コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命でエロパロ

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1名無しさん@ピンキー
コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命のスレです。
職人さん、お待ちしています!
2名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 11:49:30 ID:iFCe/7RI
藍沢×白石
藍沢×緋山
藍沢×冴島
冴島×白石
緋山×白石
緋山×冴島
藤川×緋山
3名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 21:31:47 ID:0jQlTY9v
期待age
4名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 18:34:53 ID:FnoPorHF
期待
5名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 18:40:02 ID:5ksHRH1V
冴島×白石だったら百合萌えスレにあったね
6名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 19:57:38 ID:jI1IJhzy
>>5
見当たらないよ?
7名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 07:26:13 ID:vHWH0ARg
あげとくか
8名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 02:43:26 ID:cEvqF9i3
今週ので藤川×冴島もアリだと思った
9名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 20:22:33 ID:dMfXY4Ks
>>8
ありだな
10名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 13:19:29 ID:xbuacYZS
藤川×冴島
みたいなぁ
11名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 01:14:01 ID:gG0iwASs
職人さん 来ないかなぁ・・・
12名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 21:01:54 ID:7+Kg5a+a
普通の小説もココでいい?
13名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 21:29:48 ID:1bT5S2eh
>>12
コードブルーに関する物なら何でもアリ。
エロのありなしなんてオマケみたいな物です。
14名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 07:22:48 ID:7SQG7u4E
じゃお盆に書くわ
藤川×冴島 にする
15名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:59:28 ID:6s2BXmPm
お盆明けに書きたいと思ってネタを練ってます。
たぶん藍沢×緋山
ユーザー少ないかな?
16名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:08:14 ID:PyP+NwF7
俺的には一番メジャー(?)な藍沢×白石を・・・
17名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:24:13 ID:7SQG7u4E
藤川××緋山 も需要なさそうだ。
18名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 00:46:55 ID:iNxwB947
期待して待ってまーす
19名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 01:36:51 ID:RVjdQagn
いやいや緋山のキャラ大好きだしwktkして待ってる!
藤川、藍沢、白石、冴島も待ってるよ〜
20名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 08:50:10 ID:pXFg72Hx
>>14
>>15
wktkしながら待ってます
21名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 11:19:56 ID:Ok2Ri/y+
藤川×緋山明日アップできるかも
22名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 12:23:00 ID:PZN+zumk
wktk
23冴島×藤川:2008/08/13(水) 21:11:32 ID:vjIL6oXw
「本当に医者ですか?もっと期待に応えられるように努力してください」
同年代の看護師にあれだけ言われれば
さすがの彼も少しは、現状を認識してくれると思っていた。
いったい彼は一人だけヘリに乗せてもらえないという現状をどう感じているのだろう?

もちろん今日もヘリにのれないので、私と入院患者のフォローだ。
「冴島さんはヘリ初めて乗るときどうだったの?」
正直言うと緊張していて覚えていないのだが…
「先生は初めて呼吸をしたときのことを覚えていますか?」
「え???」
「私にとってヘリに乗るということは、そういうことなんです。」
一事か万事こういう調子だ。
はっきり言って彼との相性は悪いと思っている。

黒田先生と
「おはようございます」「お疲れ様です」以外の会話をする所から
まずは始めてみたらどうですか?
私はこう吐き捨てると白石先生が呼びに来た。
どうやら来客のようだ…。
妙だ。私に来客なんていったい誰だろう?
胸騒ぎがする。



とりあえず今日はここまでにします。
他の作者さんも頑張ってください
24冴島×藤川:2008/08/13(水) 21:12:12 ID:vjIL6oXw
一応エロなしです
ごめんなさい
25名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 23:30:50 ID:xK0+aTGo
801なら黒田×藍沢
百合なら新垣×戸田
だろ
間違いない
26名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 23:43:10 ID:b6twyPa5
百合なら冴島×白石もありだろう
27名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 04:29:41 ID:Ha1yOKY0
百合はかなり早い時期から向こうにスレ立ってて、過疎板ながらも賑わってるよ。
801は知らん。
28名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 06:24:00 ID:9s9MLNWu
>>24
気にしないでください!エロ無しでも充分ですから。
続き楽しみにしてます^^
29冴島×藤川:2008/08/14(木) 10:54:42 ID:U/evuKxh
「私にお客さんですか?」
念のため、白石先生に確認する。
「うん、なんか車椅子に乗った男の人とお母さん?みたいだったよ。」
職場にまで会いに来るなんて、いったい何を考えているんだろうか
いや、私のほうが迂闊だったのか。
看護師であるということもあり、家族にも職場のことは話していなかったのだから。

「冴島さんどうしたの?顔色悪いよ?」
白石先生が心配そうに顔を覗き込む
「もしかして彼氏?熱いねぇ。」
「違うよ、藤川君、冴島さんの彼氏は半年前に…」
全くこの人は勘がいいのか・悪いのか。
藤川先生の目は興味津々といった様子だ。
確かに苦手な看護師に車椅子で男が訪ねてきたと聞けば、興味を持つなと言うほうが難しいかもしれない。
(こんなとき藍沢先生なら仕事中だぞ。で済むんだけどねぇ)
この熱心さと好奇心が1%でも医学のほうにむけば、
少しは医者らしくなるような気がするのだが今はいうまい。
「私ちょっと行ってきます。藤川先生、ちょっとコーヒーでも飲んでてください」
白石先生の言葉を遮ると私は走り出した。
「ごゆっくり、どーぞ」
藤川先生の声が廊下にこだました。
30冴島×藤川:2008/08/14(木) 11:08:02 ID:U/evuKxh
「藤川君やめようよー」
「白石だって冴島にはこっぴどくやられてんだろ?」
「そうだけどさぁ、こういうの良くないよ」
「ここで冴島の弱みでも握っておけば、少しはしおらしくなるかもしれないじゃないか」
「だけどさぁ・・・」
「大丈夫だよ。コーヒーを飲んでろって言ったのは、他ならぬ冴島だぜ?
 どこでとは言われてないしな。」
自動販売機からコーヒーを取りながら、藤川がニヤリと笑う。
「でも冴島さんにばれたら、本気で怒ると思うよ?本性出してくるよ?」
白石はどうやら以前の手術室での冴島の変貌ぶりがトラウマになっているようである。
「大丈夫だっていざとなれば、看護師とドクターとは綿密な信頼関係を気付かなければならない。
 その第一歩がお互いを知ることだって黒田に言われたことにするから。
 あの二人そんなに接点無いからまず大丈夫だ」
「藤川君ってさぁ…。あ・あれじゃない?」
「一応隠れとくか」
白石が何かを言おうとしたが、冴島の姿が見えたので視線をうつした。
31冴島×藤川:2008/08/14(木) 11:10:03 ID:U/evuKxh
ペース遅くてごめんなさい。
今日の話を見てから今後残り二人をどうやってからませるか考えます。
感想くれると嬉しいけど、この長さじゃ無理か
32名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:29:34 ID:CFhzJ2cT
>>31
君、天才ですか?もしくはプロですか?
まるで普通にこのドラマのスピンオフを見てるみたいだ…
焦らず、納得いく話を考えて下さい
33名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 09:04:31 ID:q4KtX+Gs
藍沢×冴島を書いて
34冴島×藤川:2008/08/15(金) 13:47:00 ID:F+W7rC4M
一階の待合室では昼時にも関わらず、外来患者がごった返している。
(白石先生の話では確かこの辺にいるはずなんだけど…)
車椅子の患者は数が少ないのですぐわかるのだが…
あまり近づくと気がつかれてしまうため、遠くから相手を探しているのだ。
(いた、あれだ。)
相手に気がつかれないよう柱の影から注意深く彼を確認する。
母親お手製のペットボトルで水をもらっているところを見るとため息が出る。
(やっぱり会うのはよそう)
ちょうど良いところで、急患の知らせが携帯電話に入ってきた。
(急患が入ったんだから仕方がないよね。)
そう自分に言い聞かせるように走り出した。
35冴島×藤川:2008/08/15(金) 14:44:14 ID:F+W7rC4M
「おいおい聞いたか?冴島の彼氏がきてるみたいだぞ」
「へぇぇそうなんだ?」
「さっき白石と歩いてたら見かけたんだが、なんか車椅子に乗ってたぞ」
(こうやってこの男は話を広めるのね。)
以前ちょっとした嘘をついてヘリに乗ったことが、
何故か初対面の入院患者にまで伝わっていたことを彼女は思い出していた。
そのうち資料をポケットに沢山入れた白石をカンガルー呼ばわりしたこともどこからか聞きつけ、
患者にドクターカンガルーと冷やかされる白石の姿が今から目に浮かぶ。
「噂好きな男って最低〜」
その熱心さを医療に向ければ、天敵黒田もヘリに乗せるはずなのだが…

「お前ら他に話すことないのか?」
緋山はどちらかというと、こういう話題には興味がある方だがこの男は違った。
藍沢はコップを乱暴に置くとこちらを睨みつけている。
藤川はばつ悪そうにサラダを口に含む。

(藍沢のいうことは最もだけど気になるんだよなぁ。
 緋山の言うとおりにしてはあまり元気なさそうだ。何かあったんだろうか?)

視線の先には一人窓際の席に陣取り、浮かない顔で食事をしている彼女の姿があった。
36冴島×藤川:2008/08/15(金) 15:38:40 ID:F+W7rC4M
(こういう日に限ってヘリ担当じゃないのよね。)
結局彼とは会うことはできなかった。
いや、出来なかったのではない、会わなかったのだ。
後から待合所を見渡すと、そこにはもう彼の姿は無かった。
(諦めて帰ってくれたなら良いのだけど…)

「冴島さん?冴島さん?おーい」
「あ・すみません。何でしたっけ?」
「食事の相談だよ。さっきサラダ食べてて思ったんだけど、
 藍沢のお婆さんの食事を思い切って四つ切にしてみたらどうだろう?
 箸でつつき易いかもしれないじゃないか。」

私にはヘリナースとしての仕事がある。
彼の世話だけをすることはできない。

「冴島さんさっきから聞いてる?」
「え…ええ」
先程から藤川先生が珍しく医者らしい発言をしていることは分かっているのだが、
私の頭の中は彼のことで頭が一杯だった。

「さっきの男の人、本当に彼氏だったの?」
「そうですよ。私にも彼氏の一人や二人います。藤川先生と一緒にしないでください」
「冴島さんモテそうだもんね。」
思わずペンが止まる。
正直藤川先生がここまで興味津津だとは思わなかった。
前にお母さんが来たときにも感じたのだが、
私にどうして欲しいのだろうか?
「私の彼はALSです。次の質問はどうして病院に来たのかですか?
 最近会っていないからです。こんなもんで良いですか?」
「…」
まさかALSを知らないなんてことは無いわよね?
一応医者ですよね?
「はい、藤川です。オペ室?分りました。」
「急患ですか?」
「病院の階段から車いすで転落だって、まったくひどい話だよ。行こう」

半年前にもこんなことがあったような気がする。
どうか別人で会ってほしい。

「遅くなりました。!!」
処置室に入り患者の顔を見て愕然とした。
「どうした?知り合いか?」
黒田先生が治療を続けながら私のほうを見る。
「はい。名前は・・・」
私に視線が集まるのがわかる。
小生意気な看護師の彼氏が病院の階段から転落?痴話喧嘩でもしたのか?
特に女性看護師の視線が突き刺さる。
居たたまれなくなった私が輸血パックに手を伸ばすと、突然自動ドアが開いた。

「ちょっと目を離しただけなの。助けて」
彼の母親だ。
「だれか外に出してくれ」
「お母さん大丈夫です。処置をしています」
「はるかちゃん大丈夫かい?ちょっと目を離しただけなの。」
「外でお待ちください」

私は彼女を処置室の外の椅子に座らせ彼の容体を説明した。
37冴島×藤川:2008/08/15(金) 15:44:02 ID:F+W7rC4M
今日はここまで

ごめん、昨日もう少し絡みがあるかと思ったんだけど
ここからパラレルになるかもしれないです。
冴島は同性からもねたまれてるということでお願いします。

>>31
前回の流れで想像してみました。
今回で流れが変わるみたいなので想像が難しい
38名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 01:11:06 ID:t8QY5CV/
いかんせん需要が・・・
39名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 01:24:31 ID:oOdgdPzS
需要ありまくりだよ。
待ってるから冴島×藤川頑張ってくれ。
他の職人さんや他カプも大歓迎なので待ってます。
自分も頑張って書いてみる。
40名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 06:16:16 ID:JXweQ4ie
藍沢×白石も待ってます
41緋山×藤川:2008/08/16(土) 12:59:31 ID:5R2XTyz8
「何で貴方がその事を?」
私は思わず目を丸くした。
初対面の患者が私の失態をなぜか知っているのだ。

前にもこんなことがあった。
卵巣のう腫茎捻転を発症した弁護士・若杉さんのときだ。

この患者もあの時と同じで入院して間もない。
救急センターの人間との接点はそんなにないはずだ。
そもそも私の失態を知っているのは、ごく一部の人間しかいないはず…
気の強いフライトナースか?
いや、彼女はそういうタイプではない。
特に親しいわけではないが、職務を淡々とこなすタイプで
世間話をするにしてもそういう患者さんを不安にさせるような話はしないはずだ。
とするとドクターの中に犯人が…
シニアドクターはまず除外するとして、

考えられるのは同期3人のうちのだれかだ。
藍沢か?
いや、アイツはそういう患者との世間話なんてしないはずだ。
救命救急センター苦情ランキング連続タイトルホルダーの実力はだてじゃない。
愛想がなさすぎる。機械的。気持ちがこもっていない。等など苦情は様々だ。
まぁ本人は外科医は腕がすべてだと公言しているからさほど気にしていないのだろうけど。

「今日は天気がいいですね。」
なんてアイツから笑顔で患者さんに話しかけたなんて珍事が起きた日には、
黒田先生はハンカチを用意し、看護師陣はケーキを用意することだろう。
天気は無論雪だ。

あの優等生か?
う〜ん。彼女とは同性ということもあり良い関係を築いてきたつもりだ。
無論性格的な物でどうしても喧嘩になってしまうこともあるが、
第三者を通じてお互いを乏しめるような回りくどいマネはしないと思う。
彼女の思考回路はそういう気の利いた事はできないようになっている気がする。

とすると残る容疑者は一人だ。
腕も頭も大したことない癖に、
寝ていながら患者の心を治したり髄膜炎を見抜いたりと意外性NO1なアイツ。
他の同期が無口だったり、優等生的な発言を連発するので
多分ドクターの中では一番話しているかもしれない。

私は乱暴に医局のドアを開ける。
「ねぇ、藤川知らない?」
42緋山×藤川:2008/08/16(土) 13:27:33 ID:5R2XTyz8
「藤川君なら今さっき冴島さんと一般病棟に行ったよ。」
ドーナツを口に頬張りながら白石がホワイトボードを指さす。
「食べる?美味しいよ。」
「ちょっと用事があるから後にするね。」
あのお調子者逃げたな。
「藤川君どうかしたの?」
「ん…ちょっとね。」
「今出たばかりだから急ぎだと追いかけたほうが早いかもね。」
今日のヘリ担当は藍沢か…
私も早く常時ヘリに乗れるようになりたいなぁ
43緋山×藤川:2008/08/16(土) 13:41:15 ID:5R2XTyz8
冴島×藤川は今日はおやすみです〜
録画を見ていて緋山とはよく絡んでいるので書いてみました。
同時進行できるように頑張ります。
藤川は創造がしやすくて重宝します。
>>39
お持たせして申し訳ない
明日か明後日には続き書きたいっす
44冴島×藤川×緋山:2008/08/16(土) 18:12:01 ID:5R2XTyz8
「それにしても冴島さんの彼氏さん、怪我が大したことなくて良かったな」
午後一番の騒ぎを彼が思い出したように振り返る。
「そんなことより、藤川先生良かったんですか?さっきの患者さんにあんな話して」
「そんなことって一応彼氏なんだろ?相変わらず冷たいなぁ。
 医者は傷を治すだけでなく、患者の心もケアするのも仕事なのだよ。はるか君」
「何か今日はご機嫌ですね?心のケアが大事なのはわかりましたけど、
 緋山先生の失敗を話すのは何故なんですかね?看護学校では習いませんでしたので
 今後のためにも教えておいていただきたいですね。」
「心を掴むにはまずは笑い話からというわけだよ。はるか君もまだまだだねぇ」
この人には嫌味が通用しない。
だから私も思い切って話せる。看護学校にもこういうタイプは居なかったので少し新鮮である。

「あの〜どさくさに紛れて名前呼ぶのやめて貰えません?」
「彼氏さんは冴島さんのことなんて呼んでるの?」
「もうその話はやめてください!!」
私の声が大きかったからか彼の顔色がサッと変わる。
 
「でも良いんですか? 緋山先生怒るんじゃないですか。
 人の失敗を笑い話にするってあんまり良い趣味じゃないですよ?」
「藍沢だとなんか人間味が出るだけだし、白石だと泣きそうなんだもんなぁ」
どうやら彼の頭の中には、自分の体験談を話すということはないらしい。
「藤川先生の失敗を話したらどうですか?」
「俺の失敗?そんな面白いのあったかなぁ?」
「除細動に通電する医者なんて初めてみましたよ。
 テレビドラマみたいな貴重な体験をありがとうございました。」
私が澄ました顔で皮肉ると流石の彼も苦笑いを浮かべた。
「やっぱりあれで黒田に嫌われたのかなぁ?」
「その前のブラジャーをつけてCT撮るって言い出したときからじゃないですか?」
「え?そんな前からなの?」
「さぁ?」
私が両手を上げる
「まぁそれはともかく、緋山の話なら大丈夫だ。俺とアイツの仲だ笑って許してくれる」
(とても笑ってるようには見えませんけどねぇ〜)
私の視線の先にはエレベーターから出てくる緋山先生の姿があった。
不幸にも彼はまだ気が付いていないようだ。
勝気な彼女のことだからヘリに乗れない欝憤と書類整理のストレスをも合わせて彼で発散しようとしているのだろう。
入院患者が避ける様は、まるでモーゼの十戒のようである。
「お疲れ様です。」
「え・あ・おつかれ」
不意に挨拶されたのに驚いたのか彼女の挨拶が少し遅れた。
「今日もヘリ担当じゃないんですね。」
今更な事をあえて言うあたり、私もかなり性格が悪いのかもしれない。
「ええ…藍沢先生に譲ったの」
「現場でフリーズしちゃったら燃料費もばかにならないこのご時世、勿体ないですもんねぇ。」
「そうねぇ、医者一家で優秀な冴島さんと違ってそういうこともたまにはあるわ」
「緋山どうしたんだよ?冴島さんもどうしたの?二人とも何かあったの?」
彼はオロオロしながら私と彼女の顔を見ている。
「ところで緋山先生こんなところで何してるんですか?」
「え・ああ・・・藤川先生が患者さんと打ち解けてるみたいだから秘訣を聞きにね。」
「失敗話をすると人は共感を持ってくれるみたいですよ。三井先生も仰ってました。」
彼女はどうやら三井先生を尊敬しているようなので、これでもう何も言えない。
「用事が済みましたら、私達先を急ぎますので。藤川先生次は504号室です。」
「あ…ああ」

エレベータのボタンを押しながら小声で彼がお礼をいう。
(貴方に意地悪していいのは私だけです。)
「緋山と冴島さんって仲悪かったんだねぇ」
彼はブツブツとつぶやいている。
45冴島×藤川×緋山:2008/08/16(土) 18:12:55 ID:5R2XTyz8
二つまとめました。
藤川の取り合いになる予定です。
長くなりそう(汗)
46名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 19:14:32 ID:oOdgdPzS
>>45
藤川が注目されるなんて新鮮!w
冴島緋山もっとやれ〜せめてこの話の中だけでも藤川先生に花持たせてあげないとね。
「ドーナツ食べる?」の白石が可愛い過ぎて吹いたw
47名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 07:15:50 ID:U1UUBMAt
藤川モテモテだな
48名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 13:35:59 ID:wkhBCxfQ
藍沢×白石書きたいけど難しいな。
って白石が言ってた、たぶん。
49名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 19:28:34 ID:Gyx/VZN9
藍沢はセックスを処理程度にしか思ってなさそうだもんな
50名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 20:25:09 ID:4G9CYWAU
職人さん書いて〜
51冴島×藤川×緋山:2008/08/17(日) 21:57:17 ID:b7paV+9+
「相っ変わらず勘に触るわね!!!」
誰かがコップをゴミ箱に乱暴に叩き込む音がする。
自動販売機の陰に隠れていて、私に気がつかないのか話声が聞こえてきた。

「どうしたの?」
白石先生の声がする。
「冴島よ!冴島!…く〜思い出しただけで腹が立つ!」
「ご愁傷様」
「何よ?同期ならもっとこう。どうしたの?とか生意気だよね!とか言えないの?」
ようやくわかった。
声の主は緋山先生だ。
どうやら先程の事を根に持っているようだ。

「冴島さんとは私接点無いから…」
「何言ってんのよ。大学教授の娘同士仲良くしなさいよ!」
どうやら白石先生を通じて私に探りを入れようとしているようだ。
「え?無理だよ。無理。話題無いし。お願いそれだけは許して」
はて?白石先生に嫌われるような事しただろうか?
今度藤川先生に聞いてみよう。
「だいたい藤川もなんなのよ!看護師の肩なんて持っちゃって!
 恥ずかしくないの?アイツ医者でしょ?こっち側の人間じゃない!」
「こっちとかあっちとか良くわかんないけど、職場の仲間だと思うけど」
「こんなときまで綺麗ごと言わないでよ!」
緋山先生のヒステリックな声が響き渡る。
「だいたい藤川君のことになるとどうしてそんな真剣になるの?
 ブラ付けてCTとる時も黒田先生に行く前に止めてたよね?」
「藤川見てると何かイライラするのよ。」
「たまに私にも言うけどそれとは違うの?」
何となく私も分かるな。
私は白石先生の問診に聞き入っていた。
「アンタのは単純にまたか!って感じなんだけど・・・」
「けど・・・?藤川君の場合は?」
「ほっとけないと言うか・助けてあげたいというか」
「なるほど、ちょっと熱と脈を図りましょうか。」
聴診器を耳に当てると白石先生は、彼女の診察を始めた。
(リアルお医者さんごっこって言うのかしら)

「ちょっと真剣に聞いてくれる?真面目な話なんだよ?
 他に相談できる人も居ないし、私アンタくらいしか・・・」
医者に限らず病院という職場は、シフト制なこともあり思った以上に人間関係が狭く希薄である。
私も相談事なんてもう何年もしていない。
そもそも私はここで彼女の話を聞いてどうするのだろうか?
「心配しなくても大丈夫。
 私はどんなときでも味方だよ。同期で女同士じゃない。
 医者としても一生切磋琢磨して行きたいと思ってる。
 だから恋愛も頑張ろう。冴島さん何かに負けちゃ駄目だよ」
「ありがとう。アンタやっぱり良い奴だね。でも私まだ恋愛ってわけじゃないよ?」
「素直になりなよ。それは恋の病だよ。お薬倍だしとくね。」
白石先生は彼女の頭を撫でている。
私も村田さんに同じように相談してみようかな。
52名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:11:38 ID:DRW0mx7K
巧いな
エロかどうかはともかく
53名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:12:35 ID:wkhBCxfQ
>>51 dクス


>>49
>処理程度 にワロタw

藍沢×白石だったら、藤川が白石に
「お前のこと好きかも、って藍沢が言ってたよ。…たぶん」
とか、緋山が白石に
「休みの日くらい勉強やめてデートでも行ってくれば?…藍沢と。」
とかからかって欲しいw
からかわれた白石はどんな反応するんだろw
54名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:19:04 ID:DRW0mx7K
処理程度ってリアルだな
それなら藍沢x村田か体だけの関係と割り切ろうとする藍沢x冴島ってとこだな
55名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:31:03 ID:Q1eP5tdI
白石はオカマ・バーに行ってメリージェーン洋子に藍沢とのことをそこはかとなく相談してほしい
56名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:35:33 ID:wkhBCxfQ
>>54
なるほど。職人さんのハードル高いけど面白そう
57冴島×藤川×緋山:2008/08/17(日) 22:48:45 ID:b7paV+9+
それにしても、女医二人が協力するとなると厄介だ。
何故なら彼らフェローは日夜机を並べ仕事をし、一緒に食事をし濃密な時間をすごしている。
特に彼女は藤川先生の隣の席だ。
少し情報を収集しておいた方がいいかもしれない。

「あら、お邪魔だったかしら?」
「は?」
緋山先生は白石先生の胸から顔をパッと顔を離す。
「もしかして話し聞いてた?」
白石先生が珍しく眉を顰めながら尋ねる。
「何のですか?切磋琢磨していきたいとかって声は聞こえた気がしますが
 仕事中ですので特に聞いておりませんが?」

「そうよね、彼氏と会う時間も無いほどお忙しいんですものね。」
「ハッキリ言っておきますが、元彼ですからね。誤解しないで下さい」
「ええ、元彼が職場に親と一緒に来たりする?白石先生聞いたことある?:
「え?私?ええっと」
突然会話に巻き込まれた白石先生は、呂律が回っていない。
「流石史上最年少ヘリナース様よね」
元彼(とはいっても別れたのは5時間前でそれ一方的)の話をされると、
私としては何も言い返せない。
ここは下手に言い返せず、甘んじて非難を受け入れるとしよう
「その上、階段から転落までされた日には余計な仕事増やしちゃってさぁ。」
私は思わずユニフォームのズボンの裾を握る。
「お手数をお掛けして申し訳ありませんでした。
 先程退院しましてもう二度と彼と会うことはないと思います。
 本当に申し訳ありませんでした。」
迷惑を掛けた事は事実だし、素直に私は謝ることにした。
「そろそろ私達は行こうか?カルテの整理終わってないし。」
白石先生が恐る恐る切り出す。
「藍沢仕事早いし終わってたりして。まぁいいわ、行きましょう」
彼女はすれ違いざまに私の耳元で小声で囁くとクスリと笑う。
「病気になった彼氏を捨てて
 もう次の男なんてアンタも綺麗な顔してやるわねぇ。」
グシャっという音を立てて、私の右手にあったカップジュースが潰れた。
「どうかしたの?」
「さぁ?行こう」
驚いた白石先生が振り向いたが、彼女はそのまま背中を押して部屋の方へ消えていった。

彼女の性格から言って同じことを何度もネチネチというタイプではない。
一度はどうしても避けては通れなかったことだ。
むしろ公衆の面前やナースステーションで言われなかっただけ良しとすべきだ。

気分転換にヘリの装備チェックでもしに行こう。
58冴島×藤川×緋山:2008/08/17(日) 22:56:24 ID:b7paV+9+
しまったsage忘れてました。
一応これで前回までの流れに乗った予定です。
非エロですみません。

次回はちょっとイベントでも入れてみようと思います
お盆だし帰省とか。夏休みとか。
それを上手に絡めていけたらなぁ。
59( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/17(日) 23:17:56 ID:tHsshQnM
「ああいう所って…行った事あるの?」
「無い。初めてだった」
「そう…なんだ…。でも、落ち着いてたから…。
 あ、そっか…藍沢君はいつも落ち着いてるか…」

ポツリポツリとした会話をしながら繁華街の裏路地を歩いている。
白石は少し落ち着きの無い様子を隠せない
病院じゃない場所で、しかも私服で藍沢と居る事が奇妙に思えると同時に
初めて行ったオカマのショーパブという空間に驚いた余韻もあった。
そして何か普通を装わないとけいないという気持ちもあった

「メリージェーン洋子さん、ショーで見るほうが
入院してたときより綺麗に見えたね。お化粧とかかな…少し痩せたからかな」

「無理して話さなくていいから。」

「無理してないよ…。ごめんね?無理やりきてもらっちゃって…
 せっかく早く勤務終わったのに。でもどうしても一人じゃ行く勇気なくって…」

緋山も藤川も今夜が当直で誘えなかった
地元を出て病院の近くに一人暮らしをこの春からしたばかりで
気軽にそういう場所につきってもらえる友人もなく
だめもとで、偶然に病院の通用口で会った藍沢を誘ったのだ。
正確には「頼み込んだ」だが。

「そうだよな…大学教授のご令嬢がショーパブ初体験を一人でなんて
 できる訳ないよな。俺は別に“へぇ”って感じで済むけど。
 酒も少しだけど飲まなきゃいけない空気だしな、ああいう店は」


仕事以外の会話を初めてした、白石が驚きながら「うん…」と小さく頷いた。
地下鉄の駅までの近道として裏路地を歩いていくとどうしても沈黙が重苦しい…
再び白石は口を開いた

「大山さ…じゃないや、メリージェーン洋子さん、新しい彼氏できたのかな。
入院中にフラれちゃったんだって。でも今日綺麗になってたから新しい恋とかしたのかも。
藍沢君は、彼女とか…いるの?そういうのには興味ないって感じだよね…」

最後のほうは勢いで質問に繋げてみた。だけど聞いてからの空気の重さに
聞かなきゃよかったと後悔をする。2歩くらい先を歩く藍沢が振り向きもせずに答える

「興味は確かに無いな。今は。そんな暇ないし。」
「でも…彼女がいたとか、恋したことってある…よね?」
「過去に。それなりに。一応」

藍沢らしい手短な答え。しかし答えるという行動が藍沢らしくない。
そう驚いていると続けて藍沢が呟いた

「夜勤明けで少ししか寝てない時に酒飲むと、まわるな」

…酔ってるのかな…。でも別に口調や歩き方は変化ないし…
「そうだね…」弱弱しく答えて白石は観察するように藍沢の後姿を見ていた。
60名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:53:34 ID:BTkJgRol
ちょっと、早くヅラよこしなさいよ!

洋子出ないのか洋子
61名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 23:56:54 ID:VbaVTRRV
メリージェーン洋子キテタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!!!
GJ
62( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 00:09:48 ID:3kuZMI3n
スマソ続きは明日以降。
投下が超久しぶりなんでテストとして投下しますた。。
63名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 01:09:56 ID:teiGewTG
待ってました職人さん
64名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 01:58:09 ID:i/G2adgS
メリージェーン1回で消すには惜しいキャラだもんなw みんな違う名前で呼び間違えるお約束とか…

( ・∀・)つ〃∩モエー さん続き楽しみにしてます
wktkが止まりません wktkwktk
65名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 06:26:39 ID:2KkopJYc
>>58
GJ!!!
女の争いって恐いっすね(;゚;ж;゚;)
つーか、藤川が羨ましいwww
66( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 10:21:50 ID:3kuZMI3n
駅までは15分程歩くだろう…そんな事を考えながらはじまった無言に耐えていると
2歩前を歩いている藍沢がフラリとする。咄嗟に肩を支え

「大丈夫?…どうしたの?」
「ごめん…別に…何でも。」

支えた手を軽く払うと再び歩きはじめた。

「徹夜明けに久しぶりに酒なんて飲んだから、少し」

酔ったんだ?藍沢君が…?なんだか不思議な感じがする。
だけど彼も人間だからそれは当たり前なんだけど…

「ね、本当に大丈夫?」

2歩分、小走りをして藍沢の前に出ると、かなり眠そうな顔をしている。
心なしか少し歩き方も先程よりは千鳥足。そんな藍沢を見て驚いた顔をする白石に
藍沢は自分の酔いを感づかれた事に少し不満そうな表情になり

「帰ろう」
「あの…送ってってあげるよ…」
「いいよ別に」
「いいってば。ね、タクシー拾おう?」
「一人で帰れるから。まだ電車あるし」

あくまでも断る藍沢に対し、白石は心配からやっと出た大通りで手をあげてタクシーを拾った。

「藍沢君…明日ヘリ当番でしょ?私がつきあわせたせいで明日に響いたら悪いし…
だから送らせて?タクシー代出すから。」
「…。」

無言でタクシーに乗り込む二人。
再び無言が重苦しく思えて横目で藍沢を見ると寝ている事に気づいた。
あ…どうしよう…藍沢君の家の場所、聞くの忘れた…

「ねぇ、藍沢君、家って何処に…」

何度か揺するが起きる気配がない。それどころが揺すったらガクンと力が抜けて
熟睡している藍沢が自分の膝元に倒れ込んでしまった。
仕方なく、自宅の場所をタクシーの運転手に告げると膝を枕に熟睡している藍沢の顔を
何か緊張した気持ちで見つめ続けた。
そしてそっと、頬を指先で触れるが起きる気配はなく…
そのまま優しく髪を撫でてやる。緊張が、甘い緊張へと変わった。
67( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 10:23:11 ID:3kuZMI3n

「悪い…。」

タクシーから降りると寝起きの藍沢がぼそっと言う。

「大丈夫?あの…少し散らかってるけど…よかったら…」

ドアを開けて一人先に部屋へ上がり電気をつける。
片付いた部屋の中、机の上には付箋がしつこいくらいについている医学書が積まれている。
父ですら、まだこの部屋にきたことはない。自室に同僚といえ男性を招くのは緊張する
たとえ何もないとしても…。
冷蔵庫からミネラルウォーターを出しコップに注ぐと横目で玄関を見る。
藍沢が躊躇っている様子…しかし水の注がれる音を聞いて、ひとつため息をついて靴を脱いでいる。

「水貰ったら、帰るわ…」
「うん…気持ち悪い?回ってる感じする?」
「問診するな。大丈夫だから」

コップの水を一気に飲む姿を見て、いつものような反論ができるくらいなら
大丈夫なんだろう、と少し安心した。空になったコップを白石が受け取ると
藍沢がソファにだらしなく座り、机の上の書籍を見て呟く

「――この部屋、男入れたことないだろ。変な生活感出すぎだ」
「…別に…いいじゃない…」

図星で気まずそうに答えると藍沢が続ける

「付き合ってる奴とか、いないんだな。見てわかる。」
「確かにいない…けど…。そういう暇、ないし…」

やっぱりまだ酔ってるんだ、プライベートの話題を自分からするなんて…
少し動揺しながら確信した。空になったコップを持ったままでいる白石の手を
突然藍沢が引いて、抱き寄せた。

「っえ…」

何が起こったか一瞬解らず…解った時には驚きと同時にバクンと心臓が強く動き始める。
かなり強く抱きしめられる…無言のままの藍沢にやっと声が出たが小さい声で

「どう…したの…?」

答えはない。「藍沢君…?」――やはり答えはない。ただわかったのは
自分と同じくらいに藍沢の心臓も速く動いているという事。
速い鼓動が伝わってくる。そしてアルコールの匂いが呼気から感じられる

「酔ってるんだ…?」
「酔ってるよ」

やっと答えてもらっても、「そうなんだ…」としか言えない答えで。
そのまま自然な流れで唇を重ねてくる…抱きしめる手の力が緩くなり
その代わりにいきなり深く舌が入り込んでくる。
戸惑いの感情が強かったが、藍沢の呼気のアルコールに便乗するように
それに応じようとされるがままに舌をねっとり絡ませていく。
68名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 13:36:12 ID:AqffU3Cj
藍沢…

萌えすぎです
69( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 14:06:52 ID:3kuZMI3n
数分…気づけば続いている。互いの呼吸音と自分の鼓動の音しか聞こえない。
反射的に、混ざり合った互いの唾液を飲み込んだ時にゆっくり唇が離れる
ふぅ…大きく空気をを吸うと、どれだけ自分が夢中になってたか気づいた。
それと同時にいきなり慌てだす。

「酔いすぎ、だよ…。よくないと思う…お酒の勢いとかそういう…」
「しておいて、今更慌てんなよ。」

いつもと変わらない冷静な藍沢が言葉を止めた。彼の言う通りすぎて。
だけどもこういうのは良くない、と思い立ち上がろうとするが藍沢の手が
白石の腕を掴んで離してくれない。それどころか、少し強引に引っ張られ
ソファーの下に倒れこまされる、そして藍沢がゆっくりとした動きで両腕を押さえ込んだ。
そして初めて、正面から視線が合う。再び無言の時間…
彼の無言は、思考が読めずに怖い。そう思うと勝手に言葉が出てきた。

「どうして…いつも、感情を殺すの…?」

予想外な質問をされて、一瞬相沢は「え?」という顔をする。

「殺してない。感情的にならないだけ。必要ないから」
「あの時みたいに…泣いたりしたって、誰も責めないよ…」

“あの時”が何時のことかはすぐに藍沢はわかった。
認知症の祖母の言葉で、院内の売店で涙が堪えられなかった時――
の少し驚いた様子だが口調は冷静なまま

「…見てたのかよ」
「うん…ごめん…」

なぜか謝ってしまう。それは彼が見られたくない場目だったのがわかるから。
だけども子供のように泣いて祖母にすがりつく姿は、どこか愛おしいような
そんな気持ちで見ていた感情を思い出すと、それまで驚いた顔のままだったが
少し温和な表情へと変わって、自分の両腕を封じている藍沢に話しかける。

「こういう…お酒の勢いで行動しちゃう所があっても不思議じゃないんだよね…
藍沢君だって人間だもん…。だけど、やっぱり解らない…」
「解りたいんだ…?」
「どうなんだろう…。解りたいっていうか…知りたい、のかな…」

漠然とした自分の気持ちを言った白石に、藍沢は再び唇を重ねる。
これ以上、自分の深層を探るような、揺さぶるような事を言わせないために。
70( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 14:08:51 ID:3kuZMI3n
結局は藍沢のペースに流されっぱなしで
フローリングの床で、気づけば下着だけの姿にされていた。
初めは余裕でもあるのかというようなゆっくりした動きで
肩先や首筋を舌を這わせ愛撫していた藍沢も
今は指が食い込む勢いで白石の手首を押さえつけている
器用に右手だけでブラジャーを取り、胸元へ舌を這わせていく。
不規則に小さくピクンと体を反応させながら、白石は甘いため息をついた。

「痛い…手…」

白石が呟くと藍沢は体を起こし手を離す。本人も無意識に力が入ってしまっていたようだ。
白い腕に、ピンク色に手錠のような跡…それを見ると藍沢が無愛想に「ごめん」と呟く
膝で立ったままで着ていたシャツを脱ぎ捨てると白石の残る下着に手をつける。
相手の体温が自分よりも高い…密着した時にそんな事を白石は思いながら目を閉じた。
そしてそこへと指先が擽るように触れてくる。「あ」と小さく声をあげて腰が逃げようと動く
そこを藍沢が膝で押さえ逃がさない。再び口付けで唇を塞がれると指が自分の中へと入り込む
かき混ぜるように動かされ、そのうち水音が聞こえ始める。暴れそうな体、それを押さえながら
責め続ける藍沢…。白石は薄く目を開くと指がもう1本…入ってきた。
クチャクチャという恥ずかしい音をさせられ、再びぎゅっと目を閉じる。
そして藍沢がジーンズを蹴るように脱ぎ、白石の両膝を立てて…
そこで白石は思わず呟いた

「ほんとに…するんだ…。っていうか…愛情とか、そういうのってあ」
「最中に会話したいタイプなのか」
「そうじゃなくって…」

結局は何を言っても藍沢の言葉に返り討ちされてしまう。
うるさい、といわんばかりに、入り口へと宛がわれると藍沢がアイコンタクトで合図をする。
それを白石が拒まないと、ゆっくりと指で解し潤ったそこへと挿れていく
71( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 14:10:25 ID:3kuZMI3n
勝手に全身がガクガクと小さく痙攣するよう。体全身が、快楽を表現してしまう。
ゆっくりと一番奥まで入ると、藍沢は深呼吸のように息を吐く。

「藍…沢くん…」
「俺、会話いらないタイプなんだ」

心なしか、いつもよりは口調が優しかった…そう思ったと同時にいきなりガン、と激しく貫かれる。
短い声をあげ、両腕で顔を隠すような仕草をする白石に、前後に動かし貫きながら
藍沢は再び白石の両腕を掴んで押さえる。そして表情を見つめながら、長いストロークで
深く深く、貫き続ける。泣きそうな顔で、受け入れ続けながら
自然に腰が浮き背中が弓なりになっている。角度が更に深くなり頭の先まで貫かれているように
快楽がビリビリとしびれるように襲ってくる。
鳴き声のような声を貫かれるたびに出す白石の表情を見続けながら藍沢は動きを止めると
両膝を持ち上げ、ぐい、と押す。白石の白く細い体が丸くなる。
そして再び動かすと挿入角度が変わり、さっきまでとは違う刺激に白石は更に泣きそうな声になる。
彼の言うように、会話は一切ない…自分はどういうつもりで、彼がどういうつもりで…
そんな事を一瞬考えたが、全て快楽で打ち消されていく。
しかし少し強引に展開が進みこうなり、快楽に溺れていく中で白石は呟いた

「すき…かも…」

聞こえているか、いないのか。藍沢は無反応で早まる呼吸だけをしている。
フローリングの床の上、背中や肩に自分の体重と藍沢の力がかかり痛みを感じはじめる
床の上でなんて、したことがない…。だけども屈辱的な気分でもない…。
頭の隅でそんな思いが浮かんでいると、藍沢の指がそれを察知するかのように
敏感になっているそこを押しつぶすように刺激し始めた。
それと同時に白石の体が、跳ねた。短い悲鳴のような声をあげる。
再び暴れはじめた体に、更に指で刺激を続けながら強まった収縮に顔を歪ませる藍沢。
その表情を薄目で見た白石は、全部、藍沢に委ねた。もう、理性が飛んだ…

「い、く…っ」

打ち付けるように強く、子宮を突く勢いで藍沢が貫く。
白石はもう、限界だった

「あっあっ…あいざ、わ…くんっ…」

ガクガクガクっと腰が大きく震えると全身が力んでいく。達してしまったのだ。
もう少し、と藍沢は閉じようと力の入る白石の膝を体重をかけて広げると
力加減も考えずにただただ快楽を求めて、打ちつけた。
そして生き物のように収縮する刺激に後押しされ、歯を食いしばるような表情になり

「っく…!」

奥で果てたいという衝動を抑え、引き抜くと白石の腹部に白い物を放つ。
肩で激しく息をして、床に両手をついて暫く息切れをする藍沢を
残る快楽でぼんやりとしたまま白石が見つめる。
視線が合うと、藍沢は封じる役割ではない口付けを
優しく、白石の頬と唇に落とした。
その優しい感触に…白石は微笑んだ。
72( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 14:12:49 ID:3kuZMI3n

「ティッシュ…何処」
「あ…テーブルの、上」

それがやっと交わした会話。白石の腹部を丁寧にふき取る。
まだ少し荒い呼吸のままでティッシュで自身を拭いたりする藍沢の背中を
白石は見つめながら体を起こす

「痛っ…床の上だと、体が痛いね…」

返事もない藍沢。彼に全て委ねてしまった…全部を見られてしまった…
ふと、背中に抱きついて

「泊まって…く…?」

恐る恐る聞くと、丸めたティッシュをゴミ箱へと投げて、そっと白石の手を放すように促し
立ち上がり下着とジーンズを履きながら背中を向けたままで藍沢が答えた。

「帰るよ…。水、また貰う」

勝手に冷蔵庫を開けてミネラルウォーターのボトルを取る藍沢を見ながら
「そう…」と答える白石。脱ぎ散らかされた自分の服の中から下着を探し始める。
そしてまた、同じ質問を投げずにいられなかった

「ねえ、どうしてそんなに…感情を押し殺すのかな…」

果てた直後の優しいキス…
それが彼の、唯一の感情に思えて仕方なかった。それは自惚れなのか、わからない。
シャツを着ながら振り向き藍沢が答える

「必要ないから出さないだけで、押し殺してる訳じゃないよ」

口調はどこか、優しかった。内容はあまり優しくなかったが…
白石はそれにたいして「そうなんだ」と答える事しかできなかった。
73( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 14:23:16 ID:3kuZMI3n
「ねぇねぇ、昨日行ったんでしょ?モーリシャス京子」
「メリージェン洋子。うん、行ってきた。ステージメイクと衣装のせいかな
綺麗だったよ。ダイエットも成功したみたいで少し痩せてたし」

医局で緋山が聞いてきた質問に訂正しながら答える。
売店で買ったドーナツを持って藤川が医局に入ってくると
ノートパソコンに向かう白石に駆け寄ってテンション高く話しかける

「行ったのか?ショーパブってやつに。グランベリーカズコ!」
「メリージェーン洋子。初めて行ったけど、すごかったよ。びっくりちゃった」

そこへ藍沢が医局に入ってくる。一瞬合う視線、そしてすぐ離れる視線。
そんな事には気づかずに緋山が藤川のドーナツを1つ奪いながら続ける

「白石、一人で行ったの?」
「ううん…あの…友達、と…」

少し歯切れが悪くなった白石の様子に気づく事もなく「へぇ〜いいな〜」
自分も行ってみたそうに緋山が言う。ちらりと横目で藍沢を見ると
いつもと変わらない様子でカルテに記入をしている。
その視線の中に藤川が横切り、藍沢に暑苦しく話しかけていた

「藍沢は?行ったことあるか?オカマバーっていうか、ショーパブっていうか」

カルテに記入をしながら無愛想に藍沢が答えた

「あるよ。友達と。付き合いで。」

意外な答えに緋山と藤川が「えっ!?」と驚く。
白石も違う意味で「えっ!?」と思わず声をあげた。
そして用事が終わったのか、驚く3人を無視するように席を立ち
医局から出ていった。
74( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/18(月) 14:25:54 ID:3kuZMI3n
超久しぶりの投下だったので誤字脱字、お許しください。。
冷徹すぎない藍沢、好きなんだけど難しい…
75名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 15:44:21 ID:Jnf1HdDc
GJGJ!!
エロなんだけど下品さを感じさせなくて爽やかだった。
リアルさとドラマが融合してて実際、藍沢と白石だったらこんな感じなんだろうな〜って想像出来た。
ここまでキャラを壊さずに出来るなんて天才!
最後の藍沢の「友達と」発言にニヤニヤしちゃったじゃないか!
白石も可愛い過ぎ!
76名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 17:44:52 ID:AqffU3Cj
GJ
絶妙すぎる…!

途中でレスしてすまんかった
77名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 20:08:13 ID:QSu2iESn
マタマタキテタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!!!GJGJGJGJ!!!
78冴島×藤川×緋山:2008/08/18(月) 20:35:29 ID:/wYOXeb0
「黒田先生からO.Kでたからよろしく頼むな。」
藤川先生と回診を終えてエレベータを待っていると、背後から藍沢先生の声がする。

「どうかしたんですか?」
いつもだと藤川先生が藍沢先生に話しかけて、クールにスルーされているだけに新鮮な光景だ。
ちなみにそのクールさが、他の看護師には絶大なる人気を誇っている。
「そろそろお盆だろ、でウチの実家に骨折に効能のある温泉があってね。
折角だから、藍沢のおばあちゃんを連れて行こうって話になったんだ」
「それってお二人で行かれるんですか?」
「流石にフェロー全員休むわけには、行かないからねぇ。」
たまに非常識な発言するので一瞬心配したが、流石にそれは大丈夫だったようだ。
「冴島さんはどうするの?」
私は実家との折り合いが悪いので、こういうときは一人でいつも過ごしている。
「私はその〜あの〜えーと」
「その温泉、美容の効果もあるらしいよ。」
「私も行っても良いですか?」
「助かるよ。実は骨折した老人ってどうやって温泉に入れたら良いか困ってたんだ」
相変わらず計画性が無いみたい。
「まさか混浴じゃないですよね?」
「まさか〜」
ん?これって何か良い感じじゃない?
看護師やってて良かったと久しぶりに思った瞬間だった。
79冴島×藤川×緋山:2008/08/18(月) 21:43:02 ID:/wYOXeb0
「温泉かぁ、良いなぁ〜」
恵は論文にしおりを挟むと、羨ましそうにつぶやく私を小突いてくる。
「良いの?このままで?」
「ちょっと職権乱用な気がするけど、看護師としての腕は確かだし」
「あのメンツだと夜は冴島さんと藤川君が同じ部屋で、
 藍沢君とお婆ちゃんが同じ部屋だよね」
「そ・そうかな…」
「どうしましょう?夜のヘリ要請でちゃったら。」
恵もやっぱり女の子である。
こういう人の恋話は楽しくてしょうがない様子である。

「さ・冴島一人じゃ、女の子一人でかわいそうよね。まぁ行ってあげてもいいかな」
「素直じゃないなぁ」
「じゃちょっと藤川君とこ行ってみよう」
恵のこの積極性…何故現場では発揮できない?
私が思うに恵はある種藤川と同じタイプ。
自分のためではなく、人のために何かしようとすると力を発揮するタイプなのだ。
執刀医ではなく、第一助手として優秀なタイプだ。
それはヘリドクターとしてはどうなのだろうかというのは、
また今度考えるとしよう。

「とりあえず藤川君探そう。多分部屋に戻ってる気がする。
 ついでに帰り道だしナースステーションで冴島さんに参加するって宣言してみよ」
「え?ちょっとまって…」
恵はユニフォームの裾をつかむと、私を引きづりだした。
80冴島×藤川×緋山:2008/08/18(月) 22:20:24 ID:/wYOXeb0
ふふふ…温泉か。
早速図書館で早速高齢者介護の本を数冊借りてきた。
「あれ、はるかどうしたの?」
香織が私の右肩に顎を乗せ手元を覗き込んだため、一瞬景色が暗くなる。
ちなみに院内で私が唯一心を許して話せる女性だ。
「うん…ちょっとお勉強」
「頑張れ〜若手看護師の期待の星〜フレフレ〜♪」
この力の抜け具合とても気持ちが良い。
「ところで若手看護師の期待の星はるか先生に質問してもいい?」
「どうしたの?」
「最近綺麗になった?お化粧変えたの?」
「え?そう?気のせいじゃない?」
「うん…大原婦長も言ってたよ。
 最近藤川先生とも仲良さそうに話してるって」
ふ・婦長まで話が及んでいるのか。
これは温泉に行くことは絶対に内緒にせねば…
私と違って香織の周りには、いつも誰かが居て笑い声が絶えない。
本人にそのつもりが無くても、いつの間にか言いふらしてしまう事になりかねない。
「はるかは藤川先生のことどう思ってるの? 
 私はどっちかというと、藍沢先生の方が好きかなぁ。
 藤川先生は良い人だけど、やっぱり農家の長男って減点よね。
 私一人娘だしなぁ」
「って香織…藍沢先生のこと好きなの?」
「うん。好きだよ」
私と藤川先生と藍沢先生で旅行に行って果たして話題があるだろうか?
趣味は?好きな歌手は?実はお互いのこと何も知らない。
藍沢先生と仕事の以外の話を出来るだろうか?
自信が全く無い。
これは香織にも来てもらった方が得策かもしれない。
後で藤川先生に相談してみよう。
香織なら看護師としての腕も確かだし、性格的に強く言えば反対はしないだろう。
81冴島×藤川×緋山:2008/08/18(月) 22:26:50 ID:/wYOXeb0
さて明日か明後日旅行に行かせようと思ってます。
村田さんの呼び方が変わったのは内緒ね。
展開が強引なのも内緒ね。
長くなりそうだなぁ

グダグダでエロなしでごめんなさい
82名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 22:28:59 ID:PV8UoQQy
楽しみに待ってる
83名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 22:40:16 ID:RY6hIZQA
温泉旅行さいこー!
楽しみにしてます。
84名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 00:22:06 ID:Kj+tx8cA
イベントか〜♪
85( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:46:39 ID:UJyF1fDm
流れ豚切ってKYな感じで止まらない妄想を投下します。
>>54 >>56さんの言葉からインスピレーションうけました

5度目…そう、5回目。
ぼんやりと天井を見ながら数えずに回数がわかった。
藍沢が、自分の部屋に来た回数…

はるかは寝返りをして狭いシングルベッドに一緒に寝ている藍沢の寝顔を見る。
そして時計へ何気なく目をやると始発が動いている時間になっていた
蒼白い空が、カーテンの隙間から見えた…

「藍沢先生、そろそろ行かないと…。着替えに帰るんですよね?」

肩を軽く叩いて言うと浅い眠りから起きた藍沢が「うん」と頷いた。
気だるそうにベッドから出るとそのままシャワーを浴びに風呂場へと入る
起き上がると、はるかはベッドの下に散乱している服の中から下着を見つけて身に着ける。
ついでに藍沢の下着と服を畳んで、脱衣所にそっと置いてやった

「冴島は今日は…?」
「日勤だから朝から行きます。もう少し、仮眠しますけど…」
「じゃ、俺が早く帰らないと眠れないな」

タオルで体を拭きながら藍沢が話す。いつものように淡々とした口調と態度。
そして丁寧に畳まれた服を着ていく、その様子を横目で見ながら嫌味な口調ではるかが言う

「こうしてうちに来なければ、まっすぐ帰ればお互いもっと睡眠取れるんでしょうね」
「そうだな。」

ベルトを留めながら藍沢が短く返事をする。そして続けて

「だけど…無駄な時間じゃないと思う」

遠まわしすぎる優しさ…いつも彼はそうだ。みんなが思っているような
無感情で冷徹な人間じゃない…私はわかる、とはるかは密かに心の中で繰り返した。

「私も…そう思います」

はるかの答えを聞くと、藍沢は軽く手を挙げて「おやすみ」と言うと
早朝の外へと出て行った。
5回目の朝…。1回目の朝は、病院内だったんだっけ…。まだ体温が残るベッドに入ると
はるかは反芻するように思い出した

86( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:48:06 ID:UJyF1fDm

冷たい言葉を投げ、別れた彼の携帯から久しぶりにPHSに着信があった。
相手は彼の母親…様態が急変したという知らせだった
もう恋人ではない、というのは母親も知っていた様子だが、一応知らせてくれたらしい。
もう…意識はないという言葉に別れた彼といえ、目の前が暗くなった。
そして自分が浴びせた自分の正直で残酷な気持ちと言葉を…悔やむ。
夜中の人気も疎らの病院内を早歩きで進み、エレベーターを降りると
既に堪えていた涙が零れてしまう。誰にも見られたくない…一刻も早く、どこかへ…
処置室…外来処置室ならこの時間誰もいない…そう思い部屋のドアを開けた
――しかしそこには、藍沢が座っていた。
もう、ボロボロと涙が止まらない状態のまま立ち尽くす。

「冴島…?」
「…失礼、しました…」

先客に一言を涙声でやっと言って早く立ち去ろうとすると、手首を掴まれた
驚いて振り向くと、藍沢が愛想なしのままで

「いいよ。俺、本読んでただけだから。」

処置室のベッドの上には老人介護や認知症に関する書籍が数冊あるのが見える。
そして藍沢の顔へと視線を移すと…目が赤いように思えた

「藍沢先生…?」

感づかれた、と咄嗟に藍沢は本を重ねデスクに置きながら

「もう行くから、使っていいよ」

逃げるように部屋から出ようとする背中に、発作的に縋り付いた――
壊れた感情…止まらない涙…どうしようもない孤独感、自己嫌悪感…
押しつぶされそうだった。

「少しだけ…少しだけでいいんです…一緒にいてください…」

ドアノブにかけていた手を離すと、藍沢はそのまま立って背中を貸してやった。
はるかは声を殺しながらも泣き続けた。少し…落ち着いてきただろうか
やっと握り締めていた藍沢の術衣を離し、一歩後ろに下がると
いつもの事務的な口調を涙声のままに

「ありがとうございました。つきあわせてしまって、申し訳ありません…」
「俺も…さっきまで、冴島と同じ事、してたから…」
87( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:48:58 ID:UJyF1fDm
やっぱり、泣いてたんだ。あの藍沢先生が…
認知症の書籍に視線を移しながら驚いた顔をする。

「自分が一番大事だけど…それを貫き通すって、すごく意思が必要で辛い時もあるよな…」

自分の指先を弄りながら見つめて、藍沢が呟いた。
はるかは、そんな彼に自分の分身を見ているような感じになる
―似たもの同士―勝手にそんな言葉が頭に浮かぶ。そして彼の右手を取り
はるかは両手え包み込む。そして手の甲に唇を押し当てると藍沢が「冴島?」と問いかけてきた。
もう…衝動でしかない。彼を…私を…紛らわせたたい…
そのまま彼に抱きついた、体を離そうとする藍沢に顔をあげてはるかが言う

「あと10分だけ…一緒にいてくれませんか…」

本来当直ではない藍沢は自主的に居残っていただけだった。
正確には自宅に戻っても眠れないだろうという予想からだったのだが…
「いいよ」と短く答えると同時に冴島が抱きついてきた。
今だけこの時間だけ、誰かに縋り現実から逃げたい…そんな感情が、伝わってきた。
至近距離で見詰め合うとまだ涙で濡れている目で藍沢に言う

「勝手に思いました…藍沢先生も、同じなのかもって…」

やはり数分前までの涙を感づかれてしまったんだ、と藍沢は思った。何も答えずにいると
冴島がゆっくりしゃがみこみ、膝をつく。そして藍沢のズボンに手をかけた

「え…何…」
「10分だけ一緒にいてください」

事務的な口調で返ってきた言葉と行動に驚いていると「座って」と指示をされてしまう。
処置用のベッドに軽く押されたので、そのまま藍沢は座る、冴島が下着をずらす。
そして何も言わずに藍沢のそれを口に含んだ。突拍子もない行動と展開に藍沢は
驚きはすぐに収まり彼女に従う事にしてみる…それは「衝動」だったんだろうか…
丁寧にしゃぶりついていると口の中で熱を帯びて成長していくそれは、いつのまにか
根元までは口に含めないくらいになっていた。はるかは夢中でしゃぶりつく、そして
手を根元に添えると舌だけで根元から先まで、アイスのようにゆっくりと舐めて見せる。
視線を上へ…藍沢の顔へと向けると、両手を後ろについて見た事のない藍沢の顔…
満足そうに、そのままはるかは再びできるだけ奥まで口に含んだ。
微かに聞こえる息遣い…頭を上下に動かすと、口の中で血管がひくっとする感触がわかる。
このまま一人だけなんて、ずるい…そっと口を離すと、立ち上がりはるかは自分のズボンを脱いだ
そして下着も脱ぐと、上の術衣は着たままで、藍沢に跨り彼の上半身を押して倒す。

「冴島…?」
「もうちょっと…だけですから…」

そう言うとさっきまで丁寧に舐めまわしたそれを自分の入り口に宛てる…そしてゆっくりと
体重をかけて、そのまま腰を落とす。自分の中が満たされていく独特の感覚に表情が歪む。
藍沢の肩を両腕で上半身の体重をかけて押さえつけたまま、自分の中を満たしていく。
88( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:50:34 ID:UJyF1fDm

膝を使い上下に動き、もっと奥、もっと奥と欲しがる衝動のままに動き続けた
少しずつ上がる呼吸…藍沢も自分と同じように、快楽に表情をくしゃっとしている。
お互い、呼吸に吐息という短い声が混ざるようになってきた。

「藍沢先生…っ声、気をつけ、て…壁薄いですから…」

そういいつつも意地悪で、今度は腰を前後にグラインドさせ擦り付けるように動かす。
さっきよりも深く挿入されて、藍沢ははるかの腰を掴む。しかし制止する手ではなく添える手だった。
クリトリスが擦り付けられる刺激と深い挿入の刺激…頭の中で何がか少しずつ粉になっていくような
満たされ続ける感覚に夢中になる。

「冴島っ、もう、俺…」
「もう少しで、私もですから…」

我慢させるような事を言うと藍沢の指が自分の腰に食い込んでくる
…我慢してくれてるんだ、腰の動きを早めるとすぐに追いつき始める。

「イキ、ますっ…あっ…」

我慢できず少し大きい甘い声で言うと、体の中心を快楽が貫いて全身が小刻みに震える。
背中を反らせて硬直する…飛んだ、そんな感覚の絶頂の中で少し、酔う…
――やっと、戻ってくると無意識に止まっていた早い呼吸を吹き返す。藍沢の顔を見下げると
彼も同じように浅く早く呼吸をしていた。

「中で…」
「大丈夫です、今日は」

中で出してしまった、といいかけた藍沢に再び事務的に答えるとゆっくりと自分を満たしていたものを
抜いてベッドの上に中腰の状態…満たされていた場所から、混ざり合った白いものがどろっと出てくる
そんな卑猥な光景を藍沢は眺めながら手を伸ばしティッシュで押さえる。

「藍沢先生…ありがとうございました…」

藍沢の頬に、軽く口付けると藍沢もまた、はるかの頬に軽く口付けた。
気づけば朝の4時…窓のブラインドの隙間は、蒼白い空が見えていた
89( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:51:52 ID:UJyF1fDm
その日の夜に、自分から再び声をかけたのだ。
「お暇でしたら、また時間を少し貸してくれませんか?」と。
そして自宅へと藍沢を連れて行くと、また自分を満たす時間を過ごした
藍沢は少し躊躇う様子もあったが強引に、はるかが行動をしたら、そうなった。
すると毎日…どちらかが当直じゃない日ははるかの部屋に藍沢が訪れるというのが
暗黙の了解になっていた。しかし彼は朝方…始発電車が動き始めると
服を着替えに家に帰っていく。決して完全に一泊はしなかった。
もちろん仕事中には仕事以外の会話はない。二人の時間も、あまり会話はなかった。
自分勝手だが、はるかにはそれがありがたかった。

朝のICU回診が終わり、エレベーターに乗っていると連日の寝不足から欠伸が出る。
手を添えてかみ殺しているとエレベーターの扉が開いて、藤川が入ってきた

「お疲れ。何何?疲れてるねぇ〜冴島があくびしちゃうなんて珍しい」

無言でエレベーターの階数表示を見つめていると藤川は暑苦しく続ける

「寝不足?でも昨日夜勤じゃなかったよな。お?もしかしてこれは〜
 昨日、夜遊びでもしちゃった?実は男と朝まで過ごしたとか?」

そこでエレベーターのドアが再び開いて、入ってきたのは藍沢だった。
右隅にはるか、左隅に藍沢、そして真ん中には一人ワクワクとする藤川。
「お疲れ様です」「お疲れ」「藍沢おつかれ!」「…。」
挨拶が一言ずつ済むと、藤川は空気を読まずに楽しそうに続ける

「朝まで過ごす相手か、いいなぁ〜。俺は動脈瘤破裂の仲川さんと朝まで一緒だったからなぁ〜。
…実は朝まで一緒にいた男っていうのは藍沢だったりして〜っ?」

二人を交互に指差し冗談でうひゃうひゃ笑いながら言う藤川に、視線を動かさずに

「藍沢先生、朝までつきあって頂いてありがとうございました。またお願いします」

一瞬、間が空いてから藍沢が「じゃ、また今夜」と答えた。
一番間が空いてたのは藤川…きょとんとした様子で二人を交互に見ると

「ほんと、だったの?…マジで?」

間抜けヅラ、という言葉がぴったりな藤川の顔を睨むように見ながら

「藤川先生は冗談でも信じちゃうんですね。そのうち結婚詐欺にでも合いますよ。
朝まで付き合ってもらったらどうですか?結婚詐欺師に。」

そう言うと冴島はエレベーターから降りていった。
残された藍沢に藤川はひきつった笑顔で

「なんだよ…冗談、かよ。」
「…。」
「いきなりの冴島のフリに藍沢が合わせたのか、そんな所で茶目っ気いらねえよ〜」

肘で藍沢の腕を突くと、無反応のまま藍沢も次の階でエレベーターを降りていった。

90( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:54:16 ID:UJyF1fDm
急患があったので時間は深夜になったが、その日の夜も藍沢は部屋にきた。
そして再び、お互いを満たすように抱き合うとベッドへとなだれ込む
快楽をひたすら貪りあって、快楽に溺れて…。
…終わって、気だるい浅い眠りの中で、藍沢の胸に耳を宛てて鼓動を聞く…
少し抱き寄せられ、体温を、お互い感じる。
しかし会話らしい会話は、相変らず無い…
もうすぐ6回目の朝がやってくる。寝息をたてる藍沢を見ながら
彼はもうすぐまた帰っていくんだと思うと、初めて切ないような感情が湧いてくる。

「藍沢先生…もうすぐで、電車が」
「もうそんな時間か…」

眠そうに薄目を開くとはるかのほうへ寝返りをうち、彼女をそっと抱きしめた。

「藍沢先生…もう…明日は来ないでください」

はるかは、少し途切れながら言う。彼の胸に顔をうずめたままで行った。
少し、間があった。藍沢は「わかった」と小さく答える
それを聞くとはるかは顔をあげる。涙が、目に浮かんでいた

「なんでそんなに…優しいんですか…。最初から、何も聞かないで、何も言わないで
ただ私につきあってくれて…なんで何も訊かないんですか…」

何も聞かないという優しさが、ありがたくもあり辛くもあった。

「ただ冴島の誘いにつきあっただけじゃないから…俺の、自分の、意思だから」
「私はただ…自分の心の隙間を満たして、全部忘れる時間がほしかっただけなんです…」
「俺も、そうだよ…。全部忘れて、弱い所を吐き出したかった…」

ベッドの中で裸のままで抱き合う。多分今で…最後。

「割り切りすぎてたんですね、私も…藍沢先生も…。
やっぱり…同じでしたね…。私たち…。」

似たもの同士…また、その言葉が頭に浮かんだ。


彼が玄関で靴を履いている。はるかは初めて玄関先まで送った。
「じゃ、また。病院で。」「そうですね」
短い会話。…こちらを藍沢が見つめている。「?」はるかは首を傾げると

「最後に、5秒だけ、俺につきあって」

そっと頬に手を添えて、ゆっくりと唇を重ねてくる――
それは初めて、優しく温かく、ふわりとした、キスで…
ゆっくり離れていく唇…今までと違う、鼓動の高鳴りだった。

「何回もセックスしたのに…1回のキスのほうが…満たされるんですね…」

率直な感想を、柔らかい口調で呟くと背中を向けドアを開けた藍沢が

「…俺も今、同じ事思った。」

それも優しい口調だった、そしてドアが静かに閉まった。
はるかは…はじめて安らかな気持ちで、体温の残るベッドで眠りに落ちていった。
91( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 09:56:29 ID:UJyF1fDm
朝から投下、失礼しました。
ちょっと切ない感じになったけど、割り切った関係の冴島×藍沢が
書きたくなってしかたなかったw
92名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 12:10:26 ID:izAuQfbl
うわーーーーーーーんちょっと泣いちゃったよ!!切なくて優しくて超いい!!
白石のも良かったけど、大人な関係の藍沢x冴島に超萌えますた!!好き!また書いてください!
93冴島×藤川×緋山:2008/08/19(火) 20:15:58 ID:Ix3VJT6S
「ちょっと聞きました フェローが旅行行くらしいんですよ。それも温泉。」
「旅行って行っても、藍沢先生のおばあちゃんを温泉に連れて行くんでしょ?」
「でもさぁ、フェロー全員が同時にどう思うよ?」
「その割を森本先生が食ったんですか?」
轟木は屈伸をしながら森本の方を見る。
「黒田先生に勝手にしろとは言ったが、どうしたもんかなぁ。って耳元で言われてごらん」
「そりゃ怖いな」
梶は愛妻弁当をつつきながら呟く。
「三井先生は年頃の女ですもの。共感しますわとか言ってるし」
「僕達の若い頃はね、年末年始も夏休みも・・・・」
森本が愚痴りかけたのを察したのか
轟木が言葉を遮る。
「そもそもフェローの人間関係、私今一面識ないので掴めてないんですけど
 どんな感じなんですか?」
「そうなんだよ。僕も良くわかんないんですよ。
 白石と冴島と緋山が旅行に一緒に行く程仲が良いなんて、藤川からも聞いてませんでしたよ。
 全く、何のための森本派だと思ってるんだ」
「なんです?その森本派ってのは?」
梶は爪楊枝をいじりながら、森本に尋ねた。
「平和を愛する人達を称するんですよ。どうです轟木さんも?」
「遠慮しておきます」
「そもそも最初白石は残ってるはずだったんですよ。
 でも何故かいつの間にか全員と看護師何人かでいくらしいんですよ」
「考えてみると黒田先生よく許可しましたね。」
「藍沢に患者ともっと向き合えって言ったのが、効果か出てきたとか勘違いしてるんですよ。そのせいで何で僕が…」
「まぁ若いうちに恋愛しておこうと、人間としても成長するんじゃないですかね?」
「え?梶さん何か知ってるんですか?」
「轟木さんと違って私はたまにヘリであってますからねぇ」
「私は更衣室ですれ違うくらいかなぁ。」
「藤川もこういうときこそ、一人残ってればヘリに乗れたのになぁ。」
「そういうところが良い所であり、悪いところでもあるんですよね。」

シニアドクター陣がこんな話をしている頃…
94冴島×藤川×緋山:2008/08/19(火) 21:26:50 ID:Ix3VJT6S
「へっくション!!誰か患者さんが俺の事呼んでるのかなぁ」
「藤川先生大丈夫ですか?運転変わりましょうか?」
私は助手席でカーナビを操作しながら尋ねる。
「大丈夫。それにしても冴島さんごめんね。車2台に別れちゃってさぁ。」
彼は申し訳なさそうに頭を下げる。
「良いんですよ。藤川先生。
 藍沢先生とお婆ちゃんを少しでも一緒に居させてあげたいんですよね」
むしろ私としては非常に好都合だ。
「あら大学教授のお嬢様に車の運転なんて出来るのかしら?車庫入れとかできるの?」
彼女さえ居なければ。
「緋山は運転得意なんだっけ?」
「私はいつも病院までスポーツカーで来てるから!実家にもフェラーリあるし」
「ああ・・・思い出したこの前一緒に病院に来た白石が、私不良になっちゃったって言ってたよな」
「野蛮な人ってどこにでも居ますよね?
 そんな人をお婆ちゃんのいる車に乗せなくて良かったですね。藤川先生GOOD JOBです。」
「あれは寝坊したからしょうがなかったの!!三井先生のオペも見たかったし」
「見ててオペが出来るようになるなら、看護師は全員スーパードクターですよ。」
「さ・冴島さん?」
いけない。いけない。今日は藤川先生もいるんだ。
「ドクターも大変ですねぇ〜。緋山さん頑張ってくださいね。」
「いえいえ看護師の皆様のサポートあってのことですよ。
 冴島さんこれからもよろしくお願いしますね。」
彼女も同意見のようだ。

「ところでさぁ、
 温泉に着いて荷物降ろしたら、俺実家の仏壇に線香上げに行こうと思うんだ。
 晩御飯の材料も何か畑から調達できるかもしれないから、どっちか付いてきてくれないか?
 あ・ヘリに乗ってないことは内緒な。」
そうだった。彼はお母さんが病院に来たときのことを知らないのだ。
「嘘はつき続けると、ばれた時に困りますよ?」
「一応地元では期待の星って言われてるからさぁ。頼むよ。」
「それは良いけど、夕飯自分達で作るのは聞いたけど、料理できるの?」
「俺はもっぱら外食だよ。冴島さんは?」
「私は嗜む程度ですよ。お菓子とかは得意なんですけど。」
この日のために寝る間を惜しんで練習に練習をしてきたのだが、
ハードルは低い方が成功した時のポイントは高いはずだ。
「え〜、冴島さんお菓子焼けるんだ。」
「私だってお菓子くらい焼けるわよ。」
せっかくの良い雰囲気に割り込んでくる彼女の声
何か不機嫌そうだが私には関係ない。
「お菓子くらいってことは、お料理なんてお手の物なんですね。頼もしいです!」
「え?う…うん、そ…そ…うね。楽しみにしててよ」
「そっか緋山って意外と女の子っぽいこと出来るんだなぁ。意外だなぁ。」
「そ・そんなに意外かしら?」
彼女は焦っているのか・照れているのか分かりにくい顔色をしている。

「次のドライブインで昼でも食べながら休憩しようか?」
彼はそういうと左折のウインカーを出した。
95冴島×藤川×緋山:2008/08/19(火) 21:38:08 ID:Ix3VJT6S
「ねぇねぇ、車内ではどんな話をしたの?」
恵が私の顔を心配そうに見つめる。
「大丈夫、喧嘩とかしてないよ。それよりもね。大変なことになっちゃったの」
「どうしたの?」
「料理得意な事になっちゃった…。」
「むしろ不得意な方だよね?」
「いや、冴島の卑劣な手に嵌められたというか…その場の流れというか」
「何でもかんでも、冴島さんのせいにしちゃ駄目だよ。」
そうだ。そもそも私が夕飯の事なんか話題にしなければ…
「どうしよう?」
「大丈夫だよ。レシピはたくさん印刷してきたし!」
恵はポケットを指さす。
(医学書だけじゃないんだ)

一方こちらは…
96冴島×藤川×緋山:2008/08/19(火) 21:49:03 ID:Ix3VJT6S
「藤川先生運転中何か飲みたいですか?」
「あのさぁ、病院じゃないんだから先生は止めてくれない?」
彼が笑いながら頭をかく。
「先生は私にとって先生ですよ?」
「じゃ、せめて病院とは違う呼び方にして欲しいなぁ」
私としては藤川なんて呼び捨てには出来ないし…
「じゃ私も病院とは違う呼び方にしてください」
「え?名前くらいしか無いじゃん?」
「私もこれから名前で呼ぶからおあいこです。」
名前で呼び合うなんてまるで本当のカップルのようだ。
まだ目的地についても居ないのに、これだけの収穫があるとは思わぬ誤算だ。
今年の夏は私にとって一生の思い出になるのかもしれない。
97冴島×藤川×緋山:2008/08/19(火) 21:51:13 ID:Ix3VJT6S
今日はここまでちょっとペース遅くてごめんなさい。
まだ目的地にも着いていません
次回は緋山のターンかもしれません。

98名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:04:26 ID:ROy9EFd1
藤川がモテモテってスゲ〜違和感w
99( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/19(火) 22:37:10 ID:UJyF1fDm
|д゜) <また、しつこく投下していいっすか…


需要少ないと言われている藤川×緋山とも思ったけど
>>97氏が終わってからにしようかな。
何か、需要のあるコンビやシチュってあったら知りたいっす。
その通りに書けるかどうかわかんないけどw
100名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 23:46:39 ID:rtnfxS3V
書きたくても書けないから是非書いてほしいw
また藍沢×白石が読みたいな
101名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 00:08:46 ID:1WaDYGmR
>>99
>>54だが藍沢x冴島が予想以上の作品で驚いた
GJ

次は藍沢x白石のその後か、藍沢x緋山でコンプリートなんてどうか?
強がってはいるが実はあまり経験のない緋山を開発する藍沢、など
作風が合わなそうだがw
102名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 00:53:18 ID:LXYJZaWX
藍沢×檜山すっげぇ読みたい
103名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 03:40:51 ID:6s1nYUnP
個人的には同じ組み合わせはもういらない
藍×緋、藤×白、藤×緋、藤×冴を書いて引退して下さい
104名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 07:29:19 ID:IsovMGJH
藤川×白石がいいな
単発を連発するより、じっくり書いたのを読みたいなぁ。
>>97氏のもう一つの車両はほんわかしてそうだね。
105( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 09:20:51 ID:Dw7vlVch
皆さんご意見ありがとです。。

とりあえず現在脳内にもやもやと浮かんでるのは
藍沢×緋山で藍沢のミッションコンプリートにするかとw
ただ、いい感じに話が組み立てられない。

同じ組み合わせのその後とかは強く要望があったら作ろうかと…
単発と見せかけて実は自分としては毎回結構パワー使ってるから
長編はヘタレてしまうのだ。スマソ(´・ω・`)

>>103 引退はしたい時にする って藍沢が言ってた。たぶんw
106sage:2008/08/20(水) 09:39:30 ID:psvR+QJt
是非!藍沢と檜山で!!
よろぴく!!!
107名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 10:27:00 ID:AkWfefBE
職人さんが好きなだけ書いてかまわないかと
需要とか気にせず職人さんのSSが読みたいんで
108名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 11:53:43 ID:zGxPWrvc
亀だけど藍沢白石悶えた
職人さん気が向いたらまた続き待ってます
どんどん展開していけそうな2人だ
109冴島×藤川×緋山:2008/08/20(水) 20:15:19 ID:IsovMGJH
「ごめんなさい…ごめんなさい…許して…。」
後部座席で寝ているスヤスヤと寝息を立てながら、たまに冴島の寝言が車内に小さく反響する。

「この旅行に行くために大変だったらしいよ。」
藤川はポツリとつぶやく。
女の敵は女とは誰の言葉だったろうか。
この旅行に行くために、冴島は先輩に頭を下げ、夜勤を自発的に入れ雑用を引き受け
なんとか休みを確保したのである。
元々そんなに先輩受けが良くない冴島が、フェロー二人と温泉旅行に行くので
休みが欲しい等と言えば、先輩看護師達からどんな仕打ちを受けたかは聞くに及ばない。

遂に力尽きたのか。先程女子トイレにて冴島に席を変わって欲しいといわれたのだ。
彼女としては断腸の思いだったのだろう。ちょっと悔しそうだった。
それでも助手席で寝るという失態を演じるよりはマシという事なのだろうか。

「ところでさぁ、白石って彼氏っているの?」
「え?キー」
「うわぁ。」
唐突な藤川の質問に思わずアクセルとブレーキを間違えてしまった。

「危ないなぁ。本当に目的地までつくんだろうなぁ?」
「アンタが急に変な事言うからでしょ!!ここ高速道路なんだからね!」
ずれた眼鏡を直しながら、藤川が後部座席の冴島の様子を確認する。

「そんなに変な事聞いた?」
「なんでそこで恵の名前が出てくるのよ!」
「いやぁ、彼氏いるのかなぁと思ってさ」
「一度恵の家に泊まりに行ったことあるけど、断言する絶対居ない」
ココだけの話だが、恵の家は付箋のついた本が几帳面に並べられているだけの
飾り気のないそっけない部屋だ。
よくドラマで教授の部屋が本だらけというシーンを見るが、
まさにそんな感じであった。
「好きな人とかはいるのかなぁ?あ・これココだけの話な。」
(当たり前でしょ。)
私はアクセルを強く踏み込み一気に車を加速させた。
タイヤと地面がこすれる音は、まるで私の叫びのようである。
110冴島×藤川×緋山:2008/08/20(水) 20:51:34 ID:IsovMGJH
「特に私は聞いてないわよ。」
私はぶっきら棒に返事をした。
「そうか。そうなのか。」
藤川はちょっと嬉しそうにCDをあさり始める。

ガシャガシャというCDをBOXから出す音が車内に響く
「あ・・・もうイライラする!アンタ恵のこと好きなの?」
私は頭を掻きながら思い切って尋ねてみることにした。


静寂が車を支配する。

私にはこの沈黙が耐えられそうもない。

何かを口にしてしまいそうだ。

でも今は我慢だ。

心臓が止まりそうである。

ヘリは高速道路にも来てくれるのだろうか?

「俺が?何で?」
「はぁぁぁ!!勿体ぶってないでさっさと言いなさいよ。
 こっちは必死なんだからね。」
「緋山前!前見ろ!」
「危ないなぁ、どこみて運転してんのよ!」
横の車はクラクションを鳴らして警告してきた。
「どう考えてもお前のよそ見運転だろ。
 だいたい何で俺が白石好きになってんだよ?」
「今の流れで行くと普通にそう思いますよ。一男さん?」
「わぁ、起きてたのか。」
「いつから聞いてたのよ?」
「一男さんが目的地に着くのか心配したあたりからです。
 非常に興味深い話でしたので…」
「殆ど全部じゃないのよ!」
彼女は悪びれる素振りもなく答えた。
111冴島×藤川×緋山:2008/08/20(水) 21:19:31 ID:IsovMGJH
「それで一男さんは白石先生のこと好きなんですか?」
「そうよ。ドサクサにまぎれて逃げんじゃないわよ」

これが女の連帯感なのか。困るね。先生・・・

あまりにタイムリーな曲に彼がシドロモドロになる。
「いやぁ、こればっかりは言えない。」
「何よ言えないって?」
「何ですか?それでも医者ですか?はっきり言ってください。
 告知になれてるはずでしょ」

私達から見ればこれは告知のようなものである。

「絶対ここだけの話だぞ?
 もし誰かに言ったら俺のアッペの練習か献血の練習代になってもらうよ?」

彼は二人に詰め寄られた迫力がよほど怖かったのか
ようやく重い口を開いた。

「藍沢がさぁ…何か気になってるっぽいんだよね」
「ふぅーん。」
「まぁそれは向こうの車両でやってもらうとしようか」
私と彼女は一気に興味を失った。

「なんだよ、それ〜。そういう訳だから内緒だぞ。」
(それにしてもあの藍沢先生がねぇ。)
「人って自分に無いものを求めるって言うものね。」
「優等生と挑戦者って感じかしら?」
「弱気と強気じゃないですか」
「今日だって藍沢のお婆ちゃんのために、
 休みを潰してきてくれる位だろうから脈はあるのかなと思ってさ。」
「今度どんな人が好きか聞いとくよ。」
緋山先生は面倒そうに答える。
「そういえば、二人は今好きな人とかいるの?」
「え?×2」
二人の声が思わずハモル。
112冴島×藤川×緋山:2008/08/20(水) 21:29:41 ID:IsovMGJH
今日はココまで。
実は最初は
冴・緋→藤→白→藍→緋にしようと思ったけど、ドロドロしすぎてパスしました。
明日は最初の山場と温泉到着予定です

>>104
ID一緒だ。珍しい。
もう一個の車両は謎です。
誰か書きたければご利用ください(笑)
113名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 21:53:43 ID:uwkbLAy6
114名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 21:55:10 ID:uwkbLAy6
もうさ、誰も求めてないから投稿するのやめてくれないか。
もしくはまとめて投稿しろ
115名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 21:55:50 ID:uwkbLAy6
今の>>110
116名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 22:25:19 ID:DxHY06TO
職人さんに消えろはNGですよ
読むか読まないかは読者の自由…自分は(ry
117( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:29:45 ID:Dw7vlVch
投下。
若干長いです。藍沢のイメージ、崩れちゃうかもです。スマソ


深夜のワークステーション、夜勤の看護師が数人作業をしている。
看護師が巡回や作業でみんな席を外し、白石と緋山の二人だけになった。
隅にある電子カルテ用のパソコンに向かって座って作業をしていると
白石がポツリ、と話しかけてくる。

「藍沢先生、今日は帰ったのかな…3日も泊まってるし…」
「帰ったよ。日没でヘリも終わっていい加減に帰れって黒田先生に言われて」

緋山がキーボードを叩きながら答えると「帰ったんだ…」と白石が安堵の声。
…やっぱり、気にしてるんだ?そう思ったけど口にはしない
ポケットから救命医学書のまとめたメモを出して読みながら白石が続ける

「藍沢先生って、家帰って何するんだろ…プライベートが想像できないね」
「そうね。まあ、どうせ熟睡なんじゃない?あんだけずっと動いてたし」

空中を見ながらぼんやりと、白石が呟く

「好きな食べ物とか…何なんだろう。そういう事、全然知らないね、同期なのに」

それは同期としての興味じゃないような…ってツッコミを飲み込んで
やっと入力作業が終わって緋山は椅子から立ち上がる。

「別にいいんじゃない?藍沢も知られたくないっていうか、そういうの嫌いみたいだし」
「そう…だよね…」

時計を見るともうすぐ日付が変わりそうだ。
少し急いで周囲を片付けると緋山は白石の肩をポンと叩いて

「じゃ、帰るね。当直がんばって。」
「うん。お疲れ様。」

ロッカールームで私服に着替えると早足で外に出る。病院から道を歩きながら携帯で電話をする。
相手が出ない。イラついたように何度も同じ番号にコールする。
4回留守番電話サービスセンターに繋がれてしまったけどかけなおして5回目でやっと相手が出る

『――はい』
「熟睡してたんでしょ」
『ああ…。』
「今病院出たんだけど。少し…会えない?」
『…わかった。じゃ、俺ん家の近くの駅前の…この前お茶した店で』
「了解。じゃ、あとで。多分…15分くらいでつけると思うから」

深夜のシアトル系コーヒー屋は人が疎ら。その中で売れ残ってたベジタブルサンドイッチと
カフェオレを買うとゆったり座れるソファ席に緋山はついた。
かなり遅めの夕食、でもダイエットしてるから食べなくてもよかったなぁ、でもお腹空いてるし…
そんな事を思いながらサンドイッチを食べていると、店のオーダーカウンターに電話の相手が見える
片手にサンドイッチを持ったままで反対の手を高く上げて

「藍沢、こっち」

私服の藍沢が、コーヒーを買って呼ばれて緋山と向かい合わせに席に着いた。
「お疲れ」「お疲れ。」無愛想な挨拶を交わす
こんな風にプライベートで二人で会うようになってから一ヶ月になる
118( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:34:10 ID:Dw7vlVch

一ヶ月前…今日みたいに夜のワークステーションで藍沢と二人だけになり
白石が藍沢に男として興味があるんじゃないかという緋山が憶測の話をしたら、
藍沢が一言いったのだ。ぽそりと。自分から。
また、仕事以外のどうでもいい話をしたと怒るのかと思ったら…

「俺は、緋山に興味ある」

口調も変わらずカルテを見ながらだったので聞き間違いかと思った。
または彼なりの冗談。かなりウケない、というか心臓に悪い。
緋山は対抗するつもりで

「興味あるなら誘いなさいよ、ご飯とかに」
「じゃ、今日行こう。俺、もうすぐで終わるし。緋山もオペ伝票書いたら終わりだろ」
「…うん」

なんだか奇妙、なんだか違和感、そんな感じで二人で帰りに食事をした。
会話はそれほど非日常ではなく「事故で大腿骨開放骨折の川崎さんが…」
「脳梗塞の西原さんのオペが…」「外科的気道確保の…」といった具合だった。
なんだかカンファレンスと変わらないね、と最後は緋山が苦笑いをした。
その帰りに緋山を家まで送ってくれた。そして、マンションの前でキスをされた…

「藍沢、正気?なんかさ…」
「緋山は、嫌なのかよ」
「嫌…じゃない、わよ…」
「言っただろ。緋山に興味あるって」
「ほんとに興味あるなら携帯の番号とかメアドとか、交換しなさいよ」

そんな感じで連絡先を交換し、仕事が終わるとこうして二人で会うようになった。
少しずつだが…藍沢も自分のプライベートの話をするようになっていた
リハビリ病棟にいる祖母の話、奨学金で行った大学の話、研修医時代の話…
それが緋山には嬉しく、違う藍沢の一面や表情を見る事ができた。
しかし一ヶ月、こうして食事やお茶をして話す程度で、特に何もない。
唯一は、最初にされた短いキスだけ。

曖昧なのは嫌いな性格から、サンドイッチを食べ終わって
サプリメントを指に2錠持ちながら目線を合わさずに聞く。

「ね。わたしたちって、これって付き合ってんの?」
119( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:35:31 ID:Dw7vlVch
ーヒーを置いて窓の外を見ながらぼんやりとした口調で藍沢が答える

「緋山はどっちがいい?」

えっ、私っ!?ぎょっとした顔で藍沢を見たが相変らず窓の外を眺めてる。
少し…髪の毛ボサボサじゃん、やっぱ寝てたんだ。そりゃ3日ずっと仮眠だけで仕事してたしね…
っていうか、疲れて寝てたのに私に呼び出されて、来ちゃうんだ…
緋山がグルグルと思いをめぐらせているとこっちを向いた藍沢が視点の合わない緋山に呼びかける

「聞いてる?」
「うん…聞いてる。私は…つきあってる、でいいよ…」
「じゃ、そうしよう」
「いつから?」
「…何が?」

身を乗り出して緋山がサプリメントをグーで握り締めながら

「いつから、付き合ってる事になるの?」

面倒臭そうに藍沢が言う

「初めてメシ食った日からでいいよ」
「何それ、超適当。」
「だってキスしたし、それが致命傷ってことで」
「致命傷って何よ」

思わず表現のおかしさに笑い出す。藍沢も、ふっと鼻で笑う
そして思い出したように

「あ、そうだ。ね、藍沢の好きな食べ物って、何?」
「好きな食べ物?………歌舞伎揚げ」
「カブキアゲ?何それ」

眉間にシワを寄せて緋山が首を傾げると、藍沢が説明を始める

「緑とオレンジと黒の縞模様がついた袋に入ってて醤油味の」
「あ、お煎餅!?っていうかお菓子じゃん。普通は好きな食べ物聞かれたら
 焼肉とかパスタとか、そういうの答えない?」
「一番に思いついたのが歌舞伎揚げだったんだからいいだろ別に」

カブキアゲかぁ〜と小さく繰り返してくすくすと笑いながら緋山はやっと
サプリメントを口に入れて水で流し込んだ。
少しずつ…プライベートでの藍沢にも、慣れはじめてきた
120( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:36:46 ID:Dw7vlVch
それから半月程、毎日が忙しくお互いに病院で仕事に追われる日々が続いた。
元々から当直じゃない日も病院に泊り込み重症患者を待って腕を磨こうとする藍沢は
看護師たちから「病院に住んでる」と揶揄されるようになる。
「いい症例に当たりたい」と思っている緋山も、以前より病院にいる時間が長くなった。
そしてある日、ふと波が引くように病床に空きが増える、ホットラインが鳴る回数も少ない日だった。
黒田に自宅に帰れと促された藍沢は、渋々と更衣室へと歩いていった。
その様子を横目で見ていた緋山は「休憩いってきます」と小さく言うと
さりげなくその場から出て早足で藍沢を追いかけた

「藍沢」

声をかけると相手が振り向く。「ちょっと」と言って視界に入った「空室」のプレートがかかる
カンファレンスルームへと藍沢を引っ張る。室内には患者の家族に説明などをするための
テーブルやホワイトボードなどがある。緋山が電気をつけると藍沢がため息をついた

「何?」
「仕事とは…関係ないんだけど、さぁ…」

それを聞くと藍沢は表情を変えずに

「だったら行くよ。仕事場では一切、こういうのはナシだって言ったよな」

確かに二人の間での約束。仕事場ではプライベートな話は一切言ってはいけない、と。
緋山は去ろうとする藍沢の手を捕まえた

「わかってるけど、あのね…どうしても、藍沢に会いたかったから…」
「毎日会ってるだろ」
「そうじゃなくて、仕事じゃない藍沢に…」

この半月、電話をしても出ない状態で、病院ではしつこいぐらいにずっと顔を合わせていたが
別人のようなプライベートの藍沢の顔を、話を、聞いていなかった。
実はそんなに好きという感情もなく、面白半分で「つきあう」ということにした緋山だったが
半月の間で、それがもどかしく思えて、愛おしさに変わり、感情に変化が出ていた…

「今夜私、当直だから…今だけ、少しだけって思ったら、追いかけてた」

黙って聞く藍沢、沈黙が重くて緋山は続ける

「藍沢がヘリに乗れば私がヘリに乗る回数が減る、藍沢がオペに入ると私がオペに入る回数減る、
 正直…鬱陶しい、って思ってたけど。っていうか…仕事では、今もそう思っちゃってるけど…
 だけどね、ちょっと笑った顔とか、すごく眠いはずなのに呼び出したら来てくれた事とか
 …そういうのが、大事で、好きだって、…最近になって思い出して…」

纏まらない言葉で頭の中の感情をぽつぽつと並べていくと、恥ずかしさで心臓が高鳴る。
藍沢が振り向いて、ゆっくり抱きしめてきた。

「俺は眼中ないけど。実力のある奴がヘリに乗ってオペにも入るのが当たり前だから」
「…むかつく」
「だけど…その後の下りは、嬉しい」

緋山も相手の背中に両手をまわしてぎゅうっと抱きつく。
121( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:37:37 ID:Dw7vlVch
二重人格、そんな言葉がぴったりだな…と、自分で思うと藍沢は頭の中の
モード切替が自動的にされていくのがわかった。
早く腕を上げたい、その一心で邪魔になる感情は全部押さえ込むという
精神コントロールは完全にできる。だけど、今は…少しだけ。

「なんか、高校生同士の恋愛みたいだね。会いたいだとか、好きだとかって」

笑いながら腕の中で緋山が言った。そう…かもしれない。

「20代後半にもなる男女の交際で、キスしかしたことないしね?」

また笑いながら彼女が言うと確かに、と頷いた。

「そうだよね、最後に会った時だって、俺ん家泊まってけとか誘われなかったし。
 大事にしたいから手は出さないーってタイプじゃなさそうだし…」

彼女の憶測が続く。好きだなそういう話、と少しため息をつくと彼女が顔を上げて

「あ。もしかして……藍沢って童――」

くだらないオチがつくのが途中から予測できて、キスで唇を塞いでやった。
いきなりのキスは、2回目だな…最初の時も緋山がびびって体がびくっとしてた。
ゆっくりと唇が離れると、近い距離のままで緋山の目を見つめる

「童貞だったら面白いよな。話としては」

冷めた口調で言ったが、久しぶりに彼女の唇に触れたせいか少し鼓動が強くなる。
いつもそうだ…いつのまにか、上手く感情が出せなくなっていた…
緋山と話す時間は、リハビリのように少しずつ、感情が出せる唯一の時間になっている。

「…好き」

甘く呟く彼女の声で、どちらからともなく再び唇を重ねる。
抱きしめる腕に力が入ると、背中にある彼女の手も、強くなる…

「俺も」

細い腕が自分の首に纏わり付くようにまわされて、もっと深く欲しいとせがむような口付けに。
そこからは前後不覚、何か「切れ」たという表現が近い。
自分は勤務が終わってるから…今はプライベートの時間だ、と藍沢は自分に理由づけをした
122( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:39:29 ID:Dw7vlVch
唇から頬…そして首筋へ、何度もキスを落とされて、そのたびにゾクゾクとする…
藍沢の「俺も」という言葉を聞いてちょっと泣きそうになった。
と、藍沢の重心が緋山にかかると足元が1歩後ろに下がる、そして長机にぶつかった。
それに感づいた藍沢は、緋山の背中に腕をまわし、ゆっくりと長机に寝かすように押し倒す

「え、ちょっと…ここ、で?」

何がここでなのかは恥じらいで言えないが意味は十分に通じる
さっきより少し柔らかい表情の藍沢が悪戯に言う

「童貞だったらどうする?」
「どうしよう…私もそんなに場数踏んだ訳じゃ…」
「そうなんだ…へぇ」

思わぬ情報が出してしまい、緋山は一気に恥ずかしくなった。
藍沢の両腕が、自分の頭の左右に突かれ、顔を覗き込むように再び唇を重ねてきた
舌の絡み合う音が聞こえるくらいに激しく…自分の口角から唾液が一滴零れたのがわかった
深い口付けは、それだけでも刺激で…体中が熱くなっていく。
そして青い術衣の裾から彼の掌が進入してきた。優しく…胸を確かめるように揉んでいく
それだけでもまたぞくっとしてしまう。全神経が鋭敏になっている…そんな感じ。
激しいキスの最中も、お互いの胸ポケットにあるボールペンや院内PHSがぶつかり合い
カチャカチャとプラスチックがぶつかる音がしている。
緋山の脚の間に藍沢の脚が割り込んで、術衣のズボンを下げていく…

「やっぱ、ここでやめておこうよ…」

緋山は藍沢の背中をトントンと指で叩いた。それを無視して藍沢は頬や耳元に口付けながら
下着の中へ掌を進めていく。そして既に溢れ出しているそこを指でなぞりながら

「大丈夫…『使用中』にしといたから」

その言葉に答える余裕がなさそうに、緋山の体がびくびくっと反応する。
ヌルッとした感触と同時に指を1本ゆっくりと中へ入れてみると、背中にある緋山の手が
藍沢の術衣を強く掴んだ。再び唇を重ねて漏れそうな声を封じてやる…

「キスだけで、こんなになるんだ」

それは童貞疑惑にかけた無知としての感想か、意地悪としての言葉か…
緋山は口調と表情でわかった。煽られてる、と――
指が2本に増やされ、ゆっくりだった出し入れが少しずつ早まる。
膣壁が擦れるたびに声が漏れそうになり、それを藍沢が唇で塞いでくれる
片足を長机の上に上げさせられ、大きく脚を開かされた格好…
くちゃくちゃと卑猥な水音と、たまに廊下を通る足音…
腰が自然に左右に動いてしまう。緋山は状況を把握すればするほど、思惑通り「煽られ」る。
123( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:41:23 ID:Dw7vlVch
指をそっと引き抜くと、ねっとりと濡れた指を緋山に見せる
見ないふりの緋山に意地悪く藍沢が言う

「机に少し、垂れるくらいなんだけど」

…わかってた、自分の内腿に伝うくらいに濡れてしまっているのは。
そして見せている指を、藍沢が見せ付けるようにして、舐めた
一気に…また、煽られる。ごまかそうとキスをしようと少し頭を起こしたら
自分が舐めていた指を緋山の口元につきつけてきた。
緋山は舌を出してその指を舐めて見せる。藍沢は満足そうに見ている。
広げさせられてる脚が震える。やっぱりこの場所じゃ…
すると藍沢に体を起こされる…そして長机のほうを向かされると
「手、ついて」と短く言われた。言われるままにするとお尻を突き出すポーズになる

「藍沢…、やっぱり…職場でするのは…」
「ヘンに興奮するからやめよう って?」

藍沢に意地悪で間違った憶測をつけられると、なんだか諦めがついてきた。
というよりも…それに従ってもいいやという気にもなってきた
彼が、欲しいという感情が強くなったから…

「もっと、腰上げて」

少し優しい口調での指令に体が勝手に従う。ズボンを緩めながら緋山のポーズを見て
「ヤラシイな」と小さく藍沢が呟いた。ファスナーの下げられる音、腰に添えられる手…
そして腿に伝う程溢れ出している所にそれを突きつけられると熱くなった体温が伝わってきた。
その次の瞬間に、ゆっくり体内に割り込んでくる感覚…

「んっ…」

緋山の体がネコが伸びをするように、背中を大きく反らして小さく震える。
深層に届くと、小さく何度か子宮をノックする動き、そしてだんだんと大きいストロークでの動き
容赦なく強く奥を突かれ始める。悲鳴に近い声が漏れて、必死で緋山は声を殺す。
長机の脚が動くたびにギシギシ音を立てる。突き上げるように腰を使い藍沢の呼吸が早まる

「ね…顔…」

緋山が泣きそうな声で呟く

「顔…見たい…」

動きを止めてゆっくりと一旦抜いてやるとびくんと緋山の体が跳ねた。
そのままごろんと横に転がりさっきと同じ、長机に腰から上が寝ている状態に戻る。
緋山が今度は自分から片足を机の上に上げて脚を開いた
藍沢の腰に両腕をまわして、再びお互いの体が繋がると体を震わせる。

「緋山…」

緋山の快感に歪む顔を見て、もっと占領したい欲求が沸いて出る。
占領したいというよりも…何か、こう、無茶苦茶にしたい、というような…
再び緋山の薄く開いた唇から甘い声が漏れ出したので、口付けて、塞ぐ。
お互い呼吸が荒く、夢中になって酸素よりも互いの舌を求めていく
その間にも確実に昇りつめていく、快楽――
124名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 23:44:09 ID:LXYJZaWX
>>114
少なくとも俺は求めてる
125( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:44:33 ID:Dw7vlVch

唇で塞いでも、鼻先から声が出始めた。
そして緋山の体が、力み始める…首を横に何度か振ると哀願するように

「も…ヘン…だから…っ」

緋山のもう片方の脚を持って、更に脚を開かせると腰が勝手に浮いた。
体がもっと奥へと求めるよう。緋山のくしゃっとした目からぽろっと涙が零れた

「ヤ…っ、イキ、そ…」
「俺も…いく…」

ギリギリまで我慢してそのギリギリの所の快楽を貪っていた藍沢も限界だった
机の脚がさっきよりも音を大きくたてている。

「藍沢っ…、あっ…!」

ピーンと緋山の体が硬直して痙攣するようにして硬くなる。
その2秒後に、トン、トン、と2回大きくゆっくり深く貫くと緋山の一番奥で藍沢が達した――

何秒飛んだんだんだろう…と、緋山が思った瞬間にガクンと一気に力が抜けて
ただ、息切れした激しい呼吸をしている。藍沢が少し遅れて「はあっ」と大きく息を吸った。
まだ…中でヒクヒクと彼がたまに動くのがわかる…シアワセな感じ。
二人が息切れして呼吸を整えようとしているときに、廊下を会話しながら通り過ぎる人の音が聞こえた


その足音と会話が遠のくと、緋山がぼんやりとした声で口を開いた

「藍沢って…ヤラシイんだね、実は」

予想外の感想に「は?」という顔で藍沢が答える

「実はってなんだ実はって。」

全て出し切って緋山を占領したそれを抜こうとした時に「あ!」と緋山が止める
その「あ!」の声の大きさに驚いて「何」と短く藍沢が小さい声で言う

「ティッシュとか…ないじゃん…。中で出しちゃったんでしょ?どうしよう…」

このまま抜けば長机に緋山の中からどろっと出てくる事になる
藍沢はべつにどうでもいいと思ったが、困った様子の緋山を見て一瞬にやっと笑う。
そして自分が脱がせた緋山の下着を足を使って器用に拾うと二人が繋がってる部分に宛がった。
引き抜いてすぐに緋山の下着で押さえる。

「あ〜っ、ちょっとぉ…」

だけどそれしか今は方法がない、と緋山が黙る。
体を起こして、何度かゆっくりとキスを交わすと藍沢は身支度を整えて言う

「今夜、当直なんだよな?ノーパンで」
「…!!!」
126( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:46:12 ID:Dw7vlVch

言われるまで気がつかなかった、と唖然とする緋山。少しにやりとした藍沢の顔に気づいて
策略だったことが今わかる。でももうどうしようもない…下着は精液でドロドロだ。
仕方なくノーパンのままで術衣のズボンを履くときつめにベルトを締めた。
髪を結い直すと両手で汚れた下着を包むように隠して持つ

「やっぱり、藍沢むかつくっ」
「好きな癖に」

藍沢は更に緋山がむかつくように言葉の追い討ちをかける
まだ早い鼓動が収まらないうちに、緋山はカンファレンスルームを出た。



翌朝になり、早朝に運ばれてきた急患の処置を終えて緋山がぐったりした様子で
医局に入ると、白石がまばたきもせずに座ってる。

「また目開けたまま寝てんの?」
「――ごめん…」

平和だったのは3時まで、4時くらいになってから急変があったり急患がきたり。
結局は…ノーパンである事すら忘れるくらいに忙しくなった。実際は忘れてないけど。
下着がないとやっぱり違和感があり…更にはそのせいで藍沢との時間が脳裏から離れない。
コンビニで下着を買ってこよう、と席を立った所で藍沢が入ってきた

「おはよう」

白石が「もうきたの?」と驚きながら挨拶をする。

「お疲れ」「おはよう」「――。」

財布を手にした緋山を見て藍沢が緋山の挨拶を無視した。
これは…下着買いに行くなって、こと??緋山は勝手にそう思った、自己催眠かも、とすら思った。
しかし藍沢はもういつもの藍沢の表情で。昨夜の事を聞ける隙はない。

「朝ごはん買ってくるの?」

財布を持って固まってる緋山に白石が声をかけた

「そ…う。ちょっとだけ、食堂まだやってないし」

そういってコンビニ袋を持って戻ってきた緋山が買ってきたものは…

「何?…お煎餅?パンとかじゃないの…?」

白石が目を丸くした。椅子に座って袋を開けて緋山は歌舞伎揚げをかじる。
自動販売機で買ったコーヒーで、歌舞伎揚げ。新しい発見かも?と密かに思う。
そのミスマッチな朝食を白石は首をかしげて見ている
藍沢は担当患者のカルテを黙々と見ていた。

「藍沢先生、朝ごはんとか…食べたの?こんなに朝早くきて…」

白石がなぜか恐る恐る聞くと藍沢は立ち上がって

「まだ食ってない。…これ、いいか?」

緋山の買ってきた歌舞伎揚げを1つ取る。緋山がもぐもぐと口を動かしながらうん、と頷くと
いつもどおりの無愛想のままで藍沢が煎餅をかじる。
バリバリと煎餅をかじる音、白石は不思議そうにまた首を傾げた
127( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/20(水) 23:50:38 ID:Dw7vlVch
以上です(´Д`)ゞ

またも誤字脱字スマソ…
藍沢のちょっとラブな話を書いてみたかったので少々キャラ崩しました。
>>101氏のアイディアを取り入れようとしたけど開発までに至らず
プチ羞恥プレイで終わってしまいました(´Д⊂
128名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 00:30:46 ID:J9SB/6IA
いいね!!
全然キャラ崩壊してないよ、むしろ自然w
プチ羞恥プレイの変態ぷりがツボにはまったw
女性キャラの動かし方がとても上手だね
次の作品は決めてるの?
129名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 01:08:27 ID:DJAntX77
職人さんうますぎGJ
まだまだwktkしてます
130名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 01:41:51 ID:zXO61gQK
>>127
素晴らしい!
131名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 02:13:34 ID:8yqIDW5o
>>127さんの作品は相変わらず引き込まれるなぁ…
白石はもちろん、冴島や緋山バージョンも物語に深みがあるっていうか。
これからも納得いく作品、書きたい作品、いくらでも待ってます。
旅行の話を書いてくれた職人さんも大歓迎。
みんな待ってるから是非書いて下さい!
でも、まとめて投下して下さると嬉しいっていうのは私も思いました。
132名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 07:44:50 ID:ZKbluWBp
ブラボー!!!
133( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/21(木) 10:01:20 ID:r6GN7+iR
藍沢の女子制覇も終わり
次の構想は現在白紙。頭ん中が白紙でつ(汗)
あ、女子は三井先生が残ってたかw
まあ、とりあえず今日の放送を見て充電します。。


ということで、職人様方、投下お願いしますヽ(´ー`)ノ
書くのも好きだけど読むのも好きです。wktk
134名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 10:07:45 ID:NmjYkywx
相手を変えてもこんだけ自然に入り込める話つくれるのがSUGEEEEE
藍沢三井も面白そうかもw
またなんか思いついたら書いてくださいwktk
135藤川×冴島@:2008/08/21(木) 17:30:13 ID:8yqIDW5o
初心者なのですが、思い付いたので2回に分けて投下しても良いでしょうか…?
流れをブタ切ってすみませんorz
興味が無い方は温かくスルーして下さると嬉しいです…。

**

「お疲れ様です。」

今日も忙しかった。
フライトナースの冴島は、ほとんど毎日の様にヘリに乗り、
激務をこなし、自分の身を削って患者の命を救う日々を過ごしていた。

この忙しさで毎日を振り返る余裕などない。
そう−昔の事を思い出す暇すら、ない。
だが、それが彼女にとってはありがたかった。


「よっ!」
勤務が終わり冴島が病院の敷地を出ると、メガネの背の小さな男が片手を上げてこちらを見ている。
4人のフライトドクター候補生の一人、藤川一男だ。
冴島は彼に気付くと思い切り顔をしかめた。
「藤川先生、今日はお休みでしたよね?休みの日まで病院に来るなんて
余程ココが好きなんですね。仕事が出来るかは別として。」
嫌味を言って通り過ぎようとする冴島を追いかけ、藤川は人なつこい笑顔で彼女に話しかける。
「君を待ってたんだ。」
その言葉に冴島の足が止まる。
「私を?」
「そうそう!冴島さんを。」
嬉しそうに続ける藤川をジロリと見ると、冴島は再び歩き出した。
「休みの日に私に用なんて何ですか?まさかストーカーとか?」
136藤川×冴島A:2008/08/21(木) 17:32:16 ID:8yqIDW5o
相変わらずな調子の冴島に、さすがの藤川も苦笑いで答える。
「……。違うよ、この間の御礼がしたかったんだ。
ホラ、髄膜炎の上村さん。中学生の息子が黒魔術がどうのって言ってた−」
「覚えてますよ。」
「あの時君、手柄を僕に譲ってくれたじゃない。だからメシでもご馳走させてくれないかなって。」
「別に手柄を譲ったなんて思ってませんよ。看護士がドクターのサポートをするのは当たり前の事です。」
表情を変えずに冴島が言うと、感嘆した様に藤川が答える。
「カ〜っ!さすが優秀な冴島さんだね。看護士の鏡っ!」
少しオーバーに褒めすぎなのではないかと思ったが、おそらく藤川は純粋にそう思っているのだろう。
「いいですよ。」
「えっ?」
「今から食事、行きましょう。お腹ペコペコです。」
「あっ…!そ〜お?じゃあね、じゃあね、とっておきの良い店知ってるんだよ!そこ行こ、そこ!」
「はい。」
飛び上がるんじゃないかと思うくらい喜んでいる藤川を見て、思わず冴島も少し笑顔になる。
邪気がない男だなぁ、と思った。
裏表がなくて純粋。それが彼の良い所だけれど、どこか掴み所がなくてわからない男だ。
今夜は彼を見極めてやろう。医者として向いているかどうかも−。
冴島はこっそり心の中で思うのだった。

(続く)

**

続きは今夜にでも、なるべく早く投稿させて頂きます(>_<)
137冴島×藤川×緋山:2008/08/21(木) 21:12:55 ID:155Bnz80
「私はついこの前別れたばかりですから…あまり大きな声で言えないのですが…」
公然の話になっているので、私がこういうことに二人は特に反応しない。
緋山先生はモゴモゴと口篭っている。
「そういうそっちはどうなのよ?好きなタイプとかあるの?」
緋山先生は溜まりかねたのか、ちょっと慌てたように質問で返している。
彼の好きなタイプというのは、前にもちょっと聞いたことがある。
なんでも初恋の人は年上の家庭教師の先生だったとか
ようはビシッと導いてくれる人か好きらしい。
「アンタまさか三井先生のこと言ってるの?バツ一子持ちよ?」
唖然としたように緋山先生は尋ねる。
「俺別に三井先生に導いてもらってないし、ビシッと言ってもらってないし」
まぁ彼女としては当然心配だろう。
尊敬する指導医が恋敵というのは、今後の医師生活にも支障をきたしかねない。
「やっぱり年上が好きなんですか?」
「う〜ん、今は同い年とか一歳上とか良いかなぁと思ってるんだ。」
「へ?」
二人の背筋がキュンと伸びる。
138冴島×藤川×緋山:2008/08/21(木) 21:15:09 ID:155Bnz80
すみません
新しい小説見逃してました。

こっちは色々言われてますが、マターリ行く予定ですので、
今日はカップリング重なっててご迷惑そうなので、
137は忘れてください。
139名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 22:00:35 ID:DUQCoTDP
藤川ちん人気あるね
140名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 01:49:31 ID:hX5w63zY
>>135
おーツンデレ冴島っぽいw
141名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 20:21:28 ID:G4cNxJzX
昨日のは黒田×白石っぽかったよね
王道シチュエーションだったし
142名無しさん@ピンキー:2008/08/22(金) 23:02:22 ID:hllq0Y61
>>135
割り込んだんだから早く書けよ。同じ組みあわせとか嫌がらせするから
誰も書かなくなったじゃないか!
143名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 15:14:00 ID:wI7QJyfU
ってか待ってる必要はなくない?
割り込んでもないし、緋山藤川冴島の職人さんも、藤川冴島の職人さんも
藍沢を制覇した職人さんも、投下してくれるなら何でもありがたい。
144名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 15:28:13 ID:werZW4fX
>>141
黒田の白石を止めるときのシーンも青春ドラマかってな雰囲気だったw
西条にも何気に目をかけられてるし、白石ってオヤジキラー
145名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 18:34:17 ID:wI7QJyfU
あの事故が起きる前に黒田先生と何かあった白石…w
他のフェローには内緒で大人の関係があったりして。
影では色々指導してる黒田先生…という無理矢理な解釈もある。
146名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 19:06:12 ID:RzqnRMmp
藤川いわく白石は黒田派だもんな
147名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 19:09:01 ID:6cYonuLd
まぁ、黒田先生があと10才くらい若かったら何かあったかもなw
黒田先生はフェロー達のお父さんみたいな存在なんじゃないか?
普段は厳しくてもいざというときは命がけで守るっていう

白石がファザコンだったら白石→黒田で片思いで終わりそう
148( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:39:52 ID:UvxvRRtj
また長めになっちまいました。
誤字脱字は見逃してください  って白石が言ってた…きっと。


あの夜から何日経っただろう。
メリージェーン洋子さんのお店でショーを見た後の、あの出来事…
2週間くらい経った…だけども藍沢はいつもの調子で
全く何も変化はない。むしろ、変化しないように頑張ってるのは白石だけだった。

お酒で酔った勢い?
それにしては…そんなにスゴイ飲んでた訳じゃないし…
疑問ばかり浮かんで戸惑う、を何度も繰り返した。
勿論、藍沢に問いただす事も考えたけどそんな度胸は無い…

「別に…1回ああいう事があったからって、どうこうしろって事じゃないし」

独り言が口から出る癖は、困る。
咳払いをして誰もいないワークステーションで一人小さくなる。
カルテを書いてたはずがペンはずっと止まっている
何かしろとか、そういう事じゃなく、自分の気持ちの問題なんだ、と行き止まる。
そう…感情の問題。1度だけ、体の関係があっただけ
でもその1度は、大きく自分の感情を動かしていることは確かだった…
最中に思わず呟いた「好き…かも…」はその場で生まれて今も奥のほうに
押し込めて飛び出さないようにずっと隠している感情――

「お疲れ」

声で誰なのか解る、思わずびくっとした。「おつかれ」と返事をする。
藍沢が背後のデスクの椅子に座る…びっくりした…そっと気づかれないようにため息をついた。
こういう二人になる時間はいくらでもあった、でも度胸が全くない…
すると藍沢が背中を向けたままでぼそりと言う

「今度…」

あれやこれやと考えていたせいか動揺が収まらないまま「え?」と聞き返す。

「今度、時間が合う時があれば…二人で会いたい」

…まん丸に目を開いたまま、驚いた表情で振り向いて藍沢の背中を見る。

「今度は酒飲まない所で。オカマも居ない所。」

そういい残すと席を立ち、再び病棟のほうへと歩いていってしまった。
残された白石はポカンとしたままで、ただ、自分のドキドキが酷い事に気づく
だけど…真意がわからない、やっぱり理由がほしい、真相が知りたい…
追いかけようと席を立って藍沢が消えた方向へ廊下を走る。
視線の先、薄暗い廊下の曲がり角に藍沢の背中が見える、声をかけようとした時に
「お疲れ」と女性の声が遠くでしたのに気づく――藍沢の横に三井が歩いてきた。
白石はあわてて壁に隠れ、忍者ごっこでもしてるのかという具合で様子を伺おうと
深夜の静まり返った廊下の音に耳を澄ます。
149( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:41:06 ID:UvxvRRtj
三井の前じゃ絶対に話せない内容を、藍沢と話したい。
内容をまとめ、なんと切り出そうか、なんと聞けばいいか、…何を聞けばいいのか。
白石は頭の中でまとめながら耳を澄ます。

「藍沢今日は当直じゃないんじゃ…」
「オペ見学に行ってたら遅くなったんで、ついでに急患が来るの待とうかと思いました」
「たまには早く帰って体を休めないと、持たないわよ。」

そんな会話が聞こえてくる。落ち着け、落ち着け、とまるで高校生の告白前の状態で
胸に手をあてて深呼吸をしていると耳に入った声でその深呼吸も止まる

「環奈さん」

――!?
今のは…藍沢先生の声…?環奈さんって…三井先生の事?
少し二人から距離があるが、思わず息を殺して会話に聴覚を全力で集中させる

「昨日、環奈さんの所に俺ん家の鍵を忘れてったと思うんですけど」
「そう…それを早く渡さなきゃって思ってたの。でもなかなか隙がなかったわね。」

――家の、鍵?三井先生の家に??っていうか環奈さんって…
そっと、曲がり角から顔を出して二人の様子を伺うと少し距離があるせいで
細かくは見えない…向き合った二人、三井の手から、話に出てきていた鍵らしい物が
藍沢の手に渡されたのはわかった。柔らかい笑みで三井が藍沢を見つめている。

「じゃあ明日…藍沢の家で。」
「…やっぱり…環奈さん…もう…」

笑みを絶やさない三井、固い表情の藍沢…何が起こっているのか把握できずに覗き見る。

「…とりあえず明日。それも含めて、ね?」
「――わかりました」

かなり小さい声での二人の会話。だけども聞いてしまった、見てしまった…
違う意味での心臓のドキドキが収まらない。壁に背中をつけたままその場にへなへなと座り込む。
…やっぱり、そういう、事だよね…自分に聞いて自分で答えらず、混乱したまま。
何か私が間違えてるのかも、と思いもう一度そっと覗き見てみると。見えてきたのは
三井が、藍沢の頬に挨拶のようなキスをする瞬間だった。
そして二人は別方向の廊下へと歩いて消えていく。白石はしばらく動けなかった。
…やっぱり、そういうコト、なんだ…。自分がさっきまで藍沢に問いただそうとしていた事よりも
衝撃が強くてなんだか色々と頭の中にまとめていたことが吹っ飛んでしまった。
150( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:42:22 ID:UvxvRRtj
「お疲れー。あれ?白石、顔色悪いよ?寄り道も買い食いもしないで帰ってちゃんと寝ろよ」
当直の森本に言われると私は小学生か、と苦笑いして会釈をする。
通用口から出て、まだ少し混乱気味の頭を自分で叩いてみた、すると背後から
「白石」と呼ぶ声――藍沢だ。振り向くと私服でこちらに歩いてくる。
彼も…帰りなんだ、それと同時に動揺しまくってしまい目を合わせられない…

「今から時間、あるか?」
「……一応、ある」

すると藍沢は何も言わずに白石の2歩前を歩き出す。
本当に彼だけは、全くわからない。今まで自分がいた環境には居なかったタイプだ。
だけども今は…確かめたい…

「あのっ、藍沢先生。…三井先生、なんだけど…」
「三井先生が何?」
「………カナさんって呼ぶの?…」

藍沢の足が止まる。白石も立ち止まる。
暫くの沈黙…白石が一番苦手な空気…

「いつから知ってた」
「―――さっき。偶然…偶然なの、廊下でたまたま…話し声が聞こえてきて…」

藍沢の目をおそるおそる見上げる…でもやっぱり反らしてしまう。

「…つきあって、るの?三井先生と…」
「―――ああ。」

短く小さい返事を聞くと、感情に体を動かされたようにいきなり白石は走り出した。
涙が出そうなのが悔しかったから。藍沢が追いかけてきた、もちろん追いつかれてしまう
腕を振り払おうとするが、男の力に勝てる訳もない。
泣く寸前でがんばって止めて、我慢しながら藍沢の顔を見る

「その事とか…この前の事とか、ちゃんと話そうと思って」

冷静なままの藍沢が淡々と言った。
それは…一時の酒の過ちで、ちゃんとした彼女がいるんですって説明?
白石は自分の中の感情が頭の中で爆発しそうな感覚になる。言葉が出ない
藍沢の腕をやっと振り払うと、まとめたはずの言葉が粉々に壊れて
まとまってない言葉が勝手に飛び出した

「酔った勢いでああいう事して、同じ職場の中で2人も肉体関係のある人がいるって
 不謹慎だよ。藍沢先生は…仕事と同じでもっと真面目かと思ったけど違ったね。
 忘れるから。もう…私もあの日は酔ってたってことにして忘れるから」

感情のままに出た言葉は、こんな時まで妙なプライドのせいで淡々と静かに語られた。
その言葉を聞いた藍沢は表情を変えずに黙り込んでしまった。
また…沈黙…もう、逃げ出したい…

「白石には、話しておきたい」

藍沢がやっと、口を開く。

「結論は話を聞いてからにしてほしい」
「…うん…。わかった…」

そう言うと再び二人は歩き出す。
151( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:44:49 ID:UvxvRRtj
終電もなくなった時間のファミレスは、案外客が多い。
少しざわついた中でお通夜のような静かな席…白石だけがお通夜のような顔をしている。
コーラを飲んで藍沢が話し始めた。

「三井先生とは…前の病院からの知り合いなんだ」

意外な話のスタート地点に白石は藍沢の顔をじっと見つめる。
せっかく、私に聞いてほしいって言ってくれたから、全部聞いて…できれば受け止めたい。
藍沢は俯き加減に、右手の指先を弄りながら淡々と、静かに話し始める―――

数年前…研修医の藍沢がいた病院は、地方都市の翔陽医大の系列病院で
地方病院の中でも救急医療には力を入れている病院でもあった。
ある日そこに産科から転科して救急にきた、救急の研修にきたのが三井だった。
同じ救命内に既に三井という名の医師が居たために、「環奈先生」とみんなが呼んでいた
態度が大きく生意気な研修医、しかしセンスはあるという評価だった藍沢は
寝食を惜しんで仕事に没頭していた。そしてぐんぐんと腕を上げて
1年先輩よりも早く正確な判断をして診断できるまでになった。
三井も産科でのオペ経験が豊富で、すぐに救急医療に馴染む。

ある日、自分の生活を省みずに仕事に没頭していた藍沢は倒れた。
過労というと大げさだったが、睡眠不足と軽い栄養障害…
周囲からは散々怒られたが、三井は黙ってある日、弁当を藍沢に作ってきたのだ。

「一人暮らしだと面倒だから食事取らなくてもいいやって思うでしょ。
 強制的に食事が出てくれば、食べるわよね?医者は自己管理も仕事のうちよ。」

当時既婚者だった三井は、自分と旦那の弁当を毎朝作るから1つ弁当が増えても
全く手間ではないから食べろと、二人の勤務が重なる日は毎日弁当を作ってきた。
弁当箱のやりとりから…ある日感情のやりとりに変わる。
藍沢は、三井に特別な感情を持つようになった。しかし三井は既婚者…
その想いを告げる事はなく、三井の研修期間は終わり、今の病院へと移動していった

「――じゃあ、今の病院を選んだのは、三井先生を追いかけて…?」
152( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:46:22 ID:UvxvRRtj
氷が解けて水と2層になってしまったオレンジジュースを混ぜながら白石が聞くと
藍沢は半分程呑んだコーラを見つめながら答える

「違う。単純にドクターヘリ目当てだ。三井先生がいると知ったのは今の病院に行くって決めて
 資料を見てて初めて知った。」

数年を経て再会した二人は、経験を数年積んだ若手救命医と、離婚暦有りの子持ち医師になっていた。
藍沢が今の病院に配属になった日、再会を祝い二人で食事に行くと三井のほうから切り出してきた
「泊まらない?」と…。忘れかけていた妙な感情を押さえ込んでいたが
積極的な三井から誘いが…それを無駄にしてしまった…
1度の間違い、1度だけの、とならずにその後時間さえ合えば睡眠を削って会いに行ったのは
藍沢のほうからだった。三井との甘い時間に私生活全部を注ぎ込んでしまう。

「――藍沢先生、が…?」

驚いた顔で白石は窓の外へと遠い視線の藍沢を見る。
意外すぎる。感情の一切を出さずストイックに仕事をする藍沢が、恋にのめり込むなんて…

しかし三井の藍沢への感情は同じ物ではない事を、しばらくして藍沢は気づいてしまう。
小さい子供がいる事を知って、つれてくればいい、3人で食事してもいいと申し出る藍沢に

「うちの子にも、藍沢にも…妙な感情や情を持ってほしくない」

そう言って三井は断ったのだ。二人は会う度に肌を重ね、快楽を貪った。
単純に藍沢は年上の女性の体に溺れてしまっていたのかもしれない…。
三井は年下の藍沢に、執拗に甘え、慰めを求めてきた。それが自分の持っている恋愛感情ではなく
「慰め」る存在をひたすら求め、現実を忘れただ安らぐ時間を藍沢に求めている事に、気づく。
自分は無駄な感情を抱いているだけなのか…感情とは私生活でも「無駄」なのか――
そして藍沢は、三井にある時切り出したのだ。

「もう、やめましょう…。俺は、環奈さんの辛い事を全部消す器量はないです…。
 それに…消すだけの役割は、他の誰でもできる。」

服を着ながら世間話でもするような口調で三井が答えた

「誰にでもはできないわ。研修医から知ってる藍沢だから…安心するの」

それはやはり、男として、恋愛としての「必要」ではないんだ、そう藍沢は解ってしまった。
それからは二人で会う時間も減り…藍沢の心境にも変化が生まれ始める
153( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:48:21 ID:UvxvRRtj
「ごめん…なんか、全部がいきなりすぎて…ドラマのあらすじ聞いてるみたい」

少し気の抜けた様子で白石が言うと、藍沢がため息をついて「そうだよな」と小さく答えた。

「三井先生は…多分、身近な存在の何かが欲しかったんだと思う…
 俺だったら昔から知ってて、職場も一緒で、余計な事を言わずに欲求に答える
 そんな…丁度いい存在なだけだったんだろうな」

そして今までずっと合わなかった視線を合わせ、白石の目を真っ直ぐに見て

「この前のは…酒の勢いでも、ヤケを起こした訳でもない」

どきん、と自分に話の矛先がいきなり来て白石は小さく飛び跳ねた。
わかりやすい態度に藍沢は柔らかい口調になり

「ちゃんと…終わらせるから。三井先生の事だ、後腐れも無いだろう。だから…」

藍沢の声が小さく消えた。白石は周囲の雑踏よりも自分の鼓動の音が大きくなっていくのが
痛いくらいに感じられてきゅっと両手を握り締める

「全部ちゃんと終わったら、――また二人で会いたい」

自惚れ者と思われたくない、簡単な女と思われたくない。そんなプライドから
会ってどうするの?何するの?なんで会いたいの?という質問が浮かぶが、それを飲み込んだ。
黙って…頷いた。だけどもどうしても飲み込めなかった言葉が口を突く

「なん…で。何で、私、なのかな…」
「白石は…傷の手当をしてくれたから。あの時から…」

そこで言葉は消えてしまう。傷の手当…思い当たるのはあの時しかない。
藍沢の祖母が暴れ点滴を倒した時に、藍沢が顔を切ってしまいその傷を消毒しただけ――
その時に交わした会話…彼の、せつなさ、悲しさ、やりきれなさ、初めて人間的な感情に触れた。

「嫌だったら、言ってもらっていいから」
「別に…嫌なんかじゃないよ…私も、また二人で…会いたいって思ったから…」

ファミレスを出るとお互いタクシーを拾って帰路につく。
車中で白石は、自然と顔が笑ってしまって困った、それと同時に、あの三井先生が、という驚き。
三井との関係にのめりこんだ藍沢、信じられない話を飲み込もうと目を閉じた。
154( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:49:47 ID:UvxvRRtj
「遅くなってすいません。転落で脾臓破裂の患者のオペが急にあったんで」

数日経った深夜に、藍沢は電話をすると三井がタクシーで藍沢の部屋へやってきた。
部屋に入るなり三井は藍沢に抱きつく。しかし藍沢の手は、動かない――

「本当に…終わりにしたいのね」

藍沢の頬から耳元へゆっくりとキスをしながら三井が呟いた。そして一歩離れると
自身が着ている服のボタンを外しだす…藍沢はその様子を見て「環奈さん…」と止めようとするが
三井はそれが聞こえていないように服を脱いでいく。足元に…着ていた服と下着がストンと落ちていく
見慣れて、触れ慣れて…藍沢の目が、手が、よく知っている白い体が晒される。
そして藍沢の着ているTシャツの裾に三井が手をかけながら呟く

「最後、だから…。最後にしてあげる…。」

その言葉を聞くと、藍沢は止めようとした手を下げた。
Tシャツを脱がされてベッドに座ると環奈に肩を押されて倒れこむ。環奈の髪が首筋をくすぐる。

「藍沢の感情を…私が奪ってしまったのかもしれないわね…」

環奈がそっと唇を重ねると、藍沢は環奈の体を抱きしめた。
そこから一気に加速するように激しく互いの舌を求めあいながら、環奈は藍沢の下着に手をかける。
足を使いそれを手伝いながら環奈の胸を掌で包み、確かめるように揉むと体制を変えて
藍沢が上になる。環奈の表情を見つめるとそっと、環奈の掌が藍沢の頬を包む。

「好きだった…。でもいつのまにか、私の都合のいいように…藍沢を使ってたのね…」

藍沢はゆっくりと唇を重ね、環奈の足を開かせていくと指先を胸から腹部へと辿るように滑らせて
僅かに湿るそこへとたどり着かせる。綿に触れるように軽く刺激しはじめると
環奈の息遣いが不規則になり、体が反応を見せた。唇が離れると両腕を藍沢の首にまわし環奈が
再び首筋にしゃぶりつくように舌と唇を使って、顎先へと舐めあげる。
身震いした藍沢に気づくと体勢を変えるように手で促し、ゆっくりと寝返りをうつように回り
環奈が藍沢の体に跨る。そして、再び貪るように、食べるように唇にかぶりついた。
腰を動かし、硬いそこを太腿で感じると、ヌルッとする程に濡れたそこを腰を動かし擦りつける。
太腿に藍沢の手が添えられる…目を閉じている藍沢を見下ろしながら環奈がそっと言う

「最後だから…見て…繋がる所…」

環奈がM字に足をして腰を浮かせると、藍沢のそれを手でしごきながらすっかり潤ったそこに宛てる。
そして見せつけながら…ゆっくり腰を落として、上下に動かし始めた。
生温く卑猥な音をさせながら繋がる場所を、表情を歪めながら藍沢は見つめている
少しずつ環奈の短く甘い声が聞こえ始めると動く度に水音が大きくなっていく。
腰を動かしながら、環奈は舌全体を使って藍沢の腹部から舐めまわす…胸元へと丁寧に舐めていく。
ザラザラとした独特の感触が、下品で煽られていく――
環奈の中が熱く、ヒクつくような締め付けに変わっていき、動いていない藍沢の呼吸も乱れ始めた。
腰を動かしながら犬のように首筋から唇へと、舌で愛撫する環奈、昇り詰めるペースを押さえようと
歯を軽く食いしばる藍沢…。体を起こし、角度を変えてより深く…自分の中に刺さるような感じを求め
環奈が動き始めると藍沢がはぁっと大きく息をした。

「駄目、です…もうちょっとでいきそ…」
「いいのよ…私でいって…?」
155( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:52:17 ID:UvxvRRtj
藍沢の反応を楽しみながら腰の動きを早めると、息遣いも激しさを増す。
そろそろヤバイのか、藍沢の両手が環奈の腰に添えられ、力が入る、指が食い込む。
それを振り切るように、頭の先まで貫かれる快楽を貪って深く、強く、腰を落とす――

「ゴム、してないです…」
「いいから…。このまま、イッて…?見ててあげるから…」

その言葉に本能が先に従ってしまう。何かキッカケでもあったかのようにびくっと体をさせると
藍沢が再び歯を食いしばるような顔になる。そして、「イク…」と言い掛けて全身が固まる。
環奈はその表情、息遣い、一部始終を見つめている――そして自分の中で弾けるような感覚…
びくびくっと中で脈打つ感覚を合図に腰を擦りつける。
昇りきった後に息切れをはじめる藍沢を見ると満足そうにゆっくりと腰を上げて抜く…
そしてそのまま…自分の中で弾けたばかりの、愛液と精液がべっとりついたそれを、手を使わずに
いきなり口に含んだ。驚いたように思わず腰が引けた藍沢は、その様子を眺める。
丁寧に舐められ、口の中で吸われたりしている――暫くは達した直後の余韻もあり
くすぐったいような妙な感じだったが、数分そうされていると新しい快楽への準備になっていた。
頭を何度か上下に動かし先のほうまで丁寧に舐めあげて、再び深く根元まで口に含むと
先ほど体を嘗め回していたザラザラとした生暖かいものが纏わりついて刺激する…
それはそのうちピンポイントになり、藍沢がする反応を見極めて環奈はよく知る藍沢のツボを
舌先で刺激しながら時折、強く吸ったり…数分前に弾けたばかりの筈が、すでにまた…

「環奈さん…っ」

名を呟いた後で、彼女の求める思惑通り。環奈の口の中で、今度は弾けた――
口内の温度よりも少し高い液体が注がれると、独特の味に少し顔を顰めながら
喉を小さく鳴らして、環奈は飲み込んでいった。そして…そっと口を離す。
口元を腕で拭うとただ息切れしている藍沢に覆いかぶさり、抱きしめる…
髪をぐしゃぐしゃと軽く撫でながら、彼にそっと呟いた。

「…ありがとう…。『環奈さん』って呼ばれるの、さっきで最後ね…」
156( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:53:41 ID:UvxvRRtj
白石は一晩寝て起きて、全部夢だったんじゃないかと疑うようになる。
そんなはずはないのだけど…そう思わないと、なんだか混乱しすぎてしまうのだ。
当直だった看護師から、担当患者のカルテを受け取りチェックをしていると

「お早う」

三井が髪を結いながら入ってきた。
少し…動揺したけど、もう勤務時間だから忘れよう、と必死で飲み込む

「おはようございます」
「緋山は?」
「さっき、ICUに行きました」
「そう。」

三井がICUへと歩いていくと小さくため息をついた。
やっぱり夢だった、それでもって、藍沢先生とああなったのも夢で
昨日のファミレスで話したのもなにか夢とか勘違いとか…
現実逃避方法を自動的に頭が編み出すようになって、ぼんやりしていると

「お疲れ」

藍沢がやってきた。びくっと小さく跳ねた心臓を押さえるようにしながら

「おはよ…」

返事をしてチラリと藍沢を見るが…やっぱり、いつもの、淡々飄々のカンジ。
だけど…耳にしっかり残って焼きついてしまっている『会いたい』の声――

「白石」

ふいに藍沢に呼ばれ「はいっ」少し高い声になってしまった返事をする。

「挫骨骨折の原田さんと腹膜炎の伊藤さん、検査出ししたのか」
「うん…もうすぐ検査室から迎えがくると思う」

…勤務中、勤務中、そう自分に言い聞かせているとさっきより少し小さい声で藍沢が言う

「いつでも声、かけてくれ。待ってるから。」

それは仕事に関する内容…では、ないとわかると「うん」と頷いてから
自然と顔が笑い出すのを必死で堪えた。

「夢かと思ってた」

口元が笑ってしまっている白石を横目で見ると「リアルすぎるだろ」と答える藍沢。

「夢かどうかわからなくなったらこれ見ろ。目、覚めるから」

そういってメモを2枚、白石に渡すと藍沢の院内PHSが鳴る。「はい」と応答し電話をしつつ
おそらく呼ばれたのだろう、病室のほうへと早足で藍沢が歩いていった。
渡されたメモは、担当してる患者に藍沢が処方した投薬記録と…携帯電話の番号。
一気に目が覚めた―――白石は満面の笑みになって番号のメモを大事そうに畳んだ
157( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/23(土) 23:59:57 ID:UvxvRRtj
今度こそ藍沢の女子全員ミッションコンプリートでw

三井×藍沢だとなんだか画的にもドロドロしちゃいそうだったから
ちょっと要望があった藍沢×白石もミックスしてみました。
藍沢×白石は>>59 〜 >>73参照の事。

ついでに録画を見てたら白石は藍沢を「藍沢くん」ではなく
「藍沢先生」と呼んでたので修正してみたりもした。
158名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 00:19:34 ID:h17kyAZf
三井×藍沢エロすぎる〜
159名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:04:49 ID:jk95jurk
おもしろい
うますぎです
160名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 01:52:48 ID:hqsHY/Wg
今週の、エレベーター入ってくるシーンでの藍沢→白石の視線に萌えてたから>>148さんの内容とリンクしてるように妄想できて更に楽しめた
コンプお疲れ様でした
一気にみたから実はこれ藍沢による女子全員同時食いのようにもみえて面白かったw
161名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 22:35:47 ID:4u0cctDC
あいかわらずいい仕事しますなあ
白石と冴島の時期は確実に被ってるな、間違いない
162( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/25(月) 09:12:01 ID:WJiFlmnI
藤川ネタを書いてる職人様方も、どんどん投下してくださいっ!
まじで。途中だと気になるしw
一人でウハウハと書いてるのは恥ずかしすぎるんで(;´Д`)
藤川がどうなるのか、二つの作品とも楽しみなんですよ〜

2作品の藤川ネタがあるので
自分は藍沢と妄想ウハウハしときますw
163冴島×藤川×緋山:2008/08/25(月) 19:21:12 ID:/ZfD8jhZ
「私はついこの前別れたばかりですから…あまり大きな声で言えないので…」
公然の話になっているので、私がこういうことに二人は特に反応しない。
緋山先生はモゴモゴと口篭っている。
「そういうそっちはどうなのよ?好きなタイプとかあるの?」
緋山先生は溜まりかねたのか、ちょっと慌てたように質問で返している。
彼の好きなタイプというのは、前にもちょっと聞いたことがある。
なんでも初恋の人は年上の家庭教師の先生だったとか
研修医時代には指導医の先生に気にいられたくて夜勤を入れたとか
ようはビシッと導いてくれる人か好きらしい。
「アンタまさか三井先生のこと言ってるの?バツ一子持ちよ?」
唖然としたように緋山先生は尋ねる。
「俺別に三井先生に導いてもらってないし、ビシッと言ってもらってないし」
まぁ彼女としては当然心配だろう。
尊敬する指導医が恋敵というのは、今後の医師生活にも支障をきたしかねない。
「やっぱり年上が好きなんですか?」
「う〜ん、今は同い年とか一歳上とか良いかなぁと思ってるんだ。」
「へ?」
二人の背筋がキュンと伸びる。

「なんつうの?俺って守ってあげたいとか思うタイプじゃないんだわ」
彼は照れくさそうに鼻を掻く

(とりあえず白石先生は消えた)
「ところで緋山次の右で高速から降りるよ。」
そんな話をしていると、いつの間にやら目的地へと到着した。

164冴島×藤川×緋山:2008/08/25(月) 19:49:38 ID:/ZfD8jhZ
「で部屋割りなんだけどどうする?3部屋あるみたいだから…」
チェックインの手続きを藤川先生がしにいっている間に、部屋割りの相談である。
「俺は婆ちゃんと一緒にいるよ。あとは任せるよ。」
藍沢先生は車椅子を押しながら後ろを振り返る。

「女性陣はどうしましょう?」
「そもそも3部屋っていうのはどういう考えなのかしら?」
緋山先生と私は顔を見合わせる。
冷静に考えれば少なくて二部屋、多くて4部屋無いとおかしい筈なのである。
私は両手を上げ「さぁ?」と付け加えた。

「藤川先生咳してましたし、私一緒の部屋の方がいいでしょうか?」
「いやいや看護師じゃ、いざって時に挿管できないからここは私が責任を持って」
「いざって時が来ないようにするのも、看護師の腕の見せ所なんですよ。」
「でも看護師じゃ診断できないわよね?」
「ええまぁ、それはそうですけどね。」
緋山先生も一歩も引くきわないようである。
『だったら公平にじゃんけんにすれば?』
藍沢先生が珍しく機嫌よさそうに提案する。

「一応聞いておくけど、アンタ身を引く際無いわけよね?」
「身を引くってどういう意味ですか?
 そういう緋山先生こそ外資系とかそういうのが好きなんでしょ?」
「アンタねぇ、合コンとか誘われないからわかんないでしょうけど、あれはあ・そ・びなの」
結局のところ、私と彼女の考えていることは同じのようである。
彼女も藤川先生に気があるようである。
どうやら本人はまだあまり自覚はしてないようではあるが…
165冴島×藤川×緋山:2008/08/25(月) 20:40:12 ID:/ZfD8jhZ
「おーい、何やってるんだ?」
手続きを終えた藤川先生が戻ってくる。
「女性陣は二部屋に別れるけど、繋がってる部屋だから行き来は出来るし、
 障子を外せば一部屋になるから。」
「藍沢はお婆ちゃんと二人でいいよな?孝行しろよ〜」

「お前(アンタ)(藤川君)はどうするんだ?(どうすんの?)(野宿するの?)」
三人の声がハモルが私は出遅れてしまう。

「あ・俺?寝るときくらいは実家に帰ろうかなぁと。
 飯とか花火大会とかはちゃんとこっちでするよ。
 温泉は泊まってなくても入れるしな」
彼は何を今更と言った顔で答えた。

「そうならそうと先に行っときなさいよ!」
「え?この前の夜勤のときに緋山には言ったぞ!」
「そういう重要なことは、昼間昼ご飯食べてるときとか、
 エレベーターの中とか私の聡明な頭が冴えてるときに言いなさいよ!」
「だいたい3部屋しか取ってない時点でわかるだろ。
 どうして俺がそんなことすると思うんだ?」

「このやりとり、たまに夫婦喧嘩に見えるんだよな…」
藍沢先生はボソリとつぶやく。

フロントにいる他の観光客もこちらを見ている。
「あのお二人とも?お婆ちゃんもお疲れでしょうし、部屋に入りませんか?」
「藤川君は部屋を一部屋にするの手伝ってよ!」

白石先生も周りの視線に居たたまれなくなったようである。

扉には青の間・赤の間・黒の間と書かれている。

「じゃ、俺は黒の間にするよ。
 車椅子から上手くおろせると良いんだけどな。」

「私達も先に荷物置いちゃいましょうか。」
「じゃぁ、ボーイさん、部屋入れちゃってもらえますか?」
緋山先生はからかうように藤川先生の方を見る。
こういう自然なやり取りができるのは、やはり気の置けない関係なのだろうか。
166冴島×藤川×緋山:2008/08/25(月) 20:56:24 ID:/ZfD8jhZ
久しぶりの更新です。
月末なので仕事が忙しくて…

次回は藤川家訪問予定。
167名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 01:16:39 ID:pp8dvDq3
( ・∀・)つ〃∩モエーさん、>>166さん、投下ありがとうございます。
( ・∀・)つ〃∩モエーさんは登場人物の心理描写とか文の書き方が本当に上手くて脱帽です。
世界感が素敵で、すっかりファンになっちまいました!
次の作品も楽しみにしてます!

それから>>166さん、恋する女の緋山・冴島が見れるのはこの作品だけなので、非常に楽しみにしています。
オリジナルの、原作にないやり取りが見れたり、藤川家もwktkしながら待ってます。
私は藤×冴の物語を書いているのですが、原作よりキツい女の冴島になりそうなので
話は全く別モノだと思って許して下さい。
木曜日に投下するつもりだったのに中途半端なままスレに来れなかったこと、スイマセンでした。
168冴島×藤川×緋山:2008/08/26(火) 21:13:38 ID:CAFFjUcl
「お…大きな家ね。」
「そうか?ここら辺は田舎だから、どこもこんなもんだぜ?緋山の実家程じゃないだろ?」
「何で見てきたように語ってるのよ。こんなに横に広くはないわよ。」
「アンタんちはどうなのよ?」
「ウチは五人家族でしたから、まぁ人並みの広さよりちょっと広いくらいです…」
私はもう一度「藤川」と筆で書かれたいかにも表札を見ながら答える。
「何か日本映画で悪商人が住んでそうなお屋敷だね。あ…庭に池がある。」
白石先生は何故か少しはしゃいでいる。
藍沢先生を除いた私達は藤川先生の実家に旅行のお礼と、夕食の材料を貰いに来たのである。
「頼むから何も余計な事言わないでくれよ。特に緋山。思わずポロっと言うなよ。」
「わかってるわよ。しつこいわねぇ〜。しつこい男って最っ低」
そもそも藤川先生のお母さんとは、既に一度会っていて嘘はもうばれているのだが…
そうとは知らない彼は車の中で何度も念を押していた。
特に緋山先生は重点的に確認され、模擬回答までさせられていたのは見ていて笑うしかなかった。

「ただいま〜」
「おかえり〜」
「藤川先生にはいつもお世話になってます。はじめまして…冴島と申します。」
「貴方が冴島さん…息子の手紙にいつも貴方には良くしてもらってるって、患者さんからのお礼も僕だけにくれるって…」
静子さんは私の手をギュッと握り締めると私の目をジッと見つめる。
このデジャブなようなやりとりは、白石先生と緋山先生にも行われた。
ちなみには手紙には白石先生はよく勉強を教えあっているとか、
緋山先生は話が合うんだとか書いてあったらしい。
「これ藍沢から。お婆ちゃん連れて行くのは忍びないってさ。」
藤川先生は藍沢先生から預かったお土産の袋を床に置いた。
169冴島×藤川×緋山:2008/08/26(火) 22:23:34 ID:CAFFjUcl
「ところでさっきから妙に視線を感じるんですけど?」
「アンタも感じてた?私もなのよ。何か見定めるような。」
私と緋山先生がヒソヒソと話していると白石先生が嬉しそうに指をさす。
「見てみて鯉がいるよ!」
「白石さんは初めて鯉見るんですか?」
「いえ、あの鯉はあるんですけど、
 家に池があってこんなに一杯鯉を飼ってらっしゃるのはじめて見たもので」
白石先生は恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「素敵なお庭ですね。」
「私が嫁にきたときは、殆ど何にも無かったから畑仕事無いときに植えてみたんです。」
「私も患者さんの病室に花を置いたりするので、お花は大好きなんです。」
緋山先生も何か褒めようとキョロキョロしているが、どこをどう褒めていいのか分からない様子だ。

「ちょっと先行っててくれよ。俺は線香あげてくるから」
「線香は吹き消すんじゃないよ。」

お母さんか。看護学校の受験を決めたときから口も利いていないので、何となく懐かしい。

「あの子が花火大会に行くから、浴衣を探しといてくれって言ってたんだけど、
 ちょうどいいサイズあるかしら。」
静子さんはタンスから浴衣を取り出すとハンガーにかけた。
「ずんぐりしたの二つと、ちんちくりんの一つって手紙にあったから探してはおいたんだけど。」

「え?浴衣あるんですか?嬉しいです。一度着てみたかったんです。」
緋山先生は洋服などにもこだわりが強いので嬉しそうである。
かくいう私も浴衣は初体験。
成人式の振袖くらいしか和服は着た記憶はない。
にしても藤川先生は
緋山先生にわざわざピッタリのサイズを指定しているところは流石である。
ちんちくりんという表現はどうかと思うが…。
帰りの車の中はひと騒動ありそうである。

「さっきは冴島さん…はじめましてって言ってくれてありがとね。私も忘れてたのよ。」
静子さんは先程と同じように私の手をギュッと握る。
「い・いえ…あの…その…」
私は思わず照れる。
(静子さんの手って温かいなぁ)

「な〜に話してるんだ?」
取り合っている手を見ながら、突然藤川先生が尋ねる。
「うわぁ、ビックリした。女同士の話ですよ。ちゃんとお祈りしましたか?」
「何かお袋みたいな喋り方だなぁ…。そこの二人も行くよ。」
鏡の前では二人が浴衣を合わせている。
「なんか娘が出来たみたいだわ。」
静子さんは何だか嬉しそうである。
170冴島×藤川×緋山:2008/08/26(火) 22:42:54 ID:CAFFjUcl
「こら押すな!」
そのときドカっという音と共に襖が倒れた。
「え?」
「お前等何やってんだ?」
襖の奥には大人や子供が何人もいる。

「いやぁ、静子さんが一男がえらいべっぴんな嫁さん連れてくるっていうもんだから」
「はぁぁ?」
緋山先生の顔が一瞬引きつったのを私は見逃さなかった。
「いやぁ、俺はそんな手紙に書いてないぞ?」
藤川先生の様子からどうやらそれは本当のようだ。
「まぁ良いじゃないか。そんなもんだ。」
「納得いかねぇ〜。どうりで旅館でも注目を集めるわけだ。」
私達が観光客だと思っていたのは地元住民が、
地元の期待の星である彼の恋人は誰か見ていたのである。

「たく勘違いするなよ。タダの職場の同僚だよ。」
藤川先生は申し訳なさそうに私を見る。
さっきまでの静子さんへの強気な態度(いつもがいつもなだけに)は消えうせ
その様子はシニアドクターにエレベーターで鉢合わせたときの様である。
「そういえば、三人もお嬢さんいるなかで、誰が好きなんだ?」
ふいには静子さんは、藤川先生に尋ねる。
「あのなぁ。お袋、手紙にも書いたろ。
 白石と冴島さんは大学教授のお嬢様だぞ。緋山だってお医者さんのお嬢さん。住む世界が違うの」
「なんだ〜そうなのか。つまんねぇの」
ギャラリーは拍子抜けと言わんばかりに去っていった。

「ごめんなさいね、変なことになっちゃって…」
静子さんはすまなさそうに謝る。
「お気になさらないで下さい。
 私の兄のときもそうですけど、長男だとどこもそうですよ。」
まぁウチの場合は特にこんな大騒ぎにはならなかったけど…。
「冴島さん…お兄さんいるんだ?」
なんだ。目が一瞬光ったような。

「じゃさっさと畑で野菜とか調達して帰ろうぜ。藍沢も待ってるしな」
「夕飯はどうするんだい?」
「いやぁ、みんなでキャンプみたいにしてみる予定なんだ。
 タダなのに飯までご馳走になるのも悪いしなぁ。緋山が料理得意らしいんだよ。」
「う…うん…。道具あればだけどね。」
「緋山さんはお料理が得意なのね。」
「えぇぇまぁ…」
「遠慮せず必要なものは持ってっておくれ。
 どうせ近所だからいつでも取りにいけるから。」
「はぁぁぁ、ありがとうございます。」
緋山先生は変な汗をかいている。
171冴島×藤川×緋山:2008/08/26(火) 23:07:56 ID:CAFFjUcl
結局、一通りの野菜と米を頂戴しトランクに詰め込む。
「またいつでもいらっしゃい。」
見送る静子さんに手を振り、一同旅館へと車を走らせる。

「さぁ説明してもらいましょうか?」
緋山先生が運転席のシートを蹴る。
やっぱり始まってしまったようだ。
白石先生はまだ振り返っている。そんなに鯉が気に入ったのだろうか。
「痛いなぁ、なんだよ。説明って?」
「ちんちくりんって何よ?どういう意味よ?」
ああ…まずはそこからなんですね。
「誰も緋山の事ととは言ってないじゃないか。」
「よく言うわよぉ。100人居たら99人が私のことだと思うわよ。」
「残りの1人ってもしかして…」
「私よ。何か文句ある?女はスタイルじゃないのよ…」
どこからその自信が沸いてくるのか…私にはよくわからない。
藤川先生も何か言いたそうだが、経験上火に油なのが分かっているのだろうか
(火にニトログリセリンか?)

「まぁスタイルのことはいいわ、それしか取り得が無い人も居るわけだし、
 完璧なのもつまらないしね。ねぇ冴島さん?」
「何で私なのかしら?流石料理が得意だと言葉が違いますね。
 私だってこれでも料理くらい出来るんですよ?」
二人とも被っていた猫は完全に脱ぎさってしまったようである。
「じゃぁこうしましょう。私と緋山先生で料理対決しましょう。」
「え?良いわよ。良いけど…力作になる予定だから、藤川にも手伝ってもらって良いかしら?」
(あら?珍しい。いつもならここで白石先生の名前を挙げるはずなのに…)
彼女も彼女なりに考えているということなのだろうか。それともただの思いつきか

「わかりました。じゃぁ私は白石先生とペアーです。」
私が白石先生をジッと見つめる。
「が・頑張りまーす」
白石先生が小声で酒つぶやく。
「せっかくの旅行なんだし、仲良くしようよなぁ」
藤川先生のトホホという声が聞こえる。
172冴島×藤川×緋山:2008/08/26(火) 23:14:45 ID:CAFFjUcl
次回は調理風景などを交えつつ、少し展開をしてみようかなと。
今まで×緋山の部分が冴島一人称なんで弱かったので、少し協調してみようかと。
まぁ需要なさそうですが頑張ります。

>>167
お互い頑張りましょう。
こちらは完全にパラレルになってますんで。
173冴島×藤川×緋山:2008/08/26(火) 23:16:16 ID:CAFFjUcl
強調だ。
疲れてるな。おやすみなさい
174冴島×藤川×緋山:2008/08/27(水) 20:48:47 ID:xURmNtop
「緋山先生はどうして藤川先生とペアーになったんでしょうか?」
私が丁寧に野菜を洗っている白石先生に尋ねる。
「ええっとですね。あのですね。」
「白石先生普通に喋ってもらえませんか?」
「すみません。」
「同い年なんですからこういうときくらい、敬語は無しにしませんか?」
白石先生の肩がビクッと震える。
嗚呼・・・藤川先生の言っていた通りだ。
あの手術室での会話がトラウマになっているようだ。
会話が弾まない。
仕事とプライベートの区別くらいは付けてもいいと思うのだが、融通が利かないというか。
「白石先生?ところで何の料理作るんですか?」
「え?冴島さん料理できるって…」
「看護学校で介護食とか病気の人に作る食事は習ったんですけどね。
 藤川先生の前だったんで嘘ついちゃいました。」
野菜を切る白石先生の手がピタッと止まる。
「藤川君の前だから?どういう意味?」
「そういう意味ですけど?」
白石先生の手はまだ止まっている。
「やっぱり冴島さんも藤川君のこと好きなの?」
ほぉ普段は鈍いのに、こういうときには敏感なようである。
「私もってことは、白石先生も好きなんですか?」
正直私としてはノーマークだった。
「わ・私は違うよ。そんなんじゃないの」
白石先生は顔を真っ赤にして否定した。
175冴島×藤川×緋山:2008/08/27(水) 21:15:42 ID:xURmNtop
「じゃぁ、誰か他に好きな人でもいるんですか?」
「え?私はそういうんじゃないけど、とある知り合いがそうみたいなんだよね。」
(なんだ。そういうことか)
「知り合いねぇ〜」
私が目を細めると白石先生が慌てて目をそらす。
「え・・・ええ。知り合いよ。」
「白石先生の知り合いって緋山先生くらいしかいないでしょ?」
パカっという音と共に大根が真っ二つに切れる。
「例えそうでも私は言わないよ。親友だもの。」
ここまで言ってしまうともう言ったも同然なのだが、
彼女としては親友の秘密を守ったことになっているようである。
私は皿を拭きながらさらに尋ねる。
「その親友のために情報収集とはお優しいんですね。まぁ私も何も言いませんけど。」
「そんなんじゃないよ、私は親友の味方だけど出し抜いたりとか、騙したりとか好きじゃないし。」
空気は読めても相変わらずの正論尽くしである。
「冴島さんも約束してくれない?
 相手を傷つけたり足の引っ張りあいじゃなくて、正々堂々と藤川君にアタックするって」
「何で私が白石先生とそんな約束しなければならないんでしょうか?」
水道の蛇口に付けたボールからは水があふれている。

「友達だから…冴島さんも…私にとっては大切な。そういうの見たくないって言うか…」
「私がいつ白石先生と友達になったんですか?」
「ごめんなさい。でも友達じゃなかったら職場の仲間って言うか…その…」
白石の足はプルプルと震えている。
私に背を向けてはいるが顔はだいたい想像できる。
「職場恋愛はチームワークを乱すとおっしゃりたいわけですか?」
「ううん。全然。そんなこと思ってないよ。私達年頃だもん、恋くらいするよ。」
白石先生の震えが止まる。
「先生って本当に綺麗ごとが好きですね。」
私は手を上げるとフっとため息をついた。
176冴島×藤川×緋山:2008/08/27(水) 22:01:54 ID:xURmNtop
一方その頃

「緋山…米は洗剤で洗うな。野菜を切る前に包丁を洗え」
「何よ!洗えって言ったり洗うなって言ったり、男ならハッキリしなさいよ!」
まぁ見ててと格好をつけたは良いが…。
如何せん料理をした事が無いわけだから、何をどうしたら良いのかサッパリわからない。
私の中で何かがプチっと切れた。
「そんなに言うならアンタやってみなさいよ!」
「貸してみろ。よく見てろ。」
彼は私の手からボールを取ると慣れた手つきで米を研ぎ始めた。
「米って言うのはこうやって研ぐんだよ。緋山もこれくらいできないと将来困るぞ?」
「ごめん…」
私が思わず呟く。
「ど・どうしたんだよ。今日はやけに素直だな。」
「ごめん…実は私…」
「料理なんてしたことないんだろ?冴島と張り合ってて引っ込みつかなくなったんだろ?」
彼はクスクス笑いながらザルで水をしっかり切った。
「う…うん…。嘘ついてごめん。」
冴島と張り合ったのも事実だし、
引っ込みが付かなくなったのも事実だが、彼にはその理由までは分かっていないようである。
「安心しろって内緒にしておいてやるから。ちゃんと見て覚えておけよ。」
「ありがとう。」
私は彼の肩に手を乗せ爪先立ちして手元を見せてもらう事にした。
「将来結婚して子供が出来てもこれじゃ心配だな。」
「それにしても、アンタ慣れてるね。本当に自炊してないの?」
「これでも農家の長男だから忙しいときは俺が夕飯作ったりしてたし。」
思えば両親とも勤務医だったのに、私が自分で料理作ったことなど無かった。

「ねぇ、私もやってみて良い?横で見ててよ。」
私が彼の肩を揺すると、バランスが崩れたので慌てて胸に腕を巻きつける。
「台所は危ないから気をつけろよ」
不意に彼の顔が私の鼻先1cmのところに現れる。
「う・うん」
私は頬が赤くなるのを隠しきれない。
「別に料理出来ないのは恥ずかしいことじゃないし、そんなに気にするな。」
彼は私の赤面の理由を勘違いしているらしい。
177冴島×藤川×緋山:2008/08/27(水) 22:22:21 ID:xURmNtop
「こ・こんな感じかしら?」
「そうそう、そんな感じ」
こんなに自然に彼と話せると思わなかった。
いつもは何故かお互い見栄を張ってしまうのが嘘のようである。
「慣れると簡単ね、今度お弁当作って来てあげようか?」
気を良くした私は思わずこんな提案をしてしまった。
「お弁当ってもしかして、おにぎりのこと言ってないか?」
「え?…」
(何か変なこと言ったかしら?)
自分の発言を振り返ってみてもわからない。
「楽しみにしてるよ。お弁当!」
「う・うん。期待してるよ。」
「どっちが早いかな?」
「え?」
「俺がヘリに乗るのと、お前が弁当作ってくるの。」
彼がポツリと呟く。
(やっぱり気にしてたんだ。)
普段は明るそうにしているが、実はとても繊細なのだ。
「梶さんにも言われたんでしょ?アンタは亀だって。」
「だけどさぁ…」
思わず彼をギュッと抱きしめる。
「一緒に頑張ろう。今は恵や藍沢に遅れをとってるけど…大丈夫…だから頑張ろう…」
「緋山痛い痛い」
思わず抱きしめる力が強くなる。
「ご・ごめん」
「気・気を取り直して魚を捌こうぜ。」
178冴島×藤川×緋山:2008/08/27(水) 22:49:28 ID:xURmNtop
「そ・そうね…。オペは大好きなの任せて。」
「お・おう。」
思わずお互いに顔をそらす。

「アンタ機械出ししてよ。」
「あ・ああ…」
米でさえ洗ったことがない私が魚なんて捌けるわけがない。
それはお互い分かっている。
でも黙ってしまうと今は心臓が飛び出そうなのである。

「バイタルと脈拍は?」
「バイタル121と脈拍90です。」
「これより、魚解体を行う。」
「よろしくお願いします。」
「メス。ガーゼ。ハサミ。ピンセット。開胸器」
とりあえず思いつくだけの手術器具の名前を挙げる。




「あははは・・・」
二人が同時に笑い出す。
「なんだよ、魚の解体って」
彼がお腹を押さえて笑う。
「い・良いじゃない。雰囲気出したかったのよ。」
「にしてもさぁ…ハハハ」
彼はまだ笑いを引きずっている。
「アンタはいつもそうやって笑ってて欲しいのよ。
 しけた顔する男は藍沢一人で充分なのよ。」
「どういう意味だよ。」
「そういう意味よ。ところでさぁ、今更なんだけどさぁ。」
「なんだよ?」
「せっかく病院以外のところでこうしてるんだからさぁ…。
 美帆子って呼んでくれない?」
「お前もかよ!今日はいったいどうしたんだよ?」
「私も一男って呼ぶからね。」
「そういうことは、外資系の男にでも頼むんだな。」
彼はプイっとソッポを向いてしまった。
「そんなこと頼むわけ無いじゃん。
 私は特別な人じゃきゃ、名前でなんて呼ばせないわよ。」
私が腕組みをして洗面台にもたれ掛かる。
「本当かよ・〜」
彼が再び私の方を見る。
「じゃ呼んでみて。美帆子って呼んで。練習してみよ。」
「わかったよ。今だけだからな。病院帰ったら戻すからな。料理に戻るぞ。美帆子」
彼は照れくさそうに私の名前を呼んでくれた。
例え旅行の間だけでも良い。
一時でも彼と近い関係でありたい。
今ようやくわかった。恵の言うとおり私は藤川の事が好きだ。
179冴島×藤川×緋山:2008/08/27(水) 22:50:33 ID:xURmNtop
今日はココまで
さぁ、いよいよ△関係突入か?
次回は温泉です。
ポロリは…
180名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 00:01:22 ID:83JUE97T
藤川が羨ましすぎるw
181( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/28(木) 09:58:30 ID:mazUUDRh
こんだけモテるなんて藤川は一生分の運、使いそうだw
がんばれ〜冴島さーんっ!
182名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 21:39:35 ID:jJr0WUi0
冴島はどんだけ鈍いんだ
183冴島×藤川×緋山:2008/08/28(木) 21:55:05 ID:8jOOYR9T
「いよいよ、温泉ですね。」
食事を終えた私達は一度温泉に入ることにした。
「わぁ、広〜い。男湯もこんなのかなぁ?」
「明日は男湯とチェンジするよ。」
更衣室には私達以外の姿はなく、どうやら貸しきり状態のようだ。
「早い時間に来て良かったですね。」
私はタオルを巻くと大浴場のドアを開けた。
「お二人も早く来てくださいね。」
体を簡単に流すと、さっさと湯船に入る。
(それにしても、緋山先生本当に料理出来たのね。)
私としてはまた嘘をついていて、藤川先生から失望されるというのを狙っていたのだが…
しかも何故か名前で呼び合うようになっているし…。
鼻先まで湯船に浸かりながら外の夕焼けを眺める。
(これも日ごろの行いかしら?)
「冴島さん?溺れてないよね?」
後から来た緋山先生と白石先生も湯船に入る。
ブクブク…ブクブク…
空気の泡が水面に浮かぶ。
「この温泉飲んで大丈夫なの?」
緋山先生は効能に興味があるようだ。
「●腰痛・神経痛・リウマチ●やけど・外傷●皮膚病・アトピー・痔病●シミ・ソバカス・美肌
●打ち身・骨折・交通事故後遺症●ストレス解消・病後の回復●貧血●婦人病・不妊症だって」
白石先生が効能読み上げる。
生活が不規則なせいで肌が荒れやすかったり、ストレスが溜まりやすい私としては嬉しい効能だ。

「ところで私にアンタに言っておくことが出来たんだ。」
緋山先生は私の視界にフッと現れた。
「なんですか?」
私は水面に顔を浮かべると睨み付ける彼女を睨み返す。
「さっき一緒に料理してて分かったんだけど、私は藤川の好きなんだ。」
(ようやく自分の気持ちに気づいたのか。バレバレだったのに。)

「そうなんですか。それを何で私に言うんですか?」
出来るだけ冷静をよそおう。
「アンタも藤川好きなんでしょ?」
一体あの短い時間で何が彼女をこんなに変えてしまったのだろうか?
恐らくそれを永遠に知る機会は私にはこない。
「もし私の見込み違いなら邪魔しないで。」
私が黙っていると彼女はさらに続ける。
「もし私と同じ感情を彼に抱いてるんなら…」
「なら?どうするんですか?このまま温泉に沈めますか?」
取り繕うように笑みを浮かべた。
184冴島×藤川×緋山:2008/08/28(木) 22:04:27 ID:8jOOYR9T
「そんなことしないわよ。彼が悲しむもの。」
「悲しみますかね?小うるさいの居なくって清々するんじゃないですか?」
心にも無い様なことをつぶやく。
「とりあえず、私が言いたいのは…」
「何ですか?夕焼けを見て和みたいのでさっさと言ってください」
「良いわよ。確かにアンタは今リードしてるわよ。でも私は負けないから。
 フライトドクターも藤川も諦めないから!」
ザババ…
私は思わず湯から立ち上がる。
「欲張りな緋山先生には、二兎を追うもの一兎を得ず。という言葉を教えて差し上げましょう。」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず。とも言うわよね。私はもう逃げない。」
にらみ合う私と彼女…お互い全く視線を逸らさない。
(ここで逸らしたら負けよ。)

(どっちと付き合っても藤川君大変そう…。絶対尻にしかれるな。)
白石は汗をタオルで拭きながらその光景を眺めている。
結局この二人は似たもの同士なのである。
なので自分が一線を越えないようにコントロールしないといけないのは、
行きの車内で藍沢に言われるまでもなく分かっているのだが…
(ここに割って入る勇気はないよ。
 前方の冴島さん、後方の美帆子って感じだもの)

二人の睨み合いはまだ続いている。
「言っておきますが、私だって負けるつもりはありませんからね。」
「お嬢様ナースに世の中の厳しさを教えてあげるわ」
「できるんですか?ヘタレの緋山先生に。」
「そうよ、私はヘタレよ。出来ないことを認めることが出来なかった。」
185冴島×藤川×緋山:2008/08/28(木) 22:06:57 ID:8jOOYR9T
「そんなことしないわよ。彼が悲しむもの。」
「悲しみますかね?小うるさいの居なくって清々するんじゃないですか?」
心にも無い様なことをつぶやく。
「とりあえず、私が言いたいのは…」
「何ですか?夕焼けを見て和みたいのでさっさと言ってください」
「良いわよ。確かにアンタは今リードしてるわよ。でも私は負けないから。
 フライトドクターも藤川も諦めないから!」
ザババ…
私は思わず湯から立ち上がる。
「欲張りな緋山先生には、二兎を追うもの一兎を得ず。という言葉を教えて差し上げましょう。」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず。とも言うわよね。私はもう逃げない。」
にらみ合う私と彼女…お互い全く視線を逸らさない。
(ここで逸らしたら負けよ。)

(どっちと付き合っても藤川君大変そう…。絶対尻にしかれるな。)
白石は汗をタオルで拭きながらその光景を眺めている。
結局この二人は似たもの同士なのである。
なので自分が一線を越えないようにコントロールしないといけないのは、
行きの車内で藍沢に言われるまでもなく分かっているのだが…
(ここに割って入る勇気はないよ。
 前方の冴島さん、後方の美帆子って感じだもの)

二人の睨み合いはまだ続いている。
「言っておきますが、私だって負けるつもりはありませんからね。」
「お嬢様ナースに世の中の厳しさを教えてあげるわ」
「できるんですか?ヘタレの緋山先生に。」
「そうよ、私はヘタレよ。出来ないことを認めることが出来なかった。」
「お酒でも飲んでるんですか?飲酒後の温泉は危ないですよ?」
「茶化さないで。とにかく私は負けないから」
186冴島×藤川×緋山:2008/08/28(木) 22:07:27 ID:8jOOYR9T
今日はココまで
雰囲気出てきたかなぁ
187名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:48:21 ID:ZlswC6AP
今日の白石と藍沢最高!!
188名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:55:19 ID:x5YJ+gTZ
先生、名器って何ですか?
189名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 01:32:59 ID:vPQ/RXqQ
今日の回を踏まえてまた、藍沢×白石で書いて欲しい。
お互い黒田先生絡みで心に傷を負いながら何とか前向きに生きる藍沢白石で…

エロの有り無しはどちらでも良いから、いつもの藍沢専門の職人様、お願いしまっする!
190名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 01:41:15 ID:svqpIsCB
「名器とは何か、って・・?知りたい・・?ふふっ、ワタシが教えてあげるわ、このカラダで・・!」



by メリージェーン洋子
191( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/29(金) 09:20:15 ID:ZaVcxT1S
>>189
え?おいらのことですか?(汗)違う?自意識過剰?(゚Д゚;)

悲壮エロはちょっとムズカシ。。
「エロパロ」ってスレタイですがエロ抜きでもいいのか?

うーん。どっちにしてもちょっと悩んでみます
ミッションこなせなかったらスマソ(´・ω・`)
何せ9話の内容が重くて胃もたれしてるんで…


しかしメリージェーン洋子の名器は人工で
神経はないので自分の意思で締めたり緩めたりできない罠w
192名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 12:50:30 ID:k5kjaOQx
>>191
確かに自意識過剰だと思います。あなた専用のスレじゃない。
胃もたれするくらいなら書いてもらわなくて結構。
誰も昨日の鬱展開でエロなど期待してないし。
昨日の雨のシーンはビックリするほど萌えなかった。
193名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 14:47:11 ID:L5ZM8xZq
>>192
そんなキツイ言い方はないんじゃないの?
牛乳飲んでカルシュウムとれ
194名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 19:37:41 ID:vPQ/RXqQ
>>191さんのことですよ!
個人的にあなたの文体が好きなので頼んでみました。
ゆっくり考えてくださいです。

メリージェーン洋子〜〜!いつからいたんだw

温泉が舞台の連続ドラマの職人様も待ってるよ〜。
藤川に春は来るのか!?
195名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 19:49:10 ID:opHOZfR1
黒田×白石を書いていただける神はおらぬのか…?!
196冴島×藤川×緋山:2008/08/29(金) 21:31:42 ID:DP5j4NL1
「ところで二人はどんな所が好きなの?藤川君の魅力を教えてよ。」
彼女が恐る恐る手を上げる。
(恐る恐るというか泣いてない?)
私と緋山先生は邪魔が入ったこともあり、一気にしらけた。
「温泉で大騒ぎするのもあれですし、今日はこの辺にしておきましょうか。」
「そ・そうね…。恵。もう喧嘩しないから泣かないの。」
「泣いてないもん。ちょっと二人の般若みたいな顔が怖かっただけだもん。」
「誰が般若ですって?」
私が悪ふざけで彼女の顔を湯船に押し込む。
「そ・そういうところよ。もう美帆子どこ触ってんのよ。いやらしい」
「ちょっとまた大きくなったんじゃない?羨ましい。」
緋山先生は胸の感触を確かめている。
「あんまり意地悪すると藤川君に言いつけるからね。」
彼女は胸を両手で押さえながら私達を見る。
もしかしてちょっと怒ってるのだろうか。
「せっかく旅行に来てるんだから、仲良くしなきゃ駄目じゃない。」
「何で私が…」
お互いの顔を指差す。
「あんまり騒いでると男湯に聞こえても知らないからね。」
彼女は湯から上がると、さっさと出て行ってしまった。
197冴島×藤川×緋山:2008/08/29(金) 21:32:24 ID:DP5j4NL1
雷でデータ飛んだんで、明日また更新します。
花火大会までいけるといいな
198名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 21:59:04 ID:qC2XBAoH
191さん頑張って書いて下さい
199( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/08/29(金) 22:07:39 ID:ZaVcxT1S
>>194 >>198
やっぱ今回の話を踏まえた内容は重いし難しいです…(´Д⊂
黒田事件を違うシチュに置き換えてもいいでしょうか?
何か失敗したとかで。
それならなんとか、できるかもしれない。
ヘタレでスマソ

>>192
柄にもなく熱くなってるじゃない by緋山
200名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 22:26:02 ID:wt82591w
タイミングとして一番書きづらい時期ではあるな
無理しなくていいよ
201名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 23:04:02 ID:bluYoSp0
>>195
全然神じゃないですけどあたしの書いたやつでよければ後で投下します
 
黒田×白石というよりは黒田→白石って感じですけど...
エロなしです
202名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 23:17:58 ID:Re4KMZc8
>>195じゃないけど黒田×白石見たいです
203195:2008/08/29(金) 23:57:21 ID:opHOZfR1
>> 201
神!読みたいです!お願いします!
204黒田×白石@:2008/08/29(金) 23:57:24 ID:bluYoSp0
>>201
投下します
最初の予定とちょっと変えてしまったので微エロです
 
どたどたどた...。
今日も忙しい医局内を医師、看護師が走り回る。
その中の一人に外科のエース、黒田もいた。
その表情はいつにも増して不機嫌だ(と言っても、彼は常に不機嫌な顔のため、誰も気付いていないが)。
その原因は、先程はからずして見てしまった光景である。
先程、スタッフルームに帰ろうとして待合室のカドを曲がった所で、なんと同期の西条とフェローの白石が抱き合っていたのだ。
二人は黒田には気付かずにすぐ離れたが、その光景はしっかり目に焼き付いてしまった。
西条は独身だし、何の問題もないことなのだが、黒田にとってはなんか面白くない。

―――全く、あいつらには命の現場にいるという自覚はないのか!?

暫くの間ずっと不機嫌だったが、ふとあの光景を思い出してみると、妙に寂しい様な、胸が痛い様な感覚を覚えた。

......きっと、西条も結婚するかと思うと頭に来ただけだろう。

と、無理矢理自分自身を納得させ、オペに備えることにした。
205黒田×白石A:2008/08/30(土) 00:08:47 ID:x7Rr+bRb
そして、夜。

今日の当直はよりにもよって白石と二人だった。ボードを見たとき一瞬ドキッとしてしまったが、西条との関係はどうであれ、自分にとってはただのフェローだと自分に言い聞かせてなんとかここまでこじつけた。

そして、今。
部屋には黒田が一人きりだ。
白石はどこかに行ってしまっている。

...コーヒーでも飲むか。

と思い立ち、机から離れたその時、

ドンドン、ダンッ!
キャー!!

何か派手な音と悲鳴が聞こえた。
あの声は......

「白石っ!!どうした!?」

慌てて声のした方に向かうと、そこは備品置場だった。
そして、ドアを開けると、段ボールの山に埋もれた白石がいた。
206黒田×白石B:2008/08/30(土) 00:23:30 ID:x7Rr+bRb
「...何をしている?」

黒田の声に白石は驚いた様に顔を上げ、ばつが悪そうに言う。

「すみませんっ!
包帯がなかったんで取りに来たら、手が引っ掛かってしまって...っ!」

白石が小さく悲鳴を上げる。
よく見ると、左手の指先が少し切れ、血が滲んでいた。
黒田は白石に歩み寄ると屈んだ。

「見せてみろ」

「あ、大丈夫です」

その言葉を無視し、左手を取る。
その手は思った以上に細く、白かった。
その頼りない手の先だけ赤く染まっている。

突如、黒田は日中の光景を思い出した。

―――あの時、この手が求めていたものは...?

―――あの時、この手に触れていたものは...?

黒田は白石の赤く染まった指先をおもむろに自らの口に含んだ。
207名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 00:25:29 ID:x7Rr+bRb
すみません
続きは明日書きます
お目汚しですみません...
208名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 00:41:10 ID:xPat/CkS
199さんそれでもかまいません
209名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 00:55:32 ID:liFQXolO
おっ、いいね
210名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 08:37:03 ID:mTJLjCcg
なんだこの萌え展開!
続きにwktk
211名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 17:55:26 ID:szMAaIzb
>>201
素敵!まさか西条先生が現れるとは…
黒田先生格好良いし白石も可愛い!
212黒田×白石C:2008/08/30(土) 19:16:09 ID:x7Rr+bRb
>>206
続きです


「っ!黒田先生っ!?」

白石はまさにびっくり仰天で反射的に手を引っ込めようとする。
が、黒田はそれを許さない様に手首を掴み、ねっとりと舌を絡め、その細い指先を味わう様にゆっくりと飲み込んでいった。

「あ、ちょ、先生、止めて下さいっ」

と言う白石の訴えに、名残惜しげに舌を絡めながらぴちゃ、と口から出した。
そのまま黒田は、その左手を自分の右手で愛おしそうに包み込む。
そして、もう片方の手を白石の頭に持っていき、ぐい、と自分に引き寄せた。
その耳元に自分の口を寄せる。

「今日、西条と抱き合ってただろ」

「え?そんなこと......」

「俺は見てたんだよ」

そのまま耳を甘噛みする。
213黒田×白石D:2008/08/30(土) 19:17:35 ID:x7Rr+bRb
「ぁ、違ぅんです。あれは......」

白石は涙を浮かべて首を横に振る。
そんな様子を見て、黒田は激情にかられた。
別に何という理由もない。

―――ただ、白石の手が選んだ者が自分ではなく、年齢も医師として腕も同じな西条であることに、無性に腹が立った。

黒田はきっちり結われている白石の髪をほどく。

パサ......

と、髪の解き放たれる音とともに、黒田は白石の唇を塞いだ。

「ん!ぁ!?」

白石は一生懸命抵抗するが、黒田の舌は無理矢理その唇をわり、夢中で口内を犯しはじめる。
やがて、その歯列すらもわり、白石の舌を絡め取った。

「んんっ!んっ」

白石は黒田に捕らえられていない方の手で黒田の胸を弱々しく叩いて抵抗していたが、次第に甘い吐息混ざりはじめた。
214黒田×白石E:2008/08/30(土) 19:18:46 ID:x7Rr+bRb
黒田もそれに気付くと、ゆっくりと唇を離した。
名残を惜しむかの様に二人の唇から銀糸が伸び、やがてそれすらもプツッと切れた。
それを合図に、黒田は我慢の限界という感じで白石を床に押し倒す。
そのまま首筋に舌を這わせ、服に手をかけると、また白石が弱々しく抵抗してきた。

「ぁ、くろだ、せんせぇ、だめ、ですっ!人が...」

「西条は帰った」

黒田はぶっきらぼうに言った。
やはり、白石が選んだのは自分ではなく西条であるという事実を突き付けられ、胸が痛む。
それを振り払う様に白石の唇を自分の唇で塞ぎ、言葉を奪った。
そのまま着衣を奪い、下着すらも奪い取る。
その身体には、暫く抱いてもらっていないのか、西条の所有印はどこにもなかった。
それをいいことに、自らの着衣も取り去ると、白石の体温を肌で感じながら、首筋や鎖骨に舌を這わせ、至る所に自らの赤い印を残す。

「あ、せんせぇっ!ぁっ」

そのふくよかな片方の胸の先に舌を這わせ、もう片方を指で弄ると白石の身体が跳ねた。
そして、左手の指を遠慮がちに黒田の右手に絡めてきた。
その行動に少し驚き、しかし、確かに悦んでいる自分がいた。
やがて、右手はしっかりと白石の指を絡め、そして左手は白石の秘部へと持っていった。
215黒田×白石F:2008/08/30(土) 19:19:53 ID:x7Rr+bRb
無理矢理されていようが、身体は正直で、白石の秘部はもうしっとりと濡れていた。
まず、敏感になっているトコロを指で愛撫すると、好さそうに身体をガクガクと痙攣させ、その唇から嬌声を漏らした。

「淫乱だな。無理矢理されているのに」

わざと耳元で意地悪に囁くと、白石は目をふせ、だって...と呟いた。
今だけは、白石に快楽を与え、白石を支配しているのは西条ではなく自分だという悦びが胸を満たす。
そのまま、白石のナカへ指を挿れた。
少し動かし、白石が好さそうに声を上げるのを確認してから、もう一本増やしてナカを掻き回す。
その指に合わせて白石の身体もビクンッと震え、声も大きくなっていった。
もう我慢の限界だった黒田は白石から指を抜き、すっかり大きくなっている自身を取り出した。
216黒田×白石G:2008/08/30(土) 19:21:04 ID:x7Rr+bRb
そして、白石のソコへあてがうと、耳元で

「いいか?」

と聞いた。
白石は返事の代わりに黒田の手をぎゅっと握ると、もう片方の腕を黒田の首に回した。
白石の許可をとり、自身をナカへ挿れる。
白石のナカは思っていた以上にキツく、暖かかった。
始めは痛そうな顔をしていた白石も、黒田がある一点を点くと身体をガクガクさせ、嬌声を上げた。

「あ、ぃっ、ぁあっ、くろだ、せんせぇっ、すき、ですっ、あぁっ」

......それは、同情か、気遣いか。

そして、

「ああああああっ!!」

という今までで一番の嬌声の後、白石は一気に脱力して達した。
その締め付けで、黒田もナカに出したいのを我慢して一気に引き抜き、白石のお腹の上に出した。
217黒田×白石H:2008/08/30(土) 19:22:21 ID:x7Rr+bRb
暫く二人は肩で息をしていたが、黒田がふと立ち上がると、白石がひっくり返した段ボールの中からガーゼを取り出し、白石のお腹を拭いた。
そうしてるうちに、先程までは全く感じなかった罪悪感が溢れ出してきた。

―――つまらない中年男の嫉妬で傷つけてしまった。

謝罪のしようもない、と頭を抱えていると、

「あの、」

と白石が遠慮がちに声をかけてきた。
謝罪しなければならないのに

「なんだ?」

という素っ気ない言葉をかけてしまった自分が最高に嫌いだった。
白石は一瞬迷った様な顔をしたが、意を決した様に話しだした。

「あの、私は西条先生とは何の関係もありません。
今日のあれは私がよそ見していてぶつかってしまっただけです。
抱き合ってたわけではありません。
それで、あの......」

一回言葉を切ると伏し目がちに言い切った。

「私、黒田先生のことが...その、...すき、です」

黒田は一瞬、このことが現実だとは信じられなかった。
やがて、黒田は先程とは違い、優しく静かに抱きしめた。
白石もそれに応える様に背中に手を回した。
二人は抱き合い、暫くそのまま動かなかった。
218名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 19:25:20 ID:x7Rr+bRb
以上です
最後中途半端ですみませんでした...
なんか突っ込み所満載ですよね......
お目汚し失礼しました
219名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 22:00:18 ID:mTJLjCcg
GJGJGJ!!!!!!
220名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 01:39:30 ID:K6Qg0iMI
GJ
新鮮でヨイ
221名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 02:44:51 ID:PgCAMuVe
CPが増えてきていい感じですね
この前の緋山の「怪我したのがあんたじゃなくてよかった(うろ覚え)」のセリフきいてから
緋山と白石の百合っぽいのもいいなと思った
222名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 21:28:06 ID:ZikWD1dH
百合スレにあるよな!!!萌え盛りだ!!!
223名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 23:57:04 ID:WGPR+gFg
百合スレってどうやったら見に行けるんですか?
224名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 23:58:17 ID:W2S82Z7Q
>>223
がんばれ
225白石×黒田 1:2008/09/02(火) 16:08:15 ID:G1eT4nfP
「白石!!」

頭上から重たい金属が崩れる悍ましい音と黒田先生の叫び声が聞こえたのは、ほぼ同時だったと思う。
気がついたら私は、雪崩の様に崩れた鉄骨の下敷きになった黒田先生を呆然と見詰めていた。

あの事件から、私の人生は変わってしまった。

「お前等と…出会わなければ良かったな。」
黒田先生の冷たい声が頭の中で何回も再生され、私はたまらず頭を抱えこむ。
「私も…黒田先生に出会わなければ良かった…。」
ポタリ…と、瞳から零れた雫がズボンに染みを作った。
226白石×黒田 2:2008/09/02(火) 16:09:59 ID:G1eT4nfP
白石が黒田と特別な関係になったのは、ちょうど一ヶ月ほど前の事だった。

その日−−

「黒田が倒れた!?」
ワークステーションに藤川の大きな声が響く。
「シッ!藤川、声デカイよ。」
緋山に諭され、藤川は周囲を見回すと緋山に一歩近付く。
「有り得ない、有り得ない。だってあいつ、サイボーグだもん。」
「でもさー、あたし聞いちゃったんだよね。看護士さんが話してるの。
回診中に黒田先生が貧血起こして倒れたって。まあ、すぐに回復したらしいけど。」
「マジかよ。あいつ俺達にはいつも厳しくしてる癖に、大したことねーな。」
ハハハ、と笑う藤川に緋山が呆れた顔で呟く。
「…ま、本人を目の前にしたらアンタもそんなコト言えないと思うけど。」
「え?何か言った?」
緋山の言う事を聞き取れなかった藤川が更に緋山に近付こうとした時
緋山は何かを見付けたらしく廊下を指さした。
「あれ、白石じゃない?」
「あ、ホントだ。……あいつ何やってるんだ??」
227名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 21:36:21 ID:Pd2HpGVy
続きwktk
228名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 10:32:12 ID:hJWfJOYc
(*ノ▽ノ)wktk
プライベートで実は優しい中年の魅力の黒田
229名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 20:13:28 ID:gYzDEPUe
藤川と緋山は実際どうなんだろう?
230白石×黒田 3:2008/09/03(水) 22:00:34 ID:nWGJK8Zi
>>225>>226

二人が見付けたものは、挙動不審に廊下を行ったり来たりする白石の姿だった。
胸に何かを大事そうに抱え、周囲をキョロキョロと見回している。
藤川と緋山が見守る中、白石は「よしっ!」と自分に気合いを入れると廊下の向こうに消えて行った−。

「…なんか今の白石、メチャクチャ怪しくなかった?」
緋山が藤川を見ると、彼も同意した様に頷く。
「ああ。…もしかしてアイツ生理かな?」
「バカッ!そういうのセクハラになるんだからね!」
緋山はバシッ!と音がするくらい強く藤川の腕をひっぱたいた。
「いってーな!良いだろうが、医者なんだから。」
231白石×黒田 4:2008/09/03(水) 22:01:14 ID:nWGJK8Zi
その頃白石は、カンファレンスルームの前に立っていた。
ドキドキ高鳴る胸を押さえ、手の中に抱えたお弁当箱の入った袋を見る。
今度こそ黒田先生が受け取ってくれます様に…。小さく神様にお祈りする。
ノックをして中に入ると、案の定、黒田が患者のレントゲン写真を見ている所だった。
「白石か?」
「…はい。」
黒田は白石の方を振り返らずにため息をついた。
「…また弁当か?」
「はい。先生が倒れられたのは、ちゃんと食べてないのが原因だと聞いて…。」
黒田は僅かに眉間に皺を寄せた。
「そんな事に時間を割いている暇があるんなら、他にやることがあるだろ。」
「でも…!みんな心配してます。私だって凄く心配なんです。
また黒田先生が倒れたらって思うと胸が痛くて…」
その言葉を聞いて、黒田は白石に近寄って行った。
「呆れた奴だな!救急病院のフライトドクターになろうって奴が、未だに学生気分か!?」
ジリジリと壁に追い詰められながらも、白石は必死に反論する。
「違います!私は全力でこの仕事と向き合ってるし、黒田先生の事だって誰よりも尊敬してます…!」

「そうか…」
黒田は白石の背中が壁に当たると足を止めた。
「お前は俺が好きなのか?」
白石は黒田の目を真っ直ぐに見返す。
黒田がこんな事を言うなんて意外だと思ったが、白石は二度とないチャンスだと思い、覚悟を決めた。
「…はい。今、気付きました。私は黒田先生が好きです。」
「俺は…お前が嫌いだ。」
そのまま黒田の顔が近付いてきた。白石は反射的に目を閉じる。
言葉とは裏腹に、優しい優しいキスだった。
232名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 23:46:19 ID:hJWfJOYc
スマソ…黒田にキュン死にしそうになった…
wktkが止まらないYO!!!
233( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 13:57:45 ID:rPYkFpF8
黒田×白石 真っ盛りで、妄想再発。
進行している職人様、カレーの福神漬け扱いで、書かせてもらいます!
エロなしですが。



昨日も医局のソファーで寝て過ごした。
いつもと変わらない朝…病院内の敷地をランニングし
シャワーを浴びた後、HCUの状況を見ようとステーションへ向かう。
待っていたエレベーターがやってきて、ドアが開く瞬間から
中から会話の破片が聞こえた

「――…ら、早く行け…。分かったら教えてくれ」

黒田の声だった。しかし…違和感のある、柔らかな口調…。
自分の指先を見ていた視線を正面に上げる
エレベーターから黒田が出てきた…視線が合う、会釈をした。
黒田はいつも通り、自分の横を素通りしていく。
そしてエレベーターには、白石が驚いた顔でこちらを見ていた

「…おはよ…藍沢先生…」

ぎこちない挨拶、動揺してるのか?…何を?

「―お早う」

ドアの前に立ち、行き先の階数ボタンを押す。
背後の白石の動揺した空気が、伝わってきた
…しかし違和感のある、黒田の柔らかい口調が耳に残る

「白石…」
「――っん?なに…?」
「患者の検査結果の話か、黒田先生」

数秒、間が空いた。思わず振り向いて白石を見ると
動揺を隠し無理した笑顔で白石があわてて返事をする

「そう。早く302の中野さんの検査結果をって…」
「――そうか。」

…そんなに急ぐ症例だったか…?血栓症だったっけ…
白石の言う患者の状態を思い出そうとするが、少し曖昧だった。
そのまま会話もなく、エレベーターのドアが開く。HCUへと向かいながら
藍沢は、耳に残る聞いた事のなかった黒田の穏やかな口調が、引っかかっていた。
234( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 13:58:59 ID:rPYkFpF8
その日もいつも通りミッションをこなしていく1日だった。
ヘリで搬送してきた急患の処置も終わり、昼食を食べる時間があったので
一人、食堂へ向かうと、数十m先に白石の背中が見えた。
すると食堂の前で、白石が立ち止まった…そして、腰を屈める。
中腰のままこちらを振り向くと口元を押さえて近くにあるトイレへと駆け込んでいった
…大丈夫か、あいつ。
何か、気になり食堂の前で立って待っていると数分して白石がトイレから出てきた。
そして藍沢を見るなり、朝と同じ驚いた顔。

「どうした?体調悪いのか」
「…うん、ちょっと…。でも、大丈夫だから…」

ハンカチで口元と手をふきながら白石は頷いた。確かに少し…顔色が良くない。

「おー!白石、藍沢、こっちこっち!」

いつもの陽気な藤川の声だ。とりあえず無視して1つ斜め前のテーブルにつく。
白石は呼ばれるままに藤川と緋山が座る席へと進んでいく

「何?あんたもダイエット?」
「ううん…ちょっと、体調よくないから」

緋山との会話が聞こえる。白石は小さいサラダのみがトレーに乗っていたからだろう
食事をしながら嫌でも3人の会話が聞こえる。

「どうしたどうした〜?遅い夏バテか?」
「大丈夫。ちょっと、夏バテなのかもね…」
「藍沢は夏バテとかしそうにないよなー。仮眠少しだけでも毎朝走ったり、ほんとご苦労なこった」

…今日は朝からの違和感が、気になる。
気にしすぎか…。そう自分で丸め込もうと、食事をはじめた。
235( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 13:59:59 ID:rPYkFpF8
午後は比較的、暇になっていた。ホットラインも鳴らずヘリ要請もなく――
医局でデスクワークをしていると、電話が鳴る。「救命医局です」電話に出ると

「産婦人科の吉田です、白石先生はいらっしゃいますか?」
「――いえ、今は外してますが…」
「そうですか。PHSにかけたんですけど、出られないみたいで…。
 あの、15時過ぎなら大丈夫ですので外来に来て頂けるようお伝えください」
「…わかりました。伝えておきます」

そうして内線電話は切れた。
…そうなの……か?
漠然とした予測がついた、しかしその予測は、意外すぎるもので、自分で予測してから少し動揺した。
そこへ白石が医局に戻ってきた。

「おつかれ。大腿骨骨折の西田さんが暴れはじめちゃって…帰りたいって。大変だったぁ。
 ―あ、電話…」

PHSの着信に気づいた白石に、藍沢は預かった伝言を伝えた

「さっき…白石宛に産婦人科から電話があって、15時過ぎがOKだから外来にきてくれって」

ぎょっとした顔の白石は「…ありがとう…」小さく、搾り出すように礼を言う。
プライベートにかかわる事…放っておけばいい…そう言い聞かせるが
何かの衝動か、ついに聞いてしまう。

「白石…もしかして妊娠してるのか」

ボールペンを動かす手が止まり、白石はこちらをやっと見た。

「藍沢先生には、今日は気まずい所ばかり見られてるね…」

自分の身体を抱きしめるように両腕できゅっとしながら、白石がぽつぽつと話し始める

「ちょっと体調悪くて…生理も1ヶ月止まってて。疲れてるからかなって思ったら
 吐き気が一昨日くらいから始まって…。ドラッグストアで検査薬を買ったら…陽性だったの」

ああやっぱり、と自分の推理に納得したと同時に、一瞬で色々な妄想が頭に過ぎる。
という事は、それなりの「相手」がいて、その「相手」とは「それなりの関係」という事で…
白石の顔を見ると、泣きそうな顔になっていた。

「相手は…。知ってるのか」

うん、と頷くと白石の目から涙が零れる。それをあわてて腕で拭っている

「―相手は、何て?」

「…どちらにしても診察受けたほうがいいから、早く行け…。分かったら教えてくれ」
236( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 14:01:30 ID:rPYkFpF8
白石のその言葉は、ピタリとパズルのように藍沢の耳の中で当てはまってしまった。
朝聞いた…違和感のあった、黒田の穏やかな口調の言葉と――

更に大きく泣き出しそうな声をを抑える白石…不安に、決まってるよな…
藍沢はその不安を…少しでもなんとかしてやりたいと思う、けど、どうやって…
自分にできる事は、無い…。小さく震える白石の肩に…そっと、手を添えた。
抱きしめて震えを止めてやりたい――それは、衝動であって、相手は望んでいないかもしれない。
藍沢の衝動と白石の感情の中間地点である、肩に置いた手――

「ごめん…ありがとう…。
 誰にもいえないし、どうしていいかわからないし、びっくりしちゃってて…」

ティッシュで涙を拭いて落ち着こうとしている白石に、先程の言葉の主を聞く事ができなかった。

「その時間は、俺が白石の分もやっとくから。誰にも言わず行っていいよ」

そういい残し、医局を後にした。廊下を歩きながら動揺している自分を押さえようと考える。
あの白石が…妊娠。そして相手が…
有り得ない。どう繋がってこの結末になったのか、全く想像もつかない。
そして自分が白石に対して、何か、モヤモヤとすっきりしない感情を持った事が、イラついた。
小さくため息をつくと、胸元のPHSが鳴る。出ると相手は黒田だった

「今からバイク事故で3人来るぞ。早くこい」
「わかりました」

走って救急車の受け入れへと向かう。
今は…仕事以外の事を考えるのは、無意味だ――
藍沢は、割り切ろうと思った。


気づけば窓の外は薄暗くなっていた。
黒田執刀の緊急オペの助手も終わり、人が疎らになったロビーのソファに座る。
自販機で買ったコーヒーを飲もうとした時に「藍沢先生」と呼ばれ、顔を上げると
白石が歩いてくるところだった。そして、2人分あけた隣に座る。

「どうだった」
「うん…してなかった。簡易検査キットって、稀に陰性でも陽性反応出す事があるみたい。」
「そうか…」
「体調悪いのは、多分疲れからくるホルモンバランスの異常じゃないかって。
 暫くホルモン剤服用で、コントロールすれば安定するって」

よかった…。
コーヒーを飲み、よかったと思う自分が、どこか嫌だった。

「相手には、伝えたのか」

余計な一言。相手への嫉妬か、相手特定のためか――聞いてから、後悔したが白石は答える

「うん。さっき電話した…。よかった、って。」
237( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 14:02:51 ID:rPYkFpF8
白石も自販機にコインを入れて、何か飲み物を買っている。
自販機のほうを向いたままで白石はぽつりと言う

「よかった て言われて…少し、寂しいって思っちゃったの…」

紙コップを自販機から取り出すと、ソファにすわり俯いてコップを見詰めながら

「本当に妊娠してたとしても、多分…堕ろせって言われたんだって分かったから…」

また、白石が少し涙声になっている。
情緒不安定にもなるか…今日1日で、バタバタと自分の一生が少し左右される事が起こったんだ。
藍沢は指先を弄りながら話す

「白石の医者としてのこれからを思ったから、「よかった」って言ったんじゃないか?
 今…それで仕事を1年や2年休むと、取り戻すのに倍はかかるだろうしな」

「そういう意味…だったら、いいね…。そう思っておこうかな…」

暫くの無言。白石の鼻を啜る音が何度かした。

「――藍沢先生だった…どうする?もし…今、彼女が妊娠したら」

彼女…自分にはいない。しかしその例えは、白石が「相手」とつきあっていると
無意識に表現している事にならないか…そう推理して、黒田の声が耳にまだ残っている。

「どうだろうな…。相手の事を本当に好きだとしたら…相手に任せる。
 そういう時男にできる事は、経済的・精神的フォローだけだからな…」

「そうなんだ」と小さく白石が返事をした。
こっちを見て、涙で濡れた目を掌で拭いながら白石が笑っている

「好き、なんだな。相手のこと」

コーヒーを飲み干し、小さく聞くと「―うん」と小さい返事が聞こえた。
…妙な、感情は、やっぱり、無意味―――藍沢は「妙な感情」と一緒に紙コップを掌で、潰した。
238( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 14:04:04 ID:rPYkFpF8

「でも彼は…そうじゃないかもしれないね…。今日、わかった…」

立ち上がった藍沢に、白石が呟いた。

「―――黒田先生は、そこまで自己中心で冷酷な人じゃないよ…」

精一杯の、フォロー。そして、確認。
しかし振り向く勇気が…無かった。続く白石の無言に、答えを確信してしまう…。
また、鼻を啜る音がする。白石は涙声で、呟いた

「藍沢先生だったら…相手が藍沢先生だったら…もっと、分かり合えたかな…」

握りつぶした紙コップを、更に右手で握りつぶす。
彼女が言う意味は…詮索しないほうが、自分のため、と――

「だけど実際は俺じゃない…。白石が想った相手は。」

そう言うと、廊下を歩きはじめ白石から離れていく。
藍沢は、握りつぶした白石への「感情」を沈静させようと、一人病院の外へと出て行く
239( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/04(木) 14:05:45 ID:rPYkFpF8
お邪魔しましたっ(´Д`)ゞ

お二人の職人様、黒田×白石、wktkで続き待ってます!!!
240白石×黒田 5:2008/09/04(木) 20:08:22 ID:Wesdwc1D
@、A >>225>>226
B、C >>230>>231

体が上手く動かない。
好きな男とただキスしているだけなのに、白石は身体の芯が小刻みに震えるのを感じた。
原因は何なのか解らない。今まではそんなことなかったのに。
「大丈夫か?」
黒田が心配そうに尋ねる。
「だいじょ…ぶで…す。」
白石は震える小さな声で答えた。
「怖いか?」
「いえ…」
声は震えているが、表情は毅然としていて、心の中では次の展開を望んでいる。
「…やめようか。」
心から心配そうな表情の黒田に、白石は黒田の服の背中を握りしめた。
「大丈…夫です。続けて下さいもっと、して欲しい…。」

241白石×黒田 6:2008/09/04(木) 20:09:04 ID:Wesdwc1D
「…わかった。」
黒田は困った様に少し笑うと、再び白石に口付けた。
不安そうにしている彼女を気遣うように背中に手を回すと、服の下に手を延ばす。
前をはだけさせて胸の辺りに印を付けると、白石は小さく声を上げた。
心臓は心配になるくらいドキドキしている。
黒田は愛撫をほとんどしていない白石に突き立てた。
「悪い…。そんなに時間がないんだ。」
「わかってます…」

声を押し殺して快感に耐える姿は、黒田にはとても妖艶に映った。
ずっと子供だとばかり思っていたのに…。


それから黒田が事故に遭うまでの一ヶ月の間、二人は幾度となく身体を重ねた。
白石はその度に黒田に自分の事を好きか尋ねたが、黒田は一貫して嫌いだ、と言うだけだった。
だが白石は、関係を持つたびに増えていく黒田に付けられた所有印に、確かに彼の愛を感じ取っていた。
結局は白石の思い込みで、本当の所はどうなのか解らないが…。


−−−
242白石×黒田 7:2008/09/04(木) 20:09:51 ID:Wesdwc1D
瞳から零れた雫は、いつの間にか私のスボンに沢山の染みを作り、膝の方に広がっていく。
泣いても泣いても涙は枯れることなく流れ、泣くことしか出来ない自分を無力だと思った。

ふと、更衣室に緋山先生が入ってきて、いつもの様に着替えを始める。
私は彼女に気付かれない様に背を向けた。

「腕、無くしたのがアンタじゃなくて良かった。
黒田先生には悪いけど、それが本音。」
私は去って行く緋山先生の背中を見詰める。
彼女なりの精一杯の優しさなんだろうけど、私にとっては全然救われない。
「…何でよ?」
「え?」
「何でみんな私の事責めないの!?どうしてお前のせいだって罵ったりしないのよ!
…みんな優しくしてくれるの。冴島さんも、藤川君も、藍沢先生でさえも…。」
抑えていた感情が爆発して、私は子供の様に泣きじゃくった。
緋山先生はそれを見て、意外にも近寄って私を抱きしめてくれる。
「白石だけじゃないよ。みんな他人事じゃない。
いつ自分がそうなるか解らないのが私達の仕事だよ。
ただ、あたしが言えるのはアンタが無事に帰って来てくれて良かったってこと。」

緋山先生に背中をさすってもらいながら、私はこの先に待っている闇を思った。
自分の愛する人を、病院にとっての大黒柱を失った十字架を、この先私に背負って行けるのだろうか…。
243名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 20:13:33 ID:Wesdwc1D
以上です。
文章力がなく、小分けの投下になってしまってすいません。
読んでくれた方に感謝です。

他の職人様、素敵な作品をどうもありがとうございます!!
244名無しさん@ピンキー:2008/09/04(木) 23:42:44 ID:W4SBy+ek
>>243
つ メモ帳

しかしGGGGGGGGGJJ!!
なんだかツンデレな黒田に胸キュンした。ときめきをありがとう。
245名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 00:04:42 ID:BLxm8tKc
お二方ともGJでした
9話とうまくリンクしてておもしろかったですよ
246名無しさん@ピンキー:2008/09/05(金) 01:21:16 ID:AHcsqg1S
藤川「ちくしょー…黒田ばかりが何故モテる!」
247名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 02:13:39 ID:492VNQj0
>>244-245
レスありがとうございます。
ドラマ板では色々と言われているドラマですが、コードブルーは奥が深くて面白い話ですよね。
せっかく良い所なのに来週最終回なんて勿体ないです。。
白石×黒田はエロが凄くショボくて申し訳ありません。
それなのに黒田を気に入ってくれたなんて嬉しいです。

白石の妊娠の話を書いてくれた方、藍沢の気持ちが切なくて良かったです。
藍沢本人かよww って思うほど毎回クオリティの高い作品を、ありがとうございます!
248名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 16:11:09 ID:9lhyyjlj
藤川×冴島

その患者はわがままし放題で藤川と冴島を悩ませていた。傷の消毒が終わり立ち去ろうとすると急に暴れだした。
それを止めようと二人で押さえ鎮静剤を打った。その際冴島が怪我を負っているのに気がつく。
多分、抑えているときに怪我をしたのだろう。

「冴島、手診せろよ。」

藤川は血に染まっている冴島の右手をつかむ。

「大丈夫です。自分でやりますから・・・藤川先生は気になさらないでください。」

冴島は藤川の手を取り払おうとするが藤川は離そうとしない。

「俺が診る。あの患者を管理しなかったからあんなことになったんだ。俺には責任があるんだよ。」

そう言うと藤川は冴島を消毒液臭い診察室に連れ込み乱暴にベッドに座らせた。

「何するんですか!!」

「お前が素直に治療としないからだろう!!無理すんなよい、痛いくせに!!」

藤川は血が出ている手を丁寧に消毒し、仕事に差し支えない包帯の巻き方で巻いた。

「どうだ、動かしても痛くないか?あと動かし辛くないか?」

「はい、大丈夫です。」

「お前はフライトナースで忙しいからさ、邪魔にならない巻き方したから・・・」

「お気遣い、ありがとうございます。」

「本当に素直じゃねえな、お前。そういう時は普通ありがとうだろう?気遣いとかじゃなくてさ・・・俺、別に冴島に感謝されたくて
手当てしたえわけじゃねえし・・・」

「そう言っても感謝しろってさっき言ったじゃないですか?」

「お前はああ言えばこう言うだな。もう少し素直になんないと彼氏できねえぞ。」

「大きなお世話です。そう言う藤川先生だって彼女いないくせに・・・」

「俺はいいんだよ、たく・・本当に素直じゃねえな。折角、美人なんだからさもっと、トゲトゲしないで優しくなれば?」

249名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 16:13:05 ID:9lhyyjlj
藤川×冴島2

「それって、どういう意味ですか?」

藤川は何を言っても食いかかってくる冴島の頭に手を乗せた。ポンポンポンと優しく三回叩く。
キョトンとしている冴島に今できる最高に笑顔をつくった。

「そんなに肩肘張ってたら、その内倒れちゃうよ。少しは回りに弱み見せたら?それに、お前が倒れちゃうとみんな心配するから・・・口では気に食わない
って言っていても緋山だって、お前のこと信頼してんだからさ・・・」

今まで言われたことがない言葉をかもあの藤川に言われて冴島は動揺していた。

「本音とか愚痴とか吐きたかったら俺に吐けよ。俺、医者としてじゃさきっと冴島には役不足だけど・・・愚痴ぐらいは聞いてやれるからさ・・・なっ。」

そう言ってもうまるで妹に語りかけるように優しくあたまを撫でる。冴島は兄弟にあたまを撫でられた経験がないため、新鮮な気持ちだった。
なんだか、照れくさいような・・・恥ずかしいような・・・相手が藤川だからこそ少しむかつく気持ちもある。
ただ、優しく撫でてくれる手があったかくて心地よくて・・・もう少しこのままでもいいと思ってしまった。

「まあ、俺より女の方が愚痴りやすいだろうけどさ、たまには俺にも聞かせろよ。白石がビビッたって言ってた本性ってやつをさ・・・」

藤川は最後に一回ポンとあたまを叩いて診察室を出て行った。冴島はしばらくその場から動けなかった。
そっと今まで藤川が手を置いていた場所に触れてみる。あきらかに自分の体温だけじゃない藤川に手のぬくもりが残っていた。冴島はふと自分の体温と心拍が上がっているのに気づく。
あんな、無能な男に胸が高鳴るなんて信じたくないが実際、自分でもわかるくらいドキドキしている。これは恋なのかまだわからないが藤川はいい人なのは真実でこれからはもう少し話てみようと思った午後だった。
250名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 16:58:21 ID:CBue9b12

藤川×冴島最高です!!

続きお願いします!(^-^)/
251名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 19:32:47 ID:xcMguFmM
GJGJ!
藤冴サイコー

藤川と冴島のエロが読みたいです。
病院意外の場所で酔った勢いのとかが読みたい!
252名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 20:08:51 ID:492VNQj0
>あんな無能な男に胸が高鳴るなんて


萌え…
素敵すぐる
253冴島×藤川×緋山:2008/09/06(土) 20:46:13 ID:1Xt/PkpI
(花火大会かぁ。)
今年はシフトの関係もあり、花火大会に参加することは出来なかった。
ここ数年は看護学校のときの友人と行くことも無くなってしまっている。
私は浴衣に着替えると椅子に腰掛ける。
「どうしたの?ため息なんてついて?」
向かいの席に白石先生が腰を掛けた。
緋山先生は入念に化粧直しをしている。
「この時間がいつまでも続けばいいのにと思ってたんです。」
「明日からまた忙しい日々が始まるんだね。」
「良いのよ?別にずっとここに居ても、私は藤川と帰るけどね。」
(やっぱり温泉に沈めておくべきだったかしら)
「あら私が戻らないと、現場で腕のないフェロー誰がフォローするんですかね?」
何で彼女とはいつもこうなってしまうのだろうか?
こんな時くらい心静かに過ごしたいものだ。
「それにしても、アンタ背が高いから浴衣が絵になるわね。」
緋山先生は悔しそうに羨ましがる。
「髪もあんまり茶色くないし、冴島さんって和風だよね」
「あ・ありがとうございます。」
二人から褒められると調子が狂う。
「何照れてんのよ、お世辞に決まってるでしょ!」
「まぁまぁ、それにしても休み中晴れて良かったね。」
「そうですねぇ。」
夕方になったせいか、外が俄かに騒がしくなってくる。

『三人とも準備できたかぁ〜』
藤川先生の声が廊下から聞こえる。

「行きましょう。」
私は椅子から立ち上がると下駄箱から、藤色の下駄を取り出した。
254名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 21:26:34 ID:CBue9b12
なんかいい!花火!

冴島の浴衣姿妄想しちゃったY(>_<、)Y

これからどんな展開になるか楽しみです!


続き楽しみにしてます!(^-^)/
255冴島×藤川×緋山:2008/09/06(土) 21:59:20 ID:1Xt/PkpI
「わぁ。」
下駄はバランスを取りにくい。
「私はいつもヒール履いてるから何てこと無いわ。」
いつもハイヒールの緋山先生はスタスタと歩いて少し先行する藤川先生の隣へいく。
「手つないで良い?」
「あ・・ああ・・・まぁ」
(あの二人…何か良い雰囲気だなぁ。)

「綿菓子だぁ。お面もある。藍沢君射的やってみてよ。」
白石先生は藍沢先生の腕を引っ張っている。
藤川先生の家のときも感じたのだが、彼女はいつになくはしゃいでいる。
「藍沢君すご〜い。何でも出来るんだね。」
「射的なんて腫瘍摘出がちょっと遠くなったようなもんだ。」
藍沢先生も満更でもなさそうである。

「恵〜はぐれちゃうよ〜」
緋山先生の声が聞こえたのか…
白石先生はこちらを見てウインクすると藍沢の浴衣の袖をつかみ人混みの中へと消えていく。
消えていくというよりも、自分から紛れたように見えた…。

「アンタも金魚救いくらいやってみたら?」
緋山先生は金魚すくいを指差す。
「頑張ってください」
肩で息をしながら追いついた私も慌てて励ます。
彼は浴衣の袖を捲くると中腰になる。
「ああ・・そこそこ」
ポイが破ける。
「あの〜、良かったら私達でサポートしましょうか?」
私はおじさんからポイを3つ受け取ると、それぞれにポイを渡す。
「私と緋山先生で金魚を追い込みますから、一男さんが救いあげてください」
「どんだけ金魚すくいに全力尽くす気よ。」
「嫌なら良いんですよ?私が一男さんを支えますから」
「そんなこと言ってないわよ。負けっぱなしは性に合わないしね。」
よくよく考えると三人での共同作業なんて初めてのことかもしれない。
256名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 22:20:46 ID:CBue9b12

なんか冴島一人でかわいそう…(T_T)

続き楽しみ(^-^)/
257冴島×藤川×緋山:2008/09/06(土) 23:09:19 ID:1Xt/PkpI
「…で何であそこで破れますかね?」
「ついてなかったのよ。」
彼はガックリと肩を落としている。
無理もない大の大人が三人がかりで金魚すくいに惨敗してしまったのだ。
あまりにも哀れに映ったのか屋台のおじさんは亀を一匹くれた。
スッポンのように食用ではないから、食べてはいけないという注意も受けた。
「それでその亀どうするんですか?なんとなく一男さんに似てますね。」
「やっぱり解剖の練習に使うのよね?」
「亀は万年って言うだろ?
 今日のことをずっと覚えていたいからウチで飼おうと思うんだ。
 辛くなったときは、この亀を見て頑張れるようにするんだ。」
亀の入った袋を両手で持ち上げると、彼はようやく肩を上げた。

どんなに願っても時が止まる事はない。
私はフライトナースなのでこの病院に居続けるが
フェローである彼等はこの研修を終えると、それぞれの道をまた歩みだす。
そしてまた来年も新しいフェローがやってくる。

「私も忘れません。思い出に何か欲しいですね。」
「確かにそうね、私達も記念になにかないかしら?」
緋山先生は出店を見渡すと頷く。
突然私達の手首をつかむと一軒の出店の前まで連れてきた。
「これならアンタでも出来る。私にとって。」
緋山先生はクイっと首をやる。
「なるほど。確かにこれなら出来そうですね」
ついた場所はヨーヨ釣りの店であった。
「よし待ってろよ。どれが欲しいんだ?」
「この大きな緋色のやつ。」
「お…おう。」

二人がヨーヨーに夢中になっている間に私もめぼしい出店を物色する。
(せっかくだし形に残るものがいいわよね。)
怪しげなジュエリーショップが目に入る。
(流石にこれは緋山先生に悪いわよね。)
見なかったことにして、もう一方の店を見る。
(このあたりで手を打つか。)
いかにもと言ったところだが、ヨーヨーとのバランスを考えると妥当な所だろう。

「あ・いたいた。何かめぼしい物あったの?」
機嫌のよさそうな緋山先生の声が聞こえる。
「ええ…まぁ。」
私が振り返ると、彼女の指にはヨーヨーが引っかかっている。

「良かったですね。」
「1回で取ってくれたの」
彼女はニコリと笑う。
私と違って彼女は愛嬌というが感情表現が豊かである。
いつも怒ったり笑ったり泣いたり、
これは私の予想だが、彼女は冷静沈着な三井先生とは違うタイプのドクターになる気がする。
258瑠璃 藤川×冴島:2008/09/06(土) 23:21:17 ID:9lhyyjlj
藤川×冴島
248の続きです。あれから三ヶ月ぐらいたった後ぐらいで・・・
あと、オリキャラでます。嫌な人は見ないでください。

あの藤川に対する胸の高鳴りに気付いてから三ヶ月たった。
あの後からは藤川とよく話すようになった。
以前のように彼は自慢話や見栄をはらなくなり
空き時間には一人で手術の練習をしている。
なぜそうなったかは三ヶ月前になる。黒田先生の穴を埋めるために
胸部の専門医が翔陽大学附属北部病院にやってきた。
名前は佐ノ上 颯獅 (さのうえそうし)胸部心臓外科医だ。
この人は最初から他の先生とは違っていた。
就任初日のあいさつで彼はこう言った。

「俺のことはできれば颯先生ってよんでくれ!!これからしばらくよろしく!!」

外科医にしては軽いノリで気さくな感じだった。
この先生にいち早く仲良くなったのが藤川だった。
259冴島×藤川×緋山:2008/09/06(土) 23:47:47 ID:1Xt/PkpI
「何かいい物あった?」
「あれです。」
私はお面を指差す。
「お面かぁ。お祭りって感じだねぇ。俺も買おうかなぁ。」
「せっかくだからお互いに選びっこしませんか?」
アニメのキャラクターのお面なので結構種類がある。
「そうだねぇ。女の子はやっぱりミッキーとかそういうのが良いのかなぁ?」
「何を選ぶか楽しみにしてますよ。一男さんにはこれをプレゼントします。」
私はあるお面を指差す。
「ブラックジャックじゃないか。これでいいの?」
「立派なドクターになってくださいって意味です。」
私としては決して皮肉のつもりは無いのだが、彼は少し苦笑いしている。
「が・頑張ります…。じゃぁはるかさんは・・・ドラミちゃんでどうだろう?」
「どういう意味ですか?」
「ほら俺、眼鏡掛けててのび太っぽいでしょ?で看護師だからサポート役かなぁって」
彼はやっちゃったという顔をしている。
「え?怒ってませんよ?」
「怒ってないの?」
(私の顔そんなに怖いのだろうか?)
「嬉しいです。私もっともっと頑張って立派な看護師になります!」
私は精一杯の笑顔を作る。
260瑠璃 藤川×冴島:2008/09/06(土) 23:52:07 ID:9lhyyjlj
藤川×冴島2

その先生はフェローシップに布切れ渡しこう言った。

「それに臓器を縫うやり方で縫ってきて。」

布切れを渡されキョトンとしている四人だが仕方なく言われた通り
縫い颯獅に渡す。縫い目を見て颯獅は笑う。

「藤川か、この布は?」

藤川は自分の縫った布がヒラヒラされているのに気付く。

「はい、俺のですが・・・」

「お前、これから毎日この本の縫い方を一日三ページずつやって俺に提出!!」

「えっ、何で俺だけ・・・・」

「何でもだ。後、これもやれ」

颯獅はクーパーとDVDを手渡した。

藤川に教材を残したまま颯獅は立ち去ってしまった。

「うそだろ〜、何で俺だけ・・・」

それから藤川与えられた課題を一日ずつこなしていった。
続けてから二ヶ月たったぐらいのときのことだ
冴島と緋山、白石の三人は当直で見回りをしていた。

「冴島さんはさ藤川君のこと好きなの?」

「何言ってるんですか、別に私は・・・」

「否定しないじゃん、好きなんだ。藤川・・・」

緋山と白石に突っ込まれ何もいえなくなり下向いたまま歩いていると
白石があっと声だした。

「何、どうしたの?」

「あれ、藤川君と颯先生じゃない?」

緋山と冴島は白石が指差す先を見るともうとっくに帰っているはずの
藤川と藤川に指導していると思われる颯獅がいた。

「藤川そうだ、丁寧にそう慎重に・・・できたじゃないか!!」

「はい、颯先生。ありがとうございます。」

二人にばれないように三人は藤川の手元を覗く。
そこには練習用の心臓がいくつも転がっていた。

かなり藤川がすごい奴になります・・・
ウチの藤川はヘタレじゃないです。
261瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 00:10:05 ID:o9s1pSVc
藤川×冴島

「何あれ、心臓?」

「血管の山はグラフトかな?」

「心臓の手術の練習でしょうか・・・」

三人は颯獅が何かしゃべっているのに耳をたてる。

「やっぱり、思った通りだな。お前、心臓外科医として才能あるよ。」

「本当ですか?でも、俺無能だし、役立たずだし・・・たまたまですよ・・・」

藤川はそう言って片づけをはじめる。

「お前は無能でも役立たずでもない。お前の外科医として腕は確実に上がっているよ。」

颯獅はそう言って藤川の右腕を取った。

「右手をこんなにまでして上手くならない奴はいないよ。」

覗いていた緋山たちは藤川の手を見て驚いた。
そこには中指がマメだらけになったボロボロな手があった。

「藤川正直に深刻。今月でマメいくつ潰した?」

藤川はポツリと口を割る。

「普通のマメは三個・・・血豆は二個です。」

すでにその血豆も潰れ気がつくと指が血に染まっている。

「お前はフェローの誰よりも努力してるよ。マメ潰してまでやる奴なんて
久しぶりに見たぜ。」

颯獅は藤川の右手を消毒しながら仕事に支障がでないテーピングをした。

「藤川、お前はできないことを努力でカバーした。
この二ヶ月やったことは無駄じゃないぜ?そもそも、お前に無能って言ったの
誰だ?」

「当てて見て下さいよ。」

藤川の回答に颯獅は一瞬考え思いついた人物を言った。

「冴島!!」

「正解です。よく分かりましたね?」

「簡単だ。あの四人を考えてズバって言うのは冴島か緋山か藍沢。」

「藍沢はもっとキツイことを言う。緋山はもう少し茶化す。残りは冴島しかいないだろう。」
262名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 00:19:41 ID:bi6IEIYC
白石・・・例外・・・人が良すぎWWW
263冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 00:25:04 ID:Hcww14wP
「何かいい物あった?」
「あれです。」
私はお面を指差す。
「お面かぁ。お祭りって感じだねぇ。俺も買おうかなぁ。」
「せっかくだからお互いに選びっこしませんか?」
アニメのキャラクターのお面なので結構種類がある。
「そうだねぇ。女の子はやっぱりミッキーとかそういうのが良いのかなぁ?」
「何を選ぶか楽しみにしてますよ。一男さんにはこれをプレゼントします。」
私はあるお面を指差す。
「ブラックジャックじゃないか。これでいいの?」
「立派なドクターになってくださいって意味です。」
私としては決して皮肉のつもりは無いのだが、彼は少し苦笑いしている。
「が・頑張ります…。じゃぁはるかさんは・・・ドラミちゃんでどうだろう?」
「どういう意味ですか?」
「ほら俺、眼鏡掛けててのび太っぽいでしょ?で看護師だからサポート役かなぁって」
彼はやっちゃったという顔をしている。
「え?怒ってませんよ?」
「怒ってないの?」
(私の顔そんなに怖いのだろうか?)
「嬉しいです。私もっともっと頑張って立派な看護師になります!」
私は精一杯の笑顔を作る。
今の私にはこれが精一杯。
お酒でも飲んだ方が、もしかしたらリラックスできるのかもしれない。
でも大切な思い出を酔って忘れてしまうのは勿体無い。
会計を終えてそんなことを考えていると、緋山先生が後ろから小突く。
「あっちにジュエリーショップあるんだけど。私ピアス欲しいんだけど。
 アンタはプライベートでイヤリングとかしないの?」
「私は通勤のときにイヤリングするくらいですかねぇ」
「というわけでアンタ選びなさいよ。」
「え?」
彼はこっそり財布を覗き込む。

264瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 00:28:15 ID:o9s1pSVc
藤川×冴島3

藤川は颯獅の回答に思わず笑った。

「白石ははじめから候補者に入ってないんですね。」

「あの白石が人のそんなこと言えるわけないだろう。」

「すげえや、先生よく俺たちのこと見てんですね。」

「まあ、俺は指導医だからな。一応はな・・・」

「でも、俺冴島に無能とか役立たずとか言われたから今こうやっているんですよ。」

「どういう意味だ?俺には冴島は少し言い過ぎに見えるんだが・・・」

「あいつ、家が複雑で医者になりたかったのになれなくて・・・
それでも医療の道に進んで、すんげー努力して看護師になったんですよ。
だからこそ医者だからって威張ったり、鼻高くしている医者が許せないですよ。」

「そうか、冴島は冴島教授の娘か・・・あれ、教授医者の子供いたぞ二人・・・」

「それ、冴島の兄ちゃんと姉ちゃんです。優秀なんでしょ?」

「まあな。だが、論文がメインなんじゃないのかな。あんま見ないし・・・」

「そうなんですか?その辺は詳しくないから・・・」

「でも、俺は冴島の方がすごいと思うけどね。」

「えっ・・・」

「研究室こもって論文だけしか書かない医者なんてたくさんいる。
いざ、そいつがメスを握れば腕は研修医以下なんてざらだからな。」

「そうなんっすか。でも、冴島はすごいですよ。
絶対、そこら辺の医者より優秀だから。」

「ああ、現場であれだけ動ければたいした奴さ・・・」
265瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 00:41:24 ID:o9s1pSVc
颯獅はふとあること気になった。

「なあ、お前さ冴島のことよく知ってんだな?仲良かったかお前ら・・・」

藤川は颯獅の質問の一瞬間が空いた。

「ああ、俺あいつの愚痴とか聞いてるから・・・
あいつ、何か本音言う場所がなかった気がしたから作ってやったんですよ。
ゴミ捨て場。」

「それがお前か・・・いいのかお前は人の愚痴聞いて楽しいか?」

「別に俺愚痴られるの慣れてるし、それに結構楽しいですよ。
あいつ、怒るとマシンガントークなんですよ。バーって気持ちを吐き出す感じかな〜
その後に必ずこっち見てすいませんって謝るですよ。」

「白石が言ってた冴島の本性というやつか・・・怖そうだ。」

「でも、人間吐き出す場所はほしいでしょ?そうじゃなきゃ、つぶれちゃいますよ。」

「お前はどこで吐き出してるんだ?」

「俺は男だからそういうのは吐かないっすよ。そういうもんは出しちゃいけないものでしょ?」

藤川はテーピングをした右手を見つめながら言った。

「それに、藍沢も颯獅先生も吐かないでしょ?そういうの・・・」

「そうだな。まあ、そういうの吐けたりできるのは好きな女の前ぐらいかな。」
266瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 00:57:16 ID:o9s1pSVc
颯獅は天井を見つめる。
白熱灯の光が目に痛い。

「にしても、お前って思った以上に男だな。見直したよ・・・」

「俺、長男だし。昔、体弱かったからよくいじめられたんですよ。
何もいえないのが悔しくて、でも逃げるの嫌で・・・
毎日学校行ってました。そのときから弱音は出さないって決めたんです。
ってだからと言って見栄っ張りもどうかと思うんですけどね・・・」

藤川の話を聞いていた緋山、冴島、白石の三人は今まで藤川が強がっていた訳が
ようやく分かった。彼なりに必死に戦っていたのだ。

冴島は今まで自分がどんな愚痴を吐いても黙って聞いてくれたのは
全部藤川の優しさだったのだ。
そう思うと冴島は目頭が熱くなった。

「俺、フライトドクター向いてないのかな・・・
先生、俺どうしたらいいのかな?俺にここには居場所ないよ。やっぱ、やめるべきかな。」

颯獅の前では藤川は弱音を吐いた。

「藤川、自分の値打ちは自分で決めるなよ・・・
まあ、お前は少し優しすぎるからさ・・・現場で冷静になれないのかもな。」

「やっぱ、役立たず?」

「そうじゃなくて、患者の目線に立てるってことだろう?いいことだよ。
なあ、ずっと思ってたんだ。お前が望むなら俺はお前を俺がいた病院に連れて帰りたい。」

「はあっ、どういう意味ですか?」

「なあ、俺と一緒に来ないか?俺はお前を一流の心臓外科医にしたいんだ。」
267冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 01:00:41 ID:Hcww14wP
「ところで白石先生達はどこに行ったんでしょ?」
「奥の方まで行ったみたいだからなぁ、神社の方まで行ったのかも…」
「ちなみにここの神社って何を祭ってるの?」
「確か縁結びだったような。」
ド━━ ン !!!という音が響き渡る。
気がつけば花火が始まる時間である。
「綺麗ねぇ。」
「この花火が終わると私達の夏も終わるんですね。」
私はポツリとつぶやく。
夏が終わるということは、恐らくよっぽどがない限り藤川先生とも別れを意味する。
「そうだなぁ。俺はこの花火に誓うよ。必ずフライトドクターになる!」
「私もそうねぇ、来年も三人で花火見れるように頑張るわ。」
「私はどうしましょう?」
既にフライトナースになるという夢が、叶っている私には夢がない。
よくよく考えると私には彼等のように未来への希望が無いのかもしれない。
「無理しなくていいんじゃない?アンタは今でも充分優秀だと思うわよ。」
緋山先生は優しく私を見る。
いつもの敵意がないのは気のせいではないだろう。
彼女は意外と情に厚いのである。
「私はドクターではないので直接人を救うことはできません。
 傷ついたドクターを励ますことは出来ます。
 助けられなかった悲しみを一緒に背負うことも出来ます。でもそれだけです…」
「充分じゃない?」
「そうなんでしょうか?」
「俺はまだヘリにのったことは無いからわからないけど、
 もし俺が乗るとはるかさんが担当だったら心強いな。」
まっすぐな瞳が私を捉える。
「あのさぁ、もし俺が…ド━━ ン !!!ド━━ ン !!!ド━━ ン !!!」
彼が真剣な眼差しで何かを語りかけたが、
その声は目玉の十六連発打ち上げ花火にかき消された。
268冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 01:02:10 ID:Hcww14wP
今日はココまで
できれば明日か明後日にまた更新します。
269瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 01:09:08 ID:o9s1pSVc
藤川×冴島

冴島は颯獅に言葉に息を呑んだ。
それは他の二人も同じだった。

当の藤川は信じられないという顔をしている。

「まじっすか、俺があの病院にですか?無理ですよ。」

「無理じゃないさ、お前が望むら俺はいつだって連れて行くよ。神の高みへ・・・」

藤川は足元を見つめ唇をかみ締めた。そして自分のフライトドクターになれる可能性と
颯獅のもとへ行った後について行った自分を想像した。

「颯先生、少し待ってくれますか・・・俺、いきなりだから動揺しちゃって・・・」

「ああ、いきなり言ってすまなかった。
ただ、俺はこの前の俺と一緒にオペした心破裂の手術で連れて行きたいと思ったんだ。
俺のスピードについていけてるのはお前だけだったから・・・」

颯獅の言葉で白石と緋山はあの時の手術を思い出した。
心臓の破裂箇所が七箇所で出血が酷くあきらめようとしたときの
藤川の行動。心停止してからの傷の縫合のスピードは非凡なものを感じた。
自分たちではできないことを藤川は必死にやっていた。
そして、颯獅が来てからの二人のオペは誰にも入る余地を与えていなかった。
270瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 01:23:39 ID:o9s1pSVc
「じゃあ、俺休憩室で寝てきます。お疲れ様でした。」

藤川は頭を下げると休憩室の方に走っていった。

颯獅は藤川がいなくなったの確認してある場所に目を向けた。

「男同士の話を盗み聴きとは感心しないな・・・」

バレた・・・三人はひょっこりと顔を出し颯獅の前に並んだ。

「先生、いつから・・・」

「俺が藤川の手当てをしているときだ。多分白石の白いインナーの一部が見えた。
お前ら聞くならもっと上手く隠れろよ・・・」

「あっあたし・・・すいません。」

白石は冴島と緋山に頭を下げる。

「やっぱり、あんたなのね・・・」

「別にいいですよ・・・」

颯獅は三人のやり取りに苦笑した。

「なあ、俺あいつを連れって行っていいかな。あいつの才能を潰したくない。」

三人は颯獅の言葉に口を詰まらせる。
最初に開いたのは白石だった。

「藤川君が望むらいいと思います。やっぱり、藤川君の心臓外科としての才能は本物だから。」

「あたしもいいですよ。あいつ、先生来てから変わりました。活き活きしてますもん。」

白石も緋山も藤川の意見を尊重したいという意見だった。

「冴島はどう思う?」

「あたしは・・・藤川先生の好きにすればいいと思います。
藤川先生の人生ですから・・・」

「そうか、ありがとう。」

そういい残すと颯獅は立ち去っていった。

271瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 01:37:18 ID:o9s1pSVc
藤川×冴島

ポツンと残された三人は複雑だった。
藤川はちゃらちゃらしてて少し頼りないけど苦しいときつらいとき
いつも励ましてくれた。大切な仲間だ・・・
その仲間が輝ける場所を見つけたなら応援してやるべきだが・・・

「藤川君、颯先生に着いてちゃうのかな・・・」

「何か藤川の目、そうぽかったわね・・・」

「いいじゃないですか、環境にいいところで一流の医者に学ぶ。
これ以上にいい条件はないですよ・・・」

緋山は冴島の顔を見てため息をついた。

「あんたさ、自分の顔見ていいなよ。
今にも泣きそうな顔して言っても説得力ないよ。」

冴島は近くにあった鏡で自分の顔を見た。
そこには目に涙をためた自分の顔があった。

「本当はさ、行ってほしくないんでしょ?素直に言えば良かったじゃん。
颯先生、藤川はOKしたら本当に連れてちゃうよ・・・
いいの、あんたはそれで・・・」

白石は冴島の背中をさすった。

「泣いていいよ、あたし冴島さんが泣いたこと誰にも言わないから。
藤川君も言ってたじゃない・・・吐き出す場所が必要だって。
たまには私たちも頼って・・・」

白石の言葉に冴島は耐え切れず涙をこぼした。
白石と緋山の二人は冴島が泣き終わるまでそばにいた。
三人の小さな友情のはじまりだった。
272名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 02:05:09 ID:Tudipbwd
2作品ともgJでございます!!

全然関係ないけど、急に顔文字の書き込み増えてない?
273瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 02:23:08 ID:o9s1pSVc


藤川は颯獅に返事を考えていた。
いつにもなく眉間にしわを寄せているとあたまをたたかれた。

「いつっー、何すんだよ!!藍沢!!」

「生きてたか、まるで石造みたいだったからさ」

「なんだよ、俺は生物以下か!!」

藍沢も藤川のことを認め始め、颯獅と行うオペの中でオペはチームだということに
気付かされた。
一人かけてもだめなのがチーム。
これがわかってから少し考え方が変わった気がした。

「それより、お前冴島とけんかでもしたか?」

「なんで?してねえけど・・・どうしたの?」

「元気がない。仕事はこなすがそれ以外は上の空。
俺はお前とケンカでもしたかと思ったんだがな・・・違ったか。」

「何かわからないけど、俺聞いて見るよ。」

藤川は今ちょうど休憩中の冴島の背中を見つけて駆け寄る。

「冴島、元気ねえじゃん!!どした?」

いつもの口調で話しかけても別に・・・と返されてしまう。

「何だよ、つれねえな。何かあったのかよ。変だぞ、お前?」

「生まれつきですから・・・」

「おい、どうしたんだよ本当に・・・」

藤川が肩に触れた瞬間振り払ってしまった。

「すいません・・・」

そういい残し冴島は走り去ってしまった。
その場に残され藤川はただ立ち尽くす。

「俺、何か気に障ることしたかな・・・やべぇな、どうしよ・・・」

冴島に嫌われた。俺の中で決断した決心が一瞬揺らぐ・・・

冴島は人があまりこない物影で立ち止まった。
だめだ、まともに顔を見れそうにない・・・
そのときもう、自分に嘘はつけなかった。

「あたし、好きなんだ・・・藤川先生のこと・・・
どうしよう、こんなときに気付くなんて・・・」

冴島はその場にしゃがみ膝にあたまをつける。
今までの気持ちは藤川が好きだからだ・・・
遅すぎるこの気持ちはただ心を彷徨っていた。
274名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 02:34:50 ID:VvQso/59
>>271
すばらしい!
275瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 02:54:44 ID:o9s1pSVc
藤川は院長室に来ていた。
そこにはシニアドクター一同と田所部長もそろっている。

「俺、決めました。俺・・・颯先生に着いていきます。
俺を一人前の心臓外科医にしてください!!」

「いいのか、フライトドクターになれなくても・・・」

「黒田先生、俺決めました。心臓外科医になります。たくさんの人を救えるような。」

「わかりました。あなたの決意は本物ようだ。
佐ノ上先生いつごろからそちらの病院に移れますか?」

「一ヶ月ぐらいですかね・・・そのぐらいは必要かと。」

「では藤川先生、あと一ヶ月はここでお願いします。」

「はい、ありがとうございます。」

藤川はあたまを下げ部屋を出て行った。

「颯獅・・・連れて行くんだな・・・」

「はい、俺が見つけた才能ですから・・・」

颯獅は黒田に微笑みかける。

「佐ノ上先生、藤川先生をよろしくお願いします。」

「はい、任せてください。」

一方藤川はナースステーションでカルテの整理をしていた。
みんなが戻ってきて少し世間話タイムだ。
すると田所部長が現れみんなが立ち上がった。
後ろには黒田先生、森本先生、三井先生、西条先生、颯獅もそろっている。
藍沢がこの事態に疑問を抱く。

「どうしたんですか?先生方全員そろって何かあったんですか?」

「重大な知らせがあるのでちょうどフライトドクター、ナースが集合している
この時間を使わせてもらうことにしました。藤川先生ことらに・・・」

「はい。」

藤川は立ち上がると田所部長の隣に立った。
藍沢は何がなんだかわからない表情をしている。
残りの三人はいよいよかと腹をくくる。

「来月から藤川先生は佐ノ上先生と共に
佐ノ上先生のもといらした病院に移ることになりました。」
276瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 02:55:47 ID:o9s1pSVc

田所の言葉に珍しく藍沢が目を丸くした。

「どういうことですか?フェローはどうすんだよ、藤川。」

「俺、決めたんだ。このままここにいても俺はフライトドクターにはなれない。
なら、先生に着いていって心臓外科の技術を学んだほうがいいんじゃないのかって。」

「やめて、心臓外科医になるってことか・・・」

「ああ、やっと俺ががんばれる場所見つけたからさ・・・」

藤川は藍沢の目をそらすことなく言った。

「そうか、いいんじゃないか・・・似合ってるよそっちのほうが・・・」

「ありがとう、藍沢。」

藍沢は決意を決めた藤川に何を言っても揺らがないと判断した。
藤川の門出を祝ってやりたいという気持ちが前に出ていた。
277名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 03:15:47 ID:E+KhTnXC
続きwktk
278瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 03:18:41 ID:o9s1pSVc
「ですが、移るのは一ヶ月後です。それまでは同じフェローですからみなさん
今までと同じようにお願いします。」

その言葉に頷きみんなもとの仕事に戻って行った。
藤川は一人の背中が気になった。
冴島は一度も顔を合わせようとしてくれなかった。

藤川の移動の準備も進みあと一週間となった。
いつもと同じように仕事をこなし何のことなく過ごしていた。

冴島はヘリの補充をしていた。
そこにいつかのように藍沢が立っていた。

「藍沢先生、忘れ物ですか?」

「いや、話は緋山に聞いた。知ってたんだな、冴島は・・・」

「何がですか?」

藍沢はヘリに寄りかかり右手を見つめながらつぶやく。

「藤川のことだよ。移動するって話・・・だから元気なかったんだな。」

冴島は藍沢が自分のことに気を配っていたことに驚いた。
昔の藍沢ならこんなことはしなかった。

「そうですか・・・すいません気を使わせて・・・」

「いや、冴島と藤川が話してるとすごく楽しそうだったからさ・・・
俺じゃあいつとはああは話せない。羨ましかったんだ。」

藍沢は藤川と冴島の関係が少し変わってからの二人のやり取りを遠くから見ていた。
自分にはああはできない。
藤川にあって自分に足りないものは多すぎた。

「藍沢先生がんばってましたもんね。白石先生と話すのに・・・」

「あいつ鈍感すぎるから、いくらアプローチしても気付かないんだ。
マジで困ったよ。」

今までの自分の行動に苦笑いがこみ上げる。

「冴島はいいのか・・・行っちゃうぞ、あいつ。あいつ、気にしてたよ。
お前のこと・・・怒らせただ嫌われただってな・・・冴島、後悔するなよ。」

藍沢は立ち去ろう体を起こそうとしたら腕をつかまれた。

「あたしはどうすればいいでしょうか・・・
藤川先生はもう居なくなるのに・・・」

藍沢振り返り手をあたまに乗せた。

「それは自分で決めろ。」

藍沢は病院に戻っていった。

入り口で藤川が寄りかかっていた。
279瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 03:30:11 ID:o9s1pSVc

「何話してたんだ?」

「気になるか?」

藍沢は皮肉をこめた表情で笑う。

「っ別に・・・」

「告白した。」

藍沢の発言に藤川は目を見開く。

「好きだったのか?冴島のこと・・・」

藍沢は耐え切れず腹を抱えて笑い出す。

「何マジになってるんだ?お前さんざん白石に告白しろって言っといて
何で冴島に告白しなきゃいけないんだよ。」

「はあっ・・・お前、騙したな!!」

藤川は藍沢に突っかかる。

「素直になれよ。早くしないと冴島獲られるぞ?
今まではお前がいたから何もなかったけど・・・
お前がいなくなればアタックしてくる連中はたくさん居るぜ。」

「藍沢・・・お前・・・」

「ちゃんと捕まえておけよ、俺も白石も緋山はどうか知らないけど
冴島がお前と居るときに見せる表情が好きだったんだからさ。」

藍沢はそれだけ言い残すと中に消えていった。
280瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 03:31:53 ID:o9s1pSVc
今日はここで終了です。
明日で完成させます。
281名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 03:35:39 ID:E+KhTnXC
楽しみにしてます。
282名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 10:03:30 ID:5ZY0dDZY
久しぶりに来たらたくさんレスがあってびっくりしたw
みなさんの連載楽しみにしてます!
283瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 10:44:46 ID:o9s1pSVc
最後のひと踏ん張りいきます。


冴島は本来の目的である補充を終えてヘリを降りた。
あたりは夕暮れで赤く染まっている。
入り口の方へ帰ると藤川が寄りかかっている。
急いで中に入ろうとしたら腕をつかまれた。

「ちょっと、待て!!何で避けるんだよ!!」

冴島は必死に腕を振り払おうとするが所詮男と女の差。
力が強すぎて振り払えない。

「離して下さい!!」

「俺の話聞けよ!!冴島!!」

冴島は抵抗しても無駄と悟り、力を抜き近くの壁に寄りかかる。

「冴島さ・・・そんなに俺が嫌いか?俺の顔見るのも嫌で話しもしたくなくなった?」

冴島は下を向き唇をかみ締める。

「俺、もうすぐ居なくなるのに何かお前とケンカしたままなんて嫌だよ。
俺・・・こんなんじゃ堂々と前向いてここ出て行けねえじゃん。」

藤川はいつものようにあたまに手を置こうとしたらあることに気付く。

「何泣いてんだよ・・・どうした?何かあったか?おい、冴島・・・」

こらえ切れず大粒の涙を流し冴島はその場に座りこんでしまった。

284瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 10:54:58 ID:o9s1pSVc
藤川は冴島がなぜ泣き出したかわからずどうすればいいか何もできない。

「冴島・・・どうしたんだよ。おい、泣くなよ。」

背中を撫でて理由を聞こうとするが何も話さない。

「・・・も・・う・・・」

「えっ・・・何、聞こえねえ?」

「もう、優しくしないで!!」

冴島が声を張り上げた。藤川はその大きさに驚く。

「私にかまわないでください!!藤川先生は次の病院のことだけ考えていればいいでしょ!!
私は大丈夫ですから。」

早口に告げて冴島は立ち上がった。藤川は手を握り締め小さく震えている。

「ほっとける訳ねえだろ!!大丈夫だってつったて、お前泣いてるし・・・
こんな状態で次の病院のことなんか考えらんねえよ!!」

「それはあなたの問題なのですよ。私は関係・・・」

藤川は冴島の言葉を遮るように叫ぶ。

285瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 10:59:44 ID:o9s1pSVc
「関係大有りだ!!ほっとけねえんだよ!!お前が・・・心配なんだよ!!」

「あなたに心配されなくても私は・・・」

「好きなんだよ!!お前のことが・・・だから、心配のするし・・・ほっとけない
とにかく、俺はお前が好きだ!!」

冴島は思っても見なかった答えに驚き言葉がでない。
286名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 12:15:41 ID:Tudipbwd
途中でレスすまそ。

冴島じゃないけどビックリだよ。
藤川〜〜〜!よく言った!gjだ!偉いぞ!
密かにハッピーエンド期待!
287瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 14:55:53 ID:o9s1pSVc
「こんなときにこんなこと言うのは間違ってるとは思うけど・・・
好きなんだからしょうがねえじゃん!!文句あっか!!」

藤川はしばらくして我に返り、怒鳴りながらの告白はないだろうと自己嫌悪をした。
冴島も返事がない。振られた・・・そう思った藤川は顔をあげると泣きながら
笑っている冴島がいた。

「怒りながら告白なんてはじめてです、私。ムードもロマンのかけらもありませんね。」

「お前だって笑うか泣くかのどっちかにしろよ。顔、酷いぞお前・・・」

気持ちをすべて吐き出しら楽になり落ち着いて話せるようになった。
冴島は藤川の右手を握った。

「私も好きです。藤川先生が・・・多分、ずっと前から・・・」

冴島の告白に藤川は顔を真っ赤にしてうなだれる。

「お前、人を散々避けて、嫌っておいてよく言えるな・・・・」

「好きだから避けてたんです。顔まともに見ると泣いちゃうから・・・
先生が居なくなると思うとさびしくて・・・悲しくて・・・」

右手を握る手の力が少し弱くなる。藤川は痛くない程度に握り返した。

「あのさ、一緒にいなきゃ好きじゃないのかよ?別に離れても付き合ってる奴なんてたくさんいるぜ?
それに、俺は一緒にいなくてもお前を好きでいる自信あるけどお前はないの?」

「そんなこと!!私だって藤川先生を好きでいる自信くらい・・・」

「だったら、いいじゃん・・・俺がいなくなっても大丈夫だろ?別に外国に行く
わけじゃないんだしさ・・・二人の都合が会えば会えるし、嫌じゃなきゃメールだって
俺、毎日送るよ?お前の暇な時間見つけて・・・しつこいぞ俺は。」

藤川の携帯を取り出してメールを打つ動作を見て冴島は笑ってしまった。
本当に毎日送ってきそうだ。

「電話もしてもいいですか?昼休みとか・・・・」

「おう、じゃんじゃんかけろ!!待ってるからさ・・・」

288瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 18:17:17 ID:o9s1pSVc
藤川は冴島の正面に立ち冴島の顔まっすぐに目をそらさず見つめる。

「俺、もっと頼れる医者になるから、お前が俺が彼氏だってバレても恥ずかしく
ないような良い医者になる。だから、俺のこと笑顔で見送ってよ・・・
しばらくさ会えないと思うから・・・最後のお前の顔が泣き顔とかは
嫌だからさ・・・」

「はい・・・」

冴島は涙をぬぐい今できる限りの笑顔をつくった。
289冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 20:31:15 ID:Hcww14wP
「今なんて言ったんですか?花火で聞こえなかったんですけど…」
申し訳なさそうに私が尋ねる。
「べ・別にたいしたことじゃないから…。また今度な。」
「何よ。男らしくハッキリもう一回言いなさいよ。」
緋山先生も呆れる。
(一体何を言ったのかしら?緋山先生も聞こえなかったのよね?)
私と緋山先生は顔を見合わせ両手を挙げた。
ところで彼は先程から袋をガサガサと漁っている。
「アンタその袋何はいってるのよ?」
私と緋山先生が袋を覗き込む。
「花火だよ。花火。打ち上げ花火だけじゃつまんないだろ?」
「せんこう花火なんて風流ね。チマチマやるのはガラじゃないけど付き合うわ。」
緋山先生は5本のせんこう花火にまとめて火をつける。
私も花火を受け取ると火をつける。
「緋山のはせんこう花火っていうか松明みたいだな。」
「私はこういう全てを照らす存在でありたいのよ!」
「いつまでも長く心に残るような存在でありたいです。私は…」
それぞれは花火を通して自分を見ているようである。

「それにしても、恵の奴どこにいったのかしら?」
「携帯も通じないし、案外どっかでいちゃついてるんじゃないか?」
「今日はヤケに白石先生ハシャイでましたよね。何かあったんですかね。」
「あの子親の仕事があれであの性格でしょ?こういう仲間内旅行初めてらしいのよ。」
「確かに居酒屋以上旅行未満って友達いますもんね。」
確かに私が幹事だったら彼女を誘っていたかどうか…
「まぁ、それは良いとしてどこ行ったんだろ?」
「もしかしたら、違う花火がどこかで上がってるかもしれませんねぇ。」
「確かにねぇ、」
私はクスクス笑うと、緋山先生もつられて笑う。
「違う花火ってなんだよ?」
「アンタねぇ、惹かれあう二人が一緒に花火を見て…」
「気持ちが盛り上がって何も無いわけないですよね〜。緋山先生〜」
290冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 21:24:41 ID:Hcww14wP
そんなもんかなぁと彼は首を傾げている。
(上手く頑張ってくださいね。)
実は白石先生がはぐれたのは、温泉での打ち合わせ通りなのである。
「そんなハシタナイ事無理だよ。ドン引きしてこれから話せなくなったら嫌だよ。」
と顔を赤らめて恥ずかしがる彼女も緋山先生と私が協力するならということで、勇気を振り絞ったようだ。
もちろんこれを知っているのは三人だけ。

私は夜空の星を見ながら白石先生の健闘を祈った。
こちらはどうかというと、彼の様子を見ていると今夜はもう何もなさそうである。

「花火も終わったみたいだし、そろそろ帰らない?」
気がつけば最後の打ち上げ花火が夜空に浮かんでいた。
「緋山先生?」
緋山先生の目からは涙がこぼれている。
どうかしたのだろうか?
「緋山?」
藤川先生が慌てたようにハンカチを渡す。
「ご・ごめん。何でもない」
彼女はハンカチをむしり取ると、慌てて涙を拭いた。
291冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 22:40:57 ID:Hcww14wP
「キャハハ」
宿に戻ると部屋からは白石先生の甲高い声がする。

「何か入りにくいわねぇ」
「お邪魔しちゃ悪そうですよね。」
「温泉に汗でも流しに行くか?」
私達はバツ悪そうに部屋を後にする。
最悪の時にはもう一つの部屋で寝ることも覚悟しておこう。

「花火綺麗だったわね。」
「ええ…あんなに近くで花火みたの初めてです。」
「お面良かったわね。ドラミちゃんだっけ?」
「はい。藤川先生が選んでくれました。」
花火大会が終わった直後ということもあり、温泉には私と彼女以外の人は居ない。
元々そこまで仲が良くない二人である会話が弾むわけがない。

「私は今日を良い思い出にしたいと思ってます。緋山先生貴方はどうですか?」
沈黙に耐えられなくなり、私は突然緋山先生の肩を揺さぶる。
「ちょっと急にどうしたのよ?」
「今日はもう争いごと止めませんか?お互いにとって良い思い出にしませんか?」
「どうしたの?急に?珍しく熱くなってるじゃない?」
「お嬢様の白石先生ですらあんなに頑張ったんですよ?
 このまま帰ったら立場逆転しちゃいますよ?」
仲の良い二人のことだ。帰ってからも藤川先生へのアプローチする方法について相談することだろう。
そのときにアドバンテージを白石先生に取られるのを彼女は耐えられるのだろうか?
「確かに最近恵が上から目線なのは、気にはなってるのよね。」
「そこでです。緋山先生湯あたりしてくれませんか?」
「は?」
突然の提案に彼女は面食らったようだ。
「誰かドクターが傍にいて欲しいって言えば藤川先生を宿に引き止めれます。
 三人で夜通し話でもしませんか?」
夜勤等で二人きりになることのある彼女には、あまりメリットの無い話かもしれない。
でも私には「傍にいてください」なんていう勇気はまだない。


「アンタに協力するのも最初で最後だからね。」


ちょっと不満そうに頬を膨らませている。
でも顔は笑っているので少し安心した。
私もこんな風に素直になりたいものである。
292冴島×藤川×緋山:2008/09/07(日) 23:00:32 ID:Hcww14wP
今日はここまで
最終回までにはクライマックスにいけるといいな。
>>23
>>29-30
>>34-36
>>41-44
>>51
>>57
>>78-80
>>93-96
>>109-111
>>163-165
>>168-171
>>174-178
>>183-185
>>196
>>253-257
>>259
>>263
>>267
>>289-291
今までの流れです
293名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 23:15:51 ID:7cVE+e5K
たくさん投下があるのは嬉しいが、なんかわけわかんなくなってきたな(´Д`)
294名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 23:22:43 ID:oihvsM1v
藤川の話お腹いっぱいだよ…
誰か藍沢先生やってー
295瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 23:40:28 ID:o9s1pSVc
藤川はふとあたまに思い浮かんだことがある。

「ごめんな、俺今気付いたんだけど・・・俺、お前よりチビだわ・・・
わりぃ、全然格好つかない。」

藤川は自分の背と冴島の背を測り手を上下に振っている。
その姿がなんだかおかしくて笑みがこぼれる。
この人はいつも私を気遣ってくれていたのだ。

「平気ですよ、5pぐらいですよね。気にしません。」

「本当?良かった。やっぱ別れるとか言われたらどうしようかと思った。」

藤川はある考えが思いついた。別れの思い出だこのくらいは許してもらいたい。
冴島がくすくす笑ってる隙をつく。

「冴島・・・」

藤川は冴島の手を引きわずかに下に引き寄せた。
そして・・・唇が重なる。
一瞬離れて、目を丸くしている冴島に藤川では無いくらいの低い声で呟く。

「移動の思い出作りだ。それに、このくらいやって何が悪い」

普段では見れない藤川本心が一瞬見えた気がして冴島は何も言えない。
逃げ腰になる前にまた塞がれる。
しばらく時間がたって唇が離れた瞬間、膝から崩れ落ちそうになって藤川にすがりつく。
自分より微妙に低い肩に額をのせる。

「いきなり・・・何するんですか・・・」

「だから思い出だって、あと俺・・結構独占力強いんだ。俺がいなくなった後に冴島が
ほかの男になびかないようにしておこうってさ・・・」

冴島は耳元で囁かれる声に身体が震えた。
296瑠璃 藤川×冴島:2008/09/07(日) 23:55:54 ID:o9s1pSVc
「そんなわけ・・・」

「そうか、わかった。じゃあ、俺もう中は入るな。」

藤川はスタスタと病院の中へ消えていった。
冴島もしばらくして中に入った。

それからめまぐるしく時間がたち藤川は颯獅の病院に移った。
冴島は藤川が言った通り、自分の休憩時間を見計らってのようにメールが届く。
内容はくだらいとこが多い。だが、こんなやりとりが自分をこんなにも幸せに
してくれるなんて今まで知らなかった。
冴島は返信の最後に一言メッセージを追加した。

”私、今とっても幸せです。”

それを見た藤川は屋上で一人顔を赤くする。
照れながらも返信を返す。

”俺もだよ。”

藤川は今日は一段と澄んだ空を見上げる。
冴島もこの空見てるのを願った。


終了です。エロなくてすいません。
思ったより長くなってエロにいくタイミングを見失いました。
みなさんが望むなら今度はエロを入れた藤冴を書きたいと思います。
後、藍白や藍緋もかけたら書きたいです。
297名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 00:10:45 ID:BdRTG4+p
This is the chaos!

投稿はありがたいが、どうかまとめて投下してください・・・
298名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 00:15:38 ID:WS/HFBqR
その通りだー
299名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 02:45:22 ID:NVuKd7MR
なんと清々しい藤川×冴島・・・超GJでした!
またよろしくお願いします。


ところで藤川って童貞?白石は処女?
300名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 06:44:44 ID:0V6J9v0m
かんどうしました(>_<)


また冴島でよろしくです(^-^)/
301名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 10:13:24 ID:+P/mVKR2
藍沢先生はまだぁ?

てか男性の書き手さんはおらぬのかのう
302名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 11:03:22 ID:YU0npZ0E
順番もそうだし、誤字も気にしてくれー

移動じゃないだろ、異動だろ
投下前に見直しぐらいしろよ
303名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 19:11:34 ID:Kon0gUn7
一生懸命書いてくれてるんだしそんなこと言うなよ。
職人さん達マイペースでがんばって!
304名無しさん@ピンキー:2008/09/08(月) 21:16:58 ID:YB42PQmF
いい子にして待ってる
305名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 14:34:04 ID:luSUXD8s
緋山先生メインの話って需要ありますかね…?
初めてエロに挑戦中なんだが、頑張って書いてみる。
306名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 16:41:33 ID:Gibt9k6+
緋山タンエロ期待
307冴島×藤川×緋山:2008/09/09(火) 21:16:40 ID:Gj3i55d+
前回までの流れ
>>23
>>29-30
>>34-36
>>41-44
>>51
>>57
>>78-80
>>93-96
>>109-111
>>163-165
>>168-171
>>174-178
>>183-185
>>196
>>253-257
>>259
>>263
>>267
>>289-291

「緋山先生大丈夫ですか?」
女湯の暖簾をくぐると私がワザとらしく声をかける。
風呂上りの牛乳を飲みながら新聞を読んでいる藤川先生が気がついて駆け寄ってきた。
「どうかしたのか?」
「あれ?アンタなんで踊ってるの?元気ね?」
「踊ってねぇし。どうした?サウナでも入ったのか?」
「緋山先生湯あたりしてのぼせちゃったみたいなんです。」
とりあえず私達は布団が敷かれた部屋に戻ることにした。

「脈とか心拍数は正常だし寝てれば大丈夫だろう。」
緋山先生を布団に寝かせると私達は椅子に腰掛ける。
「色々疲れが溜まってたんだろうなぁ」
「患者さんが急変するのを期待して、病院に泊まること多いみたいですもんね」
彼のコップにお茶を注ぐと、ささやかに二人で乾杯する。
(緋山先生ごめんなさい。)
「ううう喉渇いた〜」
狸寝入りの緋山先生がワザとらしくうめき声をあげる。
「ああ・・・大丈夫かな〜」
藤川先生は頭を掻きながらポカリスエットを彼女の口に持っていく。
308冴島×藤川×緋山:2008/09/09(火) 22:06:53 ID:Gj3i55d+
それを彼女はゴクゴクと喉を鳴らして吸い上げていく。
(なんか羨ましいなぁ。私が湯あたりの役の方が良かったかしら?)
普段看護しているがされることには、慣れていないのでちょっぴり羨ましい。
後ろから見ていると育児をしているようにも見える。
彼がいつか家庭を持ち、子供をもうけるとこんな光景が当たり前になるのだろうか。
「ん?」
立ち上がった彼が崩れるように倒れる。
「どうしました?」
私が慌てて彼に駆け寄る。
「足がおかしい…。」
彼は苦悶の表情を浮かべている。
「足ですか?」
足をさすると「痛い痛い」という泣き声が聞こえる。
(困ったなぁ)

「ちょっとどけて。」
耳元に頼もしい声が聞こえる。
「ちょっと足痛いけど我慢するのよ。」
「緋山起きて大丈夫なのかよ?」
「アンタが心配で寝れないじゃない!」
彼女は涙目の彼の足を伸ばすと何かやっている。

「サプリメント飲んで無いからこういうことになるのよ。」
彼の顔色がだんだん元に戻る。
「足はつると癖になるから気をつけなさいよ。」
「悪かったなぁ」
「困ったときはお互い様よ。
 アンタには生理痛で夜勤がきつい時に仮眠取らせてもらったりしてるからね。
 今日だって私のことなんか放っておけば良いのに…
 お人よしなんだからアタシのことなんかほっとけば良いのに…」
309名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 22:10:16 ID:NGho7x7w
239さん
白石×藍沢を書いて下さい
冴島×藍沢もお願いします
310冴島×藤川×緋山:2008/09/09(火) 22:37:11 ID:Gj3i55d+
「今日は大事を取って泊まったらどうですか?」
緋山先生がそう言えと、彼に見えないように合図している。
「そうよ。そうしなさいよ。」
「いや、お前等二人は大丈夫なのかよ?」
「何がよ?(何がですか?)」
結局布団をもう一枚ひき、彼を真ん中にして寝ることになった。

「なぁやっぱり、男の俺をどっかに隔離したほうがいいんじゃないか?
 年頃の女として」
彼は一人布団に包まっている。
「アンタ何襲い掛かる勇気あるの?頼もしいじゃない。どうぞ!」
緋山先生は肉食獣の目の輝きをしている。
「一男さん、眠れないなら子守唄歌ってあげましょうか?」
「美女二人に囲まれてヘタレの藤川君は、何も出来ませんでしたって森本先生に言おうかな」
「隣に居るのは虎だ。虎だ。虎だ。」
彼は自分に暗示をかけようとしているようだ。
きっと物凄い誘惑と戦っているというのは、私達の自惚れだろうか。

「あ・そうだ。さっき患者さんが急変するのを期待してって言ってたよね?」
彼は布団から顔を出して私の目を見る。
突然顔を出したので思わずキョトンとしてしまった。
「最初は俺もそう思ってたんだけど、どうもコイツは違うみたいだよ。
 だから誤解しないであげてくれよ。緋山は不器用なんだよ。」
何で彼女の味方をするんですか?
同期だからですか?
私のことももっと見て欲しい…。
311冴島×藤川×緋山:2008/09/09(火) 22:38:45 ID:Gj3i55d+
明日と明後日で完結させます。
とりあえず温泉は終わりです。
次は病院からスタートします。
312名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 22:45:37 ID:6XzkTuJ1
楽しみに待ってます(^-^)/
313名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 00:04:36 ID:Jd1q9/Kz
モエーさんお元気ですか
落ち着いたら新作待ってます
314名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 00:55:23 ID:CeEtGwAc
久しぶりに書きます。

藤川は自分より背の高い冴島を背負い冴島のマンションに向かっていた。
久しぶりの休みがたまたま冴島と重なり、冴島に勇気を振り絞り食事に誘った。
返ってきたのはわかりましたの一言でこうして二人は美味しいと有名な場所で
食事をとった。

その後の居酒屋で冴島は少し飲み過ぎたらしくふらふらだったのでこうして
今冴島を背負い彼女のマンションに向かっている。
朦朧とする意識の中で何とかマンションまでの道を聞き出したどり着いた。

冴島から鍵をもらい中に入る。
彼女をソファーに寝かせ冷蔵庫に向かい水を出して冴島に差し出す。
けだるそうに起きて水を飲み空のコップを藤川に渡した。
渡すときに冴島はポツリと言葉をもらす。

「すいません・・・迷惑かけて・・・」

「大丈夫だよ。もとはといえば俺が冴島を飯に誘ったのが悪いんだし・・・」

冴島は藤川の言葉に反応しすかさず言葉を付け足す。

「そんなことないです。料理も美味しかったし・・・何より楽しかったですから・・・」

藤川は呂律も上手く回らない口調で必死に弁解してる冴島を愛しく思った。

しかし、藤川は激しい動悸に襲われていた。
バクバク心臓がいって落ち着かない。

「俺、帰るな。」

「あっ、ちょっと待って・・・」

冴島が立ち上がろうとしたらふらつき藤川に倒れ掛かりかばった藤川は
ちょうど冴島に押し倒されたような体勢になった。
冴島は何故か顔が俯いている。

315名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 00:58:25 ID:kCCZ5E/z
わかるw
藍沢専門の職人さんは、このスレ住人の中ではモエさんって呼ぶ事にするw
みんな頑張れ〜
316名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 01:11:39 ID:CeEtGwAc
藤川×冴島2

「冴島、悪いんだけどちょっとどいて・・・」

藤川は押し倒されている状況にあたまがパンク寸前で起き上がろうと冴島に
催促をする。
冴島は起き上がり一歩下がった。

「大丈夫か?冴島どっか打ってない?」

藤川の優しい声に耐え切れず冴島は涙をこぼした。

「なんで、いつもそんなに優しいんですか?」

「えっ、なんでって言っても・・・」

藤川はなぜ冴島が泣いているかわけがわからないが嗚咽も漏らす彼女を
見てあたまで判断する前に身体が動き冴島を抱きしめていた。
冴島は酔っているのといきなりすぎて反応ができない。
ただ、藤川の抱きしめる力が増すばかりだ。
2分ぐらいだろうかそのくらい経ったら藤川が力を緩め数十センチに距離で見つめられる。

「泣いてるお前みたら抱きしめたくなったんだ。ごめん、こんなことして・・・」

「あなたは私のことどう思っているんですか・・・ただの同僚ですか・・・」


「」
317名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 01:39:32 ID:CeEtGwAc
「えっ、聞こえないんですけど・・・」

「お前が好きだ・・・冴島・・・」

いきなりの告白にあたまが真っ白になり黙り込む。

「俺、帰るから・・・」

「いい逃げですか・・・」

冴島は藤川に腕をつかむ。
藤川は冴島から顔をそらした。

「私も好きです。藤川先生が・・・だから、今日は一緒にいてください。」

藤川は冴島の返答に驚き目を丸くした。
だが、一回目を閉じ深呼吸をする。つかまれていないほうの手で冴島の
目頭にたまっている涙を拭う。
そのままいつもは纏められているが今日は下ろされている冴島の髪を梳く。
その感触がくすぐったいのか冴島は目を細める。
梳いていた手を頬に沿え冴島に近づく。
唇が触れる数センチ手前で冴島は藤川の口の前に手を出した。

「何だよ、ここまで煽っといて寸止めか?」

「違います。メガネ取っていいですか・・・」

冴島の思いもよらない返事に藤川はただ頷く。

冴島の手が藤川の顔に近づき横のつるも部分に手をかける。
カチャと音がして外されるといつもは見れない藤川の顔があった。

「見えますか?メガネなしで・・・」

「大丈夫。軽い近視だから・・・遠くが少し見づらいだけだ。」

藤川はメガネを取ると少し幼く見えた。
318名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 02:04:19 ID:CeEtGwAc
藤川は腕を取って引き寄せそのまま唇を重ねた。
一瞬離しほぼ重ねたままで低い声でつぶやく。

「一緒に居てって言った意味お前わかってる?」

「当たり前です。子供じゃないんですから・・・」

冴島はいつもとは違う男の目をした藤川から目をそらせない。

「酒の勢いじゃねえからな・・・俺はちゃんとお前が好きでこんなことするんだからな。」

「わかってます。私もそうですから・・・」

冴島の答えに聞き再び唇を塞ぐ。
冴島が時々漏らす声に興奮している自分がいる。
優しくしたいと思っても理性との戦いはしのぎを削るものだ。
長いキスが終わると二人の間のすぅーと糸がかかりすぐに消えた。

「藤川先生は以外と経験されている方だったんですね・・・」

「何で、俺だってそこまで多くはなかったけど・・・」

「女性の扱いなれてるじゃないですか・・・藤川先生は絶対モテないと思ってたのに・・・」

「俺だって一通りは経験してるよ。彼女の一人や二人過去にいたっていいだろ?」

藤川はこの状況で馬鹿にされる自分は今まで冴島にどのように映っていたのかが
ものすごく気になった。

「それはそうですけど・・・」

「お前だって彼氏いたろ・・・それと同じだ。」

藤川は中々納得しない冴島に痺れを切らせ、首と膝の後ろの手を入れ立ち上がり
横抱きの状態にした。

「ちょっ、いきなり何するんですか!!あぶないですよ!!」

「ごちゃごちゃうるさい!!今、俺はお前が好き、お前も俺が好き。この事実だけあれば
十分だろ。これ以上蛇の生殺し状態にするなよ・・・」

藤川の断言するような言葉に圧倒され小さくはい・・・としか答えられなかった。
藤川は寝室のドアを開けベッドに冴島を寝かせる。

「最終確認だ。今ならまだ止めてやれる・・・本当に俺でいいのか?」

「嫌なら最初に蹴り飛ばしてますよ・・・いいんです。藤川先生に抱かれたいです。」

藤川は少しふて腐れた顔をしてる。

「あのさ、先生って呼ぶのやめろよ。ここは病院じゃないんだぞ。」

「でも、じゃあ先生はなんて呼ばれたいんですか?」

「カズとかかな・・・俺のあだ名これぐらいしかなかったし・・・」

「じゃあ、私もはるかって呼んでください。私も違う呼ばれ方がいいです。」
319名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 02:05:57 ID:CeEtGwAc
今日はここで終了です。
320名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 03:59:26 ID:TadG2Qx/
はるかタンがたまらない
321名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 06:11:53 ID:Dh+bhXYV
冴×藤さいこぉ〜です(//▽//)


322名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 09:28:12 ID:iM0rUVok
キキ━(((゚∀゚)))━タタ!!!

冴島やばい可愛い!藤川男前!
323名無しさん@ピンキー:2008/09/10(水) 10:09:48 ID:kCCZ5E/z
積極的な冴島さん、かわゆい!
ほのぼのカップルですな
324冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 20:52:34 ID:BD9R9FhG
>>310の続き
緋山視点です。

「〜〜〜!」
耳元で何かの音がしている。
目覚まし時計かぁ?
私は寝返りを打ち音から離れがてら音の方を乱暴に殴りつける。
「〜〜〜」
まだ鳴り止まない。
仕方なく手元にあった枕を投げつける。
これで静かになるだろう。
後で電池を入れなおして復活させれば万事問題なし。
私は貴重な休日の睡眠を再び貪るために意識を集中しようとした。
(待てよ休日??)
考えてみると寝る前に目覚まし時計をセットした記憶など無い。
今は旅行に来ているはずである。

「〜一男〜大丈夫ですか?」
「辛うじて眼鏡だけは…」
段々頭がおきてきたのか、耳の音がクリアになってくる。
「メイクがあるから〜〜誰だよ」
声の主は呟きながらボールペン?で私の体をつついている。
「朝〜」
(だんだん昨夜のことを思い出してきた。)
私達は朝日が出るまで語り合っていたのだが、
今日は運転もあるので少しだけ寝ようということになったのである。
「起き〜」
これだけ近くで聞こえるということは、腐っても医療者狸寝入りには気がついているかもしれない。
(ここまで意地になると起きにくいのよね。こうなったら)
ガバっと人の気配の方に体を向ける。
「ガオー食べちゃうぞ〜」
薄っすら半目を開き一気に手を気配の方に伸ばすと、抱きつくように巻きつける。
「キャ━━━━━━━━!!」
耳元で静寂を切り裂く叫び声がし、唇にやわらかい感触がちょこんと当たる。
「え?」
だんだん視界が明るくなる。
目の前に居たのは…
顔を真っ赤に冴島であった…。
(しまった。間違えた。)
325冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 21:36:53 ID:BD9R9FhG
「藤川君!?」
恵が飛び込んでくる。
「え?」
藤川が後ろを振り返る。
「今の叫び声って??あれ?貴方藤川君?だよね?どうしたのその顔?」
「う〜ん。」
なんと説明して良いのかわからないらしい。

「あの〜緋山先生?目論見外れて残念でした。」
(やっぱり気がついていたのか。)
「な・何のことかしら?」
「それにしても間近で見ても色気とか皆無ですね。ちゃんと食べてますか?」
「うるっさいわねぇ〜」
「これじゃ夜勤で誘惑されるなんてことは無さそうですね。安心しました。」
冴島は腕を振りほどくと、私にでこピンすると立ち上がった。

それから二ヵ月後
旅行から帰ると、また忙しない日々が始まった。
藤川の顔の傷は、寝ぼけて冴島と私に抱きついて返り討ちにあった事になっていた。
(森本先生と梶さんの仕業らしい。)
まぁ確かにそっちの方がらしいといえばらしい。
運ばれてくる急患、急変する患者。これの繰り返しである。
そんなある日
私と藤川は夜勤の当直であった。
椅子には夜食のおにぎりと珍しくインスタントラーメンが置かれている。
「温泉から帰るとあっという間だったなぁ。」
「また行きたいわねぇ、恵と藍沢も良い雰囲気みたいだしねぇ。
 聞いた?この前この部屋で…」
「ああ失敗した!!集中できないだろ!」
彼は縫合の練習をしていたのだ。
「オペ中に静かになんてなるわけないでしょ?やり直し!!」
私は厳しい口調でやり直しを命じる。
「お前最近三井に口調が似てきたな。」
「あらそれは光栄…あ・三井先生お疲れ様です。」
「その手は食わないぞ。」
彼は手元が狂わないように慎重に縫合をしている。
「何やってるの?」
ヌッと三井先生が藤川に尋ねる。
私は意図を察してあえて黙っている。
「あら藤川先生?無視かしら?」
「え?いや緋山?ちょっと待…」
「この分じゃまだまだね。オペのときはね、
 あらゆる情報に気を配らなきゃ駄目よ。術野だけ見てたら駄目。
 救急でやっていくなら忘れないように」
三井先生は布をヒラヒラさせると、静かに「頑張ってね」と肩を叩くと去っていった。
「一体何しにきたんだ?」
「ああ…ほらアンタ私に抱きついたことになってるじゃない?二人の夜勤は危険だってことになってるみたいよ。
 院長がコンプライアンスは大事ですって言ってたらしいから」
326冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 22:00:53 ID:BD9R9FhG
最近二人での夜勤はいつもこんな感じである。
練習ひたすら練習である。
ちなみに時間の割合的には藤川8に対して私は2だ。
彼の妨害工作は妨害にならないので、冴島も夜勤のときに私は多く練習することにしている。
彼はおにぎりを口に頬張りながらポツリと呟く。
「黒田があんな事になったし、俺はヘリには乗れないのかなぁ」
「さぁ?私としてはヘリに乗る回数がこれ以上減るのは勘弁だけど…」
「だけど何だよ?」
彼は昔ほど不機嫌にならなくなった。
「アンタになら取られても良いかなぁなんて思ってたりするのよね。」
「かぁぁ、余裕だねぇ。さぁ気を取り直して練習だ。」
冷蔵庫から豚のハツ(心臓)を取り出す。
「じゃぁラーメンにお湯入れるよ?5分スタート!」
今度はバイパスの練習である。
もちろんこれも私の妨害付きである。
ちなみに5分というのは、心肺停止から5分以内が後遺症が残らないといわれるからだ。
「だいぶん上手になって来たんじゃない?」
「そうかなぁ?実は上手くいったのをそんなにマジマジみたこと無いんだよな。
 まぁ緋山が言うならそうなんだろうな。」
彼が自信無さそうに腕を組む。
「ヘリいつか一緒に乗れると良いね。」
「フェローだけでかぁ?無理だろう。」
「いつかよ…いつか…」
もし自分が変わってやれるのであれば、一度変わってあげたいものである。
もちろんそんなことが許されるはずがない。
「♪♪ーー交通事故患者受け入れ願います。」
静寂を電話の音が切り裂く。
327冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 22:19:39 ID:BD9R9FhG
「藤川先生と緋山先生は旦那さんの手当てを。私は奥さんの手当てをします。」
三井先生がキビキビと指示を出す。
出来る女といった様子である。いずれは私もああなりたいと思う。
「黒田先生。」
遅れてきた黒田先生は看護師に聴診器を付けてもらっている。

患者の出血が止まらない。
「開胸しろ〜。この患者助けるぞ〜。」
黒田先生は腕を切断したためメスは握れない。
オペをするのは私と彼のどちらかである。

「俺がやるから、緋山はフォローしてくれ。」
「アンタ出来るの?」
黒田先生の前で醜態をさらせば、今度こそ彼はヘリに乗れなくなる。
「お前がフォローしてくれれば出来る。助けてくれ。」
ヘリに乗ることが目的だった頃の彼はもう居ない。
今の彼は一人でも多くの患者を救うための手段としてヘリを認識しているのだろう。
「必ず助けようね。」
328冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 22:49:41 ID:BD9R9FhG
彼がメスを手に取り患者の胸を開くと、溜まっていた血が床におこぼれ落ちる。

「落ち着け。大丈夫だ。」
黒田先生の声がする。

「吸引」
彼が私にすばやく指示を出す。


もしかしたら
私と彼はこの形なのかもしれない。

望んでいた甘い関係では無いけれど、これはこれで悪くない。
生涯医者という同じ道を選び、共に歩く仲間だからできる形である。

「ここ抑えてくれるか?」
彼の意思が伝わってくる。
次第に声を出さなくても、サポートが出来るようになってくる。
黒田先生の目つきが変わったのがわかる。
私も彼も一人では藍沢の手技や恵の知識には、決して勝てないのはもう分かっている。
センスや閃きに差が有るのである。私も彼も天才や万能ではない。
でも二人なら並べる。いや、並べるだけじゃない。必ず追い越せる。
今はまだ無理かもしれない、でもお互い切磋琢磨していけば…。
ときにはどちらかが傷つくことがあるかもしれない。
でもそのときは慰めたり励ましあえば良い。

あの花火のとき、私にだけ聞こえた彼の本当の気持ち。
彼の心を捉えていたのは、私ではなかった。
そのときは勿論悲しくて辛くてたまらなかった。
自分の気持ちに気がつくのがもう少し早ければと悔やみもした。

「縫合終了…ですよね?」
彼が黒田先生の方を見る。
「黒田先生?」
「ああ…もう大丈夫だ。」
黒田先生は初療室を出て行く。

「助かったよ。ありがとな。」
彼が私に握手を求める。
「私達で一人でも多くの悲しみを減らそうね。」
「ああ…どうしたんだ?何か変だぞ?」
私は彼の手を力強く握り締めると笑いかける。
「もう離さないからね。」
「???」

彼はしきりに首をかしげている。
そんな彼を放っておいて、私は一度更衣室に戻ることにした。
329冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 23:24:30 ID:BD9R9FhG
「ああ…開胸はやっぱり疲れるわ…あれ?」
フッと気を抜いてしまったためか、目から汗と涙がとめどなく流れる。
「え?何で?何でよ?」
私は軽くパニックになる。
拭いても拭いても涙が止まらない。

バタンとロッカーを閉める音がする。
(いけない…誰か来る)
「あ・お疲れ。そっちは大丈夫だったみたいね…。」
「は・はい」
私はハンカチで目を覆いながら答えた。

「どうしたの?泣いてる?」
「え、いや。これは…」
「全くしょうがないわねぇ。」
三井先生は私の顔を抱き寄せて頭を撫でる。
「何があったかは聞かない。でも更衣室までよく我慢した。
 好きなだけ思いっきり泣きなさい。」
辛いこと・悲しいことも多いこの病院での生活だけれど、私は幸せ者である。
だって相棒だけでなく、こんな素敵な師匠までいるのだから。
「悲しくなくても涙って出るんですね…」
私が三井先生に尋ねる。
「私も子供産んだとき感動して泣いたわ。貴方は何に感動したの?」
「失恋したんですけど、その相手が生涯の好敵手ってわかってそれで…」
「なるほどねぇ。それって藤川のこと?」
私の胸がドキッとする。
「最初から私は分かってたわよ。
 貴方自分では気づいてなかったんでしょうけど、
 藤川の事話してるとき凄く良い顔してたもの。」
「え?そうですか?」
「さっきのバイパスの練習見てるときの顔も凄く素敵だったわよ。」
「え?見てたんですか?」
「私の夢は一人でも多くのフライトドクターを育てて、ヘリを降りることだから」
「どうでした?」
「よく出来てたと思うわよ。現場で使えればの話だけど。」
三井先生は優しく微笑む。
「三井先生、ありがとうございました。私行かなきゃ!」

伝えてやろう。一刻も早く藤川にこの事を…。
着実に一歩一歩一緒に歩いていこう。
私はこの形で満足だ。
迷ったらまた三井先生に相談しよう。

(さよなら一男…。これからよろしくドクター藤川)
私はドアを開けると一目散に走り出した。
330冴島×藤川×緋山:2008/09/10(水) 23:26:55 ID:BD9R9FhG
緋山編終了です。
どうだったでしょうか?

次回は冴島編を書いてちょっと最終回のエピソードと絡めて
後日談を書いて終了となります。
次回は明日書けると良いなぁ
331名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 02:20:34 ID:itExecBW
314 の続きです。

「いきなり、名前?ちょっと恥ずかしくないか?」

「私はこの状況の方が恥ずかしいですけど…///」

冴島の言葉に現在の体勢に気付き藤川は一気に顔を赤らめた。

「お前はごちゃごちゃうるせー」

藤川はそう言うと冴島の首に顔をうめる。

「……痕は残さないで下さい…あの服じゃバレるんで…」

「わかってる、迷惑はかけない。そんなこと出来るほど度胸ねえよ…」

藤川は首筋から顔をあげて冴島のあたまを撫でる。
そのまま服を脱がし、出来るだけ丁寧に乱暴にしないようにする。
これは最低限のマナーだ。
冴島は少し不安そうにこちらを見ている。

「冴島さ…もしかして初めて…」

「いえ、初めてじゃないです。でも、かなり前ですし…」

「そっか、俺も実は久しぶりなんだよな…痛かったらごめん。出来るだけ優しくするから…」

藤川の癖なのだろうか何か安心させるときは必ずあたまを撫でる。

「さっきから謝ってばかりですね…」

「そうだな、俺はいわゆるチキンだからさ…」

そう言いながらも自分の扱いは慣れていて悔しい気持ちになる。

藤川の手が身体に触れると自分のものとは思えない声がでる。
何をするにしてもこっちを気遣う藤川の優しいが切なかった。
冴島は身体に流れる快感に藤川の背中にしがみつく。
藤川の手が敏感なところに触れて自分にも聞こえるぐらい濡れているが分かる。
お互い身体がほてり、汗ばんでいく。
藤川は冴島の頬に触れた。

「入れるから痛かったら背中でも引っ掻いて…」
そう言うとゆっくりと入ってくる感覚に思わず
冴島は藤川の背中に爪をたてる。
332ネタ:2008/09/11(木) 14:23:18 ID:YJf7qSiL
※藤川×緋山
緋山先生の愛車のスポーツカーの中で間違いが起こる。

※冴島×元カレ
病院で再開した時に動けない元彼に口でしてあげる。

※白石×藍沢
白石が積極的

誰か書いて下され…
333名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 14:38:24 ID:hZH+iXvs
最終回「性と尻」なら見る!
334名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 19:12:05 ID:YJf7qSiL
( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc さんの新作が投下されるのを心待ちにしているんですが…
藤川専門の連載している職人さんの話も、長編として読みやすいようにまとめて
この板の保管庫とか作れないだろうか…。
黒田先生の話も二つほどあったし。
335名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 19:54:41 ID:8HH9pQKC
今日再放送見たら黒田×白石再燃してきた
散々冷たくしておきながら「よくやった」って優しい顔したのが萌え
336名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 20:17:02 ID:561pk2cQ
>散々冷たくしておきながら「よくやった」って優しい顔した
なんというツンデレw
337冴島×藤川×緋山:2008/09/11(木) 20:58:49 ID:GarrP4/O
最近の藤川先生は何事にもイキイキしている。
ナースステーションでも「眼鏡を外すと案外良いかも」と話題である。
(今頃魅力に気がついても遅いのよ!)
私は軽く咳払いすると、I早めに昼を済ませることにした。
温泉旅行から帰って早3ヶ月
正直私と藤川先生には何の進展もない。
一方私の唇を奪った緋山先生と彼は少し良い雰囲気である。
(病気の彼にあんな仕打ちをしたから罰が当たったのかしら?)
世間では白衣の天使なんて呼ばれているが、私達だって人間である。

神様
プライベートくらい愛する人と過ごしたり抱かれたいと思うことが、
そんなにいけないことなのですか?

最近ため息をつくことが多くなった気がする。

「ここ空いてる?」
私の正面の椅子に緋山先生が腰掛けようとしている。
「ええ、どうぞ。」
目配せする前から座っていた気がするのは気のせいだろうか?
「お一人だなんて珍しいですね。」
「藍沢はお婆ちゃんのとこ、恵はヘリ当番、藤川は知らない。」
「知らないって喧嘩でもしたんですか?」
私は心配するフリをしながらも、内心はほくそ笑んでいた。
「変なこと言うわねぇ、何で私が藤川のスケジュール管理しないといけないのよ?」
彼女はいつものサプリメントを水と一緒に飲み込みながら尋ねる。
「そ・そういう意味じゃないですけど、ただ…」
「ただ?」
「最近良い雰囲気だってナースステーションでも評判ですから…」
「良い雰囲気?私とアイツが?冗談言わないでよ。何で私があんな奴と。
 私は都会育ちの外資系か年収3000万以上の高級官僚としか付き合わないの。
 あんなドンくさい田舎者なんかと付き合うなんて、正気とは思えないわ。」
「でも好きだって言ってましたよね?」
「ああ。嘘よ。暇つぶしにからかって見たの。面白かった?」
「何を言ってるんですか?」
今日の何か様子がおかしい。
「藤川も馬鹿よね。ちょっと練習に付きあったらコロッと騙されて夜勤も変わってくれるようになったわ。」
バシッと乾いた音が食堂に響く。
「もう…止めてください…。」
私の手が赤くはれ痺れる。
「何で?アンタだって実家が土地持ちだから好きなんでしょ?」
「お願いだからもう…」
私の手が震える。
「ああ・・・良い事教えてあげるわ。アイツ今夜うちに来るわよ。
 酔わせて一発やっちゃって出来ちゃったって言ったらいくら出すかしらねぇ?掛けない?
 アイツ見栄っ張りだからそういうの弱いわよ。」
彼女はクスクスと笑っている。
(どうしてそんな事を笑いながらいえるの?)
再び乾いた音が食堂に響き渡る。
「痛ったいわねぇ。」
周りの医師や看護師達は何事かとこちらを見ている。
「貴方は最低です。」
私は彼女をにらみつけると吐き捨てると席を立つ。
こんな人に彼は任せられない。
駄目でも良い伝えようこの気持ちを…
338冴島×藤川×緋山:2008/09/11(木) 21:16:36 ID:GarrP4/O
緋山視点

(本気で叩くことないじゃない。午後の診療どうすんのよ?)
私が鏡を見て腫れていないか確認していると、頭の上で声がする。
「随分悪役になってたじゃない?」
「み・三井先生…見てました?」
「見てたもなにも食堂の人全員が聞こえてたわよ。」
(そんなにボリューム大きかったかしら?)
「後悔して無いの?」
「何がですか?」
「貴方凄く辛そうな顔してたわよ。」
私が舌を出す。
「辛いことも感情を表に出さずに言える様になって初めて一人前よ。」
「はい。三井先生…私今どんな顔してますか?」
(私は仕事のパートナーになるから、冴島後は宜しくね。)
339冴島×藤川×緋山:2008/09/11(木) 21:53:41 ID:GarrP4/O
エレベーターに乗ろうとすると、ゴチーンという音がして降りてくる人にぶつかってしまった。
「冴島さん大丈夫?」
「すみません、白石先生こそ大丈夫ですか?」
「なんとか。」
大丈夫と言いながらも彼女は鼻を押さえている。
「ところで藤川先生見ませんでしたか?」
「藤川君?ヘリポートに居たけどどうして?」
「ちょっと話があって…」
「そ・そう。頑張って!」
白石先生はファイトと言って私の手を握る。
「は・・・はい」
彼女の哀れみとも軽蔑とも取れる視線が白々しい。

「あ・じゃ行ってきます。」
エレベーターのドアが閉まる。
(どうしよう)
緋山先生の言葉が頭に来たのは事実だが、どうやって彼に伝えよう。
うまくいかなかったら香織にも愚痴を聞いてもらおう。

談話室の前を通ると藤川先生の姿が見える。
ドキドキドキドキ
心臓が飛び出しそうだ。
今までのフライトでもこんなに胸が高鳴ったことはない。
「藤川先生。ちょっと良いですか?」
「どうかした?407号室の佐々木さん?」
「ち・違います。」
「え?じゃ急患?」
「行かないで下さい。緋山先生の家に行っちゃ駄目です。」
「え?え?」
「私じゃ駄目ですか?藤川先生の傍にいるの。私は貴方のためならなんだって出来ます。
 だからもっと私を見てください。」
「冴島さん?どうしたの?」
「今日緋山の家に行くんですよね?」
「行かないよ。俺夜勤だし。」
「え?」
彼は眼鏡を拭きながら笑っている。
「第一俺が緋山の家に招かれるなんてありえないよ。アイツ俺に好きな人が居るの知ってるもの
 そんな噂になって困るようなことする奴じゃないし」
何だか私が緋山先生から聞いた話と随分と温度差があるように感じられる。
「アイツさぁ、花火大会のとき冴島さんに言った言葉聞こえてたらしいんだよ」
あのとき花火で打ち消された言葉はなんだったのだろう?
そういえば、とても真剣そうな眼差しだったのを思い出した。
「もしヘリに乗れたらデートしてくれ。
 そしてフライトドクターに慣れたら結婚を前提に付き合ってくれって言ったんだ。」
彼が照れくさそうに私を見る。
「私なんかで良いんですか?私冷徹な女ですよ?」
「知ってる。でも意外と優しいことも知ってる。」
彼は不意に私との距離を狭める。
「俺じゃ駄目?」
「光栄です。」
私が目をつぶると彼はグッと私の体を引き寄せた。
340冴島×藤川×緋山:2008/09/11(木) 21:55:12 ID:GarrP4/O
冴島編終了です。
明日か明後日後日談書きます。

>>334
読みにくくてごめんなさい
341名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 22:30:04 ID:gXUCaV39
回数分けて書いたら読みにくくなるのはしょうがねーよ。
342名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 23:59:02 ID:itExecBW
331 の続きです。

大きく息をはき深呼吸をする。
藤川の激しくもないが動かないわけでもない律動が冴島を刺激する。
二人とも絶頂にのぼっているのが分かる。
藤川が最後にストロークが大きくなり軽く呻く声がした。
冴島自身も最後の律動で絶頂しあたまが真っ白になりしばらく放心状態だった。
藤川はどこからかテッシュを取り出しお腹にかかった白濁色のものをふき取っていた。
朧げな目で見ていると藤川が声をかけてきた。

「大丈夫か?」

「はい…私こそ引っ掻いちゃってすいません。」
「いいよ、俺が引っ掻けって言ったから」

藤川は汗で張り付いた冴島の髪をはらいおでこにキスをする。
その後はまたあたまを撫でる。冴島は少し体温が高い藤川の手が心地よい。

「あの・・・藤川先生・・・」

「うん、どうした?・・・何処か痛い?」

「そうじゃなくて・・・・あの・・・二人でいるときにはカズさんって呼んで
いいですか・・・」

藤川はカズさんという響きに思わずメガネがないのにメガネを上げる動作を
してしまった。その行動に冴島は噴出す。

「カズさん、メガネないですよ・・・」

「わかってる、癖なんだよ。笑うな!!」

藤川はベッドから降りて服を着だした。その行動に冴島はあわてて身体を起こす。

「ごめんなさい!!藤川先生、帰らないで!!」

声の後にすすり泣くのが聞こえ藤川はジーパンを穿き、Tシャツを着たところで
振り返り冴島をシーツごと抱きしめる。

「ごめん、いじわるし過ぎた。ごめん、泣かせるつもりじゃ・・・」

冴島は藤川の背中に手をまわす。体温のぬくもりに安心する。

「うれしかったんだ・・・カズさんって呼んでくれて、今まで呼ばれたことなかったから・・・」

「あの・・・」

藤川は抱きしめる力を強める。

「カズさんって呼んで、俺もはるかって呼ぶからさ・・・」

藤川に名前を呼ばれ心が満たされていく。



343名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:09:26 ID:eGOAxups
冴島かわゆい(≧▽≦)


藤川かっこよい(´∀`)


続きよろしくです
344名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:23:46 ID:/uLzXLM1
爽やかエロですな
にしても藤川格好良すぎじゃまいか!
345名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:30:05 ID:QsFAyam9
342の続きです。

藤川は一端身体を離した。

「とりあえず、シャワー浴びたら?俺、帰らないからさ一緒に寝よう?
変な意味じゃなくてね。」

ポンポンとあたまを叩き笑顔で言う。

「はい、そうですね・・・本当に帰っちゃダメですよ・・・」

冴島はシーツと身体に巻きつけ着替えをもってバスルームに向かった。
藤川は部屋からシーツを見つけて新しくベッドメイクをする。
今までは冷徹とか怖いとか思っていたが意外に優しくかわいいところがある。
藤川はシーツのしわを伸ばすときに笑ってしまった。自分はだいぶ彼女に惚れていると・・・
何分かして冴島が戻って来た。まだ、髪は濡れているようだ。

「おかえり、勝手にシーツ変えさせてもらった。あと、ちょっとこっち来て座って。」

冴島は言われたままにベッドの端に座る。

「ドライヤー何処?」

「あの引き出しの中です。」

冴島は引き出しに指をさす。
藤川は引き出しからドライヤーを取り出し部屋の電気を付けた。
そして、コンセントをさし込み何処からか見つけ出したかわからないがくしを持っていた。

「髪乾かさないとカゼひく。」

後ろに座られ、髪にドライヤーを当てられた。

「あの、自分で・・・」

「いいって、前向け。」

藤川は丁寧にドライヤーをかけていく。思った以上に上手く髪を乾かしていく。
冴島は藤川の器用なドライヤーの使い方に驚いた。

346名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:31:22 ID:QsFAyam9

「上手いですね。」

「まあ、妹がうるさくてさ・・・覚えた。」

最後に冷風にして整えてスイッチを切った。
藤川はもとあった場所にくしとドライヤーを戻す。冴島は布団の中に入った。
藤川は電気を切って冴島の隣に横になった。

「カズさんはこの状況で大丈夫ですか・・・」

「俺だって、そこまで盛ってないよ。嫌ならあっちで寝るけど・・・」

「いいです。ここに居てください。」

冴島は藤川の腕を掴む。その手にもう片方の手を重ねて冴島に近づく。

「案外、寂しがり屋なんだな、はるかは・・・」

「そういうわけじゃ・・・」

藤川は腕を首の後ろに入れ腕まくらをする。

「もう寝ようぜ、明日があるし・・遅刻したら怪しまれるだろ。」

「はい、おやすみなさい。カズさん」

冴島は吸い込まれるように眠る。
藤川も冴島の体温を感じながら眠りについた。
言い終わると吸い込まれるよに眠った。藤川は冴島の体温を感じながら
眠りについた。

次の日も変わらない職務につく。
その日の夜、フェロー一同は医局で伸びをしている。
そこに冴島が四人分のコーヒーを持ってきて一人一人に配った。

「何、ちょっとどうしたの急に気持ち悪い・・・」

「人の行為に気持ち悪いって言うの失礼ですよ。気まぐれですよ・・・」

緋山は冴島からの差し入れが信じられずただコーヒーを見つめている。
白石はうれしそうにそれを飲んでいる。藍沢もコップを回しながらおいしそうに
飲んでいた。
藤川が飲もうとすると自分が持っている方にピンクの付箋が貼られてあった。

347名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 00:44:12 ID:QsFAyam9
345,346の続きです。

見ると冴島の文字で
”カルテ整理お疲れさまです。
 無理しないでくださいね。”
と書かれてあった。藤川は思わず赤面し他の三人にばれないように付箋をはがし
冴島を見る。こちらに背を向けているが耳が赤いのがバレバレだった。
その付箋をポケットにしまいなんでもないようにコーヒーをすする。
一気に飲み終え普通に冴島にお礼を言った。

「冴島、ありがとうな。美味かったぜ。」
そう言ってゴミ箱に空のコップを捨てた。
いいえという返事が返ってくる。
藤川は冴島の手伝いをした。

「お礼に手伝うね。こっちは俺がやるよ。」

はたから見れば普通の行動だが二人は心臓がバクバクだった。
藤川はバレないよに冴島に耳打ちする。

「ありがと、元気でたよ。はるかも無理すんなよ。」

「はい・・・」

二人だけの会話で思わず顔が緩む。
これからもこうして笑って過ごせたらいいと思った夜だった。


終了です。すいません、間があいて読みにくいことをお詫びします。
348名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 01:40:04 ID:8zh/Nnjk
>>347
読みにくい、だなんて思ってないんだ。
そうじゃなくて、連載ものは、どうしたって間が空いてしまうと思うから
長編小説として保管庫にまとめれば、みんな読みやすいって思って提案してみた。
誤解してたならごめんね!
349( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/12(金) 16:21:10 ID:BM0C0stJ
久々投下させて頂きます。
書いてる途中で>>332さんの「積極的な白石」を意識したけど
失敗したかもしれないです(´Д⊂


薄暗い、夜の外来ロビーのソファーに座って、買ったばかりの
紙コップのミルクティーを飲んで、やっと一息…。

「お疲れ」

少し遠い背後から藍沢の声がした。
振り向くと、3列後ろのソファに藍沢が座って
同じように紙コップを持っていた。

「お疲れ様…ごめん、そこにいたんだ。気がつかなかった…」
「疲れきった顔で真っ直ぐ自販機の前に行ったもんな」

言われた通り、とにかく何か一息つきたい一心で自販機に直行した。
午後にヘリで運び込まれた急患の緊急オペが長時間になり
やっと…さっき終わったばかり。
藍沢が大きくため息をつく。

「藍沢先生も疲れたよね…朝から忙しくてその上長いオペ入って…」
「白石…。」

会話を途中で折られて、振り向こうとした時に隙を与えない感じで続く

「俺、白石の事好きだ…」

小さい声だけど、そう聞こえた。
背後から聞こえた小さい言葉に目を大きく見開いてごくり、とミルクティーを飲み込んだ
…振り向けない…。

「あの…今…」

言いかけた時に、紙コップがゴミ箱に入れられる音がする。
振り向くと、藍沢は既にその場から立ち廊下に歩いていってしまった

「え…藍沢先生…」

呼び止めようと思ったけど、小さい声しか出なかった。
今のは…何?…空耳?聞き間違い?妄想?
ポツンの静まり返ったロビーで、白石は一人悶々とする。
350名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 16:22:02 ID:BM0C0stJ
唐突すぎる告白?
唐突すぎるっていうか
いきなりすぎるっていうか
…意図がよくわからない…

「ちょっと、眉間にシワできてるんだけど。面白い顔で何してんの?」

向かい合わせに座って書類書きをしていた緋山がしれっと言う。
思わず眉間を触って顔をきりっとさせる

「ちょっと考え事…」
「医学書オタクの考え事ってどうせつまらない事だろうね」

…つまらない事かもしれないなぁ…空耳とか聞き間違いだったら
かなりつまらない…いや、むしろ他の人たちは面白いかも。
そこで、緋山のPHSが鳴る。

「はい……えっ!?はい。一応私が今、行きます」
「急変?」
「304の佐伯さんが痛みを訴えてるから鎮痛剤入れていいかって」
「転落の佐伯さんだよね?藍沢先生の担当じゃないの?」
「藍沢が電話に出ないんだって。仮眠してんじゃない?私、代わりに行ってくるよ」

緋山が聴診器を手にして病棟へ向かった。

藍沢先生が電話に出ない…?
いつもなら仮眠中でも飛び起きて電話に出る筈なのに…
何か、あったのかな…

白石はペンを置いてさっきのロビーへと小走りで向かう。
真っ暗なロビーには、目を凝らしても人影はない
仮眠室にも行ってみた…そして仮眠室の前で藍沢のPHSに電話する。
しかし室内からは音がしない。と、同時に仮眠室から寝起き丸出しの藤川が出てきた

「お〜…白石どうしたぁ?ここ男子の仮眠室だよ?」
「藍沢先生、まだ寝てる?」
「藍沢?居ないよ。俺だけだよ仮眠してたの。」
「――そっか。ありがとう」

おい?白石?という寝ぼけた声はもう聞こえない
どこに行ったんだろう…。

…あそこかな?

心当たりが1つあった、でも、違うかも。
そう思いながら小走りで白石は階段を駆け上がる
351( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/12(金) 16:24:01 ID:BM0C0stJ
夜中の真っ暗な中に、所々にある蛍光灯で弱すぎる光がある。
風が少しある屋上に白石はたどり着く

――いた。

手すりに肘をついて立っている藍沢が見えた。

「藍沢先生?」

藍沢は声をかけるとこちらを振り向いた。
そこでいきなりさっきの空耳を思い出して歩み寄ってる脚を急ブレーキさせる

「何。」
「――佐伯さんが…痛みを訴えてて…緋山先生が鎮痛剤出しに行った…
 藍沢先生が電話出ないって言われて…」

藍沢はPHSの画面を見てふ、と鼻で笑う。

「やっぱり急変じゃなかったか。急変や重要な事なら何度も鳴ると思ったから。
1回かかってきただけでそれ以降呼ばれなかったから、そんなもんだろうと思ってたよ」

「私も…電話したんだけど…1回だけ…」

「1回しかかけてこないってことは大した用事じゃなかったんだろ?
 誰にでもできる鎮痛剤の処方のために、俺を探したのか」

「それだけじゃないんだけど…。さっきの…空耳…」

藍沢が不思議そうに「空耳?」と聞き返す。
空耳というタイトルをつけてたのは自分の中だけだった事を思い出して
白石は「あっ、えーと」と取り繕う。

「ロビーで…。さっき…。何か、言ったよね」

夜風と一緒に遠くの車の音が僅かに聞こえる
藍沢は穏やかな笑みで、白石のほうに歩み寄りながら答える

「聞こえてた癖に」
352( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/12(金) 16:25:10 ID:BM0C0stJ
白石の前に立つとPHSで電話し始める

「藍沢です。すいません仮眠とってました…はい、はい…わかりました。すいません。」

電話を切ると白石を見つめながら「緋山で用事済んだ」と一言報告してきた。
白石は、目を合わせられず藍沢のIDカードの藍沢の写真に視線を落とす

「好き…とか、聞こえたけど空耳だよね?聞き間違っちゃって」
「空耳じゃないよ。お前の事好きだって言った」

――視線が上げられないくらいに大きくドキン!と心臓が驚いた。

「…いきなり、だね」
「前置きとか準備とか、必要か?これから好きって言うぞって予告欲しかったか?」
「そうじゃないけど…」

向き合って立つ二人…距離が、近い。
藍沢が、白石の肩を掴む。見上げた白石の顔を見て

「予告があればいい?これからキスするからとか。」
「そんな事っ、予告されても…」

予告通りに重ねられた唇。ふわりと柔らかく体温が伝わってくる――
緊張が少し解されて…白石は、本来驚く所なのだろうけどなぜか涙が零れそうになる。
それに気づいた藍沢が少し驚いて

「嫌だった…?」
「違うの…。びっくりしたのと…なんでだろう、嬉しいの…」

嬉しい、という言葉を聞くと藍沢は穏やかな笑みになり強く白石の体を抱きしめる。
されるがままに彼の腕の中に収まると、白石は自分の意見はどうなんだろうと考える

私は…藍沢先生が…好き…?

今までに会った事のないタイプの人で、仕事に関しては冷徹だったけど…
本当はすごく深いところに優しいものを持っていて…
ごちゃごちゃと考えていると、藍沢の手が、青い術衣の下に着ていた白いTシャツの中に
もぐりこんできて、背中の肌を直接触れていく。そしてブラのホックを彼の右手が
片手でプチッと外した。「えっ」と小さく声をあげるとそれを再びキスで塞がれる。
353( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/12(金) 16:26:26 ID:BM0C0stJ
「いきなり何?」「ちょっとまって」「ここ屋上だし」「一応は勤務中だし」

色々言いたい事が頭に並ぶ。だけど、一言もだせないように藍沢はキスをやめない――
舌をゆっくり捕まえて味わうように絡ませる…白石は足元がフラついて
肩くらいの高さの屋上の手すりに寄りかかる。服の中では背中から片手が胸に回り込み
ゆっくり大きく、胸を優しく愛撫している。それを拒もうと指を伸ばすが…
結局は、彼の肩に掴みかかり、キス同様受け入れ続けてしまう。
背中に残っていたもう片方の手が腰へと下がってきて…腰から尻へと下着の中に入りこむ。
さすがにそれは、と思い彼の肩を軽く叩いてキスを中断してもらおうと思うが
舌が彼の舌に捕まってしまっている…。「んん…」鼻から短く声を出したけど、無視された。
それどころか唾液の混ざり合う音がする程に、キスが深くなっていく…

そして尻を直接、大きく開いた掌がゆっくりと揉んで…そのまま回りこんで前へと…。
さすがにそれに白石はピクリと身体を少し屈めそうになる
やっと…唇が離れて、酸素不足になるくらいのキスだった…

「あ…藍沢センセ…」
「白石、好きだ」
「ずるい…。その言葉…。」
「…本心、だから」

その言葉で…白石も、何かが溶けるような感覚になる。
藍沢が白石の首筋に何度も口付けて、舌を這わせると、ついに立っているのが…辛い。
そこで藍沢がふ、と鼻で少し笑う。

「こういう時も…白石は“流されるまま”なんだな」

それを聞くと、白石は拗ねたような顔をして

「そりゃ…最初はされるがままだけど…違うよ。藍沢先生…好き、かもって…気づいた。」
「好き“かも”って曖昧だな。やっぱり流されるんだな、お前って。」

笑いながら耳たぶを軽く噛む藍沢…自分の中の高鳴りが、実は抑えられなくなりそうな白石。
そこで…「キレ」た。白石は藍沢のベルトにいきなり手をかける。え?と言う藍沢に

「下着に手、入れてきたってことは…ここでするって思ったんでしょ?」

ベルトが外れるとズボンの中へ手を入れて…やっぱり興奮しきっているそこに下着の上から触れる。
近い距離で顔を見上げると…ずっと、好きだったんだ、と溢れる感情がわかった
形勢が軽く逆転すると、少し戸惑っていた藍沢も白石の身体を強く抱きしめる。

「…しちゃう?」

短く、白石が聞く。自分じゃないみたい、どうしたんだろうと冷静に思う自分がどこかにいる。
藍沢は何も言わずに白石の身体を手すりのほうへと向かせて無愛想に背後から呟く

「そのまま、尻を突き出して…」

言いながら、白石のズボンと下着を膝くらいまで下げてしまう。
弱く夜風が吹いて、露になった肌をすり抜ける
手すりに手を突くと、言われるままに白石は腰を屈めて…彼のほうへお尻を突き出す。
354( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/12(金) 16:28:01 ID:BM0C0stJ
「戸惑わないんだな」

指で少しずつ解すように弄りながら藍沢が言うと、白石は既に言い返せないくらいに
感じて…声を堪えていた。膝が勢いでカクンと曲がると藍沢が腰を両手で持って支える。

「さっき自分で言ったよな。“しちゃう?”って。…いいのか」

白石が頷くと、藍沢は膝を曲げて低く重心を取ると、片手でファスナーが既に下げられたズボンと
下着を少し下げて、先端をその間に押し付け、入り口を探るように上下に擦る… 
と、わずかな引っかかりを感じ、腰をせり出す。それと同時に白石が短く声をあげた。

「きつ…」

顔をくしゃっとした藍沢は呟いて、そのまま奥へ奥へと押し広げながら進ませる。
白石は力いっぱいに手すりを掴んで…震える。
薄く開いた目には、真っ暗な景色の中にぽつぽつとある街頭、遠い街の少ない明かりが
眼下に見える…外、なんだ、ここは。と認識すると自分の行動の淫らさを、少し悔やむ。
でも逆にそれが刺激になって自分を煽っている事も…悔しいけど、わかった
もっと、もっと、欲しいと体は勝手に背中を反らせて更に腰を突き出す
すると挿入の角度が変わり、更に深く…受け入れる
ゆっくりだった藍沢の動きが早まると自分の胸ポケットのIDプレートやボールペンが
動きに合わせてカチャカチャと音を立てる。

「……っんぅ」

我慢しきれず声を鼻先から漏らすと、藍沢が「痛い?」と聞くので首を横に振る。
そのうち、彼の力加減は無くなって、突き上げられるたびに、踵が浮くくらいに
強く、打ち付けられて、強く、貫かれる――

「も…だめ…」

白石が泣きそうな声で言うと「もうちょっとで、いく…」と藍沢も苦しい息遣いの合間で返す。
肌のぶつかる音と、お互いの息遣いだけが暫く聞こえて、「あ」と藍沢が顔を歪めると
いきなり抜いて、白石の白い肌に、白濁色のものを放つ。
自分のお尻に、少し冷たい夜風と対照的に熱いものが出されたのを肌で感じる…
はあ、と藍沢が息をつくと同時に白石はガクン、とその場に倒れるように座り込んでしまう

「大丈夫か?」

ベルトを締めながら藍沢は言うと横に座り、肩に手を置いた
「うん…」とまだ息切れしながら頷くと少しだけ我に返り、ポケットを漁りだす。
メモ帳数冊やボールペン、あれ…あ、あった。ポケットティッシュ…
少し震える手で数枚出したらそれを藍沢が横からとって、自分が出したそれを丁寧に拭き始める

「外でしちゃうなんて、…どうしちゃったんだろう、私」
「白石のほうが積極的になったから、ちょっと驚いた」
「…だから、ズルいって言ったの…。好きって言葉…」

藍沢は、白石を抱きしめて穏やかな口調で言う

「本心だって。言っただろ。好きだから言ったんだ。」
355( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/12(金) 16:30:06 ID:BM0C0stJ
以上です。
急いで投下したら一回間違えてあげてしまった…スマソ
356000:2008/09/12(金) 17:34:09 ID:buCly961
乙です
357名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 20:23:32 ID:UGAfFyfj
藍沢×白石
凄い いいっ!!

なんかリアルで良かった…
358冴島×藤川×緋山:2008/09/12(金) 21:21:17 ID:HKzIGKnT
>>339の続き
「現場凄い事になってるから!」
私が真剣な眼差しを浮かべヘリに乗り込む彼に声をかける。
彼が夢にまでみたヘリである。
初フライトで一緒になるとは、もはや運命としか思えない…。


ジリリーン
目覚まし時計が鳴り響く。
「ん?夢か?」
二日続けての夜勤のため生活のサイクルが狂っているのだろうか?
それとも夢のせい?寝た気がしない。
私達フェローはレスキューの制止を無視したことで一週間の謹慎を命じられたのである。

というわけで私は実家に帰省した。
帰ってきて机の上に山積みにされたものを見て驚く。
写真…写真…写真…
「何よ?これ?」
「貴方も年頃でしょ。がんばりなさい。こっちにもあるのよ。」
正直三井先生を始めとするシニアドクターの離婚暦を見ると
とても結婚する気になどなれない。
ただ具体的な彼氏も居ないので気分的に写真だけでもっとチラッと横目でみる。
今どきお見合いなんて古臭いことでしか伴侶を見つけられない
ヘタレの面を見てやるべしと、頬杖を突きながら写真をめくる。
揃いも揃ってボンクラそうである。
(やっぱりね。こんなの外ればっかりね。)
数枚めくると飽きてしまい。手を止める。
(〜病院心臓外科外山誠二 東都大学医学部教授の父親 
 2人の兄と共に自身も東都大学医学部を卒業しているエリート家系に育つ)
「冴島系か。」
私がボソリと呟く。
「良かった興味のある人いたのね?」
「え?」
母がこちらも見ている。
(え?今なんて言った?)
「この人が良いのね?まぁ私に似てイケメン好きね。さぁ早速手配していただかないと」 
359冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/12(金) 22:01:05 ID:HKzIGKnT
母は慌しく電話を掛け始めた。
「あれでも事故に巻き込まれないか毎日心配してるんだ。親孝行だと思って行って来なさい。」
父の「事故」という言葉が耳に残る。
(まぁ話の種に会うくらいなら良いか…)
もしかしたら、相手の男だって医者である。
幸運にも多忙で流れるかもしれない。
そもそも会って何を話すのだろうか?
合コンなら慣れているが親も居るとなると、迂闊に弾けるわけにも行かない。
(こんなことになるのだったら、三井先生にでもアドバイスを貰っておくべきだった。)

「ほお、末っ子ということは婿養子にしてユクユクはうちの病院を継いで貰うと言う手も…」
父も何だかんだ言ってもノリノリである。
普通「うちの娘は提携先に飛ばされるような奴にやる程安くない」とか言うんじゃない?
とりあえず、どんな人物なのか調べてみるため、自室のパソコンを立ち上げる。
論文でも引っかかれば、医者としての実力はわかるだろう。
どうせ論文だけのモヤシだろう。
「え?」
心臓外科医の登竜門フレッシュマンズライブのHPに名前が載っている。
(どうせ下の方にチラッとあるだけよね)
HPは意外と重いのか、表示に時間が掛かっている。
「もったいぶるんじゃないわよ。気になるでしょ!」
乱暴にパソコンの本体を叩く。
史上最年少、史上最高得点 2位以下に圧倒的に差をつけての優勝
大きな画像と共に先程のお見合い写真の男の白衣姿が表示される。

「何でこんな男が系列に飛ばされてるのよ?」
優秀すぎて教授に嫌われたとか?噂に聞く大学病院の世界なのだろうか?
『美帆子明後日になったから、予定空けておきなさい。』
母の声が聞こえる。

その時私は知る良しもなかった。
まさかあんなことになるなんて。
360冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/12(金) 22:04:41 ID:HKzIGKnT
今日はここまで

緋山のお見合いがSPであるということで、ちょっと番外編がてら書いてみました。
オリキャラは出来るだけだしたくなかったのですが、
完全なオリジナルではなく、医龍2の外山誠二に出てきて貰いました。
これならイメージしやすいかなぁと…。
需要はこれから激減しそうですが細々と書いていく予定です。
HP等を作る暇は私には無さそうなのでごめんなさい。
361名無しさん@ピンキー:2008/09/12(金) 23:18:58 ID:8zh/Nnjk
>>355
お疲れ様です!しかし上手いなぁ…
リアルだから感情移入して一気に読んでしまうよ。素晴らしい!
ネタ提供した者だけど、こんなに良い話になると思わんかった!
>>360
外山先生(医龍)は林さんの脚本繋がりですな!
医龍、見てなかったから見ようと思う!
362名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 06:00:15 ID:tlm6hCjU
>>360
まさか外山が出てくるとは…でも個人的には好きな組み合わせかも
プライド高くて上昇志向が強くて口は悪いけど実はいい人、と共通点も多い
ツンケンした似たもの同士が不器用に恋愛していくのを見るのが好きだったりします
続きがなまら楽しみですw
363冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 11:38:46 ID:rOKIVyUU
今度は北洋病院と検索してみることにした。
(もしかしたら、栄転かもしれない。)
現在医学会で注目の明真メディカルシティ計画の中心である明真大学より格上があるとは思えないが…
「日本初の快挙!肝臓移植と心臓移植を同時に行った奇跡のチーム」
このオペは私が研修医だった頃話題になったから少しは知っている。
そのメンバーだったのなら腕は悪くないのだろう。
(後は…)
腕が良いのにお見合いを出すほどモテナイと言うことは、
余程人柄に問題があるのだろうか?
藍沢の例もあるし一応調べておく方が良いかも知れない。
(さてと聞くだけ聞いてみるか。)
ポケットから携帯電話を取り出すと、ピコピコとアドレス帳を検索する。
私にはこんなときに頼りになるネットワークが二つもある。
明宝医大と岳南大学教授の娘が居るのだ。
(白石) (冴島)

医学会は意外なところで結びつきがあったりするから、噂くらいは耳にしているかもしれない。
いやそれどころか、私にお見合い写真が来ているくらいだ。
もしかしたら、彼女達にだって来ていても不思議は無い。
むしろそっちの方が自然である。
(断ったから私の所にまで来たとかじゃないわよね。)
二人のお下がりというのは我慢ならない。

「あ…もしもし?」
「緋山先生どうしたの?」
「ちょっと聞きたいことあるんだけど、今大丈夫?」
「う…ん、どうしたの?」
「東都大学の外山教授の息子さんって何か知ってる?末っ子らしいんだけど。」
「何で私に聞くのよ?」
「大学教授の娘だからなんか接点あるかなと思って」
「また合コン?」
「それなら苦労しないわよ!」
「ちょっと待ってて。パパに聞いてみる。」
電話を机に音が聞こえる。
364冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 11:40:36 ID:rOKIVyUU
(何か大事になったわね。同期に聞くのは失敗だったかも)
今更後悔しても遅い。
「あ・ごめんごめん。東都大は特に知り合いは居ないけど、名前は聞いたことあるって」
「そ・そう。休み中にごめんね。」
「頑張ってね!」
何を頑張るのかわからないが、とりあえず励まされたので「ええ」とだけ答えて電話を切る。
わかったことは、上に兄と姉がいて末っ子だということ。
上の兄姉は東都大学でそれなりのポジションだということ。

(仕方が無い。)
コイツに頼るのはちょっと癪だが、口は堅いもれる事は無いだろう。
アドレス帳で冴島を検索する。
「もしもし?」
仕事と同様に反応が早い。
まだ心の準備が出来ていない。
「あ・冴島今何してる?」
「特に何もしてませんよ。明日からは藤川先生と旅行に行くので荷造りしてますけど」
実はこの二人ヘリに乗ったことで、とりあえず一定の関係にはなったらしい。
ヘリで救助の帰り道をデートと勘違いしていると、近々シニアから雷が落ちるらしい。
(行きは勿論真剣そのもの。帰りに気が抜けるらしい。ザマーミロ)
「東都大学の外山教授の息子さんって何か知ってる?」
「唐突ですね。私親とは看護学校に行ってから口聞いてませんから。」
「お姉さんとかとは口聞いてるんでしょ?」
「まぁマンションの保証人になって貰ったりしてますから・・・」
「あれ?緋山先生に姉が東都大って言いましたっけ?」
「そうなの?」
「ええまぁ…どうかしたんですか?」
冴島の声が大きくなる。
「ココだけの話よ?」
「私そんなに病院の人と仲良く無いから大丈夫ですよ。ご存知でしょ?
 一男さんくらいにしか言いませんよ。」
藤川の名前を呼ぶとき一瞬声がデレっとしたのは、もはや気にする必要も無い。
(それが一番心配なのよ。耳に入った瞬間病院中に広まるわ)
「合コンですか?私はもう行きませんよ。」
以前私と白石と冴島で合コンに行ったのだが、それはそれは盛り下がった。
「そんなんじゃないわよ。親に言われて仕方なく会うのよ」
「お見合いですか?頑張ってください。」
「実は夜、姉と藤川先生会わせるんでそのときそれとなく聞いてみますね。」
恋は一直線というところだろうか。展開が速すぎてついていけない。
「べ・別にちょっと気になるだけだからね。」
「分かってますよ。また連絡しますね。」
こんな事になるとは思っても見なかった。
父と母は物凄くノリノリである。

自分の意思とは関係なく話が進んでいくのが面白くない。
よし決めた。悪態をついて向こうから断るように仕向けてやろう。
温室育ちのおぼっちゃんはさぞ驚くことだろう。
365冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 11:49:22 ID:rOKIVyUU
>>361
うん。気づいてくれてありがとう。
出てくるのは2だけです。

>>362
お見合い相手って考えたらこれしか思いつかなかったよ。
性格的には不器用なところが似てる気がして、なんか良いカップルになれる気がする。

夜続き更新します。
もう一つくらい接点があることにするんだけど、(これも強引だけど)今は内緒。
366名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 16:16:48 ID:hfEvmoS3
モエーさんあいかわらずGJです!
好き「かも」ってセリフが白石っぽい
あと夜景の描写がリアルで好きです
367冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 22:09:33 ID:rOKIVyUU
「ちょっと会うだけなのよね?」
私が母に確認する。
振袖姿なんて成人式以来である。
(思いきっり正装な気がするんだけど…)
まぁ私も27だしそろそろこういうのがあっても良いのかしら…
小学校の頃はもう結婚してるもんだと思ってたしなぁ。
あれから白石からも冴島からも連絡は無かった。
忘れているのか・それとも伝えられないほどひどい人物なのか。
こっちから電話するのも「その気がある」と思われても癪なので電話は出来なかった。

「とにかく愛想良くするのよ。美帆子は笑った顔が可愛いんだから」
「はいはい。」
ニコニコ笑って美味しいもの食べれば良いのだ。
こんな楽なことは無いじゃないか。
母の後ろをついて歩きながら、少し自分が緊張していることに気がつく。
(こんなのオペに比べれば、何てこと無いじゃない。)
私は目を閉じて深呼吸し心拍数を整える。

「こちらになります。」
女将はドアをノックすると私達を案内した。

「どうもはじめまして。本日はどうもありがとうございます。息子の誠二です。」
母に隠れて私にはまだ見えないが、先方はもう到着していたようである。
(キッチリ5分前行動ね。)
「こちらこそありがとうございます。娘の美帆子です。」
母は振り返ると私に挨拶するように目で合図する。
「は・はじめまして…」
私はぎこちなく挨拶する。
「まぁまぁ座ってください。」
掘りごたつに足を伸ばしながら、私は外山さんを見る。

「外山誠二と申します。北洋病院外科心臓外科医をしております。専門は血管外科です。」
スーツの外山さんが丁寧に頭を下げる。
第一印象はなかなか落ち着いた感じの人である。
368冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 22:10:35 ID:rOKIVyUU
「緋山美帆子と申します。翔北救命センターでフライトドクターのフェローをやってます。」
「救命ですか。大変でしょう?ウチにも救急車ちょくちょく来ますが・・・」
私が頭を下げると、さっそく質問をしてきた。
(意外とせっかちなのかしら?)
質問に答える方が楽なので助かるは助かるのだが…

「尊敬する人物は?」「座右の銘は?」「結婚相手に望むものは?」「将来の夢は?」
「特技や趣味は?」というありきたりの質問から
「普段の仕事の時間配分?」「夜勤の時間つぶしの方法」 「今までどんなタイプと付き合ってきたか」
などのライフスタイルに関わる質問まで
お互いに質問合戦だ。
後半は何だか答えにくいことをお互いに聞きあっていたような気がする。
私の答えは面白みの無い女だと思わせるために、
恵が答えそうな答え方を途中までしていたのだが、それすら面倒になり適当に答えてしまった。
どうやら外山さんは非常に真面目な一方で、自信家な一面もあるようである。
「どうでしょう?後は若い二人で…」
「庭でも歩きましょうか?」
中庭は庭園になっていて歩けるらしい。
「は・はい」
よく考えると病院以外で年上の男性と、二人になるのなんて初めてでは無いだろうか?
「緋山さんはお見合いとか積極的なんですか?まだ若いのに偉いですね。」
「外山さんこそどうなんですか?」
「俺は親父が倒れたっていうから実家に戻ってみれば、大嘘で連れてこられたんだ」
「え?本当ですか?」
「ウチは兄と姉の出来が良かったから褒められた経験もないんで、二度と帰らないつもりだったのに。
 小学校のとき90点でも怒られたの今でも覚えてるよ。」
さっきから「私」が「俺」に代わり、喋り方が少し男らしくなっている。
369冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 22:11:39 ID:rOKIVyUU
「私も母が勝手にお見合い相手を募集してて・・・」
私が恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「1週間謹慎になったんで実家に帰省にして知りました。」
「謹慎って何やったんです?」
「え・・それはその。じゃ教えるから一つ質問してもいいですか?」
「どうぞ」
「何で北洋病院にいるんですか?明真大学に居たんですよね?」
「むかつく講師ぶん殴っちゃったんです。あっという間に干されたね〜」
彼は笑いながら答える。
(前言撤回意外と短気みたい)
「今度は緋山さんの番ですよ?」
「レスキューの制止を無視して治療したからだから、別に誰も傷つけてません」
「いつかは明真に戻るんですか?」
「さぁどうだろう?最初は嫌だったけど、
 消化器科の松平とか内科の藤吉とか麻酔医の小高とか面白い奴もいるからなぁ」
外山さんの表情が少し明るくなったような気がする。
「俺は親の跡継ぎでも無いから玉の輿でもないし、断りたかったら断っていいよ。」
「玉の輿って今どき居ませんよ〜」
私は思わず笑ってしまった。
「ここで会ったのも何かの縁だし、明真の設備見学したいときは言ってくれ」
「楽しみに…」
女の人の叫び声がした。
「!!!」
一瞬外山さんの顔が真剣な顔になる。
「外山さん?」
「あ・・・すみません。ここは病院からも近いし何より今日はオフだし。」
「そ・そうですよね。」
医者の職業病だろう。
『誰か来て〜』
先程の家族だろうか?助けを呼んでいる。
370冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 22:13:08 ID:rOKIVyUU
ヒュンという風を切る音が耳元で聞こえる。
「外山さん?」
外山さんの姿が無い。
「わ・私も…」
振袖で走りにくいが仕方が無い。

「緋山さんは部屋で待っていてください。」
「私だって医者です。こんな格好でも手伝いくらい出来ます。」
「そしたら俺の鞄持ってきてくれる?中に一通りの道具が入ってるんだ。」
「わかりました。」
二人が声のする方に向かうと、そこには中年の男が一人倒れている。
「俺は医者です。救急車が車で立ち会います。」
『ありがとうございます。』
「聞こえますか?」
彼が手当てを始めるの横を私が走り去る。
私は彼の鞄を取りに部屋へと急ぐ。
(医療道具は肌身離さずか)

部屋では親同士が楽しく談笑している。
(あんた等外に居る私達に聞こえて何で聞こえない?)
入り口に置いてある彼の鞄を探すと急いで部屋を出る。

「道具持って来ました。」
聴診器を外山さんに渡す。

胸に聴診器を当てる彼の顔色が曇る。
「救急車まだか?」
救急車の音はまだ聞こえてこない。

「心臓の音が弱まってる。AED持ってこい」
(何か命令口調で言われてる?こっちが素?)
しかし今はそんな事を言っている場合ではない。
371冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 22:14:55 ID:rOKIVyUU
「AED有りますか?」
私が丁寧に女将に尋ねる。
あいにくこの店には設置していないようだ。

「どうします?」
慣れた手つきでアンプルを手に取る外山先生に尋ねる。
中には麻酔薬が入っているようである。

「呼吸任せるぞ?」
挿管するとこちらを見る。
(何かかなり上から目線ね。)

「外山さんはどうするんです?」
「開胸して直接心臓マッサージする。」
「え?」
私が思わず聞き返す。
救急車はまだ来ない。
「このまま心臓が停止するのを見ていたら、患者に後遺症が残る。」
私はバッグを押しながら患者の顔を見る。
確かにドンドン顔色が悪くなっている。
しかし自分なら出来るだろうか。この状況でたった一人で。
私が迷っている間に彼は直接心臓をマッサージし始めた。

それから約1分後
救急車の音が聞こえる。
「遅いぞ。早く乗せろ。それから北洋病院に受け入れさせろ。外山だといえばわかる。」
「わかりました。」
救急隊員の一人は救急車に戻る。
私達は急いで患者を救急車へ乗せた。
(ふう…これで終わりね。)
私はバッグを救急隊員に任せると救急車を降りようとしたが、
患者の奥さん?が乗ってきたため降りれない。

「悪かったなぁ。今度埋め合わせするから、振袖汚れないように気をつけてな」
「は…はい」
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
奥さんは私の手を取ってお礼を言う。
「全力を尽くします。俺のチームが病院にいる。」

ヘリでこういう現場に慣れているはずだったのに…
私は何も出来なかった。
ただ指示に従っていただけ
悔しさだけが胸を締め付ける。
フェローとして医者として少しは腕を上げたと思っていた。
思い上がりも良い所だった…。
こんなことでフライトドクターになれるのだろうか?
372名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 23:06:11 ID:31zDFcVX
>>371の作品がいくらなんでも長すぎるw
まるでコードブルーじゃなくて>>371と信者のためだけに作られたスレみたい。
373冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 23:30:39 ID:rOKIVyUU
患者は安定しているという電話を外山さんから受けたのはその夜だった。
「着物汚れませんでした?それ以前にお母さんに怒られませんでしたか?」
「ええまぁ多少は…。ただ自分は声に気がつかなかったんでそんなに言われませんでした。」
「それは良かった。良かったら休みの間に病院にでも遊びに来てください。
 善田って先生に言えば案内してくれます。」
「お役に立てずすみませんでした。」
「研修中なんでしょ?あれだけ出来れば良いと思うよ。」
(フェローと研修医を誤解しているようだが…。
 説明するのも面倒なので止めた。)
お見合い前の印象では多少腕はあるけど
結局は論文マニア(白石男版)だろうと思っていたが
ぶっきら棒だが腕は確かで、しかも医者一家となると冴島男バージョンと考えるべきだろう。
私的にはもう一度くらい会っても良いとは思っているのだが、
向こうはどう思っているのだろうか?
そういえば、さっき病院に遊びに来てくれても良いと言っていたのを思い出す。
こっそり仕事振りを見に行ってみよう。
もしかしたら、たまたま格好よく出来ただけかもしれない。
それに今日は開胸しか見ていない。
医者としての将来性なんてわからないではないか。

「美帆子どこ行くの?何かオシャレしちゃって。」
「え?ちょっと。」
私が鏡の前で服を確認していると母が部屋に入ってきた。
「まぁデート?私と一緒ね。私もお父さんとのお見合いの翌日にはデートに行ったわ。」
「そうなの?」
「内緒よ?だってお父さん話つまらなかったんだもの。」
ふーん。お見合いって重いイメージあったけど、意外とそうでもないのかしら?
母がお見合いの次の日デートに行ったくらいだ。
私達の世代はご飯が相席になってたまたま話したくらいの気で居れば良いだろう。
よくわからない安心感が生まれてきた。
(手土産にお菓子でも買っていこうかしら)
かなり大きい病院と聞いている。
看護師はどのくらいいるのだろうか?
あくまでコッソリ行くのだから電話して聞くわけにもいかない。
(こういうのは、多いくらいがちょうどいいのよ。)
気前よく一番大きい箱を購入し病院へと向かった。

(大きいわねぇ)
研修医のときの病院の1.5倍はあるのではないだろうか?
私が外科はどこにあるのか探していると、眼鏡をかけた中年の医師が声をかけてきた。
「何かお探しですか?」
「外科ってどこにあるんでしょうか?」
「これから私も行きますので、ご案内しましょう。こちらです。」
「今日はお見舞いか何かですか?」
エスカレータで不意に尋ねられる。
「ちょっと遠い知り合いが居るもので、ところで外科の外山ってどんな先生ですか?」
「あ・院長どうしたんですか?そちらの方は?」
(い・院長…)
女医の言葉に思わず驚く。
「外山先生ならさっき食堂に居ましたよ。私がご案内しますね。」
院長と呼ばれた男はこちらに丁寧にお辞儀すると去っていった。

「貴方も医者なの?」
「ええ・・まぁ翔北救命センターの方で…」
「翔北救命センター…」
チョコレートを口に頬張りながら、首を傾げる。
「環奈元気にしてる?」
(三井先生のことよね??)
「大学時代の同期なのよ。ヘッドハンティングされているはずなんだけど知らない?
 お互い子供が出来てご無沙汰だけど懐かしいわ。」
374冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 23:46:02 ID:rOKIVyUU
彼女はどうやら麻酔医をしていて、三井先生とは昔仲が良かったらしい。
お互いの結婚式にも出席した仲だそうだ。
二人とも離婚していることは、風の噂で知っていたようである。

「外山先生はねぇ…う〜ん。私あんまり接点ないからなぁ。でも手技は抜群ね。」
「そ・そうですか。先程の先生もそうおっしゃってました。」
「ところで貴方いくつ?」
「2〜歳ですけど?」
「若〜い。お肌スベスベ」
この人もしかしてそっちのけがあるのだろうか?
「冗談よ。外科のエースよ、ちょっと性格きついとこあるけどね。」
私の考えが読めたのか笑みを浮かべる。
「そ・そうなんですか…。お仕事中だしやっぱり止めときます。また来るって伝えておいてください」
「あら照れちゃったの?それとも緊張?」
「これ皆さんで食べてください。」
私は早々に引き上げる。
よく考えたら私はどうしたいんだろう?
自分でも分からない。
藤川争奪戦には自分から身を引き。
今度はお見合い相手の素行調査?。
私も白石や冴島のように真剣な恋をしたいのである。
でも結婚はまだ考えられないのである。
それでは駄目なのだろうか?
375冴島×藤川×緋山(番外編):2008/09/13(土) 23:47:54 ID:rOKIVyUU
長くてすみません。
まとめてあげると長くなり、分けると読みにくくなりどうしたら良いのやら。
興味の無い方は読み飛ばしてください。
月曜日には多分全て終わりますので。
376冴島×藤川×緋山:2008/09/14(日) 00:04:46 ID:rOKIVyUU
「おはよう。」
ロッカールームには冴島と白石が居た。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「何話してたのよ?珍しいわね。」
「1週間も謹慎したこと無かったものですから、
 どんな顔してナースステーションに行こうか迷ってまして。」
「冴島さんはまだ看護師で休んだの一人だからいいよ。」
白石も心配そうな顔をしている。
確かにフェロー全員が謹慎になったということは、
三井先生と森本先生に多大な負担が掛かったことは想像に難しくない。
「とりあえず部長の所に行きましょう。下向いて反省したフリしとけばいいわよ。」
実際悪いことをしたという認識がないのだから、こんな発言をしても仕方がない。

「失礼します。」
院長室に入ると、そこには男性陣の他にシニア二人の姿がある。
「全員揃いましたね。今日はお知らせしなければならないことがあります。
 黒田先生がリハビリに専念されるため先日お辞めになられました。」
377冴島×藤川×緋山:2008/09/14(日) 00:05:16 ID:G5G3LDPz
続きはまた明日。
378名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 07:16:43 ID:uwK56Vf9
久々に覗いたわけだけど、言わせて欲しい。
神達!おまいら有能過ぎるだろ!!!!!!!
今まで女よりチビな男とのNCに萌えた事なんかなかったのに…!
神様が有能過ぎて朝から大興奮してしまった
色んな意味で冴島より藤川が大きく見えるわwほんとにどうしてくれるこの萌えの凄さは
ほんとにありがとう。いや、ありがとうございます!
379名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 07:22:08 ID:uwK56Vf9
久々に覗いたわけだけど、言わせてもらう
神よ…おまいら有能過ぎだろ!!!!!
今まで大女小男のNCに萌えた事なんてなかったのに…
朝から大興奮しちゃったじゃないか!
いろんな意味で冴島より藤川が大きく見えるよ。
なんかあの…色々と新しい何かが目覚めてしまったわ。神様ありがとう
380名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 07:24:42 ID:uwK56Vf9
すみません最初のやつ書き込めてないと思って再書き込みしちゃってたorz
381冴島×藤川×緋山:2008/09/14(日) 12:08:22 ID:G5G3LDPz
「黒田先生居なくなってこれからどうなるんだろう?」
「誰よりも多く乗れって言われたんだろ?上を向け」
「黒田が居なくなったってことは、いよいよ最終兵器の時代か?」
「藤川先生は危ないことしないでくださいね。患者救いに言って患者になったら本末転倒ですからね。」
「アンタ相変わらずねぇ、大丈夫、藤川は三井先生にも嫌われてるから」
院長室を出た私達は口々に感想を述べている。
仮にもう一度事故があった場合には、ヘリ反対派が黙っていないだろう。
私達は気持ちを引き締め決意を新たにした。

その日の夜
緋山先生と藤川先生は当直、私と白石先生は気になる患者がいるということで残っていた。
「ところで休み中どうだったの?」
三人が緋山先生の顔をニヤニヤと見る。
「そういえば、柄にも無くお見合いしたんだって?」
藤川先生が緋山先生の肩を小突く。
「からかっちゃ駄目だよ。藤川君。」
「そうですよ。私達も四捨五入するともう30です。崖の上の美帆子って感じなんですから。」
「敢えて四捨五入する意味あるか?」

コソーと緋山先生が席を立とうとするのが見える。
「どこ行くんですか?」
「じゅ・巡回でも行こうかなと。」
「5分前に行ったばっかりじゃない。」
「馬・馬鹿ねぇ!患者さんの状態は常に変化するのよ!」
(からかい過ぎたかしら?)
「でもあんまり患者さん見に行くと、患者さんも不安にならない?」
こういうとき白石先生の素直な性格がうらやましい。
「じゃぁ暇つぶしに聞くけど、白石は休みはどうしてたんだ?」
「え?私?
 実家に帰ってお母さんにクリームシチュー作ってもらったり、
 藍沢君とお婆ちゃんみに行ったりよ。」
「親子水入らずに気を使いなさいよねぇ。」
緋山先生がハァとため息をつくと腕組する。
「だって藍沢君が…」
白石先生は顔を赤らめて下を向いてしまう。
つま先で地面をグリグリしている。
382冴島×藤川×緋山:2008/09/14(日) 12:08:58 ID:G5G3LDPz
「そっちはどうだったのよ?」
緋山先生はクイっと椅子を回すと私を見る。
「私は姉と食事したりとか、ちょっと旅行に行ったりとかですよ。
 特に何も緋山先生にお話するような愉快なエピソードは無いですね。」
「旅行ってどこどこ?誰と誰と?」
白石先生が二の矢・三の矢とばかりに質問してくる。
私は返答に困ってしまう。

あの事故の夜
藤川先生が眼鏡を拭きながらロッカーからでてくる。
「藤川先生?」
「泣いてるんですか?」
「ほとんど救えなかった…」
彼はポツリポツリと途切れながら呟く。
「普通なら切断する足を切断せずに済ませたんですよね?」
「でも12人も救えなかった。現場に行ったのに…。医者なのに…」
「初めての現場であの大事故でそれだけ出来れば充分です。」
「緋山先生や白石先生だって最初は現場で使い物にならなかったんですよ。」
落ち込む彼を慰める。

「初めてだろうが、5回目だろうがそんなこと患者には関係ないじゃないか。
 もし三井が見ていたら、もしかしたら緋山が見ていても助かったかもしれない。
 こんなことなら…」
私は思わず彼の頬を平手でバチンと叩く。
眼鏡がコツンと地面に落ち彼の頬が赤くなる。
「今何を言うつもりだったんですか?
 まさか乗らなきゃ良かったなんて言いませんよね?
 一時の気の迷いで滅多なこと言うもんじゃありません!
 それならどうして俺に行かせろなんてあの場で言ったんですか?」
「お前に俺の気持ちなんてわかるかよ!」
藤川先生にしては珍しく食ってかかる。
「どういう意味ですか?」
「どんなときでも冷静沈着かつ的確。しかも優秀…
 そんなエリート看護師に何がわかるんだって言ったんだよ。
 明日からまた何事も無かったかのようにヘリの乗るんだろ?
 どうせ腹の中では、無能な俺でなく、私が医者なら救えたとか思ってんだろ?」
彼は私のことをそんな風に見ていたのだ。
確かにフェローが来た当初、白石先生に言ったことがあった。
「私はあんた達より遥かに優秀」と。
でも今はもちろん誰に対しても、そんなことは思っていない。
「黙ってるって事はやっぱり図星なんだな。」
383冴島×藤川×緋山:2008/09/14(日) 12:09:31 ID:G5G3LDPz
彼は眼鏡を拾うとクルッと向きを変え歩き出した。
(どう言ったら伝わるの?)
嗚咽を抑えられない。

「藤川!」
彼の足がピタッと止まる。
「立ち聞きするつもりは無かったけど、聞こえちゃったから言うけど言いすぎだよ。
 確かに現場に僕が行ったら、もっと助けられたかもしれない。」
「やっぱり…」
藤川先生が俯く。 
「でもそこに僕はいなくてお前が居た。それが現実だ。
 ドクターヘリにたらればは無いんだよ。
 黒田先生は今のお前なら大丈夫だと思ったから行かせた。
 僕もそう思った。」
「で・でも…」
「今日のことが忘れられないなら忘れなくていい。
 救えなかった12人の生きたかった思いを残された家族の悲しみや無念の思いを背負えばいい
 そしてまた腕を研き知識を増やし、悲しみを減らすためにまた飛べばいい」
森本先生はそういうと去っていった。

そのとき彼は今どんな顔をしていたのだろうか?
去っていく森本先生の背中に何を感じたのだろうか?
しばらくして残された彼が
私の方を再び見たときの彼の顔は、いつものひょうきんな藤川先生の顔に戻っていた。
「ご・ごめん。人が死んで傷つかない奴なんていないよな。」
「私の方こそ口下手ですみません。
 もっと上手に励ませれば良かったんですけど。」
「ありがとう。止めてくれて。
 冴島さんの言うとおり一次の気の迷いでとんでもない事言うところだった。」
「またいつでも言ってください。今度はグーで殴ってあげますから」
私が腕まくりをして腕を回す。
「怖いなぁ。怒らないでよ。」
「医師の精神的ケアも看護師の仕事ですから」
「これからもずーと傍にいてくれる?フライトドクターに成れなくても」
「藤川先生が医者である限り、ず〜と私が支えます。嫌だって言っても離れませんから」
「俺頑張るから、森本先生みたいに強いドクターにいつか成って見せるから」
「待ってます。その日が来るまでだから私以外の人に弱ってるとこ見せたりしちゃ駄目ですよ。」
その日は必ず訪れるだろう。
今はまだ頼りなく小さい藤川先生の背中だが
救命の厳しさとフライトドクターの責務の重さを背負った頼もしいあの背中になる日が。

彼の帰る場所になろう。
どんなときでも優しく包んであげられるようなそんな存在になろう。
私は真夜中の満月にそう誓った。

こうして藤川先生がヘリに乗ったことがきっかけとなり、
なし崩し的に付き合うことになったのである。
ただ職場では内緒にしておこうということに成っている。
緋山先生には気がつかれてしまったけども。
384冴島×藤川×緋山:2008/09/14(日) 12:15:46 ID:G5G3LDPz
続きはまた明日。
森本先生との師弟関係?は結構気に入ってるのでどうしても出したかった。
職場恋愛って実際どうなんだろうね
385名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 12:27:43 ID:VErNXyPU
なんか必死になって自演してるようにしか思えない。
一ヶ月以上も連載するなら専用スレ作れば良かったのにって思った。
もっと色んな人の作品が読みたいのに一人で出しゃばってるからつまらない。
それに長い話を考えられるのは凄いと思うけど、文才無さ過ぎる気がする。
386名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 12:56:41 ID:9CokX8uu
てかブログなりHPでやればいいのに。

適度な長さにまとめるのも技量のうちだよ。
387名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 16:44:22 ID:kja/xIrv
いくらなんでもさすがに長すぎる
こういうスレでは長編嫌われるよ
388名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 18:44:14 ID:i2skuwwR
あれもこれもと欲張るから長くなるんだよ。
しかもエロじゃないし。
389名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 01:21:04 ID:8ZSNC2Ms
藍沢みたいな男に攻められたら誰だって流されると思うw

職人さん、藍沢か黒田の作品お待ちしております
390名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 09:11:27 ID:VZiX+IwW
KYですが、黒田×白石小説書いたので投下します

エロなしで、若干藍沢加入してます。
391黒田×白石←藍沢@:2008/09/15(月) 09:12:40 ID:VZiX+IwW
ある日。
いつも通り大忙しの医局内で黒田は患者の資料に目を通していた。
ここ数日は毎日オペだったが、今日は珍しく休みだったのだ。

暫くそうしていると、自動ドアが開き、藍沢が入ってきた。

「お疲れ様です」

と言う藍沢に黒田は顔も上げずに「ああ」とだけ言った。
藍沢は忘れ物でもしてたのか、自分のデスクで何かをするとすぐに出ていこうとする。
自動ドアの前に立つと、藍沢はおもむろに口を開いた。

「さっき、白石に告白してきました」

何があっても顔を上げなかった黒田だか、反射的にバッと顔を上げた。

「それがどうした。
俺には関係ない!」

と、自分でもよく分からず、語気を荒げた。
何故か心臓がドキッとしている。
藍沢は黒田に背を向けたまま応える。

「そうですか。
じゃあ俺本当に貰っちゃいますから。
いいですよね?」

とだけ言うと、黒田とは一回も目を合わせずに出ていった。
黒田が一人で原因不明のパニックを感じていると、今度は入れ違いで西条が入ってきた。
392黒田×白石←藍沢A:2008/09/15(月) 09:13:46 ID:VZiX+IwW
西条は黒田の顔を見て、いつも通り「よぉ」と言う。
黒田もいつも通り応えようとしたが、何故か舌が回らず、「お、おぅ」とガッチガチの返答になってしまった。
そんな黒田の様子を見て、西条はくすっと笑うと、

「さっきの会話、ばっちり聞こえてたぜ」

といたずらっぽく言った。
黒田は「そうか」といかにも興味なさそうな返答をする。
そんな仲間の様子に西条はいきなり核心を突く発言をした。

「お前、白石のこと好きだろ」

......黒田が飲み物を飲んでいなかったことが幸いした。
何か飲んでいたら、間違いなく吹き出していただろう。

「西条、冗談は休み休み言え!
何考えてんだ!」

と、黒田は全否定する。
が、西条は冷静に言う。

「お前らしくねぇじゃねぇか。
いつもだったら、たかが俺の冗談に、そんな焦って全否定することもねぇし」

「......」

返す言葉のない黒田に西条は重ねて言う。

「お前だってガキじゃないんだ。
自分の気持ちくらい分かってんだろ」

そうして西条はとっとと出て行ってしまった。
呆然としている黒田を残して。
393黒田×白石←藍沢B:2008/09/15(月) 09:15:06 ID:VZiX+IwW
西条が出ていった後、暫く黒田は呆然としていた。

―――俺が白石のことを好き?

ありえん、と黒田は自分を納得させようとした。
白石は自分にとってたかがフェローに過ぎない。
それ以上でもそれ以下でもない、と無理矢理自分を納得させた。

やがて、いつものようにドクターヘリ要請が入り、森本先生と白石が現場に向かい、黒田達は受け入れ準備に大忙しとなった。

しかし、患者情報のアナウンスはとんでもないものだった。

『こちら翔北ドクターヘリ、患者情報です。
現場で白石が巻き込まれました。
天井から剥がれ落ちたコンクリから患者を庇おうとして腹部を強打。
微弱ながら意識はあります。
血圧は......』

黒田はアナウンスを最後まで聞かずに血相変えてヘリポートに飛び出していった。
394黒田×白石←藍沢C:2008/09/15(月) 09:16:08 ID:VZiX+IwW
―――あの後。

結局白石は不幸中の幸いでたいした怪我ではなく、オペも無事成功し、現在麻酔で眠っていた。
白石が庇おうとした患者も軽傷で、救急車にて別の病院に搬送された。

白石はICUに入る必要はないと判断され、普通の個室に入っていた。
そのベッド隣にある椅子には黒田がずっと座っている。
すると、今日の当直の藍沢が入ってきた。

「変わります」

「いや、大丈夫だ」

「変わらせて下さい」

藍沢は少し強い口調で言ったが、黒田は梃子でも動かなかった。

「こいつは俺の患者だ」

仕方なく、藍沢は諦めたように出ていった。

すると、藍沢が出ていくとすぐに、

「う、うーん?」

白石が目を覚ました。

「白石っ!?大丈夫か?」

黒田の呼びかけに白石は暫くぼーっとしていたが、意識がはっきりしだすと、慌てたように言った。

「黒田先生!?
あの患者さんはどうなりました!?」

「大丈夫だ。
別の病院に搬送された」

という黒田の応えに白石はほっと胸を撫で下ろした。
395黒田×白石←藍沢D:2008/09/15(月) 09:17:09 ID:VZiX+IwW
やがて、白石は突然起き上がろうとした。
黒田は慌てて止める。

「今は寝てなさい」

「大丈夫です。
それより405号室の小川さんが...」

「今はそんなのどうでもいいだろう!!」

と、語気を荒げる黒田に白石はびっくりしたように言った。

「あの、黒田先生?
なんでそんなに......」

「お前の体が心配だからだ」

そして、勢い半分で、さっき本当に自覚してしまったことを言ってしまった。

「俺はお前のことが好きだからな」

「......!!?」

白石は唖然とした顔をし、黒田は半ば諦めていた。
そもそも白石と黒田では歳が違い過ぎる。
これでは間違いなく変態親父扱いだ。
しかし、白石はにこり、と笑い、言った。

「本当、だったらうれしいです...だって私も黒田先生のこと、すき、でしたから」

今度は黒田が唖然とする番だった。
白石は相変わらず笑っていた。

「でも、冗談ですよね。
だって黒田先生が...」

そこまで聞くと、黒田は白石の唇に自分の唇を重ねた。
396黒田×白石←藍沢:2008/09/15(月) 09:18:06 ID:VZiX+IwW
白石は初めこそ体を強張らせていたが、黙って黒田のされるがままになっていた。
白石の口内に舌を侵入させると、白石も応えるように舌を絡ませてきた。
やがて、唇を離し、首筋に舌を這わせようとしたとき、

「うっ、つぅ」

という白石の辛そうな声で黒田は我にかえった。
白石は今日、怪我をしてオペをしたばかりだということを忘れかけていた。
黒田はその先にいきたい欲望を必死で振り切り、白石から離れた。
白石は少し寂しそうな目をしていたが、黒田は諭すように言った。

「今は怪我を治せ。
よくなったら、そのとき抱いてやる」

そう言い残し、病室から出た。

すると、ドアのところで藍沢が待っていた。
藍沢は黒田に気付くと、顔も上げずに言った。

「俺、諦める気ないですから。
しっかり捕まえておかないと本当に俺、貰っちゃいますからね」

黒田は「そうか」とだけ応えると、二人はそれぞれ反対方向に進んで行った。
397名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 09:20:38 ID:VZiX+IwW
以上です...

神職人様方の足元にも及ばない自己満で失礼しました
神職人様方、投下楽しみにしてます
398名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 22:24:34 ID:JtyA5WxD
萌え〜
399名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 22:38:05 ID:urusLTd9
緋山が主役の話ってあんまりないね。
一番好きだから読みたいなぁ
400名無しさん@ピンキー:2008/09/15(月) 23:45:46 ID:yDnN6Rzp
勝村さん好きだから森本先生の話お願いします。

森本緋山とか
401名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 00:22:10 ID:5JcNafPn
森本とオペレーターさんなんか
お笑いコンビとしてならかなりの王道だと思うけど
これがエロに繋がりにくいんだよなぁ…この二人で書きたいけどしっくりくるネタが思い浮かばない
外人彼氏と別れたオペレーターさんを慰める森本とかしかないかなぁ?
どちらにしろしっとりと書いてみたいのにだんだんお笑いになってきちゃうから困る
402名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 04:20:09 ID:cqXHZjtx
森本とオペレーターさんなら、それこそ酔った勢いでやっちゃいそう。
オペレーター攻めで。
オペ森お願いします!

森本と一話で出てきた女の子もいいなぁ。
403名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 07:22:08 ID:I6OHAeZt
緋山藤川の2話か3話の励ますのも印象的だったなぁ
緋山は「全然嬉しくないのは何故?」って言ってたけど
404( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:33:26 ID:FN8lbGi2
発作的に思いついた 緋山×藤川です
エロは5cくらいしかありません…スマソ


やっちゃったー…

二日酔いで少し痛い頭を押さえながら起き上がる
そして隣で寝ている藤川の呑気な寝顔を見ながら
大きくため息をついて後悔…

緋山は昨日、藤川と飲みに行って
二人で愚痴の言い合い、症例の言い合い
最後は馬鹿話、そして泥酔状態になって
結局はこうしてラブホテルのベッドで目が覚めた

記憶は全くない訳じゃないのよね…
所々覚えてて…
その…最中の記憶も残っちゃってるのよね…

ぼんやりと思い出す
眼鏡を取った藤川が、力加減なしに自分の手首を押さえる場面
言葉は忘れたけど…私に命令した…四つんばいになってだっけ…?

予想外に…気持ちよかった…と一瞬思ってすぐにかき消す。
余韻に浸ってる場合じゃない、勢いとはいっても
藤川は同期のフェローな訳で、仕事も一緒な訳で、そんなにタイプでもない訳で…
そっとベッドから出て、足元に散乱している藤川と自分の服から
自分のものを拾い集めて身支度をすると、熟睡してる藤川を起こさずに
一人でそっと部屋を出て急ぎ足で自宅に戻っていった。
405( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:34:21 ID:FN8lbGi2
エレベーターの中で、まだ二日酔いの頭痛がするのでこめかみを押さえる。

「おはよ。どうしたの?頭痛?」

白石が入ってくる。

「うん、ちょっとね…。あとでロキソニン飲めば大丈夫」
「風邪とかじゃないといいね。」

まさか二日酔いなんて言えない…エレベーターの壁に額をつけてぐったりしてると
目的の階に到着して、エレベーターを降りる。白石は病棟のほうへと消えていって
次に曲がり角で藍沢と会う

「おはよ…」「お早う。」

少し二人で歩いていると背後からバタバタと走ってくる足音…

「緋山、ひーやーま!おはよう!」

…藤川だ。はぁ〜っと大きいため息が出た。声のテンションの高さに。
振り向くと「よう!」と元気になれなれしく声をかけてくる。

「おっはよ〜緋山!お、藍沢もおはよう!」

二人して聞こえないくらいの小さい声で「おはよ」と返す。
そして藤川はニコニコとした顔で、声を潜めてるつもりのボリュームで

「緋山、なんで起こしてくれないんだよぉ。目が覚めていないからびっくりしたよ」

その始まりの会話にぎょっとなり思わず隣の藍沢を見ると、こちらを見てはいないが
横顔の口元が、少し笑っている。…っていうか、まる聞こえじゃん…
慌てて藤川の腕を掴んで走り出す。「何?どうしたんだ?」と言う藤川を
人のいない非常階段の踊り場まで連れ出して腕を放していきなり怒鳴る

「ちょっと!何考えてんのよ!藍沢に聞こえてるじゃない!
 妙な憶測されたらどーすんのよ!もっと状況とか考えなさいよ!」

仁王立ちの緋山に、頭をかきながら藤川が困った様子で「ごめん…」と謝る。
しかし次の瞬間には、にぱあ〜っと明るい笑顔になって肩をポンと叩き

「まあ〜、アレだ。昨日はお互い酔っ払ってたけど…俺はきもち…」
「んも〜うるさい。反省会?感想?そういうの言うってデリカシー無さすぎ」

肩の手をパチンと叩いて払うと、そのまま廊下へと一人で戻りながら

「人がいる前で昨日の事、一言でも口にしたら殺すから」
406( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:35:59 ID:FN8lbGi2
ランチの時間になっても、胃のムカムカがあまり収まらない
頭痛は鎮痛剤飲んで無理矢理治したけど。
小さいサラダとミネラルウォーター、そしていつものサプリメントをテーブルに置いて
大きくため息をついた。

いくら酔った勢いでも…藤川だよ藤川。何してんだか私…
なんでそうなっちゃったんだろう…

思い出せない記憶を掘り起こしながらサラダをフォークで突いていると
藍沢が前を通り過ぎた。そして斜め前のテーブルに一人、座る。

「お疲れ。」「おつかれ」
「あのさ、さっき藤川が言ってた事、勘違いしないでよね。別にそういう事じゃないから…」
「そういう事ってどういう事だよ」
「…もういい。とにかく変な誤解とかしてないならいいわ」

とりあえず…藍沢なら口外しないだろうし。
ただ…完全にバレてるだろう、二人で同じ場所で一夜を迎えたって事は。
そこでまた大きくため息をついてサラダを一口食べる。

…3件目で、昔の恋バナになったんだ。

それで…藤川は大学の時にずっとつきあってた彼女がいたった話をしてて…
卒業と同時に何かで別れてそれからずっと彼女いないとかって言ってたっけ…
それで…私と白石はどっちが女として魅力があるか客観的意見を、私が求めて…
……。
がんばって掘り起こした記憶は、そこから既にラブホテルのベッドに飛んでいた。

『もっと…好きって言って』

……!!!

自分が快楽の中でそう言った事を思い出して思わず飲んでたミネラルウォーターを少し噴出す。
あわてて紙ナプキンで拭きながら藍沢をちらっと見ると何もなかったように食事をしている。

……確かに、藤川は何度も「本当にいいのか」って聞いてた…?
407( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:37:04 ID:FN8lbGi2
午後イチで少し慌しくなったが、ヘリ搬送で運ばれてきた急患の処置を終えると
ポツンと空き時間のように落ち着いた時間になる。
医局で書類整理を黙々としていると藤川が戻ってきて、満面の笑みで「お疲れ!」と言う
無視していると誰もいない事を確認してから藤川が隣の席に座り

「緋山…。一言だけ、言わせてくれ」
「何よ」
「俺は、酒の勢いだけで、昨日だけで終わりなんて、そんな無責任な事はしないから」
「何?どういうことよ」

ごくり、と喉を鳴らし緊張した顔で藤川が続ける

「俺は…つきあいたいと思ってる。別に、昨日の事があったからっていう事じゃなくてさ」
「昨日の事があったからでしょ」

黙り込んでしまう藤川。緋山は書類を書きながら

「昨日は完全に酔っ払った勢い。それだけよ」
「でもお前…好きって…」

やっぱり…。私が何度も言ったんだ。
それで藤川すっかり…。

ペンを置いて背もたれに寄りかかり腕組みをして、書類に目を落としたまま緋山が静かに言う

「私が悪かったの…。男に優しくされたの久しぶりだったから、勢いっていうか
 甘えっていうか…口走ったんだと思う。正直あまり覚えてないし…。
 だから…本心じゃない。ごめん。混乱させて。とにかく…忘れて。」

分かりやすく少ししょんぼりとした顔の藤川が何度か頷いて

「そうだよな…うん、そうだよなあ〜…。」

真面目で真っ直ぐな藤川に、悪い事したなあっと思っていると「でもさ」と藤川が切り出す

「俺はもう、勢いでもなくて、単純に緋山が好きだと思ってるから」
「私は…。…気になってる奴が、他にいるの」
408( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:39:16 ID:FN8lbGi2
「そっかあ…そうなのかー…。わかった。俺も男だ。男らしく忘れる」

舞台俳優のようにオーバーアクションで言う藤川。
そうやって茶化して緋山の罪悪感を軽くしてくれようとしている気遣いもわかるから
余計にだんだん、悪い事をしたなあって気持ちが強くなる。

「ごめんね…」
「もう謝るな。俺が浮かれすぎちゃって調子に乗っただけだから。な?」

緋山の肩に、軽く手を置いて藤川が言う。
その手をさっと払って
「なれなれしくしないでよ」と言って睨む…いつもの調子が戻って二人で少し笑う。

これでいいんだ。元通り。
そこで急患がきたという知らせが入る。デスクの上を少し片付けて椅子から立ち上がると
初療室へと向かい、走り出す。走ってる途中で緋山が事務的に

「ねえ、藤川」
「ん?なに?」
「あんた、眼鏡外したほうが、ちょっとイケてた。」

にやりとしなががら藤川が「コンタクトにすっかな〜」と嬉しそうに言う。
409( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:40:15 ID:FN8lbGi2
当直の夜は、深夜になってからやっと静かになった。
ステーションに戻ると藍沢が黙々とカルテ整理をしていた
そして患者さんに頼まれたので仕方なく…藤川の携帯に電話をする。
…留守電になっていたので、メッセージを入れる

「もしもし緋山です。アンタの担当の皆川のおばあさんが
 明日絶対にお孫さんの写真を見せるから朝イチの検査前に顔出してほしいって。
 しつこく言われたから電話しました。ったく、私がプライベートでも友達だとか
 患者さんに触れ回らないで」

ピ、と通話終了ボタンを押した時に

「夫婦喧嘩か」

藍沢がカルテに記載しながら声をかけてきた。
その表現に、ため息をつきながら

「離婚したわよ。離婚以前に私が結婚詐欺したって感じ。」

彼に合わせた表現でそう伝えると藍沢が鼻で笑う。

「って言うか…何もないから。ただ、朝まで飲んだだけよ。何もしてないから」
「別に聞いてない」
「…藍沢が聞いてなくても私が藍沢には伝えたかった」


沈黙、静まりかえった中で、二人は黙々とカルテ整理を始める。
410( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/16(火) 12:43:28 ID:FN8lbGi2
エロ少しだけでスマソ…。
緋山メインでというのを読んで、一気に浮かんだので殴り書きました。
他の職人様の作品で藤川がモテてたので
ちょっとかわいそうだけど、フラレてもらいましたw
411名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 12:59:46 ID:kxZWHVkL
>>410
なかなかリアルですねw
マジな恋愛じゃなくても若い男女があれだけいれば、ちょっとした過ちとか普通にありそうだw
412名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 15:05:33 ID:P0LE8IrI
あるよね、こういう話。
藤川の気持ちも緋山の気持ちも凄く良く伝わってきた。
藤川良い男、緋山良い女だなぁ。そして相変わらず大人な藍沢先生。
それにしても何故藍沢なんだ〜!と藤川になったつもりで心の中で叫んでしまったw
ブラボーです。
413名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 20:35:23 ID:rkFDnfTw
GJ!緋山かわい〜。
藤川もいいやつだな。
なんか続きが気になる。
414名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 21:22:19 ID:I6OHAeZt
仲良さそうだもんなぁ。
フェロー同士だと白石と藍沢より多かったんじゃない?
415名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 21:42:05 ID:I6OHAeZt
仲良さそうだもんなぁ。
フェロー同士だと白石と藍沢より多かったんじゃない?
リクエストに答えていただきありがとうございました。
SPで緋山出番アルと良いなぁ
416名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 23:18:02 ID:Npcizea7
なんだかんだ言って藍沢と白石は少なかったよね
藍沢はどっちかというと冴島さんとの方が多かったし
白石は黒田先生や西条先生との方が多かったし
417名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 23:59:29 ID:vLQClPfG
藍沢と冴島が一番お似合いかも
418テル:2008/09/17(水) 00:37:12 ID:2G851Evl
藍沢×冴島かいてみます…
文章力ないですけど…
スルーしっちゃてくれてもかまいませんので(><)




「藍沢先生…起きてください」

冴島は隣で寝ている藍沢の肩をゆすった。起きる気配がない。

「藍沢先生…早くしないと他の先生たちが来ちゃいますよ?」

冴島は起こすのをあきらめ、身支度をし始めた。
冷静になって考えてみるとなんだか不思議な気分だ。
仕事の話しかしない相手と、こんなことになっているなんて…
しかも、ここは病院だ。
なぜこんなところで…
思い起こせばほとんど衝動的なものだ。

当直に当たっていたのは冴島、森本、そして藍沢の3人だった。
森本は、急患がきたら呼んでくれ、といってどこかへいってしまった。
急患はなく、これといって何も起きずに時間だけが過ぎた。

「冴島。ちょっといいか?」

藍沢が話しかけてきた。冴島はうなずいて藍沢のあとをついていった。

「藍沢先生?どうかしました?」
「いいから」

藍沢は、黙ってろ、とでもいうような目で冴島を見た。
冴島は大人しくついていくことにした。

419テル:2008/09/17(水) 00:43:47 ID:2G851Evl
「中に入れ」

藍沢は半ば命令口調で言った。
そこは外来の診察室だった。
冴島は藍沢にとりあえず従った。

「何か探しモノですか?」
「座れ」

冴島は少し不愉快な気持ちになりながらも藍沢の言うとおりにした。

「これでいいです…か…?」

突然冴島の額に藍沢の手が振れた。
冴島は反射的にその手を払った。
藍沢の触れた部分が熱い。冴島は自分の鼓動が速くなっている事に気付いた。

「やっぱりな…」

藍沢が呟くように言った。

「…なんですか?いきなり…」
「冴島。熱あるだろ」
「え?」

藍沢は体温計を冴島の前に差し出した。
拍子抜け。まさにそんな感じだった。
冴島は体温計を受け取るとわきの下に挟んだ。
藍沢がため息をつきながら横にあるベッドに座った。

「お疲れみたいですね」

冴島は藍沢を見ずに言った。

「いや…。そっちこそ、熱まで出して…」
「不覚です」

藍沢はいつも自分のことは話さない。それがなんだかもどかしく思えた。

「藍沢先生は、そうやって、いつもはぐらかすんですね…」
「何が?」

カシャンという音を立てて体温計が床に落ちた。

「冴島?」
「どうしてですか?」

冴島は藍沢に近寄ると、そのままベッドに押し倒した。
藍沢は驚いた表情を一瞬見せたが、すぐに冷静な藍沢へ戻った。

「やっぱり熱があるな…」

冴島はそっと藍沢の上にのった。

「そうかもしれません」

そう言うと、冴島は藍沢に口付けをした。
420テル:2008/09/17(水) 01:13:11 ID:2G851Evl
何度か唇を重ねると、冴島は服を脱ぎだした。

「ここで?」

藍沢は驚きを見せた。

「いやですか?」

藍沢はゆっくり起き上がると、冴島を抱きしめた。

「別に、いやじゃない」

冴島は自然と頬が緩んでいた。
藍沢は下着姿になった冴島をベッドに押し倒した。
冴島は藍沢の首に手をまわした。

「いいのか?」

藍沢は確認するように言った。

「はい…」

冴島は藍沢を強く引き寄せた。
藍沢はそれに答えるように口づけをした。
優しいキスはだんだん激しく、淫らになっていった。
421テル:2008/09/17(水) 07:54:37 ID:2G851Evl
「藍沢…先生…」
「…冴島」

二人は同時に達した。
ティッシュで拭き取りゆっくり離れ息を整えた。
冴島は全身の力が抜けたようにベッドに身体をあずけた。
藍沢は冴島の頭をそっとなでた。
いつもとは違う藍沢に少し戸惑った。

「藍沢先生?」
「ごめん、大丈夫か?」
「なんで…あやまるんですか?」
「平気か?」
「安心してください。責任とれなんて野暮な事、言いませんから」

冴島は冗談めかして言った。

「それに、今日は平気な日なんで。大丈夫なんです」

422( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:13:32 ID:mY9ta3Vx
流れ豚切ってKY丸出しでまた投下させて頂きます。
白石×藍沢です。ちょっと変化球な話なんでくだらないかも…
そして自分が書くエロ部分がマンネリしてしまっているかもしれないす(´Д⊂


「あ…気がついた?ちょっとまってね。黒田先生っ、藍沢先生が…」

ICUのベッドで、頭に包帯を巻かれた藍沢が薄く目を開く。
白石の声を聞いて、その場にいた緋山、そして呼ばれた黒田がベッドの周りに集まる。
集まってきた人間を順番に目で見ながら、ぼんやりとする藍沢
黒田がそっと話しかける

「大丈夫か」
「…頭痛いです…」
「そうだろうな。」

黒田は冷静に、問いかける

「名前は。言えるか」
「――藍沢耕作…」
「ここはどこだ」
「――病院…」

どこか、藍沢の口調は寝ぼけたようだ。白石はじっとその様子を見る
黒田が質問を続けた。

「俺が誰かわかるか」
「……病院の、先生…」

正解ではあるが、違和感のある回答に黒田は眉間にシワを寄せる。
緋山が「は?」と小さく言うと黒田がそれを手で制止する

「お前はなんの仕事してる?」
「―――…。わかりません」

白石はその回答に口元を両手で押さえる。緋山が身を乗り出して怒ったような口調で
白石を指差して藍沢に問い詰める

「じゃあ、この子誰?名前わかる?」

藍沢の視線が白石のIDカードに移り、「しらいし、めぐみ…」と呟く。
あからさまなカンニングの回答に黒田が緋山に「西条呼んでこい」と指示した

「藍沢先生…」

泣きそうな顔で呟く白石を見て、藍沢は「センセイ…?」と訊き返す。
423( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:14:38 ID:mY9ta3Vx
泥酔してケンカしたサラリーマン二人が救急車で運ばれてきた
一人は殴られ転んだ拍子に店の看板に腹部を強打し肋骨骨折していた
もう一人は軽症で廊下で待たしていると突然暴れだし初療室に乱入してきたのだ。
そこで藍沢がその酔っ払いを止めに入るともみ合いになり、酔っ払いが暴れた時に
藍沢が床になぎ倒され、藍沢の頭の上に酔っ払いと一緒に医療器材が倒れてきたのだ。
結局、藍沢は右即頭部を4針も縫い、意識が3時間程戻らなかった。
そしてやっと意識が戻ったら…記憶が一部、欠落していた

「軽い脳震盪だな。MRIの写真見ても脳の異常はない。頭蓋も大丈夫だったしな」

西条がMRIの画像を見ながら言うと緋山が続けて

「一時的な記憶喪失…でしょうか」
「そうだろうな。喪失範囲が軽くてよかったな」

記憶喪失といっても幅広く、重症例では言葉を忘れてしまうケースもある。
自分の名前や出身を話せている藍沢は軽症の部類に入るのだろう
白石が続けて話す

「思い出すのがいつになるかは…わからないですよね。」

黒田がMRIの画像を見つめながら続ける

「2〜3日入院。その後の事は藍沢の状況で決める。白石、担当やれ」
「…はい。」

その間、冴島が藍沢と話してどの程度の記憶が無いのかを調べていた。
どうやら大学に入るあたりから現在までの記憶が欠落しているようだった
報告をしながら冴島がため息をついて

「なんだか口調というか…声のトーンとか性格まで変わっちゃった感じです、藍沢先生…」

藤川がそこで割り込む

「記憶喪失中は元来の性格と異なる性格になるケースもあるからなぁ。
 …あいつ、本当に忘れてるの?忘れたフリとかじゃなくってさ」

冴島が藤川を睨みながら

「話している間、藍沢先生は私の事を“看護師さん”ってずっと呼んでました」

緋山が椅子に座り難しい顔で「有り得ないわね、元々の藍沢だったら」と口を挟む。
白石がそっと椅子から立ち上がり、重い足取りで病室へと向かう
424( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:16:06 ID:mY9ta3Vx
ICUから出たが個室の病室しか空いてなく、藍沢は個室のベッドでぼんやりとしていた
ノックをして白石が入ると藍沢がこちらを見た

「気分…どう?」
「気分は…不思議だよ…。さっき、看護師さんから色々聞いて、それが嘘みたいな話で…。
 俺が医者って…。白石さんも…俺と一緒に働いてたんだよね?」

冴島が言っていたことがわかった。藍沢の口調が、柔らかく優しい。
別人のよう、といっても過言じゃないくらいに違うのだ

「うん…そう。藍沢先生のほうが年齢も経験年数もちょと上だけど此処では同期のフェローなの」

よくわからない、という様子で「そうか…」と頷いた。
心配丸出しの顔の白石を見て、藍沢が今まで聞いたことのない穏やかな声で

「俺とは、仲よかった?そんなに心配そうな顔して…」
「えっ、…普通、かな。…どうだろう。あまり仕事以外の話しなかったから、藍沢先生は…」

少し慌てて白石が言うと、少し笑みを浮かべて

「心配してくれてありがとう…。」

あんな穏やかな表情…見た事ない。白石は戸惑いと、妙な鼓動の跳ねた感覚で慌てる。

「とりあえず、2,3日は安静。私が担当することになったら、宜しく」

手をそっと出すと「よろしく」と藍沢が握手をする。別人格の藍沢に、慣れないけど
これが今の藍沢なんだ、と白石は自分を納得させた。

翌日も藍沢は同じ状態で、日常だった冷静沈着な姿は無く…温和な性格になっていた。
昼は少しでも思い出すヒントが欲しいと病院内を藍沢は散歩して歩いていた
ヘリポートに行ってドクターヘリを眺めたり、甲斐甲斐しく働く看護師や医師を見たり…
結局は、その日は何も思い出せずに終わってしまう。

「緋山サン、よ?藍沢が。サン付けよ。違和感ありまくりよ」

緋山が夜の医局で愚痴を言う。白石と二人同時にため息をついて、二人して気まずそうにする。
425( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:17:14 ID:mY9ta3Vx
「私だって…白石さんって呼ばれる…。おまけにサテンスキー見て“これは何?”って聞かれたし」
「はぁ〜っ?日常使ってた道具だっつーの。本気で記憶飛んでるんだ…」

そこで白石のPHSが鳴る。病棟の看護師からの着信だった。
藍沢が、頭痛が酷く眠れないと言っているとの事だったので白石が病室へ鎮痛剤を持って向かう。
ドアをそっと開けると、薄明かりの中で自分のIDプレートを手にして眺める藍沢がいた。

「大丈夫…?」
「あ…ごめん…どうしても、頭が痛くて…。昨日もあまり眠れなかったから…」
「昨日も痛かったの?」

手首を取り脈拍を計りながら白石が聞くと、藍沢は再びIDプレートの自分の写真を見ながら

「…不安、なんだ。俺が本当はどんな奴で、どんな事してたか…わからないから」

経過観察を書く表に、脈拍と鎮痛剤を投与するという記載をしながら白石は聞いている。

「医者だって言われても今の俺は何も医療の事はわからない…。
 ドクターヘリに乗ってたって言われても、ヘリ見たって何も思い出せないし、想像もつかない。
 元々の自分がどんな人間だったか…思い出せるかどうかもわからないらしいし…」

漠然とした不安で、眠れなくなっているのもあるんだ。白石は鎮痛剤を1錠手にして心配そうに

「藍沢先生…。とりあえず、寝たほうがいいから…。睡眠導入剤も持ってこよっか…?」

白石の顔を見て藍沢が呟く

「違ったら…ごめん。もしかして…俺と、つきあって…た…?」

いきなりの言葉にバクン!と心臓が鳴ったのが部屋中に響いた錯覚
白石は挙動不審な様子になり手にしていた鎮痛剤を落としてしまう。
それを慌てて拾いながら

「なん、で…?何で、そう思ったの…?」
「――なんとなく。白石さん、一番様子見に来てくれるし…心配そうな顔ばっかりしてる。
 それと…なんだか、白石さん見ると…他の人を見る時より…特別な感じが、するんだ」

それって…
真っ赤になった白石は動揺を隠したくて

「えと、薬、取ってくるから、藍沢先生は横になって…」
「“センセイ”っていうのも違和感あって…。さっきの質問、答え教えて」

白石は黙り込んで、一世一代の嘘を、ついた。

「――そうなの。みんなにナイショで付き合ってたの。私たち。」
「やっぱりそうだったのか…。なんでもっと早く教えてくれないんだよ」

あっさりと鵜呑みにし、安堵の様子の藍沢に、白石は暫く視線が合わせられない。
くだらない嘘をついたから…罪悪感はあるが、安心した様子の藍沢を見て嬉しくも思った
426( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:19:15 ID:mY9ta3Vx
「だって…自分の事、思い出せないのに私が彼女ですって言われても困るでしょ…?」
「そうかもしれないけど…俺の事を、大事に思ってくれてる人が近くにいると思うだけで
 少しは…安心というか、心強くなれるから…」

さっきの不安に怯える藍沢の表情を思い出し、白石はそっと藍沢のIDカードを持つ手を握る。

「大丈夫だから…。絶対、思い出せる。藍沢先生は努力もする人だったから」
「…二人の時も、俺の事“センセイ”って呼んでたのか?俺は白石さんを何て呼んでた?」

ここまできたら…嘘を突き通すしかない。白石は演じようと腹をくくり

「恵って、呼んでた…。私は、藍沢先生って呼んでたけど…」
「硬いな。真面目なんだ白石さん…恵、は。…恵。メグミ…」

反芻するように藍沢が自分の名を何度も呟く。握った手を更に強く握ると
藍沢がそっと、肩に手を伸ばし、抱き寄せる

「好きだったって思い出せそうだ…こうすると…落ち着くから…。」

…それって…藍沢先生の、本心…?白石が都合のいい憶測をしていると
別人のように優しい口調で、白石を強く抱きしめる。

「私も…好き、なの…。」
「だからつきあってたんだろ?俺たち」

すっかり信じている藍沢に「そうだよね」と返事をするとゆっくり唇を重ねてきた。
一瞬拒もうと手で止めたけど無視されてそのまま数秒…。白石は呼吸すら、忘れた

「恵…。思い出せないけど…恵の事が好きだってことは、…わかる」

今の藍沢が、深層心理の中の藍沢だとしたら、本当に…?
ぼんやりしている白石を見て再び強く抱きしめる。
427( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:20:07 ID:mY9ta3Vx

「頭痛、酷かったんでしょ…?」

キスの合間で白石がいきなり思い出して問いかけると「治ったよ」と一言いって白石の唇をキスで塞ぐ
個室のベッドに二人で倒れこみ、もう何分経ったかわからないぐらい…
ずっと、何度も、キスをしている。今の藍沢は本当の藍沢ではない…だけど、もしかしたら…
深層心理で思ってた事を、話しているのかもしれない…自分に都合のいい解釈で
白石は藍沢の背中に両手をまわして抱きついた。

「恵…。好きだ…」

その言葉が聞こえると全身が言葉だけで甘く痺れるような感覚になる。
病室…職場…理性を応援していたシチュエーションでも、今は彼に溺れたい…
発作的に白石は思う。入院患者用のガウンの紐を引っ張り、それが肌蹴ると
藍沢の引き締まった身体が見える。それにドキッと更に心臓がスピードを上げる
耳元で藍沢が優しい口調で質問をしてきた

「俺たちってさ…こういうコト、もう済んでた…?」
「えっと…まだ、だった…」
「そうか…。だからかな…実は、かなり…緊張してる…」

確かに藍沢の早い鼓動が、身体が密着すると伝わってくる。それが愛おしくて…
白石は腹から腰へと手を滑り込ませていく。藍沢は白石の術衣を脱がしたいが
脱がし方がわからないらしく…腰から手を忍ばせて、ブラジャーのホックを器用に片手で外す。
お互いの肌が触れる度に、白石は自分が抱いてた藍沢への感情を確認してしまう
だからこんなくだらない嘘をついてしまった…
深く…何度もキスをして…舌を絡ませ合う。白石は溜まった唾液をこくんと飲み込む
そして下着の中に藍沢の手が進入してくる…そこに触れられると、ピクリと体が動く

「キスしかしてないのに…こんなになるんだ」

羞恥心を煽る一言を藍沢が優しい口調で言う。そして解すように指で触れていく。
白石は声を堪えるのに必死で、藍沢の腕を掴む指が力む――

「恵…いい…?もう…」

白石はその問いかけに頷くと、藍沢は肌蹴ていたガウンを脱ぎ捨て、白石のズボンと下着を下げる。
そして上に跨るように体勢を取ると、吐息が触れる距離で白石に呟く

「自分の事は忘れてても…恵の事が好きだって感情は…覚えてた」
428( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:21:07 ID:mY9ta3Vx
ゆっくりと貫かれると爪先まで甘く痺れる感覚が走る
白石は鼻先から、細く声を漏らす。甘い痺れで脚が震えて…

「…痛い…?」

優しく尋ねる藍沢に、横に首を振る

「恵の事…もっと…欲しい」

ゆっくりと、長いストロークで動かし始める。そこで白石のPHSが、鳴っている。
白石は泣きそうな細い声で藍沢に哀願する

「いいからっ…いいから…藍沢先生と…一緒にいたいのっ…」

鳴るPHSを無視して藍沢は少しずつスピードを増す動きに変わり
そのうち肌のぶつかる音がする程、強く打ち付けていた
ジンジンと脳がするような感覚に溺れて…藍沢の表情が快楽で歪むのを見ると
それだけで至福で…。何分かずっと、そうやって、貫かれ続けている。
そして卑猥な水音が大きくなってきたところで激しく息切れした藍沢が

「イッて…いい…?」
「うん…藍沢先生…、好き…」

軽く口付けると、藍沢はラストスパート、という感じで更に強く、動かす。
痛いくらいに攻めたてられてゾクゾクとする感覚の中で白石は声を漏らす
ベッドのスプリングが軋む音…「いくっ」と藍沢が小さく言うと同時に
それは引き抜かれて、白石の腹部に出され…と、少し飛んでしまい
脱がされていない捲り上げた術衣の上にも飛んでしまう。「あっ」と藍沢が言うと
顔を起こして白石がそれを見つけて「あ」と同じく言ってしまう。
青い術衣の裾に、小さく白い染みができていく。

「ごめんっ…上手くコントロールが…」顔をくしゃっとさせる藍沢…
様子にすぐに感づいて白石が上半身を起こして聞く

「ね、やっぱり頭痛いんでしょ…?急に激しい運動したから余計に…」
「激しい運動って…人に言えない原因だな」

二人でくすくすと笑いながら、「そうだね」と笑い合う。
429( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:22:22 ID:mY9ta3Vx
朝のカンファレンスが終わりぼんやり呆けている白石に緋山が呟く

「ちょっと。仮眠取ったんしょ?何ぼけっとしてんのよ」
「…ごめん…」
「藍沢の様子見に行って勝手にそのまま仮眠とってたくせに」

あの甘い時間のアリバイは、仮眠を取っていたという事にしておいた。
しかし実際には一睡もしていない。アリバイ成立のために眠いという言葉は禁句だった
二人で藍沢の病室へと向かい、暇な時間に初療室や医局などを見せてやろうという事になった。
初めて来た場所、という顔で藍沢はきょろきょととしながら白石と緋山の後ろを歩く
人懐っこい話し方で藍沢が後ろから

「藤川さんと俺って、藤川さんに俺が色々教わってたような関係だって藤川さんが言ってたけど
 緋山先生と俺はどういう感じで接してた?」

プッ と白石と緋山が笑いを堪える。藤川もとんでもない嘘を藍沢に吹き込んだものだ。
苦笑しながら少し振り向くと緋山は答える

「――ライバル。正直私は、あんたが疎ましかった。あんたがいなきゃ私がヘリにもっと乗れる。
 だけど…悔しいけど藍沢のほうが、能力は少しだけ上だわ。」

目を丸くして緋山の話を聞いて「そうなんだ…」と首を傾げる藍沢。
その様子を見ていた白石の視界に、フラフラと歩いている中年男性の姿が目に入る
次の瞬間に――倒れる。「あっ」と声をあげて白石と緋山が駆け寄る。藍沢も後をついていく
胸を押さえ、倒れこみ少し苦しそうな中年男性。白石が声をかけようとしたら藍沢が割り込み
すっと、男性の前にしゃがみこみ「大丈夫ですか」と声をかけた。
そして手首を掴み脈を測っているようだ…そして、振り向きもせずに白石にむかい手出して

「白石、ステート貸せ」

一瞬、緋山と白石は顔を見合わせる。「早く」と藍沢が急かすと「はい…」と聴診器を渡す。
声が…言い方が…いつもの…??

「痛いですか?胸の音聞かせてください。心臓の持病、お持ちですか?」

藍沢は手際よく心音を聞きながら首の動脈に触れたりしている
そしてこちらを振り向くと

「微細動だ。心筋症か何か既往歴があるらしい。運ぼう。」

唖然としてる時間はない。3人で男性を初療室へと運んだ。
430( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:23:47 ID:mY9ta3Vx
「強い衝撃の脳震盪に伴う一時的健忘…」
「その通りだー」

黒田はカルテを閉じて病室を出る直前で言い捨てる

「念のために明日まで寝てろ。頭痛もまだあるだろう。」
「…すいません…」

藤川が黒田の背中に会釈をすると「いや〜よかったよかった」と陽気に言う
見慣れていた…藍沢が指を弄る姿を、白石は見つめていた。
藍沢は、突然思い出したのだ。全部…。
しかし記憶喪失になっていた2日間の事を、代わりに忘れてしまっていた
入れ替わるような記憶の喪失は、よくあるケースでもある。
その忘れている記憶は…殆ど戻らない場合が多い。

「よかったね…思い出して」
「忘れてたって記憶がないから、俺としては怪我して気失って、目が覚めたら
 目の前にさっきの心筋症の患者が倒れてた…。2日も飛んでる意識ない」

藤川は腕組みをして偉そうに

「藍沢は俺の事を“藤川さんってすごいドクターなんですね”って言ってたぞ〜」
「知らん」

いつもの…元の藍沢の声色と話し方。どこかほっとする反面で
昨晩の事が強く、記憶や体に焼きついている白石は複雑なのが正直だった

「藍沢先生…本当に…昨日の事とかわからない…よね」
「何度も聞くな。それとも俺が…白石に何か、言ったのか?」

言ったどころか……!
目を見開いて視線を逸らして「何もない…けど…」ともごもごと言う。
メグミって呼ばれた…ずっと好きだったと思う…そんな言葉が、耳の中でリピートされる
藍沢に昨日の事を話したら、何と言うだろう。
しかし白石にはそんな度胸は一切ない。自分が大嘘をついた事がバレてしまう。

「あれ?白石、なんかついてる」

藤川が白石の術衣の裾を指差す。――っ!
拭いたのに取れなかったんだった…着替えようとして忘れてた。
昨晩の証拠が、白い点の染みで残っていた

「何だろうね…着替えてこよっかな…」

逃げるように白石は病室を出る。早歩きで更衣室に向かいながら、少し、口元が笑い余韻に浸る。
431( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/17(水) 10:27:27 ID:mY9ta3Vx
長くなっちまいました。スマソ。
本当は白石にしようか冴島にしようか迷ったけど
無難な白石にしてみた。


他の職人様方、自分の連投のウザさがカモフラされるように
どんどん作品を投下してくださいませ。
皆様が書く作品もモエモエしながら楽しみに読ませていただいてますので。
432名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 12:09:43 ID:jFRo7wX5
マンネリ化して面白くなくなってきたね
残念
白石イラネ
433sage:2008/09/17(水) 14:57:02 ID:ff2jGh+B
藍沢先生記憶戻って!!www

相変わらずいい仕事しますね(〃∇〃)
そろそろネタ切れですかね?
また書いて下さい!
待ってまーーーす
434名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 15:07:47 ID:1Wiw/p/X
イイネイイネ!設定面白かったっす
藍沢が布団の中に白石のヘアピンとか(何でもいいけどとにかく白石のものとわかるもの)をみつけて、なんでこんなところに…?て疑問に思ったり
白石の痴態がフラッシュバックでそこだけ一瞬でてきて藍沢が戸惑えばいいよw
435名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 17:54:21 ID:YKKti64x
GJです!
やっぱり『モエー』でした


話変わるけど、西条先生絡みの小説も読んでみたいなぁ
西条×白石とか

あと森本先生絡みの小説だと誰がくるとしっくりくるかなぁ
436名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 18:55:37 ID:+wag4ApJ
>>434
ちょw白石のヘアピンとかフラッシュバックとか…!
君はなんてゆう神な設定を思い付くんだw
めっちゃ萌えるw
モエーさんの作品には珍しく、ギャグな部分とシリアスな部分が混ざった話でしたね!
黒田先生と息子のパロとか「その通りだー」に吹き出しちゃったじゃん!
437名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 19:00:25 ID:+wag4ApJ
>>418さん、gjです!
大人な藍沢先生と冴島さんを堪能さして頂きましたよ。
うまいっす!
438名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 19:09:26 ID:y3GoDaV0
モエーさんGJです!
設定が面白い、優しい藍沢先生が新鮮です会話が多くてw
マンネリなんて思ったことないのでこれからもモエモエさせてください!
439名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:13:57 ID:+wag4ApJ
>>438
激同意!
これからも素敵な作品期待してます!
440名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:49:13 ID:QofI2OIu
「お疲れ〜」
ビールジョッキがテーブルの上でぶつかった。
「何はともあれこれでフェロー全員ヘリには一応乗ったわねぇ」
緋山は枝豆を食べながら藤川の方を見る。
「どうだった?初めての搭乗は?」
「今度は一番最初に飛んで行きたいなぁ」
「よく言うわよ。ヘリでは不安そうにしてた癖に。」
「あれは武者震いだよ。」
モツ煮込みに噛り付きながら、藤川が感慨深そうに答えた。
「三井先生も褒めてたわよ。」
「最終兵器が遂にベールを脱いだわけだよ。ところでお前約束覚えてるよな?」
藤川が突然真剣な眼差しで緋山を見る。

「え?なんだっけ?」
本当に心当たりが無いのか、緋山は首をかしげている。

「なんだよ、覚えてないのか。この前冴島と三人で飲みに行ったときにさぁ」
先日症例の話をしていて髄膜炎を見抜けたのはどうしてか?と藤川を問い詰めたのだ。
その後何故か冴島も合流して飲みに行ったのである。
藤川の奢りで。
441名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:50:10 ID:QofI2OIu
「ああ。あのときの焼肉?美味しかったわよ。」
「二人とも一杯食べてくれたよなぁ。」
「私奢りだと3倍食べれるのよ。」
緋山がポンとおなかを叩いた。

「そのときお前何て言ったか覚えてるか?」
「あああ…おお!!」
酔った勢いで冴島と二人で藤川をからかったことを思いだしたようである。
「思い出したか?もしヘリに乗るような事があったら何でも言う事聞くっていったよな。」
「言ったっけ?」
緋山は舌を出して惚けた。
「私だって脱げば凄いとか、一回くらい犬に噛まれたようなもんだ。とか言ったよな」
思わずビールを噴出してしまった緋山は記憶の片隅を検索する。
腕組みをしながら緋山が唸る。
いつになく機嫌が良くした冴島が「何でも言うことあげますよ。キスでもしてあげましょうか?」と藤川に提案したのが発端だ。
「で何が望みなのよ?一応聞くだけ聞いてあげるわ」
「俺の奴隷になれ。」
「はぁ?」
緋山が睨みつけると藤川が慌てて言い直す。
「じゃ一晩俺に付き合え。」
弱気な藤川のことだから、ビビッて何も出来ないだろう。
そう考えた緋山がO.Kすると、お代わりの焼酎が届いた。

「最近のラブホテルってオシャレなのね。アンタ詳しいの?」
藤川のことだからインターネットで調べたのであろう。
一見するとラブホテルというよりも、むしろ高級ホテルのような外観である。
「最近のって処女の癖に何言ってんだ?」
藤川がニヤリと笑う。
「な・処女じゃな・・・・」
緋山が藤川の肩を叩こうとすると足がもつれ地面に崩れ落ちる。
「あれれ…」
緋山は酒に強いタイプである。
今までも酔い潰してどうこうしようとする男共を返り討ちにしてきた。
442名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:51:27 ID:QofI2OIu
「おいおい大丈夫か?」
藤川は緋山の腰に手を回すと、部屋へと入る。
「んん…ん」
意識はシッカリしているのに足元がふらつく。
こんな酔い方は経験にない。
緋山は急に不安を感じトイレへ逃げ込む。

「お・このボトル自由に飲んでいいのか。」
藤川は冷蔵庫から出した酒をグラスへと注ぎ込んでいた。
トイレで少し落ち着いた私はベットの上に座ると、それを受け取る。
「何?ビビったの?」
藤川がニヤニヤと下品に笑う。
「そんなことないわよ。」
一気にグラスを空けると、今度は自分でグラスへと酒を注ぐ。
「おお・さすが緋山。良い飲みっぷりだな。」
おかしい。今度は視界がぼやける。
ボトルの口がグラスからずれる。

「ついでやろうか?」
藤川が薄ら笑いながら、緋山の手からグラスをとるとき偶然肘が胸にあたった。
「んんんん。」
突然体に電流が走った。

体をビクッと震わせるのをみた藤川は、グラスをテーブルに置くと緋山の頬を撫でる。
「ようやく薬が効いてきたか?」
「く・薬?」
「さっき飲んだ酒の中といつも飲んでるサプリメントなトイレに行ってる間にすり替えたんだ。」
「すり替えた???」
「そう、媚薬とな。何種類も飲ませたからどれが効いてるかわかんないけどな」
藤川は眼鏡を外しながら答える。
「ど。どうして?」
緋山にはまだ事態が飲み込めていない。
「生意気なんだよ!女の癖に!」
443名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:53:04 ID:QofI2OIu
「お願い。今ならまだ何もしてないことにしてあげるから…。私忘れるから」
藤川は緋山の胸を服の上から乱暴に揉みしだく。
「すぐに抱いてください。って言わせてやるよ。」
緋山は必死に抵抗しようとするが、酒の酔いも手伝いうまくいかない。
「お願いです。止めてください。」
段々声が小さくなる。
「聞こえないなぁ。意外と喜んでるのか?変態だな」
「ちが…あ…そこは…駄目…」
藤川の手が股間を刺激する。
「あ・あ・あ・あ・あ」
服の上からでも充分な刺激である。
「まずは一発イクか?」
スカートの中に侵入した手の動きが早くなり、緋山の官能を責めあげる。
無慈悲な責めに、既にぎりぎりだった緋山の官能が耐えられる筈も無かった。
「あ、も、もう駄目ぇ、・・・い、いやあぁぁぁ!」
緋山は叫び声を残して、がっくりと首を垂れた。体が小さく痙攣している。

しばらくして意識を取り戻した緋山を待っていたのは、フラッシュの嵐だった。
「無理やりイカされた ご感想は?」
ファインダーを覗きながら、藤川が言った。

「ひ、ひどい、写真なんて!」
緋山は慌てて抗議をした。しかし、体にまだ力が入らない。

「うるさい女だなぁ、今度は自分でイクんだな。」
藤川は緋山の手に巨大なバイブレーターを握らせるとズブリと秘裂に挿入した。
「ひ、ひぇぇ・・・」
女として一番恥ずかしい部分にもろに指を入れられ絶句した。
「や、やめてぇ・・・」
しかし、かすれ声を出すのが精一杯だった。
444名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:54:36 ID:QofI2OIu
そして1分後、緋山は再び絶頂に達する姿を皆の前に晒さなければならなかった。今度はさっきよりもずっと深い快感を感じさせられたせいか、失神状態からなかなか回復しない。

 「あ〜あ。もうパンティ、ぐしょ濡れだぜ。」
藤川が呆れたように言った

「自分だけ気持ち良くなってじゃねぇーよ・・・」
そう言って、緋山の赤い頬をぴしゃっと叩く。それは、まるでペットを叱りつけているようだった。

緋山には既に抵抗する体力も気力も残っていなかった。
言われるがままに、藤川の性器を口に含む。
「お前の中に入るもんだから、しっかり綺麗にしろよ。」
「あ・あ・あ・あ」
足の指で股間を刺激され、思わず感じてしまう。
「歯立てるんじゃねぇーぞ」
藤川は後頭部に手を当てると強引にスライドさせた。
「下手くそだなぁ、フェラも出来ないのか?
 これから仕込んでやるからちゃんと覚えるんだぞ?」
藤川は、普段から生意気な緋山の情けない姿をうれしそうに見つめ、そして憧れにも近い彼女の晒す淫ら極まりない肢体に目をくぎ付けにする。
「もう止めて…」
「あぁ?ペットがご主人様になんて口利いてんだよ?
 お仕置きしてやるから四つんばいになれ」
藤川は乱暴に緋山の頭をベットに押し付けた。

その後、股間を弄ばれた緋山は遂に屈辱の哀願をさせられ奴隷へと堕ちてしまった。
「これから二人のときはご主人様って言うんだぞ?」
「はい。ご主人様」
「今日は楽しい夜勤になりそうだ。」
朝の奉仕を緋山にさせながら、藤川は次は誰を陥れようか次も計画を企む。
445名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 21:55:28 ID:QofI2OIu
黒藤川でした。
駄作ですみません、
446名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 23:25:32 ID:YKKti64x
>>445さん
乙です

これからは投下の前に
CPとエロ有無を書いて下さいね
突然話が始まるとびっくりしてしまいます
447名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 04:05:08 ID:Mvq9GwH+
−−−緋山が跳び起きると、そこはいつもの平和な翔北病院だった…。
っていう夢オチを期待してしまった。。
藤川しゃんヒドス…(;_;)
でもたまにはこういう変わったテイストもアリでござるよ。
お疲れ様ですm(__)m

顔文字スマソorz
448小ネタ:2008/09/18(木) 05:40:23 ID:Mvq9GwH+
藤川と、一話に出てきた糖尿病の少女の話でエロなしです↓
449:2008/09/18(木) 05:41:06 ID:Mvq9GwH+
イライラする…。

彼の手の中にある携帯用灰皿は、既に残骸でいっぱいになっていて
いつの間にこんなに吸っていたんだ…と自分でもビックリする。

今日、珍しく非番だった藤川は、東京に出て来たという大学時代の友人と待ち合わせをしている最中だ。
久しぶりの級友との再開、プライベートの時間くらい仕事の事は忘れて思い切り楽しもう…
と思うのだが、どうにも最近の仕事での様々な場面が頭をよぎり、楽しい気分になれない。

何とかヘリに乗る目標は達成出来たとはいえ、まだまだ自分は半人前の医者だ。
同じ同期でも、藍沢の様な実力はまだ、自分には備わっていない。

「はぁ〜…」
無意識にため息が出る。
「ヘンな顔〜!」

不意に隣で聞こえた声に、藤川は思わず声をあげそうになる。
ギョッとしながら声の主の方を見ると、満面の笑みを浮かべた愛らしい少女の姿があった。

「あ…えっと…君は、美樹ちゃん??」
「せいか〜い!よく覚えててくれたね!センセー」
そこに居たのは、かつて藤川が担当した糖尿病で片腕を失くした少女だった。
450:2008/09/18(木) 05:47:34 ID:Mvq9GwH+
「君とこんな所で会うなんて奇遇だよな!どう?その後、元気でやってる?」
懐かしい患者の顔に、思わず藤川は自然と笑顔になる。
「うん!凄く元気だよ!見てホラ、義手も付けてもらったの。」
「ああ…」
それを見て、あの時の好景が思い出される。
「嫌だな、センセー。そんな顔しないでよ、仕方ないんだからさ。
それよりそっちは?ヘリコプター乗れる様になった?」
無邪気に聞いてくる美樹の顔を見ながら、藤川は思わず弱音を零してしまう。
「ああ、乗れたよ。でもね、結局ヘリで駆け付けても救えない命があったんだ。それも沢山…」
藤川が神妙な面持ちで話す中、美樹は真剣な顔で彼を見ていた。
「フライトドクターなんてさ、所詮は人間なんだし、ヒーローみたいに皆を助けられる訳じゃない。
でも、俺は少しでも多くの命を救いたいんだよね。…でも現実は上手くいかない事もある。
最近は何か、そういう理想と現実のギャップに悩んでばっかだよ…。」
一気に話してしまってから、藤川は慌てて美樹に取り繕う。
「ごめん!何か俺、硬い話しちゃったよな、スマンスマン!」
ごまかす様に笑って美樹の肩を叩くと、彼女はう〜ん…と何かを考え込むような仕草をしている。
そしていきなりニコッと笑う。
「それでいいんじゃないかな?」
「え?」
「先生はそうやって、悩んで前に進んでるんだよ。
先生に救われた患者さんだって沢山いるよ。だから大丈夫!」
美樹は屈託のない透き通った瞳で藤川を見ている。
「大丈夫だよ。」
彼女はもう一回繰り返すと、ギュッと藤川の手を握った。

451:2008/09/18(木) 05:50:49 ID:Mvq9GwH+
「さっ、私もう行かなきゃ!」
美樹は思い出した様に時計を見ると、デートなの、と手を振りながら走って行った。
でも、途中で立ち止まる。
「やっぱデートっていうのは嘘!」
「え?」
彼女は遠くから叫んでいるので藤川にはよく聞こえない。
「初めてのデートはさ、好きな人とって決めてるから!」
「…何?」
やっぱり聞こえなかった藤川が怪訝な顔で聞き返す。
美樹は走ってくると、そのまま顔が接近するくらいまで藤川に近づく。
そして肩に手を置いて背伸びをすると、藤川の頬にキスをした。

「また会えるといいね〜!」
軽く手を振り、今度こそ美樹は通りの向こうに消えていった。

「な、何だ??」
彼女にキスされた場所を手で触れてみる。
藤川は、しばし呆然として美樹の去った場所を見詰めるのだった。


END
452名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 10:45:06 ID:dCmPkT+3
あの1話の藤川と女の子のシーン泣けたからこんな風にその後が見れて嬉しいよ…
ありがとう!
453名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 11:08:13 ID:wO9GCu+g
>>418 GJGJGJ 大人な雰囲気もありつつ切ない感じもあり。
   静かな展開が萌えです。また書いてください!

>>449 タバコ吸う描写が、藤川の中の人ブログで見た
    眼鏡してないイマドキの若造って感じの浅利さんを思い出して
    自分としては藤川の私服姿がリアルに想像できました。
    やっぱいい奴だ藤川wGJですよっ
454名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 11:09:08 ID:qXwCM/qs
>>444
相手は藤川1人でしょ?
「皆」って何?
何かのエロパロのパクリ?
455名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 20:14:13 ID:g/kLjoDi
どなたか西条×白石書いて下さる神はおらぬか...?
需要少ないからなかなかおらぬかな?
456フェロー1号:2008/09/18(木) 21:42:29 ID:IYRx/sMX
緋山×藤川×冴島
エロ無し
興味ない人は流してください。

「明日からお二人は謹慎生活どうされるんですか?」
冴島はるかが食事の手を止め、緋山美帆子の方を見ながら尋ねる。
「私は実家に帰るわ。アンタは?」
チャーハンのグリンピースを丁寧にどかしている藤川一男も頷く。
「謹慎なんてお二人と違って生まれて初めてなもんで、どう過ごしていいのやら」
はるかは少し意地悪そうな顔をした。
「俺もなんだよ。緋山、どう親に説明すれば良いんだ?」
ようやく摘出が終わったのか、一男が額の汗をぬぐいながら尋ねる。
「何で私に聞くのよ?さも常連かのように」
美帆子が不満そうに聞き返す。
「緋山先生を見ていたら、誰でもそう思います。」
「学級委員とかクラスのマドンナといじめてたタイプだろ?」
「もしかして白石のこと言ってんの?アンタあんな綺麗ごという女好きなの?」
「私も白石先生はあまり好きでわないので、関わらないようにしてます。」
珍しく両サイドのはるかと、美帆子の意見が一致した。
「女同士なんだから少しは仲良くしたらどうだ?」
「私は看護師なんでフェローとは立場が違いますから。」
「同じフェローでも私、白石とは携帯も交換して無いもの。」
病院の人間関係とはシフトの関係もあり、浅く深くである。
プライベートの携帯はロッカーの中なので、なかなか交換する機会が無いのが実情である。
その証拠というわけではないが、職場結婚の率はかなり高いのである。
ちなみに
美帆子の携帯に登録してあるのは、一男とはるかと指導医の三井環奈だけである。
一男は同期の白石恵、指導医の森本忠士と二人を登録しているだけであり
勤務歴の長いはるかでもそれに同期の村田香織と、看護師長の大原澄子、CS室の轟木聖子が加わるだけ
という人脈の無さである。
457名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 21:52:29 ID:y97vvTnK
緋山×藤川×冴島

またこの組み合わせか・・・
458フェロー1号:2008/09/18(木) 22:01:34 ID:IYRx/sMX
「藤川先生は両手に花じゃまだ不満なんですか?」
はるかが口を尖らす。
「そーよ。そーよ。」
美帆子も一緒になって口を尖らす。
(両手に花ねぇ、食虫植物の間違いじゃないか?)
一男は苦笑いを浮かべる。
「仲良くといえば、二人っていつのまに飲みに行く程仲良くなったの?」
最初はフェロー同士のガス抜きということで、美帆子と一男だけが飲みに行っていたのである。
それにいつの間にかはるかが加わり、さらに旨い物発見サークルが結成されたのである。
「昔は二人いつも喧嘩してたよね?
 緋山に至って冴島さんとヘリに乗るたびに落ち込んで帰ってきてた気がするんだけど。」
一男は眼鏡を拭きながら美帆子に尋ねる。
「そりゃぁ、だってこっちは慣れて無いのにさ。ちょっと手間取ると、鬼の首を取ったかのように責めるんだもん」
「一生懸命なのと、三井先生の前で良い所見せようとしてるは分かってましたよ。」
はるかは悪びれる素振りもない。
「まぁまぁ、喧嘩しないで。」
いつものように一男が二人をなだめる。
(二人とも黙って座ってれば、絶対モテルと思うんだけどなぁ)
二人ともとても自分の感情に正直なのか
たまにいつも一緒の一男ですら、ドキッとするほど愛らしい表情をすることもあるのだ。
ただ恐らくこの二人におしとやかにしろというのは、
パンダに笹を食べるなと言ったり、鳥に地面にもぐれというようなものだろう。
と一男は心の中で呟く。

こんな二人がどうして仲良くなったのか…
一男にはどうしてもわからなかった。
459フェロー1号:2008/09/18(木) 22:02:04 ID:IYRx/sMX
数ヶ月前
はるかは更衣室で一人椅子に座っていた。
元彼が病院に訪ねてくるというハプニングもアリ、今日はなんだか誰かと話したい気分である。
しかしあいにく今日は同期の村田香織もつかまりそうに無い。
(つまんないの。)
病院と自宅の往復という生活になって早6ヶ月、
そろそろ新しい刺激が欲しくなってきた。
(バチが当たったのかなぁ)
バタンとロッカーを閉めると、トボトボと帰路に着こうとした。
「あ・お疲れ様です。」
少し離れたロッカーの傍に緋山がガックリと肩を落として座っていた。
「また三井先生の前で失敗しちゃった。せっかくココの所連続してヘリに乗れてたのに…。スランプだわ」
「スランプっていうのは力がある人がなるわけで、緋山先生は毎回なわけでそれは実力と考えるべきでわ。」
イライラしていたこともあり、はるかの嫌味が冴える。
しかしいつものように反論がない。
はるかがあれっと拍子抜けする。
「体調でも悪いんですか?今日はアレですか?」
思わず美帆子の隣に座り心配する。
「アンタ何言ってんの?」
「いえ、いつもなら三倍返しくらいは来ると思ってたんですけど。」
「事実だからね。私は平凡な医者だから」
今日の美帆子は何かおかしい。悪い物でも食べたのではないだろうか?
大至急CTとレントゲンそれにMRIを勧めるべきではないか。
「大丈夫ですか?吐き気はしませんか?」
「アンタもらしくなわねぇ、私を心配するなんて」
二人は見つめあうと、突然アハハと笑い出した。
「今から藤川でストレス発散しにいくけど、アンタも来る?」
ニコニコと笑う一男の顔がはるかの頭に浮かぶ。
「藤川先生ですか?どんな話するんですか?」
『藤川と』ではなく、『藤川で』というのが若干気になるが、はるかも少し興味を持った。
「殆どは私が藤川をからかって遊ぶのよね。」
「からかう?」
「ほら、アイツ一人だけヘリに乗れてなくて黒田先生にも嫌われてるでしょ?」
「そういうことですか。」
「でもアイツ糠に釘というか。底抜けに明るいというか。雰囲気は悪くならないのよ。」
確かに一男にははるかも何度か嫌味を言ったが、あっさり流されてしまった。
「最後にはいつもアドバイスありがとな。って言って一軒目は奢ってくれるのよ。」
「アンタも今日は何かそういう顔してるし、良かったら来る?」
「どういう顔ですか?この顔は生まれつきです。」
「嫌なら別に良いけど。」
「行きます。」
はるかと美帆子は一男の待つ店へと向かった。

「何で仲良くなったか?」
「まぁ敵の敵は味方ってところですかね。」
二人は白石恵の顔を思い浮かべながら、目を合わせて笑う。
「ところで遂に念願のヘリに乗られたんですね。おめでとうございます。」
「そういえば、私と乗ったのが初めてだったんだっけ?」
たまには一男の話も聞いてガス抜きをさせてやらねばと二人は質問攻めを始める。
夜はまだまだ始まったばかりである。
続く
460フェロー1号:2008/09/18(木) 22:07:29 ID:IYRx/sMX
>>457
3人のCPは禁止なんですか。申し訳ありません。
常連さん?が黒田先生と白石先生と藍沢先生を書かれていたようだったのでO.Kなのかと誤解してしまいました。
禁止事項とは知らずスレ汚し申し訳ありません。
緋山の話を書きたかったのですが残念です。
461名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 22:10:34 ID:Y69/R2Vp
禁止も何も、うざがられる原因を作ったのは自分でしょうに・・・
462フェロー1号:2008/09/18(木) 22:19:16 ID:IYRx/sMX
>>461
上の方の人とは私は違いますよ…。気分悪いので小説は終わりにします。
書き込み時間が近いからかもしれませんが…。私はサラリーマンなんでそんなに頻繁に書き込めません。
463名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 22:29:20 ID:Y69/R2Vp
女性は普通自分のことをサラリーマンとは言わないよ
会社員
覚えときな
464名無しさん@ピンキー:2008/09/18(木) 23:23:15 ID:FoRyb/Ns
てかID一緒なんだが。


まぁ、男性でも私って言う人はいるよな。
465名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 04:35:37 ID:78TCIfKC
前から思っていたのですが、フェロー1号さんがウザがられる原因はCPのせいではありません。
性格にあると思います。短い文の中にも人柄が滲み出るので、あなただとすぐにわかります。
自分の事を仕事で忙しいと言いながら、このスレに固執したり
連投する時間があるのにHPを作る時間はないと言い張ったり。
忙しいのは、あなただけではありません。
それに匿名掲示板で個人のプライベートなんて誰も興味ないと思います。
他の職人と対立するような書き込みや、すぐにいじける所も良くないと思いました。
でも、あなたの作品を嫌っている訳ではなく
読みにくい連載物は掲示板には不向きだという事が言いたかったんです。

長文失礼しました。
466名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 07:50:01 ID:Cq9I8VEq
>>460
別にトリプルがいけないんじゃなくて
>>457さんは緋山×藤川×冴島は飽きたって言いたかったんじゃない?
前に一ヶ月以上連載してた人がいたから
みんなもうそのCPはお腹いっぱいなんじゃないのかな
467名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 11:35:12 ID:VO6M78tY
誰か空気変えてくれぇ!
468名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 11:59:23 ID:Qlg764ca
18歳以上なら読みたくないのは華麗にスルー これ基本
職人さんを追い出すようなレスは(・へ・)イクナイ!
469名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 12:30:00 ID:VO6M78tY
その通りだー

というわけで黒田x冴島きぼん
470名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 20:29:55 ID:LK9JP9jR
409の続編希望
471( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:38:47 ID:tD3QV5Ex
>>469さん!実は同じ事を考えていました。上手く書けなくて
一度断念したんですけどリトライしてなんとか形になったので投下させて頂きます

黒田×冴島 ちょいエロ有りです。


「お互い独身なのに…なんだか不倫してる気分です、いつも。」

冴島がベッドにうつぶせに寝たままで
服を着ている黒田に呟いた。

「藍沢と藤川だけじゃどうにもならん」

真夜中の今、勤務先の病院に運ばれてきた急患が重症で
フェローの手だけでは負えないかもしれない…
携帯に呼び出しの電話が入ったのは10分前。

気だるそうにシーツを頭まで被って顔だけ出して
冴島は笑みを浮かべ

「ドクターコールが鳴らない日でも、すぐ帰るじゃないですか」
「…一人で寝ないと熟睡できないと前にも話しただろ」
「わかってますよ、黒田先生」

身支度が終わると振り向きもせずに

「チェックアウトは鍵だけ返せばいいようにしておく」

そういい残して黒田は部屋を後にした。
窓の外を見てもまあそれなりと言った具合の夜景
誰もが知るシティホテルの部屋に、冴島は一人残される
こういう事には慣れていた。今までも何度もそうだった。
黒田と深い関係になってから、もう半年になる…
朝まで二人で過ごした事は…2回くらい、だろうか。

「…何か、着なきゃ風邪引くわね」

起き上がりソファに投げられていたバスローブを着込むと
再びベッドに入り広いベッドで一人、身体に残る余韻に浸りながら眠りに落ちていく
472( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:39:39 ID:tD3QV5Ex
翌朝、始まった1日はいつもの何も変わらない1日。
ヘリ担当だった冴島は、黒田・藍沢とヘリで3度出動した
いつものように、夕方になり日没になり、そのまま夜勤。
エレベーターに乗っていると、藤川と緋山が乗ってくる

「お疲れ様です」

何かの話の途中だったらしく藤川がえらく盛り上がっていた

「怪しいよなー。黒田のやつ、女の所にいたと思うな〜」

誰にも気づかれないが冴島は耳が動いたんじゃないかと感じるくらいに聞き入る。
緋山が呆れたように相槌をうって

「別に家で寝てて、慌てて着替えてきたってシャツを裏表に着るってあるじゃない」

―!? 冴島は少し驚いた顔をしてしまった。それを見逃さなかった藤川が

「昨日さ、当直で緊急オペになったって黒田を呼んで来てもらったらよー
 なんと、ポロシャツが裏表逆だったんだぜ?あの几帳面丸出しって感じの黒ちゃんが。
 ありゃあ女と密会してて、慌てて服着たからだぜ。うん。俺の推理は合ってるな」

無地のポロシャツだった…裏表逆に着てたなんて気づかなかった。
冴島はそう思いながら、先程の緋山のように呆れたようにため息をついて

「またそういう話ですか。自分のプライベートがつまらない生活だからって
 人のプライベートを面白おかしく脚色するの、悪趣味ですよ」

目的階に着いてドアが開くと降りて背後から藤川が「怒らないでよ〜」と言うのが聞こえた。
表情に出さないが、内心少しだけ冴島にとっては微笑ましいネタだった
慌ててたのね昨日…あの人が、そんなドジするんだ。
そう思いながらスタッフステーションへと戻った
473( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:40:45 ID:tD3QV5Ex
ある日、黒田がすれ違い様に呟いた

「冴島。今日だ。」

何のことかすぐにわかった冴島は「はい」と短く返事をして二人がすれ違う。
半年間続いている合図。Noと返事をしたことは今まで一度もない
黒田がどこか…安心する存在になりつつあったためか、できる限り合わせるようになっていた。

そのまま食堂へ向かいパスタセットのトレーを持って開いているテーブルを探していると
藍沢の後ろのテールが開いていた。丁度伝えたい事もあり、そのテールにトレイを置く

「お疲れ様です。藍沢先生、B肝の予防接種行ってないですよね?
 食べ終わったらすぐに行ってください。」

医師・看護師は院内感染防止のために予防接種を色々とやらなければならない。
B型肝炎の予防接種の日だが、藍沢だけが来ていないと連絡をもらったのだった
背中合わせに座ると、背後から藍沢が答える

「苦手なんだ」

バスタをフォークに絡めながら冴島は

「藍沢先生が打つんじゃなくて打たれるんですよ」
「……それが、苦手なんだ」

耳を疑いぎょっとして振り向く。藍沢の背中に向かって思わず

「注射されるのが、嫌いなんですか?」

問いかけは無視されたがそれがYseという答え。思わず噴出して

「散々メスで人のお腹や胸を切ってる上に点滴や採血で人には針刺しまくってるのにですか?」

藍沢は相変らず無視して背中を見せたままだ。冴島は、笑を堪える。

「じゃあ、ご自分で予防接種打ちます?筋注ですし自分でもできますよ」
「そのほうがもっと嫌だな」
「小学生みたいな事言ってないで、ちゃんと行ってください。内科の先生が待機したままですから」

思わぬ人の思わぬ弱点に、ついに冴島は笑いだす。
藍沢も、一瞬振り向き苦笑に近い笑いをして、食事の続きを食べ始めた
そこへ…腹部外科の医師と話しながら黒田が通り過ぎる。
474( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:41:54 ID:tD3QV5Ex
夜になり、一人で食事を終えると予定より遅れて黒田が病院を出たという電話をしてきた。
言われたホテルの一室でお風呂も終わりバスローブで寛いでぼんやりしていると
黒田がドアの施錠を解除し、入ってきた。

「遅かったんですね」
「すまん…急患がいきなり来た」

疲れた様子の黒田を見ながら昼にあった、あの話をしてあげようと冴島は思う。
藍沢の子供じみた弱点を聞いたら黒田も少しは笑ってくれるだろう

「今日、お昼に藍沢先生と話してたの。そうしたら――」

話の途中で黒田は冴島を強く抱きしめる。そしてすぐに突き飛ばすようにベッドに押した。
ベッドの上に突き飛ばされ驚く冴島に黒田が服のボタンを外しながら

「お前があんなに笑って藍沢と話すと思わなかったな」

…?ああ、もしかしたら、見ていたんだ。そう思う。黒田が続ける

「俺には…あんな笑顔で話す事は滅多にないじゃないか」

眼鏡を外すとすぐに冴島の上に跨り、両手首を強く掴み押さえつける。
痛い……跡がつきそうな程の力に冴島は驚きながら

「どうしたんですか…?」
「――若い二人に中年が嫉妬したんだろう」

他人事のように言うと押し付けるように唇が重なる。息苦しい…彼の髭が、少し痛い…
顔を逸らし弱々しい声で

「嫉妬…なんですか」

黒田は答えずにバスローブの紐を解くと煌々と電気の明るい部屋で露になった
冴島の白い肌を見つめ、搾り出すように呟いた

「お前は…俺の物だ」

その言葉で、痛みを感じていた手首が、痛みを感じなくなる
代わりに…言葉だけで「快楽」を感じてしまった。
力任せな黒田の愛撫に、痛みですら快楽になっていく――
475( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:43:04 ID:tD3QV5Ex
「冴島…もう…無理だ」

結局は右手首に薄紫の跡ができてしまった。黒田の握力の跡だ。
その薄紫の手錠のような跡がついた手をそえて喉元に届きそうなくらい深く…咥え込む。
黒田の制止も聞かずに長い事、冴島は舌をまとわりつかせ、唇で締め付ける。

「3回は無理だ…」

彼の弱音にやっと、顔を上げるとうっとりした表情で、唾液で光る唇が動く

「黒田先生はもういかなくていいです、寝てていいですよ。私が勝手に…しますから…」

力ずくでレイプされるように1度、そして寝入っていたところで冴島から仕掛けて2度
今は朝方だろうか…冴島が起きてそのまま寝ていた黒田のものを口に含んだのだった。
一人、淫らに行動する冴島を、優しい眼差しで黒田が眺めている。
冴島は…時折見せる黒田の優しい目が、たまらなく好きだった。視線を合わせたまま膝立ちをして
唾液で濡れて一応は興奮を見せているそれに向けて、ゆっくり腰を落としていく――
切なそうな表情で3度目の挿入と同時に冴島は…涙を1粒落とした。
それに気づいて「――どうした」と黒田が小さく尋ねる
根元まで自分の中へとくわえ込み満たすと小さく身体を震わせて

「嬉しかった…。黒田先生にとっては、身体だけの繋がりだろうって思ってたから…
 嫉妬…してくれて…すごく嬉しかったんです…」

力任せで荒々しい、痛みを伴うセックスですら快感だったのは
感情が…麻痺させていたんだろう。ゆっくり上下に身体を動かし
黒田を使って自慰でもしているような冴島が、甘い吐息を吐きながら黒田の鼻先に顔を近づける

「…私は………あなたのものです」

年齢のせいか、疲労のせいか…一応は挿入できる程にはなるが
今日はもういく事はできない。しかし冴島の言葉に黒田は何とも言えない満足感に浸る。
476( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:44:20 ID:tD3QV5Ex
朝の病棟回診の途中で、藍沢が冴島の手首を凝視した。
右手に薄紫の跡があることに気づいたのだ。冴島は医療器具が乗った台車を押している

「冴島…それ」
「…何でもありませんから」

明らかに手首を掴まれた跡…前を向き歩きながら

「痛かっただろ。そんな跡がつく程掴まれたら」
「痛かったですけど…満足しましたから」

ちぐはぐな会話。藍沢は暴力を誰かに振るわれたという訳ではなさそうだと解釈し
それ以上は触れなかった。
――昨晩、黒田が呟いた言葉を冴島は思い出した

「いつか…藍沢には、何かを取られてしまうような気がする」

今のポジション?世代交代?冴島は曖昧な彼の予感に質問したが黒田本人も漠然とした予感らしく
何も答えなかった。ベッドの中で黒田の背中に密着して

「私は…あなたのものだから…。あなたしか、いないの」

そう告げて………

……
…器…
冴島、持針器を…

はっとする。
ぼんやりしてしまった。視線を上げると藍沢が無表情でこちらに手を出している。

「持針器」
「…すいません」

言われた道具を渡すと、藍沢は入院患者の開いてしまった傷口を器用に縫合していく。
いつもの日常を、演じなければ。いつものように。
冴島は落ち着くために大きく深呼吸をして、すれ違う黒田と三井に会釈をした。
477( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/09/19(金) 21:48:06 ID:tD3QV5Ex
以上です。


ネンチャックかYO!ってくらいに書き捲くってしまってスマソ
だけど他の職人様の作品が楽しみなのは本当です。
もっとみんな書いてくだされ〜〜!!
酷評でもいいじゃないか。書く事に意義がある

充電の旅に逝ってきます  |出口| λ............トボトボ
478名無しさん@ピンキー:2008/09/19(金) 22:17:08 ID:78TCIfKC
>>477
ちょっと…!もうね、痛いくらい女心がわかってくれて嬉し過ぎる。
素晴らし過ぎるよ!冴島さんハッピーエンドで本当に良かった。
二人とも色っぽいし大人だし魅力的だし、こんな素敵な作品を書けるあなたに脱帽です。
書いてくれて本当にありがとう。
女性は冴島に共感したと思うし男性は黒田先生に共感したんじゃないかな?
479名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 00:32:47 ID:V6125vuj
うぁ モエ氏が今まで書いた中で今回が1番好きだー
切な幸せな感じが…思わず泣きそうになった
480名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 03:07:29 ID:5odt3QKc
同意!泣きそうになった!
481名無しさん@ピンキー:2008/09/20(土) 18:33:36 ID:jAa7hQnN
モエモエさんってなんだか医療系に詳しいんですね
私が知らないだけってのもあると思いますけどフェローたちの医療の会話に違和感がないです
482名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 00:45:18 ID:DFNB9ElX
>>477
469だがまさにこんな作品を読みたかった
ありがとう
483名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 01:25:22 ID:pjpPX1cF
緋山と藤川です。
エロないです。ちょっと長いのですがすみません。
興味ない人は流してください。

食堂の椅子に腰をかけポケットから錠剤を取り出した緋山美帆子がため息をついていると
「どうしたの?この世の終わりみたいなため息ついて」
同期の白石恵が心配そうに向かいの席から心配した。
「藤川と話してるといつも喧嘩になっちゃってさぁ。」
「また喧嘩したの?素直にならなきゃ…」
「だって大事な話をしようとすると、アイツいつもオチャラけるんだもの」
美帆子はゴクゴクとミネラルウォーターを飲み干す。
「アンタの方はどうだったのよ?ちゃんと聞いてくれたんでしょうね?」
「そ・それはね・・・」
「何よ?まさか手ぶらでココの席に来たわけじゃないでしょうね?」
腕組みをしながら美帆子が尋ねる。
「そういうわけじゃないんだけどさぁ…」
苦笑いを浮かべた恵は同じく同期の藤川一男の顔を思い浮かべていた。

あれは、ある雨の日の当直のときであった。
美帆子と恵はワークステーションで夜勤をしていたときのことである。
「あのさぁ、前にくだらない恋バナを一晩中聞かせる相手が必要って言ったわよね?」
「うん。言われたけどどうして?」
カルテを記入する恵の手がピタッと止まる。
「私さぁ、藤川のこと好きになっちゃったかも…。どうしよう?」
美帆子は照れくさそうに顔を赤らめている。
・・・・はい?・・・・よく聞こえませんでした…
恵はその場に居なかったので詳しくは知らないが、
シニアドクターの黒田に「俺に行かせて下さい」とヘリ出動を直訴した姿にドキッと来たそうである。
普段のお調子者の一男の姿しか知らない恵にはいまいち半信半疑な話である。
「ほ・他には?」
今日は一晩中この話を聞かせるという前フリをされている以上恵が聞かないわけにはいかない。
484名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 01:26:16 ID:pjpPX1cF
「アンタ知らないの?遅れてるわね。アイツ本来なら切断ものの所を切らずに済ませたのよ。」
自分の初フライトのときはほろ苦いデビューだったのに立派だと負けず嫌いの美帆子が珍しく褒めているのである。
恵は再び我が耳を疑った。
恋は人を変えるというが美帆子もどうやら例外ではないようである。
「でもね、よく考えたら藤川のこと何も知らないのよ。私…」
美帆子は夜食のクッキーを開けると、ご自由にどうぞといわんばかりに机の上においた。
「あ・美味しそう…」
ちょうど小腹が空いていた恵はすぐに手を伸ばす。
「いただきま〜す…」
「食べたわね?」
美帆子が薄気味悪い笑いを浮かべると恵を見つめる。
「え?駄目だったの…。いつも良いじゃん・・・・」
「良いのよ。ドンドン食べて…その代わり…藤川にいろいろ聞いてきて欲しい。」
クッキーを取りやすいように恵の前に置く。
「合コンにも誘ってくれないのに?私の顔なんて外でまで見たくないなんて言う癖に?」
「あ・あれは…こ・言葉のアヤよ。」
「どういう意味?」
「ほら、いつも一緒にいるじゃない?だから家族みたいに思ってるの。」
「…無理ありすぎ…」
恵が思わず吹き出してしまう。

「本気なの?」
美帆子は黙って小さく頷いた。
最初の顔合わせの直後に女子更衣室で、のび太君と命名していたのが嘘のようである。

「あんまり期待はしないでよ?」
「ありがとう…白石も大好き…」
はてさてどうしたものか?美帆子の頭を撫でながら恵はこれからの自分の行動を模索した。


今日はそれから2週間後のことである。
「彼女は居ないみたいよ。とりあえずおめでとう」
「他には?他には?」
美帆子の顔がドンドン近くなる。
「近い…近いからもうちょっと離れて」
「ご・ごめん。」

美帆子はたまに同性の恵でもドキッとするような可愛らしい顔をすることがある。
本人には言わないが普段からこういう可愛らしい顔が出来れば、一男なんてすぐ落とせるのに勿体無いと恵は思っている。
「謹慎までまだ時間あるから頑張ってみるね。」
恵を含みフェロー達四人は近々一週間の謹慎を命じられる予定なのである。
「私も頑張ってはいるんだけど、顔合わせると喧嘩になるのよね。」
負けず嫌いとお調子者…まさに水と油である。
485名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 01:26:50 ID:pjpPX1cF
「あ・いたいた。」
聞きなれた男の声が恵の背後から聞こえる。
「そこ空いてるか?」
噂をすればなんとやら、昼食をトレーに乗せた一男が現れた。
一男は返事を聞くより先に恵の隣に腰をおろす。
「そういえば、藤川君は今度の休みどうするの?」
「実家に帰るよ。たまには羽を伸ばさないとな。」
「二人はどうすんだ?」
「私はまだ何も決めてないよ。緋山先生は?」
あ・しまったと恵が慌てたが口は止まらなかった。
美帆子が「私は・・・よ。」小さく呟く。
「え?彼氏とデートか?それとも外資系と合コンか?お盛んだねぇ」
一男がいつものようにからかった。
「緋山先生抑えて」
意外と純情な美帆子はこの手の会話がめっぽう苦手である。
「悪かったわね!お見合いよ!ようやくヘリに乗れたアンタと違って国立大学の教授の優秀な息子とね!」
フンと口を尖らせると、美帆子は席を立ってしまった。

「今の話本当なのか?」
「みたいよ。気が付いたら縁談が婚約に発展していたってよく聞くパターンよね。」
美帆子は親から見合いを勧められていたこともあり焦っていたのである。
「そ。そうなのか?」
「私の友達にも2〜3人いるよ。お見合いで結婚した子。緋山先生帰ってきたら苗字変わってたりしてね。」
「まさか〜。あの緋山に限ってそんな事ないだろう。」
恵もそう思っているが、ここは先程の失敗を帳消しにするために少し一男を不安にさせることにした。
美帆子に一男の事を頼まれる前から感じていたのだが、彼は美帆子に気があるのではないか?と考えていた。
「意外と最後の親孝行とかいいそうなタイプよ。」
恵はフフフと笑うと席を立った。

その日の夜
「今日は当直じゃないわよね?気になる患者でもいるの?」
シニアドクターの三井環奈が美帆子に尋ねる。
気がつけば辺りに人影は無く、ワーキングステーションには三井と美帆子の二人しかいなくなっていた。
「ちょっと考え事してました…」
「それって藤川のこと?」
えっと美帆子が目を丸くする。
「さっきコンビニで白石に聞いたわ。心配してたわよ。また喧嘩したんですって?」
「喧嘩って言うほどのことでは…」美帆子は頭を抱えながら弁解する。
「良かったら相談に乗ってあげるわよ?」
「遠慮しておきます。ちょっと見回り行って来ます。」美帆子はワーキングステーションから逃げ出した。
よくよく考えれば結婚歴もある三井に相談しても損は無かったかもしれないと少し後悔しながら美帆子はICUの前を通りがかった。
「あれ?緋山今日夜勤じゃないよな?」
美帆子の頭痛の種は首をかしげながら尋ねた。
「別にアンタに関係ないでしょ!北島さんが気になっただけよ。」
「北島さんならグッスリ寝てたぞ。」
「そう。ありがとう。一応私も顔を見てから帰るからアンタ先に戻ってて。」
「待っててやるよ。でも気にしなくていいからな。」
実は北島という患者、美帆子の担当ではない。恵が話していたのをとっさに思い出しただけなのである。
それらしき患者を発見したが一男の言うとおり熟睡しているようである。
「お大事に」
布団を掛けなおすと、足早にICUを後にする。
486名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 01:28:08 ID:pjpPX1cF
自動販売機のところでは一男がジュースを買っていた。
「アンタ本当に待ってたの?」
「昼間は悪かったなぁ。お見合い頑張れよ。ホレ」
一男はバツ悪そうにジュースを差し出した。
「全然嬉しくないのは何故?」
悪態をつきながらもジュースを受け取る。
「でどんな相手なんだ?良い奴なのか?」
「履歴書しか私は見て無いし、とりあえず会うだけだから」
美帆子はぶっきら棒に答える。
「そうか。そうなのか。」
「だいたい、今どきお見合いなんて有り得ないわよ。将来のパートナーよ。自分で見つけるわよ。」
空になったジュースを机に置くと腕組みをする。
「緋山は結婚相手に何を求めるんだ?」不意に一男が尋ねた。
「そんなこと聞いてどうするの?」
「参考までにだよ。」
「平凡でも良いから明るい人がいいわね。あとは医療関係で安定してる人とか?」
「何で医療関係って限定するんだ?」
「医者とか看護師が普通の夫婦生活を営めるわけ無いじゃない!
 姑とかに家庭に専念しろとか言われるのがオチね。」
「ウチの実家は農家だからそんなこと言われないと思うぞ。」
「なんでアンタの家が出てくるのよ?」
「まぁほらあれだ。もしお見合い相手に断られても気にすんなってことだ。」
「断ることはあっても、断られることは無いわよ!」
「そうそうその調子その調子。緋山は元気の良さだけが取り柄なんだから。」
「励ますか・喧嘩売るかどっちかにしてくれない?」
「じゃまぁそうだなぁ…」
一男は考え込んでしまった。
「もしかして、お見合い失敗すればいいと思ってる?」
「良いや、幸せになって欲しいだけだよ。」
「それってど・どういう意味よ?」
「フェローの同期だからな…深い意味はないさ。・・・・だけど。」
♪♪…♪♪・・二人の携帯が突然鳴り出し一男の言葉が一瞬意識からそれた。
「ちょっと今何ていったの?」
「そんなことより行くぞ。」
「分かってるわよ。」
救急車の音がすぐ傍で止まった。

素直になれない二人を書きたかったのですが、上手くいきませんでした。
お目汚し失礼いたしました。
487名無しさん@ピンキー:2008/09/23(火) 15:45:00 ID:Fc/1dZvL
久しぶりにカキコされた記念age
488名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 15:05:14 ID:U0+GaMSg
またあげ
489名無しさん@ピンキー:2008/09/24(水) 23:22:39 ID:gx9en04B
誰か書いてくだされ〜
490名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 16:08:11 ID:OArizrr/
三井は藍沢にかなり甘い
絶対になにかあるはず
最終回見て思った
491名無しさん@ピンキー:2008/09/28(日) 17:44:06 ID:dOke4muV
黒冴も白黒もいいなぁ〜
492名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 18:09:26 ID:lQsLhvVo
オセロの誰か書いて
493名無しさん@ピンキー:2008/09/30(火) 21:41:59 ID:NuEF0Ee5
>>492 オセロw吹いたww
494名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 06:29:37 ID:FCLGF6l8
ほ!
495名無しさん@ピンキー:2008/10/08(水) 08:42:45 ID:7qJOYwdW
しゅ!
496( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2008/10/09(木) 14:58:10 ID:/bXBKKf1
どなたか…小ネタでもいい、書いてください!
次が書きにくいじゃないかw
497名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 16:14:14 ID:8CnYPYQ0
>>496
あんたばっかり書きまくって
自分は批判されてないからって「酷評だっていいじゃないか」って勝手なことばっか
そりゃああんたの文章はうまいかもしれないけど、他の人間は批判されてんだよ
あんたがいるから他が書きにくくなってんのに、何偉そうなこと言ってるの?
大嫌い
もう来ないでほしい
498名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 05:31:56 ID:U/zJqVZ+
>>497
批判するヤツは悪いが、そりゃ八つ当たりってもんだよw

お二人とも気にせず書いてくだされ
499名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 07:00:00 ID:FhPKiu8F
>>497
他人を叩く前に、自分の文章を見つめ直してるかい?
書いて投下して忌憚ない評価を受けられるのはめったにない機会だよ。
つまらなければ、普通は、オンなら閲覧されない・オフなら新刊を買ってもらえなくなるだけなんだから。
500名無しさん@ピンキー:2008/10/10(金) 09:53:43 ID:64stgVbk
>>496
きにせず書いてくだされ
501名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 16:11:51 ID:ZxkYyiyv
>>497
自分が思うほど、あなたは酷評や批評なんてされてないと思う。
普通の人には物語を考え付くことだって難しいのに、もっと自分に自信を持った方が良いと思う。
人それぞれの作風があるんだから他の職人さんと比べることなんてないでしょ。
他の職人さんは関係ないよ。
自分の評価が気になるなら、一回ちゃんとしたサイトなり出版社なりに自分の作品を投稿してみたらどうだろう?
やってみる価値はあるんじゃない?
502名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 01:47:40 ID:10/TrpHT
釣り堀かよ
503名無しさん@ピンキー:2008/10/13(月) 17:46:21 ID:buKbay4F
もう1回もうー1かーい
504名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 21:46:02 ID:7/8oCJhb
僕はその〜てを〜のば〜したい〜
505名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 17:04:08 ID:nD4b2Bgg
なんかここツマンネ

別行きたいんだが、百合の方にもなんかあったよね?
506名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 22:05:01 ID:7sEUivOD
1月までこんな状態で暮らせって言うんですか!
干からびます!
507名無しさん@ピンキー:2008/10/15(水) 22:49:47 ID:tT5/IJwn
誰か〜
白石×黒田をたのむ!
508名無しさん@ピンキー:2008/10/16(木) 17:10:00 ID:bC/tjHyT
ガッテンだ。
頑張ってかいてみる
509名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 19:59:49 ID:uu1cVZ3q
がんばれ!
510名無しさん@ピンキー:2008/10/18(土) 16:28:55 ID:Z5f0ooxk
時間かかってしまうかもしれないから、その間他の職人様の作品も投下を心待ちにしていまするるる。
あと、個人的にモエーさんの大ファンなんだが、彼(彼女?)は他のドラマの二次創作はしているのだろうか?
511名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 23:15:26 ID:5oNAYlT5
個人的には藤冴が見たい
512名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 09:02:46 ID:Gsrv2sJA
>>510
前スレで救命病棟24時。
こちらも素晴らしかったです。
513名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 22:41:23 ID:PyWvLxpX
実は毎日待ってる(^O^)
514名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 23:09:46 ID:yVGTumf7
自分も
515名無しさん@ピンキー:2008/11/10(月) 22:45:35 ID:2L3Y6Hrl
人もういないのかなぁ
516名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 21:23:14 ID:aB5doG3r
HPで創作見つけた
517名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 01:59:04 ID:g6Mx4xU0
>>516
それってジャニオタが
「もし藍沢先生と自分が恋愛出来たら〜」
とかいう妄想小説じゃなくて?コードブルーだとそういうサイトばかりで嫌になる…。
518名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 19:23:18 ID:5LVWVdkX
創作板にもあるよな
519名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 20:14:15 ID:9e+FL6FD
見てきたけど藍沢が出てこないお(´・ω・`)
520名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 18:49:16 ID:OwamzZOT
>>519
自分で書けよ
521名無しさん@ピンキー:2008/11/19(水) 22:50:04 ID:vkzSsC3T
人いないな
522名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 00:15:20 ID:iypa+jpU
実は毎日こっそり覗いてはいる。
523名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 17:19:15 ID:ncYoSs/o
糖尿病の女の子と藤川が禁断の…
っていうのはありえないな(゜Q。)
524名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 16:38:15 ID:7UH1+Nq3
|∀゚)…新作マダー?
525名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 11:09:55 ID:ldvr/PB1
創作発表でリクエストした方が良いんじゃん?
あっちはエロNGみたいやけど
526名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 21:18:01 ID:esmXZb4U
あっちは医療関係ドラマのコラボ板やし同じ職人しか居てへん。
つまらん
527名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 21:13:42 ID:Huk2cAYt
mahogany
528名無しさん@ピンキー:2008/12/13(土) 22:52:47 ID:flP3H74k
4週間前ですよ…そろそろリハビリが必要だと思うの
529名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 10:09:29 ID:GdRdJJWt
保守
530名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 22:33:26 ID:nFkJz0OC
新年スペシャルまで死守
531名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 02:13:27 ID:wXl+ItoC
まだまだ星手
532名無しさん@ピンキー:2008/12/31(水) 02:28:53 ID:HujjgT0g
test
533名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 14:31:22 ID:w+T91J/w
保守
534名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 23:05:04 ID:M16AKXti
hoshu
535名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 23:43:02 ID:x2TORsBL
藤川と一話の女の子の話が何処かに落ちてないものか……。
536名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 23:46:32 ID:ck3D1Zrc
藤川と素直になれない冴島かわいかったなぁ
537名無しさん@ピンキー:2009/01/10(土) 23:49:43 ID:zQaOe1lk
あのメガネの女の子オシリーナか?
538名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 19:02:04 ID:9kK/DRrJ
>>536
このスレの中にあるよ
539名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 19:03:17 ID:9kK/DRrJ
アンカー間違えた
>>535
540名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 21:10:27 ID:4D+ur2RH
>>536
禿同
541名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 11:08:34 ID:rsSpenCG
誰か書いてくれないかなぁ
542名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 22:43:22 ID:7GwBBg7O
もうあまり書いてくれる人はいないと思うが
過去の作品が消えてしまうのは勿体ないな
543名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:24:07 ID:ilsvonCR
余りハッピーな話じゃなくても良いなら保守がてら頑張って書いてみるorz
544名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:48:46 ID:W1tRaKE6
>>543
この期に及んで文句は言わん
待ってるぞorz
545名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 11:15:53 ID:H8O0hcx8
>>543
待ってます
546名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 04:18:59 ID:69SzDrL7
543です
>>544>>545様、温かい言葉ありがとうございます。
保守がてらなんて言いながら急に忙しくなってしまいスレに来れませんでした。
今の所少しづつしか書けてませんorz
自己満でもコドブル話が書けるこのスレの存在がとても有り難いので近い内にまとめて書きたいと思います。
他の職人様の投下も心待ちにしております。
まだこのドラマのファンの方がいるのをとても嬉しく思います。
すいませんでした。
547名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 03:43:05 ID:no07VchQ
落ちませんように、の保守
548名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 16:24:40 ID:9k1QIqwH
もう待てない
549名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 12:43:10 ID:gsecVVob
まだかー
550名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 20:55:17 ID:lQFCQq+z
職人さんどこ行ったの〜?
551名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 04:05:23 ID:G3c4IVmU
保守ります
552名無しさん@ピンキー:2009/02/13(金) 15:18:31 ID:8wL6pSZL
保守アゲ
553名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 21:26:33 ID:4iCOEXh7
本当いないね・・・
554名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 00:56:20 ID:xn1Wcuio
誰か書いて〜
555名無しさん@ピンキー:2009/02/22(日) 22:49:01 ID:xWF0/E8z
ほ、ほしゅ・・・
556名無しさん@ピンキー:2009/03/01(日) 16:30:03 ID:CsUR4fdB

557多分 藤×冴:2009/03/05(木) 19:07:26 ID:xiIFFOcK
あの悲惨な千葉での脱線事故から数ヶ月。
緋山の怪我の後遺症も治り、フェロー達はすっかり元通りの日常を過ごしていた。

「何かあった?」
術後の片付けをしている白石は、同じく隣りで作業する藤川に唐突に話しかけた。
「え?…何が?」
藤川はポカンとして白石を見る。白石は手を休める事なく、
「いや、何か良い事あったのかなって。嬉しそう…ってかニヤけてない?」
「あっ…わかる?わかっちゃう?白石には。」
作業をする手を一旦止めて、いかにもその"何か"を話したそうに藤川が近付いてくるのを
少々引き気味に見やりながら白石は仕方なしに「…うん。」と返事をした。
「実はさ、俺今日誘われてるんだよね〜…女の人に。」
「へ〜!」
その話題に白石は若干やじ馬的な気持ちが芽生えて話に食いつく。
「相手は誰なの?お婆ちゃん?」
「んなわけねーだろ…」
藤川は周りに人が居なくなったのを確認し、小さな声で答える。
「……冴島…さん。」

白石は信じられない!という表情で口を両手で覆い、目を丸くしている。
「いやさ、前にね、彼女に食事に行かないかって誘ったんだよ。
勿論変な意味じゃないんだけど。…でもウザいって断られ続けてたの。」
話の途中で白石がプッと吹き出す。
「でも、今日は何故か冴島さんの方から誘ってくれてさ。
何かたまには俺と話してみたいんだって。決してデートじゃないって強く否定されたけど。」
苦笑いする藤川に、白石は今度は少し微笑んで「そうなんだ。」と返した。
「いいんじゃないかな?楽しんできなよ。」

作業を終えた白石は、「頑張ってね」と藤川に軽くウィンクして廊下の向こうに去って行った。



力尽きますた(ー'`ー;)
558名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 22:32:40 ID:A7XBsLqP
なんというか…とりあえず乙
559名無しさん@ピンキー:2009/03/27(金) 23:12:26 ID:k5DwwTxE
保守
560名無しさん@ピンキー:2009/03/31(火) 08:38:42 ID:q8L1bABT
561名無しさん@ピンキー:2009/04/04(土) 16:59:20 ID:PYsFmNu/
投下乙
562名無しさん@ピンキー:2009/04/23(木) 16:19:07 ID:L0gyenau

563名無しさん@ピンキー:2009/05/08(金) 00:40:41 ID:TA8hxAVy
まだまだ
564名無しさん@ピンキー:2009/05/12(火) 14:43:27 ID:jDPECWmB
a
565名無しさん@ピンキー:2009/05/16(土) 15:35:49 ID:PnJXjHde
ホシュ
566名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 01:53:21 ID:cDygm8+y
落とさない
567名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 01:50:40 ID:9C0vHTo2
 
568名無しさん@ピンキー:2009/06/08(月) 08:50:08 ID:bbNpiXZm
まだまだ
569名無しさん@ピンキー:2009/06/19(金) 13:44:50 ID:MOpy5sT4

570名無しさん@ピンキー:2009/06/24(水) 17:59:08 ID:wiCkpFgJ
環奈と美帆子に呼び出され屈辱を受けながら放尿する恵 。
571名無しさん@ピンキー:2009/07/01(水) 03:43:34 ID:I4YEcC5o
エロ
572名無しさん@ピンキー:2009/07/11(土) 18:37:08 ID:y0D4PIo5
藍沢×藤川おねがいしまーす
573名無しさん@ピンキー:2009/07/13(月) 17:00:41 ID:FdPjyt+2
藍沢緋山ノーパンの話好きだな〜
574名無しさん@ピンキー:2009/07/14(火) 12:53:20 ID:Dur7X9uI
藍沢×藤川ヽ(゚∀゚)ノ藍沢×藤川
575名無しさん@ピンキー:2009/08/14(金) 16:12:27 ID:pm7KX0/H
保守
576名無しさん@ピンキー:2009/08/28(金) 09:36:35 ID:WMOJhZVw
捕手
577名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 03:10:12 ID:mVtRJbX/
触手
578名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 14:43:52 ID:foqGDr0h
うほうほ
579名無しさん@ピンキー:2009/09/09(水) 17:40:37 ID:RbuQfLsA
580名無しさん@ピンキー:2009/09/12(土) 22:29:17 ID:RyyGHIki
581名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 08:47:49 ID:NQH5NFT1
582名無しさん@ピンキー:2009/09/27(日) 22:31:53 ID:VkrHuf0y
583名無しさん@ピンキー:2009/09/30(水) 00:17:50 ID:ikEXCKvd
584名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 20:32:27 ID:801B8sLQ
白石の話希望・・・
585名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 22:05:06 ID:UAAH7ZNO
586名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 17:17:45 ID:wGawNyFX
まだまだ
587名無しさん@ピンキー:2009/11/17(火) 14:38:56 ID:Fq0vDCP+
続編記念age
588( ・∀・)つ〃∩モエー:2009/11/18(水) 14:06:01 ID:y7UIOJGk
月9決定オメ
589( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2009/11/18(水) 14:08:19 ID:y7UIOJGk
続編興奮しすぎて間違えたスマソ
590( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2009/11/18(水) 14:35:53 ID:y7UIOJGk
続編興奮ついでに、超軽め投下
久々なので拙い感じでスマソ


大袈裟ではなく1ヶ月。1ヶ月ぶりの休暇。
昼まで寝て、公園を散歩して、おいしいパン屋さんでサンドイッチ買って
ぼんやりと青空を見上げながら何も考えず歩いて、気づけば目の前には
ドクターヘリが佇んでいる。

「…休みなんだってば」

私は自分に呆れながらツッコミを入れた。結局は勤務先に足が勝手に
歩いてきちゃったなんて。その時後ろから

「あれ〜白石?今日休みだろ、何かあった?」

藤川先生に見つかって声をかけられた。何も悪い事してないけど
気まずくてびくっとして振り向いて

「なんとなく…。みんな、どうしてるかなぁって…」
「仕事してるに決まってるだろ〜。あれ?もしかして遠まわしに
 私はお休みなのーって自慢しにきた?白石も腹黒くなってきたな〜」
「えっ…違…」

両手にヘリに補充する医療用具を抱えて笑いながら藤川先生がヘリに向かう。
…そうだよね、私だけが今日はお休みなんだもん。自慢しに来てるようなもの。
おとなしく家に帰ろ…サンドイッチの入った紙袋を両手で抱えて
歩いていると、また、声をかけられてしまった

「一ヶ月ぶりの休暇はどう?」

…藍沢先生だ。
591( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2009/11/18(水) 14:37:20 ID:y7UIOJGk


「どう、って…。逆に何もすることなくって、気がついたら此処に…」
「勉強と仕事一筋で、気がついたらこの辺に友達も居ないし彼氏もいない、か」
「…。」

どうして代弁しちゃうんだろう。その通りすぎて私は何も言えなかった。

「藍沢先生は…休憩?」
「食堂は食い飽きたから、ICUみんな落ち着いてるしそこのコンビニまで」

私は考えるより先に、身体が勝手に持っていた紙袋を勢いよく藍沢先生に差し出してしまった。
――何、してんだろ…

「…何。」
「…サンドイッチ…。野菜サンドと、カラアゲサンド。…雑誌に載ってた有名なパン屋さんなの」

表情を変えずに私と紙袋を交互に見ると、藍沢先生は鼻先で軽く笑う

「一ヶ月ぶりの休暇で、有名なパン屋にいって楽しいって、自慢してんのか」
「違うってば。…よかったら、これ。美味しいと思うから……」
「思うって、白石もまだ食ってないんだろ?いいよ」
「いいから。私はお休みだからいつでもなんでも食べられるし」
「だったら一緒に食っていい?有名なパン屋のソレ」

へ、と思わず藍沢先生の顔を見ると、柔らかい表情。…初めて見た、かも。
言葉もなく私は頷いて藍沢先生の後ろを歩いていった。
592( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2009/11/18(水) 14:39:10 ID:y7UIOJGk
屋上は予想より人が多くて、結局は病院裏手の芝生の上に座る。
こんなところがあったんだ…そっか、藍沢先生は毎朝ランニングしてるから、院内の敷地の事
詳しいんだね。私は全然、知らなくって…

「美味い」

あ…色々と一人で考え込んでたら、ついぼーっとしてたみたい。藍沢先生が
サンドイッチを頬張ってぽろっと一言感想を言った。私も持っていたサンドイッチを食べる。

「…おいひ」

パンが美味しい。やっぱり有名だからかな。結構家から近いし、これからご贔屓に
しちゃおうかな…緋山先生もこういうの好きかな、でも彼女ダイエット中だし…

「ありがと。っていうか、何か喋れよ」

私はずっと、黙り込んでいた、みたい。あれこれ考えてたから…

「ごめん…。美味しくて。…あ、これも食べていいから」

結局はあまり会話もなく、二人で黙々としたランチタイムになってしまった。
私がもっとなにか、気の効いた話でもできたらよかったんだけど…

「白石」
「――なに?」
「ここ。」

藍沢先生が私の顔を指差してる

「えっ…何?」

問いかけたら1秒もしないうちに、藍沢先生に肩を掴まれ唇をキスで塞がれた
593( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2009/11/18(水) 14:40:43 ID:y7UIOJGk
何が何だか…
食べるみたいな勢いでのキス。藍沢先生の舌先が私の唇を擽るように、舐めて
少し強めに吸われると最後に一瞬舌が入ってきて…ゆっくり、離れた

感触と、体温と呼吸…藍沢先生、呼吸数多かった…?あ、何か、言わなきゃ…

「あのっ…」
「マヨネーズついてた。唇の端に」

今更、私は心臓が止まったかもしれない。痛いくらいに胸の内側からドン、と鼓動が跳ねた。

「――…ありが、とう…」

含み笑いをした藍沢先生が立ち上がると、PHSが鳴って通話してる。急患らしい。

「昼飯、ありがとう。マヨネーズ美味しかった」

そのまま小走りで病棟の入り口に向かう背中を、私はぼんやり見るしかできない。
気がついたら…腰、抜けてるかも。…びっくりしすぎ?っていうか普通驚くよ…

一ヶ月ぶりの休暇、私は、数秒間だけ夢の中にいたみたいだった。
594名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 23:13:53 ID:7ji9MBmK
白石かわいいヽ(´ー`)ノ 
595名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 01:53:55 ID:Ez9ovFkv
モエーうざい
二度と来るなよ
ヘタクソ
死ね
596名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 15:59:32 ID:NBusMH8j
>>595
お前こそ何覗きに来てんだよ来んな!

モエーさん又書いてくれるの楽しみにしてます
597名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 15:59:56 ID:/SPHr/me
久々の投下嬉しい!

>>595
あんたが来るなよ
598名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 06:45:07 ID:SUvj8/k8
モエーさん興奮投下ありがとうございます!
モエーさんの新作楽しみです。
藍沢と白石プッシュでお願いします〜\(^ー^)/
599名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:43:36 ID:t4adm9a+
モエーさんありがとうずっと待ってたよ。
相変わらず上手くて感激、season 2もよろしくです!
600名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 00:28:26 ID:OdblK2ZQ
モエーさんの藍沢白石好き(^O^)
これからも楽しみにしてます!
601名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 12:14:50 ID:iUdAnKjP
そろそろ保管庫が欲しいのう。

エロパロ総合保管庫に入れて貰いたい。
602名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 19:36:48 ID:H17VOTum
>>601
確かに
603名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 08:51:58 ID:odlL7XcL
保守です
604名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 12:45:35 ID:fxo24rHr
605名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 08:31:46 ID:HgcALAHw
シーズン2始まったし、浮上する?
606名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 21:40:05 ID:ZNiHo2n5
戸田恵梨香かわええ〜
607名無しさん@ピンキー:2010/01/13(水) 01:00:31 ID:731q8QP4
ラブ要素入ってきたから妄想しやすい!
608名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 01:30:05 ID:lsIVj8QJ
橘×緋山が気になる
609名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 22:27:57 ID:R74PDnPg
緋山×藤川×冴島が気になる
610名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 12:48:27 ID:/CbkMpXE
曜 時          [01] [02] [03] [04] [05] [06] [07] [08] [09] [10] [11] [12]    平均
木【22】コードブルー1  21.2__16.0__16.0__13.2__15.7__15.6__10.8__13.4__15.8__14.9__19.5(終)_______15.65
月【21】コードブルー2  18.8__17.1__
611名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 22:48:49 ID:a4ZfJJZc
エロ無しじゃ駄目?
612名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 09:53:06 ID:20xAd30A
>>611
駄目じゃないと思います
613名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 21:25:57 ID:iU6o+24M
橘×緋山いいね
614名無しさん@ピンキー:2010/01/23(土) 03:35:29 ID:BcY8cdx0
藤川×冴島モエス
615名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 00:00:38 ID:jZHZXnkI
誰か橘×緋山書いて〜
616名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 01:15:50 ID:zPlbJ87P
やっと規制解除…過疎ってるね〜
藤川×冴島書いてくださる方いませんか?
617名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 21:04:25 ID:TI27qeNW
誰か藍沢×白石書いてください
618名無しさん@ピンキー:2010/01/29(金) 13:45:21 ID:BKop2NXT
まじで過疎りすぎw
てか橘先生と緋山先生意外と人気で嬉しいわ。誰か書いてくれる神はいませんか。
あの一話のクリスマスの日に橘先生が緋山先生を誘った時のとかさ
何気にお似合いだと思うんだけどー
619名無しさん@ピンキー:2010/01/29(金) 22:48:57 ID:CTMQo79X
職人様プリーズ
620名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 22:40:44 ID:69CRJ/Cv
>>610
意外と爆下げしてんだな
621名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 04:35:11 ID:+fu4utmA
橘×藤川が114114
藤川がほめられるとちょっと嬉しいw
622名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 22:40:35 ID:AzVkjB5o
>>621
それなら藍沢×藤川も良いぞ
623名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:07:57 ID:bdjOb8tx
>>622
いいねいいね
藤川って最初嫌いだったけどいつのまにか気になるキャラに…w
もっと藤川褒めて褒めて〜
624名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 08:44:39 ID:T9o8P8lU
>>623
藤川乙w
625名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 12:48:34 ID:7UbR/oIY
>>623
1からだけど回を重ねていくごとに
藤川を気にかける藍沢を見ると…w
ウザキャラから気になる存在へ、みたいな
626名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 16:53:54 ID:NNlcFUOr
ホモだけは勘弁www
627名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 17:07:01 ID:7UbR/oIY
>>626
>>625
気になる〜は書きすぎたが
藍沢と藤川は男の友情をお願いしたい
628名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 18:51:27 ID:43QrLy4q
>>625
そういやずいぶんな態度の変化だよね >藍沢
痴呆モードのおばあちゃんの面倒も藤川のが上手かったしなw
629名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 15:47:15 ID:bUp4WWT9
メリージェーン洋子きたね
でも何で緋山と行くんだ
そこは藍沢だろう
630名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 17:47:31 ID:5jaOCEIq
>>629
俺もあそこは緋山じゃなく藍沢と行ってほしかったw
そうすれば前にここに投下された神作のような展開になっただろうにw
631名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 19:04:24 ID:w8FDTPah
>>630
終電がなくなって仕方なしに二人で一夜を明かすとかねw
632名無しさん@ピンキー:2010/02/03(水) 21:14:04 ID:4MF8BUVi
バカじゃねーの
気持ち悪い
欲求不満なおばさんかよ
633名無しさん@ピンキー:2010/02/04(木) 21:22:56 ID:DmqSSKvZ
>>632
ここにいる時点で俺もお前も他全員欲求不満だろw
634名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 12:18:06 ID:0TyHphL+
メリージェーン洋子×白石いいお
635名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 00:58:38 ID:PT4c6peo
今日の藍沢先生の
「3分たったぞ。ベッド行こう」
に不覚にも萌えた俺w
636名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 01:45:05 ID:7Vw/rci0
電車で泣いてる白石を隠す藍沢とか1では考えられんな
もどかしい感じが逆にいいよ
637名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 12:07:03 ID:Vwmngwr9
藍沢だいぶ人化したよね
相変わらずおばけむりは出してるけど
つか藍沢緋山分が足りないぃっ!
638名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 20:41:12 ID:Mmc5lCEi
>>635
俺wwww
きめぇwww
ここの奴らマジきめぇwww
すげー笑えるwww
639名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 23:37:06 ID:Yv7OSYUd
エロなしです。
キャラが変わっている危惧も感じてるので苦手な方はスルーしてください。
640橘×緋山(1):2010/02/09(火) 23:42:52 ID:Yv7OSYUd
エレベーターに乗り込んできた人影が誰であるかに気付き、
緋山はひそかにため息を吐く。
そんな「少々ウンザリ」気分を知ってか知らずか、
いつものように軽い調子で声をかけてきたのは彼女の指導医で。

「今日はこれで上がり?だったら飲みに行かない?」
誤解が無いようにはっきりとした拒絶の意思を込めた視線を橘に向け、
緋山は答えた。
「行きません。この際はっきり言っておきますけど、
何度誘われても答えは同じですから」
そのままツンとそっぽを向いた緋山に気を悪くした様子も無く橘は話続ける。
「君の敬愛する三井先生に遠慮してるわけ?そんなこと気にする必要は全く無い…」
「そうじゃ無くて!」

キッと振り返ると相手の胸先に指を突きつけた。
「私達フェローの評価をするのは、橘先生、あなたです。
もしここで、私があなたの誘いにウカウカ乗ったりしたら、
評価に対してケチが付くのは目に見えています」

「俺がプライベートを仕事に影響させる事は有り得ないけど」
「分かってます。先生がそういう人だってことは」
「分かってるなら問題無いんじゃ…」
「先生自身の考えはどうでも良いんです。私は自分の評価が高いことを
『指導医に媚を売ったから』なんて悪評に晒す危険を冒すほど
浅はかでは無いってことをしっかり理解して頂きたいんです」
「…自分が高評価だって疑ってないところが、らしいよね…」

クックッと笑っていた橘は、エレベーターが開くと同時に歩き出した
緋山の腕を掴み、無理矢理引っ張り歩き出す。
抗議の言葉に耳を貸さず、空いていたカンファレンスルームへ押し込むと
後ろ手に扉を閉め、ガラス張りの窓にかかるブランドを下ろした。
641橘×緋山(2):2010/02/09(火) 23:47:17 ID:Yv7OSYUd
「ちょっと横暴過ぎるんじゃ無いですか?!」
「誘いを断ってるの、俺だけじゃ無いんだろ?」
本気で憤った糾弾に疑問で返され、勢いを失った緋山に畳み掛けるように問いかける。
「何でも、フェローに来た直後は合コンだ何だで当直無い日は喜び勇んで
帰っていたらしいけど、今ではそんな気配すら感じさせないし?」

随分と昔の話を持ち出され、思わず唖然としていまう。
「どこからそんな情報を仕入れてくるんですか…」
「前にも仲の良い看護師多いって言わなかったっけ?
『最近では緋山先生が合コンに誘ってくれる事が無くなった』って
ボヤいてる子が多いって知らなかった?」
どうもかなりハイレベルの合コン設定していたみたいだしね〜との橘の言葉に緋山は頭を抱えた。

「今はこの研修期間を最高の成績で終える事に集中したいんです。
別に出会いを探すのなんて、それが終わってからでも構わないじゃ無いですか」
「真面目だな〜。そんな優等生な答え、白石が口にするならともかく、
君が言っても信じられないな」

相変わらずからかうような口調はそのまま、体格差を利用し
壁際に追い込むと顔の横に手をついて逃げ場を塞ぐ。

「それとも、最近は白石以上の“良い子の優等生”を目指しているのか?」

思いがけない言葉に黙り込んだ緋山から視線を反らし、橘は話を続ける。
先程までとは異なり皮肉を込めた声音で。
「この前の腹部大動脈瘤の患者、白石のフォローしただけでもお手柄だったけど、
白石本人にも『落ち込むな』とか励ましてたんだって?」

耳にした連中は緋山も大人になったと褒めていたようだがとの
皮肉めいた言葉にトゲを感じ、思わず反論する。
「…先生自身、気付かなくても仕方なかったってフォローしたそうじゃ無いですか」
「白石は指導医がこれ以上責任を追及する必要が無い程、反省していたからね。
でも、それとこれとは話が違う」
抗議をしようと口を開きけかた緋山を遮り、言い連ねた。
「同期は仲間である以前にライバルだ。ライバルは腕を競い合ってこそ華だ。
馴れ合っているだけで、良い関係を築けるとは俺は思わない」
「馴れ合ってるだけなんてこと」
「無いって言いきれるか?いつから白石を始めとしたフェロー達に対して
厳しく接する事ができなくなったんだ?それに、君は白石のように、
休みを返上してまで常に仕事一筋になるタイプでは無いと思うが」
一旦言葉を切り、強い口調で言い放つ。
「君はオン・オフをバランス良く楽しむ事を知っているタイプだ。
間違ってるか?」
642橘×緋山(3):2010/02/09(火) 23:49:48 ID:Yv7OSYUd
壁に押し付けるように行く手を阻み、瞳の奥に隠した真相を覗き込むように
目線を合わせて来た橘の表情が予想以上に厳しくて、緋山は息を呑んだ。

「オフを楽しむ事を避けている理由が、本当に『優秀な成績でフェローを終える』ことだと
俺が信じるとでも思ってるのか?」
「今の時期に、他にどんな理由があるって言うんですか?」
「他のフェロー達には無いだろうな。でも、君だけは事情が違う」

顔を背けた緋山の顎を掴み、無理矢理視線を戻すと躊躇無く橘は口にした。
「…いつも首まで覆い隠すような服装しかしていないのは、手術の痕を引け目に感じている証拠だ」
「引け目になんて感じてません」
「本当は、手術の成功云々以前に、術後も一生手術の痕と付き合う事の心情も慮らず、
白石からバイパス手術しない事を臆病呼ばわりされて心底腹が立ったんじゃ無いか?」
「そんな事ありません」
「君が白石をはじめ、自分が病室に閉じ込められている間にフライト数を稼いだ
同期連中に柄にも無く親切に接しているのは、経験数では適わない
劣等感を悟らせないための姑息な手段だ」
「憶測で言いがかりをつけるのも、いい加減にしてください」
「君が目を向けるべき問題から逃げているだけだって事は分かっている」
「あなたに関係無いじゃないですか!」
「傷痕は気にならないと言ったな?本当に気にしていないって言うなら、
今この場で、俺の前で脱いでみろ」
643橘×緋山(4):2010/02/09(火) 23:51:40 ID:Yv7OSYUd
挑発されている。誰もが気遣い、口にしない事を敢えて口にすることで、
自分の怒りを爆発させる事を狙っている事は容易に察しがついた。
悲鳴をあげそうになる感情を押し殺し、ここで煽りに乗ったら
自分の負けだ、と気合を入れなおして目前の男を睨みつける。

「病院内で服を脱いで先生の前に立ってるところを誰かに見られたりしたら、
それこそどんな噂になるか分からないじゃないですか!」
「それは俺の要求に応じないために都合の良い言い訳であって、
実際には人にその傷を見せるのが怖いだけだろ?」
「相手が先生だから断ってるんです。本当に好きな人にだったら、
全てを見せる事が怖いなんて思わない!」
「大切な人に対してだからこそ、全てを見せる事には何のハンデの無い人間ですら躊躇する」

言葉に詰まった緋山に対し、再び挑むような口調でたたみかける。
「俺は君にとっての“大切な人”では無い。リハビリだと思ってやってみろよ」
「できません」
「するんだ」
「絶対に嫌です」
「怖がっているだけのくせに」
我慢の限界を超え、対峙する男を至近距離から睨み付けた。
「怖いって認めれば、それでご満足ですか?」
644橘×緋山(5):2010/02/09(火) 23:57:21 ID:Yv7OSYUd
「男性であるあなたに、私の気持ちが分かるとは思えない」
なんでこの人にこんな事を話しているんだろう。止めろと理性が待ったを
かけているのに関わらず、口から言葉がこぼれ出ることを抑えられない。

「お風呂に入っている時に、傷が目に入ると自分でもギョッとします。
それに嫌悪を感じない人なんて、ただの偽善者です。
でも、私は同情なんて欲しくない」

ロッカールームであえて傷痕が皆の目に触れないよう気をつけてしまう
自分の弱さに自己嫌悪に陥る。傷痕に目を向けないよう、視線を反らす
同僚達の親切心に対して気遣いは要らない、と喚きたくなる。

「ただでさえ同期に比べてブランクがあるのに、手術が成功したとは言え、
事故以前に比べると体力も落ちた。正直、仕事中に事故のフラッシュバックで
手が止まるんじゃ無いかと思う事もあります。
橘先生は、救命医としての道を、医者としての目標だった道を
諦めないといけないかも知れないと、不安に直面した事ってありますか?」

フェローとしてこの病院に足を踏み入れた時、自分の未来は前途洋々で
曇りひとつ無いと思っていた。容姿にも自信はあったし、
合コンという名目で飲みに繰り出しては「こんなに綺麗なのに医者だなんて、
神は二物を与えるんだね」などという歯の浮くようなセリフを言われては、
おべんちゃらとして受け流しつつも良い気になっていたのは確かだ。

私生活を楽しみつつ医者として最もスキルが必要とされる救命の現場で腕を磨き、
フェロー終了後に他の病院へ行く事になったとしても、
また別の科に進む事を決めたとしても、ドクターヘリとしての経験に
誇りを持ち、巣立つことができると信じていた。

なのに事故をきっかけに状況は一変してしまった。
救命医を続けていけるか自分自身の身体的な限界に怯え、
新しい恋に踏み出すにもこんなに大きな傷跡のある状態で
他の女性と同じ土俵に上がれるかとの不安も湧き上がる。
何もかもが手から零れ落ちていくような錯覚。

その錯覚に怯え、仕事でも、恋愛でも全てにおいて怖気付いている
自分が情けなく、それを察知されないために必死になって
強気な自分を演じて来たのに、配属して数ヶ月に満たない
この男に虚勢を見抜かれていたなんて。
645橘×緋山(6):2010/02/10(水) 00:03:01 ID:4pbk39cI
気持ちを抑えて淡々と話しているはずなのに声が震える。
唇を噛み締め俯くと突然頬を撫でられた。
堪えきれずにこぼれた涙を拭われ、気付いた時には相手の胸にすがって
泣きじゃくっていた。

感情のままに泣きじゃくり、一気に肩の力が抜けた。何時間も
経ったように思えたが、壁に掛かる時計に何とか目を向けると、
どうもこの部屋に入ってから数十分も経っていないらしい。
だが、そろそろ部屋を出ないと、何のために部屋が使用中と
なっているか怪訝に思ったスタッフが見に来るだろう。

「こんな顔で出て行ったら誰に何を言われるか分からない」
泣きに泣いて嗄れた声で小さく呟くと、幼い子供に接するように黙って
頭を撫でていた橘が笑い声をあげる。
「そんな事に気が回るようになったのなら、もう大丈夫だな」
慌てて身体を離す緋山の様子にのんびり笑いながら橘が話かけた。

「事情が何であれ、ブランクがあるのは事実だから、
そのハンデはどうしようも無い事ではあるが…」
怪訝そうに見上げた緋山に対し、橘はニヤリと笑って見せる。
「正直、俺から見れば君達フェローのスキルはどんぐりの背比べだ」
「…藍沢も大差無いって言えます?」
「まぁ、あいつがちょっとばかりリードしてるのは認めるがな」
得手不得手があるのは当然だし、当人同士が気にするほどの差は
付いていない。だから自分が藤川をリードしていると思うのは
思い上がりだし、白石に追いつこうと焦るのも禁物だと釘を刺すと
再度くしゃりと頭を撫でた。

「君は他のフェローが経験した事の無い試練を乗り越えた。
それを今後、医者として、人として活かせるかは君の生き方次第だ」
「間違った道を選びそうになったら、気付いてフォローしてくれるって事ですか?」
「まさか。道を踏み外すのを楽しんで観察させてもらう」

やれやれとため息を吐いた緋山に人の悪そうな笑みを向け、
普段の軽い口調で話を続ける。
「まぁ君はフェロー期間が無事終わるまでは、どんなに頑張っても
付き合ってくれる事は無さそうだし、長期戦で行くから、よろしく」

結局相手の思うままに本音を吐かされるは、泣き顔を見られるはの
結果になった事に今更ながら悔しさが込み上げ、
精一杯自信を込めた笑みを浮かべ緋山は橘に誓ってみせた。

「フェローが無事終わった翌日には先生より若くてイケメンの
彼氏を手に入れてみせます」
「その意気!」
はっきり、きっぱり誘いを拒否しているのに、良く出来たとばかりに
褒め称える。どこまで本気なんだと呆れ顔の緋山に向かって橘は笑いかけた。
「口説くのを止める気はないから、チャンスは最大限活かすつもりだ。
今日みたいな気分になったら誰にも気付かれない泣き場所ぐらい、
いくらでも用意してやるから遠慮なく言って来い」

からかい口調の声に含まれた優しさに胸が痛む。扉を開き
出て行こうとする橘に向かって、緋山は思わず問いかけた。
「なんで、私に構うんですか?別に私が事故を乗り越えずに
自滅したところで、病院からの先生に対する評価には何ら影響しないはずなのに」

緋山の言葉に橘は足を止め、振り返ると一瞬躊躇するかのように
開きかけた口を閉ざしたが、思い直したようにニヤリと笑って答えを口にした。
「…気の強い女の子が自分の前だけで見せる弱さは男心をくすぐるって、
どっかで習わなかった?」
646橘×緋山(7):2010/02/10(水) 00:05:20 ID:4pbk39cI
数日後。

橘の問いかけに藍沢が見るからに迷惑そうに返答している。
それを耳にしている看護師達の笑い声が辺りにさざめく。
どうも、急患で運び込まれた若い女性患者が例によって
藍沢に甘えようとした時の対応を橘がからかっているらしい。

「本当に、あの軽い性格は何とかならないものかしら」
苦笑しつつ嘆いた三井の言葉に、緋山は思わず返した。
「…でも、橘先生って自分の軽口で重くなりがちな
現場の雰囲気を和らげようと気を遣ってるカンジしますよね」

驚いたように顔をあげた三井に向かって、緋山は微笑んだ。
「過去に一度でも、三井先生が選んだだけの事あるな、って思います」
「ありがと」
晴れやかに笑う三井に緋山は思う。
橘にしろ、三井にしろ、医者としての経験以上に人としての深さが
自分には全然及ばない。
いつか、自分は新しく入ってきた後輩医師達に対して、
彼らに何が足りないか自ら気付かせるような、
そんな指導医になれるのだろうか。

その瞬間鳴った携帯のコールに三井がすばやく応える。
つい今しがたまでの穏やかな顔とは一変したプロの表情で。
「緋山、行くわよ」
「はい!」

走り出した三井の後を緋山は全力で追った。その二人の後姿を
橘が優しい表情で見送っていた事には気付かずに。
647名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 00:08:55 ID:4pbk39cI
思った以上に長い&改行少なくてスミマセン。
648名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 00:24:50 ID:eD36nA3O
>>647
GJ
本スレでは4〜5話の評価が真っ二つに分かれてるが、
4話がなかったらできなかったろう話だよね。

特に >>646 は本編にそのまま出てきそう。
この後この3人メインで一荒れきそうだし。
>>645 も昔同じことを三井先生に言ってそうだが、
4話ラストを考えると橘の方が言われててもおかしくないなwww

これ読んだ後、
もし緋山がフライトドクターとしては不適格の判定を受けたら、
三井に影響されて小児科医療にいくとかもアリかなと思った。
649名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 08:07:33 ID:SHx5HoMj
橘緋山来てたヽ(゚∀゚)ノGJGJ!
橘と緋山の体格差萌えるよー
650名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 19:11:32 ID:KnJYfgzW
良い話だなー…

これ映像化して見てみたら感動して泣くかもなw

ドラマでもこんなエピソード出ないかな。
せめて「三井先生が一度は選んだだけのことはありますね」ってシーンだけでも作ってくれ!フジテレビ
651名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 23:42:13 ID:af0rNSpk
わ〜やっぱり橘×緋山いいわぁ〜!!
何かこの2人好きなんだよな〜
次はエロ有も期待してますぜ!

それにしてもかなり読み応えのある作品でしたな!GJです!
652藍沢×白石:2010/02/15(月) 09:47:35 ID:GDeKzPCF
いつからなんだろう・・・・
気が付くと、貴方を目で追い掛けてる
貴方の並外れた、医療技術、そして、少し影のある・・・・気になって仕方ない
これは、恋なのか?
さりげない優しさも好き
この間、どうする術もなく、この世をさってしまった男性。
どうしても助けたかった。
どうする事が、出来ないと分かっていても・・・・
目の前で消えていく命。
私は、医者なのに
ここは、電車の中。
泣いちゃいけない
周りの人が見てる
・・・・・。
涙が次々と溢れてくる
止まらない
泣いちゃいけない。思えば思うほど、どんどん溢れ出してくる
そんな、情けない私をさりげなく、人目に付かないように・・・・
そっと、私の前に立ち、私を隠してくれた。
言葉を交わす訳でもなく、藍沢先生は、そっと私を見守ってくれた
迷惑だった?
私ね、藍沢先生と目が合う度、ドキドキするんだよ
変なの
小学生の恋愛じゃないのに・・・
「おい、白石。昨日ヘリできた患者なんだけど・・・・」
そんな私の恋心を知るはずもない、藍沢先生。
喋るのは、いつも患者絡み。
当たり前なんだけど
もっと色んな話したいな
「おい!白石、大丈夫かっ」
「えっ、あ、うん」
全く聞いて無かったよ
「珍しいな、白石。調子悪いのか?」
「ううん。ごめん、ちょっと、考え事。」
まさか、藍沢先生の事考えてた、なんて口が裂けても言えない。
「あっ、そうだ白石、今晩暇?」
「えっ?な、なんで」
「俺にも、メリージェーン洋子だっけ?会わせてくれよ。」
えっ。
「じゃあ、フェロのみんな誘って行く?」
「いいじゃん、二人で、俺と白石だけじゃ駄目?」
「ううん、全然」

[完]
すみません、
いつも読んでてなんだか書きたくなって
653名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 23:14:15 ID:o2q8CpIW
意味不明
ヘタクソ
二度と来るな
654名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 12:53:48 ID:1XU2YY4B
今シリーズは橘と緋山が気になるなあ
655名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 14:06:40 ID:FO0tlUHD
うんうん、是非橘×緋山をたくさん書いて欲しいな
656名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 14:10:28 ID:SLrBC472
a
657名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 20:43:06 ID:wRQmFFI0
来週はフェロー四人で飲み会か
絡み酒の白石とか全然想像できないw
658名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 12:29:24 ID:h6yvsWvF
そうか?白石がというより、4人で仲良く酒を呑むということ自体に違和感があるけどな。

そんなことより橘&緋山好きとしては、次回橘が緋山に対してどういう態度をとるのかが気になる。
フォローするのか怒るのかガッカリするのか見放すのか…
659名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 21:42:08 ID:o4lzD629
自分も橘×緋期待してます
職人さん少ないね〜…すげ過疎ってる。。
660名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 15:55:41 ID:XDav8Ohk
橘×緋もいいけど白石や冴島との絡みも見てみたい
661名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 22:25:24 ID:WUWeX1fr
今日のコードブルー見てやっぱ藍沢×白石に(´∇`*)萌え〜♪
662名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 22:41:10 ID:oczBWD2Q
>>661
ついにフラグたったかんじだよね
663名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 22:48:38 ID:6vOau6u2
今日の緋山・橘・三井見て
>>639-647 が改めて目に浮かんだ
664名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 23:17:58 ID:WZGAg84X
元妻を見ているようでイライラした橘が緋山を押し倒してしまうという電波が来ました
665名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 01:09:56 ID:Q4kBbDK2
>>664
それイイ!!
誰か頼む!!
666( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2010/02/24(水) 01:10:04 ID:fbUrGiKX
誰も望まない中途半端エロ投下


「また不幸?藍沢また不幸なの〜?いいねいいね、飲も?ね?」

相変らずの絡み酒の白石が、相変らず一言も喋らず飲み続ける藍沢。
またかよ…という目で緋山と藤川がカウンターでうんざりした様子で

「4人揃って飲むなんてほんと暫く無いのに、またアレかよ〜」
「酒癖悪いコンビでほっとけばいいわよ。メリージェン、お会計。あの二人のは別で」

愚痴る藤川を余所に緋山は会計を済ませ帰り仕度をすると、藍沢と肩を組んで
上機嫌に不幸なのかとしつこく訊いてる白石の頭を軽く突いて

「ちょっと、私と藤川もう帰るけど、アンタたちどうするの?」
「帰っちゃうの?つまんない〜!付き合い悪くない?ねえっ」
「あーもう。めんどくさい。明日が午前休だからってあまり飲みすぎないでよね。
 藍沢、アンタも。白石の事家まで送るくらいしてよ?一応男なんだし」

じろ、と緋山を見上げる藍沢。「あっちの人も一応まだ男なんだよね〜」と
メリージェン洋子を指差しけたけたと笑う白石。結局二人はそのまま置いていかれる。
二人になっても白石はずっと「不幸?」「どうして不幸?」と嬉しそうに訊き続ける。
従業員二人も付き合いきれずにカウンターで飲み始めて完全に放置された状態になった時
ふと、白石は何か思いついたような様子で、グラスを煽ってから藍沢に詰め寄る

「ねえ藍沢、あんたはどーしたら、幸せなの?」

黙々と飲んでた藍沢の眉がぴく、と動き白石を見る。視線を合わせ何秒か無言で見詰め合う二人。

「…いま」

小さくぽつ、と呟くのを聞いて不満そうに白石が肩を叩きながら

「いま?何それ、藍沢飲みが足らないんじゃないの〜ちょっとぉ〜」

白石が勝手に藍沢のグラスに酒を注ぐとそれも氷の音をさせて一気に飲み干してから
また繰り返す「いま」と。不満そうな顔のまま固まった白石がへら、と笑顔になって

「お酒?飲むの好き?いいね〜やっぱり藍沢いいわ〜。飲も?もっと飲もうよ〜」

はしゃいで言う白石の唇を、突然藍沢がキスで塞ぐ。数秒の沈黙、目を開いたままの白石は
持ってたグラスを落としてしまいグラスが割れる音と同時に藍沢が離れる。

「ちょっとー、大丈夫なの?アンタ達」

グラスの割れる音でメリージェン洋子が振り向くとスッと藍沢が立ち上がり「帰る」と一言。
なぜか一緒に勢いで白石は立ち上がると半分しか開いてない目で藍沢に一歩詰め寄ると
両手で藍沢の肩を掴み強く揺すりながら

「ちょっと今の何よ〜。藍沢なんなの?ねえっちょっとお〜」
「もー!何があったか知らないけどいい加減にしなさいよブス!もう今日は帰りなさい!」

結局は店まで追い出された二人。千鳥足でふらふらと怒った顔で歩く白石の横を
なんとなくフラつきながら無表情で歩く藍沢。
667( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2010/02/24(水) 01:11:49 ID:fbUrGiKX
酔った頭でも納得がいかないらしい。路地入った所でまた白石が腕を掴み絡みだす。

「ねー…さっき、ちゅー、したでしょ?何?なんか言いなさいよぉ〜」
「…何したら幸せって聞かれたから幸せだと思う事してみた」

ぽかん、とする白石から視線を逸らし支える程度、手を背中に添えると

「真っ直ぐ歩けてないだろ」
「あんたもでしょ〜、っていうかあ…幸せ、なの?…キス」
「…」

答えない藍沢の腕をまた掴むと塀に押さえつけるようにしてまた絡む

「じゃーあ、キスしたら私も幸せになれるかなぁ…」

白石が試すように背伸びをして自分からキスをする。藍沢は拒まずに白石の後頭部に手を回して引き寄せる。
酔いのせいか動きがゆっくりで、控えめに擽るように何度も触れるようなキスが受身としてはもどかしくて
じれったい。我慢できずに藍沢から深く口付けると白石の舌を捕まえて軽く吸うと自身の咥内で
舌を味わうように絡ませる。塀に押さえつけてたはずの白石の手が、今は藍沢の背中にまわされている。
路地とはいっても人通りは少しあり、そんな二人の横を人が通る気配がして、白石が慌てて離れようとしても
藍沢に舌を捕まっているので離れられない。後頭部も押さえこまれている。人目を気にせずに藍沢は
没頭してしまっているらしく、離してくれる気配がない。背中を叩き、突き放すようにやっと離れると
勢いで自分もふらっと足元が覚束ない。

「路上で、とか…見られてたし…歩いてる人に」
「見られない場所ならいいんだ」
「…え?」

顔に全く出ないけど藍沢も相当酔っているらしい。白石の腕を掴むと引っ張って歩き出す。

「ちょっと、痛いっ、痛いってばー。藍沢離せーっ」

やっと手を離してもらえた場所は、24時間営業のファーストフード店の入り口。
ふわ、と一歩進むと自動ドアが開いて白石はハンバーガーの看板を見て
食べるよりお酒がいいと言った矢先にまた腕を捕まれて店の中を連れて行かれる。
進んでいくと男子トイレの個室の中へ押し込まれる。狭い個室に藍沢も入ってくると鍵を閉められる。
強引で不可解な行動に白石がまた不満そうに

「なんですかー…」

また喋ろうとした所で今度は最初から深い口付けで声が止まる。
668( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2010/02/24(水) 01:13:25 ID:fbUrGiKX
酔い、覚めたかも…?いやまだかなり酔ってるかも…?
そんな事を頭の隅で思いながら酸素が足らない感覚の中で、求め合うように舌を絡めあう。
藍沢の手が服の中へと入ってきて下着の上から胸を揉んでいく。
白石の白い手も、服の中で素肌の背中に触れていた。狭い密閉空間ですら酔いの材料になるらしい。
壁にもたれかかる白石の首筋に吸い付くように唇を押し付けて赤い跡をつけて…耳元へ舌を這わせると
白石が鼻先から我慢できなかった声を小さく漏らした。

「…幸せ?」

藍沢が耳元で聞くと、白石が暫く間が開いてから甘い声で答える

「…幸せ」

服をたくし上げてブラジャーをずらすとゆっくりと口に乳首を含み舌で転がす。白石の足元が
かく、と膝が折れてふらつくと同時に、呼吸に声が混ざりだす。

「気持ちいい?」
「うん…」

藍沢の頭を抱えるように抱きしめると段々と立っているのがやっとになっている。それを気づいてか
パンツスーツのファスナーを下げてパンツの中へ手を突っ込み下着越しに後ろから前へと指で探り
更に白石の足元が危うくなるのを楽しむよう。下着の端から指で直接そこを触れる

「気持ちいいんだ?」
「…藍沢先生」

潤んだ目で何か訴えるように名前を呼ぶ白石と視線を合わせると、蜜で濡れた指先を舐めて見せる。
その様子を見て白石が泣きそうな顔になる。舌全体を使って白石の唇をゆっくり舐めると――突然白石が
藍沢の身体を軽く突き飛ばす。「何」と短く聞く藍沢に、かなり深刻そうな顔で白石が告げる。

「……気持ち悪い」
「…気持ち悪い?」

と、次の瞬間には乱れた服装のまま藍沢を押しのけて便座の蓋を開けると「う」という声から始まり
もどしはじめてしまう。不思議そうだった藍沢は眉間にシワを寄せて溜息をつくと、白石の背中を擦ってやる。
669( ・∀・)つ〃∩モエー ◆bhH/AtH.kc :2010/02/24(水) 01:15:00 ID:fbUrGiKX
「で?昨日ちゃんと送ってもらったの?藍沢に」
「…多分」

緋山と白石がエレベーターで話していた。また二日酔いの頭痛、コメカミに指を当てて俯く白石。
ドアが開くと、白石と同じ仕草をしている藍沢が乗ってきた。

「お疲れ。藍沢もも二日酔いなんでしょ」
「…ああ。」
「っていうか二人ともほんっとタチ悪すぎでしょ。また覚えてないってどんだけ酒癖悪いのよ」

腕組みして呆れる緋山に白石が「所々は覚えてるんだけど…」と呟く。
目だけで白石を見る藍沢。それに気づかず緋山が聞く

「店で藤川とか藍沢に切り込んでたのは覚えてないんでしょ?家にどうやって帰ったとかは?」
「帰り道で…気分悪くなった時に、背中さすってくれたんだよね、藍沢先生…」
「…ああ。」

正直、お互いがどこまで覚えてるのかはお互い知らず、探り合うような空気になる。
勿論それに緋山は気づかず

「どんだけ酔っ払ってんのよそれ」
「でも…幸せって思った」
「幸せ?」
「うん。…幸せって思った」
「吐いてすっきりってこと?」
「…どうだろう、わからないけど」

女二人の微妙にかみ合わない話を聞きながら、藍沢は頭痛で不機嫌そうな顔になりながら自分の指を眺めた。
670名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 08:23:00 ID:aK1ZF9as
>>666
めっちゃいい
白石がかわいい!
671名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 10:17:26 ID:DP7vpoNH
GJ!
ヤバいなんか良い!!

モエーさんよかったら他にもお願いします
672名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 16:18:32 ID:tpIAylND
モエ-さんがキタ―-(・◇・)-→!!中途半端なエロに萌えました。
是非続きを…!!
673名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 16:53:55 ID:hnwh5V1z
GJGJ!
今回も萌えさせていただきました!
続き読みたいです
674名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 22:15:36 ID:jHbK6DHN
モエーさんなんで中途半端なの?今続きを創作中ですよね
お待ちしています
675名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 22:41:33 ID:m6/hr5lE
モエーさんGJ!です。
やっぱ藍沢×白石は萌えます。
676( ・∀・)つ〃∩モエー ◆zUPNhn.EX2 :2010/02/24(水) 22:51:09 ID:fbUrGiKX
終わりですって書くの忘れてしまいました…
続き、書いてません(´Д⊂


続きは妄想して頂いて他の職人様が降臨してくれるのを待ちましょう。
677名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 00:38:53 ID:sMmJftED
橘緋マダァー?
678名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 01:27:47 ID:BPPOR2WY
モエーってまだいたのか
相変わらず気持ち悪いし態度が死ぬ程うぜーのな
二度と来るな
おばさん
679名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 01:45:57 ID:GbMEjvjn
>>678
お前が二度とくるなよ
680名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 08:21:52 ID:wWVW2S7e
>>678
ばいばーいノシ
681名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 17:33:00 ID:BPPOR2WY
モエー=医療ドラマを見て自慰行為に耽る変態オバサン
682名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 17:54:50 ID:48z26kgw
>>681
あれ、まだいたのw
見たくないなら来なきゃいいのに
683名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 21:49:22 ID:s8encIQs
嫌いなら読まなきゃ良い。
楽しみにしている人もいますよー
684名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 23:59:04 ID:pbyl7r2M
っていうかモエは文才あると思ってる。
描写とかが繊細だからエロとかじゃなしに普通に小説とか書けるレベル。
自分はモエさんのエロ無しも読みたいと思ってるから、またスレに来て欲しい。
モエさんの他にも結構このスレには文才ある人多いから
変な言い争いで過疎るのだけはやめて欲しいorz
自分的にはモエさんの書いた橘×緋山が読みたい。
この前の職人さんが書いてくれた橘×緋山も感動したし!
685名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 00:16:52 ID:SwvP9bl0
うん、橘と緋山のエロ有を読んでみたいね。
あの2人、年齢差あるけど並ぶと何かエロいオーラが出るw
緋山には藍沢や藤川みたいな同年代の男より年上のが似合うよ。
686名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 02:55:28 ID:ihBLWxen
>>685
>エロいオーラ
わかるw なんだろな、あの感じ
687名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 23:52:31 ID:uCLQGyln
このスレってモエさん以外の職人が何人いるの?
職人が離れるのは>>684の人みたいに書き手指定したリクがあるのも原因かと。

モエさんは上手いし作品は好きだが、この人がHN(PN?)は伏せた方が
他の職人さんも作品投下しやすいと思うが。

橘緋山は他ジャンルで年の差カップル書きなれてる職人さんにとっても
想像力くすぐられるシチュだと思うけど、このスレは新参者は入りにくいと思う。
688名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 04:37:07 ID:v3SElZex
名指しでカポリクはどのスレでもいやがられるよ
クレクレはほどほどにね
689名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 07:50:06 ID:+TH3C0lI
スレが伸びてると思ったら作品投下じゃなくて書き手がどうのこうのの話題でガッカリした
690名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 15:41:18 ID:Irc2wt5o
モエうざい
気持ち悪いオバハン
医療ドラマ見ながらハァハァしてんじゃねーよ
691名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 19:38:40 ID:FwziEa9u
>>690だから気に入らないならお前が何か書けよ
692名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 22:15:38 ID:HeKYdEFB
いい加減そいつに構うのやめろよ

自演乙かもしれんが
693名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 20:27:27 ID:nk+Pu2DT
録画してたの見た
緋山のこと熱く心配する橘先生萌える〜
694名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 21:09:21 ID:+HCoCmaR
昨日は緋山があまりに不憫で観てられなかった。
橘緋書きかけてたけど続き書く気になれない。

代わりに書いた小ネタ。橘×三井でエロなし。
妄想じゃなくて願望です。
695名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 21:13:01 ID:+HCoCmaR
後悔していると告げられた時から二人の間に漂う微妙に気まずい雰囲気を払拭しようと
仕事が一段落したタイミングを見計らって三井は橘に切り出した。

「緋山の塞いだ表情を目にするよりも、この前あなたに言われた言葉が一番身に堪えた」
「…え?」
カルテをパラパラと確認していた橘が三井の言葉に顔を上げる。
「あなたが私に言ったのよ。『緋山が医者を辞めることになったら、
どう責任を取るんだ』って」
罪悪感と憤りが混ざり合ったような、微妙な表情で橘が三井を見返す。
そんな元夫にむかい、三井は静かに話しかけた。
「あなたは自分中で私を理想化していて、現実の私との違いを許せないのよ。
4年前も、そして今も。だから」
相手の目をまっすぐに見つめはっきりと言い切る。
「元には戻れない」
感情を読み取られないためにか、視線を反らした橘にむかって三井はさらにたたみかけた。

「結局、今度も逃げようとしているんじゃないの?」
「何から逃げてるって?」
心底意外だったのか、目を見開いた橘の言葉に三井は橘の視線を避け窓の外へ眺めた。
「『4年前、私を庇えなかったことを後悔しているから緋山を庇った。』
あなたはそう言ったけれど、昔の行為を贖うという理由だけで緋山が医者を
辞めるような事態にならないよう、出来る限り手を尽くしているわけではないんでしょう?」
「緋山は教え子の一人だ。庇う理由が君への贖罪だけでは無いのは当然だろう」
「『教え子の一人』?」

相手の言葉を鸚鵡返しにして三井は再び橘と視線を合わせる。
「同じ“教え子”である白石に対してと、緋山に対してでは
今回の件が起こる前からあなたの態度は全然違っていた」
そう言うと苦笑しつつ肩をすくめる。
「だてに何年も夫婦をしていたわけじゃないし、あなたの気持ちくらい
傍で見ていれば分かるわ」
「別に緋山とは」
「今の段階でどんな関係であろうと、それはどうでも良い」

まだ彼らの間に特別な感情が流れているわけでは無いのかも知れない。
それでも今、誰かがついていてやらないと、あの子は本当に再び立ち上がれなくなるだろう。
そして、かつて自分が生涯を共にしようと思った橘なら、
様々な経験を通じて強くなったと言い切る彼なら十分に緋山を救う力があると信じ、
その役目を彼に託そうと決意する。

「今、救いの手を差し伸べるべきなのが誰なのか分かっているんでしょう?
だったら今度こそ後悔しないで」
そこまで話すと真剣な表情を崩し、橘に向かって微笑む。
「私には、後悔しているって言ってくれた、その言葉だけで十分」
踵を返し部屋を出る間際、振り向いて小さく呟いた。
「強くなったのは、あなただけじゃない」
部屋に立ち尽くす橘を残し、三井は足早に病棟へと向かった。

彼が4年前に自分を助けられなかったその贖いに緋山を助けたいと思うのであれば、
自分と同じ過ちは踏ませまいと誓っていたのにその誓いを守れなかった、
その罪を償うためにも彼と今やり直す道は選べない。

お互い未熟だった自分達とは違い、今の橘と緋山であれば必要とするものを
与え合うことができるだろう。

回廊で足を止め、医局に立ち込める陰鬱な空気とは対照的な青い空を三井は見上げた。
緋山が今回の一件を乗り越えてくれるように。それだけを祈りながら。
696名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 23:53:37 ID:WFCH3b8x
>>695
おぉ、ついに職人さん登場だ!
イイ!!イイよ!!!
てかまじでリアルにありそうな内容だな!w
本当、橘には是非緋山を支え続けてあげて欲しいよ。
今の緋山を救えるのは三井&橘だと思うし。
697名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 23:59:19 ID:wN3AOp0K
橘×三井の職人さんGJ!GJ!

…にしてもコードブルー良いドラマだよな。
すげー感情移入出来る話
698橘×緋山(?)@:2010/03/03(水) 19:49:21 ID:X6UnLcXy
『もし、俺が死んだら、どうする?』


「…は…?」
意味不明で、不可解で、目茶苦茶な質問を橘から投げかけられて、緋山はポカン…と口を開けた。


ここは橘が暮らしているマンション。
橘の勤務が終わった後、言われるがまま緋山は彼について行き、言われるがまま彼の自宅に入った。

普段の緋山だったら絶対にそんなことはしない。
上司とはいえ、好きでもない男の部屋に軽々しく入ったりなんかしない。

でも、今の彼女は違っていた。
今の緋山に思考回路や人間としての常識なんて存在しない。
人形と同じ様に、ただそこに存在し、かろうじて呼吸をして、かろうじて……

生きている。
699橘×緋山(?)A:2010/03/03(水) 20:08:18 ID:X6UnLcXy
「もし、俺が死んだら緋山、お前ならどうする?」

橘は、また意味不明な、さっきと同じ言葉を投げかける。

「…は…?」

緋山もバカの一つ覚えの様に、さっきと同じ返事しか返せない。
橘はイラついた様な足どりで緋山に近付くと、彼女の腕をガシッと掴んだ。
「痛っ…痛い、橘先生」
普段だったら絶対に睨み付けて、抗議して、抵抗するはずなのに、何でこんなに弱々しく
口元だけで、か弱い声で『痛い』という事実を口にするだけなんだ?

橘はそんな緋山にますますイラつく。
…いや、イラついているんじゃない。憎い。

何に?
彼女に?
それとも彼女をこんな状態にした患者に?
こんな運命を背負わなければいけない医者という職業そのものに?
いや、人間という存在に?
…それでも生きていかなければならないという事実に?

いや、一番憎いのは自分だ。
三井を救ってやれなかった自分自身だ。
そして、今、目の前にいる大切な存在を守ってやれない自分自身だ。
700名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 00:20:41 ID:RWqEN6Ut
橘緋山キタァ---!!!!
続き楽しみにしてます!!!!
701橘×緋山(?)B:2010/03/04(木) 02:47:04 ID:VTitq55X
橘は力強く掴んだままの腕を自分の胸元に持っていき、そのまま緋山の掌を自分の心臓に押し付けた。

まるで意味が解らない。
橘が意図していることがわからなくて緋山は震えながら、その手を離そうとした。
でも、橘の力があまりにも強くて、緋山は橘の胸元…ちょうど人間の心臓が位置する場所から手が離せない。

橘先生、何が目的なの?
何で、こんなに乱暴なの?
私に何を伝えようとしてるの?
緋山は混乱した。

「緋山、俺の心臓は動いてるか?」

またしても理解不能な言葉に、緋山は三回目の、は…?という言葉を漏らした。

「緋山は、もし俺の、この心臓が止まったら、どういう対処をする?」

…やはり意味がわからない。

「もし…もしも俺が、脳死判定を受けたら…」

そこで初めて緋山はハッとして橘の顔を見る。

橘の顔は今にも泣きそうで、掠れた声を紡いでいる唇はカラカラに渇ききっていて
真剣で、必死で、懇願する様に見えた。

「もしも、俺が…翼君と同じように脳死判定を受けて…」

「やめて下さい!!」
緋山はヒステリーを起こした様に金切り声を上げた。
腕を、掌を、橘から振り払おうとしても、橘はガッシリと掴んで離さない。許してくれない。
「やめて!!やめて!!聞きたくない!」
いつの間にか緋山は大粒の涙をとめどなく流していた。
「じゃあ…もしも俺が、この間の患者の様にアナキラフィシーショックで…」

「やめて!!!!」

橘が最後まで言わない内に、緋山はより一層声を荒げて、渾身の力で橘を突き飛ばした。
702橘×緋山(?)C:2010/03/04(木) 03:24:20 ID:VTitq55X
そこで二人の残酷なやり取りは終わった。

静かな部屋に二人の荒い呼吸が響く。
橘は緋山に突き飛ばされ床に転がったまんま。
緋山は突っ立って自分自身の肩を抱きしめた格好のまんま。

二人とも言葉を発しようとしない。
ただ、ただ、二人の荒い呼吸が部屋に響く。

一体どれ程の時間、そうしていただろう。先に口を開いたのは緋山の方だった。

「私、患者、怖い。」

藍沢にも言った言葉。どうしようもなく押し寄せてくる。恐怖、混乱。

「…うん。」
橘は、ただ一言だけ、そう返事した。
「ただでさえ、みんなに遅れを取っていて。その上裁判なのに、謹慎なのに…」
緋山は頭を抱えて、その場に崩れ落ちた。
「それなのに私、ホッとしてるんです。もう患者を診なければ、私は人を殺さないで済む…。」

橘はようやく落ち着いたようで、優しくいつもの様に緋山に歩み寄る。
「君は、殺してなんてないさ。」
「殺したんです!!」
間髪入れずに緋山は橘を睨み付けた。
703橘×緋山(?)D:2010/03/04(木) 03:45:31 ID:VTitq55X
「俺はさ、お前が嫌いだった。実はフェローの中で一番嫌いだった。」
「え…?」
話題を反らす様に橘は緋山に話を続ける。
「君は、昔の俺によく似てる。俺はお前みたいな時代の自分が大っ嫌いだったから。」

「でも…」

「俺は見てたから。お前をずっと、見てたから。お前が本当はどういう人間なのか、どれだけ…」
そこまで言うと橘は緋山を抱きしめた。
さっきとは、まるで違う。硝子細工の繊細な作品に触れる様に、大切に、大切に包み込む。

「…こんなに温かいか…」
すぐ耳元で聞こえる掠れた声に驚いて緋山が振り向くと、橘は泣いていた。

「やめないでくれ…。」
うわごとの様に橘は呟く。
「お前は、お前の医師をやめないでくれ…。その生き方を、どうか、どうか…」

緋山は凍り付いた心が、ほんの少しだけ溶けていくのを感じた。
704橘×緋山(?)E:2010/03/04(木) 09:45:09 ID:VTitq55X
しばらく、そうやって二人で抱き合っていた。

でも、緋山からの反応が何もないことに心配になって、橘は彼女の表情を伺う。

緋山はもう、泣いていなかった。

ゾクリとした。

今まで見たこともないような優しく、温かく、慈愛に満ちた表情で橘を見ていたから。

その表情は少しなまめかしくも思えて、橘は慌てて顔を逸らす。
緋山は、そんな橘の頬にそっと…少しだけ手を添えると、一瞬だけ彼に顔を近付ける。

瞬間、橘は電気が走った様な感覚がした。


「橘先生、ありがとうございました。」
緋山は立ち上がると深々と頭を下げる。
「もう、大丈夫だと思います。…多分。私は医者を続けて行ける…かもしれません。」
緋山はさっきまでとは違い、少しだけいつもの彼女に戻りつつあった。
705橘×緋山(?)F:2010/03/04(木) 10:04:46 ID:VTitq55X
「私は橘先生について行きます。だから…辛いときは少しだけ、私達を助けて下さい。」

今度は橘の方がポカン…として緋山を見上げていた。

「失礼します。」
緋山はもう一度頭を下げて、その場を立ち去ろうとして足を止めた。

「橘先生…私も先生のこと温かいと思います。」

緋山はそれだけ言うと、今度こそ本当に玄関から立ち去った。

残された橘は、相変わらず床に座ったまま、そっと自分の唇に指で触れてみる。
さっき彼女に唇を重ねられた…と思ったのは勘違いだったのだろうか?

何だか自分なんかよりもずっと…緋山の方が強い人間なのかもしれない。

「守ってやれるかな…?なあ?」

橘は問い掛けても返事をしない、三井の写真に呟いた。


−END−
706名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 10:10:12 ID:VTitq55X
以上です。

橘先生的に緋山を心配して、不器用過ぎるが故に空回りする…みたいな話が書きたかっただけなのに
なんかよくわかんなくなってしまいました(^^;

暗くてスンマソンorz
お粗末様です。
707名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 10:40:34 ID:sq+uwviX
エロなしなのにエロい雰囲気でGJ!!!
切ないよ緋山。もっと甘えていいよ緋山!
708名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 18:10:36 ID:wzO/XtBD
直接的なエロより妄想広がってイイ!
709名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 20:30:58 ID:yE6g+77h
切なくていい…。
710名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 20:46:09 ID:QJPmwhOG
本当にこんな風に緋山を救って欲しい!
やっぱり橘は藍沢とは一味違う!!
711名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 22:09:39 ID:RWqEN6Ut
うおー続き投下されてた!
つかまじで文才あるなあ…!
>>706さんには是非エロ有りも書いていただきたい。読んでみたいよ。あ、もちろん橘緋山でね!

緋山には絶対藍沢や藤川よりも橘でしょ。
実際橘と緋山の組み合わせ多いし。
712名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 11:34:02 ID:ZcYqeVVU
避難スレ

コード・ブルー2+ドクターヘリ緊急救命+避難所1
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/natsudora/1267749883/
713名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 15:05:48 ID:bjzG/hSH
ID: RWqEN6Ut

嵐?
714藍沢×緋山@:2010/03/06(土) 00:17:09 ID:7t/2rcg/
緋山の救済計画に便乗。空気読まずに藍沢×緋山。
エロなしが続いてて気が引けるがやっぱりエロなし。

堪えていた感情が溢れ出し堰を切ったかのような心の底からの号泣が
やがて嗚咽に変わり、そのうち室内には小さなすすり泣きの声だけが響くだけになった。

何とか感情が高ぶるのを抑え込んだ緋山は、背後にまだ人の気配があることに気付き、
しゃくりあげるのを止められないまま、藍沢に声をかけた。

「お願い。一人にして…」
声を殺して涙を零す緋山のすぐ背後まで近付く足音が聞こえる。
机に突っ伏していた緋山の頭上から声が落ちた。

「…今日の昼は、何を食ったんだ?」
「…………」
質問の意図が理解できない、と言うよりも答える必要を感じなくて
沈黙を続ける緋山に、藍沢はさらに問いかけた。
「今朝は?昨日の夜は?ちゃんと食ってるのか?」
「…ただでさえ人手不足なんだから、もう戻って」
「…お前、見るからに痩せたな。背中が普段の半分ぐらいの薄さに見えるぞ」

そう呟くと藍沢が緋山の肩に手をかける。思わず振り向いた緋山の顔を覗き込んだ藍沢が
表情を変えず冷静な声音で話を続ける。

「目の下に隈ができてるな。ちゃんと睡眠は取ってるのか?」
「……あんたの方が当直続きで私よりずっと睡眠不足のはずでしょ」
「お前の方が何日もちゃんと眠れていないって顔をしてるぞ」

肩にかけた手を額にあて、藍沢は眉間にしわを寄せる。
「熱まであるんじゃ無いか?医者が自分の体調管理できなくてどうする」
「……何よこれ、問診されてるような気になるんだけど」
「…問診してるんだよ」

黙り込んだ緋山の顔から視線を逸らし、額に当てた手を離すと藍沢が話を続けた。

「…藤川も、白石も、落ち込んでたり自分がしたことが正しかったかどうか迷うと
よく相談持ちかけてくる。そんな時は、大体あいつらが何を言って欲しいか分かるし
大体フォローできるんだけど」
一度言葉を切って藍沢がため息をつく。

「お前ってあくまで人をライバル視して強気な態度を崩さなかったから。
そんなお前が俺の前で泣いてるのに、何も言ってやれなくて」
聞いているのかいないのか、黙りこくる緋山に向かって藍沢はポツリと呟いた。

「…すまない」
715藍沢×緋山A:2010/03/06(土) 00:19:16 ID:7t/2rcg/
藍沢の謝罪の言葉を最後にその場に沈黙が落ちる。

周囲から隔絶されたような静けさに耐えられなくなって、
緋山は何とか言葉を搾り出した。
「…こっちこそ、泣いて引き止めたりしてゴメン。
ただでさえ人手が足りてないのに」
「今はそんなこと気にしなくても」
「…いいから、もう行って」

手で涙を拭うと緋山は立ち上がり、正面から藍沢を見据える。
しばらく黙って藍沢は緋山を見つめていたが、小さく「分かった」と答え出口へ向かう。

が、何歩か進めた足を止め、緋山に背中を向けたままで口を開く。
「…またお前がライバル心を剥き出しにして挑んで来るのを、俺は待ってる」
答えが返ってくる事を期待していないのか、藍沢はそのまま言葉を続けた。
「だからお前も待っててくれ」
振り向いた藍沢が再び緋山と視線を合わる。
「怖いからって医者を続けるのを諦めるのは待つんだ」
息を呑んだ緋山が藍沢を凝視する。

「俺も、泣いてるお前を全部受け止められるぐらいでかくなるから。
だから、今すぐ医者を続けるのはムリだなんて結論は出すな」

冷徹なプロ意識が災いして冷たいと思われがちな
彼なりの精一杯の気遣いに、緋山は思わず言葉を返す。
「…あんたじゃ何年経っても私を受け止めるなんてムリ」
緋山の言葉に藍沢は口の片端を軽くゆがめ笑みを浮かべる。
「…そうかもな」

その言葉を最後に藍沢は緋山に背を向け歩き出す。
そんな彼の背を緋山は黙って見送った。

自分が抱えている問題は何も解決していない。
それでも自分が一人では無いと気付かせてくれた
藍沢に感謝の気持ちを抱いて。


おわり
716名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 08:41:10 ID:jRV/RiUa
うぉ、いい!
微妙な距離感がよく出てるGJ!
717名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 15:55:02 ID:4wC+cYwb
これはGJGJ!
気を許してない絶妙な緊張感がいいね!
718名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:35:37 ID:Oigp8dcH
つまんない
全然雰囲気違うわ
719名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 01:22:33 ID:nw6Q0NxX
8話緋山のあまりの救いの無さに鬱入っていたので、
>>706さんの作品を読んでちょっと気分が晴れた!

橘×緋山投下します。以下注意事項。
1つでもダメだと思う方はスルーでお願いします。

・橘×緋山 後半エロあり
・緋山の医療過誤事件前設定、ただし緋山ネガティブ思考
・名無しのオリキャラがちょっとだけ登場
・長い(これでも短くしたんですけど…スミマセン)
720橘×緋山1:2010/03/07(日) 01:24:30 ID:nw6Q0NxX
考えるよりも先に勝手に口から言葉がこぼれ出た。まさにそんな勢いだった。

一応シフトが決まっているとは言え救命医の勤務時間は不規則だ。
夕方6時までのシフトだとしても当然の事だが手術中の患者を放り出して
帰るわけにはいかないし、それぞれが担当する患者の容体次第で
勤務時間はどんどん変化する。特に今の職場は仕事熱心で
時間外勤務を厭わないメンバー揃いなので、同じ時間に勤務が終わるはずでも
示し合わせでもしない限り医者同士で帰宅時間が重なる事は実際には限りなく少ない。

なので社員通用口を出た時に視界に飛び込んできた三井の後姿に
緋山は自然と表情がほころんだ。駅まで一緒に、と声をかけようと
小走りになりかけたが次の瞬間、目に入った光景に思わず足を止める。

一人かと思っていたが三井には連れがいた。その三井は何やら深刻そうな
表情で連れと話している。話しかけている人物が誰だか緋山にもすぐに分かった。
確かあれは小児科医。看護師は女性が圧倒的に多い職場で必ず人気ランキング
上位に入ってくる、いわゆる“腕も良く、程々に見た目も良い上に、
人当たりも良い独身ドクター”なので自然と看護師達から多くの情報が入ってくる人物だ。

救命でも産科を専門と腕をならす三井なら業務上接点も多いし、
一緒に話している理由はいくらでもあるだろう。そう考えた緋山は
三井が現在担当している患者を何人か思い浮かべてみたが、
勤務時間後も深刻になって話をする必要がある容体の患者は居なかったな、と首を傾げた。
そんな緋山をよそに、三井は手を挙げてタクシーを止めると車に乗り込んだ。
話し込んでいた小児科医も三井に続いて車に乗り込もうと身を屈める。

仕事帰りに一緒にどこか行く?どういうこと?

三井にしろ連れの小児科医にしろお互い独身で何も問題無いはずだし、
その小児科医に好意を持っていたわけでも無いのに。目の前で繰り広げられた展開に驚き、
地に根が生えたように固まった緋山は背後から声をかけられ飛び上がった。
721橘×緋山2:2010/03/07(日) 01:25:56 ID:nw6Q0NxX
「君も今帰り?偶然だな」
「た、橘先生…」

一緒にタクシーに乗るぐらい、帰りの方向が一緒だからとか、そんな些細な理由かも知れない。
なのに何故かその時は、橘にとって前妻の三井が他の男と連れ立って帰るところを
橘本人に見られるのはマズイと緋山は焦りまくった。だが自分より圧倒的に背の高い
橘の前に立ちふさがったところで目隠しになれるはずもなく。
手を挙げて視界を遮るわけにもいかず、飛び上がって身長差をカバーするわけにもいかない。

うろたえた緋山の行動が返って隠そうとしている光景への注意を惹き、
緋山の背後にちらりと視線を向けた橘の表情に一瞬影が過ぎったように見えた。
そんな橘に、思わず緋山は声をかけていた。
「今日は随分早いんですね。だったら飲みに行きませんか?」
「…え?」

普段と立場が逆転したセリフに軽く目を見開き驚いた橘の表情に緋山は我に返る。
何言ってるの私…!慌てふためいて取り消そうと顔の前でぶんぶんと手を振った。
「違うんです。進路の事でちょっと相談したい事があったんですけれど、
別に明日でも構わないし、勤務時間中に手が空いた時で良いんです。だからまた明日病院で」
「ちょっと待て」

顔の前で振っていた手を掴まれる。腕を掴んだ橘の顔に浮かんだ満面の笑みに
マズいと緋山の背に冷や汗が流れる。
「前言撤回します。やっぱり今日は帰って勉強したいので」
「勤務時間外に相談に乗ってやるって言ってるんだから遠慮するな。
優しい指導医に恵まれて良かったな」
逃がすものかと腕を掴む手に力を込め、先程まで三井達が立っていた
正門前のロータリーまで強引に引き連れて来ると、ちょうど良いタイミングで
入ってきたタクシーに緋山を押しこみ、続いて自分も乗車する。
「女子に二言無し、だ」
やられた、と緋山は心の中でこっそり白旗を上げ、車の窓から外を流れる景色に目を向けた。
722橘×緋山3:2010/03/07(日) 01:27:22 ID:nw6Q0NxX
高すぎず、安すぎず。肩が凝らない程度の、ほど良い高級感。

タクシーの中で何やら予約の電話をしていた橘に連れて来られたのは
いかにも女性好み、と言った風情のカジュアルフレンチのレストランだった。
慣れた調子でワイン・料理を選ぶと、橘は自分が昔経験した軽い失敗談などを話して
緋山の緊張感を解いていく。
そつの無いもてなしぶりに、どれだけ数をこなして来たんだと呆れつつ、
そんな彼のペースに飲まれていくうちに、自分が思った以上に寛いでしまったことに緋山は気付く。

最初のうちは『無理矢理連れて来られました』という不機嫌な表情を
取り繕っていたのだが、実際には久しぶりの美味しいお酒と料理を満喫し、
この場の雰囲気を心行くまで楽しむようになった緋山に向かって橘が切り出した。
「で、進路の相談って何?」

既にほろ酔い気分だった緋山が橘の問いに瞳を瞬かせる。飲みに誘うために
自分がでっち上げた言葉をようやく思い出すと、やれやれと橘は肩をすくめた。
「自分で言い出しておいて覚えてないのか?深刻な悩みで無いなら問題ないが」
「…悩みが無いって言ったら嘘になりますけど」
そう言うと緋山はため息を吐いた。
「今は遅れを取り戻すために前に進むしかないですから」

しばらく黙って緋山を見つめていた橘がいつになく真面目な表情で口を開く。
「フェロー終了後の配属は必ずしも結果や努力に直結するものじゃ無いと思っておいた方が良い」
「…え?」
意外な言葉に目を丸くした緋山に対し、橘が質問を投げる。
「例えば、俺がフェロー4人ともフライトドクター合格判定を出したとして、
皆が揃って残ることを希望した場合、このまま全員残れると思うか?」
「…残れないでしょうね」
4人が卒業すれば新たなフェローも入ってくるだろうし、
このまま4人仲良く同じ現場で腕を磨く可能性が限りなくゼロに近いことは、緋山にも分かる。

「藍沢は性格的にも実に救命に向きだが、あの腕があればどの病院の外科でも歓迎されるだろう。
森本先生に付く事が多い藤川は一旦整形に行って専門知識を身に付けてから戻って来いと
言われるかも知れない。白石のことは西条先生が思いの外、気に入っているし
脳外科が引っ張る可能性だってあるだろう」
「先生にも全然検討がつかないんですか?」
「人事なんて、俺にも伺い知れない雲の上の方々が決めることだからな」
管理部門と現場最前線の温度差を感じさせる冷めた声音で言い捨てると、橘は表情を崩し緋山に笑いかけた。
「だから、今から進路について悩んでも仕方ない。今まさに人手を必要としている部署と
君達の希望や経験が合うか、全てタイミングの問題だ。こればかりは運の力も必要となるし」
723橘×緋山4:2010/03/07(日) 01:30:05 ID:nw6Q0NxX
必死で努力している君達にとっては、やりきれない話だろうがと言ってから、再び緋山に問いかける。
「それで、もし君の希望通りになるなら、どの科に進みたいんだ?」
「同期と比べてフライト経験も少ないですし、できれば残りたいとは思いますけど」
「『三井先生と同じ道を目指すために、産科に行って専門知識を身に付けます』とかじゃ無いのか?」
からかうような調子で緋山の口調を真似ると、ニヤリと笑ってとんでもないことを言い出す。
「尊敬する先生と同じ道を進みたいなら、まるごと真似してみても良いんじゃないか?
今なら俺のオクサンの座も空いてるけど」
「三井先生ですら手に負えなかった橘先生なんて、結婚相手として問題外です!」
思わず即答した緋山の様子に橘は気を悪くするどころか吹き出した。

「…でも、実際にフライトドクターになって残るのは難しいでしょうね。
逆立ちしたって橘先生や三井先生の代わりになれる訳が無いですし」
「おいおい、今の君達が代わりを務められるレベルなら俺達も立つ瀬が無いだろう?」
競う相手が間違っていると苦笑しつつ橘は言い含めるように緋山を諭す。
「君は十分、フェローだった頃の俺や三井先生を超えているぞ」
「…先生達が今の私のスキルに及ばない時代があったなんて信じられない」
「それはまた、光栄なお言葉で」

君が俺を褒めるのは珍しいなと屈託無く笑うと橘は懐かしそうに語り始めた。
「頭が真っ白になって叱り飛ばされるまで何をすれば良いかも分からないことなんて
しょっちゅうあったし、三井先生に至っては患者に付き添って泊り込むのは良いが
体力の限界まで無理して倒れたことも一度じゃ無かったな」
過去を振り返るように視線を宙に投げ、笑みを浮かべた橘の表情の優しさに緋山はドキリとした。
「…どうやって、そういう弱点を克服できたんですか?」
「数をこなすしか無いだろうな。三井先生の場合は出産が良いきっかけだったのかも知れないが」
「出産が?」
「どんなに周りから『患者との距離感を取れるようになれ』って言われてもできなかった彼女が、
子供が生まれて多少はできるようになったからな」
「…距離感、ですか?」
「育児をしながらだと仕事にかける時間はどこまでと、ある程度自分で見切りを
付けざるを得なくなる。言わば強制的に引き離された。それが良かったんじゃないか」
724橘×緋山6:2010/03/07(日) 01:32:38 ID:nw6Q0NxX
患者との距離感を上手く取れるようになれ。どこかで聞いた話だなと
感じながら緋山は聞いていたが、突然いつ、どこで聞いた話なのか思い出す。

自分が常々周囲から言われていることだ。
それって、私が昔の三井先生と似ているってこと?

脳裏に浮かんだ言葉が胸にストンと落ちた瞬間、何もかもが腑に落ちた。

どうして橘が他のフェロー達に比べて自分を気にかけてくれているのか。
誘われる度、どんなに手酷く断っていても、気を悪くせず何度でも声をかけてくれていたのか。

理由が分かってスッキリしたはずなのに、なぜか全身に急速に広がる寂寥感。
チクリと胸が痛むのを感じて、何を傷付いているんだと気力を奮い立たせようとする。

にわかに呆然とした緋山の様子に気付き橘が怪訝そうに話すのを止めた。
すると、突然生じた会話の空白を埋めるかのように、橘の携帯が振動する。
失礼、と短く断って画面を確認した橘の口元に笑みが浮かんだ。
「…何だか嬉しそうですね」
「誰からのメールか気になるのか?」
「そんなことありません。自惚れるのはやめてください」
「三井先生からだよ」

何と返すべきか緋山が考えをめぐらす暇も無く橘があっさりメールの内容を明かす。
「『子供の熱は下がった。心配無用』だと。俺は最初から心配し過ぎだって言っていたのだが」
「…お子様の体調が悪かったんですか?」
「子供が昨夜から熱が下がらないと心配して、後で専門の先生に相談すると
勤務時間中から騒いでいたからな」
そんなに心配なら仕事は休めば良いと言ったのにそれをしないのは相変わらずだと苦笑する。

と言うことは、三井がタクシーに乗って小児科の先生と連れ立って帰ったのは、
相談を持ちかけた小児科医が子供を心配する三井に気を遣って家までわざわざ
訪問診療したのであって、メールで報告って事は最初から橘も事情を知っていたわけで…。
自分は何を空回りしていたんだと、あまりの展開に緋山はガックリと肩を落とした。

「騙された…」
「人聞きの悪い。君が勝手に勘違いしただけだろう?」
725橘×緋山7:2010/03/07(日) 01:35:00 ID:nw6Q0NxX
ニヤニヤと笑う橘を緋山は睨みつける。そんな緋山に向かって
机に身を乗り出し橘が顔を近付けた。

「つまり、君が急に誘ってくれる気持ちになったのは、三井先生が
他の男と一緒にどこか行くのを見て俺が傷ついたとでも心配してくれたってわけか?」
「別にそんなつもりは…」
曖昧に答えをぼかしつつ、椅子に深く腰掛け直して橘から身体を離すと、
ワイングラスを取ろうと延ばした手を握られ、触れ合ったその手の熱さにドキリとする。

「…情に流されるのは患者に対してだけじゃないんだな」
握った手を指が唇に触れるか触れないかの距離まで近づける。
その辺の男がしてもキザだと鼻白む行為が見事なまでに様になるのが何だか悔しい。

「心配してくれたのは嬉しいが、一つはっきり言っておく」
軽く指先に口付け、真剣な眼差しを緋山に向ける。
「壊れたグラスを割れる前の状態に戻すことはできない。俺と三井先生の関係についても同じことが言える」
「何でわざわざそんなことを言うんですか?」
「寂しさを紛らわすために君にしつこく声をかけていると勘違いされたく無いからな」
「…別に構わないじゃ無いですか。寂しさを紛らわすためであっても」

子供の体調を心配しつつ仕事を休めない三井の生真面目さを笑う
橘の言葉には、明らかに相手に対する愛情が込められていた。
それが分からない程、自分は鈍くない。それでもあえて自分を誘ってくるなら
受けて立とうと開き直る。

「先生は具合の悪いお子様の側に居てあげられない自分が寂しい。
私は今はフリーでしかも仕事に追われて新しい彼氏を探す時間が無いし、
独り身が寂しくないと言ったら嘘になる」
挑むような視線を向け、握られた手に力をこめる。

「オトナのオトコとオンナが居て、お互い寂しいと思っていたら
することなんて一つじゃないですか」
726橘×緋山8:2010/03/07(日) 01:36:04 ID:nw6Q0NxX
「幸せだけど、ちょっと不幸ってあるのかな…」

酔った勢いで幸せか不幸かと迷惑極まりないことを問い続けていた白石から
やっとの思いで開放され、緋山は思わず呟く。
独白のつもりだったのに、その言葉を耳にした藤川は思いがけず真剣な口調で答えた。

「…完璧な幸せなんて、結局どこにも無いんじゃないか」
驚いたように振り向いた緋山に寂しげな笑みを向け、藤川が小声で話す。
「好きな人の側に居られるだけでも自分は幸せだと思う。
でも、その人が本当に側に居て欲しいのは自分じゃ無いって分かっているから、
側に居られること自体が不幸だと思うこともある」
「…そうだね」

藤川が指している相手が誰だか十分過ぎるぐらい分かる緋山は静かに同意した。
それと同時に自分も彼とよく似た立場なんじゃ無いかと考えた。


橘と二人で食事に行ったあの日、結局レストランの近くのホテルで朝を迎える事になった。

割り切った口調で話しているつもりだが、実際には身体が震えそうなのを
懸命にこらえているのは相手にも伝わっていたに違いない。
それでも目一杯背伸びして演じたオトナのオンナっぷりに橘はあっさり乗ってきた。

エレベーターの中で待ちきれないと言わんばかりにキスされた瞬間、膝の力が抜ける。
その場で崩れこみそうになると軽々と身体を抱えられ部屋に連れ込まれた。

ベッドに倒れこむと同時に唇を軽く噛まれ、促されるままに口を開いた。
入り込んできた舌に自らの舌を絡め、思う存分むさぼり合う。
キスの合間に漏れる自分の声の甘さに顔を赤らめると、唇を離した橘は
緋山の顔にかかった髪を指先で払いつつ苦笑した。
「…おいおい、そんなに誘惑するな」
「別に誘ってるつもりは」
「無意識だとしたら、性質が悪いな」

からかうような口調に相手を軽く睨みつつ、スーツの襟元を掴み顔を引き寄せる。
緋山に乞われるままに橘は深く口付けると熱くなった身体に手を這わせる。
ジャケットを肌蹴るとニットの上から胸を手で覆われ緋山は呻いた。
布地越の愛撫が物足りなくて身体を捩るが、焦れる緋山の様子に橘はニヤリと笑みを向け、
固く尖って自己主張を始めた胸の先端を避け、やわやわと胸を揉み続ける。
触れられているのは胸なのに、下腹部が熱くてたまらない。

「…服を着たままでするんですか?」
喘ぎながら何とか発した言葉に橘は手を止める。覗き込まれた瞳の優しさに
緋山は思わず橘に抱きついた。抱きついてきた緋山の身体を強引に引き剥がすと
橘が緋山の服を脱がせ始める。
727橘×緋山9:2010/03/07(日) 01:37:11 ID:nw6Q0NxX
ジャケットを剥ぎ取り、ベルトを毟り取るように外しスラックスを下ろされる。
ニットに手をかけられた緋山は思わず相手の腕を掴み、自分の服を脱がそうとする
男の手を止めた。動きを阻まれた橘が顔を上げ二人の視線が絡む。
たしなめるように覗き込まれ、一瞬躊躇ったが緋山は掴んでいた橘の腕を放した。
ニットとブラを同時に剥ぎ取られ、身体を震わせた緋山にキスすると唇を耳元に這わせて囁いた。

「心配するな」
首筋を伝って胸元を這っていた唇が、傷の跡を辿るのに気付いて
緋山は再び身体を固くする。思わず胸を覆い隠そうとした緋山の腕を
橘がすかさず掴み、緋山の頭上でひとまとめにしてシーツに押し付ける。
「…君って着痩せするタイプなんだな」
傷なんて気にするな、などの慰めの言葉が降って来るだろうと
身構えていた緋山は予想外の言葉に目を丸くする。
「救命の術衣って動きによっては結構身体のラインが出るし、
多分胸はどのぐらいの大きさだろうとか色々想像してたんだけど」
「…仕事中に何考えてるんですか!!」
顔を真っ赤にした緋山は掴まれた腕を振り払い、男の胸を押し退ける。
「ヘンタイ!エロ医者!触るな!離せ!」
「散々な言われようだな」

強引にキスで口を塞がれ、ののしる言葉が続くのを文字通り口封じされた緋山は、
先程までの緊張感が一気に消え失せていることに気付いた。
この人のこういう優しさが好き。たとえ彼が本当に抱きたいと思っている
相手の代わりに自分を抱いているのだとしても構わない。
素直にキスに応え、髪に指を絡ませると重なりあった唇の動きで相手が笑ったことが分かった。

抵抗を止めた緋山を脱がす作業を再開し、瞬く間に一糸纏わぬ姿にすると、自ら服を脱ぎ捨てる。
そのまま覆い被さってきた熱い身体の心地よさに緋山は安堵のため息をついた。

「…どうして欲しい?」
息は上がっているがまだまだ余裕を見せる橘はあくまで緋山にどうしたいのか
言わせたいらしい。思うがままに要求を口にするのは悔しいが、快感の火をつけられた
身体は言う事を聞きそうにない。でも、して欲しい事を口にするのも恥ずかしくて、
涙で潤んだ瞳で訴える緋山に橘は軽くキスするとそのまま胸元に唇を這わせた。
服の上から愛撫され、焦らされ尖った乳首を軽く噛まれ、こすられて、
こらえきれない吐息がもれる。もう一方の胸を手でまさぐりながら
空いた手が脇腹を辿り、ヒップの丸みを確認するかのように一撫ですると脚の間に滑り込んだ。

親指で花芯を触れるか触れないかのタッチでこすられ、クラクラしながら緋山は
橘の手に秘所を押し付けた。中には挿れず入り口をこする指先の動きに
我慢できず「もっと…」とねだるように喘いだ緋山に橘が笑う。
「そんなに焦るな。我慢すればそれだけ後から来る快感が大きくなるぞ」
太ももに押しあてられているソレの硬さは確かで、このままだったら彼も苦しいはずなのに。

自分ばかり焦れているのが悔しくて、思わず「だったらもうイイです」と
無理矢理身体を引き剥がして背を向けた。
すぐに背後から抱き締められ、胸の丸みを確かめるかのように軽く握られる。
柔らかなタッチで乳房を包み込まれる感触に喘いだ隙に手が腹から腰へ滑り下り、
抵抗する間も無く脚の間に滑り込んだ。
「…本当にやめて良いのか?」
濡れた花弁を擦りながらいつもより掠れた声で橘が囁く。
「やめないで…」
快感にすすり泣きながら懇願すると同時に花芯に親指を押し付けられ、
中指が緋山の中に入り込んだ。
外科医ならではの器用な指先が中を探る感触に自然と背が仰け反る。
抜き差しする指の動きが次第に早まり、早まるに連れて嫌でも快感が高まる。
爪先から頭まで突き抜ける快感に緋山は背を仰け反らせて昇りつめた。
728橘×緋山10:2010/03/07(日) 01:38:34 ID:nw6Q0NxX
骨抜きにされるって、まさにこういう事なのかも。
朝ベッドの中でまどろみながら、最初に頭に浮かんだ言葉がこれだった。

散々お預けを食らった後で昇りつめた感覚があまりにも気持ちよくて、
最後にどうなったかも、はたして橘がイッたのかもイマイチ記憶が定かではない。
それでも絶頂の余韻が冷めやらぬうちに自分の中に入ってきた橘に力一杯抱きついて、
普段なら絶対に口にしないようなとんでもないセリフを口走っていた気がして、
一瞬で意識が覚醒した緋山は飛び起きた。
が、隣で眠っていたはずの橘の姿は見あたらず、胸元までシーツを引っ張り上げ
身体を起こすと辺りを見回した。

「目が覚めたか」
シャワーをあびていたらしい橘が生乾きの髪をタオルでふきつつ緋山に近付き覗き込んだ。
彼の瞳に後悔の気持ちが表れていたらどうしよう。急速に現実が目の前に立ちふさがり、
視線を合わせず黙ってシーツを身体に巻きつけ起き上がった緋山に橘が話しかける。

「…ちょっと無理させたか?」
「大丈夫です」
口先だけの答えでは無いことを示すために、意を決して橘と目を合わせる。
「先生と違って若いんで、多少の寝不足は物ともしません」
問われたのが睡眠不足についてでは無いことは重々承知していたが、
あえて質問の意味を捻じ曲げ、にっこり笑って緋山は答えた。
シャワーを浴びようと立ち上がった緋山の腕を橘が掴む。
真意を探るような視線を正面から受け止め、緋山はもう一度きっぱりと答えた。
「大丈夫です」
強気な態度を崩そうとしない緋山に対し、橘の目に一瞬憤りの色が浮かぶが
諦めたように一つため息を吐いた。
「…話をするのは次の機会にしよう」
そのまま緋山の額に軽く口付け、両手で頬を包み込む。
「次の機会があるって、どうして言い切れるんですか?」
すがりつきたくなる気持ちを抑え、あくまで冷静な口調で緋山は返した。
「当たり前だろ」
いつもの調子で笑うと橘は緋山の頬を軽く指ではたく。
「そう簡単に手放したりはしない」
729橘×緋山11:2010/03/07(日) 01:39:32 ID:nw6Q0NxX
その朝はそのまま必要以上に感情を交えず事務的に橘とは別れた。
だが、その後顔を合わせた院内で誰にも気付かれないように、
こっそり手を握り締めてくれた彼の気遣いに泣きたくなる。

追う立場と追われる立場が逆転したことを意識したのもその時だ。

オトナ同士の割り切った付き合いをするなんて、自分にはまだ無理だと
分かっていてもその嘘を信じるフリをしたのは橘の優しさで。
彼が自分だけを見てくれていると、自分を通して彼にとって最愛の人だった三井を
見ているわけではないとの嘘を信じたのは緋山自身の弱さだ。

二人の嘘がいつまで通用するのか、それはまだ分からない。

それでも、いつかきっと自分と三井を重ねる彼に耐え切れず、
自ら別れを切り出すことになるのだろう。
その時の事を思うとそれだけで涙がこぼれるのを止められそうに無い。
でも今は、そんな未来はまだ遠く先の話だと自らに嘘をついて、
避けて通れない事実から目を背ける。

――相手が本当に必要としているのが自分では無いと分かっているのに
側にいる事を望んでいるという意味では自分も藤川と何も変わらない。

「終わりがどうなるか分かってるのに。何やってるんだか、私」

自嘲するかのような言葉に心配そうに耳を傾けていた藤川がポツリと一言だけ口にした。

「事情はよく分からないけど、あんまり深入りするなよ」
「…もう手遅れかも」

誰かに話したくなったらいつでも聞くから。それだけ伝えると藤川は黙って
緋山のグラスにワインを注ぎ足した。グラス半分程度まで注がれるのを待って、
緋山は藤川のグラスに自らのグラスをカチリと軽く当ててみせる。

「私達の幸せに」
「俺達の未来に」

藤川と顔を見合わせ笑うと緋山はグラスを傾けた。
今はこのささやかな幸せに浸っていようと固く決意して。

END
730名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 01:43:33 ID:nw6Q0NxX
番号振り間違えてスミマセン。

緋山救済ムードの中でさらに貶めるようなマネして申し訳ない。
病院の人事とかどう決まるか知らないので普通の会社基準。
お口直しは他の職人さんの作品でお願いします。

ヒネクレモノの自分としては緋山が三井を慕っている以上、橘・三井の本心はどうであれ
橘×緋山設定は、緋山が後ろめたさを感じるのではというのが持論。
反対意見も含めて橘×緋山派の方々のその辺の考えを聞いてみたいと思って書きました。

当たり前だけど放映中のドラマって毎週話が新たな展開見せるから
早くても年に1回ぐらいしか続刊出ない小説と違って二次創作は難しい。
書くと長くなるし遅筆なんでドラマ展開楽しみにして以後引っ込んでます…。
731名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 09:23:21 ID:YGrtSTDo
オオーウ禿萌えた(;`Д´)=3
読み応えのある作品投下ありがとう! 
こっそり手を握ったり秘密のスキンシップいいなあいいなあ
備品倉庫とかでそっとハグしてたりしたら萌える

緋山は性格的にずっと後ろめたさを持ってそう
橘先生は大人だから最初は三井先生に似てる子だと思って
興味を持ったのだとしても、関係が進展していくなかで
三井先生とは完全に切り離して考えてそうだけど
晴れて両思い?になったとしていつまでも三井先生ありきな緋山に
ちょっとイラっとする橘先生もいいな
それとは別で、橘・三井とも緋山を過去の自分と重ねて
救ってやりたいと手をつくす橘×緋山で三井×緋山な奪い愛でもいいw
でも緋山自身は過去を投影されてるだけだと気がついてて
いっそう行き場のない思いを抱えてしまうとか




732名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 17:06:09 ID:GMkUdqal
読みごたえあったよ!
成れの果てはどうなるか解ってるにしろ、緋山と橘が一歩踏み出したのは間違ってない
と思う。
橘先生が良い人に描かれていて良かったよ。
書いてくれてありがとう。
733名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 20:47:18 ID:f8yN20rG
GJです!
長いなんて全然感じないくらい読み入ってしまったよ。
緋山が背伸びしてオトナのオンナを演じてるとことか凄い彼女らしくて良かった!
最近橘×緋がたくさん投下されてて嬉しいね^^
橘×緋のエロシーンは藍×白とか他の組み合わせのエロシーンより10倍エロく感じるのは何故…w
キスだけでも凄いエロくない?
734名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 21:26:20 ID:QsH+lwH1
他のCPを貶すような余計な一言なけりゃ>>733同意なのにー
735名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 22:06:07 ID:0StY8Sz5
>>733が他CPを貶めてるとは思わないけど…敏感な人もいるんだね

書いてくれた方ありがとう
橘先生の大人の余裕にヤラレましたw
この先どうなるかを予感しながらも進んでしまう、緋山のもろさというか危うい感じが好きだ
736名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 22:16:25 ID:M2jLUv0h
貶すというか一言余計だな
前から気になってはいたけど

すごい良かったですGJ
前からこの二人のエロが見てみたかったので嬉しい
737名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:42:48 ID:dfAO/Ecg
橘×緋山投下した者です。感想頂いた皆様ありがとうございます!
ムダに長い話を読んで頂いたことにも感謝します!

>>731
救ってやりたい橘と三井で緋山を取り合うって見方をしたこと無かったから目からウロコ。
三井を気にする緋山にイラつく橘も面白い展開になりそう!

視点によってバリエーションが多彩になりそうなのも橘×緋山需要の多い
理由の一つなんだろうな、と改めて実感しました。
ご意見聞かせて頂いてありがとうございます!
738名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 00:24:35 ID:uIvHwea1
藤川と冴島くっつきそうだね
739[sage]:2010/03/09(火) 00:43:36 ID:OrYvC29f
最近藍沢と緋山も絡み多いね
740名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 08:16:17 ID:DCIid6HL
橘×緋山を書いてくれた人のおかげで、昨日の放送はニヤニヤがとまらなかった
二人の絡み(三井先生も含めて)があるたびに妙に勘ぐってしまう自分がいるw
741名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 12:23:21 ID:pBYfsuDQ
>>740
わかるw
昨日のヘリに乗り込んで橘が緋山を心配そうに見つめるシーンとか萌えたw
742名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 00:44:37 ID:wZx7CItA
黒田先生復活しそうで嬉しい
再会した時に白石がどんな顔するか今から楽しみだ
743名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 16:59:07 ID:/9q9iCiM
その通りだー
744名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 01:10:03 ID:ySRDXKod
>>740
挿管を引ったくりながら言ってることこそ厳しかったが、
あの(本来の意味でのw)修羅場の中でも
固まってる緋山を見逃さずにきっちりフォローしてた橘先生が素敵すぎるw
それでもラスト前にもう一荒れ来そうな引きだったが…
745名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 23:06:03 ID:Slbn+j8S
>>744
今の展開だと緋山がフェロー判定落とされて橘は三井と復縁しそう
ちょっと可哀相だけど橘は三井にガッツリ振られて頂きたい
746名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 00:41:48 ID:fZGoZniX
自分でもよくわからないけれど橘×緋山が好きすぎて困るw
シリアスなシーンでも、いちいち「おっ!」って思っちゃう
747名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 01:23:46 ID:rB109XIg
自分も橘×緋山好き過ぎるw
2人にはもっと絡んで欲しいよ。
あんだけ前半、橘が緋山を誘ったり、ちょっかい出したりしたんだから、いつかは2人で呑みに行くシーンとかあってもいいんじゃないかって思っちゃう。

橘×緋山好きとしては、三井と復縁はちょっと寂しいね…三井好きだけど。

そういやInRedって雑誌に三井×橘×緋山のスリーオフショットがあってちょっと興奮したw
みんな防寒着スゲーw
748名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 10:49:52 ID:XlOreIfx
>>747
三井×橘×緋山ショット(゚∀゚)=3
さっそく探してくるよ
749名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 02:07:11 ID:ZUQBy3HQ
橘「よ〜し快気祝いに呑みに行くか〜」
緋「よくオペ看と呑みに行ってるって噂ですよ」

緋「どうしてあの三井先生が別れたとは言え結婚したかなぁ…」
橘「付き合えばわかるよ、俺とね。」

橘「男は若い方が好きだけどもね。…おっ若いねぇ!」
緋「どういう神経してるんですか」

これらと

緋「また間違えるかも知れません」
橘「お前のやったことは間違いじゃない。結果が悪かっただけだ。逃げるな!緋山!!」

この会話のギャップにかなり萌えるわ〜!
この2人、かなり良い関係だよね。
750名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 18:02:22 ID:6RsyZw+9
1st藍沢と冴島いい雰囲気だったのになぁ・・結構好きなんですけど
751名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 19:56:35 ID:AEm8xB8Q
藍沢と藤川のツンデレがなくてヤダヤダ!
752名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 23:15:42 ID:DR1MU6k+
>>749
良い関係だし前半の橘・緋山の会話は微妙な駆け引き具合が絶妙だった!

橘と緋山に限らず、エレベータートークは結構好きな会話が多いな〜
藍沢・藤川とか橘・三井とか
753名無しさん@ピンキー:2010/03/21(日) 01:14:29 ID:n/+kICZG
最近また過疎ってきたね
754名無しさん@ピンキー:2010/03/21(日) 02:10:53 ID:eFRDh1BA
もう最終回かあ
うっかり橘&緋山くっついちゃえ!
755名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 22:22:12 ID:qiIDdzrb
最終回乙!!
3rdもいけそうな希ガス・・・
756名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 23:04:17 ID:wESOMTIo
藍沢と白石がやけにあっさり元の同期関係に戻ってた気が
中盤のフラグは何だったのか…

橘と三井は某俳優の離婚会見みたく「昔の飲み友達に戻れました」なのか?
三井にちゃんと謝りたいんだろうなって雰囲気は前からあったけど
757名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 23:28:35 ID:qiIDdzrb
「このスレも過疎るんだろうなぁ・・・」




「その通りだぁ〜」
by黒田先生



みんなごめん・・
言ってみたかった・・・
758名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 23:48:01 ID:6YotmEn6
>>756
…ならやっぱり橘は緋山と……w



でも明らか橘は緋山だけ特別扱いだよな。
一人だけべた褒めしすぎだろwみたいな。
まぁあのトラウマを乗り越えられたから褒めたくなるのはわかるけど。
759名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 00:13:17 ID:FkODKEMA
ドラマ終わっちゃったし過疎るのは確実だろうね

逆にアンチもいなくなりそうだし藍沢×白石作家さんとかにも帰って来て欲しい
飛行機事故現場は1stカラーの藍沢×冴島コンビも復活してたし
留守電消去してたから藤川×冴島も書きやすい環境になったかと

ラストの何だかやけにほのぼのした橘・三井はお友達ということでw
橘×緋山も書いてくれる人いないかな〜

きれいにまとまったラストだったけど恋愛ネタはスルーされてたから
逆に色々書きやすい環境も整った気がww
760名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 20:34:49 ID:2+QKHAdN
白石と藤川の黒田チルドレンカップルとか色々ネタが増えたような
761名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 21:07:42 ID:7FRRzsET
橘×緋また読みたいな〜
しかも激しいやつ
ちょっとチャラくて大人な橘先生とツンデレな緋山が好きだ
762名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 00:24:58 ID:XnQ3lCW5
黒田チルドレン今まで無かった組み合わせで面白そうだな
フライトドクターになったのに緋山に実力及ばず白石に慰めてもらう藤川とか?
ドラマ本編に沿った切ない系の話も好きだが明るい恋(エロ?)話を読んでみたい
763藍沢×白石 1:2010/03/24(水) 01:01:07 ID:y55q2EWK

「抱きしめてって言ったら‥どうする、?」

カチャン。藍沢の指先から、遊ばれるのを嫌うかのようにペンが落ちた。
表情を変えずに白石を凝視する様に、巧みに捌くはずのペンを落とすという
分かりやすい動揺の表れは、妙に可笑しかった。


「‥正気か?」
「失礼な。」
「熱は?」
「ないです」
「吐き気は?」
「、ないよ」

寒気はあるか、頭痛はあるか、どこか悪いか。
問診を白石にあしらう。まるで患者扱いだ。
小馬鹿にされてるならなかったことにしてもらうつもりで
しびれを切らして白石はほんの少し語尾を荒げた。

「どこも悪くないわよ」

白石の言葉をちゃんと聞いていたのか否か、
白石にとってはどうにもうなずけないタイミングで
藍沢が落ちたペンをゆっくりと拾い上げ、胸ポケットに差し込み白石に目を遣った。
彼女の雪のように白い肌、頬がほんのり朱に染まっている。
確信に変えてもいいと思った。告白をされたのだと。
764藍沢×白石 2:2010/03/24(水) 01:02:49 ID:y55q2EWK
藍沢はすっと短く手を横に広げた。その表情から、感情は読みとれない。
数メートルあった藍沢との距離を白石は躊躇いつつソロソロと詰めた。
素直すぎる、自分が。
恥ずかしくて、藍沢の顔を一瞥だけする。
藍沢の微笑む顔を見た気がした。
「え?」と俯きかげんの顔を上げた時、藍沢の腕が白石の体を引き寄せた。
目の瞬きが遅くなる。トクン、トクンと鼓動が溶け合うのを感じながら、白石はこう思う。
――抱きしめてくれた。――


「何か言うことあるんじゃないのか」
「え..絶対言わなきゃ、ダメなの?」

瞬間、白石の視界が暗くなる。
唇には柔らかな感触。
5秒後、離れたかと思って酸素を求めたら、もっと深いキスが待っていた。
歯列をなにか熱い塊でなぞられて、ゾクゾクとした感覚が全身にかけめぐる。
「んっ..ふ ぁ」
息ができない‥自分の舌にまとわりつく熱い塊は彼の舌なわけで。
絡み合うその音はいやらしくて、飲みきれない唾液が口の端から伝え漏れて
いよいよ白石は泣きそうになった。こんなには、望んでない。
激しいキスにびっくりして、力なくドンと藍沢の肩を押した。
少しよろけただけの藍沢は、今の所為で白石の濡れた唇と潤んだ瞳を見て、
自分がどれだけキスに夢中になっていたのかを悟った。
またその白石の顔が彼をそそったのだが。
765藍沢×白石 3:2010/03/24(水) 01:04:33 ID:y55q2EWK
「好きなんじゃないのか、お前は。俺のこと。」
「だって..びっくりするじゃない」

手の甲を唇に当てて、起こった衝撃に混沌した。
こんなに身体に電気が走ったようなキスははじめてだった。
そんな、痺れるようなキス。とろけていたのかも。

「俺はお前‥白石のことが好きだ、たぶん」
「たったぶん!?そんな気持ちで..」
「そんな気持ちだからキスした、だけど今分かったよ」

藍沢は白石の腕を掴んで引き寄せる。
首筋に唇を落として彼女にちりつく痛みを覚えさせた。
「あっ」と簡単に声が漏れて、さっきのキスの余韻が残ってるらしい。
「男よけになったな」謀ったような僅かな笑みに、白石は目を丸くした。
こんな人だったっけ‥なんだか小学生みたい‥


「好きだ。」


たった、たったそのひと言でだけど。
いつの間にかスクラブのすき間から滑り込んできた熱のこもった手のひらや、
食べられてしまいそうなキスに、藍沢に、自分のすべてを白石は委ねた。


END


おしまいです、ぬるいしなんかまとまりなくてすみません、
キャラ崩壊に思われたらす、すみません...orz
頭に浮かんだのバーッと書いただけなので‥
読んでいただきありがとうございましたぁぁ!
766名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 01:27:54 ID:mnA1QKzc
不意打ちでドキドキしました!
やっぱり自分は藍沢×白石が好きだなあ
767名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 16:56:36 ID:OaMuIuKK
超GJ!!!
読んでてニヤニヤしてしまったw
768名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 23:06:33 ID:q3T8e7pR
GJ!
白石かわいい!
769名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 16:00:05 ID:AC7oAX/o
よかったよ!GJありがとう
770藍沢×白石 T:2010/03/25(木) 16:07:11 ID:UuQG7NGo
このIDで藍沢×白石を書いた者です。
感想戴いた方有り難うございます!
エロ有りで頑張ったつもりがどうだろう
またぬるい感じになっちゃうやも...orz




大切なことを、大切な人へ、伝えたい時に伝えなければ、きっと後悔する。
生死と向き合う命の現場でそれを思い知った。
それは、自分の身にも、誰の身にも当てはまる。
そばにいるのが当たり前な大切な人は、
必ずしも当たり前なまま自分のそばにずっと在るのかは、肯定できないのだ。


+++
「今日、会えるか」
「ええ、今日こそは一緒にランチ食べようって、父と話した。」
「‥、そうか」

ほがらかな笑みでうなずく白石を藍沢は納得したように
だけど、少し切なそうに見つめた。
『会えるか』の真意は、実はそこではない。
藍沢は白石と、二人で会いたかった。

大切な人だと気づいたから、気持ちを伝えたい。
それがこんなに難しいとは――
初めて送ったシグナルは失敗に終わった。
そうだ、そういえば彼女が父親と会うことを
なんでも喋り練り歩く藤川から聞いていた。


日勤上がり時の救命..
病室ベッドから転落した入院患者が骨折をした。
白石が担当したのはその症例と救急車で運ばれた急患
2件だけで珍しく今日はヘリが飛ばなかった。
新しく入ったフライトドクター候補生が
それを嘆いているのをなだめたあと、帰宅の準備を始めた白石。
父、博文とのランチタイムを思い出し、
楽しかったなと馳せつつジャケットを羽織った。
ランチタイムで知った、冷や奴ひとつでこだわりがあるらしい
父の舌をうならせる料理を今度チャレンジしてみよう。
意気込んで、ロッカーを閉めた。
771藍沢×白石 U:2010/03/25(木) 16:08:46 ID:UuQG7NGo
病院関係者通用口手前から、警備員による荷物調査を済まし
出口に出て外気に当たった時、藍沢の姿があったので、驚いた。

「藍沢先生‥」
「お疲れ」
「お疲れ、どうしたの、誰か待ってるの?藤川君とか。」

そんなやつ置いて行ってやる。
きょとんとしたというかすましたような白石の反応に少しイラついた藍沢だったが、
自分の感情をコントロールするのはお手のもの。眉周辺の力を解いた。
外にいたせいで冷えた手をポケットに突っ込んで彼女の元に歩み寄った。

「ちょっと付き合ってくれないか、俺に。」
「え?」
「酒でも、飲みに行こう」
「...、」

酒と聞いて白石は目を伏せた。緋山や藤川たちと飲んだときみたいに、
もう潰れて藍沢に迷惑はかけたくない、困惑や心配もさせたくない。
もっとも、藍沢に近づいて寄り添いたいがための、
あの時は酔っぱらいが半分 工作 だったから、気づかれてこの好きな人から怒られたくもない。
もうそんなことはしないと思うけれど。

「ゴメン、お酒飲む気分じゃないっていうか‥」
「そうか、分かった、じゃあな。」
「えっ..」

きっと藍沢は自分を待っていてくれて。
せっかくの誘いを断って、気分を損ねてしまった、
だからこうあっけなく。と、白石は思った。
藍沢としては別にブスッとしたつもりはなくて、
ただ単に断られたから今日は無理なんだなと捉えて諦めて帰ろうとしただけ。
聞こえてきた白石の疑問符に、踵を返して彼女を見遣った。
「どうした?」聞くと白石の目が泳ぐ。言葉を探しているみたいだ。
彼女の視線が藍沢の顔へ定まる。

「もう少し、ねばっても..いいのよ?」
「‥あぁ、そう。」

もっとしぶとく誘ったら付き合ってくれるということか。
嫌々なら誘うのはもう御免としたいところだ。

「ゴメン、私言うこと勝手だよね‥」
「いや。」
「藍沢君とは、またゆっくりお話したいな、って思ってる。」
「..酒は、お前は飲まなくていいから」

"ねばった"藍沢に静かにうなずいて、歩き出す彼に付いていった。
772藍沢×白石 V:2010/03/25(木) 16:12:49 ID:UuQG7NGo
「親とは色々話せたのか」
「うん、久しぶりに楽しかった、怪我がほぼ治ったからって
 また講演講演で無茶ばっかなんだから‥‥藍沢君は?どう?脳外は。」
「いつも通りだ」
「そう。」

いつしか決まり文句のようによく聞く言葉。
これさえ聞ければ他科に移っても、
恙なく脳外科の任務をこなしている様子はうかがえた。

訪れたダイニングの居酒屋の個室で、サラダやつまみを適当に口に入れ、
藍沢はウイスキー、白石はグレープフルーツジュースを片手に静かに語らう。

「こっちもいつも通り。」

変わったのはみんなのプライベートの付き合い。
あの飛行機事故からここ1ヶ月で交際や結婚に発展した
救命スタッフがいることを白石は報告する。

「男女の出逢いってやっぱそういう身近なとこから発展していくのが多いのかな」
「俺に聞かれてもな」
「あ、藍沢君はそういうの興味ないか、恋愛、とか。」

カラン。ロックアイスが鳴ったグラスは、藍沢の手が揺れたことをものがたる。
藍沢の中で白石のその言葉が酒を回らせ、その音が彼のネジを一本外したようだった。

暖房が利いている。
ジャケットを脱いだ白石の細い手首を藍沢は掴んだ。
白石は驚いて彼を見る。
見つめ合うたび、沈黙が続くたび、
ギュッとする藍沢の力が強くなって、「痛い。」と発した。
「悪い」手を離すと白石の肌にはくっきりと言っていいほどの、痕。
手首をさする白石の頬に藍沢は手を添えて顔を自分に向かせると
外れたネジの代わりにスイッチが入った。

最初は触れるだけのキス。白石の表情をうかがって
舌で口をこじ開けると彼女の口腔内を堪能するように深いキスをする。
服の上から胸へと手を伸ばすと、「待って..」と制止する白石の声。
その艶やかな声は、居酒屋の雑音と共に藍沢の気持ちをかきたて、
理性をまた1つ崩すには十分だった。
立ち上がり後ずさりする白石だったがもう背中は壁際だった。
773藍沢×白石 W
藍沢はインナーの中に手をしのばせて背中を上へとたどる..
「白石には興味ある」ブラのホックを外した。
その手を前の膨らみに滑り込ませて包むように揉む。
インナーをブラごとたくしあげれば露になる乳房。
谷の部分から舌を這わして山へ持っていく。
頂にたどりつけばちゅ、と音を鳴らして吸った。
今までずっと我慢していたのか、白石の口から短い甘い声がやや大きく響いた。
お腹にちり、とした痛み。藍沢はそこに唇を落としていた。
更に白石の体を反転させ、背中にも舌を這わして
時おり吸い付いて朱い痕を散らしていく。

「ひ..ッ‥あ、ヤメッ‥だめ、」

片方の手のひらでは胸を揉んで、
もう片方はパンツスーツの中に手を入れて尻や太股を愛撫する
唇は依然彼女の背中。
「あっ、‥や‥ッあ、」
必死に声が出るのを堪えるも、白石の体は気持ちがいいと判断して
声が漏れる間隔が徐々に短くなる、頭が白くなっていく
ぐるりともの凄い力でまた体を反転させられて、
腹への唇の愛撫が再開された
パンツの中にも藍沢は手をかけ、割れ目をなぞる。
すでに潤いきっているそこは藍沢を悦びへいざなう。
一番敏感なところに触れれば子犬が鳴いたような声が聞こえた。
藍沢は白石の中に指を入れて、しばらく穴を広げるように無造作にかき回した。
荒々しいようで、でもその器用さはもろに白石を翻弄する。
快感で足が震え、力が抜けて床に落ちていく白石。
声の大きさが扉の向こうに聞こえてしまうか気になるくらいになり、
藍沢は白石の口を手で塞ぐ。指をもう1本入れて
抜き差しを繰り返そうとしていた。白石は無条件に涙が零れてくる。

彼はどういうつもり、こんなところで‥
グッと握っていた拳をそのまま振り下ろしたら
藍沢の頭をかすって肩に直撃した。「イテ‥、」

白石は振り絞った力で藍沢を押しやって隙間を作った。
涙をぬぐって捲りあがったインナーを下ろし、締めつけのない自分の胸元を抱える
肩を上下に揺らして乱れた呼吸を整えながら。