【キノ】時雨沢作品でハァハァしよう10【アリソンシリーズ】

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482名無しさん@ピンキー:2010/06/23(水) 18:24:12 ID:Vlmjaxyu
>480
キノの照れ顔は皆で分け合うものだよ
483SBI:2010/07/01(木) 13:27:25 ID:r3zGzRY8
エルメス×キノなSSを書いてきました。
それでは、いってみます。
484SBI:2010/07/01(木) 13:27:49 ID:r3zGzRY8
深い眠りの中をたゆたっていた意識が浮上していく。
気怠くも心地良いまどろみの中をしばしさまよってから、キノはゆっくりとまぶたを開いた。
「また……か…」
目を覚ましたキノは暗い部屋を見渡してから、それ以上に暗い窓の外の景色を見る。
そこには静かに輝く星々の下、ひっそりと静まり返った街のシルエットが見て取れた。
街灯さえもが一つ残らず明かりを消して、深く濃い闇が街の中を満たしている。
唯一、空に光る星々の存在が、地上と空の境目を教えてくれていた。
巨大な闇に沈んだ街の光景。
「これでもう…一体、何度目だろう……?」
キノはもう飽きるほどにこの窓の外の闇を見続けてきた。
今度こそはと期待を抱いてベッドに潜り込み、瞳を閉じて眠りに落ちる事、既に数十回。
だが、何度眠っても、どれだけの時間を睡眠に費やしても、窓の外の闇が晴れる事はなかった。
明けない夜。
昇ることのない朝日。
夢か現か幻か、キノはこの国のホテルの一室で終わらない夜に閉じ込められてしまったのだ。
本来なら、この夜が明ければ、滞在三日目のキノはこの国を立ち去る筈だった。
だけど、この国で過ごす最後の夜、真夜中に目を覚ましたキノは異変に気付いた。
真夜中になっても消える事の無いはずのこの国のビル街の灯りが一つ残らず消えていたのだ。
異様な雰囲気を感じ取ったキノは周囲を見回して、さらに驚くべき事態を発見した。
その時、キノは今自分の身に降り掛かっている事態が尋常のものではないと理解させられた。
それは………
「…あ……キノ、起きたの?」
キノが寝ていたベッドの左半分、そこからむっくりと小柄な人影が身体を起こす。
キノと同じようなシャツとズボンを身につけ、ベッドサイドのスタンドからの光を反射して少し癖のある金髪を輝かせる少年の姿。
整った顔立ちではあるが、格好いいというよりは可愛いらしいという表現が似合う子どもっぽい表情を浮かべた男の子。
キノは振り返り、そんな彼に声を掛けた。
「おはよう、エルメス………って言っても、外は相変わらずの夜だけど……」
「そっか……」
答えた声はまぎれもなく、キノの相棒、モトラドのエルメスのものだった。
485SBI:2010/07/01(木) 13:29:24 ID:r3zGzRY8
「眠って目を覚まして眠って目を覚まして、これじゃ本当にキリがないよね……」
「ねぼすけのエルメスでも、これだけ夜が続くとさすがに堪えてるみたいだね」
「む…走る事が本分のモトラドを相手にそーゆー事を言いますか」
キノの軽口にむっとした表情で答えてから、エルメスはふと自分の手の平、ある筈のない人間の身体を見つめて呟く。
「そりゃあ…今はキノを乗せて走る事は出来ないけどさ……」
少し寂しそうな声のエルメスの、その手の平に、キノはそっと自分の手を重ねる。
キノが現在の少年の姿に変わったエルメスを初めて見たとき、その人物が自分の相棒のモトラドである事に一切の疑いを抱かなかった。
自分に起こった変化に戸惑い、呆然とこちらを見上げてきたエルメスに、キノは躊躇うことなく手を差し伸べた。
「不思議だね。あの時、ボクはエルメスがエルメスだってちゃんと分かった」
「いつもなら、間違いなくパースエイダーで撃たれてたよね」
「いや、あの時の距離ならナイフで仕留めるかな」
「こ…怖い事言わないでよ、キノ……」
真っ暗闇の街の片隅、一つだけポツリと灯りのついた部屋の中でキノとエルメス、二人は軽口をたたき合いながら長い長い夜を過ごしていた。
この『夜』とエルメスに起こった変化には恐らく何か関係があるのだろう。
寝ても覚めても昇らない太陽、街に人の気配は無く、時間の経過も曖昧になっていく。
さらに奇妙なことに、相当な時間が経過している筈なのに、キノの身体は僅かな疲れも空腹も感じる事がない。
何もかもが現実感を欠いていた。
不条理、不可思議な出来事にさして疑問を感じない今のキノの感覚は、ちょうど夢の中の感じに似ていた。
実際、エルメスが人間に変わるなんて、とても夢だとしか思えない事である。
だけど、この夢と現実が曖昧になった世界の中で、そのエルメスの存在だけはキノにとって確かな実感・手触りをもって感じられていた。
黒髪の少女と金髪の少年は誰よりも何よりも近くで肩を寄せ合っていた。
「これは夢なのかな、キノ?」
「分からない。でも、それ以外の可能性もボクは思いつかない……」
「もし……もし、このまま目が覚めなかったら…?」
おずおずと尋ねたエルメスの心配げな顔に、キノは穏やかに微笑みかけて
「大丈夫。エルメスがいるし、ボクは怖くない」
「僕もキノの夢が生み出した幻だって、そうは考えないの?」
さらに問いかけるエルメスに、キノはゆっくりと首を横に振る。
「思わない」
「どうして?」
「ボクにも分からないけど……」
キノはエルメスの、確かな温もりを持った少年の肩に寄りかかって
「エルメスはエルメスだよ。ずっと一緒にいたんだもの。ボクには分かる……」
「キノ………」
穏やかに、静かに、ただ流れていく深い海の底で過ごすような時間。
二人肩を寄せ合い、ぽつりぽつりと言葉を交わして、時に笑いあう。
時折まどろみに身を任せ、またまぶたを開いて、同じく目を覚ました相棒とまた穏やかな語らいの時間を過ごす。
(どうしてこんな事になってるのに…ボクは少しも慌ててないんだろう。不安を感じてないんだろう……)
そんな時間の合間にキノの脳裏にふと疑問が浮かぶ。
(これがもし夢だというなら…ボクの心を映しだしたものだというなら……ボクは……)
キノは隣に座るエルメスの顔を、その青い瞳をまじまじと見つめる。
「ど、どうしたの、キノ?なんか照れるんですけど……?」
「あ……ご、ごめん……」
ドキドキと高鳴る胸。
これと同じ鼓動をエルメスも感じているのだろうか?
キノが『キノ』の名前を受け継いで、生まれ故郷の国を飛び出してからずっと一緒に過ごしてきた相棒。
いつも当たり前のようにその存在を傍に感じて、交し合う言葉に何にも代えられない親愛を感じてきた。
その中で、キノの胸にゆっくりと育っていった気持ち………。
(ぜんぶ、ボクが望んだから……ボクがエルメスとこんな風に触れ合いたいって…そう思ってたから……?)
「キ、キノ…さっきから…変だよ?」
「エル…メス……」
(それじゃあ、エルメスは…?エルメスはボクの事をどう思って……?)
自分でも知らず知らずのうちに、キノの顔がエルメスの顔にゆっくりと近づいてゆく。
ぼんやりと頭が霞むような熱っぽい感覚が、キノの意識を覆い尽くす。
対するエルメスもキノに何か言おうとして、だけど結局何も出来ず、もはや間近に迫ったキノの瞳を見ている事しかできない。
486SBI:2010/07/01(木) 13:30:46 ID:r3zGzRY8
「キノ…本当にどうしちゃったの?」
「わからない…ボクにも…何故なのか…どうしていいのか……わからないよ…」
どこか切なげに、苦しげにつぶやいたキノの顔には赤い色が差して、その表情はエルメスの知るいつものキノのものでは無くなっていた。
さらに近くに、華奢な身体をエルメスの胸元に預けて寄り掛かってきたキノの身体を、エルメスは思わず抱きとめていた。
旅の中で鍛えられてはいても、それでも細く小さなキノの肩。
その手触りがエルメスの鼓動を着実に早めていく。
彼本来の金属で出来た身体では決して感じられなかっただろう、キノの体の感触・熱。
否応なしに高まる興奮が、今までキノの行動に戸惑うばかりだったエルメスの背中を押す。
キノに応えるように、自分の方から顔を近づけていくエルメス。
互いの吐息が聞こえるその距離で、二人はじっと見つめ合う。
(エルメスのこの姿を見たときから、何となく気付いてた……この明けない夜の意味……)
「キノ……」
キノの体を抱きしめる、エルメスの腕に力が込められる。
(ボクは人間で、エルメスはモトラド……どんなに心が近付いても、人間同士のように愛を交わす事は出来ない。
だから、この誰にも邪魔をされない時間の中で、エルメスに触れて、触れられて、抱き締められたかった………)
「キノ…僕は……」
「エルメス……」
磁石の極が引かれ合うように、二人の唇と唇が重なる。
「好きだよ…キノ……」
「うん。ボクも…ボクも大好きだ…エルメス……」
(たとえ、これが夢でも幻でも………)
唇を重ねあわせるだけの一度目のキス。
そこから間を置かずに、熱に浮かされた二人は再びキスをする。
今度はおずおずと互いの舌を突き出し、絡め合わせて、お互いの口の中を味わう。
唇を離すと糸を引く唾液と、熱い吐息が、否応も無しにキノとエルメスの興奮を高めていく。
「キノの体…触りたい。いつもは触れてもらう事しかできなかったし……」
「うん。いいよ。エルメスの好きにして……」
その答えを聞いて、エルメスはキノのシャツのボタンに手をかける。
エルメスのなすがまま、ボタンを一つ外される毎に自分の肌が露になっていくその感覚に、キノは恥ずかしさと共に得も言われぬ幸福感を感じる。
信頼し、愛する相手に自らのすべてを委ねる幸せ……。
全てのボタンを外されたシャツの下、下着をめくり上げられてキノの幼く控えめな胸が姿を現す。
そこにエルメスの指先が、触れた。
「ひ…ぁ……!!」
極限まで高まった興奮がキノの神経を敏感にさせているのだろうか?
触れられただけで走り抜けた電流のような感覚に、キノは思わず小さな悲鳴を漏らした。
「キ、キノ!?だいじょうぶ?」
「うん…平気…だから……エルメス…もっと…触って……」
痺れるような感覚と、体の奥で燃え上がる熱。
エルメスに触れられている、その実感がキノの中にさらなる刺激を求める熱情を湧き上がらせた。
「…キノ…きれいな肌…柔らかくて…あったかくて……」
「んっ…うぁ…ああっ!…エル…メスぅ……ひぅ!!」
人間の体に自分の方から触れる。
そんな初めての経験に後押しされたせいだろうか。
エルメスの指先はキノの柔肌の上を滑り、そこかしこに触れて、思う様に愛撫を繰り返した。
「おっぱいの先…とがってきた……」
「あんっ…ああ…駄目…エルメス…そこ…感じすぎるからぁ……ああああっ!!!」
くにくにと、エルメスの指先に挟まれて、弄られる愛らしいピンクの突起。
感覚神経の集中したソコを刺激される度に、ビクン!ビクン!とキノの華奢な体が跳ねる。
「う…ああ…エルメスぅ……」
「はぁはぁ…キノ…キノ…可愛いよ……ん…ちゅっ…」
「ひぁ…ちくび…ひゃめっ!!…あああああああっ!!!!」
どんどんと乱れていくキノの姿を見ている内に、エルメスの興奮も高まっていった。
487SBI:2010/07/01(木) 13:31:58 ID:r3zGzRY8
ぼおっと熱に浮かされた思考の促すまま、彼は先ほどから自分の手の平が弄んでいる、キノの胸のささやかな膨らみに視線を向けた。
そして、躊躇うそぶりも見せず、その先端部分にキスを落とした。
「あ…ひんっ…や…あああっ…エルメス…はずかし……ひ…あああああっ!!!」
「ごめん、キノ…止まれない……キノが可愛くて…僕はもう……」
際限なく加速していく二人の行為。
キノを愛撫し、快感に漏れ出るキノの嬌声に完全に心奪われたエルメスは、次のステップへと進む。
ゆっくりと伸ばされたエルメスの手の平が向かう先は、キノの下腹部。
ズボンの留め金を外し、ファスナーをずらし、現れたショーツの上からまず一撫で。
「ふあっ!!?…ああ…エルメスっ…そこぉおおおおおっ!!!」
「キノのアソコ…すごく熱くなって…びしょびしょになってる……」
ショーツをずぶ濡れにし、ズボンにしみを作ったキノの愛蜜がエルメスの指に絡みつく。
エルメスはキノのショーツをずらし、まだ誰も触れた事のない秘裂へと指を潜り込ませる。
「ああ…エルメス……エルメスの指がボクのアソコに触れてるんだね…ああ…エルメスぅ……」
「キノ…可愛いよ…キノっ!!!」
エルメスは右手でキノのアソコを愛撫しながら、左の腕で彼女の背中を抱き締め、繰り返し何度となくキノの唇にキスをしていた。
求め合うように唇を突き出し、舌を絡ませ合いながら、その行為の熱の中に身を委ねていく二人。
キノの秘裂をかきまぜるくちゅくちゅという水音は、時間を経るほどに大きく激しくなっていく。
「エルメスぅ…気持ちいっ…気持ちいいよぉおおっ!!!!」
「はぁ…あ…キノっ…キノぉおおっっっ!!!」
腕の中で快感に震え、幾度となく痙攣し、身をくねらせる少女の息遣い。
それを感じ取るほどにエルメスの愛撫はより激しく、丹念なものに変わっていく。
二人の神経は興奮の度合いを高め、キノが感じる快楽はより大きなものになっていく。
もっと強く、もっと熱く、いやらしいほどの水音と互いの呼吸の狭間で、二人は互いを求め合う。
やがて高まり続けた熱情は、キノとエルメスに『今以上のもの』を求めさせる。
「はぁ…はぁ…ああ…エルメス…ボクは…もう……」
「キノ…キノ……欲しいよ、僕もキノの事が……」
少年に姿を変えたエルメスの下腹部、ズボンの布地を押し上げて苦しげに存在を主張する熱の塊。
同じ熱を帯びたキノの秘所にそれを受け入れて、受け入れられて、もっと一つになりたい。
とどまる所を知らない熱の昂りはキノとエルメスに同じ結論を選び取らせた。
「きて…エルメス…ボクとひとつになって……」
「うん。…わかったよ、キノ…僕も同じ気持ちだから……」
エルメスは答えると、ズボンのベルトを外し、燃え上がりそうな熱のこもった自らの分身をさらけ出す。
キノはそれを一瞬垣間見て、期待と不安に胸を激しく高鳴らせる。
ドキドキと脈打つ心音に耳がおかしくなってしまいそうな、そんな数秒間の後、エルメスはソレをキノの秘所の入り口に押し当てた。
488SBI:2010/07/01(木) 13:33:08 ID:r3zGzRY8
「いくよ…」
「うん……」
小さくうなずき合って、二人の営みが始まる。
エルメスが腰を動かして、ゆっくりと彼の分身が挿入されていく。
キノの小さなアソコは入り口の部分で硬く閉ざされなかなか奥へと進む事が出来ない。
それでも少しずつ少しずつ奥へと進み続けたエルメスのモノは、やがて行く手を阻む何かにぶつかる。
エルメスはそこでぐっと腰に力を入れ……
「痛ぅ…あ…エルメスのが奥に……」
二人が繋がり合った部分から流れ出る鮮やかな血の赤色。
身を裂く痛みに体を震わせながらも、キノはエルメスの背中にぎゅっと抱きつく。
「…ああ…痛いのにまざって感じるよ…エルメスがボクの中でトクントクンって脈打ってるのを……」
エルメスはキノの抱擁に応えて、自分もキノの背中をぎゅっと抱きしめた。
「…キノ…大丈夫?」
「わかんな…い……痛くて…熱くて…ジンジンして……でも、だけど……」
瞳を涙で潤ませたキノが切れ切れの息の合間にエルメスに向かって必死に訴えかける。
「…エルメスと繋がっていられるのが凄く…凄く嬉しい……だから、もっと感じさせて…エルメスの事、たくさん……」
「…キノ……わかったよ……」
キノの真っ直ぐな感情を受け止めて、頬を赤くしながら、エルメスはしっかりと肯いた。
「僕もキノの事、もっと感じたい……」
つぶやいてから、エルメスは自分の腰をゆっくり前後にグラインドさせ始める。
その度にキノの体の奥に、痛みと、熱と、痺れが、渾然一体となって駆け抜けていく。
絶え間ない刺激の波に、キノは何度も声を上げ、必死でしがみついたエルメスの背中に爪痕を残した。
489SBI:2010/07/01(木) 13:35:58 ID:r3zGzRY8
「キノっ!…キノっっ!!!」
「ああっ…エルメスっ…エルメスぅうううううっっっ!!!!」
互いの名前を呼び合いながら、キノとエルメスは一心不乱にまぐわい続けた。
気がつけば、破瓜の痛みを感じているキノだけでなく、エルメスの目元にもうっすらと涙が浮かんでいた。
叫んで、抱き合って、交わり合って、それでも押え切れない感情の波が、涙に変わってキノとエルメスの頬を濡らしていた。
大好きだ。
愛している。
そんな言葉を幾千、幾万重ねても、それでも表わしきれない強い想いが二人を突き動かしていた。
「あっく…ああっ…どうしよう…エルメスの…すごく熱くて…ボクは…あああああああっっっ!!!」
そして、二人の行為が熱を帯びていくにつれて、キノの反応にも変化が現れ始めた。
痛みに混ざって感じる、甘い痺れのようなものが幾度となくキノの全身を駆け抜ける。
苦しげだった吐息に艶のようなものが混じり始めて、その声音が喜悦に震え始める。
「キノっ!…キノの中、さっきよりぎゅっと絞めつけてくるよ……」
「ひぅ…ああっ…エルメスっ…すご…すごいよぉおおおっっっ!!!」
気がつけば、エルメスの腰の動きに合わせて、キノも自分の腰を使い始めていた。
二人の呼吸が重なり、溶け合い、キノが今まで知ることの無かった強烈な快感が小さな体を何度も貫いた。
熱が、痛みが、甘い痺れが、キノとエルメスの頭の中から無駄な思考をそぎ落とし、
ただ一つ目の前の愛しい人への感情だけが一層強く二人の意識を埋め尽くしていく。
「あっ…くぅん…うあ…エルメス…っ!!…好きだよっ!!エルメスぅううううっ!!!」
「キノっ!…愛してるっ!!愛してるからっっっ!!!!」
したたる汗と、必死に呼び合う叫び声、上昇を続ける体温の中で二人は溶け合い一つになっていく。
エルメスが強く腰を突き上げる度に、彼のモノの先端に膣奥を叩かれて、キノの口から甘い悲鳴が漏れる。
くちゅくちゅ、くちゅくちゅ、と繰り返される水音は、粘膜を濡らす愛蜜が量を増すほどに次第に大きくなっていく。
快楽と熱情のマグマはキノとエルメスの神経を焼き尽くし、それでも足りずに二人は互いを求め続ける。
「うあ…キノぉ…僕…もう……っ!!!」
「エルメス…ボクも…だから最後はいっしょに…いっしょにぃいいいっっっ!!!!」
そして、それは二人の心と体が限界に達しようとするその時も変わらなかった。
暴走する快楽と愛情に体と心をバラバラにされそうになっても、二人は行為を加速させ続ける事しか出来ない。
もっと強く、もっと激しく、際限なくお互いを求め合う熱情は、やがて巨大な津波となって二人を押し流す。
迸る快感が絶頂の高みで弾けて、二人の心と体を粉々にするような衝撃が襲いかかる。
「あああああっ!!!!キノっ!!キノっ!!キノぉおおおおおおおおおっっっ!!!!!」
「ふあああああっ!!!ボク…も…イク…イっちゃうよぉ!!!エルメスっ!!!エルメスぅうううううううっっっ!!!!!」
一際強く抱きしめ合いながら、怒涛の如き快楽の中で昇り詰める二人。
体の奥で迸り出たエルメスの白濁が波打ち、膣奥を愛しい熱で満たしていくのを感じながら、キノはその意識を手放した。
490SBI:2010/07/01(木) 13:36:30 ID:r3zGzRY8
…………そして、キノはベッドの上、窓から差し込む朝日の中で目を覚ました。
傍らを見ると、相棒のエルメスがモトラドのままの姿で静かに佇んでいる。
「………夢…だったのかな?」
一人つぶやいた言葉に応える者はいない。
窓の外では眩い陽射しの中、道を急ぐ人や車の群れが見えた。
あの、暗闇に覆われた街の面影はそこにはない。
「そうか…やっぱり、そうだよね。……あれが夢以外の何かである筈がない……」
そう呟いて、エルメスの方に視線を向けたキノの表情は、少し寂しげなものだった。

その後、ホテルをチェックアウトしてから、出国の手続きを済ませるまで、終始、キノは寡黙だった。
一体、あんな夢を見ておいて、どんな顔をしてエルメスと話せと言うのだろうか?
「ねえ、キノ…今日はやけに無口だね?」
「そう…かな……?」
さり気無く尋ねてきたエルメスの一言にも、キノの心臓はドキンと跳ね上がる。
夢の中でエルメスが幾度も囁いてくれた、『愛してる』『大好きだ』、そんな言葉たちが頭にこびりついて離れないのだ。
(やっぱりあの夢は、ただのボクの願望を映し出したもの……だけど、こんな気持ちをエルメスに知られたら……)
キノは胸の奥に湧き上がる苦い感情をぐっと堪えて無表情を装う。
……ただ、奇妙だったのは、どんなに鮮烈でインパクトの強い夢でも普通、目を覚ました時点からその記憶は曖昧になっていく筈なのだが、
キノが昨夜見た夢に限っては、そんな様子が少しも見られなかった。
むしろ、時が経つほどに細部のディテールまでが思い出されて、キノはたまらず赤面してしまいそうになる。
(何なんだろう…この感じ……?)
キノがその感覚に疑問について考え込んでいたその時、不意にエルメスがキノに声をかけた。
「今日は…いい天気だね。キノ」
「う、うん……」
「こういう日に走るのって、気持ちいいよね……」
「そう…だね……」
何気ない調子のエルメスの言葉に、なるべく平静を装って答えるキノ。
だが、それは次のエルメスの言葉で、脆くも打ち破られる。
「暗い街の中、僕が人間に変わって、キノとずっと二人きりでイチャイチャする。……そういうのも悪くないけどさ……
僕はこうやって、キノを乗せて走るのが、やっぱり一番大好きだから………」
「エルメス……どうして…!?」
呆然とするキノに、エルメスは照れくさそうに言葉を続ける。
「ああ、やっぱりあの夢…キノも見てたんだ。今朝から様子が変だったから、もしかしたらって思ってたけど……
夢の中だけど、キノに本当に好きって言ってもらえたんだ。…好きって言ってあげられたんだ………」
「エルメス……」
呆然としていたキノの心はやがてゆっくりと事態を理解し……
「エルメスっ!!エルメスぅ!!!」
「キノ…くすぐったいよぉ!!」
湧き上がる喜びに任せて、キノはエルメスのヘッドライトのあたりに抱きついた。
「僕は…キノと一緒に走るのが一番幸せ…だから……」
「うん。だから、これからもずっと、よろしく頼むよ、エルメス……」
そして心の底からの親愛を込めた言葉を交わし合い、キノはエルメスに乗って走りだした。
心を繋ぎ合ったモトラドとその乗り手の姿は、暖かな太陽の輝く青空の下、どこまでも続く長い道をまっすぐに走って、やがて地平線の向こうに消えていった。
491SBI:2010/07/01(木) 13:51:48 ID:r3zGzRY8
以上でおしまいです。
キノとエルメスは独特の気安さや信頼感が萌えると思います。
一番近いところで想い合ってる二人って良いです。

エロを書くには擬人化か、もしくは何か工夫が必要になるのが悩みどころですが。
ともかく、彼らのイチャイチャを書けて満足です。
492名無しさん@ピンキー:2010/07/01(木) 22:45:53 ID:zJnafUAv
GJ! エルキノ可愛いよエルキノ
493名無しさん@ピンキー:2010/07/02(金) 06:38:04 ID:UVOaC/j0
GJGJGJ!!!!
エルキノ最高!
494名無しさん@ピンキー:2010/07/09(金) 22:53:45 ID:e0X9edVU
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
495名無しさん@ピンキー:2010/07/26(月) 02:46:06 ID:unY7njqr
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
496名無しさん@ピンキー:2010/07/26(月) 21:56:52 ID:UJOKNDH8
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
497名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 17:41:04 ID:s3DUj6MR
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
498名無しさん@ピンキー:2010/08/06(金) 18:29:31 ID:913lx5Qt
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
499名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 22:59:17 ID:cSY9Yzuy
しってるか・・・
保守ってAA貼らなくてもできるんだぜ・・・
500名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 00:14:02 ID:7bemO6q8
9のssがある保管庫ない?
501SBI:2010/08/25(水) 02:52:51 ID:DNvHNlhf
お久しぶりです。
夏バテで若干グロッキーでしたが、せっかくの美味しい季節ネタを逃すわけにはいかないと、
ヴィル☓アリソンで一本、新しいSSを書いてきました。
502SBI:2010/08/25(水) 02:53:20 ID:DNvHNlhf
夏で、海だった。
抜けるような青い空と立ち上る入道雲、遠く海の彼方から打ち寄せる波の音を聞きながら、ヴィルは大きなパラソルの下に座っていた。
周りの海水浴客達の数はほどほどといった程度、満員状態でとても泳げないという程でもなく、かといって閑散としているという程でもない。
同じように海水浴を楽しむ人達の賑わいが、心地良く耳に響く。
爽やかな夏を感じさせるその光景を眺めているだけで、ヴィルは何だか幸せな気分になれた。

そもそも、どうして彼がこんな場所に来ているのか、それにはそれなりの事情があった。
今回の海水浴の話をヴィルに持ちかけてきたのは、彼の幼馴染にして恋人のアリソンだった。
『空軍の同僚に穴場の海水浴場を知ってるって人がいて、ちょうど非番の面子を集めてみんなで海に行こうって話になったの!』
青い瞳をキラキラと輝かせて、図書館帰りのヴィルに抱きついてきたアリソンの言葉を聞いて、彼はすぐにこう答えた。
『わかった。僕も一緒に行くよ』
『あれ?何でそこまで分かっちゃっうのよ?』
彼女自身は気付いているのかいないのか。
少なくともヴィルはこれ以上ないくらいに分かっていた。
アリソンの瞳がキラキラと輝くときには必ず、ヴィルに悪戯や冒険、もしくはとびきり素敵な何かを持ちかけるのだ。
小さな頃からアリソンのそんな『キラキラ』に振り回されてきたヴィルだけど、それでも彼女のその表情が大好きだった。
輝くような笑顔を浮かべて、どこまでも駆けていくアリソン、その姿に憧れて心奪われて、ヴィルは彼女と一緒の道のりを歩いてきた。
アリソンの最初の一声を聞いたときから、勝負はついていたのだ。
こんな顔をされたら、もうついて行くしかない。
アリソン自身と同じくらいに、ヴィルもそれを望んでいる。
『最近、アリソンも任務で家にいない事が多かったしね。久しぶりに一緒に遊ぼう』
『うんうん!!今からもう楽しみで仕方ないわ!』
という訳で、二人はアリソンの空軍の仲間達と共に二泊三日の海水浴へとくり出して来たのだ。

パラソルの下、海を見つめるヴィルの所に三十代ほどの男性が近づいてくる。
「楽しんでもらえてるかな、ヴィルヘルム・シュルツ君」
男性はアリソンの同僚の一人だった。
ヴィルは自分の隣に腰を下ろした男に笑顔を向けて
「はい、とっても。…こうしてお話しするのは久しぶりになりますね」
「お、あんな昔の事を覚えてくれてたか」
ヴィルと彼の間には一度だけ面識があった。
まだ上級学校で学んでいた頃のヴィルがアリソンと共にイクス王国で繰り広げた冒険。
そのそもそもの始まり、アリソンがヴィルと二人きりになるべく決行した誘拐作戦、それを手助けしたメンバーの一人が彼だった。
この海水浴に同行している残り二人もその時に居合わせた面々だ。
「あの時はすまなかったな。ウチの伍長があんまり君に夢中なもんだから、見ている内にどうしても手助けしてやりたくなってな」
「構いませんよ。お陰であの時もアリソンと一緒に色んな事を経験できましたから」
「そうか、そりゃあ良かった」
笑顔で答えたヴィルの言葉に、男も満足げに肯く。
「何だかんだあったようだが、君が伍長と上手くやってるようで安心したよ。
ウチの隊の連中はみんな、彼女の事を末娘だとか妹だとか、そんな風に思ってる節があるからな」
「皆さん、アリソンの事、大事にしてくれてたんですね」
そんなヴィルの返答に、彼はニヤリと笑みを見せて
「何、君ほどじゃないさ」
見透かしたように言われた言葉に、ヴィルの頬が少し赤く染まる。
どうやら男は気づいていたようだった。
砂浜に座ったヴィルが先程から視線を向けているその先に、誰がいるのかを。
陽光を受けて輝く海面に白いしぶきが上がる。
それはだんだんと砂浜の方に近づいてきて、ザバっと水をかき分けてその姿を現す。
水に濡れた金色の髪がキラキラと輝いて、青い空に映える。
満面の笑顔を浮かべたその少女はヴィルの方に大きく手を振って叫んだ。
「ヴィルも早く泳ぎに来なさーい!!せっかくの海なんだから、目一杯楽しまなきゃ損よ!!」
眩しい白い肌。
空の色の瞳がヴィルを捉えて微笑む。
「伍長も呼んでる。好きなだけ泳いでくるといいさ」
「はい」
言われて、ヴィルは立ち上がり、その少女・アリソンの下へと砂浜を駆けていった。
「本当に良かったな、伍長」
晴れ渡った空の下、心底楽しそうに戯れるアリソンとヴィルの姿を見ながら、男はしみじみと呟いたのだった。
503SBI:2010/08/25(水) 02:54:45 ID:DNvHNlhf
この惑星唯一のジャガイモ型の大陸、その内陸部でこれまでの人生のほとんどを過ごしてきたアリソンとヴィルには、
そもそも海を見る機会自体があまり無かった。
もっとも、川遊びで泳ぐ機会は何度もあったし、アリソンの場合は軍で訓練も受けていた。
しかし、広い海をと真っ青な空に囲まれて、自由に海水浴をする楽しさはやはり格別のものだった。
「うおりゃー!!」
アリソンの打ち上げたボールが高く中を舞う。
「ナイス、アリソン!後はこっちに任せて!!」
現在、ヴィルとアリソンとその同僚の二人は男女に分かれてのビーチボール合戦の真っ最中だった。
アリソンから回されたボールを受けて、二十代半ばほどの女性がソレを相手方であるヴィルに向けて打ち込む。
絶妙な角度・スピードのボールを返す術はない、彼女はそう確信したのだけれど……
「えいっ!!」
ヴィルはそれをいとも簡単に受け止めて見せる。
「おお、流石は噂のカアシの六位!」
それを見て、もう一人の男性が声を上げる。
軍人ほどに鍛えられてはいなくても、ヴィルは幼い頃からアリソンのハチャメチャな冒険に付き合わされてきた。
そこらの連中とは地力が違うのだ。
加えて、得意の射撃の腕を支える動体視力がある。
四人の頭上を高速で行き交うボール、男女両チームの実力は伯仲していた。
一進一退の攻防は結局、決着のつかないまま終りを迎える事になる。
「ふう、やるわね。ヴィル君」
「当然っ!ヴィルはなんたってヴィルなんだから!!」
「しかし、よく俺達のペースについて来られたな」
「無駄な動きは最小限に抑えて、効率よくボールを返す事だけに専念してましたから……でも」
そこでヴィルはそう言って、
「でも、流石にそろそろ限界だったみたいです」
浅瀬にへたり込んでしまう。
現役軍人な三人について行く為に色々と工夫をしてはいたが、やはり限度があったようだ。
「大丈夫、ヴィル!?」
「平気だよ、アリソン。ちょっと疲れただけだから。それに、すごく楽しかったし」
そんなヴィルの下に駆け寄ってきたアリソンに、彼は照れくさそうな笑顔で答えてみせた。
それから……
「あ……」
「どしたの、ヴィル?」
「いや、その………水着、やっぱり似合うなって、そう思って……」
疲れのせいで少し油断してしまったのか、ポロリ、ヴィルの口から本音が零れる。
「…って、な、何言ってるんだろう、僕は……」
「い、い、いいのよ。……ヴィルがそう言ってくれると、やっぱり嬉しいし……」
思いがけず飛び出た言葉に、少年と少女は頬を染めてうつむく。
「いいわねいいわね、二人共可愛いじゃない」
「これ以上俺達がこの場にいるのは野暮かな?」
「えっ、せっかくいいシーンなのに!」
「その点にぬかりはないさ。こんな事もあろうかと、双眼鏡は既に用意してある」
一方、ニヤリと笑みを浮かべた同僚二人は、すっかり自分たちの世界に突入してしまったアリソンとヴィルを残してその場を退散した。
「……一緒に水着選びに行ったときもそう言ってくれたけど、改めて言われると、やっぱり照れるわね、ヴィル」
「でも、やっぱり綺麗だって、そう思ったから……」
実際のところ、その水着はアリソンによく似合っていた。
シンプルな白のビキニスタイルは、彼女の輝く髪と蒼い瞳に映えて、その魅力をより一層強めていた。
そのまま二人はしばしの間、互いに見つめ合っていたのだけれど
「……せ、せっかくの海なのに、いつまでもこんな風にしてたら勿体ないわよね」
「そう…だね……」
照れくさそうにそう言ったアリソンの手を借りて、ヴィルは立ち上がる。
「それじゃあ、私はまた泳ごうと思うんだけど……」
「僕も付きあうよ、アリソン」
笑顔で答えたヴィルの言葉に、アリソンの表情がぱっと明るくなる。
「それじゃあ、行きましょう、ヴィル!!」
アリソンはそのままヴィルの手を取り、輝く水面を蹴って二人一緒に走り始めた。
504SBI:2010/08/25(水) 02:55:26 ID:DNvHNlhf
遠い水平線に白いしぶきを上げて、少年と少女が泳いでいく。
金色の髪の少女はまるで人魚にでもなったかのように打ち寄せる波を物ともせずどこまでもまっすぐに。
普段は勉強三昧の生活を送る少年もこの時ばかりは全身で水をかき分けて進む喜びに身を委ねて。
アリソンもヴィルも、夏の海での一時をこれでもかという程楽しんでいた。
ただ、この時の二人は知る由もなかった。
彼らが今泳いでいるのは、遊び慣れた小川や湖などではない事。
もちろん、ヴィルは事前に海での危険について調べて、アリソンにもキチンと注意をしていたのだけれど、それでも不測の事態は起こり得る。
二人をその出来事が襲ったのは、アリソンとヴィルが泳ぎ始めてしばらく経った後の事だった。

その時、アリソンはヴィルがついて来ている筈の後方から、バシャバシャと必死に水をかく音が聞こえる事に気づいた。
「ヴィル……っ!?」
溺れている。
助けを求めて必死にもがいている。
一体何があったのか、原因は分からないが、早く助けなければ。
アリソンは必死で溺れるヴィルの下へと急いだ。
二人にとって不運だったのは、そこが砂浜から離れた沖合にあたる場所だった事だ。
陸側の人間が異変に気付く可能性が低い上、もし誰かが助けに来ようとしても距離が開きすぎている。
泳ぎに自信のある者でも、溺れた人間を助けるのには危険を伴うが、今は他の誰かの力を期待する事は出来ない。
「ヴィル、しっかりして……!!!」
水中に潜ったアリソンと、苦しみもがくヴィルの視線が交差する。
完全に体勢を崩してどちらが水上かも分からなくなっていたヴィルだったが、それでも残された僅かな思考力で下した判断は冷静なものだった。
自分が不必要に動けば動いただけ、助けに来たアリソンまでも危険に晒してしまう。
それだけ考えたヴィルは、アリソンが伸ばした手の平を握り返し、酸欠状態の苦しみをぐっとこらえて、彼女の手に全てを委ねた。
おかげでアリソンはそれほど苦労する事なく、ヴィルと共に水面へと浮かび上がる事が出来たのだが、ここでもう一つの不慮の事態が発生していた。
溺れるヴィルを必死で助けようとする内に、二人は沖へと流れる海流に捕まっていた。
その中では水泳の選手ですら、流されていく事しか出来ない。
「アリ…ソン……」
「だ、だいじょうぶ?ヴィル!?」
「うん……でも、このままじゃ、僕達、流されてしまう。だから……」
そう言って、ヴィルはちょうど海岸から見て右側になる方向を指さした。
「こっちへ泳いで、海流から抜けるんだ…」
「うん、わかった」
ヴィルに肩を貸しながら、アリソンが泳ぎ始めた。
505SBI:2010/08/25(水) 02:57:54 ID:DNvHNlhf
それからしばらくして、泳ぎ続けた二人が辿り着いたのは、元いた海水浴場からは随分離れた岩場の合間の小さな砂浜だった。
急な潮の流れに逆らえず、二人は遠くまで流されてしまったのだ。
「ヴィル、足の様子はどう?」
「うん。ちょっと腫れてるけど、もう平気だよ」
そもそもの原因はクラゲだった。
「この時期にはあまり発生しないって聞いてたけど、やっぱりいる時にはいるものなのね」
「僕も注意してたつもりだったんだけど……」
海岸に辿り着いてようやく一息ついたヴィルの右足には、クラゲに刺された赤い跡が残っていた。
いかに知識で知っていても、やはり実際に体験しなければ分からない事は多い。
それは、これまで海で遊ぶ事の無かった二人にとって、どんなに注意していても予測できない出来事だった。
それでも、『もしかしたら、そんな事もあるかもしれない』と頭の隅で考えていたヴィルは、刺された直後、何とか体勢を立て直そうと試みる事が出来た。
だが、そこにもう一つの災難が降りかかった。
外海からやって来る大きく高い波。
片足が痺れて使えないヴィルは、これに一発でやられてしまった。
波に巻き込まれたヴィルは水中で上下の感覚を失い、完全に溺れてしまった。
「ありがとう。アリソンが助けてくれなかったら、本当に危なかったと思う」
感謝の言葉を述べたヴィルだったが、一方のアリソンの表情は暗い。
「ごめんね、ヴィル……」
「アリソン?」
そう言って俯いたアリソンは、すっかり元気をなくしているようだった。
「どうしたの?アリソンのお陰で、僕は助かったんだよ?」
「そうかもしれない。でも……」
夢中になって泳いでいる内に、海岸から離れてしまっていた。
そのせいでアリソンはヴィルを一人で助けるしかなかった。
溺れている人間を助けるのは非常に難しい事である。
通常、溺れた人間はその苦しみのあまりにパニックに陥り、助けに来た人間までも水底へと引きずり込んでしまう。
ヴィルが比較的平静を保って、アリソンの助けに従ってくれたから良いようなものの、一歩間違えれば二人がどうなっていたかは分からない。
もし、二人が泳いでいたのがもっと陸に近い場所なら、アリソンの同僚や周囲の海水浴客達の助けを得られたかもしれないし、
そもそも、ヴィルが溺れる事だって無かったかもしれない。
「私もヴィルも、海に慣れてないのは最初から分かってたのに、私、またヴィルを引っ張りまわして……それで危ない目に遭わせて……」
アリソンの中にはいつだって、走り出したら止まらない、爆発的なエネルギーが満ちている。
それこそが彼女の美点であり、魅力でもある。
ただ、それが周囲の人間に、特にいつもアリソンの側にいたヴィルを危険な出来事に巻き込んでしまう事も少なからずあった。
二人が壁画を発見したあの夏の冒険などが最たるものだろう。
何とか無事に戻って来れたものの、一歩間違えれば、二人はルトニの向こうの異国の地で命を落としていたかもしれない。
しかし、そんなアリソンに、ヴィルは首を横に振ってみせる。
「アリソン、それちょっと違うよ」
「ふえ?」
「僕はいつも、アリソンを追いかけてた。そりゃあ、アリソンもちょっと強引な所があるから、一緒にいて大変な事もあったけど。
でも、いつだってアリソンの後ろをついて行こう、アリソンと一緒に走って行こうって、そう決めたのは僕の意思だった」
一人では未知の世界に踏み出す勇気を持てなかったヴィル。
その背中を押してくれたのが、アリソンの存在だった。
心の赴くまま、空を舞うように自由に、どこまでも駆けていくアリソンにヴィルはずっと憧れていた。
今まで経験してきた冒険だって同じ事。
ヴィルはいつだって、危険なんて承知の上で、アリソンの隣を走り続けて来たのだ。
「だから、今日の事もおんなじだよ。アリソン一人で突っ走った訳じゃない。
アリソンは僕を危険な目に遭わせたって言うけど、それならアリソンにきちんと『危ないよ』って言ってあげられなかった僕も同じ。
二人でいっしょに反省して、おしおきも僕とアリソンで半分こして、それでおしまいだよ」
にこり、笑ったヴィルの優しい表情に、アリソンの顔もほころぶ。
「ありがと、ヴィル……!!」
「わっ……」
嬉しさを満面に表して、ヴィルに抱きつくアリソン。
ヴィルもそんな彼女を苦笑しつつ、しっかり受け止める。
506SBI:2010/08/25(水) 02:59:30 ID:DNvHNlhf
「こっちこそ、改めてありがとう、アリソン。僕を助けに来てくれた時のアリソン、なんだか人魚みたいだったよ」
「な、いきなり何言うのよ!?」
「綺麗だったって事」
「………っ!?」
これでもかと赤面したアリソンを、自身も照れくさそうに頬を染めるヴィルがぎゅっと抱きしめた。
とくんとくん、濡れた肌が触れ合って、冷え切った体をお互いの体温が温めていく。
いつしか二人はおでこをくっつけ合って、互いの瞳をじっと見つめ合っていた。
「うぅ…ちょっと、ドキドキするわね……」
「僕も……」
つい先ほど命の危機を乗り越えたばかりの反動なのか、二人は自分の心の中で互いを想い求める熱情が高まっているのを感じていた。
周囲に人の気配はない。
とはいえ、いつ誰が来るとも知れない外で、このまま抱き合い続けるのはマズイと分かっているのだけれど……
(このままアリソンを抱きしめていたい……)
(ずっと、ヴィルとこうしていたい。ううん、それだけじゃなくて、もっと……)
衝動と理性の狭間で揺れ動く二人の心。
そして、その均衡を最初に破ったのは……
「ん…んぅ…ぷぁ…ヴィ…ルぅ……」
「アリソン…可愛いよ……」
ヴィルの情熱的な口づけが、アリソンを踏み止まらせていた最後の一線を軽々と飛び越えてしまう。
先程の会話で思いがけず、互いの気持ちを再確認した事も二人を後押ししたのかもしれない。
アリソンとヴィルは目の前の愛しい人に魅せられて、幾度となく強くくちづけを交わした。
もうこうなってしまえば、誰も止める事なんて出来はしない。
繰り返されるキスが二人の理性を溶かして、熱情を炎の如く燃え上がらせる。
「んんっ…ヴィル……好きっ!」
「ああ…アリソン…っ!!」
数えきれないほどのキスの後、一旦抱き合う腕を緩めた二人は、互いの水着姿に改めてドキリとさせられる。
もちろん、恋人同士になってから、ベッドの上での営みも経験した二人だったけれど、
燦々と太陽の降り注ぐ青空の下、隠すところもなく光に照らされた互いの体を見るのは、薄暗い夜の寝室でのソレとは違う興奮を与えてくれた。
陽光の下、ヴィルはアリソンの肌の白さ、絹のような滑らかさにただただ見とれる。
彼はそのまま、吸い寄せられるように、アリソンの鎖骨の辺りにキスを落とした。
「あっ…あんっ!…ヴィルぅ……」
海の水の塩辛さの向こうに、アリソンの肌の甘い味を感じる。
白い水着をたくしあげると、露になった形の良い乳房が、キスの度にピクンと震えるアリソンの体と一緒に揺れる。
アリソンはちょうどヴィルの膝の上に乗るような形で、ヴィルの指先や唇が体に触れる度、彼の背中に回した腕にぎゅっと力を込めて反応を返す。
「ふあっ…ああんっ!…ヴィルぅ…だめ…そんなに強くされたら…私……っあああ!!!」
ヴィルの手の平の中で、アリソンの双丘がくにくにと揉まれて、形を変える。
ヴィルの愛撫を受ける毎に、アリソンの乳房の奥で熱い疼きが塊となって、ジンジンと彼女の官能を責め立てていく。
刺激を受ける度に声は大きく、あられもない物に変わり、濡れた髪を振り乱しながら、アリソンは次第に乱れていった。
「アリソンの声…エッチで…すごく可愛い……」
「ばかぁ…ヴィルが…あんっ!…ヴィルのせいで…わたし、こんなにエッチになっちゃったんだから…っ!!!」
絶え間ない快感の波に耐えかねて、アリソンがヴィルにぎゅっと抱きつくと、今度は首筋にヴィルの舌が振れる。
「ひや…ああ…そこも…駄目なのぉ……ふああああああっ!!!!」
首筋に耳たぶ、そこから少し背中側に回ってうなじの辺りまで、ヴィルのアリソンの肌の上にヴィルのキスマークが刻まれていく。
507SBI:2010/08/25(水) 03:01:17 ID:DNvHNlhf
やがて、終わる事の無い快感の渦の中で、アリソンもより大胆にヴィルを求め始める。
「うあ…あ、アリソン……そこ、そんなに擦りつけられたら…!?」
「だって、ヴィルの熱くて硬いのが当たってるだけでもう我慢出来なくて……それに、ヴィルにも気持よくなってほしいから……」
白い水着の奥から海水以外の何かが滲み出し始めたアリソンの股間。
しとどに溢れ出した蜜でぬるぬるになった水着の布地が、既に膨張を初めていたヴィルのモノに水着越しに擦り付けられる。
やがて、ヴィルのモノの先端からも先走りが溢れ、粘液同士が擦れ合うぬちゃぬちゃといやらしい音が聞こえ始めた。
「あっ…くぅ…アリ…ソン……アリソンのアソコ…すごく熱いよ…」
「ふああっ!!…ヴィルのも…熱くて硬くて…わたしっ!!わたしぃいいいいいっっっ!!!!」
お互いの水着の二枚の布地を間に挟んでの接触。
そのもどかしさが、二人を余計に行為に夢中にさせた。
もっと互いの熱を感じたくて、アリソンとヴィルは我を忘れて自分の敏感な部分を擦り合わせ続ける。
「あっ!ああんっ!!…ヴィルっ!ヴィルぅうううううっ!!!!」
「アリソン……っ!!!」
二人の行為はとどまる所を知らずヒートアップを続け、ついにはアリソンが限界を迎える。
「ひあっ!!ああああっ!!!!ふあああああああああああっっっ!!!!」
全身をビリビリと痙攣させ、ヴィルの体にぐったりともたれかかるアリソン。
どうやら、擦り合わせていただけで軽く絶頂に達してしまったらしい。

「……もしかして、イっちゃったの?アリソン……」
「う、うん……」
ヴィルの腕の中、恥ずかしげにアリソンが肯く。
海水浴の疲れと、野外でこんな行為に及んでいるという緊張感とスリルが、彼女の体を余計に敏感にさせたのかもしれない。
「でも…まだ足りないの…ヴィルをもっと感じて、ヴィルといっしょに気持よくなりたい……」
それから、アリソンは力の抜けた体を砂浜に横たえ、潤んだ瞳でヴィルを見つめてそう言った。
愛する人を求めてやまない熱情。
その気持ちはヴィルにしたところで変わらない。
もっと強く、深く繋がり合って、快楽の渦の中で一緒に昇りつめたい。
「アリソン…僕も……」
「ああ、ヴィル……」
ヴィルは大きくなった自分の分身を水着から出し、アリソンの水着の大事な部分を守る布地にも手を伸ばす。
ゆっくりとずらされたそこには、薄桃の花びらが、愛しい人を求めて蜜に濡れていた。
その入口に、ヴィルは自分のモノの先端をあてがう。
「アリソン……っ!!」
「ヴィルぅ……っ!!」
互いの名前を呼び合いながら、繋がり合う二人。
敏感な粘膜が触れ合う刺激は、ヴィルとアリソンの感情の高ぶりも相まって、強い快感となって二人の体を駆け抜けた。
508SBI:2010/08/25(水) 03:02:12 ID:DNvHNlhf
「あっ…くぅううっ!!!…すご…ヴィルぅ……!!!!」
「アリソン…んっ……んむぅ…」
無我夢中で絡め合わせた舌先で、互いの唾液を混じり合わせながら、二人は動き始める。
既に二人の体を濡らしていた海水はほとんど乾いていたが、溢れ出す汗と愛液が雫となって彼らの肌の上を流れ落ちていく。
くちゅくちゅとアリソンの中をかきまわすヴィルのモノが、その最奥部を突く度にアリソンは一際大きな声を漏らした。
「ふあ…あああああっ!!!ヴィル…わたし…きもちいいよっ!!!きもちいいよぉおおおおおっ!!!!」
声が大きくなる度に、二人の脳裏に『誰かに聞かれてしまうんじゃないか?気付かれてしまうんじゃないか?』そんな危惧が浮かび上がる。
だけど、互いを求めてやまない情熱はそんな事では止まらず、むしろ『どうなってもいいから、もっと強く愛し合いたい』と二人をさらに激しく行為に没入させていく。
突き上げて、それに合わせるように腰を使って、甘い痺れと感情に身を任せてひたすらに交わり続けるヴィルとアリソン。
「ひっ…あっ…ヴィル…もっと…もっとぉおおおっ!!!!」
「アリソン…可愛い……」
もはやお互いの事しか見えなくなった二人は、強く強く抱きしめあいながら、ひたすらに互いの体を求める。
膣壁をヴィルのモノが擦り上げる度に、アリソンの背中に甘い電流が走り抜ける。
その震える細い腰を抱きしめて、ヴィルはより激しくアリソンの体を突き上げる。
止まらない愛蜜は二人の水着をぐしょぐしょに濡らし、それを潤滑油にして二人はどんどん行為をペースアップさせる。
「ヴィル…だめぇ…も…きもちよすぎて…わたし…おかしくなっちゃうよぉおおおおおっ!!!!」
「…アリソン…僕も…アリソンの中が熱くて…溶けちゃいそうで……でも、止まれなくて……っ!!!」
「…わかった、ヴィル…いっしょにもっときもちよくなろ!…おかしくなったって構わない…ふたりでいっしょに……っ!!!」
「アリソンっ!!わかった、僕ももっと激しくいくよ…っ!!!!」
ガクガクと動き続ける腰は、もう二人の意思では止める事が出来ない。
心が、体が、この快感と熱を求めている。
どろどろに融け合って一つになるまで、もっと強く、もっと激しく、愛しい人を感じていたい。
高まり続ける熱情の中で、ついに二人はクライマックスへと向けて加速を始める。
「ふあああっ!!!!ヴィル、私、もうっ!!!うあ…あああ…イっちゃう!!イっちゃうううううっ!!!」
「アリソン…僕も…いっしょに……っ!!!!」
強く強く抱きしめあった二人の中で、限界まで高められた熱が弾ける。
津波のように押し寄せた快感はいとも容易くアリソンとヴィルの心と体を高みへと押し上げ、二人はついに絶頂へと至る。
「アリソン…大好きだよ!!アリソン……っっっっ!!!!!」
「ふああああああああっ!!!!!ヴィルぅ…好き…私も…っ!!…ヴィルぅううううううううううっっっ!!!!」
ガクガクと全身を痙攣させ、上り詰めた二人。
凄まじい絶頂感が通り過ぎた後、少年と少女の体から一気に力が抜け、二人の体は砂浜の上に投げ出される。
息も絶え絶えで、絶頂の余韻に時折体を震わせる二人。
だが、その腕だけはしっかりと、互いの背中に回されたまま、放される事はなかった。
そのまま、しばらく抱き合っていた二人だったが、ヴィルがアリソンの瞳を見つめながらふとこんな事を呟いた。
「…うん。やっぱりそうだ……」
「…な、何よ、ヴィル?いきなり、何のこと……?」
「えへへ…さっきも言ったけど、今日のアリソンは人魚みたいに綺麗だよって話……」
「あう…ヴィ…ヴィルぅ……」
その言葉に赤面したアリソンを、ヴィルは強く強く抱きしめる。
一緒に海水浴に来たアリソンの同僚達に心配をかけないためにも、早く元の海水浴場へ戻るべきなのだろう。
だけど、今はもう少し、こうしていたい。
そうして、アリソンとヴィルはしばらくそのままの状態で、互いの体温に身を委ねていたのだった。
509SBI:2010/08/25(水) 03:25:22 ID:DNvHNlhf


……ところが
「いやはや、こんな外でするなんて、思った以上に大胆だな、あの二人は」
「でも、お互い夢中になってる感じで、ちょっと羨ましいかもな」
「そうそう、ラブラブで初々しくて、ホント、あの二人ってば可愛いんだからっ!!」
岩場の影からアリソンとヴィルの姿を見つめる人影が三つ。
例のアリソンの同僚三人である。
双眼鏡で二人の様子をのぞき見していた彼らはヴィルが溺れた事に気付き、二人が流されたこの場所まで歩いてきたのだ。
最初は普通に二人を助けるつもりだったのだけれど、いかにもラブラブな二人の会話を聞いている内に
いつしかその目的も忘れて、すっかり出歯亀に夢中になってしまっていたのだ。
「ふふふ、あんな可愛い所を見せられちゃったら、こっちも悪戯したくなっちゃうじゃない……」
同僚の女性が怪しい笑みを浮かべる。
今回の海水浴は二泊三日、時間はたっぷりとある。
その間にアリソンとヴィルに何が起こるのか、それは今はまだ、神のみぞ知る、といった所だろうか。
510SBI:2010/08/25(水) 03:26:56 ID:DNvHNlhf
以上でおしまいです。
アリソンSSばかりに偏りがちですみません。
でも、やっぱり好きなカップリングは贔屓しちゃうんですよね。
また他の作品のネタでも書いてみたいと思います。
それでは、失礼いたしました。
511名無しさん@ピンキー:2010/08/26(木) 10:15:41 ID:ZLbTfu12
GJ!

同僚×3…w
512名無しさん@ピンキー:2010/09/02(木) 15:28:18 ID:VT82YThj
乙!


ところで昔から待ち望んで居るのだがシグ×アメは無いかね?
513SBI:2010/09/14(火) 02:58:33 ID:vzcIEYp5
また書いてきました。
シグ×アメじゃないですが。
キノさんが奴隷にされちゃってるお話しです。
それでは、いってみます。
514SBI:2010/09/14(火) 02:59:13 ID:vzcIEYp5
間接照明の照らす薄暗い地下の酒場。
そこでボクはもうかれこれ半年もの間、太陽の光を浴びない生活を続けていた。
「おい、K-49番!ご指名だぞ!!」
「……はい」
もうすっかりお馴染みとなった管理番号を呼ばれてボクは指定のテーブルへと向かう。
ボクはもうキノではない。
×××××でもない。
今のボクは旅人ではなく虜囚。
他の大勢の人達と一緒にこの国に囚われ、その所有物となった奴隷の一人だ。
この国の国民全てに与えられる繁栄と享楽の為、国民の数を遥かに上回る囚われ人が働いている。

「おお、来たな来たな。ハハハ、胸こそ小さいが、相変わらずそそられる体つきだ」
「ありがとう…ございます……」
ボクが今身につけているのは黒いエナメルのレオタードに同色の網タイツ、ハイヒールの靴、そして同じく黒のウサギの耳飾りだ。
いわゆるバニーガール。
背中も肩もむき出しのまま、ボディラインも露なボクのその姿を、ボクを指名したその男はねっとりと絡みつくような視線で見つめてくる。
半年経っても消える事のない羞恥に顔を赤らめるボクを見て、男は満足気に笑う。
「さあ、来なさい。今日もたっぷりと可愛がってあげよう」
「あ…うあ……」
男の手がボクの肩を掴み、ボクを強引に自分の膝の上に座らせる。
「まずはご挨拶だ。唇を味わわせてもらおう」
「んっ…んぅ…んんうぅ!?…ぷあっ…ああ…ん…んくぅ…んんぅ……」
ボクは自分を捕らえた男の腕を振り払う事も、しつこく舌に絡みつくキスを拒む事も出来ず、ただ口の中を無抵抗のまま犯される。
酒臭い息と粘度の高い唾液がボクの口の中に流れこんでくる。
不快な筈のそんな感覚の中、だけれど、ボクは下腹部がねっとりと熱を帯びて、頭の芯がボオッと霞んでいくのを感じていた。
(ああ…ダメ…こんなことが…きもちいいなんて……)
耳を澄ませば、暗い酒場のあちこちから同じような女性達の喘ぎ声が聞こえてくる。
薄い胸をまさぐられながら、延々と続くキス地獄の中でボクの思考は蕩けていく。
息継ぎも許されず延々と続くキス責め、舌を滅茶苦茶になぶられる感覚がボクを苛み続ける。
やがて、じっとりと湿りを帯び始めたボクのアソコを撫でた男の瞳に性的興奮と征服感を得た満足気な色が浮かぶ。
「お前は本当に私のキスが好きだな。唇でされるだけでこんなに感じおって。淫乱め。……んぐぅ…ぴちゃぴちゃ…」
「ひむぅ…んん…んぅううううううっ!…んっ!…んっ!…んん――――っっっ!!!!」
やがて、長い長い口内陵辱の果てにボクは全身を引きつらせて絶頂に達する。
ビリビリと痙攣する体に暴力的な快感が流れこんで、ボクの意識は一瞬、ホワイトアウトしてしまう。
そして、ぐったりと崩れ落ちたボクを休ませる事なく、男は今度はボクの素肌にキスを落として、全身を責め立て始める。
「あひっ…ひいいっ!…ああっ…だめっ!…だめーっ!!…そこされたら…ボク…おかしくなって…っあああああああああ!!!!」
全身をゴツゴツした指で嬲られる度に駆け抜ける快感に、ボクはあられもない悲鳴を上げる。
終わることなく注ぎ込まれる快感に、ボクの意識はズタズタに引き裂かれていく。
(…もう…ダメなのかな?…このままずっと…ボクはこの国で……)
抗えない。
反抗の言葉ひとつ放つ事すら出来ない。
奴隷たちは誰一人この国に、この国の国民に逆らう事は出来ない。
ボクを含め、多くの囚われ人達が苛烈な環境に置かれているというのに、この国では暴動一つ起きていないという。
515SBI:2010/09/14(火) 02:59:48 ID:vzcIEYp5
それには全て理由があった。
この国の人間たちによってボク達の体に植え付けられた微小な機械―ナノマシンというらしい―がそれを許さないのだ。
高空から散布されたナノマシンは外の空気を完全に遮断するような重装備でなければ防ぐことが出来ず、
この国の周囲にあった国々、その国民やそこを訪れていた旅の人間は為す術も無く奴隷にされてしまった。
僅かに対化学兵器用の装備に身を固めた軍隊が抵抗を試みたが、圧倒的な科学力に裏打ちされたこの国の強力な兵器の前に一網打尽。
ある者は殺され、ある者はボク達と同じくナノマシンの餌食となり全滅させられた。
たぶん、脳に何らかの作用を与えているのだろうか、ナノマシンに侵食された人間はこの国に服従し抵抗する事が出来なくなる。
さらに囚われた人々は容姿や能力などによって選別され、さらなるナノマシン投与によって調整を受け様々な場所で奴隷としての生活を始める事になる。
生かしておいても役に立たず、ナノマシン他の技術によるフォローも不可能と判断された老人や病人達は全て『処分』されたという。
以来、彼らに何一つ逆らう事の出来ない性奴隷として『加工』されてしまったボクはこの淫靡な地下空間で幾人もの男の人達に抱かれ続けた。
ナノマシンはボクを未だに改造し続けているらしく、ボクの体は日に日に快楽に従順になり、
鍛えられていた筋肉は同じ年頃の普通の女の子程度まで衰えて、代わりに薄く脂肪のついた男達を欲情させる柔らかな肉体へと変化していた。
もうボクは戻れない。
戻る事が出来ない。
もはやボクはこの国の男達の性処理用具でしかないのだから。

「さあ、今日もぐちゃぐちゃになるまでヨガらせてあげるからな」
「ひや…やら…きもちいいの…いやだよお…ボク…おかしくなっちゃうぅ……」
迫り来る快楽地獄への恐怖にイヤイヤとボクは首を振った。
僅かにこの国に反発するだけの理性や嫌悪感を残しているのは、ボクの抵抗をねじ伏せて楽しみたいという客の要望を反映した為なのだろう。
いっそ、このまま全ての理性を奪われて、何も考えられないただの人形になれば楽になれるのに。
弱りきった心の片隅でそんな事を考えるボクの体を、男の手が好き勝手に愛撫する。
「ひや…はぁ…ちくび…いじめないでぇ!…ふあああ!!…いや…わきのした…だめ!…なめないで!!」
「ひはは、相変わらずいい声だ!もっと啼け、喚け!!」
平らな胸の先端、ピンと張り詰めた乳首が男の指先で乱暴に摘まれ、こねくり回される。
神経の集中したその部分を嬲られる衝撃が何度もボクの全身を駆け巡り、意識をかき乱す。
さらに、快感に流されるままで力の抜けきった腕を持ち上げられ、男の舌が無防備な腋の下に吸い付いた。
汗の一雫も逃すまいとボクの腋の下を舐め続ける男の舌に刺激される度、ボクは一際大きな嬌声を上げて背中を反らせた。
そして、快楽の渦の中に溺れていくボクを、男はさらに手を変え品を変え責め立て続ける。
「はひゃあ…ひぅううんっ!…ひや…ひやあああっ!!!…くるう…くるっちゃうのぉおおおおおっっっ!!!!」
どこまでも鋭敏に、ひたすら快感に弱く、男の征服欲を満たす為の体になり果てたボク。
強烈な快楽と、残された僅かな理性の間でボクは引き裂かれていく。
泣きじゃくり許しを乞う声を上げれば上げただけ、男の責めはさらに激しくなる。
背中に残されたいくつものキスの跡がジンジンと火傷のように疼き、耳を甘噛みされただけで頭が真っ白になる。
そしてついに男の指先はバニースーツのレオタード越しにぐちゅぐちゅに濡れたボクのアソコを責め始めた。
「ははははっ!!!相変わらずの大洪水だな!!まったくお前はとんでもない淫乱だ!!」
「らめ…言わないで…そんなこと…言わないれ……」
「ああ、そうだな。こんな事を言う必要はまるで無い。見ろ、エナメルのレオタード越しに弄っただけで私の指先はびしょ濡れだ。
言わなくたって誰にでも分かる。お前は救いようのない淫乱なんだよ!!ハハハハハハハハハハッッッ!!!!!」
「…ちが…う…ボクは…ボク…はぁ……うあ…きゃひぃいいいいいいいっ!!!…ひはっ…あああああああんっっ!!!」
男の指がレオタード越しにボクのアソコの割れ目をかき乱す。
迸る快感はもはやボクの心と体のキャパシティを超えて、ただ狂ったような熱としてしか感知できなくなる。
516SBI:2010/09/14(火) 03:00:24 ID:vzcIEYp5
ボクの体を内側から焼き尽くし、ボクの全てを奪い去る狂った炎。
だというのに、知らず知らずの内にボクの腰はガクガクと動き始め、さらなる刺激をねだるように敏感なその場所を男の指に擦りつける。
(ああ…もう…ボクは…ボクは………)
堕ち果てた自分の有様に絶望しながらも、ボクはそれを止める事が出来ない。
弄られたい。嬲られたい。慰み者にされたい。
この国によって改造された奴隷の体が叫ぶ。
もっと滅茶苦茶に犯されて、壊れてしまいたい。
服従させられて、蹂躙されて、ただ男の人の精を受ける為だけの道具として生きる。
生まれた時から決まっていた。
それだけがきっとボクの幸せだったんだ、と。
(ちがう、ちがう、ちがう…ボクは…ボクはエルメスと一緒に色んな国を旅して、色んな物を見て……ひぃ…いやああああああっ!!!)
屈服させられようとしていた肉体に必死に抵抗を試みたボクの思考を、さらなる快感が断ち切った。
「うまいなあ。うまいぞ。お前の蜜は格別の味だ」
「ひはっ…くあああっ!!!…あくっ…くひぃいいいいっ!!!…ああ、なめられてる、しゃぶられてるぅううううううっっ!!!!」
ビリビリと網タイツを破かれ、邪魔なレオタードをずらされて、露になったボクのアソコに男がしゃぶりつく。
とめどなく溢れる愛液を舐め取る男の舌の動きにアソコをめちゃめちゃに刺激されて、ボクはただ快楽に泣き叫ぶだけの獣に成り果てた。
(だめぇ…きもちいい…きもちいい…きもちよすぎるぅううううううううっ!!!!!)
『気持ちいい』
その言葉だけがボクの頭の中を埋め尽くしていく。
下半身で荒れ狂う凶悪な熱の塊に翻弄されて、ボクが壊されていく。
この熱がほしい。この熱いのでボクの心も体も溶かして欲しい。
やがて、限界を超えたその熱はボクを呑み込んで、洪水となってアソコから流れだした。
「ひやっ…ひぃいいいんっ!!!…きゃひいいいいっ!!!…出るっ!!…出ちゃうぅうううううううっっっ!!!!!」
ぶしゃあああああああっ!!!!
激しい音を立てて、ボクの股間から飛沫が飛び散り、そこらじゅうにぶちまけられた。
「粗相をするとは、悪い娘だね」
「うあ…ボク……こんなにもらして……」
快感のあまりの失禁。
信じられない、信じたくない眼前の光景にボクは思わず目をつぶったけれど、この場に漂う臭いは間違いなくボクによるものだ。
その現実を誤魔化す事なんて出来やしない。
517SBI:2010/09/14(火) 03:01:06 ID:vzcIEYp5
茫然自失状態のボクを見下ろしながら、ニヤニヤ笑いの男が言う。
「せっかくのバニー姿もどろどろのぐちゃぐちゃ…だけど、たまらなく魅力的だよ?」
「言わ…ないで……」
「さて、そろそろ君も奥の方がさびしいんじゃないかな?」
汗と涙と唾液と尿と、あらゆる体液に塗れた淫らなボクの姿を見てほくそ笑む男。
彼はボクの目の前でベルトを外し、パンパンに張り詰めたズボンの中から硬く太い自らのモノを取り出した。
途端に、ドクン、ボクの心臓が激しくうずいた。
「うあ……ああ…いや…なのに……はぁ…からだが………」
「無理はいけない。君がコレを大好きなのは、私もよく知っているんだから」
「…ちがう…ボクは…ちがう……」
うわ言のように否定の言葉を繰り返しながらも、ボクは男のモノから目を離すことが出来なくなっていた。
呼吸が荒くなり、心音が早まる。
そして、朦朧とした意識の中に、狂い果てた肉体の声が流れこんでくる。
犯されたい。犯されたい。犯されたい……。
(いや…ダメ……ダメぇ……)
肉欲と理性の狭間で金縛りにあったボクの心と体。
男はそれを見透かしたように、自分のモノの先端をボクの唇に押し当てた。
「どうだい?美味しいだろう?」
「んん…ぷあっ……いやぁ……」
さらに高鳴る心音、アソコからは新たな蜜がとめどもなく溢れ出し、自らの欲望を切実に訴える。
そして、気がつけばボクは……
「あ……んむ…ぴちゃぴちゃ……んんっ…くあっ……はぁはぁ……」
目の前に差し出された肉茎に舌を這わせていた。
先走りの溢れる鈴口を丹念に舐め、幹全体を口に含んで舌を絡ませながらストロークを繰り返す。
こんな事をしてちゃいけない。
僅かに残る理性の叫び声は、ボクの興奮を煽るスパイスにしかならなかった。
そのまま、無我夢中の奉仕をしばらく続けた後……
「いい子だ。それじゃあ、まずは一発、たっぷりと飲ませてあげよう」
「んっ!?…んむぅううう!!!?…んんっ!…ぷあっ…ああ…ひああああ……っ!!!!」
濃い牡の臭いと共に吐き出された大量の白濁をボクは口の中に受け止めた。
濃く粘つく大量の白濁液を、ボクは条件反射的に嚥下する。
それでも、口の中に収まり切らず溢れでた白濁液は顔全体に飛び散ってボクを汚した。
食道を流れ落ちていくその熱と、黒いエナメルのバニースーツにいくつもの痕跡を残して流れ落ちていく白濁。
外側も内側も汚されてしまったという実感に、ボクの下腹部がキュンと疼いた。
518SBI:2010/09/14(火) 03:02:23 ID:vzcIEYp5
そして、また、あの声が聞こえ始める。
犯されたい。犯されたい、と。
「ああ……ボク…もう…へんに……」
「少しも変じゃないさ。男の体を、この肉棒と白濁を求めてやまない変態が今の君だ」
「…そんなこと……そんな…あっ!?…ひああああああっっ!!!!」
反論を試みたボクの声は、一度目の射精を終えても全く固さと太さを失っていない男の肉棒、その先端をアソコに押し当てられた瞬間に断ち切られた。
「さあ、存分に楽しもう」
「ひ…い…ボクはもう…ああ……ひあああああああああっっっ!!!」
しとどに濡れたボクのアソコに、男のモノが一気に挿入された。
太く固く長いソレは一気にボクの膣奥にまで届き、その先端を子宮の入口に激しく叩きつけた。
「はひぃいいいいいい!!!!…あ…あたってるぅ…太いのが…ボクのなかであばれてるぅ!!!!」
ぐっちゅぐっちゅと、淫らな水音を響かせて、肉棒がボクの膣内に何度も抜き差しされる。
その快感はさきほどまでの行為が遊びに過ぎなかったかのような激しさで、
あまりの強烈さにボクは自分の全てが内側から溶かされ消え去ってしまうのではないかという恐怖にかられる。
「ハハハハッ!!!よっぽどコレが恋しかったのだねぇ。君のアソコは私のモノに食いついて離れないよ」
「ひはあああああ…あああっ…おかしくなるぅ…きもちよすぎて、あたま、へんに……。ボク…おかしくなっちゃうよぉおおおっ!!!」
「そうか、おかしくなりそうか。なら、本当におかしくなってしまうまで、君をもっと気持よくしてあげないとね」
「ひや!?…いやあああああ!!!?…だめ…だめぇ…これいじょ…はげしいの…むりなのにぃいいいっっ!!!!」
髪を振り乱し、よがり狂うボクの姿を見て、男はピストンのスピードを早めた。
まるで内蔵ごとかき混ぜられるような激しい撹拌運動に、ボクはただ泣き、叫び、悦びの声を上げた。
狂気じみた快感に魂まで焼き尽くされるかのような恐怖がボクを支配する。
しかし、それすらもその凶悪な快感によって塗りつぶされ、やがてボクは男の腰使いに合わせて泣きじゃくる肉人形へと堕ちていく。
「…ふあ…ああっ!…きゃひいいっ!!!…ひゃあんっ!!…ひ…くふぅうううううんっっっ!!!!!」
「全く可愛い声だ。これでは私も余計に頑張ってしまうというものだ。…ふんっ!!!」
「ひああああああっ!!!!…あはぁ…あは…あはははは……きもひいい…きもひいいよぉ…ボクのなか…ぜんぶ…きもひよくなってゆの……」
519SBI:2010/09/14(火) 03:02:56 ID:vzcIEYp5
もうマトモな思考回路など欠片も残されていなかった。
僅かな理性は微塵に砕けて、その隙間をボクの肉体の叫びが埋め尽くしていく。
犯されたい。気持よくなりたい。
ぐちゅぐちゅと繰り返される挿入音をバックに、響き渡るその言葉。
肉欲に屈服させられたボクは、ついに、今まで抑えていた言葉を、欲望を解き放つ。
「…ああっ!!…おかして!…もっとはげしくおかしてくらさひぃいいいいいっ!!!!!」
ボクの言葉を聞いて、男の表情はいよいよ喜悦に染まる。
「いいのかな?このままでは、おかしくなってしまう?それは嫌ではなかったのかな?」
「かまいません…かまわない…もっときもちいいのがほしいっ!!…あつくてかたいのでボクのなかぐちゃぐちゃにしてほしい!!!
おかされたいんですぅ!!めちゃくちゃにされたいんですぅ!!!…ボクは…もっときもちよくなりたいんです!!!!!!」
「ハハハッ!!!わかったとも!!!」
ボクの言葉をきっかけに、さらに激しく、叩きつけるようなグラインドで男がボクを犯す。
アソコの肉壁を割裂いてボクの中で暴れまわる剛直の感触に、ボクは歓喜の声を上げた。
「ひああああああっ!!!!…きもちいいっ!!!…きもちいいのぉ!!!!!」
完全に快楽の虜となったボクはねだるように男に唇を差し出した。
すると、男はボクの求めに応えて、ねっとりと、呼吸を忘れるようなキスをしてくれた。
汗に濡れた四肢が絡み合い、上の口も、下の口も、男に犯され、完全に支配され、性奴隷のボクは快楽の渦の中でただ喘ぐ。
ぐちゃぐちゃとアソコの内側で暴れまわる肉棒の感触に、肉体を蹂躙され尊厳を踏みにじられるマゾヒスティックな快感を覚える。
(…ボクは奴隷…ボクは人形…ボクは…ボクは…ああああっ!!!)
それは単にナノマシンによる心と体の支配だけではなく、刻みつけられた悦びによってボク自信が変化し始めた結果なのかもしれない。
(ああ…きもちいい…きもちいい…きもちいいよぉ…ボク…もう……っ!!!)
そして、快感の泥沼の中で溺れ喘ぐボクに、トドメの一撃が撃ち込まれる。
深く強く、背骨を突き抜けていく激しい突き上げ。
擦り上げられた粘膜が快楽の火花を散らし、雷のように突き抜けた絶頂感の中でボクの全てが砕け散る。
「はあああああああああっ!!!!!イクイクイクぅううううっ!!!ボク…もう…イっちゃうよぉおおおおおおおおおおっ!!!!!」
涙でぐしゃぐしゃの顔を歓喜の色に蕩けさせて、ボクは絶頂へと上り詰めた。

弓なりに反らした体がガクガクと痙攣し、連鎖的に起こった小絶頂の中でやがてボクはぐったりと崩れ落ちる。
そんなボクを男はしっかりと抱きすくめて、自らの精を余す所なくボクの子宮へと注ぎ込んだ。
男の欲望に体の内側まで占領された実感に、ボクはうっとりと体を震わせる。
「ふう、今日も素晴らしかったよ。また近いうちに来るつもりだ。それまで、楽しみにしていてくれ」
「はい……またボクのアソコを…めちゃくちゃに…おかしてください……」
「ああ、わかっている」
あらゆる体液に塗れて、最初の宣告通りぐちょぐちょにされたバニーガールのボクを残して、衣服を直した男は立ち去っていった。
長く続く絶頂の余韻の中、次第に思考力を取り戻し始めたボクは今の自分を顧みて思う。
(…はは…あの男の人の言う通りだ。…もうボクは…どうしようもない淫乱の肉奴隷なんだ……もう二度と元のボクには戻れっこない…)
ボクはもう旅人のキノなんかじゃない。
その証拠に、ほら、今まで見てきた国々の事も、出会った人達の事も、記憶に霞がかかったように思い出せない。
代わりに思い浮かぶのは、毎日ボクの心と体を蹂躙していく狂気じみた肉の快楽だけ。
最初の頃、無理矢理に犯された辛い思い出ですら、今はボクを興奮させる材料にしかならない。
ボクは奴隷。
肉の奴隷。
快楽に喘ぎ、性を貪る卑しい人形。
酒場の片隅に捨て置かれたみじめなボクの頬を伝う涙が、
悲しみの為に零れ落ちたのか、それともさらなる陵辱への悦びに流された嬉し涙なのか、ボクにはもう分からなくなっていた。
520SBI:2010/09/14(火) 03:09:50 ID:vzcIEYp5
これでお終いです。
キノさんってなんでこんなに滅茶苦茶にしたくなる妙な魅力に満ちているんでしょうか?
別にエロだの陵辱だのじゃなくていいから、キノさんが行く国行く国でハグされまくって揉みくちゃにされたりしないかな。
で、照れたり戸惑ったりしてるキノさんをさらに別の人が抱きしめたり、「大好きですよ、旅人さん」とか子供に言わせればいい。
みんなでキノさんを愛でればいい。
あんな可愛いんだから、世界中から全力で愛されればいい、そんな馬鹿な事を考えちゃいます。
それでは、失礼いたしました。
521SBI:2010/09/15(水) 00:43:14 ID:BYH3V73e
昨日、投下したばかりだというのに、調子に乗ってもう一本です。
といってもエロはなし、かなり短いお話です。
ようやく帰って来たトラヴァス少佐=ヴィルの物思いと、それに寄り添うアリソンのお話になっています。
それでは、いってみます。
522SBI:2010/09/15(水) 00:44:17 ID:BYH3V73e
彼が自らのなすべき事に挑む為に捨てた物、犠牲にした物は数限り無かった。
友人も名前も過去の思い出達も全てを捨て去らなければならなかった。
そして、最愛の幼馴染と共に過ごす時間までも、彼は失った。
彼の決断が彼女からそれを失わせてしまった。
全ては二人、納得ずくで決めた事だ。
彼女は彼の思いを受け入れ、背中を押しさえしてくれた。
あれから十数年、彼はかつての名前を取り戻し、再び彼女の元へと戻って来た。
今まで正体を偽ってしか接してこれなかった娘とも一つ屋根の下で過ごす事が出来る。
家族三人いっしょの新しい時間が始まる。
だけど、それでももう絶対に戻ってこない物はある。
彼、ヴィルヘルム・シュルツが手にしているソレも、その一つだった。
「本当、残った写真はこれだけなんだ」
彼が幼馴染のアリソンと一緒に行った列車の旅、そこで撮影されたこの一枚きりがかつてのヴィルの姿を写した唯一の写真だった。
他は全て、故国から彼の痕跡を消すために残らず処分されてしまった。
この写真がそれをまぬがれたのは、撮影時にピントがズレて彼の顔が判別出来なくなってしまったためだ。
でなければ、この写真も他の写真達と同様の運命を辿っていただろう。
彼が故国でアリソンと共に過ごした思い出たちは、その全てが綺麗に拭い去られて、ものの見事に無くなっていた。
「全部、僕が決めた事だ……」
写真立てを手に取り、呟くヴィルの横顔は少し寂しげな色が滲んで見える。
人生は大小無数の選択の集積だ。
くだらないものから大事なものまで目の前に提示されたいくつもの可能性の中から一つだけを選び取って前へと進む。
選ばれなかったもの達は過ぎ去る時に呑み込まれて、その流れの中に消えてゆく。
ヴィルは自分達の発見と、それが引き起こしうる事態、そこから逃げるという選択肢を選ばなかった。
変わる世界を見届けて、それがより良いものになるよう関与し続けてきた。
だけど、それもまた、選ばれるものと選ばれないもの、その二つを分かつ残酷なまでの世界だった。
ヴィルが選び取ったものの反対側で、選ばれなかったもの達がちょうどヴィルの思い出達のように消え去るのを理解しながら、
それでも彼が立ち止まる事はなかった。
大を救う為、小を犠牲にする。
言葉にしてしまえば簡単なその重みを、ヴィルは自分の背中に背負い込んで歩いてきた。
523SBI:2010/09/15(水) 00:45:16 ID:BYH3V73e
だけど、その長い道のりを歩き切って、元の場所に帰ってきたヴィルの、かつては真っ白だった手の平は、どす黒い血の赤に染まり切ってしまった。
多くの人が見る事のないこの世界の裏側を覗き見てきた記憶を消し去る事もできない。
彼は確かにヴィルヘルム・シュルツに戻ったけれど、もうかつてのヴィルとは違うのだ。
人は変化する。成長する。否応なしに変わっていく。
ヴィルとてその例に漏れる事はない。
ヴィルは考える。
果たして、この手に持ったピントのズレた写真に写った少年。
それは本当に自分なのだろうか?
まだ何も知らなかったあの頃の自分自身に、今の自分が『僕が未来の君だ』と自信を持って言う事が出来るだろうか?
こんなにも変わってしまった自分は、もうヴィルヘルム・シュルツではないのではないか?
「……………」
写真立てを持ったままじっとうつむくヴィル。
その時、耳に馴染んだ彼女の声がヴィルの元へと届いた。
「難しい顔して、また何か考え事?」
「アリソン……」
柔らかく微笑んで、部屋の戸口に立つ彼女。
ヴィルの最愛の幼馴染も長い月日の間に随分と変わった。
「どうしたの?って、その写真……」
「うん。あの頃から随分経ったな、色んな事があって、色んなものが変わったな……世界も、僕自身も……そんな事、考えてた」
「そうね。色々あったし、色んなものが変わったわ……」
となりにやって来たアリソンもヴィルの持つ写真に視線を落とし、何かを思い出すようにしみじみと呟いた。
付き合いの長い二人の事だから、きっとアリソンにはヴィルの物思いは筒抜けなのだろう。
どこか寂しげなヴィルを慰めるように、アリソンの手の平がそっと写真立てを持つヴィルの手に重ねられた。
彼女だって同じくらい、いや、もっともっと寂しかっただろうに。
アリソンはただヴィルの手の平を優しいぬくもりで包みこむ。
そんな彼女に何か言ってあげたくて、ヴィルが口を開いたその時……
「アリソン……」
「でもね、ヴィル……」
ヴィルの声にかぶさるように、アリソンも口を開いた。
彼女は顔を上げ、その青い瞳でヴィルをまっすぐに見つめて言った。
「やっぱり、ヴィルは変わらないね……」
「えっ?」
戸惑うヴィルに彼女は続ける。
「色んな事があって、色んなものが変わったけれど、ヴィルはヴィルのまま、真面目なところも、とびっきり優しいところも全然変わってない」
「アリソン……」
そう言って、明るい笑顔を見せたアリソンと見つめ合いながら、ヴィルは思う。
(変わったけど、変わってない。僕も、アリソンも……)
色んな経験を積んで、歳をとって、かつての少女ではなくなったアリソン。
だけどいまヴィルの目の前にいる彼女の笑顔の明るさと、その奥に秘めた優しさは「未来の家」で出会ったばかりのあの頃とちっとも変わらない。
「私ね、本当は少しだけ不安だったの。
ヴィルが選んだ道はとっても険しくて苦しい道だった。その道を歩いてる内に、ヴィルも変わってしまうんじゃないかって、そう思ってた。
だけど、トラヴァス少佐として戻って来てくれたとき、ヴィルの顔を見て、声を聞いて思ったわ。
やっぱり、ヴィルはヴィルなんだって。
大切なものは何にも変わってないって」
アリソンの語る言葉が、ヴィルの胸の奥の不安を溶かしていく。
写真の中、少年の頃の自分の姿はかすれて見えないけれど、隣に立つアリソンの笑顔は今とぜんぜん変わらない。
彼女の笑顔の一番間近がずっと昔から変わらないヴィルの居場所なのだ。
幾多の変化の中、時の流れに消える事なく、ずっと二人の胸の奥で輝き続けたもの。
ヴィルがヴィルであり、アリソンがアリソンであること。
その真中にあって、ずっと二人を繋ぎ合わせてきた大切な何か、それは今も変わらずここにある。
524SBI:2010/09/15(水) 00:45:45 ID:BYH3V73e
「アリソンもぜんぜん変わらないね。ずっと、僕の大好きなアリソンのままだ」
「えへへ」
しみじみと呟いたヴィルに、アリソンが嬉しそうに笑ってみせる。
ヴィルはそこで少しだけ悪戯っぽい笑顔をうかべて
「でも、ちょっとだけ変わったかも?」
「え?どこが?」
きょとんとするアリソンに一言
「アリソンはもっと綺麗になった」
ヴィルのそんな言葉に、アリソンは嬉し恥ずかし、顔を真赤にしながら
「もー!そういうヴィルだって、これでもかってくらい格好良くなったし、私に『好き』ってたくさん言ってくれるようになったし……!!」
と、そんな感じでじゃれ合っていた二人の腰を、ガシッと細いけれど力強い腕が捕らえた。
「………仲の良いのはいいけれど、もうちょっと年相応に落ち着いてよ、ママ」
「あら、リリアちゃん、おかえり!」
ヴィルと同じ栗色の髪の少女、二人の娘、リリアが万年バカップルにもほどがあるアリソンとヴィルをジト目で睨んでいた。
「パ、パパもそうよ!ママと一緒になってはしゃいでばっかりじゃダメじゃない!!」
「わかったよ、リリア」
少し躊躇いがちに、だけどしっかりと『パパ』と呼んでくれたリリアの声がヴィルの心に染み渡る。
アリソンとヴィル、そしてリリア、三人が笑い合うこの場所はとても優しく温かい。
変わったけれど、変わらなかった。
数えきれない変化の中で、唯一変わらなかった大切なもの。
アリソンとヴィルを、そしてリリアを繋ぐソレに守られたこの場所こそが、
どんなに時を経ても変わる事のない、ヴィルの居場所なのだ。
525SBI:2010/09/15(水) 00:49:13 ID:BYH3V73e
これでお終いです。
今回は電撃文庫もくろっくで読める140字の掌編でんげきったー
そこで『アリソン』の更新があり、こう胸にスキューンときたので勢いで書いちゃいました。
帰って来るフラグは立ちましたが、本編でも本来の自分自身として家に戻ってきたヴィルとアリソン、そしてリリアの三人の姿が見てみたいものです。
それでは、失礼いたしました。
526名無しさん@ピンキー:2010/09/15(水) 21:25:57 ID:VqKKSmUH
濃厚なエロいのと甘いのと、このレベルを連続とは。
GJ!!
あなたはこのスレの救い手だ!
527名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 12:36:36 ID:XzvoXLUH
キノが無いお・・・
528名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 14:10:26 ID:eyWf/UQD
新刊ktkr
529名無しさん@ピンキー:2010/10/11(月) 22:16:27 ID:+WT3UVvY
新刊を読んで再び思う
師匠とハンサムさんは性の処理をどうしてるんだろうか
530名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 17:59:03 ID:lp3ncB3X
師匠の体に触っただけで殺されそうだ
531名無しさん@ピンキー
>>529
ボロ車は2人のベッド

>>530
そもそも触れるのか?