【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合32

このエントリーをはてなブックマークに追加
601marumaru
ぎふとさんの新作キター!!!
待ってたんッスよー!!
もう、マジGJですよ
602せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/08/10(日) 01:01:36 ID:oZMvoDD7
はい皆様こんばんわ。
鋭意ゼロキャラを3Dカスタム某で作っているせんたいさんです。

学院キャラは結構それっぽくできるんだけど、マントとか杖のMODが欲しいお…。
せっかくタバサがいいかんじにできたんだから…

と、前口上はともかく。『猫と七夕』シエスタ編投下します。
でも途中で終わってるのよね。なんでだろ〜
603猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/10(日) 01:02:11 ID:oZMvoDD7
シエスタは道に迷っていた。
慌てて窓から飛び出たのはいいが、シエスタは王宮の構造を良く知らなかったのである。
執務室のすぐ下は渡り廊下の屋根で、そこから飛び降りるには猫の身体でも少々勇気がいる。

…ち、違う所から降りられるわよね…?

とりあえず渡り廊下の屋根から飛び降りて中庭に着地するという案は保留にして、三毛猫のシエスタは渡り廊下の屋根を伝い、隣の棟の、庇の上に飛び移る。
軽くなった身体のお陰で、人の歩く幅ほどの間のあるその庇の上に、シエスタは容易く飛び乗る。
庇は等間隔に並んでいて、少し進んだ先に、大きな木が生えていた。
その木の枝の根元は馬の脚ほどに太く、飛び乗るにはちょうどよさそうだ。
シエスタはその木の所まで駆けていき、そして適当な場所に狙いをつけ、勢い良く飛び乗る。

ばき。

え。

しかし目測を誤ったのか、シエスタの乗った枝は途中からぽっきりと折れてしまう。

「ふに!?」

空中で慌ててバランスを取る猫のシエスタ。
四本の脚を地面に向け、軽く上半身を前方へ。
空気の抵抗で斜めに傾いたシエスタは、前足から地面に落ちていく。
そして全身のバネを使い、衝撃を吸収する。
たす、と殆ど音も立てず、シエスタは中庭の芝生に着地した。
その横に、折れた枝ががさがさ、と落ちてくる。

「何者だ!」

それを聞きつけたらしい一人の衛視が、王宮の窓から顔を出す。

「なーーーーっ!?」

思わず驚き、声を上げて逃げ出すシエスタ。

「…なんだ猫か」

衛視は三毛猫と折れた枝を確認し、窓の内側に顔を引っ込める。
その引っ込んだ衛視の目の前を、アニエスがすたすたと歩いていく。

「…いい加減ちゃんと文字くらい読めるようにならんものかな。
 もう一介の騎士なんだから、全く」

だらしない弟を持った姉のような口調で、ぶつぶつ独り言を言いながら。
604猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/10(日) 01:02:43 ID:oZMvoDD7
大回りをしたせいで、シエスタが王宮の外に出られたのは、昼を回ってかなり経った時刻のこと。
遅めのお茶の時間になってようやく、シエスタは西門から王宮の外へ出られた。

…サイトさん、どこかしら…?

彼が王宮にいないのは確認済みだ。
門衛の兵士が、字を読み違えて明日の予定を今日と勘違いした間抜けな黒髪のシュヴァリエの噂話をしていたからだ。
シエスタはトリスタニアで才人の行きそうな場所を考えてみる。
おそらく彼は今夜、王都で一泊するだろう。
空は曇天で今にも降り出しそうだったし、一度学院に戻るよりは王都で宿を取って明日もう一度王宮に出向いた方がいいはずだ。
そうなると、彼の今夜の宿が問題。
きっと彼は、今小銭くらいしか持ち合わせがないはず。
そうなると、彼が向かうのは、タダ、もしくはタダ同然で泊まれる場所、ということになる。
シエスタはすぐにピンときた。
王都の繁華街、チクトンネ街にある、自分の親戚の経営する酒場。
以前、ルイズと才人が女王の密名により平民として働いていた場所。

『魅惑の妖精亭』。

そこにいけば、きっとサイトさんに会える。

そう確信した三毛猫のシエスタは、チクトンネ街への道を走り始めた。
そのシエスタを追う様に、雨粒が石畳を叩き始める。

そして、雨が本格的になり始めた頃。
シエスタは濡れ鼠になる前に、『魅惑の妖精亭』に着くことが出来た。
まずは、酒場の脇にある厩舎を確認。
才人の乗ってきていた馬がいないか、確認するためだ。
いた。
シュヴァリエの紋章の入った鞍を外され、飼い葉を食む、才人の愛馬が厩舎の隅にいた。
シエスタは才人がもう酒場の中に入っていると確信した。
そのまま屋根で雨を避けながら、押し戸の下を潜り抜け、開店前の前準備を始めている『魅惑の妖精亭』に入り込む。

「…間抜けだねえ、相変わらず」
「相変わらずは余計だっつーの。それよりさ、屋根裏貸してくんない?」
「…いいけど、交換条件つきだよ?」

聞きなれた、従姉妹と主人の声。
開店準備中の酒場の隅で、ジェシカと才人が仲よさそうに話しをしている。
どうやら、才人の宿の無心に、ジェシカが何か条件を突きつけようとしているらしい。
シエスタはその傍に寄っていく。
605猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/10(日) 01:03:16 ID:oZMvoDD7
「…なんだよ。俺明日用事があるからあんまムチャはできないぞ」
「うん分かってるよ。だからさ。ディナータイムが終わるまで、皿洗いしてくんないかな」
「待て待て!一番忙しい時間に働けってか!」
「…何言ってんの。一番忙しい時間だから人手が欲しいんでしょうに」

どうやら、繁忙期の皿洗いがその交換条件のようだ。
シエスタはそんなやり取りを聞きながら、才人の少し後ろに控える。

「分かった、分かりました。手伝えばいいんだろ」
「さっすがサイト君いい男っ!惚れ惚れするねぃっ!」

気安くばしんばしんとシュヴァリエの肩を叩きながら、酒場娘は労働力を手に入れたことに満面の笑顔になる。
そして、気安く肩を組むと、これから始まる労働にうなだれる才人に、語りかける。

「あ、そういや今日は一緒じゃないんだね」
「へ?あ、ルイズ?」
「…もだけどさ。シエスタ。連れて来てないの?」

その声と同時に。

ぽふん。

才人のすぐ右斜め後ろで、そんな軽い音とともに、薄青い煙が沸きあがる。
二人がその音に反応して後ろを向くと。
そこには、シエスタがいた。
ただし、いつものメイド服に、頭に三毛の猫耳、いつの間にか大きくスリットの入ったスカートのお尻から、三毛の尻尾の生えた。
シエスタが、きょとん、と驚いた顔で立っていた。
それ以上に、ジェシカとサイトは目を点にしていたが。

「…シエスタ…?なんでここに?
 っていうかその格好は…?」

驚く従姉妹に、シエスタは状況を飲み込むと。
叫んだ。

「ジェシカが呼んだら意味ないじゃないのーっ!」

いよいよ二人は目を点にする。
いきなり猫耳で現れて、いきなりそんなことを言われても。
何のことやらさっぱりであった。
606せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/08/10(日) 01:04:17 ID:oZMvoDD7
以上。続きは明日以降。
んじゃねゆ。ノシ
607名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 01:11:56 ID:uEOIWkSj
一番槍ぐっじょぶ!

ジェシカwww
608名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 01:12:50 ID:perwJFoE
>>606
新作GJ! つーかシエスタカワイソス
折角サイトの一番(まあせいぜい他の女性達に対する一時的なアドバンテージ
を得る程度)になるいい機会が従姉妹せいでぶち壊しww
609名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 01:32:55 ID:8kyhTnM9
GJ!!
へんたいさんがロリコンの癖にアニエスが大好きなことが良く判った。

にしてもシエス子は原作といい扱いが不憫だなぁ(´;ω;`)
610名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 01:51:34 ID:XiRD6m6Z
シエシエがっかり可愛いよシエシエ
611名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 03:03:07 ID:GZ2OPHfa
4作目に入って、作者もいい加減厭きてきてるということもあるのか、
猫シエスタとサイトのふれあいイベントががっつり切り落とされててクソワロタ
612名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 09:08:43 ID:JXc9I5Np
いや、マテ!
これは3Pフラグという、へんたいさんの罠だ!!
613名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 13:24:10 ID:rUZhFpKY
>>611
パターン化したくなかったんじゃないかな
同じようなシーン繰り返しだと下手なえろげみたいじゃないか
614名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 14:00:36 ID:HZ0uWsH7
>>612
わ、罠だって!?
そりゃいかん、急いで準備しないと。
615名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 16:25:02 ID:3kKTOGMX
いや、待て待て

そう思わせることが罠かもしれん…

ここは次の投下まで裸正座で様子を見ようではないか
616名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 17:56:37 ID:bqaNd3b9
んじゃその間に
『アメリカンジョーク風ゼロの使い魔』


 白昼の学院の庭。二人は相変わらずにぎやかである。
 「だからそうじゃないって言ってるでしょ。
あんたねえ、一体何遍言ったら分かるのよ。」 
 「ったく、なんでこういっつもやかましいかなあ。
相変わらずチビで能力ゼロのくせに。」
 「ごご御主人様に何て口の利き方!このバカ犬〜〜っ!」

 そこにたまたま居合わせたコルベールが二人をたしなめた。
 「こらこら、君たちの口論はいつも聞くに堪えない。
喧嘩するほど仲が良いとは言うが、せめてもっと穏当な表現を使いたまえ。」
 
 「んな事言われても…。じゃ先生、どう言えば良いんですか?」
 
 「そうだな。今後は政治的に正しい表現を使ったらどうかね。
『垂直方向に試練を受けている』とか、『能力が自然数にすら達しない』
とか、『頭脳に努力を要する犬』とか、そういった表現だよ。」

 なるほどと納得した二人。
 「分かりました。これから気を付けます。
ありがとうございます、頭髪が残酷な状態になっている先生。」
617名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 18:59:07 ID:perwJFoE
>>616
遠まわしに禿げ頭を表現するとそうなるわなww
あなたのSSを読んで昔読んだ「政治的に正しい御伽噺」
という本を思い出した
618名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 19:01:46 ID:IVqjpiry
その後のコルベール
「黙れ!ゼロのルイズ、ついでにそこのバカ犬も!!」
619名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 19:26:06 ID:1I7g6hKb
さて、せんたいさんが投下する前に自分が見た変な夢でも一つ。

「風雲!トリスタニア城」という、賞金100万エキューを賭けたイベントが行われる。

ルイズは国境の壁で才人に踏み台にされ、タバサは悪魔の館で悪魔に追い掛け回され涙目。
竜神池は、名前の割りにきゅいきゅいが何もせずに池にドボン。
ベッドでベットリでは、キュルケとコルベールが抜群のコンビネーションを見せる。
すもうでポンは、相手に脅かされただけでマリコルヌがあっさり負ける。
ジブラルタル海峡に挑戦中のテファは胸ばかり狙われ、これは玉RANではギーシュが岩に轢かれ死亡。
最終戦がアンリエッタとアニエスによるカート戦。

とりあえずこんな展開だった。
620名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 19:41:59 ID:ZtznwztM
うん、カオスだね。
学院対抗クイズ大会−それはハルケギニア中の魔法学院が一堂に会しどこの学院が一番かを競うという
4年に一度の祭典だ。魔法学院なのになんでクイズ大会か、それは数年前まではいっぱしの魔法大会だ
ったが開催する度に死者がでたり蘇生したり死者がでたり蘇生したり王大成死亡確認!!されたりして
色々と問題があったため平和的にクイズ大会になったのだ。

我らがトリステイン魔法学院は今までこの大会にていい所まで行くも優勝はできなかったのだが、今年
は優秀な生徒が揃い優勝が期待されていた。案の定、各種目において好成績を収めて他の学院を大きく
引き離して見事優勝した。今回はそのハイライトをご覧いただこう。

「押すなよ!!絶 対 に 押 す な よ ! !」

そう叫ぶのは我らがマリコルヌ、現在行われているのは熱湯に漬かりあがるまで時間を稼いで稼いだ時間
で数多くの問題をこなすという『熱湯クイズ』。期待されていたキュルケが早々にあがってしまい一回目
の挑戦ではあえなく最下位に終わってしまったため、最後となる二回目の挑戦で数多くの時間を稼ぎ逆転
をしておきたいトリステインチーム、二回目の挑戦においての入浴者マリコルヌに最後の期待がかけられ
ていた。ビキニパンツに着替え熱湯風呂でを前に身構えるマリコルヌ、そしてその後ろで構えるレイナール
とギムリ。二人の手つきは今まさにマリコルヌを突き落とさんとする手つきであった。そして、入浴開始
のホイッスルが吹き鳴らされる。しかし、マリコルヌ動けず。キュルケが漬かった後ならばこの男は喜ん
で漬かりに行くはずなのだが、いかんせん熱湯から沸き立つ湯気に当てられ物怖じしているようであった。
が、皆の期待を裏切るわけにもいかずとうとうマリコルヌは決心をして飛び込もうとした直後である。

ドン!

非常にも後ろに控えていた友に押されマリコルヌは熱湯に叩き落されてしまった。
「熱っ!!熱っ!!」

とうぜんの事ながらのた打ち回るマリコルヌ、ばしゃばしゃと熱湯が周りに降りかかる。それに被害を被った
のは後ろに控えるレイナール達。熱湯を浴びて悶え体のバランスを失う。当然、レイナールとギムリはバラン
スを崩し熱湯へどぼん、脱出しかけていたマリコルヌは二人が入ってきた事で浴槽の底に沈む。その姿はまさ
に阿鼻叫喚の地獄絵図、コルベールは心配しキュルケは呆れ才人は爆笑した。
そうこうするうちレイナールとギムリが這い出る、マリコルヌもぐったりしながらも這い出てきたが、そのまま
仰向けで寝転んでしまう。

「大丈夫か!マリコルヌ!!」
「今、助けるぞ!!」

レイナールがマリコルヌの体を押さえ、ギムリが腹を押す。するとピュッピュッとマリコルヌの口から水鉄砲の
ごとく吹き上がった。

「死ぬかと思った…訴えてやる〜」

全ての水を吐き出しゆっくり起き上がったマリコルヌはそう叫んだ。
結局ここで稼いだ時間が元でこの種目は勝利を収める事ができた、三人で熱湯に飛び込むのは卑怯だとの声も
あがったが、熱湯に漬かった者を何人かで押さえつけていたチームもあったため別に反則ではないという評価
が下された。

その後も『間違ったら空中ダイブ!逆バンジークイズ!!』においても間違ったマリコルヌが服だけ残して空に
飛んでいくなどの奇跡を起こして芸術点を勝ち取る、『落ちたらアウト!!早押しトリモチクイズ』においては
タバサが眼鏡と共に落ち脱出の際眼鏡のレンズが外れて枠だけになる、テファが落ちるも着ていた服が引っ張ら
れてサービスショットを見せるなどの高ポイントを獲得していった。
そういう様な事もあり、稀に見る盛り上がりの中トリステインチームの優勝という事で今大会は終了したのである。
なお優勝チームには唐草模様のマントが学生分送られた。
623アトピック ◆Xz18YlHQYY :2008/08/11(月) 15:12:26 ID:Y38MFnLS
なんか風雲城と聞いて思いついてしまった。
人間クイズも書いてみたけどちょっと気持ち悪くなったのでそこはカットした。
ライトのはずだったんだけどな…。

とりあえずSASUKE的なものであればテファとかシエスタとかアン様が胸を
ブルンブルン弾ませてくれると思いますよ。
624名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 17:24:07 ID:g78rvIUj
GJ
なんか、マリコルヌがダチョウ倶楽部の上島みたいで吹いたw
625名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 19:00:02 ID:TLncAVWI
>>623
GJ! つーか他人の妄想でSSを書けるのは普通にすごい
626名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 19:12:19 ID:6nvqokeh
あらゆる原作自体が作家の壮絶な妄想といえなくもないがな
627名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 19:33:59 ID:ZFMT9Z0P
二次創作なんて自慰呼ばわりされるぐらいだからな。
そうして飛び散った精液の中にも、飲みたい精液と飲みたくない精液、
浴びたい精液と浴びたくない精液があるわけで。

要するにこのスレの職人にだったらぶっかけられてもいいってことだな!
628名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 20:09:22 ID:1JYcLalI
↑さすがに限界越えてキモイぞ
629名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 20:19:19 ID:TLncAVWI
>>627
ここの職人さんを褒めてるのは理解できるが表現がアレすぎるぞ
630名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 20:25:43 ID:W3AEF80n
ようやく規制が解けた

頑張ってルイズ物書いてくるノシ
631marumaru:2008/08/11(月) 21:35:35 ID:7ktH0wYM
W3AEF80nさん、頑張ってくださいね
楽しみに待ってます!
632名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 23:59:50 ID:CWqB9aMo
半年(ry
633せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/08/12(火) 00:51:47 ID:AM/EBsTq
すまん。まず謝っておく。

息抜きのつもりで書いてたらいつのまにか猫シエスタほっぽってこんなものができちまった。

ダメな俺を許してくれ紳士諸君。
634ともだち -Side B- ◆mQKcT9WQPM :2008/08/12(火) 00:53:29 ID:AM/EBsTq
「まったく、あの娘は何を考えているのかしら!」

憤りながら、金髪のツインテールが中庭をのしのしと歩く。
少し前なら、取り巻きの生徒や空中装甲騎士団が、彼女の周りを固めていただろう。
だが、今はその影もない。
片方は彼女からおこぼれを期待できなくなったため。もう片方は、彼女が必要ないと言ったからだ。
彼女が変わったのは、学院にやってきたハーフエルフのせい。
異端審問にかけたハーフエルフに、彼女は逆に諭された。
優しい言葉に彼女はそのハーフエルフに心酔した。
父以外の人物を心から尊敬したのもこれが初めての事だった。
そして。
もう一つ、彼女、ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ嬢が変わった事。

「ほんとに、いっつもふざけて!タニアさんったら!」

平民の、それも自分と大して変わらない女の子と、対等に話す様になった事。
最初は、ティファニアのおまけのいけ好かない平民、という扱いだった。
しかし、事あるごとに自分に突っかかり、そしてからかい、面倒を見てくれるタニアに、いつの間にか。
ベアトリスは友情を感じるようになってしまったのである。
何の打算も抜きで、しかも下手をすれば不敬で逮捕されてもおかしくないのに、タニアはベアトリスに近寄ってきた。
それは、タニアから見てもベアトリスはお子様で、ウエストウッドの子供たちの面倒を見ていたタニアは、彼女を放っては置けなかっただけなのであるが。
しかし、本当の理由を話さず、自分と心地よい距離を保ちながら付き合ってくれる彼女を、ベアトリスはともだち、と想っていた。
そして、ベアトリスが怒っているのは、タニアがいつも彼女を『ベアちゃん』と呼ぶ…からではない。
ベアトリスが、ある噂を聞きつけたからだ。

『一年の男子にやたらモテている、平民のメイドがいる』

ベアトリスはすぐにピンときた。
タニアのことだ。
面倒見が良く、さらに仕事の手際もよく、傍目には美少女のタニアを、貴族のボンボン共が見初めるのも無理はない。
さらにタニアは誰に対しても態度をほとんど変えず、貴族でも同年代のだらしない子には容赦しない。
この間など、タイの曲がったまま走り回っていた一年の男子を。
『おいこら。そこの男子』と呼びとめ、平民のくせに無礼だぞ、といきがって詰め寄るその男子に。
『タイが曲がっていてよ。こんなんで男下げてちゃ勿体無いゾ』なんていいながら、曲がったタイを直してあげたのである。
その男子は、しばらくの間夢見心地でタニアを目で追い、ぽけーっとしていた。
…正直うらやましい。
じゃなくて!
ベアトリスはそんなタニアの噂を聞くや、いても立ってもいられなくなり、彼女に詰め寄ったのである。

『まーたベアちゃんはお堅いなあ。そんなんだから彼氏できないんだゾ』

とか言いながらはぐらかされ、鼻の頭を指先でこつん、とされた。
怒ったように男子とのことを追求したベアトリスだったが、ひょうひょうとはぐらかされ、今に至る。
635ともだち -Side B- ◆mQKcT9WQPM :2008/08/12(火) 00:54:03 ID:AM/EBsTq
「ほんとに。気をつけないと、平民なんてすぐ貴族の慰み者にされちゃうんだから…!」

その権力を用いて誰も来ない辺境の塔に監禁し。
さまざまな薬や器具を用いて陵辱と調教を施した挙句。
自分の肉奴隷兼メイドとして、一生飼いならすとか。

…タニアさんが肉奴隷…。

たり。

その想像にベアトリスの整った鼻から赤い血が垂れる。

「はっ!?私ったら一体!?か、神よ、始祖ブリミルよ!わ、私はとんでもないことを考えてしまいましたっ!」

その場ですぐさま膝を立て、壁に向かって懺悔を始めるベアトリス。
ごめんなさいタニアさんごめんなさい、ともだちのアナタを肉奴隷なんて私最低ですわ!
なんて何回も何回も始祖ブリミルではなくタニアに心の中で謝りながら。
そんなベアトリスの耳に、風に乗って、近くの窓から話し声が届いた。

『…でだ。あのけしからんメイドについてなんだが』

…けしからんメイド…?
その話声はどこかで聞いた覚えがある。
少し思い出してみる。

『私の妾にならないか?平民では到底味わえない贅沢をさせてやるぞ』
『失せやがってくださいこの疎チン野郎』

彼はタニアに妾にならないかと持ちかけ、にっこり笑顔でどぎついお断りの台詞を頂いていた。
製鉄業で財を成した成金貴族、ボッティチェリ子爵の次男坊、ルドルフ・ボッティチェリ。
その気障で高圧的な物言いとそれなりにいい見目で、『ギーシュMk2』と呼ばれる男子生徒であった。
まさか!
あの成金貴族、私のタニアさんに復讐するために、拉致監禁の上処女のまま調教しまくって自分から『私の初めてご主人様にもらって欲しいのぉ』とか言わせるつも
そこまで考えて、またたり、と鼻血が垂れる。
ごめんなさいごめんなさいタニアさんごめんなさい、とまた心の中で謝って、ベアトリスは窓辺に拠り、その話に耳を傾ける。
部屋の中には、複数の男子生徒がいるようだ。
このどれもが、きっとタニアさんに恨みを…!
ベアトリスは、いよいよその話に耳を傾ける…。

「まずだ。最初に行ったのはリオーネ。君だったね?」
「そうだよ。ボクは『ボク専用のメイドになってくれ』って勇気を出して言ったんだ。そしたら…」
「そしたら?ど、どうしたっていうんだい?」
「そしたら…そしたら彼女、ボクをまるで便所虫を見るような目で見つめて…」
「おおう」「そ、それは…」「平民娘とは思えない…」
「『尻尾まいてお帰りください♪チンカス童貞貴族♪』ってドスの効いた声で、言ってきたんだ…」

聞き耳を立てていたベアトリスは思わずガッツポーズ。
さすが私のタニアさん!貴族相手に全く引かないその態度!そこに惹かれる憧れるゥ!

「な、なんと」「ひどい、じつにひどい」「なんて汚い罵りの言葉だ」
「ふん、キミなどまだ甘いね」
「な、なんだよ、ルドルフはもっと凄いのを言われたって言うのかい?」
「え」「マジか?」「すげえ、ボッティチェリに向かって」
「私など、『妾にしてやる』と言った瞬間にだな」
「ちょ、おま」「まてなんでお前いきなり妾かよ!」「抜け駆け禁止じゃなかったのか!」
「全身くまなく軽蔑の視線で嘗め回された挙句にだな」
「え」「ま、マジっすか?」「す、すげえ、マジすげえ」
「『お帰りになってくださいませ。包茎疎チン野郎』ときたもんだ!」
「「「「おぉぉ〜う…」」」」
636ともだち -Side B- ◆mQKcT9WQPM :2008/08/12(火) 00:55:01 ID:AM/EBsTq
そこまで聞いてベアトリスは異変に気付いた。
おかしい。この男どもの声。
そう。
男子生徒の声には、怒りが一切含まれていなかったのだ。
それどころか。
罵声の報告を聞いた男達の声には。
なんと。
あからさまな、羨望の溜息が混じっていたのである。

「いいなあ、ルドルフ羨ましいなああ」
「俺もあの鈴を転がすような声で、思いつく限りの酷い言葉で罵られてええええええええええ」
「ぼ、ボクはあの侮蔑の視線が、あのたまらない冷たい視線が忘れられなくて、ああ!」
「いいよなあ、タニア…いやタニア様だ」

ぞくり。
その恍惚とした声に、聞き耳を立てていたベアトリスの背筋に、悪寒が走った。

「よし、紳士諸君。もう一度我らの誓いを確認するぞ」
「「「応!」」」
「ひとつ!」
「我らが女王に掛けられた侮蔑の言葉は、きちんと余さず団員に告げること!」
「ひとつ!」
「行為を以って応ぜられた時には、最高の名誉と心得よ!」
「ひとつ!」
「行為を受けた者は、その詳細を感想も含めた上で文面に残し、団員へと手渡す!」
「ひとつ!」
「抜け駆けは禁止!タニア様をお傍に置けるのは選ばれし勇者のみと心得よ!」
「最後に、我々は何だ!」
「我々は!」「我々こそは!」

「「「『タニア様に踏まれたい団』であるっ!」」」

…病気だ。この男達は病んでいる。
しかしベアトリスは恐怖のあまり、その場を動けないで居た。
そして。
悲劇はさらに加速する。

「…ふふ。甘いな君たちは」
「あ、あなたは!」
「で、伝説の変態紳士…!」
「罵られるために生まれ、そしてそれを無上の快感とすることのできる、生まれながらの天才…!」

「「「マリコルヌ・ド・グランドプレ先輩!」」」

「甘いなぁキミタチは。特に侮蔑される対象を特定しているところが甘い」
「…で、でも、タニア様以外で僕たちを踏んでくれそうな女性って学院には…」
「いるじゃないか。ほら、そこに…」

そして。
窓は開け放たれる。

「あ、あなたは!」
「クルデンホルフ姫殿下!」
「ま、まさか今の、聞かれてた…?」

盗み聞きをしていたベアトリスに突き刺さる、五つの視線。
ぞわり、と生理的な嫌悪がベアトリスの背筋を直撃する。
637ともだち -Side B- ◆mQKcT9WQPM :2008/08/12(火) 00:55:42 ID:AM/EBsTq
その目の前に。
音すら立てず、ふわり、とマリコルヌが着地する。

「ひ…!」

真っ青な顔で後ずさるベアトリス。
しかし。
その丸い肉の塊は、一瞬で間合いを詰めてきた。
そこから臭う、たまらない男の汗の臭い。夏場の熱さに、この肉だるまは全力で発汗していたのである。

「さあ、準備は出来た」
「い、いや…!」
「罵ってくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「いやぁぁぁぁぁっ、キモイ臭いキモイ暑苦しいっ!寄らないでこの肉ダルマあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ごしゅ!

ベアトリスが無意識で放った膝蹴りは。
見事にマリコルヌの股間を直撃していた。

「あひゅ……らいふ…いず…わんだほう…!」

その衝撃を伴った快楽にぐりん、と目を回し、マリコルヌは事切れる。

「先輩!?」
「マリコルヌ大兄っ!?」

次々に窓から飛び降り、マリコルヌを開放し始める一年男子。
しかし。

「ぼ、僕はいい…!さあ、紳士諸君、そこの姫君に想う様罵ってもらいたまえ…!」

はっとして四人が振り向くと。
そこには、全力で走り去る金色のツインテールがはるか遠くに居た。
そして四人は新たなる誓いを立てる。
その日、『タニア様とクルデンホルフ姫殿下に蹴って貰いたい団』が新たに結成されたのだった。

ベアトリスは、走りながら想った。
この狂った世界で、タニアさんとお姉さまを守れるのは私だけ。
腐って汚れて穢れた男どもなんかに、私のおともだちとお姉さまを渡したりなんかしない。
そんなことを考えながら、半分なきながら、混乱しながら、ベアトリスは中庭を駆けて行った。

*追記*
タニアを心配するあまり、それからしばらくの間、ベアトリスはタニアを徹底的に尾行した。
その際、尾行するベアトリスを発見したタニアに浴びせられた『最近のベアちゃんキモーい』と言う言葉に、何故か胸をキュンとさせてしまうベアトリスだった。〜fin
638せんたいさんnot/rori:2008/08/12(火) 00:56:28 ID:AM/EBsTq
言い訳はしねえ。俺オワットルorz
猫シエスタ書いて癒されてくるぉ…ノシ
639せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/08/12(火) 00:57:44 ID:AM/EBsTq
しまったまたやっちゃったZE

欝だ詩嚢orz
640名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:02:46 ID:4Y4hz7DT
ほんとにシエスタのシの字も無くてワラタ
でもGJw
641名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:02:58 ID:n+eqvxYf
…なんかもうね、なんて言っていいのかわかんないよ
筆舌に尽し難いとはこの事なんだろうね




へんたいさんはやっぱりへんたいさんですたwwwwwwwwwwwwwwwww

642名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:04:19 ID:Fld5oj1E
起きててよかったGJJJJJJJJJ!! 変態紳士万歳!
でもってドンマイへんたいさん
いやアニメのベアちゃんは本当に可愛かった脳内補完されました
643名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:10:00 ID:VBMbFumj
乙でし、乙でし。
>>633
反省文として妄想inベアちゃん脳裏を仔細に。
あ、猫シエスタも忘れずにね♪

あと
>マリコルヌを開放し始める一年男子。
奴にはまだ閉ざされた部分があるというのか・・・っ!
644名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:14:18 ID:n+eqvxYf
漢ってのは誰でも心の中にマリコルヌを飼っているんだよ
645名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:20:13 ID:9xbUVpRH
>>639
魔法学院は社会不適応者の巣窟じゃねーか
こいつ等全員一生外からだしたら駄目だろ
GJ!
646名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 01:34:41 ID:9xbUVpRH
>>645
× 外から ○ 外に
夏の暑さで呆けたのか俺はorz
647名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 02:09:07 ID:MV3MfcyI
>>643
マリコルヌは彼の使い魔クヴァーシルのウェイクアップという掛け声とともに理性という名の鎖を解き放ち、
封じられた変態性欲の爆発による必殺技「ダークネスマゾブレイク」を放つことが出来るのだ!

という電波が降ってきた
648名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 05:16:31 ID:KThhWSwA
>>638-639
ずいぶんとずうずうしいトリップ使ってたんだな(笑

not/rori改めrealマリコルヌ乙。
649名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 08:03:38 ID:5obwKKD/
not/roriだと!?
650名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 08:36:33 ID:gF8X2Wln
そしてyes/pedoへ…
651名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 10:16:34 ID:cBKc7EF5
最強だマリコルヌ。
いろんな意味で最強だ。
652名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 10:19:04 ID:cBKc7EF5
not only rori but also hentai
653名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 17:39:57 ID:ywUNVfKA
流れが止まったので
『アメリカンジョーク風ゼロの使い魔』

 コルベールの部屋を訪れたサイト。
 「コルベール先生、魔法で俺をもっとしっかりした存在に
変えて下さい!」

 「ふむ…。難しい注文だな。また何だって急にそんなことを
言い出すんだね、サイト君。理由を話したまえ。」

 「実は俺、このままじゃいけないって気付いたんです。
もっとルイズのそばに寄り添って、そして時には体を張って護衛したり、
ルイズの機嫌が悪い時でも優しく受け止められる包容力を身に付けて、
そうしてルイズに必要とされる存在になりたいと思うんだ。
先生、お願いします!」

 コルベールは感慨深く頷きながら言った。
 「なるほど、君の彼女を思う心は良く分かった。そういうことなら、
うまくいくかどうかは分からないが、試しにやってみよう。」
コルベールは呪文とともに杖を力強く振り下ろした。

 次の瞬間、サイトは生理用ナプキンに変身した。
654名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 17:42:38 ID:vw0jzeRq
ルイズはまだきてnうわ、何をすくぁwせdrftgyふじこlp;@
655名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:10:38 ID:wkbngYsm
いや、流石に16だし来てるだろう
656名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 18:28:26 ID:9xbUVpRH
ハルケギニアの一年は確か384日だから16歳でも実質地球換算だと
17歳とそう変わらないから多分きてないほうがおかしい
つーかナプキンなんてトリスティンで売ってるのかよ?
657名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:01:57 ID:FjJMjIwV
アニエス始め、女性が従軍する社会ということを考えると、
ナプキンではなくても手早く処理できる何かを開発済み。
658名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:36:01 ID:CPmrfc+x
その辺どうなんでしょうか、解説のマリコルヌさん
659名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 20:37:24 ID:ItN/38+x
使用済みのを1000個ほど持ってるってさ。
660名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:34:00 ID:wkbngYsm
そこまで行くと単純に気持ち悪いな。
661名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 21:47:53 ID:ItN/38+x
>>660
そういうことマリコルヌに言うなよ! 悦ぶからさ……
662名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:11:20 ID:mg+IkfDo
ナプキンなんてノーマルの俺にはどう使えばいいのかもわからないです!
マリコルヌ先輩!どうかご伝授を!
663名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 22:40:40 ID:euYz/RLc
かぐんだよ
かぐの
ほかにもあるけどさすがにそれをいうのははばかられる
664名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:02:37 ID:3v6/qBKv
両手なべに入れてだなぁ、ぐつぐつと…




これ以上は危険すぎて言えない
665名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:07:21 ID:PcdbqyjX
このスレにマリコルヌは何人いるんだw
666名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:17:12 ID:4Y4hz7DT
だがこのスレにクラスメイトの為に隣国へ潜入する勇気のある人間が
いるのかというと、激しく疑問。

ただの変態ポッチャリじゃないぜ、マリコルヌは。
667名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 23:18:55 ID:M5p55Z7v
だってリアル隣国へ行くとき必要なのは勇気じゃなくて、あきらめだし
668ぎふと:2008/08/13(水) 03:32:38 ID:CknTbown
空いてるみたいなので、続き落とします。
669王様GAMEと三角形:2008/08/13(水) 03:33:30 ID:CknTbown

 そんな風にルイズが落ち込みながら自分の髪と格闘していると……、体がいきなり宙に浮いた。何ごとかと思えば、才人が自分を担いでベッドに運ぼうとしているではないか。
「ちょっと! やだ離してってば! サイト!?」
 ルイズは手足をばたつかせて叫んだ。
 だが毎日の訓練の成果をナメてもらっちゃ困る、本気を出せばルイズなど片手でひねられる才人である、力任せにルイズをベッドに運んだ。
「ちょっともう、やめてよ!」
 ところが聞いちゃいない。うちのご主人様ってばまったく照れ屋さんなんだからーほんと素直じゃないんだからーまあそこが可愛いんだけどねー、とワケのわからない独り言を呟きながら、一気に押し倒しに入ろうとする。
 片手で肩を押さえつけ、もう片手をネグリジェの中へもぐりこませ、首筋に顔を寄せたところで、
「なに! して! るの! よッ!」
 とうとう堪忍袋の尾を切らしたルイズのぐーの拳が、才人のわき腹に炸裂した。ぐはぁと断末魔の叫びを上げて才人はくず折れた。
「ってぇ……。いきなりなんだよ! お前から誘ってきたんじゃねえかよ!」
 才人は抗議した。納得がいかなかったからである。そっちから誘っておいてなんだよってな具合である。
「誰が誘ったのよ! いやらしいコトばっかり考えて、血迷ってんじゃないわよ!」
 ルイズも負けじと抗議した。珍しく早く帰ってきたと思えばまたすぐ出かけるって言うし、そのくせいきなり襲い掛かってくるし、ほんと何考えてんだかわかんないって具合である。
 しかも、恥ずかしい思いであんな格好までしたのに、「似合う」とか「可愛い」とか「着てくれて嬉しい」とか何の一言もなかったことにも腹が立った
 頭に血を上らせた才人は、大声で怒鳴りつけた
「あんな格好見せられたら、誰だって誘ってるって思うに決まってるだろ! それともなんだよあれか? ご褒美ってやつ? 忠誠に報いて見せてあげてもいいわって? ナメんじゃねえよフザけんな! そんなもん恵んでもらわなくて結構ですから!」
 ルイズも怒鳴り返した。
「何がご褒美よ! ご褒美もらえるようなことなんて何もしてないじゃない! あっちフラフラこっちフラフラ、部屋にも戻ってこないくせに、ろくにご主人様の相手もしないくせに、あんたなんて使い魔失格なんだから!
クビよクビどっか行っちゃいなさいよ! 二度と戻ってくるんじゃないわ! いーっだ!」
 真正面からにらみ合ったまま、二人は視線に火花を散らせた。
 そのまま続く言葉を見つけられず、しばし沈黙の時間が流れた。

670王様GAMEと三角形:2008/08/13(水) 03:34:13 ID:CknTbown

 それからようやく……、ルイズが口を開いた。
「いいから、もう行きなさいよ」
 ひどく素っ気ない声でこう言うと、ぐーの形に握りしめた手を才人の目の前に突きつけて指を開いた。
「友達を待たせてるんでしょ。これ持ってさっさと行けば?」
「え?」
 そこでようやく才人は、“王様ゲーム”のことを思い出した。
 今の今まで、綺麗さっぱりと忘れてしまっていたのである。
 言われるがままそれを……、ルイズの髪の毛を指でつまんで取り上げてみると、それはどこまでも長くふわりと宙に舞った。才人はそれを大事にズボンのポケットに収めた。
 それから一度立ち上がりかけた才人だったが、思いなおしたように、再びベッドの上に腰を下ろした。
「なによ、行かないの?」
「いいよべつに。どうせ飲んで騒いでるだけだし。ちょっとぐらい待たせたって、あいつらも怒ったりしねーよ」
 ふてくされたように呟く。
「ふうん。勝手にすれば」
 やはり素っ気無いルイズの声を聞きながら、なんだかな、と才人は思った。
 ゲームの話、かなりいいかげんにしたはずなのにルイズはちゃんと覚えていた。なんか敵わねえな、と思ってしまった。
 そう思ったら、怒りもどこかへ吹き飛んでしまった。

671王様GAMEと三角形:2008/08/13(水) 03:35:06 ID:CknTbown

 一つどうにもわからなかったので、才人はルイズに尋ねてみた。
「で、さっきのはなに。なんであんなマネしたんだよ」
「さっきのって?」
「だからさ、すっげえパンツ見せて、似合うって聞いたの、あれなんのつもり?」
 ルイズの顔がみるまに染まった。
「いいの。あれはもういいから。忘れなさい!」
「よくねえって。あのな、ああいうコトしたらどうなるか、少しはわかれっつうの」
 ため息がでた。まったくこのご主人さまときたら、自分の我慢と努力を少しはわかってくれてるんだろうか。才人は切ない気分にとらわれた。
「どうなるかって、どうなるっていうのよ」
 ルイズは食い下がってきた。
「どうなるって、その……」
 ちらりとルイズを見た。
 身構えるようにこっちを見ている。なんだか毛を逆立てた猫みたいだ。
 試しに肩に手をかけて、軽く押してみた。
 また抵抗されるんだろうと思ったら、すんなりルイズは押し倒された。
 上からのしかかる格好のまま、真正面からルイズの顔をのぞきこむと、ルイズもじいっとこっちを見返してくる。むうっと怒ったような顔つきだ。
 困った。どうしたものかと思い、とりあえずルイズの脇に手をつっこんだ。思いっきり、こちょこちょとくすぐった。
 ひゃうっと声をあげて、ルイズは身をよじった。
「や、ちょっと、なに、すんのよ」
「いいから白状しろコラ。なんであんなコトしたんだよ」
「ひあ、やん、だめ、そこ、だめ」
「言えってほら」
「ない、なんでも、ないん、だから」
「わかったあれだろ。一人でいたらえっちな気分になって、それで俺を誘惑しようって思ったんだろ」
「ちが! ちがうってば! ひゃう」
「それであんなやらしいパンツ買ってきたんだな。そーかそーか」
「ちが、の、もう、やだぁ」
「じゃあなに?」
 手を止めた。ルイズは真っ赤な顔で、息も絶え絶えに体を震わせている。
「だ、だって……」
 しばらく間があった。
 それからルイズは悔しそうに目を細めて、渋々という感じで口を開いた。
「……帰ってこないんだもん」
「はあ?」
「だって、だって、いつも外ばっかり行っちゃって、一緒にいてくれないんだもん。部屋にもいてくれないんだもん。いてもつまらなそうだし、話してくれないし、ぜんぜん相手してくれないんだもん。きっと私のことなんて飽きちゃったんだもん」
 一気に吐き出してから、ぶすっとした顔で横を向いた。
「なんだよ。それで……あれか?」
 はぁ〜〜っと才人は息を吐いた。どうしてこいつはこうも極端に走るんだろう。
「つまり、一緒にいて欲しかったわけ?」
 こくりと頷く。
「なんでそう言わないんだよ」
「だってあんた使い魔だもん。24時間ずっと主人のそばにいなくちゃダメなんだもん。そう決まってるんだもん」
 ルイズはふくれっつらのままで言った。
 なるほど、確かに『使い魔』ってのはそうなのかもしれない。主人が望むならそうするものなのかもしれない。
 けどそれは少し困るな、と才人は思った。
 例えば、ルイズと二人きりで1日を過ごしたとする。いや1日といわず2日でも3日でも、とにかく二人っきりで、どうやって過ごすかなあと試しに想像してみる。
 想像の中のルイズは……、ネグリジェなんか着ていない。もちろん制服も着ていない。そんな状態で何をしてるかっていうと、まあイロイロである。とても口にはできないイロイロである。
 そんなのは想像だけに留めておくべきだ。でないと人間堕落してしまう。
 次に、学園にいる間中、ルイズの後ろをくっついて回ることを考えてみる。ルイズと一緒に昼食をとったり授業のお供をしたり。昔の自分の姿だ。
 ルイズが何かするたびに言うたびに、はらはらする。落ち着かない。そんな自分を皆が好奇の視線で見てくる。昔とは少し意味の違う視線だ。
 ああ、やっぱり無理だ。不可能だ。
 いくらご主人様の望みといえども、使い魔にも『人権』ならぬ『使い魔権』ぐらい認めてくれていいんじゃないだろうか。
672王様GAMEと三角形:2008/08/13(水) 03:36:01 ID:CknTbown

「まあなんだ。これからはできるだけ早く帰るようにするから。ちゃんと相手してやるから。な?」
 ぐりぐり頭を撫でながらなだめるように言うと、ルイズは面白くなさそうに鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「ふんっだ。もういいでしょ。早く行っちゃいなさいよ。みんな待ってるわよ」
 拗ねたように言う。
 そして、くいくいっと才人のパーカーを引っ張った。
 何度もくり返し引っ張る。それからこっちを向くと唇を尖らせて目をつむった。
 きた。才人の心臓がどきんと跳ねた。おねだりきた。
 身をかがめて、軽く唇を重ねる。大事に至らないように。ごく軽く。
 ところが……、手が勝手に動いた。そんなつもりは全くないのに、いけない右手が才人の意思を無視して、ルイズが着ているネグリジェの裾に伸びて……、するりと大きくまくりあげた。
 わ、ばか。何してんだ俺。
「な、何してんのよ!」
 当たり前のようにルイズに怒られた。
「あーだから、その、見せてっていうか、見たいっていうか、さっきのもっかい見せてくれない?」
 口までが反旗を翻した。もう勝手にしろ。なるようになれ。才人は諦めの境地に入った。
「なな、なによ。見たいとか、バカじゃないの」
「だ、だって。俺に見せるために買ったんだろ?」
「ちがうわよ。き、きっとお店の人が間違って入れちゃったのね。ほんと困るわ。後でよく叱っておかないと」
 着ておいて、何をいまさらである。
「だいたい、あんな下品なの貴族の私が身につけられるわけないじゃない。ほんとどうかしてる。似合う方がおかしいのよったく」
「別に……、似合うかどうかなんてあれだけじゃわかんねえよ。もっとその……、よく見ないと」
 ルイズの顔が赤くなった。才人もつられて赤くなった。
「へ、変なことしたら承知しないから」
「見るだけだって。なに期待してんだよバカ」
 なによバカ。同じような台詞を返してルイズは頬を染めてうつむいた。   

+ + +
673ぎふと:2008/08/13(水) 03:37:03 ID:CknTbown
ここまで。
もちょい続きます
674名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 05:17:25 ID:O09hh+Rc
あーちくしょういい寸止めだなもう
675名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 08:27:38 ID:/1TV+YfG
勃起した
676名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 08:32:15 ID:8ePPcNb0
いつまで俺を全裸で待たせるんですかぁあぁああぁあぁ
677名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 11:07:31 ID:+lltma0i
キュンと切なくなった




股間が
678名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 12:06:20 ID:AYnjrvW1
これは23巻あたりに掲載予定ですか?
と聞きたくなるな。続き楽しみにしてます。
679名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 15:19:05 ID:X5dQjtvt
205氏まだかな〜
680名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 18:28:20 ID:RNlL9qcY
Soft-Mさんずっと待ってます
681名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 18:41:38 ID:oBPlyEbK
人が登校したすぐ後にGJも無しで他職人への催促するなよ。
マナー悪いな
682名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 18:46:19 ID:mzdUaTPn
お前は黙ってろ
683名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 20:48:39 ID:X5dQjtvt
>>681
登校→投稿
すぐ後>約10時間も後をすぐ後とはいわないと思います
GJも無しで>GJは強要するもんじゃないと思うよ。それにあなたのレスにもぎふと氏へのGJがないように見えるのですが…
684681:2008/08/13(水) 21:08:02 ID:EQYZ6JDF
>>683
そうだな。少し過敏になっていたようだ。失礼
685名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 21:24:11 ID:SEmxTtbB
では場しのぎに
『ユーモアゼロの使い魔』

晩餐会を終えたルイズが、サイトの留守番する自室に戻ってきた。
合法的に飲酒できる数少ない機会だそうだが、相当飲んだようで、
顔は真っ赤、千鳥足で、呂律も覚束ない。

 「ほえ〜。ワイン飲み過ぎちゃった〜。普段飲まないせいだわ。
今日は疲れたからすぐ寝るわね〜。」
 どうやら今夜は何事もなさそうだ。酔っているのをいい事に
手を出したりしたら、後がどうなるか分かったもんじゃないもんな。

 サイトがそんな事を考えていると、ルイズがいきなり、
 「あ、でもその前に、おしっこ〜。」
 そう言ってスカートをめくり、おもむろに下着を下ろして
その場にしゃがみ込んでしまった。酔った勢いとは恐ろしいもので、
どうやら冗談とも思われない。

 サイトは慌てて、
 「お、おい!ここはトイレじゃねえぞ!って言うか、
男の真前でそんなあられもない恰好するなよ、頼むから!」

 「そうかしら〜?」ととぼけた返事をするルイズ。
「それじゃ、男の真上ならいいでしょ?あんた手伝いなさいよ〜。」
 
 「よしきた!!」
 言うが早いか、サイトは仰向けに倒れ、大きく口を開いて、
しゃがんでいるルイズの股下に顔をもぐり込ませた。
686名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 09:57:58 ID:3fpcnooy
終わりかよw
良いからつずきを書くんだ
687名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 10:24:50 ID:bDBhmXm7
つずき……?
688名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 10:37:36 ID:EC7Jo/sL
サイトが勢い余ってだな、ルイズの恥骨にゴンと頭を…
689名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 10:55:48 ID:aTnmCqrL
そして恥骨にサイトの顔が移りこむ。
690名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 12:56:27 ID:UbSHd3x4
なにそのど根性人面疽
691せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/08/14(木) 22:58:04 ID:rSzOKjGs
さてさて、猫と七夕シエスタ編の続きなんだが。
終わってないのはナニユエでしょうね。お盆のせい?やたらグリグリ動くフルドリライズグレンラガンのせい?
それともプレイ中の『どきどき魔女神判2』のせいなのカァーっ!?

…すんません近日中には終わらせるから許して…。
692猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/14(木) 22:58:48 ID:rSzOKjGs
猫耳のシエスタを見て半ば呆然となったジェシカだったが。
シエスタの発した台詞で現実に戻り、すぐに思考を回転させる。
そして、酒場の女給頭としてのジェシカは、すぐに答えを導き出した。

「シエスタ。今晩あんたウチで女給なさい」
「え?いきなり何?」

ジェシカから見てもシエスタはそんじょそこらの街娘なんぞ比較対象にならないほどいい女だ。
しかも、トリステイン魔法学院でメイドをしはじめてからは、そのレベルはさらに上がっている。
さらに、才人にメイドとして仕えはじめてからは、その魅力はうなぎのぼりだ。
『女』として目覚めた彼女の魅力は、同じ女であるジェシカが一番よく分かっている。
そのシエスタが、事もあろうに猫耳と尻尾を生やしている。
これに、『魅惑の妖精亭』ご自慢のビスチェもどきの女給服を着せたなら。
その価格──────────プライスレス。

「主人のサイト君が皿洗い。だからメイドのあんたはホールで女給。あゆおけ?」

とんとん拍子に進む話に、シエスタ自身が待ったをかける。

「ちょ、ちょっと待ってよ!事情とか聞かないでいきなりそんな」
「事情なんかどうでもいい。可愛い女の子が猫耳生やして目の前にいるんだ。
 雇わない道理がどこにあるっ!」

シエスタの反論にしかし、ジェシカは全く耳を貸さない。
血走った目でシエスタに詰め寄り、力説する。
今、逃すわけには行かない。こんな、巨大な金のなる木を…!

「あ、あの〜。サイトさん〜?」

半分涙目で、隣に控える才人に助けを求めるシエスタ。
しかし。
主人の好色を半ば忘れていたことを、その直後シエスタは実感する羽目になる。

「い、いいんじゃないかなあ」

助けを求める視線から目を逸らし、明後日の方に向かってそうのたまうシエスタのご主人様。
援軍の望めないシエスタは、もう諦めの境地だった。
はぁ、と溜息をついて、ジェシカに言う。

「分かった、手伝うわ。でも今夜だけだからね?」

ジェシカはその言葉を聞いてにんまりと笑う。
今宵の客の財布は、シエスタのお陰でずいぶん紐が緩くなる事だろう。
ジェシカはそうと決まれば、と早速シエスタを衣装部屋へと拉致していった。
693猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/14(木) 22:59:53 ID:rSzOKjGs
ジェシカは己の先見の明とコーディネイトの才能に戦慄さえ覚えた。

「か、完璧だわ…!」

着替えさせている最中に、シエスタが女王様がどうの、猫の指輪がどうの言っていたがそんな些細な事はどうでもいい。
ジェシカは震える指で、最後の紐を綺麗な蝶の形に結ぶ。
少しきつめに締められたトップスで、シエスタの脱いだら凄い胸がぎゅっと締められる様は、とても扇情的だった。
しかし、そんなものは問題ではない。
この程度の破壊力なら、ジェシカでも、むしろ他の女給でも達成可能だ。
その頭に載った三毛の猫耳。それと、ぎりぎりのローライズのお尻から生えた、三毛の尻尾。
あまりにも非現実的なコントラストが、シエスタの魅力を数倍にしていた。

来た!猫耳キタ!これで勝つる!

心の中で喝采し、ガッツポーズを取るジェシカ。
そして、専用のビスチェに着替えさせられたシエスタといえば。

「ちょ、ちょっとジェシカ!何この格好!」

姿見で自分の姿を確認して真っ赤になっていた。
無理もないだろう。シエスタは、いつもの『魅惑の妖精亭』のビスチェを着せられると思っていたのだ。
しかし、今回猫耳のシエスタのためにジェシカがコーディネイトした特別なクリーム色のビスチェはその所々が違っていた。
まず、少しきつめに締められた上着。
普通のそれは女の子が着易いように、胸の下で紐を締めるようになっている。また、背中が大きく開いて、肩甲骨やうなじといった、『背中の色気』を振り撒くようになっている。
しかしシエスタに用意されたそれは違っていた。
胸の下半分だけを綺麗に覆う小さめの布地。あと僅か下に布地がずれれば、桜色の頂が露になるだろう。
だがその先端は少しサイズを抑える事と、ジェシカによってきつめに締められていることで、背中の紐が緩められない限り、その危うい均衡を崩す事はない。
そう、この特別製のビスチェは背中で紐を締める。女の子が自分で上着を着脱しにくくなっている服なのだ。
つまり、着せてもらい、脱がせてもらう服なのである。
そして何よりも。
見せるために履く、と言われる女性の柔肌に例えられる絹製の真っ白な下穿き。
普通のそれは、形こそ様々あれど、ふくよかな女性の尻の頬を余すことなく覆い、給仕の動きで食い込んだりしにくいようになっている。
しかしジェシカの用意したそれは、大幅に違っていた。
下の毛がぎりぎり隠れるほどの、低い低い位置に布の張られたローライズ。
確かに尻の肉はその柔らかい絹からはこぼれていなかったが、まるで皿の上に乗った桃のように、小さな三角形から、シエスタの尻の頬が溢れていた。
その尻の谷間の根元からは三毛の尻尾が生えている。もちろんこの尻尾に下穿きが干渉しないためのこの形、とジェシカは説明した。
だがその本当の目的は明らかに別の所にあった。
それは上着から伸びるスカートが証明していた。
そのスカートはふわりと前に丸く広がっていたが、後ろはその布地がほとんどない。足元に落ちた物を拾おうとすれば、その扇情的な尻尾と三角の布が露になるだろう。
つまり。
シエスタの着替えたその特別製のビスチェは、三毛の猫耳と相まって、ただでさえ男の煩悩を刺激する『魅惑の妖精亭』のビスチェをはるかに越える破壊力を有していた。
ただし、その破壊力は着用者の羞恥心をも著しく刺激したが。

「こ、こんな恥ずかしい格好!サイトさんの前以外できるわけっ…!」

…サイト君の前ならできるんかい。普段どういうことやってんだお前ら。
ジェシカは心の中だけで突っ込んだが、すぐに前もって準備しておいた、『シエスタを釣るための餌』を彼女の目の前にぶら下げる。

「仕事終わったら、サイト君と『VIPルーム』使っていいからさ」
「え」
694猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/14(木) 23:00:39 ID:rSzOKjGs
話だけは聞いたことがある。
『魅惑の妖精亭』の地下にある、音を一切漏らさない秘密の部屋。
一般の顧客には開放されないその場所は。
一晩泊まるだけで最下位の騎士が一月分かかって稼ぐ貴族年金が軽く吹き飛ぶという。
地下水脈と温泉を同時に引き、潤沢に使える湯と水。
魔法ですぐに乾いた状態に戻る、ふわふわのキングサイズのベッド。
そして何よりも、部屋に備え付けられた、ハルケギニア各地から取り寄せたという秘薬や性具たち。
男女の秘め事に使うのなら、月のないラグドリアン湖かそこが最上、と夜の事情に詳しい者なら言うだろう。
当然、シエスタも関係者としてその部屋の事は知っていた。

「え?本当?いいの?」
「しばらく不景気でさ。たまには使って埃を取らないとだしね。でもパパにはナイショだからね?」

ノってきたシエスタに、『譲歩しているのはこっち』といわんばかりにそう言い、ウインクをするジェシカ。

「よ、よし、それじゃあ頑張っちゃおうかなあ。今夜だけだし」
「そうそう今夜だけ。今夜だけだから♪」

その今夜のうちにがっつり稼いでもらうわよおおおおおおおおおおお!
ジェシカは心の中だけでそう叫んだ。


時に、何故『魅惑の妖精亭』経営者スカロンは、女給たちにチップを稼げ、とけしかけるのか。
もちろん、そのチップが酒と食事以外の『魅惑の妖精亭』の収入になるからに他ならない。
そのチップは、主に貨幣で支払われる。
もちろんどんな貨幣でもいいのだが、男の見栄からか、銀貨より小さな単位でチップが支払われる事はない。
さて。
ビスチェを着込んだ女給たちは、どこにその支払われるチップを仕舞うのか?

「いやぁ、今日もリノちゃんは可愛いねえ」
「やだもう旦那様ってばぁ♪妻も娘もいるくせに♪いけないオ・ト・コ」

言いながら女給は胸元を晒す。そこにあるのは、深く黒い深淵を覗かせる、眩く輝く白い谷間。
そこへ、酔客は銀貨を放り込む。
この放り込まれる銀貨の量に応じて、女給はその酔客の席に居座るのだ。
そして、女給は厨房に入るたび、自分の名前の書かれた布袋に胸元に入れられた貨幣を移すのだ。
才人は厨房で皿洗いをしながら、その様子をずっと見ていた。
もちろん、女の子たちが貨幣を取り出すたびに、ぽろんと零れる白い果実に目を奪われての事だったが。
そして、ジェシカが無理を言って働かせているシエスタはといえば。

「はい、お待たせいたしました、旦那様」
「な、ななななんだねキミは!け、けしからん、けしからんぞ!」

シエスタがそのハゲ頭の酔客のテーブルにエールを運び、目の前でかがんで見せると、必要ギリギリの布地からけしからん胸が零れそうになる。
ぴこぴこ揺れる三毛の猫耳、ゆらゆら揺れる猫の尻尾が、非現実の波となって酒の夢を見ている酔客に襲い掛かる。

「あら。けしからんと言われては猫は立ち去るしかありませんね」
「ま、待て、待ちたまえ!そ、そうだマタタビをやろう!」

去りかけたシエスタに慌てて酔客が取り出したのは、なんと金貨。
どうやらこのハゲ親父、着ている服からしても、相当がめつく儲けている商人のようだ。
シエスタはその手を包み込んで金貨だけを受け取り、にっこり微笑むと。

「あら嬉しい。でも、他のお客様もお呼びですから…。私はこれで♪」

そう言って立ち去る。
これはジェシカに指示されたコツで、、特定の席には着かないようにしているのである。
席から席へと渡り歩き、軽い会話と色気でチップを吐き出させ、そして去る。
ジェシカ直伝、『花畑を舞う蝶の如し』である。
695猫と七夕〜猫のシエスタ ◆mQKcT9WQPM :2008/08/14(木) 23:01:40 ID:rSzOKjGs
しかし。
シエスタが背中を向けた瞬間。

「名残惜しいが仕方ない…。では、お土産にこれをやろう♪」

そう言って、その酔客は立ち去るシエスタのお尻に手を伸ばす。

「ひゃぁ!」

そして、半分見えている尻の谷間に、銀貨を追加で挟み込む。
その際、ぺろん、とシエスタの尻を撫でるのも忘れない。
しかし。

「いてっ!」

その酔客が手を引っ込める。
その手の甲には、赤い線が引かれていた。
猫となったシエスタが、反射的に爪で手の甲を引っかいたのである。
思わず怒鳴ろうとする酔客だったが、その間にジェシカが割り込んだ。
酔客の機嫌をとろうとするように満面の笑顔で、胸元を強調しながら。

「あらぁドミニコの旦那様?ウチの妖精さんたちにおさわりは厳禁ですよ?」

店のNo1の笑顔に、思わず相好を崩すハゲ親父。
ジェシカに言われた事に対し、すまない、と素直に謝り、そして注意されたことに悦びながら、拗ねるジェシカにも金貨を渡す。
ジェシカは器用にウインクして、シエスタに立ち去るようにアイコンタクトを取る。
そんなジェシカを後ろ目に見ながら、シエスタはその場を立ち去った。

そして、その一晩で、シエスタは何度かお触りをされながらも、隊を率いる騎士の貴族年金一月分ほどのチップを稼ぎ、ジェシカの期待に応えたのである。
696せんたいさん ◆mQKcT9WQPM :2008/08/14(木) 23:02:05 ID:rSzOKjGs
いじょ。今日はココまで。んじゃねゆノシ
697名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 23:08:57 ID:Msa+G6mJ
どうやら俺のの褒め言葉の語彙は尽きてしまったようだが、へんたいさんの語彙は尽きないらしい…
なんでビスチェの描写がこんなに詳細なんだよwwwGJ!
698名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:05:04 ID:tQ1a11K2
へんたいさんの エ ロ ガ ッ パ w w w



最高だ!うちに来て妹とファックしていいぞ!妹いないけど。
699名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:08:01 ID:kjzcGCh7
ウチは姉を差し出すことにする!
俺はもう三十路で7つも年上の姉だけど(未婚w)
700名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:26:23 ID:eKMnTA+y
>699 うちの姉はエレオノール以上にDVだが?