は俺に注がれていたからもある。
 だが何より中塚の目がやけに真剣な、まるで祈るような光を宿していて、俺はその光に屈した。
「わかったよ。ありがたくお弁当食べさせていただきます。……はぁ」
「そんなため息付かないでよ? 腕によりをかけておいしいお弁当たべさせてあげるから」
「そうそう、里香ってこう見えて意外と家庭的だしね」
「こう見えてって、どういう意味?」
 黄色い声で笑い合う女達をみていると、押し切られて中塚の仕事を手伝うのも、まあ悪くはないかという気になった。
 いずれにせよ、これは体育祭が終わるまでの話だ。
 皿に載った彼女の弁当の品を口に放り込みながら、たまには美食もいいだろうと思った。
「じゃあ、悪いけど食い終わったんで、先に戻るから」
「あ? うん、じゃあ矢代くん、今日の放課後からさっそくお願い」
「オッケ。せいぜいがんばるよ」
 そういうと俺は空になった皿が載ったトレイをもって立ち上がり、中塚と友人達に軽く手を振る。
 そして緊張に満ちたテーブルから抜け出したところで、すぐ隣のテーブルに片桐がいたのに気が付いた。
 彼女は俺に気付いていたようで、そっと目礼をよこし、俺も軽く手を挙げてそれに答えた。
 それだけで片桐は視線を外し、俺もトレイを持って返却棚に向かう。
 一人で食べている片桐の姿が視界に入り、やっぱり食事は一人で食うに限ると改めて俺は思い直した。
 ……この時、俺は迂闊にも忘れていた。
 同じクラスの女に弁当を作って来てもらうと言うことは、その女と一緒に飯を食うと言うことに。
 あまりに想定外なことだったから、そんな単純なことにも思い当たらなかったのだ。
 だが、それは単に序章に過ぎない。俺の人生の転換点、この日の放課後が迫っていたのだ。
 このときの俺は、それに気付かない。ただ無邪気に今日と同じ明日が来ると思いこんでいた。
165ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:35:07 ID:NJA/rKrf
「さすがねー、矢代くんがやると何でもスムーズにすすむもんだねー」
「去年までの資料をみて、わからないところを三年生に聞きまくって、まとめただけだ」
「でも、進み具合はうちのクラスが一番進んでるよ。クラスのみんなのクラブ所属表を作っておいて正解だったね
 クラス対抗の競技出場割り振りたいへんだもんね。先輩達も割り振り案出来るのが早いって驚いてたよ?」
「出場選手の編成は、ホームルームで最終的に承認を得ておく必要がある。早めに決めておけばクラブ対抗競技との調整もやりやすくなるしな」
「うん、じゃー早速明日のホームルームの議題にするよ。ほんと、今日は助かったよ。ありがとう」
 そういうとぴょこんと中塚が頭を下げた。仕事が進んで上機嫌な中塚はこういってはなんだが意外と可愛かった。
 口やかましくていらいらしている彼女を見る方が多かったので、こんな表情を見ると、手伝うのも悪くはないなどと思ったりもする。
 とはいえ、一応体育祭までの話だ。
 俺は体育祭実行委員会室で資料をまとめるとカバンにしまおうとして、あたりを見回した。カバンがない。
「うわ、しまった。カバン教室だったか」
「どうしたの?」
 カバンに資料をしまい込んで、肩にかけた中塚が俺を見た。
「カバンを教室に置きっぱなしにした。……教室によって帰るよ」
 外は既にオレンジの光にまみれていて、まもなく夜闇が降りてくるのを予告していた。
「あららら。私、ここで待ってよっか?」
「……中塚、おまえ、初めは何かの用事に間に合わないって焦っていただろ?」
 その指摘に上機嫌に細められていた目が見開かれ、開けられた口に手が添えられる。
「うわぁ、そうだった! ……矢代くんごめん! お返しは明日のお弁当でするから。ほんとうにごめん!」
「ああ、はいはい。俺のことは良いから早く帰りなって」
 その言葉と共に携帯電話で時間を確認していた中塚は部屋の出口に突進した。
 そして出口で再び俺に振り返り、
「矢代くん、明日はお昼まで変なもの食べたらダメだからね。とびっきりのお弁当つくってあげるんだからね。
約束だからね」
「わかったって! いいから早く帰れ!」
「うぅぅ、そんな言い方は酷い。笑顔でバイバイって言ってよ」
 追い立てる俺の言葉に、なにか中塚は変にかわいらしいすね方をした。
「しょーがねー奴だ。……また明日な」
 中塚のリクエストに応え、笑顔を浮かべて小さく手を振ってやる。
「うん、また明日」
 赤い光の中で中塚の顔が妙にかわいらしく朱に染まった。……たぶん光線の加減なのだろう。
 数秒後には彼女の姿が消え、さらに一分後には校舎を出て行く中塚の姿が見えた。
 俺はその後ろ姿を見送ると、暗さをましつつある校舎を、自分の教室に向かって歩いた。
166ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:40:01 ID:NJA/rKrf
 教室の扉を開け、中が暗いから壁の電灯のスイッチをまさぐってつけ、後ろ手に扉を閉める。
 蛍光管が瞬き、赤黒いオレンジ色の世界がたちまち脱色されて、白色光の無機質さによってお馴染みの教室に戻る。
 ……いや、戻らなかった。
 色は確かに戻ったが、教室の状況は……およそ非現実的だった。
 その非現実は俺の席に座り、入ってきた俺を驚きの目で凝視していた。
 制服の上着は、胸の部分がはだけられて、下着がずらされ、でかくてとてもやわらかそうな肉がはみでている。
 その肉を乳房と言うことをさすがの俺も知っていたが、生で見るのは初めてだった。……この際、母や姉のものは勘定から外すとして。
 問題なのは、その肉を持ち主自身がわしづかんで先端をつまんでいることだ。
 問題は他にもある。
 問題の人物の頭は、俺の机にのせられていた。正確には机の上に載せられた俺の汗にまみれた体操服を口にくわえていた。
 下半身を見ると一応スカートは履いているが、まくり上げられて、とても女の股間を隠す役目を果たしていないことだ。
 さらに最終防壁となる下着はない。それらしいものはその女の左足に丸くなって引っかかっている白いものと思われた。
 とんでもなく問題なのは、股間に差し込まれた手が何かを握り、性器とおぼしき部分に押し当てていることだ。
 その握られた何かには見覚えがある。……たぶんあれは、俺の携帯電話……。
 そして一番の問題は、そのような非現実を演出しながら、俺の登場に驚きまくっている人物が、顔見知りということだ。
 ……つまり片桐沙織は、俺の体操服を口にくわえながら、自らの胸を揉み、下着をおろしてむき出しの股間に俺の携帯電話をおしつけていた。
 とても現実の光景ではなかった。三流エロ作家だってもっとましなシチュエーションを妄想するだろう。
 だが呆然と見合う俺達の間で、先に変化を見せたのは、片桐だった。
 震えだして、やがてぼろぼろと大粒の涙が瞳からいくつもこぼれ落ちて、俺の体操服を濡らした。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
 いつもは聞いているといらいらするこの謝り方も、予想外の事態でふっとんだ頭には、妙に現実感があって俺をほっとさせた。
 だが依然俺は指一本動かせず、声一つたてられずに立ちつくすばかりだった。
 やがて彼女が泣きながら立ち上がり、俺によろよろと歩み寄り始める。
「……お、お願いです、避けないでください。嫌わないでください。お願いします」
 性別逆なら普通に避けられて変態呼ばわりされて破滅なのだがと、近寄る彼女を前に、俺は頭は空転して無意味な思考を続けていた。
 突然、彼女の姿が消えた。蛙がつぶれるような音が床から聞こえる。
 視点を下げると、片桐が床に大の字でうつぶせになっていた。……転んだらしい。
 それで金縛りのような状態が解けた。
「だ、だいじょうぶかよ?」
 駆け寄って手を伸ばし、片桐を助け起こす。近くで見ると意外と綺麗な顔なのだが、鼻と額が打撲で赤くなっていて間抜けだった。
 だが、涙で濡れた目には、珍しく強い光が宿っていた。そして助け起こした俺の手を片桐はしっかりと抱え込んだ。
「ちょ、ちょっと? どうしたんだよ!」
「お願いです。話を聞いてください。突き放さないでください」
 それを繰り返しながら、片桐はむき出しの胸や柔らかな内股、そして濡れた陰毛と性器らしきものが俺の手にあたるのも構わず、さらに全身で俺の右手にからみついた。
 ふりほどこうと手を動かすと、胸の谷間に挟み込んで抱え、太腿で締め付ける。
 そして顔を俺の肩におしつけ、お願いを繰り返した。
 俺はさらに数度腕を抜こうとする試みを繰り返して、ついに片桐に根負けすることとなった。
167ご愁傷様、矢代くん:2008/08/27(水) 13:41:02 ID:NJA/rKrf
今日はここまで。
内容があわずスルーする際はタイトル名をNGにしてください。
168名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 14:08:47 ID:gPSLu3Tj
>>167
GJ。お疲れっす
169名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 14:13:14 ID:D0kZWc5Z
>>167
乙です、次回も期待してます
170名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 14:21:52 ID:5DASMWo4
>>167
序盤だしな、これからの展開に期待したっていいんだろ? GJ
171名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 17:50:35 ID:7hwsBngm
>>167
ヤベー……。なんかツボにハマッた。全力でGJ!!
これからの展開に超期待してる。とりあえず脱いでおくわ。
172名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 17:51:16 ID:yZS7WeK2
>>167

GJっす

片桐さんカワイイよ片桐さん(;´Д`)ハァハァ

ドジッぷりを見ると微笑ましくて応援したいキャラだwww
173一万年と二千年前から愛してる ◆P2eB9kM1aI :2008/08/27(水) 18:22:10 ID:j7gWEjx0
投下します。

(は!そうだ、アレ!!)

持ってきた爆竹一掴み、一気に点火し投げつけるが全て光輝く大きな
――左にもあればまさに彼女の名前のとおり天空を羽ばたけそうな――翼でふせがれる。

(今!)

広げた翼とあがる煙で視界が塞がれた隙を逃さず彼女へと自分から一気に距離を詰め、羽の上からスタンガンを押し当てる

「ツッ!!動きが甘いですよ!!スゥウウウウ、ハァア!!」

寸前、爆竹による羽への衝撃によりわずか仰け反っていた勢いを加えた地面への蹴りで大きく後方へとバックステップ。
宙を優雅に舞うように距離をとる。優が更に一掴みの爆竹を投げ込むが羽を一閃、叩き落し、更に無数の羽根を乱射。
狙いはもちろん武器袋及びそれを持つ腕、が。

「はぁっ!!」

優は爆竹を取り出すと同時にスタンガンをしまい、代わりに伸縮自在の特殊警棒を抜いており、一閃、二閃、無駄のない動きで
羽根の矢をすべて叩き落とす。あらぬ方向へと弾かれた無数の白い羽根が小爆発を起こし、光と音と煙の断幕となり、
優の動きが一瞬止まる。その間に翼は着地、前のめりに床を強く蹴り今度は一気に距離を詰める。
手には何やら光の剣のようなものが・・・・一気に斬りつける!!

「やぁっ!!」

「はっ!!」

光の剣に特殊警棒で対抗してもすぐに折られるだろうと判断した優は、しかしあわてず、それを鋭く投げつける。
無論はじかれ、得られた時間もわずか1秒あるかなしか、だが、
174一万年と二千年前から愛してる ◆P2eB9kM1aI :2008/08/27(水) 18:24:02 ID:j7gWEjx0
(これで充分!!)

空いた手へと新たに取り出した得物、催涙スプレーを一気に噴射!!

「ぅ!?」

あわてて体の前に白い翼を展開、盾がわりにするが、そこへすかさずスタンガン!

「ぅぅっぐ、が、あぁあ!?」

電流を食らいながらも驚異的な忍耐力(?)でこれを耐え、

「はぁ!!」

電撃を食らい続けながらも再び光の剣で斬りつける。

「―っヒュ!」

慌てて距離をとる神山優に、大空翼は直接攻撃を加えるのではなく、上方向へ羽根を一発飛ばし、
やたら大きく豪奢な輝きを持つ見るからに高そうなシャンテリアを優の頭上へ落とす。辛うじてかわした優は、
しかし体勢を崩し、後方へと倒れこむ。そこへ鋭く投げつけられる特殊警棒(さっき弾かれて転がってたやつ)。

「うわ!!」

とっさに腕で顔をかばうも、天使の全力で投擲された金属を食らった左腕に大きなダメージを負う。

「っ、痛た・・・・・・・・・・ぐぁああああぁああぁ!!」

そこへ大きく跳躍した彼女のとび蹴りを腹に食らい、ノックアウト

「ふ、ふふふ・・・やっと、捕まえたぁ・・・・・」

意識が闇に飲まれる寸前に見た彼女の目は天使のそれとは思えぬほど濁り、暗く、同時に異常なほど強い光を炯々と放っていた。

つづく
175一万年と二千年前から愛してる ◆P2eB9kM1aI :2008/08/27(水) 18:24:55 ID:j7gWEjx0
投下終了です。
176名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 18:58:53 ID:/gaeX3L1
???
177名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 19:24:36 ID:EnkyWRwh
>>176
気にするな
いつものヤツだ
http://info.2ch.net/before.html
178名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 19:37:00 ID:SPyOKDkU
パソコンガブブブッコワレタ
179名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 20:34:08 ID:HkAO1ixL
なるほどジェラシーウィルスか…
180名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 20:43:14 ID:rTGQgLV9
>>167
中塚さんも片桐さんもどっちの子も捨てがたいぜ・・
こっからどう修羅場に繋がっていくのか次回も楽しみに待ってます
GJ!!
181名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 21:05:23 ID:z4n1sblT
一万年氏、久しぶりです。ROMるのは半年だけだったのでは?
スレ的には平穏を取り戻せる最後のチャンスかもね
182名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 21:09:00 ID:bOC4/keO
片桐さん結婚してください
183名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 21:09:06 ID:Xhgyszqr
>>167
GJっす
これからの展開が楽しみです
184名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 21:16:26 ID:kLjK9ncR
>>167
これからに期待w
GJ
185名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 21:19:31 ID:j7gWEjx0
>>167
GJ
186名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 22:55:03 ID:dWz/TFsx
ちょっと思いついた小ネタを投下


真っ昼間から、今にも死にそうな喘ぎ声を周囲に撒き散らす馬鹿女。
狂った様なその痴態に周りは見てみぬ振りをしている。
そう…ここは昼間の公園なのだ。
小さい子供を連れた奥様達はそそくさと公園を後にする。
…………変態女め。
わざと見せ付けていやがるんだ。
見られる事で興奮しているんだ。
あぁ…女の尻がガクガクと前後に揺さ振られている。
あいつの尻を穿のは彼のペニス………あの女に誘惑された可哀相な彼の…いや、あれは私のペニスだ!
私だってあれが欲しいのに!!
私だって彼の為なら昼間の公園で尻くらい振ってやるわよ!!
それをしないのは、人目に彼の恥ずかしい姿を晒したくないからなのに…
私の方がこんなに彼の事を考えてあげてるのに……
私の手の中で、ソレはキラリと日の光に反射した。
鋭利に研ぎ澄まされたソレをペロリと舐め…私はいまだに蠢き続ける肉塊に近づいた。
馬鹿女の喘ぎ声で、私の気配は掻き消されているようだ。
快楽に歪んだ醜い顔。
「この……泥棒猫がっ!!」
私はソレを、憎たらしい泥棒猫めがけて振り下ろしたのだった……



「ニィちゃんっ!!どうしたの!?」
フラフラと窓の外から亜希の飼い猫が戻ってきた。
白く長めだった美しい毛は所々が抜け落ち、何よりも全身に血がこびりついている。
「やだ……ひどい」
弱々しく鳴く飼い猫を抱く亜希の背中を、芳郎の手の平が慰める様に撫でた。
「他の猫にやられたんだろうな。ちっ、うちの馬鹿猫はどこいったんだよ!!」
今日、亜希は飼い猫を連れて芳郎の家に遊びに来ていた。
芳郎の家でも猫を飼っており、二匹は仲良く散歩に出掛けたはずだったのに、芳郎の猫の姿は見えない。
「……芳郎くん?」
ふいに窓の外から聞こえてきた声に、亜希は身を強ばらせた。
「…どうしたの?まぁ…可哀相な猫ちゃん」
可哀相…と言いながら、その声はどこか楽しげだった。
自分の飼い猫から目を上げて窓の外を見る。
芳郎の隣に立つ家…すぐそこにある部屋。
その部屋からは美しい少女がこちらを覗いている。
………いつから?
「あっ!!こいつ…麻美子の所にいたのかよ!?」
少女の腕の中には芳郎の猫と、もう一匹…細くしなやかな姿をした黒猫が抱かれていた。
プルプルと亜希の膝の上で猫が震えだす。
「しょうがないじゃない、芳郎くん。うちの猫と芳郎くんちの猫はとっても仲良しなんだから」
少女の目が亜希を射る。
友好的な雰囲気など微塵もない。
「…その子の猫ちゃんよりもずっと仲が良いんだから」
冷たい視線は、亜希を「泥棒猫」と罵っていた。


終わり
187名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 23:42:50 ID:SPyOKDkU
泥棒猫でも姉猫何でも良いから猫飼いたい
188名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 01:02:35 ID:Z9WHAiLS
あやふやですまん。確か修羅場スレSSだったと思うんだが
・主人公は普通の学生
・完璧超人の美少女に告白される
・いきなりだしうさんくせーから断る
ってな導入のSSに心当たりある人いないかな?
いたらタイトルをば…。
189名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 01:20:00 ID:awDTNNZh
>>188
ヤンデレスレだがこれじゃね?
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/62.html
190名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 01:22:41 ID:DE574Ndq
>>188
有りすぎだからもっとしぼって
191名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 06:36:03 ID:Z9WHAiLS
>>189
すまねぇ違うわ

>>190
すまんこ。これ以上思いだせん。
ただ○そんなに話数ない○その女の子の取り巻きにイチャモンつけられる
なんてのはあった気が…
ってかこのシチュエーションてそんなにある?
192名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 08:00:57 ID:MPxjxU0z
あの話なら2話ぐらいしか投下されてないよ。
193名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 11:51:31 ID:6UpkrPkn
あの話なら俺の隣で寝てるよ
194名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 19:26:29 ID:wKG3Y5pe
>>191
「両手に嫉妬の華を」か?
微妙に違う気がするが・・・
195名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 19:45:55 ID:3pVP7UIK
多分 Sweet&DengerousRock'nRoll(仮) のこと。
女の子に告白されるも信じられなくて逃げたら後日、他の女生徒に弾劾裁判食らう話。
2年前の作品だわ・・・
196名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 20:00:40 ID:wKG3Y5pe
おお、ほんとだ
2話で止まってるのがおしいな
197名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 20:15:20 ID:JEiIJARB
新ヒロインっぽい子が主人公を助けたところで終わっているからなぁ。
198名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 20:58:52 ID:EOyu7593
なんだ、久し振りに再会する気になったのか、作者さん?
しかしえらく手の込んだ復活劇だな
こんな見え見えのお芝居やってるようじゃ、肝心のSSも大根かなw
どうしてここの住民はバカばっかり何だろう
199名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:04:57 ID:EOyu7593
200 :名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:03:20 ID:RtaIJAT6
2年も前の、しかも中途半端になっちゃった作品を覚えてくれてて感激です
また続き書いてみようかな


201 :名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:10:41 ID:uA3HKB8w
おおっ
お待ちしていました
裸ネクタイで待ってるぜ
200名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:05:44 ID:OgOZu1/a
信じて待つぐらいしかできぬのだ。誰にも強制力はないのだから。
201名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:05:47 ID:Z9WHAiLS
>>195
あざっす。これです。
にしても二年前か…何にしてもありがとうございます。
202名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:07:23 ID:EOyu7593
おっと再会じゃなくて再開なw
203名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:12:02 ID:m+GMyz9T
またいつもの荒らしか
http://info.2ch.net/before.html
204名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:28:55 ID:FjsqrJ0D
そして毒めぐががんばってます
205名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:35:01 ID:lYvi6KZ6
うぜーな
しねよ
206名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:42:53 ID:tyJ/kUYH
セワシ「ドラえもんはロボットです」
ジャイアン「なんだとー!」
セワシ「未来から来たネコ型ロボット。私のお下がりです」
出来杉「我々はドラえもんを系譜ではなく、起こした奇跡によって認めているのです」
セワシ「しかし、その奇跡が偽りだとしたらどうでしょう?」
出来杉「偽り?」
セワシ「ドラえもんには特殊な力、ひみつ道具があります。
    強力な化学兵器と考えていただければ」
スネ夫「奇跡の種がその力だと?」
ジャイアン「俺の心の友にケチつけてんじゃねぇよ!未来とかロボットとかよぉ…
    証拠はあんのかよ?ああ!?」
のび太「証拠ならある!!」
ジャイアン「のび太?」
スネ夫「しずかちゃんまで…」
のび太「彼が言ったとおりだ。ドラえもんの正体は未来のネコ型ロボット!
    ひみつ道具という力で物理法則を捻じ曲げるペテン師だ!!」
207名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:45:20 ID:wKG3Y5pe
>>206
イミフ
208名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:56:43 ID:ycbZcBu3
>>198
『枯れ木も山の賑わい』っていうだろボケ!>○(#゚Д゚)=(  #)≡○)Д`)・∴'.
209名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:28:43 ID:wKG3Y5pe
しかし、改めてまとめSSを見ると
続き読みたいのに止まってるの結構あるな
個人的にはブラマリの続きがよみたいんだがな・・・
作者さん書いてくれへんかな
210名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:28:56 ID:EOyu7593
それって褒めてないし
さりげに叩いてるのかw
211名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:57:19 ID:+46/eSej
>>194
作者さん
もういいって
アンタはよく頑張ったよ
212名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 23:50:33 ID:oypcTfU9
誰かロボとかアンドロイド系がヒロインの話書いてくれないかなー
どうしようも無く萌えるんだよね……
213 ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:19:57 ID:B+vBk3VM
何という微妙なタイミングなんだ
やらせじゃないですよね
214ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:21:14 ID:B+vBk3VM
「ふわぁ……ふわぁぁ〜ん……」
 僕、寺島俊はマヌケみたいなアクビと共に目を覚ました。
 伸びをするとハンモックが心地よく揺れた。
 最初は恐怖さえ覚えたこの浮遊感に、今ではすっかり馴染んでしまっている。
 それが我ながら情けない。

 今いるこの場所が南の島で、バカンスの真っ最中だってのなら話は違う。
 だが、ここはリゾート地などではなく、狭苦しい6畳板間の私室なのだ。
 昔の海軍じゃあるまいに、誰が好きこのんで寝室にハンモックを吊したりするものか。
 僕は自分のベッドでグッスリ眠るという当然の権利をルームメイトに奪われている、哀れな高校生なのだ。

 僕からベッドを取り上げた悪魔のような同棲相手は──正真正銘、本物の悪魔だ。
 ひょんなことから地獄に帰れなくなってしまったイブリンは、444柱の手下を従える悪魔の軍団長だという。
 それが本当なら、彼女はもの凄く有能な悪魔ということになる。
 これまでに地獄へ送り込んだ魂はいったい何千人分になるのやら。
 彼女って見た目には澄ました顔の金髪美女なもんだから、馬鹿な男はコロッと騙されて魂の契約をしてしまうのだろう。
 かく言う僕もその馬鹿の一人だから、偉そうにはできないんだけど。
 そんなイブリンも今やすっかりこの世界に馴染んでしまい、近所じゃ「寺島さんとこのガイジン娘」で通っている。
 ともかくこの娘悪魔がベッドを占拠しているから、僕が水兵の真似をしなきゃいけないのだ。

 じゃあソファで寝れば、って言う意見も出るかもしれない。
 それよりいっそ2人でベッドを使えばムフフ、と言う意見ももっともだと思う。
 しかし僕の部屋にはもう一人、それら2つの提案を両方同時に却下してくれる邪魔者がいるのだ。
 即ち、自らはソファに寝て、僕がイブリンのベッドに入るのを阻止しようと目を光らせている女の子が。
 それが僕の幼馴染み、細川真理亜だ。

 真理亜はかつて僕を捨て、修道院に入った敬虔なクリスチャンである。
 この修道院ってのがどうにも胡散臭いのだ。
 怪しげなクスリの製造を始め、武器の取引にも手を染めてるみたいだし。
 真理亜本人は大まじめに信じてるようだけど、そこって本当にカトリックの修道院だったのか。
 どこかの情報機関が設立した現地エージェント養成所じみた臭いがするのは、やっぱり気のせいだろうか。
 一度ゆっくり検証してみたいけど、真実を知るのが怖ろしいような気もする。
215ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:21:47 ID:B+vBk3VM
 ともかく2年間の修行を終えた彼女は、うちの斜向かいにある教会でシスターとして働くことになった。
 そんな彼女に、イブリンとハァハァやってるところを見られてしまったから大変だ。
 彼女は神に仕える身として悪魔の存在も、そしてその悪魔が僕といい仲になるのも許せなかったのである。
 挙げ句に、イブリンが僕を憑き殺そうとしていると主張し、自分もこの部屋に住むと言い出したのであった。

 6畳一間の小部屋に3人は過密すぎる。
 その上、2人は事ある毎に衝突し、つまらない揚げ足の取りあいから乱闘寸前にまで発展する。
 互いにやりたいだけやり合ったら、今度は芳しい体臭を部屋一杯に充満させながら眠ることになるのだ。
 騒がしいのもかなわないが、これはこれでたまらない。
 なにせ当方も一応健康な男子だ。
 おまけに魔力を秘めた類い希なるナニの持ち主なのだ。
 若い娘の体臭を嗅がされて、悶々とさせられるのは生殺しに等しい。
 お陰で僕の睡眠不足は慢性的なものになっている。

 それだけならまだマシだった。
 3人でも手狭なところに、今度は美少女メイドのウルスラまでが加わることになり、部屋の人口密度は限界を突破した。

 ウルスラは僕の精子を狙って、未来人が送り込んできたアンドロイドだ。
 それが愛の力によって自我に目覚め、今では忠実なメイドとして僕の身の回りの世話をしてくれている。
 ただ残念なことに1000年の時間差は致命的であり、彼女が秘めた未来の最新技術は現代では全く役に立たなかった。
 だが、そのことでウルスラを責めるのはどうかと思う。
 木の棒と板切れだけで火を起こせる現代人が、いったいどれだけ存在しているというのか。
 と言うわけで、彼女が電子ではなく水と洗剤を使う洗濯機を使えるようになるまでかなりの日数を要する有り様だった。

 本来ならウルスラは人工頭脳を搭載したアンドロイドだから眠る必要はない。
 彼女が床に寝そべって電源を落とすのは、人間に近づきたいという願望の現れなのだろう。
 それに、決して無限ではないディスクの寿命を延ばすためにも、それはいいことなのだ。
 いずれにしても彼女は毎晩僕の真下、約1.5メートルの床上に寝ている。
 あたかも身を投げ出して、僕を転落の衝撃から守るようにして。
216ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:22:19 ID:B+vBk3VM
 元々は80センチほどの高さに吊っていたハンモックだった。
 それが真下にウルスラが寝るようになってから、金具の位置は倍以上高くなった。
 シスター・マリアの「近すぎますっ」という一言で。
 アンドロイド相手にムキになるなんて、さぞかし大人気ない女だと思うだろう。
 だが、僕にはウルスラに中出しした前科があり、それが真理亜にバレてしまってるから従わざるを得なかった。
 真理亜が嫉妬するのも、僕がウルスラを抱いたのも両方とも無理はない。
 だって、ウルスラは見た目には人間と変わらず、妙齢の美少女そのものなんだもの。

 その愛おしい寝姿を見ようとして、僕はハンモックの中で身をよじった。
 だが、定位置にウルスラの姿はなかった。
 それもその筈、机の上の時計を見るともうお昼近かった。
 一瞬焦ったが、直ぐに今日が日曜日であることを思い出す。
 僕の日頃の寝不足を知っている女子たちは、ゆっくり寝かせてくれることにしたのだろう。
 真理亜とイブリンも出かけているようで、ベッドやソファはもぬけの殻だった。

 真理亜は教会の日曜学校で、子供相手にオルガンを弾いている頃だ。
 イブリンは昨夜遅くに野良猫の集会に出たまま、まだ帰ってないのかもしれない。
 そしてウルスラは隣の喫茶店『バルバロッサ』でお仕事の真っ最中なのだろう。
 愛想笑い一つしないアンドロイドはツンデレメイドと間違われ、店は町の人気スポットになっている。
 日曜日のお昼前となると、きっと忙しい盛りだ。
 ウルスラも顔色一つ変えないままで、さぞかしてんてこ舞いしていることであろう。
 両親も今日は休日出勤って言ってたから、昼飯は『バルバロッサ』にでも食べに行くか。
 今は混んでいるだろうから、もう一眠りしてから。
 僕はそう決めるとハンモックに身を沈めた。



 それから2時間後。
 目を覚ました僕は身を起こし、恐る恐る床へと降り立った。
 もう『バルバロッサ』の混雑も一段落した頃だろう。
 パジャマからジーンズとTシャツに着替えると、階段で1階へ降りる。
 やはりみんな出かけているのだろう。
 普段の日曜なら漂っている昼飯の臭いは嗅ぎ取れなかった。
217ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:23:03 ID:B+vBk3VM
 そんなことを考えながら廊下を歩いていると、誰もいないはずの台所で人の気配がした。
「誰かいるのかい」
 引き戸に手を掛けて中の様子を窺う。
 すると何やらくぐもった声が聞こえてきたではないか。

「……おにいちゃん……おにいちゃん」
 それは妹の綾の声のようであった。
 何か切実な様子で僕を呼んでいるように聞こえる。
「綾かい?」
 ガラガラと引き戸を開けるのと、ガチャンという音がするのが同時だった。

「お……おにいちゃん?」
 頬を真っ赤に上気させた綾が立ち上がった。
 何をうずくまっていたのかと床を見てみると、金属製のボールがひっくり返っていた。
 そして、ボールの中に入っていたのだろう、大量の溶き卵がぶちまけられている。
 綾は僕を見るなり硬直し、顔を歪めて泣き出しそうになった。
「綾、お前……」

 この時、僕の目はハッキリと捉えていた。
 妹の膝の辺りまでずり下ろされた純白のお子様パンツを。

「バカ、床を拭くのに履いてるパンツ使う奴があるか。ほら、雑巾」
 幾ら急いで拭き取らないと床に染みちゃうからといって、履いてる下着を脱いで使うとは──
 思い切りが良いのにも程があるぞ。
「ご、ごめん。綾、お兄ちゃんにお昼ご飯つくってあげようと……」
 綾は慌ててパンツを引き上げると、僕が投げてやった雑巾で床を拭き始めた。

「待ってて。今タマゴ焼き、作り直すから」
 綾は早く床を拭こうと焦るが、ネットリした溶き卵はなかなか拭いきれない。
 せっかくの申し出だけど、君のお兄ちゃんはもう腹ぺこで餓死寸前なんだ。
「いいよ。昼は『バルバロッサ』で済ますから」
 僕は妹にこれ以上の面倒を掛けまいと台所を後にした。
218ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:23:41 ID:B+vBk3VM
 
 チャリンチャリンというドアベルを聞き流し、僕は『バルバロッサ』に入っていった。
 昼も午後2時になると店内は落ち着いており、迷惑なヲタどもは姿を消しているようだった。
 ウルスラのツンツン攻撃に叩き出されたのかもしれない。
 彼女には店の回転率を上げるため、適当な時間が経過すると客を冷たくあしらって追い出すよう命じてある。
 例えば「まだいたの、早く帰ればいいのに」とか「どうせ待ってるカノジョもいないんでしょうけど」とか。
 のぼせ上がったヲタにはこれがまた超ウケるらしい。
 ウルスラから特別なサービスを受けたと勘違いして、喜んで追い払われていくのだ。
 全く、何がウケるか予測もつかない世の中である。

「やあ、お昼を食べに来たよ」
 カウンターの前に立っているウルスラに声を掛けると、無表情だった顔がパァッと華やいだ──
 ような気がしたのは自惚れだろうか。
 その実、彼女の脆弱な表情筋はピクリとも動いていないのだが、自分にだけは笑顔を見せてくれたように思える。
 案外、常連のヲタ共も同じ錯覚を起こして、この店のリピーターになっているのかもしれない。
 罪作りなアンドロイドだ。

「やぁ、俊ちゃん。いらっしゃい」
 カウンターの中から店のマスター、敏郎爺ちゃんが声を掛けてきた。
 お昼の慌ただしさから解放され、一息ついていたのだろう。
 コーヒーを挽きながら一服やっているところだった。
「今頃お目覚めかな」
 爺ちゃんは本当の孫を見るように、目を細めて微笑んだ。
 パイプをくわえた口元は、この店の名前の由来ともなった赤髭で覆われている。
「うん、腹へった。特製Aランチを頼むよ」
 僕は指定席にしている、カウンターの一番奥まった席に腰掛けた。

 敏郎爺ちゃんは真理亜の祖父である。
 そして幼少のみぎり、育ち盛りで飢え気味だった僕の胃袋を満たしてくれた恩人でもある。
 まだインターネットなど無かった頃、物知りの爺ちゃんは僕に色々なことを教えてくれる知識の宝庫だった。
 自然科学から民俗学まで、爺ちゃんの教えてくれる知識は多岐に渡った。
 僕は甘いホットミルクをすすりながら、爺ちゃんのお話に聞き入ったものだった。
 更に、爺ちゃんは膨大な知識と共に、思考することの大切さを教えてくれた恩師でもあるのだ。
219ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:25:00 ID:B+vBk3VM
 それにも関わらず、今の僕は目先のことはともかく、長期的展望に立った思考ができない人間に育ってしまった。
 多分、これまで余り他人と関わりあいを持たないように過ごしてきたためだろう。
 とにかく、自分の世界に閉じこもっていた僕は、自分自身のこと以外に注意を払う必要など全くなかったのである。
 だから、必要がない以上、余計な思考などせずともよかったのだ。

 特に真理亜に裏切られた後の2年間は空虚だった。
 僕も唯一心許せる真理亜との将来についてだけは、こと細かく綿密に計画を練り上げていたものだ。
 初エッチのシミュレーションなど、それこそ何度やったことか。
 だが、僕の立てた雄大なプランは、デート中にふと立ち寄った映画館の暗闇の中に消えていった。
 それを境に、僕はいよいよ自分の殻に閉じ籠もるようになった。
 そんな僕が空気詠み人知らずなダメ男になってしまったのも当然であると言えよう。
 以来、僕はずっと緊張感とか危機感には無縁な生活を送ってきた。
 だから必要が生じるまでは、僕の頭脳は眠ったままになっている。
 ようするに、切羽詰まらないと頭が働かないのである。

 例えばだが、学校の定期試験なんかは日頃から授業を聞いて予習復習さえやっておけばどうってことはないものだ。
 それが分かっておきながら、僕は試験の前日になるまで何もしない。
 ようやく教科書を開くのは、いつもの就寝時刻の数時間前になってからだ。
 まず記憶を辿り、授業中に耳にした重要っぽい語句を抽出する。
 続いて教科を担当する先生方の性格や出題傾向を精査し、試験問題の予測を立てる。
 後は数学の公式や初出の英単語をサラッと一読する。
 一教科あたりに掛ける時間は、だいたい15分くらい。
 それだけを元手に、平均点以上は確実に取れるのだ。

 きちんと勉強すればもっといい点数が取れるのは分かってる。
 だが学年首席を狙っているでもなく、卒業さえできればいいと思っている僕が、計画立った試験勉強をする筈がないのだ。
 トップクラスの成績をコンスタントに取ればモテるかもしれない。
 だけど、女の子の注目を浴びるためだけに、そんな面倒なことをする気には到底なれない僕なのである。
220ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:25:57 ID:B+vBk3VM
 気がつくと、鼻先にウルスラの顔があった。
 つい物思いに耽ってしまっていた僕を心配しているのだろう。
「サトシ……脳波レベル……落ちてる……」
 ウルスラはアニメに出てくるマスコットロボじみた台詞を吐いた。
 またアニメヲタにでも仕込まれたのだろうか。
 それでもウルスラは真面目に心配しているのであり、瞬きすらせず僕をジッと見ている。
 鼻と鼻が触れ合う寸前まで顔を近づけているのは、そうやって僕の体表温度を計測しているのだ。
 こんな状況だと嫌でも脈は速まり、体温は上昇してしまう。
 相手はアンドロイドとはいえ、超が付く程の美少女だ。
 それに彼女の僕に対する愛情は、人間のものと寸分変わらないのだから。

「そこぉっ、顔が近すぎますっ」
 突然の叱責が僕の心臓を破裂させかけた。
 恐る恐る振り返ってみると、奥のテーブル席でイブリンが笑い転げていた。
 今日は肩も露わな黒のワンピース姿であり、ゴージャスな金髪とよく似合っている。
 その手に握られている携帯電話を見ると、撮影モードに入ってることを示すLEDが点滅していた。
 てっきり真理亜に見咎められたと思っていた僕は、内心ホッと胸を撫で下ろした。
 厄介な奴に見られてしまったが、真理亜本人に現行犯で押さえられるよりは余程マシだ。
 なにせ悪魔とは取引ができるのだから。

「サトシったらウルスラとキスしようとしてたぁ。言ってやろ、真理亜に言ってやろ」
 イブリンは僕をからかうようにニヤニヤ笑い、いわくありげにウインクを寄越す。
 真理亜に黙っていて欲しかったら、ここの払いを奢りにしろってことなんだろう。
 だいたい金も持たずに店に入って、ハナっから僕のツケにするつもりだったくせに。
 何のことはない、事後承諾が事前承諾に切り替わっただけのことだ。

 しかし、僕がウルスラとキスしていたと吹聴されるのは非常にまずい。
 鼻先をくっつけた2人の写真を見れば、それがでっち上げであろうとなかろうと真理亜の見せる反応は一律だ。
 いずれにしても逆上して襲いかかってくるのは目に見えてる。
 まあその時には、一番身近にいるであろうイブリンが最初に血祭りに上げられることになるのだが──
 こっちを陥れようと企んでる悪魔にそこまで説明してやる義理はない。
 けど、死なばもろともと言うわけにもいかないので、今日は素直に奢ってやることにしよう。

「やったぁ。ジッちゃん、カルボナーラ追加ね。あと食後にチョコパフェなどを」
 イブリンは大げさにバンザイすると、僕に携帯電話を投げて寄越した。
 危うく捕り損ねかけたのは、綺麗に手入れされた腋の下にドキリとしたためだ。
 決して僕が運動音痴だからではない。
 僕は受け取った携帯を開き、件のスキャンダル写真を削除してやった。
 ついでにイブリンお気に入りの韓流スター、ヨウ様の画像を消去してしまったのは単純な操作ミスだ。
 これは不慣れな機種を扱ったことに起因する悲しい事故である。
 誓ってもいいがわざとなんかじゃない。
 と言うことにしておこう。
221ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:26:42 ID:B+vBk3VM
 僕がほんのちょっぴりの後悔を調味料に、特製Aランチを食べ始めた時であった。
 店先に車の急停車する音が聞こえたと思うと、荒々しくドアチャイムが鳴らされた。
 そして──
「邪魔するでぇ」
 品のない声と共に、人相もプロポーションも最悪な男たちが店に入ってきたのだった。
 ありったけの貯金を賭けてもいいが、人柄だって悪いに決まってる。
 そんなもの、2人のファッションセンスを見ただけで一目瞭然だ。
 だいたいあんなけばけばしい柄のスーツなんか、いったいどんな店に売っているんだろう。

 男たちを見た途端、にこやかだった爺ちゃんの顔が険しくなった。
「またいらしたのですか。何度足を運んでもらっても返事は同じです。ここを売るつもりなど毛頭ありませんから」
 爺ちゃんは落ち着いた口調でそう言うと、深々と溜息をついた。
 なるたけ平静を保とうと、必死で努力しているように見える。

「なに言うとるんじゃあ、ワシらお客さまやないか。のう、マサァ」
 パンチパーマの小男が、子分に向かってわざとらしく同意を求める。
「せや、アニキの言う通りや。わいらなんも嫌がらせしに来たんやないでぇ」
 マサと呼ばれた巨漢のヤクザは、相撲取りじみたお尻でカウンター席の2つを占拠した。
 アニキの方はテーブル席に横掛けし、偉そうに足を組んでふんぞり返る。
「ほな、コーヒーでも貰えまっか」
 アニキはテーブルの上に汚れた靴の踵を乗せると、横柄な口調でコーヒーを注文した。
 爺ちゃんは何か言いたそうに口を開きかけたが、結局黙ってコーヒーを淹れ始めた。

 何の説明もなされていないが、この2人が悪徳不動産業者から派遣された地上げ屋ということは容易に推測できる。
 今どきこんなベタなやり方もどうかと思うが、『バルバロッサ』が地上げの対象になっているとは知らなかった。
 きっと爺ちゃんのことだから、誰にも相談せずに一人で抱え込んでいたのだろう。
 もっとも相談されてたって、金も力もないダメ男にできることなど特になかったろうけど。
 それでも、実の祖父と慕っている爺ちゃんから、全く頼りにされないってのも少し寂しい気がする。
222ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:27:15 ID:B+vBk3VM
 サイフォンの中が褐色の液体で満たされる頃には、店の中いっぱいに芳醇なアロマが漂っていた。
 爺ちゃんは普通の客に接するのと同じ態度でマサにコーヒーを出す。
 そしてテーブル席のアニキには、ウルスラが無表情のままそっとカップを差し出した。
「なんや愛想のないおネエちゃんやなぁ。せっかく綺麗やねんから、もうちょっとわろたらどないや」
 アニキは無遠慮にウルスラの顔を睨め回し、嫌らしくカカカッと笑った。
 そしてあろうことか、彼女のオッパイを無造作に掴むと、乳搾りするようにモミモミと揉み始めたではないか。
「ミルクは新鮮な方がよろしおまっしゃろ?」

 ギャグとしては下等の部類に入るが、理論そのものには耳を傾けるべきものがある。
 少なくとも個人的には双手をあげて大賛成だ。
 下品な容貌とは裏腹に、なかなか深い知性を垣間見せてくれるではないか。
 それに今しがた見せた、人を人とも思わぬような強引で、それでいてさりげないパイ揉み。
 誰もがやりたいと願っている夢を、いともあっさりとやってぬける確かな行動力。
 ただ者ではあるまい。

 可愛い女の子を見れば、誰だってお喋りしてみたくなるものだ。
 更にそれ以上のことを望んだりするのも、男としてごく自然な欲求である。
 でも、気が弱く自分に自信が持てない僕にとって、そんな行為は暴挙以外の何ものでもない。
 ハッキリ言って、僕なんかには絶対に実行不可能な英雄的行為なのだ。
 なのに、彼は平然と初対面のウルスラの乳を揉んで見せた──僕より重度の「容姿の不自由な方」であるにもかかわらず。
 アニキと呼ばせてください、僕にも。
 僕は急速にアニキが親しい存在になってくるのを感じた。

 一方、オッパイを揉まれたウルスラはというと、相変わらずの無反応だった。
 大げさに泣き叫ぶのを期待していたのだろう、思わぬ展開にアニキは気まずくなって口をつぐんだ。
 そして憧憬を込めた僕の視線に気付くと、いい物を見つけたとばかりこちらに鉾先を向けてきた。
「なんじゃい、おんどれは。何か言いたいことあるんかい」

 とんでもない。
 尊敬するアニキに文句なんかあるわけおまへんで。
 謂われのないとばっちりに僕が面食らっていると、マサ先輩までもが加勢を始めた。
「わりゃあ、なにインネン付けてけつかるんじゃあ」
 その胴間声で、店にいた何組かの客が一斉に逃げ出した。
 ことは彼らの思い通りに進行しつつあるようだ。
223ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:27:51 ID:B+vBk3VM
「こらぁ、この店は客にどないな教育しとるんじゃあ」
 マサ先輩はありったけの声量でわめき散らした。
 なんか耳を疑うような、斬新で独創的な論理展開である。
 しかし、有無を言わさぬ恫喝力が込められているため、周囲に反論の余地はない。
 突っかかる本当の対象が僕でなくこの店、つまり爺ちゃんであるのは確かだが、流石にこれはない。
 イチャモンにコペルニクス的転回を加えるのも程度の問題だ。

 弱ったな。
 マサ先輩は体重200キロはありそうな横綱級のボディだし、勝ち目はとてもなさそうだ。
 身を揺すって詰め寄ってくるのを見ているだけで、正直もの凄い圧迫感を覚える。
 せっかくアニキたちと仲良くなりたいと思ってたのに。
 チラリと横目でイブリンを見ると、隣のテーブルに飛び移り、逃げた客の食い残しを貪っているところだった。
 この騒ぎを利用して、とことん食いだめしておこうって腹らしい。

「どこ見とるんじゃい。人と喋る時は相手の目を見ぃて、ガッコでセンセに習うたやろ?」
 ついにマサ先輩は僕の襟首を掴んでしまった。
 それをやっちゃお終いでしょ、先輩。
 僕は憐憫の情がこもった目でマサ先輩の目を見た。
「わりゃあ、なにガン飛ばしとるんじゃあ」
 彼は充分予測の範囲にあったセリフを吐いた。
 目を合わしてもダメ、逸らしてもダメ、如何にもヤクザ好みの安っぽいパラドックスである。

 僕の襟首を締め付ける先輩の手に力が籠もる。
「ええ機会や。シロウトが筋モンにちょっかい掛けたらどないなるか、この際…」
 マサ先輩は言い掛けた脅し文句を、最後まで発声することはできなかった。
 僕の横合いから伸びた細腕が、彼の襟首を締め上げたからである。

 視線を横にずらすと、ウルスラの無表情な美貌があった。
 忠実な彼女が、僕に害をなす存在を放っておくわけがないのだ。
「くっ、くぉらぁ…メイド……われ、ご主人様になにさらすんじゃ……」
 マサ先輩の手が僕の襟首を放した次の瞬間、耳元でゴゥっという竜巻にも似た音がした。
 同時に目の前からマサ先輩の姿が忽然と掻き消えた。
224ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:28:32 ID:B+vBk3VM
 本能的に首を振ると、店の玄関ドアに向かって一直線に滑空していく巨漢のヤクザが目に入った。
 何故か全てがスローモーションに感じられ、先輩の驚愕に満ちた表情がハッキリと見てとれた。
 その目も口も抗議をするように大きく開かれており、対をなすウルスラとは対照的であった。
 やがて──
 グワガラガッシャ〜ンというガラスが割れる音をBGMに、マサ先輩は無数の破片を撒き散らしながら路上へ転がり出た。
 そして、そのままお向かいの門柱に激突してようやく動きを止めた。

 ピクリとも動かなくなったマサ先輩を前に、アニキは石像のように固まっている。
「これ、ウルスラ。お客様になんてことを……」
 バイトの無礼をたしなめながらも、爺ちゃんの顔は楽しそうに笑っていた。
 ウルスラは何がいけないのかとムスッとしている。
 可哀相なのは化け物の巣に置き去りにされたアニキだった。
「あ…あの……い、入り口……」
 アニキはバカみたいにどもりながら、滅茶苦茶になった玄関を指差している。
 次は自分がバラバラにされる番だと思い、完全に思考停止してしまっているのだ。

「ああ、お気遣いなく。近く模様替えする予定になっていましたから」
 模様替えっていうよりは、改装が必要なレベルの壊れ方だけど──
 爺ちゃんは柔らかな物腰を崩さずに答えた。
 イニシアティブは完全にこっちサイドへ移動している。
 爺ちゃんは敢えて突っ掛かり返さぬことで、このまま事態を収束へ導こうとしているのだ。
「ああ、そうでっか。新装開店の折りには花輪でも贈らせてもらいまっさ。ほな」
 アニキは卑屈そうに身を屈めると、愛想笑いしながら拡張された玄関に向かって歩き始めた。

 それを見ても、僕はアニキに幻滅したりしなかった。
 むしろ彼の状況判断力の的確さに、改めて底知れぬ怖ろしさを感じた。
 勝てぬ相手に見栄を張っても、命を無駄にするだけである。
 ただのヤクザならメンツを守るため、ウルスラに無謀な勝負を挑んだであろう。
 だが、彼は名誉ある犬死によりも、任務継続のために勇気ある撤退を決断したのである。
 簡単なようで、なかなかできることではない。
 なんて感心していたら──
「ホットブレンド…2つ……900円になり…ます…」
 丸まった背中にウルスラの声が浴びせられるや、アニキは女の子みたいな悲鳴を上げて駆けだした。

 う〜む、とんだ見込み違いだったかもしれない。
225ツンデレメイドとザ・ヤクザ ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:29:56 ID:B+vBk3VM
 最高に楽しい人達だったが、残念ながら笑えたのはここまでだった。
「ドあほぅ。ヤス、マサッ。おのれらシロウト相手に、なにショボいことやっとるんじゃ」
 怒鳴り声がしたかと思うと、店前に止まっていた高級外車からダークスーツの男が降り立った。
 アニキとは貫禄や身に着けている物が大分違う。
 多分、組の若頭ってところだろう。
「まあ、こんなことやろうと思とったわい。おのれらにちょっとでも期待したワシがアホやった」
 若頭は身も蓋もないセリフでアニキたちを叱りとばすと、僕たちの方をジロリと見た。
 金縁眼鏡の奥に嫌らしい三白眼が光っている。
 アニキとは違い、好きになれそうにないタイプの男だ。
「どうやら交渉は決裂したみたいやのぅ。悪いけど、あれが最後通牒やったんやで」
 若頭は芝居っ気タップリな身のこなしで眼鏡を外すと、それをスーツの内ポケットに仕舞う。
 そして高級外車の方を振り返ると横柄にアゴをしゃくった。
「先生っ、出番でっせ」
 ヤクザの世界で先生と言えば政治家か用心棒と相場が決まっている。
 ここはどう考えても政治家の出る幕ではないので、車に乗っているのは用心棒なんだろう。
 消去法に頼るまでもなく、車の後部座席から降りてきたのはやっぱり彼らの用心棒だった。
 しかし、その容姿は僕を驚かせるのに充分であった。

 こういう場面では、むさ苦しいオッサンの登場を想像するのが一般的だろう。
 ボウボウの長髪に頬のこけた青白い顔がデフォルトだ。
 大抵は酒に溺れており、実力はあるのにやる気がない。
 だが目の前に立っている用心棒は、それら既成概念をことごとく覆す存在であった。

 まず、オッサンではなかった。
 と言ってお兄さんでもなく、更に言えば男ですらなかった。
 そう、アニキたちの用心棒は、スラリとした生足も眩しいピッチピチの女子高生だったのだ。
 艶々した長目のポニーテール、涼しげな切れ長の目、それにキリリと引き締まった口元──
 美少女として一級品と言って差し支えのない女子高生である。

 なんで一目見ただけで、彼女の本業が女子高生だと分かるのかって?
 そんなものは聞くまでもないし、そればかりか僕は彼女の本名だって言える。
 だって彼女、白鳥毬乃は僕と同じ学校に通う剣道部のエースなんだもの。

 対峙する僕たちの間を、血生臭い一陣の風が駆け抜けていった。
226 ◆GK0sdi5g3w :2008/08/29(金) 00:31:05 ID:B+vBk3VM
とりあえずここまでです
227名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 00:32:33 ID:So4wEGnx
GJ
228名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 01:03:03 ID:pDArzP6N
GJです!
229名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 12:39:57 ID:ujm6/gMG
ありがとう、お疲れ様。
230名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 22:31:44 ID:0KB54BLQ

          ,... -─- 、 -‐ '' " ´ ̄ ̄ ` "''  、
       ,.-''´-,.──-                  \   __
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     |/ |  .l    { ィ:. l! __ L:|:.! | ハr‐⊥L、 :|    |:.:.! } |
    ! l .::l|:.   :l;. |:,ァ~r_cヾハ|/l:! '゙ f3ハ `y!     |マ__/ l
      | .:::l !:.  ..::ヽ弌  いソ .:  ` :. ヽソ_ |    |:.lヽV
      ゙、:.:| |:.  . :.:.:.:.ヾ、::..""´  .:    `~´ l      l:; ト、ヽ
       ヾ、|:. :.:.:.:.:.:.l:∧:::::::.....::::::`      ,!    l :| l: ヽヽ
          |:. :.:.:.:.:.:.l.:.:ヘ::::::::::::‘' ̄´    ィ  .: l: .:l`、 ヽ|l !
         |  :.:.:.:.:.|:l.:.:.:l:.:丶、::::::::.    .イ/  ..::' l: .::!:. ヽ l │
        │ :.:.:.:.:.l:.:.:.:.|:.:.:l:.:.:.`':;- :':´::::/ ..:.:/ .l:. .:|:.:. `, l |
           !:.| :.:.:.:.:.゙、:.:.:.ト、:ト、 .:.:.|::::::::::/ ..:.ノ:人ノ:.:∧:.:l: ハトノ
           |ハ :.:.:.ト、゙、ヽ{ ヽ ヽヘl::::/:; -'´jハ ハ:.:| Vjノ |ヘ!
         ノ  ヽ:.:.:l ヾ、`     ノ.ル'´ ____   !  ヾ、
            \'、      /ィ‐''´ ̄ ̄`ヽハ【空鍋先生の厳しい現実講座】
              丶  /´/  -───- 、 \



デビュー前の時点で見える大賞、佳作、奨励賞、受賞無し(電撃の場合は大賞、金賞、銀賞)の違いは賞金の差
が、デビュー直後はこれに「初版印刷数」が加わる

大賞は印刷数が多い(最初の印税が多い)うえに公式HP等で大々的に宣伝をしてくれるし、佳作以下もそこそこ刷ってくれる
そして受賞無しの作品はそこまで力を入れてくれない

受賞作=将来のレーベルの看板候補、拾い上げ=当たれば儲けという風に考えれば納得の扱いではある

231名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 22:39:14 ID:0KB54BLQ
   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●) 一番厳しいとこきたな・・・
. |     (__人__)  まあ聞く前から分かってたけど
  |     ` ⌒´ノ   ディレクターはほぼ経験者でないと採用されないと思う。
.  |         }  企画なんてズブの素人が何百枚書いて持っていっても
.  ヽ        }  まあお茶も出してくれないだろうな
   ヽ     ノ   あとは制作か・・・まあ妥当なところだが、
   /    く  \  最初は雑用係だろうな。
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)  でもここで議論してるよりも、現場に入ってもがくほうが
  |     ` ⌒´ノ   必ず得るものは多いはずだぜ。制作を募集してるエロゲメーカーを
.  |         }  ネットで調べよう。エロゲメーカーは大抵ホームページがあるから、
.  ヽ        }  片っ端からチェックしていこうぜ
   ヽ     ノ        \
   /    く  \        \
   |     \   \         \
    |    |ヽ、二⌒)、          \
       ____
     /⌒  ⌒\
   /( ●)  (●)\     おk!PC借りるお!
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \    
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /


232名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 01:26:39 ID:7xe/CFxQ
233名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 01:32:30 ID:lezzm0JI
何故やる夫がwww
234名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 07:44:21 ID:LrcyHT+z
意味がわからん
http://info.2ch.net/before.html
235名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 11:30:11 ID:+H/Erko8
保管庫のbbsみてたんだが、24日以降に投下された蒼天の夢って偽物なのか?
236名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 12:01:07 ID:r8biQL7J
>>235
荒らしだろ、普通そいうこと本スレで言うだろ投下されたのここなんだし。
名前を言ってはいけない作者が久しぶりに現れて華麗にスルーされていたことが荒らしであることを物語っている。
237名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 12:16:45 ID:8urpjYKZ
毒メグさんががんばってるもようです
238名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 16:22:22 ID:Z3xk0ESe
ずいぶんと古いネタ引っ張ってきたもんだな
ばかなの?
239名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 17:01:53 ID:+H/Erko8
突然だが、俺はカックイイ主人公が好きだ!
てわけで「広き檻の中で」の主人公よりもカックイイ主人公がでてくる保管庫作品があれば
ぜひとも教えてくれ。
240名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 17:12:31 ID:Qt2ruHaF
広き檻か。 懐かしいな
でもあいつってカッコ良かったか?
憎めないヤツではあったがアホで助平な印象しか残ってないんだが?
241名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 17:25:51 ID:6A3MZDbN
カッコいい主人公とかどう考えても優柔だろ
242名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 17:45:32 ID:vF3/Ohbc
>>241 あぁ、たしかにやつはかっこいいな
243名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 19:42:19 ID:2swlwPuv
>>241
開き直りっぷりが格段にクールだよな
244239:2008/08/30(土) 21:02:58 ID:+H/Erko8
読んだぞ…
だ ま し た な
245名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 21:40:40 ID:jr71vHrc
ちゃんと最後まで読んだのか?
246239:2008/08/30(土) 21:50:44 ID:+H/Erko8
内容には触れんが、タイトル通り「優柔」すぎだろww
247名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 21:54:05 ID:Qt2ruHaF
マァ確かに途中までは騙されたと感じても仕方ないなw
でも最後まで読めば……あれ?

んー、血塗れ竜(本編)のユウキとか?
248名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 22:00:03 ID:0escCqdc
優柔はかっこいいってより外道と言うんじゃないか?

やっぱ九十九の想いの主人公とかかっこよくね?
もしくはパッションフルーツの主人公とか
249名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 22:15:17 ID:Z01gMA46
俺は沃野が好きだ
250名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 22:35:56 ID:PmaVYMTc
草の主人公かな
251名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 23:22:09 ID:0escCqdc
>>250
それには同意
252名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 08:58:52 ID:aYyEPdVd
俺は二等辺な三角関係、ぶらまりシリーズの主人公
主人公じゃないけどツイスターの山鹿、白き牙のクリスが好きだ
253名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 13:24:48 ID:FTg31ZSc
自称平和主義者の主人公が好きなんだ。
254名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 15:56:50 ID:WEXbTiwJ
ノントロッポも書いて欲しいんだろ、お前ら
ちゃんとリクしろよw
255名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 16:03:05 ID:h7nzsKws
                                 ,.へ
  ___                             ム  i
 「 ヒ_i〉                            ゝ 〈
 ト ノ                           iニ(()
 i  {              ____           |  ヽ
 i  i           /__,  , ‐-\           i   }
 |   i         /(●)   ( ● )\       {、  λ
 ト−┤.      /    (__人__)    \    ,ノ  ̄ ,!
 i   ゝ、_     |     ´ ̄`       | ,. '´ハ   ,!
. ヽ、    `` 、,__\              /" \  ヽ/
   \ノ ノ   ハ ̄r/:::r―--―/::7   ノ    /
       ヽ.      ヽ::〈; . '::. :' |::/   /   ,. "
        `ー 、    \ヽ::. ;:::|/     r'"
256名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 17:18:56 ID:0yyY/4jY
冬の星空の続編を希望してるのは俺だけじゃないはず
257名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 18:59:01 ID:C9bx++Eb
↑のも勿論待ってるけど、ここまで転帰予報なし
という事で俺がwktkしてまってます
258名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 19:05:58 ID:9835c/Mk
まあ落ち着いて雨の音を待とうじゃないか
259名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 20:23:58 ID:fhjptOAL
1/8。いいところで止まってんだよな。あと一番目の彼女もお待ちしてます。
260名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:02:58 ID:JfYSlid6
転帰は文章破綻してるのばれちゃったしな
普通ならもう投下できないだろ
稚拙な文章は恥ずかしすぎるよ
261名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:04:35 ID:AFT5SI32
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262名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:19:08 ID:SwAFQfop
あぁぁあああ我慢できない!絡みてぇ!で、でも・・・でも!・・・・・す、すぅ、するぅ〜〜〜・・・


ふぅ、また大人の階段を一歩登っちまったゼ
263名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:24:08 ID:3tY7Cfeo
>>260
文章のうまさもある程度必要だが
肝心なのはシチュエーションだろ
これからどうなるかが楽しみだから、住人は投下を待つのではないか
264名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 23:33:08 ID:ClGJftJd
雨の音の清華がどうなったのか気になるんだけど
265名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 00:00:17 ID:C9bx++Eb
評論家(笑)はスルーするに限る
266名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 00:19:45 ID:EOQ2wSBE
雨音ちゃんw
267名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 00:26:18 ID:wG9fwcSV
オレは九十九の想いマンテル社。
268名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 00:47:46 ID:mrF00hmk
つか、もうかつての書き手さんなんか残っていないだろ
こんな糞スレにしがみついてる義理も理由もないし
残っているのはここでしか通用しないようなヘタレばっかり

試しにここの有名どころのSSを何本か類似スレにコピペしてみたことがあるんだけど
結果は報告できないほど惨めだったよw

まあ、無条件でチヤホヤしてくれるスレは居心地いいってのは分かるけどね
実力のある書き手さんはとっくに他のスレや新板へ移動してるよ
269名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 00:51:57 ID:aL42E2lJ
>実力のある書き手さんはとっくに他のスレや新板へ移動してるよ

誰よ? 実力のある人って
270名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 00:55:31 ID:jMTOq6+y
>>268
他板にコピペってのは本音の感想が聞けそうで面白いな
緑猫さんの新作が投下されたら別の掲示板のSSスレにコピペしてみる
結果はこっちにコピペして報告するよ
271名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:02:47 ID:lYf0IrjC
評論厨(笑)
272名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:04:07 ID:lYf0IrjC
>>268
>>270
作者に嫉妬ってみっともないよ
273名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:06:16 ID:lYf0IrjC
というか、他の板でコピペを張り付けたら叩かれるだけだと思うんだけどな
やっぱり、頭が薄いわw
274名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:09:13 ID:MEHVANSi
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275名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:16:57 ID:jMTOq6+y
>>273
心配しないで
BBSPINK以外の掲示板に別名義でコピペするから
ある程度の結果が判明したらちゃんと出典報告するし
緑猫さんのブログのURLも貼り付けといてあげるよ
276名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:18:24 ID:5hCzh1BC
>>275
それ盗作じゃん
普通に捕まるぜ
277名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:26:29 ID:cj0RGTW9
>>まあ、無条件でチヤホヤしてくれるスレは居心地いいってのは分かるけどね

↑妬んでいるのが見え見えで相変わらず面白いよな
278名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:27:19 ID:jMTOq6+y
>>276
無料で公開されてるSSのコピペごときで捕まるんなら、とっくに2ちゃんなんか消滅してるだろ
知ってるかと思うけど、有料の同人誌だってうpろだ介して堂々とやりとりされてるんだよ
俺も別に金を取るわけでもないから大丈夫だよ
でも心配してくれてありがとな
279名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:32:45 ID:tm3iehFf
当然断ってからコピペするんだろうな?
280名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:38:18 ID:jMTOq6+y
ボランティアで作品とブログを宣伝してあげようってんだからいいじゃないか
新規のファンもいっぱい付くだろうしいいことずくめだよ
ウナギみたいなのが紛れ込んで来ちゃ大変だろうけど
281名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:38:47 ID:tND+/xzR
ブログとかHPで掲載している文章は著作権があるから、普通に著作権侵害で逮捕されると思うのだが
何か普通に相手を貶めるような印象があるから、普通に被害届で逮捕されて罰金コースだよね
282名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:39:35 ID:tND+/xzR
ID:jMTOq6+yみたいな構ってチャンは
リアルから誰からも相手にされてませんよね?

可哀相wwww
283名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:41:49 ID:K8XLnmeP
>>280
こいつ、真性のアホだ
284名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:42:33 ID:X7+TmtLW
お前の言う無条件でチヤホヤしてくれるスレでも
一個もレス貰えなかったSSつい最近きてたよね
どうせやるならそういうSSコピペしてくれば?
もし>>280みたいなつもりならそういうSSこそ新規ファンほしいだろうし(笑)
285名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:43:54 ID:K8XLnmeP
>>280
面白い作品を投稿する作者さんに嫉妬しまくりワロタwww
286名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:47:36 ID:Y7KKQ1b+
>>280
ブログ荒らしたいなら、トライデントのブログでも荒らしたらいいのに
あいつのブログはクソな作品を書いてくるくせに
アクセス数が6万5000も越えているんだぜ

こりゃ、完全に調子に乗っているから
痛い目に遭わせてくれよ
287名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:49:04 ID:jMTOq6+y
その理論なら、ブログで公開前の新作SSならいいのかなw

一般紙や同人漫画のコピペですら平気でうpされてる場所じゃないか
素人が書いた無料SSの引用や参照程度じゃ訴えても立件されないから
それを念頭において「僕が書いたエロ小説がパクられたんですぅっ」て捜査機関に泣きつけばいい
無論、本人がだけど

大丈夫
君たちがいつも褒めちぎっている氏のSSじゃないか
どうして笑いものにされたりするものか
もっと自分たちの目を信じるんだ
俺は信じてるよ
288名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:50:58 ID:Y7KKQ1b+
>>287
で、いつになったら、トライデントのブログを荒らしてくれるわけ?
まさか、ただのチキンじゃあねぇだろうな
289名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:53:50 ID:Y7KKQ1b+
まだかよ?
290名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:56:09 ID:Y7KKQ1b+
口だけか?
291名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:56:53 ID:Y7KKQ1b+
287 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 01:49:04 ID:jMTOq6+y
その理論なら、ブログで公開前の新作SSならいいのかなw

一般紙や同人漫画のコピペですら平気でうpされてる場所じゃないか
素人が書いた無料SSの引用や参照程度じゃ訴えても立件されないから
それを念頭において「僕が書いたエロ小説がパクられたんですぅっ」て捜査機関に泣きつけばいい
無論、本人がだけど

大丈夫
君たちがいつも褒めちぎっている氏のSSじゃないか
どうして笑いものにされたりするものか
もっと自分たちの目を信じるんだ
俺は信じてるよ


↑みたいなキザなことを言っても、何もしない口だけの書き込みですか?
 相変わらず、格好悪いね
292名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:57:26 ID:Y7KKQ1b+
早くしろって

293名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:57:56 ID:Y7KKQ1b+
遅いって
294名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:58:09 ID:tm3iehFf
>>286
うんざり
出来ないと思って書いてるのかもしれんが、
特定の作者を名指しでクソ扱いかよ。
少なくとも俺は桜荘の続きを待ってる。
295名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:58:32 ID:Y7KKQ1b+
そんなにトライデントが恐いのか
ID:jMTOq6+yよ
296名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:58:59 ID:mvoY402Q
なごやかムードをぶち壊したいだけの荒らしだろ
釣りに対するスキルがいつまでたっても上がらんなお前ら

ID:Y7KKQ1b+は首吊って○ね
297名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:59:10 ID:Y7KKQ1b+
緑猫を叩いても、トライデントを叩けない

ヘタレですか?
298名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 01:59:34 ID:jMTOq6+y
必死になるなって
荒らしを喚起させるような発言はやめようよ
誰もブログ荒らすなんて一言も言っていないだろ
それも何の罪もないトライデントさんの

緑猫さんは彼に何か恨みでもあるのかな?
文章はちょっとアレだけど、人間的にはなかなかいい奴ではあるよ
299名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:00:19 ID:Y7KKQ1b+
ID:jMTOq6+yちゃん

男見せてよー
300名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:01:26 ID:Y7KKQ1b+
>>人間的にはなかなかいい奴ではあるよ

弱み握られているのか?
お前、チンパン福田の外交みたいだな
なんでそんなにトライデントのブタにビビってんの?
301名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:02:19 ID:Y7KKQ1b+
ブログ荒らせなきゃ、トライデントをぎゃふんって言わせないだろ
自分で言い出したことなんだから、ちゃんと責任持てよ
302名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:04:24 ID:Y7KKQ1b+
ID:jMTOq6+yよ
おまえ、なめてんの?

トライデントのブログのアクセス数が6万だぜ

ここの修羅場スレの人気絶頂で神扱いされているけど
ここに投稿しなきゃ、ただのクソな小説だぜ
そんなもんが評価されて、人が来るのはムカツクだろ

なあ、荒らそうぜ
303名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:05:23 ID:jMTOq6+y
トラにはウナギに潰されかけた当スレを救って貰った恩があるしな
足を向けて眠ることすら憚られるってのに
恩知らずだな、お前
304名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:06:35 ID:Y7KKQ1b+
>>303
緑猫に粘着しているくせにトライデントを潰せないとは
おまえ、ヘタレだな

305名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:07:43 ID:Y7KKQ1b+
トライデントを恐がっているくせに
緑猫に粘着する

おいおい、どっちが巨悪かわかってないのか

306名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:08:26 ID:Y7KKQ1b+
>>303
言い訳はいい!!
さっさと荒らして来い

男の癖に一度書き込んだことも実行できないの?
307名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:09:04 ID:Y7KKQ1b+
全く、お前は駒としては役に立たないな
308名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:09:36 ID:Y7KKQ1b+
さっさとやれよ!!
309名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:12:02 ID:jMTOq6+y
ああ
正直トライデントさんは怖ろしいね
あの何者をも受け付けないブルドーザーアタックは、シンプルだけに打つ手がない
意地になってるだけで、自分が荒らしの原因になっていることに気付かない緑猫氏より遙かに怖い
どちらが悪かといえば、それは自明の理だろう
310名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:13:36 ID:Y7KKQ1b+
だから、いっしょにやっつけようぜ!!
英雄になるんだよ
311名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:14:07 ID:Y7KKQ1b+
わるものはたおせないと
312名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:16:35 ID:Y7KKQ1b+
                   _,,,.. -‐‐- 、               / ̄\
                ,. ‐''"´ ̄        ``ヽ、         ./.::::::::::.. )
               /     ,..::::''''ヽ        L       /.:::::::::::::: /
               〃     /``ヽ、::ノ-‐‐-、     ヽ    ,'.:::::::::::::::/
             l 〃 l! /      ̄´"'>′    ゙!     l.:::::::::::::: !あそこにトライデントのブログがある限り
             V{  Nト、、      .∠_        !   / :::::::::::;:イ嫉妬スレは彼の広告収入に利用される
              ! ! .lヽ、゚ヾ, r'   -=二__,.ィ゙    . / ,.イ :.:::::::::/:/、___そんなことを許していいのか!!
              _,,>|ヽ!  ̄  `'''"~・`ヾ'''ソ    / r' :!.:::::::::::::/    `ヽあんなくだらない小説に1円も金が
    ,. -一''''"´ ̄ ̄ ̄  ,!   /   `ヾ''''"_ラ´__,.ィ彡'-'´ :. |::::::::::::/    .::|入ってくることは全ての小説家を侮辱する行為だ
 ,../          ,. '´ ',   ヽ       ̄乙 ノ! /  `ヽ、:::::::::::::/     / .\さっさと潰すんだ!! 今ならまだ間に合う!!
/ \ |        /   ,ハ 「`‐- 、    ,.__,,//>{ ... `‐-ヽ、::/:     /  ..::|
     !     /   ,.イ:::::l ヽ二ン  ,./  /ノ | :::::::::: -、.ヾ::..    /   |嫉妬スレが潰れる前に
     l     \ / /::::::::ヽ、__,. -=彡'  /'"´  ヽ、_::.   ! }::::::.../   / .〉
.     |  r‐- 、__∨ /:::::;: べ´:::::::/   //|        `ヽ、ノ_,ノt-‐'   ,/  ,ノトライデントをつぶせーーーーーー!!
.        |    ´ ./:::::(  ,ノ:;:イ  __,// !         \  `iー-''´  /
``ー-、   l      l::/´`ヾ;/ ヒ"´  ,/  ヽ、         \__>、_,.イ
    \|  l       !'  /    ``ア |   |             ´"_/
     |  l.       | ./     ,. '´ .l l               r''"´
     i   ゙、     l/   ,. ‐'"    | |             /
.      l   ヽ   / ,. ‐'"       |         ___,,,.. -‐'゙
313名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:16:43 ID:jMTOq6+y
たおせないと?
ああ、「たおさないと」のミスタイプか

無理だトライデントさんは怖ろしい
英雄は君一人でなってくれ
俺はヘタレでいいから
314名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:16:51 ID:90YT8lGp
熱くなりなさんな、一発抜けばどれだけ自分達が空虚かわかるぜ。
……ウッ
315名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:18:39 ID:jMTOq6+y
俺、正直トライデントさんのSSになら金払ってもいいや
それだけの価値がある珠玉の名作を幾つも書いてるよ
緑猫さんもやっかむのは止めて見習ってみれば?
316名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:21:33 ID:jMTOq6+y
あ、ごめん
ひょっとして効いちゃった?
317名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:24:18 ID:Y7KKQ1b+
       ,  '´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
       {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
.       }: : : : : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : `}
      /: : : : :, _ - ‐ -`、::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::: : : :く嫉妬SSスレ作家、トライデント
      lー ´       `ー ''- ‐- '´ー 、:::::::::::::::: : : ソ日本語がおかしい文章でスレ住人を惑わし
        l_ _                ヽ、 , /´: : :,'人を操る・・ペテン師だ!
       l: : : /,, ̄  ̄ ー -、- ー 、_    /: : : , '
       /,: : ´/,-‐=== = 、ゞ: : : :, '二 `ーV、: : ´俺は彼を信じたかった。だけど、トライデントは
      { ',ゝ::/   ,= = ヾ   ゙-- ´r - 、_/) `´俺達を金儲け、彼のアクセス数を上げ、広告収入を
      `、i: :ヽ,  、f´ヒソ`    i  f心 ソ /,'ケ 得るための捨て駒だったんだ。
       ヾi: : ゞ.      ´    l  `゙ ´ ./} /もう、嫉妬スレにトライデントは必要はない
        ヽ:',         ,,. |:     /ン人は駒じゃないんだ!! 生きているんだ!!!!
      ,一´、:',        、 /::    /
   , '  / l::ヽ  、             ,.' 、
 , '.    /  ,!, ,' ヽ  `ー ――――' , ' 、 \
/.    イ//  '.  ヽ    ゙゙゙゙  , 'ト  l  ' ,
     l     !   ヽ     , ' l \ l   ',
.     |.     ',    ヽ _ _, '  /    |    ',`‐
     |      l          |      l    ' , \
     |        |                 l    \. \
318名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:26:12 ID:0R6ANNo9
ここはあれだな
SSスレとしては目も当てられないがネタスレとしてなら最高だな
319名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:26:40 ID:unxo5GeN
なんだ…

SSが投下されたんじゃなくてカスがわいてただけか
320名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 02:27:47 ID:jMTOq6+y
ごめんね
変なのに絡まれちゃって、つい
321名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 03:09:00 ID:V8Ctu2Qb
まるでコントみたいな自演してるなw
見てて正気を疑うよ……大丈夫?
322名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 04:17:42 ID:WsYCN/05
>>320なにこいつ。バカなの?死ぬの?
323名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 06:02:12 ID:6U3zSoya
ID:Y7KKQ1b
ID:jMTOq6+y

↑こいつらどっか行って二人だけでチャットでもしてろや
324名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 06:24:10 ID:N/eYzyKD
夏休みが終わるのに宿題ができてないから錯乱してるんだろ

ほっとけ
325名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 06:24:44 ID:ZXghZPoH
Y7KKQ1b+は一人で何やってんの?
誰かを倒すとか何とか
わけわからん
http://info.2ch.net/before.html
326名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 07:33:04 ID:oijGXark
「可哀想」なヒトはスルースルー
327名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 08:28:00 ID:y7AWri1R
久々にこのスレ覗いたんだが凄い大物が幅きかせててワロタ
328名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 08:56:07 ID:TZ59UM/y
これは気持ち悪い…
329名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 10:08:05 ID:vXWpzvJZ
まぁ毒めぐが相変わらず元気なだけだろ
330名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 10:14:48 ID:eqQVKTDG
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:::::::::::::::::::::::::::::::::彡ヾ、 ̄`ヘ、                                 | | レノ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡テテテ==テ>-,,、______                    /  /7
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡'´..../. . . .. .. . .. . .. . .. .....´`ー――''´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ミトー'  /'´
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:::/: : : : : :: : : ,::ノ´ ̄ ̄ ――――――   ――――――――― ――― ――――
`゙ヾー---一''´ ―――――― ―――――――――――― ―――――――――
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スルー推奨
ブリタニア広告機構からのお知らせです
331名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 10:16:02 ID:N8Nps6p/
トライデント氏を叩いているのって
いつもの日本語くんじゃないかwww
332名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 10:17:53 ID:9jHMX8BJ
今までの流れ見て思ったんだが、どの程度迷惑行為を繰り返せばアク禁の対象になるんだろう?
最近(30スレか40スレ辺りから)、このスレ荒らしに構う人が多いから荒らしも未だに粘着してるけどアク禁になったりしないのだろうか?
333名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 10:39:06 ID:sRp9n3ut
バカばっか
334名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 11:38:40 ID:8dPURTNL
>>332
会話でスレ住民に迷惑かけてもアク禁なんかにならないよ
だいたい迷惑に感じるのかどうかは個人的な感覚に過ぎないだろ
スレには緑猫氏の食人グロ投稿を迷惑がってる人すらいることだし
嫌なら見るな、出てけがスレのルールであり全ての基本
アク禁になるのは掲示板の運営に迷惑をかける行為だ

掲示板の運営というのは広告収入で成り立ってるのだが
そこに悪質業者が只で宣伝URLを貼り付けたらどうだろう?
運営としては金を払ってくれてるスポンサー様に顔向けできないよね
だから、運営も迷惑行為として厳しく対処する

そして巨大AAの連張りは意味のない投稿でサーバーに多大な負担を掛ける
これも鯖落ちなどを誘発させて運営を妨げる迷惑行為として処断される

しかし少なくとも内容が伴っているレスはこの範疇に入らない
「ああああああああああ」とかいうスレが消されても消されても再び生じるのは知ってるよね
罵り合いが意味のないレスと言うのなら「転帰マダァ」とか言うのも全く意味のない迷惑行為だろう

お子様は何も分かってないようだけど
もし分かってて人の口を封じるための脅迫手段としてアク禁ちらつかせているのなら

お前のやってるのも立派な 迷 惑 行 為 だ
335名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 11:47:32 ID:gOoFpB5D
                 _,.‐''"´ ̄ ̄`` ‐、
               /  _,. ‐ 、 _,. ‐- 、  \
              / /         \  ヽ
             /  /      、   ,    _ヽ  ヽ
           , イ  , "- _   l  /  _ ‐'`` 、  ト、
          / l  l ___二ヽヽ/,-´____  l  l :、
         ,l´ :.  、 >  < (::::)ヽ-' '- ´(::::) }  ,! , ' :: ヽというお話だったのさ
        l´ :. ::.  _ヽ、    ̄       ̄   >、 .::: :: `、
       /::: :::. ::l´:::::) |             |(:::::::l::: .::: :: l
      l:: :::  :::: ,..:::::、'    ,-―――‐-、     ll:::::::.、.:::: .::: :l
      l::: ::::.. ::l::::::::/ヽ‐, 、_'   ----   `_,l 、‐,(::::::::):: .:::: .::l
      `、:. ::::l´::::、´ll\`ヽ /l_/ ヽ__l\/ / ll`l:::::ヽ:::: ..::/
       \:., ´::__/_| |  \_______/  ‖ 、_::::l、..:::/
           ,\__/―ヘヘ   ‖     ll 、 、  ‖l ̄ ヽ__ イ
        /      |ヘ / 《      ll  \‖ l       ヘ
        >‐―――┤     \/ \‖     └―――‐<
       / /       /l    __l<コD l      //   \  l
       / /      / l  ‐‐┼--\-/___/ / ヽ     ヽ ヽ
       / /      l   l ‐‐┼--- ⊥\__//   l     ヽ ヽ
      / /       l   l  ‐‐┼---⊥___  ヽ  l     ヽ ヽ
    / l      l  ,/ /―--\-⊥____  ヽ  l     l  l
    / ├- ___l / /    _,.――‐ 、 _   ( ,-  l_____l  l
    /  l ヽ_  l | /`´  _,. ''"  /^、   ``‐、 、- ヽl_i ̄ __, l l  l
   l   l    `-´ /  /     / ^ ヽ     \ ' ' l `- '   l  l
  ,l    l      l /       l    l       \ l      l   l
  ,l    l     l/,―‐、     l     l    /― , >l      l   l
  l    l_,.‐''" ̄\/     \ _,.‐'''――'、_/    l / ̄ ̄`‐、l    l
  l     l      l       /        l      <     l    l
  ``‐、  l、    /     /        ヽ       \   l´   /´
     \__l   、_____/          ヽ____>  / /
336名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 12:06:38 ID:9jHMX8BJ
>>334
ありがとう、携帯でくぐっても迷惑行為の具体的な内容とボーダーラインが分からなかったんだ
おかげでスッキリした
337名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 12:34:47 ID:8dPURTNL
どういたしまして
でもウナのやってることは運営的な迷惑行為に当たらないとしても
社会的意味においてモラルに反する行為だとも理解してるの
一日も早く講和がなる日を心から待ってるわ
338名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 12:42:36 ID:ygmx8Nzq
何を言うにしても緑猫緑猫ってほんとネットストーカーじみてるなぁ
339名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 12:47:28 ID:wG9fwcSV
なんで緑猫サンとトライデントサンはこんな嫌がらせを受ける羽目になったの?
340名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 12:51:51 ID:ygmx8Nzq
作者本人に何かしら落ち目があるわけじゃないな、
スレ全体に対して嫌がらせするために長期の連載を行ってる作家を攻撃して反応をうかがってるんだよ
要するところは構ってちゃんだ
341名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 13:50:55 ID:8dPURTNL
落ち目→落ち度
いや、落ち目ってのもあながち間違ってはいないがw

強いて言うなら気持ちの悪い残酷描写で吐き気を催させた罪
それにスレ違いを指摘されてるのに、意地になって一向に止める気がないという罪か
頼むからグロスレ行ってくれ
342名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:10:06 ID:A9t4Smy8
荒らしにも緑猫嫉妬派とトライデント嫉妬派があるんだなw
343名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:36:00 ID:ygmx8Nzq
>>341
別にグロ主体の作品じゃないのにグロスレ行っても逆に追い返されると思います、特に今の話の展開上は
ていうか修羅場による血しぶきモノだらけの嫉妬スレでそれ言ってどうするの?
出血沙汰を一切起こさずに修羅場のいざこざを起こせなんて言ったら演出の幅が狭まるし、
ほんのりとかほんわか嫉妬モノだけしか許さないなんて意見はそれこそスレ違いだよね
そういう点からいえばむしろある程度のグロ耐性がないならこんなスレ来ないほうがよっぽどいい
何でそういうスレに意地になって居座りたがるの?
ていうか罪って何?それはただの個人的怨恨じゃないの?
テンプレに書いてあるルールを守ることもできない人間が人に罪だ罪だとか言ってるんだもの、ちゃんちゃらおかしいわ
344名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:38:05 ID:uu+5L+rv
>>341
そんなに嫌なら緑猫をNGにすればいいんじゃね?
345名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:39:52 ID:9jHMX8BJ
>>341
>>334で嫌なら見るなと自分で書いていたじゃないか
自分の耐性にあわなければ読まなければいいだけのこと
 
作者側もネタバレしない程度に属性を注意書きすればいい
このスレで注意書きしなければならない属性って何だろう?
NTR、食人、死姦、スカ、801、過度の残酷描写、鬱以外になかなか思いつかない
346名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:41:06 ID:uu+5L+rv
>>345
百合も駄目って人もいるな
347名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 14:50:02 ID:8dPURTNL
NTRやスカなんかなんともないし801は大好物なの
でも人肉くちゃくちゃは社会的な公序良俗に照らし合わせても充分グロでしょ

そこまで言うのなら一万年さんの投下も認めてあげて下さい
お願いしますから
348名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:05:06 ID:ygmx8Nzq
>>347
1行目と2行目の文章がいまいち繋がってないですよ
誰もあんたの嗜好とか耐性の詳細についてなんか聞いてませんし
緑猫さんの作品にグロなんて無い!なんて誰も言ってませんし
なにより、別にグロだからって排斥する理由はこのスレにおいてはありませんよって上で説明しましたよ?

しかし、一万年さんの投下についてと今の話題がどうリンクするのかいまいちわからないです
349名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:07:09 ID:3nw/cjzu
>>348
つ 本人
350名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:26:34 ID:8dPURTNL
>>348
軸がぶれていますよ
私の嗜好を説明しなければ、なぜ緑猫さんのSSを嫌っているかについて
なにも説明できないではありませんか
ひょっとしてあなたは思考能力ゼロなアホの子ですか?
だったら議論の余地はありませんね
351名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:28:43 ID:8dPURTNL
あなた方が一万年さんに対してやってることをひっくり返せば
私がやっていることも自ずと理解できるはずですよ
352名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:37:36 ID:TZ59UM/y
まぁ…本人乙
353名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:40:26 ID:ygmx8Nzq
>>350
いや、あんたが緑猫さんを嫌ってる理由については>>341で説明十分だしよくわかってたからね・・・
なんで同じようなことを何度も言うの?わかんない
>>351
別に一万年さんに対して自作自演したり見え透いたネガティブキャンペーンした覚えはないけどな
「あなた方」って誰?確かに以前は無意味に「こいつ一万年だろ」だのことあるごとに言い出すアレがいましたけど、勝手に身内にしないでいただきたい
まとめてどっかいってくださいと思います
354名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 15:50:05 ID:8dPURTNL
>>353
アンタは一万年さんが集中攻撃を受けていた時、止めさせようとしましたか?
誰もが自分のSSを投稿できるようなスレになるよう少しでも努力しましたか?
それどころか、陰では避難所の連中と一緒になって笑っていたクチでしょう
今さら自分一人だけは関係ないような顔しないでください
見苦しすぎるから
355名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:15:50 ID:ygmx8Nzq
>>354
おいおいさっきから勝手に一万年だの秘密組織避難所(フィクション)だの論点をずらすなよ
たしかお前のグロ耐性の話だったよな
グロ耐性が無いなら読まなきゃいい、緑猫氏のトリップをNGにすればいい
それで解決だろ、今後粘着アンチな行動をするのはやめろよな

まぁ過去のことは過去のこととして、今はこうして人のSS投稿するのを阻害しようとする人間を諫めてるつもりだよ
それこそ見苦しすぎるから、論点をすり替えてくそくだらない議論を続けるのをやめてくれないか
ついでに特定人物を標的にした自作自演としょうもないネガティブキャンペーンをするのもやめてくれると助かる
356名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:28:41 ID:8dPURTNL
数日前に起こったことを「過去」とはどういう時間的観念をお持ちなのでしょうか
やっぱりあなたとは議論の余地がないようですね
あなたはリアル人生同様、常に金魚の糞みたいに多数派についていけばいいでしょう
ウナはウナの道を行くだけです
それでは
357名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:36:48 ID:ygmx8Nzq
>>356
数日前だろうが過去は過去だろ、何を言ってるんだお前は
集団に属する個人に対して、協調性のない人間が用いる常套句だなそれは >金魚の糞うんぬん
自分の身勝手を振り回して周囲に迷惑をかけてるだけの人間が「自分の道」だの言ったところで自己正当化にもならないだろうにね
ばいばーい、二度と出てくるな
358名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:43:09 ID:8dPURTNL
一秒前でも過去は過去って、ホント子供の言い訳じみてるわ
社会に出ると、そんな論法は一切通用しないことを知っておきなさい
そんなのだから皆が専ブラ使ってるなんて先入観で物事を考えちゃうのよ
夜郎自大のアホの癖に一端の論客気取ってるとヲチスレで笑われるわよ
359名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:43:30 ID:abd5dBU/
糸冬了

ここで俺が主人公で、ハーレム展開で嫉妬に身を焦がされつつも
ニヤニヤできて毎日が幸せなSSを是非
360名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:47:00 ID:3nw/cjzu
>>359
俺の設定を語れよww

そんだけ
361名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:57:41 ID:A9t4Smy8
嫉妬でハーレム展開は死亡フラグだろ・・・
362名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 16:59:58 ID:TZ59UM/y
男が居る時は仲が良いけど居なくなると罵りあう
363名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 17:25:47 ID:9jHMX8BJ
そういえば先刻「359に近づく雌猫はいつもお姉ちゃんが駆除しているんだよ。ハーレムなんて叶うはずないじゃない。
例え空想でもお姉ちゃんはハーレムなんて絶対認めない!どうしていつも一緒にいるお姉ちゃんには359は手を出さないの?そんなに他の女が好き?ねぇ、答えてよ……」
と呟いている女性を見かけたけど
364 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:18:02 ID:HHKx9D5w
続き投下します
365ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:18:55 ID:HHKx9D5w
「それじゃあ先生、頼みましたぜ」
 出番を終えた若頭が、視界の外へとフレームアウトしていく。
 白鳥さんは余り気乗りしなさそうに一歩前へと出てきた。
 その左手には、鞘部だけで彼女の身長半ばもあろうかという日本刀が下げられている。
 拵えの感じからして慶長以前の古刀ではなかろうか。
 漂う雰囲気からして数打ちの新刀ではあるまい。
 何にせよ法律で所持や携帯を規制されている物騒な品だが、そんなのはこの際どうだっていい些細なことだ。
 問題なのは、どうして白鳥さんがヤクザの用心棒なんかしてるのかってことだ。


 白鳥さんは剣道部のエースだが、性格は大人しくて教室でも目立たない方だ。
 派手さはないが、清楚で品の良い作りの顔立ちで好感度は高い。
 僕の「体育館裏で告白されてみたい女の子ランキング」でも、常に上位に入っている可憐な美少女である。
 僕がそう思っているくらいだから、当然男子からの人気は無茶苦茶に高い。
 それでも道場での彼女を知っている男たちは、決して彼女に交際を申し込んだりしない。
 相手が失神するまで叩き続けられる容赦のない剣は、全校男子を震え上がらせる恐怖の的なのだ。

 一度、よせばいいのに男子剣道部の佐々木小一郎が、調子に乗って彼女に決闘を申し込んだことがあった。
 厚かましくも「僕が勝てば彼女になってもらうよ」なんて注文までつけて。
 佐々木は気障で嫌な野郎だけど、県大会で優勝したこともある強者だ。
 きっと彼なりに勝算があったのだろう。
 ところが、白鳥さんが嬉しそうに頬を染めてオッケーを出した直後、佐々木はにやついた顔のまま教室を飛び出していた。
 彼女の必殺技、電光三段突きを喰らってぶっ飛ばされたのだった。
 何のことはない。
 白鳥さんが頬を染めたのは、気障男をぶちのめせる喜びに、心躍らせていただけだったのだ。

 この「平成の巌流島」と呼ばれる事件の後、白鳥さんに告白しようという男子はいなくなってしまった。
 賢明というか情けないというか。
 白鳥さんは自分より強い真のサムライが現れるのをひたすら待ち続けているんだぞ、きっと。
 何はともあれ、白鳥さんは今でもフリーの立場を保っている。
 お陰で僕は「いつか彼女から告られるかも知れない」という虚しい妄想を抱くことができるのである。
366ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:19:28 ID:HHKx9D5w
 

 その憧れの白鳥さんが、物憂げな表情を浮かべて目の前に立っている。
 彼女がヤクザなんかと連んでいるのには、きっと抜き差しならない理由があるんだ。
 何か弱味を握られているとか、実家の借金が焦げ付いているとか。
 ともあれ、剣の名手である白鳥さんが、悪の一味として僕たちと対峙しているのは現実なのだ。
 手にした日本刀もアクセサリーってわけではあるまい。
 携帯のストラップにしては少々長すぎるし、だいたい女子高生らしさをアピールするには不適切だ。

 まずい、非常にまずい。
 たとえ白鳥さんといえど、ウルスラに掛かれば手もなく捻られるに決まっている。
 多分、一太刀やそこらは斬り込むことはできるだろう。
 しかし、如何なる名刀とてウルスラの特殊装甲の前には歯が立つまい。
 そうなればウルスラが人間でないことがばれてしまうし、第一白鳥さんが無事で済まない。
 それでなくてもウルスラは、僕の白鳥さんへの好意的な感情の流れを感知して、さっきから少々興奮気味なんだから。

「サトシ……脳波活性…血圧上昇……βエンドルフィン……過剰分泌……」
 ウルスラは冷たい目で白鳥さんを一瞥し、僕に視線を戻した。
「……誰……なの?」
 酷いよウルスラ。
 脳のスキャンなんか頼んだ覚えはないぞ。
 彼女に掛かれば、僕が白鳥さんを前にして気分を高揚させているってことぐらい一目瞭然なのだ。
 そのせいで、彼女はアンドロイドとは思えない敵意を剥き出しにして白鳥さんを凝視している。
 表情に変化があるってわけじゃないけど、無表情だからなおのこと怖い。

 一方の白鳥さんも既に武人の本能で、メイド姿の美少女が強敵だということに気付いているようだった。
 僕や爺ちゃんに目もくれず、ウルスラの一挙手一投足に注目しているのは流石だ。
 などと感心している場合でなく、早く2人を止めなければ。
 白鳥さんがボロ雑巾にされるのは見たくないし、ウルスラがアンドロイドだってばれるのも困る。
367ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:20:09 ID:HHKx9D5w
 この時代の科学技術を遥かに越えたウルスラの存在を知れば、政府は何としてでも彼女を手に入れようとするだろう。
 そして寄って集って彼女をバラバラに分解してしまうに決まってる。
 機械フェチの変態どものやりたがることなど皆同じだ。
 ウルスラの価値を理解できない連中なんかに、彼女を渡すわけにはいかないのだ。
 だがそんな僕の心配をよそに、当の本人たちはやる気満々になっていた。

「障害物は……デリート…する……」
 ウルスラのCPUはもの凄い熱を帯び、鼻腔にある排気口からは高熱がシューシュー漏れている。
 白鳥さんもグッと腰を落とし、教室では見せたこともない上目遣いの三白眼になっていた。
 そして腰溜めにした柄に右手を添え、ジリッ、ジリッと間合いを詰めていく。
 再び血生臭い風が吹き、夏用メイド服のミニスカートを、そして長目のポニーテールを揺らして駆け抜けていった。
 いよいよ本格的にヤバくなってきた。

 僕は意を決すると、2人の間に割って入った。
「そこまでっ。ウルスラ落ち着いて。白鳥さんも剣を引いて」
 飛び出した僕は、すかさず白鳥さんを守るように背中で庇った。
 普通の女の子なら、なぜ自分を庇ってくれないのかと憤慨するところだ。
 けど、ウルスラの場合は「自分の強さを疑われた」と解釈し、ご機嫌は更に悪化することになる。
 僕を守るのが彼女のお仕事であり、僕に守られるのは彼女にとって侮辱に当たるらしい。
 ウルスラとは「恐れのない者」の呼び名。
 決して侮るようなことをしてはならないのだ。

 僕からの絶大な信頼を確認したウルスラは、少し冷静さを取り戻した。
 ホッとして振り返ってみると、白鳥さんの驚いた顔がすぐそばにあった。
 ようやく僕の存在に気が付いたのか、白鳥さんは端正な顔に最初は驚愕、続いて困惑の表情を浮かべた。
 そして僕にペコリと一礼すると、踵を返してその場から立ち去ろうとした。

「ちょ、ちょっと先生っ」
 慌てたのは若頭だった。
 若頭は白鳥さんに追いつくと必死で引き止めた。
「今日は日柄がよくない。出直す」
 白鳥さんは肩越しに若頭を睨むと、そのまま歩み去ってしまった。
368ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:20:39 ID:HHKx9D5w
 こうなると惨めなのは残されたヤクザどもだ。
 ウルスラは半袖を肩まで捲ると、剥き出しになった腕をビュンビュン振り回し始めた。
 その細腕に秘められた獰猛なまでのパワーを知っているアニキとマサは、泣きそうになってブルブル震えている。
「ちっ、今日はこれくらいにしとったるわ」
 若頭は関西系お笑いの古典を引用し、余裕タップリの態度で高級外車に乗り込んだ。
 アニキとマサが転がるようにしてそれに続く。
 ドアが閉まりきるより早く、高級外車はタイヤを鳴らして急発進した。

 爺ちゃんは「やれやれ」と溜息をつくと、後ろ手に腰を叩きながら店内に戻っていった。
 それを確認するや、僕はウルスラに目配せした。
「……いいの?」
 ウルスラは逃げていく車を無表情に見詰め、抑揚のない声で確認してきた。
 いいも何も、ああいう手合いを放って置いてもろくなことにはなるまい。
 警告の意味を込めて、一発お見舞いしておいた方が後々のためだろう。

「……なら…いい」
 ウルスラは小さく頷くと、可愛らしい膝小僧を立ててその場にしゃがみ込んだ。
 膝の部分だけストッキングが横に裂けており、艶めかしい肌色が露出している。
 と見るや、膝間接がパックリと開いて空洞が現れた。
 彼女の秘匿火器の一つ、マイクロ迫撃砲「ニーモーター」だ。
 あとどのくらい武器を内蔵しているのか、ウルスラに尋ねてみたことがあった。
 しかし彼女は「……秘密」と曖昧に言葉を濁しただけで、結局は教えてくれなかった。
 やっぱり女の子の体について、あれこれ詮索するのは失礼なんだろうと反省させられたものだ。

 ウルスラは素早く弾道計算を終え、膝の確度に微調整を加える。
「ファイア」
 短い掛け声と同時に、シュポンという乾いた音がして迫撃砲弾が発射された。
 山なりの曲線を描いた砲弾は、やがて狙い違わず高級外車のボンネットに突き刺さった。
 ドカンという爆発音がして、ウン百万もする高級外車がバラバラに吹き飛ぶ。
 もったいない話だ。

 爆発音を聞いて、爺ちゃんとイブリンが飛び出してきた。
 イブリンはくすねたツナサンドをくわえたドラ猫スタイルだ。
「あいつらの車、急にぶっ飛んでやがんの……車検も受けてないんじゃない」
 僕は這々の体で逃げていく3人の背中に冷笑を浴びせてやった。
「そう……マシンは…日頃の…お手入れが……とても…大事……」
 ウルスラはチラリと横目で僕を見ながら、いわくありげな台詞を吐いた。
 自分を車になぞらえて“メンテナンス”をおねだりしているのだろうが──
 あんなヤバい武器を見せつけられた後では、半ば脅迫じみて聞こえるぞ。
369ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:21:13 ID:HHKx9D5w
 

 翌日、僕は2日ぶりとなる学園生活を楽しんでいた。
 白鳥さんも普段通りに登校しており、特に変わった様子はなかった。
 廊下で僕とすれ違っても、眉一つ動かさなかったのには感心させられた。
 それはそれで少々寂しいものがあるんだけど。
 すっかり肩すかしを食らったようだが、アレくらいで彼女と特別な関係になれたと考えるのは自惚れだったようだ。
 どうやら、彼女は徹底して昨日の一件を無かったことにするつもりらしい。
 僕はそう思っていた。
 4時限目の体育が終わった直後までは。

「ん……なんだ、これ」
 僕は学校指定の上履きに履き替えようと下駄箱を開け、中に見慣れぬ物が入っていることに気付いた。
 長方形の白い封筒である。
 学校の下駄箱がメールボックスの機能を併有していることは、よく知られた事実である。
 これまで僕の下駄箱は靴入れとして使われるだけで、郵便受けのオプションは付いてないものと思っていた。
 しかし、どうやら僕のも例外ではなかったらしい。
 宛先間違いでない証拠に、「寺島俊殿」と表に墨書されている。

 これはひょっとするとラブレターというものか。
 いやいや、果たし状ということもあり得る。
 だって、このタイミングで僕に手紙を寄越すとなれば、差出人は白鳥さん以外に考えられないのだから。

 周りに誰もいなくなるのを待って、丁寧に封を切ってみる。
 これが人生における最初で最後のラブレターかもしれないと思うと、丁寧にもなろうってものだ。
 それに、もしかすると将来「ママから貰った最初の手紙」として、息子に披露することになるかもしれないのだ。

 封を切ると、中からいい匂いが立ち上り、きれいに畳まれた和紙製の便箋が出てきた。
 これはマジでひょっとしてひょっとするかもと期待に鼻息も荒くなる。
「昼休み、体育館裏にてお待ち申し上げ候──白鳥毬乃」
 これではラブレターなのか果たし状なのか、ちょっと判断できかねる。
 さて、こうなるとのるかそるかだが、結局僕は昼食もそこそこに体育館裏へと走っていた。
370ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:21:48 ID:HHKx9D5w
 昨日の一件を考えてみれば、そこに美味しい話が待っているとは限らない。
 むしろ、その逆の公算が大きい。
 口封じとして脅されるか、下手をすると半殺しもありうる。
 それでも僕がこうして走っているのは、相手があの白鳥さんだからである。
 そう、彼女は僕の「体育館裏で告白されてみたい女の子ランキング」の上位ランカーなのだ。
 恋は盲目。
 これぞパワー・オブ・ラブのなせる業。
 もしかして本当に告白されるかもという何万、いや何億分の一かの儚い可能性が、僕を体育館裏へと走らせていたのだ。

「そこっ、廊下を走らないっ」
 A標準記録を突破しそうな勢いで廊下を突っ切っていた僕は、いきなり背後から叱り飛ばされた。
 振り返って声の主を見た僕は真っ青になった。
 そこに立っていたのは──

 篁摩耶子。
 学校創立以来、初めて主要三職を兼任するという快挙を成し遂げた女傑である。
 三職兼任、すなわち彼女は生徒会会長にして風紀委員長を兼ね、更には体育会総長をも務める才色兼備のエリートなのだ。

 立法と行政そして司法、そのうえ武力までを手中に収めた摩耶子に、表立って逆らえる生徒など存在しない。
 おまけに父親が有名な財閥の総帥とくれば、都教や先生たちとておいそれと楯突くことはできない。
 そして自身は学業でも学年トップの才媛で、主将を務めるフェンシング部を何度も優勝に導いたスーパーレディなのだ。

 ついでに言うと、ファッション誌のモデルくらい軽々こなせそうな美人である。
 彼女自身も自分の顔を気に入っているのだろう。
 顔が全部出るように引っ詰め髪にして後ろでまとめ、それを何本もの縦巻きロールにして垂らしている。
 確かに美人だが、顔中に満ちている高慢さが鼻につく。
 どんなに頭を下げられたって付き合ってやろうとは思わない。
 いや──どうしてもって、泣いて頼まれたら考えてあげないこともないかもしれないけど。
 美人は嫌いじゃないし、彼女は僕の「力ずくで屈服させてみたい女ランキング」不動のトップランカーなんだから。
 いやあ、実のところちょこちょこ不埒な妄想してお世話になってます。
371ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:22:20 ID:HHKx9D5w
 摩耶子が女王として学園に君臨するようになって、表立ってのイジメはなくなったし、校内暴力も鳴りを潜めた。
 全ては彼女の敷いた政策のお陰であり、一定の評価を与えるのにやぶさかではない。
 しかしその実体は恐怖政治そのものであり、「女王様の下に皆が平等」は僕の好むところではないのだ。

 ガリ勉は成績に一喜一憂し、不良は肩で風を切ってのし歩き、イジメられっこは教室の片隅で小さくなっておどおどする。
 ナンパ野郎はところ構わずだし、運動バカは放課後の到来をひたすら待ち詫びている。
 僕に言わせれば不登校だって一つのスタイルだ。
 それらが混在しているのが自然な学校生活の形であり、僕たちがこれから出ていく社会の縮図でもある。
 もっとも、卒業後も女王様が皆の面倒を見てくれるってのなら話は別だが。
 とにかく、如何に善政と言えども、独裁者から押し付けられるのはゴメンなのだ。

 などと格好つけてレジスタンスを気取るつもりは毛頭なく、僕は下卑た笑いを浮かべて女王様に頭を下げていた。
 しかも、少しでも点数を稼ごうと、しっかり揉み手までして。
 僕はあの真田昌幸すらドン引きさせるであろう「表裏比興の者」なのだ。
 これは僕みたいに金も力も人望もない人間が、人並みに世を渡っていくために必要不可欠なスキルなのである。

 米つきバッタみたいにヘコヘコ腰をかがめていると、摩耶子様は興味をなくしたようにその場を立ち去っていった。
 彼女の背中が見えなくなると同時に、僕は全力疾走を再開した。
 とにかく今大事なのは白鳥さんだ。
 あんな高慢女に構っている場合ではない。
 あとでタップリとオナってやろう。


 息せき切って体育館裏に走り込むと、既に白鳥さんは僕を待っていてくれた。
 運のいいことに丸腰である。
 どうやら命の保証だけはされたようだ。
「ども、早いね。もしかして早弁?」
 僕のトンチンカンな質問を聞き流し、白鳥さんはペコリと頭を下げた。
 ひと呼吸遅れて長目のポニーテールが跳ね上がる。
「昨日はごめんなさい。変なところ見せちゃって……」
 上げられた彼女の顔には、申し訳なさそうな色が滲み出ていた。
372ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:22:49 ID:HHKx9D5w
 いきなりぶっ飛ばされるかもと覚悟していた僕は、ただ狼狽えることしかできなかった。
 こういう展開になると知っていれば、もう少し取り繕えたものを。
 僕の動揺など気付かぬように、白鳥さんが口を開いた。
「あのウェイトレスさん……綺麗な人ね。もしかして寺島くんの彼女?」

 いえ、あんなの只のロボメイドです。
 是非にって頼むから、身の回りの世話を許しているだけに過ぎません。
 僕が肯定せずに黙っていると、白鳥さんは少しだけ嬉しそうに頬を染めた。
 男なら誰もがのぼせ上がりそうな微笑みだが、逆にそれが僕を我に返らせた。
 彼女が頬を染めるのは、攻撃態勢に入った時の合図なのだ。

「全然詮索してこないのね、昨日のこと。ひょっとして気を使ってくれてるの?」
 本当は知りたいし、『バルバロッサ』のためには知っておくべきなんだろうが。
 けど、世の中には知らない方が良いこともあるから。
「寺島くんって他の男子と違うのね。なんか余裕があるっていうか……大人だわ」
 なるほど、悪ガキなら握った弱味を元に、白鳥さんを脅しに掛かるのかも知れない。
 さすれば、日本人形みたいな彼女の体に、あんなこともこんなこともやりたい放題できるのだ。
 けど、それじゃ白鳥さんから告白されるという夢を叶えたことにはならないではないか。
 僕はあくまで体育館裏で彼女から告白されたいのだ。
 むしろこっちの方が子供じみていると言われれば、甘んじて享受するしかないが。

「それで、改めてお願いするんだけど……昨日のこと、2人だけの秘密にしておいて」
 白鳥さんはペコリと頭を下げると、僕の目をジッと見詰めてきた。
 そして僕が口を開こうとするのを制して後を続ける。
「お願い。何も聞かないで、黙ってあの店から手を引いて」
 白鳥さんは有無を言わせぬ口調で僕の質問を封じた。
「もうすぐ高校剣道の全国大会が始まるの。それが終われば私……」
 そこで一拍の間、彼女は詰まった
「……私、剣を捨てるつもりだから。そしたら、寺島くんの彼女になってもいいわ……ううん、私を彼女にしてください」
 白鳥さんはそう言うと、神棚に向かってそうするように深々と頭を下げた。

 僕はただ呆然とその姿を見守るしかなかった。
 何億分の一と思っていた奇跡が起こったのだ。
 あの白鳥さんが、僕に向かって交際を求めて頭を下げている。
 これを奇跡と言わずなんと言うべきか。
「え……えぇっ? な、なんで……僕なんか……」
 僕の口調は、ウルスラの日本語が伝染ったかのように切れ切れになっていた。
373ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:23:28 ID:HHKx9D5w
「だって、成績だって良くないし……第一、顔だって……」
「そんなことないわ……寺島くんって結構イケてるって、女子の間でも評判だもん」
 白鳥さんは僕の言葉に被せるように否定した。
 だって、それならもっとモテてもいいはずだが。
 そりゃ僕だって自分がキモ面とまでは思っていないが。
「でも、寺島くんってほら、性格がアレだから……その、何を考えているのか分からないって言うか……ごめんなさい」

 端的に言うと根暗な変人ってことかよ。
 けど、僕がイケてるなんて初めて聞いた。
 それにしては、小さい頃から真理亜以外の女の子が寄ってきたためしがないぞ。
「でも今度のことで、他人の気持ちを思いやれる優しい心の持ち主って分かったわ。だから……彼女にしてください」
 白鳥さんはそう言ってもう一度深々と頭を下げた。
 風に揺れるポニーテールと真っ白なうなじが印象的だった。



 その後、どうやって家に帰り着いたのか良く覚えていない。
 雲に乗ったように足元がフワフワしていたのだけは記憶に残っている。
 なにせ純情可憐な美少女にコクられたんだから無理はない。
 経験のない者にとっては、理解の範疇を遥かに越えている出来事だろうけど。

 ところで、僕が出した回答は「保留」だった。
 とても魅力的な商談だが、即決が許されるような内容ではない。
 いつもの僕なら見境なくOKしていただろう。
 でも、終始白鳥さんが頬をほんのり染めていたことが、僕の警戒心を眠らせずにいたのだ。
 それに向こうだって大会が終わるまで待てと言う条件付きである。
 不渡りでも出された日には、それこそ目も当てられなくなる。
 そこで僕はいつになく慎重な態度を保持したのであった。

 忘れてはならないことがもう一つある。
 白鳥さんとお付き合いするには、彼女とヤクザの繋がりについて沈黙を守らねばならないのだ。
 それは利敵行為であり、爺ちゃんやウルスラを裏切ることになるのではあるまいか。
 今度ばかりは、勢いだけで突っ走るわけにはいかないようである。
374ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:23:58 ID:HHKx9D5w
 それにしても僕がイケ面だなどと、女どもの間で評判になってるとは知らなかった。
 洗面所で鏡を見てみると、いつもの見慣れた顔が映っている。
 なるほど、言われて気付くのもおかしな話だが、結構というかかなりイケてるのではあるまいか。

 一人でニヤついていると、後ろをイブリンが通りかかった。
「やあ、イブちゃん。僕ってイケてるかい?」
 僕は女の子からの参考意見が聞きたくなって彼女に尋ねてみた。
 超美人の悪魔ッ娘はキョトンとしていたが、何を今更という風に答えた。
「アンタねぇ、娘悪魔が相手構わず手を出すとでも思ってるわけ? そりゃ、ヨウ様と比べりゃちょっと落ちるけどさ」

 ヨウ様というのはイブリンがはまってる韓流ドラマ『冬の月空』の主人公で、優柔不断を絵に描いたような優男だ。
 あんな野郎を引き合いに出されるのは気に食わぬが、奴が日本女性を老若問わずメロメロにしていることだけは確かだ。
 その稀代のイケ面と比べてちょっと落ちる程度というのは、実はもの凄い褒め言葉なのではなかろうか。
 となると、イブリンの携帯からヨウ様の画像を消去したことが申し訳なく思えてきた。
 後でまた同じ画像をネットで探して、こっそりダウンロードしてあげよう。



 長かった一日がようやく終わり、僕はいつものようにハンモックに転がった。
 闇の中、静寂に包まれていると、様々な思いが脳裏を駆け巡る。

 それにしても分からないのは、このハンサムな僕に何故これまで女が寄りつかなかったのかだ。
 確かに、高校に入った頃の僕は、真理亜に捨てられて生ける屍と化していた。
 そんな僕が、女子から見て魅力のない男に思えたとしても不思議ではない。
 僕だってそんな不気味な男を彼氏にするのはゴメンだ。
 だがそれ以前、小中一貫して全くモテなかったのはどういうわけなんだろう。
 とにかく女の子から言い寄られた経験など皆無である。

 全校のモテない君を扇動し、2.14バレンタイン闘争と称して学校を封鎖しようとしたのは小三の時のホロ苦い思い出だ。
 翌年、チョコによる虫歯と肥満の危険性を説き、市内のデパート入り口で不買運動を展開したのもモテぬ男の僻みからだ。
 いずれも当局による不当な圧力に屈してしまったが、そんな時でも幼馴染みの真理亜だけは僕に味方してくれたものだ。
375ツンデレメイドとサムライガール ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:24:39 ID:HHKx9D5w
 確かに真理亜も女の子だけど、その頃の僕にとっては異性というより「仲のいい遊び友達」に過ぎなかった。
 ところが、小学校も高学年になると、その真理亜とは何となくイイ感じになってきた。
 中学に進む頃には幼馴染みから同志へ、そして淡い恋愛感情を伴った男女の仲へと進展していったのだった。

 しかし、真理亜以外の女と全く接点がなかったのはどういうわけなんだ。
 お陰で僕は自分のことを、真理亜以外の女の子からは相手にされないモテない君だと思い込んでしまったではないか。
 それとも何か?
 女子という女子が、全員足並みを揃えて真理亜に遠慮していたとでもいうのか。
 そう考えれば納得もいく。

 そんなことを考えながらハンモックの中でモヤモヤしていると、誰かが下からツンツン背中を突っついてきた。
 下を見てみると、ウルスラと視線が合った。
 なんと彼女は肘を張り、半ば逆立ちするような体勢になって、剥き出しのお尻をこちらに向けて高々と掲げている。
 そして首を捻って肩越しに僕を見詰めているのだ。

「ウル……」
 ハンモックは僕の体重で大きくたわんでおり、網目からナニを出せば合体可能な距離まで彼女に接近している。
 今からこっそり楽しもうっていうのか。
 ウルスラったら、いつからそんな大胆に。
 でも、こういうサプライズなら大歓迎だ。
 それに空中給油するみたいな変態チックな体位も楽しそうだし。
 僕は無言でOKすると、給油ホースを伸ばしていった。
 そして、あと少しで給油口に接触しようかという時──

「揃って撃墜されたいの?」
 殺意の籠もった唸り声が闇を切り裂いた。
 ウルスラの下半身がすごすごと降下し、闇の中に消えていく。
 どうも参った。
 天使には全てお見通しのようだ。
 後には娘悪魔の押し殺したような笑い声だけがいつまでも続いていた。
376 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/01(月) 19:25:19 ID:HHKx9D5w
投下終わります
377名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 20:00:16 ID:tm3iehFf
恵みの投下じゃあー
白鳥さんかわいいなw
GJ!
378名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 20:32:26 ID:Y+j7JQB8
>>376

GJっす!
ウルスラ可愛いよウルスラ
379名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 20:55:58 ID:ZXghZPoH
>>376
白鳥いいよ白鳥
GJ!
380名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 22:59:11 ID:bZnAu/8M
GJ!
じゃあ俺は新キャラの生徒かいちょ・・・
白鳥さん!白鳥さん!!白鳥さん!!!
381名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 01:23:46 ID:RQL8IU4v
わっふるわっふる
382ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:00:05 ID:vK5nk03f
第二話  投下します。
383ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:00:56 ID:vK5nk03f
 片桐は服を直しているときも、俺がカバンに資料を入れてるときも、教室の電灯を消して扉を閉めるときも、一切俺の手を離さなかった。
 服のボタンを止めるときなんか、俺の腕に腕を絡ませて、さらに太腿で手を挟み込んでボタンを素早くとめたぐらいだ。
 学校を出ても、駅について電車に乗っても、降りて改札をくぐっても、彼女は俺の手を抱え込んで密着し、決して放そうとはしなかった。
「……逃げないからさ、いい加減放してくれないか?」
 さすがにあきれて、片桐に言ったが、彼女は無言で首を横に振る。
 綺麗と言える女に密着されて嬉しくないって言えば嘘になる。
 しかし元となる出来事があれならば、やはり困るほうが圧倒的に大きい。脳天気にうれしがってばかりはいられないのだ。
「ふう……まったく。……で、どこでお前の話を聞けばいい? マックでいいか? ドトール?」
 訳のわからなさにため息をついて、俺は駅の出口に並ぶ店をぐるりと眺めた。
 女受けする店なんか知らないので、適当なファーストフード店をあげた。吾妻ならこういうときはセンスのいい店を選ぶんだろうと思ったりもする。
 だが、片桐はただ首を振るだけだった。目の前に並ぶ店には興味がないらしい。
「じゃあ、どの店がいい? 悪いけど俺そんなに金がないぜ」
 対案なしに拒絶だけされてすこし嫌気がさしたので、俺の口調がわずかに荒れる。空腹なのもあった。
「……矢代くんの……おうちで……」
 消え入りそうな声で片桐がつぶやいた。彼女の視線は地面に落ちたまま。
「俺の家? だめだめ。今、家には誰もいないから」
 別に片桐を襲わない自信はある。
 ただあんな事があった以上、きちんと一線を引いておく必要があると考えたのだ。
 正直にいえば、片桐の意図が読めず、二人きりというのに漠然とした不安を感じている。
 今のこの片桐が腕にしがみついている状態にすら、俺は納得していない部分があった。
 だがそれをそのまま言うのは片桐に厳しすぎる気がして、俺はもう少しわかりやすい理由を言うことにした。
「そうでなくても俺は、おまえにあんなところ見せつけられてるんだ。俺が変な気を起こしたら、レイプされるかもよ?
わかる? ご・う・か・んだよ? 助けを求めても誰もいないし、犯されてから泣いても遅いよ。だから俺の家はやめとけって。
静かに話したいというならそういう店を探すから」
「わ、私が、いやらしいから、矢代くんは私をおうちにあげたくないんですね」
 しかし返ってきた答は遙か斜め上で、俺は馬鹿みたいに口をぽかんと開けてしまった。
「はぁ? あのさ? 女が他に誰もいない男の家に上がり込む意味ってわかってるか?」
 その言葉で片桐の顔が初めて俺のほうを向いた。こくんと一つうなずく。
「……なにをされてもいいです。……私がしてほしいから」
 綺麗に頭が真っ白になった。俺の持っていた女に関する概念や理解を全て超えたためだ。
 思考がエラーを吐き出して止まる。致命的エラー、ゼロで除算しましたというダイアログが出そうだった。
「……聞き間違いか?」
「矢代くんが好きだから、矢代くんなら……ひどいことされてもいいです。
嫌われて、避けられるくらいなら、……矢代くんに……おそわれたい……」
 顔を真っ赤にして目を潤ませその言葉を吐き出す片桐は、いつもの彼女ではなく……たとえようもなく妖艶だった。
 俺はその顔をただ呆然と眺めることしか出来なかった。
384ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:02:04 ID:vK5nk03f
 自分の家への道なのに、俺を引っ張っているのはなぜか片桐だった。
 先ほどまでと違い、彼女は笑顔で生き生きと歩き、俺をぐいぐい引っ張った。
 やがて俺の家が見えてきて、門にたどりついた。……俺の家を知っていたらしい。
 門をあけたのも片桐で、玄関の前では、うれしさを抑えきれないように俺の顔を見上げたりする。
「……なあ、考えなおす気は」
「ないです」
 この女がこれだけはっきりとものを言ったのを俺は初めて見た。
 それに気圧されて、差し込んでいた鍵をひねり、扉を開けた。
 自宅に帰っただけなのに、なにか取り返しのつかないような事をしている、そんな気分に俺は襲われていた。

「ほんとに誰もいないんですね」
 片桐は俺のベッドに寝ころび、タオルケットにくるまってうっとりしながらぽつりと漏らした。
 万年床となって寝乱れたシーツが放置しているベッド、漫画から洋書、エロ本まで雑然と積み上がった書棚。
 安っぽい液晶モニターとPCが机の端に載り、机には音楽とゲームのCD、参考書と問題集が積みあがっている。
 少なくとも女がうっとりする部屋とは対極であり、有り体に言って人を呼べる部屋ではなかった。
 短時間の片付けすらせず部屋に入れたのは、片桐が玄関から俺の部屋に直行したためだ。
 その片桐は部屋にはいると、髪をなびかせて俺のベッドへダイブしていた。
 そして、怪しげなうめき声をあげながらベッド上をもだえ転がり、俺が掛け布団代わりに使っているタオルケットを体にまきつけてようやく静かになった。
 全くもってその行動は理解不能だったが、一応静かになったので、俺は気にしない事に決めた。
「だから言った。……話があるんだろ。それ話したらさっさと帰れ。そして襲われてもいいなんて冗談でも口にするな」
「……矢代くんになら、本気で襲われたいです」
 片桐の奇態にあきれていたため、俺は突き放した言い方で話を促したが、またもやこの女はズレた反応を返した。
 しかも普段のように怯えながら言うならまだしも、顔を紅潮させ笑顔を浮かべているところがどうしようもなく異常だった。
「あのなぁ! ……おまえ、レイプを舐めてるだろ?」
 いつも痴漢で固まっているくせにと俺は思い、いらつきが高ぶるのを自覚した。
 いいかげん毎度毎度痴漢から助けるのも鬱陶しくなっていたし、彼女に振り回されるのにも疲れてきていた。
 何より腹が減り、断りもせず俺のベッドに女の臭いをつけるのもむかついていた。
 座っていた机の前の椅子から立ち上がると、俺はベッドに大股で歩み寄る。
 俺の意図を読めず、きょとんとした女の顔は、著しく嗜虐心を誘った。怯えさせ、泣かせて、追い出してやる、そう思った。
 力ずくで彼女が巻き付けていたタオルケットを剥ぐ。
 何が起こったか理解できず悲鳴すらあげられない女を突き飛ばして押し倒し、のしかかって肩を押さえつけた。
「……もう下らない話はたくさんだ。本題に入れ。でないと……おい?」
385ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:03:54 ID:vK5nk03f
 恐怖に怯えるはずの顔が、さらに赤く染まって喜びに輝き、片桐の足が俺の足に絡まった。
「ちょっと待て! 何考えてんだ?」
「……抱きしめてくれたら、……話しますから……お願いです……」
 まるで恋人と抱き合っているかのように熱い息を吐きながら、片桐がもじもじしながら言った。
 何かひどく間違えているような感覚に陥りながら、俺は肩を押さえていた手を外した。
 途端に片桐の手が伸びて、俺の首を抱き取り、俺は一気に引き寄せられて、ベッドに落ちた。
 そして片桐の顔が俺の肩に埋まり、胸が押しつけられ、片桐の手が俺の背中にまわされて、足がさらにからみついた。
「片桐っ!?」
「……欲しいんです、矢代くんが。……もう我慢できなくて、……どうなっちゃってもいいくらいに」
「かた……ぎり?」
 片桐の顔がある首もとで熱い吐息をまた感じた。
「狂いそうなほど欲しくて……自分でしても全然満足できなくなって……我慢できなくなって……」
 俺の首筋に生ぬるいものが這い始め、背筋をぞくぞくしたものが這い昇った。
「あはぁ……矢代くんの味だぁぁ。臭いも生(なま)矢代くんだよぉぉ」
「生ってゆーな! 生って」
「だってぇ、今日一日何度もお手洗いで慰めたのに、ぜんぜん満たされないんですぅ」
 またもや背筋に得体の知れない寒気が走った。なのに片桐の体はたまらなく熱く柔らかく、でもしなやかにからみついたままだった。
「……か、片桐? 嘘だよ……な?」
「矢代くんがあの人のお弁当食べるって言って……そしたらどうしようもなく悲しくなって、欲しくなって」
「え? 弁当?」
 熱い片桐の体が、時折震え始める。
「恋人作らないって言ってたのに……、だから我慢してたのに……」
 肩に熱い滴を感じた。
「ひどいです……どうして……ひぐっ……どうして……えぐっ……」
 華奢な体が何度もおこりのように震えて、嗚咽が漏れた。さらさらの髪が嗚咽と共に揺れて手を優しく触れる。
「いやぁ……矢代くんが私を見てくれなくなるのはやだぁ……」
 肩が熱く濡れ、俺は困惑といたたまれなさを感じる。なんとかしてやりたくて彼女を抱きしめ、髪をなでた。
「どうしてぇ……あの人は頭も良くて明るくてあんなに強いのにぃ……どうして矢代くんに近づくのぉ?」
「片桐、あれは体育祭の準備の手伝いなんだ。俺と中塚は片桐が思っているような関係じゃないから!」
 なんで俺は片桐に言い訳しているんだろうといぶかしく思いながらも、とにかく泣きやんで欲しくて言葉を紡いだ。
「嘘です。……お弁当食べる約束してました」
「あれは、手伝った礼として、作ってくれるという約束だ。恋人同士の弁当とは違う!」
「……じゃあ、私のお礼も受け取ってくれるんですか?」
「お礼?」
「……痴漢から助けてくれました」
「あ? ああ、それね。……わかった。ありがたくいただくよ」
 その言葉と共に嗚咽が止まり、俺は安堵した。
「ほんとうに?」
「そんなことで嘘ついてどうするんだよ?」
 ベッドに倒れ込んで抱き合い、俺に密着していた片桐の体がすっと離れて、上体が起きた。
 俺も上体を起こしたが、キスができるような至近距離で向かい合うようになっただけだった。
「じゃあ、食べて下さい」
「弁当か? 夕飯か? 手作りお菓子?」
 泣きはらしてはいるが、涙が止まった片桐の目をみて、俺は努めて明るく尋ねた。
 繰り返すけど俺は腹がかなり減っていて、そして食い物ならば、まあ問題は少ないと思っていたのだ。
 もちろんそれは激しく誤っていた。
386ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:05:12 ID:vK5nk03f
俺の言葉に片桐は首を横に振る。そして唇に指をそっとあてた。
「……私のファースキスを、……唇を食べてください」
「い?」
 そして片桐が制服のボタンを一個一個外し、ブラジャーを器用にずらして体から抜いた。
 現れた重々しく揺れる豊かな胸を彼女は左腕ですくいあげる。
 乳首が完全にとがりきって、小さなペニスのようにそそりたっていた。
「む、胸もたべて……ください」
 完全に凍り付いた俺を尻目に、さらに片桐はスカートを外し、ショーツを脱ぎ捨てる。
 顔を赤らめて恥じらいを示したものの、片桐は膝立ちになってあらわになった秘所に指を滑らせ、二本の指で広げた。
「……そ、そして……わ、私の……こ、ここも……食べて……ください」
 ごくりと部屋に響くほど盛大な音がでたと思った。もちろん俺の唾液を飲み込む音だ。 
 口の中が乾ききり、股間が痛いほどはちきっていた。
 それでも俺の理性が最後の抵抗を示す。
 イヤイヤするように首を振りながら、少しだけ後じさったのだ。
 当たり前だが全く無駄な抵抗だった。
「嘘つき」
 小さな抗議の言葉と共に衝撃と共にベッドにひっくり返ったときには、唇はもう奪われていた。
 片桐の舌が全てを舐め尽くして吸い尽くさんばかりに俺の口の中を巡る。
 そして俺の舌を見つけると、軟体動物の交尾のごとく舐めあげられつつかれ絡まれある。
 それだけで腰に痺れるような快感が沸いた。
 俺の左手が引っ張られ、恐ろしく柔らかな乳房に導かれる。
 手は極上の布団と毛皮を合わせたものよりも滑らかで弾力性のある肉に埋まり、手のひらを固まりがつついた。
 右手は彼女の股間に導かれ、彼女の手によってぬるついた肉に押さえつけられている。
 さんざん俺の口の中をねぶり倒した片桐が唇を離し、俺の唾液が混ざったものをコクコクと飲み下すと至福の表情で桃色の吐息を漏らした。
「はぅぅぅ、矢代くんとのキス〜〜」
 そしてもう一度俺の唇をむさぼりながら、腰を揺らめかせて、俺の手に陰部をすりつけていたが、突然口づけを中止して上体を起こした。
 胸に埋まっているものの動きを止めたままの俺の手を、片桐はその大きな瞳でじっとみつめた。
「……矢代くん……やっぱり私のこと……」
 ついさっきまでキスに喜んでいた顔が、いきなり曇りだし、瞳に涙が盛り上がる。
「違うんだ。ただ俺は驚いて……」
「お願いです。こんなやらしい女嫌われて当然です。……でも、……私……矢代くんじゃないとだめなんです。
……自分でもおかしいくらいに……。胸が矢代くんに可愛がってもらいたくて……痛いほど張るんです。
あそこが……すぐにびちゃびちゃになるんです。……お願い……」
 悲しみに満ちた笑いが俺の理性を吹き飛ばし、切なそうな瞳が迷いをはじけ飛ばす。
 欲望のままに跳ね起きて女体を組み敷き、白い胸肉にかぶりついた。
 もう一方の乳も俺のものなのでつかんで揉みしだいた。
387ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:06:53 ID:vK5nk03f
 美味だった。たとえようもなく柔らかな肉は、顔ごと押すと軟らかく顔を包み返した。
 頂点の固まりをなめ回して、舌でミルクが出るすぼまりをつつきまわしこじあけようとした。
 舌でなめ回すと女体が叫んで飛び跳ねたので、固くなった乳首に軽く歯を立てて唇で転がしてやった。
「あはぁぁぁ、た、たべられてるぅぅぅ、うぁぁぁ、矢代くんにわたしぃぃぃ、たべられちゃってるぅぅぅ」
 乳首を舌でつつくと、そのリズムあわせて女が声を上げて体を震わせた。
 全然言うことを聞かなかった女が、舌で乳首を転がすだけで、操り人形のように動くと征服感がわき上がった。
 もちろん片方だけで容赦するわけはなかった。
 顔を上げて、補食する笑いを女に見せびらかした。女は一瞬凍り付き、そして溶けたように微笑んだ。
 反対側の乳をむさぼった。先ほどまで食べていた胸もつかんで絞り上げ先端をくじってやった。
 女が再び震えた。何度も震え、叫んだ。乳をほおばり、先端を思う存分舌で転がし、押して柔肉に埋めてやった。
 今までいらいらさせられた礼とばかりに、ピンク色の乳首を歯で甘く咬み転がし、舌でなめ回し、唇でミルクがでそうな程吸った。
 それだけで女が涙を流して快美を叫び、背をのけそらしてぴくぴく震えた。
 そのうち、こんな美味い柔肉を片方ずつむさぼっているのがまだるっこしくなった。
 どうしたものかと一旦口から肉を放して、女の荒い呼吸に合わせて震える乳を眺めた。
「……おねがい……やめないでぇ……」
 突然伸びてきた手が頭を押さえつけて、俺の顔を胸肉に埋める。
 頭をふって手からふりほどき、顔を少し上げて両方の乳を寄せられるだけ寄せると、両方の先端をまとめてほおばった。
 女が頭をのけぞらし、もう一度手で頭を抱え込んで、胸に押さえつけた。
 俺は女が食べられたがっているのをはっきりと理解して、思う存分柔らかい肉を両方同時に味わう。
 だが、そろそろ胸肉だけでは物足りなくなった。
 手を下に伸ばし女の足に触れる。怯えたように一度震えて、そして足は手を付け根に招くように開いた。
 聞き分けがいいので、ご褒美に両乳首をまとめて甘噛みして少し引っ張ってやった。
「あはぁぁぁぁぁ、だめぇぇぇぇぇ、胸でぇぇぇ、胸で変になるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 途端に女ががくがくと壊れた機械のごとく大きく震え、腰が浮き盛大にのけぞった。
 涎が垂れて歯を食いしばり、目が焦点を失って瞳孔が開ききった「逝った」目になった。
 この女をもっと狂わせたくなった。
 下にやった手をぬるつく股間に這わせる。
 下は全部ぬるぬるだった。太股の半ばから陰毛、尻まで全てがぬるついている。
 濡れた陰毛をかきわけ、滑らせていった指先に、肉の小さな固まりとひだを見つけた。
 滑りが良くなった指で固まりを優しくこすった。
「ひゃぁぅぅぅぅ、だめぇぇぇぇぇ」
 電撃でも食らったかのように女の白くなめらかで細い足が跳ね上がる。楽しい光景だった。
 乳首をなめ回して吸いながら、リズムを合わせてクリトリスをなであげる。
「ひぃぅぅ、ひゃぁぁん、くぅぅぅん、うあぁぁぁあん」
 面白いように女が頭をふり、手や足をバタつかせて踊った。俺の心も躍った。
 指の腹でクリトリスをゆっくりとこすりながら、膣の入り口をなで回し、指の先端を膣に埋めた。
「はぁぁぁぁぁぁぁ、いくぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 跳ね上がった足がさらに跳ね、浮き上がった腰がさらに浮いて背は弓なりになった。
 穴は俺の指を食い締めながら、液を小さく飛びちらかした。
 やがて女は背中をベッドに落とし、四肢をだらりと投げ出し、放心した表情でただ大きく胸を上下させるだけとなった。
 俺も乳をむさぼるのに満足したので口を放し、起きあがる。
 胸肉には満足したが、食欲は治まらなかった。
 女の投げ出した足の間に、膝立ちで入る。中途半端に広げている太股を大きく割った。
「なあ、片桐は処女?」
 食欲をそそる白い太股のせいで、出せる言葉は短く単純になる。
「……、や、矢代くんだけ……です」
 一つうなづいて、息を整えながら彼女はそう答えた。
 その目はさっきまでの焦点をうしなった目ではなく、真剣で真摯な光が宿っている。
 俺の食欲がさらに高ぶった。
「ふうん、じゃ、いただきまーすと」
388ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:08:10 ID:vK5nk03f
 両太腿を肩に抱える。目の前に女の性器が広がった。恥ずかしがった女が逃げようとしたが腰を押さえつける。
 息を大きく吸うと口を限界の限界まで開けて、俺は女の股間にむしゃぶりついた。
 クリトリスも尿道口も大小の陰唇も膣口もまとめてねぶりまわす。
「ああああああっ、や、矢代くんがぁぁぁぁ、わ、わたしのぉぉぉぉぉぉぉ」
 またもや女が反り返る。打ち上げられた魚のようにばたつき、伸びてきた女の手が俺の頭を抑えようとする。
 とがりきったクリトリスを吸いたて、舌の先端でつつきながらそろりと舐める。
「うはぁぁぁぁぁああああ」
 電撃で打たれたように女の体が痙攣して、伸ばされていた女の口に戻る。太腿が痙攣しながら極上の肉質で俺の顔を挟んだ。
 実に素晴らしく爽快で、わくわくする光景だった。
 唇でヒダを挟んで舐めた後、舌を滑らせ、穴の周りを舐めた。女の反応はあまりない。
 少し残念に思いながら舌をとがらせ、侵入をこばみがちな穴の中に、ゆっくりと舌を突き入れる。
「ああっ、うああっ、な、中にぃぃぃ、し、舌が、はいってくるよぉぉぉぉぉぉ
 舌を絞ってくる穴の中に苦労しながら、ぬめる壁の中をゆっくりと丁寧に舐めあげる。
 壁が舌を押し返しながら捕らえて奥に引き込もうすることに、なにか変な感動を覚えた。
 太腿がさらに力を込めて俺の顔を挟む。だがその滑らかな皮膚と素晴らしい弾力性のおかげで痛いどころか気持ちがいいくらいだった。
 舌でひたすらに穴を掘った。女の反応が鈍れば、クリトリスを吸いながらなめ回し、舌で先端をぐりぐりした。
 そのたびごとに女の腰が跳ね上がり、手で押さえつけないと太腿が肩から外れ落ちそうになった。
 女の腰をさらにひきよせ、腕を伸ばす。二の腕で腰を固定し、手探りであの柔らかな肉を探す。
 すぐに震える二つの胸肉が手に触れ、それぞれを両手でわしづかみ、頂きを指でつまむ。
 舌でつついていたクリトリスに、優しく優しく歯をたてて吸った。同時に乳首をねじり先端をこする。
「ああああああっ、いくうっ、またいっちゃうぅぅぅぅ、こわいぃぃ、こわいのがくるぅぅぅぅぅぅぅ」
 途端に女の体が背骨の曲がりの限界まで反り返る。太腿が恐ろしい力で俺の頭を締め上げ、女の手が俺の顔を滅茶苦茶な力で股間におしつけた。
 鼻も口も女陰の肉に覆われて息苦しさに襲われながらも、俺はクリトリスに歯を立てて吸い、乳首をいじり続けた。
「あっ、あっ、ああああああああっ、……」
 声と共にこわれかけのような痙攣が女の体に走り、女は叫びすぎて、叫び声をとぎれさせた。
 無我夢中で女の股間を攻めていた俺の顔に、生温かい液体が浴びせかけられる。
 唐突に女の体から力が抜けた。
 性器から口を離し、女の尻を抱えてベッドに降ろす。
 女の足からは完全に力が抜け、しかし不規則に痙攣のような震えが足から全身に走っていた。
 片桐の目は、焦点を失ってどんよりと濁り、ただ荒い息だけをついていた。
 肉に対する飢えを晴らしたものの、股間は痛いほど張っていた。
 ベッドを降りて、濡れてしまった上着もアンダーシャツも脱ぎ捨て、ズボンを降ろす。
 前髪から垂れてくる液体が気になり、腕で顔中を拭きまくった。液体には臭いがなかった。
 トランクスを降ろすと、勃起しきった息子がでてきた。
 一瞬コンドームのことを考えたが、下半身のたぎりが瞬時にコンドームのことをを振り切る。何も考えられなかった。
 再びベッドにあがり、もう一度片桐の足の間にわって入った。
 その時すっと足が開かれて、俺は片桐をみた。
 意識を取り戻していた片桐は、微笑んでいた。
 それはいつもの怯えて人をうかがう笑みではなく、全てを受け入れることを決めた静謐な笑みだった。
 俺は場違いにも、その笑みの中に美しく清らかなものを感じた。
「そ、その、い、入れちゃうよ?」
 言葉に出して自分で馬鹿だと思った。やりたい放題やった男が言う言葉ではない。
 だが彼女は、ただうなづいて、そしてつぶやいた。
「……手を……握っててください」
389ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:09:12 ID:vK5nk03f
 伸ばされた両手を握り、腰を進める。
 片手をほどいて、痛いほど立った肉棒を入り口にあてた。ゆっくりと腰を進め……すべって肉棒がはずれる。
「あ、あれ?」
 もう一度繰り返し、また外れる。三度目の正直とばかりに腰を進めて、やっぱり滑って入らなかった。
「な、なんで?」
 その時、冷たい手がそっと俺の肉棒を握り、先端を入り口にあてた。
「片桐?」
「……そのまま」
「あ、うん」
 片桐に促され、腰を進めていくと、傘の部分が埋まっていき、やがて先端が熱い肉に包まれた。
「は、入った」 
 そんなことで単純に嬉しくなって片桐の顔をみると、彼女は顔をしかめていた。
「痛い?」
「だ、だいじょうぶです」
 その答は口だけで表情は全く裏切っている。
 俺は少しの罪悪感と胸にわき起こる温かい何かに突き動かされて、ほどいた手をもう一度握った。
 一気に貫きたい衝動を抑えてゆっくりと腰を進める。
 途中でなにかを破った感じがして片桐の体が震えたが、構わずゆっくりと腰を入れる。
 熱くこわばった中の壁が、俺を締め付け、射精感を必死にこらえた。
 やがて、全部埋まり、俺と片桐の恥毛が絡み合った。
「全部入ったよ」
 目も歯も食いしばった片桐に告げ、のしかかって唇を奪う。
 痛みを与えているとしても、彼女を自分の性欲のおもちゃにしているのではないことを伝えたかった。
 彼女の唇は答えてくれた。初めの時の激しさはなかったが、俺の入れた舌に彼女は舌を絡ませ返した。
 その口づけによって、彼女の中も少し軟らかくなった。それで俺は我慢できなくなった。
「ごめん。動くよ」
 初めはなんとか気を使って動いていた。
 しかし陰茎の付け根から徐々にせり上がってくるものに狂わされ、出し入れが早くなってきた。
 それでも片桐は痛いと一言も言わなかった。ただ俺の手を握りしめ、目を閉じて耐えていた。
 限界が近づいてくるにつれて、コンドームをしてないことが気に掛かり始めた。
 そして、尿道をせり上がるものを自覚し、俺は肉棒を抜こうとした。
「そ、外に出すからっ!」
「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
 がっきと腰に足がからみつき、引き寄せられる。
 からみついていた壁が、肉棒を引き込もうとして、本能的に腰を一番深くまで打ち込み、そこで目の前に火花が飛び散った。
 壁がからみついた先端からはじけるような快感が押し寄せ、ともどもない拍動感と放出感に変わる。
 奥深い満足感に満たされながら、手を握りしめた。
 体の力がぬけかかり、片桐の体の上に崩れ落ちた。
 頭が片桐の胸の間に落ちる。手が優しく離され、片桐の手が俺の頭を抱いた。
 ひんやりとした片桐の肌を伝わって鼓動が聞こえ、肉棒が最後の拍動とともに精子を吐き終え、硬さと大きさを失い抜け落ちる。
 ぼやけそうな意識の中でかろうじてふんばって、体をずらしてベッドに落とす。
 片桐が俺のところまで下がって、俺の腕の中に潜り込んでしがみついた。
 二人ともしばらく荒い息をつくだけで、息が整ってもしばらくは無言だった。
390ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:11:38 ID:vK5nk03f
 俺は何をしゃべって良いのかわからなかった。だから片桐を抱きしめてやるしか出来なかった。
「ありがとう」
 やがてかなり時間が経って、ぽつりと片桐が礼を言った。
 言うべき言葉が見つからなくて、俺は片桐の目を見つめる。
「私、今、本当に落ち着いたんです」
「……でも痛いだろ?」
 だが片桐は俺の疑問に笑みを返した。
「痛いですけど、でも体も心も本当に満たされたんです。……やっと落ち着きました」
「落ち着きましたって、俺、中出ししてたりするんだけど、わかってる?」
「それは私がして欲しかったんです。……私が中に欲しかったんです」
 理解に困る言葉が出てきて、俺は思わず体を起こした。
「妊娠する気か? まだ付き合っても居ないんだぜ、俺達?」
 だが片桐は首を振って否定した。
「矢代くんの子供欲しいですけど、でも矢代くんが欲しいと言うまで我慢します。
 それまではピルを飲みますから」
「ピル? 飲んでるのか?」
「はい。……矢代くんのを中に欲しかったから」
 そう言うと、片桐は腹に手を置いて、慈しむような目をした。
 なにかよくわからないが、妊娠はさけられそうで、俺はほっとして再びベッドに寝ころんだ。
「だけどさ、避妊とか性病とかいろいろと危ないのにどうして中にこだわるんだ?」
「私の体、私の心と同じくらい矢代くんが大好きなんです。そして好きで好きで、すぐおかしくなるんです。
今、矢代くんを中にもらって、やっと体も満足したんです」
 俺はきっと怪訝な顔をしていた思う。それを見て片桐は恥ずかしそうに微笑んだ。
「私、とてもいやらしいんです。……性欲がとても強いんだと思うんです」
 彼女が俺の胸に顔をすりつける。
「小学校の時から自分ですることを覚えて、机の角とか椅子とかにしてたんです。
 5年生くらいの時には、親のエッチな本とかを盗み読みして、自分であそこを触ってました」
 片桐は俺の胸に顔を伏せていたが、わずかに見えるところは紅潮していた。
「でも、ずっといじめられていたんで男の子は怖かったんです。
 中学では、男子に虐められることはなかったんですけど、女子に虐められてましたから。
 ……人を好きになる余裕がなかったですし、孤立していた私に優しくしてくれる人もいませんでした」
「知ってるよ。片桐がかなり虐められてた事は、片桐と同じ学校だった奴から聞いた」
「でも高校生になって、痴漢にあってとても怖かったとき、矢代くんが助けてくれたんです」
 その言葉を聞いて、いつもの疑問が思わず口をついて出る。
「毎度思うんだけどさ、なんで痴漢を我慢してるんだよ? はっきりいって見てられないよ」
「……怖いんです。声を上げればいいと頭ではわかってるんですけど、怖くて……」
 その時、片桐はいつもの上目遣いをしていた。けれどももう俺はいらつかなかった。
「まあ。いいや。で、俺が痴漢から助けて?」
「……好きになりました」
 俺は呆けた。助けた理由は、ただ単に見てられなかっただけだったのだ。
「その次助けられて、もっと好きになりました。何回も助けられてるうちに、矢代くんが怖くなくなりました。
 そしたら、私の体も矢代くんを大好きになってたんです」
 顔を赤くして、胸にほおずりしながら、彼女は続けた。
「矢代くんを想って、あそこを触るとすごく気持ちよくなりました。そのうち矢代くんがないと全然満足しなくなりました。
 矢代くんにくっつかないと、寂しくて悲しくてどうしようもなくなって……」
「いや、待て。くっつかないと寂しくて? ひょっとして痴漢から助けた後妙にくっついたのは?」
「はい。……矢代くん、必死に我慢してたのがわかって、かわいそうで、でも可愛くて……。
触ってくれないかなってずっと思ってたんですけど、矢代くんすごく我慢強くて。それでますます好きになって」
 自分の努力が馬鹿らしくなって、俺は深いため息をつく。
「そのうち、矢代くんのものを借りて、……その……慰めるようになって」
「……体操服とか、携帯電話とか?」
 片桐は肯いた。もっとも俺の体操服は二三着まとめて持って帰ってまとめて洗って持ってくることをしてた。
 多少オナニーに使われようが、全然わからなかったし、そもそもそんなこと想像すらしていなかった。
「で、それが中塚の弁当とどうつながるんだ?」
 片桐は中塚の名を聞くと、笑顔を消した。
391ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:13:21 ID:vK5nk03f
「……矢代くんは中塚さんのこと、好きだから、手作りのお弁当、食べるんですか?」
 見上げてくる目には、のっぴきならない光が宿り始めていた。
「違うって! さっき言っただろ。仕事手伝ったから、作ってくれるんだって」
「でも中塚さんは、矢代くんのこと、好きです」
 片桐は憂鬱そうな目をしながら、もじもじと指をいじった。。
「……片桐も男女をみたらカップルと思うタイプか? 好きとか、そういうのじゃないって中塚自身が言ってる。
なんでもかんでも恋愛にからめるなよ。まったく!」
 憤慨しながら言い切った俺を、片桐は不思議そうな目で見た。
「え? まさか、本気で信じてるんですか?」
「本気も何も中塚自身が言ってる」
 俺がそういうと変な沈黙が続いた。片桐が何かを考え込み始める。 
 しばらくして、片桐が顔をあげた。
「それじゃ、中塚さんのお弁当を断ってくれますか?」
「良いけど、理由はどうするんだ?」
「……矢代くんを好きな女の人が、嫌だって言っているって伝えてください」
「そんなんでいいのか? まあ、言ってみるけど中塚が納得するかどうかは保証できないよ」
 俺の返答に、片桐は花が咲くような笑顔をみせた。やはり初めて見る顔だった。
「はい。……その代わり、私がんばりますっ! お弁当もですけど、矢代くんが一人の時はお夕食も作ります。
私、料理とか掃除とか洗濯とか大好きなんです」
「ありがと、気持ちだけで充分……」
「私、本気です! 矢代くんはちゃんと栄養バランスとか考えてますか? 悪いですけど、そういうこと考えないですよね?」
 突然に片桐ががばっと体を起こし、目を輝かせて力説を始める。
「考えているさ。ちゃんと毎日ビタミンサプリ飲んでる。繊維質も入ってる奴だぞ」
「野菜とかは? 茶色と黄色と緑色をバランス良く食べてますか?」
「野菜はビタミンサプリ取ってるから食べなくても大丈夫だろ? その色はいったい何?」
 片桐がため息をついて顔をしかめ、首を振った。
「ぜーんぜん駄目です。ほんとに男の人って……フフ」
 そして何かを言いかけて、うっとりとした顔をした。
 俺はといえば、食べ物の話を聞いて、忘れていた空腹を思い出して、腹を鳴らす。 
「冷蔵庫に何かあったっけな?」
392ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:14:55 ID:vK5nk03f
「いーから、座っててください!」
 片桐がいきなり強くなった。
 俺達が空腹に耐えかねてキッチンに降りてからだ。
 空っぽだという俺の予想と違って、冷蔵庫には姉さんが入れたと思われる素材が入っていた。
 留守中にやってきていたらしい。 
 もっとも料理など面倒くさいので、スルーしてカップ麺をあさろうとしたところで片桐が変わった。
 なぜか俺のシャツを素肌に羽織り、姉さんが置いていったエプロンをつけると、彼女は俺に命令した。
「台所は女の戦場なんです。男の人は黙って後から見てれば良いんです」
 また古風な、と思ったが、包丁を持っているうえに得体の知れない迫力があったので、俺は黙って座ってることにした。
 俺がおとなしく座ったのを確認して、彼女は長い髪を揺らして鼻歌を歌いながら、どこからともなく取り出した米をとぎ、炊飯器にかけた。
 包丁が芸術的に舞って、野菜が魔法のように切れた。
 あの包丁がそんなに活躍できるものだとは今まで思わなかった。パンの袋を破るのにしか使っていなかったのだが。
「いたっ!」
「お、おい、大丈夫か」
 あわてて駆け寄ると、片桐のひとさし指に赤い線が入っていた。線の端から赤い玉が盛り上がる。
「あっ!」
 俺は何にも考えずにその指を口に含み、そして我に返った。
 あれほどやっておいてなんだが、断りもなく女の指を口に含むという行為が何か少しいやらしいように感じたのだ。
 ゆっくりとさりげなく、指を口から離して、壁まで後じさる。
「え、えーと、絆創膏さがして……」
 ばつの悪い思いで片桐を見ると、彼女は頬をそめていた。
 そして何か大事なもののように、俺の唾液がついた指を口に持って行って含んだ。
 そのまま片桐は夢中で自分の指を吸って舐めた。
「か、片桐?」
「えっ? あ、あはは」
 驚いた俺の声に、片岡が我に返って照れ笑いをして、照れ隠しに怪我のない方の腕を振る。
 刹那、キラリと何かが光り、何気なくよけた。
 鈍い音と共に、俺の顔の10cmほど横で、包丁が壁に突き立っていた
 冷や汗が、だらりと額から鼻の横を滑り降りていく。
「キャッ、キャァァァァァ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「……ははは、すいません。……おとなしく座ってます」
 頭を下げまくる片桐に、俺は返事を返すのがやっとだった。……しょんべんをちびりそうだったのだ。


「これは、……本当にうまいな」
 空腹は最上のソースというが、並べられた料理は明らかにとても美味だった。
 つい夢中になってがっついてしまい、空いた茶碗に湯気の立つ白米を盛られて、片桐に意識が戻った。
「あ……。ごめん、つい夢中で食ってしまって。片桐も食べてくれよ」
「はい、ちゃんといただきますから」
 そう言いながら、彼女は箸をつけずに、俺を穏やかな笑顔で眺めている。
「……なあ、片桐。食欲がないのか?」
「ううん、そうじゃないです。なんか気持ちよく食べてもらえると、すごく幸せで、それでお腹いっぱいになります」
 そういうものだろうか? と思ったが、それ以上は言わないこととした。
 俺を見る片桐が、良い表情をしていて、それを壊すのがもったいないような感じがしたのだ。
 結局、片桐は俺が食べ終わってから、食べ始めたのだった。
393ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:16:49 ID:vK5nk03f


 浴槽を洗い、洗い場に落ちている陰毛を流した。
 それ以上は今はどうにも出来ないし、一応俺的基準では綺麗だった。
 湯沸かしスイッチを押して、蛇口から湯が出るのを確認すると風呂を出て、ベランダに駆け上る。
 取り込んであったがたたんでない洗濯物から、ましなバスタオルと洗ったジャージを選んで、ダイニングキッチンに駆け下りる。
 女物の下着というのはこの家にはないので、これだけとなる。
「片桐ぃ、悪いけどジャージしかないんだ。いいか?」
「は、はい」
「んじゃ、これ貸すから。あ、まだゆっくり食っていていいよ。湯を入れ始めたばっかりだし」
「で、でもぉ」
「いいから風呂入っていけって。……俺、体中をなめ回してしまったんだし」
 自分で言って恥ずかしくなって少し顔がほてる。
「……ありがとうございます」
「んじゃ、ジャージとタオルは脱衣所に置いておくから」
「で、でも、お、お風呂は矢代くんが先に入ってください!」
 ダイニングを出て行こうとしたとき、片桐が茶碗と箸を持ったまま立ち上がった。
「どうしてさ? 客なんだから片桐が先に入ったらいいじゃないか」
「……わ、私ぃ、お風呂長いし……、その……」
 顔を伏せてもじもじしながら、片桐は何かをぶつぶつとつぶやく。
「なんか都合悪い? じゃあ、先に入るけど?」
「はいっ! 先に入っててください! 私も後から行きますから」
 理由がわからないが都合悪そうだったので、助け船をいれる。
 するとなぜか笑顔になり、片桐はそのまま椅子に座って急いで食べ始めた。
「……よくわからんが、まあいいか」
 俺は自室に下着と替えの服を取りにあがった。
394ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:17:23 ID:vK5nk03f
 湯船に入る前にシャワーを浴びる。いろいろと汚れていたのを自覚して、頭を洗った。
 シャンプーをつけて髪の毛をかき回していると、風呂の扉が開いた音がした。
「片桐、どうしたー?」
 そのまま頭を洗い続けていると扉が閉まった。
 何だったんだろうと思いながら、シャワーで泡を洗い流してさっぱりしたところで、肌色の人影に気がついた。
 もちろん、裸の片桐だった。
 またもや、予想外での行動に絶句して、ボディシャンプーを取ろうとした姿勢で固まる。
 かろうじて胸と陰部を薄いタオルで隠した片桐が、ふらふらと近寄って俺の背中にまわった。
「お、お背中をっ、な、な、流しますっ」
 緊張で裏返ったらしい片桐の声が聞こえて、俺も緊張した。
「え? ええ? ええええええ?」
 振り向いて、樹脂製の風呂場の壁に張り付いた。壁に取り付けられた鏡がひんやりと背中にあたっている。
 俺の驚きに構わず、片桐はボディーシャンプーを手に取った。
 そしてなぜか、容器の中身を片桐は己の体に……タオルに包まれた胸から腹に多量に振りかける。
 その所作に疑問が生じたが、俺の脳裏がそれに対する一つの回答を示していた。
 まさか。脳裏の回答は下劣な部類に属する回答だった。即座に理性が否定しにかかる。
「か、片桐?」
「か、体を、あ、洗って、あげますから、せ、背中を」
 もちろん俺は動かなかった。
 片桐が何を思ったのか、寄ってきた。
「ちょ、ちょっと待て!」
 思わず突きだした右手が片桐に取られ、胸の谷間に押し込まれる。
 手のひらから前腕までが、柔らかい肉とぬるついたボディシャンプーによって快感に飲み込まれる。
 やがて反対側の手も取られ、同じように融けそうなほど柔らかな胸に挟まれ揉まれて洗われた。
「じゃ、じゃあ、つ、次は前を」
 そのまま迫ってきた彼女の唇が重なり、熱く柔軟な肉が俺の胸に密着する。
 唇が離れても、心地よい肉が胸をくすぐり、俺は思わず立ち上がってさらに墓穴をほった。
 半立ちになった息子を、彼女の目の前にさらけ出したのだ。
 片桐は、心からの笑顔で俺を見た。
「ち、違うから! ……片桐、違うんだ!」
 だがその言葉はあっさりと無視され、肉棒が胸の中に埋まる。
 腰の力が抜けそうな快感に包まれて天を仰いだところに、肉棒先端にぬるりとした温かいものが這って、抵抗できなくなった。
 柔肉からはみ出た先端を、片桐はひどく一生懸命になめ回していた。
 やがて柔らかすぎる肉に揉まれながら、舐め続けられ、尿道口を吸われるに至って、俺はだらしなく射精させられた。
 顔と胸一面に飛び散った白い粘液を片桐はひたすらに舐め取り飲み下していく。
 そして大方を舐め取ると、彼女はまたもや顔を赤らめ、うつむきながら、しかしはっきりと言った。
「こ、今度は、わ、私の、か、体を、洗ってください」
 この言葉の後、顔どころか肩まで赤くした彼女の姿が、またもや俺を獣にした。
 ……俺はこのとき、自分の理性が存外にもろいことを学習した。
395ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:19:02 ID:vK5nk03f
「だいじょうぶか?」
「だ、だいじょう……んぃっ……ぶですっ」
 次の朝、駅までの道上、片桐は出来の悪い人形のような歩き方をしていた。
「……ほんとうにごめん」
「……あう、あは、矢代くんのせい……ぅっ……じゃないですから」
 受け答えの途中でも走る痛みのせいで、片桐は顔を歪め、体を震わせた。
「本当にごめん。海より深く反省する。けだものでごめんなさい」
 まるで片桐が乗り移ったかのように俺は頭を下げまくった。
 結局あの後、俺達は猿のようにSEXをしまくった。どろどろになってやりまくったのだ。
 だが片桐は処女だった。なのに俺は調子に乗って後背位とか、対面座位とかやりまくってしまったのだ。
 当たり前だが、素っ裸で抱き合って眠った俺達が、ベッドで目を覚ましたときから、片桐はこうだった。
 正しく言えば、片桐が愛液なんかでいろいろ大変なシーツを発見し逆上して、持って帰って洗うと言いだしてからである。
 シーツを丸めてベッドを降りた途端、片桐は股間の痛みで涙目になってしゃがみ込んだのだ。
「矢代くんのせいじゃないで……んきゃぁ!」
 肉を地面にたたきつける音がして、俺は思わず目をつむった。
 すぐに片桐の姿をさがす。
 ……片桐は転倒の痛みと股間の痛みの合わせ技で悶絶していた。
 俺は思わず天を仰ぎ、片桐を駅まで背負うことに決めた。
396ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:19:39 ID:vK5nk03f
「線路内に人の立ち入りがありましたので、安全確認が終わるまでしばらく停車します」
 アナウンスが無情に告げる。
 いつもの電車、いつもの車両、いつもの景色。
 違うのは、片桐だった。今日は初めから俺に密着していたのだ。
 立っているだけなら痛みもましなようで、穏やかな顔をして俺の胸に頭をもたせかけている。
「はぁ、まったく」
 呟いたとき、片桐の体がびくりと震えた。
 どうしたと片桐を見ると、彼女は目に涙をためて俺を見上げた。
「痛いのか?」
 だがその言葉に首を振り、片桐は背後に目を落とす。
 その目線を追うと、片桐の尻に手がうごめいていた。
 瞬時、怒りが炎のように脳裏を駆けめぐる。……その尻は俺のものだ!
 怒りに駆られて片桐の体を引き寄せ、その尻を俺の手で覆う。片桐がわずかに声をもらしたが気にしないことにした。
 置いて行かれた痴漢の手が、尻を追って伸び、俺の手の甲に触れた。
 気持ち悪くしめった生温かい手で、触られたのが手の甲なのに、俺の体にも悪寒が走った。
 感触が違うことに気付き、戸惑った様に痴漢の手が尻を探して動いた。
 片桐が尻を触らせまいとして俺の腕の中でまわり、痴漢の方に向く。
 背を向けていた痴漢が、戸惑ったように俺達に顔を向ける。それは冴えない気の弱そうな壮年の男だった。
 片桐が浮いた俺の右手を取って、スカートの中に導く。そして俺の左手を自らの胸に押し当てた。
「私は、この人のものなんです」
 ぽつりと呟いた言葉が通じたのか、痴漢の顔色が変わり、手を引っ込めて俺達に背を向けた。
「安全確認が終わりました。発車します」
 アナウンスがあり、電車が揺れた途端、痴漢は乗客の中に紛れて去った。
 片桐はそのまま俺に身を預け、幸せそうに声を出さずに笑った。俺も彼女に笑い返した。
 数分後、少し向こうから女の悲鳴が上がり、あの痴漢の手が誰かの手に掴みあげられる。
「何やってんのよ、この変態おやじ! 痴漢!」
「あんた、次の駅で降りろよ」
 車内がざわつき、やがて停車して開いた扉から、あの壮年の男とスーツ姿の若い女、そしてごつい体格の若い男が降りた。
 顛末を見届けようとしたが、遅れていた電車はすぐに扉を閉め、走り始める。
 痴漢の姿が遠ざかり、やがて単調なレール音が響き始めた。
「あの親父、何やってんだか」
「きっと、私が矢代くんのものになっちゃったから、びっくりしちゃったんですよ」
 そう嬉しそうに小声で語る片桐の顔は、愛しすぎて魅力的すぎて、俺には正視できなかった。
397ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:21:18 ID:vK5nk03f


 昼休み。仕事を効率的に片付けようという中塚の提案で、俺達は体育祭実行委員会室で昼食を食べていた。
 中塚の言うところの、とびっきりの弁当は、確かにとびっきり美味だった。
 それが少し悲しかった。食べられなくなることが、ではなく、この労力を否定してしまうことが悲しかった。
 中塚は楽しげに話しかけ、俺も礼儀として話を盛り上げるべく相づちをうった。
 弁当はがっつかずに、丁寧に味わって食べた。おかずの種類ごとにちゃんと感想も言った。
 二人して食べ終わったとき、中塚はこの上なく上機嫌だった。眼鏡の奥の目がほんとうに輝くような色を浮かべていた。
 蓋を閉め、両手を合わせ、ごちそうさまをいった。中塚がお粗末様と返した。
「中塚」
「ん? 何?」
「悪いけど、明日から、弁当は作らなくていいよ」
 中塚の労力に配慮して真面目な口調で言うと、中塚が怪訝な顔をした。
「どうして? 私のことなら気にしないで」
 俺は少しだけ言葉をためらった。だが言わない訳にはいかないと思い直し、心を決めた。
「俺を好きな女が、中塚の弁当を食べないで欲しいって言った」
 音なき爆弾が破裂したように、中塚の表情が激変する。
「……嘘」
「本当だ。昨日の夕方、告白された」
 あれを告白と言うべきかは少し悩んだが、告白と言うことにした。
「……嘘よ」
 中塚の顔が下を向き、やがてしずくが滴る。そのことに俺は少なからず驚いた。
 好意を抱かれてることは理解していた。しかしそれは男女の好意ではなく友情のたぐいだと思っていた。
 矢代くんに告白した女がいたの? ものずきねー。 弁当断っても仕事はしてもらうからね。
 返ってくるのはこんな言葉だと思っていた。
 だが今、彼女はまるで振られたかのように涙を流している。
「い、いや。その嘘を言う理由がないんだが。……本当なんだ」
 そのまま長い沈黙と、中塚が涙を流して鼻をすする音だけが続いた。
 後ろめたさで逃げ出したくなってきたとき、中塚が顔をあげた。
 目が赤く、涙の跡が両目にあったが、しかし彼女はかすかな笑い顔を浮かべていた。
「……あーあ、先を越されちゃった。……私だって狙ってたのにね」
「中塚?」
 眼鏡を外して涙を拭きながら彼女は続けた。
398ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:22:59 ID:vK5nk03f
「矢代くんだけだったんだよ。私の悪口を言わないで、ちゃんと手伝ってくれて、ちゃんと話をしてくれる人」
「え? だって昨日の中塚の友人は?」
「……一年の時は親友だけど、クラスが違っちゃったからね。私、矢代くんがうらやましいよ。
矢代くんはどうして一人でいてもそんなに強いの?」
「強い?」
「そうだよ。恋愛も結婚もどうでもいいって言い切って、成績すごくて、すごく大人で。
なのにちゃんと話をすると助けてくれて。誰かと一緒になってぐちぐち悪口言わないし」
「強いって訳じゃない。……こんな風にしか生きられないだけなんだよ」
 彼女はしかし、否定するように首を振った。
「私は駄目。クラスを良くしようとして頑張って、それでみんなに嫌われて。
先生への印象を良くするのもクラスのためだと思ったけど、先生に媚びてるって言われて。
ほんと、吾妻くんに言うとおり、矢代くんがクラス代表の方が良かったよね」
「何いってるんだ。俺にそんなの勤まらないって。……中塚は良くやってると思う。ほんとに。
みんな、中塚に任せっきりで、中塚も仕事こなしちゃうから、ありがたみがわからないんだ」
 だが俺の言葉は中塚の心に届かず、中塚が疲れて悲しい目をしてため息をついた。
「矢代くんは優しいね。だから、好きだよ。冷たそうに見えるのにほんとは優しくて。
私ね、矢代くんと朝会うためだけに学校きてるんだ。
矢代くんは仕事押しつけられそうって警戒してたのわかってたけど、仕事ないと矢代くんに話しかけられなかったの。
だから仕事を頼んで、そしたらすごく早くて正確にやってくれて。
それで何かお返ししたくて、あの子達に相談したらお弁当だって教えてくれて。
昨日やっとお弁当食べてもらえることになって、第一段階成功だって、すごく嬉しかったんだ」
 俺に出来ることは、ただ謝ることだった。
「……その、ごめん」
「ううん、いいの。私がぐずぐずしてたから。……ところで、ね、教えて。矢代くんは誰に告白されたの?」
 中塚は赤く腫らした目にそれでも明るい光を無理矢理宿して、俺に尋ねた。
「……片桐なんだ」
 少し照れて言った答えに、中塚は答えなかった。
 目から明るい光が消えて、怒りとも悲しみともつかない表情になった。
 やがて、彼女が能面のような表情をしながら、唯一目に憎しみをたたえて呟く。
「そんなの……許さない」

第二話 End
399ご愁傷様、矢代くん:2008/09/02(火) 17:24:59 ID:vK5nk03f
投下終了
  ジューシーなお肉をお届けしようと頑張ってみました。
400名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 17:56:43 ID:pYAIcZZ+
>>399
美味しい晩御飯をどうもありがとう。GJ
401名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 18:13:26 ID:WA7KxDjc
なにコレ、なんなの?俺のチンコ勃起させてなに企んでるの?抜けってか?
どうすんの?言っちゃうよ?GJって叫んじゃうよ?マジで良いの?言うよ?

ディ・モールトGJ!!今までのSSん中で一番好きかもしれん。続き超期待してる!
402名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 18:29:48 ID:YAx3H0NH
「その尻は俺のものだ!」
名言過ぎる
403名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 18:41:32 ID:Qh/EuD8M
いきなりカオスwww
404名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 20:04:18 ID:czuN4+Re
GJGJ!!
ジューシーなお肉というか霜降り和牛を届けられてしまいました。
勿論次の配送もお待ちしてます!!!
405名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 20:32:13 ID:miP4etfl
>>399
超超超GJっすっ!!極上お肉でお腹一杯です!


片桐さんサイコーッ!
こんな彼女がホシイゼ!
406名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 20:45:05 ID:5IQLtrje
神作の予感……GJッ!!
407名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 22:10:33 ID:OBSCMWnq
GJ!中塚さんのターンに期待!!
408名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 22:21:46 ID:CxhdNLEx
そんな簡単に神とかGJとかやめた方が・・・・・!!・・超Gggggg!じぇぇぇぇっぇ!!!
409名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 22:37:48 ID:TOTMPI8N
ふぅ…
410名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 23:00:14 ID:+um535KE
ふぅ…
お前達少し落ち着いたらどうだ?
411名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 23:00:58 ID:Cz3Iw7b0
最近どのスレでもハイパー賢者タイムなレスが多いな。
いくら良い作品だからって、ちょっと…




ふぅ………ふぅ…………
412名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 00:01:04 ID:R8dhl4EM
抜いた後のやつが3人もいるじゃないか!
次も特上配達お待ちしてます


ふぅ……
413名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 00:04:05 ID:r7HZGCpL
ふぅ……

まあみんな落ち着こうぜ?
414名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 02:26:31 ID:WcwGjCAp
>>「そんなの……許さない」
美味しくいただきましたヽ( ゚∀゚)ノ
415名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 02:35:31 ID:wI0cXmyx
今ネットスター見てた








ふぅ…
416名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 11:41:07 ID:fKZevbq0
ふぅ…
417名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 13:18:11 ID:GXOyo57r
主人公キャラ変わったなぁ
恋は人を変えると言うが
中塚さんも食べちゃって両手に花、とは行かないよなぁ



ふぅ・・・・・
418名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 16:39:46 ID:bobCY+Yq
いいぞ
これでこそエロパロだ
よし、今後君のSSはこのウナギが全面的に擁護させて貰うよ
安心して続きを書いてくれたまえ
419名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 22:15:08 ID:wI0cXmyx
ウナギが進化だと?
420名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 22:17:05 ID:hZtLwx3u
いや違う、偽装ウナギだ!
421名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 22:48:39 ID:ASiGce8i
うまいこといったつもりかこの野郎
422名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 00:02:03 ID:U9/WJu4/
>>399
大変美味しく頂きました。 俺はきっとこういうSSを待っていたんだと思う

……ふぅ
423名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 02:16:30 ID:FVFlLMV1
>>399
ご馳走様です。
純愛物にして個々にルートを書いて欲しいのは俺だけ?
424名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 03:53:41 ID:iEzn1V+S
純愛ものなんてとんでもない
このまま突っ走ってもらいたい
425名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 08:24:07 ID:mGWUgKnx
なぁに
恋愛なんてやってる当人にしてみれば皆純愛さ
その形に差があるだけで
問題ない問題ない
426名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 12:02:41 ID:vUj7FoZQ
すばらしい
427名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 13:08:38 ID:lIMBIlPP
矢代氏が当スレッド誕生以来最高の書き手であることは間違いないな
氏の前には最盛期にもて囃されてた書き手も霞んでしまうよ
428名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 16:24:38 ID:Kfa8Ny1/
はいはい
429名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 16:32:44 ID:b8AvpGPr
わろすわろす
430名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 16:46:17 ID:7CX8Ttqe
〃∩ ∧_∧
⊂⌒( ・ω・)
 `ヽ_っ⌒/⌒c
     ⌒ ⌒
431名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 16:58:16 ID:XemasuEU
このAAを見ると和むw
432名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 17:31:32 ID:28zkXqAP
>>424
このスレほど純愛に特化してるスレもそう無いと思うがな
433名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 17:40:49 ID:rl3RSSgB
自称・古参の重鎮、もしくは逃げた元書き手のやっかみか
見苦しいなw
434名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 19:04:22 ID:W02TJK92
だが何でもOKな俺
なぜかゆめにっきのBGMで落ち着いてる
435 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:04:40 ID:AvUZssXI
続き投下します
436僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:05:37 ID:AvUZssXI
 翌朝のお茶の間は、実に居心地が悪かった。
 ウルスラは気まずそうに俯いたまま給仕し、真理亜はロクに目も合わせてくれなかった。
 雰囲気を察知した両親はわざとらしくニコニコするだけで、それが余計に気まずさを濃くしていた。
 妹の綾はいつもと違う様子に、何が始まるのかとワクワクしているように見えた。

 そんな中、イブリンだけがいつもの通りであった。
 脳天気な表情で携帯を開き、愛しのヨウ様に朝の挨拶をしている。
「ややっ、今朝のヨウ様……なんだかいつもより男前?」
 そりゃそうだろう。
 前に大事にしてたのはサムネイルを拡大した粗い画像で、今度のはちゃんとダウンロードした高解像度版なんだから。
 ヨウ様の男前だってグッと上がって当然さ。

 取り敢えず、一人はしゃぐイブリンに後を任せ、僕は早々に家を出たのだった。
 女関係で揉めた時、男にできるのは逃げることくらいと昔から決まっている。

 僕は和解の手段をあれこれ模索しながら歩き、ふと気付くと学校に到着していた。
 何だか校門付近が騒がしい。
 見ると風紀委員による抜き打ちの服装チェックが行われているらしい。
 見慣れた朝の光景だが、今朝は少しいつもと様子が違う。
 なんと、反乱分子が風紀委員長に楯突いているのだ。
 風紀委員長は、夢の三職兼任を果たしたあの篁摩耶子だ。

「ウチらのスカートが短いって、だいたいアンタのはどうなのさ」
「どう見たって校則違反じゃん」
 コギャルどもの言うとおり、摩耶子さまのスカートはむしろ彼女たちのより短く見える。
「それに茶髪禁止っつって……アンタのもほとんど金髪だし」
 その指摘も的を外れていなかった。
 スターであらせられる摩耶子さまは、自らのおぐしをブロンドに染め上げていらっしゃる。
 少しでも他人より目立とうという、成金根性を丸出しにされておられるのだ。

「生徒会長だからって、自分だけは許されてるなんて言わないよねぇ」
「だってアンタ、ウチらが選挙で選んだウチらの代表っしょ?」
 想定外の突っ込みに対し、摩耶子さまは思いのほかたじろいでらっしゃるように見えた。
 それもその筈、図らずも小癪なコギャルどもが言い放ったとおりなのだから。
 摩耶子さまは、ミニスカも金髪もご自分だけは許されていると思い上がっておられたのである。
 まさか、正面切って突っ込みが入るとは思いもされていなかった摩耶子さまは、ご答弁を用意なさらずにいたのである。
 見てくれだけはいい側近どもも、肝心な時には全く役に立たない様子でオロオロするばかり。
437僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:06:14 ID:AvUZssXI
 これは面白い。
 神聖不可侵の貴婦人が不埒な下人娘に寄って集って苛められる図は、下克上のエロスを感じさせてくれる。
 しかし放っておくこともできまい。
 このままでは、妄想の中で傲慢な彼女を力ずくで屈服させるという僕の密かな楽しみが損なわれてしまう。
 摩耶子さまには、やはり孤高の女王様であって頂かねばならないのだ。

「えぇっと、我が国における17歳女子の平均身長は157.9センチだって。君、知ってた?」
 よせばいいのに、僕はコギャルの一人に声を掛けていた。
 いきなり背後から話し掛けられ、コギャルはギョッとした顔を左右に振った。
「因みに平均座高は85.5センチなんだけど、君ぃ。君は明らかに身長、座高ともに平均値以下だねぇ」
 僕はそう言いつつ、無遠慮な視線でチビッココギャルの全身を舐め回す。
「そしてプロフィールの数字を信じるならば、生徒会長の身長は172センチであらせられる」
 確か新聞部の発行物で、彼女のプロフィールを見た覚えがある。
 もっとも、肝心の新聞部が生徒会に牛耳られているので、その数字が正確である保証はどこにもないんだけど。

「我が校則に、スカートは膝上何センチという具体的数値は明記されておらず、高校生らしいものという表記しかありません。
 なれば認められる露出率は各人の股下長により変動すると解釈され、足の長い者ほど生足率が高くなるのは当然の結果です。
 君の足とスカートの比率をもって是非の基準とするならば、会長のスカートはまだ長すぎると言っても過言ではないのです」
 僕の勝手な理論を聞いてコギャルたちは真っ赤になって怒った。

「黙って聞いてりゃ、なんだその出鱈目は」
「だいたいそんな数字はどこから出てきたんだ」
「文部科学省が厳格に実施した、平成19年度学校保健統計調査結果に基づく数値です。出鱈目ではありません」
 これは以前ネットで確かめた数字だから間違いない。
 僕が淀みなく回答したことで、コギャルたちは完全に出鼻を挫かれた。
 しかも彼女たちは文部科学省という権威の前に狼狽えさえしている。
 そこに更なる追い打ちを掛けてやる。
438僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:07:39 ID:AvUZssXI
「まだ納得いただけないとすれば、更にショッキングな説明をしなくてはいけません」
 僕は深刻そうな表情を作って後を続けた。
「会長のスカートは、ウエスト54センチの既製品。リフォームなしでも君の12号サイズより丈が短いのですよ」
 この発言はコギャルたちにかなりの衝撃を与えたが、摩耶子さままで呆気に取られているのが面白かった。
 だってウエスト54センチなんてのは、全くの出任せだもの。
 蜂じゃあるまいし、身長172センチでそんなウエストした化け物がいるものか。
 だいたい、会長はおヒップだって85センチもあるんだぞ。
 学校指定の既製服じゃ、たとえウエストが入ったってお尻が丸出しになっちまう。

 しかし、コギャルたちはその虚言を見抜けなかった。
 最初に僕が並べた幾つかの数字と、その正確さを裏付けるソースを明確に披露されたことで心理的陥穽にはまっていたのだ。
 つまり彼女たちは、僕が口にする数字は全て権威ある文科省が認めた真実であると勝手に思い込んでしまったのである。
 それに「篁摩耶子はモデル体型をしている」という先入観が作用したのは説明するまでもないだろう。

 自分と女王様の違いを思い知らされ、コギャルたちは気の毒なくらい落ち込んでいた。
 しかし、そこは流石に不良娘、弱々しいながらも執拗に絡んでくる。
「じゃ、じゃあ、その金髪はどうなんだよぉ」
 その食い下がりも悪あがきに過ぎなかった。
「髪色はユーメラニンとフェオメラニンの比率によって決定されますが、フェオメラニンをより多く含むと金髪になります」
 コギャルでもメラニン色素くらいは知っておろうが、その種類となると知識の外だろう。
 初めて耳にする語彙に早くも面食らっている。

「我々モンゴロイド系はユーメラニンの含有量が多いとされますが、稀に先天性頭髪白皮症の人が生まれることがあります」
 先天性白皮症、つまりアルビノは実在する遺伝子疾患だが、それが頭髪にのみ現れるなんてのは聞いたことがない。
 だが、もはや知的劣等感に苛まれたコギャルたちに、まともな思考能力は残っていなかった。
「つ、つまり……?」
「う、生まれつきですの。オホホホホホッ」
 威厳を取り戻した女王様は身を反らせて勝ち誇った。

「と言うわけで、あなた達のスカートを認めるわけには参りませんわ。全員ブルマに履き替えて教室にお入りなさいっ」
 これは強烈な罰だ。
 学校にいる間、ずっと男子の嫌らしい目にブルマ姿を晒さなくてはならないのだ。
 こんな嬉しい罰をサラリと思い付くなんて、なんて怖ろしい女なんだ。
 やはりお近づきにならない方が身のためだろう。
 僕は勝ち誇る女王様の脇をすり抜け、自分の教室へと向かった。
439僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:10:08 ID:AvUZssXI
 

「おはよう、寺島くん」
 教室に入るといきなり可愛らしい声で挨拶された。
 白鳥毬乃さんである。
「あぁ、おはよう」
 僕はクラスメイトの視線を意識しつつ自分の席に座った。
 すかさず白鳥さんが近づいてくる。
「昨日は付き合わせちゃってゴメンなさい。お詫びにお弁当作って来ちゃった」
 白鳥さんはそう言うと、両手でピンク色の包みを差し出した。

 これは有無を言わさず僕の口を封じる強硬手段だ。
 白鳥さんは自分が僕の彼女であるという既成事実を作る、捨て身の戦法に出たのだ。
「じゃあまた後で」
 なんて手を振ると、白鳥さんは教室を出ていった。
 クラス中の視線を一身に受け、僕の体温は1度ほど上昇した。

 白鳥さんが本心から僕と付き合いたがっているのではないことくらい承知している。
 にも関わらず、例の一件について口封じをするためだけに、無理に僕の彼女になろうとしているのだ。
 何が彼女にそこまでさせるのか。
 何か相当に深い理由があるに違いない。

「君ぃちょっと、寺島君。君はいったい、どんな魔術を使ったのかね?」
 気が付くと、例の佐々木小一郎が怪訝そうな顔で僕を見下ろしていた。
 彼には以前、自信満々に白鳥さんにアタックし、無惨な目に遭わされた過去がある。
 それだけに、男として自分より遥かに劣る筈の僕が白鳥さんと仲良くしているの見て疑問に思ったのだろう。
「実に不愉快……失礼、不可解だ。どうして毬乃さんが君なんかと……分からん」
 奇遇だな。
 僕も同じことを考えていたところなんだ。

「分かったぞ。君は何か毬乃さんの弱味でも握ったんだろう。それを元に、彼女を脅しているに違いない」
 剣道バカの割りには、なかなか鋭いところを突いてくる。
 肝心なところが真逆なのだが、だいたいの筋道は合ってるのが面白い。
 いや、勘の鋭さは流石と言える。
 この男、剣の腕前は確かなのだが、頭の修行はなおざりにしてきたのだろう。
 如何にもモテそうな白皙の美貌の下、頭蓋骨の中には著しくお粗末な脳みそが詰まっているのだ。
440僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:10:46 ID:AvUZssXI
 一年生の時の話だ。
 地区予選を制して全国大会の晴れ舞台に臨んだ小一郎は、そこでとんでもないバカをやらかした。
 テレビを意識する余り、顔を覆い隠す面の装着を拒否したのだ。
「おいっ、僕が面を打たせると思っているのか? 待てっ、人の話を聞きたまえ……」
 そう喚きながら会場から引きずり出される彼の姿は、滑稽を通り過ぎて悲哀すら漂っていたという。
 あたら実力があり、優勝する可能性も充分あっただけに何とも惜しい話である。
 そのバカが、いや佐々木小一郎が、血相を変えて僕に詰め寄っているのだ。

「えぇ〜い、なんと卑劣な……男の風上にも置けん奴。君に決闘を申し込む」
 知らない間に、話が勝手に進んでいる。
「そして、勝った方が毬乃さんを彼女にするのだ」
 それが本音か。
 あれだけ大々的に振られたのに、まだしつこく白鳥さんを狙っていたのだ。
 熱心というか気味が悪いというか。
 まあ、自分の得意なフィールドで戦おうってのは、戦術的に間違っていないけど──
 敵の戦力を正確に把握しておかないと、致命的な打撃を被ることになる。

「私の寺島くんに何をするのですかぁーっ」
 いきなり横合いから繰り出された白鳥さんの電光三段突きが、佐々木小一郎の体を吹き飛ばした。
 小一郎の体が窓ガラスをぶち破り、ベランダの手摺りの向こう側へと消えていく。
 あぁ、可哀相な小一郎。
 あんなにテレビに映ることを楽しみにしていたのに。
 これで全国大会は2年連続で棄権が決定した。

 

 今日は一日なんとも妙な学校生活を過ごすこととなった。
 あの白鳥さんが僕の彼女として、何かとベタベタまとわりついてきたのだ。
 彼女はみんなの憧れにして畏怖すべき対象、言うなれば観音様のような存在である。
 つまり、大好きだけど手を出して罰が当たるのが怖く、ただ一心に拝むことだけが許された対象なのだ。
 その白鳥さんが人目も憚らず付きまとってくるもんだから、お陰で僕は一日中好奇の視線に晒された。

 ハッキリ言って迷惑である。
 全校喪男連合の面々からは裏切り者扱いされるわ、白鳥さんのファンからは刺々しい目で睨まれるわで──
 マジで後ろから刺されるんじゃなかろうかと、身の危険まで感じる始末だった。
 明日あたり、不良グループの2、3派から呼び出しを喰らいそうだな、これは。
441僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:11:53 ID:AvUZssXI
 こうなることを見越しての行動だとしたら、白鳥さんはなかなかの策士である。
 彼女と付き合うのなら、約束通り沈黙を守る義務が生じる。
 そして付き合わぬとすれば、彼女を泣かせた極悪人として校敵に認定される。
 いずれにせよ、僕の口は確実に封じられる。
 それならいっそ本当に付き合ってやろうかと、僕が半ばヤケクソになり始めた時である。

「寺島俊だな」
 いきなり背後から呼び掛けられ、僕は文字通り飛び上がった。
 もうここまで包囲網が狭まっていたとは、状況判断が少し甘かったか。
 振り返ると、学生服を着た屈強の男たちが立っていた。
 このクソ暑いにもかかわらず、詰め襟のホックも全部留めている。
 揃いも揃ってカリフラワーみたいな耳しているが、だからといって血を好まぬ菜食主義者ってわけでもなさそうだ。
 むしろ肉食獣、しかもプレデターの臭いを全身にまとっている。

「レスリング部……体育会?」
 男たちは運動系のクラブ活動を統括する団体の構成員であった。
 問答無用の不良グループじゃなく一安心だが、喜んでばかりはいられない。
 なにせ白鳥さんがいる剣道部も体育会に属しており、彼女のファンも多いと聞いている。
 まさか、大会前の大事な時期に彼女を骨抜きにしようとしたかどで、罪に問われるとでも言うのか。
 待て、これは冤罪だ。

「寺島俊だな。一緒に来てもらうぞ」
 リーダーと思しき岩のような男が低い声で呟いた。
 その命令口調に僕はカチンと来た。
 体育会系クラブに所属している者ならいざ知らず、僕はれっきとした帰宅部員なのだ。
 こんな連中の命令に従う義務は小指の先ほどもない。
「ふん、それって任意だよな」

 などと要らぬ反抗をするわけもなく、僕は揉み手をしながら男たちの後に続いていた。
 僕は勝ち目のない戦いをするほど愚かではない。
 確実に勝てる算段が整うまで、ひたすら待ち続ける忍耐力こそが僕の武器なのだ。
 とにかく相手の出方を見て、それから対応策を練っても遅くはあるまい。
 この段階では、何が待ち受けているのかさえ分からぬではないか。


 僕が連れてこられたのは、本館4階の突きあたりの部屋であった。
 ここって、確か──
「お入りなさい」
 岩石男のノックに、落ち着いた女の声が答えた。
 重々しく開いた扉の先は、生徒会執務室であった。
 本校生徒の自治に関する一切を取り仕切る、最高意思決定機関の総本山である。
 その中央、一際豪奢な執務机に座っている金髪の美女に目が行った。
 会長の篁摩耶子である。
「ご苦労様、下がってよろしくてよ。寺島俊は中へお入りなさい」
 有無を言わせぬ物言いに従うと、背後で扉が閉じられた。
442僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:13:40 ID:AvUZssXI
 退路を断たれた僕は、素早く室内に目を配る。
 部屋にいるのは摩耶子一人だが、他に出口は見当たらない。
 窓の外にはベランダはなく、ぶち破ればそのまま4階の高さからグランドへとノンストップバンジーだ。
 自殺するのであれば、なかなか堅実な手段と言えよう。

「今朝はご苦労様でした。あなたはなかなか弁が立つようですわね」
 摩耶子は値踏みするように僕の顔を見回した。
「弁は弁でも詭弁ですがね。あんなのは権威論証の初歩的な応用に過ぎません」
 僕は早く切り上げたくて、殊更詰まらなさそうに吐き捨てた。
 ところが、それが逆効果になった。
「噂どおり、相当の変わり者のようですわ。いえ、褒め言葉ですのよ」
 摩耶子は満足そうに頷くと、ホホホッと笑った。
 こっちは面白いことなど言った覚えはないのだが。
 参考まで、どの辺りがウケたのか教えて欲しい。
 ネタ帳に書き込んで、また別の機会に使わせてもらうから。

 女王様は一頻り笑うと、唐突に用件を切り出してきた。
「よろしくってよ。そのお口、生徒会で買い取りましょう。取り敢えずは広報委員あたりでいかがです?」
 この女は何を言っておるのだ。
 いきなり人を拉致したと思ったら、今度はヘッドハンティングかよ。
 って言うか、この僕に対し、足下に跪けと命じているのか。
 僕は馬鹿馬鹿しさのあまり、口もきけないでいた。

 その沈黙をどう理解したのか、摩耶子が口元をゆるめた。
「ほぅ、安売りはしたくないと? では執行部書記長補佐の席を用意しましょう」
 ダメだ、この人に何を言っても通用しないらしい。
 万事、自分が思い描いた通りにストーリーが進行するとお思いだ。
「不服ですの? いきなり執行部入りするなど、それこそ前例のない名誉でしてよ」
 女王様はご機嫌を損ねたのか、眉間に小さな皺を刻んだ。
 僕が口を開きかけるのを彼女は手で制する。

「お聞きなさい。今朝の一件でお分かりのように、私には足を引っ張ろうとする敵がまだまだ大勢います」
 一見、全校生徒を牛耳っているように見える摩耶子にも、抵抗勢力は存在している。
 抑圧された不良学生たち、主権回復を狙う教職員に率いられた左翼系文化部がそれだ。
 更には自治権を求める一部の武道系体育会も摩耶子の独裁をよしとしていない。
 格闘技系クラブの中でも、摩耶子が席を置くフェンシング部を始め、レスリング部などのスポーツ系クラブは生徒会派だ。
 しかし柔道部や剣道部などの神道系武道クラブにはアンチ摩耶子色が強い。
 突出した天才である摩耶子は、右と左の両方から狙われる存在なのである。

 彼らは事ある毎に摩耶子の失墜を狙い、様々な攻撃を仕掛けている。
 軽いのは慢研によるアイコラの頒布から、悪質なのは柔道部による強姦計画まで多岐に渡っている。
 それぞれが団体の特性を生かしているのが微笑ましい。
 ただ、全てが弱小勢力であり、それらをまとめ上げる人材がいないため、摩耶子包囲網を敷けないでいるのだ。
443僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:14:18 ID:AvUZssXI
 例えば、強力な戦闘力を保持する武道系クラブと、理論武装された旧新聞部の残党が手を結んだらどうだろう。
 女王様と言えども無視できない、強力な抵抗勢力になりうるであろう。
 考えてみると、生徒会長就任直後に新聞部を解体し、自家薬籠中の物として再編させた彼女の戦略眼は確かである。
 報道管制さえしっかりしておけば、自分に都合の悪い流言飛語は完封できるのだから。

「ですから、私は有能な補佐役、参謀たる人材を必要としているのです」
 気が付くと摩耶子が話を続けていた。
「生徒会にも有能な人材はいます。ですが、私に必要なのは常識の枠にとらわれない、型破りの発想ができる才能なのです」
 摩耶子はそう言うと、真っ直ぐに僕の目を見詰めてきた。

 だいたいの構図は読めた。
 何を隠そう、白鳥さんが所属している剣道部は反体制派の急先鋒だ。
 白鳥さんが僕に接近を図っていることは、既に摩耶子の耳にも入っているだろう。
 摩耶子は、白鳥さんが反対勢力を糾合するための知恵袋として、僕を利用しようとしていると思い違いしているのだ。
 いやはや、買い被られたものだ。

 しかし、こりゃ凄いや。
 全校を代表する二大美少女が、僕を巡って争奪戦を繰り広げているのだ。
 理由はどうあれ、こんなことが起こるとは、つい昨日まで考えてもみなかった。

 ここで僕はなんと応じたであろう。
 答えはやっぱり「保留」だった。
 悔しそうに眉をひそめる摩耶子の顔は、いとセクシーだった。
 軍師を気取って三顧の礼を求めるつもりはなかったが、何故か素直にイエスと言えなかった。
 おそらく彼女が身にまとっている何かが、僕にそうさせたのであろう。
 やっぱり、僕には無責任な野党がお似合いなのだ。

 なんて格好をつけてみたが、この時彼女が艶々の乗馬ブーツなどを履いてらっしゃったらどうなっていたことか。
 おそらく僕は恭しく身を屈め、摩耶子さまの靴先にキスしていたであろう。
 だって好きなんだもん、女王様のブーツって。
 ああ、僕って奴は、全く度し難い変態だ。
444僕と学園の女王 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:14:51 ID:AvUZssXI
 

 浮かれ気分で帰宅した僕は、その後大変な目に遭った。
「サトシ……あのサムライガールの…臭いが……する……」
 僕の着替えを手伝っていたウルスラは、たちまちシャツに染み付いていた白鳥さんの体臭を嗅ぎ取ってしまったのだ。

 き、君は麻薬取締犬ですか?
 まさか噛みついたりはしないよな。
 ウルスラは僕のシャツを鼻に付けたまま、ジロリと上目遣いになった。

「なんですってぇ?」
 騒ぎを聞きつけた真理亜が階段を駆け上がってきた。
「俊さんっ、どういうことなのですか」
 真理亜も逆三角形にした目を血走らせている。
「別の……女の臭い…も……」

 あ、ウルスラ。
 お願いだから、クンクンするの止めて。
 このままじゃ、摩耶子に迫られてちょっと先走りしてたことまでバレちゃうよ。
「この濃度……相当の時間……二人だけで……密閉空間に……いた……」
「俊さん、あなたって人は。私の目が届かないのをいいことに、学校で何をなさってたんですかぁっ」
 おわっ、久々に天使と超高性能分析マシンのツープラトン攻撃だ。

 真理亜の右手が僕の襟首を締め上げる。
 ウルスラはそれを止めもせず、無表情に見ているだけだ。
 君たち、ケンカしてるんじゃなかったっけ?
 こいつはマジでヤバい状況だ。
 あぁ、結局のところ世界平和ってのは、全人類共通の敵でも現れない限り実現不可能な夢物語なんだろうな──

 僕は薄れゆく意識の中でそんなことを考えていた。
445 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/04(木) 19:15:38 ID:AvUZssXI
今回は以上です
446名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 19:42:11 ID:6qeigrq9
GJ! いい締め方だw
447名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 19:46:40 ID:XvE87BAq

締め方は普通
448名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 20:19:21 ID:U7kapE7B
>>445
GJっす!

何か俊を色々な意味で尊敬さてしまいそうだ

何たる頭の回転の良さだ


相変わらず嫉妬するウルスラかわいいよウルスラ
449名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 20:20:28 ID:EfA7bg+E
ワンハンド・ネックハンギングツリーですね、わかります

反則は5カウント以内にしないと
450名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 21:34:55 ID:j9qoXAJQ
なんか読んでて『火山高』?だかの半島映画思い出してイラッとした。
作者は悪くない半島人が悪い。
451名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 00:54:55 ID:57S2XBEL
チラシの裏にっ 書いとけよーっ
452名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 23:17:46 ID:v8R3qjJX
>>450
こういうファンタスティックな設定の学園モノって昔からあるでしょ。
453名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 18:28:08 ID:iWMcouTR
ウリスラ?
454名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 16:10:01 ID:FGnY+jR+
ウルスラグナ可愛くないなw
455名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 04:13:19 ID:DIleJdCF
ウルスラって聞いたら魔界行思い出す。
今でもたまに、彼女にはお世話になってます。
456名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 05:09:43 ID:S3nulrxf
ワニは勘弁>>455
457名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 08:15:28 ID:TcEUd4CX
Ursala ラテン「熊」
Ursula ラテン「恐れのない者」
458名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 10:52:28 ID:7u8DaDMa
こんな時間になんだけど例の淫乱女とメガネ委員長の投下を涎垂らして半裸待機してます
459 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:00:48 ID:7Zi9aYo2
連投、まことに申し訳ありません
460スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:01:40 ID:7Zi9aYo2
 翌朝、僕は痛めた頸椎を気にしつつ学校へ向かっていた。
 逆上してリミッターの外れた真理亜って、考えられないようなパワーを出すんだから。
 僕が失神した後、彼女が我に返ってからは天使本来の優しさで介抱してくれたけど──なんだかなぁ。
 それにしても許せないのはウルスラの奴だ。
 目の前でご主人様が殺されかけてるってのに、いい気味だと言わんばかりに傍観しやがって。
 あの場面なら、いちいち命令しなくてもインターセプトに入るのが正しい主従関係ってもんだろ。
 
 そりゃ、女の臭いを服に染み込ませて帰宅したんだから、2人が焼き餅焼くのも仕方ないけど。
 しかし、よく考えれば僕は何もやっていないんだぞ。
 確かに勃起ついでにちょこっと先走りはしたけど、あんなのは生理現象だ。
 言うなればお漏らしみたいなものじゃないか。
 幼馴染みやメイドから責められるようなことは何一つしていないと胸を張って言える。

 それにしても、ウルスラってますます人間らしくなってきたなぁ。
 いや、悪い意味でだ。
 なんでも言うことを聞いてくれた最初の頃が懐かしいよ。


 などと考えながら歩いていると、早くも校門まで辿り着いていた。
 今朝は摩耶子の姿はなく、風紀委員の服装チェックも行われていない。
 それもその筈、ああいうのはたまに抜き打ちでやるから効果的なのだ。
 別に昨日のショックが尾を引いてるってわけでもないだろう。

 僕を見て摩耶子がどんな顔をするのか興味があったけど、いないのなら仕方がない。
 それに、たとえこちらが会いたくないとしても、今日中に向こうから呼び出しがあるだろう。
 今日はどこまで条件を吊り上げてくるか楽しみだ。
 まさか泣きついてきたりはしないだろうけど、色仕掛けで迫られたらどうしよう。
 優れた戦略家でいらっしゃる摩耶子さまのことだから、僕にMっ気があることくらい既に見抜いておられるかも知れない。
 軍服のコスプレで命令されたら、僕は一も二もなく反射的に従ってしまうだろう。
 摩耶子さまの凛々しいお姿を思い描きながら、僕が校舎へと向かっている時であった。
461スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:02:17 ID:7Zi9aYo2
「おいっ、寺島ぁ」
 女の低い声が僕を背後から呼び止めた。
 誰だろうと思って振り返ると、本館と新館の間にある狭い通路に一人の女子生徒がいた。
 だらしなくウンコ座りし、あろうことか火の付いたタバコをくわえている。
 足元にパンの袋や牛乳のパックが散らかっているところを見ると、さしずめ朝食後の一服中というところか。
 女の右内腿の付け根に、色も鮮やかなタトゥ──真紅のバラ一輪──がチラチラしていた。
「よぉ、寺島ぁ」
 女はもう一度僕の名を呼ぶと、意味もなくニヤニヤと笑った。

 江口リエ、人呼んでスケバン・リエ。
 本校きってのワルで、何度も停学を喰らっている本格派だ。
 噂では、殺人以外の犯罪は、既に一通りこなしているという。
 基本的に手下を作らない一匹狼だが、彼女を信奉する不良生徒は数知れない。
 いわば、裏の生徒会長たる存在なのだ。
 当局が何度も彼女の追放を試みながら、未だ果たせないでいる理由もその辺にあるのだろう。

 町ではヤクザさえ道を譲ると言われるリエだが、決して本校の一般生徒に手を出したりしない。
 そればかりか、他校と揉めた生徒がいると積極的に仲裁役を買って出たりする。
 僕に言わせりゃ、そんなのは安っぽい印象操作に過ぎないのだが、お陰でリエの人気は一般生徒の間でも意外に高い。
 たいがい日本人ってのは、カッコいいアウトローが大好きなのだ。
 それが自分に害をなさない存在でいる限りは。

 だが、最も巧妙に思えるのは、リエが決して生徒会を敵に回そうとはしないことだ。
 それを幸いと、摩耶子の方でもスケバン・リエを避けているように見える。
 互いにやり合えば、共に無事では済まないことは分かっているのだから、それは賢明な選択だ。
 正面切って敵対してこないリエを、摩耶子が丁重に無視しているというのが本当のところなんだろう。
 なんにせよ、江口リエが当校が誇る花形スターの一人であることは間違いない。

 そのリエは僕と同じクラスなのだが、口をきくのはこれが初めてのこととなる。
 なにしろ彼女は鑑別所と学校を行き来する忙しい身体なので、校内でお目に掛かれる機会など滅多にないのだ。
 これで出席日数が足りるのか、他人事ながら気になるところである。
「なんでぇ、UFOでも目撃したようなツラしやがって」
 スケバン・リエはそう言うと、真っ赤に塗りたくった唇を曲げて笑った。
 白い歯の隙間から紫煙が漏れる。
 化粧は濃くて顔立ちもキツいが、思わず息を飲むような美女である。
 プロポーションだって、あの摩耶子に比べても遜色はない。
 単にオンナとしての価値なら2人の間に明確な差はなく、あるのは好みの問題だけだろう。
462スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:03:24 ID:7Zi9aYo2
「まあいいや。ところでオメェ、あの生徒会長に言い寄られてるそうだな?」
 リエは紅茶色をしたボサボサの髪を掻き上げ、からかうような目を僕に向けた。
「それと、剣道部のエース様にもコクられたって?」
 オロオロしている僕の姿がお気に召したのか、リエは身をのけ反らせて大笑いした。
 ウンコ座りしているせいで、ミニスカートの中が丸見えになる。
 ちょうど真っ最中なのか、生理用品がパンティの前を盛り上げていた。
 ったく、ロリエだよ。
 幾ら顔がよくったって、こういうデリカシーのない女は苦手だな。
 この分だと、腋毛だって生やしっぱなしにしてるのかもしれない。

 ロリエ女は一頻り笑うと、すっかり短くなったタバコを指先で弾いた。
 今度はポイ捨てかよ。
 皆無なのはデリカシーだけじゃなくモラルもらしい。
「で……どっちと付き合うつもりなんだ、モテ男?」
 ロリエは興味津々に質問してくる。
 当校を代表する美少女2人の色恋沙汰となれば一大スキャンダルだ。
 不良の親玉としても、ゴシップ記者並に関心があるらしい。

「いやぁ、僕としては放送部あたりが仕組んだ、文化祭のドッキリ企画だと思ってるんですが……」
 僕は卑屈に腰を屈め、頭を掻き掻き言葉を濁した。
「僕はそれほどモテません、ってか?」
 ロリエは意味ありげにニヤニヤ笑い、ゆっくりと立ち上がる。
 と、目にも止まらぬ早技で僕の胸ぐらを掴み、手元にグイッと引き寄せた。

 とんでもない馬鹿力だ。
 勢い余って胸の谷間に顔面が埋まる。
 うぷっ、特盛りっ?
 しかも柔らかい。
 けど息が、息ができましぇん──
 僕がいい匂いに包まれて溺死しかけていると、乳の持ち主に救助された。

「オメェにアクセサリーとしての価値を求めてるってのならその通りだろうが。奴らの狙いはそんなモンじゃねぇだろ」
 ヤニ臭い息をタップリ嗅がされる至近距離で、ロリエは僕の目をジッと覗き込んできた。
 意外に澄んだ瞳が、イタズラっぽく笑っていた。
「まぁなんだ。あいつらが争って共倒れしてくれりゃ、オレとしても漁夫の利を得られるってモンだ」
 ロリエは嬉しそうにそう言うと、ようやく僕の襟首を解放した。
「ま、どちらに付くにせよ、せいぜい活躍してやれや。オレのためにもな」
 ロリエの強烈などやしつけが僕の背中に炸裂し、呼吸どころか心臓が一瞬止まった。
463スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:04:15 ID:7Zi9aYo2

 
 この日、死の覚悟すらして登校した僕は、思いのほか平穏な学校生活に拍子抜けしていた。
 恐れていた不良グループたちは鳴りを潜め、襲撃どころか僕と目を合わそうともしなかった。
 これは彼らの神、スケバン・リエの御威光によるものなのだろうか。
 僕を生徒会潰しに利用するってのが本当なら、彼女の名において僕の安全は保障されてることになる。
 ちょっとその辺の不良を挑発して「寺島保護令」の浸透度合いを試してみたい気もする。
 でも調子に乗って虎の尾を踏むような真似は、やっぱり避けるべきだろう。
 取り敢えず、不良グループからの襲撃に怯えずともよくなっただけでも大助かりだ。

 しかし全喪連──全校モテない男連合は、不良グループとは全く別系統の組織だから厄介だ。
 全喪連は一つの組織ではなく、目的を共有する複数の団体が集まった合議制の連合体である。
 要するに彼女がいないことを正当化し、モテない男であることで惨めな思いをしたくないって連中だ。
 こう言うとデリケートなハートの持ち主のように聞こえるが、その勢力はバカにはできない。
 特に右派とされる「永世毒男同盟」と、白鳥さんを愛でる「白鳥毬乃の処女を死守する会」は危険な存在だ。
 穏健派とされる「三次元決別舎」辺りはアニメやエロゲーに嵌ったヲタの集まりであり、僕にとっては無害といっていい。
 それに比べて「永毒同」は、脱退に伴い「死のリンチ」を掟とする暴力集団だ。
 彼女がいないことが唯一の入会条件だが、一度入れば脱退、すなわち彼女を作ることは絶対に許されない。
 たとえどこへ駆け落ちしようが、全国に張り巡らされたネットワークが確実に逃亡者を追い詰める。
 そして規約通り、裏切り者に対して死の制裁を加えるのだ。

 今一つの「白処会」は白鳥さんを女神と崇める狂信者の集まりである。
 彼女の処女性を守り抜くためなら自爆テロだって辞さない。
 困ったことに、会の主体はニトロの調合くらい朝飯前という化学部の連中なのだ。
 そんな奴らに信奉されるなんて、白鳥さんもさぞかし迷惑に思ってることだろう。
 しかし自らそれに気付くような連中なら、最初から喪男なんぞにならないのだ。

 僕は全喪連に属する如何なる団体とも無関係の人間だが、向こうはそうは思っていないらしい。
 それどころか右派の大物として、一種畏敬の念をもって見られている節がある。
 全ては小学生時代に敢行した、一連のバレンタイン抗議活動が原因である。
 お陰で僕は彼らの間で神格化され、伝説の英雄じみた扱いを受けている。
 それだけに、今度のことは決して許されない裏切り行為として、連中の怒りを買う羽目に陥ってしまったのだ。
464スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:05:44 ID:7Zi9aYo2
 ちょっと待て。
 これはヤクザ理論にすらならない不当な言い掛かりだぞ。
 第一、醜い男の嫉妬は無用なのだ。
 だが、このまま頬被りして済ませることもできまい。
 とにかく相手は理屈の通じぬキ印集団なのだから。
 必死で善後策を考える僕だったが、全ては遅きに失した。
 日直の仕事として昼休みに立ち入った体育倉庫の中で、僕は窮地に陥っていた。


「寺島くん。僕は今、非常に落胆している。まさか伝説の喪男と言われた君が、こんな卑劣な行為に走るなんて」
 体重100キロはありそうな脂肪の塊が、フゥッと長い溜息をついた。
 森永明治──永毒同の盟主にして、全喪連の最高幹部会に名を連ねる喪男中の喪男だ。
 自ら「キング」を僭称しているが、陰では「ハート様」の名で呼ばれているメタボリック男である。
 この時、僕は彼の目の前で正座させられ、自己批判を促されている真っ最中であった。
 周囲は全喪連のメンバーに取り囲まれており、脱出路は完全に断たれている。

「あの時の君には刮目させられたものだよ、全く」
 ハート様が遠くを見るような目をする。
「あのデパート前での『欧米傾倒の時潮を正し、商業主義に毒された拝金家どもを誅せよ』という演説は、今思い出しても泣ける」
 そんな演説をした覚えはないのだが、多分口から出任せに喚き散らしたのだろう。
 なんせバレンタインデーにチョコを貰う男どもも、そしてチョコを女の子に供給するお菓子屋も許せなかった時期だから。
 当時の僕にとってのデパートは、敵性国の反政府ゲリラにこっそり武器支援をする超大国そのものだったのだ。
 なんにせよ、泣くほど感動してくれたのなら、こちらとしても演説をぶった甲斐があるというものだが。

「僕たちの革命が当局の不当な介入により頓挫した後、君は最後の手段として敵の兵站を断つ作戦に出たっけ」
 何となく思い出してきた。
 僕は、女の子に売るチョコレートさえ無くなれば、バレンタインデーを中止に持ち込めると考えたのだった。
 そこで、小遣いのありったけを使ってチョコを買い占めようとしたのだ。
 一人十食を目指した玉砕戦法である。
 しかし彼我のロジスティクスの差を計算に入れてなかった僕たちは、ここでも敗退するに至った。
 所詮は小学生の貯金ごときで、大資本のデパートを敵に回すことなど不可能だったのだ。
 結果、僕たちは憎きデパートを潤しただけで、作戦を続行する能力を喪失してしまったのであった。
465スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:06:40 ID:7Zi9aYo2
「残ったのは虚しさと、チョコの山だけさ。お陰で見たまえ、糖分の過剰摂取でこんな体になってしまった」
 ハート様はブクブクに太った我が身を見せ付けてきた。
 不貞不貞しそうな笑みを湛えた顔は、ニキビとその跡で埋め尽くされている。
 バカだ。
 真性のバカだ。
 僕は正直者でないにもかかわらず、とんでもないバカを見せて貰っている。
 たかだか10枚や20枚の板チョコを食ったくらいでここまで太るものか。
 こいつをこんなプロポーションにしたのは、単に運動不足と自制心の無さから来る暴飲暴食だ。
 それに僕はあの演説の中で、チョコの食べ過ぎによる虫歯と肥満の危険性にも触れていたはずだぞ。

 手前勝手な肥満児は、汚物を見るような目を僕に向けた。
「その君がどういうことだ。よりによってあの白鳥さんといい仲になるなんて」
 僕を取り囲んだ一角に、一際殺気立つ集団があった。
 白処会の構成員たちである。
 白鳥さんを愛でながら、自分のモノにすることは最初から諦めている哀れな人達だ。
 分をわきまえているのは結構なことだが「ならば、いっそ誰にも渡すまい」ってのは、ストーカーの最終手段だぞ。
 かく言う僕だって、昨日までは彼らと同じ境遇にあった。
 それでも「彼女からコクられるかも」という妄想だけは、最後まで捨てずにいたのに。

「寺島くん。君はそのうえ生徒会長からもアプローチを受けてるそうだねぇ」
 如何にもマッドサイエンティストって風体の男が冷笑した。
 化学部の部長で白処会のリーダー、松戸博士だ。
 森永とは反対にガリガリの痩せ男で、薄汚れた白衣を着込んでいる。
「君が篁摩耶子を選ぶことを期待しているよ。我々とすれば、それで全ての懸案事項は解決済みとなる」
 松戸がボソボソ呟くのを森永が遮った。
「それでは寺島くんの裏切り行為を免罪することにはならないな」
 ハート様とすれば、相手が誰であろうと僕が女の子と付き合うこと自体が許せないのだ。
 伝説の男である僕が堕落するようなことになれば、彼らの精神的支柱は失われてしまう。
 その結果、全喪連が被る損害は計り知れないものになるのだから。
466スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:07:39 ID:7Zi9aYo2
「とにかく寺島くんには両方から手を引いて貰う。それが最高幹部会議の決定事項だ」
 森永は悪魔じみた表情でそうのたまわった。
 本人の意思を排しておいて、決定事項も糞もあるまいが。
 だが、この状況下では言い返すことなどとてもできない。
 誰か一人でも激してしまえば、付和雷同した集団が一気に襲いかかってくるのは火を見るよりも明らかだ。
 判断力や理性的思考の低下、無責任性や衝動性の高まり──
 群集心理の恐ろしさは、それを散々利用してきた僕が誰よりもよく知っている。
「どうか我々自らの手で、我々の英雄を葬るような真似だけはさせないでくれたまえ」
 昼休みの終わりを告げる予鈴をバックに、森永が僕に最後通牒を突き付けた。


 『バルバロッサ』を巡る地上げ話から、とんだややこしいことになってきたものだ。
 少し状況を整理してみよう。
 僕は白鳥さんが地上げ屋の用心棒をしているという秘密を知ってしまった。
 それを口外しないことを条件に、彼女は僕と付き合ってくれるという。
 白鳥さんの動きを反乱分子を糾合する準備であると察した摩耶子は、僕を自陣営に取り込む策に出た。
 二者の共倒れを狙うスケバン・リエは、僕がどちらに付こうとも傍観者の立場を貫く構えである。
 逆に、全喪連は双方から手を引くよう干渉を掛けてきた。
 ざっとまとめるとこういう状況だ。

 さて、この状況をどの様に利用してやろうか。
 まず僕にとって、一番得になるのはどういう結果であるかを考えてみよう。
 この状況下で美味しい目となれば、白鳥さんを彼女にすることか、もしくは摩耶子の下僕になることくらいか。
 しかしいずれにしてもリスクは高い。
 白鳥さんを彼女にすれば、生徒会に対して宣戦布告することになる。
 何より引っ掛かるのは、白鳥さんが本心から僕と付き合いたがっているのではないということだ。
 これでは付き合い始めたとしても上手く行くはずがない。
467スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:08:38 ID:7Zi9aYo2
 それでは摩耶子の下僕になるのはどうだ。
 生徒会の傘に入れば、武道連盟や全喪連もおいそれと手は出して来られなくなるだろう。
 だが、いつまでも下僕の立場に甘んじるのは面白くない。
 僕にとっての摩耶子は、力ずくで屈服させるべき対象なのだから。
 と言って、クーデターを起こすのも面倒だ。
 だいたい生徒会に入れば、僕は白鳥さんと反対勢力に付くことになってしまう。
 あの可憐な美少女を失脚させるために、自分が持てる能力の全てを振り向けることを余儀なくされるのだ。

 結局、どう転んでも僕には面白くない結果になりそうだ。
 できることなら全てを白紙に戻したい。
 しかしルーレットは既に回り始めている。
 今更僕だけが降りることはできないのだ。

 全ての選択肢を精査した結果、僕は最善と思える策を取ることにした。
 すなわち、白鳥さんからヤクザと連んでいる理由を聞き出し、彼女を呪縛から解き放つのだ。
 そうすれば白鳥さんが僕に接近してくる理由もなくなり、摩耶子の誤解も晴らせる。
 全喪連も安心して世の儚さを追求できるだろうし、これで万事めでたく解決だ。
 ただ一人、ロリエは当てが外れることになるが、だからといってあの女は舌打ち以上のことはしないだろう。

 なんだ、結局は面倒臭いだけで、何一ついい目はできないのか。
 けど、なにより周囲の平穏を望む僕としては、これが取りうる最善の策だろう。

 となれば、まずは生徒会長に会って、正式回答までに少し時間を貰わねばならない。
 了解を得ずに白鳥さんに接近を図れば、摩耶子に要らぬ詮索をさせることになるから。
 僕の能力を高く買ってくれている摩耶子のことだ、敵に回ったと認識すれば即時先制攻撃を掛けてくるだろう。

 そう思って本館4階に生徒会長を訪ねてみた。
 ところが肝心の摩耶子は学校を休んでいるというではないか。
 聞けば彼女にはリンパ系疾患の持病があり、月に一度、5日前後も寝込むらしい。
「ご用の向きは、私が承るよう申しつかっております」
 そう言って丁寧に頭を下げたのは、能面のように無表情かつ整った顔の少女だった。
 生徒会書記長の錦織千晃だ。
 1年生の身で参謀長役をこなすからには、相当の切れ者なのだろう。
 後で知ったのだが、この能面顔をした少女は学年トップの秀才とのことだ。
468スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:09:27 ID:7Zi9aYo2
 所詮、副会長なんてのは、会長がミスした時の腹切要員である。
 僕が生徒会を敵に回すとすれば、実質的な相手となるのはこの子なんだろうな。
 向こうもそれを意識しているのか、僕を値踏みするようにジッと見詰めてきていた。
 表情を読ませないようにポーカーフェイスを保っているので、いよいよもって能面じみて見える。
 じゃあ、僕も彼女に習って情報の漏洩をシャットダウンすることにしよう。

 僕は出直すことを告げ、その場で回れ右をした。
 その途端──
「先輩のお噂はかねがね……楽しみにしていますわ……」
 ギョッとして振り返ると、能面少女が唇の両端を吊り上げていた。
 楽しみにしている?
 何をだ?
 一緒に働けることをか、それとも敵として火花を散らし合えることをなのか。
 ともかく、僕が摩耶子から入会を乞われた事実は、彼女の自尊心を大いに傷つけたことであろう。
 無表情を装った目の奥に、青白い鬼火が灯っていた。

 僕は書記長を無視して部屋を出ると、そのまま帰宅の途につくことにした。
 白鳥さんに会って話をするのは明日にしよう。
 今日は慌ただしい一日だった。
 体育以外で体を使っていないのに、とても疲れたような気がする。
 一日に二度もピンチになるなんてのは、精神衛生上よろしくないのだ。



 ところが、帰宅するなり三度めのピンチが襲いかかってくることになった。
「サトシ……また…例のニオイ……」
 ウルスラは僕の口元に顔を近づけると、鼻をクンクン鳴らし始めた。
 うひゃっ、今日は大丈夫だろうと安心していたら、ロリエのことを忘れていた。
「今回は……乳腺の…臭いが…」
 ウルスラの鼻に仕込まれた臭気センサーは、僕がオッパイの谷間に顔を埋めたという事実をあっさり看破してしまった。
469スケバン女と喪男の群 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:10:07 ID:7Zi9aYo2
 ウルスラと並んで立っていた真理亜が、目を三角にして掴みかかってくる。
「信じられませんっ。あなたって人は……もしかして、私を怒らそうとわざとやっているのですかぁっ」
 真理亜こそ酷いぞ、ウルスラを臭いチェッカーとして利用するなんて。
 やばい、そのうえ拷問マシンとしても利用するつもりでいるぞ。
「ウルスラちゃん。構わないからやっちゃいなさい」
 真理亜のお許しが出た途端、ウルスラはブラウスの前をガバッと開けた。
 ボンと飛び出す夕張メロンオッパイ。

 久し振りに、キタァ────ッ。
 と喜んでいたら、いきなり真理亜が僕の後頭部を鷲掴みにした。
 そして恐怖に歪んだ僕の顔をオッパイの谷間に思いっきり叩き込んだ。
 うわっぷ──
 僕の鼻先はコシと柔らかさを両立させた奇跡のオッパイに挟まれ、呼吸を完全に止められた。
 

「オラ、オラ、オラァ」
 失神しそうになるたび、真理亜が僕をオッパイから引き剥がす。
 そして、最小限の息継ぎだけさせてから再び胸の谷間に叩き込む。
 真理亜の顔はいびつに歪み、あのママゴトの惨劇の時同様、狂気に満ち溢れていた。

 嬉々とした真理亜とは対照的に、ウルスラは澄まし顔を全く崩していない。
 けど、そんな「私は道具として使われているだけで、何も知りません」って顔してても無駄だぞ。
 僕が窒息死したらウルスラ、君も殺人の共犯になるんだからな。
 あぁ──とにかく、もうオッパイはこりごりだぁ。

 僕は闇に溶けていく意識の中で、そんな昭和40年代のギャグマンガのオチみたいなことを考えていた。
470 ◆GK0sdi5g3w :2008/09/10(水) 20:11:41 ID:7Zi9aYo2
以上です
いつも読んでくれてありがとうございます
471名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 21:57:17 ID:dycK1c4g
こーゆーノリ好きだ。
これからも頑張って下さい!!
GJ!!!
472名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 23:00:30 ID:sb8NCsPZ
ナイス! 応援しちゃうよ
473名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 23:10:22 ID:/sy/vZyA
GJ
474名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 11:38:13 ID:Sj/qDgmi
ハーレムスレかと思っちまった
475名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 12:36:07 ID:goiJAYzp
しかしこういう修羅場ちっくなノリはなかなかハーレムスレではみれない
476名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 20:43:15 ID:Ay40w0T6
こういうノリ好きだ。
やっぱ流血ものばっかりだと、気分が荒んでくるから。
477名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 23:16:22 ID:gmhbY/wm
今から歌ってもいいかな?
井上陽水の少年時代をさ……
478名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 20:10:02 ID:LCQtyGbg
書いてくれ無くなったss(主にこのスレの雰囲気が原因か)って何処か別の所に投下されてたりする?
479名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 23:08:26 ID:Q7cW0Tu5
>>478
避難所でやれ

あとあげ
480名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 00:34:55 ID:q/VLV7fR
さげ
481名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 02:05:11 ID:dvDF7NcV
まげ
482名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 09:06:03 ID:alzopPSk
小錦
483名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 13:34:13 ID:Y8Ch1jHY
ササニシキ
484ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:39:42 ID:muVMLm05
これより投下。
485ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:42:20 ID:muVMLm05
「そんなの許さないと言われてもなぁ……」
 中塚のつぶやきを聞いてから、約二週間が経つ。
 残念なことに中塚との関係は冷たくよそよそしいものなってしまった。
 それでも俺は彼女の仕事を手伝っている。
 片桐にも尋ねられたが、やり始めたことだから体育祭が終わるまではやり遂げる責任があると答えた。
 本当は、中塚の漏らした弱音が気になっていたからだった。
 だが俺はそこに踏み込まず、仕事は完遂することに専念しようと思っている。
 片桐がいるのに中塚の事情までに首をつっこむのは、節操がないと思ったからだ。
 だから中塚と俺が事務的なやりとりで終始しても、俺は淡々と、そして丁寧に仕事をこなした。


「よーしっ、みんなお疲れさん! これで準備は終わり! みんな、拍手!」
 まばらな拍手には気が抜けていた。疲労ゆえだ。
「じゃあ、これで解散! 明日は本番だ! 今日はよく寝て、疲れを取ってくれ。頑張りすぎて倒れた、英語のホネヤマみたいになるなよ」
 体育祭実行委員長の小ネタに力無い笑いが漏れる。
 ホネヤマというのは、痩せた中年男性の英語教師で、本名を細山という名前なのだが、骨が折れそうにひょろひょろなのでホネヤマと呼ばれている。
 先日、体育祭のリハーサル中に、テントの下に座っていたにもかかわらず、気分不良により救急車で運ばれ即入院となったのだ。
 体育祭前日、午後八時。結局俺はきっちりと実行委員会に巻き込まれてしまった。
 仕事を進めるために積極的に顔出しをしているうちにメンバー扱いされて、正式なメンバーで無いと知られると委員長権限で委員にされたのだ。
 散会の言葉と共に委員達がけだるく立ち上がり、各自帰り始める。
 俺はボストンバッグを取り出し、実行委員会室に持ち込んだ私物のノート型PCやケーブル類を片づけ始めた。
「何? 荷物、ひきあげちゃうの?」
「ええ。明日は疲れて何もする気なくなっちゃいますし、委員としては後は反省会だけですから」
 声を掛けてきたのは、3年の副委員長をやっている女の先輩だった。
 落ち着いた雰囲気ながら姉御肌でもあり、実は実行委員長よりも頼られている人だ。
 容姿もなかなかに綺麗で好感を持つ男は多数いるだろうが、当の本人は実行委員長とつきあっているらしい。
「そんなの置いときなさいよ。文化祭実行委員になればまた使うでしょ? 矢代は文化祭もやってくれるんじゃないの?」
 露骨な勧誘に俺は苦笑した。
「ははっ、勘弁して下さい。なんか、こういうのはがらじゃないですよ。中塚の手伝いで深入りしちゃいましたけど」
「何いってんの。君ががらじゃなかったら、他の子はどうなるの? 君の動きでみんな相当助かってるんだから」
「俺、人付き合いは苦手なんです。体育祭は中塚への義理もあるから頑張りましたけど、文化祭までは無理ですよ」
「……中塚と何かあったの?」
 ふと先輩の真剣な目に気づき、俺は思わず片づける手をとめた。
「……合ったというか、俺の不始末というか……」
「謝っちゃいなさい。謝り倒して、つきあってくれって土下座して頼みなさい」
「せ、先輩?」
「矢代は、中塚とつきあいなさい。
君はフリーだったから他の子に目移りしちゃうのは仕方がないし、さっさと告らない中塚もまぬけだけど、謝って許してもらいなさい」
「いぃ? あ、あの先輩? いったいどこまで知ってるんですか?」
「そんなことはどうでもいいから。……ちょっとそこに座りなさい」
 そういうと先輩が、有無を言わさない態度で、側の椅子を指し示す。
 逆らいがたいものを感じ、素直に椅子に座ると、先輩も椅子を持ってきて俺の正面に座った。
 綺麗な足を組み、腕組みして、俺を見据える先輩は、はっきりいって教師よりも威厳があった。
486ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:44:00 ID:muVMLm05
「矢代、君はもてる方じゃないから、女の子に寄ってこられるとデレちゃうのは仕方がないと思うよ。
でもね、つきあう相手を最低限は選びなさいよね?」
「……片桐の事、知ってるんですか?」
 何もかもお見通しという口調にいささかショックを受けながら、俺は尋ねた。
「多少はね。……中学の時はいじめられてたらしいから気の毒な子だとは思うけど、だけど私はあの子、気にくわない」
 いつも明るくさっぱりとした性格だった先輩がなにか不快なものを見たというように横を向く。そのことに俺は絶句していた。
「男ってどうしてこう女を見る目がないのかな? 私はそれが不思議で仕方がないよ。
あの子、女の友だち、誰もいないでしょ? 女の私から言わせれば、あの子は自分の好きな男以外どうでもいいって顔してるのよ。
女なんか無視して、男だけに良い顔して媚びて、しかも弱い女って感じで男の気をひくのって、根性いやらしいくせに計算高くて、嫌いよ」
 その嫌悪感の激しさに、またもや衝撃を受けて、俺は声を無くす。
「でもまあ、中塚だって褒められたもんじゃないけどさ」
 呆然とした俺の顔をみて言い過ぎたと思ったのか、先輩は話を中塚にそらした。
「ど、どういう意味ですか?」
「あの子は空気読まずに自分が正しいって思ったことを言うでしょ? 矢代がうまく仕事したから最近はかなり減ったけど」
 そういう傾向を感じていなかったわけではない。もっとも彼女の行動と態度が正しいので説得力はあるのだが。
「でも、実際あいつは間違ったことしてませんよ?」
「だけど言われた方にしてみれば言い方もきついし、納得どころかむかつくだけ。間に入る私達にしてみれば余計な仕事を増やしてくれるしね。
矢代がうまくフォローして、中塚に余計なしゃべりをさせなかったから、今回はすごくスムーズに進んだのよ。
それに中塚、矢代といるとうれしそうなのがまるわかりだし。何かって言うと君をみてたから。だからギスギスせず仕事できたんじゃない?
好きな男といるとおとなしくなるなんて、まあ、中塚も可愛いよね」
 先輩の中塚への評価の厳しさに呆然としていると、部屋の入り口で物音がした。
 俺と先輩は意図せずシンクロして入り口に振り返る。
 そこには中塚が立ちつくして、こっちを見ていた。いつからかは知らないが、明らかに話を聞いていた風だった。
 気まずい雰囲気が流れ、先輩が頭をかく。
 中塚が泣きそうな表情をしながら背を向け、走り去った。
 残された俺達が顔を見合わせる。
「先輩!」
「矢代、追っかけなさい!」
「はい?」
「中塚をこのままにする気? なぐさめてやんなさいよ。そのまま押し倒していいから」
「先輩っ! 何考えてるんですかっ!」
「中塚と付き合いなさいっていったでしょ。これっていいチャンスじゃない。私の事は悪者にしていいから謝って口説いちゃいなさい。
それじゃ、私はお邪魔だし、帰るから。……片桐って子なんか、さっさと別れなさいよ? じゃね」
 そう言うと先輩は無責任に手を振って出ていき、俺は途方に暮れながら、夜の校舎内を中塚を探して歩き回った。
487ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:45:16 ID:muVMLm05
 中塚が見つかったのはしばらくたってからだった。俺達の教室の中塚の席に座って、暗い教室で彼女は声を殺して泣いていた。
「……中塚、あの話、気にするなよ?」
 静かに泣く彼女にどう声をかけていいか迷ったあげく、俺は、まったく芸のない話の切り出し方をした。
「先輩にさ、片桐と別れろって言われてさ、そこから中塚の話になっただけなんだ」
 泣くだけで答えない中塚を出来るだけ傷つけないように言葉を選んで話し続けた。
 中塚とつきあえと言われたことはあえて言わなかった。……俺の口からそれを言うのは、傲慢で無神経に思えたのだ。
「もう無茶苦茶だよ。片桐の事、めったぎりにされてさ。先輩はいい人だけど、ちょっとお節介というかさ、人の気持ち考えないところあるよな。
先輩さ、中塚のこと正論で人を不愉快にするっていってたけど、その先輩もあんまり人のことはいえないと思うからさ。
……好きに言わせておけばいいよ」
 正論で人を不愉快にするという言葉に、中塚が体を震わせる。
「でも……でも、私……」
 しゃくりあげながら、中塚はなにか自分を否定するような言葉を吐こうとしたように思えた。
 しかし俺は中塚に自分を傷つける下らない言葉を言わせるつもりはなかった。
「先輩はさ、中塚がまっすぐに正論を言ってくれたから、仕事が進んだことをわかってないんだ。
相手がさ、締め切り破ったり、提出物出してくれなかったりしたとき、中塚がちゃんと正論を言ってくれたから、交渉ができた。
俺だけじゃ、そんな相手に何か言うのめんどくさくなってさ、そんな奴ら放置してしまえって思っちゃうんだよな」
 中塚のしゃくり上げ方が少し小さくなったのを見て、俺は自分の言葉が届いていることを確信した。
 ……委員会の仕事をしていれば、多少なりとも見えてくるものもあった。
 自分の欠点、他人の長所。一人で行動していたときには思いも寄らない事があった。
「……俺さ、すぐに人を見限ってしまうんだよ。一人でやる癖がついてさ、こいつ駄目だって思ったら、話をしようと思わなくなる。
人とつきあうときに粘りがなくて、分かり合えないなって思ったら、何も言わず身を引いちゃうんだ
人に嫌な顔をされても、言うべき事を言うってのが俺にはできないんだ。勝手にしろ、俺も勝手にするってすぐに結論しちゃう。
中塚が言ったとおり、人との間に壁を作ってると思うんだけど、……俺の悪い癖だよ」
 自分語りなどと自意識過剰なのはわかっていたが、悲しいかな、それ以外で彼女に伝える言葉がなかった。
 気にするなとか、お前は悪くないとか、無根拠に慰める言葉だけで済ませるには、俺は中塚に共感しすぎていた。
 中塚が顔を上げて、眼鏡越しに潤んだ目をこちらに向けた。
 着実に言葉が伝わっていることを感じて、何より自分がようやくほっとしてきたことに気付いた。
 悲しむ中塚をみて、俺が一番落ち着いていなかったらしい。
「中塚はさ、嫌われても通すべき筋を通そうと頑張って、しかもあきらめないんだ。俺は、そこをほんとうにすごいと思ってる」
「……しつこいだけよ」
 憎まれ口に近い反論ですら、そういう元気が出てきている証拠であることに俺は気付く。
「正しいと思ったことで粘れるってのは、すごいことなんだよ。……ただ、言われる方はさ、わかってて自分でも気にしていることなんだよ。
だから正しいことを言うときには、相手を追いつめないでちょっとだけ優しさをもてばいいと思うよ」
「無理よ。そんな器用なこと」
「大丈夫、ちゃんとできてたよ、中塚。だって俺に弁当を作ってくれただろう?」
 似合わないとは思いつつ、精一杯笑顔を作ってウィンク。中塚の思わずあわてた顔に、俺はすこし慰められた。
488ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:46:27 ID:muVMLm05
「そ、それは……」
「片桐のことで弁当の件は悪かったと思ってる。でもさ、あのときの中塚はとても優しくてさ、俺、勘違いしそうで、恐かった」
「勘……違い……?」
 中塚の目が見開かれる。俺はあの時の思った事を深く掘り下げて、そして彼女に渡すべき小さな真実を漁った。
 それは心の奥底にあった、その時は意識すらしなかった「怖れ」だった。
「うん。……中塚の好意が、友達としてなのか、それ以上なのか、わからなくなりそうで恐かった。
だから……友達なのにそこまでしてもらうと悪いと思いこみたくて、断ろうとしたんだ。……中塚に勘違いしないでって冷たく言われるのだけは嫌だった」
 俺の投げ出した真実で小さな沈黙が落ちた。俺は焦らなかった。伝えるべき事は伝えたと思ったのだ。
 やがて中塚がうっすらと笑みを浮かべた。
「……馬鹿」
「ごめん。……でも中塚の優しさも可愛さもまっすぐさも俺が保証するから、……もう泣くなよ」
 俺の言葉は逆効果となった。
 またもや中塚の目からみるみる涙が滴り落ちはじめたのだ。そして今度こそ中塚は声をあげて泣き始める。
 だが俺はもう何も言わなかった。心にも不安は無かった。
 ただ側に立ち、待てばいいことをわかっていた。
 押し倒していいなんて先輩はまるでわかっていないと俺は小さく微笑んだ。性欲なんか欠片も感じなかった。
 そこには、強がりに疲れた泣き虫の女の子がいるだけだったのだから。
489ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:48:52 ID:muVMLm05


 校舎の中央出口は鍵が掛かり固く閉ざされていた。 
「どうしたの?」
 後ろから尋ねたのは、当然中塚である。
「……閉じこめられたらしい」
「え? えええーーーーーーーーー」
 泣きやんでもまだ赤い目をまん丸にして、中塚が叫んだ。
 俺はあの後中塚が泣きやむまで馬鹿正直に付き添っていた。
 それから中塚とともに荷物をまとめ、実行委員会室まで戻って電灯を消して、一階に下りた。
 無言だったが温かい雰囲気で中央出口まで歩いたところで、鍵が閉まってることを発見したのだ。
「……たしか午後9時で自動的にロックされるとかいってたような」
「そうよ! 警備会社のオートセキュリティで鍵が掛かって出入りできなくなるから居残るなって」
「……まずいな」
 思わず、俺は中塚の顔を見る。彼女も顔を引きつらせていた。焦りを感じているらしい。
「まずいわよ。泊まり込み禁止を破ったら、下手したら停学なんだから!」
「げっ! なにそれ?」
「数年前に泊まり込んでタバコは吸うわ酒は飲むわ、おまけにやっちゃったバカップルがいたらしいの」
 そのバカップルを呪いたい感情に襲われながら、打開策を探して視線をあちこちに飛ばす。やがて窓に視線が止まった。
「……窓を開けてでる?」
「速攻、警備会社が飛んでくるから」
 そういうと中塚が天井を指し示す。赤外線らしいセンサーが張り付いていた。
「……明日、学校が開くのは?」
「午前七時のはず。朝練の連中が七時半集合だから」
「……こっそり泊まる、しかないか」
「親にうまいこと言わないと、学校にばれるから注意してよね」
 携帯電話を取り出して、家に掛けるが、誰もでない。いつものように親父は泊まり込んでいるらしい。
 舌打ちしてメールを確かめるが、姉からのものが一通あるだけで、親父からのものは無い。
 親父の平常運転を確認し、ため息をついて携帯電話をしまった。
「で、どの部屋に行く? 実行委員会室は駄目だぞ? 朝一番にみんなやってくるし」
「私のせいだから、とっておきの裏技……、使うから」
 連絡を取っていた中塚も携帯電話をしまうと複雑そうな表情を浮かべて、そう言った。
490ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:52:48 ID:muVMLm05

「茶道部……かぁ。なるほど」
「ここ合宿にも使うんだけど、その時は女子マネ部屋になるの。内側から鍵も掛かるし」
「そりゃ、ばっちりだけど?」
 扉を開けると、中塚は真っ先に窓に近づき、ブラインドを降ろした。
 部屋が暗闇に閉ざされる。
「壁にスイッチがあるから」
 手探りでスイッチをつけると、白色の光が闇に慣れた目に突き刺さった。
 小さな六畳ほどの和室が照らし出されて、その光景にほっとするものを感じる。
「ドア閉めて。光が漏れると警備員さんの巡回で見つかるわ」
「お、悪い」
 あわてて扉を閉める。上がり口の土間に靴を脱ぐと、土間の障子を閉めた。
 部屋では中塚が押し入れの下段に上半身をつっこんでいた。残った尻がぴょこぴょこと動いている。
「あった……けど、一組しかない……」
「何を探してるんだ?」
「布団。敷き布団も掛け布団もあったけど、一組だけしかないの」
 中塚は押し入れから布団を引っ張り出してくると、ぽんぽんと布団を指し示すように叩いた。
「……しょーがないさ。中塚は布団で寝てくれ。俺は……」
 室内を見渡す。床の間があるが、横になれる広さではない。
 畳の上は、……仕切りも何もなしで、恋人でもない男女が二人きりで一緒に寝るのはまずい。
「……押し入れで寝るよ」
「ちょっと、なんでそんな変なことを考えるの? ドラえもんにでもなったつもり?」
 俺の言葉に中塚は顔をしかめて抗議をする。
「恋人でもない男女が仕切りもなしで同じ部屋はまずいだろう?」
「そんなの仕方がないし、矢代くんなら信じてるから」
 肩をすくめて弁解する俺を、中塚は眼鏡越しに疑いや怯えを捨てた優しい目で見つめた。
 思わず毒気を抜かれて、俺は中塚の顔をまじまじと見た。
「……あのな?」
「もちろん、対策はするわよ?」
 そういうと中塚はいたずらっぽく笑った。
491ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:54:18 ID:muVMLm05
「じゃ、おやすみ」
「ああ」
 スイッチの音がして、視界が暗くなった。電灯が消されたはずだ。
 左側で布団がごそごそして、それに混じって呼吸音が聞こえた。
 俺は今、枕代わりに座布団を丸めたものを頭に敷いて、体に学生服の上着をかけている、はずだ。
 ……目隠しをしているから、はずとしか言えない。
 つまり中塚の言う「対策」とは、俺をタオルで目隠しして、手を荷造り用ビニール紐でくくることだった。
 これで覗くこともいたずらすることも出来なくなり、中塚は安心して眠ることが出来るというわけだ。
 実を言うと、昨今片桐相手に理性をふっ飛ばし気味な俺にとっても、安心できる対策だった。
 過去を考えれば、自分の理性に根拠なく自信を抱いていた自分が我ながら笑えた。
 いずれにせよ、手は窮屈だが痛くないし、目隠しもきつくはない。
 寝るしかないと決まっていれば、睡魔の侵入も容易に許すわけで、まもなく大あくびがでた。
「ねぇ?」
「うにゃ?」
「寒くない?」
「ちょっと寒いけど?」
 少し冷え込みがあり、それが睡魔への抵抗となっていた。とはいえ、仕方がない。
 中塚から話しかけてきたにも関わらず少しの間、変な沈黙が漂った。
「……なんにもしないって約束してくれるなら、布団に入れてあげるけど?」
「別に何もする気はないけど、中塚はいいのかよ?」
「うん。なんか矢代くんが寒そうでかわいそうだから、……矢代くん信じてるし、ちゃんと対策してるから」 
「そう? できれば少し寒いんで入れてもらえるとありがたいけど?」
 その言葉と共に中塚に肩をひっぱられた。
 布団の方に背中で這いずって横に移動し、布団の端にのる。
 掛け布団が掛けられ、その柔らかさと温かさに知らずにほっとため息をついた、
「ふぅぅぅ、やっぱり極楽だな。布団ばんざい!」
「ふふっ」
 中塚の笑いが思った以上に近いところで聞こえ、少し驚く。
 それを悟られないように挨拶をした。
「じゃあ、中塚。お休み」
「うん」
 そのまま部屋が静寂に包まれる。
 今日あったこと、中塚の泣き声、先輩の嫌悪の表情、明日の予定、片桐の事が脳裏に浮かんでは消えた。
492ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:56:19 ID:muVMLm05
 すこしうとうとしていたらしい。
 気がつくと、足に中塚の足がからみついていた。それも巻き付いて挟み込まれるレベルの絡み様だ。
 腕には中塚の頭らしきものが押しつけられて、脇腹には柔らかいものがあたっている。
「ちょ、ちょっと?」
 だが中塚の答えはない。
 それどころか熱い柔らかな体がますます押しつけられ、からみついた。
「中塚?」
「……ねぇ、あの子ともう『した』の?」
 唐突に掛けられた中塚の、すこしトーンの下がった声に粘りつくものを感じる。
「したって、な、なにを?」
「……セックス」
 聞き間違いかと思った淡い希望がすぐに打ち砕かれた。中塚の手が俺の手の甲におかれ、爪が立てられる。
 言うべきかごまかすべきか躊躇したが、中塚にはそれで充分だったらしい。
「……したんだ」
「あ、あんな風に大胆に迫られてしまうと、ホモでもない限り理性はとんでしま……アチッ」
 鋭い痛みを感じるほどに爪がくいこんだ。
「やっぱり、……許せない」
 ぞっとするような暗い響きの小さな声が、耳に届く。
「どうせ体でたぶらかしたんだと……そんなことだと思ってたけど……」
「あの……、中塚?」
「いいよね? 正しいって思ったことはあきらめなくて? さっき、そう言ってくれたよね?」
「え? あ、うん。言ったけど……」
 ごそりと俺の側で布団が動いた音がした。
「優しさを持てば、正しいことで粘ってもいいんだよね?」
 中塚の言葉に、何か俺は非常に追い詰められた感じがしていた。だが吐いた言葉は飲み込めない。
「ああ。そう言った……!?」
 柔らかいものが唇に押しつけられた。それが唇だとわかったのは、中塚の舌が俺の舌に絡まってからだ。
 片桐より稚拙な動きで、でも熱さは変わらない舌が、俺の舌を必死で吸っていた。
 たまった唾液が中塚に音を立てて吸われ、飲み下す音が続く。
 ふと舌が離れて、ふさがれていた唇が解放される。
「な、中塚っ!」
「……矢代くんを取り返すの。矢代くんがあきらめなくていいって教えてくれたから、あきらめないの」
 俺は思わず言葉を無くす。
 黙っていると突然に目隠しが取り去られ、視界に俺の側で上体を起こした中塚が入ってきた。
 その瞳には思い詰めたような狂おしげな光が浮かんでいる。
「矢代くんは勘違いしそうになったんだよね。……それ、勘違いじゃない、友達以上の『好き』だよ。
 ……だから、もうあきらめないの」
「だ、だけど俺には片桐が……」
「矢代くんはセックスしちゃったら誰でも好きになるの? 迫られちゃったら、愛しちゃうの?」
「なっ……、そんなことは……」
「じゃあ、私を好きになってっ! 私の方がずっとずっと好きなんだから! もう、矢代くんがいないと、私、駄目なんだよ……
 優しく笑ってくれるだけじゃ嫌! 慰めてくれるだけじゃ嫌! お願い、私を……私を愛して!」
 ブラインドから漏れるわずかな光が、こぼれ落ちる涙を次々ときらめかせる。
「でも……、俺は……」
「ちゃんと比べて! 比べもしないで、嫌わないで!」
中塚の瞳に浮かんだ色をみて、俺は自らに選択肢が無いことを自覚した。
 俺は自分が一人でいることに苦痛はない。嫌われたって疎まれたって、どうってことはない。
 利害得失で近づいて来る人間も気にはならない。そういう人間が去ってもいっこうに構わない。
 だけど、自らを捨てて俺という存在を求められた時、俺は狂ってしまうらしい。
 片桐だって、常識的に考えればおかしいとしか言えない行動をとる女なのに、俺は彼女をはねのけられない。
 俺は余り物で無価値だから、そんな自分を求めてくれる人の思いを踏みにじることなんて、できなくて……。
 気がつくと縛られていた手で中塚を押し倒していた。
493ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 19:57:38 ID:muVMLm05
「わかっているのか? 俺、片桐とセックスやってるよ? 中塚みたいなまっすぐでいい奴が俺ごときに二股かけられて、それでいいの?」
 願わくば、ここで俺をはねのけて欲しい。
「いいっ! ここでなんにもされないくらいなら……」
 間髪入れない答えに、俺のかすかな期待が瞬時に粉砕される。やっぱり選択肢なんかなかった。
「手をほどいてくれ」
 中塚の目の前に縛られた手を見せる。解かなければ、ためらえば、すぐに手を引くつもりだった。
 だが躊躇無く紐は解かれる。……俺は最低の男になるしかなくなった。
「中塚、両手を出せ」
 いぶかりながらも俺の言葉に従って、彼女は両手をだした。その手に俺は自らの手を縛っていた紐を巻き付け縛った。
「矢代くん?」
 さすがに不安そうな表情が中塚の顔をよぎった。
「中塚はさ、レイプされちゃうんだ。好意で一緒の部屋に寝ようとしたのに、勘違いした俺に犯されちゃうんだ。
だから……略奪とか横恋慕とかそういうのじゃなくて……。中塚は悪くないから。
俺が片桐と付き合っていることに嫌だと思ったら、なんにも言わずに俺から離れていっていい」
 中塚の体が一度大きく震えた。
「……じゃあ、犯すから」
 そういって俺は中塚の上着に手を掛けて、そしてためらった。
 他に方法はなかったのか、彼女を傷つけずにこんなことをせずに済む方法はないのか、そう思ったのだ。
 俺の手の甲に、小さく華奢でひんやりとした手が置かれる。
 思わず中塚の目をみると、彼女は笑っていた。
「私、迂闊で……矢代くんを挑発しちゃったから……犯されちゃうのは自業自得なんだよね」
「馬鹿」
 せっかくの俺が用意した言い訳を彼女は無駄にしてしまった。
 なのになにか、たまらないものがこみ上げて、俺は彼女の眼鏡を取り去り、唇を奪う。
 性欲だけではない、尊く温かいものに心を震わされながら、彼女の唇を何よりも大切にすって舐めあげる。
 俺の思いをこめて彼女の舌を舐めあげ優しく吸った。
 頬に彼女の熱い涙がつく。俺は気にしないことにした。ただ一心不乱に彼女の口を愛した。
 不規則にしゃくり上げながらも不器用に答える彼女の舌は、たとえようもなく愛しかった。
 それを俺が穢していることは、どうしようもなく心が痛んだ。
 その痛みから逃れたくなって、唇を外し、俺は彼女の服のボタンを外していく。
 暗闇の中で、まぼろしのような白い裸身があらわれる。下着は無く、中塚は身じろぎしなかった。
 呼吸に伴って小さく揺れる控えめで柔らかな胸の盛り上がりは、やはり魅力的だった。
 胸に手を伸ばし、かすかに揺れる盛り上がりをそっと掬う。
 もう一度中塚の体が震える。
 それが本能的なおびえによるものだとわかり、俺はもう一度ためらった。
 だが手のひらを刺激する快い柔らかさが、ためらいを振り切る。
 どうせ、俺は最低な男で、もう止めることもできはしなかった。
 頂きで小さくそそり立つ桃色の固まりにそっと口をつける。
 さらに震える体に愛しさを感じながら、口の中の固まりを舌で包み、平らな頂点をつつく。
 中塚の体が小さく跳ねた。
 反対側の胸に手を伸ばす。それは手のひらにすっぽりと収まりながらも端正な美しさがあった。
 そして手触りは絹のごとく滑らかで、柔らかさは手にまとわりつくような感じだった。
 歯を軽く乳首をくわえ、舌で優しく撫で転がす。もう一つに乳首は緩やかに指で挟んで撫でた。
「ひゃうんっ……んんっ……あっ……うぁっ」
 体が続けざまに震え、中塚の縛られた手が俺の頭を胸に押しつける。
 そのかわいさに満足感を覚え、口を大きく開けて乳首ごと胸肉を頬張った。
 軟らかく滑らかな極上肉を吸うと、舌や歯に肉がやわらかくからみつく。
「はぁぅぅぅ。む、胸がたべられちゃってるぅぅ……あうぅんん」
 反対側では、指でいじくっていた乳首が懸命に屹立し、それをこすって弾くと面白いように体が震えた。
494ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:00:13 ID:muVMLm05
 もう一方の胸に顔を移し、とがりきった乳首にキスをして、唇で挟んだ。
「きゃぅぅんん」
 小さな悲鳴があがって、体がまた大きく震えた。
 さっきまで吸っていた乳首のてっぺんを、唾液のぬるみを利用して優しくさする。
 唇で挟んだ乳首に舌を突き刺し、肉に埋もれるほど舌で押す。
 舌を離すぽんと飛び出てきたので、歯で軽くかじって受け止め、根本を舌でなぞって吸った。
「だめぇぇぇぇ……おかしくなるぅぅぅ……私、へんになっちゃうぅぅぅ」
 中塚の震えが止まらなくなったのに味をしめ、乳首の先端を舐めながら、歯でさらに転がしながら軟らかくかじり、乳輪を唇でつまんで吸った。
「あはぁぁ、ふぁぁ、うぅぅぅぅぅああああああああっ……」
 突然のけぞった中塚が何度も体を震わせ、やがて力が抜けて布団に倒れ込む。
 胸から顔を離した俺が見守る前で、目を閉じ荒い息をついてぐったりとしている。
 俺の下半身は既にいきり立っていたが、まだ入れるには早いだろうと思った。
 中塚の足下にすこし下がり、スカートを降ろす。なぜかまたもや下着は無かった。
 それを少しだけ疑問に思ったが、構わず足の間に入って両太腿にそれぞれ手を置いた。
「……や、矢代くん?」
 少し怯えたような問いに答えず、俺は中塚の足を持ち上げる。
 開脚させた膝を中塚の肩につくほど曲げ、そのまま太腿を手で固定した。
 俗に言うまんぐりがえしって格好となって、中塚の白い腹と白い両太腿の裏側、そして突き出された真っ白い尻と陰部と肛門が丸見えになる。
「い、いやぁぁぁ、は、恥ずかしいから、み、見ないでぇぇ」
 じたばたと中塚が暴れたが、俺は太腿を手で抑えたまま、陰部のとがった固まりに口づけをする。
「ふぁぁぁぁぁ」
 かすかな女の臭いが鼻をつき、と少し酸っぱくて塩辛い味が舌を刺した。
 とがった固まりを舌でぞろりと舐めあげると、力が抜けて暴れることをやめた中塚が体をぶるぶる震わせる。
 舌をできるだけとがらして、舌先でクリトリスをつつき、ゆっくりとなぞった。
 その動きごとに中津が震え、涙目をうつろにして、息を荒くしていた。
 そっと太腿を押さえていた手を外すが、もう中塚は陰部を隠そうとしない。
 指でクリトリスを挟み震わせる。はみ出た部分を唇で吸って舌でつつきまわした。
「ひっ、くぅっ、はぁぁうっ、あはっ、んふっ」
 もう中塚は一筋の涎を垂らしながら、俺の手と口の動きに反応して体を震わせる人形となっていた。
 わき出る愛液に、ひとさし指を浸してぬらす。
 クリトリスへの愛撫を続けながら、指を滑らせて、穴の縁をなぞった。
「んんんああぁぁ」
 耐えきれないように中塚がまた少し反り返る。
 濡れたひとさし指をゆっくりと芋虫のようにこすりながら、少しずつ穴の中に沈めていった。
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 クリトリスを舐めあげると、指を締め付ける膣肉が緩む。空いたスペースで軽く指を曲げて周囲の肉を時間をかけて優しくこすった。
「あはぁぁぁぁぁぁ、指がぁぁぁぁぁぁ」
「中塚、力を抜いて」
 わき出る液で手をぬらしながら、じりじりと指を進める。中の肉がまるで絞り上げるように指にからみついた。
 やがて指が根本まで埋まり、中塚の中が俺の指を食い締めた。
 もう一度クリトリスをなめあげ、軽く歯を立てながら、指の腹で細かく中をこすりたてる。
「んぁぁぁあああ、だめぇ、だめだめだめぇぇぇ……んんんんんんんんんっ」
 中の肉が痛むほど指をしめつけ、中塚が壊れた人形のごとく体を不規則に震わせながらのけぞらせる。
 唐突に中の締め付けが緩む。しかし体はのけぞったままだった。
 やがて体に走る震えがゆっくりと減っていき、震えが止まる。
 中塚の背が布団に落下し、折っていた足が投げ出される。
 その目は虚ろで焦点を失い、あえぐように息をしている半端に開けられた口の端には水の筋がついている。
495名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 20:03:35 ID:dP6Wi5WY
支援いる?
496ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:04:10 ID:muVMLm05
 俺はすこし余裕が出来たと思い、中塚に背を向けると鞄を引き寄せ、コンドームを取り出した。
 本当はそれは片桐とのためのものだ。
 ピルで避妊しているのだからと片桐は嫌がったのだが、飲み忘れのときのためといって買ったのだ。
 ……こういうことを考えて片桐は嫌がったのかも知れないと、俺はふと思った。
「……なに……してるの?」
「ん? コンドーム」
 中塚に背を向け四苦八苦しながらコンドームをつけようと頑張ってると、声がかかった。
「……大丈夫だから。安全日だから」
「そういう問題じゃない。ちゃんと避妊はしないと……うわっ」
 やっと付けられそうになったとき、背後から伸びる縛られた両手がコンドームを跳ね飛ばす。
「おい!」
「いやっ! 私は、あの子よりも矢代くんと深く結びつきたいのっ!」
 振り返った俺の目に、中塚の強い光を宿した目が映った。
「そういうことじゃないだろ?」
「矢代くんは私とじゃ、つけないとできないの? 
いつでも私を捨てられるように、責任とらなくて済むようにコンドームつけるの?
あの子のところに平気な顔して戻るためにコンドームつけるの?」
「な、何を言ってる?」
 暗がりの中で、彼女は目だけを光らせ、俺を責めるように睨む。
 まるで避妊がいけないことであるかのような中塚の口ぶりに俺は混乱した。
「私、子供できてもいい。……ううん、子供が欲しいくらい。矢代くんが産んでいいといったら産みたい」
「ちょ、ちょっと! 子供って!」
「わかってる。赤ちゃんを産むって事がそんな簡単じゃないことぐらいわかってる。
でも、避妊してセックスして、そのときだけの思い出で終わってしまうのはもっと嫌。
ずっと側にいてくれないなら、私、矢代くんの子供産むから!」
 脅迫とすら言える内容もさることながら、俺はそれを言わせる中塚の心に衝撃を受けていた。
 そして片桐への敵愾心に、かるい恐怖すらあった。
 言うべき言葉を模索して、頭が高回転を続けるが、うまい言葉は無かった。 
 そもそもに選択肢はなかったのだ。
 しばらくの沈黙の後、俺は全面降伏に至った。
「……はぁ、わかったよ。……今日、安全日なんだよな? 」
「うん、ほんと」
「いっとくけど、危険な日は絶対に避妊するからな? 
……妊娠したら親や学校が出てきて、めちゃくちゃになって最後には別れてしまう奴らが多いの、知ってるだろ?」
「うん」
「俺は、中塚をやり捨てるとかそんなつもりはないから。信じてもらえないかも知れないけど。
たださ、妊娠させてお互い気まずくなって別れるのは悲しいだろ?」
「……うん」
「そういうの俺も嫌だからさ……。まあ、それはともかく続き……だけど」
 久しぶりに俺の論理が中塚に通じたのを感じて、俺はそっとため息をついた。
 だが犠牲は大きかった。
 ある感触に俺は己の股間をみる。
 見事に萎えていた。子供の話が直撃だったらしい。
「……その、えーと、ちょっとまって……」
「どうしたの?」
 中塚が俺の股間をのぞき込んで、笑った。
「小さくなっちゃったんだね。私が手伝ってあげる」
497ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:06:08 ID:muVMLm05

 もはや、レイプとかいう建前はどこかに吹き飛んでいた。
 中塚の手を縛っていた紐は解いてしまっていたし、今は俺が中塚に責められている有様だった。
 そう、明るく笑った中塚は俺の股間に潜り込むと、萎えた息子を口に含み舐め始めたのだ。
 さすがに処女にそれはどうかと思ったので腰を引こうとしたのだが、中塚が許してくれなかった。
 しっかりと俺の急所をつかみ、やりたい放題に舐めていたのだ。
 もちろんうまい舐め方ではなかったが、込められた気持ちにより肉棒は瞬く間に腹を叩くほどそそり立った。
「な、中塚? も、もう……くっ……充分……うっ……だから」
 そして既に制止は三回目だが、彼女は一向に止める気配を見せなかった。
 その間に何度もしびれるような感覚が尻から背中を駆け上がる。
 精液が肉棒の中程までせり上がり、一瞬でも気を緩めるとほとばしりそうになるのを歯を食いしばって全身の力で必死にこらえた。
「な、中塚っ! そ、それ以上は……でて……しまう……から……ぐっ……そのへんで」
 その言葉で中塚は上目遣いで俺をみた。目がまたもや笑みの形になり、先端に生暖かいものがまきついた。
 目の前に星が飛び、腰が浮くような放出感とともに、肉棒の先端が弾けた。
 息をすることも忘れて放出感に浸り、拍動ごとに腰から重さが消えて頼りない脱力感に変わった。
 拍動が治まり、頭がしびれるような感覚が去る。
 やっと中塚のほうを見ると、苦しそうな顔をして何かを飲み込もうとしている。
 働かない頭を無理矢理動かして、飲み込んでいる「もの」に気付いた。
「……ばば、馬鹿っ! 吐き出せっ! 飲み込むなって!」
 鞄を引き寄せてポケットティッシュを引っぱり出し中塚の前で広げるが、彼女は首を振って嚥下を続けた。
 呆然とする俺の前で、彼女は口内のものをゆっくりと飲み下し、やがてため息を一つついた。
「変な味」
「当たり前だ! んなもの飲む奴がいるかっ! AVじゃあるまいしっ!」
「でも飲んであげたかったし、矢代くんも気持ちよかったでしょ?」
「そ、そりゃ、まあ……って、そういうことじゃないって!」
 だが中塚が心の底からうれしそうな顔をして俺に抱きついてくる。
「だって矢代くんだって私のを舐めてくれたし。それに好きな人のが私の中に混ざったんだよ?」
「な、中塚?」
「あはっ、また元気になってきた」
 俺の肉棒がまた起ち上がり、中塚の腹をうった。
 私の中に混ざったと言って腹を押さえた時の満足そうな中塚の顔がひどくエロティックだったためだ。
「と、とにかくっ、続き」
 俺は赤面しそうなのをごまかすと、中塚を優しく押し倒して足の間に膝立ちで入った。
 彼女の恥ずかしそうな目を見つめながら、口づけを交わす。
 肉棒を中塚の濡れそぼった性器に当てて、ゆっくりと腰を進めた。
「いっ、いたたたたたっ」
 尻が逃げていく。中塚が上にずり上がった。
「ごめん。もっと丁寧にするから」
 逃げた尻を追っかけて、肉棒の先端を丁寧にそろそろと押しつけた。
「ぐっ! いたーーーーーい」
 尻がまたもや逃げた。。
「な、中塚、ちょっとだけ我慢だから」
「もっと優しくしてぇ」
 今度こそ気をつけて、出来るだけ痛くないようにそっと入れる。
「いたいよーーーー、んきゃっ!?」
 叫んで逃げた中塚が壁に頭をぶつけ、頭を抱えて丸まった。
「だ、だいじょうぶか?」
 男はそれほどでも無かったが打ったところに手をあて、さすった。
 中塚が涙目になって俺を見上げる。
「痛すぎるよぉ」
「……指は入ったんだけどなぁ。……仕方がない。今日はここら辺でやめとくか?」
 肉棒は元気だったし、入れたい気持ちは充分にあったが、あそこまで逃げられてしまうと可愛そうになった。
498ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:10:11 ID:muVMLm05
 もうレイプのレの字の無い有様だったが、これはこれで良かったのかもと俺は思った。
 中塚は違った。
「そんなの駄目っ! そんなの、安全日の意味がないよぉ! 最後までやろうよぉ」
 なにか言うことが男女逆だと思った。しかし中塚の目はとんでもなくやる気満々だった。
「でも痛いんだろ?」
「うぅぅぅぅぅ」
 股間を押さえながら、彼女はうなった。その様子はわんこみたいで可愛い。
「そ、そうだっ! 女の子が上になれば痛くないって聞いたことがあるよっ」
 名案を思いつきましたって笑顔で中塚はとんでみないことを言いはなった。
 それは俺が考えたが、脳内で却下を下したアイデアだったのだ。
 ……処女で騎乗位って、それなんてエロゲ?

 そして数分後、中塚は布団の上に寝ころんだ俺の腰の上で、青ざめていた。
「や、矢代くんのそれって、大きすぎない? 巨根っていうか、大砲というか」
「……計ったことあるけど、日本人の平均よりちょっとだけ大きいくらい。そんなに大きくない」
 まあ、中学生の頃に誰もが一度はやることだ。
 計った後で大きかろうが小さかろうが使う場面が無いと意味がないと気づき自己嫌悪に陥ったりしたが。
「やっぱり大きいよ。裂けちゃうかも」
「……じゃあ、やめる?」
「ね、ねばーぎぶあっぷ! 負けないもん!」
 こいつはそういう女だった。粘り強くて言いだしたらやり通すやつなのだ。
 何かを決意するように中塚が目を強く閉じた。
 肉棒の先端に濡れた肉が張り付き、徐々に飲み込んでいく。
 中塚が少しうめいたが、腰は少しずつ落ちていった。
 不意に先端が温かい肉に包まれる。中塚が短く息を吐いた。 
 そのままゆっくりと腰が下がり、少し抵抗を感じた後、弾力のある肉が引き込むように肉棒にからみついて、腰に甘美なしびれを発生させる。
 俺は布団を握り締めて、突き入れたい衝動を必死に抑えた。
 やがて中塚の腰が根元まで下がりきり、恥骨同士が皮膚を隔ててぶつかり合う。
「は、入った?」
「ああ、根元まで」
 俺の答えを聞いた中塚が安心したように大きくため息をついて、俺の胸に倒れこんだ。
 中塚のひんやりとした滑らかな体が二つの柔らかい肉を押しつぶして、俺に密着する。
「ふぅぅぅ、矢代くんの熱いのが、口から出そう」
「そんな大げさな」
 安心したような表情を浮かべて言う中塚に、俺は苦笑いを返した。
「ほんとだよぉ。今でも……ほらっ、矢代くんのがぴくって動くと、おなかがかきまわされそうだもん」
 口をとがらせながら下腹部をなで回す中塚の唇をキスで塞ぐ。
 驚いて見開かされた目がたちまちとろりとした喜びに濁った。
 舌を絡ませ、口の中を舐めながら、片手で中塚の胸を弄くった。もう一本の手は中塚の尻をなで回して感触を楽しむ。
 小ぶりながらすべすべではちきった尻は、撫でるだけで深い満足感を覚えた。
 それだけで我慢が出来なくなり、小さく緩やかに腰を揺すり始める。
 ぴんと張られた白いうなじがおいしそうで、体を起こして吸い付いてみた。
「ひゃぁぁぁぁぁぁうんんん、だめぇぇぇぇぇ」
 反応は激烈だった。
 中塚の体がおおきくのけぞり、中の肉も絞るように肉棒を締め付ける。
 その反応が楽しく嬉しいので、首筋にキスを降らせ、舌を這わせる。
 尻の手を背中から脇腹に移動させると、そこでも中塚の体が震えた。
「中塚、可愛いよ」
 首筋を攻めながら、脇腹を触るか触らないかの微妙なタッチで撫でると、中塚は声も出せずに震えた。
 そして中塚の中の締め付けも強く心地よくなりすぎ、腰が勝手に動いて肉棒を打ち込み始める。
 乳首をひねるように挟んで先端をこすり、首筋を舐めながら吸って、脇腹を丁寧にさする。
 それだけで突き入れている肉棒を包む肉が軟らかく奥へと引き込むようにまとわりついて、一層快感がわき起こった。
「あぅっ……はぁぁぁ……んんうああぁっ……ひぃぃんん……ああああああっ」
 中塚自身はもうしゃべることも出来ずにただ喘いでいた。そして……
「あああああぁぁぁ、いっちゃういっちゃいいくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 のけぞりと共に俺の肉棒は痛むほど絞られ、瞬く間に精液が肉棒の中を走り抜け、先端で吹き出した。
 拍動感が続き、のけぞったままの中塚の奥に注ぎたくて、さらに奥まで突き入れる。 
 頭から血が引いていくような感じに襲われて目がくらみ、中塚の体にしがみついた。
 やがて俺達は抱き合ったまま布団に崩れ落ちた。
499ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:11:44 ID:muVMLm05
 お互いものも言えず荒い息を続け、しばらくたってようやく落ち着きを取り戻す。
 上に乗った中塚がまた下腹部をなでた。
「……すごく熱かった」
 しかし満足そうに息を吐きうっとりと目を潤ませていた中塚が突然あたふたとし始める。
 疑問に思う間もなく唇を重ねられ、手を取られて乳房の腕に置かれた。さすがに乳首はもうとがっていない。
「ん、よしよし。危なかったぁ」
 口の中を舌でひとしきりまさぐられた後、唇を離すと中塚がほっとした様子でつぶやいた。
「いったいなんだ?」
 俺の疑問にすぐに答えず、中塚の手が俺の肉棒をもつと、中塚は腰を動かした。
 抜けかかっていた肉棒がまた根元まで飲み込まれる。
「うん? 矢代くんのが小さくなって抜けちゃいそうだったから、入れ直したの」
「……出したら萎えて抜けるのは当たり前だが?」
 中塚が何をやりたいのかわからず、俺は首をかしげた。
「うん、だから大きいままで私の中に居て欲しいの」
「は?」
「朝までね、矢代くんとずっとつながっていたいなって。そうすれば私のここも矢代くんのがぴったりはまる形になるし」
「……おーい?」
「それにあんなに痛い思いして入れたんだから、すぐに抜くともったいなくて」
 恥ずかしそうに中塚は顔をあからめた。なにが恥ずかしいところなのかよくわからなかった。
 俺は頭痛を覚えて額を押さえる。
「入れたまま? 朝まで?」
「うん。矢代くん、あの子とけっこうやっちゃってるんでしょ? じゃあ、私は回数ではすぐに追いつけないから時間かな? って」
「時間かな? って、……入れてる時間?」
「そう。一つになっている時間。だから……ゆっくりしていってね……なーんてね、えへ」
 舌を出して笑う中塚に、ポカンと俺は口を開けた。
500ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:12:59 ID:muVMLm05

「うう、ほんとに頭がフットーしそうだよぉ」
「……頼むからそのセリフは止めてくれ」
 ニコニコと微笑みながら言われた中塚の言葉に、俺はひどく疲れを覚えた。 
 闇に閉ざされた人気のない校舎の中を俺は歩いていた。
 互いに上着だけ羽織り、中塚を駅弁スタイルで抱き、しかも……つながりながらである。
 変態だ変態だと小さな存在が脳裏のどこかできーきーとわめいていたが気にしないことにした。
 走り出したい気分をぐっとこらえ、中塚が痛くないように、静かにしかし早く歩いた。
 やがて目標である俺達の教室につくと、俺は中塚を抱えたままそっと扉を開けて入った。
「俺の机?」
「うん」
 中塚が手で指し示した机、つまり俺の机に、俺はよたよたと歩いていった。
 到着すると、机の上に抱いていた中塚を降ろし、さすがに疲れて中塚から離れ椅子に座り込んだ。
 裸の尻にひんやりとした感触を伝えた椅子は心地よさと違和感を同時に心にわき上がらせた。
 そんな俺の目の前に、机に腹ばいになった中塚の尻が突き出される。
 そんなに大きくないはずなのに、女独特の曲線で構成された滑らかな双丘は、生唾を飲むほど淫らだった。
「私ね時々、誰もいない教室の矢代くんの机で、矢代くんに後ろから犯される夢を見るの」
 その声とともに目の前で開ききった女性器に二本の指が添えられて、女性器をこねはじめる。。
「そんな夢をみるとたまらなくなるの。……矢代くんの指を舐めたくなるの。矢代くんの目で犯されたくなるの」
 指はクリトリスをつまみ、女性器をなで回す。指を伝って滴りが伝いおちるのを暗がりの中で確かにみた。
「はぁ……来て。ここは、……私のオマンコは、矢代くんのものだから……」
 その言葉と共に女性器が指によって広げられる。
 理性は瞬時に蒸発し、気がつくと俺は尻を抱えて突き入れ、中塚は顔を喜びに染めて、絶叫していた。
 中塚の口を手でふさぎ、腰を押さえて、食いつきたくなるような尻の間にひっそりと息づく性器の奥の奥まで、子宮にまで押し込まんとばかりに打ち込む。
「矢代くぅぅぅん、好きぃ、好きぃ、大好きぃぃぃぃぃぃっぃ」
 中塚は「逝った目」をしながら、俺の机に乳房をすりつけ、口を押さえた俺の指をしゃぶった。
 限界はすぐに来た。中塚の中が、俺を離すまいと引き込み絡みついて絞ったからだ。
 目の前が真っ暗になり、尻の柔らかく弾む感触の中にめり込みながら、中塚の腹の中にしこたま放つ。まるで命が流れ出るかのように、股間の拍動とともに手足の力が抜けていく。
 そして俺はもうろうとした意識で中塚に覆い被さった。
501ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:16:48 ID:muVMLm05
 目が覚めると、室内にはわずかな明るさがあった。 
 ブラインドから太陽光線がわずかに差し込んでいたのだ。
 まだ早朝のようで、柔らかな静寂が薄明の室内を満たしている。
 そして俺たちは、まだつながっていた。
 教室からつながったままこの部屋に戻り、そこでさらに二回ほど交わったというか出してないから二発ということになるか。
 まさにセックスを覚えた猿のごとくやりまくって、疲れ果てて二人とも意識を失った結果が今の状態である。
 ちなみに中塚は、満足しきった顔で、俺の胸の上で軽い寝息をたてている。
 それをどこか誇らしくそしてうれしく思った時、脳裏に片桐の顔がよぎった。
 それで脳天気な気分が吹き飛び、自らの最低さを思い知らされることになった。
 どちらかを選ぶなんて、できはしなかった。
 傷つけるのが嫌というのは確かにあった。
 しかしそれ以上にあったのは、真剣な気持ちの女達のどちらかだけを選ぶという行為の傲慢さに対する違和感だ。
 俺にはそんな資格がないことを自分で良くわかっていた。だから選ぶなんて出来なかった
 ……同じ最低ならば、一人に憎まれるのも二人に憎まれるのも同じ事……刹那、そんな考えが頭をよぎる。
 彼女たちから奪ったものは、返すことができない貴重なものだった。
 それでもずるずると二股を続けるよりは、ましだと思った。
 ごめん。胸に乗った中塚と脳裏の片桐の顔に、俺は心の中で謝った。
502ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:18:15 ID:muVMLm05
 その日、天候にも恵まれて体育祭は始まり、実行委員各自の奮闘によりプログラムは滞りなく進んでいった。
「よーし、みんな。これで最後だ。フォークダンスは実行委員も全員参加だぞ」
 全ての競技が終了し、閉会の挨拶も終わって、父兄が引き上げていく中、実行委員長の指揮でラストプログラムのフォークダンスが始まる。
 音楽は、教師が面倒を見てくれるらしい。
 スピーカーから去年も聞いた優雅なクラシックが流れ始める。
 誰もが好きな異性とのダンスを心待ちにして、踊る輪の中に飛び込んでいった。
「矢代、君も踊りなさいよ」
「ええ、すぐに行きます」
 副委員長の先輩が俺に声を掛けて、輪に向かっていく。
 だけど俺は動かない。ただ立ちつくして、踊る人々を外から見ているだけ。
 片桐とは踊る資格がない。そして中塚と踊れるほど恥知らずじゃない。
 あかね色に染まる空の下で、去年までと同じように、俺はダンスをただ傍観していた。
 去年と違うのは、俺が二股をかける最低な男に成り下がったことだけ。
 優雅で軽快な音楽が続く。踊る生徒達の笑顔が、ひどく遠いものに見えた。
 なにかに耐えられなくなり踊る輪に背を向けたとき、二人の女が待っていたことに気付いた。
 精算は早いほうがいいよな、そうつぶやく。
 音楽が終わり、歓声がどっと沸く中を、俺は女達に向かう。
 憎まれてもいいから、このただれた関係を終わらせよう、そう決意して一歩一歩近寄っていく。

 だがそれは偽善に過ぎず、男の身勝手でもあり、異性経験が浅い故の甘さでもあった。
 要するに俺はその時どうしようもなく、未熟だったのだ。
 
第3話End
503名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 20:19:49 ID:cMMoNvyZ
ハーレム修羅場を全裸で待つ
504ご愁傷様、矢代くん:2008/09/13(土) 20:20:11 ID:muVMLm05
投下終了。
肉大盛りゴーヤチャンプルーお待ち!
 ジューシーで嫉妬の苦みも入って、今が食べ頃!
505名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 20:21:24 ID:MZ/AK2El
特盛GJ!!
ずっと全裸で待ってたよ!!
506名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 21:14:29 ID:Lmmr4A6h
この引き・・・続きが気になりすぎるwww
GJGJ!!
507名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 22:14:54 ID:EZCDUg+m
GJ!!
いや〜女子って排他的だよな〜リアルだと先輩みたいな人ばっかしだよ…
508名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 22:22:53 ID:ZzEABTnT
それが独占欲嫉妬心へとつながるんだよ!
509名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 00:20:56 ID:BOA/Gu1G
>>504
大変美味しゅうございました!
510名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 01:56:35 ID:mJuJEZK+
>>504
ご馳走様
511名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 02:49:09 ID:7FAReKSQ
何かスクイズみたいw
512名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 03:34:15 ID:NAbFE+Gu
>>504
今ならお前にアナル処女を奪われても許しちゃうくらいGJ
513名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 04:38:21 ID:4snnUv1f
>>504
愛しさと切なさと心強くGJ!なんという甘苦い嫉妬……
こりゃあ脱いで次回投下まで待つしかないだろう
514名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 08:49:24 ID:sICgRk4a
>>50
しかし、こういうヒロインを馬鹿にするリアルな女子キャラには、
死体を踏みつけて、墓まで荒らしてやりたくなるようなかわいさがあると思う。
あんまり叶わないけど。
515名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 12:12:18 ID:mDxNvBOA
>>504
おかわり!
516名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 20:49:54 ID:xATmI1pK
みんな忘れ去ってると思うけど
以前コンビニを舞台にしたSS書くって言ってた者だけど
やっぱ無理です。ネタがまったく思いつかない上に他の書いてて時間がありません
すんません!

……まあ誰も期待してなかっただろうし今更感があるけどな
517名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 21:50:04 ID:OLYS+4/J
>>516
何の話してるのか分かんないけど気にすんな
518名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 01:35:15 ID:nFWLKRhi
>>518脳内ポカーンだが気にするな。自信がついたらまた来い
519名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 15:27:20 ID:XyjJUTJM
>>516
こいつバカなの、死ぬの?
書く書く厨つぅか、構ってちゃんも大概にしとかなきゃ
520名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 18:54:06 ID:ivhZJSk1
まあもちつけ
521名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 21:53:57 ID:jXOO2M/U
>>518wwwwwwwww
522名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 18:17:54 ID:RfL3QUpO
ぶらっどまりぃ帝都編ってまだかな?
523名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 18:26:01 ID:kpXPmWJ5
全裸で待とう
524名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 19:39:14 ID:3FnqeNa1
某作者様のトリ割れ騒動があって阿修羅氏がssの保管を停止するよりも前のssで保管庫に保管されてないのってどうしたの?
525名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 20:15:52 ID:cwbz65fn
さあな
526名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 22:54:41 ID:20IALWT3
もう、>>525ったら・・・
つれない人ね。
527名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 23:36:45 ID:01LSdcaf
おいおい・・・俺はいつまで全裸で待てばいいんだい?
528名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 00:07:21 ID:1VcNUNV9
霜が降りるまで
529名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 00:16:13 ID:E0IEu3im
そこに駆けつける幼馴染の彼女と泥棒猫
530ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:04:05 ID:wwrZrU4o
投下。深夜になると腹が減るのはなぜだろう?
531ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:07:01 ID:wwrZrU4o
「幽霊がでたんだってよ? 矢代」
 放課後まであと一時限。体育祭は終わり、昼休みも過ぎた、晴れた暖かい日のまったりした午後。
 男女の取り巻きに囲まれた吾妻が俺に声を掛けてくる。
「季節外れだな。で、今度は何が出た?」
「女のすすり泣く声と悲鳴だそうだ」
 吾妻が何か面白いことを知っているという顔で答を返す。
「なんだ。ありふれているな」
「そういうけどね、体育祭の前日にはっきりと聞いた人がいるんだから!」
 吾妻の取り巻きの女生徒が力説する。噂をばらまいている当人らしい。
 俺はどきりとした表情をしたと思う。それを見た吾妻がわずかに怪訝な顔をした。
 ばさりと音がして、誰かが教科書を落としていた。そっと横目でうかがうと済ました顔の中塚が教科書を拾い上げている。
「ククク、それきっと幽霊じゃないぜ」
「吾妻、どうしてそんなことが言えるんだよぉ?」
 吾妻が含み笑いともに断言して、これも取り巻きの男子生徒がつっこんだ。
「簡単さ。俺達の四こ上の先輩に、学校で飲酒喫煙セックスのフルコースで停学になったカップルがいただろ?」
 俺は中塚の話を思い出していた。
「実はその先輩達、普段から学校でやりまくっていて、声が漏れていたんだけど、怪しい声がするって怪談になっていたんだとさ」
 吾妻の取り巻き達が何とも言えないきまりわるげな顔をする。
「今回のも絶対それだぜ。体育祭前日で、羽目を外して……いやはめまくった連中がいるんだぜ。……というわけで矢代」
「……お、おれぇ?」
 突然に話を振られて、少し動揺する。
「お前、実行委員だっただろ? 学校に残っていた奴とか知らないか?」
 だが尋ねる吾妻の目は感情をうかがわせなかった。
「いや、知らない。……そもそもこの校舎は夜九時で出入りできなくなるし、居残りは禁止のはずだ。
その幽霊を見た奴という奴のほうが、いろいろ怪しいんじゃないのか?」
 吾妻の目が興味深げな光を宿す。
「なるほど、発見者が犯人なぁ」
 吾妻の言葉で取り巻きが顔を見合わせる。
 誰もが黙り込んだところで、見知らぬ女生徒が入り込んでくる。
 取り巻きの女生徒が一瞬きつい顔をしたが、すぐに表情をやわらげた。
532ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:08:24 ID:wwrZrU4o
「兄さん」
「なんだ、美優(みゆ)か」
 珍しいことに吾妻の顔が優しい色を浮かべていた。
 彼の前に立つ女生徒はどこか吾妻の面影を残しながら清楚で凜としたものをにおわせる、肩胛骨あたりで切りそろえたストレートロングの美少女だった。
 小柄な体に薄めの胸、小さい尻、しかし目は切れ長で適度に大きく、鼻筋はとおり、唇は桜色で、吾妻の妹としては大変に可憐だった。
 吾妻の取り巻きの男達が、彼女をみて、顔を一斉にとろけさせたので、俺は苦笑してしまう。
 妹と話していた吾妻がなぜか俺を指した。
 それをみて、吾妻の妹がこちらを向き、近寄ってくる。
「矢代先輩。これ、ありがとうございました」
 なにか感謝に輝いているような目と共にノートが差し出される。
「え? あ、これ?」
「悪いな。美優が困ってたんで、売ってもらった」
 吾妻が全然悪いと思っていない顔で弁解する。
 俺は半ばあきれながら、ノートを見返していた。
 このノートは一年の時に化学で赤点取りかけてた友人のためだけに作ってやったノートだった。
 この友人限定にしたのは、他の奴にノート目当てで寄ってこられるのがたまらなくうっとうしいからだ。
 そいつは、中学の時から一緒で、修学旅行の時に俺の趣旨に賛同してくれた奴だった。
 ベタベタした付き合いをしてこないので俺とウマがあい、化学で困ってたそいつのために修学旅行の借りを返すつもりで作ったのだ。
 結局そいつは無事進級したが、今年はクラスが違ってしまったのだ。それ以来は交流も途絶えがちだったが……。
「売ってもらったって、なんでこのノートの事を知っている?」
「? 何を言ってる。あいつ、三学期に化学の成績が急に上がりすぎて、先生がカンニングを疑って、奴を呼び出したの知らなかったのか?」
 重要な情報の欠落を指摘されたときは、いつも一匹狼の不利を痛感させられる。特に愕然とさせられるものが俺に届いてなかった場合は。
「いいっ?」
「んで、奴はお前のノート差し出して、潔白を証明したらしいんだが……」
「私、授業中に先生がそのことを言ってたのを聞いて、私も化学は得意でないので、兄さんに頼んだのです」
 吾妻の言葉を引き取って妹が続けた。なぜか妹の目に星がきらめいているような気がした。
「……でも兄さん、売ってもらったって、どういうことですか?」
 そんな彼女が、しかし憤然とした顔で吾妻に向き直り、吾妻がこれも珍しい弱気な顔をした。
「しかたないだろ。譲ってくれって言ったら、奴は矢代に特別に作ってもらったもので、関係ない人間に安易に譲れないとか言うんだぜ?
一年の時の授業用資料なんか持っていても仕方がないのにな。しょーがないから、美優以外には見せないって約束して買い取ったんだ」
 俺はあきれた。きっと金だけではなく強引な交渉をやったのだろうが、たかがノートにそこまでやった吾妻の爆走っぷりに心からあきれた。
「……シスコン」
「そう言うな。かわいい妹の頼み事を、兄というものは断れないものだ」
 俺のつぶやきに、吾妻がバツの悪そうな顔をした。
「俺は姉さんの頼み、いくらでも蹴飛ばせるぞ?」
「妹に比べれば、姉などという存在は、太陽の前の月、バラの前の野草に過ぎない」
 周囲の目が複雑そうな光を浮かべて吾妻を見つめる。まるでタチの悪い病気が出たとでも言うようだった。
「に、兄さん!」
「……妹さんと末永くお幸せに」
 羞恥で顔を赤くする妹と、妹の反応に不思議そうにしている吾妻から、俺は視線を外して黙考にふける。
 ……俺には考えなければならないことがあったのだ。
 片桐沙織と中塚里香、二人の女を抱え込んでうまくやっていく方法を切り開いて行かなければいけなかったのだ。
 だから吾妻の妹などどうでもよかった。 
 俺のことをチラチラと横目でうかがう二人の女こそが、俺の優先すべき重たい現実だったのだから。
 そう、俺は二人の女と別れることが出来なかった。
 安易に手を出しておいて、謝れば別れることが出来る、そんな考えが男の身勝手だと、体育祭の日に俺は思い知らされていた。
533ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:09:46 ID:wwrZrU4o


 ……二人に別れを告げるという俺の選択は、結論から言えば甘すぎた。
 砂糖を五杯入れたミルクティーよりも甘かった。
 体育祭が終わりの時、俺が出した平等に二人と別れるという提案は、多数決で否決された。評決時間は二秒もなかった。
 そして片桐は浮気したと泣いた。中塚はもともとの所有権を主張した。俺は再考を求めて即座の却下を食らった。
 片桐が中塚との手切れと中塚に出した回数分の性交を要求し、中塚は片桐との手切れと夜の時間の独占を要求した。
 俺は二人に沈静化とさらなる再考を求めようとして却下された。
 とにかく片桐と中塚が要求項目を提示しあって否定しあい、俺の提案は全てとにかく却下された。
 修羅場だった。とにかく修羅場だった。
 委員会の仕事があるからと無理矢理打ち切ってみれば、続きは俺の家で実行されてしまった。
 ……人目が無くなったのが悪い方向に影響したのか、自宅での修羅場第二ラウンドはひどいものだった。
 二人は泣き、金切り声で叫び、髪の毛を引っ張り合い、つねり、ひっかき、ものを投げまくった。
 話の内容は記すまでもない。別れなさい、わたしのもの、罵詈雑言、どっちにするの。
 その四つで事足りた。というか、それ以外ろくな事を話し合っていない。
 仲裁に入った俺は、体中を叩かれつねられひっかかれ、と修羅場の嵐の直撃を食らった。
 俺の耳は女達の高周波で機能異常を起こした。目は般若のような彼女たちを見ることを拒否した。
 ……もうふて寝するしか無かった。
 二人の女の姿をした嵐にぼろくずにされた男に出来ることは、それしかなかったのだ。
 未熟な男である俺に、この修羅場を収める方策はなかったからだ。
 舵が壊れた船が荒海で暴風雨まかせに漂流する気分だった。
 そしてふて寝しようとした俺を最初に襲ったのは、片桐だった。
「抜き方が足らなかったんですよね。そうですよね。もうそんな気が起きないほど満足させてあげます」
 ベッドに飛び込んできた片桐は、すでに目が嫉妬で逝っていた。
 俺のズボンを魔法のようにひっぺはがし、俺の腰に抱きつこうとした。
 そこで中塚のインターセプト。突き飛ばされて、片桐はベッドを転がった。
「汚い手で私のものに触らないでっ!」
 ……たぶん中塚が言ってる私のものは、俺の節操がない肉棒のことだと思う。
 そして第?ラウンドのキャットファイトが開始される。
 先手、片桐。アイアンクロー。中塚のシャツが襟から思いっきり引っ張られてやぶけ、左胸のブラジャーが丸見えになった。
 後手、中塚。やっぱりアイアンクロー。恐るべき力で片桐のシャツが音を立てて破れ、ぼろ布になった。
 二人の顔はひっかき傷だらけ、髪の毛はばさばさで、ケンカでぼろぼろの雌猫二匹という有様だ。
「ふん、そのいやらしい胸で矢代くんを誘惑したくせに!」
 荒い息をつきながら、中塚が破れ目からのぞく片桐の胸を見据えて毒づく。
「黙りなさいよ、ひんにゅーメガネザル! 委員会にかこつけて誘惑しておいてよく言うわね!」
 こちらは片桐。アイアンクローをアイアンクローで迎撃して、二人は手を握り合いながら奇妙なダンスを踊っている。
「ホルスタイン! 恵まれない男子にミルクでもあげてきたらどう?」
「メガネブスメガネブスメガネブス」
 ……ふて寝もおちおち出来ない。
 女の金切り声と泣き声は、神経にさわった。怒鳴りたい気分になるが、原因が俺であるために出来なかった。
 仕方がないので片桐を背後から抱きかかえて、中塚から引きはがす。
「片桐、もうやめろって。悪いのは俺なんだから」
「どうしてですか! どうしてあんな女と!」
 片桐が涙を流して叫ぶ。俺は謝るが、片桐は興奮しきって聞いちゃくれなかった。
 中塚の眉がつり上がり始めるのを見て、またもや爆発しかけているのを察知する。
 猶予は残されていなかった。
 心の中でため息を盛大につく。しかし最低な事をやった報いであることは承知していた。
 心を決めた。最低な人間にふさわしい解決法だと思った。
534ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:11:35 ID:wwrZrU4o
 俺は、叫ぶ片桐の口を、己の唇で塞いだ。背後から伸ばしていた手で片桐の胸を揉む。
 片桐はうめきながら激しく暴れたが、俺は離さなかった。たぶん卑怯だとか騒いでいるのだろう。
 だがそれに構わずただ丁寧に優しく舌を愛撫し、胸の先端を柔らかくつまんで転がした。
 やがて片桐の体から力が抜けていく。
「片桐……いや、沙織。愛しているからさ、もう止めよう……な?」
 自分で言って自分の言葉に鳥肌が立った。どこの悪い男だと思ったが紛れもなく俺自身である。
 だが効果的ではあったようで片桐……じゃない、沙織の目からとげとげしい光が消え始める。
「愛してるよ、沙織。俺が悪いからさ」
 いつまでもこんな修羅場をやっているわけにもいかない。
 俺は、興奮した女をなだめる方法を、これしか知らない。
 となれば、その場しのぎの甘い事を言うのも仕方がないと覚悟した。実に最低な解決策だった。
 沙織をベッドに押し倒し抱きしめながら、さらに深いキスを交わす。涙を唇でぬぐってやり、愛してるとささやき続ける。
 どんと背中に衝撃が走った。
 振り向くと涙だらけで鼻水まで垂れた顔で、中塚が俺に張り付いていた。
「わ、私は? 私は嫌いなの? 私のこと、嫌になったの?」
 かわいそうに悲しみで震える声で、俺に尋ねる姿をみて、俺の心が盛大に痛む。
「そんなことないよ、里香。大好きだ。食べちゃいたいくらい愛している」
 腕を回して中塚……里香を沙織の隣に押し倒して、口づけをした。
 途端にすごい勢いで舌が入り込んで巻き付いてくる。涙を流しながら中塚は懸命に俺の口を吸った。
 サイテーサイテーと脳内で喚き続ける虫を振り払って、里香の唇をむさぼり体をまさぐる。
 落ち着かせようとぎゅっと中塚を抱きしめてやると、徐々に体から力が抜けた。
 突然頭が引っ張られた。怒りと涙をたたえた沙織の瞳が俺を射抜く。
 わかっているとばかりに激しく沙織の唇を吸い、ショーツの中に手を差し入れる。
 沙織の下半身はわずかしか濡れていなかった。
 だがどうすればいいかは、よく知っている。
 手のひらをクリトリスに押しつけて、ゆっくりと円を描くようにこすった。指は膣の入り口をゆっくりとなぞる。
 沙織の体が震え、膣から滴りがあふれ始める。
 肩が思いっきり引っ張られて、里香の体の上に落ちる。
 片手で沙織の愛撫を続けながら、口で里香のブラを引っ張ってずらし、はみ出た乳首に吸い付く。
 残った手を里香の股間に這わせ、クリトリスを挟んでこすると、里香の息が荒くなった。
 俺は里香の胸から顔を離し、沙織の胸に舌を這わした。
 やがて二人の股間から手を抜き、沙織の胸から顔を離して、俺はベッドの上に座った。
 二人がなぜ止めるという顔で俺を見る。
 俺は二人を助け起こして、ベッドに座った女達を両手にそれぞれを抱いた。
「ごめんよ、俺が選べなくて。でも二人とも大好きで選べないんだ」
 嬉しさと不満が、女達の顔にそれぞれ浮かんでは消える。
「嫌いだから別れようと言ったんじゃないんだ。どちらかを選んでどちらかを捨てるなんて、出来なかったんだ。
でもこんな争いを続けるなら、……別れるしかないよな?」
 女達の体がそれぞれに震える。
「わ、私は矢代くんとずっと居たいです。でもこの女が……」
「私は本当に好きだから。なのにこの子が……」
 二人は顔を見合わせると、また罵り合いをはじめようとする。
 俺は二人をさらに強く抱き寄せた。
「仲良くしろとは言わないから。ケンカはやめろってさ。ったく、女なのに顔にひっかき傷作って。普段はとても可愛いのにな」
 俺は二人の顔の傷を丁寧になめる。浮きかけた歯は、意志の力で押さえ込んだ。
 今ならホストクラブも勤まると思った。
535ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:12:23 ID:wwrZrU4o
「さあ、顔を寄せて」
 二人の肩を抱き寄せ、二人の唇を寄せて、同時にキスをする。
 舌で沙織と里香の唇を交互になぞった。
 女達は唇を閉じていた。三人でのキスに抵抗感があったのだろう。その気持ちは俺にも良くわかった。
 それでもあんなケンカを繰り返させるわけにもいかず、俺は辛抱強く丹念に彼女らの唇を愛した。
 最初に口を開けたのは里香だった。
 しぶしぶと開けたその開け方は納得いかないという思いが丸わかりだったが、それでも彼女は舌を絡ませ、俺の唾液を飲み込み始めた。
 俺は心からの笑みを彼女に見せて、肩の手を彼女の頭に載せた。
 感謝の思いを込めて彼女の頭を優しくなで、唇をついばむ。
 里香の顔に喜びが満ちて、俺の舌を吸う動きに積極性がでてきた。
 それで沙織も口を開けた。沙織は一旦口を開けると、もう積極的に俺の舌も里香の舌も構わずなめ回した。
 彼女が何を欲しがっているかは明らかだった。
 沙織の頭を抱き寄せ、なでくりながら彼女の舌をなめ回した。
 そうなると里香の迷いも消えて、二人はもう俺の舌も相手の女の舌も混ざり合った唾液も構わず吸って絡ませあった。
 十分ほどたつとさすがに舌が痺れてきて、顔を離すと唾液が三人の間で糸をひいた。
「ありがとうな」
 二人は互いの目線を決して合わさなかったが、頭をなでる俺の手を振り払うこともなかった。
 何より、やっと落ち着いて、俺の言葉が耳にはいるようになった。
 その様子を見て改めて、理屈が通用しないと思い知らされ、俺の心に苦いものが湧いた。
 二人と平等に手を切るというのが偽善や自己満足で男の身勝手だったことを刻みつけられた。
 手を出したのなら、嘘や欺瞞や不道徳を重ねても、彼女たちを最後まで面倒見なくてはいけないということらしい。
 人を傷つけて自分だけイイ子になる責任の取り方なんてお子様レベルのやり方だったわけだ。
 何のことはない、最低の男をずっとやっていくしかないわけだ。
 ご愁傷様、矢代くん、ハーレムはそんなに甘くない。
 そうならば、もうやることは一つしかない。目の前の二つの女体を好きなだけむさぼることだ。
 彼女らに突き入れ、柔肉を嬲って、快楽に浸らせて、ケンカをする気力も暇も奪うことだ。
 ふうと小さくため息をつく。迷いは消えた。
 手を伸ばしてそれぞれの女の乳房を掴んで寄せ、そのうまそうな二つの果実を二ついっぺんにほおばった。
「あん」
「はぁうん」
 二つの乳首を並べて舌でなめずって、交互に吸い付き、歯を立てて転がす。
 もう何も考えないようにして、ただ女達の美肉をむさぼった。
 なんだかんだいっても、俺はこの女達をかなり……いやとても好きらしい。
 それぞれの乳房を愛おしいと思った。そしてどっちも手放したくないと本気で思った。
 乳輪を舌でなぞり、乳首以外の滑らかな胸肉に鼻を埋めて臭いを嗅いだ。
 いつしか俺の頭は彼女らの胸に挟まれていた。俺を左右から抱いた彼女たちによって前も後ろも右も左もおっぱいになった。
 ……最低だけど、まあ、それはそれで悪くない。もともとそんなに俺は価値があった人間でもない。
 単純だが、俺はおっぱいで吹っ切れたらしい。
 手を伸ばしてもう二つの胸を掴む。四つのおっぱいを自分のものにするとなにか非常に満足感が沸いた。
 体を震わせる女達の反応に喜びながら、俺は白い胸肉をしゃぶり、吸って、歯を立てて、顔を埋め、やりたい放題やった。
 もちろん、女達からは文句は一切でなかった。
536ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:14:30 ID:wwrZrU4o


 吹っ切れたらやることは一つだった。
 胸への愛撫で軽く達していた沙織を押し倒し、そのまま正常位で突き入れた。
「矢代くぅん、矢代くぅん、ああぁぁぁぁぁぁ」
「ごめんよ。つらかったよな。悲しかったよな。もう別れるなんて言わないから。ずっと俺のものにするから」
 その言葉だけで、沙織の中が恐ろしい力で締まり、股間で液が数度噴いた。
 沙織は泣きながら何度も達し、その沙織に俺は奥の奥まで突き入れてた。
「くるのぉぉぉ、おおきぃのがぁぁぁぁぁ、ああああああああ、ああうううううううううぅぅぅぅぅぅ」
 痙攣のように体を不規則に震わせて何度も沙織は達した。
 股間はもうずぶ濡れになり、沙織の噴いた液が俺の膝まで垂れる。
 やがて体を突っ張らせたままとなり、数十秒後にベッドに倒れ込む。
「さ、おいで」
 それを見届けて、後ろを向く。
 飛び込んできたのはもちろん里香だ。
「私も、私もぅぅぅ」
「里香はまだ股間が痛いんだろ?」
 泣きそうになりながらすがりついてくる里香に俺は言った。
 昨夜彼女の処女を奪い、今朝まで気を使ったとはいえ、いろいろやった。
 今、無理して入れる意味はない。
「でもぉ」
 あの可愛い眼鏡越しの涙目で里香は俺を見上げる。
「昼間、かなり痛かっただろ? 我慢してたみたいだけど」
 里香が視線を泳がせる。里香が昼間ぎこちなく歩いてたりしてたのを俺は知っていた。
「明日からはちゃんと入れてあげるけど、今日はやめときな。その代わり、いっぱいなめたげるから」
 こっくりとうなづく里香の頭を俺は思わずなでくった。
 沙織から肉棒を抜いて、ベッドに寝転がる。……沙織はそのまま寝てしまったらしい。
「ほら」
 俺の言葉と共に里香がおそるおそる俺の頭をまたぐ。里香の顔が赤い。恥ずかしいらしい。
 それでも彼女の尻はゆっくりと降りてきた。少し赤くなった大陰唇が痛々しい。
 彼女は俺の下半身の方に向いているので、尻肉の盛り上がりがド迫力で俺の視界を塞ぐ。
 沙織に比べれば小ぶりなのだが、それでも里香の尻もまた新鮮な白桃のごとく食欲をそそるものがあった。
 その尻が視界いっぱいになり、口を濡れた性器が覆い、頬や額を柔らかな尻肉が気持ちよく押した。
 やることは難しくはない。ひたすら丁寧に、性器のヒダ一本一本に舌を泳がせ、クリトリスを唇で転がし、膣に鼻を埋めた。
 時々、舌を思いっきりとがらして、膣に差し込み入り口をぐるりとなめ回す。
 舐める度に震えていた里香が、すぐに俺の体の上に倒れ込んで、いきり立った肉棒を掴んだ。
537ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:15:19 ID:wwrZrU4o
「あうぅぅ、……やっぱり私もぉぉぉ、ほしぃぃぃ」
「今日はがまんがまん」
 そういうと、クリトリスを舌で押さえて転がした。
「あはぁぁぁ、だめぇぇぇぇぇぇ」
 ぶるぶると蠱惑的に震える尻に、追い打ちを掛けるべく指を膣に滑り込まして、優しく壁をこすった。
「くひぃぃぃ、あうぅぅ、はあんんん、ひゃぅあんん、いやぁぁぁぁ、指じゃいやぁぁぁぁぁ」
 突然里香の絶叫と共に尻が消え、股間の肉棒が根元まで肉に包まれる。
 みると、里香が俺のものを深々と根元までくわえ込んで、満足そうな表情を浮かべていた。
「はぁはぁ、私だけ……仲間外れ……いやなの」
 俺は少しあきれた。だが里香の真剣さにほほえましいものを感じもしていた。
 体を起こして対面座位になって里香をだきよせる。
「しょうがないなぁ。じゃあ、ゆっくり動くから」
 ほっとした顔でこっくりと里香が肯く。そんな彼女にキスを降らせながらささやいた。
「大丈夫だから。のけ者になんかしないから。里香も俺のものだから」
 里香も泣き始めて、涙を唇でぬぐいながらゆっくりと腰を動かす。
 肉棒を締め付けからみつく壁を、今日ばかりは突き通すのではなく、肉棒で細かくこすりつけるように出し入れをした。
 腰を打ち付けるのではなく、中を愛するような動き。絶頂を目指すのではない、ただつながるための挿入。
 里香は痛みの声をあげなかった。瞳が悦楽に溶け、かすかに開けられた口がかすかな喘ぎを漏らした。 
 彼女の痛みを少しでも散らしてやりたくて、首筋を攻める。
「ふわぁぅぅぅぅ」
 相変わらず反応が良く、中も締め付けてきた。  
 唇をごく軽くあてて首筋を往復し、舌先で鎖骨のラインや首の筋肉のラインをなぞる。
「だめぇぇぇぇぇ、よわいのぉぉぉぉ、そこはぁぁぁぁぁ、だめなのぉぉぉぉぉx」
 軽く吸いたてながら、時に舌を這わせ、時には歯を立てたりもする。そのたびごとに里香は震えて叫んだ。
 しかし限界を迎えたのは俺が先だった。首筋を攻めると実に気持ちよく肉棒を締め付けられたからだった。
 スピードを落とそうとしても腰の動きが激しくなり、彼女の奥が欲しくなった。
 射精を我慢しようと、さらに首筋を吸ったとき、ひときわ強く里香の膣が俺を絞って引き込んだ。
「ひぃぃぃうんんんんn」
 止める間もなく、精液が肉棒の中を駆け上り、彼女の中に止めどもなく噴出する。
「はぁぅぅぅぅ、わ、私の中でぇぇぇ、でてる、でてるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 不意に里香がのけぞってびくびくと不規則に震え、目から焦点を失って舌をだらりと垂らした。
 俺はそんな彼女をみながら体にしがみついて、ただ拍動と共に注ぎ込み続けた。
538ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:17:34 ID:wwrZrU4o

 やがて二人ともベッドに倒れ込んだ。
 寝ている沙織を空いた腕で抱き寄せると、寝ぼけながら沙織が腕の中に転がり込んで来た。
 もう女達は何も言わなかった。幸せそうに目をつぶり、腕を枕にして、顔を胸にこすりつけていた。
 大きさの違う胸が脇腹にしっかりと押しつけられ、滑らかな足がそれぞれ俺の足にからみつく。
 タオルケットを引っ張って、俺達の上にかける。
「二人とももう俺の女だもんね」
 それは、ふと嬉しくなってつぶやいた言葉だったが、彼女たちはうなずき、さらに俺にしがみついた。
 俺はそれぞれの女の腰を抱きながら、深い充足感の中で眠りに落ちた。


 ……というのが、体育祭の夜の話だ。
 それ以来、俺に自由はない。
 昼休みは目立たない中庭の一角で、彼女たちの弁当を食べさせられる。
 俺には箸もフォークもスプーンを与えられない。
 はい、あーんの声で口を開けさせられ、料理が口に放り込まれるのだ。もちろん二人交互に。
 しかも当然だが二人がいきなり仲良くなるはずもない。
 時にどちらかが相手の弁当をつまみ食いし、味に文句をつければ、もう片方も即座にやり返したりもする。
 こんな風に。
「ちょっと、これ、塩っ気効き過ぎでしょう? 矢代くんを高血圧で殺す気?」
「あなたは、野菜ばっかり、薄味ばっかりで矢代くんの好みを無視しすぎなんです。
健康ばかり追求して老人みたいなご飯をたべさせてどうするんです? そういうのって押しつけでしょう?」
「私は、将来の矢代くんのことを考えて言ってるのよ! あなたはそこまで考えてないでしょう?」
「あなたは何でも管理してやりすぎてうっとうしがられてぽいって捨てられちゃえばいいんです」
 とまあ、握った箸を突きつけあって、相も変わらずケンカ三昧だったりする。
 放っておくとまたつかみ合いを始めるので、切りが良いところで収める算段が必要になる。
 そう言うわけで俺は二人の背中から腕をまわして、大きさも柔らかさも違う胸をそれぞれ手に収め、柔らかく揉んだ。
「ひゃぁぁん」「ふわぁぁんん」
 音色の違う可愛い悲鳴の二重奏と、手応えが違う二種類の胸肉は、いつも俺をとても幸せにしてくれる。
 残念なことに、やりすぎると二人のエロスイッチを入れてしまうので、すぐに手をひっこめた。
「や、矢代くんっ!」「……」
 少し怒った顔の里香と顔を赤らめる沙織はみているだけで幸せだが、鼻を伸ばしすぎると馬鹿なので顔を引き締める。
「はいはい、ケンカはそこまで。里香が栄養を考えて、沙織が好みに合わせてくれてるんだから、バランスとれてるじゃん?
 その気持ちだけでうれしいよ」
 そういうとそれぞれの頬にキスをする。
「でも俺はまだ二人の弁当を食べたいんだけど? もう終わり?」
 その言葉で二人は気まずそうに、食事を再開してくれた。
 とても楽しいのだが、残念なことに一人でゆっくりと食べる気楽さは無く、時々その気楽さを懐かしんだりもする。
539ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:20:21 ID:wwrZrU4o
 放課後になれば、もっと自由はない。
 学校から駅までは、べたべたできないが、少し距離をたもった彼女らに囲まれて歩いているだけのこと。
 べたべた出来ない理由は簡単で、学校関係者の目の前で女の子二人といちゃついて歩くことが、高校生活においていかに致命傷になるかってだけのことだ。。
 その認識については、里香はもちろん沙織も理解してくれた。彼女らにだって学校生活はある。
 しかし電車に乗れば事情は異なり、車内では両脇を密着され、電車を降りたら完全解禁となる。
 改札をくぐれば、俺の自由は消失し、女達の不思議なレィディーズワンダーランドの時間が始まる。
 たいていは子供を守る母熊のごとき剣呑な光を目にたたえて、俺の右手を片桐が抱え込むことから始まる。
 彼女の抱えこみ方は、胸があたるとかそういうレベルを越えて、しがみつくとか押し当てるとかいう表現がふさわしい。
 反対に、中塚は、一見すると余裕の表情で俺の左手を抱く。
 だがもちろん、ヤヴァイ部分はしっかりと腕にあたり、抜け出すことが出来ないようにホールドはきっちりされていたりする。
「矢代くん、行きましょう」
「矢代くん、行こうか?」
 そしてこのように二人が同時に俺に声を掛けて、視線がたまたま交差すると、帯電した視線がかちあって火花を散らす……そんな幻覚を俺はいつもみる。
 もちろん彼女らはすぐにそっぽむき、俺を引きずって歩き出す。
 当然だが俺の意志は省みられない。……そういう選択肢はないらしい。
 そして俺はうきうきと弾むように歩く二人の女に引きずられながら、自宅へと帰って行くことになる。


 体育祭が終わってからは、毎日こんな状態が続いている。もちろん、今日も同じだ。
 家路に向かう途中でスーパーでの買い物が入るのは恒例行事だ。
 家につくと、もはや勝手知ったる何とやらで、女達は俺の鍵で玄関を開け、キッチンに向かう。
 ちなみに俺の家の鍵は既に2本複製された。スーパーマーケットで買い物している間に行われたのだ。
 女達が料理の下ごしらえをしている間に、俺は勉強の準備をする。
 せめて、勉強会を開くという体裁は必要だったし、やりまくって成績落とせば、俺達の非常識な関係が露見する危険もあった。
 さらに言えば、女二人を抱え込んだと言うことで、かなり真面目に人生設計を建てなければいけなくなったこともある。
 安易にサラリーマンや公務員という訳にはいかないのだ。
 二人の女と同時進行しながら、幸せを追求するという道は意外と険しい。
 女達の親に文句を言わせないぐらいの事はして見せなければいけないわけで、かつ俺達の関係が明るみになっても首にされない仕事を選ぶ必要がある。
 女達と付き合うまでは漠然としか意識していなかった学歴や就職が、急に具体性を帯びて立ちはだかるようになったのだ。
 ……皮肉にも後ろめたいことを貫徹するために、全力で真面目に優等生をしなければいけなくなったのだ。
 彼女らが下ごしらえが終われば、勉強に取りかかる。
 ここでは俺と里香が、沙織を教えるということになる。俺は勉強会での二人のケンカは絶対に許さなかった。
 沙織が里香に勉強の面で劣るのは仕方がないことだが、それを叩く材料に使えば沙織に反撃する手段はない。
 不毛でかつ怨恨だけが残るようなやりとりは許すわけにはいかず、最初の一回でやめさせた。
 そして沙織の成績を維持して、学校に真面目にやってることを示すことが目的だということをよく話し合った。
 そのあたりに関しては、里香は以前に比べ変化した。
 以前ならば言っても仕方がない正論をたてにもう少しぶつくさ言ったのだが、今は素直に納得して言うことを聞いてくれる。
 そして沙織も落ち込まずネガティブにならず頑張るようになった。
 俺自身も人に教えるということで、予想以上に効果的な復習になっていた。弱い部分が補強されていった感じだ。
 一人の時に比べて、今は地に足をつけた学生なりの家庭生活というものに変わったと俺は考えている。
540ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:22:34 ID:wwrZrU4o
 勉強が終われば、後は本当の意味での女達の時間となる。
 最近になって予算の関係から彼女たちなりの献立でのコンビネーションを取るようになってきた。
 もちろん、彼女たちの心がこもったできたての夕食で、俺が箸やスプーンを手に取ることはない。
 それこそ、彼女らは誰にはばかることなく、箸で口まで運んだり、口移しをしたり、つまみぐいしたり、けんかしたりとやりたい放題をする。
 それに付き合うのは俺の大切な役目であり、心温まる楽しい時間でもある。


 昨日までなら、この後はいちゃいちゃと入浴して、その後は夜のお楽しみ時間だった。
 だが今日は、一つの異変が起こった。
 食事中に、玄関の鍵が開けられたのである。
 扉が開く音が続き、誰かが入ってくる音とスーパーのビニール袋のようながさがさした音がした。
「親父?」
「まーくん、もうなんか食べ……、あれ、お友達が来てるの?」
 俺の問いかけに答えたのは、若い、だが未成年ではない、しっかりした女の声。
 軽い足音とともに、二十代半ばの女が一人顔をのぞかせる。
 紺のスーツ姿に、肩の上で切りそろえたストレートの髪とつり目がちな目が、有能なキャリアウーマンを思わせる。
 鼻はすっきりと通り、唇は薄めで、白い首筋が艶めかしい。
 スーツ姿の胸は見事な形で張り出していて、反面砂時計のように腰はよく絞られ、臀部は迫力がある大きさながら垂れていない。
 膝から見えるストッキングに包まれた足は、細く長い。
 そのキャリア美人に浮かんでいた笑顔が、俺達をみて瞬時に凍り付いた。
 ちょうど俺は、沙織と里香の二人同時に箸で料理を口に運んでもらっていたのだ。
「……雅史、説明しなさい」
「姉さん!」
 キッチンがあり得ないくらいに凍り付いていた。
 姉さんはこめかみに青筋を立て、俺は一番見つかりたくない人間に現場を直撃され、沙織と里香はただただ固まっていた。 

 修羅場が女達とだけだと思っていた俺は、間抜けだった。
 二股同時進行という悪行が身内に知られれば、身内との修羅場も当然起こるわけで。
 しかも姉は、俺にかまいたてるうっとおしい女だった。……俺はまだまだ甘かったのだ。

第4話End 
541ご愁傷様、矢代くん:2008/09/18(木) 03:24:12 ID:wwrZrU4o
投下終了。へい、ハーレム丼お待ち! 姉汁サービスしとくねぇ
まいどありっ!  ……腹減った。
542名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 03:25:37 ID:5CgN34gJ
ちくしょう!お姉ちゃんまでいるのかよ!
543名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 04:21:04 ID:ta07wvpB
>>541
( ^∀^)つGJ弁当

>>542
IDがGJwww
544名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 04:54:05 ID:YT/jREVH
GJ!なんだが・・矢代君性格捩れてきたなw
姉と親友の妹含めてまだまだ増えそうな悪寒
545名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 07:41:36 ID:8mSM56IL
ハーレム丼うめえ。GJ。
次は姉料理ですか、期待してます。
546名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 07:57:13 ID:cH+8BW0C
>>542 ご愁傷様と名前がついた時点で予想ついてたぜ!
547名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 11:47:57 ID:cZyx8p1A
GJ! 矢代はゆーくんクラスの逸材とみた

いいぞ、もっとやれwww
548名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 12:56:51 ID:wpkJHt06
何か只の修羅場やハーレムよりこういう関係がツボだ
GJにも程がある
果たして姉はどう出るのか、wktk
しかし、矢代くんの思考と行動には感動してしまう(色んな意味で)

>>544
もともと捩れてた性根が更に捩れて反ってマトモになった気がしないでもない
最初の矢代くんってかなり根暗だったしね
まぁ、自分に自信が無かっただけなんだろうけど
549名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 14:14:09 ID:EJKv/V3y
もうGJ以外の言葉が(ry
姉「あたし以外の女は許さない!
友妹「勉強以外も…教えてください……
うん、wktkしながら舞ってる
550名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 22:59:51 ID:1CmxsyhN
七戦姫まだか
551名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 23:51:37 ID:bIsZ8D4K
>>541
心を込めてこの言葉を送ろう。
G J !!
姉汁美味ぇ!もっとおかわり!!
552名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 06:36:13 ID:Knf/DGMU
ひっそり保守
553名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 18:43:01 ID:jNkmJe8b
ちょっと前まで荒れていたのに今は平和でいいね
カキコがない=皆全裸で作品を待っている状態ですね
554名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 19:56:31 ID:s0BgTVZR
だって、この状況じゃウナも暴れようがないんだもん。ここのところ良作続きで、ホント感謝してます。こんな雰囲気がいつまでも続くといいわね
555名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 22:21:02 ID:55W7SgOk
最近、蒼天の夢の人が来ないのは書きためてた分はもう投下してしまったのだろうか?
それとも、嫌がらせの為?
556名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 22:25:20 ID:55W7SgOk
↑恥ずい!日本語になってない、ふっわと読んで
557名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 22:32:28 ID:M5kfiHAV
冬の星空まだー?
あと、全部欲しいも気になってるわけだが
558名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 01:04:37 ID:ZKkSIvi1
これはうざい
559名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 07:05:57 ID:sXNmM0hs
おとなしく待とうぜ
560名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 10:32:32 ID:EbL6Z3z8
>>541
いい仕事してますね〜
今更ですがGJと言わせて下さい
561名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 21:41:04 ID:+hy9TrFh
>>541
今まで特に理由もなしにスルーしてたけど、今更ながらおもしろいな。


562名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 22:55:19 ID:4MmFwjt3
>>541俺もスルーしてたが書き込み見てると見たくなったから
1から読んだら






けしからんもっとやれ
563名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 00:20:48 ID:jrVxAqiC
修羅場に相応しい女はずうずうしい女だと神話の昔から決まっておるわぃ
564名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 03:52:45 ID:X5CmWqNi
ここって過疎の時とそうじゃない時の差が激しいね
565名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 06:09:23 ID:WjierIRL
おとなしく待つべし
566名無しさん@ピンキー:2008/09/25(木) 22:36:23 ID:07HuWCTQ
確かに差が激しいなw
567名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 00:55:47 ID:p/ZQFXSc
ふみゅう
568名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 05:18:27 ID:5gTHookF
ちくしょう俺に文才があれば・・・・
俺の妄想を文章にする力があれば・・・
569名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 05:36:49 ID:BAFF7U/V
>>568
文才文才といって何も手をつけないでいるのはただの言い訳なんだよ
けなすわけじゃないがとにかく短編でもいいからいちどきっちりかきあげてみるんだ
話はそこからだ
570名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 12:37:49 ID:ypRbBHeM
んで評論厨に荒らされるのがこのスレのテンプレ
571ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:07:32 ID:1IgLtLhG
>>568の妄想が文章になることを全裸で待ちながら投下
572ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:10:24 ID:1IgLtLhG
「で、その二人とはどういう関係?」
「恋人」
「……どっちが?」
「両方。どっちも、俺の愛しい女」
 それで、姉さんは爆発した。椅子を鳴らして起ち上がり、もともとつり目気味の目がもう三角になって、上品な口も怒鳴るために大きく開いた。
「いいかげんにして!」
 声は爆音+高周波で、正直つらい。両脇の沙織や里香も目を閉じて身をすくめている。姉さんと違ってこっちはかわいい。
 ダイニングでは、姉さんによる俺への審問が行われていた。不適切な関係についての釈明を聞くってやつだ。
 直接的な証拠を掴まれていないのなら、まだ言い逃れとかごまかしとかも考えてもよかった。
 けれども、こうも決定的な場面をみられると、言い訳をしようという気力がわかない。
「それは二股でしょう! 雅史は、二股掛けられる女の子の気持ちがわからないの?」
 そんな馬鹿ではない。道徳論がとおらない事態に陥っているだけだし、そこは俺が最近悩み抜いたところだ。
 結論はすでにでている。机にのりだして俺を睨みつける姉さんの目を、俺はいっさい視線をそらさず見返した。
「気持ちを考えたから、二人と付き合っている。独占させてあげられないつらさはわかるつもりだ。
だから、沙織と里香をできるだけ愛してやり、できるだけ悲しみを少なくするように努力している。
できているかどうかは、わからないところがあるけど」
 俺の言葉を聞いた二人がそっと俺の手を握ってくれた。
「馬鹿言わないで! そんなのは都合のいい言い訳よ!」
「じゃあ、どうしろと?」
「別れなさい! 二人に頭を下げて、……ううん、土下座して、謝りなさい! そして何を言われても耐えなさい。
雅史がやったことは、それだけ酷いことなんだから!」
 それも俺がすでに通ってきた道だった。
「で、別れて、誰が幸せになるの?」
「雅史っ! 二股を続けても、女としての幸せはないのよっ! 
別れれば、その子達をそれぞれ愛するふさわしい人が出てくるかも知れないのに、あなたはそれを邪魔しているの。わかる?」
 俺はここで初めて姉さんから視点を外し、二人を交互にみた。
「姉さんの言葉に一理はあるけどどうする? 里香や沙織を独占して愛する男が出てくるかもしれないのはその通り。
女の幸せに関しては、俺にはわからない。でもやっぱりこの関係に耐えられないって言うなら、それは仕方がないと思う。
相手に負けるみたいで悔しいとかそういうのを抜きにして、もう一度よく考えてみてくれ」
 そういうと俺は目を閉じて待った。姉さんも少し落ち着いて腰を椅子に下ろした。
 いずれ、明るみに出れば批判は来るし、第三者の目にさらされると保たない関係なら、今壊れるのも仕方がないと思う。
 良い夢を見ることが出来たと思った。俺には過ぎた夢だった。後悔はない。
573ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:12:55 ID:1IgLtLhG
「私は、矢代くんの側に居たいです。……ううん、矢代くんだけなんです、私を受け入れてくれたのは。
本当は矢代くんを私だけのものにしたいです。……中塚さんがいると腹が立って悲しいです。
……でも、矢代くんに捨てられるのは、……い……や……です……」
 沙織の語尾は泣き声で震えていた。体を震わせてしゃくり上げる沙織を俺は抱き寄せ、頭を優しく撫でる。
 俺を必要としてくれることへの心からの感謝の気持ちで、抱きしめた。
 キスして押し倒して入れながら抱きしめたくなったが、それは我慢した。
「お姉さんは、つらかったときに、誰にも理解されなかったときに、ただ一人側にいてくれて助けてくれた人をあきらめることができますか?」
 うつむいていた里香が、眼鏡を光らせながら、姉さんの目をみつめた。
「それに愛してくれる人がまた出てくるなんてどうして言えるんですか?」
「あのね、あなたは雅史に二股……」
「私が矢代くんを奪い返したくて、片桐さんと付き合っていた矢代くんを誘惑しました。片桐さんに奪われてそれっきりなんて絶対に嫌だったんです。
あきらめたくて、あきらめようとして、毎日泣いて、でも矢代くんは優しくて、そしてわかってくれるんです。
もう嫌なんです! あんな苦しいのは嫌です! 片桐さんは大っ嫌いだけどそれでも、それでも……」
 里香が絶句して、そして透明な滴だけが後から止めどもなく流れ落ちる。
 空いた手で、里香を引き寄せて、そっと涙をぬぐう。
 途方もなく自分が幸せ者だと気付かされて、同時に沙織と里香を支えなければいけない責任の重さも感じて、足が震えそうになった。
 一人、自分のことだけ考えて気ままに過ごした日々を、懐かしくさえ思った。
 かけがえのない愛を二つも手に入れた代わりに、自由も放埒も、たった今失われたのを知った。
 子供の日々が終わったのだと、手に入れた愛の重さが告げていた。
「な、何を……、あんたたちは何を言ってるの? ……そんな関係って……雅史!」
 呆然として震える姉さんは、俺をみて叫ぶ。でも、すでに俺を呼ぶその声にに力はない。
「姉さん、確かに俺は人に言えないような事をしている。モラルに反している。姉さんの言うとおりだと思う。
だけど、沙織も里香も俺を必要としてくれるから、応えてやりたいんだ。
モラルに反するからって切り捨てても沙織も里香も幸せにしないんだ。ほんとは二股なんて悪いことなのに、どうしてだろうね。
……ともかく、俺は自分が二股をかける最低の男って言われても、それを受け止めることにしたんだ。
自分が正しくあるよりも、沙織と里香が幸せな方が、たぶん、とても大事な事だから。
……ごめん、姉さん。心配をかける悪い弟でごめん。……ごめんなさい」
 涙を浮かべて目を見開く姉さんの姿に、頭を下げながら俺の心が痛んだ。
 誰かを幸せにしようとして、別の誰かを傷つけていくことが、何よりも悲しい。
 けど俺は全員を幸せにする方法を知らない。そんな力を持っていない。
 だから、せめて俺を好きになってくれた沙織と里香だけでも幸せにしてやりたい。
 もしかしたら俺達の未来が苦い結末に終わり、二人が俺から去り、俺は全てを失うかもしれない。
 でもそんな不確定な未来で、彼女達の今の思いを踏みにじる理由にすることはできない。
 姉さんはきっと俺を軽蔑し、嫌悪するだろう。だが、それは避けようの無い結果だ。
「ごめん、姉さん。……今までありがとう」
「どうして……どうして……」
 姉さんが泣いていた。力なく椅子に座りこんで、嗚咽を殺して、こぼれ落ちる涙を拭きもせず、静かに泣いていた。
「沙織、里香、行こう」
 放って置いていいのかと目で語りかける二人に俺はかぶりを振った。
 姉さんの信頼も愛情も裏切った最低の男が、これ以上舌を動かしたとしても、それは姉さんを傷つけるだけだと思ったのだ。
574ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:15:15 ID:1IgLtLhG

「泣いていたけどいいの?」
「言い訳をしても二股は二股だから。何を言っても姉さんを傷つけるだけだから」
 里香が俺の言葉を聞いて、顔をうなだれさせる。
 沙織はつないでいた手に少し力をいれた。
 自宅から駅までの夜道を俺達は歩いている。夜空は晴れ上がって輝く砂粒をばらまいたように満天に星がきらめいていた。
 涼風が俺達の間を吹き抜けていき、紙屑を転がしていった。
「でも……お姉さんも矢代くんをすごく愛してるんですね。すこし妬けます」
 沙織の言葉に、俺は複雑なものが心をよぎるのを感じた。
「愛してる……か。どうだかな。あの人は本当に俺を愛しているのかな?」
「何を言ってるの? 普通ならあんなに怒らないんだから!」
 俺の言葉に里香が少し怒ったような表情をした。
「きっと、姉さんは温かい家庭が欲しかっただけなんだよ。だけど血のつながらない父親への違和感がどうしても残って。
それでも母親に迷惑掛けたくなくて、だから、俺と仲良くすることでそれを埋めようと頑張って。
……それで昔の俺が無邪気に応えてしまったから、姉さんは俺の世話をすることが、姉さんの望みにすり替わったんだ。
いまでも俺の世話をして、姉さんが望む、昔の俺達の家が戻ってくると思ってる。……もう他人なのにな」
 心に浮かんだ言葉をふと垂れ流して、俺は周囲の沈黙に気付いた。
 沙織も里香も、驚いた目をしていた。
「なに? どうしたの?」
「ちょ、ちょっと待って! 血のつながらない?」
「もう他人ってどういうことです?」
「あっ! ……あ、いや、家庭の事情ということで」
「……おかしいとは思ってたんです。矢代くんの家、女物がありませんでした。女性が生活している気配が無いんです」
「それどころかいつ来ても誰もいないし、私、二週間ほど通って、初めてお姉さんにあった」
 普段はけんかしているくせにこういうとき、女は団結するらしい。
「私も初めてです。実はいろいろと聞きたいことがありました」
「うん、ちょっと嫌だけど、片桐さんに同感。というわけで」
 俺の肩に里香の手が掛けられる。沙織が腕を抱き込んだ。
「「詳しい話を聞かせてもらいましょうか?」」
 二チャンネルステレオ音声での命令に、俺が逆らえるはずもない。
575ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:18:37 ID:1IgLtLhG
 ファーストフード店のマークが印刷された紙コップに残ったコーヒーはわずかだった。
 店内では食欲の解消にいそしんだり、新聞や本を読んだり、雑談したりと思い思いに客が過ごしている。
「簡単に言えば、姉さんは義理の母の連れ子。俺は親父の連れ子。そして、義理の母と親父はすでに五年ほど前に離婚ずみ」
 俺の前に沙織と里香が珍しく並んで座り、ジュースを飲んでいる。
 俺の家庭事情に興味津々というわけなのだが、俺は長々とした自分語りに酔うつもりはなかった。
 不幸といえるかも知れないが、悪いことばかりだったわけじゃないからだ。
「あ、あの、変なこと聞いちゃって、ごめんなさい」
「……私は謝らないから。私は矢代くんの事を知りたいし、知るべきだと思う。
矢代くんは弱みを見せたくないって思って、すぐに人の間に壁をつくろうとするけど、もうこんな関係になったんだから、そういうの私許さない」
 頭を下げた沙織が傲然と胸をはる里香を驚きの目で見上げた。だがその里香の顔もすこしばつの悪そうな色が漂っている。
 俺は肩をすくめた。
「いいさ。里香の言うことは正しい。……沙織も、もう謝らなくていい」
「じゃ、突っ込んで聞くけど、実のお母さんは?」
「……四年前の夏休みの時は、ヤクザみたいなヒモの女をしていた」
 二人の女の顔が凍り付く。特に尋ねた里香は、顔面を蒼白にしていた。
「気にするなよ。ナイーブな中学生が、親の離婚を契機に本当の母親のことが気になって、訪ねてみたらそうだったってだけのことだから。
それ以上は知らないよ。良かったら次の質問どうぞ?」
 動揺はない。昔の話だし、真実というものが残酷過ぎて小気味良いので、割り切りやすかったというのもある。
 子供を捨てた母親に幻想をみた俺が間抜けなだけという話だ。
「……その」
「謝るのはなし。里香と沙織が俺の家庭事情を知ることのどこが悪い?」
 顔を曇らせて頭を下げかける里香を制止する。善意なのだろうけど謝られると惨めな気分になる。
「……義理のお母さんと矢代くんのお父さんが離婚になったのはどうしてですか?」
 勇気を出して訊いてみましたって顔をして、沙織が尋ねた。
「義理の母に好きな男が出来たから。義理の母は、前の旦那とよりが戻っちゃったんだよ。
 よりが戻りかけても一旦は別れるとかなんとかしたんだけど、結局完全に戻っちゃって、離婚した」
 二人の顔がますます重くなる。 
 これだから身の上話はいやだった。俺は残ったコーヒーを飲み干した。
「ああ、もう。そんな変な顔するなって。俺のお袋達の話はもういいよな?
 聞きたいのは姉さんのことだろ? ついでに親父のことも話しておこうか?」
 二人は顔を見合わせ、やがて戸惑ったようにうなづく。
「じゃ、親父のことから。親父は今年の初めくらいから三十代のバツ一女性にはまってて、そっちの家に泊まり込んでる。
少し前に紹介されたから、俺が高校卒業したら結婚するんじゃないかな?」
 女達の応えはない。その後悔と罪悪感に満ちた顔を見て、舌打ちしたい気分になったが、こらえて話をすすめる。
「で、姉さんだけど、さっきも言ったとおり、義理の母の連れ子だから、血のつながりがなくて離婚したら他人なわけ。
だけど、姉さん的には親父と義理の母にもう一度再婚してほしいらしいんだ」
576ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:20:37 ID:1IgLtLhG
「それって!」
「無茶だろ? ただ、あの人……ああ、ごめん。義理の母ね。あの人は前の旦那とよりをもどしたらさっそくそいつにに殴られて酷い目にあったんだってさ。
たぶんあの人は根っからのDVマゾ体質の女なんだよ。殴られないと愛されている実感が湧かない人なんじゃないかな?
あばらと鼻を折られて離婚したのに、再婚した俺の親父が殴らなかったから、愛されているかどうか不安になったらしい。
それで、よりが戻ったらまた殴られて、ついには腰の骨折って入院だってさ。もうどうしようもないよ。
けれども姉さんにとっては、自分の母親だからなんとかなって欲しいって思うんだろうね。時々俺の親父にもう一度やり直せないかって言ってる」
「そんなの最低の女です……あっ、その……」
 沙織の顔が嫌悪に歪み、非難したのが俺の義理の母であることに気付き、あわてた。
「いや、その気持ちはわかるよ。ただ、やり直したいって思ってるのは姉さんで、昔家族だった時の俺達の温かい関係を取り戻したいらしい。
だからたまに俺の家に来て、俺や親父のために飯を作ってさ、また家族になりたい、あの人とやり直せないかって訊くんだ。
親父は大人だからさ、姉さんの気持ちを察してはぐらかして答えないんだけどさ、答えないから姉さんは、まだ希望を持ってる」
 二人は、もう一言も発しなかった。
 俺は涙を浮かべていた姉さんの顔を思い出す。ちくちくと刺す胸の痛みは平気な顔を取り繕って耐えた。
「だから、姉さんは、もう他人なのに、昔のように俺の姉さんで居たいんだ。壊れてしまったものなのに、それでもとりもどしたいんだよ。
でも姉さんはさ、不倫で狂ってたあの人と俺達の間で板挟みになりながら、必死で頑張って俺を愛してくれた人なんだ。
だからそう言う人をむげにはできないんだけど、……それでも沙織や里香を悲しませてまで、姉弟ごっこする必要はないよ。
悪いけど、姉さんには本当に悪いけど、俺にはどうすることもできない。きっと今がそんな空しい夢を終わらせるしおどきなんだと思う」
 重たい空気を吹き飛ばしたくて、俺は大きくため息をついた。
「ふぅぅ、さ、つまんない話はこれでおしまい! これ以上遅くなったら怒られるだろ? もう帰らなきゃ」
 起ち上がった俺を四つの瞳が、冴えない色で見上げる。俺は彼女らの手を引いて起ち上がらせた。
「もう終わったことなんだ。今、そんな顔をして悩んでもとりかえしはつかない。
それに、俺達だって偉そうな事は言えない。俺のやってることは、親父を裏切ったあの人とあまり変わらないから」
 その言葉で二人の顔に緊張が戻った。
「だから、俺は沙織や里香をできるだけ幸せにするしかない。
いや、俺が沙織や里香と一緒に幸せになって、姉さんなんかいらないって事を見せつけてやらなきゃいけないんだ。
そうやって姉さんを俺と過去とあの人から解放してやって、姉さんがいい人を捜すようにしむけなきゃ。
それが、俺の姉さんに対する最後の恩返しだよ。……さあ、帰ろうぜ」
 そうして二人の手をひいて店を出たとき、俺はしゃくり上げる声を聞いた。
 振り返ると、二人ともこぼれ落ちる涙を手でふきつつ泣いていた。
「な、なんで泣くわけ?」
 彼女たちは答えなかった。だから俺は二人を引き寄せた。
「大丈夫だよ。口で語れば酷いことばかりに聞こえるけど、楽しいこともいっぱいあったんだ。
 二人が思うほど酷くて悲しいもんじゃないよ。ただ、ちょっと関係が複雑なだけでさ」
 だが彼女たちは泣きやまない。
 泣いているのは彼女たちなのに、なぜか俺の心が解放感と温かさに包まれていた。
 よくわからなかった。よくわからなかったけど、見上げた空に優しく星が瞬いていた。
 この時のことを、俺はずっと後になっても克明に思い出すことが出来た。
577ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:23:12 ID:1IgLtLhG

 二人を送って家に帰ると、電灯は全て消えていた。
 姉さんは帰ったのかと思いながら、電灯をつけて俺は息が詰まるほど驚くことになった。
 ダイニングの暗闇の中で、姉さんがじっと座っていたのだ。
「姉さん! ど、どうしたんだよ?」
 その言葉で目を泣きはらした姉さんが顔をあげる。それを見て、俺の胸が潰れそうに痛んだ。
「……まーくん、……ご飯食べるよね?」
 見ると、テーブルには料理が並んでいる。……沙織と里香が作ったものではないが。
「……う、うん。食べるよ」
 俺に選択肢があるはずもない。
 いそいそと立ち上がってご飯を盛りつけ始める姉さんの目を盗んで俺はゴミ箱をのぞく。
 ……俺が食べさせてもらっていた料理は無惨な姿でそこにあった。
 ため息をついて、俺は見なかったことにした。


「はい、あーん」
 そりゃ、ここんとこ毎日こうだったし、楽しんでもいた。だが、
「姉さん、……頼むから箸をよこして下さい」
 頭を抱える俺のすぐ横で、姉さんが箸で料理をつまんで、俺の口に運ぼうとしていた。
 米飯を茶碗に盛って、お茶を入れると、姉さんは俺の左にわざわざ椅子を寄せ、密着して座ったのだ。
 箸が用意されていなかったから、はじめっからそのつもりだったのだ。
 泣きはらした目も、今現在はなぜかきらきらと喜びに輝いていたりする。
「あの子達にさせて、私じゃ駄目なの? 昔は私が食べさせてあげたのに」
「昔って俺が二歳や三歳の頃じゃないですかっ!」
 抗議をするが、姉さんはがんとして動かなかった。
 俺には姉さんの考えがさっぱりわからなかった。
 ……俺の周りの女ってどうしてこういうのが多いのだろうかと思った。
「はい、あーん」 
「姉さん!」
「……そうなんだ。あの子達の料理は食べられても、私のじゃ駄目なんだ」
 見る見るうちに姉さんがしおたれて、うつむいた姉さんの顔から左手の皿に、涙とおぼしきしずくがしたたり落ちはじめる。
「わ、わかりました。わかりましたってば! 食べますから!」
 だが姉さんは顔を上げない。
「ごめんなさい、姉さん。どうか俺に食べさせて下さい。お願いしますから」
「そう? もうまーくんってば、甘えたさんなんだから」
 ぱっとあげた顔には満面の笑みが浮かんでいて、涙は一滴も見あたらない。
 頭を殴られるような衝撃と共に「また、やられた」という感慨が通り過ぎた。
 小さい頃からこの手を何度食ったことか。俺も大概進歩がなかった。
 だが姉さんは俺に反撃の隙を与えず、料理がつままれた箸を俺の口に突き出した。
 観念して口を開け、入れられたものを咀嚼して飲み込んだ。
「はい、あーん」
 姉さんは何か知らないけどやる気だった。
578ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:27:35 ID:1IgLtLhG
 姉さんに飯を食べさせられた後、風呂に入り、俺は自室にひきあげた。
 姉さんはこの家に泊まるときは、昔の姉さんの部屋を使っている。どうせ親子二人には広すぎる家なのだ。
 いろいろと精神的に疲れたが、問題集はやっておくべきだったので済ませる。
 切りの良いところまで進めると、時間は寝る時間になっていた。
 スタンドの蛍光灯を消し、小さくのびをする。
 机から起ち上がって、明日の授業の準備を行い、手帳を見てやり忘れた課題がないかどうかを確かめる。
 見落としはなく、必要なものを鞄に詰め、明日着ていくワイシャツと制服を取り出して壁に掛けた。
 そのまま部屋の電灯を消して、ベッドに転がり込み、やけにベッドが温かい事に気付く。
 手を伸ばして探ると、柔らかく温かいものが触れた。
「姉さん! いつのまに!」
 ふとんを剥ぐと、過激なほどセクシーなナイトウェアを来た姉さんが微笑んでいた。
「勉強ご苦労様。集中してたから邪魔しないようにそっと入ったの。さあ、一緒に寝ましょう? いらっしゃい」
 ぽんぽんと自分の隣を軽く叩いて姉さんが俺を誘った。もちろん、いけるわけがない。
「姉さん、俺はもう子供じゃないんだから」
「まだまだ子供よ。私はまーくんのおむつを替えてあげて、ご飯食べさせてあげて、おっぱいも吸わせてあげたのよ?」
「姉さん!」
「三歳の時、ママのおっぱい欲しいって泣いて、母さんのところに行ったけど、嫌がられて私のところに来たでしょう?
そのくせ、私のオッパイがぺったんこだって泣かれて、私まで涙が出ちゃったんだから。私、小学校の四年生だったのに」
 こうなると俺に反撃の手段はない。
「いや、あのね」
「その後、私の胸が大きくなったら、まーくんは小学校に入っても、オッパイ吸いたいって来たわよね?」
「そ、そんなこともあったようななかったような……」
「おねえちゃん大好き、おねえちゃんのおっぱいも大好きって、妙な歌を作って歌ってたわねぇ」
 恥ずかしさに身もだえしたくなったが、かろうじて耐えた。
 これだから姉さんには勝てない。
「あのかわいい子達に、この話したら、喜んでくれるかしらぁ?」
「よ、喜んで添い寝をさせていただきます、お姉様」
 俺はいそいそとベッドに潜り込んだ。
 ……だから俺は言った。俺の人生はそんなに酷いことばかりじゃないと。恥ずかしいこともそれなりにあるわけで。
579ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:29:50 ID:1IgLtLhG
 俺がベッドに潜り込むと、姉さんは昔話を始めた。幸せだった頃の話だ。
 ディズニーランドに行ったときの話や、温泉旅行の話。初詣に、クリスマス。
 本当にそう悪いことばかりじゃなかった。あの人がおかしくなるまでは、俺達はほんとうの家族だった。
 過ぎ去った日々の懐かしい記憶。それをつかのま、俺達は共有していた。
 温かい気持ちに浸っていると、不意に姉さんが言った。
「……ねぇ、まーくん」
「ん?」
「姉さんのおっぱい、吸ってみない? なんかおっぱい吸われるの、懐かしくなったのよ」 
「いいっ? ちょ、ちょっと?」
「まーくん、驚きすぎ。やらしいこと考えたでしょう?」
 驚く俺に姉さんはちょっと意地悪な笑みを浮かべた。
「あのねぇ、俺の年を考えてくれよ」
「ごめんね。でもなんか、まーくんに吸って欲しい気分なの。いいでしょ?」
「うーーー」
 だが俺がうなっている間に、姉さんはいそいそとナイトウェアの胸元を開けていた。
 暗闇の中ででっかくて真っ白い柔らかな乳房がさらけ出された。
「さぁ、ほら」
 迷っていると頭を抱えられて、乳房に押しつけられる。
 正直、始末に困るおっぱいだった。
 一人前の男が乳首を吸うだけで満足する訳はない。
 だからといって、義理とはいえ姉である人の胸を愛撫するわけにもいかない。
「どうしたの?」
「いや、あのね」
「もう、早くぅ」
 さらに胸が押しつけられて、鼻も口も白く柔らかな甘い匂いのする肉に覆われる。
 仕方なく、おためごかしに乳首に口をつけた。先端をほんのすこしだけ唇ではさむ。
 上目遣いでのぞくと、姉さんの目が満足そうな三日月の形になっていた。
「そうそう。まーくんは私のおっぱいを吸ってればいいの」
 頭を抱え込まれ、形だけくわえた乳首が根元まで口の中に滑り込んできた。 
 足が俺の足に絡みつき、姉さんの股間が俺の太腿に当たり始める。
 なぜか、口の中で乳首が太さと硬さをましつつあった。
 二人の静かな息づかいだけが部屋に流れる静かな時間が過ぎた後、ぽつりと姉さんがもらした。
「ねぇ、まーくん。もう他の女の子のおっぱいについて行っちゃだめよ?」
 姉さんは相変わらず穏やかに笑っていた。
 俺は口から乳首を離した。
「……俺、別れないよ。沙織も里香も、大切な女だから」
 胸が再び強く押しつけられる。だが俺はもう口を開けなかった。
「姉さんこそ、俺とこんな事をしてちゃいけないよ。……姉さんはそろそろ自分の幸せを考えなきゃ」
 俺を胸に押しつける力は弱まらない。
「……姉さんは楽しかった過去に囚われすぎだよ。俺だってもう昔の俺じゃない。
俺はあいつらのことを愛してる。だから、もう姉さんとこんな事はしない。
姉さんも好きな人に抱かれて、その人に愛してもらわなきゃ駄目だ。
姉さんは美人だから、きっと恋人なんてすぐに出来るんだから。その気になれば結婚だって……」
580ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:31:59 ID:1IgLtLhG
 胸から顔をもぎ離し、体を起こして俺は姉さんを見据えた。
 ……そしてゆっくりと起きあがった姉さんの顔が怒りと悲しみの入り交じったものへと歪むのを目撃して、俺は絶句した。
「何が恋人よ! 何が結婚よ! 自分の妻を殴って大怪我させて刑務所に行くような父親と、そんな夫にいまだに未練たっぷりにくっつく母親。
そんな両親を持つ女に幸せが来るって思ってるの? 本気で思ってるの? 
どこに私を愛してくれる人がいるの? 犯罪者の父に頭のおかしい母の娘なんて、誰が受け入れてくれるのよっ!」
 手で顔が覆われ、心がねじ切れるような悲痛な嗚咽が漏れ始める。
 俺は言葉をなくして、ただ呆然と泣く姉さんを見つめた。
「姉さん……」
「私はまーくんと居るときだけが幸せだったのに! なのに、それも奪われちゃうの! 私は幸せになっちゃいけないの!」
「姉さん! そんなことないから! 姉さんを好きになる人は絶対にいるから!」
「じゃあ、まーくんが私を好きになってよ! 私をまーくんの恋人にしてよ!」
 俺にすがりつき泣き叫んで睨む姉さんに、俺は再度絶句する。   
 頭の血が下がってくるような自失感に襲われて、すがりつく姉さんによってベッドに押し倒された。
「姉さん……」
「まーくんが悪いんだよ。私はまーくんともっと一緒にいようって頑張ってたのに、まーくんが他の女の子に手を出すから」
 そんなことを言いながらすがりついてきた姉さんが、俺のパジャマのズボンをパンツごと引き下ろす。
 気を取り直したときには、姉さんは俺の肉棒を握っていた。
「ね、姉さん! やめろって!」
 答は肉棒を強く握る手の動きだった。俺は痛みで何も言えなくなる。
「これ、私のものなのに」
 強く握られたまま肉棒が強引に引きずり出される。
 手が離れたと思ったら、俺の肉棒は全部、姉さんにくわえられていた。
 ためらいどころか、至福の表情すら浮かべて、姉さんは口で俺の肉棒を嬲った。
 手は片手で俺の袋を握り、片手で俺の太腿を握っている。
 舌が肉棒に巻き付き、先端を這いずった。その動きは奉仕でも愛撫でもなく捕食だった。
 舌の一つ一つの動きが、俺をむさぼっていた。
 固く張り詰めてきた幹をなめ回すのは、俺を快感に追い落とすためではない。その肉棒に姉さんの匂いがついた唾液をたっぷりすり込むためだろう。
 先端をなめ回すのは、きっと肉棒が快感に震える姿が楽しいからだ。
 尿道口の奥まで舌を入れるのは、俺を犯して、精液をすするために違いない。
 腰が浮き、目の前に何度も星が散って、姉さんの頭を押しのけるために伸ばしたはずの手が逆に姉さんの頭を押さえていた。
「駄目だっ! 姉さんっ、くぅぅぁぁぁぁぁぁああ」
 爆発してしぶくような勢いで、精液がほとばしり出る。腰から力が抜けて目にかすみがかかる中、姉さんは笑顔すら浮かべて精液を飲み下している。
 それどころか、放出の拍動が終わったばかりの肉棒が、再度吸われた。
 残っていた精液が吸い出される快感で、萎えかかっていた肉棒が硬度を取り戻し、俺は際限なく吸われそうな不安に襲われた。
581ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:36:25 ID:1IgLtLhG
 ようやく肉棒から口を離した姉さんが、俺を吸い尽くすような肉食獣の雌の笑いを浮かべた。
「なんだかんだ言って、まーくんはおちんちん吸ってあげれば素直になるのよね。でもこんなもので終わりじゃないわよ?」
 姉さんが上体を起こし、ナイトウェアを見せつけるように脱ぎ捨て、両方とも全てが露わになった大きく柔らかそうな胸を誘うように揺らす。
「まーくんはおっぱい大好きだよね?」
 そういうと姉さんはくすくすと笑った。
「だからまーくんのおちんちんを胸で包んであげる。胸の中に埋めてこすって、先っぽを思いっきり吸って舐めてあげる」
 そういいながら姉さんが自らの手で、胸を寄せ揉み潰し、乳首を舌で舐めあげる。
 そして胸の肉を左右にかき分け、深く広い谷間が出来た胸を俺の股間に降ろした。
 挟まれるだけで、気が狂いそうになった。姉さんの胸肉が俺の肉棒にいやらしくからみついたからだった。
 だが姉さんはその肉で先端をこすりあげ、肉の中に埋め込んだ。そそり立った乳首で尿道口をこすりまわった。
 なすすべなく快感が押し寄せ、腰は震えるばかりで力が入らなくなった。
 俺は女のように声をあげて喘ぎ、姉さんに支配されていった。
 突然全部が姉さんの胸肉に埋まっていたはずの肉棒の先端だけが、外気にさらされた。
 淫らな双乳の白い肉が俺の肉棒に巻き付きはさみこんいる中で、先端だけが外に飛び出ている。
 その上で姉さんが舌なめずりをして笑っていた。
 何をするのかがわかってしまい、俺は怖くなるような快感を予感し、呆けた。
 いかなる予告もなくずるりと先端を舌が這った。快感が脳髄を打ちのめして俺はなすすべもなくのけぞる。目の奥で火花が散った。  
 ぬるりと舌が先端を這い回ると目もくらむような刺激に打ちのめされ、自分の顔を覆って体を震わせるしか出来なくなった。
 胸肉が肉棒を絡め取るように動くと同時に、先端を乳首がこすりまわり、肉棒の尿道口に姉さんの舌が突き刺さってほじられる。
 出たのが生命力そのものかと錯覚を起こすほど、精液は盛大に噴出し、体が痺れて力が抜けベッドに倒れ込んだ。
 俺が無様に口を開け、喘ぐように息をしていると、またもや肉棒は姉さんに残った精液をすすられる。
 俺の意志と全く無関係に射精したばかりの肉棒が再びそそり立ち、白濁液を唇につけた姉さんが満足そうに笑った。
「まーくんのおちんちんは、私のおっぱいが大好きになったみただけど、……ふふ、こっちも味わって欲しいな」
 大の字になって脱力している俺の腰のところで姉さんが膝立ちになって、俺の腰をまたいだ。
 痺れる頭の中でやばいという予感が走る。
 姉さんの内股が濡れ光って、暗くなった外のわずかな明かりを照り返していた。
 騎乗位になった姉さんの濡れた太腿と黒い翳りが降ろされ、肉棒と接触した。
 先端が叫び声を漏らしそうなほど柔らかなものに飲み込まれ、からみつかれた。 
 沙織とも里香とも違うしなやかさと柔らかさに満ちた姉さんの膣は、先端を飲み込んだだけにも関わらず、俺を奥に引きずり込もうとうごめいた。
 肉棒から走るしびれで、続けていた荒い息が止まる。
 姉さんは、いささかもためらわなかった。避妊も、姉弟として暮らしてきた今までも、全く省みた様子はなかった。
 その顔にあったのは俺を中に収める喜びと自らの体に酔わせる征服感だけ。
 姉さんのからみつくヒダとそれによるしびれが、肉棒を根元まで飲み込み、俺の腰を滑らかな内股がはさんだ。
「んふ、根元まで入った。……もう出したいって顔ね。……いいわよ? まーくんが私のものになるっていうならね」
 姉さんが、ゆっくりと腰を動かすと、からみついたヒダが肉棒を嬲った。
 歯を噛みしめて射精感をこらえる。途端にぴたりと姉さんの腰が止まった
「まーくん、さぁ、私だけのものになるって言いなさい。素直になったら、ここに好きなだけ、出していいのよ」
 姉さんが自分の下腹部をそっとおさえた。
「私だけのものになったら、私のおなかをまーくんので、いっぱいにしていいのよ?」
 快感が去りかけるところで、姉さんがまた腰を動かす。姉さんの中の小さなぶつぶつが肉棒の先端をこすり、思わず腰をつきあげる。
「はああん! ……はぁ、はぁ、だめよ、まーくん。ちゃんと私のものになるって言ってくれなきゃ」
 姉さんが震えながらのけぞったが、すぐに俺の腰を押さえつけた。
 根元に貯まった精液が気の狂いそうなほどのもどかしさを感じさせる。
582ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:37:16 ID:1IgLtLhG
 必死に我慢する俺の顔を見て、姉さんがほくそ笑んで、また腰をゆらめかした。
「そんなに我慢しないで……。あの子達と別れて。私と二人で、また家族になろうね?」
 そういうと姉さんが上体を倒し、豊かな胸を俺の胸でおしつぶした。
 屹立した乳首が犯すように心地よく食い込み、軟らかな肉が抱くように俺の胸板を覆って張り付いた。
 俺の腰を自らの腰で押さえつけながら、姉さんが唇を寄せて、俺の口をむさぼる。
 また姉さんが腰を動かすと、俺の腰から背中に快感が走った。
「そうよ、義父さんが母さんと再婚しなくても、私とまーくんが結ばれれば、また家族になれるの」
 ゆっくりと嬲る意図で動かされる腰によって、姉さんの中が俺の先端から根元まで舐めるように絞るようにからみついた。
「まーくんはね、私にどくどくだして、私のことだけ考えてればいいの」
 先端をまたざらつく内壁がこすり、気の狂いそうな射精感に襲われる。だが腰の動きが止まり、射精には至らない。
「だめよ。そんなにおちんちんをびくびくさせても駄目。……あの娘達を忘れるって言って。私だけのものになるって言って」
 耳元で吐息と共にささやかれるだけで快感が満ちた。耳の穴に舌が差し込まれ、それだけで爆発しそうになった。
「さあ、もうあの娘達を忘れなさい。私がずっと包んであげる。……私の中に帰ってきなさい、大好きなまーくん」
 ふと、脳裏に寂しそうな沙織の顔が浮かんだ。泣き顔の里香も浮かぶ。
 舌を出して喘ぐような息しか出来ず、下半身はしびれ続けていた。動かせば出てしまいそうだった。
 でも姉さんも大好きだった。胸も尻も顔も背中も太腿も腕も髪も好きだった。あこがれていた。
 精液が循環する脳みその片隅で、節操のない最低な男と罵る声がした。
 そして悪魔がささやいた。どうせ最低なんだから、この女もいただいてしまえと。
583ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:39:39 ID:1IgLtLhG
 手を伸ばして腰をつかんだ。すべすべでしっとりした肌が手に吸い付いた。極上の肌だった。
 歯を折れそうな程噛みしめる。射精する前にやることがあった。
「姉さん……」
 俺の声で姉さんが至福の表情となった。
「別れないよ」
 姉さんの顔は変わらなかった。きっと言ったことを理解できなかったと思う。
 姉さんの子宮を目指して、俺は下からつきあげた。からみつく中をこすりあげながら、子宮を犯そうとして突き入れた。
「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
 陰部から尿と間違えそうなほどの量の愛液がしぶいた。上々の反応だった。
 うねりからみつくヒダを引きはがしながら半ばまで抜き、もう一度奥の奥まで押し入った。
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
 背骨が折れそうなほど姉さんが反り返った。
 力が入らない手足を動かして、なんとか体を入れ替え、姉さんを組み敷く。
 柔らかそうなくせに、形を保って揺れる乳房は絶景だったが、快感に体を小刻みに震わせる姉さんはもっと絶景だった。
 こんな素晴らしいものは犯さないと損だった。
 俺は上体を起こして、肉棒を全部抜いた。
「ぬ、抜いちゃだめぇぇぇ」
「わかってるよ、大好きな姉さん」
 語尾にハートマークさえつけて、子宮の入り口まで突き下げた。そのまま何度も突いた
「あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、あああ、はぁぁぁぁ、うぅぅぅぅぅ、うあん、ひぃぅんん」
「でも、沙織や里香とは別れないよ」
 別れないけど姉さんはたっぷり犯すつもりで突きまくった。
「いやぁぁぁぁ、だめぇぇぇぇぇ、そんなのぉぉぉぉぉ、ひどぉぉぉぉぉぉぃぃぃ」
 姉さんは快感に浸りながらも首をふって抗議をした。当たり前だった。ちなみに胸も揺れてやっぱり絶景だった。
 けれども、大好きな姉さんにここまで誘惑されて告白までされたら、もう姉さんを手放すつもりはなかった。
 うん、我ながら、最低だった。もう笑うしか……いや犯すしかなかった。
「大丈夫。姉さんも俺のものだから。愛してるから。大好きだから。姉さん!」
 刹那、快感に追い立てられていた姉さんが目を見開いて、信じられないって顔をした。
 姉さんの中がきゅっと俺を食いしめる。
 ほんとだよって答えたくて、姉さんの中を入り口から奥まで丁寧に何回も肉棒でこすってあげた。
「ああああああああ、そんなのってぇぇぇぇぇぇぇ、そんなのってぇぇぇぇぇぇ、ずるぃぃぃぃぃぃぃぃ」
 でも姉さんは体のほうが正直で、体の方は、口とは違って潮をふいてびちゃびちゃになって喜んでいた。
「姉さんの体は、喜んで俺を締め付けてるよ?」
 せり上がる精液を押さえ込みたくて、姉さんのあちこちを突きまくった。もっと精液がせり上がってきた。
 姉さんの体も震え続けて何度も反り返って、手がシーツを必死に握りしめていた。
「ちがうのぉぉぉぉぉ、そんなのぉぉぉぉぉぉぉ、ちがうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「そう? ごめん。じゃ、やめるよ」
 もどかしさに頭がしびれていたが、歯を食いしばって、腰を止めた。そして姉さんの腰も渾身の力で押さえつける。
「いやぁぁぁぁぁぁ、とめないでぇぇぇぇぇぇぇ、うごいてぇぇぇぇぇぇぇ」
 じたばたと姉さんがあばれた。かわいそうで最後までいかせてあげたかった。
 だけどやることがあった。
584ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:40:21 ID:1IgLtLhG
「俺は沙織や里香と別れない。それがいやだって姉さんが言うなら、ここでやめるよ?」
「ひどぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、おねがいぃぃぃぃぃぃ、いやぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ」
 頭を振り乱して姉さんは抗議した。かわいそうなので一回だけ突いてあげた。
「じゃあ、姉さんも俺の女にするよ? 沙織や里香と同じように。三股で同時進行だけど、でも姉さんを心から愛してあげる。
姉さんが去っていかない限り、俺は姉さんを愛し続けるよ」
「いやぁぁぁぁ、いやぁぁぁぁぁ、まーくんはぁぁぁぁぁぁ、私だけのぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 ゆっくりと数回姉さんの中をこすった。
「ありがとう、姉さん。だけど、俺は沙織や里香を絶対に捨てない。だから、選んで。
ここで止めて他人になるか、それとも続けて、俺の女になるか」
 少しだけ沈黙があった。
 やがて姉さんの目から透明な液体が止めどもなく流れ落ちた。
「なるからぁぁぁぁ、まーくんの女になるからぁぁぁぁぁぁぁ」
「姉さん、大好きだ。もう一生離さないから」
 そして突きまくった。思いに任せて、心にのせて、姉さんの中を愛した。
 ざらついたところを先端でこすりたてた。壁を全て味わいたくて前後だけでなく左右にも動いた。
 姉さんの上にのしかかって、姉さんの唇をまさぐった、舌も突き入れて、姉さんの舌に絡めたが、逆に姉さんに口の中を吸い尽くされた。
 手は乳房をまさぐった。大好きなおっぱいだった。夢に見た感触そのままだった。
 姉さんの腕が俺の背中にまわり、爪が立てられていた。姉さんの足が腰に回され、抜くことを許さなかった。
 もっとももう抜くことなんか、まったく、これっぽっちも考えてなかった。
 無責任かもしれないが、姉さんを本気で孕ませるつもりだった。俺はもう姉さんに狂っていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ、きちゃうきちゃうきちゃうきちゃうぅぅぅぅぅぅぅ……いくぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 姉さんが白目をむいて、反り返りながら不規則に何度も震えた後、全身をすごい勢いで突っ張らせる。
 さんざん我慢していたため、射精はむしろ安堵感すら覚えた。
 放出感を伴った拍動と共に体の力が抜けていき、姉さんにしがみつくしかなかった。
 姉さんの鼓動を聞きながら、意識を遠くしていった。
585ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:41:27 ID:1IgLtLhG


 ふと意識を取り戻したときも、二人の体勢は変わっていなかった。
 俺が重いだろうと考え、姉さんの上から滑り落ちて、ベッドに寝転がる。
 姉さんはかすかに呼吸をしているだけだった。完全に寝ていた。
 また、やっちまった。そうは思ったが、姉さんが怒ったときからこうなるような気もしていた。
 いろいろと義理の母がらみでひどいことがあったけど、それを恨まないで居られるのは姉さんのおかげだった。
 お互いがいたから、生き延びることができたというべきだろうか?
 事実親父達が離婚した後、俺は孤独癖がひどくなり、姉さんの表情は冴えなくなった。
 そしていくらもしないうちに、姉さんは縁が切れたはずのこの家に度々訪れるようになった。
 そんな姉さんと他人になるという選択肢があるわけもない。あったら、とっくに他人だった。
 姉さんの寝息が少し高くなり、そちらを見る。
 姉さんの寝顔は、久しぶりにとても穏やかだった。
「うーん、まーくん、んふ……むにゃ」
 寝言とともにねーさんが寝返りをうつ。
 眼前に見事な尻がさらけ出された。大きくて白くてすべすべで男心を捉えて放さない曲線だった。
 ……姉さんは俺のものだった。だからこの尻も俺のものだった。いたずらしなければ人生の損だった。
 理屈はどうでも良くて、ただあの尻に顔を埋めたかっただけだった。うん、男なんてそんなもんだ。
 数秒前の感傷的な気分などどっかに放り出して、俺は姉さんのお尻の探検をすることにした。
586ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:43:36 ID:1IgLtLhG
 尻肉は最高だった。おっぱいも素晴らしいが、尻は柔らかくて弾力があって二つにわれてて丸くて最高だった。
 姉さんのでっかい尻を間近から見るだけで、男に生まれて良かったと思った。涙がでそうだった。
 ちなみに姉さんはまだ寝ていた。俺は姉さんの足の間にうつぶせで寝転がって尻探検を始めていた。
 寝ているときにいたずらをするというのは、胸躍るものがあり、これまた良かった。
 尻肉をつかんで広げると、色の薄い肛門がある。
 指でつつくと肛門がすぼまるように動き、姉さんの体もぴくっと動いた。
 さすがに何の準備もしないアナルプレイは臭そうだったので、それ以上はあきらめる。
 というか、寝ている間に肛門まで襲っちゃうと、さすがに本当に嫌われそうだったので自重した。
 俺にもちょっとは理性も残っていたらしい。でも理性はそれで作動終了だった。
 未練を残して、下におり、性器にたどり着く。
 濡れた尻肉の間で、赤みがかったピンク色で性器が俺を待っていた。
 だらしなく膣口が開いていたものの、クリトリスは小さくなっていて、持ち主のように寝ているらしかった。
 けしからん眺めなので、罰を与えることとした。
 膣の下に丸い皮に包まれた突起がある。なんかつつくといいことが起こりそうなので、舐めてみた。
 姉さんの体が震えるが、抗議は無い。
 舐めても問題なさそうなので、舌で舐めまくると、どうしてか液体が垂れてくる。
 どっか液漏れがあるようなので、とりあえず舐めながら、開いた膣口に指を入れて栓をしてみた。
「うぅぅん……あん……はぁうん」
 尻の向こうで誰かが変な声を上げてるけど、気にしない。
 全然液漏れが治らないので、姉さんのお尻が心配になって、膣に入れる指を二本にしてみた。
 漏れた液体は、責任をもって舐め取ってあげた。
 ついでに可愛いクリトリスちゃんも舌でツンツンしてから美味しそうなので歯で軽くかじってみる。
 液漏れが全然止まらないので、姉さんの中を愛情込めてこすってあげた。
 どうしてか液漏れがさらに酷くなったけど、気にしない!
「はぁぁぁぁぁん……、ま、まーくん! 何してるの!」
 ついに目を覚ました姉さんが顔を後に向けて俺をみた。
「姉さんのおしり☆」
「おしり☆、じゃないでしょ! あうん! ちょ、ちょっと!」
 なにか照れた様子で顔を真っ赤にして怒る姉さんはかわいかったので、クリトリスを吸ってあげた。
 当たり前だけどこんな魅力的な白くでっかい尻肉をちょっとやそっと怒られたくらいで手放すわけはない。
 だって、このお尻は、おれのもの! だれにもやんない。
「はひぃぃぃぃぃんんんんんん、……はぁはぁ、ダ、ダメよぉ、……はぁはぁ、……まーくん!」
 目の色が快楽で飛びそうになりながら、姉さんはまだ抵抗した。
 まったく姉さんは時々強情だからいけない。
「姉さんは俺のもの、このお尻も俺のもの、わかった?」
 入れた指でざらついたところをこすりながら、クリトリスを舌の舐めあげて、軽く歯をたてた。
「ば、馬鹿ぁぁぁぁぁ、うはぁぁぁぁぁぁ、あうぅぅぅぅぅぅぅ」
 姉さんの目がいってしまって、体がぶるぶると震える。
 入れたくなって、顔を尻から離し、膝立ちで、尻に近づいた。肉棒は腹に付くほど元気だった。
587ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:44:55 ID:1IgLtLhG
 肉棒を膣口にあてがって、食べたくなるような丸みを帯びた尻をわしづかんだ。
 しみ一つない姉さんの背中とベッドでつぶされてはみ出た大きな胸がみえた。
 それだけで、姉さんを後から犯す実感がわき、背筋を泡立たせるような電流が走った。
 手のひらから伝わるすべすべで柔らかく弾力性が失われていない尻の感触に感動しながら、肉棒をゆっくりと沈めていった。
「まーくんがぁぁぁぁぁぁ、またぁぁぁぁ、はいってくるのぉぉぉぉぉぉぉ」
 背中が奇跡的な美しいラインを描いて反り返る。
 肉棒を根元まで埋めると、姉さんの尻が俺の腰に密着して、最高の弾力を伝えてくれた。
姉さんの中は相変わらず俺を搾り取ろうとしてうごめいてくれる。
 腰をつかんで、一番奥まで突き入れ、からみついてくる姉さんの中をこすりながら引き抜く 
「へんなところがぁぁぁぁ、……あたるのぉぉぉぉぉぉ……あはぁぁぁぁぁぁぁ」
「姉さん、沙織や里香とできるだけけんかしないでね」
「あぁぁぁぁぁぁ、ばかぁぁぁばかぁぁぁぁぁぁぁ、あうぅぅぅぅぅぅぅ」
 丁寧にお願いしたのに馬鹿って言われちゃったので、姉さんの中をかき混ぜてご機嫌をとった。
「頼むからそんなこといわないでよぉ。……姉さん大好きだからさ。愛してるから」
 しれっときざったらしくて恥ずかしいセリフが口から滑り出る。やっぱり俺は最低らしい。
 けれども姉さんの中は、その言葉に反応して、肉棒をぎゅうぎゅう締め付けた。
「まーくんはぁぁぁぁぁ、ひどぃぃぃぃぃぃ……ああああああぅぅぅぅ、ひどいよぉぉぉぉぉぉぉ」
 泣き叫びながらも姉さんは腰を振り、姉さんの中は俺の肉棒を離すまいとした。
 今度は一切止めなかった。俺は姉さんの背中に上体をかぶせて、背筋を弓なりにそらせて喘ぐ姉さんの口を背後から奪う。
「ほんとうだよ。……俺の大好きな姉さん。……お尻も唇もおっぱいも……」
 腰使いにあわせて揺れる胸をすくい取って手のひらで覆った。はみ出た肉が指にからみついた。
「全部……姉さんのお腹も全部……俺のものにしちゃうから。もう離してやんないから」
「あああああああああああああああああああ」
 姉さんが唇を離して、震えながらさらに反り返って叫んだ。姉さんの中が肉棒を痛いほど引き絞る。
 もう我慢できなくて渾身の力で打ち込んで、姉さんの奥をむさぼった。
「愛してる」
「いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
 焦点を失った目で涙を流しながら姉さんは叫び、声がとぎれても声なき声で快美を訴え、唐突に意識を失った。
 俺も全てが出て行きそうな勢いで姉さんの中に放ち続け、やがて射精が終わるとその背に崩れ落ちた。
588ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:46:03 ID:1IgLtLhG


 翌日、朝。
 駅までの道は、悩み通しだった。だが俺にできることは真実を話すしかない。悩んでも仕方がないことだった。
 姉さんは、そんな俺を薄い笑いを浮かべながら見ているだけだ。
 けれども姉さんが俺から離れる事もない。俺の腕に腕をからませ歩調を合わせて歩いていた。
 朝起きたときから、姉さんは怒ってこそいなかったが、優しくもなかった。
 コーヒーは濃く苦く、トーストにはバターを塗ってくれず、目玉焼きに醤油をかけてくれなかった。  
 鬼畜な事を要求して無理矢理通してしまったために文句を言える筋合いでもなかった。
 仕方なく姉さんを傍らに伴いながらも、俺はひたすら無言で駅まで歩いた。
 いつもなら駅で沙織と里香が俺を待っているはずだった。
 それを考えると、俺は気分が重かった。

 改札から少し離れた柱にもたれて、沙織はいつものように待っていた。
 そしていつものように俺を見つけるといつものように彼女は笑顔を浮かべ、すぐにいつもと違った不審な顔をした。
 駆け寄った彼女は、俺の空いた手を取り、不審さ百パーセントの目で姉さんを眺めた。
 俺に出来たことは、最低な事実を言葉を選びながら、沙織に伝えることだけだった。
589ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:50:44 ID:1IgLtLhG
 いきさつを知った沙織は泣いた。俺は謝ることしか出来なかった。
「ごめんね、悪い弟で。……嫌になったら、すぐに捨てていいのよ、こんな子は」
 姉さんが気の毒そうな声と顔で、沙織を慰める。その唇のはしにわずかに笑みが浮かんでいるのを俺は見た。
 しかし俺に言える言葉があるはずもない。下手な慰めはただのお為ごかしにしかならない。
 しかし沙織はすぐに泣くのを止めて、顔を引き締め涙を拭いた。
「……でも矢代くんは、私と別れるって言わなかったですね?」
「え? ええ。ほんとに馬鹿な弟で」
 姉さんが焦ったように言葉をとりつくろった。沙織はそれに頓着せず静かに言葉を続けた。
「なら、私も別れません。……ほんとはお姉さんの矢代くんに対する怒り方、おかしいって思いました」
 姉さんが沙織の言葉で顔に驚きの表情を浮かべる。
「目が女でした。好きな人を奪われたような目をしてました。そして矢代くんは無節操に女の人にちょっかい出す人じゃないです。
だから……失礼ですけど……お姉さんが誘ったんですよね?」
 沙織の目が姉さんの目を鋭く見つめる。
「……十年、家族として過ごして、その後親の離婚で別れて五年。ずっと姉と慕ってくれて、そして支えてくれた大事な弟なの。
それをどこからともなくあらわれた泥棒猫なんかに、はいどうぞって渡せるって思う?」
 姉さんも目に危険な光をちらつかせて、沙織を見返した。
「十年だろうと、家族だろうと、私が矢代くんの一番初めなんです。私が矢代くんの最初の女なんです。
それを横取りするような、しかもほんとは他人なのに家族のふりをして誘惑する女に、渡しちゃう方が馬鹿ですから。
私、思うんですけど、お姉さんには、もっとふさわしい年齢の男の人がいいんじゃないでしょうかって?」
 沙織はもう泣いていなかった。静かにしかし一歩も引かない覚悟で姉さんに立ち向かっていた。
「そう……馬鹿な娘ね。あなたぐらいならいくらでもかっこいい男の子が恋人になるでしょうに」
「お姉さんこそ、矢代くんに構っていたら、婚期を逃しておばさんになってしまいますよ?」
 けんかしないでくれって言ったつもりだがなぁ、と部外者にされた俺はそんなことを考えながら彼女らを待っていた。
 結局けんかを終わらせたのは時間だった。電車に乗る時間が迫っていて、俺は強引に改札内へと二人を追い立てた。
590ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:52:51 ID:1IgLtLhG
 里香は、話を聞くと俺の頬をはった。
「ひどいよっ」
 里香はいつもホームで待っている。沙織と姉さんを連れてホームに上がった俺を、里香は驚きの目で見た。
 そして俺はやはり最低な事実を話したのだ。
「矢代くんを叩かないでください! 矢代くんを誘惑した中塚さんがそんなことを言える立場ですかっ!」
 吐き捨てるように沙織がかみつく。
「ごめんなさい、ほんとに酷い弟で。あなたのようないい娘は、もう弟に関わらない方が良いと思うわ」
 姉さんは沙織の時に増して丁寧な口調で里香に語りかけた。だが里香は沙織も姉さんも完全に無視した。
「お姉さんに今すぐ謝って、なかったことにしてもらって! 一夜の過ちでしたって言って、関係を断ち切って」
「一夜の過ちって……」
「ちょっと待ちなさい! 何が一夜の過ちよ。私達は結ばれるべくして結ばれたのよ。
あなたのように突然やってきて略奪して、恋人面した浅い関係じゃないわけ。わかる?」
「いいえ、全然わかりません!」
 姉さんの咆吼に、里香は眼鏡を光らせ、その向こうから敵意と決意を込めて姉さんを睨んだ。
「私と矢代くんは、お互い、本当に必要としあった仲なんです。
そこの変態女や、どこかの姉弟ごっこの姉気取りな女が、いやらしい体で誘惑するからいけないんです。
そんな贅肉だらけのいやらしい体でも、好きだっていう男の人は多いでしょうから、矢代くん以外を誘惑してください。
矢代くんは、私と本当のパートナーになるべきなんです」
「姉弟ごっこ? よくも言ってくれたわね。まーくんの優しさにほだされただけのくせに」
「自分勝手な正義ばっかり振りかざして、周りの人にそっぽむかれた人がよく言いますね、まったく」
 ……俺はこの時ばかりは、この私鉄のダイヤを守る努力に、心の底から感謝をした。
 この恐るべき三つどもえの対立が、とにもかくにも回避されたのは、いつも乗る電車が時間通り入線してきたからに過ぎなかった。

 そして車内で、俺は三人の女にはさまれた。
 彼女らの体はたとえようもなく熱く柔らかだった。だが雰囲気はドライアイスより冷たく固かった。
 魂が削れてゆくとはこのことかと、俺は実感した。
591ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:54:32 ID:1IgLtLhG
 そしてなぜか姉さんは、俺達と同じ駅で降り、同じ出口から出て、同じ道を歩んだ。
 まるで少し距離を開けて歩く沙織や里香のごとく、姉さんも少し距離を開けて同じ方向に歩いた。
「ね、姉さん? どうしてこっちに?」
「ん? 後でわかるから。今は秘密よ」
 そういうと姉さんはそれ以降口を開かず、やがて驚愕する俺達を尻目に、俺達の学校の中に消えていった。
 俺達三人は、ただ顔を見合わせるだけだった。 

「矢代、ちょっと話があるんだ」
「なんだ? 吾妻が俺に用って?」
「内緒の話なんだ。昼休み、俺についてきてくれ。いいな?」
 教室に入るとすぐに吾妻がやってきた。そして言った言葉がこれだった。
 強引な話に、さすがに少し文句を言う。
「……ここで話せないのか?」
「俺は構わないが、お前達がやばいぜ? 俺は優しくて気が利くからな、ちゃんと内緒の話にしてやるよ」
 言い方はともかく何らかの意図はあるらしい。
「……わかった。昼休みだな? しかし、いったいなんなんだ?……」
 だが吾妻はそれに答えず席に戻っていく。
 少しばかり嫌な気分で始まった一日は、ホームルームの始まりでさらに変転を迎えた。

「入院されました細山先生の代わりに、しばらく二年の英語を担当することになった大和田美春(おおわだ・みはる)先生です」
 教頭の紹介でクラスに歓声がわく。きりっとしたキャリア美人的な女性教師が入ってくればそりゃ男どもは騒ぐだろう。
 調子に乗ってお定まりのスリーサイズを聞く奴がいても、それをにこやかにいなせばそれも騒ぎになる。
 少しきついような容貌も、話し出せば穏やかでなにより笑えば花が咲くような雰囲気を与える。
 女子ですら、少し喜んでいた。喜んでいないのは、クラスで三人だけ。
 俺と沙織と里香は、その女教師を紹介される前から知っていた。
 会ったのはついさっき、登校する道で。
 そう、姉さんが女教師になって俺達の前に現れていた。
「先生、恋人はいますかぁ?」
 何も知らないお調子者の男子生徒がそう聞いた。
「ええ、います。とても悪くて愛しい人が」 
 そういうと姉さんは顔に喜びの色を表し、手を胸にあて頬を染めながら、そう答える。
 その姿は、俺ですら鼓動を跳ね上げるほどの色気にあふれ、少しの間、クラスに沈黙をもたらした。
 やがてどよめきながら盛り上がる教室の中で、俺は視線のレーザービームを二本浴びることになる。
 いわば、人を射殺せそうな視線という奴だ。
 出所は見なくてもわかる。そちらを見る気など微塵もおきなかった。
 いろいろとたまらなくなって顔を伏せようとした俺を、姉さんが見つけてウィンクをした。
 女二人の視線レーザーの出力が増強された。
 焦げて風穴が開いたのは、俺の心だった。
592ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 13:59:27 ID:1IgLtLhG

 昼休みに入るとすぐに、吾妻は俺を視線だけで促した。
 しぶしぶと立ち上がり、吾妻の後をついていく。
 しかし教室を出たところで、吾妻は一人の女生徒に捕まっていた。
「しつこいな。俺の前に現れないでくれって言わなかったか?」
 扉のとこで聞こえた低いが険のある吾妻の声に、俺は思わず立ち止まる。
 相手は、清楚で小柄な日本人形的な整い方をした女生徒だった。だけど、先輩と呼びかける口調から見て一年らしい。 
「俺はおまえに興味ないんだ。前にそう言ったよな? もうつきまとわないでくれとも言ったよな?」
 そう言い放つ吾妻の視点が、さっと下を見て戻った。女生徒の手には弁当とおぼしき四角い包みがある。
「わかったら、どいてくれ。俺はこいつと話があるんだ」
 吾妻が顎で俺を指し示し、その女生徒の視線が俺を見た。
 訳もなく、俺はぞっとした。暗く虚ろで濁った目だった。そこに憎悪という光がぽつんとともっている。
 なぜそんな感情を向けられるのか、まったくわからなかった。
「おい、矢代。その女は放って置け」
「し、しかし……」
「おまえには関係ないだろ。いいから来い!」
 いらだった吾妻の声に押されて、俺は女生徒の前を通り過ぎて、吾妻を追った。
 あの暗い目が俺を見ているのをはっきり感じ、背中の毛が逆立つ。 
 今すぐ引き返して、沙織や里香や姉さんに抱きつきたくなった。
 もちろん、そんな事が出来るはずもなく、俺は吾妻の後を追った。

 数分後、俺達は四畳程度の小さな部屋にいた。
 中は埃だらけで、訳の分からないガラクタが置かれている。日光が差し込んでくることだけが唯一の救いだった。
 ドアには汚い紙が目隠し代わりに張り付けられていた。
 これもやっぱり埃だらけの丸椅子を、吾妻が二つがらくたの中から引っぱり出し、埃を払って俺達はそれぞれ向かい合って腰掛けた。
 やがて吾妻は俺の物問いたげな視線を察知して話をはじめた。
「さっきの女は、これからの話には関係ない。忘れてくれ」
 不機嫌と決まり悪そうな目をした吾妻に、俺は肩をすくめて見せた。
 吾妻は一年の時から既に六人以上の女とつきあっては別れることを繰り返していた。少なくとも噂の上では。
 だからそんなものに首を突っ込むつもりはさらさらなかった。それが確認できればあの女生徒のことなど俺にとってはどうでもよかった。
「じゃあ、話って?」
 俺の言葉に、吾妻はいつもの余裕を取り戻した。にやにや笑いが復活し、いつものいたずらっぽい目の光が戻る
「おまえ、学校で中塚とやってただろ? 体育祭の前日」
 吾妻の単刀直入にも度が過ぎる言葉で、自分でも顔色が変わるのが自覚できた。まさしく血が引くってやつだ。
 無論、言葉など出るはずもなく、ただ吾妻を凝視して息を荒くするだけだ。
「副委員長に聞いた。お前、中塚を慰めに行ったんだって? 
そして私物を体育祭前日に持って帰るって言ってたのに次の日に持って帰っていったってな」
 息が止まりそうになった。状況証拠は限りなく黒い。実際黒なのだが。
「まあさ、別に他人がセックスしようがどうでもいいんだ。証拠があるわけじゃないしな」
 そういうと吾妻は全てわかっているといわんばかりににやりと笑った。
「たださ、おまえ、片桐とも付き合っているよな? 電車の中でくっついているだろ?」
 たたみかける追求に、むしろ考えることが出来なくなって俺の表情は凍り付いた。
「真面目な優等生の矢代が、女を二股かけてる……これを教室で言わないあたり、俺って優しいだろ? な?」

 吾妻の笑い顔が、俺に覆い被さってくるような幻影に襲われる。
 ついにこの時が来た、そう思った。悪事の露見が、恐れと共に安堵や解放感すらもたらしたのは、意外だった。
 だが、錯乱することも自暴自棄になることも俺には許されていなかった。
 沙織を、里香を、そして姉さんを、守らなければならない。
 頼りなく震えそうになる膝を押さえつけ、歯を強く噛みしめて、ひたすらに思考する。
 それは一匹狼を気取っていた俺が始めて行う、守る戦いで、かかっているのは、彼女達の人生。
 その重さが叫びだしそうな心を押さえつけた。
 覚悟を決め、逆襲の機会をうかがい、俺は吾妻の目を見据えるのだった。

第5話 End
593ご愁傷様、矢代くん:2008/09/27(土) 14:01:24 ID:1IgLtLhG
投下終了
姉汁ぶっかけ三色嫉妬丼お待ちっ!
594名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 14:43:43 ID:AvYtY3xy
おつw
雅史は人間のクズだなww
595名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 15:05:11 ID:rQn7HRsJ
なんという人間のクズ!そんなクズでなければ三股などできるわけもなく
そんなクズだからこそ素晴らしい修羅場が起こせるのだ!
素晴らしいSSを投下してくれた>>593に心からGJを贈らせてもらおう!!
596名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 16:32:39 ID:WJr6FUIi
ハーレム は じ ま っ た な
597名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 18:14:17 ID:9u0WmSlB
マーシー糞野郎杉わろたwwww
>>593GJ!!
598名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 19:38:51 ID:MkuqJMbO
濃いクズだwwクズwwwwwww
GJ。ここから壊れていくのか。いや、もう壊れてるか
599名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 20:05:07 ID:QkpaHj0W
ゆうくん死ね以来の鬼畜主人公ktkr
600名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 20:47:17 ID:eZpvZPH7
クズも開き直ると清々しいなwww

GJ!
601名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 20:49:22 ID:ZSQY9IXi
うん、ナイスクズ!!
602名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 21:00:42 ID:1MVPi2iM
嫉妬SSの主人公にもってこいの最高のクズだぜw
603名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 21:46:44 ID:OmRDzbLn
この主人公は最高だな
604名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 21:49:50 ID:tYvdUTM1
今日の誠死ねスレはここですか
605名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 23:29:02 ID:hhgmj2CW
濡れ場を読んで爆笑したのは久しぶりだ。
雅史馬鹿過ぎるwwwww
だが許す! その馬鹿さ加減を愛そう。
吾妻の周囲もキナ臭くなってこれからどうなるか非常に楽しみ。
ごちそうさま、超GJ!
606名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 12:19:17 ID:8Vy2dsxb
ちょwwwゆうくん二世ktkrwwww

607名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 15:55:49 ID:4gHDQvC7
>>606
ゆうくん詳しく教えて
608名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 16:08:22 ID:gUCVa7di
sageろカス。
でもヒント、保管庫作品
609名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 23:23:40 ID:kF2U6L9T
吾妻「これを教室で言わないあたり、俺って優しいだろ?」
矢代「スマン、昨日二股から三股に進化したんだ。」
全員「「な・・・・なんだってー!!」」
超GJ。全裸で舞ってる
610名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 07:42:56 ID:9/egv97H
次あたりでゆーくん男らしくなってほしいね
611名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 08:01:04 ID:syQ4jPQo
ある意味ゆーくんより雄(オトコ)らしいよ。
斜め上方向に。
612名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 14:11:57 ID:LN9y6TIF
あげるやつ氏ねばいいのに
613名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 19:09:43 ID:zxrq8DGZ
話題が上がってたんで優柔読み返してみたけどやっぱ面白いなこれ・・・ゆう君も椿も先輩もキャラ立ちすぎw
614名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 19:10:18 ID:AFZ3bhy9
>>610
あげ方は>>1を見ろ
615ss:2008/09/29(月) 19:31:52 ID:RD7iAGAz
ss
616名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 20:28:40 ID:dhsSwQmN
全裸で続きの投下を待つ
GJ!
617名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 18:47:12 ID:wLzAWZzC
保守ですよ
618名無しさん@ピンキー:2008/10/02(木) 18:56:29 ID:TbrYCT4E
ホシュっす
619名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 12:17:24 ID:JTSl6Sdz
620ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:45:40 ID:OCkXHI3z
みなさん、たくさんGJありがと。
おかげでここまで書くことができました。
では、投下
621ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:48:32 ID:OCkXHI3z
「真面目な優等生の矢代が、女を二股かけてる……これを教室で言わないあたり、俺って優しいだろ? な?」
 吾妻はそういって笑った。俺には悪魔の笑いに見える。だがその見え見えの気遣いで俺はむしろ慎重になることが出来た。
「……で、秘密にしてくれた優しい吾妻君に、俺は何をしたらいいのかな?」
 言葉だけは格好良かったが、声が少々裏返って、沈黙していた時間も長かったから大して有効な反撃ではない。
「話が早くていいな。……俺は生徒会執行部選挙に立候補しようと思ってね」
 そういうと吾妻は立ち上がり、俺に背中を見せると、小さな窓の側に歩み寄った。
 俺は無言のまま、続きを促した。
「だから優秀な駒がいるんだ。執行部生徒会長の下で働く、自分で動けて信頼することが出来る駒がな」
「吾妻が生徒会長? 何が目的だ? 今の彼女は確か……六人目だったっけ? デートに忙しいって体育祭実行委員だって逃げ回ったおまえが、生徒会長?」
 これは先ほどよりは効果的な反撃だと言えた。
 ついでに一年半ほどで六人の女と付き合ってふっている吾妻と、三人同時進行の俺と、どっちが悪いのだろうかという疑問も湧いた。
 もっとも一般的には俺がインモラルであり、女達に聞いても顔と財力で比べられて俺のほうが罪が重くなりそうではあったが。ブルジョアイケメンは何かと得だ。
「誰にも言っていないが、俺はアメリカ留学を狙っているんだ。それで執行部での活動実績があると受験で少しは有利になる。リーダーシップありって評価されてな。
だけど、俺は楽をしたいし、お前の言うようにデートもしたい。だから、俺の下で働く有能な奴が欲しい」
 吾妻が言葉を切ると、それきり沈黙が落ちる。取引に対する計算は済んでいた。受けざるを得ないのは間違いない。
 ただ思考時間を稼ぐ必要があった。
「俺なんかより、おまえの取り巻きな親友のやつらに頼めよ。執行部活動を仲良く楽しくできるんじゃないか?」
「あいつらはいざとなると俺を手伝わないさ、きっと」
 窓際に立つ吾妻の顔は逆光で見にくかったが、その顔に自嘲の笑いが浮かんでいるのに俺は気付いた。
「薄い友情だな、おい?」
「女は俺の顔と金に、男はその女目当てに集まっているだけさ。どいつもこいつも紙切れより薄っぺらい」
 何かを吐き捨てるような顔で吾妻はつぶやく。
「で、俺のどこがおまえのお眼鏡にかなったんだ?」
「体育祭実行委員での実績、女を二股掛けてコントロールしている手腕、そして俺が脅迫しても馬鹿な反撃を考えない頭」
「うれしくないな」
 吾妻の言葉で酢を一気飲みさせられたような気分に陥る。見透かされているとはこのことだと思った。
「評価しているんだ。喜んで欲しいな」
「オホメニアヅカリ、アリガタキシアワセ」
 俺はわざと棒読みにも程がある口調で答えた。見事にはめられたことに対する無駄な意趣返しだった。
 それを悟って吾妻が体を震わせて笑う。
「ま、矢代なら、俺を楽させてくれるのは間違いない」
「俺がその分、こき使われるんだな?」
「片桐と中塚を同時進行でよろしくやってるんだ。それくらいの貢献はしろよ。矢代は風紀を乱しているという自覚がないか?」
 にやにやと例の笑いが吾妻の顔に戻った。
 もちろん吾妻が風紀委員であるはずはない。風紀委員経由での密告を暗喩しているわけだ。
 現状ではお手上げだった。条件交渉に移るしかない。
622ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:50:11 ID:OCkXHI3z
「……条件がある」
「言ってみろよ」
「協力は選挙が終わってからでいいか? 悪いが俺に集票能力はないぞ。自慢じゃないが人望はゼロだからな」
 吾妻の目に少し苦い色が浮かぶ。
「体育祭実行委員会では、矢代の影響力もそこそこあるんだが、……副委員長が別の奴の応援にまわるからな。
……いいだろう。選挙運動自体はしなくていい。おまえは俺に票を入れるだけでいい」
「せいぜいがんばりな。できれば落選を祈ってる。こき使われなくて済むからな」
 口の端をひんまげて人の悪い笑みを浮かべてやる。吾妻が苦笑で返した。
「心配するな。票は結構とりまとめてるさ。勝ち目のない戦いはしないことにしている」
「オッケー。じゃあ、話はこれで終わりだな?」
 席を立ち、吾妻に背を向けて小汚い部屋を出ようとする。そこに吾妻の声が掛かった。
「待て。まだ重大な問題が残っている」
 内心少し驚きつつ、平静な顔を繕って、振り返った。
「なんだ? まだあるのか?」
「副会長の件だ。選挙協力をしないならば、副会長をお前にさせるわけにはいかなくなる」
 わずかの間、俺は呆けた。
「副会長?」
「ああ。方針演説とか立候補での自己紹介とかは、副会長候補もしなければいけない。
矢代が選挙活動をしないとなると、副会長のポストが空く。……困ったな、今から候補を探さければならん」
 この男は俺を副会長にするつもりだったらしい。本気で仕事を押しつけるつもりだったのがよくわかってあきれた。
 俺はどうでもよくなって適当な提案をしてやることにした。
「……それ、お前の妹にさせろよ。美人だし、お前が信頼できるし、男の票を狙えるし、むさ苦しくなくて爽やかだ」
 今度は吾妻がぽかんとした顔をした。
 それからなにやら深く考え込み、うなり始める。
 俺は椅子に腰を下ろして、ぼーっと窓の外を見て待った。
 数分後、吾妻の顔がにこやかに晴れ渡る。
「ふっ、さすが矢代だ。この的確なアドバイス、やはり俺の目に狂いはなかったな」
 正直「馬鹿?」と思ったが、思うだけにして表情にもださないようにした。
 シスコンにつける薬はない。それは世界の定理だ。
623ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:52:23 ID:OCkXHI3z


「というわけで、吾妻が当選したら、俺も執行部にはいることになったんだ」
「ちょっと、なによ、それ?」
「一緒にいられる時間が減りますね」
「ふーん」
 憤慨する里香に、悲しそうな沙織、そして姉さんは教師なので帰る時間が変わらず興味なさそうな顔だった。
 その日の夜、自宅の俺の部屋。俺は灰色一色の地味なパジャマ、沙織は猫のイラストが全身に散らされた猫パジャマ。
 里香は無地のTシャツに紺色のジャージの下、そして姉さんは過激さを抑えた薄いピンクのナイトローブで、ベッドに転がっている。
 ちなみに、姉さんの要望で姉さんの部屋のベッドが俺の部屋に移設され、俺のベッドにぴったり横付けされてダブルベッドのようになっている。
「狭苦しいのはいや」と言われて、一生懸命運んでセッティングしたのだが、寝るときには絡み合って寝ていて、ベッド一つ分しか使っていない。
 正直微妙なのだが、こんな風に思い思いにごろごろするときは、まったりと幸せな感じでいい
 それで幸せなのはいいが、伝えるべき事は伝えなければいけない。
「しょーがないさ。二股のことで弱みを握られた。無茶な脅迫じゃないし断るのはちょっと難しいな」
 俺の返答の後、少しの間会話がとぎれた。やがて何事か考えていた沙織が俺にしがみついてキスをしてきた。
 ついでに勢い余って額をぶつけ、俺も目から火花が散った。
「いててててて……」
「……いたぃ……」
「なにやってるのよ、片桐?」
 痛みにうめく俺と沙織をみて、里香があきれ顔になった。
「まーくん、おねーちゃんがなぐさめてあげるからねぇ」
 しかし、伸びてくる姉さんの手は沙織にブロックされた。
 頭を抱えて涙目だった沙織が、痛みにうめく俺を上からのぞき込む
「私、まさくんを助けます! 執行部のお手伝いしますっ!」
 目にきらきら〜とお星を浮かべて沙織が胸の前で手を組んだ。
 ついでに姉さんによる俺の呼称まーくんに引きずられて沙織は俺をまさくんと呼ぶようになっている。矢代くんでは友達のままみたいでなんかいやだそうだ。
「そ、そりゃ嬉しいけど、いいのか?」
「はい。中塚さんに体育祭実行委員会ではまさくんをとられてしまいました。同じ過ちは繰り返しません!」
 俺を引き起こしてベッドの上に向かい合わせに座ると、沙織はぐっと拳を握りしめて力強く宣言した。
「なるほど、片桐がやけに気合い入れてると思ったら、そういうことなわけ」
 眼鏡を片手で直しながら起き上がる里香の目が、沙織を睨んできらりと光った。
「私だけ仲間はずれなのね〜」
 そんなことをつぶやく姉さんは、元から会話に加わる気もなく、寝そべったままシーツにのの字を書いてたりする。
624ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:54:01 ID:OCkXHI3z
「ええ、学校でも家でも役に立つ女になって、まさくんの愛を独り占めする予定ですから」
 にやりと沙織にしては邪悪な笑いを浮かべて、里香を横目で睨んだ。
 だが里香は軽く笑い流しただけだった。
「片桐は自分のキャラをわかってないよね? 役に立つ女? あんた、自分がかなりどじっ娘ってわかってる?
どう考えてもまさの足引っ張るだけでしょうが! できもしない事を言うつまんない口は捨てたらどう?」
 そう言うと里香が手を伸ばし、沙織の唇に指をかけて左右に引っ張る。
 ちなみに「まさ」は里香が俺を呼ぶときの愛称らしい。なにげに里香も姉さんを意識してたりする。
「ひひゃいひひゃいひひゃい!! ……ほのへー」
 口をひっぱられてジタバタともだえる沙織が、逆襲に挑み、里香のほっぺたをつかんだ。
「いたっ、いだだだだだだだだだだ、手をはなしなひゃいよー!」
「ひょっちこほーーー」
 愛する女達が争う姿というのにちょっとした倒錯美はある。が、目の前でやられるとつらい。
「はいはい、いい加減に……姉さん?」
 二人を引きはがそうとして、いつの間にか背中に姉さんがしがみついていたのに気付く。
 後ろに引き倒されてあっという間に顔の上に胸の谷間が迫り、頭が丸ごと姉さんの胸に埋め込まれた。
「あんな二人は放っておいて、姉さんのおっぱいに埋まりなさい」
 ナイトローブのみで下着なしの丸みが俺を柔らかくしかし決して離さないという意図をもって包みこむ。
 姉さんが俺のパジャマを信じられないほど巧みにずり下げ、手を股間に忍び込ませて、肉棒をつかむ。
「ね、あんな乱暴な女達は忘れて姉さんの中に戻ればいいの」
 姉さんは、俺の頭と体を巧みに姉さんの肉に埋め込んで動きを封じると、自らも巧みにナイトローブを脱ぎ捨て俺の肉棒に濡れた姉さん自身をあてがった。
「なにやってるのよっ!」
「まさくんは私のものですっ」
 衝撃とともに姉さんが俺から引きはがされてベッドを転がった。
 と思ったら、裸になってさらけ出された里香の小ぶりの胸が前を俺の顔に押しつけられ、乳首が口に入り込む。
 肉棒は沙織だと思われる中に包み込まれた。あたっている足の感触から、沙織も脱いでいるらしい。
「ふぅ……って、ちょっと片桐! あんた、何勝手にまさを入れてるのよっ!」
「中塚さんこそ、胸をどけてください! まさくんは上も下も私が愛してあげるんです!」
「えーーっ! なんでまーくんのをとっちゃうのよ! 信じられない! 先生のものをとるなんて最低!」
「生徒の恋人を寝取る教師がありますかっ!」
「まさくんは私のものって事は、常識です!」
625ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:54:37 ID:OCkXHI3z
 わめく姉さんはまったく懲りずに俺の手を抱いて、指を自分の中に差し込みながら、俺のパジャマをめくり乳首を舌でなめ回す。姉さんもすでに服を脱ぎ捨てていた。
 言い返す里香は、口で愛撫しているほうの胸を押しつぶすように俺に押しつけ、もう片方の胸で顔中をなで回している。
 そして俺のものは沙織の膣で締められこすりあげられていた。
 俺は腰を突き上げて沙織の中を肉棒で愛撫し、口で乳首を転がし愛して里香を愛し、姉さんの中と胸を伸ばした腕で喜ばせた。
 すぐに快感で力抜けた沙織を下から突きまくって絶頂に追い込むと、体を起こし姉さんを抱き寄せて正常位で突き入った。
 そして四つんばいにさせた里香の陰部を後ろから舌で犯し、姉さんが震えながら愛液を漏らして達すると、そのまま後ろから里香に入った。
 目覚めてすがりついてくる沙織を抱いて胸を揉みながら口づけし、里香を突きまくると里香が尻を震わせて倒れ込んだ。
 俺も里香の中に盛大に放って座り込む。だがそれで終わることはなく、沙織にまたもや押し倒され、顔に沙織の陰部が押しつけられる。
 舌で沙織の中を好き放題かきまわしていると、感触の違う大小二つの胸に肉棒が挟み込まれた。
 両手を伸ばして腰のところにいる姉さんと里香の胸をつかんで乳首を弾きながら、沙織のクリトリスを甘噛みする。
 女達のけんかは止まっていた。最近は、女達の体に溺れて全力で愛するだけで、けんかは収まった。
 ありったけの精液を三人の女に注ぎ込み、三人の女を両手で抱え込んで肉に埋まって眠りにつく。
 俺はこの女達を手放すつもりなんかなかった。全員、心から愛していた。それはほんとうだ。
 だから一人に絞るつもりも決着をつける気もモラルを守る気もさらさらない。
 そう言う意味では、やっぱり俺の恋愛機能は壊れている。どうしても全員で幸せになりたい。
 嫉妬もケンカもあってもいいけど、沙織も里香も姉さんも誰も拒絶して悲しませたくはない。
 そして眠りに落ち込みながら俺は思った。
 今のこの関係を守るなら、クズでも最低でもなんでも構わないと。熱い女達の体と心に勝るものは何もない。
 ふと、親父に親近感を覚えた。女で酷い目にあってもまた三十代バツイチの女にはまる理由がなんとなくわかったからだ。
 やっぱり俺は親父の子供なんだな、そう妙に納得した時、意識はとぎれた。
626ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:55:25 ID:OCkXHI3z
 里香と沙織に執行部に入って手伝ってもらう了解は、簡単にとれた。
 姉さんも当選したら執行部顧問という形になるように頼んだ。たぶん問題はないだろうとのことだった。
 そうやって準備を整えて数日が経った。
 選挙戦が始まり、三組ほどの候補者が、演説やビラ配りや挨拶回りをするようになった。
 吾妻には選挙活動は手伝わないと言ったが、演説などはともかく、ビラ配りやポスター貼りは手伝った。
 選挙活動を吾妻との交渉の時はめんどくさい事だと思っていた。
 しかし吾妻の下で働くにしろ、選挙運動中何も手伝わずに当選後に突然しゃしゃり出て、仕事だから協力しろが通ると思うほど脳天気ではない。
 従って裏方に徹することにした。演説などで表に出て注目されるのは避けたかったが、目立たない仕事なら手伝えることはいくらでもある。
 そうやって、当選後の仕事がやりやすいように小さく顔つなぎをしていくことが有効なのは、体育祭実行委員で学習済みだ。
 だが、俺のもくろみとは別に執行部の選挙などそう盛り上がるはずもない。
 選挙戦はそんな風に極めて淡々と進んでいた。

 そのように見えたある日、唐突に吾妻が消えた。

 ざわつく休み時間。いつものようにグループが出来るが、いつものグループの中に吾妻の姿は無い。
 それが既に三日続いていた。
 さすがにこんな不測事態で俺は困惑していた。
「おーい、矢代ぉ! かわいい女の子がお前に用事だってさ」
 教室の二カ所から粘つく険しい視線を受けながら、俺は声のかけられた入り口に向かった。
 そこにいたのは、吾妻の妹――沙織と里香と姉さんだけでいっぱいな女関連の俺の記憶に間違いがなければだが――だった。 
627ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:57:55 ID:OCkXHI3z
 浮かんでいたのは妙に媚びたような作り物くさい笑顔。
 にもかかわらず育ちの良さを感じさせる清楚さと利発さ、そして気品さは、その女から失われてなかった。
 話に聞く風俗営業店の女のごとく、俺の膝の上にのっていても、だった。
 本物の美少女という奴なんだなという感慨があった。吾妻がシスコンになるのも無理はないと思った。
 しかし、あまりにも不自然だった。育ちのいい女が必死に下品な真似をしているが、いまいちうまくいっていないという奴だった。
 本当に大事に育てられ、まっすぐ上品に育っているからこそ、痛々しさと猜疑心しか起こらなかった。
 そもそも、この女にこんなもてなしを受けるほど、俺は彼女と親しいわけではない。
 俺の膝の上で痛い演技をしている女は、吾妻の妹だった。
 放課後に、俺一人だけをわざわざ自宅、つまり吾妻の家の、彼女の部屋まで招き入れての所行だ。
 清楚で可憐な吾妻の妹が、俺の膝の上に乗って、わざとらしい笑顔を浮かべて紅茶を飲ませてくれていたのである。
 しかも制服のシャツの胸元は二つほどボタンが外れていると、痛いサービスっぷり。
 とはいえ、愛する女達が居なければ、俺だって見え見えのハニートラップに引っかかっるかも知れないとは思った。
 ともかく、彼女の意図が掴めず、状況判断の計算も成り立たず、俺は注ぎ込まれる紅茶を慎重に飲むしか出来なかった。
「えーと、吾妻の妹さん? なんで俺達はこんなことになってるのかな?」
「美優って呼んでください」
 そういうと彼女は悲しげな顔をする。太股の上で尻をもぞつかせるのは、股間を刺激するので是非止めて欲しかったりした。
「で、妹さん? どうして……」
「美優です」
 澄んだ瞳が悲しみをたたえて俺をみる。演技だとはわかっていたが、こわばった笑顔よりは心に響いた。
「で、妹さ……」
「お願いです。美優って呼んでください」
 負けた。顔を近づけられて、その目でじっと見られるとさすがにやばいものがあった。
「……で、吾妻さ」
「美優」
 くそっ、なんでこんなことに!
「美優さん? どうしてこんなことを?」
 澄んでいるくせに逆らいにくい力をもった魔性の目が遠ざかって、俺はほっとした。
 沙織や里香や姉さんと愛し合ってなければ、俺ももっと早く屈服していただろう。
「好きです。愛してます」
 唐突で驚きはした。だが、やっぱり演技はもう一つだった。俺は本当の告白というのを知っている。
 この娘は違った。目に怖れしかなく、俺の膝にのっていても、体が俺を怖がっていた。
 好きな男の全てを受け入れたいと願っている女の反応ではない。
 ずいぶん無理をした演技だった。
「誰を?」
 俺の受け流しで目に驚きの色が広がる。こっちの方が真実の色があった。
「あ、あなたです。矢代雅史さんです」
 そう言い切った目に恥じらいがない。体に熱がない。  
「そう。でも吾妻さんにはもっとふさわしいいい人がきっと見つかるよ」
 意図が不明だが、これ以上二人でいるのは危険に感じた。ゆえに、さらりと受け流す。
 吾妻の妹だから大丈夫かと思っていたが、とんだ計算ミスだったらしい。
 これ以上、彼女の体に触れてはいけなかった。
 彼女の手を触らないように紅茶のカップをつかみ、腰を浮かし足を伸ばして、膝の上の彼女をゆっくりと滑り落とす。
 軽い少女の体を優しく座っていた椅子に落とし込み、俺は起ち上がった。
 手に持つことになったカップを机に置き、出口に向かって歩いた。
 彼女の意図を探るつもりはなかった。そう言うのはこの危険地帯を脱出してからでいいのだ。
 出口のドアの取っ手に手をかけたところで、声が掛かった。
628ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 19:59:43 ID:OCkXHI3z
「どうしてですか?」
 その声に籠もったものは本物だった。本物の感情があった。それで振り返ったところに俺の甘さがあった。
「だって、演技の告白なんていらないしさ」
 肩をすくめる。驚くかと思ったが、妹は表情を消した。
「やっぱり……」
 そういうと薄く笑った彼女は、シャツの前に手をかけた。
「色仕掛けでしゃべってくれればと思ったのですが……案外難しいものです」
「……本当に俺の事を好きな女性のふるまいを見ているからな」
 彼女の演技の下手さには触れないようにした。彼女に好意を持つ男にはあれで充分だからだ。
「そうですか。兄さんには私が色仕掛けで迫れば、どんな男も必ず堕ちると言われたのですが……」
 彼女の顔が幾分しょんぼりとしたものになった。
 そして俺は吾妻のシスコンぶりに苦笑した後、布が引き裂かれる音を呆然と聞くことになった。
 破れた服によって下着が露わになりながら、彼女は俺の顔をみて優位に立ったことを確信し笑みを浮かべた。
 良い表情だった。少なくともさっきの無理矢理な笑顔よりは数段男心をそそる。
「矢代先輩、そろそろ本当のことをしゃべって下さいませんか? でなければ、ここで大声をだします。
わかりますよね? この姿で人を呼べばどうなるかは」
「本当のこと?」
 冷や汗をかいてやばい立場に追い込まれたことを自覚しながらも、意味がわからないところを問い直す。
 振り返らず部屋を出ればよかったと後悔に心を鷲づかまれながら、解決策を会話に求めた。彼女に触れるわけにはいかなかったから。
 俺の疑問に可憐な目が厳しい輪郭を形作る。
「兄さんをどこにやったか、です」
 さらに意味が不明だった。にも、関わらず彼女の目は険しかった。
「とぼけるのですか? あれほどのノートを作れる人ですから、察しは良いと思うのですが……。やはり往生際が悪いのですね」
「なぜ、俺なんだ?」
 俺は自らが疑われているらしいということを、推論に頼らず、目の前の女の言動から察した。
 鈍いと言うべきなのだろうが、心当たりがないので仕方がない。
「最近、兄さんと変な行動をしたのは矢代先輩だけだからです」
「え?」
 どきんとひときわ強く鼓動が鳴った。
「二週間ほど前、矢代先輩は兄さんと旧天文部室に行きましたよね?」
「あ、ああ」
 声が緊張でかすれた。あの汚い部屋は旧天文部室だったのかと合点する。
「そこで重要な話をしましたね」
 一つ肯いた。
「矢代先輩はそれにより兄さんの執行部に参加することになりました。何かの取引があったのではないでしょうか?
兄さんは、その後、矢代先輩の参加に満足してましたから、矢代先輩に不利な取引だったのではないかと思ったのです」
 それは今日この少女と出会って一番有意義なセリフだった。
 凡百な愛の告白よりも、この少女の推理のきらめきの方がまだましだった。強引ではあったが読みは悪くなかったのだ。
 そしてそれは俺に深刻なショックを与えることにもなった。
 吾妻が消えて得をする人間は、つまりこの俺なのだ。限りなく黒いのが俺自身だった。
629ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:01:50 ID:OCkXHI3z
「……その通りなんだが、俺は本当に知らないんだ」   
 自分で言ってて、かなり説得力に乏しいと自覚していた。
「信じられません。知りうる可能性を考えたのですが、兄さんが何かされる理由としては先輩しか思いつきません」
 吾妻の妹が、真実の端緒をつかんだという意気込みを顔にみなぎらせ、詰め寄った。
「他の可能性は? 女関係や、金銭の誘拐とか」
「確かに兄さんの女性関係は始めに考えました。しかし付き合っていたことのある六人は全員違うことが確かめられました」
「確かめたって?」
「全員、他の方と付き合っていました。兄さんに未練がある様子はありませんでした」
「犯罪は?」
「金銭目的の誘拐なら、私を狙う方が容易なはずですが、私の身の回りにはそんな怪しい人物が動いている感じはありませんでした」
「くそっ」
 俺の舌打ちですら、犯人の追い詰められた様子だと傍目には映るだろう。
「後は事故の可能性はありません。周辺の病院に電話して尋ねてみました。兄さんのような患者はいないそうです。
それと兄さん自身の家出の可能性ですが、兄さん名義の通帳からお金が引き出されていません。
友達との旅行の話もありませんし、新しい彼女の話もありません。いたとしても旅行やデートにもお金がいるはずです。
残るは怨恨の線ですが、その可能性は先輩だけなのです。……さあ、真実を話してください」
 俺は彼女の目から視線を外した。この行動も非常に怪しい動きと思われたに違いなかった。
 だが、俺は自分が犯人でないことを知っていた。見過ごされている何かがあるはずなのだ。
「例えば不良ともめたとか、新しい彼女を作ろうとしてトラブったとか、ストーカーとか……」
「確かにそんな可能性はありますが、一番怪しいのは先輩なのです」
 そらした目の端にかわいい柄のブラジャーが見えた。胸をきれいに包んでいた。
 ストーカーといえば、彼女に真実を吐けと迫られるのもストーカーみたいだと思った。
 誘い込まれて色仕掛けでついには脅迫されて。これだから女のストーカーは質が悪い……。 
「ストーカー?」
 ふと何かがひっかかる感じがした。
 胸を包んでいるかわいいブラジャー。……女の子が大事に包んでいる?
 俺は視線を戻した。
 俺を犯人と決めつける彼女の嫌な目。だが、もっと嫌な目を見たような覚えがある。
 吾妻は、あの女はこの話に関係ないって言った。
「……俺をなぜか憎しみの目でみる女」
「なんでしょうか?」
 目の前の女のことを頭から追い出して必死に思い出す。
「きれいに包まれた弁当箱をもって、吾妻の前に現れて、怒られていた」
 前に立つ人物と同じようにあの子も清楚だった。
 ただし線の細い、はかなげな綺麗さとそれをホラーにしかねない空虚で絶望と憎悪だけが浮かんだ目。
 毒をもった隠花植物の花というべきあの少女。……記憶はつながった。
「……吾妻と付き合っていないが、吾妻をとても好きだった女の線は?」
「先輩には失礼ですけど、兄さんはかなり女性に人気があります。そんな女の人は多過ぎてとても調べきれません」
「ああ。だけど最近吾妻に弁当を差し入れしようとして断られている女がいたはずだ。
おそらく一年生。それなりに綺麗で線が細くて清楚な感じだけど、目が少し危ない感じの女」
 吾妻の妹は、首をかしげた。
「それは調べてませんが……、それが何か関係が?」
「わからない。ただ調べてみる価値はあると俺は思う」
630ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:04:30 ID:OCkXHI3z
 彼女の目に浮かぶ強い不審の色は消えなかった。だが彼女は一歩下がった。
「後ろを向いてください。着替えます」
 俺はあわててドアの方を向いた。
 しばらく衣擦れの音がした後、彼女の声により向き直った。
 吾妻の妹は、部屋着に着替えていた。ボロ切れのような制服のシャツは丸められている。
「先輩、今日は帰っていただいて結構です。ですが、疑いは全く晴れていません」
 俺は無言だった。
「しばらくは先輩を監視します。昼休みは私と行動してください」
「え、ええーーー」
「なんですか、その嫌そうな態度は? 少し傷つきます」
 どうも態度に露骨に出てしまったようだが、いまさら隠す気もなかった。
 先ほどの鋭利なほど俺を突き刺した彼女の目の光が刃こぼれして、ショックに揺れていた。
「昼休みは、大好きな女達と飯を食うって決めてるのに、何が悲しくて吾妻の妹と過ごさなきゃいけないんだよ?」
 いっそ言い切ってしまって、そして目の前の女の落胆ぶりに驚いた。
 吾妻の妹は本気で落ち込んでいたのだ。
「……そんな言い方って……。何も好きであんな兄さんを持ってないのに……。それに大好きな女って……」
「おい、なんでそんなに落ち込むんだよ?」
 その言葉に彼女が顔を上げて、さっきより迫力ある目つきで俺を睨んだ。
「先輩は、私と付き合いたいって兄さんに頼み込んだんじゃないんですかっ?
だけど兄さんが私をあきらめさせようと先輩に無理難題ふっかけたから、先輩は兄さんを亡き者にして……」
 どこかで頭のネジが緩んだような気がするほど、俺の頭は空白になった。
「はぁ?」
「それなのに、私とお昼を過ごしたくないとかっ、大好きな女とお昼を過ごしたいとかっ、ひどいですっ!」
 ドンという音と共に彼女のかかとが俺のつま先にめり込んだ。
 その後の惨状は書くまでもない。
631ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:07:19 ID:OCkXHI3z
 あるものは不機嫌だった。またあるものは困惑していた。さらにあるものは無視しようとしていた。
残ったあるものは、信念にしたがっていた。そして俺は、開き直っていた。
 翌日の昼休み、中庭の端っこ。木と草むらでちょうどよく囲われた上に、グラウンドや校舎の出入り口からも外れた絶好のカップルスポット。
 そこに俺達五人はいた。……四人は愛し合う中だったが、お邪魔虫が一匹。
 俺達四人はいつものごとく柔らかい芝生にハンカチを敷き、輪になって昼食を食べていた。適当に仲良く、適当にケンカしながら。
 弁当箱が空になって食事が終わりかけの時に、俺達の間に乱入してきたのが、昨日のハニートラップ名探偵、吾妻の妹だった。
「なんですか、この人は?」
「女子高生探偵の人だ。気にするな」
 沙織が不機嫌も露わに、吾妻の妹を睨んだ。俺はそんな沙織にご機嫌伺いでごろにゃんと体をすりつけた。
「吾妻美優です」
 気丈な口調でそう言いながらも、吾妻の妹――美優は俺の行動にショックを受けた様子を隠しきれなかった。
「その、なんで私達のところに入り込んでくるわけ?」
「監視活動だそうだ。気にするな」
 里香が困った顔で美優を見つめる。俺は里香の膝枕でごろごろした。
「矢代先輩には重大な疑いがあるんです」
 そう言いながら、美優はさらに顔をこわばらせた。
「まーくんお弁当たべてしまいましょう? まーくんの大好物、ほら、ピーマンの肉詰め残ってるわよ」
「わーい、姉さん大好きぃ」
 素知らぬ顔で姉さんの箸につままれた料理を食べる。姉さんの胸にすりすりと顔をすりつけた。
「や、矢代先輩っ!」
 なにか美優が叫んだが、俺は無視した。
「というわけで、みんなは美優ちゃんのことは気にしないでいいから」
「先輩っ!」
「なに?」
 きんきんと耳が痛くなるような叫び声で皆が顔をしかめているので仕方なく振り返った。
「こ、これはいったいどういうことですかっ?」
「どうって?」
「こ、この三人の女性とどういう関係なんですか!?」
 美優は動揺していて目が少し泳いでいた。関係を理解はしているが納得してないようだった。
 はじめから隠すつもりがなかったので、単刀直入に答えた。どうせこの娘が副会長になれば、いずればれることでもある。
「俺の大好きな女」
「どの人がですか?」
 その質問に深い意味はなかったのだろう。だが俺にとっては大事な質問だった。
 沙織、里香、姉さんを腕で抱えて引き寄せる。
「全部。三人とも俺の大好きな女」
 美優が口を開けたまま静止した。
「固まってますねー」
「そりゃ、固まるよ。理解したくないと思うよ? 異常な世界だし」
「女にとってはある意味、あり得ないしね」
 腕を放すと女達は呆然と固まった美優を見つめて思い思いの感想をのべ、俺は無言で美優の頭に事実がしみこむのを待った。
 やがて美優の顔に納得いかないという表情が戻ってくる。俺の言い分を理解したと考え、俺は話を続けた。
「つまり、吾妻の話とは、この女達と俺との関係の話だ。この関係をばらさない代わりに執行部の仕事を手伝えってことだったんだ。
まあ、あの時吾妻は二股だと思っていたようだけど、既に三股になっていたんだけどな」
 美優が再び口をあんぐりあけた。その表情は妙にコケティッシュだった。
632ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:09:08 ID:OCkXHI3z
「み、みつまた?」
「そう。三人同時進行」
 美優の顔が言うべき言葉を無くしたという顔になる
「それが君の考えていた、俺に不利な取引の正体。ばらされるといろいろとめんどくさいからな」
 美優は何度か口を開けて何かを言おうとしたが、その度ごとに思い直したように口を閉じることを繰り返した。
 そしてついに大きく深呼吸をして、胸を押さえて、自身の気持ちを整えたようだった。
「じゃ、じゃあ先輩が私を副会長に推薦したってのは? 先輩が私のことが好きで一緒に居たいからではなくて?」
 俺を見つめる美優の瞳が少し潤んだようにみえた。
 俺は申し訳なくなって頭をかいた。
「うん、すまない。俺は目立ちたくなくて選挙活動に加わらないから、副会長を誰にするかという話になって、吾妻にとって信頼できる人物ということで、君を推した」
 その言葉と共にぽろりと美優の目から滴が流れ落ちる。
「……私、馬鹿みたい。好きな人に認められて愛されてるから副会長に推薦されたと勝手に勘違いして。
なのにいつものように兄さんが邪魔をしたんだと思いこんで……」
 泣き笑いの顔が胸に刺さり、俺はさらに深く頭を下げる。
 里香が黙って美優の肩を抱き、頭をなでた。
「ごめん。俺は沙織や里香や先生を愛してるんだ」
「三人ともですか?」
 涙をこらえた美優が、必死に意地悪な笑いを顔に浮かべた。
「ああ。三人ともだ」
「無茶苦茶です」
「そうだな。本当に、我ながら無茶苦茶だと思う。
でもさ、俺にはできなかった。三人とも俺をすごく愛してくれたのに、その愛を比べるってのができなかった。
愛を比べて、二つを捨てて一つを選ぶ……その選ぶっての、俺はすごく傲慢な気がして、出来なかった」
「……でも三股なんて」
「ああ、良識に反しているよ。そして、選べないことを女達に押しつけている。酷いことだと思う。
でも俺に言わせれば、誰かに愛されるって、とてもすごい奇跡で、愛し愛されることはもっと奇跡だと思う。
沙織が、里香が、先生が俺を愛してくれたから、俺は自分に意味を見いだせたんだ。
ここに居る意味、自分が生きてきた意味を、教えてくれた。だから俺は沙織を、里香を、先生を愛し返してあげたい。
もちろん、好きだから手放したくないってのもある。いや、それがすごく大きい。
沙織も里香も先生ももう誰にも渡したくない。ずっと隣にいて欲しい」
 いつしか美優の泣きそうな顔が落ち着いていた。
 そして俺の両手がそれぞれの手に握られ、背中に姉さんの温かい体が寄せられる。
「ほんとは、みんなを俺のとんでもない勝手に巻き込んでいると思う。でも俺はこの手に三人を一生抱え込みたい。
いや、抱え込む。抱え込んで幸せに暮らす。……そう決めた」
「……先輩はとんでもない欲張りで、大馬鹿です」
 何かを思うことがあるような顔で、美優は俺を静かに非難する。
633ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:10:19 ID:OCkXHI3z
「何をいまさら。この人、ハーレムを作るって本当に思ってるんだから! 正気じゃないわね」
 苦笑を浮かべながら、里香が言う。
「ほんと、どうしてこんな弟に育ったのかしら? まーくん、今からでも遅くないわ。お姉ちゃん一筋になって!」
 後から抱きついて姉さんがささやく。
「大丈夫です。最後には私だけが残って、普通になるんです。中塚さんもお姉さんもすぐにほかの男についてっちゃいますから問題ありません」
 なぜか自信満々に沙織が宣言する。
「勝手に決めつけないで! 片桐こそ、他の男に誘われたらよろめくんでしょ」
「私はまさ……矢代くん一筋です。でも中塚さんは矢代くんに愛想尽かしてるんじゃないですか?」
「矢代くんをブラコン女やあんたみたいな人に任せたら、余計に心配なの! というか、絶対に任せられない。あんた達常識ないから」
「弟の育て方を間違ったのは認めるわ。ほんと、こんな二人みたいな横恋慕してくる女を厳しく追い返すのは、早く教えておくべきだったわよ。
こんなことならおねーちゃんだけに優しくって言い聞かせるんだったわ。おねーちゃんを海より深く愛するのは常識なのにねぇ。はぁ」
 女三人がいつものように始めた喧嘩を、美優は目を白黒させながら眺めている。
 それは俺にとってある意味心休まる光景だったけれども、言うべき事は残っていた。
 俺はもう一度三人を抱き寄せて、喧嘩を止めさせる。
「そのとおりだよ。君の言うとおり。我ながら馬鹿で強欲だ。でも俺はもう賢く正しく生きるのは止めた。そんな人生くそくらえ
俺は沙織や里香や姉さんと共に生きていけるなら、最低でクズで結構。他の女に総スカンでいいんだ」
 美優が息を呑んだ。
「だけど、この三人を俺への疑いで巻き込んで欲しくはない。だから吾妻の捜索に協力する」
 言葉を切り、じっと美優をみつめた。
「俺の言ったストーカーの女、該当する奴はいたか?」
 美優はしばらく沈黙した後、表情を改めて、ひとつだけしっかりとうなずいた。 




「ところで矢代先輩はどうして大和田先生を姉さんって呼ぶのですか?」
 ストーカー女の話をした後、美優がきっちりつっこみを入れてくれて、説明に苦労したことは省略したい。
 まあ、三股の上に最低を重ねただけのことだ。 
634ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:11:18 ID:OCkXHI3z

 十分後、俺と美優は一年の教室の前にいた。美優のクラスではない。
 昼休みも終わりかけで生徒は教室に戻ってきており、俺は入り口から教室に戻ろうとした女生徒を呼び止めた。
「えっと、古川幸(ふるかわ・ゆき)っているかい? おとなしそうでちょっときれいだけど近寄りがたくて暗そうな人」
「彼女、休んでますよ?」
 何のてらいも迷いもなく女生徒は即答した。俺の述べた外見的特徴が人名と合致したのだ。人定質問は成功したらしかった。
「あれ? 彼女、いつも俺のクラスの吾妻に弁当を持って行ってたのに?」
「知らないんですか、先輩? 最近、吾妻先輩にあの娘、はっきりふられたんです。もう来ないでくれって。
まあ、暗い顔で追っかけまわすんですから仕方がないですよ」
 ケラケラとその女生徒は残酷に笑った。俺は苦笑を顔に浮かべておいた。
「で、彼女いつから休んでるの?」
「四日前からですよ。失恋してあきらめきれずに引きこもってるんじゃないですか?」
 美優の目がきらりと光る。
 俺は礼を言って女生徒を解放した。
「……先輩には謝罪とお礼を申し上げないといけませんね」
 そこに居たのは、先ほどまで心を揺らしていた美少女ではなく、手がかりを見つけた名探偵だった。演技は下手だけど。
「ビンゴって言いたいが、まだ決まった訳じゃない」
 俺の言葉に美優はうなずく。
「現場を確かめる必要があります」
635ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:13:11 ID:OCkXHI3z


 放課後、俺達五人は見知らぬ住宅街にいた。目前の一軒家の表札には、「古川」の文字がある。
 今どき珍しくもない白い壁で建て売り風の少し古めな二階建て。生け垣に囲まれ、窓ガラスにはカーテンがひかれている。
 門扉の向こうには少しさびた自転車があるが、人の気配に乏しく昼下がりの古川宅は静まりかえっていた。
「この古川さんって人が、吾妻くんのことを知っているかもしれないってわけね」
「でも私達、この古川さんって人と全然話したことも会ったこともありませんよ?」
 里香と沙織が家を見上げて言った。
「私も矢代先輩に言われるまでは全然しりませんでした。クラスも違いましたし」
「私は二年担当だから。一年の事は知らないわよ?」
 美優が玄関のドアを見つめ、姉さんが俺を向いて肩をすくめる。
「全員でいってみればいいと思うが? 当事者の美優と、担当教師である姉さん、そしてクラスメートの俺達。
俺達が吾妻の行方を尋ねても何もおかしくはない。堂々と行けばいいさ」
「知らないって言われたらどうしますか?」
「そんな時は姉さんの出番」
「ええー? ……と言いたいところだけど、仕方ないわね。仕事だし」
 美優の指摘に俺は姉さんを持ち出し、話をふられた姉さんはもう一度肩をすくめた。
「というわけで、姉さん。まずはインターフォンでのお話をお願い」 
「はいはい」
636ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:14:37 ID:OCkXHI3z
 教師の威力というものは、こういうときこそ頼もしかった。
 俺達に対してかたくなに入り口を閉ざしているように思えた古川家が俺達を玄関まで招き入れたからだった。
 もちろん、姉さんの話の持って行き方がかなりうまかったのだ。
 俺達は門扉を開けて、ぞろぞろと玄関まで移動し、扉が開くのを待った。
 やがて、扉が小柄な女の体ぶんだけ開いた。開けたのは、あの時の嫌な目をしていた女生徒。
 休んでいたにも関わらず、タートルネックのうす黄色のシャツにモスグリーンのスカートをはいている。
 着飾らないカジュアルな服装は、清楚さこそ失わなかったが非常に地味で、かなり整った顔にも関わらず全体として冴えない感じだった。
 もっとも、顔の美しさが生きないのは、服装だけでなく瞳のせいもあった。目が生気や喜びに乏しく、まさに人形じみた印象を与えるのだ。
 今日の彼女の目には憎悪こそなかったが、どことなく痛々しい空虚さが相変わらず漂っていた。
 そんな彼女に対して、姉さんと美優が先頭に立って、しゃべった。俺達はその後ろで黙って会話を聞いている。
 だがその会話で彼女はじっと聞いているだけで、自身はほとんどしゃべらなかった。それゆえまれな返答でなんとか会話が成り立っても中身は乏しかった。
 やがて手応えのない会話にじれて、美優が叫ぶ。
「お願いです! 兄さんが居なくなって、もう四日もたつんです! あなただって兄さんを好きだったじゃないですか!
兄さんにひどいふられ方をしたかもしれませんし、そのことは謝りますが、どうして何も教えてくれないんですか!」
 その時、俺は家の奥で何か物音を聞いた。そしてうめき声のような声も。
「あの、何か変な声、きこえませんでしたか?」
「まさ、あれ、吾妻くんの声に似ている気が……」
 沙織と里香がそっと俺にささやき、俺も同意を込めて、彼女らの目を見返す。
「私には関係ないですから……」
 そう言って閉じられそうになった扉に、俺が足を突っ込めたのは、まさに奇跡だった。
 渾身の力で扉をひきずり開けると、俺は叫んだ。
「吾妻、いるのかぁ?」
 今度こそ、五人に、いや、目前の古川幸にすら聞こえる声でうめき声が響いた。
「二階よ!」
 姉さんの言葉と共に弾かれたように美優が中に入り込む。
 続いて入り込んだ俺は、視界の端にあの嫌な目の光と銀光が輝くのを見て、とっさに伏せて転がる。
 沙織の悲鳴があがり、姉さんが顔を蒼白にして口を押さえて立ちすくむ。
 中に入ろうとしていた里香が顔を引きつらせながら、入り口で立ちすくんでいた。
 俺は倒れたときに打ち付けて痛む肩を抱えながら立ち上がる。
 美優が階段の途中で振り返って、恐怖の面持ちでこちらをみていた。
「出て行って。……私と先輩の邪魔をしないで。……出て行かないと……殺しちゃうから」
 玄関の土間で、彼女はつぶやいていた。
 あの暗く絶望に満ちた濁った瞳。その中には否定と憎悪だけがうずまきながら、顔はあくまで能面のごとき無表情。
 そんな古川幸の拒絶は、言葉だけでなかった。
 鈍く銀色に光る包丁がその手に掲げられていたのだ。
 包丁がゆらゆらと目標を値踏みするように動き、一番距離が近い俺のところで止まる。
「あなた、また、私の邪魔をした」
 それが彼女の死刑宣告。
637ご愁傷様、矢代くん:2008/10/03(金) 20:15:48 ID:OCkXHI3z
投下終了。
ヤンデレ監禁サラダをどうぞ。
638名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 20:29:18 ID:urUKspwL
gj
なんでか知らんが主人公がカッコイイと感じた
639名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 20:34:46 ID:FeJfkG1K
GJ
まだ美優フラグ折れてないよな?www
640名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 20:38:57 ID:6UiirsVh
GJです

阿修羅さん保管庫更新乙です
641名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 20:42:01 ID:oCwRRYIv
マーシー格好いいな
642名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 20:52:51 ID:4pvbp89K
>>640
更新してる?

そしてGJ
643640:2008/10/03(金) 21:15:47 ID:6UiirsVh
本スレとラノベだけだった・・・orz
644名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 00:38:19 ID:18EDq8aY
保管庫更新頼みます
645名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 00:42:53 ID:ZymsUGOZ
>>637
GJだ。美優がどうなるかがとっても気になるな。

しかし、矢代の性格が段々と変わってきている気がするんだが・・・・
646名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 01:53:49 ID:YN04Be3X
>>637
GJ.美優フラグも気になるけど4人同時進行は…。
>>645
だな。正しい道から360度回ってしまったような性格だとおも
647名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 04:35:47 ID:dzRjVOTb
ゆうくんは開き直ってゲス野郎に、まーくんはポジティブになったと。
648名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 09:19:30 ID:Dr9ECd1M
まーくんはわしが育てた
649名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 12:29:56 ID:HOM6UmqW
>>648姉乙
650名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 16:02:15 ID:/m07XQ/h
ゆう君は椿ちゃんが育てた
651名無しさん@ピンキー:2008/10/04(土) 18:08:11 ID:MY1tqiiB
>>646
元通りじゃないか、とツッこんでいいのだろうか。
652名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 04:23:05 ID:+YKCmVAu
俺は同じ立場になったら間違いなく同じ道を選ぶ。
多分正しいから360度でいいさ
653名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 12:01:32 ID:lph7bV++
>>637
今更ながらGJ!!
654名無しさん@ピンキー:2008/10/05(日) 22:12:20 ID:eXbpkLPK
いいから七戦姫の続きだせ
655名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 00:43:24 ID:rolBfNnT
たった一人の書き手が投下を我慢してくれてるだけで、なんという平穏っぷりなのか
この平和をいつまでもみんなで共有していたいものだが
656名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 11:46:21 ID:ddBIKhnh
>>655
そんなの自分が嫌だってだけだろw
お前みたいなのがスルースキル身に付けて書き込まなかったらもっと平和になるよ
657名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 12:10:49 ID:bc2Mzea4
我らには嫉妬修羅場という癒しが必要なのだ
658名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 12:41:33 ID:VtVNKli6
なんという心地良い矛盾
659名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 16:55:12 ID:W1vMVjgD
全裸で待とうぜ
660名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 20:53:17 ID:LDkDz9PG
それよりもウルスラたんが登場するお話の続きはまだかね
661名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:20:10 ID:Mgjy8mHq
トライデント好きだったんだがどこいったの?
662名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:39:02 ID:rolBfNnT
これだけ矢代くん一人が持て囃されたら、他の書き手はビビって投下できんだろう
いや、お世辞でなく実際面白いから文句付けるつもりなどさらさらないのだが
むしろ面白い作品が続けて読めるのは好都合だし
663名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:47:49 ID:9UXkqw3E
男の嫉妬・三角関係スレはないのか。

需要あると思うんだけどな。
664名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:50:53 ID:1QSlEhHb
>>662
はいはい
665名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 22:52:41 ID:5UznldSU
>>661

トライデントだと!!
お前はあの悪夢のようなスレに逆戻りしたいのかい?
666名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:23:12 ID:5UznldSU
トライデントの正体は扇さんが告発してますけど

317 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/09/01(月) 02:24:18 ID:Y7KKQ1b+
       ,  '´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
       {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
.       }: : : : : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : `}
      /: : : : :, _ - ‐ -`、::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::: : : :く嫉妬SSスレ作家、トライデント
      lー ´       `ー ''- ‐- '´ー 、:::::::::::::::: : : ソ日本語がおかしい文章でスレ住人を惑わし
        l_ _                ヽ、 , /´: : :,'人を操る・・ペテン師だ!
       l: : : /,, ̄  ̄ ー -、- ー 、_    /: : : , '
       /,: : ´/,-‐=== = 、ゞ: : : :, '二 `ーV、: : ´俺は彼を信じたかった。だけど、トライデントは
      { ',ゝ::/   ,= = ヾ   ゙-- ´r - 、_/) `´俺達を金儲け、彼のアクセス数を上げ、広告収入を
      `、i: :ヽ,  、f´ヒソ`    i  f心 ソ /,'ケ 得るための捨て駒だったんだ。
       ヾi: : ゞ.      ´    l  `゙ ´ ./} /もう、嫉妬スレにトライデントは必要はない
        ヽ:',         ,,. |:     /ン人は駒じゃないんだ!! 生きているんだ!!!!
      ,一´、:',        、 /::    /
   , '  / l::ヽ  、             ,.' 、
 , '.    /  ,!, ,' ヽ  `ー ――――' , ' 、 \
/.    イ//  '.  ヽ    ゙゙゙゙  , 'ト  l  ' ,
     l     !   ヽ     , ' l \ l   ',
.     |.     ',    ヽ _ _, '  /    |    ',`‐
     |      l          |      l    ' , \
     |        |                 l    \. \
667名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:27:46 ID:rsYk9ygq
はいはい、かわいそうな人はスルーしましょう

http://info.2ch.net/before.html
668名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:29:12 ID:5UznldSU
おまえら、扇さんの言葉を信じないのか?
669名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:40:02 ID:Y6Vcr3lN
扇なんかギアスで俺の一番嫌いなキャラだ。信じるわけねえw
670名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:45:11 ID:qHQcp3i1
>>669
  `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
           ̄ー┴'^´
671名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 23:49:37 ID:OAhy/I/u
>>663
男の嫉妬ほどキモいものはない
672名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 08:54:25 ID:eKJdTaEB
未だに小学生レベルを脱却できない気の毒さんが必死にマッチポンプしてると聞いて
673名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 11:08:08 ID:JjzBPVO8
嫉妬する女の子による修羅場は萌えるぞ
特によくばりサボテンみたいな修羅場は萌えるw
674名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 14:59:15 ID:UXInYwWi
かなり久しぶりにこのスレ来たんだが、bloodymaryはどうなったんだ?
普段まとめしか見てないけど楽しみにしてるんだ
675名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 18:26:48 ID:XkB9fypH
>>674
作者さんの音信不通。

まあ、どうせ修羅場にでも巻き込まれているんじゃね?
676名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 19:10:38 ID:XmwFmITR
とっくにエロパロ卒業してるよ
みんなそれぞれ生活があるんだから無茶言っちゃダメ
677名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 19:11:11 ID:Ci0zhzDk
マジレスすると死んだ
678名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 19:15:03 ID:x7RQUMf+
コラ
679MOON 1話  ◆IhTqFIlZ4Y :2008/10/07(火) 23:26:16 ID:MejjP+PI
「すまん、さすがに深夜にキノコジュースは・・・ッ!」
 続けようとした俺の言葉は乾いた音で遮られてしまった。
「私はいますぐにキノコジュースが飲みたいの、あれないと死んじゃうの・・・死んじゃう五秒前なの」
 玄関先、わずかに開いたドアの隙間から顔半分を出してジロリと睨む女。
 女はこの町の特産品キノコジュースを御所望している。
 だがキノコジュースはあるスーパーでしか売っておらず深夜のこの時間、当然ながら閉店している。
 この女のワガママ振りを知っている俺はシャッターを叩きながら必死で訴えた。
『キノコジュースがないと怖いお姉ちゃんが僕を叩くの!だからキノコジュースを!』
 虚しく響く俺の声と
『うるせェ!眠れないだろうが!』
 木霊す、安眠を妨げられた者の叫び。
 そんな戦いの日々を送って戻ってきた勇者を待っていたのは、
 空のキノコジュースの缶を額に投げつけられるという変わった
 愛情表現しか出来ないないお姫さまだった。
「とにかく!キノコジュース、キノコジュース!キノコジュース!!!」
「わがったよ!だから鳴くな!」
 近所迷惑だ!
680MOON 1話  ◆IhTqFIlZ4Y :2008/10/07(火) 23:27:38 ID:MejjP+PI
 こうして俺は深夜の街を再び徘徊している。
「早くしなくては補導されてしまう」
 ただでさえ目立つナリをしているのだ。巡回中の制服の人に見つかったら即アウトだ。
「はぁ、かったり〜」
 口癖を吐いて俺は夜空に浮かぶ満月を見上げた。
「・・・」
 俺には彼女・・・幼馴染の観里静菜に逆らえない理由がある。
 静菜は俺を救ってくれた存在だから。
 ・・・そういえばあの日も満月だったな。

 1年ほど前の話だ。俺の父親が人を殺した。
 理由は単純明快、愛人との痴情のもつれで勢いあまって殺してしまったらしい。
 自分で言うのもなんだが俺の両親はクソだ。幼いころから父親の暴力によって俺は痛覚を失った。
 これ幸いと暴力を続ける父親、母親は見て見ぬふりで他の男に依存し俺を『見捨てた』。
 だから俺はそんな最悪な父親が最悪なENDを迎えそのことで母親もどん底に落ちればそれで良いとほくそ笑んだ。
 だが、現実は違った。父親は警察に捕まったが正当防衛が認められ釈放、母親はまた新しい男を作ってどこかに逃げて行ってしまった。
 世間は罵った『最低な男』と・・・父親は半年後自殺した。
 向けられる憎悪はすべて俺に向けられた『あいつは人殺しの息子』の烙印を押され、なんでもかんでもあいつは人殺しの息子だから何をするかわからないという目で見られた。
 『正義の名の下に人殺しの息子を断罪する』という名目のもと俺を襲う連中も現れた。
 痛覚のない俺は痛みを恐れず向かってくるクソ共を殴り倒し蹴り倒し続けた。
 いつしか俺は血に塗れていった。人殺し以外のことはなんでもやった。
 そんな泥沼にはまった俺を救い出してくれたのは・・・静菜だった。
681MOON 1話  ◆IhTqFIlZ4Y :2008/10/07(火) 23:29:24 ID:MejjP+PI
 人気ない街路時で俺は悪を成していた。
「や、やめろ・・・」
 脅え、震え、歪む。俺と対峙した奴は大抵そんな顔をする。
 例に漏れずにこいつも最初はナイフをちらつかせ、仲間に俺を囲ませ、見下すようにしてほくそ笑んでいたが数分後には恐怖のあまり失禁するほど取り乱している。
「は?先にヤッたのはお前だぜ?」
 拳を振り上げる。
「あ、あぁ〜!」
 しまった・・・ナイフのこと・・・忘れてた。
 腹に刺さったナイフが見えて俺は一瞬意識が鈍った。
「あ、お・・・れは」
 なに、きょどっているんだよ?
「三下が!」
 拳を振り下げてクソ野郎の顔面に拳をめり込ませる。
「はぁ、かったる」
 吐き捨て俺は倒れる人の群れに背を向ける。
 同時に俺の視界に広がる月光が人影に遮られた。
「湊!」
 静菜だ。こいつは血に塗れた俺に臆することなく近づき泣きすがった。
「このままじゃ、湊が死んじゃう!そんなの嫌!」
「俺に構うなよ」
 そう、その方が良い。最悪な両親から生まれた俺は最悪な人生を送りしかない。
 呪われた俺と一緒にいなければ静菜まで『人殺しの息子に構う変人』と言われなくて済む。
 思わぬ静菜の登場に俺は背後に迫る影に気付かなかった。
682MOON 1話  ◆IhTqFIlZ4Y :2008/10/07(火) 23:31:06 ID:MejjP+PI
「見つけたぜ・・・お、めぇの・・・弱点」
「あ・・・ゥ」
 一瞬のことに俺はすぐに気づくことが出来なかった。
 俺を押しのけそのままナイフを静菜の腹に突き刺す先ほどの『三下野郎』。
「みな・・・と」
 血に染まり倒れる静菜。
「・・・静」
 血に染まり悪を成すのは俺のはずなのに・・・なぜ優しいこの子が?
「殺す」
「ひ、ひぃ」
 叫び、逃げ惑うようなこんな奴に静菜は・・・静菜は!
「やめ・・・て」
 か弱い声が俺を止める。
「う・・・く」
 己の顔の横を掠めコンクリートにめり込む拳を横目で見た『三下野郎』が驚きの声を上げた。
 俺が今どんな顔をしているの解らない。だがこれだけは解る俺の怒りも憎しみの全てか弱い声で納まっていた。
「湊」
 血に染まった小さな手が俺の服の腕を掴む。
 静菜に触れられている箇所が痛かった。久しぶりだ、痛みを感じたのは。
「静菜」
 逃げ出す『三下野郎』など気にも留めずに俺は静菜を抱き寄せた。
「そこで何をしている!」
 ライトが血まみれの俺と静菜を照らす。先に見える警官だ。巡回中に偶然通りかかったのだろう。
「た、助けてくれ!静菜を!」
「き、貴さま!神瀬湊!」
 警棒を構え俺を威嚇する警官。どうやら俺は警察内でも有名人らしい。
「頼む!静菜を!」
「落ち着けその子を離せ!」
 どうやら俺が静菜を盾にして逃げようとしているらしい、もしくは静菜を刺したのは俺だと思っているのか・・・
 俺に・・・味方などいなかった。
683MOON 1話  ◆IhTqFIlZ4Y :2008/10/07(火) 23:33:04 ID:MejjP+PI
 その後、俺は警察に身柄を拘束され取り調べを受けるという毎日を送っていた。
 警察は俺を犯人にしたくてしょうがないらしい。
 決めつける刑事に俺は悪態を付き応戦する。
 そんな毎日がこれからも続いていくのだろう。
 なぜなら俺に味方などいないのだから。
 一人なのだから。

「出ろ・・・」
 数日後、心底残念そうな刑事が俺にそう告げた。
 訳もわからず取調室から出る俺に刑事は残念そうに
「被害者の女の子が自分を刺したのはお前じゃないって、押しかけて来てな」
「・・・」
 言葉がでなかった。静菜が?
 俺の味方を?
 『最低野郎』の俺の?
 警察署からで出た俺を出迎えたのは優しい笑みを浮かる優しい幼馴染だった。
「おかえり。湊」

 あの日から、俺は人を傷つけるのをやめた。静菜を信じて彼女と向き合った。
 その途端にいままで信じることのできなかった連中も信じられるようになっていた。
 今では友達もでき、平凡な学生に戻ることができた。
 彼女には感謝している。彼女には恩がある。
 だが・・・最近のワガママ振りは正直いただけない。
「ここはなにか行動を起こし、男の威厳を・・・」
 できるわけもないことを想像しながらニヤニヤする俺は第三者から見たらひどく滑稽に見えただろう。
「あわ!み、湊くん?」
 そんな俺を名指しで呼び止める声。振り返ると処女雪のような真っ白な肌と長く美しい黒髪が印象的な少女がそこにいた。
「あの・・・」
 クラスメイトの大川彩音だ。なぜか静菜とは仲が悪い(相性か?)がよく一緒に遊ぶ仲ではある。
 そんな彼女が深夜の道中をなぜ?考えてすぐに結論に至った。
「漫画喫茶か?」 
 以前連れて行った漫画喫茶がひどく気に入ったらしく、週に一度は必ず訪れて深夜まで漫画を読みふけっているらしいという話を本人からつい数時間前に聞いたばかりだ。
「は、はい・・・」
 雪色の頬を真紅に染め彼女は頷いた。
「これは・・・チャンス、でしょうか?」
「なんのこと?」
 頭を下げたまま意味のわからないことを言う彼女に俺が尋ねると彼女は顔をバッと上げ物凄い勢いで迫ってきた。
 少し前まで来れば唇が触れてしまうほど顔を近付かせ首まで赤に染める彩音。
「私、湊くんがずっと好きでした。いえ・・・愛しています!私を貴方の物にしてください!」
 愛を囁き、彼女は俺に口付けた。
684 ◆IhTqFIlZ4Y :2008/10/07(火) 23:36:57 ID:MejjP+PI
拙い文章で申し訳ないです。新参者です。
そして誤字発見。投下四つ目の下から二行目
『どうやら俺が静菜を盾にして逃げようとしていると思っているらしい、
もしくは静菜を刺したのは俺だと思っているのか・・・』
です。

この話をいれて3話ほど書いて投下してみて、需要があるようならその先も書こうかと思っています。
685名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:42:24 ID:ovXjbOqj
イインダヨー
続き待ってるよ
このスレはうっさいバカがいるけどスルー推奨ね
686名無しさん@ピンキー:2008/10/07(火) 23:43:32 ID:XkB9fypH
>>684
乙〜

拙作な文章に悩みそうなら↓に行ってみればどうだ?ためになるかもしれん。
ttp://www.feel-stylia.com/rc/creative/

頑張って完結してくれよ。応援してる。
687名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 00:39:30 ID:rb3e8xna
乙です
がんばれよ〜
688名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 01:30:18 ID:aj5CLnDr
そのうっさいバカですけど、新人さんの作品って清々しいから大好きよ
怖がらずに投下してちょうだい
人気作家気取りの書いた勘違い作品やスレチのグロ作品には、これまで通り容赦しませんけど
689名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 02:43:23 ID:6D9X0HLX
容赦しない(笑)
増長することしきりだな、自意識過剰な駄々こねボーヤが
690名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 02:47:41 ID:Jkhp6wit
「容赦しない」っていつから「小学生並の屁理屈を述べる」という解釈になったんだ?
691名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 05:29:26 ID:LUX34XEj
爆釣だアッー!!
692名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 10:15:33 ID:fmsSaSOL
作者から相手にされないのに
笑えるな
693名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 10:42:14 ID:6D9X0HLX
作者よりも俺たちみたいなのに構ってもらうのが目的なんだろう、実際は
おいおい良かったなあこんなに釣れて
694名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 11:16:12 ID:LUX34XEj
(笑)www
695名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 13:05:35 ID:T1eTUyBN
自称ウナギ=一万年だしなぁ
一万年様が容赦しない(笑)
696名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 13:09:24 ID:wY+8kXCD
というか、次スレ立てようぜ

今回は珍しく1000行かずにスレが立ちそうなんだから
697名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 13:31:18 ID:VNzqg+Z0
ウナは全ての作品に武力介入を行います!!
698名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 14:18:16 ID:aj5CLnDr
あら、ウナの評論聞きたい人って意外に多いのね
ちょっとびっくり
ひょっとして陛下さまかしら
699名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 14:34:05 ID:6D9X0HLX
何言ってんの?
700名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 18:19:11 ID:+BqSqA/p
矢代くんの作者がウナギとかだったらウケるな
701名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 18:59:12 ID:dDeNZ+mC
というか何故俺には嫉妬してくれる女の子が居ないんだ?
教えてくれよ、お前ら。
702名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 19:44:01 ID:N+/7bQHY
母親がいるじゃねーか
703名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:44:40 ID:6D9X0HLX
>>700
まあそういうパターンだろうと思ったよ
お前は本当に進歩しないな
704名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:49:18 ID:R6rq1eNZ
>>701
そりゃ、ブサイクだし
705名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 20:58:59 ID:n2EcRvvU
修羅場とは美しい戦いなのだよ
706名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:17:52 ID:IKp5bMqC
「締め切り前」という意味合いではそうでもない
707名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:19:51 ID:xg63dHuP
そろそろ、埋めとくか
708名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:20:32 ID:xg63dHuP

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709名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:21:17 ID:xg63dHuP

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       ヽ.         /ヽ、,,,,________,,,/  /::::::/
        \      /ー----------‐‐''´:::::::::/
          `'ー--‐''゙     `゙ヽ::::::::::::::::::::::::::/

       \
 お そ .い ヽ
 か の や  |
 し  り  `  ,. -──- 、
 い .く   /   /⌒ i'⌒iヽ、
    つ /   ,.-'ゝ__,.・・_ノ-、ヽ
    は i ‐'''ナ''ー-- ● =''''''リ      _,....:-‐‐‐-.、
      l -‐i''''~ニ-‐,....!....、ー`ナ      `r'=、-、、:::::::ヽr_
 ̄ \ヽー' !. t´ r''"´、_,::、::::} ノ`     ,.i'・ ,!_`,!::::::::::::ヽ
    ヾ、 ゝゝ、,,ニ=====ニ/r'⌒;    rー`ー' ,! リ::::::::::::ノ
       i`''''y--- (,iテ‐,'i~´,ゝ'´     ̄ ̄ヽ` :::::::::::ノ
       .|  !、,............, i }'´    _   、ー_',,...`::::ィ'
     ●、_!,ヽ-r⌒i-、ノ-''‐、    ゝ`ーt---''ヽ'''''''|`ーt-'つ
        (  `ーイ  ゙i  丿   ;'-,' ,ノー''''{`'    !゙ヽノ ,ヽ,
        `ー--' --'` ̄       `ー't,´`ヽ;;;、,,,,,,___,) ヽ'-゙'"
                       (`ー':;;;;;;;;;;;;;;;ノ
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710名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 21:21:53 ID:xg63dHuP
      _
.   / / ̄ ̄\
   (| |        | 「 ヤンデレだっ!           ,. -=====ァァ==r=、、 _
    ヽヽ    /    逃 げ ろ っ!」     _/      //_ l! ヾヽフノ
   (_○二 ̄ ̄ ヽ_             ,. - ―1-ァ――――f 'ー-'‐|― '_二ヽ
(( / |┌ |   o(__) ))         ィク:::g::::ZZ二Z∧ ,r ニヽ.l   ~1   r:ニヘ
.  | = |(二r⌒             |::{{三三l二!(()  { fハ }l|    |  f仏ハ}
   ヽ_ノ  (┘) ) ) )       `ー-t_-__ァ-----ヒ廴i_ク┴―‐‐┴─ヘ辷ソ
           ̄      ) ) )


               ____________
 ──────    /     - 、-\ 「わあっ、ヤンデレが
 ───   ____/_   , -| 0|∠|ヽ     追いかけて来るうぅっ!」
  ̄ ̄   /____ヽ/  `- ●´ |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       |−、−\ | | /\≡|≡ >  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ──   | ・|∠ |─|_/ |    ̄/ ̄  「もっと はやく!」       ____ ______        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ̄ ̄   |`-o`−′ 6) ヽ(二二).....   .               ./〃/ _____ \  _____
    ==、、ヽ⌒) ノ]━(t)━━′______         .///// ./~| | ゙.ヾ,\
      || ) \∈_)_◯ ̄ ̄   |  ────── .  .    /// / /  | ..|   ヾ', i
 ── ∩=  |  __| ̄ ̄| , −、                 |川 .l  {  . | ..|   . .i .i
  ̄ ̄ | |  \/ ̄ )ノ二ノ  |  |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      .| 川 | .i.  /○ヽ、.  .} }
  / ̄| | ̄\/ ̄/ ̄)───`−′──────────   l 川 } ,l  / ./.\\. i .l ───────
 /   // ( ̄ ̄)/~\/⌒ヽ    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゝ川人 ヽ/ ./.  \/./
 |   ( )  [二]===( ) |  ───────────    ヾ`‐'ヽ、 ヽ、`''‐-‐''",<───────
 |    彡   ノ     ヽ  ノ   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           ><,_ヾゝ二>‐'"  ───────
  \     / 「せいいっぱいだよう。」                         ギーンッ
711名無しさん@ピンキー

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のび太君のテスト 3分

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出来杉君のテスト 15秒