ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。
○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。
■ヤンデレとは?
・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
→(別名:黒化、黒姫化など)
・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。
■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫)
http://yandere.web.fc2.com/ ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫)
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/ ■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part16
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1212553842/ ■お約束
・sage進行でお願いします。
・荒らしはスルーしましょう。
削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
・版権モノは専用スレでお願いします。
・男のヤンデレは基本的にNGです。
2 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 03:11:33 ID:k5CxXlZi
はえーよw
前スレまだ容量430KBだし、レスも70以上残ってるじゃねーか
テンプレの保管庫も訂正してないし、もうちょっと落ち着けw
450くらいになったら新スレじゃないか
しかも70なんて埋めネタきたらすぐだしな・・・
>>4 ムチャ言うなよ、これはどう考えても早すぎだろ
まあ、次ガンバレ
6 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 08:33:08 ID:EAZtaxK8
最初に気付いたのは西園寺世界だった
愛する誠の命により、二階からの円を禁じられていた
世界は正門に移動し、人民の動向を監視していたが
上空を見上げる、嫌な予感がしていた。
その嫌な予感が確信に変わる
敵
上空から降りてくるモノが
ただならぬ戦闘能力を讃えていることと
世界の直感が通常より
冴えていた事は無関係ではないだろう
鋸
鋸に目を奪われていたのは一瞬
真に見るべきものはその背にいた
世界の円に鋸が触れた瞬間
互いの力量を察知する
と同時に世界は円を解いた
完全な臨戦体勢に入るために
だが
鋸は分裂、
無数の光る鋸となって
宮殿全体に降り注いだ
あのお姉ちゃんの強さの秘密?
まぁ…いくつかあるが
まず肌がおそろしく純白じゃ
奴の潜伏スキルの流れから次の展開を読むのは誰にも出来んな
伊達に長くストーカーしてない訳よ
精神的にはもうヤンデレ廃人の域じゃろ
なにしろあのお姉ちゃん ワシが赤子の頃からお姉ちゃんじゃ
西園寺世界とケンカして生存しておる唯一の人間じゃし
お姉ちゃんには違いない……ウム…ま持ちつ持たれつ銭と金
アホッ 対等なわけあるか!
いつもこっちが泣かされとるわい!!
ん?ああ 強さの秘密だったな
あとは……そうさな
戦闘の方でいえば
言葉様信者召喚≠アれが最も厄介じゃろ
わけがわからん
これハンターハンターの結構前のやつがジャンプでのったときにどこかのスレででたやつのコピペだろ
今頃なんでだしたんだか・・・
むしろ、ヤンデレSSスレで張られた奴だな
懐かしい
ヤンデレこそが史上のヤンデレブームを引き起こした
ヤンデレはわしが育てた
その分にわかも増えたけどな
こんなジャンルでもテンプレ古参気取りとかいるのにワロタ
こういう奴がレナはヤンデレといいだすんだよな
言葉様こそが真のヤンデレ
test
ようやく……ようやく規制が解除された……
実家のtokaiとこっちのaichi.ocn合わせてずっと規制されてて
煽りもフォローも感想も保管庫の閉鎖報告も全くできなくて精神的にすごい辛かった……
>>19 前の保管庫の人か、長い間ご苦労様。ありがちな事情だし、問題なしです。
>>19 できれば、過去ログをうpしてくれたら助かるんだけど
新しいまとめの方には収録されていない作品もあるし
こんばんは。
投下します。入院編その二です。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
***
洗濯機の蓋を開けて、中を見る。
そこにあるのは、たった今洗い終わったばかりの、私とお兄ちゃんのそれぞれの下着と服。
他の人の衣類は入っていない。
私が、あえて選り分けてそういうふうにした。
使うお水と洗剤の量が増えちゃうけど、仕方がない。
私とお兄ちゃんは何もかも、全部一緒でなくちゃいけない。
洗濯ものなんかはもちろん、住む家も、部屋も。
ベッドは別。まだそういうことをするにはちょっと早い。
それ以外のものは、家族と一緒に住んでいる以上、どうしても共同になってしまう。
お母さんの手伝いを建前にして家事のほとんどを取り仕切っているけど、
バレずにできるのはせいぜいこうやって洗い物を一緒に洗うぐらいしかない。
脱水が終わって、まだ湿っぽいお兄ちゃんのトランクスをひとつ取り出す。
一瞬だけ躊躇。
でも結局は耐えきれず、トランクスを鼻に押しつけてしまった。
お兄ちゃんの匂いはしない。
私の腰をくだく汗の匂いと体臭は完全に消え去っていた。洗濯したばかりだから当たり前。
だけどそれじゃいけない。こんなものをお兄ちゃんが身につけてはいけない。
お兄ちゃんに近づく邪魔者達――――そう、私以外の女の群れ。
そいつらを遠ざけるためには、私の匂いをお兄ちゃんにつけるのが一番だ。
真っ白いシャツを手に取る。
水に浸され、洗剤で汚れを落とされ、脱水され、シワだらけになったお兄ちゃんのシャツ。
今家にいるのは私だけ。何をしても咎められない。
「お兄ちゃん…………」
だから私は我慢することなく、私の体よりずっと大きいお兄ちゃんのシャツを、ぎゅっと抱きしめる。
こうしていると、幸せがじわじわ胸の奥に染みこんでくるから好き。
現実でお兄ちゃんを抱きしめる機会なんてそうそうやってこない。
たまにアクシデントを装ったり、人混みの中で抱きつくぐらいがせいぜい。
感触を思い出して、妄想の中のお兄ちゃんの現実感を補完して、寂しさを紛らわせている。
寝ても覚めても、という言葉の通りに私はお兄ちゃんのことを考えている。
夜に寝ている時はもちろんだけど、たまに学校で授業中に眠くなり出したときもそうだ。
それをやっちゃうとたまに先生から注意されてしまう。だけどやめられない。
お兄ちゃんへの想いを止めるなんて、まず無理だ。
家族に説得されても、こればかりは譲れない。
特に、お兄ちゃんを狙う馬鹿姉には、絶対に。
***
過保護、と聞くと俺はまず両親に甘やかされて育った子供を思い浮かべる。
そこからすると、俺は過保護な育て方をされてはいないと思う。
俺だけでなく、弟や妹もそうかもしれない。
というのも、両親がそういうタイプではないからだ。
二人ともが、子供の自主性に任せて育てる方だ。
何の口出しをしないわけでも、何かやろうとするたびにダメだと言ったりするわけでもない。
よほど無茶を言わない限りは、進路相談にも応じてくれるし、お金も出してくれる。
母が匂いを嗅いだだけで吐き気を催すほど苦手なシンナーを使用するプラモデル作りなどは猛烈な勢いで反対されるが、
それ以外に関してはある程度話が通じる。
許可をもらった後は、他人に迷惑をかけないようにと釘を刺されるだけで、その後は放置だ。
この両親の教育方針を、俺は放任主義レベルワンと名付けよう。
ここから、あまり使わないから立ち絵を準備する必要もないだろうという制作サイドの事情で
ゲームに登場しない主人公の親みたいに、家を年中留守にしていればレベルツー。
うちの場合は割と頻繁に帰ってくるからそこには達していない。
自分の食い扶持は自分で稼げとだけ言って、わざわざ子供と別居するような親であれば、
それはさすがにどうだろうという感じだが、戸籍上で親子であれば一応親として認められる。よってレベルスリー。
思いつきで例を挙げてみたが、要はうちの両親の育て方は良い方だと言いたかったのだ。
父と母の関係が兄妹であるところはこの上なく異常だが、それ以外は親としてちゃんとしている。
だから別に、退院一日前になって見舞いにやってきても何もおかしくないと言える。
たまたま祖母と一緒に病室にやってきても、何が不思議があるだろうか。いや、無い。
しかし、さすがにこのタイミングでやってこなくてもいいだろう……と口にしたくなってしまう。
タイムリーすぎる。普段は開け放っている窓を掃除のために閉じたところに燕が突っ込んできたみたいな感じ。
せめてあと五秒でも来るのが遅れていれば良かったのだ。
病室を開けて最初に見えたものが、俺が病院のベッドの上で葉月さんに覆い被さっている姿だったりしたら、
両親だけでなく祖母まで誤解する。絶対に。
端的に説明すればそれだけで誤解されてしまう。
お前はシロでもグレーでもない、クロだ! なんて言われてもおかしくない。
違うのだ。否だ。
こうなったのには経緯があるのだ。
密室状態で葉月さんと二人きりになっているという状況に興奮して、俺から押し倒したわけじゃない。
むしろその逆なんだ。逆転してようやくこの体勢になったんだ。
なんなら俺の右腕に懸けてもいい。今は折れてる、正しくは動かないんだけど、二ヶ月後には直ってるから。
医者から、あくまでその怪我で無茶しなければだけど、とは言われているけど。
落ち着け。自分の置かれた状況を整理しろ。
控えめに見ても葉月さんを押し倒しているとしかとられない体勢になった経緯、俺ならば余すところ無く記憶しているはず。
あれは――――そう、つい四半刻ほど前のことだった。
その頃の俺は折り紙で鶴を折ることで退屈を紛らわせていた。
左腕一本では鶴を折ることなどできない。
仕方なく右腕の代わりとして買い置きの缶コーヒーを活用していた。
紙の端に重し代わりのコーヒーを置き、左手の指を駆使して作業する。
やってみて初めてわかったが、片手で折り紙工作するのはなかなか難しい。
指先をフルに使わなければ望んだとおりの折り目を付けられない。
しかし、今日の午前十一時に終わったリハビリの後から開始した折り鶴作りにも、
午後四時近くまで続けていれば慣れる。
傍から見ていればよく飽きずにやっていられるな、と口を出したくなるような光景だったろう。
買いかぶらないで欲しい。同じものばかり作っていたら飽きるに決まっている。
十羽ほど作った時点で、折り鶴とはすでに完成されたものだとわかってしまった。
言うなれば、紙を折って動物や乗り物を作る行為そのものがそれ以上手を加えられないものなのだ。
折り紙の楽しみとは、一枚の紙から何を創造するかを選ぶ段階にある。
何色で、どれぐらいの大きさの紙で、何を作るか。
鶴を折ると決めてかかった時点で、俺は自分で自分の楽しみを潰してしまっていた。
折り紙を子供の遊びと甘く見ていたのは、俺だった。
気付いた時にはもう遅く、ビニール入りのカラフルな色紙たちは全滅していた。
他に暇潰しできるものも浮かばず、仕方なく病院のどこかにでも売っていないだろうかと立ち上がり、
病室のドアに指をかけた途端、自動ドアよろしくドアが勝手に開いた。
病室にやってくる人間というと看護士か見舞いに来た知り合いのどちらかがほとんどだ。
そしてこのケースにおいては後者であった。
制服の上のコートを羽織った装いの葉月さんが、見舞いに来てくれた。
「あ、どこかに行くつもりだった?」
「違うよ。ちょっと買い…………じゃなくて、暇だったから散歩にでも行こうとしてたところ」
ドアから離れて、ベッドの方に引き返す。
シーツの上に腰掛けると、葉月さんはコート脱ぎ、手近にあったパイプ椅子に座った。
「昨日は結局来られなくって、ごめんね。家に親戚が来たから、どうしても外せなくって。
怪我の具合はどう? 良くなった? 悪くなったりしてない?」
「悪くはなっていないと思う。良くなっていると信じたいって感じかな。
一週間ぐらいは痛みがしたり腫れたりするって先生が言ってて、実際その通りだから、今はなんとも」
「そっか、そうだよね……じゃあ、肩が凝ったりしてない?」
「ん、肩?」
右肩を意識してみる。そういえばギプスしているからあまり肩を動かしてない。
肩の骨を動かすと、少しではあるけど筋肉が凝っているような…………気もする。
「肩、凝ってるよね?」
「まあ、ちょっとだけ。でもこれぐらいなら放っておいてもなんてことないし」
「肩が凝ってたらすぐにほぐさないといけないよね? なんせ病人だもん!」
正確には怪我人なんだけど、というツッコミも反射的に出てこない。
なんだ、葉月さんのこの必死な様は。
この強引さ、まるで俺の肩の凝りをほぐすまでは家に帰れないみたいじゃないか。
「知ってる? 机の上で仕事したりする人って、肩が凝りやすいんだって。
それは、ずっと同じ姿勢でいるからなの。
骨と筋肉の位置はそのままで長時間過ごしたり、筋肉に力を込めると凝りやすいの。
だからあなたみたいにプラモデルを趣味にする人は、時々肩の関節を動かしたりしないと、
今はまだ良くても、年月を重ねていく毎に肩こりが慢性化しちゃう」
「へえ……そうなんだ」
「解消法としては、腕を内旋もしくは外旋させながら腕全体を大きく回したりとか、
両手を組んで八の字を描いたりとか……そういうのがあるけど。
実は、一番即効性があって効き目抜群なやつがあるんだよ」
「ふむ。それは一体?」
「肩たたきアンドマッサージ! これしかない!」
ぐっ、と親指をサムズアップする葉月さん。おまけにウインクまでされた。
ラジオ体操のお姉さん、もしくはテレフォンショッピングの外国人の店員みたいな爽やかさ。
葉月さんのこの一連の動きから察するに――――俺の肩の凝りをとりたいとか?
ここまで言われて他の答えだったりしたら、俺と葉月さんの間に意思疎通はまったく成されていない。
「どう、どう? 誰かにして欲しかったりしない?」
うむ、どうやら外れではないらしい。
肩が凝っていなくても肩を揉まれるのは気持ちいいもの。お願いしたいところだ。
――が、しかし。
いくら俺が入院しているからといって、肩こりがひどいわけでもないのに女の子に肩を揉ませるというのは、
なんとなく――いや、ものすごく悪い気がする。抵抗感がある。
肘を固定しているとはいえ、それ以外はほとんど健康体なのであまり気を遣わないで欲しい。
せめてこちらからも何かお返しをしたいところだが……ジュースを奢るか折り鶴の大群を贈るぐらいしかできるものがない。
同じクラスのイケメン西田君みたいにトークで女子の心を虜、じゃなく、トリコロールにできればなあ。
…………上手くも面白くねえよ、俺。失笑を買うだけだ。
「葉月さん、せっかくだけど、俺の肩は本調子だからやってくれなくても――」
いいよ、と言おうとして、俺の口は止まった。
すごい見られてる。
どれぐらいすごいかって言うと、俺の目から一切目を逸らさずまばたきもしないぐらい。
ただ見ているならまだしも、トゲみたいなものでチクチク突かれているような気がして、なんとも落ち着かない。
「……肩を揉まれるの、嫌?」
「嫌ってわけじゃ……肩たたきされるの嫌いなやつっていないだろうし」
「じゃあ、どうしてさせてくれないの? させてくれても、いいじゃない…………」
葉月さんの目から力が抜け、弱々しくなる。
このまましばらく待っていたら涙を浮かべそう。
もうこうなったら、仕方ない。
「じゃあ、今更だけど。やってもらってもいいかな?」
「本当に! 本当の本当に!?」
「う、うん」
「やったやったやった! きゃっほーーーっ! じゃあさっそ、く………………」
失敗した、みたいな顔で葉月さんが動きを止める。
見事な一時停止であった。
どうしたというのだろう。病院の中で騒ぎすぎたことを後悔しているのか、なんなのか。
口に手を当て、咳を一発し、葉月さんが言う。
「えと……じゃあ、そこに座ったまま動かないでね。まず後ろからやるから」
葉月さんは靴を脱いで、ベッドの上に乗る。
肩に手を添えられ、優しく揉まれる。
指先が、肩の筋肉を弛緩させる。
気持ちいい。もう、あまりに良すぎてこのまま眠ってしまいそう。
イメージ的には、肩の筋肉から脳細胞の活動を抑制する物質が流れ込んでくるよう。
いいなこれ。眠る前にやってもらったら絶対に良い夢見られる。
「なんだかね、こうしてると、お母さんのこと思い出すんだ」
「ん……お母さん?」
「そう。私、お母さんによく肩たたきしてたから。
疲れた顔してる時とか、私の方から頼んでやらせてもらったぐらい。
だから、これにはちょっとだけ自信があるの」
そういえば葉月さん、お父さんよりお母さんが好きそうだな。
直接聞いたことはないけど、お父さんのことをあまりいい風に言わないから、勝手にそう思ってしまう。
それはともかく。
葉月さんの台詞には少しばかり無視しがたい部分がある。
男の肩を揉んで、お母さんのことを思い出すって、なんだか自分が男じゃないと言われたみたいだ。
気にしすぎだろうし、葉月さんも深い意味もなしに言ったんだろうけど。
「あとね……あなたを見てると、なんだかお母さんのことを思い出しちゃうんだ。どうしてか分からないけど」
……これは、あなたは女っぽいねという葉月さんからのメッセージなんだろうか。
とりあえず俺は、父が居ないうちに部屋を探索して怪しいものがないか調べるところから始めるべき?
それとも父が一番風呂に入った後で、空のペットボトルを持って入浴すべきか?
母の真似は男がやるにはハードルが高いからやりたくないなあ。
「あ、勘違いしないで。今のはあなたが女っぽいとか、そんなつもりで言ったんじゃないの。
私がお母さんと一緒の時に感じた幸せな感じが、あなたと過ごしていてもあるから言っただけ」
「そうなんだ。俺が葉月さんの癒しになっているなら嬉しいよ」
「癒しっていうより…………幸せを与えてくれるんだよ、あなたは。
あなたを想うと、毎日が楽しくなってくる。
今日も学校に行ってあなたに会いに行こう、とか。
綺麗にしたら、私のこと惚れ直してくれるかな、とか。
ひとつひとつの行動に意味を見いだせる。前はそんなことなかったのに。
全部、あなたのおかげだよ」
「そ、そう…………」
まずいことになってきた……主に心臓付近が。
葉月さんには一度告白されているものの、不意打ちのようなかたちで言われた今の台詞は、かつてなく俺の心を暴れさせる。
加えて、肩を揉んでくる葉月さんの手つき。
内側から外側から、俺の理性を突いてきやがる。
この心の昂ぶりが、もしも別方向に行ってしまったら。
…………俺は病院のベッドを治療以外の方面の用途に活かしてしまうかもしれない。
深呼吸。体の中にある流れを意識する。
まだ、心臓が危険の一歩手前ぐらいに高鳴っているだけで、そこから延焼などしていない。
よし、そのまま堰き止めろ。へそのあたりが湖だと想像しろ。
そうでなくては、俺はご先祖様に二度と顔向けできないことをしてしまう。
「……よっと、これでとりあえず後ろは終わり」
と言って、葉月さんが肩もみをやめてくれた。
少し惜しい気もするが、これ以上触れられていたら本当に危険だ。
病院の次に見知らぬ施設に入れられて、家に帰れなくなるかもしれない。
「ありがとう葉月さん。おかげでちょっと肩が軽くなったよ」
「そう? でもまだ終わりじゃないよ。全然やりたりないもの」
……何が、いや何を?
というか何か変だ。
今の発言、単に葉月さんの気がすまないみたいにもとれる。
じゃあ、俺は葉月さんが満足するまで肩を揉まれ、理性を保ち続けなければいけないのか?
冗談ではない、耐えられるわけがない!
今もなんか、さっきのもっとやってくれるんだ、みたいに心のどこかが喜んでいるし!
「葉月さん、ごめん。俺はそろそろ眠くなってきたから、これ以上は……」
「そうなの? でも安心して。今度のは、寝ながらやるから。
途中で眠っちゃってもオッケーだよ」
葉月さんは俺の足をベッドの上に乗せると、体をベッドの真ん中まで移動させた。
なんだ……一体何が始まるんだ……?
「ねえ、肘って動かしたら痛い?」
「え……あ、うん。肘自体を曲げなければ、平気だけど」
「腕を浮かせても?」
「まあ、それぐらいなら」
「じゃあ大丈夫だね。ちょっと、失礼するね……」
右腕の下から葉月さんの手が入り込み、脇の下を通過して背中に到達。
左からも同様に腕を差し込まれる。
眼前には、微笑む葉月さんの顔がある。
「ふふー…………えいっ」
抱、き、つ、か、れ、た、……!
ぎゅっと、ぴたっと、がっちりと!
上半身が葉月さんにホールドされている。
左耳から、葉月さんの穏やかな息づかいが聞こえてくる。
しかし、最大のインパクトは、胸から。
……ふにっとふにふにしている!
いや、わけわからん。
だがそもそも、今俺の胸に接触し、内側にあるハートまで貫くこれを言い表すものなどないのだ。
胸が、制服の向こうにある葉月さんの胸が今、俺の体に当たって形を変えている。
今まで特に意識することはなかったけど、葉月さんの胸は、決して小さくない。
むしろこれは、制服越しでも弾力が伝わってくるということは…………それなりのサイズがある、と?
やめろ、やめるんだ、俺!
何センチぐらいあるんだろうとか、カップはいくつだろうとか考えるんじゃない!
女性の価値は胸か?
違う、それは……バストとアンダーの差だ!
――――違う! じゃなくて、大事なのは思いやりの心だ!
葉月さんが背中に回した腕に力を込め、より強く抱きついてくる。
やめてやめて、それ以上動かないで!
は、反応してしまう…………下半身が!
抱きつかれたまま、押し倒された。
背中にはまだ葉月さんの腕がある。なにやら、肩の筋肉をぐにぐにと動かしている。
なるほど、これもマッサージの一環か。
マッサージ…………やばい、こんな単語に卑猥なイメージを浮かべるぐらい心が乱れてる!
肩に当てる指の位置を動かすたびに葉月さんの体が動く。
腕がベッドと俺の背中に阻害されているせいで、動くたびに吐息の音が漏れる。耳へダイレクトに届く。
葉月さんの小さな動きが、俺の心をいじくり回す。かき乱す。
くそう、どうしてこの病院は入院患者に薄い生地の服を着させるんだ。
これじゃ、アレが大人しく寝ていないことが、バレてしまう。
「ねえ、聞いて……」
葉月さんの声が、とてつもなく色っぽく聞こえる。
「さっき、お母さんとあなたが似ているって言ったのはね……共通しているところがあるから。
二人とも、私の好きな人なの。もちろんお母さんに対しては恋愛感情抜きだったけど。
でも…………あなたは別。前に告白したとき以上に、思う。
私はあなたに恋してる。……………………好き」
――――叫びたい!
喜びの雄叫びでも、嫌悪による悲鳴でもなく!
堪えきれない! なんという猛攻! 俺の理性はボロボロだ!
くそう、レフェリーは居ないのか。ロープはどこだ?
こ、これ以上は……これ以上は!
ナースコールを…………駄目だ、右側にあるから手が届かない!
「気付いたんだ。あなたは返事することに迷ってるだけなんだって。
あれから何ヶ月も過ぎているから今更言うのも……なんて思って。私はずっと待ち続けてるのにね。
それならもう、いっそのこと、こっちから、強引に…………」
左耳に吐息が当たる。口から情けない声が漏れた。
エロ過ぎる。この色気、これまでの葉月さんとは全くの別人だ。
「痛いのはやめて、リードしてね。私は、そういうのしたこと一度もないから。
あなたもしたことないかもしれないけ…………ど……………………」
…………ん?
あれ、葉月さんの動きが止まった? 呼吸まで止まった?
さっきまで密着していた胸の感触までなくなっている。
葉月さんは俺の体から数十センチ離れていた。
ならチャンスだ。今のうちに股間を鎮めてしまおう。
股間へと至る血液の流れを食い止めようと格闘している、まさにその時だった。
物理的に、俺の首の血流が阻害された。
俺が自分で自分の首を絞めたわけではない。
葉月さんが、俺の首に手をかけていた。
「…………ねえ、私の質問に、正直に答えてるって、誓って」
ノーとは言えない空気である。
自分の置かれた状況に戸惑う素振りすら見せられない。
今の俺は葉月さんに支配されている。
ゆっくりと頷きを返すと、葉月さんは言った。
「あなた、私の前に誰か他の女からこんなことされた経験、ある?」
首を絞められた経験?
妹からテンプルにいい蹴りを貰ったり、後輩の手によって光の届かない地下に監禁されたり、
幼なじみからずたずたと色々なものを喰らわされたが、首絞めをされたことはない。
言いたくないけど、正直に答えないと首の辺りをきゅっとされそうだ。
「えっと……さすがにこんな状況に置かれたことは……」
「本当に?」
「う…………でも、似たようなことは何度か、ある」
「な! …………っく、やっぱり、そうなんだ…………」
やっぱりて。そんなに俺はトラブルに巻き込まれるタイプに見えるのか。
そりゃちょっとばかしおかしい両親のもとに生まれたけど、育ち方はいたって普通のはずなのに。
女の子にのし掛かられて首を絞められる経験なんて、格闘技経験者か男女の修羅場経験者ぐらいのもんだぞ。
「相手は誰? 経験人数は?」
「ええっと…………花火に、去年の文化祭で一発……あ、この間も結構きついのを」
「あの女……弟君が好きだって言ってたくせに!」
「去年のクリスマスには妹からも。あれは、倒れるぐらいきつかった」
「い、妹さんまで?! じゃあもしかして……き、木之内澄子からも……」
「うん、実はそうなんだ」
これまでに攻撃を加えてきた女性の経験人数を述べる俺。
女性と取っ替え引っ替えしているんだな。やるかやられるかの違いはあるけど。
「葵紋花火、木之内澄子、そして…………妹さんまで。
どうして……どうして、私はその中に含まれていないの! 答えて! 説明して!」
「ぐ……ぅえ……」
葉月さんの指が喉を締め付ける。
左手で抵抗するも、止められるのは葉月さんの右腕だけ。しかも止め切れていない。
じわじわと追い詰められていくのを実感する。
「どうして、何も言ってくれないの…………不安なんだよ、好きとも嫌いとも言ってくれないのって。
何も言わないって、何とも思ってくれてないみたいじゃない。
言わないとわからないよ。どうしたらいいのか、どこを居場所にすればいいか、何にも…………」
葉月さんがうつむき、漆黒の髪が肩の上に落ちてきた。
首を絞める力がゼロになった。
その隙を逃さず、葉月さんの下から脱出する。
「…………待って」
しかし、ベッドから出る寸前になって襟を掴まれ、葉月さんに引き寄せられた。
今度は葉月さんの上。数秒前とは正反対のポジション。
「聞かせて。私のこと、あなたはどう思っているの?」
短いけど、それだけで俺と葉月さんの関係を明らかにさせるようという、重要な問いかけだった。
俺がこれまで伝えられなかった答え。
葉月さんがずっと聞きたかった俺の答え。
告白の返事を気に懸けていたのは、俺だけではなかった。
葉月さんも――――いや葉月さんは、俺以上に気にしていたのだ。
それなのにずっと俺は何も言わなくて、不安にさせ続けていた。
もう、いいだろう。
これ以上葉月さんを悲しい気持ちにさせるなんて、俺にはできない。
今更言っても遅いけど、だけど、言わなくちゃいけない。
「葉月さん――――君のこと、俺は友達として好きだ。
好きだけど、それは友達以上の、恋人としてのものじゃない。
それが俺の気持ちだ」
そして、手紙で屋上に呼び出されたあの日の返事を言う。
「ごめん。やっぱり俺……君とは付き合えない」
二回目だ。
葉月さんを振るのはこれで二回目になる。
以前は過去のことを気にして、勝手に葉月さんの気持ちを決めつけて、断った。
今回は、真剣に自分がどうしたいのか考えて結論を出し、断った。
葉月さんには悪いことをしてしまった。
自分の優柔不断で何ヶ月も待たせて、葉月さんをここまで追い詰めてしまったことを申し訳なく思う。
だけどこれでいい。
もう葉月さんは俺を嫌って、話しかけてくることもないだろう。
葉月さんはクラスの中心で、俺はクラスの片隅で、お互いに交わることなく過ごしていく。
それが正しい姿なんだ。
これまで葉月さんと仲良くしていた日々が、まさか病室で終わりを告げるとは。
全く思いも寄らなかった。
――――そして、続けざまに思いも寄らない出来事が起こった。
ノックの音が聞こえ、続けて祖母の声が聞こえた。
どうして祖母がここに、なんて考えていて、俺は葉月さんを組み敷いていることを忘れていた。
おそらくは、祖母と一緒にやって来ていた両親にとっても思いも寄らない光景だっただろう。
ちょっと待ってて、と言えばいいのだと判断した瞬間に病室のドアが開き、もはや取り繕う暇さえなくなった。
…………と、このような経緯を経て、見知らぬ美少女を押し倒す十七歳の子供を目撃する祖母と両親、という絵が完成したわけだ。
誰も口を開かない。
祖母はすまなそうな目で俺を見てから明後日の方向を向いた。
父は口を半開きにしていた。あーあ、とでも言いたかったのかもしれない。
母はというと、無表情で俺を見ているだけだった。いわゆるノーリアクション。
俺が上手い説明を考えているうちに、母が父の手を引き病室の前から姿を消した。
「ええと、ごめんなさいね、お兄ちゃん。その…………あまり騒がないようにね」
と言い残し、祖母が退場。
後に残されたのは病院の壁と廊下、と……………………なんでか知らないが俺の妹。
着ているのは制服ではなく私服だから、祖母たちと一緒にやって来たのだろう。
しかし、わけがわからん。どうしてお前がここにいるんだ。
俺の見舞いにお前が来るなんて、お兄さん想像もしていなかったぞ。
「…………何をやってるの、お兄さん?」
「一言で説明するのは実に難しいのだが、なんか、こう…………」
混乱した頭で出した返事は、これだった。
「自分の気持ちに正直になったんだ」
何も言わず、妹が勢いよくドアを閉めた。
またしても葉月さんと二人きりになってしまった。
俺が体を離すと、葉月さんはベッドから降りた。
背中を向けながらコートを纏う姿に、喪失感を覚えた。
もうこれからは、今までみたいに話すこともできなくなってしまうのだ。
傷つけてしまったのだから。
覚悟していたつもりだったのに、喉が締め付けられる。
これでいいのだと自分に言い聞かせなければ、耐えられそうになかった。
葉月さんは出口へ向かう。ドアを引き、そこで立ち止まった。
肩越しに振り向いたその顔は見えない。
泣いているのだろうかと心配した。
でも、慰めるべきではない。
謝ったところで、葉月さんを癒すことなどできないのだ。
「葉月さん。また……学校で」
「うん、さよなら。……私が馬鹿だったみたい、今までごめんね……」
葉月さんが廊下に出た。
ドアが少しずつ動き、彼女の姿を隠していく。
そして、スローモーションになることもなく、事務的にドアが閉じた。。
今回はここで終了です。それではまた。
GJええええええええ!?
兄貴てめeeeeeeeee
GJ!
兄が気持ち良いぐらい地雷踏みすぎw
ああああああああああああああああああ!気になるうううううううううううううううううううう!
38 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 22:27:50 ID:Ucl0Fqjg
ヤンデレ家族の展開の焦らしプレーになんかイラつく。
・・ヤンデレスレだからこれで正しいのか。
うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!
これで兄貴を守ってくれる人と想ってくれる人が0にいいいいいいい!!!!!!
GJ!!
ちょw 会話の的が面白いくらいにww
にやけがとまらんw
すばらしすぎです!
あああ兄貴崖っぷちぃぃぁぁあ!?
会話の趣旨を確認することは大事だよそこ怠っちゃダメだよ兄貴ぃ。
…マッサージ気持ち良さそうだなぁ。
GJ!
兄貴はわざとやってんのか?、と思ってしまう
>>25の一連の伏線がスッゲエ気になる。
誰だよ姉って!この文章は誰の独白だよ!?
お兄ちゃんって弟と腕ポッキリ兄貴どっちのこと!?それとも誰か別のお兄ちゃん!?
謎が解決されるどころかどんどん山積みになっていくんですけど!?
ちょっといい加減解決編に入れよ!?
44 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 23:06:47 ID:RDVSsurR
これから葉月さんがどう変わっちゃうか楽しみ
兄貴って被害者に回ることが多いから勘違いしがちだけど最低だよね
花火にもむかついたし何かしら罰はあって欲しいけど、兄貴にもちゃんと罰を与えて欲しいわ
兄貴への罰は葉月さんによる逆レイプね(*´Д`)
>>45 これ以上兄貴に罰与えるってお前どんだけ鬼畜なんだよ
そろそろ兄が死にそうな気がしてならない
でもなんか、タダでは終わらない気がするんだよなぁ…
愛を超越し憎しみになって兄貴を襲ったりとか…
>むかついたからなにかしらの罰
オーコレハナイスゴーマニズムデスネー
51 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 01:20:12 ID:sGJ45j5D
いい加減完結編に入って欲しいっす
葉月さんの今後と兄貴の生死が気になるうううううううぅ
片腕で折り鶴って攻殻機動隊のクゼ思い出した。
今の葉月さんはヤンデレ度を仮面ライダーで表すとblackぐらいだから早くバイオライダーならないかなと期待してる。
GJ
これで葉月さんが弟に鞍替えするなんて展開が来そうで気分が落ちそうなる
伏線貼りすぎというか誤解させすぎじゃ・・・ちょっと冷めちゃったな
もちろんGJなんだけど、ちょっと置いてきぼりにされつつあるオレ。
以前の話も含めて何度か読み直したほうがいいかな。
とにかく、葉月さんはこれから順調に病んでいってくれるんだねっと勝手に期待してる。
56 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 02:38:15 ID:1p04acgb
>>43 普通に考えれば主人公の父母の話だろ。おそらく姉は今は亡き、といったところか
というか、そういう推理は作者がやりにくくなるからできるだけ言うなよ
黙って考えろ、そして全裸で待機するだけだ
作者も忘れてしまって伏線回収できませんでした ってのは無しの方向で
こんだけ伏線を放置するってことは完結させようと思えば
すぐにでも完結できるような中身ってことなんじゃ……
まあ邪推ですよね
はいはい邪推とおもってるなら自重しような
俺の考えだよ
みたいなコメントしてる奴
作者に対する遠回しな嫌がらせだといい加減に理解したら?
うざいんだが
>>34 GJ!
毎回投下早い上にこの量
本当に感服です
これからも頑張って下さい
_ _ _
,.r''´ ; ヽ、
,ri' 、r-‐ー―'ー-、'ヽ、
r;: r'´ ヽ ヽ
(,;_ 、 l ::::i 'i、
r'´ i' _, _,.:_:::i il!
ヾ ,r -';! '''r,.,=,、" ::rrrテ; ::lr ))
! ;、 .:::;! `´' :::. ' .::i: ,i'
`-r,.ィ::i. :' _ :::;:. .::::!´
.l:i. .__`´__,::i:::::l
r-i. 、_,.: .::/
!:::;::! ::.、 .:::r,!
l::::::::ト __` 二..-',r'::::-、
l;::i' l:  ̄,.rt':::::::/ ` -、
,r' ´ ヽr'ヽr'i::::::::;!'´
r '´ rミl:::::::::;!'` く:」
i' `ー'
スルーシ・ロー [Please disregard]
(1672〜1733 フランス、中国)
そういうAAが1番うざい
新参が多くなったせいかいちいち展開を口だしするやつがおおくてこまるな・・・
ヤンデレがメジャーになったせいか
有名になると困るよねー(・∀・)
現役でお茶会投下されてた頃は一部粘着以外は紳士だけだったからな。
落ち着きたまえ
この程度で声を荒げる様ではヤンデレ紳士失格ですよ
マナー違反を注意せずに何が紳士か
敢えて言おう…
『変態』であると!
私達が愛していたヤンデレはメジャーになった
何故だ!
やっぱ例の大全か
何で兄貴はここまでいろいろひどい目にあってるのに成長しないんだろ?
自分が言葉足らずで誤解されてるとか気づくと思うんだけどな
>>69 あなたが落としたのは、この鈍感、勘違い、死亡フラグ立てまくりの主人公ですか?
それとも、文武両道、話題豊富、ひたすら女の子に一途で後腐れを残さない主人公ですか?
あなたは、どちらを望みますか?
いいえ誰にでも甘い顔をし、気配り上手でもてまくりな女の子の思いも気づいてるけどスルーしまくりなせいで
幼なじみや妹がヤンデレになりそうな主人公です
>>70 文武両道ではないな、兄貴に勉強見てもらってるぐらいだし
>>69 俺達がヤンデレっ娘に監禁されるようなことになっても、興奮するばかりで何も学ばないのと同じ理屈さ
いい人だけど鈍感な兄貴は可愛いです
75 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 18:15:28 ID:1anAetPR
ヤンデレ家族は先週お休みだった分、連休スペシャルとして連続投下される夢を見た。
s a g e進行だちくしょう。
ああ、今年も夏厨の季節か•••
77 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 19:49:33 ID:1anAetPR
自治厨ウザい。楽しくみんなで語ろう。
夏、真っ盛り
うわー・・・・
これはひどいなー・・・・
暑いと思ったら夏だったのか(´・ω・`)
年中全裸だと季節感がなくなる
sageてすらいないやつが自治厨とか
やっぱ新参はひどいよな
83 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 22:10:36 ID:1anAetPR
小煩い連中は放っておいて自由に盛り上がろう!!
もしかして83は1anAetPRか?透明で見れん。
まともに会話が成り立ってないな
さすが夏厨
新参はお帰りください
今、新規が投稿しても普通に荒れそうだよな
テンプレすら読めない馬鹿は氏ねとまでは言わないけどくたばればいいと思うよ
>>86 厨房がいなくなる9月まで我慢だな
下手に投稿して叩かれるだけだし
ここも修羅場スレと同じ道を辿るのか( ・ω・`)
また、夏風邪を引く季節がやってきたお(´・ω・`)
>>89お互い頑張るお
みんなで全裸になろう!
修羅場スレはこんなもんじゃなかったぞ。
今ぐらいの流れでダメになるようならそれまでのスレだったということだ。
書き込む前に冷静になって頭冷やすんだぜ
ヘタレプログラマーは,今日も仕事で疲れきって,遅くなって家に帰ってきた。すると,彼の5歳になる娘がドアのところで待っていたのである。彼は驚いて言った。
「まだ起きていたのか。もう遅いから早く寝なさい」
「パパ。寝る前に聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「パパは,1時間にいくらお金をかせぐの?」
「お前には関係ないことだ」
ヘタレプログラマーである父親はイライラして言った。
「なんだって,そんなこと聞くんだ?」
「どうしても知りたいだけなの。1時間にいくらなの?」
女の子は嘆願した。
「あまり給料は良くないさ・・・20ドルくらいだな。ただし残業代はタダだ」
「わあ」
女の子は言った。
「ねえ。パパ。私に10ドル貸してくれない?」
「なんだって!」
疲れていた父親は激昂した。
「お前が何不自由なく暮らせるためにオレは働いているんだ。それが金が欲しいだなんて。だめだ!早く部屋に行って寝なさい!」
女の子は,黙って自分の部屋に行った。
しばらくして,父親は後悔し始めた。少し厳しく叱りすぎたかもしれない...。たぶん、娘はどうしても買わなくちゃならないものがあったのだろう。
それに、今まで娘はそんなに何かをねだるってことはしない方だった・・・。
男は娘の部屋に行くとそっとドアを開けた。
「もう,寝ちゃったかい?」
彼は小さな声で言った。
「ううん。パパ」
女の子の声がした。少し泣いているようだ。
「今日は長いこと働いていたし,ちょっとイライラしてたんだ・・・ほら。お前の10ドルだよ」
女の子はベットから起きあがって,顔を輝かせた。
「ありがとう。パパ!」
そして,小さな手を枕の下に入れると,数枚の硬貨を取り出した。
父親はちょっとびっくりして言った。
「おいおい。もういくらか持ってるじゃないか」
「だって足りなかったんだもん。でももう足りたよ」
女の子は答えた。そして,10ドル札と硬貨を父親に差しのべて...
「パパ。私,20ドル持ってるの。これでパパの1時間を買えるよね?」
俺、この泣けるコピペってやつを見ると何故かヤンデレをイメージするんだよな。
将来的にはこうなりそうだ。
「昔はお前にもこんな可愛い時があったもんだな・・・・・」
「いやだわパパったら、今でも貴方の可愛い愛娘でしょうが。コーヒーでも飲む?」
「ふふふ。それじゃあ一杯おいしいのを貰おうか愛娘さん」
男は幸せに満ちていた。
妻を早く亡くし、男手一つで娘を育てることになった時はどうしようかと悩んだものだが、
聞き分けの良い娘はそれ程男の手を煩わせることもなくスクスクと育ち、立派な大人へと成長していった。
「しかも頭が良くて、スタイル抜群ときたもんだ」
「何か言ったパパ〜?」
「いや、なんでもない」
その娘がどこの馬の骨ともしらない男に嫁いで行き、娘の着たウェディングドレスを見て涙する日が来るのだろうか。
そう考えるとなんとも言えない心地がして、ふぅ、と溜息がこぼれた。
「はい、パパ」
「おぉ、ありがとう。うぅん、いい香りだし味も最高だ。流石愛m」
「・・・・・あのねパパ」
「ぅん?」
いつもよりトーンの低い声に男は若干緊張した。
「この前買い物していた時、一緒にいた女の人、・・・・・・誰?」
「なんだ、お前もそこにいたのか。声をかけないなんて人が悪いじゃな・・・・」
「誰って聞いてるの。パパ」
男は今、自分の目の前にいるのが本当に自分の娘なのかと一瞬疑ってしまった。
長年、それこそ人一倍愛情をかけてきた娘を疑ってしまう程、今の俯いた状態の娘から聞こえる声は無機質で腹の底から恐怖を感じるものだったからだ。
「サ、サラさんだ。近所に住んでる人でね、たまにお店で会うんだよ」
「いつから?」
「四ヶ月位前じゃないかな?」
「ふ〜ん、・・・・・そうなんだ」
「どうしたんだ、さっきから様子がおかしいぞお前」
「まだ、質問は終わってないよパパ」
「え?」
「パパはそのサラさんって人好き?」
「何でお前に言わなければ・・・・ッ」
「いいから答えてッ!!」
大きな声が家中に響きわたる。
男はその代わりといっては何だがこくりと頷いてみせた。
「ふうん、そうなんだ」
俯いて目元はこちらからは見えないが娘のニタリと歪んだ口元は彼にも確認できた。
「だからなんだって言うんだ。これはお前の関わる話ではないだろう」
「ねぇパパ。さっき言ってたけど、昔私がパパと一緒にいたくて20ドルでパパの一時間買ったことがあったでしょ?」
「あ、ああ。そうだったな」
「私ね、あの日からずっと考えてたんだ。もっとパパと一緒にいられるためにはあといくら必要なのかなってね。
だってたった一時間じゃ足りるわけないじゃない。私はずっとずっと寂しかったんだもの。もっともっとパパと一緒にいたかったんだもの。
だからね、パパの給料とか他にも色んなことぜ〜んぶ合わせて計算してみたの。
そしたら・・・・・・・」
娘は顔を上げつつゆっくりとした動作で一枚の紙を見せた。
「この金額がパパの一生分のお金だってことがわかったんだ」
「っ!?」
男が驚いたのは娘が出した金額だけではない。娘の顔が形作る表情を見て男は息を飲んだ。
「以外と少ないって思った?そんなことないよ、そこんじょそこらの家族よりは稼いでるよ」
「・・・・・・・」
「それでね、私、実はこの金額ならすでに持ってるんだぁ」
「・・・・・・・・・」
「ふふふ、どうしてって聞かないいんだ。それともクはははは、さっきえへへ、コーヒーに入れた薬がアハハ効いてきたのかなぁぁあああ?」
娘、いや娘の皮を被った一人の女は壊れた笑みを浮かべて言った。
「さぁパパ。貴方の稼げる一生分のお金なら既に準備できたわ。だから買えるわよね?
パ パ の 一 生 を 」
あぁ、いい感じに腐ってるなぁ俺の頭・・・・。
ああ、だが腐敗ではなく醗酵だ。卑下することはない。GJ!
98 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 01:24:37 ID:I4JSD2iF
グッジョブ!
いい話で終わっておけばいいところをそこからひっくり返すとは
頭の具合を心配してしまうぜ
肉や果物も腐る寸前が旨いらしいぞ!!
GJ!!
人間の創造力ってすげぇ
( ;∀;)イイハナシダナー
GJ
こういう風に短いながらも想像をかき立て、魅せることのできるssっていいよな
106 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 17:29:59 ID:lIk2KGAB
さあ盛り上がってきました!!
>>96 これは面白い
この調子で新規が頑張ってくれればいいんだがな
暑い時期に沸く奴に関してはもう俺は何も言わないが
むしろ子供の時の話のパパの一時間を買うという単語に
一時間でパパとの子供をこさえてやる、と脳内変換された俺って……
>96
泣いた。 正直すばらしすぎる。 GJっす!
あ〜テステス
>>112 テストしたんだから書けよ。
いや、書いて下さい
朝、女の子が死んでいた。
人だかりを蟹スタイルで割って進み見た女の子はマンションから落ちたらしく見事にトマトだった。向いの寮から出て数分、僕はそれを眺め続けていた。
入学当初から良くしてくれてた女の子だった。一か月もたってないけど。愛着もあんまり湧いてないけど。
「南無南無……」
両手を胸の前で合し力を込めて豊胸……では無く黙祷を捧げる。
しばらくそうしたら時間を見てそそくさと学校へ、いちおうほかに野次馬となっていた同学の子達にも「学校に遅れるよ」と忠告して置いた。
「■■〜。○○ちゃん自殺したらしいぜい〜」
学校について席に着席するとすぐに一人の女の子が歩み寄ってきた。というか、走り……いや、瞬間移動?
「知ってるよ。見てて気分悪くなった」
「おおそうかぁ、怖かったな」
可哀想なモノを見る目で頭を撫でてくる。ついでなんか抱きしめて来た。薄い胸に圧迫されて息が出来なくなる。
少しずつ強くなる圧力を危険視して痛かったら右手を上げる歯医者さんに反攻して左手を上げて事態の冷却を図る。
「おおぅ、すまんすまん。柴犬の様な可愛さに、ついいつもの調子で」
「いつもの調子で人を窒息死させるとは大した奴だ。まぁ慣れてるからいいけど」
ひとつ注意。窒息死に慣れてるんじゃなくて、この行為に慣れてるってこと。え? 分かってるって?
「女の子に抱きつかれるなんて思春期まっしぐらな■■には夢のような行為だろう? しかもこんな美少女に」
「可愛いのは認めるけど、自分で言うのは自信過剰って言うんだよ? ▼▼」
周りの男子からの羨望の視線を心の臓で受け止めて、こうゆう女運だけはいいなぁとか、通学途中に踏んだ僅かにフルーティーな匂いのガムを地面で無理やり剥がしながら思う。
「でも■■に関わる女の子皆死んでるけどな、死神さん。踏んだガムは梅ガムと見た」
「あら、口に出ちゃってた? こんな公衆の面前でそんなあだ名言っちゃう▼▼も殺しちゃいたい」
「はははっ、私は死なないぞ」
腰に手を当てて高らかに笑う▼▼。
うん。まぁ、たしかに死なないわな、妹も姉も母も死んだけど(皆投身自殺)小学生の頃からの腐れ縁のこいつだけは何故か死なない。女の子キラー(文字通り)の僕の汚点だぜ。
ついでに言うと僕と関わって死んだor行方不明になった人は両手と両足と両目と両耳の数を×2だ。つまり16人。皆女の子。
「……うん。周りの視線が痛い」
チクチクと突き刺さる。なんというか、クマとかトラを見るような目で見られてる感じ。
とりあえず僕は悪くない。多分。流し目で▼▼に助けてくれ舟を出す。当然ながら、そんな穴の開いてそうな船はたたき潰された。
「皆さん! 緊急の朝会が始まるよ!」
教室の行きがけに発見された担任に言われたことを思い出して、即座に言葉を下に乗せて押し出した。
同時に校内放送が流れる。内容は僕のセリフの反復。朝会のテーマはご理解いただけたようで、みんな無言でグラウンドに言ってくれた。
「校長先生の話は長かったので編集します」
「便利な機能ですな」
そして授業も終了。窓の外は若干オレンジになってきてる。
ちなみに僕が死神どうたらこうたらは▼▼の戯言として二時間目ぐらいには明後日の方面へ飛んで行ってた。
高校生活を満喫するべく僕は部活へ赴く。言うまでも無く帰宅部だ。
「ある〜ひ〜」
「もりのな〜か〜」
とか森のクマさんを歌いながら▼▼と帰宅する。迷子にならない様に手をつなぎながら。
「あ、そうだ」
歩みを止める。▼▼を何事かと首をかしげて寄ってくる。というか寄りすぎ、抱きつくな。
▼▼を引き剥がしてカバンを漁る。
「はい、これ」
「ラブレターか」
「言っとくけど僕からじゃない」
「チッ」
舌打ち……?
なぜか妙に女の子にモテる僕。そんな八方美人に振舞ってる気はないんだけどなぁ、天然の魅力とかフェロモンとかカリスマとかあるんだろうか。……どれも僕に似合わない。
再度抱きついてきた▼▼をおぶりながら、駅へと向かう。背の上では手紙を真剣なまなざしをしながら読む▼▼。
「いつも通り断っといて、僕が断ってじゃあお友達から! になんてことになって死んだら困るし」
「男からだぞぃ」
「そ、それは別の意味で困るなぁ」
「嘘だ。女だ」
「それはそれでやっぱり困るから困る」
「贅沢な奴だ。世の男性が敵になったな今」
「なんということだい。でもまぁ、僕は死んだほうがいいと思うよ」
後頭部に頭突きをされた。反動で▼▼が背から落ちる。
「いてて……」
「お前が死んだら私も死ぬぞ」
「え、なんでよ?」
振りかえると、お尻を擦りながらこっちの目を真剣に見てくる▼▼がいた。
「愛してるから」
それだけ言って▼▼は俯いて黙り込んでしまった。多分自分で言って死にそうになってるんだろう。過去に何回か言われてるけど、正直、毎回対応に困る。
50分経過。
このままでもしょうがないのでとりあえず手を握って再度駅へ進撃する。
「じゃーにー」
手をグッパと広げて別れの挨拶をしてホームへ降りる。が、ひっぱり戻される。襟を掴むな、「ぐぇ」とか変な声が出たぞ。
「今日は家に泊って行くといいぞ■■」
「ほほぉ、でもお泊りセットとマクラがないからまた今度な」
とか言ってる間に電車のドアが閉まった。せっかちな奴だぜ。
「初めてでもないでわないかい。ベッドはダブルだから私の心地いい腕枕で熟睡するがいい」
「腕枕は男の仕事だよ▼▼、僕はしないけど」
会話してる間も窓の外の景色は流れて行く。なし崩し的な感じで、今日はお泊り会である。
▼▼の家はけっこうデカイ、庭とかあるし、家というよりお屋敷だ使用人は居ない、なので使わないとこは汚い。あと、この屋敷は▼▼の『部屋』としてされてるから驚きだ。実家はどんくらいでかいわかったものじゃない。
いつかの時にそれを話題に出すと
「近いうちに■■も私の両親に挨拶に行くからその時見ればいい」
とか言われた。わけわからん。いや、まったくもってわからん。
なぜかファーストフードの夕食を済ませて、バカデカイ風呂に使って▼▼の部屋へ向かう。
扉を開けると▼▼が布団を広げて待っていた。壁には見事なナイフセットが飾ってある。一本欲しいな。
「――なぁ」
「ん」
「毎回思うんだけど、冷蔵庫に入ってる人誰?」
「秘密」
*
>>113これでいいかい?
なんだかハンバーグが食べたくなってきたぜ・・・
ああそうだな
ハンバーグが食べたいな
しかし肉じゃがも捨てがたい
つばめグリルにでも行くか…
なに…これ……
「もう卒業して4年になるのか。」ふと、深夜のファミレスで友人達と安いドリンクバーを飲みながら、他愛も無い話をしていた時、友人の一人が言った言葉に忘れていたはずの高校時代の事を思い出していた。
俺は大学3年。一浪をしてるから本当は4年の筈なのだけれど、もう就職は決定し後は卒業を迎えるだけ。高校時代から続けていたラグビーは大学に入ると同時に引退して、大学生活を満喫したんだ。
色々な地域からやってくる同級生達に色々な遊びを教えてもらった。髪も染めた。車の免許も取った。女の味を知った。
最近は合コンやコンパ、飲み会にアルバイト。遊んでばっかりの様な気がする。
俺は、見ての通り体格が、かなり大きい。ラグビーばかりしていたから、無駄にデカいんだ。
大学に入ってからは、俺みたいな体格の奴が珍しいのかやたらと女の子に声をかけられたけど、やれ最後まで体を持っていっても俺は達しはしなかった。
友人達からは「緊張しすぎだ」とからかわれた。
興奮はする、けどなぜだか、最後まで達しない。何かでガードされてるみたいで女を抱いても感覚がないというか・・・不思議な感じ。
高校時代からラグ日ーに打ち込んでた反動で、入学から今日までとにかく色々な事をした。
うわ、すいません!書く場所を間違えてしまいました(汗)
失礼致しました〜!
>>117 GJ
主人公は気づいて黙ってるのか超が付く鈍感さんなのか
っていうか名前を考えるのって面倒だよね。そこに凄く共感できたよ
>>123 俺の知り合いにヤンデレが居るんだ。
もしそいつに殺されたくなければお前はここで一つヤンデレが出てくるSSを書くんだな。
フフフフフ(・∀・)
>>125 ひぃいい。・゚・(ノД`)・゚・。
実は上の作品は、かなりの長文でまだ完成していないのですが、ヤンデレが出る予定の作品なのです。
場所を間違えたのは本当なのですが、また続き完成したらお詫びにコッソリと投稿しておきます〜
みんな!ラグ日ーしようぜ!ラグ日ー!じゃなきゃSS書くんだ!
妙に新規がおおいきがするな・・
夏休みだから。
いいじゃまいか。sage等最低限のマナーさえ守っていれば。
sage無い人はROMってて欲しいけど
131 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 07:23:10 ID:T+6ofJvR
投下と感想以外の雑談をだらだら書き込む迷惑行為こそヤメロよ。
>>132 >>131はチンパンジーのあいちゃんによる訓練用の書き込みです。
ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
何で雑談が駄目なのか、ちゃんとした理由を書き込んでくれないか?
あいちゃんもっと力抜けよw
おいおい釣られるなよ
煽り目的としか考えられないじゃないか
あいちゃん喧嘩腰かよw
あいちゃんが飼育員さんを取られそうになって嫉妬しているようです
>>138 アザラシの話ならそう言うの聞いたことあるwww
女の飼育員さんと楽しそうに話をしたりなんかしたらすげー体当たりしてた。
擬人化・・・
ヤンデレ・・・
だがチンパンジーだから毛深い・・・
俺から5レス後にカキコした奴はヤンデレにストーカーされる
夏って暑いよな
暑いから夏なのか
チンパンジーで現首相をイメージしたのは俺だけじゃないはず
ヤンデレな女独裁者がいる国ねーのかよ……
政治ネタは本気で荒れるからやめようぜ
プロローグ
「もう卒業して4年になるのか。」
ふと、深夜のファミレスで大学の友人達と安いドリンクバーを飲みながら、他愛も無い話をしていた時、友人の一人が言った言葉に忘れていたはずの高校時代の事を思い出していた。
俺は大学3年。一浪をしてるから本当は4年の筈なのだけれど、もう就職は決定し後は卒業を迎えるだけ。
高校時代から続けていたラグビーは大学に入ると同時に引退して、大学生活を満喫していた。
色々な地域からやってくる同級生達に色々な遊びを教えてもらった。
最近は合コンやコンパ、飲み会にアルバイト。海とか山とか、とにかく遊んでばっかりの様な気がする。
ん。あれ・・?そういえば、なんで高校時代にひたすらラグビーに明け暮れていたんだろう。
別にそこまで真剣に頑張ってはいなかったと思うんだけどな。特に3年の夏はあまり覚えていない、
いや、なんというか何かとても凄い事が起きた筈なのだけれど、それが何か思い出せない。時々思い出そうとすると頭が凄く痛くなる。風邪なのかそれとも病気なのか。
でも俺は、風邪なんか滅多にひかないし、健康そのものだ。
頭痛になるのが、嫌で直ぐに思い出すのを止める内に忘れてしまったのか。変なクセだよな。
そうこう頭の中で考えていると、高校時代の話をしていた友人達の話が聞こえてきた。
支援
「ハハハ!そいつがバカでさ〜授業は真面目に出るのにテストでいつもビリなんだよ〜」
「懐かしいな〜!お〜!そういえばさ、高校の時に不思議な娘がいたよな〜」
「おおお!いたなぁ!えっと名前は〜・・・」
「ば、バカ!!」
「お・・・おい!お前その話は!」
「あ・・ごめ!は、話変えようぜ・・・」
高校時代からの馴染みの友人が何かの話をしていた。・・・あの娘?誰だろう。
女子は多い高校だったけど、そんな話題になる娘が誰かは特定出来なかった。
何で、友人の何人かはその話を止めさせたんだろう。
俺の顔を伺っている様にも見えた、いや伺っている、何で焦っているんだろう。
その時だった、友人の放った一言で場の空気は一変する。
「月咲美代子!月咲美代子だろ?お前らの桜花学園の話題の子。俺の高校でも噂で持ちきりだったんだぜ〜」
大声で話をしていた、友人の声を聞いていたのかドリンクバーの飲み物を汲みに行っていた別の高校出身の友人の一人が席に戻りながら言い放ち笑いながら席に座った。、
その声に俺以外の桜花学園高校時代の友人達の顔に緊張が走る。
「あ・・・ああ!そういえばさ!!桜花時代の先生なんだけどさ〜!!!めちゃくちゃ面白い人がいたんだけどよー!!!」
「な、なんだよ、いきなり。それより月咲ってどうだったの?彼女、中退しちゃったんだろ?なあ〜詳しく聞かせろよ!あ、昂四郎!お前月咲と仲良かったじゃん!いつも電車で一緒に帰ってたの見かけたんだぜ!おい教えろよ〜!」
「お、おい!やめろって!」
月・・・咲・・美代子・・・?俺と仲が良かった・・・?いや、そんな女子知らない、一緒に帰った事なんて・・・・あれ、なんだろう。その名前を聞いた途端汗が滲みだす。
・・・頭が痛い。暑い、店内はエアコンが寒い程効いてるのに、なんで・・・震えてるんだ、俺。・・え、なんだこれ・・・!!
気付けば、俺の大きな体は掃除をしたばかりの、ファミレスの床へと握っていたドリンクバーのコップと共に震えながら崩れ落ちていた。
周りに居た友人達が慌てて駆け寄りながら俺の名前を呼ぶ。・・・恥ずかしいな、いい齢して・・・救急車でも呼ばれるのかよ・・。
そこで俺の記憶が途絶え、次に目を覚ますと一人暮らしの自分の部屋にベットだった。周りには友人達が床にいびきをかきながら寝ている。そうか、俺はあのまま。
駄目だ、風邪を引いたみたいにダルイ。起きれない。・・ああ、そうか・・・月咲美代子。少しだけ思い出した。あの娘か。
第1話 瞬 夏
俺は、ラグビー部に通う高校生。
・・・暑い。もう受験の時期だけど、俺はそんなの気にしない。
まぁなんとかなるだろう、そんな軽い気持のまま迎えた夏だったと思う。
それにスポーツ推薦を使えば進学には困らないだろうし。高校から始めたラグビーは自然と自分に合っていて、苦にはならなかった。
きっと大学でもラグビーでやっていけるだろう。けど、俺は今ラグビーやってないよな。・・・まぁ、人の気持ちは変わるもんだしな。
高校はなかなか楽しかった、友人もいたし。
まぁ彼女はこの通りの大きな体格だから女子と友達になる事はあっても恋人。とまでは、いかない。
俺の高校時代のニックネームは「野獣」だし。
別に暴れるわけではないんだけれど、クラスの男子が命名して自然と広まった。
告白された事?まぁ、何回かは。けれど、俺の何処がいいんだろうな。・・・え?付き合ったのかって?ああ、もちろ・・・あれ、思い出せない。いやいや、嘘だろ?何でこういう大事な事を思い出せないんだよ。
書きながら投稿?
それから、月咲美代子の事だっけ。ぼやけているけど俺の知ってるかぎりの事を話す。
月咲美代子。俺と同級生の女子生徒。170センチぐらいの身長に細身の体に大きな胸。
極めつけの大きな特徴は髪を金髪にしていてセミロング。校則的に問題は無いけど、金髪という感じだからやはり目立つ。
え?容姿を詳しく言え?ああ、一言で言うなら、フランス人形をそのままにした感じ。え?解りにくい?う〜ん・・俺に容姿を聞くなよ、本当にそういう感じなんだ。
独特の雰囲気というか、控えめな子。
成績優秀で学年順位はいつも5番以内に入る。スポーツも堪能、リレーでは女子陸上部エースの野田を3秒の差で圧勝した。そんな万能な人間だ。
でも唯一の欠点というか、なんというかそんな感じの子なのに人とあまり関ろうとしない。
女子からも話かけようとするが、無視をしたりすぐに逃げる。まるで「貴女達には興味なんかない」と言わないばかりに、それは男子生徒にも同じで、告白をしてくる男子には、かなり冷たく興味が無さそうに断りを入れる。ラブレターを目の前で破られた奴もいたらしい。
そんな俺と月咲との接点はまるで無く、同じ高校にいながらも話す事は一度も無かった。
―――あの時を除いて。
>>152 あ、一応1話は完成しているのですけれど、長文規制にひっかかっていて編集しながら投稿してます。
慣れてなくてしかも遅くて申し訳ないです。
――――2年の夏、教室に向かう階段を登っている時、背後に足音が聞こえて何気なく後ろを見ると月咲が後ろから階段を登っている事に気付いた。
あれが、月咲美代子。成程、なかなか可愛いな。
男共が騒ぐのなんとなく理解出来る、白い肌に明るい程の金髪、スタイルの良い体つきに大きな胸。
・・・何言ってんだ俺は、そんな男が部屋で考えそうな事を思いながら階段を登りきる、すると再び月咲の顔を見る。
何か顔色が悪いな。
暑さで熱にやられたのか、軽く汗を滲ませ、息を少し粗く吐いている。階段をもう登りきる所なのに、どうしたんだろう?
俺が階段の頂上で気になり、見下ろしていると月咲が俺の方を気分が悪そうに見上げると少し驚いた様子で俺に向けて口を開いた。
「・・・さん・・・?」
何かを呟いたが聞こえない、さん?何だ、何を言ったんだ?俺に向かって言ったんだよな。聞き返そうとした。
すると月咲が急に止まったかと思うと、フラフラと頭を触りながら膝がガクッ!と下がりそのまま後ろに倒れかかる。
――お、おいッ!?
後ろは階段、転べば確実に大怪我だ。俺は無我夢中で叫びながら、部活のバックを落としそのまま、月咲へ自分の方へ抱き寄せると勢いのまま階段を一緒に転げ落ちた。
階段から凄い音が響き渡る。階段の下落で俺は月咲を抱きしめながら蹲る。
無事だ・・月咲は、俺の上に乗る形で抱きしめられていた。俺は背中を少し強打したけれど、痛いと言えば痛いがラグビーのタックルに比べればまだ大丈夫だ。
こういう時に大きな体だったという事に感謝をした。
「いてぇ・・・あぶねぇ〜・・・柔道の受身を習ってて正解だったな。痛ッ・・」
「あ・・あの・・」
「あ、わ、悪ぃ・・!!」
「すいま・・せん・・・」
月咲は、何が起きたのかを理解していたのか、御礼を告げるとそのまま俺の上で動かなくなった。
気絶している、俺は慌てて月咲を担ぎ、痛い背中に耐えながら保健室へと向かった。
「軽い日射病ね。今日は暑いから。君は〜・・・軽い打撲ね。冷やしとけば治るわよ。階段から落ちたのに、それだけ動ければ大丈夫よ。もし、何か痛みだしたら念の為病院に行きなさい。彼女は、暫く休ませるといいわ。」
「どうもッス・・・。」
俺はやれやれと思いながら眠っている月咲を見た。頭に冷えピタを乗せたその姿は、本当にフランス人形みたいで、その、なんというか・・・うん可愛いんだ。
「こらこら、寝てるんだから邪魔しない!今日部活でしょう?行った行った!」
「す、すいません・・・」
俺は先生が届けてくれたバックを肩に乗せ、部活へ向けて大きな体を走らせた。
―――・・・・助けなかった方が良かったに決まってる、後にファミレスで倒れた俺を運んだ友人はそう俺に言った。
第1話 完 つづく
名前入れ忘れ失礼しました。以上、第1話終了です。なかなか慣れなくてすいません。また投稿します。
連レス失礼致しました。
GJ
続き待ってるから頑張って書いてね
wktkして待ってる
matteruyo-
>>158 これはいい依存の兆し
続きを楽しみに待ってます
全裸で正座して続き待ってる!!
全裸で仰向けになりながらまってる
1時間待ったけどまだー?
第2話 再 会
【大学時代/昂四郎のマンション】
「ん・・・んん?昂四郎、もう平気か?」
「お、おう・・・ちょっとだりぃけど。・・・俺、あのまま倒れた時の事までしか覚えてないんだけど、悪かったな、運んでくれたのか?」
「ったく・・「お、おう」じゃねーよ。
お前担いで帰るのどれだけ大変だったか知ってるのかぁ?時春とキヨちゃんで4人ががりで運んだんだぜ?救急車呼べ!って叫ばれるわ、店員は騒ぐわでもう大変だったぜ。
キヨちゃんが医学部だったから、直ぐ応急手当してもらってさ。
逃げる様に皆で出て行ったんだぜ?・・・・あ〜あ、暫くあのファミレスに行けねーよ。
ま、途中まで車だったけどな。けど、お前ちょっと太ったんじゃねぇの〜?疲れて家に帰る気なくしちまったよ。
今日は泊めさせて貰うぜ〜?後で、他の連中にも侘びいれとけよ〜?」
「ああ・・・ごめんな、ビールでも飲めよ、エイジ。冷蔵庫にあるから。」
「お、サンキュー♪お、黒ビールじゃん〜!昂四郎、お前俺の趣味分かってるな!」
軽く早口で話すこいつは、桜花学園出身の友人の1人、名前はエイジだ。
中学からの腐れ縁で、バスケット部に所属していた。
同じく一浪して、同じ大学の工学部にいる。
農学部の俺とは違うけれど、大学になってからもいつもつるんでいる仲間だ。
なかなか面倒見が良い男でいつも行動している周りからは信頼を置かれている。
エイジがビールを持って部屋の灯りをつける、暗闇に慣れていたせいて酷く眩しく感じ再び目を閉じる。
テレビをつけて、観客がわざとらしく笑う声が流れて静かだった部屋が少し騒がしくなった。
「ああ〜!うめぇ!!最高だぜ、けどよ!もうそんな事忘れてさ、もうすぐ夏だし、みんなで北海道とか行こうぜ!どんどん遊びにいこ――――」
「エイジ・・俺、少し思い出したよ。・・・なんとなくだけど、月咲の事。」
エイジの相変わらずの口調を遮る様に俺の発した言葉に固まったかの様に見えた。
暫く、深夜放送の芸人の笑い声とエアコンの冷房の音だけが部屋に流れていた。
エイジはビールを飲んだ缶を持ったまま急に眉を潜め、険しい顔つきになりながら俺を見る。
けれど怒っている感じではない。
なんというか、俺を心配する様な・・・なんとも言えない表情だった。
そのまま何度が再びビールを飲み始め、飲み込むとゆっくりと顔を上げて俺に言った。
「そっか、そうだよな。思い出したのか・・・そうだな、もう4年になるんだ、忘れろって方が無理だよ。」
「俺と月咲に何があったのか知ってるのか、教えてくれよ!俺・・・・このままじゃ何かすげぇ気持ち悪いんだ。」
俺はこのもどがしい気持ちとなんとも言えないザラッとした感覚から抜け出したかった。
そして何故、月咲の事を忘れていたのか、ラグビーを大学で続けなかったのか、それには、大きな理由があるんじゃないのか。
恐らくそれを知っている高校時代のエイジ達に頼るしかないと感じた。
俺の言葉に暫く黙っていたエイジが口を開く。
「後悔しねーか?知らない方が良いって事もあるんだぜ?」
『・・・ああ、知らない方が逆に後悔しちまいそうなんだ。エイジ・・頼む。』
俺の言葉にエイジは「はぁ・・」と軽くため息をつくと立ち上がり床で眠るキヨちゃん達をまたがって、俺のお気に入りのソファーに深くもたれかかりながら俺を見た。
「たくっ・・・世話のかかる奴だ。デカイのは気持ちだけじゃなくて体だけにしとけっての。
いいか昂四郎、何を聞いても受け止めろよ。直ぐには無理でもお前なら大丈夫だと思ってるけどな、後全てを知ったら二度とこの事に関して関るな、お前の為だぜ。・・・じゃあ話すぜ?いいか、昂四郎お前、高校3年の時に月咲にな―――」
―――エイジがゆっくりと最後まで言うとエイジの終盤の言葉に俺は、驚きを隠せず固まる、それと同時に体中に鳥肌が上ったのを感じた。
部屋の時計の針は12時を過ぎていた。
【高校時代2学年/桜花学園にて】
月咲を階段から助けてからかれこれ4日になろうとしている。
エイジ達からは、「へぇ〜良い事したじゃん。もしかして御礼貰えるかもしれないぜ!昂四郎君やるぅ〜」と言われたけれど、そんな気配は全く無い。
というか、月咲は特別進学クラスで校舎は別に別れている。会う確立すら低い。
どこかのインターネットのサイトでは、電車で女の人を救って凄い事になっているらしい。
もしかしたら月咲が御礼を言いに俺のところに高いティーカップを持ってくるのかもしれない・・・そんな空想をしつつボーッとしながらラグビーをしていたら、案の定顧問に怒られて、学園の周りを3週ランニングしてこい!と言い渡された。
その一部始終を見ていた陸上部とテニス部、更にサッカー部の連中にも笑われる始末だ。
・・ったくバカだ、空想なんて家でするもんだ、やれやれ、もう月咲の事は忘れてラグビーに集中しよう。
―――そう汗だくて走りながらの時だった、誰かが俺を見ている気配を感じた。
どこの部活の奴だ?いや、制服に・・金髪・・・月咲?
大きな木の日陰に隠れた人気のある校庭のベンチに座り月咲が走る俺を見ていた。
まるで棚に置かれたフランス人形の様に、澄んだ瞳で俺に視線を向ける。大きな熊の様な俺が走るのがおかしいのか、こんな暑いのに何をしているんだと笑っているのかは知る余地は無いが、とにかく月咲は、ひたすら間違いなく俺を見続けていた。
階段の件が頭を過ぎり、不思議に思い気になりながらも3週走りきり、ラグビー部のメンバーにボーッとしていた事を茶化されながら練習に戻った。
―――部活が終わり、シャワーを浴びた後エイジ達と別れて家に急ぐ。
今日は、俺の好きなロックバンドがテレビで新曲を発表するんだ。部活の疲れなんかどこかにぶっ飛び軽い足取りで家に急ぐ。
携帯を手に電車を待つ、後10分後ぐらいか、早く帰りたいんだ急いでくれよ。
―――ふと、誰かに見られている気配がする。
またか、エイジ達やラグビー部の奴かな?後ろを振り返る、・・・・・月咲だ・・・今日学校で見たけどよく見るよな、今度は遠くからじゃなく、俺に用がある様な感じだった。
何か言えよ。近い、近いって。
真後ろに居た月咲は俺を見ていた。俺は少しキョトンとしながら月咲に視線を向け見下ろす。
「・・・片桐昂四郎君・・ですよね・・?」
『あ・・そう・・だけど・・・?』
「あの、階段の時、助けてくれてありがとうございました。」
『あ・・ああ!いやいや!とんでもない!無事で良かったよ、ってか・・俺の名前どうして?』
「もう平気です。あ・・保健室の先生に聞きました。同級生って聞いたから御礼言いたくて・・」
『そ、そうだったんだ。ってか俺の名前・・・どうして』
「探したの!・・・あ、ごめんなさい。勝手な真似をしてしまって・・」
『い・・いやいや。とにかくさ、怪我とかなくて良かったよ。体調はどう?』
「・・・もう大丈夫ですよ。本当にありがとうございました。」
『おお〜・・良かったなぁ〜』
正直嬉しかった。
話す機会なんか無いとばかり思っていたし、御礼を言いにわざわざ来てくれるなんてあの時の階段から落ちた痛みは、報われたってものだ。
それから同じ方面の電車だった為電車に揺られながら、話をする。
「私、あの時睡眠不足で・・遅刻しそうになって朝ごはんを食べれなかったんです。」
『あ〜そりゃあ体調悪くなるよな〜朝飯は食わないと駄目だぜ!俺なんて朝どんぶり2杯ぐらいは食べるんだぜ?』
「そ・・そんなには無理です・・・昂四郎君すごいんですね」
『凄い・・ってかまぁ只の食いすぎなだけなんだけどさ』
「うふふ」
・・・・おいおい、誰だよ。月咲を冷酷みたいに言ったのは。本当に良い子だった。俺は笑う月咲との会話でそんな噂は絶対に嘘だと確信し始めていた。
きっと振られた奴が月咲に逆恨みしてやったんだ、そう思い疑う事はなかった。
「昂四郎君、良かったら・・・その・・・携帯の番号を交換してくれませんか?」
『ん?携帯の?お、俺なんかで良いのか?』
「・・・昂四郎君のがいいんです」
『お、お、おう!勿論いいぜ!』
俺は慌てて携帯を取り出し赤外線機能を使って月咲の携帯に自分の番号とアドレスを送る。
そして、月咲は俺にアドレスと番号を送る。
月咲 美代子 をアドレスに登録しました。
090-XXXX-XXXX
Angrcom.k.rfk@XXXXX
嘘の様だった、俺の携帯アドレスに月咲のアドレスが・・俺は自然と笑みがこぼれて仕方がなかった。
同じく携帯の受信を完了する携帯の電子音が鳴ると淡い笑みを浮かべる月咲を見て胸が鼓動する音を聞きながら携帯を仕舞う。
「それじゃあ、私はここなので。本当にありがとうございました、昂四郎君」
『こっちこそ、ありがとう。またメールするよ!じゃあ学校で』
「はい・・学校で。お休みなさい」
軽く手を振った月咲は電車を降りると電車が見えなくなるまで、手を振り続けていた。
何か嬉しくてたまらない俺は、携帯のアドレスに記載されている月咲美代子という名前を何をするわけでもなく見始めていた。
すると電車が、月咲を降ろした駅から3分もたっていないのに俺のメールのバイブが響く。
・・・月咲だ。早いな、もうメールをくれたのか。俺は少し興奮を覚えながら、なんら違和感を持つ事なく未開封のメールを開く。
From:月咲美代子
件名:今日はありがとう。
昂四郎君、今日はありがとう。
携帯アドレスを交換出来て本当に嬉しいです。本当ですよ。ラグビー頑張ってましたね。
今日は暑かったけど、応援しようと思って見ていました。水分を欠かさないでね。あ、私もですね。
また明日学校で待ってます。あ、それと、お弁当を作りたいんです。体力をつける様にスタミナのお弁当です。
迷惑じゃなかったら良いですか?
携帯には画像の未開封のデータも添付されていた。
見てみると、駅近くにある24thのスーパーと思われる画像とスーパーの商品を手に持つ月咲の手が写っており2枚載せてあった。
女の子からのお弁当、まるで漫画みたいな話だ。俺は子どもの様に喜びながらOKの返事を返信する。
From:月咲美代子
件名;嬉しいです!
昂四郎君、ありがとう。
私頑張って作るね。楽しみにしてて下さい。
昂四郎君は、いっぱい食べるって言ってたから、工夫して作りますね。
頑張ります、楽しみにしていてねq(^^)p
一回の投稿で60行・4096Bytes(全角で2048文字)までおkなんだぜ?
その返事が届いた時には、自分の駅に到着し電車から降り立つ。
返信を忘れ、携帯をカバンに入れ自宅に戻ると、風呂に入って汗を流し、母親の飯を食いながらテレビのロックバンドの新曲を聞いていた。
ああ・・・今日はなんて良い日なんだろう。月咲の番号を聞かれたし、好きな音楽を聴きながら飯を食う。とても良い気持ちで音楽を聴いて新曲の鑑賞は大成功だった。
そうだ、明日エイジ達にこの話しよう。きっと羨ましがるだろうな。
そんな事を考えながら浮かれたまま、部屋に戻り学校の課題をしていると携帯の事を思い出した。
エイジやクラスの音楽が好きな友達からの新曲の感想が届いているに違いない。シャープペンシルを机に置き、カバンの携帯取出しを見ると、それまでの浮かれていた気持ちが一気に飛んで思わず呟いてしまった。
『・・・なんだこれ・・・・』
―――目を疑う様な事が起きていた。
メール件数が30件を超えていたのだ。
確かにエイジやクラスの友達からのメールは届いていたが、エイジ達からのメールは5件。残りの25件は月咲からだった。
こんなに大量のメールはなんなんだろう。
内容は、弁当の材料や、学校の話。ラグビー部の俺の事を細かく書かれていた。
風呂に入ったばかりなのに汗が軽く滲む、恐怖と不安が入り混じった感覚が全身を巡る。
『いや・・・何かのミスだろう。・・そうだ、何か間違えて送っちゃたんじゃねーかな。・・まぁ、明日は弁当作ってくれるみたいだし・・月咲は個性的なんだよ、きっとそうだ。・・・もう寝よ寝よ・・』
エイジ達に新曲の感想の返信するのを忘れて俺は、携帯の電源を切り充電器に差し込みそのままベット倒れこんだ。
―――今、思えばこの時もっと別の方法やエイジ達に相談していれば、考えていれば、これから先俺が経験をする事は、起きなかったのかもしれない。
けれど、当時の俺はそんな事など気にもせず明日の希望を抱きつつ深い眠りについていた。
第2話 完 つづく
第3話 予告 憐 炎
月咲美代子と交流を深める昂四郎。
昂四郎の優しさに少しずつ加速度的に引かれていく美代子。
しかし、月咲の変わった行動に昂四郎は、少しずつ戸惑いを見せていく。
―――そして、昂四郎の周りに被害者が。
次回第3話 憐 炎 お楽しみ下さい。
遅れてすいません、第2話投稿完了です。第3話は次回投稿致します。
暖かいレスを下さった人本当にありがとうございました。めちゃくちゃ嬉しいです。
未熟者ですが、少しでも楽しめる要に頑張ります。連レス失礼致しました。
>>176 乙
イイヨイイヨー。これはwktkする展開。
月咲このままどんどんいって欲しいw
>>174 すいません!今気付きました!他の板だと混合していました!(汗)
もうちょっとコンパクトにしますね!アドバイスありがとうございます、申し訳ない!
>>177 ありがとうです。もう加速度的にヤンデレ化していくので舞っていてください、
もう少しコンパクトにしますね。本当ありがとうございます。
では、また次回書きます。(明日?)
頑張ります。コンパクトを目指して頑張ります。失礼しました。連レス失礼しました。
投稿はやっ!w
でもGJ
次も全裸で待機してます
主人公がイケメンとかじゃないのが良いね。
惹きつけられる。
wktkが止まらない!!速く全裸で待ってるから続きを速く!
好きな人に嫌われると不安に思ったヒロインがヤンデレ化するのは萌えるな
特に彼氏が彼女を一方的に振って、彼女が必死に寄りを戻そうと彼氏の家に合鍵を作って
先に待っていたりと……
ヤンデレの需要は無限大!!
第二話のタイトル見た瞬間キタッッッ!!!って思ったぜ
GJ
>>181 自宅に潜伏系はマジキチ
だがそこがいい
作者自演乙
厨臭い上下手なSSに厨臭い感想とはお似合いだね
>>183 面白いですよ。とっても
見る目がないんですね
184「俺は面白いと思ったんだけど、あいつは面白くないと思ったんだって。アイツ頭おかしいよな」
夏だからしょうがないな
うん
ここは建設的ではない批判を述べる場ではない
つまらんと思ったらスルーしろ。少しはヤンデレっ娘のスルースキルを見習え
お前が一番できてない
>>188 だからあいちゃんそんなにムキになるなよ
>>184,187,189
一年ROMれ
そういうあからさまなマジレス止めろよ
削除依頼できなくなるだろうが
夏だなあ
9月までは我慢
>>192 お久
そしてこれまた懐かしい&カワイイ冬華でつね
あれ?これってお茶会じゃね?なつかしいな
早く九月にならないかなぁ
そうすりゃこっちだけ休みだ
荒らしだって嫉妬してるあいちゃんだと思えば
可愛いもんだな
飼育員さーん!!!!
198 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 09:24:06 ID:6YcsWuPM
アイちゃんとかクダラねぇネタいらん、投下と感想だけにしろよ。伸びてるからwktkしてたのに。ったく。
もはや夏真っ盛り
お茶会か〜懐かしいな
本当にあの頃が懐かしい・・・
夏厨かどうかがコメントみれば一発でわかるな
職人にも夏厨がいるのは問題だが
>>198 ここは18歳未満のお子様が来ていい所ではありません。
夏休みの宿題でもしてろクソガキ。
第3話 憐 炎
【高校時代2学年/昂四郎自宅/AM7;00】
制服のネクタイを絞めながら、携帯の充電を完了した携帯を手に取り電源を入れる。
メールセンターに問い合わせをすると、メールが更に20件も着ていた。
『月咲・・・まとめて送るか、俺が返事送ってからすればいいのに。・・あ〜・・新しい携帯とか・・んなバカな・・・』
呟くとあまりのメールの多さに月咲のミスや携帯電話の故障などでは無いと確信した。
寝起きの気だるさと電車通学の面倒さ、月咲の行動に疑問が重なって、朝から憂鬱になる。
とにかく、学校に行こう。今日は月咲が俺に弁当を作ってくれるんだから、良い日になるに違いないだろう。
メールの事はまた聞けばいいだろうし。
今日の朝食は、月咲の弁当に備えて、ベーコンエッグとパン1枚、牛乳だけにした。
『んじゃ、行ってきまーす』
食べかけのパンを口の中で噛みながら、部活のバックを肩に下げて家を出る。
6月後半だってのにもうセミが現れて声が五月蝿いくらいに鳴り響く道を歩いていく。
今年は猛暑で随分暑くなってきた。後一ヶ月ぐらいで夏休みだ。
それでも、夏休み中の午前は部活だし、場合によって受験対策をしなくちゃならない。
俺の高校はまがりなりにも、進学校だしあまり部活に力は入れてないのかもしれない。
けれど、ラグビーは好きだし、きっと大学に行っても続けているんだろうな。
そんな事を考えながら駅に着く、口の中で噛んでいたパンは気付けば飲み込んでいて、乗客が半分以上埋まっている電車に乗る、冷房がガンガンに効いていて爽快だった。。
俺の駅からは、乗る人は少ないけれど、次の駅からは凄い人が乗り込む。
そういえば、月咲はこの駅で降りたよな。そんな事を考えていると駅に止まり、大勢の乗客で電車内は溢れ直ぐに考えは消え去った。とにかく人の多さに流されない様に耐える。
『さて、相変わらずの人の多さだ・・・』
桜花学園周辺には、6つの高校があって電車はいつも生徒達で混雑する。
それに通勤する社会人を含めるとかなりの人数だ。
エイジも昔、電車通学をしていたのだけれど、この人混みが嫌で自転車に切り替えた。
それくらいの人の多さから、俺が朝から憂鬱になる原因の1つだ。
それでも大勢の人に押されながら、人混みに耐えていると後ろから誰かが背中にギュっと抱きかれる感触を感じる。
誰だ・・普通押されるのは分かるけど抱きつかれるのは初めてだ。
あまりの事に驚きつつ、後ろを向き抱きついている人物に目を向ける。
『月咲・・・?』
金髪の明るい髪が目につき、顔を見上げ笑みを浮かべて「おはようございます」と小声で呟いた。
そう抱きついていたのは、月咲だった。
『あ・・ああ。ど、どうした・・・の?』
「電車人が多くて・・押されてしまって・・・気付いたら昂四郎君だったんです。」
『そ、そうなんだ・・』
「ごめんなさい・・人が多くて動けなくて・・・昂四郎君、こういうの嫌ですか?」
『いや、嫌とかじゃそういうのじゃないんだけど・・・』
俺は電車の中で偶然人に会うのはよくある事だったけれど、こうも背中と言えど抱きつかれる事に赤面しながらひたすら前を向く。
前を向かないと、心臓の鼓動の早さでどうにかなりそうだった。
それに電車の乗客も沢山いるし、これを桜花学園の生徒に見られたら説明のしようにも何と言えばいいのか分らない。
メールの事を聞きたかったけれど、そんな事はどこかに飛んでしまい、とにかく一刻も早く学校に着きたかった。
それに追い討ちをかける様に、月咲が俺の背中に耳を当てる。
おい、何だよ眠いのか、俺は枕じゃないんだぞ。
「昂四郎君、心臓がドキドキしてる・・・可愛いんですね」
『い、いや・・それは、その』
「昂四郎君?お弁当作ってきたんですよ。後で渡しますね?」
『・・・あ、ありがとう』
後ろから俺の背中に顔を休ませる月咲がそう告げると益々、心臓の鼓動が早くなるのが分った。
「昂四郎君、今日のお弁当は豪華なんですよ。楽しみにしていてくださいね。」
『お、おう。弁当の為に朝食軽く済ませてきたんだ』
「え・・・?」
『いや、残したらいけないと思ってさ〜・・・昨日から楽しみだったよ。』
「・・・・嬉しい・・・・・・」
『ん?今なんか・・・言った?』
「いいえ・・・何も」
月咲が言った小声は電車の線路を走る音でかき消されて、聞こえなかった。
聞き返しても月咲は何も言わなかった。
すると電車が急にスピードが弱まり車内が揺れる。何かに掴まっていないと倒れそうだ。
それと同時に月咲の体が俺に密着する。
・・・苦しいくらいに強く抱きつかれる。
揺れが収まっても離れるどころか、逆に体を俺に近づけてくる。月咲の大きな胸が俺の背中に当たる。
―――俺は色々な意味で限界を感じていた。
―――次は〜桜花駅前〜桜花駅前〜左側のお客様、開く扉にご注意下さい―――
天の助けの駅員のアナウンスが車内に響く。
扉が開くと、直ぐに外に出て開放感に目を伏せた。
俺にとって流石にこれは拷問に近い。
ふと、降り立つ乗客の中に俺に視線を向ける子に気付く。
―――大沢明美・・・・?同じクラスの大沢だ。クラスの学級委員で剣道部。同じ運動部とあってか馬が合う。
何か不思議そうな表情で俺を見ている。
何だろう、俺は大沢を呼ぼうとするが大沢は、俺を見るなり何かに驚いた様にサッとその場から走って行った。
『何だありゃ。騒がしい奴だなぁ・・どうしたんだろう。』
「・・・・昂四郎君、行きましょう?」
『お、おう。行こうか』
後ろに居た月咲に促され共に学校へと向かう。
【桜花学園通学路】
桜花学園は、小高い山の頂上に建てられていて俺と歩く姿を見た桜花学園の生徒達は皆が皆驚いていた。中には立ち止まり凝視する者もいた。。
恐らく皆の気持ちは1つ―――なんで野獣のあいつと!?―――
・・・悪かったな、俺で。成り行きなんだよ成り行き。
そんな驚き騒ぐ生徒達をよそに俺と月咲は学園へ到着した。
「昂四郎君、じゃあ私はここですので、お弁当昼休みに届けに行きますね。」
『うお、それは月咲に悪いって。俺が弁当取りに行くから。月咲の教室まで』
「・・それじゃあ、昂四郎君に悪いです」
『ん〜・・・それじゃあさ?屋上で待ち合わせしようか?』
「屋上?」
『うん、ついでに一緒に食べようぜ。昼飯』
「・あ・・・はい!」
やけに明るく月咲は、返事をした。
特に気にしなかったが、この時、大沢明美がこの光景を見ていたとは俺は知らなかった。
教室に着くと、早速クラスの男子達が俺に絡む。
「ようようよう〜!見せ付けてくれるじゃないの〜!!」
「おい、何で月咲と一緒に登校してくんだよ!何したんだ!どうしてなんだよ!俺あいつに話しかけても無視されたんだぜ!?」
「お前羨ましいってかムカつくな!!!」
『別に・・・なんもねーよ。おら、席に寄るな暑苦しいなぁ〜!』
予想通りの反応に呆れながら席に着くと、エイジが話しかけてくる。エイジも月咲の事を聞くのかと、少し警戒しながらエイジに視線を向ける。
エイジ
「オッス、昂四郎!いや〜昨日のFUZの新曲最高だったよな〜!ってかお前メール返せって〜!」
『オッス。メール悪い・・・ってか・・・お前は驚かねーの?』
エイジのいつもと変わらない様子に『・・・月咲の事を聞かないのか?』と思いながら恐る恐る尋ねる。
エイジ
「あん?どうせ月咲の事だろ?昂四郎、お前うぬぼれてんじゃねぇええぞぉぉ〜?おめ〜天狗かぁ?鼻折るぞ鼻!いちいち騒いでたら疲れるだけだし、何で昂四郎の恋沙汰でいちいち、俺が一喜一憂しないといけねーんだぁ?
そんな事より、FUZだFUZ!お前のそっち方面の話は、もうちょっと進展してから聞いてやるよ、ほら、とにかくFUZの新曲どうよ!あのベース音最高だっただろ〜!?」
エイジらしい答えだった。
そうだよな、偶然電車で会って、偶然通学路を歩いてた。どこでも聞く話だ。変に騒いで恥をかくのも嫌だ。
遠まわしにエイジが注意してくれたかの様に聞こえた。気持ちを切り替えて俺はエイジとFUZの新曲の話で盛り上がる。
そんなエイジと話をしている時、俺を呼びかける声がした。
―――大沢明美だ、何だ駅だとそのまま走って行ったのにどうしたんだろう、どこか怪訝そうな顔つきで俺に話しかける。
大沢明美
「昂四郎、悪いけどちょっといい?」
『おお、大沢・・・何だよ?生物のノートならさっき提出したぜ?』
大沢明美
「いや、そうじゃなくてさ・・・・あんた月咲とどういう関係なの?」
『どういうって・・・いや別に。ちょっと知り合いでな。それより、朝、駅で同じだったよな。どうしたんだよ無視して行くなんて大沢らしくもないな。』
大沢明美
「いや、それは・・・その。昂四郎があの子と居たから気になってて・・・・・あ、あのね、昂四郎。実は私、あの時電車で見―――」
―――大沢の言葉を遮るかの様に、始業開始の鐘が鳴り響く。
教室との雑音と入り混じった中で大沢は言葉を途中で止めてしまった。
『電車で・・・な、なんだよ?』
大沢明美
「あ・・・ま、まぁいいわ!昂四郎ごめん、また話すよ。別に対した事じゃないし、本当ごめんね!」
大沢は、両手を俺に合わせ誤魔化す様に笑いながら自分の席へと戻って行った。
何かを俺に伝えようとしたのか、何かを知っている様な感じだった。席に座り髪を自分の髪を撫でる様子の大沢は、何かに怯えている様な顔つきだった。
エイジ
「大沢どうしたんだ〜?」
『わかんねぇ・・・エイジ、大沢に何かやったか俺?』
エイジ
「昂四郎・・・!貴方、只でさえ夏なのに本当に暑苦しいのよっ!私がいる車両に近づかないで!というか電車にもう乗らないで頂戴っ! とかじゃねーの?」
『・・・うっせ!!』
大沢の声のトーンを真似て茶化す隣の席のエイジと冗談を混じりながら笑ってふざけ合い、大沢の真剣さはどこかへ飛んで行ってしまった。
本人が対した事じゃないって言ってるんだから対した事じゃないんだろう。
気にする事ではないし、また聞けばいい。
そうこうしている内に授業が始まる。
―――俺は後に、大沢の言葉をキチンと聞けば良かったと後悔する。
【桜花学園屋上】
――――昼を知らせる鐘が鳴り響いて、大体18分弱。
屋上で待ち続けているけれど、月咲はまだ来ていない。
どうしたんだろう、ちょっと俺が早く来すぎだのか。
月咲は特別進学クラスだから、授業が長引く事もあるだろうし、別に弁当が逃げるわけでもない。
それに10時ぐらいか、月咲から少し遅れるとメールが着た。
俺はその時、メールの事を聞くのが段々億劫になってきていた電車で聞ければ良かったけれど、タイミングを逃してしまった。
確かに20件以上のメールを送るのは、アレだけれど、悪気はないよな。内容も普通だし気にしすぎなのかもしれない。
そうこう考えていると俺に向けて声がする。
月咲美代子
「・・・・昂四郎君、お待たせしました。遅れてしまってごめんなさい。授業が長引いてしまって」
『おお、月咲〜・・・どうも。別に気にするなよ、特別進学クラスなんだからさ夏前だしそんな事ザラだろ?』
月咲美代子
「ありがとうございます。・・これお弁当です。」
『うお〜ありがとうな月咲。じゃあ〜・・・・あそこに座ろうぜ?』
月咲は俺の言葉を聞くと嬉しそうに微笑みながら、手さげ袋から弁当を取り出し近くにあったベンチまで移動し腰を降ろす。
隣に座り弁当を開ける準備をする月咲は、本当に品があって動作の1つ1つが綺麗だ。
弁当の袋もキチンと折り畳んで膝の上に乗せる。
弁当の蓋をゆっくり開けると色鮮やかな弁当を俺に差し出す。
そんな光景に思わず見とれてしまっていた。
月咲美代子
「・・・どうぞ、昂四郎君。」
『お、おう!美味そうだなぁ〜・・・・じゃあ遠慮なく、いただきます。』
月咲美代子
「どうですか・・・?お口に合いますか?」
『美味い。すげぇ美味いよこれ!』
月咲美代子
「良かった・・・!」
俺の返答に月咲は、とても喜び笑みを零す。
月咲の弁当の料理は本当に美味かった。なんと表現したらいいんだろう、お腹がとても空いた時に食べるご飯の感覚。飯の美味さと空腹が満たされる感覚で俺は無我夢中で弁当を食べていた。
お互いの弁当を食べながら、勉強の話や部活の話、昨日の料理でうっかりして、卵を焦がしてしまった話などどこにでもある会話をしながら弁当を食べ終わる。
『ふう・・・美味かった。ご馳走様!』
月咲美代子
「綺麗に食べてくれたんですね、嬉しいです。」
『いや〜やっぱ美味いよ月咲のご飯は。こんな料理なら昼と言わずずっと食べたいぜ〜・・なんちゃってな、アハハハ』
月咲美代子
「・・・私頑張って作ります。」
『・・・ん?』
月咲が微笑みを浮かべながら小声で何かを呟いていたけれど、聞こえなかった。
その時は冗談で言ったつもりだった。まさか本気にしてないよな、まさかな、そんな筈はないだろう。
けれど、昼飯の満足感で俺の考えは消えていった。
――――その時だった、校舎が騒がしい。
昼休みは確かに騒がしいものだけれど、いつもと違った騒がしさ・・なんというか耳につく様な騒がしさだった。
女子生徒の悲鳴や先生の大声が校舎に響く。おかしい、何か普通じゃない。俺は直ぐに立ち上がると月咲と共に外に視線を向ける。
同じ屋上にいた生徒達も、フェンスに近づきながら何が起きたのか確認しようとするが、よくわからない。
それと同時に救急車のサイレンが近づいてくる、遠くから段々と学園に、目的地は間違いなく学園だった。
校舎から入り口へ向け数人の男子生徒が、走り慌てて門の入り口を開く姿を確認する。
救急隊員が、担架を引きながら迅速に行動している、向かっている場所は西校舎。
さっきまで俺達のクラスが音楽の授業で使っていた音楽室がある校舎だった。
一体何が起きたのだろう、桜花学園は不良などが喧嘩をして大怪我をする様な雰囲気の学校ではない。
そんな事は先ず有り得ない。
―――すると、携帯電話のバイブの振動音が響く、携帯のディスプレイを見るとエイジからの着信だった。
俺は直ぐ様携帯に答え、携帯から伝わるエイジの第一声に衝撃を覚えた。
『もしもしエイジ?おい、救急車がいるけど何かあった―――』
エイジ
「もしもし!?昂四郎!おい、大変だ、大沢が・・・大沢が落ちた!」
俺の返答を待たずにエイジが慌てた口調で言い終える。
―――大沢が落ちた。ちょっと待てくれ。どういう事だ、・・・落ちた?どこから?なんで落ちた?何で大沢が?ってか落ちたってどういう意味だ。
俺の頭の中で様々な憶測が過り混乱していた。
エイジ
「凄い怪我で、さっき1年が倒れてる大沢を見つけて、ちょ・・また後でかけなおす、おい!大沢!大沢!大丈夫か、・・・―――」
現場の緊張感が肌に伝わり電話は切れた。外を見ると担架に運ばれる大沢がいた、近くに大声で大沢の名前を叫ぶエイジやキヨちゃん、クラスの女子生徒達。
担架で運ばれる大沢は顔から出血をし床に滴り落ちていた。
酷い怪我の様子だと誰が見てもそう思う姿だった。
回りには野次馬で溢れていたり、悲鳴を上げたり泣いている生徒も居た。先生達は生徒を近づけ無い様に教室に戻る様に声を張る。
屋上にいた生徒達も事の重大さに呆然としていた。
月咲美代子
「昂四郎君・・・!怖い・・」
フェンスから光景を見て着信が終わった携帯を握りながら唖然とする俺に、月咲がギュッと強く抱きしめてくる。
月咲は震えながら一連の流れを見ないように顔を俺の胸板に埋めていた。
暫くすると澄んだ瞳から大粒の涙を出しながら俺に抱きつく、涙で俺の制服のシャツは濡れるがそんな事も忘れて俺は月咲を見下ろしていた。
『だ、大丈夫、月咲大丈夫だぞ。大丈夫・・・』
月咲美代子
「昂四郎君・・・このまま・・・抱きしめて下さい。このまま」
俺はこんな光景を女子が見たら泣くに決まっていると思いながら、月咲を泣かない様促す。そして月咲を抱きしめる。
―――そうだ、こういう時に俺がしっかりしないと駄目なんだ、俺がしっかりしないと。
とにかくしっかりしよう、俺の中で気持ちは高まっていった。それがどういう未来に向かうのかそんな事も知らず、俺はひたすら月咲を、ただただ、抱きしめていた。
第3話 完 つづく
第4話 次回予告 純 粋
同じクラスの学級委員、大沢明美が校舎から落ちるというショッキングな事件に桜花学園は揺動く。
そんな中月咲と昂四郎は絆を深めていき月咲の行動はますますエスカレートし、月咲の行動に疑問を少しずつ蓄積していく昂四郎。
―――そして大沢の事件を調べるエイジ達が知った事実とは・・・
次回第4話 純 粋 お楽しみ下さい。
投稿完了です、また次回投稿します、連レス失礼しました。次回はもっとコンパクトにする様に頑張ります(汗)
失礼しました!
GJです。
昼飯がてらに読んでいたくど、なんか腹減りが治まった
>>192 うぉぉおおぉおぉぉ伊南屋さん来てたのかっ!!!!久しいな!今更ながら超GJ!
GJ
名前「」ってのはできたらやめてもらいたいんだがダメかな?
正直読みにくい
面白いだけにそこだけが残念
>>210 前半のデレの裏で月咲さんはなにやってたんだろうか、しかしこれは怖いw
215 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 15:10:41 ID:6YcsWuPM
いやいやgj!
もう3話キター!!!!GJGJGJGJ
大沢さん(´・ω・`)カワイソス
どうも、前回いい感じに頭が腐ってる文章を投下した者です。
今回はオリジナルを書いてみました。
題名は『歪ンダ家』です。
220 :
『歪ンダ家』:2008/07/25(金) 22:49:32 ID:L9vvQbsP
数年前、母は父に見捨てられた。
家に残された母と別れる主旨がつづられた一枚の紙切れと共に父は家から出て行ってしまった。
中学一年だったその頃の俺はサッカー部に入っていて、いつも夜の八時まで練習に明け暮れていた。
そんなある日いつものように腹を空かせて家に帰ると俺は家の雰囲気がおかしいことにすぐに気がついた。
夜の八時という辺りが暗闇に包まれる時間にも関わらず全く電気のついていない我が家。
そして暗い玄関の入り口で体育座りで泣きじゃくる小学一年生の妹の姿。
「桜っ!?」
「・・・・お兄ちゃん?うわぁああああお兄ちゃぁぁああんん!!」
俺は泣き叫びながら抱きついてきた妹に一体どうしてしまったんだと聞いた。
嗚咽でなかなか声を聞き取れなかったが、何とか母親に何かが起きたという事だけは理解できた。
妹の頭を撫でながら俺は玄関を開ける。しんとした廊下が現れ、下には母の靴だけが綺麗に置かれていた。
「母さん、どこ?」
「えぐっ、う、うぅ、だ、台、どころぉ。」
「そうか。ありがとう」
妹の頭をくしゃりと撫で、俺は母がいる台所へ向かった。
「母さん?」
自分の呼びかけに返ってきたのはやはり静寂。照明スイッチを手で探し当てスイッチを押す。
辺りが明るくなり全体が見えてきた。
「っ!!」
母は冷蔵庫にもたれかかる様に座っていた。
「母さんなんで台所を暗くしてこんなところで座ってるんだよ!桜が怖がって泣いちゃってるじゃない・・・・うっ」
思わず言葉を止めてしまったのは母が異常な状態だったからだ。
「か、母さん?」
「ママ・・・・・・、さ、桜が帰ってから・・・・・・・ずっと・・・・・ひっく、このままなの・・・・・・」
背中にしがみついた状態で妹は説明した。
「ずっとこのまま!?」
思わず大きな声で聞き返してしまったせいで妹はびくりと身体を震わせた。
俺は後ろを振り向きごめんと謝罪し、再び母を見据えた。
221 :
『歪ンダ家』:2008/07/25(金) 22:50:32 ID:L9vvQbsP
明らかにおかしかった。
まるで何時間も泣いていたかのように充血し、どこを見ているかわからない焦点の合わない瞳。
いつもにこにこと微笑み、自分や妹を暖かくさせた顔は人形のように固まっている。
ウェーブのかかったセミロングの綺麗な髪はぼさぼさ状態でまるで化け物みたいだった。
「うぅ・・・・・・」
知らない、自分の知らない誰かがそこにいた。
「かあさん、なあ母さんどうしちゃったんだよ!母さんってばあ!!」
数度、肩を揺らし続けやっと母に動く気配が感じられた。
「どうしたの?」
「・・・・・・・・・・」
まだ焦点の定まってない目で俺を見つめ母は一人ごとのように語った。
「あのね、お母さんね、パパに捨てられちゃったの。パパは他のオンナと一緒に家から出ていっちゃったの・・・・・・」
乾いた笑い声を上げて母はくしゃくしゃにした紙くずを俺に投げてきた。それがあの紙切れだった。
「うふ、捨てられたぁ。優治さんに・・・・・・、あはははは」
母が壊れていく。
多分その頃の俺は直感的にそれを感じたのだろう。きっとここで自分が何かをしなければ母は二度と帰ってこれなくなると。
そう感じてからは俺の身体は迅速に行動した。
母の両手を握り締め、こういった言った。
「大丈夫、だよ。僕が、僕がずっと母さんの側にいるから。ずっと、すっと側にいるから!
だから・・・・・・、安心してよ。ね?母さん」
「かずみ・・・・・・・」
その後母は桜よりも大きな声で泣くし、痛いくらいの力で抱きしめてくるし、次の朝まで離れてくれなかったしでそれは大変だった。
けど俺はきっとこれで母は元に戻ってくれると安心した。
母を捨てた父、優治が母を捨てる直前まで見せていた笑顔は嘘だったのかと思うと殺してやりたい位にむかついたが、
きっと母なら立ち直ってくれるとその頃の俺は信じていた。
信じていたんだ・・・・・・・。
222 :
『歪ンダ家』:2008/07/25(金) 22:51:17 ID:L9vvQbsP
月日は流れ、俺は高校三年生、妹の桜は小学六年生になった。
「ただいま」
「お帰りなさい和実」
そう言って玄関を開けるといつものように母が廊下で俺の帰りを待っていた。
「今日も時間通りに帰ってきたわね。偉いわ和実」
うふふふと微笑みながら彼女は靴さえも脱いでない和実の胸に抱きついて背中をゆっくりと撫でた。
「今日の晩飯何?腹減った」
「今日はすき焼きよ」
「そうなんだ」
そんな他愛の無い会話をして和実は母の抱擁から抜け出て靴を脱ぐ。
そして台所に向かおうとすると母に手首を掴まれた。
「何母さん。俺腹減ってんだけど」
「もう、和実ったら何度言わせたら解るの?」
「・・・・・・わかったよ」
和実は無言で母の両肩を掴み、
キスをした。
「ん、くちゅ、んふ、んん!!」
強く唇を押し付け舌を口内に侵入させる。唾液を流し込む。
「んぐ、ごく、んちゅ、んん・・・・。ぁふぅ・・・・・。じゃあ・・・・、晩御飯に、・・・・しましょうか」
はぁはぁと息を切らす母は満足げに言った。
和実は恍惚としている母に見えないように口を拭った。
そう、母はあれから立ち直れなかったのだ。
あの時母の心はすでに壊れていて修復不可能の状態になっていたのだ。
あの日から母を何とかしようと少しずつ努力はしたがそれは空しい結果に終わった。
あの日から母は異常なまでに俺という存在を求めてきた。
先程のキスもそうだ。学校に行っている間の埋め合わせのように毎日家に帰れば同じことを求めて来る。
うんざりするが俺は断ったりはしない。断ればまたああなるのは目に見えるからだ。
「ご馳走さま。うまかったよすき焼き」
「よかった。母さん頑張ったかいがあったわ」
「夜食頂戴」
「はい。和実は中学生から勉強頑張るようになったわねぇ」
「みんなやってることだよ。じゃあ勉強してくるね」
「頑張ってね」
和実は母に作り笑いを見せ、手にしたおにぎり三個と少し残ったすき焼きを入れたタッパーと箸を持って二階の自室へ向かった。
223 :
『歪ンダ家』:2008/07/25(金) 22:51:45 ID:L9vvQbsP
「ごめん、遅くなって。お腹減ったろ?」
部屋には妹、桜がベットに仰向けに寝転がっていた。
「ううん、全然大丈夫。気にしないで兄さん」
むくりと起き上がり瞼をこする桜。
「寝てたのか?まぁいい、今日はすき焼きだったんだ。うまかったぞ、ほら」
和実は妹の隣に座り、タッパーの中身を見せた。
「わぁ本当だ、美味しそう。ふふ、何だかこれ見てたらお腹減ってきちゃった」
「だろうな」
「 ね、だから早く食べさせてよ 」
「・・・・・わかった」
すき焼きの肉を二、三枚箸で摘み和実はそれを咀嚼する。その光景をみて桜はごくりと喉を鳴らした。
もぐもぐと噛む事十秒、和実は自分の口の中にあるどろどろになった肉を妹の口の中にキスをする形で流しこんだ。
「ん、んぐぅ、むぐむぐ・・・・・。ぷはぁ、美味しぃ。ねぇ、もっと頂戴?」
「わかった」
ぺろりと唇を舐める桜に和実は心が痛んだ。
あの日以降母が変わったのは俺を求めるようになっただけではない。
妹を完全に無視するようになったのだ。何故だかは知らない、ただその事実は小学校一年生の桜の心に深い傷を負わせた。
母は妹の世話を全くしなくなくなり代わりに俺がしなければならなくなった。
とにかく妹に食事をさせなければならないので俺はコンビニで買ってきたパンを妹に与えたが、一向に妹は食べようとしない。
最初は腹が空いてないのかと思っていた。しかし二日もそういうのが続くと流石に俺もおかしいと気づき始めた。
何度食べてくれと願っても自ら食べようとしない桜に俺は意を決してパンを自らの口に入れた。
そしてペースト状になるまで噛んだ後、妹の口の中に無理矢理ねじ込んだ。
桜の驚きに満ちた目が俺を見る。何て言われても構いはしない。
食べてくれなければ妹は、桜は死んでしまう。
そんな俺の思いに応えてくれたのか、桜はやっと食事を取ってくれるようになった。この方法でならばだ。
「んぷ、ちゅっちゅ、あはぁ、んぐぅ」
最近はやっと学校の給食を一人で食べれるようになったらしいが、家にいる間は断固して食べてくれなかった。
「えへへ、うんん」
頬を蒸気させた妹を見て、目的が自分の口にある食物を絡め取る以外のために舌を積極的に絡め、
そして淫らに長い髪を揺らす桜を見て、和実はしきりに痛む胸に俺は間違っちゃあいないと何度も言い聞かせた。
224 :
『歪ンダ家』:2008/07/25(金) 22:52:19 ID:L9vvQbsP
母だってそうだ。
母は美しい、綺麗だ、美人だ。そんな母が昔のように微笑んでくれるのはとても嬉しいのだ。ほんの少し目を瞑っていれば母は昔の母でいてくれる。
自分は母を精神の崩壊から守っているのだ。
妹だって同じだ。
自分があのまま桜を放置していたら絶対桜は衰弱していく一方で死んでいたに違いない。純粋で俺の心を癒してくれる桜がいない生活なんて想像もしたくない。
自分は桜を生かしているのだ。
そうだ、俺は俺の世界を守ってるだけなんだ。
「んふぁあ・・・・・。美味しかったよ兄さん、ご馳走様」
「ああ・・・・・」
妹の食事が終わった。あとは妹は自分でやってくれる。
俺は妹に風呂に入ると告げ一階に降りた。
脱衣所につき、扉を開けると下には母の下着と曇りガラス越しに見える母の姿とシャワーの音が奥から聞こえた。
俺は素早く撤退しようと後ろを向いたが母は見逃さなかった。すでに、母の手がバスルームのドアを開けて俺の肩を捉えていた。
「どこ行くの和実、お風呂に入りに来たんでしょ?」
「いや、母さんが先に入ってたから俺は後で・・・・」
言い終わる前に母が肩を引っ張り、俺と母が正面を向かわせる形にした。
「そんなつれないこと言わないでよ。
嫌なの? 」
そこには母の顔が な か っ た 。
「あ、あぁ・・・・・・」
即座に和実の頭が警報を鳴らす。
まずい、やばい、いけない、と。母を守らなければ、己の世界を守らねければ・・・・・・、と。
「・・・・ち、違うよ、ちょっとした冗談だよ」
「なぁんだ、母さんびっくりしたじゃない。じゃあ早く入ってきてね?待ってるから」
「うん」
ニタリと昔とは違う、異質な微笑みを見せた母はとても四十を超えたものとは思えない一糸纏わぬ身体で和実を抱きしめてからバスルームに戻っていった。
和実は思った。
俺は間違っちゃぁいない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
異常です( ゚ω。)ノうっほっほ
>>225 一番槍GJ
これは良いwww続きが楽しみ
なんという腐り具合
だがそれがいい
キモ妹とキモ母か
けしからんもっとやれ
ヤンデレの幼なじみはどこいった
>>225 マインドフレイアに脳みそ吸われたんだな
おかげでいい感じにGJ!
次の敵は病んだ従姉妹や幼馴染とかですね!
ところで続きはまだかね? ( ・∀・ )
第4話 純 粋
【大学生時代/昂四郎マンション】
『そうだ・・・大沢が落ちたんだっけな・・・』
「別に・・昂四郎は悪くねーよ。忘れてたのは、そのなんだ・・・まぁ〜後で言うわ。」
体が少しずつだけれど、軽くなってきた俺はベットに座りながら自分の足の親指に特に、意味もなく視線を向け、ソファーに座るエイジの話を聞いていた。
そうだ、大沢明美が校舎から転落した事件。
当時、新聞やテレビで特集されるほど大変な騒ぎだったと思う。自殺未遂か、はたまた事故か、学校側の安全面の配慮はどうなっているんだとか、テレビの評論家達が偉そうに批判していたのを思い出す。
それよりもエイジが言った俺が月咲に起こった事、その言葉がいまだに顔面を殴られたかの様な衝撃を覚えて深夜の眠さに重なって気持ちは沈みがちだった。
月咲が、俺に・・・。そんな事ありえるのかよ。完璧に記憶から消えている。とにかく、エイジの話を引き続き聞いた。
「・・・今、大沢は北海道の大学に行ってて元気にやってるけどな。まぁ、それはいい。昂四郎。お前は高校2年の夏休みから冬までの事覚えてるか?」
『正直、部分部分を覚えたり覚えてなかったりだ・・・俺は、そうラグビーしてたっけ。そんくらいしか・・・けれどさ、そんな鮮明に覚えてる奴なんて滅多にいねぇぞ?俺みたいなの、普通だと思うんだけれどな・・・』
「・・まあな。簡単に言えば、今「小学校に通っていた時の事を毎日、鮮明に何が起きたか覚えてるか?」ってのを聞かれてる様なもんだし。けどな、昂四郎?お前は覚えていなくちゃいけねーんだよ。あの後起きた、月咲との事を。」
『月咲との・・・事・・・?』
エイジはそう言うと、煙草を歯で噛みライターで火をつけ、白紫煙を吐き出しながら、そう告げた。
その後起こった事をゆっくりと落ち着いた口調で話をしてくれた。
あれから起きた事。
―――そうだ、転落事件以降、俺達の周りに色々な事が起きたんだ。
【高校生時代/桜花学園】
大沢が校舎から転落してから3週間が経とうとしていた。校門の前には、いまだにチラホラとテレビ局のリポーターやマスコミが取材をしている。
学校に行くたびに取材を受けていい迷惑だった。
緊急保護者会が開かれ、職員室は対応で大忙しの様子で授業が自習になる事も珍しく無かった。
転落をした大沢を見た何人かの生徒が、精神的なショックで学校を休むという報告もあり、桜花学園は今までにない混乱に包まれていた。
幸いにも大沢の症状は、命に別状はなく落ちた場所が花壇であった為に土がクッションになり難を逃れたそうだ。
事件から一週間、まだ落ち着き取り戻さない学園では、急遽放課後、クラス毎でHRを開始し話し合いが始められた。
「学級委員の大沢が校舎から転落した件は、皆も知っていると思う。今、色々な情報が錯綜していて、先生達も正直、把握出来ていない部分が多くある。
大沢が転落したのは、西校舎の花壇だ。恐らく音楽室か上の図書室から転落したんじゃないかと、警察の方からのお話だ。
皆は大沢が最近元気が無かったとか、何か悩みを抱えていた様子だったっていうのはないか?
何でもいいから教えて欲しい。ご両親の方も心配なさっている、一刻も早くみんなが学業やスポーツに打ち込める様に先生達も努力する、力を貸してくれ。」
担任教師の話が終わると、大沢が欠けたまま、学級委員が1人、教壇に立つと意見を求めた。
教室が生徒達の声でざわつく。
ふざけているざわつきではなく、何かを相談しているざわつきだった。
隣の席のエイジが、怪訝そうに俺に話す。
「昂四郎、お前どう思う?」
『どうって・・・何が?』
「大沢の事だよ、お前はどう思ってるかなって。」
『おう・・・・俺は事故じゃないかなって漠然だけど思ってる、本人に聞くのが一番早いんだけれど・・・今はそれは難しいし、自殺とかそっち方面じゃないだろ、あいつもうすぐ剣道の大会だったし。けど正直わからねぇな。』
「そうだよな。・・・・うし、昂四郎!俺さちょっと大沢の事調べてみるわ。あいつが、何で落ちたのかさ」
『エイジ、そういうのは警察に任せとけよ。俺達じゃ足手まといになるだけだぞ?』
「大丈夫だって、危ない場所に行くわけじゃあるまいし。それに何か気になるんだよね。心配しすぎだ熊さんは。」
『・・たくっ、俺は知らねぇかんな?』
エイジと会話をしている中、俺も色々と考えていた。
大沢があの時俺に言おうとした事は何なのか、電車で何を見ていたのか、それが今回の転落の事と何か関係でもあるのか。そんな事を考えていると懐に仕舞っている携帯がバイブの振動を鳴らしていた。
―――月咲だ、最近は前にもまして頻繁にメールが来る。こっちが返信すればする程、月咲もそれに答える様に返事を出す。
最近は、メールを返せない事も多くなってきた。話題は月咲が振ってくれるが、部活から帰ってきてメールがきても返せない事が多い。
流石に疲れてしまうからだ。俺の携帯には見開封のメールさえある程だった。
最近は画像も多く添付されている、月咲の写真が殆どだ、今帰り道です。とか、今からお風呂です。明日一緒に帰りましょう。とか正直返信には困るけど、女の子ってこんなものなのか?
そんな事を考えている内に、HRは終わった。暫くは部活動や文化部の活動は一週間程、自粛になってしまった。
部活を終えた生徒達にしつこくマスコミなどが取材をし、苦情が学校側に殺到したのが理由らしい。
「・・・昂四郎君!」
部活が中止になった為に俺も帰宅しようと校門を抜けた時、誰かに声をかけられる。
月咲だった、校門のところで後ろに手を組みながら微笑んでいた。
最近は月咲とよく帰る。昨日、初めて俺から手を繋いだ。
何かお互い仲が良くなっていく感じになってきたし、まぁほんの数秒間だけれど、月咲も嫌な顔はしていなかった。
不思議に思うのは何で、俺の下校時間が解ったんだろう。部活ならある程度の下校時間が解るけれど、誰かから聞いてるんだろうか。
月咲は俺以外の人にはあまり話さない筈だ。
「・・・一緒に帰りませんか?」
『お、おう。いいぜ』
特に断る理由も無かったし、直ぐに了解し帰る。駅までの続く道、ゆっくり歩いてだいたい10分かそれくらいか。
近道の公園の並木道を通りながら月咲は俺の腕に両手を握り軽くもたれ、何を言うわけでもなく微笑みを浮かべていた。
俺も、月咲に特別な想いが芽生え始めていた、俺の腕によりかかるのも最初は緊張していたが、慣れなのか、「月咲はこういう奴なんだ」という、先入観で俺の中では決めつけていた。
付き合うのも告白するだけの感じだった。俺もそれでもいいかなっという気持ちで溢れていたし、きっと月咲も同じ気持ちなんだろう。
俺は暑い日差しに目を伏せながらそんな事を考えていた。
―――暫く歩いていると月咲が俺に言う。
「大変な騒ぎですね・・・」
『・・・ああ、流石に大怪我だったしな。とにかく、大沢が無事で良かったよ』
「あの時私、嬉しかったんです・・・」
『・・・え?』
「だって・・・昂四郎君が私を抱きしめてくれたんですもの」
突然の月咲の言葉に俺は、少し困惑した。大沢の事は、知り合いではないかもしれないけど、まるで「大沢の事はどうでもいい」と言われた気がした。俺は不愉快になった。
『・・・月咲。その言い方はちょっと酷いと思うぞ?大沢と知り合いじゃないかもしれないけど、大沢だって今は怪我で大変なんだ。もうちょっとさ―――』
軽く注意するつもりで言ったつもりだった。もうちょっと言い方ってもんがある。月咲は俺を見上げながら聞いていると突然哀しそうな目をして俺に言う。
「昂四郎君・・・何でムキになるんですか・・・?」
『え、別にムキになってるわけじゃ・・』
「なってます・・・昂四郎君、何で最近、私のメールの返事くれないんですか?前は、返信しても直ぐに送ってくれたのに!!」
『いや、それとこれとは・・・』
「・・・昨日のお弁当のオカズちょっと残ってました。何で食べてくれないんですか?せっかく作ったのに・・・・・・」
『そ、その、別に残すつもりじゃなくて食べきれなくてさ、・・・・ごめん。』
「大沢さんの事ばっかりじゃないですか・・・なんで友達のあに人の話ばっかりなんですか!?」
俺の言葉を遮って月咲が俺に言葉を交える。
段々と口調が荒くなる月咲に俺は固まってつい謝ってしまった。すると、突然月咲が抱きつき俺の胸板に顔を埋める。
俺は突然の事に動けない。
「昂四郎君、私の事だけ見ていて下さい。私だけ感じていて下さい。大沢さんの事なんて心配しないで、私だけ心配してください!!昂四郎君は、私を見ていればいいんです!昂四郎君・・・!昂四郎君・・・・!」
『・・・つ、月咲・・・どうしたんだよ、何か・・あったのか?』
「あ・・・ご、ごめんなさい、あの私、不安で・・・どうしたんだろう、いきなり。本当にごめんなさい・・・でも昂四郎君は・・・私の・・・」
月咲の予想外の行動に驚くばかりだった。
いつもは大人しく控えめな月咲が突然、口調を変え道の真ん中で俺に詰め寄り、見上げ涙を浮かべながら俺に想いをぶつけ、俺が動揺しているのを見ると素に戻ったかの様に自分の涙を手で拭い謝罪をする。
まるで今まで我慢していた感情を一気に出された様な感じだった。
俺に好意を持ってくれているのは、解るが月咲のあまりの異常さに不信感が募る。
『・・・おう、月咲悪い。ちょっと今日寄るところがあるから先、・・・行くわ。』
「・・・・・・・」
『本当ごめんな、んじゃあ、・・・またな』
『・・・・・・はい・・・』
悲しそうな表情で黙って俺を見上げる月咲にたまらなくなり俺は、寄るところも無いのに嘘を言って公園の並木道を早々と駆け出し、俺は月咲と別れた。嘘なんてつきたくはなかった。
けれど、月咲が怖かった、あの目、あの顔。
月咲との仲がもっと悪化するんじゃないかと心配になった俺は、そのまま家へと帰った。
「昂四郎君・・・・どうしてなんですか・・・昂四郎君・・・私以外の人に優しくしないで下さい・・・」
並木道に残って俺が見えなくなるまで視線を向けた月咲が、そう呟き公園のセミの音がうるさく泣いていた。
【桜花学園/図書室】
「怖ッ!・・・こんなところから普通落ちるか〜?俺は絶対、無理。無理。何かてがかりないか、時春、何か見つけた」
「だ〜か〜らぁ、何もねーよぉ。証拠とかあっても素人の俺達じゃ無理ぃ。キヨちゃんも予備校で帰るしぃ、俺もバンドの練習あんだけどぉ〜」
図書室の棚を眺めながら、時春がけだるそうにエイジに大きな声で言った。
―――滝本時春。高校時代からの友人。バンドを結成していて歌は上手い。
どうやら、下校の時にエイジに無理矢理誘われていたらしい。時春は、面倒くさそうに辺りを見渡して欠伸をしていた。
その頃、エイジと時春は図書館から大沢が落ちたという、花壇を窓から眺めていた。
音楽室は鍵がかかっており、入れはしなかったが運よく図書室の鍵は開いていた。
もう学園には、殆どの生徒が帰宅していたけれど、エイジはそれを狙って誰もいない図書室を見て回ったが特に変わった形式はなかった。
「はぁ〜やっぱ警察とかじゃないと証拠探すのとか無理か。昂四郎の言ってた通りになるとは情けないぜ。・・・・帰るか」
「もう俺はぁ〜帰るぜぇ〜エイジまたなぁ〜」
「お、おいおい!時春!俺、一人にすんなよ〜・・・」
時春が痺れを切らして図書室の扉を開けて時春は帰って行った。
時春が帰った事に溜息を吐きながら、椅子に座り静かな図書室を見渡す。
―――その時、誰かが図書室の扉を再び開く。
目に写ったのは、女子生徒だった。
雰囲気から見て図書委員の様だった、大量の本を台車に乗せ中へ運ぶと、エイジを不思議そうに見つめている。
「なんだよ驚かせるなって!あん、一年か。お〜い、さっさと帰えらねーと先生に怒られんぞ〜」
「あの、ごめんなさい。でも、あなたも早く帰らないと!」
「お、俺はいいんだよ!ったく、俺は今大切な仕事の最中なんだよ!
「大切な仕事?」
「おう、転落した女子の事。事故にしてはおかしいだろ?だから証拠探しだよ証拠探し、誰にも言うなよ〜?」
「・・・・・・・」
「あん・・?な、何黙ってんだよ・・?おかしいかよ」
「あの、私・・事件の時、大沢さんが図書室に入るところ、見たんです。」
「はぁ!?マジで!!?お、おい詳しく聞かせろって!」
「は、はい。お昼ちょっと前に私、準備室の鍵を閉めを確かめに見に行ったんです。誰かと一緒に図書館に」
「おい!誰か、って誰だよ!誰と一緒に入ったんだよ!」
「よく見えなかったんですけど、あの、えっと、確か金髪の女の子と一緒に・・・」
「金髪の女の子・・・月咲・・?お、お前!!なんでそれ先生とかに言わなかったんだよ!!」
「で、でも大沢さん一度図書室から出て行ったし私、あんまり関係ないかなって・・その・・・」
「図書室から一回出て行った?・・・・どういう事だ、図書室から落ちたんじゃねーのか、何で月咲と・・ああああ!!わけわかんねぇ〜!!!」
―――意外な場所でエイジが重要な証拠を掴んでいた時、俺は電車に揺られながら見開封の大量のメールを削除していた。
あの時の月咲の黒い目。表現できない嫉妬で一杯になった視線で俺を見つめた痺れる様な感覚。
月咲の事はどこかで気にはなっているし好いているのも嘘ではない。
けれど、とにかく月咲が怖い。
今までの行動が段々と違和感に感じる様になってきた、そんな感覚にとにかく逃げたい一身だった。
第4話 完 つづく
第5話 次回予告 彼 岸
月咲の異常な愛情に引かれながらも困惑する昂四郎。
エイジの月咲に対する不信感に、昂四郎は月咲に尋ね。
―――昂四郎を熱愛する、月咲の行動は止まる事はなく、そして・・・・・
次回第5話 彼 岸 お楽しみ下さい。
>>213 アドバイス本当にありがとうございます、実験でやったつもりがやはり見えにくいですね(汗)
気をつけます。本当にありがとうございました!
皆さんレスありがとうございました、また次回投稿します、ありがとうございました。連レス失礼。
いい感じに黒いね。
楽しみに待たせていただきます。
>>246 乙乙
月咲さんが詰め寄る場面で思わずニヤニヤしてしまった
GJ
250 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 19:17:27 ID:mAFOnIuF
せめて投下宣言ぐらいはしてほしい
GJ
月咲がだんだん暗黒面に落ちてきたな
>>251 ごちゃごちゃマイルールを振りかざしてうるせーな。
マイルールって。
>>1 ■投稿のお約束
・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
・版権モノは専用スレでお願いします。
・男のヤンデレは基本的にNGです。
hgwr
さっき久しぶりに修羅場スレのまとめサイトを見たら
SSスレ講和(50)条約とかいうのがあって吹いたw
修羅場スレとか・・・もう化石だな
GJ!
想像以上のハイペース
おそろしい子・・・!
260 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 23:50:33 ID:8D1AVfho BE:1498703459-2BP(802)
コソーリ
ようやく続きかける状態になったので一年ぶりに続き投下できるようになったら
元の物が保存されてなかったり。最初から投下しなおしたほうがこの場合よいでしょうか。
保管庫は再建中とのことだったと思いますが…
262 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 00:12:27 ID:noIij1SU BE:399654926-2BP(802)
ん、一行掲示板見てなかった。中の人乙です。
自分も編集できればいいんだけどちょっとよくわからないんですよねぇ。
もう少し勉強しようかな。明日明後日ぐらいに「Versprechung」なるタイトルのSSの続きをあげます。
最後に投下したのはいつだったっけなぁ……自分でテンプレに完結させるようにってのせたのに情けないorz
なんとなくいきなりポン、と続きだけあげるのが気持ち悪かったので告知しました。
今さらだが、未来日記って買った方が吉?
今度最終兵器彼女TSUTAYAに返すついでに買おうかなと思ってる。
よそでやれ
>○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
未来日記は是非買うべきだ
今月の未来日記は良かったな
未来日記はヤンデレでてこないからスレチだろ。
新参はヤンデレだと思ってんじゃないか?
それより歪んだ家はまだ?
>>267 お前はスレ違いじゃなくて勘違いしてるぞ
ゆのの可愛さはかなりのもの
あんな風に可愛く病みを書けたらなあ……最近はワンパターンすぎて何度テキストデータを削除して自分に絶望したことか
未来日記のヒロインは最高すぎる
主人公をストーカーしたり、監禁したりなど王道やりまくりだよ
特に主人公が皆の前でヒロインを恋人だと言う場面は顔を赤くしていたりするのが最高
まあ、他の女キャラにあの人といると破滅しますよ
女の勘です
にワロタw
>>251 失礼しました!>>1のルールの確認不足、申し訳ないです(汗)
これから気をつけます、アドバイス本当にありがとうございました!
皆さんこんにちは。5分後に野獣とアングレカム第5話彼岸、を投稿致します。
連レスになりますが、宜しくお願い致します。
なんかキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
第5話 彼 岸
【高校生時代/昂四郎自宅】
―――深夜2時、携帯のバイブ音で深い眠りから覚めた。
メールの着信とは違うリズムでバイブ音が鳴っている。着信?誰だ、こんな時間に。
寝ぼけていたせいもあってか手をゆっくりと手を伸ばし、充電器に差し込んだ携帯携帯を手に取り誰か確認もせずに着信を取る。
『あ・・・はい。もしもし・・?』
「・・・もしもし?」
『はい・・えっと、誰たっけ・・?』
「・・・夜遅くにごめんなさい。月咲です。」
『・・・・つ・・・月咲・・・・っ!?どうして・・・』
一気に眠気が飛んで、段々意識がハッキリとしてきた。いつもはメールしか送らない月咲からの電話に俺はつい、起き上がりゆっくりとベットに座る。
電話の声が少し違って聞こえてしまって、はたから見るとかなり不手際な電話の対応だった。
「・・・・眠ってましたか?」
『あ・・いや、さっき寝たばかりだし、気にしなくて良いよ・・・」
「そうでしたか・・すいません・・」
『おう、気にするなよ・・・』
「・・・・・・・」
『・・・・・・・』
暫く、沈黙が流れた。電話の沈黙は顔が見えないだけに気まずい。それに昨日の学校の帰り道の事が頭に残っていて更に気まずさが募った。
月咲は黙ってしまったままで、何で電話をしてきたのか分らなく、対応に困ってしまった。
深夜のせいもあって静寂がさらに増す、この沈黙を破る為に俺がゆっくりと口を開く
『月咲、何か急用だった・・・?』
「・・・いいえ・・・その、昨日の事謝りたくて・・どうもせずにいられなくて・・電話しました。メールの事や・・・私感情的になってしまって・・・」
『あ・・・いや、別に終わった事だしそんな謝る事でもないだろう・・・』
「はい・・それと昂四郎君の声が聞きたかったんです」
『ああ、そうなんだ・・・』
「昂四郎君・・・また、今までみたいに笑ってくれますか?」
『え・・・・?』
「・・・今までにみたいに私に向けて笑ってくれますか?」
『あ、ああ。・・・うん。』
「・・・・良かった」
月咲を吐息を混ぜながら電話で呟いた。俺は月咲に笑っていなかったんだろうか。
最近色々な事が起きて余裕が無かったのかもしれない。
そういう面で無意識の内に月咲を傷つけていたのかもしれない。
「・・・それじゃあ、また明日学校で。」
『あ、ああ。お休み電話ありがとう・・』
「昂四郎君、お休みなさい」
――――電話が切れる。時計を見ると15分くらいの会話だったか。体感的にはもっと長く感じた。眠い、最近は月咲の事で眠れない事が多い。
睡眠不足で眠い。
俺はそんな気持ちで再び眠りにつく。
満員電車に揺られ眠い目をこすりながら歩く、学校へと続く上り坂でセミの鳴き声が五月蝿い程、耳に響く。
前よりもセミの数が増えたんじゃないのかな。
席に座ると大沢の事件が少しずつ皆の中から風化されかけていて、いつもの桜花学園に戻りつつあった。
それが正しいのか正しくないのか、そんな事を考えてしまうとまた眠れなくなる。無意識の内に考えないようにしていた。
そんな時、「オッス」と言いながら教室に入り他の生徒からの挨拶も早々にエイジが席に座る事もなく俺に詰め寄る。
「オッス、昂四郎、少し話があんだけど付き合えよ」
『何だよ・・朝から。後でいいか、俺ちょっと眠いから寝る―――』
「・・・いいから、ちょっと来いって!」
エイジが俺の腕を引っ張りながら無理矢理席を立たせ渋々、移動する、
学生食堂に向かうと自販機の一角まで連れてこられエイジが、眠気覚ましの為か紙パックの珈琲を俺に投げ渡す。
『なんだよ話って・・・ぐだらない事だったら昼飯奢ってもらうからな?』
「・・・お前さ、月咲と付き合ってんの?」
『いや、付き合ってはねーけど・・・』
「月咲の事好きなのか?」
『な、なんだよいきなり・・・』
「いいから、答えろって」
『・・・気にはなってる・・』
「・・・・ちっ・・・昂四郎、悪い事言わないからあいつは、辞めとけ。他に女なんて沢山いるだろ、ほら、うちの高校には599人の女子生徒がいる、月咲以外のな」
エイジが舌打ちをしながら、頭を掻きつつ紙パックのオレンジジュースのストローを口にしながら言い切り俺に視線を向ける。
俺はエイジの言葉が全く理解出来なかった。再び聞き返す。
『・・・どういう意味だよ・・・それ』
「意味なんかねーよ。とにかく、辞めとけって言ってんだ。」
『・・・だから意味わかんねぇぞ・・・』
「・・ちょっと大沢の事で色々と調べた、大沢が校舎から落ちた時、あいつ月咲と一緒に図書室に入って行ったのを見たって」
『・・・おいおい、冗談だろ、お前俺の事を茶化すのもいい加減に――――』
「悪いけど、今回は冗談なんかじゃないぜ。お前を茶化す気なんかこれっぽっちもねーよ!月咲が大沢を突き飛ばした可能性がある。」
『・・・・・嘘だろ・・』
「昂四郎、あいつ絶対おかしいぜ?何を考えてるかわかんねーよ、だから―――」
『・・け、けれど、月咲が突き落としたって確実な証拠があるわけじゃないだろう!?信じられねぇ・・』
「はぁ・・・お前が月咲に惚れてんの知ってるけどな?俺は絶対に反対だぜ?とにかく、警告したからな!?もう月咲には近づくなよ!・・・・嫌な予感がすんだよ!」
ため息を混じらせ、俺に指を指しながら、強く言い放ったエイジは、飲みきった紙パックの殻を片手で潰しゴミ箱に投げつけ、不機嫌そうにその場を後にした。
エイジから貰った紙パックの珈琲の表面は水の雫が現れていて、手の温もりから既に少しぬるくなっていた。
エイジの言っている事は少しずつ理解は出来ていた。月咲が普通の女子とは、違う事ぐらい俺にだって解っている。
―――自分の気持ちを表現するのが下手。
聞こえはいいが、それを月咲に当てはめるのは無理な部分が多かった。
教室に戻りエイジに視線を向ける、エイジもさっきの言葉を言った手前あまり俺と視線を合わそうとしない。
エイジはエイジなりに俺の事を心配してくれているんだろう。
けれど、当時の俺にとって、それは混乱の種を巻かれている様なものだった。
―――放課後、俺の気持ちは沈んでいた。月咲に対する自分への気持ちと疑問。エイジの助言に対する困惑。大沢の事件の真相。周りの環境が俺を苦しめている様だった。
俺はどうすればいいのか、考えても考えても答えは浮かばない。
とにかく家に帰って寝たい。この睡眠不足を解消すればまた、いつもの元気な俺になれる。
夏休みにもなれば学校にも部活以外では行かないし少し気持ちが切り替わる筈だ。
―――そんな確証の無い希望を託しながら、校門へと向かった。
ふと、中央校舎を見ると見慣れない声に視線を向けた。
「あ!昂四郎君だ〜!」
「昂四郎〜!」
「えっ!どこどこ!ああ〜!いた〜っ!懐かしい〜」
どこからか、女子生徒の声が聞こえ再び視線を向ける。俺に言っているのは間違い無かった。
桜花学園の制服じゃない、あれは・・周辺にある葵海大学付属高等学校の制服だった。
何人か見覚えがある顔・・・あれはチアガール部の生徒か。
―――葵海大学付属高等学校。桜花学園の付近に位置する付属高校だ。
毎年、『葵桜祭』と呼ばれる桜花学園ラグビー部と葵海大学付属高等学校ラグビー部のラグビーの対抗試合が行われる。
創立以来の行事なのだけれど、実はこの試合、ラグビー部を主役としてはいない。
真の主役と言われているのはチアガール部だ。
ラグビー部の試合を応援するチアガール部の実演の美しさと素晴らしさから、毎年多くの両校生徒や観覧者で埋まる。チアガールの専門雑誌に取り上げられる程だ。
つまり、ラグビー部は彼女達の引き立て役にもなる。
特別なルールがあって、桜花学園のチアガール部は、葵海大学付属の応援を。
葵海大学付属のチアガール部は桜花学園を応援するという、なんとも特殊なルールの下で行われる。
その為、試合が近くなると葵海大学付属のチアガール部が、桜花学園のラグビー部の応援をする為桜花学園に足を運び練習をするのだ。
1年の時にレギュラーだった俺は、葵海大学付属の1年と会話をする機会が多かった、その中で1人気が合う女子がいた。
『ああ・・・もうそんな時期なんだな』
「そうですよ〜今年も新入生増えたし、チア部はかなり凄いんですよ!期待してて下さいね!」
「昂四郎君久しぶり〜♪あ、美園もいるんだよ!」
『おお・・・美園来てるのか・・・?』
「今、顧問の先生と一緒に挨拶に行った〜美園はキャプテン代理だからね」
『へぇ・・・偉くなったんだなあいつ』
「誰が偉くなったの?昂ちゃ〜ん?」
『・・・そ、その呼び方止めろ美園・・・』
チアガール部のメンバーと話をしていると後ろから、笑い声を混じらせながら、噂の彼女が笑みを浮かべ腰に両手を添えながら俺に向かって冗談交じりに問う。
―――沢村美園。葵海大学付属高等学校に通う、チアガール部の生徒だ。
1年の時に彼女もレギュラーで同じ1年でレギュラー同士だった俺達は、どこか共通点を感じ試合の準備など行動を共にする事が多かった。
「久しぶりねぇ〜♪あっ!昂ちゃんさ〜暫く見ない内にまた大きくなった!?ってか・・・太ったでしょ?お腹何か出てきた気がする〜」
『・・・・ば、バカ!んなわけねぇだろっ!・・・・お前こそちょっと老けたんじゃねぇの?』
「な、何言ってんの!?私のどこが老けたってんのよ!!」
『そうやってガミガミ言ってるとシワが増えるぞ、シワが!』
「し、失礼ねっ!昂ちゃん視力落ちたんじゃないのっ!私みたいな美白、なかなかいないんだからねっ!?」
―――心のどこかでこの言い合いを懐かしむ自分と愉しんでいる自分がいた、久しぶりに心の底から楽しかった。
美園の言い方には棘が無い。酷い悪口を言うわけでもなく人を笑わせる言い方をする。それに美園の目は澄んでいた。俺を、俺を安心させてくれる澄んだ瞳だった。美園も俺と似た感覚だったら嬉しいよな。
そんな事を想いながら笑った、2人は思いっきり笑った。
「ま〜たはじまっちゃった・・・美園、先に行ってますね〜♪」
「え、置いて行っていいの?」
「いいのいいの♪昂四郎君とああいう風に言い合いするのが美園にとって、桜花に来る楽しみの1つなんだから、ほら皆行くよ〜!」
「はぁ〜い」
チアガール部の女子生徒達が、美園に声をかけながら練習場へと向かって行った。
それを確認しながらお互いは、懐かしい言い合いに笑みを溢し、近くのベンチへと座る。
『相変わらずだな・・おい、他の子行っちゃったけど、行かなくていいのか?』
「ああ〜いいのいいの♪さっき桜花の先生に挨拶して私の今日の役目は、終わった様なもんだし。・・・・・ふぅ〜でも久しぶりだなぁ、桜花に来るの。もう1年になるんだね〜懐かしいなぁ」
『そっか・・・・もう1年なんだな、早いな・・・』
「・・・・昂ちゃん、何か元気ないね?何かあった?」
『うあ・・・・俺、元気ねぇかな?』
「何か、疲れてるって感じかな〜・・・何かあったの?友達と喧嘩したとか」
『そんなんじゃねぇよ・・・別に何にもねーから・・・それより、今年の葵桜祭はどういう――――』
気付くと俺の言葉を遮って、美園が俺の胸板に手を添えたかと思うと、次の瞬間、俺の唇に美園の唇が落ちた。
何秒くらいだろうか、柔らかい美園の唇が俺の唇を優しく包み込む様に角度を変えながら2、3度動く。
俺も最初は、驚きのあまり両手を浮かすが、ゆっくりと美園を軽く抱きしめ唇を受け止める。
何故だかとても落ち着く、1年くらい前まではそんな事を想った事なんて一度も無かったのに、気付いていないだけだったのか。
それとも、今の環境が殺伐としているからか。とにかくこの僅かな空間を感じていたい。それだけだった。
「・・ひゃ〜・・久しぶりのキスだ・・・。離すタイミング掴めなかった、ハハハ。
・・・昂ちゃん、私さ?口で人に何か言うの苦手なんだよね・・・何に悩んでるかわかんないけどさ、体が大きいんだから何でもぶつかってみなよ。ラグビーやってんでしょ?
ほら、そんな顔しない!また熊とか野獣とか言われちゃうよ!私がキスするなんて滅多にないんだからねっ!」
『美園・・・』
慣れない口付けで、恥ずかしそうに笑いながら美園なりの激励を言いながら、俺の肩を笑いながら叩いた。
最近は、月咲の事で悩んだり苦しい事が多かったが美園の言葉に小さな事と感じながら、俺は美園と久しぶりに色々な会話をし、チアガール部のところまで送って行く。
【桜花学園南校舎】
「ん〜?んおぉ!あれ、美園じゃん!ああ、そうか葵桜祭なんだなぁ。と、それに・・昂四郎?な、なんだよぉ!!
そうだ、そうだよ!・・・昂四郎、お前には美園がいるんじゃん。なんだ、俺がわざわざ、心配する必要なかったなー!んじゃあ、俺もちょっかいに――――っ・・・!?」
南校舎の2階から昂四郎と美園が笑いながら歩く姿を見て、エイジは安堵の表情を浮かべながら、2人のところへ向かおうとする。
その時、少し離れた隣の校舎から同じく2人を見つめる人影にエイジが気付く。
―――月咲。窓ガラスに手をつけて、酷く落ち込んでいる様子だった。
「月咲・・・!やっぱりあいつ昂四郎に付きまとってんのか・・何だあいつ、な、泣いてんのか?・・・・気味悪いぜ・・・・」
窓ガラスに手を置き顔を下に向けている月咲に視線を向けながら月咲の頬が水の様なもので滴っているのを確認する。
エイジはその光景に、月咲の異常さと不気味さを確信へと変わっていくのを確かめゆっくりと校舎を後にした。
「・・うっ・・ひっく・・・ッ・昂四郎君・・何でそんな顔で笑うんですか・・・?
私以外の人と、何でキスなんて・・・するんですか・・・・?私、貴方のそんな笑顔・・見た事なんか無い・・・私にはキスしてくれないのに・・・・私じゃ駄目なんですか?
・・・・・昂四郎君待って・・・私を置いていかないで・・ッ・・昂四郎君。待って下さい・・・・待って・・・・待って下さい・・・・・ッ・・・・何でですか・・昂四郎・・・・君・・・ひっ・・く・・・皆、私から昂四郎君を奪おうと・・・してるんですね・・
・・・酷い・・許せない・・・・許せない・・・・許せない・・・・許せないッ・・・・・・許せないッ・・昂四郎君はッ!私の、私だけのものなんですよ・・・!」
―――大粒の涙を流し月咲は誰に言うまでもなく、呟き続けていた。
頬から落ちた涙は、廊下の床に何滴も落ちシミになっている、楽しそうに笑う昂四郎を見ながら、「何故、自分にはあんな顔をしてくれないのか」「何故、自分の気持ちに気付いている筈なのにそれに応えないのか」
その答えが頭の中でループし、更に月咲の考えは下へ下へと堕ちていく。
「あ、これこれ、君。もうとっくに下校時間は過ぎて―――っ・・・!」
「・・・・・・」
施錠の確認をしていた用務員が窓に佇む月咲に声をかけると、今までにない形相で用務員に睨む。
焦点の定まらない、月咲の視線に用務員は、思わず言葉を忘れ固まってしまった。
月咲はそのままフラフラと歩き出し、その姿はもう昂四郎が普段見る、月咲ではなかった。目は涙が止まる事はなくひたすら何かを呟き続けている。
廊下を通りかかる生徒は、月咲の不気味さに絶句していた。
校門を出ると辺りは、既に夕焼け空になっていた。グランド寄りの道を歩くと女子生徒の高い声が聞こえる。
焦点の定まらないまま視線を向けると、昂四郎が、大きな樹木の側にもたれながらチアガール部の練習風景を眺めている。
「昂四郎君・・・・っ!!昂四郎君・・・・・」
フェンスに手をかけ弱弱しく昂四郎の名前を呼ぶ月咲、しかし昂四郎の視線の先には、チアガール部の衣装に着替えていた、美園しか見えていなかった。
美園は笑いながら昂四郎に手を振り、昂四郎もそれに答える。普通に見ればどこにでもある普通の光景。
―――しかしながら、月咲にとっては普通の光景ではなかった。
「そうですよ・・・・昂四郎君は・・・私のモノだもの・・・証明だって出来る。きっと昂四郎君も・・・!
いいえ、そうだ・・・昂四郎君は騙されているんですよ・・・絶対に・・・私が助けなくちゃ・・・助けないと・・・・ふふふふ・・・・ふふふふ・・・・」
―――待っていて下さいね、昂四郎君―――
第5話 完 つづく
第6話 次回予告 略 奪
美園との再会に昂四郎から、月咲の想いは小さくなり美園への気持ちが大きくなっていく。
離れていく昂四郎と月咲。
―――昂四郎を熱愛する月咲は、昂四郎の想いを遂げる為に最大の禁句を犯す。
次回、第6話、略 奪 お楽しみ下さい。
投稿完了です、いよいよ次回は「高校3年生編」に入ります。
一応、キャラが少し増えたので確認の意味で軽い人物紹介の書き込みを乗せようと思っています。
では、人物紹介をコメントして次回にまた投稿致します。
禁句じゃなくて禁忌では?
とりあえず乙です
>>279 うわ、すいません。痛恨のミスですorz
脳内変換お願いします(汗)
【野獣とアングレカム人物紹介】
片桐昂四郎(かたぎり こうしろう)
本編の主人公。桜花学園高校に通うラグビー部員。
身長189センチ体重89キロの筋肉質の巨体。
熊の様な風貌の為「桜花学園の野獣」とあだ名をつけられてはいるが、見た目とは反比例の根は優しく人に対し思いやりを持ち人を引き付けるオーラを持った男。
その為、男女問わず人気がある。
高校2年〜卒業するまでの記憶が曖昧になっており、後にエイジから真相を知る事に。
現在は、大学に進学し農学部に在籍しながら勉強をしている。
月咲美代子(つきさき みよこ)
本編のもう一人の主人公ともう言うべき女性。俗に言うヤンデレ。
桜花学園に通う女子生徒。成績優秀、スポーツ万能と全てにおいて完璧であり学年順位では5番以内には必ず入っている。
昂四郎曰く、「フランス人形をそのまんまにした風貌」との事。
昂四郎に階段で助けられた事をきっかけに交流を深めていくが昂四郎の優しさに引かれ、度々、昂四郎を困惑させる行動を重ねてゆく。
後に、昂四郎を熱愛するあまり・・・
元宮エイジ(もとみや えいじ)
桜花学園に通う男子生徒。中学からの昂四郎の親友でもある。バスケット部に所属。
リーダー気質でありグループではみんなをまとめるリーダーシップを発揮する。
昂四郎と月咲の関係を心配している1人。
現在は、昂四郎と同じ大学に進学し工学部にて勉強を続けている。
大沢明美(おおさわ あけみ)
桜花学園に通う女子生徒。2年の時に昂四郎達と同じクラスの学級委員。
校舎から転落し重症を負ってしまう。
沢村美園(さわむら みれい)
葵海大学付属高等学校に通う女子生徒。チアガール部のキャプテン代理(3年時にキャプテンへ)で桜花学園とのラグビー部対抗試合の時に、昂四郎と知り合い仲を深めていく。
サッパリした性格で、自分の気持ちには正直。
簡単にこんな感じです。連レス失礼しました。
誤字・脱字が多すぎて泣けてきます(汗)どうか生温かい目で見てやって下さい。けど、きをつけます!
では次回また投稿します。失礼しました!
野獣とアングレカムキタ━━(゚∀゚)━━!!
GJ
次回が楽しみ
ヤンデレ家族マダー?
284 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 17:55:30 ID:XevCDRfb
>>278 GJ!
なんつー投下スピードw
見習いたいぜ
ところでお茶会の人どうしてるかなあ
BAD ENDじゃない方が読みたいぜ
>>285 今は修羅場真っ最中だろうから待てってw
一応途中までなら作者のサイトに行けば読めるぞ
作者さんのサイトってコテハンでググれば出るか?
>>280 月咲ガンガレ超ガンガレ(ヤンデレ的な意味で)
こんばんは。入院編その三、投下します。
***
私にとっての直接的な驚異となる人間は、一人だけしかいない。
それは、お父さんでもお母さんでも、お兄ちゃんの女友達でもない。
姉。
私よりふたつ年上、お兄ちゃんよりひとつ年上の、長女。
表面ばかりを取り繕った、許し難い悪女だ。
まず、お兄ちゃんより先に生まれているというところから許せない。
だって、お兄ちゃんが生まれたばかりの赤ん坊の頃からあの姉は、お兄ちゃんの傍にいたのだ。
長女だからという理由で、両親公認でお兄ちゃんの面倒を見ることができた。
姉が小さい頃からお兄ちゃんを狙っていたかどうかなんてどうでもいい。
今の姉がお兄ちゃんの心を奪おうとしている。
敵視する理由はそれだけで十分だ。
せめて、私がお兄ちゃんと双子で生まれていたらよかったのに。
そうしたら、お兄ちゃんの一番近くにいることが許される。
誕生日が同じ、感じ方が同じ、身の回りのあらゆるものを共有できる。
そして、最大のメリットは、同じ学校の同じ学年に居られるというところ。
去年まで、私は中学三年生だった。
その頃お兄ちゃんは高校一年生。
別々の学校、別々の通学路、違う生活リズム。
お兄ちゃんと離れて過ごすなんて、許し難いことだった。
私がいない間に姉がお兄ちゃんに手を出すんじゃないかって、去年はずっとずっと心配だった。
同じ高校に通うようになった今は違う。
ただ不安になるだけの思考をする日々は終わり、お兄ちゃんの近くに居て、近づいてくる邪魔者を遠ざけることが出来るようになった。
時に遠回しな手段で、時に自分から動き、私はあらゆる女の意志をへし折ってきた。
しかし、唯一どうにもできなかった相手がいる。
それが、私の姉。
いつもいつも、最後の詰めで私を追い抜く最大の敵だ。
今日もそうだった。
天気予報が大ハズレになった今日の天気は雨。
地面を打つ雨音が会話を遮ってしまうほどの悪天候が、六時間目開始頃からずっと続いている。
今朝家を出るときは、天気予報の通り降り出す気配なんか微塵もなかった。
だから傘は持ってきていない。折り畳み傘まで鞄の中に無い。
きっとお兄ちゃんも忘れているはず。
そんな時こそ、私がお兄ちゃんを助けなくちゃいけないのに。
友達に頼み込み折りたたみ傘一本を借りた後、お兄ちゃんの待つクラスに私は急いだ。
けど、お兄ちゃんは居なかった。
代わりにもならない名前も知らない男子生徒が数人残っているだけだった。
聞くと、お兄ちゃんは数分前に帰ってしまったとのこと。
お兄ちゃんのことだから、雨の中を走って、濡れながら帰るつもりかもしれない。
間に合うことを祈りながら走り、校舎の玄関までたどりついた。
外を見ると、土砂降りの雨の中に、お兄ちゃんの背中がある。
それを目にした途端、声をかけて止めようと口が開いた。
でも、呼び止める前になってあることに気付いた。
お兄ちゃんが傘を差して歩いている。
いいや、傘を持っているのは、お兄ちゃんの左に居る制服姿の女だった。
そう、この雨の中、お兄ちゃんと私以外の女が相合い傘で、濡れないために密着して歩いていたのだ。
もはや傘を差す時間も惜しい。
走った。走って、お兄ちゃんの背中を追いかけた。
激しい雨が体を打つ。一歩踏み出すたびに靴底が濡れる。制服の襟から雨が入り込み、体が冷える。
もうちょっとで手が届く、という距離まで近づいた時、お兄ちゃんの隣で歩く女が振り向いた。
目が合った。
そして、私の足が止まった。
女は――――私の姉だった。
姉は、今日雨が降ることを予知して、傘を用意し、私よりも先にお兄ちゃんと一緒に帰っていた。
姉が再び前を向き、何事もなかったかのように歩き出す。
お兄ちゃんは振り向かない。私に気付いていない。
声をかけることはできなかった。
濡れ鼠になった姿を見せたくない。今更一緒に帰ることはできない。
また、姉に負けた。
無様な私を見ても勝ち誇ることをしない、余裕たっぷりの姿。
傘を少し持ち上げ、お兄ちゃんと会話しながら、楽しそうな顔で笑う。
自分が勝って当然とでも言いたいのか。
私ではお兄ちゃんを手に入れることはできないとでも言いたいのか。
自分が負けないと本気で思っているのか。
この時、私は決めた。
もうなりふり構っていられない。
早急に、確実に、お兄ちゃんを手に入れる手段をとる。
姉にはできない手を用いて、逆転勝利する。
そのために、せっかく友達から借りた折りたたみ傘を差すこともせず、私は帰宅の途に着いた。
***
「おにいさん、タバコ持ってないかい。なんだか、とても吸いたい気分なんだ……」
屋上にいるわけでもないのにそんなことを言い出したのは、なんと俺である。
ここは一人しか入っていない病室で、半径数メートル以内に誰もいないから、もちろん独り言だ。
吸っていて何かいいことがあるのかわからないタバコなどもちろん吸ったことはない。
ちなみにうちの家族は全員吸っていない。全員肺がピンク色、たぶん。
タバコを吸いたいわけではない。
ただ、なんとなく呟いてみたくなっただけだ。
これで良かったのだ。
葉月さんの告白に対する返事を、数ヶ月を経てようやくしたのだから。
いつかやらなければならないことを、たった今やり終えただけ。
これ以上先延ばししなくて良かったと思うと同時に、どうして今まで言わなかったのだと思う。
きっと俺は、葉月さんとずっと仲良くしていたかったのだろう。
振ってしまったら葉月さんが離れていってしまうと思った。
ならばいっそ、付き合ってしまえば良かったのだ。
そうすれば、ずっととは言わずとも、葉月さんが俺に幻滅するその時まで一緒に居られた。
――――あ、この時点で駄目だ。
幻滅されることを前提に考えている俺が、葉月さんと付き合って上手くいくはずがない。
積極的に好きになったり、絶対に嫌われないようにしようと考えていない。
俺の頭はどうかしているんだろうか。
葉月さんほど容姿のレベルが高くて、一途な性格をした女の子なんて周囲に居ないのに、彼女に惹かれなかった。
中学時代に好きになった女の子は、失礼だが、葉月さんよりは可愛くなかった。
それでも惹かれた。どれぐらい夢中になっていたかは覚えてないが。
「………………………………、わからん」
あのときは何が決め手だったのだろう。
出会ったシチュエーションか、第一印象か、相性か、それともただの気の迷いでしかなかったのか。
あー……弟ならそういうのに詳しいかな。人を好きになる仕組みみたいなもの。
あいつも自分のことならわかるかもしれないし。
なんで花火のことを好きなのか、あいつは自分でわかっているはず。
俺には花火のいいところなんか…………体の一つの部位しか浮かばない。
まさかそこに惚れた訳じゃないよな。
それはそれで、わかりやすくていいんだけど。
「どうしてその人が好きなのか、ねえ…………」
「誰か好きな人いるの?」
「異性としてとなると、居ない。たぶん」
「たぶん? ずいぶん漠然としてるね。本当は居ないんでしょう?」
「うん、まあ断言してもいいのかもね……って」
いつのまにか病室に入ってきて俺のつぶやきに自然な形で紛れ込んできたのは、ちびっ子、もとい……もとい…………?
「誰だっけ、君」
「それ、本気? 本当に忘れてるの?」
「ああ、思い出した。玲子ちゃんだ」
「覚えてるじゃん。まったく、ボクみたいな可愛い女の子のことをぱっと思い出せないなんてどうかしてるね」
「ごめんごめん。あんまり普通の登場の仕方をしたもんだから。
先々週みたいにこけて部屋に飛び込んでくれたら分かったんだけど」
「違うよ! ボクが来た日、全然違う!」
「あれ、もう一週間前だったっけ?」
「それも違う! 昨日だよ、ボクがここに来て話したのは昨日! だいたい、そんなに長く入院してないじゃん!」
「ん? いつ入院したか話したか?」
「日曜日にここの病室に入ったでしょ。ボク、毎日この病室の前を通るから人が入れ替わったらすぐに気づくよ」
毎日病院に来る? ということは、もしかしてこの子……。
「お母さんがちょっと離れた病室に入ってるんだ。学校が終わったら毎日ここに来てる」
「なんだ、てっきり俺は君が病弱なのかと。
よく考えれば、その元気で病院の世話になってるはずないもんな」
「それ言ったら、ジミーだっておんなじじゃん……」
玲子ちゃんがため息を吐く。小学生のくせにため息を吐く動作に慣れているみたいに見える。
それより、この子が今変なカタカナの名詞を口にしたような気がするのだが。
「あ、ボク、ジミーに聞きたいことあったんだった」
「待て、待つんだ。何を普通に、人の名前をジミーに変更してる。俺の名前は……」
「佐藤太郎?」
「それはミステイク! ありふれた名前っぽいけど、佐藤はともかく、今時子供に太郎なんて名前を付ける親は少数派だ!」
「んー、そんじゃ、やっぱりジミーで。
本名が地味だからジミー。ぴったりでしょ? 感謝してよ」
「君に感謝するぐらいなら毎朝憂鬱な気分にさせる冬の寒さに感謝した方がマシだ!
そんなあだ名をつけられたのはさすがに初めてだよ……」
高校生相手になんて強気なんだ小学三年生。
もしかして、単に俺が舐められているだけ?
いいや、きっと怪我をしていて無理できないと知っているからだ。そうに違いない。
玲子ちゃんから話を聞いたところ、またしても父親に似た男の後ろ姿を確認したという。
その男のことを何か知らないかと訪ねにきたのだ。
俺が知らないと答えたら、どういうわけか俺の左手を握って病室から連れ出した。
一人で面識のない男の近くに行くのが怖いのだろうか。俺の所には堂々とやってきたくせに。
玲子ちゃんは俺を盾に、背後から付いてくる。
不意に、数メートル先にある病室のドアが開き、車椅子に乗った女性が出てきた。
一旦停止して会釈する。車椅子の女性が微笑み、玲子ちゃんが俺の尻にぶつかった。
「なんで止まるのさ、ジミー?」
「交通ルールを遵守したまでだよ。というか、病院内でのマナーかな」
「……むー」
「並んで歩いたらいいのに」
「駄目だよ。そんなことしたら……ジミー、法律に食べられちゃうよ」
「へ? ………………、ああ。大丈夫大丈夫、ここで俺の格好を見て犯罪者と思う人は居ないから」
九歳児の口から発せられた言葉はボケなのか本当の心配なのかわかりにくい。
法律に抵触する、をひらがなで覚えていたのか?
「ま、そんなわけだから」
「ん? ……なに、その手?」
玲子ちゃんは俺が差し出した手を訝しげに見ている。
「はぐれたらまずいから手を繋いでいかないか、と誘ってみたところだけど」
「ば……馬鹿にしないでよね! そんな子供っぽいこと、誰がするもんか!」
「ふうん。じゃあやめとこうか」
どうせ断られるだろうとは思っていたが。
「……で、でも、ジミーがどうしてもっていうんなら、やぶさかでもないよ。
ボクの手を握りたいって欲求を抑えきれないんでしょ」
「ん、あー、うん。そういうことそういうこと」
「うわ、めっちゃ嘘くさい返事。ま、いいや。繋いであげるよ、感謝しろ」
玲子ちゃんが小さな手を絡めてくる。
手のサイズに差がありすぎるせいでいまいち握りにくい。
最終的に俺が玲子ちゃんの手をぶらさげるように握る形に落ち着いた。
「ジミーの手、おっきいよね。今いくつだっけ?」
「十七。でも体のサイズだけなら、年上の人とあまり変わりないよ」
「じゃ、ボクのお父さんも?」
「君のお父さんの身長次第。でも……」
「でも、何?」
「ううん、なんでも」
でも、弟と見間違えたということは身長は同じかもしれない。
父の身長も同じぐらいだし――――ん?
待て待て。今何か閃いたぞ。
昨日玲子ちゃんは、俺の部屋に父親を捜しにやって来た。
だけど玲子ちゃんが見たのは俺の弟だった。
しかし、弟が玲子ちゃんの父親である可能性は低い。
玲子ちゃんが九歳だから、弟が女性とそういう行為に及んだ時にはまだ五六歳。
無理がありすぎる。
弟イコール父親説はあり得ない。
では、別の可能性。
玲子ちゃんが見た人間が弟であったとして、それが勘違いだったとしたら。
玲子ちゃんが普段自分の父親に会っていないのはほぼ間違いない。
会っていない人間の顔を確認する方法といえば、写真とかがある。
その写真に写った男が弟そっくりでも、実はそいつが弟でなかったら。弟そっくりの人間だったら。
導き出される答えは――――すげえ認めたくないものになる。
いや、まだ。まだわからない。
否定する材料はある。玲子ちゃんの覚え違い。他人のそら似。
そうさ。そんなドラマみたいな出来事が身近で起きるはずがないんだ。
俺の周囲で起こるのはバイオレンスな出来事だけだ。
あってはならんのだ。これ以上やっかいごとに関わるのは御免だ!
「あ!」
突然玲子ちゃんが背後に回った。
何事かと前方を確認する、と――――居たよ。とんでもないことを隠しているかもしれない、弟そっくりのうちの父親が。
たった今病室から出てきたところで、祖母と母と妹を一緒に連れている。
俺に気付くことなく、一階へ下りる階段へと向かっていった。
「玲子ちゃん、もう隠れないで大丈夫」
「ほ、ホント? さっきの人、もう行っちゃった?」
俺の体を壁にして前方の安全を確認してから出てきた。
「さっきのが、君の……お父さん?」
「ううん。違う、と思う」
「もし良ければそこは断言して欲しいんだけどね」
「だって、実物を見るのは初めてだからわかんないんだもん。……はい、これ見て」
玲子ちゃんがポケットから取り出して渡してきたのは、折り目の付いた一枚の写真だった。
映っているのは男一人に女二人、それと緑の草原と蒼穹。
「そこの真ん中の人が、ボクのお父さん。それで、左にいるのがお母さん」
…………写真中央の男は、髪型と服の趣味以外、まんま弟だった。
写真の中でもハーレム状態にあるところなんか特にそっくり。
この写真を見ただけじゃ、玲子ちゃんが弟を父親だと見間違うのも無理はない。
左の玲子ちゃんのお母さんらしき人物に見覚えはない。
なかなかの美人でにこやかな笑みはいい感じだと思うが、それ以外には何も感想がない。
「右のもう一人の女の人は誰?」
「お母さんの妹。今でもとっても仲良しなのよ、って言ってたよ」
ふうん。妹ね。
なんだか俺の妹にも似ている…………ような?
「――いや、似てねえ! 似てる訳ねえ!」
「わあ! ちょっと、ジミー! 騒がないでよ、迷惑だって!」
「だって、もし似てるとしたら……あの、あの男は…………!」
うちの妹とうちの母は、そっくりだ。うり二つと言ってもよかろう。
女同士で気を遣って髪型で差別化を図っているぐらいだ。
もしも、写真の中にいる妹そっくりの女性が俺の母だった場合、一体どうなるか。
うちの父親は、妹に三人の子供を産ませ、そのうえ、実の妹の姉にまで子供を産ませた――――
「奴は、しまいどんまんだったんだよ、玲子ちゃん!」
「何言ってんの?!」
「しかもその事実を隠している! かくれしまいどんまんだ!」
「さらにわかんない! ジミー、そんな名前の仲間はいないよ、勝手に作らないで!」
「たぶん語尾にござるとかつけたりするんだよ!
つい若気の至りでやってしまったでござる。今は反省しているでござる!」
「ちょっと、あ、ごめんなさい。すぐに静かにさせますから。
もう! ジミーこっちに来て! いい加減にしてよ!」
嘘だ……。
認めたくない……。
うちの父親が、実の妹に手を出していたと知った時には軽蔑したものだ。
だけど、父親としての役目を果たしていたから、時間と共に自分の中で決着を付けることができた。
それなのに、それなのに。
実の姉に子供を産ませて、その事実を俺ら兄妹に黙っていただなんて。
「もう、俺は……どうしたらいいのか……」
「とりあえず落ち着くところから始めて。はい、ウーロン茶」
玲子ちゃんはどうしてこんなに落ち着いているんだ。
俺の心はかつてないほど動揺しているというのに。
「そうか。まだ、自分のことを知らな…………うう」
「自分を見失っているのはジミーじゃないか。もう……どうしてボクがこんなこと。
ほら、椅子用意したから座って」
後ろからシャツを引かれ、椅子に座らされる。続けてウーロン茶を手渡された。
どうやら俺は玲子ちゃんに連れられてどこかの病室にやってきていたらしい。
個室らしくベッドは一つだけ。スペースが広く取られていて、見舞客のためのソファが窓際にある。
備え付けの冷蔵庫とテレビは俺の部屋のものより大きい。
入り口の傍にはトイレまである。個室の待遇はやはり違う。
「ここはボクのお母さんが入っている病室だよ。
お母さん、この人が昨日話したおもしろいお兄ちゃん。
お母さんにぜひお会いしたいって言うから連れてきちゃった」
「あら、そうなの。具合が良くないみたいだけど?」
「ジミーはいつも頭の具合が良くないから気にしないで。
ほらジミー。自己紹介しなさい」
「仲がいいのねえ、二人とも」
ううむ。仲の良い親子の会話が俺の前で行われている。
いまいち混ざりにくい空気だが、ここで名乗らない訳にはいくまい。
顔を上げ、玲子ちゃんの母親の顔を見る。
玲子ちゃんの母親は、思わず息を呑むほどの容姿をしていた。
推測では俺の母親の姉だから、もう少し衰えているのかと思っていたのだが、
なんのなんの、篤子女史より若いんじゃないかってぐらいの綺麗さだった。
入院生活を送っている人間はストレスフリーだから肌の衰えが遅いのか?
一応俺の伯母に当たるから、何か言っておいた方がいいのかな。
言葉を探していると、伯母は一度微笑んだ。
途端に違和感を覚えた。
この人と、会ったことがない? ――そんなはずがない。
会ったことがある。絶対。
今の微笑みは、記憶にないけど鮮明に思い出せる。
「緊張してるみたいですね、ええと……ジミーさん?
どう見ても日本人ですけれど、変わったお名前をしてらっしゃいますのね」
「…………あ」
この声も聞いたことがある。
ずっと昔。
記憶を辿る。辿って辿って、壁にぶち当たった。
拒否してる。思い出したらいけないと、必死に俺を止めている。
「私は玲子の母で、冴子と言います」
冴子――――冴子?
知ってる。知っている、覚えている、忘れていない!
記憶の壁が崩壊して、全てがさらけだされた。
冴子。
この名前は、俺が何度も呟き、心の中で浮かべた言葉だった。
死ね、殺してやる、という呪詛の言葉と共に。
――冴子、死ね。いつか殺してやる。
「あなたの本当のお名前はなんとおっしゃいますの?」
もう、耐えられなかった。
失礼しますとギリギリで口にして病室を去り、トイレへと駆け込む。
スリッパを履くことも忘れ個室へ入り、便器に顔を突っ込んだ。
戻しもしないのに、吐き気だけがずっと続いている。
「さい、悪だ……」
この止まない吐き気も、喉を詰まらせる怒りも。
あの女だ。
体育館の地下倉庫に監禁されたときに見た夢に出てきた女。
妹を痛めつけて、弟まで傷つけていたのに、両親と話す時だけは平然としていた。
俺が妹と弟をかばっていなければ、あいつはいずれ二人の心を壊していた。
それがあの女の狙いだった。
右手に感覚が甦る。人を刺した時の手応え。
俺が、伯母の冴子の腹を、包丁で刺した時のものだ。
は。……ははは、はは。ははははは。
喉が嗄れて、笑い声も出ない。
どうして今更目の前に現れたんだ。
せっかく忘れていたのに。ずっと忘れたままでいられたのに。
あの時で全て終わったことにできていたんだ。俺の中では決着がついていた。
また小学生の時みたいな気分になっても、どうしようもないんだよ。
今の俺はもう、高校生なんだから。
今回はこれで終了です。
また次回お会いしましょう。
紫煙
キタキタキタ!!
GJ
他に言葉はいらない
GJ
オラ、わくわくしてきた!
GJ
毎週乙です
306 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 22:08:51 ID:gdzpn8zz
入院ネタだるいなぁとか思ってたけど…、この展開にまたwktkしてる俺がいる
今年の誕生日はとても良いものになった
情熱的にGJ!!
おい、何と恐ろしい展開なんだ……ジミー、あんたって奴は……
GJ!!
これから兄の過去が少しずつ明らかになっていくわけですね・・・
たまらねぇw
gj!冴子ってラスボス!?
さぁどうなる兄貴!過去との決着に期待!
GJ!
兄貴の過去編も非常に気になるけど、姿の見えない葉月さんの行方も気になる
独り言とか従姉妹?義母兄妹?と手をつないだこととかが何かのフラグに思えて仕方ない
ヤンデレの血筋をまとめてみた。
祖母─┬─祖父(死去)
│
┌───┼───┐
│ │ │
冴子┬─父─┬─母
(姉)│ (兄) │ (妹)
│ │
玲子 │
│
┌──┼──┐
│ │ │
ジミー 弟 妹
つまりジミーは玲子の従兄兼異母兄になるわけだな。
どんなカオスだよ!みなぎってきた!
GJ!
てれてれってれー
「ジミーはロリにめざめた」になりかねん勢いだなwww
ジミー先生の次回作にご期待ください
かくれしまいどんまんって一体どんな生命体だよw
GJ!
GJ!なんとまぁ…
ここに来て兄貴に新たな呼称が生まれるとは。
かつて余裕綽々だった伯母が豹変したのはなぜだったのやら。
玲子ちゃんが生まれたのとその事件とどっちが先だったんだろう。
>>299 み な ぎ っ て き た
ハイペース投下GJ!
早く続きが読みてぇ…
まだ展開予測を書きこんでるやつがいんのかよ
気持ちは分かるがチラシの裏にでも書いてろ
まぁ作品を批評家気取りで叩くバカよりはいんじゃね?
マシなだけであっていいわけじゃないだろ
正確には、隠れセルフ姉妹丼MAN、だね。
クレオパトラ(夫は弟)も、タイの名君チュラロンコーン王(別名ラーマ5世。正室は異母姉と異母妹)もびっくりだぜ。
たとえ相手に非があろうとも口汚く罵らないでくだサーイ
場の空気が濁りマース
マース♪(・∀・)
>>299 GJ!
週刊ヤンデレ家族は相も変わらず引きが鬼だなw
しかしなんか玲子にフラグがたってる気がしてならない
そうしたら弟は妹に、ジミーは異母妹になるな
凄いカオスだ
なんたるカオス!毎回楽しみにしているがどんだけ俺をwktkさせれば気が済むのだね
もうムカつくからGJだこんちきしょう!!
>>267-268 お前らは何を言っているんだ?
お前らにとって「病むまでの過程」が書かれてなければヤンデレじゃないとでも?
不思議な事にこういうのがよく「レナはヤンデレ」とか言っちゃうんだよな
それとも何でも批判したい年頃の夏厨?
そもそも未来日記読んだ?
>>325 お前うるさいな、俺の姉ちゃんヤンデレだからお前に惚れるように言いつけるぞ。
「あのおんな・・・ユッキーに何を吹き込んでんのよ!殺すわよ!」
の由乃の顔が最高に可愛かった、と言っておく
未来日記の最萌キャラはユッキーだろ
由乃の最萌えシーンは間違いなく「ユッキーが見てくれた♪」と両手をパタパタしてたところ。異論は認める
未来日記の話がしたいなら他のスレでやれ
なんか未来日記の話になると一人だけ過敏な反応する奴がいるのな
まあ気持ちはわかるが
久しぶりに来たらが流れ早いな、知名度が上がってきたか
しかしちょっと早すぎないか?
野獣とアングレカムの続きまだー?
最近投下多いから人集まってるんじゃね?
夏だからな
何でもかんでもヤンデレ認定 → 否定の流れは昔からあったけれど
一番うざかったのはエヴァンゲリオンのアスカヤンデレ認定野郎だったな……
原作ではこういう流れだったけれども実は●●という裏設定がどうのこうの
同人誌における製作スタッフのインタビューがどうのこうのと
一般人にはあるかどうかすら確認できないものを何の説明もなく当たり前のようにソースとして持ってきやがって
あっそ ふんじゃえ!
ヤンデレもライトノベルの定義みたいに決められたら楽なのにな
そうでない属性だからもめるんだろうが
ラノベの定義も、最近じゃ曖昧になりつつあるぞ
講談社ミステリーの区分がわかりづらい
>>340 確か源氏物語も区分としてはラノベなんだよな
そんな定義になったら大変なことになりそうだ
六条御息所は最高だろjk
皆さん、こんにちは。
5分後に野獣とアングレカム 第6話略奪を投稿します。
宜しくお願いします。
※注意、6話では濡れ場シーンが存在します。一部表現がアレな為、苦手な方は、見ない方が良いと思います。ご注意を※
第6話 略 奪
【高校生時代/桜花学園】
―――昂四郎、最近何か元気だな?と、学園の生徒によく聞かれ俺は決まって言う。
『おう、最近調子が良いんだ。頭がスッキリしてるっていうか・・・』
とても暑かった夏が終わり秋になった、もう気づけばすぐに冬が駆け足でやってくる。美園と再会して俺は以前の俺に戻っていた。
大沢明美の意識が戻り、近いうちにエイジ達とお見舞いに行く事になっていた。
部活のラグビーでも、葵海付属のチアガール部の生徒達のお陰で良い刺激となり、練習にも力が入っていた。
美園との仲も1年くらい前よりもお互いが大人になってきたのか、意思の疎通はダントツだった。
こんなに充実した高校生活は今までに無かったかもしれない。毎日が充実し良い思いでが沢山出来ていた。
少しずつだが、月咲で揺れ動いていた俺達は、落ち着きを取り戻していった。
月咲とは、あの夏の電話以降メールや電話はかかってくるものの、通学の途中で出会ったり、弁当を作ってくれたり、一緒に帰ったりする事はなくなった。
最初の内は違和感が起こったけれど、『振られたかな』と少し落ち込みはしたが、美園の影響力が強く、時間が経つにつれて、月咲の事は忘れていった。
エイジは相変わらず、月咲に良いイメージは持っていなくて、月咲の話をすると不機嫌な顔をする。
それのせいか、月咲の話はしなくなり、それが月咲を忘れる要因の1つになっていたのかもしれない。
「・・・ちゃん・・・ちゃん・・・?―――ねぇ、昂ちゃん聞いてるの?」
『・・・ん、お、おう。悪い、美園。考え事してた、どこまで話たっけか・・・』
「だから葵桜祭の時の私の応援見ててね!って話でしょ〜?ちゃんと聞いてよも〜」
『悪かったよ・・』
逆に美園と会う機会が多くなり、練習が終わってから学園付近のファミレスで、談笑する、これが最近の日課になっている。
もうすぐ葵桜祭だ、俺の気持ちは上がっていた。とにかく楽しもう。高校3年までの僅かな時間これをバネに出来たら良い、そんな風に考えが変わっていった。
―――そして、修羅の道へと繋がるあの日を迎える。
桜花学園/東校舎、備品倉庫】
―――葵桜祭も近くなり、準備も忙しくなってきた。まるで文化祭の様に2つの高校は賑わい、忙しそうに準備を始めていく。
俺はこの日、東校舎で備品倉庫で備品を探していた。
『んとっ・・・・・おお、これだな。なんでこんな人気の少ない所に置くんだぁ・・?埃で汚れてるぞ・・・さて、戻るか。』
頼まれていた備品の箱を見つけ帰ろうとすると、入り口に人影が見えた。誰だ?逆光でよく見えない、俺は手を翳し影を作ってその人影を確認する。
―――月咲だった、幾分久しぶりに見た為か俺は、懐かしいとさえ思うようになっていた。俺をじっと見る。
何故だか様子がおかしい。焦点の合わない視線で俺を見つめ、何を言うわけでもなく、哀しそうな表情で俺に視線を向けていた。
『・・・月咲?おう、何か・・・久しぶりだな、お前も葵桜祭の――――』
「私、もう我慢するの止めたんです・・・・」
月咲が俺の言葉を遮り呟く、月咲の様子に戸惑いながらも会話を続ける。月咲の両手が握り拳になっていたのを俺は見逃さなかった。
『我慢・・・・・?』
「昂四郎君の事をもう見ているだけなのは嫌なんです・・・あんな女、昂四郎君に相応しくない。私しか昂四郎君は救えないんです。
だってそうでしょう?私達は、愛しあっているんですから。昂四郎君を騙そうとする人は私は許せません。」
『――つ、月咲・・・何言ってんだよ、俺は・・・お前の事は別に・・・』
「・・・・・・嘘っ!!!!!!」
『月咲・・・!?』
「・・・・・なんであの時階段で私を助けてくれたんですか?何で私の手を繋いだんですか?何で私のお弁当を食べて笑ったんですか?
なんで私に笑顔を向けてくれたんですか?なんで私の気持ちに気付いていたのに応えてくれないんですか?・・・私は、昂四郎君以外は、嫌・・・・・他の男なんて・・・・・触りたくもないのに!!」
月咲が俺に近づいてくる、焦点の合わない視線、剥き出しになった感情、俺の知っている月咲じゃない俺はこの状況に不安を覚えた。
『い、いきなりどうしたんだよ・・・悩みとかあれば、聞くから・・・今日はもう帰ったほうが―――っ!!』
気付けば俺は、月咲に押され壁にぶつかった、突然の事に不意打ちを食らい頭を壁にぶつけ近くの備品が床に落ち音が鳴る。
俺は、壁にもたれ、扉の鍵をかけ俺に焦点の定まらない視線を向けて俺を冷酷な瞳で見下ろす月咲に、頭を軽く抑えながら視線を向ける。
『っ・・・月咲・・・何すんだよ・・っ・・』
「昂四郎君、私達は、もう恋人同士なんですから・・・こういう事するのは当たり前でしょう・・・?口で言うのはもう嫌なんです・・・・!!」
―――月咲が俺の上に乗り俺のネクタイを外す、俺が月咲の両手をどけようとすると、月咲をそれを払い、俺の制服のカッターシャツの真ん中を掴むと引き裂きボタンがいくつか外れ床へ軽い音を鳴らしながら散ばる。
露になった俺の上半身を躊躇無く、舌を這わせていく。
『・・・ち、ちょっと!!もう・・・・止めろっ・・・冗談にしては・・・・・お、おい!人が・・・来るっ・・・!』
「来てもいいじゃないですか・・・私達の事・・・見せてあげればいいんですよ・・・」
倉庫の前を歩く準備をし、忙しそうに走る生徒の気配を感じ月咲にそれを促そうとしても月咲は開き直る様に、俺の腹の辺りで舌を止め、淡々と呟きそのまま下半身の部位に顔を近づけ、俺の制服ズボンのチャックを歯で噛むと下へ下へと下げる。
そのまま雄芯を口へと運ぶと深く口内へ動かし、水音を鳴らし。
俺は、月咲の行動に驚きながら月咲の頭を手で離そうとするが、月咲の力は強く思うように動かない。
『月咲・・・汚ねぇから・・っ!お、おい!止めろっ・・・・!・・うあっ・・・・』
―――月咲の舌の動きで段々とおかしくなっていく、俺の意識とは逆に雄芯は勢いを見せ月咲が片手で掴み愛撫するその姿に俺の体は強く反応していった。
「・・・・ンッ・・・昂四郎君の大きい・・・私、本でずっと勉強したんです、男の子の気持ち良い場所とか、舌の動きとか・・・だから、昂四郎君をビックリさせようと思って・・・・会わずにいたんですよ・・・・あっ・・昂四郎君・・・凄い・・・!」
月咲の手を自分の唾液で濡らすと、俺の股間の下落の部分へ手を伸ばしある部位に近づく。こんな場所へ手を伸ばしてどうする。そう思った。
『・・・な、何すんだ・・・おい、何やってんだそこは、・・・っ!!!うああああっ!ぐぉ・・おぉおお・・・・・っ!!!』
―――月咲が俺の尻穴へ指を入れる。あまりの痛みに思わず低い唸り声をあげ、直ぐにこの場所を回りに聞こえない様、声を抑えようとは、するが初めて経験する痛みに勝てず顔を歪ませる。
指はどんどんと沈み何かを探している感じだった。
「前立腺・・って言う場所があるんです。そこを刺激すると直ぐに気持ちよくなるって書いてました。昂四郎君・・気持ちいいですか?出していいんですよ、ほら・・ほら・・あ、・・・ここです・・・!」
『や・・やめてくれ・・・っ!!こんな事・・しないでくれよ・・・・ッ・・・月咲・・・!うあ、ぐうっ!!!・・・・ぁっ・・・・ぁあ・・っ!!』
月咲の指が、前立腺に達したのか、直ぐ様月咲の口の中で果て、その強い刺激に足の指を内側に曲げる。
月咲は直ぐ様それらを躊躇なく飲み干し残った濁液をも舌で吸い上げ、そのまま下着を脱いだ月咲は、俺の上にのり秘部へ雄芯を上下に擦る。
「昂四郎君は、いつも自分で済ませる時はこういう顔をするんですね・・可愛い・・・・ンッ・・・」
そのまま俺の胸板に両手を置き、腰を沈める。「自分で済ませる」という言葉に違和感を覚えながら、迫る快楽と波と月咲の腰遣いの刺激に、俺の雄芯は刺激に触発され月咲を意識とは関係なく受け入れる。
『はぁ・・・はぁ・・・うあ・・・・はぁ・・・はぁ・・・』
俺は両目を伏せ垂れる汗と共に快楽に耐え続けていた。
すると、月咲が俺の首を両手で掴む。段々と力を強め首を絞める。
―――苦しい、息が出来ない。余計に汗が滲み、俺の両足は苦しさに動く。
「昂四郎君・・・苦しいですか?ふふ、私はもっと苦しかったんですよ・・?でも、そんな事はもういいんです・・・もう私のモノです・・・私の・・・!!!」
―――意識がゆっくりと遠のき月咲の顔が少しずつぼやける。伸ばし月咲に苦しそうな表情で語りかけるが、ただただ、笑みを浮かべた月咲が俺の上に乗り腰を沈めていった。
見開いていた目は段々と力無く降りていき、意識が薄くなっていった。
―――どれくらいの時間が経ったのだろう。外は静寂の姿になっている。
もうあんなに明るかった外の色が、夕焼け空から濃い青色へと変化し夜になろうとしている。
人の気配は感じない。もしかしたら、俺たち2人しかいないんじゃないのか。そんな事を考え意識が少しずつハッキリとしていく。
汗と埃で乱れた髪、ボタンが何個か外れたカッターシャツ、太もも辺りまで下がった制服のズボン、片方だけ脱げた靴下と靴、腹の辺りが何かベタつく、なんだこれ―――唾液?
指で触ると粘つく、・・・・気持ち悪い。この姿が今の俺なのか。
何かを考えようとすればするほど、頭の中は真っ白になる。力が全く出ない。今の現状が信じられない、信じたくない。
壁にもたれ視線を、ゆっくりと目の前の月咲に向ける。緩んだ制服や下着を着ている。あの時の狂気じみた目ではなくなってはいたが、もうそんな事は関係ない。
「・・・・昂四郎君、もう浮気なんてしたら駄目ですよ・・・・?あの女は私が、言い聞かせます。だから安心して下さい。昂四郎君は私のモノなんですから・・・」
『・・・・・・・ッ・・・』
月咲が前かがみになりながら膝を床に着き、両手で俺の頬に手を添える。達成感に満ちたその笑顔は、俺を絶望という場所へ堕ちていく。
月咲の唇が俺の唇へ慣れた様子で重ね、下を絡め唾液が俺の口元から滴る。
そのまま、俺の首筋で唇が止まり強く吸音を鳴らし吸い上げる。唇の痕を残すのだと直ぐに解った。耳元で唇の吸音が嫌というほど響く。
月咲は、痕が残った首筋に視線を落とし口許に笑みを浮かべながら満足そうに俺と視線を合し何を言うわけでもなくその場を後にした。
『・・・・・・ああ・・・・そうだ、俺も帰らないと・・・・・あれ・・・ボタンが外れてらぁ・・・ネクタイも汚れちまったし・・・・
・・・今日はついてねぇ・・・へへへ・・・そうだな、帰って風呂にでも入ろう・・・・明日・・備品は持っていこう・・・・』
1人になった倉庫で、呟きゆっくりと立ち上がり自分の姿に愕然としながらも脱がされた服装を直し一刻の早くこの場を去りたかった。
家に着くまでの事は、未だに覚えていない。
覚えているのは、気付けば自宅に戻り親に何も言わずに風呂場へ入りシャワーを浴びていた事だ。
風呂から出て着替えると、鏡に写る自分の姿に視線を向ける。
よく見ると頬に爪で引っかかれた後、そして首筋の唇の痕。赤味を帯びて濃く刻まれていた。
破れた制服は部活で転んだと言いそのまま洗濯機の中へ入れる。動き制服を洗い、暫くその動きを眺めながら部屋へと戻った。
ベットに座り足の親指を無意識に視線を向けると、月咲が倉庫で俺の足の指を舐めている光景が頭の中に広がり、両目を強く伏せる。
イジが言っていた「大沢を落としたのは、月咲の可能性が高い」
もしまた月咲を拒めば、美園やエイジ達に被害がいくのか、それとも俺がこうしている間に俺の気付かない間に、回りが被害を受けているのか。
少なくとも月咲は異常だ。
俺の気持ちに正直なればなるほど、俺の周りが壊されていく。もし大沢みたいにされたら。そんな恐怖が頭の中で巡り、美園達が傷つくイメージで汗を滲ませる。
『・・・・・・俺はもう何もいらない。月咲を俺だけに集中させる。もう誰にも傷がつかない様に。もう誰にも迷惑をかけない様に。俺は月咲に尽くす。俺だけしか見えない様に・・・・』
大学生時代/昂四郎マンション】
『・・・っ・・・・く・・・っ・・』
俺はその事を思い出すと涙が止まらなかった。右手を顔を覆い止らない涙を流す。
思い出したんだ、月咲が俺にした事を。
―――逆レイプ。
エイジの口から言われた言葉に信じる事なんて出来なかった。信じる事の方がおかしかった。酔った勢いでもなく、合意の上でもなく、月咲に襲われる。こんな事あるものか。
エイジは何も言わずビールと煙草を味わいながら俺に視線を向ける。
「ここまでがお前が3年になる前に起きた事だ。・・まぁ、俺はその事、後で知ったんけれどな。昂四郎は〜・・・あの時、誰にも言わなかったみたいだし」
『・・・・言えるわけねーだろ・・・もし、あの時エイジ達に言ったら、それが本当になるし、認めたく・・・なかったんだ』
「月咲は、あの時助けるべきじゃなかったんだよ・・・昂四郎」
『・・・・・・・・』
暫く、沈黙が流れ流れていたテレビはもう砂嵐になっており、エイジがテレビを消す。
室内の音はもう、エアコンの冷房の音だけだった。
―――逆レイプの後、卒業までの俺が辿った道はまさに修羅だった。
第6話 完 つづく
次回予告 第7話 欲 愛
月咲に襲われ、月咲の異常さに周りが被害に及ばない様に勤める昂四郎。
エイジや美園の話にも耳を貸さず、月咲の要望に応え続けそれらは、更なる事件への幕開けになるのだった。
―――大沢明美の退院で物語は加速する。
次回第7話 欲 愛 お楽しみ下さい。
投稿完了です、それではまた次回投稿します。ありがとうございました!連レス失礼!
おつおつ
続きまってるよ
GJ
相変わらずペース早いけど無理せず頑張って
355 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 18:05:35 ID:ftBQ+iRh
GJ
ありがとう、楽しみにまってるよ。
GJ
ペース速いな。体に気をつけなよ?
>>352 こういう執着心はイイ!
月咲にはもっと狂ってもらいたいw
静寂の姿(笑)
まさに修羅(笑)
次回予告(笑)
GJ!
月咲さんが今後がどうなっていくのかますます気になるとこですな
次回も首を長くして待ってます
評論家(爆)
確かに"ん?"って思う所もあるが、それにしたって言い方ってもんがある。
確かに"ん?"って思う所もあるが、それにしたって言い方ってもんがある。 (笑)
これだから夏は……
夏だなあ
「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」
「佐藤さんをつかまえるべく鬼の数である」
「ランニング状態で足を止めた」
「俺が辿った道はまさに修羅だった」←New!
夏だなあ
作者さん気にしない方がいいよ
夏だ夏だ言ってる奴は一番厄介。自分は厨じゃないと思い込んでるからな
あいちゃん訓練がんばりすぎわろたwww
まあ、その通りだな
>>360以降の流れは普段だったら発生しない流れだしな
黙って朝ご飯でも食べてきなさい
朝。
人の気配で目が覚めた。
俺はすぐさま臨戦態勢をとる。
なぜならば俺は一人暮らし。よってこの家にいるのは俺一人。玄関の鍵はキチンとかけてある。だから人の気配はすれすなわち侵入者を意味する。
俺が台所と部屋を隔てる襖を凝視していると、襖が開いた。別に俺が念力に目覚めたわけじゃない。その気配の発生源の人が開けただけだ。
「おはようっ! ダーリン!」
そういって俺に飛びついてきたのはエプロン姿の見知らぬ少女。呆気にとられて俺は応戦も出来ない。
俺が彼女を見ようと視線を下ろすと、そこには若さ溢れる柔肌が。つまり裸エプロンである。
「だ、誰だ! 一体なんでここに……」
俺の言葉は中途で霧散した。唇を彼女の口で塞がれたからだ。
「ふふっ、おはようのキス」
彼女はそう言ってすっかりご機嫌だ。
「朝ご飯食べないと、また会社に遅刻しちゃうよ?」
彼女はそう言って台所から朝食を運んできた。焚きたて御飯に味噌汁、焼き魚と煮物、そして漬物。まさしく模範的日本の朝食である。
うん、日本人に生まれてよかった。
俺は全て平らげた後、しみじみとそう思う。
……ってそうじゃなくて!
「だからお前は一体誰なんだ!」
「誰……って、どうしたのダーリン、変だよ。私はあなたの奥さんじゃない」
少女は平然とそう答えた。裸エプロンの下からですら主張してくるその胸が眩しい。
「お……俺はお前なんか知らない! ましてや妻なんて……」
俺がそう反論すると、彼女の双眸は見る見る潤んでいく。
「酷い! 自分の妻のこと忘れちゃうなんて!」
「じゃあ俺達の出会いは?」
「生まれたときから運命の赤い糸で結ばれていたから生まれたときだよ」
話が通じない。
「……妻っていうなら俺の好物くらい知ってるよな?」
「好きな食べ物はお寿司。でもわさびはダメ。そんなことろも可愛くて素敵よあなた」
……なんで知っている? 正直、恥ずかしいからこんなこと誰にも言っていない。知っているのは俺の母くらい……もしかして母の差し金か?
「じゃあ俺の趣味は?」
これならどうだ。俺の母ですら知らんぞ。
「バイクでドライブ。昨日も後ろに乗せて連れて行ってくれたじゃない。ふふっ、あなたったら方向音痴なのに裏道ばかり走るからいつも迷子になっちゃって」
……なんで知っている! 確かに昨日ドライブには行ったが、俺は一人だったぞ。
「じゃあ俺の三ヶ月前の夜食は!」
「焼き鳥にチューハイ。焼き鳥には普通ビールだけど、あなたは苦いから旨くないって……かっわいい」
……俺ですら覚えていないのに。こいつ、俺以上に俺のことを知っているのか? つまり本当に妻なのか? じゃあ俺は酷く局地的な健忘症にでもかかったと?
「ほら、そんなおかしなこと言ってるからもう時間よ! 急いで!」
彼女に言われて時計を見れば、出社時間が迫っていた。
「あ、ああ」
俺は慌てて支度を終え、玄関をでる。
「あなた」
「うん?」
振り向けばそこには唇が。
「いってらっしゃいのキス。……もう、あなたったら酷いこと言うんだから……罰として、帰ったらいっぱい……シテ、よね?」
そう言われて送り出された。
「……ってやっぱりおかしいだろ!」
俺が正気を取り戻して昼休みに慌てて会社から戻り、アパートのドアを開けると、そこには積んであった未洗濯の俺の服で一人で情事に耽っている妻の姿があった。
続きません。
>>369を見てついやってしまった
文章内だけ見るとそんなにヤンデレ臭はしませんが、アパートに入れたのは合鍵、三ヶ月前に食べたものを知っていたのは当然監視していたから、好物や趣味も同様に、といったわけで
これはいいwww
この後の続きはありますよね?
>>371 GJ!
こんな妻が俺にも出来るのかな・・・・?
いやぁ、頭が腐ってる人なんよ。
今回は姉と同級生の話なんよ。
しかも今回文章中に何故か草が生えてしまっいるからそこは我慢してほしいんよ。
え、空気?読めないんよwwwwwww
∧_∧
( ・ω・)=つ≡つ
(っ ≡つ=つ
./ ) ババババ
( / ̄∪
夕方のひと時、辺りは買い物袋を下げた主婦やまだまだ遊ぼうしている子供たちの元気な姿が在った。
そんな中に仲の良さそうな男女の姿が一つ。
片方は小動物をイメージさせるような可愛らしい少女、もう片方は少し目つきの悪い、が決して悪い人ではなさそうな青年。
どうやら二人は家に帰る途中のようだ。
「御波くん、今日の数学の時間居眠りしてて先生に怒られてた」
「おまっ、俺の隣なんだから見てたなら起こしてくれよな。そしたら先生に怒られてみんなに笑われる恥ずかしい思いもしなかったのによぉ」
「ふふ、ごめん。寝てる顔が可愛くて・・・・・」
「止めろよ恥ずかしい・・・・」
「その顔も、ふふ、ふ」
「うるせえなぁ、ったく可愛くない奴だ」
俺の名前は奥寺御波。
口ではこんなことを言ってるけど俺は人生十六年目にして初めて出来た彼女こと清水愛歌のことを心底惚れていた。
彼女はさっきの会話のようにすんごく口下手で、おまけに人見知りという完璧な根暗っ娘だ。
いつもの俺ならそんな女の子などに興味なんて示さないで他の子に想いを馳せていただろう。
しかしだ!!
「あ、その・・・・・。ご、ごめんなさい・・・・・・」
「い、いや今の嘘!嘘だから!可愛いってば!!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
「わぁ・・・・」
(あぁ、さっきのショボンとした顔が天使みたいに、いや天使の微笑みになって喜んでるよ。か、かわええ!これはもう犯罪だ、うん)
今の彼の反応を見れば解るように口下手だろうが人見知りをする根暗だろうが、それでも十分惹きつけてやまない位彼女は可愛かった。
そんな彼女を狙う男は彼の他にも当然のように学校にいた。むしろはき捨てる程にだ。
しかし彼女も甘くはない。
相手が告白してきても持ち前の『人見知り』というスキルをいかんなく発揮し、告白してきた男性全てを撃沈させていた。
そしてそんな撃墜王の愛歌に今年の春、彼は自分の気持ちに我慢できず無茶を承知で彼女に告白したらなんと二つ返事で了承してくれたのだ。
しかも相手も自分のことが好きで今まで彼氏など作ったこともなかったという奇跡的で素敵なこともその時わかった。
(あぁ、こんなめちゃくちゃ可愛い彼女を自分のモノに出来た俺は三国一の果報者だ。ありがとう神様。
去年までは彼女持ちの男は全員死ね、氏ねじゃなくて死ねなんて願ってた俺にこんなプレゼントをくれるなんてあんたやっぱ最高だ!!)
「ガッツポーズ・・・・・?」
「あ、いや何でもない。こっちの話だよ」
「変な、御波くん」
苦笑いをする御波を愛歌はにこにこしながら彼の手を握る。指と指を絡める、俗に言う恋人握りというものだ。
(うぉぉぉおお・・・・・)
この心地いい胸の痺れが萌えなのかと彼は小さな指で握ってくる彼女の手を見て素直に感嘆した。
「・・・・・」
「どうしたの?手に、何かついてる?」
「あ?うん。何かさ、愛ちゃんって指を絡めてくるの好きだよなぁって思ってた」
「好きじゃ・・・・・ない?」
「いやぁ、むしろ大歓迎であります大佐」
「よかったぁ。嫌いなら、どうしようかと思った」
私ね?と一言置いてから彼女は言った。
「こうやって、人の手を握るのが好き・・・・」
「どうして?」
「なんかね、こうしてると相手と心が繋がってるって感じがして・・・・・・、とっても安心するの。
それに・・・・・・」
「それに、何さ?」
「こうやって、御波くんとくっつける、でしょ?」
むにゅっとお世辞にも大きくないが十分服の上でも柔らかさを感じ取れるほどある胸を彼の腕にすり寄せる愛歌。
腕から伝わってくる甘美な感触は御波の頭脳を破壊することは造作もないことだった。
彼は死んだ(笑)
その後、御波と愛歌は彼の家の近くに来るまで誰が見てもラブラブのバカップル状態でいた。
「あ、俺ここを右だからもうバイバイだな」
「・・・・・そうだね」
(ああ、去年は糞長い帰り道だと思ってたのに彼女が出来てからはこんなにも短いなんて・・・・)
御波は嬉しいような哀しいようね溜息を小さくした。
「あ、そうだ御波くん。私ね、こうやって手を繋ぐよりも、もっともっと大好きなことがあるの。
何だと思う・・・・・?」
「え、何?わかんないよぉ〜(←wwwwww」
「ふふふ、じゃあ・・・・・、教えてあげる」
「教えて教えてぇ〜(←wwwwwww、wwwwwwwww」
「これ・・・・・」
ちゅっ
「・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・へっ!?」
いきなりの不意打ちで唖然とする御波を彼女はふふふと微笑む。
「正解はね、好きな人とキスすること・・・・・。私、本当に御波くんのこと大好きだよ」
顔全体をほんのりとさせながら愛歌は上目使いで彼に言った。
その大きな瞳で自分を映し、形の整った唇の端を持ち上げた彼女に御波の心臓は大きく跳ねた。
「あ、はい・・・・・」
突然の事件に彼の頭の中は空前絶後の大パニックを起こしていた。
パニック具合を例えるならば海を泳いでたつもりが実はそこは空だったとか、
竹を切りに行ったおじいさんが竹を切ったら中にはゆで卵が入っていたというか。
まあとにかくパニクっていたのだ。世界が止まり、思考も止まり、文字通り石化していた。
「・・・・・・・・・・」
逆にこの状態だったからこそ、これから彼女が言う実に不穏で、かつ危険な言葉を彼は聞き漏らしてしまうことになる。
「私、御波くんのこと大好き・・・・。うううん、愛してるよ。御波くんは私のことどう思ってるの?」
「だいすき・・・・・」
「愛してる?」
「あいしてる・・・・・・」
「うふふ、よかったぁ。相思相愛だね御波くん。でもね、御波くんがもし私を裏切ったら・・・・・・、私・・・・。
御波くんのこと殺しちゃうかも・・・・・、ね?」
ビルに沈み行く太陽の赤い光がが彼女を赤く染めていく。それは見方によれば赤い血を全身に浴びているようにも見えた。
「わかった・・・・・・・・」
「うん、わかってくれて、よかった。それじゃあね、御波くん」
「さよなら・・・・」
季節的にはそろそろ夏だというのに、何故か彼の周りには冷たい風が流れていた。
愛歌と別れてから家に着くまで御波はまるで高熱を出したかのように意識がまとまらなかった。
ふらふらしながら家に到着する御波。
「ただいま」
変な浮遊感を感じながら彼は自分の部屋へ向かい、ベットへ着替えもせずに寝転ぶ。
「愛ちゃんとキス、したんだよな俺・・・・・」
自分の唇をなぞるとさっきまで夢みたな感じだったのものが急に現実味を帯びてきたのがわかった。
「・・・・・・・・っ!、やったぁぁああああああああああああ!!!!」
そして現実だったのだと頭が理解すると同時に彼は雄叫びを上げた、いや上げずにはいられなかった。
自分の好きな女性とキスが出来た(正しくはされた)のだ。もう制服がしわくちゃになろうとお構いなしに御波はベットの上で転げ回って喜びの雄叫びを上げた。
「やった、やった、やった!やっほぉぉぉおおおおお・・・」
「うるさい、黙れアホ」
ドゲシッ
「ぱぉっ!?」
しかしその雄叫びは突如として頭上に繰り出された鋭いチョップとハスキーなボイスで遮断された。
「いってぇな〜、帰ってきてたのかよ千代姉。それと勝手に俺の部屋に入ってくるな」
「お前のうるさい声に癇癪を起こしそうだったんでな。すまないが勝手に入らせてもらった」
そう部屋の入り口でけだるそうに女性は言った。彼女の名前は奥寺千代音、彼の姉にあたる存在だ。
今の彼女の姿はタンクトップと短パンというルーズな格好している。普段はしっかり者なのに家の中でだと妙にずぼらだ。
「そっちはもう夏休みかよ千代姉」
御波曰く『千代音姉さんなんて呼び方は面倒くさいので千代姉だ』とのこと。
彼より二つ程年上で大学生だ。
スタイルは出るところは出て、締まるところは締まっているという部類で、しかも身長が175cmある御波より10cmも大きいものだからまるでモデルのようだ。
そんな姉が家の中でああいった格好で普通に過ごしているのは正直目のやりどころに困るというのが御波の意見(勿論姉には言ってない)なのだが、
姉曰く「この格好が一番楽だ、胸も苦しくないしな」だそうだ。
全くもってけしからん姉である。
「そうだ、テストが少なかったんでな。その・・・早くお前の顔が見たいと思って急いで帰って来たというのに・・・・・。
大体何なんだあのアホみたいな叫び声は?貴様は猿か」
「うるせぇ、アホアホ言うな。俺だって叫びたいほど嬉しいことがあるんだよ」
「嬉しいこと?何かあったのか?」
頭を傾げる千代音に御波は不敵な笑みを浮かべながらびしりと人差し指を姉に向けた。
「いいか?聞いて驚け!俺に彼女が出来た!!」
「・・・・・え。・・・・・・・・・え?」
おおう、驚いてる驚いてる。
あのポーカーフェイスで有名な千代姉が顔を歪めてびっくりしてるぜ。何てったってこのネタに関しては何度千代姉に馬鹿にされたことか、正直数え切れん。
しかし、これでもう二度と馬鹿にされないと思うとなんと清々しいことか。ビバ☆彼女だぜ!!
「う、嘘だな。お前みたいな男に彼女なんて・・・」
「嘘じゃねえよ。ほらこの子だよ、清水愛歌ちゃん。愛の歌なんて可愛い名前だろ?あ、顔もやばいくらい可愛いいんだぜ!」
携帯の待ち受けにしてあるプリクラで撮った写真を御波が見せると姉の表情はますます険しくなっていった。
そんな姉の状態を見ていると今までの復讐が出来ているみたいで御波は段々と興奮していった。
「しかも、だ。今日その女の子とキスしちゃったんだよ〜ん。へへぇざまwwwwwww」
「なん、だと・・・・・・?」
「あっはっはっはっは!もう千代姉に彼女がいないって馬鹿にされないもんねwwww。悔しかったら別れさせてみろwwwwwww。
まぁwwwww無理wwwwwwですけどwwwwwww」
それにしてもこの男ノリノリである。
「・・・・・・・・・どこ」
ギシリ
姉の顔はいつも間にかいつもの何を考えている分からない、ポーカーフェイスに戻っていた。
「おぅふww、・・・・・・・へ?」
(今俺の耳がおかしくなければ空気がギシリって鳴らなかった?しかも何かすごく寒くなってきた・・・・・。
うわ、千代姉の顔やべぇ。無表情っていうか嵐の前の静けさ的な状態になってる。や、やりすぎたか?)
「どこ・・・・・・、いる、の」
「どこって、その、五丁目のスーパーの近くだよ」
「そぅ。じゃあ・・・・・・・、別れさせて・・・・・・・・・。・・・・・・・くる」
御波からそう聞くや否や千代音はスタスタと部屋から退出した。
彼はそれを間の抜けた顔で見送った後、事態の重さを理解した。
彼の姉、奥寺千代音の座右の銘は『有言実行』。
彼の記憶が正しければ彼女がやると言ったことは良くも悪くも全て実行してきたのだ。
「ち、千代姉ぇえええええええええええええ!?」
この瞬間、彼は風になった。
「アイス・・・・・」
「あぁぁぁぁ、わかったわかったから」
「これ二個ね・・・・・」
「へいへい」
死ぬ思いで何とか姉を捕まえた御波。風になった彼でも死ぬ思いで走らなければ危うく姉の姿を見失うところであった。
捕まえてからは彼の必死の弁解により何とか姉に『彼女と別れさせる』という行動を止めさせられた。ただし代償付きで。
そしてその代償というのは姉を捕まえた近くにあるスーパー(因み場所は五丁目。本当にヤバかった)でアイスを好きなだけ奢るということだ。
(くっそぉぉ、まさかここに来るまで捕まえられなかったとは。結構走りには自身があったのになぁ、畜生全部あの無駄に長い足のせいだ!!)
「聞いてるのか御波、あとこれと、これ・・・・・」
「わかった。わかったから離れろ、くっつき過ぎなんだよ」
「うるさい」
うわ、今俺すごく大切なこと(顔に当たる胸とか胸とか)を言ったのにたったの四文字で跳ね返しやがったぞこいつは。
「あのな千代姉。千代姉は俺より背が大きいんだよ?そんな千代姉が俺にこんなにくっつくとどうなるかわかるか?
更にそれが顕著に分かっちゃうだろうが!俺、男なのに女より小さいことを他人に見られてると思うとすっげえ恥ずかしいんだよ!!!」
「うるさい、うるさい!!これは罰だ!!!」
「何のさ!?」
「うるさい!!!!」
ああ、今月は金がないのに、と御波は見えない涙を流しながら大量のアイスをレジに持っていった。
金を払い終わる頃姉は既に外で御波を待っている状態だった。
「ほらこんだけ買えば十分だろ?帰るぞ」
「・・・・・うん」
むぎゅぅ
「・・・・・・あのな千代姉、何故抱きつく」
「さっき言ったろう。これは罰だ」
「つかぬ事を聞きますが、貴女にはこれだけアイスを買ってやったという弟を許す寛大な心がないんですか?」
「ない(キッパリ」
本日二度目の姉の冷たい態度に御波は本当に涙を流しそうになった。
「絶対に渡すものか、御波はワタシノ・・・・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「・・・・・なんでもない。早く帰るぞ」
ギリギリギリ
「ほっふぇが痛いほっふぇが痛いぃぃいいい」
姉に千切れそうな勢いで頬をつねられる御波は今度こそ泣いた。
ふん、ふん、ふん♪
今日はついに御波くんとキスしちゃった。
御波くん、すっごくびっくりしてたなぁ。あはは、かぁわいい。
このまま順調に行けばいずれ御波くんと、ミナミクン・・・・ト・・・・・・・・。
(The・妄想中)
〜二分後〜
えへへぇ、御波くぅん・・・・・はっ!いけないいけない。こんなお惣菜コーナーの前で涎垂らしてちゃまるで私がお腹を空かせてるみたいじゃない。
まぁ違う意味で空いてるけどね・・・・・。
あぁもう、早く御波くんと繋がりたい!御波くんをもっと深く感じたい・・・・。
そのためにも明日の彼のためのお弁当は気合を入れなきゃ。
彼の好物は勿論チェック済み、抜かりはないわ。
もう材料は揃ったことだし早く家に帰って下ごしらえをしよう。御波くん、美味しいって言ってくれるかな?
明日が楽しみだな・・・・・・。
「あぁぁぁぁ、わかったわかったから」
え?今御波くんの声が後ろから聞こえたようなって、本当にいたぁ!?どうして!?
よ、よし、声をかけてみよう。
御波・・・・・。
「これ二個ね・・・・・」
「へいへい」
く・・・・・・ん・・・・・・・?
あれ?え?誰、その子?その女?御波くんが私の知らない女と一緒に歩いている?
何で何で、何であんなにべったりしてるの?私が御波くんの彼女だよね、私以外の女はあんなことしちゃいけないんだよね・・・・・・・?
まさか裏切った・・・・・・?
ミナ、ミクン・・・・・・・・。
「聞いてるのか御波、あとこれと、これ・・・・・」
「わかった。わかったから離れろ、くっつき過ぎなんだよ」
本当は私がそこにいるのに・・・・・、何で他の女がそこにいるのよ御波くん。そこは私の居場所でしょ・・・・・・・・・・・ッ。
今日私言ったよね、私のことを裏切ったら殺すって。私言ったよね!?
それともこれは何かの冗談かな?だとしても私、笑えないなぁ、笑えないよ御波くん。
もしかして御波くん。
ワタシトノカンケイハアソビダッタノ・・・・・・・・・・・?
「お、そこのお嬢ちゃん今日はから揚げが安いよ、一つどうだ・・・ひぃっ!?」
「ウふ、あハハはは、いいのおじサン。ワタシ、これから薬局ニ行かなキャいけなクナったから。うふ、うフフフフフ」
「そ、そうかい。し、失礼したね」
「エェ、全くよ」
・・・・・・いいよ、御波くんが悪いんだからね?私の忠告を無視した御波くんがいけないんだからね?
御波くん、私は御波くんのことが大好き。愛してるよ。
だから・・・・、本当は殺してやりたいけど殺しはしないよ・・・・・・・・・。
でもキツぅいお仕置きをしなきゃいけないよね。だって御波くんが私を裏切ったんだもん。
だからお仕置きをしなきゃね。御波くんの身体にキツぅいお仕置きしなきゃいけないね?ね?
「どうシようかナ。何をしてアゲヨウかなァ・・・・・」
あは、あはははは。
くはははははははははははははははははははははははははは!!!!!
「くふ、くふふふ、あ、明日が、楽しみぃだなあぁぁああああ」
異常なんよ。
_, ._
w ( ・ω・ ) ・・・
(~)、 / i )
\ ` |_/ /|
`ー_( __ノ |
( `( 、ノ
草のことはごめんなさいなんよww w_ノ`i__ノwwwwww
Gj!
実にいい腐り加減ですね
あ、明日が、楽しみぃだなあぁぁああああ
>>385 恋人も(・∀・)イイ
しかし姉スキーの俺にとってはこの姉はど真ん中ストライク!
もっとお姉さんの暴走を読んでみたかったり
まさにハッピーすぎる生活だwww
こういう生活憧れるなぁw
>>385 醗酵と腐敗は違うんよ?ひとまずGJなんよ。
390 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:00:59 ID:Y13GKI0Z
姉か…、彼女か…。
問題はそこにある。
どっちかを選ぶなんてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。
あ、GJ
では久々に投下致します
第2話『霊感商法』
古ぼけた狭いアパートの一室には部屋の持ち主ではない坊主の男たちが三人が目を閉じて集中していた。
上半身は裸であり、背中や胸には派手な刺青が彫られている。頭を剃っているのか、髪の毛はない。
微かに頭上は電球が必要のない明かりを灯していた。
その坊主達は近所で雇った凄腕の坊さんらしいので、部屋にいる幽霊を除霊してと依頼をしたら、快く承知して来てくれた。
そして、坊主の男たちによる除霊作業が始まろうとしていた。
幽霊の彼女は……尋常じゃない邪気を撒き散らしながら俺を睨んでいたが、気にしないでおこう。
「らんらんるー!! らんらんるー!! 坊主は嬉しくなるとお兄ちゃんのためにしちゃうの 」
「はぁぁぁぁぁぁぁ。ちょっとゴリちゃうぞ」
「大胆不敵!!電光石火!! 除霊はワシらの金のためにある!!」
と、坊主は意味わからん単語を天井に向かって叫び続けていた。それから、同じ事を繰り返して30分ぐらいで除霊作業は終了した。
「これでYOUを脅かす悪霊は完全にホロビマシタ。依頼料は期日までに口座へ振込んでクダサイ」
「振込まないと地獄に落ちるわよ!!」
「霊感商法に気を付けてな」
坊主さん達は奇妙な事を言い残して去っていた。高い除霊料を払ったことだし、肝心な幽霊は成仏したはず……。
振り返ると奴がいた。
「こ・う・い・ち・さ・ん」
「そ、その、あれだ。
ごめんなさい」
俺は宮野由姫にひたすら謝るしかなかった。
「光一さんは最低です。どうして、除霊なんてするんですか? 私のことを飽きてしまったの?」
「だって、部屋に幽霊がいるとさ。アニメやゲ−ムとかできないじゃん」
「生身の女の子がいるんですから、そんなものは必要ありませんよ!!」
「アンタは生身じゃなくて、幽霊だろっ!!」
当たり前の話だが、24時間中幽霊がいるという異質な状況は俺のプライベ−トな生活に色んな支障を起こしていた。
朝から光一さん光一さんと叩き起こされてはテレビを付けてください、私とお話をしてくださいと頼み事をしてくる。
秘蔵のお宝のゲ−ムをプレイしようとしても、俺の背後から光一さんは生身の女の子に興味はないんですねと泣き言を言って来る始末だ。
我慢の限界に来た俺は怪しげな坊主に除霊を頼んだわけだが。
結果は見ての通りだ。
宮野由姫は幽霊として存命している。憎いことに。
「ふふっ、私がいないとこの部屋の空間は暗くなりますよ」
「暗くなる云々の前に幽霊がいる時点で充分に先行きは暗いと思うんだが」
「大丈夫です。浪人しただけで光一さんは充分に将来は暗黒ですから♪」
ああ。やっぱり、成仏させておくべきだったかもしれん。ボケェ幽霊。
「黙れ、実年齢35才。本来ならさっさと成仏して、転生先は畜生道一直線の
お前が人の人生をとやかく言われる筋合いはない」
「女の子に本当の年齢はタブーですよ。
20才のアイドルで売り出しても、実年齢は35才だったというオチもあるので、本気でタブーですからねぇ。
今度、言ったらタコ殴り刑ですから」
幽霊にタコ殴りにされる浪人生の運命は想像するだけでとても情けないように思えるのは何故だろうか。
実年齢35才に殴られるぐらいなら、もっと若い女の子に殴られた方がマシかもしんない。
ともあれ、同居している幽霊は日々が経つのにつれ自己主張が激しくなるのであった。
そんな俺の唯一の癒しの空間は現在通っている予備校にしかなかった。
毎日意味不明な授業内容を聞きながら、安らかな寝息を立てる。周囲は必死に授業内容を聞いているのに
俺だけが寝ているのはなんと言うか、予備校教師をも畏れぬ所業じゃないだろうか。
家に帰ると幽霊が朝から晩まで懐いてくるし、寝られる時間はほとんどないに等しい。
高い授業料を支払っているんだし、予備校は俺に安眠場所ぐらい提供してもよさそうだ。
まあ、予備校教師はさっきからこっちを睨んでいるように思えるが、気にしないでおこう。
休憩時間になると俺は欠伸しながら、周囲を見渡すとすでに本日の予備校の営業は終了したそうだ。
居残っている生徒達がこっちを奇妙な動物のような視線で見つめてやがる。
そんなもんは無視するのに限る。
「あっ。起きたんだ。松山くん」
「藤寺さん?」
「もう、松山くんがずっと寝ていたでしょ」
「ちょっと、睡眠不足で」
「睡眠不足って夜遅くまで起きているからじゃないの」
「それだったらどれだけ良かったか」
藤寺 音梨沙 (ふじてら ねりさ)
同じ予備校に通っている予備校生。この予備校に通ってからの知り合いで、大学入試でカンニングして見事にばれたらしい。
そして、女の子ながらも不憫な浪人生として予備校に通っているわけだが。
彼女も居眠りの常習犯であった。
予備校教師が注意しても、あまりにも幸せな寝顔に教師はおろか、ここに通っている予備校生ですら起こすことができない。
ここまで自分と似た人間がいることに驚きだったので軽く口を聞いたら、何だか意気投合してメルアドを交換などしたが。
予備校で会話することは滅多にない。
だって、寝てるもん。
「松山君はちゃんと起きて勉強した方がいいよ。じゃないとまた試験に落ちて、辛くて厳しい浪人生活を送ることになるよ」
「あんたも寝てるだろ」
「私の場合は睡眠学習だよ。寝れば寝る程、私の頭は賢くなるんだよ。
そう、無駄な雑学は覚えても、わけわからん方程式とか単語は脳内じゃあ処理しきれないけど」
「藤寺さんももう一度浪人生活を送りそうだな」
「いえいえ、松山君の方が結構危ないです。日本人全員がそう思ってますよぉ」
やっ。睡眠学習するような頭のおかしい人に言われる必要はないと思う。てか、日本人全員が俺は2浪すると思っているのかよ。
「同じバカ同士。親交を深めるために松山君の家で一緒にお勉強しましょ」
「何でそうなるんだ」
「私の本能がそう告げているのよ」
どんな本能だよ。
「というわけで松山家に行きましょーー!!」
俺の意見などお構いなしに藤寺は俺の腕に自分の腕を組んで、予備校は飛び出した。
友達の仲である藤寺音梨沙という女の子を自分の部屋に連れ込むのは男の子としては嬉しい出来事である。
勉強会は建前上のことであり、本来は彼女が言った通りに親交を深めるためにやって来たのであろう。
彼女は初めて出会った時から自分と同じ匂いがしたのだ。
一般社会には溶け込めない独特な価値観に、周囲の人間とは必ず違う道を突き進む突進力。
大事な大学入試の時にカーニングをして、浪人生活に転落しても弱音を吐かない図太い精神など。
いろいろと波長が合う女の子だと思う。
ともあれ、何の準備なしに一人暮らし男の部屋に女の子を誘うのは俺の部屋は散らかり過ぎていた。
お宝のヤンデレゲーなど女の子が余裕で引いてしまう物々を見られると俺自身がちょっと発狂してしまう。
更に藤寺が予備校の皆にこの事を喋らないと限らないので
部屋を掃除するから家の前で待ってくれと待機させている。
家に帰るまで俺は奴の存在を忘れていた。
当然、幽霊の宮野由姫のことだ。
「へぇ、光一さんは可愛い女の子を自分の部屋に連れ込んで、いやらしいことをしようと企んでいるんですね」
機嫌が悪いのか、少し冷笑を浮かべて嫌味をたっぷり含んだ口調で掃除中の俺に言い放ってくる。
当然、俺は幽霊を軽くスルーして自分の部屋の掃除を続けていた。
「私という可愛い女の子がいるのに。どうして、他の女の子を連れて来るのかな?」
「同じ大学入試試験でカンニングした馬鹿同士。気が合った仲間が一緒に勉強するのは当然じゃないか」
「ダメです。世界破滅の大危機です。テレビで生電話の相談室の司会の人が言っていました。浮気する人間は背中から包丁で刺されると……」
「どんな番組だよ。しかも、ただの浮気だけで刺すのかよ。恐いって」
「心が壊れた女の子は正常な判断ができないんですよ。たまたま、
そこに準備していた包丁で愛しい人を殺してもそれは仕方ないことです」
「ヤンデレ症候群感染者か。その女は?」
「いえいえ、愛しい人の愛に飢えている女の子の構って欲しくて胸を刺して、愛の一突きです」
「ど、どちらにしろ、その女は牢獄の中で閉じ込めておけ……」
「はい。そうですね。私はドラマのヒロインになったつもりで光一さんを……」
「刺すなーーー!!」
「だって、どこの馬の骨かわからない女の子に光一さんを取られるのは面白くないじゃないですか。ぷんぷん」
「もしかして、嫉妬しているの?」
「そ、そ、そ、そ、そういうわけじゃないですよ!! ええっ。光一さんにちょっと気があるなんて嘘ぱっちですからね」
ツンデレ風味の幽霊が顔を真っ赤に染めていた。その仕草は幽霊らしからぬ甘い雰囲気を周囲に漂わせる。
俺的には掃除の邪魔もとい、個人的なお宝コレクションを隠そうと狭い一室の中で必死に考えているというのに。
由姫のヤキモチにいちいちと反応している時間はないのだが。
「わかりやすくねぇ?」
と、俺は小声で呟いてから苦笑してしまった。
その時、ドアを叩く音が聞こえてきた。
「松山くん、まだぁ?」
「後、もう少しだけ待ってくれない?」
「私の気のせいだと思うんだけど、松山君って独り言とか多いのかな?
それとも、誰かいるの? さっきから誰かと喋っている風に聞こえるんだけど。
もしかして、松山くんの彼女?」
藤寺さんが悲しげな声に俺は思わず意味がわからずに首を傾げた。
鈍い頭をフル稼働させて彼女の言葉の意味を理解しようと考えて、
何故か勝ち誇っているボケ幽霊の姿を見るとようやくわかった。
宮野由姫は幽霊である。
霊感のない一般人が彼女の姿を見ようと思ったら、この古ぼけたアパートの部屋を契約した者だけがすでに故人となり、
幽霊になっている彼女の姿を見ることができる。
つまり、先ほどの会話に関しては周囲から見ると頭おかしい学生が延々と独り言を喋っていたのに過ぎない。
松山光一は病院に連れて行かれる寸前……アホ幽霊のせいで。
「( ̄ー ̄)ニヤリッ」
「顔文字で勝ち誇らないでください。友人に俺はちょっと頭のおかしい人と誤解されて、精神病院に連れて行かれる5秒前なんですよ」
「もう、光一さんの鈍感。女の子を待たせると豆腐の角で頭をぶつけて死んでもおかしくないですからね。
早く彼女をこの部屋に入れて上げて下さい。ふっふっふ」
思い切り、何かを企んでいる顔だった。犯罪者が犯行計画の段取りを考え、
完全犯罪が成立することを完璧に確信したような表情を浮かべている。
俺は嫌な予感がしつつも、藤寺さんを我が家に招き入れた。
以上で投下終了です
前回の投稿から半年以上が経っていますが
頑張って完結まで書くので楽しみに待ってください
それでは。
397 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:15:35 ID:Y13GKI0Z
GJ
楽しみに待ってます。
>>396 これはまたナツカシス
一話読み返してきたよ
ヤンデレ少女が鋸を携帯するのがお約束になってきたな
そろそろトンファーを携帯する時代が来てもおかしくないな
素手で十分だな
ヤンデレ少女が携行するのは愛だろ
もうすぐヤンデレ婦警がサイボーグ化されるはず!デトロイトあたりで
バタバタ走るよ バタコさん
お久しぶりです。前回の続きを投下します。
前回の話はだいぶ前に投下したので覚えている方はいないと思います。
申し訳ありませんが忘れている方は前回のまとめウィキをご覧ください。
椿姫玲は笑わない。
自分の知る限り、生徒の中で椿姫先生が眼鏡を外したのを見たことがない。
感情を顔に出すことがないから喜怒哀楽が分からず、近寄り難い雰囲気のせいもあってか
周囲の評価はあまりよくない。一部の生徒達からは『鉄仮面』とも『アイアン・メイデン』
とも呼ばれている。担当教科は数学。
美人ですらりとした体型で、モデルにも芸能人にも見えるが、自分の中では社長秘書が一番しっくりくる。
いつも白いシャツに黒いスーツという服装で、ストッキングもヒールも黒一色。
切れ長の瞳に縁無しの眼鏡。化粧が薄いから元の顔が綺麗で整っていることがよく分かる。
キリッとした印象はできる女とも、クールな女性とも思わせるが、それ以上に冷淡さを感じさせる。
授業以外でも必要なこと以外は口にしないという、口数の少なさもその印象に拍車をかけている。
椿姫先生の誰にも見せない顔を知っているのは恐らく自分だけだろう。
一方の久我はなんというか――変な男だ。
芸能人のように格好良いわけではなく、かといって不細工という部類でもない。しかし、第一印象は
誰が見ても「良い男」という。自分の評価を抜きにして一般的に見ると上の下といったところか。
スポーツが好きらしいが、部活には入っていない。中学時代はバスケ部だったらしい。
髪型はしょっちゅう変わるが、不思議とどれも似合っているように感じる。今は少し短くした髪を
茶色に染めてワックスでいじくっている。鏡の前で髪をわしゃわしゃと弄くっている姿が目に浮かぶ。
どんな相手にも良い印象を与える不思議なところがあり、どこか憎めない。おかげで授業中に居眠りをしても
教師怒鳴られることはない。毎回「久我だからしょうがない」で済んでしまうのだ。
人当たりが良い性格と、温かそうな雰囲気のおかげで男女共に友人が多い。
授業中によく居眠りをしたり、授業をサボったりする事が多いが成績はそこそこ良いらしい。
人望もなく、友人も少ない自分としては少し、いや、けっこう羨ましくも腹が立つタイプの男だ。
先生と久我――対極の二人だが、二人の関係はなかなか見ていて気持ちが良いものだった。
久我は椿姫先生の授業に関してだけは何故か居眠りをしない。それどころか、授業中はおろか授業が
終わった後に、授業で分からなかった所を聞きに行くのだ。
あまり関わりあいたくないと思って近づかない生徒が大半の中、久我だけは普通に接しようとする。
まあ、冷静に考えれば、数学が苦手で毎回赤点ギリギリの久我が、ただ必死になっていただけなのかもしれない。
椿姫先生にとっての久我がその時どう映ったのかはわからない。しかし、久我が聞きに来るときの
椿姫先生の表情は、少し柔らかく感じていたのが記憶に残っている。
例えて言うなら、手間のかかる猫を世話する飼い主というか、出来の悪い子を躾ける母というか、
自分から見た二人はとにかくそんな感じだった。
教師と生徒の友好な関係――クラスの中でも、他のクラスでも、久我と椿姫先生の噂が立つのに
そう時間はかからなかった。
儀式を観察し始めてしばらくが経ったある日、久我に彼女が出来たという噂が聞こえた。
噂の出所は不明。しかし、久我は否定することなく、そして相手が誰であるかもすぐに判明した。
隣のクラスの遠峰晶(とおみね あきら)。
彼女は才色兼備の美人として有名だ。噂ではかなりのお嬢様らしい。
今時にしては珍しく大和撫子を感じさせる印象で、おしとやかで静かな雰囲気を持っているからお嬢様
といった印象を与えるのだろう。
そんなお嬢様と久我が付き合っている――噂はその日のうちに瞬く間に校内に広がった。
きっかけは? いつから? どっちから告白を?
昼休みの食事中、クラスメイトからワイドショーのリポーターのような質問攻めを受けている久我の
ところに椿姫先生がやって来た。
椿姫先生の表情は普段と変わらない。だが、その雰囲気から内面恐ろしいくらい怒っていることが
はっきりとわかった。
クラス中の注目が集まる中、椿姫先生は久我の前に来ると、しばらくの沈黙の後、何かを
押し殺したかのような声で「あとで生徒指導室に来るように」と言って帰っていった。
椿先生が教室から出た後、クラスの皆は呆気にとられ、久我は困ったような顔をしていた。
結局、久我は生活指導室には行かなかった。本能的な恐怖を感じて逃げたのかもしれない。
昼休みが終わるのを待たずして、久我はこっそりと帰ってしまった。
昼休みの間、生徒指導室の中で椿姫先生はずっと待っていたようだ。昼休みが終わる前にこっそり様子を
窺いに行くと、椿姫先生は般若の如き形相だった。
表面は冷静を保っているつもりなのだろうが、目はつり上がり、口元は怒りを堪えるために歯を
食いしばっているのか固く結ばれている。こんな表情の椿姫先生を見るのは初めてだった。
生徒指導質の中をぐるぐると歩き回り、椅子に座ってもしばらくもせずにまた立ち上がって歩き回る。
いつもの冷静沈着な椿姫先生の面影はどこにもない。落ち着かない様子でせわしなく動いている。
多分先生は、久我を生徒指導室に呼び出して、別れるように言うつもりだったのだろう。
先生の気持ちに気付いている私には分かっている。
先生がどれほど久我のことが好きなのかを。どれだけ愛しているのかを。
恋というよりも、愛という表現があっている。
狂おしいほど、病的なほどの愛。本当に人を好きになった人の感情は熱く、暗く、そしてドロドロとしている。
激しい恋愛をしている女性には修羅が宿る――昔読んだ小説に書いてあったのを思い出した。
なるほど。だとしたら、椿姫先生はとっくの昔に修羅になっていたのかもしれない。
椿姫先生に気付かれないようにそっと生徒指導室から離れ、教室に戻りながらこれからのことを考える。
椿姫先生と久我のこと。久我と遠峰晶のこと。椿姫先生と遠峰晶のこと。
いくら考えても想像ができない。この三人の中に自分が入り込むことはない。関わることもできない。
それどころか最初から関わる気はない。これは三人の問題であって、自分はただの観察者なのだから。
予測の出来ない事態は流れに身を任せるしかない。下手に逆らうと溺れてしまう。
ふと、変な疑問が頭をよぎった。馬鹿馬鹿しい疑問。家で飼っている熱帯魚が頭の中で泳いでいる。
――魚は溺れることがあるのだろうか?
次の日から、久我と椿姫先生の関係は崩れ始めた。
険悪な雰囲気を身に纏うようになった椿姫先生の授業は、常に緊張感に包まれることになった。
何度もチョークをへし折る椿姫先生を見ていると、どれだけ機嫌が悪いのかがよく分かる。
黒板の字も普段とはうって変わって汚く乱暴になっているし、久我の席の方向を見ようともしない。
いつもと違う椿姫先生に、クラスは異様な雰囲気に包まれることになった。
久我も先生の様子に気づいているのか、黒板に書かれた数式をノートに写すだけで、先生への質問をしなくなった
。
授業のペースは上がり、時にはついていけなくなるほどになった。先生に何かを言おうにも、
反応が恐ろしくて誰も言うことができない。必然的に予習をしなければならなくなり、授業が終わると
クラス中では分からない所を教えあう光景が至るところで目につくようになった。
あれから遠峰晶は久我に会いに来ることはなくなった。その代わり、久我のほうから出向くようになり、
休み時間や昼休みに教室で久我を見ることは極端に少なくなった。
今まで久我と一緒にいたクラスの男子は羨ましそうに久我をからかい、久我もまんざらではなさそうな顔で
笑っていた。
私は弁当を食べながら思う。久我は先生の視線に気づいているのだろうか。
椿姫先生の授業が終わると、クラス全体が安堵したように大きく息を吐く。肉食動物から逃げ切った
草食動物の心境とはこんな感じなのだろうか。
いつまでこんな辛い状況が続くのだろう。クラス中にはそういった絶望感にも似たものが流れ、そもそも
どうしてこんなことになったのかという疑問が囁かれだした。
ある女子A曰く、付き合っている男に振られたのではないか。
ある女子B曰く、生理が来なくて苛立っているのではないか。
ある男子C曰く、久我を遠峰に奪われて怒り狂っているのではないか。
ある女子D曰く、クラス全体の成績が下がり、学年主任に叱られているのを職員室で見た。
ある男子E曰く、体育教師の田村からのセクハラで精神的に不安定になっている。
いろんな憶測が飛び交い、やがて噂になり、その噂には背びれや尾ひれがついてくる。
数匹の立派な魚になった噂は、やがてクラスを飛び越えて学校中を泳ぎ回りだした。
数匹の魚は生徒の口から吐き出されて別の生徒の耳に飛び込み、そして口から出て行くときには
大きく成長していく。魚は口から出て行くたびに成長していく。想像したらちょっとしたホラーだ。
しかし、ある男子のC君。君が冗談で言ったのであろう憶測は間違っていない。だが、先生の怒りが
どれほどのものかまでは君も想像できまい。君の発言を先生が知ったらどうなるかわからないぞ。
暗くどんよりとした厚い雲が空を覆い、湿気とむし暑さで校内中の自動販売機は売り切れ続出になった。
つい先日までの快適な環境から拷問のような日々。先生の機嫌が悪くなって10日目の夜。
久我と遠峰の関係が公になったあの日以来、先生は毎日のように儀式を繰り返していた。
儀式の時間は日に日に長くなっていき、先生の行為もエスカレートしていった。
たまに目を覆うようなこともやってのけ、今までは使用していなかった道具まで持ち込んでの儀式は
私の好奇心を激しく刺激した。時には私も先生を観察しながら自慰を行ったが、それは好奇心旺盛な
成長過程の学生の衝動的な行動であって、けして自分がいやらしいとかそういうわけではないのだ。
その日も先生の儀式は遅くまで続いた。ちなみに、見廻りに来る教師が現れることは今まで一度もなく、
忘れ物を取りにやってくる生徒も一人も来たことはない。多分運が良かったのだろう。もし現れたときには
自分が物音を出して先生に知らせ、それから逃げようと考えていた。これでも足の速さには自信がある。
陸上部に誘われたこともあるのだ。
儀式が終わり、全身の力を抜いて久我の机にもたれ掛かる先生を見ていると、今までと少し様子が
違うことに気がついた。
机の上に両手を乗せ、その上に顔をうずめているのだが、ときおり肩を揺すっているのだ。
教室の中から聞こえてきたのはすすり泣く声。
耳を凝らして聞いていると、かすれた小さな声で「どうして……どうして……」という声が聞こえてくる。
蚊の鳴くような小さな声。耳を澄ませないと聞こえないほどの小さな声だが、聞こえてくるその声は
痛々しく、胸に小さな針を刺されているかのよう感覚がした。
嗚咽を漏らしながら、その声はひたすら同じ言葉を繰り返す。
「どうして……どうして……どうして……どうしてよ……どうして私じゃないの……? どうして
あんな女なんかを選ぶの? 私の方が晃を愛しているじゃない……」
深い悲しみが声になって教室に響く。消え入りそうな声はしかし、呪詛のようにも聞こえる。
長い旅をしてきた旅人が力尽きて倒れ、水を求めて呻くような、今にも死にそうな声。
(ああ、この人は弱いんだ。誰も気付いていないだけで、この人は誰よりも心が弱いのかもしれない)
今にも崩れ落ちてしまいそうなその姿を見て、私はやっと気がついた。
どうして今まで気がつかなかったのだろうか。先生を見ていれば一目瞭然じゃないか。
弱いからこうして毎晩自分を慰めているんじゃないか。
弱いから素直になれずに、一人でこんなところでこんな事をしているんじゃないか。
弱いから、自分の心を守るためにこんなことを―――。
普段は誰も気がつかないだろう。もしかしたら、先生自身も気がついていないのかもしれない。
勇気があれば、久我に自分の気持ちを伝えることもできる。
心が強ければ、身分違いの恋を胸に留めて諦めることもできる。
それなのに、勇気がないからどっちもできずに諦めることもできないから、こうしてここで泣いている。
しかし、私にはどうすることもできない。私はただ、先生を――儀式を観察しているだけの人間なのだから。
ただの傍観者――手助けをすることはすなわち、私の存在を先生に教えることになり、この観察が
終わることを意味する。そして、それは私が先生を観察していたことも知られてしまうこと。
私にはどうすることもできない。先生を慰めることも、先生の恋を手助けすることも。
(なんだ、結局弱いのは私も一緒じゃないか)
軽い自己嫌悪に目眩がしそうになる。私も先生とある意味同類だ。先生のことをとやかく考える
権利も資格も持ち合わせていない。
ふと、教室からすすり泣く声が聞こえなくなっていること気がつく。
先生の様子をこっそり窺ってみると、先生は窓の方を向いて立っている。
窓からは月の光が差し込み、先生の後ろ姿がぼんやりと光って見えた。
先生の長く細い影が床に伸び、それがまるで禍々しいものに感じる。全てを飲み込んでしまいそうな
漆黒の影は、べったりと床と机に張り付いている。
ふいに、小さな声が聞こえた。
「――ふふふ、ふふふふふふ……」
肩を小さく揺らし、先生が笑っている。
「ふふっ、うふふふ。な〜んだ……こんなことに気がつかなかったなんて……。ほんと、どうしてこんな簡単な
ことに気がつかなかったんだろう……」
今までとはまったく違う様子に、背中の肌全体が粟立つ。
なにがそんなにおかしいのか、なにがそんなに楽しいのか――先生の声は無邪気な声で、どこか異質な
ものにしか聞こえない。
嬉しそうな、楽しそうな、おかしそうな声。少女のような声で、先生は言葉を紡ぐ。
「そうよ、どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのかしら? 本当に馬鹿だわ、私って……。
どうして我慢していたのかしら。私が早く晃に気持ちを伝えていればこんなことにはならなかったのよ。
別に我慢する必要なんてないじゃない。晃も私も気持ちは同じなんだから……。晃が悪いんじゃないのよ、
悪いのは全部私とあの女よ。いえ、私はそんなに悪くないわ。……うん、そうよ、悪いのは全部あの女。
あの女が悪いのよ。私と晃の間に割り込んできて、私の晃を誑かすなんて……。本当に許せない」
冷たい汗が流れ、心拍数が跳ね上がる。粟立った背筋に重くて嫌なものが圧し掛かる。
先生の呟きが聞こえなくなり、嫌な沈黙が流れる。海の底に沈んだとしても、こんな沈黙は感じないだろう。
軽い頭痛と吐き気を感じだした頃、やがて、先生の口から呟くような声が聞こえた。
「――あの女が消えれば、晃は気がついてくれるかしら? それとも、私が教えてあげれば良いのかしら?」
宵闇よりも深い闇。全てを飲み込んでしまいそうな暗黒。淡い月の光が頼りなく教室を照らしている。
昼間、空は厚い雲に覆われていたことに気づく。外に出て空を見上げれば、星が見えるかもしれない。
くすくすと笑う先生の声だけが、教室に響き渡った。
投下終了です。考えたら次で終わる気がしません。
GJ
一話目を読み返してきた。
ヒマ潰しネタを投下します。一応続編です
417 :
ヒマ潰しネタ:2008/08/03(日) 01:00:38 ID:52fdLHrs
祐美の三度目の監禁から奇跡の大脱出を果たし、三日ぶりの我が家に辿り着いた。
築15年の我が家の玄関が愛しく感じる。将来は玄関職人になろうと思ったのは祐美と付き合ってからだ。
鍵を開け、薬で重く感じる身体を滑り込ませるようにして家の中に入る。
後ろ手でドアを閉め、ふと足元を見ると、玄関には三足の見知らぬ女性用の靴が並んでいる。
おやおや珍しい。滅多に友達を連れてこない栞が三人も連れてくるなんて。
これは兄として一言挨拶でもしに行かなければと玄関に座って靴を脱いでいると、階段をバタバタと下りてくる
足音が聞こえてきた。
おやおや、愛しい兄が心配でお出迎えですか。これは兄として喜ばしいですなあと振り返ると、来月16歳
になる栞(しおり)が慌てた顔でやってきた。
「おう栞、ただいま。珍しいな、栞が友達を連れてく」
「お、お兄ぃ! どうしたの? 祐美(ゆみ)さんに監き……デートしてたんじゃなかったの?」
……おかしいなあ。どうして監禁されてたって知ってるような口ぶりなんだ?
確かに栞には祐美とデートに行くって言ったけどさ。そういえば、今回は珍しく栞の方から
祐美とのデートを勧めてきたな。
『映画のチケットが偶然二枚あるから祐美さんと行ってきたら?』
そんな裏がありそうな誘いを断る理由もなく二人で行ってきたのだが、普段なら栞の方が
自分と一緒に行こうと言ってくるのに。
「ん? ああ、祐美に殺されかけてさ、命からがら逃げ帰ってきたわけだよ」
いや〜まいったまいった。まさかあそこで鉈を持ち出すとは思わなかった。あれほど死を覚悟したのは
初めてだった。今度からは俺も何か用意していかなければな。
「チッ! 祐美さんも役立たずね……」
んんん? どういうことだ? どうして不満そうな顔をしているんだ?
もしかして祐美は俺にずっと監禁されていてほしかったのか? ゆっくりしていってね!! なのか?
「……まあいいや。お兄ぃ、今日はあたしの友達が来てるから部屋から出ないでね」
「まあいいやって……兄として挨拶の一つくらいしておかないと失礼なんじゃないか?」
「いいから! お兄ぃは部屋で静かにしていてよ。あの子たちに見られたら――」
焦った表情で捲し立てるように言う栞。これは珍しい。しかし一体何をそんなに慌てているのだろうか?
「しかしだな、俺もシャワーを浴びてスッキリしたいし……」
「栞ちゃん、もしかしてその人が栞ちゃんのお兄さんなの?」
418 :
ヒマ潰しネタ:2008/08/03(日) 01:02:18 ID:52fdLHrs
声が聞こえた階段の方を見上げると、二人の少女が興味深そうにこちらを見ている。
「ああっ! 部屋から出てこないでって言っていたのに!」
栞がしまった! とでも言いそうな表情で二人の少女に向かって怒鳴る。
「え〜、だって栞が必死になって隠すからさ〜。なんか私達に見られないようにしてるっぽいから
気になるでしょ?」
「へぇ〜、思ったよりもカッコイイよね〜。栞ちゃんと全然似てないけど」
少女達が動物園のパンダを見るかのようにじろじろと俺を見る。これはなかなかに気恥ずかしい。
「はじめまして、栞の兄です。いつも栞が世話になってありがとうね」
ドブ川が一瞬できれいな川に生まれ変わりそうなスマイルで二人に挨拶をする。
せめて栞の兄らしい姿だけは見せておかなければならない。幻滅させて「栞のお兄さんってダサいよね」
なんて言われたりしてイジメに発展するかもしれない。それだけはなんとしても防がねばならない。
「はじめまして〜、わたしは栞のクラスメイトの藤川彩音(ふじかわあやね)です〜。彩音って呼んで下さいね」
「はじめまして、高崎理緒(たかさきりお)です。 理緒って呼んでください」
まばゆい笑顔で挨拶をしてくる二人の少女。礼儀正しいし可愛いし、さすが自慢の妹の友人達だ。
彩音ちゃんは試写会の挨拶で不機嫌そうにしていたアイドルに似ているし、理緒ちゃんは
弟が犯罪者になったアイドルに似ている。かなり可愛いではないか。
どうして栞は俺を会わせたくない様な口ぶりだったのだろうか?
「ああ、彩音ちゃんに理緒ちゃんね。よろしく。これからも栞と仲良くしてあげてね」
にっこりと笑って挨拶を返し、栞への配慮も忘れない。ゆっくりしていってね!!
「そういえば靴は三足だったけど、もう一人は栞の部屋にいるのか? その子にも挨拶を……」
「ほらほら、二人とも部屋に戻って。兄さんも疲れてるんでしょ? お風呂なら私が準備しておくから
兄さんは部屋に戻ってて」
に、兄さん? 呼び方がいつもと違うぞ? なんか心なしかいつもと態度が違うぞ?
これはアレか? 人前では仮面を被っているわけか? ガラスの仮面か? 栞…恐ろしい子……ッ!!
彩音ちゃんと理緒ちゃんの背中を押し、階段を上って部屋に戻っていく栞の背中を眺めながら、
どうしたもんかと考える。いや、別に普通に風呂に入ってさっさと寝たいだけなんだけど。
419 :
ヒマ潰しネタ:2008/08/03(日) 01:03:35 ID:52fdLHrs
シャワーを浴びるだけで済まそうと思っていたが、予想外にも栞が風呂を入れてくれたのでゆっくりと
体の疲れを汗と一緒に流すことができた。薬もどうやら抜けてくれたらしい。
風呂から上がり、冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出してパックごと一気飲みをする。やはりビンでないと
風呂上りの一杯としてはもの足りない。たまに勢い余って鼻の穴に入るのが困るのだ。
来客が居ることもあって、ジーンズとシャツを着ている。ジャージの方が落ち着くのだが、
部屋に居るとき以外は我慢しよう。格好悪い兄を栞の友人達に見せて幻滅させるわけにはいかない。
もし俺が原因で栞がイジメられることになったら申し訳がない。栞のことだ、イジメを苦に自殺は
しないだろう。むしろ、教室内で釘バットを振り回し、ガソリンを撒いて火をつけかねない。見た目とは違って
意外とデンジャーな性格をしているのだ。申し訳ないのはイジメの加害者達に対してだ。
ふと、栞に監禁された時のことを思い出す。
あの時は大変だった。祐美よりも丁寧に縛られて逃げることができず、バットで脚を折られそうになるは
変な薬を打たれるは。祐美が助けに来てくれなかったらどうなっていたことやら。まあ、祐美も俺を襲いに
家に侵入してきただけなんだが。その後のことはあまり思い出したくない。とにかく大変だったのだ。
あの子達は栞のそんな危うい一面なんか知る由もないだろう。『YanYam』なんて雑誌で新作の斧を
うっとりと眺めたり、今月の呪術占いで一喜一憂しているなんて知っているはずがない。
しかし、どうやら今回の流れがなんとなくだが読めてきた。
多分だが、栞は友人達が家に来ることを断りきれなかったのだろう。
そして、どうしてかは知らないが(うすうすは気づいているが)栞は俺を友人達に合わせたくないのだ。
そこで、俺に映画のチケットを渡して祐美とデートに行かせ、しばらく帰って来れないように仕向けたのだ。
思い出すと、祐美との会話の節々に変なところがあった。なにやら嬉しそうに「私、これからは栞ちゃんの
良い義姉になれるように努力するわ」とか言っていた。
今になって思うと、なんとなくだが二人の会話が想像できる。
小さく溜息を吐いて、これからのことを考える。
とりあえずは部屋に戻って寝ていれば問題はないだろう。栞もそれを望んでいるんだし、俺も監禁から
逃げるためあれこれとしていたから疲れているのだ。
自室に戻ろうと階段を上がりかけ、その前にトイレに向かう。我が家は二階にトイレがないから困る。
そそくさと済ませ、さっさと部屋に戻ろうとトイレのドアを開けると――
便座に頭を挟まれて、便器に頭を突っ込んでいる少女がいた。
ドアを閉める。
もう一度開ける。
やはり便器に頭を突っ込んでいる少女が一名。
………う〜ん。とりあえず助けておこう。このままだと小便ができないしな。
便座を開けて頭を持ち上げて顔を見る。鼻血を垂らして白目を剥いている彩音ちゃんだった。
どうして彩音ちゃんがトイレに頭から突っ込んで白目を剥いているのだろうか?
もしかして我が家のトイレの前世はミミックだったのか? 来客の頭を食べるのが好きなのか?
様々な疑問が脳裏をよぎるが、とりあえずはトイレから出て廊下に寝かせておこう。事件解決は
トイレの後でも間に合うだろう。ゆっくり寝ていてね!!
420 :
ヒマ潰しネタ:2008/08/03(日) 01:05:27 ID:52fdLHrs
小便を済ませ、彩音ちゃんを放置したまま階段を上る。栞に報告しておく必要があるし、担いで階段を
上るのは危険だからだ。あとちょっと汚いし。
階段を上ると、妙な物が目に入る。栞の部屋の前で誰かが倒れているのだ。
そろりと近づいて見てみると、何故か大鍋に頭を突っ込んでうつ伏せに転がっている少女が一名。
服装を見ると、先ほど挨拶をした理緒ちゃんであることが分かる。手が後ろに回されて縛られている。
スカートがめくれ上がって、ずり下げられたパンツ。尻の穴にきゅうりが深々と刺さっている。
………SM?
最近の高校生は女の子同士でSMをするのだろうか? それにしてもシチュエーションが分からない。
そもそも自分の部屋でするのならともかく、廊下に放置するとはどういうことだろうか。放置プレイ?
いったい何が起きているというのだ? どうして肛門にきゅうりなのだ? 痔になるぞ。
どうしたものか……。痛々しい姿で転がっている理緒ちゃん(故)を眺めながら考える。
とりあえずきゅうりは抜いてやるべきなのだろうか。でも汚いからやだな。
このまま放っておくと風邪を引くのではなかろうか。布団でも掛けておこうか。
しかしどうして鍋を頭に被っているのだろうか。『私を召し上がれ』って意味か?
唸りながら首を捻って考えていると、栞の部屋のドアが開いた。
「あっ、もうお風呂から上がってきちゃったの?」
俺を見て少し驚いた表情の栞。運動後の後のように少し肩で息をしている。
「ああ、長風呂だと寝ちゃいそうだったからな。それよりも」
彩音ちゃんと理緒ちゃんが大変なんだが、と言いかけて言葉がつまる。
「栞よ、その手に持っているのはなんなんだね?」
右手に持っているものを見て、分かっているけれど、とりあえず質問をする。
「ああ、これ? さっき挨拶しなかった友だ……メス豚よ」
右手には、靴下を履いた右足が抱えられている。まさか女の子を足の裏から紹介されるとは思わなかった。
そもそもどうして友達の足を抱えているのだろうか。なんで友達と言いかけてメス豚と言いかえたのだろう。
「ホント、これだから嫌だったのよ。お兄ぃを見るとメス豚が寄ってくるから。始末するの大変なのよ」
げんなりとした顔で栞が溜息を吐く。友達にメス豚はないだろう。
「……彩音ちゃんと理緒ちゃんは栞がやったのか?」
「ええ、だってしょうがないじゃない。「お兄ぃを紹介して」だとか「犯してぇ〜」とか言うのよ。
私のお兄ぃってことを知らないのは仕方ないけど、屠殺されても文句は言えない暴言よね」
そう言って、手に持っていた足をずるりと廊下に引きずり出す。
目の前に現れたのは、やはり白目を剥いて口から泡を出している見知らぬ少女。額には「豚」と書かれている。
「この豚なんて最悪よ。お兄ぃの部屋に勝手に入ってたのよ。おまけにお兄ぃのアルバムを勝手に持ち出して
私しか知らないお兄ぃの昔の写真を……」
ブルブルと栞の肩が震え出す。両手は強く握り締められ、表情は般若の如き形相である。スカウターで
今の栞の戦闘力を測ったら多分壊れるんだろうな。多分俺の戦闘力は5くらいだろう。ゴミである。
こめかみに青筋を立てている栞が、右足を上げる。足元には見知らぬ白目の少女ことカニ子ちゃん(命名)
の顔が転がっている。
421 :
ヒマ潰しネタ:2008/08/03(日) 01:07:18 ID:52fdLHrs
いかん。これはいかんですよ。踏み潰す気マンマンやないですか!?
慌てて栞を止めに入る。我が家で殺人事件なんて起こされたらたまったもんじゃありませんよ。
「待て! 落ち着け栞!」
「どいてお兄ぃ! そいつ殺せない!!」
栞……恐ろしい子ッ!!
普段の愛らしい栞からは想像もつかない。鬼の所業を必死になって止め、栞を部屋に押し込む。
ベッドに押し倒し、近くにあった荒縄でがんじがらめに縛り上げる。どうして荒縄があるのだろうか。
「ムキーッ! ムキャーッ! ムッキョ、あんっ! そこはもっときつく……もしかしてこんな状況で?」
ジタバタと暴れながら奇声を叫んでいた栞がとたんにおとなしくなる。色っぽい声をだすな。
何を期待しているのかは知らないが俺は猛獣を捕獲しているだけだ。妹を縛る趣味はない。
ぐるぐると全身を荒縄で簀巻きにして、ついでにベッドに縛る。これなら抜け出すこともできないだろう。
「ふぅ……。これでもう大丈夫だろう」
「お兄ぃ? もしかしてこれって愛情表現? 私を縛って監禁プレイ?」
頬を赤らめるな。嬉しそうな顔をするな。期待した目で見るな。
「ああ、そうだ。俺も最近縛られ慣れてきてな。こういうプレイは嫌か?」
「ううん。わたし、お兄ぃがどんな変態プレイをしてきても受け入れるよ。だって、わたしの身体は
お兄ぃのものだから……」
栞が目を潤ませて恥ずかしそうに言う。言っておくが、俺は変態ではない。少し変態なだけだ。
「そうか、栞は本当に良い子だな。よし、それじゃちょっといいかな?」
そう言って、栞に目隠しをして、口の中に近くにあったハンカチを押し込む。
ヘッドホンを耳に掛けて音楽を大きめにして流す。これで栞は何もすることは出来なくなった。
仕方がなかったんだ。だってこうでもしないと殺しかねなかったんだから。誰が好き好んで愛しい
妹を縛ることなんてしようか。誰だって妹を殺人者にするわけにはいかないだろう。
そう、これは愛ゆえの行動なのだ。けっしていやらしい気持ちなんて微塵もないのだ。人を縛るときの
手に残る荒縄の感覚が良いとか、そんなことは断じてないのだ。
目の前には未だに頬を赤らめてむーむーと唸っている妹が一名。
部屋の入り口には気絶した少女が二名。一階のトイレの前に一名。ゆっくりしていってね!!
倒れている少女達を踏まないようにして部屋から出て、自室に入る。三日ぶりの我が聖域は主人の帰り
を待っていたかのように温かく迎え入れてくれた。
ベッドに倒れこみ、大きく息を吐く。急速に全身から疲れが出てくる。それと同時に、眠気がやってきて
目蓋が重くなる。
栞の友人達はどうしようか。起きたらそのまま帰ってくれていることを願いたい。
祐美はどうしようか。今回も三日間くらい放っておこうか。食事くらいは食べさせに行くべきだな。
栞はどうしよう。さすがに妹をこのまま放っておくのは忍びない。明後日くらいには解いてやろう。
うつらうつらと重たくなった思考で考える。
良かった。今回は縛られることも監禁される心配もなく眠ることができる。
久しぶりの安心感を味わい、夢の世界に旅立つ。今日はぐっすりと眠れそうだ。
夢の中、顔まんじゅうになった栞と祐美が、なにやら叫んでいた。
投下終了です。
GJ!!
続きを全裸で待ってるわ
>>423 すみません。「前回投下した物の続編」という意味です。これの続きはありません。
これはただのヒマ潰しネタですから、全裸待機は他のSSのためにしてください。
>>425 保管庫ウィキの短編SSに置いてある「ヒマ潰しネタ」の続編なんです。
言葉足らずで投下後に何度も書き込みをして申し訳ありません。
出番のない彼女カワイソス……しかし兄貴脳天気だなw
こっちの兄貴の話も投下します。
今回は普段よりちょっと短いです。
***
雨の日の翌日、見事に私は風邪をこじらした。
体温は三十九度。自分でもやりすぎたかと思うぐらいにひどい。
そんなわけだから、私はその日から学校を欠席することになった。
しかしお兄ちゃんは私とは違い風邪を引いていないので、もちろん学校に行く。
行ってくるよ、と言い残し部屋を去ろうとする。
そうはいかない。
ここから作戦を実行する。
立ち上がったお兄ちゃんの、制服のシャツの裾をつまみ、弱々しい声で言う。
「おにいちゃん、出かける前に……私の寝汗、拭いていって?」
自分でもびっくりした。演技するまでもなく、声が小さい。喋るのも辛いぐらいだった。
予想を大きく外し本物の病人になってしまった私を見て、お兄ちゃんは悲しげな顔を浮かべた。
やっぱり優しいお兄ちゃん。だから好き。だから、こんな単純な作戦にも引っかかってくれる。
濡れタオルを使って、顔、首、腕、足の順にお兄ちゃんは私の体を拭いていく。
だけどそれ以上拭こうとはしない。困ったように頭を掻く。
それはそうだ。私の体で他に拭くべきところはまだある。
すなわちパジャマの下。体中が汗に濡れているのだ。
お兄ちゃんだってそれをわかっている。だからこそ、手を出すことを躊躇っている。
私は高校一年生、十六歳。
まだ成長する余地はあるけど、今でもそれなりにところどころが育っている。
ブラはこの間一回り大きいサイズのものに買い換えた。
食事を制限し、さらに運動を欠かさなかったこともあり、お腹にたるみは一切なし。
もうちょっとお尻と足の肉付きが良ければ言うことはない。
でも、同級生の女子と見比べても優っていると思う。
全てはこの作戦のために、今日のこの日のために。
左手でお兄ちゃんの手を握る。
目を合わせたまま、右手を使って上のパジャマのボタンを外す。
ゆっくりとした手つきで、下着と肌を隙間から覗かせるように、一つ一つ外していく。
たちまちお兄ちゃんの顔は焦りを浮かべ、あらぬ方向を向いてしまう。
しかし、それも予想済み。
「見て、いいんだよ、おにいちゃん」
左手に力を込め、おにいちゃんの手を軽く引く。
恥ずかしいよね。なんたって、女の人の肌をこうやって見るのは初めてなんだから。
私の体を見るのだってお兄ちゃんは初めてのはずだ。
小さい頃はともかく、中学に入ってから私はずっと肌を見せないようにしてきた。
決して見慣れることのないように。妹の体は神聖なものだと思わせるために。
「ちゃんと見て、拭いてくれないと。私、今から寝られないかも……」
半分冗談、半分本気のお願いをする。
なんたってこれ以上風邪が悪化したら今後の行動に影響が出てしまう。
そのためにもここはぜひお兄ちゃんに頑張って貰わないと。
ボタンを外し終えたあと、肩に乗ったパジャマを落とす。下も膝まで下ろしておく。
そして、両腕を広げた状態でベッドに仰向けに倒れる。
お兄ちゃんは私の体と天井を何度か交互に見て、ようやく決心がついたように私に手を伸ばした。
首、お腹、ふともも、背中の順に拭き終わると、お兄ちゃんは離れようとする。
ここで逃がす訳にはいかない。まだクリアしていない課題がある。
お兄ちゃんの腕を掴もうと手を伸ばす。空振った。
いや、まだ。まだ声は出る。
「ねえ、まだやってないところあるよ」
うつぶせの状態で、ブラのホックを外して、言葉を続ける。
「胸も、拭いていってくれない?」
そう、これは誘惑。
「恥ずかしがらなくても、すぐに終わっちゃうから、平気だよ」
お兄ちゃんの心の中にある枷を解き放つため。
私の体でお兄ちゃんを墜とす。
背中の肌をさらけだした状態。お兄ちゃんの前では私は無防備だという意思表示。
「何されても…………見られても恥ずかしくなんかないから」
困惑しているお兄ちゃんへ微笑みを向ける。
むしろ、見て欲しいというのが本音で、そう言いたいところだけど、それじゃこの作戦が台無し。
あくまで、病気にかかった妹が兄にわがままを言う感じでなくてはいけない。
露骨に誘惑するのはバツ。遠回しに攻めるべし。
「あ、パジャマとブラが邪魔だよね。待ってて、すぐ外すから……」
うつぶせのままで、パジャマを脱ぎ、ブラの肩紐を外そうとしたところで、お兄ちゃんは背中を向けた。
今から学校に行くと言い残し、部屋から出て行った。
あとに残されたのは私だけ。
……ちぇ。
この場ではお兄ちゃんの心をかき乱す程度で終わらすつもりで、実際にそうなったけど、やはり物足りない。
ここまで脱いだんだから、していって欲しかった。
でもまあ、作戦は成功と言っていいものだったし。
あとは次の段階に備えて、寝ることにしようか。
***
今から十年ぐらい前の話。
俺と弟と妹と、幼なじみの花火は兄妹同然の関係にあった。
俺が七歳から八歳ぐらいの間で、花火が俺より数ヶ月誕生日が後、弟がひとつ下で、妹がふたつ下。
順序でいえば上から俺、花火、弟、妹という感じ。
花火は俺を仕方なく兄扱いしていた。弟と花火は対等。花火と妹は姉妹みたいだった。
俺が小学二年生ぐらいのころだろうか。
弟が小学校に上がってきて、妹が一人幼稚園に通うようになり、一悶着あった。
妹が幼稚園に行くのを拒むようになったのだ。というか、小学校に行きたがった。
そのせいで俺が小学校に来た妹を幼稚園まで連れて行ったりするようになった。
たぶん弟が居なくて寂しかったのだろう。
その頃から妹にはブラコンの素質が芽生えていたわけだ。
最終的には、花火の最初は優しく、最後は怒鳴り声を交えた厳しい説得によって、妹が諦めるかたちに落ち着いた。
よくありがちな、甘えん坊の子供のエピソードである。
今頃になってようやく思い出せるようになった小さい頃のエピソードは全部で二つ。
まず、今の妹のエピソードが一つ。
残るもう一つが、怒りとか悲しみとか涙とか痣とかが耐えない、とにかく良い覚えのないもの。
おそらくはこの時から俺の周囲に暴力的な要因がとぐろを巻いているのではないか、なんて思ってしまう。
家に遊びにやってきた伯母が、両親の前では穏やかだったのに、俺ら兄妹を相手にしているときは暴力に手を染めるだなんて、
年相応に世間知らずで純粋だったはずの子供にとっては辛い体験だった。
大人って怖いと、当時の俺が思ったかは知らない。
ただ、伯母は怖い人間だと理解していたはずだ。
一度家にやってきて以来伯母が弟と妹を虐待し、どういうわけか比較的手出しされなかった俺は、
当たり前のように伯母を止め、弟と妹をかばうという行動をとるようになった。
そんな日々が続いて、小さな子供の心に何の変化もないなんて、ありえない。
妹は幼稚園に通えなくなり、夜は突然泣き出すようになった。
泣きやませるために、俺か弟が一緒の部屋の中で眠るようになった。
弟に訪れた変化は、俺に対して強く出られなくなった、言い換えればとにかく下手に出るようになった、ということ。
兄弟間の上下関係というものなんて俺は意識しないし、弟に対して無理矢理いうことを聞かせるようなことはしなかった。
それなのに、弟はあらゆる場面で俺の後に続くようになった。
そして、その頃から弟は謝るのを癖にしだした。
俺よりも朝早く起きた、夕食の量が同じだった、俺よりも早く自転車に乗れたなど、どうでもいいことでも謝るようになった。
きっと自分をかばい続けてくれる兄に負い目を感じていたのだろう。今の俺なら気付ける。
昔の俺には気付けなかった。そんなことに気付くよりも、伯母を憎むことが大事だった。
それぐらい憎んでいた相手が同じ病院内に入っている。
昨日まで忘れていたのに、こうして昔のことをはっきり思い出せるようになってしまった。
どうするもこうするも、俺が伯母の冴子に対してやることは一つしかない。
このまま黙って病院から出る。今後一切関わらない。
絶対に許せない相手だからこそ、こちらから身を引かなくてはならない。
だって、あんな女でも子供がいるのだ。
入院していて、玲子ちゃんの父親がうちの父親と同一人物で、一体どうやって生活しているのか怪しいものだが。
あの親子とこのままお別れするのが最善だ。
そもそも俺が入院さえしなければ一生出会うこともなかったのだ。
退院してしまえばきっかけなど生まれない。
だから、退院予定日の今日、一刻も早く出るために手早く準備を固める。
そう決心して朝食をあまり噛まずに食べているところに、部屋をノックする音が飛び込んできたから驚いた。
誤ってご飯を一気に飲み下してしまい、喉を詰まらせるところだった。
しかし、驚愕の事態はまだ続く。
病室に入ってきたのは看護師さんではなく、俺の妹であった。
「……食べるか、病院食」
「お兄さんの食べかけなんか要らない。それにもう食べてきたから」
そうか、と返す言葉も出ないぐらいに空気が悪い。
間が持たないというか、ギスギスしているというか。
レタスを噛む音がこんなにうるさいとは今まで気付けなかった。
妹の視線は病室のところどころに向けられている。
やることがなくてそうしているというより、単にあまり縁のない場所だから、興味があって観察しているよう。
もしかして、空気の悪さを感じているのは俺だけ?
妹は割と自然体だし、それに普段は見せない私服姿だし――――って、あれ?
「今日木曜だろ? なんで学校に行ってないんだ」
「ん、それは……ちょっと、気になることがあって。今週は病欠することにしたの」
「なんだよ、気になることって」
「……後で話すから、早くご飯食べちゃって。今日はお兄さんに聞きたいことがあるからここに来たの。
本当は昨日話すつもりだったんだけど……」
「ああ、それについてなんだが」
「それも後で聞く。早くご飯食べて、出て行く準備しよ」
「……ああ」
それから朝食を食べ終え、食器を片づけたあと、持ち込んだ私物をまとめにかかった。
一週間程度の入院だから、せいぜい下着と着替えの服と小物ぐらいしかない。
スポーツバッグに全部入れ終え、着替えを終えたら準備完了。
その後は医師にリハビリの仕方や生活するうえでの注意を受けただけで病院から出ることが出来た。
久々に受ける二月中旬の空気はまだまだ冷たい。
暖かいのはギプスに包まれた右腕だけだ。
俺の左前を歩く妹についていく。
自宅へ向かうにはバスを使わなければいけないのに、どういうわけか妹は病院近くのバス停をスルーして、さらに歩を進める。
「おい、どこ行くんだ。バスに乗らないのか? 誰かが迎えに来てるとか?」
「違う。……話があるって言ったでしょ。どこか落ち着いた場所を探してるとこ」
妹が選んだ場所はファミレスだった。
入ってみると、平日の九時前ということもあって客は少なく、ガラガラに空いていた。
禁煙席に座り、ドリンクバーを二つと、俺だけが唐揚げとフライドポテトを店員に注文した。
十七歳の男にとっては病院食など腹の足しにならない。
それに早く退院したという実感を覚えたかったのだ。
「何にする? コーラか、コーヒーか?」
「いいよ。私がするから、お兄さんは座ってて。自分が片手しか使えないの知ってるくせに」
なんということだろう、妹が俺に気を遣っている。
戻ってきて、俺の前にドリンクバーでは定番の炭酸飲料ではなくウーロン茶を置くところなんて、
体のためを考えているとしか俺には思えん。
「それじゃ、早速だけど、いい?」
「お、おう。なんでもこい」
正直なところを言うとかなり緊張しているのだが、気張って返事する。
なにせ妹から話を持ちかけてくるなんて初めてのことなのだ。
頼るなら俺ではなく弟。相談する相手ももちろん弟。俺に話があってもあえて持ちかけない。
そんな妹がここまで積極的になるからには、相当重大な問題が発生したとしか思えない。
先日、花火が弟と妹の部屋をひっくり返したような、あれぐらいの事態である可能性あり。
妹が真正面から俺を見つめてくる。
まばたきすることなく見つめ合うこと数秒、妹が口を開いた。
「……やっぱり、こっちを先に聞く。昨日のことなんだけど」
「あー、あれか……」
気になるよな、兄が入っている病室を訪ねて、ベッドの上で兄が顔見知りの女に被さっているのが見えたら。
「お兄さんはどこかヘンだけど、それでも世間の常識ぐらいは知っているものだと思っていたのに」
「常識を知らないわけでも、状況に流されて強引に忘れさせられたわけでもないぞ。……いつのまにかああなっていただけだ」
「ふうん。まあ、いいけど。じゃああの時に言ってた、自分に正直になったって、どういう意味?」
なんと答えようか迷った。
正直に言おうか、ごまかそうか。
言うべきほどではないからあまり言いたくない。されど、別に口にしたって構わないんじゃないかとも思う。
結果的に、妹の顔を見ていてごまかすのが悪いように思えたので、煙に巻くのはやめた。
「葉月さんに告白の返事をしたんだよ」
「押し倒していたってことは、付き合おうって言ったの?」
「順番は逆。ああいう体勢になって、それから返事をしたんだ。付き合えないって、返事したよ」
「え?」
妹が忙しくまばたきを繰り返す。
「な、なんで? 言いたくないけど、同性から見てもあの女は綺麗だよ? お兄さんにはもったいないぐらいに」
「好きになれなかったから断った。……ってだけだよ」
そこでこの話は終わりとばかりに、ウーロン茶を口にする。
妹はまだ聞きたそうにしていたが、それ以上は追求してこなかった。
「ごめんね、お兄さん」
「なんで謝る。聞いて悪いことでもないぞ、今の。俺の場合はだけど」
「お兄さんが辛そうにしているから謝ったの」
「別に辛くなんか…………ないぞ」
そもそも、告白されてすぐに返事せず、先延ばしにしてきた俺が悪いのだ。
先延ばしにしたことを後悔しているが、辛くはない。
「変なこと聞いちゃったね。もう聞かないから」
「ああ」
「……じゃあ、次。こっちが本当に聞きたいことなの」
ここで、妹が視線をテーブルに落とした。
予想した通り、重い話題らしい。
「真剣に答えてね。絶対に嘘吐かないで」
「約束するよ」
ん? 支援かな?
妹がおもむろに頭を持ち上げ、俺を見た。
その目に浮かぶのは、普段妹に向けられているようで実は違うもの。
「どうして、黙ってたの?」
「……何をだよ」
「昔のこと。私が勘違いしてるのに気付いていたんじゃないの?」
「昔って、お前……いつのことを言ってる」
「私が今よりずっとずっと小さいころ。
私がいっぱい泣いてて、お兄ちゃんも辛そうにしてたころ」
「……まさか」
「やっぱり覚えてるんだ。
忘れてるはずないもんね。お兄さんは私をかばって、いつも怪我をしていたから。
この間、葵紋の花火ちゃんが来て、やっと思い出した。
そして、すぐに疑問に思った。
どうして…………お兄さんは、私がお兄ちゃんとお兄さんを間違って――入れ替えて覚えていることを言わなかったの?
もう、どうしたらいいのか、わからないよ。
私の気持ちがどこにあるのか、…………自分でもわからなくなった」
妹の目に浮かぶのは――――俺への非難だった。
泣き出しそうなほど目を潤ませて、俺を視線で責めていたのだ。
違うんだよ、妹。
俺は、小さいお前が俺のことをどう思っていたのか気付いていなかったんだ。
あの日、花火を傷つけた俺をお前がどう思ったかなんて、気付かなかった。
余裕が無かった。
妹のことをすっぱり忘れるほどに、あの日の俺は頭に血が上っていたんだ。
投下終了です。
すでに退院してますけど、一応次回までは入院編ということで、よろしくお願いします。
437 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 18:29:45 ID:ciAOQZ+R
リアルタイム北ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
>>436 GJ!
戦闘経験がないのって、妹と先生だけか
>>436 いやぁ、今回も非常にGood Job!!
妹でハナヂ出そうです。
GJ!
兄貴退院おめでとう
>>436 なんというか凄くなってきたな、GJ
しかしコレは弟に対する前振りからいって、兄貴を使った揺さぶりを弟にかけようとしてるのかね
だとしたら兄貴がフったっつー伏線から、揺さぶりに兄貴を使ったばっかりに誤解で妹アボンな展開が……
>>442 お前が何を言わんとしているのかいまいちわからん
>>443 あーようするに兄貴になびくふりをして弟の気を引こうとしてるかもってこと
で、その様子から兄貴にフられた葉月さんが妹のせいで自分がフられたと思い込む
最後に兄貴をダシに使ったばっかりに葉月さんの嫉妬☆逆鱗に触れて誤解から妹アボン
>>443 ・442が予想している妹の思惑
お兄ちゃん(弟)は花火に傾いている。このままでは勝ち目が無い。そうだ、お兄さん(兄)
と仲良くしているところ見せつければお兄ちゃん(弟)がヤキモチ焼いてくれるかもしれない。
お兄さん(兄)を使ってお兄ちゃん(弟)を揺さぶろう。
・442がそこから予想している展開
兄に振られたことでショックを受けている葉月さん。兄と妹がいちゃいちゃしているの
をたまたま目撃してしまい、大激怒。「この泥棒猫が!」と葉月さんによる妹殺害フラグ。
こういうことじゃないか? 多分。
はいはいこれ以上は作者さんの邪魔になるからやめような
夏だからといって調子のりすぎだろ
葉月さんを幸せにしてくれーーー!!!
>>444 兄になびくフリをするなら「自分の気持ちがわからなくなったどうしてくれる」的な詰問はしないと思うが
何だかよくわからなくなってきたが、
俺たちのジミーの周囲にヤンデレと愛と狂気と因縁がカオスとなって渦巻いていることはわかった
ああそうか、あまりのシリアスで兄貴にはジミーという立派な名前があることを忘れていたw
>>448 きちんと説明しないとわからないのか?
作品の展開とかについて話すと、もしかすると当たってるかも知れないし
外れていても作者は気を遣わないといけないと思う人もいるから
遠慮しろといってるんだよ・・・
どうして展開を読みそれをスレ内で言いたがるのかがわからない
ああああ
俺の貧相な脳みそじゃ
これからどんな風に展開していくのかまったく想像できねww
次もwktkで待ってます!GJ!!
俺は傍観者ジミー 常に大ピンチ!
俺は傍観者ジミー なんだかんだ死なない〜
俺は傍観者ジミー ピンチには強い!
俺は傍観者ジミー 時々のびちゃう〜
24のCMが実はピッタリな件
ジミー(CV:小山力也)
いや、合いそうで合わないわ
傍観者、アニメ化されたらキャスト誰になるんだろう?
今回もGJ!!!!!!
一人称だけに描写されないジミーの外見がなぜか某下がる男で固定されてるのはきっと自分だけ。
妹は自分を守ってくれた(と思ってた)という一点において弟を慕ってたのか…?
だからって今さら好意をシフトできるわけないし複雑だなぁ。
458 :
sage:2008/08/04(月) 03:06:35 ID:VWbxdlOg
最初の回想みたいなのは母親のことってことでおk?
sageてないのは釣りかどうかしらないが母親のことだろう
ただし展開の深読みはしてもそれをスレで発表するなよ
邪魔だから
一人だけことごとくスルーされてる人が居る
>>457 ジミーも妹が好きなんだし
ラブラブでおk
弟ならともかく基本妹から兄貴への言葉は信用出来ない
それにしても、弟は何で妹に「僕たちをいつも守ってくれたのは兄さんだよ」って教えてやらなかったんだ?
妹の好意に応える気がないんなら教えてやってもよさそうなもんだが。
妹の方が信じなかったんだろうか?
では投下致します
第3話『偽りの予備校生』
同じ予備校生の藤寺さんは男の子の部屋に興味があるのか、いろいろと意味ありげな視線で観察していた。
秘蔵のヤンデレコレクションはすでにドリルで穴を開けた場所に隠した。
更にバレないように3重の仕掛けを施しているのでそう簡単に見破れない。
千里眼とか特殊技能さえ身に付けていなければ、ほとんど大丈夫のはず。
ともあれ、人生で初めて女の子を自分の家に来てくれたことで俺は舞い上がっていた。
普段は飲まないお茶を即席で用意したり、新品のコップに取り出したりと色んなことに気を遣った。
背後で幽霊が『いつもの光一さんじゃない!!』とウサギさんのぬいぐるみに八つ当たりしていたが、
そんな些細な事はこの際はどうでもいい。
幽霊の姿がどこかに消え去ろうとも、俺は気にしないさ。
ところが俺は……
女の子が男の子の部屋に来るという意味を俺は全然理解していなかった
「男の子の部屋って、何か寂しいよね」
と、俺が入れたお茶を軽く飲み干してから藤寺さんはぼそりと呟いた。
確かに俺の部屋はヤンデレコレクション以外の物は特に置いてない。
狭いアパートに引っ越す際に必要な家具と日常品ぐらいしか持ってこなかったのだ。
そのせいか、部屋の風景は地味で殺風景になっていた。特に気にもしなかったが、女の子から見れば寂しく見えるんだろうか。
「まあ、女の子のようにぬいぐるみやキモ可愛い系を部屋に飾るわけにはいかないし」
「そうかな。私のお気に入りの猫のぬいぐるみとか松山君がよければあげるよ」
「悪いからいいよ」
男の友達に俺が少女趣味だと思われたら、末代までからかわれるし。
「じゃあ、私が松山君のために女運がなくなりそうな藁人形とかプレゼントします。
飾っていると異性から全然モテなくなるの。いいと思いません?」
「微妙だな」
異性から全然モテたことがない俺にとっては不必要なアイテム。
いや、更に全然モテなくなるので女運が某IT会社のように暴落する可能性すらあるのでやっぱりいらない。
藤寺さんは残念そうな表情を浮かべていた。しばらく落ち込んでから、両手の拳に握り締めて彼女は目を瞑って叫んだ。
「ま、光一さんは、そ、そ、その、彼女とかいるのかな?」
「はい?」
唐突な出来事に俺は目を丸くしていた。
女の子が男の子に彼女とかいると聞くのは大抵は女の子の親友に頼まれて、
想い人に付き合っている異性がいるのか調査するためによく使う手だが。
顔を紅潮させて、俺と視線を合わさないように藤寺さんは顔を下に向けた。
何かがおかしい。
当初の目的は俺の家で勉強会することがじゃなかったのか。
そもそも、藤寺さんって俺に気があるような素振りとか見せていたのか?
目の前にいる彼女の様子を伺うが特に変な様子は見当たらない。
考えろ。松山光一。
仮に藤寺さんが俺に好意を持っていた場合はどうなる?
藤寺さんは予備校生の中でも1、2を争うほどの容姿の持ち主。そんな彼女が俺を好きと言うならば、俺は喜んで付き合おう。
負け続けた人生の暗闇の中の光明の一筋が見えてきた。
「お、俺はこの世に生まれてから今まで彼女なんていないんだけど」
「そうなんだ」
小声で良かったと安堵の息を藤寺さんは漏らした。
「じゃあ、今はお付き合いしている人はいないんですよね。光一さんはどんな女の子がタイプなんですか?」
「好きな女の子? うーん」
今まで好きになった女の子は顔はいいけど、実は性格はとんでもない我侭で傍若無人のような振る舞いをする人ばっかりだったような気がする。
慎重に品定めをするようになってからは特に好きな異性は現れていないのだが。
「光一さんは、年上で性格は少し和やかで相手を想いやることができる優しい女性がお似合いと思います。
その人は間違いなく心拍停止している人ですが、種族を超えた愛は奇跡だって起こせると私は思っていますけど」
心拍停止? 年上?
物凄く嫌な予感は現実になりそうだ。今まで藤寺さんと話をしていて、違和感というものを感じていた。
それが何かわかった時、俺は今まで静かだった幽霊の名前を叫んだ。
「由姫さん。あんた、何やっているの?」
「光一さん。未来のお嫁さんの名前を間違わないでください。
私は藤寺……藤寺……藤寺エリスですよ」
「うわっ。名前違うし!!」
ずっとおかしいと思っていた。予備校の時は常に授業中を昼寝している藤寺さんと会話する機会は少ないとは言え、
藤寺さんが俺の事を光一さんなんて呼ぶはずがない。
更に自分の名前を間違っている時点で目の前にいる藤寺さんはアホ幽霊と確定。
俺は嘆息まじりでにっこりと微笑している由姫さんに睨みつけた。
「これは一体どういうことなんだよ」
「光一さんが私達の愛の巣にどこの馬の骨かわからない女を迎え入れるから悪いんですよ!!」
「その愛の巣の家賃を払っている俺が招待した友人なんだが」
「同居人の私の許可なく私以外の女の子を家に入れる事は私が許しません!!
というわけでその藤寺という泥棒猫の体を乗っ取りました♪」
いや、乗っ取ったって……。
「そんな何処かの幽霊モノの漫画やライトノベルのように普通の人間の体が幽霊に乗っ取られるわけが……」
「ふっふっふ。幽霊歴の長い私は甘く見てはいけませんね。
このアパート内の敷地に入った若い女の子限定なら余裕で体を乗っ取ることができます。
五感を共有でき、その人の頭の記憶や女心まで手に取るようにわかるんですよ」
「何でもありじゃん」
SF映画に出てくる寄生虫みたいな奴だな。
「私も久しぶりの生身の女の子の体を借りると、何だかいい気分です。藤寺という女が光一さんに好意を抱いていることもわかったりと」
「はい? 藤寺さんが俺に好意を抱いている?」
「別に体を借りなくても、あの女が年頃の男の子の部屋に来る時点で気付くでしょ?」
「ううん。わかるはずないじゃん」
「戦いにおいて、大切なのは戦術よりも戦略なのですよ」
「はい?」
「自分の想いに気付いてもらえない女の子が相手をストーカーのように毎日観察して。
自分が嫌われずにどうやって大好きな彼にアプローチを仕掛けるのか。
恐らく、この泥棒猫は適当な理由を付けて、光一さんと私の愛の巣にやってきた。
ここでフラグの一つや二つぐらい立てておけば、後は女の子の誘惑で光一さんを落とすことができると考えていたようですね。
何気なく忘れ物をして、またここにやってくるように仕組んでいたようだけど」
と、幽霊は藤寺さんの体を借りて、俺の腕を胸元に強引に押し付けた。
「光一さんは私だけのモノです。他の女なんかに渡しません」
そして、由姫さんが俺の首に手を回してから、俺の唇を奪う。
一瞬の出来事に俺は何が起きたのか理解する前にキスの行為は終わっていた。
俺と由姫さんの唇にはたっぷりと唾液の糸を引いていた。
残念ながら俺には幽霊とキスした感覚はなく、あくまでも体を借りているであろう藤寺さんとキスをした錯覚に襲われる。
いや、これは錯覚ではなくて。
「藤寺さんとキスしたら意味ないじゃん」
「はうわ!! しまった。生身の体じゃないと光一さんに触れらないから忘れていたけど。
この世界で最も穢れている汚物に光一さんの唇を奪ってしまったよ!!!!」
「由姫さん? とりあえず、幽体離脱してくれないかな。1億年と2千年辺りまで」
「ええっ、いつまで」
幽霊なら余裕で存在しているだろうな。
「藤寺さんをさっさと解放してやってくれ。
俺は藤寺さんと一緒に親交を深めることが今日一番の楽しみだったのに!!」
「がーんー!! 光一さんって、私の事がお嫌いですか?」
「嫌い以前に、すでに死んでいるんだから結ばれないじゃん」
「そんなことありませんよ。ほらっ、私が転生して赤ん坊に生まれ変わりますので、
最低でも16年ぐらい待ってくださったら、結婚できると思いますよ」
「16年も待てないし」
「大丈夫ですよ。転生した10才の幼女に手を出した幼馴染の小児医の方もいますし。恋に歳の差は関係ありません」
「却下!! そんな、性犯罪者に落ちぶれたくないわっ!!」
「だったら、もう、私のところに来て下さい」
「わたしのところって?」
紫煙
「さっさと未練のない人生を断ち切って、幽霊になってください!!」
「なれるか!! まだまだ、ヤンデレゲーをプレイするという未練がたっぷりあるわ」
「大丈夫です。今流行している硫化水素自殺でたっぷりともがいて、苦しんでから死んでくださいね。
そして、私と未来永劫の幽霊ライフを楽しみましょう」
「藤寺さんの体と口で自殺を強要するな!!」
「むぅ。我侭さんですね。そんな人はめっですよ!!」
藤寺さんの身体を借りた幽霊が俺の額にデコピンした。
由姫さんが体を動かしているとは言え、透き通った声と喜怒哀楽に変わる表情は藤寺さんの物だから、
滅多に見れない彼女の仕草に見惚れていた。さすがは予備校で可愛い女子の1、2を争う容姿の持ち主である。
彼女は吐息だけで全ての男性を自分の虜にすることができるかもしれないと思っているが、
中身は年増幽霊だと思い出すと自然と胸の高鳴りは収まった。
「何か失礼なことを考えてませんか?」
「気のせいでしょう」
「そうですか。では、そろそろ、身体のレンタル使用期間が終了する頃なので私は延滞料金を払う前に退散しますね」
「待て、レンタル使用期間ってのは何だ?」
「今の時代は何でもレンタルできる時代なんですよ。伝説の聖剣、伝説の槍、伝説の魔王、伝説の楯、
伝説のプロ野球選手もレンタル料を払えば誰にでも借りられる世の中ですよ。
幽霊が人間の体をレンタルできるのは当たり前じゃないですか」
死人ごときが生身の人間の体を借りるのは100年早いと思うのだが。
由姫さんの言動にいちいち腹を立っては俺の胃袋は自分の胃液で溶けてしまうだろう。
だから、俺は何となく炊飯器の蓋を開けた。幽霊を封印するために。
「これが何かわかるか?」
「さて、ただの炊飯器のように思えるけど」
「いいか。これでお前を封印しよう。わが師匠が命懸けで得た秘術。年増幽霊を炊飯器に封印してやろう」
「そ、そ、そ、そ、れ、れ、れ、れ、れ、は?
「魔封…………」
「一体、何ですか?」
「いや、幽霊を封印するための秘術って……」
「松山くんって、頭がおかしい人だったんだね」
「何をほざく……アホ幽霊」
「ん? 幽霊? 松山くん。一体、どうしたの?」
何だか幽霊がレンタルしている藤寺さんの様子が明らかにおかしかった。
俺を精神異常者のような人だと言わんばかりな目でこっちを見ている。
もしかして、正常な藤寺さんに戻ってしまったのか。
炊飯器を開けながら、何だか幽霊を封印してそうなポーズを決めている人間を目撃したならば。
あえて、言おう。さっさと通報しろ。そんな人間。
「ついに三浪が決定した事で色々と壊れた。壊れたのよね?」
「まだ、あんたと同じで一浪目だ!! 不吉なことを言わんでください」
三浪が決定したら、あまりの衝撃に危ない国の境界線を破って、新たな油田の発掘して独り占めするために
地面をひたすら掘り続ける自信はある。自爆テロなんて恐がる暇なんかねぇよ。
「でも、今の松山君の異常な行動の説明が……」
「持病なんです。むしろ、年増幽霊の呪いと言っても過言じゃない」
「年増幽霊の呪い? そんなもんで誤魔化されると思っているんですか?
きっと、松山くんは値上がりして品切れになっているバター不足のせいで
ケーキ屋を廃業しそうな店長さん並に精神が病んでいるんだよ」
「男のヤンデレはキモいだけです」
「ううん、大丈夫。私が癒してあげる」
「あんた、そんなキャラじゃないだろ!!」
と、俺は力なく叫んだ。
その後、藤寺さんに俺はまともな正常者であることを2時間ぐらい論争していたら、
陽が落ちてきたのであっさりとお流れになってしまった。当然、勉強会なんてやっているはずもなく、
藤寺さんを駅まで送り、家に戻ってくると倒れた。
そして、由姫さんが言っていた事を思い出す驚愕な事実だけが残された。
「幽霊が忘れ物をしてフラグを立てるようなことを言っていたけど……さすがにこれは」
藤寺さんがフラグを立てるために忘れた物は。
鋸だった。
「鮮血な予感がするぜ」
以上で投下終了です
一番槍GJ
このシリーズ大好きだわw
続きもwktk
明日から合宿だけど帰ってくるのが楽しみだぜ
自分語りうぜえ
トライデント氏って、文章が下手糞だからどこ行っても
嫌われているよな というか、ウザいです
>>476 マイナス方向の感想は思ってもなるべく書き込まないようにしようぜ。
荒れるし、投下しづらくなるから。
ウザかったらスルーすれば良い、わざわざ波風立てる必要は無いと思うが…
夏厨だからしょうがない
おーっと、俺の悪口はそこまでだ
とりあえず、gj
>>476はトライデント氏に嫉妬してるだけ。
気にすることは無いですよw
>>473 幽霊が可愛すぎるwwwww
もう、GJですよ
>>473 GJ!!年増幽霊もヤンデレぽいが、藤寺さんもヤンデレぽい。
だって忘れ物が鋸だぜ……。その鋸をどうするつもりだったんだ?
>>480 自演にマジレスする暇があるんだったらヤンデレ娘探そうぜ!
ちなみに作者が自演してるって言いたいわけじゃない。
誤解を招くために言っておく。
| / \
|/;| ‐- \
//;;/≠≡ ‐‐ ミミ
ノ/;;;/ ~ヽ ≠≡=× :::::::::::
i;;;/ /f二!ヽi r __ :::::::: ←病んでいません
i;;| ´ヽ--‐´| ∠`ー´ゝヾ::: :::::: これは彼女の素の顔です wwww
i;;| / | ヽ ̄~´ :::
Y /  ̄´ :::::
| // ヘ ::::::::
| ( ,- )\ ::
∧ ____二____ __ノ
∧ \i__i__i__i__i フ /
∧ ヽ||||||||||||/ /;;;
∧ (二二ノ|| /;;;;;;
∧ || /;;;;;
∧ | | /;;;
>>484 自演にマジレスする暇があるんだったらヤンデレ娘探そうぜ!
「ヤンデレ娘なんているわけない!」っていじめられてる幼稚園児に俺はなんて言ってやればいいのだろう?
「ストーカー娘なら時々いるぞ!」「ヤンデレはお前の中ある!」どっちにしよう?
「俺がヤンデレだ」
TURN2 「ヤンデレよ、私は還って来た!」
TURN3 「ヤンデレを探すための駒になってもらう」
TURN4 「ヤンデレ、お前は正しい」
TURN5 「お前はホントに、ヤンデレが好きなんだなぁ」
TURN6 「実は今日、ヤンデレを言いにきましたの」
TURN7 「間違っていたのは、ヤンデレじゃない」
TURN8 「病みすぎるとその先にはヤンデレが待っているから」
TURN9 「あの女はヤンデレという記号を神にしようとしている」
TURN10 「なぁ、ヤンデレ、俺の監禁場所ってまだ決まらないのかよ」
TURN11 「ヤンデレさん、少し調子に乗りすぎではないですか?」
TURN12 「体力がないヤンデレに、こんなハードスケジュールを……」
TURN13 「たとえヤンデレでも、剥き出しの股間なら!」
TURN14 「僕は思うんだ。ヤンデレて、この世界でもっとも美しい関係なんじゃないかって」
TURN15 .「ヤンデレは、僕が引き受けるよ」
TURN16 「ヤンデレに手を出したんだから覚悟はしてる」
TURN17 「君は奇跡を起こす女、ヤンデレなんだろう!」
TURN18 「病まない覚悟も必要なんだ」
TURN19 「ヤンデレは元から壊れているからね」
TURN20「あなたが今でもヤンデレの味方なのか知りたくって」
ヤンデレギアス
>>491 だから、そーゆーのやめろ。うるせえのが来るから。
ヤンデレとか関係なく、誰がなんと言おうと1行目はコードギアスは関係ない!
死者に鞭打つような発言ヒドイですwww
誤爆したorz
神聖なるコードギアスが汚されたと聞いて飛んできました
夜道で追って来る病み娘から逃げる主人公。
その病み娘をストーキングする奴。
そのストーカーを濁った目で見つめる病み姉
その病み姉を見つめるストーカー(主人公の兄)
といった連鎖ヤンデレ・ストーカーネタを考えた。
てことはその流れだと主人公はブラコンでヤンデレなのか
ギアス厨うぜえ
いま凄まじいマッチポンプを見た
502 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/06(水) 04:39:45 ID:xjZSCBeC
はっ!?俺はなにをしているんだ!
食べ終えた瞬間、凄まじい罪悪感が襲い掛かってきた。
そして、また食べてしまった意思の弱い自分に腹が立った。
このメロンパンを食べたせいで、さっきランニングして消費した
カロリーをチャラにしてしまうのだ。
いままでの俺の苦労はなんだったんだ…
俺はもう一度メロンパンの袋の裏を確認した…
「565kcal」
間違いない。
あきらかにそこには「565kcal」とある。
どうすればいい…
どうすれば…
そうだ吐けばいいんだ。
吐けば食べなかったことになる。
俺は手を口に入れ、指をおもいっきりノドの奥に入れた。
「グウゥェエエェ!」
俺はジャ○コのビニール袋にゲロを吐いた…
「うぅう…苦しい。」
と、その時だ、なぜか
ゲロから声がした
俺は耳を澄ませた…
「あんたに吐かれるために食べられたんじゃないんだからね」
>>502 どの辺がヤンデレなの?
何でsageないの??
セーガー
べ、別にアナタのことが好きなわけじゃないんだから、
勘違いしたら殺すわよ?
え!?
グサッ
そういう生活
なんか
>>490見てたら
「そういえば健二ってヤンデレが好きなんだよねー。
やっぱ相手がヤンデレじゃないと付き合う気にならないとか言うの?」
隣の席で話をしていたカップルらしき2人組みの少女が唐突に言い出した。
「確かに付き合うのならばヤンデレに限るが、
ヤンデレがいないのもまた事実。誰かと付き合うってこともないだろう」
少年のほうがどこかさめた声で答える。
どうやらカップルではなく片思いの少女とその思い人の少年だったようだ。
「だったら健二はヤンデレ娘なら付き合っていちゃいちゃする気があるんだよね?
それならいい子が一人いるんだけど」
これはまさかこの場で告白する気だろうか?
自分の青春時代を思い出し趣味が悪いと思いつつも
ついちらちらと見てしまう自分にあきれつつもドキドキしてしまっている。
「そうか、ならそのいい子とやらはここにつれてきているのか」
「うん、いるよ。健二のためならどんな酷い事でも恥ずかしいことでもできちゃう女の子が」
「そうか。ならばこの喫茶店にいる人すべてにこの出会いの立会人になってもらうとしよう。
さぁ紹介してくれ」
やはりどこか感情がないような少年の言葉を聞いた少女はおもむろに上着を1枚脱ぎ口を開いた。
「 わ た し だ 」
私も含めどういう事態か飲み込めない周りの人々をおいて話は進む。
「お前だったのか。・・・全く気が付かなかったぞ」
「また騙されたわね」
「暇をもてあました」
「ヤンデレカップルの」
「「 遊 び 」」
唐突にこちらを向かれそういわれた私は呆然と口を開けっ放しにすることしかできなかった。
って言うのを思いついたけど書いてて全然ヤンデレじゃないのに気付いて絶望した
100万人のヤンデレ
''';;';'';';''';;'';;;,.
;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
vymyvwymyvymyvy、
mVvvMvyvmVvvmvyvmVvv、
rっ━ /⌒ヽ(゚v゚)/⌒ヽ (゚v゚)/⌒ヽ(゚v゚) /^ヽ
|| (゚щ゚::: )/⌒ヽ゚щ゚ ) ( ゚щ゚ ) ( ゚щ゚)
|/⌒ヽ | ___( ゚щ゚ )/⌒ヽ __ /⌒ヽ
( ゚щ゚:::)/-三-\ (::: ゚щ゚::)/-三-\ (:::゚щ゚ :)
___/:(◎:=◎)::\___/:(◎=:◎)::::___)
/:::::::::::::::::\:: トェェェイ :::/:::::::::::::::::\::::トェェイ::::/::::::::::::::::\
/─三三─::::::\`ー'´/:::─三三─:::\`ー' /:::::─三三─\
/:::(○)三(○)::::::::\/:::::::(○)三(○):::::\/:::::::(○)三(○):::\
|::::::トェェェェェェェェイ)::::::::::::||:::::::::(トェェェェェェェェイ):::::::||::::::::(トェェェェェェェェイ::::::::|
\::\ェェェェェ/::::::::/-\:::::\ェェェェェ/:::::/\:::::::\ェェェェェ/:::/
ヽ::::::::::::::∪:::::::::イ \::::::::::∪:::::::::/ ヽ::::::::::∪:::::::::::::イ
|:::::::::::::::::::::::::::::::\ /:::::::::::::::::::::::::\ /:::::::::::::::::::::::::::::|
|_)=|三三三三> |_)=|三三三三> |_)=|三三三
「私の愛妻はヤンデレです」
夏休みなふいんき(なぜかへんかんできな)です
>>503 今、ウィキでヤンデレを調べてきまし。僕は
ヤンデレとツンデレを誤認してたみたいです。
死ね
ここまでとは…
>>510 ふんいきって書いてみて。
スッキリすると思うよ。
∧_∧
>>514 ( ´・ω・`) ∧_∧
/ \ ( )何言ってんだこいつ
.__| | .| |_ / ヽ
||\  ̄ ̄ ̄ ̄ / .| | |
||\..∧_∧ (⌒\|__./ ./
||. ( ) ~\_____ノ| ∧_∧
/ ヽ 氏ねよ \| ( )
| ヽ \/ ヽ. オマエ馬鹿だろ
| |ヽ、二⌒) / .| | |
.| ヽ \∧
何にでも反応して安価をつけたがるのはやめような
夏だからって思いついたこと何でも書いて良い訳じゃないぞ
とりあえず「なぜか変換できない」でぐぐってみるといい
>>516 まじで言ってるなら病院に行ったほうがいい
>>518 Yahoo!「どうしていつも『Google』なの!! アナタは何かあるとすぐに「ググれ、ググれ」って言うよね? ………してやる、殺してやる!あんな女、殺してやるから!!」
,.-─ ─-、─-、
, イ)ィ -─ ──- 、ミヽ
ノ /,.-‐'"´ `ヾj ii / Λ
,イ// ^ヽj(二フ'"´ ̄`ヾ、ノイ{
ノ/,/ミ三ニヲ´ ゙、ノi!
{V /ミ三二,イ , -─ Yソ
レ'/三二彡イ .:ィこラ ;:こラ j{
V;;;::. ;ヲヾ!V ー '′ i ー ' ソ
Vニミ( 入 、 r j ,′
ヾミ、`ゝ ` ー--‐'ゞニ<‐-イ
ヽ ヽ -''ニニ‐ /
| `、 ⌒ ,/
| > ---- r‐'´
ヽ_ |
ヽ _ _ 」
ググレカス [ gugurecus ]
(西暦一世紀前半〜没年不明)
そろそろ
「ふいんき(なぜか変換できない)」
「↑雰囲気だろバカ」
「↑ネタをネタと見抜けない人(ry」
の流れは見飽きた
古参にしか通じないネタはみだりに使うべきでない
ふいんき(←なぜか変換できない)
そのとうり(←なぜか変換できない)
がいしゅつ(←なぜか変換できない)
あにじゃ(←なぜか変換できない)
ちゅうさじょう(←なぜか変換できない)
しゅずつ(←なぜか変換できない)
むづかしい(←なぜか変換できない)
はづかしい(←なぜか変換できない)
はなじ(←なぜか変換できない)
しゅつのう(←なぜか変換できない)
せきゅう(←なぜか変換できない)
すごまじい(←なぜか変換できない)
ぜいいん(←なぜか変換できない)
げいいん(←なぜか変換できない)
ゆういつ(←なぜか変換できない)
加藤わし(←なぜか変換できない)
ちぬま(←なぜか変換できない)
かぐし(←なぜか変換できない)
ごくう(←なぜか変換できない)
れんきん(←なぜか変換できない)
じゅうちゅうはっく(←なぜか変換できない)
げっきょくちゅうしゃじょう(←なぜか変換できない)
まんぎょんぼんごう(←なぜか変換できない)
せんたっき(←なぜか変換できる)
ほんんやく(←なぜか変換できる)
ほっぽうりょうど(←なぜか返還されない)
借金(←なぜか返済できない)
名誉(←なぜか返上できない)
童貞(←なぜか卒業できない)
告白(←なぜかされない)
空気(←なぜか読めない)
新潟(←なぜか食料が来ない)
顰蹙(←なぜか読めない)
和田アキ子(←なぜか逆らえない)
ブッシュ政権(←なぜか終わらない)
とどめなく(←おすぎ限定)
見つめあうと(←素直におしゃべりできない)
この手のネタ(←なかなか思い浮かばない)
>>520 やふーでぐぐれ!
を思い出した俺はどうすれば
恥掻きたくなきゃROMってりゃいいのに
ごめんなさいもう誤爆なんて二度としません
どこをどう間違えれば人をサンダークロススプリットアタックなんて呼ぶんだ
スレが和んだ気がした
稲妻空裂刃でラブレターを渡すんですねわかります。
…デレはともかく、間違いなく病んでるな
「ねえ、私の名前覚えてる?」
学科での飲み会のとき、クジで偶然となりになった女からそう尋ねられた。
「何言ってんだよ、当然覚えているさ」
なぜならコイツは同学科の同級生。覚えてないはずがない。……顔だけならば。
……正直、俺は人の名前を覚えるということがとても苦手だ。顔だけならば覚えているのだが……ごめん、撤回する。正直言って顔もちょっと似ている人を見ると本人か疑ってしまうこともあるし、逆に本人と偶然すれ違っても、似ている人かと思ってしまうこともあるくらいだ。
しかしここは飲み会の席。似ている人という可能性はないので、そこは勘違いしていないことは確実。
多分近藤か澤田のどちらかだったと思うんだが……どっちかが自信が持てない。正直、ここで間違えたら心証最悪というくらい、俺でも分かる。だって人の名前覚えていないくせに、実際に自分自身が間違うと傷つくもん。
「じゃあ俺の名前覚えてる?」
なので質問返しで対応することにした。俺が相手の名前をはっきりと覚えていないんだから、相手も俺の名前をはっきりと覚えていない可能性は大だからだ。
「水橋くんでしょ?」
平然と返された。ああそうか、普通同学科の人間の名前くらい覚えているもんだもんな……。
しかしここで下がっては俺は危ない橋を渡ることになる。ならば追撃だ。
「下の名前は?」
どうだ! 俺は下の名前なんて自己紹介の時以来言った記憶がない。そして彼女とはアドレスの交換をしていない。つまり彼女が俺の名前を知っている確率はかなり低いだろう!
「晋太郎君だよね? 間違うはずないじゃない」
彼女は微笑みながら澱みなくそう返答した。
バ、バカな! コイツの記憶力は化け物か!
秘策をあっさりと打ち破られたことに俺は驚きを隠しきれない。この学科でアドレスを交換した人間でさえ、俺の名前をフルネームで言える人間は少ないだろう。俺だってこの学科でアドレスを交換した人間の大半は名前をフルネームでは言えない。
「話そらさないでよー。私の名前は?」
あばばばばば。彼女はその質問をスルーしてくれる気はないようだ。しかも俺の前の質問で、フルネームで言わなければならない感が漂っている。
俺は自分でハードルを上げてしまったらしい。せめて苗字! 苗字だけ言えればこの場は丸く収まるはずだ。苗字さえ言えればそれ以上は誤魔化してみせる!
どうする? そもそも普通に言ったって二者択一、確率は五割だ。さらに俺の記憶を追加すれば六割くらいにはなる。
つまり元々勝機のほうが大きい賭けだ。大丈夫、これならいける! 俺を誰だと思っているんだ! 神算鬼謀(と言われたい)の水橋様だぞ! やれないはずがない!!
「こ、近藤さん……だよね?」
「……違うよ」
ああああああああああああああああ……あああーああーあーあー。
やってしまった。彼女の表情は一瞬で曇ってしまった。勝率の高い賭けを外すことほど凹むものはない。
「ご、ごめん間違えた……澤田さん……だよね」
もはやフォローにもならないが、一応言っておく。
「……それも違うよ」
……何だと? 完全に予想外だ。じゃあ俺は最初から勝率六割の賭けをやってると思わされていたがその実、勝率零割の賭けをやらされていたというのか!
は……嵌められた! 畜生! よくもやりやがったな! 誰だこんなひどいことをしたのは! ……俺ですよね。
……オワタ。完全にオワタよ。俺は今後女子のネットワークで「人の名前も覚えられない童貞」として広められ、からかわれていく運命にあるんだ……。俺の大学生活がドブ色か男色以外の色を失ったといっても過言じゃないよ。
「ご、ごめんね……」
もはや弁解の余地もない。こんなことなら事前に、俺は人の名前を覚えられない人間だから、と予防線を貼っておくべきだった。全ては手遅れ。今更言っても何の意味もあるまい。
「……どうして私はあなたの名前を覚えているのに、あなたは私の名前を覚えてくれないのかな」
彼女はうつむいてボソボソとつぶやく。
「すみませんでした……」
俺に用意された選択肢は「謝る」ということのみになってしまった。いや、あやまるという選択肢の中にも、謝り方という選択肢が色々あるんだが。最悪、奥義である「稲妻十字空裂刃土下座」をやらねばならないかもしれん。それは避けたいものだ。
「そうだ! 分かったよ!」
彼女はうつむいていたかと思うと、目を見開いて、笑顔でそう言いながら顔を上げた。
「コンドウとサワダなんていう雌豚がいるカラ水橋君が私の名前を覚えてくれないンだよね! 分かっタよ! 豚は屠殺シナイトネ!!」
その表情は歓喜そのものである。周りが騒がしいので直接相手に聞こえはしないだろうが、彼女は完全に周りが見えていない……いや、見えているのだが「取るに足らないもの」として思考すべきことに入れていないのか?
ああ……まいったな。彼女はかなり電波な性格だったようだ。
「よく覚えておきなさい。突然『雌豚は殺さないと!!』みたいなことを言い出す女は、絶対に名前を間違えちゃいけないよ。平和で数え役満できてしまうくらい大変なことだからね」とじっちゃんが言ってたのを思い出す。
当時は麻雀のことなどまったく知らず、その言葉の意味を理解できなかったが、今なら分かる。我々の常識ではありえないことが起こってしまう、そういう意味だったんだね、 じっちゃん。
今俺は平和で数え役満が出来てしまった瞬間を目撃してしまったのかもしれないよ、じっちゃん。
じっちゃんもこれを見たのかな。見たんだろうな。もし俺が生きてこの飲み会を帰れたら、今度どうやって生きて帰ったか教えてよ、じっちゃん。
俺は燃え尽きそうな思考回路で、必死に彼女を止める方策を考える。
「こ、殺しちゃダメだよ!」
こんな普通のことしかいえない自分が情けない。しかしその言葉に反応したのか、天を仰いでいた彼女の首がキリキリと音を立てて俺のほうに向き直った。
彼女はその細い両手を俺に伸ばすと、そのまま俺の顔を固定する。彼女の細腕からは想像もつかない怪力で、だ。彼女はそのまま俺の顔を彼女の顔のすぐ前まで引き寄せた。吐息すら感じられるような距離だ。
「ホントに? なら私の名前を覚えてよ、水橋君。私の名前は住本絵梨。す、み、も、と、え、り。覚えてね、忘れちゃ、ヤダ、よ?」
「は、はい! 覚えます! たとえ記憶喪失になって全ての記憶を喪失したとしても忘れません!」
「ホントに1? 嬉しい!!」
たとえ記憶喪失になって全ての記憶を喪失したとしても忘れません! この言葉が彼女のツボだったのだろうか、彼女――ああ、住本さんね。忘れないようにしないと――、住本さんの顔は笑顔に戻って、そのまま俺に抱きついてきた。周りの視線が痛イヨ。
こうして俺は生き残ることができた、と思った。だがこれは全ての序章に過ぎなかったことを――いや、俺を無視してすでに物語は始まっていたことを、俺は後に知ることとなる。
>>529を見てついやってしまった。例のごとく続きません。
>>535 許さん、すぐに続きを(ry 。
土下座と聞いて猛虎落地勢が浮かんだのは俺だけでいい
>>535 いいねいいねー、さあ、続きやってみよう。
>>535 続きが楽しみすぎ
2年間同じゼミで名前覚えてなくて凄い目で睨まれたのもいい思い出w
>>539 印象の薄い人とかだとふっつーに覚えていない事あるな。
印象濃くても会話しなければ名前は覚えれないな・・・。
逆に印象薄くても付き合いがあれば普通に覚えてる。
ラノベに手を出そうと思うんだが、
ヤンデレスレ的なオススメ作品ってあるだろうか
魂振の練習曲がいい感じw
>>536 あの作品ヤンデレがすぐできそうだよな
あ、ヤンデレの温泉とかあっても良い気がww
ガイド「あー!病溺泉に落ちてしまた!病溺泉は1500年前に若い男女が(無理)心中したという悲劇 的伝説があるのだよ。以来、そこで溺れた物皆病んだ娘になてしまう呪い的泉!」
>>542 ラノベ板にヤンデレスレがあったはずだ
あと、嫉妬スレのまとめにもそれ系のラノベのまとめがあったはず
個人的にはタザリア王国物語とロミオの災難をすすめる
>>542 俺は「NHKにようこそ!」がおすすめ
文庫本にもなってて安いし…
NHKにようこそ! は好きだが、ヤンデレとは違うんじゃないか?
岬ちゃんだろ?
岬ちゃんはヤンデレじゃない
ただの痛い子
電波的な彼女
一見ただの病み娘に見せかけたヤンデレがいる
9Sのマモン
俺がヤンデレだ
>>546 ロミオは嫉妬ドロドロだけど病んではないと思うけど…
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん
みーまーはヤンデルです。決してヤンデレではありません
>>542 とりあえず夏厨の言うことかそうじゃないかを判断して買うようにしろよ
クビシメロマンチストのあの娘
ヤンデレに一番必要なものは如何に周囲にバレないかって事だと思う
誰にも分らないようにこっそりと裏工作を進める子が好きな俺は異端ですか?
殺×愛(きるらぶ)がお勧めだな
ちなみにタイトルから想像できるような内容ではないので
ヤンデレに必要なのは一途な愛だけだ
そろそろ裸で正座するか…
>>559 ヘタレな彼氏or泥棒猫がいないとただの純愛になりそうだな
ぶっちゃけそうだろw
彼女の心の中は完全にヤンデレなのに、はたから見るとただの初々しい関係ってのもなかなか乙なものではないか
彼女が怨敵を排除するシーンをカットすれば純愛じゃね?
ヤンデレって彼氏を信用しきれてないよなあ。
なんかそこらへんの葛藤がちと男がかわいそうだけど。
彼氏を信用しきっているヤンデレなんぞいないぜ
信用してたら他の女共が彼氏に言い寄っても安心していられると思うなあ
仮に仮に心配しても、ある程度信用してるから彼氏に言及するだけで拘束とか排除とかにはならないんだぜ
二次元にも三次元にも信用しきってるなんてあるわけねえだろ、バカじゃねえのか
>>568 現実はともかく創作の世界にはあると思うぞ・・・
彼の事を理解して信用するからこそ
彼が浮気をしてしまうのもわかってしまうんだよ
某ゲームの理屈によると、
「兄様は私を愛しているの。兄様が愛するのは私だけなの。
でも兄様は優しいから、捨て犬がいたら拾ってあげる人だから。
あの女たちはそれにつけこんで兄様を不幸にしようとしているのよ。
私が助けてあげないと。兄様の優しさを利用する魔女たちは、私が退治してあげているの」
こんな事言う女の子に好かれてみたい
自分が作った人造人間が実はヤンデレだったって夢を見た。
むしろヤンデレが愛する人造人間を作る
それなんて姉さん?
ヤンデレが愛する人造人間ってなんか違うような…
愛する男を調教するとかなら完全に同意することができるけど、ヤンデレは0から作り上げていくというわけではなく、『造り上げていく』の気がする。
あとDoCoMo規制解除オメデト
いない君といる誰か、A−2ルートの分岐(選択肢:この場は逃げる)投下します
随分間があいてごめんなさい
――何も悩む必要はなかった。
考えるまでもないことだ。校舎の前で、図書室ではなく屋上へと進むことを選んだ時点です
でに答えは出ているのだ。僕はここに、戦いにきたのでも殺しにきたのでもない。アリスなん
てものと対決するためにやってきたヒーローでもない。
姉さんの仇を――取りにきた、わけでもないのだ。
選んでしまった。
僕を必要として、最後には必要としなかった姉さんではなく。
僕を守るといった、彼女を。
彼女とともに進むと、そう決めたんだ――
「如月更紗ぁ!」
マッド・ハンターではなく。
如月更紗と、そう名前を叫んだ。裁罪のアリスと斬り合っていた如月更紗は、余裕綽々に僕
へと振り返る。見ずとも振るう鋏がアリスの傘を打ち払う。まるで、名前を呼ばれただけで力
がわいたかのように。けれどそれも、長くは続かないだろう。このまま斬り結び続ければ、ア
リスに押されるのは僕の目にも明らかだった。
だから。
僕は叫ぶ。如月更紗の黒い黒い瞳から目をそらすことなく。彼女も目をそらさない。じっと、
僕の瞳を覗き返してくる。僕の言葉を待っている。一瞬にも満たない間、その瞳に様々なこと
を思い出す。屋上で鋏を突き付けられたときの真摯な瞳を。今夜同じ屋上で、僕が現れたとき
に見せた、驚きの中にあった僅かな安堵を。
最後に。
教室の隅。窓際の席で、どこか遠くを眺めている、まだ名前も覚えていなかった黒い瞳を思
い出して。
僕は、叫んだ――
「――来いッ!」
彼女は、拒まなかった。何を問うこともためらうこともなく、即座に反応した。
「えぇ、ええ、ええ!」
にやにやとした笑みを浮かべながら、如月更紗は踵を返して駆けてくる。バック・ステップ
ですらない。完全にアリスに無防備な背中を向けて、全速力で僕の元へと駆け寄ってくる。彼
女たちにとっては死の象徴である『アリス』に背を向けて、僕に信頼を委ねて。
それが――少しだけ、嬉しかった。
「――兎は死んだんだよ!」
魔術短剣を、アリスめがけて投げつけた。
姉さんの形見である魔術短剣を、僕は手放した。
当たるとも当たらないとも思わなかった。身体はごく自然に動いた。魔術短剣の偏った重心
のせいか、刃を前にして真っ直ぐにアリスへと飛来する。如月更紗の頬、すぐ横を通りぬけて
後ろへ――アリスの胸元へと吸い込まれるように魔術短剣は飛んだ。アリスの表情は変わらな
い。当然のように魔術短剣は打ち落とされる。
そう。
如月更紗に振り下ろすべく傘を振り上げていた以上、不意の一撃をその傘で防がざるを得な
いのだ。動きが一瞬だけ止まる。足がわずかに鈍る。
その一瞬で十分だった。全力疾走する如月更紗はアリスの間合いから抜け出し、弾かれた魔
術短剣は屋上を転がり、僕はそれを拾いにいくことなく、
校舎の内へと続く扉を開けた。
そして、僕は。
手を指しのばす。
彼女へと。
・・・ ・・
「行くぞ、更紗!」
そう名前だけを呼んで――名前を呼ばれた更紗は、その意味がわかっているのかいないのか、
嬉しそうに笑った。ああ、わかっているのだろう。その、にやにや笑いではなく、満面の笑み
とも言っていいようなそれは、僕の心境の変化をすべて見通している笑いだ。僕が選んでしま
ったことに気づいている目だ。
……照れくささに顔をそむけたくなる。
そんな余裕は一切ない。僕は顔をそむけなかったし、更紗は目をそらさなかった。お互い見
つめあったままに、駆けてくる更紗は、鋏を握るその手を僕へと差し出してきた――危ないな
こいつ! なんて突っ込む暇もなく、鋏ごとその手を握り、僕は一気に引き寄せるようにして、
屋上から校舎の内側へと転がりこんだ。
同時に扉を力いっぱいに閉める。重い鉄の扉が、迫りくるアリスの前で音を立てて閉まり切
る。鍵なんてない――だから僕は、胸の内に更紗を抱きよせたまま、力の限りにノブを抑え混
んだ。
勝算はあった。
力比べで勝つ自信、ではない。扉を無理やりこじ開けるような、物語的でない方法をアリス
はとらないだろうという勝算だ。狼と七匹の子ヤギで、狼は無理やり扉をあけはしなかった
――そんな計算ともつかないようなあやふやな予感だ。
願望とすらいっていい。
わずかに、祈った。
何に祈ったのかは――自分でも、よくわからなかったけれど。
祈りはどこかの誰かに届いたらしい。あるいは誰にも届かなかったからこそ、か?
扉のノブは回らなかった。一切の力をかけてくることなく、無駄な行為をすべて省くように、
アリスは扉を破ろうとはしなかった。
一瞬でももたらされた静寂に安堵する。さて、どうす――
「えい」
る、と思う暇もなかった。どこからともなく鍵を取り出した更紗が、僕の抑えるノブに手を
伸ばし、その手に持った鍵を鍵穴に突っ込んだ。
がちゃん、と間の抜けた音がした。
間の抜けた音がして……屋上への扉は、完全に閉ざされた。
鍵を、かけられた。
「……………………」
「どうしたんだいどうしたのよ冬継くん?」
「……鍵」
「んんんんん?」
「鍵、なんで持ってるんだ?」
いや――聞くまでもなくろくでもない理由で持っているのはわかってる。職員室から盗んで
きたとか職員室から奪ってきたとか職員室からギってきたとか、そういう犯罪めいた答えが返
ってくるに決まっている。そういえば初めてあったときもこいつは名目上は立ち入り禁止にな
っている屋上に容赦なく入ってきていたっけ……
屋上は立ち入り禁止。
にみせかけて、実は鍵がかかっていなかったりする。立ち入り禁止なだけで、立って入るこ
とはできるのだ。場所が不便なのと知名度が低いのと危ないのと殺風景なのが重なってるので
誰もこないだけで、一部の生徒は屋上に出られることを知っている。出ても何もないため、わ
ざわざ校舎のてっぺんまできて屋上に出ようとはしないけど。
そして、そういった一部の生徒は知っている。屋上には鍵がかかっていないことを。屋上の
鍵穴は両鍵穴式で、どちらかからつまみで開閉するタイプではないのだ。それが屋上にエスケ
イプする奴が少ない理由、つまり完全な密室にできないということなんだ、けど……
この女、あっさり密室にしやがった。
このままノブを抑えているしかないんだろうかとか、アリスが根をあげるまで力比べをする
しかないとか、僕が抑えているうちに更紗が机を持ってきてバリケードを作るべきかとか、そ
ういった諸々の悩み事を、ただの一動作で無意味にされた。
…………。
帰りたい。
ぐったりと疲れ果てる僕に対し、更紗は喜々とした笑顔のまま――そうだ、更紗はさっきか
ら、にやにや笑いじゃなくて、本当にうれしそうな笑顔を浮かべている。まるで年相応の少女
みたいだ。
そんな笑顔を浮かべたままに、更紗は言った。
「冬継くんはピッキングルーツというものを知らないのかしら?」
「泥棒の起源なんて知るか!」
「この学校には代々狂気倶楽部のメンバーがいて、屋上の鍵は受け継がれているのよ」
「そんなどっかのエロゲみたいなツールがあってたまるか!」
ああ……でもそういえば僕の姉さんもこの学校で狂気倶楽部のメンバーで、五月兎とやらも
多分この学校の人間なのだから、他にいたって不自然はないのか。先輩、同級生、後輩。日常
に紛れているだけで、日常に紛れている時には気付かないだけで、そこら中に異質な奴はいる
かもしれない、と。
気付かないだけで。
あるいは、気づいてしまった誰かが、変質してしまうだけで。
……まるでホラーだ。
姐さんが飛び降りたせいで、向こう側≠ヨいってしまった人が、僕のような誰かが、いる
かもしれない――
「理科室と保健室はマスターキィが手に入らなかったから、合鍵が伝承されているわ」
「他にもあったのか!?」
というかこれやっぱりマスターキィかよ!
「どうして私があの日保健室に入ってこられたと思っていたのかしらね」
「保健室は日常的に空いてるだろうが! むしろ僕はあれが誰かに見られてないかを心配して
るんだよ実は!」
あんな光景見られていたら、狂気倶楽部と関係なく二度と学校に来られなくなってしまう。
それ以前に、人として大切な何かを失ってしまう気がする……
「ともかく、よ」
咳払いをするような動作をして、更紗は右手をくるりと回転させた。魔法のように、その手
からは鍵が消え失せている。恐らくはポケットの中にしまったんだろうが……ほれぼれするく
らいの器用さだ。この細い指で、あの分厚い鋏を繰っているのだと、間近で目にしてもにわか
には信じることができない。
鋏。
空いた右手で、更紗は左手で抱え持つようにしていた鋏を手にとった。右手に大鋏、左手に
仕込み杖。完全武装スタイル。着替えるときに置いてきた制服とトランクケースだけはさすが
に持ってくる暇もなかったため屋上に置きっぱなしだ。身軽といえば身軽。
それ以上に僕の方が身軽だった。なにせ、唯一の武器といってよかった魔術短剣――姉さん
の遺品を、アリスに向かって投げつけたのだから。牽制のため、更紗を逃がすために必要な時
間を稼ぐためだったとはいえ、これで僕はめでたく役立たずとなったわけだ。
僕の視線から同じことを考えたのだろう。更紗は僕の何も持たない両手を見て、
「綺麗な手ね。斬り落としたくなるわ」
「お前は殺人鬼か」
「殺人鬼よ。人を殺したことは、ないけれど――」
そう言って更紗は、その鋏と杖を持つ両手で、人を殺すことのできる手で、人を殺したかも
しれない手で、人の首を跳ねるその両の手で――
そっと、
包み込むように、僕の手を包みこんだ。
冷たかった。
信じられないくらいに冷たかった。
信じたくないくらいに冷たかった。
こいつは生きてなんかなくて、最初から死んでるんじゃないのかと――死に続けているんじ
ゃないかと、そう思ってしまうほどに、冷たかった。
「……心は暖かいんだろうな?」
心に僅かに浮かんだ恐怖を振り払うように、僕はそんな軽口をたたきながら更紗の全身を舐
めるように見た。僕が気付いていないだけで、どこかに怪我をしていて、血が流れ続けて本当
に死にかけているような気がしたのだ。
けれど、どこにも怪我はなく、傷もなく、流れる血の紅はない。
「そうね――」
全身を舐めるように見終えた僕と、そんな僕を見上げた更紗の目があう。
彼女は、
僕の手を、包み込んだまま。
「――――――」
無言でその手をひょいとつまみ上げて、指をぱくりと咥えた。
「!?」
ぬるっとした。
ぬるっとして――それから、手とは比べモノにならないくらいに熱かった。視覚よりも一瞬
遅れて、その熱さとぬめりで指を咥えられたのだと理解する。
こいつは何を、とは思わなかった。
こいつが突拍子もないことをするのは今更始まったことではなく、思い返せば初対面からそ
んなことの繰り返しであって、やれやれ仕方ないな更紗は――なんて冷静に考える余裕はもち
ろんなかった。咥えると同時に指に絡みつく舌と唾液の感触が、ぞくぞくと背筋に走ったから
だ。指を三本ほど咥えられているだけなのに、全身を捕食されているような気分になる。
がくがくと、足が震え、腰が砕けそうだった。
そして、
「んー」
それを見越したように、ほれぼれするような足払いが僕に向かって飛んできた。飛ばしたの
はもちろん目の前に立つ更紗であり、彼女は僕を押し倒すと同時に拘束するように馬乗りにな
る。背中が屋上へと鉄扉にぶつかって音をたて、それ以上後ろに下がることができない。
嫌にやるような手際の良さだった。
下腹部に馬乗りになり、鋏と杖を持ったまま人の指をくわえるタキシード姿の男装女(クラ
スメイト)に向かって、僕は言う。
「……何がしたいんだ?」
心の底からの疑問だった。
魂の奥底からの本心に、更紗は薄く唇を開き、僕の指からわずかに舌を離して、聴きづらい
言葉で告げた。
「いえ、せっかく二人きりになったから」
「時と場合と状況を選べお前は!」
「プロポーズの言葉が嬉しかったから、ではダメかしら?」
「………………」
…………。
頬を赤く染めて、まるで照れたようにそんなことを言われた。
…………。
…………いや、まあ。
いったいどのくらい更紗が理解しているのか知らないが、名前だけで呼ぶということは、僕
としてはそういう意味合いがあるわけで、特別な存在だと認めるようなものであって、確かに
飛躍して考えればプロポーズといえなくもないけれど。
飛躍しすぎだ、いくらなんでも。
第一そこまで理解してるのかお前は。
そう突っ込みたかったが、突っ込むよりはやく、更紗は僕の手を離し――自由になった手で
、僕の肩を押さえつけるようにした。そうして身体を、唇を寄せてくる。傍から見たら、男色
強姦魔に見えたことだろう。
当然のように僕は抵抗した。
「…………?」
両肩を押さえ返して抵抗する僕を、更紗は不思議そうな眼で見る。
どうして不思議そうな眼をするのかが不思議でたまらない。
「更紗。今がどういう状況か言ってみろ」
「真夜中の学校で二人っきりね」
「間違ってはないけどさ……」
間違ってはないけど、何かが違う気がする。
「それに今思い出したけど、お前ものすごいキスがヘタクソだっただろうが。歯茎から血を流
しながらクライマックスなんて嫌だぞ」
「安心していいわ冬継くん。あれから練習したのよ」
「一人でか?」
「いえ、寝ている間に冬継くんで」
「僕の純潔を今すぐ返せ!!」
別に純血じゃないけど、精神的にレイプされた気分だった。
なおも馬乗りになって押し倒そうとしてくる如月更紗の身体を、僕は必至で押しとどめる。
もういっそ流されちゃってもいいかな、と一瞬ばかり思ったことは、自分でも否定できなかっ
たけれど。
「……大体、こんなことしてる場合じゃないだろ」
「邪魔ものはどこにもないわよ?」
「すぐそこにいるだろ! 扉一枚向こうに!」
正直なところ、裁罪のアリスがピッキング技術を持っていても僕は驚かない。ドアノブを力
づくで破壊するような驚きはするけど……あくまでも狂気倶楽部は日常の中の非日常であって
、映画のようなショットガンが出てこないのが不幸中の幸いだった。もしアリスがそういった
武器を持っていれば、それこそ映画のようにドアノブを破壊して出てきただろう。超常ホラー
モノなら、扉を素手で突き破ってつかまれるシーンだ。
生憎とアリスはそこまで化け物ではないらしい――異常、異端だとしても、それはあくまで
も人類の内にあるからこその端、常と異なるものであって、完全にファンタジーやメルヘンの
世界の住人じゃない。
勝機は、たぶん、そこにある。
勝ち残る――生き残るための術は。
「……更紗」
扉の向こうから何も物音が聞こえてこないことを確かめながら、僕は間近にいる更紗の顔を
覗き込む。ヘソの上に腰を乗せるようにしてそこにいる彼女の体は、やっぱり、信じられない
ほどに軽かった。
黒い瞳は、揺れていなかった。
全く揺れることなく――僕を覗き返していた。
僕は。
僕は――その瞳から、目をそらすことなく。
□最終選択肢
・どこかへ逃げよう、と決めた。
・日常へ戻ろう、と決めた。
以上、投下終了です。
最後のはこのルート最終選択肢で、両方とも書きます
片方が残り一話でバッドエンド、もう片方が残り二話で正規エンドです。
合計三話で、A−2は完全に終了。長くなって申し訳ないです
GJでした。続き期待
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
おぉ!なつかしい!ついに帰ってきた!投下GJです。更紗ルートが完結したら、次は神無ルート期待してます。
とりあえず帰ってきてマジでwktkとまんねぇwww
GJ!GJ!
589 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/11(月) 21:49:25 ID:MR6UUV6d
ヤンデレ家族はまだかな?
>>584 お久
更紗に会えて嬉しい、ってかこの時を待ってたぜ!
再開していきなりの更紗と冬継君のデレっぷりに激しく萌え、ずっとニヤニヤして読んでた。
うおー久しぶりGJ!
GJ!
お久しぶりですね〜
しかし、此処まできてまだBADENDの可能性が残ってるとはwww
お久しぶりですぅおおお
_ ∩
( ゚∀゚)彡更紗!更紗!
⊂彡
↓シュール系投下します。ごめんなさい
594 :
月と花束:2008/08/12(火) 00:21:00 ID:l7YwKRkg
月が笑ってる。
私は花束を抱えて歩く。
ごめんね愛しい人。昼間は寂しい思いをさせて。
でも仕方なかったの。
私はあの子を嫌いになれないし、
私はあなたを諦められないから、
こうするしかなかったの。
墓碑の前に花束を置いた。今日は色とりどりのガーベラの花。
赤、黄、橙、桃、茶、こぼれるような色たち。
「今日はカラフルにしたの」
私はあなたに話しかける。
静かな虚空に言葉が浮かぶ。
暗い空気が振動する。黒い大気が共鳴する。
「あなたの笑顔を思い出してたら、すごく楽しい気持ちになったから」
にっこり微笑んで空を見上げた。
月は静かに白く輝いている。
595 :
月と花束:2008/08/12(火) 00:23:48 ID:l7YwKRkg
「あの子は羨ましいわ。月より白い肌をしていて」
今日見た陶器のような肌を思い出す。
指先で触れても白い肌。
本当に陶器であるかのような頬に触れた時に刺さってきた視線。
全てをそのまま停止させ、そのまま死をもたらせるかのような視線を受けて私は中学生のように頬を染める。
脊髄を這い上がってくる快感と幸福。
「あの子の視線は本当に美しいのよ。どう?羨ましい?」
墓碑に手を触れた。
あの子の頬より冷たく硬い石の墓碑。
「違うわよね」
だってあなたは私を好きなのだから。
指を滑らせて深く笑う。
にっこり、にぃいっ
指先からあなたの愛が伝わってくる。
諦めなくて良かった。
今こうやってあなたは私だけのものだもの。
596 :
月と花束:2008/08/12(火) 00:28:32 ID:l7YwKRkg
「愛してるわ。あなたは私で私はあなた」
暖かい血と、弾力のある肉と、全て私のもの。
刃先があなたに入った時の快感と幸福は忘れ得ない。
「愛してるわ。あなたもあの子も。私のものよ」
言葉は夜空に高く舞い上がり月に届く。
私は月光を指に絡めてあなたとあの子を手にしている喜びを噛み締めた。
終わりです短くてごめんなさい
いっぱいごめんなさい
>>597 GJ!
とてもよかった。また書いて下さい
まぁよく短い文で病んでるものを表現出来てること…
>>597…恐ろしい子!
というわけで今後も頑張ってください。GJ!
やーい!お前の母ちゃんコケティッシュ!
この夏季休業中にやっとくべきだっていうお勧めのエロゲとか何かある?
ちなみに、最近やったエロゲは↓こんな感じ
・Fate/Stay night ・Fate/hollow ataraxia
グランドルートヒロインの桜は
危険地帯に特攻する主人公を心配して足を折ってでも監禁したいとか考え出すし
主人公が姉とちょっとでもいちゃつきだすと露骨に顔を歪めたりするし
メチャクチャ萌える
ただ、その根底には自分を捨てて幸せに暮らしていた姉に対する鬱屈した感情や
アンリマユから零れ出した呪いに影響されてた部分があるのがちょっとモニョる
ここの部分がある意味惜しい……
つか、素養を持った者に魔術の加護がない場合のデメリットを憂慮して養子に出された事や
実の姉が幼少期から肉体的にも精神的にもきつい生活を送っていた事を知らされてたら
例え養子に入った先で性的虐待を受け続けていてもあそこまで主人公に依存しなかったんだろうなぁ
蟲爺さんも桜は心の殻に閉じこもってて精神的に壊せなかったとか言ってるし
ファンディスクでは完全にネタキャラになってるのも痛い
ロンドン編の姉の方がまだ
「わたしの衛宮くんに傷をつけたら、何処に逃げ込もうが追いかけて殺すわよ?」
「わたしが、問答無用で、他の誰よりも、彼を幸せにしてあげるのよ」
とか言っててニヨニヨできた
・タユタマ
物心ついた時から両想いであり続けることに疑問を抱いて主人公と距離を取ったのに
三年後にはなんとなく友人として復縁
なあなあの関係を続けていた所に現れたメインヒロインを主人公の前から排除しようと
わめき散らす・主人公に暴行を働く
物語が進むと敵に協力してメインヒロインが行動不能になるような不意打ちを食らわし
なぜそんな事をしたのかと聞かれれば、メインヒロインの主張に疑問を持ったから、と……
何だこのスイーツ野郎! ヤンデレ説が上がってるけれど、俺は認めねぇぞコンチキショウ!!
・るいは智を呼ぶ
幸子が恵を守ろうと他のメンバーに即死レベルの過剰な警告を与えたり
主人公の姉を刺し殺してしまったシーンがややそれっぽい
ただ、それが愛情からなのか恩義からなのか不明だし
両キャラが同性というのも難点
エロゲ板でやれゴミ
603 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 01:49:34 ID:sTZ3MTYB
まあまあ、そう言わずに
――――ゴミ、だと?
つか、いい歳して葱板なんかに書き込めるかよ
まぁでもこっちで聞くよりまともな意見もらえると思うから行きなよ
いい歳にならないとBBSPINKって書き込めなくね?
夏休みだから仕方ないのです
>>601 ヤンデレヒロインが出てくるゲームをやり込んでいた男が最終的に引きずり込まれる
つー話が頭に浮かんだ。
この時期っつーのが夏休み臭を漂わせているような気が
社会人もそろそろ夏期休暇ではあるが
まさか、いない君の続きが来るとは・・・。
どれくらい間が空いてたんでしたっけ。
611 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 00:32:43 ID:Pmgqp2b6
sageろカス
614 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 06:50:30 ID:Vlhiyi/V
そろそろヤンドジこないかな?
ぽけもん黒マダー?
>>615まぁまて。あれは忘れた時にやってくる良作だ。辛抱するんだ。でもこの間のいない君はマジでびびったなw
催促してる暇有ったらなにか書いてみると良いよ
別にうpしなくても良いけど
618 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 21:06:04 ID:wxmbC8WE
お姉ちゃんは妹を愛してるの続き読みてぇな
とふと思った
sageない奴が増えたなぁ
夏だからね、仕方ないね
携帯でも専ブラだと最初からsage付くよな……
まさか、直に見てるのか?
IEじゃね?
PSPじゃね?
2ch初めての頃はIEだったな
かちゅを影で延命してたけどもう終わりだろ
パソコンの専ブラだとsageが標準じゃないのもあるぞ
ヤンデレからずれてるぞ、sageを知らん奴なんてスルーでいいだろ
いやまてよ、自我をもったヤンデレPCなら・・・いけるよな?
sageを知らん奴なんてスルーで良いだろ
いやまてよ、ここから自我を持ったヤンデレPCの話に繋げれば・・・
すまん、頼むから俺をスルーしてくれ
あわよくばヤンデレPC書いてくれ
も、落ち着け! もちけつんだ!!
/∧_/∧ /∧_/∧ オロオロ
((´´ДД``;;)) ((;;´´ДД``)) オロオロ
// \\ // \\ オロオロ
⊂⊂(( ヽノヽノつつ ⊂⊂ヽ// )) つつ オロオロ
しし((_)) ((_))JJ
あsage汁
SF風味な小説を書こうとしたが3行で挫折したのでいっそのこと3行でおわらせてみた
彼女に家族や友人を皆殺しにされた主人公は罪の意識の耐えかね宇宙移民船に乗船する。
逃げられたことに安堵するもこのことを察知していた彼女は他の乗組員はすべて宇宙に放り出してしまう。
ひたすら宇宙を進み続ける船には二人だけが残された「もう、二人っきりね」「そうだな、うれしいよ」
HAPPYEND
投げやり過ぎて吹いたからGJを送ろう
>>632のセンスに触発されたので、俺もプロットを書いてみよう。
目の前の女「ずっと一緒だよ」
END
保管庫にヤンデレ喫茶のSS無いなー。
久しぶり読もうと見たら無くてびっくりした。
7月25日に発売された「やみツキ!」っていうゲームやった人いる?ヤンデレにスポットを当てた作品なんだが。
>>636 ヤンデレになるのは
各キャラの√のBADエンドだけ。
普通に嫉妬深かったり
エロかったりするだけでヤンデレ率は非常に少ない
メインヒロインのBADは淫乱化するしNTRっぽい
TRUEはヤンデレじゃないしではっきり言って看板詐欺
ヤンデレ期待してるなら買わなくていいレベル
ヤンデレっ子の顔に傷がついた
↓
もう男くんの前に出られないと引きこもり
↓
男はヤンデレを笑わせるために自分の顔に傷をつける
↓
ヤンデレがそれを受け入れてくれてハッピーエンド
>>638 カガリはこうなるを嫌だって泣いているんだぞ!!
君はそうやって、カガリのせいにして、何でも撃ってしまうのか!!
>>634のプロットから妄想してみた
「ずっと一緒だよ」
目の前の女が睦言のようにそう囁いた。
「そうだな」
真摯に見つめてくる女に視線を返しながら言った。
そうこれで彼女にとっての障害はすべて排除された。
これでハッピーエンドなのだ、あとは幸せなエピローグを迎えるだけと、彼女はそう感じてるのだろうか。
もうすでに俺達を追う者も知る者もだれもいないのだ。
そんな感傷に一人浸っていると。
「帰ろっか私たちの家に」
彼女はそう言い俺の腕を引っ張ってくる。
「そうだな」
これから俺達はひどく幸せな生活を二人だけで過ごすのだろう。
それは甘美で、排他的で、蠱惑的で、堕落的なのだろう。
なぜならもうどんなことがあろうとも俺は目の前の女から離れられないのだから。
ていうか●●デレを売りにするゲームって大抵ハズレな気がする
フカヒレは大成功だったけどな
ツンデレゲーとしては微妙だったが、ラブコメとしては大成功だな
誰かヤンデレだらけの格ゲー作らないかな?
幼なじみ、妹はもちろん色んな種類のヤンデレが一人の男を巡って殺しあう
そしてラスボスは男に取りついていたヤンデレ女神(首謀者)
「皆が殺しあう姿、なかなか楽しかったのう」
「私の愛はあなたより強い! それを証明してみせるわ!」
ツンデレなんて置いといてヤンデレss書いた方がましってことだろ
>>647 このまえの病み鍋でヤンデレ格ゲーでてたな
体験版だったけど
ヤンデレを格闘に繋げようとするのがまず間違い
ヤンデレ=殺人ではない。むしろ、ヤンデレ=監禁の方がしっくりくる
主人公がヤンデレの監禁調教ゲーを作ればいいんですね、わかります
>>650 別につなげようとしているわけじゃないだろ
美少女だけの格ゲー欲しいって言っている奴に。美少女が格闘はありえないって言っているようなもんだぞ
逆に主人公がヤンデレを監禁したらどうなるんだ?
>>654 ドMだからメチャクチャ喜ぶと思うぞ
主人公が私のために監禁(犯罪行為)をしてくれるなんて、私は世界で一番の幸せですにゃー
って感じに
ちなみに男が監禁すると逮捕だけど、女が監禁すると書類送検になるらしい?
凄く喜ばれます…はい。
M属性の方なら首輪やその他器具を差し出して来るでしょう。
監視に時間を取られて、間接監禁状態になるでしょう。
キャラは最低8人くらいか。んで武器有りで負けたら腸を撒き散らかされたり首チョンパだな
学園物だとしたら
主人公1・幼なじみ・武器・包丁・ナイフ
主人公2・男のクラスの女子・武器・バット(金属バット・釘バット)
剣道部の先輩・武器・日本刀
弓道部の後輩・武器・弓(ボウガン)
不良生徒・武器・なんでも(ナイフ・メリケン)
教師・武器・教材
生徒会長・武器・学校の備品
姉・武器・鉈・縄
妹・武器・鋸・鋏
元彼女・武器・金槌・釘・怨霊召喚
こんくらいか?
後は・バイト仲間・顔見知りの女性・ストーカー・留学生・陰陽師など様々
舞台は教室・廊下・屋上・校舎裏・体育館・校庭・部室など
勝負終了後は惨殺シーンをアニメーションで生々しく演出(モザイク無し)
悲鳴や絶叫だらけでグロい格闘ゲーム。隠しキャラであの有名な空鍋使いや生首使いも登場
……オラなんかワクワクしてきたぞ!
ここでやるな死ね
夏休みの宿題でもしてろ
嫉妬スレからの提供でした。
ヤンデレと猟奇勘違いしてるやつが多いな
亀レスだが殺×愛読んだぜ!
>>558、まさかこれ程の物があったとは...
>>660夏ですから
そういえばCLANNADにヤンデレっているの?ネタバレ無しで誰か教えて
坂本九さんの“明日があるさ”の換え歌という電波を受信
“明日もいるさ”
いつもの駅でいつも逢う
セーラー服のお下げ髪
今日もいたよ 今日もいたよ
今日も待ち伏せさ
明日もいる 明日もいる 明日もいるさ
ぬれてるあの娘コウモリへ
そいつがキッカケつけらけて
声かけよう 声かけよう
機会を窺ってる
明日もいる 明日もいる 明日もいるさ
3.4.5番
今日こそはと道を変え
後ろ確認誰もなし
前にいた 前にいた
バスでキスされた
明日もいる 明日もいる 明日もいるさ
思いきって110番
ふるえる指でプッシュした
うしろにいた うしろにいた
電話線切られてた
明日もいる 明日もいる 明日もいるさ
はじめて起こされ顔を見る
たった一言出ていけと
家事され 奉仕され
とうとう言えぬ僕
明日もいる 明日もいる 明日もいるさ
ただの押し掛け女房じゃん。日本ではよくあるお話。
>>662 おらん。杏が広橋涼つながりでネタにされるのと
智代がアフターBADでちょっと病む、程度
監禁してくるようなヤンデレを監禁(主人公からしたら不慮の事故)
してしまったSSをきぼん
元の曲は今でいう所のストーカーだよな
>>666ありがとう
ちらほらそんな感じのもの見かけてたからてっきりいるのかと。購入見送りだな
ここでやるな
ヤンデレな友達が欲しい…でもリアルじゃヤンデレなんて居ないんだろうな
ヤンデレ家族はまだか?
気持ち抑えようぜ。
俺も読みたいけどきっと書いてんだよ今
どうもこんばんは。
二十三話、入院編その五を投下します。
***
風邪をこじらせてから、朝と夜はお兄ちゃんの世話になっている。
と言っても、寝汗を拭いてもらうだけ。
まだ体温が高いからお風呂には入れないので、汗だけでも拭いてもらっているのだ。
でも、そんなのは建前。
目的はお兄ちゃんの理性を崩すこと。
無防備な姿を見せて、お兄ちゃんの方から襲いかかってもらう。
実行前は、こんな作戦は上手くいくはずがないと思っていた。
だけど、塵も積もれば山となる。
だんだん、私を見るお兄ちゃんの眼が変わってきている。
タチの悪い風邪だったらしく、今晩でもう三日目。
その間ずっと、妹とはいえ女の体を見続けてきたのだから、お兄ちゃんの反応は男として正解だ。
仲の悪い兄妹ならありえないけど、私は努力して『理想の妹』を作り込んできたから別。
明るい性格で、恥じらいを持ち、容姿を磨いて、男に頼る弱さを見せる、普通の女の子。
加えて、お兄ちゃんに近づく女は居ない。姉以外の全ての女は、皆遠ざけてきた。
女が一人だったら、その子を選ぶしかない。
その子が良い子だったらなら、何の問題もないはず。
だ、か、ら。ね、お兄ちゃん?
安心して、私を選んじゃっていいんだよ。
「ちょっとだけ待ってて。今から、下着、替える」
夜に汗を拭いてもらう前は、必ずパジャマと下着を替える。
もし汗の匂いがしたら、お兄ちゃんが幻滅してしまう。
女としても、男の人に触れてもらう時は綺麗な姿の方がいい。
ちなみに、お兄ちゃんを部屋に待たせたまま着替えるのも作戦。
もしかしたら、男の人は女の着替えを覗くのが好きなんじゃないかと思って。
効果はばっちり。後ろでお兄ちゃんがそわそわしてるのが、物音で聞こえてくる。
お願いしてるから、お兄ちゃんは部屋から出て行くこともできない。
――もうそろそろいいかな。決着つけちゃっても。
支援
「いいよ、こっち向いても。下からお願い、ね?」
どうせパジャマを脱ぐのにあえて着直すのは、じらすため。
この作戦では、私のひとつひとつの行動が明暗をわけてしまう。
一挙一動、全てにおいてお兄ちゃんを興奮させなければならない。
太腿をさらけ出す時は膝までしかパジャマを下ろさない。
ふくらはぎとすねを拭き終わったら、パジャマの下は脱ぎ捨てる。
もうこの時点で――あははっ、可愛いお兄ちゃんったら、顔を真っ赤にして、私の足をじっと見てる。
放っておいても、今夜電気を消した時に襲いかかってくれそうだけど、念には念を押す。
ベッドに寝転んで、パジャマのボタンを、下からひとつずつ外していく。
いつもなら寝転ばず、自分で脱いでいる。
けど、今日はそうしなかった。
そうできない理由があった。
きっと今頃お兄ちゃんの頭を駆け巡っている、ひとつの事実。
私が今、ブラをつけていない――いわゆる、ノーブラだから。
パジャマの隙間から見えるのは私の肌だけ。
下に穿いているのはショーツだけ。
どこだったかな――そうそう、お兄ちゃんが隠し持っていたえっちい本の売女がしてる格好。
どう料理してくれても構いませんよ、っていう感じ。
実際に私がそんな気分になってる。
上からでも下からでも、お好きなところからどうぞ、お兄ちゃん。
身じろぎせず、お兄ちゃんをじっと見続ける。
迷いが見て取れた。
私を、妹として見るか、女として見るか。欲望と理性のぶつかりあい。
ここは黙ったままでいようと思ってたけど――あえて作戦を変更した。
「お兄ちゃん、恥ずかしがらなくてもいいんだよ。
私たち兄妹だから、何も問題ない」
これは賭だ。
お兄ちゃんの心がどこに流れていくかわからない。
もしかしたら冷静になってしまうかもしれない。その逆かもしれない。
私とお兄ちゃんの関係を決める、丁半博打。
「妹の体に触ってもだーれも、咎めたりなんかしないんだよ?」
賭は――――私の勝ち。
お兄ちゃんは私の体に覆い被さり、乱暴に胸を弄りだした。
右手で乳房に触れ、左手でパジャマを脱がせていく。
お兄ちゃんと目を合わせる。そのまま、近づける。
一瞬の躊躇の後で、お兄ちゃんは私の唇を奪った。
舌を入れて、思うままに私の口内を貪る。
お兄ちゃんの手はショーツの上から私の秘所を愛撫する。
背中に手を回し抱きしめると、荒々しい吐息が聞こえた。
その事実に、笑わずにはいられなかった。
あっは。
うふふ。あはははは! ははははは、ははははは!
見た? 馬鹿姉。
もうお兄ちゃんの唇は私のもの。私はお兄ちゃんに唇を奪われた。
あんたがいくらお兄ちゃんにアピールしようと、もう遅いの。
これからお兄ちゃんは私を抱く。私の体に溺れていく。
最高だわ。体が火照って、しょうがない。
お兄ちゃんが愛しくてたまらない。
可愛い可愛いお兄ちゃん。これから一生、私がお世話してあげるからね――――――
***
かつて、俺は伯母の冴子を包丁で刺したことがある。
自らの意志で包丁を手に取り、確固たる目的を持ってそれを振るった。
それが十年ほど前の話。
伯母に包丁を向けようと思ったのは、実はその時が初めてではない。
それよりも何日も、何ヶ月も前からだ。
実行に踏み切ったきっかけ、それは――弟と妹を虐待の日々から救えるのは俺しかいないと気づいたから。
いつか誰かがなんとかしてくれると思っていた。
虐待の現場を見つけた父が救ってくれる。
母が俺たち兄妹を助けてくれる。
伯母がいつか飽きて家に来なくなる。
大人頼みだったけど、それでもいつかは誰かがなんとかしてくれると、信じていた。
でもそんなことは無かった。
だから俺は、自分で解決しようとした。
まだ小さい頃の俺が弟と妹を助けるには、ああする以外に方法がなかった。
伯母にあんなことをしなければよかったなどと後悔しない。
しかし、もしもあの時をやり直せるなら。
俺はそれまで親しかった憎んでもいない相手を――仲の良い幼なじみを傷つけるようなことはしない。
少し考えればわかることだったのだ。
花火が俺を裏切るはずないと、信じてやれば良かった。
そうしていれば、花火の心と顔に、傷が付くことなどなかったのに。
妹がコーラの入ったグラスをストローでかき混ぜる。
カラン、と氷とグラスのぶつかる音がした。
「昨日、伯母さんのところに行ったよ」
ああ、昨日祖母と両親と一緒に来ていたのは、それが目的だったのか。
「……まるで別人だった」
「そりゃ、お前が覚えている伯母とは違うだろうよ。
俺も会ったけど、一目見ても誰だかわからなかったからな」
「私が言ってるのは外見じゃなくて中身。
どんな顔だったかなんて、私は覚えてない。
まだずっと私やお兄ちゃんのことを嫌っているのかと思ったら、全然ハズレで、覚えてさえいなかった。
正直、一発ぐらい仕返しするつもりでいたのに」
「そ、そっか。
……でもなんでまた、伯母に会おうなんてしたんだ?」
「昔のこと思い出したけど、いまいちはっきりしなかったから。
お兄ちゃんとお兄さん、頭の中でごちゃごちゃしてた。
……っていうか、認めたくなかったのかも。
今まで、お兄ちゃんがかばってくれてたと思ってたのに、実はそれ、お兄さんだったんだもの」
……ふーん。
そんなに俺にかばわれてたのが嫌か。
ま、無理もない。
妹にとっては、俺より弟が活躍している、有り体に言えば、格好いい方が嬉しいだろうし。
「お前は、かばってくれていた人間が弟だったから、好きになったのか?」
「きっかけは、そう。
単純って思った? でもね、私にとっては十分なきっかけだった。それなりに大事な、ね。
……それが勘違いだって知ったときは、ショックだった」
「そうか。まあなんというか…………残念だったな」
「先に行っておくけど、勘違いしてたからって今更お兄さんのこと好きになったりなんて、しないから」
「そいつぁ残念だ。あっはっはっはっは」
わざとらしく笑ってみせる。
別に妹の台詞が期待はずれだったからじゃない。
そもそも、弟みたいに愛されるのなんて御免だ。
妹のことは大事だし、好かれている方が嬉しいが……愛されるのはちょっと、勘弁だ。
むしろ期待通りで嬉しいぐらいだ。
妹がそんなに軽々しく人を好きになるわけではないとわかった。
――ん、待てよ?
軽い気持ちで弟を好きになっていないということは、本気で弟が好きってことか?
やべえ、ちっとも嬉しくない。
これから先、どうしたもんかね。
俺は弟と妹がそういう関係を結ぶの、反対してるからな。
嗚呼、いつか妹と口、もしくは肉体言語でぶつかりあわなくちゃならんのか。
妹、諦めてくれないかな。……諦めてくれないだろうなあ。
「それで、どうしてお兄さんは私の誤解を解こうとしなかったの?
勘違いしてる私を見て、心の中で笑って楽しみたかったの?」
「あいにくだが、そういう趣味はない」
「じゃあ、どうして?」
ふうむ。正直に言って、果たして信じてもらえるものだろうか。
でもさっき正直に答えると約束したし。言わざるを得ない、か。
「実は、お前と同じで今の今まで――入院して伯母に会うまで思い出せなかったんだよ。
情けないことだけど、あれだけのことがあったのに、綺麗さっぱり忘れてた。
だから、つまり……お前や弟が何を言ってるのかすらわからなかった」
妹はじっと俺を見つめている。
…………。
………………そして、少しも目を逸らさない。
視線で責められている気分だ。
妹なりに俺の目を見て言葉の真偽を見抜こうとしているのかもしれない。
「あの日のこと、全部、綺麗さっぱり?」
「おう」
「……お兄さん、いったいどこまで鈍いの?
お兄ちゃんみたいな鈍さなら許せるけど、お兄さんみたいなのは、ただ腹が立つだけだよ。
あの女、葉月を振ったってさっき言ったけど……去年から昨日まで返事できなかっただけなんて、酷すぎる。
……女が皆、あの女みたいに気長で優しいと思ったら、大間違いよ」
妹の毒舌攻撃。効果は抜群だ。
ええ。俺が馬鹿だったのです。
友達同士というぬるい関係をいつまでも続けたいなんて思っていたから悪いのだ。
自覚しているから、もう責めないでくれ、妹。
認めてやる、俺はお前に弱いのだよ。
通常の二割増しでダメージを受けてしまう。
なんせ、呼べば応えるシスコンだからな!
妹がでかいため息を一発吐き出した。
ため息でここまで俺にダメージを与える女など妹しか居ない。
そして、妹のため息でこれだけのショックを受ける男など俺しか居ない。
「も、いい。そういうことだったらいいよ。
私だって最近思い出したぐらいだから、人のこと言えないし。
……私、先に帰る」
「え? おい、まだ注文したのが届いてないんだが」
「いいよ。お兄さんはゆっくり食べてて。お勘定も私が済ませておく」
「お前も待ってりゃいいじゃないか」
「私がそんなこと、したいと思う?」
――思わねえだろうさ。
ああ、ああ。わかってるよ。
ファミレスに来て俺と同じテーブルで向かい合ったままでいるなんて御免なんだろう。
この妹は昔のことがどうであろうと、俺への態度を改める気はないらしい。
悪い方に変わらないだけマシだ、と思ったら負けかもしれん。
ちくしょう。いつから俺は妹の犬に成り下がってしまったんだ。情けない。
「じゃあね、お兄さん。寄り道しないで帰ってよ。
お兄ちゃんが何かあったかも、って心配するから」
「……あいよー」
「あ、そうだ。あと一つ言い忘れてることがあった」
「まだあるのか? 今度はなんだよ……」
早く軽食が届いてくれないだろうか。そろそろ体力ゲージが尽きかけているのだが。
仕方なくウーロン茶を飲んでいると、妹が言った。
「お兄さん、この間はかばってくれてありがとう」
……………………え、何?
「お、おま、お前何か今、言ったか?」
「さあ? 気のせいじゃないの。それじゃ、今度こそお先」
妹はそう言って、すたすたと歩いていく。
俺は妹が会計を済ませ出て行く姿を見送るしかできなかった。
…………このウーロン茶、なんだか後味が塩に似てやがる。
口直しに今度はメロンソーダをいれようと、俺は席を立った。
※ここからは兄の独白が延々と続きます。注意してください。
ファミレスの窓から外の歩道を見ると、遠足でもしているのだろうか、
リュックサックを背負った小学生の集団が歩いているのが見えた。
先頭には元気の良さそうな男の子と女の子。
続いて、数人のグループが追ってくる。
一人だけ背の高い、引率らしき男の人がいる。
彼の周りに子供達が固まり、後ろから遅れたグループがついてくる。
小学生の頃の俺だったら先生より後ろに居て、マイペースで歩くんだろうな。
ああ、そういえば。
あの日も俺は、自分の家に帰りつくまで、あんな風に楽しげにしていたっけな。
花火に誘われて、どこに行ったのか覚えられないほど遊び回って。
帰りには弟と妹へのみやげにお菓子なんか買って。
途中で両親の車が来て、それに乗って家まで帰った。
楽しかった。
我が家のリビングのドアを開ける、その時までは。
リアルタイムで出くわすとはな。
乗るしかないだろう、このビッグウェーブに
リビングでは、伯母による虐待が起こっていた。
耳を覆いたくなるほど悲痛な声で泣いている妹と、黙って妹を抱きしめ伯母の暴力からかばう弟。
父も母も立ちつくしたままで、ぼけっと突っ立ったままだった。
どうして、この光景を見てもそうして居られるんだ?
かばってくれないのか? 自分の子供が乱暴されてもなんとも思わないのかよ。
両親が何を思っていたのかなんてどうでもいい。
誰も弟と妹を助けてくれないという現実があった。
このまま、俺ら兄妹は伯母に殴られ続けなければならないのか?
心が壊し尽くされるまで、ずっとずっと?
――――嫌だ。
兄妹三人が一人でも欠けるなんて、嫌だ。
弟も妹も俺には必要だ。二人とも大事なんだ。
弟の痛みに喘ぐ声なんて聞きたくない。間違ってる。
こんな目に遭うほどひどいことをしていないのに。
妹は伯母の前ではいつも泣いている。最後に妹が笑ったのはいつだった?
俺は、妹が笑った顔をずっと見ていない。
それからのことは全て覚えている。
立ちつくす両親の間をすり抜けて、全力で伯母に椅子を投げつけた。
床に散らばる割れたグラスの破片を素手でかき集め、伯母の足下へ。
右手に刺さった破片が皮膚を貫いて、じわじわと掌を赤く染める。
キッチンへ飛び込む。手に取ったのはありったけのコップと、まな板の上にあった包丁。
リビングの床を蹴って進む。
伯母が俺を見て糞餓鬼とかなんとか言っていた。
――うるさいよ。今からその餓鬼にあんたは消されるんだ。
振りかぶり、コップを投げつける。
一個が伯母の鼻にぶつかった。
包丁を構え、大きく踏み込んだ。
その途端、足の裏に激痛が走った。グラスの破片を踏んづけた。
だけど止まらない。止まれない。
倒れていく間に見えた伯母の膝へ、包丁を突き立てた。
固いのは最初だけで、後はずぶずぶと入り込んでいった。面白いぐらいに。
やかましい悲鳴をあげて、伯母が倒れる。足を押さえ、血を流しながら、もがき苦しんでいる。
足りない。この程度では、とてもじゃないが、足りやしない。
この女が俺たちに与えた苦痛と恐怖はずっと消えない。
でも、それももうすぐ終わる。消えて無くなる。
伯母は二度と俺たちの前に姿を現さない。
この場で、俺が終わらせる。
包丁を逆手に持ち、振りかぶる。
伯母を足で仰向けに転がし、包丁の柄を両手で掴み、最上段から振り下ろして――――
次の日から、伯母は姿を現さなくなった。
俺たち兄妹は伯母の恐怖から解放された。
結果はそういうことになる。
だけど、大きな代償もあった。
代償は、自分でも持っていることに気付けていなかった、とても、とても大切なもの。
妹からの信頼と、仲の良かった幼馴染み。
どちらも、他に代わりなど無い。
今も、代わりになるぐらい大事なものは見つかっていない。
あの時、伯母を刺す直前になって、花火は俺を止めた。
花火の説得は、血の上った頭を鎮めるのに効果的だった。
俺は自分のやっていることがいけないことだと気づき、刃物を下ろした。
ここで終わっているはずだった。花火があと一言言わなければ。
伯母さんに頼まれてアニキを遊びに連れ出した私にも責任はあるんだ――と。
それを聞いて、小さい頃の俺はこう思った。
花火が裏切った。伯母と繋がっていた。今日こうなることも知っていたんだ。
花火も伯母と同じで、俺たちをいじめる人間なんだ。
じゃあ、こいつも同じ目に遭わせてやる。
花火の頬を殴りつけた。
目を丸くしている花火に向けて、今度は包丁を振るった。
一回、二回、三回、四回。でたらめに振り回した。
唐突に花火が悲鳴をあげた。
あまりの声量に顔を顰めた。花火の体を蹴り、離れた位置まで吹き飛ばす。
これで、この場に俺を止める人間は居なくなった。
伯母の居る方に目を向けると、父が必死に声をかけている姿が見えた。
伯母は目を閉じたままで動かない。気絶している。
――いい気味だ、ざまあみろ、と、小さい頃の俺が呟いた。
すると、小さな声が耳に入り込んできた。
声のする方向、花火を蹴飛ばした方向へと目を向ける。
横たわる花火は頬を押さえていた。
血が両手を染めている。顔中に紅い血糊が付いていた
手から、肘から垂れていく鮮血がフローリングの床を汚していく。
花火の唇が動いた。けど、いまいち聞き取れない。
むしろ泣き声の方が大きかった。
涙を流しているのに、眼の鋭さは少しも衰えていない。
憎悪の籠もった瞳を見ていると、何も言われなくても、花火がなんと言っていたのかがわかった。
そして、答え合わせをするように、花火の唇が動き、声を発した。
――この人殺し。あんたなんか、大嫌いだ。そう、言っていた。
理解できなかった。
俺は伯母を倒して、弟と妹を守ったのに、どうして俺が人殺しなのか。
それを言われるのは、伯母じゃないか。
なあ? と、同意を求め妹の方を見やる。
妹は弟にかばわれたまま、俺をずっと見ていた。俺が伯母と花火に何をしていたかを。
きっと、俺が現れた時から。
妹の目には恐怖が映っていた。
まるで、伯母を見ているような瞳。
その時になって、ようやく自分で気付くことができた。
俺がやったことは、伯母のやったことと何一つ変わりないのだと。
伯母を刺して、花火を深く傷つけて、妹を怖がらせた。
そんなつもりはなかったとしても、それとこれとは別。
平穏を得た代わりに、大事なものを失った。
ただ、家族が仲良く、平和に過ごせればよかった。
俺は誰に対してもそうだ。争いもなく穏やかに過ごすことが好きだった。
その結果がこれ。
障害を排除したら、妹と幼馴染みの信頼を失った。
俺を好きと言ってくれる人に長らく応えず、後になって傷つける。
俺の選択や行動はいつも、なにかしら間違っている。
小さい頃から、何年経っても、いくつになっても。
というところで終わりです。
入院編は以上で終了です。次回から、ひさびさに兄貴が学校に復帰します。
兄は花火を殺しておくべきだったな
……えーと、妙に静かだけど、いいよね?
寝る前に覗きに来たけど、頭がパンクしそうですどうしてくれる。
兄貴はこうやって常にドツボにはまっていってたのか…なんかこっちまで苦しくなってきた。
次回も楽しみにしております。
病んでる葉月さんに会えるだと…?
やべぇwktk止まらねぇw
それにしても弟ついに手を出したな獣め
うひょー! 激しくGJでございます!!
真夜中にテンションマックスまであがります!
GJ!
兄貴、善人なのに昔から報われない
>>690 多分、父親と母親の方じゃないか?最近監禁されて性欲を覚えた弟の可能性もあるけど
GJすぎて1話から読み直してるぜ…
ものっすごいGJなんだけどさ
作品投下中に割り込んでカキコしてる奴は馬鹿なの?死ぬの?
はっきり言って一気に熱が下がるんだが
>>695 別に
>>684はまだ分かるんだよ
お前さんの言う様に支援だろうし
でも
>>676はなんだ
明らかに支援するの早くないか
しかも今回だけじゃない
最近何回も見かけて、いい加減うざいからこうして言ってるわけだ
>>696 まぁ自分のうざさにも気づこうな・・・・
ループにはうんざりだ
GJ!
しかし花火は後何回兄貴を痛めつければ気が済むんだろうな
いくら兄貴がFateの主人公並みに丈夫でもやりすぎると死にますよ、いやマジで
>>697 お互いにな
うざいのは勿論分かってる
だが言わなきゃ分からん奴が居るんだよ
こいつうぜーなと思われる位で、作品に無意味な割り込み来なくなるならいくらでも言うともさ
というわけで無意味な割り込みはやめれ
俺もスレ空気悪くしたくないからさ
とりあえず半年ROMれ
支援した奴も悪気があったわけじゃないだろ
スレの空気を悪くしたくないならスルーしろよ、ネチネチお前が書き込むことによって空気が悪くなるんだよ
>>687 GJ!!
妹フラグは立たなかったか・・・・チッ(ボソ
それとなく教えてくれた
>>697にまでお互い様だと言うとは・・・これはいい糞野郎だな
ある意味一番病んでるのは兄貴なんじゃ…
え?花火はなぜ兄を連れ出していたんだ?新たな謎?以前に書いてあった?
愛しの君を助けるために暴力をふるい続ける花火もそう変わらないけどな
>>687 GJ!!それにしてもお兄さんのダメっぷりはだんだんとひどくなるな。
最初は応援していたが、最近では応援する気がなくなった。
>>687 GJ!
>>707 それには同意する。
駄目っぷりというのもあるが段々空気のごとき状態なりつつあるのが一層無力感
を感じさせる。
あ、あれ?
てことは弟は何もしてないのにちゃっかり兄の分まで幸せになったって事か?
・・お兄さんには幸せになってほしいです
>>707 ヤンデレ物の作品の主人公がへタレじゃなかったら湿気るだろ?
>>705 普通に遊びに連れ出したってことなんじゃないの?
しかし、今話でかくれしまいどんまんの屑っぷりが一層明らかになったな
他のSSに比べて異常なほど住人の反応が多いよな。面白いし定期投下だからしょうがないけど
最近このスレはヤンデレ家族専用スレだと思うようになってきたわ
他の書き手もこの反応の違いに投下する気が萎えたりしないか心配だ。以前に比べても確実に投下
減ってるしな
お前みたいなのがいっぱいいるから作者が逃げていった
>>711 虐めてる伯母の言う事を聞いてるんだから花火も責任がないわけじゃないだろ。
715 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 16:07:07 ID:wJG0qbOl
>>687 GJっす
兄…報われなさ過ぎて涙が…
(´;ω;`)ブワワッ
せっかく頑張っても選択が最悪になっちゃう
弟は正に漁夫の利だな…
兄貴はそろそろブチ切れても良いと思う
ちらちらと見える両親と伯母の因縁(激しく狂ってるよな)の全容が明らかになってくるのが恐ろしいな
ジミー兄貴本人は、この世に生を受けることで母親が姉(伯母)を出し抜くネタにされた存在でもあるんだろうし
719 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/18(月) 19:22:22 ID:pt9aC4SE BE:1498703459-2BP(802)
>>712 じゃあ俺が空気読まず投下してやんよ。
一年ぶりくらいだけどな。では投下します〜
このように喫茶店で決意したのが昨日のこと。
そして今日から本格的に捜索を始めようというところだった。
朝。初夏の清清しい空気が心地よい頃に彼女、直子は気合を入れて署に出てきた。
課せられたのは幼馴染の捜索。直子は彼についてよく知っている。
幼稚園の頃からいつも仲良くしていたグループの中の一人で、他のみんなと同様とても仲がよかった。
今でも彼や、そのほか仲間達と直子はよく会う。彼は一人暮らしを始めたので今は近所ではないが、呼べば都合が合う限りはやってきてくれる。
基本的に優しい。でも理屈っぽ過ぎる面があり少し頭が固いかなと思うときもある。でも悪いやつではないというのが彼女の評価である。
さて、人物評はさておき、直子は今回の事案をどうするか考えることにした。が、いかんせん情報が不足している感が否めない。
そもそも方針すらも固まっていない。仕方がない、まずは相棒に指定された増田と相談しよう、と直子は決めた。
相談してどうなるかはわからないが、とりあえずはやってみなければわからない。きっと彼だって、言えばわかってくれる。
明美はそう昨晩決心したので迷いはなかった。
決意の表情で廊下を歩いてると直子は同僚の刑事に会った。
「おはようさん〜」
「おはようございます」
「いや〜大変なことになったみたいだね」
「何がですか」
「いやほら、君の相棒の事…」
「あぁ……」
やはり言われた。直子は言われないとは思っていなかった。なので驚きは無い。
「辞令ですから仕方ありません」
「だよね〜うん、速めに事件どうにかするから少しの間よろしく、ね」
彼の”ね”、のニュアンスの中には哀願が含まれていた。彼はよく増田に難癖を吹っかけられてる。
増田が言ってくることには一理あるので難癖とは言いがたいのだが時に想像をぶっ飛んだことを言うので困る人が大勢いる。
それゆえ彼と関わることを嫌がる人は多い。彼の話をいちいち聞くのは疲れることなのである。
時間も取られる。それでいて、真面目に聞かなければ不機嫌になる。不機嫌な彼はまったく仕事をしない。普段からしないのがさらにしなくなる。
さらにいちいち邪魔をしてくる。「自分が必要だろう?」と言わせたがってるかのように。
しかもあきらめない。普通の人ならならそんなふてくされた状態もそんな長続きはしない。
だが彼はあきらめない。この執念は見習わなければと明美は思っている。他の点は別だが。
さて増田はこのような人間なので誰も仕事以外では極力関わりたがらない。
仕事させないわけにも行かないから仕事のときは仕方ないと割り切っている。だがなるべくなら自分と一緒にすることはないようにと願っている。
そう思ってる同僚の刑事から見れば、今回は直子が彼のお守りをうけてくれたのだ。
皆、直子にはある種の感謝の気持ちを持っていた。直子にとっては迷惑極まりないのだが。
721 :
Versprechung:2008/08/18(月) 19:25:09 ID:pt9aC4SE BE:1598616386-2BP(802)
直子は多くの人から感謝のよう言葉を言われながら課の部屋に入り、すぐに増田の姿を探した。
直子も増田の評判をかなり耳にしていた。少しの間だけ仕事を一緒に組んだこともある。
だが本当に直接組むのは始めてである。以前は8人組みのチームの一人としてだった。2人組みは始めてである。
これから増田のことについて知ることが多くあるだろうなと感じた。
ろくでもないことを知るかもしれないかもね、とも思ったが。
というわけで期待値は0。もうどうにでもなれ、であった。
ところが増田の姿が見えない。彼の机にもいないし、給湯室にも見えない。
直子は増田を見つけ切れなかった。そもそも普段増田がどこにいるか知らなかった。今までは現場で合流することがほとんど。
署内での行動にはまったく興味がなかった。そのため普段増田がどこにいるかなんて知らなかった。
「課長〜」
直子は課長に尋ねてみることにした。課長なら知っているだろうというある種期待感をもって。
「なんだい?そろそろ出ようかと思ってたんだが」
「増田君、どこにいるかわかりませんか?」
「あれ、知らないの?」
「はい」
「彼はこういうときは資料室にいるよ。今回の事件と類似した事件がないか調べてるんじゃないかな?たぶんないと思うけどねぇ…」
課長は苦笑いしながら答えた。
「資料室?」
「そうそう、いままでの資料があるところ。よく事件が起こった後なんかは彼は行くんだよ、
資料を読みにね。プロファイリングだ〜なんていいながらね。今回もそんな感じじゃないかな?
ただの失踪だと思うけどねぇ…」
課長は終始苦笑いのまま語る。
「わかりました。資料室に行ってみます」
「よろしく頼むよ」
「はい、課長たちもお気をつけて」
「はは、もう今回のは犯人探しじゃないからねぇ…勝手に捕まってくれたし、正直気をつけることはないけどね。まぁ背後関係の洗い出しに全力を注ぐ感じかな。
なるべく早く終わらせるよ」
「えぇ、では」
「うん、じゃあ」
課長は捜査員として数人を連れて行き、今回捕まった犯人が所属しているという会の本部を捜索しに行った。
他の刑事もそれぞれ外回り。課には直子と増田ぐらいしかいなくなった。その彼も資料室らしい。
とりあえずは増田を探しに行くことにした。
資料室ってどこだったっけ?と一瞬疑問に思ったがすぐに確か3階に部屋があったと思いなおした。
正式名は資料保管室。たまに資料を取りに行くことがあった。しかし、とてもかび臭い部屋であんなところには長くいられないと直子は思っていた
。実際一度多くの調べ物が有った時に長時間はいらなければならなかったことがあり、
そのときは長い時間いられずちょくちょく外にでながら調べ物をした記憶が直子にはあった。
そんな部屋にあえての長時間滞在とは直子は増田がどうしているのか不思議に思いながら資料室を訪ねた。
コンコン。
資料室をノックする音が響く。
「増田君、いる〜?」
直子はドアを開けてたずねる。資料室は3階の廊下の奥にある。日当たりはそこまでよくなく、それゆえにかび臭い。
資料の保存には適してないとおもうんだけどなぁ…と直子はこの部屋に入るたび思う。
「ん〜」
返事が聞こえた。誰も間違いようのないいつも現場で聞こえるけだるそうな声。増田の声が直子の耳に入った。
「どこにいるの〜」
直子が大声で尋ねる。そうでもしないと聞こえないような気がして。
「ここ〜」
資料室はそこまで広いわけではないが、資料が所狭し並んでるのでごみごみした感じがある。そんななかで声で場所を指定されてもわかるわけがない。
「ここじゃわからない。何列の戸棚にいるの?」
「え〜っと……H。」
Hは入り口からそこそこ遠い。そんなところでなにやってるんだと直子は思いながら彼がいるというH列の棚に向かった。そして直子がH列で見たものは―
多くの資料に囲まれてうなっている若い男の姿だった。
増田はまだ若い。歳から言えば彼女と同期かほぼ同じくらいのはず。
彼のほうがこの課に来るのは早かったが、それ以外は特に違いはない。
「もうこんなに資料を漁って……何してるの?」
「……こういうときはまず過去に似たような事件が無いか探すんだ」
課長の言ったとおり彼は過去に類似な事件が無いか探しているらしい。
「事件……?」
だが彼が指している事件がなんなのかまったく直子にはつかめていなかった。
彼女が聞いているのは秀樹探しの件だけである。
「まずは類似の事件を探る。そしてその事件の犯人の行動を探るんだ。」
「はぁ」
「いくつかあたっていけば必ず共通した行動が見つかる。その行動を基本として探れば、犯人が見つかる可能性も高くなる。これは基本だ。」
「それはあなたにとってでしょう?」
「いやいや、基本だよ基本。誰にとってもな。しかしまあ今回の事件はちょっと不可解すぎる。
資料探しにしてもまだまだかかりそうだ」
「あの、だから事件と言うのは?」
直子は聞けなかった疑問をようやくぶつけることにした。
そこに彼の返答が狭い資料室に響いた。
「決まってるじゃないか。失踪事件だよ君の幼馴染の。もしかしたら拉致事件かもだけど」
「はぁ?」
直子は驚いた。えっと拉致?秀樹の事?
「ちょっとまって。もしかしたら拉致ってどういうことよ?あれはただ秀樹がふらっとどこかに出かけたんじゃないの?あいつ一人旅とか結構やってたし。」
増田のいきなりの発想に直子の頭はどうにかなりそうだった。拉致?どうしてそういった結論に至れるの?彼女の疑問はそこに集約されていた。
直子も一応彼の失踪についての資料は目を通している。
だが部屋も片付いていて、むしろ出かけた後のようであると評価されていたと記憶している。
「ふむ、君は彼の部屋を直接見たかい?」
「いえ」
「じゃぁ見にいったほうがいい。非常に面白かった」
「えっと、話が見えないんだけど」
「うん、じゃぁ結論から言おう。彼の部屋は俺には不自然に見えた。」
「えっと結論から言われても……」
直子はちんぷんかんぷんだった。不自然?資料にはそんなことは書いてなくてむしろ…
「片付いていたんだ。だから気味が悪かった」
やはり直子にはなにを言ってるのかわからない。
「うんじゃぁたとえば…旅行に行くとする。男の一人暮らしがだよ?そこで準備するよねぇ…」
「それがどうかしたの」
「部屋が完璧すぎたんだ。掃除も完璧、リモコン類も完璧…ごみすらなかった。仮に旅行に行くとしたら帰ってきた後出すものもあっただろう。
量的な問題から言えば男の一人暮らしでそんなに頻繁に出さなければならないほどごみがたまることは無い。」
「だから?」
「怪しい」
「そんな、ミステリーみたいな」
「ありえないとでも?この世で本当に確率0みたいな事象は存在するのかな?有るとしても俺達はその事象を見つけられる領域まで来てるのかな?」
「意味がわかりません」
「つまりまだまだ俺達は知らないことが多すぎるってことさ」
724 :
Versprechung:2008/08/18(月) 19:28:03 ID:pt9aC4SE BE:1865052487-2BP(802)
「それとこれとは関係ない気がしますが」
「関係ないかもしれない。関係あるかもしれない。とにかく俺はこの事件なにか嫌な感じがする」
「なら関わらなければいいじゃないですか。虫の知らせは大事ですよ〜。」
直子にとって見れば余計なことまで首をつっこんで自分の邪魔をしては欲しくなかった。
だが増田にとってはそんなことは関係ないらしい。
「何を言ってるんだ?虎穴にはいらずんば虎児を得ずって言うだろ?嫌な感じはするが俺にはもっと…そう楽しい感じもする。手伝ってもらうぜ、相棒さん♪」
直子はこのとき理解した。
増田には何を言っても駄目なのかな……と。
「まずは〜やっぱり現場から〜っと♪」
歌いながら出て行く増田を直子は苦笑いしながら追いかけた。
さて時と場所は変わって、この前日の夜、某所にて。
宮田秀樹は焦っていた。
(約束ってなんだ?俺はあいつと何か約束したか?思い出せない。最近会ったのがえ〜と3月だから……でもあの時は……となるともっと前か?)
秀樹は彼のことを監禁している彼女が指していた約束が何のことかいまだ思いだせていなかった。
自分の解放条件であるのに思い出せない。思い出してしまえば、この状況からも脱出できる。
そのことが彼をより焦らせた。早く解放されたいという思いが、思考の邪魔をしていた。
と、そこに階段を降りてくる音が響いた。彼を監禁している張本人が食事を持ってきたようだ。
もっとも彼の時間間隔はすでにおかしくなっている。ただ空腹だと感じていたのでそんな時間かなと思っただけである。
ドアが開くと同時にカレーの匂いが部屋に立ち込めた。どうやら今回の食事はカレーらしい。
「食事の時間よ」
彼女のどこか冷たい声が響く。
「腹が減ってたところだ、感謝するよ」
「いーえ、これもあなたに”約束”を思い出してもらうため。どう?思い出した?」
「いや、さっぱり」
秀樹は手足は一応自由である。だが首輪と鎖によって行動は制限されている。
首輪は鍵で開くようになっていて外すことはできない。その鍵は当然彼女が持っているわけだがどうやら持ち歩いているわけではないようだった。
鎖も硬く、切れるようなものではない。そもそもそんな力は秀樹にはない。
「そう……」
彼女は至極残念そうに言った。
「なぁ……その約束いつしたんだ……?それがわかれば思い出せると思うんだ。」
秀樹はさっきからこのことばかりを考えていた。
内容云々よりもまずいつ約束をしたのか、なによりなぜ履行されてないのか。
時期がわかれば内容も何故履行されなかったかもわかるかも、秀樹はそう考えていた。
基本的に秀樹は約束は守る人間なので、履行されてないということは時期的に何か問題があったのかなと思った末の疑問だった。
秀樹の中ではすでに予想は出来ていた。ただ確信がなかっただけだ。答え如何では一気に記憶のジグソーパズルが進むかもしれない。
秀樹の期待は大きかった。ここまで約束を思い出すことに固執しているならば、きっと答えてくれると思ったから。
「そうね…あれはまだ冬の残り香もあった3月の事だわ…」
秀樹の読みどおり彼女は約束した時期を教えてくれた。
最後に会ったのが3月。やはりあの時かと秀樹は確信した。
しかし何を約束したのか思い出せない。酒も入ってたことだし勢いで言ってしまったのかもしれない。そうなると記憶にあるかどうかさえ不明瞭だ。
だが……とりあえずは思い出すことにしようと決意した。
早くここを出たいから。そう彼はとにかく自由を欲していた。窓もなく、食事は出るが行動の自由はない。
彼女をどうにかすればいいのだろうが、彼女は武道の心得があり彼が少し抵抗したところで抑えこめられるのが落ちだった。
もはや手段は思い出すか救出をまつしかなかった。
「うん、ありがとう。頑張って思い出してみるよ」
「そう……食べ終わったみたいね。また明日ね。何度も言うけど思い出してもらえればいいのよ、私は。だから……早く」
「わかった。わかったから」
「じゃあ……」
ドアが開く。ドアの先は真っ暗でよくわからない。ドアが閉まった後に電気でもつけるのだろうか?彼は疑問に思ったがそんなことは今重要なことではなかった。
空気が入れ替わる。この閉鎖的空間が開放される瞬間。
秀樹にとってこの瞬間がたまらなく愛おしかった。
だがその愛おしい瞬間はあくまで瞬間である。すぐに扉は閉ざされ、そして秀樹がいる部屋は完全に閉鎖される。その瞬間の絶望。
愛おしさと、絶望の繰り返し。秀樹はどこまで自分がこの繰り返しに耐えられるか疑問に思いながらも床に就いた。
もはや今が何時かすらわからない。ただ眠いから寝る。
本能に従う生活にはやくも適応し始めた自分が秀樹は恐ろしかった。
だが、それも仕方のないことのように思われた。ほかにすることもなく、一日中考えて、食べて、寝るだけ。
情報も何も入ってこずただそうやって一日が過ぎていく。電気は消えない。常に明るい。異常だ。だが、その状態にすら慣れてきている。
秀樹は日に日に自分を蝕んでいく不安と緊張
にすでに押しつぶされそうになりながらも、今日も今日とて普段どおり襲い来る睡魔に身を委ねた。
彼女は月を見ていた。
名月として称えられる秋ではなく初夏の、満月でもないありきたりな月を、物憂げな目で。その憂鬱の原因ははっきりしている。
そう、さっきから彼女の脳内で渦巻いている疑問。何故?なぜ?why?とめどない”どうして”の理由は一つしかなかった。
(どうして彼は思い出してくれないのかしら……)
彼女も焦り始めていた。秀樹は”約束”を覚えているものと思っていたから。
しかし彼は一向に思い出す気配がない。約束した季節を言っても思い出せないとなると本当におぼえてないのかもしれない。
もし本当に覚えていなかったら彼女はどうすればいいか、次善策は考えてはいた。
だがもう一度彼女は彼の口で言ってほしかった。彼女の願いはただそれだけなのだ。ほんの些細な、でも彼女にとっては大きな願い。
その願いがかなわなくなる。それはそれで少し悲しいものが彼女にはあった。だがここで彼女の頭に一つの可能性が思い浮かんだ。
(彼は本当は思い出してるんじゃない……?)
彼女はこの突拍子も無い想像を最初は自嘲気味に考察してみた。
だが段々とこの想像が実は当たってるんじゃないかと思えてきた。
(どうして彼は思い出していたとして私にそのことを言えないでいるのかしら…
いえない事情があるから……?そうかやっぱり……)
彼女にはこの想像が正しいとするならば障害となっているであろう物に心当たりがあった。
そう思うともうこの発想が事実としか思えなくなってしまう。彼女は自分を制御しようと試みる。
次善策は用意してある。なのにそんな突発的な思考で今更…しかし彼女の思考はもはや制御できないところまで来ていた。
陥落。彼女の脳は次の行動を一つだけ思い立った。そう本来なら考えたくもないような行動。でも彼女はその発想を受け入れた。否、受け入れたのではない。
押し切られたのだ。もうその思考を止めるものはない。
(そうね。やっぱり邪魔者は消さないと。)
彼女は静かに、しかしながら強く決意した。
消す―彼女が本来もっとも嫌う言葉。
だが今の彼女にはもっとも自分を酔わせてくれそうな、甘く美しいすばらしい言葉。
彼女がその言葉に身を任せ、決意をしたとき、ありきたりな月は魔性の月とかし、彼女の姿は弱々しいながらも妖しい月の光に照らされた外の世界の中で強く輝いていた。
(そう、私はやるわ。私”達”の幸せのために。)
思い込みがズレを生む。
ズレは否応無しに大きくなる。
そのズレを見逃せないものはズレを是正しようと決意する。
その強い決意は運命を変える。
運命が変われば世界も変わる。
世界が変われば…何が変わる?
727 :
Versprechung:2008/08/18(月) 19:30:11 ID:pt9aC4SE BE:1498703459-2BP(802)
くだらない幕間
「はい、冒頭終わりだよ」
奈津子の声が響く。もうお茶を何杯飲んだかわからない。
ちょっとけだるい感じもする。もう夕方だ。腹も減ってきている。
「とりあえず頭の中整理させてくれ。主人公は女刑事…えーと直子とか言うのだっけ?」
「そうよ」
「んでその幼馴染の秀樹ってのがさらわれてるんだが、まだ気づかれてない。とりあえず秀樹の事を探すために増田ってのと組んで…でまぁ次から動き始めるのか」
「そうそう。次からはもっと急展開になるはずよ」
奈津子は目を輝かせながら言った。確かに今回の話はほとんどが登場人物紹介に費やされてたきがする。ん…
「まだ人物は登場するよな?幼馴染のグループのやつとか」
「出てくるわよ。もう慎ちゃんそんなに焦らない♪」
猫なで声で奈津子は言ってくる。何も焦ってはいないのだが。
「文句を言っていいか」
「どうぞ」
「文法、表現がところどころおかしい気がするのだが?」
「そんなの気にしたら負けよ」
「途中から表記が変わってる気もするが」
じとっとした目で奈津子がこちらを睨んできた。さすがに言い過ぎたか。やばい。
「うん、でもまぁ奈津子が作った話だしな、最初からそんなにうまく表現できるわけでもないし段々うまくなると期待しておくよ」
一応フォローを入れておく。一応だ。
「うん!期待してて」
俺の焦りをよそに奈津子はこの一言ですぐに笑顔に戻った。こうして考えると素直でとてもいい子に見えるかもしれない。
だが実情は違う。あーちがうね。ただの気分屋さ。こうしてご機嫌とっとかないと大変なんだ。
笑ってない顔は、可愛くないしな。そんな顔、見たくもないし。
「そうそう、ヤンデレについての講釈だったな元のテーマは。今のところはその成分が薄めじゃないかえ?それらしきシーンも少ないし…」
「そうね、中から見るんだったらその辺のアニメを見てればわかると思うわ。今回の話の肝はね…外から目線のヤンデレよ!」
奈津子は指をびしっと突き出しながら高らかに言い放った。だが俺にはよくわからない。
「外から目線?」
「そう、外から見たときの怖さよ。理解できないからふりまわされる、勘違いを起こす。そんな話よ」
言ってることが俺にはよくわからんが…まぁ要するにヤンデレな娘が起こす事件が外からはどう映るかということなんだろう。そうとしか読めない。
まぁこれから事件が起こってくるんだろう。話が進めば謎の女の正体も自ずとわかるはずさ。
そんなに難しい話を用意しているとは思えんしな。しかし……腹減ったな。
「そういえば慎ちゃんご飯どうする?」
「ん、今それを考えてたところだ。そうだな…食ってから帰るかな明後日学校だし」
「……そう帰っちゃうんだ」
奈津子から心なしか暗いものが見えてくる…これはまずいのか、帰ったらまずいのか?
「いやほら続きはさ、また今度聞くよ。一気に聴いたらよくわからなくなるし」
「そう。それじゃとりあえずご飯作るね…」
「お願いするぜ」
「少し時間かかるから……」
と言い残しキッチンに奈津子は向かった。時間がかかるというと煮物か何かか?と考えた瞬間俺の意識がグラっときた。なんだ……どうした俺……?
と、奈津子が戻ってきてぽつりと言った……
「慎ちゃんがそう言うのわかってたから……ごめんね、ご飯は起きてから……」
その言葉を聴いたっきり俺の記憶は途切れた。
そして次に目を覚ましたのは夜の11時。最後に俺が確認した時間が夕方の7時くらいだから思いのほか意識を失ってた時間は短かったようだ。
参ったな、これじゃ終電じゃないか…どうしよう。
ってそんなことじゃなくて…場所は奈津子の部屋のままだな。ということはあの話みたいに拉致られけでもないようだ。
当たり前だが。俺がいろいろと状況を確認しているそんなところに出来た料理をもって奈津子が部屋に入ってきた。
とてもいい匂いがする。あいつ料理の腕上げたな……じゃなくて……
「あ、おはよう♪」
「おはようじゃねぇよ…なにを混ぜた、どこに混ぜた」
おそらく奈津子が何かを混ぜたのは間違いない。俺は確信を持ってたずねた。
「眠剤を飲んでたお茶に」
予想通り、睡眠導入剤を混ぜていた。
「なんてことを…」
「やっちゃったZE☆」
舌をペロッと出してウインクしながらけろっと言い放った。ちくしょう可愛いじゃねぇか。
「やっちゃったぜじゃない!やれやれ帰ってほしくないなら帰るなといえば…」
「帰るじゃん、それでも」
うぐ…反論できない…いやまぁしかたないか。今までそうやって逃げ回ってたわけだし。
実際この睡眠導入剤も一度俺が帰るために使ったものがばれて没収されたものだった。
自業自得。これほどこの言葉が似合う状況に出会うとは思ってもいなかった。それにしてもここまで帰らせようとしないとは夕食には相当の自信がるのだろう。
「んで、なに作ったんだ?」
「肉じゃが♪この日のために材料買っておいたんだ。でも慎ちゃん帰っちゃたらこんなに時間かけたのが駄目になっちゃうし……」
この匂いの正体は肉じゃがだった。これまた家庭的なものを作ったもんだ。だがそれとこれとは別。言うべきことは言わねば。
「だからって何も言わず睡眠薬かよ」
「てへ♪」
あーやっぱ可愛い。じゃなくて、さっさと食べないとな。
「……はぁ……とりあえずうまいんだろ?冷めたらまずくなる食べるぞ」
「うん」
やれやれ。俺はいつまでこの笑顔に騙されることになるんだろうな。
まぁいい。今のところ特に被害も受けてないしな。騙されるのも悪くはないさ。
「ねぇ慎ちゃん」
奈津子が輝いた目で聞いてきた。
「慎ちゃんはなにかわかった?さっき頭の中整理してたでしょ?」
「なんにも。登場人物も全部出てきていない。ヒントも出てきていない。現状、その拉致られた男の知り合い関係やらなんやら全部洗わないとだめだろうな。
話の流れからして知り合いみたいだし。でも今はまだピースが少なすぎる」
「だよねー」
「じゃぁなんだ」
奈津子の意図が読めなかった。俺の頭の中はさっき奈津子に言ったとおりだ。
奈津子もそれを承知。ならなんで?と。
「うん。慎ちゃんしっかり話し聞いてくれてるんだなーって」
おれの至極当然な疑問に返ってきた答えはこれまた普通の答えだった。
「当たり前だ。聞いてないとでも?」
「ううん。でも……」
「でも?」
「嬉しい♪」
そういって奈津子は抱きついてきた。
「でね、続きがあるの、聞いてくれるよね?」
「あーはいはい。聞くよ」
生返事。さすがに寝起きなのでだるい。
「だめ。やり直し」
だが奈津子は許してくれなかった。仕方がない・
「奈津子様のありがたいお話をお聞かせいただきとうございます」
「よろしい」
そういうと奈津子は俺から離れて続きを話し始めた。
さて今日は寝かせてくれるのかね、まったく。
投下終了します。
次の分はもう出来あがってるのですが次の次の分が出来るまで投下しません
そうしないとまた続き忘れそうで^^;
ヤンデレ分はまだ薄いです。が徐々に増やしていくつもりです
文法等々の間違いはスルーでorz
兄貴は悪意はないんだろうが勇み足が過ぎるな。
立ち回りの悪さで破滅していく人間の典型例。
弟のようにあえて動かないことでうまくいくのも現実ではよくある話。
結局兄貴が全ての苦難をしょいこむことで家族は救われるのかな。
つまり2つの視点か…?物語の中とリンクしてるのか?
ヤバい言ってる事めちゃくちゃだ
734 :
罰:2008/08/18(月) 19:58:26 ID:mZuM35r2
「もう…無理…。」
「何言ってるの?まだ3回だよ。君が今日何回他の女に見惚れたと思ってるの?」
「だから、それは君の勘t」
「そんなことない!!だって私君の事なら何でもわかってるもん!!」
「だからね!!これはね罰なんだよ。私というものがありながら他の女に見惚れた君に罰を与えてるんだよ。」
「私ね、君が他の女に見惚れてとても悲しかったんだよ。」
「だから君が私を悲しくさせた分、ううんそれ以上私を愛さないといけないんだよ。」
「ほら、まだ10回以上残ってるんだから頑張ってね…。」
ごめんなさい。
書いてみたかったんです。
つまんね
何か嫉妬スレの荒らしがついにヤンデレスレにまでやってきたか
夏はまだ終わらない
>>735 書いたみたいと言う気持ちを遠慮なくここで爆発させなさい(`・ω・´)
>>731 家族親族たちのありとあらゆる狂った原罪を、兄貴が背負い込む悲劇、の予想?
それは、どうなるかわからん。
この話は、兄貴を襲う運命があまりに理不尽な事態の連続で
どう転ぶかわからないから面白く感じている。
次回をひたすら待つ。
曜日変わってんのにいつまでヤンデレ家族の話題いつまで引っ張んの
新しい投下も来てんのに何でヤンデレ家族だけの書き込みしてんの
夏が終わるまでしばらく来んのやめるわ
酷すぎる
まぁこういう風に言う奴は大抵消えないから困る
捨て台詞をはいて空気悪くしたあと居座るからなぁ・・・
まあ人気のある書き手ってのは、どのスレにでもいるわけで。だからレス数に差が出るってのは
これまたよくあることだからしょうがないっていうか。
露骨に差が出ると、レスの少ない書き手はいい気がせんわな。
もし、ヤンデレ家族の作者氏がそれに責任を感じてスレから出て行くって
ことになったら・・・。
いろんなことに気を配ってみたほうがいいかもしれんね。もちろんオレも含めてだが。
ヤンデレは監禁に限る
いや、ヤンデレが監禁をしなければ、何のためのヤンデレか
ヤンデレは病んでからこそが本番である
レスの多さは関心のバロメーター
素直に面白いと感じる作品には多くレスつくし、これからの成長が楽しみな作品にも多くレスつく、逆に見所が少なかったりスレチな作品はレスが少なかったりたたかれたりするが荒らしたくない場合はスルーするだろ…
嫉妬スレを潰した、お得意の自作自演ですか?
すまん。
>>744だが言葉足らずになってたんで、またカキコしとく。
別に面白い作品にレスするなって言いたかったわけじゃないんだ。
オレだって自分が面白いって思うSSにはGJしてるし、具体的な感想なんかも書いてる。
ヤンデレ家族も個人的にすげー好きなんで、レスしてるし保管庫でも読み返したりしてる。
だけどさ、こう露骨に反応の差が出ると他の書き手氏は、もういいやとか思うんじゃなかろうか。
レス数が書き手のやる気のバロメーターにかなり影響するだろうし。
事実、ヤンデレ家族の専用スレっぽくなってる現状でもあるし、ここらへんは一考してみるべきじゃなかろうかなと。
でも、気に入らなかったSSにまでレスしたらって言いたいわけではないっていうか・・・。
いつまでも一つの話題を引っ張り続けるのは、あまりいいことではないと思うんだ。
感想ならともかく、個人的予想をカキコするとか。
これは作者の人もやり辛くなるんじゃないかと思うっていうか。
それから一番肝心なことなんだけど、ヤンデレ家族の作者氏。
個人的にはあなたのSS毎回楽しみにしてます。面白いし投下速度も安定してますし。
>>744では批判してると取られてもおかしくないものだったので、謝ります。
これからも投下待ってます。
最後にSS以外なのに長文書き込んですまんかった。
もういいよ。めんどくせーからお前ら全員ヤンデレに監禁されるなり刺されるなりして
幸せそうな顔して息絶えろよ。くだらねーことゴチャゴチャ騒いでんじゃねーよ
あとついでだから言っとくけどな、ヤンデレだから監禁とかって発想はもう飽きたんだよ
もっと新しい発想を持てよ。「心が病んだ女の子の思いもよらない行動」が
俺達の心をざわざわさせるんじゃねーか。予想外な行動をしてこそ良いんだろうが
ヤンデレは監禁してなんぼみたいな発想じたいが間違い。分かったら
>>746は
そこらのヤンデレに海辺の波打ち際で顔だけ出して生き埋めにされて苦しめ
嫉妬スレは潰れてないやい!
きっとあの勢い50以上あった頃のように復活してくれるよっ
なんか
>>749の直後にこんな書き込みしたから
>>749に文句言ってるように見えるように
なっちまったじゃねーかちくしょう!もう俺なんか息絶えちまえ!半年ROMれよ俺!!
夏
日本の夏
キンチョウの夏
批判も作者が成長するために必要なものだと思うぞ
ただ単に「つまんね」とかそういう批判じゃなく
どういう所が悪いのか理由を書くべきだと思うがな
>>756 >>732だけど誤解を招いてすまないが、俺はヤンデレ家族の一つ後のSSの事を言ってたんだが、偶々
>>731が書いた後になってしまっただけだ。「お話の中の人物と、それを説明している人物の2つ」の意味だ。
>>730 お久しぶり、奈津子や慎にまた会えるとはw
増田はボロクソに言われていたからどんな人なのかと思っていたが、意外と鋭いヤツってことなのか……?
ヤンデレ分は十分にあると思うけど、さらに濃くなるなら楽しみw
>>741 いちいち報告イラネ
夏と言わずもうくんなよ
↓が気違いな奴だったらその次のやつはヤンデレに殺される。
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ____
| /゚ヽ/゚ヽ / \
| (__人__) /ノ \ \
| |'|`⌒´ノ / /゚\ /゚\ \
. |. U } | (__人__) |
. ヽ } \ .` ⌒´|'| /
ヽ ノ ノ .U \
/ く
(´∵`)
(´∵)<無駄に安価とるのやめて下さい
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ____
| /゚ヽ/゚ヽ / \
| (__人__) /ノ \ \
| |'|`⌒´ノ / /゚\ /゚\ \
. |. U } | (__人__) |
. ヽ } \ .` ⌒´|'| /
ヽ ノ ノ .U \
/ く
夏ですねぇ
夏ですねぇ
頼むからほんとチラシの裏でやってくれんかな
くそどうでもいいわ
夏休みはいい監禁期間だよな
ヤンデレ、終業式に想っているあの人を監禁して、夏休みはずっと一緒
いえ、これからもずっと一緒ですから
上書き、ことのはぐるま、ほととぎす、続きまだかな。
華ルート読むまでは死ねない。
>>770 しかし現実は監禁された子の親が通報してヤンデレ逮捕。
「夫が隣に」の続きを読むまで死ねない…
キモウトスレと嫉妬スレとヤンデレスレを行き来してたら
どれがどこのSSかわからなくなる
あっそれわかるわ〜特にキモ姉・キモウトとか作品にでてると何処のスレやら、こればっかりはしょうがない
つい今さっき目覚めたんだが言葉様が夢に出た。
んで俺付き合ってんの。超ラブラブなの。一緒に勉強してんの。つか教えてもらってた。
んで一緒に何処かに行くってんで新幹線の「のぞみ」に二人で乗ったところで目が覚めた。
あんまり嬉しかったもんだからここに書き込みしたんだがふと気がついたら
俺ってけっこう精神的にヤバイんじゃないかと気づいた。二次元キャラが夢に出てきて
しかも付き合ってるなんてシチュの夢を初めて見たからさ。どうしたもんか……
問題ない…よくある話だ。
アニメ見て寝たり、FF書いて寝たらよく見る。
俺なんかエヴァFF書いて寝たらマヤと実家に帰宅する夢見たぜwww
夢の世界にまで侵略してくるヤンデレつー電波受信
夏休み
779 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/20(水) 07:22:34 ID:N5hDpmzW
はぁっ・・ヤンデレ家族の続きが見たいな・・
あれは新たな名作だろうさ・・
・・汚れ役にさせられた兄貴に少しでも幸せがやってくることを望む・・
>>772 ストックホルム症候群でヤンデレを弁護してくれる展開ですね
夏休みかぁ、、、良いよなぁ
>>739お前最低限のルールは守ろうぜ…
夏だなぁ厨 【なつだなぁちゅう】
夏厨が出没すると放置ができず「夏だなぁ」と言い出し
荒れの元となりスレ住民全体に迷惑をかける存在。
【特徴】
・とにかく文中に「夏だなぁ」を入れないと気がすまない
・スレの流れや空気を読めず、反応してしまう
・普通のスレ住人は夏厨を放置しているのに自分だけが過剰に反応してしまう
・夏厨に反応している時点で夏厨と同類であることに気づいていない
つまらんコピペだがおまいら自重しなさい。
俺の巡回先でも夏夏言ってしつこく騒いでるのこのスレぐらいだなw
まあ例の大全やら何やらでにわかが増え始めた時期に夏休みが重なって、実際結構酷い状態だから
「夏だなあ」って言われるのは仕方ないのかもわからんね
>>785 でもさ、経験の少ない人を「夏厨」とかいって馬鹿にするのは良くないぜ
プロ野球選手がリトルリーグを馬鹿にしてたら嫌な奴と思わないか?
>>786 そうじゃなくて、無駄に引っかき回そうとするのが問題なんだ。
例えば、マイナス方向の書き込み、過度な否定・文句。
ネットなんだから顔色が見えない、文字が全て。
軽い冗談のつもりが誰かの怒りに火をつけたりするものだ。
何か書き込んですぐに、「つまんね」「死ね」なんて書き込まれたらヘコむ。
何か書く→否定派出現→注意→反論→意欲減退→投下数激減・口論ならぬ筆論
なんて流れはもう止めよう。
私の意見は以上です。
はいはいそろそろじじゅう(なぜかへんかんできなry)しような
>>786 そもそもその「経験の少ない人」が書き込むのが間違ってる
ここ2chだよ?
基本のマナーぐらい覚えてから来てくれ
以下、監禁シチュエーションについての流れ
>>792 背後からフライパン→
彼女の部屋まで拉致&監禁→
「お願い…私だけを見て……」
これ至宝
薬物やスタンガンで気絶させずに、いきなり四肢切断や拘束なんてパターンもあるのかな?
知らんけど。
>>793 うたわれのムツミを思い出した
キムスメ(キモ娘?)だったら良かったのに
書いてみれ、よくわからん
今年の夏休みはウィルス性イボ根絶の為にバイト入れなかったんだけれど
意外に時間がかからなくて暇が出来まくった
お前ら、瀬戸から高蔵寺のあたりで
可愛いくてやや依存度の高めな女の子引っ掛けられそうなスポット教えてくれ
そんなことよりヤンデレの反応を見たいがために従姉妹あたりと駅前を歩きたい
噂だけど、嫉妬スレにある程度SSを投下すると知らぬ間に女の子に監禁されているらしいよ
未完作品の数がそれを物語っているという見解もある
お久しぶりでございますだ
短いの二つほど投下するっす
こんなのヤンデレじゃねえ!死ね!とか言わないで
素で間違えた
ヤンデレスレの間違いだった
赤鬼泣いた」
昔々あるところに心の優しい赤鬼がいました。
人間たちと仲良くしたいと思っていましたが、みな怖がって近づきません。
家の前に
「心優しいオニの家、どなたでもおこしください。
おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてござます。」
という立て札を立てても、人間たちに信じてもらえませんでした。
そんな時、遠くの山に住む幼馴染の青鬼ちゃんがやってきました。
「やあ赤鬼、元気がないな、どうしたんだい?」
落ち込む赤鬼が心配になった青鬼ちゃんが尋ねました。
赤鬼は青鬼ちゃんにすべてを話しました。
すると青鬼ちゃんは
「なんだ、それならアタシにいい考えがある。
アタシが村に下りて暴れまわる。
そこにアンタが止めに入り村人を助ける。
そうすれば村人にアンタが優しい鬼だと分かって貰える」
「でもそんなことをしたら青鬼ちゃんが……」
「アタシのことなんて気にしなくていいんだよ。
アンタのためなら、アタシはなんだってできるんだ」
「そうか、ありがとう、ありがとう」
うれしさのあまり赤鬼は青鬼ちゃんに抱きついてしまいました。
青鬼ちゃんは青鬼なのに赤くなってしまいましたが、
それを言うと青鬼ちゃんが怒るので黙っておくことにしました。
そして次の日、計画を実行に移すことにしました。
「そうだ、アンタは遅れておいで、一緒にいくと怪しまれるからね」
赤鬼が頷いたのを確認すると、青鬼ちゃんは村へ降りていきました。
それからしばらくの後、村のほうから人の悲鳴が聞こえてきました。
「もういいかな」
赤鬼は青鬼ちゃんに言われたとおり、遅れて村へ降りていきます。
村の入り口に立った赤鬼は言葉をなくしました。
ほんの少し前まで人々でにぎわっていた村が、廃墟と化していたのです。
「なんだこれは、なにがおこったんだ」
村に入っていくと、そこかしこに無残に変わり果てた村人が転がっていました。
奥へ奥へ村を歩きましたが、動くものは何一つありません。
「たああああすけてええええええ!」
そのときです、村人の悲鳴が聞こえました。
赤鬼は悲鳴のしたほうへ走ります。
「……!?」
そこには既に事切れた村人を片手に持った青鬼ちゃんがいました。
「青鬼ちゃん!なんてことを!」
村人を投げ捨てて青鬼ちゃんは言いました。
「いっただろ?アタシは、アンタのためならなんだってできるって。
これでアンタの心を乱す邪魔者はいなくなったんだ。
さあ、山に戻って二人で暮らそう。二人じゃ寂しいなら子供を沢山産んでやる」
そう言って青鬼ちゃんは笑いました。村にはもう人間はいませんでした。
返り血を浴びた青鬼ちゃんは青鬼なのに赤くなってしまいましたが、
それを言うと青鬼ちゃんが怒るので黙っておくことにしました。
あかおには、しくしくとなみだをながしてなきました。
「K」
暗い部屋に篭って『彼』を眺める、それが私の日課。
あの雨の日、校庭で『彼』を拾ってから。
雨に濡れて冷たく光る『彼』に魅了されてから。
『彼』を拾った次の日から、何日も学校を休み部屋にこもり、一日中眺めている。
朝日を反射し輝く『彼』も素敵。
月光で冷たく煌く『彼』も素敵。
『彼』に舌を這わせる。ひんやりと冷たい感触が気持ちいい。
このままずっとこの部屋で二人で……そんな生活も終わりを迎えることになる。
親に無理やり学校へ連れてこられたのだ。
車に乗せられて登校。『彼』は上着の内ポケットに忍ばせた。
上着にかかる『彼』の重みが妙に心地よかった。
昼休みまでが我慢の限界だった。
5時限目始業のチャイムが鳴ったとき、私はまだ廊下にいた。
どこか適当に使われていない教室に忍び込む。
授業のない空いた教室にこもって『彼』を眺めた。
そのほうが授業なんかよりもずっとずっと大切で有意義だ。
どれだけの時間『彼』を眺めただろう。
このまま放課後までこうしていられたら、そんな願いはもろくも崩れ去る。
教室のドアが開かれ、キツイ化粧でレンズの厚いメガネをかけた女教師が入ってきた。
ノックもなしにドアを開けたのは生徒指導の柳川だった。
なんてデリカシーのない人間だろう私と『彼』の二人きりの時間を邪魔するなんて……。
そんなだから40過ぎても嫁の貰い手がないんだ。
「ちょっと、授業中になにして――」
柳川が嘗め回すような視線を私に向け、その視線が『彼』で止まった。
「な、あなた!学校になんてものを……!」
『彼』を奪われる!
柳川の手が私の腕に伸び、私は掴まれまいとその腕を振り払った。
――すっ
「ぇ…………?」
鳩が豆鉄砲食らったような顔をする柳川、そんな面白い顔できたんだ。
次の瞬間、首から大量の血が噴出し二人に降りかかる。
とっさに喉を押さえたが、手の隙間から血があふれ出し床に広がっていく。
血の気が引いていくのがわかった。
なんてことをしてしまったんだ!
どうしよう、こんなこと、うそ、嫌、いや、イヤ……
『彼』を汚してしまうなんて!!!
よりによって、こんな、こんな女の血で!
早く、早く帰って『彼』を洗わなきゃ!
元凶の柳川は虚ろな瞳で喉を押さえ、血の海に横たわっている。
ただ汚い水溜りを広げる柳川。
無性に腹がたつ、こんな女の血が、『彼』を汚した……!
がら空きの腹に力の限り、蹴りを入れる、一回、二回、三回、これで勘弁してやろう。
去り際に唾を吐きかけ、私は大至急で家を目指した。
こんな場所、学校では安心して『彼』を洗えない、愛でられない。
はやく、二人の家へ。
それから数時間後彼女は死体となって発見された。
自宅の自分の部屋で全身を鋭利な刃物で滅多刺しにしてベッドの上で死んでいた。
自宅玄関は鍵が掛けられ、自室には内側から鍵が掛けられており、
抵抗した後や争った後がないことから、自殺と思われる。
百以上ある刺し傷のほとんどが股間、下腹部に集中していたという。
表情は満足げで幸せそうだったという話だ。
自殺に使われた刃物はいまだ見つかっていない。
end
以上です
やっぱSSってむずかしい
>>805 割り込んですみませんでした
それとGJ!
童話にはヤンデレがよく似合います
青鬼が素晴らしく可愛いw
赤鬼と青鬼の話をさっきイミフで見掛けたんだが?
すまん童話だったのかw
GJ!
誰か拉致監禁もの書いてくれないかな
片手で村人を持つ青鬼ちゃんに萌えた
では投下致します
第4話『動機』
■幽霊視点
私が死んでから、何年の月日が流れたでしょうか?
幽霊になると本当に自分の流れる時間の間隔が曖昧です。
普段は誰もいないアパートの一室にて独りで過ごす日々が続いたせいか、孤独がたまらなく恐くなっていました。
この幽霊物件と呼ばれた部屋を借りようとする人間は私の存在を知ると数日以内に居なくなる。
最近では噂が蔓延なく行き届いているのか、借りようとする人間はいなくなっていたはずでした。
すぐに独りぼっちになるけど、一番堪えたのは私の存在を拒絶して痛々しい一言を私にぶつける。
私だって生前は恋する女の子なんですよ。
化け物とか、幽霊とか、人殺しとか言われて喜ぶ人間なんてこの世にいるはずがない。
その言葉を聞くだけで普通に傷つきます。1週間以上はずっと落ち込んで泣いたままなんです。
成仏できない間はそんな酷い毎日が続くと私は思い込んでいた。だけど、世の中には幽霊以上に生粋な方がいることを私は知りました。
松山光一さん。
現在の私が住み着いている部屋に住んでいる男の子。
その人は私が幽霊だと知っていても、部屋を抜け出すこともなく、
私の存在に怯えて拒絶せずに何となく家賃が安くなるというだけで私を受け入れてくれた人。
それだけで私の寂しさと悲しみは癒された。癒されたんです。
たった、小さな、いや、本当に小さなきっかけで人の心というのものは癒されると実感しました。
光一さんの共同生活は……私がずっと夢見ていた彼氏彼女の生活を送っています。
光一さんと一緒にいるだけで胸の鼓動が止まりません。
これが恋なのでしょうか?
生前の私は本当につまらない人間でした。
受かった大学が自分のレベルよりも難易度が高かったために留年と退学の二つの選択肢に挟まれて勉学に忙しい日々。
大学で出来た友人は男漁りのために大学にやってきたんでしょうか?
毎日、毎日、毎日、どこぞの男の人と合コンに行ったり、デートしたり、
真面目に日々を生きている私が馬鹿馬鹿しく思えるぐらいに遊んでやがりましたよ。ちくしょうが。
そんな男ばっかり追いかけていた友人の幸せな顔を見た時はちょっとばかりの殺意と恋に対する憧れな想いを抱きました。
女を磨くためにゃ、それなりのお金がいる。新しいお洋服に、TVで怪しい通販番組に電話をして怪しいダイエット商品と
ヤベぇ薬など購入したり、と女の子はとてもお金がかかるんです。
自然と両親から送られてくる仕送りばかりでは生活できずに山に芝刈りに行く事を誰が責められようか?
ええっ。
山の豊富な食材を仕入れないと私の生活はやっていけませんでしたね。
そこらに生えている怪しいキノコや雑草や木の実など自然の食材はタダなので食費節約に本当に丁度良かった。
ただ、それが私の死亡フラグになろうとは夢にも思いませんでした。
その晩に山から取ってきた食材をどうやって美味しく料理を食べるのかと神の一手を打つぐらいに長考して、導き出した答えは。
とりあえず、何でも焼いておこう。炭で。
部屋を閉め切っていることも気付かずに炭で食材を焼いて、何か灰色の煙が部屋を充満するが空腹の胃袋が暴れているので
そんな細かいことは気にしません。キノコを焼くと美味しいそうな匂いがしたので私は無我夢中で食い散らしていると体に異常が。
口から笑いが全く止まらなくなったのです。その場で笑っている間に炭を焼いた煙が部屋中に行き渡り
私は笑いながら、一酸化炭素を中毒になるまで吸って。
死亡。
死因 一酸化炭素中毒死。
当時は女子大学生が一酸化炭素中毒自殺したと小さな新聞社が取り上げていましたが、
それだけで宮野由姫という人間の死はそれ以降は触れられることはありませんでした。
まだ、恋の一つもしていないのにこんな死に方をすれば、死んでも死にきれますか!!
その未練が残っている限りは私は幽霊として存在し続けることでしょうね。
だから、光一さん。
あの女と関わるのはもうやめてください。
わたし、私だけを見て。お願いですから。
■光一視点
昼頃になると何だか睡魔が襲ってきそうだが、幽霊が背後霊のようにべったりと甘えている事以外は何事もない平凡な休日であった。
ある程度の家事を済ませて、ヤンデレゲーをやっていると俺の携帯にメールの着信音が鳴っていた。
メールの相手はなんと、藤寺さんだった。
この間、俺の家へ遊びにやっていた時は後ろで可愛らしく睨んでいる幽霊が体を乗っ取るという珍騒動のおかげで
大した時間も取れずに帰っていた。というか、俺が痛い人という誤解を解くことが大半だったような気もしなくはないが。
メールの内容は単純にこう書いてあった。
松山くん
あの、この前に遊びに行った時に私忘れ物とかしなかったかな?
ちょっと、人の頚動脈ぐらい簡単に切り裂きそうな、毎日毎日研いでいる
鋸なんだけど。
もし、松山くんの家に忘れているんだったら
今、公園にいるので持って来てくれないかな? その後に、一緒にどこかへ食べに行こうよ。
ということで今から30分以内に来て下さい
絶対に来てね。私、ずっとずっと待っているから
それじゃあ。
あんな危ないモノを持って、公園まで行くのかよ。
と、メールを読んだ俺の感想だった。
「ふーん。光一さんは健気な幽霊を置いて、可愛いあの子とお昼を食べに行くんですか」
背後霊が嫌味たっぷりに言ってくる。まるで小姑のような細かいことをネチネチといびってやると思い切りに顔が出ていた。
「由姫さんはお留守番。水と食料は備蓄しているので勝手に食べてくれ」
「いや、私幽霊なんだから別にそんなもの食べなくても生きれるし」
由姫さん。あんた、死んでるでしょ。
「それに光一さん、あの女は危険です。常識的に考えてくださいよ。
どうして、鋸なんかを人様の家に忘れてくるなんてありえないですよ」
「常識外の存在がそれを言うか?」
「女心を理解できない光一さんよりも説得力がありますよ。恐らく、
今回は光一さんを遊びに誘うために忘れて行った鋸を口実に使ったようですね、むむっ、許せん」
「鋸はちゃんと隠して持っていかないと銃刀法違反で逮捕されるし」
「行くんですか?」
「行くよ」
藤寺さんがそこまで気を遣って誘ってくるなら男として行かなきゃならない。家で由姫さんと一緒にいるよりはマシだね。
「むむむっ。私と一緒に居てくれるって約束したじゃないですか!!」
「約束してないでしょ」
「休日は家族と暮らすのが一番いいんです。芸能人が貧乏人には一生食べられないだろみたいな美味しいそうな高級料理の紹介している
テレビ番組を一緒に見たり、貧困層には一生行けないような観光地特集とか見て、今日は過ごしましょうよ」
「何かそれヤダ」
幽霊と一緒にテレビ番組を見る内容がそんなモノしか流れてない放送を視聴するだけで心が病んでいきそうで恐い。
というか、番組内容にちょっと殺意が沸きそう♪
「それだったら、藤寺さんと一緒に昼を食べて来るよ」
「ぬっ? ワタシヲステルンデスカ?」
「捨てるとかそういうんじゃない。ただ、付き合うなら生身の女の子がいいと思うんだ」
「生身!? 生身ですか。やはり、幽霊のような不老不死よりも若くてピチピチした人の方がいいんですね!! うっっっっっ!!!!!!」
「若さの問題じゃねぇだろ」
と、幽霊は泣き崩れて会話にもならんかった。幸い、俺は幽霊に同情して優しい言葉をかけるような人間ではなくて、
号泣している由姫さんは完全にスルーして、藤寺さんが忘れた鋸を適当な包装紙に包んで、さっさと我が家を後にした。
■幽霊視点
殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!!
殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!!
殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!!
光一さんを!! この手で八つ裂きにしてあげます。何が生身の女の子ですか?
私のような幽霊は光一さんの心をGETするような魅力がないと言うつもりでしょうか?
許せなかった。
私よりも、あの女を選んだ光一さんが。
幽霊という存在はこの世に未練があるという他に存在する方法があると聞く。
それは『憎悪』
人を呪い殺すことができる憎悪という感情こそがこの世に干渉する程の力を持つことができる。
すでに人の心を捨て去った私は充分に光一さんを殺すための力がある。
所詮、死者と生者。結ばれるはずもない二人が恋仲の関係になるなんてありえないんです。
だったら、どうすればいいか?
私は今まで考えることを拒否したことに辿り着く。
光一さんが生きているなら、死者になってもらえばいい。
私が生き返るなんて奇跡が起きるはずもない。光一さんに幽霊になってもらって、二人は永遠に愛し合って生きていく。
それが一番の理想ですね。
他の女の人に渡してたまりますか。
これは私の幽霊として意地です。
痛みも感じさせずに殺してあげますから
楽しみに待っていてください。光一さん。
天国と地獄を充分に味わって、一緒に逝きましょう。無限の監禁の始まりです。
それが私達にとって、何よりの幸福ですから。
さてと、荷造りして新天地を目指しましょうか。
よいしょ。よいしょ。
以上で投下終了です
幽霊の日々は次で最終回です
鮮血の雨が降ってくれたらいいと思いますね
それでは
次回最終回なのか…
楽しみだが切ないな
まぁ主人公がどうなろうとヤンデレ娘が幸せならハッピーエンド
というわけでハッピーエンド希望
>>817 GJ!!次回が最終回なのか。もうちょっと続いてほしかったかな。
ところで藤寺さんはヤンデレ娘なのかな?
>>805 怖い良いね
滅多刺しで自殺ってできるのかな
できないでしょ、傷が深いだけで警察は他殺の線で捜査するって聞いた。
滅多刺しなんて・・・・武市半平太は腹を十字に割いて切腹したらしい
ためらい傷だらけの割腹自殺があったけどな
三文字じゃなかったか?
>殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!
某赤い汎用人型決戦兵器のパイロットじゃあるまいし…
一時期、野草を食ってた俺が言える事じゃないが、死因がマヌケ過ぎる…
ともかくGJ!!!
透歌さんの続きが読みたいのは俺だけじゃないはずだ
某赤い汎用人型決戦兵器のパイロットって誰さ?
はいスルー
>>828 汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン弐号機
専属搭乗者 惣流 アスカ ラングレー
コイツはヤンデレか?…否ッ!タダのワガママ女だと思う。
件のシーンは映画見たらわかる…
透歌さんか…待ちだな…
アスカはヤンデレでもなく、ワガママ女でもなく、ただのキチガイ女だよ。
なんでこんな女が人気あるのか理解に苦しむ。
アスカはデレてないというか明確な恋愛感情をもってないだろ
病んだ愛情表現と言えそうな行動もなかったし。
しばらく来てなかったから話が分からんな、透過さんとやらを漁ってくるぜ
それ以前にみやむーが声優をやっている時点でびっくりしたわ
全盛期の頃と比べ、今はなにやってんの?
エヴァで一番ヤンデレっぽいセリフは
「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!父さんと同じに裏切ったんだ!」
パチンコ関係のイベントにちょくちょく出てるらしいよ
>>831 アスカ好きも居るんだからキチガイ呼ばわりは止めてくれよ…
アスカはヤンデレってよりも病ンデルかな、量産型倒しまくるとこは格好良くて好きだよ
恋愛感情で動いてるヤンデレをロボット兵器なんかに乗せたら絶対人類は救われないなw
つまりヤンデロイドでおk
ヤンデレっ娘一人の思いも叶えられない人類なんて救われなくてもいいさ
アスカがヤンデレかツンデレかただの基地か知りたいなら
エヴァ板にいけば懇切丁寧に教えてくれるぞ。
10年以上検証してきた猛者ぞろいがいっぱいいる。
もういいだろアスカなんて
境界線にいるようなやつは解釈のしかたによってキチガイにもヤンデレにもとれるんだから
ただ荒れるだけだろうが・・・
ある程度スレの住人の賛同を得られる女じゃないとめんどくさいぞ
これっていつもあるようなレナはヤンデレ論だろ・・・
・版権モノは専用スレでお願いします。
それはSS投下のお約束であってネタ雑談のお約束じゃないぞ。
アスカついて話続けろとは言わんが
ヤンデレの前で偶数枚の花びらがついた花で『好き、嫌い、好き……』をやりたい
>>843 「どうして『嫌い』が入るの……? ねぇ、なんで!?」
「あ、美玖ちゃん、見てよこの花。花占いの花だ!」
僕はそう言いながら、黄色い雄花を核として、周りを白い花弁が取り囲んでいる清楚な花を指差した。
何故だかはしらないけど、この花は花占いの花として使う花なのだそうだ。
僕はその群生している花から一本を引き抜いて、花占いを始めた。
「好き……嫌い……」
と、そこまで数えたときのこと。
何かそこそこの質量があるものが縄跳びの縄のような音を立てて僕の眼前を掠めた。
同時に、美玖ちゃんのスカートがひらりと翻る。突風でも吹いて何かが飛ばされてきたりしたのだろうか。
「白だ……」
「え?」
「い、いや、花の色がさ」
といいながら花を見た僕は驚愕させられた。まだ二本しか引き抜いていないはずの花びらが、もう一枚しか残っていない。
「どうしたの? 変な顔して」
彼女はそういってコロコロと笑う。
「美玖ちゃん、ダメじゃないか、ずるしたら」
「じゃあ君は“嫌い”でもいいって言うの?」
さっきの何かは彼女の足だったのか。超高速の蹴りで一枚の花弁だけを残して花を蹴散らすなんて、さすが美玖ちゃん、相変わらず人間離れした所業だ。
僕がそのことで文句を言うと、彼女は一変、表情を険しくした。
「いや、そういうわけじゃないけど……でもこれは運命っていうか、そういうのを見るもののわけだし」
「誰が私と君を引き裂くような運命を作っているの?」
彼女の表情の険しさはどんどん増していく。僕はビクビクしながら答える。
「え、ええっと……神様、とか?」
「私と君を引き裂くんだったら、たとえ神様だって殺してやるわ」
彼女はそう言って、にっこりと微笑んだ。
彼女がそういうんだったら、本当にそうしてしまうんだろう。
神様も長生きしたいのか、以来僕が彼女について花占いをすると、必ず“好き”という結果が出た。
なるほどそうなるのか
もっとやって下さい
タイトル読もうとすると噛むな
OK、もっとやるんだ
>>845 神を殺した者はカンピオーネと呼ばれ、その権能を簒奪できるっていうから
ヤンデレは恋愛の神様(アフロディテとかエロスとか)を殺すといいんじゃない?
例のごとく、
>>843を見てついやってしまっただけなので続きません
>>848セリカを思い出してしまったじゃないか・・・・・
どうもこんばんは。
ヤンデレ家族が、日曜日の約1時30分をお知らせします。
清算編です。
***
私は、家族のみんなが好き。
時々不機嫌なことがあるけど、普段は聞き上手で相談しやすいお父さん。
家族全員の面倒を見る、しっかり者のお母さん。
同級生の友達から紹介してと頼まれるぐらい、格好良くて目立つ弟。
そんな弟にいつまでもくっついて離れない、子供っぽい一面を持つ妹。
ずっとずっと、家族五人で仲良くしていたい。
進学したり就職したり結婚したりで離ればなれになっても、胸を張って私の家族だと言い切れる仲でいたい。
お父さんとお母さんは二人とも元気でとっても仲が良いから、離れたりしないはず。
心配があるとすれば、妹がいつまでも兄離れできない場合の説得の仕方。
無理矢理言うことを聞かせようとすれば妹の性格じゃ、間違いなく反発する。
弟に同じクラスの可愛い女の子を紹介してあげたけど、恋仲になったことは一度もない。
どこが気に入らなかったのか、と弟に聞いたら予想外れで、女の子の方から謝ってきたそう。
だいたい会ってから一週間以内、早い場合なら、朝会ったらその日の夕方に。
そんなことばかり続くものだから、最近じゃ弟に女の子を紹介できなくなった。
断られる度に弟は落ち込んでしまうから。
どこが駄目だったのかと同級生の子に聞いたけど、誰もが口をつぐむばかり。
早く弟に彼女ができないかしら。あと、妹にも彼氏ができないかしら。
まったく、仲の良すぎる弟と妹も困りものだわ。
***
困った。
記念すべきほどではないが、一応久しぶりに学校へ登校する、復帰一日目。
朝っぱらから右腕にギプスを装着していることによる弊害が発生した。
「腕が、通らねえ……」
右腕のサイズのみが格闘ゲームのキャラクター並の太さになっているため、
長袖シャツが合わなくなってしまったのだ。
当たり前と言えば当たり前。……なのだがなんとなく不機嫌になる。
今の俺の気分は、なんというのだろう、新学期を迎えた時のようにちょっぴり高揚しているのに、
いきなり出鼻をくじかれたような感じだ。
仕方ない。シャツはやめて、上は白のTシャツだけにしよう。
で、ズボンを穿いて、肩から制服の上着を着て……と。
ふうむ、まるで大怪我をした人みたいな風体だな。
肘が曲がっちゃいけない方向に曲がったんだから、あながち外れてもいないけど。
これから学校だけじゃなく、外出する時もこれかよ。
怪我なんかするもんじゃない。
高橋みたいに、医者に掛からないように生活態度を改めるべきだな。
リビングで以前と同じように朝食を摂り、学校へ向かう。
一週間前と違う点は、まず葉月さんが迎えに来ていないというところ。
それは当たり前だ。俺があんな形で振ってしまったのだから、迎えに来るはずがないのだ。
ここ最近の数ヶ月はほとんど毎朝葉月さんに会っていたから、惜しい気分もあるが……もはやどうにもならない。
女々しいぞ、俺。すっぱり忘れろ。
さて、一週間前と違う点、その二。
「あの、さ」
「なあに、お兄ちゃん」
「こっちは高校に向かう道なんだけど……」
「いいじゃない、時間はたっぷりあるんだもの。私は遅刻なんかしないよ」
妹が弟と腕を組み、一緒に通学路を歩いている。
それだけなら何の変哲もない、俺が毎朝見てきた光景だ。
だが、以前とは明らかに違う。
何故、妹が俺らと一緒に高校へ向かおうとしているのだ。
まあ……いつかやるだろうな、と危惧していたことが現実になったというべきかもしれん。
時間的に見ても、高校から中学へ一直線に向かえばなんとか遅刻せずに済む。
大好きなお兄ちゃんと長くくっついていられる。
妹的には、遅刻するかもしれないというデメリットを計算に入れても、メリットが勝る。
妹はいいだろうさ。妹は。
だが俺はどうだ。高校の校門まで兄に寄り添って歩く中学生の妹を持った俺の立場は。
幸い学校には弟を知っていても妹の顔は知らない人間がほとんどだからいいが、来年度からはそうも行くまい。
妹は俺らと同じ高校に通うと言って、実際に受験して合格した。
そうなったら、名字で兄妹であることがバレバレ。
心配しすぎ? 皆俺の妹の顔なんて覚えていない?
ははははは。これがまた、そうも行かんのだよ。
見よ、同じ路を歩く男子高校生達の興味津々の視線を。
なんかね、俺の妹は目立つんだ。悪い意味でなく、良い意味で。
今は中学生だから背も低いが、これから大きくなるにつれて身体の要所も成長していくだろうし、
年齢不詳の母親譲りの整った顔も大人びていくのだろう。
事実、俺が高校に上がった辺りから驚くほどの成長を見せたからな。
両手に収まるぐらい小さかった子猫がちょっと見ない間にこんなに……というぐらいの驚き。
俺が高校を卒業したら、どれだけ容姿に磨きが掛かるか。
期待四割、悲しさ四割、そして……虚しさ二割。
弟も妹も容姿のレベルが高いのに、俺だけボーダーライン付近なのはどういうわけだ。
俺はしばらく使っていなかったボディソープの容器の口から出てくる塊かよ。
お湯と一緒にこねくり回してやらないと使い物にならない。
いや、もちろん比喩だから肉体的にこねくり回して欲しくない。
こねくり回されるのは辛いんだよ……腕が折れたら特に辛い。
支援になるかしら
さて、校門前。
あと十メートルぐらいで妹はとんぼ返りして中学校へ向かうだろう。
ここに来てまでUターンしないということは、校門ギリギリまで付いてくるはず。
まさか校舎まではついてこないはずだ。
ふと、校門前の様子がおかしいことに気付いた。
生徒が校門を通る時、ほとんどの人間が一瞬驚きの表情を見せるのだ。
ここからでは死角になっていて見えないが、何かがあるらしい。
ふむ。動物の死骸か、はたまた浮浪者か、建前上男子高校生には見せられない書籍が転がっているか、それ以外か。
「あー……あのさ、そろそろ中学に行った方がいいんじゃない?」
「何言ってるの? あと少しなんだから恥ずかしがらなくてもいいじゃない」
「そうじゃない。恥ずかしいんじゃなくって」
弟がなにやら焦っている。
こら、後ろにいる俺を振り向いて助けを求めてくるんじゃない。
お前が何を焦っているのか、こっちは知らんのだ。
校門の前に来て見せるこの動揺の原因…………校門に何かがある、と見た。
ということは、弟はその何かの正体を知っている。
「頼むから、言うことを聞いてくれ。もうここからでも聞かれてるかもしれないんだから」
「誰に聞かれても何も困ることなんかないでしょう?」
「そう……なんだけど、さすがに相手が悪いというか……と、とにかく帰るんだ!」
弟が強く言い放ち、妹の肩を掴んだ瞬間――それは現れた。
「……げぇ」
弟が焦るのにも納得だ。
たしかにこれは相手が悪い。特に妹にとって。
おまけに弟が妹の肩を掴んでいるというこの光景もあまりよろしくない。
姿を現わしたのは、日本人のくせにサラサラの金髪の女子高生、葵紋花火だった。
そりゃ、こんな一見しておっかなさそうな女が進路に居たら誰でも驚くよ。
花火の奴、弟が来るのを校門前で待っていたのか。
好きな男子生徒が来るのを校門でじっと待つ女の子。
聞こえはいいが、実際にいいものかどうかは、女の子次第だ。
校門前で待っているのが花火だったら、ほとんどの生徒なら朝から果たし合いでもやらかすのかと思うだろう。
俺だったら殴られるのを覚悟するね。
弟にとってはどうやら嬉しいことであるらしい。
こっちに向かってきた花火を向いて、朝の挨拶をした。
「おはよう、花火」
「ん……おはよ」
「別に待っててくれなくてもいいんだよ」
「それは…………まさか」
「じゃなくて、外にいたら寒いでしょ? 教室の中の方がずっと暖かくないか?」
「……嫌いじゃない」
「そっか。花火がそう言うなら、止めないよ」
花火が首を横に振る。それを見て、弟が微笑む。
何、この置いてけぼりにされた気分。
二人ともわけがわからん。なんで今の会話でやりとりができるんだ。
花火の台詞があまりに省略されすぎて解読できない。
花火の省略語の意味を一瞬で悟る弟だっておかしい。
こっちは朝の挨拶までしか理解できなかったっていうのに。
こいつら、どれだけお互いのことを理解しあっているんだよ。
花火は弟の手首を掴み、手を引いて歩こうとする。
だが、それをよしとしない人間がここに居る。
もちろん俺ではない。俺の妹である。
妹は弟の右手を掴み、その場から動かない。
お兄ちゃんは渡さない、というやつだろうか。
けど、俯きながら怯えていては花火には到底敵うまい。
「……手」
「て、手が……どうしたっていうの、花火ちゃん」
「離せ」
たった一言なのに、鋭く突き刺さる花火の言葉。
それでも妹はまだ手を離さない。
後ろで見ているから分かる妹の怯え。
膝が、笑っている。
弟を止めるために手を掴んでいるというより、自分が立つためにしがみついていると言った方がふさわしい。
「早く、行け」
「嫌……私が一緒にいないとお兄ちゃんが、盗られちゃう。だから、嫌」
「こいつは、物じゃない」
「お兄ちゃんはずっと私の傍にいるの。それを、譲ったりなんか……」
「――小っさい妹」
妹の腰が引いた。左足が後ろに下がる。
今の妹は、歯をガチガチと鳴らさないよう、奥歯を噛みしめていた。
「勘違いで、こいつに惚れるな」
その一言で、決着が着いた。
妹は弟の手を離した。
支えを失い、膝を地に付けそうになった妹を、後ろから支える。
花火はそれ以上何も言わず、弟の手を引いて校門をくぐっていった。
妹はまだ震えている。
恐怖から覚めていないわけではない。
怒りに震えていた。悔しさが表情に表れている。
「だ、大丈夫か?」
「何よ……何なの。違うんだから、そんなんじゃない。
本当は、お兄ちゃんは私だけに優しくって、他の人なんか見ないのに……」
「お、おい?」
「こんなの、信じない。じゃなきゃ、私は……ただの馬鹿じゃない!
絶対に、勘違いなんかじゃないんだからっ!」
妹は俺をふりほどくと、坂道を上る生徒の流れに逆らい、全力で駆け下りていった。
「やあ、来たか我が友よ」
「おはようさん、お前が相変わらずいつも通りで、俺は安心したよ」
二年D組の教室に入り、自分の席に着いた途端高橋が話しかけてきた。
先週末から昨日まで欠席し、久しぶりに来たら腕をギプスで固めている俺を見て、
クラスメイトもさすがに驚いているようだった。
だがまさか監禁されていたとまでは知るまい。知っているのは担任と葉月さんと高橋ぐらいだ。
「先に謝っておく。済まない」
「何をだよ。お前、何かしたのか?」
「何もしていないことを謝っている。
久しぶりに登校してきたら机の上に花が一輪刺さった花瓶が乗っていた、というお約束を実現できなかった」
「いまいち元ネタがわからんのだが……別に期待してないぞ、俺は」
それ、多分いじめだろ。
実行するんじゃねえ。
「しかしまあ、見事に重傷人だな」
「ああ。右腕が使えないのがここまでやっかいだとは思わなんだ」
「ふむ。……それでどうやって勉強するつもりだ?」
「うむ。……我が友よ。ノートを」
「タダで貸し与えるほど僕もお人好しではないよ。
そうだね、君の怪我が治るまで、昼飯時に毎日ジュースを奢ってくれるのなら応じてもいい」
「この間まで俺は宿題を無償で見せてやってたっていうのに、お前はそれかよ」
「交換条件を出してこない君が悪い。まあ、諦めるんだな」
こいつ……その辺は暗黙の了解ってやつで、わかるだろ?
俺が何の条件も出さなかったんだから、お前だって無条件で見せてくれよ。こんちくしょうめ。
「もういい。お前に頼ろうとした俺が馬鹿だった」
「今更気付いたのか。そうとも馬鹿だよ、君は」
怒るな、猛るな、俺の心。
今、右腕は使えないんだ……。
こいつが憎たらしくても、ひたすらに堪え忍ぶんだ。
「他の奴に頼むからいい」
「ほう、誰に頼むつもりだ?」
「ノートをとってそうで、タダで貸してくれる奴ぐらいいるだろ」
「ほう、例えば……葉月さんとかかな?」
胸が痛む。呼吸が数秒間だけ確実に止まった。
高橋がここで葉月さんの名前を出したのは、俺が葉月さんを振ったと知っているから?
いいや、性悪なところのあるこいつでも、そんなことはしないはずだ。
「どうかしたのか?」
「……なんでもない。時々関節が痛むんだよ。まだ直りきってないから」
きっと、俺が気にしすぎているだけだ。
時間が解決してくれる。
これまでだって、中学時代にハードに振られた時だって、そうだったんだ。
結局、昼食時間にジュースを奢る契約を、高橋と交わしてしまった。
数人の友人に頼んだ結果、理解できる内容のノートを持っているのが奴しかいなかった。
宿題はやってこないくせに、どうして黒板の内容はきっちり書き写すのか、いまいち俺には理解できない。
ともかくそんなわけで、弁当を食べ終えた後にこうしてジュースを買いに向かっている。
校内に自販機は数カ所設置されている。
部室棟、購買前、校舎の一階。
自分の教室から近いのは、もちろん一階にある自販機だ。
教室に近い分生徒が最も利用するため、昼休みになったらすぐ混み合う。
しかし時間帯をずらしてしまえば割と簡単に買えてしまう。
階段を下りて遠目に自販機前を見ると、例にならって、幸いなことに一人もいない。
ちょっと早足で歩き、自販機の前へ。
俺はカフェオレでいいか。高橋は、えー……と、いちごオレだったな。
お金を入れ、ポチポチと、品を自販機から吐き出させる。
自販機の口を開け、カフェオレといちごオレを取り出す。
「……ん、ん?」
あれ、いつのまにかこの自販機には、当たりを引けばもう一本くれる機能が付いていたのか?
もう一本、紙パック入りのカフェオレが入っている。
ふうむ。当たり機能付きにしては、それらしきパネルが見あたらないし、おめでとうの機械音声さえ流れない。
これは――単に誰かが忘れていっただけ、かな?
「あ、やっぱり忘れてたんだ」
手にとって余り物のカフェオレを見つめていると、左から声が聞こえてきた。
何気なく左を向くと、そこにいる女子生徒と目が合った。
「あ……葉月、さん……」
「あなたが見つけてくれて良かった。他の人だったらきっと持って行かれてたよ」
「うん、たぶんそうだろう、ね……」
「どうしたの? なんだかボーッとしてるけど。
もしかして、風邪もひいちゃった?」
「そうじゃないよ。そういうわけじゃない」
そういうのが原因じゃなくて……葉月さんの態度が、気になった。
振ってしまったから、葉月さんに会ってももう話せないだろうと考えていた。
けど、葉月さんは全然そんなこと気にしていない。
まるであの日の出来事が無かったかのように。
俺に振られたことを、全く引き摺っていない。
俺が、気にしすぎなのかな。
カフェオレを渡すと、葉月さんは以前と同じように――軽く笑ってくれた。
「ありがとう。また、同じことしちゃったら、その時はよろしくね」
「うん。その時は、持って帰ったりしないよ」
「お願いだよ? 約束だから、ね?
それじゃ、また!」
「また……教室で」
葉月さんはきびすを返し、階段を上っていった。
「そっか。そういうこと、か」
吹っ切ったんだな、葉月さん。
俺とのことは過去にした。気持ちを整理したんだ。
なんだか、気分が軽い。
気付かないうちに俺は葉月さんのことを気に懸けていたんだろう。
でもそれも――今、この時で終わった。
俺も気持ちを整理しないと。
また、葉月さんとクラスメイトとして付き合っていくために。
告白される前の、友達未満の関係に戻るんだ。
うおおおリアタイktkr
GJ!
葉月さんはふられた程度であきらめる人じゃないよな
今後が楽しみだ
うわっ!この時間はいくらなんでもないなと思ってたら来ていた!
乙です。妹の怒りと葉月さんが段々病んできて、ジミーが勘違いで吹っ切れた…
なんだ、学校来てからかなり変化してきたなオイ。
あと、最初のあれは誰だ…?姉?
このSSかなり息が長いからスルーしてた
どんなお話?
>>859 GJ!
なんか葉月さんって何もしていなくても、何もしていないからこそ余計に読者の想像をかき立ててしまうヤンデレスレに相応しいヒロインだと思う
GJ!!
葉月さんの態度が気になるな…
GJ!
でも清算編って兄貴は何を清算するかを楽しみです
GJ!
しかし、妹の凋落はなはだしいなw
>>865 たぶん理不尽にぼこぼこにされるんだろう >清算編
兄貴頑張れ!
葉月さんは怖いが・・・
グッジョです!
オレも葉月さんに愛されたい。
460KBか、次スレ立てたほうがいいかな
ってことで立ててきます
物凄い久しぶりに来た
小説が随分増えてて俺歓喜。
でも、終わらないお茶会ゲーム化の話って消えたの?
>>873 あー、一応言いだしっぺな人です。
ちまちま進行中。投げ捨てはしないつもりですがまだまともに動いてはいませんな。
とりあえずお茶会と君誰のゲーム用テキストが大体完成せんと進まないし、
私もお茶会作者様もそれ一本ではないので期待スンナ。と言い訳しておく。
あとここでも名乗らなアカンかね?
ちょw
あれ進んでたのか、すげえ
発売されたら買うから気長にガンガッテおくれ
花火性格悪いなー。
勘違いって知ってるなら言えよ。わかってるなら対応しろよ。
もともと好きではないけど、今回さらに嫌いになったぞ。
妹より兄貴の方が遥かに馬鹿見てるじゃねえか。
まるで100%被害者なんだって面してるのも鬱陶しいな
本当に出てくる度にイライラしてしまう
というか今まで勘違いだと教えなかったのはなぜ?
さっさと言えば煩わしいのが減る、もしくわ減らすのが簡単になるのに
勘違いだと教える→妹、ジミーになつく→ジミー幸せになる→花火むかつく
…ということではなかろうか
>>878 恋敵から勘違いと言われて普通信じるか?
結局記憶が戻らなければただの妄言にしか聞こえない
>>876 経緯はどうあれ兄貴が花火の顔を傷付けたのは事実だからな。簡単には割り切れないんだろう。
むしろ自分達の子供が虐待されてることに気付かなかった両親が悪い。特にしまいどんまんの方。
>>881気付いていたが何もしてなかったはずじゃ?
まぁいいや、
↓これ以降ヤンデレっ子のバストについての話題↓
巨乳以外認めねぇ
えー、貧乳だっていいじゃないか。
その場合、敵認定される他の女性が巨乳ならばなお良し。
個人的には可もなく不可もなくの普乳が良いかな、
火種が増える設定だと思ふ
逆レイプって大抵騎上位じゃん。
女を下から見上げる時何も遮蔽物がないと余計むなしい。
天井のシミ数えるなんてヤダ。
ねぇ…君はどうしていつも胸の大きな女に目が行くの?
大きな胸なんて結局はただの脂肪だよ?
そんなものがそんなにいいの?君は小さい方が好きだって言ってくれたじゃない
小さい方が敏感だって、だから貧乳が好きだって
知ってる?巷では貧乳を品乳と書くんだって。意味は品の良い乳なんだって
だってそうじゃない。あんな脂肪の塊なんて将来垂れてみすぼらしくなるだけ
君の言いつけどおり毎日絆創膏を乳首につけてるよ。それに男装だってしてる
…私以外の胸を見ないならそんな目いらないと思うんだ
なんか電波を受信した
後悔はしていない
けど巨乳も良いよね〜
あれ?誰かk
大きいおっぱい、小さいおっぱい、そんなの人の勝手。
本当におっぱい好きな男なら、どんなおっぱいでもイけるよう頑張るべき。
, '´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ、
{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
. }: : : : : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : `}
/: : : : :, _ - ‐ -`、::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::::::::: : : :く 我は主を裏切っても、ホレた女は
lー ´ `ー ''- ‐- '´ー 、:::::::::::::::: : : ソ絶対にモノにします
l_ _ ヽ、 , /´: : :,'
l: : : /,, ̄  ̄ ー -、- ー 、_ /: : : , '
/,: : ´/,-‐=== = 、ゞ: : : :, '二 `ーV、: : ´
{ ',ゝ::/ ,= = ヾ ゙-- ´r - 、_/) `´
`、i: :ヽ, 、f´ヒソ` i f心 ソ /,'ケ
ヾi: : ゞ. ´ l `゙ ´ ./} /
ヽ:', ,,. |: /ン
,一´、:', 、 /:: /
, ' / l::ヽ 、 ,.' 、
, '. / ,!, ,' ヽ `ー ――――' , ' 、 \
/. イ// '. ヽ ゙゙゙゙ , 'ト l ' ,
l ! ヽ , ' l \ l ',
. |. ', ヽ _ _, ' / | ',`‐
| l | l ' , \
| | l \. \
ヤンマーニヤンマーニヤンマー・・・
懐かしいな。DVDボックスが欲しい
今月分のぽけもん黒はまだか
では投下します。第六話です
マジかwwwktk
「大丈夫ですか!? ゴールド!」
部屋に戻った僕の様子を見て、ポポは予想通りのリアクションをとった。
僕が治療を受けている間に香草さんから事情を説明されていたポポは、僕が怪我をしたという情報と僕がいつまでも戻らないという状況からかなりあらぬ妄想をしてしまい、心配になっていたのだろう。
僕は飛びつかれる前に、左足をかばって半歩下がる。
「大丈夫だよ、大した怪我じゃなかった」
作り笑いを浮かべながら、飛びついてきて僕の胸に顔をうずめているポポの頭を優しく撫でてやる。
「心配したです……」
ポポは嗚咽と共にそう言ったきり、僕の胸の中で大泣きしてしまった。
僕が苦笑いと共に香草さんを見ると、香草さんはやれやれ、といった様子で両の手のひらを天井に向け、顔を左右に振った。
ポポは数分すると泣き止んだが、しゃっくりはしばらく収まりそうもなさそうだ。
これじゃあ昼飯を食べにいけないな、と思っていると、僕の怪我を配慮してか、職員が部屋まで三人分の食事を運んできてくれた。
でもなにやら一食だけ妙にデロデロしたものが……。色は赤紫、それに緑の粒々が入っている。漂ってくる香りは酸系。そして時折湯気以外の気体を噴き出している。
「それは怪我人用の特別栄養食とのことなので、ゴールドさんがお食べ下さい」
職員に尋ねたら、そんな回答が返ってきた。
マジかよ……こんなの食べたら、たとえ怪我人ではなくなっても病人になってしまうそうだ。
うんざりした顔の僕を、香草さんは意地の悪い笑みを浮かべながら見ている。
……やっぱり彼女の言行はプライドの高さとかそんなものからくるものではなく、単に性格が悪いせいなんじゃないか、と思い直したくなる。
ポポは意味が理解できないのだろう、目をまん丸にして僕と香草さんを見ている。まあ野生ではこの程度の見た目のものは困惑するものの内に入らないか……。
「香草さん、ポポの食事、お願いします」
僕はこのデロデロと格闘するので精一杯だ。
「そんなの言われなくても分かってるわよ!」
おおっと、予想外の言葉だ。昨晩のこともあるのだろうが、これはいい傾向だ。
さて、これで僕は心置きなくこのデロデロと戦えるわけだ。……逃げたい。逃げることを第一義に置いている僕にとっては、これと戦うという選択肢は普通ありえない。
手を動かそうにも動かない。そしてそのまま対峙すること数分。
敵の隙を見出せない。一体どこから攻めたらいいのやら。
一方、香草さんは蔦を使って自分の食事とポポの食事を平行して進めていた。万能だな、蔦。攻撃に防御に移動に雑務と何でもできるじゃないか。
「あれ? ゴールド、手が止まってるわよ、手伝ってあげましょうか?」
香草さんは僕とデロデロの状況に気づき、悪魔じみた提案をしてきた。答えはもちろんノーだ。
「いや、だいじょう……」
「ほっといたら何も食べないでしょ! 自分で食べれないなら私が食べさせてあげるわよ!」
い、いや遠慮させていただきたい……というかなんで半目半笑いなのさ怖いよ! ああ! 蔦を伸ばさないで! そして僕に巻きつけないで!
そして口を強制的にこじ開けないで! 顔を上向きで固定しないで!
「はい、あーん!」
香草さんはそのデロデロを器用にスプーンですくって――ああ、なんかすごく糸引いてるよ! ――僕の口元まで運ぶ。
口調だけは語尾にハートマークでもついていそうな甘々なものだ。でもこの状況にあーん、なんて可愛らしい言葉はふさわしくない!
あ゙ーん゙、そう、この状況にふさわしい言葉はあ゙ーん゙だ! ああ、当然香草さんはそんな僕の思考なんてガン無視だ!
そんなことを考えている間にもスプーンは僕の口の中に……ら、らめえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
「こ……こんなの初めて……」
人間の尊厳のようなものを破壊された僕は、床でビクンビクン跳ねながらよく意味の分からない台詞を口走る。
いや、何を言っているのかよく分からないが、これは初めてのものとしか言い表しようがない。
「何やってんのよ大げさね! むしろ食べさせてあげたんだから感謝しなさい!」
「じゃあ……香草さんも食べてみる?」
僕はむくりと上体を起こすと、上目遣いで恨めしげに香草さんを睨む。
「何言ってんの、もう容器は空よ?」
香草さんは容器を見て余裕の表情を浮かべている。
「まだ僕の口の中に残ってるよ……」
そう、まだ僕はデロデロを飲み込んでいないのだ! ……いや、飲み込めていないだけだけど。
「は、早く飲み込みなさいよ! 汚いわね!」
それを聞いて香草さんは露骨に焦っている。
「口移ししてあげるよ……うふふふふ……」
「! ゴ、ゴールド、本気で言ってるの? 大丈夫?」
顔面を蒼白にし、ジリジリと後ずさる香草さんを部屋の隅に追い詰める。
「大丈夫? だって? 僕をこんなにしたのは香草さんじゃないか。責任、とってもらうよ?」
ああ、大丈夫じゃないとも。こんなもの皿一杯食わされて大丈夫な人間なんていたら見てみたいね。なぜかいつもより頭がよく冴えている。
今の僕なら何だって出来そうだ! 香草さんと普段の立場を逆転することぐらい訳ないね!
「よ、寄るなバカぁ!」
香草さんは涙目でそう抗議するが今の僕には届かない。フフフ、この至近距離じゃ一切の攻撃手段は行えないだろう。
せいぜい体当たりくらいだ。しかし体当たりなんてしたら僕の口の内容物が彼女に噴霧される。彼女もそれをよく理解していることだろう。
「あっ……」
逃げ場を失った彼女はポスンとベッドに倒れる。フハハハハハ、後は煮るなり焼くなり僕の自由だ!
「さあチコ、召し上がれ」
僕はそう言って口を半開きにして彼女に覆いかぶさろうとした瞬間。
ちゅーーーーっ。
眼前一杯にポポの顔が広がっている。
おかしい。僕は香草さんに口の内容物を口移ししようとしていたはずなのに、何故ポポに口の内容物を吸いだされているんだ?
いやいや、物理的にはおかしなことなんて何もない。僕が香草さんに覆いかぶさる寸前、ポポが脇から入ってきて僕の唇を奪ったっていうだけだ。
「何ですかコレ酷い味です!!」
ポポがむせながら狂乱し床をのた打ち回る音で、ようやく僕は静止から覚めた。
「ポ、ポポ、一体何やってんだよ!」
何やってんだよ、と言われるべきは間違いなく僕のほうなんだろうけど、今はそんな冷静な思考が出来ていないからそんなことを言われても困る。
「だって、ゴールドがずっと口に入れてたから、ごちそうだと思ったんです……」
ポポは顔を真っ赤にして涙目でそう訴えた。
僕は水をポットからコップに移してやり、ポポに飲ませてやる。
そして僕はポットから直に水を飲む。
「っぷはあ! 死ぬかと思った!」
口をこれだけゆすいでも、口中には異臭がこびりついている。本当に酷いものを食べた。
僕がうずくまって荒い呼吸をしていると、突然服を引っ張られた。振り向けば、香草さんが目に涙を浮かべてベッドの角に座っている。
どうやら蔓で引っ張られたようだ。しかしなぜか心なしか着衣も乱れているような。
「アンタ……一体何してくれんのよ……」
何故か香草さんは激しくお怒りのようだ。いや、これは怒りなんだろうか。突然物凄い眠気が襲ってきたから良く分からない。
なんかもういいや、寝よう。
そして僕はそのまま床に横になった。
ぐったりとしただるさで目が覚めた。
体を起こそうと思ったが、腹部に乗っている何かに邪魔された。
その何かとは香草さんの上体だった。ベッドの脇におかれた椅子からベッドのほうに倒れかかるように眠っている。つまり僕はベッドの上。
これはベッドに寝ている僕を介抱しているうちにそのまま寝てしまったって感じだよね、どう考えても。
おかしいな、なんでこんなことになってるんだ? 僕は早朝目を覚まし、そして……あの胸糞悪くなるような体験をした後部屋に帰って……
それで……何か明らかに毒物な昼食を香草さんに食べさせられて……その後の記憶がない。なんだ、つまりは全て夢だったんだろうか。
いやな夢を見たなー、と自分を誤魔化す。しかし、その淡い願望はふとももに巻かれた真新しい白い包帯によって否定された。
はあ、と落胆のため息を吐く。そうすると、僕は昼食を食べた後、そのまま寝て……いや、失神しまったのかな。
それで香草さんが僕の様子を心配して見ていた、ってのが一番辻褄が合うかな。何か違う気がするけど、そういうことにしておこう。
はは、香草さんが起きたらお礼言わないとな。僕はそう思いながら枕元のポケギアに手を伸ばす。待ち受け画面のデジタル時計の表示は十六時半の辺りを指していた。
時間から鑑みるに、四時間程度寝ていたらしい。多分あのデロデロ、睡眠薬も入ってたな。じゃなきゃアレを食べさせられた後、気がつけばこの時間になっている説明がつかない。
確かに安静にさせるには寝させるのが一番いいけども、事前に一言くらい言ってくれてもよかったようなものなのに。
さて、これからどうしようか。起きようにも、香草さんを起こすのも悪いしな。そうだ、ポポはどうしているだろう。
僕はそう思って顔を左に向けた。
ポポが部屋の中央で蔦でぐるぐる巻きにされて逆さ吊りになっていた。
えええええええええええ。
えええええええええええええええええええええええ。
いや、待ってよ、意味がさっぱり分からない。
というかポポの顔に血が集まって赤く膨れている。これはかなり危ない段階なんじゃないだろうか。
こうしちゃいられない、と香草さんをどかして、ポケットから十得ナイフを取り出し、ナイフを立てると、ポポを支えながら蔦を切断した。
「大丈夫かポポ!」
血圧を適切にするために上体を持ち上げながらポポに話しかける。
「……ぅ……ぁ」
ポポは小さくうめき声をもらすのみだ。やはりかなり危ない状態にあったらしい。
「なによ一体……」
僕が頭をどけたからだろう、香草さんも目をすりつつ起き上がってきた。
「香草さん! なんでこんなことしたんだよ!」
僕は思わず香草さんに怒鳴る。普段なら怖くてとても出来ないが、ちゃんと怒ることができてよかった。
「こんなことって……悪い鳥にはしつけが必要でしょう?」
彼女はしれっと恐ろしいことを言っている。おかしい。僕の記憶が定かなら、ポポに対する香草さんの対応はマシになったはずなのに。
まあついさっきも飛んだようなまったくあてにならない記憶だけどさ。
「悪い鳥って……ポポが一体何をしたって言うんだよ!」
「何……ってゴールド、あなたそれ本気で言ってるの?」
香草さんの表情が急に訝しげなものに変わった。
「ああ、本気さ!」
本気で言ってるの? と聞かれればこう答えるしかない。
「あなた、あんなことしておいて、私に何をしたか覚えてないの? それとも別にあんなことは大したことの内に入らないってわけ?」
「あんなこと……って、シルバーとのポケモンバトルのこと? あれは確かに巻き込んで悪かったよ。でも、ポポは関係ないだろ?」
「……その後よ」
香草さんは呆れるように言った。その後? その後に何があったっていうんだ。
「その後? 巡査さんに説教されて、女医さんに治療してもらって、部屋に戻って、昼食を無理やり香草さんに食べさせられて、それで寝ただけだろう!?」
僕がそう言うと、彼女は落胆を露にした。
「……はあ。なによ、バカ。何も覚えてないのね。確かにあなたは正気のようには思えなかったけど、にしたって酷いわ、ホントに」
覚えてないのね。その予想外の言葉に、僕は動揺する。
「……僕が何かしたのか?」
「何か、なんてもんじゃないわ。とんでもないことよ。私を酷く辱めたわ」
「辱めた……だって!? まさか、僕がそんなこと……」
辱めた。その言葉で頭が真っ白になる。僕は本当に何も覚えていない。でも、もしそれが真実なら、僕は最低の人間じゃないか。
そう思う。ただ、同時に疑念も浮かぶ。
「あの鳥と一緒になってやったわ。だからあの鳥には罰を受けてもらったの」
「だったら僕だって罰を受けるべきだろ!」
僕がそう叫ぶと、香草さんはキョトンとして僕を見た。その発想はなかったようだ。
「……それもそうね」
「よし! ならば吊るせ! 死なない程度に!」
僕はそう言って体を大の字に開いた。記憶がないとはいえ、罪は罪。ならば償わなければ。
「何やってるの?」
「え、な、何って、逆さ吊りにしやすいようにって」
なんか冷静に言われると凄く恥ずかしい。一思いにやってほしい。
「罰は私が決めるわ」
「え、でもそれだと平等じゃな……」
「主犯と共犯で刑が違うのはあたりまえでしょ……」
「確かに……」
「でしょう。そうね……罰は……」
と、香草さんが思案を始めたとき、ポポが目を覚ました。同時に飛び上がり、僕の後ろに隠れた。
「酷いです! どうしてあんなことしたですか!」
ポポは泣きながら香草さんを責める。
「どうして……って分からないわよ、そんなの」
香草さんは悪びれる様子なくそう返した。
……分からない?
「ちょっと待って香草さん、分からないってポポが僕と一緒に……その、悪いことをしたからなんじゃないの?」
僕は当然の疑問を香草さんにぶつける。香草さんは少し顔をしかめ、そのまま沈黙している。
……何か話が香草さんの都合のいいように曲げられている気がする。ここはポポにも話を聞いてみるべきだ。
「ポポ、僕が昼食をとってから今に到るまで、何があったか説明してくれないか?」
「せつめい?」
ああ、説明と言われても、ポポは事情が分からないか。
「どうやら僕、昼食食べてから記憶がなくて。それで、なんでこんなことになっているか分からないんだ」
「なんでって、だからアンタ達が私を酷く傷つけるようなことを……」
香草さんは慌てるように僕達の会話に割って入った。それに対してポポが反抗する。
「ポポは何もしてないですー! ただポポはゴールドと口移しで食べ物を食べただけです!」
……口移し? 僕が? ポポと?
口移しというのは、つまりマウストゥーマウスってことで、つまりそれは……。
待て待て待て待て、今本題はそこじゃない。それにポポはほら、妹というか娘というかなんというかほらアレだようん。セーフ? ノーカウント?
「ポポ、もう少し詳しく話してくれないかな」
僕は脳内を駆け巡る余計な思考から目を逸らし、平静を装ってポポに質問する。
「はいです! ゴールドはご飯を食べた後からなんだかおかしくなったです」
「おかしくなった?」
「いつものゴールドじゃなくなったです。それでチコに口の中のものを移そうとしたです」
「僕が!? 本当に!?」
信じられない。だってまるで記憶にない。それに僕はそんなことを思っても行動を起こす度胸なんて持っていない。確かにアレを無理やり食べさせられたショックはあったけど、そんな大胆な方法で反抗に出るなんて思えない。
「本当です! ポポはそれで、ゴールドはとってもおいしいものを食べてるんだと思ったんです。だからゴールドから口移しで食べさせてもらったです。……すごくまずかったです」
ポポはうつむいて舌を出した。
「そしたらゴールドは倒れて、それでポポ悪くないのにチコにいじめられたですー!」
ポポはそう言うと僕の背中に泣きついた。
香草さんは相変わらず沈黙だ。
「香草さん、これが真実なんだね?」
「……そうよ。でも! ゴールドが私に酷いことしようとしたのは事実じゃない!」
う、それを言われると痛い。ポポの話から判断しても、僕が大変なことをしでかす一歩手間までいったのは事実のようだし。……でも、辱めた、って表現は大げさなんじゃないかな。
「でも、ポポは何も悪くなかったじゃないか。僕はちゃんと罰を受けるから、ポポに謝りなさい」
僕はそう言って背中に張り付いているポポを剥がし、香草さんとむき合わせた。香草さんがポポにやったことには正当性がない。
どうして香草さんがあんなことをしたかは分からないけど、形式だけでも謝ってもらわないと、この先旅を続ける上でどんな支障が生じるか分からない。
香草さんは顔を時々上げて口を動かそうとし、しかし口を止めて顔を下げるという動作を数回繰り返した。ポポはそのたびにビクビクしている。
「……ぅ、ごめんなさい」
その繰り返しの後、ようやく香草さんはそう言った。当のポポはどうしていいのか分からないのだろう、目を所在無さげに漂わせている。
これ以上は望みすぎか。ようやく関係が改善してきたと思ったのに、また前に逆戻りか。そう考えると気が重くなる。そして、僕が受ける罰についても。
「罰は……今はいいわ」
香草さんのその言葉で、僕は口を大きく開いた。まさかあの我儘な香草さんが、何の復讐もなしに引き下がるなんて、考えてもいなかった。
香草さんは顔を上げて僕のそんな様子を確認する。すると表情を明るくし、いつもの様子で僕に言った。
「あくまで今は、って意味なんだからね! 絶対にこのことを忘れるんじゃないわよ!」
その様子はすっかりいつもの香草さんで、僕は脅されているような状況なのに、ほっとしてしまう。
「うん、覚えておくよ」
出来れば永遠に来ないで欲しいな。
とりあえず、これで一応は場が収まったと思ったので、僕は女医さんのところに、昼食に何を混ぜたか問いただしに行くことにした。香草さんとポポもついてくるそうだ。まあそうなると思ったけど。
僕が強い口調で意識の喪失と性格の一時的変化について問いただしたら、「ああ、そう。たまにあるのよ」と軽く流されてしまった。しょうがないから次からは普通の食事をとるように、と指示された。
僕はその回答に到底納得はいかなかったが、ポケモンセンターは全国的にネットワークでつながれているので、ブラックリストにでも入れられたら今後の旅がどうなるか分かったもんじゃないから、おとなしく引き下がった。香草さんが無言でいてくれてよかった。
日が暮れてなかったらきっと猛抗議していたことだろうな。
日が暮れてしまったから香草さんの感情の変化はよく分からないが、普通の食事をとるように、と言われた時に心なしか沈んだように見えたのは、僕の気のせいだったのだろうか。
以上で第六話終わりです
自分で月一更新と決めていながら、それすらギリギリであることが情けない……。速筆の書き手さんを見習わなければ
GJ 徐々に香草さんが黒くなってるなw
GJ!
香草さんが怖くなってきたな、逆さ吊りはきつそうだwww
GJw
罰が楽しみだwww
GJGJ!
香草さんは勿論大好きですがポポはもっと大好きです!
しかし今からこれじゃあ
新しいポケモンゲットしたらもっと黒くなりそうだなw
香草さんは本妻宣言でもしそうだな……
ポポは純粋だな・・・それともこれからだんだんと病んでいくんだろうか
純粋な子が病むととても美しいだろうな
ポポに多少の腹黒さを感じるのは俺だけ?w
そう言われると腹黒娘に思えてくる
そして三角関係勃発か
きーみはだれとキスをするー?
私? それとも…
あなた…?
ねぇ、なんで答えてくれないのよ。
ねぇ・・・・・?
さっき気が付いたんだが、ヤンデレスレいつのまにか増えてるんだな
あれは逆レイプがメインじゃない?
915 :
罰2:2008/08/29(金) 23:20:23 ID:SFV3VAKR
「ねえ、いつまでこうしてなきゃいけないの?」
「嫌なの?嫌じゃないよね?」
「もう5時間だよ…。いい加減見飽きたでしょう?」
「ぜ〜んぜん、一日じゅう見てても飽きないよ。」
「せっかくの休みなんだからどこかに行こうよ。」
「言ったよね、今日は私だけを見てって。」
「天気も良いし…。」
「君が悪いんだよ、私以外の女を視界に入れるから。」
「普通に生活してたら入るでしょう。」
「だから、休みの日は私だけを見て、私以外の女を視界に入れないで」
「もしも、休みの日にほかの女を見たら…。」
「私…ナニするかわからないよ…。」
916 :
罰2:2008/08/29(金) 23:25:53 ID:SFV3VAKR
またです。ごめんなさい。
他に罰が思い浮かばない…。
死ね
918 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 18:41:13 ID:441CGgIq
死ぬのはあなたよ!
この泥棒狐め!
シネとか言うな! 言葉大好き
スクデイの言葉ってさヤンデレヤンデレいわれてるけどデレてたか?
なんかヤンデルのほうが正しい気がするんだが
>>920 普通はスクイズだろjk
それは読解力が弱いからだと思われる
スクイズは最初はそれなりにデレてたし
エセヤンデレブームにのっかった作品群とくらべるとちゃんとつくりこんであるぞ
ちゃんとデレ→ヤンのテンプレを踏んでたジャマイカ
死ね
生きろ
まずい!僕の"生きろ"というギアスが、ここは逃げろと叫んでる!!それほどまでの相手なのか、ヤンデレっ娘は!!!
ウザクは本気で死んでもいい。むしろ死ね。
そういえばギアスのニーナも一応ヤンデレっぽい気がする
主人公に対してデレてるわけじゃないけど
ユフィに対してはデレデレですよ
日本人を虐殺しろ宣言に従って超兵器作るぐらいには
死ね
生きろ
930 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 13:45:52 ID:PCUizSK6
死ぬ
生きろ、そなたは美しい
田島陽子に怒られるぞ、そんな時はポマードポマードって3回唱えるんだ!
ヤンデレを泥酔させて、次の朝に
『昨夜大切な約束したのに覚えてないのか』
とか思わせぶりに言ってみたい
泣き喜んで飛びついてくるような気がするんだが
その後どうするんだ
>>933 鬼畜w
そういうことばっかりやっていたら確実に死亡エンドだろうな
ヤンデレ数珠繋ぎを見てふと思い浮かんだものを投下したいのですが、よろしいでしょうか。
938 :
無題:2008/09/01(月) 21:01:07 ID:CnQkPIZk
それでは、投下させていただきます。
最近、姉がよく僕に姉の親友の話題を振ってくる。
高階由紀子さんというらしいその人は姉の親友で、姉の好きな人の妹さん。
なぜか、姉は僕にその人がいかにいい人かというのを力説するのだ。
「すっごく美人なのよ」
「頭も良くて、優しい子なの」
「絶対気に入るって!」
僕はいつも適当に聞き流していたのだが、ある日姉の忘れ物を届けに姉の大学まで足を運んだときに、女との邂逅を果たすことになった。
「はじめまして」
確かに姉が褒め称えるだけあって美人だったが、何というのだろうか、少し目が澱んでいるような気がした。
さて、実はそれ以来彼女にはあっていなかったのだが・・・なぜか今、僕は姉に縛られ、高階さんに差し出されている。
「ごめんねー、でも、由紀子がどうしてもあんたを欲しいって言うから」
「私も兄さんを差し出しますし、ギブ&テイクですわね」
たしかに、姉の下には以前写真で見た男性が転がっている。
彼の方はどうやら気絶しているみたいで、全く反応がない。
「でも、何で・・・」
「だって、あたしが何言ったって反応なかったし、逢っても特に気に留めた様子もないし・・・ま、あたしもだけど」
「私達、お互いに相談してたんです。どうやったらお互いに好きな人を振り向かせられるか」
「彼にもあんたにも彼女いるから、一旦は諦めようと思ったんだけど・・・無理だった」
「だから、いっそ引き離してしまえって思ったんです。引き離して、ずっとずっとずっとずっとずうううううううっと一緒にいたら」
そこで彼女は言葉を切り、僕に向かって幸せそうに微笑んだ。
「きっと、私のほうを好きになりますよね?」
ここまで否定を許さない疑問を、僕は知らない。
ガクガクと震える足。いや、足だけじゃなくて、全身が震えている。
「さあ、行きましょう?二人の家に」
「じゃあね、たまには会いに行ってあげる」
そして、僕は意識を暗闇に落とした。
最後に映ったのは、姉の微笑。脳裏をよぎったのは心配性な恋人だった・・・。
次回、監禁される弟のもとへ颯爽と恋人が現れる!由紀子はその時、一体どうするのか!?
・・・ごめんなさい、嘘です。続きません。
GJ
GJ!!
ねっとりと愛されるのでしょうな、羨ましい
まだ埋まってないな
次スレ立てるの早かったのかな
今のペースなら480KBぐらいになったら立てればちょうどいいかも
480じゃ誰かが埋めネタいれるとき困るかもしれない465くらいでいいんじゃ・・
ヤンデレの女の子に埋められたい…
ヤンデレの女の子に開き直ってベタベタしたらどうなるの?
後が怖い
埋まってない、僕の乳首みたい!
なんか次スレで怒られたから産めに来ました
庭でやけに大きな穴を掘っているヤンデレに話を聞いてみたい
ムダにフラグ立てるなよ(笑)
後9KB
500KBか1000レス、行くのはどちらが先かな
埋めネタ待てばいいじゃん
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lー ´ `ー ''- ‐- '´ー 、:::::::::::::::: : : ソ
l_ _ ヽ、 , /´: : :,'ヤンデレよりも千草がいいですよ
l: : : /,, ̄  ̄ ー -、- ー 、_ /: : : , '
/,: : ´/,-‐=== = 、ゞ: : : :, '二 `ーV、: : ´
{ ',ゝ::/ ,= = ヾ ゙-- ´r - 、?/) `´
`、i: :ヽ, 、f´ヒソ` i f心 ソ /,'ケ
ヾi: : ゞ. ´ l `゙ ´ ./} /
ヽ:', ,,. |: /ン
,一´、:', 、 /:: /
, ' / l::ヽ 、 ,.' 、
, '. / ,!, ,' ヽ `ー ――――' , ' 、 \
/. イ// '. ヽ ゙゙゙゙ , 'ト l ' ,
l ! ヽ , ' l \ l ',
. |. ', ヽ _ _, ' / | ',`‐
| l | l ' , \
| | l \. \
ume
説得して縄を解いてもらったあと、
『悪いが水をくれないか』
とか何とか適当なことを言ってその隙に脱出したい
追いかけられるのを楽しむんですね。わかります。
ヤンデレにはこういう楽しみ方もあるということです。
俺は追いかけられるのは怖すぎてダメだな
子供の頃から怖い夢といえば何かに追いかけられる夢だった
1度でいいから自分がオドオドしてるヤンデレ娘にストーキングされてるのに気づき
自宅近くで偶然出会ったと装い家に上げて、
茶を一緒に飲んで少し話して気が緩んできたところで
「ところで俺をストーキングした気分はどうだった?」って切り出し
そのまま罵りながら二度とストーキングするなと言い渡して絶望に追いやりたい。
そして「ストーキングがだめなら一緒に住めばいいんだ」と思い立ったヤンデレ娘に監禁されて
そのまま(ヤンデレ目線では)仲睦まじく暮らしていきたい
960 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 08:34:16 ID:aCv2xoqC
家にあげた時点で主導権は女の子に。
>>959 早くその妄想をSSにする作業に戻るんだ
一度あったら二度目はない希ガス
離婚を突きつけたのはちょっと減点だけど、でも萌えたw
もちろん回答者は全部奥さんです
>>963を見て一般人の兄が
「クズ女死ね」
って言ってた。
やっぱ当然の反応なのか。
>>965 そんなSSどっかでみたぞw
常駐してる掲示板の住人全てが幼なじみってやつ
971 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 23:09:33 ID:aCv2xoqC
正直、微妙。
お前の好みは聞いてないです
なんだ俺の好みを聞きたいのか?
いや、俺の好みが聞きたいんだろ?
聞かれてないけど俺の好みは年齢8歳から12歳までの可愛い系の女の子!
>>969 こしばてつやのラブゴッドに似てるな
怖さと萌えはラブゴッドのほうが数段上だが
う
め
梅
979 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 16:18:48 ID:fM23Jqtn
つまらんな
>常駐してる掲示板の住人全てが幼なじみってやつ
こ〜こはど〜この箱庭じゃ?が、近いかな。
あれやるごとに俺のPCもこんな娘だったらなぁって思う
埋まる寸前なら言える
バイト先に弱々しい感じの女の子が入ってきた
ヤンデレであれ
「ヤンデレであれ」
その言葉を最後に
>>983は暗く冷たい土の中に生きたまま埋葬された。
勘違いしてるこがいるな
産め
私の子を
988 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:28:30 ID:0D89m8VU
そして
私と
一緒のお墓に入りましょう
ヒィィ
992 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 11:17:27 ID:If/9jvXM
こらこら(笑)
ヤンデレに
「愛してないけどおっぱい揉ませろ」
って言ったらきっとおっぱいでビンタされるんだろうなと…でも巨乳限定だよな……
でも本物のヤンデレはそこで覚醒して毎晩自分の胸をマッサージしたり
豊胸器具やら整形外科に行ったりするんだろうな
そんで家に呼び出して
「どうしたらわたしのこと愛してくれるのかな?一生懸命頑張ったんだよ?
この前より少しは大きくなったんだけどこれでも愛してくれないのかな?ねえ?
それとも大きさよりも形なのかな?言ってくれればどんな形にでもするよ?」
とかおっぱいさらけ出して迫ってきたりとかしてなんてこんな妄想を昼間っから
してるわけだけどこのスレもあと少しなんだからさっさと泥棒猫と一緒に埋めようぜ
ってなわけで埋め!!