クロノトリガー/クロノクロス エロパロスレッド

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1名無しさん@ピンキー
クロノトリガーとクロノクロスのSSスレです。

エロパロ板保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/

クロノ・クロス エロパロスレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071026241/l50
2名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 23:17:37 ID:3iNSN8IH
前スレ落ちたんで様子見がてら立てて置きます。
3名無しさん@ピンキー:2008/07/03(木) 23:30:31 ID:arurnCHT
>>1
4名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 00:42:05 ID:nF2zpgRc
>>1
5名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 00:57:26 ID:5vB7xyWU
>>1
トリガーのSSでも期待してみるか
6名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 01:00:37 ID:mztH2Mog
誘導とかしなくていいのか…?
7名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 08:51:06 ID:msincRv0
前スレの終わりにSS投下したんですが、誰も見てなかったっぽいんで再投下します。
>>6
すでに前スレはdatの海に……。
8風の泣き声:2008/07/04(金) 08:51:38 ID:msincRv0
       1

 遥か天の彼方。雲を見下ろす高みに、その国はあった。
 魔法王国ジール。
 この国に住むものは、誰もが例外なく魔法の力を持っている。
 国の南にある太陽神殿が島を浮揚させる原動力となり、あらゆるものを統理する。
 人々は繁栄した王国の生活を享受し、終わることのない安寧に身を横たえている。数百年前人類に芽生えた魔法が、文明を飛躍的に発展させ、この空に浮かぶ庭園都市を作り上げた。
 島には鮮やかな草花が咲き乱れている。澄みきった泉から沸く水が、小さな滝となって地上へ降り注ぐ。
 この場所は暗い空を知らない。
 今日も、絶えることのない静かな風が吹いている。
 みゃあ。
 島のはずれにある樹の上で、一匹の猫が鳴いている。
 猫は自力で樹に登ったものの、怖くて下りることができなかった。
 みゃあ。
 弱々しく、しかし確かな、命の声。
 しばらくすると猫は、一人の少年がこちらを見ていることに気がついた。
 少年の瞳は空を映し、どこまでも透き通っている。
 猫と少年はしばしの間、視線を交わしていた。
「お前」
 と、少年は言った。まだ声変わりしていない、明るい音色。
「下りられないのか?」
 みゃあ。
 猫は小さな声で鳴いた。
 少年はまたしばらく猫を見ていた。
 が、ふと瞳を閉じると、意識を集中した。
 猫が宙に浮かび、ゆっくりと地面に下りる。
 みゃあ。
「後は平気だろ。好きにしろ」
 そう言うと、少年は踵を返して歩き去った。
 猫は少年の背中をじっと見つめていた。

 宮殿には、天窓からの光が燦々と降り注いでいた。
 建物の中であっても、風は絶えず流れ、人々の肌を優しく撫でていく。
 明るい一室で、美しい少女が本を読んでいる。
 彼女の名はサラ。女王の娘。
 海洋のように青く澄んだ瞳と、雪原のごとき銀色の髪を持っている。
「あら」
 サラは部屋の入り口を見てつぶやいた。
「ジャキ。その猫はどうしたの?」
 入り口にはさきほどの少年が立っていた。
 ジャキ。サラの弟だ。姉弟のまとう紫色のローブは、王家の者たる証。
「勝手について来たんだ」
 みゃあ、と猫は鳴いて、サラの元へ歩いていった。
「まあ、可愛い子」
サラは猫を抱き上げ、そっと頬を寄せる。ジャキは無関心な目で猫を見ていた。
「猫なんて小さな存在だよな。木に登っただけで何もできなくなるんだから」
 サラの腕の中で、猫はうとうとしはじめた。
「ジャキ。命は平等なのよ。それはどれだけ小さなものであっても同じ。あなたも、私も、この子も……誰もが同じ」
 サラは穏やかに微笑んだ。
「だからこそ、弱きものには優しくしなければいけません」
 姉の笑顔がジャキは好きだった。自然を愛し、生きものを尊び、何者にも平等な姉の笑顔。
9風の泣き声:2008/07/04(金) 08:52:06 ID:msincRv0
「それじゃ、姉上がその猫を飼えばいいよ。あげるからさ」
「まあ。ジャキは猫が好きじゃないの?」
「そういうんじゃないけど。僕には向いてないと思うし」
「向き不向きじゃないわ。迷わず、まっすぐに接していれば、心はきっと通じるものよ」
 ジャキは何か言おうとしたが、首を振って、
「とにかくいいから。僕は」
「失礼します、サラ様」
 宮殿に住む民が一人、サラの部屋に入ってきた。サラは彼女に目を留め、
「どうしました?」
「女王陛下がお呼びです。女王の間へおこしください」
「わかりました。ありがとう、下がっていいわ」
 サラが答えると、黙礼して女は下がった。
 サラはそっと猫をソファに下ろし、
「また後でね」
 背を優しく撫でた。
 みい、と猫は鳴いた。さっきより甘い声になったとジャキは思った。
「姉上、また母様から厄介な用を押しつけられるの?」
「ジャキ。そんな風に言うものじゃないわ。お父様が亡くなってから、母様はたった一人でこの国を支えているのよ」
 サラの言葉に、ジャキは少しだけうつむいて、
「でも……、母様は僕たちに冷たくなった」
 サラはふっと息をつくと、ジャキの前へ歩み寄り、彼の頬を両手で包んだ。
「ジャキ。ものごとの悪いところばかりを見ていては、本当に未来が悪いほうへ傾いてしまうわ」
 サラは瞳を閉じ、そっと、額をジャキの額に合わせる。
「いいほうへ向かうと信じること。悪いことが起こるのは、そのための試練よ」
 サラは微笑んで、女王の間へ向かった。
 みい。
 サラを見送るジャキの背に、猫の甘い声がかかった。

「母様、サラです。入ってもいいでしょうか?」
 返答を待って、サラは女王の間に入った。
 先王が逝去して数年、女王ジールは一人で国政のほとんどを執りおこなってきた。
 ある日は三人の賢者と一日中会議をし、ある日は魔法研究の進捗状況について代表者と話し合い、ある日は機械文明の展望について声明を披露し、ある日は太陽神殿に赴いたきり出てこなかった。
 机に積み重なった分厚い書物の山は、入室するたびに顔ぶれが変わっている。「時間が足りぬ」とは数年来のジールの口癖だった。
「サラか。待っておった」
「母様。用件とは何でしょう」
「ふむ。用というほどのものでもないが……」
 ジールは窓から雲海を眺めていた。今日も空は晴れている。それは王国が始まって以来変わらぬ風景だった。
「サラ。太陽神殿の調査報告はガッシュから聞いているな?」
「はい」
 ジールはサラを振り向いた。
 ジールにはこの数年で備わった女王の威厳と偉容があった。些細な感情を寄せつけぬ、冷たく、確固たる意思の力。
「太陽石のエネルギーは、むこう数千年は絶えることがない」
「はい」
「それゆえ、この国が今後も隆盛し、なおいっそうの富を得ることは違いない」
「はい」
 サラの眼差しは何かを憂っているようだった。
 ジールは気に留めず、淡々と言葉を次ぐ。
「ならばジールの民は、このままとこしえの安寧と平和の中で暮らしてゆける。そうであろう?」
「はい」
 すると、ジールは視線を落とし、長い溜息をついた。
「しかし、人間はいつか年老いる」
 女王が言うと、サラは沈黙した。やわらかい光が机上の書物を照らしていた。
10風の泣き声:2008/07/04(金) 08:52:32 ID:msincRv0
「ハッシュの研究で、我々は寿命を永らえることに成功した。通常の人間であればとうに年を取り、死にゆくような歳月を経てもなお、生き続けることができる。そうであるな?」
「ええ……」
 サラは愁眉を寄せ、困ったような表情をする。ジールは意に介さず、
「しかし。太陽石、魔法、機械文明。これらの力を持ってしてもなお、永遠の時を生きることはかなわぬのじゃ」
 重い口調だった。沈痛な面持ちで母を見ていたサラは、ローブの袖を自分の頬に寄せた。
「そなたもわらわも、やがては老い、そして死ぬのだ」
 ジールは机まで歩み寄ると、豪奢な肘掛け椅子に身を沈めた。両手を組み、額に当てる。
「力が必要じゃ。何者も寄せつけず、しかも尽きることのない力が」
 サラは黙っていた。視線は机に注がれていたが、意識はどこか別の場所を向いているようだった。
「太陽石は不完全じゃ。あれはいつか光を失う宿命にある。それは果てしなく遠い時間ではあるが、永遠ではない」
 女王は深く、長い溜息をついた。石のような重みのあるひと息だった。
「下がってよい、サラ」
 女王はサラを見ずにそう言った。サラは不安そうに母を見ていたが、やがて「失礼いたします」と言って、女王の間を辞去した。

「ほう。女王陛下が冷たくなったとな」
 命の賢者、ボッシュは言った。
 分厚いメガネの向こうで、叡智をたたえた瞳が光る。
 その言い方では子どものわがままみたいだ、とジャキは思った。
「別に、僕はどうでもいいけどさ。そんなの」
 これではなおさらダダをこねているようだった。歯痒い思いで、ジャキはきゅっと奥歯を噛む。
 ボッシュは天井を見上げた。視線の先で、球形をした真鍮製の模型がくるくると回っている。ここは彼の研究室だ。
「確かに」とボッシュはつぶやき、指先でパイプに火を点した。糸のような煙が細くたなびいた。
「このところのジール様は何かに追われておるようじゃ。もともと絶え間なくはたらくお人じゃが、近頃それに拍車がかかっておるのう」
 ボッシュは静かに目を閉じると、パイプを吸った。ゆっくりと息を吐き出す。煙が広がって、ジャキとボッシュの間に白い靄をつくる。
「姉上がつらそうにしてる」
 一人用のソファに座っていたジャキは、視線を落として言った。ボッシュは、ジャキがかすかに声を震わせているのに気がついた。
「ジャキ。そのような時こそ、お主が傍にいてやらねばならん。ジール様を除けば、サラ様の肉親はお主ひとりじゃ」
「……うん」
 ジャキは顔を上げ、まわりを見渡す。
 ボッシュの研究室には得体の知れない小道具が沢山ある。
 天秤や剣をはじめ、天体模型、銀色の鎖、水蒸気を噴出すポットのようなもの、レールの上を走り回るおもちゃ。
 口には出さないものの、ジャキはこの部屋が二番目に好きだった。ここに来ると、心配事の重みから少しの間開放される気がしていた。
「ジール様は力を欲しておる。尽きることのない、永遠の力を」
 ボッシュが静かに言った。頬に刻まれた皺の間に、憂いの色がにじんで見える。
「そんなものが何の役に立つんだよ」
 ジャキは独り言のようにつぶやく。
 力。
 ジャキは、力が欲しいと思ったことなど一度もない。
 ジャキを見ていたボッシュは、パイプを受け皿に置くと、椅子から立った。
「力があれば、自分のみならず誰かを救うことができる。……たとえば」
 ボッシュは壁にかけてある剣を手に取ると、
「剣じゃ。素手で戦うより、遥かに強い力を得ることができる」
 一回転させて床に突き立てた。
「しかし、力には常に代償が伴う。剣を振るう者は、その刃が命を奪うものであることをいつも心に留め置くべきじゃ」
 ジャキは剣を見つめた。白銀の刃が、彼の頼りない表情を映し出した。
 首を振ったジャキは、
「解らないよ。どうして母様はそんなものを欲しがるんだ」
 ボッシュは答えず、目を細めた。言うべき言葉が見当たらないという表情だった。
 部屋の入り口でノック音がした。ボッシュが何者か訊くと、サラの返事が返ってきた。
「ジャキ。ここにいたのね」
「姉上」
 入室したサラの足元にはさきほどの猫がいた。薄紫色の毛並みがサラのローブと揃いになっている。
11風の泣き声:2008/07/04(金) 08:53:00 ID:msincRv0
 サラはボッシュを見ると、
「ボッシュ、母様がお呼びです。ハッシュとガッシュも呼ばれています」
「ふむ」
 ボッシュは愛用の杖を取ると、自室を後にした。サラとジャキが部屋に残った。
「ジャキ。私はこれから地の民のところへ行ってきます」
「えっ。どうして?」
 ジャキは弾かれたように立ち上がった。
「またあそこへ行くの? あんな奴ら、放っておけばいいじゃないか」
 するとサラは悲しそうな表情になって、
「ジャキ。あんな奴らなんて言わないで。絶対に言ってはだめ」
「でも」
「ジャキ。命はみな平等なのよ。上もなければ下もないの。私たち光の民は、たまたまここにいるというだけ」
 ジャキは少しの間不満そうな顔をした。が、すぐに元に戻り、
「いってらっしゃい」
 そう言うとそっぽを向いた。サラはジャキの背を見つめて、
「留守のあいだ、この子をお願いね」
 ボッシュの研究室を後にした。
 みゃあ。
 姉上のときと鳴き方が違う、とジャキは思った。

 魔法王国ジールの遥か下。天蓋を雲に覆われた地表には、絶えず大雪が降っている。
 峻厳なこの土地に、地の民と呼ばれる人々が住んでいる。彼らは魔法の力を持たず、洞穴の中で原初的な営みを細々と続けている。
 入り組んだ穴倉の突き当たり。暗闇を明るい炎が照らす。
「おお……」「ありがたい」「暖かい」
 人々の中央で、サラが大きな松明に魔法で火をつけていた。
 光の民にしてみれば、火をつけることなど片手間でしかない。しかし地の民にとって、火は何より貴重なもののひとつだ。
「サラ様、ありがとうございます。本当にありがとうございます」
 長老が膝をついて頭を下げた。サラは首を振り、
「長老様、おやめください。私は当然のことをしているだけです」
 しかし長老をはじめとした地の民は頭を上げなかった。サラが来るたび、彼らは大儀そうに彼女へ頭を下げる。
「サラ様がいなかったら、わしらのようなものはとっくの昔に滅びています。今日のわしらがあるのも、ひとえにサラ様のおかげ」
 長老はやっと頭を上げたが、まだひざまずいていた。
 サラはかがみこんで、目線を長老と同じ高さにし、
「本当ならあなたがたもジールに来るべきなのです。何年も主張しているのに、なかなか賛成が得られなくて……」
 言いよどむサラに、長老はぶんぶん首を振って、
「とんでもない。わしらはここでやっていけばいいんです。光の民と地の民とは、生まれつき住む世界が違うのですから」
 こういう言葉を聞くたびに、サラは胸を痛める。
 平等。
 それは自分がジャキにいつも言っていることだ。
 しかし実際には、とても平等とはいえない。天の民のほとんどは地の民を下に見ている。その認識はどうやっても揺らぎそうにない。
 二つの民が一つになって、共に歩んでいける日が来れば……。
 それがサラの願いだった。窮状にある人々を救い、誰もが幸福でいられるように。
 でも、私が一人ではたらきかけても何にもならない。
 そう思うたび、サラはいつか母が言っていた言葉を思い出す。
『地表の雪を晴らしたい。さすれば大地にも春が来る。住みよくなれば、光の民は地表にも下りよう。その頃には、もはや地の民、光の民などという呼称は不要じゃ。誤解も蔑視も存在しない』
 いつか。たった一度だけジールがサラに吐露した願いだった。
 サラが願うだけだった思いを、ジールは人知れず実行しようとしていた。
12風の泣き声:2008/07/04(金) 08:53:24 ID:msincRv0
 いつか。ずっとずっと昔。
 もう覚えていないくらい遠く。
 あの時の母様と、今の母様は違うのだろうか。
 サラは、ジールが今もその思いを忘れずにいると信じていた。
 だからこそ、ジールのどんな命にも従ってきたし、これからもそうするつもりだ。
 母様は私よりずっと気丈で、聡く、立派なのだから……。


       2

 時が過ぎていく。
 ジール王国には四季がない。国土は、美しい常緑樹や多年草に絶えずおおわれている。
 それは、太陽石の力を制御することで、王国の気候が年間を通じて常に一定に保たれていることによる。
 しかし、それでも確かに時は流れている。
 サラは、母が日ごと表情を険しくする様子から時の移ろいを感じていた。日ごと、口癖を呟く回数や、調べる書物の数が増えていく。
「母様、少し休まれてはいかがでしょう」
 ある日、サラがそう問いかけた。するとジールは峻厳な眼差しを向けて、
「休む? サラよ。わらわをからかっておるのか? 休息など無用じゃ。わらわが安らぎを得るのは、王国が真なる光に包まれ、永遠の時を約束された後じゃ。それまで、一国の猶予もない」
「ですが母様、このままではいつか母様の身が危険にさらされます。私はそれが心配なのです」
 ジールはしばらくの間サラを見ていたが、
「サラ……。そなたに見せたいものがある。ついてまいれ」
 そう言って席を立った。サラは伏し目になって逡巡したが、頷いて、母に従った。

 ジールが向かったのは、王国領土の西、王立都市カジャールに程近い場所だった。
 空に浮かぶ国土の端、切り立った断崖に、鋼鉄の骨組みで巨大なデッキがしつらえられている。
 直線に延びるデッキの先端、青く大きな翼を持つ飛行機械が停留している。
「黒鳥号……」
 サラは呟いた。
 この数ヶ月、ジールは労力の半分をこの計画に費やしていた。
 理の賢者、ガッシュと何度も会合して意見を交わし、研究を進めさせた。
 大型の飛行機械である黒鳥号に乗れば、魔力を持たぬものであっても空の旅に出ることができる。
「長かった。ようやく完成したのじゃ。空駆ける機械の翼、ジール文明の象徴」
 ジールは厳然たる面持ちで黒鳥号を眺めていた。
「人は空を飛ぶことができぬ。ゆえに、このようなものに頼らざるを得ない。が、これがあれば飛べるのじゃ」
 ジールは瞳を閉じ、ゆっくりと呼吸してから、
「限界と考えられていた領域を突破し、宿命を大いなる力と共に乗り越える。わらわが使命と感じていることじゃ」
 サラは片手をそっと頬に当て、静かに黒鳥号を見ていた。
 確かに、ジールがいなければ黒鳥号が完成することはなかったかもしれない。
「これも王国の繁栄を願えばこそ。そのためであれば、わらわは眠る時間すら捧げて国に寄与する。サラ、そなたであれば解ってくれるな?」
 デッキの上は風が強い。サラはローブと髪がなびくのを押さえつけながら、
「ええ……」
 とだけ言った。

 午後。サラはガッシュの元を訪れた。
 ガッシュの研究室は限られたものにしか扉が開かれていない。
 本人しか知らない技術によって、入り口で訪問者を識別し、認められた者のみが入室を許可される。
「何者じゃ?」
 ガッシュは短く言った。彼はせわしい気質をしている。「研究の邪魔じゃ」が往々の口癖であり、余計な文言をのたまう輩を極力遠ざけたがる。
「何じゃ、サラか」
 ほんの一瞬サラを見ただけで、ガッシュはまた作業に戻った。計器に向かって延々と何かを入力している。放っておけば、彼は日がな一日そうしているだろう。
 来客用の椅子すらない部屋にたたずむサラは、しばらくガッシュの仕事ぶりを見ていたが、
「ガッシュ。母様は近頃働きすぎていると思いませんか」
 研究室の天頂にひとつだけついた窓を見上げる。円柱形に切り取られた光が、部屋の半ばまで差し込み、消えていた。
 こんなところにこもっていては精神がねじれてしまう。ここに来るたび、サラはそう思う。
13風の泣き声:2008/07/04(金) 08:53:46 ID:msincRv0
 サラの言葉にガッシュはかすれたような笑いを浮かべ、
「ジール様は自ら望んで国のために尽力なさっておるのだ。サラ。お前にも解っとるじゃろう」
 その間にもガッシュは、小型機械と計器の間を忙しく行き来した。その姿は、どことなくサラに対し「早く帰れ」と言っているようだった。
「ガッシュ。あなたもです。母様と同じか、あるいはそれ以上に多忙なのでしょう? 少しは休息したらどうですか」
「っほ。愚問じゃな、サラ。研究を怠るわしは死人も同然じゃ。亡霊になってでも意思を完遂する……それが研究者というものじゃ」
 表示板から照射する人工の明かりが、ガッシュの横顔を青白く映した。
『あやつに何を言ってもムダじゃ』
 とはボッシュの弁だ。ガッシュはこの国で女王と双璧をなすほどに頑迷な人物だ。王国の機械文明は、彼なしにここまで発展することはなかっただろう。
 サラは思う。ガッシュにとって、人々のことは興味の対象外なのだ。だからこそ、あの黒鳥号のように大きな塊を、躊躇うことなく空に飛ばすことができる。それによって人がどのような進路を辿るかなど、考えないのだろう。
 サラはひとつの質問をガッシュに投げかけた。
「ガッシュ。もしも母様が、あなたに人を殺す機械を作れと命じたら、あなたはどうしますか?」
 ガッシュは作業を中断し、サラを見た。すっかり白くなった眉がひそめられ、
「ジール様がそのような命を下すはずがないじゃろう。サラ。気でも狂ったか?」
 それきり、ガッシュは何も言わなかった。

 自室に戻ったサラは、窓越しの景色を眺めて、静かに息を吐いた。
 室内を見渡すと、猫がいないことに気がつく。
「あら。あの子、どこにいったのかしら?」
 みい。
 戸が開いて、猫が入ってきた。続いてジャキも。
「まあジャキ。その子と一緒だったの?」
「え? ああ。うん、まあね」
 サラは歩み寄ってくる猫に手を伸ばした。しかし、猫はゆっくり歩くと寝床に向かい、そのまま丸くなってしまった。
「姉上、さっきまでどこに行ってたの?」
 ジャキがソファに座って言った。サラは猫の背を見たままで、
「ガッシュに会いに行っていたのよ」
 するとジャキは苦い顔になって、
「……あの偏屈じいさんのところか」
「ジャキ。その呼び方はやめなさいって言っているじゃない」
 サラがたしなめると、ジャキはどういうわけか少し嬉しそうな顔をした。
「ジャキ、どうしたの?」
「え? 何がさ」
「何だか嬉しそう。何かあった?」
 ジャキは二回瞬きをすると、こほんと喉を鳴らして、
「気のせいだよ」
 そう言うと、ソファから立って部屋を出て行った。サラは首を傾げたが、しばらく猫の寝顔を見ているうちに忘れてしまった。

 時を重ね、ジールの仕事がいよいよもってその手に収まりきらなくなると、その一部はサラに課せられた。彼女は分担を自分から申し出た。それで母の荷が少しでも軽くなるのなら、喜んで引き受けよう。そう思った。
 ジャキや猫と接している時だけ、サラの心に安寧が訪れた。ジールやガッシュ、国の行く末を思うと、サラの心には暗い影がさし、気持ちが重たくなった。
 時が過ぎていく。


       3

 数ヶ月が過ぎた。
 月日の経過と共に、サラにはジールがますます冷たくなっていくように思われた。
 かつて静かに燃えていた意思の炎は、今や青い色をしている。母はこの頃、まるで機械にでもなったかのようにサラに命令する。
 母様は冷たくなった。サラはそう感じる自分をいつも否定した。
「姉上」
 声がした。
 窓辺にいたサラは、慌ててドアの方を向いた。微笑んで、
「どうしたの? ジャキ」
「ちょっと来て」
 何かしら、と思いつつ、サラは弟の後にしたがった。
 ジール宮殿を出てしばらく歩く。洞穴から洞穴へ、ワープを通って、王立都市カジャールを過ぎ、花の咲き乱れる道をなおも歩き続ける。
 澄んだ水をたたえる泉を両脇に、橋をわたって。
14風の泣き声:2008/07/04(金) 08:54:12 ID:msincRv0
「なあに? ジャキったら、いったいどうしたの?」
 しかしジャキは答えずに道を急いだ。ジャキは早足で歩いていたものの、不思議とどこか躊躇しているようでもあった。
「あら……? そういえばあの子、どこへいったのかしら」
 サラは彼女の猫がついてきていないことに気がついた。いつもは一緒なのに。
「ついた」
 ジャキが立ち止まったのは木陰だった。
 大きな樹。枝が屋根のように伸び、葉が青々と茂っている。木漏れ日が草の茂った地面をまだらに照らす。サラは幼い頃、この樹の周りでよく遊んだ。
 ふと、サラは猫の声がすることに気がついた。それも一匹ではない。
「見て。姉上」
 ジャキがそっと下がった、その後ろ。
「まあ、ジャキ。これって……!」
 数匹の子猫が、親猫の乳を飲んでいた。
 みいみい、みゃあと鳴き声がする。まだ目もよく見えない子猫は、微弱な力で、必死に親猫の乳を探していた。
 その様子を見ていたジャキは、
「この猫、メスだったんだ。最近様子がおかしかったからボッシュに見てもらった。そしたら」
 サラは透き通った瞳を猫たちへ向けた。
「そうだったの……。やだ、私ったら全然気がつかなかった」
「姉上、この頃すごく忙しかっただろ。だから僕がこいつらの面倒見てたんだ」
 サラは両手で口元を多い、うっとりした様子で猫の親子を見つめていた。
 本当にまるで気がつかなかった。私は母様と自分のことばっかり考えて。ジャキにあれだけ偉そうに言っておきながら。
「そう、そうだったの……。ジャキ……」
「姉上?」
 サラは涙が流れるのを止めることができなかった。
 何と素敵なことだろう。私の知らないところで、この猫と、その子どもが……そしてジャキも。しっかりと育っていた……。
「ジャキ!」
「わっ!」
 サラはジャキを抱擁した。
「ごめんなさい。私、もっと早く気づくべきだった。そうすれば、この子たちにもっと早く出会えたのに……!」
「姉上……くすぐったいよ。それにちょっと……いや、けっこう恥ずかしいんだけど」
 小声で言いながら、ジャキは頭をかいた。ここまで喜んでくれるとは思ってもみなかった。
 サラは何度もジャキの名前を呼び、その間ずっと弟を抱きしめていた。
 それから、姉弟は二人で猫たちを眺めた。
 幸福な時間だった。こんなに嬉しいことがあったのはいつ以来だろう。
 サラは親猫が気持ちよさそうに目を細めるのを見ていた。たまらなく愛しい気持ちになる。
「姉上、僕らだけじゃこんなにたくさんの猫は飼えないよね」
 弟が言うと、姉は、
「そうね。誰か他に面倒を見てくれる人を探さないとね」
「そんなに簡単に見つかるかな?」
「大丈夫よ。こんなに無垢な姿を見たら、誰だって傍にいてほしくなるわ」
 サラはそう言って、近くで横になる子猫に手の平を差し出した。子猫は未熟な頭突きでもするように、サラの真っ白な指とじゃれあった。サラはまた微笑んだ。
 風が吹いて、木々がそよいだ。
<サラ>
 偏頭痛のような痛みに、サラは顔をしかめた。
「姉上?」
 ジャキが首を傾げて、不思議そうにサラを見た。
<サラ、わらわの下へ来るのじゃ>
 ジールの意思がサラの意識に直接響いていた。
「母様……」
 サラはつぶやいた。彼女の声に、ジャキは目をすがめて、
「姉上、母様がどうしたの」
「ジャキ。ごめんなさい……。私、行かなくては」
 サラは立ち上がると、急いでジール宮殿へ引き返す。
「姉上、待って!」
 ジャキが呼びかけてもサラは足を止めなかった。その背後で、猫の家族が和やかに合唱していた。

 サラが女王の間に入ると、三人の賢者が集結していた。
 彼ら――ボッシュ、ハッシュ、ガッシュの三名は、たった今入室したサラを振り返った。
15風の泣き声:2008/07/04(金) 08:54:34 ID:msincRv0
「サラ。待っておったぞ」
 三賢者の向こうから、氷のようなジールの声がした。サラは背筋がひやりとした。
「母様」
 サラが歩み寄ると、ジールは回転椅子をこちらへ向けてサラを見た。
 ジールと視線を交わしたサラは戦慄した。
 ジールの瞳は輝きを失いかけているように見えた。サラは息を飲んだが、ジールはそれに気づかなかった。
「サラ、次からは呼ばれたらもっと早く来るのじゃ。わらわは時間が惜しい」
 その言葉にサラは恐怖を覚える。
「ええ……母様。承知しました」
「返事ははいだ」
「……はい」
 ジールは明らかに様子がおかしかった。
 これまで、疲労や心労を蓄積させていることはあっても、ここまで鬼気迫る様子はなかった。
 何かがあったのだ。母様をこんな風に変えてしまう何か。
 ジールは椅子から立つと、せわしなく室内を歩き回り、
「ふ、フフ……。喜べサラ。ついに、ついに見つけたのだ……わらわの求めていた力を」
 サラははっと声を漏らした。三賢者が溜飲を下げるような気配がした。
 ジールは椅子から立ち上がる。片手をかざして、
「『その者』は遥か太古より地中深くに住み、今なお眠り続け、力を蓄えている」
 ジールの声は不思議な自信に満ちていた。聞くものを問答無用で沈黙させる。
「これよりその者に会いに行くぞ。……よいな?」
 ジールは一同を再度見渡した。返答がないことを是と受け取ったのか、
「その前に、そなたたちに紹介する人物がいる」
 女王が指輪のはまった手で机をノックする。
「ダルトン、入れ」
 室内に、目に見えない圧力が感じられた。厚みのない黒い球体が現れたかと思うと、それはみるみる大きくなり、やがて中から一人の男が出てきた。
「お呼びでしょうか、女王陛下」
 大胆不敵にも、その男は三賢者とサラの眼前に出現した。
「空間転移か……?」
 ガッシュがつぶやくのをサラは聞き取った。
「ふー。ようやく舞台に立てるってもんだ」
 男はいけ好かない風体だった。マントはところどころほつれていたし、格好はどこかいびつだ。おまけにニヤニヤ笑っている。
「皆のもの、紹介しよう。ダルトンだ。こやつはカジャールで風変わりな研究をしておった。ダルトン、あとはそなたから説明しろ」
「はっ、女王陛下」
 ダルトンは女王へ慇懃に礼をすると、サラたちのほうへ向き直り、
「陛下のお言葉通り、俺の名はダルトンだ。俺は空間を自在に歪め、任意の物体を離れた場所へ飛ばすことができる。他にゴーレムの研究なんぞしているが、まあそれはじきに嫌でも解るだろう」
 ダルトンはマントをひるがえし、大仰な仕草で女王に敬礼した。
「以上です、陛下」
「うむ」
 ジールはサラたちを見て、
「サラ、そして三賢者よ、このダルトンが今から我々を目的の地へいざなう」
 女王は天窓を振り仰いだ。
「今日は記念すべき日だ。王国に永遠が約束されるかもしれない。クク……アーッハッハッハ!」
 ジールの高笑いは、サラの懸念を強くする。
「それでは女王様、参りましょう」
 ダルトンが言った。ジールは首肯する。その顔にはまだ笑みが残っている。ダルトンは指を鳴らし、
「それじゃ皆様方、レッツ、ゴー、トゥ、ジ、アンダーグラン!」
 ブラックホールが広がり、一同を飲み込んだ。

「!!」
 その異様な姿を目にした途端、サラは立っていられなくなった。まるで毒を飲まされたかのように、全身から力が抜けていく。
 目の前に存在する、あまりにもまがまがしく、おぞましいもの。
16風の泣き声:2008/07/04(金) 08:54:56 ID:msincRv0
「なんと……」
 ボッシュが眼鏡の縁を押さえ、固唾をのんだ。
「ラヴォス様だ」
 ジールの声が一同の耳朶を打った。
「ラヴォス……これが」
 ハッシュがかすれた声を出した。サラは何とか立ち上がろうと力を入れてみたものの、かなわなかった。
 ラヴォスと呼ばれた異形の存在は、全身を鋭く硬い棘に覆われていた。棘は暗い色をしていて、触れるすべてのものを貫きそうだった。
 棘にびっしりと覆われた殻の中央で、繭のように閉ざされた口がてかてかと不気味に光っている。
 これほどまでに恐ろしいものに、サラも、そして三賢者も、これまで対峙したことがなかった。
「太陽石に代わり、これからはこのラヴォス様がわがジール文明の支柱となる。そなたらも感じるであろう? この莫大で、無尽蔵のエネルギーを」
 ジールは高笑いした。
 サラは変わり果てた母の声を聞いて、胸が締めつけられるような思いだった。
「サラ。何を座っておる。しっかりするのじゃ。そなたには役目がある」
 とがめるようにジールが言った。その口調にはわが子を思う色など到底見受けられない。
「立つのじゃ、サラ」
 ジールはサラを一瞥した。サラは首を振ろうとしたが、思うように力が入らなかった。
「母、様……」
「サラ。ラヴォス様のあまりの迫力に気後れしておるな? なに、心配はいらぬ。じきにそなたも解るはずじゃ。この力がいかに素晴らしく、いかに強大であるか。もはや何者もジールの繁栄を妨げることはできぬ」
 ジールはふたたび笑い声をあげる。サラは目まいがした。
 母様、お願いですから、私とジャキのところへ帰ってきてください。
 母様……。
「さて、サラ。立てないならそのままでもかまわぬ。初対面であるそなたの反応は無理もないものじゃ。今日に限ってはラヴォス様も寛大に許してくれよう」
 ジールはラヴォスへ振り返り、
「サラ、そなたの力でこのラヴォス様に語りかけるのじゃ」
 サラは言葉を失った。何か言わなければと思ったが、声が出てこなかった。
 事態を危惧するような眼差しを浮かべていたボッシュが、
「お言葉ですがジール様。この者、ラヴォスとやら。わしにはあまりにも不吉な存在に思えます。この者に頼らずとも、これまでのように太陽石のエネルギーを使って――」
「ええいうるさいわ! そなたは黙っておれ!」
 ジールは激昂した。その姿がまたサラの胸を痛めた。
「そうそう、爺さんたちは無粋な口出しなんかせず、黙って見物人と化してりゃいいのさ」
 口の端を歪めてダルトンが言った。この状況を楽しんでいるようだった。
「さあ、サラ。深き眠りの中にあるラヴォス様に、そなたならば語りかけることができるはずじゃ」
 サラはジールの目を見た。
 かげった瞳。
 そこに私の姿は映っていますか? 母様……。
「解りました」
 サラは気丈にも立ち上がると、細い両の腕を差し出し、呪文を唱えはじめた。
「サラ様、無茶をなされるな!」
 ボッシュがそう言うも、サラは一心に呪文を唱え続けた。
「おお……感じるぞ。ラヴォス様の鼓動を! クク……。サラ、その調子じゃ」
 ジールはおもちゃを与えられた子どものように興奮していた。
「くっ」
 サラの声が漏れた。彼女の顔は青白く、額にはうっすらと汗が滲んでいた。それでもサラは呪文を唱え続ける。
 空間がいびつに鳴動する。地の底が震えるような、大きな揺れ。
「来るぞ。ラヴォス様が目覚められる!」
 三賢者の表情が険しくなった。これまで状況を楽しんでいたダルトンですら、油断なく警戒しているのが見て取れた。
 一瞬。時間が止まったように思われた。
 直後、ラヴォスが強く輝き、真っ直ぐな光線が地上めがけて放出される。地震が大きくなる。
「おお、素晴らしい! これがラヴォス様の力!」
 サラは気を失って倒れた。しかしジールはそれに気がつかない。
「サラ様!」
 三人の賢者がサラを囲むようにしてかがみこむ。ボッシュがサラを抱き起こす。
「ジール様! 今すぐ引き返しましょう、ここは危険です、あまりにも危険じゃ!」
 ラヴォスの殻から延びる柱のような光線は、上方めがけて放射しつづけた。それは次第に細くなり、やがて途切れて消えた。
17風の泣き声:2008/07/04(金) 08:55:18 ID:msincRv0
 まもなく地殻振動が起こった。まともに立っていられないほどの激しい揺れが一同を襲う。
「ハッハッハ! 愉快じゃ、実に愉快じゃ! これこそわらわの求めていた力!」
 ジールは哄笑した。やがてダルトンに、
「満足じゃ。上々である。今日はこれでよい。ダルトン、王国へ帰るとしよう」
「はっ。女王陛下」
 ダルトンは無意味に格好をつけ、ターンして指を鳴らし、その場にいた全員を空間転移させた。
 同じ頃、海中から放たれた光線が、遥か高みにあるジール王国の大地を掠めていた。

 数時間後。
 ジール宮殿、女王の間。
「ジール様! 今すぐラヴォスを深い眠りに着かせるべきです。あれはこの国の動力源に収まりきる存在ではありませんぞ!」
 ボッシュが強く抗議していた。他の賢者、ガッシュ、ハッシュの二名は、おのおのの思いと共に沈黙している。
 椅子に身を預けたジールは犀利な視線をボッシュに投げ、
「ボッシュよ。無粋な諫言は無用じゃ。せっかく眠りの淵までおいでになったラヴォス様を、なぜまた送り返さねばならぬ」
 優美な動作で空をつかみ、
「これでいい。これでラヴォス様のエネルギーはいつでも引き出せる状態になった。あとはそれを増幅し、魔力に換えるだけじゃ」
「ジール様」
 光の民の女が女王の間に入ってきた。
「報告いたします。先ほどの天災により、カジャールとエンハーサの間に亀裂が生じ、エンハーサが大陸から分離いたしました。しかし墜落には至っておらず、依然無事です。光の民は軽症を負ったものもおりますが、全員が健常です」
「ご苦労だった。下がってよい」
 ジールが言うと、彼女は黙礼し、退室した。
「ガッシュよ」
 ジールが沈黙していた賢者の一人を呼んだ。ガッシュが顔を上げる。
「何にございましょう。ジール様」
「ラヴォス様のエネルギーの増幅、及び変換を行う器となる機械を作るのじゃ。よいな」
 ガッシュはわずかな間、物言わずジールを見ていたが、
「承知いたしました。期限はいつまででしょうか」
「可能な限り早くじゃ」
 ジールの声にはいかなる反駁も許さないという響きがあった。

 遠い日。
 まだサラが幼かった頃。
「母様!」
 緑豊かな庭園を、サラは駆けていた。空に溶けてしまいそうなほどまばゆい銀色の髪が、風になびいている。
 彼女が走る先、泉のほとりに、まだ若さの残るジール王妃がたたずんでいる。
「サラ」
「母様! つかまえたっ!」
 サラは母に抱きついた。
「ふふ、母様がどこにいたって、私には居場所が解るんだから」
 サラはくすくす笑った。娘の無垢な笑みに、母は穏やかな微笑を浮かべ、
「本当ね、サラ。あなたには隠し事が通じないみたい」
 どこまでも優しい声だった。声だけでなく、容姿も、何もかもが今のジールとは違う。
「ねえ、母様はここが好きなの? 母様はいつも色々な場所にいるけれど、特にここにいることが多いわ」
 泉のほとり。
 水面が鏡のように空を映す。半分が透けて、泉の底が見える。水中を色とりどりの稚魚がすいすい泳いでいく。
 母はサラを見て、それから庭園を眺めた。
「そうね。ここにいると落ち着くわ。幸せを実感できる。サラ、あなたもいるしね」
 母は娘の髪をそっとなでた。
「私もここが好きよ。だって母様の匂いがするもの」
「わたくしの匂い?」
「そう」
 サラは瞳を閉じ、ゆっくりと深呼吸する。
「やわらかくて、温かくて……。それでいて強いのよ」
18風の泣き声:2008/07/04(金) 09:09:42 ID:msincRv0
「まあ」
 母は小さく笑った。サラによく似た笑み。
 追憶の中にだけ存在する、幻影。
「だからここが好き」
 そう言うと、サラは再び母に寄り添って、
「母様も好き」
 彼女の身体に耳を寄せた。サラはしばらくの間そうしていた。太陽の光が、優しく親子に降り注いだ。
「あれ?」
 程なく、サラは変化に気がついた。
「ねえ、母様。母様の身体……」
 見上げるサラに、母はふふっと笑う。
「やっぱりあなたに隠し事はできないみたいね。サラ」
「まあ、やっぱりそうなのね! 母様。私、お姉さんになるんだわ!」
 サラはこの国に咲くどんな花よりも明るく笑った。
「ねえ、男の子かしら、それとも女の子?」
 踊るように母の周りを歩きながら、サラはたずねた。
「さあ、どうかしら。でも、まだ気が早いんじゃない? サラったらせっかちね」
 母はまた笑った。サラはくるりと後ろを向き、空を見つめて、
「男の子がいいわ。そうすればお父様も……きっと元気になるもの」
 静かにそう言った。サラの父たる国王は、近頃体調が優れなかった。
 母は「そうね」と相槌をうち、
「この子のためにも、いつまでも平和がつづけばいいわ」
 国の平和と家族の無事を祈った。ただただ、祈った。

「母様……」
 サラが目を覚ました時、母の面影は霞のように遠くへ去ってしまっていた。天窓から降り注ぐ光に手をかざしても、それは空をかくだけだった。
「おお、サラ様。目覚められたか。これはよかった」
 傍らにはボッシュが座っていた。彼は読んでいた本を置くと、眼鏡を外して眉間をもみほぐした。
「ボッシュ。私は……あの後どうなったのですか?」
 サラは寝台から半身を起こしかけたが、ボッシュが片手をかざし、
「サラ様。今しばらく安静にしておるべきです。あなたは力を使いすぎた」
 ボッシュはパイプをふかすべく、飾りのついた服のポケットを探した。しかしここがどこであるかに思い至り、その手を止めた。
「あの者、ラヴォスはどうなりましたか?」
 サラは壁に背を預け、ボッシュに訊いた。両手を動かしてみたものの、うまく力が入らなかった。冷たい。
「ふむ。今のところ、あやつは浅い眠りについたままじゃ」
 ボッシュはつぶやくと、近くにいた女中に合図し、彼女たちを退室させた。
「サラ様。ジール様はラヴォスの力を国の動力として用いるつもりです」
 サラの顔が曇った。彼女は片手を頬に当てた。それは胸騒ぎがする際の彼女の癖だった。
「ジール様の命で、ガッシュが『魔神器』の製造に着手しました。あやつは仕事が早い。ひと月もしないうちに完成させるじゃろう」
「『魔神器』とは何ですか?」
「ラヴォスの力を増幅し、魔力に変換する装置のことです。女王はそれで国に力を行き渡らせるおつもりじゃ」
 ボッシュは顎をなでた。怪訝な眼差しで、
「しかもそれだけではないのです。ゆくゆくはその魔神器を海底に移し、大地すべてにエネルギーを与えようとしておる」
「海底に?」
 ボッシュは首肯した。
「神殿の建立が計画されております。海底神殿。もしもそんなものが出来上がってしまえば、あやつ、ラヴォスは完全に覚醒してしまうやもしれません」
 サラの眼差しが悲しみの色を強めた。
「わしは計画に反対しております。ガッシュは、あやつも瘴気にあてられておるのか……賛成票を投じおった。ハッシュは棄権しておりますが」
 サラは顎を引き、静かに息をついた。自分が反対しても、女王とダルトンが賛成票を入れれば多数決でも負けてしまう。
「もしも歯止めが利かなかったときのために、わしのほうで準備をしておきます」
 ボッシュが言った。
「何か手があるのですか?」
 サラが問うと、ボッシュは頷き、
「宝物庫にドリストーンと呼ばれる赤き結晶があります。わしは秘密裏にあれを調査しておったんじゃが、ラヴォスの力に呼応する素子が見つかったのです。ともすれば、奴を封じる武器を作れるかもしれん」
「くれぐれも母様に見つからぬよう」
19風の泣き声:2008/07/04(金) 09:12:15 ID:msincRv0
 ボッシュが本を手に退室しようとすると、サラは周囲を見渡して、
「ボッシュ。ジャキはどこに……?」

 女中の制止を振り切って、サラは宮廷を抜け出した。
 まだ身体は冷たかったし、走ると頭がくらくらしたが、それでもなるべく早く道を急いだ。
『あのラヴォスが放った光線が国を掠めたのです。そのせいで大陸の一部が分断されてしまった。幸い民は無事じゃったが……』
 続くボッシュの言葉を途中まで聞いたサラは、いてもたってもいられず寝室を出た。
「ジャキ!」
 大きな樹の下。
 小さな肩がびくんと反応した。
 彼はうずくまって、地面に何かをしていた。
「姉上」
 サラに背を向けたまま、ジャキは小さく答える。
「来ないで」
「ジャキ……母様は」
「来ないで! こっちには、絶対……」
 来ないで。
 ジャキは必死に訴えた。声も身体も震えていた。
 その姿を見ただけで、サラは涙腺が緩むのを抑えられなかった。

 ああ、どうしてこんなに、行き違ってしまうのだろう。

「ジャキ」
 サラはそっと弟に近づいて、包み込むように彼を抱きしめた。
「ごめんね……」
 ジャキは答えなかった。答えられなかった。
 ジャキの目の前には、枯れ枝で作った小さな墓標が立っていた。
 それは名前もなかった親猫と子猫たちの墓だった。
 みい。
 ジャキの隣で、たった一匹生き残った子猫が、小さく鳴いていた。


       4

 サラの心労が溜まっていった。

 あの日、ジャキは秘めていた魔力を暴走させた。
 いかずちが国の南方に落ち、太陽神殿への道に亀裂が走った。
 感情をでたらめに放出させるジャキを、サラはずっと抱きしめていた。サラは泣きながら何度も謝り、ジャキはそのたびに雷を落とした。何年も晴れ渡っていたジールの空が、その日、暗雲に覆われた。
 そして、今日もまた小雨が降っている――。
 サラは窓辺に歩み寄って、母と弟のことを想った。
 あれ以来、ジャキの魔力はぷつりと絶えた。しかしそれは力を失くしたからではない。サラにはそう解っていた。あの子は心を閉ざしてしまったのだ。
 繊細な、水晶のような心。
 あと少しで輝きそうだったのに、些細な行き違いが、ジャキから太陽を隠し、遠ざけてしまった……。
 ジャキはサラ以外の誰とも口を利かなくなった。あれだけ懇意にしていたボッシュにさえも。
『アルファドって名前にしたんだ』
 ジャキがこれまでの間に話した数少ない言葉だった。
『あいつら、名前もないまま死んだから……せめてこいつには』
 アルファドと名付けられた雄猫は、ジャキ以外の誰にもなつかなかった。サラには手を出さないが、他の民によくいたずらをし、あまつさえ爪を立てた。
『このドラ猫め!』
 引っかかれて生傷を作った光の民が、たびたび怒声を上げた。しかしジャキの飼い猫だと誰もが知っていたため、それ以上文句は言えなかった。

 窓辺に立っていたサラは、ふと感じた気配に振り返った。
「……ジャキ」
 弟が部屋の入り口に立っていた。
「やだ。いたのなら声くらいかけてくれてもいいのに」
20風の泣き声:2008/07/04(金) 09:14:12 ID:msincRv0
 サラが言うと、ジャキは視線を床に落として、
「ごめん。僕……姉上みたいに器用じゃないから」
 その言葉を聞いただけで、サラは泣き出しそうになった。
 自分では気づいていないかもしれないが、ジャキは声も表情も前より冷たくなってしまった。瞳には読みきれない影が差している。
「そんな風に自分を卑下するものじゃないわ」
 サラはソファに腰を落とした。ジャキはサラのいた窓辺に歩いていって、せり出した桟に腰掛けた。アルファドが彼の前に飛び乗って、みい、と鳴いた。
「黒い風が泣いてる」
 ジャキは呟いた。あれからしきりに口にする言葉だった。
 サラがジャキにいくら尋ねようとも、ジャキはそれが何なのか教えてくれなかった。
 サラは、自分とジャキの間に薄い、それでいて確かな隔たりができてしまったことを知った。
 サラは直観で、何者もその隔たりを除去することはできないのだと悟った。
 姉である自分でさえも。
 サラはうつむいて、頬に手を当てた。
「姉上。僕、いつかこの国を出て行くよ」
 ジャキは言った。サラははっとして弟を振り返った。
「出て行くって、ジャキ。どういうこと……?」
「そのままさ。こんな所、僕はいつまでもいたくない。ここでなければどこだっていいんだ。とにかく出て行く」
 無茶苦茶だ。ジールでなければどこに住むと言うのだろう。地の民のところでジャキが生きていけるとは、サラには到底思えない。
 でも、ちがう。ジャキが言っているのはそういう意味ではないのだろう。
 サラは何も言えなかった。声を出せば、それは嗚咽に変わってしまいそうだった。ジャキは目に見えない何かへ、静かな、冷たい憎悪を向けている。
 サラは祈った。神様。もしもあなたがジャキを見ているのなら、どうか、この子を悲しみから救ってあげてください。
 私では、もう手遅れだから……。
 部屋の戸が鳴った。
 ぶしつけで乱暴なノックだった。サラはしばらく黙っていたが、やがて「どうぞ」と言った。
「失礼しますよ。王女様」
 ダルトンがずかずかと部屋に入ってきた。サラの背後で、ジャキが氷のような視線をダルトンに向けるのが解った。
「何の用でしょう、ダルトン」
「サラ姫、女王陛下が呼んでますよ。例の件でね」
 ダルトンは品定めするような目でサラと彼女の部屋を見ていた。その目がジャキの視線とぶつかると、フッと笑ってサラに向き直った。
「姉上。行っちゃダメだ」
 ジャキが言った。その声には強烈な意思の力が宿っていた。
 サラは立ち上がると、ジャキの方を振り向き、
「ジャキ……心配しないで。すぐに帰ってくるわ」
「姉上、こんな奴らに協力なんてしないで!」
 ジャキの叫びにダルトンは眉をつり上げて、
「ボウズ、生言うのはその綺麗な顎に髭が生えてからにするんだな。つべこべ抜かすと、お兄さんが説教することになるぜ? こっちでな」
 ダルトンはへらへら笑いながら、右手を拳の形に固めた。
 ジャキは表情をまったく変えず、
「黙れ腰巾着」
 その言葉にダルトンは口を結び、殺気立った目でジャキを見た。
「ボウズ。次にそんな言葉を並べてみろ。喋りたくても声が出せないようにしちまうぞ」
「ダルトン……やめて! さあ、行きましょう……」
 懇願するようにサラは言って、ダルトンを促した。ダルトンは嫌味ったらしい流し目で、最後までジャキを見ていた。

「サラ、喜べ。魔神器が完成したのじゃ!」
 ジールの第一声だった。しかし、サラは何も言えなかった。
「どうしたサラ。そなたももっと喜ばぬか。これでジールを動かす魔力は飛躍的に増大するのだぞ」
「ええ……」
「まあよいわ。直接目にすればそなたも解るじゃろう。サラ、ついて参れ」
 そう言ってジールは部屋を出た。やむをえず、彼女は母の後に続いた。
 ジールとダルトンに挟まれ、廊下を歩きながら、サラは潰されてしまいそうな気持ちだった。
 私にもっと勇気があれば。
 母様やジャキを救うために、一歩を踏み出す勇気があれば。
 しかしサラにはそれができなかった。母と弟を想えば想うほど、サラは冷たい鎖に手足の自由を奪われ、身動きが取れなくなった。
21風の泣き声:2008/07/04(金) 09:15:43 ID:msincRv0
「サラ様、大丈夫ですか?」
 魔神器の間の入り口でふらつきかけたところを、光の民に支えられた。
「ごめんなさい。私なら大丈夫……」
 私なら。
 せめて、私がしっかりしていれば。

「見るがいい、サラ」
 サラは顔を上げた。
 ジールの背後、彼女の何倍も大きな、甲冑のような兵器が、ひっそりとした影をこちらに投げていた。サラは息を飲んだ。
「これが……」
「魔神器だ。すでにラヴォス様との回路を繋げてある。地中で対面した時と同一のオーラを感じるであろう?」
 サラは立っているのがつらかった。寒気がする。
 こんなものを支えにしてはいけない。絶対にいけない。
 そう思ったが、声を出すことが困難だった。呼吸しているのがやっとだ。
「太陽神殿への道は封鎖し、陸地を切り離した。驚くほど容易な仕事であったわ。これもラヴォス様のご加護か」
 ジールは魔神器を見上げた。恍惚とした表情で、
「あと少しだ。あと少しでわらわの望みが実現する」
「母様……」
 サラが呼べども、ジールには聞こえていない。
 こんなに近くにいるのに、手の届かないところに行ってしまったみたい……。
「サラ。この部屋とわらわの部屋に、これから特殊な鍵をかける。ペンダントは持っているな?」
 ペンダント。
 ずうっと前。母様が私にくれた宝物。
『サラ。このペンダントは、わたくしからの贈り物です。あなたをつらいことや苦しいことから守ってくれますよ』
 綺麗な、青い石。
「そう、それじゃ。その中にラヴォス様の力を封じ込めるのだ」
 サラが差し出したペンダントをジールはひったくり、魔神器の前にかざした。
 ペンダントはひとりでに浮き上がる。魔神器から光の粒が注ぎ、ペンダントの中へ。
「やめ……」
 やめて。
 母様からいただいた、大切な宝物をとらないで。
「これでいい。サラ、これからはこのペンダントを常に持ち歩くのだ。ゆめゆめ忘れるでないぞ」
 サラの元に返ってきたペンダントは奇妙な光を放っていた。そして、手にずしりと重たかった。
 私のペンダントはこんな風に光ったりしない……。自然の光を受けて、海のようにきらめくのだ。
 サラはペンダントを首にかけた。途端、まるで首に枷をはめられているみたいに苦しくなった。
 ジールは魔神器の間を悠然と闊歩しながら、
「海底神殿だ。あとはそれさえ完成すればよい。さすれば永久の時がわがものになる」
 サラは床にひざまずいた。重たい……このペンダントは。
「すでにガッシュは着工に取りかかっている。問題は工員だ。光の民を危険にさらすわけにはゆかぬ。命に関わる仕事は別のものにさせる必要があるな」
 頭がぼんやりしてきた。
「女王陛下。下界の民ならば使い捨てても問題ないかと存じますが」
「ふむ……そうだな。ダルトン、よき案じゃ」
「恐縮でございます、陛下」
 サラは朦朧とする意識の中でジールの言葉を聞いていた。
 下界の民?
 それは……地の民のこと?
「いけない。母様。それはいけない」
 サラは必死に力を振り絞り、立ち上がろうとした。それだけは何としても止めなくては。
「母様、だめ……! それだけは……絶対に……」
「どうしたサラ。顔色が悪いぞ」
 ジールの顔がかすんで見えた。
「ははあ、そうか。ラヴォス様のエネルギーが身体に順応しきっていないのだな。安心するがよい。初めは苦しむかもしれぬが、すぐに慣れる」
 いや……そんなのは。
 母様、お願い。正気を取り戻して。
 昔の、人々の平和を願っていた頃の母様に、戻って。
22風の泣き声:2008/07/04(金) 09:17:13 ID:msincRv0
「ダルトン。決まりだ。下界へ赴き、適当な民を選んでまいれ。若い男が理想であろう。ゆけ!」
「はっ」

 だめ……!

 しかし、サラの声は誰にも届かなかった。
 どれだけ願っても、祈りは通じなかった。

 サラは再び気を失った。


       5

 悪い夢を見ていた。
 そこには救いがない。
 そこでは大切な人が泣いている。
 黒い夢だ。
 夢には終わりがない。
 私はその中で息もできず、どこへも行けず、誰にも会えず……涙することすら許されずに、終わらない夢の中をいつまでもさまよっている。
 ここから助けて。
 誰か……。

「姉上、姉上!」
 私を呼ぶ声がする……。
 サラはゆっくりと目を開けた。
「姉上!」
「ジャキ……」
 サラはゆっくりと瞬きをする。
「姉上、大丈夫? 姉上……」
「ジャキ、ずっと傍にいてくれたのね。ありがとう」
 自分の寝室だった。心配そうな顔をしたジャキが床に座っている。サラは弟が手を握ってくれていることに気がついた。
 鈍痛のする頭でサラは思う。私は今まで、何をしていたのだっけ。
「ジャキ、母様はどこ……」
「姉上、あんな奴の言うことなんか、もう聞かなくていい! あんなのは母様じゃない! 姿形は母様だけど、中身は別のモノだ……」
「ジャキ……そんな風に言うものじゃないわ。誰もがみな、平等に…………うっ、はあっ!」
 突如激痛が走った。サラは苦痛に顔を歪める。
「姉上! どこか痛むの? ねえ、しっかりして! 姉上!」
 ジャキがサラの手を握りしめる。しかしサラは顔を歪めたまま、目を開けずにいる。
 サラは胸が焼けるようだった。
「黒い風……」
 ジャキがつぶやく。
 喉が締め付けられるような苦しさの中で、サラは思う。
 この子は何かを感じているのだ。私とは違う形で、何か、大事なことを。
 そうか。地の民が捕らわれて、きっと今頃……。
「うああっ、ああ!」
「姉上!」
 サラが痛みに寝返りを打った。
 それと同時に、部屋の扉が開いた。
 ジャキが振り返り、はっと息を飲んだ。
「来るな! こっちに来るな!」
 ジャキが相手に叫ぶ。
「……ほう。ジャキ。お前いつからそのような口を利くようになったのだ。仮にも相手はお前の母じゃぞ」
 何よりも冷たい声。
 苦痛の炎に身を焼かれながら、サラは母の声を聞いていた。
「うるさい! お前のせいで姉上は……。こっちに来るな!」
 ジールはジャキの言うことなど聞こえないかのように、
「サラ、平気か? うなされておるな。そなたの魔力の大きさを鑑みれば無理もないことだ。今はただ耐えるのじゃ。じきによくなる」
23風の泣き声:2008/07/04(金) 09:19:12 ID:msincRv0
「嘘をつくな! こんな気に慣れるなんてどうかしてる……。姉上、しっかりして、姉上!」
 ジャキは姉に向き直り、その手を強く握りしめた。その背中に、鋭い刃のような声が突き刺さる。
「ジャキ。お前は出来損ないだ。先日の一件、わらわの耳にも届いているぞ。この国に暗雲をもたらすなど冒涜にも程がある。お前が王家の者でなければ処刑しているところだ。己が魔力を制御することもできない、未熟者め」
 吐き捨てるようにジールは言った。ジャキは姉の手を握って、母の言葉による矢を浴びていた。
「まあよい。お前のおかげで太陽神殿への道を閉ざすのは容易だった。屑のような者であっても、一度くらいは役に立つことがあるのだ」
 ジャキはじっと耐えた。心中で、彼は姉の言葉を繰り返し唱えていた。
『誰にでも、平等に』
「サラ。しばし安静にしていろ。そなたには神殿が完成した後、今一度ラヴォス様に働きかけてもらわねばならぬ」
 それだけ言うとジールはサラの部屋を後にした。冷たい足音が、硬質な床を鳴らした。
「姉上……。姉上……」
 ジャキは姉の回復を祈り続けた。
 みい。
 足元にいるアルファドが、悲しい声で鳴いていた。


       6

「えっぐ、うえっ、えぐ、うえええん」
 樹の陰で、小さな男の子が泣いている。
「えっく、うぇっ、ひっく」
 膝を抱えて、両手で目をこすって。
 男の子は泣いちゃいけない。自分でそう言い聞かせても、かえってそれが涙を溢れさせる。
 せめて誰かに見られないように、ここまで歩いてきた。誰にも弱いところを見せたくないから。
「ジャーキッ」
 優しい声がする。
 聞きたかった声。でも、一番見つかりたくなかった人。
 ジャキはそっと顔を上げた。
 サラ。僕のお姉さん。誰よりも優しい笑顔。
「また泣いてるの?」
 サラの問いに、ジャキは両目をこすりながら首を振った。
 サラは笑って、
「いいのよ。それでもいいの。泣きたいときは泣けばいいのよ。どんな人だってそう……。じゃなきゃ、心が暗いもので満たされてしまうわ」
 サラは、こわれものを扱うように、そっとジャキを抱きしめる。
「えっ、うぇ、ガ、ガッシュが……うぇっ、えぐ」
「ガッシュに怒られたのね? あの人は癇癪持ちだから……」
 サラは慰めるようにジャキの頭を撫でた。
「でもね、ジャキ。彼は悪い人じゃないのよ。あの人は研究に誰よりも純粋な情熱を捧げているの。今のジールがあるのはそのおかげ」
 ジャキはしゃくり上げた。そんな仕草のひとつひとつが、サラにはたまらなくいとおしかった。
「ね。ジャキ。私と約束しよっか」
「やく、そく……?」
「そう。約束。この先、あなたがもっともっと素敵な人になれるかどうか、私と賭けをするの。あなたがくじけてしまったら、その時は私の勝ち。
 もしそうなったら……そうね。あなたは私になにか贈り物をしなければならない。そして、もしもあなたがもっと素敵な人になれたなら、あなたの勝ち。私はあなたに贈り物をあげる」
 ジャキはきょとんとした顔でサラの話を聞いていた。
「おくりもの?」
「そう、贈り物。だからね、ジャキ。まっすぐでいるのよ。いつもくじけない心を持って。弱いものに手を差し伸べられるような、そんな人になって」
 サラはまたジャキの頭を撫で、あどけない笑みを浮かべた。
 ジャキはぽかんとしたままサラを見ていた。いつの間にかジャキは泣きやんでいた。


       7

 魔神器ができ上がると、魔法の王国は急速に栄えていった。
 これまで以上にきらびやかに。どこまでも高いところへ。
 この地に住まう人々は誰もが、このまま永遠の時間を手にできると信じていた。
 草花は優美に咲き続けていたし、泉の水は澄んでいた。一見して、国が滅ぶ要因などどこにもないようだった。
 しかし、それは大いなる間違いだった。
 前に進んでいると思っていた道は、実は崩壊に向かう旅路だった。
24風の泣き声:2008/07/04(金) 09:20:44 ID:msincRv0
 長い時間が経ち、とうとう海底神殿が完成した。

「サラ様。海底神殿へ向かう準備が整いました。同行願います」
 王女を呼ぶ声がした。
 窓辺にいたサラは、民の声に答える。
「すぐに行きます」
 間もなく部屋はサラ一人になった。サラはふたたび窓から外を見た。
 彼女の瞳には、ガラスの向こうにある青空が映っていた。
 そこは彼女がたどり着きたい場所だった。
 しかし、たどり着けない場所だった。

 大きな樹の下。少年と猫が空を見ている。
「アルファド。お前、一人になっても生きていけるか?」
 墓標の前で、ジャキは愛猫に呼びかけた。
 みい。
 アルファドは小さく鳴いた。
「お前……。本当に僕の言ってること解ってるのかよ」
 みい。
「そろそろお前ともお別れだ」
 みい。
「黒い風」
 アルファドは首を傾げる。
「止むことはないんだよ。姉上……」

 海底神殿の内部はどこまでも広かった。
 たとえ侵入を果たしたところで、ここの造りを知らないものはたちまち道に迷い、瘴気に当てられ、亡者となるだろう。
 青みがかった、金属の光。
 太陽を永遠に臨むことのない場所。
 温度のない景色を目にしながら、サラは確かな足取りで神殿の中を歩いていく。
『ジャキ。これをあなたにあげる』
『姉上、これは?』
『お守りよ。もしもの時ジャキを守ってくれるよう 私の祈りがこめられているわ。いつでも私がそばにいてあげられたらいいのだけれど……』
 かつて母がそうしたように、サラもジャキに贈り物をした。それは未来への願いをこめたお守りだった。
 あなただけはまっすぐなままでいて。ジャキ。
 私は、もう元には戻れないから……。

 道案内がいてもなお、長い道のりだったとサラは思った。
 海底神殿の最深部。ジール王国の動力源たる魔神器の間。
「サラ、よくぞ来た。待っていたぞ」
 女王が光らない目をサラに向けた。
「そなたはこれまでよく立ち働いた。その調子で、あと一仕事してもらおう」
 サラは表情を変えず、ただジールを見ていた。
「これが最後となるだろう。今日を境に、ジール王国は永遠の光に包まれる」
 ジールは薄く笑った。
「さあ、サラ。もっと近くへ来るのじゃ」
 ジールが呼びかけた。その瞳は霞み、もはやかつての面影はどこにもない。霧を払う光は、海の底にあるこの神殿には射してこない。
「はい。母様」
 サラは運命を受け入れた。
 母様と一緒であれば、どんな場所へもついて行こう。
 さもなければ、母様は本当に一人きりになってしまう。
 サラは魔神器の前に進み出ると、祈りを捧げるべく、両腕をかざした。

 ジャキは海底神殿の廊下を走っていた。
「はあっ、はあ!」
 走るのは好きじゃない。だから日頃は静かにしている。
『ジャキ、部屋の中にばかりいないで、たまにはお日様の光を浴びた方がいいのよ』
25風の泣き声:2008/07/04(金) 09:22:16 ID:msincRv0
 姉の何気ない言葉が浮かんでは消える。
 姉上……。
 どうか、僕がたどり着くまで無事でいて。
 ジャキは長く続く廊下を抜け、異様なまでに明るい広間に出る。
 ふと不気味な気配がした。
「何だ?」
 ジャキが振り向くと、対になった二体の魔物が姿を現した。魔物はすばやく動き、ジャキの前後を封鎖した。
「くそっ。こんなものまで配置してるのか!」
 退路と進路の両方を断たれ、逃げ場はない。
 しかしジャキは慌てなかった。油断のない目で、まずは二体をよく観察した。
 灰色の魔物と、黄土色の魔物。悪鬼のような形相にもジャキは屈しなかった。
 注視していたジャキはあることに気がついた。片方が動き回っているのに対し、もう片方はまったく動かない。
 ジャキは意識を集中し、動かない方に雷を落とした。
 ――効かなかった。依然として魔物はジャキの行く手をさえぎっている。
「!」
 突然、動く魔物がジャキに攻撃をしかけてきた。
 ジャキは身をよじってそれをかわすと、懐から抜いた小刀で、魔物の背をつらぬいた。
 すると煙のように魔物は消えた。あとには動かない魔物だけが残される。
「……そういうことか」
 ジャキは思念を集中し、残った魔物にありったけの魔法をぶつけた。

 女王の命に従い、サラは魔神器を通してラヴォスの力を増幅し続けた。
 ラヴォスの膨大なエネルギーは、迸る熱となってサラの体内を駆け巡る。
 それでもサラは呪文を唱え続けた。彼女にとって、もはや身体の痛みなど何でもなかった。
 ペンダントが自然の光を通さなくなったあの日、サラは自分も瘴気に侵されたことを知った。
 それからは魔神器にはたらきかけるのが容易になった。最初の日にペンダントから感じた痛みも、重みも、もう何ともない。
 サラはジールのために毎日魔神器の力を増幅した。暗い影を落とす機械に向けて念じるたびに、サラは身体が軽くなっていくような気がした。同時に、かつて傍にあったものたちが、どんどん遠ざかっていくのが解った。
 サラは変わってしまった。あれほど美しかった草花や青空を見ても、もう何も感じない。そして、それを悲しいとすら思わない。
 魔神器を通し、ラヴォスの力に触れる毎日の中で、ふと、サラは母の真なる願いを垣間見た気がした。
 もしかしたら母は、ジールは……亡き先王を蘇らせたかったのではないか。
 病に倒れ、そのまま帰らぬ人となった父。
 あの日から、母は変わってしまった。
 自分のことを「わたくし」ではなく「わらわ」と呼ぶようになり、心を閉ざすようになった。いつも力を欲し、そのためにはどんな手段もいとわなかった。
 そうしなければ、一人きりで王国を支えていくことなどできなかったのかもしれない。
 毎日のように「力が必要じゃ」「時間が足りぬ」と呟き、亡霊のように何かを探し続けていた。
 母様。あなたはこの世界で、ひとりきりになってしまったのですね。
 私の声も、ジャキの声も、届かないところに行ってしまった。
 母様……。
 それでも私は、母様が好きでした。
 優しさゆえに、重荷を一人きりで背負いこんでしまうあなたが。
 決して涙を見せず、誰にも弱音を漏らさない。
 強く気高い意思の力で、誰をも包みこむ永遠の安らぎを手にしようとしていた。
 母様……。
 サラは母を想った。
 彼女の頬を、ひとすじの涙が流れた。
 その時――、
「!」
 魔神器を循環する魔力が、急速に膨張した。
「これは……何!?」
 サラはとっさに両腕を離そうとしたが、離せなかった。魔力の潮流はすでに止められない状態になっていた。すさまじい圧力で、回路がショートしてしまいそうだった。
「いかん! ジール様、今すぐ計画を中止するのじゃ! 魔神器ではとうてい抑えきれん!」
 ボッシュが訴えた。ジールはかつてないほど軒昂した様子で、
「おおおお…………いいぞ、素晴らしい! 力が……力がみなぎってくる! 永遠が近づいてくる!」
 ボッシュは首を振り、
「ええい。やむをえん!」
 前に進み出ると、懐から紅色に輝くナイフを取り出し、魔神器に突き立てた。
26風の泣き声:2008/07/04(金) 09:23:46 ID:msincRv0
 魔神器から火花が散り、電光が八方に放射した。
「きゃあっ!」
 サラが弾かれて、地面に崩れた。
「ボッシュ、貴様何をする!」
 ジールが叫んだ。行き場を失った力が弾け、火花となって炸裂する。
 ガッシュやハッシュも含め、その場にいた者すべての視線が魔神器に集まった。
 魔神器は力を暴走させ続けた。赤きナイフは真っ白になるまで輝き、エネルギーを吸収していた。しかし、それでも魔神器の機能が停止することはなかった。
「ぬう……いかん、ナイフだけでは抑えきれん!」
 サラは両手を地面について、浅く息をしていた。信じられないほどの疲労感が彼女を襲っていた。
「母、様……」
「ククク、ハーッハッハッハ! 見たか。もはや誰にも止められぬ。愉快じゃ! 実に愉快じゃ! ジールは永久に不滅だ。ラヴォス神と共に!」
 暴走した魔力が地殻を刺激し、大きな地震が起こる。
 大気の温度が急激に上昇しはじめた。

 ジールの高笑いが扉の向こうから聞こえてきた。
「姉上!」
 すぐ近くだ。
 ジャキは全速力で走った。階段を上り、廊下を抜ける。大きな入り口をくぐり、魔神器の間へ突入した。
「姉上!!」

 サラは潤んだ目を見開いた。
「ジャキ……! どうして!?」
 祭壇への入り口に弟が立っていた。
「姉上!」
「ジャキ、だめ!」
 サラの制止にかまわず、ジャキは最後の道を駆け出した。
 サラは目の前の光景が信じられなかった。
 ジャキ。どうしてあなたまで……。
「これは……!?」
 ハッシュが声を上げた。サラは、禍々しい気が魔神器の周囲を覆っていることに気がついた。
「空間がひずんでいく……」
 サラは全身で空間が揺らぐのを感じていた。驚くほどの力が、魔神器の間全体を捻じ曲げ、吸い込んでゆく。
「ジャキ! 来てはだめ!」
 サラは弟に向けて訴えた。しかし、ジャキは姉のもとへ必死に走ってくる。
「姉上、姉上っ!!」
「防ぎきれん、飲まれるぞ!」
 誰かが叫んだ。サラはジャキだけを見ていた。
 ジャキ、どうして……。
 あなただけは無事で。これから先の未来を、生きて――、

 空間の歪みが、そこにいた者たちを飲み込んでいく。

「ジャキっ!!」
 サラが叫ぶと、その声は分厚い緞帳に飲まれるようにして消えた。
 気がつけば、魔神器の間から景色は変わり、色彩のない、いびつな靄に包まれていた。
「ジャキ! 母様! どこにいるの……?」
 サラは涙を流した。彼女の声に答えるものはなかった。
「母様……ジャキ……」
 サラは、かけがえのない母と弟の姿を思い浮かべようとした。紫色のローブ、銀色の髪。優しい眼差し……。
 しかし、彼女たちは背を向けたまま、振り向いてはくれなかった。
「いや……」
 濃さを増していく靄の向こうに、消えていってしまう。
「いや! 母様! ジャキ! お願い、帰ってきて! 私を一人にしないで……お願い……」
 サラは泣いていた。湿った風が、彼女の頬を撫でた。風は袖口から、襟元から入って、サラの身体を覆っていく。ひやりとしたその感覚が、サラには恐怖だった。母や弟を初め、もう誰にも会うことができない気がした。
「ジャキ……」
 風が体温を奪っていく。
 こぼれる涙が、たちまちのうちに冷えていく。
27風の泣き声:2008/07/04(金) 09:25:17 ID:msincRv0
「!!」
 サラの後ろ。
 人ではない、動物でもない、何かが迫っていた。
「ラ、ヴォス……」
 棘に覆われた殻。ゴムのような口が開いて、中央にある核が、瞳のように光る。
 魔神器に魔力を捧げすぎたサラは、ラヴォスに近づきすぎた。彼女は悟った。ラヴォスは、私を取り込もうとしている。
 背中の辺りで、何かが外れるような感触があった。
「だめ……」
 サラは、ラヴォスが自分の中に侵入してきたことを知った。一本の、驚くほど繊細に動く、ツタのような神経が、サラの肢体を絡め取った。
 血液が温度を失っていく。知らない間にローブははぎ取られ、一糸まとわぬ姿でサラはラヴォスと同化していた。
 もう一本のツタが伸びてきて、サラの背筋から首、首から頬へと這う。ツタはまるでサラの涙を拭うように動いた。時間がすぎるほど、サラは途方もない悲しみの泉へ、深く深く沈みこんでいく。
 何が、いけなかったのだろう……。私に、もっと勇気があれば。
 本当なら、私が母様を止めるべきだったのだ。よりどころのない母様が、ただ一度胸のうちを明かした、あの時に。
 初めのツタが、螺旋を描きながらサラの片脚を上り、秘所へと伸びる。
 これは罰だ、とサラは思う。
 母も弟も、光の民も、地の民も、誰一人救えなかった自分への罰。
 ツタの先端がサラの入り口をそっと撫でる。頬に当たっていたもう一本のツタが、呼応するようにサラの唇を塞ぐ。
「ん……んっ!」
 息が詰まる。一本目のツタが秘所にある敏感な箇所を探り当てる。
「んんっ」
 つま先から力が抜ける。足の次は腿、その次は腰、背中、肩、首……。肘に手首。
 全身が弛緩して、サラは何もかもをその存在に委ねた。待ちかねていたかのように、次なるツタが腰を絡め、先端が胸部に延びた。柔らかな丘の片方を、ツタはそっと包む。
「はあっ……んっ、ああっ!」
 秘所を撫でるツタが前後運動を開始する。返事をするかのように、口を押さえるツタがサラの舌を探して、触れる。
「んっ、んんっ」
 痛みを伴うのは初めだけだった。穢れを知らなかったサラの身体は、驚くほど柔軟にツタの動きに従った。
 第三のツタがサラの胸を撫でまわす。第一のツタが緩急をつけるように、きゅっ、きゅっと動く。
「んっ、はあっ……はあ!」
 第二のツタが口から離れ、サラに呼吸させる。
「はあ……はあ……」
 第一のツタが、より奥深くを目指して入り込む。
「はああっ、あっ……ああ!」
 全身が溶け出してしまいそうだった。腰の辺りにだけ、サラは自分が体温を残しているのを感じていた。
 第三のツタが、ふくらんだ胸の先端をつつく。第一のツタが内奥に達し、さらなる前後運動を開始する。
「ああ……、んあっ、あっ、うんっ」
 第二のツタが再び口から入ってくる。舌に絡み、唾液に濡れる。サラの唇は、ちょうど第二のツタを加えるような格好になる。
 その間にも、第三のツタはサラの胸を這う。沈むように押して、ぎゅっ、と上げる。
「ああ……んんっ!」
 知らぬ間に、四本目のツタがサラの真っ白な肌を這い進んでいる。感触そのものを求めるかのように、首筋や脇、へそ、大腿、足の指、あらゆる場所に伸びては消える。
 サラは涙を流し続けていた。心中で、母とジャキにずっと謝り続けていた。
 ツタが速度を上げる。サラの体液に濡れたツタは、乾いている彼女の肌にそれを塗ってゆく。
 まもなくサラの身体は、表面のほとんどを自らの雫で覆われた。二本目と四本目のツタが去り、秘所と胸部にだけツタが残る。
 どくん。
 何かが鼓動を打った。
 それはサラの心臓だったかもしれないし、ラヴォスの命脈だったかもしれない。それとも、何か他の存在が生きている証だったかもしれない。
 どくん、どくん、どくん。
 その者の鼓動に合わせ、ツタはサラの中に入ってくる。
「はっ、んっ、ああっ……あっ」
 胸部を覆うようにもう一本のツタが伸び、二つの丘をきゅっと包んで、離し、包んでは離す。
「ふあっ、んっ……ああっ、んんっ!」
 秘所から流れ出る液体が、ツタの動きをより円滑にする。もっとも敏感な箇所が、速度を上げるツタに反応して、サラを溶かす。
「ああっ! んはあっ! ああっ! んうっ!」
 サラの瞳は涙でいっぱいだった。鼓動が大きくなり、熱が温度を上げる。
 どくっ。
「あああっ! はあっ! んっ、あああっ!」
 絶えず胸をツタが圧迫し、離れ、圧迫しては離れ、秘所をてらてらしたツタが出入りし、脈拍を上げていく。
28風の泣き声:2008/07/04(金) 09:26:48 ID:msincRv0
 どくっ、どくっ、どくん、どくんっ、どくんっ! どくんっ!
「はっ、はっ……んっ、はあっ。ああっ、はああっ! ああ……ああんっ!」
 どくんっ!!
 どくどくんっ、どくんっ!!
「ああああああっ!! はあああああああっ!!」
 サラの下肢から一切の感覚が失せ、快楽の潮流がサラのすべてを支配した。秘所から透明な雫がぽたぽたと流れ落ちた。
 ごめんなさい…………。
 ジャキ。
 母様。

 最後の瞬間、サラは母と弟の優しい顔を思い出せた気がした。


       8

「姉上!」
 ジャキの声は、壁のない次元の渦に吸い込まれた。
 重力から開放され、ジャキの身体は寄る辺のない海をさまよった。
 まるで人形になってしまったかのように、ふらふらと、思うがままに動かされ、ジャキは一人きりで漂流する。
 前後不覚に陥り、どこへ行くかも解らず、傍には誰もいない。
「姉上……」
 ジャキは姉の笑顔を思い浮かべた。
「寒い……」
 もう帰ってくることのない、笑顔。

「ビネガー様」
 霧に包まれた山中。緑色の肌をした小さな魔物が言った。
「どうした。何か見つけたか?」
 尊大そうな、恰幅のいい魔物がそれに答える。
「いいえ。ですが、山頂に何もない空き地があります。見晴らしがいいですよ」
「貴様ワシをおちょくっとるのか。そんなものに心動かされるのは人間だけじゃ。バカもんが」
「すいません、ビネガー様」
「……で、どこじゃそこは。案内しろ」

「いてっ!」
 ジャキは芝もまばらな地面に叩きつけられた。頬に擦過傷ができた。
「姉上……」
 あまりにも長い間次元の渦をさまよっていたジャキは、すっかりぼろぼろになっていた。もはや立ち上がることもできない。
 姉上……。
 僕は。
「んなっ!? 何もんじゃこいつは!」
 胴間声がした。頭蓋から腹の底を叩き割るように野太い。警戒しようにも、顔を上げる力すらジャキには残っていなかった。
「人間か……? それにしては変わった格好をしておる」
 乱暴に髪の毛をつかまれ、引っ張られる。
「うあっ!」
「ほう。子どもながらなかなか端正な顔立ちをしておるな」
「姉、上……」
「んー? 何か言ったか、ボウズ?」
 大きな魔物はげはげはと笑い、
「お前は今からこのビネガー様に殺されるのだ。ゆくゆくは魔王としてこの地に君臨するわしにな!」
「ずいぶん小さな一歩ですね、ビネガー様」
「うるさいわ! 余計な口を挟むな!」
「すみません」
 ジャキの意識が遠のきかけた。
 僕は、死ぬのか。
 こんなところで……。こんなやつらに。
「遺言はあるか? まあ、伝えたところでその家族も死ぬのだがな」
29風の泣き声:2008/07/04(金) 09:28:20 ID:msincRv0
 魔物はまた不快な笑い声を上げた。
 ジャキは、世界を取り巻くあらゆるものを呪い、憎んだ。
 お前たちが。
 お前たちのせいで。
 お前たちさえいなければ。
「ほら、どした。ないか、ないのか? んー? では潔く死ねい!!」
 ビネガーが手をかざした瞬間――、
「んなっ、何だ!?」
 冷たく、暗い気配が山頂を包み込んだ。
 鳴き声のような細く高い音が、奇怪な旋律を奏でる。
「何だ何だ、何なのだ!?」
 ビネガーは恐れおののき、周囲を見渡した。配下の魔物たちはとっくに退散していた。
「んのおっ! どこへ行きおった、ジャリーども!」
 直後。ビネガーは肝を氷の手でわしづかみにされたようだった。
 見ると、さっきまで自分の手中にあったはずの子どもが、光のない瞳でこちらを見ていた。
「なななななな!! 貴様、いったい!」
「……お前は誰だ?」
 ぞっとするような声だった。感情の一切が欠落している。人間味が微塵もない。
「わわわわ、ワシは……」

 それが彼とビネガーとの邂逅だった。
 黒い風が、静かに、強さを増した。

 暗い海が、岬に波を打ちつけていた。
 波濤の群れは絶え間なくうねり、魔王のもとへ黒い風を運んでいた。
 魔王は岬の突端から、遥か彼方、上空に浮かぶ漆黒の要塞を眺めていた。
「…………」
 彼が何を思っているのか、誰一人知ることはない。
「……来たか」
 ずっと後ろから近づいてくる者たちの気配を、魔王は察知した。
 この先に延びる運命がいかなるものであろうと、彼はそれをまったく恐れないだろう。

 光のない目で旅人を見据える魔王の手には、古びた、小さなお守りが握られていた――。

 (了)
30名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 09:29:50 ID:msincRv0
以上です、長くてすいません。
トリガーDS移植決定おめでとうございます。
31名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 09:41:56 ID:+PAwTSBg
乙です!力作ですね
32名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 09:59:18 ID:2UeAXkLb
。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。
イイハナシダナー。上から下から涙が止まりません。
33名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 20:01:29 ID:0Jbf8e3e
なんというクオリティ
34名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 09:21:11 ID:r8qiY+GN
公式サイトにテンション上がりまくり保守。
35名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 14:06:45 ID:WyAwPy2X
保管庫にはトリガーのSSもあるんだな

このスレにも来たらいいな
36名無しさん@ピンキー:2008/07/08(火) 02:53:34 ID:spyk2+6e
やっぱりラズたんのSSってないのな・・・
自分で妄想するしかねぇかw
37名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 20:41:41 ID:tl/GmlE3
DS移植かー。移植・リメイクばっかとか本当スクエニは能無しだな






まあ楽しみなんですけどね

>>36
良かったらその妄想をこのスレに具現化してくれ
38名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 17:44:31 ID:MMlN+8iv
保守の賢者ホッシュ。
39前スレ続き(触手もの):2008/07/13(日) 13:43:16 ID:x6gQw0HC
保守ついでに前スレ触手つづき


「ずいぶん気に入ったようだな。小娘。」

前触れもなく、何もない空間から声が響いた。
熱に浮かされた表情でキッドは僅かに顔をあげる。

闇の濃い場所から、その声の主は姿を現した。
鮮やかな青い髪、青い瞳の少年。

僕…

邪気に溢れた笑みを浮かべ、キッドの横に立ったその人物の姿は
紛れもなく『セルジュ』だった。

フェイト…どうして…

龍神の力を借りて、セルジュは自分自身の体を取り戻した筈だった。
現に今、セルジュは元の姿でいる。
なのに何故…?
疑問ばかりが頭を巡るが、霞んだ意識の中では思考は先に進まない。
おそらくこの惨劇を仕組んだ本人であろう
目の前のフェイトを睨み付けることさえ、
今のセルジュには叶わなかった。

「セルジュ、お前も中々いい格好だな。」

四肢を触手に固定され、身動きの取れないセルジュを見て、
フェイトは満足気にくつくつと笑い声をあげる。

「っん…ぁ…ひゃぁっ…」

その間にも、キッドは触手に蹂躙されて身を捩る。
フェイトは喘ぐキッドをチラリと見ると、蔑むように目を細めた。
それに呼応するように、新たな触手が伸び、
キッドの足に巻きつきながら上へと登っていく。

「は…ぁ…あ…っ」

触手が足を這う感触に、キッドは身を震わせた。
蕩けたようなその瞳には微かな期待のさえ伺える。
だが、ついにスカートの中にもぐりこんだ触手は、
溢れた蜜によって既にその意味を成さない下着を
ずるずると引きおろしただけだった。

「……んっ…」

くちゅ、と音を立てて、そこから離れた下着は
触手によって膝の辺りまでおろされる。
物足りなさからか、キッドは切なげな表情を浮かべた。


40前スレ続き(触手もの):2008/07/13(日) 13:45:09 ID:x6gQw0HC
「…淫らな女だな」

その様子を見たフェイトは、そう言い放ち、キッドの背後に回った。
そしておもむろに手を伸ばし、蜜のつたった後の残る
太ももの内側をゆっくりと何度も撫で上げる。

「セルジュ、お前もそう思うだろう?」

撫でる動作を続けたまま、フェイトはセルジュを見つめた。

「触れる前からこんなにいやらしく垂れ流して…」

セルジュから視線はそらさずに、尚も執拗にフェイトは
キッドの身体を弄んだ。
足に触れていない方の手は、触手に絡みつかれた胸を
その上から乱暴につかむ。

自分の姿をした男が、キッドの身体を犯している。
その異様な光景を目の前にして、セルジュはますます混乱していった。

「しかし…お前も人のことは言えぬかな…」

フェイトはたっぷりと笑みを含んだ声で指摘する。
セルジュの身体は、余裕を持って作られた
ズボンの上からでもわかるほどに反応していた。
思いをよせる少女の、これほどの痴態を見せ付けられては
そうならない方がおかしい。
だが、セルジュの混濁した意識の中には、
はっきりとした恥辱と罪悪の念が広がっていった。

じゅぷっ…

「ひゃあああんっ!」

突然、足の付け根を行き来していただけだったフェイトの指が
キッドの膣に差し込まれた。
予期しない快感からか、キッドの身体が痙攣したように跳ねる。

ぐちゅっじゅぶっじゅぶっ!

フェイトの指が、遠慮無しにキッドの中をすりあげていく。
その度にキッドは胸を揺らしながら快感にもだえ、嬌声をあげた。
キッドの秘肉は差し込まれる指に絡みつくようにうごめき、
時々ぎゅんっっと締め付ける。
フェイトが指をかぎ状に曲げて、壁を刺激すると、
どろどろと蜜が溢れだした。

じゅぷん…

「…んぁ…」

ふいに、フェイトがそこから指を抜いた。
消えた快感を求めてか、キッドは身体を捩じらす。
フェイトはそこから離した手をセルジュの方に向け、開いてみせた。
付着したキッドの愛液が、くちゃあと粘って糸を引く。
その淫らな光景に、セルジュの自身は益々張りつめた。
いけないと思っても、そこに血が集まっていくのを止めることはできない。
だんだんと呼吸も整わなくなってくる。
41名無しさん@ピンキー:2008/07/14(月) 17:21:39 ID:GAsAG34i
エロいなGj
続き待ってるぜ!
42名無しさん@ピンキー:2008/07/16(水) 16:31:57 ID:xko+lcJk
すで→こぶし→てっけん→ごうけん
43名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 00:05:34 ID:LiRKrlO0
セックス→セクース→セックル→セクロス
44名無しさん@ピンキー:2008/07/17(木) 02:44:38 ID:tvm6ejxq
手コキ→フェラ→セックス→オナホ
45名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 23:29:12 ID:rTWdPPc2
 
46名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 12:27:07 ID:lneQu/3S
合体技という言い方からしてエロいw
47名無しさん@ピンキー:2008/07/28(月) 01:06:51 ID:smwzsAqF
メルとコルチャのSSが見たいです
48名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 21:45:40 ID:HWKBta1K
ほしゅ
49名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 16:34:32 ID:3S0u1h4R
グランとリオンのショタあげ
50名無しさん@ピンキー:2008/08/08(金) 20:16:39 ID:+2rpbkMC
キーノとエイラのかなり年の差ありそうなカップルsage

キーノも凄くショタかわいいよ(*゚∀゚)=3
51名無しさん@ピンキー:2008/08/09(土) 22:35:25 ID:oD9PDq2V
キーノ何歳なんだろな。十代?
52名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 07:34:20 ID:v3lgOlla
10〜14あたりかなぁ。 12くらいだと思う俺ガイル。
攻略本とかのイラストはほんとにショタにしか見えなくてかわいいよぅ(*゚∀゚)=3
PS版のEDであんだけ服が短いならちんちんがチラっと見えるかなーとか思ってたけどさすがにないかw
53名無しさん@ピンキー:2008/08/10(日) 15:52:31 ID:cijEzk7l
エイラが23くらいだっけ?
年齢差に萌えますね。
54名無しさん@ピンキー:2008/08/14(木) 23:38:14 ID:gWh8FISk
エロパロにおけるトリガー・クロス関連スレで
オルハとエイラがまったく出ない事実に驚愕せざるをえない
55名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 01:11:37 ID:XozfsRAo
エイラ、エロいのにね
56名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:07:40 ID:Ogn5tZMe
共通しているのは格闘派と言うか女マッチョなところか>エイラ、オルハ
人前でも平気で裸をさらして水浴びしそうな健康美のエロさは
逆にエロSSにはしづらいのかもしれん
57名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 02:30:50 ID:ssVTTA3+
>>56
>健康美のエロさは逆にエロSSにはしづらいのかもしれん

仰る通りだが、オルハはパレポリ軍襲撃関連・エイラはアザーラやらキーノ関連と
ネタは揃ってるんだけどなぁ・・・・ここまで注目されないのが不思議でたまらんw
エロ画もこいつらのに限って全然ねーしな。
58名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 10:43:40 ID:Ogn5tZMe
>>57
オルハだけでも想像の余地はないかと考えてみたぜ
・ドクをチョークスリーパーで締め上げて逆レイーポするオルハ
・ナース服着てドクとお医者さんごっこするオルハ

…すまん自分にはこれが精一杯
59名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 11:10:11 ID:O8CDgyao
ドクオル!?
不覚にも萌えた
60名無しさん@ピンキー:2008/08/15(金) 20:30:29 ID:ssVTTA3+
>>58
・ガルドーブに侵攻して来たパレポリ兵にレイプされるオルハ
・妹のティアと百合プレイするオルハ
・純粋にセルジュ×オルハ
・フェイトによる触手プレイ(過去にキッドネタSSが投稿された事アリ)
61名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 01:03:34 ID:mYWRa8ML
>>57
全然ないよなぁ(´・ω・`)
キーノのエロ絵を探し回っても1枚も見つからなかったのを思い出したorz
62名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:27:01 ID:EJopHE94
あげ
63名無しさん@ピンキー:2008/08/24(日) 02:31:54 ID:L62UkOJ5
医者って職業柄ドクは瀕死のキッドを好き放題出来る立場にあったんだな
なにげに美味しい役どころじゃないか
64名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 12:03:16 ID:nb4yeBZl
さげ
65名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 12:29:52 ID:CKMGTnLd
グランとリオンが合体すると、
66名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 22:57:20 ID:b3iFM3xO
かわいい喘ぎ声が響き渡ります。
67名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 23:08:58 ID:XYRdj1Gh
ドリンをお忘れかっ
68名無しさん@ピンキー:2008/08/30(土) 02:14:54 ID:himUwVOH
つまり、

ドリーン→リオン←グラン

な合体ですね、わかります。
69名無しさん@ピンキー:2008/09/01(月) 13:46:50 ID:7vQ68+6G
マヨネー大好きだ(*´Д`)ハァハァ
70名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 00:48:28 ID:3AAzBT+t
ソイソー→マヨネー←ビネガー
71名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 01:21:59 ID:Ys1mBVQN
>>69
アッー!
72名無しさん@ピンキー:2008/09/03(水) 19:24:43 ID:yUD6ZBF7
NAMEクロノ
武器モップ
頭 なし
体 マヨネーブラ
アクセ なし

クロノ「さぁ、かかって来いラヴォス!!」
73名無しさん@ピンキー:2008/09/11(木) 09:57:37 ID:nKiEYOwP
脳内で ミアンヌ×キーノたん とか考えたら凄いおっきしたお(*゚∀゚)=3
74名無しさん@ピンキー:2008/09/22(月) 02:23:41 ID:Rx64qo8J
保守

キーノたんがいっぱい描かれてるサイトとかないかなぁ(´・ω・`)
75ラヴォス:2008/09/25(木) 01:36:52 ID:P37rKr5P
>>72
ウホッ♪
76名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 21:37:34 ID:qWWFnIc2
ボッシュ
77名無しさん@ピンキー:2008/10/06(月) 21:41:01 ID:bvGFKqcr
ゴンザレスタンのエネルギー注入口に突っ込みたい。
78名無しさん@ピンキー:2008/10/09(木) 01:16:51 ID:La90eIRs
79名無しさん@ピンキー:2008/10/12(日) 05:38:51 ID:7OyBhDqp
八種
80名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 09:49:30 ID:k1aRRDUr
ん〜、リメイクであちこち賑わったりしないかなぁ。
81名無しさん@ピンキー:2008/10/17(金) 18:34:04 ID:urL1whAQ
なかなかなぁ……
ついでにルドラの秘法もリメイクしてくれんかなぁ
82名無しさん@ピンキー:2008/10/22(水) 14:05:42 ID:dAmiftoZ
吸いつき攻撃保守
83名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 14:33:39 ID:waKD8yTX
liquid paranoiaって閉鎖しちゃったのかな?
あそこの小説好きだったのに

ついでに保守
84名無しさん@ピンキー:2008/10/29(水) 02:44:18 ID:EgjGNWst
キーノたんのおちんちん保守
85名無しさん@ピンキー:2008/11/02(日) 07:20:59 ID:iY9dvoEg
ぼkk…ボッシュ
86名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 00:42:03 ID:JyyJMxGa
発売されたら盛り上がると信じるぜ!
87名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 23:36:57 ID:4HGI0yvD
グランとリオンのズボンがですね、わかります
88名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 01:04:27 ID:oUIwY/3g
キーノたんの服もちんちんで押し上g(ry

それにしても今や任天堂すらリメイクラッシュ…
89名無しさん@ピンキー:2008/11/18(火) 14:01:49 ID:R0l4yUuo
そういえば魔王にもかわいい時期があったんだよな…w
90名無しさん@ピンキー:2008/11/20(木) 00:52:00 ID:AizQMJ/s
クロスはやったことないけどトリガーはDS始めた懐かしい

なにが言いたいかというとクロノ×マール書きたい
91名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 03:52:16 ID:4XyWw+bX
クロノマール読みたい!
マール可愛すぎてメンバーからはずせないぜ

キーノが家にいるから、
エイラのドッペル人形があれにしか思えんwwwww
92名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 01:21:02 ID:zzes6Ql7
>>91
き、キーノたんはそそそそんなこととととwwwwwwwwwwwww
93名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 00:35:44 ID:oBr3EGXv
「エイラ いない キーノ 寂しい…」
「キーノ エイラの人形 使う これ 穴 開いてる」
94名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 17:06:46 ID:olQiJXco
リアルってよりもはや生々しいなどっかw
95名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 18:54:32 ID:P/iJZxcM
>90
期待してるよ。
9690:2008/11/24(月) 21:47:33 ID:cNr2n2a3
DSクリアした。

(゜д゜)クロノとマールがケコーンだと
(゜д゜;)エイラとキーノがケコーンだと
(゜д゜;;)カエルがグレンに戻っただと

結婚初夜を書けってことですねわかります
俺は遅筆だけどクロマル書いてくる
97名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 00:26:20 ID:uzFC+Gwo
>>93
あれだけ良くできた人形なら確かに開いてそうw
締め付けまで再現されてたら…w

>>96
わっふるわっふる
98名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 16:04:31 ID:yjzk4QBZ
>>96
クロノ×マールと見せ掛けておいて、ルッカが怪しげな薬でクロノを寝取るんですね?
わっふるわっふる
99名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 21:54:51 ID:FLVpLJJv
ここは書く人より読む人のほうが多いんだなw
100名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 00:28:11 ID:r1NvUw1q
>>98
と見せかけといてマヨネー陵辱ですね
101名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 09:13:57 ID:r1NvUw1q
あげ
102名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 13:59:40 ID:/82LzPf1
ラジカルドリーマーズの話はここでしちゃダメ?
103名無しさん@ピンキー:2008/11/26(水) 15:59:15 ID:cum0KXDz
アマゾネスエイラ様(23)に犯されるキーノたん(15)SSきぼんぬ
104名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 10:18:18 ID:XxY5pNIq
エイラ「キーノ! エイラとコウビするぞ!!」
105名無しさん@ピンキー:2008/11/27(木) 23:19:15 ID:D571GtNl
交尾言うなwwwwwwwwwwwwwwwwwww
106名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:39:18 ID:FW80eSto
エイラは現代の虹の貝殻イベントで「ねねする」って言ってたね
あれには鼻からコーヒー吹きそうになった
107名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 00:46:40 ID:HmLAp7iL
クロノって反省会ED以外喋らないから少し書きづらいぜ
一人称すらわかりゃしない。俺より僕っぽいけど
ゲームみたいに無言というわけにもいかんし
108名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 01:49:43 ID:jkPG49jG
んなもん、さるぐつわして逆レイプしちまえばいいんだよ!!

ルッカ「あつっ!? ふふっ、あぁあっ……出したわねクロノ? 私にちつない射精しちゃって……危険日の女にナカ出ししたら、着床するって事ぐらいわかるでしょ? 
それに明日はマールとの結婚式なのに……違う女を孕ませてどうするのよ? 責任、取りなさいよね♪♪」
クロノ「んむぅぅぅぅぅぅっ!!!」


みたいなさ。誰か書いて……
109名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 07:41:25 ID:VoKq7KYK
ルッカは死の山で「力をおかし!」とか
原始で酔って絡みまくったあげく記憶飛んだりとかSっぽいよなw
死刑クロノを女単身で王国刑務所に殴りこんで助けに来るし、行動力もぱねぇ

だがそれをあえてMに目覚めさせたい
整備中のロボの眼前で犯したい
110名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 17:44:59 ID:HmLAp7iL
偶に見る「クロスやってないならトリガーも語るな」ってレスを見ると複雑になる
「クロスやってないならトリガー物も書くな」って言われてるようで

クロスは未プレイだから話がつながってるって言われても何処がどうつながってるのかわかんないし;;
111名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 17:52:00 ID:Q6hfqK91
>>110
はじまりはトリガーで
トリガーがなければクロスもなかった
だからその主張は変じゃないか?
まあそんなの気にする必要ない、好きに書けば良いと思うよ
112名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 21:15:02 ID:jukm+FrU
>>110
逆ならまだ解るけどそれは意味不明だな。
113名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 22:03:33 ID:FW80eSto
クロス信者は一部よく分からんのいるからなー
みんな仲良く出来たらいいのに・・・
114名無しさん@ピンキー:2008/11/29(土) 02:45:01 ID:vrGTYIts
ヌゥ『交わってみる……?』
魔王『断る』

ヌゥ『交わってみる……?』
ラヴォス『よし更なる進化のためにやってみよう』


プチラヴォスが産まれた!名前をつけますか?
プチウニ
115名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 17:00:02 ID:Dtz5k10A
 ぼく、プチラボォス。
 目の前に裸のキーノタンが、エイラの人形を抱きながら、ちっちゃいおにゅんにゅんをにゅこにゅこしてるぞ♪
 口から触手を出してイタズラしちゃえー!!
 手足を縛ってパンツをビリビリ。触手をおにゅんにゅんに巻き付けてにゅっこにゅっこ♪

 ……はっ! なんだ夢か。こんな夢が、このスレの皆も見れますように。
116名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 02:06:54 ID:2StBCVvg
>>115
志村ー! 原始人は穿いてないよ!(・∀・)
すぐににゅっこにゅっこできるよ(*゚∀゚)=3
117名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:39:06 ID:2k2QsjLV
キーノ大人気だなwwww
カエルというかグレン×ルッカが読みてえ
俺にも小説書けるような腕あったらいいのに(´・ω・`)
118名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 02:36:38 ID:9cmXdHco
グレン×ルッカか……
人間の姿に戻ったのをつい忘れて
蛙姿の時の感覚のままルッカにベロロン
→そのままディープキスの流れに、とか
119名無しさん@ピンキー:2008/12/07(日) 23:56:36 ID:H9q9xzQl
保管所のグレン×ルッカは神懸かり的
120名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 23:03:02 ID:KgtE8UVw
どこぞの塩漬けのように、出会った直後にクロノを逆レイプするエイラ姐さん
121名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 23:11:14 ID:fMbIZODH
エロシーンになると書くのが数倍遅くなる不思議山

恐竜人との初バトル時、思いのほかマールが活躍して出会った直後にマールをレイプするエイラ姐さん
122名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 23:39:43 ID:73So307c
ほんっとに強ければなんでもいいのかwwwwwwwwwww
123名無しさん@ピンキー:2008/12/08(月) 23:58:43 ID:4IPhtLcW
ルッカ「わ、私はソッチのケはないわよ!」

と主張するルッカもまとめて4Pレイプするエイラ姐さん
124名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 04:10:36 ID:kCzfeb0C
4Pではないがひとつの話の中で
クロノとエイラ
クロノとマール
エイラとルッカでくんずほぐれつなエロ同人だったらあったぞ
125名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 09:22:18 ID:3kUPlJm3
>>124
くっ…俺の下半身よ静まれっ・・・・
126名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 14:39:44 ID:M+U4Ucf9
レス進んでるからSS投下かとwktkしたのに、変態が6人も沸いてたのかよ……


ここに7人目が居るぜ!!
まーぜーてー!!!
127本能が選ぶ(0):2008/12/09(火) 21:23:55 ID:5BHpDatI
DS発売でニコ聞いてたらムラムラした

PS版、DS版、クロス:未プレイw
ラヴォス撃破後のゲート消失:設定無視
というか色々無視。

「魔王xエイラ」
(クロノxマール、カエルxルッカなので雰囲気はそっち)
128本能が選ぶ(1):2008/12/09(火) 21:30:09 ID:5BHpDatI
自分の時代ではないとどこか落ち着かない感じがする。
魔王にとって見ればそれは育った中世と言われる時代ではなく、ジール王国が統治していた時代だ。
ガルディア王国という観点から見ると魔王軍との戦況活発な中世も、平和ボケしている建国千年祭の時代も同じようなものなのだろう。
クロノの時代でもあるから、そこに滞在する時間が必然的に長くなるのはどうしようもない。
そのような気持ちを共有できるものは、そう、特定されるのだ。

ガルディア王と和解したおてんば姫は、クロノを連れていくことに固執しすぎて他が見えなくなりがちだ。
ゲートなんとかを作った発明少女の複雑な表情までは気がつかないのだろう。

「そんな視線を注ぐのであれば、言葉に出してもいいのではないか?」

壁にもたれかかったまま、必死にロボの調整の振りをしているルッカに魔王は声をかけた。
もちろん、クロノとマールには気づかれない範囲でだ。

「な、何の話? 魔王さまともあろう方が勘違いなんてするのね」

そう言いはしたがメガネの下の光るものを隠せてはいなかった。
この娘が人を気遣ってやらなければ、この集団は大いにまとまりを欠く。
想いだけで集まっているというのもあるがクロノが寡黙な分、ルッカがリーダー格に順ずる。
ルッカが二人の仲を見て気落ちすると、必然的に集団は個々の人間でしかなくなる。
だから魔王は進言してやるしかなかった。互いという個人を意識するのに慣れていないため、それを避けたい気持ちがあった。

「私はいつまでも続くものなどない、と知っている。欲しいものは自らの手で掴むしかないこともな」

ルッカは少しだけ手を止めて、聞こえるか聞こえないか程度の声で礼を述べた。
ガッシュが眠りについた今、色々な調整をするのは彼女しかいない。
そういう責任をみな、無意識に押し付けてるのではないか。
一人に頼ることによるリスクの高さを、この集団はクロノの死という形で学んだのではなかったか。
129本能が選ぶ(2):2008/12/09(火) 21:32:16 ID:5BHpDatI
今日は久しぶりに父と母と過ごす。ルッカはそう告げてクロノとマールと祭りを回るのを辞退した。
結局、その行動を取った彼女に魔王はそれ以上何も言わなかった。
その間、カエルは罰の悪そうな顔でパーティを見回した。
カエルの世界でも、人間なのかカエルなのか判別しにくいものを受け入れるほど懐は広くできていない。

「ねぇカエルはどうするの?」
「俺かっ、俺は、俺はだな……」

いやにモジモジするカエルを前にしてエイラが我慢できなくなったようで、今にもカエルに飛びつかんばかりだった。

「食べられたいなら エイラ 喜んで食べるぞ!」
「……あんたまだ、食べるつもりだったの?」
「違う! そうではない。俺は命の賢者にお会いしたいのだ」

住む世界は違ってもやるべきことはあるのかと魔王は顎に手を当てて神妙そうに考えてみた。
そう、魔王はこの世界でやりたいことなど見つけられないのだ。この世界では居場所がないと思う気持ちを止められない。
いや、どこにいてもそう感じでしまう。誰かに必要とされる場所を失ってからどれくらい経ったのだろう。

「その姿じゃ、あんまりうろつけないもんね〜」
「恐竜人 似てるの 走ってたぞ」
「あれは仮装なの、エイラ」

魔王が考え込んでいたら、いつのまにか、全ての視線が魔王に集まっていた。
カエルに呪いをかけたのは魔王だったから、その呪いについて一言二言あるのだろう。
だが魔王に無言の圧力など大した意味も持たない。

「何か言いたいことがありそうだな」

威圧的に言うと、皆それ以上、何も言わず何も言えず。
とりあえず夜が更けてきたので家に帰るものは帰り、世界の違うものはシルバードの周りで夜を越すことにした。
130本能が選ぶ(3):2008/12/09(火) 21:34:27 ID:5BHpDatI
「カエルさんを戻そうとは考えないのデスカ」
「そのように言葉にしたものはいなかったのでな」

小さな火の魔法で焚火を操りながら、魔王はそうコメントした。
今までも、そしてこれからも魔王に心からぶつかってくるものなど、いやしないのだ。そう、姉のサラを除いて。
ロボは人間ではない。計算した答えと違いが出たため、そう問いただしてるだけなのだ。
あの場ではルッカによる調整中で電源が切られていた。今、カエルを人間に戻すべきかと話題を振ったのは魔王のほうだったのだ。

エイラはカエルを狙うような姿勢のまま眠っている。カエルもカエルで本当に人間であったのか疑わしくなる眠り方をしていた。

「この者は私を許すことなどこれからもない。頼むことなどするわけがない。だからといって、他のものを介すなど私の好むところではないのだ」
「魔王さんは、手厳しいのデスネ」
「魔族に育てられはしたせいかもしれぬ」
「そういうことにしておきまショウ」

魔王自身も迷っていた。魔王として君臨していたころは自分の野望を叶えるのと引き換えにビネガー達の望みを叶えてやっていた奴らの望む魔王となり、奴らの望む戦いをした。その過程にあったことについては魔王個人としての意思ではなかったのだ。
カエルが今も人間に戻りたいと考えているのか、それとも亡き者の意思と罪をその背に負うつもりでい続けるのか。



次の日、魔王は自らもボッシュに会いに行くと言い出した。幼少時の知己がこの世界にいることを忘れていたのだ。
カエルは狭いシルバードの中で魔王と一緒になることに遠慮して、結局、ロボとエイラが一緒に行くことになった。

「まずは私たちが先に行きマス。カエルさんがお会いしたがっているというのも伝えておきマスから」
「エイラ ドリストーンの使い方 見たかった」

意外にもエイラが乗り気だった。てっきりクロノたちに付いて祭りを見るのではないかと思ってたのだ。それこそ原始のリズムを躍らせたら敵うものがいない上に、飲み比べなら嬉々としてやるだろう。

「良かったのか?」
「踊りと酒 じじい いなくても できる」

魔王に向かって、にぃっと笑うエイラにそれ以上の反論は無用だった。魔法もなく、その鉄拳一つで恐竜人の文明を滅ぼした女だ。ロボが操縦席に座り、その後ろで魔王はなんとなく居心地が悪かったのを覚えている。
131本能が選ぶ(4):2008/12/09(火) 21:36:40 ID:5BHpDatI
ボッシュはロボに古代の技術を教え、ロボがその知識をもってエイラにドリストーンが、どれ程のものであるかを実験しながら教えていた。
手の空いたボッシュはそうしてようやく魔王との会話の機会を得たのだった。

「お元気そうで何よりです、ジャキさま」
「私を覚えているとはな」
「忘れませんとも。 ご存知ですか、近くのメディーナ村には像まであるのですよ。まさか再び合間見えるとは想像もしませんでしたな」
「……1つ、聞きたいことがあるのだ」

さすが三賢者と謳われただけのことはある。その中でもボッシュは幼いジャキの話にも耳を傾けてくれたものだったし、
自ら魔力を封印することに賛成してくれたのもボッシュだった。
魔王としてしていた数々のことは、人道的ではなかったと理解している。
だが人と違うことによる差別、魔王の場合はあまりの魔力の高さゆえ、そして家族が家族らしからぬ幼少の記憶ゆえだ。
人の見地からすれば人道的でない、と結論づけられる。だが魔族からすれば? 
魔力による異形、そして屈折した環境にいれば人との争いは無理からぬことだったのではないか。

「魔王軍の行い全てに非があるとは申しません。ジャキさまは後悔なさっておいでだ。魔王として情を持つのは魔王らしくない。
しかし優しさを忘れていなかったからこそ、サラさまの為にラヴォスを覚醒させ決着を付けたかったのでしょう。
優しさがあったからこそ、メディーナの村民はジャキさまを敬っていたのでしょう。
魔族を一国家として成立させたのはひとえにジャキさまだからこそ成せたものだと思いますよ」
「私が優しいだと? 巻き込んでばかりで誰一人として救えてなどいない」
「おやおやジャキさまは、勇者バッチだとかそういうものがお望みですか」

ボッシュには魔王が既に答えを見つけているのを見抜いた。マント下に隠れたサラのお守りを今でも見に付けているのも見えなくともわかる。

「ボッシュ! お前もカエルにするぞ」
「お優しいジャキさまは、さようなことなどなさりません」

ボッシュは昔と同じ笑みを魔王に見せた。
そのあと、ロボとエイラが階下から上がってきて、ゆったりとお茶を楽しんだ。不思議な飲み物だと評するエイラに、香りを楽しむだけのロボ。
そんな彼らと普通に過ごす魔王の姿を見て、ボッシュは少しだけ涙ぐんだ。

(本当に立派にお成りあそばした)

ボッシュにとって時代を違えても仕えるべき主人はジール王国を築き上げた王族の者だ。
ボッシュの知恵と技術に幾人もが縋っても、ボッシュが全てを投げ打ってでもと思えるのは王族の血を引くものだけだった。
父王亡き後、ジールさまが女王となりサラさまと、そして幼いジャキさまがご成長なさるのを見守るのが賢者としての務めだった。
132本能が選ぶ(5):2008/12/09(火) 21:38:46 ID:5BHpDatI
「魔王さんの悩みは解決したようデスね」

夕方になって昼寝を始めたエイラを横目にロボはシルバードに乗り込んだ。

「お前にはわかるのか」
「そういうことにしておきまショウ。ワタシが帰って、カエルさんが来る予定デス。それまでエイラさんをお願いしマス」

そういうものなのか、と魔王は思ったがロボの中で計算式が成立したのだろう。もう見えてはいないロボに、口元だけの笑みを向けた。
ボッシュのところに来て良かった。誰かに話をするのが、これほど肩の荷を降ろすものだとは知らなかったのだ。

「ところでジャキさま、感慨深いところ申し訳ありません。ボッシュめの家にお二人もお泊めすることができんのですよ」

それが結局は、事の発端だった。


野宿をすると言い張る魔王に、女性にそんなことをさせてはいけないと指摘をし、魔王とエイラはメディーナ村の宿に行くことになった。
しかもそれだけではない。エイラは昼寝から覚めず、浮遊の魔法を使おうとする魔王をまたしてもボッシュは止めたのだ。

「なぜ、私が、このような」

両手でエイラを抱えた途端、エイラは猫が甘えるの如く魔王の首に腕を回して顔を埋めた。
身動きの取れなくなった魔王を他所に、ボッシュは戸を閉めて二人を追い出してしまったのだ。

恨むぞ。このように仕向けた者どもに、呪いをかけてやる!

村に着くまでは魔王も少なくともそう思っていた。だが着て早々ボッシュの言葉を思い出したのだ、ここでは顔が割れてしまっている。
実際に顔を合わせたことなどもちろんないが、それでも魔王の如何を聞いてはいるに違いないのだ。
宿で部屋を取る際にやけに顔を見られるのは、気のせいなどでは断じてない。

「お客さんの顔、どっかで見たことがある気がするんですよねぇ」

昔であれば魔王の手下など魔法の1つでもチラつかせれば、他愛ないくらいに懐柔できた。
しかし今は事が事だったのだ。エイラに首をがっちりと締められていては身動きが取れないどころか、面が知れているのなら、沽券に関わる。

「10倍の料金を出そう。宿を貸しきれ」
133本能が選ぶ(6):2008/12/09(火) 21:40:11 ID:5BHpDatI
有無を言わせないつもりだったし、その通りになった。宿の主人すらも追い出せたのは幸いだった。
主人からすれば予想外の大金が入ったのだ、パブにでも行くに違いない。
そんなことで衆目曝されることを避けてようやく、魔王は一息つけた。
もちろんさっさとエイラをベッドに下ろさないことには、体が自由にならないが。

まだ相変わらず昼寝から起きる気配も見せない。
魔王は昔から猫には好かれる性質ではあったが、エイラも猫と同じであったかと関心を抱いた。
お茶の成分に原始人にとってのマタタビでも入っていたのかと思うくらい、エイラから戦闘意欲が抜けていた。

「いい加減に離れないか」
「うーん」

こうも首筋に顔を埋められては落ち着かない。無理やり引き剥がそうとした魔王だったが、
エイラの腕力のほうが勝って、そのまま二人してベッドに横たわる羽目になった。
体制からすると魔王がエイラを押し倒したような形だった。

更に具合が悪いことに魔王の手の付いた先が、エイラの胸だったのだ。

始め手がどこに触れているかもわからなかったが、その弾力と、体制に魔王は困惑した。
焦る己がみっともなくもあり、早く離れるべきだと思ったが、意識の混濁している相手と、久方ぶりに沸き起こる感覚に手を離せないでいた。

「熱い エイラ からだ、熱い」

気づいたのかとギョっとなったが、当のエイラはやはりマタタビでも嗅いだのか、瞳を潤ませて再びがっちりと魔王に抱きついた。
エイラと自分の体に挟まれて手が抜けないどころか、更に押し付けられている。押し付けられているのは胸ばかりでなく、

「待て! ……っまずい」

エイラの肢が魔王に絡む。そして無意識なのか腰が動いて魔王の臀部に扇情的なリズムでもって圧迫を始めた。

「無理 エイラ 待てない」
134本能が選ぶ(7):2008/12/09(火) 21:42:08 ID:5BHpDatI
意識がその実しっかりしているのでは? とも思う。
エイラは魔王の手を取り、指の先を噛んで引っ張るようにして手袋を剥いだ。
そして素手になった魔王の手を、ずらして露わになった己の胸に重ねさせた。
張りがある、などという生易しいものではない。四肢を彩る筋肉からは想像もできないほどに柔らかく、
それなのに弾力があって、見事としか言えない乳房だった。

下から持ち上げるようにして掴むように揉み、指先で乳首を摘まんでは弾いた。エイラは甘い声を漏らして、頬を染めた。
一度、強い口づけを施してから、魔王は覚悟を決めて装備を解いた。
もし今ここで戦闘が起こったら、魔王は滅んでもエイラは生き残るだろう。彼女は本能で生きているのだ。
これが自然の成り行きでなることも、彼女の本能に従うべきところなのだ。

魔王がエイラの肢体を見事だと思ったように、エイラも魔王の体を潤ませた瞳で検分していた。
そしてどうやらお眼鏡に適ったらしく、魔王の舌を快く受け入れた。

まるで獣だ。魔王の髪を指で梳いて遊ぶ女などこれまでいなかった。いや、存在させなかった。
魔王は今、エイラから放たれる強烈な動物性に、自分の中に流れる血の鼓動を感じずにはいられなかった。
魔王もまた原始の血を受け継いでいるのだ。

「女、私を求めるか」
「おまえ 変。エイラ 強い男 好きなだけ。クロたちの中で おまえ 一番 強い男」

強ければ誰でも良かったのかという問いは必要なかった。エイラはクロノと旅を共にしながら、世界を時を飛び越えながら強い男を常に探していたのだ。
楽しければいいというものではない。気が合うから求めるのではない。
エイラにとって、『自分にはないものを持つ』強い男が、最も求めるべき相手なのだ。
エイラはずっと戦いながら思っていた。もしかしたらエイラ達、恐竜人達、どちらかという選択ではなくお互いに混ざり合うべきなのかと。

だがティラン城は滅んだ。アザーラは死を選んだのだ。
イオカにいて、他の世界を知らなかったエイラは、いつかキーノと契りを交わすだろうことを予感していた。
クロノと会ってもそうだった。しかし最後の最後になって仲間として加わった魔王はエイラの中の何かを打ち砕いたのだ。

「欲しければ、求めよ」
135本能が選ぶ(8):2008/12/09(火) 21:43:58 ID:5BHpDatI
「エイラ 欲しい。お前 ジャキ 欲しい」

エイラに名前を呼ばれたのは不思議な心地だったが、それは魔王の精気を高めさせた。今まで己に傅く者ばかりだった。
魔王はエイラの前に膝をついても、それはそれで構わないとさえ思えた。

「お前も エイラ 欲しいか」

先ほどエイラがしたと同じように、魔王はエイラの手を掴み、滾る雄を握らせた。
エイラがその気を出せば握りつぶせないものなど存在しない。だがそれでもエイラは幼子のような握力で、震える指先で魔王を包み込んだのだ。
指の輪が剥き出しの亀頭と捲られた包皮を優しい摩擦でもって撫で上げる。

色素の薄い魔王だが、リビドーに従う今、熟れた果実のように充血し、らしからぬ期待に打ち震えているように見えた。

「ジャキの ここ すごい 熱い」

指が透明なカウパーを亀頭全体に擦り付けて行く。堪らなくなった魔王は再びエイラをベッドへ押し倒して舌を舌で絡め取った。
口唇の交わりは性交と直結する。湧き上がる情欲は舌を、唾液を通じて共有される。
片手は豊かな胸を愛撫し、もう一つの手は未開の茂みへと下降していった。エイラの喘ぎは余すことなく魔王が飲み込んだ。
指でなぞるのを繰り返し、秘部を掻き分け親指の腹で潰すようにしてやると、魔王の雄を握っていた手から力が抜けて、頭を振って啼いた。

「おかしくなる エイラじゃなくなる」
「ここも、ここも、全てお前だ」

濡れそぼったエイラの中心は長い魔王の指をぬるりと銜え込み、粘着質な音を立てた。
エイラの首筋に舌を這わせ、うなじの匂いを吸い込む。本能が踊りだす。この女と交われと本能が魔王を支配していくのだ。
襞を押し広げ、切っ先を宛がう。膝の裏を抱えあげると、エイラはその眼を腕で覆っていた。
あれほど積極的だったくせに、挿入の瞬間を怖がるか。

魔王として君臨していたころと同じような高揚感が迫り、サディスティックな勢いで一気に全てを埋め込んだ。
エイラは声にならない叫びを上げて体を撓らせた。

「あ あ あ……!」

 拳で握りこんだような強い圧迫で、それは二度目の波となって魔王を襲った。見れば浅く抜いた魔王の陰茎は血に染まっていたのだ。
136本能が選ぶ(9):2008/12/09(火) 21:45:27 ID:5BHpDatI
「……愚かな」

魔王の言葉は、初めてだと告げずにいたエイラに向けてのものではなく、そんなことすら感知できずにいた己に向けてのものだった。

「すまん。でも エイラ 平気。だから 最後までする!」

エイラは腕を伸ばして魔王を引き寄せた。それは結合を深めるもので、エイラはまた苦悶の声を漏らした。しかし首の後ろに腕を回されて、魔王はその意思の強さに感服した。
エイラの敬謙な姿勢に不満を持ったとでも思ったのか、エイラの目尻から涙が零れたのを見過ごさなかった。
そのまま肌を密着させて動きを再開させた。

膣圧に慣れてきた頃、エイラの吐息にも艶が出てきた。二人の呼吸は等しく、体液の混ざりが動きをスムーズにしていった。
片足を持ち上げて真横から就くようにすると挿入が深くなり、それまで以上にエイラは啼いた。

これまで体を重ねてきたどの女よりも極上の体だと魔王は思った。

あんなにも普段から肌を露出しているにも関わらず、エイラの心は純粋で、魔王が踏み入る今の今までその純潔を保っていたのだ。
その意識は魔王の睾丸まで一直線に刺激を送った。限界が近づいているのだ。
魔王に理性を捨てさせ、動物的な欲求を露わにさせた。競り上がる快楽が未経験なほど強烈であってもおかしくはない。
絶頂への飢餓は破壊行為にも似ている。
エイラの金糸の巻き毛が、伏せられた瞳が、艶かしく開かれた唇が、汗を滲ませた首筋が、破壊してもよいと懇願しているのだ。

最後の駆け上がりに、エイラもまた追従した。
両脚が魔王の腰に巻きついて、魔王の射精の全てをエイラはその体で受け止めた。

荒くなった呼吸が治まらない魔王を、エイラはぎゅっと抱き締めて嬉しそうに笑った。

「エイラ 後悔してない。ジャキ 選んだこと みんな 正しい」

私がこの女に慰められるとはな。
しかし悪い気がしない。この世界が平和だからそう思うのか、魔王にはわからなかった。

貸切にした宿で、だが一番広いベッドの1つでエイラにしがみ付かれながら魔王は眠りについた。
他人の温もりを感じながら休むのは長い時の中で初めてのことだったと、後になって気づいた。それほど違和感なく安らかだったのだ。
137本能が選ぶ(了):2008/12/09(火) 21:47:01 ID:5BHpDatI
エイラが好奇心半分以上で凝視していた。
手袋を嵌め直して詠唱をする魔王を、その場の誰も邪魔しなかった。辺りの空から雲という雲が引いて太陽とは違う光が空から真っ直ぐに降り注いだ。

カエルはまさに潰れたような声を出して、地に手を着いた。
異形への過程は肉体に相当な負担をかけるものだから仕方がない。四肢が伸びていき、衣服を突き破る。
深い森の髪をした男の姿が、カエルが今までいた場所にいた。

「終わったのかの」
「……呪い自体はとき終わったが」

エイラは見慣れない男に、いや見知ったカエルがいなくなったことに言葉をなくしているようだった。
魔王から見ても端正な顔立ちのカエルの中身に、エイラが興味を持ってしまうのは少し複雑な心境だった。

「俺は、人間に戻ったのか」
「ほう。カエルのほうが馴染んでいたか?」
「……貴様、やはり刃を交えなければいけないようだな」

人間に戻った同時に不穏な空気を発する二人をボッシュが慌てて止めようとした。
しかしそれよりもエイラのほうが早かった。素早さではクロノと同等、それ以上だ。

「ジャキ すごい! カエル 人間にした すごいすごい!!」

もともと人間だったのだがというカエルの訂正の言葉は聞こえていないようで、
勢いで倒されてしまった魔王はエイラを押さえつけるのに一悶着あったとか、なかったとか。

「エイラ お前の子 宿るまで 諦めない」

耳元でエイラがそう囁いたのは、もちろん魔王にしか聞こえなかった。


end
138127-137:2008/12/09(火) 21:53:00 ID:5BHpDatI
恐ろしく読みにくくてゴメン

露出高い処女エイラとか、そのエイラに流される魔王の図を
とりあえず形にしたかっただけだった

スレ汚し、さーせん
139名無しさん@ピンキー:2008/12/09(火) 22:39:51 ID:M+U4Ucf9
良かったよ!
ぐっじょ!
140名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 14:41:59 ID:jyz5gMQp
魔王サマー(;∀;)
ってエイラwww GJ!
141名無しさん@ピンキー:2008/12/10(水) 22:23:39 ID:KnJHuVky
エイラかわいいよエイラハァハァ
GJです!意外な組み合わせなのにすごく良かった!
142名無しさん@ピンキー:2008/12/15(月) 23:16:04 ID:8if2sREa
なんだか魔王の少年時代が気になってまいりました。
ジャリーとよく遊んだんだろうか?
143名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 11:41:07 ID:fDcuVU/j
想像つかんなー。
小さい頃は元気いっぱいのショタだったーかなー。
144名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 17:30:06 ID:g/yQBJu6
魔王×ルッカが好きなのは自分だけですかね
145名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 17:48:46 ID:KK05L20f
いやいや、自分も魔王×ルッカ好きですよー。
保管庫のやつは時々読み返してはニヤニヤしてます。
146名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 18:50:45 ID:PbJ3WhSq
ジャキ×サラはさすがに異端か…
147名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 18:52:10 ID:n1vG8br8
王道じゃね?>ジャキサラ
148名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 04:58:39 ID:RUN937jY
おねショタで最強じゃないかw
149名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 10:39:20 ID:J/aaY/uf
予言者×サラが一番好きなんだけどね
王道だと思わなかった
てがみもやしてくるわノシ
150名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 11:28:13 ID:YX4MU8ss
・ショタ
・魔王
・預言者
・仲間
・放浪
・クロス入れたら記憶喪失のマジシャン
ジャキ、オールマイティーで美味しすぎるな
151名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 14:27:57 ID:J/aaY/uf
>>150
シスコン
不思議発言
も入れといてくれ
152名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 21:05:33 ID:9BAk4OcH
筆下ろしは姉上なのか
それともやっぱりマヨネーなのか
どっちもついててお得なのヨネ〜 なふたなりを想像
153名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 10:01:35 ID:nt6/TYpb
かーちゃんだよかーちゃん
正気を失った母に押し倒されるショタ
154名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 16:30:50 ID:q147vq/C
ジャキ「あんなヤツ、母様じゃない!
姿形は母様だけど中身は別のモノだ……。


おk これで合点がいった
155名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 18:31:17 ID:nt6/TYpb
>>150
魔王だから人気っていうのもあるだろうけど
ほかの男メンバーが人外とか喋らないとかでエロパロに使いにくいんだな、と思った。
156名無しさん@ピンキー:2008/12/19(金) 19:34:12 ID:qUXnOwkr
ゴンザレスがロボから、彼女(女ロボ)を寝取る。
「ゴメンナサイ……ロボ……デモ、ゴンザレスサンノ……キュウユコウ……ノズルガ……キモチイイノ♪」
157名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 02:01:32 ID:ZhWmyRmh
>>155
主人公キャラが喋らないのってそんなに使いづらいもんなのかな
そのキャラらしい言動を考えるという縛りがなくて自由度に幅がある分
自分なんかは逆に書きやすいと思うけど
まあドラクエとかで喋らない主人公に慣れてるせいかもしれんが
158名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 02:50:24 ID:0KlKHvW/
喋らなくてもそのキャラの行動からどんな考え方するかは想像付くから
まるきり自由ではないだろうが決まった台詞が無いぶん楽かな?
159名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 03:58:36 ID:XovgVjC3
>>153>>154
はぁはぁ(*゚∀゚)=3

ジール「お前の魔力を絞り取ってやる!」



街の人「ジャキ様は魔力を全く持っていないそうですよ」(うろ覚え)
160名無しさん@ピンキー:2008/12/20(土) 15:01:56 ID:JeICs5rq
黒の夢の現代中世古代で三回戦ヤって全部返してもらうんですね、わかります!
161名無しさん@ピンキー:2008/12/21(日) 12:39:48 ID:pasG1XQu
>>154
魔王、カーチャンというものに対してトラウマになってそう。
クロノの家に行った時、ジナに何も言えなかったのはそれが原因だったりして。
162名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 11:36:35 ID:VnDsH0Iv
>>160
しかし子供の頃と同じようにMP吸収攻撃されて(ry
163名無しさん@ピンキー:2008/12/22(月) 19:08:16 ID:hoI5MJR5
そしてハレーションでHP1
164名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 00:03:08 ID:e3DfIkjz
ジール「預言者、いやジャキよ、何処へ飛ばされたのかは知らんがずいぶんたくましく育ったものだな。
しかしわらわの前では子供の頃のまま…フフ、どうだ?母様の身体が懐かしかろう?
わらわもお前が懐かしゅうてたまらぬ。さぁ、このままラヴォス様とわらわの一部となれ。
そう怯えずとも良い、こうやって母様が永遠にお前を抱いていてやろう…」

母子相姦END 黒の夢にて
165名無しさん@ピンキー:2008/12/23(火) 00:06:38 ID:3XuwpqdQ
>>162
MP吸収攻撃、あれはちゅっちゅっしてるようにしか見えなかった
166名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 00:57:16 ID:hPXtW5XI
90だけど

書けたから投下するよ(・ω・`)
でも本番はないよ。そこだけ注意だよ(・ω・`)

じゃあ投下
16790:2008/12/26(金) 00:58:35 ID:hPXtW5XI
 時の卵クロノトリガーによって、クロノは死の運命から逃れた。
 この日、A.D.1000年のクロノの家にて宴が行われた。
 クロノ復活祭である。
 息子が一度死んで蘇った事実なんて知らないジナは、何の宴かよく分からない様子だったのだが、タバンとララを呼び腕に縒りを掛けてごちそうを作った。
 料理は大変好評だった。
 そして、クロノは酔ったルッカとエイラに絡まれ、魔王はジナの妙なペースに飲み込まれていた。
 宴は夜遅くまで盛り上がり、そして徐々に静かになっていった。

 
 暗くなった部屋。
 魔王を抱き枕代わりにしつつ爆酔しているエイラの豪快ないびきが響き渡る。
 力強く抱きしめられている上にうるさくて眠れないという二重苦に、魔王はカエル、ロボと共にルッカの家に行けばよかったと少し後悔中。
 だが、そんな中でもジナは飼い猫を抱き気持ち良さ気に眠っている。
 しかし、今回の宴の主役であるクロノの姿がない。
 部屋にもいない……どこにいったのかなぁと思い、目が覚めたマールが家を後にした。

「あ、こんな所にいたんだ」

 外に出た瞬間、冷たい風が吹き少し熱かった体が冷やされる。
 ブルッと体が震えるが、目的の人が目の前に居り自然と笑顔を見せる。
 木刀を持ち、上半身は黒いシャツ1枚のクロノも答えるように微笑んだ。
 彼の額から汗が流れているのを見ると、いつもの自主練をしていたのだろう。

「どうしたの? 眠れない?」
「うん……クロノは?」
「俺もだよ。それで眠れるように体を動かしていたんだけど……」

 ますます眠れなくなった、と言った後、静かだった裏庭に2人の笑い声が聞こえた。
 休憩も兼ねて、少し2人で話そうと誘われる。
 断る理由など何処にもない。2人は近くの木の下に腰を下ろした。
 そして、クロノが蘇るまでにあった様々な出来事を話始めた……

 カエルの決意により覚醒した真のグランドリオンの事
 ロボの働きにより蘇った緑の大地の事

 話たい事は一晩では語れない。
 だけど、それよりも彼に話たい、伝えたい事がある。
 しかし、その話をなかなか切り出すことが出来ずにいた。
16890:2008/12/26(金) 00:59:08 ID:hPXtW5XI

「それでね……あの……」

 下唇を軽く噛み意を決した。
 真っ赤なのだと自分でも分かるほど顔が熱くなり、相手に聞こえてしまうのではないかと思うほど胸の鼓動が高まる。

「私、思うの。今は夢なんじゃないかって……」
「夢?」
「うん……クロノがいなくなって、私すごく悲しかった。クロノに会いたくてたまらなくて、毎晩クロノ達と冒険した夢を見たの。
 だから、これも私の夢なんじゃないかって……目が覚めたら、またクロノがいないんじゃいかって、とても怖かったんだ」
「マール……」
「だって、私クロノが好き、だから……愛してるって意味の好きだから……ずっとクロノと一緒にいたい……」

 少し涙声になってしまったが、ずっと抱いていた想いをクロノに告げた。
 当然不安もある。どうしても嫌な結果を想像してしまって涙が出そうになる。
 クロノも驚いた様子。
 それはそうだろう、ガルディア王国の王女が庶民でしかない自分に告白したのだから。
 マールが黙ってしまっているのは返事を待っているからだろう、この時だけ静かな夜に戻っている。
 だがそれもほんの僅かな間だけ。

「……俺も、マールと同じ気持ちだよ」
「え?」
「俺もマールが好きだ。愛してるって意味のね」

 今まで黙っていたクロノから出た言葉はとても簡単なものだった。
 だが、それだけでとても嬉しかった。
 見上げると、頬を赤くし少し照れているクロノの顔。
 そしていつもの優しげな笑顔を見せる。マールも満面の笑みでクロノに答えた。
 2人はしばらく寄り添って密着しながら、夜空を照らす月と星を見上げていた……

16990:2008/12/26(金) 00:59:51 ID:hPXtW5XI


 しばらく時間が経ち、夜風で体が冷えてきたから家に戻った。
 その中で、マールは赤面しながらあるお願いをする。
 少し躊躇したが、クロノはゆっくりと頭を縦に振って引き受けた。
 マールは本物のお姫様だから、お姫様抱っこで2階のクロノの部屋に行った。

「んッ……んぅ……ッ」

 部屋の扉を閉めてマールをそっと降ろす。
 そして少し緊張した様子で見つめ合い、唇を重ねた。
 マールは髪留めを外し、最初こそ軽く唇を合わせるだけのキスだったが、徐々に舌の入った深いキスへと変化していく。
 3度目のキスの後、再びお姫様抱っこでマールを持ち上げ、ベッドに寝かす。
 彼女の上にクロノが覆いかぶさり、4度目の舌入りキスを交わす。

「ッ……んッ、はッんむッ……」

 マールの口の端から唾液が一筋流れる。
 お互いの口に舌を入れ、絡め合い唾液を交換する。
 唇が離れると、マールの顔や体を這うようにクロノの舌が動く。
 頬から首、胸元と徐々に舌へと這っていく。
 そして、舌が胸へと到達した時、マールの白い服を下にずらす。

「ぁ……」

 クロノの目に映ったのは、露になった少し小さめなマールの乳房。
 恥ずかしさから片腕で胸を隠すが、すぐクロノが再び露にする。

「ご、ごめんねクロノ」
「……? なにが?」
「男の子はエイラみたいにおっきい胸が好きって大臣が言ってたから……その、ちいさいでしょ? 私の胸」
「俺は可愛らしい胸だと思うよ?」
「うぅ、ありがと」

 今まで微妙に気にしていただけに、クロノの言葉はとても嬉しい。
 まだ恥ずかしさはあったが、マールは胸を隠す仕草を見せない。
 そして、クロノは頭を彼女の胸へと近づけ、舌を伸ばし小さな丘の頂点に触れた。
 その回りを嘗め回し吸い付いた。

「く、くすぐったい、ふふ……」

 まるで赤ん坊のようにチューチュー吸い上げ、空いてる片胸の頂点を指で軽く摘む。
 最初こそくすぐったく感じて思わず笑ってしまいそうなのを堪えているマールだったが、徐々に反応が変わっていく。

「ぁッ……クロノぉ、な、なんだか……変」

 くすぐったかった感触が快感に変わっていき、マールはやや戸惑いを見せる。
 体が熱い。息は荒くなっていき、声も段々と甘いものへ変わる。
 普段の元気なマールから聞こえる嬌声にクロノの興奮も高まっていく。
 クロノは乳房を攻めつつ、片手をマールの下腹部へと伸ばした。

「あぅッ」

 マールの体が少し痙攣した。
 既に服越しからでも分かるほど濡れたマールの恥ずかしい部分を、クロノは攻め始める。
 手を少し動かしただけでマールは嬌声を漏らして反応した。

17090:2008/12/26(金) 01:00:24 ID:hPXtW5XI
「ぁんッ……く、クロノ、ぁッ」
「すごい、もうこんなに……このままじゃ服が汚れてしまうから脱ごうか、マール」

 そう言って、彼女のベルトに手をかけた時だった。
 
「クロ! マール!」

 明らかに先程まで眠っていた人物の声と共に、勢いよく2階に上がる階段を登って来る音がした。
 その声と音に2人は驚き、そして慌てふためく。
 とりあえずクロノはマールから離れ、マールは服を調える。
 それと同時に、声の主は2人の前に現れた。

「クロ! 大変大変!」
「そ、そんなに慌てて、ど、どうしたの?」
「魔王 死にかけ クロかマールの不思議な力 必要!」

 ふと目が覚めたら魔王が至近距離で虫の息だった。
 だからマールのケアルガ、最悪レイズかアレイズが必要だと、慌てながらエイラは言う。
 恐らくエイラの物凄い力で締められたのが原因だろう。
 そう思いながらも、エイラには黙っておき2人は1階へと降りた。
 ぐっすり眠っているジナの横で、確かに魔王が死に掛けていた。
 時々ピクピク動く。
 マールはさっそく魔王にケアルガを掛ける。
 温かな光に包まれて、魔王の表情は徐々に良くなっていった……眉間に皺が寄っているあたり良いのかは不安だが。

「これでジャ……魔王は大丈夫だよ」
「よかった マール さすが!」
「でも、よく考えたらエイラのキッスでも助けられたんじゃ……」
「そういえば! エイラうっかり」

 機嫌良く笑うエイラを見ながら、2人は少し溜め息を吐いた。

「魔王助かった エイラ 安心した だからまた寝る クロとマール 続き続き!」
「え?」
「マール 元気な子 生む そしたら また宴する! 新しい命宿す それめでたい事」

 クロノとマールの顔が一気に赤くなった。
 特にマールが赤くなり、ドリストーンのようだとエイラが笑った。
 そして、安心したのか笑い疲れたのか、エイラは床に寝てすぐにイビキをかき始めた。
 その様子を、2人はただ赤面しながら黙って見ていた。

「……マール」
「……なに?」
「今日は、もう寝ようか?」
「うん……じゃあ、ラヴォスを倒して未来を救ったら、続きしようね?」
「うん、わかった」
「でも、今夜はクロノと一緒に寝たいな」
「いいよ。じゃあ行こうか」
「うん!」

 2階に上がる前に、再びエイラが魔王を抱き枕にしようとしたので2人の距離を離す。
 最後まで出来なかったのは少し残念な気がするが、クロノに想いを告げられただけで満足である。
 そう思いながら、クロノと同じベッドの中で眠りについた。



 翌朝、マールは魔王にアレイズをかけた。
17190:2008/12/26(金) 01:02:54 ID:hPXtW5XI
終わり

まずはごめんね(・ω・`)
あまりエロくなかったね(・ω・`)
前書きで書き忘れたけどクロマルだよ(・ω・`)
それじゃあ、また書けたら来るけどいいよね、答えは聞いてな(ry(・ω・`)
172名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 02:32:28 ID:SZmmxsDJ
>>90
GJ!
照れるマールが可愛い

また書けたら〜ということは
次は最後までだと期待していいということですねわかります
173名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 09:33:51 ID:TKG2AxZ4
エイラwww
マール初々しくてイイヨー
174名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 23:34:19 ID:6DN28fMu
エイラwwwww
キッス使った場合はリビングでセクロスに発展するから使わなかったと推測してみるw

それにしてもクロノとマール、ラブラブである。 GJ!
175名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 00:16:56 ID:MrvaDwOj
エイラ自分がヤッてるところを人に見られてても平気そう。
原始人はその辺のデリカシーないよな多分。
176名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 01:22:47 ID:tdlW6HBI
いやでも通常ED見る限り
「だいじょうぶ、エイラ元気!」
ってキーノの台詞にツッコミ入れる程度には恥じらいがあったと思うぞ
177名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 12:17:24 ID:MrvaDwOj
調子こくなって意味でツッコミいれたのかと思ってた。
あのキーノの台詞の意味がいまだによく分からなかったりする。
「エイラは健康体だからたくさん子供が作れますよ」なのか
「エイラ姐さんは精力ギンギンですぜ、へっへっへっ」のどっちかだろうけど。
178名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 12:34:22 ID:JAEmQgoN
あれは
もうエイラは妊娠してるよ、でもほら普通に戦える位に元気だし!
きっと子どもも無事に生まれるよ心配すんな!って言ってるんだと思ってた…
179名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 13:41:25 ID:UcS2kee2
中ボス戦後にゲロってるシーンあったしな
あれ建前上は二日酔いなんだろうけど
180名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 14:48:36 ID:gNMddgsO
クロノたちと会う前にキーノたんをヤっちゃってたというのかw
181名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 01:03:27 ID:HuGfZ0Ai
ショタジャキとサラがすっこんばっこんしてる夢を見た
182名無しさん@ピンキー:2008/12/28(日) 10:54:34 ID:p246nld0
サラは予言者を弟と気付いてないみたいだったから
そっちでやっちゃう可能性のほうが強いな。
183名無しさん@ピンキー:2008/12/29(月) 01:26:01 ID:SaJIt6xy
性欲を持て余したサラが駄目だと思いつつもジャキにいたずらするっていうのは?
184名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 11:53:30 ID:Qh01UVQV
圧縮回避age
185名無しさん@ピンキー:2008/12/30(火) 17:32:18 ID:OuHJ4Atn
カエル×ルッカや、髪の色がサラに似てるルッカを気にする魔王とかが好みだ…
が、ふとロボのプラグとかでいじめられてるルッカが浮かんだ。
186名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 01:17:45 ID:XYiv46bO
保管庫のルッカSSは素晴らしいよな
つか単独エロパロスレが立った上にあれだけ珠玉の作品群が集うなんて
さすがトリガー一の属性大量保持者
187名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 03:30:48 ID:aAOqXPtp
流れと違う方向で何だが、SS投下する
まだ最後まで打ち込み終ってないから数日に分けて書き込む予定
クロマルで本番ありだけどそこにたどり着くまでが遠いかもしれない
ちなみに90さんとは別人です
188雨のまほろば/1:2009/01/01(木) 03:37:07 ID:aAOqXPtp
 キングサイズの葉が豊かに生い茂る木々を、雨だれがリズミカルに叩いていた。
 秩序なく絡み合い、もつれ合って天へと這い上がるつる草が随所にはびこった、巨大な岩塊の群れ。
 それらの隙間を埋め立てるように、苔類やシダ類といった湿り気を好む植物たちが縦横に広がる。
 人の手が入ることのほとんどない、原始の種々雑多な緑は野放図に溢れかえり、濃密な空気を持つジャングルを形成している。
 とはいえ、今はその野放図さにもやや翳りの兆しがあった。
 気候の変化を、おそらくは敏感に嗅ぎ取っているのだろう。
 この世界は現在、以前の肌にまとわりつく熱気は鳴りをひそめ、一転して寒波が打ち寄せつつある。
 ラヴォス落下時に吹き上げられた大量の土砂が衝撃で遥か上空に拡散し、太陽光を遮る薄い被膜となってしまったからだろう、というのがロボやルッカの見解だった。

「動いてる間は気にならなかったけど、じっとしてると、やっぱり少し寒いね」
 剥き出しになった肩口を自分で抱きしめ、マールが言った。
「そうだな……。けっこう雨に当たっちゃったし」
 その隣で、ため息のように大きく息を吐き出し、クロノが同意する。
 水滴のベールと岩壁が檻となり、二人を外界から隔てている。彼らがいるのは、この時代の人々が『狩りの森』と呼んでいる地の奥だった。
 断崖が斜めに張り出して天然のアーチを作る、その根元の部分だ。
 洞窟と呼べるほど広くも深くもないが、木の洞のように一部がくぼみ平らな岩棚になっていて、ひととき雨をしのぐにはまあまあの場所を確保できたといえた。

 エイラの助言で、彼女と共に六千五百万年前の世界へと質の良い防具を求めて訪れたクロノたちだったが、それを作っているイオカの村人は、この時代における貨幣価値のあるもの
―― たとえば、動物や魔物の牙だとか、角だとかいったものでしか、品を譲ってはくれないらしい。
 その辺りは、元とはいっても酋長であるエイラの口利きで融通してもらえないものかとクロノなどは考えたのだが、そういうわけにもいかないということだった。
 そういった経緯で、二人はここに森の名どおり『狩り』にやってきていた。
 それなりの期間をクロノたちと同道してこの時代を離れていたエイラは、村人たちと、殊にキーノとは積もる話もあるだろうと、クロノやマールに気遣われる形で村に残っていた。
 この森の動物や魔物は、一般の村人たちも狩りに来ている。
 今のクロノたちにとってはそうそう脅威とはなりえないだろうということもあり、二人でも充分と判断したのである。
 実際、事前にある程度狩りのポイントとなる地点とコツも教わってきていたし、戦果は上々だった。
 しかし、そろそろ帰ろうとした矢先にこの雨で、こうして足止めを食らったのだった。
 急いで突っ切って帰っても、村にたどり着く頃にはすっかり濡れ鼠になっているに違いない。
 せっかくの収穫を雨ざらしにするのも何なので、おとなしく止むのを待っているのが現状というわけだ。
189雨のまほろば/2:2009/01/01(木) 03:39:33 ID:aAOqXPtp
 クロノは濡れた青い上着を脱いで広げ、刀や荷物と一緒に傍の雨が当たらない位置に置いておいた。
 そのままでは乾かないにしても、冷たい服を着続けるよりはましだろう。幸いアンダーシャツまでは染みていなかった。
 そのおかげで、かえって上を脱いでからの方が寒さも緩和された気がする。
 岩壁を背もたれに二人並んで地面に座り、見るともなく雨にけぶる森を眺める。
 この調子だと、当分止みそうにない。
「こんなことなら、火を焚けるもの持ってくれば良かったかも」
 マールがぼやく。クロノよりも薄着な彼女は、殊更寒さが堪えるようだ。
 それでも来る時には薄手のマントを羽織っていたのだが、当然のごとく濡れていたので今は外している。
 長丁場は予想していなかったため、かさばるような野営の道具などは全くここに持ってきていなかった。
「ルッカがいたら、火なんて一発なんだけどな」
 無いものねだりとわかりつつ、クロノは苦笑した。
「それに、ロボもか。魔王……は、頼んでもダメかもしれないけど」
 炎の技の使い手である仲間の面々を、指折り数えてみる。
 するとマールはくすりと笑った。
「魔王も、きっと頼んだら大丈夫だと思うよ。ああ見えて、優しいところあるもの」
「……そうか?」
 それはひょっとしてマール限定の話なんじゃないかと、うがったことをちらりと思う。
 同じペンダントの所持者というせいなのか、魔王は姉であるサラとマールのことをどこか重ねてみている節がある。
 マールはマールであってサラじゃない、と複雑な気分になるのは、自分が彼女に恋愛感情を抱いているが故の、独占欲から来る嫉妬だったりするのかもしれないけれども。
 ……と。
 そんな微妙な男心を感じとりでもしたのかどうか、マールが唐突にこちらへ身を寄せてきた。
 クロノの腕に自分の腕を巻きつけ、強く抱きしめる。
「なっ、いきなり何だよ?」
 雨で冷えた肌の感触に驚く以上に行動そのものに戸惑い、クロノは目を白黒させた。
「あ……その、本当に寒くなってきちゃって。……こうしてていい?」
「……ま、まあ、別にいいけど」
 空いた側の手で頬を掻き、視線を泳がせる。いいとは答えたものの、落ち着かない。
 暖をとることに気をとられているようで、本人はどうやら意図せぬ所業らしいが、思いきり密接して胸を押しつける状態になっているのである。
 布越しにも柔らかなふくらみがすり寄せられる感覚に、クロノの心臓が急激に早さを増した。
 おまけに、ついつい横目でそちらを窺えば、白い生地が水で肌に張りついて、まだらに透けた太ももとその周辺を見下ろせてしまった。
 気のせいか、下着までうっすら輪郭が浮いているように見える。
190雨のまほろば/3:2009/01/01(木) 03:41:52 ID:aAOqXPtp
(う……)
 いったん気づいてしまうと、今まで意識せずにいられたのが嘘のように、頭がそのことで一杯になってくる。
(いやいやいや、待て。落ち着け。別に、これぐらいならまだ……)
 実のところ、彼女とは精神的にも肉体的にも恋仲といえる関係になっている。
 この手の事柄に対する免疫や耐性がまるきりないわけではない。
 ……が、そこはそれ、色々な意味で春まっさかりな青少年の悲しい習性というやつで。
「げ」
 クロノは思わず小さく呻いた。
 当人の意向に反して、下半身は完全に張り切りだしていた。
 こうなると上着を脱いでいたのも仇で、一目見たら明らかな様相を呈している。
(や、やば……)
 さすがにこの状況でマールに勘づかれるのはかなり気まずい。
 クロノはそろそろと膝を曲げ両脚を胸元に引きつけるようにして、うつむき加減の姿勢をとった。
 何気なさを装い、手を下腹部近くに持ってきて、マールの視界からその周辺を遮る。
 だが、その動きが逆にマールの不審を買う原因と化した。
「クロノ、どうしたの? おなか痛いの?」
「い、いや……何でもない」
 とりつくろう笑みを浮かべたものの、不幸なことにマールはごまかされてくれなかった。
「そんな青い顔して、何でもないってことないでしょ? ……あ! もしかして、さっきの狩りの時に怪我してたんじゃ……」
「違うって! 本当に、どこも何ともなってないから!」
「もう、だったら見せてみてよ、ほら!」
「うわ、ちょっ、待っ……!!」
「…………え?」
 クロノの隙をかいくぐり、お腹を探ろうと伸ばした手に触れた妙な感触に、マールは一瞬固まった。
「……あー……」
 動かぬ証拠を突きつけられた犯人のごとく、もはやこれまでとばかり、うなだれるクロノ。
 この場合、モノを突きつけたのはクロノ側ではあるが。
「あの……えっと……?」
 把握が追いついていないようで、マールはおろおろしている。
 クロノはあきらめの境地で ―― というより、むしろこれは開き直りの域かもしれない ―― だらしなく足を投げ出し、背を岩壁に預けた。
 狭苦しそうに張りつめて、ズボンを押し上げているそれがあからさまになる。
191雨のまほろば/4:2009/01/01(木) 03:44:56 ID:aAOqXPtp
「ど、どうしてそんなふうになってるの……?」
 真っ赤に染まった頬を手で押さえ、マールが戸惑いがちに尋ねる。
 彼女は奔放で活発な質とはいっても、基本的に純粋培養な箱入りの姫君だ。
 クロノと恋人として同衾したことはあっても、男に関しての知識や理屈としての理解が今ひとつ乏しいところがある。
 身体を重ねる際にそうなるのは経験的に知っていても、なぜ今この状況で?と思考停止に陥っているというのが彼には手に取るようにわかってしまった。
「生理現象だよ。……というか、マールのせいなんだけど」
 ひたすらいたたまれない気分をどこかに追いやりたくて、クロノは投げやりに言った。
「わ、私のせいなの?」
 マールは矛先を向けられて目をぱちくりさせた。
「そう。だから、責任とってどうにかしてくれ」
「そ、そんなこと言われても……どうにかって、どうやって?」
 ほとんど照れ隠しの軽口のつもりだったのだが、マールはどうもごく真面目に受け取っているように見えた。
 殊勝な態度で問うてくる辺り、クロノが怒って本気で責めていると勘違いしている風でもある。
 ―― ひょっとして、これはチャンスだったりするんだろうか。
 彼女のことを利用するようでちょっと気は引けるが、ものは試しとクロノは考えを巡らせた。
「そうだなあ……」
 マールのことだから、外で抱かれるのは恥ずかしいと嫌がりそうだ。
 ……だったら。
「口で」
「くち……?」
「つまり……オレがいつもマールにベッドでしてることの、逆をやってくれればいい」
「……ベッドで、って……? ……え、えええっ!?」
「できない?」
 返事に窮してマールは沈黙に入った。
 クロノとしては興味がなくもない事柄だったが、何しろお互い初めて同士だったためにまだ経験も浅いし、普通にしているだけで満足でもあったので、これまで言い出すような機会もなかった。
 それに、常日頃ベッドの上ではほぼ受け身に徹している彼女には、ある意味最もハードルが高いかもしれない。はっきり言って駄目で元々の要求だ。
 うまいこと承諾してもらえればラッキー、ぐらいの気持ちだったのだが。
「……が、がんばる……」
 座った膝の上できゅっと拳を握りしめ、マールはか細く呟いた。
 どうやら、災い転じて福だったようである。
192名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 03:47:48 ID:aAOqXPtp
半端だけどここで一旦切ります
続きはまた次に
書き込み途中、一行長すぎって何回もエラー出たよ……手直ししてくる
193名無しさん@ピンキー:2009/01/01(木) 10:36:37 ID:JLR8GbLH
あけおめ様。
流れと違ってたって大歓迎大感謝です!
お年玉ありがとうございます!
194名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 07:30:29 ID:6auGIRtp
遅くなったけど>>191からの続きいくよ
正月早々&朝っぱらから自分何してるんだろうなぁと
ちょっとだけ思わなくもないw
195雨のまほろば/5:2009/01/02(金) 07:32:04 ID:6auGIRtp
 先の発言よりもさらにもう少し具体性のある、踏み込んだ内容をマールに口頭でレクチャーし(といっても、クロノだってさほど詳しくはないのだが)、地面に腰かけたままの状態で、前身ごろだけ下着ごとズボンを下ろしてその一帯を露出させた。
 外気に触れて寒さでうっかり縮みかけたものの、気合でどうにかキープ。……何か根本的なところで当初と問題が引っくり返っている気がするのは、考えないことにする。
 その間、マールはというと、赤くなっていたのはどこへやら、なぜか凝視といっていいほど興味ありげにそれを見つめていた。
「あ、あんまりそんなジロジロ見るなよ」
 やり場のないむず痒さと居心地の悪さを感じて、クロノは落ち着きなく身じろぎした。
 嫌悪感あらわに目をそむけられるよりはいいが、あいにくと女の子に見せつけて喜ぶ類の性癖は持ち合わせていない。
 ただ、こちらはマールの裸を一度ならず隅々まで眺め回したことのある身でもあるので、勝手といえばずいぶんと勝手な言い草なのだが。
「あっ……ご、ごめんなさい」
 マールは律儀に頭を下げた。
「こうやって間近でちゃんと見たのって、初めてな気がして……」
「……ああ。確かにそうかも」
 マールが恥ずかしがるため、光源のしっかりした環境で事に及んだことは滅多になかった。
 それに何より、そういう状況下でじっくりこちらを観察するような余裕が彼女にあったとは思い難い。―― 主に、クロノが行為の時にがっついているという理由で。
「まあ、ええと……それはそれとして」
「う……うん」
 うなずいたはいいが、いざとなるとやはり困惑とためらいが強い様子だった。
 クロノの前にぺたんと座り込んだまま、マールは悩み込む仕草で指先を自分の唇に当てている。
 ……が、しばしの逡巡の末、何かを思い切るように彼の足の間に屈み込み、そこに顔を近づける。
 そのまま上目遣いでクロノを見上げ、
「あ……あのね。私、こういうの、うまくできないかもしれないけど……ごめんね」
 言って、マールは根元近くに片手を添えて、鈴口に唇をつけた。
 バードキスを繰り返すように、何度か優しくついばんだ後、おもむろに舌先で撫でる。
 ぺろり、と幼児が棒つき飴でも舐めるような所作で、舌が上下を行き交った。
「……っく」
 クロノは思わず喉元から短く息を洩らした。
 技巧もなく、稚拙と呼んでも構わなさそうな動作であれど、こんなふうにされるのはクロノとて初めてである。
 彼女の中に自ら入り込むのとはまた違った粘膜の触覚が快を誘った。巧みでない分、焦らされているようにも感じる。
「あ……だ、大丈夫? 痛かった?」
 その息の音を、苦悶によるものと思ったらしい。マールは焦って口を離した。
「いや……いいから。大丈夫だから、続けて」
 手のひらでマールの耳元を包み、微笑みかける。雨が乾ききらずまだ湿り気の残る金髪に、指先をそっと滑らせた。
「……ん」
 そうされて、マールは少し嬉しそうにうなずいた。
196雨のまほろば/6:2009/01/02(金) 07:33:35 ID:6auGIRtp
 再び口唇でクロノを包み込み始める。
 そのうちに、おそるおそるという感じだった動きも、徐々に慣れて興が乗ったようで、遠慮の色が抜けてきた。
 しかも、そうしろと指示した覚えはないのに、ある程度反応で気づいたのか、敏感な部分を探り当ててそこを中心に攻めるということまで自然と学習してしまったらしい。
「う、ぁ……」
 自分で動くならまだしも加減がつくが、今回手綱を握っているのはほぼマール側である。
 思いがけなく急ピッチで射精感が込み上げてくるのを抑えきれず、クロノは慌てて叫んだ。
「マ、マール、ちょっと待った! ストップ!」
「?」
 今度は咥えたまま、目線だけで不思議そうに問いかけるマールだったが、それが裏目に出た。
 腰を浮かせて引き抜くのも間に合わず、クロノは彼女の口内で暴発させてしまった。
「……っ!?」
 まん丸に目を見張り、マールが口元を押さえてむせかえった。
 ほとんど反射的にクロノから顔をそむけ、地面に向かって苦しげな咳を繰り返す。
「ご、ごめん……」
 いくらなんでもいきなりそこまで求めるつもりではなかったので、クロノは反省してマールの背に謝罪の言葉をかけた。
「……ああ、びっくりした……もうっ」
 マールはしかめ面で振り返り、顎の周りを拭った。よほど苦しかったと見えて、目の縁が涙で光っている。
 鎖骨から胸の谷間の辺りには、白濁の伝ったラインが描かれていた。
 わずかにこくんと喉元が動いたのは、口の中に残っていた分を飲み下したからだろう。
(……うわ……)
 まずい、と思った瞬間にはもう手遅れだった。
 たった今出したばかりだというのに、性を強く意識させる彼女の有様に興奮してきてどうしようもなくなる。
 凶暴なまでの衝動が、内側から突き上がってきた。
 ―― マールを抱きたい。
 今すぐ、この場で。
「……マール」
 手をつかみ、勢いよく胸元に少女を引き寄せる。
 倒れかかり、小さく悲鳴を上げるのにも構わず、彼はマールを抱きすくめた。
 湿った肌や服がひんやりとしていたが、そんなことは気にならないぐらい、身体が全体に火照りだして止まらない。止められない。
197雨のまほろば/7:2009/01/02(金) 07:35:01 ID:6auGIRtp
「今度は……こっちで」
「え……? きゃあっ!?」
 張りのある腰の曲線に手を滑らせ、服を引っ張り下ろそうとすると、マールは再度悲鳴を上げた。さっきよりも必死さのある声で。
「こっちって、まさか」
「そのまさか、かな」
 クロノはからかう調子で笑った。
「そ、そんなのって……!」
「責任、とるんだろ?」
 そう明言したわけじゃないとつっぱねられるかとも思ったが、マールは痛いところを衝かれた様子だった。
「……どうしても……?」
 弱りきって、泣き出してしまいそうな表情になる。
 罪悪感がちくりとクロノの胸を刺した。なんだかまるで、とてつもなく非道なふるまいをしているかのような気分である。
 しかし、そこはあえて無視して強硬姿勢を貫くことにした。
 彼女の無垢で誠実な心根と、こちらに向けられた愛情に甘えているのは自覚済みだ。わかってやっている分、なおさら性質が悪いという説もあるが。
「どうしても」
 きっぱり言い切ると、マールは絶望感すら漂わせ、途方にくれる顔をした。
 冤罪で死刑執行を言い渡された時の自分も、もしかしたらこんな顔してたんだろうか、などとクロノは場違いなことをなんとなく思った。


「うぅ……恥ずかしいよ」
 これで通算五度目になる「恥ずかしい」を口にしながら、マールがクロノの上着を敷布にして地面に四つんばいになった。
 上着はまだ生乾きだったが、地べたに直接手や膝をつかせるよりはいいかと、クロノが誘導したのだ。
 こんな場所で全部脱がせないで、とマールとしてはそこはどうしても譲りたくない点だったようなので、必要な部分だけという約束で妥協することになった。
 誰かに見られる心配もここじゃまずないだろうし、使うところだけって方が、かえってやらしい気がするんだけどな。……なんて思いつつ、クロノはしいてそれは言葉に出さずにおいた。
 腰留めの金具を緩め、服のズボン部分と下着に手をかけてずらすと、マールは過敏に身をすくめてクロノを制止しようとした。
 だが、彼が何か言おうとする前に、羞恥に必死で耐えるようにかぶりを振り、抵抗をあきらめる。その健気さが全て自分のためのものだと思うと、余計に可愛く感じられた。
198雨のまほろば/8:2009/01/02(金) 07:36:21 ID:6auGIRtp
「……あんまり見ないで、ね……」
 さっきのクロノと同じ言葉を、消え入りそうな声でこぼす。
 考えてみれば、今は天気が悪いとはいえまだ夕方にもなっていないので、近くで見つめ合う分には充分すぎるぐらいの明るさである。
 そんな視界の通る中で秘部を目にするような場面というのは、クロノの方にもさしてあったわけではない。マールがやたらと恥らっているのは、その辺の事情も大きそうだった。
 でもなあ、とクロノは少し意地の悪い言い方をした。
「さっきマールだってオレのを見てたんだから、おあいこだろ?」
「そ、そうだけど……ん、んんっ」
 なめらかな感触の小ぶりなお尻に手をかけて、さっきのお返しとばかり、マールの淫花にしゃぶりつく。
 意外なことに、そこは舐める前から濡れて潤っていた。
 こちらばかりが一方的に気持ちよくなっているのかと思っていたが、案外、奉仕する側も快感を覚えていたりするものなのかもしれない。
「あっ……あぁ、あ……!」
 舌を縦に丸めて挿入し、出し入れして内部の蜜を掻き出す。それを唾液と混ぜて塗り伸ばすように、全体を満遍なく蹂躙していった。
「ひっ……く、ぅ……あんっ……! ……だ、だめ、クロノッ」
 マールは悩ましく背を反らした。特に繊細で感じやすい萌芽を舌と唇が通過するたびに、ぴくん、ぴくん、と身体全体が揺れる。
 その周辺を重点的に嬲ってやるように切り替えると、さらに大量の蜜が溢れてきた。
「や、やだ……んっ、うぅ……ど、どうして、そんなところ、ばっかり……ぃ!」
 恥ずかしさと快楽が頂点に達したらしく、涙混じりにクロノを責める。
 マールも似たようなことオレにしてきたじゃないか、と言おうとして、不意にすとんと腑に落ちた。
 実際はその真逆で、さっきのアレは要するに、こっちが普段していることをそっくり真似して返してたってことなのか。面映いような、くすぐったいような気分で、内心こっそり苦笑う。
 飽和してもはや保持が追いつかない、互いの体液の混合物が、下着に零れ落ち始めている。
 頃合と見て、クロノは口をつけるのを止め、立ち膝になって彼女の入口に自分のものをあてがった。
「……あ……」
 顔だけわずかに振り向かせ、マールがとろけた眼差しでその挙動を追う。
 早く繋がりたい、彼女の中に潜り込ませろと強く主張してやまないそれの勢いのまま、彼は一息に貫いた。
「……っ」
 短い息の音だけが、マールの喉を鳴らす。
 最奥まで到達したのを確信すると、すぐに腰をぎりぎりまで引き戻し、再び突き込む。
 それを繰り返すごとに、彼女は目に見えて乱れ、吐息を荒れさせた。
「はっ、う、あぁ、ん……っ!」
199雨のまほろば/9:2009/01/02(金) 07:37:35 ID:6auGIRtp
 森に住む獣の一部にでもなったかのように、少し性急にすぎるほど、彼女のことを貪る。
 口で、というのも新鮮で良かったのだが、やはりこうして交わる方がマールを直に手に入れられているという実感がある。
 誰にも渡したくない、心から愛しい少女とひとつになっていられるそのことが何より幸福で心地良く、そして、体内に熱を生む。
「く、クロノ……っ、な、なんだか、……あっ……激し、い、っ……! ……あぁっ!!」
「……ぅ……くっ」
 ペースやら調整やらに気を回すことも忘れてほとんど一気に駆け昇り、彼女の内側にその熱をありったけ流し込んだ。
「……は……」
 かくり、と糸の切れた人形のように、マールが力なく頭を垂れた。
 嵐と変わらぬ愛欲の奔流から解放され、肩を上下させて息をつく。その肩の、うなじに近い辺りに、クロノは身体を溶け合わせたまま口吻けた。
「……んっ」
 絶頂がまだ尾をひいているのか、マールは怯えるようにかすかに震えた。
 そんな彼女の様子を見ていると、悪いなと思う。
 ……だけど。
「マール……その、ごめん。……まだ足りない」
「え……」
 ぼんやりしていた瞳に、じきに理解の色が浮かんだ。
「う、うそっ……うぅんっ」
 背中にとりつくように覆いかぶさり、ぐっと突き上げる。
 小刻みに、奥に振動を与えるような動きで、再びマールを本能の渦へと巻き込んだ。
「あ、あぁ、あ、あっ」
 揺すぶられ、深々と押し込まれて、マールは息絶え絶えに喘いだ。
 胸の谷間に指をかけ、そのまま服を引き下ろす。まろび出た可愛らしい乳房を、クロノは片手で抱きかかえるように揉みほぐした。
 全体にしなやかで柔らかい少女の身体の中でも、とりわけ触り心地の良い部位を愉しみ、弄びながら、ぐいぐいと自分自身を押しつけ密着させる。
 高めていくというよりも、高みに昇りつめたままそこから落ちないように、可能な限りさらに上へ上へと、限界の果てまで二人で駆け抜けていく。
 何も考えられなくなるほど、ここが外であることも気にならなくなるほど、相手に溺れる。
 虜にして、虜にされて、頭が真っ白になった。
「……あああっ……!」
 再び訪れた絶頂に、意識が爆ぜる。
 半ば無意識のうちに彼女の中におきざりにし、ようやく人心地ついたように、クロノは全身から力を抜いた。
 互いの浅く短い息遣いと、激しく脈打つ心音が、そぼふる雨の音色よりも大きく耳に響いていた。
200雨のまほろば/10:2009/01/02(金) 07:38:47 ID:6auGIRtp
 雨上がり、雲間から西日がほの赤く洩れ差す中を歩いて、クロノたちはイオカ村に戻った。
 生活しやすいようにある程度地面の踏み固められた広場にも、あちこち水たまりができている。
 もはやすっかり顔なじみになった村人たちと軽く挨拶など交わしつつ、二人はエイラの居住しているテントへ足を向けた。
 普通の家屋のように扉をノックというわけにいかないので、外から大きめの声で呼びかける。
「エイラ、いる?」
「……おう! そこでちょっと待つ!」
 一瞬の間を空けて、返事が戻ってきた。
 内側で何やらしばらくごそごそと気配が動いた後、彼女にしては珍しいことに、入れと促すのではなく、家の外で二人のことを出迎えた。
 急いで飛び出してきたらしく、いくらか息を弾ませている。
「待たせた! ……クロたち、意外と戻るの早い!」
「え、そう?」
 マールはちょっと驚き気味に、クロノと顔を見合わせた。
 もうじき夕暮れ時である。出かけたのは朝の早いうちの話なので、それなりに時間は経っている気がするのだが。そんなに狩りの腕を見くびられでもしていたのだろうか。
「まあいい。二人とも、エモノ、いっぱい獲れたか?」
「ああ。ほら」
 少しばかり得意気に、クロノは獲ってきたものの入った包みを示してみせた。
 それを見て、エイラはふと、という感じで言った。
「そういえば、さっきまで、外、雨の音してた。濡れなかったか?」
「まあ、そこそこ濡れたけど、途中で雨宿りもしてたから」
 そう答えてから、クロノはマールにちらっと目を遣り、思わせぶりな笑いを浮かべた。
「それに、おかげで思わぬ収穫もあったし……イテッ!」
 何のことを指しているのか察して、マールが思いきりクロノの腕をつねった。
「……? クロ、いったい何の話してる?」
「いいの! 何でもないったらないの!」
 顔を赤らめながら、マールは懸命にごまかす。
「??」
 わけがわからない、というふうに、エイラは首を傾げるばかりだった。
201名無しさん@ピンキー:2009/01/02(金) 07:43:33 ID:6auGIRtp
終わり。
ちなみに自分の脳内設定では
エイラはキーノとよろしくやってたことになってる
もしも何かネタが思いつけばいつかそこら辺も書くかもしれないけど
期待はしない方向でお願いします
202名無しさん@ピンキー:2009/01/03(土) 02:04:54 ID:E3bREpbV
特命魔王ジャキ
昼間はさえないダメ古代人。
夜は無敵の特命魔王。
ガルディア王クロノ直々の指令を受けてトラブルを解決する。
当然ながらR18指定で名物フンフンシーンは3Dでたっぷりある。

…そんな続編ができるといいのにな。
203名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 01:37:10 ID:ExWAyEtY
魔王ルッカの激しいエロが読みたいな
ラブラブでルッカ巨乳の
204名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 03:10:14 ID:S8Sa+vfj
遅くなったけどGJでした。
エイラは純粋っつか、生殖行動は当たり前に受け入れてるものなんだな。
205名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 00:10:19 ID:Ml/PYAWF
ロボとアトロポスの濃厚な絡みをキボン
206名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 05:36:26 ID:ExwbiW3Y
オ、オイル ハ…オイルハ ラメェェ!
207名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 08:34:54 ID:sL1N3bv0
保管庫にある Me & Satanking って続編あったよね。
「こうでもしないとお前は眠らないだろう。」
とかって、魔王ニクイねーの展開で楽しみだった。
まだ続くみたいだったが、途切れたまんまだね。
あれも又読みたいシリーズだが、覚えている人いるかなぁ?
208名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 10:14:17 ID:qQaW1k38
>>207
保管庫の作品が素晴らしくて、当時のレスが読みたくて以前●でスレ読んできた者ですが、
続きがあったんですか!> Me & Satanking

そのルッカスレは途中で落ちちゃってたんですが、続投スレのタイトルとか
覚えてらっしゃいますか?
209名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 12:06:36 ID:sL1N3bv0
>>208
スレタイはトリガー限定のものだったように思う(ウロ)。
あの後、本格的な二回戦があって夜半にルッカが目覚めて・・・だったかな?
そのあたりで途切れて、全裸で待っている内に風邪引く間もなくスレが落ちた↓ やたら圧縮があった頃だよ。
ロボに入れ混むルッカと、やつれる彼女を王様キャラのままで労る魔王に萌えて、いぶされたまま今日に至る。
210名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 13:12:09 ID:ExwbiW3Y
このスレから見出したからそれは知らなかったわ…
すげえ読みたい!
211名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 13:20:30 ID:9VZuLywV
クロススレに投下されたやつだな
212名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 14:53:04 ID:qQaW1k38
>>209
ご回答ありがとうございます!全裸wktkお疲れ様です。
いま、にくちゃんの残骸から漁って読んできました。二回戦たまらなかったですw
話が進んで、2人の仲を知ったクロノとマールの反応まで読みたかった…
DS版発売で職人の方戻ってきてくれないかな〜


213名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 20:37:45 ID:sL1N3bv0
>>212
おおっ! すばやいw 萌えた?
悪い頭を絞ったんだが、落ちスレで作者氏は続編に当たり
前文をスレにあげてくれたんだよな。
そこでだ。
落ちスレの分をこのスレに出してみたら、またもや創作意欲が湧くんではなかろうか?

・・・と都合よくはいくまいなぁ
214名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 21:56:25 ID:1Y/AxZ1B
俺も漁って来た。これは萌えるwww
もう4年も前のスレだし、俺も含めて知らない人もいるだろうから、上げても良いんじゃないかね。
215名無しさん@ピンキー:2009/01/06(火) 21:59:38 ID:mc+2WUcN
結局ここの奴らは過去の作品マンセー
そんなんで職人なんて現れるわけねーだろバーカ
216名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 00:58:14 ID:vbMiAVBP
流れぶった切った上に亀だが、年末からのクロノマール投下まとめて読んだよ。
2作ともにGJ! クロノマール好きとして夢の様な一時だったよ。

>90
>「男の子はエイラみたいにおっきい胸が好きって大臣が言ってたから……
さり気なく大臣何言ってんのww

「雨の〜」のラブラブっぷりとエロエロっぷりも良かった。
エイラとキーノ編も気が向いたら書いてください。
217名無しさん@ピンキー:2009/01/07(水) 03:06:35 ID:PymoEWXW
大臣の教育はけしからんな
他にも色々教えてそうだw
218名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 17:07:58 ID:pGTFNSxW
魔王ルッカの続編とやらが激しく読みたいのだが
保管庫に収録していただけないだろうか?
もちろん今いる職人さんの新しい作品も激しく読みたい…
エイラ×ルッカとかも読んでみたい
219名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 17:27:14 ID:4LyWTinB
マール「…これが大臣の言ってた、百合なの…?」
クロノ(大臣は何を考えてるんだ)
220名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 19:02:45 ID:PwBCbEjN
>>214
亀だが上げてもらいたい
>>215の言うことも分かるが、神職人達のを読んで書きたくなる俺もいるんだ…
221名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:02:38 ID:EdxaFjJH
諸兄には思うところもいろいろありますでしょうが、保管されてるMe and Satankingの方が某所に投下してくだすった、続きを貼ります。

97 :Me and Satanking 7:2005/12/04(日) 16:59:33 ID:PeXOywkT
「な、・・・・・・な、んてことするのよ!!」
 悠然とドアを閉め、こちらに向き直った魔王。私の激昂に対しても涼しい顔を崩さない。ええ、そりゃ迫力はこの人にはかないませんとも!
 用件も聞かずに追い返したことも責めたいんだけど、議題はまず“セミヌード”だ。
 何で、そんな格好で2人の前に出たりしたの!? 
「下は穿いてる」
「答えになってない!!」
 これじゃ後を追いかけることも出来ないじゃない。何より次に会ったときにどんな顔すればいいのよ!!!
 怒り臨界点突破でいる私と対照的な魔王が逆に聞いてきた。
「お前こそ、そんな“なり”で2人の前に出るつもりだったのか?」
「・・・・・・ナリ?」
 鏡を見ろと言われて、化粧台に足を運んだ。
 ・・・・・・確かに私は、とても人前に出られる格好じゃなかった。いくら服装を正したって・・・・・・
 マールに整えてもらったばかりの髪はボサボサ。手櫛じゃ全然元に戻らなかったみたい。瞳は潤んで頬が上気してる(怒ってたせいかもしれないけど)。
 おまけに・・・・・・極め付けが・・・・・・
 襟からはみ出たキスマーク群。どうにも隠し切れない箇所に行為の跡がくっきりと残っていて。
「ここにもついているぞ?」
 歯を立てられた痕なんか、やたら艶かしい。
「・・・ここにも・・・」
 呆然としてるところに魔王が迫ってきた。容赦なく胸元に顔を埋めてくる。
「そ、そこはっ、・・・あ、今あなたが付っ、やんっ」
 化粧台は狭くてとても逃げられない。押しのけようとした手は絡め取られて空を切る。
 抵抗らしいことも出来ないまま再び服を脱がされて、いい様に弄ばれてる自分の姿が鏡に映る。
「ま、・・・待ってよ、話は終わってな、い、ってば!!」 
 渾身の力を込めて腕を突き出し、胸板を押し退けた。
 肌蹴た胸を隠しながら、散り散りになりそうな理性を掻き集めて何とか睨み付ける。上手く声が出ない。
「わ、わざとでしょ! これ! く、クロノ達が」
「当たり前だ」
 ・・・責め終わらないうちに即答するなんて!! 少し上がった口の端がまた憎たらしい。
 ああそうだった。一度拗ねるととんでもない事するのよこの人は!!!
「ど、どして」
「こんなタイミングで来るのが悪い」
 ・・・・・・こんなタイミングって・・・・・・夕方にもなってないのに・・・。
 反論を考えて言いよどんでいると、また身体と口の自由を奪われた。
 力は全て使い切ってしまった。舌が、感覚が蹂躙されていくのを止められない。
 魔性の唇がまた、離れ間際に挑発する。
「1つ聞くが」
「・・・・・・なによ・・・・・・」
「此処でするのとベッドでするのとどちらがいい?」
222名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:03:37 ID:EdxaFjJH
114 :Me and Satanking 8:2005/12/24(土) 02:28:39 ID:aMq/usVz
 かくして生贄は丸裸。成すすべも無くベッドの中へ。・・・あああ。
 本当に悔しいったらない。キスした後もぷいっと顔を背け、目も合わせないようにしていた。
いいですか? 怒ってるんですからね! 私!
「・・・何を拗ねている?」
「・・・・・・」
 先に拗ねだしたのはそっちでしょ、全く!
 がら空きになった首筋を舐められても声を堪えた。
「・・・だんまりか」
「・・・・・・」
「面白い。・・・・・・いつまで耐えられるか試してみるか?」
「!?」
 見透かされたのは良いとして、逆に面白がられてしまったのがこれまた何とも悔しい。
 ・・・・・・こうなったら絶対声聞かせてやらないから!!
 鉄の決意を抱いたところに、当の本人は薄笑いさえ浮かべて。余裕の表情で圧し掛かって来る。
 抉られる様なキスで、早々気圧されている事を知る。・・・・・・ま、負けるもんですか!!
 体重が掛かってくる。逃げられないのは分かっているけれど、どうしても視線が泳いでしまう。
「相変わらずだな」
 哂いを含んだ声。だってしょうがないでしょ、なんて反論してしまったらそこで私の負けだ。
 反応しないように目を閉じて、顔を背けた。歯を食いしばる。
 でも、・・・ざらり、とした舌の感覚が、どうにも・・・
「・・・あっ・・・」
「今何か聞こえたぞ?」
 即座に指摘され、慌てて口を押さえた。どこまで底意地が悪いんだろう、この人は。
 わざと音を立てて胸を吸い立てる。・・・そんなにしないでよ、あ、赤ちゃんじゃないんだからっ!
「・・・っうぅ、・・・くっ・・・」
「もう根を上げるのか?」
 絶対違います!! 違うんだから、は・・・・・・早く終わらせてよ!!!
 執拗に続く愛撫。この行為は本当に慣れない。声にならないように気をつけながら大きく息を吐く。
 ふいに重みの感覚が変わった。閉ざしていた脚に手が掛かった!
「!!」
 反射的に身体が逃げる。・・・本当に逃げられたらどんなに良いだろう。
223名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:04:38 ID:EdxaFjJH
115 :Me and Satanking 9:2005/12/24(土) 02:29:50 ID:aMq/usVz
「無駄だ」
 宣告の通りあっけなく引き戻され、指は無情に滑り込む。
 全身を襲う強い刺激。感じまいとしていた身体もこれには敵わない。
「・・・っ・・・んんっ」
「・・・聞こえるか? お前の“音”だ・・・」
「・・・・・・」
 指の動きが激しくなり、敗北を促す。涙が滲んでくる。・・・堪えなければならないものが増えた。
 吐息が遠ざかった。暖かい舌を這わせながら銀の髪が肌を掠めていく。
 この人の考えは分かっている。そしてそれを止めることは契約違反だ。分かっている。・・・分かっているんだけど・・・!!
 思わず背を丸めて彼の髪に手を伸ばした。・・・舌が到達したのと、同じタイミングで。
「何だ? 待っていたのか? これを」
「!?」
 い、いや、違うの! これは。・・・その行為だけは、や、止めて欲しいっていう意思表示なの!!
 私が何度もかぶりを振るのを見据えると、ふ、と口角を上げた。
「そうか、・・・そんなにして欲しかったのか」
 待たせて悪かった、と反論を赦さず、一番敏感な処に顔を埋めてきた。
「あっ! ・・・あふっ! ・・・っ」
 閉じようとする脚を押さえつけては何度も舐め上げてくる。溢れるものを吸い立てられる。
 逃げられない刺激。とても耐えられない。
 ・・・舌の愛撫が止んだ。そして、
「!!」
 宛がわれたものを割り入れられた。それが当然であるかのように。
 身体は受け入れる体勢にはなっているものの、これにはいつも圧倒されて、戸惑う。
「いくぞ」
 まだ心が受け入れかねているところに、激しい突き上げが始まった!
「ああん!! あ・・・は! はっ!!」
 堪えていた声も限界。シーツを掴みながら喘いでしまった。涙が止まらない。
 激しく中を掻き混ぜられ、翻弄される。水音が耳に届く。くやしい。
「変な我慢をするからだ」
 勝ち誇る魔王の声。・・・・・・ええ、さぞ満足でしょうね。
 手を噛んで声を止めようとすると、両手首を押さえつけられた。
「もっと泣け」
224名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:05:50 ID:EdxaFjJH
116 :Me and Satanking 10:2005/12/24(土) 02:31:26 ID:aMq/usVz
 堪えようとすればするほど声が止まらない。激しい突き上げに喘ぎ声はいつしか嬌声に変わる。
「・・・ああ、・・・ん、く、はっ・・・あっあっ、あああ!!」
 自分の声じゃないみたい。
 感覚が波に奪われ、突き落とされる。身動きが取れなくなる。
 身も心も粉々に壊れるようなこの感覚は、慣れない。
 空気を求めて、肩で荒く息をする。涙が呼吸を乱していて、・・・体中苦しい。
 背中に腕が回り、上体を起こされた。
 正面から向き合い、顎を掴まれた。薄闇の中で彼の端正な顔が間近になる。
「良い顔になったな」
「・・・・・・」
 紅潮して、涙も溢れて、多分私は今、みっともない顔になっているんだろう。
 でも、
「・・・そろそろ俺も楽しませてくれ・・・」
 この人はまだ満足していない。達したばかりの身体を尚も求めて来た。
「・・・あぁ・・・、許、して・・・おね、が・・・」
「・・・・・・」
 何も答えず、繋がっているものを突き上げてくる。
 ・・・凄い、意地悪な顔・・・。
 
 魔王をパートナーに選んだのは正解だと思っている。
 彼のアドバイスはかなり有効で、開発速度は捗捗しく進んだ。その恩恵は数え切れないほどだ。
 性欲だってあるだろう。魔王といってもそれは称号の様な物で、彼自身はれっきとした人間。健康で健全な男性だ。
 ・・・のは分かるんだけど・・・、・・・でも・・・、・・・・・・なんでその相手が私?
 なんで、こんなことになっちゃってるの?
 この、日頃の疑問が声に出たのだろうか。身体の何処にも力が入らないところへ、彼の声が入ってきた。
「・・・こうしないとお前はベッドで眠らないからだ」
 ・・・何・・・? ・・・・・・何て言った の・・・・・・?
 聞き返そうとしたけれど、もう、駄目・・・・・・・・・限界。
 魔王に身体を囚われたまま、意識は闇の中に崩れていった。
225名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:08:50 ID:EdxaFjJH
117 :Me and Satanking 11:2005/12/24(土) 02:33:00 ID:aMq/usVz
 また、“悪夢”を見る。
 さっきからずっと酷い夢の連続だけど、これはまた意味深でもどかしい悪夢だ。
 見えるのは一面の炎。見覚えがあるのにどこなのか分からない建物の中。そして、
 炎のもたらす轟音の中から僅かに聞こえる、必死に私を呼ぶ声。
 “・・・ッカ姉ち・・・・・・!!”
 逢ったことも無いのに、よく知っている“少女”。
 何処にいるの? 何故私は駆け寄ってやれないの? ・・・・・・あなたは、誰なの・・・・・・?
 捜そうとして、確かめようとして、目を凝らそうとして・・・。
「・・・ッ・・・、・・・・・・あ・・・・・・」
 暗い寝室の中で目が覚めた。眩む程だった炎は跡形もなく、ただ僅かな月光がカーテンの端を照らしている。
 夢の余韻でまだ声の主を捜そうとして、・・・それが叶わない現実に完全に目が醒めた。
 手は伸ばせるものの、他に身動きがとれない。その理由は・・・、ガッチリと捕えられているからだ。彼に。
「・・・・・・」
 当たっている胸から静かな鼓動が伝わってくる。悪夢を反芻しながらそれに意識を傾けてみる。
 そういえば、最近は悪夢に飛び起きることが無くなったかもしれない。
 前なんか、自分の悲鳴で目が醒めちゃったりしたし・・・・・・。
 跳ね上がっていた心臓も、冷や汗も、鼓動にあわせてだんだんと落ち着いてくる。
 何となく、もう少し良く聞きたい気分になって、身を捩じらせ・・・たら。
「・・・・・・」
「・・・・・・起きてたの?」
「ああ」
「・・・・・・いつから?」 
「知りたいか?」
 からかう様な語感に身の置き所も無い。
 きっと顔が真っ赤になっているのもこの人にはバレバレなんだろう。
 誤魔化しも兼ねてそのまま立ち上がろうとすると、腕を掴んできた。
「何処へ行く?」
「・・・・・・シャワー、浴びてくる」
 いつの間にか枕元に置いてあったローブを羽織った。

226 :Me and Satanking12:2006/02/28(火) 16:52:27 ID:6t4lIFlh
 シャワーに紛れて澱が脚の間を伝い降りてきた。
「・・・あ・・・」
 情事の激しさをまざまざと思い出してしまう。
「・・・も、もうっ・・・」
 慌てて水流を強くして洗い落とした。
 いつもこうだ。何度も何度も飽きることなく求めて来て、失神するまで止めてくれない。・・・もしかしたらその後も楽しんでいるのかもしれない・・・。
 できることなら体中についた行為の痕も洗い落としてしまいたい。・・・意識するとどんどん顔が赤面してくる。あああっ! 本当にもう!
 最後に冷水を浴びてタオルを手に取った。
 時計を見ればまだそう遅い時間でもない。彼もまだ起きているだろう。・・・・・・ベッドの中で。
 たぶん、・・・・・・戻ったらまた、しなくちゃならないんだろうな・・・・・・
「あ、そうだアレ、あれー、っ・・・と」
 キッチンで渇いた喉を潤した。お腹も空いてきていたから軽くシリアルなんかつまんでみたりして・・・。
 ・・・せっかく起きたんだから寝室に戻る前に何か少し済ませておいてもいいわよね。
「・・・あー、そういえばサンプルチェックが途中だったわよね・・・」
 あら、スコープが見当たらないわ。
 あー、確かシルバードの方へ置きっぱなしだったかなー・・・。ちょっと取りに行こうっと。

 中庭を出て格納庫へ向かった。柔らかな夜風が頬を撫でる。
 ふと歩を止めて、それを仰ぎ見た。
 仄かな虹の光彩を揺らめかせながら。それはそれは大きく、欠けた処など全く無い「満月」。
 私が月を見つめると、月も私を見つめ返してくる。そして、・・・・・・哂いながら、憂いながら、囁きかけてくる。

 コンドハダレモ助ケチャクレナイヨ? 

 ・・・・・・そんな声が、聞こえる気がする・・・・・・。
「・・・・・・」
 込み上げてくる焦燥感。怖気を感じ、身体を抱き締めた。言い知れない不安に押し潰されそうになる。
 どうしてこんなに不安になるの? 私は一体どうすればいいの? どうすれば・・・・・・?
226名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:09:41 ID:EdxaFjJH
227 :Me and Satanking13:2006/02/28(火) 16:53:19 ID:6t4lIFlh
「・・・ロボ・・・」
 ロボだ。そうだ、ロボが完成さえすればきっと!!
 気合を込めて頬を叩いた! しゃきっとしなさいルッカ! 立ち止まっている暇なんかないのよ!
 ・・・見てらっしゃい、私は絶対に負けたりしない!!
 睨むつもりで再び夜空の主を見上げた・・・ら。
「・・・・・・」
「!?」
 魔王がいた。
「び、びっくりした・・・」
 いつの間にこんな近くに来ていたんだろう。しかも、・・・・・・・・・怒ってる。
「・・・いつ戻ってくるかと思えば」
 月光を背にして立つその姿は言葉ではとても表せられない。
「一体いつまで待たせる気だ」
 月より冷たい声に肩が竦む。
「あ、あの、ちょっと・・・、シャワーを浴びたらおなかが減っちゃって・・・キッチンに行って少しゴハン食べて・・・そしたら・・・、・・・その、」
「・・・・・・」
「・・・・・・月が、見たくなって・・・・・・」
「契約を蔑にして月に心を奪われるとはな。・・・いっそあの月を破壊してやろうか?」
「・・・・・・月にまで焼きもち妬かないでよ」
「お前が妬かせている」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・言いよどむくらいなら慣れない事を口に出すな」
 ・・・・・・どうしてこういう口説き文句をさらっと口に出せるんだろうこの人は。それ以前に、・・・・・・言い慣れてるの???
 肩を抱かれて寝室へ。まるで警察に連行される犯人みたい。・・・ああ、・・・・・・気が重い。
 こんなことしてる場合じゃないのに。早くロボに会いたいのに。それこそ寝る間も惜しんで。
「・・・・・・」
 そう。眠りたくない。何よりも・・・眠るのが、・・・・・・怖い。
 眠れば何度も悪夢を見る。それが怖い。あの夢はあまりにも暗示的で、強烈で恐ろしい。何だか・・・・・・ 
「って、・・・あ? ・・・あれ? ・・・・・・夢? 何のことだっけ?」
 あんなに魘されて飛び起きてしまう程の夢。それが一体どんなものだったのか、それを・・・。

 全く思い出せなくなっていた。
227名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:10:32 ID:EdxaFjJH
228 :Me and Satanking14:2006/02/28(火) 16:56:42 ID:6t4lIFlh
 腕の中で考え込む科学者に、問われた。
「ね、ねえ・・・」
「・・・どうした?」
「私さっき、・・・変な寝言か・・・何か・・・、・・・夢・・・」 
「・・・・・・」
「・・・な、何でもないわ。・・・ちょっと気になっただけ」
 相変わらず、・・・・・・か。
「いくぞ」
 抱く肩に力を入れ、部屋に導いた。まだ休息が必要だというのに。こいつは俺が居ないと一睡も出来ないのだ。
 安眠が出来ない。疲れさせないと、眠れない。
 そして眠ると悪夢に苛まれ、起きればこの有様。夢に叩き起こされたことさえ忘れてしまう。
 去り際に振り返り、月を睨む。その冷たい光彩を。

 月よ、この科学者にどんな運命を科そうというのか。


 *** Me and lady scientist *** 

 王国一と謳われた魔力。稀なる力。・・・その1つ、“未来を見る力”は私に明るい世界を見せてはくれなかった。
 見えるのは、・・・・・・黒い風が咽ぶ世界・・・・・・。
 未知の力に溺れ、正気を失い堕ちていく母。哀しみに苦悩するしかない姉。そして、
 稀有なる力に恵まれながら、この先に待つ終末を知りながら、何一つ役に立たない自分。
 見掛けばかりが美しい、晴れの見えぬ世界の中で、俺は孤独の中に身を置き、心を閉ざした。
 そして、
 過酷という言葉さえ生易しい環境に一人放り出された。
 腹心だった魔物達さえも、初めは恐ろしい敵だった。
 一瞬の油断と怠慢が、そのまま死に繋がる世界で生き延びられたのは・・・・・・ただ1つの決意があったからだ。
 母を狂わせ、姉を苦しめ、故郷たる国をも滅ぼした存在。
 死地に堕ちるたび、絶望に裂かれるたび、奈落の更なる奥底で息づく敵を思い出し、持てる力全てを使って何度も這い上がった。

 いつか必ずヤツを倒す!!

 それが叶うならば、どれほどの人間がどう死のうが何者が異形の姿に堕ちようが、構わなかった。
228名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:11:55 ID:EdxaFjJH
229 :Me and Satanking15:2006/02/28(火) 16:57:35 ID:6t4lIFlh
 魔王と呼ばれることさえ、目的への過程に過ぎない。
 未だ手の届かぬ地下深くに潜む、その存在を。この手で。
 それだけが俺を支え、突き動かさせた。

 ・・・そして願いは叶えられた・・・

 達成感はつかの間。気がつけば虚無の感覚だけが残った。
 目標も、指針も尽きてしまった。
 魔王と名乗る意義も無く、かつての名を名乗るには変わり過ぎた。
 姉を探す手掛りさえ希薄。このまま無為の日々を過ごすことになるのかとさえ思っていた自身には、正直、彼女の来訪は救いだったのかもしれない。

「お久し振り。見た目結構変わっちゃったけど、私のこと分かる? ルッカよ」

 彼女は旅を終わらせた数年後から来たという。体型や髪型の、多少の変化は止むを得ないだろう。だが・・・、
 そのあまりの変貌に目を見張った。

「やだ、そんなに驚いちゃって。・・・ひょっとしてサラさんかと思った?」

 確かに、その姿を認める迄は、サラが逢いに来たのかと思った。
 声、雰囲気は似るべくも無いが、何よりその憔悴振りは姉そのものだった・・・。

「協力して欲しいことがあるの」

 クロノも誰も気づかないのか、彼女の異変に。
 
「貴方にも悪い話じゃないと思うわ。シルバードを使えばサラさんを捜す範囲だってぐっと広がるし・・・・・・」

 彼女を、黒い風が取り巻いているのを。




俺が発見したのは以上です。自重せず連続ですみませんでした。
229名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 01:38:45 ID:IU7KF5jO
>>228
乙。ありがとう

女の子の一人称のエッチって可愛いなぁ
強がってるけど結局堕ちるルッカに萌えた
途中で視点が魔王に替わるのがイイ…けど気になる所で終わってるんだな…
230名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 21:52:57 ID:QJ3MyVCA
超乙。
おかげでアルティマニア発売までのあと一週間生き延びることができそうだ
231名無しさん@ピンキー:2009/01/14(水) 23:07:01 ID:p3rU/rcp
さすがにスレに全部貼るのはどうかと…



悪いけど書く気半減したわ
232名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 00:38:35 ID:4ALmiVNZ
>>231
何で?
233名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 02:48:48 ID:vNKgaFf6
ま、人間みんな違うんだし、期待してた通りに物事が進むことなんてあんまりないだろう
自分自身がした事だって、期待から外れることも多いしな。俺の場合はだが
234名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 10:01:07 ID:a1dVYaBj
>>228
乙!
続きが気になる……
235名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 10:51:55 ID:5PfMx7VY
>>231
何様ですか?www
236名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 12:11:25 ID:T3sF1L5U
>>231
誰も期待してないから安心しろ
237名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 18:09:25 ID:8dcY7OLp
宗教抗争始まったな
238名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 20:29:35 ID:vNKgaFf6
颯爽とマヨネー教のの俺登場
239名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 21:13:26 ID:a1dVYaBj
颯爽といいながら
誤字がある>>283かわいい
 
じゃあ私はこの板の職人を崇める敬虔なる信者やる〜

240名無しさん@ピンキー:2009/01/15(木) 22:54:57 ID:a1dVYaBj

>>283>>238
実にすみません
241名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 10:18:43 ID:3/pzj0Un
実際マヨネーはどうにかして魔王とやってるだろな
それを誇りにして、ビネガーとソイソーを見下してそう
可愛いやつめ
242名無しさん@ピンキー:2009/01/17(土) 12:55:27 ID:SzPaG3zv
マヨネーは上下工事済みなのか?それが問題だ
243名無しさん@ピンキー:2009/01/18(日) 14:25:44 ID:Uq5tRVsB
成人男子を簡単にカエルに出来たくらいだしな。
だからまあ、マヨネーは魔王より魔力少ないとはいえ、しばらくの間は性別変えるくらい出来るんじゃないか?
244名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 00:37:33 ID:gAIHb7io
なるほど魔法で女体化か、その発想は無かった
ソイソー×完全女体マヨネーとか良いかも
マヨネーに襲われる童貞ソイソー
245名無しさん@ピンキー:2009/01/19(月) 01:46:51 ID:IwKn+0VZ
自分の持ってる同人誌ではマヨネーは両刀でふたなりっぽかったな
上が女で下が男というのはふたなりとは呼ばないのかもしれないが
そこら辺の分類については明るくないんだ、スマン

ちなみに襲われていたのはルッカだった
246名無しさん@ピンキー:2009/01/20(火) 00:13:11 ID:502Ftaer
>>245
kwsk
247名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 00:37:22 ID:WOeGkgoY
もう1人、誰か仲間に入れて欲しいところでもある
248名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 01:30:29 ID:3S4F7RET
リーネ王妃が良いです
249名無しさん@ピンキー:2009/01/22(木) 02:15:19 ID:zB6ufPAU
いや今で充分足りてる
250名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 17:50:31 ID:63qTXe54
誘拐されたリーネ王妃が、無事でいられたわけがないと思う
251名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 18:55:05 ID:jCHY2j99
マールって14だったのか
252名無しさん@ピンキー:2009/01/23(金) 22:25:03 ID:DxR2K1iZ
Vジャンでの公式初期設定は16歳だったし
自分的には14ってのは無しだな<マール
253名無しさん@ピンキー:2009/01/29(木) 16:38:10 ID:TdAxgyd+
女性陣が風呂に入ってキャッキャウフフしてる話が読みたいです
254名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 01:57:33 ID:uFZSwpSv
もちろん母上様も入れてくださるのでしょうな
255名無しさん@ピンキー:2009/01/30(金) 20:02:53 ID:cw8oQyQ5
>>254
もちろんです
ヌゥとゴンザレスも一緒です
256名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 00:00:57 ID:OXVfgPGl
ジール様の背中をお流ししたいです
257名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 04:12:56 ID:YZb5ACBl
子供2人いるし、さぞかし乳もあることでしょう。
ジール様のことだから、垂れたりしてないはず!維持してるはず!
258名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 13:23:01 ID:dVmnJrtb
DSスレでのカエルの人間版ベロロンによからぬことを考えたのは俺だけでいい
259名無しさん@ピンキー:2009/01/31(土) 14:41:36 ID:qCQwQeIo
人間版ベロロンでメロメロにされる女性陣おいしいです
260名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 00:44:32 ID:MtZCjbnL
マヨネーを後ろから抱き締めつつおちんちんをしごきたい
261名無しさん@ピンキー:2009/02/01(日) 01:25:23 ID:Ptp/MJSp
場所が場所だけに、乳はそっと付けておこう…
262名無しさん@ピンキー:2009/02/02(月) 21:59:40 ID:Bp/XlcQv
マヨネーかわいいよマヨネー
263名無しさん@ピンキー:2009/02/04(水) 21:47:33 ID:rSKDI1UV
マヨネーのおちんちん吸いたい
普段高飛車なマヨネーを恥辱と快楽で溺れさせたい
264名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 03:55:42 ID:WUy/S5oa
アッー!
265名無しさん@ピンキー:2009/02/07(土) 00:23:59 ID:X1QpDYIY
クロノのエロ同人見つけたんで貼っとく
最初クロノエイラでメインがクロノルッカ
オチに笑った
ttp://crazy-bee.com/og/main_php/list.php?c=kurono&d=001&p=00aPkOloPZXPI
266名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 19:20:51 ID:kGooHWo1
>>265
クロスのもあるんだな
見方がよく分からなくて見られなかった俺涙目
267名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 20:21:30 ID:04N5rWQp
本当だキッドの本みたい
でも三択で正しいリンク先を選ばないと見れないみたいだ…
めんどくさいな
268名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 03:03:31 ID:TPp4xSDh
3段オチわろたw
269名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 13:02:11 ID:IsUJlDDg
Q.じゃあWiiで何が遊べるんですか?

A.
10月に遊べるWiiの新作ゲーム1位
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081003/music12.jpg
10月に遊べるWiiの新作ゲーム2位
http://www.famitsu.com/game/coming/__icsFiles/artimage/2008/09/01/pc_fc_n_gs/03_2.jpg
11月に遊べるWiiの新作ゲーム1位
http://japan.gamespot.com/i/product/10295690/b008.jpg
11月に遊べるWiiの新作ゲーム2位
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081201/fs09.jpg

PS3で忍道対戦アクションゲーム
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081031/naru11.jpg
PS3で三国+戦国キャラで無双OROCHI Z
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080326/msr19.jpg
PS3で時代劇を舞台にヒートアクションゲーム
http://japan.gamespot.com/i/product/10291411/b035.jpg
PS3でSRPG+TPSアクションゲーム
http://japan.gamespot.com/i/product/10278796/b212.jpg

     /在日堂\ 
三 .゚・。|・゚・。O-O。|・゚・   PS3は撤退しろ!PS3は撤退しろ!
 三┌|6#)'e'( ::|┘    PS3の撤退はみんなが望んでる!!!!
     `‐-=- '
      /  >
270名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 18:15:15 ID:SLTgvwn7
ルッカ×マールも良いな…
271名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 19:29:45 ID:J8DLbsMn
>>270

> ルッカ×マールも良いな…

わ、私にそのケはないわよ!!
272名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 19:38:57 ID:SLTgvwn7
>>271
そのケの無いルッカを無理矢理押し倒して
いたずらするエイラも良いな…
273名無しさん@ピンキー:2009/02/11(水) 22:52:05 ID:J8DLbsMn
>>272
>>271
> そのケの無いルッカを無理矢理押し倒して
> いたずらするエイラも良いな…

エイラの腕力には逆らえなさそうだしな
274名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 02:37:18 ID:HkAQRBsH
力★★だからな
エイラとお姉様ルッカだとどうなるんだろw
275名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 10:11:42 ID:nuqqGqmB
キーノたんをもらって行っても文句は言われない流れだな
276名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 11:28:46 ID:qqfiFueG
マヨネーに足コキされてくる
277名無しさん@ピンキー:2009/02/12(木) 20:56:02 ID:IduckPnJ
オナニー大好きハヤシライスコ
278名無しさん@ピンキー:2009/02/14(土) 23:51:43 ID:JAgsMsij
>>275
キーノたんのちんちんが服を押し上げるところを見るのは俺の特権だぜ
279名無しさん@ピンキー:2009/02/15(日) 02:14:42 ID:lJWTPJA8
エイラ姐さんにしばかれるぞw
280名無しさん@ピンキー:2009/02/16(月) 01:02:25 ID:fCEFZ4b/
初プレイ時は何故かキーノを女の子だと思い込んでた
てっきりエイラの妹か何かかと…
281名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 20:18:56 ID:RakGn1uH
せっかくのRPG!
異種姦なんてどうでしょう?
282名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 20:21:33 ID:O3l+0zTW
吸収攻撃ですね、わかります
283名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 21:21:06 ID:E3crHcmJ
うぐ…魔力が吸い取られて…
284名無しさん@ピンキー:2009/02/19(木) 23:41:53 ID:umjtS7tD
マザーブレーン受ですね!
285名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 20:50:58 ID:3gYZHLh1
ぷちらぼぉすタソ♀にチンポを咥えられて、悶えるキーノの話しは?
286名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 21:49:54 ID:YUpc0uwA
ミアンヌにヤられて気持ち良くなっちゃうキーノたんなら脳内で。
287名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 22:23:46 ID:n3Y9nnQs
黄ーノ大人気だな
黒ノはセリフが無いからキャラ分からんが
黄ーノはキャラ分かってるからかね
288名無しさん@ピンキー:2009/02/25(水) 23:58:24 ID:ksWungKc
てか一人が何度も書き込んでるだけじゃね?
289名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 01:17:09 ID:xg0XhF0h
マヨネーたんと空中セクロスしたい
290名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 01:21:10 ID:KgXoRL8r
ルッカを触手責めとかは?
291名無しさん@ピンキー:2009/02/26(木) 05:50:18 ID:o61f8kD0
ビネガーにハメられるルッカを希望
292名無しさん@ピンキー:2009/02/27(金) 00:08:25 ID:LNbH/DyT
酔っ払ったルッカが魔王やカエルを襲うってのも面白そう
普段は恥ずかしがって消極的なルッカが
あんなことやこんなことを…
カエルルッカも魔王ルッカも好きだ
293名無しさん@ピンキー:2009/03/04(水) 23:37:14 ID:xw7ZWsqj
キーノに掘られつつマヨネーたんを掘りたい
294名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 12:58:35 ID:F5KFoe74
>>293
キーノたんのちんちんは俺の…あれ、エイラ姐さ(ry
295名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 01:15:59 ID:qtKA4tDM
フタナリマールとかどうよ
296名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 12:29:47 ID:eVchu+6W
つマヨネー
297名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 20:20:48 ID:bGdIkH7C
時間?的にありえないんだが、マヨネー×サラとか燃える
魔王様に大事にされてるサラなんて、許せないんだからっ!汚してやるのヨネー!て感じで

一粒で二度おいしいマヨネーは優秀な人材
298名無しさん@ピンキー:2009/03/09(月) 22:21:00 ID:qtKA4tDM
マヨネーって鳥山絵あったっけ?
なんかドット絵のイメージしかなくてイマイチ萌えらんないんだが
虹でも見たこと無いし
299名無しさん@ピンキー:2009/03/10(火) 23:46:24 ID:bt/fGcU+
>>298
マヨネーはドット絵で充分萌えれるだろうが

笑ってるマヨネーたん可愛い
300名無しさん@ピンキー:2009/03/11(水) 01:50:51 ID:2Z/KfFxv
ドット絵でも萌えたが、確かDSの攻略本で見た気もする
301名無しさん@ピンキー:2009/03/19(木) 18:39:14 ID:SMtKKYtu
保守投下しようとしたらアクセス規制に巻き込まれてた。

傾向→淡々としエロ度は極めて低い
カップリング→ジールxジャキ、予言者xサラ
注意→近親、ショタ?、強姦未遂あり?
302火を躍らせた風(1):2009/03/19(木) 18:41:08 ID:SMtKKYtu

 封印していたのは魔法だけではなかったのだろう。

 彼の目深に被ったフードからでも、宮殿に降り注ぐ光が織り成す紋様の美し
さは伺えた。滑らかに整えられたサラの爪が、光を反射して眩い。シルクの袖
から見える細い手が、そのまま幼いジャキの頬へと伸びて、円やかな表面を撫
でた。

「今日はどこに行っていたの、ジャキ?」

 強がって見せる弟は深い眠りの中にいた。目尻には乾いた涙の後が見える。
どこかでまた一人、寂しい気持ちを抱えていたのだろうか。たった一人の姉に
だけ見せた素直さも今では遠慮がちになった。その上、海底神殿の建設に携わ
るようになってから、それとなく距離を置くようになったのはむしろ弟のほう
からであった。

(どこに行ってしまうの?)

 父王の霊廟に二人で赴いて、きっと母を支えると誓い合った日々が余りにも
遠い過去に思えて、胸の苦しみを覚える。
 姉の存在や温もりを猫のアルファドで賄っているのか。青い眼をした猫は、
意図してなのか一声啼いた。

 いつか、ジャキが一人歩いていくだろう日はもっと先のことだと思っていた。
どんなに幼く見えても王族の一員として、その体に秘められた力とともに、姉
の手助けを借りなくなる日が。
 しかし弟は実年齢よりも成長が遅れて見えるのも事実だった。ボッシュは言
った。なんらかの精神的なストレスがジャキの成長を押しとどめているのだと。

 母がラヴォス神の力に魅せられ、海底神殿にかかりきりになっていることが、
ジャキに影響を与えているのではないかと思った。だけどもしかすると、そう
ではないのかもしれない。
303火を躍らせた風(2):2009/03/19(木) 18:42:07 ID:SMtKKYtu


「予言者様、弟のことを見ていただけませんか。この子はこれから、
どうなってしまうのか」

 せめて姉である自分だけでも一緒にいてあげられればいい。いや、母がジャ
キのことを認めてさえくれていたら。幼い弟が豊かな未来を歩いていくことが
できるのなら。そう、サラは思わざるを得ない。
 光の下で深い群青のマントに身を包んだ予言者は、姉弟が触れ合う場所から
距離を置き、暫し沈黙を守っていた。

「弟君を案ずるのであれば……」

 男は言い掛けて言葉を止めた。サラは弟のためならば、身を窶してでも何と
かするだろう。そして弟であったジャキは、そう、姉サラと同じことをするに
違いないのだ。
 身を隠して二人で暮らせと告げるのは簡単なようで難しかった。
 魔王たる予言者は自らが過去に来たことは察したが、自分の記憶の中に予言
者などという存在はいない。過去の行いによって未来が変わってしまうであろ
うことは想像がついた。姉弟を安全な場所に移すことは可能だ。だが、それは
長年培ってきた己の復讐の術を失うものでもある。サラがいなければラヴォス
の復活は無理なのだ。なんらかの力が働いて、予言者自身の存在をも危うくさ
せるかもしれない。

「どうか仰ってください。せめて私が弟にできる最善の道をとってあげたいの
です」
「弟君は既に犠牲を払っている。ではサラ様は何を犠牲にされますかな」


***
304火を躍らせた風(3):2009/03/19(木) 18:43:01 ID:SMtKKYtu


 悲しみの連鎖の始まりは、父王の死かもしれなかった。
 サラは死を知っていたし、嘆く母の代わりに三賢者とともに葬儀を取り仕切
り、魔法王国の浮遊のための継承を行った。わずかに16歳の頃だ。その当時、
弟ジャキは齢8にして魔法力もさることながら聡明と名高く王位はそのままジ
ャキにと望む声もあった。
 しかしジャキは死に直面したことがなかった。嘆く母の傍で、もう父はいな
いのだと実感させるしかない。宮殿は父王の死で混乱していたし、その中で母
子の様子に異変があったと気づくものはいなかった。

「ごめんなさい、ジャキ。今日もガッシュ様の所で会合なの。母様をお願いね」
「わかってるよ姉上」

 ジャキはサラの顔に疲労の色が見て取れるくらいには聡かった。その姉を心
配させることは本意ではなかった。
 宮殿にはいまだ魔神器というものはなく、玉座の間の隣に位置する、姉弟の
部屋と対をなす部屋が両親の居室だった。ジャキは重い足取りで向かう。きっ
と母が自分を待っている。それは確かなことだった。
 サラは母の身を案じている。ジャキとしても母が嘆く姿は見たくない。父の
姿が見えなくなっても、せめて母と姉が再び笑顔になれればいいのだ。

 扉の前にたつと魔法がジャキを感知して奥へと道をあけた。暗闇から母の泣
き声が聞こえた。父のマントを父であるかのように抱いているのだ。

 ジャキは死を知らなかった。アレイズするだけでいい状態と何が違うのか、
誰も教えてはくれないのだ。

「母様」
305火を躍らせた風(4):2009/03/19(木) 18:44:01 ID:SMtKKYtu

 母の涙に濡れた顔がジャキを見つめる。解かれた髪は海のように波打って敷
布の上へと広がっている。手がジャキを招き、その母の胸へと誘った。誰も今
のジールの姿を見ていない。父のマントにまさか一糸纏わぬ姿でいるなどと誰
も思っていないのだろう。

「ジャキ、あの人と同じ瞳のジャキ」

 ジールの肌や温もりは懐かしい思い出のものと同じだ。だがジールが求める
ものはジャキを擦り抜けた先だった。
 母が望むようにキスをする。頬に、瞼に、耳に、項にキスをする。母がそう
やって次第にジャキを下腹部へと追いやる。本当はこんなことしたくない。だ
けど姉にも誰にも知られたくない。

「そう、ジャキ、そこ。あぁ、そこじゃ」

 子が立ち入ってはいけない領域の匂いがたちこめていた。だけど涙を飲んで
舌先を伸ばす。ジールの体が幼いジャキの舌によって打ち震える。
 ジャキは嫌な予感がして、いつも通りよりも少し時期尚早だったか包皮に包
まれた部分を吸い上げた。その瞬間、ジールの足がジャキに絡みつき圧迫した。

「もっとじゃ!」

 ジャキの体が反転して、ジールの髪がジャキを覆う。ジールのたわわな胸が
ジャキを圧倒する。それはどう見ても子に対する態度ではない。怯えたジャキ
は拒否の言葉を出すことができなかった。
 勢いのままにジャキのローブをたくし上げて両手の自由は奪われた。幼い性
器を巧みな手管でもって思いのままに濡れそぼさせた。

「いやだ、いやだ、母様っ!」
306火を躍らせた風(5):2009/03/19(木) 18:44:42 ID:SMtKKYtu

 母が怖い。どこかに意識が飛びそうになる。次第に自分が自分でなくなる感
覚に追われる。未知への恐怖にここまで脅かされることは、これまでなかった
ことだ。

 ジールの紫の塗料で染められた爪が、抵抗するジャキの陰茎をいとも容易く
従わせていた。鋭利な爪を立てられるには、余りにも無防備すぎる粘膜だ。抵
抗の言葉も、懇願の涙も、肉体の支配から逃れることができずに、ジャキは生
まれて初めての勃起を強いられた。

「この愚かな母を慰めてくれるのであろう?」

 ジールは手を添えて陰茎を扱きにかかった。なぜ濡れるのかもわからない。
幼すぎるジャキの睾丸は未発達で、たとえ快楽の刺激に促されても最後の高み
には辿り着けないのだ。もちろんそんなことは知らないジャキはただ翻弄され
し続けるしかない。
 燻り続けるもどかしい刺激。知らず知らずにジャキの口からは喘ぎ声が漏れ
出していた。

「いやっ……あ……っふ…ぅ――っあぁ」
「艶かしいのう。もっと啼きや」
「…っ……ゆ、許して……っ」

 無意識の内に腰を揺すってることなど知らないのだろう。
 それを認めたジールは笑みを浮かべたまま、ジャキの陰茎を口に含んだ。途
端に、声にならない悲鳴が迸り、ジャキの腰は一瞬だけ凍った。射精に至れな
い幼さ、ただ意識だけが遠くに飛んでしまったのだ。呼吸をすることも忘れ、
天蓋を見上げたまま、涙が伝った。

307火を躍らせた風(6):2009/03/19(木) 18:45:20 ID:SMtKKYtu

 もう嫌だ。このまま、そうこのまま眠ってしまえば。しまえれば。きっと、
きっと姉上が助けてくれる。
 違う。姉上は汚い僕を、もう助けてくれない。汚い僕を知ってしまったら姉
上はきっと悲しむ。母上を救えなかった僕を、一緒に落ちてしまった僕を、き
っと助けてはくれない。


「苦しみは解き放ってやるぞえ」
「え……――?」

 ジールが舌先で亀頭をぐるりと嘗め回した後、ジャキに聞き取れない呪文を
なにやら唱えた。それはまるで尿道を溯るようにしてジャキの体内に流れ込み
睾丸まで直結した。

「あああああああああ!!!」

 背を弓なりに反らせ、その強烈な魔法に打ちのめされた。本当にそこだけ体
から切り離されたかのように熱くて、それでいて感覚の全てがそこに集まった
かのようだった。
 ぶうんと重くなった睾丸をジールは満足そうに眺めてから掌で包み込み、ゆ
っくりと転がし始めた。陰茎は先ほどよりも数倍かと思わせるほど成長し、も
のの見事に包皮は捲れて亀頭は露わになっていた。熟れた果実に似ている。ま
るで見たことのない亀頭に、ジャキはそんなことを思った。

 異様だった。陰毛も生えていない股間にあるものが、成熟した大人と変わら
ない形であることは異様すぎて、ジールとジャキにそれぞれ違う感情を増長さ
せた。一方は興奮であり、他方は諦めだ。

「見事じゃ、さすが妾の子じゃ」

 ジャキの中で何かが死んでしまったのは、恐らくこの日に違いなかった。
308火を躍らせた風(7):2009/03/19(木) 18:45:59 ID:SMtKKYtu

 そうしてジャキの上に馬乗りになったジールはゆっくりと胎内に陰茎を納め
にかかった。ぬちゃりとした音が聞こえたかと思うと、予想だにしない刺激に
包まれてジャキは呼吸するのを忘れた。
 ず、と体重をかけて体を沈める。沈めきったところでジールも感触を楽しむ
かのように、ほうっと息をついた。

「どうじゃ? 何も言えぬか」

 くつくつと笑いながら上半身を倒し、豊満な胸をジャキの顔に押し付ける。

「舐めや」

 自ら乳房を持ち上げて、ジャキに含ませる。抵抗のできなくなったジャキは
舌に押し付けられた母の乳首に吸い付くしかない。両手は奪われたままで、自
制も何もできない陰茎はジールに支配されている。

 いつも通りのはずだったのに、一体何がダメだったのだろう。何を間違えて
しまったのだろう。

 荒くなってしまう呼吸に合わせて含ませられた乳首を吸った。考えようとし
たが、まとまらなかった。幼いジャキには理解できるわけがなかった。
 ジールは緩慢な動きでジャキとの性交を楽しんでいた。いや、愉しんでいる
ように見えた。

「くっ……そう、そうじゃ……あ、ああ、流石よ」
「か、母様……っ…、ぁ……」
「お前も、……感じるはずじゃ」
309火を躍らせた風(8):2009/03/19(木) 18:46:42 ID:SMtKKYtu

 次第にジールの動きが速くなっていき、ジャキはそれに置いていかれそうな
心地だった。ジールから抜き出される陰茎が見える。そうかと思った瞬間には
ぐちゅりとまた体が密着する。ただ、そんなことが繰り返されているだけなの
に、ジャキは自分がどこかに飛ばされそうな気持ちになる。

「も、もう……母様、い・いやっ……いや、ダメだよ……」
「達したいのだろう……? くっくっく……ああ、いいタイミングじゃ。さあ、
遠慮せずにイけ! イくのじゃ!」
「いや……っ……母様ぁぁぁぁ……っ!」

 ジャキは強烈な刺激に成すすべなく、腰がガクガクと震え何かが陰茎から迸
るのを、ぼんやりと感じた。自分の声すらも遠くに聞こえて、何故こんなにも
全身から汗が噴出しているのか。それから周囲の空気が途端に冷えていくよう
な感覚にただ怯えた。
 母に何かを与えたというよりも搾り取られたと思った。

 ジールはジールで、首を仰け反らせて膣内に叩きつけられるジャキの射精を
歓喜に打ち震えて受け止めていた。ジールにとって久しぶりの感覚でもあった
し、何も知らぬジャキという新鮮な獲物を前に今までにない心地ですらあった。
それを受けてジールもまた絶頂に達し、己が胎内が満ち足りていくのを体を震
わせて感じていた。


 ジャキの体から退いて暫く、魔法をかけた陰茎は元に戻った。ジャキはそれ
に気づくことなく意識を失い汗ばむ肌のままジールに抱かれていた。性交後の
まどろみは何とも言えない気分を持続させていた。
 ジールはジャキを抱き締めて、そのまどろみを享受していた。ジャキもまた
無意識の中でジールの温もりをおぼろげに感じていた。おかしくなる前の母と
温もりは、温もりだけは、同じだったのだ。
 何かを求めるという欲に満たされた、その先にあるものが何だろうと構わな
い。何も考えずに、彷徨い、揺蕩う。流れていく時間にだけ身を任せるのは、
ただ甘美と言えた。

「永遠に続けばよい。妾の王国、妾の世界じゃ」



***
310火を躍らせた風(9):2009/03/19(木) 18:47:38 ID:SMtKKYtu


 サラは提示されたものが何を意味するのか、理解したが納得したくなかった。

「自分が女に生まれついたからには、それを武器にするときもある。母にそう
説かれた事があります」

 握る拳が震えているのが見えた。幼いジャキのいる部屋には居た堪れなかっ
たのだろう。暗黙の内ににサラの部屋に移動したのはいいが、窓辺に佇み接触
するのは避けた。

「でも私は、武器になど、そう思ったことは一度としてありません」
「決心がつかないようですな」

 予言者はそれだけ言い置いて踵を返し、そのまま部屋を辞した。半ば呆気に
取られたサラは、その場に跪き、腰が抜けたことを悟った。自分を失うのが怖
いのではない、弟ジャキが失われる以上に恐ろしいことなどない、そう思って
いたのに。
 予言者は未来を知っているのだ。その未来に見える弟を幸福にするためなら
何にも代えられるはずもない。腰を抜かしている場合ではない。


 サラが動き出せた頃はすっかり夜の帳が落ちていて、宮殿を探しても予言者
の姿はなかった。まさか母ジールと連れ立って建設中の海底神殿に向かってる
のかと思ったが、三賢者が不在の今、サラを措いて他、魔神器を制御できるも
のはいない。ジャキの反応から予言者も相当の魔力を秘めてはいるものの、そ
れをサラに見せることはしなかった。
 しかし危惧は杞憂だった。ジールには珍しく玉座にいて、そこから自室に帰
っていくところを見かけたのだ。
311火を躍らせた風(10):2009/03/19(木) 18:48:39 ID:SMtKKYtu

「母上、予言者様を見ませんでしたか?」
「あの者か? さあな、大方どこぞで画策でもしてるやも知れぬ。くっくっく
……喰えぬやつだが、尻尾が掴めた際には楽しめそうぞ」
「……母上」

 そんな様子だったので、ジールは予言者の動向を把握していなかった。ボッ
シュを嘆きの山に幽閉させたくらいだ。もしかすると他の賢者に手を伸ばして
るのかもしれない。何故だかそう思えてしまった。それもサラが今夕、拒んで
しまったがために、と。
 いつになく気が急いて、ローブを翻しながら宮殿を出た。

 だが、カジャールにもいなかった。だとすればエンハーサにいるのだろうか。
ジャキもカジャールよりエンハーサまで出かける事を好む。それはサラが地に
下りていくことが多く、エンハーサにいれば、帰りがてらのサラに早く会える
ためだとジャキが言っていた。
 ジャキに地の民と交流を持って欲しいと思うのはまだ早いのだろう。いつか
らか心を閉ざしてしまったジャキに、成長することを拒んでしまったジャキに、
色んなことを知ってほしいと願うのは過ぎた望みなのだろうか。

「こんな時間にお一人で、一体どちらまで? 供も連れず危のうございますよ。
どこぞに逆賊が忍んでるとも限りませんからね」
「……ダルトン、驚かせないでください」

 考え事していたサラは木立の影から音もなく現れたダルトンのほうが、どこ
ぞの賊よりも危険な気がした。しかし母ジールにこの黒鳥号建設を言い付かっ
ているらしいことは知っていたので、そういうこともあるのだろうとは思った。

「黒鳥号を見ていかれますかな」
「……いえ、人を探してるものですから」
「そんなこと仰らずに。どうぞどうぞ、案内しましょう」
312火を躍らせた風(11):2009/03/19(木) 18:49:36 ID:SMtKKYtu

 ダルトンはそう言って強引にサラの手首を掴んだ。それはとても強い力でサ
ラの抵抗は抵抗の形すら見えなかった。あまりにも強引だったのでサラはバラ
ンスを崩してしまった。いや、それはダルトンがそうさせたのかもしれない。
 急にダルトンに抱き込まれたサラは言いようもない不安が湧き上がるのを感
じた。ダルトンはジールの前では絶対にしないだろう下品な舌なめずりをして
みせた。

「それよりもオレ様の黒鳥号の案内をさせたほうが良さそうですな」

 なぜ、ここは木立に囲まれているのだろう。どうして人影がこんなにもない
のか。違う、違う……サラは林立に連れ込まれたのだ!
 サラは見上げたダルトンが、本当にいやらしい笑みを浮かべて迫ってくるの
に、成すすべなくギュっと瞳を瞑るしかない。

(女を武器になんて、お母様、そんなの嘘です!)

 ぐっと体を熨しかけられてサラは体の自由を奪われた。夜風が過ぎていって、
ひんやりとした空気は肌を粟立たせた。ローブの裾からダルトンの皮手袋ごし
にゆっくりと足をなぞってくる。

「サラ様の肌はよい香りですな。それにスベスベだ」

 嫌がるサラの首筋に口付けを施しながら、その匂いをふがふがと嗅ぎまわる。
その間も手はサラの太腿を上へ下へと撫で回してくるのだ。
 ダルトンの髪がサラに降りかかる。初めて感じる異性への恐怖はこれでもか
という程サラを打ちのめした。太腿を触るのも、胸を揉むのも強くて痛いばか
りだ。何故こんな行為が歓ばれるに値するのか理解できない。
313火を躍らせた風(12):2009/03/19(木) 18:51:36 ID:SMtKKYtu

 サラの最後の砦とも言える白い薄布はダルトンの無骨な指によって呆気なく
剥ぎ取られてしまった。その指はそのまま、サラの女性部分に触れた。

「準備ができていないようですので、特別サービスですな。 ダルトンスペシ
ャル・ウォーター!」

 その怪しげな魔法はサラの陰部に齎された。ぐしゅっと音がする位に膣内部
から漏れ出して、自分の体ではなくなったかというほど、体が熱くなった。嫌
だ嫌だと思うのに、体が疼き出して腰が揺れるのを抑え切れなかった。

 ダルトンはわざと見せ付けるように陰茎を取り出した。衣服から開放された
男根は外気に触れてぶるりと震えたが、赤黒く充血し、亀頭はヌラヌラと光っ
ていた。

「どうです、オレ様の黒鳥号は?」
「い、いやぁっ!」

 直視に堪えず思わず逸らしたのが気に喰わなかったようで、ダルトンはサラ
の顔をがっしりと固定して、その目の前に凶器を突きつけてきた。

「どこか不具合があるなら言ってもらわなくちゃあ、なりませんからね」

 醜悪なものがサラを目の前にして、どくりと脈打った。

 ぐぐっとダルトンの手に力が加わり、サラの顎が強制的に開かされる。口元
に近づけられる男性器を前に、何をされるのかわかってしまったサラは、体の
芯を唐突に突き抜けた何かに動かされて魔力によってダルトンは撥ね付けた。
後方に飛ばされたダルトンはどこかぶつけたのだろう、何やら低く呻いている
ようだったが、気にかける余裕などなかった。
314火を躍らせた風(13):2009/03/19(木) 18:52:31 ID:SMtKKYtu

 膝がガクガクと笑う。下着だったものは引き裂かれていて原型を留めていな
い。、捲れ上がったローブを直しながら、一刻も早くダルトンから逃げ出さね
ばならなかった。木立の暗がりから抜け出しても、後から追いかけてくるだろ
う恐怖で思考は正常に働かない。
 右か左か。逃げるにはどちらに向かうべきなのか。一番近い都市はカジャー
ルだが、だからこそダルトンに捕まりやすくなってしまうかもしれない。では
宮殿に戻るか。いや、宮殿でのサラの居場所など見つけてくれと言ってるよう
なものだ。次に捕まったら今度こそ逃げ出せないだろう。

 エンハーサ……
 サラはよく迎えに来てくれたジャキの顔が浮かんで、ふらつく足取りでエン
ハーサに方角を決めた。

(こんなのは、嫌……)

 もしこの状況のサラは光の民が発見したら訝しむなどという比ではないだろ
う。片方の履物はなく、ローブの裾は裂け、高く結い上げられている髪は無残
にも乱れていた。
 空に浮かぶ大陸から身を投げようと思わなかったのは不思議なくらいだった
が、サラはまだ真の意味で辱めを受けたわけではなかった。また心を閉ざした
弟への気がかりがサラに存在意義を求めさせていた。

(こんなことで屈するわけにはいかないの。でも、でも今は逃がれたいの)

 いつもよりもエンハーサへの道が長く感じた。一度、下の大陸に降りなけれ
ばならないのも、もどかしかった。何度となく後ろを振り返り、ダルトンが追
ってきてはいないかを確認しつつだった。
 サラも愚かではない。いくら夜とはいえ、見通しのよい街道を進んだのでは
すぐに見つかってしまう。だから真っ直ぐに地へ降りず、遺跡へと伸びる小道
の木陰へと姿を隠した。
 サラは普段、走ることは滅多になく、これ以上走れそうになかった。
315火を躍らせた風(14):2009/03/19(木) 18:53:45 ID:SMtKKYtu

(……あぁ)

 一度立ち止まってしまったから、もうその場に根が生えたように動けなくな
ってしまった。あとはダルトンに見つからないことを祈るしかない。
 どうしてダルトンが迫ってくるのに気づけなかったのか。そもそもジールに
心から忠誠を誓ってるようには見えなかった。そんなことは知っていた。知っ
ていて尚、女王の側近として認めてしまっていた。認めていたサラにはその罪
があるというのか。

(怖かった怖かった怖かった……!)

 サラは唇を噛んで、必死に声を出すまいとした。
 決して強いわけではない、だが、弟のためにも弱いものではいたくないと思
い、そうしてきた。それが今、虚勢にも似た鎧がボロボロと崩れていくのを感
じていた。
 込み上げる嗚咽を抑えようとして失敗する。流れ出てしまった涙は止め処な
く頬を伝う。

「サラ様……」
「……っ!」

 サラは掛けられた声に凍りつき、その恐怖に呼吸を忘れた。
 しかし声の持ち主はダルトンではなく、闇夜の衣を纏った予言者だった。ダ
ルトンではなかった安堵から、サラは予言者に縋った。予言者こそサラに女で
あるが故の交渉を仄めかした人物だったが、今のサラには関係なかった。

 予言者はサラにどうしたとは尋ねなかった。その尋常でない様は誰の目にも
明らかであったためか。
316火を躍らせた風(15):2009/03/19(木) 18:54:29 ID:SMtKKYtu

 ふわりとしたものを肩に掛けられ、そのまま頭部も深めにフードを被せられ
た。視界はさえぎられたが、体を抱きかかえられた位はわかった。だが、予言
者がダルトンと同じでないと、ああ、誰が断言できるだろう。

 それでもサラは予言者に縋った。垣間見た彼の髪がとても懐かしいものに似
ていたし、腕の力はサラを労わる強さだった。
 エンハーサに向かおうとしていたのをわかったのか、予言者はサラを抱えた
まま宙を飛んでエンハーサの陸地に到達した。

 予言者はエンハーサのガッシュの隠し部屋に入るまでサラに一言も喋らせな
かった。尤も話そうにも歯がガチガチとなって言葉を紡ぐどころではなかった。


「……ヌゥ?」
「退け……」

 ヌゥを追い払って、部屋の扉が内側から閉められると、夜風にあたった肌が
冷え切っていたのがわかるほどに、部屋が暖かいことにも気づく。サラが傍目
に十分落ち着いたのがわかっても、予言者からは話し掛けて来なかった。この
沈黙は労わりであり、慈しみなのだ。サラがジャキに対するものと等しく、損
得に左右されない思いやりなのだ。

 だからこそ、サラは無意識に縋ったのに違いない。

「……お願いです、予言者様」

 助けてください、と。その時初めて、サラはフードを取り、素顔を曝した予
言者を見つめた。驚くほど懐かしいと思うのは、予言者の風貌が、どこか亡き
父王に似てたからなのだろう。
317火を躍らせた風(16):2009/03/19(木) 18:55:04 ID:SMtKKYtu

「私はあなたを傷つけた暴漢と同じになる気はない。私の求めるものでもない」
「傷つけられてなどいません! ……私は」
「では、あなたの犠牲とは純潔を差し出すことだと?」

 どこか違和感があった。予言者は口でこそ否定をするものの、決して視線を
サラから外さない。彼の瞳がドリストーンのようだと気づいたのはこの時で、
瞳ばかりは父と違うのだとも思い知った。父も弟も、そしてサラ自身も、空の
青とも、海の蒼とも謳われた瞳を持つ。それらが静謐だと言うのなら、予言者
の瞳は躍動に違いない。

「……いつかは通らねばならぬ道です。避けることができぬなら、弟の為なれ
ばこそ、どんな道にも向かいましょう。決して、私自身を自ら貶めるのではな
い、と、予言者様を見込んでのお願いでございます」
「彼の者の為に、抱いてくれと仰るか」

 サラはまさか予言者が未来の弟だとは知る由もない。どこか似通っていると
思うばかりだ。予言者の複雑な内情などわかりようがない。

 誰の手にも渡したくなかった。穢れを知らない姉だからこそ、ずっと慕い焦
がれ、数え切れぬ年月をその為だけに費やした。姉をまた取り戻す。取り戻せ
ないなら、その引き金をひいた者を排除する。幾百、幾千の夜を過ごし、胸に
募らせてきたことだろう。
 幼少時の己の不甲斐なさに苛立ち、ただ姉の保護に甘える姿勢に、抑えきれ
ない感情をぶつけてしまっただけだった。


 暗闇の森で息を殺しているサラを見つけたのは風が彼を誘ったからだ。
 小さな肩を震わし、涙に濡れていた。そんなサラは記憶のどこにもなかった。
ただ彼女を守らなければという強い使命感が彼を突き動かした。眼前に姿を曝
すことになろうとも、使命の前には無に等しい。
318火を躍らせた風(17):2009/03/19(木) 18:55:49 ID:SMtKKYtu

 今、ここで彼女を突き放してしまったら、サラはそのまま崩れてしまうだろ
う。もうその精神は限界に近いのだ。誰かが彼女を理解してあげることができ
なければ、崩れ落ち、二度と光を見ることはなくなってしまうだろう。希望を
抱くことはなく、もしかするとジールのように破滅を願うようになってしまう
かもしれない。
 ジールの二の舞になることだけは、なんとしても避けねばならなかった。

「お願いいたします」
「私が誰であろうと構わぬのだな」
「……構いません。せめて御名を教えていただければ」
「名など何の役にも立ちはしない」

 それは嘘だった。本当は弟ジャキなのだと告げたい気持ちも確かにあったの
だ。けれど抱く感情や、もっと体の奥に渦巻く欲求は姉弟の間で成してはなら
ない。血の近いものの間で起こってはならないことだ。
 否定しようとすればするほど、予言者の体は幼少時の記憶を思い出す。いけ
ないこと。しかしそれが堪えようがないほど強い欲求となって跳ね返ってくる。
何度も何度も繰り返された、あの禍々しいインプリンティングなのだ。

 サラを救うためという大儀を掲げて、禍々しい欲は彼の下半身へと指令を出
し始めた。

 痛いほど静かな部屋に、予言者が漆黒の鎧を外す音だけが響いた。
 どこからか風が入り込んだのか、燭台の灯りが揺らめいて、二人の影が一瞬
長くなって交じり合った。男はサラから視線を外さずに装備を解いていく。サ
ラもまた、予言者を見つめ返したまま、絨毯の上に広げられた闇夜の色のマン
トの上に座した。裂かれたローブから覗く四肢は罪深いほど白く映えた。
319火を躍らせた風(18):2009/03/19(木) 18:56:34 ID:SMtKKYtu

 予言者は彼女の足元に跪いて、逃げてくる最中に傷つけたのであろう、小さ
な傷に口を寄せた。舌が傷口を舐めあげ、サラにチリリとした刺激が伝わる。
舌を離すことなく男はサラを見上げ、視線がかち合った。

「……っ」

 ダルトンが触れていたときにはない感覚にサラは息が詰まった。
 サラの足の間に身を割りいれて、予言者はサラに迫った。僅かにローブが捲
れ上がりサラに下穿きをつけていないのだと強く意識させた。ああ、触れられ
てしまうと緊張とも期待とも違う高揚に体を震わせた。

 下肢に触れるだろうと思われた手は、しかし、腰からゆっくりと這い上がっ
て外側から乳房を包み込んだ。思いがけない動きに身を捩ってしまう。ダルト
ンの行為は暴力としか思えなかったのが、予言者の手にかかると本当に性的な
交渉になっていた。抗いたい気持ちと流されてみたい心地がない交ぜになる。
 体を捻ったところで、後ろから抱え込まれる形になって、本格的に胸を揉ま
れた。その手がいつ衣服の下に滑り込んだのだろう。揉まれながらも指の腹で
頂を軽く掠められる。頭の芯がぼうっとして、何をされてるのかも考えられな
い。

 首にかけられた吐息が背筋をゾクゾクとさせた。臀部に押し付けられた熱い
ものを感じて、息が漏れる。経験したこともないのに、ただ満たされたいとい
う意識だけがサラの体の奥底にあった。
 薄く開かれた唇に唇が押し付けられて、舌が触れ合って、ねちゃねちゃとし
た音が聞こえた。

 サラは忘れていたがダルトンスペシャル・ウォーターが彼女の体を興奮させ
やすくしていた。舌を絡めあいながらそっと、男の指が挿入されても痛みなど
感じることなく受け入れた。彼女の中を探り当てるように蠢く。単調な繰り返
しのはずなのに、堪らなくなってサラは予言者に抱き締める形でしがみ付いた。
320火を躍らせた風(19):2009/03/19(木) 18:58:03 ID:SMtKKYtu

 時折、唇が離れて深くを息をつく。どちらのものとも付かぬ唾液が艶かしく
唇と唇を結ぶ。そして角度を変えてはまた互いの口内を犯しあった。

 思うままにサラを翻弄していた指が抜かれた。

「……いくぞ」

 何と思ったときには熱いものが粘膜に進入しようとしていた。トロトロにな
るまで懐柔されてたとはいえ、指とは違う熱くて硬い肉芯にサラの体は頑なに
拒否反応を示した。
 ダルトンに卑猥な魔法をかけられてはいたものの、狭い肉の道は初めて受け
入れる男性器を容易く許容できるはずがないのだ。けれど、ここで止まろうな
どとは両者ともに考えてなどいないことは明白で、男の腕がサラの腰を逃がす
まいと掴んだかと思うと、ぐっと圧力がかかった。

「……んー……っっ!」

 慎重に、だが、確実にサラの体は侵食されていく。ふっと息を吐くと、苦し
そうな表情で見下ろしてくる予言者がいた。彼の肌もサラと同様に汗ばみ、サ
ラと同じ苦しみを分かち合ってるのだと思うと力が抜けて、二人の交わりは深
くなった。

 ぬちゃりぬちゃりと突かれる音が響くが、堪えきれぬ嬌声に混じってサラの
耳には届かない。寄せては引く、恍惚感が徐々に間隔を狭めていく。この恍惚
感を人は快楽と称するがサラには不慣れな感覚であり、予言者にとっては単純
な快楽以上のものがあった。
 サラを気遣っていた挿入は段々と勢いを増し、サラを窮地に追い詰めようと
するの如く攻め立て始めた。サラは啼き、それでも尚、予言者を求めた。時に
深く抉るような動きに体を震わせ、時に退いていく熱の喪失に身を捩りながら、
サラは未知なる高みに追いやられていった。
321火を躍らせた風(20):2009/03/19(木) 19:02:22 ID:SMtKKYtu

「っあぁ……もう……はぁ……んっ……――」

 それを見て取った男は動きを加速させ、強引なまでに腰を叩きつけてきた。
もうサラに容赦なく、その快感の中でサラの意識は表面を突き抜けて初めての
絶頂に達した。強烈な刺激に流されるまま、肉体は強く締め上げられて、予言
者もまた窮みに上る。
 焦がれてやまなかったサラ。そのサラの膣内で震え、その体の深く深くで白
濁の欲情を吐き出した。

「あ、あぁ……サ、ラ……っ!!」

 激しくも優しい抱擁に包まれた最後だった。



 体を離してしまうと冷気が肩を包む。人肌が温かいものだと知ってしまった。
それは独りの寒さを覚えてしまったということだ。
 サラは差し出された着替えを戸惑いながらも受け取って、互いに反対の壁に
向かって衣服を整えた。表面上はもう、何もなかったかのようだった。それで
も未だサラの胎内は熱を籠もらせ、予言者の残液は太腿を伝いながらも、二人
の間に交わされた確かな証として存在した。



 予言者はまるでジャキが風の気配を感じるときと同じ仕草で佇んだ。

「運命の時が近づいている。これは避けようのないこと。私が言えるのは、誰
かの幸せを願うのであれば、己が不幸になっていてはいけぬ。絶望と呼べると
きであっても、諦めることはあってはならぬ。抗い、戦い続け、いつか来る滅
びの日まで悔いのないよう生きること。 あなたには、その意気が欠けている。
必死に生き延びよ。それが、ひいては弟君の為になろう」
322火を躍らせた風(21):2009/03/19(木) 19:03:56 ID:SMtKKYtu

 ラヴォスが覚醒を果たした後も、サラがどこかに生きている。そんな確信が
ジャキを生かしてきたのだ。

「……必死に生きる……?」

 ジャキとしての願いだ。強い願いだった。ジャキの為のサラであり、サラの
為のジャキだった。求め続けたサラと交わり、そう達観できた。できたからこ
そ、迷いの中のサラは幼いジャキに返すべきだった。

 立ち上がろうとしたサラに予言者は手を差し伸べた。

「……がんばってみようと思います」

 言って手を取った。ジャキの心からの願いに、正面から向き合ったのだ。ス
トンと胸の閊えが落ちるようで、予言者は知らずに笑みを浮かべた。

「私はメイガス(Magus)、……そう呼ばれていた」
「…ありがとう……、メイガス」

 予言者がサラに与えたものは語られた言葉だけではない。しかしサラが予言
者に与えたものはそれ以上で、両者に共通するものは情を伴う温もりの実感だっ
た。「ジャキ」ではない名を告げたことは、「サラ」を探していた過去に区切
りがつけられたことのように思えた。


 ずっと流れる時に身を任せ続けていた。彷徨い、揺蕩い続けていた。封じて
いたものを今こそ解き放ち、風を、嵐を呼んで、いつか見た夢の先に到達でき
るような気がしたのだった。



323火を躍らせた風(補足):2009/03/19(木) 19:08:33 ID:SMtKKYtu
<参照>
さまようもの オートロック;技・アイテムを封じる
たゆとうもの 攻撃なし、頻繁に戦闘から離脱
Magus  英語版 魔王デフォルト名

<インスパイア>
サブタイの「解けよ封印 呼べよ嵐」「運命の時へ……」

<注釈>
ダルトンの魔法:捏造
ダルトンへの攻撃:きっとハレーション
↑サラにおならぷ〜を経験させたくなかったん


というわけでした。
保守がわりくらいにはなれてると良いんですが
魔王が好きすぎて難しいと思い知りますた
324名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 05:56:11 ID:CtCgzhzT
乙!乙!!
ジール一族好きにはたまらないイイ仕事されてますね!!
ダルトンにはワロタwwww
325名無しさん@ピンキー:2009/03/20(金) 13:03:10 ID:TdGiICbU
ぐっじょ!!
も一回読み直しますん!
326名無しさん@ピンキー:2009/03/21(土) 11:24:59 ID:7KPqvs2N
投下キテルー!!
GJ!!
布団の中でじっくり読ませて貰いますw
327名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 13:13:24 ID:WbXAeEuD
細かい描写でいいなあ…とか思ってたら、おならぷ〜の事まで考えてたんかww
素晴らしくGJ!
328名無しさん@ピンキー:2009/03/23(月) 16:43:10 ID:W6PPoJAW
スネフとポシュルの絡みがみたい。
329名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 04:19:38 ID:SeS/MSQc
ラヴォスに種付けされるルッカを希望
330名無しさん@ピンキー:2009/03/25(水) 08:39:54 ID:0u2ffN+K
遅れたけど投下乙!
あなたのおかげで闇の中ひとり生き抜いていけそうです
331名無しさん@ピンキー:2009/04/07(火) 18:35:52 ID:2gwaXBEi
久々にキーノたんのおちんちん保守
332名無しさん@ピンキー:2009/04/12(日) 04:14:53 ID:bnAorF2P
ほす
333名無しさん@ピンキー:2009/04/25(土) 22:20:34 ID:XjQICTuE
あげ
334名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 08:20:27 ID:EezGVCu0
保管庫行ってきた
良リデルSS多くて嬉しかったが
捕虜時への欲望叩きつけたような凌辱SSはなかったな
ちょい意外残念
335名無しさん@ピンキー:2009/04/29(水) 11:06:03 ID:MWcBVJP9
クロスってキャラが多い割に小説は少ないな
あれだけいればネタも豊富そうだが
336名無しさん@ピンキー:2009/04/30(木) 23:52:12 ID:85Bco28e
書きかけクロノフォルダ開いたら凌辱ばっかだった
当時は病んでたらしい
俺は黙って×を押した
337名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 01:24:05 ID:hk+cWQqU
陵辱物好きは病気だと言うのか!?二次であっても!
まあ保管庫や投下する時にも注意書きがあるくらいだし、そうなんだろうな

話のネタがこれくらいしかない世の中じゃ保守
338名無しさん@ピンキー:2009/05/02(土) 21:17:24 ID:nCpP7j9p
どんなものでもいい
味気ない今の生活に潤いをくれ…!

でないと家から出る気にならん
339名無しさん@ピンキー:2009/05/20(水) 00:38:38 ID:x0Q9WwF+
340名無しさん@ピンキー:2009/05/22(金) 00:06:32 ID:vvIv5wVk
ビジュアルだけならグレン×レナで萌えたことを思い出したのでカキコ
341名無しさん@ピンキー:2009/05/23(土) 09:01:38 ID:QyOCqxbp
まだこのスレあったのか
昔マルチェラの陵辱SS書いたの思い出したよ
342名無しさん@ピンキー:2009/06/01(月) 12:57:59 ID:4jTh5L+/
アザーラに手懐けられちゃうキーノたん保守
343名無しさん@ピンキー:2009/06/14(日) 05:44:42 ID:EUY6kXvH
>>341
また何か書いてみないか?保守
344名無しさん@ピンキー:2009/06/27(土) 13:54:26 ID:FhrZYtd3
昔ラズリーのSS書いた人いた気がするんだけど
345名無しさん@ピンキー:2009/07/08(水) 22:45:10 ID:jplL9RYo
コルチャorゾアを主役にしたSS頼むすんげーエロいやつ
346名無しさん@ピンキー:2009/07/10(金) 00:49:10 ID:CA8mJlqQ
エロゲ風味の預言者×サラが読みたい……!
ジール姉弟は王道だって聞いたんだが、流石に現役サイト少なすぎて泣けた……
俺の頼りはこの板だけだorz
347名無しさん@ピンキー:2009/07/30(木) 02:30:45 ID:D0C5pn4t
これが今月最終保守ならロボは俺の嫁
348名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 09:51:06 ID:yRo+P28t
>347
おめでとう
349名無しさん@ピンキー:2009/08/01(土) 18:45:08 ID:i+BwQ6lw
>>347
たった今アトロポスが発進したようです
350名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 03:01:38 ID:13rDGCnZ
その後、俺を見た者はいなかった
351名無しさん@ピンキー:2009/08/02(日) 16:53:54 ID:WgIYsiTg
魔王ルッカで羞恥プレイな話が読みたい
352名無しさん@ピンキー:2009/08/06(木) 14:40:01 ID:XhK0rosY
ルッカとマールで百合展開ものを〜
353名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 12:55:49 ID:AGQhROEP
ほしゅー
354名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 15:53:06 ID:TQi7Fo3C
うーん 書きたいんだけど・・・
355名無しさん@ピンキー:2009/08/30(日) 20:32:31 ID:ogyVlSH1
>>354

> うーん 書きたいんだけど・・・
356名無しさん@ピンキー:2009/08/30(日) 20:33:06 ID:ogyVlSH1
>>354
全裸待機しておくぜ
357354:2009/08/30(日) 22:30:54 ID:TQi7Fo3C
プロクシーがどうのこうのって言われて続き書き込みできないまま幾年月。
Me&S-king
358名無しさん@ピンキー:2009/08/31(月) 15:02:56 ID:OBNrOL/6
何…!
プロクシー云々わからんからどうしようもできない
悔しい
359名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 00:34:08 ID:w0IqxW+p
クロノトリガーの強くてニューゲームネタで書いた黒歴史があるんだがここで晒していい?
勿論完結してないし何遣ってるかイミフだけど
360名無しさん@ピンキー:2009/09/04(金) 10:10:13 ID:zhEebUi+
>>359
もちろんだ
361名無しさん@ピンキー:2009/09/13(日) 22:33:54 ID:6b5lZ8Vb
>>359さんはまだかな
ところでエイラは牝猫なのか牝犬なのか牝豚なのか牝猿なのか悩む
猫犬豚は原始にいないしなー

牝猿ってエロく無くね?
362名無しさん@ピンキー:2009/09/22(火) 13:36:23 ID:oYSi51GO
保守です
363名無しさん@ピンキー:2009/09/22(火) 22:04:10 ID:Ed9luyeR
そろそろ服を着させてください…
364名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 03:59:49 ID:BIUwN1r0
俺は耐えるぜ…
耐え抜いた先にはきっとキッドたんが待っているんだ…
365名無しさん@ピンキー:2009/10/10(土) 21:50:33 ID:8tbLuDqk
357と359はどこいっちゃったのかな
また来てくれたらうれしい

どうでもいいけどやっぱり予言者サラはウマすぎる
異父姉弟なんだよな
366名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 02:19:01 ID:wXR5BHYo
華麗に十日後
367名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 06:47:04 ID:3mh+wPBe
昔凄く濃いクロノクロスの18禁SSを見つけて喜んだのもつかの間
いつの間にか閉鎖してて激しく後悔した
6、7年前のことだけどまだ忘れられんわw

「せパ・タクロウ」という作者名まで覚えてる。
セルジュ×メル、コルチャ×キッド、セルジュ×ラズリーなんて
もう二度と見られない。
368名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 09:35:32 ID:jrFyTgMc
>>367
リスペクトしつつ君がまた新しい物書きになればいいとおもうよ!

このスレ、人少ないけど需要ないんかな
369名無しさん@ピンキー:2009/10/22(木) 03:24:39 ID:dmjifLw9
需要がないわけじゃないと思うよ
単に供給(書き手側)が極端に少ないんだと思う

そんな自分は以前ここに投下したこともある人間だが
エロはテンションが極端に上がった時しか書けないタイプなので
今は力になれない、すまん
370名無しさん@ピンキー:2009/10/22(木) 07:46:27 ID:bvY+HdXw
369のテンションがあがることを祈って杯をかかげよう!

でみんなは組み合わせとしては誰と誰がお気に入り?
371名無しさん@ピンキー:2009/10/22(木) 20:49:06 ID:uxYw/9Tf
コルチャ×キッド
372名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 01:40:19 ID:R3iQ/z5a
ロボ×ルッカ

オ、オイル ガッ…!
373名無しさん@ピンキー:2009/10/24(土) 08:30:31 ID:WdzqZvoT
>>372
台詞www
374名無しさん@ピンキー:2009/10/26(月) 03:52:39 ID:52tYqOPQ
オーバーヒートにシャットダウン落ち
375名無しさん@ピンキー:2009/11/06(金) 11:55:42 ID:41M1ScZg
ルッカ「ロボなんて、挿れてもらえばガソリンノズルでも良いんでしょ!?」

 ズブリ……

ロボ「アガ、ガッ……」
376名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 12:49:36 ID:K+UCr3sn
ルッカがしあわせになるSSで
パートナーはもちろんくろので
377名無しさん@ピンキー:2009/11/08(日) 21:23:29 ID:KJV0ecU1
カエル状態のSSってある?
378名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 03:22:58 ID:TmprsyJl
俺は見たことないかな
379名無しさん@ピンキー:2009/11/21(土) 07:50:15 ID:3zHAzMlW
保守
380名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 12:05:23 ID:JPhV9wkr
ほっしゅ
381名無しさん@ピンキー:2009/12/07(月) 21:41:58 ID:LqtfDKrz
保守
382名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 13:58:23 ID:kXDoYb6n
保守
383名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 22:41:01 ID:fsk3Ri32
>>377
カエルの長い舌で延々と体を弄ばれる女キャラ の話があったら良いなとおもた
すまんネタは思いつけても肝心の文章が書けない(´・ω・`)
384名無しさん@ピンキー:2009/12/16(水) 23:54:58 ID:AzmLewU7
リーネと結婚してマールが存在してるってことは…。

それでいいのかリーネ。
385名無しさん@ピンキー:2009/12/17(木) 00:09:31 ID:LspCNrSW
カエルってちんこの方はどうなってるんだ
386名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 21:48:12 ID:l8jOv2hU
細長く伸縮自在なペニスが二本存在し、
互いに絡み合ったり、とぐろを巻いたりしながら、膣内や腸内で暴れ回ります。
387名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 02:00:31 ID:+dmmA1+/
まじか
388名無しさん@ピンキー:2009/12/26(土) 02:44:42 ID:n/OpCU3Y
ルッカのまんこにゲートホルダーつっこみたい
389名無しさん@ピンキー:2010/01/04(月) 23:29:18 ID:R8zCh9F1
エイラのSS読みたい
390名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 15:48:03 ID:tdsaJuTD
保守
391名無しさん@ピンキー:2010/02/12(金) 09:18:40 ID:Ce7gB2Zt
ロボ「ゴンザレスだめ、クロノ見てる」
392名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 20:59:03 ID:pZfYxD+U
保守
393名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 18:26:16 ID:lVjzXTln
SS来ないなあ
394名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 03:17:29 ID:XjUjLEfM
お前が書いたら?
395名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 15:36:06 ID:F70ocveh
みんなで書けば怖くないよ
396名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 07:17:12 ID:xk5yE++4
保守
397名無しさん@ピンキー:2010/05/01(土) 19:47:33 ID:OC5ZBwd5
ほしゅ
398名無しさん@ピンキー:2010/06/23(水) 21:41:20 ID:uGNATyc5
てst
399名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:46:23 ID:7XseQCte
クロノトリガーDSをプレイしている間に書いたSSを投下します
ただし完結はおろか文章が途中で切れている場所が所々あります

理由:全END見て書くのに飽きちゃった

なので投下に当たって推敲はしてません
読み返すのも恥かしいので

適当につなげられるならつなげてしまってください
400名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:46:55 ID:7XseQCte
「っ…ててて」
俺は痛みを感じた頭を撫ぜ回しながら毒づいた。
時の最果て、過去において何千回と往来を繰り返した場所だ。
自らの状態を確認する。
にじや月光の鎧等の装備、極限まで鍛えられた身体とその技、そして多大な時間を過ごした記憶。
何れもあの時、ラヴォスと最初にして最後の対話をした時のままだ。

ふと見上げた先に街灯に照らされながら鼻ちょうちんをたらしながら居眠りをする老人が見える。
相変わらずだな、と思いながら、近づいた。
「何じゃ、お主は?見たところこの次元の者では無さそうじゃが…」
こちらが話しかけるよりも早く鼻ちょうちんを浮かべたまま、居眠りをしていたはずの老人が声を上げた。
「…そうですね。そうですよ。時の賢者ハッシュ」
老人は鼻ちょうちんを割る事で応えた。また嘆息を吐いた。
「それを知っているということは少なくとも時の迷い子ではなさそうじゃな。それもこの時間の」
俺は軽く肯いて、
「えぇ、幾百の世界を一人で救ってきた勇者とでもいいましょうか。今は破滅の王として君臨するつもりですが」
「ほう。それはそれは気の毒に。じゃがわしにそれを止める事も救う事も出来ん。ただ見守るだけじゃ」
老人は何処からとも無く椅子を2つ取り出し、座るように手を動かした。
俺は断る理由もないので荷物を下ろし、腰掛ける。
老人もまた腰掛けた。
「話が分かりますね。俺は一つ前の世界でラヴォスと融合したんだ。そして今の俺がいる」
「ほほう、ラヴォスと融合とな。お主、よほどかの者に評価されたんじゃな」
俺は軽くうなずき、
「まぁ、そのお陰で呪いが解けて万々歳ですけどね」
呪い、それは意思に関係なく喋ることが出来なくなり、かつ己の力を制限するものだった。
幾度か歴史を繰り返すうちに終焉を迎えた時、一度だけ喋ることが出来たが、その後は相変わらず喋ることは出来なかった。
「よほど”呪い”について癪に触れたんじゃな。しかしこのわしに話したということはわしを消すつもりかね?」
「あなたは何千回殺しても殺しつくせない。そうだろう?」
眼で殺すような視線を軽くいなしながら
「その通り。わしは完全にここの住人じゃ。ここは刻は動かず永久に不滅、ならばわしもまた永久に不滅。死ぬことなど有りはしない」
わずかな対話、それだけで意思の対話は完結する。

「お主がしたいまますれば良い。わしはそれを見届けるだけじゃ。時の番人としてな。じゃが…」
何時に無い鋭い視線が俺を貫く。
「お主を見せてくれんかね。何、痒くもないじゃろ。ただわしに見せてくれれば良い」
めんどくさそうに、しかし年老いた体を感じさせぬほどに軽やかに立ち上がり、俺をその胸に抱いた。
「ふむ、ふむふむ。あぁなるほど。…辛かったろうなぁ。悲しかったろうなぁ。いきたかったろうなぁ」
一歩も動けずにいた俺は不意に彼の胸で泣いた。
もうラヴォスとの契約した時、いやするずっと以前から失ったと思っていた感情があふれ出したのだ。
今までありえなかった記憶の共有。
共にした戦友、夜を明かした女たち、分かり合えた魔王、そして最愛の人…。
「ありがとう。俺にこんな感情が眠っていたなんて…」
時の番人は優しく頭を撫で分かち合う。
「お主の好きにするが良い。ここはお主の理想がきっと実現できる場所じゃ。時は不変では在るが変わらぬものでも無い。
お主ならば出来る。そう信じ取るよ」
401名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:48:08 ID:7XseQCte
やがて彼を離し、皺だらけの顔を上げ、そっと扉から覗いている不可思議な生物に話しかけた。
「スペッキオ、この者に部屋を案内してやれ。ワシは少々疲れた休ませて貰うよ」
そう言葉を切ると何時の間にか現れた椅子に腰掛け、再び眠りについた。
スペッキオと呼ばれた生物は楽しげに笑い、彼の部屋から続く回廊を空けた。
「俺・・・人型?おまえ・・・何者?」
スペッキオは対峙した者の力に応じた形になる。
力なきものには非力なカエルの姿を、力あるものには原始から在り続けるヌゥの姿を。
だが、今のスペッキオはそうクロノの分身といってもいい。
「・・・気にするな、そうだ。仮想目標を出せないか?今の力を知りたいんだ」
クロノの分身は首を傾げたが右手を軽く上げ仮想目標を出した。
それは赤いドレイク・・・に己に与えられた最強魔法であるシャイニングを思いのままにぶつけた。
神聖なる光は無謀すぎる力を伴って炸裂した。
その威力はクロノにとっても想定外であり、時の最果てという閉ざされた空間を揺るがすほどで、
時の番人の鼻ちょうちんは弾け飛び、ラヴォスが地上に現れる様を幾度も映し出す水鏡もまた水面を揺らした。
ドレイクは完全に消失しており、スペッキオも感嘆の声を漏らさざる終えなかった。

案内された先は各時代の風景が映し出され、またラヴォスの歴史が描かれていた。
「用があったら、僕にいうんだな。爺ちゃんはお休みだから」
時の番人を思いやる彼に優しく笑むと、目の前に描かれた歴史を見た。
その全てを一巡し、クロノは荷物を投げ出し、腕を組んで考えた。
ラヴォスと融合を果たし、生物としての順位がこの星において最も上位にあるとはいえ、この体は生身でありラヴォスもまた完全に無敵とはいえない。
本当に無敵であればラヴォスは過去。クロノ一人、或いは彼の仲間たちに幾度も敗れ滅ぼされるはずが無いのだから。
映像として映し出されているものの現在開いているゲートはラヴォスに通じる水鏡と現代に続くゲート、それにラヴォス降臨前の原始・・・その3つだ。
「ラヴォスの様子でも見てくるか」
ハッシュに一言出かけてくる旨を告げると、時の最果てに開いているゲートの一つに身を委ねた。

原始、それは人が人になる以前、また恐竜人が跋扈している時代でありラヴォスの到来を待つ時代である。
ゆえにラヴォスの力は微弱にしか感じられない。
何百回と繰り返された歴史では100%地上に到達したが万が一到達しなかった場合、計画そのものが瓦解する。
念の為、ラヴォスに呼びかける。返事こそ無いが相応の手ごたえを感じる。
「半年か…長いな」
俺は時の最果てへと舞い戻った。
402名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:48:38 ID:7XseQCte
「さてっと、爺さん」
「ん、何じゃ」
クロノは爺さんに話しかけ、間髪入れずに爺さんと呼ばれた時の賢者もまた返事を返す。

「現代における歴史の変更点があったら教えてくれ。なんせ俺はこの世界の異分子だからな」
「ほっほっほ。そんなにはかわっとらんぞ。お主の家族は何十年も前に火事にあって全員焼死。
機械を生み出しつつある嬢ちゃんがお主という人間を演じておる。まぁ相変わらずのようだが」
思わず吹き出してしまった。
過去にあるイメージは大の発明好きで、自分の才能に強い自信を持っている。
だがそれは彼女なりのララへの贖罪であった。
「ん。ならルッカの母さんは?足を失っているのか?」
「何を言う取るんじゃ?丈夫な体をもっとるよ。嬢ちゃんが貰ってきた猫の世話を焼いているようじゃな」
(む、既に歴史は変革してるのか。幾度繰り返してもルッカの母さんは足を無くしていたのに…)
「どうした?」
(なるほど、爺さんは俺の仲間の記憶は見取ったが、その家族までは見てなかったのか。)
「いや、なんでもない。他に変化は?」
「無いはずじゃよ。おぅ、現代よりあとおよそ数時間でファーストコンタクト、お主と共に在った時の少女との邂逅が在る。
おそらく、それも嬢ちゃんが代わりを務めると思うがの」

ハッシュに礼を言い、現代へと通じるゲートに踏み込んだ。
ゲートの先は魔族の村、かつてこの世界を君臨した魔王を称えた像が広場の中心を飾り、魔族の子孫たちが住む村。

どいつもこいつも人間を見下したような視線を向けるが、俺が軽く睨むだけで圧倒的な実力差が分かるだけ人間よりも物分りが良い、と言えるだろう。
本当は少しやりたいことがあるのだが、今回は時間が無いのでこのままリーネ広場に向かう。
途中、俺の中のラヴォスが疼いたが培った精神力で抑制する。
「お前もそんなに楽しみか…だがまだお前の出番は無い」
ボッシュの家があったので窓から覗いてみたが、彼の姿は無かった。
過去を思い出すに彼は現代のご時世にとても売れなさそうな武器たちをリーネ広場で売っていた気がする。
なら斬魔刀を買ってやるか。
そんな事を考えながら、渦潮の洞窟出口付近で襲ってきた怪物をニジの一閃で片付け、渦潮に身を任せた。
403名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:49:13 ID:7XseQCte
辺りを見渡すが、そこに彼女の家は無い。
変わりに俺の家が会ったところに彼女の家が建っていた。
「ふむ、本当にルッカが俺を演じてるんだな。
となるとルッカ自身は誰が演じるんだ?まさか一人二役じゃないだろうな」
「まぁファーストコンタクトやらを覗くしかないな」
リーネ広場はお祭りの真っ最中だ。
広場内でのアトラクションを達成することで貰えるポイントというチケットを集め、怪しげな小屋でゲームに挑戦、クリアすると景品が貰える。
過去、俺が溺愛した猫たちもここで手に入れたものだ。

だが今はそれをしている暇は無い。俺はリーネ広場を見渡せる木に登り、マールとルッカの出会いを見ることにした。

すると、
「寝坊したー」
そんな声を発しながらルッカ、お手製のゴーグルを頭につけた少女がリーネの鐘へと続く階段を駆け上がってきた。
同時に何処からとも無く現れたのかマールもまたリーネの鐘の付近を楽しそうに伺っている。
そしてファーストコンタクトは発生した。
ようするに両者の激突だが。

歴史と同じようにルッカはぶつかった少女の手を取って立たせ、失った物を探すことに。
そしてペンダントを探し出し、渡す。

俺は強い衝動を覚えた。
あのペンダントに対する強い欲望が。
だがここでそれを発するわけにはいけない。
あの時代に行くには歴史を辿らなければならないのだから。
ラヴォスとの契約、それは歴史改変を行うなら我(ラヴォス)が目覚めた時以降にしてくれ、だ。

その間に女同士意気投合したのかルッカはマールを連れ、広場の奥ルッカが作り出した物質転送装置へと向かった。
俺はゆっくりと後に続いた。

物質転送装置前は歴史どおりルッカの父―タバン―が装置の内容を説明している。
それなりに入っている観客たちはそれぞれな表情を浮かべており、ルッカは最終調整をしていた。

世紀の瞬間が訪れた。
ルッカが一回物質転送装置の間を移動した後、マールが名乗り出たのだ。
そしてマールは時を渡った。
当然ルッカは困惑するが、それがペンダントによるものだとすぐに分析した。
慌てて観客たちに成果を発表し、帰らせる。
俺も結果は分かっていたが、まさか本当にルッカが俺の代わりをしてくれるとは、と思いながら退場した。
この歴史のタバンは今までのルッカの能力を全て受け継いでいるのだろう。
一人で再調整を施し、ペンダントを手にするルッカを飛ばすことが出来たようだ。
一安心したのか、それともこれからの事を考え始めたタバンに当身を食らわし、捩れた入り口を確認する。
同時に俺の中に眠るラヴォスの力で時空を捻じ曲げる。
見据える先に彼女がいるような気がしながら。

そして歴史は中世に移行する。
404名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:50:03 ID:7XseQCte
俺の長年の研究であのペンダントは歴史改変を許可する小道具になっている。あのペンダントがある時代においては歴史改変が行われても不自由なく実行される。逆にペンダントのない状態で歴史を改変すると改変が行われずに歴史から弾き飛ばされる。
当初の史実―経験した歴史―では魔王が歴史改変を行おうとしても出来ず古代に行くことは無かった。またラヴォスを呼び出すことも失敗している。
だが、ペンダントを持って現れた俺たちと対峙した事でラヴォス召還をなされた。ゆえにペンダントは歴史改変の鍵であろう。

中世・・・魔王と呼ばれる魔物の王がガルディア王国と戦い続ける歴史、同時に歴史改変によって勇者が倒されてしまった時代でもある。

ルッカが帰らずの森へと向かったのを確認して俺は修道院へと足を向けた。
かつての修道院は無人で廃墟と化しているはずだった。
だが、無人のはずの修道院には修道女、廃墟同然になっている建物は丁寧に片付けられており、椅子やスタンドガラスが修復され、そして神像もまた生まれ変わっている。
俺は知っている。
この全てが魔王の手の中にあることを。
また俺は知っている。
魔王の手口も魔王の正体すらも。

「あの、どんな御用ですか?」
扉から堂々と進入した俺に気付いた修道女が素知らぬ素振りでこの修道院への用件を聞いてくる。
「加護が欲しいんだ」

「加護、ですか。ならば祈りましょう、全てを愛し全てを許容する神に・・・」
丁寧に偶像への祈りを進めつつも気配を変えていく修道女に対し、
「魔王の加護が欲しいんだが」
本題を切り出した。

「・・・少々お待ちいただけますか」
「なるべく早くしてくれ、カエルの勇者なんかがやってきたら面倒だしな」
俺の言葉に数瞬悩んだ後、
「こちらへ」
案内されたのは過去、入ったことのない入り口だった。

中は昔の納骨堂らしく壷に収められた人骨が無数に安置されていた。
修道女はその中の一つ、周りが薄汚れた古い壷の中で唯一つ新しめな壷に手をいれると、ふんっと一息入れて中にある鎖を引いた。
途端、俺の背もたれていた壁が横に動き、新たな扉が現れる。
俺は開かれた扉を潜り、その先にある水晶を見やる。
修道女もまた潜り、扉は閉められる。
彼女はようやく変装を解き、その正体ー蛇女ーを現したが、俺は驚きはしない。
蛇女は口から細長い舌を出しながら呪文を唱え始めた。
その呪文自体は遠距離通話を可能とするもので単純なものなのだが、いかんせんその発音は俺の口では発声できそうもないほどに雑であった。
一人では使えんな、と考えているうちに
「どうぞ、繋がりました」
といわれた。
405名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:50:53 ID:7XseQCte
水晶には不細工に崩れた顔―たしかビネガーと呼ばれていたな―が映し出され
「はじめまして、かな。ビネガーさん」

「ゲ、ゲウ、何故私の名前を知っている!?」
「どうでもいいことじゃないか、そんな事より取引といこう。」
ビネガーの慌てた様子を尻目に俺は取引を始めた。
「魔王軍の狙いは世界征服?そんな小さなことじゃないだろ。魔王の欲する物を俺は知っている。―ラヴォス―この一言を魔王に伝えてくれ。
俺の賭けだとすぐに返事があるはずだ。あったら、王妃は解放してもいいだろ?欲する物が手に入るんだから」

「き、貴様。何が目的だ―「いいだろう」―ま、魔王様」
俺は思わず口笛を吹いた。
水晶にはビネガーと他、黒頭巾を被った魔王も映し出されていた。
蛇女は直ちに平伏したが、俺には権威など関係ない。
「話が相変わらず早いな」
「あ、相変わらずとは――」ビネガーの言葉を切って突如ガラスの砕ける音が辺りに響いた。おそらく勇者様が来たのだ。
「もう来たか、じゃあ後で」
返答を待たずニジで真横に両断し、水晶と平伏したままの蛇女も切り殺す。

(さて、王妃を助けましょうか)

オルガンに隠されたスイッチを入れる事で開かれる扉に入ると女、リーネ王妃は、はっとベッドから身を起こした。
後ろ手に縛られた様子は牢囚とも言える。

「…うぅん…」
日の目を見ない牢に入れられて突然明かりが差したので眩しそうに呻いた。
「リーネ様、助けに来ました」ぜいぜい、と今駆けつけたかのように見せ掛けながら牢の鍵を開け返事を待つ。
「あ、ありがとうございます。王は…無事ですか?」
「大丈夫です、城であなたの帰還をお待ちです。さぁ」
安心して牢の入り口に差し掛かったところで鳩尾に一撃。
「ぁくぅぅぅ…くっ」
目を見開き、突然の痛みに苦悶の声を上げ倒れこむ。
「でもこのまま開放するのは面白くない」がらりと変わった口調。
「政治的取引があったまでだ。そうでなければお前など見せしめのために殺しているところだ」
言葉を切り、力を緩め、手枷をはずす。
ようやく自由になった手を掴み持ち上げる。
「その分良い思いをしてもいいだろ?」
怯え、その不自由な体で後ずさる。
406名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:51:27 ID:7XseQCte
俺はニジで肌をなぞる様に着ているドレスを切断していく。
豊満な乳に健康的な体、城住まいでありながら脂肪の付き所がほとんどない。
理想的な肉体だ。
乳を片手で掴み、その弾力を確かめる。
「はっ…くぅぅ」
「でかい乳だ。旦那によく揉まれたようだな」
「そんな・・・はぅっ」
一段と強く揉まれ、言葉が切れた。
「さてと、下はどうかな」
その髪に似て金色に輝く陰毛は丁寧に逆三角形整えられていた。
「ふん、綺麗なもんだな。まぁ躾けるには丁度いいか」
言うなり、金属で出来た下着を取り出す。
「足を開け、痛い目に合いたいなら別だが」
先ほどの鳩尾を思い出したのか瞬く間に足は開かれる。
純白のガーターベルトだけが下半身を覆っている。
木刀の柄の部分だけを切断し、切り目をならす。
ミドルポーションをそれに塗り、秘所に挿入する。
大して濡れてもいない秘所はそれを受け入れたが、
「ひひぃ・・・」
更にそこを金属で出来た下着、貞操帯で覆い、カギを取り付ける。
これでカギを外さない限り、膣に入り込んだ木刀の柄を取り出す手段は無い。
貞操帯には、排泄用の穴だけは前と後ろに開いているが、性器には一切触れることができないように覆われている。
妙な圧迫感を感じながらそれを沈める手段はない、という非常に残酷な状態が出来上がったわけだ。

「もういいぞ、これでも着てろ」
俺は用は終わったとばかりに荷物から麻のドレスを取り出し、渡す。
「着替え終わったら、声を上げろ。途中まで護衛しましょう」

「何よ…」
さしもの王妃も裸で帰るのは嫌なのか放られたドレスを身に着け、いいわよ、と声を上げた。

帰らずの森と呼ばれる不気味な森、城下に広がる森は彼と王妃を以外にも暖かく迎えた。
彼の圧倒的な殺気に森は大人しく、住まうモンスターも住処から顔を出すこともない。

不気味なほど静寂に包まれた修道院、要所要所に配置されたモンスターは穿たれ焼かれ切り捨てられていた。
「王妃、別の助けの者がやってきているようです」
だが、王妃は気が気じゃない。
こつこつと歩くたびに貞操帯と柄がぶつかり合い、その度に声を上げそうになって口を押さえる。
それを繰り返すうちに内股になってもじもじと腿をすり合わせる。
だが、金属製の貞操帯がそれを拒み、どうやっても、それ以上の快楽を得ることは出来ない。
また下着も無いままに着ている麻のドレスに乳首が擦れ、甘い感覚がじれったい。
「ほら、急がないか。魔王にまた捕まるぞ」
そんなこともないのだが、急かして見る。
「は、はい。くっ、がんばり・・・あぁ…まぅ」
407名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:52:58 ID:7XseQCte
とうとう一度も上りきれずに地下教会にたどり着いた。
閉ざされた扉の向こうでは戦闘の音が聞こえる。
「俺はここまでだ。しばらくすればやつらが来るだろう」
王妃を置いて元来た道を戻ろうとする。
「あ、待って。こ、これの鍵を…」

「これってなんだい?示して言ってくれ」
ドレスの裾を持って下着代わりに使われている貞操帯を見せながら
「て、貞操帯です。貞操帯の鍵を…ください」

「あぁ、そうだね。目を閉じて口を空けてくれ」
直ぐにそのとおりにする王妃。
(馬鹿な奴だ)
鍵をガムのようなもので包むと口に放り込み、無理に閉じさせる。
無論、抵抗をするものの俺の力を拒みようなく…
「糞から鍵が出てくるまでそのまま過ごすんだな。それまで王との行為はがんばって拒めよ。じゃあな」
憤慨の声を後ろ目に俺は現代へと帰還する。
(あ、魔王との約束、忘れてた)

俺が現代へと帰還した後、2時間後くらいにはマールとルッカもまた帰還を果たした。
史実通りルッカはマールを連れ立って城へと向かう。
それが彼女を追い詰める事になっていても。
「捕らえよ!」
ルッカが衛兵たちに十重二十重に囲まれ拘束される。
後ろの方ではマールが「無実よ」と叫んでいるが大臣に口を押さえられている。
(あの大臣…殺しといたほうがいいかなぁ。でも史実通りだとまだ殺してはいけないな)
気配を完全に殺し、その様子を遠巻きに俺は眺めていた。
(ルッカ…すまないね。だが援助はしてやるよ)

俺は牢屋へと引き立てられるルッカを後に広場へと舞い戻った。

刻は一転、状況は裁判の真っ最中。
原告ルッカは無罪を主張しているが、何も知らされていない陪審員は有罪と見ている。
そこに次々と証人がやってくる。
「あの人、私に猫をくれたの。かわいいでしょ?この子」「ニャーニャー」
「あぁあの嬢ちゃんか。あの子ならマール姫の事情を聴いた上でペンダントを探してあげてたぜ」
「わしに弁当を恵んでくれた子じゃな。いい子じゃよ」

等々、ルッカ自身が困惑するほどに無罪とも言える印象証言が出てくる。
無論、俺が金をばら撒き、姿を化けテント小屋で猫を貰い、良い証言を出してくれる証人だけを集めたのだから。
よって陪審員は全て無罪となった。
だが史実通り、大臣の独断で有罪、死刑宣告とされた。
ルッカが再び牢へとつれられていく。
408名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:53:25 ID:7XseQCte
ぴちゃん―
水漏れのような滴る音が響く。
ルッカは差し入れとして差し出された中身に驚愕していた。
中身こそミドルポーションを収められた箱であるが、その底には彼女の扱っていた、いやそれ以上にフィーチャーテクノロジーである強力なプラズマガンが内包されていた。
(なんでこんなものが)
物には驚いたものの逃げ出さねば死刑となってしまう。
彼女はこの状況を抜け出すために衛兵がいないことを確認し、その銃で背後の壁を打ち抜いた。

「おっ」
牢がある辺りの壁を眺めているとその一部がぽろっ剥がれる様に穴が開いた。
「動き出したな」

「ルッカ!無事か」
タバンの手には重火器、それも木の扉程度なら軽々吹き飛ばせる程度のものが握られていた。
一撃で衛兵を吹き飛ばすと、ルッカにお手製の銃を渡そうとした。
だがルッカをそれを止め、
「えっ。父さんの差し入れじゃないの?この銃」
とプラズマガンを見せる。
「こりゃ…どうしたんだ?俺のじゃないぞ。それにこの構造…まるで未来の武器じゃないか」
「差し入れ箱に入ってたのよ。じゃ誰が…」
「まぁいい。逃げるぞ、この回廊を渡れば直ぐだ」
タバンとルッカはドラゴン戦車の待つ通路を駆け出した。


「くっ…ご先祖様!!!」
俺はニジの穢れを祓うように刀の血糊を飛ばし鞘に収めた。
場所は裁判所。
やはり地下教会で倒された奴の子孫であり、内部からの占領を考えていたようだ。
大臣は大臣として死、その罪はルッカに擦られる事になるが、気にしてはいけない。どうせ一波乱起こすのだから。
「そろそろ未来へのゲートが開くな、便乗するとするか」

「あぁん、なんてしつこい連中なの!」
「仕方ないさ、この国を守るって連中なんだから」
「私の命令を聞きなさいって!」
掛けながら迷いの森を疾走する3人の男女、その後を何十もの衛兵が追い立てる。
俺はその様子を城の一角から眺めながら、タイミングをうかがっている。
遂に袋小路へと追い込まれ、そしてゲートを発見する。
(忌まわしい事にあのペンダントで開かなければ容易に開くことは出来ないからな)
ゲートが開かれ3人は未来へと飛来する。
同時に衛兵たちも袋小路に現れる。
「何処に言った」
「ここに隠れるところは無いぞ!探――」
口々に唱える言葉は最後まで放てなかった。
「サンダガ」
神の雷が彼らに天罰を与えたからだ。
「さて、先回り先回り」
ラヴォスの力を行使し、未来の、それも死の山と呼ばれる場へと我が身を誘った。
409名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:55:37 ID:7XseQCte
未来―それはラヴォスに滅ぼされながらも細々と機械文明の名残を使い生きる時代―
人間が住むには過酷といえる万年雪が積もる環境。
そして疲労こそ取れるものの絶望的に空腹感を満たすことのないドリームマシン。
この時代全てにおいて生きることは過酷、そのものである。
そんなラヴォスの誕生を裏付ける場所、死の山は異端とも言える場所である。
何故ならばラヴォスが誕生しながらにして死んだ、意味深な場所であるからだ。
その麓にラヴォスの生態系を研究する世界で唯一の研究所があった。


史実では正気を失った科学者。後にヌゥに記憶を移植しラヴォスを倒す切り口を作り出した。
「理の賢者ガッシュ・・は寝てるな」
見事なまでの寝っぷりに俺は呆れるしかない。はたく、叩く、サンダー、万能薬、エリクサー、シャイニング、ラストエリクサー・・・ありとあらゆる手段を試してみたが起きる気配は一向に無い。
「ハッシュよりも良い性格してるんじゃね?史実じゃ気づかなかったが」
封印された扉の向こうにある時の翼を見ておきたかったがこの様子では仕方ない。


―――――――――――
ここから何故か原始
―――――――――――

「現時点の想定で俺の障害になりうるのは原始に住むエイラだけだな。他の連中は俺の意思だけでも蹴散らせるだろうな」
エイラ、かつての仲間であり最強まで鍛え上げたその拳はともに戦っていた時ですら戦慄を覚えるほどであった。
また余りにも魅力的な肉体に俺に施された呪いを恨んだりもした。
だが、今のうちに芽を摘んでおけばそれも杞憂で終わる。
また、彼女が持つドリスストーンはグランドリオンに次ぐいや、圧倒する武器の製作には必須だろう。
ボッシュの買収には何か手土産が必要だろうし。

クロノ=ラヴォスは唯一自分を滅ぼすことが出来る存在に育つだろうエイラを目標にした。
時の最果てで二つ開いているゲートの一つ、ラヴォスが到達する以前の星へといざなうゲートに身を委ねた。

原始、それは人間が完全に人間になる前であり、また恐竜が恐竜人として跋扈している時期であり、そしてラヴォスがこの星に到達する前の時間である。
ゆえにラヴォスの力を使うことは出来ない。
未だ宇宙を飛来するラヴォスがこの星に歴史的にたどり着くには後一年という時間が必要だろう。
まぁかのラヴォスの力で必要なのは圧倒的な存在感と畏怖という力のみだが。
それまでに最低限の状況を作り上げなければならない。

軽く手を握り、魔力の発現を確かめながらそれを放つ。
サンダー!
突如、頭上に暗雲が立ち込められ、飛来した雷が彼の掌の先、巨大な大樹に落ち真っ二つに両断する。
そして左右に横倒れしつつある大樹の幹に対し、にじを抜き放ち、さらに上下に断つ。
動作に疲労の色はない。
「魔力はラヴォスの力で強化されたようだな。力はそう変わらないというのに」
時の最果てで発動したシャイニングの威力は余りにも強すぎた。
普通に使うにはとても無理なほどに。
改めて自分の能力を確認すると、エイラの住む村へと足を向けた。

原始の村は余りにも質素であり、また文明的ではない。
だが、そこに住む人は現代の者に比べ非常に逞しい。
彼女も例外ではなかったはずだった。
410名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 11:56:40 ID:7XseQCte
「くはっ」
獰猛な肉食獣の毛皮を巻いた体が地に付く。
「どうした?その程度か」
目前の男は余裕を醸し出しながら、挑発している。
周囲には村の男たちが心配そうに総出で身を乗り出している。
ソレなのに・・・。
「がはっ……は」
ふらつきながらも立ち上がり、一抱えほどある巨岩を投げつけた。
それは歪んだ曲線を描きながら男の胸に当た…るはずだった。
だが巨岩は剣によって真っ二つに、いやもはや岩といえぬほどに細かく切り刻まれていた。
「つまらないな。唯一俺に敵うと思ったんだが」
言う終わる前に男の足蹴りはエイラのわき腹を抉り、吹き飛ばされる。
「じゃあ約束どおり赤い石とエイラ、お前を貰っていくぞ」
言うが早いかお互いに掛け合った賞品を置かれた台に安置された赤い石を持ち上げると、ぴくぴくと痙攣しているエイラを片手で持ち上げ肩に乗せた。
だれもが無言であった。
そしてその沈黙は男の姿が見えなくなるまで続くのであった。

時の最果て、クロノ以外誰一人訪れることの未だ無き聖域。
そこに二人目の来訪者が連れて来られた。

口に詰め物をされ、体を厳重に縄で縛られ、四つんばいで歩くことを強制された一人の雌。
衣服代わりの獣の皮こそ剥されてはいないものの、その誘惑的な肉体には誰もが情欲を抱くだろう。
が、この男、クロノは抱いてなかった。
否、過去でこそ抱いていたが、その後一生を捧げるにたる人物が現れて以来、彼の肉体がうずいた事は無い。
ゆえにエイラは遊び道具にすぎないのだ。
それもゲーム盤の一コマに。

エイラはアレから爺さんに預けたが、年に似合わずハードな調教を施した。
初めはフェラをするにも噛み掛けるという酷さだったが、
尻に対するスパンキング、それも赤く腫れ渡るまで続けたのが効いたのか酷く素直にいうことを聞いてくれるようになったようだ。
激しい運動(または戦闘か)で破れていたのか処女ではなかったマンコを貫き、アナルも洗浄した後にいただいた。
フェラに始まりその豊満な乳で喜ばせる事、精液を飲ませる事、
果ては尻の穴を舐めること・・・。
今は両膝に乗せたエイラの胸を乗せ、右手で股座をいじくりながら。

「んん!!」
エイラが軽くイったようだ。
ついでに尿がこぼれ落ち、規則性を持った石畳に流れ落ちた。
「これ、お漏らしをしたらいかんじゃないか。ほれ、お主が舐め取れ。」
そういうとエイラの口枷を取り、老人とは思えぬ力で体を持ち上げ、顔を彼女の漏らした尿に突っ込んだ。
「んあぁ…いやぁ…」
「何がいや、じゃ。それが終わったら、入れてやるぞ。お前の濡れに濡れた所にな。」
数日(ここに時間の概念があったとして)前まで枯れた雰囲気を持った老人は見事なまでに勃起したそれを取り出しエイラの頬を叩いた。
途端、石畳に流れた尿を舐め取り、啜り始めた。
「いい感じだなエイラ。俺は現代に向かうが、歴史的にここに訪れる時には、隠しとけよ、さすがにそれは」
「なぁに。それまでにはもっと純情になっていると思うがの。自分から股を開くくらいには」
爺さんの軽口を聞きながら、現代へのゲートをくぐる。
411名無しさん@ピンキー:2010/06/27(日) 12:03:36 ID:7XseQCte
――――――――――――
さらに時間が飛んで中世
――――――――――――

カエルがグランドリオンを大地に突き刺す。
そして疾走。
大地を切り裂きながら巨岩を目の前にして飛翔。
陽の光を浴びグランドリオンが光り輝く。
風と雷の力を爆発させた剣を持ってカエルは巨岩を両断した。
戦いの序幕に相応しい轟音であった。

俺たちの前に開かれた道は太古の巨竜ティラノが通れるほどに巨大な洞窟の入り口であった。
カエルが感慨深く、マール、ルッカたちが嘆息を漏らす中で俺はやはり微笑していた。
「すまない、俺の出来ることはここまでだ。じゃあな、がんばれよ。」
「そうか、お前とは一対一でやりあいたかったな」
勇者としてカエルは俺を真に認めたようだ。
「ふふ、俺の圧勝になりそうだな」
「どうだか、グランドリオンを取り戻した俺は負けはしない」
軽く腕をぶつけ合い、再会を約束した。
短い間の仲間たちの残念そうな声を尻目に俺はその場を後にし、薄く笑んだ。
「次ぎあう時は敵として、かな」


「おっと、人払いはいいのかい?これは相当に危険な話だと思うんだが」
魔王は額に皺を寄せたが側近たちを眼力だけで立ち退かせた。


「そうだな、これで信じてもらえるかな」
俺はポイっと何かを魔王の近くに捨てた。
軽い音。
何の変哲も無い黒い石。
だがそれはこの時代には存在しないロストテクノロジーの塊。
そしてこれが確かに存在した時代の産物。
とある賢者がお遊びで作り上げた、だが使い方さえ分かれば至高の一品。

―――未完
412名無しさん@ピンキー:2010/06/29(火) 16:19:26 ID:0vugDQo4
413名無しさん@ピンキー:2010/07/03(土) 09:57:55 ID:X/gxltYb
何これ?
414名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 07:04:53 ID:Xlvg7k3O
ゴミ
415名無しさん@ピンキー:2010/07/12(月) 22:58:20 ID:1iH8/o79
ゴミ以下
リサイクルも出来ない(キリッ
416名無しさん@ピンキー:2010/08/02(月) 16:00:07 ID:Zj5TAs5G
思うんだがカエルって、五本指手袋してるってことは
手の形は人間と同じなのか?w
417名無しさん@ピンキー:2010/08/03(火) 23:18:31 ID:ENIK8Mly
規制つらすぎるお
418名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 06:30:52 ID:aFjlLNaA
DSで久々にトリガープレイしたら面白すぎてはまっちまった
職人さんが続々登場してくれることを祈願して、カエル(グレン)×ルッカ投下します。
419カエルッカ1:2010/08/05(木) 06:36:56 ID:aFjlLNaA
ラヴォスを倒し、平和な未来が保証された。
勝利の余韻を分かち合う暇も無く、仲間たちはそれぞれの時代へと帰っていった。
(これで、よかったのよ)
閉ざされていくゲートを見守りながら、ルッカは心の中で自分に言い聞かせた。
所詮、彼は過去を生きる人だから。
思いを伝えたとしても、結ばれるはずが無い。
よかったじゃない、ルッカ。
下手に恋うつつになって研究に身が入らなくなるくらいなら、
きっぱり諦められる方が、サイエンスに身を捧げた自分のためにはありがたい。
そうとでも思い込まなきゃやっていられない。
かくして、ルッカは研究に打ち込む日々を送っていた。
そして、歳月は流れた。
420カエルッカ2:2010/08/05(木) 06:40:13 ID:aFjlLNaA
「ルッカ…ちゃんと睡眠とってるの?」
とある昼下がり、マールとクロノがルッカの研究所に遊びに来た。
開口一番、眉をひそめて発したマールの一言が、これ。
あの後、マールの熱烈なラブコールを受けたクロノは、彼女の思いに応え、
めでたくガルディア王家に婿入りすることに決まったのである。
そんな次期国王様候補のクロノは相変わらず爆睡している。
ほんとによく寝るわね、このバカは。
後々には王族としての立ち居振る舞いや知識を身につけなければならない。
その勉強で疲れているのだろうか。
ラヴォスを巡る旅が終わった後、
この研究所は旅を通じて新しく友となった三人のたまり場と化していた。
しかし、月日が経つのは早いものだ。
最近ではマールとクロノの結婚が決まり、二人とも忙しいのだろう、
三人で集まってだべる、などということは希薄になっていた。
マールがコーヒーを入れて、
ルッカは機械の調整をしながらマールの話に耳を傾ける。
その横でクロノはいびきをかいている。
そんな日々を送っていたのが今では遠い過去のようにルッカには感じられた。
クロノもマールも、今までのように遊びまわっているわけには行かない。
二人一緒に生きていくという覚悟の末に、今の二人があるのだ。
―――私も変わった。
ずっと一緒にいられるはずは無い、旅の間でも頭の片隅で理解してはいたけれど。
自分より頭一つ分は小さな身体に背中を預けては守られた、
心地よかったあの日々は戻ってこない。
最終的には自分の思いを殺して、諦めた。
421カエルッカ3:2010/08/05(木) 06:43:30 ID:aFjlLNaA
「いやねえ、マール。ちゃんと寝てるわよ」
「嘘。隈、ひどいわよ。あと、だいぶ痩せた」
「………」
ぐいっと目の下を指さされ、詰め寄られる。
そんなに私ひどい顔してるのかな…そう思って少したじろぐと、
それまでクロノの裁判のときの大臣ばりに強く糾弾するようだったマールの表情が、
とたんにへなっと力を無くした。
「あのね…ルッカ」
マールはちら、と惰眠を貪るクロノのほうを一瞥してから、視線をルッカに戻した。
いつもハキハキと歯切れのいい口調のマールがめずらしく口ごもる。
「もしかして…私たちに、気を遣ってない?」
「……え?」
「もしかして、あなたクロノのことが好きだったんじゃないの…?そうだとしたら、私…」
「………はい?」
何て?この才色兼備のルッカ様が?この熱血剣術バカを?
ありえない。
…なんて言ったらクロノにベタ惚れなマールに氷付けにされるかしら。
ふう、と一つため息をついて、ルッカは口を開いた。
「…マール、確かにクロノのこと、私好きよ。
でもね、あいつは幼馴染で、ずっと一緒にいて、
弟みたいにして大事にしてきた奴なのよ。
むしろあいつがあなたとこうなって、驚いてるくらいよ。
…そりゃ少し寂しいって思う気持ちもあるけど、
マールが相手で私は嬉しいと思ってる」
「ルッカ…」
「…幸せになってね」
マールが輝くような笑顔を浮かべる。
慣れないセリフを、本心とはいえくそ真面目に口に出してしまったルッカは赤面してしまい、しばらくの間マールの顔をまともに見ることができなかった。
422カエルッカ4:2010/08/05(木) 06:50:08 ID:aFjlLNaA
「…あ、じゃあさ、」
「…何よ」
「ルッカは好きな人とかいないの?」
「!」
一瞬、全身を深緑に包まれた異形の騎士の姿が脳裏を掠めた。ルッカの体が強張る。
「あー、その様子ならいるんだー!
そこまで私たちのこと祝福してくれてるんだもん、
私、全力で協力しちゃうよ!」
「…サイエンスの前に恋愛なんて不要よ」
「あなただからこそそういう人が必要なのよ。
毎日研究研究、じゃ頭も身体もボロボロになっちゃうわよ」
コトリ、とマグカップを置く。マールの入れたコーヒーがさっと波を立てた。
「…そろそろ暗くなる頃よ。お城にもどったほうがいいんじゃないの?
また大臣にお説教食らうわよ」
「…ルッカ…」
「ほら、バカクロノ!いつまで寝てんのよ!恋人を待たせんじゃないわよ!」
「…んぁー…?」
寝ぼけ眼の暢気なクロノと、それとは対照的な何か言いたげな表情のマールを背にして、研究所の玄関の扉を閉める。
―――あいつのことは思い出さないようにしてたのに…。
否、彼のことを思わない日などなかった。
研究に打ち込まなきゃ、余計なことは考えては駄目、
そう思えば思うほど、思い出さずにいられない。
423カエルッカ5:2010/08/05(木) 06:54:06 ID:aFjlLNaA
最初、出会ったときは見かけのこともあって少し苦手だった。
それなのに、一緒に行動するうちに、彼の生き様を少しずつ垣間見ていくうちに、
恐ろしいほどの勢いで心惹かれていった。
「大嫌いなカエルだから」と、
出会ったとき嫌悪感を顕わにしてしまった自分に激しく後悔した。
―――まあ、こんなナリじゃ、信用しろといっても無理か…。
あのときの自虐的な彼の反応は未だに忘れられない。
これほどまでに彼に惹かれる自分が、かえって不思議に思えるくらいだ。
それでも、仲間との別れのとき、
思いを伝えるという選択肢はルッカの中には無かった。
生きる時代が違う人。最初から叶うわけがない。
もしそうしていたら、カエルにも迷惑をかけることになっただろう。無理を言って、困らせて。
後悔はしていない。これでよかった、何度もそう納得したはずだ。
ララのときとは違う。「あの時、こうしていれば」なんて、思う余地がないのである。
誰にも迷惑をかけない、ルッカ自身のためでもある。
自分は最善の行動をしたはずだ。
「…はず、なんだけどなあ…」
ぼふっ、と靴も履いたままルッカは仰向けにベッドに倒れこんだ。
―――今頃何してるかしら。
そう想像しかけて、そこではっと気づく。
カエルとルッカの間には、共有できる「今」は存在しないのだ。
400年近く前にとっくに死んでいる人。
本来ならば現代人のルッカにとっては、
ガルディア王国のために貢献した単なる歴史上の人物の一人、というところか。
そこまで考えて、虚しくてどうしようもなくなる。
これがいつもの思考回路のパターン。
もう何も考えたくない。
なんだか猛烈に疲れた。まぶたが重くて耐えられない。
解決策も見出せないまま、
ルッカは果ての無い闇に吸い込まれるように深い眠りにいざなわれて行った。
424カエルッカ6:2010/08/05(木) 07:00:03 ID:aFjlLNaA
そしてまた無為に日々を送っていたある日、またマールがやってきた。
今日はクロノはいない。
「久しぶりじゃない。クロノは一緒じゃないの?」
「…ルッカ……」
いつも底抜けに明るい表情のマールが、今日は重苦しい雰囲気をまとっている。
「あのね、ルッカに大事な話があるの。一緒に城まで来てくれないかしら」
「?…いいわよ」
マールの態度に不信感を抱きながらも、
ルッカは彼女の雰囲気に圧倒されて止むを得ずついていくことにした。
そうして、ガルディア城のマールの部屋に通された。
この部屋には片手で数える程度しか入ったことが無い。
メイドが紅茶を淹れ、ルッカに差し出した。
自分のような庶民には手が出せないだろう高級な茶葉の香りが部屋の中に広がった。
改めて彼女が王家の一族であるという事実を思い知らされる。
パタン、と扉が閉まる音が聞こえた。先ほどのメイドが部屋を出て行ったのだろう。
扉が閉まる音を確認して、マールは一息つき、そして口を開いた。
「――さて、さっそく本題に入らせてもらうわね」
「うん」
一瞬躊躇したのかマールは少し目を泳がせたが、
すぐに一国の王女にふさわしい貫禄を取り戻して言った。
「突然だけど、あなたには婚約していただくわ」
……………
「………は…?」
「相手はガルディアの兵士よ。腕も立つし忠実で、今一番の出世株よ。
それにハンサムでいい男だし。すぐにあなたも気に入るんじゃないかしら」
「ちょ、ちょっと、待って!」
ルッカは慌てて割り入った。
婚約…あまりにもこれまでの生活とそぐわない単語に、ルッカは自分の聞き違いであることを切望した。
そんなルッカの態度とは対照的に、
マールは全く表情を乱さずルッカの方を見据える。
425カエルッカ7:2010/08/05(木) 07:02:07 ID:aFjlLNaA
「い、今、マール、何て…」
「いい男だからあなたも気に入るんじゃないかと」
「そこじゃないわよ!今、こ、こ、婚約って…言わな」
「言ったわ」
「………」
とりつくしまがない。一瞬今日がエイプリルフールなんじゃないかとも考える。
だが、最もルッカの調子を乱させるのは、マールの態度だった。
いつもは懐っこい感じで気の効く冗談を言ってくるはずの彼女が、
今日は真面目な顔して一つも表情を変えずに恐ろしい宣告をしてくるのだ。
「マール…この間のこと、気にしてるの?
私はまだ結婚なんてするつもりもないし、全然大丈夫だから、
そんな気を遣わなくても」
「ルッカ」
強い口調で言い据える。
「これはガルディア王女としての命令です。
逆らうことは許しません。従ってもらいます」
426カエルッカ8:2010/08/05(木) 07:07:06 ID:aFjlLNaA
あーそっか、こりゃ夢だ…。
ルッカは自分にそう言い聞かせながら、とぼとぼと帰路に着く。
自分には全く縁がないだろうと思っていた婚約という単語。マールの強硬な態度。
今日あった出来事は、あまりに現実味を帯びないことばかりで頭がおかしくなってくる。
マールをしてあんな強硬手段を取らさしめたのは、
おそらく数ヶ月前の煮え切らない自分の態度が原因なのだろう。
こんなことになるのであれば、あの時もっと真面目に応対していればよかった。
結婚なんて…。
マール曰く、相手は「腕も立つ、忠実でハンサムないい男」。
マールのことだからその辺の大したこと無い輩を選ぶなんてことはないだろうが、
自他共に認めるミーハーである自分でも、ハンサムと聞いても全く興味がわいてこない。
それは、ルッカ自身の人生を左右する存在となりうる男だからなのか。
それとも、緑に身を包んだ異形の剣士の存在がまだ心の中で燻っているからなのか。
―――もう、何もわからないわ。
はああ、と長いため息をついて、自宅の研究所の扉を開けた。
ガルディア城からトルース村への道のりはそれなりに長い。
すっかり夜も更け、家の中は暗闇に包まれている。
ララもタバンももう床に着いているだろう。
今日はいろいろありすぎた。電気をつけるのもおっくうだ。もう寝てしまおう。
靴を脱ぎ、ベッドにダイブしようとしたそのとき。
「ずいぶんお疲れだな」
聞き覚えのあるような、笑いを含んだからかうような口調。
……………
あんまり疲れているせいで、幻聴が聞こえるみたい。
自嘲しつつ声のするほうをぼんやり振り向くと、
暗くてよくは見えないが長身の人影が確かにあった。
ララやタバンのものではない。
427カエルッカ9:2010/08/05(木) 07:16:47 ID:aFjlLNaA
(不審者!!?)
腰につけたままの自作のエアガンに手をかける。
そんなルッカの行動を見ても、相手は全く動じない。
その様子を確認して、ルッカは恐る恐る電灯をつけた。
そこには全く見覚えの無い青年が椅子にもたれていた。
緑色の髪が印象的だ。ガルディア兵の服装に身を包んでいる。
男は手を軽く組んでテーブルの上に置き、じっとルッカを見つめている。
その視線に何か熱っぽいものを感じた気がして、ルッカは慌てて目をそらした。
(何よ、なんでこんなじろじろ見られなきゃいけないのよ!)
「…あんた、誰よ」
「…わからないか?」
「記憶の限りだと初対面だと思うんだけど」
そうか、と言って男は口角を緩く上げ静かに笑みを浮かべた。
その自嘲的な様は、以前も見たことがあるような気がする。
――あいつに似ている。
ルッカは、ふと脳裏に思い浮かんだカエル姿の剣士の姿を必死に打ち払った。
何を見ても、誰を見ても彼を連想してしまう。重症だ。
「そもそも何で勝手に人んちに入って来てるのよ!
あんた、ガルディアの兵士でしょ。
いくら庶民の家だからって礼儀くらいわきまえなさいよ」
「勝手に、じゃねえよ。
快く親父さんが家に入れてくれたぜ。あんたの知り合いだって言ったら」
タバンめ…。明日から口聞いてやらないわ。
428カエルッカ10:2010/08/05(木) 07:18:51 ID:aFjlLNaA
「大体電気くらいつけなさいよ。
暗い中ずっとここで座ってたわけ?気持ち悪いわよあんた」
「こうした方があんたの驚く顔が見られるだろうと思って」
「………」
もうまともに相手にするのも面倒だ。
きっとこれも、今日一日の信じられない出来事の連続のうちの一環なのだ。
そう割り切って、半ばやけくそ気味にルッカは青年の向かいの席にどっかと腰を下ろした。
そうして、初めて男をまじまじと観察する。
短く切られた若葉色の髪。
その容貌は美しく整っているが、
それなりに経験を積んで来たというような壮烈な雰囲気を感じられる。
年は三十歳前後くらいだろうか。
それにしては、笑みを含んだ表情からはどことなく子供めいた無邪気さが感じられた。
(…いい男じゃないの…)
「何だ?惚れたか?」
「!?」
ついいつもの癖で見とれていたルッカははっと我に返った。
男の方を見ると、いたずらに成功した子供のような笑いを浮かべてルッカの方を見ている。
確かにいい男は好きだが、無礼な男は別だ。
ルッカは、ミーハーな自分をこのときばかりは呪った。
少し落ち着かなければ、これではいつまで経っても男のペースのままである。
それにしても、どうにもこの男を相手にすると調子が狂う。
その理由が、ルッカにはなんとなくわかっていた。
この男がどことなく、中世を生きるカエル姿の剣士に似ているのだ。
若葉を連想させるエメラルド色の髪。時々自虐的だけど子供っぽい笑い方。
時折おどけたように抑揚をつける話し方。
それら全てが、いちいち彼を強く思い出させる。
その事実が、今のルッカをかえって苛立たせるのであった。
429カエルッカ11:2010/08/05(木) 07:24:55 ID:aFjlLNaA
「…で?あなたは何しにうちに来たわけ?」
男はふっ、と口元に嫌味な笑みを浮かべた。
「今日、王女様から話を聞いたんだろう?」
「…それがどうしたっていうのよ」
「まだわからないのか?いつも勘の鋭いお前が、珍しいな」
初対面だっていうのにどうしてそんなことが。
そう言うつもりでルッカが口を開いた瞬間、
ふと脳内で今日一日の展開がようやく一本の線で繋がった。
婚約。ガルディアの兵士。ハンサムないい男。
「…まさか、あんた」
向かいの青年が、相変わらず嫌味な笑顔のままゆっくり立ち上がった。
ルッカは本能的に恐怖を感じ、さっと身体を強張らせる。
コツ、コツと静かに靴音を立てながらルッカのほうに近づいてくる。
ルッカは反射的に立ち上がり、逃げようとした。
しかし、先ほど以上に情熱めいた視線を以って凝視してくる男の瞳に、
ルッカは目をそらすことができなかった。
まるでメドゥーサの視線を浴びたかのごとく身体が動かせない。
緑髪の男との距離が、これまで誰とも経験したことが無いくらいまで近づく。
ふいに顎をつかまれた。
ルッカは我に返って身じろいだが、
鋼のような腕が背中にすでに回っていて動くこともままならない。
430カエルッカ12:2010/08/05(木) 07:28:02 ID:aFjlLNaA
「――んむっ……!」
唇を塞がれた。
ルッカは初めての経験に思わず目をぎゅっとつぶった。
かぶりを振って抵抗しようとするが、凄まじい力で顎を押さえつけられてかなわない。
すぐに舌が入ってくる。
あまりの展開に驚いて、ぎょっと目を見開く。
相変わらずルッカを凝視する男の瞳と視線がぶつかった。
そこには先程感じた情熱めいたものの他に、何かを切望する意志があるのを感じた。
――嫌だ。
男が何を求めているのか、考えたくも無い。
必死で抵抗しようとするが、
腕の立つ兵士だという男の力強い腕に完全にからめとられたルッカには、
身じろぎすることすら許されなかった。
「………っ…ん…」
さんざん口腔を弄ばれ、唾液が溢れる。
顎をつ、と熱い液体が一筋、二筋と流れて行くのを感じた。
男は奥で縮こまったルッカの小さな舌を無理やり引き出して引き寄せ、絡ませる。
くちゅ、と水音が頭の中で響いた。
そのまま強く舌を吸われ、一瞬頭が痺れた感じがする。
「………」
必死でこらえていたが、我慢できずに涙が一筋流れる。
どうして、こんなことに。
(カエル…)
こんなことになるのなら、ゲートが閉じる前に意地でも好きだって言ってキスしておけばよかった。
なんとなく彼に似てるからって油断して、
好きでも無いしかも初対面の男にまさか無理やりキスされるなんて。
しかも、無理やり結婚させられるなんて。
情けなくて涙が出る。
そう考えると、なおさら涙が止まらなくなった。嗚咽まで出てきた。何て情けない。
ルッカが泣いているのに気づき、緑髪の青年は驚いた様子で慌てて唇を離した。
おろおろと慌てふためいたような表情でルッカの顔を覗き込む。
こういう不器用なところまであいつに似ている。
痺れた頭の中でも冷静にそう思える自分をルッカは不思議に思った。
431名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 07:31:22 ID:aFjlLNaA
今日の所はここまでです。
エロ成分がなくてごめんなさい。次回頑張ります

それではお邪魔しました。
432名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 14:05:11 ID:pFgVzoTv
GJ!

続き気になる…
433名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 20:07:51 ID:ih/HkKR8
GJ
続きが見たい…!
434名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 23:15:15 ID:sHJYSiaN
つ、つづきを!
ぜひお願いします!

435418:2010/08/06(金) 03:02:44 ID:JtQw/8gC
>>418です。
続き行きます。
まだエロ部分入ってませんorzごめんなさい
436カエルッカ13:2010/08/06(金) 03:09:12 ID:JtQw/8gC
「見るんじゃ…っ、ないわよ、」
ルッカは嗚咽をこらえながら必死で言い放った。
うつむいたままなので男の表情は見えないが、
彼の身体に一瞬緊張が走ったように感じられた。
「………」
沈黙が研究室の中を支配する。ルッカの嗚咽が妙に大きく部屋に響いた。
やがて、いたたまれなくなったのだろうか、
緑の髪の男が崩れ落ちたルッカの肩にそっと手を伸ばそうとする。
「触らないで」
びくりと青年の身体が強張った。ぱたりとその腕が力なく床に落ちる。
――なんなのよ、こいつは。
いちいち人のペースを乱して、突然強引に迫ってきて、
かと思えば一変して弱気になって。
そう思うと、悔しさ、情けなさを通り越して、
ふつふつとした怒りがルッカの脳内を支配した。
何か言ってやらないと気がすまない。
涙を右腕でぐいっと力強く拭った。
「――大っ嫌いよ、あんたなんて」
きっ、と男を見据えてルッカは言い放った。
男の目に、一瞬傷ついた子供のような悲しげな色が浮かんだが、
すぐにその状況に甘んじたかのように静かにルッカの目を見つめた。
それを見て、ルッカは少し慌てた。
が、なぜか同時になおさら怒りを煽り立てられた。
「最低よ、勝手に決められた許嫁なんて立場を利用して好き勝手するなんて、最低」
「……」
「何なの、ちょっとかっこいいからって調子に乗って。
あんたと結婚なんて、絶対にごめんだわ。死んでもよ」
べらべらと相手への罵倒が勝手に口をついて出てくる。
だんだんそれが八つ当たりになっていくのに、ルッカ自身も気づいていた。
しかし、旅が終わってからというもの悩み続けてたまりにたまったストレスが、
この機会にすごい勢いで放出されていくのは、
心身ともに弱りきっていた彼女にとってはもはや不可抗力であった。
437カエルッカ14:2010/08/06(金) 03:13:30 ID:JtQw/8gC
「大体気に入らないのよ、そのしゃべり方も、その髪の色も。
 全部、あいつに―――」
そこまで言ってルッカははっと我に返った。
それまで達観したようだった青年の瞳が、何か興味を示したように色が灯る。
その様子を察してルッカは一瞬慌てた。
―――何を言おうとしたんだろう、私は。
よりによってこの男に。
ぼっと顔が紅潮するのを感じた。
しかし、これまで誰にも打ち明けたことのなかった心の内を、
なぜかこの若葉色の髪の男になら話してもいい、ともルッカは思っていた。
全く気に食わない奴。それは本心だ。
しかし、あんなことをされたのにも関らずなぜか憎めない。
それは、やはり彼の醸しだす雰囲気が自分の思い人に似通っているせいなのだろうか。
ルッカは心を決めたように青年を見つめた。
男の静かな色をたたえた双眸と視線が交わる。
「……カエルに似てるの、あなた」
一瞬、男の目が点になった。
そりゃ、普通カエルに似ているなどと言われてショックを受けない男はいないだろう。
「ただのカエルじゃないわ。バカみたいにでかいお化けカエルよ」
「……」
追い討ちをかけてやる。
男は完全に口を閉ざした。ショックは最高潮に達したらしい。
男の眉尻が情けなく垂れ下がるのが見えた。いい気味だ。
彼のひたすら落ち込んだ姿をひとしきり堪能してから、ルッカは静かに話を続けた。
「…でもね、そのカエルはもともと人間だったのよ。
 恐ろしい魔王に呪いを掛けられて、カエルの姿にされてしまったの」
男は黙ってルッカの話に耳を傾けている。
その表情からは、逆光になってよく見えないせいというのもあるが、
彼が何を考えているのかは読み取れなかった。
438カエルッカ15:2010/08/06(金) 03:16:47 ID:JtQw/8gC
「…カエルの生き方は、誰よりも誇り高くて、そして鮮やかだった。
 私、思うの。カエルの姿に変えられたからこそ、彼という存在があったんだって」
「…惚れてたのか?」
ぐりん、と音がしそうな勢いで首を動かしてルッカは男の方を向いた。
彼は子供のように心底楽しそうな目でルッカを見つめている。
頬が発光しそうなくらい熱い。
ふっ、と男は静かに笑みを浮かべて立ち上がった。
先程まで座っていた椅子に再び腰掛ける。
また、件の両生類を思い出させる自虐的な表情を取り戻して言った。
「奇遇だな」
「何が」
「俺もカエルになったこと、あるぜ。まあざっと、400年前くらいにな」
…………
「……え?」
思考が停止する。
何を言っているんだろうこいつ。
カエルになる呪いが世間では流行っているのだろうか。
いや、そんなはずはない。落ち着いて、頭の中を整理して。
床の上にへたりこんで呆然としたままルッカはつぶやいた。
「……カエル…?」
「…会いたかったよ、ルッカ」
439カエルッカ16:2010/08/06(金) 03:21:24 ID:JtQw/8gC
信じられないといわんばかりの表情で、
ルッカは男をぼんやり見つめることしかできなかった。
ここに彼がいるはずは無い。
タイムゲートは完全に閉ざされた。シルバードも壊れたままである。
過去と現在を行き来できる方法は皆無といっていいはずだ。
「…嘘、でしょう?」
「まだ信じられないか?…まあ、そりゃそうだろうな」
青年は困ったように笑い、
再度立ち上がって壁に立てかけてあった騎士剣を手に取った。
新調したのだろうか、まだ真新しい拵えの宝飾が美しく光っている。
鞘の部分を右手で握り、左手で静かに剣を抜く。
瞬間、男の顔つきが真剣なものになるのを見てルッカは思わず息を呑んだ。
シャッ、と鋼が擦れる小気味良い音がすると同時に、
見覚えのある刀身が強い輝きを伴って現れた。
この騎士剣に一体何度助けられたことだろう。
ルッカ自身も散々苦労して復元に携わったのだから、見間違えるはずは無い。
刀身の輝きは、装備した者の意志の強さを表すもの。
いつかこの伝説の騎士剣に宿る子供姿の妖精が言っていたのを思い出す。
これほどまでの高貴な輝きは、持ち主の心が精錬極まりないことを示している。
「…グランドリオン…」
もう目にすることは無いだろうと思っていた伝説の剣と、その所有者。
剣を握る緑髪の青年と、かつてカエルと呼ばれた男の面影が完全に重なった。
パチンと剣が鞘に納まる音が響き、夢心地だったルッカの意識を引き戻した。
ルッカは胸をいっぱいにして男―グレンの方を見た。
相変わらず笑みをたたえた表情のグレンと視線が交わる。
どうしてここに?
いつから?
どうやって?
何から話せばいいのか、頭の中に浮かんでは消える。
440カエルッカ17:2010/08/06(金) 03:25:42 ID:JtQw/8gC
と、今のルッカにとっては最も追求しなければならない重大事項があるのを思い出した。
たちまち羞恥と怒りでルッカの顔が赤くなっていく。
「こ、こ、婚約ってどういうことなのよ!しかもあんたとの!」
グレンの襟首を掴んでぶるんぶるんと揺さぶる。
グレンはルッカの勢いに全く動じず、
むしろ楽しそうににやにやと笑いながらただルッカを見ているだけである。
そんな彼の様子を見て、はっと思い至る。
――マール、あの子も一枚噛んでたのね!
グレンがマールに何を吹き込んだのか知ったところではないが、
そう考えれば彼女の不可解な態度にも納得がいく。
つまり、自分はグレンとマールにからかわれたのだ。
「…ったく、しんじらんない…」
ぼりぼりと頭を掻いた。くったりと脱力する。
そんなルッカの様子を見て、グレンはぽつりとつぶやいた。
「…こうでもしないとお前は応えてくれないと思ったんだ」
「え?」
グレンの表情が一変して真剣なものになる。
「…どうして俺が今ここにいるのか、知りたいだろう?」
「…そりゃあ」
「ゲートが開いたんだ」
「…え…」
どうして。
ラヴォスが死んで、全てのゲートは閉ざされたはずなのに。
441カエルッカ18:2010/08/06(金) 03:29:55 ID:JtQw/8gC
狐につままれたような顔をしているルッカを見て、グレンは笑った。
「前、フィオナのところで400年間働いたロボを迎えにいった時のこと、
 覚えてるか?」
「え?…うん」
「あの日の夜中、お前が小さい頃、
 お前の母さんが足を失くした日のゲートができただろ」
「!…気づいてたの…」
「結果的に、お前はお前にとっての『最もやり直したい時』を実現したんだ。
 今、お前の母さんは何事もなかったかのように元気に過ごしている。
 お前が一番強く望んでいたことだ。
 あのゲートはお前のためのゲートだったんだよ」
「……」
「…つまり、俺が通ってきたゲートは、
 同じように考えれば俺にとっての『最もやり直したい時』に繋がってるんだ。
…そして、その『時』ってのが、お前のことなんだ」
「…どういう…こと…?」
ドクン、と心臓がうるさく鳴った。
答えを促すと、躊躇するようにグレンは目を泳がせる。
しかし、観念したように一息ついて、ルッカの目をまっすぐ見据えて言った。
「…お前に、何も伝えないで自分の時代に帰っちまったことを、俺はひどく後悔した。
 初めはさ、サイラスの意志を継いで王と王妃様をお守りするのに命を捧げるのが
 俺の余生の過ごし方だと思ってたんだ。
 俺自身も、それが最高の幸せだと思ってた。
 …でも、そうやって日々をすごしてるうちに、だんだん虚しくなってきてな。
 もちろん王と王妃様への忠誠心は変わらないし、この生活に生きがいを感じてる。
 でも…俺もこのまま一人でこの時代で年をとっていって、
 お前らと旅をしたことも次第に忘れていって、
 …お前のことも忘れていくのかと思うと、なんだか堪らなくなったんだ」
「グレン…」
「そう思ってたら、このゲートがあったってわけさ。…女々しいな、俺も」
そういって自嘲的な笑みを漏らす。
442カエルッカ19:2010/08/06(金) 03:35:24 ID:JtQw/8gC
「でも、あなたはよかったの?万が一帰れなくなる、なんてことになったら…」
「それは大丈夫だ。何があっても絶対戻る、王様と王妃様にはそう言って出てきた」
ルッカはなんだか泣きたい衝動に駆られた。
彼はそうは言っているが、
ゲートホルダーも持たない彼が必ず自分の時代に帰れるという保証は無いのだ。
ゲートが開いた時点で奇跡と言うほか無い。
グレン自身もわかっているはずだ。
亡き親友の思いを継いで、
命尽きるまでガルディア王家に仕えることが彼の一生の願いであるはずなのに。
彼自身も、あれほどまでリーネに執着していたのに、
二度と彼女の元に戻れなくなるかもしれないというリスクを冒してまで、
思いを遂げるために自分のもとに来てくれた。
私なんかのために…。
そう考えると、胸が張り裂けそうに苦しい。
「…あんたはバカよ。大バカよ」
「…そうだな」
グレンが苦笑する。
ふと、抱き寄せられた。
驚いて、昔とは逆に頭一つ分高い位置にあるグレンの顔を見上げる。
さっきの自嘲の色はいつの間にか消え失せ、熱を含んだ「男」の顔がそこにはあった。
「好きだ」
――ああ、やっと。
ルッカは感慨深く目を閉じた。
その拍子につ、と熱い液体が流れる。
その感触で初めて、自分が涙を流していることを知った。
443カエルッカ20:2010/08/06(金) 03:39:20 ID:JtQw/8gC
ルッカを胸に抱え込んだまま、照れた様子でふと思い出したようにグレンは言った。
「…今話したこと、マールに洗いざらい話したんだ。
 じゃないと、何しろ姿が変わってるし、
 この時代に俺がいるなんて絶対信じてもらえないだろうしな。
 そしたらあっさり、『わかった。協力してあげる。』だと。
 あいつ、俺の話聞いてめちゃくちゃ楽しそうな顔してたぜ」
ばつの悪そうな顔で言う。
「それで婚約なんて突拍子の無いモンが出てきたのね…」
ルッカに思いを告げることができたグレンは、
また自分の時代に帰らなければならない。
生きる時代の違う二人は、一生の伴侶となることは適わないのだ。
そんな彼らにとっては、
「婚約」という単語はもはや口約束だけの儚い言葉でしかない。
今日という日の逢瀬のための言い訳として機能するだけ。
しかし、今のルッカにとってはそれでよかった。
もう、これまでのように迷う必要はなくなった。
今までは散々遠慮して気を遣いまくって、
返ってギスギスしてしまい結局誰のためにもなっていなかった。
そして、グレンも同じ気持ちだったことが分かった。
悩みぬいた末に自分のもとに来てくれた。もうそれだけで十分だ。
グレンの胸に顔をうずめる。
日なたの匂いと汗の匂いが混じった健康的な男の体臭が鼻腔いっぱいに入ってきた。
頬ずりをすると、細身に見える割には鍛えられた厚い胸板の感触が頬に当たった。
五感を使ってグレンという男の存在を確かめる。
改めて、彼が呪いから解き放たれたと言う事実を確認する。
全身で男の感触を楽しんでいると、グレンがじれったがるようにして身じろぎをし、
ルッカを抱きしめる腕の力を徐々に強めていった。
444カエルッカ21:2010/08/06(金) 03:44:02 ID:JtQw/8gC
(…あ…)
腰のあたりに何か熱くて硬いものが当たっているのを感じる。
最初の内はそれがなんなのか、疎いルッカにはよくわからなかったが、
それがグレンの熱情であるという考えに至ったその途端、
顔が見る見るうちに熱を帯びていく。
開いた窓から入ってくる夜気がひんやりと感じられ、
余計に自分の身体の熱さを理解する。
――グレンが自分を欲している。
熱気と羞恥をどう発散していいかわからず、
ぎゅうぎゅうとひたすらグレンの背中にしがみつくばかりだ。
これでもかというくらい二人の身体が密着する。
「…ルッカ」
興奮を抑えきれない、といわんばかりに掠れた男の呼ぶ声が、
妙に大きく研究室の中に響いた。
彼と自分の二人分の熱に浮かされたように顔を上げる。
先程は穏やかだったグレンの目に、
鋭く熱っぽい光が灯っているのを確認するのもつかの間、
唇が塞がれる。
さっき無理やりされたときの激しさが嘘のように、優しく重ねるだけの口づけ。
445カエルッカ22:2010/08/06(金) 03:45:37 ID:JtQw/8gC
ちゅ、ちゅと小さな音を立てて、小鳥がするように軽くついばむ。
時折そっと舌を伸ばす。
上唇に軽く舌を滑らした後、ちゅうっと吸い付く。それを何度も繰り返す。
真っ赤な顔で硬直してなすがままになっていたルッカも、
やがて決意したかのようにおずおずと舌を伸ばし、グレンに触れてくる。
その様子に、彼はひどく興奮した。
一瞬触れただけでも、怖いほどの痺れが彼の舌を、唇を走り抜ける。
耐えられず、激しくルッカの唇に吸い付いた。
ん、とくぐもった声で抗議されるが、
構わず彼女の小さな両肩を押さえつけて口内を蹂躙する。
思いっきり舌を伸ばしてルッカの上顎をざらり、と舐める。
ルッカの身体がビクリ、と大きく震えた。
そのままそこに舌を何度も往復させると、
感じる場所なのか、ん、んと甘い声を上げる。
口蓋を通じてグレンの頭の中に直接響くようで、彼の情熱はどんどん昂ぶってゆく。
「――キャアッ!?」
突然視界がぐるりと回転する。グレンがルッカを抱き上げたのだ。
抱きかかえたまま、ルッカの額に、頬に唇にと軽く口付けながら、
興奮を隠し切れない掠れた低音で、グレンはルッカに問うた。
「…いいか?」
恥ずかしさのあまり、思わず目をそらしてしまう。
しかし、耳まで赤くなるほどに上気したこの顔では、
真の答えは目に見えて明らかだろう。
グレンはふっと優しく笑って、熱を帯びた彼女の耳にちゅ、とキスをした。
446418:2010/08/06(金) 03:50:58 ID:JtQw/8gC
ギョエーageてしまった…orz
今日はここまでです。
次こそは!エロなので!

あとコメント下さった方ありがとうございました。
励みになりました。
447名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 02:59:45 ID:8YBFmt+k
連投申し訳ないです。
グレン×ルッカを書いてる者です。
暑さでやられてよくわからん物ができあがったので、
先に投下します。

カエル×ルッカの異種姦です。
448:2010/08/08(日) 03:04:02 ID:8YBFmt+k
「カエルってさ、リーネ様のこと好きなの?」
ゲルン、と変な声が出る。
喉の近くにしまってある長い舌を思わず飲み込みそうになった。
質問者である少女―ルッカはひどく真剣な顔つきでカエルの方を見ている。
答えない限りここから離れることは許さない、と言わんばかりの勢いだ。
カエルは改めてリーネに対する自分の感情について考えてみた。
好きかどうか。
恋愛感情など複雑なもの抜きにしてそう聞かれれば、迷いなく「好きだ」と答える。
しかし目の前の少女が求める答えはそういう類のものではないだろう。
十年以上前から、ガルディア王家の騎士としてずっと傍に仕えてきた。
サイラスが死んでからは、彼の遺志を継ぐべくずっと陰で守ってきた。
リーネの方も、自分に絶大な信頼を寄せている。
おそらく今はもう自分の正体に気づいていることだろう。
醜いカエルの姿でありながらも差別することなく自分に接してくれる。
自分にとって、最も近しい女性のうちの一人であることは間違いない。
しかし、これが恋愛感情かどうかというのは、今まで考えたこともなかった。
それはやはり自分の主君であるガルディア王の奥方であるためであろう。
では、リーネが独り身であったら?
もしかしたら自分は好きになっているのかもしれない。
漠然とカエルはそう思った。
「…そうだな。好きなのかもしれないな」
「…ふーん」
ルッカは少しの焦燥感を覚えた。
だが、これまでの王妃様本位のカエルの行動を見ていた限りでは分かりきったことだ、ともルッカは思っていた。
(何だか、悔しい)
カエルの中のリーネの存在の大きさを知らされる。
きっと、生半可なことではリーネに勝つことはできないだろう。
ふと、ルッカの中に悪戯心が芽生えた。
獲物を見つけた猫のようにじっとカエルを見つめ、じりじりと近づく。
おもむろに彼の股間を一撫でした。
「…っ!?」
驚きでびくりと身体が跳ね上がる。
同時にびりっとカエルの身体を強い快感が走り抜けた。
ルッカはそのまま優しく手を上下に動かし続ける。
突然の展開に完全に無防備な状態だったカエルは、
自らの身体の変化を自制することはできず、
彼の中心は熱を持ちたちまち形を作って立ち上がる。
その感覚にはっと我に返り、力を振り絞ってルッカの手首を掴んだ。
これ以上触られたら、自分がどうなるか、彼女になにをするかわからない。
ルッカの手首を押さえ込むのと同時に、自分の欲望を必死で抑えつける。
すると、ルッカはむっとした表情になり、
さらに身体を寄せてぬめった肌に唇を寄せてくる。
あまりの密着度にカエルはバランスを崩し、
少女に覆いかぶさられる形で二人は草むらに倒れ臥した。
ルッカの腕を押しとどめいていた自分の手が離れる。
ルッカはそれを確認して、なおもカエルの熱を撫で続けた。
449:2010/08/08(日) 03:09:36 ID:8YBFmt+k
(…何が起こっているんだ?)
かろうじて残っている理性で現在の状況を何とか把握しようとするが、
十年ぶりの刺激に頭が快感で支配されるのにそう時間はかからなかった。
カエルが抵抗する気を完全に失くしたと判断し、ルッカはほくそ笑む。
「あなたにはちゃんとついてるのね。
 普通カエルって、交尾しないからペニスがないんじゃなかったかしら?
 身体の全てがカエルになったってわけじゃないのね」
まるで生物学の講義をしているように、普段どおりの理性的な口調でそう言われる。
しかしその口調とは裏腹に、その手を止める気配は無い。
それどころか、先程よりもより熱のこもった手つきでぐにぐにと弄くられる。
喉の奥でくるる、といつもより心なしか高音の鳴き声が上がる。
もう我慢できない。
完全に理性が欲望に塗り替えられる。
衝動を抑えることができず、自分でも驚くほどの力でルッカの身体を返し、草むらの上に縫いとめた。
もどかしく彼女の首元を隠すスカーフを取り去り、腰布を解いた。
ぐいっと左右の袷を開き、長い舌でべろべろと首筋を舐める。
くすぐったそうにルッカが身を捩った。
彼の舌は非常に長く、一舐めするだけで大部分を湿らせる。
また、人間のものよりも粘着性があり吸い付かれるような感触がする。
ルッカの首筋から肩口にかけてが自分の唾液でてらてらといやらしく濡れ、
カエルの欲望をさらに刺激した。
シャツを捲くり上げると、意外と豊満な胸が露わになった。
ブラジャーのホックをはずし、上にずらす。
赤く色づいた二つの実が、期待にふるふると震えて硬く上を向いている。
これからこの長い舌で、どういう風に嬲られるのだろう。
そう考えただけで、ルッカはどうしようもなく興奮し、身体が熱くなった。
ふいに片方の乳首を一舐めされる。
「んぅ…っ!」
びりり、とルッカの身体中を電流が走り抜けた。頭の中が痺れるような感覚がする。
しかし乳首への愛撫は一瞬で終わり、
次いで長い舌がたわわなルッカの双丘の間を上へ下へと往復する。
その間、ぬめったカエルの指に両胸を掴まれ、ぐにぐにと揉まれた。
人間の指よりも柔らかく心もとない指がルッカの柔らかな白い胸に沈む。
「…ん…っは、ぁ」
ぬめぬめしたカエルの指が肌を滑る。
人間の男とはまた違った感覚。それがルッカの興奮をさらに掻き立てる。
だんだん自分の息が荒くなっていくのがルッカには分かった。
そろそろ確かな刺激が欲しい。
ルッカはカエルが胸の中心に愛撫を与えてくれないことに、
少々もどかしさを感じていた。
450:2010/08/08(日) 03:13:05 ID:8YBFmt+k
「カ…エル……」
はぁはぁと弾む呼吸が邪魔してうまく言葉にならない。
「…も…っと、…っ」
しかしカエルはそんなルッカの懇願を無視して、
今度は丸いルッカの胸の形を外側から円を描くようにして
ゆっくりと舌でなぞっていく。
柔らかく轟く舌の感触が気持ちいい。
また、その手の動きはルッカの柔らかな胸を揉みしだいたままだ。
徐々にその円の幅が狭くなり、長い時間をかけて赤い粒に迫っていく。
カエルの舌がルッカの小さな乳輪に沿ってぐるりと舐めまわす。
ルッカの身体がぴくり、と反応した。
あと少しで一番感じる部分に到達する。期待で震えがとまらない。
と、突然二股に分かれたカエルの舌が突起に巻きつき、
獲物を捕らえたときのように素早くカエルの口内に吸い込まれた。
「ふ、んああぁっ!」
予想外の愛撫に、たまらず高い声が出る。
びくびくと背中がのけぞった。
そのまま激しく舌を動かし、突起をちろちろと揺さぶる。
もう片方の乳首にも、カエルの独特の感触の指が触れ、ぴん、ぴんと何度も弾かれる。
「はぁ、ぁう、ああぁあ、んんっ!」
突然の激しい刺激の連続に、ルッカは快感以外に感じることができなくなっていた。
余すところなく襲ってくる快楽を必死で振り払うように、ぶんぶんとかぶりを振る。
その振動で眼鏡がずり下がった。
カエルはその様子を見てふっと笑い、愛撫を止めてそっと眼鏡をはずしてやった。
その拍子にカエルの指がこめかみのあたりに触れる。
その感触だけで、ぴくりと身体が反応する。
それほどまでに自分の身体が昂ぶっていることをルッカは思い知った。
「ずいぶん感じやすいんだな、お前。胸だけで達けるんじゃねえか」
「……」
はぁはぁと収まらない呼吸をなんとか押さえ込もうとする。
自分をからかうカエルの言葉にさすがに羞恥を覚え、きっと睨み付けた。
だが、おそらく自分の顔は紅潮して目が潤んで、
まったく説得力の無いいやらしい表情をしているのだろう。
自分でそれが分かっているから、なおさら羞恥心が積みあがっていく。
そんなルッカの様子を見て、カエルは愛しいと思った。
ルッカの唇にキスをしたい衝動に駆られる。
だが、カエルの姿である自分の大きな口では、
彼女の整った形をした小さな唇を味わうことはできない。
それが非常に残念だとカエルは思った。
451:2010/08/08(日) 03:21:49 ID:8YBFmt+k
ゆっくりと彼女の細い腰を撫でる。
びくりと敏感なルッカの身体が震えた。
そのまま上下に往復させる。
ルッカにとっては、カエルの柔らかくぬめった指が肌を這う感触が
どうにも堪らなかった。
五本の指がある。それは人間の手と同じだ。
しかし、濡れたように吸い付くその感触は、
さらさらと乾いた皮膚の人間の手では到底味わえないものである。
その得体の知れない感触の物体が、意志を持って自分の肌を滑る。
ルッカがピクリと反応を見せた部分は、決して見逃すことなく徹底的に責め立てる。
「……ぅ、くぅ、ん…」
頭がおかしくなりそうだ。
足の付け根の辺りが痺れて力が入らない。
息を荒げくったりしている少女を一瞥して、
カエルはルッカの腿にぴっちりとフィットしているスパッツに手を掛けた。
下着ごとゆっくりと脱がしていく。
ゆで卵の殻をむくように、伸縮性のある生地がつるりと剥がされる。
さすがにルッカも羞恥を覚えて、足を閉ざそうとする。
しかしカエルはそんなルッカの心の内を無視して、
ふくらはぎを強引に掴んでぐいと左右に引っ張った。
「…あ…」
恥ずかしさと心もとなさで、思わず顔を背ける。
カエルの目前にルッカの花弁が露わになった。
そこはすでに彼女自身の蜜でたっぷりと濡れて赤くいやらしく光っている。
顔を近づけると、女の熱い熱気が強く放たれていて、思っていた以上に誘われた。
カエルはその部分に躊躇なく舌を這わせた。
「はっ…あ、あっ!ああぁ…!」
熱く長いぬめったものがうねうねと蠢く。
「あ、あ、あぁ」
人外の生物の舌が自分の最も恥ずかしい部分を舐め回している。
その事実によって生まれる背徳感が、かえって快感をいっそう促進する。
(どうしてこんなに、気持ちいいの…)
涙が溢れ出す。
思わずルッカは真っ赤な顔を両手で覆った。
しかし、強い力でその腕を剥がされる。
「だめだ、ちゃんと見てろ」
咎めるような口調で言われる。
452:2010/08/08(日) 03:23:12 ID:8YBFmt+k
「あ…ぁ…」
快楽に支配された彼女は、カエルの言うことに素直に従うほか為す術がなかった。
恐る恐る足の間に目を向ける。
欲望でぎらついたカエルの視線とルッカの視線が交わった。
ルッカが自分の方を見たのを確認して、カエルは舌をルッカの秘部に伸ばした。
それと同時に、強い快感が体中を突き抜ける。
「っ!や、っ…!」
ルッカは思わず目を瞑ってそのいやらしい光景を無理やり遮断した。
しかし、カエルの充血した長い舌が自分の秘所を弄くる場面が
即座にまぶたの奥に蘇り、ルッカの羞恥心を刺激する。
自分が今彼に何をされているか、目を閉じていてもありありとわかってしまう。
「やっ、んぁああぁぁっ!」
カエルの舌が突然にゅるっとルッカの膣内に侵入した。
人間のものよりもずっと長くて粘着性のある舌が、
これでもかというほどにルッカの奥に入り込み轟いた。
その未知の感覚は、今までに無い刺激を以ってルッカを夢中にさせる。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅと、激しい水音を立てて抜き差しされる。
「ぁん、あ、あ、ああ、あ、ああぁ、」
カエルの舌の動きに合わせて高い声が上がる。
自分の嬌声が、どこか遠いところで響いているような錯覚を覚える。
もうだめ、達く。
ルッカの目蓋の裏を真っ赤な光が覆う。
ダメ押しされるように、指で花弁の奥の赤く色づいた突起を弾かれた。
「ぁう、んあっ!あ、ぃや、やぁああああああっ!!」
完全に光が弾けた。
453:2010/08/08(日) 03:24:47 ID:8YBFmt+k
きゅぽっ、と濡れた音を立てて舌が抜かれる。
無言のまま、カエルは唾液とルッカの愛液にまみれた口元をぐいっと拭い、
ルッカの身体から身体を離した。
はぁはぁと、全力疾走をした後のように激しく弾む息を整えて、
潤んだ瞳でルッカはカエルを見た。
ルッカの熱っぽい視線に気づいて、カエルは慌てて目をそらす。
彼の目に浮かんだ迷いの色を、ルッカは見逃さなかった。
ルッカは、カエルが自分の姿に強いコンプレックスを抱いていることを知っていた。
今は人外の姿の自分がルッカを抱いてしまったら、
取り返しのつかないことになるかもしれない。
おそらくルッカの身体を衝動に任せていいようにしてしまったことを、
カエルは激しく後悔しているだろう。
ルッカには彼の考えが手に取るように分かっていた。
(馬鹿ね。ここまでやっておいて、何をいまさら)
冷静を装っていても、はち切れんばかりに男の部分を熱で膨張させていることに
気づかないほど自分は鈍くない。
どうなっても構わない。
確かなものが欲しい。
今更逃げることなど絶対に許さない。
ルッカはカエルの首にしがみつき、そのぬめった口元にかぶりついた。
(了)
454名無しさん@ピンキー:2010/08/08(日) 16:30:01 ID:Vj/8UQr0
GJ!やはり異種姦はいいものだな。
455名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 14:10:57 ID:SH+Tn7g1
あなたが神か。

カエルルッカもグレンルッカも読みたいと思っていた俺にとっては幸せすぎる
456名無しさん@ピンキー:2010/08/12(木) 00:02:52 ID:7Llit4+q
gggggggggggggggggjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjj!!!!
ありがとう、神たちよ
457名無しさん@ピンキー:2010/08/16(月) 12:41:28 ID:Q1PalYEq
ふおおおお!!!!
GJGJGJ!

グレルカ、相変わらずたぎる…!!
458名無しさん@ピンキー:2010/08/25(水) 02:13:38 ID:xVrxAI0y
GJ!!!

ありがとうございます神様達!!
459名無しさん@ピンキー:2010/09/06(月) 04:26:13 ID:d4wJOpa9
ほしゅとか要るのかな
460名無しさん@ピンキー
どお