桜場コハル Part 8.1

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120名無しさん@ピンキー
初めて藤岡君と話した日、お互い好きな人に思いを伝えられないでいると言う事で、
変な友情(?)が芽生えた私たちは、アドレスを交換してメールを始める事に。
そして私が藤岡君とメールを始めてから約2か月、ある日彼からこんなメールが――

『ちょっと相談したい事があるので、もし良かったら明日一日付き合ってもらえませんか……?』

今まではカナちゃんの事で夜に相談してくるくらいだったのに……どうかしたのかな?
とりあえず明日は学校も休みだし、
『私なら大丈夫だよ。どこで待ち合わせしようか?』
送信……っと。

次の日、私は約束の場所の喫茶店へ――
「えっと……ココ? なんだかおしゃれな喫茶店……」
少しぼーっと眺めていると、二階の窓際の席から手を振る藤岡君の姿を発見し、
私も少し手をあげて合図をして藤岡君の待つ席へ向う。

「すみません、突然迷惑なこと言っちゃって……」
「ううん、平気だよ。……それで、どうかしたのかな?」
「それが……じ、実は明日、南と二人で出かける事になったんです!」
思わず立ち上がって大声でそう言った藤岡君。周りのお客さんの視線が少し痛い……
とりあえず藤岡君に座ってもらって詳しい話を聞く事に。

「へぇー、じゃあデートってことなんだ。すごい進展だね!」
「いえ、デートって言うか、テストの点数で負けた方がなんでも言う事聞くって罰ゲームで……」
「それでもすごい事だよ。それでどこへ行くの? もう決めてるのかな?」
「はい、一応決めてるんですけど……その事で相談に乗って欲しくて来てもらったんです」
「?」

藤岡君の話しを聞くと、
人生初デートで行く場所は決めたけどカナちゃんに楽しんでもらえるか自信がないらしい。
……というか、初デートなんだ。藤岡君はモテそうなのに意外だな……
とにかくそれで、私と一度デートコースを回って感想を聞きたいらしい。

「うん、それくらいなら喜んで手伝うよ」
「ホントですか!? ありがとうございます! ……実はこの喫茶店もデートコースに入ってるんですけど――」
「私は素敵だと思うよ。カナちゃんも喜ぶんじゃないかな?」

あくまでも私の意見なのに、カナちゃんに褒められたように小さくガッツポーズをして喜ぶ藤岡君を見てると、
なんだか可愛い弟が出来た気分になる……
こうして私たちは喫茶店を出てデートコースを回る事になったのでした。